あまりときめかない人生だったので来世はときめく様に生きたいと思います (みゅーな)
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~プロローグ~

はじめまして!みゅーなです♪

本作がハーメルン初作品なので頑張って書いていこうと思います!
まぁリアルが忙しいので更新は遅くなるかもですが(震え声

取り敢えずプロローグのみ投稿して様子を見たいと思います。
(酷かったら消そうかな…)



それでは本編をどうぞ!


 

三人称side

 

ある日、1人の男が死んだ。

その男の生涯は決していいものではなかった。

 

幼少期からその歳には似合わない能力を有しており、

見たものを瞬時に覚えられる程の記憶力に、類い稀なる戦いの才。

両親は初め優秀な息子を誇っていたが、成長するにつれてその才能に怯えるようになった。

 

少年に最初の転機が訪れたのは小学校低学年の時だ。

夕方、小学校から家に帰ってくるとそこには親の姿も家具も何も無く、

瞬時に理解する。自分は親に捨てられたのだと。

如何に優秀な能力があっても所詮は小学生、やれることなど知れていた。

お金なども当然なく、当てもなく彷徨い続ける。

 

どれだけ時間が経ったのか既に少年は分からなかったが、

空腹や疲労も相まって段々と体から力が抜けていく感覚に陥る。 

残ってる力を振り絞り近くのベンチに辿り着くとそのまま意識を手放す。

 

少年は漂う匂いに吊られて意識を覚醒させる。

薄っすらと目を開くと視界に映ったのは料理をする1人の老人だった。

少年は起き上がると気配を感じたのか老人が振り向き口を開く。

 

「目が覚めたかな?」

 

「………」

 

少年は何も喋らない。

 

「…ふむ。取り敢えずこれでも食べなさい。見る限り碌に食事も摂っていないだろ」コトッ

 

「……」

 

少年の目の前に出来立てのシチューが置かれるが手を付けようとはしない。

 

「心配せんとも、毒なんて入っておらんよ」

 

「(パクリッ)………!」

 

訝しげにシチューを1口含むと勢いよく口にかきこむ。

 

「そこまで慌てんでも誰も取りはせんよ。おかわりはあるからゆっくり食べんさいな」

 

少年は無心にシチューを食べ続け、満腹になったせいか再び眠りに落ちていった。

 

 

翌朝、再び目が覚めた少年は老人に事情を話した。

 

「…事情は分かった。お前さんは帰る場所がないのであろ?だったらここに住むがいいさ」

 

少年はホントにここにいていいのか、自分は普通の子供じゃないと老人に問いかける。

 

「…実は言うと儂も普通ではないんじゃよ、ハッキリとは言えんがね」ニコッ

 

少年は首を傾げる。

 

「子供は黙って甘えてればいい、安心せい。儂がしっかり面倒見てやるわい」ナデナデ

 

その言葉を聞いた少年は目から涙を溢れさせ大声で泣いた。

老人は抱きしめながら「辛かっただろ、頑張ったな」と声を掛けながら慰める。

この日を境に少年は新しい家族との生活が始まったのであった。

 

学校も再び通い、中学に入学する頃には元々の記憶力(本人はあまり嬉しくない)と

地頭も悪くなかった為、高校の学習範囲を既に修めていた。

高校に入学したあとは調理の勉強を始めた。

自分を拾ってくれた時に老人が作ってくれたシチューが忘れられず、

自分も料理で人を癒したいと思い調理師になることを決めた。

老人にそのことを話すと満面の笑みを浮かべていた。

 

少年が成人し調理師として働き始め、才能もあったことでメキメキと力を付けていき、20代半ばで老舗旅館の副料理長としてその地位を上げた。

その頃には既に老人はこの世を去ってしまっていたが少年の出世を誰よりも喜んでいたのだった。

 

料理の研究と勉強、さらに技術力向上に青春を費やした少年だが、息抜きにゲームをすることもあった。

そのゲームの名は「KINGDOM HEARTS」。このゲームを初めてプレイした少年はときめきを感じていた。

長い月日を掛けて続いた物語も、ここ最近発売した最新作で一旦終わったのである。

 

そしてある日、少年はいつもより早めに職場を後にする。この日は料理長(90歳)が絶好調であり少年は粗方の仕込みを終えたところで帰っていいと言われたのだ。

なお少年は今でも老人と住んでいた家にいる。

本当の家族よりも家族といえる人の家を手放せなかったのだ。

※維持費など諸々は老人の遺産が莫大であった為、困っていない。

 

いつもより早い帰宅に今日は何を作ろうかと信号待ちをしている目の前の親子を見ながら献立を考える。

信号が青になり横断歩道を渡ろうとすると、勢いよくトラックが此方に走ってくるのが見えた。

このまま行けば目の前を歩く親子に間違いなく突っ込むだろ。

 

少年は直ぐに行動に移す。

目の前の親子の肩を両手で掴み、腕力と自身が出した勢いで思いっきり引き、

己の背後へと突き飛ばす。

 

チラリと後ろを見て、安全であることを確認すると僅かに少年は笑い、

この後にくる衝撃に身構えながら呟く。

 

「こんな終わりも悪くないかもな…。でも…」

 

 

ドンッ!!!!!

 

 

トラックはそのまま少年を勢いよく跳ね飛ばす。

少年の意識は固いコンクリートに体を打ち付けたと同時に沈んでいくのだった。

沈みゆく意識の中で少年は心で愚痴る。

 

「(全然ときめかないねぇ…)」

 

その少年…基、男の名は「滝川 帝」。

 

白いスーツを着た、長髪の男だった。

 

三人称side out

 

 





ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

ま、プロローグだけじゃ何がなんだかですよねw
この続きのプロットは既にできているんですがねぇ…。

また時間が出来たら上げたいと思います!

最後に、アドバイスなどは大変ありがたいですが
誹謗中傷は絶対にお辞めください。

作者が発狂して、雨が降る中全裸でドジョウ掬いをしてしまい
通報されてしまいます。

ではまた次回ノシ


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転生~幼少期~
1話~転生~


みゅーなです♪

取り敢えず1話投稿します。

特典どうしようかな…(震え声



帝side

 

「…ここは?」

 

俺は確かトラックに撥ねられたはず。

あの速度で突っ込まれたらいくら俺でも無傷とはいかないし即死だ。

しかし痛みも感じない、どうなっている?

 

「お目覚めですか?」

 

「あんたは?」

 

状況を整理していると見知らぬ女に声を掛けられる。

 

「私はあなた達で言うと神様みたいなものですね!」

 

「なるほど、理解した」

 

要するに俺はトラックに撥ねられて死んでしまい、天国か地獄に行く一歩手前ってことか。

それで今の俺は魂だけみたいな状態と…。

ふむ、イメージでは閻魔大王がそういった事をしていそうだが…。

実際は神とかいう輩が行っているのか。

 

「なぜそこまで冷静に思考できるんでしょうか?普通はもっと呆然とするものなんですけど…」

 

「ん?…あぁ、心も読めるのか。あながち神というのも嘘ではなさそうだな」

 

「いや、ホントなんでそんな落ち着いているんですか!?死んでしまったんですよ!?」

 

うるさい、喧しい。何を言ってるだこの自称女神は。

 

「落ち着くも何も、今更嘆いても意味がない。人は遅かれ早かれ死ぬ、それだけだ」

 

「未練とかはないんですか?」

 

「未練はあるぞ?ただもう死んだ、それだけだ」

 

俺がそこまで言うと自称神は頭を抱える。

 

「ハァ…。いいんですけどね、あなたはそういう人でした…」

 

なんだ、まるでずっと昔から知っているような口ぶりだな。

 

「あなたの事はずっと見ていましたから」

 

「まぁどうでもいいが。それよりもさっさと天か地か決めた方がいいんじゃないのか?」

 

「…ホントにあなたって人は…。んんッ、さてその件ですがあなたが行くのは天国でも地獄でもございません」

 

「ほう?俺は某殺人ノートなんぞ使ってないから"無"へはいかないぞ?」

 

「私は死神じゃないですよ!ゴホンッ…あなたにh「なるほど、理解した。ラノベなどで言う転生というやつだな?」…せめてセリフ言わせてよ…」

 

ふむ、心成しか自称女神が泣きそうな顔しているな。

 

「誰のせいだと…もういいです。因みにこの転生は決定事項なので拒否権はございません」

 

なんだと?

 

「理由を聞いても?」

 

「あなたの幼少期は酷いモノだった。しかしそこで折れずにここまで生きてきたあなたを評価して…簡潔に言うとご褒美のようなものですが…」

 

「ふむ、他にもあるのか」

 

「あなたがよく知る人物が若くしてその命を散らしてしまうのは悲しいとおっしゃりまして」

 

「ふむ、理解した。今更だが1ついいか?」

 

「助けた親子のことでしょうか?それならケガもなく無事ですよ」

 

「そうか、ならいいんだが。それで?その俺がよく知る人物っていうのは?」

 

俺をそこまで評価してくれる人物って誰なんだ?

 

「それはわしじゃよ」

 

俺はその声に後ろを振り向く。

忘れるはずがない、忘れらえる訳がない。

この声は唯一の家族のものだ。

 

「…じいさんか。あんたも神だったというオチか?」

 

「フォッフォッフォッ!相変わらずよくキレる頭じゃの」

 

「何を今更」

 

俺は肩を竦めながら答える。

 

「お前の予想通りわしも神じゃ。人間界で生活したくなってな、神界から降りていたんじゃよ」

 

今更だがここは神界というとこらしい。どうでもいいがな。

 

「なるほど、人間界で人としての寿命を全うして神界へと帰還し俺を見守っていたってところか?」

 

「うむ、お前さんを拾ったときはここまで成長するとは思ってもみなかったがな」

 

「教育者の賜物だろうよ、改めて礼を言うよ」

 

「よいよい、わしがやりたくてやったことじゃ。さて、お前さんには転生をしてもらうが特典として3つまで何でも好きなものを贈ってやれるが」

 

「そこは普通1つというのがセオリーじゃないのか?」

 

「わしはこう見えて結構偉いんじゃぞ?それにお前さんは躊躇いもなく自身の命を使い、3人の命を救っているしのぅ」

 

「ん…?3人?俺が助けたのは2人だと記憶しているが?」

 

「あの母親の腹には未来ある命が宿っておったのじゃよ」

 

「なるほどな…」

 

「わしは誇りに思う。さて特典の話に戻るが、なにかないのか?なんで良いのだぞ?」

 

俺はじいさんの話を聞き思考する。

 

「…よし、一つ目は今の名前と能力をそのまま転生先に引き継ぎたい」

 

俺の言葉にじいさんは目を丸くする。

 

「そんなんでよいのか?」

 

「あぁ、この"帝"って名前はじいさんがつけてくれたものだし、能力はメンドーなこともあったが助けられていたのも事実だしな」

 

「お前という奴は…、よかろう。そして2つ目は?」

 

「じいさんと暮らしたあの家を転生先でも住めるようにしてほしい」

 

「あのぅ…よろしいでしょうか?」

 

俺がずっとじいさんと話している間、空気と化していた自称女神が割り込んでくる。

 

「自称じゃなくてちゃんとした女神です!それよりも折角の特典をそのようなものするのは何故ですか?」

 

「愚問だな。じいさんは俺にとって全てだった。名前も住む場所も、今の俺があるのは全てじいさんのお陰だ。

 そんなじいさんから貰った名前を早々に手放してたまるか。それにあの家は気に入っているしな」

 

「帝…、そこまでわしのことを」

 

「当たり前だろ?こんな若くして死んで申し訳ないがな」

 

「お前さんは未来ある命を救ったのだ、誇るがよい」

 

「あぁ…」

 

「さて、2つ目の特典については1つ目の特典に混ぜておこう」

 

「いいのか?」

 

「うむ、無理難題って訳ではないからのう」

 

「分かった、じゃあ2つ目は………。ふむぅ」

 

「どうしたのじゃ?」

 

「すまないが、特にこれといったのが見つからん」

 

「お前はホントに無欲じゃのう…」

 

そうは言われてもな、思いつかないものはしょうがないだろ。

 

「わかった、特典は一旦置いておいて次は転生先じゃが…希望はあるか?」

 

「それなら、平和な世界で13機関みたいな組織を作って遊べる世界がいいな」

 

「お前がアレを好きなのは知っているが…またピンポイントな…」

 

じいさんは呆れているが、荒れた混沌な世界は勘弁だ。

平和の中にあるときめきを感じたい。

 

「あの…13機関というのは…」

 

あぁ、自称女神。まだいたのか。

 

「私の事嫌いなんですか!?いい加減泣きますよ?みっともなく泣きますよ!?」

 

「うっとうしいからやめてくれ」

 

「……(なぜ私がこんな扱いを…)」グスッ

 

「そういうところも変わらないのう…。まぁ、お前の願いに沿った世界へと転生させるからのう」

 

「サンキュ、じいさん」

 

「うむ、それに特典じゃが…、特にないならわしの方で勝手に決めるが良いかのう?」

 

「あぁ、特にないしじいさんに任せるよ」

 

「相分かった、ではそろそろ時間じゃ」

 

「そうか、久しぶりに話せてよかった」

 

「わしもじゃ。最後に転生について話しておくかのう…。まず5歳位の年齢で転生、16歳頃に前世の記憶を取り戻す様にしておく。

理由は分かってそうだから平気かのう。わしの選んだ特典についてもその時に分かるようになるじゃろ」

 

「あぁ問題ない」

 

返事をした途端、俺の体が光に包まれる。

 

「本当に世話になったな。次はもっとときめく人生を送るわ、"じっちゃん"」

 

「!」

 

こうして俺は光に包まれ、意識が途切れるのだった。

 

帝side out

 

-------------------------

 

三人称side

 

「行ってしまいましたね」

 

「ふむ、あやつは記憶など無くともなんとかなるじゃろう」

 

帝の育ての親であった神は優しい顔で帝がいた場所を見上げていた。

 

「最後の笑顔、凄く可愛かったです」

 

最初に帝を案内した女神は顔を赤らめながら言う。

 

「昔を思い出すのう…」

 

「女の子にモテそうでしたね」

 

「実際モテてからのう。…さてわし等も準備をするかのう」

 

そう口にすると女神が首を傾ける。

 

「?何かあるんですか?」

 

女神の疑問に楽しそうに答える神。

 

「わしらもあやつがいる世界に行くんじゃよ」

 

「…え?私も?」

 

困惑する女神を見ながら神は準備を進めるのだった。

 

三人称side out

 

 




お読みいただきありがとうございました。

次回の投稿はまたまた未定です。

ホントに特典どうしよう…。


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2話 ~幼馴染みとの出会い~

みゅーなです♪

続けて2話目です。

今回は幼少期の一部で原作キャラが出てきます!
キャラ崩壊は勘弁を(震え声

それがダメならブラウザバック!(o^-')b

ではでは本編ドゾ~♪


帝side

 

僕の名前は滝川帝、小学6年生だ。

今近所の公園に来ている。

 

お母さんはお家で専業主婦?していて、お父さんはゲーム会社で働いてるらしい。ついでにお姉ちゃんもいる。

 

両親は僕をいっぱい可愛がってくれる。

お姉ちゃんはなんかいっぱい触ってくるけど気にしない。

 

だけど、その事にとても〝ときめき〝を感じる。

ん?ときめきってなんだろう?

 

「おにいちゃ~ん!」

 

1人考え事していると女の子が1人こちらに駆けてくる。

 

「どうしたの?楓」

 

「もー、今日は私と遊んでくれる約束でしょ?」

 

この子は本条楓。近所に住む小学4年生で、アホ毛が特徴的な人懐っこい子だ。

この子との出会いは偶然通りかかった道で知らないおじさんに誘拐されそうになってた所を助けたのが始まりだ。

楓の親御さんには凄く感謝されて、それ以降妙に懐つかれた。

 

ん?その誘拐犯はどうしたかって?

普通に殴ったら勝手にのびたよ?その後は引き摺って近くの大人に預けた。

 

「ごめん、こめん。少し考え事していてね?なにして遊ぼうか?」

 

「あ、それよりも今日は友達を連れてきたの!」

 

友達?はて、そんな子は見当たらないが。

 

「楓~、あんた早すぎ…」

息を切らしながら現れた女の子は楓に文句を言う。

 

「えっと…君は?」

 

「あっ…ごめんなさい。えっと…私は白峯理沙っていいまふ」

 

見事に噛んだね。

理沙は噛んだことが恥ずかしいのか顔を真っ赤にしている。

 

「理沙ね、よろしく。噛んだことは気にしなくていいよ?」

 

慰めるつもりで頭を撫でてあげると目を細めて気持ち良さそうな顔を浮かべる。

 

「むー!理沙ばっかりズルい!お兄ちゃん!私も撫でて!」

 

理沙を撫でてると楓が頭を突き出してきたので空いてる手で同じように撫でてやる。

 

「むふ~♪」

 

何故そんなに得意気なんだ?

 

「さて、そんなことよりなにしてあそぶの?」

 

「あっ!あのね、おままごとしたい!」

 

楓が提案する。

 

「おままごと?でも道具がないよ?」

 

「今から私の家に来てやろう!」

 

楓よ、なぜ公園に呼び出したのだ。

 

そこから僕たちは楓の家と向かう。

楓は2、3歩先を歩いていて、理沙は何故か腕に抱き付いてきたけどそのままにしといた。それに気づいた楓が空いてる腕に抱き付いてきたのでそのまにしておいた。振りほどくとイジけそうだったから。

 

楓の家に着いて中に上がると楓のお母さんがあらあらといいながら出迎えてくれた。

 

「帝くんはモテモテね~」

 

そうかな?楓は妹みたいなものだし…。

 

その後は楓の部屋にいって3人でおままごとをする。

僕がお父さん役だったんだけどお母さん役をどっちがするかで楓と理沙が

じゃれあっていた。

 

「公平にじゃんけんで決めたら?」

 

僕の提案に渋々頷き2人がじゃんけんをする。

 

結果は楓がお母さん役を勝ち取りぴょんぴょん跳び跳ねてる。

理沙は悔しそうにしている。負けず嫌いなのかな?

 

可愛そうだったので優しく頭を撫でてあげると笑顔に変わった。

 

小道具を用意したあと僕は一旦部屋の外に出て、ただいまといい再度部屋に入る。

 

「お帰りなさい!ごはんにする?お風呂にする?それともわ・た・し?」

 

どこでそんな台詞を覚えてきたんだ。小学生が言っていい台詞じゃないよ。

 

「ごはんにしようかな、理沙はどうしたの?」

 

「パパ、お帰りなさい!」

 

そう言うと子供役の理沙が抱き付いてくる。

頭を撫でてあげると顔を綻ばせる。尻尾が付いてたらブンブンと凄い勢いで振ってそうだ。

 

「奥さんを無視するなんて酷い!もう離婚よ!」

 

だから楓よ。そんな台詞をどこで覚えてくるんだ。

 

開始早々、離婚の危機に陥る。

 

「わたしはパパに付いていく」

 

理沙よ、君もか…。

 

「まぁまぁ、楓も落ち着いて?」

 

「むふ~♪♪」

 

頭撫でたら一発で機嫌がなおった。どうやら離婚の危機を脱したようだ。

 

2人の頭を撫で終わりおままごとを続行する。

 

「はい、あなた!あーん♪」

 

「あーん…むぐっ」

 

楓のお母さんが用意したクッキーを僕の口に運ぶ楓。

 

「おいしい?」

 

「おいしいよ」

 

そう言うとまたぴょんぴょん跳び跳ねる楓。

 

「むぅ、パパ!わたしもあーん!」

 

「はいはい、あーん」

 

楓に対抗して理沙もあーんをしてくる。

 

「おいしいよ」

 

そう言うと理沙はニコニコと笑顔を浮かべる。

 

そうしておままごとをしていくうちに帰る時間になった。

 

「もう、こんな時間だね。そろそろ帰るよ」

 

「えー、もう帰っちゃうの?」

 

駄々をこねる楓の頭を撫でて宥める。

 

「暗くなる前に帰らないとね?僕はともかく理沙が危ないからさ」

 

不満そうな楓も夜道が危ないというのは理解しているのだろう。ブー垂れながら了承した。

 

「さて、理沙も1人だと危ないから僕が送っていくよ」

 

「ホント!?」

 

そう言うと理沙が抱き付いてきた。

 

「うん、女の子が1人だと危ないからね」

 

僕と理沙は楓のお母さんにお暇することを言うと車を出すって行ってくれたけど遠慮した。

 

僕だったら女の子1人を抱えた状態でも変質者位撃退できる。

 

でも、なんで僕ってこんなに強いんだろ?特別なことはなにもしてないのにね。

 

腕に抱き付きながら笑顔を浮かべる理沙を横目にそんなことを考えるのだった。

 

 

 

理沙を家に送り届けると寄ってってと無理矢理家に連れ込まれた。

既にいた、理沙のご両親に送ってきた旨を伝えるとお礼を言われて夕食を食べていかないかと言われたので遠慮したら理沙が駄々をこねたので、電話を借りて僕の両親に夕食はいらない旨を伝えてそのままご相伴にあずかることにした。

 

その後、帰ることになり送ってくれると申し出てくれたが遠慮しといた。

何かあっても対処できるしね。

 

僕は駄々をこねる理沙を軽く撫でた後、帰路につくのだった。

 

帝side out




今回は原作キャラとの出会いを書きました。

帝くんの口調が丁寧なのは前世の記憶がないからであり、自身が普通の小学生より強いのも前世の能力のお陰です。
あと楓達の年齢は丁度NWO始める頃に高校1年生になるように調整しています。

次回は少し時間が飛んで家族について書いていけたらっていいかなー思います!

コメントやアドバイスなどもお待ちしています♪
(評価もできたら……)


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3話 ~家族~

みゅーなです♪

今回はゲロ短いです。
ホントにこの回いる?って書いてて思いましたけど取り敢えず書いてみました。

ではでは、駄文ですがどうぞ~

※ぶっちゃけ読まなくても問題ないですw


帝side

 

皆さんおはよう、帝だよ。

今日は僕の家の朝と家族の話をしたいと思う。

家族構成としてはお父さん、お母さん、お姉ちゃん、僕の4人家族だ。

 

「帝~、早く起きなさ~い」

 

下からお母さんの声が聞こえてくる。

お母さんは優しくて綺麗な人だ。

専業主婦でありおっとりとしているけど怒ったときは誰よりも怖い。

 

「お母さん、おはよう」

 

下に降りて顔を洗い、歯磨き等を済ませて朝食が用意されている席へと座る。

 

「もうすぐ出来るから待っててね~」

 

「うん」

 

間延びしたお母さんの言葉に返事をすると後ろから誰かに抱き着かれる。

僕の頭に2つの山が載せられて正直ウザい。

 

「帝、今日もかっこ可愛いね」

 

これはお姉ちゃん。簡単に言うと鬱陶しい人。

冷たくあしらうとイジけてめんどくさい事になる。

別に嫌いな訳じゃないけどなんかそう感じる、不思議だね。

 

まぁそれでも時間が経てば機嫌は元に戻るんだけどね。

 

「お姉ちゃん、朝から鬱陶しいから離れてよ」

 

「なんでいつも帝はそんなに冷たいの!?」

 

「朝からうるさいよ…」

 

「いいよ、いいよ~だ。今日はもう構ってあげないもん」

 

勝手にしてほしい。

 

「朝から仲がいいねぇ~」

 

お姉ちゃんを軽くあしらっているとお父さんが席に着く。

 

「おはよう、お父さん」

 

「あぁ、おはよう」

 

お父さんはゲーム会社で働いていて、結構偉いらしい。

今新しいゲームを開発しているらしいけどどんなのかは教えてくれない。

ただファンタジーのジャンルになるかもと言っていて、その際凄く黒い笑みを浮かべてたのが印象的だった。

 

「みんな~、朝ご飯出来たわよ~」

 

話している内に朝食が出来たようだ。先ほどもまでイジけてリビングの隅にいたお姉ちゃんもいつの間にか僕の隣に座っている。

 

「「「「いただきます」」」」

 

揃って朝食を食べ始める。これが毎朝の光景だ。

 

「帝~お醤油取って~」

 

「はい」

 

僕の近くにあった醤油をお姉ちゃんの前に置く。

 

「もっと可愛く置けないの~?まぁありがとう」

 

可愛く置くってどうすればいいのさ。

こんなやり取りもいつもの事だ。

 

そしてお父さんとお母さんもそんな微笑ましい顔をしないで。

 

朝食を摂った後は準備をして学校へと向かう。

登校はいつも1人だ。友達はいないわけではないよ?

勉強はそれなりにできるし何故か覚えた事は忘れないんだよね。

テストも余裕で今は自主的に中学3年生の勉強をしている。

正直学校ではあまりときめかない。

 

あ、まただ。ときめきってなんだろう?

 

そんな事を考えながら学校に到着しいつもの日常に身を委ねるのだった。

 

帝side out





頂いたコメントを元に少しづつ書き方だったり表現の仕方だったり変えていこうかと思っています。ぶっちゃけこの先の話についてもある程度出来ていたんですがそれも今から修正していくので続きを投稿するのは滅茶苦茶掛かるかと思います。

皆さんから忘れ去られた時にふらっと緩く更新していきます♪

コメントやアドバイス又ご指摘をお待ちしております。

※まぁあまりボロクソ言われると耐えきれなくて
 失踪するかも思いますがWWWWWWW


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4話 ~前世の記憶~

おハロー、みゅーなです!
今回も読まなくても問題ないですw

一気に時間を飛ばして、次回から原作に突入したいと思います!
ん?何故かって?理由は察してくれ(震え声

ではでは、本編どぞー♪



帝side

 

あれから色々あったが中学を卒業したと同時に俺は前世の記憶を取り戻した。

昔から妙に強かったのは特典の影響だったのか…。

因にだが家族にはこの事を話していない。

 

そもそも転生する際にⅩⅢ機関の様な組織を作って遊びたいと言ったがそんな要素が何処にあるんだ?じいさんに任せた残りの特典も分からんし…。

それに俺の父さん、なんか妙に懐かしい感じがする。

 

「……(父さんには話しておいた方がいいか?)」

 

息子が突然、前世の記憶が甦ったなんて言ったら間違いなく心配されるだろう、主に頭を。

 

しかし父さんには話しても問題ないようにも思える。

取り敢えず父さんに顔を見せにいくか。

 

「…(しかし、高校の勉強もつまらん。こんなにつまらなかったか?)」

 

現在は授業中。

高校の範囲は既に学習を終えているし、元々記憶力はぶっ壊れているので前世での事もしっかりと記憶している。

つまり今の俺は死んだ直前までの知識と転生後の知識両方とも持っていることになる。

 

「(ときめかないねぇ~…)」

 

そう内心溢しながら窓の外に視線を向ける。あ、雀と目があった。

 

「であるからして…こら、外を見てないでしっかりと授業を受けなさい、田崎(・・)くん!」

 

俺は視線を外に向けたままヒラヒラと手を振る。

 

「…はぁ…。相変わらず問題児だなぁ…」

 

哀愁漂う呟きが耳に入るが気にしない。

ん?田崎って誰かって?俺だよ。

この高校には偽名を使って通っている。

理由は特にない。強いて言うなら面白そう、といったところか。

 

もう少しだけ俺の事を話そうか。

中学を卒業して記憶が戻ったと同時に一人暮らしを始めた。

最初は安いアパートを借りて父さんに家賃など生活費を払ってもらっていたが株やらFXやらを始めて成功してからは、普通のアパートに引っ越し貯蓄をしている。まぁ、それ以外でも稼いでいるんだが…。

 

そして、記憶が戻ったことで特典である前世で住んでいた家と小学生の時に住んでいた家は違った。

別の場所にあるんだろうが…いつ使えるようになるのだろうか?

 

 

 

キーンコーン カンコンー キーコンカン、ココンン

 

 

 

授業終了のチャイム…。しかし何度聞いてもリズムが気持ち悪いチャイムだな。

 

さて、昼の時間になったがいつもの場所で昼寝でもするか…。

 

「田崎くん、田崎くん!私たちと一緒にお昼食べない?」

 

名も知らない女子から昼のお誘いか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めんどうだな、断ろうか。

 

 

 

「すまないが…今日は昼食を忘れてしまってね。また今度誘ってくれるかい?」

 

「そっか~…、うん!また今度ね!」

 

残念そうな顔をして友達であろう者達の輪に戻っていった。

さて、今度こそ…「田崎」…俺を寝かせろ。

 

声の主の方へ睨むように振り向きそいつの名を呼ぶ。

 

「何のようだ、三好」

 

「いや、この前の仕事は見事な手際だったな」

 

「あぁ、あの仕事か。お前の筋書き通りにやっただけだ」

 

「いや、あそこまで完璧にこなせるのはそうはいない」

 

「はぁ…、他にも似たようなヤツがいるのに何をいってるやら…。で?そんなくだらない話をしに来たわけではないんだろう?」

 

今更だがこいつは三好と言ってこの高校に入学した時に目をつけられた。

俺の金稼ぎの1つでもある仕事を回してもらっている。

 

その仕事っていうのは…ふむ簡単に言うと探偵か?少し違う気がするがまぁ、そんなところだ。

 

「ふっ…まずはこれを見ろ」

 

そう言うと三好は俺に向かって茶封筒を渡してきたので中を見ると幾つかの写真が出てきてそこには中学生位の女の子が映っている。

 

「この写真は?」

 

「この写真に映っている子の母親が依頼者だ。どうやら娘がストーカー被害に遭っているらしい」

 

今回はストーカー案件か…。

いつの時代、どこの世界でもこういう輩はいるんだよねぇ~…楓の時もそうだったしな。

 

楓の件は只の誘拐か。

 

「…で?具体的な依頼は?」

 

「ストーカーを無くさせるのが今回の依頼だ。細かい条件などは特にない」

 

「わかった、早速今日から動くがいいか?(そうなると…あの手でいくか)」

 

「あぁ、特に期限は決められていない」

 

「了解」

 

三好に別れを告げ屋上を目指す。

今日はこのままサボってしまおう。

 

「くぁ…今日は天気がいいねぇ……寝よ」

 

俺は屋上に着くと人目のつかない場所へと移動し目を閉じるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

 

ピピッ ピピッ ピピッ

 

 

「…ん?」

 

携帯のアラーム音で目が覚める。

時間を確認すれば既に放課後を迎えている。

 

「少し寝過ぎたか?まぁ、いいか」

 

俺は屋上を後にして、荷物を取りに教室へと向かいながら三好から送られてきたメールを確認する。

内容は依頼人の住所と名前だ。

 

「(取り敢えず、この住所に向かって話を聞くか)」

 

教室に到着。

中に入り自分の席へと視線を向けて目を細める。

残ってる人間などいないだろうと思っていたが俺の席に座り、

眠りこけてる女子がいた。

 

「はぁ…」

 

まったくめんどうだ…。

俺はそう思いながら席に近づき女子の体を揺すりながら声をかける。

 

「キミ、こんなところで寝ていると風邪を引いてしまうよ」

 

「んむ……ん…。あれ、私寝ちゃって……」

 

「目が覚めたかい?」

 

「あ、うん。起こしてくれてありがとう…ってた、田崎くん!!??」

 

女子の声が教室に響くが、俺達以外誰もいなかったのでさわぎになることはない。

 

「うん。で、とうして俺の席で寝てたんだい?それにそれ俺の上着だよね?」

 

「あ、、えっと…ちょっとお話が…(田崎くんを遊びに誘おうと思って待ってたらつい魔が差して田崎くんの椅子に座って一人テンション上がっちゃって上着がかけられてのに気付いたから思わず袖を通したら、田崎くんに包まれてるような感じがして安心感からかそのまま寝てしまったなんて口が裂けても言えない…)」

 

「ふむ…、で用件はなにかな?(めんどくさいし寝てたのと上着の件は流そう。本人もそうして欲しそうだし)」

 

「あ、えっとね?今日この後暇なら一緒に遊びにいかないかなつて誘おと思ったんだけど……どうかな?(あれ?寝てたのと上着の件は触れてこない?…まさか気を使ってくれた!?それはそれでなんか複雑…)」

 

ふむ、結構長い時間待たせたみたいだしお詫びで行ってもいいのだが…生憎仕事が入ってしまっている。適当に断れば良いのだが、若干の罪悪感もあるためあまり気が進まないが別の日に埋め合わせでもするか。

 

「すまない、今日は予定があるんだ。また別の日でも構わないかい?」

 

「え、あっうん、へーきだよ!いきなりだしこっちこそ「これ、プライベート用の連絡先」…んぇ?」

 

女子が出していいような声じゃないな。

 

「日時が決まったら連絡して、じゃあ俺は帰るね」

 

俺は女子にプライベート用の番号を渡し別れの挨拶をし教室を出る。

少し時間を食ってしまった為急ぎ足で依頼主の家と向かう。

 

 

後日、放課後の校舎で見るに耐えない程ゆるゆるな顔をしながら奇声を上げていた女子生徒が目撃されたらしい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

 

学校を後にして俺は依頼人が住んでいるであろう家が見えてくると辺りを見渡す。

取り敢えずは誰もいなそうだ。

 

俺はインターホンを押す。少し間を置いたあと女性と思わしき声が聞こえる。

 

「はい、とちらさまでしょうか」

 

「私、D事務所から来ました田崎というものです。三好へ依頼された件につきましてお伺いしました」

 

そこまで言うと女性が家から慌てて出てきて家の中へと俺は連れ込まれた。

 

「ごめんなさい、あなが三好さんの言っていた田崎さんね」

 

「えぇ、三好から既に連絡があったようですね。取り敢えず今はこの近辺に不振な人物がいないことを確認しているので落ち着いてください」

 

「ありがとう…」

 

奥さんが落ち着いたのを見計らい今回の依頼の件の詳細を聞く。

 

「さて、依頼の件ですがいつ頃からでしょうか?娘さんに実害などございましたか?接触とか」

 

「始まりは確か、半年前からかしら。実害はないのだけれど声をかけられたとは言っていたわ…。元々内気な性格で人見知りな子だから知らない男の人に声をかけられてよほど怖かったんでしょうね。それ以来男性が苦手になってしまったみたいで…」

 

「…ふむ、なるほど。であれば娘さんから直接お話を伺うのは遠慮した方が良さそうですね…。わかりました、こちらでも手は打ちますのでご安心ください。準備が整うまで私が娘さんの護衛につかせていただきます」

 

「それなら安心だわ…。でもあなたにも都合が…」

 

「えぇ、こう見えても学生をやっていますが娘さんの登下校に合わせるので大丈夫ですよ。流石に明日の朝からは少し厳しいので放課後からでもよろしいでしようか?合流する際は…そうですね、合言葉でも使いましょう。なので娘さんには明日校門の前で待っていてもらうようにお願いします」

 

「わかりました…どうかむすめを宜しくお願いします」

 

奥さんが頭を下げるので任せてくださいと言ってお暇した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

 

次の日

 

俺はストーカーの件を解決する方法を考えていた。

 

「(まぁ、一番簡単な方法があるんだが…。それは娘さんに恐怖心を与えてしまう可能性がある為、容易には出来ないしな…どうしようか)」

 

「…田崎くん…、先生本当に怒りますよ?いつになったら真面目に授業をきいてくれるんですか!?」

 

とうとう先生がキレたな。

 

「先生、もう正直に言いますが、俺は既に大学までの学習範囲を修めています。その証拠にこの高校に入学してからずっと学年1位。校内統一模擬テストでも毎回1位。まぁ、同列で三好もいますけどね」

 

三吉の方へ視線を向けると呆れたような顔をしていた、事実だろ。

 

「なんで、今の範囲は授業を聞かなくても理解していますし答えられます。特に授業妨害はしていませんが、存在が邪魔だというなら教室から出ていきますが?」

 

そこまで言うと周りの生徒は何故か俺の味方の様で非難の目を先生に向け、先生は苦虫を噛み潰したよな顔をして引き下がった。

 

さてこれで考える時間が出来た。

 

昼になると屋上へと向かい、何時ものように昼寝をした。

考えはある程度纏まったから準備が出来次第解決できる。

 

放課後になって娘さんが通う学校へと向かう。すると校門で一人の少女がポツンと立っているのが見えた。

 

「すまないが火を貸してくれないか」

 

「っ!と、となりの靴は赤い」

 

つっかえながらも合言葉は返してくれた。

 

「あのっ、あなたが今日から私を守ってくれるの…?」

 

男が怖いのかおっかなびっくりに聞いてくる。

 

「あぁ、田崎だ。宜しく頼むそれじゃあ行こうか」

 

「…はい」

 

そこからは特に会話もすることなく帰路につく。

男性恐怖症ならあまり馴れ馴れしくしない方がいいだろう。

 

「「…………」」

 

無言が続く中、俺は周囲に気を配る。

今のところ不審の気配は感じないが…。

 

「………」

 

娘さんは黙って俯きながら歩いている。

まぁ、話す必要もないので取り敢えず今後の予定や護衛の仕事に集中しよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

 

何度目かの十字路に差し掛かったところで粘りつくような視線を感じ、娘さんも何か感じたのか俺の袖をギュッと掴んでくる。

立ち止まり、娘さんに一言断りをいれて耳元で囁く。

 

「既に感じてるみたいだけど絶対に振り向いちゃいけないよ?大丈夫、俺がちゃんと守ってあげるから」

 

娘さんはそれを聞くと此方に目を合わせて、小さくうなずく。

楓達にやってたみたいに頭を撫でたら少し顔を赤くして俯いてしまった。

 

ヤバい、少しやり過ぎたか?

先程の粘つくような視線も尋常じゃない殺気が込められたモノになっていた。これで確定だな。

 

その後は娘さんの手を引いて早足に家と送り届ける。

既に視線もなくなっていた。

 

「恐らく家の場所も把握しているだろう。乗り込むことはないと思うが警戒が必要だが…やはり早急な解決が必要だな」

 

俺は解決する準備をするために必要な道具を手配しに向かった。

 

それから毎日娘さんの登下校の護衛につくと娘さんも段々と話せるようになってきた。

※なお学校は毎日遅刻しているが校長容認しているためお咎めなし。

 

娘さんとも初めよりかは打ち解けられたと思う。まぁ、この子には田崎の部分しかみせてないからだが。それにストーカーも未だに気味の悪い視線を向けてくれる。

 

 

そして、護衛を始めてから2週間弱経ったある日、ストーカー撃退の準備が整ったので娘さんにも訳を話して協力してもらう。勿論奥さんにも説明して了承済みだ。

 

決行当日。

最後の確認で娘さんに大丈夫かと聞くと

 

「何があっても守ってくれるん…でしょ?」

 

娘さんは当然の如く、俺より身長が低い。

そのためどうしても上目使いのようになって困ってしまう。

 

女のそういう顔は苦手なんだよなぁ…。

 

そしていつも通り娘さんの学校の校門前で待ち合わせをして帰路につく。視線が出てきたところでストーカーに聞こえるように彼女に話しかける。

 

「今日はちょっと公園に寄っていかないかい?ちょっと楽しい遊びを教えてあげるよ」

 

そう言うと娘さんは顔を赤くして小さく頷く。

うん、素晴らしい演技だ。

 

視線に殺気が込められた、まずは第1フェーズ完了。

 

そして、二人揃って公園へと訪れる。娘さんは緊張しているようだ。

 

「大丈夫、何があってもキミには指一本も触れさせないよ」

 

肩に手を置き、耳元で囁く。すると彼女は再び顔を真っ赤にして俯いてしまう。本当に演技が上手い子だ。

 

そのまま公園の中で1番木が生い茂っている場所へと入っていく。

背後から走ってくる足音を聞きながら。

 

帝side out

 

 

ストーカーside

 

俺は今年30になった体重93キロの魔法使いだ。

決して無職ではない。

 

それは置いといて、半年以上前から気になる女の子が出来た。

 

その子は中学生だがおっぱいが大きい。年齢にそぐわない身体をしていて一目惚れだった。あのおっぱいでされたり、無理矢理したりと色々と想像してたら自家発電が捗った。グフッ、デュフフフフ。

 

しかし、最近彼女の隣に見知らぬ男が付き纏うようになった。

最初は彼氏かと思ったがどうやら違うらしい。

 

そいつは顔が整っていて背も高く如何にもモテますみたいな野郎だった。

あの野郎が彼女の頭を撫でたりしたときには本気で殺してやろうかと思った、俺の物に手を出すなと。

 

そして、今その野郎と彼女は公園の人目がつかない場所へと入っていった。

野郎の発言と彼女の反応から恐らく[ピー]をするのだろう。

 

これはいかん、俺が彼女を守らなくては!

なんせ彼女の初めては俺が頂くんだからな!

 

俺は二人に気付かれないように後をつける。

 

しばらく進んだ所で野郎の声が聞こえてくる。

 

「…ここ、気持ちいいでしょ?」

 

「んあっ…やぁん…」

 

俺はその光景を目にして固まる。

野郎が彼女を背中かから覆うようにして行為に及んでいたからだ。

彼女と思われる喘ぎ声も聞こえる。聞いたこともない彼女の乱れた声音。

 

情けないことにその声でテントを張ってしまった。

 

…もう既に始めてるだと!冗談じゃない、それは俺の物だ!

 

「てめぇ、俺の女に手をだしてんじゃねえ!」

 

俺は野郎の後頭部めがけて拳を振るうが

 

「…そんな拳、見なくてもかわせるぞ?」

 

野郎は簡単にその場から離れて回避した。

ヤバい、このままだと彼女を殴ってしまう。

しかし勢いよく出された拳を止められる事もなく…

 

 

ガンッ

 

 

 

拳は止められずそのまま彼女の頭に直撃しその頭が地面に転がった。

 

 

………はっ?

 

 

呆気にとられた俺はそのまま野郎に腹を殴られ、地面へと組伏せられるのだった。

 

ストーカーside out

 

帝side

 

これでこの件も終了だな。

 

俺の下で拘束されているストーカーを見ながらそう考える。

 

「というか、人形と戯れてる姿を見ただけでテント張るって…気持ち悪すぎ」

 

俺がそう言うとストーカーが人形?と呟く。

 

「あぁ、人形だ。これを用意するの大変だったんだぞ?彼女の制服と同じものを学校側に借りたり、同じよう髪型のウィッグを作ったり」

 

「だ、だが!ちゃんと声も…『んあっ…やぁん』……」

 

俺は片手に持ったラジカセを軽くあげ先程の音声を再生させる。

 

「これは適当なサイトで落としてきた声のサンプルだよ…お前は救いようのない人間だな」

 

「…そ、そんな…」

 

俺が簡単に説明してやるとヤツの体から力が抜けるのがわかった。

 

「警察くるまで大人しくしてなっ!」

 

俺はストーカー野郎の顎に掌底を放ち気絶させる。

 

 

「ふぅ…もう出てきていいよ」

 

そう声をかけると顔を真っ赤にした娘さんが出てきた。

 

「ん?どうかしたのかい?」

 

俺がそう問いかけると彼女は何でもないと答える。

ふむ、少し刺激が強すぎたか?

まぁ、始めに作戦は伝えていたし問題ないだろう。

 

 

その後は男を引き摺りながら公園を出て警察へと連絡する。

警察が到着してもストーカー野郎はのびてたけど。

 

こいつのストーカーしてた証拠を手渡し彼女を家に送り届けようとその場を後にしようとする。

 

 

しかし、警官が取り調べに協力してほしいと言ってきたのでいつも通り懐にいれてある手帳を見せる。

 

しかしその警官は首を傾けてなんだそれはと言ってくる。

こいつ新人だな。

 

ストーカーに手錠をかけてパトカーに押し込んでいたもう一人の警官が此方に来て俺の顔を見る。するとみるみる青ざめていき思いっきり頭を下げられる。

 

「こ、今回もご協力感謝いたします!ここからは私が責任を持って対応させていただきます」

 

「先輩、こんな子供に頭下げてなにしてるんすか?」

 

後輩君の言葉に頭を下げた警官の顔は閻魔も逃げ出すほどの顔だった。

 

「君、下の教育はしっかりとやっといた方がいいよ?じゃあね」

 

俺は彼女の手を掴み本当にその場を後にする。

 

後ろから物凄い音が聞こえてきたが気にしない。

後輩君、1つ大人になったな。

 

 

その帰り彼女はずっと静かだった。

 

娘さんを送り届け、奥さんに報告を済ませる。

 

「…ということでストーカーは刑務所行きとなりました。証拠もヤツの部屋を調べれば娘さんを撮影したビデオが出てくるはずなので実刑は確実でしょ。それと、娘さんも少しは男性を克服できたみたいですよ」

 

俺が手を握ったり肩に手をおいたりしても逃げなくなったし。

だいぶ克服出来ただろう。

 

「では、私はこれで失礼します」

 

「本当にありがとうございました!」

 

頭を深く下げた奥さんを尻目に家を後にした。

さて、今回の報酬はどれくらいだろうなぁ。

 

 

 

 

 

あ、結局父さんに記憶の事話せてなかったわ。

 

帝side out

 

 

~帝が帰ったあと~

 

「お母さん、田﨑さんは?」

 

「あの人なら先程帰られたわよ?護衛もこれで終わりでいいですかと聞いてきたから結構ですって、答えといたわよ」

 

「………」

 

「それに、あなただいぶ男性恐怖症を克服出来たみたいね!

田崎さんのお陰ね!」

 

「…?(お母さんは何言ってるの?克服?出来てるわけないじゃん。あれは田崎さんだからで知らない男の人は苦手だ)もういい」

 

「あらあら?」

 

「(お礼、ちゃんと言えなかったな…)」

 

天井をボーッと見ながら今日の出来事を思い返す。

 

「…(田崎さんが作戦でやった身代わり作戦…。端から見てたけどなんか凄い恥ずかしかった…)」

 

思春期な年頃の彼女には中々堪えたようだ。

 

「(ストーカー退治って名目もなく、もしあれが人形じゃなくて私自信だったら…)ッ!!!???」

 

それを想像して顔を真っ赤にする少女。

 

「…ん。変な気分」

 

 

 

その次の日、彼女は学校に遅刻したのだった。

 

 

 




こんな駄文を最後まで読んでいただきありがとうございます!

今回で1章?は終了になって次回から本編に入りますがまたまた皆様の頭から消えた頃に投稿しますのでよらしくお願いします( `・ω・´)ノ ヨロシクー

(まぁ、本当に駄文だから…。最後の方とかは触れないで…(震え声)

ではまた次回ノシ


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5話 ~特典の正体~

どもー、みゅーなです♪

今回から原作に入る予定でしたが、正しくは次回でした…。
詐欺ってしまい申し訳ないてす…。


ではでは、駄文をどぞー♪


帝side

 

俺は今生まれ育った実家に来ている。

前世の事を父さんに話すためだが、それに加えてどうしても確かめたいこともあった。

 

その父さんは仕事からまだ帰ってきていないようで、自室にて紅茶を飲みながら寛いでいる。

 

 

「帝~、お父さんが帰ってきたわよ~」

 

お帰りのようだ。

母さんが間延びした声で伝えてきたので、俺は部屋を出てリビングに向かい父さんに話しかける。

 

「お帰り、父さん」

 

「おぉ、帝か。来ていたんだな」

 

「あぁ、話があってな。今大丈夫か?」

 

「ほぉ…。まぁ話は夕飯を食べてからだな、お前も食べていくだろう?」

 

一瞬目を細めてどこか安心したような表情になったが直ぐに元に戻る。

やはり、どこか面影があるな…。

 

「久しぶりに母さんの料理でも食べるか」

 

そうして久しぶりに家族(姉を除く)で食卓を囲む。

実家を離れてからは料理を作りはするが食べるときは1人であるためどこか懐かしさを感じる。

 

 

「さて、話だったな。それで何用だ?」

 

「いきなりだが、前世の記憶(・・・・・)を思い出した、転生の事も」

 

自室に父さんを招き入れ早速本題を切り出す。

 

「………」

 

父さんは無言で俺の目を見てくる。

 

「それに確認もしたい。つくづく子思いだな、じいさん」

 

俺の言葉に父さんの口元が歪むと声を出して笑いだす。

 

「フォッフォッフォッ!流石じゃな、帝」

 

「やっぱりか…。どこか懐かしい感じが昔からしていたんだがな」

 

俺は笑っている父さ…じいさんに呆れ、溜め息をつく。

 

「そろそろ思い出す頃だとは思っておったが、既に思い出していたか」

 

「高校に入ってからな…。最近は忙しくてこっちに来れなかったんだよ」

 

「お前は色々やっているみたいだからのぉ…」

 

どうやらじいさんは俺が何をしているか把握してるぽつわいな。

 

「で、だ。おれたちが前世で住んでいた家とじいさんに任せた残りの特典について聞きたい」

 

「よかろう。まず家についてはこちらの世界に既に建っておる。直ぐに引っ越ししても生活出来るようにしてあるぞ」

 

「そうか、その内引っ越すとしよう。で残りの特典については?」

 

「特典じゃが、少し細工をさせてもらった」

 

「細工…?」

 

じいさんの事だから変なことにはならんと思うが…。

 

「実はこの世界はな、とあるアニメのVRMMOが発達した世界なんじゃ」

 

「VRMMが?聞いたことはある。前世では随分先の未来の技術だったと記憶しているが?」

 

フルダイブ型のゲームは確かに憧れていた。じっさいにあったらハマっていたに違いない。

 

「この世界では普通なんじゃよ。そしてここから特典に関わってくるんじゃが…」

 

「ふむ、特典はゲームの中で使えるもの…つまり合法なチートってとこか」

 

チートに合法も糞もないがな。

 

「簡単に言うとな。そしてそのゲームというのが今わしが勤める会社で作っている『New World Online』通称NWOじゃ」

 

「新しい世界か…、中々ときめく名前じゃないか」

 

「まだ未完成じゃがな。そしてその中に今回の特典を隠すことにしたのじゃ」

 

「ほぉ、素直には渡さないと?」

 

「普通に渡しても良かったのじゃがな、折角のゲームだ。自力で探すのも悪くはないだろうと思ってな。それにこの方がお主も楽しめそうじゃろ?」

 

「ときめくねぇ…」

 

確かにそっちの方が楽しめるし、何よりときめく。

現実の世界で魔法やら伝説の武器やらを貰っても役には立たんだろうしな。

 

「じゃあ、それで特典は全部なのか?」

 

3つと聞いていたが、残りの1つもゲームの中に隠したのだろうか?

 

「いや、最後の1つはもっとシンプルじゃよ」

 

「シンプル?」

 

「うむ、それは運じゃ。只の運ではなくて〝激運〝じゃな」

 

「なるほど、株やらなんやらで失敗せず成功していたのはそのお陰ということか」

 

「まぁ、お前の実力もあるがな」

 

そんなもんか。

 

「因みにその激運というのはどれくらいだ?」

 

「例えるならジャ○ラーを1000円で回して1回転目でランプがペカりそのままBIGを連チャンで60は軽く引けるくらいじゃな」

 

また凄いような凄くないような例えだな。

 

「まぁ、何となくはわかった。…じゃあ話はそれくらいか」

 

もう聞きたいことはないしな。

 

「そうか。今日は泊まっていくのか?」

 

今から帰るのも面倒だな…。

 

「そうだな、泊まることにしよう」

 

そう言うとじいさんは満面の笑みを浮かべて部屋を出ていく。

暫くすると、再びじいさんが部屋へ入ってくる。一升瓶を持ちながら。

 

「前世では一緒に酒が飲めなかったからのぅ、今宵は付き合ってもらうぞ?」

 

「フッ、いいだろう。付き合うよじっちゃん」

 

俺たちは互いに酒を入れ、静かに杯を交わすのだった。

 

帝side out

 

 

おまけ

 

「そういえばお前の姉がおるじゃろ?」

 

「ん?あぁ、あの駄姉か」

 

「あれ、ワシと一緒にいた女神じゃよ」

 

「ほー、実にどうでもいいな。それよりこの酒に合う肴でも作ってきてやるよ」

 

「ほー、それは楽しみじゃな!」

 

親子の酒盛りは夜更けを過ぎるまで続く。

 

 

 

姉、哀れなり…。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

 

三人称side

 

一夜を越し家に帰ろうと実家を出る帝に久しい声が聞こえてくる。

 

「あ~~~~!!!!帝お兄ちゃんだーーー!」

 

「朝から元気だな…グフッ!?」

 

大声をあげながら凄い勢いで走ってくる少女が帝に飛び付いてきたため背中から倒れる。

 

「ちょっと楓~、急に走り出さないでよ!」

 

遅れてポニーテールの少女が走ってくる。

 

「だって~、帝お兄ちゃんがいたんだもん」

 

「だからってタックルかます必要ないでしょ!?」

 

「なんでもいいが、さっさとどけ」

 

帝はそういいながら跨がっている楓の襟を片手で掴んで持ち上げる。

 

「む~!!だってお兄ちゃん、全然会いに来てくれないだもん!」

 

「俺だって忙しいんだ、そんな頻繁にこっちに来るわけないだろう」

 

宙ぶらりんになりながらブー垂れる楓に冷たくあしらう帝。

背が小さいく、帝の素の力もあるため出来る事である。

 

「もう…!帝さんごめんなさい、そしてお久しぶりです!」

 

「あぁ、久しぶりだな」

 

頭を下げて謝ってくる理沙の頭を軽く撫でてやると理沙は顔を赤くしながらもされるがままになる。

 

「むぅ!!!!!お兄ちゃん!私も撫でて~!!!!って痛っ!!!!」

 

未だに持ち上げられている楓が暴れるのでその場で手を離す帝。

 

「まったく、少しは落ち着きを持て…」

 

「昔の帝お兄ちゃんはもっと優しかったのに~…」

 

涙目になりながら口を尖らせる楓を一瞥して踵を返す帝。

 

「もう少しおしとやかになったら優しくしてやるよ…多分な」

 

右手を軽く上げ手を降りながらその場を去る。

 

「…行っちゃったね」

 

「あーー!私まだ撫でてもらってなーーい!!!」

 

「こら!私たちは学校にいかなきゃでしょうが!」

 

帝を追いかけようとする楓を襟を掴んで止める理沙。

 

「理沙は撫でて貰ったからいいよねぇ~!」

 

「べっ別にいいでしょ!あたしだって…」

 

2人もじゃれあいながら学校へと向かうのだった。

 

三人称side out

 

 




ホントに次回から減速に入ります!
また、時間を飛ばしますがね~


ではではまた次回ノシ


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~原作開始~
6話 ~ゲームスタート~


おハロー!みゅーなです♪

今回からいよいよ、NWOを帝がプレイしていきますよ!
注意:今回からいろんな意味でぶっ飛んでいきます。

今回登場するアイテムはハッキリ言ってチートとなりますが特典とは関係ありませんよ~(リアルでこんなアイテムあったら間違いなく事案になるよ♪)

相変わらずの駄文デスがよろしい方はどぞ~♪



帝side

 

さて、高校も卒業して早数年。

俺は大学へと進学した。

 

料理は前世で職業にしていたから今世では趣味でやりたい。

その為特に将来になりたいものとかはない。

幸いにも金はそれなりにある。

※既に大卒生にて稼げる一生分位は軽くある。

 

「(単位も取れてるから馬鹿正直に来なくてもいいんだけどな)」

 

それよりも今日は早く帰りたい。

なぜなら今日からじいさんの勤める会社が作ったゲームNWOのサービス開始日だからだ。

既に本体とソフトは家にある。※ソフトはじいさんから貰った。

因みに今住んでいるのは前世で使っていた家だ。

 

「今日は午後の講義は欠席だな」

 

俺がそんなことを考えていると同じ研究室の女が声をかけてくる。

 

「た、田崎くん!」

 

「ん?もう田崎じゃないぞ?」

 

「あっ…ご、ごめん!えっと…た、滝川くん?」

 

話し掛けてきた女は俺と同じクラスだった女。

名字?高校卒業と同時に本名に戻しただけだ。

 

「で、何のようだ?」

 

「えっと…ゲームに興味あるかなって…」

 

「ゲームはそれなりに好きだぞ?」

 

「そ、そっか!あのね、今日からサービスが開始するゲームなんだけど…」

 

「あぁ、NWOのことか」

 

「えっ!知ってるの!?」

 

「知ってるもなにも今から帰ってプレイしよかと考えてたとこだ」

 

「えっ!でも午後の講義…「サボる」…そ、そっか」

 

この女は結局なんで話し掛けてきたのかわからん。

 

「そ、それなら一緒にゲームしない!?実はそのゲームに誘おうと思って声かけたの!」

 

ふむ…それも一興だが。

 

「すまんな、初めはソロでやろうかと思っていてな」

 

特典も探さなきゃだしねぇ…。

 

「そっ、そっか…」

 

明らか様に落ち込んだな。そんなに一緒にやりたかったのか?

 

「まぁ、その内ゲームの中で会うこともあるだろうし…その時は一緒にやるか」

 

「ほ、ホント!?」

 

「あぁ、こんなことで嘘などついてどうする」

 

「じ、じゃあ始めたらプレイヤーネーム教えてね!」

 

「あぁ」

 

「約束だよ!またね!」

 

そう言うと目の前から女が走り去った。

今更だが、あの女の名前ってなんだ?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

 

 

サービス開始から1週間が経ってやっとゲームが出来る。

本来は開始日にやる予定だったが、帰宅後に三好から連絡があり護衛の仕事が入ってしまった。

断ろうと思ったが俺への指名依頼らしく金も其なりに積まれ、断りきれなかったらしい。

まぁ、相手は女みたいな少年だったが。

 

閑話休題

 

俺はプレイに必要なグローブやヘッドギアを装着する。

 

「やっとか」

 

そう言葉が漏れる。

転生してから随分と時間が経ったがやっと探せる。

 

「さぁ、最高のときめきを探しにいこうじゃないか」

 

ゲームを起動するとさっそく設定のパネルが表示させる。

 

「まずは名前…これは『ゼムナス』っと…」

 

ゲームでⅩⅢ機関を作る…その為この名前以外は考え付かない。

そこから髪の色を銀髪に、目の色をオレンジに近い黄色に変える。

 

「次は…ステータスの振り分けか、そうだな…」

 

DEXはそこまで振らなくていいか…。STRとAGIに振って、残りはHPとVIT、INT以外に適当でいいな。

 

「次は初期装備…ゼムナスのあれは双剣なのか?それとも片手剣?杖ではない…」

 

まぁ、最初は適当でいいか。

 

「その内装備は変えられるし…取り敢えず『片手剣』でいいか」

 

武器を選ぶと目の前にこれから開始する旨のパネルが開かれる。

すると一瞬の内に目の前には幻想的な広場の光景が目に飛び込んでくる

 

「ほぉ…ときめくじゃねぇか」

 

目の前にある噴水に腰を掛け、現在のステータスを開く。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ゼムナス

 

Lv1

 

HP 40/40

 

MP 20/20

 

【STR 35(+15)】

 

【VIT 0】

 

【AGI 40】

 

【DEX 20】

 

【INT 0】

 

装備

 

頭 【空欄】

 

体 【空欄】

 

右手 【初心者の片手剣】

 

左手 【空欄】

 

足 【空欄】

 

靴 【空欄】

 

装飾品

 

【空欄】

 

【空欄】

 

【空欄】

 

スキル

 

なし

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

バランスはそこそこか?まぁ、いい。取り敢えず何かモンスターでも倒すか。

 

「っとその前にアイテムショップでも見ていくか?金は…ふむ、3000Gか」

 

俺はアイテムショップを探しに歩きだす。

歩きながら周りを見渡すと様々な店がある。

 

魔法屋、武器屋、カフェ、食事処etc.

 

「ん?」

 

店と店の間に丁度人1人が通れる脇道を見つける。

気になりその脇道に入り道なりに進む。

すると、脇道を抜け少し開けた場所に出ると目の前にはこじんまりとしたボロい家があった。

 

「…ふむ」

 

俺は躊躇いなく中に入る。どうやらアイテムショップのようだ。

ポーションやマナポーションなど普通のアイテムショップと

変わらない品揃えであった。

 

「ほぉ、こんなところに客とは珍しい」

 

声がした方を見ると奥から年老いたじいさんが出てくる。NPCなのか?

 

「ここはなんだ?アイテムを売っているようだが…」

 

「なに、そこら辺にある店とほとんど変わらんよ…。違いと言えばそうさな、奇妙な品を多少扱ってるぐらいか?」

 

ほぉ、それはまた面白そうだ。

俺は店の中をぐるりと見渡す。すると壁に掛けられている能面の面が目に留まる。

 

「おい、じいさん。その面はいったいなんなんだ?」

 

面を指差しながらじいさんに聞く。

 

「…これは見ての通り只のお面よ、呪われている以外はな」

 

「呪われている?」

 

俺がそう呟くとじいさんは見てごらんと面を手渡してくる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

名称:能面の面(呪)

 

説明

装備すると外れなくなる代わりにSTR、AGI、DEX、HP、MPが+1000。

※99%の確率で状態異常[暴走]が発生。

 この状態を1分以内に解除出来ない場合アバターが消滅する。

 そのアカウントでは2度とゲームがプレイ不可能になる。

 使用し続けると現実の身体に激痛が伴う。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

………とんでもない代物だな。

メリットよりかデメリットがデカ過ぎる。

 

「なかなかの代物じゃろ?これを買っていったプレイヤーもいたが、気が付くとこの面はこの店に自然と戻ってくるのじゃ」

 

そうなると、開始して早々にこの店を見つけて買ってたヤツがいたのか。

 

「……じいさん、この面はいくらだ?」

 

「君…、それを買うつもりか?悪いことは言わない、やめておきなさい」

 

「止めるくらいなら売り物として出すな…。まぁ、問題ない。この面を制御してやるからこれをくれ」

 

「今まで買っていったヤツも同じことを言っていた…。買ってその場で着けたヤツは一瞬の内に理性を失い面を残して消滅していったのだぞ?」

 

「ふん、それがどうした。こんな面白いモノ、使わないと損だろ」

 

そう言い俺はその面を自身の顔へ着ける。

すると、身体中から力が溢れ出るような感覚が俺を襲う。

 

「っ!?君!着けてしまったのか…」

 

俺は自身の意識が飲み込まれそうになるのを耐えながら平然を装って口を開く。

 

「おい、じいさん。このまま俺が暴走しないようだったらこの面をタダでよこせ」

 

じいさんは驚いた顔をしながら答える。

 

「キミ…なぜ理性が無くならないのかね?これを着けたモノは一瞬で理性を無くすはず…」

 

「俺はその辺の奴等よりか運が良くてね…。どうだ?俺に譲る気になったか?」

 

「…確かにこの面を着けてここまで理性を保っている人間は今までいなかった」

 

面の下の口角が上がる。

 

「なら、これは俺がもらっていくぜ」

 

俺が店を出ようとするとじいさんが待ったをかけてくる。

 

「この面を着けれる者が現れた場合は併せてこのライターも渡すようになっているのだ。持っていくがよい」

 

ふむ、まぁ邪魔になるわけでもないしな。

 

「ありがたく貰っていく、じゃあな」

 

俺はその店を後にして、来た道を戻る。

人通りが多い道に出ると周りは俺を見て何処か怯えた様子だった。

 

「(まぁ、こんな気味の悪い面を被ってるヤツが脇道から出てくればそりゃあ恐怖だよな)…っ!」

 

俺は出てきた脇道へ視線を移すと不思議なことに建物と建物の僅かな隙間しかなく、人が通るにはムリがあった。

 

「?」

 

俺は急に道がなくなった事に疑問を覚えたが直ぐに興味がなくなりそなままレベル上げへと向かったのだった。

 

帝side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[NWO オカルト掲示板]

 

名もない片手剣使い:「ヤバイやつ発見」

 

名もない魔法使い:「ん?なになに('_'?)」

 

名もない大盾使い:「どうした童貞」

 

名もない片手剣:「童貞ちゃうわ!」

 

名もない双剣使い:「んなことどうでもいいからはよ、言えや」

 

名もない片手剣使い:「どうでもよくないわ!…ゴホンッ。能面の面を着けたプレイヤーが現れた」

 

名もない魔法使い:「ま?」

 

名もない大盾使い:「その話、kwsk」

 

名もない片手剣使い:「見た目が初期装備だったから恐らく新参ものと思われるがそれ以外は不明だ。目撃者によると人が通れる筈がない隙間から急に現れたらしい」

 

名もない魔法使い:「は?ナニソレ、ホントに人間?」

 

名もない元片手剣使い:「俺はその面を着けたことあるぞ」

 

名もない大盾使い:「どうだったんだ?」

 

名もない元片手剣:「まぁ、聞け。その面は装備すると外せなくなる代わりにステータスがVITとINT以外+1000されるアイテムだ」

 

名もない片手剣:「なにそれ、チートやん!スタートからそのステータスはゲームが簡単になるやん」

 

名もない魔法使い:「でもでも、そんな優秀なアイテムだったらいろんな奴が使ってるんじゃないの?」

 

名もない元片手剣使い:「話は最後まで聞け。確かにパッと見はチートアイテムだが、副作用がヤバい。運営の頭を疑うレベル」

 

名もない双剣使い:「副作用だと?どんなのだ?」

 

名もない元片手剣:「着けるとほぼ間違いなく暴走…まぁ、狂戦士化みたいになって力が溢れてくる感覚を覚えるが、一瞬の内に意識が無くなって気づいたら現実に戻されてたわ」

 

名もない魔法使い:「…それホントかよ」

 

名もない元片手剣使い:「あぁ、俺の知り合いもその面を着けて同じ状態になったことを確認している。しかもそのアカウントではゲームがプレイできなくなっていたぞ」

 

名もない片手剣使い:「バグか何かか?」

 

名もない大盾使い:「いや、バグじゃなかったらやべぇだろ」

 

名もない元片手剣使い:「そこについても確認済みだ。どうやら仕様らしい」

 

名もない魔法使い:「そんなの着けるヤツいんの?」

 

名もない元片手剣使い:「初めは冗談かと思っていたがホントだった。因みにその面を着けて現実へと戻されたときに半端ない激痛が身体を襲ったわ」

 

名もない双剣使い:「なんだ…と。確かにそれなら誰も使わないよな」

 

名もない魔法使い:「てか、その面を着けて平然としていたそのプレイヤーってホントに人間?」

 

名もない元片手剣使い:「あの面を着け続けてると常に身体に激痛が走るらしい。これも運営に確認済みだ」

 

名もない大盾使い:「…もうそいつ人間じゃねぇだろ。人間だったら痛覚が麻痺してる病人かなんかか?」

 

名もない元片手剣使い:「着けたことある俺が言うのも何だがそいつは痛覚が麻痺ってるヤツかとんでもないマゾ以外に説明がつかん。あの激痛は2度と味わいたくない…」

 

名もない双剣使い:「…そもそもそんなアイテムがなんで存在してるんだ?下手したらショック死するんじゃないか?」

 

名もない元片手剣使い:「その辺は説明書に注意書があるらしい、実際に確認したらそのアイテムについて書かれてた」

 

名もない魔法使い:「あっ、今確認したらホントに書いてあったわ…」

 

名もない元片手剣使い:「今運営に確認したらその面を着けたプレイヤーは3人目だそうだ。チートとかは使用されていないみたいだぞ。因みに面は1つしかないユニークアイテムに分類されるみたいだ」

 

名もない片手剣使い:「いや、そんなアイテム誰も使わないわ」

 

名もない双剣使い:「とりま、その能面の面を被った奴がいたら関わらない方がいいということか」

 

名もない元片手剣使い:「そうだな、自身の身の安全のためにもそれが賢明だと思うぞ」

 

 

 

 

帝が知らないところで変人と認識されるのだった。

 

 

 

 

 




ステータスの書き方こんなのでいいのかな?

はい、オリジナルアイテムを出しました~。
このアイテムは後々ある重要な役割があります!
(恐らくⅩⅢ機関作る前に書くと思います)

まぁ、察しの良い方は作者がどんな事を考えているか分かると思いますけどねー♪(作品紹介のところで書いちゃってる…)

ではでは、こんな駄文にお付き合い頂きありがとうございました!

また三奈さんの記憶から消えた頃にお会いしましょう!ノシ


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7話 ~夕暮れの廻廊~

おハロー、みゅーなです♪

今回は少しだけ時間進めて新たなスキル獲得に行きたいと思います!
ただ全て書くととんでもない量になる箇所ですのでかいつまんでやります。

ではでは本文どぞ~♪


帝side

 

あれから更に1ヶ月経ってた。

飯と睡眠、風呂とトイレ以外はほぼぶっ通しでプレイした結果それなりに成長できたな。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ゼムナス

Lv45

 

HP 1050/1050

MP 1050/1050

【STR 100(+1200)】

【VIT 0(+5)】

【AGI 80(+1000)】

【DEX 50(+1000)】

【INT 0】

 

装備

頭 【空欄】

体 【旅人のローブ】

右手 【インフィニティ+】

左手 【装備不可】

足 【空欄】

靴 【空欄】

 

装飾品

【能面の面(呪)】

【空欄】

【空欄】

 

スキル

体捌き、怨嗟の舞、グライドⅩ、エアスライドⅩ、ダークファイガ、ダークサンダガ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

…いくつかほどスキルというよりアビリティだがまぁいい。

なぜKHのアビリティや魔法があるのか分からんが…。

 

ローブについては余りにも面が悪目立ちし過ぎて流石に顔を隠す為に買った。※300G

そもそもこの面はキチガい過ぎる。今は慣れたが、初めはゲームをログアウトする度に激痛が身体を襲ってきた。

それに気を抜けば、直ぐ様状態異常の暴走が発動して制御がきかなくなる。

 

まぁお面のお陰で特に苦もなくレベル上げが出来たが。

 

「さて、今日はどうしようかねぇ……「シャンッ…」……ん?」

 

そう呟きながら森を歩いていると何処から鈴の音が聴こえてくる。

 

「…あっちか」

 

俺は鈴の音が鳴る方へと歩き出す。

暫く歩き続けると大きな門の前に辿り着く。

 

「……」

 

無言で扉を開けると部屋の中には鏡とそれが置かれている台しかなかった。

 

「…なんだここは。この鏡になにかあるのか?……っ!?」

 

俺は鏡に近づき手を伸ばすとその鏡から光が漏れだし思わず目を庇う。

 

 

 

光が収まり目を開けると先程とは違う場所だった。

恐らく何処かに転移させられたのだろう。

 

戸を開けて廊下に出ると辺りは真っ暗であり、なにも見えなかった。

 

「ダークファイガ」

 

炎が辺りを照らすが直ぐに暗闇に戻ってしまう…当然か。

 

「…ふむ…残る光源といえばこのジッポライターだが……っ!」

 

ダメ元でジッポライターに火を灯すと辺りが段違いに明るくなった。

ライターの火も消えることなく灯し続けている。

 

「これで進めるな」

 

廊下は入り組んではおらずほぼ一本道だ。

歩き出そうとするとクエストが表示される。

 

クエスト:化け物が潜む廊下

能面の面を装備した者のみに発生する強制クエスト。

クリアするまで通常フィールドに戻ること並びにログアウトも不可。

クエスト中にデスした場合はステージ最初から。※全6ステージ、クエスト中は時間加速が適応される。

 

「おい運営、いい加減キレるぞ?じいさんも…帰ったら絶対に文句言ってやる」

 

強制なので仕方がない。まぁ、こんなもん直ぐにクリアしてやる。

幸いにもこのクエスト中は時間加速が適用されるようだ。

※ここでの1日は現実時間の10分

 

道なりに進むとまたあの鈴の音が聴こえてくる。

 

「どうやらあの曲がり角から聴こえてくるな…」

 

そして顔を覗かせるとそこには巫女服を着用し俺と同じ仮面を着けた何かが鈴を鳴らしていた。

 

「(…なんだあれは?俺と同じ仮面を…)っ!?」

 

シャンシャンシャンシャンシャンシャン…!!!

 

能面の巫女が俺の姿を捕られると鈴を鳴らしながら走ってくる。

 

「チッ!ダークファイガ!」

 

思わず巫女服に向かって魔法を放つが当たると同時に霧散してしまい、止まりもせず此方に向かって走りよってくる。

 

「チッ!!破壊不能のオブジェクトか!逃げるしかねぇ…」

 

俺は来た道を走りながら考える。

 

「(…破壊不可ってことは物理もダメ。あれと出会したら逃げるしかないと…AGIだけが頼り。…とんだ糞クエストだな)」

 

気付くと鏡の部屋まで戻ってきた。

相変わらず巫女服は鈴を鳴らしながら此方に向かってくる。

 

「これでどうだ?」

 

俺は素早く鏡に触れると再び光が溢れだす。

これでまずは1つクリアか?

 

 

光が収まり再び目を開けると先程とは違う場所だが部屋の作りは変わっていない。

 

「…ここからが始まりか」

 

俺は軽く肩を落としながらも探索を開始する。

 

そして、途中先程の巫女服に加えドタドタと走り回る化け物も徘徊していて、俺はランダムに設置されているロッカーに身を隠しながら探索を進めていった。

どうやら奴等に見つかってもロッカーの中に隠れられれば逃げきれるらしい。※ライター灯しぱっなしだとロッカー壊されます。

 

あと、動き回らないがその場で泣き続ける面を着けた気味の悪い女?もいた。

こいつは近づきすぎたり物音を立てると反応して襲いかかってくる。

 

その他にも爆竹や何処にワープするか分からない手鏡なども入手できた。

このステージは何処かにある勾玉を5個集めて何処かにある祭壇にお供えすれば次へ進めるようだ。

 

仮に死んでしまった場合は勾玉を使って復活するか、ステージを初めからやるか選べる。

勾玉を消費して復活した場合は入手アイテムはそのままで探索を続けることがでるが、マップはその都度ランダムに変わる。

 

なんでこんなに知ってるかって?

そりゃあ全部体験したからな、畜生…。

 

「さて、今勾玉は5個。後はこれを祭壇に納めれば…む?あれは」

 

なんとか勾玉を揃えて祭壇を探していたところ、どうやら目的の部屋に着いたようだ。

 

「やっとこれで1ステージクリアか…。マッピングも意味をなさないこんなクエスト、早く終わりにしたい」

 

俺が祭壇に勾玉を置くと部屋の奥にあった扉がひとりでに開く。

更にその奥に鏡が置かれており、そこから次のステージへ進むと見受けられる。

 

俺はそのまま鏡の元へ向かおうと走り出すと急に浮遊感を感じる。

どうやら俺は今、落ちているらしい…。

 

「ぜってぇ許さねぇぞ、運営共ーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

俺の叫びは虚空へと消えていった。

 

 

 

帝side out

 

 

 

 

運営side

 

ピンク色のウサギが世話しなく腕を動かし続ける。

 

「…おい!ヤバいプレイヤー見つけたぞ!」

 

黄色いウサギが応える。

 

「おっ?どうしたよ。ペインみたいに強い奴か?」

 

「違う違う。俺達が悪ふざけで紛れ込ませたあの「能面の面」って装備あったろ?」

 

「あぁ、以前問い合わせが相次いだあの気持ち悪い面な。それがどうした?」

 

ピンク色のウサギは慌てながら皆に見えるように大きな画面を出現させる。

他のもの達も一斉に画面へと視線をやる。

 

そな画面には面を着けた化け物から逃げ回る1人のプレイヤーが映し出されていた。

 

「おい!このクエストって、俺達運営の完全に悪ふざけ、尚且つこんな面誰も着けれないだろうと思って作ったやつじゃないのか!?なんでプレイヤーがこのクエストやってるんだよ!」

 

緑色のウサギが騒ぎだし黄色いウサギが呆れ気味に口を開く。

 

「クエストの発生条件を満たしたからだろ?それにこのプレイヤーはここ1ヶ月以上あの面を1回も外さずに装備し続けている」

 

紫色のウサギが待ったをかける。

 

「それは可笑しいぞ!たしかにあの仮面はチート並みの恩恵を受けられるがそのデメリットして、アカウントが消滅する可能性と現実への痛みという観点から付け外しが可能だったはず…」

 

そして赤いウサギが申し訳なさそうに口を開く。

 

「それなんすけど…これって呪われたアイテムの方がよくない?って感じたので着け外し出来ない呪いアイテムにしちゃいまして…」

 

紫色のウサギが赤いウサギにキレる。

 

「お・ 前・は!何をしてるんだ!…てことはあのプレイヤーは1ヶ月近い間、現実の痛みを受け続けてたって事か!?あぁ!今日はチーフがいないっていうのに!」

 

「そうなるね…」

 

ピンクのウサギが画面を見ながら答える。

 

「…なのにあのプレイヤーは何事もなくゲームをプレイしているのか…いったいどんな精神力をしてるんだ」

 

紫色のウサギが頭を抱えながら蹲る。

 

「取り敢えず、このクエストをクリアすると面の呪いが解けて外せるようになるはずだから俺達は見守るしかない」

 

ピンク色のウサギが肩をすくめながら言う。

 

「確かにこのクエストは始まると外部からのコンソールも受け付けなくなるからな…、こんなヤバいクエスト考えた俺達もだが…。このクエストを1から構築したのってあいつなんだよな…」

 

黄色いウサギが遠い目をする。

 

「あの新入りだろ?技術力はスゴいのにどこか変わってる奴だよな」

 

落ち着いた緑色のウサギが同意を求めるように言う。

 

「そういえば、今日は休みだったはずだ。次出てきたら問い詰めてやる…。そういえばプレイヤー名って…ん?」

 

紫色のウサギが起き上がりながら呟く。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー…

 

~とあるマンションの一室~

 

「いや~、まさかこのクエストを発生させるプレイヤーがいるとは…。それに私が上手く紛れ込ませたグライドやエアスライドも取得…」

 

ポテチを片手にパソコンのディスプレイを眺める人物はそう呟く。

その画面には帝が扮するアバター、ゼムナスが化け物に追いかけ回されている映像だった。

 

「それに、プレイヤー名がゼムナスって…まさか?」

 

プレイヤー名を見つめながら考えに耽っていると部屋のドアが開けられる。

 

「滝川チーフ。これって帝ですよね?」

 

手元のキーボードを操作して壁にディスプレイと同じ画面を写し出させる。

 

「おぉ!いかにも。やっと見つけたか」

 

「えぇ、あの面を着け続けられる精神力と半端ないPSを見るとどうも帝以外に思い当たりませんので…」

 

「まぁ、ワシの子供じゃからな。お主にも感謝しておるぞ?わざわざこの世界まで着いてきてワシと共に運営側に来てくれたのじゃからな」

 

「まぁ、半ば無理矢理でしたけどね。でも幼い帝が可愛かったので許して上げます」

 

その人物は帝の姉である女神だった。

 

運営side out

 

おまけ

 

「そういえばお前がいない間に帝が帰ってきてな」

 

「えっ!なんてすかそれ!私聞いてないですよ!」

 

「そりゃあまだ帝が高校の時だしのぉ」

 

「それで!私のことはなんか言ってました!?」

 

「…聞きたいか?」

 

「聞きたいです!」

 

「…後悔せんか…?」

 

「…えぇ!どんとこい超常現象です!」

 

「…駄姉やらどうでもいいと言っておったよ…」

 

「……グフッ」

 

女神は膝から崩れ落ちるのだった。

 

 

 

 

 




お付き合い頂きありがとうございます!
運営側のウサギってやく口調分からないのでテキトーです!
※というか帝視点以外は基本ガバガバ。

はい、今回は某有名なホラゲをぶちこみました!
前書き通りに全部書くのは中々キツく、ダラダラとしてしまうのでサクッと進めたいと思います!
今のところ、お母さん討伐エンディングと真エンディングの両方を書こうかなって思っています!
※帝のキャラが若干崩れてますが、クエストのせいだと思ってください。
 実際作者も、何度も死にました。

今回もなかなかの駄文でしたがまた次回もひっそりと上げるのでお楽しみに!ノシ


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8話 〜肥大なる憎悪〜

おハロー♪お久しぶりです、みゅーなですっ!

凄い久し振りの更新ですね!
(ほぼ忘れてたわ…)

今回で影廊のお話は終わりにしたいと思います!
(あまり長くやっても……ね?)

変な部分とかありますが了承下さいな♪

ではでは本編どぞー?


ゼムナス side

 

あれから逃げては隠れ逃げては隠れ、時にはひたすら逃げてを繰り返しやっと最終ステージへと辿り着いた。

 

途中アホみたいなムズい回廊があったり、デカイくてあーあー叫んでる怪物や耳が痛くなるような悲鳴をあげながら追いかけてくる化け物もいた。

勿論、何度も死に戻りをした。

 

そうして訪れた最奥であろう場所に小さな小屋?のようなものがあり中には布団が敷かれているようだった。

近づいてみると布団に寝かされているものに面を食らう。

 

「…木乃伊か?雰囲気はおぞましいが…」

 

すると背後に気配を感じる。

 

「私のお母さんよ」

 

振り向くとそこには目を包帯で隠している少女が立っていた。

 

「もうずっと長い間眠ったまま。その魂は体を離れ、底知れぬ憎悪に苛まれながら、今もこの世界を彷徨い続けている…。なんとか体は維持してきたけど…」

 

そこまで言うと少女は溜息を溢す。

 

「あの男が壊してしまった…もう時間がない。今すぐ生き返らさなければ…」

 

あの男というのはイベントの途中で出会った俺と同じ仮面を被ったNPCだ。

それが途中出てきて大きな結晶を壊していた…あれが器とか言うやつだったんだろう…。

 

まぁ、そのせいでデカイ化け物に追われたんだがな。

 

「生き返らせる?どうゆう事だ?」

 

少女は俺の質問に答えるように口を開く。

 

「魂と体を一体化させるためには、当方もない力が必要なの。あの器で普通の魂を集めても、お母さんの体を維持するのでやっと…。だからコレを被せた」

 

すると少女はその手に俺が付けている仮面と同じ物を取り出す。

 

「この面被れば、魂の力が何倍にも増幅される。元となる魂が強ければ強いほどね」

 

なるほど、だからこの面を付けるとステータスが上がったのか。

 

「まぁ、その力の大きさ故に大抵は自我を失い、人ならざる者へと変異する。でもそういう者たちは普通の魂を集めるのに役に立った」

 

「ほぉ…」

 

あの化け物たちは元は人間だったと…。

 

「あの男の器は素晴らしかった…。そして貴方の器も素晴らしいの。ホントは増幅した魂を収穫したかったけど…」

 

少女は少し間を開けて口を開く。

 

「分かるでしょ、もう時間がないの…貴方にはここで死んでもらう」

 

少女は片手を上げる。

 

「ここに来て戦闘か?面白い、どうせ死ぬのなら限界まで抗ってやるよ」

 

俺も構える。

 

「………」

 

しかし少女は襲いかかって来ることもなくその手を降ろす。

 

「?」

 

俺が首を軽く傾げると

 

「まぁ、いいわ。素の魂なんて、足しにもならない…そこで見てるといい」

 

少女は俺の脇を取り抜けるとお母さんと言っていた木乃伊の前に移動する。

 

そして両手を広げると木乃伊の頭上へと周りから光が集約しだす。

 

「(これが魂と言うやつか?)」

 

光が集まるとそれが木乃伊に降り注ぐ。

すると周りが暗転し何も見えなくなる。

 

ウオォォォォォォンンンンンンン!!!!!!

 

「うそ!こんなはずじゃ…!」

 

化け物の様な声と焦る少女の声が聞こえる。

そして何かを破壊する音と同時に俺の体に強い衝撃が襲い吹き飛ばされる。

 

「待って、お母さん!」

 

「一体何がどうなってんだよ、このクエストは…」

 

俺は薄っすらと目を開きながらボヤく。

 

そして周りから聞こえてくるパチパチという音。

 

「……かなり荒れてるな…」

 

とこどころには火が付き燃えている。

 

「しかし、これからどうしたものか…。クエストは恐らくまだクリアしていない、なんせこの仮面が外せないしな…」

 

そして暫く考えていると

 

「遅かった…」

 

「ん?」

 

不意に掛けられた声に振り返ると、そこには光っている猫がいた。

いや、正しくは光る何かを首に掛けた猫だ。

 

「お前は…確か途中途中で何度か見かけた黒猫だな?」

 

「えぇ、やっと私の声が届きましたね。さて…事態は一刻を争うので手短に話します」

 

「あぁ」

 

そして猫は語りだす。

 

「彼女は、復活に不足していた力をこの世界を構成する力で補填したようです。お陰で私の声が届くようになりましたが…この世界はまもなく崩壊するでしょうて」

 

「っということはクリアもそろそろ近いか…」

 

「復活のために集められた魂はどれも苦痛や憎悪によって歪んでいた。それがあの人を変えてしまいました…既にあの人は人ではありません。底なしの憎しみに飲み込まれた怪物。憎悪そのものです」

 

『クエスト:肥大化した憎悪』

 

クリア条件

肥大化した憎悪の消滅

 

失敗した場合は「肥大化した憎悪」が破壊不能オブジェクトとしてフィールドに解き放たれる。

 

「肥大化した憎悪…ねぇ。つうか、失敗した際のリスクデカくないか?破壊不能オブジェクト化とか出会ったら地獄になるな」

 

「アレはやがて表の世界に現れることになります。人の魂を喰らい、更にその力を増し、とてつもない災厄になるでしょう」

 

災厄なんてレベルじゃないけどな。運営にクレームが殺到するだろう。

 

「まだ力が弱いうちに、こちらの世界で対処しなければなりません」

 

「その方法は?」

 

「この世界の礎となった27の人柱、その魂が燻っている場所があります。今なら私でもその封印を解けるでしょう…しかしその27の人柱は膨大な力を蓄えているので制御はできませんが…真っ先にあの怪物に向かっていくでしょう」

 

「それで倒せるのか?」

 

猫は首を横に振る。

 

 

「アレはもはや倒せるとかそういう次元ではありません。27の人柱が足止めをしている内にこの世界諸共滅びるでしょう…貴方は戦わず怪物を人柱が眠る場所へと誘導してください」

 

「了解した」

 

「上手く行けば貴方を元の世界に返しましょう…それにそのお面も外せるようにしますよ」

 

俺は無言で頷く。

 

「では、この首飾りを身に着けてください。貴方の身を守ってくれます。封印を解くためにも必要なのでくれぐれも無くさないでくださいね?」

 

そう言うと猫は姿を消した。

 

「さて…いよいよ大詰めか。どうせなら最高にときめかせろよ?」

 

ゼムナスSide out

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三人称Side

 

ゼムナスは一本道を進み付ける。

道中は一定の感覚で世界が震えたり、化け物の声が聞こえたりしている。

 

「一本道とはいえ油断は出来んな」

 

ちなみにゼムナスはこのクエストを始めてから新たにスキルを会得していたる。

化け物たちから生き残るために見つけたものだ。

 

暫く進んでいくと屋外へと辿り着く。

目の先には包帯の少女が呆然と立っている。

 

 

「私はむかし…人間として生きようとした。でも大切なものは人間が全て奪っていった。あの時の光景は今も、光を失った目に焼き付いている…」

 

いきなり語りだした少女を訝しげに思いながらも黙って聞くことにしたゼムナス。

 

「私は人間であることを捨て、心を捨てた。そして数えきれない人間を殺した…全てはお母さんにもう一度会うため、その為だけに。これでは終わらせない…もうあの時の私とは違う。今度こそお母さんを助ける!」

 

ウオォォォォォォンンンンンンン!!!!!!

 

少女の目の前に肥大化した憎悪が現れる。

その見た目は大きな魚の様な姿ををしていた。

 

肥大化した憎悪は少女に向かって金魚の様な物を飛ばすも少女は不思議な力を使って打ち消す。

 

少女は力を使って転移するも肥大化した憎悪によって崖の下に落とされてしまう。

 

「たかがクエストにしちゃあかなり凝ってるな…」

 

そう呟きながらも迫りくる肥大化した憎悪を回避して猫が示してくれたであろう光を頼りに走り始める。

 

「『音速』!」

 

このクエストで手に入れたスキルの1つでありAGIを最大で15倍にしVITが半分になる効果がある。

取得条件は難しくないもののそれなりに便利である。

 

ゼムナスはスキルを駆使しながらクエストを進めるのだった。

 

三人称Side out

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ゼムナスSide

 

あの後はひたすら敵の攻撃をかわしながら猫の案内の元走り続けた。

 

そうして如何にも封印されている的な崖へと誘導出来た。

 

俺は首飾りを翳すと魔法陣が浮かび上がり封印か解かれる。

すると中からは無数の手が伸び始め、肥大化した憎悪に絡みつきながら何処かへ引き込もうとする。

 

「待って!お母さん!」

 

「いっちゃだめ!」

 

すると後ろから包帯の少女が走ってきてそのまま崖から飛び降り肥大化した憎悪と共に飲み込まれる。

 

止まるよう呼びかけた猫は崖の淵から下を見下ろす。

 

「こうするしか方法がなかったの…ごめんなさい……ヒバナ」

 

猫の呟きはヤケに鮮明に聞こえた。

やがて猫は俺の方に視線を移すと話し始める。

 

「彼女は余りにもこの世界で人を殺しすぎた…ですが母に会うために彼女はそうするしか無かったんです。彼女は人としての心を捨て、母の為に化け物として生きてきた…その苦悩は私達には図りしれません、彼女は優しい人でしたから」

 

猫からは悲しみが伝わっわてくる。

 

「ですがもう彼女が苦しむことはありません、この世界も間もなく消え去り、誰かが迷い込むことも無くなります…あなたのお陰です」

 

すると空間が震える。

 

「もう時間がありませんね…約束通り貴方を元の世界にお返しします。この世界は彼女…ヒバナの心そのもの。彼女が作ったこの世界の終わりを私は見届けます。貴方が来てくれて良かった…」

 

猫がそう言った瞬間に視界が光で一杯になる。

 

「ようやく…ようやく終わった…!俺は一体何日間ここに閉じ込められてたんだ?」

 

クエストがやっと終わったという達成感を暫く味わっていると異変に気付く。

 

「…可笑しい。なぜ元の世界に転移しない?どうゆう事だ…」

 

辺りを見渡しても何もない空間が広がるだけだった。

するとそこに、機械音が鳴る。

 

「……エクストラクエスト?」

 

ウィンドウには新たなクエストを示す表示がされていた。

 

『クエスト:聖域からの邂逅』

 

出現条件

大勾玉を5種類集めて「肥大化した憎悪」を初回でクリアする。

 

「………」

 

確かにクリアしていく最中に普通の勾玉とは違った大きな勾玉を見つけたが…このクエストの為だったのか。

 

「…ここまで来たらやってやろうじゃねぇか」

 

俺はYes/Noと表示されたパネルのYesを押す。

すらと体が光に包まれて目を庇う。

 

そして再び目を開くとそこは初めて見る迷路だった。

 

「…このクエスト、とことん楽しませて貰おうじゃねえか」

 

ゼムナスは獰猛な笑みを浮かべ探索を開始するのだった。

 

ゼムナスSide out

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

おまけ

 

「センパイ!クエストからゼムナスのプレイヤー反応がロストしました!」

 

赤いウサギがコンソールから手を離し紫のウサギに告げる。

 

「おぉ!遂にあのクエストをクリアしたのか!」

 

「てかあんな精神を摩耗するクエストをこの短期間でクリアするとか…ホントに人間なの?」

 

紫のウサギの反応に呆れるような声音で黄色いウサギがボヤく。

 

「まぁまぁ、クリアしたんだから良かったじゃないか」

 

それを嗜めるように緑色のウサギが口を開く。

 

「しかし不思議なんですよね…クリアしたならフィールドに転移されるはずなんですが何処にも反応が無いんですよ」

 

赤いウサギが再びコンソールを叩きながら呟くと黄色いウサギが反応する。

 

「クリアして直ぐにログアウトしたんじゃないのか?体感では1ヶ月位の月日を感じてたんだし」

 

「だけど反応があってからの前後のログを見てるんですが履歴がないんですよ」

 

「どういうことだ?」

 

紫のウサギが首を傾げると

 

「それはそうじゃ、なにせあやつは未だにクエストの真最中しゃからな」

 

「チーフ!」

 

他のウサギとは比べて大きな体を持った毛むくじゃらのウサギに紫のウサギが頭を下げる。

 

「しかしチーフが何故それをご存知で?」

 

「お前らも知ってるであろう?あのクエストを作ったのは誰だか」

 

すらとメンバー全員の声が「あっ!」とハモる。

 

「確か最近入ってきた新人でしたっけ?実力は凄まじいけどどこかズレてる女ですよね?」

 

チーフウサギが大きく頷く。

 

「うむ、そしてワシの娘でもあるのう」

 

『えっ?』

 

その一言に空間が停まる。

 

「因みにゼムナスというプレイヤーはワシの息子じゃ」

 

 

『はぁ!!!!?????』

 

 

チーフウサギの一言にその空間は混沌に包まれるのだった。

 

 




駄文を読んで頂きありがとうございます!
影廊編は以上となります!
(裏エンドは幕間みたいな感じで書こうと思います…書きたくなったら)

まぁ、影廊編についてはスキルを習得する為の物なのであまり深く書かなくてもいいかなと。
以下手に入れたスキル一覧となります!

音速
プレイヤーのAGIを最高で15倍にする。
※細い数字な調整できる。
デメリットとしてVIが半分になる。
クールタイムは1分

取得条件
1日に20時間以上、敵に追われながら走り続けるのを3日間繰り返す。4時間以上間が空くとリセットされる。


潜伏Ⅹ
プレイヤーの気配、現在位置を消失させる。
視認された状態だと使用不可。
クールタイム5分

取得条件
敵から一定期間(詳細期間は非公開)隠れ続ける。

気配察知Ⅹ
プレイヤーから半径5キロ内に存在する他プレイヤーやモンスターを感知できる。

取得条件
身を隠しながら敵の気配を24時間把握し続ける。

影廊
他プレイヤーを巻き込む特殊空間をランダムに生成する。
空間からは脱出するには勾玉を集めて祭壇に納めるか5回死ぬ以外では出られない。祭壇に納めて脱出した場合は所持金が1/2増える。なお5回死んで脱出した場合は所持金の1/3を消失する。
1日に5回まで使用可能。

取得条件
「エクストラクエスト:聖域かりの邂逅」を初回でクリア

徘徊者
他プライヤーを襲う破壊不能な異形を召喚、使役できる。
召喚、使役するには特殊な状況下や一部を除き「スキル:影廊」の特殊空間でのみ可能。制限は組み合わせ関係なく12体まで。
1日に8回まで使用可能。
大食らい、肥大化した憎悪、母については特定の空間でそれぞれ1体のみ召喚可能。

★召喚可能な徘徊者
・神楽鈴の徘徊者
・走り廻る
・泣き声の主
・忍び寄る徘徊者
・警鐘の徘徊者
・千里眼の徘徊者

以下の異形は「スキル:影廊」不使用でも召喚、使役可能。
※但し破壊不能オブジェクトではなくなり体力はそれぞれ使役プライヤーのHP×10000
・憎悪を振りまく影
・大食らい
・肥大化した憎悪
・母

取得条件
「肥大化した憎悪」&「聖域からの邂逅」を共に初回でクリア

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次回はいよいよ特典に近づいて行こうと思います!
まぁまたいつな更新になるか分かりませんがねw
ではでは〜(^_^)/~


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9話 ~久々の日常~

おハロー!皆さんお久しぶりのみゅーなです♪

かなり間が空いちゃいましたが、更新しました~
まぁ駄文なのはかわりないけどね…(´;ω;`)ウゥゥ

今回は日常?回です。※キャラ崩壊?もあり!

至らないところ沢山ですが許せる方はどぞ~♪


帝side

 

「久々のフィールドの空気は美味いな…」

 

そう思わざるおえない。

なにせここ数ヶ月(体感)化け物に追われ続けて死にまくったのだから。

 

「時間は…20時か。日付は変わっているな。しかしあれだけ長い間プレイし続けて1日しか経っていないとは…」

 

このゲームは作りがいいな…しかし運営は許さん、ついでにじいさんもな。

 

「取り敢えず仮面は外れた、今日はログアウトして実家に行くか」

 

勿論抗議しにな。

 

ログアウトボタンを押しゲームを終了させる。

 

「ふぅ…。現実では1日しか経っていないのにやけにこの部屋が懐かしく感じる」

 

前世で過ごした部屋を見渡し、すぐさま着替えをもって風呂へと向かう。

そうして汗や疲労を流し終わり、バスローブを纏い炭酸水を片手に部屋へと戻る。

 

ふとベッドの上に放り投げていた携帯に目をやると、着信を知らせるランプが点滅しているののに気づく。

 

三好:不在着信 3件 馬鹿姉:不在着信 16件 じいさん:不在着信 1件 理沙:不在着信 1件 楓:90件…。

 

三好は仕事の連絡か?後で折り返すとして…そろそろこの仕事もやめるか、金もあるし。

じいさんはあのイベントの件だな。

理沙は何か用事でもあったのか?こいつも後で折り返すか。

馬鹿姉は放置、楓は…見なかったことにするか。

 

そしてそんな中で珍しい奴からの着信を見つける。

 

「珍しいな…」

 

俺はその着信に対して発信する。

コール音が鳴り、スピーカモードに切り替えテーブルに置き着替えを行う。

 

「もしもし!帝君、大丈夫!?」

 

電話から大音量の声が響く。

 

「もう少し声のボリュームを下げろ。で、何か様だったか?」

 

「ここ最近大学にも来ないし…最初は帝君の事だから気まぐれかなって思ったんだけど…流石に一ヶ月も休んでるから何か事故とかに巻き込まれたのかと思って…」

 

ふむ、別に此奴が心配することもなかろうに。それに俺の場合は卒業が確定しているから行かなくてもいいから行っていないのだが。

 

「そうか…。何、ゲームに少しのめり込み過ぎてな」

 

俺の答えに此奴は呆れたような溜息を吐いた。

 

「そんな理由で…。とにかく何もないのなら良かった。それでゲームってNWO?」

 

「あぁ、中々面白いものだな」

 

俺は家に鍵をかけて田w名をしながら実家へと向かう為、バイクに跨る。

このままだと運転ができない為ワイヤレスの片耳イヤホンを装着し、携帯をバイクに取り付けたホルダーに固定し発信させる。

 

「あれ?今のってバイクの音?帝君、どこか行くの?」

 

バイクのエンジン音が聞こえたのか聞いてくる。

 

「あぁ、これから実家にな」

 

「そっか…ってどうやって電話してるの!?」

 

「ワイヤレスを使ってる、なに運転には支障ないから気にするな」

 

「気にするよ!?迷惑になるし無事を確認できたからもう切るけど…気を付けてね?」

 

俺は分かったと返事をし通話を切ろうとすると「あ、あと…」と言われたので続きの言葉に耳を傾ける。

 

「明日は大学に来て顔を見せてほしいな…?」

 

「確約は出来ん、善処する」

 

そう言って通話を切る。

すると今度は三好から着信が入った為通話ボタンを押し電話に出る。

 

「折り返そうと思っていたが手間が省けた。で、何の用だ?」

 

「やっと電話に出たか。仕事の話だ、依頼人は前回と同じ家の人間で明日の9時、場所は依頼人の家だそうだ」

 

「急だな、いあや俺が電話に出なかっただけか」

 

そう言うと三好は溜息を吐きながら注意してくる。

 

「ゲームをするのは構わんが、仕事はしっかりやってくれ」

 

なぜ今までゲームをしていたことを知っている?……まぁ三好だからってことで納得しておくか。

 

「にしてもあの女みたいな男の家の護衛って解決したんじゃなかったか?ストーカーは逮捕されただろ」

 

「そうなんだが…なにせ金を積まれたら無下には出来ん」

 

「…取り敢えず了解した。場所は前回と同じ場所でいいんだな?」

 

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

三好は電話を切ろうとしていたのであの事を言ってみる。

 

「三好、俺はそろそろこの仕事を降りようと思っているんだが」

 

俺の言葉に三好は黙るも「理由を聞こうか」と続きを促してくる。

 

「正直、金もあるし大学も卒業確定、この仕事を続けるメリットもなくなってきた」

 

「…本音はゲームをしたいだけだろうが…」

 

否定はしない。

 

「明日の依頼を最後にこの仕事を降りる。代わりとしては何だが、俺の後任として1人紹介しよう」

 

三好はしばしの沈黙の後溜息を吐く。

 

「わかった。で?その後任は使えるのか?」

 

「俺の昔の名である"田崎"を継がした奴だ。能力は保証する」

 

「後で詳しい情報を渡してくれ」

 

「あぁ」

 

三好との電話を終わらせるとタイミングよく実家に到着し、バイクを家の前に停める。

インターホンを押すと「は~い!」と声がスピーカーから聞こえ、その声に疑問を抱く。

 

「(この声は母さんではないな…、馬鹿姉でもない。聞いたことがある声だが、いったい誰なんだ?)帝だ」

 

「帝お兄ちゃん!?」

 

この感じは…アイツか。

俺は柵を開けて玄関の扉まで移動すると同時に勢いよく扉が開かれ、少女が飛びついてくる。

 

「帝お兄ちゃん!!…うきゅ!!??」

 

しかし俺は瞬時にそれを回避、扉から出きた奴…楓は地面と熱いキスを交わした。

 

「あ、帝さん!お邪魔してます!」

 

そう言いながらリビングから理沙が頭を下げながら出てくる。

 

「あぁ。しかしなぜこの家にお前たちがいる?」

 

「それはね!お兄ちゃんと中々会えないから暇なときににお邪魔させてもらってるの!」

 

先ほどまで地面とキスしていた楓が抱き着きながら言ってくる。

 

「楓!?もうっ!ご迷惑お掛けしてごめんなさい」

 

楓を一喝しながらも俺に謝罪を述べてくる。

こいつ、いつも謝ってるな。

楓は聞く耳持たずで俺に頬擦りをしている。

 

「いや、理沙なら問題ない。俺はほぼ帰ってこないが好きな時に来るといい。どうせ母さんと父さんしかいないんだからな」

 

そう言いながら理沙の頭を撫でてやる。

俺は礼儀がしっかりしている人間にはしっかりと対応する。

 

理沙は顔を真っ赤にしながら気持ちよさそうに目を細めている。

 

「あ~!いつも理沙だけズルい!!お兄ちゃん、私も!」

 

そう言いながら己の頭を突き出してくる。

 

「………」

 

俺は無言で楓を引き剥がし、襟首を掴んで持ち上げる。

 

「にゃ?」

 

楓はぶらーんと宙吊りになり俺はその手を離す。

 

「むぎゅっ!」

 

落下した楓は再びキスをする。地面ではなく今回は床だが。

 

「さて…父さんはいるか?」

 

なぜかフリーズしている理沙と床と熱烈なキスをしている楓を放置しじいさんを呼ぶ。

 

「ほぉ、来ると思っていた。私の書斎に来なさい」

 

書斎へ行こうとすると母さんが話しかけてくる。

 

「帝、ごはん食べてきたの?」

 

「いや、まだだが用意はしなくていい。どうせ済ました後なんだろ?」

 

そう言うと復活した楓が抱き着いてくる。

 

「なら、私がお兄ちゃんに作ってあげる!」

 

「ちょっ楓だけズル…じゃなくて、あんた料理できないでしょうが!」

 

「お兄ちゃんの為なら出来るよ!」

 

理沙の発言からするにあまり料理はしないようだな。

 

「無理して作る必要はない、話が終わったら帰るしな」

 

そう言い残し書斎へと向かう。

へばり付いた楓は引き剥がして理沙に押し付けた。

 

 

 

書斎に入るとじいさんが椅子に腰を掛けていたので俺も置いてあるソファに腰を落とす。

 

「さて…まずはおめでとうと言っておこうかのぉ。よくあの質の悪いクエストをクリアした」」

 

「ほんとなんなんだ、あのクエスト。それに現実にダメージが入るお面とか悪ふざけにも程がある」

 

俺は非難の目をじいさんに向ける。

 

「いやのぉ、少し悪乗りし過ぎたわい。正直あのお面にを付けてまともにプレイするのはお前以外いないと思ったがその通りじゃったな」

 

「運営に苦情入れようかと思ってるんだが…じいさんの方からいってくれるんだろう?」

 

「うむ、流石にやり過ぎたわい。わし含めて反省するとしよう」

 

「ならもういい、それであのクリア報酬が特典なのか?」

 

「いや、特典はそれではない。そのスキルなどは誰でも取れるよういしてあったからのぉ」

 

「ほぉ、中々壊れたスキルだったから特典だと思ったが違ったのか」

 

俺の言葉にじいさんの眉間に皺が寄る。

 

「なに?あのクエストの報酬は『1日1回、10分間だけ神楽鈴の巫女になれる』というやつじゃったはず…。壬琴、お前さんが手に入れたスキル教えてもらって良いかの?」

 

「あぁ、まずは…」

 

それから俺は手に入れたスキルを説明した。

 

「…あやつめ、内容書き替えよったな…」

 

頭を抱えるじいさん。どうやら取得できるスキルが変更されていたらしい。

 

「まさかあんだけ苦労して手に入れたスキルを無効とか無かったことにしないよな?」

 

「…あぁ、安心せい。それはしない、如何せんこちらの落ち度だしのぉ」

 

「ならいいが…。(そういえばⅩⅢ機関に関わるようなイベントがまだない…。って事はそれが特典か)」

 

「本当の特典の事を考えておるのか?まぁノーヒントじゃキツイじゃろうから知りたいなら教えてやるぞ?」

 

「いや、それじゃあ面白くない、なによりときめかない」

 

そう言うとじいさんは嬉しそうにほほ笑み、話はおしまいと言わんばかりに立ち上がり書斎から出て行こうとしたので俺も追従する様に書斎から出る。

 

「久しぶりじゃ、酒に付き合ってくれんかのう?」

 

明日は仕事があるが…まぁいいか。

 

「ならまた美味い肴を作ってやるよ」

 

「それは楽しみじゃ、お前さんの料理は絶品じゃからのう」

 

そんな話をしながらリビングに着くと、楓と理沙がお互い寄り添うようにソファで寝ていた。

 

「…そういえば此奴らはなぜここにいるんだ?俺が家出たのは知っているだろうに」

 

じいさんは俺の疑問にやれやれと溜息を吐く。

何故だか今日は色んな奴らに溜息を吐かれている気がする。

 

「さて、なんでじゃろうな?この子たちはわしや妻のいい話相手になってくれとるよ」

 

俺はそうかと呟きながらテーブルの上に置かれている物に目をやるといいタイミングで母さんが現れる。

 

「この子達がね、貴方の為に作ったのよ?派手なものは作れないけどこれならって」

 

「そうか…」

 

再び眠っている二人に視線をやる。

 

「ホントに貴方ってモテるわよね~、残したりしちゃダメよ?」

 

そう言うと母さんは寝室へと入っていった。

 

「じいさん、先に此奴らをベッドに寝かせてくるから酒の準備を頼む」

 

俺は先に理沙をお姫様抱っこで自分の部屋へと運ぶ。

その際、じいさんの方から不穏な気配を感じたが気にしない、どうせくだらない事だろうからな。

 

理沙をベッドに横たわらせ、楓も同じくお姫様抱っこで理沙と同じベッドへ運ぶ。

俺のベッドは馬鹿姉が一緒に寝るためにデカいのを買ったので子供二人なら余裕で寝られる。

楓を理沙の隣におろし、布団を掛けてやる。

 

「もう少し楓もお淑やかにしてくれればな…」

 

幸せそうに眠る二人の頭を軽く撫で、部屋を後にする。

リビングに入ると既に一升瓶が二本用意されていた。

 

「今日は二本だけか?」

 

「明日も仕事じゃしな、それにお前も仕事があるんじゃろ?」

 

このじいさんは…。

 

「待ってな、直ぐに美味い肴を作ってきてやるよ」

 

テーブルにある理沙と楓が作ったであろう"おにぎり"を口に運びながら調理を始める。

…明日の朝食でも作ってやるか。

 

 

 

 

 

翌朝、俺はキッチンで朝飯の準備をしている。

おにぎりのお返しという訳ではないがたまには人に飯を作るのもいいだろう。

因みに酒の肴はノーカンだ。

 

今日の予定を頭で組みながら調理をしていると母さんが起きてくる。

 

「おはよう~、あら?朝ごはん?」

 

「あぁ、たまには人に食わせてみるかと思ってな」

 

「あら~、帝のご飯は何時ぶりかしら~!私が作るより美味しいんだもの、少し嫉妬しちゃうわ」

 

嬉しそうに言う母さんにそんな事はないと言う。

 

「俺は母さんの作る料理の方が美味いと思うけどな、俺の作る料理って家庭料理感がないし」

 

そもそも老舗の高級旅館の副料理長をしていたせいか、やはり金を取る事を意識してしまう。

 

しかし母さん、母親の手料理というものには俺は一生敵わないだろう。

あれはどんなに研究しても良く分からん。

 

「(それに料理長に一度も美味いと言わせる事が出来なかったしな)」

 

母さんとたわいもない会話をしながら料理を仕上げていると、理沙と楓が起きてくる。

 

「帝お兄ちゃん~おはよう~」

 

眠そうにしながら抱き着いてきたので無理やり引き剥がす。

 

「帝さん、おはようございます…」

 

楓と同じく理沙も眠そうだ。

 

「お前ら、顔洗ってこい。飯にするぞ」

 

「「はーい」」

 

どこか気の抜けた返事をしなが洗面所へと消えていった二人。

 

「帝、おはよう」

 

「父さんか、おはようさん」

 

じいさんは椅子に座り新聞を読み始める。

 

それを他所に、俺は出来上がった料理を次々とテーブルへと並べていく。

 

今日の献立は「オムレツ」「粗挽きウインナー」「厚切りベーコン」「サラダ」「味噌汁」「ご飯」だ。

 

簡単だが朝食ならこれぐらいのでいいだろう。

 

「わ~!凄い豪華だ~!」

 

「ホントに豪華ね…」

 

顔を洗い、身支度を整えてきた楓と理沙が戻ってくる。

 

「これお兄ちゃんが作ったの?」

 

「あぁ、味は保証する」

 

「いやいや、帝さんの料理が不味いわけないですよ」

 

そう言いながら二人は席に着く。

その動作があまりにも自然だったが気にしないことにする。

 

「帝お兄ちゃんはここね!」

 

そう言いながら理沙と楓の間を指す。

昨日の事もあるので、素直に指定された場所へ腰を下ろす。

 

俺は箸の入った筒をチラリと見たが理沙と楓のと思われる箸が刺さっていたが見なかった事にした。

 

そして全員で食材に感謝を捧げる儀式を終え、各々が料理を口に運ぶ。

 

「わぁ~!このオムレツ、すっごいトロトロだ~!しかも中にチーズも入ってる!おいしい!!!」

 

楓がオムレツに興奮しながら白飯と共に口へと運び、もきゅもきゅと食べ、頬が料理で膨らんでハムスターの様になっている。

 

「このウインナーも絶妙な火入れ加減…外はパリッと中はすごくジューシー…市販品でどうしてこうなるんだろう?」

 

ブツブツ言いながらウインナーを食べる理沙。

 

「このベーコンもカリカリで厚切りだから食べ応えがあるわ~、普通のベーコンと香りが違うけど…クドくなくて美味しいわね~」

 

ベーコンを齧りながら言う母さん。

 

そのベーコンは俺自ら薫製したオリジナルだ。

クルミチップに少量の桜チップを混ぜて薫製させているのだが、この配分が何気に難しい。

クルミチップはクセが少なくマイルドだが、桜チップはクセが強く香りも強い。

量を間違えるとクルミチップの良さを喰ってしまい微妙なもになってしまう。

まぁそれでも不味くはないのだが、俺は気に入らない。

 

「サラダに掛けられているドレッシングは帝の手作りだろうが、さっぱりしていて飽きが来ないな」

 

むしゃむしゃとサラダを咀嚼するじいさん。

 

「味噌汁もまるで料亭に出てくるような感じ…ホントどうやって作ってるんだろう…」

 

理沙が味噌汁を飲んだようでそんな感想を呟く。

 

その味噌汁に使っている出汁は前世で料理長が教えてくれた極秘の出汁だ。

一般家庭で揃えられる食材だが、時間や火加減、追い鰹のタイミングなど細かいところを見極めることによって出せるものだ。

料理長から教わった時かんりどつかれたがな。

 

そんな簡単ながらも豪華な食事はあっという間に終わる。

楓は白飯を4杯おかわりしていて理沙の顔が引きつっていたな。

 

「さて、仕事だ」

 

食器などの洗い物は母さんがしてくれるというのでお言葉に甘えさせてもらった。

 

俺は玄関から出て停めていたバイクに近づきヘルメットをかぶる。

 

「あ、お兄ちゃんのバイクだ!乗せてって!」

 

なぜ俺の実家から学校に通うんだ?スルーしていたが朝食の時に二人とも制服着てたな。

俺はバイクに跨ってる楓の脇に手を入れてバイクからおろし、どうして俺の家に制服があるのか聞く。

 

「え?だって自分の家とは別にお兄ちゃんの部屋に着替えを置いてるからだよ?」

 

何が変なの?と首を傾げている楓。

なお下着なども置いているらしい、俺の部屋の衣装ケースに。

 

制服以外だと、俺が置いていったシャツ等を着ているようで俺は無言で二人にデコピンをすると

その場でおでこを押さえ蹲る。

 

そんな二人に遅刻しないようにとだけ伝えバイクを発信させる。

 

俺の部屋はいつの間にか楓と理沙の部屋へと成り代わった様だ、別に気にしないが。

 

「…もう深く考えることはやめるか」

 

俺は最後になるであろう任務へと思考を切り替えて依頼者の家へとバイクを走らせるのだった。

 




改めてこのような駄文に付き合っていただきありがとうございました!

また続きが掛けましたらこそッと上げるのでお楽しみに!
(待っててくれる方がいればいいなぁ…)

ハーフボイルドも絶賛執筆中ですので合わせてお楽しみに!


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10話 ~狭間の指導者~

みゅーなです♪
みんなー!元気してました?

はい、やっと続きが完成したので早速投稿します!ホィ(ノ゚∀゚)ノ ⌒ 由
まぁ相変わらずの駄文ですがそれでもいいよって方はどぞー!

※注意※
今回から本格的に帝君がチートになりますがそれが許容できる方のみどうぞ!


「さて、任務も終えたし家に帰るか」

 

俺は最後の任務である護衛を遂行し帰宅しようとバイクに跨る。

 

依頼主にこの仕事を辞める旨を伝えると護衛対象が不満げな顔をしていたが気にしないでおく。

そもそもこの依頼の始まりはストーカ被害から始まったものだ。

 

そのストーカーはかなり気持ち悪い奴で対象が男であろうと迷わず襲うような奴だった。

あまりにも気持ち悪かったのでいつもよりか時間を掛けずに解決した。

 

警察に引き渡すときには半分死んでいたが問題ないだろう。

あの新人君は俺の顔を見る度に土下座をするのをやめてほしい。

 

「さっさと帰ってゲームでも…『prrrr』電話か」

 

俺はイヤホンを装着し携帯をバイクに固定し通話ボタンをタップする。

 

『もしもし、帝君!』

 

「聞こえている、相変わらず声が大きいな」

 

『あっ…ごめんね…っじゃなくて今日大学来てくれなかったの?』

 

「それについては善処すると伝えただろう…、それに行くつもりではあったが急に仕事が入ったからな」

 

『そっか…。それならしょうがないけど一言くらい言ってほしかったな…』

 

「それはすまないな、しかしなぜそんなに俺を大学に来させたいんだ?お前も知ってるだろう?」

 

彼女にそう聞くと恥ずかしそうにしゃべりだす。

 

『そうだけど…せっかく帝君と一緒の大学に行けたのにあんまり絡めてないし、一緒に大学生を謳歌したいんだもん!』

 

「…ふむ。つまりは俺と一緒に過ごしたいという事か?」

 

俺がそう解釈すると彼女は突然大声を上げて

 

『なっ!!!!ち、ちち違わないけど平気でそういう事言うのやめてよ!心臓に悪いじゃん』

 

「声が大きいな…なにをそんなに焦ってるんだ?」

 

『…まぁ帝君は女子にモテモテだからね、そういうのも平気で言えるんだろうけど』

 

これは心外だな。まるで俺が女を誑かしているみたいだ、気に食わない。

 

「言っておくが誰構わずこんなことを言ってるわけじゃないぞ?本当に心を許した奴にしか言わん」

 

そこまで言うと携帯の向こうから音がしなくなる。

切れたか?

 

『そ、それって…私は帝君に心を許してもらってるって事…?』

 

モゴモゴと喋ってるがなんとか聞き取れる。

 

「そうだな、お前ともそれなりに長い付き合いだしお前みたいなタイプは正直嫌いじゃない」

 

『ごめん、帝君。嬉しすぎてヤバいから電話切るね?明日は来てほしいな、じゃあお休み!』

 

そう言うと電話が切られた。

 

「?」

 

俺は不思議に思いながらも運転に集中する。

 

明日は久しぶりに大学に行ってみるとするか。

 

____________________________________

 

 

「さて、一日ぶりだがどうだろうか?」

 

あの後帰宅し風呂や食事を済ましてNWOへとログインする。

 

「面も取れたしこれで周りの目を気にせずにプレイできるな」

 

しかし今の自身の服装を見て考える。

 

「(そろそろ特典を探さなくてはな…。ゼムナスとあろうものがこんなみすぼらしい恰好では示しがつかない)」

 

俺は特典を探すのに一旦推理することにいた為、近くのベンチに腰を掛ける。

 

「(さて…特典は機関関係だ。それに近しい場所や人物等から手に入る可能性があるが、そう言った情報はなし。まぁ俺だけの特典だから当然といえば当然だが…。それならゼムナス位強いモンスターから手に入るとかか?あるいはそんなクエストが何処かにあるとか…)」

 

「なぁ、そこのあんた。もしかして初心者か?」

 

思考の渦に潜っていると不意に声を掛けられる。

 

「…あぁ、すまない。少し考えごとをしていてな…。それで、私に何か用か?」

 

見ると赤い装備に身を包んだ大男が俺を見下ろしていた。

 

「あ、あぁ。なに、何かに悩んでそうだったんでな、声を掛けさて貰ったんだ」

 

「そうか…」

 

「俺の名前はクロムってんだ、大楯使いをしている」

 

「私は……アンセムとでも名乗っておこう」

 

「そうか!それで何で悩んでたんだ?」

 

クロムは俺の隣に腰かけて聞いてくる。

この男にダメ元で聞いてみるか

 

「実はこの辺で強いモンスターがでる場所がないか知りたくてな…どこか知らないか?」

 

「うーむ…。それならこの町から少し離れているが『毒竜の迷宮』ってのがあってその奥にはすげー強いヒドラがボスとしているんだ」

 

「『毒竜の迷宮』…。そうか、情報感謝する(当てもないしそこに行ってみるか)」

 

俺はベンチから腰を上げマップを確認する。

音速を使えば数分で着く距離だな。

 

「あぁ、1人で行くのはおススメしないぞ?ヒドラはこの一層でもかなり強いボスモンスターだからな!」

 

「そうか…、気を付けよう」

 

俺はクロムと別れてから町の外へと向かいスキルである『音速』を使い草原を駆ける。

 

『毒竜の迷宮』へは直ぐに到着する。

 

「ここが…」

 

さっそく中へと入る。

 

「…道中のモンスターはそこまで強くないようだが…」

 

俺は雑魚をインフィニティで葬りながら進むと大きな扉が現れる。

 

「ふむ、どうやらこの先がヒドラがいるボス部屋か」

 

扉を押し開けると中は広い空間が広がっていた。

少し進むと頭上から三つ首の紫色の竜が落ちてきた。

 

「…少しは手ごたえがありそうだ『怨嗟ノ舞』!」

 

スキル:怨嗟ノ舞

 

スキル:剣ノ舞の取得と同じタイミングに致死量の攻撃を受けると代わりに取得。

剣ノ舞はかわすたびにSTRを1%上げるが、怨嗟ノ舞は攻撃を与える度にSTRを1%(最大200%)上昇させる。

更に剣ノ舞と違う点では攻撃を受けても上昇値はリセットされないが上昇値が最大まで行き3時間経過するとリセットされる。

なお値が上昇していくにつれて赤黒いオーラが体に纏わりつくのだ。

 

「Gyaaaaaaaaaaa………」

 

「なんだ?」

 

ヒドラが雄叫びを上げた途端世界が停止する。

辺りを見渡すと俺以外本当に止まっているようだ。

 

「バグか……っ!?」

 

俺は何かの気配を感じ後ろに大きく飛ぶ。

すると頭上から破壊音が響き、瓦礫が落下してくる。

 

「くっ!なんなんだ!?」

 

瓦礫が落ちてきたことで部屋に砂埃が舞っており周りが見えない。

 

少しすると中央から途轍もない気配が現れ瓦礫や砂埃共々吹き飛ばす。

俺はなんとか耐え薄目を開けると中央に見慣れた装備をした人物が立っていた。

 

黒いコートを纏いフードを深く被った存在。

その手には自身と同じタイプの武器であるフォービドゥンを携えていた。

 

「…ⅩⅢ機関 No.Ⅰゼムナス…」

 

俺の呟きに目の前の存在はフードに手をかけ外す。

 

「…」

 

フードの下からは俺と全く同じ髪型と目の色をした男、ゼムナスが無言でコチラを見てくる。

 

「なるほど、お前を倒せば俺が本当のゼムナスという事か」

 

呟くと目の前にパネルが表示される。

 

クエスト:『狭間の指導者』

内容:黒コートの男を討伐せよ

※敗北した場合はアカウントが削除される。

 

想像以上に質の悪い仕様だ。これもあの馬鹿姉がやってるのか?

 

「まぁそんなのは後で確認すればいい」

 

俺は迷わずYESのボタンに触れる。

 

「貴様が私の偽物か…」

 

ゼムナスがしゃべりだす。

 

「お前たちこそ心を持たない人形の癖に何言っている」

 

「ほぉ、我々ノーバディに心は無い…。だが貴様には僅かながら怒りを感じている…」

 

「それも人間だった頃の記憶がそうさせてるのだろう?」

 

「…」

 

無言で此方を睨んでくるゼムナス。

 

「さっさと勝負しようか、勝った方が本物のってことだな!」

 

俺はそう言うと同時に駆け出しゼムナスに己のインフィニティを振るうもゼムナスには難なく受け止められ廻し蹴りを喰らうも咄嗟にガードしてその身を守る。

 

「よかろう…貴様には絶望をくれてやろう。己の無力さを恨みながら闇に沈むがいい!」

 

ここからが始まりだ。

 

ゼムナスはこちらに距離を詰めてくるとフォービドゥンを振るってくる。

俺はそれをかわし先ほどのお返しに廻し蹴りをお見舞いする。

 

ゼムナスの頭上にはHPバーが存在しておりそれが僅かに削れる。

 

先ほどの廻し蹴りで俺との距離が出来てもお構いなしにショートワープで背後に現れるが、

俺は体を回転させながらインフィニティを振るうもバックステップでかわされてしまう。

 

回転攻撃から一気にゼムナスに距離を詰めて連続で斬りかかる。

ゼムナスもフォービドゥンで受け止めてお返しにと斬りかかってくる。

 

そうして剣戟を暫く繰り広げる。

 

お互いの力量にそこまで差はなく中々勝負が決まらない。

しかし相手はNPCでこっちは人間で体力にも限界がある。

 

「埒があかない…。こうなったら!」

 

俺はアイテム欄から能面の面を取り出し顔に装備する。

 

「実際に使うのは初めてだが…『徘徊者』呼び出すは…『母』!」

 

スキルを使用すると俺の隣の空間が歪み、中から狐の面を付け何本も尻尾を生やしたあの二人の少女の母親が現れる。

 

「目の前にいる敵を倒せ」

 

そう指示するとワープを使いゼムナスへ火球を放つ。

ゼムナスはそれを切り払おうとフォービドゥンを振るうも火球はすり抜け

ゼムナスの体へ直撃する。

 

「ぬぅっ!!!」

 

初めてゼムナスが表情を崩す。頭上のHPも一気に3割ほど消し飛んだ。

 

俺はその隙を見逃さず追撃でインフィニティを振るう。

 

「グゥ…」

 

ゼムナスは大きく吹き飛び地面に体を打ち付ける。

 

「…ならば!」

 

ゼムナスが片手をコチラに向けてくると白黒の茨が体に纏わりつき身動きが取れなくなる。

 

「チッ」

 

俺の周りを黒いドームが囲いそこからは赤い点が無数に広がっている。

これは不味い!!!

 

「『全方位ショット』」

 

拘束された俺にこの技を回避する術はない…どうする!

 

「…」

 

すると目の前に母が現れ拘束を解いてくれる。

 

「これなら…」

 

俺は向かい来るショットを両手のインフィニティで弾き続ける。

母はワープで脱出し外にいるゼムナスへ攻撃していることだろう。

 

「こんなもので俺がやられる訳ないだろうが!!」

 

 

___________________________________

 

 

 

「はぁ…はぁ…。なんとか…なった…」

 

俺は息も上がり片膝を付いていた。

自身の体力に目を向けると残り10しかない。

 

俺の目の前には体が消えかかっているゼムナスが佇んでいた。

 

「これが…敗北か…」

 

そう呟くと完全にその体は消滅した。

するとレベルが上がる音と共にゼムナスが立っていた所に宝箱が出現する。

 

俺はポーションを飲み体力を回復させ宝箱に近づき中身を空けるとそこには

 

【ユニークシリーズ】

 

・フォービドゥン【双剣】【破壊不可】

 ○○○○○

 【無への誘い】

 STR・DEXを2倍にし防御無視

 VITを上げるのに必要なポイント5倍

 

・狭間の者の衣【破壊成長】

 ○○○○○

 【ノーハート】使用不可

 【指導者の羨望】

 HPを2000アップさせ、HP・MPを3倍にする。

 VITを上げるのに必要なポイント5倍

 

・狭間の者の靴【破壊成長】

 ○○○○○

 【指導者の威厳】

 STR・AGIを3倍にする

 VITを上げるのに必要なポイント5倍

・狭間の者の守り【破壊成長】

 ○○○○○

 【指導者の嘲笑】

 VITの値がSTR、AGIの合計値となる

 

スキル

・闇の回廊【パッシブスキル】

瞬間移動(ショートワープ)【パッシブスキル】

・浮遊【パッシブスキル】※ON/OFF可能

・形態変化

・全方位ショット(消費MP:所持MPの1/3)

・茨の呪縛(消費MP:所持MPの1/15)

・オールヴァニティ(消費MP:全部)

・スパークウォール(消費MP:所持MPの1/10)

・スパークボム(消費MP:所持MPの1/15)

 

「中々の装備とスキルだな」

 

さっそく俺は手に入れた装備を身に纏いスキルの振り分けを行う。

既に付与したスキルは再度買えばいい。

 

「おぉ…!これは柄にもなくテンションが上がる」

 

頭 【空欄】

 

体 【狭間の者の衣】

●○○○○

【ノーハート】使用不可

【指導者の羨望】

付与スキル

・形態変化

 

右手 【フォービドゥン】

●●●●●

 【無への誘い】

付与スキル

・全方位ショット

・茨の呪縛

・オールヴァニティ

・スパークウォール

・スパークボム

 

左手 【フォービドゥン】

○○○○○

 

足 【狭間の者の守り】

○○○○○

【指導者の威厳】

 

靴 【狭間の者の靴】

○○○○○

【指導者の嘲笑】

付与スキル

・音速

装飾品

 

【ダークブレスレット】

●●○○○

付与スキル

・ダークファイが

・ダークサンダガ

 

【空欄】

 

【空欄】

 

スキル

【パッシブスキル】

状態異常無効、闇の回廊、瞬間移動(ショートワープ)、浮遊(※ON/OFF可能)

【通常スキル】

怨嗟ノ舞、グライドⅩ、エアスライドⅩ、潜伏Ⅹ、影廊、徘徊者

 

 

この装備中々壊れてるな。

因みに状態異常無効についてはいつの間にか取得していた。

 

「さて…これで特典は無事に『ピコン♪』…ん?」

 

ログアウトしようとしたところ目の前にパネルが開かれる。

 

「…何?『エクストラクエスト:12の闇』だと?」

 

エクストラクエスト【12の闇】

狭間の指導者を初回で単独クリア

 

「あの時と同じ…。さらにレアなスキルがもらえる可能性があるんだ、やるに決まっているだろう?」

 

俺は迷わずYESのボタンを押すと何処かに転移させられる。

 

「ここは!」

 

転移した場所は12個の墓標の様なモノが立ち並ぶ部屋だった。

 

「なるほど……面白いじゃねぇか」

 

ゲームと同じ仕様とか本当にわかってるじゃないか、じいさん。

 

 

___________________________________

 

おまけ

 

「ふふ、帝ったらやっと特典手に入れられたのね」

 

薄暗い部屋の中で帝が扮するアバターを見ながら頬を緩める女がいた。

 

「相変わらず薄暗い部屋じゃのう…、で帝はどうじゃ?」

 

扉を開け部屋に入ってきたのは帝の父親でもある神だった。

 

「無事に特典を手に入れられましたよ、少し私が弄って結構強くしちゃいましたけど勝てたみたいです」

 

「お主は溺愛するあまり等々加虐の性癖でも目覚めたか?」

 

「あるわけないじゃないですか、確かに帝を食べ…ゴホン愛していますが虐めてはないですよ、姉からの試練です!」

 

「お主…」

 

冷めた目で女を見つめる。

 

「まぁ愛の鞭です、帝には甘かったと思いますが…。でもその分装備の性能はゲームの中では右に出るものはないですよ!」

 

「まぁ良いわ。さてここまで強くなったならそろそろ本来のあの子の役目を伝えようかの」

 

「役目?帝はこの世界を楽しむ為だけに転生させたんじゃないんですか?」

 

「うむ、勿論じゃがただ遊ぶのもつまらないと思ってな。あの子にはNWOのラスボスをやってもらおうと考えている」

 

「運営のウサギ共は納得するんですかね?」

 

「するんじゃなくてさせるんじゃよ」

 

「へぇ…」

 

黒い笑顔を浮かべる女神と神であった。

 




駄文をご覧いただきありがとうございます。
今回で帝君はとうとう壊れました。
しかしこの回で大方特典やらスキル等は手に入れたので
やっと原作に関わっていきたいと思います。

因みにですがフレデリカの本名ってなんて言うんですかね?
知ってる人いたら教えてくださいな!
※アンケートでフレデリカの本名を何にするかアンケしまーす!
 期限についは今月末までとします!

あ、因みに本作は今年最後の更新となります!

また来年お会いしましょう!


それでは!


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11話 〜第1回イベント バドルロワイヤル〜

まみむめも!

お久しぶりのみゅーなです!

最後の更新が12月…随分空いたな〜。

はい、エタってませんよ!
防振りは完結させたいと思ってますので、こんな駄文ですが引き続きご愛読頂ければ幸いです♪

※アンケートのご協力ありがとうございます!
結果としましては「本名があるんじゃ〜」になりました!
つきましては、感想でも頂きましたが中の人ネタで行こうと思います♪
それに伴いまして再度アンケートにご協力いただけますか?
中の人が演じているキャラからどの名前にするかを決めたいと思いまする。

ではでは駄文となりますが久しぶりの本編をどぞー☆
時間は少し飛んで第一回イベントからです♪


ゼムナスSide

 

特典入手から少し経ち、NWOで一回目のイベントが実施されるらしい。

 

これまでPvPはやったことなかったが、新装備を試すにはいい機会だ。

 

ゼムナスを倒した後、出現したエクストラクエスト「12の闇」をやったが、ゼムナス装備のお陰で苦戦はしなかった。

 

クリア報酬についてはかなり豪華なものだった。

 

「12の闇」クリア報酬

 

・闇の住人の法衣【破壊成長】×12

 ○○○○○

【機関員】

装備する者のビルドに合わせて性能が変化。

1番高いステータス3つを3倍にする。

 

スキル

・闇の回廊

 

 

例えば雷魔法メインの構成だった場合、法衣の性能としてはスピードが上がったり詠唱後のリキャストタイムが短縮されたりするのだ。

 

細かいところは装備するプレイヤー毎に変わるのだろう。

 

それに加えて更に面白い物も取得できた。

 

白色のメダルなのだが面に施されている装飾がノーバディを象徴するマークだったのだ。

 

エクストラクエストをクリアした後自動で転移されたのだがその場所が原作と同じⅩⅢ機関の城であった事が分かった。

 

城を散策してみるとメンバーが何かある度に集う円卓に辿り着き、ゼムナスが座する椅子をよく見ると丁度メダルが嵌るような窪みを見つけたので差し込もうとしたのだがまだ使用不可のようだった。

恐らく今後のアップデートで何かあるのだろう。

それよりも…。

 

「バトルロイヤル…ときめく響きじゃねぇか」

 

小さく呟く俺が今いる場所は始まりの街の中心だ。

イベント参加者がこぞっと集まっている。

 

「結構参加者がいるようだが…どいつも余り強くなさそうだ」

 

遠くには集団の中で1人の少女が何か演説めいた事をやっていたが見なかった事にした。

 

「あいつも俺と同じでロールプレイをしてるみたいだな」

 

まぁ、こういうゲームは普段の自分とは違うキャラでプレイするのも醍醐味の1つだな。

 

『ガオー!!!これより第一回イベント バトルロイヤルを開始するよー!』

 

おっとそうこうしてる内にイベントが開始されるようだ。

辺りからも雄叫びが上がる、うるせぇな。

 

『ルールを説明するのらー!制限時間は三時間でステージは新たに作られたイベント専用マップなのらー!

倒したプレイヤーの数と倒された回数、それに被ダメージと与ダメージ。この四つの項目からポイントを算出し、順位を出すよ!さらに上位十名には記念品が贈られるから頑張るのらー!』

 

OK.ルールは理解した。

 

つまり制限時間内にダメージを受けず虐殺しまくればいいという事だな。

シンプルでときめくルールだ…あぁ、楽しみだなぁ。

 

『ではでは、ゲームスタートなのらー!!!』

 

チビ怪獣の見た目をしたAIの開始宣言と共に視界が光に包まれる。

 

そうして目を開けると…

 

「どうやら何処かの森に転移させられたようだな」

 

さて、早速敵を始末していくのだがまずこのフィールドの特性上奇襲には気をつけたほうがいいな。

死角になるところが多すぎる。

 

「まぁ、俺には『気配察知』のスキルがあるから問題ないか」

 

特典を手に入れて機関の城を探索していた時に敵を等がいないか警戒していた所突如手に入ったスキルだ。

 

恐らくあの趣味の悪い回廊で逃げ回っていた時にある程度取得条件が溜まっていたんだと思う。

 

「さて…『気配察知』!」

 

早速スキルを使用すると俺がいる付近に複数の反応があった。

今回はモンスターはいないから十中八九プレイヤーだろ。

 

「ちまちま狩るのもいいが少しメンドーだな………あれ使うか」

 

俺は面を装備しスキルを発動させる。

 

「『徘徊者』!呼び出すは………そうだな、『憎悪を振りまく影』!」

 

俺の隣の空間が歪み、そこから顔がない黒髪の化物が現れる。

 

「コイツには何回殺されたかな…味方である分にはなんとも心強いな…。この森にいるプレイヤーを駆逐しろ、行け!」

 

俺のGoサインと共に物凄いスピードで森へと消えていった。

 

「アレに追っかけられたらトラウマもんだよな…。さて俺はこっちに行くか、何やら只者ではない気配を感じるし…楽しめそうだ!」

 

俺は化物が飛んでいった方向とは逆の方へと歩き出した。

 

 

そうして暫く進むと、戦闘する音が聞こえてくる。

 

息を潜め、音のする方を確認する。

 

そこには1人で複数のプレイヤーと戦う騎士の様な男が戦っていた。

どいつもその騎士の一太刀で消滅させられている。

 

「最初の相手としては不足なしか…」

 

俺は騎士以外のプレイヤーが消えるのを確認し草むらから出る。

 

「見事な太刀筋だ」

 

俺は原作のゼムナスに似た、ヘイストを掛けたくなるような声音で騎士に拍手をしながら話しかける。

 

「見てたのかい?気配が全く感じられなかったな」

 

騎士は爽やかなイケメンと言うべきか、世のモテない男子が見たら殺意を向けそうだ。

 

「見たところ腕が立つプレイヤーと見える…。どうだ、私と戦ってみるか?」

 

俺の提案に騎士は即答で答える。

 

「いいだろう、丁度骨のある相手と戦って見たかったんだ」

 

そう言いながら剣を構える騎士。

 

「私とて貴様の様な強者を相手にするのは初めてだが…簡単には終わらせてくれるなよ?」

 

俺も右手にフォービドゥンを出現させ構えることはせず自然体で立つ。その際に浮遊もONに切替軽く宙へと浮く。

 

「っ!…面白いスキルだね、空を飛べるのかい?」

 

「ふっ、少し宙に浮くくらいだ」

 

俺は小さく笑う。

 

「キミが誰かはフードで分からないけど斬ってしまえば変わらないか…。来ないのかい?来ないならこっちから行かせてもらうっ!」

 

騎士はそう言うと真っ直ぐ斬りかかってきた。

俺はそれをフォービドゥンで受け止め鍔迫り合いとなる。

 

「いつまで余裕を保てるか…楽しみだぁ」

 

騎士の剣を押し返し今度派此方から斬りかかる。

騎士も先程と同じように受け止めようとするが、俺はショートワープを使い騎士の背後へと移動する。

 

「っ!?くっ!」

 

突如消えて面を食らったようだが背後からの攻撃を回避する騎士。

 

「ほぉ…よく躱したな」

 

「…キミは一体何者なんだい?掠っただけでこんなにHPを持っていかれるとは。…本当にプレイヤーなのか?」

 

「どうとでも思うがいい。…そうだな、なら敢えてこう名乗らせてもらおう。『存在しない者』(ノーバディ)と」

 

俺はそう答え再び斬りかかる。

今度はワープは使用せず正面から攻める。

 

「今度は正面からっ!」

 

相手にとってはやりづらいだろう。

なにせワープするのかしないのか分からずにどこから攻撃が来るか分からないのだからな。

 

そこから騎士は防戦一方になる。

 

「どうした?お前の実力はそんなものなのか?」

 

煽り文句にしては幼稚だが今のこいつには十分だろう。

 

「言って……くれる…!『超加速』」

 

騎士がさらにスピードを上げる。

確かにレベルの低い奴なら一瞬の内に切り伏せらえるだろう…。

しかし、俺にしてみたらまだ足りない。

 

俺は背後からの攻撃を視認せずに受け止める。

 

「!!??」

 

「…少々、いや…かなり失望したぞ。貴様、なぜ本気を出さない?全力を出すことなく私に勝てると思っているのか?」

 

「グハッ…!?」

 

俺は攻撃を受け止めたまま回し蹴りを騎士に叩き込む。

 

「最後のチャンスだ…。貴様の全力を以って私に挑んでみよ」

 

騎士の体力もそろそろ限界だろう。

もしここまで言っても全力を出さないのであれば…。

 

「…あぁ。確かに何処かで君を舐めていたのかもしれない」

 

そういうと騎士は次々と自身にバフを付与していく。

俺はその間、解き放った憎悪を振りまく影の動向を確認する。

 

「(どうやら森の中のプレイヤーは狩り尽くしたようだな…)帰還せよ」

 

俺がそう呟くと憎悪を振りまく影の反応が消える。

 

「……。待たせたね」

 

そうこうしている内に騎士は強化が終わったらしい。

 

「ほぉ…それが貴様の全力か…?」

 

「あぁ、今出せる全力だ…。この攻撃で終わらせてもらう!!!」

 

騎士は先ほどとは比べ物にならない速度で向かって来る。

 

「『断罪ノ聖剣』!!!」

 

「!」

 

近付きながらスキルを発動して溜めの時間を無駄にせず実質ノータイムで重い一撃を入れるつもりか。

 

ズドォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンン!!!!!!!!!!!!!

 

 

「………流石にここまでやれば…「これが全力か」っ!?」

 

俺はスキルであるスパークウォールを発動し、騎士の一撃を受け止めた。

 

「貫通してくれるものかと思ったが……残念だ」

 

俺はそう言いながら騎士をフォービドゥンで斬り捨てる。

 

「なん……だと……」

 

「今の貴様など…私の敵になりえない」

 

俺の一撃は残っていた騎士のHPを無慈悲に削り続ける。

 

「その光と共に闇へと心を捧げるがいい」

 

そうして騎士は苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべ消えていった。

 

「あの回廊を徘徊していた化け物共に比べれば他愛もないな。……次の獲物の元へと行くとしようかね」

 

俺は『気配察知』を使用し混戦している場所へグライドを使って向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」」」」」

 

 

俺は混戦している場所へと到着し、上空からそれを眺める。

 

「相変わらずうるせぇな……。それにここの奴らはあの騎士の男程の実力は無い様だな」

 

一気にまとめて片付けようと思いまだ使っていなったスキルを発動する。

 

「『スパークボム』」

 

突如上空からの攻撃にその場にいたプレイヤー達はほぼ消滅しており、生き残った者についてはスキル『音速』を使い、

誰にも気付かれずに処理をする。

 

 

そうして俺は次々とプレイヤーを狩っていきそれなりの時間が経った頃、アナウンスが入る。

 

『がおーーー!途中経過を発表するのらー!現在の三位はペインさん、二位はメイプルさん、そして一位は……ゼ……unknownさんなのらー!これからイベント終了までに上位三名を倒すと、得点の9割が譲渡されるのらー!更に、三人の位置はマップに表示されるのらー!誰にでもトップになる可能性があるから残り時間まで頑張るのらー♪』

 

 

「ほう…負けた場合はポイントを9割も持っていかれるのか。しかも上位三名の位置は筒抜けと…」

 

これは探しにいく手間が省けるが…どうせなら他の上位者の近くに移動して漁夫の利を狙うのもありか。

 

「ここから近いのは…メイプルというプレイヤーか。上位者という事はそれなりに実力があるのだろうか?」

 

まぁ行けば分かるか。

 

俺はメイプルがいるであろう場所へと向かった。

そうして再び上空から下を見下ろし、目的の人物がいるか確認する。

 

「…………」

 

俺は言葉を失っていた。

 

見下ろした先には黒髪で黒い鎧に大楯を持った少女が座り込んで絵を描いていた。

 

「なぜこんな時に絵を描いているんだ?(…それによく見るとあの絵は何処かで見た事あるような……)」

 

少女が描いているのはナスカの地上絵の他に何かのマークの様な絵に加え、ウネウネした奇妙な生物だった。

良く見えなかった為、少し近づき見てみると何の絵なのかはっきりした。

 

「(なぜ、少女があのマークと存在をを知っている?アレは俺以外に知るものはいないはず…)」

 

そのマークはエラクゥス一門の…ノーバディを象徴するエンブレムの元になったマークであり、

奇妙なクネクネした存在はダスクそのものであった。

 

俺がそのマークやダスクの出所について考えていると大勢のプレイヤーが少女を取り囲む。

助太刀でもしようかと思ったが彼女の実力を見るために静観をすることにした。

 

 

 

結果を見た感想としては…"意味が分からない"だった。

 

筋肉ゴリゴリのSTRに明らかに振っているであろう男が振り下ろした大剣をガードすることもなく頭だけで弾いていた。

そこからその手に持つ盾でプレイヤーを喰ったと思ったら短刀から三つ首の毒竜を召喚し辺り一面を毒沼にしたりと

この場は見た目通りの地獄と化していた。

 

「(正直勝てなくはないが手の内をあまり晒したくない…。ここは戦闘はせず、絵について聞いてみるか)」

 

俺は頭の中でまとめると毒地獄と化した地上に降り立つ。

 

「君がメイプルか?」

 

「?そうですけど…貴方は?」

 

「あぁ、私の事は…unknownとでも名乗っておこう」

 

「アンノウンさん?…あー!一位の人だ~!!!」

 

メイプルは盾を構え腰に携えている短刀に手を掛ける。

 

「まぁ、待つがいい。君にはそこに書かれている絵について聞きたいのだ」

 

そう言うとメイプルは構えを解き首を傾げる。

 

「絵ってこれですか?」

 

メイプルは先ほどまで書いていた絵を指さしながら聞き返してくる。

 

「あぁ。そこに書かれているマークと奇妙な生物は何かと思ってな」

 

絵について聞くとメイプルは目を輝かせながら口を開く。

 

「このマークと生き物は私の大好きな人の部屋に置いてあったノートを偶々見た時に書かれてたやつなんです!他にも色々な生き物とかマークとか書かれてたんですけどこの二つは特にお気に入りなんです!このクネクネした子も可愛いんです!」

 

「(ダスクを可愛いとは…?いやそれよりもそのノートは俺のノートだ。そしてそんな物を見れるのはウチの家族か頻繁に家に来ており、元俺の部屋に半ば住み着いているあの楓と理沙位しかいない。よってメイプル…なるほどな、"楓"だからメイプルか…)」

 

「あの~…その絵がどうかしたんですか?」

 

いきなり黙り込んだ俺を不審に思ったのか少し訝し気に聞いてきた。

 

「いや特徴的な絵だと思ってな。所で……私は君と事を荒立てるつもりは今はないが…戦うのか…?」

 

そう問いかけるとメイプルは「う~ん」と可愛く小首を傾げる。

 

「(そういう仕草は可愛らしいのに、普段の言動が大きくマイナスされているな)」

 

「何か失礼な事考えてませんか?」

 

おっと、勘は相変わらず鋭い。

 

「そんなことはない」

 

「まぁいいですけど…、。あ、そちらが戦う気がないなら私も戦いません!」

 

「そうか」

 

「それよりも、私の大好きな人の事を聞いてください!」

 

「…何故だ?」

 

唐突に謎な事を言い出すメイプル。

 

「私が大好きな人…お兄ちゃんはすっごく凄い人なんです!それを色んな人に聞いてほしくって」

 

メイプルは照れながら言う。

おい、それはお前の通う学校でも言いふらしているのか?

 

「そ、そうか。(…こいつは後でお仕置きが必要みたいだな)」

 

そこから制限時間いっぱい使い、メイプルから俺自身の事をひたすら語られるのだった。

 

因みに順位は変わらず、メイプルは上位者コメントの時に噛んでいた。

後で弄ってやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、途中結果がアナウンスされた際、なぜゼムナスではなくunknownとなったのだろうか?

…まさか馬鹿姉の仕業か?

 

…まぁ今回に至っては見逃してやるか…。

 

ゼムナスside out

 




駄文読んでいただきどーもです!

一部スキルとかを追加したり改変したりしました!
※【神速】のスキル原作にあったの見落としてた…。

それはおいといてアンケートです!

作者の方でいくつか探してみましたがどの名前が良いですかね?
アンケートに上げた名前以外にもあるのならコメントなどいただければと…。
※期限は特に決めません!強いて言うなら次回投稿した時ですかね?


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12話 〜久し振りの大学へ〜

やぁやぁやぁ、みゅーなだ!
えっ?半年以上更新なくて失踪したかと思ってた?

そんな訳あるかぁー!
たまたま続きが書けなかっただけよ?ホントだよ?

………更新遅れて申し訳ございませんでした。orz

久し振りの投稿で可笑しな所もあり、駄文になりますが良い方はどうぞ!
(駄文はいつもの事だって?知ってるよ!?)



てか、待ってる人っているのかなぁー…(´・ω:;.:...


帝Side

 

1回目のイベントが終わり、数日。

 

「久し振りに来たな…」

 

俺はバイクを駐車場に止めヘルメットを外しながら呟く。

 

今日は久し振りに大学へと訪れていた。

 

「大学の前半でほぼ単位を取ってからあまり来ていなかったが相変わらず賑やかな所だ」

 

周りの奴等を見渡しながら授業を受ける為の講義室へと向う。

 

「帝くん!」

 

向う途中で背後から聞き慣れた声に呼び止められる。

 

「面として会うのは久し振りか?小猫」

 

塔城小猫、高校からの知り合いだ。

 

コイツとも長い付き合いになるな…。

初めて会ったのは高校の時に何故か俺の机で寝ていた変な奴だと思ったのは内緒だな。

 

「電話では結構話してたけどやっぱりこうして顔を見ながら話せるのは嬉しいな〜」

 

「まぁ、そうだな」

 

「大学に来てくれてありがとう!でも帝くんって卒業単位充分だよね?」

 

「あぁ。今日は気まぐれで来ただけだしな」

 

久し振りに雑談をしながら講義室へと向かう。

 

そうして講義室へ到着、空いている席へ腰を下ろす。

 

「そういえば帝くんもNWOやってるんだよね?」

 

「あぁ、やってるな」

 

「今レベルっていくつなの?もしまだ低いならレベル上げ手伝ってあげるよ?」

 

ニコニコしながら聞いてくる小猫。

 

「確か…70は超えてたと思うぞ?まぁレベルはあまり気にしてないからな」

 

俺の言葉に小猫は笑顔を固まらせる。

 

「いや…それってペインよりか上じゃん…」

 

「ペイン?………あぁあの如何にも勇者みたいな格好した男か。確か第1回のイベントで3位だったか?」

 

「そうそう!私は10位以内に入れなかったけどね…。因みに帝くんは何位だったの?」

 

…コイツには本当の事を言ってもいいか。

 

「1位だ」

 

「ん?」

 

俺の答えに意味が分からないといった表情で聞き返してくる。

 

「だから1位だ」

 

「1位って…あのUnknownっていうプライヤー!?」

 

「あぁ、本当のプレイヤーネームはもっと違うんだがな?何故かあの時はUnknownってなってた」

 

まぁそれもあの馬鹿姉の仕業だろうが。

 

「えぇ…。そういえばペインが全く勝てる気がしないプレイヤーと戦ったって言ってたけどそれってもしかしなくても帝くん?」

 

「多分な。もう少し戦えるかと思ったが少し期待外れだったな」

 

「そんなこと言えるの帝くん位だよ…」

 

そうか?楓ならそれなりに戦えそうだが。

 

「ってことは本当の帝くんのプレイヤーネームってなんなの?」

 

「俺はゼムナスという名前だ」

 

まぁ容姿が13機関のゼムナスよりか少し若いがな。

どちらかと言うとテラ=ゼアノートの容姿に近いか?

 

「そうなんだ…。ならさ!今日大学終わったら一緒にゲームしようよ!授業は午前だけたし…集合場所は噴水の前で!」

 

「ふむ………。まぁイベントが終わったばかりでやることないしいいだろう」

 

「やった!」

 

喜ぶ小猫を見ながら偶にはだれかとプレイするのも悪くないかと思ったのだった。

 

帝Side out

 

 

______________________________

 

三人称Side

 

あれから講義を受けて午前の講義が全て終わり大学内にある食堂で小猫と昼食をとる帝。

 

ゲームで何をしようかと話している2人に1人の人物が話しかける。

 

「久し振りに会うな、帝」

 

「…三好か」

 

話けてきた男、帝と高校からの付き合いがあり、仕事仲間だった三好だった。

 

因みに帝は三好の本当の名を知らない。

 

「お前が推薦した田崎だが、あれは中々使える奴じゃないか」

 

「そうだろう?俺の持っている技術を全て身に付けさせたからな、そう遅れをとることはないさ」

 

「何処で拾ったんだ?」

 

「任務先でチョロっとな」

 

「…報告を受けていないが?」

 

「お前に報告した後だったんだよ…」

 

「まぁ過ぎた事だから咎めるつもりはないが」

 

そんな会話をする帝達に一緒に昼食を摂っていた小猫が少し怒り気味に口を開く。

 

「もう!今は私と話してるのに邪魔しないでよ三好!」

 

「あぁ、すまないな塔城。別に取るつもりはないから安心しろ。それじゃあな、帝。今度食事でも行こうか」

 

そう言うとその場から立ち去る三好。

 

「お前と行く場所は何処も高級な料亭だから気が進まんよ」

 

ボヤく帝。

 

「全く…。ホントにアイツって空気読めない…」

 

「そういえばお前と三好も顔見知りだったな」

 

「同じ高校だったしねぇー。まぁ帝くんと話してる時とかによく割り込んできてたし」

 

「お前の事が好きなんじゃないか?」

 

そんな帝の発言に顔を顰める小猫。

 

「まさか。こっちから願い下げだよ、それに私が好きなのは帝くんだし…

※三好は小猫の事を帝の付属品としか思っていない

 

「ん?まぁ確かにお前は三好よりか俺の側にばっかいたからな。アイツよりか俺の方がとっつきやすいか」

 

「んなっ!?もしかして聞こえてた!?」

 

「俺は仕事柄、耳が良いからな」

 

「にゃぁぁぁぁ!!!???」

 

帝の言葉に顔を赤くしながら猫みたいな鳴き声で顔を伏せる小猫。

 

「名前通り、猫みたいな奴だな」

 

軽く笑いながらそう呟くのだった。

 

三人称Side out

 

______________________________

 

 

ゼムナスSide

 

帰宅し風呂やら飯を済ませゲームを起動する。

 

待ち合わせは噴水の前だったか。

 

ログインし噴水まで向う。

 

「そういえば小猫のアバターの容姿を聞いてなかったな」

 

まぁ何とかなるかと思いながら小猫を待つ。

 

そうして暫く待っていると声をかけられる。

 

「もしかして貴方がゼムナスくん?」

 

金髪ポニーテイルの如何にも魔法を使いますっといった格好の少女だった。

 

「正解だ」

 

「…あんまりリアルと見た目変わらないね」

 

「まぁ髪色と目の色をイジってるだけだしな。それよりもこの後はどうするんだ?」

 

「それなんだけどね?ちょっと私のレベル上げに付き合って欲しいなぁーって思ってて…」

 

「まぁ構わんよ、それならさっさと行くか」

 

「うんっ!」

 

そうして2人揃って街を出る。

 

「そういえばゼムナスくんの装備って…こう言うのも失礼だけど、あんまり強そうじゃないね?」

 

「あぁ、これはゲームを始めた頃に身に着けていた物だからな。防御などあってない様なもんだ」

 

「あれ?じゃあその姿のままでペインを倒したの!?確か聞いた話だと黒いコートを纏って見慣れないスキルを使ってたって聞いたけど…」

 

「あれは街のど真ん中では目立つ。基本的に街にいるときはこの格好だ…まぁ戦闘になったら着替えるさ」

 

「そうなんだ!なら初めはゼムナスくんの戦闘を見せてよ!」

 

まぁ構わないか。

 

「分かった」

 

そうして敵モブが湧く場所まで移動する。

 

「この辺でいいか…」

 

「ちょっと待って、ゼムナスくん。ここってそこそこ強いモブが湧くところじゃなかった?」

 

そうか?俺からしたらその辺の雑魚と変わりないが…。

 

「まぁお前くらいのレベルならここが1番稼ぎやすいだろう。…それは置いておくとして、名前はなんて呼ばばいい?」

 

「あ、ゲームではフレデリカって呼んで!」

 

「了解。なら早速戦闘といくか?」

 

丁度いい量のモブが湧いているので、装備を黒いコートへと変える。

 

因みにフードは被っていない。

 

「わぁ…これがゼムナスくんの装備?ていうか何で少し浮いてるの!?」

 

「これはそういうスキルだと言っておこう。さて始めるか」

 

俺はフレデリカの前からショートワープで敵モブの目の前まで移動しそのまま斬り伏せる。

 

それを皮切りに一斉にモブがコチラへと攻撃を仕掛けてくるが…

 

「『スパークウォール』」

 

電気を帯びたシールドで攻撃を防ぐ。

その際に電気に触れて運が悪いモブはそのままHPを全損させる。

 

生き残ったモブもそのままフォービドゥンで斬り捨て、回し蹴りを食らわせたりしていつの間にか全滅していた。

 

「まぁこんなところか…。どうだった?」

 

フレデリカに感想を求めるため、彼女へ目を向けると

 

「………(・・)」

 

目を点にして呆けてた。

 

「おい、何を呆けている」

 

声をかけると我に返ったようにキョロキョロと辺りを見渡すフレデリカ。

 

「はっ!いやいやいや、何なのアレ?移動は目が追いつかないしワープしてるし電気の壁出てくるし…何よりなんでゼムナスくんの掌からビームみたいな棒が飛び出してるの!?」

 

なんか困惑しているようだ。

 

「この武器は装備すると手に持つというより生える仕様だ。他はスキルだな」

 

「いや、説明されても意味が分からないよ。これならペインが負けるのも頷けるわ…。私じゃ一生勝てないよ」

 

「まぁ装備やスキルもあるが自身のPSもあるからな。そこら辺の奴らなど足元にも及ばないと自負している」

 

「はぁ…。とんでもないなぁ〜…」

 

遠い目をしながら溜息を吐くフレデリカ。

 

「さて、手伝ってやるからお前のレベリングをするぞ?時間は有限だからな」

 

「う、うん。よろしくね?」

 

 

そうしてその日はフレデリカのレベリングに費やしそれなりにフレデリカのレベルが上がったところで切り上げる。

 

「そういえば…今度のアップデートで第2層が追加されるの知ってる?」

 

狩からの帰り道にフレデリカが思い出したように聞いてくる。

 

「そういえばアップデートが入るって言ってたな。スキルの弱体化や新スキルの実装とかは知っているが2層追加は知らないな」

 

俺のスキルも弱体化したりするのだろうか?

 

「そうなんだ。それでね?2層の追加と共にギルドが結成出来るようになるんだって!」

 

なるほど…。

 

これで俺だけのⅩⅢ機関が作れる訳か…。

 

「それでね?ペインからギルドに入らないか誘われてるの」

 

「ふむ、それで?」

 

「ゼムナスくんもどうかな?って思ったんだよね…実力は言わずもがなだし。それに一緒にゲームしたいし…」

 

なるほど、ギルドの勧誘か。

 

しかし俺の目的はⅩⅢ機関を作って楽しむこと。

誰かのギルド等に入っていられないな。

 

「すまないが断らせてもらう」

 

「えっ…」

 

何故そんな絶望したような顔をする?

 

「俺は自分のギルドを作る予定だからな。その誘いは嬉しいが断らせてもらう」

 

「ゼムナスくんもギルド創るの?」

 

「あぁ。お前も誘おと思ったが先客がいたのならばしょうがないな。地道にメンバーを集めるとするさ」

 

フレデリカは俺の言葉に驚きの表情を浮かべる。

 

「私を誘おとしてくれてたの?」

 

「まぁな。そうなるといつかギルド同士のイベントで争う日が来るかもな…」

 

俺はそう呟き、話す為に止まっていた足を再び動かす。

 

「ゼムナスくんのギルド…。それなら私は…」

 

「おい、置いていくぞ」

 

「あ!待って!」

 

ブツブツと呟くフレデリカに声をかける駆け足で近づいてくる。

 

ギルドか…。

 

そういえばアイツもこのゲームをしてたな…。

ログアウトしたら連絡してみるか。

 

街に着きフレデリカとフレンド登録をしてその日は解散となった。

 

 

いよいよ、だな。

 

ゼムナスSide out




えー最後までこんな駄文をお読みいただきありがとうございました。

久し振りの投稿だった故、所々可笑しな部分はありますが誹謗中傷はやめてくださいね?

うp主が発狂してまた投稿がくそ遅くなるので…。

次回はまたいつになるか分かりませんがまたのんびりと待っていただければ幸いです♪


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13話 〜第2回イベント、魔弾と凶刃との出合い〜

おはこんばんちわ、みゅーなだよ〜☆

今回は第2回のイベントでの話です!

えっ?サブタイの魔弾と凶刃ってあの2人かって?

限りなく似ていますが、別人です(真顔

ここから少しづつギルドメンバーを勧誘していきますよ〜

メンバーが一通り集まったら原作のⅩⅢ機関みたいに二つ名的なモノを付けられたらいいですねぇ〜

あ、例の如く駄文なのでそれでもいい人は、ゆっくりしていってね!

それでは本編スタート♪


ゼムナスSide

 

フレデリカのレベル上げを手伝ってから数日後。

ゼムナスsaid

 

唐突に第2回イベントが開始された。

 

今回のイベントは前回のバトルロワイヤルではなく、探索型。

ワールドの至る所に隠された銀のメダルを集めるイベントとの事だ。

 

そして銀のメダルを集めるとイベント終了時に様々なスキルと交換出来るらしい。

 

それも10枚毎に1スキル、ついでに前回イベントで上位10名に配られた金のメダルは銀のメダル10枚分みたいだ。

 

「そしてメダルは所持しているプレイヤーを倒すとドロップし自身のものに出来ると…。前回に続いて面白そうじゃねぇか」

 

メインは探索だが見つけたプレイヤーは片っ端から倒すのがいいかもな。

 

「それに前回のイベントに参加していなかった奴も出てくる可能性がある…。もしいい奴がいたらギルドに勧誘してもいいかもな」

 

 

まぁ一人でそう呟いている俺だが現在、大森林の中でメダルを捜索中だ。

 

イベント開始と同時になぜか謎の洞窟の前に飛ばされ、中を探索したらボスモンスター……といっても俺からしたら雑魚だったがエンカウント。

倒すと同時に宝箱が現れ、中にはメダルが3枚入っていた。

※この時倒したボスの強さは毒竜2匹分の強さで複数人で挑むボスでした。

 

そこから南下して絶賛、森を彷徨っている訳だ。

 

「メダルが見つからん…やはり手当たり次第プレイヤーを狩っていくほうが………っ!」

 

作戦を変えようか悩んでいるととあるスキルに反応があった。

 

スキル『影廊』。

 

あの地獄のイベントから手に入れたスキルだ。

 

「なるほど、これは面白い効果が確認できた」

 

本来、『影廊』とはクリア出来なかったプレイヤーから所持金を半分徴収するスキルだが、今回のイベントではメダルを所持していればそれもドロップするらしい。

 

たまたま見かけたプレイヤーを試しに閉じ込めてみたが…結果は予想以上だったな。

 

1日に5回までという制限があるか今回のイベントも時間加速が適応され、ゲーム内で1週間、現実時間で2時間だ。

頻繁に使っても問題ないだろう。

 

「まぁ、これをクリアした奴は今の所いないがな」

 

そもそも回廊に出てくる敵は倒せない上に少しでも接触したらそく死亡判定。

 

あのイベントの嫌なところを殆ど引き継いでやがるからな。

 

そんな事を考えながら歩いていると人の気配を察知。

 

「……隠れていないで姿を見せたらどうだ?」

 

ゼムナスボイスに切り替え、気配がある方へと言葉を投げかける。

 

「やはり、前回イベント1位は誤魔化せなかったってハナシ」

 

……おいおい。その語尾はまんまアイツじゃないか。

 

木の陰から姿を見せたのは、黒い髪の中に白髪が混ざった左眼に眼帯をつけた男だった。

 

装備は軽装でまさに人間だった頃の服装に近かった。

 

「ほぉ…私を知っていると?」

 

「そりゃあアンタは色んな意味で有名人だからな?上位3名のインタビューの時に何故か、1位のヤツのときにノイズがかかってその姿は明確に見えなかったんだからな」

 

そうだったのか。

 

「それで?上位者の私を倒してメダルを頂戴しようと?」

 

 

そう聞くと奴は戯けた態度で否定する。

 

「俺はそんな命知らずじゃないぜ?アンタに勝てる気がしない。用事は別だってハナシだ」

 

「それで用事とは?」

 

聞き返すとニヤニヤと奴は口元を歪めながら口を開く。

 

「アンタも2層の追加に伴ってギルドが作れるようになるのは知っているだろう?もしかしたらアンタは自分のギルドを創るんじゃないかって思ってな」

 

話が見えてきたな。

 

「つまり、私が創るギルドに入りたいと?」

 

「正解!」

 

これはいい話だ。

 

しかし……。

 

「確かにいい話だ。私もメンバーを集めている途中だったからな。……だが誰でもいいと言う訳でもない」

 

俺はオフにしていたスキル『浮遊』をオンに切り替え少し宙へと浮く。

 

奴はその光景に目を見開くも口元は嗤っていた。

 

「入団試験ってか?なら、俺が如何に有能か見せてやるってハナシ!」

 

そう言い切ると手元に2丁の銃が現れ、握ると同時に発泡してくる。

 

それをフォービドゥンで斬り捨てる。

 

「ひゅ~!あんた本当に人間か?銃弾をきるとか…益々アンタのギルドに入りたくなってきた!」

 

奴は地面を蹴ると同時にその姿が消える。

 

背後に気配を感じた為スパークウォールで飛んできた銃弾を防ぐ。

 

「これも効かないか…。大方このスキルを使えば殆どの奴はお仕舞だってのに」

 

「舐めるな」

 

振り返ると奴は空中で逆さまになって立っていた。

此処まで再現されているのか…。

 

「なら、俺のとっておきを見せてやるぜ!」

 

再びヤツの姿が消える。

 

「何処に……っ!」

 

俺が立っている右側から気配を感じ、バックステップで避ける。

 

立っていた場所には一発の銃弾が地面へとめり込んでいた。

一撃でも喰らえば中々の致命傷を与えられる威力だ。

 

そこから何発もの銃弾が飛んでくるがすべて避ける。

 

そして気配察知を最大限にし、集中する。

 

「…そこか。『スパークショット』」

 

フォービドゥンが射出され真っ直ぐ何もない空間に飛んでいく。

 

「がぁぁっ!?」

 

宙から奴がボトリと落ちてくる。

 

『スパークショット』はスキルではなく、『スパークボム』の応用だ。

 

掌に『スパークボム』を出来る限り収束させそれを爆発させた勢いでフォービドゥンが射出するといった仕組みだ。

 

「まさか、ここまでとはなぁ。攻撃がかすりもしない」

 

俺は体を起こし両膝をつくヤツにフォービドゥンを携えながら近づく。

 

「はっ。試験は不合格ってか?」

 

ヤツは目を閉じトドメを待っているが口元は嗤っていた。

フォービドゥンをヤツの額に近づける。

 

「……合格だ」

 

「なんだと?」

 

「合格だと言っている。さっさとフレンド登録を済ませるぞ」

 

「あ、あぁ」

 

立ち上がり戸惑いながらもフレンド登録をする。

ヤツの名前は…。

 

「…シグナムか」

 

「ヨロシクな、ボスさんよ」

 

______________________________

 

 

あれからシグナムとは別れて再びフィールドの探索へと戻る。

 

シグナムにこれからどうするか訪ねたところ

 

「俺の目的は既に達成したってハナシ。残りの期間は適当にプレイヤーでも狩るとするさ」

 

そう言って何処かに消えていった。

 

あれだけの技量かあれば前回のイベントでも10位以内に余裕で入れただろうに…何を考えているか分からん奴だ。

 

 

「これで取り敢えず1人は確保。まだまだ先は長いな…」

 

残りは11人。

 

まぁ気長に集めていくとするか。

シグナムにも言ったが誰でもいいという訳ではないのだ。

 

「今の時間は………21時といったところか」

 

時間に合わせてフィールドも夜になっている。

よく作り込まれたゲームだよ、ホントに。

 

「先ずは何処か休めるところを探すか」

 

そうして暫く散策しているとそれなりの高さがある洞窟を発見した。

特にダンジョンとかではないようだ。

 

「今日はここで一夜を明かすか…」

 

俺は洞窟の中に入り奥へと進み、ベッドの様な形をした岩を見つけた為そこに横になる。

 

眠ろうと思ったがこのままでは寝首を掻かれかねない。

 

「…『徘徊者』呼び出すは…『大食らい』」

 

スキルを使用すると何もない所から全身から触手を幾つも生やし、正面には大きな能面をつけた化け物が現れる。

 

「入り口を見張れ。敵が来たら襲って構わない」

 

そう告げるとドタドタと足音を鳴らして、洞窟の入り口へと向う化け物。

 

目の前から消えたことを確認したところで目を閉じる。

 

明日は朝日と共に行動を開始だな。

 

 

そう考えながらも自然と眠りに落ちていった。

 

ゼムナスSide out

 

 

______________________________

 

 

三人称Side

 

「……騒がしいな」

 

 

ゼムナスは入口の方こら聞こえる音に目を覚まし、

現在の時刻を確認し軽く伸びをする。

 

「この音は何者かが戦っているのか?まさか大食らいを相手に瞬殺されていないとは……もしかしたら逸材かもな」

 

ゼムナスはフードを被り、戦闘音がする入口へと向う。

 

そうして到着すると触手を駆使して、命令通り敵を排除しようとしている大食らい。

 

そんな化け物にも屈しず片手に大鎌を持って攻撃を回避しながら着実にダメージを与えているオレンジ髪の男?が戦っていた。

 

ゼムナスはなんとなしに大食らいのHPを確認すると珍しく驚く。

 

「(まさかここまで大食らいのHPが減らされるとは…。一晩中戦っていたのか。………これは文句無しに勧誘だ)」

 

しかし、オレンジ髪のHPもかなり減らされている。

全て回避するのは難しく、更に休みなく戦っていた事からの疲労も窺えた。

 

ゼムナスは心中で大食らいに攻撃をやめるように命じる。

 

すると先程まで戦っていた大食らいの動きがピタリと止まり伸ばしていた触手を引っ込める。

 

丁度オレンジ髪にトドメを刺そうとしていた所だった。

 

「?」

 

オレンジ髪は突如攻撃をやめた大食らいに疑問符を浮かべる。

 

「この化け物を相手に、よく生き残った…」

 

「っ!?誰だ!」

 

男にしては高い声にゼムナスは軽く驚くも話し続ける。

 

「私の名はゼムナス。…お前たちにはunknownと言った方が伝わるか?」

 

「!………第一回イベントの1位か…」

 

「そうだ、貴様はいつからこの化け物と戦っていた?」

 

「昨日の夜からだ。休める所を探していて丁度いい洞穴を見つけたと思ったらその化け物に襲われた」

 

やはり読み通りだとフード奥でほくそ笑むゼムナス。

 

「この化け物は私が召喚したモブだ」

 

ゼムナスはパチンッと指を鳴らすと化け物は一瞬で姿を消す。

 

オレンジ髪はその言動を見て目を見開き息を呑む。

 

「(…あんな化け物を召喚…?何なんだ、目の前のコレは。全く勝てるビジョンが浮かばない…)」

 

自身はこれからどうなるのか。

折角集めたメダルをここでロストしてしまうのか。

 

 

そんな考えが頭に過る。

 

「もうじき、第二層の追加があるのはお前も知っているだろう?そのタイミングでギルドを創れるようになる」

 

オレンジ髪は無言で頷く。

 

「私は自身のギルドを創る予定だ。そこで貴様を私のギルドに勧誘しようと思っている」

 

ゼムナスの言葉に驚かされる。

 

「私を…勧誘だと…?」

 

「そうだ。先程の化け物と夜通し戦える精神力に戦闘技術。それにあまり使用者がいない大鎌を扱える技術。どれも素晴らしい力だ」

 

「(こんな規格外な男が創るギルド……一体どんな化け物ギルドになる?そんなギルドに私を勧誘…)」

 

「どうだ?私の創るギルドに入るか?」

 

手を差し伸べるゼムナス。

 

どことなく滲み出るカリスマ性に目を奪われ、若干頬を染めながら

跪き、迷わずその手を取るオレンジ髪。

 

「私如きの力で良ければ是非とも入らせて頂きたい、ゼムナス様」

 

突然の様呼びに内心困惑するもいい人材が手に入ったと満足するゼムナスだった。

 

 

そしてフレンド登録をしてオレンジ髪と別れたゼムナス。

プレイヤー目を見ながら呟く。

 

「ナターシャ…か。シグナムといい機関員の名前の一部が入っているとは…」

 

 

ゼムナスはウィンドを閉じて次の目的はどうしようかと歩き出すのだった。

 

三人称Side out

 

______________________________

 

 

おまけ

 

 

ナターシャ「因みにですが、ゼムナス様のギルドは今何名集まっているんですか?」

 

 

ゼムナス「私を含めて3人……候補が一人だ」

 

ナターシャ「そうなんですか…。誰でもいいと言う訳ではないんですよね?」

 

ゼムナス「あぁ。強い力を持った者達を集めている。このまま行ったら男だけのギルドになるかもな」

 

ナターシャ「………あの…私、女ですけど…?」

 

ゼムナス「……………すまない」

 

ナターシャ「…大丈夫です…」

 

暫く気まずい雰囲気が辺りを支配するのだった。

 




ここまでお読み頂きありがとうございます!

今回は銃と鎌使いが勧誘されましたね!

第二回イベント中に半分は確保したいなーっと思っています。
次で第二回イベントを終わらせて、第2層の話に持っていけたらいいなーって考えています!

んで、またまたアンケートなんですが…キーブレード出したほうが良いですかね?
出すとしたら誰に持たすかも決めたいなって思っています!
気軽にポチポチしていただけたら嬉しいです♪

誹謗中傷以外のコメントや感想、投票?もお待ちしています!

あ、因みに次回はいつもの如く未定です。
気長に待っていただけたら幸いです♪


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14話 〜魔神と踊る火、六槍と豪傑 with 腐眼〜

おはこんばちわ!
DBDのキラーで毎回発狂しているみゅーなです!

今回で第2回イベントは終わりになります!
なので、ここで一気にメンバーを掻き集めます。

4人は分かると思うけど、最後の腐眼…とは…!?

ではでは今回も長くなると思いますけど、それでもいいよって方は……


ゆっくりしていってね〜


ゼムナスSide

 

ナターシャと別れて半日程経った頃、俺は今砂漠に来ていた。

 

「ここにも何かありそうだが…見渡す限り砂漠だな。洞窟も無さそうだ」

 

さて、これからどうしようかと考えていると前方から何やら話し声が聞こえてくる。

 

声からするに男2人組…か?

 

「まぁ、宛もないし接触してみるか。もしかしたら勧誘できるかもしれないしな」

 

俺は2人組の方へと歩き近づく。

 

「なぜお前はいつも1人で突っ走るんだ」

 

「別にいいじゃねぇかよ、結果的にメダルも3枚手に入ったんだからよ」

 

「そういう事を言ってるんじゃない。まったく、なぜこんな奴が幼馴染みなんだ…」

 

「お前なぁー、言っていい事と悪い事があんだぞ?」

 

「ふんっ」

 

 

どうやら言い争いをしている様だな…。

 

砂埃で顔は見えないが割って入ろうか。

 

「ここで人を見かけるとは運がいい…」

 

ゼムナスボイスに切り替え言い争いをしている2人に接触する。

 

「「っ!?」」

 

俺の声が聞こえたのか、言い争いを辞め、警戒をする2人。

 

ゆつくり歩きながら近づき、2人の顔を見て驚愕する。

 

「(おいおい…。この逆立った赤髪と長髪の青髪はまんまアイツ等じゃねぇか…!)」

 

赤髪が俺に向かって言葉を投げかけてくる。

 

「なんだあんたは?俺達に何か用かよ」

 

「なに、こんな砂漠にたまたま人がいたから声を掛けてみただけだ」

 

俺の言葉に訝しげな顔になる赤髪。

 

「待て、アル。コイツは普通のプレイヤーじゃないかもしれん」

 

「あん?どういう事だよ、イザミ」

 

成程…赤髪の方はアル、青髪の方はイザミと言うのか。

 

やはり名前の一部が入っているのか…。

 

因みに2人の服装はⅢの最後に出てきた時の服装まんまだ。

 

「青髪の方は少しは分かるようだ。…そうだな、やはり最初はこう名乗っておこう。unknownと」

 

「「!?」」

 

 

俺の名乗りに目に見えて驚く2人。

 

「さて、私の正体が分かった所でお前達はどうする?」

 

ここで逃げるのであれば期待外れとして勧誘はしない。

しかしもし向かってくるのであれば……。

 

「はっ!んなもん決まってんじゃねぇか!」

 

そういいながらアルは両手にフリスビーの様な武器を出す。

 

「…はぁ。全くここで引けば良いものをなぜお前はいつもそうなんだ。…だかまぁ、俺もここで引くつもりは無いがな」

 

イザミの方は自身と同じ背丈の大剣を出現させ構える。

 

 

「(そうか…向かってくるか)よかろう。貴様等の力、この私に示してみるといい」

 

俺は浮遊をオンにし地面から浮き、両手からフォービドゥンを生やす。

 

それと同時にお互い地を蹴り、衝突した。

 

 

ゼムナスSide out

 

______________________________

 

 

 

三人称Side

 

 

「かぁーー!なんだよ、アンタの強さ。勝てるわけねぇじゃねえか」

 

アルはそう言いながら砂の大地へ仰向けに倒れている。

 

「………」

 

その隣では大剣を地面に突き刺しながら膝をついているイザミ。

 

「まだまだ荒削りだがそこら辺のプレイヤー立ち上がりよりか遥かにマシだ」

 

ゼムナスはそう口にする。

 

「あーあ、折角手に入れたメダル、ここで全ロスかよ〜」

 

「……さっさとトドメを刺せ」

 

アルはメダルをロストすることに残念がり、イザミは悔しそうにゼムナスを睨みながらトドメ刺すように言う。

 

「…合格だ」

 

「「?」」

 

ゼムナスの言葉に首を傾ける2人。

 

「貴様たちが挑んできた時点でトドメを刺す気など無かった。さて、ここからが本題だ………お前達、私が創るギルドに入る気はないか?」

 

「ギルドに…」

 

「勧誘だと……?」

 

「お前達も2層の実装に伴い、ギルドを結成出来るようになるのは知っているだろう?それで今メンバーを集めていた。貴様等は中々に強い、私のギルドに入るのに十分な素質がある、どうだ?」

 

2人はお互いの顔を見合わせ、やがて頷く。

 

「俺達は今チーム組んでて別行動してるんだわ。元々そいつ等とギルドを創る予定だった」

 

アルの言葉にイザミが続ける。

 

「そんな中、1回目イベントの1位にギルドへの勧誘。この話は俺達だけでは決められない」

 

ゼムナスはその話を聞き考えるそぶりをする。

 

「(既に別ギルドを創る予定だったか…。これは勧誘失敗だな…)」

 

ゼムナスが半ば諦めてるいるとアルが口を開く。

 

「だからアンタを俺達の仲間に会わせる」

 

「…なに?」

 

アルは笑みを浮かべながら言う。

 

「正直、俺達4人だけでギルドを作ってもどこまで行けるか分からなかった…。だがこれまでに強いアンタが創るギルドだったらどこまでも行けると思う、そうだろイザミ?」

 

「ふんっ。俺は最初から4人だけで組むなど無謀だと言っていただろ。ここまで化け物な奴がトップにいるギルドとカチ合ったら負けるのが目に見えている」

 

イザミの言葉にアルは苦笑い。

 

「まぁ、コイツはこう言ってるが内心アンタと組んでも良いんじゃねぇかって思ってるんだよ。素直な奴じゃなくてな」

 

 

「そういう事なら、是非ともお前達の仲間とやらに会わせてもらおう」

 

ゼムナスがそう言うと、アルは笑いながら頷く。

 

「今から合流するから付いてきてくれ」

 

あるの言葉にゼムナスは頷き、3人は別行動を取っている2人と合流するため歩き出すのだった。

 

 

そうして合流したゼムナスは再び驚くことになる。

 

 

三人称Side

 

 

______________________________

 

 

ゼムナスSide

 

 

アルとイザミと話しながら合流場所へと向う。

話を聞くとこの2人はリアルで幼馴染みで大学1年と俺に近い年齢だった。

 

そんな身の上話をしている内にそれなりに打ち解けたとは思う。

 

そうして親睦を深めながら残りの2人と合流する。

 

再び驚いた。

 

「そいつがアルが言っていたギルドに勧誘してきたという奴か?」

 

「あぁ。この人スゲーぞ!俺達2人を同時に相手して無傷でノシたんだからな」

 

「それに見たことも無いスキルを使っている。おれたちが束になってかかっても勝てる未来は無い」

 

「そこまでか……」

 

アルとイザミが話す2人。

 

あの城を守っていた門番2人と瓜二つ。

見た目は人間だった頃の姿のままだ。

 

「今はunknownと名乗っておこう。そこの2人を私が創るギルドへと勧誘したところ、他にも仲間がいるからと付いてきた。単刀直入に言う、お前達も我がギルドに来る気はないか?」

 

悩む様に顎に手を添える2人。

 

「アル達を無傷で倒せる程の実力を持つ人物のギルド…。俺は構わないと思うが、お前はどうだ?バラン」

 

バランと呼ばれた黒髪に触覚の様に飛び出た髪持つ男に問いかける。

 

「俺も構わないとは思っている。が、自分自身でその実力を知りたい。武人よ、どうか手合わせを願いたい」

 

その言葉に俺は頷く。

 

「良かろう、その実力を示してみるといい」

 

バランはその手に槍を出現させる。

 

「なら、俺も相手をしてもらうとしよう」

 

そう言いながら茶髪の男もその手に斧を握る。

 

「貴様、名は?」

 

「エレゼウス」

 

つくづく、名前の一部が入っている奴等ばかりだな。

 

「バラン、エレゼウス。お前達の力、我がギルドに相応しいか見極めさて貰おう」

 

 

その言葉を皮切りに残りの2人と武器を交わすのだった。

 

 

ゼムナスSide out

 

______________________________

 

 

三人称Side

 

戦いはまた一方的に終わった。

 

バランもエレゼウスも善戦したがゼムナスの前では歯が立たなかった。

 

「まさか、ここまでとは…」

 

「ナメていた訳ではなかったのだが…」

 

2人は地面に膝を付きながら各々感想を言う。

 

「貴様らも十分に強い」

 

ゼムナスの言葉に2人は自虐的な笑みを浮かべるだけだった。

 

「では再度問おう。貴様らは我がギルドに入るか?」

 

ゼムナスの言葉に4人は同時に頷く。

 

「そうか。これでメンバーは私を含めて7人…。候補を含めて8人か」

 

そう言うとアルが問い掛ける。

 

「なぁ、アンタのメンバーって結局全部で何人集めるんだ?」

 

その答えにゼムナスは答える。

 

「13人…。この人数が私のギルドの最大人数だ」

 

「少数精鋭というわけか」

 

イザミがそう口にする。

 

「そういえば、まだ私の名を言っていなかったな」

 

「unknownという名ではないのか?」

 

バランの言葉に頷くゼムナス。

 

「アレは運営側の何らかのミスでそ言われただけだ。私の本当の名は…」

 

そう言いながらずっと被っていたフードを外す。

 

「我が名はゼムナス。お前達の頂点へと居座る男だ」

 

そうして4人とフレンド登録をし、また招集をかけるといい別れる。

 

いい人材がいないか探しに今度は海へと訪れていた。

 

波打ち際まで歩を進め、大海原へと視線を向ける。

 

「……メンバーも着々と集まってきている。あとはアイツが加入するかどうか…」

 

そう独り言を呟いていると背後に気配を感じ振り返る。

 

「あ?何処だよ、ここ。確かストレリチアとシオンから逃げていた筈だが…」

 

「っ!?」

 

ゼムナスは突如現れた人物に目を見開く。

 

「貴様は…」

 

ゼムナスの言葉に反応する男。

 

「ん?……ってなんでこんな所にテメェがいやがる、ゼムナス」

 

「なぜ、俺の名を…」

 

ゼムナスは突如現れた男が自身の名を呼んだことに同様を隠せなかった。

 

ゼムナス…基、帝の知り合いにその名を知るものはごく僅かだったからだ。

 

「何いってんだ?ていうか口調もなんかちげぇし…記憶喪失かなんかか?」

 

「お前は何者だ?何故俺の名知っている?何よりも、そのコートはなんだ?」

 

男が纏っているコートはゼムナスと似ているが色が違った。

 

ゼムナスが来ているのは黒い色だが、その男が来ているのは白色だった。

 

「こりゃあ本当に記憶喪失か…。てかノーバディに記憶喪失…ってあるか。ロクサスとか俺もそうだったし」

 

男の口からはこの世界では聞くことはないであろう名前が出てくる。

 

「ノーバディの事やロクサスの事まで…。答えろ、お前は何者だ?まさかお前も転生者か?」

 

「本当に何いってんの?記憶失って痛い奴になっちゃったの?痛い奴なんてデミックスだけで良いんだよなぁ…」

 

「デミックスの名前まで…」

 

次々とこの世界では有り得ない事ばかり言う男に益々訳がわからなくなっていくゼムナス。

 

「まぁいいや。なんでこんな所にアンタがいるのか知らねぇけどまたなんか企んでんなら阻止させてもらうぞ?何気にあの2人との生活も気に入っているんでな」

 

そう言い、その手からはもっと有り得ない武器を出現させる。

 

「キー……ブレー………ド……?」

 

鍵の形をした剣、キーブレード。

 

「何驚いてんだ?知ってるだろ、俺がこれ使えんの」

 

ゼムナスはそのキーブレードを見て困惑する。

前世の記憶、ゲームをプレイしていた頃に見たキーブレードのどれにも当てはまらなかった。

 

「益々、お前が何者なのか知りたくなってきた。無理矢理でも吐いてもらうぞ?」

 

ゼムナスもフォービドゥンを構える。

 

そうてし先制攻撃を仕掛けようと地を蹴るも体は動かなかった。

 

「これは…!」

 

ゼムナスが足元を見ると影が纏わりついていた。

 

「本当に何もかも忘れてる…いや知らないのか?まぁいいや、とにかく今度こそ消えろ!」

 

男は有り得ないスピードで突っ込んでくる。

 

フォービドゥンで受け止めようと腕のを動かそうとするが…。

 

「腕にまで!?」

 

ゼムナスの腕を影が固定していた。

 

「おらぁ!!!」

 

「がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ゼムナスのステータスはNWOでトップであるが、HPバーに目を向けると9割減っていた。

 

「なんでこんな弱いんだ?アンタならこれくらい簡単に躱せるだろうが…」

 

「ぐぅぅぅ…」

 

目の前の男に手も足も出ないゼムナス。

こんな事はゲームを始めてないことだった。

 

「なんか、もういいわ。なんか前のアンタと全くちげぇし。わでここは何処なんだ?」

 

「貴様は何も知らずにこのゲームの世界に来たのか?」

 

「ゲーム?何いってんだ?」

 

会話が噛み合わない2人。

 

なんとも言えない空気が漂う中、目の前の男の体から光が輝き始め、足元から透明になっていった。

 

「うおっ!?なんだこれ!?体が消えていってる…?怖っ」

 

「聞かせろ…お前は…一体何なんだ?」

 

「はぁ…。本当に何も知らんみたいだな。なら敢えてこう名乗ろうか、気に食わないけど」

 

ゼムナスの質問に面倒くさそうに答える男。

 

「二つ名は『腐眼の奇術師』ハチマン。アンタが意味もなく拾った男だよ」

 

そう言うと完全に男は消えていった。

 

「…ハチマン…。そんな奴、原作にいたか?」

 

その呟きは波の立てる音によって掻き消されたのだった。

 

三人称Side out

 

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おまけ

 

「うおっ!?……ってここは時計台?夢でも見てたのか…?」

 

どうやら2人から逃げる中疲れてここで眠ってしまった様だな…。

 

「何だったんだ?アレは本当に夢だったのか?」

 

そんな事を呟く。

 

「「やっと見つけた」」

 

「あっ………」

 

背後から掛けられる言葉。

 

俺はゆっくり振り返ると、そこには目の光が完全に消失した少女、シオンとストレリチアだった。

 

「なんで逃げるのかな?かな?」

 

「やっと落ち着いて愛が育めると思ったのに、責任取るんじゃなかったの?」

 

「いや、だが流石にまだ早いだろ…」

 

「「そんな事は知らない」」

 

「えぇ…」

 

「今日はアルファ達も屋敷から追い出したから3人きりだよ?だから……ね?」

 

「今夜は寝かさないから」

 

俺は後退りするも時計台という事もあって逃げ場がなかった。

 

 

そうして俺は2人に屋敷へと連行されるのだった。

 

 

 

 




長々と駄文を読んでいただきありがとうございました!

一気に4人の加入…少し急ぎすぎましたかね?
まぁいいでしょう!

残りのメンバーは後から加えていきます!

んで、タイトルにある腐眼ですが…。
最後に出てきた男、ハチマンのことでした!

他のサイトにて投稿されてるSSからキャラを拝借させて貰ったんですがどうだったでしょうか?

コラボという訳ではないですけどなんかインパクトほしいなぁーって思ってたら調度良さそうなSSがあったもので(*´ω`*)

どんな内容か気になりましたら探してみるのも一興かも…?

そして次回は2層の追加とメンバーの顔合わせの回です。
今年の更新はこれが最後となりますが、また来年もよろしくお願い致します!

誹謗中傷以外のコメント、投票もお待ちしてますので気軽にしていってください!
アンケートも今年いっぱい迄受け付けてます!



それではまた次回お会いしましょう、それては!










あ、使用許可はちゃんともらってるからね?


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15話 〜初期メンバー達の邂逅〜

皆様

新年から時間が空いてしまいましが…

あけましておめでとうございます。

今年も亀みたいな速度で更新していきますので、
暇つぶし程度に本作品をよろしくお願い致します。

また、今年は東方Project関連の作品を書きたいと思っていますので投稿して皆様のお目に留まれば御一読頂けますと僥倖です。

それでは新年一発目のときめきを短いですがお楽しみ下さい。


ゼムナスSide

 

第2回イベントが終了して数日。

 

イベント期間中に集めたメンバーを一層にある【毒竜の洞窟】前に呼び出し、目の前には6人のメンバーが揃っている。

 

「顔合わせと聞いていたが…なんでこんな所に呼び出したんだ?」

 

シグナムが聞いてくる。

 

「ゼムナス様のお考えだ。きっと何か意味があるのでしょうから無駄口は慎むべきでは?」

 

ナターシャがシグナムの疑問に否定的な言葉を零す。

 

「そりゃあ無理ってハナシ。これがオレだからな」

 

シグナムは肩を竦めながら答える。

 

「なんか個性的な奴等だな、イザミ」

 

「ふんっ…」

 

アルは同意を求めるようにイザミに問うが興味無いと言わんばかりの反応をする。

 

「この2人もゼムナス殿が直々に声を掛けたということは相当の実力者なのだろう」

 

「そうだな」

 

バランとエレゼウスがシグナムとナターシャの実力について話している。

 

「揃ったな…」

 

俺が声を発すると各々が口を塞ぐ。

 

「そういや、ボスが前に言ってたメンバー候補とやらはいないのか?」

 

シグナムが質問してくる。

 

「あぁ、声は掛けたがどうするかは本人次第だ。さて…ここから先、聞いたもの見たものは一切口外しないと言うことをここに誓って貰おう。それが守れない様であれば…勧誘しておいて勝手な事を言うがここから去ってもらって構わない」

 

俺の言葉に誰も動こうとしない。

 

「…良かろう。なら私についてくるといい」

 

そうして毒竜の洞窟へと入っていく。

 

後ろからメンバーが着いてくるのが分かる。

 

そうして道中の敵を片付けながらボス部屋に辿り着く。

 

「これから中に入るがお前達の手出しは不要だ」

 

そう言い、扉を開くと中では毒竜が佇んでいた。

 

「『スパークショット』」

 

手に持つフォービドゥンを毒竜に向けて打ち出し、命中。

 

一撃で毒竜のHPを全損させると姿が消え宝箱が現れる。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

見ていたメンバーは呆気にとられ言葉を失う。

 

「……」

 

俺はそれを横目に、腕を目の前に翳すとそこから闇の渦が現れる。

 

「何を呆けている。付いてこい」

 

そう言い俺は先に闇の渦…またの名を闇の回廊へと足を踏み入れる。

 

繋がった先は以前も訪れた機関の拠点となっていた城がある世界。

 

ワールド名は【存在しなかった世界】

 

少しして闇の回廊から各々が現れる。

 

「こいつはスゲェ…」

 

シグナムが驚きの声を漏らす。

 

「ここが我々ギルドの拠点となる場所だ」

 

「ゼムナス様はどのようにこの拠点を?」

 

ナターシャが聞いてくる。

 

「偶然の産物だ…気にする必要はない」

 

各自が辺りを見渡しているところで今日の本題を告げることにする。

 

「お前達は私が直接声を掛けてここに集まってもらったが…本当の試験はここからだ」

 

「ん?どうゆう事だ?」

 

アルが当然の疑問を口にする。

 

「これからお前達にはそれぞれ個別である場所にて敵と戦ってもらう。それを倒すことが出来たなら真のメンバーとして合格だ」

 

「なるほど…最終試験って事か…」

 

バランがそう零す。

 

「そうだ。確かに貴様等は強いだろう。しかし今から戦う敵はそこら辺のプレイヤーとは訳が違う…舐めてかかると即座にやられるだろう……覚悟は出来たか?」

 

俺の言葉に全員が頷く。

 

「なら……」

 

俺は腕を横に振るう。

 

すると各々の目の前に闇の回廊が現れる。

 

「この先に敵が待ち受けている。強敵だがコイツ等を倒せた時、ボーナスがあることだろう…お前達の健闘を祈る」

 

そうして各自が闇の回廊へと歩み進める。

 

全員が入ると回廊を消し、俺は13の椅子が並ぶ円卓へとワープし1番高井椅子へと足を組みながら座る。

 

この世界の中でなら態々回廊を開かなくても短縮して使用が可能なのだ。

 

「俺はここでお前達を待つとしよう。期待しているぞ?」

 

俺の目の前には6つのモニターか浮かんでおり、映像にはそれぞれが『本来のⅩⅢ機関メンバー』と戦闘を始めていた。

 

ジグナムVSシグバール

 

ナターシャVSマールーシャ

 

アルVSアクセル

 

イザミVSサイクス

 

バランVSザルディン

 

エレゼウスVSレクセウス

 

このエネミーに勝つ事が出来れば各機関員の能力と武器、闇の力を手に入れる事が可能なのだ。

 

エネミーの強さはKH2のリミカ位か?

 

まぁこれでメンバーの半数は揃ったが……

 

「…ゼクシオンの席は既に声を掛けたが、ラクシーヌ、デミックス、ルクソード、ヴィクセンの席はどうしようか……」

 

 

何よりもロクサス…キーブレードを扱える者の席は誰でもいいとはいかないだろう。

 

「…そういえばゼアノートがテラの身体を乗取った末にそこからハートレスとノーバディに別れたからゼムナスもキーブレードが使えるのではないかっていう話が出てたな…。敢えて使っていないという話もあるが…」

 

後で確認してみるか。

 

俺がロクサスと戦って勝った場合にキーブレードが手に入るのかどうかを。

 

 

そんな事を考えながらモニターに映るメンバーの悪戦苦闘を眺めるのだった。

 

 

ゼムナスSide out

 

 




今回はいつもよりかなり短いですが新年一発目となります。

オリキャラ達と原作機関メンバーの戦闘については省く予定です…。(作者の戦闘描写の実力不足もありますが…)

もし各々の戦闘回が見たい!っというお声が多ければ閑話として書こうかなと思います。(その際はクオリティを求めちゃ駄目よ?)

あ、あとアンケートについても締め切らせてもらいます。

結果はゼムナスにキーブレードを持たせることにしました!
それについで票が多かったオリキャラに持たせるというのは少し考える事にします。

ロクサスの席をどうするか決めかねてるんですよねぇ…。

んでまたまたアンケートを取りたいと思います!
(こいついつもアンケートやってんな)

作中に出てきたリアルでの帝くんのお友達?である三好ですが本来はNWOにプレイヤーとして出す予定は無く、あくまでもリアルだけでの関係でしたが、皆さんは三好のことどうですか?
好きか嫌いか…NWOにプレイヤーとして参戦してほしいか否かのアンケートをです!

起原はいつもの如く次の投稿までとしますが気軽にポチっていただければと思います。

あ、感想や投票もお待ちしていますよ〜

ではまた次回!


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16話 〜ⅩⅢ機関発足!新たな機関員を添えて〜

やっはろー!みゅーなです!

待たせたな!続話だぜ!
まぁ相変わらず短いですが気にせずゆっくりしていって下さいな

駄文を見ているのが辛いって人はブラウザバックを勧めます。
まぁここまで見てきて下さった読者様は分かりきっている事なので今更でしょうが笑



ゼムナスside

 

シグナム達が戦闘を始めて暫く経った頃、見ていた1つのモニターが割れる。

 

「やはり先に終われさせたのはお前か…」

 

モニターが割れると同時に円卓の中央に闇の回廊が現れる。

 

「やれやれ…酷い目にあったってハナシ」

 

肩を押さえながらシグナムが姿を見せる。

 

「どうだ?自分と似たスタイルとの戦闘は」

 

「もう勘弁して欲しいぜ、やり辛いったらありゃしね」

 

「だがそれ相応の力は手に入っただろう?」

 

そう言うとシグナムは口元を歪めながら言う。

 

「あぁ、何なんだ?この装備は…」

 

「ユニーク装備…我々機関以外が手に入れる事は絶対に出来ない代物だ」

 

「ほーん…」

 

「これでお前も機関の正式な一員となったがもう後戻りは出来ないぞ?」

 

「ハッ!元からアンタの下に付くつもりだったんだ、戻るもなにもない」

 

シグナムと話しているとほぼ同時に全てのモニターが割れる。

すると次々と機関員達が姿を見せる。

 

「(これで今いる全員は試練を突破したか…)ご苦労だった。これでお前達は正式な我がギルド、『ⅩⅢ機関』の一員となった訳だ。お前達が戦った敵の能力を手に入れ、使い方もわかる事だろう、暫くはその力に慣れることだ。この拠点には訓練施設も用意されている、好きに使うがいい」

 

俺の言葉に全員が了承し次の話に移る。

 

「…お前達にそれぞれNo.を与える。若いNo.だからと言って強いという訳ではないから勘違いをするな?此処にある席は其々に与える、ギルドのミーティングがある場合はここを使う事にする」

 

そうして俺はシグナムにはⅡ、ナターシャにはⅢ、バランにはⅣ、エレゼウスにはⅤ、イザミにはⅥ、アルにはⅦのNo.と黒コートを与えた。

 

「機関員のコートについては他のプレイヤーが沢山いる所では基本的に装備する事は禁じる。イベント中ややむを得ない状況の場合は許可する」

 

「なぁ、何で人目の付く所でこのコートを装備したら駄目なんだ?」

 

アルは疑問をそのまま口に出す。

それに答えようと口を開きかけるがナターシャに遮られる。

 

「我々が手に入れた力は普通では手に入らない強力なものです、それをまだギルドが出来たばかりのタイミングで周りに知られるのはマイナスでしかないからですよ…ですよね?ゼムナス様」

 

「あぁ、ナターシャの言う通りだ。恐らく近いうちにギルド同士の戦闘イベントがあると思われる。それまで我々は表舞台には立たず裏で他のギルドの情報や資金集めなど力を蓄えるのだ…異論はあるか?」

 

誰も何も言わない事を了承したと捉え、今日の所は解散を言い渡す。

 

「あぁ、シグナムとナターシャは少し残ってくれ」

 

2人以外のメンバーが退出したタイミングで機関として最初の任務を言い渡す。

 

「お前達2人には早速任務を言い渡す」

 

「早速か、人使いが荒いボスさんだ」

 

「口を慎みなさい、シグナム」

 

「何でお前はそんなに崇拝してるんだよ…」

 

シグナムの溢した言葉は同意する。

なぜナターシャはこんなにも崇拝してくるのか俺にも分からん。

 

「お前達2人には新たな機関員を見つけて貰いたい」

 

「あん?今のメンバーだけじゃ駄目なのか?この力があれば大型ギルドにも遅れを取らないと思うが?」

 

「お前は我々のギルド名を忘れたのか?ⅩⅢ機関つまり13人の機関員が必要だ。今は7人、後6 人を対ギルドのイベント迄に集めて貰いたい。勿論その辺の有象無象はいらん、お前達が見つけてきた奴を最終的に私が試験をして見極める」

 

「ゼムナス様の仰せのままに」

 

「分かったよ、んじゃ俺はこれで帰らせてもらうぜー」

 

シグナムはそう言うとさっさとログアウトしていった。

 

「ゼムナス様はこの後はどうなさるのですか?」

 

残ったナターシャが聞いてくる。

 

「私も残りの機関員を探すとしよう、候補は1人いるからそいつとコンタクトをとる」

 

「では早速ここの訓練施設を使いたいのですが…」

 

「お前はもう機関の一員だ、それくらい私の許可は要らない、好きにするといい。期待しているぞ?」

 

「はい!」

 

目を輝かせながら返事をするナターシャ。

 

それを横目に俺はログアウトしたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ゲームからログアウトし出掛ける準備をする。

機関のメンバー候補に会いに行くためだ。

 

「時間的にも丁度いいか」

 

その人物にメッセージを入れバイクを発進させる。

そうして街のとある喫茶店へ入り目的の人物を待つ。

 

コーヒーを注文し暫くすると

 

「すみません、待たせましたか?」

 

「いや、そこまで待っていないさ」

 

待ち合わせをしていた人物、過去に任務で護衛をしていた女みたいな男だ。

因みにコイツには本来の名前を教えている。

頭が良すぎるせいなのか大抵の人間が何を考えているのか分かってしまうらしく、

人付き合いが苦手だと言っていたな。

 

「それで、答えは決まったか?」

 

「はい、実は前のイベントで仲良くなった子からギルドに誘われたんですけど断りまして…」

 

「ほぉ…と言う事は?」

 

「貴方のギルドに入らせて下さい」

 

「歓迎しよう…まぁその前に入団試験を受けてもらうがお前なら大丈夫だろう。よろしく頼むぞ?早乙女奏くん」

 

「はい!」

 

ゼムナスside out

 

おまけ

 

奏「帝さんのギルドって今何人所属しているんですか?」

 

帝「お前を入れると8人だ。1人を除いて全員男だが問題無いだろう?」

 

奏「女の人は1人なんですか?」

 

帝「あぁ、ギルドの紅一点だな」

 

奏「じゃあ僕が入ったら2人になるんですね!」

 

帝「?」

 

奏「…もしかして僕を男と思ってました?」

 

帝「……すまない」

 

奏「ちょっとショックですが…まぁいいです…」

 

以前にも似たような雰囲気を再び味わう帝だった。




今回は特に後書きは無いです!

次回も未定なので気長に待っていて下さいね!

それでは、Ciao!


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17話 〜意外な人物の機関入り〜

ニーハオ、みゅーなです!

続きとなります♪
今回はアンケートで決まったアイツが機関に入ります
まぁ、ご存知かと思いますが…メソラシ

それではどうぞ!


帝Side

 

今日も気まぐれで大学へと来ている。

 

いつもなら小猫が付きまとって来るのだが生憎今日はいない。

 

昨日のメールに単位がどうとか言って今は補講を受けてるらしい。

昼は一緒に食べようとか言ってたので今は待ち時間だ。

 

「やっぱり大学に来る意味があまり見つからん」

 

つぶやきながらぶらついているとよく知る人物と遭遇する。

 

「お前がいるなんて珍しいじゃないか、帝」

 

「お前も俺と同じだろうに…なんで大学に来てるんだ?」

 

元仲間の三好である。

 

「俺はただの暇つぶしさ、能力が低い教諭を誂うのが面白くてな」

 

「相変わらずいい性格をしているというか趣味が悪いというか」

 

「そういうお前こそ、最近はゲームにどっぷりハマってるじゃないか」

 

「否定はしないがときめきくんだからいいんだよ」

 

「俺は未だにお前のそのときめきとやらは理解できないな」

 

余計なお世話だ。

 

「…そんなに面白いのか?NWOっていうやつは」

 

「個人的には面白いな。まぁそれなりに自由度が高いからな」

 

俺がそう言うと三好は顎に手を当てながら何かを考える素振りを見せる。

 

「どうした?」

 

「………俺もやってみるか」

 

「あ?…お前ってゲームするのか?」

 

「あまりしないが、お前も知ってるだろう?」

 

確かにコイツの才能は可笑しい。

1教わると12を学ぶ頭がいい意味でイカれてるやつだ。

 

「そして俺もお前のギルド、『ⅩⅢ機関』に入れてもらおか」

 

「なんで俺のギルド知ってるんだよ…」

 

そう言うと三好は柔らかな笑みを浮かべながら

 

「俺の情報取集力はとっくの昔にご存知だろ?」

 

「このチート野郎が」

 

「お前に言われたくないね、俺と同じ存在だろうに」

 

うぜぇ…。

 

「なら、早速始めるとしようか。今から1時間後に広場の噴水前で待ち合わせだな。機関の試験ってやつを受けてやろう」

 

そう言うとさっさと歩いて行ってしまった。

 

「…自由すぎるだろ…。なんで機関の試練のことも知ってるんだよ」

 

俺はボヤきながらも小猫へと急用が出来た旨のメールを送信し停めてあるバイクで帰宅するのだった。

 

 

____________________________

 

 

帰宅しゲームへログインし噴水の前で待っていると、明らかに始めたばかりといった姿の男が話しかけてきた。

 

「なるほど、普段はそんな見窄らしい格好をしているのか」

 

「なんで俺だって分かんだよ…。で、お前の事は何て呼べばいいんだ?」

 

「ゲーム内ではジョーカーと呼んでくれて構わない」

 

その名前を聞いて俺は呆れてしまった。

 

「…お前のその名前、俺達が偶にメンバーでやってたゲームから取っただろ」

 

「いい名前だと思わないか?」

 

「まぁ何でもいいが…。それよりかさっさと拠点に行くか。人目のつかないところまで行くぞ」

 

「あぁ」

 

俺は三好改め、ジョーカーを連れ建物の物陰に向い闇の回廊を開く。

 

「ほぉ、これがあの闇の回廊か…。俺も使えるようになるんだろう?」

 

「なんでこれまで知ってるんだよ。本当によくわからない奴だな…いいから早く入れ」

 

そう言うとジョーカーは肩を竦ませながら回廊に入っていく。

 

俺もそれに次いで入り回路を消した。

 

闇の回廊を歩きながらジョーカーが話しかけてくる。

 

「俺が入ってメンバーの数は12人。残り1人だがどうするんだ?」

 

コイツ人数まで把握してやがる…。

 

「その1人が見つからないんだよ」

 

「お前の幼馴染がいるじゃないか。確か名前は…本条楓と白峯理沙だったか?」

 

「アイツ等は既にギルドを創っているみたいだな。確かカナデから聞いた話だと『楓の木』だったか」

 

「ほぉ…なら小猫はどうなんだ?アイツならお前が一声掛ければノータイムで返事が返ってくると思うが」

 

「アイツは既に他のギルドに誘われてるみたいだな、俺も一緒にどうかと誘われたが、俺は俺でギルドを作りたかったからな。断った」

 

そう言うとジョーカーは僅かに口元を歪めた。

 

「なら俺が最後の1人を見つけて来てやろう」

 

「お前はまだ機関員じゃないだろうが…」

 

「お前は俺が試練を突破出来ないとでも思ってるのか?」

 

「……はぁ」

 

思ってるわけねぇだろうが。

 

因みに先程ジョーカーが言っていたが、既にメンバーはジョーカーを含めて12人になっている。

 

軽口を言い合っていると城の円卓へと辿り着く。

 

「さて、早速試練を受けてもらうぞ?…そういえばお前は初期装備だが大丈夫なのか?」

 

「問題あるわけないだろう?むしろこれぐらいのハンデがないとつまらないじゃないか」

 

そう言うと目の前に現れた闇の回廊に躊躇いもなく入っていった。

 

 

俺は自分の席に移動してモニターを出現させ戦闘の様子を伺う。

 

「……俺よりかお前のほうがよっぽどチートだろうが」

 

モニターには終始圧倒するジョーカーの姿が映っていたのだった。

 

 

帝Side out

 

_______________________

 

 

三人称Side

 

 

メンバーの誰よりも早く試練を終わらせたジョーカーは手に入れた能力…ノーバディのマークが描かれているトランプを弄びながら円卓の中央で佇んでいた。

 

ジョーカーを中心に周りに並ぶ高さがバラバラの椅子にはそれぞれメンバーが座っている。

 

「今日から我々の仲間となるジョーカー……12番目だ」

 

ゼムナスがそう紹介するとジョーカーは口を開く。

 

「ジョーカーだ。私の武器はこのトランプ、そこにいるゼムナスのリアルでの友人だ。お見知り置きを」

 

敬意を感じない軽いお辞儀をするジョーカー。

 

「コイツはお前達よりか遥かに早い時間で試練を突破している。ジョーカーには私の補佐として動いてもらうからそのつもりでいるがいい」

 

そう言うと誰よりも早くシグナムが口を開く。

 

「へぇー、コイツがねぇ…。本当に強いのか?」

 

その言葉にナターシャも続く。

 

「それにゼムナス様に対して敬意を感じません、ゼムナス様の補佐には向かないかと」

 

2人の発言にカナデ以外のメンバーが頷く。

 

「…どうやら私はあまり歓迎されてないようだ」

 

態とらしく肩を竦めるジョーカー。

 

ゼムナスは周りには気付かれないようにため息を吐く。

 

「……ではシグナム、アル、イザミ、ヴァン。お前達とジョーカーの手合わせを行う」

 

「俺は構わないぜ〜!」

 

シグナムは直ぐに了承。

 

「ちょっと待ってくれ!なんで俺もなんだよ!?」

 

「煩いぞ、アル。命令だ」

 

アルが意義を申し立てるがイザミが窘める。

 

「私は戦闘は苦手なのだが…」

 

ヴァン…シグナムが連れてきたNo.9。

 

「…お前たち4人対ジョーカー1人で模擬戦をしてもらう」 

 

「発言をさせてもらう。ゼムナス殿、流石にそれは無謀なのでは?」

 

バランが当然の疑問をゼムナスへと問いただす。

 

「私は構わないさ。私に負けはない」

 

何故かジョーカーが質問に答える。

 

「これ以上の問答は時間の無駄だ。素早く準備を整え訓練場に迎え」

 

ゼムナスの言葉にヴァンとシグナム、イザミはその場から姿を消す。

 

「なんで俺なんだよ…」

 

アルはそうボヤきながらも姿を消した。

 

 

「………」

 

ゼムナスは宙に手をかざすとメンバー全員が見えるモニターが現れる。

 

「ゼムナス様、彼は本当に大丈夫なんですか?」

 

ナターシャがゼムナスへと質問を投げかける。

 

「あぁ。正直に言えばアイツは私を除けば誰よりも強いだろう。頭脳に関しては私と同等か、少し上といったところか」

 

ゼムナスの言葉に周りは騒然となる。

 

「みか…んん。ゼムナスさんと同等ですか?」

 

カナデの言葉にゼムナスは答える。

 

「カナデ、お前も知っているだろう?リアルの奴について」

 

「?」

 

分かってないような反応を見せるカナデ。

 

「お前は今まで何処に依頼をしていた?」

 

その言葉にあっ…と反応をするカナデ。

 

「あー…あの人でしたか。確かにあの人なら僕たち以上に強いですね」

 

思い至ったカナデ。

 

 

「お前たちも信じられないならこの映像を見ているがいい。直ぐに分かる」

 

 

そうして模擬戦が始まって数分。

 

真っ先にヴァンが潰され続いてアルが早々に戦闘不能にされていた。

 

イザミとシグナムは善戦しているものの、ジョーカーは涼しい顔で攻撃をいなしている。

 

 

その姿を見てゼムナスとカナデを除いたメンバーは啞然とするのだった。

 

 

そうして10分程経ったところで模擬戦は終了。

戦闘していたメンバーも円卓へと帰ってきていた。

 

「ハッ!まるでボスを相手してるみたいだったぜ…」

 

「実力共に俺は意義はない」

 

「俺とヴァンなんて瞬殺だぞ…」

 

「だから私は荒事は苦手だと言ったのに…」

 

それぞれが先程の模擬戦の感想を口にする。

 

「ジョーカーの実力は分かっただろう?…ジョーカー、我々の機関へ歓迎する」

 

ゼムナスがそういうとジョーカーは笑みを浮かべすぐさま空いている席へと移動する。

 

「んまぁ…これで12人…後は1人か!」

 

シグナムが言う。

 

No.1 ゼムナス  無の力

 

No.2 シグナム  空間の力

 

No.3 ナターシャ 花の力

 

No.4 バラン  風の力

 

No.5 エレゼウス 土の力

 

No.6 イザミ   月の力

 

No.7 アル    炎の力

 

No.8 カナデ   幻の力

 

No.9 ヴァン   氷の力

 

No.10 ベル    雷の力

 

No.11 チェイン  光の力

 

No.12 ジョーカー 時間の力

 

 

 

「残りの1人だが…ジョーカーに任せることにする」

 

「ゼムナス様の仰せのままに」

 

こちらを馬鹿にするような口調で言うジョーカー。

 

この発言にナターシャとカナデが顔を顰める。

 

「今日のミーティングは以上だ。各々、機関の名に恥じない行動をすることだ」

 

ゼムナスはそう残すと姿を消す。

 

「じゃあ、ボクもこれで失礼しますね」

 

カナデが続けて姿を消し、それに続いて他のメンバーそれぞれ姿を消していく。

 

「んでよ、ボスの知り合いだって話だが本当か?」

 

シグナムがジョーカーに問いかける。

 

「あぁ、アイツとは同期だな。私と並ぶ能力を持っているよ。アイツは仕事の都合で数々の事件を解決している。時には探偵の真似事を、時には警察が手に余るような事件。あぁ…指定暴力団の違法な取引をたった1人で摘発したこともあったな」

 

ジョーカーの発言に残ったメンバーがナターシャを除いて顔を引き攣らせる。

 

「おいおい、マジかよ…。とんだ規格外じゃねぇか…」

 

シグナムは呆れながら言う。

 

他のメンバーも似たような感想だった。

 

「やはり、ゼムナス様は素晴らしいお方だったのですね!あぁ…ますますあの方の私生活が気になってしまう」

 

たった1人、ナターシャだけは他と反応が違った。

 

シグナムや他のメンバーはナターシャの発言にドン引きしているとジョーカーは声を出しながら笑う。

 

「面白い奴だな。そんなにアイツのことが知りたいか?」

 

「是非とも!」

 

ジョーカーの言葉にすぐさま食いつくナターシャ。

 

「プライベートの事もあるから場所を変えようか」

 

ジョーカーはそう言うと姿を消し、その後を追う様にナターシャも姿を消す。

 

「なぁ、ナターシャの奴…日に日にストーカー具合が増してねぇか?」

 

シグナムの言葉にイザミが答える。

 

「初めて関わったときはこんな人物では無かった筈だが…」

 

「流石の俺でもアレは引くわ…」

 

アルが引き気味に口を開く。

 

「まったく、このギルドは癖が強いやつが多いねぇ…」

 

シグナムが呆れつつも口元を歪めながら呟くのだった。

 

三人称Side ou

 

 

____________________________

 

 

小猫Side

 

 

なんとか補講を終わらせて、帝くんとお昼を食べようと思っていたらメッセージが届いていたので確認すると帝くんからだった。

 

内容は急用が出来たから昼は無理という内容だった。

どうやら三好の奴が原因らしい。

 

「アイツ…!私と帝くんの時間を邪魔しやがって!ほんと腹立つ!」

 

ここにいない奴の文句を言っても仕方がない為、大人しく帰宅しこのイライラをゲームで解消しよう…。

 

そうしてゲームにログインして八つ当たり気味にモンスターを狩っているとプレイヤーの気配がしたため、そちらに杖を向ける。

 

「荒れてるな」

 

「アンタ誰よ」

 

見知らぬ顔のプレイヤーが話しかけてきた。

 

「まぁいくらお前の頭が良くなくても知らないのは無理ないな」

 

「はぁ?アンタ何、気持ち悪いんだけど」

 

リアルの私を知ってるような口振りに気持ち悪さを感じ悪寒が走る。

 

 

「まぁお前はアイツの付属品だから仕方ないか」

 

ん?この口振りもしかして…。

 

「まさか…アンタ三好?」

 

「流石に分かったか、塔城…いやフレデリカと言っておこうか」

 

パチパチと手を叩く三好に苛ついた為、多重炎弾を叩き込む。

 

「おっと、いきなりだな」

 

簡単に躱され余計に苛つく。

 

「で、態々ゲームの中まで来てなんの用よ」

 

「いや何、お前に自慢したいことがあってな」

 

そう言うと三好の装備が一瞬の内に変わる。

 

「なっ!?その格好は!!!」

 

三好の格好は帝くんと同じ黒コートだった。

 

「なんでアンタが帝くんと同じコート着てるのよ!?」

 

そう言うと三好は馬鹿にする様に口元を歪めながら答える。

 

「自己紹介をしようか?ギルド『ⅩⅢ機関』No.12 ジョーカー、以後お見知りおきを」

 

『ⅩⅢ機関』……多分帝くんが創ったギルドだ。

 

「お前がモタモタしてる内に既に12人…。アイツのギルドの定員は13人だ、あと1人で揃う。帝…ゼムナスから聞いたがお前は別のギルドに勧誘されたそうじゃないか、確か…『集う聖剣』だったか」

 

「っくぅ…」

 

コイツ、まさか自慢するためだけに…!

 

「お前も馬鹿だな。ゼムナスの事が好きなくせに他のギルドの勧誘に惑わされている。アイツのギルドはどいつも実力者ばかり…それこそメンバーの一人一人がペインと互角に戦える奴らだ」

 

「なっ!?」

 

何よその化け物ギルド!

現状のトップギルドである集う聖剣のリーダとタメ張れるって…

 

「でも待って、その『ⅩⅢ機関』なんてギルドの噂なんて聞かないんだけど?」

 

「当たり前だ。そのうちギルド対抗イベントがあると予想できるのに態々ギルドの情報を漏らすわけ無いだろう?むしろ『集う聖剣』のように情報が漏れている方が俺からしたら信じられないがね」

 

呆れた様に答える三好…この場合はジョーカーか、が言う。

 

「で、なに。結局自慢しに来ただけ?」

 

「俺は最後の1人の勧誘を任されていてな。どうせまだギルドに入ってないんだろう?」

 

…そういうこと。

 

「最後のチャンスだ、フレデリカ。ゼムナスの…いや帝の創ったギルド『ⅩⅢ機関』に入らないか?」

 

「そんなの、決まってるじゃない」

 

ウジウジ悩んでてバカみたい。

 

ジョーカーは私の答えを聞いて僅かに笑みを見せた。

 

小猫Side out




駄文を読んでいただきありがとうございます!

はい、三好くんの参戦です。
これでやっとメンバーが揃いましたね♪(まぁ駆け足気味ですが)

名前しか出てきてませんがベルとチェインはそのうち喋ると思いますので。

因みにヴァンはシグナムがスカウトしてきて、ベルとチェインはナターシャがスカウトしてきてます。

次回はフレデリカの機関入りに触れて羊追っかけ?イベントを軽くやる予定です。
機関の噂が出回りますよ!

またいつもの如くいつ更新するか分かりませんが気長に待っててくださいな!

感想や投票もしてくれると喜びます♪

ではまた次回の駄文でお会いしましょう、Ciao!


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18話 〜最後の機関員と羊狩り〜

私が帰ってきたァァァァァァァァァァァァァァァ!
今まで何してたかって?
平日は仕事でばたんきゅー。
休みはデドバで時間が潰れる。
執筆時間が取れなかったんじゃ…許せ、読者。

久しぶりの投稿だから変なところもあるかもだけど今更だよな((*´∀`))ケラケラ

それじゃ続きをご覧頂こう。

続きが気になるやつっている?

いねぇーよなぁーーーーーーーー!


ゼムナスSide

 

リアルで三好からの連絡を受けNWOにログインをし円卓にある自身の席の肘を掛けながら中央を見下ろす。

 

続々と他のメンバーが揃っていき、三好を除く11人が揃う。

 

「なぁ、なんで俺たちは呼ばれたんだ?」

 

アルが疑問をゼムナスへと口にする。

 

「言葉がなっていない、ゼムナス様には敬語を使いなさい」

 

「いや、まぁ年上だからそれりゃあそうなんだけどよ…お前が言う?」

 

「私は気にしていない。アルもいつも通りでいい」

 

そう言うと二人共言い合いを辞め黙る。

 

ナターシャは未だにアルを睨んでいるが。

 

「アルの疑問に答えよう。他も気になっているようだしな」

 

俺がメンバーに向けて簡単に説明をする。

 

「ジョーカーの奴が最後のメンバーを見つけてきた様だ。今日はそいつとの顔合わせを行う」

 

「ほぉ?ジョーカーが連れてくるってんならまた規格外の奴なのかねぇ」

 

シグナムが楽しみだと言わんばかりに言う。

 

「恐らくは私やジョーカー以上の者ではないだろう。それに多少弱くても機関員の試練を突破すれば力も手な入る…お前達もそうであろう?」

 

機関員のメンバーの中にはナターシャやシグナムと元々強い力を持っていた奴もいるが、ベルやカナデなどは機関員になることで大きく力を付けた。

このゲームで唯一無二の力である幻や時間といったユニークな力。

後に調べた事だが機関員以外にこの力を持っているのはいなかった。

 

「改めて伝えよう…今の実力に驕るな、常に高みを目指し強くあり続けるのだ。我々ⅩⅢ機関が全ギルドの頂点となるのだ」

 

俺の言葉に全員の顔付きが変わる。

 

若干1名、隣から変な視線を感じるが無視をすることにする。

 

「これはこれは、メンバー全員が揃ってるとはな」

 

円卓の中央にジャーカーが現れる。

 

「それで?最後のメンバーは何処にいる?」

 

シグナムがジョーカーに問い掛ける。

 

「そう慌てるなよ、シグナム。…入ってこい」

 

ジョーカーがそう言うと円卓の唯一の入口からフードを深く被った人物が入ってくる。

 

そいつがフードをとり、顔が露わになったそれを見て僅かだが目を見開いてしまった。

ジョーカーの奴はその反応に気付いたらしくニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている。

 

「彼女が最後のメンバー…おい、自己紹介しろ」

 

ジョーカーがそう言うとソイツが口を開く。

 

「初めまして、No.13 フレデリカよ。因みにギルドマスターであるみk…ゼムナスくんのリアル彼女です★」

 

その言葉と同時に部屋の空気が凍る。

 

ある奴は俺とフレデリカを交互に見たり、ある奴は何が面白いのか笑いを堪えてる。後の奴らは呆けているか何を言っているか分からず首を傾げている。

 

ただ、カナデとナターシャが視線でフレデリカを殺しそうなほど睨んでいるのが気になった。

 

「……彼女は最後の機関員で水の力を扱う。フレデリカ、我が機関に歓げi「ゼムナス様」……なんだ、ナターシャ?」

 

フレデリカの自己紹介を無視し歓迎しようと言おうとしたところナターシャから横槍が入る。

 

「彼女が本当に機関員に相応しい分からないです」

 

「彼女は機関の試練を乗り越えている。実力は問題ないと思うが?」

 

「実際に戦闘を見たんでしょうか?我々は彼女の試練を見ていませんしジョーカーが試練に立ち合ったそうですが…実力が不明瞭です」

 

ナターシャがそう言うと今度は意外な人物から声が上がる。

 

「そうですね、僕も彼女の実力が気になります。そして精神に少し難を抱えているみたいですし」

 

カナデがそんな事を言うとは珍しいなと思う。

 

「精神に難をとは?」

 

「ゼムナスさんの彼女とか妄言を吐いていますので、精神的にヤバい奴だと思うんですけど。因みにゼムナスさんは本当に彼女とリアルで知り合いなんですか?」

 

カナデの疑問に答える。

 

「あぁ。コイツとはリアルでも知り合いだ。勿論ジョーカーともな」

 

「では、彼女というのは本当なんですか!?」

 

ナターシャが食い気味に聞いてくる。

 

「私に彼女などいない」

 

そう答えるとナターシャはホッとした顔をする。

 

「そうですよね、ゼムナス様にあのような者は相応しくないですよね」

 

「ちょっとアンタ!さっきから黙って聞いてればゼムナスくんの何なのよ!」

 

フレデリカが堪らずナターシャ食い付く。

 

「私はゼムナス様の右腕ですが?それにゼムナス様直々にお声を掛けていただき機関に入りました。勿論実力で」

 

ナターシャとフレデリカがギャーギャー言い合って話が進みそうに無いためある提案をすることしようとしたタイミングで

 

「お前達、いい加減にしないか」

 

普段は余りこういった事に口を挟まないイザミが口論を止める。

 

「ゼムナス様、何か提案があるんですね?」

 

イザミがコチラを見ながら聞いてくる。

流石だな。

 

「フレデリカが機関員に相応しくないと思っている者はいるか?」

 

俺の発言にナターシャ、カナデが手を挙げる。

それ以外の奴等は興味がないか機関入りに賛成な者か。

 

「ならば、ナターシャとカナデ。お前達とフレデリカで模擬戦をしてもらう、いいな?」

 

俺の提案に3人が頷くと訓練で使う場所へと転移していった。

ジョーカーと同じ様に全員が見えるようにモニターを展開する。

 

「なぁなぁ、ボスさんよ。本当に大丈夫か?ナターシャとカナデって機関の中でも強い方だよな?」

 

「少なくともお前よりかは強いだろうな」

 

アルの発言にイザミが答える。

 

「ひっでぇな!それでも親友かよ!?」

 

「フンッ」

 

相変わらず仲良いな、お前達。

 

「フレデリカも弱くはないだろう。トップギルドである『集う聖剣』に勧誘を受ける位だからな」

 

「表向きは…というのが付くけどなぁ」

 

シグナムが笑いながら言う。

それに俺も頷く。

 

そうんな話をしているとナターシャ達の戦闘が始まる。

 

ナターシャは大鎌を振り回し、カナデは本を片手に紙を飛ばしながら攻撃する。

 

フレデリカは試練を突破した証である専用の武器だあるシタールの弦を掻き鳴らし水で出来た分身を召喚しカナデとナターシャに相対させる。

 

残った最後の機関員の力…デミックスの特徴とも言えるシタール。

一応、あれは杖の部類に入っているようだ。

 

「あの2人相手に善戦してるじゃねぇか」

 

シグナムが感心するように呟く。

 

 

「戦闘能力で言えばイザミの少し下といったところか」

 

俺がそう口にする。

 

 

「俺よりか強いじゃねぇか…」

 

アルが肩を落としながら呟く。

 

「そう落ち込むな、アル。私よりか戦闘は出来るじゃないか」

 

ヴァンが慰めるように言うが、アルは恨めしそうにヴァンを見る。

 

「アンタは戦闘以外の所が優秀じゃねぇかよ…」

 

そう言えばとヴァンに命じてた件の進捗具合を聞く。

 

「ヴァン、命じていた件はどうだ?」

 

「順調…と言いたいところだが中々難しくてな。暫く時間が掛かりそうだ」

 

「そうか、まだ急ぐときではない、確実にこなすのだ」

 

 

「分かっている。本当にこのギルドに入れたことは幸運だった。まさかゲームで研究が出来るなんて思いもしなかったが」

 

「研究?なーにを企んでるのかねぇ?ボスさんよ」

 

シグナムの疑問に何も言わず笑みだけを向ける。

俺の反応に肩を竦めるシグナム。

 

実は先日、面白い場所を見つけた為ヴァンにある命令を下した。

他のメンバーにはまだ秘密だがな。

 

話ををしていると模擬戦が終わったようだ。

カナデは倒されたようだな。流石にナターシャの相手はキツかっただろう。最終的には負けたか。

 

3人が円卓に帰ってくる。

 

「まだフレデリカが機関に入るのは反対か?」

 

「まぁ納得はしたくないですけど、倒されちゃったので反対はしません。納得はしませんけど」

 

カナデは機関入りは認めるが納得はしてないよだな。何故2回も同じことを言ったかは分からないが。

 

「まぁ実力はあるみたいなので私も反対はしません。ただゼムナス様の彼女には相応しくないのでそんな妄言は金輪際やめて欲しいですけど」

 

お前は俺の何なんだ?

 

「ゼムナス様の右腕です」

 

俺の思考を読むな。

 

「No.13 フレデリカ。我がギルド『ⅩⅢ機関』に歓迎しよう」

 

「ありがとう!ゼムナスくん!」

 

そう言うとフレデリカは空いている最後の席へと移動する。

俺は座るメンバーを見渡し口を開く。

 

「これでメンバーは揃った。これからお前たちには機関のために尽力を尽くしてもらう」

 

俺の言葉に全員が頷く。

 

「これからの話だか…ジョーカー」

 

「分かっている。明日から新たなイベントが始まる。だが全員参加はしない、実行メンバーを絞る」

 

「次のイベントは羊型のモンスターを狩る様だが、これにはシグナム、ベル、アル、チェインに行ってもらう」

 

俺がイベントに参加するメンバーを言うと当然疑問が出るだろう。

 

 

「なんでこのメンバーなんですか〜?」

 

チェインが聞いてくる。

 

「我々が大きく動くと機関の存在が表に出てしまう。それではギルド対抗イベントの際に不利になる可能性もある、どんなに些細なことでもな。そして参加するメンバーには羊狩り以外にもしてもらうことがある」

 

そこまで言うとシグナムが口を開く。

 

「なるほど、プレイヤー狩りか」

 

シグナムの答えに俺は頷く。

 

「完全に情報を秘匿するのも味気ない。そこで羊と一緒にプレイヤーも狩ってもらう。そしてプレイヤーと相対してる時は声を発することを禁止する。加えて期間中はフードを常に被り他の者に顔を視認させるな」

 

「だけどよ、声を出さないとスキル使えねぇし自力でプレイヤーを倒せっていうのか?」

 

アルの疑問にイザミが溜息を付きながら答える。

 

「お前は本当に馬鹿だな…。このコートを着ている時は声を発せずともスキルは使用可能だ、知らなかったのか?」

 

「マジかよ!?他の奴らも知ってたのか!?」

 

アル以外のメンバーは全員頷く。

 

新参者であるフレデリカさえも頷いていた。

 

「知らなかったの俺だけかよ…」

 

落ち込むアル。

 

「声を出すのを禁止した理由は俺達をモンスターと勘違いさせるためだ。さっきアルが言ったように普通のプレイヤーはスキル名を言わないとスキルが発動できない。だが我々は声を発さずともスキルが使用可能、このシステムを使い誤認させ噂を流させる。メンバーの選出も比較的AGIが高い者を選出させている」

 

「なるほど~、ギルドの存在を悟らせず僕達の存在を匂わせるんですね〜。モンスターとして」

 

チェインの言葉に頷く。

 

「他のものは引き続き機関の資金集め、他ギルドの情報収集を行え。以上だ」

 

そう言って俺はログアウトするのだった。

 

ゼムナスSide out

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三人称Side

 

羊狩りイベントが始まり多くのプレイヤーか羊を追いかけ回すなかあるプレイヤーは森を全速力で走っていた。

 

「何なんだよ…なんで何も無いところから攻撃が飛んでくるんだよ!」

 

彼は他のプレイヤーと同じようにパーティーで羊を狩っていた。

しかし突然パーティーの一人がHPを全損させポリゴン化し、それを皮切りに次々とパーティーメンバーが消滅していった。

 

彼は危険を悟り、急いで森に入って撒こうとするものの謎の存在を振り切れないでいた。

 

「【隠密】!!」

 

彼はスキルを使い自身の気配を遮断し木の陰に隠れる。

 

すると彼が先程まで立っていた所に黒いコートを着た人物が現れる。

 

「(何なんだ?アレは…。プレイヤーなのか?だがスキルを使った気配もない。なら人型モンスター…聞きたことないぞ!?)」

 

黒コートのモンスター?は辺りを見渡している。暫くして黒コートが空間に溶けるように姿を消すと同時に息を吐く。

 

「はぁ…はぁ…。なんとか撒いた『ズパンッ!』k……」

 

彼がポリゴン化し消えていく中で最後に目にしたのは銃を自身に向けている先程の黒コートのモンスターだった。

 

そうしてイベントが終わる頃のは人型のモンスターに襲われたという話題で賑わっていた。

 

「全ては思惑通りか?」

 

初期装備の男がボロボロのローブを纏い噴水に腰を賭けている銀髪の男に問い掛ける。

 

「まさかここまで上手くいくとは思っていなかったさ。運営も人型モンスターについては言及しなかったしな」

 

銀髪の男が初期装備の男に答える。

 

「運営にも何か意図があるのか…」

 

「お前でも分からないのか?」

 

「ここの運営の情報はある時を堺に全く手に入らなくなった。丁度お前がギルドを立ち上げたタイミングだ」

 

「そこから察するに、運営は俺達のギルドを利用しようと何か考えているのか?……情報が足りないな」

 

「あぁ。それでどうする?もっと深く運営を探った方がいいか?」

 

「いや、これ以上探っても何も出ないだろさ。それよりか『集う聖剣』と『炎帝の国』の情報を集めてくれ」

 

「構わないがそこだけだいいのか?」

 

「あぁ。他のギルドはそこらよりも入手が簡単だ、その大型ギルド2つはお前に任せる」

 

「小規模ギルドだが規格外のプレイヤーがいる『楓の木』はどうする?」

 

「そこは俺が調べよう。幸いにもそのギルドマスターとは知り合いだからな」

 

2人は軽く話をした後、同時にその場からログアウトするのだった。

 

三人称Side out




久しぶりの投稿で勝手が分からん…

ってことで機関メンバーが全員揃いました!
羊狩りは添えるだけ…。

次回はリアル側の話になると思いますが安定のいつ投稿できるか分かりません((*´∀`))ケラケラ

まぁそれでも気長に待ってもらえれば幸いです。
(皆待っててくるよね?よね?)

次回が早く投稿出来るように前向きに極力検討します!

それでは…チャオ!


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19話 〜幼馴染達への探り〜

世界の端からおはこんばんちわ、みゅーなでーす

約2ヶ月ちょっと振りの投稿ですが、皆様は如何お過ごしでしょうか?


私は相変わらず霧の森から脱出できずにいます…

さて、待ってくださっていた方には改めて感謝を。
あいにかわらず駄文では御座いますが本作をご覧頂ければと存じます。






帝は週末になり実家へとバイクを走らせていた。

 

「十中八九、俺の実家に入り浸っているだろうが、どうやって聞き出すか…。楓は抜けてるところがあるから問題ないとして、理沙が鬼門か…」

 

帝はどのようにギルド『楓の木』の情報を抜き取ろうか考えていた。

 

楓はその性格上特に気にすることもなく情報を抜き出せるが理沙はゲーマー歴も長く、簡単には探らせてくれないだろうと予想する帝。

 

そんなことを考えながら運転していたせいか気づいた頃には実家の前であった。

 

いつも通りインターフォンを押すと暫くして反応が返ってきた。

 

「はーい、どちらさまですか〜」

 

その声は楓のものであり、予想が的中した事で特に疑問を持たず返事をする。

 

「その声は楓か?」

 

「帝お兄ちゃん!?今開けるねー!」

 

名前も確認せずに家に通すとは、危機管理がなってなさ過ぎだろと思う帝。

 

それよりか、なぜ声だけで自分だと判別出来たのか不思議に思う帝だった。

 

「帝お兄ちゃん!!」

 

玄関のドアを勢いよく開けて自身に飛び付こうとしてくる楓。

 

普段ならコレを回避して地面と熱烈なキスを交わす楓だが、帝は今日の目的もある為躱さずに楓を抱きとめる。

 

帝の行動に、まさか抱きとめられると思わなかった楓は気を良くして、足を背中まで回しそのまま帝の体に張り付き、胸板に頬釣りをする。

 

帝はそわな楓の頭を撫でながら靴を脱ぎ家に上がる。

 

そして様子を見に来た理沙はその光景に驚愕する。

何時もなら楓が飛びつき帝に躱され地面とキスをしているのに今日に限ってそうなっていないことに困惑していた。

 

「やはり理沙もいたか…本当に実家はお前達の住処になってしまったんだなぁ…」

 

未だに自身から離れようとせず先程まで胸板に頬擦りしていた楓は体をよじ登り、帝の項に顔を埋めていた。

 

「えっと……今日は何だか機嫌がいい?んですか…?」

 

されるがままの帝をみながら理沙が言葉を口にする。

 

「なに、偶にはいいかと思っただけだ。特に何かあるわけじゃない」

 

「そうですか…。それで今日はなにか用事でもあったんですか?」

 

納得していないような表情をしながらも帝の突然の訪問に疑問を浮かべる理沙に帝は薄く笑いながら答える。

 

「ここは俺の実家だ。意味もなく帰ってきてもなんの不思議もないだろう?」

 

「それは…そうですが…」

 

「それよりも人の家に住み着いてるお前達が異常なんだがな?」

 

「うぐっ…」

 

痛いところを突かれたと理沙は苦い表情を浮かべる。

 

「すぅ〜…はぁ〜…すぅ〜…はぁ…久々の帝お兄ちゃんの匂い最高だよ〜♡」

 

理沙と帝のやり取りを他所に、楓は楓で帝の匂いを嗅いで一人でトリップしていた。

 

「………」

 

そんな楓を理沙は何処か怨めしそうに睨む。

それに気付いた帝は苦笑いしながらも理沙に問いかける。

 

「なんだ、理沙も楓と同じような事をしたいのか?」

 

「なっ!?ち、違います!楓が帝さんの迷惑になっていないのか心配で…!?」

 

それならあんな視線を向けないと思うのだが。

っと帝は思うもその言葉を飲み込む。

 

帝はよくある鈍感系ではなく、楓と理沙の心中を察している。

2人が自身に向けている感情が兄としての親愛ではなく、男女としての恋幕であることを。

 

しかし帝はそれに気付いても今のところそれに応える気は全くなかった。

年齢が離れていることも要因だが、帝自身が2人を妹以上に見れないというのもあった。

 

それにこの世界は一夫多妻制では無い。

人道的にも世間体でも好ましくないのは確かだった。

 

まぁ、仮に一夫多妻制であり、嫁を複数持ったとしても帝は余裕で養える位の稼ぎと蓄えがあるのだが。

 

「それよりも久しぶりに何かして遊ぶか?」

 

普段の帝からは出ないような台詞に再び驚く理沙。

 

「えっと‥本当にどうしたんですか?今日はやけに優しいというか…いえ、普段からも優しいんですけど…あの急にそう言われても直ぐに回答し辛いというかなんというか…」

 

 

しどろもどろになる理沙に再度苦笑いしながら帝は口を開く。

 

「なら、久しぶりにお前達の近況でも聞こうか。偶にはそういうのもいいだろう?」

 

「ええっと…分かりました。私達の部屋でも良いですか?」

 

「どこでも。まぁお前達の部屋というよりか俺の部屋だけどな?」

 

そう返すと理沙は頬をポリポリと掻きながら視線を逸らす。

 

「あら、お帰りなさい帝」

 

「ただいま、母さん」

 

理沙達とそんなやり取りをしていたらリビングから帝の母親が顔を出した。

 

「…ん?リビングに誰かいるのか?」

 

先程まで気付かなかったがリビングから複数の気配を感じた帝。

 

「そうよ〜!楓ちゃんと理沙ちゃんのお母さん達が見えてるの」

 

母親の回答に驚く帝。

 

「そうか…。なんかタイミングが悪い時に帰ってきてしまったな」

 

そう呟く帝に母親がいう。

 

「何言ってるの、ここは貴方の家なんだからいつ帰ってきてもいいのよ〜?」

 

「そうだな…」

 

「取り敢えず何かお菓子と飲み物持っていってあげるから2人の相手してあげてね?お母さん達、ちょっと大事なお話があるから」

 

「大事な話…?因みにどんな?」

 

疑問に思った帝は内容を聞くも母親はニコニコするばかりで答える気はなさそうだった。

経験上、これは聞いても無駄だと判断した帝はそのまま元自室へと移動することにした。

 

その後ろを慌ててリサな追従する。

 

その光景を見て母親は更にニコニコと笑みを深めるのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

元自室に移動した3人。

 

理沙は一人で使うには大き過ぎるベッドに腰掛け、帝は勉強机の椅子に座る。

 

「さて…んじゃお前達の話を聞こうかね?」

 

そういう帝に理沙がちょっと待って下さい、とストップをかける。

 

「あんたは、何時までそうしてるつもりなのよ!?」

 

そう言いながら今まで張り付いていた楓の頭部にチョップをかます理沙。

 

「痛い!?…ちゃっと理沙!なにするの!」

 

頭を抑えながら理沙に抗議をする楓。

なお腕を話しても足で帝の腰をガッチリと固定しているので落っこちるようなことはなかった。

 

「何するのじゃないでしょ!?何時までもそうしてるのよ!?」

 

「別に良いじゃん!帝お兄ちゃんだって嫌がる素振りしてないし!……あー!わかった!理沙も本当は抱き着きたいけど変なプライドが邪魔して出来ないから嫉妬してるんだ〜!」

 

「っ!?いいから!離れなさい!」

 

「い~や~だ~!」

 

楓を引っ剥がそうとする理沙。

楓も負けじて再度帝の背に腕を回して抵抗する。

 

「(俺って今日何しに来たんだっけ?)」

 

そんな攻防を繰り広げる2人を呆れながらもされるがままになっていた。

 

「あらあら。やっぱり帝はモテモテね〜」

 

そんな中、母親が飲み物とお菓子をお盆に乗せて部屋に入ってきた。

 

「モテモテ…ねぇ…」

 

そう零しながら、どう見ても幼い妹のおもりにしか思えない帝。

 

「これなら大学でもモテモテなのかしらねー?どうなの?」

 

母親の疑問に帝は簡潔に答える。

 

「どうかな?もう卒業が確定しているから大学にはあまり行ってないが……」

 

「まぁ、帝は優秀な子だからね〜。帝が楽しんでいてくれれば私はなんでもいいわよ〜?それじゃあ後は若い子達でごゆっくり〜」

 

そう言うと母親は部屋を出ていった。

 

「いい加減に離れなさい〜!」

 

「い~や~だ~〜〜〜〜〜!」

 

母親と会話してる時もずっとそんなやり取りをしている2人に溜息を付きながら、帝は理沙の頭を撫でながら椅子から立つ。

 

突然撫でられて理沙の動きが止まったのを確認した帝は楓の耳元で軽く息を吹き掛ける。

 

「ワヒャッッッ//////!!!???」

 

楓は奇声を上げると同時に体から力が抜け、そのタイミングで帝は楓を体から引き剥がしベッドの上に置く。

 

「さて、菓子も来たことだしそろそろ話でもしようか?」

 

フリーズしたままの理沙と股をモジモジさている楓に言う。

 

そして少し時間が達2人が大分落ち着いたら所(楓は未だにモジモジしている)で話を聞く。

 

2人の学校での事が主で楽しそうに話す2人に時々相槌を打ちながら話を聞く帝。

 

「そういえば、楓がゲームの中と勘違いして学校で大恥かいてたこともありました!」

 

「ほぉ?」

 

帝は自然とゲームの話が出てきたことに口角を上げる。

 

「一体、楓は何をしでかしたんだ?」

 

帝がそう聞くと楓は焦りながら

 

「その話は帝お兄ちゃんにしないで〜〜!」

 

顔を羞恥で真っ赤にさせた楓が理沙を止めようとする。

 

「今私達がやってるゲームがあるんですけど、そのイベントでゲーム内時間で1週間やってたんです。それで楓ったらイベントが終わった後でもゲームでの癖が抜けなくて授業中に居眠りして近くの子に起こされたと思ったら「もう交代の時間〜?」とかいって先生に注意されるし、体育の授業のドッチボールでゲームのスキルを使おうとして顔面にボール受けたりしてたんですよー」

 

「ハハッ。それはまた大恥をかいたな」

 

「うぅ…」

 

軽く笑う帝に楓はその体を羞恥で縮こませる。

 

「ゲーム内時間というと…俗に言う時間加速か?」

 

「そうです!でも帝さん、よくわかりましたね?ゲームは良くするんですか?」

 

理沙の疑問に答える帝。

 

「あぁ、俺もそれなりにゲームはするからな」

 

そういうと先程まで縮こまっていた楓が口を開く。

 

「ならNWOってゲーム知ってる?」

 

「あぁ。知っているぞ、今ブームになっているフルダイブ型ゲームだな」

 

「知ってるなら帝お兄ちゃんもやろうよ!それで私のギルドに入って!」

 

「ちょっと楓!?」

 

楓の発言に理沙が驚く。

 

「理沙も帝お兄ちゃんが入ってくれたら嬉しいでしょ?」

 

「そりゃあ、そうだけど…。無理強いは良くないよ」

 

そう注意するも満更でもなさそうな反応をする理沙。

 

「ふむ…そのゲームはギルドがあるのか。因みに2人はどんな風に遊んでいるんだ?プレイスタイルとかあるだろ?」

 

そう聞く帝に楓は嬉々として語る。

 

「私は痛いのが嫌だから防御力に極振りしてるんだよ!理沙はなんな攻撃を沢山躱す…回避盾?なんだー!」

 

「ほぉ、面白いことしてるな。理沙は回避盾…それはプレイヤースキルか?」

 

帝がそう聞くと理沙はどこか照れながらも

 

「はい…。私かなりのゲーマーなんで自然とそういう技術が身についたというか…」

 

「凄いじゃないか」

 

素直に褒められた理沙はえへへ、と照れる。

 

「お前達のギルドは他にどんな奴がいるんだ?」

 

「えっと…私と同じ大盾使いの人と、刀を使う剣士の人、後は生産職の人、後は最近入った双子のハンマーを使う子達だよ!」

 

「なるほど?それは随分と楽しそうな面子だな」

 

「うん、楽しいよ!それて帝お兄ちゃんはどうするの?私達のギルドに入る?」

 

 

「ふむ……まぁ気が向いたらな?極振りしてるのは楓だけなのか?」

 

そう帝が聞くと理沙が答える。

 

「楓以外だと、双子の子達が力に極振りしてますね。それ以外のメンバーは比較的に無難なステータスだと思います」

 

「なるほど…。まぁ、お前達2人が楽しそうで何よりだよ」

 

帝はそう言い、小さく笑う。

 

「(なるほど…。今の所、警戒はしなくても問題なさそうだな。楓の防御力も機関員の武器なら貫通出来るし、その双子も力はあってもスピードがないはず…。ふむ、楽観視は良くないが脅威ではない。まぁ、イベントまでまだ時間がある、その間にスキル等を新しく取得した場合も含めておくか)」

 

帝はそう結論づけると他愛も無い会話を2人と交わすのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

おまけ

 

帝達が部屋で話してる時、リビングでもそれぞれのは母親達が話していた。

 

 

楓母「楓ったら随分楽しそうにしてたわね。帝くんにもあんなに懐いちゃって…」

 

理沙母「うちの子も帝くんの前だとあんなにしおらしくなっちゃって…」

 

帝母「2人共、昔から帝にぞっこんでしたからね〜…成長してそれが恋心になっても無理ないわ〜」

 

楓母「帝くんにはウチの子を助けていただきましたし、本当に感謝しています」

 

楓の母が帝母に改めて頭を下げる。

 

帝母「気にしなくていいわよ?結果からすれば大事になることは無かったんだから。それよりも…あの話はどうなったかしら?」

 

帝の母は楓母に気にしなくていい旨を伝えつつも今回集まった本題を切り出す。

 

楓母「えぇ。旦那とも話しましたが特に反対等はしてなかったわ。寧ろ帝くん以外は考えられないとも言ってし。楓本人にもそれとなく聞いてみたけど帝くん以外が見えてないようで」

 

理沙母「ウチの旦那も似た感じですね…。理沙には仮に楓ちゃんとってなったらどうするかを聞いてみましたが、「それでも気にしない」って言ってました」

 

帝母「ふむふむ。帝に生活費とか大丈夫か聞いたのだけど、贅沢をしなければ死ぬまで暮らしていける位の貯蓄はあるって言ってたわ。ウチの人も稼ぎはかなりあるし帝も貯蓄に加えて別の稼ぎがあるみたいだから経済的には問題ないみたいなのよ」

 

楓母・理沙母「ということは…」

 

帝母「計画通り進めましょう?あの子の事だから他に増えてもなんとかなると思うわ」

 

帝達が知らない所でとある話が水面下で動いている事を流石の帝でも気付かないのだった。

 




ハイハイハイ、今回はリアル側の話でしたね〜。

新たにフラグも立てましたが…どうしようかしら?

次回は軽く機関員達の事を書いて、ギルド戦に移りたいと思います!
まぁ例の如く、何時になるか分かりませんが(⁠・⁠∀⁠・⁠)

今年も本作を閲覧いただきありがとうございました!
今回が今年最後の更新となります。

今年はそこまで更新しませんでしたがここまでお付き合いいただいた読者の方々には感謝を。

来年もマイペースに頑張っていこうと思いますのでよろしくお願いいたします。


それでは皆様、また来年、お会いしましょう!

良いお年をノシ





あ、評価とか感想とかも良かったらお願いします(⁠╭⁠☞⁠•́⁠⍛⁠•̀⁠)⁠╭⁠☞


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20話 〜共有と新たな戦力〜

明けましておめでとうございます!
今年もうぷ主ことみゅーなをよろしくお願いします♪

年始はずっと霧の森を彷徨ってました…(お陰で彩帯には行けましたが…)

ではでは新年一発目の駄文をどうぞ!


三人称Side

 

ギルド『ⅩⅢ機関』の拠点、存在しなかった世界にある巨大な城の円卓にてメンバーが各々の椅子に座り、この城の主を待つ。

 

「ボス、遅えなぁ…」

 

そうアルが呟く。

 

「堪え性の無いヤツだ。招集か掛けられて5分も経ってないだろうが」

 

イザミがアルの呟きに対して苦言を入れる。

 

「ゼムナス様は貴方と違ってご多忙なのです、貴方と違って」

 

更にナターシャがアルをdisる。

 

「なんでそこまで言われるんだよ、ただボヤいただけなのに…」

 

ガックシと肩を落とすアルにシグナムはクックック、と笑う。

 

「しっかし…こう見ていると本当に13人しかいないんだねぇ…」

 

フレデリカが新たな力であるシタールを弄りながら呟く。

 

「確かに。他のギルドは長と幹部、その他下っ端で構成されているのか殆どだからな」

 

ディランは同意をするように言う。

 

「じゃが、妾達はそれらを容易に蹴散らせる力を持っておる。他のギルドに遅れは取るまいよ」

 

ベルが自身達の力の前では下っ端など敵ではないと口を開く。

 

「フッフッフ…。付け加えるとその下っ端も何とかなるかも知れんしなぁ」

 

ヴァンが怪しく笑いながら言う。

 

「ヴァン、それはどういう意味だ?」

 

珍しく事情を知らないジョーカーはヴァンに問いかける。

普段は何でも知ってそうなジョーカーが知らないということにヴァンは更に笑みを深める。

 

「それは我らが主か来たら話すことにしよう」

 

ジョーカーはヴァンの発言に小さく舌打ちをし黙る。

 

「随分と盛り上がっているな?」

 

そうしていると円卓の中で1番高い椅子にゼムナスが現れる。

 

「早速だが、私自身が得た『楓の木』についての情報を共有しよう」

 

そこから簡単に『楓の木』についての説明がされる。

 

「多分だが、そのもう一人の大盾って奴はクロムだな」

 

シグナムが言う。

 

「ほぉ?知っているのか」

 

「あぁ。それに加えて生産職の奴はイズだろうな、他の奴らは分らん」

 

肩を竦めるシグナム。

 

「クロムとイズについては後ほどシグナムに説明してもらう、他のメンバーについてなにか知っている奴はいるか?」

 

ゼムナスがそう聞くとベルが口を開く。

 

「その女剣士は恐らくカスミというプレイヤーじゃろうな」

 

「お前はカスミというプレイヤーのことを知っているのか?」

 

ゼムナスの問い掛けに頷く。

 

「うむ。第二回イベントの時に剣を交えたのじゃが、あれも中々やりよるわ。その時は追い詰めたは良かったものの、トドメを指す前に逃げられてしもうたが」

 

ベルは少し悔しそうに言う。

 

「なるほど」

 

ゼムナスはベルの言葉に納得すると同時にシグナムへ視線を向ける。

 

シグナムはその視線を受け口を開く。

 

「クロムは古参プレイヤーでも上位の方だな。大盾使いとしての基本的に立ち回りを理解して中々にやる。後はこのゲームの掲示板にちょくちょく顔を出してるってハナシ。イズに関しては現在の生産職プレイヤーの中でトップの実力を持ってやがるヤツだな。ソイツが『楓の木』にいるって事は武具や道具等はソイツが作るんだろうよ。おまけに武具以外の攻撃系アイテムも生産可能だとか」

 

ふぅ~っと一息つくシグナム。

 

「そうか。私の方からはギルド長であるメイプルとその友人のサリーについてだ」

 

ゼムナスの言葉にジョーカーが口を開く。

 

「お前の幼馴染だったから簡単に情報は抜き取れたんだろう?」

 

その言葉に静かに頷くゼムナス。

しかし、先程まで黙って話を聞いていたフレデリカが声を上げる。

 

「ちょっと待って!あの2人ってみk…ゼムナスくんの幼馴染なの!?どういう関係!?」

 

この場に関係ない発言をするフレデリカに周囲は呆れる。

 

「フレデリカ、今それについては関係ない「アンタは黙ってろ!」…」

 

ジョーカーが窘めようとするも一喝するフレデリカ。

 

ゼムナスも周りには分からない程が小さな溜息を吐く。

 

「フレデリカ、それについてはリアルの方で話してやろう。今は黙っていろ」

 

 

「でもっ……!」

 

それでもフレデリカは黙ろうとしなかったがゼムナスの人睨みでやっとのことで黙った。

 

「ジョーカー、貴様も余計な事を言うな」

 

ジョーカーに注意するも本人は肩を竦めながら目を閉じた。

 

「続きだが、メイプルについては防御力に極振りしていて並大抵の攻撃は通らないが我々の扱う武器での攻撃は全て防御を貫通する為そこまで脅威ではない。まぁ亀のようなモンスターを使役しているらしいが問題ないだろう。しかし問題はサリーの方だ」

 

「聞くだけならメイプルのほうが強く思えるんだけどな」

 

アルが言う。

 

「サリーの最も厄介なのはそのPSだ」

 

「はーん、なるほど。PSがバケモンだってことか」

 

ゼムナスの言葉に納得するシグナム。

 

「役割は回避盾。かなりの確率で攻撃を躱されるだろう。それに加えてスキルや狐のようなモンスターも使役している、こちらの方が脅威だ」

 

「それなら妾が一番適任じゃな!」

 

そこでベルが声を上げる。

 

「確かに、お前の元々のPSに加えて機関で手に入れた力、ステータスならば問題ないだろう」

 

「うむうむ、其奴のことは妾に任せるのじゃ!」

 

自身満々に胸を張るベル。

 

「ゼムナス殿、少しいいか?」

 

ヴァンがゼムナスに問いかける。

 

「なんだ?」

 

「例の内の1つなんだが、なんとか上手く行きそうだ。このあと少し時間を貰っても良いだろうか?」

 

そのヴァンの言葉に獰猛な笑みを浮かべるゼムナス。

 

「それはどちらだ?」

 

「下僕」

 

そうか、とゼムナスは言葉を零す。

 

「恐らく、近いうちにギルド対抗戦が開かれるだろう。それまで滞りなく準備を進めよ。解散」

 

そう言うとゼムナスとヴァンを除くメンバーが次々と消えていく。

 

「ゼムナスくん!明日にでもその幼馴染のこと聞くからね!?」

 

フレデリカはそう言いながらログアウトしていった。

 

今円卓に残っているのはゼムナス、ヴァン、ジョーカーのみだった。

 

「お前は行かないか?」

 

ゼムナスがジョーカーに問う。

 

「お前達が何を企んで何をしているのか気になるんでね」

 

その発言にゼムナスは少し虚空を見つめ口を開く。

 

「お前も来てもらおうかジョーカー。ヴァン、私は先に行っている、ジョーカーを案内しろ」

 

「ふむ、よろしいのか?」

 

「構わん、コイツは一応我々ギルドの参謀だ」

 

ゼムナスがそう言うとジョーカーは呆れた声で

 

「一応、ねぇ…。悲しい限りだ」

 

ゼムナスは思ってもない癖にと心の中で思いながら転移するのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ここだ」

 

ヴァンの案内で回廊を抜けた先にある巨大な建物を前にジョーカーは関心したような声を上げる。

 

「まさか機関があの城とは別の拠点を持っているとはな」

 

「ここは拠点とはまた違う。分かりやすくいえば、我々の拠点であるあの城の一部といったところか」

 

建物の扉をヴァンが開くとその先は機関の拠点と同じ白一色だった。

 

「ここは一体なんなんだ?」

 

「ここはゼムナス殿が見つけた…研究施設とも言えるか」

 

「研究施設?」

 

「そうだ、ここでは機関の戦力となるであろう物を研究している。今のところ私とゼムナス殿だけだが」

 

ヴァンはそう言うと、再度回廊を開く。

 

「着いてこい。ゼムナス殿の元に向かう」

 

そうしてショーカーとヴァンが辿り着いた先は薄暗い部屋だった。

 

そこから少し進み、扉を開けるとその光景にジョーカーは珍しく息を呑む。

 

「これは…」

 

巨大な機械を中心に様々なモンスターが液体が満たされたカプセルのような中に入れられていた。

 

「ここでは我々の戦力となるであろうモンスターの研究をしている」

 

先に居たゼムナスが簡単にこの場所の説明をする。

 

「メイプルとサリーが使役しているモンスターと同じということか?」

 

ジョーカーの疑問に今度はヴァンが答える。

 

「いや、アレとは違う。ゼムナス殿もいるんだ、見せてやろう」

 

ヴァンはそう言うと機械の前に移動し操作を行う。

すると機械が音を立てながら起動しモンスターが入っているカプセルが全て青白く光る。

 

そうして暫くすると機械から指輪か排出され、ゼムナスがそれを拾う。

 

「使い方はわかるかね?」

 

「あぁ」

 

ゼムナスは指輪のデータを見る。

ーーー

【存在しなかった指輪】

ギルド『ⅩⅢ機関』専用消費アイテム。

機関員が使用することでその能力に見合ったモンスターを召喚することが出来る。

1度使えばこの装備は壊れるが、以降アイテム無しでモンスターを呼び出すことが出来る。呼び出さるモンスターは1度に10体まで。

ーーー

 

ゼムナスはその説明文を読み終え、指輪を装備する。

そうして指輪に自身の闇の力を流すと砕け散る。

 

するとゼムナスの目の前に魔道士のような格好をしたモンスターが現れる。

 

「思ったとおりだな」

 

ゼムナスが呟くとヴァンは笑み浮かべる。

 

「実験は成功だ!」

 

「ヴァン、他のメンバーに用意するのにギルド対抗戦に間に合うか?

 

「勿論だ。こうして成功したんだ、直ぐにでも他のメンバー分を用意しよう」

 

ヴァンはそう言うと機械に向き直り作業を始める。

 

ゼムナスは目の前のモンスター、ソーサラーに指示を出すとその場からソーサラーが消える。

 

ジョーカーとゼムナスは場所を移動し、再び円卓へと戻ってきた。

 

「まさか、あのような事をしていたとは」

 

ジョーカーがゼムナスに言う。

 

「あの施設を見つけたときは柄にもなく喜んだもんだ。出来るとは思っていたが本当に出来るとは思ってなかったさ」

 

この場にはジョーカーとゼムナスしかいないため、普段の口調で話すゼムナス。

 

「しかし、アレがメンバー全員に行き渡れば一気に戦力が上がるな」

 

「あぁ。俺が召喚したモンスター…いやソーサラーは上級ノーバディだ」

 

「ノーバディ…存在しない者か。中々洒落た名前だな」

 

ジョーカーが鼻で笑いながら言う。

 

「俺達もノーバディと同じようなものだ。このゲームでは存在してはいけない力を持っているんだからな」

 

「運営は俺達の存在を黙認している…こんな性能を持った装備やスキルに下方修正が入ることもない。…運営は何を考えているのか」

 

ジョーカーは手を顎にやりながら考える素振りをする。

それを見てゼムナスは薄く笑う。

 

「お前は知ってるんじゃないのか?あの運営の責任者の息子だろ、帝」

 

「さぁな。ある程度予想は付いているがまだ言うタイミングじゃないな」

 

何かを匂わせる発言をするゼムナスにジョーカーは再び思案する。

 

そんなジョーカーを他所にゼムナスはその手に先程とは違う指輪を幾つも取り出し闇の力を注ぐ。

すると指輪は一気に砕け散り、円卓の中央には白くグネグネしたモンスターが大量に現れる。

 

それを眺めながらゼムナスは更に笑みを深めるのだった。

 

三人称Side out

 

 

 

 




ハイハイハイ、新年一発目ですね~。

ここまでの駄文をご覧いただきありがとうございました!
今年もこんな駄文を生成していきたいと思うので応援していただければ幸いです♪

次回は例の如くいつの投稿になるかわかりませんが、いよいよギルド戦に入っていきたいと思いますよー

ではでは今年は去年以上に投稿できたらいいなぁーと思ってますのでこれにて失礼しますね

感想わ評価はいつでと受け付けています♪ではでは〜


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21話 ~機関が存在する理由~

な・ん・と!
最後の更新から1年と1か月振りの投稿者がいるってマ?

…はい、自分です

プラベとか諸々忙しかったってのもありますが、
一番はとあることを始めたことが切っ掛けで更新が疎かにになってました。

防振りも旬が過ぎてしまいましたが、変わらずに更新していく所存です!

そのとある事と言うのは後書に記します

取り敢えず待っている人がいるかは不明ですが続きをどぞー


三人称視点

 

「いや~、第3回イベントはかなり楽だったな~!」

アルがそう零す。

 

拠点にはゼムナスを除いた機関メンバーがそれぞれの椅子に座っている。

 

「新たな戦力として各機関員に配下を与えられたゼムナス様に感謝をするのですよ、アル?」

ナターシャがアルに向けて言う。

 

「私も大いに貢献したのだが………いや、何でもない…」

ヴァンが不満げに漏らすが、ナターシャの眼光に委縮してしまう。

 

「でもゼムナス君がくれたこの子達ってなんだか不気味だよね~…顔がないから余計そう感じちゃうよ」

フレデリカは最早癖にでもなったのかシタールを弄り、自身の配下を1体呼び出して、その姿を見る。

 

「見た目は置いといて戦力としては申し分ない、1体1体が中堅プレイヤー並みの実力があるのだからな」

バランがそう言った理由は、ギルド『ⅩⅢ機関』のメンバー達は実用訓練も含めてそれぞれの配下にイベントを攻略させていた為だ。

 

「まぁ、イベントの景品として貰った牛の頭?は僕たちの拠点の雰囲気にも合わなかったから即倉庫行になったけどね」

カナデが足をプラプラさせながら呟く。

 

「まぁ、それでも効果は付くのだから良いではないか。…にしても主殿は遅いのぉ?」

ベルが普段よりも来るのが遅いゼムナスに疑問を浮かべる。

 

「言い忘れてたが、奴なら少し遅れるそうだ。なんでもある話を持ち掛けられているらしい」

ジョーカーが口を開く。

 

「ある話?それはなんじゃ?」

 

「ゼムナスからそれについては一切教えられていないからな、答えられない」

ベルが話というのは何かと問いかけるがジョーカーも知らないという。

 

「貴方にも知らないことがあるんですね~」

カナデが意外そうにジョーカーへ言う。

 

「俺にも分からないことはあるさ。アイツの考えている事も全部が読める訳ではないからな」

ジョーカーは肩を竦めながらカナデに答える。

 

「まぁ他人の思考が読める時点で普通に化け物染みてるけどな」

アルが何ともなしにボヤくと

 

「お前は頭を使わな過ぎだ。だから機関内でも弱いのだ」

イザナが咎めるように言う。

 

「事実だけどよ…もうちょっと言葉を選べねーのかよ…」

 

肩を落とすアルはそう言うと小声で

 

「だから俺以外の友達が出来ねぇんだよ…」

 

イザナは地獄耳でその言葉を拾うと、目にも留まらぬ速さで自身の武器であるクレイモアを投げ飛ばし、

アルの頬スレスレを通って背後の背もたれに突き刺さる。

 

「何か言ったか?」

 

眼光を鋭くさせアルに言う。

 

「イエ、マリモ!」

 

冷や汗を掻きながら答えるアル。

 

「フンッ…」

 

イザミが鼻を鳴らしながらアルから視線を外すと同時にクレイモアが消える。

 

アルはそれを確認すると小さく息を吐く。

 

「いつにもなく賑やかだ」

 

その声と共に機関のトップであるゼムナスが姿を現す。

 

「で、ボスさんよ。話って何だったんだ?」

シグナムが問いかける。

 

「それについては今から話す」

 

ゼムナスは円卓を見渡し、メンバーが全員いることを確認すると口を開く。

 

「まず、私に話を持ち掛けてきた者はこのゲームの運営の責任者だ」

 

その言葉にメンバー全員が驚いた表情を浮かべる。

 

「詳細な内容を話す前に、お前たちには改めて問おう。このゲームを終えたくないもの…いや、正しくは今のデータを失いたくない者はいるか?」

 

まさかの問答に再び全員が息をのむ。

 

「それは、どういう意味なのでしょうか?」

 

ナターシャが全員の言葉を代弁してゼムナスに問う。

 

「そのままの意味だ。これから話す内容はそういう事も含まれている。運営側にも既に了承した旨を伝えた」

 

「ゼムナス君、なんで相談もなしに決めたの?」

フレデリカがゼムナスに問う。

 

「簡潔に答えると、このギルドはこれから話す内容の為に存在をしている」

 

「つまり、どういうことだ?」

 

アルが?マークを浮かべながら言う。

 

「お前たちは不思議に思わなかったか?これだけ強力な武具やスキルを持っているにも関わらず、下方修正を受けなかったのか」

 

その言葉に各々が確かにと零す。

 

「再度問う。現在のゲームデータを惜しむ者はいるか?」

 

「質問なんですけど、もし惜しいって答えた場合はどうなるんですか?」

 

「その場合は機関員としての資格の剥奪、ギルドを追放する…。そのコートとギルドで得た力はここに置いて行ってもらう」

 

慈悲もなく告げるゼムナスに全員の表情が強張る。

 

「安心しろ、剥奪するのはそれだけだ。機関に入るまでに使っていたアイテム類はそのままだ。元々はお前たちの物だ、それをどうこうするつもりはない」

 

「仮にじゃが、メンバーが抜けた場合、空いた席ははどうなるのじゃ?」

ベルの質問に無表情でゼムナスは答える。

 

「また別の者を探すだけだ」

 

そして全員が黙り込む。

 

「ここで抜けたとしても咎めはしない。ゲームをする理由などそれぞれだ」

 

ゼムナスはそこまで言うと黙り目を瞑る。

暫しの沈黙の後。

 

「私は最後まで貴方様についていきます」

 

頬を染めながら熱のこもった眼差しをゼムナスに向けるナターシャ。

 

「俺は元々、アンタの作るギルドで楽しみたかっただけだしな。俺も構わないってハナシ」

シグナムも賛同する。

 

「俺たちがここまで強くなれたのもゼムナス様のお陰だしな、俺も問題ないぜ!」

「今から俺たちでギルドを作っても限界がすぐに来るだろう…。ならここで存分に暴れた方がいい」

アルとイザナの言葉にバランとエレゼウスも頷く。

 

「ふむ…私も異存はないな。なによりこんな素晴らしい研究をさせてくれるゼムナス殿に微力ながら協力しよう」

ヴァンも残ることを表明。

 

「妾も残るぞ!こんな楽しいギルドを離れるわけにはいかないのじゃ!」

「僕も残りますよ~」

ベルとチェインも残る旨を告げる。

 

「僕は元々ゼムナスさんとゲームをしたかっただけなので勿論残りますよ」

カナデはギルドから抜けるつもりはないと言い張る。

 

「わ、私だってみk…ゼムナス君とゲームしたいしなにより一緒にいたいし!」

フレデリカの発言にカナデとナターシャが軽くフレデリカを睨む。なぜかベルも微妙な表情を浮かべる。

 

「なら抜けるものはいない…ということでいいな?」

ゼムナスの言葉に全員が頷く。

 

「俺には聞かないのか?」

「お前は聞かなくとも答えが分かりきっている。聞くだけ無駄だ」

「俺の扱いが雑だな…」

ヤレヤレと肩を竦めるジョーカー。

 

「普段の行いが悪いんじゃないの?私とゼムナス君の時間を邪魔したりするから」

フレデリカがニヤニヤしながらジョーカーを煽る。

 

「別に邪魔してる訳じゃないがな。そもそもお前のヘタレっぷりを見て横槍をいれるのも憚られる」

溜息をつきながら絡まれたことにうんざりしながら答える。

 

「はぁ~?私のどこがヘタレっていうのよ!これでも色々と進展してるし~?」

 

「ヘタレてなっかたら既にゼムナスを手に入れてるだろうが」

 

「意味わかんないんだけど」

 

「…お前たちは本当に仲がいいな」

2人のやり取りを黙ってみていたゼムナスが思わず言葉をこぼす。

 

「まって!仲良くなんてないから!こんな奴、むしろ嫌いだから!」

ゼムナスに向けて弁明するフレデリカ。しかし周りから見れば照れ隠しとしか見えないのだった。

そんな雰囲気に気付いたのか、フレデリカは涙目になりながらゲームでは御法度な行いを行ってしまう。

 

「勘違いだから!お願い!信じてよ~帝君~~~~!!!」

 

「「「!?」」」

 

フレデリカの発言にジョーカー、カナデ、ナターシャの三人が目を見開く。

ゼムナスは自身のキャラも忘れて、手で目元を覆い、大きなため息を吐く。

それ以外のメンバーはゼムナスや他のメンバーの雰囲気を読み取り察したのだった。

 

「…フレデリカ。後で話がある」

呆れるような声音でゼムナスが言う。

 

「………あ…」

フレデリカは先ほどの自身の発言の落ち度に気付き顔を青くする。

 

「全員が機関に残るという意志は把握した。詳細はまた明日に話そう」

 

全員が無言で頷くと各々が早々にログアウトしていく。

残るのはジョーカー、カナデ、ナターシャ、フレデリカ、ゼムナスのみ。

 

「フレデリカ、この後リアルで連絡する。用意しとけ」

「はい…」

しょぼくれながらログアウトしていくフレデリカ。

 

「さて、カナデとジョーカーは分かるが、なぜお前が知っている、ナターシャ」

 

ゼムナスはリアルの自分を知るカナデとジョーカーは置いておき、ナターシャが知っているのは予想外だった。

 

「その…実は、ジョーカーからリアルの貴方の事を聞きまして…」

 

その言葉にジョーカーを睨むゼムナス。

 

「俺は報酬をもらったからそれに応じた情報を渡しただけだ。名前と歳、何をしているかを教えただけで、そこまで多くを喋ってはいない」

ゼムナスはため息をつく。

 

「もう知ってしまったならしょうがない…か。どいつもこいつも勝手なことばかりしやがって…」

 

キャラ作りをやめて普段の口調に戻すゼムナス。

 

「あの…それがゼムナス様の素の状態なのですか?」

 

ナターシャがいつもの雰囲気からガラリと変わったゼムナスに問う。

 

「まぁ、これが素というわけではないが…まぁそんなところだ」

 

「それでフレデリカの処分はどうするんですか?」

カナデが先ほどの醜態を晒したフレデリカになんの罰が下るのか気になり質問する。

 

「とりあえずはこの後、アイツと会う。そこで厳重注意ってところか…。重すぎても不信感等を抱かれてギルドの運営に支障や不和を招いていしまうからな」

ゼムナスの発言にジョーカーが呆れ気味に口をはさむ。

 

「アイツならお前にどんな事をされようが問題ないように思えるがな」

「ふん、どうだか」

 

そう言うとゼムナスはログアウトするのだった。

 

 

そこから数日。

再び円卓に集まったメンバー。

今回は初めからゼムナスがいることとフレデリカが異常に落ち込んでいる以外は数日前と変わらない。

 

「この間伝えられなかった件についてだが…このギルドの存在理由を話てやろう」

 

そこで言葉を切りメンバーを見渡す。

 

「このギルドは最初こそはその辺りにあるギルドとなんの変りもなかった。しかし、特殊な力を扱うメンバーが増えたことにより、運営側はそのバランス調整をしようと判断した」

 

「なら、なんで俺たちのスキルとかを下方修正しないんだ?調整するならそれが一番手っ取り早いだろ?」

アルがもっともな疑問を口に出す。

 

「あぁ。確かにアルの言う通り、下方修正すれば済む話だった。強すぎるスキルや武器は下方修正してバランスをとる。しかしそれを行っても別のベクトルでまた強化をするプレイヤーが現れた」

「【楓の木】のメイプルだな」

ジョーカーの言葉に頷くゼムナス。

 

「彼女はどんな弱体化を食らってもそれを受け入れ、その弱点を補うようなスキルの使い方…つまり運営が想定していないような使い方でさらに強固になる。それをさらに下方修正すればと思うかもしれないがそうした場合は彼女のやる気、楽しみを奪う事になる。ゲーム会社としては本末転倒だ。それに彼女はいまやNWOの看板プレイヤーだ。それを露骨に下方修正すれば他のプレイヤー等から運営が叩かれかねない。ここだけの話だが、運営の一部がそういった対応に追われ、倒れるものや、ストレスで胃に穴が空いたりと地獄になっているらしい」

 

ゼムナスの言葉に全員が顔も知らぬ運営の者に憐れみを浮かべる。

 

「それで?その話がギルドと何の関係がある?」

シグナムが本題を言えと急かす。

 

「そうだな…フレデリカ」

「な、なに!?」

先ほどまで項垂れていたフレデリカはゼムナスの呼びかけで我に返る。

 

「お前がもし運営側で同じ状況に陥った場合、どう対処する?」

 

いきなりの問いかけに戸惑いながらも答える。

 

「運営とかよくわかんないけど、私なら強者には強者をぶつけるかな?」

 

「ほぉ…」

口元を歪めながら目を細めるゼムナス。

 

「だ、だって、強い奴に弱い奴をぶつけても一方的にやられて終わりじゃん!それにメイプルみたいに想定していない使い方されたら修正も意味ないし…それなら理不尽な敵をぶつければ解決しない?たとえば他ギルドと協力しなくちゃいけないくらいのレイドボスみたいな」

 

フレデリカの言葉で半分以上のメンバーが察する。

 

「そうフレデリカの言った通りだ。目には目を歯には歯を、理不尽には理不尽を、だ」

ゼムナスがそう言うとシグナムが笑い出す。

 

「なーるほど!そういうことか!」

「何がそういうことなんだ?」

アルはいまだに理解していないようだった。

そんな友人に呆れを通り越して無表情のイザミ。

 

「アルの為に簡単に説明する。我々機関の存在する理由、それはこのNWOのラスボスとなるためだ」

 

ゼムナスの発言に驚く者や楽しそうに笑う者など反応は様々だ。

 

「つまり、私たちは運営によってこのゲームのラスボスとされた。そのため手に入れているスキルなどは下方修正を食らわないと。そしてラスボス、データの消滅。これで分かることは私たちが他のプレイヤーに負けた場合はデータの消滅をもって退場、ということですね?」

 

ゼムナスはナターシャの言葉に頷く。

 

「正しく言えば、退場になる条件は”HPの全損”だ。HPが1でも残っていれば消滅はない」

 

「ってことは、俺たちは誰にも負けなければいいのか?」

アルが言う。

 

「それがお前に出来るのであればな」

ゼムナスの言葉に顔を逸らすアル。

 

「私はお前たちに負けることは許されない、そう言ったな?つまりHPが全損しなければよいのだ」

 

「なるほど。ゼムナス様は一言も"逃げるな"とは言っていない」

 

イザミがそう言うと続けざまにベルが口を開く。

 

「分が悪くなったら逃げる、まぁ常識じゃな」

 

「勿論、逃亡を許されない状況も出てくるだろう。その際は意地でもやられない事だ…以上が私が運営に伝えられ了承した話だ、質問があるものはいるか?」

 

カナデが手を挙げる

 

「仮にモンスターにやられた場合もデータは消滅するんですか?」

 

「モンスター相手はカウントされない。今までと同じでリスポーンするだけ、あくまでもプレイヤーにやられた場合だ…。むしろモブ如きに遅れをとる者がこのギルドにいるのか?」

 

全員がそれはないと口を揃える。

 

「ラスボスってことは、このゲームの終盤に姿を現すのか?」

シグナムが問いかける。

 

「運営はあまり姿を見せてほしくはないそうだが…イベントがある場合は勿論のこと、各々の匙加減でプレイヤーに接触してもいい」

 

一泊おいて再度ゼムナスが口を開く。

 

「運営の思い通りにさせるつもりはない。各々の役割があるまでは今まで通りにするまでだ。我々が他のプレイヤーの前に姿をみせるのは、1週間後に控える第4回イベント」

 

 

ここからギルド【ⅩⅢ機関】の暗躍が始まる!

 




ここまでお読みいただきありがとうございます!
久々の執筆で書き方とかそういうのほぼ忘れてた…。

改行とか変な部分があるかもですがご了承を(´;ω;`)

んで、新たに始めた事についてですが…

なんと、うp主は約1年前にYoutubeで投稿を始めてました!!!

主にゆっくり達のゲーム実況を投稿しています。

そっちの準備やら撮影、録画などでかなり時間を取られてました…

もし気になる方がいらしたらチャンネルに覗きに来てくれると嬉しいです♪

よかったらチャンネル登録をしてくれてもええんやで?|д゚)チラッ
※Youtubeで"みゅーな"で調べてもらえれば出てきます!なんか白黒の生物がアイコンです!物部教教祖してます♪

んじゃまた次回!


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22話 ~第4回イベント 表舞台へ~

おはこんチャロハロー、みゅーなです!

珍しく短い間隔の投稿です!
(まぁ何故かプロットが眠っていたので…)

ただ、次回からはまたまたいつの更新になるか分かりません!

来年の1月かもしれないし直ぐかもしれないし。

まぁどのみち気長に待っててくだせぇな!

ではでは本編どぞー


第4回イベント2日目。

ギルド【13機関】メンバー全員がいつもの円卓に集まっていた。

 

「今日でイベントは2日目。予測通りトップは【集う聖剣】、次いで【炎帝の国】、以下はそれなりに有力なギルドだ」

 

ジョーカーが口を開きメンバー全員に情報を共有する。

 

「なんで初日から参加しなかったんだ?」

 

アルが何故2日目からの参戦なのか疑問を口に出す。

 

「我々のギルドは異端だ。そんなギルドが初日に暴れてみるがいい、どうなるかは火を見るより明らかだ」

 

ゼムナスがその疑問に答える。

 

「これより各々の役割を与える。シグナム、ナターシャ2人は集う聖剣の陣地を攻め落とせ。奴らを自領に張り付けにするのだ」

 

「俺たち2人で表向きはトップのギルドを抑えろってか?」

 

「あぁ」

 

「ゼムナス様の心のままに」

 

シグナムは若干頬を引き攣らせ、ナターシャは即受け入れる。

 

「抑えろとは言ったが、そのまま全滅させてもいい。今回のイベントは5回まではリスポーンが可能だからな…お前達なら出来るだろう?」

 

ゼムナスの言葉にシグナムはニヤリと笑い、ナターシャは集う聖剣を滅すると言わんばかりの雰囲気を纏う。

 

「炎帝の国にはアル、イザミ、バラン、エレゼウスに向かってもらう」

 

「なんでこの人選なんだ?」

 

アルは集う聖剣には2人なのにこっちには4人である違いに首を傾げる。

 

「チームワークを考慮してだ。シグナムとナターシャは元々ソロプレイヤー。加えてどんな奴と組ませても問題ないぐらいの技量がある事を踏まえての選出。

お前達は元々4人でギルドを立ち上げる予定だったことからの選出だ」

 

ゼムナスの言葉にアルは納得し他の3人も了承した旨を返す。

 

「イヴァンには拠点の護衛をしてもらう。お前の配下ノーバディは攻めよりも守りに向いているからな」

 

「心得た。して、下級ノーバディを使用しても?」

 

「構わん。念のため、私の配下ノーバディを5体置いていく」

 

「それはありがたい」

 

配下ノーバディの中でもゼムナスの配下はメンバー内でも強力であり、アルやカナデ等でもかなり苦戦するノーバディだった。

 

「フレデリカ、ベル、カナデは楓の木へ」

 

「我らで良いのか?」

 

ベルが首を傾げながら問う。

 

「あぁ、出来る限りキル数を稼ぐのだ。それにフレデリカは自薦だからな」

 

ベルは視線をフレデリカに向けると、そこにはやる気に満ちたフレデリカの姿が映った。

 

「ま、まぁ了解したのじゃ」

 

「わかりましたよ~」

 

フレデリカの様子に若干引きながらもベルは了承、カナデも即了承したのだった。

 

「ジョーカー、チェイン、そして私は遊撃だ。特に指示はない、好きに暴れろ」

 

「わっかりました~」

 

ニコニコしながらチェインは了承。

 

「ポイントはどうする?」

 

今回のイベントでは各拠点にあるオーブを自拠点に持ち帰ることでポイントが加算される

 

「基本的にオーブの回収は我々遊撃部隊が行う。弱小、中級ギルドは一人だけ残して全滅させて構わない」

 

「あぁ…そうゆう事か。了解」

 

「チェインも分かったな?」

 

「はーい!」

 

「他の者も余裕があるならオーブの強奪を狙てもいいが戦闘を優先させることだ、闇の回路と配下ノーバディは好きに使用して構わん」

 

そうして細かな箇所を詰めていき、イベント参加の時間が訪れる。

 

「そろそろ時間だ。さて、このNWOに我々13機関の存在を知ら占めるとしよう」

 

ゼムナスの言葉に全員が頷き一斉に姿を消すのだった。

 

 

2日目のイベント開始時、それぞれギルドの拠点には大きなディスプレイが突如出現した。

 

 

そうしてディスプレイには崖が映し出され、その映像に誰もが首を傾げた。

突如、黒い靄が噴き出ると、そこには同じ格好をした存在が13体。

 

【プレイヤー諸君。イベントは楽しんでいるかね?これより我々もこのイベントに参加させてもらうことにした】

 

音声ではなくディスプレイには字幕が表示される。

 

【集う聖剣、炎帝の国、そして楓の木。各々ギルドへこれより襲撃を行う、早急に準備をしておく事だ】

 

名前を言われた各ギルドは動揺と驚きを隠せずにいた。ジョーカーが全ギルドの拠点を独自に調べ上げた結果、全ギルドの居場所を把握しているのだ。

 

【我等が何者か、疑問に思うだろう。あえてこう名乗ろう…存在しない者(ノーバディ)、と】

 

そのセリフと同時に各ギルドの拠点内にダスクが一斉に湧き出す。

 

【我等に対してどれだけ抗えるギルドがいるのだろうな?】

 

その一言でディスプレイが消え、代わりに先ほどの黒い靄が3つのギルドに現れる。

 

 

■集う聖剣■

 

「君たちは一体何なのかな?」

 

ペインが現れた二人組を警戒しながら問いかける。

 

「さっきも言っていただろう?存在しない者ってな」

 

お道化る様に答える。

 

「無駄話をしてないでさっさと片付けますよ」

 

分かってるぜ~、と言いながら何もないところから銃と大鎌を出す2人。

 

「君たちの格好は1回目のイベントでの第一位と関係があるのかな?」

 

「さぁ?どうだろうなっ!」

 

トリガーを一回引いただけで無数の弾が集う聖剣の下っ端を一撃で葬っていく。

 

「総員戦闘開始!オーブの死守と侵入者の迎撃にはいる」

 

「何を悠長なことをいってるのですか?」

 

大鎌の先端を地面に着けると集う聖剣の足元から黒い渦が発生し、そこから伸びる茨の触手が下っ端をポリゴンへと変える。

 

「ペイン、こいつらはNPCか?スキルを発さずに使用しているようだが…」

 

ドレッドが聞くもペインは分からないと首を横に振る。

 

「分かっていることは他のどのギルドよりも彼等が強敵だという事だけだ」

 

集う聖剣VSシグナム、ナターシャ

 

 

■炎帝の国■

 

「団長!謎のモンスターから甚大な被害が!」

 

「もう既にリスポーンの上限を超えたメンバーもいます!」

 

「団長ご指示を!」

 

炎帝の国のギルマスであるミィはこの惨状に目を回していた。

 

「ミィ!私の回復も追いつきません!」

 

「僕の接地したトラップもことごとく破壊っされるんだけど!?」

 

「なんでプレイヤーがこんな数のモンスターを使役してんだよ!?」

 

「(何なの?何なのよコレ!?理不尽過ぎない?、もうお家帰りたい…)」

 

「炎帝の国って強いって言ってたけど大したことないな!」

 

「調子に乗るな、我々がこんな雑魚共に遅れを取るわけにはいかないだろう」

 

「あぁ、ここでの失態はあの方の顔に泥を塗ることになる」

 

「炎帝の国には悪いがあの方の表舞台の踏み台になってもらおう」

 

両手にチャクラムを携える者。

身の丈と同じ大剣を担ぐ者。

強大なトマホークを引きずる者。

地から少し浮き、その周りに6本の倉を携える者。

 

「(しかも明らかに強い奴らがいるんだけど!?)」

 

ミィは心の中で絶叫したのだった。

 

炎帝の国VSアル、イザミ、ザルディン、エレゼウス

 

 

■楓の木■

 

「メイプル!すごい勢いで他の小、中規模のギルドが全滅してる!」

 

サリーが次々に消えていくギルドに目を見張る。

 

「どうなってるの~?」

 

メイプルは首を傾げながら現状の把握が出来ずにいた。

 

「これ不味いんじゃねぇか?さっきの放送だとここにもさっきの黒コートの集団が来るんじゃぁ…」

 

クロムが冷や汗を掻きながら呟く。

 

「その通りじゃ」

 

楓の木のメンバーではない者の声が拠点に響く。

その声と共に3つの黒い靄が現れそこから先ほどのディスプレイに映っていた黒コートが3人現れる。

 

「あの方に命じられたこの任務、恙無く終えるとしようか!」

 

喋っていた黒コートはその身に紫電を走らせると指の間にナイフを出現させ構える。

もう1人は片手を頭上に上げ、その掌に水を集め、シタールを出現させ掻き鳴らす。

残っていた1人はなんの予備動作もなくその手に本を出現させる。

 

「メイプルとサリーは私が相手する」

 

シタールを持つ黒コートがそう呟くと、弦を掻き鳴らす。

すると、メイプルとサリー、他の楓の木メンバーを隔てるように透明な壁が出現する。

 

「それは良いが、負けるではないぞ?」

 

「分かってる」

 

「自分勝手ですよね~、それじゃあ僕たちは他の人たちを相手しましょうか」

 

「うむ、あの方に勝利を」

 

楓の木VSベル、カナデ、フレデリカ

 

 

■遊撃部隊■

 

「簡単すぎるイベントで些か退屈だな」

 

あくびを堪えながら次々と湧く他所ギルドのプレイヤーを強大化させたトランプで葬るジョーカー。

 

「もうちょっと歯応えのある敵はいないのか?」

 

そのぼやきを聞いてるものは既にこの場に居ない。

 

 

 

 

「アッハッハッハ!た~のしいぃ~♪」

 

物凄い速度の剣劇で敵ギルドを殲滅しながら笑顔浮かべるチェイン。

彼?彼女?の武器はガンブレードとバスターソードの二刀流。

本来チェインには原作での13番目、ロクサスと戦いキーブレードの力を手に入れるはずだった。

 

しかし、チェインが最終試験の際に戦った敵はロクサスではなく何故かレオンとクラウドであり、手に入れた武器は勿論ガンブレードとバスターソード。

他のメンバーは1VS1の所、チェインだけは1vs2となり、ゼムナスも表には出さずとも内心動揺したほどだ。

 

加えてその試験でチェインの人となりが判明。

一言で言えば、狂暴化、普段の性格とは真逆に攻撃的になるとのこと。

 

では、どのタイミングで現れるのか。

それは本人がピンチを悟った時、つまり追いつめられれば自己防衛として発動。

本人曰く無意識なのだとか。

 

これはゲームだけではなくリアルでもそうであるという事も分かりメンバー全員、引き攣った笑みをしていた。

 

「もっともっと斬りたいなー♪」

 

…まぁそれを除いても中々の曲者でもあるのだが…。

 

 

 

【ⅩⅢ機関】の拠点にて

 

 

「すべては想定していた通り」

 

ゼムナスの目の前には簡易的に作られたポッドに他ギルドから奪ってきた無数のオーブが浮いていた。

遊撃部隊として散らばったジョーカーとチェインは闇の回廊で即座に戻って来れるため効率もいいのだ。

 

「このまま行けば他ギルドはドロップアウト……必然的に我々【ⅩⅢ機関】の順位は上がる」

 

「ゼムナス殿、無謀にも我らに歯向かう輩共が来たようだ」

 

オーブを見ていたゼムナスに拠点の防衛を任されたイヴァンが報告。

 

「下級ノーバディはどうだ?」

 

「足止めとしか期待はしていなかったが、ダスク共も中々やるみたいだ」

 

運よく拠点に来れた他プレイヤーは悲しくもゼムナスの目の前に現れることなく消滅していっている。

 

下級ノーバディだけども厄介な上、そこにゼムナスの配下であるソーサラーがいるのだ。

並みのプレイヤーなら突破は困難を極めるだろう。

 

「そこは想定外……敵の戦力を高く見積もり過ぎた……か」

 

「私もここまで弱いとは思わなんだ」

 

戦闘がメインではないイヴァンでさえもそこらのプレイヤーなら簡単に屠れるのだ。

イヴァンが"弱い"というのはギルド【ⅩⅢ機関】内だけの話であり、十分に脅威なプレイヤーだ。

 

「…さて、残りのギルドも速やかに処理をするとしようか」

 

そう呟くとゼムナスは闇の回廊へと消えていくのだった。

 

 




ほい、ここまでご覧いただきありがとうございます!
今回はここまで。

次回は楓の木、炎帝の国、集う聖剣 VS ⅩⅢ機関 を書こうかと思います。
それぞれの拠点を1話ごとに書いてもいいのですがイマイチ、ピンッと文章が思い浮かばず…(´;ω;`)

まぁなんかの手違いで思いつけばそうするかも?

取り合えず前書きでも書きましたが、次回の更新は全くの不明です。

なので今までの様に気長に続きを待っていてくださいな♪
ウチの物語は忘れた頃に更新されるので(´・ω・`)

それでは、バイバイなのじゃ~!


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