まさかガンダム転生でジーンになると思わなんだ (ワッタ~軍曹)
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第1話 ジーン(転生)宇宙世紀に立つ

思いつきで書いてしまったこの物語
お付き合い頂けると幸いです。


 

 

 

「うわぁっ!!!」

 

 私は布団から飛び起き、荒げた息を整える。嫌な夢をみたものだ。なんてったって愛車のオンボロ原付で雨の中、憂鬱になりながら出勤していたら突然、反対車線のダンプカーが突撃してくるもんだからそりゃ、声を荒げてもおかしくない。

半ば放心しながら呼吸を整える。そうすると段々と落ち着いてきたので、もう一眠りすることにした。無理は良くない。そうしてゆっくりと寝落ちしてきて……

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待て!」

 

 

 

 ちょっと待ってくれ。何なんだこの部屋は!確か自分の部屋は実家の六畳の和室だったはずだ。なのに自分は少し古臭いSFチックな部屋のベッドに寝ている。一体どうなっているんだ?!

いや、ここで落ち着かなければ。再び呼吸を整えて辺りを見回す。うん、少なくとも実家の部屋じゃない。隣にベッドがあり、ここが二人部屋なのがわかった。机も二人分ある。多分、それぞれのベッドの横にあるのが自分用の机なのだろう。

自分用と思われる机を漁ってみる。机の上には何もなく、引き出しを開けてみた。すると筆記用具やらノートやらがあったが、金具かなんかで固定されていた。奥の方に紙みたいな物が挟まっていたので、それを取って見てみると、パツキンチャンネーのヌードブロマイドだったので即座に引き出しにしまい、見なかった事にした。

机の隣にはロッカーがあり、これも二つある。気になってロッカーを開けてみると一着の服があった。革ジャンとジーパンだ。下を見るとスニーカーもあった。他の物も色々あったが、それらに意味は無い。そしてロッカーの扉の裏には小さな鏡があり自分の顔が写っていた。

 結論から言えば自分の顔じゃなかった。そこに写っていたのは、顔は整っているが目付きが鋭く、誰がどう見ても悪人顔という顔が写っていた。驚きと焦りと恐怖が同時に襲いかかってきて、今日三度目の深呼吸をする。今さらだが自分の体を確認すると、ジオン軍のノーマルスーツっぽい服を着ている。もしやこの顔は、まさか!

 

 

「……誰だっけ?」

 

うん、見たことがあるような、ないような……

多分これ、いわゆるガンダムの世界に転生したっぽいんだけど、誰に転生したのかが解らない。階級を確認すると、鏡に写っていた階級章は伍長を示していた。低いな。ファーストガンダムのキャラで伍長って最底辺だぞ。

……やはり思い出せない、仕方ないので今世の記憶を思い出してみる事にした。目を瞑り、頭の中の記憶を観てみる。

 サイド3生まれ。ジオンの軍人学校でMSの適正試験に合格し、晴れてMS乗りになった。成績も素行を除けば結構優秀な方である。軍人学校を卒業した後、ドズル中将の部隊に配備され、シャア少佐のV作戦偵察チームに選出されて今に至った事が判った。

……え、え?もしかして、これって、まさかとは思うけど、え?え?えぇ?嘘でしょ??俺って

 

ジーンに転生しちゃった?!

 

 そう、今世の記憶を思い出して、脳裏にジーンという名前が焼き付いた。それと同時に自分の死が確約されてしまった。という事はあのダンプカーに突撃された夢は前世の記憶で、本当の自分はそこで死んでしまったという事なのか?……信じられないが、多分違いないだろう。

10分程部屋の中をうろうろしてベッドにダイブしたりして気持ちを落ち着かせていた。前世での記憶を思い出そうとしたが名前が思い出せない。思い出せないどころか頭痛がしてくる。もう前世の自分は戻ってこないと落胆したが、もうそれどころではない。

 

 今世の今日はUC.0079 09.16 つまり、ガンダムとザクが戦闘になる歴史的瞬間の二日前なのだ。

 

 時刻は午前9時半を過ぎていた。幸いにも今日は1800時にあるブリーフィング以外はフリーな日だったので、早速MSのシミュレーションをして少しでも生存確率を上げたい。果たして戦場の絆(曹長Lv.1)の腕前がどこまで通用するかな?け、決してヘタクソという訳ではないぞ!実家とゲーセンの距離が遠いから中々通えないだけだぞ!?

 

 そういや転生にはチートが付き物だけど、どんなチートが使えるのだろうか……?素直にニュータイプみたいなMS操縦技術だと嬉しいのだが……

原作知識ははっきり言って役に立たないと思う。だってガンダム史における楔と言っても過言ではないイベントをぶち壊して生き延びようとしているのだから。まぁ、生き延びるだけなら何とかなるよね?

 

 

 しかし、この転生が過酷なものになると思い知るのにはそう時間が掛からなかった。

 



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第2話 ジーン(転生)の腕前と赤い奴

意外と人気なようで嬉しい限りです


 私は今、MSシミュレーションルームへ向かっています。それにしても通路の横にある棒って移動にめっちゃ便利よね。こう、スイーッって移動するのが快感で実に楽。確かこの角を曲がったらすぐそこのハズ。ほら、見えてきた。結構しっかりした部屋だな。流石ファルメル、特別仕様のムサイなだけある。中は四基のMSシミュレータがある。簡単に言えば戦場の絆の豪華版である。

 

 うぉぉぉお、やはり凄い迫力だ。オラワックワクすっぞ!と、はしゃぐのもいい加減にしてシミュレータの手続きを済ませる。一基も使用されてなかったのでササッと終えてシミュレータに乗り込む。

 そういえばシミュレータの起動ってどうやるんだ?流石にそこまでは知らんぞ?と思ってたらスーッと手順が浮かんできた。やはりジーン、MS操縦者だけはある。

AMBACシステムを順次稼働させる。聞きなれたMSの起動音がきこえる。立てよ!早く立てよ!今回のシミュレーション内容は最初の三十分は基本動作でその後三十分は仮想敵とのドッグファイトである。これで技量を測る。

 

 前進後退、旋回にスラスター、ザクマシンガンやバズーカ、ヒートホークの動作を確認して一連の動きを作る。武器の確認だが、戦場の絆と違って弾数制限がある。(当たり前だけど)

ザクマシンガンは1パレット100発が入ってる。腰にパレットをスタック出来る所があるので2パレットは予備を置いておける。つまり、300発のマシンガンを撃てる事になるのだが、連発し過ぎると銃身が焼けて撃てなくなるので、クールタイムが必要になってくる。ちなみに宇宙では放熱が出来ないので、一気に300発も撃ったら使いもんにならないらしい。今は一回の射撃で6発撃つ設定で撃ってるのでそこまで気にする事はないのだが、頭の片隅には覚えておきたい。後はパレット交換も時間が掛かるので気を付けたい。

次はザクバズーカだが、これはORIGINの見た目に近い。バナナ型の弾倉で5発撃てる。これも腰に予備弾倉を付けれる。こっちも連発すると熱くなるが、そもそも連発する武器ではないし、連発した所で全く当たらない。元々対艦用だし、仕方ないよね。

最後にヒートホーク。実はこの武器、使い捨てである。意外かもしれないが4、5回使うと刃がボロボロになって使い物にならないのである。これも一応対艦用ではある。もし、ガンダムと戦うならこれが一番のダメージソースだと思う。そうであって欲しい。いやそうであれ。お願いだから。

 

 ある程度、動きを把握した所でドッグファイトに移る。最初は一対一で戦い、最終的に三対一で戦う。一対一は意外にも好成績を残す。ザクマシンガンで牽制をして、ジグザグな動きで相手を惑わし、ヒートホークでぶったぎる。いやぁ~爽快感バツグン!これなら三対一でも楽勝でしょ!

 

と思ってたら時期が私にもありました。逃げることで精一杯。たまに牽制しては逃げる。牽制して逃げる。逃げる。逃げる。逃げる……

気づいた時には後ろからバズーカ撃たれてました。あぼーん。ヤバいよ、自分は操縦センスがそこまで無い。転生チートはどこいったんだよ!!何かしらあるだろ!!!何とか言ってくれよバー(ry

 

 若干の焦りを感じつつ、シミュレーションルームを後にすると一人の男が声をかけてきた。

 

「珍しいですね、あなたがこんな所に来るとは」

 

誰だコイツ?って言いかけたが、何とか押さえる事に成功した。頭の中にホワーンと浮かんできた名前がスレンダーだった。あぁ、スレンダーか!少し感動した所で会話を繋げる。

 

「昨日、シャア少佐がサイド7に入港してくる戦艦を発見したので、出撃も近いでしょう?ウォーミングアップは、早めにしておいて損はありませんからね」

「へぇ……」

 

信じられてない。これがジーンの人徳ですね。本当にありがとうございました。()

 

「1800時にはブリッジでミーティングがあるのでそれまでには間に合うようにしてくださいね」

「分かってますって」

 

そうしてスレンダーは何処かへ消えていった。

同年代とはいえ、一応スレンダーは軍曹で階級が上なんだよな……やはり日頃の素行は大事だと思った自分でした。といった所で時刻は11時を少し過ぎていて、どうするか悩んだが、少し早めに昼食を取り、休憩をした後にまた1730時まで訓練に慎むことにした。

 

 食堂に入ると、そこそこの人数が居るのが分かる。ツナギ姿の整備士やブリッジクルー、医者の姿も居た。それぞれグループになって雑談しながら食事をしている。そして早速献立を見てみる。無機質なディストピア飯ではないのを確認できて安心した。どれも洋食ばかりだが、今日はハンバーグらしい。宇宙でハンバーグってどうやって食べるんだ?と思っていたら料理が出てきた。丸パンにチューブに入った水、チューブに入ったハンバーグ、チューブに入ったミックスベジタブル、チューブに入ったトマトスープ………

結構無機質じゃないか!と叫びたくなったが、ここで二度目の防衛に成功。口は災いの元である。

とりあえず適当に席を選び、丸パンをかじりながらチューブに入った……えーと、ハンバーグを食べた。食べた?飲んだ?飲み込んだ??まぁ、とにかく食べたが、意外と美味しい。温かくて肉汁もちゃんとある。宇宙世紀の技術の勝利を堪能したら結構お腹が膨れたので自室に戻って休む。

 自室に戻ると何故かスレンダーが居た。そうか、ルームメートなのか。軽く挨拶をするとお互いに話す事はなく、そのまま沈黙が続いた。スレンダーが部屋を出ていき、特に何もなく時間だけが過ぎてゆく。

13時を過ぎた所でそろそろ、シミュレーションルームに行く。反復練習は大事だ。スーッとそこまで行き、部屋に入ると何やらギャラリーが出来ていた。その中には先ほど部屋を出たスレンダーもいた。

 

「スレンダー、なんなんだこのギャラリーは?」

「あぁ、少佐がシミュレータで俺たちと相手しているんだよ」

「えぇ!あの少佐が!?」

「何でも実戦前のレクリエーションだって。私も先ほどやってコテンパンにされましたよ」

 

この部隊で少佐と言えばアイツしかいない。

皆さんご存じのマザコン シスコン ロリコン 赤い彗星と言われるシャア・アズナブル少佐だ。ドズル中将から特別編成の部隊を率いてV作戦の偵察任務を任されている。

 そしてシミュレーションが終わったらしく、二人が出てきた。一人は無論シャア少佐。もう一人は小太りのおじさんで多分、デニム曹長だと思う。

 

「あんなスピード、ついてこられる訳ないじゃないですか!」

「はっはっは、まぁ、そう言うな。デニム曹長は古参らしく筋はいいが、まだ教科書の範疇から抜けきれていない。特攻する勇気は褒めてもいいが、もう少し頭を使った方がいい。戦いとはいつも二手、三手先に読んで行うものだからな。」

「はぁ……確かに。」

 

まさかあの台詞がここで、しかも生で聴けるとは思わなんだ。少し感動していてたら、少佐が気づき、話しかけてきた。

 

「やぁ、ジーン伍長か。このシミュレータを使おうとしたら、君の名前が書いてあって少し驚いたよ。この前の喧嘩での叱責が効いたのかな?」

 

喧嘩での叱責……?

あっ、もしかしてORIGINのあの喧嘩か?確か俺が折り畳みナイフを持って暴れたアレか?うーん何故だろう、本人の記憶があやふやである。ってかもう忘れてんのか!?そんなんだから素人同然のアムロにやられるんだよ!!

 

「どうだい?貴様も私と一戦交えてみるかね?」

 

明らかに上から目線だが、上官のお誘いだ。それに、一回シャアと戦ってみたいと思ってた所だ。

 

「わかりました、一戦指導して頂けるとは光栄です。私も少佐に引き抜かれた人材です、期待に沿えるように善戦します」

「ほぉ……善戦とは言わず、私を撃破してもいいのだが?まぁ、期待しているよ」

 

野次馬共が笑ってやがる。こんなんだからジーン暴走しちゃったんじゃないの?とジーンに若干の同情を思いつつ、シミュレータに乗り込んだ。

そしてあのセリフを言ってみる。

 

「見せて貰おうか、赤い彗星の実力とやらを」



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第3話 ジーン(転生)VSアズナブル


おかげさまでUA2000突破しました!
ありがとうございます!
にしても不定期投稿のタグを着けた癖に
毎日投稿してる件について()



 どうも、こんにちは。ジーン(転生 この場合は前世での事故により転生してきた者を指す)です。今何しているかって?すまんな、よそ見出来ないんだ。した途端にシャアにボッコボコにされるからね。

とにかく逃げる。逃げる。たまに牽制。そして逃げる。シャアも私も同じ事をしているのに、なんで私が追い込まれているのだろうか?にしても速くね?通常の三倍のスピードとは言い得て妙だけど、基本性能は三割増しなだけなんだよなぁ。まぁ、どうにもこうにも避けてる私も人の事を言えないけど。

 

「ちぃっ!意外とやるな。」

 

 オープン回線で行っているので、少佐の声が聞こえる。逆もしかり。それにしてもシャアって攻撃を避けられる事に意外と免疫が無いのかもしれない。テキサスコロニーでアムロと戦った時も焦っていたし。(まぁ、アッチは当ててきていたけど)そう考えると逃げる事に意味があるかもしれない。しかもそれなりに上手にかわせている。

 

 

 戦闘時間が十数分が経ち、シャアに僅かな異変を感じた。何となく動きが鈍ってきているのだ。これぐらいの戦闘で疲労はしないだろうから原因は他にあるはず。もしかしたら推進材が減ってきているのだろうか?推進材は宇宙での生命線だ。これが無くなるとMSが動かせなくなる。無くなった後は救難信号をだして、祈る事しか出来なくなってしまう程大切な物だ。

 これを勝機と捉え、少しづつ攻勢に出た。やはり攻撃は避けられているが、最初ほど動きが減ってきて最小限になってきている。いよいよマシンガンの弾数も少なくなってきた。一つだけ予備マガジンはあるが、交換すると隙が出来るので交換しない方が安全だ。

 

「ジーン、いつまで逃げているつもりだ?それでは昇進なぞ夢のまた夢だぞ」

 

 どうどうどう、落ち着けって少佐。煽り運転はいけませんぜ?一応コッチも推進材減ってきて気にしてるんだから、同じ舞台に立ってるのよ?しかし、そろそろこの戦闘にピリオドを打たないといけないのは分かる。ドローでした~ なんて事になったらあの人、多分認めないだろうからなぁ。

 よし、ここで一か八かの攻勢に出る。マシンガンを撃ち尽くし、避けられた所でザクマシンガンをシャアに投げつける。これを避ける為に上に回避したが、計画通り。ヒートホークに持ち替え、残り少ない推進材を惜しみ無く使いシャアに接近する。

 

「もらったぁーー!!」

「なにぃ!?」

 

 

決まった。

 

 

と思ったら、あっさりかわされた挙げ句にローキックを喰らい、鉛弾のシャワーを貰った。あばばばばばば。そしてトドメと言わんばかりに、ヒートホークの追い討ちであぼーん。

この間たったの8秒の出来事であった。

 

「貴様の回避力には驚いたが、攻撃があれでは台無しだぞ。もっと腕を鍛えろ」

「はい……」

 

あんな事出来るの、アンタだけだって……

 

「10分の休憩の後、レクリエーションを再開する。何度でも挑んで構わない。1700時までは相手してやる。」

 

 まさか普通のシミュレーションが、少佐相手の特訓になるとは。でもこれは、チャンスだ。今のうちに攻撃力を鍛えとかなきゃね。しかしレクリエーションとは言い得て妙だ。何となく明るい雰囲気の中、あれこれ少佐にダメ出しされたりするが、少しづつだが成長を感じ、それを活かせるようになってくると、少佐を追い詰める奴も少なからず出てくるようになった。(三対一でだけど)

本来、こういったシミュレーションは苦行なのだが、それを楽に変えるのは結構大変なのだ。ダメ出しが多いとやる気が失くなってくるのだが、少佐特有のウイットが効いたダメ出しはそれほどストレスにはならない。(ちなみに普通の訓練ならもっとしごかれてる)こうして、皆が楽しみながら、あっという間に時刻は17時を指していた。

 

「私の考えたレクリエーションに付き合って貰ってありがとう。この経験は諸君らの糧となるだろう。今日は楽しみながら訓練が出来たが、明後日には偵察任務に就いてもらう。万が一の事もある。任務が終わってもまた、レクリエーションが出来る事を祈る。それと皆知っての通りだが、1800時にはブリッジでミーティングがある。忘れずにきて欲しい。では解散とする。」

 

 流石、演説が上手いだけはある。聴き惚れてしまうな。そういや、レクリエーションの話なんて聞いてなかったけど、もしかして自分だけハブられた?って思っていたら、入れ違いで食堂に入った少佐が他のMSパイロットと話してる時に思い付いたらしい。スレンダーと私は偶然通りかかったので参加出来たっぽい。よかった、とりあえずボッチは回避できた。

それはともかく私は、汗をかいたのでシャワールームに行き、休憩した後、ブリッジへ向かうとする。やはりぶっ通しでやると目頭が痛くなる、ホットタオルで蒸らさなきゃ。

 

 まず最初にシャワールームへ向かう。シャワーを浴びる前に、汗だくになったノーマルスーツの処理に困ったが、どうやら専用の自動洗浄機械があるらしいので、そちらにかけてみた。シャワーを浴び終えて、タオルで身体を拭き終える頃にはピッカピカになっていた。科学のチカラってスゲー!ノーマルスーツは宇宙空間でも生存できる優れものだが、デリケートに扱わないといけない。だからこんな機械が出来たのだろう。

 気分よく自室へ戻ると自分のベッドの上に袋が置いてあった。中を見るとあのジオン軍服が入っていた。どうやらクリーニングに出ていたようだ。そういえばロッカーの中は私服しか入ってなかったな。とりあえず袋からだして軍服を見てみる。一般兵士が身に付けている物で、深い緑色に黄色のラインが入ったデザインの軍服だ。

 

うわぁ……これ、モノホンだよ。あのジオニストなら誰でも憧れる本物のジオン軍服だよ。うおぉ……ウヘヘヘ、ヨダレが止まんねぇぜ……

脳裏に焼き付けるように見ていたら、部屋の入口でスレンダーがドン引きしながらこちらを見ていた。いつから居たんだよ、お前。

 そろそろいい時間なので、早めにブリッジに行く事にした。10分前行動は基本だね。さて、どんな作戦になるのやら……やっぱり偵察任務だよね。というか、まだガンダムの第1話までいってないのよね、コレ。なんか時間が長く感じるな。中一日も空いてるし。そうして考え事をしているうちにブリッジへと着く。やはり皆、同じタイミングで来ているので5分前には全員集まっていた。無論、少佐は最初からいる。時刻は18時を指した所でミーティングが始まる。

 

 

「さて、V作戦偵察任務についてのミーティングを始めるとしよう」




ちなみにこのガンダムの世界観は
アニメ+劇場版+ORIGINをいい感じに
ハイブリッドした物になります。
正にご都合主義。


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第4話 ジーン(転生)とミーティング

UAが増えていくのを見るとつい連続投稿したくなってストックが無くなっちゃったZE☆
不定期投稿なのでこんな感じの時もありますが、どうかよろしくお願いいたします……


「さて、V作戦偵察任務についてのミーティングを始めるとしよう。」

 

ブリッジに程よい緊張感が走る。いよいよって所だ。作戦は偵察で変わらないはずだけど……

 

「昨日の9月15日未明、ジャブローから出航した連邦の新型戦艦の足取りを掴んだ。その新型戦艦はルナツーを経由してサイド7に向かってる。我々はルナツーから新型戦艦を捕捉し、尾行している。サイド7に到着するのは明後日の9月18日の0600時と読んでいる」

 

なるほど、原作なら到着した2時間後にジーンが暴れるって訳か。

 

「そこで、三機のMSを偵察に送る。サイド7は作りかけのコロニーで、裏側に工事用のハッチがあるのでそこから侵入。今回はデニム曹長、スレンダー軍曹、そしてジーン伍長に行って貰う」

 

「はっ」「了解です」「了解」

やっぱり行くのか。出来れば行きたくないけど。

 

「MSの発進は明後日の18日0200時。熱源探知を回避する為、出撃する際はカタパルトから射出される勢いでそのまま行ってもらう。特にサイド7付近でのスラスターの使用は極力避けろ」

 

そういえば原作ではスラスター吹いてなかったもんな、そういうことだったのか。納得。

 

「ファルメルはここに待機。万が一の事があった場合、直ぐに発進して援護をする準備を。それからMS整備班は今すぐMSの最終メンテナンスを行うこと。万全な状態にしてくれ。」

「了解」

 

整備長が敬礼をする。

 

「MS組の明日の調整は個人に任せる。トレーニングするもよし、一日気を落ち着かせるもよし、仲間と楽しく過ごすもよしだが、任務がある事を忘れないでくれ。流石に羽目を外されると困る。以上を持って解散とする。少し気が早いが、皆の健闘を祈る。」

 

全員が敬礼をしてその場を解散する。

 

 流石やなぁ~私もあれぐらいビシバシと指示が送れるような士官になりたいものだ。とりあえず飯を食ったら早めに就寝する事にした。食堂に行って今日の献立を見る。おっ、今日はラーメンか。お昼に食べたチューブ入りハンバーグより少し大きな物を渡された。どれどれ、お味は……(チュー)うん、味はラーメンなんだけどすすって食べないから違和感ありまくりだな。でも味はラーメン……うーん、不思議だなぁ。

 

 腹も膨れた所でとっとと自室で寝る事にする。部屋に入るとスレンダーが寝てた。考える事は同じようである。ベッドにソッと入り、目を瞑る。しかし出撃が午前2時かぁ。下手したらオールした方がいいような気もする。あー、ヤバい、こういうの考え出すと寝れなくなるんだよな~。

そうだ、何かを数えよう。そうすれば段々と寝れるはずだ。よし、

 

 

 

 

 

 

ドムが一機……

 

ドムが二機……

 

ドムが三機……

 

ドムが四機……

 

ドムが五機……

 

ドムが六機……

 

ドムが七機……

 

ドムが八機……

 

 

 

ドムがここのつ!

 

 

 

「ぜ、全滅ぅ?!十二機のドムが全滅!?三分も経たずにかっ!?化物かっ……」

 

何で数えたのがドムだったのだろうか。おかげさまで余計に寝れなくなってしまった。畜生。もうこうなってくると、目を閉じても考え事で頭が一杯になって寝れない。こういう時は軽く身体を動かして疲れさせた方がいい。私は隣にいるヤツを起こさないようにソッと部屋を出た。

 

 トレーニングルームを目指し、廊下をスイーッと行く。時刻は20時の方が近い。目的地に着くとちらほら人が居た。無重力空間では肉体への負担がほぼ掛からないので、筋肉量が落ちやすい。なので、MSパイロット以外の兵士も利用出来る。ちなみにMSパイロットは予約なしでの使用が出来る。それに加えて個別のロッカーとシャワーもついてくる。ラッキー。

MSパイロットの筋トレは大切である。何故ならMSでの高速移動や急旋回は負荷が物凄く掛かるので、己の肉体を鍛えて耐えなければならない。ひ弱な奴が戦闘を行うと、MSの性能もひ弱な奴に合わせて落ちるので、生き延びたければ肉体強化をする他ない。例え軽い筋トレでも侮れないのである。

 

 自分のロッカーを開ける。3組のタンクトップと短パンがハンガーに掛かっていた。おぉ、サウナスーツまであるのかよ、スゲェな。でも、今回は軽く運動する程度なのでサウナスーツはまた今度。タンクトップ&短パンに着替えて室内に入る。さて、とりあえず軽くストレッチしてからランニングマシンにでも……

 

げえっ?!アズナブル!!?

 

重そうなベンチプレスを上げ下げしてる。てかあいつ、赤い半袖着てんぞ!私生活まで赤色に侵食されてっぞ!私は気付かなかったフリしてやり過ごそうと思ったら案の定、声を掛けられたでござる。チッ面倒だな。

 

「やぁ、今日はよく会うな」

「えぇ……まぁ、会いますね」

「ランニングか」

「はい」

「では私も一緒に走るか」

 

 何で私、少佐と一緒にランニングマシンで走っているのだろう。ただ軽~く汗をかいて寝たかっただけなのに。何の因縁があるのやら……

しかし、腕の筋肉量が凄い。細いのにしっかりとついてる。自分(ジーン)もそこそこついているが、向こうの方が一段上だ。ストイック過ぎませんこの人?

そういえば、ザビ家へ復讐するために本物のシャアや素性を知ってゴーグルをプレゼントした学友や親友のガルマを謀って殺したりするストイックの塊みたいな人だった。

 

「あぁ、少しいいかな?」

「は、はい」

 

ビックリしたな急に話かけてくんなよ。

 

「今日の訓練……いや、レクリエーションの事だが、君は中々良い動きをしていた。私の攻撃をあそこまでかわすとは驚いたぞ」

「赤い彗星にお誉め頂き、光栄です」

「まぁ、皆の前だったので少しキツくアドバイスしたが、攻撃さえ何とかすればエースの素養がある。その事は私が保証しよう」

「そこまで言って頂けると、何と言っていいのやら……」

「……ふむ、やはり雰囲気が変わったな」

 

げえっ!もうちょっとフランクに接するべきだったか?シャアなら多分何となく転生の事を理解してくれそうな雰囲気だが、万が一連邦のスパイだと勘違いされでもしたらエライ事になるぞ!軍法会議に出されて下手したら有罪、絞首刑でTHE ENDってね。

 ふざけてる場合じゃねぇ。あんまり目立ち過ぎると逆に駄目なんだ。そう考えると、チートみたいなMS操縦技術が無くて良かったと思う。いや、それで良いのか?ともかく、目立たないように、そして生き残れるように行動をしなきゃな……すっかり転生してきた弊害を忘れて浮き足立ってたわ。

 

「そ、そうでありますか?」

「あぁ、全体的に真面目な雰囲気になったな。やはり私の喧嘩の仲裁で言い放った叱責が効いたのかな?」

「そ、そうですね、私も少し短気な所があったので、自省をして戒めています」

「そうか」

 

怖い。何か怖い。万が一の事を考えると脂汗じゃない汗が出てくる。私の尋常じゃない汗を見た少佐は休憩を提案したのでそれに応じた。

 

「大丈夫か?かなりの汗をかいているようだが。とりあえず水分補給はしっかりと取れ」

「ありがとうございます……」

「もしかして緊張しているのか?」

「まぁ、それに近いです……」

「確かに君と私ではかなり階級に差があるが、そこまで気にする事はないぞ」

「ですが……」

「気持ちは解る。だが、自省し過ぎてそこまで消極的になると、こちらとしてもやりづらい。私はまだ20の若造で何でもかんでも知ってる人生の猛者ではない。」

 

嘘つきめ、お前の人生えげつないだろ。

 

「だからこうして、分け隔て無くコミュニケーションを取って部隊をなるだけ円滑にしようと自分なりに努力をしているのだ。別に嫌味を言ったりしているのではないのだけは理解してほしい」

「はい」

 

そもそも自分はあまりコミュニケーションが得意な方ではない。しかし、コミュニケーションが必要な部隊では間違いなく、私が連携を乱して部隊を危険に晒す要因となる。自分でも何とかしたいとは思ってたりするが、いかんせん、これは経験(と語彙力)がものを言う。私はどちらも少ない。ダメだこりゃ。本当に生き残れるのか?

 

「よし、休憩は終わりだ。私はクールダウンして終えようと思うのだが、君はどうするのだね?」

「私も軽く運動してから就寝しようと思っていたので、私も終えようと思っていた所です」

 

 少佐と一緒にクールダウンして上がる。プロテインのお裾分けを貰ったので一緒に飲む。うわぁ、何とも言えない味だ。不味くはない、旨い訳でもない。プロテインってこんなもんなのか?シャワーを終えて着替えたら少佐と別れた。復讐に念を燃やす男だが、根はいいやつなのかもしれない、幼少期の生活環境ってかなり後の人生に響くからなぁ。

 ふぁ~、眠くなってきた。この無重力の感じがまた疲れた身体に良く効く。このまま廊下で寝たい気分だが、それは兵士以前に人間としてマズイ。目が冴えない程度にゆーっくりと移動して自室に戻り、すぐさまベッドに寝転んだ。そして意識が明日へ遠のく……

 

明日はどうなるのか、

それは明日の自分が決める事だ。




ようやっと激動の一日が終了。
まだV作戦偵察まで二日あるんですよ……?


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第5話 ジーン(転生)の決戦前夜

UA5000突破ありがとうございます!
不定期投稿ですが、週一投稿を目安に頑張りたいです。


 目を覚ますと適度に背伸びをしながら時計を見た。時刻は午前8時を過ぎていた。9時間近くも寝ていたのか。健康的で何よりだな。

ところで何故、私は自分の寝ていたベッドを第三者視点で見ているのだ?ベッドにもう一人の自分が居ないから幽体離脱ではなさそうだが。あぁそうか、寝るときにベッドに付いているベルトをしていなかったから部屋の中でふわふわ浮いていたのか。ふと、隣のベッドを見てみるとスレンダーが白目を剥いて気絶していた。幽霊とでも見間違えたのか?失礼な奴だ。

 

 

UC.0079.9.17 AM08:13 運命の日まであと一日

 

 

そう考えるとやはりソワソワとしてきた。

私の手で歴史を変える。そのまんまアニメの世界に落っこちてきた訳ではないが、今は確実にジーンとして生きている。原作知識の約8割は役に立たないが、やるしかない。とは言っても今日一日は(ゲリラが来なければ)何もする事はない。何をすればいいのだろうか?意識すればする程、時間という物は遅く感じる。

 

グゥー

 

……腹が減った。とりあえず飯を食いに行こう。もう少し寝ていたいが、ぐうたらな兵士だと思われたら査定に響くやもしれない。飯を食べに私は部屋を出ることにした。にしてもアイツ、まだ白目剥いていたぞ。

 スイスイと食堂まで行き、渡された朝食はディストピア飯そのものだった。一瞬、絶望したがとりあえず食べる。うん、この黄色い棒はカ○リーメイトだね。しかもチーズ味だ。丸い錠剤は薄いラムネだし、チューブはイ○ゼリーそのものだ。味は前世を何となく思い出す程には美味しい。にしても量が多い。これはコックさん曰く

 

「MSのパイロットさん特製だぜ?たくさん食って勝ってもらわなきゃ困るからな!戦場で腹減ったなんて言わせねぇんだからな!」

 

らしい。え?もしかして今日の食事全部コレですか?!そりゃないよ!せめてこの前食ったハンバーグぐらい出して下さいよ!って言ったらすんごく睨まれました。スンマセン。

食堂を出ようとしたら、スレンダーに後で多目的室に来るように言われた。お礼参りじゃなさそうだが、はたして。

 

 多目的室に着いて辺りを見回す。食堂とは違い、椅子とテーブルが丸い。観葉植物も置いてあって休憩にはピッタシだ。それより目を見張るのがそれなりに大きい窓だ。ここから外の景色がみえる。吸い寄せられるように窓に近付くと、無限に広がる暗闇とそこに輝く星達が居た。遠くの方に地球が見える。あぁ、やっぱり地球ってのは青くて丸いんだなぁ。ずーっと見ても見飽きない気色は10分ちょっとで終わりを告げた。スレンダーに呼び出されてそちらに行くと、スレンダーとデニム曹長が居た。おぉ、あのデニム曹長だ。身長は自分より少し小さいが、横っ腹は一回り大きい。とりあえず三人とも席に着く。

 

「急な呼び出しで悪いな、ジーン。」

「いえ、大丈夫です」

「明日の事で詳しい段取りをと思って集まってもらった。そこまで時間は取らせないから聞いて欲しい」

 

 こんな所でミーティングかいな曹長さん。一応ミーティングルームがあるから、そっちの方がいいんじゃないの?万が一スパイが居たら大変やし。まぁ、とりあえず話を聞こう。

曹長が話したのは侵入ルートの再確認や役割分担などだったが、ここで話す意味はあったのだろうか?20分もしないで終わってしまって少し拍子抜けした。話が終わろうかと思ったら曹長が

 

「明日の事はこれぐらいにして、少し個人的な話がしたい。予定とか大丈夫か?」

「いえ、特には」

「私も同じく」

「じゃあ、少しだけ話をしよう」

 

 

もしかしたらこれが本題かもしれない。多目的室に集まったのも何となく理由が分かった。

 

 

「ジーン、お前最近になってすこし丸くなってきたんじゃないか?」

「えっ!?」

 

 

ヤバい自分の話題かよ

 

 

「出発直後は野心燃えたぎっていた感じがしたが、最近になって真面目になってきたよな?」

「確かに様子が変わりましたよね」

 

 

スレンダーも追い討ちをかけてくる

 

 

「別に悪い事ではないぞ?野心のせいで偵察任務がおじゃんになったら元も子もないからな」

 

 

転生してこなきゃ命令違反してましたよこの人

 

 

「何か心変わりした事でもあったのか?」

 

 

転生してきました~なんて言える訳ない

めちゃくちゃこの場から逃げたしたい。

 

 

「やはり少佐の言葉がきっかけですかね……」

「うーむ、やっぱりあれか……」

 

 

なんですか?軍法会議か何かですか?

 

 

「いやぁ、時間取って悪かったね。また明日会おう」

 

 

……身構えてたが、どうやらこれで終わりらしい。え?もしかして私スパイ容疑掛かってます?ヤバくない??本当に軍法会議に掛けられるパターン???イヤワタシジーンホントアルヨ?

 

 まさか一時間もしないで開放されるとは思わなくて何するか全く決めていない。とりあえずもう少しだけ外の景色でもみようかな。いやはや、本当に自分は宇宙に居るんだなぁと感心する。感慨深いなぁ。

多目的室に備え付けてある自販機でジュースを飲んでのんびり過ごしていたらもうお昼が近い。本当に宇宙から見る星空は見てて飽きない。名残惜しく部屋を出て食堂に向かう。朝食と同じメニューと量が出される。モグモグ食べているとコックがこっちを睨んでた。いや、文句はもう言いませんって。言わないから。

 

 食堂を出た私はふと思う。「目立たないようにしなければ、もしかして危ういのでは?」と。実際色んな人に様子が変わったと言われる。もし転生したのがシャアならまだ変人止まりで済むが、ジーンの場合はスパイと思われてもおかしくない。身の振り方を間違えないようにしなければ。でも生き延びたいからシミュレーションルームに行って特訓する。こればかりはしょうがない。誰も居ない事を確認してシミュレータを使う。

とりあえず対ガンダム戦を予想して地上戦一対一でシミュレーションしてみる。相手ザクの見た目を白くして動きや装甲値を単純に5倍にしてみる。下手したら5倍以上だが。

 

 とりあえず一戦やってみたが、流石に移動力5倍はやり過ぎた。ザクⅡの走行速度は確か100㎞/hだったはず。その5倍となるとガンダムを通り越してアレックスの速度になる。対アレックス戦を想定してるならあの設定でもいいのだが、あんな化物MSと戦う事なんて99割無いぜHAHAHA

とりあえず移動力は2倍に押さえて装甲値はそのまま。これで再戦してみる。

先ほどは10秒掛からずにやられていたのが、なんということでしょう。一分に変わっただけではありませんか。装甲値がザクの5倍あるのでザクマシンガンはおろか、ヒートホークでさえも効きません。連邦軍はなんていうMSを作ってしまったのでしょうか?(シミュレーションだけど)

 

とにかく黙っていればガンダムと戦闘になることは無い。大人しくしていればモーマンタイだ。気づくと出撃まで12時間を切ってた。今のうちに仮眠を取ろう。そうして自分の部屋に帰り、ベッドに横たわるとだんだんと眠くなってきていつの間にか寝ていた。

 

 

……

 

 

………

 

 

…………

 

 

うーん……ガンダム……

 

 

ビーム受けたら即死……

 

 

サーベルも斬られて即死……

 

 

後ろにキャノンもタンクも要る……

 

 

 

やばない?……

 

 

 

積みやない?……

 

 

 

……

 

 

 

ムリゲーじゃない?……

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

むにゃむにゃ……

 

 

 

 

 

今何時?

 

 

 

……20時か。

 

 

 

 

20時!?ガバッ

 

やべぇ!あと6時間で出撃やん!あのまま寝てたらあと4時間は寝ていたわ。ぼちぼちと食堂に向かいディストピア飯を貰いに行った。

 

「ないよ」

 

へ?

 

「なんだ?胃袋に飯詰め込んで吐きたいのか?」

 

 あぁ、そういうことか。偵察任務だけど万が一戦闘になった時に、宇宙空間でブンブンMSを動かしたら確かに吐きそう。ヘルメットの中が地獄絵図になる事は容易に想像がつく。朝と昼の量が多かったのはこれが理由なのかな?にしても食堂に行って言われた一言目がアレである。もう少し気を使って欲しいもんだ。

 

 仕方ないのでまた多目的室にいってジュースを飲みながら外を見る。窓の端にサイド7らしきコロニーが見えてきた。あそこに行くのかぁ。しかし、地球が朝見たときよりも少し小さくなった気がする。サイド7って以外と遠いのかな?ホント、こんなところにコロニー作って住んじゃう宇宙世紀の人々には頭が上がりませんわ。

 

 

いやぁ、2時間も潰せた。やはり宇宙の神秘や人類の叡智には見とれますわぁ……なんか色んな人に変な目で見られていた気がするけど気にしない。うん、こういうのは気にしたら負けだ。

 

 通路をスイスイと移動日してトレーニングルームへ行く。ジーン(転生)さんがアップを始めました。ランニングやダンベル上げなど疲れない程度に汗をかいてシャワーを浴び、MSハンガーへと向かう。

 

 

出撃まであと2時間だ。 




いよいよ機動戦士ガンダムの第1話に突入していきます。ジーンは生き残る事が出来るか?

追記 評価の必要コメント数を下げました。
誤字の訂正をしました。


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第6話 ジーン(転生)とV作戦[前編]

お待たせしました
一本で書ききろうかと思いましたが冗長になるので分けました。


 

 

 

 

 

人類が増えすぎた人口を

 

宇宙に移民させるようになって

 

既に半世紀が過ぎている

 

 

 

地球の周りの巨大な人工都市は

 

人類の第二の故郷となり

 

人々はそこで子を

 

 

産み

 

 

育て

 

 

そして死んでいった

 

 

 

 

宇宙世紀0079

 

地球から最も遠い都市サイド3は

 

ジオン公国を名乗り

 

地球連邦政府に独立戦争を挑んできた

 

 

 

 

この一ヶ月あまりの戦いでジオン公国と連邦軍は

 

総人口の半分を死に至らしめた

 

 

 

 

人々は自らの行為に恐怖した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、ジーン(転生)です。ようやっと機動戦士ガンダムの第1話にたどり着きました。コロニーまであと5㎞といった所です。そうです、三機のザクがスーハー言いながらコロニーに近付くあのシーン真っ只中です。

ちなみに出撃までの2時間は軽くミーティングをして待機室でゆっくりしてから出撃して約四時間のMSでの宇宙遊泳を楽しんでおります。予想通りゲリラとかに襲われる事も無くサイド7まで来れました。襲われてたら第1話無くなっちゃうもんね。

 

 そろそろ独り言もこれぐらいにしてサイド7への着地の準備をする。ゆっくりとサイド7へ近付く。

 

 

 

クポォン

 

クポォン

 

 

クポォン

 

 

何とか成功する。いやぁ、緊張してきたね。

 

「スレンダー、ハッチ開閉用のツマミがあるはずだ。探してくれ」

 

デニム曹長の指示でスレンダーがハッチ開閉用のツマミを探して開ける。そうするとゆっくりとハッチが開き、ザクが入れるぐらいまで広がった。曹長を先頭にサイド7へと侵入する。少し進むとスレンダーのザクが作業用のアームにぶつかり、壁に跳ね返り自分達が元来た道へ向かっていった。

 

「おい、あまり物音を立てるなよ」

 

「す、すみません」

 

そうしてもうひとつのハッチの前まできてハッチを少し開ける。

 

「スレンダー、お前はここに残れ」

 

「はっ、曹長」

 

あのやり取りを見ている。本当にガンダムの世界に転生してきたのだと改めて実感する。二機のザクがコロニーの大地へ向けて下降を始める。遠くに見えるのはあの鬼畜天パと愉快な仲間達が住んでる居住区だ。人の気配はまるでしない。

 

ズササーッっと山(みたいな?)の斜面を降りる。機体を安定させたところでザクの左手をコックピットの位置に動かしてそこに乗る。

うわっ、高いな……実は高い所が苦手である。安全柵も命綱もない所での高所作業は本当にヒヤヒヤするものである。しかしビビるのもいい加減にして電子双眼鏡を手に取り、連邦軍の施設を探す。んーと、連邦の施設は……あったあった、右上か。

 

「曹長、軍の施設は右上のブロックのようです」

 

ジーン、記念すべき第一声。

 

「出勤時間のはずですが……車が一台行っただけです。人影はありません」

 

確か、あそこらへんがアムロの家のはず……

 

「ん?居ました!子供のようです!」

 

家に入っていくフラウ・ボゥを見届ける。確か軍艦が入港するから避難するように伝えるんだっけ?見届けた後、デニム曹長が声をかける。

 

「いったい、どうしてこんなに人の気配が無いんだ?」

「もしかしたら、連邦の軍艦の入港があるからかもしれません」

「どうしてそう思う?」

「連邦の新型軍艦は多分、サイド7にあるV作戦関連のMSを運ぶために入港したのだと思います。なので、その収容作業を住民に紛れ込んでいるかもしれないスパイに見られない為に住民全員を避難させていると考えると、辻褄が合います」

「確かにその可能性が高いな……とするとやはりV作戦の施設はここにあるという事か」

「そうでしょう」

 

連邦の施設を見ているが、まだ動きは無い。時刻は午前6時32分。まだ入港していないという事か?追手から逃げる為にあえて蛇行したりして遅れているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホワイトベースにガンダムの部品を載せればいいんだ。地上の作業を急がせろ」

「はっ!」

 

連邦士官が外部観測所に移動する。

 

「ホワイトベースめ、よりによってジオンの船につけられるとはな」

 

観測所に着き、入港してくる戦艦を見る。

 

「おほぉ、これか」

「はっ」

「流石、我が連邦軍の新鋭戦艦か。この艦とガンダムが完成すればジオン公国を打ち砕くなぞ、造作もない」

 

真っ白な戦艦が入港してくる。その戦艦はまるで木馬のような見た目で、力強い白馬に見えてくる。その力強い白馬は本当にジオンを打ち砕く鉄槌に思えてきて、士官は満足そうな表情になる。

 

 

 

 

 

UC.0079.9.18 午前7時00分

ホワイトベース入港 MSの運搬を開始

 

 

 

 

 

 

「連邦のMSらしき物が出てきました!」

「なに!本当か?よし、撮影を開始しろ!」

「了解!」

 

手に持っていた電子双眼鏡で撮影をする。何気に優れものである。倉庫から出てきたMSの写真を撮る。あれはガンタンクの上半身だな。パシャリ

あっちは、えーと……あっ、ガンキャノンか。これも上半身。パシャリ

肝心のガンダムちゃんが居ない。最優先で運び足しているはずなのだが……

 

「ジーン、MSの存在を少佐に知らせろ」

「はっ曹長。暗号を使います」

 

えーと、確か暗号は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 サイド7の遠く、そこには一隻のムサイ級戦艦ファルメルの姿があった。そこに、ヤツはいた。

 

「私もよくよく運の無い男だな。作戦の終わっての帰り道であんな獲物に会うとは……ふふっ、向こうの運が良かったのかな?」

「作戦って何です?V作戦の偵察ではなくて?」

「いやぁ、何となく言ってみたかっただけだ。気にするな。」

「はぁ……しかしシャア少佐、あんな僻地のサイドに連邦のV作戦の基地があるんでしょうか?」

「あるよ。我々のザクMSより優れたMSを開発しているかもしれんぞ」

「まさか。あんな僻地のサイドで……」

「……遅いな」

 

ピュゥーーージジジ

 

「来ました!……暗号 CC2です」

「みろ、私の予測した通りだ」

「で、では連邦軍もMSを?」

「開発に成功したとみるのが正しいな」

 

遥か遠くに見えるサイド7を眺める少佐。予想を的中させる少佐に半ば呆れている少尉。孤高の戦艦ファルメルはサイド7とルナツーの間で戦士の帰還を待っていた。




いよいよ本編突入
ジーン(転生)はちゃんと偵察出来るのか?
それとも……?


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第7話 ジーン(転生)とV作戦[後編]

祝!UA10000突破!
ありがとうございます!
これからもゆるーく頑張って行きますので暖かいご声援よろしくお願いいたします。


前回のあらすじ

ガンダム第1話が始まりました、終わり。

 

 

 

「曹長、ここからなら、かなり近くで偵察が出来ます」

「いやはや、ここまで近づいて気付かないとは……」

「連邦軍は呑気な連中が多いようで」

「ありがたい事に変わりは無いがな」

 

上司とお喋りしながら偵察中です。いやー偵察って敵に気づかれなきゃホントに楽な仕事やねー。まぁ、見つかった時やどっかの誰かさんが暴走した時が修羅場に化けるんですけどね。

しかし本当にガンダムが見当たらない。おっかしいなぁ……最優先で運び出してもおかしくないのになぁ……。にしても連邦はのんびりし過ぎである。最初にタンクとキャノンが出て来てから、まだ他のMSが出てこない。仮にも敵であるジオンの船に付けられているのだからもう少し警戒とかしてみたらどうだろうか?そのおかげで易々と基地近くの岩場まで来れたので、こちらとしては物凄くやりやすいのでいいのだが。

 

「うむ、三台目もMSか……まだあの中にあるかもしれん」

 

三台目もキャノン先輩でした。

死角はさほど無いから、もうそろそろ出て来てもおかしくないんだけどなぁ……

 

「叩くなら今しかありません」

「我々は偵察が任務だ」

「しかし、敵のMSがあの戦艦に載ったら━━

 

ここで我に帰る。今、自分は何を言っていたのだ?まさかこのまま連邦の基地を襲撃しようとしてたのか?危ねぇ!無意識に命令違反する所だったぜ!このままだと原作通りに死ぬところだったよアブネェ……

 

「手柄の無い事を焦るでない」

「……もどかしいですね」

「何度でも言うが、これは任務だからな」

 

 

 

  ( ^ω^) …

  (⊃⊂)

 

 

 

 

 

⊂(^ω^)⊃ セフセフ!!

 (⊃⊂)

 

 

 

 

危ないところだった。いや、本当に。今でも手柄をあげて昇進したい欲望を押さえている所だ。このまま偵察任務が終わればアムロはガンダムに乗らないし、ララァも死なずに済むはずだし、何よりあのロリコン野郎が暴走しなくて済む。ガルマの謀殺も防げるので一石五鳥である。

しかし、ホワイトベースがこのまま無傷でジャブローに行ったらどうなるんだ?ジオン大勝利説もあるけど、もうこの時点でジムの量産ってほぼ始まってるんだよね?って事はやっぱりジオンは負ける運命なのか?となると下級尉官にすらなってない俺はやっぱりMSを駆使してこの一年戦争を生き延びなきゃいけないのかぁ……

おーガンダムか。しかし、偵察が終わった後の部隊編成はどうなるのだろうか?やはりキャメルパトロールに所属になるのかな?それとも……

 

 

 

 

が、ガンダムぅ?!!?!

 

 

 

 

双眼鏡をヤツに向ける。間違いない、あのオモチャみたいな白×赤×青×黄色のカラーは間違いなくRX-78-2ガンダムだ!トレーラーに横たわっているので二号機に間違いない!あれを……あれを破壊出来れば……ジオン十字勲章も夢では……

いや駄目だ、壊したいのは山々だがそれでは飛び出しを我慢した意味がない。仕方ない、ここはジャブローに送られるのを見送る他ない。ぐぬぬ。

時刻は8時を過ぎて25分。実史だと8時にはもうジーンが暴れまわってるらしい。そんでもって9時にアムロがガンダムに乗るらしい。え?一時間も対処出来ずにザク野放しにしてたの連邦軍?そりゃ、ホワイトベースの正規クルーの半分失う訳だよ。

 

「ジーン、そろそろ少佐に報告しよう」

「了解しました」

 

とりあえ経過報告をして指示を仰ぐ。このまま偵察続行か、撤退か。少佐なら「もう少し粘ってこい」って言いそうだなぁ。やだなぁ、あの人大気圏で戦わせる人だからなぁ。人使いが荒いと人がどんどん居なくなるよ……物理的に。(99%天パのせいだが)報告するその前にガンダムをパシャリ。いやぁ、軍事機密って感じのベストショットが撮れましたなぁ。

 

通信装置に手を掛け、指定されたチャンネルでファルメルに連絡をする。幸い、コロニー内のミノフスキー粒子は無いに等しいので連絡は取れる。そして待つこと十数秒でつながった。

 

 

 

 

 

 

偵察部隊からの定時連絡を待つシャア少佐。もうそろそろ来てもいい頃合いなのだがと思ったその時、通信が入る。ちゃんと偵察が出来ている事に思わずほっとした。

 

「通信です」

「やっとか」

「……チャンネル5630。偵察部隊からです」

「よし、繋げろ」

 

手際よく通信を繋げる少尉。少しするとあの男の声が聞こえてきた。

 

『少佐、聞こえてますか少佐』

「ジーンか、聞こえている。そちらはどうだ?」

『V作戦のMSと思わしき三種類の機体が出てきました』

「三種類か……どんな感じだ?」

『はい、一つは青色ベースのタンクです。下半身がキャタピラで両肩に長い砲身があり、マニピュレータも砲身になっておりミサイルが打てそうな見た目をしています』

 

MSのタンクだと?連邦も甘いようだ。上層部をなだめる為に一機目はタンク型にしたのだと思うと涙が出てくる。

 

『続けてよろしいでしょうか?』

「大丈夫だ、続けろ」

『はい、もう一つは全身が赤色のキャノンです。両肩にキャノン砲を備えており、頭部に二門のバルカン砲が確認出来ます近接武装は無いようです』

 

ふむ、二機目はキャノンか。一機目は長距離支援として二機目は中距離支援といった所か。悪くはなさそうだ。

 

『では最後に。三機目のMSは白色ベースのMSでキャノンと同じく頭部に二門のバルカン砲があります近接武装は見当たりません』

「他の武装は見当たらないのか?」

『はい、今の所それらしき物は見当たりません』

「もう少し探ってみろ、ザクで言うところのザクマシンガンが無いのは流石におかしい」

『少々お待ち下さい少佐。武器らしき物が見えてきました!』

「本当か?よし、それを撮影した後、報告をしろ」

『了解です!』

 

そうしてしばらく通信が途切れた。ふむ、どうやら運という風は我々に吹いているらしい。あとは連邦がどのぐらいのMSを運ぶかが問題だ。少なくとも一個小隊はあるのが判った。ここで通信が戻る。

 

『少佐、少佐、MSの武器なのですが……』

「どうしたのだ?言ってみろ」

『はい。見た目はライフルなのですが、パレットや薬莢の排出の穴が無さそうなんです』

「ふむ、そうなると考えられるのは」

『ビーム兵器……ですかね?』

「そう考えるのが一番自然だな。」

 

画像を見てみない事には確証出来ないが、連邦にはカネと物資はあるので、可能性は大いにある。厄介だな、ジオンではようやっと次期主力MSのプロトタイプが生産が開始された所だ。しかも手持ち武器はビーム兵器なのだが、本体の生産が決まったにも関わらず、まだ開発中なのだ。この偵察で開発が進むといいのだが。

 

『少佐、連邦のMSなのですが』

「なんだ?」

『たった今、三機目のキャノン型が確認されました。もしかすると、他の二機も同じ数だけある可能性が……』

「ふむ、そうすると単純計算でMS一個中隊はあると?」

『かもしれません』

「……厄介だな」

 

一個中隊だと?冗談ではない!あの新型戦艦にそれほどの積載能力があるというのか!ジャブローに行く予定なら大気圏突入能力もあるはずだ。そんな物をノコノコと持ち帰らせる訳にはいかんな。よし。

 

「ジーン、聞こえているか?」

『はい、聞こえます少佐』

「連邦のMSが一個中隊ある可能性が高い。我々はこれを脅威とし、今から連邦の基地を叩く。出来るだけの破壊活動をして戻ってこい。」

 

しばらく沈黙が続く。その後に帰ってきた言葉には分かりやすい程の焦りが伝わってきた。

 

『しょ、正気ですか少佐?!我々の任務は偵察では━━』

「古来より、偵察任務が威力任務に変わる事は多々ある事だ。それに連邦のMSの一機でも持ち帰ったらジオン十字勲章ものなのは確実だ。二階級特進も夢ではないぞ?」

 

 




鬼畜アズナブルここに極めり。
こ、これが歴史の修正力って奴かぁー!
(一兵卒感)


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第8話 ジーン(転生)の死亡フラグ

たった1話公開しただけでUA1万行くとは思わなんだ。ご観覧頂き、ありがとうございます!
ほんの少し長めです。


おい、コイツ今なんて言いやがった???

 

 

 

 

 

『我々はこれを脅威とし、連邦の基地を叩く』

 

 

 

 

 

だとぉぉぉぉぉぉお!!!?

 

 

 

ふざけるな!

 

今までの!!

 

俺の努力は!!!

 

一体!!!!

 

 

何だったんだよぉ!!!!!

 

 

 

『聞こえているのか、ジーン伍長』

「……はい、聞こえています」

『デニム曹長も大丈夫か?』

「はい、大丈夫です」

『スレンダー軍曹は?』

「聞こえています」

 

どうしよう、上官命令じゃ断る訳にはいかない。ランバ・ラルみたいに上官の命令を突っぱねる度胸は無い。しかし、せっかく回避した死亡フラグをマザコン野郎に修正されては困る。修正するのは8年後のニュータイプ少年にお願いします。

 

『ジーン伍長とデニム曹長はそのまま敵基地を破壊。スレンダー軍曹は退路の確保、及びできる限りの撮影を頼む』

「はっ」「了解」

 

時間が無い。どうすれば死亡フラグをへし折る事が出来るのか、どうやれば戦闘せずに済むのか……

 

『ジーン伍長、聞こえているのか!』

「……」

「おいジーン、返事をしろ!」

 

 

 

待てよ、へし折るのが無理なら……

 

 

 

「少佐、一つ提案があるのですが……」

『なんだ?言ってみろ』

 

生か死か。一か八かの博打に出る

 

 

 

「少佐、連邦のMSを奪いませんか?」

 

 

 

一瞬、場の空気が凍る。

MSのパーツが盗めたら御の字だが、逆に言えばそれが関の山である。ましてやMSごと盗むのはいくら無能な連邦軍とはいえ許してはくれないだろう。でも電撃戦ならもしやすると……

 

「じ、ジーン!ふざけた事を言うんじゃ━━」

『ほう、どうやって盗むというのかね?』

「しょ、少佐?」

 

ここで一気に攻勢に出る

 

「少佐もこちらに来て連邦の基地を叩くのですよ。その間に我々がMSを運搬します」

「正気かジーン!そんな作戦少佐が許す訳が」

『話を続けてくれ、やるかどうかは後で決める』

「少佐ぁ……」

 

情けない声を出す曹長を無視して話を続ける

 

「少佐がこちらへ来るまで我々は基地を叩きます。少佐が来たら赤い彗星として存分に暴れまわってる間に我々がMSの強奪をして撤退します。ファルメルにもベイブリッジ付近を攻撃して撹乱して貰えるとありがたいです」

『この私をオトリとして使うとはな……』

「じ、ジーン、貴様……」

 

曹長は怒りというより焦っている。少佐の作戦に伍長が喰って掛かってるんだからそりゃそうだ。

 

『…………』

 

少しの間沈黙が続く。私は最後の一押しをする。

 

「少佐、先ほど言ったじゃないですか。『連邦のMSの一機でも持ち帰ったらジオン十字勲章ものなのは確実だ。二階級特進も夢ではないぞ?』と」

『あれは景気づけで……』

「それに少佐、連邦のMSに乗ってみませんか?鹵獲すればソロモンに着くまで存分に楽しめますよ?」

 

 

 

 

 

 

 

『……まさか君がここまでのたらし屋だとは思わなかった。負けたよ。実は君たちが帰還したら私もそちらへ偵察に行く所だったから、その手間が省けたと思えばいい。』

「提案の採用、ありがとうございます!」

「……」

 

曹長とスレンダーの返事がない。まるでしかばねのようだ……生きているのか?

 

『よし、善は急げだ。ドレン、ここからMSで全速力でサイド7まで行ったら何分掛かる?』

『少佐のMSなら三十分あれば』

『よし、各員時間合わせ』

 

時計を見る。時刻は午前8時43分だ。

 

『時刻は0843で合っているか?』

「「「合ってます」」」

『グリニッジ標準時間0850にて敵基地襲撃、及び敵MSの鹵獲作戦を開始する。襲撃は先の通り、ジーンとデニムにやって貰う。スレンダーも侵入口の確保を頼む。私が来たら、二人はMSの鹵獲を頼む。この作戦はもしかすると、歴史の1ページに刻まれる戦いになるかもしれん。作戦の成功を祈る。ジークジオン。』

「「「ジークジオン!」」」

 

 

 

 

 

 

さて、ここで一人会議。

まず、あの鬼畜天パでお馴染みのアムロ君の所在だけど、フラウと一緒にエレカーに乗って避難していたからあの家には居ない。細かな違いはあれど、基本的にはアニメ版基準で進んでいるから多分、ガンダムの研究データとか沢山あるはずだけど基地から居住区まで意外と距離があるので、

「あーやっべーきょじゅうくにまちがえてきちゃったーてへ♥️」なんて事は出来ない。

次に盗むMSだが、これはもう"アレ"しかない。モチのロン、ガンダムだ。しかし結局ガンダムの二号機は盗まれる運命なのね……

しかし本当にどうしよう。俺達が暴れまわったらアムロ含むコロニーの住民達がホワイトベースに向けて走り出すけど、そいつらを見境なくザクマシンガンをぶっぱなすってのは心苦しい。だって、記憶が正しいのなら前世は普通の会社員だったはず。戦闘経験は勿論、"人殺し"なぞやった事なんて無い。論理的に、進んで非人道的行為はしたくない。でも基地襲撃も沢山の連邦兵士を殺す事になるはずなので結局変わりはないのだが……

 

 

 

うん、こういう時は深く考えない。もうどうしようも無い所まで来ちゃったのだから。かの超A級スナイパーも「人を殺すと考えるのでは無く、事を済ませると考えろ」って感じの事を言っていたはず。俺はもう、明日へ向かって生きるしかないのだ。悲しいけどコレ、戦争なのよね……

 

「ジーン聞こえるか?」

「はい、何でしょう?」

「これから作戦の役割を決める」

「はい」

「ジーンはMSがある倉庫を攻撃してくれ。私はベイブリッジ付近を攻撃して撹乱させる。そして少佐のMSが来たらめぼしいMSを二人で奪取してスレンダーの元まで行き、我々は撤退する。いいな?」

「はい曹長」

 

よし、これならガンダムの元へ楽に行けそうだ。

 

「弾はあるか?」

「はい、1パレット分キッチリあります」

「MSの状態は?」

「オールグリーンであります」

「よしあと一分だ、気を引き締めろ」

「了解!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦時間まで1分を切る

二人に緊張がはしる

 

 

 

 

 

 

 

 

50…………40…………30………

 

 

 

 

 

安全装置を解除し、攻撃準備をする

 

 

 

 

 

15…………10…………

 

 

 

 

 

MSを連邦の基地へ照準を向ける

 

 

 

 

 

3……2……1……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシュン!

 

 

 

ドカーン! バーン! チュドーン!

 

 

 

ガンキャノンの上半身が横たわる。ガンタンクの上半身が勢い良く転げ落ちる。爆発と共に燃え上がる。♪燃えあがれーなんだこれ?結構……

 

"カイカン"

 

じゃないか。よっしゃ、ぶっ壊し回ろう。

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、近いぞ」「隕石じゃないの?」

シェルターに避難していた人達がどよめく。そこに一人の少年が居た。その少年は勘づく。

 

「こ、この振動の伝わり方は、爆発だ」

 

「じ、ジオンだ。ジオンの攻撃だ」

 

ここは危ない。このままではそのうち爆発に巻き込まれて自分たちは死ぬ。ふと自分の父親が軍人なのを思いだし、もしかしたらと考えて立ち上がる。

 

「き、君。勝手にここを出ては皆の迷惑に……」

「父が軍属です。こんな待避カプセルじゃ持ちませんから今日入港した戦艦に乗せてもらうように、頼んで来ます」

 

中年の男はやめるよう言ったが、その少年は扉を閉めてくれと言い残し待避カプセルを後にした。

 

 

 

 

 

作戦開始から10分経過

シャア少佐到着まであと20分

 

作戦開始から10分が経過した。え?10分?まだ10分しか経ってないの!?結構ボコボコにしたよ?有線誘導ミサイルさえ当たらなければ、守備隊の装甲車なんてへのへのカッパだから存分に暴れまわったけど、まだそんなもんなのか。

 

「よし、そろそろベイブリッジに行く。何かあったら直ぐ連絡をしろ」

「了解であります」

 

曹長のザクがベイブリッジ付近まで飛んでいった。よし、俺も基地破壊に精を出しますか。しかし避難カプセルってどこにあるんだろうか?機動戦士ガンダム一年戦争をもう少しプレイしておくべきだったな。

 

 

 

 

 

 

 

少年が待避カプセルを出ると、すぐ左にザクが居た。ジオンのMSだ、と騒ぎだす避難民たち。

 

「こ、これがジオンのザクか……」

 

テレビでは観たことがあったけど、まさか生で見るとは思わなかった。思ったよりも大きくて少しビックリした。いや、そうじゃない。親父を探さないと。乗ってきたエレカーで探しに行く。出発して直ぐに軍のエレカーとすれ違ったので乗っていた軍人に親父の居場所を聞き出す。

 

「貴様、民間人は待避カプセルに入ってろ!」

「技術士官のテム・レイを探しているんです。どこに居るんですか?」

「船じゃないのか?」

 

そうか船か、そう言う軍人の言うとおり戦艦に行こうとしたが、その矢先に有線ミサイルが飛んで来る。咄嗟に地面に突っ伏し顔を伏せる。物凄い爆発音と熱風が伝わってきた。そしてそれがおさまり、ゆっくりと軍人が居た場所に目を向けると、そこは廃墟と化していた。し、死んでる……さっき質問に答えてくれた軍人の姿はそこには居なかった。まずい、早く親父の居る戦艦に行かないと。立ち上がり、逃げようとした時にふと、足元に落ちていた本に気づいた。それを手に取り読んでみる。これは……ガンダムの極秘資料だ。間違いない、親父の部屋で見たものとほぼ同じだ。やっぱり親父は連邦のMSを作っていたんだ。少年はしばらく父親を探すのを忘れてその場で極秘資料を読み漁っていた。

 

 

 

 

 

 

作戦開始から20分経過

シャア少佐到着まであと10分

 

いやぁ、かなりボコボコにしましたよ?チョロチョロ出てくる守備隊を殲滅しながらタンクやキャノンをこれでもか、ってダメージ喰らわせましたけど、一体ガンダムのパーツが入ってる倉庫ってどこなんだ?とにかく、しらみ潰しに倉庫をぶっ壊しているけど、何か感触がイマイチなんだよなぁ。ガンダム二号機は無傷で持って帰るので何もしていないけど、早く少佐が来ないとあの鬼畜天パが乗り込んでしまう。その可能性だってまだ大いにある。早く来てくれないかなぁ。そんな事を思いながら有線ミサイルを撃ってくる装甲車に鉛弾をお返しする。釣りは要らない、取っときな。

 

 

 

 

 

 

「早く武器を!ホワイトベース、コアファイター発進出来ませんか!」

「出来る訳無いだろ!サイド側の壁はザクの攻撃でこれ以上開かないんだ!民間人が通るので精一杯だ!」

 

ホワイトベースの艦長、パオロ・カシアスは内心焦っていたが、それを表立っては出さずに淡々と現状確認をする。

 

「戦闘員は全員出たのか?」

「はっ!パイロットもガンダム収用に下ろさせました」

「……サイドの中から攻撃とはな」

 

ジオンの船に付けられていたのは分かっていたが、まさかコロニー内で戦闘を行うとは。頭を痛める老兵だが、休んでる暇は無い。ここで指示を出して腰を据えなければ、艦長失格だ。今はパイロットやガンダムが無事なのを祈るしかない。

 

 

 

 

 

 

作戦開始から30分

シャア少佐到着予定時刻

 

『よし、もう少しで着く。スレンダー、準備をしてくれ』

「了解」

『デニムとジーンも警戒を怠るなよ』

「了解です」「大丈夫です」

 

やっと来てくれた。思わず安堵の息をつく。ガンダムが無傷でてに入る。ジオン十字勲章は確定。あのガルマ・ザビでさえ、大部隊を率いても手に入れられなかったあの、ガンダムが、ついに、我々の手に入るのだ!曹長もベイブリッジの攻撃を終えてこちらに合流した。

 

「よし、少佐はもうすぐでこっちに来る。それまで気を抜くんじゃないぞ」

「分かってますって。でも守備隊はもう殲滅したといっても━━」

 

 

 

ズガガガガガガガガ

 

 

 

へあっ?!まだ守備隊が居たのか!?にしても攻撃が装甲車のマシンガンとは少し違う。あの方角はガンダムしか居ないはず……

 

 

 

 

 

ガンダムしか……

 

 

 

 

 

ガンダム……

 

 

 

 

 

ガンダム……しか……

 

 

 

 

 

 

 

ガンダムぅ?!!




♪~(第1話アイチャッチの音)

ジーン(転生)はフラグから逃げた!
しかし、ガンダムに道をふさがれた!


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第9話 ガンダム大地に立っちゃった

よーし、パパ四連休だから頑張っちゃうぞー



「で、デニム曹長!て、敵のMSが動きました!」

「な、なに!?みんな部品ばかりだと思ったが……」

 

ま、間違いない。あの攻撃はガンダムのバルカンだ。あの打ち方はド素人。しかし、その

"ド素人"

の中身が大問題だ。あれは絶対にあの鬼畜天パことアムロ・レイが乗り込んでいる。

ガンダムの左足が地面に着く。あっヤベェ、なんかガンダムの足音聞いただけで背筋が凍ってきた。ジオニックフロントや戦士達の軌跡のやり過ぎかな?

ガンダムの上半身がのそっと上がってきたところでマシンガンを放つ。うん、効かないね。カンカンカン!でガンダム爆発したら万歳三唱なんだけどなぁ。まぁ、攻撃が効かなくても、モノアイカメラで録画撮影をして記録を残しているので、これはこれでいいのだ。とりあえず、あのセリフを……

 

「な、なんてMSだ。ライフルを全く受け付けません!」

 

 

 

「見てろよザクめ!」

 

あのザクが、無関係なコロニーの住民や、フラウの家族まで奪っていったんだ!

くそっ、ザクのマシンガンを耐えられる程の装甲があるのはいいけど、どうやって攻撃すればいいんだ?と、とにかく立ち上がらないとこのままじゃ、やられる。右レバーのボタンを押せばバルカンが出るから今はそれでやっつけるしかない。何とかしないと……

 

 

 

 

守ったら負ける!!攻めろ!!!銃身が焼きつくまで打ち続けるんだ!!といったところでデニム曹長の抑止が入る。

 

「少佐が来るまでに殺られては意味が無いぞ!ここは一旦退くんだジーン!」

 

なに言ってるんだコイツ!ガンダムの恐ろしさを知らないからそんな呑気な事が言えるんだ!

 

「何言ってるんです!ここで倒さなければ、ジオンは滅亡します!!」

「な、何を言っているんだ?!ジーン、とにかく落ち着け!……うわっ、立った!」

 

あっ、聞こえる。あのBGMが聴こえてくる。あのガンダムが立ち上がって希望の光が見えてくるあの音楽が。俺達にとっては絶望のどん底に突き落とされる音楽だが。おっと、そろそろまた撃ってくるはずだ。よっと

ズガガガガガガガガ

相手の武装が分かっていれば結構、弾筋って見えるもんだね。にしてもこっちはマシンガンで頭部とか狙っているけど全っ然効いてる様子がない。お、弾切れだ!よっしゃ!こっちもマガジンが空になったから白兵戦に持ち込むぞ!弾が尽きたザクマシンガンをガンダムに投げつける。ガンダムはろくに避けれずに当たって怯む。

 

「遅い!」

 

ザクのタックルがガンダムにヒットする。するとガンダムがバランスを崩してその場で倒れる。俺は、この時を待っていたんだ!すぐさまヒートホークを持ち、ガンダムに振り掛かる。1発、2発と確実にダメージを与える。へへっ、いくら装甲が厚くたって……これ、効いてる?何となく当てた所焦げて傷が付いているけど、これ本当にダメージ通っているの??でも振り続けるしかない。だってアムロが乗っているんだもん。ガンダムを持って帰る前にアムロ君に宇宙世紀から退場してもらわないと、私の第2の人生がここで潰れてしまう。私はヒートホークが使える限り振り続ける。

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

なんなんだあのザクは!いきなりマシンガンを投げつけてきたと思ったらタックルしてきて、今度は斧で攻撃してくる!このままじゃガンダムが持たない!どうする?何か武器があるはずだ。武器は……ん?ビームサーベル?これか!よし!

 

 

 

 

 

おらっ!おらっ!はぁ、はぁ、はぁ……

 

おぅらっ!死ねぇ!はぁ、はぁ、…………

 

 

 

なんなんだ!もう!本当に本当にっ!

おかしいだろ!ガンダムの装甲厚すぎ!

化けもんどころの話じゃねぇよ!

くそっ!何がいけないんだ!

もう、訳がわかんねぇよ!!

 

 

 

落ち着け……

戦場で落ち着きを失った奴が先にやられる……

 

 

 

 

よし、見えてきたぞ。

ガンダムが倒れて、ヒートホークを振り下ろして攻撃していたけど、上手く当てられていなかったみたいだ。だからかすり傷みたいな跡しかないんだ。まぁ、対MS戦用の格闘モーションが無いのは仕方ないよね。そんでもってガンダムが今バルカンを切らしていて残っている武器は……

 

 

 

ピィキュイーン

 

 

 

そうそう、ビームサーベル……

 

 

 

 

って、へあぁぁっっっっっっ!!!!

 

 

咄嗟にザクを後退させる。おもいっきりスラスターを噴き、回避を試みる。そして轟音と共に地面に倒れこんだ。ぎ、ギリギリセーフか?ん?なんだ?何でザクの右腕があんな所に……

 

え?斬られた?もしかして斬られたんですか?やばない?あの態勢から上体起こして斬られるって、もう無理ゲやん。勝ち目ないやん。どないせえっちゅうねん。と、とにかく立ち上がってから考えよ。後は何とかなるやろ。知らんけど。

 

「ジーン、スレンダーが待っている所までジャンプ出来るか?」

「バランサーは正常なので行けます。ジャンプします!」

 

 

 

「逃がすものかぁっ!」

斬りつけたザクが逃げようとしている。かなり高くまで飛び上がったけど、絶対に逃がしはしない!知らず内に上昇ペダルを踏みつけて逃げるザクを追いかける。これでトドメだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 

あああああぁぁっ!!!!!

 

 

 

終わった……俺の第2の人生はたった3日で終わった……もう逃げられない。もう、逃げられ……ハッ

 

 

 

 

 

ピィキィン

ジリジリ

バシュイン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダダン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュドーーーン!!!

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ……」

 

 

 

 

 

「じ、ジーン!!!応答しろ!ジーーーン!」

『ちいっ、遅かったか!』

「しょ、少佐ぁ!何故遅れたんですか!!今頃来たって遅いんですよ!!!」

『すまない、サイド7のパトロール隊に出くわして対処した為に少し遅れてしまった』

「畜生!俺がちゃんとマシンガンを当てていたらジーンは……」

『よせ、過ぎた事はもう戻らない。』

「しかし……」

『気持ちは分かるが、今はあの白い奴を何とかして倒さねばならない。気持ちを切り替えろ』

「はい……」

『よし、これはジーンの弔い戦だ。ジーンの為にもあのMSを倒すぞ!』

『はい!』

「生きてるよー」

 

 

 

 

 

「『!???!?!???』」




その時、歴史が壊れた!


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第10話 宿命の対決 赤VS白

Q.どうしてこんな連投するんですか?
A.四連休でスラスラ書けるから

Q.どうしていつもこの調子で書けないんですか?
A.仕事がキツイ。


「じ、ジーン!!生きていたのか!!!」

「おかげさまでね……」

『……もしかして、脱出が間に合ったのか?』

「本っ当にギリギリでしたよ。あと1秒遅れていたらオダブツって所でしたよ」

 

そう、ザクⅡには脱出装置がある。これは旧ザクに脱出装置を設けなかった事により試験中に多大な死者が出て「やっぱ、脱出装置っているよな?」って感じで作られた。戦闘機にすら設けられているのに、どうしてザクⅠにはついてないんだろうね?まぁ、ザクⅡを設計してる時に思い付いてなかったら、私はここに居ないけどね。感謝、感謝。

 

「少佐、もしかしたら見ていたかもしれませんが、あの白い奴の強さは侮れませんよ。あのビームサーベルでザクの右腕が無くなりましたから」

『にわかには信じられんな……』

 

少しは部下を信じろよマザコン野郎。

 

「私はパラシュートで降下しています。地上に降りたらMSを奪いに行くのであの白い奴の気を引かせて下さい」

「正気か!?あまり無茶をするんじゃないぞ!」

「どうせこのままじゃ、スレンダーの元へも行けませんよ。だったらMSを奪う方が効率がいいですから」

『分かった。何とかこちらで奴を対処する。デニム曹長もジーンを援護してやってくれ』

「はっ!」

 

 

 

 

 

ザクの破片と斬られた右腕が辺りに散らばっている。どうやらジーンの言っていた事は嘘じゃないらしい。ふむ、ビームサーベルか。たしかドムの近接武器はヒートサーベルがあったが、まさか近接武器もビームとは……恐ろしいな。

 

 

 

 

 

な、何なんだあの赤いザクは!新型か!?でも他のザクと姿は同じだ……という事はもしかしたら指揮官機なのか?ぼ、僕で太刀打ち出来るのか?……そうだ、僕にはガンダムがあるじゃないか!これがあればあんなザクなんて!

 

 

 

 

 

さて、ジーンの脱出が無駄にならない内にあのMSを料理するとしよう。ジーンもいい線まではいったが、やはり実戦経験がものを言う世界だ。よし、やるか。

ジリジリと距離を詰める。奴もこちらに気づいたようだ。ッ!いきなり走ってきた!中々速い。そしてあのビームサーベルは……なるほど、確かに威力がありそうだ。私の後ろにあった10メートル程のビルが斜めに斬られている。侮れん。また来た。甘い!……何なんだ?連邦のパイロットにしては、いやそれ以前に戦い方が素人ではないか。どれ、一つ試してみるか。

シャアザクのお得意芸のキックをお見舞いする。無論、ガンダムは避けられず、もろに攻撃を受けて吹っ飛ばされる。続けざまにマシンガンを当てる。流石にここまですれば動けまい。

 

「どうだ!……バカな、直撃のはずだ!」

 

何というMSだ!コックピットに直撃したマシンガンを跳ね返しただと!?冗談ではない!こうなればヒートホークで奴の急所を狙うしかない。奴が立ち上がるのを待ってから討つ!よし、そうだ、そのまま立ち上がって……死ねぇ!

ガンダムが立ち上がるのと同時にシャアザクが追い討ちをかける。当然、アムロは対応出来る訳もなく、攻撃を許してしまう。首元から僅か30センチ離れた肩にヒートホークを受けてまたもや倒れこむ。ちいっ、ずれたか。

……奴が動かない。やったのか?いや、油断はするな。そんなヤワな代物ではないのはさっきの攻撃で分かった。基地守備隊は沈黙しているようだから戦いに集中出来る。あの二人には感謝しないとな。……遅いな。

 

 

 

 

 

はぁ……はぁ……はぁ……

 

い、生きているのか?

あんな攻撃を受けてまだ壊れないのか……

それは助かっているけど……

ただ、赤いだけのザクなのに、どうしてあんなに強いんだ?ザクがあんなキックをするのか?

勝てるのか……?

 

 

このままじゃ……

 

 

 

 

……勝てる、のか?

 

 

 

 

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

 

 

 

 

……このままじゃ、負ける。

 

 

 

早く脱出しないと……

 

 

 

僕は死ぬ……

 

 

 

ごめんよ、フラウ……

 

 

 

仇を討てなかった……

 

 

 

 

 

こんな僕を許してくれ…………

 

 

 

 

 

アムロは泣く泣くハッチを開けて外に出る。シャアもそれに気づいて降伏勧告をしようとしたが、それが出来なかった。アムロは軍人ではなく、民間人だからだ。そしてパッと見で歳は15,6に見えたので更に驚いた。こんな少年がジーンのザクを撃破したのか、と。それに気づいたシャアは知らず内に手が震えていた。呆気に取られていたが、やることをしなければならない。無線をスピーカーモードに切り替える。

 

「貴様、軍属か?」

「ち、違います……」

 

やはりか……

 

「ほ、捕虜になるんですか?」

「いや、君は軍人じゃないから南極条約は通用されない。このような場合、民間人はその国の法律が適用される」

「と、いうと……?」

「君は連邦軍のMSを勝手に乗って基地内で派手に暴れ回っていた。連邦軍の兵士にも死者が出ているはずだ。ただでは済まないだろう」

「例えば、どんな……」

「はっきり言おう。君は人を殺した。警察に捕らえられたら死刑は確実だ。しかも君は連邦軍の最重要機密であるMSに無断で乗った。いや、盗んだのだ。連邦軍に捕まったとしても死刑は免れないだろう」

「ひ、人殺、し……?」

「そうだ。君は人を殺したんだ」

 

アムロは酷く混乱していた。自分が人殺し?あの二機のザクと同じ事をしていたのか?僕が?どうして?何で?何で同じになったのか?

考えれば考える程、頭が締め付けられるような痛みに襲われる。一気に色んな情報と感情がごちゃ混ぜになって訳が解らなくなってくる。僕は……僕は、あいつらと僕は、僕は僕だ。僕は人殺しじゃ無い、でも僕は、僕は僕は僕は………

 

うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

 

「お、おい!何処へ行く!」

 

……行ってしまった。頭を抱えながらそのまま走り去ってしまった。MSから走り出したので地面に落っこちたが、態勢も何も気にせず何処かへと消えていった。ちと、やり過ぎたか?いやしかし、私にどうしろというのだ?流石に民間人を射殺するのはマズイからな。

 

『少佐!聞こえますか!』

「じ、ジーンか?聞こえるぞ」

『今から私はあのMSを奪います。無事に動かせたら私はビーム兵器を奪ってから撤退します。少佐は援護して下さい』

「あ、あぁ。分かった」

 

いつから居たんだ?守備隊が壊滅したとはいえ、そこら辺にはまだ連邦兵士だって居るだろうに……

 

 

 

しかしこの男も悪運が強いな。




勝者 シャア・アズナブル
決まり手 思春期少年の逃亡(恵まれ)


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第11話 ガンダム破壊命令

第一ラウンド
シャア・アズナブルVSアムロ・レイ
(シャアザク)     (ガンダム)

勝者 シャア・アズナブル
勝因:恵まれ



やっったぜぇ!!!!!

少佐のおかげであの鬼畜天パが居なくなったぞ!これでガンダムを奪えば二階級特進、十字勲章でイイ感じぃ~!って奴だね!ガンダムを奪った後はビームライフルの場所を探しだして、とんずらすればいい。やっと、やっと恵まれたぜ……感無量だねぇ……

よっこらせ、っとガンダムに乗り込む。おっ、V作戦の極秘資料もあるじゃあないか!きっとアムロがこれ持ってガンダムを動かしていたんだな。資料に目を通し、資料の通りにハッチを閉めて起き上がる。おお、見事に立ったよ。感慨深いね。

 

「大丈夫か?」

「はい、動かせます」

「ならいい。連邦も黙っちゃいないだろうから、早いとこ撤退するぞ」

「了解!」

 

えーと、ビームライフルはどこにあるんだ?ちらほらと残っている倉庫をしらみ潰しに探す。うーん、これか?……えい。倉庫の屋根を左手で払いのける。ビンゴ、どうやらこの倉庫はガンダムの武器庫らしい。ビームライフルと、ついでにガンダムシールドも貰って行く。よっしゃ!ガンダムフル装備だぜぇ!(バルカンは空だけど)

 

「少佐!ずらかりましょう!」

「分かった、殿は任せろ。デニムは先に行って退路を確保してくれ」

「了解です!」

 

よっしゃ、後はスレンダーの元へ行くだけだ!

ジーン(転生)、行きま━━━━

 

『自爆コードが入力されました。この機体はあと60秒で爆発します。搭乗者は脱出して下さい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうした?何か問題でもあったのか?」

 

 

 

 

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 

 

 

「どうした!?何があったんだ!」

 

アイエエエエ! ジバク!? ジバクナンデ!?

 

「し、少佐ぁ!ヤバいですよ!この機体あと50秒で自爆します!!」

「なんだって!?!」

 

 

 

 

 

「間に合ったか?」

「はい、何とか……」

 

良かった。万が一に備えて作った自爆コードが無事に作動したようだ。私の理想のMSであるガンダムを自爆させるのは心苦しいが、ジオンの手に渡るぐらいなら自爆させた方がマシだ。

 

「他のガンダムは無事か?」

「この基地の状況だと保証は出来ません……」

「そうか……ザクは撤退していくようだ。今のうちに確認しに行こう」

「大尉、あまり無茶をしないで下さい!まだジオンのMSはコロニーの中に居るんですよ!」

「基地がこんな状況だぞ?ゆっくりしている暇は無い。他のRXシリーズも出来るだけホワイトベースに積み込め」

「……はっ!」

 

ガンダム一号機がある倉庫に行く。すると倉庫の屋根が半分ほど剥がれていた。あのジオンの仕業か。曲がって開かないドアを蹴っ飛ばして中に入る。ビームライフルが一丁失くなっている。ついでにガンダムシールドも一つ持ってかれたようだ。しかし奇跡的に一号機は無事なようだ。

 

「レイ大尉、テム・レイ大尉!」

「どうした?」

「ガンダム三号機の倉庫はメチャクチャにやられていて動かせそうにありません……」

「そうか……」

 

一応ホワイトベースからガンダム回収の為に来たパイロットが来る予定だったが、ジオンが暴れ回っていたせいでガンダムが一つも運び出せていなかった。幸い、と言っていいのか分からないが、ギリギリ二号機の武装一色は積み込みが間に合ったので、ガンダムは戦闘が出来る。外で待ち伏せているジオンの船をはね除けるかは保証出来ないが。

通信がきた、他のガンダムは大丈夫だろうか……

 

「大尉!ご報告が!」

「今度は何だね?」

「その……大尉のご子息が連邦の兵士に保護されていると……」

「なに!?それは本当なのか!」

「えぇ、基地の外にある森に居たようで……」

「…………」

「大尉?大丈夫ですか大尉!もしもし、大尉!」

 

 

 

 

どうしてそんな所に……

私はホワイトベースに行けと言ったはず……

何で森の中に……

 

 

そういえばガンダムは誰が乗っていたんだ?

あの動きは素人そのものだったが……

 

 

 

まさか……

 

 

 

まさかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

ああああああ!もうこうなりゃやけっぱちでい!!とにかく脱出じゃ!!!脱出?どうやって?あと30秒しかないよ???とりあえず工事用のハッチまで来たけどスレンダーがどんくさいせいで中々外に出れない。

 

「俺言ったよな?!脱出するから工事用のハッチを両方開けておけって!!!」

「そんな事したらコロニーの空気が抜けて大変な事になりますよ?」

「知っとるわ!!!ドアホ!!!!!お前は俺と一緒に地獄に落ちたいのかぁ!!!!!!」

「ヒェッ」

 

ちなみに先に行ってたデニム曹長はガンダムのスピードに追い付けなくて抜かしちゃいました。そろそろ追い付くはずだけど。

やっとこさハッチが開く。と、同時にコロニーの空気が抜けてくる。物凄い勢いで出てくるので俺とスレンダーが外へ吹っ飛ばされる。とにかくその勢いで外に出ると早速ガンダムからの脱出を試みる。えーと、これかぁ!ガシャンコ

 

パシュン!

 

ガンダムのAパーツとBパーツが離れた。

 

違う!そっちじゃない!!

 

チラッとタイムリミットをみる。

 

 

 

自爆まで

あと8秒

 

 

 

げぇっ!!

 

あと8!えーとえーとえーと……これかぁ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュドーーーン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「 …………… 」」」

 

本日二度目の爆発をみる。何か言葉が出ない。

あんな爆発に巻き込まれたら流石に死んだだろう、という諦めと悲しみの感情と

あいつの事だからもしかしたら生きてんじゃね?という半ば呆れた感情がごちゃ混ぜになって、もう訳が解らなくなっているのである。

 

 

 

ちなみにガンダムの核融合炉(タキム重工製)はガンダムのランドセルに2つとコアファイターに2つ、腰部にサブジェネレータ1つの計5つが搭載されている。だからそれが爆発するとなると、それはそれは見事なピンク色の花火になる。玉屋~

そんなもん見せられたら普通、「あ、これ死んだわ」ってなるのが"普通"なのだ。普通なのだが……

 

 

 

三人は仕方なくジーンを探しに行く。

 

 

 

まさか、強奪した連邦のMSが自爆するとは……私とした事がその可能性を忘れていた。肝心のMSは爆発してしまったが、私のザクは白い奴のビームライフルとシールドを持っている。ジーンが脱出する際に渡した、というか押し付けてきたって感じだったが。一応ジーンの行動は理解できる。一緒に爆発したら折角盗んだ意味が無くなるからだ。焦ってた割には意外とそういう知恵が回った事に少し驚いてる。これを持って帰れば一階級特進かな?ジーンは二階級特進になりそうだが。

 

 

 

 

 

捜索開始から10分が経った。サイド7から結構離れて来た。連邦軍が追ってこないかを警戒しながら探す。今の所救難信号はキャッチ出来ない。一応ファルメルにも探して貰っているが、向こうの反応も同じだった。

 

 

 

 

 

捜索開始から20分が経過した。やはり死んだか。あの爆発じゃ、やはり生きてる訳が━━

 

「少佐!連邦の救難信号が出ています!」

「何っ?!本当かスレンダー!」

 

とにかく信号が出ている場所へ行ってみる。生きてるのか?あんな爆発に巻き込まれてか?そりゃ、生きていてくれるのはありがたいが、流石にちと怖いぞ?幽霊で出てくる方がマシなんじゃないか?

 

白い光が点滅してるのが見えてきた。そこに奴は居るのか?スーッと近づくと何か聞こえてきた。

 

 

 

「ザッザ………ザッ……」

「ジーンか?ジーンなのか?」

 

 

 

「しザザッ…ザッザッきザッ………」

「ジーン伍長、応答を!」

 

 

 

 

「聞…えmザッ…かー」

「 …… 」

 

 

 

 

 

やがて通信が鮮明に聞こえてくる。

 

 

 

「少佐ぁ~遅いですよ~このままだったら干からびてミイラになる所でしたよ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「 …………………… 」」」

 

 

 

この男のしぶとさに三人一致で呆れていた。




※テムさんが生き残った理由
ジーンのザクが爆発した場所がコロニーの中心付近(原作よりだいぶ上)だったのでコロニーに穴が開かずに済んだおかげです。


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第12話 ジーン(転生)の療病

読者「更新がない。作者はしかばねになったようだ……」

作者「生きてるよ~」

という訳でほのぼの回です。


ベッドの上からコンニチワ。ジーン(転生)です。

あの後、少佐達に救出されてガンダムのパーツらしき物を回収しながら帰ってまいりました。帰還したら即、軍医から色んな所を診察されてベッドに直送されました。軍医曰く「過度の疲労はあるがそれ以外は健康」と言われました。そんでもって1日点滴つけてベッドに横たわって療病しています。久々の休みだヤッター

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

暇やなぁ……

 

 

 

な~~~~~んにもする事がない。

今頃少佐はドズル中将にV作戦の報告でもしてるんかなぁ?は~一度ドズル中将見てみたいわぁ~メッチャ迫力あるんやろなぁ~

 

 

 

………

 

 

 

今日は色々ありすぎた。もうどうしようもないぐらいイベントが起こり過ぎた。ジーンの死亡フラグをへし折るのにこんなにも死線を潜り抜ける必要があったのか。だって九死に一生を二回も体験したんだぜ?その二回はたった30分にぎゅぎゅっと詰め込まれているとした普通どう思うよ?もう俺、どうでも良くなっちゃって半ば放心しながら少佐達の迎えをまっていたよ。パイロットスーツのエアーは持って三時間だから、あのまま見つからなければ本当に干からびてミイラになる所だったからなぁ。感謝、感謝。

 

 

 

しかし転生したのが一昨日だとは思えない。静と動が激し過ぎてシートベルトで圧迫骨折しそうな位である。昨日までのんびりと訓練していたのがまるで嘘のようだ。

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

ザクⅡに脱出機能があって良かったなぁ。あれが無かったらここに居ないもんな。しかしガンダムのAパーツとBパーツが分離した時は流石に焦った。確かに通常時ならそれでもいいんだけどね。

結局持ち帰れたのは

 

V作戦極秘資料

ビームライフル

ガンダムシールド

ガンダムらしき装甲の一部

コアファイターのブラックボックス

 

だけ。

奇跡的にコアファイターのブラックボックスを回収出来たけど、その中身がコンピューターウイルスでしっちゃかめっちゃだったからなぁ。躍起になって解析班の人が何とかしようとしていたけど、努力虚しく排除出来なかったうえに過労で泡吹いて倒れたもんな。その彼は今、私のベッドの隣で寝ています。

 

あの自爆はもしかしたらテムさんお手製のプログラムなんだろうな。搭乗者と学習データを生還させる目的で作られたコアファイターを木っ端微塵に爆発させたもんな~

自爆が起動したのはテムさんがプログラムでも送信して送ったのかなぁ?イマイチよく解らん。少佐との無線を傍聴していたのかな?うーん……

 

 

 

もしかしたら神様の気まぐれだったりして

 

 

作者「クシュン!」

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

V作戦の極秘資料は流石と言っていい程の代物だったな。ガンダムの詳しいスペックは勿論、ガンキャノンやガンタンクのスペックもある。しかもコアブロックシステムの詳細、学習コンピューターの設計やそれに基づく量産型MSの概要まで。解析班達は物凄い雄叫びや発狂を繰り返し、中には鼻血を噴き出して貧血でぶっ倒れた者も居る。ソイツが今、俺のベッドの向かい側であへあへ言いながら寝ている。

 

 

 

 

 

……ジオンの技術者は変態しかいないのだろうか。

いや、"ヘンタイ"しか居ない(確信)

 

だって極秘資料の設計図を頼りにして無理矢理ザクに持たせて、エネルギー供給をファルメルから持ってきて(作れんのかい!)近くに中破して漂流してたサラミスに試射をしたら(撃てんのかい!)ピンポイントで推進部を狙えて爆発四散して、あまりの凄さに失神してぶっ倒れた奴が居る。

ちなみにだが、この病室には4つのベッドがある。もう分かるな?

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

それにしても暇やなぁ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、この成果で中将殿はお喜びになるかな?」

「大丈夫ですよ。きっと閣下も喜びますよ。」

 

シャアとドレンがモニターの前で喋る。ソロモンに居るドズル中将にV作戦偵察任務の報告をするためである。

 

「しかしよかったんです?"ホワイトベース"とやらがそろそろサイド7を出港しますけど」

「まぁ、ドレンの言いたい事は分かる。だが、これだけ成果があれば先に報告するのも悪くないと思ってな」

「その心は?」

「ザクの補給を貰って大気圏で勝負を仕掛ける」

「正気ですか?あんな所で戦うなんて、いくらなんでも無茶じゃないですか?」

「無茶なのは百も承知だ。大気圏突入となると隙が出来る。だから叩くのだよ」

「はははっ、やはり少佐は少佐でしたな」

「言ってくれる、ドレンには敵わんな」

 

「待たせたな」

 

二人は姿勢を正してモニターに映ったドズル中将に敬礼をする。中将も敬礼をして報告に移る。

 

「データはご覧になられましたか?」

「あぁ、全く連邦軍はとんでもないMSを開発してくれたな。しかもMS一個中隊を運用する前提の戦艦を作ってると来たもんだ。シャアに偵察に行かせて正解だったな。ただ、MSも奪えてたらもっと良かったんだがな」

「はっ、申し訳ありません。自爆となると流石にこちらも手が出せません……パイロットが生き残ってたのが不幸中の幸いと致しましょう」

「過ぎてしまった事は責めても仕方ないからな。MSの損失は1機だけでこれだけの成果があれば、少なくとも一階級特進は間違いないだろう」

「そう言って頂けると有難いです」

 

 

 

 

「それでこれからはどうするのか?戻ってくるか、それとも━━」

「勿論、追いかけます」

「はははっ!そう言うと思ったわ!」

「偵察は十分にやりましたが、このままではジャブローに逃げられます。補給を受けた後は大気圏突入のタイミングで奇襲をかけます」

「大気圏だと?かなり無茶をするな」

「百も承知です。運が良ければ撃沈。出来なくとも突入進路は変えられるでしょう」

「突入した後は地球に降りるのか?」

「コムサイで北米に降りた後、ガルマ大佐と連携を取って追いかけます」

「流石、赤い彗星のシャアといった所だな」

「ここまで来たなら、やってみせます」

「ガルマによろしくと伝えてくれ」

「はっ」

 

 

 

「それで、補給はザク1機だけでいいのか?」

「はっ、後は冷却材や食糧等の物資補給で十分であります」

「分かった、補給はパプアが向かう」

「パプア?あんな老朽艦で物資は足りるのですか?」

「それぐらいなら足りるだろう。すまんな、本当は新品のザクを送ってやりたいのだがな」

「仕方ありません、このような現状では補給を受けられるだけで有難いです」

「では補給隊には連絡をしておく。作戦の成功を祈る」

「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………何しよう。いや、本当にする事がない。

 

 

 

 

 

病室のドアが開く。

 

「ジーン、大丈夫か?」

 

デニム曹長が見舞いに来てくれた。良かった、寝るに寝れなかったのでいい暇潰しになる。

 

「この通りですよ」

「元気そうで何よりだな」

「こう見えて一日安静って軍医に言われましてね」

 

他愛もない会話が続く

 

「そうだジーン、伝えておく事があるんだ」

「何でしょう?」

「明日はパプアが補給に来る。その後は木馬を追いかけて大気圏で戦闘するらしい」

 

あんにゃろ、やっぱやるのか大気圏戦闘

 

「大気圏?また少佐は無茶させますね」

「いくらなんでも大気圏での戦闘は皆反対したけどな。上官命令だ、仕方ない」

 

前世の世界では無能な上司のせいで苦労する部下はごまんと居る。でも有能な上司のせいで苦労するって結構レアパターンじゃないのか?宇宙世紀の謎である。でもよく考えるとアレは自分の技量を他の人に求めすぎだと思う。だからバンバン部下が死ぬのよ(実際殺してるのは天パだが)

しかし明日補給かー新しい献立とか入らないか…

 

 

 

ん?明日?明日補給なのか?

 

 

 

 

 

もしかしてこれ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

補給艦叩かれない?




実史だと
サイド7内部

サイド7外
↓一日経過
ルナツー裏
で戦闘を行っております。
こうして見ると2回も攻撃を受けて反撃にでる血気盛んなホワイトベースクルー達でした。

PS.お盆の連投は期待しないでね⭐


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第13話 俺達の補給艦を守れ![前編]

_(꒪ཀ ꒪」∠)_やっと出来た……



補給だと?それはまずいな。確か原作だと、かろうじてザク2機を受け取ったが、その他補給物資は運搬直後にホワイトベースの支援攻撃やらガンタンクの射撃でやられて受け取れてないはず。そうなると永遠にディストピア飯を食う羽目になる。あのコックの親父さんに睨まれ続けなければならなくなるな……

 

 

違う、そうじゃない。

 

 

そもそも下手すれば俺達が出撃して殺られる可能性だってある。明日まで身動きが取れないが、今の所出撃するかしないかは五分五分だ。うーん、ガデムさん死んじゃうのかなぁ?今のジオンは兵が居ないからなるべく生き残って欲しいよな……

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

考え事してたら眠くなってきた……

 

 

 

 

……いい時間だし、そろそろ寝るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

zzz……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジーン伍長おはようございます」

 

軍医のモーニングコールで目が覚める。 時刻は丁度8時を指していた。

 

「お、おはようございます」

「早速ですが血圧を計りますね。腕、失礼します」

 

腕を捲って一分ほどジッと待つ。122の75でほぼ正常だ。

 

「元気そうで何よりです。点滴を外したら自室に戻って大丈夫ですよ」

「あぁ、ありがとうございます」

 

点滴が外されて絆創膏を貼ってもらう。固定ベルトを外して軍服に着替える。何気に初めて軍服を着たが、まぁ、何と言うか、意外と普通な感じだ。いや、めっちゃ嬉しいのよ?憧れのジオン軍服を、モノホンのジオン軍服を着れるのはジオニストとして感無量なのだが、もうね、過労とはいえ病み上がりで着るのはテンションが……ね?

とりあえずビシッと軍服を着て上司に報告をしに行く。どの世界でも報連相は大事よ?

 

「よぉ病み上がり、調子はどうだい?」

「おかげさまで」

 

「よっ、英雄の復活だね」

「ははは、ありがとう」

 

廊下でのすれ違いの挨拶をする。

 

「よぉフェニックス」

「あ、あぁどうも」

 

「おっ、死神が帰ってきたぞ」

「はあっ!?し、しに……」

 

「おーい死に損ない、何か奢れよ」

「……」

 

こいつら……

 

 

 

 

 

仲間に色々と言われながら艦橋に着く。シャア少佐はモニターの前に居た。

 

「少佐、只今戻りました」

「そうか、元気そうで何よりだ」

「ありがとうございます……ん?」

 

何で外にパプアが居るんだ?え?嘘でしょ!?

 

「しょ、少佐?あれは……?」

「あぁ、あのオンボロ戦艦が補給に来たんだ。ジオンも台所事情が悪いようだな」

 

会話の直後にモニターに立派な髭を生やした老人(?)が写し出された。こいつはガデムに違いない。

 

「まさかあの赤い彗星が補給を欲しがるとはな」

「ガデム、敵の戦艦が目の前だ!一刻を争う!」

「解っているよ、わしがそんなにノロマかね?歳の割には素早いはずだ」

「ハッチ開け!コンベアパイプ、ドッキング急がせ!」

 

おぉ、有名なガデムスルーだ。……違うよ!急がなきゃ!あぁ!何でまたこうなるのっ!!!

俺は急いで補給搬入口に行く

 

「お、おい!ジーン何処へ行く!」

「え!?あ、アレですよ、私のMSも補給されるんでしょ?だ、だからいち早く受けとりたいんですよ!キズ一つでも付けられたら堪ったもんじゃないですからね!!」

 

「あいつはお前の部下か?失礼にも程があるぞ」

「申し訳ない、後で叱っておきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し戻って午前7時40分

 

ホワイトベース 艦内

 

 

コンコン

弱気なノックが聞こえてきた。

 

「ん……入っていいぞ」

 

入って来たのはアムロ・レイだった。

 

「と、父さん!」

「おぉ、アムロか、思ったより元気そうで何よりだ」

「と、父さん。それよりも……」

「あぁ、そうだったな」

 

アムロは近くの椅子に座り二人は話を始める。

 

「アムロ、話とはな単刀直入に言うとガンダムのパイロットになって欲しい」

 

「え?が、ガンダム……?」

アムロは"ガンダム"という言葉に苦い顔をする。

 

「気持ちは解るさ、でもな、お前には乗らなきゃいけない理由があるんだ。せめて聞いてくれないか?」

「わ、わかった……」

「ありがとう、では……」

 

こんな事を息子に言うのは躊躇いがあるが、仕方ない。あのブライトという臨時艦長にはまだ荷が重いからな。

 

「アムロ、お前は私の部屋に入ってガンダムのデータを見ていただろ?」

「え!?あ、いや、その……」

「今更それを責める気はない。お前はもう年頃だからな、そういう事をしても仕方ない。だが、ガンダムに乗ったのは不味かった」

「……」

「もしかしたら解ってるかもしれないが、あれは連邦軍の最重要機密だ。関係者以外がガンダムを見ただけでも下手したら軍法会議で銃殺刑が下される可能性だってある」

「えっ……じゅ、銃殺!?」

 

しまった、銃殺という言葉を使うべきではなかった。しかし……それが本当の事だからな……

 

「落ち着けアムロ、話はこれからだ。このままだとお前の身が危ない。このまま息子が銃殺刑にでもなったら母さんに何て言ったらいいか解らない。それに、私もアムロを見捨てたくない」

「何で……ガンダムに……?」

「アムロ、このホワイトベースはジオンの攻撃によって正規クルーの半分以上が失われてしまった。パオロ艦長は重症を負って、本来ガンダムに乗るはずだったMSパイロットも死んでしまった。その他、整備や看護なども今は避難民に手伝って貰ってホワイトベースはルナツーに向かってる」

「でも……だったら僕は、整備を手伝うよ」

「そうしたいのも山々なんだがなアムロ、ガンダムを上手く操縦出来るのはアムロ、お前しか居ないんだ」

「えっ……?」

 

ホワイトベースにはまだ、正規パイロットが居る。リュウ・ホセイ曹長とジョブ・ジョン曹長だ。どちらも予備パイロットではあるが、一応MSは動かせる。だが……

 

「予備ではあるが正規パイロットはまだ居る。それに他の避難民達も一応シミュレーションをやらせてみたんだが、アムロを越えるスコアが出なかったんだ」

「えっ……?」

「あぁ、スコアっていうのはアムロが実際に戦ったデータをスコアにしてそれを評価にしたのだが、そのスコアを皆越えられないんだ」

 

実際、アムロはザクの右腕を切り落とした後に本体を真っ二つにしたのだが、その右腕を切り落とした時のカウンターを繰り出せないのである。正規パイロットの二人でさえも。あのカウンターのスコアが一番高く、リュウはザクを撃破したのだが、そのカウンターが無かった故にアムロのスコアを越えられなかった。

 

「で、でもそれだけでパイロットになれって言われても……」

「アムロ。今はお前と私は家族で接しているが、一度戦闘が始まれば軍人と戦闘員の関係になる。お前はまだ正規軍人ではないが、状況がそれを許さない。」

「……」

「頼むアムロ、この通りだ。頼む!」

 

頭を深々と下げる親父に軽いショックを受ける。何故そこまでしてガンダムに乗せたいのかがアムロには解らない。

 

「……こんな父親を笑ってもいい。怒ってもいい。何なら殴っても構わない。私はアムロみたいな子供を戦場に送り出さないようにこのガンダムを作りあげた。だが、そのガンダムによもや自分の息子を乗せる羽目になるとは、とんだ皮肉だろう?」

「……」

「……でも、それしか方法が無いんだ」

「…………」

 

しばらく沈黙が部屋を包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「コンベアパイプ接続終了!弾薬搬入開始!」

「ちょょっと待っったぁぁぁぁぁ!!!!!」

「?!」

 

廊下をおもいっきり蹴っ飛ばしてコンベアパイプからパプアに行く。やった!ギリギリセーフ!よっしゃ、後はパプアのカタパルトがぶっ壊れる前にザクを射出して敵を追っ払うだけだ!

 

「お、おい!お前どこへ……」

「それよりも搬入が先だ!急げ!」

「は、はい!」

 

パプアのカタパルトへ行くと、補給班がノロノロと作業をしていた。この状況を判ってないな……

 

「おい早くしろ!敵は目の前だぞ!」

「なんだ貴様!?」

「ジーン伍長だ。ザクを受け取りに来た」

「ザクの搬入はあと5分掛かる」

 

ええい!このノロマどもめ!

 

「それじゃ遅すぎる!」

「こっちにだって順序があるんだよ!たかがMS乗りが調子にのってるんじゃねぇーぞ!!」

「敵が直ぐ近くまで来ているんだ!起動はこっちでやるから早く射出してくれ!」

「ふざけた事を言うんじゃ━━」

 

ドカーン!

 

始まっちまった。これはもしかしたらガンダムのハイパーバズーカの攻撃だ。

 

「それみたことか!射出が出来なくなる前に出してくれ!急げよ!」

「わかったよ!やりゃあいいんだろ!?」

 

ザクに飛び乗り電源を入れる。大丈夫だ、ちゃんと動く。そしてファルメルに連絡を入れる。

 

「少佐、少佐!一体どうなっているんですか?」

「ジーンか、奴らが攻撃を仕掛けてきた。私はザクで出る。伍長はどうする?」

「私はパプアのザクに乗ってます。出撃なら可能です」

「なら話は早い、一緒に出てくれ。パプアの護衛を頼む」

「了解!」

 

「デニム、スレンダー出れるか?」

「今から支度します」

「MSの立ち上げにちと時間が掛かるぞ」

「構わん、貴様達はムサイの護衛を頼む」

「「了解」」

 

 

 

とりあえず外に出たが、ヒドイなこりゃ。コンベアパイプがフルボッコだぜ……

さて、問題はガンダムの中身だが……

アイツじゃない事を期待したい




待って頂いたのに前後編ですみません……
追記:タイトルの付け忘れに対応しました


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第14話 俺達の補給艦を守れ![後編]

皆様のコメント誤字報告ありがとうございます。さてガンダムVSジーン(転生)第二回戦の様子をご覧に頂きましょう。


皆さんこんにちは、ジーン(転生)です。

今回は原作で言う「敵の補給艦を叩け!」の戦闘シーンにあたります。さて、アムロ君には宇宙世紀の歴史から退場して貰ったはずだが……

ガンダムが見えてきた、問題は中身だ。俺は中身を確認するために無線をオープンにしてガンダムのパイロットに問いかける。

 

「よぉ!久しぶりだな黒いMSのパイロット!サイド7ぶりだな!」

 

 

 

ガグガクブルブル

 

 

 

めっちゃ動揺してんだけど。ガンダムってあんなガクブルするもんなの?あからさま過ぎて笑っちまいそうだ。

ってちょっと待て!あんな動揺しているって事はアムロ!もしかしてアムロなの!?えぇ!ちょっと冗談きついっすよ~!アッバズーカクル

 

ズガーン

 

甘いな坊や。バズーカは弾速が遅いのだよ。と、言いたいがザクバズーカより弾速が早い気がする。流石ハイパー。というかもう戦闘始まってるのか。こりゃ考え事している場合じゃないな。

とにかく、ガンダムとコアファイターを引き付けて何とか補給を進ませる。終わりさえすれば、後は撤退すれば良いだけだからな。

とりあえずザクマシンガンで牽制をする。全弾命中だ、まだ勝ち目はある!でもダメージは通らない。悲しいなぁ。バズーカを軽くかわしてもう一度牽制をする。確かこれでバズーカの弾は無くなったはず。よっしゃ!今度はヒートホークで滅多切りじゃ!近づくと確かバズーカ本体を投げてくるはず。これをかわして一撃を当てる!

ここでヒートホークが見事に決まってガンダムは退けぞり、少しダメージが入った。

いや、あれで少しかよ!連邦軍のMSは化物か!ザクなら今頃爆発してるぞ!何なんだよもう!!

 

ん?もしかするとサーベル抜こうとしている?させるかぁ!!お前が"それ"を抜くとコッチ(全ジオン兵士)の死亡フラグが発生するんだよぉ!!!必死にブーストを掛けて近づきタックルを仕掛ける。ガンダムのバルカンよりも先に体当たりが決まる。そして流れるようにヒートホークが炸裂する。俺も大分操作がデキるようになったなぁ。

 

……やっぱ効いてないよな、コレ。HPを可視化するとしたらガンダムのHPが500と仮定したら多分今のHPは486ぐらいじゃあないかなぁ。連邦ジオンDXのミッションモードを思い出す。

 

「大丈夫かジーン!」

 

やっとこ少佐が来たよ。

 

「大丈夫です。ガンダムは少佐に任せます、私はパプアの護衛に回ります」

「了解した、航空機はとにかく追い払うだけでいい。深追いはするな」

「了解!」

 

 

 

パプアの護衛に今北産業

 

コアファイター

バルカン

めっちゃつおい(´・ω・`)

 

えぇ……

パプアめっちゃ煙吹いてるんですけど。もしかしてガンダムとの戦闘に夢中で疎かになっちゃったのか。とにもかくにもコアファイターを追っ払う。適当にマシンガンで弾幕を張る。中身リュウさんだろうなぁ。ある意味、今の内に殺しといて損はない人物でもある。今だったらホワイトベースクルーのまとめ役が居なくなって、クルーの成長を阻害出来るのでアムロの次に宇宙世紀から退場してもらいたい人物ナンバー2だったりする。まぁ、深追いはしないけどね。この後に来るガンタンクや木馬の砲撃で死にたくないし。

 

コアファイターを追っ払った後、木馬とガンタンクの砲撃がパプアを包む。やっぱりこの世界でも沈む運命にあるパプア。ガデム大尉が不憫でならない。ちなみにファルメルはとっくに離れていた。そういえばガンタンクの砲撃って100キロ先まで届くんだっけ?強すぎひん?下手するとガンダムより強いよね?でもガンダムのビームライフル8キロも大概やけど。

 

 

 

さて、そろそろ補給の手伝いでも……

 

「ええい、連邦軍のMSは化け物か!」

 

……少佐も大変やなぁ。さて、そろそろ

 

「ザクもミサイルも食糧もシャアに渡してやる、補給部隊のメンツにかけてな!」

 

……大尉の死亡フラグ入りましたー

どうしよう。どう立ち回ればいいのかしら。お、ピーンとしたザクを投げ飛ばしてる。俺はキャッチしてザクを受け止める。しかしあの人、見た目通りの頑固者だから戦闘に介入したってなぁ。少佐も止めたけど『わしの船がやられたんだぞ!?』って言ってお星さまになっちまったもんなぁ……

 

「辞めろガデム!貴様のザクでは無理だ!」

「ワシの船がやられたんだぞ!」

 

そうそうこんな感じ……

 

 

 

 

 

/(^o^)\

 

 

 

 

 

すまないガデム、お前のザクではガンダムに勝てない。気の毒だが。しかしガデム、無駄死にだぞ。いい加減にしろ。

 

 

 

旧ザクの眩い光が宇宙を照らす。こうして、一人の命が星となって消えて行く。ガンダムアニメ世界初の戦死者はガデム大尉、いやガデム中佐になってしまった。何だがトントン拍子で戦闘が進んでいくので手出しが出来なかった。実際、戦場の絆ではグフで出撃して30秒で殺られた事あるので、自分ではこの戦闘スピードは納得いってる。殺られる時は殺られるのだ。しかし、納得したところでルウムの戦士は帰ってこない。ガンダム初の戦死者に左手敬礼をする。そこにはもうガンダムは居らず、静かなる時間が宇宙を包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……死んじゃったか、ガデム大尉。いくら素人のアムロでも、ガンダムの性能には勝てなかった。MSの性能差が戦力の決定的な差ではないにしろ、局地戦だと決定的だな。だって素人が乗ってるのに勝てないもん。

 

「少佐、MSの準備が完了しました。追いかけますか?」

「……散らばった補給物資の積込を手伝え」

「はっ」

 

二人とも遅すぎる。いくらMSの立ち上げに時間が掛かるからって、この時間はないだろ。いやホントに。しかし、それだけ戦闘時間が短かったという事か。仕方ないけど、なんだかなぁ……

 

 

 

散らばった補給物資をザクを使って集める。その光景は連邦にわざと情報を流したモビルワーカーの写真みたいな光景だった。結局はこのザクというMSはただのロボットだという事を実感させられた。なんでこんなもので俺達は命を掛けて戦っているのだろうか?そもそもジオンはコロニーを落とした挙げ句、地球を支配した後はどうするつもりなのだろうか?よくよく考えるとジオンのした事は絶対に許されない事であり、なんでこんな狂言者に皆は踊り狂わされているのだろうか?

 

……結局のところ解らない。私はジオニストではあるが、それはジオンのMSが好きなだけである。ギレンのアンチクショウは下衆の極みで、あんな奴が国のトップに立ってはいけない。それは分かる。……でも実際は連邦と戦ってる。流れに身を任せているが、それは死なない為である。そうではあるが……

 

 

 

……私は一体何を考えているのだろうか。

 

 

 

 

 

「ジーン、ジーン!大丈夫か?」

「あ、あぁ大丈夫です……」

「疲れているな?」

「えぇ、まぁ……」

「……お前はもう休め。病み上がりで出撃したのが堪えたのだろう。あとはデニムとスレンダーに任せておけ」

「……了解しました」

 

 

 

 

 

疲れたなぁ。明日はルナツーか……




ジーン(転生)ちょっとセンチメンタルな回


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第15話 ジーン(転生)の迷い

…………

 

 

 

 

 

人って簡単に死ぬんだなぁ……

 

 

 

 

 

あぁ、どうも。ジーン(転生)です……

ガデムさん、死んじゃったね。あんまり関わりがないからそこまで感情的にはならないけど、目の前であんな爆発を見せられたら、ねぇ?皆さん、目の前で人が死んだら、どんな感情を抱きますか?

 

……なんかスミマセンね。そんな事聞かれても普通、分かりませんよね?メンドクサイ奴ですみません。でもね、私はこの転生がどれだけハードモードなのかを今、たった今思い知ったんですよ。

そう、この転生は

 

 

 

普 通 に 戦 争

 

 

 

している事である。

皆さんお気づきかもしれないが、これは一年戦争という地球連邦政府とジオン公国という国家間の戦争なのである。実際に私は死線を潜り抜けてきている。連続出撃でヘトヘトになってるし、MSが爆発したときに来る爆風はかなり大きくて、サイド7やガンダムから脱出した時に結構煽られた。(そしてノーマルスーツ越しでも感じるぐらい熱い)そう、これは一歩間違えば死ぬ。オワタ式の戦争である。いや、普通戦争ってそんなもんだろ

しかし、もしかすると死んだら9月16日の転生の日まで巻き戻しになる可能性もある。そして一年戦争でジオンが勝つまで巻き戻しされる可能性だってある。まぁ、だからといって、わざと死にに行きたくはないよね。普通。

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

気分が晴れないなぁ。多目的室にでも行って星でも眺めてくるか……

 

 

 

多目的室には誰も居なかった。補給物資の受け入れなんかで皆忙しいのかな?とりあえず外が見える席に着く。ルナツー付近の小惑星帯なので岩みたいなのがゴロゴロしている。しかし、星が中々見えないので少しがっかりした。まぁ、連邦のパトロール隊が見えてくるよりマシだが。

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

どうしようかなぁ……

 

この後はルナツーを爆発工作して、大気圏で戦うのは想定内だ。しかし、"その後"が問題なのだ。それは地球に降りれるか否かである。むざむざとガルマを見殺しには出来ないが、そもそも阻止出来るのは大気圏突入して地球に降り立たなきゃいけない。ファルメルで待機していたら絶対にシャアはガルマを殺しに行く。かといって「地球に降りたいです!」なんて言ったら下手をすれば……

 

 

 

 

 

どないせぇっちゅうねん……

 

 

 

 

 

「こんな所に居たんですね」

 

誰かと思えばスレンダーである。

なんか、久しぶりに見た感じがする。たった1,2日の事であるが、なんか、こう、久しぶりな感じがする(語彙力)

 

「どうした?」

「少佐から伝言です。『手が空いたらハンガーに来い』と」

「ハンガーか、分かった。」

 

ゆっくりしたい所だが、上官がお待ちとなれば直ぐにでも行かなければならない。私は水分補給してから多目的室を後にした。

 

 

 

 

 

「お呼びでしょうか少佐」

「あぁ、丁度良いところに来てくれた」

 

何か話でもするのかな?ハンガーって事はMS関連だろうけど……

 

「早速だがあれを見て貰いたい」

 

少佐が指を指した先にあったのは……ビームライフルとバックパック?

 

「少佐、あれは……?」

「君が持って帰ったビームライフルを、ザクでも撃てるように改良した試作機だよ」

「へ?!」

 

ちょっと待て。あの変態共、ついに自らの手で歴史をぶっ壊しやがったぞ!?

 

「驚くのも無理はないな。今作ってる次世代MSの武装がビームライフルなのだが……鹵獲品とはいえ、それよりも先に作ってしまったからな」

 

そういえば戦場の絆のザクⅠスナイパーもそんな感じだったな。あれよりかは若干、コンパクトに納められている。あれをザクにくっつけて稼働となると、ムサイ級だとギリギリ引っ掛からずに運用出来そうなサイズになりそうだ。

 

「少佐、あのバックパックってもしかすると、ザクのヤツじゃ……」

「あぁ、そうだ。ガデムがどうせ墜ちるならと、もう一機のザクを渡してくれたから、そこから取っている」

 

あぁ、ここでは原作通りに二機渡すのか。まぁ、「全部くれてやる!」って言ってたもんな。しかし、折角のザクを試作機用にバラすとはな……

 

「ザクをバラしたのですか?そんな事して大丈夫なのですか?」

「心配はいらないさ、ドズル中将も承認してくれた」

 

ちょっ、何してんすか中将殿!

 

 

 

……待てよ、この流れは……まさか……

 

「……私に使えと?」

「察しがいいな。次の出撃から使って貰う」

 

 

 

 

B I N G O ☆

 

 

 

 

び、貧乏くじは引きたくない。よし、おべっかを使おう。

 

「しょ、少佐の方が使いこなせそうですが……」

「はっきり言おう、あれは重い」

「重い……?」

「あぁ。宇宙ならまだマシだが、地上となると厄介だな」

 

そんな厄介なもんを部下に押し付けるのかコイツ。……てか、さっきサラリと"地上"って言わなかったか?

 

「少佐?地上って……」

「木馬はこの後にルナツーに寄港して、その後にジャブローへ向けて大気圏突入をするだろう。私はそれを追いかける。だから地上戦も今のうちに慣れておかなければならん」

「はぁ……」

「しかし、この試作機をくっつけるとなると今まで通りの力が出せん。火力はいいのだがな、いかんせん重い。しかしな……」

「……しかし?」

「ドズル中将の命令で実地試験をしてデータを送らなくてはならない。だから誰かに運用して貰わないと許可を得た意味がなくなる。折角貰ったザクをバラして『やっぱり使いません』じゃ示しがつかん」

「……で、私に?」

「そうだ」

 

そうだ、じゃねーだろ!!!

畜生!何でうちの上官は……

 

 

 

 

 

いや、待てよ……

地上に行ける……?

 

「地上にも行くのですか?」

「そうなるな。地上のデータも取って報告せねばならん」

 

うーん……これしか道は無さそうだな。

 

「……分かりました、他に適任者が居なけ」

「よし!整備班はジーンのザクに試作機を取り付けろ!ちゃんと動作テストはしておけ!」

「「はっ!」」

 

 

 

 

……人権ってなんだっけ?




次回、ルナツー工作作戦
ジーン(転生)は生き残る事が出来るか?

タグ解放:オリジナル機体(ブロンズ)


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第16話 ルナツー工作作戦[前編]


お待たせしましたぁぁぁぁ!!!!!



おはようございます、ジーン(転生)です。

只今の時間は0079/9/20/8:30といった所です。

昨日は試作機を着けたザクのシミュレーションをみっちりとやってきました。あと6時間は寝てたい。ちなみに昨日少佐が言ってた重さだが……ぶっちゃけると「気にする程か?」って感じの変化だが、少佐レベルのクラスになると少しの変化が命取りになるのだろう。機体が重いと加速が鈍くなり、制動距離が延びて長くなる。まぁ、重くなると言ってもたかが200か300㎏だが、俺みたいな精鋭()レベルだと違いが解る。

 

 

しかしあの試作機、取り外し可能かと思ったら俺のザクに溶接してそのまんま試作機として作り上げちまったなぁ……

 

 

 

 

 

 

ジーン(転生)の唐突にMS解説~!

このコーナーは、唐突にMSの解説を行うタイトルそのまんまのコーナーだ!今回は記念すべき第1回目だ!皆心して掛かれ!

 

 

 

YMS06-FB

ジーン(転生)専用ビームライフル試験型ザク

 

全長 17.5m

本体重量 56.5t

出力 1750kw

推力 43800㎏

 

武装

ガンダム用ビームライフル

ザクマシンガン

ザクバズーカ

クラッカー

ヒートホーク

 

ジーン(転生)の乗っていたMS-06F型ザクにビームライフル試作機をそのまんまくっつけた、やっつけ仕事のザクだ!ビームライフルは連邦軍のガンダム用に作ったビームライフルを盗んできた物を流用。しかし、そのままでは使用出来ない。何故ならビームライフルを撃つには出力と冷却が必要なのだが、ザクのジェネレータだと容量不足で撃てないからだ。

しかしジオンの変態共は『ジェネレータの容量が足りないなら増やせばいいじゃない』と言うアントワネット的思想で、ガデムの補給隊から余分に受け取ったザクでジェネレータを増強。バックパック部分に取り付けてランドセルと一体化した。更に右手のマニピュレーターもビームライフルを持てるように改造した。

ちなみにだが、ガンダムのマニピュレーターにはビームライフルにエネルギーを供給、冷却をする為のドッキングする箇所があり、そこからエネルギーのやり取りをしている。無論、ザクにはそんなの無いので無理やり作りました。ジオン脅威のメカニズムである。

武装は上記の通りで、腰の右部にはビームライフル専用のマウントがある。そして右手の改造の影響でマシンガン等を持つと不安定になるので、ビームライフル以外の武器は全部、左手で持つことになった。慣れる為に訓練を増やさなきゃ……

出力はジェネレータを二つ付けているので約二倍。でも推力はさほど上がってない。何故かと言えばF型は索敵を回避するために熱量を下げて、姿勢制御用ロケットを必要最低限しか装備していないので、推力の底上げはほぼ出来ない。なので(ビームライフルを使用する為とはいえ)出力を上げるのはF型の利点を殺すことになる。敵に見つかりやすくなるのかぁ……

オマケにショルダーアーマーは試験機カラーの朱色に染められているので余計に目立ってしまう。お願いだから元に戻してくれぇぇぇ……

 

 

 

総評

 ビームライフルを運用する為にザクⅡを無理やり現地改修したMS。現地改修らしい、やっつけ仕事感満載だが意外な事にスラスターや攻撃モーションの調整もしてあり、現地改修したMSとしては出来が良い。制約はあるにせよ、ビームライフルで火力が段違いにアップしたのが一番の特徴と言えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?たしかシャアザクはS型だから、F型よりスラスターが底上げされているから推力がそこそこ上がって重さが相殺されるんじゃ……

 

 

 

( ´`)あの野郎……押し付けやがったな……

 

 

 

ま、まぁルナツー工作作戦がそろそろ始まるし、その時にでもぼちぼち慣らし運転でもしますか……

 

 

 

 

 

 

「えぇっ!!?私はファルメルに待機ですか?!」

「あぁ、そうだ」

 

まさかのまさかである。デニムやスレンダーは出撃するのに私は置いてけぼりである。いや、死ぬ確率が少なくなるのは大歓迎なんだけどね。

 

「ルナツーの工作作戦はジーン伍長を抜いて編成するが、万が一の事も考えてMSの出撃準備はしてもらう。それまでは休んでいていい」

 

あぁ、そっちの出撃はあるのね。チッ

 

「はっ。……しかし少佐、何故ルナツーへ?」

「あれだけの装備を持っている基地ならば、並の軍略家ならムサイ一隻ごときが仕掛けてくるとはよもやおもうまい」

「だから攻める、と」

「貴様も言うようになったな」

(質問に答えてねーじゃねぇかクソッタレ……)

 

ぶっちゃけあの極秘資料だけで多分、一階級特進だからそのままソロモンへ帰ってもいいんだけどなぁ……まさか、この時点でガルマ暗殺を?いやいや、それは深読みが過ぎるな。

 

「作戦はグリニッジ標準時刻11:00に行う。あと二時間といった所か。作戦時間まではゆっくりしていていいが、食事は早めに済ませておけ」

「了解しました。少佐、ご無事で」

「あぁ」

 

そういや昨日やったザクのシミュレーションと今日動かすザクは結構挙動が違うから少し慣らし運転しておくか……あ~後10時間は寝てたい。

 

 

 

 

 

 

「拘束する訳を!訳を聞かせて下さい!!」

「士官候補生と民間人がみだりに軍のAAAの機密、すなわちホワイトベースとガンダムを使用した事による。全員軍事裁判に掛けられる事を覚悟しておくんだな」

 

ようやくたどり着いたルナツー基地だが、待っていたのはホワイトベースの没収とクルーの拘束であった。サイド7の襲撃があり仕方のない事とはいえ、ワッケイン少佐の出した命令は正しいものであった。納得するかは別だが。

 

「ワッケイン司令、いささかやりすぎではありませんか?この際、何も無かったという事にして我々はそのままジャブローに向かわせて貰えないでしょうか?」

「それは出来んなレイ大尉、貴方も私の言っている事は解るだろう」

「しかし……」

「貴方はガンダムの開発者であろうにも関わらず、よもや自分の息子を乗せているのは何故かね?」

「そ、それは……」

 

この若造は痛い所を突いてくるな。流石はルナツー基地の司令になっているだけはある。確か、パオロ艦長の教え子だった気がするが……

 

「……よし、民間人の一時収容は済んだ。後は先程言った隔離者を連れていけ」

「はっ!」

「おい離せ!止めろ!」

「ブライト君、止めた方が身のためだよ……」

「くっ……」

 

銃を向けられては、どうしようもないな。素直に従うしかない。しかし、どれぐらい監禁されるんだ?本当に軍事裁判に掛けるまで閉じ込めておくつもりか?

 

 

 

 

「おい開けろ!」

 

見事な腕のしなりだが、開けられる訳がない。狭苦しい箱部屋の中に居る我々全員が手伝っても、この扉を開ける事は出来ないだろう。

 

「無理だよブライト君。とりあえず落ち着こう」

「何故です!?我々は命からがらここまで来たというのに、何故こんな仕打ちを受けなければならないのですか!」

「言いたい事は分かるが、一度落ち着こう。無駄に暴れても疲れるだけだ」

「しかし……」

「ブライト君、何か忘れてないかね?」

「えっ……」

 

「もしかして、シャアの事?」

「そうだアムロ、シャアもルナツー付近に居るだろう」

「それは、どういう……」

 

アムロは何となく分かったが、怒り心頭だったブライト君はまだ分からないようだな。

 

「考えてもみたまえ、シャアがここで退くと思うか?少なくとも私はそう思わない。何かしら仕掛けてくると思われる」

「……まさか、ここを攻めると?」

「可能性の話だがな。しかし未だに追っかけて来るという事は、ホワイトベースを狙ってると考えていいな」

「普通の士官ならしないが、シャアなら……」

「そうだろう?」

 

ようやく理解したブライトであった。

 

「しかし、追いかけられていた相手に脱出を賭けるとはな」

「そういう事になるなリュウ曹長。全く、連邦じゃなくジオンに命乞いするとは滑稽なものだな」

 

 

 

 

 

 

「よし、各員配置に着け。これよりルナツー工作作戦を開始する」

「「はっ!」」

「第一目標、ホワイトベース!これを奪取し本国に持って帰れば三階級特進だ!第二目標、敵MS!もし、ホワイトベースの奪取に失敗したら速やかに撤退、そしてルナツー基地の爆発工作をする!虎穴入らずんば、虎子を得ず。皆、心して掛かれ!」

「「おぉーっ!」」

 

とりあえずブリーフィングに参加したけど、思いの他士気が高いね。敵基地にノーマルスーツで行くって普通死にに行くようなもんだぞ、普通。確か原作だとシャアがノーマルスーツで出るって言った時にドレンでさえ、驚いていたもんな。やっぱり初期メンバーは士気が高いのかなぁ?それともV作戦の機密情報を盗めたから自信が付いてきたのか?どちらにせよ、士気が高い事に悪いことはない。後は工作隊に任せて、そろそろハンガーの待機室にでも行きますか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから随分時間が経ったが、今は何時になるだろう……?確かルナツー入港は午前10時過ぎだったから、今は11時位か?

と、いきなりドアが開いた。どうやら食事のようだ。

 

 

「食事だ」

「守衛さん、今何時だね?」

「今は11時半ぐらいだな」

「ありがとう」

 

 

 

直ぐにドアが閉まる。まだ基地は静かだ。

……仕掛けて来るなら、そろそろか?




読者に一週間待たせておいて前後編という始末。
はてさてこの先、一体どうなりますことやら……

こんなペースですが、お付き合い頂けると幸いです…… m(_ _)m


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第17話 ルナツー工作作戦[後編]

なるはやで仕上げました(最初からやれ)


ルナツー基地に潜入するシャアの工作部隊。本人を含めて11人が爆弾を持ち、工作をする。メンバーはシャアにデニム、スレンダーと……後は忘れた。誰なんだろうね、あの人達。

確かホワイトベースを盗む目標立てていたけど、たかが11人でどうやって盗みだそうとしてるんだ?原作だとMSを盗むって言ったにもかかわらず、結局爆破工作だけしてガンダムと戦っているからなぁ。言うことやることコロコロ変わりすぎだろ。

 

そろそろ何かしら動きがあっても良さそうだけど……おっ、ルナツーが一時的に光源か落ちた。それと同時にあちらこちらで爆発が見えた。さて、そろそろMSのスタンバイでもしておきますかね……あ~かったるいなぁ~

 

 

 

 

 

 

「監視レーダーを潜られたというのか」

「はっ司令。敵は恐らくノーマルスーツによる特殊工作隊と思われます」

 

監視室から冷静に睨み続けるワッケイン司令。この攻撃はホワイトベースを追っかけてきたシャアの仕業だと確信した。であれば、直ぐそこにムサイがいることになる。迎撃しなくては。乗艦のマゼランで出れば、相手も怖じけづいて攻撃を止めるだろう。

 

「マゼランを出撃させる」

 

 

 

 

♪~シュゥ!

(アイキャッチは脳内再生でお願いします)

 

 

 

 

「ここを開けるんだ!」

 

やはり見事な腕のしなりだが扉は開かない。

 

「僕たちのことなんか忘れられたんじゃないですか?」

「しかしこのままでは……」

「ブライト君、電源が落ちたなら電子ロックが外れているかもしれん。横にスライドさせてみてくれ」

 

ガチャ

 

「開きました!」

「さすが父さん!」

「よし、手分けしてクルーを救出しよう」

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 

「マゼラン急速発進。ドッキングロック解除急げ!」

 

 

「マゼラン艦が出ていきます」

「行くぞ」

 

シャアと工作員がルナツーを後にする。

 

「ジーン、聞こえるか?ポイントαまで移動してくれ」

『了解』

 

フフフ、こうも簡単に引っ掛かってくれるとは、連邦も何も学んじゃいないな。

 

「ドレン、私のザクとデニムスレンダーのザクを射出してくれ」

『了解少佐!派手にやって下さい』

「そのつもりさ」

 

 

 

 

 

 

 

例のイベントが終わり、ランチで脱出したワッケイン少佐はホワイトベースの起動に気付き、直ぐにランチを横付けしてホワイトベースのハンガーに駆け寄った。そこではガンダムの拘束金具の取り外しが行われていた。

 

「貴様らそこで何をしとるんだ!ホワイトベースは立ち入り禁止と厳命したはずだ!」

「シャアと戦えるのは、ガンダムしかないんです!」

「直ぐに退去したまえ!」

 

あのワッケインという人、こんな状況なのにまだ軍規で締め付けるつもりなのか?

ここでガンダムヘッド付近に居たブライトが降りてくる。何気に黄色いノーマルスーツを着ているのはかなりレアだ。(最終話の宇宙服みたいなヤツが印象深いため、覚えている人が少なさそう)

 

「反逆罪は覚悟の上ですワッケイン司令。貴方の敵はジオン軍なのですか?それとも私達なんですか?」

「き、貴様……」

 

クルーが作業を再開する

 

「今君に、何故軍規が必要かは説明したくはないが、定められた命令は厳守だ!」

「軍規軍規、それがなんだというんですか!軍人が軍規に乗っ取って死ぬのは勝手です。でも他の民間人がその巻き添えになるのは理不尽ではないでしょうかワッケイン司令!」

「な、なに!」

 

ご令嬢にたじろぐワッケインにトドメが刺される

 

「わ、ワッケイン君」

「ぱ、パオロ艦長!」

「ど、どうだろうワッケイン君。ホワイトベースの使用、ガンダムガンキャノン……ガンタンクは今まで機密事項だった……」

「はい!」

「だからなのだ。こうして、我々より彼らの方が上手く使ってくれるのだ……既に二度の実戦がある彼らに」

「しかし艦長!」

「……そう、しかし彼らは所詮素人だ。司令たる君が、戦いやすいように助けてやってくれたまえ。わしが責任を持つ……!」

 

 

 

「……はい、解りました。艦長の命令に従います」

 

ワッケインはパオロの命令に応じた。それはただ単にパオロの方が階級が一つ上だったからか、それとも軍人学校時代の恩師だったからなのだろうか。それは本人しか知り得ない。

 

 

 

 

 

 

「デニムスレンダーいいな、港に潜入。一気にホワイトベースとMSを叩く!ジーンも準備をしておけ」

「了解」「了解!」

 

「了解です」

 

さて……新しいザクでの初実戦だ。ギリギリまでシミュレーションしてきたので大丈夫なはず。多分。とりあえず前線には出ずに、後方から援護射撃をする形で出撃している。データ収集も兼ねているから下手に前線は出せないよね。

ルナツーに近づいた所でガンダムとシャアザクの戦闘が始まった。一進一退の攻防で、中々に上達してきている。滅茶苦茶マズイな。他の二人もコアファイターに苦戦している。

ガンダムに隙が出来た。シャアザクとのつばぜり合いで後ろががら空きだ。そこにデニムのザクが斬りかかる。

そうそう、この後ガンダムが二刀流に目覚めて後ろから来たザクにグサァァッと刺すのよね~

 

ってそれマズイじゃん!

 

慌てて照準を合わせてビームライフルを放った。

急いで合わせたのでガンダムには当たらなかったが、気を引く事はできた。その隙にデニムのザクはガンダムの後ろから斬りかかる。見事にヒットしたが、盾が真っ二つに割れただけだった。何やっとんねん。

 

……何か忘れているような気がする。

なんだっけ?えーと、確か……

 

そうだ!マゼランを排除するためにホワイトベースの主砲を撃ってマゼランを壊すんだった!このままじゃバックファイアでスレンダーのザクが危ない!

ってコアファイターがこっちに来やがった!ええい!小賢しい!……そうか!その手があった!

 

「スレンダー!こっちに来て戦闘機を追っ払ってくれ!」

「分かりました、向かいます」

 

これで大丈夫なはず……

 

その数秒後、マゼランのバックファイアが来る。スレンダーの元居た場所に爆風が貫く。間一髪であった。ガンダムとの戦闘もここで終わりにしてシャアザクのヒートトマホークで締めくくった。

 

……やっぱりこの世界でもホワイトベースやガンダムを奪わずにルナツー基地の工作だけで終わった。本当に何がしたかったんだよこの少佐。

 

次の戦闘は、いよいよ大気圏か。嫌やなぁ……

確か3日後の23日だったはず。22日にホワイトベースが出港するけど2日も準備が掛かったのか。ジャブローと連絡でもしていたのだろうか?それは置いておくにしても明日はオフになりそうだ。もう明日は寝る一択だな。

それでは皆様、よい睡眠を~




オマケのボツ案

テム「よしアムロ、あの邪魔っ気なマゼランを排除しろ」
アムロ「ええっ!?どうやって?」
テム「ガンダムハンマーがあるだろう、それで港の出口まで押してこい」
アムロ「そ、そんな無茶な!」
テム「大丈夫だ!父さんを信用しろ!」
アムロ「あんなデカイ戦艦、押し返せる訳」
テム「ゲインは5倍!!」
アムロ「で、でも……」
テム「ガンダムGO!!」
アムロ「わ、分かったよ……行きまーす!」

ズカーンバキーンドガシャーン

ワッケイン「わ、私のマゼランが……仮にも基地司令がこんな扱いになるなんて……寒い時代になったと思わんか?」



次回、やっとジーン(転生)休めます。


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第18話 ジーン(転生)のオフ

作者「前回休めると言ったな、あれは嘘だ」
ジーン(転生)「ダニィ!?」


おふぁようございまふ。ジーンでふ。

寝みぃよ……今何時だと思います?

 

 

 

午前3時だよ!!! 3時!!!

 

スクランブルだよ!ふざけんな!!

 

 

 

重いまぶたを擦り、ガンガンする脳ミソを何とか我慢しながらハンガーへと向かう。はい到着しました。え?早すぎるって?

実は、ルナツー付近は敵の勢力圏内だからMSパイロットはハンガー横の待機室で三交代制で番をしていた所だったのだ(昨日からだけど)。だから直ぐにハンガーへ行けたんだ。しかし丁度熟睡していた所に敵さんが突っ込んで来たからもうね、もう一度言いたい。ふざけんな!!!

 

 

 

サッとザクに乗り込み、MSの起動を待つ間に状況を確認する。

 

「少佐、敵さんはどんな感じで?」

『サラミスが二隻、恐らくパトロール隊だろう。艦隊戦じゃこちらは不利だ。一刻も早く排除して貰いたい。頼めるな?』

「了解!ジーン出ます!」

 

三機のザクがファルメルから飛び出す。メンバーはいつもの三人だ。

 

『デニム、スレンダー、ジーン聞こえるか?有効射撃まで後一分を切った。それまでになるべく敵戦艦を落として欲しい』

「「「了解!」」」

 

「曹長、軍曹、サラミスにビームライフルを撃ちますので射角に入らないようにお願いします」

「分かった」「了解」

 

さーて、睡眠を妨害された恨み、晴らせてもらうぞ!サラミスまでの距離は約6キロ。宇宙空間なのでビームの減衰もさほど無く、最大射撃距離の8キロまで遺憾なく能力を発揮出来る。にしても目標が小さい。最大望遠でも親指ぐらいのサイズにしか拡大出来ない。しかしこれ以上近づくと対空砲の餌食になるし、時間切れでメガ粒子砲の有効射程内になるのでファルメルが撃ち合いで負ける可能性もある。ここからの射撃に命を掛ける。

撃ち合いまで後20秒。どうして何時もいっつも時間が無いのかなぁ?相手の速度と進行方向を頭に入れ、偏差射撃をする。ステンバーイステンバーイ……ゴッ!!

 

 

 

「メガ粒子砲用意!有効射程まであと30秒!射程内に入ったら打ち落とせ!」

 

メガ粒子砲三門がサラミスに照準を合わせる。

 

「交戦まであと10秒!9、8……」

「か、艦長!サラミス艦二隻が撃沈しました!」

「な、なんだってぇ!?射撃中止!射撃中止ぃ!」

 

ドレンは予想外な報告に目をひん剥いだ。外を見ると、確かにサラミスが居た場所に爆発が起こっている。

 

「い、一体どうなっているんだ!?」

「あれはジーンのビームライフルだな」

「しょ、少佐!」

 

赤いヤツは腕を組ながら冷静に解説した。

 

「サラミス艦一隻に対して3発のビームライフルが放たれた。計6発が命中、撃沈に至った訳だな」

「少佐、まさかあのビームライフル、戦艦並みの火力を……?」

「そういう事になるな。全く、連邦も恐ろしい物を開発したもんだな」

 

 

 

 

 

っしゃあ!!!見たか!連邦のバカ共め!!!人の睡眠を妨害するとこういう目に合うって事を思い知ったかぁ!!!ヒャッハー!!!

 

『おい貴様!よくもやってくれたなぁ!』

 

へ?どなたですか?

 

『俺達の帰る場所を木っ端微塵にしやがってぇ!!』

『許さんぞ!宇宙人共ぉ!!!』

 

あー、あれか。さっき撃ち落としたサラミス艦のMS小隊かな?えーと、何処だ?……居た。あれは、ジム改?いや、時期的にジムの初期型だな。確かテリー・サンダースJr.が乗っていた奴だ。しかし、何でまたMS IGLOOみたいなヤクザ口調なのか?寝てる間に世界線変わっちゃった?兎も角、迎撃迎撃。

こっちに来るジム初期型の小隊は多分真ん中のヤツが隊長だな。怒り心頭なのか、随分直線的な軌道でこちらに来ている。戦場ではなぁ、そういう奴から消えていくんだよぉ!

バキューン バキューン バキューン

1発目と2発目は何とか避けれたものの、運悪く3発目が胴体を貫き爆発してしまった。

 

『なっ!』

『た、隊長ぉぉ!!!』

 

よそ見しちゃぁ、アカンぜ?

 

『きっ、貴様ぁ!!よくもくぁwせdrf』

『ぐ、軍曹ぉ!!』

 

ほら、よそ見してっから3発とも当たったじゃないか。バカやなぁ。

 

『う、う、うわぁぁぁああああっっ!!!』

 

おっと特攻かい、どうやら根性はあるようだ。そーら、ビームライフルのお見舞いしてやる!

バキューン カチッ カチッ

あ、え?嘘!?弾切れだと?!えっと、確か15発だったよな?えーと……

 

サラミスに6発使って

ジム初期型に7発……

あれ?まだ13発だよなぁ? 他に使ったっけ……

 

 

 

 

 

 

 

あああぁぁぁっっ!!!

 

 

昨日撃った1発とその前に解析班が試射した1発を足したら15発ピッタリじゃないか!!!そ、そういえば解析班が言ってたな……

 

『ビームライフルの弾数は15発あります。エネルギーCAP式なので弾切れしてもエネルギー充電すればまた使えますが、半ば無理やり充電しているので暴発の可能性を考慮して全部撃ち終わってからでないと充電が出来ません。そこは頭に入れておいて下さい』

 

 

………

 

 

 

 

 

 

ひと昔前のガラゲーかよぉぉぉ!!!!!

 

 

 

 

 

 

『うわぁぁぁああああっっ!!!』(凸 )ΞΞΞ

「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」( [][〇][)

 

 

 

 

ヽ( [][〇][)ノ┌┛Σ(ノ 凸 )ノガシャーン

 

素直にローキック。こういう時こそ、焦っちゃいけないのよね。ビームサーベルを振りかぶったジム初期型は足元を取られてダイナミックに前転をする。そして四回転目をした所で爆発してしまった。あーあ、不良品掴まされたか。南無南無(‐人‐)

 

……にしてもアイツら、オープン回線で話していたけど、これじゃあジオンのプロパガンダに使われるだろうなぁ。広報部が大喜びで制作しそうだ。

 

「ジーン、大丈夫か?」

「私は大丈夫ですデニム曹長」

「すまないな、何がなんだか分からずに戦闘が終わってしまって上手く立ち回れなかった」

「ビームライフルの破壊力は末恐ろしいですね」

「早く寝たい……(えぇ、そうですね)」

「「……」」

 

 

 

とにかく、三人はファルメルに帰投する。全くスクランブルなんてふざけやがって、ようやく眠れるよ……あと2時間と45分は仮眠出来るな……ファー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この全滅したパトロール隊は再編成され、その後にMSパイロットとしてテリー・サンダースJr.が編入されるが、それはまた別の話である。




もうそろそろ大気圏突入になる……はず。


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第19話 ジーン(転生)の一人会議

私のやる気を藤〇探検隊がアマゾンの奥地で見つけたそうです。失踪したやる気に代わってお詫び申し上げます()

今日こそジーン(転生)の休日回です。


おはようございます。昨日はよく眠れました(睡眠時間約二時間)畜生、まだ頭が重い。宇宙には昼夜の概念がないから忘れがちだが、人間やっぱりちゃんと寝なきゃ駄目だな。

時刻は6時32分。俺は食堂で食事を取る。今朝はサンドイッチだ。なんか久々にディストピア飯以外を食った気がする。シンプルに旨いし、寝ぼけた頭にはこれぐらいの味付けの方が丁度いいな。コックの親父さん、良い腕をしているな。

食べ終えた所でデニム曹長の分を持って行き準備室へ戻る。三交代制は仮眠八時間、準待機四時間、待機八時間、準待機四時間、仮眠八時間……といった感じで取ってる。

……もうちょっとシンプルに出来そうな気がするが、気にしない。八時間の仮眠は仮眠と言えないだろうが、気にしない。非効率な気がするが、気にしない。気にしないったら気にしないのである。

 

「おぉ、ジーン悪いな」

「いえいえ、これぐらい」

 

待機室に戻った俺はデニム曹長に朝食を渡す。それを手に取り食べる。満足げな表情をしながらこちらに顔を向ける。

 

「お前、もう少し寝てろ」

「えっ?よろしいのですか?」

「少佐を除けば今んところウチのエースだからな。まだ潰れてもらっちゃあ困るからな」

「……では少し仮眠させて頂きます」

「あぁ、ゆっくりしてろ」

 

こりゃ、ラッキーだな。準待機時間は寝る事とノーマルスーツを脱ぐ事以外は特に禁止されてないが、逆を言えばその二つは出来ないのである。本当に面倒臭い仕様である。まぁ、上官命令としてありがた~く寝床に入ろう。

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、どうしたもんか。

人間というのはこういう時に限って寝れない。

そうだな……丁度いいし、これからのすべき事を考えてみようかな。

 

まず始めに、明日は大気圏での戦闘がある。下手したら死にかねない一大イベントだ。俺がクラウンの代わりにならないように行動しなければいけない。燃え尽きてそのまま火葬されるのなんてまっぴら後免だからね。何とか這いつくばってでもコムサイまで行って地球に降り立たなければ。

そうして何とか地球に降下したらガルマのガウに着艦するはず。コテンパンにやられて撤退したあとはガルマが態勢を整えてドップで、そしてシャアがザクで出撃するはずだから……

 

うーん、それよりもビームライフルがあればホワイトベースも墜ちると思うけど、果たして大気圏でやっつけるべきか、否か。

やっつければ少なくともジオンのエース達は生還する事になるだろうけど、あのマザコン野郎*1がどう行動するか解んねぇからなぁ……下手したら原作にはない方法でガルマの暗殺がされたら対応に困るからなぁ……

ホワイトベースは生かさず殺さずにしておいた方が無難かなぁ……

 

そんでもって一番重要なのは、歴史の分岐点であるシアトルでのガルマ暗殺を阻止すべきか。

ぶっちゃけ、俺が生き残ってたらガルマは死のうが死なないが関係ない。何だったらククルス・ドアンの島にわざと漂流して受け入れて貰い、一緒に自給自足の生活をしてもそれはそれでいいのだ。ただ、このままでは原作通りに進むとジオンは必ず不利になるので、所謂ハードモードで生き延びねばならなくなる。だったら少しでも楽になる選択肢を選ばねばいけないし……

 

 

 

やっぱりガルマ大佐には生き延びて貰わねば……

どうやって助けようか……

あのロリコン野郎*2の事だから二手三手考えているんだろうなぁ……もうあのシスコン野郎*3を消した方が早い気もする。でもキシリアはシャアの素性を知っての上で泳がしている可能性も考慮しないとホントに消されかねない。ジーン?そんな奴ジオン軍に居ないな……って感じで。

 

 

 

ふぁ~良い感じに眠くなってきた……

折角の仮眠時間だ、寝なきゃ損だよな。

明日は明日の風が吹く。なんくるないさー

それでは、お休みなさい……

 

 

 

zzz……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球連邦軍 ルナツー基地

 

「パトロール部隊は帰って来なかったか」

「はい、ムサイと戦闘を行ったようで……」

「シャアか?」

「その可能性が高いです」

「……」

 

大きなため息をつくワッケイン司令。やっと出来たジム三機をぶっ壊され、挙げ句の果てにサラミスも二隻沈められた。もうため息以外のしようがない。

 

「パトロール部隊が帰って来たら、ホワイトベースの護衛に付けてやりたかったのだがな」

「それは残念です」

「……」

「彼らは上手くやってくれるのでしょうか?」

「……未熟な彼らをジャブローへ送り届けるのにサラミス一隻しか護衛に付けてやれなかった。我々はもう、彼らが無事ジャブローに着く事を祈るしかない。彼らは必死になって働いているのに、我々は何もする事が出来ない。寒い時代になった物だな」

 

ホワイトベースとサラミスが地球へ向かう。ワッケインはそれをモニターで観ていた。ただ、それしか出来なかった。

 

 

 

9月23日

戦いの火蓋がもうまもなく、切られる。

*1
シャア・アズナブルの事である

*2
勿論、シャア・アズナブルの事である

*3
やっぱり、シャア・アズナブルの事である




ストック無しで週一投稿は無謀だったか……
しばらくこの調子が続くかもしれません。
気長にお待ち下さい(´・ω・`)

追記:何故か9月が8月になっていたので、修正しました。


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第20話 大気圏突入[出撃編]

着々と前に進んでいます。
戦争も、運命も、物語も……


やってきちゃいましたよ大気圏突入。アニメだとまだ第5話なのよね。V作戦偵察からまだ数日しか経っていないけど遠い過去のように思えてくる。しかし、まだまだ先は長い。

にしても無茶苦茶だよなぁこの作戦。戦術的には単純な奇襲戦法なのだが、場所がとてつもなく悪条件なのである。高度を間違えたら待っているのは死。タイムリミットを越えても死。無論、ガンダムの攻撃を食らっても死。ホワイトベースの対空砲にも気を付けなければならない。あまりにもシビア過ぎるな……

 

まぁ、後方からビームライフルを撃つだけの簡単なお仕事だし?適度に動いてれば文句は言われない……はず。あ、コムサイには行かなきゃな。

 

 

 

……そろそろ来るはずだが。おっ、来た来た。

 

「諸君、集まっているようだな」

 

シャア少佐がブリッジへと向かって来る。その場に居た全員が敬礼をして、シャアも敬礼で返す。そして、すぐさまと作戦説明に入る。

 

「新たに二機のザクが間に合ったのは幸いである。二十分後には大気圏に突入する。このタイミングで戦闘を仕掛けたという事実は古今、例が無い。地球の引力に引かれ大気圏に突入すれば、ザクとて一瞬の内に燃え尽きてしまうからだ。しかし、敵が大気圏突入の為に全神経を集中している今だからこそ、ザクで攻撃するチャンスだ。第一目標、木馬。第二目標、敵のMS。戦闘時間は二分と無いはずだが、諸君らであればこの作戦を成し遂げられるだろう。期待する!」

 

再度敬礼をして解散をする。

さて、少佐の適当な作戦説明を、俺がより詳しく説明するとしよう。

今回の作戦は皆さん知っての通り「大気圏突入」の戦闘でホワイトベースを奇襲する。しかし、原作通りなのはここまでで、ガンダムはプロトタイプで我々のザクは少佐含めて六機もいる。少佐と俺が地球に向かうので、その穴埋めとして二機のザクが補給された。今回の作戦は、そのザクも使ってホワイトベースを攻撃する。一見するとこちらが有利に思えてくるが、ホワイトベースはえげつないぐらい堅い。ザクが二機増えた所で墜ちるような代物ではない。それに俺もビームライフルを使ってでもぶっ壊す気はない。何度も言うが、原作通りじゃないと少佐の行動が読めないからガルマ暗殺を阻止出来ないからである。本当に世話のかかる奴だ!もう!

 

ところで少佐と俺以外のメンバーは誰だと思う?

コムとジェイキューとクラウン、あとはスレンダーだぜ?最初に顔を合わせた時はビックリしたよ……

まさかデニム曹長が予備に回るとは。そもそも例の三人が予備パイロットとして最初からファルメルに居るとは思わなかった。一度も顔を合わせた事ないし。まぁでも、MSの補給は出来てもパイロットだと直ぐには出来ないもんなぁ。言われてみれば当たり前なのだが……

 

「ブリッジから各員へ。出撃十五分前、パイロットはMSに待機し、整備班は各MSとコムサイの最終メンテナンスを行う事。繰り返す……」

 

さて、そろそろスタンバっておくか……

 

 

 

ハンガーに着くとデニム曹長が待っていた。

 

「ジーン、待っていたぞ」

「曹長、わざわざありがとうございます」

「これから暫く会えなくなるんだからな」

「次合う時は本国でですかね?」

「そうだといいな」

 

他愛もない会話だが、これで暫くのお別れとなると少し寂しく感じるな……MSに乗り込もうとすると曹長が何かを手にする。

 

「おぅジーン、これもってけ」

 

ピンっと飛ばされたカードををキャッチする。これは……購買部で使える特別配給カードか。基本的に購買部で売ってる品物は無料で貰える。だが、流石に買える商品の限度というものがある。これを使うと特別な嗜好品を貰えるので自分で使えたりするが、だいたいの人は自分の部下のお祝いにあげたりする事が多い。要するにギフトカタログみたいなもんだな。ちなみにどんなにものが貰えるのかというと……

 

高級な酒のボトル1ダース

オーダーメイドの服

国内産高級腕時計

ラジコンやプラモ

通常の検閲では引っ掛かるエッチな本

 

等が貰えたりする。まぁこれはほんの一部だが。

さてさて、額面を見てみよう。えーと、一、十、百、千、万、十万……

 

 

 

ひゃ、百万!!?!??!

 

 

いや、絶対におかしい。百万なんて普通あり得ない。上記にある嗜好品は大体一万クラスで、曹長クラスなら精々その一万が関の山だ。えぇ、何して貰ったのぉ???

 

「驚いたか?実はこれは少佐から貰ったもんだ」

「しょ、少佐からですか!?」

 

余りにも思い切りが良すぎないか?普通人から貰った物を他の人にあげるのはマナーとしてあまりよろしくは無い。でもそれをプレゼントするって事は、それほどまで俺の事を信頼してくれてるって事なのかな……

 

「ほ、本当にいいんでしょうか?」

「男に二言はない。好きに使え」

「あ、ありがとうございます!」

 

……百万あったら最高級スポーツカーやサイド3に別荘が建てられるぐらいの事なら出来る代物だ。多分二等兵とかがこれを見たら卒倒すると思う。

 

「ジーン伍長、そろそろMSに乗って下さい」

整備兵が声を掛ける。

 

「それじゃ頑張ってくれよ、未来のエース」

「曹長も死なないで下さいね」

 

ハッチが閉まりシートベルトを締める。MSの起動を手際よく確認する。ある程度操作を終えた所で先程貰ったカードを見てみる。いや~初めて見たな。百万のカードって赤いんだな。しかも文字と縁が金色だ。裏面はどうなって……

 

 

 

ルウム戦役での功績を称え

このカードを寄贈する

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

……これ、使ったらマズイやつやん。




ジーンは【厄介払い】の称号を得た!
ジーン(転生)「いや、全然嬉しくないんだけど」


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第21話 大気圏突入[戦闘編]

正直6対1って卑怯だよね()


「ホワイトベース各員へ。本艦は八分後に大気圏に突入します。立っている人は座って下さい。船が揺れるような事があっても騒がないように。各戦闘員メカニックマンは各自の部署で待機のこと。ガンダムも発進する可能性もある、メカニックマンはそのつもりで」

 

「敵だ!」

 

手際よくガンダムを起動させる。内心、シャアが来る事は何となく分かっていた。が、どれぐらいの戦力で来るのか、そして何分戦えるのかまでは判らなかった。そして正面のハッチが開き、オペレーターのセイラが声を掛ける。

 

「アムロ、発進後四分でホワイトベースに戻って。必ずよ」

「了解。セイラさん、僕だって丸焼けにはなりたくありませんから」

「後方R3度、ザクは六機よ」

 

ろ、六機も!?この前まで四機で来ていたのに、いつ補給を受けたんだ?

 

「シャアは手持ちのザクは四機のはずじゃ……そうじゃないセイラさん?」

「事実は事実よ」

「ホワイトベースの援護は?」

「後方のミサイルと機関砲で、リュウとカイが援護するけど……高度には気をつけて」

「戦ってる最中に気をつけられると思うんですか」

「貴方なら出来るわ」

「おだてないで下さい」

 

全く、セイラさんは口が上手くて敵わないや。

 

 

 

 

 

 

さーて始まりました。攻撃を受けたら地獄、地球に落ちても地獄の大気圏チキチキレース。実況は私、ジーン(転生)がお送りします。

 

「敵もMSを発進させたようだ。ドレン、援護しろ。我々は二手に別れて攻撃する。ジーンは後方で良い感じに援護を頼むぞ」

「えぇ!?良い感じってどんな感じですか?」

「自分で考えろ、いいな?」

「……分かりましたよぉ」

 

いきなりこれである。前線に出てガンダムと対峙するよりかは幾分マシだが……

 

何となくガンダムが遠くに見える。後方からのファルメルのミサイルに当たらないように避けながらホワイトベースへと近づく。アムロは多分、シャアに集中しているのでここがチャンスか……緊張するぜ。

 

ザクの移動を止めて慣性でホワイトベースに近づきながらガンダムに狙いを定める。シャアの放ったバズーカがガンダムシールドを貫通してよろけたらぶちこむ。

 

ステンバーイステンバーイ…………ゴッ!!!

 

ちいっ!外した!やはり慣性とはいえ移動しながらだと狙いが狂うな。そろそろホワイトベースに攻撃を仕掛けないとな……墜ちない程度に。おおっとここでコムがバズーカで右腕をやられたぞ。原作通りなのは嬉しいようで嬉しくないぞ。さて、そろそろビックリドッキリ武器が登場するはず。

 

 

 

 

 

「し、しまった!バズーカのスペア弾が……」

 

撃ち過ぎた。余りにも当たらないのでむきになってしまった結果がこれだ。

 

「セイラさん!ビームライフルをくれませんか!」

「無理よ、ライフルを発射することは出来ないわ。メカニックマンに聞いてみるけど……」

「セイラさん、ライフルはまだ修理中だよ」

「と、父さん!?」

「アムロ、出撃中はせめて大尉と呼べと言ったはずだが」

 

戦ってる最中にそんな事考えて言える訳ないだろ!

 

「そんなことより他に武器はないの……ですか?」

「今出せるのはガンダムハンマーだけだな」

「それでいいから早く出して下さい!」

「分かった、60秒後には射出する」

「前よアムロ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、見事にジェイキューがガンダムバルカンで蜂の巣にされて爆発してしまいました。こちらのザクは残り五機、そのうち一機は小破しています。とりあえずホワイトベースに攻撃は出来ているけど、全くダメージを受けている様子はない。お前らちゃんと仕事しろ!!!

(↑人の事いえねぇだろ)

 

サラミスカプセルがホワイトベースに収容されていく。リード中尉がケガをしてから段々弱気になっていくのは中々人間味があっていいよな。指揮官としてはあまりよろしくないけど。

 

「クラウン何をやってる!敵の銃撃の来る所は判ったはずだ、接近して叩け。それではザクの性能は発揮できん!」

「はっ、しかし銃撃が激しくて……」

「これで激しいものか!よく相手を見て下から攻めてみろ」

 

やーい、言われてやんの

 

「ジーン!お前もライフルが当たらないならもっと接近しろ!」

 

えぇ……後方援護なんだからこっからでいいじゃん

ってかお前が適当に指示を出すからだろ!!

 

 

 

仕方ないのでホワイトベースに近づく。対空砲なんて、こっちから当たりにいかないと当たらないので動いてさえいればそこまで気にしなくていい。けどやっぱり弾幕が張られている中に行くのは怖いよね。さて、そろそろホワイトベースの下らへんに来た。仕方ないから右エンジン周辺を軽~く当てますか。

 

バキューン

 

よし、とりあえず当てれた。あれぐらいなら大気圏突入には問題ないだろう。お、白と赤い奴は良い感じですな。ここにコムがやってきて……

はい消えた~。(バン!)

おっとここでタイムオーバーだ。さて、ここいらでお暇するか……

 

「ジーン、ドレンのカプセルに戻れ。クラウンはファルメルに戻るんだ。おいクラウン!クラウン聞こえないのか!」

 

あーこれはいけませんねぇ。クラウンはここでも宇宙世紀式即席火葬の犠牲者になってしまうのか……

俺も燃え尽きない内にカプセルに戻ろう。そういえばドレンの横に居るアホ面したやつの名前ってなんだろうな?あいつ気絶でもしてるんじゃ……

 

 

 

あれ?何で画面が真っ赤っかなの?

 

 

答えは簡単。大気圏突入の真っ最中なのだ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!




何回観てもセイラさんの「貴方なら出来るわ」の小悪魔っぷりが凄い。あれで17なんだぜ……


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第22話 大気圏突入[突入編]

めちゃくちゃガンダムと関係ないけど……
名探偵コナンのアニメ化のサブタイトルで前編後編じゃない〇〇編ってついていると「あっ、2週で終わらないやつだ」って勘づくよね()


えぇ!!!いつの間に大気圏突入していたのぉぉ!!?ホワイトベースの下に潜りすきだのか?!!いや、慌てるな。ここで状況を確認しよう。モニターをチラッ

よし、まだアムロとクラウンは戦ってるな。今ならコムサイに急行すれば間に合う……はず。

 

とにもかくにも全速前進、バーニアをフルスロットルで飛ばす。コムサイまで……あと2㎞?どんだけ流されてんねん。いやぁ、どっかの誰かさんが「前に出ろ」なんて言わなけりゃあ、今頃合流出来てるはずなんだけどねぇ……戦場の絆でもスナイパータイプを前線に送り出して勝った試しがない。バトオペ2では芋スナイパーは嫌われる。何ならたった一分半芋スナしただけで味方に殴られたし。でも後ろに居たっていいじゃん、格闘3枚いるのに突撃って地獄だよ……

 

 

 

……あれ?コムサイまでの距離が600mを切らない。もしかしてだけどこれ、引力に引かれてる?

 

 

 

 

 

 

 

 

あああああああああやっべぇ!!!!!

 

 

 

 

 

 

よく見たらアムロ達も何か戦闘どころじゃなくなっているし!こうなりゃ、(何度目か判らない)一か八かの特攻じゃあ!!!

身体がリミッター解除のコマンドを憶えてくれていた。アラートが鳴るのと同時に機体がぐぐぐーんと加速する。じわじわと距離が縮まっていくが間に合うかどうかわから……

あー

 

意識がぁー

 

 

段々……

 

 

遠……退いて……

 

 

 

 

 

 

 

る場合じゃない!!ガバッ

 

……あれ?そういえばコムサイってどんな感じにMSの収容をするんだっけ?確かシャアは背中合わせから入っていったよな?という事は……

 

①間に合うようにコムサイへ突っ込む

②180度ターンをする

③ぶつからないようにバーニアを吹かせ、入庫

 

……仕方ない、一発で車庫入れを決めねばならないようだ。皆さんはテレビなんかでよく観る、カースタントマンが車の幅ギリギリの駐車スペースにドリフトしながら駐車するパフォーマンスをイメージしてもらいたい。え?失敗したら?……死なば諸共よ。

 

段々と目に見えて近づいてくる。チラチラと距離表示を見ながら己の勘でターンを決める。

 

 

300……250……

 

 

200……160……120

 

 

ここじゃあ!!!

 

ブーストを一瞬止め、180度ター「ミ゜ッ」ンをし終わり、二つブーストをかます。間に合っ……

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

た……

 

一瞬、意識が三途の川を渡りそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

減速出来ない!落下速度がこんなに速いなんて……

くそっ、あんなザク、ビームライフルがあれば一撃なのに……どうしよう、このままじゃガンダムが燃え尽きちゃう!

 

「アムロ…!ザッ聴こえるか!アムロ!」

「とっ、父さん!」

「一度しかザッ言わんぞ、ザッザッダムは大気圏ザッ突入能力ザッ持っていザッ」

「ホントに!?」

「まずザッザーッ姿勢制御、冷却シフザーッ全回路ザッ接続をザッろ」

「姿勢制御、えーと、冷却シフト、あとは……これか、全回路への接続……よし!機体の温度が下がってく!」

「上ザッ来ザッザッロザッ後ザーッ耐ザッつfザーーーーー」

「父さん!耐熱がなんだって!?ねぇ父さん!!」

「ザーーーーー……」

 

終わった……命綱の通信が途絶えてしまった。多分、耐熱用の何かがガンダムに備わっているはずだが、肝心な部分が聴こえなかった。どうしよう……適当にボタンを押すわけにもいかないし……こうしている間にも徐々に機体の温度が上がっている。落ち着けアムロ!落ち着くんだ!何か、何か方法はあるはず……!

 

 

 

 

 

「ジーン!俺達を殺す気か!!」

 

ドレンに怒られる。だってしゃーないもん。

 

「あと十秒遅かったらコムサイに激突していたぞ!もっと余裕をもって行動してくれ。これでは命がいくつ有ってもたらん」

 

元々はテメェのせいだろアズナブル!!!

とにもかくにも何とか間に合いました。……ホントに命がいくつ有っても足りない。あと残機10個ぐらい下さい。あ、そういえばあいつらは……

 

「ドレン、クラウンは?」

「駄目です、もう間に合いません」

 

あー、結局死ぬのか……

 

「シャア少ザッ!助けてザッさい!シャーーア!!」

 

いつ聴いても虚しいなぁ。悲しいけどこれ、運命なのよね。さて、シャアは原作通りに話掛けるのかな?

 

「……ドレン、通信を切れ」

「はっ」

 

……酷い。ヒドいなぁ。まぁ、ガンダムには大気圏突入能力があるから励ましなんて出来ないもんなぁ。致し方なし。燃えながら崩れ行くザクに対して敬礼をする。もちろん左手で。さて、ガンダムは……

 

「ガンダムの反応はどうだ?」

「まだ消えてません」

「やはりこのまま大気圏突入する気か……」

「少佐、そろそろ突入しますので席に」

「分かった、後は天に運を任せよう」

 

おー、地球に行k

ぐひゃっ!!!!

 

ぐ、グラビティが……

もとい、重力が結構キツイ!今まで無重力空間で生きていた身にはかなりキツイ……でもこれまで体を鍛えてきたから何とか堪えられる。

ありがとう、自分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼い、青いこの地球

ファルメルからも見たがやはり美しい、しかし

この地球に我々サイド3はコロニーを落とした

母親に構って貰えない腹いせに

身近にあった玩具を投げつける子供のように……

 

 

 

 

 

 

そんな地球が次のリングだぁ~~~~~~!!!

それでは行きましょう、次の舞台へ!

ガンダムファイトォ

レディ~~~GO!!!!!




なんやかんやありましたが、ようやっと地球での戦いに移ります。ガルマの運命は……


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第23話 一時の休息

大気圏に突入し、ガルマ大佐との通信も終えてガウ攻撃空母にやってまいりました。どうも皆さん、ジーン(転生)です。何とか地球に来れました。いやぁ、ジーン自体は地球に行った事がないのですが、前世の記憶で埃っぽい空気や地球の重力に、なんとなく懐かしさを感じます。

 

あ、すっかり言い忘れていたけどガンダムはホワイトベースを盾にして大気圏突入を成功させました。畜生!あいつ、オリジンルートを自力で切り開きやがった!!……こりゃ不味いな。シアトルで決着をつけなきゃ、このままの勢いだとジオン滅亡待った無しだな。

現状説明をするとホワイトベースは原作通りキャルフォルニアの予定進路よりずれてグレートキャニオンに突っ込んだ。ジオンはガウ一個中隊を率いてホワイトベース撃破に向かってる。そして俺と少佐はガルマ大佐の元へ歩いています。さて、シャアはともかく俺も行けるのか?

……と思ってたら普通に通され、杞憂に過ぎた。

 

「いよぅシャア、君らしくもないな。連邦軍の艦一隻に手こずって」クルクル

「言うなよガルマ。いや、地球方面軍司令官ガルマ・ザビ大佐とお呼びすべきかな?」

「士官学校時代と同じガルマでいい」

 

……美男子どうしの会話というものは優雅な物だな。俺の友達との会話は「土曜日俺ん家でパワプ〇しよーぜ」みたいな品のかけらも無い物だったからな。なんか雰囲気に飲まれそうだ。

 

「シャア、横にいるのは君の部下かい?」クルクル

「あぁ、巡洋艦二隻と新型MS三機を撃破した大エースさ」

「ジーン伍長であります」

「伍長……?あぁ、君だったのか。活躍は聞いてるよ、これからもジオンの為に頑張ってくれたまえ」クルクル

「ありがとうございます」

「君の武勇伝でも聴きたい所だが、まずは目の前の敵を倒す事が先決だな」クルクル

「そ、そうした方がいいですね」

 

武勇伝っていってもなぁ……

 

「それと君達は連戦続きだろう?ここは私に任せて、君達はゆっくり羽根を休めたらいい」クルクル

「それじゃあ、ガルマのお言葉に甘えよう。ジーンもゆっくりしてろ」

「はっ」

 

 

にしても髪の毛弄りすぎだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、俺が必死で盗ってきたV作戦の極秘資料のおかげで内部データは分かっているはずだ。にも関わらず、戦力は原作同様のガウ一個中隊で来やがった。余程の自信があるようだ。多分、地上にも部隊を配備しているはず。しかし、あえて言うとすれば「ガル…

 

「ガルマは相手を見くびってる。とでも言いたげだなジーン」

 

赤いヤツが割り込んできやがった。

 

「まぁ、言いたい事は解る。皆まで言う必要はない。我々はここでお手並み拝見といこうじゃないか」

「そ、そうですね」

 

 

ガウも徐々に降下してきて地上での戦いになってきた。今頃リード中尉は「引け!後退だ!いや、転進しろ!」って感じで慌てふためいているんだろうなぁ。

 

 

しばらくの沈黙の後、ドレンが口を出す。

「中々苦戦していますな」

「ガルマが苦戦して当然さ。我々が二度ならず機密取りに失敗した理由を彼が証明してくれている。しかも我々以上の戦力でな。これで私の力不足ではないと他の将校達も納得してくれるだろう」

「なるほど……」

 

ぶっちゃけ機密取りには成功してはいる。しかし、この少佐は次の目標をガンダム奪取(ついでにホワイトベースも)にして地上に降りてきた。だが、赤い彗星の異名を持つシャアが手こずっているとなると、やはり悪評が出始めてくる。風の噂によると、一部の将校は「ルウムで一発当てた天狗」と下馬評を下している。あながち間違いではない

 

「ドレン、そういえばガルマはMSで出たのか?」

「いいえ」

「そうか……」

(彼がガンダムと戦って死ぬもよし、危うい所を私が救ってもよしと思ってたが……)

 

 

 

 

 

 

「そういえば少佐、聞きたい事があるのですが」

「なんだ?」

「これですよ」

 

件の真っ赤なカードを差し出す。

 

「どういうつもりなんですか?」

「ほぉ……」

 

顎に手を置くな。

 

「どういうつもりと言われても……私はデニムにあげたからな。デニムに聞いてくれ」

「いやいやいやいや!!!こんなもん貰ったって困りますよ!!お返ししますよ!」

「返すならデニムに返してくれ、私に返されても困る」

「いやしかし!」

「クドいぞジーン。先輩から貰った恩を易々と捨てるのは、私は好かんぞ」

 

くっ……このままじゃ千日手だな。もっと言いたい事があるがここは止めておこう。にしてもコイツ、確信犯か?全く人をおちょくるのもいい加減にしてほしい。

 

 

 

 

 

ガンタンクやホワイトベースが受けている。あ、ガンタンクが後退した。そして戦況は……原作通りだな、こりゃ。ホワイトベースにあまりダメージを与えられてない。地上のザクとマゼラアタックはそれぞれ一個中隊で来ている。

 

……え?もしかしてドップと合わせると一個大隊でホワイトベースを攻撃してやられてたの??それ指揮官として不味くない???本当に戦力分析したのかよ!?

 

「どうだジーン、ガルマは勝てそうか?」

 

シャアは後ろで手を組ながら質問してきた。

 

「うーん、戦力的にはこっちが圧倒しているんですけどね。何故か知らないですけど負けそうな気がします」

「具体的には?」

「大気圏で戦った時に私のビームライフルが当たったはずなのですが、そのダメージをてんで受けてない気がします。なのでドップやマゼラアタック程度の攻撃じゃ落とせないと思うんですよ」

「なるほど、確かにそんな気もしてきたな」

 

お互いに窓の外を見る。ガンダムがやけっぱちになってビームサーベルを振り回してるのが見えた。あぁ、こりゃ負け確だな。と、ここでドレンが近づく。

 

「少佐、ガルマ大佐が退くようです」

「ジーンの言った通りだな」

 

戦力の半分程を失っての撤退か……

やはりちゃんと戦力分析してないようだ。外交は出来るとはいえ所詮、坊っちゃんは坊っちゃんって訳だな。

 

 

 

「ジーン、大佐を出迎えに行くぞ」

「はい少佐」




スローペースになりましたが、なにがなんでも完結まではもっていく所存です。ただ、年末は忙しくなるので「更新が来たらラッキー☆」程度に考えて下さい……


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第24話 コアファイター撃墜せよ!

いよいよジーン待望のイベントが来ます。
(後書きにお知らせがあります)


「やぁおはよう、二人とも」

「おはようございます」

 

ザビ家の坊っちゃんに呼び出された24日の朝です。皆さまおはようございます。

 

「早速だが昇格の話をしよう。ドズル中将に代わり、私が読み上げる」

 

おぉ、ついに来たか昇格の話が!MSパイロットは最低でも伍長になれるけど、逆に言うと伍長が最底辺なのだ。お給料も増えるし、年金の額も上がるから上がっておいて損はないわな。

 

「まずはシャア・アズナブル少佐から。貴殿は特別部隊を率いて、連邦軍最重要機密であるV作戦資料の奪取に成功した功績を称え、一階級特進とし中佐に昇格とする」

 

「ありがとうございます」

 

ビシッと敬礼を決めるなぁ、この後殺すのに。

 

「次にジーン伍長」

「は、はいっ!」

 

……あれ?そういえばジーンって名前なのか?それとも名字なのか?死にゆくはずのモブキャラだから、分からないのも仕方ないけど。

 

「ジーン伍長、貴殿は連邦軍最重要機密であるV作戦資料を奪取に成功し、更に作戦途中で連邦艦二隻、MS三機を撃破した功績を称え二階級特進とし、曹長に昇格とする」

 

 

 

……え?二階級もいいんすか?

 

「おめでとうジーン伍長、いやジーン曹長」

 

こちらを見ながら軽ーく拍手をするシャア少佐、いやシャア中佐。

 

「君ならもっと上を目指せるはずだ。これからも精進してくれたまえ」

 

ガルマ大佐が握手を求めて来たので、それに答えた。

 

「あぁそうだ、これは私からの昇進祝いだ。受け取ってくれ、改めて昇進おめでとう」

 

ピッと渡したのは十万の特殊購買カードだった。流石坊っちゃん、気前がいい。

ちなみに十万だとオーダーメイドの軍服が作れるらしい。成る程、ジオン軍人の改造軍服の多さはこれが原因か?

しかし、あの赤い奴からデニム曹長経由で贈られたあの"赤いカード"の衝撃が凄まじく、いまいち感動に欠けてしまう。いや、十万のカードなんて下級兵士には縁のないカードだから貰って嬉しいのよ?それはお分かりになって?でも、あの、ねぇ?分かるでしょ?俺の言いたい事?

 

 

 

 

……あれ?そういえばドレンさんが居ない気がする。

 

「少佐、いや中佐。ドレン少尉はどこに?」

「あぁ、ドレンならドズル中将に近況報告しているからそちらを優先させた」

 

はーん、中間管理職も大変ねぇ。こんな朝から近況報告なんて。普通、上官のシャアがやる仕事じゃないの?……いや、やらせてるのか、これ?

それにしても話し合いがあるから昇格の話はガルマに任せているのか、それとも花を持たせてる?いや、多分その両方かもな。ドズルさん、結構ガルマにゾッコンだし。

 

ガルマが咳払いをして話を戻す。

 

「最後に、ここには居ないがV作戦偵察部隊に参加した隊員達は一律に一階級特進だ。以上を持って私の話は終わりとする。あとは好きに時間を過ごしたまえ」

 

「はっ!」

 

 

敬礼をしてその後、地球での優雅な朝食を頂こうとしたが、その夢はホワイトベースによって打ち砕かれた。

 

「ガルマ大佐!ホワイトベースに動きがありました!」

「なにぃ!それは本当か!」

「はい、今すぐ指令室へ」

 

おっ、アムロが気絶するアレか?ということは……

 

「よし、我々も行くぞ」

「やっぱりですか?」

「当たり前だろう、我々の仕事はホワイトベースとガンダムの撃破だ。行かないという選択肢は無いぞ?」

「デスヨネー」

 

まさか……自由落下中の戦闘を強いられるのか?

全く、これだからギレンの野望攻略本のオマケページで「上司にしたくない人物ランキング」で二位に選ばれるんだよ。ホント、ジーンに転生した事が運の尽きだよ。

 

 

 

 

 

 

セカセカとコムサイへ向かう。なんなら走って向かってる。嫌だなぁ、俺高いところ苦手なんだよ。あと飛行機というのも苦手で何度もブラットアウトしそうになるから、嫌なんだよぉ。と、愚痴を言ってもガンダムとの戦闘は避けられない。もう転属願書こうかしら。でも少佐……じゃなかった、中佐がいる限りアフリカ戦線送りよりかはマシだからなぁ、扱いも悪くないし。でも、ガルマ暗殺を阻止出来なかったら、多分冷遇されるんだろうなぁ……

 

「おい、ジーン。シートベルト閉めないとぶっ飛ばされるぞ」

 

赤い人から忠告を受けた。気がつくともう既にコムサイの室内にいた。あっれぇ~?もうテイクオフですか?いやぁ、まだ心の準備g

 

「コムサイ発進します!」

 

 

キーーーーーーン!

 

 

「ちょっ、まっtくぁwせdrftgyふじこlp……

 

 

 

 

その後、戦闘直前まで起きませんでした。合掌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい起きんかジーン!」ゲシッ

「ふぇっ!?」

 

蹴っ飛ばされた。シャアの履いてるあの靴、結構尖ってるのよね。素直に言うと痛てぇよ!……頭ガンガンするけど、出なきゃ。

 

「システムチェック、オールグリーン……」

 

頭痛い……ボーッとする……

こんな状態で戦えるのか?俺?

 

 

「私が先に出る、ジーンは後に続け」

 

コムサイの下部ハッチが開く。と、同時に赤いザクが落っこちる。うわぁ、リアルな落ち方やなぁ……

次は俺か……アッ、ヤバいクラクラしてき……

 

 

 

ガパッ ヒュー……

 

地獄のテイクオフ☆

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ気持ち悪ぃぃぃぃぃ!!!!」

 

 

足裏ゾワゾワして集中出来んわ!!!

クソッタレ!死にたくねぇから戦うけど!!!!

 

ちなみに気絶している間にコムサイ被弾して、コアファイターはガンダムに換装してました。時間にすると5~6分かな?一応、原作通り被弾しただけで済んだけど、もしエンジン直撃でやられてヒュードカン!ってなってたらそのまま御陀仏になっていたのか……考えただけでゾッとする。

 

さぁ、見えてきましたガンダムちゃん。

戦闘時間は……一分か?

とにかく今回も死なないように……

 

 

 

 

 

 

赤いザクと黒いガンダム(と魔改造ザク)の空中戦闘が繰り広げられる。基本的にシャアとアムロの一騎討ちであるが、たまに俺が横やりをいれる。でも空中戦闘なんてシミュレーションしてないし、あと30秒で地面にビターン!!だし、もう何発もビームライフルを撃ってるのに当たらないので、もうそろそろ着地準備をしてます。

 

「地球での自由落下というものは、言葉で言う程自由ではないのだな」

 

はいはいその通りですね。

 

特に進展も無いまま地上に降り立った。まぁ、この回のキモはガンダムの新機能に焦るシャアだから、戦闘はサクッと終わるのよね。機密情報盗んだからそのイベントすらないけど。

この後どうするんだろ?とりあえず聞いてみるか。

 

「中佐、この後はどうしますか?」

 

空を駆けるホワイトベースを見る中佐

 

「この戦力じゃ追撃は無理だな、基地に戻ろう」

「はっ」

 

流石に追撃はしないか。たった二機のザクでホワイトベース&ガンダムに立ち向かうなんて、たかが知れてるしな。賢明な判断に感謝して基地に戻ったら素敵な朝食を食べて寝よう。もうあんなバンジージャンプは懲り懲りだよ……




【お知らせ】(長めです)
今話もご観覧頂き、誠にありがとうございます。

早速本題に入りますが、この小説の更新を来年1月末まで一旦お休みさせて頂きます。

お休みの理由に関しましては、リアルでの仕事が忙しくなるのと、モチベーションをリフレッシュしたいという二つでございます。

最初の一つは今月六連勤が3回あるんです……作れなくはないと思いますが、正直キツイです。

もう一つ、モチベーションのリフレッシュというのは、この小説のタグにもあるように[不定期更新]と銘をうってますが、ここ数話で更新が二週間前後になってしまってるのが現状です。「不定期更新だから……」と言ってしまうのは簡単ですが、小説投稿当初より、遥かに多くの読者がこのお話を読んだり、感想を言ってくれたり、誤字脱字を訂正してくれたりしています。UAも大台の100万を突破して多くの人から期待されていると言っても過言ではありません。(そうであるかはさておいて)

なのでモチベーションの低下による質の低下はなるべく避けたいと思っております。なんだったらもう少し早めに出しても良かったのではないかと思ってもおりましたが、結果として12月に入る前での決断になりました。

ただ、これだけは明言しておきます。私はこの小説を[完結]させます。この二文字だけは御約束させて頂きます。もしお知らせも無く、更新が止まったら……そういう事になったとお考えになっても構いません。

12月とお正月はリフレッシュするために暫く距離を置きますが、その後は2月の頭には更新出来るようにエンジンを掛けたいと思います。(本当は[ガルマ散る]相当のストーリーが年末に出来てても良かったのですが……)

最後になりますが、不定期更新でありながら気長に待って頂き、この作品を楽しんでいる全ての読者様に感謝します。どうか少し長いお休みを頂きますが、また気長に待って貰えると幸いです。

かなり長くなりましたが、これで私からのお知らせを終わらせて頂きます。

PS.アンケート機能を試したいので良かったらご参加下さい。


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第25話 ジーン(転生)の一人会議[ガルマ編]

明けましておめでとうございます(激遅)
もう寒中見舞いの季節になりましたね。(その寒中見舞いもギリギリですが……)お約束通り2月から活動を再開させていただきます。

さて、新年一発目のお話は……


「えっ!休暇ですか!?」

 

思わず聞き返してしまった。だってガンダム追っかけてる最中に休暇が貰えるとは思わなんだもん。

 

「あぁ、シャアと君のMSをオーバーホールするついでに休暇もと思ったのだが、いかがだろうか?」

「とっ、取らさせて頂きます!」

 

ヤッホォ!特別休暇の四文字はいつ聞いても心が踊るぜ!いやー、やっぱりガルマ様はお優しいなぁ。とりあえず朝ごはんは食べたし、部屋に戻ろう。

途中ですれ違った兵士に白い目で見られてもスキップしながら自室に戻るジーン(転生)曹長であった。

 

 

 

 

 

 

 

さて休めるのはいいが、急に休めると言われても何をするか迷ってしまう。地上軍に知り合い居ないし、基地もガルマの部屋以外普通の設備だし、ガルマに観光スポットはないかと尋ねたら「無い」とキッパリいわれたし……

自室の窓の外を見てみると、そこには地球の雄大な自然が広がってる。灰色がかった険しい山、緑の絨毯にグレートキャニオンから続いてる乾燥した岩場。トレッキングでもすれば普通に観光になるのだろうが、今は戦時中だ。外に出たら自分達の占領地とはいえ、連邦軍兵士に遭遇するかもしれないし、そもそも外に出るには面倒な書類作成と長ったらしい審査期間をクリアしなければならない。まぁ、ガルマ様がいるから最悪の場合おねだりすれば特別に出して貰えると思う。外に出る予定はないけど。

 

 

 

 

 

 

現在の日時は9月25日午前10時19分

ガルマ暗殺まで残り9日だ。

 

一昨日の23日に大気圏突入して、昨日の24日に空中戦闘をした。結構濃密な2日間だな。原作では空中戦闘も23日にやったらしいが、この世界では1日ずれたみたいだ。……ずれてくれて良かった。あんなの1日でこなしたら過労で死ぬよ。

 

そんでもってガルマ暗殺までの残りイベントは

 

ガンペリーを使ってガンダム奇襲 9月?日

アムロ、ブライトにぶたれる 10月1日

ガルマとアムロが直接対決 10月1日

ガルマ死す 10月4日

 

思いの外、時間がある。

でも出来る事は決して多くはない。

とりあえず今日1日はゆっくり休めるが、明日はガンダムを追っかける為にこの基地を出発する。よくよく考えてみたら観光する暇なんてなかったな。作戦会議して正解か。とにかく、明日明後日にはガンダム奇襲イベントがあるはず。出撃するかは当日になってみないと解らないけど、シャアは出撃しないからそれに習う感じかもなぁ。

そして、アムロ覚醒イベントの一つ「親父にもぶたれた事無いのに!」が発生する。これはホワイトベースでの出来事だから干渉が出来ない。まぁ、まだ覚醒してもこの頃はワンチャンあるし……多分。

そういえばアムロとガルマの直接対決もこの日だけど、確かシャアが無線を弄って味方が出撃しないように仕向けたんだよな。よくもまぁ、そんな事出来るよなぁ。下手したら自分達の所にガンダムが来て落とされる可能性もあるっていうのに。本当にこの男はザビ家暗殺以外目がないんだな……こんな事されたのにガルマは疑わないし、ある意味殺されて当然なんだろうな。いや、させねぇけどな!

しかし、ここまではまだ序章に過ぎない。本番は10月4日、ガルマ暗殺の日が一番大事なのだ。下手したらこのイベントでの出来事が、ファーストガンダムにおける歴史の大きな分岐点なのだ。

 

……え?俺の生存自体が歴史の分岐点だろって?

まぁ、それもそうなんだけどね。ガンダム白から黒に変わっちゃったし。資料も奪ってきたし。挙げ句の果てに俺のザクにビームライフル装備しちゃったし……

まぁ、それは置いておいて……

 

ともかく、ガルマが生存すればオデッサ防衛戦に顔を出すだろうし、もしかしたら勝てる可能性もあるし、賭けるには十分なイベントだ。そしてガルマ生存にはシャアの無線妨害が必須である。一見簡単そうに見えるが99%シャアと一緒に出撃すると思われるので、ホワイトベースを見つける為にはシャアと離れて行動する羽目になる。んな事したら怪しまれる。かといって原作情報を使って離れずに報告しても怪しまれるし……

無線妨害するより、いっそのことシャアを殺す方が早そうだが、その後"普通だったら"待ち受けるのは上官殺しで銃殺刑だろうし……

 

 

 

 

 

 

これ、結構詰みじゃね?

 

 

そんな事言ったらジオンの勝利だってアムロがガンダムに乗った時点で結構詰みの段階に来てるし、何度も言ってると思うが俺さえ生き延びれたらジオンが滅亡しようが復活しようが関係ないからな。ただ、ジオンが勝利したらその後の生活はかなり楽に過ごせると思うからなるべく原作ルートを回避したいだけであって……

 

いや、待てよ?もし、ジオンが負けたらどうなるんだ?よくよく考えてみると自分さえ良ければジオンなんか負けてもいいと思ってたが、前世の敗戦国の末路を思い出してみると

 

・多額の賠償金を支払う

・領地をぶん取られる

・本国に経済的な制裁が加えられる

敗軍の軍人は裁判に掛けられる

 

いやマズイじゃん!特に最後の裁判。少なくともサイド7を襲撃してガンダム2号機を盗んで壊した挙げ句、連邦軍最大機密のV作戦の資料を盗んだ戦犯やん。こんなの、終身刑で済めばオメデトウ、ってところじゃねーか!ヤバい、もっと真剣にジオンを勝利へと向かわせねば。やはりガルマは絶対に生存させるべきだよな。さぁどうやって生き残らせるか……

 

 

グゥー

 

 

腹時計がお昼の時間をお知らせした。作戦会議していたらもう12時過ぎていたのだ。仕方ない、とりあえずお昼食べて、小休止したら基地内ランニングして汗でも流すか。これ以上考えても良案出なさそうだし、当日になってみないと解んないもんね。

 

さて、今日のお昼はなんじゃろなぁ~

 

 

 

 

 

 

 

そして、見事に何も思い浮かばないまま次の日を迎えてしまったのである。




戦闘を期待した方スミマセン、戦闘はもう少し後になります……
ともかく読者の皆様、今年もよろしくお願いいたします!


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第26話 YMSー06FB

このあいだ、レンタルしてきてポケ戦を初めて観ました。簡潔な感想として

アルの行動力が化け物過ぎる。
隊長の演技力が凄い。
ミハイル、デケェな。
クリスさんスカート短いッス。
(´・ω・`)バーニィ……

という訳で本編スタートです。



ガルマ暗殺まで残り8日

 

こんにちは皆様。今朝の6時にガウで出発し、只今ホワイトベースを追っかけてる最中でございます。昨日のうちに部隊を展開させてホワイトベース包囲網を作って、今日がそのフィナーレになります。でも原作だとガンダムにしてやられて、コテンパンにぶっ潰されるんだけどね。

 

今頃シャアはガルマと作戦会議中かな?とりあえず探してみるか。多分顔パスで入っても怪しまれる事ないだろうし。通路を適度に歩き、指令室にたどり着く。

 

「誰だ」

「ジーン曹長であります。シャア中佐に用事が」

「なんだ、シャアの部下か。なら構わん」

「ジーンどうした?」

「一応予定を確認しようと思いまして……」

「あぁ、そうだな……ついでだ、お前も見ていけ」

 

映し出されているモニターには作戦の詳細が記されてた。たしか休戦の申し入れを受けている間に、ミッド湖に部隊を展開させてホワイトベースを攻撃させるんだっけ?そんでもってガンダムに奇襲されて部隊をフルぼっこのケチョンケチョンに(ry

 

「ふふふ……奴らの休戦を受けれている間に部隊を展開させて、一気に討つ!我ながらいい作戦だ」

 

バシッ!と両手をキメてます。あぁ、これは自分に酔ってますわ。これには私も一言。

 

(これで勝てねば、貴様は無能だ)

(これだからテメェは無能なんだよ)

 

 

そういえばオーバーホールした俺のザクはどうなっているんだろ?格納庫へ行ってみるか。しかしたった1日でザクのオーバーホールなんて出来るのだろうか?整備兵さん達に睨まれなきゃいいけど……

 

「あぁ、ジーン曹長。君のザクはもう整備が終わっているはずだ。まだ君たちの出番はないだろうから見に行くといい」

「はっ、ありがとうございます」

 

ビシッと敬礼を決め、部屋を後にする。

 

指令室を出てからものの2,3分で格納庫に着く。ガウのぽっこりとした胴体のほとんどを占めているのがこの格納庫。ガウは攻撃空母と言われているが、このでっかい格納庫を見ると空飛ぶ格納庫って言ってもいいんじゃないかと思う。そういえばファットアンクルもこんな感じの格納庫だけど、どうやらジオンはMSを立てて格納したいらしい。何のこだわりがあるのだろうか?MSが移動する時に船体が揺れて大変なんじゃないか?不安定になれば墜落しかねないのに……まぁ、そこは宇宙人の技術で何とかしているのだろう。そうこう考えている内に赤い(朱色)ショルダーアーマーが目につく俺のザクが見えてきた。どうやら整備は終わったみたいで整備兵の姿はまばらだ。

 

「アンタがジーン曹長かい?」

 

いきなり後ろから話しかけられた、ビックリするから止めてくれ。とりあえず後ろを振り替えると、渋めな感じの30代後半の整備長が睨んでた。うわぁ、嫌な勘が当たったよ。

 

「はい、そうですが……」

 

恐る恐る返事をする。そうしたら整備長が大きなため息をつきながら愚痴をこぼした。

 

「通常、付 き っ き り で作業して2日掛かるオーバーホールをたった1日でやれと大佐に命令されるのは百歩譲っていいとして……あんな"現地改修"の度を越えた魔改造ザクを整備をしなきゃならん我々の気持ちを理解してくれませんかね?」

 

あー、なるほど……確かにそりゃそうだな。ジェネレータを二基に増やし、バックパックは溶接してデッカクした挙げ句、ビールライフルを撃つ為に色々と改良したら『ザクのようななにか』になってしまったMSだもんな。うん、気持ちは十分に分かるよ。でもね、これだけは言わせて欲しい。

 

 

 

俺だって被害者だ!!!

 

 

 

とりあえず労りの言葉を伝える

 

「いやぁ、付きっきりの整備ありがとうございます」

「全く、付きっきりでやっても整備は終わらないし、MSは滅茶苦茶だし、それでも給料は据え置きなもんで……二度とあんなMS整備したくないね」

 

言葉でボッコボコに殴られてます。目に見えないけど結構痛いです。ハイ。とっとと退散してダメージを受けないようにしよう……

 

「本当にありがとうございました。では私はこれで……」

「おい、ちょっと待て。まだ話すことがある」

 

ええぇ!まだあるんすかぁ……

 

「お前、一回リミッター切っただろ」

 

ギクリ

 

「黙っててもザクのスラスターみりゃ分かるよ。無茶すると根元が変形するから一目瞭然だ。まったく、普通のザクなら普通に直せるけど、お前さんのは"特製"だからなぁ。苦労したぜぇ?」

 

冷や汗が滝のように出てる。と思う。

 

 

 

「……」

「…………」

 

 

 

お互い何も言わず、少しの間沈黙が続く。

 

 

冷たく、重くのし掛かるこの空気。

 

 

これは……もう"アレ"しかないな。

 

 

 

 

 

 

両膝

 

両手

 

 

を地面に着け、相手に対し最大の誠意を見せる

 

「整備して頂き誠にありがとうございましたぁぁ!!!!!」

 

そう、これこそジャパニーズ土下座である。

恥じらいとプライドをかなぐり捨てた者のみが出来る会心の必殺技である。

 

 

 

 

………

 

 

 

 

少し間を置いた後、トントンと肩を軽く叩かれる。

 

「顔を上げな、それが出来れば一人前だよ。あとお前さん所の整備士にもよろしくと伝えてくれ」

 

顔を上げ整備長の方を向くと、俺に背を向けてながら格納庫を後にしていた。

やだ、なんだか格好いい……トゥンク

 

 

♪テンテンテン テンテンテーテンテ テテテーテーンテンテテテンテテンテテン×2

 

アスファルトタイヤを切りつけながら

アスファルトタイヤを切(ry

 

いや、作品違うから。あと歌詞も違う。

 

 

 

 

 

怒涛の展開で物事が進んだが、とりあえず指示があるまで部屋で待機でもしようかと思った。しかし、そういやあのおっちゃんに「お前さん所の整備士にもよろしく」って言われた事を思い出す。コムサイで地球に降りたのは俺、シャア、ドレンとコムサイの補助パイロットと、おっちゃんが言っていた整備士。確かその人が音頭をとって俺のザクを魔改造した張本人だったような……まぁ、せっかくだし先にMSのチェックしてから会いにいってみるか。

一通りMSのチェックを済ませ、改めて整備兵の方々にお礼言いながら格納庫を後にした。

 

こうしてガウ格納庫での出来事は終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにガンダムの運びだしも同じ頃に終わった。




使用タグ「オリジナルキャラクター」解禁

次回より、本作品オリジナルキャラクターを登場させます。実はオリキャラの構想自体は大気圏突入エピソードの前ぐらいに考えていました。しかし、あんまりオリキャラを出したり、増やしすぎたりすると私が「あのキャラってどんな奴だっけ?」ってなると物語を書く労力が掛かりすぎてバタンキューしかねないので、出し悩んでました。なので、「原作と直接的な干渉をしない程度」のキャラなら何とかなりそうだったので次回から出すことにしました。

繰り返しになりますが、次回から本作品のオリジナルキャラクターが登場します。苦手な方はご注意願います。


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第27話 技術士官セキヤ

新登場のオリキャラは皆さんに受け入れられるかちょっと心配ですが第27話です。



※オリキャラと独自解釈が苦手な方はブラウザバック推奨です。




OKすか?


ガンペリーからガンダムが運び出され、ジオンのルッグン「ビッグジョン」と一悶着が終わった後らへんの時間。俺は、俺のザクを魔改造した整備士の元へと向かっていた。

 

確か、セキヤって名前だったよな。技術士官でサイド7での収穫品の解析をするために編入されたんだっけ?ぶっちゃけジーンの記憶を辿っても詳しくは分からない。まぁ、興味無かったんだろうな。それに原作に出てこないキャラクターなので、いっさいがっさいの情報が無いのは少し怖い。名前からして日系人っぽいけど……

 

彼が居る部屋の前に着く。少し緊張しながらノックをして「どうぞ」と声を掛けられた。ドアが開き、部屋の中には中肉中背の日本人が腰掛けていた。

 

「あら、どうされました?ジーンさん」

「いやぁ、整備長からよろしくと伝えてくれと言われまして……私からもお礼をと思いまして……」

「わざわざありがとうございます」

 

うん、日本人だこの人。どっからどう見ても会社の係長クラスに居そうな日本人だ。身長はだいたい俺と同じくらい。髪は黒で短髪。黒縁の眼鏡に鷲鼻で顔は四角い。中肉だがガタイはしっかりしており、太ってはいない。

 

うん、日本人だこの人。

 

「折角ですから、もし時間がよろしければ少しお話でもしませんか?」

 

彼からの提案を受け、部屋の中に入りもうひとつの椅子に腰掛けた。

 

「多分はじめまして、ですよね?私はシャア中佐の部隊に編入されたセキヤ・シモノと申します。階級は技術少佐です」

 

へぇ、技術少佐ねぇ……しょ、少佐ァ!?!

 

「どうされました?……あぁ、階級のことなら気にしないで下さい。別に取って食おうという訳じゃありませんし」

 

あまりにも唐突すぎて顔に出てしまったらしい。失礼なこと言うようだけど、ホントに歳が一回り上の係長みたいな雰囲気なのよ。

 

「いやぁ……でも少佐となると、階級がすべての軍人としては……」

「まぁ言いたい事は分かりますけど、この部屋の中だけはラフで大丈夫ですよ。お願いします」

「はぁ、ではそうさせて頂きます……」

 

なんとも日本人的な会話が続く。この後手後手に回る感じが少し懐かしい。

 

「整備したザクはどうでした?」

「完璧です。もしかして一緒に付きっきりで?」

「えぇ。昨日は仮眠しながら指示を出していましたね。ガウに乗ってからようやっと、まとまった睡眠が取れまして……さっき起きたばっかりですよ」

 

セキヤは右手で持ってるマグカップを口に持っていく。湯気と一緒にコーヒーの薫りが漂ってきた。

 

「いやホントに、ありがとうございました」

「いえいえ、これが仕事ですから」

 

少し照れながら軽く頭を掻く。やっぱり日本人だなぁ、としみじみ思う。

 

「どうされました?」

「いやぁ~セキヤさんって、やっぱり日本人だなぁ~と思いまして……」

「えっ?もしかしてジーンさんも日本人なのですか?」

 

ゲッ!思わず呟いてしまった!ヤバいぞ、ジーンの家族なんて知らんぞ!!えーと、うーんと……

駄目だ!設定されてないから両親の顔も名前も解らんぞ!!いやセキヤさん、そんなキラキラした目で見ないで下さい。心がとっても苦しいです。えーと、もう、こうなりゃヤケだ!

 

「え、えーと……た、確か私の祖父が日本人だった記憶がありまして……」

「そうなんですね!いやぁなんか、ジーンさんとは何となく波長が合うな~と思っていたんですよ!」

 

何とか誤魔化した……

 

「ちなみにご出身はどちらですか?」

 

 

オーバーキルはやめてくれぇぇぇぇぇ!!!!!

 

 

まずい。バンチの存在は知っているけど、詳しくは知らん!ズム・シティとハッテしか知らんぞ!えーと、これも適当で……

 

「あっ、えー、あー、えーと、6バンチだったかな?……です」

「ジーンさんも6バンチでしたか!いやぁ、もしかしたら私達どこかですれ違っているかもしれませんね!」

 

 

 

('ω')あっ

 

 

 

ヤバい地雷を踏んだかもしれん。

 

この流れだと6バンチの何処でしたか?って聞かれそうなので強制的に話を切り替えよう。それしか道はない。

 

「それでジーンさんはどこ地k」

「いやァ!セキヤさんも日系人とは奇遇ですねッ!もしかしてサイド3は日系人が多いんですかねッッ!!?」

「日系人……あぁ、そういえばこんな話を聞いた事があります」

 

よし!切り替え成功!

 

「サイド3は重工業コロニーとして建設が進められたというのは知ってますか?」

「はい、聞いたことはあります」

「それに伴ってですね、優秀な技術者を集めて移住させたみたいなんですよ」

 

それは初耳だな。とりあえず適当に相づちを返す。

 

「へぇーそんなんですか」

「サイド3の人口の割合としてヨーロッパ系白人が半数を占めていて、そのうちの3~4割がドイツからの移住らしいんです」

「確かに白人多いですよね」

「そんでもって北米移民が3割、日本からが1割。その他南米やアフリカ大陸などの色んな民族が1割で成り立っているみたいなんです」

「ほぉー」

「なのでジーンさんの言っている通り他のコロニーに比べると日本人の移民がそこそこ多いんですよね。私の祖父が町でベアリング工場の社長をやっていたのですが世界でも有数の真円に近いベアリングを作っていたみだいで地球連邦政府からも是非サイド3に移住してみませんかと聞かれたので新しい物好きの祖父はそれに応じて移民したんですよ。それでですね……」

「はえー、ふーん、凄いですねー」

 

やばい、この人オタク気質があるのか話に熱が加わると早口になる人だ。とりあえずこの後も適当に相づちをうっておこう。

 

にしてもサイド3の人種の割合なんて考えた事が無かったなぁ。原作だとアサクラぐらいしか出てきてないと思うけど、外伝作品やMSV、ゲームなんかだとそれなりにいるよな。そりゃ連邦軍にも日本人だろうなぁ~って人は沢山居るけど、ほぼサイド3出身で構成されているジオン軍とスペースノイドとアースノイドごっちゃになっている多国籍軍の連邦軍じゃ母数が違うもんな。

それと重工業コロニーに技術者を移住させるために人種の割合を考えた事がってのも凄いよな。貧困層やらを優先して送って自分達は地球に住む横着な奴らだと思ったけど、そこらへんはちゃんとしているのね。確か割合はヨーロッパ系白人の3~4割はドイツ人で、アメリカ系も3割居て、日系1割……ん?まてよ、もしかしたらジオン脅威のメカニズムが少し解明されたかもしれない。少なくともドイツ×日本は合わせちゃ駄目だろうな。これは素人でも分かる。

 

「……という経緯で私はシャア中佐が編成したA-12部隊に配属され職務を全うしている訳です」

「はえー」

 

大きな鼻息をして誇らしげにするセキヤさんに拍手を送った。

 

「おっと、もうこんな時間。そうだジーンさん、よかったら食堂に行って一緒にお茶でもしませんか?」

「いいんですか?お供します」

 

この後二人で食堂へ行き紅茶を飲みながら、セキヤがあらかじめ購買で買ってきたジャムクッキーを頬張りながら雑談をしたのであった。まぁ、どうせ原作的には[戦場は荒野]だから出撃は無さそうだからいいよな。

 

 

 

 

案の定、ガンダムの奇襲は成功してマゼラアタック隊は全滅。ガルマの木馬討伐部隊は約8割の戦力を落とされて撤退した。




ガルマたん、また大敗北の巻

[変更]独自設定タグを独自解釈に変えました。


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第28話 ガルマの苦悩

一週間も遅れました。これは全てウマ娘プリティダービーが悪い。

成歩堂「異議あり!!ウマ娘プリティダービーは先月23日火曜日のリリースです!月曜日は関係ありません!」
サイバンチョ「被告人、本当は何をしていたのですか?」

……ガンプラ買い漁っていました。すんません。あと会社のトラブルで凄く疲れ(ry
サイバンチョ「判決、被告人を有罪とする」





という訳で28話です。


「左翼後ろからMSだそうです!」

「なにっ!?」

「バッ、バカな……ッ!!」

 

 

 

9月27日 現地時間17時20分

ホワイトベース包囲網左翼後方、ミッド湖から進撃したガンダムはマゼラアタックの部隊を一掃。

 

同日 18時00分

ホワイトベースとガンダムが合流。ガンダムの活躍により、マゼラアタック隊全滅。討伐部隊撤退開始。

 

 

 

 

 

何故だ……なぜガンダムが出てきた。しかもホワイトベースの後ろから、どうやって?

 

まさか避難民を乗せて不時着した飛行船から出てきたというのか……?

 

位置からして、そう考えるのが筋だろう……

 

偵察機の通信が途絶えたのはガンダムに攻撃されたからと思われる……

 

クソッ!あの時はホワイトベースを落とすのに気を取られていたから気付かなかったが……連中、卑怯な事をしてきやがって!

 

しかし、シャアもこの奇襲を察知出来なかったとはな……これは、仕方のない事だな。私よりガンダムを追いかけていたシャアが気付かないなら、誰にだって気がつきやしないさ。

 

それに戦力的にはこちらが上なんだ。奇襲さえ無ければ、こちらが勝っていたはずなんだ。

 

そうだ……ガンダムの奇襲さえ無ければ……

 

自分の精神をなだめる為に自己暗示を掛けていく。次第に落ち着きを取り戻し、ある程度元に戻っていた。

 

「ダロタ、戦況報告をしてくれ」

「はっ。マゼラアタック隊は全滅、残った部隊は……約3割です」

 

この報告を受けたガルマは膝から崩れ落ちた

 

 

 

 

 

「そう嘆くな、私だって見抜けなかったんだ」

「同情はよしてくれ……」

 

基地に戻り、ガルマの部屋で二人は軽く酒を飲み交わしていた。

 

「同情だってするさ。まさか避難民を乗せた船にガンダムを乗せ、さらに気をそらす為に偽装工作をして不時着をしたのだからな。連中は着々と成長している」

「…………」

 

シャアからの目線を反らし、うつむいたまま酒を飲む

 

「お説教は性分じゃないがなガルマ、あまりメソメソするんじゃないぞ。君は北米を束ねる指揮官なんだ、作戦の失敗だって時にはある。その失敗を次に生かしてこそ、真の軍人になれるのさ」

「しかし、私は2回も取り逃がしてる……」

「そんな事言ったら私は3回も取り逃がしているぞ、気にするな」

「…………」

 

ウイスキーのロックを飲み干した。ガルマはグラスの中の氷をじっと見て、シャアの言っていた言葉を受け入れようとしていた。

 

「そろそろ私は寝ようとするとしよう。ガルマ、やけ酒だけはするんじゃないぞ」

「分かっている……おやすみ」

「あぁ、おやすみ」

 

シャアは部屋を出て部屋がシーンとなった。ガルマは暫くの間、グラスの氷を見続けてしんみりと感傷に浸っていた。

 

 

 

(しかし私もあそこまで予測出来なかったとはいえ、あんなにもやられてしまうとは……やはりガルマは無能だったな)

 

カツカツと廊下を歩き、自分の部屋へと戻る。すれ違う兵士は特に居ない。

 

(……やはりこのままではジオンは腐るな。まずはガルマ、君から死んでもらう)

 

 

 

 

 

翌日28日の朝……

やけ酒はせず、あのウイスキーロック1杯だけにしたので二日酔いはしなかった。目覚めもそれなりに良い。身支度を済ませ、朝食を食べている最中の事だった。

 

「お食事中申し訳ありません、キシリア少将から通信が……」

 

思わず食べていたエッグベネディクトを吹き出しそうになったが、何とか吹き出さずに済んだ。そのかわりに気管に入り込んで噎せてしまった。

 

「だ、大丈夫ですかガルマ様!」

「ゲホッゲホッ……だ、大丈夫だ」

 

少し慌てながらナプキンで口元を拭き、髪型や服装、髪型等を整える。

 

「通信室だな?」

「はい」

「朝食は後で食べる、残しておけ。では行ってくる」

「はっ、御武運を」

 

 

ん?御武運をって何を言っているんだアイツは!私がこれから死ぬとでも言うのか!?

……いや、タイミング的に考えて昨日の件での呼び出しだろう。しかし、あんな悲しげな目で「御武運を」って言われても困る……

 

ぶつぶつ言いながら通信室に行き、通信兵にチャンネルを繋がせた。

 

「おはようございますキシリア姉様」

「おはようガルマ、わざわざ早朝にすまない」

「いえ、朝食は丁度食べ終えたので問題はないですよ」

「そうか、それなら良い」

 

画面にはヘルメットもマスクも外したキャストオフの紫BBAキシリアが椅子に座っていた。

 

「なぜ呼び出したかは……分かるな?」

「昨日の木馬討伐の件でしょうか……?」

「それもある」

「それも……?」

「まぁそれは先に木馬討伐の件を話してからだ。してガルマ、何故あれだけの犠牲を払っても木馬を討伐出来んのだ?」

 

ズバリと痛い所を突かれ、思わず苦い顔をするガルマ。

 

「そっ、それは……ガンダムが奇襲をしてきたからで……」

「奇襲されてなけれぱ勝てた、と」

「そ、そうです!」

「そうか……」

 

顎に手を添えて少し考え事をするキシリアに、ほんのりと恐怖を感じていた。

 

「ガルマ、功を焦って軍を疲弊させている暇は我が軍には無い。やるならもっと慎重に作戦を立ててくれ。分かったな?」

「は、はい!」

 

 

 

 

「ふむ、お説教はこれぐらいにして本題に入るとする。ガルマ、キャリフォルニアベースで生産しているゲルググの稼働はどのぐらい進んでおるのか?」

「ゲルググですか……現在はビームライフルの実証実験も終わり順次生産しています。ゲルググの量産型は先に生産し、1週間後には6機がロールアウトする予定です」

「そうか、予定より1ヶ月ほど早まったのか」

「はい、ジオニック社が懸命になって作りましたから」

「ジオニックも大したものだな」

 

キャリフォルニアベースに居たジオニック社の技術者達にV作戦の資料を渡して

「この資料を元に今すぐゲルググ用のビームライフルを一週間以内に作ってくれないか?」

って頼んだら、その場に居た技術者全員が卒倒して倒れたぐらいだからな。私にもそれぐらい無茶な事は分かる。本当に良く頑張ってくれたものだ。

 

「ふむ、予測より早く完成して安心しておる。要件は以上だ、早朝にすまなかったな」

 

回線が切れ、緊張の糸が切れたのと同時に近くにあった椅子にへたりこむ。いくら家族とはいえ、仕事では上官であるのでやはり緊張する。少しこのままの態勢でゆっくりしたいと思ったが、部屋に鳴り響くコール音が許してくれなかった。

 

「ええい!こんな早朝から誰なんだ!……ど、ドズル兄さん!?」

 

まさかドズルからの通信で思わず硬直してしまったが、出ない訳にはいかない。すぐさま通信を開始する。

 

「ガルマ、こんな朝早くからすまんな。どうしても聞きたい事があって話にきたのだが……」

「構いませんよ」

「すまない。それでは単刀直入に聞くが、木馬の方はどうなっている?」

 

ストレートを通り越してジャイロボールな質問を投げてくる兄貴に思わず眉毛をひくつかせるが、何とか堪えて質問に答える。

 

「ま、まだ落とせていません……」

「シャアはどうしたんだ?シャアとガルマがいれば……と思ったのだが」

「し、シャアも出撃しているのですが、奴らかなりしぶとくて……」

 

嘘は言ってない。 出 撃 はした。

まだ大隊と一緒には出てないと言おうもんなら「馬鹿者!!!」とカミナリが落ちかねない。

 

「そうか……しかしガルマよ、悪戯に兵を減らす物ではない。アフリカや極東では、マゼラアタック1輌でさえ欲するような過酷な戦線を繰り広げているのだぞ。あまり無駄にするんじゃない」

「申し訳ありません……」

「お前一人で戦っているのではない。MSパイロットから整備士、砲手に歩兵、衛生兵だってそこらへんの畑から取れるものではない!ジオンは今、MSより人の方が大切なのだ!それを分かっての事か!」

「す、すみません!」

 

どっちにしろカミナリは落ちてきた……

 

「む……熱くなりすぎたな。しかしガルマよ、ジオンは現状維持ですら厳しい状況に立たされているのだ。それだけは分かってほしい。お前にはもっと立派な指揮官になって欲しいと思っての発言だ、勘弁してくれ……」

「ドズル兄さん……」

 

分かってはいるさ……指揮官としてはあまり優秀ではないことぐらい。ドズル兄さんも僕が可愛くて仕方ないけど、あえて厳しくしている事も……

でも、奴らはおかしいぐらい強くてとても敵わない……親の七光りと言われないように反骨精神で頑張っているのが精一杯だ……

 

「ガルマ、お前にもプライドがある事ぐらい分かる。だがな、そのプライドを折ってでもシャアと協力してホワイトベースとガンダムを倒して欲しい。アイツは……かなりの実力者だ。頼む……」

 

巨体を前に倒し、頭を下げる。こんな事されたら、やらない訳にはいかないじゃないか……

 

「分かったよドズル兄さん……次はシャアと協力してガンダムを倒してみせる。約束するよ」

「本当かっ!!!ガルマなら理解してくれると思った!よし!ガンダムを倒したら祝賀会を開くぞ!!」

「気が早いって!」

 

 

 

「む?もうこんな時間か……時間を取らせて悪かったな。次に会う時は良い報告を待っているぞ」

「分かったよドズル兄さん、必ず仕留めてみせる」

「それでこそ、ザビ家の人間よ!楽しみにしてるぞ!ではまたな」

 

回線が切れる。とてもとても疲れたが、僕の事を思ってくれる優しい兄さんだ。何だか心がほっこりしてきた。さて、冷めきった朝食を食べ終えたらシャアと一緒に作戦を立て直そう。今は親の七光りやプライドがどうこう言っている場合じゃない。よし、朝食を━━━

 

 

プルルルルル プルルルルル

 

 

またコールか。今度は一体……

 

「お早う御座いますガルマ様」

 

画面に映っているのは茶髪に赤い総帥府の服を着た美女である。もうこの時点で鳥肌が立っている。

何を言おうがこの女性はギレン総帥の秘書、セシリア・アイリーンである。

 

「2分後の7時45分から10分間ギレン総帥との面談を行って貰いますが、宜しいでしょうか?」

「は、はい……」

 

答えはハイかyesの二択である。

 

「では宜しくお願いいたします」

 

 

 

 

 

「久々だな、ガルマ」

「お久しぶりです、ギレン総帥」

「フッフッフ……そう固くなるな」

 

 

 

 

 

この後原稿用紙2枚分の報告と40枚分のダメ出しを10分ぴったしに言われ、残した朝食が食えなくなる位疲弊したガルマであった。




読みやすく、かつダレないように最近はサクサク2000文字強で書いていたけど、4000文字越えたのは久しぶりだなぁ……

さぁ、ガルマが躍起してガンダムを倒せるか?
きみは刻の涙を見る……


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第29話 再考の時

お待たせしました……

一応オデッサ作戦ぐらいまでの草案はちゃんと練ってありますよ?アンシンシテクダサーイ(焦)


一昨日はコテンパンにやられ、昨日はドズルとキシリア更にはギレン総帥からジェットストリーム呼び出しを食らったせいで、ガルマの顔色が滅茶苦茶悪い感じが観て取れる29日の朝です。おはようございます、ジーン(転生)です。いよいよガルマの暗殺まで残り一週間を切りました。2日後には原作第9話[翔べ!ガンダム]でのアムロ第一覚醒イベントが控えています。しかし、一昨日の戦闘で部隊の戦力が8割も削られちゃったら、立て直してホワイトベースを攻めるのに3日も掛かる訳ですわ。

 

しかし、なんでなんであんなにもポンコツなんだろうなぁ?ガルマってギレンの野望だと前線に出てそれなりに戦えるし、なにより魅力が高いからユニットの攻撃力も上がるし、基本的に他の兵士達の好感度も高いから使い勝手がいい方なんだけどねぇ。少なくともこの世界でのガルマは社交界に出れて外交政策は出来るし、前線に出れば兵士達の士気は上がるのは変わらないけどね。でも戦術家としては絶望的に駄目で前線に出ちゃダメっていう矛盾した軍人なのよね。いや、前線に出なきゃいい話なんだけど、ガルマの親の七光りを気にしている性格とガルマの暴走を止められる人が居ないせいで無理なのよね。アイツを手引き出来るのはシャアぐらいだろうなぁ。殺そうとしてるけど。まぁ、所詮ゲームはゲームか。

 

さてと、そろそろトレーニングでもしますか。地球に降りてからのトレーニングは筋肉量が増加していい感じなのよね。やっぱり無重力だと維持するだけで精一杯だから環境って大事なんだね。

右腕をぐるぐる回しながらトレーニングルームへと向かうジーンであった。

 

 

 

一方その頃ガルマは……

 

 

 

「シャア頼む、この通りだ」

「頭を下げられても困る。指揮官は君だろう。私に作戦を一任するのはどうかと思うぞ」

 

シャアは困っていた。なぜならガルマに呼び出されていきなり「次の作戦を一任したい」と言って頭を下げられたもんだから困っていた。

 

「私はあくまでも小隊の隊長だ。大隊を動かすノウハウはないし、務まるかどうかは分からんぞ」

「私が指揮したのでは、どうやってもホワイトベースを倒せん……もうシャアに頼るしか無いんだ」

「困ったな……」

 

厄介な事になった、とシャアは思った。一昨日とはまるで目付きが違う。これは本気でホワイトベースを撃破しようと意気込んでいる。暗殺しようと近づいているのに、これでは下手なことは出来なくなる。かといって万が一ホワイトベースを撃破したらガルマとの接点がなくなり、暗殺の機会が失われるやもしれん…

 

「……」

「なぁ何か打つ手は無いのか、シャア」

 

打つ手と言われても、いくらガルマの適当な指揮とはいえ大隊クラスの進撃を二回も跳ね返すバケモノじみた小隊の対処があるなら私も知りたい。

 

打つ手がない……か。

 

「ガルマ、あくまでもこれは私の独り言だが……」

「!」

 

物凄くキラキラした目でこちらを見てくるガルマに思わず吹きそうになったが、話を続けた。

 

「ガルマ、決着はもう少し後にしないか?」

「それはどういう意味だ!」

 

うって変わってギラギラした目でこちらを見てくるガルマに思わず呆れそうになったが、話を続けた。

 

「ホワイトベースはこのまま行くとシアトル方面に行くだろう。決着はそこで着けないか?」

「どういう事だ?なぜ待つ必要がある」

「ガルマ、君の力を持ってしてでも二回もはね除けられた。大隊クラスの部隊を当てても、だ」

 

食い入るように聴いているガルマの頭はまるで鹿威しのように一定の周期でコクコクしている。

 

「ならば、だ。あえて全力で当たらず戦力を温存して、嫌がらせ程度にしておき、討つべき所で討つ」

「なるほど……」

「奴らはグレートキャニオンから北上して谷合を縫うようにしながら移動している。これはホワイトベースがミノフスキー・クラフト・システムを利用した大気圏内反重力航法を上手く活用している。ミノフスキー粒子でホワイトベースを浮かせているのだが、谷合の山で包んでレーダーを妨害し、遠距離から攻撃をされないようにしているためだ。だから攻撃を受けない谷合を進まなければならず、ある程度航路は決まっている。そこで待ち伏せして嫌がらせ程度の攻撃をして戦力を温存させる。そして行くであろうシアトルで大量の部隊で弱ったホワイトベースを撃破する。という作戦なのだが……理解できたか?」

「あ、あぁ」

 

多分理解していないな。と思いながら最後の一押しをする。

 

「ガルマ、次から出撃させてもらう。そうすれば奴らはシアトルに着く頃には疲弊しているだろう。そこで君がシアトルでトドメを差せば、姉上も喜ぶだろう」

「お、おお……!」

 

頭を下げた時は弱々しい顔をしていたガルマだったが、今では生き生きとしていた。

 

「ありがとうシャア。君のお陰でホワイトベースが倒せそうだ。これから編成を考えねば……」

「では私はこれで」

「ありがとう!」

 

ガルマの部屋から出て廊下を歩く。たまにすれ違う兵士に敬礼されながら自分の部屋に戻る。ヘルメットとヘッドギアを取り外しソファーに沈む。そして、一言

 

 

 

 

 

「これで勝たねば、貴様は無能だ」

 

 

 

 

 

勝負は10/1に、切られる。




いよいよ次回、久しぶりのMS戦です。
今度こそMS戦です。……ホントよ?


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第30話 対決? ジーン(転生)VSアムロ

ウマ娘楽し過ぎる……
久しぶりに時間泥棒に出会ってしまった……








遅れましたが、お待ちかねの30話です。どうぞ。


おはようございます、ジーン(転生)です。

 

一日飛ばしてやって参りました10月1日のアムロ第一覚醒の日。もうあれは仕方ないとして、やられない程度に仕事をしなけりゃならん。なんか決着はシアトルで決めるから、その道中で戦う今回の戦闘は軽~くで良いらしい。自由落下中の戦闘からほぼ一週間程MS戦をしてないので少し不安な所がありますが……

 

 

 

今回の作戦概要

 

ホワイトベース(通称"木馬")及びガンダム他MSに打撃を与える事。ただし戦力保持の為、余力を持って撤退をする事。

 

 

 

 

 

……判断が若干遅い気がするが、まぁ方向転換できただけマシと考えよう。しかし参加する部隊編成が

 

ガウ      2機

ドップ     2個小隊

マゼラアタック 1個中隊

MS      1個特別小隊(シャアと俺のみ)

 

とまぁ、こんな感じでMSを温存している。昨日も二回程待ち伏せして攻撃したみたいだけど、MSは参加させなかったらしい。最初っからこうしていれば……

 

まぁ、愚痴ってもしょうがないし、ウォーミングアップでもしてきますか。

 

 

 

一方その頃シャアは……

 

 

ガウ攻撃空母 指令室

 

 

「ガルマ、今日は顔色が良さそうだな」

「あぁ、体調は完璧だ」クルクル

「数日前の時は血の気が引いていたからな。やはりギレン総帥のお説教が……」

「その話は止めてくれ!思い出しただけでも頭痛がしてくる……」

「はっはっは、大袈裟すぎやしないか?」

「君はギレン兄さんの説教を受けた事が無いから言えるんだ……ギレン兄さんの説教はドズル兄さんやキシリア姉さんと違って精神は勿論、脳にまでダメージが行くんだ……」

 

誇張が過ぎると思ったが、シャアは言葉にはしなかった。

 

「あの時は酷い頭痛で気分も最悪だったんだ……」

「そうか……」

 

シャアはあの時のガルマの顔を思い出し、あながち嘘ではないと思ったのでこれ以上追求はしなかった。

 

「ではそろそろ行く」

「分かった、くれぐれも気をつけてくれよ。何かあったらガウで援護する」

「お気遣いありがとう」

 

笑顔で見送るガルマだが、指令室を出るシャアの腹の中には暗殺の二文字が残っていることをまだ彼は知らない。シャアはまだ諦めてはいない。

 

 

 

 

 

 

「敵2時と10時の方角からマゼラアタックです!」

「さらに6時の方角からドップが近づいています」

「またこのパターンか!」

 

オスカーとマーカーの報告に苛立ちを覚えるブライト。そこにまた苛立ちを隠せていないリード中尉が話しかける。

 

「ブライト君、私は言ったはずだぞ。早く太平洋に脱出して本部に連絡した方がいいと」

「燃料や弾薬、食糧まで底を尽きそうなのに太平洋なんかに出たら孤立してあっという間に墜ちてしまいます!今の状況を考えてから発言して貰いたい!」

「リード中尉、ブライト、二人とも落ち着いて下さい。ここはジオンの勢力圏内なのだから、ジオンの攻撃はあって当たり前よ。昨日も二回攻撃が来ましたけど、何とかくぐり抜けたのだから、何とかなるわ」

 

ブライトとリードをなだめるミライ。二人は黙ってしまった。名門ヤシマ家のご令嬢は伊達ではない。

 

「ブライト、指示を出してあげて。この艦の行く末は貴方にかかっているのよ」

「そうだな……よし、各砲撃手は迎撃体制を取れ。敵は多分昨日と同じだ。だが気を抜くなよ」

「正面12時の方角からMSが2機!これは……シャアです!シャアが来ました!」

「シャアも来たのか……よし、カイはガンキャノン、アムロはガンダムで出撃してくれ」

「はいはい」

 

軽い返事で返すカイだが、肝心のアムロからの返答が無い。ブライトはもう一度呼び掛ける。

 

「おいアムロ、聞こえているのか?ガンダムで出撃してくれ」

「うるさいなぁ……」

「おいアムロ!これは命令だそ!おい!」

「出撃したら、ゆっくり寝れる保障はあるんですか?」

「なんだと……!」

 

アムロの返答に力がない。昨日も二回出撃したせいなのは分かってはいるが、シャアを追い返すにはアムロが必要だ。

 

「アムロ、シャアが来ているんだ。出撃してくれ」

「そんなにガンダムを動かしたいなら、ブライトさんが出撃すればいいでしょ!」

「貴様ッ……!」

 

思わぬ返答に歯ぎしりをするブライト。

 

「どうしたんだブライト君!」

「……アムロが出撃を拒否しているんです」

「なんだと!?じゃあシャアはどうするんだ!」

「……代わりにガンタンクを出撃させます。リュウ、ハヤト、ガンタンクで出撃してくれないか?」

「おうよ!」「分かりました」

 

苦肉の策でガンタンクを出す。しかしガンダムでないとシャアは追い返せない。何とかしてアムロをガンダムに乗せなければと考えるブライト。

 

「……よし」

 

受話器を取り、手際よくハンガーへと繋ぐ。

 

「ブライト君、出撃かい?」

「えぇ、とりあえずガンタンクとガンキャノンを」

「ガンダムは出撃しないのかい?」

「それが……」

 

アムロが出撃拒否した事を話す。

 

「出撃拒否か……」

「はい」

「解った、私が説得してこよう」

「お願いします」

 

通話を切り、ホッと一安心する。父親のレイ大尉なら何とかしてくれるだろうと。ブライトはホワイトベースの指揮に集中する。

 

 

 

「左舷機銃、弾幕薄いよ!なにやってんの!!」

 

 

 

 

 

 

薄暗い部屋のドアが開く。そこには着崩した制服のままベッドに横たわる息子が居た。

 

「父さん……ブライトに言われて説得にでも来たんでしょ」

「アムロ……」

 

明らかに元気がない。でも何とかして出撃してもらわねば困る。

 

「昨日は二回も出撃してロクに寝れてないんだ。休ませてくれよ」

「それを言うならリュウ曹長だってコアファイターで二回出撃したぞ」

「父さんまでブライトの肩を持つつもりなのか!」

 

ベッドから起き上がり、こちらに近づいてくるアムロ。あまり表情を表さない息子の眉間には、シワが寄るぐらいに怒っていた。

 

「アムロ、気持ちが分かるがこれは戦争なんだ。アムロが出なければシャアにやられて皆死ぬ事になる」

「……そんなにシャアを倒したいなら父さん、貴方が出ればいい。ガンダム作った技術者なんだから操作ぐらい出来るだろ?」

「なっ……!」

 

息子からの発言に思わず仰け反ってしまった。怒りの顔から疲れた顔に戻ったアムロはよそよそとベッドに戻ってうずくまる。

 

「寝させてくれよ……僕の気持ちが分かるんだろ?」

 

どうしようか。無理やり叩き起こしてガンダムのコックピットに詰め込もうか、必死になって頭を下げ続けるか、それとも……修正を強行するか。

 

……いや、全部ダメだ。自分の息子は思いの外、頑固な事ぐらい知っている。ましてや自分の息子を殴る事なんて今まで一度もした事がない。仮に殴ったとしても、その後に何を言えば良いかなんて解らない。とすれば答えは自ずと一つになる……

 

 

 

「分かった、私がガンダムに乗ろう」

「えっ……?」

 

寝ていたアムロが思わずこちらを向く。が、直ぐに背を向けた。

 

「好きにしてくれっ!……僕は寝るから」

 

ふて寝する息子に哀しみを残しつつ、部屋に備え付けてあるテレビ電話でブリッジに繋ぐ。

 

「レイ大尉!どうでしたか?」

「……ガンダムを出撃させるよ。指揮を取ってくれ」

「おぉ、それは良かった。では今すぐに出撃を!」

「……了解」

 

通信が切れ、自分の顔がぼんやりと映る。その顔は多少の迷いがあるものの、決意を決めた顔だった。部屋を出たテムは久しぶりに全速力で廊下を走った。

 

 

 

 

 

 

 

2機のザクがガウから降りてくる。着地をした2機はガンキャノンとガンタンクがドップを追っ払ってるのを確認する。

 

「ガンダムが見当たらないな」

「そうみたいですね」

 

アムロは原作通りグレたか。

 

「どちらから行きます?」

「キャノンから行く。ジーンはタンクを足止めしてくれ」

「了解!」

 

ガンタンクに照準を合わせ、キャタピラを撃ち抜く。見事にヒットし、文字通り足止めをする。

 

「上出来だ、後は適当に援護してくれ」

「はいはい」

 

やっぱりガンダムは出なかったか。こりゃ今頃ブライトに殴られているんだろうなぁ。あーヤダヤダ、アムロ覚醒しちゃう。そろそろ引きずり下ろさないと歯止めが効かなくなる。

シャアのザクがガンタンクの砲撃を華麗に避け、お得意のキックが炸裂する。ガンキャノンはオープン回線でないはずなのに、カイの悲鳴が聞こえてきた気がする。ふとガンタンクの方に目を向けると、まだ動きが止まったままだった。トドメを、と思ったその時アラートが鳴る。黒い奴のお出ましだ。

 

「中佐!ガンダムが出てきました!」

「ようやっとか!」

 

着地したガンダムはシャアの方を向き、ビームライフルを乱発する。だが、掠りともしない。

 

「なんだ?いつものガンダムとは動きが違うぞ」

「そうですか?」

「まぁいい、私がガンダムを引き付けるからジーンは援護を!」

「分かってますって!」

 

シャアが蝶のように舞いながらビームライフルを避ける。逃げる事に関しては一級品だな。向きは変えるが、一歩もその場から動かないガンダムに狙いを合わせる。確かにこの頃のアムロなら普通に動き回っているはずだよなぁ、と思いつつ照準を頭に合わせる。一回ヘッドショットやってみたかったのよねぇ~

 

「狙い撃つぜ!」

 

ビーム一閃、ガンダムヘッドを貫き頭が無くなる。ガンダムは仰け反って背中から倒れた。ヨッシャ!決まったぜ!ヘッドショット、キモティー!!!久しぶりのMS戦に血を滾らせるジーン(転生)であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐわっ!メインカメラが!!シャアに気を取られすぎたか……ッ!」

 

テムは身の程を思い知った。アムロの次にシミュレータで得点が良かったのでシャアを追い払う位なら……と思ったが、いざ戦場に出てみるとシャアの速さに戸惑い、肝心の移動を忘れていた。

 

「しかし……ここでやられる訳には……」

 

歯を食い縛りながら補助カメラを作動させ、ガンダムを立ち上がらせる。父親もまた、頑固な男であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アムロ!貴様ァ!!」

 

青筋を立てながら部屋に入り、アムロの首根っこを掴むブライト。

 

「なっ、何ですか!」

「お前……どういう神経しているんだ!!」

 

ブライトの顔を見たアムロは直ぐに目を背けた。その顔は余りにも凄みを帯びていて、多分誰が見ても目を背けると思う程だ。

 

「お前は父親を見殺しにするつもりなのか!」

「そんなの……親父の勝手だろう」

「ッ……!」

 

冷たい顔をするアムロの頬を思い切り叩く。

 

「ッ!殴ったね!」

「殴ってなぜ悪い!本当はレイ大尉だってこうしたかっただろうさ!だけどお前が駄々をこねたせいで"上官命令"で出撃させる事になったんだぞ!!」

 

例のポーズをするブライト。

 

「僕だって……まさか、本当に出るなんて……」

二人の会話をコール音が遮る。

 

「ブライト大変よ!ガンダムがやられそうよ!」

「なにぃ!」「えっ!」

 

一瞬の沈黙が入り、二人に嫌な汗が流れる。

 

「……お前のせいでレイ大尉が死んだら、お前をホワイトベースから放り投げてやるからな!!!」

「やれるもんなら……やってみろ!」

「二人ともケンカは止めて!今はそれどころじゃないのよ!」

 

セイラが仲裁に入るが、とてもじゃないが落ち着く様子はない。そこにオスカーからの報告が入る。

 

「MSが後退!その他ジオンの部隊も撤退を始めました!」

「ハァ……ハァ……そうか……」

「……」

 

セイラは安堵の表情を、ブライトは少しだけ頬が弛んだ。アムロは安心しつつも浮かない顔をしている。

 

「……二人とも落ち着いたかしら?とりあえずこれで一安心ね。後でレイ大尉を迎えましょう」

 

セイラは上手くその場をまとめて通信を切った。ブライトは鼻を鳴らしながら部屋を出ていき、その後にアムロものそのそと出ていくのであった。

 

 

 

ジオンはドップ3機、マゼラアタック1輌の損害で撤退をした。一方ホワイトベースは右エンジンのブローで出力が低下と後方ミサイルが無くなった。MSはガンタンクの左キャタピラの破損とガンダムの頭部、左腕関節の破壊とかなりの痛手を被う事になった。

 

お互いに緊張感が高まりつつある中、三日後の決戦は刻一刻と迫っているのであった。

 




アムロ、まさかの覚醒せず。ここに来て運命の歯車が少しずつ変わって行く……




追伸 あれだけ戦闘シーンがあると言っておいて少ししかないのは許して下さい……


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第31話 父親と息子

やっと書き終わった……
えーと、前の投稿っていつだっけ?



……へ?3/31???


宇宙世紀0079年10月1日午後6時、ホワイトベースは、ガルマが身を引いた後にミデアからの補給を受けていた。リード中尉その他サラミス乗組員、避難民の病人35名を受け入れた。

 

「残りの避難民はまた後日の補給で受け入れをします」

「ありがとうございます、マチルダ中尉」

 

ブライトが敬礼をする相手は、赤毛で坊主頭のうら若き女性士官、マチルダ・アジャン中尉だ。敬礼を解き、マチルダが話を切り出す。

 

「よくもまぁサイド7からここまで来れたものだと、レビル将軍も大層驚いていました。ブライト少尉もさぞかし大変だったでしょう」

「えぇ、何せ正規兵ほほとんど残って居ませんでしたから……」

 

ここでふと、マチルダ中尉の話に違和感を持つ。

 

「……ちょっと待って下さい。マチルダ中尉は私の事をブライト少尉と呼びませんでした?」

「えぇ、そう呼びましたが」

「少尉って、私はまだ軍歴6ヶ月の士官候補生のはずですが?」

「上層部は跳躍昇進の措置を採られて、今月からブライト候補生は少尉に昇進しました。また、ホワイトベースも、連邦軍の正式な部隊として認められました。補給が来たのも、正式な部隊として扱うという本部の考えとして受け取って下さい。"ジオンに兵なし"とレビル将軍が唱えましたが、連邦もまた、人手不足に直面しているのです……」

 

自分の知らない所で話が進められて、いつの間にか少尉になっていた事をここで初めて知ったブライト。拳に力が入ったが、これも軍人の定めとして諦めるしかなかった。

 

 

そこにテムがやってきた。

 

「貴方がガンダムの開発者の?」

「えぇ、テム・レイ技術大尉です。よろしく」

 

お互いに握手をする。その光景に、ブライトは少し目を逸らした。

 

「あぁ、そうだ。忘れないうちに……」

 

テムはそう言いながら、右手に持っていたオレンジ色の小さなボックスをマチルダに渡した。

 

「RX-78-1の戦闘データです。お願いしますよ」

「ありがとうございます。この戦闘データは、責任をもってジャブローまで持ち帰ります」

「あぁ、それと……」

 

テムはマチルダに耳打ちをした。ブライトもその内容が気になったが、こちらまで聴こえる程の声ではなかった。気にはなったが詮索する程でもない、と思いまた目を逸らした。

 

「わかりました。レイ大尉の伝言は、レビル将軍にしっかりとお伝えします」

 

マチルダがテムのやり取りが終わった後、ホワイトベースの方から視線を感じた。そこには白スーツを着た少年、アムロがこちらを見ていた。

 

「あら、あなたがガンダムのパイロット?」

「は、はい!」

「話がしたいわ、こちらに来てもらえるかしら」

 

アムロが少し嬉しげにしながら小走りで来る。

 

「あなたの名前は?」

「あ、アムロ・レイです……」

「アムロ・レイ……レイってことは、もしかして?」

「えぇ、私の息子です」

 

少し照れ臭そうにするアムロにマチルダは質問をかけた。

 

「お父さんに頼まれてガンダムに乗ったのかしら?」

「い、いえ!ただ、その……サイド7にジオンが来て避難民としてホワイトベースに乗り込んで、そのあと成り行きで乗ることになったんです……」

「成り行きで乗って、シャアの追撃を3回も追い返したの?」

「いえ!あの、僕はただ、機械弄りが好きなだけで……MSの動かし方も最近になって分かってきただけなんです……」

「ふふっ。もしかしたらあなた、エスパーかもしれないわね」

「えっ……エスパー?」

 

 

二人に、つかの間の刻が流れる。アムロは初めて出会う大人の女性にときめき、マチルダはエスパーめいた活躍をする少年に興味を持つ。その光景を目の当たりにした父親はそっと、ホワイトベースに戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

そして補給が終わり、ホワイトベースは再び空へと戻った。補給中に修理も行い、エンジンの調子も戻りつつある。心もとなかった弾薬や部品も補充され、食糧も整った。避難民を含めたホワイトベース乗務員の心を潤した一時であった。

 

「マチルダさん、凄い人気だったなぁ」

「アムロ、写真は貰えたか?12枚しか印刷出来なかったと聞いたが」

「うん……何とか貰えたよ」

 

マチルダの補給部隊が帰る前に、ホワイトベースクルーと一緒に記念撮影を行った。来たのはマチルダの噂を聞き付けた男子ばかりだったが。なんとなく嬉しそうな声で話す息子に、父親も少し嬉しかった。

 

 

 

そして父親と息子が居る場所は独居房であった。

 

 

 

 

 

 

 

「アムロ、貴様は出撃拒否の命令違反で禁固刑に処す。独居房で頭を冷やしてこい」

 

補給が終わり、空へと戻った直後だった。

 

アムロは若干、嫌な顔をしたが何も言わなかった。

 

「けっ、自業自得だな」

 

カイが毒を吐く。すぐさまリュウが睨みを効かせ、カイはだんまりとする。他のクルーは自分の仕事をしてるか、声を掛けられず黙ってアムロを見ている。フラウだけは気に掛けている様子だった。

 

「ジョブ・ジョン!アムロを独居房につれて行け」

「はい」

 

ジョブに連れられて、とぼとぼと歩きかけたその時

 

「ブライト艦長、私も独居房に入れて貰えないだろうか?」

「れ、レイ大尉?」

 

いきなりそんな事を言われたので、ブライトは面を食らってしまった。

 

「私は職権を濫用し、艦長の命令を上官命令としてはね除け、無断でガンダムに乗って出撃。現場の兵士や指揮系統を混乱させ、ガンダムは危うく大破するところだった。……理由としては、十分だと思うがね」

「レイ大尉……」

 

みんなの視線が二人に向く。ブライトは少し考えた上で

 

「ジョブ、レイ大尉も独居房へ」

「い、いいんですか?」

「本人が志願した事だ。何より、はね除ける理由が無い。よって、テム・レイ大尉に独居房入りを命ず。罪状は職権濫用と無断出撃。……よろしいですね?」

「それでいい」

 

こうして二人はジョブに連れられて独居房へと入っていったのだった。

 

 

 

 

「こうやって、アムロと話すのは何年ぶりになるかな……」

「どうだろう……もう分かんないや」

 

ぎこちない会話が続く。外は暗くなり夜になっていたが、独居房には窓が無いので二人には分からなかった。

 

「そういえば父さん、何で僕の代わりに出撃したの?」

 

息子からの質問は想定内だったので、躊躇わずに答えた。

 

「成り行きでこうなったとはいえ、アムロがガンダムに乗ることになったのは私の責任だからな。親としても、開発者としても、何とか出来まいかと意気込んで乗ったはいいが……ダメダメだったな」

 

「そんな事……ないよ。だって、ちゃんとザクと戦っていたじゃないか」

「でもガンダムの頭を吹っ飛ばされたけどな」

 

父親の自虐にアムロは黙ってしまった。

 

「……すまなかった。父さん、少し意地悪だったかな?」

「いいよ、別に……」

 

相変わらずのぎこちない会話だったが、二人とも不満ではない。久々の親子の会話は意味があったと思う父と、父親の行動力にビックリしたが、久々に話せて少し嬉しかった息子。二人とも良い雰囲気で良かったと、思いながら出てくるリュウ・ホセイが告げる。

 

 

「さぁ二人とも飯の時間だ」




1ヶ月も待たせてしまい申し訳ない……

今後の更新ですが、休載はしない代わりに投稿頻度のムラが出まくると思われます。もう不定期更新万歳!と言わんばかりに開き直って、ゆっくりじっくり作っていきたいと思います。

更新していたら「まだ生きとんのかコイツ」と大いに呆れて下さい。


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第32話 ニューヤークにて

欲しい ガンプラが買えるのは良いことだけど
作る時間がない!

かといってガンプラを作ると今度はウマ娘やる時間が無くなる……




いや小説書く時間どこいった。


UC.0079.10月4日 午後1時30分

 

ガルマ暗殺の日

 

 

 

 

こんにちは皆さん、私は今ニューヤーク行きのガウに乗り込んでいます。何故かは知らないです。シャアが「お前も一緒にこい」と言われたので乗ってるだけです。何かイベント合ったっけ……?

 

あっイセリナ・エッシェンバッハ、イセリナ・エッシェンバッハと会いに行くんだっけ?もうそんな時間が進んだのか……いや?まだここまでしか進んでないのか??アニメ的にはまだ第10話の前半だもんな。

(作者)でもこの作品は一年経とうとしてるけどね()

 

 

 

 

 

……って、ちょっと待て!!!

今日戦闘ぞ?今日戦闘ぞ?パーティーに参加してるけど今日戦闘があるのにどんな余裕があって……

あ、そっか。兵士に耳打ちされるまで、近づいて来てるの解らないんだっけ?そうだよな、それなら仕方ない。ましてや今日、自分が死ぬなんて思わないだろうしなぁ。俺も前世でダンプカーが突っ込んで来るとは思わなかったし。

 

 

 

ニューヤークの大半のビルは崩れており、瓦礫の山と化していた。しかし、パーティー会場であるニューヤーク前市長エッシェンバッハ氏のお屋敷は、夕日が雲に隠れて薄暗い空の中きらびやかな雰囲気を持っていた。これが特権階級ってやつである。

滑走路付きのお屋敷に着陸して、ぞろぞろとガウから降りてくる人達。無論ガルマが一番に降り、待っていた前市長に迎えられる。握手をしてから案内され、屋敷へと向かう。「我々もそろそろ」と、シャア中佐の合図でパーティー参列者が動き出す。

しかし、何で俺がパーティーに参加出来たんだろう?他の参加者数名居るけど、最低でも階級大尉だぞ?とりあえず直属の上司にでも意見を聞いてみるか。

 

「中佐、どうして私みたいなぽっと出の曹長がパーティーなんかに参加出来るんですかね?」

「そうか、ジーンには伝えてなかったな。この前の戦闘でガンダムの頭を吹っ飛ばしただろう。あれがえらく気に入られて、パーティーで君の事を紹介したいそうだ」

 

あーハイ、つまりパーティーに持ってかれる"お人形"ってな訳ですね。

 

「まぁそう気を背負うな。ガルマに呼ばれたら挨拶しに行けばいいだけだ。後は楽しめ」

 

 

 

 

 

 

 

 

20時に始まったパーティーは賑やかに、そしてきらびやかに進んでいった。美味しい食事に生演奏のクラシック音楽、そして特権階級人の談笑。一瞬、戦争中だということを忘れる程、明るい雰囲気に包まれた。人の輪から離れ、カウンターでゆっくりしていたらシャア中佐が横に来た。

 

「どうだジーン、地球でのパーティーは」

「サイド3と何ら変わりはありませんね」

「ははは、言うようになったな」

 

サイド3でパーティーした記憶は無いが、賑やかならどこでやっても同じだろ。と思う小市民のジーン(転生)であった。そこに

 

「ジーン曹長、ちょっといいかな」

 

ガルマからのお呼びだしだ。さて、お人形になってくるとするか……

ガルマに案内され、一際賑わっているテーブルに立ち寄る。そこには(多分)エッシェンバッハ前市長(と思われる人物)が居た。

 

「皆さんご紹介しましょう。我が軍期待のエース、ジーン曹長です」

 

どうも、と挨拶すると

 

「おぉ!」「君があの!」「へぇ!」

 

と良い反応が帰ってきた。しかし前市長だけはだんまりとしていた。

 

「彼は地球に降りる前に連邦の新型MSを3機、サラミス級を2隻を撃破し、更に2日前の戦闘では、あのガンダムの頭を吹っ飛ばした凄腕の持ち主だ!」

 

「おぉ!」「君があの!」「へぇ!」

 

 

『凄腕の持ち主だ!』なんて大げさに言ってるけど、ガンダムには逃げられましたからね。

 

良い感じにオモチャにされたところで司会からアナウンスが入る。

 

「皆さまご注目下さい、イセリナ・エッシェンバッハ様のお見えでございます」

 

原作通りの登場をしてきたイセリナは優雅に階段を降りてくる。ガルマはどんな顔をしているのだろうと、ふと横を見たが姿はなく、いつの間にか階段下でイセリナの手を握っていた。仕方ない、あとは勝手にラブロマンスを始めるだろうから私はシャアの居るバーカウンターに戻った。

 

「いやぁ~戦場でラブロマンスとは、大層ヨユーってものがおありで」

「……まぁあれでも外交政策の一つと考えれば、と言わせてくれ」

 

肩をすくませるシャア。多分ここにいるジオン兵士全員が「戦場でラブロマンスとは……」と思っているに違いない。と、そこに小走りでガルマの元へ向かう兵士を見かけた。そういえばガルマがシャアに愚痴を言うシーンがないけど、俺を紹介するイベントに変わったのかな?しかし、ここでホワイトベースがS3ポイントに入ったとの報告がされるのか。ところでS3ポイントってどこらへんなんだろうね。

報告しに来た兵士は他の兵士にも伝え、そそくさと小走りしている。そののちにガルマがカウンターへやってくる。

 

「シャア、木馬が来るぞ。準備してくれ」

「ああ、そのつもりさ」

 

ガウへ向かうと既に離陸準備がされていた。急いで乗り込むとシャアは通路に設置してある簡易的な補助席に座っていた。

 

「早くジーンも座れ!でないと吹っ飛ばされるぞ!」

 

いや、そんな事言われてもガウの補助席なんて使った事(というか存在すら知ら)ないからどうやって出せばいいのやら……

えーと、取手を手前に引き出して次にうわっ、ちょまてぎゃぁああああああ!!!

 

補助席を取り出すのに戸惑って、ガウの発進に間に合わなかった。ジーン(転生)は強烈なGを受けてそのまま通路を転がり続け、曲がり角の壁に激突する。なんでこんな目にあうのよ……

 

 

 

かくして、決戦の舞台であるシアトルに向かう一行。ジーン(転生)はガルマを護る事が出来るのか。はたまたシャアに暗殺を許してしまうのか。

 

そこには意外な結末が待っている事を二人はまだ知るよしも無かった……




いよいよです!いよいよ。

ガルマが生き残るか、それとも死ぬのかはもう既に決定しております。あとはごゆっくりと次回以降をお楽しみにしてください……


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第33話 ガルマ散る[散らせない編]

左腕を怪我したせいで安静生活二週目に突入しました。そのせいか34話は最多文字数を軽く更新してしまいました。それと生活の乱れも投稿時間でバレてしまう……

今回で運命のシアトル戦に突入。ジーン(転生)は生き残ることが出来るのか?そしてガルマ暗殺の行方はいかに。


U.C.0079 10月4日 17時23分

 

ガルマ暗殺の日

 

アメリカ合衆国 ワシントン州 シアトル地区

 

 

 

いよいよだ。この二週間ちょっとがとても長かった。何故か一年近く掛かっているような気がするが。作者「クシュン!」

 

それはともかく……

ガルマ暗殺をどう回避するかが問題だ。少なくとも、持ち前のビームライフルでホワイトベースを撃破しなかった以上、ガルマをぬくぬくと殺させてはたまらない。シャアの動きを予測しやすくするために、わざと野放し同然で戦闘で手を抜いたのだから。まぁ手を抜いた結果、クラウンと一緒に燃え尽きそうになったが。

 

ぶっちゃけシャアが死ねば万事解決なのだが、まだガンダムに殺られるような腕前の差はないからねぇ。かといって俺が天誅を下せば、ルウム戦役のヒーローを殺した殺人者で銃殺刑だ。あぁ!シャアが死ねば宇宙世紀は安泰なのに!アムロはえげつない程強いけど、シャアが絡まなきゃそこまで厄介な相手にならないはず。うーむ、ガルマの暗殺回避の方が簡単そうだけど、妙案が浮かばない……

 

 

「ジーンもうすぐ出撃だ、MSの調子を見てこい」

 

パイロット待機室にシャアが入ってきた。おや、もうそんな時間か。考え事をしていると時間の経過があっという間に過ぎるな。

 

「了解です」

「もうじき夜になるから夜戦装備を整えろ。あと、予備武装でバズーカを持っていけるか?」

「夜戦装備とザクバズーカ、了解しました」

 

予備武装を要求するなんて珍しいな。一応ビームライフルは16発でバズーカより11発も多いし、バズーカより取り回しが良いからあんまり必要が無いのよね。……まさか何か企んでいるとか?まぁ上官命令だし、たまには他の武器を使わないと腕が鈍るから丁度いいと考えよう。

 

格納庫へ向かうと二機のMSが用意されていた。無論、俺たちのザクだ。武装ラックと護衛で飛んでいるドップを除けば格納庫には何もない。俺の目の前にある武装ラックにはザクマシンガンが備わっていた。

 

でけーなぁ……生身の人間から見るとザクマシンガンでさえデカい。10メートルぐらいはあるのか?MS目線だとマシンガンサイズだけど、人間目線だとただの大砲やな。隣のラックは確かバズーカだったよな……

左隣の武装ラックはジーン(転生)の思った通り、ザクバズーカが備わっていた。しかし、そこに"微かな違和感"を感じていた。

 

「なんか……バズーカの形状が絶妙に違う気がするな……」

 

「ジーンさん、良く気がつきましたね」

 

後ろから声を掛けたのはセキヤ技術少佐だった。

 

「せ、セキヤさん!……バズーカ、何か変わったんですか?」

「あのバズーカは最近配備された改良後期型ザクバズーカですよ」

「か、改良後期型???」

「はい!説明しますね」(ニカッ)

 

 

 

 

 

セキヤ・シモノ技術少佐の教えて!MS解説~!

 

セキヤ ジーンさんはザクバズーカには大きく分けて"初期型" "改良型" "改良後期型"の三種類があるのはご存知ですか?

 

ジーン(転生) いえ、マッタク……(そんなにあるのかよ?!)

 

セキヤ ではこの主要な3つのバズーカをご紹介しましょう!

 

初期型ザクバズーカ

セキヤ(以降セ) 開戦初期に使用されたザクバズーカです。一般人の「バズーカと言えばこんな感じ」っていう想像通りの形状をしていますね。

 

ジーン(転生)(以降ジ)(外見は……いわゆる原作アニメやガンプラでよく観る"ノーマルなザクバズーカ"ってやつだね)

 

セ 装填数は1発の単発式です。

 

ジ え?1発しか入れられないんですか?

 

セ えぇ。なにせ"核弾頭"を使用していますから……

 

ジ あっ…(察し)

 

セ その後、南極条約によって核兵器等の使用が禁止されました。そのため、新たに280㎜の通常弾頭を開発。装填数が4発に増えました。

 

ジ えっ、えっ。ちょっと待って下さい。元々単発式なのに、何処に4発を入れるスペースがあるんですか?

 

セ バズーカの後ろにバックファイアを逃す4つのノズルみたいなのがありますよね?

 

ジ はい。

 

セ あのノズルに1発。計4発入っています。

 

 

 

ジ ????????

 

 

 

セ ジーンさん、あのザクバズーカは元々核兵器を運用するための物だった。そこまではいいですね?

 

(ジーンが頷く)

 

なので、なるべく大きいサイズでなければいけません。いくら核兵器とはいえ、小さく作っては広大な宇宙では効果がありません。なのでジオン軍は来るべき決戦に備えて、艦隊を面で殲滅するための680㎜時限式核弾頭を開発、そして残存勢力を各個撃破するための680㎜通常弾頭を同時に開発したのです。

 

ジ ということは、初期型ザクバズーカの内径は680㎜もある、ってことですか?

 

セ そうなんです。なので例えばバズーカを2発同時に発射したとしても計算上は干渉はしないのです。もはやバズーカというより、ロケットランチャーって言った方が良いのかもしれませんね。

 

ジ (そういえば、MGのザクを組み立てた際にザクバズーカの内径を計った事あるけど……確か6.8㎜だったような気がする。あの時「全然違うやんけ!」ってセルフツッコミをした記憶が…)

 

セ それじゃあ、次の解説に行きましょう。

 

 

改良型ザクバズーカ

セ この改良型ザクバズーカは主に陸戦用ザク、MS-06Jと同時に開発されたものです。地球侵攻作戦時に判明した初期型ザクバズーカの欠点を補う為に開発されました。

 

ジ どんな欠点があったんですか?

 

セ 取り回しが不便という事です。元々宇宙空間での核兵器運用を想定して作られた物なので、地上での取り回しは想定外だったのです。

 

ジ 元々地球への侵略は予定に無かったですもんね。

 

セ 地球の重力に耐えられず、バズーカを持つザクの右腕の故障が多発したそうです。

 

ジ (重い荷物を持って筋肉痛になったオカンみたいだな……)

 

セ そこで口径の縮小をして小型化し、軽量を計ったのです。これにより重量が約23%も削減出来たのです。

 

ジ おぉ、それは凄い。

 

セ 更に「弾数をもっと多くしてくれ」という要望に応え、弾数を5発に増加。「整備性も良くしてくれ」という要望で、バナナ型弾装を使用することによりバズーカのメンテナンス性をアップすることに成功しました。

 

ジ (バナナ型弾倉って事は、俺が転生した後にシミュレータで使ったバズーカか)しかし弾数が増えたのは1発だけかぁ……

 

セ 実はその増えた1発のせいでトンでもない不良を抱える事になったのです。

 

ジ へ?

 

セ 軽量化した話は覚えていますね?

 

(ジーンが頷く)

 

その軽量化と相まって装填不良、いわゆるJAMが発生してしまったのですよ。

 

ジ それまたどうして?

 

セ バズーカの軽量化による耐久性の低下、バナナ型弾倉による特殊な装填方法、バズーカ弾5発の重み……これらが運悪く重なった結果が装填不良という訳です。あとついでにカウンターウェイトが後方に寄り過ぎているるせいで、撃った時にバランスが崩れて命中精度に難が出ています。

 

ジ それじゃ結局ダメやんけ…(そういやバズーカ使ったのって宇宙空間だったよな…だからJAMらなかったのか。というかシミュレータならそこまで配慮しないのかな…)

 

ここでふと、気になった事がある。

 

ちょっと待って下さいセキヤさん。JAMるって事は、もしかして……

 

セ ……はい、暴発事故もあります。

 

(ヤッパリネー)

 

暴発事故が今までに32件、この内の4件はMSに誘爆しています。

 

もはや不良品じゃねーか!!!

 

セ ……という訳で改良後期型の説明に移りましょう。

 

 

改良後期型ザクバズーカ

セ これが今、ガウのバズーカラックに収納されているバズーカです。配備開始は10月からなので、出来立てホヤホヤの新品ですよ。

 

ジ へぇ~そうなんだ。

 

セ 耐久性を向上するために砲身厚を少し増やしたので重量は改良型よりも約8%増加していますが、まだ初期型よりもだいぶ軽量化はされています。更にバナナ型弾倉を廃止し、装填不良が起こりにくい長方形の弾倉を使用しています。

 

ジ やっと学んだのか。

 

セ 装填数は3発で…

 

ジ ちょっと待って下さい、装填数減ってるじゃないですか!

 

セ 安心して下さい。この弾倉は腰部の他に、ザクの右肩シールドにもマウントする事が出来るんですよ!

 

ジ はぁ。

 

セ なのでやろうと思えば右肩シールドに8つ、左右の腰部に4つ、バズーカに1つで合計39発も持ち運び出来る様になったのです!

 

ジ それって右腕の負担は?

 

セ あくまでも"最大積載量"なので考慮していませんけどね!

 

(ヤッパリネー)

 

……まぁ、それはともかく。一回の装填数が少ないので、口径を280㎜から320㎜に変えて威力をUPさせましたし、この改良後期型はザクバズーカの最高傑作と言っても過言ではないですよ。

 

ジ なんかサラリと"口径が320㎜になった"と聞こえた気が……

 

セ はい、そう言いましたが……

 

ジ もしかして、3つのバズーカって互換性は……

 

セ 無いに決まっているじゃないですか。

 

ジ (そんな笑顔で言われてもなぁ)

 

ジ (ちなみに、この改良後期型はジ・オリジンのザクバズーカA2型そのまんまの見た目やな)

 

 

セ 他にもザクⅠが使っていた"最初期型"や、水中用ザクの"水中試験型"、ドムが使用しているロケットモーター点火式……あれはちょっと違うか。おっと、もうこんな時間。ジーンさん、もう少しで出撃です。MSの性能を100%引き出せる様に念入りに整備してあるので、おもいっきり暴れまわっても大丈夫ですからね。

 

ジ ありがとうございます!

 

ジ (総評するとすれば、地球降下作戦のせいで滅茶苦茶めんどくさくなってるな……互換性がないし、改良後期型のせいでまた、しっちゃかめっちゃかになりそう。なんだかジオンはやっぱり勝てなさそうな気がしてきた……)

 

 

 

 

 

 

「ジーン出撃だ!行くぞ!」

 

シャア中佐が声を掛け、MSに乗り込む。それに続いて俺も自分のMSに乗り込む。胸部から下がっている乗り込み用のタラップに足を掛け、上昇する。下からセキヤさんが手を振ってくれてるので、それを敬礼で返してコックピットへ乗り込んだ。

シャアからは離れてはいけない。特に今日はミノフスキー粒子散布濃度が濃く、通信対象から500メートル以上離れると何言ってるか分からん状態になる。でも、ちゃっちゃとホワイトベースをぶっ潰しておけばいらん努力だったよなぁ……

 

「勝利の栄光を君に!」

 

シャアが原作通りの台詞を決めたところで降下開始。とにかく、ガルマ暗殺を食い止めつつ生き残らなければならない。何でこんな面倒な事に巻き込まれたんだ?どうせ転生するならジョニー・ライデンになりたかったな。シン・マツナガでも良いかもしれん。あ、アナベルちゃんは止めて下さい4年後ロクな目に合わないので。(キッパリ)

 

薄暗い、というか普通に夜戦と言ってもおかしくないぐらいに辺りが暗い。時刻はまだ18時過ぎだが、厚い雲が太陽を遮っている。ザクのカメラを夜戦用に切り替える。画面が若干赤みが掛かるが見えないよりはマシである。

 

「よし、これより木馬の捜索を開始する。ガンダムも出ているはずだ、気を付けろ」

「了解です」

 

捜索とは言ったものの、ホワイトベースのいる雨天野球場からはかなり離れている。おおよそ4㎞といったところか。そこそこ歩かなきゃいけない上に、上官と別行動は基本的にご法度だ。

と、ここでアラームが鳴る。熱源探知が反応し、モニターの情報欄にはガンダムの表記が出ている。はえーよホセ!しかし、まだこちらには気づいていないようだ。

 

「向こうからやって来るとは、我々も運が良いな。ジーン、私が良いと言うまで物音立てるなよ」

「分かってますって」

 

シャアの指示でガンダムを挟み撃ちにする戦法を取った。ガンダムはまだシャアを探しているらしく、キョロキョロとゆっくり動き回っている。(でも確かガンダムは"囮"だったよな……?)にしてもガンダム討つのにザクⅡ2機って、あり得んよな。普通。一応温存していたザクⅡ15機を投入してホワイトベースの捜索をしているらしいけど……そんなに温存していたのか。っていうか作戦変更していなければ、そのザク達はガンダム達の餌食に……二つの意味で恐ろしいな。

 

集中しよう、たった二機でガンダムをぶっ叩くのはほぼ無理に近いがやらなきゃアカン。とりあえず一撃必殺のビームライフルをお見舞してやれば……

ガンダムが近づいてくる。自分から半径300メートル位のところまで熱源探知で分かる。廃ビルが崩れ、丁度良くガンダムの進行方向を捉える場所構える事ができた。

後はシャアの動きも良く見ておかないとな。多分シャアはまだホワイトベースが何処に隠れているかまでは把握出来ていないはずだ。何故なら、原作ではガンダムを発見した後にジャンプしてホワイトベースを見つけたが、まだ行っていない。地図をこの世界のシアトルにはちゃんと雨天野球場がある。そして自分達が居る場所からおおよそ4㎞離れてよく見えない(存在感は結構あるけど)ので、確認するまでは動かないと思いたい。

 

手に汗を握るとはまさにこういう場面だろう。"もしかしたら"のチャンスがやって来たのだ。精密に狙撃出来るように両手持ちで構え、瓦礫の上に立ち密かにその時を待っていた。ここで"もしかしたら"を実現すれば、ガルマ暗殺を阻止出来る……そう信じるしかない。気をつけなければな、ここは瓦礫が多いから物音を立てやすい。原作ではそれでガンダムがザクに見つかってしまった(ガラガラ)からな。そうそうこんな感じに……

 

 

 

 

 

気づいた時には外の風景が若干斜めになっていた。ついでに言うと黒いガンダムがハイパーバズーカを構えてこちらを向いていた。

 

「こ、こんなところに居たのか!」

 

(やっちまったぁぁぁぁぁ!!!!!)

「ええい!ジーンの奴、しくじったか!」

 

バズーカ弾が左脇腹を掠め、後ろにあったビルを爆破し、粉々にした。殺られてたまるかと三発程ライフルを撃ったが、どれもガンダムには当たらなかった。シャアが助太刀に入り、バズーカを足元にお見舞するが、あんまり効いてない気がする。一応新しいバズーカで威力はアップしているはずなのだが……

ガンダムとシャアザクはどちらも蝶のように舞い、蜂のように刺す一進一退の攻防を広げている。もうここまで発展してしまうと、むやみに攻撃出来なくなる。フレンドリーファイヤーはキシリアなら許してくれそうだが、ドズルは駄目だろうなぁ。だって私情でガルマの仇討ち部隊編成する程だし。「お前のせいでシャアが死んだ!」と言われて即銃殺やろなぁ。

 

「何をやってるんだジーン!貴様も戦闘に参加せんか!」

「何って、フレンドリーファイヤーでもしたら、どうするんですか!一発でアウトですよ!?」

「貴様はそんなヘマをする奴……ではないはずだ!」

 

なぜ一瞬言葉を飲んだ?

 

「中佐、ジャンプしたらライフルで撃ちますからね!」

「あぁ分かった!」

 

つばぜり合いから一瞬、シャアザクが後方へジャンプする。それを追いかけるガンダムをこれでもか!と言わんばかりに撃った。しかし緊張とプレッシャーで狙いが定まらず七発も撃って左肩を小破させただけだった。

 

「焦るなジーン!チャンスはまだある!よく狙って撃て!」

「す、すいませェん!」

 

誰か、誰か助けてくれないだろうか……

もう限界に近い。頭が真っ白になりかけている。

 

「ジーン!もう一度行くぞ!」

「了解!」

 

バズーカを撃ちながら後方へジャンプするシャアザク。今度は冷静になって撃とうとしたが、私はアムロはどういう奴なのかを忘れていた。

 

「今度はさせるか!」

 

とシャアを追いかける前にガンダムシールドを投げつけてきた。うわぁ!これがガンダム名物のシールド投げかぁ!!回避したが少し遅かった。右腕を切断されてしまったのだ。ただのシールドが何故ここまでの切れ味を出しているかはホントに不明であるが、大ピンチである事は解っていた。今回は予備武装を持ってきて正解だった。すぐさまバズーカを左手に持ち、三発撃ち切ったがジャンプして避けられてしまった。

 

……ってちょっと待て反転しながらこっちに来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

「てりゃぁあ!」

ヤメロォォォォォォォ!!!

 

思わずザクバズーカ(改良後期型)を投げつけてバックステップを踏む。ビームサーベルの犠牲になったバズーカの代わりに何とか助かった……けど、どうしよう。武器がヒートホークしかなくなってしまった……

 

このままじゃ殺られる!もう誰でも良いから助けにきれくれぇ!お願いだから助けてぇ!!!

 

 

 

 

 

「助太刀に来たぞぉ!!!」

 

 

 

友軍が助けに来てくれた……

絶望のどん底から希望の光が射してきた。もしかしたら一般兵士じゃすぐに殺られるかもしれないけど、一瞬でも気を引いてくれたら後方に下がれる。緊張とプレッシャーが無くなり、生きる活力とやる気が湧いてきた。ザクがあれよあれよと増えて10機も来てくれた。え?こんなに来て捜索は大丈夫なの?

 

先頭に立つザクは多分、隊長機だな。色は暗くてよく解らないけどアンテナブレードがあるし、バルカン砲が頭に4門付いてるし、右手に持ってるヒートホークはちょっと大型で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へ?頭部にバルカン砲??ま、まさか!??!?

 

 

 

 

 

「ええい連邦の黒い悪魔め……これ以上好き勝手にはさせんぞ!落ちろッ!落ちろォォ!」

 

 

 

(゜ロ゜)?!

(゜ロ゜)?!

 

モニターの情報欄には[MS-06FS]の文字がくっきりと写しだされていた。




あぁ~!歴史の壊れる音ォ~!


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第34話 ガルマ散る[散りに来ちゃった編]

お盆中に上げられたら良かったけど、色々立て込んでいました……
いよいよシアトル戦の決着です。


「勝利の栄光を君に!」

 

シャアのキザな台詞に微笑みを感じながら、二機のザクがガウから降下していくのをガルマは見届けた。

 

「ほ、本当に出撃なさるのですか…?」

 

ガルマの副官ダロタは心配そうに言う。

 

「あぁ勿論だ。この為にわざわざ私のザクを隠した。シャアに心配されると厄介だからな」

「しかしですね…貴方は仮にも地球方面軍の指揮者なのですよ?ここは後方でしっかりと構えてもらって…」

「ええい!シャアだって中佐のくせに前線で戦っているではないか!」

「し、シャア中佐は特別編成の遊撃部隊なので、ガルマ様とは訳が違うのですよ!?」

 

あぁもう駄目だ。こうなってしまっては、ガルマ様はテコでも動かないだろう。いくら地球方面軍の全権はキシリア様が握っているとはいえ、北米での活動は決して無駄ではないのに。何故そこまでしてホワイトベースの撃破に執着するか……

 

ダロタは大きなため息を吐きながら

 

「解りました、もう私は止めません。しかし、木馬捜索に当たっているザクを、何機か護衛に付ける事が条件です」

「む…やむを得んな。私が声を掛けよう。それでいいな?」

「はい……」

 

隠していたガルマザクの立ち上げが終わり、その時が来てしまった。ガルマは自分のザクへ乗り込み、ダロタは胃が痛いのを我慢しながら敬礼で見送った。

 

「ガルマ、出撃!」

 

とうとうガルマのザクがガウから降下していった。あとは上官の帰還を祈るしかなくなってしまった。今日から胃薬の量を倍にしようと決断したダロタであった。

 

 

 

これが30分前の出来事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザクを一個中隊引き連れて我々の目の前に来たのは、紛れもないMS-06FS。つまりガルマ・ザビ大佐本人である。シャアも驚きを隠せていないのが通信でも分かる。

 

「きっ、キサ…ガルマ!何故ここに居る!?」

「何故って、ガンダムを討ちに来たんだ!」

「ガルマ!貴様は前線の指揮者だぞ!後方に下がって指揮するのが仕事だろうに!」

「それを言うならばシャアこそ、ガンダムを追いかけている時は、ドレン中尉にファルメルを任せて、自分だって前線に狩り出ているではないか!」

「うぐっ!そ、それは話の規模が…」

 

意外や意外、ガルマの指摘にシャアがたじろいている。まぁ五十歩百歩だけど。

 

ガンダムもあまりの光景にたじろいでいる。いきなり10機のザクが出てくりゃ、驚かない方がおかしいもんな。

 

「ええい!こうなったら全力でガンダムを倒すぞジーン!」

「わ、分かりました!」

 

二手三手先を読むのが得意なシャアの弱点。それは想定外の出来事に対処することである。いわゆるやぶ蛇というやつだ。かくいう俺もガルマがザクに乗って降りてくるとは思わなんだ。予測しろって言う方がおかしい。

 

でもヒートホーク一本でどうやって倒せと?

 

「者共撃てッ!撃ちまくれェ!!」

 

横からマシンガンとバズーカの雨あられが飛んで来る。ちょっと待てや!俺を巻き込むんじゃない!!

何とか俺は避けれたが、ガンダムはもろに食らってしまう。あまりの衝撃にぶっ倒れたが、これだけ攻撃を食らってもカロリーゼロ♥️もといダメージゼロなんだから末恐ろしい。

 

やはりダメージは受けてないらしく、すぐさまに立ち上がったガンダム。おっ、来るか?と身構えたが、バックステップを駆使して逃げてしまった。分かるぞアムロ少年。いくらガンダムとはいえ、同時に12機のザクを相手にするのは分が悪すぎるという考えをして当然だ。それにガンダムはただの囮だし。

 

「ガルマ!ガンダムを見つけたら報告をするって言っただろ!何故待てない!」

「君が『シアトルでホワイトベースを叩き潰そう』って提案したじゃないか!」

「あれは"ホワイトベースを叩き潰す"のであって"ガンダムを叩き潰す"訳ではないぞ!」

「ガンダムを倒してしまえば、目標の五割は達成するんだ!」

 

お二人さん、コードネームの木馬じゃなくてホワイトベースって呼んじゃってるよ。まぁ、気にしたところで差ほど意味は無いだろうけど。

 

「ガルマ、何故そんなに焦っているんだ?もしや、あの彼女の為に戦果を上げようと?」

「そっ、そんなわけ…」

「ガルマ!戦場にラブロマンスを持ち込むなんぞ、愚の骨頂だぞ!それで前線に異常を招いたらどうするつもりだ!」

 

 

 

お前が言うかーーーーっ!!!

 

 

 

二人が口喧嘩している間にガンダムが遠くに逃げ……てない。そうか、ガンダムは囮だったよな(二回目)。中々来ないから警戒しながらこちらをチラチラ見ている。ガルマについて来たザク達も命令が無いからオロオロしている。せめて移動しながら喧嘩してくれませんか?

 

「あの~お二人共、そろそろ作戦に戻って……」

 

「「分かってる!!!」」

 

 

 

…もうお前ら結婚しろよ。

 

 

 

うーむ、皆でガンダムを追いかけているが一向に倒せる気配がしない。古の腐女子御用達のガルマとシャアがしょーもない喧嘩している内に、ギリギリ攻撃が当たらない距離まで離されたからな。ガンダムの歩行速度自体はザクと同程度なんだけど、いかんせんスラスター推力が桁違いに高いのよ。地上で追い付くのはシャアザクでも厳しいと思う。でもガンダムは囮だからあえてザクが追い付けるスピードで移動してくれるから、離される事はない。

 

……のは良いことだけど、ホワイトベースからはかなり離れてしまった。ガルマよ、ぶっつけ本番で着任したブライトに戦術で負けてどうする。このまま隙を突かれてシアトルから脱出されたら、元も子もないぞ。

と、思っていたらガンダムがUターンし始めた。そうか、ガンダムも離れすぎると帰れなくなるもんな。ぴょんぴょん跳ねるガンダムを、ぴょんぴょん跳ねながらザクで追いかけ回す。うーん、攻撃さえこなければ意外と楽しいな、これ。

 

 

「見つけたぞ!」

 

 

うわぁ、ガルマよいきなり叫ぶな。

 

「ガルマ、一体何を見つけたんだ?」

「ホワイトベースだ!ガンダムはホワイトベースへと向かっているのだ!」

「ッ!……待てよ、このままだとガンダムに逃げられる事になるな」

「なにッ!それだけはさせてたまるか!」

「………」

 

あっヤバい、シャアが機転を利かせて、ガンダムとの戦闘でガルマを見殺しにするつもりだ。ヤバいな、身を呈してでもガルマを守らないと……それで死んだら元も子もないけど。

 

ぴょんぴょん跳ねながら大体元の場所まで戻ってきた。「やっぱり追い付かないなぁ」と思っていたらシャアがガンダムの進路を塞ぐように攻撃したので、ぐっと近づいた。ガルマと一個中隊のザク達がガンダムに突撃する中、シャアは殿を勤めるような素振りで後ろからついていった。

 

「ちゅ、中佐!ガルマ様をお守りしなくて良いのですか!?」

「ガルマはああ見えて頑固でな。下手に手出しをすると怒るからな」

「そんな事言って、ガルマ様が斬られたらどうするんですか!」

「私のクビも斬られるだろうな」

 

呑気に洒落なんか決めやがって。お前ガルマ暗殺して、意外と凹んでただろ。

 

ともかく、シャアは予定通りにガルマを暗殺するらしい。俺はフォロー出来るようにガルマのすぐ横らへんに陣取って監視する。いくらなんでもこの状況でシャア自らガルマに手を下す事は無かろう。こんだけザクがいれば、無線で嘘情報流した後の処理が出来ないだろうし。

 

ザク一個中隊がいい感じにガンダムを包囲してくれたので、ガンダムは逃げにくくなった。やっぱりMSの動かし方や戦術はMSパイロットの方が分かってるな。はいそこ、ガルマもMS乗りと指摘しない。とここでガルマが提案をしてきた。

 

「ジーン曹長、これからガンダムに攻撃を仕掛けたいのだが…きっかけを作ってくれないか?」

「が、ガルマ様…指揮官なのですから、無茶は」

「ここでやらねば、ジオンが滅ぶ!」

 

貴方が死んでもジオンは滅びますよ?

 

「あの黒い悪魔を始末しなければ、ジオンは滅びる!だからきっかけを作るんだ曹長!」

「はい了解です……」

 

大佐から命令されちゃ、断れないな……シャアも黙っているし、何とかせなきゃアカンのかぁ。というか俺、右腕無いし、武装がヒートホークだけなんですけど。どうしろと?

 

 

 

「ん?これは……使えるかも」

 

 

 

ソレを手に取った俺はガンダムの気を逸らせる作戦を決行する。ガルマにガンダムの背後を取らせれば、何とかやっつける事も可能かもしれない。今はそれに賭ける他ない。

 

「ガンダム、勝負じゃぁああ!」

「あ、アイツ…ガンダムシールドを!?」

「でりゃぁあ!」

 

ザクの左手で持っているのは、少し前にガンダムが武器として投げつけたガンダムシールドだった。投げつけても良し、守っても良しの万能兵器である。シールドを前にしてガンダムに突っ込む。ガンダムはバズーカを使いきったのでサーベルを持とうとしていたが、反応が遅れてタックルを受けて吹き飛ばされる。

 

「今です大佐!」

「これでトドメだ!」

 

ヒートホークを振りかぶりながら走ってくるガルマ専用ザク。立ち上がるガンダムの背後を斬りかかる絶妙な陣取りだった。

 

そのはずだった。

 

「!?」「なにッ!?」

 

立ち上がるはずのガンダムはあろうことか、立ち上がらずにそのままバーニアを吹かせ、ガルマザク目指して仰向けのまま突進してきたではないか!ガルマザクは何とか上昇して回避したが、着地に失敗して地面に倒れる。対するガンダムは起き上がってビームサーベルを抜いた。

マズイ、形勢逆転してしまった。このままだとランドセルと一緒にコックピットを串刺しにされる。まずいマズイ不味いどうにかしないと!武器は……あるじゃないか。

 

「えぇい!一か八かじゃあ!」

 

持っていたガンダムシールドを投げる。が、クラッカーを投げる動作を無理やり出した為に、ガンダムシールドは緩い放物線を描くようにフワァ~っと飛んだ。

 

ガンダムはサッと避けて、ガルマザク目指して走り出した。

 

時間稼ぎにもならねぇ!

 

武器はヒートホーク一つ。でもこれでガンダムに攻撃すればガルマザクにも当たる!この状況でどうやってガンダムを退けるか……ッ!

一体…どうすれば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……発想を逆転させろ

 

 

 

 

 

"ガンダムを退ける"のではなく

 

 

 

 

 

"ガルマさえ守れればいい"と……

 

 

 

 

 

 

そうだ…ザクなんかでガンダムは倒せっこない。

アレックス「呼んだ?」マドロック「呼ばれた気が」

 

 

 

 

 

ならやることは一つ!

 

 

 

 

 

ジーンザクとガンダムとほぼ同時に走り出す。ガルマザクはようやっと立ち上がるモーションを取ってる。このままだと本当に串刺しにされてしまう。間に合ってくれ!

 

ガンダムはビームサーベルを逆手持ちにして突こうとしている。タックルでガルマザクを吹き飛ばすには少し遅いかもしれない。となれば、アレを試す他ない……

 

「ガルマ様!失礼!」

「なにッ!?グハァ!」

 

セキヤ技術少佐が入れた新しいモーションの一つ「回し蹴り」を炸裂させた。右足は見事に立ち上がった直後のガルマザクの脇腹に決まり、横へ吹っ飛ばした。代わりにジーンザクの右足が串刺しにされる。それほど刹那なタイミングだった。

回し蹴りの勢い余って、そのまま半周回って右足がもげた。そのままバランスを崩してうつ伏せで倒れ込み、死を覚悟した。

 

 

ああ、ここで俺は死ぬのか……

いっそのこと、一思いに突き刺してくれ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

あれ?まだ生きてる。

 

 

 

「ジーン!大丈夫か!」

 

シャアの声が聞こえる。まだ死んでないみたい。

 

「少佐!私は大丈夫ですか、一体どうなっているんです?」

「説明するより見た方が早い、立てるか?」

「補助を頼みます」

 

シャアザクに肩を貸してもらい、指定された方角を見ると、ホワイトベースが飛んでいた。

 

「ガウが遠くに行った時を見計らって飛び立ったようだな。そのうち一機は背後から、ガンタンクやガンキャノンに不意打ちされて落ちた。ガルマのガウは追いかける程の燃料が残っていない。残る一機は遠くでやっと旋回し終わった……という感じだな」

「つまり、ガンダムはホワイトベースに戻った。ってことでいいのでしょうか?」

「そうだな」

 

どうやらこの状況に痺れを切らしたブライトは、強行策に出て上手く逃げれたようだ。絨毯爆撃のシフトちゃんと敷いとけよ……と思いながらも、ガルマを生き延びさせる事に成功したのはかなり大きい。これで、このガンダム世界の歴史がどう変わるのか……

ガルマの暗殺を阻止した俺をシャアはどう見るのか、オデッサの戦いはどうなるのか、それよりA-12部隊はこの後どう動くのかすら解らない。

一つだけ解った事があるとすれば、ガルマの策略はブライト以下だって事だ。

 

 

そんな事を考えながらも、壊れた足でガウへと戻ったジーンであった。




シャア「にしてもガルマを蹴り飛ばすとは、中々の根性を持っているな。気に入ったぞ」
ジーン(転生)「はは…どうも」(ガルマじゃなくて俺が暗殺されそう……)


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第35話 キャリフォルニアベースの内情

例のワクチンの接種がやっと決まって一安心した作者です。強い副作用出なきゃいいけど……

ガルマ暗殺の一日後の話です。どうぞ。


「こてんぱんにやられましたねぇ」

「す、スミマセン…」

 

MS格納庫でジーン(転生)とセキヤ技術少佐が話していた。ここはキャリフォルニアベースの本拠地「サンフランシスコ基地」。このサンフランシスコ基地は北米ジオンの本拠地で、その周りをいくつもの中小基地で囲んである地帯の総称が「キャリフォルニアベース」である。

 

「直せますかね?」

「直せますよ。直せますけど……」

 

濁った言い方に気になったが、とりあえず聞いてみる。

 

「一週間ぐらい後になりますかねぇ……」

「そんなに時間が掛かるんですか!?」

「あ、いえ、修理自体は一日あれば、なんですけど……少しだけ話が長くなっても?」

 

俺は無言で頷く。

 

「まず、ジーンさんのMSは試作機なのはご存知ですよね?」

 

確かにあのザクは"Y"MSだから試作機だ。

 

「この試作機MSはビームライフルの運用を実戦でデータを取って評価をする。ここまではいいですね?」

 

コクコク

 

「その評価の対象に"中破以上の損害が出たら戦闘データを作成し、評価をする事"がドズル中将から指示されているのです」

 

 

 

……いや、そんなの聞いてないんだけど。

 

「あぁ!いやいや!これは搭乗者には言わないようにしていましたので……もし、この事を知っていたらジーンさん、貴方ならどうしますか?」

「多分、慎重に戦うと思います」

「それだと思うような実戦データが取れませんよね?」

 

コクコ…?

 

「?でも、そんなにこのMSの運用データが必要なんですか?」

「…オフレコでお願いいたしますよ?」

 

あっ、はい。

 

「私はジーンさんが持って帰ったビームライフルを撃ちたくて、必死に解析して、何とかファルメルからエネルギー供給を行って試射を行いました。その時、近くを漂ったいたサラミス級を的にして、試射をしたのですが…その威力に度肝を抜かれまして!『これは我が軍に必要な物だ!!!』と、鼻血を大量に吹き出しながら思いまして!」

 

へぇ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へ?もしや過労でベッドに寝てた横でアヘアヘ言いながら鼻血を出していたの、セキヤさんだったの!?

 

 

 

 

 

「何とか無理やり、言い訳に近い理由をドズル中将に並べて試作機への改造を許可してもらったのですが……」

「その条件に例のアレが含まれた。って事ですか?」

「その通りです」

 

あのMSにそんな経緯があったのか……

でも次に乗るMSどうするんだ?基本的にパイロット一人につき、一機支給が原則だし。

 

「あ、でも安心してください。次に乗るMSの手配は済んでいますから……」

 

フッフッフ…と怪しい笑い声と共にメガネが光った。なんだろう、ニュータイプでも無いのに悪寒が……

 

「それはそうとジーンさん、ガルマ大佐のお見舞いには行きましたか?何やら大佐がジーンさんに会いたがっているそうですけど」

 

グハァ!?

そ、そんな事いきなり言わないでくれ!本当に豆鉄砲を食らったかのような衝撃に襲われた。喉か痛い。

 

「あららスミマセン。でも行かないとガルマ大佐の面子を潰すことに成りかねませんから…ここは我慢してでも行った方が身のため、ですよ?」

 

はぁ……昨日の事を思い出しただけで胃が痛くなる。あれは、キャリフォルニアベースに向かうガウでの事……

 

 

 

 

 

 

 

10月4日23時45分 ガウ攻撃空母機内

 

ホワイトベースの追撃はガルマの負傷で中止になった。追いかけれるガウがあるから行かせてくれ、と懇願した兵が多かったが

 

「ガウ一機分の戦力だけで、ホワイトベースは落とせん…キャリフォルニアベースに戻って態勢を、整えてから…くそっ、痛い……」

 

という訳で引き返したのだが…

 

 

 

ガウの機内にて

 

「おうおうおう!ジーン曹長殿ォ!テメェ、どの面提げてここにいるんじゃ!!!」

「貴様ぁ~!ガルマ様に、なんちゅうことしてくれたんじゃあ!」

「俺たちが直々に『修正』してやらんとなぁ?」ボキボキ

 

ガルマの(自称)親衛隊に目を付けられていた。

まぁ、言いたい事は分かるけどさぁ……ほならね?あんた達が助ければ良かったとちゃいまんの?

 

「俺たちが助ければ良かったなんて顔しやがってぇ!修正してやる!!」

 

げぇ!なんでバレた!うわやめろ俺は死ぬ程疲れて

 

「そこまでだ!これ以上騒ぎを起こすなら軍法会議に掛けられるものと思え!」

 

 

「し、シャア中佐……」

 

シャアの一喝により、場の空気が一変する。

 

「ッ……!命拾いしたなぁ曹長、飼い主様のお出ましのようだ。お前ら、行くぞ」

「おっ、覚えてろ!」

「お前は絶対、アフリカ送りだからな!」

 

ズカズカと歩いて行く三人組に鋭い視線を送る中佐。背中から殺気のような物が見える。その殺気が神経にチクチクと刺さって痛い。

 

「全く…威張り散らしていた男は、ジーンと同じ曹長じゃないか。良くもまぁあんな大事が言えるな」

「でも口には出さずとも、他の兵士からの視線は結構痛いですよ?皆、同じ事を言いたいんでしょう」

 

本当に皆からの視線が痛い。怒りを我慢しているのが分かるぐらい顔が赤い人もいれば、ダロタみたいに顔面蒼白になってる人もいたしなぁ。

流石に真紫色だったのはダロタだけだったが。

 

そういえばシャアはガルマの暗殺を企てていたっけ。俺に阻止されてどう思っているのだろうか…?

 

「ジーン、少しだけいいか?」

「はっ、何でしょうか?」

 

くるのか?来るのか?

 

「他の兵には言わないでくれ」

「承知しました」

「……正直、ジーンがガルマを蹴飛ばした時、余りの衝撃に顎が割れそうに外れそうになった。そして…大きな声で笑ってしまった」

 

 

 

「わ、笑った…のですか?」

「あぁ、通信回線を咄嗟に切れて良かった。あの後、腹が捩れる程に笑ったよ」

 

腹が捩れる程?原作より笑うシャアって……ガンダムさんのシャアぐらいか?

 

「いやぁ、あれは、状況が…状況だから、仕方…ない…ククク……駄目だ、思い出しただけて笑いが」

 

ハッハッハと笑い出したシャアに、周りにいた兵士達が一気に視線を向ける。そして皆がみんな、固まってしまった。ようやく笑いの収まったシャアは話を続けた。

 

「まったくだ。全く君という男はとんでもない事をしてのけるな。私が上官じゃなかったら、あの三人組の言うとおりアフリカ戦線送りだな」

「ちょっと中佐ぁ……」

「すまんすまん。だがジーン、君がガルマを蹴飛ばさなかったら、確実にガルマはガンダムのビームサーベルに串刺しになっていた。君はガルマを救った、それは事実だ。ガルマもそう怒らないはずだろ、誇っていい」

「そうですかねぇ」

 

「これで良かったのか…?」

「なんか言いました?」

「何でもない、基地に着くまでゆっくり休め」

「はっ」

 

 

 

 

 

 

……というような事があった。

気が進まないが、行かねば。行った後は野となれ山となれどうにでもなれ、ってやつだ。

 

基地内病棟へ向けてスイスイと歩く。流石北米の一大拠点なだけあって人もかなり多い。

が、何故かスイスイ歩ける。どうしてかというと、皆が皆サッと一歩(うわぁ…という顔をしながら)退くのよね。いつの世も噂という物は広まるのが早い事を実感した。

病棟に着くと、ガルマの副官ダロタが「お待ちしていました」と言わんばかりに受付横で突っ立っていた。

 

「ジーン曹長、お待ちしていました。こちらです」

 

ダロタについて行き、案内されたのはそれなりに豪華な個室だった。まさか専用病室…?何だか縁起が悪そうだが、口には出さないようにしなくては。

 

「わざわざここまで来てもらってすまない。何せ、こんな状態になってしまったからな……」

 

ガルマを見ると、頭からつま先までグルグルと包帯が巻かれている。ミイラがパジャマを着ているかのようだ。

 

「やはりこの包帯が気になるか?」

「はい…」

「君に蹴っ飛ばされて助かった代償、とでも言えばいいのかな?あぁ、蹴っ飛ばされた事はかなり驚いたが、別に君を叱責する訳ではない」

 

ホッ、とりあえずアフリカ戦線送りは無さそうだ。

 

「君に渡したい物がある。ダロタ、すまないが」

「はっ」

 

ダロタが取り出したのは小さく薄っぺらい深緑色の箱。俺の目の前で箱を開けると、中にはメダルのような物が入っていた。

 

「ジオン特別勲章だ。受け取ってくれたまえ」

「え?と、特別勲章ですか???」

 

 

 

ジオン特別勲章とは

ジオニストの間では有名なジオン十字勲章の2つ下にあたる勲章。2つ下とはいえ普通なら、一回の戦闘でMS1個中隊を一人で返り討ちにしないと貰えないぐらいの代物である。(必ず貰えるとは言ってない)ちなみにジオン十字勲章だと更に+2個小隊と戦艦5隻が最低ラインだったかなぁ……二階級特進の方が確率的に高い。

 

 

 

「これでも君達の上官に譲歩して貰った結果だからな。あろうことか兄さ…ドズル中将は二階級特進を進言したからな」

 

あの人ならやりかねんな……ガンダムも倒してないのにいきなり中尉にでもなったら、これ以上周りの視線に耐えなれない……と俺は思う。

 

「まぁそれはともかく。ジーン曹長、改めて礼を言わせてもらう。君のおかげで助かった、ありがとう」

「…光栄です!」

 

ビシッと敬礼を決める。やはりガルマはこういった事が出来る人間だから皆に愛されるんだろうなぁ。やっぱりガルマにはザビ家の長男長女には欠落した人徳という物があるんだなぁ。

 

「…さて、それでは本題に移るとしよう」

 

ガルマの声のトーンが少し下がる。さっきの話からすると、ドズルと話をしたようだから、ついでに指令でも下ったのかな?と、そこに

 

「そろそろ私も会話に参加しても大丈夫そうだな」

「シャアか?丁度いい、君の部隊への指令が下ったから、伝えようと思ったんだ」

 

チョワ!いきなりの登場にビックリしてしまった。シャアはいつもの衣装と両手には花束を持っていた。

 

「中佐、何時からここに?」

「そうだな…『わざわざここまで来てもらってすまない。』のところからだが」

「ほぼ最初からじゃないですか!」

 

ガルマが笑う。ダロタは吹き出しそうになるが、我慢できたみたいだ。

 

「ガルマ、無事で何よりだ」

「ありがとうシャア。やはり君の部下はとても優秀だな」

「そう言って貰えるとありがたい」

 

ガルマは貰った花束を花瓶に移すよう、ダロタに指示を出した。その後に咳払いを一つして

 

「それではドズル中将に代わり、今後の木馬討伐についてを話そう。君達Aー12部隊は引き続き、木馬の追跡を行ってもらう。ただし…」

 

 

 

 

 

「木馬の撃破を禁ずる。以上だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へ?ホワイトベースをやっつけるなってこと?今までの苦労とは一体……?

 

 

 

何かを察したシャアが口を開く。

 

「あえて聞くが、木馬を撃破してはならん理由はなんだ?」

 

「元々、木馬はサイド7からジャブローへ行こうとしていたが、君達がそれを阻んで北米へと進路を変更させた。今は北太平洋を横断してアジア方面に向けて進んでいるが、最終的な目的地はやはりジャブローになるだろう」

「そこで我々が木馬を追いかけて、ジャブローの入り口を見つけ出そうという訳か」

「そういう事だ」

 

流れるような説明への導入、俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

「しかしガルマ、木馬が囮だったらどうする」

「その可能性は無いさ。何故ならガンダムに備わっている学習装置のデータを、量産型MSにインプットしなければならないからな。それに資料によれば今の木馬は正規の武装ではない。このまま運用を続けるのなら必ず、ジャブローで改修を受ける事になるだろう」

 

「ふむ、確かにそれならジャブローへ行く確率は高そうだが……何事にも絶対という事はない。アテが外れたらどうするつもりだ」

「…正直、V作戦のデータは手に入ったのだから、ジャブローの入り口探索以外のメリットがない。しかし、今や木馬は連邦のプロパガンダの広告塔になっている。このまま野放しにはしたくないのも事実だ」

「だが、地上軍には木馬をずっと偵察できる体力も、追い返す戦力もない。だから我々が追いかける。そうだろ?」

「流石だ、シャアは分かっていたか」

 

要するに「いっぱい動ける我々が木馬にちょっかいを出しつつ、ジャブローの入り口を探す」っていう作戦か。IFルートでもやる事はさほど変わらんのな。

 

 

 

ここでドアのノックが鳴り、軍医が検診に来た。

 

「ガルマ様、お身体の具合は如何でしょうか?」

「やっと一息ついたところだ。まだ動かせんが、手足があるだけで有難いと思わんとな」

「左様でございますか」

 

ニッコリと笑う軍医はこちら側に向き、物腰柔らかそうに退室を促し、それに従った。

 

 

 

 

 

日がテッペンに昇り、少し傾いた頃に病棟から二人は出てきた。10月の初頭だが、まだ意外にも暑い。これもコロニー落としの弊害なのだろうか。

ここでふと、シャアが持っていた紫色の花束が気になり話しかけてみた。

 

「しかし中佐、花束なんて購買部で売っていましたっけ?」

「あれか、あれは物売りから買ったものだ」

「へぇ物売り……」

 

物売りというのは、基地の入り口近くで出入りする兵士相手に商売をする人達のこと。無論、基地内には入れないが、たまに購買部では買えないものを売っていたりするので、利用する人は意外に多い。原作だとベルファストで出会ったミハルがそれに当たる。まぁ、ミハルみたいなスパイも居るから気を付けなきゃいけないけど。

 

「ちなみにあの花って、何の花です?」

「確か…サフランとか言っていたはずだが」

「へぇ、サフラン…あの花が」

 

サフランライスとか聞いた事あったけど、あれがそうなのか。

シャアが歩きながらこちらを向いて話す。

 

「さてジーン、そろそろシャトルが着く頃合いだ。そちらに行くぞ」

「え?シャトルって、定期便で来るやつですか?」

「そうだ。そういえばジーンに伝えてなかったな」

「一体何があるんです?」

「……行けば分かるさ」

 

素直に教えてくれたっていいのに…

まぁいいや、定期便の中身を観に行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガルマ様、約束して頂けるのですね?」

「あぁ、MSの出撃は金輪際しない」

「ほ、本当ですね!?」

「勿論さ」

 

 

 

あぁ、やっと落ち着きを取り戻してくれたのか!ガルマ様が負傷したと聞いた時は心臓が止まったかと思った。軍医から全身打撲にむち打ち、果てには軽度の脳震盪と言われた時は血液が全部抜けたかと思った。そして、まるでミイラみたいに包帯をグルグル巻きにされたガルマ様を見たとたんに神経が抜き取られたかと思った。

 

しかし!やっと!ついに!前線から身を引いて、後方でドッシリと構えてくれる日が来るとは……

 

 

 

「ガルマ様!これからもダロタ、ガルマ様の副官としてサポートさせて頂きます!」

「ありがとうダロタ、とても心強いよ」

 

 

 

 

あぁ……余りの嬉しさに背中から翼が生えて飛んで行きそうだ……

 

 

「これからも、後方でのサポートを頼む」

 

 

 

ん?ん?ん?ん?ん???テメェ今なんつった?

 

 

「え?後方…ですか?」

「そうだ、いつも通り後方で」

「いやでもさっき出撃しないと……」

「あぁMSでは出撃しない」

 

 

 

 

???????

 

 

 

 

「MSでは地上しか見渡せないからな。しかも障害物があると有視では限度がある。だから……」

 

 

 

 

 

だから??????????

 

 

 

 

 

 

 

 

「出撃はドップに限る!!」

 

 

 

 

バタン!




氏名 ダロタ 階級 中尉 役職 ガルマ大佐の副官

病名
   PTSD(軽度)
   過労
   ストレス性胃潰瘍

備考
   胃薬を規定服薬量の二倍服薬している。
   薬物乱用疑惑あり、特別病棟にて経過観察。


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第36話 再会 Aー12部隊

ご自愛した結果、大っっっ変に投稿が遅れました。お詫び申し上げます。

何が起きたかは、後で活動報告にでも書こうと思います。

それでは約4ヶ月ぶりのお話をご覧下さい。


シャアとジーン(転生)はシャトルの発着場に来ていた。

 

宇宙から来る定期便を観に来たのだ。発着場周辺は見物に来た兵士でガヤガヤしている。まるでちょっとした観光地みたいだ。

 

「発着場って、こんなに賑やかなんですね」

「いや、今日は特別だ。"臨時便"がもう一隻来るからな。我々の目当てはそれだ」

 

へぇ、もう一隻か。物資特盛で~す!って奴かな。

 

沢山いる野次馬をかき分けて見えてきたのは、まさかの代物だった。

 

ザンジバル級が停泊していたのだ。

 

「……これ、ザンジバル級ですよね?」

「そうだ、木馬を追いかける為に使う艦だ」

「はひょー」

 

まさかザンジバルに乗れる日が来るとは……ってか、これじゃ実質ランバ・ラル隊じゃないか。しかもあのザンジバル、投光器が4つあるテストタイプだし。

 

「やっと来ましたね。ジーンさん、あの中にジーンさんの搭乗するMSが搭載されていますよ」

 

いきなり横から話しかけられたのでびっくりした。セキヤさんも観に来たらしい。というか俺達が乗るんだから、セキヤさんも乗りに来たのか。よく考えれば当たり前だな。

 

「そろそろ教えてくれても、良いんじゃないですか?」

「それは乗るまでのお楽しみで…」ニヤッ

 

ぞぞぞっと背中に悪寒が走る。まさか今キャリフォルニアベースで開発されてるというグフフライトタイプじゃねーだろうなぁ?万が一ジュアックとかだったら、その鷲っ鼻がへし折れるまで殴ってやるぞ???

 

 

ザンジバルから荷物が運び出された。と言ってもシャアへの受け渡しがメインだから量は少ない。どちらかといえば降りてくる人員の方が多いと感じる。

 

「おーいシャア中佐ー!」

 

どこかで聞き覚えのある声が聞こえた。声の主を探していると、二人組がこちらへ近づいてきた。

 

「デニム曹長とスレンダー軍曹!」

「おお、ジーンか!っとその前に、訂正してもらわねばな」

「?……あ!デニム少尉とスレンダー曹長でしたね、失礼しました」

「解れば宜しい」

 

おおよそ一週間ぶりの再会だ。

 

…え?たった一週間?なんか半年ぶりな感覚がある。中身が濃すぎる日が多かったせいなのか、大気圏突入作戦の日が遠くに感じるな。

 

「久しぶりだな、地球までのご足労感謝する」

「いやいや中佐、あの後衛星パトロールしていたんですけどね、もう暇で暇でしょうがなくて…呼ばれて嬉しかったですよ」

 

久しぶりの再会で饒舌になるデニム曹長…じゃなかった少尉。対照的にスレンダーは黙ったままだ。

 

「どうしたスレンダー?元気ないな」

「地球の空気が合わなくて、気分があまり良くないんです……ゲホッ」

「そうか、それはちとキツイな。まぁ、じきに慣れるさ」

 

ゲホゲホと咳をし始めた。やっぱりコロニー育ちだと地球の環境はキツイのかぁ。俺も地球に降りた時、少し違和感を感じたからな。今は慣れたけど。

 

「よし、二人はゆっくり休んで地球の環境に少しでも慣れてくれ。出発は現地時間で明日の朝6時だ。解ったか?」

「了解です」「はっ…」

 

 

 

 

二人が兵舎に消え、配給物資を観にきた野次馬たちもまばらになった頃にセキヤ技術少佐が声を掛けてきた。

 

「ジーンさん、見に行きませんか?貴方の新しいMSを、ね?」

 

どちらかというと、セキヤさんの方が観に行きたそうな雰囲気を醸し出している。まぁ、気持ちは分かる。自分が選りすぐったMSだもんな。ある意味「俺自慢のMS」だもんな。

 

セキヤ少佐について行き、ザンジバルの格納庫へと案内される。やっぱりザンジバルとMSの運搬がメインで、物資はオマケ程度の運搬だっようだ。荷物の置場所を固定する箇所が少なすぎる。中で作業している人はMSの調子を見ている整備兵ばかりで、荷下ろししていた人はもう殆どいない。

 

「こちらです!こちらがジーン曹長のMSです!」

 

元気な声で少佐が右腕がビシッ!と指す方向には

 

青いツノ!

青い身体!

青い盾!

 

そして胸の白いジオンマーク!

 

どっからどう見てもYMS―07-B通称グフが鎮座していた。

 

……てっきりゲテモノMSを持ってくるんじゃ、と思っていたので、盛大に肩透かしを食らった気分だ。でもまぁ、うん、グフなら……うん、ねぇ?

 

 

 

……正直不安でしかない。

 

原作でのグフはランバ・ラルの大活躍により、とても強そうな機体に見える。しかし!あれはあくまでも歴然の猛者が乗った場合である!!一般兵が乗ったら「出力がちょっと上がったJ型ザク」になってしまうのだ!!

 

戦場の絆をプレイした事のあるジオニストなら多分解ってくれると思う。憧れていたグフに乗って格闘無双しようと思っていたら、気づくと4回も撃破されているあの衝撃を……お前だけだよ

 

連撃が決まらない……

ヒートロットが当たらない……

75㎜機関砲がカス……

相手のジムストライカーの方が強い…

エトセトラ……

   ↓曹長Lv.1が何か言ってるぞ

これは下手くその域ではない。そもそもの戦闘コンセプトが間違っているのである。

 

近接戦闘が強いのは良い。ヒートロットも悪くない(仕組みは謎だけど)。盾も必要だろう。なのに何故左手を機関砲にした!?ザクマシンガンじゃダメなのか?!

 

マニピュレーターはほぼ機能しないクソ!

腕全体が弾薬庫で補給に整備が必要なクソ!

核融合炉の次に被弾するとヤバい場所でクソ!

肝心の威力は牽制にしか使えなくてクソのクソ!

 

……素人お断りの機体は前世のゲームでもそうだが、こちらの世界でも嫌われている。上記の通りなので、パイロットと整備兵のどちらからも、だ。

 

よもやもよもやだ、まさか俺たちがランバ・ラル隊の代わりとなるとは……これが歴史の修正力というやつなのか……

 

 

 

 

 

 

「…聞いていました?私の話?」

 

セキヤ少佐が問いかける。不安で頭一杯になっていて正直聞いてなかった。

 

「一応ですが、命に関わる事ですからね?しっかりと聞いて貰わないと困ります」

「ごめんなさい…」

 

 

「いいですか?このグフは"特別製"ですからね?そんじょそこらのグフとは訳が違いますからね?」

 

まーたセキヤさんの"お手製"という訳か。

 

「まずこのグフのジェネレータにはゲルググ用に試作された物が使われています」

 

??????

初っぱなからなに言ってんのこの人?

 

「ゲルググに正式採用されたのはジオニック社製の出力1440キロワットのジェネレータですが、このグフに積んであるのはツィマッド社製の出力1520キロワットのジェネレータです。正式採用こそされませんでしたが、性能や安全性は私が保証します」

 

そんな代物どうやって手に入れたんだ……

 

「いやぁ~これもジーンさんが命懸けでV作戦の資料を手に入れてくれたおかげですよ」

「へ?」

「一階級特進して少佐になったので、色々と権限が増えてやれることが増えたんですよ。本当にありがとうございます」

「いやいや、頭を下げられても……」

「いやホントにジーンさんのおかげですよ。流石にツテだけでグラナダにある試作グフのジェネレータの積み替えは行えませんよ~」

 

 

 

…もしかして俺、とんでもない怪物を作り上げていた?

 

「あ!出力は1520キロワットですけど、グフの性能に合わせて引き下げているので、通常は1100キロワットですのでご安心を。出力を上げたい場合は三分だけ元に戻せるリミッター解除ボタンを付けましたので、そちらをお使い下さい」

 

すんげーな (語彙力)

 

…あれ?グフの出力って1100キロワットだったっけ?1034か64じゃなかったっけ??

 

「それでは機体の説明を致しますので、コクピットへ」

「あ、はい」

 

コクピット内に入り、説明を受ける。

うん、恐ろしい程にザクと変わらない。九割五分同じである。流石ジオニック社製のMSである。セキヤさんの丁寧な説明と相まって、直ぐに覚えられそうだ。

 

今日のところはシミュレータでしっかりと覚え、筋トレで肉体維持をして明日に備えた。数日ぶりにホワイトベースの尻を追っかける日々がまた続く……

 

 

 

 

 

 

 

 

10月6日午前6時

ザンジバルが北米の空へと旅立つ。

 

作戦目標は、地球連邦軍本部ジャブローの入り口の特定。その為、ホワイトベースを尾行する。

 

偵察部隊の情報によると、ホワイトベースはカナダ領の西海岸付近を飛んでいたらしい。原作通り、北太平洋を経由するみたいだ。

 

搭載MSはグフ、ザクⅡJ型×2、シャアザクの4機。尾行がメインになったせいか、MS関連の補給物資はカツカツだ。世知辛い。

 

というかこの作戦、シャア出ないってどういう事なのよ。あんた自分から「私は前線に立ちたい(意訳)」みたいな事抜かした癖に……

 

 

しょうがない、「目立たないように尾行するから出撃しない」と考えよう。聞いても無駄そうだし。何か原作の進み方とあんまり変わらないのが気掛かりだけど、目の前の事に集中しなければならん。ならんが……

 

 

 

 

「アムロと戦うのはなぁ……」

 

 

 

シアトルで天パの脅威を身をもって体感した。このままの成長スピードだと、もうそろそろ俺の技量を越す。絶対に。だから経験値を与えないという点で戦いたくない。何気にタンクとキャノンも戦力になりつつあるし。どうしたものか……

 

 

 

 

 

 

とにもかくにも、劇場版だと【哀戦士編】に突入する場面になった。ランバ・ラルの代わりをする事になった俺達。まだまだ息絶えない黒いガンダム。この先、起こるであろうオデッサの戦い。黒い三連星も関わるのかどうか……

 

 

ジーン(転生)は生き残る事が出来るのか?




ちなみに通常のグフの出力は1034キロワットです。グフカスタムでも飛行試験型でも同じ。

あと、ガルマ死んでないからイセリナも死んでません。やったねガルマ!恋人はまだ生きてるよ!


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第37話 改造グフの脅威

えー大っ変遅くなりました。
答えは単純「やる気の炎が消えてしまった」事です。要するに気力が無くなってしまいました。
少し前の気力はウマ娘のログインを数日忘れる程落ち込んでいましたが、最近は何とか回復してきました。仕事はそこまで忙しく無かったのに何でだろ…?

とにかく、静かに燃え上がったこのやる気の炎を絶やさない為にも、火が消えないように慎重に石炭を焚べて行きたいと思います。


キャリフォルニアベースから旅立って1日経った10月7日、北大西洋上でホワイトベースを捕捉した。さて、このまま尾行するのか。それとも…

 

「総員第一戦闘配置!MS隊は搭乗にて待機!」

 

デスヨネー

 

という訳で、ドタバタしているザンジバルの中からこんにちは。ジーン(転生)です。

 

早速グフに乗ることになるのかな?と思いつつ、せわしなく人がアッチャコッチャ動いてる通路を小走りしながら格納庫へと着く。MSがズラァっと並ぶ中、唯一青く輝く(魔改造)グフ、やっぱり格好いいなぁ。乗りこなせるか心配だけど。

 

「ジーンさん!準備は万端ですよ、早く乗って下さい!」

 

セキヤさんが声を掛ける。せわしなく手を振って早くこちらに来るように促している。何か子犬みたい。

 

「ジーンさん!調整はバッチリですので!後は思う存分動かして下さい!」

「ありがとうございます、何か注意する事とかあります?」

「あっそうだ!忘れるところだった。お願いが一つあるんですが…五連装バルカンを出来るだけ使い切って欲しいんです」

「指バルカンを?」

「はい。実はジーンさんのグフ、グフA型の左マニピュレータに付け替える予定なんですよ。なので少しでも誘爆の危険性を下げる為にお願いします。それに…」

「それに?」

 

私の質問に対し、セキヤは軽く頭を掻きながら

「もったいないじゃないですか」

とだけ呟いた。

 

 

 

 

雷が鳴り響く破天荒の中、私(ジーン)とデニム、スレンダーの3人で降下を始める。デカブツの癖して意外と風に煽られる。酔いやすい人は堪えるだろうなぁ。周りも灰色一色で気も滅入る。そうこうしている間に地上が近づき、着地体勢を取る。無事に3機とも着陸に成功し、ホワイトベースの捜索を始める。コムサイもビュンビュン飛んで探している。

 

「さてさて、ホワイトベースを探しますか」

「そうだなジーン、まずは南の方から行くぞ。スレンダーも続け」

「了解です」

 

3人は荒野を行く。

 

「そういえばデニム曹…少尉、隊列はこのままでよろしいのでしょうか?」

 

隊列はアローフォーメーション。ジーン(転生)を先頭に右後ろがスレンダー、左後ろがデニムとなっている。

 

「あぁ、このままでいいさ」

「…こういうのって、小隊長か階級が高い人が先頭ですよね。普通は」

「まぁな」

 

いいのだろうか?何か弾除けにされている気がするのだが。

 

 

 

(まぁ、良い弾除けになるしな)

(ジーン曹長、弾除けに丁度良さげですしね)

 

 

 

 

―――方その頃ホワイトベースでは…

 

「ほらアムロ!しゃきっとせんか!ほら早く着替えろ!」

「りゅ、リュウさん、止めてください、一人で出来ますよ」

連戦の疲れで"新兵がよくなる病気"に掛かってしまったアムロを、荒治療で治そうとするリュウ曹長とのやり取り真っ最中だった。

 

ガンダムが無事(?)発進した。

 

「ほ、ホントにあれで大丈夫なのか?」

「心配するなブライト、あれで大体は良くなる。それに…」

「それに?」

「俺はあれしか治し方知らねぇからな」

 

仕方ないとはいえ、苦虫を噛み潰したような顔をしながら頭を掻きむしるブライトであった。

 

 

 

 

 

「デニム少尉!あちらに」

「おぉ、居よったなホワイトベース」

 

コムサイの信号弾を元に移動し、崖から見下すと遠目にホワイトベースが見える。と同時にガンダムが発進したのが見えた。黒いせいで曇天だと認識しづらい。シアトルでもそんな感じだったな。

 

「ガンダム出てきました!」

「よし、ジーンはガンダムの相手をしてくれ。ワシとスレンダーは時折援護しつつホワイトベースを攻撃してくる」

「了解です」「了解…」

 

…ん?ちょっと待て、時折って事は俺殆どガンダムとタイマンしろって事??

 

「デニム少尉、時折ってどれぐらいの頻度で?」

「時折はトキオリだ!ほら行け!」

「えぇそんな!ってかアローフォーメーションを組んだ意味は!?」

 

ズギャビャーンと雷が鳴る。ガンダムが崖の方を見上げるとジオンのモビルスーツが3機立っていた。第12話の例のシーンである。

 

ジーン達は崖から降り、降下を始めた。セキヤから言われた通り、ジーンは盛大に左手のバルカン砲を撒き散らした。ガンダムは盾で防ぎ、着地を狙ってバズーカを一発撃った。しかし、バルカン砲でバズーカ弾をいなされ、グフは盾で爆風を防ぎながら突進してきた。

 

「うわーっ!」

 

立て続けにバズーカを2発撃つが、一発は外れてもう一発は躱されてしまった。更にもう一発撃ち込もうと構えた所で、左腕から鞭の様な物が出てきてハイパーバズーカに絡みつかれた。アムロはとっさの判断でバズーカを手放した。と同時にバズーカが爆発してガンダムは吹っ飛ばされた。

 

 

 

「これ…もしかしたら…ガンダムに勝てる…かも?」

 

 

ジーン(転生)はヒートロッドを炸裂させた時にそう思った。セキヤ技術少佐殿の丁寧な仕事のおかげで思い通りに機体を動かせる。かつ、試作機だからなのか操作レバーのレスポンスもいい。ハイパーバズーカの弾速って思いの外速いのよ。ザクバズーカと同じって思っていると絶対間に合わないのよ。知識があったとはいえ、躱せたのはやはり機体性能のおかげだろう。

 ここでガンダムがビームサーベルを出してきた。近接戦か、近接戦"だけ"ならグフは負けんぞ!スッと盾からヒート剣を取り出し、中段にて構えた。お互いに鍔迫り合いになるが、ガンダムはなりふり構わず振っているが、グフは払い除ける感じでいなしている。精神的な余裕がジーン(転生)を楽にさせ、精神的な余裕がアムロを苦境に立たせていた。

 ここでガンダムがやや大きなモーションで袈裟斬りをしてきた。それを見逃さなかったジーン(転生)は左腕でガードする。

 

例の効果音(デェ〜ン グワンワ〜ン)

 

「こ、コイツ…やはりザクとは比べ物にならない位にパワーが違う!」

「ザクとは違うのだよ!ザクとは!…グフとも若干違うけど!」

 

いける…いけるぞ!このままの勢いなら勝てるぞジーン(転生)!ついにあの憎き天パを宇宙世紀から葬れるぞ!こんなに嬉しい事は無い!アッ、バルカンが来る。

 

ガンダムの頭がクイッと下に向いた。コックピットに照準を付けた証拠である。サッとバックステップで距離を取り、盾でコックピット付近をガードする。やはり予想した通り、頭部バルカン砲を撃って来た。冴えてる、冴えてるよ今日の自分!体勢整えたし、このままガンダム撃破に

 

 

「ジーンデニムスレンダー、今日の所はもういい。帰還しろ」

 

 

 

 

 

 

へ?これからって時に?確かに原作は偵察程度だったけども…

 

「ジーンどうした、返事が無いぞ。応答しろ」

「へっ?いや、ハイ!います!」

 

何だ、います!、って返事。いや、それよりもガンダム撃破出来そうなのに…( ゚д゚)ハッ!

 

 

そうだ、今の任務は『ガンダム及びホワイトベースの撃破』じゃなくて『ホワイトベースを尾行しジャブローの入口を見つける』のが目的だった…

 

 

そんなぁ、やっとこチャンスが巡り会えたのに…ここで諦めなきゃいけないだなんて…

 

 

 

 

 

 

 

「ご苦労だった、全員無事で何よりだ」

 

シャア中佐の労いの言葉を聞き、その後は待機室の仮眠ベットに寝そべった。ホワイトベースはエンジンの修理中でまだ動き出しそうになかったが、警戒度を第二戦闘配置に切り替え様子を見張っていた。例の如くMSパイロットは待機室で待機だ。

 

「はぁ…このままだと、どうなるんだ?俺達」

 

ガルマは何とか生かしたし、ランバ・ラルはサイド3に幽閉中だし、シャアは暗殺に失敗しても不満気無さそうだし、ガンダムは黒いし…

 この先、本来の一年戦争の歴史とは違っている。だからこそ一つひとつの行動に小さな歴史の歯車がはめられていく。その歯車達が噛み合った時、思いもよらぬ歯車が回ったり、まさかの正史の歯車が回るやもしれぬ。

 正直怖いよ。でも行動しないことには生き残れないし。でも…

 

「はぁ〜駄目だ。寝よ」

 

こういう時には寝る。寝れるときに寝る。それが一番。体力温存して、明日は明日の自分に任せよう…

 

なんかこれ、前にも言った気がする…まぁいいや…

 

 

 

 

 

 

戦闘終了3時間後、ホワイトベースはエンジンの応急処置を終えてひっそりと旅立った。もちろん、我々ザンジバルもひっそりと後を追った。10月7日の深夜、北太平洋に2つの舟が月夜に浮いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういやアイツら、"トキオリ援護する"って言っときながら全然援護しなかったな…」



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第38話 帰郷

大変お待たせしました。
週一投稿が遥か遠くの昔話みたいに感じます…アノコロハワカカッタナ。


10月8日 AM7:32 太平洋上空

 

 おはようございます。あの後は特にスクランブルも無く、よく眠れました。ジーン(転生)です。当ザンジバルは日付変更線を越えた所を航行中でございます。

 聞いた噂によると、この前の嵐でザンジバルの機器が不調になったらしく、一旦整備も兼ねて近場の基地に降りるとの事。ハワイは遠すぎるし北京辺りになるのかな?あれ?北京って連邦に奪還されたんだっけ?確かまだだったような気がするけど残るとしたら…ワンチャン日本も有り得る?なにはともあれ、情報が欲しいのでブリッジへ行くことにした。

 ブリッジへ行くとお目当てにしていたシャアは居なかった。どうやら朝ごはんを自室で食べているらしい。オペレーターが教えてくれた。ついでにこの人に件の噂を聞いてみた。

 

「あぁ、それでしたら本当ですよ。」

「で、どこに泊まるん?」

「消極法でニホンに行く予定です。アジアはどこもかしも戦線が不安定で泥沼化してるらしいですし、比較的安定しているのがここみたいなので。あとは一番近い基地がここなので」

 

 

 なるほど、ニホンか。……日本に行くのか。懐かしい響きだ。

 

 

 前世での名前を思い出せない俺でも、日本の事だけはハッキリと覚えている。俺の住んでいた所は田舎だったから水も空気も飯も旨かった。梅雨がちょっと嫌だけど基本的に暮らしやすい気候だった。いやはや、今世でも生まれ故郷に行けるとは…徳は積むものですな。(何処で積んだんだ)

 

数時間後、ザンジバルが基地の滑走路一杯に着陸する。下船許可も出たので基地内をうろちょろすることにした。ドアの前で待ち、タラップの接続がなされると機密ドアが開いた。開いた直後、ふわっ、と香る醤油の匂いに思わず

 

「あゝ、日本に帰ってきたんたな…」

 

と思わず呟いてしまった。醤油の匂いという事は関東だな。信じられないかもしれないが、関東はホントに醤油の匂いがするのだ。

 その後、俺の後に降りてくる人を何となく数えてみたが、一日居る訳でもないので船からあまり人は降りなかった。2〜30人といったところか。それにここの基地は補給が行き届いていないので、ロクな装備がないらしい。ザンジバルの発着が出来るだけマシ、という訳だ。

 しかしここは何処の基地なんだ?関東の航空基地なら入間らへんか?にしては遠くにある団地のような建物は何となくアメリカンな感じがするし…

 

答えは直ぐに判った。何故ならボロボロの廃屋に掛けられた看板が教えてくれたからだ。

 

 

「アメリカ軍 横田基地」

 

 

( ゚д゚)ハッ!「横田やんけ!!」

 

 私は今、東京都福生市にある旧米軍基地に居る。

宇宙世紀における米軍基地は役目を果たし、日本にある米軍基地は全て日本に返還されていた。入間にあるジョンソンタウンみたく、住宅地にする計画が何回かあったらしいが全部頓挫したという。噂によると計画が頓挫したのは地下に"核爆弾"が眠っているからだとか…

 といった噂はさておき、廃基地と化していたが、ジオン軍が地球侵攻したときに占領したのがこの基地。整備されてないから楽に手に入ったが、連邦軍の急襲や補給不足によりこのようなボロボロの状態が続いているらしい。

 

 基地内をぶらぶらしてみたが、キチンと整備されているのが通信指令室とMSハンガー位だった。兵宿舎等の施設はボロいまんまだった。足場が組まれているから、改修する気はあるみたいだが。やや遠くの方に黒くて平べったい建物が見えた。多分だが、ホームセンターのジ○イフル本田じゃなかろうか?宇宙世紀に入っても営業していたのかな…

 

 

 

 ぶらぶらと歩いていたらいつの間にか出入り口付近まで来ていた。ボロボロの守衛所に一人の老婆が守衛に話しかけていた。

 

「おやあんた、あの船から降りてきたのかい?」

 

 見るからに昭和のお婆ちゃんみたいなルックスの御婦人が声を掛けてきた。こう見えても令和産まれなのかなぁ〜と思いつつ、

 

「いやぁ、職務上ヒミツなんで…」

「んなはは!こんな辺鄙な所にジオンの船がやって来たんさ。オメェは言わねぇだろが、オバちゃん、お見通しだかんね!」

「ご、ご想像にお任せします…」

 

どうやら宇宙世紀になってもオバちゃんパワーは健在のようだ。

 

「どうだい、何か買ってかねか?」

「何があるん?」

 

 俺が声を掛けると「待ってました!」と言わんばかりに顔をニヤつかせるお婆ちゃん。何だろう、一瞬だけセキヤさんの顔が浮かんだ。俺たちと守衛以外周りに居ないのに、凄く警戒するように周りをキョロキョロしながら俺の耳元で、

 

「とっておきの"上物"手に入ったんだよぉ、買わねが?」

 

 何の上物だろうか?お酒?エロ本?気になるので更に聞くと、オバはたった三文字で返してきた。

 

 

 

「 ふ な わ 」

 

 

 

 

…ふなわ?フナワ?ふなわ、フナワ、舟和…あっ舟和*1か!

 

 

 

「もしかして…"イモ"?」

 

こう聞いたらお婆ちゃんは縦に3回程頷いた。

 

「で、いくらなの?」

「日本円なら嬉しいけど、ドル払いもOKよ」

「じゃあ、ドルで」

「それなら600ドルだね」

「なるほど600ドル…って高っか!!」

 

1ドル100円の脳死計算なら6万円だぞ!ボッタクリにも程があるだろ!

 

「日本円なら2万円だけどね。為替の手数料が高いからドル払いは3倍よ」

 

 日本円は持っていないが、幸いにも我らジオン兵の給料はドル払いである。理由は単純、ジオンが沢山ドルを持ってるからだ。理由について話すとちょっくら話が長くなるが、勘弁してくれ。

 

 話は宇宙世紀初頭に遡る。ジオン公国の面影がまだない頃、重工業コロニーとして役目を与えられたサイド3は、地球に機械類を卸して外貨を得ていた。その外貨がドルだと言うわけだ。最初期に「やべぇ、鉱物資源取れなくて外貨獲得出来んわ」ってなって一時期通貨危機に陥ったらしいけど、その後何とか資源小惑星を見つけられて事なきを得た。その教訓からか重工業コロニーとして積極的に地球と取引を行い、少しでも地球との格差を経済の力で補おうとしていた。

 ジオン公国として独立を宣言した際、色々と制裁として地球資源(水、空気、食料等)の値上げ、卸している機械類の関税の増税等経済的な制裁を与えられた。その中にはMSの動力源である熱核融合炉に必要なヘリウム3が含まれた為、半官半民企業の木星旅団が誕生した。資源を獲得でき、更には連邦に渡す金が少なくて済むので重宝したみたいだ。

 そもそもジオン公国を制裁するならドルでの取引を止めたりすれば良いんじゃないか、と思うがそうは問屋が卸さない。一度廻り始めた経済という名の歯車を止めるとなるとジオンだけではなく、地球連邦にもダメージが行く。更に言うと宇宙世紀でもドルは地球でのメイン通貨とされていて、制裁をすると今度は地球連邦が、というか地球全体が通貨危機に陥る事になる。実を言うと政府は通貨を統一する事も視野に入れていたが、通貨の方はあまり手を加えてなかった。理由は上記のソレだからだ。なので今でも日本の「円」やEU圏の「ユーロ」もサブ通貨として(住んでる国ではメインとして)流通している。

 

…とまぁ、上記の複雑な経済事情から兵士への給料はドル払いになってる。予想外の地球侵攻もドルのお陰で兵士の食料から何まで、占領地政策もドルのお陰で上手く立ち回れていた。

 

「分かったよ、600ドルで買うよ」

「あいよ」

 

 渋々と給料の一部を渡し、高っっかい芋羊羹を手に入れた。これは、アレだな。食いたいのも山々だけど、"もしも"の時の保険として取っておこう。山吹色のお菓子って訳だ。日本人の血が入ってるあの人なら多分好きだろう。

 そろそろ帰ろうとUターンした直後、けたたましい音でサイレンがなった。スクランブル警報、すなわち敵襲である。

 畜生め、ザンジバルが来たのを感づかれたか?ともかく急いでザンジバルへ戻る。そうしたら丁度良く見回り中のジープと出会い乗せてってくれた。

 

「こりゃアレだな、例の奴だな」

 

ジープの運転手が呟く。

 

「例の奴って何スカ?」

「この基地に何かしら来ると嗅ぎつけてるく連邦軍さ。多分いつもの北東方面から来る航空部隊だろうよ。今日も今日とて強行偵察か」

 

こっから北東方面か…多分だけど、入間航空基地からか?あそこは連邦の基地なんだな。てか、メッチャ近くないか?そんな離れてないだろうよ、入間と横田。多分10キロぐらいの距離だぜ?

 色々と考えている内にザンジバルの横に着いた。降りようとしたらツナギを着た整備兵に引き止められた。

 

「あんた確かザンジバルに乗ってきたMSパイロットだろ?すまないがウチのザクに乗ってくれないか。アイツまた腹下しやがって…」

「何だって!あのヘボ!またこんな時に…!」

 

 どうやらここのMSパイロットは常にポンポンがペインらしい。緊急事態なので承諾し、ポンポンペイン野郎のザクに機乗した。搭乗したは良いがまさか武器がマゼラトップ砲とはな…

 

「ザクマシンガンは無いのか?対空性能ならそっちが上だろ?」

「マシンガンは補給が入らなくて無い」

「…ザクバズーカも?」

「当たり前だ、じゃなきゃあんなもん使う訳ねぇよ。幸い4発とも弾は残ってるから、外れても良いから景気良くぶっ放してくれ」

 

極東の補給事情を垣間見た。何だか泣きそう。一般兵転生ならA−12部隊は大当たり…なのかな?

 

「了解、落としても構わないのだろう?」

「はは、落とせるならね」

 

 準備が整いザクを動かした。MSハンガーから外に出て分かった事がある。

 

「重っっっも!」

 

 前に乗ってた魔改造ザクより動きが重い。マゼラトップ砲は取り回しがし辛い上に弾数が4発しか無い。武器としては正直(威力以外は)ザクバズーカ以下だ。でもこういった補給がままならない部隊にとっては貴重な戦力だという。泣けるぜ。

 俺は敵が来るであろう方角に砲を向け、射角を取る。20度が限界らしい。設定を変えて45度ぐらいまで上げたかったが、連ジDXのマゼラトップ砲は撃った後の反動があった事を思い出したのでヤメた。でも絶対角度足りないだろ、コレ。

 あれこれ考えてる内に航空機を捉えた。TINコッド3機と…ディッシュ1機か。正にTHE強行偵察って感じだな。俺はすぐさま、ザクのコンピューターに攻撃が当たるタイミングを計算させた。エンターを押すと、すぐに[ERROR]の文字が出た。どう足掻いても当たらないらしい。デスヨネー。まぁとにかくぶっ放す!

 景気良くぶっ放したマゼラトップ砲は全弾、こちらに向かって来る航空部隊の遥か真下を通過した。「景気良くぶっ放してくれ」と言われたが、補給がロクに来ない基地の貴重な弾薬を使って良かったのだろうか?ザンジバルも機銃で応戦したが、サーッと旧横田基地を横断して去っていってしまった。はー終わった終わった、帰ろ。

 

 

 

 強行偵察の事もあり、早急に修理を終わらせて横田基地から旅立った。幸いにも不調は軽かった。昨日は快適な空の旅だったので今回のスクランブルはちょっとした準備運動にはなったかな?良い感じのお土産も買えたし、久しぶりの日本で気分は上々だ。筋トレして一汗掻いてから昼寝でもしようかな。

 

 思いもよらぬ日本への帰郷で気分も調子も上向きになったジーン(転生)であった。

 

 

 

 

 

なお上向きになった気分と調子は、日本を抜けるまでちょっかいを出してきた連邦軍航空部隊の皆さんのお陰で地の底まで落ちた。

*1
舟和とは、東京都浅草に構える創業1902年の和菓子屋。




某オークションサイトにて、HobbyJAPANのガンダムRPGを手に入れました。データは若干古いけど、資料としてめちゃくちゃ役に立つね。ついでにキャラメイクしてみたんだけど

運動10反応6体力7知性8精神7成長9(数字が低い方が良い)

になって「攻撃はあんまり当たらないけど逃げ足だけは異様に早い」タイプになって「まんまジーン(転生)やんw」って一人で笑ってました。


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