この力は誰かの為に・・・ (とあるP)
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設定集

とあるPです。

ハーメルンを始めるきっかけとなったISのSSを遂に書くことにしました。

今まで読み専だったので、今度は書く方をしてみたいと思いました。

タグにもある様に基本亀更新ですが、2週間位に投稿できるように頑張ります。


IS SS設定集

 

オリキャラ設定

 

名前:新田 信二(にった しんじ)

性別:男

容姿:身長170㎝ 体重:75kg 黒髪短髪

右目は青色、左目の眼帯をしている。ある研究所に居た事がり、幼いころにVTシステム(ヴァルキリー・トレース・システム)の実験を受けて、一応は成功したが自分の意志で発動は出来ない。発動にはある言葉が必要になってくる。

VTシステム発動時は黄金色になるが、通常時は緑色

 

性格:余り人と関わりをもたず、干渉されるのを嫌う。

 

家族構成:両親は科学者であったが、VTシステムを巡る抗争に巻き込まれて他界。祖母の家で

暮らしており、高校生になった時に田舎から上京する。

 

名前:新田芳江(にった よしえ)

信二の祖母で、唯一の理解者。信二の両親が他界したことをきっかけに、引き取ることにした。

 

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

 

キャラクター

織斑 一夏 (専用IS:白式)

世界でISを使える男性操縦者。飄々としているが、自分が信じた物なら、絶対に貫く熱い一面も持つが、頭にくると周りが見えない部分もある。恋愛に関しては、ドが付くほどの唐変木

 

篠ノ之箒 (専用IS:打鉄→紅椿)

一夏の最初の幼馴染。長いポニーテールをしており、剣道が得意。全国大会で優勝する程のレベルを持っている。頑固な性格で一夏に想いを寄せているが、素直になれず、振られてしまう。

 

鳳 鈴(専用IS:甲龍)

中国の代表候補性。一夏のセカンド幼馴染。昔から一夏が好きだったが、箒同様素直になれず、いつも、ヤキモキしている。そんな事を直しつつ、好意を寄せていく。

 

セシリア・オルコット

イギリスの代表候補性。名家の生まれで、生粋のお嬢様。その為プライドが高く、周りに敵を作りやすい。モデル並みの容姿を持っており、女尊男卑の考えを持っていたが、信二に説得され考えを改める。

 

シャルル・デュノア(シャルロット・デュノア)(専用IS ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ)

フランスの代表候補性。一夏と信二に近づいてデータを取集する様に、IS学園に潜入する事に

なった。のちに女の子だとバレるが、それも受け入れた信二に好意を寄せる。

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ(専用IS シュヴァルツェア・レーゲン)

ドイツの代表候補性。ドイツのIS特殊部隊『黒ウサギ部隊』の隊長を務める。信二と同じVTシステムで生まれた遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)として生み出された試験管ベイビー。しかし、適合に失敗して左目はオッドアイに変色している

 

織斑 千冬

一夏の姉でIS学園の教師。1組の担任で、茶道部の顧問。元日本代表でISの世界大会の第一回モンドグロッソ総合優勝&格闘部門優勝者(ブリュンヒルデ)ドイツで1年間、軍の特殊部隊の教官を務めていたことがあり、ラウラに出会う。

 

山田 真耶

IS学園の教師。元日本代表候補生で普段はドジだがIS操縦の腕はかなり高い。ISスーツは胸が

大きすぎるためにセミオーダーの特注品を使っているがそれでも小さい模様。眼帯をしている信二を気にしている。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

五反田 弾

一夏の親友、中学の同級生。市立の高校に通っている。一夏の入学の際、そのハーレムっぷりを羨ましがっていた。

 

五反田 蘭

親友である弾の妹。一目惚れなんてあるわけない、と思っていたが一夏に会い、コンマ一秒で恋に落ちた。

 

篠ノ之 束

箒の姉にしてISを開発した天才科学者。箒、千冬、一夏以外の人間に対しては冷たいが、ある出会いをきっかけに信二にも気を許している。妹の箒とはIS発表後の確執からあまり仲が良くない。

 

クロエ・クロニクル

束と行動を供にする少女。黒の眼球に金の瞳、流れるような銀髪を持つ。料理が苦手で、束のために毎日あれこれ作っている(正確には作らされている)が、そのたびに消し炭やゲルを作り出している(それでも束は平気で食べている)。ラウラと同じく試験管ベビーらしく、彼女の姉にあたる存在。

 




設定集ですが、一部まとめwikiを引用している部分もあります。ご了承ください。

次回から本編になります。


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第一話 ウサギと銀髪との出会い

とあるPです。

書いてしまいましたISのSS!!

いやぁ~ノリと勢いは怖いねw他にも2本抱えているのに

え?前置きはいいから、さっさと始めろ?

分かりましたよ。それでは本編どうぞ!!
6/30クロエの呼び名変更



東北の田舎から、新幹線、電車、モノレールを乗り継いで、目的地に近づいて来た。

 

『次はIS学園前~IS学園前~降り口は右側です。御降りの際は~』

 

信二「着いた。ここまで、4時間か…」

 

新品のIS制服に身を包み新田信二(にったしんじ)はモノレールの外に見えた、人口島に建っている施設『IS学園』に目を向けた。

 

「IS」正式名称「インフィニット・ストラトス」。科学者"篠ノ之束(しのののたばね)"により開発された宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツである。しかし、当初とは別に宇宙進出は一向に進まず、「兵器」へと転用されそうになったが、アラスカ条約が締結されスポーツへと落ち着いている飛行パワードスーツ。但し、これには弱点があった。それは…

 

信二「けど、何で男の(・・)僕が動かせたのかな…」

 

その弱点とは"女性以外に使用できない"という致命的欠陥を抱えていた。

 

しかし、第一回モンドグロッソの優勝者織斑千冬(おりむらちふゆ)の弟である織斑一夏(おりむらいちか)は、その例外として世界で唯一ISを起動・操縦できる男性としてIS学園に入学することになった。そこで、政府は他の男性IS適正者がいないか全国一斉調査を開始した。その中で、信二に適合ありと判断され、遠い東北からIS学園へと転校してきたのである。

 

信二「この左目にも関わりがあるのかな。それに、あの兎のお姉さんが言っていたことも気になるし」

 

もし、信二がここに来るキッカケがあるとすれば、以下の2つであろう。

 

まず、1つ目は青い眼帯に覆われている左目にあった。これは幼い頃、科学者である両親と一緒にドイツに居た。そこで両親はある計画をしていた。人類最強の人間を作る計画、VTシステム(ヴァルキリー・トレース・システム)だった。戦乙女ヴァルキリーになぞられたこの計画は、発動条件を満たすことにより、あらゆる部分が飛躍的に向上し、極限状態まで向上する。

 

しかし、未だ成功した例はなく、例え成功したとしてもその後の反動も大きく、最悪の場合死に至る。

 

だから、両親はこの計画に反対だった。所詮は神の真似事である。そんな事をすればきっと罰を受けると思い、中止する様に説得した。だが、説得はむなしく終わり、両親は仲間の研究者達に消されてしまった。彼らは信二に対し“不慮の事故死だ”と告げて研究が開始され、一応は成功した。科学者たちは喜んだ。自分たちが正しいと。

 

しかし、そんな彼らに神罰が下った。

 

科学者達はさらに信二を強化すべく無茶な実験を行った。だが、ある実験中に信二が暴走し、研究施設を破壊。一部のデータを除いて科学者共々消し去ってしまった。そんな境遇にありながら唯一助けてくれたのは、我が子同然に育ててくれた祖母である。小・中と普通の学校に通い、高校も近くの学校に行く予定だった。

 

そこで、2つ目のきっかけが起きた。

 

 

ある夜信二が家の周りを散歩していると、2人の女性が倒れており近くにはニンジン型の乗り物あった。信二は怪しんだがこの2人を助けようと思った。

 

信二「大丈夫ですか!?」

???「う~ん、おなか空いた~もう、ダメ…」

???「束様、しっかりして下さい」

 

とりあえず害は無いと確信し、2人を家に連れて帰ることにした。家では夕飯の準備をしていた、祖母芳江(よしえ)の姿があった。

 

信二「ばあちゃん!大至急ご飯持って来て!」

芳江「信二どうしたんだべ?」

信二「なんか、道に倒れていた人がいたから連れてきた」

芳江「あれまぁ~こんなめんこい子連れでどうした?」

信二「それよりもご飯持って来て」

芳江「わかったよ」

 

信二は芳江にご飯を用意させると、自身は軽いおかずを2~3品作り2人の前に差し出した。

 

信二「これかしか無いけど我慢してください」

???『ご飯だ~!!いただきま~す!!』

 

ご飯に気づいた2人は我先に食べ始めた。2人とも相当お腹が減っていたらしく、あっと言う間に4合あったご飯が空っぽになった。それよりも2人の容姿が気になった。1人はウサ耳(?)を付け女優顔負けのプロポーションの人であった。例えるならボン!キュ!ボン!と信二には、ちょっと刺激が強すぎた。服装は童話「不思議の国のアリス」をモチーフにした感じである。

 

もう1人子は、綺麗な銀髪をしており妖精を見ているかのような存在だった。常に両目を閉じており不思議な感覚であった。

 

しかし、その子を見た瞬間、修二の身体に異変が起きた。

 

 

 

ドクン!!ドクン!!ドクン!!ドクン!!

 

 

 

突然鼓動が早まり、汗も吹き出してきた。今までこんな事はなく、いっこうになり止まない。

 

信二(なんだ!この感覚は…まるで、コレハ…アノトキト…)

???「あの?大丈夫ですか?さっきから苦しそうにしていたので」

信二「あ…はい、大丈夫ですよ」

 

何とか鼓動が収まった。それと同時に2人の食事も終わったみたいだ。

 

???「いやぁ~生き返ったよお~!ありがとうね。えっと…」

信二「僕は新田信二って言います。えっと、そちらは?」

???「もしかして、束さんのこと知らないの!?」

芳江「すんませんね~。なにぶん田舎なので、テレビみたいなハイカラな物ないんだべさ」

信二「と言う事なので」

???「う~ん、なら仕方ないね。なら自己紹介しないとね~みんなのアイドル篠ノ之束さんだよ~ハイ終わり!」

???「束様の従者のクロエ・クロニクルと申します。以後お見知りおきを」

信二「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

そう言うと、束は信二の眼帯の部分を注視していた。

 

束「信二って言うんだ。なら…シンちゃんね!ねぇシンちゃんは何で眼帯してるの?」

信二「それは…」

クロエ「束様、もしかしたら彼は私と同じかもしれませんね」

束「と言うことは、昔ドイツのバカ科学者たちが行っていたあの実験(御遊び)の?」

クロエ「ええ、聞いたところによると1人だけ成功した男性が居ると聞いたので」

 

クロエの言葉に信二はドキッとし蛇に睨まれたカエルの気分である。

 

信二「そこまで、バレているなら話すしかないですね」

 

仕方なく信二は過去にあったことを全て話した。そして、話し終わるとクロエが優しく手を握った。

 

信二「…ってな事があったんですよ」

クロエ「辛かったのでしょうね。けど、これからは私がいますから」

信二「ありがとうございます」

クロエ「それに、私より先に誕生しているのでさしずめ信二お兄様と呼んだ方がいいでしょうか?」

信二「お、お兄様!?」

芳江「そうりゃいい!この子は天涯孤独でね、これも何かの縁だよ」

信二「けど、クロエさんには束さんが居るからダメだよ」

束「それなら大丈夫だよ!シンちゃんならくーちゃんを任せられそうだし!」

 

そう言うと、束は信二を抱きしめた。その途端、何とも大きなお山が信二を包んだのである

 

信二「た、束さん!」

束「それに、束さんシンちゃんのこと気に入っちゃたからね♡てなわけで、くーちゃん共々よろしくね!」

信二「はぁ…よろしくお願いします」

 

妙な事になってしまった。ご飯をあげただけで美少女2人に気に入られてしまったのである。

 

束「そう言えば、束さんの宇宙船はどこにあるのかな?」

信二「あのニンジン型の乗り物ですか?それは、山奥にありましたね」

束「そうなんだよ~あれで逃げている途中で燃料が尽きてね…」

芳江「もう今日は遅いから、泊まっていきなさい。明日になったら、取りに行きなさい」

束・クロエ『は~い!』

 

2人には両親が生前盆や正月に帰って来たときに使っていた部屋を貸した。

 

信二「それでは、おやすみなさい」

束・クロエ『おやすみなさい~』

信二「なんだか、賑やかな人達だな…」

 

そんな事を想い、信二は眠るのであった。

 




と言うわけで、束・クロエとの出会いでした。

話しの舞台である東北はうぷ主の出身地でもある為、あえて書きました。

クロエの口調難しい…アニメ見直そうかな?


感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第一章 IS学園入学
第二話 信二君IS学園へ


とあるPです。


だいぶ遅れましたが亀更新ってことで許してくださいw

それでは本編へどうぞ!!


束・クロエと会って次の日。信二は自室で寝ていたはずであった。しかし、ムニュンとまるでマシュマロみたいな感じの柔らかい何かを握ってしまった。

 

信二「ん?何だこのやわらかい物は?」

 

恐る恐る目を開けると…そこにはウサギ耳をした束が寝ていた。ご丁寧に下着姿で……

 

信二「た、束さん!?」

束「う~ん?どうしたのシンちゃん?」

信二「どうして束さんがここに居るの!?」

クロエ「束様~どうしたんですか~?」

信二「く、クロエさん!?」

 

反対側に目を向けると、クロエが居た。こっちは、かわいらしい猫のパジャマ姿だった。

 

クロエ「あ~おはようございます。信二お兄様」

信二「うん、おはよう。じゃなくて!クロエどうしてこうなったか説明できる?」

束「あ~それは束さんから説明するよ」

 

束の説明によると、夜中起きて部屋に戻る時に自室に帰ろうとしたら分からなくなってしまった……らしい。色々な部屋を探したが見つからず、ある部屋の前に来てみたら、信二が寝ていたので束は隣に寝てしまったのである。

そして、クロエは束が居なくなった事を気にして、色々探し回った。まだ、探しきっていない部屋に来てみたら、束が信二を抱き枕状態にして、寝ていたので自分も同じ布団で寝ることした。

 

信二「そうですか。なら仕方ないですね」

束「そうなのだ~!う~んシンちゃんの匂いだ~」

信二「ちょっと束さん!抱き着かないでくださいよ」

芳江「信二起きた~?」

 

束・信二『あ!』

 

そこには、もみくちゃになっている信二と束がいた。

 

芳江「……」パタン

 

それを見た芳江は、無言でドアを閉めた。

 

信二「ちょっと待ってよ!おばあちゃん!」

 

あらぬ誤解をほっとくのは不味いと思った信二は芳江の誤解を解いてから朝食を食べていた。

 

束「おばあちゃん!このたくあん美味しいね!」

クロエ「この玉子焼きも絶品ですね」

芳江「ほほほ、そう言ってもらえると作った甲斐があるなぁ~」

信二「おばあちゃんの料理は絶品だもんね。そう言えば束さんの飛行船を回収しなきゃ」

束「え?シンちゃん手伝ってくれるの?」

信二「うん。ここまで来たから手伝うよ」

束「ありがとう~!シンちゃん愛してる///」

信二「ちょっと束さん苦しいです…」

 

束の豊満なおっぱいに顔を埋められて、息が詰まりそうになる信二だった。そして、3人は昨夜墜落したニンジン型飛行船「吾輩は猫である号」の落下場所についた。流石に全てを持って行くのは不可能なので、その場で修理することにした。その作業中にTVをつけた瞬間にあるニュースが流れた。それは、初めて男性でISを起動してしまったというニュースであった。

 

『続いてのニュースです。本日都内で行われた、IS適正試験会場で初の男性操縦者が誕生しました。名前は織斑一夏。かの織斑千冬の弟になります。繰り返します~』

 

ニュースを見ると、本人曰く『受験会場を間違ってウロウロしていたら、ISが置いてあったので、触ったら起動してしまった』と言っている。

 

束「あれ~いっくん起動しちゃたんだ。流石だね」

クロエ「ですが束様、こうなると色々厄介ですね」

束「そうだねー。多分全国で一斉に検査が始まるかもね」

信二「え?それって僕も受けなきゃいけないんですか?」

束「そうだね。受けなかったら政府が強制的に受けさせてくるから」

信二「そっかぁ…これでもし起動でもしたら、平穏な日々ともおさらばかな?」

 

人はそれをフラグと言う…

 

束「ごめんねシンちゃん」

信二「なんで?束さんは悪くないよ。むしろ悪いのは、それを利用している奴らだよ」

 

これには束の意思とは反対に物事が進んでいた。束はただ、宇宙で活動するためのマルチパワースーツを作っただけである。しかし、現実は女性利権団体と言う女性主義の団体が悪用し、女尊男卑の世界を作り上げてしまった。

 

束「シンちゃん…ありがとうね。そんな考えを持ってる人が少ないのが現実なんだよね。ねぇシンちゃん?シンちゃんは空を飛ぶのは好き?」

信二「好きですよ。星空を眺めてると、いつかあそこに行きたいと感じていますから…」

 

そこには、星に憧れている少年の顔があった。

 

束「それなら、その翼を欲しいとは思わない?」

信二「そうですね…って、ええ!?流石にそれはまずいよ!」

束「ううん、受け取ってほしいの。それでこの腐った世の中を正して欲しいの!」

信二「束さん……」

束「それに、束さんはね、空を飛ぶのに憧れる人を見ると応援したくなっちゃうんだ!」

信二「そうですか……分かりました。僕やります」

束「ありがとうね~!よし!それじゃあシンちゃんの専用機頑張って作るからね!何かオーダーとかある?」

 

信二は悩んだ。専用機となると使いやすさ或いは好きな物で行くか。そして何よりオンリーワンでなければならない。そして導き出した答えは…

 

信二「なら、戦車をモデルにして欲しいです」

束「戦車をなんで?」

信二「僕、昔から戦車が好きでよく、プラモとかで作っているので」

 

確かに信二の部屋には、戦車のプラモデルが沢山あった。その中でもドイツ車両がほとんどだった。

 

束「そっかぁ!そっかぁ!ならそれで作ってみるよ!多分入学式が終わったら渡せると思うから」

信二「ありがとうございます。」

 

そして、3日が過ぎニンジン型飛行船も修復できたので、束とは一旦別れる事になった。

 

芳江「寂しくなるね」

クロエ「信二お兄様。芳江様。暫しの別れです。また、戻ってきます」

束「うんうん。それまではお別れだねシンちゃん!」

信二「そうですね。また会いましょう」

 

そう言って束はニンジン型飛行船に乗り込むのだった。その時、信二の唇に柔らかい物が当たった。それが束の唇だと思ったのは数秒かかり、その瞬間信二の顔が赤くなった。

 

束「ちなみにファーストだからねえ~///」

 

そして、意味深な言葉を残して、去っていたのだ。

 

信二「僕もファーストですよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、2日後。信二の所にも、一斉検査が来て第2世代のIS【打鉄】に触れた瞬間、起動シーケンスが発動した。そして心の中で思った。これから忙しい日々が始まると…

 




IS起動まで、かなり強引な展開にしたような気がする…けど、いいよねwww

次回はIS学園でヒロイン達が登場しますよ!

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第三話 2人目の男性操縦者

とあるPです。


書き溜めしていたので連投しますよ!


(亀更新とはいったい・・・)


乗り物の移動によって、信二の疲労はMaxに達っしているがここまで来てしまっては後戻りできない。

 

『IS学園』

 

ISの操縦者育成を目的とした教育機関であり、操縦者のみならず整備士の育成を兼ね備えた人工島である。学園内での問題は日本が公正に介入し、参加している国全体が理解でき、解決をすることを義務付ける。

そして、入学に際しては協定参加国の国籍を持つ者には無条件に門戸を開き、また日本国での生活を保障することとなっている。

 

そんな小難しい話しをしていると、学園前に1人仁王立ちして待っていた。キリっとし目に黒服と黒髪。束に引けを取らないナイスバディの持ち主であった。

 

???「新田信二だな?」

信二「はい。あなたは?」

???「私は、織斑千冬。IS学園で教師をしている」

 

そう言うと千冬は握手と信二は握手するのであった。そうすると千冬の顔が一瞬歪んだ。

 

千冬「新田。ここに来る前にある人物に会わなかったか?」

信二「ある人物とは?」

千冬「そうだなぁ。奇抜な服を着ていて、奇妙な乗り物に乗っているバカな奴だ」

信二「あ~束さんですかね」

 

そう言うと千冬は頭を抱えた。

 

千冬「あのバカウサギが~」

信二「あははは…」

千冬「まぁ今更言っても仕方ない。今度出会ったら、たっぷりオ・シ・オ・キしておくか。ククク…」

 

信二は心の中で(束さんごめんなさい!)と祈った。そんな中で千冬は信二の眼帯について聞いてきた。

 

千冬「それよりも新田、その眼帯はどうした?」

信二「あ、これはその…」

 

信二は急いで眼帯を隠した。この眼帯の事は振られたくないので隠そうとしたが、上手くいかなかった。

 

千冬「…まぁ言いたくないことなら無理に言わなくてもいいぞ」

信二「ありがとうございます。けど、いつか話しますね」

 

そう言うと、千冬はそれ以上聞いて来ることなく学園に向かうのであった。途中、守衛所(ガチムチの警備員2名)を通過し専用ゲートから、入って行き、「1年1組」の教室前まで来た。

 

千冬「既に1人目の案内は済んでいる。新田は呼ばれたら来るように」

信二「わかりました。」

 

そう言って千冬は教室に入っていった。

 

 

~~一夏side~~

 

一夏「居心地が…悪い」

 

 

俺は今27人の女の子からの視線を目一杯浴びており、傍から見たら珍獣扱いである。ひょんなことからISを起動してしまい千冬姉がいるIS学園に入学した。そして、今は自己紹介の時である。今眼鏡をかけた人が教壇に立っていた。

 

??「皆さん初めまして!私はこの1年1組の副担任の、山田真耶(やまだまや)ですよろしくお願いしますね!」

 

「……」

 

真耶「うう…では、出席番号順に自己紹介をお願いします」

 

どうやらこの人は教師らしい。しかし、教師というよりは、同級生或いは先輩という印象を受ける。けど、この視線はどうにかならないのか…隣にいる幼馴染はもっぱら外を見ているし千冬姉の話しだと、もう1人の男性操縦者がいるとのことだけど今はいないな。

 

真耶「…くん、お…くん!織斑君!」

???「は、はい!!」

 

やべ、考え事していたら当てられていた。咄嗟に大声出しちゃったよ!

 

真耶「ごめんね!「あ」から始まって「お」なんだけど…怒っている?」

一夏「謝らないでください。別に怒ってないですから」

 

そう言って俺は自己紹介をするのであった。

 

一夏「織斑一夏です!」

 

え?俺なんか変なこと言った?みんなが見ているんだけど?「なんかもっと言って!」風な顔だし。

 

なら!

 

一夏「以上!!」

 

『ズガーーーーーーン』

 

 そう言うと女子たちはコケた。なんかマズイことしたか?そんな風に思っていると後ろから、バシンと殴られた。

 

千冬「お前はまともに挨拶もできないのか」

一夏「げ!ビスマルク!」

千冬「誰が鉄血宰相だ!」

一夏「痛いよ、千冬姉」

千冬「織斑先生だ!」

 

また、叩かれた。痛い…。そう言うと千冬姉は教壇に行った。

 

真耶「お疲れ様です、織斑先生。もう会議は大丈夫ですか?」

千冬「ありがとう山田君。それにもう1人を待たせているからな」

 

もう1人?2人目の奴の事か…

 

千冬「諸君!私が織斑千冬だ!君たち新人を一年で1人前になる操縦者に育てるのが仕事だ!私の言うことはよく聴き、よく理解しろ!出来ない場合は出来るまで教える!だから、私の言うことはちゃんと聞くように!返事は「はい」か「Yes」のどちらかにしろ!いいな!」

 

その瞬間俺は耳を塞がなかったことを後悔した。

 

『キャーーーーーーーー』

 

一夏「うぉ!」

 

「本物の千冬様よ!」

 

「私ファンです!」

 

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!沖縄から!」

 

「お姉様のためなら死ねます!」

 

千冬「はぁ、全くこのクラスにバカだけ集められたもんだな…」

 

「あ~お姉様!もっと、もっと罵って!」

 

「そしてキツく躾けて!」

 

千冬「静かにしろ!それと、もう1人紹介する奴がいる。入ってこい」

 

???「はい!」

 

千冬姉がそう言うとドアが開いた。そこには、左目を眼帯で覆われている2人目の男性操縦者がいた。

 

~~一夏side out~~

 

 

 

 

~~信二side~~

 

僕は教室に入る前に大丈夫かな?みんなに怯えられないかなと思っていた。確かにこの見た目である。十人十色少なからずあると思う。

 

『キャーーーーーーーー』

 

信二「うぉ!」

 

どうやら織斑先生の登場に女子たちが舞いがったようだ。軽く音声兵器と言えるだろう。

 

信二「僕、この中で生活できるかな?けど束さんと約束したんだ!」

千冬「静かにしろ!それと、もう1人紹介する奴がいる。入ってこい」

信二「はい!」

 

そして、僕は教室に入っていくのであった

 

~~信二side out~~

 

千冬「それじゃあ、自己紹介でもしてもらおうか」

信二「はい!初めまして、新田信二といいます。皆さんと同じ16歳です。特技は料理が人並みですが作れます。趣味はプラモデル作りで、東北のほうから上京してきました。よろしくお願いします。」

千冬「新田はこの通り、眼帯をしている。だが、皆と同じ健常者だ。分け隔てなく接してくれ」

 

皆空いた口が塞がなかった。それもそのはずである。現れたのは眼帯をしている男性操縦者なのだから。そんな心配をよそに信二の席は窓側の一番奥になった。

 

真耶「それでは、SHRを終わりますね」

 

信二の学園生活は始まったばかりである。SHR後すぐに人だかりは、一夏のほうに集まっていった。それもそのはず向こうは爽やかなイケメン、一方こっちは眼帯をしている謎の新入校生である。興味を持つのは当然向こうのほうだった。けど、1人だけ違う人がいた。ポニーテールをした彼女だけはずっと信二を見ていた。正確には、眼帯をしている左目である。そんな時人混みをかき分けて一夏が信二の所に来た。

 

一夏「よぉ!」

信二「ど、どうも…」

一夏「お互い珍獣扱いだな」

信二「仕方ないですよ。ここには、2人しか男子がいないので…」

一夏「そうだな。俺は織斑一夏。気軽に一夏って呼んでくれ」

信二「ありがとう。僕は新田信二。悪いけど、慣れないから織斑君でいいかな?」

一夏「…そうか、なら俺は信二って呼ばせてもらうぜ!」

信二「うん」

???「…ちょっといいか」

 

そこに、先程のポニーテール女子が現れた。

 

一夏「よう!箒じゃないか!元気にしていたか?」

箒「べ、別に///」

一夏「そう言えばまだ、挨拶してなかったな。箒こいつが信二だ」

箒「篠ノ之箒(しののほうき)だ」

信二「新田信二です。…あの?僕の顔に何か付いていますか?」

 

さっきからずっと、信二の顔を見ていた箒が取り乱していた。

 

箒「べ、別に何でもない///!それよりも一夏ちょっと付いて来い!」

一夏「ちょっと!箒!」

 

そう言うと箒は、一夏を連れて何処かに行ってしまった。それと入れ替わる様にもう1人の女子生徒が信二に近づいてきた。

 

???「ちょっとよろしくて」

信二「はい?」

???「まあ!なんて間の抜けた返事ですの?仮にも、この私イギリス代表候補生のセシリア・オルコットに話しかけて貰えるだけで名誉なことなのに!」

信二「ごめんなさい。貴女のことを知ったのは今日が始めたなので」

セシリア「ふん!そんな態度が気に入りませんわ!それに、その眼帯は何ですの!」

信二「これはその…」

セシリア「あ~もう!ハッキリしなさいな!」

 

そう言って信二の眼帯を取ろうとした時に、予鈴を知らせる鐘が鳴った。

 

セシリア「あら、もうこんな時間でしたか。また来ますわ!」

 

そんなことを言ったセシリアは、自分の席に戻っていた。そして、いつの間にか一夏と箒も戻っていた。

 

 




箒とセシリアと邂逅しましたね!箒に至っては、少しだけですがw

それよりも、セシリアの口調ってこれでいいのか?

それは、追々直していきます。

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第四話 その名はセシリア・オルコット

とあるPです。

サブタイトルにある通り、セシリアの登場回です。


それでは本編へどうぞ!


2時間目はISの基礎的な用語説明であった。事前に教科書を読んでいた信二はある程度は付いていた。しかし、全く付いていけていない人がいた。教室の中央で頭を抱えている一夏であった。そんな一夏を見ていた真耶は何でも聞くように言うのであった。

 

真耶「織斑君?どこか分からないところとかありますか?何時でも聞いてくださいね!何せ私は先生ですから!」

一夏「先生…」

真耶「はい!」

一夏「ほとんど、全部わかりません…」

 

 

『ズゴゴゴ!』

 

 

本日2度目のズッコケである。

 

真耶「全部ですか?他にわからない人はいませんか?新田君は大丈夫ですか?」

信二「はい。勉強してきたので…」

千冬「織斑、事前に渡していた教科書はどうした?」

一夏「あの厚い本ですか?」

千冬「そうだ、必読と書いてあったはずだぞ」

一夏「古い電話帳だと思って捨ててしまいました」

 

「スパーン!」本日何度目かの出席簿アタックが炸裂した。

 

千冬「再発行するから、1週間で覚えろ!」

一夏「けど、あの量は「いいな!」…はい、わかりました」

千冬「新田、あとで織斑に教えてやれ」

信二「は、はい!」

 

そんな感じで、授業が進んでいった。その授業後に一夏が話しかけてきた。

 

一夏「全く、あの出席簿に参ったよ」

信二「それは、織斑君が悪いよ。中身を確認しないまま、捨てるんだもん」

一夏「うっ!そう言われると痛いな…」

 

そんな風に談笑していると、先ほどの金髪縦ロールの女子生徒が近づいてきた。セシリア・オルコットである。

 

セシリア「また会いましたね!」

信二「あ、どうも」

一夏「信二知り合いか?」

信二「うん、ちょっとね…」

セシリア「まぁ!先程の会話程度で知り合い扱いとは!これだから庶民で男は…」

一夏「ちょっと待ってくれ?」

セシリア「なんでしょうか?まぁ貴族である私は下々の願いをきいてもいいでしょう」

一夏「…あんた誰だ?」

 

 

『ズル!』

 

これには、周りの女子や信二も滑った。もちろんセシリアも…

 

一夏「?」

セシリア「あ、あなたね!私を知らないのですか!セシリア・オルコットを!イギリス代表候補生を!入試主席の!」

一夏「そうか、あともう一ついいか?」

セシリア「…なんでしょうか」

一夏「……代表候補生ってなんだ?」

 

『ズガーン!』

 

3回目である。流石に信二やセシリアは耐えたが、やはり周りの女子生徒はコケた。

 

セシリア「…日本の男性ってバカ、ばかりなのですか」

信二「あははは…そんなことないと思うけどね。織斑君、候補生ってどんなイメージがある?」

一夏「代表候補生ってそりゃあ国の代表になる為の候補の人って感じだろ?」

信二「そうだね。ついでに言うとその人には国或いは企業からそれ専用の機体、いわゆる専用機を受けてはずだよ。オルコットさんの場合はイギリスから貰っているんじゃあないかな?」

セシリア「その通りですわ!あなた見る目がありますね。私の専用執事に差し上げてもよろしくてよ」

信二「…ご遠慮します」

 

そう言って、指をさしてきたが信二はやんわりと断った。

 

セシリア「ですので!私はエリートなのですわ!もちろん、適正試験で教官を倒したことがありますのでね!」

一夏「そうなのか?俺も倒したぞ」

セシリア「な!私だけと思っていましたが…」

一夏「女子だけってオチじゃあないのか?だけど俺の場合、向こうが飛んできて避けたら勝手に壁にぶつかったから、俺のは何もしていないがな」

 

確かに教官を倒したがそれを面白くないと思ったのはセシリアであった。

 

セシリア「ムキー!」

 

勝手に言って、自爆したセシリアであった。そして、ちょうど予鈴終わりの合図が鳴った。次は鬼教官の千冬の授業である。流石に物理攻撃(出席簿アタック)を食らいたくないので大人しく席へと戻って行くのであった。その際セシリアは「覚えてらっしゃい!」と言って席に戻っていた。

 

 

3時間目はISの実践的な動きや兵装についての授業だった。

 

千冬「始まる前に言っておく。皆ISをファッションやスポーツ目的として運用していると思っているのであれば、今すぐ出てい行ってもらう。ISは一歩間違えれば兵器にもなる!」

 

千冬の言ったことは大きかった。確かにスポーツにビーム兵器や実弾などを用いるわけがない。しかし、ISにはSE(シールドエネルギー)や「絶対防御」がある。絶対防御はあらゆる攻撃を受け止めるシールドである。シールドエネルギーを極端に消耗することから、操縦者の命に関わる緊急時、救命措置を必要とする場合以外発動しない。

但し、ISの絶対防御も完璧じゃない。SEを突破する攻撃力があれば、本体にダメージを貫通させられる。だからこそ、正しく運用しなければならない。千冬はそれを教えたかったのだ。

 

千冬「なに、正しく運用することを教えるために我々がいるのだから」

 

そう言って授業を再開するのであった。そして、授業が終盤になってきた時何かを思い出したように千冬から提案があった。

 

千冬「そう言えば今度、ウチの『クラス代表』を決める。クラス代表とは、そのままの意味で生徒会の会議や委員会への出席やその他諸々を決定する時に必要な奴だ。決まれば一年は変更なしだからな。

自薦、他薦は問わない。誰かいないか?」

 

その時1人の子が手を挙げた。

 

「はい!織斑君を推薦します!」

 

「わたしも~!」

 

「賛成!」

 

一夏「ええ!俺かよ!」

千冬「他にいないか?なら織斑で決定になるぞ?」

一夏「ちょっと待ってよ!俺はやりたくないぞ!」

千冬「諦めろ、自薦、他薦は問わないと言いたはずだ」

一夏「まじかよ!なら俺は信二を指名する!」

信二「ええ!」

 

こんな風に驚いているが別段いやではなかった。確かに裏方仕事は好きな部類に入るが、ここには男子が2人しかいないため、自然と目立ってしまう。信二はそれが嫌だった。

 

千冬「なら、新田と織斑のクラス投票になるがいいか?」

信二「ちょっと待って「お待ちになってください!!」うん?」

 

信二が反対意見を言おうとした時に、待った!の声を出した人がいた。セシリアである。

 

セシリア「納得が行きませんわ!1組の代表はこの入試主席の私セシリア・オルコットではありませんか!大体、男がクラスの代表なんて恥さらしもいいところですわ!そのような屈辱耐えらせませんわ!」

 

どうやら彼女は女尊男卑の理想に縛られた子のようだ。その後は罵詈雑言の言葉であった。

 

セシリア「大体、このような極東の地まで来てIS技術を学びに来たのに、男が珍しいだけの理由でクラス代表になるなんて、甚だおかしいですわ!あろうことか、その男共の内1人は基礎知識を知らない愚か者。もう1人は眼帯を付けている障害者と来たものですわ」

一夏「イギリスだって日本から見れば極東だろうが、それに世界一メシマズ選手権で何年の覇者だよ」

信二「確かに、僕は眼帯をしている。けど、これには訳があって決して障害者ではないですよ」

セシリア「な!あなた私の祖国を侮辱しましたね!」

一夏「そっちもな!」

 

セシリアと一夏の間に不穏な空気が流れた。信二は、言いたいことを言えたのである程度冷静になれた。しかし、一夏はヒートアップし過ぎて更に加速するのであった。

 

セシリア「決闘ですわ!」

一夏「いいぜ!四の五の言うよりわかりやすい」

セシリア「貴方もですわ!新田信二!」

信二「ええ!僕も!?」

セシリア「当たり前ですわ!その化けの皮を剥いで差し上げますわ!」

信二「…いいでしょう。但し条件があります」

セシリア「まぁ私が勝つのは目に見えていますが、なんでしょうか?」

信二「もし、僕が勝ったらこの眼帯の事にはあまり触れないでほしい」

セシリア「それだけで宜しいのでしょうか?いいでしょう。但し私が勝ったら一生小間使い、いえ奴隷にいたしますわ!」

一夏「じゃあこっちはどれくらいハンデがあればいい?」

 

一夏がそう言った瞬間、クラス内で笑いが起こった。

 

「織斑君それ本気?男が女より強かったのって、数年前の話だよね~」

 

「ISで女に勝とうなんて100年早いよ」

 

そう、ここはIS学園である。当然皆はISを使える。それはどの兵器よりも強くそして優秀である。だから、女子は負けない絶対の自信があった。

一夏「そうか、ならハンデはなしだ」

 

「え~織斑君それはなめすぎだよ。今からでも付けてもらったら?」

 

一夏「男は二度も言わねえ」

信二「僕もそれでいいです」

 

「新田君大丈夫?」

 

信二「大丈夫ですよ」

千冬「よし決まったな!それでは勝負は1週間後の月曜日。放課後の第三アリーナで行う。織斑と新田、それにオルコットは準備をするように」

 

 

 

そして、3人によるクラス代表戦が始まるのであった。

 

 

 

 

□■□■□■□■□

 某国の海上。ここにステルスモードになって浮遊している、ニンジン型飛行船がいた。束専用の飛行船である。

 

束「よし!これで完成!」

クロエ「出来ましたか束様」

束「うん!やっと出来たよ。シンちゃん専用機その名も『ヤークト・ティーガー』」

 

そこには、全身を漆黒に塗りつぶし背中に大型のレールカノンを搭載。両サイドを鋼鉄のボディに守らて、足はキャタピラー。更には4基のブースターが内蔵されているISが鎮座していた。

 

クロエ「これでまたお兄様に会えますねえ」

束「そうだね!待っててねシンちゃん♡」

 

大きなうさ耳を揺らして愛する人との再会を待ち詫びている束の姿があった。

 




最後に信二のISが出て来ましたね!

タグにあるようにガルパンをモチーフにしてます。

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第五話 ルームメイトは・・・

とあるPです。

今回もセシリアとの試合がなく、信二との日常生活になります。

そして、あのサブキャラが登場します!

それでは本編をどうぞ!!


授業が終わって放課後。一夏は信二と一緒に教室に残っており、信二は一夏に勉強を教えていた。朝SHRで織斑先生から勉強を教えるように言われたのだ。

 

信二「じゃあ織斑君これはわかる?

一夏「え~と…後付装備(イコライザ)か、なんだけ?」

信二「IS本来の装備で基本装備(プリセット)と、拡張領域(バススロット)量子変換(インストール)するISの専用兵装だよ。装備できる量はその機体のスペックにもよるけど最低でも2つは可能かな。あとは、応用だけど装備は所有者が使用許諾(アンロック)すれば、織斑君の武装を僕が使えるようになるし、逆に僕の武器も織斑君が使えるようになるよ」

一夏「お~すげぇ!信二天才だな!」

信二「これ、基礎中の基礎なんだけど…」

 

そんな話をしていると、山田先生が教室にやってきた。

 

真耶「織斑君、新田君、よかったまだ教室にいたんですね」

一夏「山田先生どうしたんですか?」

真耶「実は、お二人の部屋が決まったので、連絡しに来たんですよ」

信二「え?当分の間はホテルからの通いじゃあないんですか?」

真耶「事情が事情なので、急遽学園にある寮に入ることになりました」

一夏「ちょっと待ってください。俺の荷物とかは?」

千冬「安心しろ、私が用意した」

 

そう言う千冬は大きめのボストンバッグを2つ用意していた。

 

千冬「織斑には、1週間分の着替え、充電器があれば十分だろ。新田はご家族のほうで準備してくれたぞ」

信二「ありがとうございます」

 

そう言って、千冬から荷物を受け取った2人は、それぞれの部屋に戻っていた。

 

一夏「あれ?信二と同じ部屋じゃあないんだな?」

信二「そうだね」

 

一夏の部屋番は「1025」対して信二は「1034」だった。そして、2人はそれぞれの荷物を持って一夏の部屋前に来た。

 

一夏「それじゃあ落ち着いたら、遊びに行くぜ」

信二「わかったよ。けど、気を付けてね。相手は女の子だから」

一夏「わかってるよ」

 

俗に言うフラグ回収である。そんなことも知らず、信二は自分の部屋に向かうのであった。

 

信二「1034ここか。大丈夫かな?」

 

一抹の不安を感じて、信二はドアを開けた。しかし、信二は先ほど一夏に注意したことを忘れて、ノックもせずに開けてしまった。そして…

???「ごめんなさいね。こんな格好で…」

信二「あ!」

 

そこには……下着姿の女子生徒がいた。

 

???「き、キャーーー!」

信二「ご、ごめんなさい!!」

 

そこからの信二の行動は早かった。咄嗟に回れ右をして、部屋の外に出た。その騒ぎを聞きつけた女子生徒が廊下に出て来た。

 

「え?何々?ここ信二君の部屋!」

 

「ラッキー!有力情報ゲット!」

 

当然、女子生徒が圧倒的に多いIS学園である。部屋の相方も女子生徒であることを信二は失念していた。あわよくば1人部屋が良かったと思っていたが、それは無残にも打ち砕かれたのであった。しかも、授業中と比べて皆ラフな格好をしているため際どい姿であった。信二はなるべく見ないようにしていた。そして…

 

???「…どうぞ」

信二「…はい」

 

同居人からの許可がおりたので、部屋に入るのであった。そこには、ジャージにハーパンというラフすぎる姿の子がいた。

 

???「さっきは大声出してごめんね。改めて、私は鷹月静寐(たかつきしずね)です」

信二「僕は、新田信二です」

静寐「よろしくね。新田君」

信二「僕のほうこそよろしく。鷹月さん」

静寐「静寐でいいよ。これから一緒に住むのだし」

信二「女の子を下の名前で呼びたくないんだよ」

静寐「じゃあ私は信二君って呼ぶね。なんか紳士だね」

信二「そんなことないよ。ただ、臆病なだけだよ…」

 

そういった彼の顔は暗くなっていた。そんな時不意にドアが叩かれそこには焦っている一夏がいた。

 

一夏「信二良かった!助けてくれ!」

信二「織斑君どうしたの?」

一夏「とにかく、部屋まで来てくれ!」

 

そう言って、一夏の部屋に向かうのであった。部屋に着いてみるとドアに穴ぼこがあいていた。

 

信二「これどうしたの?」

一夏「いや、部屋に入ったら箒が着替えている最中だったらしくて、うっかり下着を取ってしまって…」

信二「そして、怒った篠ノ之さんがドアを破壊したと」

一夏「ああ」

 

ここにも、ラッキースケベの持ち主がいたみたいだ。兎に角彼女と話してみないとわからないと思った信二は箒と話してみるのであった。

 

信二「篠ノ之さん?入ってもいいかな?」

箒「…新田か?いいぞ」

信二「お邪魔しま~す。それで、頭は冷めたかな?」

箒「…うむ、少し気が動転していたようだ」

信二「気が動転していただけで、ここまで大袈裟にならないと思うけどね…」

箒「うっ!あ、あれは一夏が「それでもだよ!」うぅ…」

信二「こんなになるくらいの力があったら、ケガだけじゃあ済まされないと思うよ。もっと冷静になってあげなよ。大事な幼馴染なのでしょう」

箒「…そうだな。ありがとう新田。いや、これからは信二と呼ばせてもらう」

信二「そんな、大袈裟だよ」

箒「いや、言わせてくれ」

信二「わかったよ」

箒「う、うむ///」

 

信二「それじゃあ、僕は戻るね。ちゃんと織斑君と仲良くするんだよ」

箒「わ、わかった///」

 

その時の箒の顔は少し赤く染まっていた。その後信二は静寐が待つ自室に戻っていた。

 

静寐「篠ノ之さん大丈夫だった?」

信二「うん。ちゃんと反省したみたい」

静寐「よかった。なら信二君も気を付けなきゃね」

信二「そのことだけど、今から織斑先生に部屋を変えてもらうように言ってくるよ」

静寐「なんで!?」

信二「だって鷹月さんも嫌でしょ男と住むのは?ましてや僕はこんな姿だし…」

静寐「そ、そんなことないよ!」

信二「鷹月さん?」

静寐「確かに、初めて見た時は驚いたけど、今では同じクラスメイトだもん。それに信二君ともっと仲良くなりたいし…」

信二「鷹月さん…ありがとう嬉しいよ」

静寐「だから、ここから出ていかないで!お願い!」

信二「…わかったよ」

 

その言葉を聞いて安堵する静寐。2人目の男性操縦者であり、クラスメイト、そして同居人と何かしらの運命を感じるのであった。

 

静寐「それで、もう一つお願いがあるのだけどいいかな?」

信二「何かな?」

静寐「改めて名前で呼んで欲しいの!お願い」

信二「…それはなんでかな?」

静寐「だって、一緒に住むことになるし、信二君とは仲良くなりたいから…かな?」

 

そこには、真面目なクラスメイトではなく、信二と仲良くなりたい16歳の少女の姿があった。そんな雰囲気に信二は心が折れた。

 

信二「…わかったよ。静寐さん。これでいいかな?」

静寐「う、うん!ありがとう信二君♪」

 

こうして、また一人信二に恋する女の子が増えたのである。

 




というわけで、サブキャラの鷹月さんを登場させました。真面目キャラと言うわけで好きなキャラです。そして、誠に勝手ながら鷹月さん…ヒロイン化しました!

やったね!信二君!ハーレム計画第一歩だよ!


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第六話 信二のIS

とあるPです。

今回からISが出てきます。

それでは本編をどうぞ!!


次の日。時刻は午前6時。皆が寝ている頃、信二はジャージ姿になっていた。実家に居た時から行っていたトレーニングをする為である。衝立を挟んで隣で寝ている静寐を起こさないように、そっと出て行った。朝焼けの美味しい空気を胸いっぱい吸い込んでトレーニングを始めるのであった。

 

信二「さて、始めますか!」

 

軽くストレッチをしてから、学園内にある5㎞の森林コースを3周。その後腹筋・背筋・腕立て伏せ50回を3セット。そして、仮想敵を想定した組手を1時間行って部屋に戻ろうとした時、ジャージ姿の千冬と出会った。

 

千冬「おはよう新田。朝から精がでるな」

信二「おはようございます。織斑先生もトレーニングですか?」

千冬「ああ、毎日ではないがな。ところで先程見ていたが組手をしていたな。どれ相手をしてやる」

信二「のぞき見ですか?けど、織斑先生と僕じゃあレベルが違いますよ」

千冬「なに、本気でやるわけじゃあない。今の新田のレベルを見ておきたいだけだ」

信二「わかりました。なら、相手よろしくお願いします!」

千冬「よし!来い!」

 

突如始まった千冬との組手。信二はそこから格闘すること30分。だいぶ体も温まってきたので信二は少し力を出してみる。

 

千冬「どうした!もっと動けるはずだろ!」

信二「わかりました!」

 

そこからは乱打戦になった。信二は容赦なく急所を攻めるが、それを千冬は防ぐ或いは、受け流し追撃してくる。対して千冬は信二へ攻撃(主に銅や脛、果ては急所への攻め)を行うが、信二は防ぐので精一杯だった。開始から1時間。あっという間に朝食10分前になっていた。

 

千冬「もうこんな時間か。新田。そろそろ戻った方がいいぞ」

信二「ハァ、ハァ、そうですね。それじゃあ織斑先生また会いましょう」

千冬「わかった。今から60秒だけ目をつむってやる。授業中寝ないようにな」

信二「わかりました!」

 

そう言うと信二は猛ダッシュで部屋に戻った。そして、ノックをしても返事がない事を確認すると静寐が規則正しい寝息を立てて、まだ起きてないなかった。信二は着換えを持って脱衣所に行き、手際よくシャワーを浴びた。その音で静寐が起きたので信二は汗を洗い流すと脱衣所でTシャツ一枚になり、ドアを開けた。

 

静寐「おはよう信二君。キャ!」

信二「おはようございます静寐さん。どうかしましたか?」

静寐「ううん、何でもないよ!シャワー借りるね///」

信二「?はぁ、どうぞ?」

 

イマイチ腑に落ちない信二であったが、彼女が出る前に着替えてしまおうと思った。その頃静寐はと言うと…

 

静寐「あちゃ~スッピン見られちゃったなぁ…しかも、信二君の身体すごい筋肉だったわ///」

 

先ほどのやり取りに1人悶々とする静寐であった。信二も制服を着て後は、静寐を待つだけとなった。静寐も脱衣所から制服で出てきて食堂に向かうのであった。

 

静寐「お待たせ信二君!それじゃあ行こうか♪」

信二「そうですね。行きましょうか」

 

そう言って、2人は食堂に向かうのであった。何故か腕を組みながら…

 

信二「あの~静寐さん?」

静寐「な、何かな?」

信二「どうして、腕を組んでいるの?」

静寐「これはその…あれだよ!信二君、眼帯をしているから見えないと思って!」

信二「確かにそうだけど、それは別の理由があって、両目ともちゃんと見えているからね」

 

静寐「それに、信二君を他の子にとられたくないし///」

 

信二「ん?何か言った?」

静寐「何でもないよ!それよりほら、早く行こう!」

信二「ちょっと待って静寐さん!」

 

そんな感じで、食堂に向かうのであった。そして、静寐と一緒に食堂に向かう途中、一夏と箒に出会った。

 

一夏「信二おはよう!」

箒「おはよう信二」

信二「おはよう織斑君、箒さん」

一夏「なぁ、なんで箒は名前呼びで俺は苗字なんだ?」

信二「それは…」

一夏「まぁ…あんまり詮索はしないが、いつか言ってくれよな!」

信二「うん」

 

そんなやり取りをしていると、隣にいた静寐が2人に話しかけた。

 

静寐「おはよう。織斑君、篠ノ之さん」

一夏「おはよう。鷹月さん」

箒「おはよう。んな!な、何をしているんだ静寐!」

一夏「おわ!どうしたんだ箒?」

 

箒が驚くのも無理はない。静寐と信二が恋人みたいに腕を組んでいて、寄り添う様に歩いていたのだ。あまりの慌てっぷりに、隣にいる一夏もびっくりしていた。

 

静寐「それは、信二君がルームメイトだからお世話をしているんだよ」

箒「しかし、そこまでする必要があるのか!そんな、こ、恋人同士みたいに腕を組むなど!」

静寐「確かにそうだけど…でも、これは私が決めたことだから!」

箒「む~ならば!」

 

そう言って、箒は静寐と反対側の腕を取った。そして、手は恋人握りをした。この行動に、当人の信二や静寐は驚いた。

 

信二「ほ、箒さん!何しているの!」

静寐「篠ノ之さん!大胆過ぎだよ!」

箒「う、うるさい!それより信二行くぞ!」

信二「ちょっと待ってよ!箒さん!」

 

信二の両腕は箒と静寐の両方からガッチリとホールドされていた。さながら地球人に発見された宇宙人の気分である。そんな光景を一夏はただただ見るしかないのだ。

 

一夏「俺を忘れるな~!」

 

4人で食堂に来る頃には、ほとんどが埋まっていた。これでは座れないと思っていたが、そこは多くの生徒が行きかうIS学園。何とか窓側の席を確保した4人は信二の両隣に箒、静寐、目の前に一夏と言う布陣で座った。信二はサバの味噌煮定食、一夏は納豆定食、箒はアジの干物定食、静寐はサンドウィッチだった。

 

信二「静寐さん、それだけで大丈夫なの?」

静寐「うん、朝はあんまり食べないんだ」

一夏「箒は朝から食べるんだな!」

箒「うむ!やはり、朝からエネルギーを取らないとな!」

 

そう言って、静寐は自分の皿にあるサンドウィッチを見た。確かに、皆と比べると少ない。静寐も悩める女の子なのだ。

 

静寐「ねぇ信二君は、やっぱり朝から食べる人は好き?」

信二「え?そんなことないよ。それぞれ、適性があるからね。見たところ箒さんは運動部だから、朝はよく食べるからね。静寐さんは自分のペースでいいと思うよ」

静寐「そうだよね!ありがとう!」

箒「ぐぬぬ…!」

 

箒は少し羨ましそうな顔をしていた。そんな時、ジャージ姿の千冬が現れた。

 

千冬「いつまで食べている!もうすぐで予鈴が始まるぞ!食事時は迅速な行動をしろ!私は一年生の監督長を務めているからな!」

 

そう言うと、皆で一斉に食べ始めた。そして、一時間目の授業中一夏に対してある発表があった。

 

千冬「織斑。明後日の試合だが学園にある予備機がない。従って学園側で専用機を用意することにした」

 

「専用機!?1年のこの時期に…」

 

「羨ましい~私も専用機が欲しい」

 

一夏「なんだ?そんなにいいのか?」

信二「織斑君、教科書6ページ読んでみて」

一夏「え~と、現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISだが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていない。世界中にあるIS 467機、その全てのコアは篠ノ之束博士が作成したもので、これらは完全なブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状況にある。しかし博士はコアを一定数以上つくることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行なっている」

 

信二「だから、今言った全世界に467個しかないISコアの内1個を織斑君専用にするんだよ」

一夏「お~すげぇ!」

 

 そんな時1人の生徒が手を挙げた。

 

「あの、織斑先生。篠ノ之束って篠ノ之さんの関係者ですか?」

 

千冬「そうだ、篠ノ之はあいつの妹だ」

 

「え~すごい!じゃあ博士に言えば専用機作ってくれるのかな!?」

 

箒「あの人は関係ない!」

 

その一言で、周りの空気が一変した。どうやら、この姉妹仲が上手く言っていないらしい。

 

箒「すまない、驚かせてしまったな。けど本当に関係ないんだ…」

 

箒の一言でそれ以上は追及はなかったが、その後の千冬からの爆弾発言で再び教室内が荒れるのであった。

 

千冬「因みに新田はあいつと会っているからな」

信二「お、織斑先生!それは言わない約束になっていますよ!」

千冬「おっと、つい口がすべってしまった」

箒「はぁ!どう言うことだ信二!」

信二「いや、それはその~」

千冬「まぁそれは後にして今は授業中だぞ」

 

そう言って、授業が再開されたが、箒と静寐からのジト目が気になっていた。そして、授業が終わった直後である。

 

箒・静寐『信二(君)いったいどういうことか説明してもらえる!』

信二「はい…」

 

それから信二はこれまでの事と、束との出会いやこの学園に入るきっかけを話した。もちろん眼帯の事は伏せたが…

 

静寐「そんなことがあったんだ」

箒「すまない、いきなり聞き出してしまって」

信二「大丈夫だよ」

一夏「そうだぜ。水臭いこと言うなよ!」

信二「織斑君…ありがとう」

 

そして、放課後になった。一夏と箒は剣道場で試合をしたが、余りの体たらくに箒が「一から叩き直す」と言ってずっと剣道漬けの毎日を行っていた。信二も朝だけの訓練を増やして、試合に望んだ。

 

 

 

一週間後の月曜日。ピットには、一夏と信二それに箒と静寐がいた。千冬にどうしてもと言って渋々了承した。そこに、山田先生がやってきた。

 

真耶「織斑君、新田君、届きましたよ!あなた達のISが!」

 

そこには、全身を漆黒に塗りつぶし、背中に大型のレールカノンを搭載。両サイドを鋼鉄のボディに守らており、足にはキャタピラーが搭載されているISと灰色に両側にスラスターが搭載されているISがいた。

 




と言うわけで、信二のISと一夏のISが出て来ました。一夏は原作と同じにしました。

次回はセシリアとの試合です。

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第七話 セシリアとの試合

とあるPです。

ついにセシリアとの試合です!書き溜めていたので連投します!


ちょっと戦闘描写は苦手なうぷ主ですがよろしくお願いします!


セシリアとの試合前。ピットには2体のISが鎮座していた。

 

信二「これが、僕のIS」

???「そうだよ!シンちゃん!」

 

信二「その声は!」

束「久しぶりだね~!シンちゃん!会いたかったよ~♡」

 

ピットの天井裏から出てきた束は皆がいる前で信二を抱きしめるのであった。

 

信二「んご!束さん…苦しいです」

束「あ、ごめんね~大丈夫だった?」

信二「大丈夫ですよ。それよりも、ここまでどうやって来たんですか」

千冬「オイ束!ここは立入禁止だぞ!それにどうやって入って来たんだ!教えろ!」

箒「姉さん!なんでここにいるのですか!」

束「それは、追々説明するから、まずは最適化(フィッティング)を行っちゃうよ。シンちゃんISに触れてみて」

信二「わかりました」

 

そう言うと、信二は自身のISに触れてみた。すると、頭の中に物凄い情報量が流れ込み辺り一面が光に包まれた。

 

 

 

~~IS side~~

ここは?

 

(む?来たな)

 

あなたは?

 

(私か?私はこのISのコア人格だ)

 

そこには、第2次世界大戦のドイツ軍の軍服を模様した、栗色のショートカットの女の子がいた。キリっとした目をしており、スタイルもよく誰もが羨むものだった。

 

そのISコア人格が、なんでここにいるんですか?

 

(なに、これから一緒にいるのだ。一応挨拶をと思ってな)

 

確かに君が僕の相棒になるんだからね

 

(そうだな。これからよろしく頼むぞ)

 

そう言えば、まだ名前を聞いていなかったね

 

(確かにそうなのだが、実は名前はないのだ。出来れば貴方につけてほしい)

 

僕が付けていいのかな?

 

(そうだ)

 

なら、『マホ』って名前はどう?

 

それは、信二が好きなアニメのキャラクターの名前であった。

 

(「マホ」だな承知した。ならそれで登録しておこう)

 

いいの?

 

(いいも何も、貴方が決めたことだろ)

 

わかったよ。じゃあマホも僕の事は信二って呼んでよ

 

(わかった。シンジこれでいいか?)

 

うん

 

(じゃあ、そろそろ戻るとするか。兵装については試合中に知らせる)

 

わかったよ

 

そう言うと、信二の意識はフェードアウトしていった

 

~~IS sideout~~

 

 

そして、光が収まるとISをまとった信二がいてその姿に皆驚いていた。

 

束「え~もうシンちゃんのフィッティング終わったの!」

信二「はい。いつでも出られます。」

千冬「なら、行って来い!もうオルコットは準備しているからな」

 

そう言うと、信二はカタパルトに向かおうとした。その時、静寐と箒が声をかけてきた。

 

静寐「信二君!頑張ってね」

箒「信二!勝ってくるんだぞ!」

信二「わかりました」

 

そして、カタパルトに乗ったのを確認してアリーナの空に向かうのであった。

 

『発進システムオールグリーン!カタパルトロック確認!発進どうぞ!!』

 

信二「新田信二行きます!パンツァー・フォー!

 

そう言って信二はアリーナの空に飛び立っていくのであった。

 

真耶「ぱ、パンツァー・フォー?」

千冬「日本語で『戦車前進』と言う意味だ。新田の奴どこで覚えてきたんだ…」

束「昔ドイツにいたことがあるんだって!あと部屋に戦車のプラモデルがいっぱいあったからね」

千冬「部屋って束まさか…」

箒「姉さん!?まさか信二と何かあったんですか!」

束「おっと、これ以上は言えないな~。さて、いっくんのフィッティングもしないといけないからね」

 

そう言うと、束は一夏のISに取り掛かった。アリーナ上空では、セシリアと信二が対峙していた。

 

セシリア「最初に言っておきますわ!降伏することはありませんか?」

信二「それはないですね。こっちにもプライドと言う物があるので…」

セシリア「残念ですわ。それなら例え障害者であろうと、全力で行かせてもらいますわ!」

信二「だから、僕は健常者だって…まぁいいや。行くよ!」

 

<これより、セシリア・オルコットVS新田信二の試合を始める!なお、審判はこの私織斑千冬が取り仕切る。それでは試合はじめ!>

 

セシリア「先手必勝ですわ!」

 

開始直後にセシリアのIS【ブルー・ティアーズ】に搭載されているスターライトmkⅢ(六七口径の特殊レーザーライフル)が火を噴いた!

 

(シンジ右足だ!かわせ!)

 

信二「おっと!」

 

マホからの情報を基に何とかレーザーをかわす。

 

セシリア「初弾は避けましたね」

信二「あぶねー」

セシリア「ですが、次はありません事よ!行きなさい!ティアーズ!」

 

セシリアのISである『ブルー・ティアーズ』なるレーザービット4基が信二に襲い掛かってきた。そこにスターライトmkⅢの連射が加わり信二は逃げるしかなかった。

 

セシリア「さあ踊りなさい!わたくしとブルー・ティアーズが奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

信二「当たらなければどうと言うことはない!」

 

そう言って、信二はマホからのアドバイスを受けて地面を蹴って地面スレスレを飛行した。

 

(シンジ上からくるぞ!)

 

信二「了解!」

 

身体を捻りながらの飛行を行い、難なくかわす。それをみたセシリアは驚愕していた。

 

セシリア「なぜ!なぜ当たらないのですか!」

信二「……」

 

必死になって撃ってくるビームを避ける信二に対してマホから通信が飛んできた

 

(シンジ、そろそろこのISの兵装について説明しよう)

 

わかった

 

(このISはドイツ製戦車のヤークト・ティーガーをモデルに設計されている。だから当時のものを忠実に再現できる。メインウエポンは背中にある大型のレールカノンだ。これは128㎜砲で各種砲弾に対応でき、弾数は40発だ。サブとして7.92mm機銃が2門、パンツァー・ファウストが5発、ソード系は日本のIS打鉄の刀型近接ブレード「葵」がある)

 

そんなに、ある方ではないんだね

 

(まぁな。しかし、戦略次第では勝てない敵ではない)

 

そうだね!なら反撃と行きますか!

 

(うむ!行くぞ!)

 

 

 

一旦止まった信二はレールカノンをセシリアに向けて照準を合わせた。その時、4基のレーザーピットが襲ってきたが、持ち前の装甲(250㎜)で何とか耐えた。そして、レールカノンに散弾を装填し始めた。

 

信二「散弾装填完了!目標敵IS【ブルー・ティアーズ】!ファイヤー!!」

 

レールカノンから発射された散弾は4基のレーザービットを撃破し、本体であるセシリアだけが残った。

 

セシリア「あ、ありえませんわ!なぜ、わたくしが男なんかに、しかも眼帯をしている人に負けるなんて!」

信二「なぜ、オルコットさんはそんなに男を目の敵にしているんですか!」

セシリア「そ、それは…」

信二「…チャンネル周波数「212」です。言いにくいことであれば個人間秘匿通信(プライベートチャンネル)で話しましょう」

 

そう言うと、セシリアから応答があった。

 

セシリア『いいでしょう。…わたくしの父は世の中が女尊男卑が始まる前から母に対して腰の低い人でした。婿養子ということもあり余計に惨めに見えました。そんな父を見て、弱くならないようにしよう!母のような強い人になろうと思いました。あの時までは…』

信二『…あの時とは?』

セシリア『ある日、いつもの喧嘩ばかりしていた両親が珍しく出かけた日ですわ。わたくしはこの旅行がきっかけに仲良くなればいいと思っておりました。しかし、その日のイギリス列車横転事故で両親を亡くしてしまいました…』

信二『……』

セシリア『なぜ、両親が一緒に出かけたのかはわかりませんわ。その後はオルコット家の当主として相続した親の遺産と、屋敷の使用人を守るために色々勉強し国籍保持を条件に代表候補になりました。だから、ここで負ける訳にはいきません事よ!』

信二『それが、オルコットさんの覚悟何だね』

セシリア『そうですわ!!あなたはどうなんですか』

信二『僕も同じだよ。科学者であった僕の両親は他の科学者たちに殺された…』

セシリア『な!』

信二『だからこそ、両親から受け継いだこの力を正しい方向に使って皆を守るんだ!』

セシリア『だから眼帯をしていらっしゃるのですか』

信二『さて、それはどうかな?それは勝ったら教えてあげるよ』

セシリア『いいでしょう!ならその秘密、是非とも聞き出さないといけませんわね!』

 

そう言って、個人間秘匿通信(プライベートチャンネル)でお互いの事を話し合った2人は、再度対峙した。

 

信二「それじゃあ行くよ!オルコットさん!」

セシリア「ええ!!全力でお相手いたしますわ!」

 

信二はパンツァー・ファウストを構えて吶喊して行った。今のセシリアは丸裸同然であるため、近づくのは容易であった。そして、あと5cm所まで来た時にセシリアがニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

 

セシリア「ブルー・ティアーズは…6基ありましてよ!」

 

先ほどの4基のレーザーピットとスカートの中に弾道型ミサイル2基の隠し玉があり、それを信二に向けて発射した。だが、信二もバカではなかった。すぐさま両腕の装甲で何とかガードしSEが残りわずかとなったが、慌てずパンツァー・ファウストを投擲した。至近距離で受けたセシリアは爆発し、SEが0になった。

 

信二「これで、チェックメイト!」

 

ドゴーン!

 

セシリア「きゃ~~!」

 

<セシリア・オルコットSEエンプティ。新田信二の勝利>

 

その瞬間、割れんばかりの拍手が鳴り響く。しかし、セシリアは気を失っており落下して行った。

 

信二「マズイ!」

 

信二は急いで回り込んで、背中と足の下に両腕を入れてお姫様抱っこの要領でキャッチした。それを見た静寐と箒は『ハハハハ…アトデオハナシヲシナイト』と目からハイライトが消えていた。

 

そんな事をしているとセシリアは目を覚ましていった。

 

セシリア「ううん、ここは?」

信二「気が付いた?」

セシリア「あ、あなたは!は、離してくださいまし!」

信二「危ないよ!今SEが0だから落ちたら大変な事になるから落ち着いて!オルコットさん!」

 

そう言われたら、セシリアは素直に従った。

 

セシリア「…負けたのですね」

信二「うん、けどいい試合だったよ」

セシリア「え?」

信二「オルコットさんの覚悟が見えたいい試合だった。僕もまだまだだと思わされたよ。だからもっと強くなる!」

セシリア「新田さん///」

 

ふと見ると、セシリアの顔が赤くなっており、信二は急いで反対側のピットにセシリアを運んで行った。

 

(相変わらず貴方はモテるんだな。少し妬いてしまったぞ)

 

信二「そんなことないよ」

セシリア「え?今なんておっしゃいましたか?」

信二「あ、いやなんでもないよ!さて、次は織斑君とオルコットさんの対戦だね」

 

 

さて、その後の事を説明する。え?なんで割愛するかって?それは、これ以上行くと取集がつかなくなるからだよ。僕がピットに戻ると、静寐と箒の両名がさっきの事(セシリアへのお姫様抱っこ)について問いただすように迫ってきた。

 

その間に一夏とセシリアの調整が終わり、一夏は初期装備(プリセット)から土壇場で、一次形態移行(ファーストシフト)が終わり、雪片弐型(ゆきひらにがた)でワンオフ・アビリティーの零落白夜(れいらくびゃくや)を発動させてセシリアを攻撃しようとしたらSEがなくなって自滅した。

 

一夏と信二の試合は、両者の攻防が続いて、零落白夜(れいらくびゃくや)を発動した一夏に対してパンツァー・ファウストで攻撃するもその勢いは止まらず捨て身の攻撃をしようとした信二もろとも、SEが切れて引き分けとなった。

 

こうして、三つ巴の戦いは、幕を閉じたのであった…

 




また、この時点ではセシリアは落ちていません。次回で明らかになると思います。

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第八話 クラス代表決定

とあるPです。

前回もあったように、セシリアはこの回で自分の気持ちに気が付きます。そして、クラス代表決定です!

それでは本編をどうぞ!!




~~セシリアside~~

 

試合後セシリアは自室で、シャワーを浴びていた。いつもセットしている金髪はとかして優雅にシャワーを浴びている姿はさながら、映画のワンシーンでもある様に見えた。鍛え抜かれた美貌と容姿は、見る者を虜にするほど美しく、同年代の女性よりやや大きい胸やお尻には熱い雫が落ちていた。

 

そんな中でも、思い出すのは今日行われた試合であった。自身の完全勝利で終わる予定だったがその予想は大きく狂った。それを覆したのは…

 

セシリア「新田、信二さん…」

 

彼の名前を出すたびに顔が、胸が、身体が熱くなってくるのがわかる。今まで逢ってきた男性とは違うものがあり、揺るぎない信念。勝つよりも、分かち合おうとする思い。そして、決して諦めない心があった。

 

セシリア「こんなにも、殿方を想う日が来るとは思いませんでしたわ…」

 

今では、彼の一挙手一投足が気になる。自室では何をしているのか、お気に入りの音楽は何なのか、そして、一番気になるのが好きなタイプの女性はどんな人なのか。もっともっと彼について知りたいと思うのであった。そして、初めて知った。これが恋だと!人を好きになる気持ちだと。

 

セシリア「わたくしはもっと新田さんを、いえ、信二さんの事をもっと知りたい!そして、いずれは…イャン///駄目ですわ///そんな、はしたいないこと///けど、彼が望むのであれば…」

 

色々気になる女子高校生だから、妄想が出てくる。それよりも、やるべきことがある。

 

セシリア「その前に皆様に対して謝罪をしなければなりませんわね」

 

今回の決闘になったきっかけである、一夏、信二及びクラスメイトを侮辱してしまったことへの謝罪をしなければならない。そう思いセシリアはシャワー室から出た。隅々まで綺麗にし、愛しのあの人に会うために…

 

 

セシリア「待っていてくださいね!愛しの信二様(ナイト)♥」

 

~~セシリアside out~~

 

 

その頃信二は、自室でマホと瞑想(思念通信)していた。今は静寐がお風呂に行っているので、試合での反省点や今後の動きを考えていた。

 

今回の動きはどうだった?

 

(まずまずだな。特に初陣だったセシリア戦では互いが射撃タイプなのに、萎縮していなかった)

 

まぁオルコットさん、最初は見下していたからね

 

(うむ、だが途中からそれなりに力を出してきたな)

 

え!まだ本気じゃあなかったの?

 

(試合後に彼女のISに聞いてみたが、適合率が50%だったらしい)

 

そうなんだ。じゃあこれからもっと強くなるのかな?

 

(それは、彼女次第だな)

 

そっか。じゃあ僕も頑張らないとね

 

(明日は朝の特訓は休んでも構わないだろう)

 

いや、軽めにしておくよ

 

(…そうか、なら無理するなよ)

 

うん!あとはどうだった?

 

(そうだな、オリムラとの戦闘は無茶し過ぎだ。零落白夜なんて受けたらシンジの身体が持たないぞ)

 

う、すみません…

 

(今後は、無茶な突撃は控えるのだな)

 

気をつけるよ

 

(うむ)

 

それじゃあそろそろ戻るよ。またね!

 

(わかった。忘れるなよ。私はいつでも見守っているからな…)

 

そう言って、信二の瞑想(思念通信)は終わった。

 

静寐「ただいま~!」

信二「おかえりなさい。じゃあ僕はシャワーを浴びて来るね」

静寐「うん!いってらっしゃい」

 

そう言って、信二はシャワーを浴びて軽いストレッチをしてから寝るのであった。次の日はいつも通りの時間に起きて軽めのメニュー(ジョギングコース1周、腹筋、背筋、腕立て伏せ10回を5セット)して、部屋に戻っていた。

 

そして、静寐と箒の両名に腕を取られて食堂に向かうのであった。

 

信二「ねぇこれは毎回するの?」

静寐・箒『当然(だよ)!』

信二「はぁ~」

一夏「まぁ、元気出せよ信二!」

信二「他人事みたいに言わないでよ…」

食堂に着いた信二達は朝食をそれぞれ注文した。全員が日替わり定食を注文して食事を済ませてSHRが終わり、1時間目の授業が始まる前にセシリアが手をあげた。

 

セシリア「織斑先生、少しよろしいでしょうか?」

千冬「構わんぞ。手短にしろ」

セシリア「ありがとうございます」

 

そう言うとセシリアは前に出て、皆の前で謝罪した。

 

セシリア「皆様、この前は皆様の祖国を侮辱してしまったこと。誠に申し訳ありませんでした。謝って済む問題ではありませんが、責めてこの場で謝罪させてください。」

 

そう言って、頭を下げた。この後罵詈雑言を言われる覚悟をしておりその証拠に肩が少し震えていたが、それはあっさりと終わった。

 

「気にしないで!」

 

「オルコットさん勇気あるよね!私なら無理だわ!」

 

「大丈夫だよ!」

 

セシリア「ありがとうございます!それから、私の事はセシリアと呼んでください」

 

皆セシリアの謝罪を受けいれており、ようやくクラスメイトに受け入れたセシリアであった。

 

セシリア「一夏さんこれからは、宜しくお願い致しますね」

一夏「ああ、よろしくなセシリア」

 

最初の男嫌いが噓のように一夏を受け入れているセシリア。そして、信二の前に来てとんでもない事をするのであった。

 

セシリア「あの時は酷い事を言ってしまって申し訳ありませんわ」

信二「気にしてないよ。それよりも良かったね、みんなに受け入れてもらえて」

セシリア「ええ。信二様(・・・)!」

信二「うん?」

セシリア「これからはこのセシリア・オルコット。全身全霊でサポートいたしますわ♡」

 

その瞬間、セシリアが皆のいる前で全力で抱きしめてきた。…当然嫌でも注目を浴びる羽目になった。教室に鳴り響く、黄色い声援。それを面白くないと思った2人がいた。箒と静寐であった。

 

『キャーーーー!』

 

箒「ちょっと待ってくれ!信二の世話は自分がする!」

静寐「それだったら、ルームメイトの私の仕事だよ」

セシリア「あら、それではわたくしはそれ以外の全てを行いますわ!」

 

ここに、信二に好意を寄せる3人による恋のバトルが勃発した!他にも候補がいるとも知らずに…そんな中で1時間目の授業が終わり小休憩の時に、セシリア・箒・静寐の3人が信二の前に立ちはだかる。

 

セシリア「箒さん、静寐さん!今日のお昼はどういたしますか?」

静寐「もちろん信二君と一緒に食べるよ!」

箒「無論私もだ!」

セシリア「でしたら、4人で食べませんか?お互い『イロイロ』と話したいことがありそうですから」

箒「いいだろう!」

静寐「もちろん!」

 

信二には見えていた。3人の後ろには、それぞれ般若がいるのを…

 

信二「お、織斑君。僕も行かないダメかな?」

一夏「諦めろ」

信二「そんな~」

セシリア・箒・静寐『そこ!うるさい(ですわ)!』

一夏・信二『ご、ごめんなさい!』

 

3人での打合せを終わると授業が始まる時間になった。しかも次の授業は山田先生によるIS講義である。信二の数少ない嬉しい時間でもあった。

 

信二「オルコットさん早く座った方がいいよ」

セシリア「そうですわね。それとこれからはセシリアとお呼びください!信二様」

 

信二「そうだったね。よろしくねセシリアさん」

セシリア「んもう!さんはいらないのですが。まぁいいでしょう♡」

 

そう言って、セシリアは信二に投げキッスをして自分の席に戻っていた。そして、授業が始まったが開口一番山田先生からこんな一言があった。

 

真耶「そういえば、クラス代表は織斑君になりました。あいいですね一つながりで!」

一夏「はぁ?聞いてないですよ!それに、俺はセシリアには負けて、信二には引き分けたんですよ!」

真耶「それは、「わたくしが辞退したんですよ」」

 

真耶が言おうとした時にセシリアが被せてきた。おかげで、自分が言うつもりであった、山田先生が涙目になってしまった。

 

セシリア「一夏さんには多くの経験を積んでもらうために、クラス代表が良いと思いまして、代表を辞退いたしましたわ」

信二「僕も同じですね。あとは、こんな見た目ですから代表には相応しくないですよ」

静寐・箒・セシリア・真耶『そんなことない(よ)(ですわ)』

信二「あ、ありがとうございます///」

 

4人の声がハモリ少しだけ信二は嬉しそうになった。

 

信二「けど、織斑君にはこれからはもっと強くなってもらうためにクラス代表はいいことだと思うよ」

一夏「わかったよ。やってやるよ!」

 

これにて、1組のクラス代表が決まった。そして、その夜には就任式が行われることになった。

 

 

『織斑君!クラス代表おめでとう~!』

 

 

食堂を貸し切っての盛大な宴が始まった。もちろん千冬には、許可を取っている。

 

???「はいはい!ちょっとどいてね~」

 

人混みをかき分けて、現れたのは、腕に「新聞部」と付けた腕章を掲げてやってきた1人の女子生徒がいた。

 

???「初めまして、私は黛薫子(まゆずみかおるこ)新聞部です!はいこれ名刺ね」

 

そう言って一夏は薫子から名刺を受け取った。どうやら、リボンの色からして2年生らしい。

 

一夏「それで、薫子先輩はどうしてここに?」

薫子「話題の男性操縦者がクラス代表になったって聞いてね!ぜひ、取材したいと思ってね」

一夏「いいですよ」

薫子「ありがとう!じゃあ、「クラス代表になって一言」ちょうだい」

一夏「え~と、頑張ります!」

薫子「それだけ?『俺に触るとヤケドするぜ』とかないの?」

一夏「いや、そんなこと言えないですよ」

薫子「まぁいいや。適当に捏造するから」

 

 (それなら聞くなよ!)と全員が思っていた。

 

薫子「それじゃあ対戦相手のセシリアさんは?」

セシリア「わたくしとしては、やはり今後「あ~長くなりそうだからいいや」ちょっと!」

薫子「それじゃあ、みんなで記念写真撮ろうか!」

 

そう言って、カメラで撮影した。ちゃっかり1組のみんなが入ったが、写真を見た黛は首を傾げた。

 

薫子「あれ?もう1人の子は?」

一夏「そう言えば、信二の奴いないな?」

セシリア「そうですわね」

静寐「先まで、一緒にいたのに」

箒「トイレではないのか?」

静寐「私なんか嫌な予感がする…探してくる!」

箒「私も行く」

セシリア「わたくしも行きますわ」

 

そう言って、静寐、箒、セシリアは出て行った。

 

薫子「あちゃ~もう1人男性操縦者ってモテるのね」

一夏「まぁ、信二はいい奴だからな」

一方で探しに出ていった3人は、あてもなく学園内を走っていた。

 

静寐「だめ。教室にもいなかった」

箒「こちらも外に出てきたがダメだった」

セシリア「体育館にもいませんでしたわ」

静寐「どこ行っちゃたんだろう…」

箒「屋上はどうだろうか?」

セシリア「あそこは、今の時間帯立ち入り禁止ですわ」

箒「なら、行かないか…」

静寐「もう~どこ行っちゃたんだろう…」

 

3人は考えた。1人になれそうでかつ信二の思い出のある場所。そして、思い立った。

 

静寐「そう言えばまだ「あそこ」は探していなかったよね」

箒「ああ、確かにそうだったな」

セシリア「では、行ってみましょうか」

静寐・箒・セシリア『第三アリーナ』

 

そこは、今日クラス代表決定戦が行われた会場であった。

 

 

~~信二side~~

 

一夏達が食堂でクラス代表就任式をしている時、僕は1人で第三アリーナに来ていた。ここは僕とセシリアが代表戦で戦った場所である。アリーナにある、ベンチに腰を掛けてゆっくりと全体を眺めていた。

 

信二「こんな所で試合が出来たんだな」

 

一夏君の存在によって、始まった全国一斉調査。そして、ISが起動した瞬間から、クラス代表戦まであっという間に過ぎていいた時間だったかもしれない。そこで、大切な人達とも出会えた。

 

信二「静寐さん、箒さん、セシリアさんか…僕にはもったいない人達だよ」

僕は鈍感な方ではない。むしろ、人一倍敏感な方であり周りの空気や雰囲気にはよく気付く方である。そんな僕に3人から好意について悩んでいた。

 

信二「こんな姿の奴に惚れるのがおかしんだよ」

 

『そんなことない(ですわ)!!』

 

そこには、肩で息をしていたくだんの3人がいた。

 

~~信二side out~~

 




と言うわけで、クラス代表は一夏になりました!(知ってた)ここは素直に原作通りにいきたいと思います。次回はある乙女たちの気持ちの変化がありますよ

チャイナ娘はもう少し待って

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第九話 少女たちの想い

とあるPです。

今回は、彼女たちの想いが露になる話です。

それでは本編をどうぞ!!


1人アリーナのベンチに座っていると、3人が駆け寄ってきて信二に詰め寄った。

 

信二「みんなどうしてここに!?」

静寐「信二君がいなくなったから探したんだよ!」

箒「そうだぞ!心配したんだからな」

セシリア「それよりも、先ほどの発言は何ですか!」

信二「そのままの意味だよ。…僕に3人は勿体無いと思ったんだよ」

セシリア「それは、どういうことですか?訳を教えてくださいまし!」

 

セシリアからの問いに他の2人からも同様の眼差しがあった。信二はもう、隠し通せないと判断し心の中で(母さんごめんね)と思いながら全てを話すことにした。

 

信二「わかりました。なら、僕の全てを教えます」

 

そう言って、左目にあった眼帯を外した。眼帯に覆われていた部分の下には、黒色ではなく、緑色の目があった。

 

静寐「それは?」

信二「僕は、昔ドイツに居たんです。その時ある研究を受けていた、その名残だよ」

箒「ある研究?」

信二『VTシステム』

静寐・箒・セシリア『!』

 

一般生徒の静寐や箒も聞き覚えがある悪魔の様なシステム。搭乗者の能力を、極限状態まで高める能力である。かのモンドグロッソの優勝者織斑千冬をトレースしたことから、ヴァルキリートレースシステムと名付けられた。

 

セシリア「けど、それはアラスカ条約で禁止になったはずでは?」

信二「そうだね。けど僕は、その条約が締結される前に出来た唯一の成功者だよ」

静寐「だったら、なんで信二君は大丈夫なの?」

信二「僕にも分からない。ただ、このシステムを発動する条件みたいのがあるみたいでね」

箒「それをすると、どうなるのだ!」

信二「それは分からない…上手くいって制御出来るか、最悪の場合は…」

 

『…』

 

3人は驚きを隠せずにいた。それと同時に(だからいつも眼帯をしているか)と思っていた。そう言って、信二は眼帯を戻した。

 

信二「これで、わかったでしょ。だから僕には勿体無いって言ったんだ…」

 

暫しの沈黙が流れた。それを破ったのは静寐の一言からだった。

 

静寐「けど、それで信二君を突き放す理由にはならないよ!」

信二「静寐さん?」

静寐「…私ね…私…信二君の事が好きなの!」

信二「え!」

 

突然の告白である。これには、信二も箒、セシリアも驚きを隠せなかった。

 

静寐「最初は、ルームメイトとして一緒に過ごしているのが楽しかった。これが恋だとは思っていなかった。けど、セシリアさんとの試合の時に、初めて分かったの。あんなにも楽しく空を飛んでいる信二君を見て、か、格好いいって思ったの///そしたら信二君の力になりたい。ずっと一緒に居たいって思ってね///」

 

信二「静寐さん…」

 

2人の間には甘い雰囲気が漂っていたが、それは箒の発言で見事に打ち砕かれた。

 

箒「…なんだ、静寐も同じ気持ちだったのか」

信二「箒さん?」

箒「実を言うと、私も信二の事を()いていた///」

信二「え!?」

静寐「篠ノ之さん!」

 

箒も負けじと、信二への告白をしたのであった。

 

箒「以前、一夏の件で注意されたことがあっただろ。あの時思ったのだ。私の事を“篠ノ之束の妹”ではなく、一個人として見てくれる人がいてくれて…嬉しかったよ。その時から気になって目が離せなかった」

 

信二「けど、あれは注意しただけで、そんな風には感じなかったよ」

箒「そりゃそうだ。隠すのに必死だったからな///」

 

そう言った箒の顔は真っ赤に染まっていた。相当恥ずかしいのだろう。

 

最後にセシリアからはこんな事を言われた。

 

セシリア「わたくしは、試合を通じて殿方の魅力というのを知りました。もしかしたら、母が父を慕っていたのにも理由があると思ったのです」

信二「セシリア…」

セシリア「だから、貴方に惚れたのです。他ならぬ貴方だからこそ好きになれましたの///」

 

三者三様の告白を受けた信二は、自分の素直な気持ちを言った。

 

信二「みんなありがとう。そんな風に言ってもらえると本当にうれしいよ」

 

静寐「だ・か・ら!」

箒「うむ!」

セシリア「ええ!」

 

静寐がアイコンタクトをすると、駆け寄って来た3人に信二は抱きしめられた。静寐は正面、箒は左腕、セシリアは右腕。

 

静寐・箒・セシリア『大好きだ(よ)(ですわ)信二(君)(様)♡』

 

信二「皆…はい!僕もみんなが大好きです!」

 

泣きながらそう返事をするのであった。その時、信二のスマホに着信がありそこには「束」と書かれていた。

 

箒「ね、姉さん!」

セシリア・静寐『篠ノ之博士!』

 

とりあえず、信二は出ることにした。そうすると、画面上に束のホログラムが浮かび上がってきた。

 

束『ハロハロ~シンちゃん元気にしていた?』

信二「お久しぶりです。束さん」

束『あ~堅苦しい挨拶はなしだよ!私とシンちゃんの仲だから!』

信二「そうでしたね」

箒「姉さん!どうして、信二の番号を知っている!」

束『それは、あ~んなことや、こ~んなことをした仲だもんね!』

信二「誤解を招くような事は言わないでください!」

束『けど、アレはした仲だよねw』

信二「確かにしましたけど///」

 

 『信二(君)(様)?』

 

一瞬で3人からのハイライトが消えた。これは、マズイと思い信二は話題を変えた。

 

信二「それよりも、束さんの電話の内容って何ですか?」

束『そうだった。えっとね、用件は2つあるんだ!』

束『まずは、夏頃にシンちゃんの新装備が届くからそのお知らせだよ!』

信二「そうですか!わかりました、楽しみにしています。」

束『うん!それともう1つは…』

 

そう言って、束は箒を見た。

 

束『箒ちゃん、やっと自分の気持ちに気づいたね!お姉ちゃん嬉しいよ』

箒「姉さんその…ありがとう///」

束『うん!それとごめんね…こんな状況になって。恨んでもいるよね』

箒「確かに、こんな状況にした事には恨んでいる。けど!」

 

そう言って、箒は信二を抱き寄せた。この時ばかりは、静寐もセシリアも一歩引いた。

 

箒「一夏や、信二にも出会えた。今では感謝している」

束『…そっか!よかったね!箒ちゃんが幸せでお姉ちゃんは嬉しいよ』

 

一触即発があるかと思ったが、それはなかった。

 

箒「まぁ、姉さんがいない間にイロイロと信二の仲は進んでいくがな」

束『あ~そんな事言っていいのかなぁ~』

 

ここぞとばかりに、宣言した箒だが、束にはまだ余裕の笑みがあった。…この後手痛いしっぺ返しがあるとも知らずに…

 

箒「なんで笑っている!姉さん!」

束『だって、シンちゃんのハ・ジ・メ・テは私が貰ったからね///』

 

ちょっと頬を染めた束は、とんでもない爆弾発言をしてしまった。これに喰らいついてきた3人はすごかった

 

『どう言う事だ(なの)(なのですか)!信二(君)(様)』

 

 

信二「た、束さん!!だから、なんでそんな誤解を招く発言をするのですか!」

束『だって、事実だから』

信二「そうですけど…」

束『あと、シズシズとセッシーはシンちゃんの事よろしくねぇ!』

静寐「シズシズって私の事ですか!?」

セシリア「セッシーって…」

束『うん!シンちゃんを好きな人は、もう仲間だからね!』

 

今まで他人の事に興味がなく、見向きもしなかった束が他ならぬ信二以外に興味をもち、あまつさえ仲間と言うことに関しては大の人間嫌いの束からすれば大きな進歩である。

 

束『それじゃあまたね!愛してるよシンちゃん♥』

 

そう言って、束は投げキッスとウインクをして会話が終わった。しかし、この空気は最悪だった。恋人たちからすれば最大のライバルが出来たのであるから、この空気を変えようとした信二が思い付いたのは、この場からの撤退であった。

 

信二「さ、さて、僕らも帰ろうか!」

 

そう言ったが、信二は両肩を3人から掴まれて動けなかった

 

『その前にオハナシガあるからね信二君(様)♥』

 

信二「アハハハハ…ハイ」

 

ここは素直に頷くしかない信二であった。

 




と言うわけで、彼女たちの告白回でした。書いていて何ですが、本当に羨ましいですね…

次回は、日常回を挟んでチャイナ娘の登場です!

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第十話 IS授業

とあるPです。

とりあえず、書き溜めていた2話分を本日投稿します。

まずは、1話!

それでは本編をどうぞ!!


第三アリーナから信二は告白を受けた3人と自室に向かうのであった。その時にこんな提案があった。

 

信二「この関係は、まだ皆に黙っておきたいんだ」

静寐「なんで?」

信二「もし、ばれたら大騒ぎになる可能性があるからね。それに、セシリアさんは代表候補生だし…」

セシリア「そんな!とやかく言う輩が現れたら、我が家の力で…」

信二「それはダメだよ。穏便に済ませたいんだよ」

セシリア「…わかりましたわ。信二様がそうおっしゃるのであらば」

箒「確かに、余り公にするには時期が早すぎるからな」

信二「そうだね。ありがとう箒さん」

箒「うむ!それと、信二と恋人同士になったんだ呼び捨てでも構わんぞ」

静寐「あ!私もそうして欲しいな」

セシリア「でしたら、わたくしもお願いします!」

信二「え!それはちょっと緊張するよ…」

静寐・箒・セシリア『お願い!』

信二「う!」

 

恋人達からの上目遣いで、さすがの信二も心が折れそうになったが、マホからアドバイスを受けるのであった。

 

 

(呼んでやったらどうだ?折角ここまでお願いしているんだ)

 

そうしたいのは、山々だけど僕のキャラじゃあない気がして…

 

(しかし、そうした方が彼女たちは喜ぶと思うぞ)

 

でも…

 

(好きなんだろ、彼女たちが)

 

…うん///

 

(なら応えてやるのが、彼氏の務めだと思うぞ)

 

…わかったよ。その代わり笑わないでくれよ

 

(ああ、任せておけ)

 

静寐「…くん!信二…!信二君!」

信二「な、なに?」

静寐「もう、いきなり黙ったから心配したよ!」

信二「ごめんね、ちょっとボーとしてたよ」

箒「気を付けてくれよ」

セシリア「そうでございますわよ」

信二「わかったよ。静寐、箒、セシリア」

静寐「そうだ、え?」

箒「うむ!…え?」

セシリア「本当でございますよ。はい?」

箒「信二、今なんて言った?」

信二「箒」

静寐「私の事は?」

信二「静寐」

セシリア「わたくしの事は?」

信二「セシリア」

 

ちょっと恥ずかしい気持ちもあるが、折角彼女たちからの願いなのだ。聞いてあげるのが彼氏ってもんだと思うのであった。

 

信二「その…こんな感じでいいかな?」

 

『もちろん(ですわ!)!』

 

そう言って、嬉しそうな顔をして3人は信二に抱き着くのであった。

 

 

 

 

 

 

次の日。いつも通りの特訓を終えて食堂に向かう途中で一夏、箒組と出会った。

 

一夏「おはよう。信二!鷹月さん」

信二「おはよう。織斑君」

一夏「なぁ聞いてくれよ、箒が昨日から機嫌がいいんだ。理由を聞いても「秘密だ」の一点張りなんだよ」

信二「なんかいいことでもあったんじゃあないの?」

一夏「なぁ箒。何があったんだ?」

箒「ふふ、秘密だ///」

一夏「ほらなぁ?信二からも言ってやれよ」

信二「え~と…それよりも、早く食堂に行こうか」

 

信二がはぐらかすと、それに続くように箒、静寐も続くのであった。そして、遠くから金髪美人が走って、信二の背中に抱きついて来るのであった。こんな大胆な行動に箒と静寐はむくれてしまうのであった。

 

セシリア「し・ん・じ・さ・ま~♡」

信二「ぐぇ…痛いよセシリア」

セシリア「申し訳ありません。信二様が見えたもので、急いで来ましたわ」

信二「そうなんだ。けど、次からは気を付けてね」

セシリア「はい!わかりましたわ」

静寐「ちょっと!セシリアさんズルい!」

箒「そうだぞ!私もまだした事ないのに…」

 

セシリアも加わり、いつも通りのメンバーで食堂に向かってご飯を食べた。

 

1時間目の座学で2時間目からは、ISを使った実習である。信二と一夏はアリーナの男子更衣室に向かって行く途中、他のクラスからの女子達から命からがら逃げてきた。

 

千冬「それでは、これから実習を行う。呼ばれた者は前に出ろ。オルコット、織斑、新田は前に出ろ」

呼ばれた3人は前に出るのであった。

 

千冬「それでは、IS展開をしてもらう。熟練した操縦者なら、1秒を切るはずだ。まずは、オルコット」

セシリア「わかりましたわ」

 

そう言って、セシリアは左耳の青いイヤーカフスをはじいた。そして、次の瞬間IS【ブルー・ティアーズ】をまとったセシリアがいた。

 

真耶「オルコットさんは、0.5秒でした」

千冬「よし、次織斑!」

一夏「よし。…うん?」

 

右腕の白いガントレットトを手前にかざしたが、何も起きなかった。

 

千冬「どうした織斑!相手は待ってくれんぞ!」

一夏「う~…こい白式!」

 

やっとの思いでIS【白式】を展開した。

 

真耶「織斑君は2秒でした」

千冬「遅すぎるぞ!次は0.5秒で出せるようにしろ」

一夏「わかったよ!ちふ…織斑先生」

 

危なく千冬姉と言いそうになったのをひっこめ、次は信二の番である。

 

千冬「それじゃあ最後は新田だ。やってみろ」

信二「はい」

 

そう言って、信二のIS【ヤークトティーガー】の待機状態である、右手首の黒いチョーカーに触れた。

 

こい!ティーガー!

 

そう念じると、信二はヤークトティーガーを身にまとった。

 

真耶「0.5秒!凄いですね!」

千冬「当たり前だ。わざわざ、朝に特訓をしているくらいだから」

静寐「それで、朝ベットが空だったんだ…」

箒「信二の力の源はそこなのだな」

 

箒と静寐が何か言っているが聞かなかったことにするのであった。

 

千冬「では、3人には飛行訓練で飛んでもらう」

 

そう言って、セシリア・信二・一夏の順で飛んでいた。

 

千冬『織斑!なんでそんなに後ろになっているんだ。スペック上ではお前が一番上だぞ』

一夏「そう言われてもな。自分がどう浮いているのかをイメージしろって言ってもな」

信二『確かに難しいよね。僕は自分に翼が生えているっていうイメージで飛んでるけどね』

セシリア『イメージは所詮イメージですわ。自分に合ったイメージを模索するのが建設的ですわよ』 

 

その時、地上にいる織斑先生から、指示が出てきた。

 

千冬『全員地上5㎝で止まるように降りてこい。新田には別の指示がある』

セシリア「それでは、お先に失礼しますわ」

 

先に出たセシリアが地上5㎝で見事に止まった。さすが代表候補生である。こっちに向けてウインクする余裕まで見せた。

 

一夏「じゃあ俺も行くぜ!」

 

そう言って、一夏も飛び出していった。しかし、減速すると思っていたが、勢いそのままで地面に激突!巨大なクレーターを作るのであった。

 

千冬「馬鹿者!穴をあけてどうする!」

一夏「すみません…」

千冬「全く、それじゃあ最後は新田だな」

信二「は、はい!」

 

一体、どんな無理難題を吹っかけてくるのか。

 

千冬『そうだな、瞬間加速(イグニッションブースト)を使って地上5㎝の所で止まったのち、逆噴射で10㎝の所で静止すると言うのはどうだ?』

 

真耶「織斑先生!いくらなんでも無茶苦茶です!」

セシリア「そうですわ!!そんな事わたくしでもむりですわ」

千冬「そうか、だがな、新田はやる気だぞ。ほら」

信二「…わかりました。やってみます」

 

そう言って、信二はスタートの構えをとった。

 

(シンジ、私がサポートする。思いっきりいけ!)

 

わかったよ。行くぞ!

 

 

信二はISの後部スラスターの内部に一度取り込み、圧縮してエネルギーを放出した。ドン!

 

すごいGだ!

 

そして、爆発的に加速し景色は地面が目の前に迫ってきた。10㎝…7㎝…5㎝に迫ったその時である。

 

(まだまだ……ここだ!)

 

信二「ここで、逆噴射―――!」

 

逆噴射のGにも何とか耐えて地上から10㎝の所に静止することが出来た。

 

一夏「うぉ~スゲー!信二!」

セシリア「流石ですわ!」

箒「うむ!見事だぞ!」

静寐「カッコイイ///」

真耶「すごいですね!新田君!」

千冬「…あぁ、確かにな」

 

一番驚いた信二はしばらく放心状態であった。

 

やったよマホ!

 

(ああ、見事だったぞ、シンジ!)

 

しかし、この出来事に1人考え込む人物がいた。千冬である。

 

千冬(今の技は代表候補生でも成功するかどうかの技だぞ。それを若干2週間の新田が出来るのだ。これは、探りを入れる必要があるな。ちょうどアイツも暇してたからな)

 

その後は、専用機持ちが班長となって日本国産の第二世代型IS【打鉄】の装着と歩行を行う。しかし、一夏と信二の班に集中したので千冬が出席簿アタックをして、公平に割り振られた。

 

信二の班には静寐、箒、そして、ショートカットに小豆色の髪をした女子生徒がいた。

 

信二「えっと、それじゃあ始めるね。じゃあまずは…」

???「はーい相川清香です。出席番号一番。ハンドボール部、趣味はスポーツ観戦とジョギングです!」

信二「相川さんだね。それじゃあまずは装着からしてみようか」

清香「よろしくお願いします!」

 

そう言うと清香はIS【打鉄】に乗り込んだ。そして、装着と歩行を終えて次の生徒に変わろうとした時に事件が起きた。清香は立ったままでISを停止させてしまったのである。そうなってしまうとコクピットまでが遠くなる。

 

清香「なんかごめんね」

信二「大丈夫だよ。それじゃあ次の人は?」

静寐「はい!よ、よろしくお願いします///」

信二「静寐だね。時間もないしちょっと失礼して」

静寐「え!?きゃあ!」

 

『キャーーーーーー!』

 

あまりにも遠いため、信二はIS【ヤークトティーガー】を展開してコクピットまで運んで行った。…静寐をお姫様だっこしたまま。

 

静寐「ちょっと待って!」

信二「あまり動かないでよ///恥ずかしいんだから///」

静寐「う、うん///」

 

ほどなくして、コクピットに到達した。そして、静寐を離すと一瞬暗い顔をした。しかし、時間がないので静寐は歩行訓練をした。そして、静寐も打鉄を立たせたまま停止させてしまった。

 

静寐「あ、あー立たせちゃったなー早くしないと授業終わっちゃうなー」(棒)

 

いかにも棒読みに言って、次の人にバトンタッチした。

 

信二「はぁ…次の人は?」

箒「わ、私だ!」

信二「箒か、それじゃあ失礼」

箒「う、きゃあ!」

 

『キャーーーーーー!』

 

箒もお姫様抱っこをして、コクピットまで連れて行った。そして、乗せた時に箒からある提案があった。

 

箒「信二、今日のお昼はどうなっているんだ」

信二「今日は、特に決めてないよ」

箒「そ、それなら一緒に食べないか?」

信二「それは、静寐やセシリアとも?」

箒「い、いや…信二と2人っきりがいい///」

信二「箒…わかったよ」

箒「ほ、本当か!約束だぞ!」

信二「わかったよ、何とか努力してみるよ」

箒「うむ!///」

 

その後は、皆と同様に歩行訓練をしたが、箒の時だけ抜群に良かったとか。そして、お昼になって箒は先に屋上に来ていた。しかし、一夏やセシリア、静寐と女子生徒が1名いた。

 

箒「一夏はわかるとして、どうして静寐やセシリアがいるんだ!」

一夏「だって、信二に昼飯の事聞いたら『先約があるんだ。ごめんね』って言ってたから、セシリアに聞いたら、『多分、屋上に行くと思いますわ。わたくしも行きます

けど』って言ったんだ。そして、来てみたらこんな感じに…それに、皆で食べたほうが美味しいだろ!」

箒「はぁ~そういうことに関しては人一倍敏感だよな」

???「そうだよ。おりむーの言う通りだよ」

 

そういったのは、IS制服がぶかぶかの女の子だった。クリーム色の長髪にのほほんとしたイメージの子で一夏に付いてきた。そんな談笑していると、屋上のドアが開いて信二が現れた。

 

信二「ごめんね遅れて!あれ?どうして織斑君が居るの?」

一夏「大丈夫だ!」

箒「ああ、ダイジョウブダ」

 

一瞬で恐怖を感じた信二はびっくりしてしまった。

 

信二「そ、それよりも、みんなどうしたの?」

静寐「それが、たまたまセシリアさんと一緒になって、天気がいいから、たまたま屋上で食べようと思ってね」

セシリア「わたくしも、たまたま、静寐さんと一緒になって、たまたま、屋上で食べようと思っていたところですわ」

 

2人とも『たまたま』の部分をえらく強調していた。しかし、ここまで来たら仕方ないので皆で食べることにした。

 

信二「そう言えばその子は?」

本音「初めまして~私は布仏本音(のほとけほんね)って言うよ~よろしくね!しんにゃ~」

信二「し、しんにゃ~?」

本音「うん!信二とねこのニャーを足してみた」

信二「あ、ありがとう。仇名を付けられたのは初めてだよ。それじゃあ食べようか」

一夏「おう!そうだな!腹ペコなんだよ!」

 

そう言って、皆でご飯を食べるのであった。そこには、色とりどりの弁当が並んでいた。

 

信二「うわ~凄いね!これ全部箒が作ってきたの!?」

箒「ま、まぁな///」

静寐「いいなぁ」

セシリア「羨ましいですわ」

一夏「それで、朝から弁当作っていたのか。流石だな」

箒「うむ!さぁ食べてみてくれ」

 

そう言って、信二は箒の弁当を食べるのであった。

 

箒「特にこの唐揚げは自信作なんだ」

信二「そうなんだ。いただきます…うん!外はカリカリ、中はジューシーでとっても美味しいよ!」

一夏「そうだな!美味いぞ箒」

箒「ありがとう///」

 

箒の手には絆創膏がいっぱい貼ってあった。相当努力したのだと思い、信二は幸せを嚙み締めながら食べるのであった。すると、セシリアが徐にバケットを取り出してきた。

 

セシリア「わたくしも、多少ですが料理をしてきました。ぜひ召し上がってください」

信二「そうなんだ。ありが…っう!」

 

バケットを開けた瞬間、周りの空気というよりも匂いが変わった。それは甘いや酸っぱいと言う匂いではなく、色々な混ざって訳が分からなくなっていた。

 

セシリア「さぁどうぞ!」

信二「う、うん…」

 

見た目は綺麗なBLTサンドなのだが、甘い匂いがプンプンしてくる。信二は心の中で「南無阿弥陀仏」と唱えて目の前のBLTサンドにかぶりついた。

 

 

その瞬間、口いっぱいに広がった甘味やら酸味、辛味、苦味などの五感を刺激する味覚により、信二の意識は一気に闇に落ちた。

 

一夏「おい!信二どうした!?」

箒「そんな!大丈夫か信二!」

静寐「信二君!」

セシリア「信二様!」

皆が声をかけるが信二の意識は戻らなかった。

 

~~信二side~~

信二「ここは何処だろう?」

 

信二は知らない空間にいた。周りは真っ暗で上下左右が分からない。ただわかるのは死んではいないことくらいである。

 

信二「そうだよね。よくお花畑の向こうに家族がいるとからそんな事ない「そうとも限らないぞ」え!?」

 

そう言った側から信二以外の声がした。幸いマホは起動してないのでそれ以外になる。

 

信二「だ、誰!」

 

???(ここよ、信二)

 

???(ここだぞ!信二)

 

信二「え!か、母さん!父さん!」

 

そう、そこには信二の親子にして、かつて仲間の研究者によって殺害された父(あきら)と母美波(みなみ)がいた。

 

美波(元気そうね信二)

 

晃(暫く見ないうちに大きくなったな)

 

信二「当たり前だよ。何年経っているんだよ」

 

今にも泣き出しそうな顔を、必死に堪えて何とか言葉にした。

 

信二「2人がいるってことは、ここはあの世なの?」

美波(そんな事ないわよ)

晃(正確にはあの世とこの世の境目だな)

信二「じゃあなんでここに居るんだろ」

美波(多分セシリアちゃんの料理を食べたからそうなったのね)

晃(確かにあの料理は凄そうだな。まぁ母さんの料理にしてみればまだマシだかな)

美波(ウフフそれはどういうことかしらねア・ナ・タ?これは、お仕置が必要そうね)

晃(おっとまずい!あのお仕置だけは勘弁してくれ!)

美波(それは、アナタ次第かな)

信二「相変わらず尻に敷かれているんだね…」

美波(それよりも、もうすぐ戻りそうよ)

信二「そんな!せっかく出会えたのにお別れだなんて!」

 

そう言って信二な手を伸ばしたがそれは、呆気なく空を切った。

 

晃(大丈夫だぞ!お父さん達はいつでも信二達を見てるからな!)

美波(ええそうよ。だから信二は、精一杯今の自分を楽しみなさない。)

信二「母さん、父さん。わかったよ!」

美波(それにしても、信二モテモテね~)

信二「母さん!茶化さないでよ///」

晃(いゃー懐かしいなぁ!俺も夕美ちゃんと藍子ちゃんから、告白された時は驚いたなぁ)

美波(…お仕置追加ね。しかも厳しめので)

晃(母さん!?)

信二「あはは…手加減してね」

 

そう言った瞬間、周りが光始めた。

 

信二「そろそろ、戻らなきゃね」

美波(忘れないでね。私達はいつでも信二の味方だから)

晃(そうだぞ!それと信二!好きな子を泣かしたら承知しないからな)

信二「父さん、うん!僕頑張るよ!」

 

そして、信二は戻るのであった

 

美波(さぁアナタお仕置の時間よ)

晃(ちょっと待って!鞭はダメだよ!)

美波(美波いきます!)

 

後ろで行わてれている夫婦喧嘩を後目に信二の意識はどんどん覚醒していくのであった。

 

~~信二side out~~

信二「う…うん?ここは?」

一夏・箒・静寐・セシリア『信二!(君)(様)』

信二「みんなどうしたの?」

一夏「どうしたのじゃないぜ!信二がセシリアの料理食べてから急に倒れたから、保健室に連れてきたんだよ」

箒「信二無事なのか?」

静寐「大丈夫?」

セシリア「わたくし、どうすればいいでしょうか…」

 

どうやら、信二が倒れてから一夏達が保健室まで運んで来たらしい。そんな落ち込んでいるセシリアを、宥めるために元気な言葉をかけるのであった。

 

信二「僕は大丈夫だから、そんなに落ち込まないでよセシリア」

セシリア「本当でございますか?」

信二「うん」

セシリア「ありがとうございます!信二様~!」

信二「おっと!」

 

セシリアは感極まって抱きついてきた。当然、箒と静寐は面白くなかった。2人はジト目で信二を見ていた。

 

信二「とりあえず、セシリアは料理をする時は味見をしてね」

セシリア「はい!もちろんですわ!」

 

そう言って信二から離れていった。時刻は18時。時間も遅くなって来たので今日は解散するのであった。

 

 

 

 

 

 

時同じくして、IS学園前に1人の少女が降り立った。両サイドをツインテールにして、ボストンバッグ1つで乗り込んできた子はいかにも活発な子だった。

 

???「ここが、IS学園ね。待ってなさい!一夏!」

 

一夏にも、一波乱ありそうな予感がするのであった。




と言うわけで、信二君の臨床体験回でした。親の名前はとある方から頂いております。
ヒントは私がプロデューサーと言うことです。

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第二章 セカンド幼馴染とクラス対抗戦
第十一話 セカンド幼馴染


とあるPです。

さて、いよいよチャイナ娘の登場です!

今回から第二章になります。それでは本編をどうぞ!!


一夏達と別れた信二は、自室に戻る途中総合案内所に1人の女の子がいるのを見つけた。なお、戻る時に静寐・箒・セシリアの3人でだれが付き添うかで、揉めたが「そこまで酷くない」と言い1人で戻ることになった。

 

???「ちょっとアンタ!」

信二「僕の事?」

???「そうよ。職員室ってどこにあるの?広くてさっぱり分からないんだけど」

信二「そうだよね。僕も初めて来た時は、迷子になりそうだったよ」

???「どうでもいいけど、案内してもらえる。千冬…織斑先生を待たせているんだから」

信二「わかったよ。こっちに来て」

 

そう言って信二は女の子を職員室まで案内する事にした。

 

???「そう言えば、自己紹介がまだだったわね。アタシ凰鈴音(ふぁんりんいん)って言うわ。鈴でいいわよ」

信二「僕は、新田信二。信二でいいよ凰さん」

鈴「鈴でいいのに」

信二「初対面の人をいきなり名前呼びは出来ないよ」

鈴「いかにも真面目なのね」

信二「まぁね。あ、着いたよ」

鈴「ここね。ありがとうね!信二」

 

そう言いて鈴は職員室に入って行った。信二は、近くの自販機でジュースを3本買い、職員室前で待っていた。そして、鈴が出てきた。

 

鈴「あれ、信二どうしたの?」

信二「凰さんここ初めてだから良かったら、部屋の前まで案内しようと思ってね。はいジュース」

鈴「ありがとうね!なら、お願いするわ」

 

そう言って、鈴の部屋に行くまで雑談をしながら向かうのであった。

 

信二「じゃあ、凰さんって、中国の代表候補生なんだ」

鈴「ええ、そうよ!それにしても、その眼帯どうしたの?病気なの?」

信二「まぁ、そんな感じかな…」

鈴「ふ~ん。あ、ここね!」

 

そう言って、鈴の部屋「1007」まで、やって来た。

 

鈴「それじゃあまた明日ね信二!」

信二「うん。またね凰さん」

 

鈴の部屋で別れた信二は部屋に戻ったが、その時部屋に静寐・箒・セシリアがいて「こんな遅くまでどこに行っていた!」と怒られるのであった。

 

 

 

 

 

 

次の日。いつも通りの時間に起きた信二は、朝の特訓に向かうのであった。その道中セシリアと出くわした。

 

信二「おはようセシリア。今日は早いんだね」

セシリア「し、信二様!おはようございます。今日は目覚めが良かったので散歩がてらに来ましたが、朝から会えるなんて幸せですわ!」

信二「そ、そうなんだ。じゃあ僕は行くね!」

 

信二が走り出そうとした時、突然セシリアが止めるのであった。

 

セシリア「あ、あの!」

信二「どうしたの?」

セシリア「もしよろしければ、信二様の特訓にお付き合いしてもよろしいでしょうか?」

信二「別にいいけど、どうしたの?」

セシリア「いぇ、この前のクラス代表決定戦でわたくしは、信二様に負けた時に思いました。もっと、己を強くしないといけないと、思い悩んだ末に今一度鍛え直す事だと思ったのです。ですから、鍛える為には走り込みをと思いまして」

信二「なるほどね、けど、身体を鍛えるのと、慢心しない心を鍛えるのは違うからね」

セシリア「それは、最もですが…」

信二「けど、セシリアがそう思ったことに僕は嬉しいよ」

セシリア「信二様♡」

信二「なら、一緒に特訓頑張ろうか」

セシリア「はい!」

 

その後は、一緒に信二の特訓メニューをこなしていった。そして、朝食の時間になりつつあった。

 

信二「それじゃあ、また食堂でね」

セシリア「はい!」

 

そう言って、信二とセシリアは別れた。部屋に行き、静寐が起きていることを確認してシャワーを浴びて、食堂に向かうのであった。

 

途中、箒とセシリアと出会い、セシリアが朝の件について自慢げに話しており、それが原因で修羅場が発生するのはまた別のお話…

 

 

 

 

 

 

 

朝のSHRが終わってクラスの女子たちが話してきた。もっぱら来週の学年別トーナメントの内容で持ちきだった。

 

「織斑君、来週の学年別トーナメント頑張ってね!」

「私たち応援しているからね」

「頑張ってね!私たちの半年間のスイーツパスのために!」

 

一夏「おぅ!頑張るよ」

信二「織斑君、皆スイーツパスが目当てなんだけど…」

一夏「そうか?俺もスイーツ好きだから別にいいけどな」

信二「そうなの?」

一夏「そう言う信二はどうなんだ?」

信二「僕は、スイーツより団子や煎餅っていった、昔ながらのお菓子が好きかな」

箒「そうか?なら、今度茶を入れてやろうか」

信二「うん、お願いしてもいいかな?」

箒「心得た!」

 

そして、クラスメイトメイトはこんな事も言っていた。

 

「あとは、昨日2組に転校生が来たけど他は何もないよね」

「専用機があるのって、1組と4組だけだもんね」

「なら、優勝出来るんじゃあないの!」

 

鈴「その情報古いよ!」

 

声のする方向を見てみると、そこには、ドアを背に立っている鈴の姿があった。

 

鈴「2組も専用機持ちになったからね!そうやすやすと、優勝はできないことね!」

一夏「鈴、お前鈴なのか!」

鈴「そうよ!凰鈴音!2組のクラス代表になったんだからね!」

一夏「何やっているんだよ。あんまりカッコ付かないな」

鈴「うるさいわね!それより、信二。アンタは1組だったのね」

信二「おはよう凰さん。そうだけど早く退いた方がいいと思うよ…」

鈴「え?どいうことよ?「ガッツン!」痛い!」

信二が言おうとした時、鈴の頭に出席簿アタックが降り注いだ。

鈴「だれよ!げ、千冬さん…」

千冬「そこをどけ凰。そして、早く自分の教室に戻れ」

鈴「けど…」

千冬「退かないなら、もう一撃喰らいたいか?」

鈴「すみませんでした!一夏!信二!お昼食堂に来るのよ!」

 

そう言って、鈴は自分の教室に戻るのであった。

 

一夏「あいつ、昔から変わってないな」

信二「そうなんだ…」

 

信二はそれよりも、片づけておきたいことがあった。それは…

 

静寐・箒・セシリア『信二(君)(様)ドウイウコトカセツメイシテクダサイネ』

 

信二「ア、ハハハハ…」

 

隣で般若のお面を被った3人に対してどう言い訳をするのかである。

 

そして、お昼休みになり一夏と信二と静寐、箒、セシリアは食堂に向かうのであった。

 

鈴「待っていたわよ!一夏!」

 

鈴は器用にラーメンを持って一夏達を待っていた。

 

一夏「とりあえず、席を取っておいてくれよ。そこにいると、邪魔になるからさ」

鈴「わ、わかったわよ」

 

そう言って、全員が座れる席を探していた。因みに一夏は、海鮮丼、信二と静寐は担々麵、箒は小籠包、セシリアは麻婆豆腐にした。

 

そして、全員が座った所で昼飯となった。

 

一夏「そう言えばお袋さん元気か?風邪とか引いてないか?中華料理屋やっているのか?」

鈴「いちいち、質問しないでよ」

箒「それよりも、いい加減教えてくれないか?」

セシリア「そうですわね。どういった関係です?」

静寐「なんだか知り合いみたいな感じだけどね」

信二「だよね。話していた時もそうだったからね」

一夏「まぁ鈴とは幼馴染なんだよ」

箒「それは、私だけではないのか?」

一夏「箒とは、小4まで一緒だっただろ、鈴はそれ以降、中学まで一緒だったんだ。言うなれば箒はファースト幼馴染、鈴はセカンド幼馴染だな」

箒「そうなのか」

鈴「アンタが篠ノ之箒ね。話しは一夏から聞いているわ。アタシは凰鈴音」

箒「ああ、こちらこそよろしく」

セシリア「わたくしはセシリア・オルコット!イギリス代表候補生ですわ」

静寐「同じく信二君のクラスメイトの鷹月静寐って言います」

鈴「よろしくね、静寐、セシリア」

 

そう言って、3人共握手をするのであった。

 

箒「それよりも、どうして信二の事を知っているのだ!」

静寐「それは、聞きたいね~」

セシリア「さぁ、白状しておしまいなさい…」

鈴「わ、わかったわよ」

 

流石の鈴もこの3人からの追撃は勝てなかった。

 

鈴「昨日の夜にIS学園に来た時職員室の場所が知らなくて、悩んでいた時に偶然信二に出会って場所を教え貰ったのよ」

信二「そうだよね。それで、部屋の前まで案内したんだよ」

鈴「あの時はありがとうね」

信二「いぇいぇ♪」

 

ゴゴゴゴゴゴゴと言う音が背後から聞こえてきて信二はハッとして振り向くと、そこにはまた般若になっていたが3人いた。

 

箒「信二」

静寐「どういう事か」

セシリア「説明してもらいますわね」

信二「はい…」

 

そんな3人に責め立てられている、信二を見て一夏は

 

一夏「信二って浮気がばれた、旦那みたいだな」

鈴「そうね…」

 

昼飯を食べ終えた、時間は放課後である。一夏は信二、箒、セシリアと一緒に学年別トーナメントの特訓をしていた。

 

セシリア「ですから、この時は斜め45度に、そして、反重力を抑えて射撃をして…」

箒「だから、ここでズバーンとした後に、反転してドガーンとだな…」

一夏「すまん、2人とも全然わからん!」

信二「あはは…」

 

このように、箒は擬音セシリアは理論的過ぎてわからないことだらけであった。箒は運良く【打鉄】の予備があったため、借りて特訓に参加していた。

 

信二「織斑君、白式って装備がその雪片弐型しかないんだよね」

一夏「確かパススロットが無くて、これしか装備できないんだよ」

信二「それなら、格闘メインの戦いをすればいいと思うよ。僕でよかったら相手になるから」

一夏「そうか!サンキュー!」

 

そう言って、一夏と信二は組手をするのであった。完全に蚊帳の外になった2人は…

 

箒「ところで、信二とかは朝鍛錬しているのか」

セシリア「そうですね。今朝はしていましたからね」

箒「…すまない。なんでセシリアはそんな事を知っているのだ?」

セシリア「あ!」

箒「これは、静寐を交えて話し合いが必要だな」

セシリア「アハハ…」

 

そして、特訓が終わって自室に帰って来た時、信二の部屋の前で泣いている鈴を発見するのだった。

 




と言うわけで、導入編です。因みにこの時鈴はまだ、一夏の事が好きです。
次回からは、クラス対抗戦に向けての特訓が始まります。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第十二話 クラス対抗戦【前編】

とあるPです。

いよいよクラス対抗戦!やっと前半の山場ですね。今回は、前後編に分けました。

それと、アンケートですが8月末までにします。
(その頃には福音戦に入っていると思うので)


それでは本編をどうぞ!!


一夏達との特訓をした後に喉が渇いたので、自販機でジュースを買った後に自室に戻ろうとした時、信二の部屋の前で泣いている鈴が居た。

 

信二「凰さんどうしたの?」

鈴「…信二、アタシ、どうしたらいい…」

信二「…ちょっと場所を移そうか」

 

そう言って、部屋にいる静寐に『ちょっと遅れると思うから、先に寝てていいよ』と連絡して鈴を自販機の近くのベンチに座らせた。ついでにジュースを1本買って鈴に渡した。

 

信二「どうぞ」

鈴「ありがとう…」

信二「それで。なんで僕の部屋の前で泣いてたの?」

鈴「実はね…」

 

 

~鈴side~

アタシは練習後の一夏にぬるめのペットボトルとタオルを持ってそれを渡した。

 

鈴「お疲れ。一夏」

一夏「おお、鈴かサンキュー!」

鈴「それで、信二達との特訓はどうだった?」

一夏「あー信二と組手したけど全然ダメだったな。こっちの攻撃は弾くし、流されるし」

鈴「まぁアンタは昔から剣道だけは良かったからね」

一夏「ほっとけ」

 

そう言っていた、一夏は清々しい顔だった。そこまで、出来る信二を羨ましく思った。そんな一夏に聞きたい事があった。

 

鈴「あ、あのね、一夏///」

一夏「どうした鈴?」

鈴「小学校の頃にした約束覚えている?」

一夏「どうしたんだ急に?」

鈴「どうでもいいでしょ!で?覚えているの?」

一夏「そりゃあ覚えているよ」

鈴「そうよね!」

 

ここまで、アタシはとても嬉しくなった。しかし、次の瞬間、絶望に変わったわ。

 

鈴「料理が上手くなったら」

一夏「毎日」

鈴「酢豚を」

鈴・一夏『ごちそうする(奢る)』

一夏「あれ?」

鈴「うん?」

 

どうも最後の言葉がかみ合わなかったからアタシはもう一回言ったわ。

 

鈴「料理が上手くなったら、毎日酢豚をごちそうする」

一夏「料理が上手くなったら、毎日酢豚を奢る(・・)

鈴「はぁ?なんでアンタに奢らなきゃいけないのよ」

一夏「そりゃあ、タダで飯食べられるからな」

鈴「ば」

一夏「ば?」

 

 

 

 

鈴「一夏のバカーー!」

 

 

 

 

そう言って、アタシは一夏の所から飛び出してきた。

 

~~鈴sideout~~

 

 

 

 

 

鈴「てなことがあったのよ」

信二「そっか」

一通り話しを聞いた信二は内容を整理し始めた。要するに鈴は、日本で言う「毎日味噌汁を作ってあげる」=「好きだから結婚して欲しい」と思っていたのだ。

 

信二「けど、それは織斑君に言ってもわからないと思うな」

鈴「なんで?」

信二「だって、あの鈍感な織斑君だよ。クラスメイトに一切靡かないんだもの」

鈴「そうなの!?」

信二「何度、デートのセッティングをして欲しいと頼まれたと思う…」

 

そう言う信二の目はハイライトがオフになっていた。

 

鈴「アンタも大変ね…」

信二「まぁね。ところで凰さんって、織斑君の事…」

鈴「う!」

 

ちょっと顔が赤くなった。それで、信二は全てを察したのだ。

 

信二「そうなんだ。いいことだよ」

鈴「信二はそんなのなかったの?」

信二「僕は、そんなの無かったね。ここに来るまで、人付き合いは無かったからね…」

鈴「信二…」

信二「生まれた時からこんな格好だし、小・中学校はいじめられたしどこか煙たがられていたね」

鈴「そうなんだ。ごめんね」

信二「けど大丈夫だよ。ここに来た時沢山の大切な人に会えたから」

鈴「それって、箒や静寐、セシリアなの?」

信二「うん。僕の大切な人達だよ」

鈴「ねぇ、もしかして信二って3人のこと…」

信二「好きだよ。異性として」

 

自分でも「何言ってんだこいつ」と思っていたが、鈴の反応は違った。

鈴「へぇーやるじゃない。大切にしなさいよ」

信二「ありがとうね。凰さんも織斑君を取られないようね」

鈴「わ、わかってるわよ!」

 

鈴に元気が出たところで、解散することにした。

 

 

 

 

 

 

次の日。クラス対抗戦を明日に控えた一夏達は軽めの練習にしていた。そこに鈴は専用IS【甲龍】を纏って現れた。

 

鈴「一夏!この前言ったことを謝ったら、対抗戦で当たった時手を抜いてあげてもいいわよ」

一夏「なんで謝らなきゃいけないんだよ!それに、手を抜かず全力でやれ!」

鈴「…わかったわよ」

信二「凰さん!」

 

そう言った、鈴の目は少し泣いていた。そんな鈴をほっておけない信二は、鈴の後を追うのであった。

 

一夏「なんだよ、信二まで…」

箒「一夏、この前の事とは何なのだ?」

セシリア「もしよろしければ、聞かせてくださいな」

一夏「いいぜ。実は…」

一夏はこの前の話しをした。そうしたら、箒・セシリア・静寐は怒った顔で

 

 

 

『馬に蹴られて死んでしまえ』

 

 

と言われたのであった。因みに、鈴のほうは信二は上手くフォローしたが、収まらず復讐の炎を燃やすのであった。

 

 

この時の信二は「やっちゃった…」と後悔していた。そして、クラス対抗戦の日。トーナメント表は開始10分前に発表する決まりになっていた。その第一は

 

『第一試合 一年一組 織斑一夏  VS  一年二組 凰鈴音』

 

一夏「初っ端からかよ」

鈴「これで、戦う準備は整ったわね」

一夏「なぁいい加減教えてくれよ」

鈴「フン!」

鈴は、そっぽを向いて反対側のピットに向かうのであった。仕方なく、一夏は自分のピットに向かうのであった。そんな鈴と一夏を見守るため、信二達はアリーナにいた。

 

静寐「この試合、どっちが勝つかな…」

信二「この前見たけど、凰さんの使うISは近接パワータイプ。織斑君も近接だけど純粋なパワーだと及ばないかもしれないね」

セシリア「なんにせよ、一度一夏さんには、痛い目にあって欲しいですわ」

信二「アハハ…」

 

そんな風に言っていると、両者がアリーナ中央で相対した。

 

鈴「最後の忠告よ!謝る気はある?」

一夏「ない!てか、鈴が怒るようなことをしたのか?」

鈴「そう…それがアンタの答えなのね」

 

『それでは、第一試合織斑一夏 VS 凰鈴音の試合を始めます!試合開始!』

 

鈴「いくわよー!」

一夏「こい!」

 

鈴は両端に刃を備えた翼形の青龍刀双天牙月(そうてんがげつ)で一夏に切りかかった。一方の一夏も雪片弐型で応戦するも、両端の刃を裁くことは出来なかった。近接は不利だと判断した一夏は一旦離れるのであった。しかし…

 

鈴「そうはさせないわよ!」

 

両肩にある非固定浮遊部位から、衝撃砲が発射され、一夏を襲った。

 

箒「あれは!」

 

セシリア「あれは鈴さん専用IS【甲龍】にある空間圧作用兵器・衝撃砲龍咆(りゅうほう)ですわ」

 

信二「確か、空間自体に圧力をかけて、衝撃自体を砲弾化して撃ち出すんだよ。だから、砲身も砲弾も眼に見えないのが特徴かな。その上、砲身斜角がほぼ制限がないから上下左右どこからでも撃てるんだよ。」

 

静寐「へ~信二君物知りだね♪」

信二「一応、勉強しているからね。けど、これは困ったね」

セシリア「ええ、どこから来るかわからない砲弾を避けないといけませんからね」

 

そう言っているうちに、一夏のSEはどんどん減っていた。けど、一夏もバカではなかった。鈴のちょっとした変化に気づいて受けるダメージを減っていた。

 

鈴「なんで当たんないのよ!」

一夏「やっとわかったぜ!ここから、反撃だ!」

 

そして、鈴に肉薄する寸前だった。

 

 

 

 

『ドーーーン!』

 

 

 

 

強固に張られたアリーナ会場のバリアを破って、謎の物体が落下して来た。それは、全身フルスキャンの腕がゴツゴツしたISだった。それを見た生徒達はパニックに陥った。

 

『キャーーーー!』

 

信二「マズイ!」

信二は、咄嗟に千冬に連絡した。

 

信二「織斑先生、正体不明のISがアリーナに出現しました。どうしましょう」

千冬『わかっている。教師陣が鎮圧に向かっているが苦戦している』

信二「なぜです!?」

千冬『システムがハッキングされて、非常事態レベル4の状態になっている。アリーナの隔壁が閉鎖されてしまって突入出来ていない。現在、3年の精鋭がクラックをしているが何時間かかるかわからん』

信二「わかりました。じゃあここから出られないんですね」

千冬『それに関しては新田、お前に任せる。どんなことをしてでも生徒を守ってくれ』

信二「了解しました」

 

そう言って、信二は電話を切った。そして、もう1人頼れる人物に連絡をした。

 

信二「もしもし、束さんですか」

束『はいはい!シンちゃんのアイドル!束さんだよ』

信二「単刀直入に言います。IS学園のシステムがハッキングされました。クラックを手伝ってください」

束『モチのロンだよ!ついでに、あのISについても調べておくよ!』

信二「頼みます!」

束『その代わりに、ご褒美が欲しいな』

信二「なんですか?」

束『あのね…夏になったら海に連れていって!箒ちゃんや他の皆と一緒に///』

信二「…お安い御用ですよ」

束『本当!嘘つかない?』

信二「はい!だから、よろしくお願いします」

束『OK!超特急で行ってくるぜ♪』

 

そう言って、信二は電話を切った。そして、IS【ヤークトティーガー】を纏った。

 

セシリア「信二様!どうしてISを付けているんですか?」

信二「説明している暇はないんだ。セシリアと静寐はドアの前から退避するように皆に指示して!」

静寐「わかったよ。みんなーどいてー!」

 

 

そうしている間に信二はマホと打合せをしていた。

 

マホ聞こえる

 

(シンジかどうした?)

 

今から、このドアを破壊する

 

(わかった。弱点を調べておく)

 

お願い!

 

(了解)

 

 

 そう言って、ドアの前に立った。

 

 

(シンジ、ここは徹甲弾にするか)

 

わかった

 

信二「徹甲弾装填!完了!ファイヤー!!」

 

背中のレールカノンから、徹甲弾が飛び出し、ドアに当たり爆散した。

 

信二「さぁ!早くして!」

皆はゆっくりと避難した。信二は次のドアを破壊しに校内を飛び回って次々と破壊していった。あらかた、終わってアリーナに向けると一夏と鈴そして、謎のISと対峙していた。

 

信二「織斑先生、こっちは終わりました。今から凰さんと織斑君の援護に向かいます」

千冬『ダメだ!お前まで巻き込まれたらどうする!』

信二「…確かにそうですけど、友達が戦っているのに見過ごす訳にはいきません!」

千冬『新田…』

信二「すみません!」

千冬『待て!新田…』

 

千冬の警告を無視してアリーナに向かうのであった。

 

マホ、バリアを破るにはどうすればいい?

 

(さっきと同様に徹甲弾を使う。だが、このバリアは近距離でないと貫通しないぞ)

 

なら、それで行こう

 

(しかし、そうなるとシンジの身体にもダメージが及ぶ場合がある)

 

それでもいい!早く織斑君たちを助けたいんだ

 

(…わかった。シンジの命令とあれば従おう)

 

ありがとう。それじゃあ行くよ!

 

(うむ!)

 

信二「徹甲弾装填!完了!ファイヤー!!」

 

至近距離からの徹甲弾を撃ったため、その破片が信二に降りかかった。その為、顔に切り傷が出来た。

信二「やっぱり、痛いね。けどこれでアリーナに侵入できる!」

 

そう言って、信二はバリアが切れた隙間から一夏達がいるアリーナに向かうのであった。




と言うわけで、クラス対抗戦前編でした。次回からは本格的な戦闘シーンに
なると思います。(上手く表現できるか微妙ですけど…)

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第十三話 クラス対抗戦【後編】

とあるPです。

コメントで13話が抜けてるとあったので投稿しました。
今後はこのよう事が無いように気をつけます!

それで本編をどうぞ!


第十三話 クラス対抗戦【後編】

 

アリーナでは鈴と一夏が謎のISが対峙して、そこにバリアを破って信二が乱入した。

 

『パリーン!』

 

一夏「なんだ!」

鈴「新手かしら!」

信二「2人ともお待たせ」

一夏・鈴『信二!』

信二「スモーク弾装填完了!散布!」

 

信二は、一夏・鈴それと謎のISとの間に乱入してきた。そして、スモーク弾を装填し、目くらましを張った。

信二「織斑君と凰さんは一度ピットに向かって!」

一夏「けど、信二はどうすんだ?」

信二「その間に注意を引いておくから!」

一夏「けど…」

信二「早く!!」

一夏「わかった!行くぞ鈴」

鈴「…わかったわ。信二、くたばっちゃだめよ!」

 

そして、鈴と一夏は謎のISと反対側のピットに向かうのであった。その時束から通信が入った。

 

束『ハロハロ~!シンちゃん大丈夫?』

信二「大丈夫ですよ。それで例のIS分かりましたか?」

束『うん。あれは、昔束さんが趣味で作っていたISだね。どこかの施設に置いていたのに、強奪されちゃった♪反省はしていない!』

信二「何やっているんですか!?」

束『けど、耳寄りな情報を持ってきたよ』

 

同時にマホからの思念通信が入ってきた。

 

《シンジ、私の方でも探っていたあれは》

 

『《無人機だ》よ』

 

信二「へ?」

束『だから、いくら攻撃しても問題ナッシング!』

 

《ああ、だから思いっ切り行けシンジ!》

 

信二「わかりました!ありがとうございます」

束『うん。あと、あれは「ゴーレム」って名前が付いているからね!勝ってねシンちゃん♪』

 

そう言って、束との通信は終わり、ゴーレムと相対するのであった。

 

マホ行くよ

(ああ、行くぞ!)

 

そして、信二はゴーレムに向けて吶喊していた。向こうは信二を敵だと認識し、早速撃ってきた。信二は榴弾をセットし応戦した。

信二「榴弾装填完了!目標目の前敵ISゴーレム!ファイヤー!!」

 

信二の撃った榴弾がゴーレムに当たった瞬間、広範囲に爆散した。それを連続で撃ち続け、ゴーレムにある程度のダメージが入った所で弾の種類を変えた

信二「次、焼夷弾装填完了!ファイヤー!!」

 

焼夷弾をゴーレム手前に撃ち周りが燃えている時に、徹甲弾に装填中にゴーレムも小さいが、ビームを連発してきた。何とか躱すが、数発が当たってしまい、SEが減った。このままではマズイと思い、徹甲弾を撃とうとした瞬間…放送室から箒の声がした。

 

箒『信二―!勝ってくれー!』

 

信二は驚きながらもゴーレムの動きを注視した。それに気づいたゴーレムは腕にある銃口を放送室に向けた。

 

信二「箒!なんでそこにいる!」

《マズイ!信二!》

箒『ひ!』

 

ゴーレムの腕に光が集まっていき、箒に向かって放たれた!その時、信二は瞬時加速(イグニッションブースト)をして放送室と巨大なビーム光線間に入り、両腕のシールドを全開にした。

 

信二「マズイ!…間に合えーーー!」

 

そして、その瞬間周囲が赤く染まった。

 

信二「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

箒「信二~!!」

 

熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、身体が焼けるように熱い。しかし、ここを退く訳にはいかなかった。後ろには大好きな人が、死んでも守りたい人がいるのだから。

そして、ゴーレムからのビーム光線がやっと終わると、信二の身体は出血がひどく、力なく落下していった…

 

箒「信二―――!」

 

信二は薄れゆく意識の中で思った。「大切な人を守ることが出来た」と…

 

 ~~信二side~~

信二「ここは、あの時きた場所か」

 

信二は、真っ暗な空間に居て、そこにはマホの姿もあった。

信二「マホ?」

(シンジ…いやここではマスターとでも言った方がいいか)

信二「どうしたの?改まって?」

(いや、ここに来たと言うことは、そろそろ次のステップに進んでもいいと思ったのだ)

信二「次のステップ?」

(そうだ。…マスター貴方に問う。力を欲するか)

信二「…」

信二「確かに力が欲しい。みんなを守る力が欲しい」

(…わかった。なら解放しよう。願うか?汝、より強い力を欲するか)

信二「ああ、みんなを守る力を!比類なき最強ヲ!」

 

~~信二side out~~

 

その頃、現実世界では信二が倒れているところに、ゴーレムが向かって来た。未だに信二はゴーレムの攻撃から動かずにいた。

箒「信二、起きろ!頼むから目を覚ましてくれ!まだ、私はやりたい事がいっぱいあるのだ…」

 

箒は涙を流しながら必死に呼んでいた。ゴーレムがこちらに向かってくることを忘れながらも信二に問いかけていた。しかし、ゴーレムは無慈悲にも銃口を箒に向けたのだ。

箒「いや、助けて…信二…」

 

箒が信二に助けを懇願した時、箒の後ろから1発の弾丸が放たれた。

 

『ドゴーン!』

 

その威力は、ゴーレムを吹き飛ばすには十分だった。吹っ飛ばされたゴーレムは砲弾が飛んできた方を見ると、そこには信二が立っていた。

 

だが、今までとは違う雰囲気に何やら警戒する動きを見せていた。そこにいた信二は眼帯が取れており、左目の緑色は黄金色になっていた。

信二「箒」

箒「し、しんじ…」

信二「大丈夫だった?」

箒「う、うん///」

信二「よかった。ちょっと騒がしくなるから箒は早く逃げてくれ」

箒「う、うむ///」

 

そう言って、箒は放送室から逃げって行った。いなくなった事を確認した信二は…

 

信二「マホ行くぞ!」

 

(了解した)

 

Hasenjagd(狩りの時間だ!)

 

信二は両腕の装甲を外し、トンファーを取り出した。そして、瞬時加速で一気に肉薄し、ゴーレムの頭・腕・脛・背中、ありとあらゆる場所にトンファーを打ち込んだ。

対してゴーレムは巨大な腕をしならせて、打ち込んでくる。しかし、それを防いで信二は更に打撃を叩き込み空中に蹴り上げて徹甲弾を発射させた。

 

負けじとゴーレムも徹甲弾をかわして再度ビーム光線を発射して信二へ肉薄して来た。信二も同じ手を食らわないように更に加速し避けきった。

 

マホ、僕の身体はあと、どのくらいもつ?

 

(あと10分と言ったところだ、しかし、どうした?)

 

ちょっとあのゴーレムにお灸を据えておかないとね。箒を泣かせた事を後悔させてやる…

 

(わかった。但し、身体への負担が多くなった場合は10分より前に時間切れになるぞ)

 

了解!

 

信二「行くぞ!」

 

信二はマホとの思念通信を終え腰を低くして、スピードスケート選手の様に構えた。そして、また瞬時加速(イグニッションブースト)をして、背中にあるスラスターを次々に点火させることによって、加速をおこなう個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)をゴーレムに向かって行った。

 

その行動に他の人からは歓喜が湧き上がってきたが、管制室から覗いていた千冬と真耶は驚愕していた。国家代表選手ではない、若干2週間しかISを動かしていない信二が個別連続瞬時加速をやってのけてしまったのだ。

 

そして、個別連続瞬時加速中に信二は、トンファーを振るってゴーレムを攻撃していた。最後に距離を取って徹甲弾を装填し発射した。

 

徹甲弾を受けたゴーレムは、爆散した。破片が飛び散る中、エネルギーを回復してきた一夏と鈴が飛んできた。

 

一夏・鈴『信二!』

 

それを見た信二は安心しきって背中から倒れたのであった。その周りは血で赤く染まっていた。

 

一夏「マズイ!意識がない」

鈴「それに身体が冷たいわ。早く運ばなきゃ」

 

信二を背負った一夏は急いでピットに戻った。そこには、千冬・真耶・箒・セシリア・静寐が揃っていた。

千冬「織斑。新田の容態はどうなっている」

一夏「かなり出血があるよ。千冬姉!」

千冬「織斑先生と、まぁ今は急を要するから仕方ない。山田先生救護の手配を…」

真耶「…」

千冬「真耶!!」

真耶「は、はい!」

千冬「急いで救護班の手配と輸血の用意を手配してくれ!」

真耶「わ、わかりました!」

 

そう言って、真耶はピットから出ていくのであった。

千冬「お前たち何をしている!早く新田を運ばんか!」

 

『は、はい!』

 

信二を運んでいる時に、クラスメイトが大勢いたが道を開けてくれた。その後ろには血の道が出来ていた。保健室に入ると緊急オペが始まり、手術が開始された。皆不安がっており、その中でも、箒とセシリアの落ち込んでいる姿は最悪だった。

千冬「みんな、一度部屋に戻って着替えてこい。ここは、私と山田先生で受け持つ」

セシリア「…嫌…ですわ…嫌ですわ!わたしくしは絶対に、絶対に信二様の傍を離れたくありませんわ!」

箒「私も同じです。こんな事になったのも私が原因なのですから…」

千冬「いい加減にしろ!!」

 

手術室前に千冬の一喝が響き渡った。それに臆していたのか、先ほどまで塞ぎがちだった、箒とセシリアは従うのであった。

千冬「すまない。だが、ここは病室だ。こんなに大勢いたら新田の迷惑になる」

箒・セシリア『わかりました』

千冬「鷹月も一度部屋に戻って着替えてこい」

静寐「はい…」

 

そして、それぞれが一度部屋に戻り再び手術室に戻ってきた。そこには、かなり落ち込んでいる千冬と意識を失って倒れていた真耶がいた。

 

一夏「山田先生どうしたんです!」

千冬「織斑…それにみんなも来たか。実は先ほど医師から連絡がった」

静寐「…なんて言われたのですか?」

千冬「…一応命はとりとめた。しかし、危険な状態であることには変わりない。こんな事は言いたくないが…」

千冬は一旦言葉を区切った。そして、

 

 

千冬「みな覚悟しておくように」

 

 

それを聞いた瞬間、セシリアと静寐が倒れこんだ。箒も態度には出さないが、内心放心状態だった。一夏と鈴はセシリアと静寐を看病していると、手術室のドアが開いた。そして、全身を管に繋がれていた信二が出てきた。

『信二(君)(様)!』

「静かにしてください。大丈夫です、最善は尽くしました」

千冬「ありがとうございました」

 

その後医師から、これかの術後について話しがあった。

「けど、これからが勝負になります。まずは、救護カプセルで輸血と傷の損傷部位を治していきます。その後は経過を見てリハビリになります。ご家族の方には」

千冬「わかりました。連絡は私が行います」

「よろしくお願いします」

 

そう言って、信二は病室へ運ばれて行った。

 




と言うでクラス対抗戦後半でした!

やっぱり戦闘描写は難しいですねw

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第十四話 これからの自分

とあるPです。

最近投稿が遅れて申し訳ありません!最近スランプ気味で書く内容がまとまりませんでしたので…

それと、先に言っておきましが今回で、クラス対抗戦が終了します。

日常編を一話挟んで、次回は金銀がそろいます。

それでは本編をどうぞ!!


信二がゴーレムを撃退した日の放課後。千冬ととある人物はアリーナの地下にある場所にいた。そこには、半壊状態のゴーレムが横たわっていた。

 

千冬「それで、解析のほうはどうなっている」

 

???「こちらになります」

 

千冬「うむ。確かに、この状態では解析は不可能か…コアはどうなっていた」

 

???「運よく破壊は免れていましたが、何処にも登録されていないコアでした」

 

千冬「そうか、わかった。もう一つの方はどうなっている」

 

???「それが、情報が少ないので何とも言えません」

 

千冬「それは、お前の家の力を使ってでもか?」

 

???「そんな事ないですけど、あんまり家の力を使いたくないです」

 

千冬「そうか、わかった。引き続き頼む。更識(・・)

 

楯無「わかりました。織斑先生」

 

 

そう言って彼女、更識 楯無(さらしき たてなし)は出ていった。彼女こそ、IS学園最強の称号「生徒会長」を持ち、現在はロシア国家代表をしている人物である。水色の髪をしており、赤い瞳にどこか猫っぽい性格の持ち主。だかそれは、表の顔。裏の顔は対暗部用暗部(・・・・・)の更識家17代目当主である。最も、本人はあまり家の力を使いたくないと言っている。

 

 

 

ところ変わって、ここはIS学園内にある病室の一角。昨日のゴーレム襲撃から見事に学園を守った信二が眠っていた。信二は未だに意識は回復せず昏睡状態に陥っている。そんな中見舞いに来た人がいた。

 

真耶「こんにちは新田君」

 

信二「…」

 

真耶「よく眠っていますね」

 

そう言って、信二の頭を撫でる真耶であった。ゴーレム騒動で学園側に対応の電話がひっきりなしに鳴っている中、暇さえあれば真耶はここに来るのであった。

 

真耶「みんな新田君が帰って来るのを待っていますよ。勿論私もその1人です。皆さんあれから強くなろうと必死に訓練をしていますよ。織斑君は篠ノ之さんに剣道の基礎を、セシリアさんと凰さんは互いに訓練してます。鷹月さんも自分なりに模索しています。だから…」

 

その時、真耶の顔から涙が流れた。

 

真耶「だから、早く目を覚ましてくださいね。信二君」

 

 

 

 

~~信二side~~

 

信二「はぁーーー!」

 

(遅い!)

 

信二「うぉ!」

 

(左脚がふらついているぞ!それではまともなキックもできないぞ!)

 

信二「くそ!」

 

(どうした?ならこちらから行くぞ!)

 

信二「こい!」

 

信二は、亜空間(この前見た真っ暗な空間)でマホと対峙していた。ひたすらに、ただがむしゃらに組手から始まり武器の特性、瞑想とありとあらゆる特訓をマホと一緒に行っていた。ゴーレム襲撃直後にマホから(この前使ったVTシステムは、まだ真の力を発揮していない)と言われ、その力を100%使いこなす為にここでひたすら特訓していた。

 

信二「それじゃあそろそろ本気出してみようかな」

 

(ほぅ、ならこっちも力を出してみるとするか)

 

そう言って、信二は両腕の装甲を外し、トンファーを出して、眼帯を外した。その時左目が黄金色になった。

 

信二「みんなを守る力を!比類なき最強ヲ!」

 

Hasenjagd(狩りの時間だ!)

 

(来い!シンジ!)

 

信二は一気に瞬時加速(イグニッションブースト)で肉薄し、マホに向けてトンファーを振った。しかし、それは空を切りマホの回し蹴りが来たがトンファーで防いで一度距離を取った。

 

信二「流石に、一度で決めてくれないか…」

 

(まぁな。伊達にシンジの相棒をしている訳ではないからな)

 

信二「そうだった…ね!」

 

果敢に攻め続けるも、マホの先読みが勝っているのか中々当たらない。功を焦った信二は、一旦距離を置き個別連続瞬時加速(リボルバーイグニッションブースト)を出す姿勢をした。

 

信二「どこまで通用するかわからないけど、やってみようかな」

 

(そうか、ならこちらも次の一手で最後にしようか)

 

信二「そうだね。じゃあ行くよ!」

 

信二は個別連続瞬時加速(リボルバーイグニッションブースト)を行い、マホに肉薄して行った。それに対してマホは近接ブレード「葵」を取り出し居合構えを行いこの一手に全てをかけるつもりでいた。

 

そして…

 

「はぁーーーー!」

 

(あぁぁぁぁぁぁぁぁ!)

 

互いに交差する絶妙なタイミングで全力を出した。結果マホは片膝を付いき、信二の方はトンファーが両方砕け結晶となって消えた。どうやら引き分けらしい。

 

信二「あ~今度こそ勝てると思ったけどね」

 

(しかし、最初に比べれば大分進歩した方だと思うぞ。前は私の攻撃を防ぐだけで精一杯だったからな)

 

信二「けど、一度は勝ってみたかったよ」

 

(その内勝てるだろう。どうやら、迎えが来たみたいだぞ)

 

 

 そう言って、周りが明るくなってきた。如何やら向こうの世界で動きがあったみたいだ。

 

(行って来い。いつもでもシンジとの訓練は出来るからな)

 

信二「ありがとう。じゃあ行ってくるよ!」

 

信二は、明るくなった方へ歩き出した。その時、マホが呟いた…

 

(いずれにしても、次の脅威までには強くなってもらわないと…)

 

次の脅威が何なのか、それは信二しか知らない。

 

~~信二side out~~

 

 

 

 

 

信二が入院して3日が経った。相変わらず目覚める気配がなく、今日もクラスメイトが見舞いに来るだけだった。しかし、4日経った日に目覚めた。目に飛びこんできたのは白い天井と、水色の髪をしており赤い瞳の人がいた。

 

信二「…ここは?」

 

楯無「学園にある病室よ」

 

信二「貴方は?」

 

楯無「初めまして、私は更識楯無と言うわ。新田信二君でいいのよね」

 

信二「はい」

 

楯無「君の事は少しだけ調べさせてもらったわ。けど、教えて欲しい事があるの」

 

信二「何でしょうか?」

 

楯無「なぜ、あの場所に飛び込もうとしたの?下手をすれば君は死んでいたのよ」

 

信二「確かに、そうですね。けど友達を見捨てることはできませんでした。だから後悔したくない選択をしました」

 

楯無「結果的に助かったけど、君が重体になったら意味ないでしょ」

 

信二「アハハ…」

 

楯無「まぁ無事ならいいけどね。今度は無理しないことをお姉さんと約束するのよ♪」

 

信二「は、はい///」

 

そう言って、信二の鼻の上をツンと触れるのであった。不意にもドキッとしたのは秘密である。

 

楯無「それじゃあまたね」

 

信二「はい、更識先輩」

 

楯無「楯無でいいわよ♪」

 

信二「わかりました。楯無さん」

 

楯無「うん」

 

楯無が保健室から出た後、信二はナースコールを押して看護師を呼んだ。その後は、軽い検査を受け異常がないことを確認した。その後心配していた、静寐・箒・セシリア・一夏・鈴が保健室に押し寄せてきた。

 

 

『信二(君)(様)!』

 

 

静寐・箒・セシリアが信二に抱きつき一夏と鈴はホッとした顔になった。看護師によると明日にも退院が出来るし、普通に授業を受けても良いとのことだった。

 

それを聞いた3人は安心して、それなら明日迎えに来るとまで言った。そして、これまでの事を一夏達から聞いていたら面談時間が少なくなって来た。皆が帰ろうとした時に信二は一夏を呼び止めた。

 

信二「織斑君ちょっといい?」

 

一夏「あぁ、いいぜ」

 

箒「それじゃあ、一夏先に戻っているぞ」

 

一夏「わかったよ」

 

 

病室には信二と一夏だけが残った。先ほどのやり取りを見て一夏と箒が近しい間柄だと悟った。

 

信二「織斑君と箒さんって仲がいいよね」

 

一夏「あぁ、昔からの幼馴染だからな」

 

信二「そっか、なら悪いことしちゃったかな…」

 

一夏「どうしてだ?」

 

 

今更になって付き合っていることを一夏に話しても良いか迷ったが信二は、覚悟を決めて話すことにした。

 

信二「織斑君、実は前から箒さんと付き合っているんだ…」

 

一夏「…」

 

信二「…幼馴染とは知らずに報告が遅れてごめんね。けど、この気持ちに噓偽りはないから、だから!」

 

一夏「そっか!おめでとう!」

 

信二「え?」

 

てっきり、罵倒なり殴られるかと思ったら、まさかのお祝いでびっくりした。

 

一夏「そりゃあ、箒が誰を好きになろうが、自由だからな」

 

信二「まぁそうだよね」

 

一夏「ああ!だから、おめでとうだ!」

 

信二「ありがとう」

 

一夏「けど、あの箒がね~こりゃあ束さんを説得するのは大変だぞ」

 

信二「その事だけど…」

 

一夏「うん?」

 

信二「多分、束さんもていうか、静寐・セシリアとも付き合っている…」

 

一夏「うぉ~スゲーな!」

 

信二「けど、織斑君も凰さんといい雰囲気だと思うよ」

 

一夏「そうか?鈴はいつも通りだったけどな」

 

信二「そうなの?それよりも、仲直りは出来たの?」

 

一夏「何か鈴から『べ、別に昔の事なんていいけどね…』って言われたな。あれでいいのか?」

 

信二「そこで、ツンデレを発動させちゃったか…」

 

一夏「どうした?」

 

信二「何でもないよ!まぁ仲直り出来たのならいいけどね」

 

一夏「おう!それより…」

 

信二「な、何かな…」

 

急に一夏の顔がニヤニヤし始めた。

 

一夏「どっちから告白したんだ?」

 

信二「それは…全員向こうからかな?」

 

一夏「と言うと、鷹月さんとセシリア、箒から告白されたのか?」

 

信二「まぁそうなるね」

 

自分が言っていることがとても恥ずかしくなり、慌てて顔を隠した。一夏は「おー!すげぇ!」と感心していた。

 

「そろそろ時間ですよ!」

 

一夏「はい!じゃあ明日教室で!」

 

信二「うん、じゃあね一夏君(・・・)

 

一夏「ああ…うん?今名前で言ったよな!」

 

信二「うん」

 

一夏「よっしゃ~!」

 

そう言って、ガッツポーズをしてから保健室を出ていくのであった。信二はやれやれと思いながら、早く明日にならないかと思っていた。

 




と言うわけで、信二君が一夏を名前呼びにしましたね。(そこじゃあないだろ!)

…はい、箒との関係を打明けましたね。鈍感な一夏は幼馴染の恋を応援してましたが本人は気付いてませんでしたね。

次回からは金銀転校生編になります。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第三章 フランスとドイツの転校生
第十五話 仏と独からの転校生


とあるPです。

お待たせしてすみません。なかなか書く内容がまとまらずこんな時期になってしまいました。


それと、今回から3章に突入します!

それでは本編をどうぞ!!


ゴーレム襲撃から4日が経ち信二が退院の日となった。信二は、お世話になった看護婦長と喋っていた。

 

信二「お世話になりました」

 

「はい。またケガをしたら、いつでも来なさい」

 

信二「そうならないように強くなります」

 

「それはいいけど…あんまり無茶しちゃダメよ」

 

信二「でも…」

 

「偶には、仲間や大切な人の事も信じてあげなさい」

 

信二「はい!」

 

「さて、お喋りはこれぐらいにしないとね。外にいる子達がヤキモチを妬いてるから」

 

信二は外を見てみると、静寐達が物凄い形相でこちらを覗いていた。どうやら、心配して来たのに他の人と話していることに、ご立腹らしい。

 

信二「アハハ…それじゃあ」

 

そう言って、信二は外にいる仲間の元へいくのであった。早速静寐達からの質問攻めに合っていた。

 

「あれが、美波の息子ね…大きくなって」

 

この看護婦の意味深な発言は信二には届かなかった。丁度教室に付いたら朝のSHRが始まるところだった。どうやら真耶も信二が退院した事に気が付いたらしく、表情は安堵したものになっており軽く手を振っていたので、信二は他の人に見えないように返した。

 

真耶「皆さん座ってください。突然ですが、転校生を紹介します!」

 

信二「へ~どんな感じの子かな?」

 

一夏「まさか、3人目の男子とかかな?」

 

箒「一夏それはないだろう」

 

真耶「それではどうぞ!」

 

真耶の紹介により入ってきたのは2人であった。1人は金髪にアメジストのような紫色の瞳を持つ、男子(?)。もう1人は銀髪にルビーのような赤い目で、信二と同じ左目に眼帯をしていた。

 

全員がポカーンとしている中真耶は

 

真耶「それじゃあ自己紹介をお願いしますね」

 

???「シャルル・デュノアです。よろしくお願いします。ここにボクと同じ男性操縦者がいるって聞いて…」

 

「き」

 

シャルル「き?」

 

信二・一夏『ヤバい』

 

咄嗟に信二と一夏は耳を押さえて防御態勢を取ったが、遅かった…

 

 

『キャーーーーーーーーーーーー!』

 

 

信二・一夏『ぐおおおおおおおお』

 

 

女子たちのヘビーボイスが教室中に響き渡り耳を塞ぐのが遅く、全てを防ぎきれなかった。

 

「守ってあげたい系、王子様系来たー!」

 

「織斑君がイケイケ系なら、新田君はおとなし系、シャルル君は守ってあげたい系だよね」

 

「そして、織斑君から、シャルル君を守りたい信二君…ヤバ涎が」

 

女の子達の妄想は激しく、教室内に響き渡った。特に最後の人には1時間くらい問いただしたいと思った信二であった。そんな中、真耶は大きな声で皆を止めるのであった。

 

真耶「皆さん!まだいますから静かにしてください!」

 

千冬「そうだぞ。ラウラ挨拶しろ」

 

???「は!“教官”!」

 

千冬「私はお前の教官ではない。ここでは、織斑先生と言え」

 

???「わかりました」

 

そう言って、ラウラと言う少女は自己紹介を始めた。

 

???「ラウラ・ボーデヴィッヒだ!」

 

真耶「それだけですか」

 

ラウラ「以上だ」

 

そして、ラウラは一夏の前まで来て睨むのであった。そして、

 

ラウラ「お前さえいなければ…」

 

一夏「うん?」

 

 

「パン!」

 

 

ラウラは一夏の右頬を平手打ちした。それに黙っていないのが一夏であった。

 

一夏「何すんだよ!」

 

ラウラ「認めない!私は、あの人の弟だと認めない!」

 

その足で信二の方を見つけると、傍まで歩いてきた。

 

ラウラ「そして、貴様も認めない!私こそが最強だと思い知らしてやる」

 

信二「それはどうかな?」

 

ラウラ「チッ!」

 

言うだけ言ってラウラは自身の席に戻って行った。その時信二は内心焦っていた。先ほどからラウラを見るたびに鼓動が収まらない。これは、以前クロエを見た時と同じ感覚であった。もしかしたら、彼女も同じ人間ではないかと…

 

千冬「それでは、本日も始める。全員席に着け」

 

千冬の号令で事なきを得たが、信二は気になって仕方がなかった。そして、1時間目の座学が終わった。

 

授業が終わった時に、千冬が2人に頼んで来た。

 

千冬「織斑、新田。2人にはデュノアの面倒を見てもらいたい。同じ男子で今日IS学園に来たばかりだからな」

 

一夏・信二『はい!』

 

そして、2時間目は2組との合同演習である為ISスーツを着る関係上、男子はアリーナの更衣室に行かなければならない。

 

そこは、ここから結構な距離がある。信二と一夏はこの度に毎回ダッシュしなければならなかった。

 

シャルル「君たちが噂の2人だね。ボクはシャルル…」

 

一夏「悪いな、時間がない。後にして欲しい」

 

信二「そうだね。こっちだよ」

 

そう言って、信二はシャルルの手を握って教室を出た。その時「キャ~~~!」と言う女子の声があったが無視していた。

 

一夏「これから演習の時は、毎回アリーナ近くの更衣室に行かないといけないからな」

 

信二「そうだよね。だから少し走るね」

 

シャルル「え?時間にはまだ、余裕があると思うけど…」

 

そう思って廊下に出た途端、他の教室のドアが一斉に開いた

 

「見てみて!噂の転校生君だよ!」

 

「本当だ!しかも、織斑君と新田君もいる!」

 

「待って!新田君と手を繋いでいる!」

 

「お母さんありがとうね!今年のお盆にはおはぎ買って来てあげるから…」

 

 

最後の奴は(もっと上等な物を買ってあげなよ)と信二は思っていたが、今はこの包囲網をどう突破するか考えていた。

 

信二「そんな事をして後で織斑先生に知られても知りませんよ!」

 

「先生が怖くて学校に行けるかー!」

 

「者共であえー!」

 

女子たちの中には目から涙が出ていた。それほど、お説教が怖いのであろう。しかし、このままだと本当に捕まりそうなので信二はある事をした。

 

信二「デュノア君!ごめんね」

 

シャルル「え?キャ!」

 

 

「キャーーーーー!」

 

 

信二「ちょっと我慢してね」

 

シャルル「う、うん///」

 

信二「一夏!お先に~!」

 

一夏「お、おう」

 

そう言って、シャルルをお姫様抱っこした信二は女子生徒に向かって走った。そして、手前でジャンプしなんと壁に張り付いて走った。

 

シャルル「え!ちょっと待ってよ!」

 

信二「喋ると舌を噛むよ!」

 

「うそーーー!」

 

一夏「え!!」

 

見事に女子生徒の包囲網を突破した信二は、そのままの勢いで更衣室に着いた。遅れること数分で一夏もたどり着いた。

 

一夏「信二!あれは何だよ!チート過ぎるだろ!」

 

信二「ごめんよ。ああしないと女の子達を巻けないからね」

 

シャルル「凄いね…新田君って」

 

一夏「そう言えば自己紹介まだだったな。俺は織斑一夏!気軽に一夏って呼んでくれ」

 

信二「僕は、新田信二。僕も信二でいいよ」

 

シャルル「シャルル・デュノアだよ。ボクもシャルルでいいよ」

 

一夏「よろしくな!シャルル!」

 

信二「よろしくね。デュノア君」

 

シャルル「シャルルでいいのに」

 

信二「ごめんね。何だか下の名前で呼ぶの慣れなくてね…」

 

一夏「気にするなよ。信二だって今まで俺のことを苗字で呼んでいたからな」

 

そして、着替えるために服を脱いだが「きゃ!」と言いてシャルルは赤くなってしまい、部屋の隅に逃げてしまった。不思議に思った2人だが、時間が押していたので問い詰めるのは後にした。シャルルの着替えが終わりグランドに集合すると、ほとんどの生徒が揃っていた。

 

千冬「遅いぞ馬鹿者!まぁ今回は見逃してやるが次はないと思え」

 

『は、はい!』

 

千冬「それでは、これから授業を始める。まずは、模擬戦を行う。凰!オルコット!前に出ろ」

 

セシリア「なぜわたくしなのですか?」

 

鈴「え~面倒くさい」

 

千冬「いいから早くしろ!…アイツ(信二・一夏)にいいところを見せたいんだろ」

 

 

千冬が小さく耳打ちすると、それまでやる気が無かった2人が一気にやる気を見せた。

 

セシリア「仕方ありませんわね!」

 

鈴「やってやるわよ!それで、セシリアと戦えばいいの?」

 

セシリア「まぁ勝つのはわたくしでしょうか」

 

千冬「安心しろ、相手はもうすぐ来る」

 

その瞬間、空から声がして来た。よく見てみると真耶がISを装備して飛んでいるがどうも制御しきれていない。あのままでは、何処かにぶつかってしまいそうであった。

 

真耶「わー!退いてください~!」

 

千冬「はぁ…新田止めて見せろ」

 

信二「わかりました」

 

信二は素早くIS【ヤークトティーガー】を展開し真耶を止めるために飛翔した。そして、何とか近づいたが思ったよりも暴れ馬で信二でさえも止めるのに一苦労だった。

 

真耶「新田君!退いてください~!」

 

信二「山田先生落ち着いてください!」

 

お互いもみくちゃになりながら、何とか止まった。今更になって気づいたが、真耶と信二はお互いに抱きつきていた。

 

真耶「ありがとうございました。また、助けられましたね」

 

信二「こ、こちらこそ///」

 

真耶「どうかしましたか?」

 

信二「な、なんでもありません!」

 

真耶「あ!///」

 

真耶は自身の豊満な胸が信二に抱きつくことで更に形を変えて心臓の音が五月蠅いくらい高鳴っていた。そんな時…

 

信二「っ!殺気」

 

咄嗟に信二は真耶を庇うようにし両腕を展開しレーザー光線を防いだ。そこには、スターライトmkⅢを展開したセシリアの【ブルー・ティアーズ】がいた。しかもこめかみに青筋が立っていた。

 

セシリア「オホホ…外してしまいましたわ」

 

鈴「くたばれ!巨乳!」

 

信二「危ない!」

 

鈴は双天牙月を真耶めがけて投擲したが、それをラファールのマシンガンで真耶は撃ち落とした。そして、その後にセシリアのスターライトmkⅢも撃ち落とした。

 

千冬「オルコットと凰には山田先生、新田ペアに戦ってもらう」

 

真耶「頑張りましょうね!新田君」

 

信二「ええ、よろしくお願いします」

 

そして、両者は位置に着いた。その時真耶からプライベートチャンネルがかかってきた。

 

真耶『新田君、出来るだけ凰さんを近づけさせないでください。あとはこちらで対処します』

 

信二『わかりました』

 

真耶『はい!新田君の背中はちゃんと守りますからね』

 

信二『よ、よろしくお願いします///』

 

千冬「それでは、オルコット、凰VS山田先生、新田の模擬戦をはじめる!始め!」

 

鈴「先手必勝!」

 

信二「やらせないよ!」

 

先に動いたのは、鈴であった。それを阻止しようと信二が両腕の装甲でガードした。

 

鈴「なかなかやるじゃない」

 

信二「それは、お互い様だと思うけどね!」

 

そこからは、乱打戦になった。信二が打ち込むが、鈴がそれを避ける。逆に鈴が双天牙月を振るい、信二が装甲で受け止めるという一進一退の攻防が続いた。同じ頃、セシリアと真耶も上空で対峙していた。

 

セシリア「山田先生!最近信二様との距離が近いのでは?」

 

真耶「そ、そんな事ありません!そりゃあオルコットさんや篠ノ之さんを見れば羨ましい時もありますけど///」

 

セシリア「ムキー!許しませんわ!」

 

そう言って、真耶に向かってブルー・ティアーズからビーム光線を放った。だがそれは、全て外れた。その間に千冬は近くにいたシャルルに機体の解説をしていた。

 

千冬「デュノア、山田先生の機体について解説してみろ」

 

シャルル「あ、はい!あれは第2世代型量産機「ラファール・リヴァイヴ」で教師用にカスタムされたものですね。けど山田先生の場合は射撃に特化した装備なので専用機と言ってもいいですね」

 

千冬「そうだ。あれでも山田先生は元日本代表候補生で、学生時代は『銃央矛塵(キリング・シールド)』という二つ名で呼ばれていた」

 

箒「では、なぜ信二とペアをさせたのですか?」

 

千冬「特に理由はないが、即席のペアでどこまでできるか気になったのでな。ほら、決着がつくぞ」

 

そう言って、千冬は戦っている信二達を見た。そこには、4人は空中で戦っており鈴と信二が相変わらず乱打戦を行いるが、セシリアは鈴の援護が出来ず焦っていた。

 

鈴「セシリア!ちゃんと狙いなさいよ!危なく当たるところだったじゃない!」

 

セシリア「五月蠅いですわね!鈴さんがちょこまか、ちょこまかと動いて狙いが定まらないのですわ!」

 

真耶『新田君、避けてください』

 

信二『わかりました!』

 

2人が言い争っている間に信二は飛び上がり鈴から離れた。そこへ真耶がスタングレネードを投擲し2人が巻き込まれた。

 

 

『キャーーーー』

 

 

それが、決まり鈴、セシリアのSEが無くなったので試合終了となった。敗れた2人はあまり顔色が良くなく、落ち込んでいた。

 

千冬「これで我々教師の実力が分かっただろ。今後は敬意を払って接するように。では、これより実習に移る。班ごとに分かれろ!リーダーは専用機持ちが行う」

 

「やった!織斑君の所だ!」

 

「信二君!静寐とどこまで発展したの!」

 

「デュノア君!よろしくね」

 

「…よろしくねボーデヴィッヒさん」

 

それぞれが、思い思いの場所に行って授業が進んで行った。やはり朝の件が響いたのか、ラウラの班だけは上手くいかないようだった。

 

そして、授業が終わり着替えている時に一夏からこんな提案があった。

 

一夏「なぁ、今日のお昼はシャルルの歓迎も兼ねて一緒に食べないか?」

 

信二「メンバーは?」

 

一夏「箒、鈴、セシリア、シャルルと俺と信二でいいだろう?」

 

シャルル「ボクは大丈夫だよ」

 

信二「なら、静寐さんも加えても良いかかな?」

 

一夏「おう!多い方が楽しいからな!」

 

そう言って、みんなと一緒に昼飯を食べる約束をして、信二達は更衣室から出ていくのであった。

 




と言うわけで、シャルルとラウラの登場です。それと、山田先生も信二を意識し始めましたね。どうも好きなキャラが巨乳になる案件…

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第十六話 シャルルの秘密

とあるPです。

前回の投稿から1週間以上待たせてしまい、申し訳ない!

今回は、ちょっとラブコメ?に挑戦してみました。(思ったよりも書くの難しかったw)

それでは本編をどうぞ!!


一夏からの提案で、信二達は昼飯を食べる為に屋上へ向かっていた。先に箒達に連絡して屋上に来るように呼んでおり、信二達が屋上に着くと他のグループも食事を取っていた。

 

箒「信二、弁当を作って来たぞ。良かったら食べてみないか?」

 

静寐「わ、私も作ってきたよ!」

 

セシリア「わたくしもですわ」

 

信二「え?セシリアも」

 

箒「安心しろ、今回は私と静寐の監修の元作ったから大丈夫だ」

 

そう言って、信二はセシリアが作ってきたサンドイッチを手にして、食べてみた。すると以前のような五感を酷くする物も感じられず、素材その物の旨味が引き出されていた。

 

信二「美味しい!」

 

セシリア「良かったですわ!」

 

シャルル「前の料理はそんなに酷かったの?」

 

一夏「酷いってもんじゃあないぜ。信二が気絶して運ばれるくらいだからな」

 

セシリア「そ、それは!忘れてくださいまし!///」

 

そんな風に楽しく食事をして解散することになった。信二は少し寄り道をしてから自室に戻ると言い、皆とは別れた。そんな時ラウラと千冬が言い争っていた現場に出くわしてしまう。慌てて信二は木の影に隠れ様子を見ることにした。

 

ラウラ「教官!もう一度ドイツに来てISのご指導をお願いします!」

 

千冬「ダメだ。私にはここでやる仕事がある」

 

ラウラ「何故ですか!ここの人間はISをファッションとしか考えていない人ばかり!それでは、貴方の能力が落ちてしまう!」

 

千冬「言いたいことはそれだけか小娘。随分と偉くなったな」

 

ラウラ「う!」

 

その一言でラウラはたじろいでしまう。

 

千冬「私はもう軍をやめてIS学園の一教師として、ここにいる。それに…心配なこともあるしな」

 

ラウラ「織斑一夏の事ですか?」

 

千冬「ああ、そうだアイツは私がいないといけないからな…」

 

そう言った千冬の顔はIS学園の教師ではなく、1人の弟を心配する姉の顔であった。そして、予鈴を知らせる鐘が鳴った為ラウラは足早に去っていた。

 

千冬「盗み聞きとは感心しないな」

 

信二「ぎく!」

 

千冬「まぁいい。新田も早くいかないと遅刻するぞ。確か次の授業は私の番だったかな」

 

信二「す、すみませんでした!」

 

 

そして、放課後。授業が終わり部屋でくつろいでいた時、千冬とシャルルが大きめのバックを持って信二達の部屋に来た。

 

千冬「鷹月、引越しの時間だ」

 

静寐「え!それは来週末の話しだったはずですけど…」

 

千冬「状況が状況なので早まった。すまない」

 

静寐「そんなぁ…」

 

仕方なく静寐は渋々部屋の片づけをしていった。信二は「たまに来ても構わないよ」と言うと「うん!」と言い少し明るくなって笑顔で部屋を出ていいた。ちなみに静寐のルームメイトは箒になり、一夏が1人部屋になる。

 

 

シャルルの荷解きも終わり、時間もいいころ合いになった。シャルルからの提案として名前で呼んで欲しいと言ってきたので、信二はこれからのルームメイトになるため快く承諾した。

 

お互いその日は直ぐに眠りについた。明くる日、信二は日課のトレーニングを終えて部屋に戻ると、シャワーを使っていたシャルルがいた。

 

信二「シャルル?シャワー使っているのか」

 

シャルル「し、信二!ちょっと待って///」

 

シャルルから「待った!」がかかったので、信二はその場で待つことにした。数分後、制服姿のシャルルが洗面所から現れた。

 

信二「へぇーシャルルは着替えるの早いね」

 

シャルル「え!そ、そうかな?アハハハ」

 

イマイチ納得しないが、信二は洗面所に入り汗を流して制服に着替えてシャルルと一緒に食堂に向かっていた。途中で一夏と合流し、同室の箒がいなくなった事を少しだけ嘆いていた。

 

 

 

 

放課後になりこの日は一夏と信二の特訓と言う名目で、専用機持ちがアリーナに集結していた。そこで、ある事件が起きた。

 

信二「一夏の【白式】ってバススロットが無いよね」

 

一夏「ああ、零落白夜に全振りしているからな」

 

信二「それで、武器も雪片弐型一本だよね。それだと心もとないね…」

 

一夏「仕方ないさ!千冬姉から受け継いだ武器だ。これを使いこなして見せる!」

 

信二「そっか…凄いね一夏」

 

箒「それを言うなら、信二も凄いぞ」

 

信二「僕が?」

 

 

そこに割って来たのは、【打鉄】を纏っていた箒と、【ブルー・ティアーズ】を纏っていたセシリアである。

 

箒「そうだ。信二はIS初心者で武術の類も一切ないのにトンファーや砲撃といったことをしているから」

 

セシリア「そうですわ。しかも、入学して1週間で代表候補生の私と勝負して勝利したのですから、もっと胸を張ってもよろしいのでは?」

 

信二「セシリア…そうだね。ありがとう」

 

精一杯の笑顔で答えるとセシリアは「はぅ~ん♡」と言って悶絶していた。箒は「羨ましい…」と嘆いていた。その時、周りのギャラリーが騒ぎ始めた。そこにはISを纏ったラウラがいた。

 

「あれって、ドイツの第三世代IS【シュヴァルツェア・レーゲン】!」

 

「噓でしょ。本国ではまだ、トライアル段階じゃなかったかしら」

 

「それにしても、実践は早すぎない」

 

ギャラリーの話しには耳も貸さずに信二はジッとラウラのISを見ていた。

 

ラウラ「織斑一夏!私と戦え!」

 

一夏「嫌だ、戦う理由がねぇ」

 

ラウラ「そうか…ならそれを作るまでだ!」

 

一夏「!」

 

そう言って、ラウラは大口径レールカノンをIS解除状態の鈴に向けて発射した。警戒を怠っていた鈴は気付くのが遅くなり展開出来なかった。

 

しかし、信二が両腕のシールドで防いで事なきを得た。その間にシャルルのIS【ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ】のマシンガンが、ラウラに狙いを定めていた。

 

シャルル「ドイツの人って随分と沸点が低いね!」

 

ラウラ「第二世代風情(アンティーク)が!なめるな」

 

シャルルは徹底抗戦の構えをしていたが、監督教師に見つかり注意勧告を受けた。

 

「そこの生徒何をしている!名前と学年を言え!」

 

ラウラ「ち!今日はこれくらいにしておいてやる」

 

そう言って、ラウラはISを解除してアリーナを後にした。そして、信二達もISを解除してアリーナを後にした。

 

一夏「信二、さっきはサンキューな、鈴を守ってくれて」

 

信二「いいよ。それにしてもボーデヴィッヒさん随分と一夏に固執しているみたいだね」

 

一夏「そうだよな。多分千冬姉の事だと思うけどな」

 

シャルル「けど、あれはやりすぎだよね」

 

箒「うむ、武士の風上にも置けない奴だ」

 

静寐「武士って、ボーデヴィッヒさんは違うと思うけどね」

 

そんな事を話しながら、更衣室に向かっていた。更衣室に着いた途端、シャルルが服を纏めてそそくさと出て行ってしまった。その数分後に信二が部屋に戻ると案の定、シャルルがシャワーを浴びていた。

 

信二「そういえば、シャンプーが切れていたな。替えを渡さないと…」

 

信二は、脱衣所に入って中にいるシャルルにシャンプーを渡そうとドアを開けた。その時…

 

シャルル「え!信二!ダメーー!」

 

遅かった。運悪く信二は見てしまった。シャルルの一糸まとわぬ姿、それほど大きくないが均整の取れたおっ〇いがあり、つい見惚れてしまった。 また下半身は無駄のない美しい足になっており、セシリアに引けを取らない綺麗な身体だった。

 

その瞬間、信二の思考は停止し、ボーっと佇むしかなかった。数十秒後ようやく動き出し、シャルルにシャンプーを渡した。

 

信二「コレシャンプーノカエダカラ」

 

シャルル「あ、ありがとう」

 

信二「ジャア、マタネ」

 

シャルル「う、うん///」

 

替えのシャンプーをシャルルに渡した信二は、直ぐにドアを閉めて、ベッドに座った。そして、何をとち狂ったのか、

 

 

信二「うあーーーーーー!煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散

 

そう言いながら、部屋を飛び出した。途中女性生徒からは、奇怪な目で見られていたが、そんなの関係なくアリーナを走り回った。10周したところでさっきまでの光景を忘れて行った。

 

信二「ハァ、ハァ、ハァそうだよ、シャルルが女の子のハズない。何かの見間違いだよ」

 

そう言って、部屋に戻って行ったがそこにはジャージ姿で、明らかに体の一部(胸)が膨らんでいるシャルルがいた。

 

シャルル「お、おかえり、信二」

 

信二「た、ただいまシャルル」

 

シャルル「シャワー浴びてきなよ。話したいことがあるからね」

 

信二「う、うん」

 

信二は言われた通りシャワーを浴びてきた。信二がシャワーから上がると、シャルルは真剣な顔つきになっており、話し合う準備をしていた。

 

信二「話って何かな?」

 

シャルル「うん…」

 

信二「別に言いにくい事があるのならやめてもいい「ダメだよ!」わかった…」

 

シャルル「信二、ボクね…女の子で社長の愛人の子なんだ…」

 

信二「……」

 

シャルル「2年前かな。ボクのお母さんが病気で亡くなってすぐに、デュノア社の重役が来てIS適正検査を受けたんだ。そして、適性値が高いことが分かった。それで父であるアルベール・デュノアに拾われた。けど、デュノア社が経営危機に陥った時に父にここに行くように言われた…」

 

信二「けど、デュノア社ってISシェア第2位って聞いたが」

 

シャルル「第2世代ではね。今では第3世代の開発すら進んでいないから欧州では出遅れている。それで、いつフランス政府からの援助が打ち切られるかわからない状態だよ」

 

信二「…一夏と僕に近づいた理由は?」

 

シャルル「男性操縦者のデータを盗むこと。若しくはISの強奪が目的だよ。同じ男性なら手に入ると思っていたけどね。それも失敗しちゃったな…」

 

信二「…それで、シャルルはどうするの?」

 

シャルル「…良くて本国に強制送還されて、牢獄行きかな。笑っちゃうよね」

 

信二にとって、初めて怒りが湧いてきた。目の前にいる子は、生きることを諦めている様に見えてきた。そのようなこと到底許す信二ではなかった。

 

信二「…いかない」

 

シャルル「信二?」

 

信二「納得いかない!そんな事をする親に僕は納得いかない!確かに親がいないと子供は出来ない。けど、一番納得いかないのは、それを嫌と言わないシャルル!君にも非がある」

 

シャルル「ボクにも?」

 

信二「そうだよ。何でシャルルは諦めているの!なんでもっと我儘言わないの!」

 

それに、納得いかないシャルルは声を荒げて言った。

 

シャルル「ボクだって!ボクだってまだ色々経験したいよ!恋だって!勉強だって!部活だって!けど、もう無理だよ…」

 

そう言って、シャルルは泣き出した。そして、信二にすがって、

 

シャルル「ねぇ信二…助けて…」

 

信二「わかった」

 

信二は、シャルルの肩に手を置いて力強く誓うのであった。そして、何処かに電話をして始めた。

 

束『もすもす、ひねもす~』

 

信二『お久しぶりです。束さん』

 

束『お~シンちゃん!久しぶりだね』

 

信二『束さん。早速で悪いですけどお願いがあります』

 

束『うん!その子を助けてあげればいいんだよね』

 

信二『話しが早くて助かります!』

 

束『まぁシンちゃんの事は常日頃から観察しているからね』

 

信二『た、束さん!』

 

束『とりあえず、その子に代わって!』

 

信二『わかりました』

 

そう言って、電話をシャルルに渡すのであった。

 

信二「シャルル、電話」

 

シャルル「え?誰から?」

 

信二「束さん」

 

シャルル「束さんって…あの篠ノ之束博士!」

 

信二「そうだけど?」

 

シャルル「…改めて信二の凄さを感じたよ。もしもし変わりましたシャルル・デュノアです」

 

そこからは、女の子同士の話しとなった。時折、シャルルがこっちを向いて赤くなっていたが、気にしないでいた。そんな事を考えていると電話が終わった。

 

信二「束さんは何だって?」

 

シャルル「とりあえず、今まで通りの生活をしていてくれって。時期を見て連絡するって」

 

信二「そっか。なら今日はもう遅いし寝ようか」

 

シャルル「あ、あのね!信二にお願いがあるんだ///」

 

信二「何かな?」

 

シャルル「その、ボクこれからもここに居られると思ったら安心してね。出来たら…一緒に寝たいって思って///」

 

信二「シャルル…」

 

シャルル「ご、ごめんね!迷惑だったよね!」

 

信二「いや、突然だったからびっくりしたけど大丈夫だよ」

 

シャルル「じゃあ…いいの?///」

 

信二「ああ、シャルルが嫌じゃなければだけど」

 

シャルル「そ、そんな事ないよ!むしろ嬉しい///」

 

信二「シャルル?」

 

シャルル「な、何でもないよ!それじゃあ…お邪魔します///」

 

そう言ってシャルルはおずおずと信二のベッドに入ってきた。

 

信二「おやすみシャルル」

 

シャルル「待って!それと、もう1つだけお願いがあるの」

 

信二「なに?」

 

シャルル「2人きりの時でいいからボクのこの事は“シャルロット”って呼んで欲しいんだ///」

 

信二「それが」

 

シャルル「うん。お母さんが付けてくれた本当の名前…」

 

信二「わかったよ。おやすみ“シャルロット”」

 

シャルル「おやすみ信二」

 

そう言って、2人は眠りについた。余談だが信二ラブズ(静寐、箒、セシリア)には「信二(君、様)に新たな女狐が…」と感じとったらしい。

 

 

 

そして、翌朝シャルル改めてシャルロットは、信二よりも早めに目を覚ましていた。未だ隣で寝ている隻眼の少年に自身は助けられたのだと改めて思っていた。それと同時に好意も寄せていた。

 

シャルル「ありがとうね。信二。…ちょっとくらいいいよね///」

 

そう言って頬にキスをした。その数分後に信二は目覚めて日課のトレーニングに向かうのであった。

 




と言うわけで、シャルルの秘密がバレましたねWちなみに、この時までは信二はシャルルの好意に気づいていません。

それと、現状は「シャルル」で行きますが、あるタイミングで「シャルロット」に変えます

次回からは、タッグトーナメントの話しになります。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第十七話 タッグマッチトーナメント(前編)

とあるPです。

今回からタッグマッチトーナメントになります。前後編です。

それでは本編をどうぞ!!


シャルルの正体告白から次の日、一夏と信二、シャルルの3人はIS特訓のためアリーナに向かっていた。その途中、妙によそよそしいシャルルの仕草に一夏が気にしだした。

 

一夏「なぁ、シャルルどうしたんだ?何だかソワソワしていて…」

 

シャルル「な、何でもないよ!」

 

一夏「そうか?信二もそう思うよな」

 

信二「…ノーコメントで」

 

一夏「なんでだよ!」

 

そうこうしているうちに、アリーナに到着しが、そこにはとんでもない光景が広がっていた。先に来ていた、セシリアと鈴がラウラによって蹂躙されていて、2人は無残な格好になっており尚も攻撃されていた。

 

信二「セシリア!」

 

一夏「鈴!」

 

いち早く動いた信二はすぐさまIS【ヤークトティーガー】を纏ってアリーナに飛び込もうとした。しかし、アリーナに設置されていた、バリアによって入る事は出来なかった。

 

信二「しまった!バリアか」

 

以前のゴーレム襲撃に備えて、アリーナのバリアが強力になっていた。だから、容易に突破するのは、困難な状態になっていた。仕方ないと思った信二はプライベートチャンネルで千冬を呼び出した。

 

信二『織斑先生、今からアリーナのバリアを破壊します』

 

千冬『ダメだ、許可できない』

 

信二『では、友達がやられているのを黙って見ていないといけないのですか!!』

 

千冬『今から、私が向かう。それまで我慢して欲しい…』

 

信二『…すみません。反省文や懲罰は後で受けます』

 

千冬『おい、に』

 

信二は千冬が言い終わる前に、通信を切って、本気モードになった。

 

信二「悪いけど、一夏、デュノアさんは、ピットに向かって」

 

一夏「わかった、シャルル行くぞ」

 

シャルル「う、うん」

 

そう言って、シャルルと一夏はピットに向かっていった。それを見た信二は大きく深呼吸をした。

 

いくよ!マホ

 

(わかった)

 

信二は両腕の装甲を外し、トンファーを出してきた。そして、眼帯を外し左目が黄金色になったのを確認し、「Hasenjagd(狩りの時間だ!)」と叫び、バリアを破って、信二はアリーナに向かっていた。

 

 

 

 

~セシリア、鈴side~

 

一夏達がアリーナに来る、数十分前の話しになるわ。セシリアとアタシはアリーナにいた。理由は今度始まる学年別トーナメントに出場するため特訓するためであった。

 

セシリア「鈴さんも特訓なさるのですね」

 

鈴「当たり前じゃないの!勝って一夏にいいところ見せたいもの!」

 

セシリア「はぁ~」

 

鈴「何よ!そのどーでもいい溜息は!」

 

セシリア「あら?そう見えていましたか?」

 

鈴「セシリア!アンタバカにしているの?」

 

セシリア「その様なことございませんわ」

 

鈴「本当に~?てか、アンタは信二にいいところ見せなくてもいいの?」

 

セシリア「ご心配には、及びませんわ!わたくしと信二様の愛がその程度の事で揺るぐわけありませんもの!」

 

鈴「だといいけどね…うん?あれって?」

 

セシリア「あれは、ボーデヴィッヒさん?」

 

そこには、IS【シュヴァルツェア・レーゲン】を纏ったラウラがいた。ラウラはセシリアとアタシを一目見ると

 

ラウラ「イギリスのIS【ブルー・ティアーズ】と中国のIS【甲龍】か。どちらでもいい、私と戦え!」

 

セシリア「だそうですよ。」

 

鈴「アンタから行きなさいよ」

 

ラウラ「どちらでもいい。面倒なら2人同時でもいいぞ」

 

セシリア「それは、ごめんこうむりますわ。何だか弱い者いじめをしているみたいなので」

 

鈴「アタシもパス。今はそんな気分じゃあないから」

 

ラウラ「ほう、逃げるのか。そう言えばあの男2人も弱そうな人間だったな」

 

その一言が、2人に火を付けた

 

セシリア「今なんておっしゃいました…」

 

鈴「一夏と信二が弱いですって…」

 

ラウラ「そうだ、あんな女の園でしか生きていけないなど、軟弱にも程がある」

 

そう言った瞬間、ラウラの横をレーザー光線が横切り、スターライトmkを構えていたセシリアがいた。

 

セシリア「今の言葉、撤回してください!信二様はそんな方ではありません!」

 

鈴「そうよ。一夏もそんな事ないわ!アイツは望んでここに来たわけじゃあないのよ!」

 

ラウラ「そんな事は知らん!昨日だってあの後、戦う姿勢を見せなかった!だから弱いのだ!」

 

セシリア「…いいでしょう。そこまで言うのであれば、私たちが相手になりますわ!」

 

鈴「ちょうど、退屈していたところだし。いいわ!やって、やろうじゃない!」

 

ラウラ「面白い」

 

そう言って、ラウラは大口径レールカノンを放った!アタシとセシリア躱して両サイドから接近して行き、双天牙月を振った!しかし、あと数センチの所で止められた。

 

鈴「なんで!」

 

セシリア「鈴さん!」

 

すかさず、セシリアがフォローに入ろうとしたが、シュバル・レーゲンから出てきた、ワイヤーブレード×6に阻まれてしまった。

 

セシリア「きゃ!」

 

鈴「セシリア!この!動きなさいよ」

 

ラウラ「無駄だ、この慣性停止能力(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)からは逃れられない」

 

 

ラウラの第三世代型兵器である、停止結界、慣性停止能力(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)通称AICは対象を任意に停止させることができ、1対1では反則的な効果を発揮する。これによってアタシと双天牙月の動きが止まってしまったわ。

 

しかし、使用には多量の集中力が必要であり、複数相手やエネルギー兵器には効果が薄いのが弱点である。

 

ラウラ「さて、この状態では避けられまい」

 

鈴「ひ!」

 

至近距離で大口径レールカノンがアタシに向けて、あと数秒で直撃するところで、セシリアのブルー・ティアーズが邪魔をしてAICが解かれて難を逃れた。

 

ラウラ「チィ!」

 

鈴「サンキューセシリア」

 

セシリア「いえいえ、けどどう対処いたしましょう」

 

鈴「あのAICが厄介よね」

 

ラウラ「来ないのか?ならば、こちらから行くぞ!」

 

そう言って、ラウラは瞬時加速(<イグニッションブースト>)をして、セシリアに肉薄した。当然セシリアは近距離武装である「インターセプター」をコールしたが、ラウラのプラズマ手刀にはじかれてしまい、ガラ空きになったボディにラッシュが入った。

 

そして、ワイヤーブレードでアリーナの壁まで吹き飛ばされてしまった。

 

鈴「セシリア!」

 

すかさず救護に回ったアタシだがそこに大口径レールカノンからの、対ISアーマー用特殊徹甲弾の雨が降り注いだ。セシリアをカバーしようとしたが間に合わず、2人のSEが0になり、アタシ達は絶対防御が働いて気絶した。そこに、バリアを破った信二が乱入してきた。

 

~セシリア・鈴side out~

 

 

 

信二は乱入すると同時に、レールカノンから散弾を放ちセシリアとラウラの間に入り、セシリアを抱きかかえた。

 

信二「大丈夫かいセシリア」

 

セシリア「し、信二様…」

 

信二「よかった無事で」

 

セシリア「申し訳…ありません…ですわ」

 

信二「そんな事ない。よく頑張った」

 

鈴「ちょっと!こっちも結構ヤバいんだけど…」

 

信二「ごめんね!」

 

 

そんなやり取りをしていると、一夏とシャルルも合流してきた。

 

一夏「鈴!無事か!」

 

鈴「遅いわよ、バカ…」

 

一夏「ごめんな、時間がかかって」

 

ラウラ「来たな」

 

 

信二は、ラウラを確認するとシャルルと一夏に指示を出した。

 

信二「シャルル、一夏。2人はセシリアと鈴を連れてピットに向かってくれ」

 

一夏「信二、お前はどうする?」

 

信二「…ちょっとこの子にお灸をすえてくる」

 

ラウラ「面白い。かかって来い!」

 

一夏「…わかった。行くぞ、シャルル」

 

シャルル「う、うん。気を付けてね」

 

 

4人がピットに向かうのを確認した信二は、最後通告としてラウラに言った。

 

信二「なんであんな事!一歩間違えれば酷い事になっていたぞ!」

 

ラウラ「そんなの知らんな。ISは兵器だ!それを身をもって教えただけだ」

 

信二「違う!ISは宇宙に連れていく翼だ!それを兵器と呼ぶにはお門違いだ」

 

ラウラ「ごちゃごちゃと、戦うのか、逃げるのかどっちなのだ!」

 

信二「…本当は使いたくなかったけど仕方ない」

 

信二は、両サイドの装備を外し、トンファーを取り出しだした。しかし、眼帯はしたままである。

 

ラウラ「このAICがあるのに接近戦を挑んでくるとは。面白い」

 

信二「行くぞ」

 

信二は瞬時加速(イグニッションブースト)を使って、ラウラに接近した。当然ラウラはAICを使って信二を拘束しようとした。

 

ラウラ「本当に突っ込んでくるとは、バカだな」

 

信二「くっ!」

 

やはりAICが発動しラウラに当てる前に止まってしまった。しかし、ある人物の登場によって状況が一変した。

 

???「全く、どいつもこいつも手を焼かせるな」

 

信二・ラウラ『織斑先生(教官)!』

 

千冬は打鉄の近接ブレード「葵」をもって登場しISを装備せず生身の状態で、ラウラと信二の間に立ちはだかる。

 

千冬「そんなに、決闘がしたいなら次回の学年別トーナメントまで取っておけ。今後、学園内での一切の私闘を禁ずる。解散!」

 

千冬の一言で解散となり、信二はセシリアと鈴の様子を見るために保健室に向かうのであった。

 

保健室に着いた時は、セシリアと鈴は包帯でグルグル巻きになっていた。

 

信二「セシリア、鈴!大丈夫?」

 

セシリア「大丈夫ですわ」

 

鈴「大丈夫よ。それよりラウラとはどうなったの?」

 

信二「その事だけど織斑先生が何とか納めてくれたよ」

 

セシリア「織斑先生が?」

 

鈴「あ~あの子千冬さんには、べったりだからね」

 

一夏「そうなんだよな」

 

シャルル「それよりも、どうして2人はボーデヴィッヒさんと戦うことになったの?」

 

セシリア・鈴『そ、それは…』

 

若干の気まずさがあった2人は、お互いに目をそらした。それを悟ったシャルルは、2人に近づいて

 

シャルル(もしかして、一夏と信二の事を馬鹿にされたから怒ったんだよね)

 

セシリア(そ、そ、そ、そんなこと、ご、ご、ございませんわ)

 

鈴(そうよ!そうよ!そうよ!そうよ!)

 

シャルル(ふ~ん。ならいいけどね)

 

 

そんなやり取りを見ていた信二と一夏はキョトンとするしかなかった。

 

信二「けど、そのケガじゃあトーナメント出場は無理だね」

 

一夏「確かにそうだな。ちょっと怪しいな」

 

セシリア「そんな事ありません!」

 

鈴「そうよ!大丈夫よ!」

 

真耶「大丈夫じゃあありませんよ」

 

その時、保健室のドアが開いて、真耶が現れた。

 

真耶「お二人のISを見ましたが、ダメージレベルがCを超えていました。この状態で出場すると後々大変な事になります。今回は諦めてください!」

 

セシリア「…わ、わかりましたわ」

 

鈴「…わかったわ」

 

真耶に強い口調で言われて我慢するしかなかった。その時、地鳴りに近い音が保健室に近づいてきた。

 

信二「な、なんだ!」

 

瞬間、大量の女子生徒がなだれ込んできた。そして、信二、一夏、シャルルを囲んできた。

 

 

『新田君、織斑君、デュノア君!私と組んでください』

 

一瞬何を言っているのか分からなかったが、ある女子生徒が持っていた紙を見て悟った。

 

信二「なになに、今年の学年別トーナメントは例年とは違い、より戦闘経験を積ませる目的でツーマンセルのタッグ戦に形式とする」

 

「そうなの!だから、新田君、私と組んで」

 

「抜け駆けずるい、新田君、お願い!」

 

「織斑君、お願い!」

 

「デュノア君!」

 

シャルル「え~と…」

 

 

シャルルが困惑する目でこちらを見てきたので、信二は助けることにした。

 

信二「えっと。皆のお願いは非常に嬉しいけど、僕はシャルルと組むことにしたんだ」

 

一夏「あ、ずるいぞ!信二!」

 

信二「ごめん一夏。だから、諦めてほしい」

 

「そっか…デュノア君と新田君が組むのなら仕方ないね」

 

「私達は、別の人をあたってみるよ」

 

「じゃあね~」

 

そう言って、女子生徒たちは帰って行った。

 




と言うわけで、信二君のパートナーはシャルルになりました。(知ってた)

シャルルとシャルロットですが、区別して呼ぶようにしてます。なので混同する場合があると思いますが、よろしくお願いします。

正式にシャルロットになるのはもう少し先になります。

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第十八話 タッグマッチトーナメント(中編)

とあるPです。

今回もシャル甘めになってしまいました。(オルコット党なのに…)

そして、信二君が人外化しています。

それでは本編をどうぞ!!


保健室での騒動後に、信二達(一夏、シャルル)はそれぞれの部屋に戻って行くのであった。

 

ちなみに、自室に戻る時職員室に寄り信二とシャルルはタッグマッチの申請をしてきた。一夏は意外にも本音と組むと言うのだ。本音のパートナーは自身のISが完成されておらず枠が余って居た。

 

そして、信二とシャルルは部屋の前で一夏と別れた。

 

信二「じゃあ、一夏」

 

一夏「オゥ!また、明日だな!」

 

シャルル「じゃあね、一夏」

 

信二とシャルルは部屋に入るなり、シャワーを浴びて寝るだけとなった。

 

信二「それじゃぁシャワー浴びて寝ようか」

 

シャルル「そ、そうだね///」

 

信二「あーそうだった。じゃあシャルル先に浴びてきていいよ」

 

シャルル「むー」

 

信二「どうし…あ、そうだったね“シャルロット“」

 

シャルル「うん!えへへ///」

 

 

そう言って、シャルルもといシャルロットは着替えを持ってシャワーを浴びに行くのであった。我ながら失念していたと思っている信二であった。そんな時シャルロット戻って来て、上目遣いで「覗かないでね///」と頬を赤らめて言ってきた。

 

 

シャルロットと入れ替わる形で信二もシャワーを浴びて、あとは寝るだけとなった時、その時

 

シャルロット「今日も信二と一緒に寝てもいい?」

 

信二「え!?」

 

シャルロット「ダメ?」

 

信二「…いいよ」

 

シャルロット「やったー!」

 

そう、暇さえあれば一緒に寝てくるのだ。流石の信二も、相手が女の子だとわかった瞬間ドキドキしたし、四六時中ベッタリに慣れてしまった。何より…

 

信二(シャルロットって誰が好きなのだろう…)

 

 

そう、シャルロットが自分以外に誰か好きな子がいると思ってしまうことがある。しかし、当の本人はそんなことも知らずに、信二の腕の中で眠っているのであった。

 

シャルロット「…さん、私……だよ」

 

信二「シャルロット?寝言か」

 

 

そんな姿も可愛いと思いつつ信二は眠りにつくのであった。

 

 

 

 

翌朝、日課のトレーニングに向かう途中、珍しい組合にあった。そこには、昨日さんざんやられた鈴がいた。本人曰く「あんなの怪我の内に入らないわよ」と言いて、出てきた。

 

信二「あれ、鈴と箒どうしたの?」

 

箒「うむ、信二がトレーニングしていると聞いたので、私達もやっておきたいと思ったのだ」

 

鈴「そうよ、いつまたあのゴーレムが現れるか知らないしね」

 

信二「箒はいいとして、鈴は怪我とか大丈夫なのか?」

 

鈴「失礼しちゃうわね!これでも代表候補生よ。あんな怪我一晩寝ればへっちゃらよ」

 

信二「そっか、わかったよ。それじゃあ行こうか」

 

箒・鈴「うむ(ええ)」

 

3人は柔軟体操した後に、外周10㎞を2周。腹筋・腕立て伏せ・スクワットをそれぞれ200回して、組手を1時間した。そこで、意外な人物が現れた。

 

千冬「何だ、お前達もトレーニングか?」

 

信二「おはようございます、織斑先生」

 

箒・鈴『千冬さん!』

 

千冬「織斑先生と、今は時間外だから別にいいか。それよりも、今日は3人でレーニングか?」

 

信二「そんなところです」

 

千冬「そうか、どれ久しぶりに手ほどきをしてやるか」

 

箒・鈴『え”』

 

信二「お願いします!」

 

千冬「よし、来い!」

 

信二は前回千冬と組手をした経験がある為その時と同じ様に、信二から仕掛ける。ある程度は躱されてしまったが、千冬も防戦一方の時があった。

千冬のラッシュをものともせず信二はチャンスがある限り、仕掛け行った。それぞれの格闘技(カポエラー、ブラジリアン柔術、ムエタイ、コマンド殺法)を取り出した。

しかし、あと一歩が出ず信二が地に着いた。

 

 

信二「あ~今回も勝てなかった」

 

千冬「いい動きだった。だが、まだツメが甘いな」

 

信二「そうですね、一から出直します」

 

箒・鈴『…』

 

箒と鈴は今の組手を見て、啞然としていた。自分達、特に鈴は代表候補生であり、いずれは国家代表生になる事を夢見ていた。その鈴でさえ驚いているのであれば、信二がどれほど強いかわかるであろう。

 

 

信二「織斑先生、ありがとうございました」

 

千冬「なに、新田が努力した結果だ。どうだ、お前さえ良ければ毎朝のトレーニングに付き合うぞ」

 

信二「それは、「ダメです!」…え?」

 

箒「し、信二は私達で面倒を見ますから、織斑先生は一夏の特訓をお願いします!」

 

千冬「…そうか、分かった。それよりも時間は大丈夫か?」

 

 

いつもよりも、組手の時間が長かった為に時間を押していたらしい。気がつけばもうすぐで、朝食の時間になっていた。それに気づいた3人は大急ぎで帰って行った。自室に戻った信二は、シャルロットが寝ていることを確認し、先にシャワーを浴びてきた。

そして、制服に着替えていると、シャルロットが起きてきた。

 

 

シャルロット「信二~おはよう~」

 

信二「おはよう、シャルロット」

 

どうも、寝起きの為ポーとしている。そして、徐々に赤くなっていき、ダッシュで脱衣所に向かって行った。どうも恥ずかしかったらしい。

 

シャルロット「お、おはよう信二///」

 

信二「ああ、おはよう」

 

シャルロット「今朝の事は忘れてね///」

 

信二「…もちろんだよ」

 

シャルロット「ねぇ!さっきの間はなに!」

 

信二「ナンデモナイヨ」

 

シャルロット「ちゃんと、忘れてよ!お願いだから!」

 

信二「大丈夫。ちゃんと忘れるよ(嘘です!バッチリ記憶しました)」

 

シャルロット「もぅ、バカやってないで行くよ」

 

信二「そうだね、行こうか」

 

シャルルと一緒に食堂に向かう途中、いつものメンバー(静寐、セシリア、鈴、一夏、箒)に出会った。何故か、箒から熱っぽい視線を受けた信二は、

 

信二「どうかした?箒?」

 

箒「い、いやな何でもないぞ!///」

 

信二「?」

 

とはぐらかされた。

 

 

 

~箒side~

 

 

朝の特訓の後からどうも様子がおかしい。一夏に「箒どうした?」と言われても「何でもない」の一点張りで、自分でもよく分かっていない。…いや多分あの時からだ。

千冬さんと信二の組手の時からおかしかった。信二は出会った時から確実に強くなっていた。それは、いいことだが、しかし同時に不安になる時もある。

 

私は信二の優しさや他人を思いやる心に惚れたのだ。あの事件(ゴーレム襲撃)以来、強くなろうとした。信二に守られているばかりではなく、信二を守るために強くなると決めていたのに、千冬さんとの組手で臆してしまい出来なかった、それが一番悔しかった。

 

だから、それに臆することなく向かって行った、信二に改めて惚れ直した。そして、これから来る夏休みに勇気を出して、あの場所に誘ってみようと思った。

 

 

~箒side out~

 

みんなで朝食を食べ終わって教室に向かっている時、信二に電話がかかってきた。相手は束だった。

 

信二「ごめん、先に行ってくれる?」

 

一夏「おう、わかったよ」

 

そう言って、皆が教室に向かったのを確認して電話に出た。

 

信二「もしもし」

 

束『もしもし、シンちゃん!元気にしていた?』

 

クロエ『お久しぶりです。お兄様』

 

信二「束さんに、クロエ!元気だよ」

 

束『うん、うん良かったよ。あの事件の時に倒れたって聞いて、ビックリしたよ』

 

クロエ『本当でございますよ。束様ったら、IS学園に乗り込む!って聞きませんでしたからね』

 

束『ちょっと!クーちゃん!』

 

信二『アハハ…大丈夫ですよ。それよりも、用件って何ですか?』

 

束『そうだった。先ずは“あの子”の事だけど、今のところ順調に進んでいるよ。やっぱり、実家から相当酷い仕打ちを受けていたね』

 

信二「そうですか…」

 

束『うん…けど、シンちゃんが行ったことは、正しいことだから胸を張ってもいいんだよ』

 

クロエ『そうですよ。お兄様は、大変素晴らしい事をしたのですから』

 

信二「束さん、クロエ、ありがとう」

 

束『うん、うん。それともう一つシンちゃんの強化パーツだけど、渡せるのは夏ごろになるかもね』

 

信二「ありがとうございます」

 

束『あと、シズシズと箒ちゃんにも、ビックなプレゼントがあるから、楽しみにしていてね』

 

信二「え!箒と静寐に?」

 

束『うん、詳しくはまた後でね~チュ!』

 

クロエ『では、お兄様名残惜しいですがこれで失礼します』

 

信二「うん、またね」

 

そう言って、電話を切った。しかし、あと5分で始まってしまうため信二は急いで、教室に向かった。SHRが始まる直前で既にクラスの大半が席についていた。その時…

 

信二(殺気!)

 

千冬「ほぅ、これを受け止めるか」

 

信二「お、織斑先生!」

 

そこには、後ろから来た千冬が出席簿で信二を叩こうとしたが、信二は真剣白刃取りの要領で防いでいた。

 

千冬「新田、早く席に着かないとISを担いでグラウンド10周させるぞ」

 

信二「それは、ごめんこうむりたい。大人しくするので、その殺気と武装(出席簿)は解除してもらってもいいですか」

 

千冬「フン、ならさっさと座れ」

 

信二「言われなくても」

 

そう言って、信二は自分の席に座って行った。その時、一夏やシャルル、他の面々から賞賛と畏怖の印象を与えてしまった。そして、放課後になり、明日に迫ったタッグマッチトーナメントでの最後の調整をして解散となった。

 

 

信二「じゃあ、一夏お疲れ様」

 

シャルル「お疲れ様~」

 

一夏「ああ、明日のタッグマッチトーナメント、お互い頑張ろうぜ!」

 

 

信二「シャルロット、先にシャワーを浴びていいよ」

 

シャルロット「うん、ありがとね」

 

お互いシャワーを浴びで後は、寝るだけとなった。そして、今夜もシャルロットが布団に入ってきたので、信二は朝束から電話があったことを伝えた。

 

信二「実は、今日の朝束さんから連絡があってね」

 

シャルロット「束さんから?」

 

信二「シャルロットの件順調に進んでいるって。だから、トーナメント終わりには普通に女子として通えるようになるよ」

 

シャルロット「…そっか」

 

信二「余り、嬉しくなさそうだけど…」

 

シャルロット「そ、そんなことないよ!けど…」

 

信二「みんなが、受け入れてくれるか心配?」

 

シャルロット「それもあるけど、一番の心配はこの生活が終わっちゃうのが嫌だなって…」

 

信二「あ~確かに女の子同士の部屋割りになるかもね」

 

シャルロット「うん、だからもう少しこの生活を楽しみたいよ」

 

信二「…なら、時々遊びに来てもいいよ。それなら寂しくないでしょ」

 

シャルロット「いいの?」

 

信二「…偶にならいいけどね」

 

シャルロット「ありがとう///」

 

それを聞いて安心したのか、シャルロットは寝てしまった。

 

 

 

そして、タッグマッチトーナメント当日。そこには、衝撃の組合せになっていた。

 

 

第一試合 シャルル・デュノア&新田信二    VS   ラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒

 

 




と言うわけで、タッグマッチトーナメント中編となります。前後編の2部で終わらせると5000字超えそうなので止めました。

この場を借りて謝辞を!
評価バーが黄色になっていてびっくなしました!これもひとえに皆様の評価のおかげです。これからも面白い作品を作っていくように頑張ります!

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第十九話 タッグマッチトーナメント(後編)

とあるPです。

タッグマッチトーナメントもいよいよ大詰めを迎えます。

果たして信二はVTシステムを発動したラウラを止めることが出来るのか。

それでは本編をどうぞ!!


まさかこの組と当たるとは、信二は思ってもいなかった。そこに、ラウラと箒が現れた。

 

ラウラ「まさか、初戦で当たるとはな」

 

信二「そうですね。でも負けませんよ」

 

ラウラ「フン!そうでないと困る。失望させるなよ」

 

そう言って、ラウラは去っていた。それと同じ様に信二とシャルルもピットに向かって行った。そして、4人はそれぞれのピットからアリーナに出って行った。

 

信二「新田信二、ヤークトティーガー出ます!パンツァー・フォー」

 

ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒ、シュバルツァー・レーゲン出るぞ!」

 

シャルル「シャルル・デュノア、ラファール・リヴァイブカスタムⅡ出ます!

 

箒「篠ノ之箒、打鉄出る!」

 

それぞれが、定位置に着いたのを確認し、試合開始の合図が出た。

 

千冬『それでは、第一試合シャルル・デュノア&新田信二 VS ラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒の試合を始める。試合開始!』

 

信二・ラウラ『叩き潰す!!』

 

開始と同時にラウラと信二がぶつかり、箒はラウラの援護に向かおうとしたが、シャルルに阻まれた。しかもどんどん中心から追いやれて、ラウラと信二、箒とシャルルと言う具合に別れた。

 

ラウラはAICを使う為に右手を前に出した。

 

ラウラ「また突っ込んで来るとは。学習能力がないのだな」

 

信二「それは…どうかな!」

 

ラウラ「何!」

 

信二「シャルル!スイッチ!」

 

シャルル「OK!」

 

信二はラウラに突っ込むと見せかけてシャルルとの位置を素早く交換した。それにより、ラウラはラファールから繰り出されたマシンガンをもろに受けて、SEの30%を持っていかれた。

 

信二「さて、どうする箒」

 

箒「決まっているだろ。ここで、信二を倒す」

 

信二「そうか、なら仕方ないね」

 

箒「ふ、近接武装なしで私に勝てるかな?」

 

信二「生憎、僕の十八番は遠距離だけじゃあないよ」

 

そう言って、信二はいつも使っているトンファーではなく、打鉄と同じ近接ブレード「葵」を取り出した。

 

箒「なぜ、葵を出す。いつものトンファーはどうした?」

 

信二「いや、今の箒ならこれくらいでいいかぁと思ってね」

 

箒「…バカにしているのか」

 

信二「そんなつもりはないよ。ただ、今の箒には迷いがあるように見えた。だからそれを正すには、これでいいかと思ってね」

 

箒「ほう、ならその迷いとやらを断ち切ってくれ!」

 

信二「わかったよ!」

 

 

 そう言って、箒は上段の構えをした。対して信二は八相の構えをした。

 

箒(…出来る。全くスキがない)

 

信二(さすが箒。悟ったな…)

 

入り込む余地がないと悟った箒は、じりじりと追い込まれていくのを感じた。そして、

 

箒「であーーー!」

 

信二「…フン!」

 

一瞬の出来事で、両者が交差しそして…

 

信二「箒、確かに君の覚悟受け止めたよ」

 

箒「うむ、こちらこそありがとう」

 

膝を着いたのは箒であり、その反動で打鉄は動かくなった。一瞬で信二は打鉄の電気系統を全て遮断し、打鉄を無力化したのだ。対してラウラとシャルルは互いにけん制し合っていた。そんな中、先に動いたのはシャルルだった。

 

シャルル「そろそろ本気出そうかな」

 

ラウラ「なに!」

 

シャルルはマガジン2丁を取り出し、ラウラに向けて弾幕を張った。そして、弾幕が薄いところから飛び出しラウラ目掛けて瞬時加速を仕掛けた。しかし、ラウラはAICを準備していた。

 

ラウラ「パートナーも学習しないんだな」

 

シャルル「それは、どうかな?」

 

ラウラ「なに?うぁ!」

 

ラウラの背後で爆発が起こった。そこには大型レールカノンでラウラを狙い撃ちしていた信二がいた。

 

信二「今だシャルル!」

 

シャルル「わかった!」

 

そう言って、シャルルは「灰色の鱗殻」と言う六九口径パイルバンカー通称『盾殺し(シールド・ピアース)』をラウラの腹部狙って攻撃した。それも1度や2度ではなく複数回である。それによりSEが削れられて、あと少しで0に出来るところまで来た

 

ラウラ「ぐぁ!」

 

ラウラ(私は…負けるのか…また、欠陥品の烙印を押されてしまうのか…違う!私は、私は、私は!)

 

 

 

 

 

~ラウラside~

私は、遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)として生み出された。強さこそが全ての中でISが現れたことにより私を取り巻く環境は一気に変わった。欠陥品と呼ばれ、それまでの地位や名声はガタ落ちした。ドイツ軍にいた時は特殊部隊「黒ウサギ隊」の隊長を務めた。副官のクラリッサを始め多くの仲間に恵まれていた。そして、日本に赴きかつての教官である織斑千冬に出会った。

 

しかし、あの方はIS学園の教師と言う、充実している毎日を過ごしていた。我々はいつ解散させられ処分されるかもわからない日々を送っていたのに…

だから、もう一度ドイツで教鞭を振るって貰う日々を、そして共に過ごせる日々を望んでいた…

 

しかし、今ここで負けてしまったら、嫌だ…嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!だから、私は!

 

 

力が欲しい!

 

???(願うか?汝、より強い力を欲するか)

 

ラウラ(寄こせ力を!比類なき最強ヲ!)

 

~ラウラside out~

 

ラウラ「うああああああああ!」

 

シャルル「きゃ!」

 

信二「シャルル!」

 

突然ラウラのISの周りに雷が落ち【シュバルツァー・レーゲン】を取り囲んだ。そして、黒く溶け出しラウラを取り込んだ。

 

信二「ボーデヴィッヒさん!」

 

ラウラ「た、たすけ…て」

 

そして、ラウラを飲み込んだISらしきものは形を変えて、ある人物のシルエットになった。

 

信二「あれは、僕か?」

 

シャルル「信二、来るよ!」

 

信二「え?ぐふ!」

 

シャルル「信二!」

 

予備動作なしに切り込んで来た為信二は防御が遅れてしまった。そして、数十メートル吹っ飛びアリーナの壁に激突した。

 

シャルル「信二!起きてよ!ねぇ!」

 

信二「……」

 

シャルル「信二~!」

 

 

 

~信二side~

 

はっ!ここは…

 

気が付けばいつもの亜空間にいた。そこには具現化したマホもいた。

 

(久しぶりだな、シンジ)

 

そうだね。ここに来たってことは、僕は気を失った感じかな?

 

(理解が早くて助かる)

 

それで、あれは何だい?

 

(…それはシンジがよく知っているのではないか?)

 

…VTシステム

 

(そうだ。しかも君のデータをベースにしたモデルだ)

 

どうしてそれがある

 

(どうやら君が施設を破壊する前に一部残っていた。それを基にラウラ、彼女が作られた)

 

そうか。なら僕がかたをつけた方がいいかもね

 

(そうだな、それがいい)

 

それと、これは僕からのお願いだ

 

(なんだ?)

 

僕の力を解き放ってほしい

 

(なっ!それは危険だ!まだ制御できていないだろ!最悪暴走するぞ!)

 

構わない。それでボーデヴィッヒさんが助かるのなら

 

(…わかった。だが、こちらが危険と判断した際に強制的に終了させるぞ)

 

わかった。よろしく頼むよマホ

 

(仰せのままにマスター)

 

 

そう言って、信二の意識は覚醒して行った…

 

~信二side out~

 

シャルル「…!しん…!信二!」

 

信二「う、う~ん」

 

シャルル「良かった。気が付いたんだね」

 

信二「ああ、それよりどうなっているの?」

 

シャルル「それが…」

 

一夏「放せよ箒!」

 

箒「ちょっと落ち着け!」

 

一夏「嫌だ!あの武器は千冬姉のなんだ!あの野郎、千冬姉の真似事して!」

 

シャルル「どうしたの?」

 

一夏「シャルルか。あのISが持っている武器は千冬姉の「雪片」なんだ」

 

信二「そっか、なら勝ち目はあるかな」

 

一夏「なに!本当か!」

 

信二「ああ、ただ一度きりだよ。その一度を外せば、次はないと思った方がいい」

 

一夏「わかった!」

 

信二「それとシャルル、少し頼みがある」

 

シャルル「う、うん」

 

信二「ありがとう」

 

 

そう言って、信二はシャルルの耳元でささやいた。

 

信二「もし、僕の身に何かあった場合君たちは、全力で対応してくれ」

 

シャルル「え!どういうことなの!」

 

信二「言葉通りの意味だよ」

 

そう言って、信二はシャルルから離れて行った。

 

信二「それじゃあ行くよ!」

 

一夏「おう!」

 

眼帯を外し、両腕の装甲からトンファーに持ち替え信二はこう唱えた。

 

信二『みんなを守る力を!比類なき最強ヲ!Hasenjagd(狩りの時間だ!)

 

すぐさま、左眼が青色から黄金色に変化し、瞬時加速(イグニッションブースト)を使ってラウラのISに肉薄した。それを追撃しようとするラウラのISは鋭い斬撃とミリ単位の剣技で対応した。信二は更に速度を上げて防戦一方から攻めに出た。

 

信二(まだだ!まだできるだろ!ヤークトティーガー!)

 

ラウラのISからダメージを受けてもなお、戦い続ける。その戦いぶりは、血溜まりが出来るほどであった。その乱打戦をジッと見ている一夏と箒、シャルル。そして、一夏の零落白夜のチャージが終わった時信二がトンファーでラウラのISの両腕を止めて

 

信二「今だよ!一夏!」

 

一夏「行くぜーー!」

 

一夏は零落白夜の一閃を腹に当て、それをもろに受けたISはドロリと溶け出し、見事ラウラの救出に成功した。

 

一夏「やったぜ!」

 

箒「ふぅ~やれやれだな」

 

信二「は…、は…、うっ!」

 

シャルル「し、信二?」

 

信二「シャルル、は、離れろ!」

 

シャルル「え?」

 

信二「いいから!早く!」

 

シャルル「どうしたの!信二」

 

信二「う、うあああああああー!

 

突如、信二が苦しみ出しシャルルを突き放した。

 

シャルル「信二―!」

 

一夏「箒、ボーデヴィッヒさんを頼む!」

 

箒「わかった!」

 

いつもとは違う信二の様子に一夏、シャルルは戸惑っていた。

 

一夏「信二俺だ!一夏だ!」

 

シャルル「ボクだよ!シャルルだよ!」

 

信二「ウガーーーーーー!」

 

一夏「ダメだ、正気を失っている」

 

シャルル「そんな…」

 

その時、千冬からの着信が入った。

 

千冬『織斑、デュノアそこにいるな』

 

一夏「ああ、それよりも千冬姉信二はどうしちまったんだよ!」

 

千冬『織斑先生と言え。今の新田は暴走モードになっている』

 

シャルル「暴走モード?」

 

千冬『そうだ、限界値を超えてなお戦い続けたことによる反動で起こった暴走モードだ』

 

一夏「じゃあ、止めるにはその暴走モードが落ち着くまで放っておくしかないのか?」

 

千冬『それは出来ない。暴走モードは破壊の限りを尽くして尚も動き続ける。そして、最悪の場合…』

 

シャルル「そんなのダメだよ!」

 

一夏「シャルル?」

 

シャルル「信二は言ったんだ。「僕の身に何かあった場合君たちは、全力で対応してくれ」って!だから、これはボク達が止める!」

 

一夏「シャルル…」

 

千冬『わかった。5分だ。それ以上の場合我々教師陣が突入して、力づくでも新田を止めるぞ』

 

シャルル「わかりました」

 

 

 

それ以降千冬からの通信はなかった。

 

シャルル「それじゃあ、一夏行くよ」

 

一夏「お、おう!」

 

箒「私も行こう」

 

一夏「箒!ボーデヴィッヒさんは?」

 

箒「今はピットに置いてきた。それよりもどうする」

 

シャルル「僕に考えがる」

 

一夏「わかった」

 

そう言って、3人で打合せをし作戦が出来上がった。

 

シャルル「じゃあ手はず通りにね」

 

一夏・箒『わかった』

 

まずは、一夏・箒が先行し近接戦闘で信二をかく乱していたし、その隙にシャルルは「灰色の鱗殻」を展開。隙を見て信二に叩き込む。但し、ラウラ戦で消耗していたため、打てるのは一撃のみ。その一撃で全てを終わらせるつもりである。

 

一夏「信二!目を覚ませ!」

 

箒「信二!私だ!箒だ!」

 

信二「グアアアアアアアア!」

 

近づけは粉々に砕かれそうなトンファーの乱撃を、持ち前の剣術で裁く一夏と箒。それでも防ぎきれない何発かをもらい、白式と打鉄のSEもそろそろ限界に近づいてきた。そして、「灰色の鱗殻」の準備が出来た。

 

シャルル「一夏・箒お願い!」

 

一夏・箒『おう!』

 

それぞれのブレードでトンファーを押さえた瞬間

 

シャルル「信二!目を覚まして!」

 

『ズガーン!』

 

信二「ガァァァァァァァ!」

 

断末魔のような雄叫びをあげて信二は倒れた。そして、同時に4人のISは強制解除された。

 

シャルル・箒「信二!」

 

慌ててシャルルと箒は信二に駆け寄った。そこには、気絶していた信二が寝ていた。

 

一夏「一応終わった感じかな」

 

箒「そうだな」

 

シャルル「よかった、よかったよ…」

 

そして、5分後に突入して来た、教師陣に信二を引き渡し。ラウラのVTシステム発動から信二の暴走鎮圧でタッグマッチトーナメントは幕を閉じた。

 




と言うわけで、タッグマッチトーナメント終わりました。

ここで出てきた、暴走モードですがあんまり暴走してませんねwそれと、次回で3章は終わりになります。

次回は皆さんお待ちかねのお風呂ネタです!そこにはある人も登場します!

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第二十話 偽りのお姫様とヒロンズ

とあるPです。

昨日に引き続きIS投稿します。

そして、今回で第3章は終わりです。

それでは本編をどうぞ!!


小学校のころ、僕はいじめにあっていた。理由はまぁ見てもわかる通りこの容姿だからだ。

 

「あっち行けよ!」

 

「気持ち悪いんだよ!」

 

「ばーか!」

 

家に帰って来るなり僕は祖母にこの事について毎回聞いていた。

 

信二「ばあちゃん、なんかみんながいじめてくるんだ…」

 

芳江「大丈夫かい?」

 

信二「…うん」

 

芳江「おいで、今日は、ばあちゃんと一緒に寝ようか」

 

信二「うん!」

 

決まっていじめられた日は祖母と一緒に寝ていた。信二はおばあちゃんっ子だった。何とか耐えた小学校だったが、中学校でも扱いは同じであった。寧ろ中学校になるとより過激になり、私物の紛失やカツアゲ更にはありもしない噂により孤立させる。そんなのが続いた3年目の春、信二も進路を決めていた時であった。

 

 

そんな時期にある事件が起こった。

 

 

「ねぇ、新田君この後時間ある?」

 

信二「え?」

 

その子はクラスのマドンナ的な子で人気も高く、いつも注目を浴びていた。そんな子から誘われたのである。

 

信二「少しだけならあるよ」

 

「よかった~じゃあ、今日の放課後校舎裏に来れる?」

 

信二「う、うん」

 

「じゃあ、約束ね♪」

 

そう言って、女の子は自分の席に戻っていた。そして、放課後になり信二は約束した校舎裏に向かって行った。その途中例の女の子とクラスの連中と一緒にいる姿を見た。そこで、信じられない出来事が起こった。

 

信二「おーい。「てかさぁ新田って気持ち悪くない」…え?」

 

「そうだよね~あんな眼帯なんかしてさぁ」

 

「もしかしてあの下って変な病気とかあるんじゃないの?」

 

「わかる~。てか〇〇ちゃんよく誘ったよね」

 

「はぁ~あんなのアイツの絶望した顔が見たいだけだから。ぶっちゃけタイプじゃあないし」

 

「マジでwwwウケるんだけどww」

 

「私が好きなのは3組の〇〇君だし」

 

「え?あのサッカー部のエース?」

 

「そっ!だからアイツの事なんてどうでもいいし」

 

正直、心の中では少しだけ期待していた。あの子は他の子と違う。自分をちゃんと見てくれていると。だが、それは違っていた。あの子の欲望を満たすだけの存在だと思い知らされた。

 

結局、その話しを知った信二はそこの子とは合わずに、帰った。そして、それ以降クラスでは目立たない存在として、極力人との関わりを避けていた。そして、織斑一夏がISを起動したことを皮切りに始まった全国一斉調査で起動し、IS学園へ入学ひいては、世界で2番目の男性操縦者としてその名を轟かせたのである。

 

 

タッグマッチトーナメント後、ラウラは学園内にある病院のベットにいた。

 

ラウラ「うっ!ここは?」

 

千冬「ここは、学園内にある病室だ」

 

ラウラ「教官!痛っ!」

 

千冬「無理をするな」

 

ラウラ「…はい。それで教官、私は一体」

 

千冬「本来であれば、他言無用になるのであるがな、仕方ない」

 

 

そう言って、千冬は姿勢を正した。

 

千冬「“VTシステム”を知っているな」

 

ラウラ「…ええ、搭乗者の身体能力を極限状態まで高める機能ですよね。まさか、」

 

千冬「そうだ、お前のIS【シュバルツァー・レーゲン】にそのVTシステムが組み込まれていた。恐らく搭乗者の欲求、この場合勝利という欲がトリガーとなり発動したのであろう」

 

ラウラ「…そうですか」

 

千冬「理由はどうあれ、近々ドイツ政府にIS委員会からの視察が入るだろう」

 

ラウラ「それでは、シュヴァルツェ・ハーゼはどうなりますか!」

 

千冬「安心しろ。シュヴァルツェ・ハーゼは今回の件に関しては無関係であるから解散されることはないだろう」

 

ラウラ「よかった」

 

千冬「話しは以上だ」

 

ラウラ「教官!」

 

千冬「何だ?」

 

ラウラ「…ありがとうございます」

 

千冬「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 

ラウラ「は、はい!」

 

千冬「お前は誰だ」

 

ラウラ「はい?」

 

千冬「お前は、誰でもない。お前はお前だ。それと、一夏は強いぞ。私の何倍もな」

 

 

そう言って、千冬は病室を出て行った。そして、ラウラはひとしきり笑ったという。

 

 

 

ところ変わって、別の病室。ここにもラウラ同様ベットに寝ている人がいた。信二は暴走モードによる反動でラウラよりも長く眠っている。そこには信二のほかに1人佇んでいた。

 

 

信二「う、…やめろ…」

 

真耶「新田君…」

 

真耶は自分の教え子である信二の元に来ていた。あの場に突入して、倒れていた信二を介抱し病室に送り届けて、今は看病にあたっている。当初はヒロインズ+一夏が看病すると言っていたが、それでは、人数が多いと千冬の一言で真耶のみとなった。

 

信二「…母さん…助けて」

 

真耶「新田君、いえ信二」

 

そう言って、真耶は汗まみれの信二の手を握りこう言った。

 

真耶「大丈夫よ。ここにはみんなや私がいますからね。だから、安心しなさい」

 

信二「母さん…ありがとう」

 

そして、信二はそれ以降苦しむ事無く眠るのであった。それを見届けた真耶は思った。

 

真耶(やはり、私は信二君に特別な感情を抱いている。しかし、それは許されない。もし願いが叶うなら…)

 

そう思う真耶であったが、信二と真耶はあくまでも生徒と教師。その立場や世間体を気にしてしまう。だから、この感情は胸の中に秘めておかなければならない。しかし、その感情が爆発するのはまだ先の話し…

 

 

 

 

次の日、事態の収拾にあたっていた千冬と真耶は死にそうな顔をして、職員室の机に突っ伏していた。

 

真耶「お、おはようございます…織斑先生」

 

千冬「ああ、おはよう山田先生」

 

真耶「…コーヒー飲みますか?」

 

千冬「頂こう」

 

真耶は2人分のカップを用意して、コーヒーの準備をしていた。そんな時である

 

千冬「そう言えば、新田のどこが好きになったんだ…」

 

真耶「そうですね、真っ直ぐですけど、危なっかしい所や人望があって可愛いところ///…え?」

 

千冬「そうか、よかったな嫁の貰い手が見つかって」

 

真耶「お、織斑先生!先輩!」

 

千冬「落ち着け、コーヒーこぼれているぞ」

 

真耶「落ち着いていられますか!てか、なんでわかったんですか!」

 

千冬「なに、昨日新田の病室から帰って来るのが遅かったからな、それにここ最近新田の事になると落ち着いていないから、カマをかけてみただけだ」

 

真耶「そうですか…」

 

千冬「それで、山田先生、いや真耶はどうしたい」

 

真耶「私は…」

 

千冬「恐らく、今回は運が良かったが、いつ危険な目にあうかもしれない。その時、あの子達と共にお前は新田を守って欲しい」

 

真耶「しかし、私は教師であの子は生徒です。そんな事許されるわけありません」

 

千冬「…言い訳はそれだけか?」

 

真耶「え?」

 

千冬「好きになった人が生徒だから、諦めるのか。それでも元日本代表候補生か?」

 

真耶「…だって」

 

千冬「ん?」

 

真耶「私だって!あきらめたくないですよ!好きなんですよ新田君の事が!あの子達以上に大好きなんです!こんな気持ちになったのは初めてだからわかりません。けど好きな気持ちに噓偽りはありません!」

 

千冬「真耶…」

 

そこには、いつもオドオドしている山田先生ではなく、恋する乙女の真耶がいた。それを見た千冬は確信した。

 

千冬「フフフハハハハハ!」

 

真耶「…何が可笑しいんですか」

 

千冬「いや、すまない。そこまで乙女だったとはな」

 

真耶「んもう!こっちは真剣に悩んでるんですからね」

 

千冬「わかった。そんな君に朗報がある」

 

そう言って、千冬は一枚の紙を見せた。

 

真耶「これは!」

 

千冬「今はまだ、確立されていないが恐らく夏辺りには成立するだろう」

 

真耶「それなら…」

 

千冬「ああ、だがこれは本人の意思次第だ」

 

真耶「けど、これならチャンスはあると言うわけですね」

 

千冬「そうだな。うまくいけばいいな」

 

真耶「織斑先生。ありがとうございます!」

 

千冬「なに、礼には及ばないよ。それよりも、コーヒーを頂こうかな」

 

真耶「はい!」

 

 

真耶にとって希望の光となった法律はまだまだこれからの話し…

 

 

信二「…う、う~ん。ここは?」

 

同じころ病室では、信二が永い眠りから目を覚ました。実に3日ぶりである。

 

「お、目が覚めたのね」

 

信二「あなたはこの前の」

 

「そうよ、気分はどう?新田君?」

 

信二「とてもいいです」

 

「そっか。よかったわ」

 

信二「あの、僕はいつ退院できますか?」

 

「そうね、もう大丈夫だから今日の授業から参加しても大丈夫よ」

 

信二「ありがとうございます」

 

 

そう言って、信二は病室から出ていくのであった。そして、教室に入ると

 

 

『信二(君)(様)!』

 

 

信二「ぐは!」

 

ヒロインズ(静寐、箒、セシリア)から抱きつき(ボディプレス)をもらった。

 

「はぁ~相変わらずモテるね信二君は」

 

「いやぁ~青春してるね」

 

そんな行為もクラスの大半から暖かい目で見られていた。そんな中シャルルとラウラの姿があった。

 

信二「あの、ボーデヴィッヒさん大丈夫だった?」

 

ラウラ「ああ、あの時は助けてくれてありがとう。礼を言う」

 

信二「そんなこないよ。クラスメイトを助けるのは当然だしね」

 

ラウラ「そうか…」

 

信二「あと、実際に助けたのは僕じゃあなくて一夏だからね」

 

ラウラ「あの織斑一夏がか…」

 

信二「そうだよ。だから、お礼は一夏に言ってあげて」

 

ラウラ「…善処する」

 

シャルル「信二…」

 

信二「シャルル大丈夫だった?」

 

シャルル「うん。信二の方こそ大丈夫だった?」

 

信二「ならよかった。僕は大丈夫!」

 

信二はヒロインズに捕まりながらも、シャルルとラウラの安否を確認した。そんな時に山田先生が入って来た。一瞬信二に対して頬を赤く染めたが、直ぐにいつもの通りに接してきた。

 

真耶「織斑君、新田君、デュノア君に朗報ですよ。なんと!今日から男子でも大浴場が使えますよ!」

 

『え!?』

 

真耶「使用時間が18時~19時と1時間だけですけどね」

 

一夏「やったぜ!なぁ信二!シャルル!」

 

信二「…う、うん」

 

シャルル「そ、そうだね~」

 

 

信二は忘れていた。シャルルが女の子である事をまだ明かしていない。それに焦った信二はシャルルと相談した。

 

シャルル(どうしよう、信二!これじゃあボクが女の子だってバレちゃうよ)

 

信二(落ち着いて、ここは僕に任せてよ)

 

シャルル(う、うん)

 

一夏「なら、男3人で一緒に風呂に入ろうか」

 

シャルル「それは、「ちょっといいかな?」信二?」

 

一夏「どうしたんだ?」

 

信二「シャルルは色々準備があるから僕と、一夏で先に入って後から合流するのじゃあダメかな」

 

一夏「そうか。なら、そうするか」

 

シャルル(ありがとう信二)

 

信二(いいって、それよりも早くしようか)

 

そう言って、2人は指定した時間に大浴場に向かって行った。シャルルは後から合流する手筈になっている。

 

一夏「それじゃあ先行くぜ」

 

信二「泳がないでよ…」

 

一夏「しかし、いつ見ても信二の身体凄いな」

 

信二「そうかな?いつも鍛えているからね」

 

 

そこには、腹筋が6つに割れ、均等に筋肉が着いた身体があった。いつも早起きして、トレーニングしているだけはある。大浴場は様々な施設がある。その中でも信二がお気に入りなのは、サウナである。

 

地元にいた時は、最長で3時間も入っていられる程のサウナ好きである。そこで、信二は賭けに出た。まず、一夏をサウナに誘い一緒に入る。そして、我慢が出来ず出て行ったところで入れ替わりに、シャルルが大浴場に入ると言う寸法だった。

 

しかし、これに大きなミスが生じとんでもない事になった。

 

信二「一夏、一緒にサウナに入らない?」

 

一夏「いいぜ!どっちが長く入っていられるか勝負だ」

 

 

30分

 

 

一夏「まだまだこれから」

 

信二「そうだね」

 

 

1時間

 

 

一夏「ま、まだまだ…」

 

信二「ふふふ」

 

 

1時間半

 

 

一夏「も、もう無理だ~」

 

信二「ふぅ~」

 

 

そして、一夏が大浴場から出たのを確認してから、信二は少しばかり湯につかった。その時、ドアが開いて誰かが入ってきた。信二は一夏が忘れものをしたと思って、安心していたら見慣れたシルエットだったので、よく目を凝らして見ると…

 

信二「シャルルと束さん!!」

 

束「ハァ~イシンちゃん!」

 

シャルル「う~恥ずかしい」

 

束「今更~?あんなに一緒に寝てたのに」

 

シャルル「し、篠ノ之博士!」

 

信二「そ、それよりも早く入ってください!」

 

シャルル「そうだね///」

 

束「お邪魔しま~す!」

 

信二はいけないと思いつつも見てしまった。束が歩くたびにバルンバルンと動くものを、そんな信二を見てシャルルは「えっち///」と呟くのであった。

 

信二「それよりも、どうして束さんがここに来ているんですか?」

 

束「シャルルちゃんの事でシンちゃんに報告があったからね。彼女の家の件が片付いたから、明日から女の子として通えるよ」

 

シャルル「本当ですか!よかった~」

 

信二「おめでとう!」

 

シャルル「信二…ありがとう!」

 

信二「ちょ、ちょっとシャルル!」

 

束「いいなぁ~なら束さんも抱き着いちゃう!」

 

信二「束さんまで!」

 

シャルルは嬉しさのあまり、信二に抱き着いてしまった。今は恥ずかしさよりも女の子として通える喜びが大きかった。そこから、冷静になったのか2人は信二から離れて行った。

 

シャルル「ごめんね///」

 

信二「だ、大丈夫だよ。それよりも束さん、どうやってシャルルの事が片付いたんですか?」

 

束「簡単なことだよ。あの子を自由にさせること。今後本妻はシャルちゃんに干渉しないことを条件にデュノア社に第三世代の情報を流したんだ♪もし、破ったらフランスのISを全部機能停止の上自爆するって脅してね♪」

 

信二「それは…ご苦労様です」

 

束「シンちゃんのお願いなら束さんは大歓迎さ!それに、シャルちゃんの幸せのためだもんね♪」

 

シャルル「本当に束さんと信二には感謝しきれいない恩が出来たよ」

 

信二「そんな事ないよ。僕はシャルルが幸せであれば一番だかね」

 

シャルル「信二ありがとう」

 

束「うん、うん、束さんは感動したよ!それじゃあ後は若い2人でね!じゃあねシンちゃん!また夏にね!」

 

そう言って、束は出で行った。それを見送った後に信二達も大浴場を後にした。

 

次の日、朝起きるとシャルルがいなく、部屋には「先に行ってるね!」と言うメモが残されていた。とりあえず信二は教室に行ってみることにした。そして、SHR時に事件は起きた。

 

真耶「え~と皆さんに報告があります。今日は転校生と言うか、転入生を紹介します。どうぞ」

 

教室が一気にざわつき誰もが転校生に興味を持った。そんな中信二は嫌な予感しかしなかった。

 

シャルロット「皆さんシャルル・デュノア改めてシャルロット・デュノアです!よろしくね!」

 

真耶「え~デュノア君はデュノアさんと言うことでした。また部屋割り考えないと…」

 

そして、信二は必死になって考えていた。どうか昨日の事は気付かないでくれと!しかし、

 

「あれ、そう言えば昨日って男子の入浴時間あったよね」

 

信二『どきーーーーーーーーーーーーーん!

 

「え、あの時入っていたのって織斑君と新田君だよね」

 

「え、まさか」

 

鈴「一夏ーー!」

 

一夏「げ!鈴!」

 

ISの部分展開をした鈴が1組に乗り込んできた。恐らく昨日の大浴場の件だろう。

 

鈴「死ね~!」

 

一夏は咄嗟に目を閉じたがいつまでたっても、痛みは感じなかった。なぜならラウラがシュヴルツェア・レーゲンを展開しAICを発動していたからである。

 

一夏「サンキュー、ボーデヴィッヒさん」

 

ラウラ「礼には及ばない。それと、私のことはラウラでいい」

 

一夏「そっか。わかったよラウラ」

 

そう言って、鈴の暴走を止めたラウラはISを解除して、千冬に向き合った。

 

ラウラ「織斑先生、少しだけ時間を貰ってもいいですか?」

 

千冬「ああ、構わん」

 

ラウラ「ありがとうございます」

 

千冬の了承を得たラウラはクラスに向き合ってこう言った。

 

ラウラ「この度は、皆に迷惑をかけた。すまん」

 

信二「それについては、僕も同じだよ。勝手な我儘で暴走モードに入ってしまって、一夏や箒、シャルロットそれに、皆にも迷惑をかけた。すみませんでした」

 

両人は頭を下げた。しかし、皆からは意外な反応だった。

 

「別にいいよ!」

 

「うん、うん、2人とも謝ったし文句は言わないよ」

 

「そうだよ!だから、ボーデヴィッヒさんも新田君も頭を上げてよ」

 

信二「みんな…」

 

ラウラ「感謝する」

 

これで解決と思った信二であったが、ラウラが思いもよらない行動に出たのだ。そのまま一夏に近づきなんと!

 

一夏「まぁラウラもこれから仲良くやって行こうぜ!」

 

ラウラ「ああ、ならこれは餞別だ」

 

一夏「なんだ…んっ!」

 

ラウラ「んっ!」

 

鈴「なっ!」

 

「キャーー!」

 

 

なんと一夏の手を引いて、キスをしたのだ。クラスメイトや鈴の目の前で!そして、高らかにこう宣言した

 

ラウラ「お前は私の嫁にする。決定事項だ。異論は認めん!」

 

一夏「え~!」

 

シャルロット「う~ずるい!こうなったらボクも!信二!」

 

信二「へ?…っん!」

 

シャルロット「んっ」

 

静寐、セシリア、箒、真耶『あーーーーー!』

 

 

なんと、シャルロットも抑えきれず信二にキスをしてしまったのだ。そんな状況にも関わらずクラスメイトは呑気に構えていた

 

「え!シャルロットと新田君ってそんな関係だったの!」

 

「うは~こりゃあ…大変だね~」

 

「けど、これで夏の本が厚くなりそう!」

 

 

千冬「お前達…いい加減にしろーーー!」

 

今日も千冬の怒号が飛び交うのであった。

 




と言うことで、お風呂回とシャルロット登場回でした。

いやぁ~長かった。7000字近く書いたのは久しぶりなので疲れました。

冒頭でも言いましたが、今回で第3章は終わり次回からいよいよ臨海学校編です!

そこ!今更季節外れとか言わないの!

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第四章 サマータイム!臨海学校
第二十一話 臨海学校準備


とあるPです。

今回からは臨海学校編になります。また、スペシャルゲストも登場しますので
そこにも注目してください。

それでは本編をどうぞ!!


うだるような暑さが続く7月。ここIS学園でも、冬服から夏服に変わりつつある時期に男子2人は悩んでいた。

 

一夏「なぁ、信二」

 

信二「どうしたの?一夏」

 

一夏「今日のIS模擬戦大変だったな」

 

信二「そうだね、まさかシャルロットとラウラの相性が、あんなにもいいなんて」

 

一夏「だよな~あんな風に連携されちゃあ敵わないよな」

 

シャルル改めてシャルロットと、ラウラのコンビネーションは凄まじかった。AICでラウラが動きを止めそこに多彩な武器であるシャルロットが仕掛ける。まさに阿吽の呼吸とも言える連携で信二&一夏ペアを圧倒していた。

 

一夏「まぁ、それよりも来週の臨海学校楽しもうぜ!」

 

信二「そうだね」

 

来週から始まる2泊3日の臨海学校。ISの実地訓練や専用機持ちは新武装のテストと内容は盛りだくさん。中でも海が見える旅館での宿泊ともあって、女子達はウキウキしていた。

 

信二「一夏は水着とか買うの?」

 

一夏「ああ、新しいのを買うかな!信二は?」

 

信二「僕も、水着とか持ってないから買うかな?」

 

一夏「え!中学で水泳とか無かったのか?」

 

信二「僕は東北の山奥で育ったからね。水泳どころか海に行く事自体初めてかもね」

 

一夏「信二、それは人生の半分を損しているぞ…」

 

信二「大きなお世話だよ」

 

一夏「悪い悪いwそれで、水着どうする?」

 

信二「そうだね…」

 

 

そんな風に悩んでいると後ろから来た人達に声をかけられた

 

静寐「ねぇ!信二君臨海学校の準備できている?」

 

信二「静寐?いや、まだできていないね」

 

静寐「そっか、じゃあさぁよかったら「信二様~!」むー」

 

信二「セシリア?どうしたの?」

 

セシリア「あの、信二様は臨海学校の準備とかお済でしょうか?」

 

信二「いや、これからだね」

 

セシリア「そうでしたか、でしたらわたくし『信二~』うぅ…」

 

信二「箒とシャルロット?僕に用事かな?」

 

箒「うむ、来週からの臨海学校の準備についてシャルロットと話していた」

 

シャルロット「もし、信二がまだなら一緒に準備しない?」

 

信二「うん、いいよ。静寐とセシリアはどうする?」

 

静寐・セシリア『是非!』

 

信二「わかった。しかし、これだと大所帯だね」

 

最初に声をかけてきた静寐を初め、4人からのお誘いである。これには傍にいた一夏はニヤニヤしていた。

 

一夏「流石にモテる男は違うな~」

 

信二「そんな事ないよ。一夏だって、鈴とラウラがいるでしょう」

 

一夏「けど、信二には負けるな」

 

信二「僕にはもったいないくらいの人達だけどね。こんな僕に好きだと言ってくれたんだ。だから、強くなって皆を守りたいと思っている」

 

決意を新たにしていると、セシリアからこう言われた。

 

セシリア「信二様、それについてはここにいる皆さんが思っていることですわよ」

 

シャルロット「ボクも、信二の事守るからね!」

 

箒「うむ、さすが私が見込んだ漢だな」

 

静寐「箒ちゃん、違うよ。私たち(・・)がでしょ?」

 

箒「そうだったな」

 

信二「みんな…ありがとう」

 

思わず目頭が熱くなりそうな言葉だった。初めは、わけも分からず入学したIS学園であったが、皆に出会って、友人が出来、恋人たちも出来た。だからこそ、強くなりたいと思ったのであった。

 

そんな時に、鈴とラウラが現れた。

 

鈴「一夏~ちょっといい?」

 

ラウラ「嫁よここに居たのか!これは、これは兄上(・・)

 

ラウラもあの事件(VT事件)から信二のことを兄と呼んでいた。理由を聞いてみたところ、同じ境遇にいながら先に生まれ、確固たる信念を持つ信二に憧れを抱いて、「ぜひ、兄上と呼ばせて欲しい!」と言われた。

 

最初は、照れくさかったが千冬から「あいつは、軍という世界しか知らない。外の世界を見せる為にはお前のような存在が必要だ」と、頼まれたのでつい、OKをしてしまった。今では、いい妹として接している。元々一人っ子だった信二にとっても妹を持つ喜びがあるのかもしれない。

 

鈴「それで、一夏と信二は何していたの?」

 

一夏「ああ、これから臨海学校の準備をしようと思って」

 

ラウラ「臨海学校?なんだそれは?」

 

信二「臨海学校ってのは、校外に出て自然に触れながら学習する事かな。しかも海が見える場所でするからとても楽しいよ」

 

ラウラ「おお!そうなのだな!流石は兄上物知りだな」

 

信二「アハハ…」

 

ラウラに臨海学校の事を説明した後、ちょうど鈴とラウラも準備をする所だった。その時セシリアが「でしたら『レゾナンス』で買い物したらいかがでしょうか」と言ったので、後日みんなで買い物に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日たった日曜日。それぞれが学園側に外出申請を出し、レゾナンスで買い物をする事になった。先に一夏、信二が学園前の入口で待っていた。

 

信二「おまたせ。一夏早いね」

 

一夏「おう!そんなに準備かからないからな」

信二は黒のトレーナーに青いポロシャツ、首からクロスのチェーンを下げてジーパンというスタイルだった。右手には黒いチョーカーになっている待機状態のIS【ヤークトティーガー】を身につけている。

対する一夏は、白の半袖シャツに黒の短パンツ、右手に白いガレットになっている待機状態のIS【白式】があった。随分と対象的な服装に信二は苦笑いするしかなかった。

 

信二「何だか対象的だね」

 

一夏「そうか?けど信二のチェーンかっこいいぜ!」

 

信二「ありがとうね。ところで箒たちは?」

 

一夏「鈴に聞いたらもう少ししたら着くって言われたな」

 

信二「女の子達は色々準備がかかるから、仕方ないね」

 

一夏「そうだよな。お、来たみたいだぞ」

 

『おまたせ~』

 

信二「大丈夫だよ…」

 

向こうから来る6人に信二は声を失って魅入ってしまった。

 

 

静寐は黒のキャスケットを被り、紺のホットパンツ、薄紫色のブラウスを着て現れた。

 

箒に関しては、いつものポニーテールに花簪のアクセサリーを付けて、白のブラウスにピンクのロングスカートと洋風の中に和の心を取り入れた格好となっていた。

 

セシリアは言うまでもなく、白ワンピに青のラインが入った白帽子だった。まるでどこかのお姫様みたいだ。

 

シャルロットは、薄黄色のTシャツに丈の短い水色のパンプス、首には専用機【ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ】の待機状態であるオレンジ色のネックレスがあった。

 

鈴はシャルロット同様Tシャツであったがピンクであり、動きやすいように紫のジャージで現れた。

 

そして、ラウラは何故かIS学園の制服で来た。

 

静寐「おまたせ。待った?」

 

信二「いや、今来たところだよ」

 

静寐「うふふ///」

 

まるで恋人同士のやり取りをした、静寐は満足気に笑っておりそれを見ていた他の3人は(完全に出遅れた!)と心の中で思うのであった。

 

一夏「ところで、なんでラウラは制服なんだ?」

 

シャルロット「ラウラったらこれしか服が無いって言ってね…」

 

同室になったシャルロットが言うと、信二は「しょうがない、ラウラの服も買うか」と言う事になり、急遽ラウラの服も買う事になった。

 

しかし、このままの格好ではまずいと思い、一夏は鈴に余りの服を渡すように言った。(ちなみに、理由を言った一夏は鈴からおおふくビンタを受けたのであった)

 

かくして、7人は当初の目的である、レゾナンスで買い物をするべく学園前からモノレールに乗って向かうであった。モノレールを降りて、レゾナンスに着いた一行は先に水着を買いに、水着ショップの前で別れた。

 

しかし、男性用が1店に対して女性用が9店と改めて女尊男卑の世界が身にしみた。

 

信二「じゃあ、終わったらここに集合ってことでいいね?」

 

セシリア「それは良いのですが、是非信二様に水着を選んでいただきたいですわ!」

 

箒「う、うむそうだな///」

 

シャルロット「信二の好みも知りたいしね」

 

信二「ええ!」

 

返答に困った信二は、隣にいる一夏を見たが既に鈴とラウラからの要望を受けて選ぶ事にしていた。

 

信二「はぁ~わかったよ。なら、僕の買い物が終わったら選ぶことでいいかな?」

 

『はい(うむ)!』

 

そう言って、4人は水着売り場に行くのであった。そして、信二は水着を選ぶのであった。

先に選んでいた一夏は、青のトランクスタイプの水着にした。信二もトランクスタイプを探している時に、誰かとぶつかってしまった。

 

信二「あ、すみません!」

 

???「ああ、大丈夫だよ。こちらこそごめんね」

 

そこには、信二と同じ容姿の人がいた。但し、大きく違っているのは腕の筋肉が凄くまるでボディビルダー並みの鍛え方をしている人だった。どうやらその人も水着を選んでいた時でいた。

 

信二「いえいえ、あなたも水着を選んでいたのですね」

 

???「ああ、明日みんなでプールに行くことになっていたからね。俺は土門直哉って言う。君は?」

 

信二「僕は、新田信二と言います」

 

直哉「信二君だね。失礼だが高校生かな?」

 

信二「はい!土門さんは?」

 

直哉「俺か?今年高校を卒業して、今は社会人一年目だ」

 

信二「そうなんですか」

 

 

「直哉~どこ~?」

 

 

お互い自己紹介が終わった時に外で女の人の声が聞こえた。どうやら直哉を呼んでいるみたいだ。

 

直哉「いけねえ、忘れていた」

 

信二「行ってあげてください。僕は大丈夫ですから」

 

直哉「そうかい。すまないね、それじゃあまた」

 

信二「はい!」

 

直哉「そうだ、信二君だったかな?一つ年上からのアドバイスだ」

 

信二「はい?」

 

直哉「君にとって、大切な人がいるのであれば、身体よりも心を強くすることだ。例え君が窮地に陥った時でも、仲間を信じていれば必ず上手くいく」

 

信二「直哉さん…はい!ありがとうございます」

 

直哉「うん、いい返事だ!それじゃあ」

 

 

そう言って、直哉は手前にあった赤色のトランクスタイプを選んでレジに向かって行った。信二も黒のトランクスタイプを選んでレジにかうのであった。我ながら黒色が好きだと思って苦笑いしてしまった。

 

レジに行き会計を済ませて、一夏達と合流した。一夏は鈴とラウラの水着を選び、信二は静寐、箒、セシリア、シャルロットの水着を選ぶことにした。

 

静寐「じゃあ、私からね」

 

信二「うん」

 

静寐「こんなのはどう?」

 

静寐が持ってきたのは、水色のビキニタイプであった。髪の毛色と若干似ているからピッタリと思ったのであろう。信二もこの水着でいいと思っていた。

 

信二「うん!いいと思うよ。静寐にピッタリだと思う」

 

静寐「本当に!じゃあ試着してくるね///」

 

そう言って、水着を持って試着室に入っていた。それを見ていた他の女子たちもこぞって、ビキニタイプの物を物色し始めた。そして、試着室から出てきた。

 

静寐「ど、どうかな?///」

 

信二「おー綺麗だよ///」

 

静寐「ホント!ありがとう。じゃあこれにするね」

 

そして、レジに向かった。その後はセシリアは青のビキニでパレオが付いている水着を、シャルロットは黄色に黒のラインが入った水着、そして、箒は白い水着だが、とても直視できないくらい大きなおっ〇いが詰まっていた。

 

当の本人も「恥ずかしい///」と言いながらレジに持っていた。セシリアは「あれは凶器ですわ」と言うほどであった。

 

こうして、全員の水着が選び終わって昼食となった。ここでもひと悶着があった。正確には、信二の隣に誰が座るかである。そんな激戦を繰り広げている中で、一夏が「一緒に食べよう」と言い出し、隣で食べ始めたのであった。それを見たヒロインズは恨めしそうな顔をしながら食べるのであった。

水着の後はラウラの普段着選びを女子たちが行い、あとは帰るだけとなった。

 

 

信二は、1人トイレに行って帰ろうとした時、事件が起きた。

 

「ちょっとアンタ!」

 

信二「はい?僕ですか?」

 

「他に誰がいるのよ」

 

信二「まぁいませんね」

 

「そんなのはどうでもいいのよ。ここ直しておいてちょうだい」

 

そう言って、服の陳列を直すように言った。しかし、信二は身に覚えのない事をするつもりはない。

 

信二「申し訳ありませんが、僕はあなたを知らないし、直す義理はありません」

 

「はぁ!女の私に逆らうの!男のアンタはISも動かせないくせに!」

 

どうやら、この人は女尊男卑の思想を持っている人だった。そこに、別の人が現れた。ネームプレートには「巻紙 礼子(まきがみ れいこ)」と書かれていた。

 

礼子「どうされました?」

 

「ちょっと聞いてよ!こいつ男の癖に女の私に逆らうのよ」

 

礼子「そうですか、ちょっと失礼いたしますね」

 

そう言って、茶髪で長髪の礼子は文句を言ってきた女に対して睨み付けて小声で(死にたくなかったら失せろ)と言った。それに恐れをなした女は、青い顔をしながら逃げて行った。

 

そのやり取りを見ていた、信二は何が起こったのか分からずにいた。

 

礼子「申し訳ありませんでした。お怪我はありませんでしたか?」

 

信二「あ、はい大丈夫です」

 

礼子「良かったです。あの方は難癖を付けては騒ぎを立てる人でこちらでも困っていた方なので」

 

信二「はぁ、そうですか」

 

礼子「つきましては、ささやかながらお礼をしたいと思いますので、どうぞこちらに」

 

信二「ちょ、ちょっと!」

 

そう言って、信二の腕を引っ張って何処かに連れて行こうとした。必死に抵抗したが掴まれた腕はビクともせず、ただ連れて行かれた。

 

そして、地下の駐車場に来た途端に女の態度が急変した。

 

礼子「ここでいいか…たく普段使わない言葉遣いだと疲れるぜ…」

 

信二「あの~ここは?」

 

礼子「乗れ」

 

信二「へ?」

 

礼子「いいから黙って乗れ!早くしろ!」

 

信二「は、はい!!」

 

信二は逆らうのをやめて大人しく車に乗った。そして、車は猛スピードで発進し何処かに向かって行った。行く途中話しかけるのはマズイと思い信二は喋らなかった。

車は高層ビルに入って行き、礼子の案内の元、最上階の部屋に案内された。そこには、長身で豊かな金髪の美人と、フルフェイスで顔を隠している少女らしき人がいた。

 

礼子「連れて来てやったぜ」

 

???「ご苦労様」

 

そう言って、礼子はイスに座るなり「あ~疲れた」というのであった。そんな時金髪美人の人が信二に歩み寄って来た。

 

???「初めまして、私はスコール・ミューゼル。亡国機業の日本支部長をしているわ。ほら、オータム、M挨拶しなさい」

 

礼子「わかったよ。オレは、オータム」

 

M「Mだ」

 

信二「僕は新田信二と言います」

 

スコール「知っているわ。2人目の男性操縦者さん」

 

信二は、3人に対しての警戒心を緩めた。もし悪い人なら、ここに来る前にやられていた可能性がある。それが無いと言うことは少なくても、害はないと思ったのだ。

 

スコール「さて、夕食にしましょうか」

 

 

そう言って、出てきたのは高級レストランに出来そうな料理であった。

 

オータム「お、飯だ、飯!」

 

M「口の聞き方に気を付けろ。オータム」

 

オータム「なんだ!やるか!」

 

スコール「ケンカしないの!ほら、信二君も食べる?」

 

信二「いえ、結構です」

 

スコール「大丈夫よ。毒なんて入っていないから」

 

信二「でも…」

 

オータム「いいから、さっさと食えよ!大丈夫だ。殺すつもりは更々ないからな」

 

信二「どういうことですか?」

 

M「それは、食べながら話す」

 

スコール「だから、一緒に食べましよ」

 

信二「…分かりました」

 

疑っても仕方ないと思い、信二は食卓を共にするのであった。しかし、フルフェイスであるMは食べようとしない。

 

信二「あの~Mさん。マスクあると食べづらくないですか?」

 

スコール「そうね、Mマスク取ったら」

 

M「しかし、取ったら驚かないだろうか…」

 

スコール「大丈夫よ。少なくとも信二君はそんな子じゃあないわ」

 

M「わかった」

 

そう言って、Mはフルフェイスを取った。そこには、千冬を幼くした子がいた。

 

信二「お、織斑先生!」

 

M「違う、M改めて織斑マドカと言う」

 

少し驚きつつも、信二は食事を続けた。そして、食べ終わってスコールから話があると言われた。

 

スコール「まずは、謝罪させて欲しいわ」

 

信二「謝罪ですか?」

 

スコール「ええ、この度はウチの北米支部がゴーレムを使ってIS学園を襲撃したり、更にドイツのシュバルツァー・レーゲンにVTシステムを埋め込んで暴走させてしまった事についてお詫びをするわ」

 

そう言って、スコールは深々と頭を下げた。信二は慌てて頭をあげる様に言った。

 

信二「あ、あの!頭を上げてください。もう過ぎたことですから」

 

スコール「ありがとう。優しいのね」

 

信二「そんな事ありません。しかし、どうして北米支部はそんな事をしたのですか?」

 

スコール「亡国機業内にも、保守派と過激派の2大派閥があるのよ。今回はその中でも功を焦った過激派の北米支部連中が単独で行ったことよ。当然、他の支部からの非難は強くなったわ」

 

オータム「それで、日本支部の方針としては、織斑一夏・新田信二には手を出さない事にして陰からサポートすることにした」

 

マドカ「だから、今日はその顔合わせとして信二をここに連れてきた」

 

信二「そうだったんですね」

 

スコール「どうかしら?私達の事信じてもらえたかしら?」

 

信二「今は信じましょう。但し、変な真似をすればそれなりの事があると思ってください」

 

スコール「ありがとうね。私達も、織斑千冬や篠ノ之束と戦争をする気はサラサラないわ」

 

信二「それを聞いて安心しました」

 

その時、信二のスマホに着信があった。相手は箒からだった。出ても良いかスコールに聞いたところ「どうぞ」と言われたので、出ることにした。

 

信二「もしもし」

 

箒『信二!一体何処にいるんだ!皆心配しているぞ』

 

電話の相手は箒からだった。どうやら、信二がいなくなって探しているらしい。

 

信二「ごめんね、ちょっと気分が悪くなって外に出ているよ。もう大丈夫になった

から、今からでも帰るね」

 

箒『そうか、どのくらいで戻る?』

 

信二はスコールとオータムに聞いてみた。彼女たちの話しだと、約30分くらいかかるらしい。

 

信二「そうだね。30分くらいで戻るよ」

 

箒『…わかった。近くになったら連絡してくれ』

 

信二「わかったよ」

 

そう言って、電話を切った。そこからは怪しまれずに帰る手筈をとって、ホテルを出た。その時スコールからある忠告を受けた。

 

スコール「信二君、大事な話があるわ。どうも、北米支部に合わせて南米支部もきな臭い動きをしているから注意してね」

 

信二「はい、ご忠告感謝します」

 

スコール「それと、これは私とオータム、マドカの連絡先よ。受け取って」

 

信二「ありがとうございます」

 

オータム「好きな時に連絡してこいよ」

 

マドカ「また逢う日まで」

 

マドカと握手をして、その場を後にした。そして、オータムに乗せられてレゾナンス前についた。

 

信二「ありがとうございました」

 

オータム「礼には及ばないよ。それと、敬語はよしてくれ、むずがゆい」

 

信二「こればっかりは癖なんで…」

 

オータム「フン!次会うまでに直しておかなかったら、承知しないからな」

 

 

オータム急いで走り去ってしまった。信二は箒達を心配させまいと、急いでレゾナンスに戻って行った。

 

そして、水着ショップの前で集まっていた箒達を発見した。

 

箒「信二!」

 

信二「ごめんね。うわ!」ダキ!

 

箒「この馬鹿者!一体どこに行っていたのだ!」

 

信二「むぐーー!」

 

箒「どれ程心配していたか。わかっているのか!」

 

セシリア「箒さん!信二様が窒息死してしまいますわ!」

 

箒「はい?あー信二、しっかりしろ!」

 

信二は、箒に抱き着かれて息が出来ない状態であった。辛うじてセシリアが気付いたからいいが、もし気付いていなかったら、彼女の胸で窒息死と言う、男冥利に尽きる死に方になっていたであろう。

 

ちなみに、これを見た鈴は「巨乳爆発しろ」と嘆いていた。

 

 

その夜、箒は1人屋上にいた。そして、ある番号を呼び出してコールした。

 

 

とある国の近くにある海上。そこには、光学迷彩機能で隠していたニンジン型の飛行物体がいた。その中には天災篠ノ之束と助手のクロエがいた。千〇桜の着メロがなった瞬間、束は作業を止めてスマホを取り出した。

 

束「やぁやぁ待っていたよ!箒ちゃん!」

 

箒『姉さん…』

 

束「うん!うん!皆まで言わなくてもわかっているよ。そろそろ欲しいんでしょ?専用機が?」

 

箒『!』

 

電話の向こう側で箒が息を飲んだのがわかった。その時束は「大きくなったね箒ちゃん」と思いつつも話しを続けた。

 

束「勿論用意しているよ!最高性能にして規格外!そして、最新にして最強のIS。その名も「紅椿」」

 

こうして、信二の長い一日は終わった。いよいよ来週は臨海学校が始まる。

 




スペシャルゲストとして、自身の連載作品「皆は俺の妹~パンツァー・フォー」より主人公の土門直哉を出しました。

また、亡国機業のメンバーも登場しました。今後彼女たちをどう絡ませていくのかは未定ですが、あの3人の中からヒロイン化するか考えています。

次回からは本格的に臨海学校編がスタートします。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第二十二話 臨海学校(1日目)

とあるPです。

今回は臨海学校編初日です。

最近、アーキタイプ・ブレイカーのSSを読んで是非とも登場させたい2人を登場させました。それによりタグも追加しました。(因みに作者は未プレイです)

あと、微エロ?が入りますので苦手な方はページスクロールをお願い致します。

それでは本編をどうぞ!!


7月も後半になり、8月になろうとしていた。今日から3日間はIS学園を離れて、臨海学校のある海に向かってバスは進んでいた。1年生4組いるので、4台のバスを貸し切って移動する。

 

一夏「いよいよだな!信二!」

 

信二「…うん。そうだね、一夏」

 

一夏「どうした?元気ないぞ」

 

信二「…ナンデモナイヨ」

 

一夏「もしかして、昨日ほとんど寝れなかったとか?」

 

信二「!」

 

一夏「ハハ~ン」

 

信二がビックっとしたのを見て一夏はニヤニヤとしていた。それを嫌としたのは信二だった。

 

信二「別に一夏が思っていることじゃあないからね」

 

一夏「どういうことだ?」

 

信二「ちょっとした事件があって寝るのが遅くなったんだよね…」

 

そう言って、信二は昨日の夜の事を話し始めた…

 

 

 

 

 

 

 

時刻は20時。翌日の臨海学校準備を自室していた信二であった。そこに、[ピンポーン!]とチャイムが鳴って出てみるといつものメンバーが揃っていた。

 

信二「あれ?みんなどうしたの?」

 

静寐「夜遅くにごめんね。どうしても信二君に確認しておきたい事があったからね」

 

信二「わかった。なら入ってもいいよ」

 

 

『お邪魔しま~す!』

 

 

そう言って、静寐、箒、セシリア、シャルロットの4人が入って来た。4人共明日への準備は済んでいたので、それぞれがベッドの上に座って今回の目的を話し始めた。

 

信二「それで、どんなことなの?」

 

静寐「単刀直入に聞くね。信二君。明日のバス移動の時どうする?」

 

信二「どうとは?」

 

静寐「例えば、誰かと一緒とか?」

 

信二「それは決まってないな」

 

箒「なら、その…信二が良ければ」

 

セシリア「隣に座っても…」

 

シャルロット「いいかなって?」

 

信二「まぁいいけど」

 

 

『よし!』

 

 

それを聞いた4人の目は獲物を狩るハンターの目であった。ここに、『第一回信二の隣席争奪戦』が勃発した。

そこからは、あらゆる勝負で商品(信二の隣)を勝ち取る為にバトルが始まった。五目並べ、ババ抜き、あっちむいてホイ!、黒髭危機一髪、チェス、オセロを行い熱戦は深夜まで続いた。そして、見事勝ち取ったのは…

 

信二「てなことがあってね。だから寝れなかったんだ。あ、バス来たみたいだね」

 

一夏「そうだな、それじゃあ!またな」

 

信二「うん、それじゃあ行こうか」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セシリア」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリア「はい!」

 

争奪戦を勝ち取り、笑顔で返事をするセシリアだった。その後ろには目に隈を作っていた3人がいた。

 

1年生を乗せたバスは定刻通りIS学園を出発し、目的である海へ向かっていた。その車内では談笑する者、遊ぶ者、信二同様に寝る人達と様々な人達で賑わっていた。

 

そんな中、信二とセシリアはきたる夏休みの話しをしていた。

 

信二「そう言えばセシリアは夏休みとかどうするの?」

 

セシリア「私は本国に帰って、代表候補生としての仕事をする必要がありますわ。オルコット家を守る為にもやらねばならないことだらけですわ」

 

信二「そっか。流石は貴族の家系だね」

 

セシリア「ええ、信二様はどうされますの?」

 

信二「僕かい?僕は…墓参りに行こうと思う」

 

セシリア「…ご両親のでございますか?」

 

信二「うん、ドイツにある両親の墓参りが終わったら、その足で日本の実家に帰るかな」

 

セシリア「大変ですわね。何か困っている事があれば遠慮なく仰ってくださいね」

 

信二「ありがとう。その内セシリアのご両親にも挨拶に行きたいね」

 

セシリア「し、信二様!それってもしかして…」

 

信二「うん、いつになるか分からないけど、ちゃんとみんなで幸せになろうね!」

 

セシリア「はい!信二様!」ダキ

 

セシリアは勢い余って信二に抱き着いてきた。それを見た他の3人が『あー!!』と叫んでいたが他のクラスメイトにとっては『また、いつもの夫婦漫才が始まった』と心の中から思っていた。

 

そして、バスはトンネルに差しかかり、そこを抜け出すとそこには…

 

『海だーー!』

 

憧れの海が広がっており、皆のテンションもMaxになっていた。

 

セシリア「見てください信二様!海ですよ。…信二様?」

 

信二「スー、スー」

 

セシリア「おやすみなさいませ。信二様♡」

 

その中で信二はセシリアにもたれかかる様にして、寝落ちした。ちなみに一夏はラウラと一緒に日本文化について討論していた。

 

バスは宿である「花月荘」に着いた。宿に着くなり、一斉に集合して点呼を取っていた。

 

千冬「今日から3日間お世話になる「花月荘」の方々だ。皆迷惑をかけないよう

に」

 

 

『よろしくお願いします!』

 

 

???「はい。皆さんいいお返事ですね」

 

千冬「今年もよろしくお願いします。」

 

???「はい。あら?そちらが例の2人ですか?」

 

千冬「はい、今年は部屋割りが大変になりますがお願いしますね。ほら、挨拶しろ」

 

一夏「織斑一夏です」

 

信二「新田信二と言います。3日間よろしくお願いします」

 

景子「ご丁寧にありがとうございます。「花月荘」の女将をしております清州景子と申します」

 

信二「よろしくお願いします」

 

景子「それではこちらにどうぞ」

 

そう言って、奥から従業員が一斉に出してきて、生徒達の荷物を持って行った。一夏と信二は千冬達の後を付いて行った。途中セシリアとは分かれて部屋に着くとそこには、「織斑千冬・織斑一夏」、「山田真耶・新田信二」と書いてあった。

 

それを見た信二と真耶は『へ?』と驚く声をあげた。

 

千冬「それじゃあまたな」

 

一夏「じゃあな~」

 

真耶「ちょっと待ってください!織斑先生!」

 

千冬「なんだ?」

 

2人は一夏と信二に聞こえないくらい小さい声で話し始めた。

 

真耶「聞いてないですよ!私と新田君が同じ部屋だなんて」

 

千冬「そりゃあ言ってないからな」

 

真耶「なんで!「いいか真耶」へ?」

 

千冬「これは、勝負だぞ。この臨海学校でキメなければ、一生後悔するぞ」

 

真耶「でも…」

 

千冬「それじゃあ、他の人に取られてもいいのか?」

 

真耶「うぐ!」

 

千冬「あ~あ、一生寂しい人生を送るのだな。お前は」

 

真耶「う~そこまで言うならやってやりますよ///」

 

千冬「でかした!それじゃあ行って来い!」

 

真耶「はい!」

 

どうやら、話し合いは終わったらしい。千冬がこちらをニヤニヤしながら見ていたが、信二は真耶と一緒に部屋に入って行った。

 

信二「山田先生、着替えるならお先にどうぞ」

 

真耶「わ、私は大丈夫ですから、新田君が使って下さい!」

 

信二「いえいえ、山田先生が先に」

 

真耶「そんな、悪いですよ!先に新田君が…」

 

どことなく、緊張した面持ちで答えるのであった。そこからは、お互い譲り合いが始まり結局信二が部屋にある脱衣所で着替えた。

 

信二「山田先生どうぞ」

 

真耶「は、はい!え!///」

 

真耶は日々のトレーニングで鍛え上げられた信二の肉体を見て、固まってしまった。16歳の少年では有り得ないくらいしっかりとした肉体美があった。

腹筋は6つに割れ、二の腕はがっしりとし、大胸筋や小胸筋は綺麗に整っていた。そんな中、信二はデートで買ってきた水着とパーカーを纏って、海へ出かける準備をしていた。

 

信二「それじゃあ行ってきますね」

 

真耶「は、はい!私も後から行きますね///」

 

そして、一夏と部屋の前で待ち合わせをして、海へ向かうのであった。

 

信二「お待たせ、一夏」

 

一夏「おう、信二!やっぱりいつ見ても信二は凄い身体をしているよな」

 

信二「そんな事ないよ。ほら、行こう」

 

海へ行く途中、更衣室の前を通る羽目になり、女子たちの生々しい話しを聞くことになってしまった。

 

「ディズ結構大きいね」

 

「そう言う、サーシャの胸も綺麗よ」

 

「いゃん!触らないでよ」

 

「ギャラクシーさんもキレイよね」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「あ~あ今日も可愛い子たちがいっぱいいるね」

 

「ちょっと!ロランツィーネさん!」

 

このように、聞いているこちらが恥ずかしくなってきそうな内容であった。そして、浜辺に降り立った、2人は準備運動をして、女子たちを待つだけとなっていた。そうなると否応にも2人は注目を浴びてしまうのであった。

 

「キャー信二君凄い筋肉///」

 

「織斑君もいいけど、やっぱり細マッチョの信二君よね」

 

「あの腕に、セシリアが抱かれたのか///」

 

「いけない、よだれが…」

 

最後の人には、小一時間くらい聞きたい事があるけど、今は女子たちを待つのが先である。

 

一夏「遅いな、鈴たち」

 

信二「まぁ、まぁ女の子達は時間がかかるからね」

 

そう言って、待っていること数十分、件の女の子達がやって来た。

 

 

『お待たせ~!』

 

 

そこには、レゾナンスで買ってきた水着を纏っていた彼女たちが現れ、一瞬声をかけるのをためらってしまった。

 

セシリア「い、いかがでしょうか///」

 

信二「う、うん…綺麗だよ」

 

セシリア「まぁ!」

 

シャルロット「ねぇ信二ボクは?」

 

信二「うん、髪の毛と同じ黄色だから似合っているよ」

 

シャルロット「ホントに!よかった///」

 

箒「信二…その、どうだろうか///」

 

信二「とても良いよ。流石は箒だね」

 

箒「うう///」

 

静寐「ふ~ん、私の水着は飽きたんだ」

 

信二「そんな事ないよ。静寐の水着も綺麗だよ」

 

静寐「そっか!ありがとう///」

 

一夏「よく似合っているぞ!鈴、ラウラ」

 

ラウラ「当然だろ!」

 

鈴「ふ、ふ~ん///」

 

若干照れていた鈴であったが、まんざらでもなさそうだった。そこからは、各個人で遊ぶことにしていた。セシリアはパラソルを掲げて、信二に日焼け止めクリームを塗ってほしいとせがまれたが、そこに鈴が乱入し無造作に塗った時に、セシリアの水着がはだけてポロリとなる事件が起こったが信二は高速で顔をそむけて事なきを得た。

 

そこに、千冬達が登場し一気にヒートアップした。

 

「キャー千冬様の水着よ!」

 

「これは高値で売れるわ!」

 

「山田先生の…ダメだ。勝てる気がしない」

 

「やまやまのあれは、反則だよ…」

 

それにいち早く反応したのは、静寐達であった。同室の山田先生を一番危惧しているのである。そんな中、千冬が信二達にビーチバレーで勝負を挑んできたのである。

 

千冬「新田、織斑。どうだ、ビーチバレーで勝負してみるか?」

 

一夏「いいぜ!千冬姉!」

 

真耶「え~!」

 

信二「え、大丈夫ですか?」

 

千冬「安心しろ、お前たちなら直ぐに負ける」

 

一夏「言ったな!なら、俺たちが勝ったら、アイスクリーム奢りな!!」

 

千冬「良いだろう。なら、私達が勝ったらお前達の秘密を1つ暴露してもらうぞ」

 

この要求に対して余りにも不公正過ぎると思った信二は、一夏に訂正するように言ったが聞く耳持たない状態だったので、仕方なくあの力を使うのであった。

 

前衛が真耶、後衛が千冬と完璧な布陣に対して、後衛に信二が付き、一夏は前衛となった。信二のジャンプサーブは、コートギリギリを攻めていたが千冬は拾って、真耶がトスをする。

 

その時、たわわに実ったお山がどたぷんと揺れ、信二に一瞬の隙を与えてしまった。それによりカバーが間に合わず、失点を許してしまった。

 

信二(ダメだ、山田先生の胸が気になって集中できない。どうすれば…)

 

静寐「信二君頑張って~!」

 

箒「そうだ!信二!男を見せろ!」

 

セシリア「信二様~!」

 

シャルロット「頑張れ~信二!」

 

鈴「一夏!頑張りなさいよ!」

 

ラウラ「諦めるな嫁よ!兄上も!」

 

不意に彼女たちからの応援が励みになり、集中が出来た。

 

信二(そうだ!諦めるわけにはいかない!彼女達の為にも)

 

そこからは、俄然やる気が出来て千冬と信二のラリーが続いた。向こうが一点を取れば、こちらも取り返す。その攻防が続き信二のジャンプサーブから始まりそしてついに…

 

信二「これで最後!」

 

千冬「まだまだ!」

 

信二「はぁ!」

 

千冬「とりゃあ!」

 

一夏「あの~」

 

真耶「私達はどうすればいいでしょうか?」

 

もはや、千冬と信二の一騎打ちとなっていた。しかし、意外な形で決着が着いた。それは、ボールがネットギリギリに来た時だった…

 

信二「しまった!」

 

千冬「もらった!」

 

「パッアン!」

 

千冬・信二『あ!』

 

「ボールが割れたため、この勝負ドロー!」

 

「ワーワー!」

 

両者が思いっきりスパイクしてしまい、ボールが耐えきらず割れてしまった。いつの間にかギャラリーも揃っていて、ちょっとした大会の決勝戦みたくなっていた。

そんな中、信二と千冬は硬い握手をして互いの健闘を称えたのであった。これにより、信二の彼女達と真耶は改めて信二に惚れ直したそうだ。

 

ビーチバレーでの激闘を終えて、信二と一夏はアイスを食べていた。結局のところ千冬達は元々アイスを奢る予定であった。

 

一夏「それにしても、信二は凄いな」

 

信二「何が?」

 

一夏「だって、あの千冬姉と互角に渡り合っていたからな」

 

信二「そんな事ないよ。現にドローになっていたからね」

 

一夏「それを抜きにしても、すげぇよ」

 

信二「一夏…ありがとう」

 

丁度アイスも食べ終わって一夏と別れた信二が海岸をぶらついていると、岩陰で言い争っている場面にであった。

 

どうやら、箒と誰かがいるようだ。ここは、学園生立ち入り禁止のハズになっている。居ても立っても居られない、信二は声のする方へ向かうのであった。

 

箒「やめてくれ!私には信二がいるのだ」

 

???「そんな事言わないでくれよ」

 

???「ロラン、いい加減にしなさい」

 

???「何故だ、ヴィシュヌ。これから箒への愛の告白をしようというのに」

 

???「貴方にとってのお邪魔虫が現れたからよ」

 

信二「お邪魔虫は酷いな」

 

そう言って、信二は岩陰から登場すると箒は相当困っていたらしく、信二を見た瞬間安心していた。

 

???「誰だい君は?」

 

信二「僕は新田信二と言います。あなた方は?」

 

ロラン「私は、ロランツィーネ・ローランディフィルネィ。オランダの代表候補生さ」

 

ヴィシュヌ「1-3組ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー。タイの代表候補生です。よろしくお願いしますね」

 

信二「それで、ギャラクシーさんとローランディフィルネィさんは箒に何をしていたのですか?」

 

ロラン「それは、箒を私の彼女にするために、愛の告白をしようとしていたのさ」

 

ヴィシュヌ「…ロランそれは、逆効果よ」

 

箒「信二、助けてくれ」

 

信二「すみません。箒は僕にとって大切な人なので、離してください」

 

少し怒気を含ませながら、信二はロランに言った。それに臆してしまったロランは、手を離してしまいその瞬間、ダッシュで箒は信二の後ろに隠れてしまった。

 

信二「大丈夫?」

 

箒「信二、ありがとう///」

 

ロラン「あ~箒は恥ずかしがり屋だね。そんな君も可愛いさ」

 

箒「うるさい!」

 

信二「箒が嫌がっているじゃないですか。やめてください」

 

ロラン「そんな事ない!大体、箒はなんで、その男が好きなのだ!」

 

箒「それは、信二が男らしく、綺麗で強いからだ!何処にも負けない信念を持っている!」

 

ロラン「強い信念…」

 

ヴィシュヌ「それは、わかる気がしますね」

 

ロラン「何故だ、ヴィシュヌ」

 

ヴィシュヌ「新田信二。織斑一夏と同様に世界に二人の男性操縦者で、あのゴーレム事件で1体撃退するも、自身も瀕死の状態を負ったが、奇跡の復活を遂げている。更に、タッグマッチトーナメントでVTシステムと化したラウラ・ボーデヴィッヒを沈静化するなど目覚しい活躍をしている」

 

信二「詳しいね」

 

ヴィシュヌ「調べるのは得意ですから」

 

そう言って、ヴィシュヌはそっぽを向いてしまった。しかし、それに火が付いたのはロランだった。

 

ロラン「納得できない!大体、君はゴーレムにも、ラウラにも一度負けているではないか!私であれば、勝てる」

 

信二「確かに一度は負けました。でも、それ以降ただ強くなるのではなく、皆を守る為には、どうすればいいのかを考えていました」

 

ロラン「それと、箒の彼氏を名乗るは関係ない」

 

信二「それは…」

 

ロラン「なら、ISバトルでどちらが箒の彼氏にふさわしいか勝負しようじゃあな

いか!」

 

信二「!」

 

箒「うぇ!」

 

ロラン「勿論、逃げることはないだろう」

 

信二「…わかりました」

 

箒「信二!無茶だ!相手は代表候補生だ」

 

ヴィシュヌ「話しはまとまりましたか?」

 

ロラン「勝負は、夕方!場所はここから40㎞沖合だ。精々あがいてみるのだぞ」

 

そう言って、ロランとヴィシュヌは去っていた。あとには箒と信二しかいなかった。

 

箒「信二大丈夫か?」

 

信二「分からない。けど、あそこで引いていたら箒を失いそうで引けなかったかな。ハハ」

 

箒「し、信二!」ダキ

 

信二「おわ、箒…」

 

箒はその一言で嬉しくなり、抱き着いてきた。そこには、信二に全てを預ける覚悟がある瞳であった。信二も箒を安心させるように、頭を撫でるのであった。

 

箒「信二、私はどんな結果になっても、信二の事が好きだ。だから、全力で戦ってくれ」

 

信二「箒…わかったよ」

 

箒「それと、これは餞別だ///」

 

信二「箒?…ん!」

 

箒「ん、ちゅっ、んむっ…はぁ、ん、ずずっ、ちゅっぱ、ハァ、ハァ信二…好きだ///」

 

箒は大胆にも信二の口にも自身の舌を入れてキスした。いわゆるディープキスであり、口を話すと銀色の糸がお互いの口から出てきた。突然の出来事に信二は驚きを隠せなかった。

 

信二「ほ、箒さん!どうしたの!」

 

箒「すまない信二。でも、最近不安なのだ…」

 

信二「不安?どうして?」

 

箒「…最近、信二との時間が少なくなっているように感じている…それに、いつぞやの千冬さんとの組手やラウラの事件の以降、信二が遠くに行ってしまうように感じて不安なのだ…」

 

信二「箒…」

 

箒「わかっている。信二は皆の事を思って強くなっているのであろう。だけど、それでも不安なのだ…」

 

信二「箒!」

 

箒「あっ!」

 

箒から出た不安な気持ちを払拭するように、信二は強く抱き締めた。互いの心音が聞こえるくらい、強く、強く抱き締めた。

 

信二「ごめんよ。箒がそんな風に思っていたなんて、これじゃあ彼氏失格だな…」

 

箒「信二…しんじ~うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

箒は抱き着きながら、思いっ切り泣いた。それに対して信二は、只々背中をさすって宥めていた。

 

そして、泣き止んだ後でもお互い抱き合っていた。

 

信二「泣き止んだかい?」

 

箒「あ、あ。すまないな。惨めな姿を見せてしまった」

 

信二「大丈夫だよ」

 

箒「え?」

 

信二「僕は、どんな箒でも受け入れる。だって僕は、君の彼氏だからね」

 

箒「信二…ああ、そうだな!それでこそ私の自慢の彼氏だ」

 

信二「それじゃあ、大事な餞別もらったから、一丁行ってきますか!」

 

そう言って、箒から離れてローランディフィルネィが待つ海上に行くのであった。その後ろ姿を見て箒は改めて、信二を好きになって良かったと思うのであった。

 

 

 

 

 

 

夕方になり、ロランとのISバトルを迎えるのであった。教師陣や他の生徒達が見守る中、沖合40㎞の所に、信二とロランは専用機【オーランディ・ブルーム】を纏って対峙していた。

 

ロラン「最後通告だ!降伏することはあるかい!」

 

信二「ない!」

 

ロラン「仕方ない…」

 

『これより新田信二VSロランツィーネ・ローランディフィルネィのISバトルを開始する』

 

簡易ブザーがなり、先に仕掛けたのは信二だった。

 

信二「初弾!徹甲弾装填完了!ファイヤー」

 

大型レールカノンから発射された徹甲弾は真っ直ぐにロランの元へ発射された。しかし、ロランは避けることなくその場に立っており、ニヤリと笑った。

 

次の瞬間、大爆発を起こしたがロランは無傷で立っていた。

 

信二「なに!」

 

ロラン「この程度かい?なら、今度はこちらから行くぞ!」

 

ロランが真っ直ぐ突っ込んで来るのに対し、信二は全力で後退した。そして、両サイドにある花弁を模様した大型のカノン砲から発射された弾は、信二の右腕をかすめた。SEが1割減ったが問題はそれだけではなかった。

 

信二「これは!」

 

そこから無数の蔦みたいな物が伸び始め右腕全体を覆った。そして、軋む音がなり…

 

ロラン「咲きほこれ…!」

 

突如として、右腕が爆発した。

 

信二「ぐっ!」

 

更にロランは、左腕、両足、胴体と当てていき、こう言った。

 

ロラン「これは、【シード・ショット】と言いてね、先程のように、植物の根の様になり貴様の機体内部のエネルギーを吸い取って成長し、自爆する代物さ」

 

信二「なに!」

 

ロラン「私のISはあらゆる生物の特性を活かして攻撃する。既に、他の箇所にも植え付けっている…もう一度言う。降伏する気はあるかい?」

 

確かに、先程のような爆発を受ければ機体どころか、絶対防御が働くレベルまでになるだろう。その時、ハイパワーセンサーで数百メートル先にある箒の顔を見た。酷く怯えているように見えた。

 

信二「(ここで、僕が負ければ箒はローランディフィルネィさんの物になってしまう。その次は静寐、セシリア、シャルロット…そんな事になるくらいなら)断わる!!」

 

降伏拒否の言葉を聞いて、ロランは悲しそうにこう告げた

 

ロラン「咲きほこれ…」

 

次の瞬間、信二の【ヤークトティーガー】の各所から爆炎が上がった。

 

信二「ぐっああああ!!」

 

箒「信二~!」

 

爆炎が収まると、信二は真っ逆さまに海面に叩き付けられ巨大な水柱が上がった。

 

箒「信二…しんじ~!」

 

静寐「信二君…」

 

セシリア「信二様…」

 

シャルロット「信二…」

 

一夏「よくも信二を!」

 

千冬「まて、織斑」

 

一夏「放せよ千冬姉!アイツは信二を!」

 

千冬「落ち着け。これは、新田とローランディフィルネィの戦いだ。それに、私はまだ、負けたとは思えないからな」

 

一夏「どういうことだよ」

 

千冬「まぁ、見ていろ」

 

ロランは勝利の笑みを浮かべていた。(勝った!これで箒は私の物だ)と確信していた。しかし、海面が盛り上がりそこには、VTシステムを発動し左目が黄金色に輝いている信二の姿がった。

 

『信二(君)(様)!』

 

信二は語ることなく、バトル続行の姿勢を取った。それに対してロランも同じ様にした。

 

ロラン「そんなに、箒が恋しいか…なら、このロランツィーネ全力でお相手しよう!行くぞ!」

 

信二「…」

 

つかさず、ロランが迫ってきて【シード・ショット】を連発してきた。対する信二はレールカノン砲・両サイドの盾をパージし、トンファーを装備してこう叫んだ。

 

信二「…Hasenjagd(狩りの時間だ)!」

 

 

信二は、【シード・ショット】をやり過ごす為に、瞬時加速(イグニッションブースト)を行った、しかし、ロランがそれを見逃さない。

 

ロラン「そんなもの、加速が終わるタイミングを見計らえばどうと言うことはない」

 

信二「そうだ。ならこれでどうだ!」

 

ロラン「なに!」

 

信二は、瞬時加速(イグニッションブースト)を行うふりをして、スラスターを次々に点火させることによって加速を行う、個別連続瞬時加速(リボルバーイグニッションブースト)を行った。

 

ロラン「個別連続瞬時加速(リボルバーイグニッションブースト)だと!代表候補生の私でさえ成功する確率は低いというのに!」

 

そうしている間にも、信二は徐々に近づいて行き、あと数センチまでに迫った。ロランも反撃をするが全て躱された。ここで、初めてロランが焦りの表情を見せた。

 

信二「これで、終わりだ!」

 

ロラン「まだだ、まだ終わらんよ!【リーフ・シールド】」

 

そう言って、ロランの前には幾重にも葉っぱのシールドが現れた。信二は、リーフ・シールドに拒まれるも、トンファーを振りかざし破壊し始めた。

 

信二「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

1枚、2枚、3枚と破壊し、あと1枚となった。

 

ロラン「バカな!こんなの何かの間違いだ!」

 

信二「これで、最後!」

 

ついに最後の1枚も破壊し、ロランだけとなった。そして、信二は肉薄し、胴体、脛、肩、背中とダメージを与えて行き、最後に大きく振りかぶり…

 

信二「これが、僕の全力だーーーーーーー!」

 

頭上から真下にかけて振り落とした。

 

ロラン「ぐっああ~!」

 

その瞬間、ロランのSEが0になり、信二の勝ちが決まった。

 

『ロランツィーネ・ローランディフィルネィエンプティ!勝者新田信二!』

 

 

箒達『やったー!』

 

 

それと同時にロランが気絶しISが待機状態に戻り落下し始めた。

 

信二「マズイ!」

 

信二はすかさず、瞬時加速(イグニッションブースト)をしてロランを抱きかかえた。これには箒達も驚いており、信二はロランが無事である事を確認すると、海岸へ戻るのであった。その途中でロランは気絶から覚めた

 

ロラン「う、う~ん…ここは?」

 

信二「気が付きましたか?」

 

ロラン「君は…そっか、私は負けたのだな」

 

信二「ええ」

 

ロラン「しかし君は律儀な人だな。あの場に残しておけばよいものを」

 

信二「それは、出来ませんよ」

 

ロラン「え?」

 

信二「例え勝負をしていても、それが終われば同じIS学園の生徒同士。仲間を助けるのは当たり前のことですし、何より女の子を海に落とすわけには行けませんからね」

 

そう言って、信二は笑顔で答えた。

 

ロラン「!///」

 

信二「ローランディフィルネィさん?」

 

ロラン「…ロラン」

 

信二「え?」

 

ロラン「私の事はロランでいい。新田信二」

 

信二「じゃあ、僕の事も信二でいいですよ」

 

ロラン「分かった。信二、いいバトルだったな」

 

信二「僕もですよ。ロランさん」

 

ロラン「敬語はいい。同い年だろ」

 

信二「そうだ…そうだね。ロラン」

 

ロラン「ああ、信二///」

 

若干頬が赤くなっていたが、信二は気にせず皆が待つ岸に向かうのであった。そして、岸に着くなり箒から、熱いハグが待っていた。

 

箒「信二///」ダキ

 

信二「おっと!」

 

咄嗟の事で少しよろけてしまったが、何とか受け止めることが出来た。それに続くように、静寐・セシリア・シャルロットが駆け寄って来た。

 

セシリア「おめでとうございます!信二様」

 

静寐「おめでとう信二君!」

 

シャルロット「かっこよかったよ。信二!」

 

信二「ありがとうみんな」

 

彼女たちから賛辞を受けて喜ぶ信二。それに続くように、ロランが箒の前に出て謝罪してきた。

 

ロラン「箒、君に不快な思いをさせてしまった。申し訳ない」

 

箒「顔をあげてくれ。もう気にしていない」

 

ロラン「そうか、ならよかった」

 

どうやら、箒はロランの件について許していた。そこに、信二が入って来た。

 

信二「よかったね。ロラン」

 

ロラン「信二、君にも迷惑をかけた。許してくれなんて言わない」

 

信二「そんな事ないよ。僕も代表候補生と戦えていい経験になったよ。こちらこそありがとう」

 

ロラン「フフ、変わった奴だな」

 

信二「そうかな?」

 

ロラン「ああそうだ。だから、私は君に惚れたのかもしれない」

 

信二「え?」

 

そう言って、信二の真横に近づき腕を組みながらこう言った。

 

ロラン「Ik hou van je(大好きだ)信二」チュッ!

 

信二「へ?」

 

『あーーーーー!』

 

 突然のロランからの告白&キスに驚くヒロインズであった。それを見守っていた太陽は、水平線の向こうへと沈んで行った。

 




話数を重ねるごとに、信二君が強化していく。(それが目的だからw)
ロランをヒロイン化したのは、無理があったと思っているけど私は悪くない!
最後のロランの言葉はオランダ語です。

これからもどんどんヒロイン化していくので、そう言う作品なのだなと思ってください。

次回からは、箒のISそして、福音戦に入ります!

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第二十三話 臨海学校2日目(前編)

とあるPです。

いよいよ臨海学校2日目です。

少女達の想いが打明けられ、新たな動きも出てきました。

そして、ついにナターシャの登場です。

それでは本編をどうぞ!!


時刻は19時。夕方行ったロランVS信二のISバトルは、辛くも信二が勝利する形で幕を閉じた。そして、その強さと気高さにロランが惚れ込んでしまう事件が起きた。

 

夕食は、旅館の大広間を3つ貸し切って行われた。各国の仕来りに従って、洋食・和食・中華が振る舞われた。当然、日本食も含まれており、信二と一夏は滅多に食べられない刺身盛り合わせに舌鼓していた。

 

一夏「うん!美味い流石本わさび」

 

シャルロット「本わさび?」

 

そう言って、シャルロットは刺身の横にあるわさびの山を全て取ってしまった。そして、そのまま口に含んだ。その瞬間、わさびの猛烈な辛さをシャルロットが襲った。

 

シャルロット「~~~~~~~~~~~!」

 

信二「大丈夫!ほら、これ飲んで!」

 

信二は近くにあった、水をシャルロットに渡すと一気に飲み干した。

 

シャルロット「うん…ふうみがあっておいしいね…」

 

信二「そんなに一気に食べるからだよ。少量を刺身に付けて食べる。うん!美味い」

 

ロラン「そうなのか。やはり日本とは面白い国だな」

 

信二「そう言えばロランが住んでいる、オランダも魚料理があるんだよね」

 

ロラン「そうだね。「ハーリング」と呼よばれる生ニシンの塩づけはオランダの名物料理の1つになっている。特に、西部はニシンや、カキ、ムール貝と言いた新鮮な魚介類を使った料理が有名だな」

 

信二「へ~そうなんだね。面白いね」

 

ロラン「ああ、今度案内しよう」

 

信二は終始興味を抱いていたが、他の4人はたまったものではない。特に、一番の親交がある静寐やセシリアはムスッとしていた。

 

セシリア「う、うん…」

 

信二「セシリア?どうしたの?」

 

セシリア「信二様。実は不肖セシリア・オルコットお願いしたいことがあります」

 

信二「何だい?」

 

セシリア「実は、オハシの使い方が不慣れなため上手く、物がつかめないのです…」

 

信二「そっか。なら、僕が食べさせてあげるよ」

 

セシリア「ほ、本当ですか!それではお願い致します!///」

 

そう言って、セシリアは自身の箸を信二に渡したのだ。

 

信二「うん。どれにする?」

 

セシリア「では、このマグロの赤身をお願い致します」

 

そして、信二はマグロの赤身に少量のわさびを付けてセシリアに食べさせようとした。

 

信二「はい、あ~ん」

 

セシリア「あ~ん///」

 

当然、周りの女子や信二の彼女達(静寐、箒、シャルロット、ロラン)が黙っていない。

 

「セシリアずるい!」

 

「そうよ!信二君にあ~んなんて!」

 

「信二君!私にもやって!」

 

他の女子たちがせがむ中、箒と静寐は信二を見つめ続けていた。そこに、千冬にお小言が言われた。

 

千冬「うるさい!食事中だ!」

 

信二「お、織斑先生…」

 

千冬「新田、頼むから静かにしてくれ。それと、他に騒いでいる者。そんなに元気があるのであればISを担いで砂浜ダッシュでもやるか」

 

信二・女子達『すみませんでした~!』

 

そんな事があった夕食も終わり、お風呂の時間になった。旅館内の広々とした内風呂や露天風呂を堪能した女子達は部屋で談笑していた。

 

 

 

~静寐・箒の部屋~

 

私と静寐の部屋には5~6人いたが、お土産を買って来るとのことで今は2人しかいなかった。思えば、部屋以外で静寐と2人になるのは初めてかもしれない。

 

静寐「今日の信二君、モテモテだったね」

 

箒「そうだな。特にロラン戦で勝利したのが大きかったな」

 

静寐「だって、代表候補生の2人に勝っているもんね」

 

箒「確かにな…」

 

静寐「…不安?」

 

箒「え?」

 

静寐「信二君が遠くに行っちゃうのが」

 

箒「確かに、そうでないと言ったら嘘になるな。けど大丈夫だ」

 

静寐「箒?」

 

箒「私はこれから先、どんなことになっても信二の傍を離れないと決めたのだ」

 

 

そう、私はもう目標(信二の彼女)を決めてどんなことにも立ち向かうと決めたのだ。そう思っていると不意に静寐が抱き着いてきた。

 

箒「静寐?」

 

静寐「私はね、不安なんだ…」

 

箒「え?」

 

静寐「信二君は以前よりも強くなっているしこれからも強くなる。けど、その時に私は隣に立っていられるのかって思う時がいっぱいあるの。今回の事もそうだし、VTシステム事件やゴーレム事件の時も隣にいれなかった…」

 

箒「静寐…」

 

静寐「だから!」

 

そう言って、彼女は勢い良く起き上がった。

 

静寐「私も強くなる!いつか信二君の隣に立てるくらい強くなる!そう決めたの」

 

箒「ああ、私もそうだ。なら、同じ信二と隣にいる仲間として共に頑張ろう!」

 

静寐「うん!けど、恋の好敵手(ライバル)としては負ける気はないからね♪」

 

箒「もちろんだ!」

 

新たな決意をして今乙女達は立ち上がった。そして、お土産買いから戻ってきた他の女子たちが入って来た。

 

「え~何々?信二君の事?」

 

「あ、私達も混ぜてよ~!」

 

「2人だけでずるい!」

 

静寐・箒『フフフ』

 

 

 

 

~シャルロット・ラウラの部屋~

 

ボクとラウラはお揃いのパジャマ(ラウラが寝るときは裸でいるため、この合宿前に買ってきた)を着て部屋でのんびりしていた。

 

他の女子たちは、恋バナに夢中になっていた。

 

「ねぇ、ねぇみんなはどっちがタイプなの?」

 

「私は、織斑君かな。いかにも活発な人だし何よりイケメンだしね」

 

「私は、新田君かな。最初はオドオドしていたけど最近は、物凄く頼もしくなってきたから、そのギャップがたまらないね」

 

「確かに新田君。カッコ良くなって来たね」

 

 

そんな会話を遠目でシャルロットとラウラは見ていた。

 

シャルロット「確かに、信二ってカッコいいよね」

 

ラウラ「うむ、嫁も強くなっているかな」

 

 

「カチン」

 

その一言でボクの何かが切れた。

 

シャルロット「そ、そう言えば信二って代表候補生の2人も勝っているからね~」

 

ラウラ「嫁は、VTシステムになった全盛期のきょ、織斑先生に勝っているからな」

 

シャルロット「む!それに信二はISを稼働して間もないのにセシリアに圧勝していたからね!」

 

ラウラ「嫁は、内面でなく外見もいいからな!」

 

シャルロット「ムムム~!」

 

ラウラ「ぐぬぬ~!」

 

「あ、あの~シャルロットにラウラどうしたの?」

 

2人が言い争っている所に先程まで恋バナをしていた女子たちが話しかけてきた。

 

シャルロット・ラウラ『皆は信二(嫁)が一番だよね(だよな)!』

 

『え~~』

 

その質問に戸惑う女子達であった。

 

 

 

~セシリア・鈴の部屋~

 

 

鈴「この、乳デカ女!」

 

セシリア「何ですって!この幼児体形!」

 

 

「いいぞ、もっとやれ!」

 

「ひゅ~、ひゅ~!」

 

 

ここでも、ひと悶着が始まっていた。事の発端は、わたくしがお風呂上りに付けていた下着の色を1人の女子が「セシリアはエロいなぁ~」と挑発的な言葉を言った後に、鈴さんが「あんなのどこがいいのよ」とバカにした発言をしたのです。

 

セシリア「まぁ、鈴さんには似合わない物ですけどね」

 

鈴「はぁ~?どういう意味よ?」

 

セシリア「言葉通りの事ですわ。鈴さんがここまで成長するのに何十年、何百年かかるかわかりませんからね」

 

鈴「フン!デカけりゃあいいってもんじゃあないでしょ。大体あと数年後には垂れ下がるだけなんだから…」

 

セシリア「あら、それはないものねだりでしょうか?」

 

鈴「一夏はね、そんな気にしない男だからね」

 

セシリア「信二様に限ってそんなふしだらな事をしないでしょうが、もし望むのであれば///」

 

 

「うは~セシリアそんなこと考えていたんだ」

 

「やっぱりセシリアはエロなぁ~」

 

 

セシリア「そ、そんな事ございませんわ!」

 

鈴「いいわよ!そこまで言うのなら直接一夏に聞きに行くわよ」

 

セシリア「望むところですわ!信二様にハッキリとしてもらいましょう」

 

そう言って、わたくしと鈴さんは信二様と一夏さんの部屋めがけて出で行きましたわ。

 

 

 

 

ところ変わって、一夏と千冬の部屋。千冬は遅い業務を終えて風呂から戻ってきたところだった。

 

一夏「お帰り、千冬姉」

 

千冬「ただいま一夏。…ふぅ」

 

一夏「大分疲れているみたいだけど、大丈夫?」

 

千冬「昼間のローランディフィルネィのISバトルの報告やら、小娘どもの相手をすればな…」

 

一夏「アハハ…それじゃあ久しぶりにする?」

 

千冬「頼めるか」

 

鈴とセシリアは先ほどの真偽を確かめる為に、一夏の部屋の前に来た。しかし、ここには千冬もいる。いざ入ろうとする躊躇してしまうのであった。

 

鈴「早く開けなさいよ」

 

セシリア「そんな事言わないでくださいまし」

 

そんな事をしていると、部屋の中から艶めかしい声が聞こえてきたのである。

 

「あ…、ん…んう」

 

「千冬姉最近溜まっているんだろう」

 

「そ、そんなこと、あっ!ないぞ///」

 

「早く楽になっちゃえよ」

 

「ううん///」

 

鈴「ちょっと、ちょっと!何してんのよ!」

 

セシリア「そんな一夏さんと織斑先生が!流石にご姉弟で///でも、最近お二人とも距離が近いような」

 

鈴「そんな事を言っている場合じゃあないでしょ!」

 

めくるめく世界へ旅立たないように、意を決して鈴が部屋前に入るのであった。その後ろにはセシリアが真っ赤になりながらも、同じように入ろうとしていた。

 

鈴「一夏!千冬さん!それはだめーー!」

 

セシリア「そうですわよ!一夏さん!」

 

 

一夏・千冬『へ?』

 

そこには、寝そべっている千冬に一夏が指圧マッサージをしているだけであった。

 

セシリア「あれ?織斑先生何をしているのですか?」

 

千冬「なに、最近疲れていたからな。一夏にマッサージをしてもらっていたんだ」

 

鈴「そうなの?一夏」

 

一夏「そんな感じだな」

 

千冬「お前ら、一体なにを想像していたんだ…」

 

鈴「えっと…」

 

セシリア「アハハ…」

 

千冬「ちょうどいい、凰、オルコットお前達、鷹月と篠ノ之、デュノア、ボーデヴィッヒ、ローランディフィルネィ、ギャラクシー、山田先生を連れてこい」

 

鈴「それは、多くありません?」

 

千冬「いいからつべこべ言わずさっさと連れてこんか!」

 

『はい!』

 

ダッシュで鈴とセシリアは向かうのであった。途中他の女子たち聞いて全員の居場所を特定して千冬の部屋に連れて来ることが出来た。

 

千冬「全員到着したな」

 

真耶「あの~織斑先生?」

 

千冬「何だ真耶?別に今は学校じゃあないから無礼講でもいいぞ」

 

真耶「なら、先輩。どうして私までいるんですか?」

 

千冬「それはだな…その前に皆のどが乾かないか?」

 

セシリア「ゼーゼー、そう言えば先ほど走って来たので、のどがカラカラでございますわ…」

 

鈴「アタシも同じね」

 

千冬「オイ、一夏売店に行って皆の分のジュースを買って来い」

 

一夏「え~俺これか信二と卓球をしに行く予定だったんだけど…」

 

千冬「良いから行って来い。お釣りはお駄賃にしても良いから」

 

一夏「ちぇ~わかったよ」

 

そう言って、エコバッグ片手に渋々売店に向かうのであった。そして、全員分のジュースを買って来ると一夏は何処かに出かけてしまった。

 

千冬は備え付けの冷蔵庫からビール缶を何本か取出し「カシュ!」と心地良い音を出してゴクゴクと飲み干した。そんな中、静寐が、思いっ切って聞き出した。

 

千冬「ぷはー!うん美味い」

 

静寐「それで、織斑先生私達を呼び出した理由は何なんでしょうか?」

 

千冬「そうだったな。ぶっちゃけて聞くぞ。お前達、織斑と新田どっちが好きなんだ?」

 

 

『!』

 

 

薄々このメンバーで感じていた事である。そんな中、真っ先に告白したのは、静寐であった。それを皮切りに皆思いの丈をぶつけてきた。

 

静寐「私は、信二君が好き。だって、彼から出る優しい雰囲気と皆を守る為に強くなる気持ちがあって最近はもっとカッコ良くなっている気がします」

 

箒「私も信二が好きです」

 

千冬「意外だな。篠ノ之は一夏を選ぶと思っていたが」

 

箒「確かに、以前の私なら一夏を好きになっていたと思います。けど信二が、入学した当時に私が一夏へ起こした暴力事件で、叱ってくれたんです。篠ノ之束の妹ではなく箒個人として。それが一番嬉しかったです」

 

セシリア「私は信二様と試合をして、殿方の素晴らしさ、強さを身に沁みました。どんな逆境にいても最後まで諦めない心を知りました」

 

鈴「アタシは、小学校の頃に中国人って言うだけで皆からバカにされていたわ。そんなアタシを救ってくれたのが、一夏だった。その時からかしらね、一夏を好きって感じたのは」

 

シャルロット「男装でスパイ活動をしていたボクに対して信二は、初めて怒ってくれた。「どうして我儘を言わないんだ!それでいいのか!」ってね。そして、助けを求めた時に「わかった」って力強く答えてくれたんだ。その時からかな、この人なら安心する。傍にいたいって思ったのは///」

 

ラウラ「嫁…一夏を最初私は毛嫌いしていた。織斑教官のモンドグロッソ2連覇を逃した罪としてとてもじゃないが憤りを感じていました。しかし、VTシステム事件の時彼は身を挺して助けてくれました。そこで気づいたんです。力だけでは何も解決しない。守りたい者が居れば強くなれると。まぁ!今では嫁になっていますがね!」ドヤ

 

 

小さくドヤ顔すると、(何だこの可愛い生き物は!)と思う皆であった。

 

 

千冬「お前達はどうなんだ。ローランディフィルネィ、ギャラクシー?」

 

ロラン「私は先のISバトルで、彼の、信二の強さを知りました。代表候補生の私にも臆することなく真っ直ぐと向かい、大切な人を死してなお、守ろうとする心に。だから、私も全力で相手をし、敗れたが清々しい気持ちになりました。そして、彼の強さをもっと知りたいと惹かれていったのです///」

 

ヴィシュヌ「私は…新田信二をそれなりに評価は出来ます。しかし、それだけで彼を好きになるかどうか、わかりません」

 

千冬「それでいい、しかし、奴と戦ってみるといい発見があるかもしてないぞ」

 

ヴィシュヌ「はい」

 

千冬「さて、最後にこの2人にも聞いてみようか。いるのだろう束」

 

そう言った瞬間、屋根の戸が外れ現在指名手配中の篠ノ之束が姿を現した。

 

束「あれ~バレちゃった?」

 

『束さん!(篠ノ之博士!?)(姉さん!)』

 

千冬「当たり前だ。お前の気配など直ぐにわかる」

 

束「ちぇ~上手く隠したつもりだったんだけどね~」

 

セシリア「お久しぶりです。束さん」

 

束「うんうん、久しぶりだねセッシーとシズシズ!元気にしてた?」

 

静寐「はい!」

 

シャルロット「束さん、この前はありがとうございました」

 

束「シャルちゃんも元気そうで何よりだよ」

 

千冬「それよりも、早く話せ」

 

束「分かってるよ。えっとね、シンちゃんを好きになったのは、私の夢と同じ考えを持っていたんだ♪」

 

セシリア「それは、宇宙に行きたいということですか?」

 

束「そうだよセッシー!それに、当時のシンちゃんは可愛くてね。一緒に寝た時な

んて焦っていたんだから///」

 

『一緒に寝たーーーー!?』

 

その一言に黙っていなかったのは、信二ヒロインズ達であった。

 

束「あ~違うよそんないやらしいことじゃないよ!………まだ、ね」

 

『まだ!?』

 

千冬「束、話しをややこしくするな!」

 

束「は~い」

 

そう言って、束は黙ってしまった。そして、最後の1人である…

 

千冬「どうした真耶早くしろ」

 

真耶「先輩…話さないといけないですか?」

 

千冬「そうだ。早くしないとお前にも酒を飲ませるぞ。ヒック///」

 

 

見てみると、千冬の周りには空き缶の山が出来ていた。これ以上飲ませてはいけないと思い、真耶は想い胸の内を話し始めた。

 

真耶「わ、私は…」

 

『ゴクリ』

 

真耶「私は…彼のこと。信二君の事が…生徒ではなく、異性として、1人の男性として好きになっていました」

 

『え~~~~!』

 

それを聞いた一同は驚きが一番であった。かくゆう束も驚いているくらいだからだ。

 

真耶「最初に意識し始めたのは、クラス代表決定戦でしょうかね。オルコットさんに果敢に挑む姿や、クラス対抗戦では、無人機相手にISを操作して2週間しか経っていないのに篠ノ之さんを守る姿に感動しました」

 

箒「…」

 

まじかにいた箒は今でもあの時の信二を覚えている。無人機(ゴーレム)から来る熱線に対して身を挺して守った信二の雄姿を。

 

真耶「信二君が、大怪我を負った時はとても悲しみました。どうして私は助ける事が出来なかったのかって」

 

千冬「…」

 

その場にいた、千冬も同じ気持ちだったのであろう。黙って彼女の話に耳を傾けていた。

 

真耶「そして、先のボーデヴィッヒさんとのバトル後に保健室に運ばれてきた時は、正直生きた心地がありませんでした。だって、だって、この歳になって初恋の子が死んでしまうかもしれないと思うと…」

 

ラウラ「…」

 

自分以外の力が働いたとは言え、ここまで悲しいことをしてしまったと罪悪感が生まれてしまった。ラウラであった。

 

真耶「けど、彼は復活しました。その時思ったのです。彼の事が好きなんだと。しかし、私は先生、信二君は生徒です。先生と生徒の恋愛なんて世間が許してくれません。だけど、この気持ちに嘘はつきたくないと思い、今日まで生活してきました。ごめんなさいね」

 

そう言って、真耶は涙を流しながら皆に謝罪してきた。しかし…

 

静寐・箒・セシリア・シャルロット・ロラン『山田先生!』

 

真耶「あっ!」ダキ

 

静寐達は山田先生を抱きしめていた。同じ男性を好きになった人だから親近感がわいたのであろう。

 

静寐「大丈夫です。山田先生」

 

箒「ああ、そんな事を気にする奴じゃあない」

 

セシリア「そうですわ。もし、そんな輩がいたらオルコット家が許しませんわ」

 

ロラン「その時は私も、黙ってはいないだろう」

 

シャルロット「何より、あの信二が拒むわけないからね」

 

 

『確かに!』

 

 

真耶「みんな…ありがとう///」

 

真耶は皆に想いを打ち明け、意思は固まったようだ。

 

千冬「話しはまとまったようだな」

 

『はい』

 

千冬「わかった。なら、これについて説明する」

 

そう言うと、千冬は1枚の紙を取り出した。そこには「男性操縦者の一夫多妻制度」と書かれていた。皆驚いたが、事前に話しを聞いていた真耶と、どこからか情報を得ていた束は余り驚かなかった。

 

千冬「実はこの臨海学校が始まる前から、進められていた法律で、今から話すことは最重要事項だから、心して聞くように」

 

 

『わかりました』

 

 

千冬が説明すると言い出すと、さっきまでの雰囲気とは違い、皆緊張した面持ちでいた。

 

千冬「そう緊張しなくてもいい。但しこれは、今後の人生を決める重要な案件だ。まず、現状だが織斑、新田共に所属する国が決まっていない。そこで政府は織斑・新田両名を日本所属とする方針を立てた。これには両名が日本出生なのが大きいだろう」

 

千冬「次に所属する企業だが、織斑は倉持技研所属になる。しかし、新田に関しては何処にも所属していないから、悩んでいる。そこで、束の出番だ」

 

束「私?」

 

千冬「そうだ、お前の方で架空の企業を立ち上げて欲しい。内容は任せる」

束「任せてよ!ちょうどスカウトしたい人材がいたからね」

 

千冬「分かった。そして、ここが一番重要だ。織斑、新田の配偶者についてだ」

 

 

『!』

 

 

 皆に緊張が走った。それもそのはずである。いきなり恋人が複数人いるからである。

 

千冬「これについては、「本人の意思を尊重する」の一点張りでな。出来る事なら皆には幸せになって欲しい」

 

『はい!』

 

千冬「私からは以上だ。何か質問があれば受け付ける」

 

ロラン「織斑先生、よろしいでしょうか?」

 

千冬「何だ」

 

ロラン「よろしければ、信二を「多国籍所属」には出来ないでしょうか?」

 

千冬「それはなぜだ?」

 

ロラン「信二の伴侶候補には、イギリス、フランス、オランダそして、日本の代表候補生がいます」

 

真耶「私は元ですけどね」

 

ロラン「それでも、山田先生の実力であれば問題ありませんよ。話しを戻します。そして、信二を独占するのではなく、私達で共有財産として、守っていけばいいかと思ったのです。どうでしょうか?」

 

千冬「なるほど。確かに信二は普通の学生だ。そこに、4人が加われば欧州や日本との協力体制が構築出来るからな。いいかもしれん。早速掛け合ってみよう」

 

鈴「あ、あのそれであれば一夏も「多国籍所属」にすればいいんじゃないですか?」

 

ラウラ「そうだな、そうすれば中国とドイツの国交正常化もできる。嫁を使うのは少々癪にさわるが」

 

千冬「仕方あるまい。そちらの件も掛け合ってみよう。但し、今の内容を本人達にも話しておくのだぞ」

 

 

『わかりました』

 

 

ヴィシュヌ以外の人が返事をして、決意を新たにした。その時部屋がノックされ一夏が入って来た。

 

一夏「ただいま~!ってまだ皆いたんだ」

 

鈴「なに、いちゃあ悪い?」

 

一夏「そんな事ないよ。そういえば信二と会わなかったか?」

 

箒「いや、会っていないな」

 

一夏「そっか」

 

シャルロット「信二がどうしたの?」

 

一夏「いやな、さっき一緒に卓球で遊ぶかって連絡したんだけど、「ごめんね、ちょっと用事があるから無理だね」って連絡があってな」

 

 

『!』

 

 

一夏からの報告を聞いて、焦ったのは信二の彼女達である。

 

セシリア「一夏さん!それは、どれくらい前の話しですの!」

 

一夏「う~んと、1時間くらいまえだな」

 

千冬「束!」

 

束「分かってる!今GPSの逆探知で探している!」

 

箒「一夏、信二が行きそうな場所とか知らないか!」

 

一夏「えっとそうだな、ずっと海の方を眺めていたな」

 

束「分かった!ここから、2キロ先の海岸にいる。あれ?」

 

千冬「どうした?」

 

束「大変!突然GPSの逆探知が切れた」

 

千冬「なに!」

 

静寐「信二君!」

 

ロラン「まて、私も行く」

 

そう言って、ロランと静寐は出て行った。その後を追うように箒、シャルロット、セシリアも続いた。

 

 

 

~信二side~

 

信二「ここでいいかな?」

 

 

今僕は、一夏と別れて1人で夜の海に来ていた。幸いこの場所はIS学園生徒以外は立ち入り禁止とセキュリティ対策がされているためここまで、自由に動ける。

 

昼間は忙しくて(主にISバトル)ゆっくり出来なかったからね。だから、1人の時間がほしくてここまで来た。因みに邪魔されないように、スマホの電源はOFFにした。そして、持ってきた音楽プレイヤーを取り出した。

 

信二「久しぶりだから、何聴こうかな。そう言えば昔宇宙を舞台にした映画だったけど、あの歌には感動したから、アレにしよう」

 

そう言って、僕はある曲を音楽プレイヤーから再生した。タイトルは「この愛を捧げて」

 

星に命があるとしたならば

君はその命を守りきれるのか

名もなく生まれし消えゆく運命(さだめ)

愛しき人の命…君は守れるのか

 

祈り続けよう未来の子供達へ

闘い続けよう愛する人のために

 

この愛を捧げて君を守りたい

幾千億の星に誓う永遠の愛を

 

やがて母なる星に花や木が咲き乱れ

それぞれの胸に微笑み…よみがえる

静寂の中で消えゆく命よ

無限の未来へ希望の鐘を鳴らせ

 

輝き続けよう明日を信じながら

闘い続けようこの命ある限り

 

この愛を捧げて星の海を渡れ

幾千億の星よ(うた)え永遠の愛を

 

さらばとは言わない愛する人のため

命は生まれ変わり再び巡り逢える

 

光ある銀河の果てへ愛を胸に携え

夢をけして諦めずに今こそ旅立とう!

哀しみを越え 振り向かずに

 

この愛の叫びが君に聞こえるか

たった一つの真実変わらぬ理想

この愛を捧げて君を守りたい

幾千億の星に誓う永遠の愛を

 

 

信二「あ~いい歌だったな」

 

この歌を聞くと、宇宙の中で愛を叫んでいるみたいになる。僕もいつか宇宙に行って永遠の愛を叫んでみたいなぁ

 

信二「まぁそうするには、あと何年かかるかわからないけどね」

 

「しんじく~ん」

 

「しんじ~」

 

信二「うん?あれは?」

 

 

~~信二side out~~

 

信二はこちらに走ってくる2人の影を見た。どうやら、静寐とロランだった。

 

信二「どうしたの?」

 

静寐「もう!心配したんだからね」

 

ロラン「信二、君はもっと自分を大事にしてほしい」

 

信二「ごめんね。最近皆と一緒にいるから1人の時間が欲しかったんだよ」

 

静寐「そっか。けどね、せめて誰かに連絡して欲しかったね」

 

信二「分かったよ。今度から、そうするよ」

 

ロラン「よし、じゃあ帰ろうか」

 

そう言って、信二の両腕をロランと静寐がガッチリと組んだ。

 

信二「静寐はわかるけど、どうしてロランまで腕を組むの」

 

ロラン「なに、愛しい人を取られたくないからね」

 

信二「そんなもんかな?」

 

ロラン「そう言うものだよ。マイダーリン♡」

 

信二「ダーリンって、気が早いよ」

 

ロラン「そうかい?私としては、今すぐにでも式を挙げたい気分だけどね」

 

信二「アハハ…」

 

そんな事を言いながら旅館へと帰るのであった。明日は、ISの新装備のテストがある。信二は気合いを入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

□□□同時刻、アメリカ空軍基地□□□

 

そこには、1機のISが鎮座していた。白色を基調とし大型スラスターの他に、両手両足に4つ噴出口が存在し、補助推進用のブースターが取り付けられている。まるで翼の様な形をしており、音速飛行を可能にするかのような形をしていた。

 

???「まったく、いつになったら飛べるのかしらね」

 

「そうごねるなよ。こっちなんて夜通し作業をしているんだ」

 

???「分かっているわよ。ただこの子が「飛びたい!」って言っている風に聞こえてね」

 

「そうかいw」

 

そう言っているのはアメリカ軍のISテスト操縦者「ナターシャ・ファイルス」である。彼女はIS【シルバリオ・ゴスペル】の調整を今か今かと待っていた。

 

ナターシャ「まぁ万全の状態でこの子と飛びたいものね」

 

「よし!終わったぞ」

 

ナターシャ「サンキュー」

 

 

 整備が終わると同時に、軍服の男が近づいてきた。

 

「ナターシャ中尉出られるか?」

 

ナターシャ「いつでも行けます」

 

「よろしい。なら、これより【シルバリオ・ゴスペル】のテスト飛行を行う」

 

ナターシャ「了解!」

 

 

ナターシャは【シルバリオ・ゴスペル】の待機状態である、銀の翼をした左耳のイヤリングを叩いた。

 

 

(行くわよ)

 

そして、全身装甲(フルスキン)の格好になり、カタパルトへ向かった。

 

「各員、所定の位置につけ。整備班は退避せよ。繰り返す…」

 

ナターシャ「システムオールグリーンを確認」

 

「整備班の退避を確認。発進どうぞ」

 

ナターシャ「ナターシャ・ファイルス【シルバリオ・ゴスペル】出るわよ!」

 

カタパルトから射出されたナターシャはGを感じながら満天の夜空へと出て行った。

 

ナターシャ「綺麗…」

 

「ナターシャ中尉。夜空に惚けているのもいいが、テストの方も頼むぞ」

 

ナターシャ「了解!これより攻撃モードに移行します」

 

そう言って、銀の鐘(シルバー・ベル)とエネルギー翼を稼働し、目標物をロストさせた。

 

「ナターシャ中尉。ご苦労だった。帰投してくれ」

 

ナターシャ「了解」

 

そして、軍へ帰投する途中で、事件は起きた。突如として、【シルバリオ・ゴスペル】からエラー警告が発生した。

 

ナターシャ「え!」

 

「どうした、ナターシャ中尉!」

 

ナターシャ「わかりません!」

 

その後、コントロール不能になり、思い通りに動かなくなった。

 

ナターシャ「どうしたの!答えてベル!」

 

「大変です!」

 

「どうした!」

 

「【シルバリオ・ゴスペル】コントロール不能!こちらからのアクセスが拒否されました」

 

「なに!至急IS部隊を出撃させろ。何としてでも止めるんだ」

 

しかし、4機のISが向かったが、4機とも撃墜された。幸いにも、操縦者は無事だった。制御下を離れた【シルバリオ・ゴスペル】は暴走モードに突入。IS学園上層部にその情報が入ったのが暴走から2時間後の事だった。

 




やっと、次回福音戦がスタートします。

そして、ヴィシュヌは信二のヒロインになるのでしょうか!

BGMは最近聞いてい、ここに合うと思って出しました。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第二十四話 臨海学校2日目(中編)

とあるPです。

今回も3部作になります。タッグマッチトーナメント以来の3部作です。

それでは、本編どうぞ!!


次の日。今日は1日使ってISの実習がある。専用機持ちは、本国から送られてきたパッケージをインストールする作業がある。

 

一般生徒はISに触れるまたとないチャンスで、整備課志望の子達は操縦者志望の子達のISを整備できる。逆に操縦者志望の子達はこの機会に、IS完熟訓練を受けることが出来る。

 

そんな中、箒と静寐はなぜか専用機持ちのグループへ案内された。そこには、一夏、信二、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、ロラン、ヴィシュヌがいた。

 

千冬「全員揃ったな」

 

静寐「あの~織斑先生」

 

千冬「何だ」

 

箒「私達は、専用機を持っていませんが」

 

千冬「その事なのだが実は「ちーーーーちゃーーーーんーーーー!」うん…」

 

箒「すみません…」

 

千冬と箒が頭を抱えていると、束(元凶)が笑顔で走って来た。そして、ハグをしようとした時に、千冬の右手イアンクローによって止められた。

 

束「さぁハグハグしよう!愛を確かめ合うよ!」

 

千冬「束いい加減にしろ!」

 

そして、万力のごとく束の頭を締め上げる。ギギギ…と人間が上げてはいけない音が響くのであった。

 

束「あ、ちょっと待って!割れる!頭が割れる!!」

 

千冬「良い事だ!これで、両方の脳で考えられるぞ」

 

束「ああああああああ!」

 

信二「ちょっと!織斑先生、ダメですよ」

 

千冬「むぅ…そうか」

 

そう言って、千冬は束を解放した。解放された束は、信二の背中に隠れて、千冬を馬鹿にし始めた。

 

束「シンちゃんありがとう///」

 

信二「わ、ちょっと束さん!抱き着かないでください」

 

束「いいじゃん!私とシンちゃんの仲なんだからさぁ」

 

信二「それでもです!」

 

箒「姉さん!いい加減話してくれないか」

 

束「わかったよ。さぁ!大空をご覧あれ!」

 

その時空から、銀色のコンテナが2つ落ちてきた。そして、中から赤いISとヤークトティーガーに似た茶色のISが鎮座していた。

 

束「最高性能にして規格外!そして、最新にして最強のIS。その名も【紅椿】」

 

箒「紅椿…」

 

真っ赤なフォルムにシャープな出で立ち。いかにも高機動に特化している機体であり背中の翼部分から赤いリフレクターが目立つ。そして、両方にある2本の刀が印象的だった。

 

束「そして、シズシズの専用機!各部の装甲を強化した【Ⅳ号戦車H型】だよ♪」

 

静寐「これが、私のIS」

 

対してもう一機のISは全体を装甲に覆われた防御特化のISだった。信二同様背中にレールカノンを装備しているが、少々小ぶりであった。

 

束「どう?気にいってくれた?」

 

静寐・箒「はい」

 

束「じゃあ、今から最適化(フィッティング)とかしちゃうから待っていてね」

 

そう言って、それぞれのISにコードを刺して2つのキーボードと4枚の空間パネルを見ながら、物凄い早くタイピングをしている。どうやら、最適化(フィッティング)を同時に、かつ高速で行っているようだ。

 

束「箒ちゃんのデータは予め入力していたから、誤差修正するくらいだね。あれ?またおっぱいが大きくなってる!」

 

箒「姉さん!余計なこと言わなくていいから!」

 

束「アハハ!ごめんごめん」

 

そう言って、一瞬信二の方を見た。信二は赤くなり、顔をそむけてしまった。箒は心の中で(恥ずかしい///)と思っていた。

 

一方で静寐は一からデータを作成しなければならない。時間がかかるかと思っていたが、束にかかれば、ものの30分で静寐の基本的なデータは作成した。

あとは、これをⅣ号戦車H型に取り込んで行けばいいと思っていたが、ある生徒が発した一言でこの場が荒れた。

 

「でも、これって篠ノ之さんが血縁関係だから、貰えたんだよね…」

 

「いいよね~開発者の妹さんだと」

 

「はぁ~何だったのかな。今までの時間は…」

 

箒「っ!」

 

マズイ!今の発言だと、妹贔屓で貰えたことになっている。ここは、フォローしておかないといけないと思っていた。

 

信二「確かにそれもあるね」

 

箒「信二!」

 

信二「けど、それ以上に箒は陰ながら努力したんだ。自分だけ専用機がない事を一度も周りに言わず!君たちは、箒と同じくらい努力したかい?血反吐を吐くような努力はしたかい?努力せずに専用機が欲しいなんてお門違いだ」

 

「けど、それなら貴方は努力して手に入れたの?篠ノ之さん程の努力はしたの?」

 

信二「確かに僕は、箒以上に努力したとは言えない」

 

「じゃあ!「だけどね…」」

 

信二「僕には夢があった。空に宇宙に行きたいと言う夢が。そして、ISと出会い、束さんと出会い、IS学園に来て皆と出会い、専用機ヤークトティーガーと出会い、専用機の意味を知った。アメリカの映画でこんな言葉がある「大いなる力には大いなる責任が伴う」ってね。

そこからは、血反吐を吐くくらい努力をした。毎日毎朝トレーニングをして、早く他の専用機たちに追いつきたい一心でね。それに…」

 

一度言葉を切ると、箒、静寐、セシリア、シャルロット、ロランを見た。

 

信二「それに、守りたい人が出来た。だから、箒を馬鹿にするならこの僕が相手になる!」

 

そう言って、【ヤークトティーガー】を展開し箒の前と女子生徒との間に立った。それを見た箒は(ありがとう信二)と思っていた。

 

「ふ、フンちょっと気取っちゃって」

 

信二「ごめんよ。けど、君も努力すれば、いつか報われる。そう信じているよ」

 

「フン///行くわよ」

 

「あ、ちょっと待って梨花」

 

「待って~」

 

あれほど騒いでいた女子生徒は遠巻きを連れて旅館の方に逃げて行った。

 

束「ありがとうねシンちゃん」

 

信二「大丈夫ですよ。それと、すみませんでした。箒を馬鹿にするような発言をしてしまって」

 

束「ううん。さっきのゴミに比べれば些細な事だよ」

 

信二「束さん…」

 

千冬「オッホン!それで鷹月の方はどうなっている?」

 

束「もう終わってるよ~」

 

そう言って、コードを抜いて静寐と箒の2人はその場で起動と試運転を兼ねて上空に飛びたった。

 

束「それじゃあ箒ちゃんの方から説明するね」

 

箒「お願いします」

 

束「うん!先ずは、右側に付いている日本刀型ブレードのが雨月(あまづき)って言って、打突に合わせてエネルギー刃を放出するよ。射程はアサルトライフル程だよ。じゃあこれを撃ち落としてみて~」

 

そう言って、何処からともなくミサイルランチャーを展開させて、箒めがけて発射した。箒は追尾性の高いミサイルをかわしながら雨月を突き出した。

 

箒「はぁ!」

 

その時、巨大なエネルギー刃が飛び出しミサイルを木端微塵にした。

 

束「うんうん!いい感じだね!じゃあ今度は左側に付いているもう一本のブレードは空裂(からわれ)だよ。対集団仕様の武器で、斬撃に合わせて帯状のエネルギーを放って、振った範囲に自動展開するよ。じゃあもう一回いくよ~」

 

また、同じ様にミサイルが発射された。しかし、空裂を振るうと帯状のエネルギー刃が飛び出し、箒に向かってきた、ミサイル群を一掃した。

 

箒「出来る!この紅椿があれば!」

 

箒は喜んでいたが、信二は逆にそれを危惧していた。今の箒は新しいおもちゃを貰って浮かれている子供と同じ状態である。奢れることなく冷静になれるのであろうか不安になっていた。

 

束「それじゃあ次にシズシズだね」

 

静寐「はい!よろしくお願いします」

 

束「そんなに緊張しなくてもいいよ」

 

静寐「えっと、どうすればいいんですかね」

 

束「先ずⅣ号戦車H型の兵装だけど、シンちゃんと同じで戦車のⅣ号戦車を基に作ってるから、背中に搭載されているレールカノンは75mm KwK40 L/48で主砲弾:87発だよ。副砲として7.92mm MG34を2門、5 cm KwK L/60を2門搭載しているよ。但しその分速力が落ちちゃうけど、シンちゃんと大差ないから安心してね」

 

静寐「わかりました!」

 

そう言って、束は遠距離に的を出現させて静寐に砲撃するように指示した。

 

束「それじゃあ、あの的を狙ってみようね。大丈夫、射撃補正や反動補正はISがやってくれるからね」

 

静寐「わかりました!」

 

そう言って、的から数百メートル離れた位置に固定し砲撃を開始した。

 

静寐「目標物確認!徹甲榴弾装填完了!ファイヤー!」

 

 

『ドゴーン!』

 

 

「キャ!」

 

レールカノンからの砲撃により徹甲榴弾は勢い良く飛び出した。そして、見事に目標物を破壊した。その時、発生した爆音により他の生徒達は少し驚いていた。

 

静寐「凄い…」

 

束「気に入ってくれた?」

 

静寐「はい!私頑張りますね!」

 

束「うんうん!」

 

こうして、箒と静寐のIS慣熟訓練は終わりを告げた。その時、旅館の方から真耶が走って来た。

 

真耶「織斑先生~大変です!」

 

千冬「どうした?」

 

真耶「これをどうぞ」

 

千冬「特殊任務レベルAか…」

 

真耶から受け取ったタブレット端末を見て千冬の目付きが変わった。

 

千冬「訓練は中止する!一般生徒はISを片付けた後に自室で待機!一歩も外に出ることは許さん!もし破った場合、それ相応のカリキュラムを受けてもらうぞ。専用機組はこっちだ」

 

真耶「鷹月さんと篠ノ之さんもこちらに来てください」

 

静寐・箒『はい!』

 

そう言って、旅館に戻って行った。信二達専用機組+束も部屋に集合した。そして、千冬から概要が説明された。

 

千冬「全員いるな。それでは説明する。今から4時間前アメリカ・イスラエルで共同開発された軍用IS【シルバリオ・ゴスペル】通称「福音」とする。その福音が制御訓練中に暴走した」

 

ロラン「それと、今回の招集に何か意味があるのでしょうか?」

 

千冬「そうだ。その福音が今から2時間後、ここから2㎞先の沖合を通過する。そして、IS学園から連絡が入り…この問題は専用機組で行うことになった」

 

 

『…』

 

 

皆事の重大さに気づいて何も言えなかった。ただ一人を除いて…

 

一夏「なぁ信二。軍用ISってなんだ?」

 

信二「一夏…」

 

一夏「な、なんだよ!」

 

鈴「はぁ~アンタバカなの?いい!私達は競技用に改造されているから威力もダメージもそんなにない。けど、軍用ISはそれを遥かに上回る威力と速力もあるの!

ましてやアメリカとイスラエルなら、それなりの装備をしているでしょうね」

 

一夏「…マジかよ」

 

信二「これで事の重大さがわかった?」

 

一夏「なんとなく…」

 

信二「はぁ…」

 

とりあえず、一夏には説明したけど納得出来ない部分があり、信二は千冬と真耶に問い詰めた。

 

信二「織斑先生。貴方方教師陣はどうなさるおつもりですか?」

 

千冬「その…」

 

信二「ハッキリと申し上げてください」

 

千冬「…う、うむ」

 

静寐「珍しい。信二君が怒っている」

 

ロラン「そうなのかい?」

 

静寐「うん。ああなった信二君はとことん追求してくるよ」

 

千冬「我々は海上封鎖と旅館の防衛にあたる。すまない…」

 

信二「…分かりました。それを聞いて安心しました」

 

千冬「安心した?」

 

信二「僕が、いえ僕達が全力で止めることが出来るからです」

 

そう言って、みんなを見た。皆既に覚悟を決めており、やる気があった。

 

千冬「それでは本題に戻るぞ」

 

セシリア「織斑先生、相手の詳細なスペックを教えてください」

 

千冬「いいだろう。しかし、情報漏洩には気を付けろ。もし漏洩した場合、皆には2年間の監視と査問委員会への招集がかかることになる」

 

セシリア「構いません。お願いします」

 

千冬「わかった。山田先生お願いします」

 

真耶「はい」

 

そう言って、真耶は卓上の空間ホログラムに福音のスペックを映し出した。

 

シャルロット「広域殲滅を目的とした特殊射撃型で、オールレンジ攻撃を行える、攻撃と機動の両方に特化した機体か。中々に厄介だね」

 

ロラン「それに、最高速度は時速2450kmを超える飛行が可能か…私のシード・ショットを使ってもすぐに弾き飛ばされるね」

 

真耶「兵装に関しては、以下の通りです」

 

ヴィシュヌ「銀の鐘(シルバー・ベル)。大型スラスターと広域射撃武器を融合させた新型システムで36の砲口をもつウィングスラスターですか」

 

信二「僕はこのエネルギー翼が気になるね。まだ情報が開示されていないから対処のしようがない」

 

千冬「そうだ、だから今回はアウトレンジ攻撃ではなく、一撃離脱の戦法にする」

 

ラウラ「そうなると」

 

皆一斉に一夏の方を見た。一夏は突然見られて焦っていた。

 

一夏「お、俺か!?」

 

鈴「そうよ。アンタの零落白夜で倒すしかないのよ」

 

千冬「織斑。これは、強制ではない。もし辞退するのであれば先に行ってくれ」

 

信二「一夏。この作戦には君の力が必要なんだ。織斑先生が言ったように強制ではないよ」

 

一夏「俺は、まだ分からない。けど、皆が必要と思っているのであれば俺は全力で戦う!」

 

千冬「分かった。それでは作戦の指揮はボーデヴィッヒに任せる」

 

ラウラ「は!」

 

そう言って、ラウラは福音捕縛作戦の概要を説明し始めた。

 

ラウラ「では、作戦について説明する。先ず、私とセシリア、兄上、鷹月で遠距離攻撃を仕掛ける。それと同時に鈴とシャルロットで福音をかく乱する。そして、ヴィシュヌ、ロラン、箒で注意を引き付け、最後に嫁で目標ISに零落白夜を行い福音を捕獲する。以上が大まかな内容だ。問題は…」

 

鈴「どうやって福音まで一夏を連れて行くかね…」

 

???「ハイハイ!いい案があるよ!」

 

そう言って、天井の一角を取り外し部屋に入って来たのは、大天災束である。

 

千冬「山田先生、こいつを引っ張り出してください」

 

真耶「は、はい!」

 

束「そんな事言わないでよちーちゃん」

 

千冬「ちーちゃん言うな!それで、いい案があるのか?」

 

束「モチノロンだよ!ここは、断然紅椿の出番だよ」

 

千冬「なに?」

 

束「だって、紅椿にはパッケージ換装を必要としない万能機が付いてるんだもん。それに、自動支援装備と展開装甲を持って高速機動もこなす優れものさぁ~更に攻撃・防御・機動の全てに切り替えて、即時対応できる即時万能対応機(リアルタイム・マルチロール・アクトレス)がいっくんと箒ちゃんをサポートするからね」

 

千冬「束!また余計なことをペラペラと!」

 

束「アイアンクローはやめて!」

 

千冬「仕方ない。先程の作戦を修正する。福音には、織斑・篠ノ之両名が当たれ。それ以外は先程と同様だ。作戦決行は今から2時間後では、解散!」

 

 

『了解!』

 

 

それぞれが準備している中信二は、箒を呼び出した。

 

信二「箒ちょっといいかな?」

 

箒「ああ、いいぞ」

 

信二「箒、今回の作戦だけど決して無理はしないでくれ」

 

箒「どうしてだ?」

 

信二「箒は今浮かれている。専用機を持ったことで慢心している部分がある。だから、落ち着いて対処するんだよ。いいね?」

 

箒「なんだ、その事か。大丈夫だ。私はいつも通りだ!」

 

信二「だといいけど…」

 

箒「では、行ってくる!」

 

信二「ああ…」

 

その言葉を言ったきり、箒は準備に向かうのであった。それが最後の言葉となる事も知らずに…

 

そして、2時間後。皆の準備が終わっていよいよ作戦が開始する時に、信二へ千冬から個人秘匿回線(プライベートチャンネル)があった。

 

千冬『新田。織斑と篠ノ之こと頼むぞ』

 

信二『了解です。先生方も海上封鎖お願いします』

 

千冬『ああ、本来であれば我々教師陣が対応すること事になるのだがな…すまない』

 

信二『謝らないでください。もう過ぎた事です』

 

千冬『大人な対応だな。見習いとな』

 

信二『アハハ…』

 

千冬『…それと箒の事だが、少し浮かれている。嫌な事が起きなければいいが』

 

信二『それは、僕も同じです』

 

千冬『何かあったら直ぐに連絡するんだぞ』

 

信二『はい!』

 

千冬『ではまた連絡する』

 

そう言って、千冬は個人秘匿回線(プライベートチャンネル)を終了した。今度は真耶からも個人秘匿回線(プライベートチャンネル)がかかって来た。

 

真耶『新田君…』

 

信二『どうしましたか山田先生』

 

真耶『あの…』

 

信二『はい?』

 

真耶『あの、無茶しないでくださいね』

 

信二『それは、出来かねます』

 

真耶『え!』

 

信二『これから向かうところは、言わば戦場です。いつなんどき福音からの襲撃があるか分かりません』

 

真耶『…』

 

信二『なら、先生は無事で帰ることを祈っていてください』

 

真耶『はい…』

 

信二『それじゃあ、行ってきます』

 

真耶『待って!』

 

信二『はい?』

 

真耶『もし、もし、無事で帰ってきたら話したいことがあります』

 

信二『…わかりました。なら、今度こそ行ってきます!』

 

真耶『はい、いってらっしゃい』

 

そう言って、真耶との個人秘匿回線(プライベートチャンネル)も終えた信二達はそれぞれの位置に着くのであった。

 

箒「それじゃあ一夏行くぞ」

 

一夏「ああ、箒頼む」

 

箒「うむ!大船に乗ったつもりでいてくれ」

 

一夏「分かった」

 

信二「僕達も行こう」

 

 

『ええ、(はい・うむ)』

 

 

シャルロット「じゃあいくよ」

 

 

『はい』

 

 

それぞれの想いをのせて、少年・少女達は飛び出した。その背中を千冬は静かに見守っていた。

 

千冬「さて、我々は我々に出来る仕事をしましょう」

 

真耶と他の先生『はい!』

 

千冬(頼んだぞ、一夏・信二!)

 

 

 

 

 

~~信二・静寐・セシリア・ラウラ~~

 

遠距離攻撃部隊は後詰めとして、海上から4㎞沖合上空に待機していた。既にシャルロット達中備えは近くの小島に待機しており、間もなく一夏・箒も到着する。

そんな中、実践経験がない静寐は幾分緊張していた。

 

信二「静寐大丈夫?」

 

静寐「え!だ、大丈夫だよ」

 

セシリア「無理しないでください。手が震えていますわよ」

 

静寐「ほ、ホントに?」

 

見てみると、真冬でもないのに静寐の手はガチガチに震えていた。

 

静寐「あれ、どうしてかな…震えが止まらないや…」

 

ラウラ「無理をするな。怖いのであれば戻っても良いんだぞ」

 

信二「そんな事言わないでよ。ラウラ」

 

ラウラ「しかし…」

 

そんな中、信二は静かに静寐の手を握った。

 

静寐「し、信二君!」

 

セシリア「まぁ!」

 

信二「静寐。もし、怖いなら言って欲しい。これからやる事は一歩間違えれば命に関わることになる。それでもやる覚悟はあるかい?」

 

静寐「私は…」

 

信二「僕は、その覚悟は当の昔に決めていた。専用機を貰った時からね」

 

静寐「私は、やる!信二君と一緒にどこまでも付いて行くって決めたんだ!」

 

信二「そっか。分かったなら、僕も新たに覚悟を決めるよ。みんなを守る覚悟を」

 

セシリア「わたくしは元より、信二様と共に歩む覚悟を決めておりますけどね」

 

信二「ありがとう。セシリア」

 

ラウラ「おしゃべりはその辺にしてくれ兄上。そろそろ時間だ」

 

信二「了解!それじゃあ行くよ」

 

約束の時間になり、福音が4人の肉眼に映った。それを見て4人は攻撃態勢に移るのであった。

 

ラウラ「目標を肉眼で確認!距離8㎞!」

 

セシリア「大気状態。問題ありませんわ!」

 

静寐「風、北北西2km」

 

信二「こちら信二。シャルロット、行くよ!」

 

シャルロット『OK!任せて!』

 

ラウラ「シュバルツァー・レーゲン!大型レールカノン目標固定!」

 

セシリア「ブルー・ティアーズ!スターライトmkⅢ!目標固定!」

 

静寐「Ⅳ号戦車 徹甲榴弾装填完了!」

 

信二「ヤークトティーガー 三式弾装填完了!」

 

 

『ファイヤー!!!!』

 

 

それぞれの攻撃が発射された、爆炎が福音を包んだ。

 

 

 

~~シャルロット・鈴・ロラン・ヴィシュヌ~~

 

 

『ドゴーーーーン』

 

4人の砲撃が福音に直撃し爆炎が広がっていった。それを小島から覗いていたのは、シャルロット・鈴・ロラン・ヴィシュヌだった。

 

シャルロット「うひゃ~凄い砲撃」

 

鈴「あれ、まともに食らいたくないわね」

 

ロラン「確かにそうだな」

 

ヴィシュヌ「お喋りはそこまでです。来ます!」

 

そう言って、4人は散開した。次の瞬間、4人がいた場所に大量のエネルギー弾が撃ち込まれた。

 

ロラン「あれがシルバー・ベル(銀の鐘)の威力か…」

 

鈴「なに?怖気付いたの?」

 

ロラン「全然、寧ろ楽しみだよ」

 

鈴「流石は、オランダ代表候補生ね」

 

ヴィシュヌ「お喋りする暇があるのなら参加してください!」

 

ヴィシュヌはヨガで鍛えたしなやかな脚線美と「肉体凶器」の異名をもつムエタイチャンプの母親から格闘技の指導を受けており、福音との戦闘でも蹴り技を主体としていた。

 

その一撃一撃は重く、福音の防戦一方だった。そこに、ロランのシード・ショットが左腕に決まり、爆散した。鈴も双天牙月を振るい応戦してた。途中、シャルロットの~ヴェント(五五口径アサルトライフル)ガルム(六一口径アサルトカノン)レイン・オブ・サタディ(六二口径連装ショットガン)も加わった。

 

鈴「はぁーーーー!」

 

ヴィシュヌ「フン!、ハァ!」

 

シャルロット「やぁーー!」

 

ロラン「私を忘れては困る!」

 

 

『LaLa!』

 

 

しかし、福音もバカではなかった。即座に、鈴達の攻撃パターンを分析し回避運動を行った。それにより先程までの劣勢が噓の様に無くなり、鈴達の攻撃が当たらなくなった。

 

鈴「チッちょこまかと、しつこいわね!一夏達はまだ来ないの!?」

 

シャルロット「落ち着いて鈴。箒達ならあと3分で到着予定だから」

 

ロラン「それにしてもこの動き。本当に有人機なのか」

 

ヴィシュヌ「織斑先生からの話しだと、パイロットを乗せたまま暴走モードに移行したと言っているわ」

 

鈴「それじゃあ、一夏の零落白夜だとマズイわね…」

 

シャルロット「そんなこと言っている暇ないよ!避けて!」

 

そしてまた、シルバー・ベル(銀の鐘)が放たれて皆バラバラになっていた。そこを福音は持ち前のスラスターで一気に肉薄し4人に攻撃して行った。

 

鈴「ぐぁ!」

 

シャルロット「きゃあ!」

 

ロラン「くっ!」

 

ヴィシュヌ「チィ!」

 

一撃でSEが2割持っていかれるくらいの攻撃をし、なおも追撃をしてくる福音。そして、鈴の足を捉えた。

 

鈴「ちょっと放しなさいよ!え!」

 

徐々にシルバー・ベル(銀の鐘)の発射体制が整えてもうダメと鈴が思った瞬間、一夏達が到着し、零落白夜で切り付けようとした。

 

 

一夏「やめろーーーー!」

 

 

 

~~一夏・箒~~

 

『ドゴーーーーン』

 

信二達の砲撃音から10分後、箒は一夏を乗せて高速移動をしていた。これにより一夏はエネルギーを消費することなく、福音に近づくことが出来る。

 

一夏「始まった!」

 

箒「落ち着け一夏。今のは信二達の砲撃だ。これから鈴達が仕掛ける。その後に、零落白夜で落とせばいいんだ」

 

一夏「でもよ、もし失敗したらどうする?」

 

箒「なに、その時は私が全力でお前を守る」

 

一夏「そうだったな」

 

箒「ん?来るぞ!」

 

一夏「おわ!」

 

突然目の前からシルバー・ベル(銀の鐘)が飛んできて箒は回避運動を行った。そして、鈴達が交戦しているのが見えてきた。

 

一夏「鈴!」

 

箒「飛ばすぞ!」

 

鈴達は懸命に戦うも既に攻撃パターンを読まれていて、回避されていた。また、福音も徐々だが攻撃が当たる様になっておりSEがどんどん減っている。

 

一夏「箒!ここでいい、降ろしてくれ!」

 

箒「分かった!3…2…1…行くぞ!」

 

一夏「やめろーーーー!」

 

 

 

一夏と福音が戦闘を始める少し前に、後詰めの部隊にある動きがあった。

 

信二「ちょっと待って!あそこに何かある」

 

信二は自身のハイパーセンサーを駆使して確認した。それは、所属不明の船であった。しかも、運悪く福音の近くにいた。信二はまずいと思い、瞬時加速(イグニッションブースト)を使って向かうのであった。

 

『信二君(様)兄上!』

 

信二「くそ!先生達の海上封鎖が間に合わなかったのか!」

 

尚も瞬時加速を続け、ボロボロになっているシャルロット達をすり抜けた。

 

『信二(新田さん)!』

 

信二「間に合え~~!」

 

そこでは、一夏と福音の一対一での戦闘が行っていた。しかし、一撃必殺の零落白夜が外れしまい通常の戦闘が行われている。

 

そこに、瞬時加速(イグニッションブースト)を終えて信二は福音と所属不明の船の間に信二が入った。しかし、福音からの銀の鐘が数発飛んで来てそれを、全て防いだ。その行為に箒は驚いていた。

 

箒「信二!何でそんな奴らを守っているんだ!そ奴らは、密漁船なのかもしれないんだぞ!」

 

信二「彼らだって好きでここに来たわけではないんだ!そんなに無下にするなよ箒…」

 

箒「違う…そんなんじゃない…私は、ただ…」

 

一夏「箒危ない!」

 

箒「一夏!」

 

そう言って、箒は回避運動を取ろうとしたがすぐ目の前に、大量のエネルギー弾が迫っていた。間に合わない!そう思って目を瞑ってしまった。

 

しかし、待てども痛みが来ない。恐る恐る目を開けるとそこには、身を挺して防いでいた、信二の姿があった。

 

箒「信二!」

 

信二「あ、ぐぁ!」

 

一夏「信二!大丈夫か!」

 

信二「…何とかね。それよりも、一夏頼みがある」

 

一夏「あ、あ!」

 

信二「僕が注意を引いている。その隙に…シャルロット達を…回収して欲しい」

 

一夏「馬鹿野郎!信二を置いていけるかよ」

 

箒「そうだ!信二を置いて行けるか!」

 

信二「ハァハァ、多分それが最善の策だと思うけどね。…そうだろうラウラ」

 

ラウラ『あ、あ、確かに兄上が言っている通り、その方が部隊の損害リスクが減る。ただ…』

 

一夏「ただ、何だ!」

 

ラウラ『ある程度の距離を離れておかないと、この撤退作戦は成功しない』

 

信二「それなら、大丈夫…何とか稼いでみせるよ」

 

箒「信二…」

 

信二「さぁ…行くんだ箒」

 

一夏「行こう箒…」

 

箒「いや!嫌だ!信二~~!」

 

嫌がる箒を一夏は力強く引いて行った。それを見届けた信二は、箒と逆方向に移動して誘発射撃を何回か福音に行った。

 

案の定福音は誘いに乗り、信二を敵として追ってきた。その間《マホ》と思念会話をしていた。

 

 

この撤退作戦上手くいくと思う?

 

(わからん。しかし、シンジが時間を稼げば上手くいくだろう)

 

だといいけど…うぐ!

 

(どうした!)

 

さっきの攻撃でかなりのSEを持っていかれた

 

 

見てみると、ダメージレベルがBまでになっており、いつ絶対防御が発動してもおかしくない状態だった。しかも、箒を庇った時に背中にエネルギー弾を受けたので中度の火傷を負っていた。

 

けど…こうもしないと皆を救えないんだよ

 

(シンジ…)

 

さて、福音はどんな感じ

 

(ああ、福音は絶えずこちらとの距離を保っている)

 

なら、仕掛けるなら今しかないね

 

(何をするんだ)

 

まぁ見ててよ

 

 

そう言って、信二は傷ついた身体を反転させて、福音と対峙した。福音は絶えずこちらの様子を伺っている。信二は大型レールカノンに“徹甲弾”を装填した。

 

信二「目標確認!徹甲弾装填完了!ファイヤー!」

 

信二は徹甲弾が命中したのを確認すると、咄嗟にパンツァー・ファウストを取出し福音に肉薄して行った。そして、とんでもない事をした。何と、福音に取り付いたのであった。流石の福音も必死に振りほどこうとしたが、思いの外信二の力が強く振りほどけなかった。

 

信二「これなら、色々手を出せまい!」

 

福音「ギャシャアーーーーーーーーーーーー」

 

信二「これで、お互いチェックメイトだ!」

 

そして、零距離でパンツァー・ファウストを爆発させた。その後、信二の信号がロストしたのが知らされたのは、皆の撤退が完了した時だった。

 



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第二十五話 臨海学校2日目(後編)

とあるPです。

今回で臨海学校終了になります。

そして、書いていて言うのもなんですが信二君の誑しっぷりは半端ないですねw

そうなる様に書いているのですけどwこれ以上信二君のヒロインは増えない予定です。


それでは、本編へどうぞ!!


信二を殿にして、全員が帰還した直後作戦司令室で待機していた真耶に連絡が入った。それはあまりにも無情な知らせだった。

 

真耶「え!嘘ですよね…何かの間違いじゃあないですか!」

 

千冬「山田先生どうした?」

 

一夏「どうしたんですか?」

 

真耶「…今海上封鎖にあっていた教員から連絡がありました。それによると新田君と福音が交戦し大爆発をした後…新田君のIS反応がロストしたようです…」

 

『な!』

 

真耶「現在、付近を捜索中ですが教員のISもエネルギーがないため一時帰投するとのことでした…」

 

一夏「くそ!」

 

千冬「待て、織斑どこ行く」

 

一夏「離せよ千冬姉!信二を助けに行くんだ!」

 

千冬「今の連絡を聞いただろう。もう少ししたら皆のエネルギーが回復する。それまで待て!」

 

一夏「嫌だ!早く助けないと信二が!」

 

千冬「仕方ない。歯を食いしばれい一夏!」

 

一夏「うぐ!」

 

千冬は手刀を首に入れて一夏を気絶させた。その際小さく(すまない)と呟いた。だが千冬も内心焦っていた。1人の教師として、生徒を守れなかった事に不甲斐なさを感じていた。

 

千冬「誰か、このバカを部屋に運んで行ってくれ」

 

鈴「は、はい!」

 

千冬「それと、専用機組は一時待機だ。いいな!」

 

 

『はい…』

 

 

そう言って、専用機組は部屋から出ていった。部屋には千冬と真耶の2人だけとなった。

 

千冬「全く、…いつまで泣いているんだ」

 

真耶「だって、だって、信二君が…」

 

千冬「こうなる事くらい予測できたはずだ」

 

真耶「先輩は信二君が心配じゃあないですか!」

 

千冬「心配に決まっているだろ!!」

 

真耶「!」

 

千冬「私だって今すぐに飛んで行きたいんだ…しかし、私には力が…ISが無いんだ…」

 

真耶「先輩…」

 

見てみると、千冬は手を思いっ切り握っており、今にも血が出そうなくらい握っていた。大の大人が何もできずただ少年、少女達を戦場へ送り出すことしかできないと思うと怒りが湧いてくる。

 

千冬「それに、新田が死んだとは思えんからな」

 

真耶「そうですよね…」

 

千冬「わかったなら、顔を拭いて来い。新田が見たら笑ってしまうぞ」

 

真耶「はい」

 

そう言って、作戦司令室から出ていくのであった。1人になった途端千冬の目から涙が一筋流れた。

 

千冬(無事でいてくれよ新田)

 

 

 

 

ところ変わって、臨海学校の間にある小島に信二は流れ着いた。いくらISの絶対防御が働いているとはいえ、運よくしかも気絶したまま流れ着いたのは奇跡としか言いようがない。

 

そんな信二の傍らには沢山の人だかりが出来ていた。

 

「オイ、ソノ包帯コッチニモッテコイ!」

 

「マズイゾ、心拍数ガオチテイル!船医ハマダガ」

 

その人だかりは、先程居た密漁船の乗組員だった。信二の必死の撤退により助かった彼らは信二を助けんと手当をしていた。

 

「止血剤ハ?」

 

「ココニアル、タノムゾ」

 

「包帯イッパイ持ッテキタゾ!」

 

「ヨシ、コレデイイハズダ」

 

「アトハ、メシダナ!」

 

「マカセロ!トビッキリイイ物タベサセテヤル」

 

「ナラ、オレハ無線デ助ケヲ呼ンデミル」

 

 

 

そして、仲間の1人が無線で助けを呼ぶのであった。

 

 

同時刻、「花月荘」の専用機組の待機部屋では皆憔悴しきった顔でいた。頼みの信二や一夏が動けない以上どうすることもできない状態であった。そんな中で、一番酷かったのは箒だった。初陣で思い人に注意されあわや大ダメージを受けるところを信二が身を挺して助けたのだ。鈴はそんな箒に激を飛ばすのであった。

 

鈴「いつまで、そんな格好でいるつもり」

 

箒「………」

 

鈴「分かっているんでしょこうなる事が」

 

箒「………」

 

鈴「ねぇ!何とか言いなさいよ!」

 

シャルロット「やめなよ。鈴!」

 

鈴「うっさい!こいつにはね一度言っておきたい事があるのよ!専用機を持つってことはね、それ相応の覚悟がいるってことよ!」

 

箒「……ない…」

 

鈴「はぁ?」

 

箒「…私は、もう紅椿には乗らない」

 

 

パンッ!

 

 

鈴の平手打ちが箒の右頬に当たった。箒は訳が分からないような顔になっていた。

 

鈴「甘ったれるな!そんな事しても信二は戻って来ないわよ!」

 

箒「じゃあどうすればいい!信二が何処にいるか分からないし、肝心の福音もいない。手の出しようがないじゃあないか!」

 

鈴「…もし、福音が見つかったらどうすんの?」

 

箒「信二の、信二の露払いをする!絶対にだ!」

 

その言葉を聞いて、箒以外の子達はニヤリと笑った。同時にラウラとセシリアが戻って来た。

 

ラウラ「すまない。遅れた」

 

セシリア「申し訳ございませんわ。準備に手間取ってしまって」

 

鈴「遅いわよ」

 

箒「どういうことだ?」

 

鈴「アンタ、さっき信二の為なら何でもする覚悟があるって言ったわよね」

 

箒「ああ!」

 

鈴「それを聞いて安心したわ。ラウラ福音は?」

 

ラウラ「ここから、20㎞沖合に光学迷彩を施して待機している。我がドイツ軍の衛星がとらえている」

 

ロラン「それと、全員のエネルギーチャージは終了している」

 

シャルロット「あと、本国から届いたパッケージもインストール済みだよ」

 

ヴィシュヌ「あとは、箒の意思次第ですよ」

 

箒「しかし、私は…」

 

一夏「俺は行くぜ箒」

 

箒「一夏…」

 

静寐「私も行くよ」

 

箒「静寐…」

 

そう言うと静寐は箒に抱き付いた。

 

静寐「怖いよね。信二君でも勝てなかった相手だからね」

 

箒「うん…」

 

静寐「でも、勝たないと前に進めないよ」

 

箒「分かっている、分かっているがどうしてもあと一歩が出ないんだ」

 

静寐「箒…」

 

その時、専用機組の部屋に真耶が駆け込んで来た。その形相からただならぬ気配がしていた。

 

真耶「皆さん!来てください!」

 

箒「どうしたんですか山田先生」

 

真耶「いいから早く!」

 

箒達は訳も分からす、真耶の後について行った。そして、作戦司令室に入ると千冬が立っていた。

 

箒「千冬さん?」

 

千冬「織斑先生と、まぁいい。とにかくこれを聞け」

 

そう言って、無線のマイクをONにした。

 

真耶「聞こえますか!私はIS学園山田真耶と言います。貴方は誰ですか?」

 

「オオヤットツナガッタ!」

 

「カセ、オレガコタエル!」

 

「イヤ!オレダ!」

 

「ドケ!オレガコタエル!」

 

「キャプテン。ワカリマシタ」

 

「ゴホン…ウチの乗組員がすまなかった」

 

そこから流暢な日本語が聞こえてきた。どうやらキャプテンは日本語が喋れるらしい

 

「私は、『ジョニー』この船のキャプテンだ。先ほどの戦闘で密漁船から守ってくれた、恩人を助けた」

 

箒「もしかして…」

 

「今その子に変わる。大丈夫か?」

 

信二「ありがとうございます。ジョニーさん」

 

 

『信二!』

 

 

信二「皆大丈夫?」

 

箒「信二…良かった、よかった」

 

箒や信二の彼女たちは涙を流しなら答えた。

 

ジョニー「今、彼は身体にダメージを負って歩けるのがやっとの状態だ。頼む誰か助けてやってくれ!我々の事はどうなってもいい。詳細な位置情報を送る」

 

そう言って、通信が切れた後に、位置データ情報が送られてきた。そこは、シャルロット達が隠れていた小島だった。

 

千冬「よし、作戦を伝える。まず、篠ノ之は新田の救出。その他の者は福音の撃退作戦に当たれ」

 

ラウラ「織斑先生、知っていたんですか!?」

 

千冬「私は、教師だぞ。お前らの考えていることなんてお見通しだ。早く行ってこい」

 

 

『はい!』

 

 

そう言って、それぞれ準備していた。ラウラはブリッツ(80口径レールカノン×2門)と物理シールド4枚を含む砲戦パッケージ【パンツァー・カノニーア】を、シャルロットは実体シールドとエネルギーシールドを2枚ずつもつ【ガーデン・カーテン】を、鈴は衝撃砲(龍砲)の機能増幅、攻撃特化パッケージ、4門の熱殻拡散衝撃砲をもつ不可視の砲弾から炎弾に変わる【崩山】(ほうざん)

 

 

セシリアは強襲離脱用高機動パッケージで、通常時はサイド・バインダーに装備している4基の射撃ビット、それに腰部に連結したミサイルビット、それら計6基を全て推進力に回している【ストライク・ガンナー】をそれぞれ装備している。

 

そして、箒は信二を助けるべく最大出力で小島に向かっていた。そこには、密漁船の乗組員に抱かれながら立っている信二を発見した。

 

箒「信二――!」ギュー

 

信二「箒、あいたたた」

 

箒「良かった、本当に良かった…」

 

信二「心配かけてごめんね」

 

箒「全くだ、もう…会えないと思っていたんだぞ…」

 

信二「ごめんね」

 

「ウォッホン!!」

 

信二・箒『うひゃ!』

 

ジョニー「あ~感動の再会中に申し訳ないが」

 

信二・箒『い、いえ大丈夫です!』

 

ジョニー「ならいいが、改めて彼の容態について話しておこう。まず、足腰に問題はない。ただ背中に軽度の火傷を負っている。それ以外はISの保護機能が上手く働いてる」

 

箒「なぜ、ISの事について知っている?」

 

信二「僕が教えたんだ。待っている間暇だったからね」

 

箒「はぁ~。まぁいい、信二を助けてくれたこと感謝する」

 

ジョニー「こちらこそ、それで?我々はどうなる?」

 

信二「ジョニーさん達は戦闘が終わるまでこの島にいてください。大丈夫です。悪いようにしません」

 

ジョニー「ならいいが」

 

箒「そうだ!今皆が福音に向かっている。早く向かわないと!」

 

信二「その事で箒に話があるんだ」

 

箒「何だ?」

 

信二「箒…福音と戦うのはやめてくれ」

 

箒「何故だ!福音はお前に酷いことをしたんだぞ!」

 

信二「僕聞いたんだ。福音と相打ちになる時に、あの子のISコア人格から聞こえたんだ!「助けて!」って」

 

箒「しかし…」

 

信二「信じてもらえないなら、僕一人でも行くよ」

 

箒「待って!」

 

信二「あっぐ!」

 

歩こうとしたら、少しの段差で躓き転んでしまった。そんな信二を見て箒は本気で信じてみようと思った。

 

箒「分かった。私も付き合う」

 

信二「ありがとう箒」

 

ジョニー「行くのか?それでは、君たちに神のご加護があらんことを」

 

そう言って、箒はヤークトティーガーを纏った信二を抱きながら福音の元に向かっていった。

 

「キャプテン、アレハナンデショウカネ?」

 

「さぁな、ただ言えることは…」

 

「イエルコトハ?」

 

「愛は偉大だってことだ」

 

 

「ハァ~?」

 

 

 

 

 

今は先程までダメージを回復する為に海上20㎞の所に光学迷彩を張り丸くなる形で福音は眠っていた。

 

そこに、ラウラのパンツァー・カノニーアと静寐の徹甲弾が直撃した。

 

静寐・ラウラ『初弾命中!頼むぞ(頼んだよ)シャルロット!』

 

シャルロット「任せて!行くよ!」

 

ロラン・ヴィシュヌ・鈴『はい!』

 

先の作戦同様に一夏の零落白夜を決めるために、他の人が全力で叩く。セシリアと一夏は福音の射程距離ギリギリ所で待機していた。

 

福音「LaLaLa」

 

鈴「ちぃ!ちょこまかとすばしっこいわね」

 

ロラン「なら、私のシード・ショットで動きを止める。そこをヴィシュヌと鈴で一気に叩け!」

 

ヴィシュヌ・鈴『わかりました(わかったわ!)』

 

ロラン「いくぞ!」

 

ロランは素早く移動し、銀の鐘を躱していった。そして、シード・ショットを両腕、両足、胴体に撃ちこみ、蔦が伸びきったところを確認して、「咲きほこれ」と決めて福音に張ってあった蔦が自爆した。

 

そこに、ヴィシュヌと鈴がありったけの連撃や崩山を打ち込んで来た。これだけ打ち込めば問題ないと思っていた矢先更なる恐怖が襲った。

 

福音「ギィシャーーーーーーー!」

 

そこには、銀の鐘が破壊されたのにも関わらず、形態が変化した福音がいた。口は耳まで広がり、両腕、両足は2倍近く膨らみ、かつての銀の根は4枚から、2枚に減っていたがスピードは衰えていなかった。

 

鈴「これってもしかして…」

 

ロラン「第二次移行(セカンドシフト)だと!」

 

ヴィシュヌ「来ます!」

 

3人は防御態勢を取ったが、間に合わず連撃を食らい、SEが4割近くなくなった。それだけでは飽き足らず銀の鐘よりも広範囲に撃ちこむ《エネルギーの翼》がロラン達を含む全員を巻き込んだ。

 

ラウラはシャルロットが展開したガーデン・カーテンによって守れたが、一夏は被弾してしまった。

 

一夏「セシリアここで降ろしてくれ!」

 

セシリア「でも、それでしたら一夏さんが被弾してしまいますわ!」

 

一夏「構わないぜ!信二の分まで、アイツに殴らないと気が済まないからな」

 

セシリア「わかりました。では、3…2…1…投下!」

 

一夏「うぉぉぉぉぉぉ!」

 

鈴「いけー!一夏!」

 

一夏「これで!決める!」

 

福音「LaLaLaLaLaLa!」

 

福音は逃げる様に、飛び回っていた。まるで誰かを探すように。そんな中一夏は攻撃の手を休めることなく福音に向かって行った。

 

一夏「待てよ!零落白夜発動!」

 

福音「LaLaLaLaLaLa!」

 

我慢しきれなかった一夏は零落白夜を発動し、一気に勝負を決めることにした。しかし、福音は銀の鐘と同様にエネルギー弾を放出すると、自在に形を変え、一夏を囲い込み零距離射撃を行った。

 

一夏「ぐああああ!」

 

鈴・ラウラ『一夏(嫁!)』

 

 

零距離射撃を受けた一夏は全弾を食ら海面へ落ちていく。しかし、そこを信二が乗った箒が受け止めた。

 

箒「一夏無事か」

 

一夏「ほ、ほうき…」

 

信二「一夏大丈夫!?」

 

一夏「信二…無事だったんだな」

 

箒「喋るな」

 

一夏「悪い」

 

信二「一夏…よし!」

 

信二は福音に向かって瞬間瞬時加速(イグニッションブースト)を使って吶喊した。

 

信二「福音!僕はここだ!」

 

福音「LaLaLaLaLaLa!」

 

 

そして、福音と交差した時、眩い光が信二と福音を包んだ…

 

 

 

~~???side~~

真っ白な空間に信二は1人ポツンと立っていた。そこは上下左右何処にいるのかさえ、分からない世界だった。

 

信二「ここは?」

 

???「ここは、ISコアの世界だよ」

 

信二「君は?」

 

???「初めまして、私は「ベル」君たちが福音と言っていたISのコア人格さ」

 

そこには、白いワンピースを着て髪の毛まで真っ白になり、まだあどけなさが残る女の子が立っていた。

 

 

ベル「まず最初に謝らせて。君たちにあんな事をしてごめんなさい」

 

信二「もしかして、僕達を襲ったこと?」

 

ベル「うん。あの時はナターシャを守るのに必死だったんだ。外部から何者かによるハッキングがあって、暴走してしまった私をナターシャは必死に止めようとした。けど、思ったより強力でナターシャ1人では、どうにもならない。だから、彼女の意識を切って、私は暴走した。」

 

信二「だから、あんなに苦しんでいたんだね」

 

ベル「分かるの?」

 

信二「僕にもISの声が聞こえるからね」

 

(その通りだ)

 

淡い光が現れてはじけ飛ぶと、そこには、栗色のショートカットにつり目、スレンダーボディーをドイツ軍の軍服に身にまとったマホが現れた。

 

信二「マホ!久しぶりだね」

 

(ああ、最近は出られなくてすまなかった)

 

信二「ごめんね」

 

ベル「君が、この子のISコア何だね。私はベルって言うよ」

 

(自己紹介ありがとう。私はコアNo.201通称「マホ」と言う)

 

信二「マホは最初に会った。コアなんだ」

 

ベル「へぇ~?」

 

信二「な、何かな?」

 

ベル「いゃ、2人ともお似合いだと思ってね」

 

(ありがとう)

 

 

 

そんなやり取りをしていると、不意に景色が変わり色鮮やかな空間になって来た。

ベル「そろそろ行かなくちゃ…」

 

信二「うん…」

 

(そうだな)

 

ベル「最後のお願い聞いてくれる?」

 

信二「何だい?」

 

ベル「ナターシャを助けてあげて、あの子は望まない空を飛んでいる。そろそろ休ませてあげなくちゃ…」

 

信二「分かったよ。その後に君を助けるよ」

 

ベル「無理だよ…私は一度暴走した。他のコアには受け入れられない」

 

信二「大丈夫!君の、いゃ君達みんなのお母さんと知り合いなんだ。だから、上手くいくよ」

 

(私からも頼む。せっかく出来た友人を失いたくない)

 

ベル「わかったよ。なら、その前にナターシャを助けて!お願い!」

 

信二「うん!必ず君も助けるよーー!」

 

 

~~信二・ベルside out~~

 

 

 

そう言って、信二の意識は戻っていた。時間にして2~3分だった。信二は福音から距離を取った。しかし、次の瞬間、福音にパンツァー・カノニーアからの砲撃が当たり、爆音が発生した。まともに受けた福音は崩れ落ち海へと落下していくのであった。

 

そこに、静寐の徹甲弾やロランのシード・ショットが炸裂し、まともや大きな爆音が響いた。

 

信二「やめろーーーー!」

 

箒「どうした信二!落ち着け!」

 

信二「福音が!」

 

箒「福音が?マズイ!」

 

そうこう言っている間にも、福音は落下し始める。

 

信二「助けなきゃ!」

 

箒「無茶を言うな。お前の身体はボロボロで既にエネルギーも底をついてしまう。このままでは海面に落下して今度こそ死ぬぞ!」

 

信二「でも!」

 

箒「ちょっと待っていろ」

 

 

そう言って、箒は信二の肩に触れた。その瞬間信二のSEが全回復した。

 

信二「これは?」

 

箒「紅椿のワンオフ・アビリティー絢爛舞踏(けんらんぶとう)だ。最小のエネルギーをほぼ無制限に増大させるという性質を持っている」

 

信二「ありがとう箒!」

 

そう言って、SEが回復したヤークトティーガーに更なる変化が現れた。それは、今まで茶色一色だった機体が迷彩色に染まり、装甲も2倍と丈夫な物になった。何より背中の大型レールカノンに加えてもう一門砲身が追加され合計2門となった。そして、最大の奇跡として…

 

???「う、うむ?ここはどこだ?」

 

信二「ウソだ、なんでマホがここ居るの?」

 

そう、先程まで信二が纏っていた、ISヤークトティーガーのコアであるマホが纏って居たのだ。これには、隣にいた箒も驚いていた。

 

箒「だ、誰だ!」

 

???「私か?私はコアNo.201。ISヤークトティーガーのコア人格『マホ』だ」

 

箒「コア人格!そんなはずはない。絢爛舞踏にそんな効果はなかったはずだ」

 

マホ「嘘か、真か信じるのは勝手だが、今は言い争っている暇はないんじゃないか?」

 

信二「そうだ!福音は…いた!」

 

マホ「海面まであと10mだ」

 

信二「分かっている。マホは福音を助けてあげて。僕はみんなを説得して来る!」

 

マホ「分かった!」

 

箒「あ、おい!信二!」

 

そう言って、マホは瞬時加速を使って落下する福音を助けに向かった。信二は皆を説得する為に向かった。取り残された箒は一夏が待つ小島に向かった。

 

信二「みんな攻撃をやめてくれ!」

 

ロラン「信二?」

 

鈴「どうしてよ!」

 

シャルロット「信二どうしたの?」

 

信二「訳は後で話す。だから、攻撃をやめてくれ」

 

ヴィシュヌ「どうしてですか?まさか、福音に何かされたのですか?」

 

信二「そんな事ない。ただ、福音は皆が思っているよりも酷い奴じゃあないよ!」

 

ヴィシュヌ「…根拠は?」

 

信二「僕は、福音のコア人格と話した。それについては追々話すから今は、攻撃をやめてくれ頼む!」

 

 

そう言って、頭を深く下げた。流石のシャルロットやロランはおかしいと思い、攻撃をやめた。ヴィシュヌは疑っていたが、信二が「下手な行動をしたら僕を攻撃してもいい」と言い、その根気に折れて攻撃をやめた。

 

その間にもパンツァー・カノニーアからの発砲が続いて来たので、信二は240㎜の装甲を前面に押し出し福音を守った。それに驚いたラウラは一度砲撃をやめた。

 

そして、信二は3人に近づいていった。

 

ラウラ「兄上!どうして邪魔をするのです!」

 

静寐「落ち着いてラウラ。それよりも、信二君のIS変わったんだね」

 

信二「うん、第二次移行(セカンドシフト)したからね」

 

セシリア「とても素敵ですわ」

 

信二「ありがとう。ラウラ、今すぐ砲撃をやめてくれ」

 

ラウラ「どうしてだ!奴は嫁ばかりではなく、兄上の命も奪いそうになったんだぞ!」

 

信二「ラウラが怒るのも無理ないよ。けど、わけは後で話すから、今はやめて欲しい。この通り!」

 

そう言って、信二は深く頭を下げた。ラウラ、静寐、セシリアは困惑しながらも福音への攻撃をやめた。

 

 

そして、信二は発光信号弾を打ち上げて、朝日が差し込む中一連の福音騒動は幕を閉じた。

 

 

その後、密漁船の乗組員と一夏は花月荘へ連れて行かれて、怪我の治療が始まった。幸い信二程ではないが打撲と火傷を負っていた。そして、密漁船の乗組員は逮捕されそうになったが、信二・一夏両名の治療及び運搬の功績が認められ逮捕は免除された。しかし、3年間の奉仕活動をするように命じられた。キャプテンのジョニーは「これからは、心を入れ替えて誠心誠意働くよ」と宣言した。

 

花月荘の玄関前には千冬と真耶それと専用機組+ヤークトティーガーを纏っていたマホが揃っている。

 

千冬「お前たちは、重大な命令違反を起こそうとしたが、私が言った手前それは不問にする。ただし!」

 

『ビック!』

 

千冬「一般生徒には箝口令を敷く。破ればお前たちのみならずそれを聞いた生徒にも政府の目が付くことを忘れるな。また、臨海学校終了後に特別カリキュラムを用意している。せいぜい楽しむことだな」

 

『はい!』

 

千冬「それと…みんな良く戻って来た///」

 

 

その時、みんな心の中で(千冬姉(織斑先生)がデレた)と思った瞬間であった。そして、旅館へ帰ろうとした時であった。

 

千冬「そうだ、新田と山田先生は残る様に」

 

真耶・信二『へ?』

 

マホ「私はシンジの傍にいたいのだが」

 

千冬「お前には束を通して聞きたいことが山ほどあるからな」

 

マホ「お母様が?分かった。先に行っているシンジ」

 

そう言って、信二と真耶を除く皆は旅館に戻っていった。その際、千冬から「が・ん・ば・れ」と真耶に向かって言っていた。それを聞いた真耶は信二と向き合うことにした。

 

真耶「に、新田君!」

 

信二「は、はい!」

 

真耶「先ずは、無事帰ってくれて先生嬉しいです」

 

信二「はい」

 

真耶「けど、ケガしたのは感心しませんね」

 

信二「はい…」

 

真耶「なので、戻ったら私が教えます」

(違う、こんな事言いたいわけじゃあない…)

 

真耶「新田君は、代表候補生じゃあないですからね」

(先輩が作ってくれたこのチャンス、無駄にしないと決めたのに…)

 

真耶「だから、だから…」

 

信二「山田先生?」

 

真耶「…もう、心配かけないで…」

 

気が付くと私は泣いていた。それはもう、ボロボロと泣いていた。

 

真耶「貴方は、男の子だから…ひっく、無茶をするのは当たり前だけど…ひっく、ひっく、心配している人の身もなってぐだざいよ!」

 

信二「山田先生…」

 

真耶「私が、どれだけ心配したと思ってるんですか!」

 

信二「…ごめんなさい」

 

真耶「謝ったって許しません」

 

信二「う!」

 

真耶「…今から罰を与えます。目を閉じてください」

 

信二「は、はい!」

 

そう言って、彼は身を固めた。びくびくしている姿を見ていると本当に可愛いと思ってしまった。

 

真耶「いいですね」

 

信二「はい」

 

 

 

そして…彼の口にそっと自分の唇を重ねた。

 

 

 

信二「え!」

 

真耶「貴方への罰は、これから先ずっと私といることです!」

 

信二「?」

 

真耶「ちゃんと言いますね。私、山田真耶は新田君、いえ信二君が好きです」

 

信二「ええええええ!」

 

真耶「もう、そんなにも驚くことですか?」

 

信二「え!だって、え!」

 

真耶「うふふ///」

 

信二は混乱していた。いつもはおっちょこちょいな真耶が、自分の事を好きだと言ってくれた。それでも大きいのにあろうことか、キスまでして来たのだ。

 

信二「けど、僕はこんな見た目ですよ」

 

真耶「見た目なんて些細なことですよ」

 

信二「それに、彼女が5人もいるんですよ」

 

真耶「皆さんには打明けてますから」

 

信二「生徒ですし…」

 

真耶「それは、何とかなります///」

 

信二「うう…」

 

真耶「それとも、私の事嫌いですか?」

 

信二「そんなことないですよ!山田先生程の可愛い人が彼女だったら嬉しいに決まってますよ!」

 

真耶「うふふ///信二君から可愛いって言われちゃった///」

 

信二「僕のような人でもいいですか?」

 

真耶「寧ろ信二君じゃないと嫌です」

 

そう言った真耶の目には力がこもっていた。思えば信二も山田先生に助けられたことが何度もある。その時から気になっていたが、まさか彼女になるなんて思っていなかった。

 

信二「じゃあ…」

 

真耶「はい、信二君私の事大事にしますか?」

 

信二「はい、一生大事にします!!」

 

真耶「嬉しい///」ダキ!

 

信二「おわ!」

 

突然の事で受け止めれなかった信二は尻餅をついてしまった。その時、真耶との顔が近くあと数センチでキスが出来そうなくらい近かった。2人は段々と近くなっていき…

 

信二「山田先生…」

 

真耶「先生なんて言わないで…」

 

信二「じゃあ何て言えばいいですか?」

 

真耶「真耶って呼んで…」

 

信二「真耶さん…」

 

真耶「信二君…」

 

2人の顔が赤くなりあと数センチでキス出来ると頃まで来たが、それは第三者によって阻まれた。

 

???「何をしているんだシンジ」

 

信二・真耶『うひゃーーー!』

 

マホ「2人が来ないから呼びに来たのだが…邪魔だったか?」

 

信二「そんな事ないよ。ねぇ!まや、山田先生」

 

真耶「え、ええ!しん、新田君!」

 

マホ「ふ~ん、そうかなら来るといい」

 

信二「そうだね、行きましょう」

 

真耶「あ…はい///」

 

 

 

 

信二は手を出して真耶を掴むと、皆がいる旅館に向かうのであった。旅館に戻った信二はマホについて説明した。マホは信二が初めて受け取ったISヤークトティーガーのコア人格であり、箒のワンオフアビリティ「絢爛舞踏」によって出現したと説明した。

 

更に、福音のコア人格とも接触し、自身の生い立ちや暴走に至った経緯を説明した。勿論マホを経由してベルを映し出して説明した。これには、皆開いた口が塞がらなかった。あの束でさえ「凄いよシンちゃん!」と驚くくらいである。そのことについて皆罪悪感があるも、ベルからは感謝の言葉が送られた。「私の暴走を止めてくれてありがとう」と。

 

束は早速、福音の修理、コア人格の生成をある人物達に依頼した。その人物こそスコールとオータムの2人である。彼女らは、束が社長を務める株式会社「ボーイズ&パンツァー」の社員であった。そして、信二はそこのテストパイロットとして入社する事で一件落着となった。なお、マドカの件は束が時を見て発表するらしい。

 

 

福音のパイロットである、ナターシャ・ファイルスは現在、意識が回復し、臨海学校終了と同時に本国アメリカへ帰国する予定である。

 

 

 

 

 

そして、それが全て終わった頃には夕食の時間となっていた。それからは、専用機組から情報を聞き出そうと躍起になっている一般生徒がいた。その行いは夕食まで続いた。

 

「ねぇ~教えてよ!」

 

静寐「いいの?バレたらみんなと私に2年間の監視が付くんだよ」

 

「彼氏が出来てもずっと見られているなんて、嫌だね~」

 

「彼氏なんてできないくせにw」

 

「言えてる~ww」

 

箒「しかし、今回は話題が盛りだくさんだったな」

 

セシリア「ええ、そうですわね」

 

ロラン「その中でも一番の功労者は信二だろう。なぁ信二?」

 

シャルロット「あれ?そう言えば信二は?」

 

 

周りを見渡しても、夕食を食べている中に信二はいなかった。その時、近くで鈴とラウラに囲まれて夕食を食べていた一夏からとんでもない一言が出てきた。

 

シャルロット「ねぇ一夏。信二何処にいるか知らない?」

 

一夏「信二なら、さっきまで一緒だったぞ。それと山田先生とギャラクシーさんもいなくなったな…」

 

『なにーーーー!』

 

 

 

 

 

 

 

夜の海岸線に、信二は水着を着て歩いていた。昨日の夜から海で遊んでいなかったからである。

 

信二「結局海で遊ぶことなんで出来なかったな…」

 

???「なら、これから遊びませんか?」

 

信二「え?」

 

ヴィシュヌ「こんばんは新田信二さん」

 

信二「ギャラクシーさん?」

 

真耶「私もいますよ」

 

信二「山田先生も?」

 

そこには、水着姿の真耶とヴィシュヌがいた。真耶は、黄色の水着でビキニタイプの物だった。少し前屈みになると零れ落ちそうなくらい、たわわに実った胸が印象的だった。

ヴィシュヌは白い水着で胸の部分で交差し、おへそが見えるタイプだった。真耶程ではないがこちらも、申し分ないくらい大きい胸が印象的だった。

 

信二「山田先生は、何となくわかるけどギャラクシーさんが居るのは意外だったね」

 

ヴィシュヌ「それは、昨夜の事で謝罪したいことがあるのです」

 

信二「何か言ったかな?」

 

ヴィシュヌ「昨日は、貴方を試すような発言をしてしまい申し訳ありませんでした」

 

信二「その事はもう気にしていないよ」

 

ヴィシュヌ「けど、それでは私の気が済みません」

 

信二「う~んなら、僕と友達になってよ」

 

ヴィシュヌ「え?」

 

信二「僕、外国人と友達になってみたいんだ。お願い!」

 

ヴィシュヌ「フフフ」

 

信二「ギャラクシーさん?」

 

ヴィシュヌ「失礼。可笑しな事を言うものだと思ってつい笑ってしまいました」

 

信二「そんなに可笑しなことかな?」

 

ヴィシュヌ「そんな貴方だから惚れてしまったのですね…」

 

信二「え?」

 

ヴィシュヌ「分かりました。これより、ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーは貴方の剣となり盾となりましょう。この身が果てるまでどこまでの付いて行きます。新田さん///」

 

そして、ヴィシュヌは信二の手を取り、手の甲にキスをした。

 

信二「え、ええ!ギャラクシーさん!」

 

ヴィシュヌ「ギャラクシーなど堅苦しい言い方はやめてください。これからはヴィシュヌと呼んでください」

 

信二「えっと…ヴィシュヌさん?」

 

ヴィシュヌ「さんも不要です」

 

信二「ヴィシュヌ?」

 

ヴィシュヌ「はい、新田さん///」

 

信二「それなら、僕の事も名前で呼んでよ」

 

ヴィシュヌ「分かりました信二///」

 

そう言って、ヴィシュヌは信二の右腕を自身の身体にくっ付けてきた。

 

信二「あ、あ、あ、あのヴィシュヌ!当たっているんだけど!」

 

ヴィシュヌ「ええ、当てているんですよ///」

 

それを見ていた真耶は面白くない雰囲気を出していた。

 

真耶「も~!信二君の彼女は私なんですからね!」

 

ヴィシュヌ「あら、山田先生?生徒との恋愛はご法度ではないですか?」

 

真耶「信二君は特別なんです!」

 

ヴィシュヌ「まぁ!」

 

真耶「それに、信二君は私の事好きって言ってくれました!」

 

ヴィシュヌ「どうなんですか?信二?」

 

信二「えっと…」

 

真耶・ヴィシュヌ『どうなんですか!』

 

信二「う~ん…「コツン」へ?」

 

 

信二は後ろを振り向くと、そこには一基の青色のビットが浮遊していた。そして、ビーム光線が発射された。

 

信二「おわ!え!ブルー・ティアーズのビット!…ということは、まさか…」

 

 

 

間一髪で避けた信二は恐る恐る上空を見てみると、そこにはISを装備している箒、静寐、セシリア、シャルロット、ロランの姿があった。皆なぜか青筋を立てていた。

 

セシリア「オホホホ…外してしまいましたわ」

 

ロラン「酷いじゃないか信二。僕と箒というものがありながら他の人に手を出すだなんて」

 

信二「人聞きの悪いこと言わないでよ!」

 

静寐「けど、山田先生は知っていたけどまさかギャラクシーさんも信二君を狙っていたなんてね。これは、O・SHI・O・KI(オシオキ)が必要かな?」

 

箒「信二!恥を知れ!」

 

シャルロット「よし、殺そう♪」

 

信二「待ってシャルロット!女の子が使っていい言葉じゃないよ!」

 

 

問答無用!待てーーーーーーーーー!

 

 

信二「ひゃー、ごめんなさ~い!」

 

 

そう言いた信二は…笑っていた。こうして信二にとっての臨海学校は終わろうとしていた。

 

 

 

 

臨海学校最終日。お世話になった花月荘に別れの挨拶をして、一行はIS学園に向かうのであった。そんな中一夏と信二は共にぐったりしていた。因みにマホは後ろの席でIS学園の制服を着て、静寐達と遊んでいた。昨日の内に仲良くなったらしい。

 

一夏「なぁ信二水持ってないか?」

 

信二「ごめん、最後の1本飲み切っちゃた…」

 

一夏「そうか…てか、大丈夫か?」

 

信二「…これを見て大丈夫と言えるなら眼科に行くことをお勧めするよ」

 

一夏「アハハ…何があった?」

 

信二「…昨日の夜ずっと静寐達に追い回されてね。寝てないんだ」

 

一夏「え!ずっとなのか?」

 

信二「…そうだよ。一夏は?」

 

一夏「いや、鈴とラウラが部屋に来てずっと、トランプをしていてな。どっちが俺の膝の上に乗るかで勝負していたんだよ」

 

信二「…どっちも乗せればいいじゃない」

 

一夏「いゃ、そうなんだがな…」

 

信二「ふ~ん、まぁいいけどね。…リア充爆発しろ

 

一夏「いや、それお前に対しても最大のブーメランになるからな」

 

そんなやり取りをしていると、バスは道の途中で止まった。そして、1人の女性が入って来た。金髪に青いサマースーツを着て頭には白いツバの広い帽子をかぶりサングラスをしていた。そして、サングラスを取るとサファイア色の瞳で一夏と信二を見てきた。

 

???「失礼。貴方たちが織斑一夏君と新田信二君でいいかな?」

 

一夏「織斑一夏は俺です」

 

信二「新田信二は僕です」

 

???「ふ~ん貴方が一夏君ね。そして、君が信二君ね」

 

信二「あの、貴女は?」

 

???「ごめんなさいね。私はナターシャ・ファイルス。福音《シルバリオ・ゴスペル》のパイロットよ」

 

その女性、ナターシャ・ファイルスは一夏と信二を交互に見た。品定めをしているような目つきではなく純粋に楽しんでいる目であった。そして、一夏と信二に向き合ってお礼を述べた。

 

ナターシャ「先ずは、一夏君ごめんなさい。私のせいで貴方まで傷付けてしまって」

 

一夏「いえ、気にしないでください」

 

ナターシャ「そう言ってもらえると助かるわ。そして…」

 

信二「僕ですか?」

 

ナターシャ「ええ、ありがとう。あの子を助けてくれて。感謝してもしきれないわ」

 

信二「いえ、ベルがファイルスさんを助けて欲しいと言ったので、僕は助けたまでですよ」

 

ナターシャ「それでも嬉しいのよ。あの子、ベルの声を聞けるのは今のところ貴方だけだかね」

 

信二「そんな、僕は当たり前の事しかしてないですよ」

 

ナターシャ「そうかしら?」

 

信二「そうですよ。いつかベルと対話出来たら聞いてあげてください」

 

ナターシャ「そうするわ。これは、ほんのお礼よ♪」

 

そう言って、握手をしようとした時に、事件は起きた。なんと、握手をする振りをして信二の手を取り、あろうことかキスをして来たのだ。それも頬ではなく唇と唇が重なりあり、ディープキスをしていた。

 

信二「!」

 

 

 

 

『あーーーーーー!』

 

 

 

 

 

突然の行動に信二の彼女達は大声で叫んでしまった。隣にいた一夏も啞然としていた。そして、たっぷり数十秒間キスを楽しんだ彼女は信二に自身のメアドと番号を書いた手紙を渡し、颯爽と降りて行った。

 

その後のバスの中は混乱を極めていた。そんな中千冬とナターシャは今後の事について話していた。

 

千冬「おい、何てことしてくれたんだ」

 

ナターシャ「あら、いいじゃない減るもんじゃあないんだし」

 

千冬「お前なぁ~」

 

ナターシャ「それよりも、彼可愛いわね。気に入ったわ」

 

千冬「織斑か?それとも新田の方か?」

 

ナターシャ「信二君の方よ。彼、ベルとの対話に成功したんだもの。ちょっと妬いちゃうわ」

 

千冬「ふ、そうか」

 

ナターシャ「ええ」

 

千冬「それよりも、お前のISシルバリオ・ゴスペルを襲った奴らだが現在調査中だ」

 

ナターシャ「分かっているわ。飛ぶことを何よりも生き甲斐だったこの子から飛ぶことを奪った奴らを私は許さないわ」

 

千冬「そうか…」

 

ナターシャ「そうよ!それじゃあね。また近いうちに会いましょう。ブリュンヒルデ」

 

千冬「その名前は出すな」

 

そう言って、ナターシャは楽しそうに帰って行った。千冬はこの混乱をどう鎮めるか頭を抱えるのであった。

 




今回で臨海学校は終了して、夏休み編になります。

そして、2学期ではあの姉妹が登場します。

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第五章 夏休み編
第二十六話 夏休み(箒・静寐編)


とあるPです

今回から新章突入です!夏休み編です。
前回2学期編と言いましたが、こっちが面白そうなので先にこっちを書いてみました。

先に言っておきます!今回は某メッセージアプリ風に書いてみました。

読みずらかったら、次回からやめたいと思います。

それでは、本編どうぞ!


8月。世間一般は夏休みに入っている時期である。IS学園も例外ではない。多くの人は、帰国や代表候補生に至っては、本国に帰って報告だの仕事をしている。そんな中信二は、ある用事と再来週から両親の墓参りをするべく、外出申請を行おうとしていた。

 

信二「はぁ~外出申請するだけで、こんなに大変だとは思わなかったよ」

 

自室で記入している、申請書には事細かに書かないと通らないので結構な量になっていた。そして、全て記入し終わって職員室に提出していくところであった。職員室では、千冬と真耶が2学期の準備に追われていた。

 

信二「失礼します。織斑先生と山田先生に用があって参りました」

 

千冬「来たか」

 

真耶「こんにちは、新田君」

 

信二「織斑先生、こちら外出申請書になります」

 

千冬「うむ、確かに受理した」

 

信二「それでは僕はこれで」

 

千冬「まぁ、立ち話も何だし少し休んでいけ」

 

信二「しかし…」

 

千冬「幸い、今は我々しかいない。それに…」

 

そう言って、一瞬真耶の方を見た。

 

千冬「隣に彼女がいるんだ。少し遊んでいってもかまわんだろう」

 

信二・真耶『お、織斑先生!』

 

千冬「真耶も少しは羽を伸ばしたらどうだ…」

 

真耶「しかし…」

 

千冬「なに、焚き付けた手前お前達には幸せになって欲しいからな」

 

真耶「…なら、お言葉に甘えて///」

 

千冬「そうしておけ。なら私はコーヒーでも入れてくる」

 

そして、千冬はコーヒーを入れに給湯室に行った。今この場に居るのは信二と真耶の2人だけとなった。

 

真耶「あ、あの~」

 

信二「は、はい!」

 

真耶「に、信二君は夏休みどうするの?」

 

信二「僕は、両親の墓参りにドイツに向かいます。その後は各国の代表候補生と今後の課題について、話し合ってきますね。やま、真耶さんは?」

 

真耶「そうですね。2学期の準備とリフレッシュですかね」

 

信二「そうですか…」

 

真耶「はい…」

 

信二「……」

 

真耶「……」

 

暫し間沈黙が流れたが、それを破ったのは信二だった。

 

信二「あ、あの!」

 

真耶「は、はい!」

 

信二「夏休みの間連絡しますね。真耶さんがさびしがらないように///」

 

真耶「信二君…嬉しい///」ダキ

 

信二「おわ!」

 

真耶「私も、信二君からの連絡待っていますね」

 

信二「真耶さん…はい」

 

真耶「信二君///」

 

信二「真耶さん///」

 

あと数センチで唇が重なると思っていたが…

 

千冬「ジ~~」

 

信二・真耶『お、織斑先生!』

 

千冬「私の事はいいから続けて」

 

信二・真耶『で、出来ません///』

 

千冬「そうか、ならもう一時間出掛けてくるか」

 

信二「だ、大丈夫です!それじゃあ失礼しました!」

 

真耶「は、はい!」

 

そう言って、職員室を後にするのであった。その後、無事外出申請の要望が通った連絡が入ったので、信二は、駅前のビル「レゾナンス」に向かってある物を買いに行った。「レゾナンス」で買った物それは…

 

 

信二「男の物の浴衣って案外少ないんだな」

 

縁日などで着る浴衣を買いに行っていた。信二は、淡い紺色に黒の帯という浴衣を買い帰る途中だった。実は3日目に箒から『夏休み、篠ノ之神社で神楽舞をするので、ぜひ来てほしい』と連絡がありレゾナンスで買い物をしていた。

 

そして、その帰り道で立ち寄ったカフェ「@クルーズ」で事件が起きた。信二は、アイスコーヒーを頼むと窓際の1人席に座っていた。そこに3人組の強盗団が押し寄せてきた。

 

 

「動くんじゃあね!」パァン!

 

「さっさと、金出せ!」

 

「おら、早くしろ!」

 

突然の目出し帽をかぶり、銃を乱射してきた3人組の男達が現れた。店内はパニック状態になった。

 

「おい、お前ら!騒ぐんじゃあねぇぞ!」

 

「殺されたくなかったら、おとなしくしていろ!」

 

 その瞬間、客たちは恐怖で動けなくなった。そして、犯人の1人がこう言ってきた。

 

「兄貴!こいつ眼帯なんかしてますぜ!」

 

「面白い。おい、お前!」

 

信二「…僕ですか?」

 

「ああ、そうだ。お前には警察が来るまでの間人質になってもらう」

 

信二「で、でも…」

 

「うるせ!死にていのか!」

 

信二「…わかりました。その代わり、店の人達には危害を加えないでくださいね」

 

「ああ、俺は約束を守る男だからな」

 

そう言って、3人は信二を外に連れ出して行った。しかし、店の外では既に警官隊が周りを包囲していた。

 

「ちい!もう来てるのか」

 

『犯人に告ぐ!既に包囲されている。おとなしく武器を捨てて投降しろ!』

 

「うるせい!こっちには、人質がいるんだぞ」

 

信二「余り彼らを刺激しないでください!」

 

『わ、わかった』

 

「俺らの要求は2つだ!先ずは、現金で一億円用意しろ。それと、逃走用の車だ!」

 

『用意するのに一時間かかる』

 

「ダメだ、遅すぎる。せめて30分でやれ。でないとこいつが死ぬぞ」

 

『わ、わかった!』

 

そう言って、警官隊は早速準備に取り掛かった。信二は、脱出のタイミングを伺っていた。狙うは犯人が金を受け取るタイミング。ただその一瞬にかけていた。

 

 

30分後。警官隊の働きにより一億円と逃走用の車が用意された。

 

『約束の金と車を用意した。その子を解放しろ』

 

「うるせい!お前らが追跡して来ない事を確認したら、解放してやる」

 

『わ、わかった』

 

「おい、早く金をとって来い」

 

信二「分かりました」

 

そう言って、信二は一億円が入ったアタッシュケースを受けると犯人の1人に近づいて行き、そのまま周りだし犯人の1人の腹に一発入れた。そうして1人を無力化した後は、流れるような動きで2人目、3人目と倒していき、あっという間に鎮圧した。

 

信二「ふぅ~終わった」

 

『か、確保!』

 

そして、警官隊に3人は確保され一億円も無事だった。その後事情聴取を取られて学園に帰って来たのは夜になっていた。当然、千冬や真耶の耳にも入っておりお説教を受けた。真耶からは「無茶しないでください!」と泣きながら怒られた。

 

 

 

 

次の日、外出自粛を言い渡された信二は学園内をぶらついていると、1人の用務員に出会った。

 

信二「おはようございます」

 

???「はい、おはようございます」

 

信二「何している所ですか?」

 

???「いや、そろそろ夏野菜を植えようと思っていてね」

 

信二「あの、手伝ってもいいですか?」

 

???「ええ、構いませんよ。新田君」

 

信二「僕のことを知っているんですか?」

 

???「ええ、知っていますよ。申し遅れました、私は轡木 十蔵(くつわぎ じゅうぞう)と言います。IS学園で用務員をしています」

 

そう言って、十蔵と信二は学園の一角にある畑にやって来た。信二は鍬を持ち畑を耕していた。

 

十蔵「ほぉ…筋がいいですね」

 

信二「実家にいた頃は、よく祖母の手伝いで畑を耕していましたからね」

 

十蔵「なるほど。それなら納得します。もういいでしょ一旦休憩にしましょうか」

 

1時間ほど耕すと十蔵と信二はお昼にした。天気が良く絶好の畑日和となっていた。

 

十蔵「新田君のおかげで、早く終わりそうですね」

 

信二「そんな事ありませんよ。轡木さんの準備が良いからですよ」

 

十蔵「ありがとうございます。この畑は妻と趣味で始めた小さな畑ですけどね、良い野菜が取れるんですよ」

 

信二「そうですか。いいですね」

 

十蔵「いえいえ。新田君も彼女の1人や2人いるのでしょう?」

 

信二「そ、そんな事ないですよ」

 

十蔵「私はIS学園の用務員ですよ。知らないわけでありませんよ」

 

信二「轡木さん…」

 

十蔵「悩み事があるのであれば、相談してください。用務員なんてそんなもんですけどね」

 

信二「…実は、ちょっと相談したいことがあるんです」

 

十蔵「何でしょう」

 

信二「僕は、ここに来て色んな人と会ってきました。そして、今複数の人達から好意をもらっています。けれども彼女達にどう接して行けばいいのかわからなくて…」

 

十蔵「分からないとは?」

 

信二「僕は、今まで人を避けてきました。こんな容姿ですから、いじめられてきた経験も少なからずあります。けど彼女達はそんな僕でも好きだと言ってくれたのです」

 

十蔵「……」

 

信二「中には、年上の女性で付き合うのが厳しい状況でさえ、好きだと言ってくれた人もいます。果たしてそんな彼女達を、僕は幸せにできるのでしょうか?」

 

十蔵「…1つ助言をするのであれば、彼女達を信じてみてはいかがでしょうか?」

 

信二「え?」

 

十蔵「なに、難しい事ではないですよ。ただ彼女達と一緒にいる時間を増やして、より強い信頼関係を築く。ただそれだけの事です。そうすれば、彼女達は自然と新田君について来るでしょう」

 

信二「轡木さん…」

 

十蔵「それに、新田君は彼女達の事が好きなのでしょう?」

 

信二「はい!その気持ちは絶対に揺るぎません」

 

十蔵「なら、答えは出ているのではないでしょうか?」

 

信二「あっ!」

 

十蔵「どうやら、答えは出たようですね」

 

信二「はい!ありがとうございます」

 

十蔵「礼には及びませんよ。さて、残りの作業をしてしまいましょうか」

 

信二「はい!」

 

そう言って、信二と十蔵は残りの苗を植え終えた。時刻は夕方となり、信二は自室に戻っていくのであった。その後ろから1人の人影が出てきた。

 

十蔵「盗み聞きとは、余り良い趣味ではありませんな。織斑先生」

 

千冬「すみませんでしたね。学園長(・・・)

 

 

そう、轡木 十蔵はこの表向きは、IS学園で用務員をしているが、実はIS学園の学園長その人である。今はその妻である女性が学園長を務めているが、実務に関してはこの男性が取り仕切っている。

 

十蔵「新田君、いい子ですね」

 

千冬「ええ、それで、学園長。山田先生の件ですが…」

 

十蔵「その件については、妻も了承しています。全て山田先生の判断に任せると」

 

千冬「ありがとうございます」

 

十蔵「しかし、新田君は羨ましいですね」

 

千冬「そうでしょうか?」

 

十蔵「ええ、自身の力に奢らず、謙遜し良い判断が出来る。そういう所に彼女達は惚れたのでしょう」

 

そう言っている十蔵の目は、まるで実子を見つめる祖父のような目だった。

 

千冬「全くです」

 

十蔵「あとは、我々大人がしっかりと守らねば。期待してますよ。織斑先生」

 

千冬「はい」

 

そして、信二は明日箒の神社に行く準備をしているのであった。

 

 

 

 

 

 

翌日、箒は朝から神社の境内に居た。幼馴染の一夏は同級生の子達と祭りを楽しむと連絡があった。そんな事よりも一番緊張しているのは、今夜の神楽舞だ。大勢の人の前で披露するのは勿論の事だが、一番は信二に見せることである。おかげで昨日の夜は余り眠れなかった。

 

???「元気なさそうだけど大丈夫?箒ちゃん」

 

箒「雪子叔母さん」

 

箒の叔母であり、篠ノ之神社の管理人である雪子は緊張している箒を見て心配していた。

 

雪子「大丈夫よ。あれだけ練習したのだから自信持ちなさい」

 

箒「はい。そうですね」

 

雪子「それよりも、あの子が来るから心配でもしているの?」

 

箒「あの子とは?」

 

雪子「とぼけちゃって、愛しの信二君よ♪」

 

箒「な!!」

 

そう言うと、箒の顔が一気に赤くなった。どうやら図星らしい。

 

雪子「あらら、当たりね」

 

箒「ゆ、雪子叔母さん!こ、この事は信二には」

 

雪子「ええ、黙っておくわ。だから、そんな顔しないの」

 

箒「わかりました」

 

雪子「ほら、もうそろそろ祭りが始まる時間よ。早く沐浴とか済ませて来なさい」

 

箒「はい」

 

 

そして、夜。人々や行きかう中、信二は人目を避け篠ノ之神社の境内までたどり着いた。神楽殿に着いた時は、人々でごった返していた。そこに、巫女衣装と右手に鈴を持って登場した箒の姿があった。

 

『只今より、神楽舞を奉納いたします。舞を務めますのは、当神社の巫女篠ノ之箒です』

 

アナウンスの紹介の後に、一瞬静寂が訪れた。そして、「シャリーン、シャリーン」と鈴音を合図に箒の神楽舞がスタートした。信二はその姿に見入ってしまった。

 

信二「綺麗だ…」

 

一瞬で心を鷲掴みされた気分であった。世の中にこんな綺麗な物があるなんて、思いもしなかった。その姿を取り逃さないためにも、信二はスマホでずっと撮影していた。そして、15分の舞は静かに終わり、割れんばかりの拍手と共に幕を閉じた。

 

興奮冷めやらぬ状態で信二は箒に電話した。そして、「社務所に来てくれ」と連絡があったので、向かった。

 

そこには、箒と話し込んでいる人がいた。

 

雪子「箒ちゃん、とても良かったわよ」

 

箒「ありがとうございます」

 

信二「箒!」

 

箒「信二///来ていたのか」

 

信二「とても良かったよ。綺麗だった」

 

箒「う、うむ///あ、ありがとう」

 

雪子「初めまして、箒の叔母で雪子と申します」

 

信二「新田信二と申します」

 

雪子「箒とはどんな関係でしょうか?」

 

信二「クラスメイトでお付き合いしています」

 

雪子「そうですか。箒のことよろしくお願いしますね」

 

箒「ちょっと叔母さん!」

 

雪子「冗談よ!それよりも、着替えて来なさい。花火もう少しで始まるわよ」

 

箒「う、うん。信二ちょっと待っててくれ」

 

信二「わかったよ」

 

雪子「新田さん、待つ間は母屋でお待ちください」

 

信二「しかし…」

 

箒「私からも頼む」

 

信二「分かりました」

 

雪子「なら、こちらへどうぞ」

 

そう言われて、信二は母屋に案内された。箒は部屋に戻り、着替えて来ると言った。そして、待っている間茶の間に通された信二の前に、意外な人物が現れた。

 

???「初めまして、箒・束の父篠ノ之 柳韻(しののの りゅういん)と申します」

 

???「同じく母の篠ノ之華と言います。良しなに」

 

そこには、箒と束の父であり、篠ノ之神社の神主。また篠ノ之道場の当主でもある。篠ノ之柳韻と華夫妻がいた。

 

柳韻「君が新田信二君かね?」

 

信二は、物凄く圧を感じ緊張しながらも答えるのであった。

 

信二「は、はいそうです」

 

柳韻「そうか、君があの…」

 

信二「?」

 

華「あなた、信二君が困っているわよ」

 

柳韻「失礼した。いや、娘の彼氏がどんな子か見ておきたくてね」

 

華「私たちは重要保護プログラムを受けて、今はバラバラに住んでいてね。あの子が自慢げに話す子がどんな子か興味があったのよ」

 

信二「そうでしたか…」

 

柳韻「うむ、中々の好青年で私は嬉しいよ」

 

信二「あの、お話ししておきたいことがあります」

 

華「何かしら」

 

信二「確かに僕は箒さんとお付き合いしています。しかし、他の人ともお付き合いをしています。その事についてはどうお考え何でしょうか?」

 

柳韻と華はお互いの顔を見て、大笑いした。

 

信二「え?」

 

柳韻「いゃ~すまない。その事は既に箒から聞いていてね」

 

華「あの子はそれを踏まえた上であなたと一緒に居たいと言ったんでしょ?」

 

信二「は、はい!」

 

柳韻「なら、親の私たちはとやかく言う必要はないよ」

 

華「そうですね」

 

信二「じゃあ…」

 

柳韻「うむ、どうか箒や束共々皆を幸せにしてやってくれ」

 

華「私からもお願いします」

 

信二「はい!」

 

そう言って、2人は信二に対して頭を下げた。丁度、その時箒が部屋から出て来て浴衣に着替えていた。白い浴衣に金魚と朝顔をあしらった浴衣だった。

 

箒「ここにいたのか信二。て、母さんと父さんも!」

 

柳韻「何だ?私達がいたらまずかったか?」

 

華「似合っているわよ。箒」

 

信二「そうだね。綺麗だよ」

箒「う、うん///」

 

そして、箒と一緒に祭りの露店巡りをした。途中一夏と一夏の中学校の同級生である、五反田 弾(ごたんだ だん)と御手洗 数馬(みたらい かずま)と出会った。弾と数馬の2人は信二に出会って武勇伝(8人の彼女持ち)を聞くと、途端に『兄貴!』と言ってきた。

 

 

3人と別れて、箒の案内で開けている場所に移った。

 

信二「ここからの見晴らしはいいね」

 

箒「そうだろ。私のお気に入りの場所なんだ」

 

そして、花火が上がり夜空一面に大輪の花が咲き誇った。花火を見ている箒は本当に幸せそうな顔をしていた。ひとしきり花火が上がった後に箒からこんな提案があった。

 

箒「信二はいつまでこっちにいるんだ?」

 

信二「来週月曜日にドイツに向かう予定だよ」

 

箒「そうか…」

 

信二「寂しい?」

 

箒「うん…」

 

信二「仕方ないよ。僕も両親の墓参りにみんなの事を紹介しないといけないからね」

 

箒「分かっているんだ。けど…」

 

信二「暇な時に電話するよ」

 

箒「本当だな?」

 

信二「うん。約束する」

 

箒「では、約束の印が欲しい///」

 

信二「わかったよ…」

 

箒「信二…んちゅ」

 

そう言って、箒の唇にキスをした。そして、手を繋いで母屋に戻ると、柳韻さんと華さんにからかわれて箒の顔が赤くなった。信二がIS学園に帰ろうとすると、柳韻さんから「ちょっと待って話しを聞いて欲しい。それにせっかくだから泊まって行きなさい」と言われた。

 

最初は断ったが箒からどうしてもと言われたので、IS学園に連絡して篠ノ之神社に宿泊する事を連絡した。その時の真耶の声が恐ろしかった。

 

先程同様母屋に柳韻・華・箒・信二の4人は集まり、柳韻からの話しを待っていた。

 

柳韻「実はな、母さんと話して決めたんだが、今ある重要人物保護プログラムを解除しようと思ってな」

 

箒「え、じゃあ!」

 

華「ええ。また、家族4人で住めるようになるわよ」

 

箒「良かった…本当に良かった」

 

信二「箒…」

 

箒は嬉しかったのか、涙を流していた。そして、信二には「娘共々よろしく」と再度お願いされた。

 

 

 

 

時刻は9時。信二は柳韻の服をもらい、お風呂に入っていた。その後、離れで布団を敷いてもらい、そこで寝ることにした。

 

もうそろそろ寝ようとした時、箒が寝間着姿で現れた。

 

信二「箒?どうしたの?」

 

箒「信二。その、一緒に寝ても良いだろうか?///」

 

信二「え、ええ!」

 

箒「ダメらないいいんだ…すまんな迷惑をかけた」

 

信二「べ、別に大丈夫だよ///」

 

箒「そ、そうか///」

 

信二「う、うん///」

 

そう言って、箒は部屋に入って来て信二が寝ている布団に入って来た。そして、背中合わせに寝始めたが中々寝付けなかった。そんな中箒の方から話しかけてきた。

 

箒「信二。寝たか?」

 

信二「寝れるわけないでしょ///」

 

箒「ふふふ、私もだ///」

 

信二「そういえば、今日の神楽舞とっても綺麗だったよ」

 

箒「そうか、練習した甲斐があったよ」

 

信二「うん。やっぱり普段の箒も綺麗だね」

 

箒「信二…ありがとう」

 

信二「改めて箒。僕の彼女でいてくれますか?」

 

箒「ああ、私篠ノ之箒は新田信二の彼女だ」

 

そう言って、互いに近づきキスをした。それだけでは満足できず、信二は箒の身体を抱きしめた。

 

信二「箒、本当はキスだけじゃあ満足できない…」

 

箒「ああ、大丈夫だ」

 

信二「それって…いいのかい?」

 

箒「うん、私を貰ってください///」

 

そう言って、お互いに生まれたばかりの格好になり身体を重ね眠れない夜になっていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、互いに肌を重ね合った夜が明け2人は目を覚ました。

 

信二「おはよう。箒」

 

箒「おはよう。信二」

 

信二「身体は大丈夫かい?」

 

箒「ああ、まだ信二が入っている感覚はあるが問題ない」

 

信二「ごめんよ上手くできなくて…何せ初めてだったからね…」

 

箒「そ、それは大丈夫だ。私もその、初めてだから///」

 

信二「……」

 

箒「……」

 

信二「と、とりあえず服を着ようか」

 

箒「そ、そうだな!」

 

 

お互い気まずい雰囲気を出さないために服を着て、母屋に向かって行った。その時華さんから「昨日はお楽しみでしたね?」とニヤニヤされながら言ってきた。

柳韻に関しては、「分かっているよな」と言わんばかりに睨んで来た。

 

 

そして、祭りの片付けをしてIS学園に帰るのであった。その時、柳韻さんに「孫の顔はいつ見れるか?」と冗談を言いながら信二は、篠ノ之神社を後にした。

 

 

静寐『ねぇ信二君?いつドイツに行くの?』

 

箒の神社から帰って来て次の日、静寐から電話があった。

 

信二「来週の月曜日にはドイツに行く予定だよ」

 

静寐『そうなんだ。なら今週末にうちに来ない?』

 

信二「え!大丈夫?」

 

静寐『大丈夫だよ。お母さんが信二君に会いたって言ってたし』

 

信二「本当に?なら、頑張らないとね…」

 

静寐『そ、そんな事ないと思うけどね///』

 

信二「うん?どうしたの?」

 

静寐『な、何でもないよ!』

 

信二「そう?ならいいけど…」

 

静寐『じゃあ、土曜日待ってるね』

 

信二「わかったよ」

 

 

 

そして、土曜日(約束の日)。信二は静寐の家の前に来た。そこは普通の一戸建てがあり、表札には「鷹月」と書かれていた。

 

 

「ピンポーン!」

 

 

???「は~い!」

 

信二「静寐さんのクラスメイトの新田信二と言います」

 

???「ああ、ちょっと待ってくださいね~静寐~彼氏君来たわよ~」

 

静寐「ちょっとお母さん!恥ずかしいから言わないで!」

 

 

そう玄関でのやり取りを聞いていると、静寐が恥ずかしそうに出てきた。

 

静寐「ごめんね。ウチのお母さんあんなに、張り切っていて」

 

信二「ううん。大丈夫だよ」

 

静寐「とりあえず、上がって」

 

信二「お邪魔します」

 

???「いらっしゃい~ゆっくりしていってね~」

 

信二「どうも。新田信二と申します」

 

???「初めまして、静寐の母の雫って言います~」

 

信二「よ、よろしくお願いします」

 

雫「はい~!」

 

静寐「はぁ~こうなるから会わせたくなかったんだよね」

 

雫「だって~静寐ったら全然話してくれないんだもん~」

 

静寐「私だって、こんなにぶりっ子する母親に彼氏を会わせたくなかったの!」

 

雫「んも~静寐の意地悪~」

 

しっかり者の静寐だと思っていたが、家では苦労しているんだなぁと改めて思った信二であった。そして、静寐の案内で私室に入ることになって、そこで驚きの事実を知るのであった。

 

静寐「どうぞ入って」

 

信二「お邪魔します」

 

静寐「散らかってるけど気にしないでね」

 

信二「大丈夫だよ。整っているよ」

 

静寐「良かった。それで、聞きたいことがあるんだけど?」

 

信二「何だい?」

 

静寐「…これってどういう事?」

 

スマホの画面を見せた途端信二はやってしまったという顔になった。そこには、【信二の彼女】と言うグループ名があった。

 

武士娘

聞いてくれ! 21:30既読6

 

青い雫

どうなさいましたの? 21:32既読6

 

金髪ボクっ子    

どうしたの? 21:35既読6

 

武士娘 

信二が隣で寝ているんだ 21:40既読6

 

鷹月

既読6 22:00え、ええ!羨ましい

 

微笑みの貴公子

ぼくの箒の横に寝るなんて信二も

罪作りの男だね           22:10既読6

 

肉体改造

誰も貴方の箒ではありませんよ  22:16既読6

 

 

恋するラビット

うんうん!シンちゃんは皆なのものだよ 22:20既読6

 

武士娘

姉さん!22:25既読6

 

 

鷹月

既読6 22:30束さん。こんばんはです。

 

恋するラビット

おいっすー!みんな元気してた?22:35既読5

 

青い雫

お久しぶりですわ。篠ノ之博士 22:40既読5

 

微笑みの貴公子

まさか、博士とこうして連絡が出来るとはな   22:55既読5

 

金髪のボクっ子

そういえば、既読が一つ減ってない? 23:03既読5

 

肉体改造

そうですね 23:06既読5

 

鷹月

23:15既読5私は見てますよ

 

恋するラビット

ちょっと待っててね 23:17既読5

 

恋するラビットさんが動画を取り消しました

 

青い雫

どうなさいましたの? 23:20既読5

 

金髪のボクっ子

??? 23:23既読5

 

鷹月

23:30既読5気になる~!

 

恋するラビット

いいけど、みんな驚かないでね 23:34既読5

 

恋するラビットさんが上げた動画は箒と信二のXXXであった。

 

 

青い雫

ちょっと何やっていますの!信二様!23:48既読5

 

金髪のボクっ子

信二~! 23:50既読3

 

鷹月

23:55既読5信二君!何しているの!!

 

 

×月×日

恋するラビット

どうやら、シンちゃんが箒ちゃんとキスして

我慢できなくなったっぽいね 00:10既読5

 

 

青い雫

これは、尋問する必要がありますね 00:20既読5

 

金髪のボクっ子

会うのが楽しみになって来たよ(*´艸`*) 00:27既読5

 

鷹月

00:33既読5私、明日会ってみますね

 

恋するラビット

頼むね~ 00:37既読5

 

 

静寐「答えてくれるよね信二君

 

信二「誠に申し訳ございませんでした!」

 

信二はジャンピング土下座を綺麗に決めて必死に静寐に謝った。

 

静寐「別に怒ってないけど…」

 

信二「いゃ静寐が怒るのも無理ないよ。僕は、皆の事を裏切る事をしたんだもん」

 

静寐「……」

 

信二「ごめん、今日はもう帰るね」

 

静寐「ま、待って!」

 

信二「どうして?」

 

静寐「せめて、ご飯だけは食べて行って」

 

信二「わかったよ」

 

そう言って、下に降りると夕食の用意をしていた、雫がいた。

 

雫「あら~信二君もご飯食べる?」

 

信二「はい、いただきます」

 

そう言って、信二はご飯のレパートリーを見て苦笑いした。牡蠣の炊き込みご飯にウナギの蒲焼、あさりの酒蒸し長芋など、精が付く料理ばかりであった。完全に狙いに行っているパターンであり信二は逃げられないと悟った。

 

全て食べて終わった時はもう遅い時間だった。流石に外泊するのは悪いと思い信二は帰ろうとしたが…

 

信二「それじゃあ、僕はそろそろ帰りますね」

 

静寐「え、もう帰っちゃうの?」

 

信二「明後日にはドイツに行かないといけないんだよ」

 

静寐「そっか、なら仕方ないね」

 

信二「ごめんね。それじゃあ…あれ…体が」

 

雫「あら~ここで寝たら風邪ひきますよ~」

 

信二「けど…何だか…眠く…」

 

雫「お部屋をよういしてますからね~さぁどうぞ~」

 

信二「ZZZ…ZZZ」

 

雫「あらら~寝ちゃいましましたね~」

 

静寐「お母さん大丈夫だよね?」

 

雫「ええ、お母さんに任せない。必ず信二君を骨抜きにしてあげるからね」

 

静寐「…よろしくお願いします///」

 

そこから信二の記憶はなかった。ただ、朝起きると全裸の自分と左右に同じ格好の静寐と雫の姿があり、信二は「この親子に食べられたんだ」と悟るのであった。

 




箒と静寐大胆になりましたね。次回は信二がドイツに向かって一波乱ありそうです。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第二十七話 夏休み(セシリア・シャルロット)

とあるPです。

夏休みセシリアとシャルロット編です。

最初に言っておきますけど、今回は長いです…
それと例によって微エロな描写があるので気をつけてください。

それでは本編をどうぞ!


箒と静寐親子に男にされて次の日、信二は羽田空港に居た。第二の故郷であり、両親の墓があるドイツへ向かう為である。既にチケットは入手し、後は搭乗手続きをするだけであった。

 

そんな時、ある女の子が雑誌を片手に信二へ向かっていた。

 

「あの、新田信二さんですよね?」

 

信二「そうだけど…」

 

「アタシファンなんです!握手してください!」

 

信二「あ、ありがとう。でもどうして僕だってわかったのかな?」

 

「この雑誌に書いてあったんです!」

 

 そう言って、女の子が渡してきた雑誌『インフィニット・ストライク』には【特集!2人目の男性操縦者】と書かれていた。そして、何処から入手したのかわからない信二の写真があった。それは、VTシステムと化したラウラに突っ込んで行く一夏と信二の姿がった。

 

信二「確かにこれは僕だね」

 

「ですよね!アタシこの記事や写真を見て信二さんのファンになったんです」

 

信二「ありがとう、こんな容姿でも好きになってくれる人がいて嬉しいよ」

 

「はい!アタシ来年IS学園を受験しますね」

 

信二「ああ、受かる事を祈るよ」

 

そう言って、その子にサインをせがまれた信二は『インフィニット・ストライク』に自身のサインをして、ドイツ行きの搭乗口に向かっていた。のちにこの子が信二のファンクラブ創設者になる事も知らずに…

 

 

ドイツまでは14時間の長いフライトになる為、信二はエコノミー席に座りながら空の旅を楽しんでいた。時折好奇な目で見られるがもう慣れてしまって気にすることはなくなった。

 

 

 

 

 

 

ドイツの首都ベルリンに到着し空港の外に出ると、8月にしては少し肌寒い季節になっていた。すると、黒いジープが空港のエントランスに居た。そこには、軍服を身に纏い休めの態勢でいるラウラと大人びた女の人がいた。

 

信二「出迎えありがとうね。ラウラ」

 

ラウラ「兄上こそ、ドイツまでの長旅ご苦労様でした」

 

信二「そんな事ないよ。それよりも、隣にいる人は誰かな?」

 

ラウラより、大人びており深緑のショートヘアー。ラウラと同じ左目に眼帯をしてる。同じ軍服をしているが、こちらの人が姉のような雰囲気を醸し出していた。

 

???「初めまして、新田信二殿。私はクラリッサ・ハルフォーフ。階級は大尉です」

 

信二「新田信二です。よろしくお願いします」

 

ラウラ「兄上は凄いのだぞ。その話しは、車の中でしよう」

 

そう言って、車の中に乗り込んだ。そして、ラウラは自身がVTシステムで暴走した時に、身を挺して助けたことを話していたが、ちょっと盛り過ぎた部分もあったが、楽しく話しているラウラを見ていたら止めることは出来なかった。

 

クラリッサ「ほぉ~あの隊長を止めるとは、新田殿も相当な実力の持ち主ですね。一度手合わせを願います」

 

信二「そんな事はないですよハルフォーフさん。ただあの時は無我夢中でやっていましたから」

 

クラリッサ「ご謙遜を。それと、私の事はクラリッサと呼んでください」

 

信二「年上の女性を名前で呼べないですよ」

 

ラウラ「しかし、山田教員は名前で呼んでいる事があるんじゃないか?」

 

信二「それを何処で知ったんですか?」

 

クラリッサ「以前隊長から話しがありまして、新田殿が山田教員を名前で呼んでいたと…」

 

信二「ラウラ!…聞いていたの?」

 

クラリッサ「隊長!その山田教員とは?」

 

ラウラ「私のクラスの副担でな、元日本代表候補生だったらしい」

 

クラリッサ「そうなのですか。いいですね一度会って手合わせを願いたいです」

 

どうやら、クラリッサは戦闘狂らしい。そうこう言っている間に信二達を乗せたジープはドイツ軍の入り口に来ていた。信二は世界で2人目の男性操縦者ゆえ狙っている組織が多いため、セキュリティが高いホテルでも襲われる可能性がある。

 

事実、マホは束の所で現在も解析を行っている為、信二は丸裸同然である。護身用として【マウス】の待機状態である、迷彩柄のドックタグを首からかけている。

 

そんな事もある為、ドイツ駐留中はラウラと一緒にドイツ軍の施設で過ごすことになっている。これに反発したのがヨーロッパに居る信二達の彼女、セシリア、シャルロット、ロランの3人である。

その3人を信二は必死に説得し『必ず3人に連絡を入れる』と言う約束で了承した。

 

軍の施設内を移動していると、黒い軍服にラウラ同様に左目に眼帯をしている部隊を発見した。

 

信二「ラウラ、あの子達は?」

 

ラウラ「あれこそが、我が部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ(黒うさぎ隊)』だ」

クラリッサ「全員がヴォーダン・オージェというIS用補佐ナノマシン移植者で、皆隊長と同じく右目に眼帯をしているんですよ」

 

信二「そうなんだ。何だか家族みたいな関係だね」

 

クラリッサ「新田殿…」

 

信二「あ、ごめんなさい。何か暗い雰囲気を作って」

 

クラリッサ「いえ、そう言う貴方も隊長と同じVTシステムを宿しながら、その力を上手くコントロール出来てる」

 

信二「そうですか?」

 

クラリッサ「そうですとも。ですから、ここに居る皆全員が家族だと思っても過言ではありません」

 

信二「ハルフォーフさん…」

 

クラリッサ「ですから、私の事も名前で呼んでも構いません」

 

信二「ありがとうございます、クラリッサさん。なら、僕の事も名前で結構ですよ」

 

クラリッサ「分かりました。信二殿」

 

ラウラ「う、うん!仲良くしているところ悪いが良いだろうか…」

 

信二・クラリッサ『あ!』

 

気が付くとラウラ他シュヴァルツェ・ハーゼのメンバーがこちらを見ていた。どうやら、話しに夢中になって気がつかなかったらしい。

 

「あれ~クラリッサ副隊長が赤くなっている~」

 

「珍しい~」

 

クラリッサ「こ、こら!馬鹿にするな!」

 

ラウラ「いいではないか。クラリッサにも春が来たということだ」

 

クラリッサ「た、隊長まで!」

 

信二「アハハ…」

 

そう言って、信二は苦笑いをしていた。信二はシュヴァルツェ・ハーゼ部隊のメンバーと顔合わせを行い墓参りは明日行うことになり、その日は宿舎で寝泊まりした。

 

信二が寝ようとした時である。1本の電話がかかってきた。相手は

 

信二「セシリア?もしもし?」

 

セシリア『あ、信二様夜分遅くにすみません』

 

信二「構わないよ。それで、どうしたの?」

 

セシリア『あの…ご両親のお墓参りってもうお済でしょうか?』

 

信二「まだだよ。明日行こうかと思ってね」

 

セシリア『そうでしたか…ここからベルリン空港までのは…』

 

信二「あの?セシリアどうかした?」

 

セシリア『は!いえ別に何でもございませんわよ』

 

信二「もしかして、付いて来てくれるのかい?」

 

セシリア『ええ、出来ればですけど…ご迷惑でなければ良いのですが』

 

信二「そんな事ないよ。僕も両親に紹介したいと思っていたからね」

 

セシリア『本当でございますか!わかりました。このセシリア・オルコット。オルコット家の名に恥じぬように振る舞って見せますわ!では、信二様準備がありますのでまた明日にでもお伺いいたしますわね!』

 

そう言ってセシリアは電話を切るのであった。並々ならぬ気合いの入れように信二は苦笑するしかなかった。

 

 

 

次の日。信二は日課のランニングを施設内でしていた。外に出なければ自由に過ごしても良いとラウラから言われていた。そして、軽めのトレーニング(腹筋・背筋・腕立て伏せ×30回3セット)を行い、部屋に戻った。

 

シャワーを浴びて、食堂に向かうとシュヴァルツェ・ハーゼ隊の面々に出会った。どうやら、彼女達も朝食を食べに向かっていたそうだ。

 

食堂では、ブレートヒェンと総称される小型のパン、ソーセージ、サラミ、ハム、チーズなどが並びそして、ゆで卵にコーヒーが備わっていた。

 

信二「懐かしいな…」

 

幼少期をドイツで過ごした信二にとって、そんな言葉が出てくるくらい時の流れは進んでいた。朝食を済ませて信二はセシリアが待つベルリン空港へラウラ&シュヴァルツェ・ハーゼ隊が護衛する車で向かっていた。

 

そして、ベルリン空港に着くとセシリアがダッシュしてこちらに向かっていた。

 

セシリア「信二様~~~!」ダキ

 

信二「おっと!大丈夫かいセシリア?」

 

セシリア「ええ!信二様が、きっと受け止めてくれると信じておりましたから」

 

信二「それはいい事だけどね」

 

???「そうですよお嬢様。信二様の…未来の旦那様の事を信用するのはいい事ですが、オルコット家の当主としてもう少し自覚をお持ちください」

 

セシリア「でも、チェルシー。信二様に会えたことが嬉しくてつい…」

 

そこには、茶髪にはねっ毛がある髪をカチューシャで留めており、フレンチ型のメイド服を着ていた女の子が立っていた。

 

チェルシー「お初お目にかかります。私、オルコット家のメイド長を行っておりますチェルシー・ブランケットと申します。以後お見知りおきお」

 

信二「ご丁寧にありがとうございます。僕は新田信二と言います。セシリアとはクラスメイトで…恋人同士です。ブランケットさん」

 

チェルシー「どうぞ、私の事はチェルシーと呼んでくださいませ。新田様」

 

信二「そんな、初対面の人を名前で呼べませんよ。それに僕の事は名前で呼んでください」

 

チェルシー「ならば、お互いに名前で呼び合いましょうか」

 

信二「そうですね。よろしくお願いしますね、チェルシーさん」

 

チェルシー「さんは必要ないのですが。まぁいいでしょう信二様」

 

セシリア「むぅ~」

 

チェルシー「あらら、どうしてそんなにむくれているのかしらセシリアは?」

 

セシリア「何でもありませんわ!フン!さぁ行きますわよ!」

 

そう言って、セシリアは早く行くように指示していた。信二は「やれやれ」と思いながらも、ラウラが用意した車に乗り込むのであった。

 

 

 

 

ベルリン空港から、郊外に抜けて30分。小高い丘の上にある教会の近くに来た。信二は車から降りてそこからある場所に向かっていた。それにセシリアはただ、黙ってついって行った。

 

そして、ある小さな墓石の前で膝を付いた。そこには、ドイツ語と日本語で「新田美波、晃~永久に眠れ~」と書かれていた。

 

信二「ただいま。父さん、母さん」

 

セシリア「ここが、信二様のお母様とお父様のお墓ですか」

 

信二「うん。他のお墓よりも小さいけど、ここに両親が眠っているんだ」

 

セシリア「そうでございますか」

 

そう言って、信二はお花と日本から持ってきた線香を上げて両手を合わせた。

セシリアはそれを見て同じ様にした。

 

信二・セシリア『……』

 

両親を死に追いやった研究者達はもういない。しかし、信二は虚無感に襲われそうになった。両親の仇を取ったのに満たされない欲求。それを埋めるかの如く祖母芳江がいてくれた。

 

信二は数十分程拝んでいた。そして、それが終わると墓前に向き合いこう告げた。

 

信二「父さん、母さん。あっちの世界でも元気にしている?僕は元気にしているよ。おばあちゃんと一緒だから安心してね。…それと、今日は大事な報告があって来たんだ」

 

そう言って、セシリアを抱き寄せた。

 

信二「僕の大切な人の1人セシリア・オルコットさんだよ。他にも居るけど今日は用事があって来れなかったんだ。だから、セシリアだけでも紹介しておくね」

 

セシリア「初めまして、信二様のお父様、お母様。セシリア・オルコットと申します。信二様はとても聡明な方で私の恋人でもありますわ。…信二様には大切な方々が沢山いらっしゃいます。ですから、安心して見守っていてくださいまし」

 

そう言って、セシリアは手と手を絡めるつなぎ方をして来た。いわゆる恋人つなぎと言うものであった。

 

信二「今僕はとても幸せだよ。だから、そっちに行くのはもう少し先になるけどそれまで見守っていて欲しい」

 

セシリア「わたくしからもお願い致します。どうか、どうかよろしくお願い致しますわ」

 

その瞬間一陣の風が2人の周りに拭き始め、ある声が聞こえた。

“おめでとう信二。幸せにね”

“ああ、おめでとうだ信二!その大切な子達を泣かすなよ!”

 

信二「母さん…父さん?」

 

セシリア「え?」

 

信二「今、母さんと父さんの声が聞こえた気がしたんだ…」

 

セシリア「…そうでしたか。それはいい事ですわね///」

 

信二「ああ、とてもいい事だよ」

 

セシリア「来年は皆さんで来ましょうね」

 

信二「そうだね…絶対皆でここに来ようね」

 

そして、2人はお墓の前を後にした。その夜はセシリアとラウラ、シュヴァルツェ・ハーゼ隊の面々で食事をしてセシリアもドイツ軍宿舎に泊まることになった。

 

次の日。信二は予てより行きたかったドイツのニーダーザクセン州、ハイデクライス郡のムンスターにある戦車博物館に向かっていた。そして、博物館に着くと早速走って行った。その様子を見てラウラ達は苦笑した。

 

信二「ほら!早く行こうよ!」

 

セシリア「待ってくださいまし、そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」

 

ラウラ「全く、兄上は子供だな…」

 

チェルシー「いいじゃあありませんか。あれでこそ男の子って感じがしますよ」

 

クラリッサ「ええ、それに信二殿は我がドイツ戦車が好きと聞きましたからね。ここは、宝の山みたいな感じでしょう」

 

ラウラ「そう言うことか。それにしても、どうして兄上がドイツ戦車好きだとわかったんだ?」

 

クラリッサ「それは、昨日信二殿と飲んでいた時に…ハッ!」

 

ラウラ「…セシリアにバレないようにしとかないとな」

 

チェルシー「ええ、下手したら外交問題に関わることかもしれませんからね」

 

クラリッサ「…了解しました」

 

そんな事を知ってか知らずか、信二とセシリアは手を繋いで館内を隅々まで回っていた。気が付けばお昼前であったためニーダーザクセンで名物料理を食べて宿舎に戻っていた。

 

明日はイギリスに行くため、今夜はドイツ軍の面々とシュヴァルツェ・ハーゼ隊で送別会を開いてくれた。終始クラリッサさんが日本文化について信二に尋ねていたが、間違った日本文化を治すために色々教えた。

 

シュヴァルツェ・ハーゼ隊の人達も同じ眼帯をしている事に親近感がわき色々質問していた。その様子を見ていたセシリアは頬がむくれて可愛いかった。

 

 

次の日。ドイツのベルリン空港には、ラウラとクラリッサがいた。

 

ラウラ「それじゃあ、次に会うのはIS学園だな」

 

信二「そうだね。ラウラも元気でね」

 

ラウラ「わかっている。兄上も」

 

クラリッサ「信二殿、また日本文化について話しましょう!我々シュヴァルツェ・ハーゼ隊は信二殿の味方です」

 

信二「ありがとうございます。クラリッサさんもお元気で」

 

2人に握手して、セシリアとチェルシーが待つ搭乗口に向かうのであった。

 

ラウラ・クラリッサ『新田信二殿に向かって敬礼!』

 

2人は信二が見えなくなるまで敬礼していた。セシリアとチェルシーは搭乗口とは別の方向に向かっていた。そこには、一機のジェット機が待機しており、聞いてみるとこれはオルコット家にあるプライベートジェット機であるといいそれを聞いた信二は開いた口が塞がらなかった。

 

 

 

そして、空港から飛び立ってドーバー海峡を越えてものの数分でイギリスはロンドンのヒースロー空港に到着した。

 

セシリア「さぁ信二様ようこそイギリスへ~!」

 

信二「イギリスもいい所だね。あれがビックベンだっけ?」

 

セシリア「ええ、そうですわ。他にもバッキンガム宮殿やロンドン塔、エディンバラ城など観光スポットがたくさんありますわ」

 

信二「へ~凄いんだね」

 

セシリア「ええ、信二様も住めばきっと気に入りますわ」

 

チェルシー「お嬢様。そろそろお屋敷の方へ行きますわよ」

 

セシリア「そうね、さぁ信二様行きますわよ」

 

信二「そうだね」

 

車を走らせること1時間。ロンドン郊外に出ると大きなお屋敷が見えて来た。どうやら、あれがセシリアの家らしい。

 

しかし、家と言うよりは城を思わせる程の豪邸ぶりであった。

 

セシリア「さぁ着きましたわ。ここが我がオルコット家が所有する家ですわ」

 

信二「家って…これ全部?」

 

セシリア「ええ、小ぶりで申し訳ありませんが」

 

信二は(これで小ぶりなのか…)と思ってしまった。目の前にあるのは東京〇―ム何十個分の広さを誇る庭と立派な門構えに囲まれた城が存在していた。そんな中セシリアと信二は早速中に入っていた。

 

チェルシーがドアを開けると、そこには数十人のメイドさんが一列に揃っていた。

 

 

『お帰りなさいませ。セシリアお嬢様。若様』

 

 

セシリア「ええ、ただいまですわ」

 

信二「あの~若様って?」

 

チェルシー「信二様は将来オルコット家を背負って立つ御方ですのでこれぐらいの事をしませんと」

 

信二は今後の事を考えるだけで頭と胃が痛くなってきた。そして、セシリアはこれ見よがしに腕を組んできて猛アピールして来たから信二は半ば諦めていた。

 

正午。セシリアの提案で両親が眠る墓地に行くことになった。チェルシーに車を出してもらいロンドンの共同墓地に向かった。

 

セシリア「さぁ着きましたわ」

 

信二「ここがセシリアの両親の墓なんだ」

 

セシリア「ええ、代々オルコット家の当主が眠る場所ですわ」

 

そこには、イギリス国旗が立ち並ぶ立派なお墓があった。そして、セシリアと一緒に膝をついて手を合わせた。

 

信二・セシリア『……』

 

お互い祈り終わった後セシリアが腕を組んできた。

 

セシリア「お父様、お母様。以前お話した新田信二様ですわ」

 

信二「初めまして。セシリアのお義父さん、お義母さん新田信二です」

 

セシリア「信二様は私に、殿方の強さ、心の強さを教えてくださった立派な御方ですわ。そして、私の恋人でもあります」

 

信二「だから、セシリアの事は必ず幸せにしてみせます!どうか見守ってください」

 

そう言って、再度頭を下げた。そして、手を繋いで帰ろうとして振り向いた時であった…

 

“ありがとう信二くん。セシリアを心から愛してくれて”

“ええ、ちょっとお転婆な所もあるけど娘をよろしく頼むわね”

 

そこには、青いスーツにブロンドの髪、顔の堀が深く優しい笑みを浮かべている男性と、真っ赤なドレスに身を包み同じくブロンドのロングヘアを優雅に纏めていた女性が立っていた。

 

信二は思わず2度見したが直ぐに消えて無くっなった。

 

セシリア「どうかいたしましたか信二様?」

 

信二「…いゃなんでもないよ」

 

そう言ってセシリアを誤魔化す反面心の中で(必ず幸せにします)と誓うのであった。チェルシーが運転する車でオルコット家の家に戻った信二はセシリアに「両親の写真を見せて欲しい」と頼み込み、生前父親が使っていた書斎に向かうのであった。

 

そして、両親の写真を目にして「間違いない」と呟いた。

 

セシリア「あの信二様?間違いないとは?」

 

信二「セシリア。実はさっき君の墓前で2人の姿が見えたんだよ」

 

セシリア「え!」

 

信二「でも直ぐに消えたけどね」

 

セシリア「そうでしたか… ウゥ…」

 

信二「セシリア?」

 

セシリア「お父様…お母様…」

 

そう言って泣いているセシリアの肩を信二は優しく撫でていた。

 

そして、夕食になり長テーブルに料理が運ばれてきてどれも美味しそうな匂いがしてきた。

 

セシリア「それでは、信二様頂きましょうか」

 

信二「ちょっと待ってセシリア。他の人達は?」

 

セシリア「?メイド達なら後から食べますわよ?」

 

信二「なら、皆で一緒に食べない」

 

セシリア「一緒にですか?」

 

信二「うん。日本だと家族みんな一緒に食べるんだよ。それに、一緒に食べた方が美味しいからね。…ダメかな?」

 

セシリア「そうでしたか。チェルシー」

 

チェルシー「はい、お嬢様」

 

セシリア「屋敷内のメイド達及び使用人を集めなさい。今日から一緒に食べますわよ」

 

チェルシー「承知しました」

 

そう言って、チェルシーは出ていった。

 

信二「いいの?」

 

セシリア「良いも何も信二様が提案した事でしょう。次期オルコット家の当主なのですから。それに、いつまでも古い時代に縛られていてはいけませんわ」

 

信二「セシリア…ありがとう」

 

セシリア「礼にはおよびませんわ。そ・れ・に、こうしないと信二様の隣りに座れませんからね」

 

そう言って、セシリアは信二の真横に移動してきた。チェルシー指揮の元オルコット家のメイドと使用人達が一斉に入って来て戸惑っていたが、信二から皆で食事をすることを説明した。

 

最初は戸惑っていたメイド達であったが、チェルシーとセシリアが説明すると皆納得して座って行った。気が付けば長テーブルはIS学園並みの人数になっており、皆笑顔で座っている。

 

その時1人のメイドが信二の元に来て頭を下げて来た。この子の後ろには何人ものメイド達がいた。

 

「あ、あのご主人様!」

 

信二「僕の事ですか?」

 

「は、はい!今日はありがとうございました」

 

「ご主人様のおかげで、みんな楽しく食事をすることが出来ました」

 

信二「そんな事ないですよ。僕の国では当たり前のことですから」

 

「けど、こんな滅多にない機会を作って下さって感謝しております。ありがとうございます。」

 

 

『ありがとうございます!』

 

 

信二「わ、わかりましたから、頭をあげてください!」

 

セシリア「フフフ、偶には皆で食べるのもいいかもしれませんね」

 

チェルシー「そうですわね」

 

皆で食べた夕食はとても良く、笑顔が絶えない空間になっていた。夕食後はオルコット家自慢のバスルームに案内されて、大理石風の豪華な風呂に信二は、終始驚いていた。

 

そして、天蓋付きのベットで信二は緊張しながらも眠るのであった。

 

 

次の日。朝からセシリアの案内でイギリスの名所をめぐっていた。途中、セシリアはイギリス女王陛下との謁見もあり抜け出したがチェルシーと2人で回っていた。

 

そして、夕食は昨日と同じく皆で食べていた。昨日の緊張もなく、皆楽しく食事をしていた。風呂上がりに信二は天蓋付きの部屋で休んでいた。そこに一本の電話がかかってきた。相手は真耶だった。

 

信二「もしもし」

 

真耶『もしもし、信二君ですか?』

 

信二「そうですよ。山田先生」

 

真耶『……』

 

信二「山田先生?」

 

真耶『…今は二人っきりですよ』

 

信二「あ、はい真耶さん」

 

真耶『はい!信二君!』

 

どうやら、真耶は二人っきりの時は名前で呼んでほしいようだ。そして、話しは弾みお互いの近況報告をしていた時である。信二の部屋のドアが開き誰かがやって来た。

 

真耶『~てな事があったんですよ!』

 

信二「そうだったんですか」

 

真耶『はい!信二君はどんな事がありましたか?』

 

信二「僕ですか?僕はっつ!」

 

真耶『信二君!どうしたんですか!』

 

信二「だ、大丈夫ですよ!…ちょっと大きなペルシャ猫が来たもんですから…驚いただけです!」

 

真耶『本当ですか!大丈夫ですか!』

 

信二「だ、大丈夫…です!それじゃあ、おやすみなさい真耶さん!」

 

そう言って、信二は強引に電話を切った。そこには、信二の太股をつねっているセシリアの姿があった。

 

信二「どうしたんだいセシリア?」

 

セシリア「…随分と楽しそうでしたわね山田先生との電話」

 

信二「仕方いでしょう。向こうも貴重な時間を作ってくれたんだから…」

 

セシリア「…そうですけれども。今は私しかいなんですよ」

 

信二「…わかったよ。何して欲しい?」

 

セシリア「…キスして欲しいですわ///」

 

信二「わかったよ…チュ」

 

セシリア「ん…もっとして欲しいですわ」

 

信二「わかった…」

 

そこからはキスの嵐だった。そして、お互いに息が荒くなり目がとろ~んとして来た。

 

セシリア「もう、我慢できませんわ!」

 

信二「うぉ!」

 

セシリアに押し倒された信二はベットに仰向けになって倒れた。

 

セシリア「信二様…私を離さないでください」

 

信二「ああ、わかったよ」

 

 

そこから2人は熱い夜を過ごしていった。ある時は信二が上になり、またある時はセシリアが上になるなど眠れない位激しく抱き合っていった…

 

 

 

 

 

 

 

そして、一夜明けた時はお互い生まれた姿になっていた。自慢の胸は信二の上でつぶされており、しっかりと抱き合っていた。

 

信二「おはよう、セシリア」

 

セシリア「おはようございますわ。信二様」

 

信二「大丈夫かい?その…」

 

セシリア「ええ、初めてでしたけど信二様がリードしてくださったので気持ち良かったですわ///」

 

信二「昨日は…あ///」

 

セシリア「あら、また大きくなってしまいましたわね」

 

信二「えっと…」

 

セシリア「フフフ…またシタいですか?」

 

信二「…ごめん///」

 

セシリア「いいえ、私で良ければご一緒いたしますわよ///」

 

そう言って、朝一でまた抱き合うのであった。それから2時間後、セシリアと信二は遅すぎる朝食を食べていた。時よりチェルシーから「昨晩はオタノシミでしたね」とか、高齢の使用人からは「これで、オルコット家も安泰ですな」と言われ、メイド達からは、時折熱い視線を向けられていた。

 

そんな事もあったが、信二は次の行き先であるフランスに向かう準備をしていた。セシリアは信二の荷造りを手伝っていた。そして、全てが終わってオルコット家を去り、イギリスはヒースロー空港に到着した。

 

信二「それじゃあ、お世話になりました」

 

 

『いってらっしゃいませ!旦那様!』

 

 

信二「アハハ…」

 

セシリア「信二様!2週間の辛抱ですが、元気でIS学園で会いましょう…チュ♡

 

信二「ん!」

 

『キャーー(≧∇≦)』

 

皆がいる中で大胆にもキスをして来たセシリア。恋人のキスを貰い一路フランスに向かって行った。

 

 

 

シャルルドゴール空港。フランスの首都パリの国際空港である。世界でも6番目の利用旅客数を記録しフランクフルト空港と並ぶヨーロッパの玄関口とも言われている。また、発着回数はヨーロッパ随一を誇る。

 

そんな空港に到着した信二は早速シャルロットが待っている。ロビーに向かって行った。ロビーに着くとシャルロットと話し込んでいる2人組を発見した。

 

信二「シャルロット。元気だった?」

 

シャルロット「しんじ~!」ダキ

 

信二「おっと!危ないじゃないか…」

 

シャルロット「信二を見たら嬉しくなってね。つい…」

 

信二「全くもう…」

 

???「失礼。君が新田信二君かね?」

 

信二「はいそうです。貴方は?」

 

アルベール「申し遅れた。私はアルベール・デュノア。シャルロットの父だ。そして…」

 

???「初めまして、私はロゼンダ・デュノア。シャルロットの義母よ」

 

そう言って来たのは、デュノア社社長にしてシャルロットの実父とアルベールの正妻にしてシャルロットの義母であるロゼンダであった。2人共社長らしい風格が漂っていた。

 

信二「初めまして、新田信二と言います」

 

アルベール「話しは娘から聞いている」

 

ロゼンダ「申し訳なかったわね。私達夫婦の為に…」

 

シャルロット「お父さん、お義母さん…」

 

信二「気にしないでください。僕が好きでやっていた事なので」

 

アルベール「そう言って貰えると助かるよ。君の事は社を上げて全力でサポートしよう」

 

ロゼンダ「私からもお礼を言わせてほしいわ。本当にありがとう」

 

信二「ありがとうございます」

 

アルベール「さて、長話は車の中でしようか」

 

シャルロット「行こう信二!」

 

黒塗りのベンツに乗って一路はデュノア社に向かって行った。そして、車の中で衝撃の事実を知るのであった。

 

アルベール「さて、改めてシャルロットを救ってくれてありがとう」

 

そう言って、アルベールは頭を下げた。

 

信二「あ、頭をあげて下さい!それに僕は娘さんを助けたい想いで行動したまでです」

 

アルベール「いゃ、君が許してくれるまで下げているよ」

 

信二「わかりましたから!僕は気にしていません!ですから上げて下さい」

 

アルベール「わかったよ。それじゃあこれまでの件について話すとしよう」

 

そして運転席と信二達の間にスモークガラスを張って、アルベールは話し始めた。

 

アルベール「シャルロットをIS学園に送ったのは、娘を助けるためだった」

 

信二「助けるため?」

 

ロゼンダ「あの頃のデュノア社は経営難になっていてね。第3世代の開発が急務だったのは知っているわよね?」

 

信二「ええ、それで束さんから第3世代のデータを渡したはずですよね?」

 

アルベール「ああ、あのデータは素晴らしかった。直ぐに第3世代の開発に取り掛かったよ。けれど…」

 

ロゼンダ「それに待ったをかけた人がいたのよ」

 

信二「誰です?」

 

シャルロット「…副社長のマーク・ギルバルトだよ」

 

アルベール「彼とは学生時代からの付き合いだった。昔は2人で言っていた「いつかヨーロッパで一番の会社を建てよう」と夢を見ていた。

しかし、私がデュノア社の社長になってからは会社の経営方針で互いにいがみ合っていた」

 

ロゼンダ「彼の方針はこのデータを基に、さらに上の第4世代の開発しようと言うものだった。けれど、私達は第3世代の開発に着手したばかりだからまだ時期早々と言ったわ。けど彼は聞き入れてくれなかった。更にひどい事を企んでいたわ」

 

信二「……それはどんな事だったんですか?」

 

シャルロット「…ボクを暗殺しようとしていたのさ」

 

信二「な!」

 

アルベール「男性操縦者として注目していたデュノア社のテストパイロットを事故死に見せかけて、シャルロットを女だと発表し、私の地位を失墜させる作戦だったらしい…」

 

ロゼンダ「…だから、私達は不仲を装ってシャルロットをIS学園に入学させたのよ。ごめんなさいね、シャルロット」

 

シャルロット「ううん。大丈夫だよ。お義母さん」

 

信二「…それで、その副社長は今どこに?」

 

アルベール「幸いにも副社長派の者が内部告発して、マークは逮捕された。今は刑務所で刑が執行されているよ」

 

ロゼンダ「…これが全ての真相よ」

 

信二「……」

 

信二はどう言葉をかければいいか迷っていた。一介の学生が行った事により片方は助かったがもう片方は罪を犯し逮捕されたのだ。もし、何もせずにしていたらシャルロットは…と、考えただけで手が震えて来た。

 

その手をそっと握って来たのはロゼンダだった。

 

ロゼンダ「貴方が行った事は間違った事ではないわ。私達家族を救ってくれたのよ。だから、胸を張りなさい」

 

シャルロット「ボクも信二が行った事はいい事だと思うよ。そのおかげで信二とこうして、恋人同士になったんだもん」

 

アルベール「ああ、娘を幸せにしてくれて父親としても嬉しく思うよ」

 

信二「シャルロット…皆さん、ありがとうございます」

 

そう言って、信二は泣いていた。隣にいるシャルロットが宥めている姿をアルベール夫妻は暖かく見守っていた。

 

アルベール「さて、湿っぽい話しはこれぐらいにして学園での話しを聞かせてもらおうかな」

 

信二・シャルロット『え!』

 

ロゼンダ「そうね!この娘ったら全然話してくれなくてね。この際だから馴れ初めとかも聞きたいわね」

 

信二「アハハ…」

 

この切り替えに信二は苦笑いをするしかなかった。そして、信二は横で真っ赤になっているシャルロットを尻目に話し始めるのであった。

 

 

車はデュノア社に着いて、アルベールは現場に早速現場に向かって行った。ロゼンダは信二に「あとで、社長室に来るように」と言ってきた。

 

そして、シャルロットは信二と一緒に会社内を案内していた。

 

案内している途中に社員とすれ違う時に「よ!若社長!」と男子社員からからかわれたり、女性社員には「シャルロットを救ってくれてありがとう」と言われた。

 

整備室に着くとラファール・リバイブを基にしていた第3世代の開発が進んでいた。体型はラファールを模様していたが、左右に2基のスラスターを増設しスピードを上げていた。更に装甲厚も向上させ防御力アップを図っていた。

 

武装はラファールを参考にして多種多様な装備を揃えていた。作業着を着ていたアルベールに出会い、先ほどの男性社員に言われたことを話すと「いいかもしれないな」と冗談交じりに話していた。

 

 

そして、今日寝泊まりをする部屋に案内された時シャルロットから、こんな提案をされた。

 

シャルロット「あのね信二。話しがあるんだ」

 

信二「何だい?」

 

シャルロット「明日、お母さんの墓参りに付き合ってほしいんだ」

 

信二「それは、本当のお母さんの?」

 

シャルロット「うん。ダメかな」

 

信二「いいよ。寧ろお願いしたいくらいだよ」

 

シャルロット「ありがとう信二!///」ダキ

 

信二からOKのサインをもらったシャルロットは嬉しさの余り抱きついて来た。

 

信二「シャルロット!危ないよ…」

 

シャルロット「えへへ///…ねぇ信二」

 

信二「何だい?」

 

シャルロット「大好き!///…チュ」

 

信二「僕も大好きだよ。シャルロット」

 

2人でイチャイチャしてた後に信二は「社長室」と書かれてたドアの前に居た。コンコンとノックをし「どうぞ」と言われて中に入って行った。そこには、ロゼンダが1人でいた。

 

ロゼンダ「ごめんなさいね。呼び出してしまって…」

 

信二「大丈夫ですよ。それで、話しとは何ですか?」

 

ロゼンダ「立ち話も何だからそこに座って頂戴」

 

信二は来客用の椅子に座って、ロゼンダと対面する形になった。

 

ロゼンダ「まずシャルロット事だけど、あの娘は私の本当の子じゃないわ」

 

信二「知っています。明日本当のお母さんの墓参りに付き合って欲しいと言われたので…」

 

ロゼンダ「そうなのね。優しい所は母親譲りね」

 

信二「知っているんですか?」

 

ロゼンダ「ええ。シャルロットの母親であったジャンヌは底なしのお人好しだったもの…」

 

信二「……」

 

ロゼンダ「彼女は、ここの社員でね。私やアルベールとよく話していたわ。彼女の笑顔は、疲れている者や暗い雰囲気を出している人を元気付ける力があったわ。だからなのかもしれないわね、彼女にアルベールが惹かれて行ったのは…」

 

信二「……」

 

ロゼンダ「そして、ジャンヌとアルベールとの間にシャルロットを宿したわ。けれども当時アルベールは社長候補となり、先代の社長からえらく気に入られていたわ。一方ジャンヌはただの社員。これがどんなに大変な事かわかるかしら」

 

信二「ええ、分かりますよ」

 

ロゼンダ「その事が明るみに出れば、アルベールは会社を辞めることになるわ。それを避けたかった彼女はシャルロットの事を隠しながら育てて来た。けれども時間がそれを許してくれなかった」

 

信二「それは、どういう意味ですか?」

 

ロゼンダ「ジャンヌは生まれつき身体が弱くてね。シャルロットが10歳になるまで生きればいい方だと医者は言っていたわ」

 

信二「……」

 

ロゼンダ「私も不妊症で子が宿せない身体だった。だから、ジャンヌに言われたわ。「もし、私が死んだらあの子を守って欲しい」って。私は「きっと良くなるから大丈夫よ!」と励まし続けた。けれど彼女は帰らぬ人になってしまった」

 

信二「……」

ロゼンダ「だから、シャルロットにはきつく当たってしまったのよ。我ながら情けない話しよね…」

 

信二「そんな事ないと思いますよ」

 

ロゼンダ「え?」

 

信二「少なくとも僕はそうは思っていません。子を思わない親なんていませんから。それに…」

 

ロゼンダ「それに?」

 

信二「僕も両親を早くに亡くしたので気持ちは同じくらいわかります」

 

ロゼンダ「そうだったのね…ごめんなさいね」

 

信二「あ、謝らないでください。だから僕はシャルロットを幸せにすると誓います」

 

ロゼンダ「ええ、貴方がシャルロットを守ってくれるなら私も安心するわ」

 

信二「これからもよろしくお願いしますね。ロゼンダさん」

 

ロゼンダ「そこは“お義母さん”と呼んでもいいのよ」

 

信二「…まだ早いですよ」

 

ロゼンダ「あら、まだ(・・)って事は呼ぶつもりがあるのね。楽しみに待っているわ」

 

信二「ちょっと!」

 

そう言って、ロゼンダと話していると外は夕焼けが差し込んで来た。

 

ロゼンダ「そろそろ、夕食にしようかしら」

 

信二「そうですね」

 

夕食を食べにロゼンダと一緒に社長室を出たところにシャルロットが飛び込んで来た。シャルロットは信二にあれこれ聞いて来たが、「大人の秘密よ♪」とロゼンダが入れ込んで来たので更に状況が悪化していった。

 

結局、シャルロットと並んで食べる事を条件に信二は許してもらう事になった。それを見ていたアルベールは「早速尻に敷かれているなぁ~」と冗談交じり言っていた。

 

そして、風呂に入って信二は眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

次の日。シャルロットと信二は一緒にお母さんの墓参りについて行くのであった。なお、アルベールとロゼンダは重要な会議があるので参加は出来なかった。

 

パリから南に行くと1時間半。場所はオルレアン。かの聖ジャンヌ・ダルクが活躍した町である。そこから更に南へ10㎞行けば小さな墓地が並ぶ場所に辿り着いた。シャルロットは白いオルレアの花束を持って1つの墓前まで案内してくれた。

 

シャルロット「お母さんはここに居るんだよ」

 

信二「僕の両親と同じくらいの大きさだね」

 

シャルロット「うちは貧しいながらもお母さんと2人で暮らしていたんだ」

 

信二「そうなんだ」

 

オルレアの花束を墓前に捧げてシャルロットは目を閉じた。それに信二は手を合わせて拝んだ。そして、シャルロットは信二の事を説明し始めた。

 

シャルロット・信二『……』

 

シャルロット「お母さん。この人は新田信二君。ボクの命の恩人で恋人なんだよ」

 

信二「初めまして、新田信二と言います。シャルロットと付き合っています…けど、他の人と付き合っていますが、シャルロット同様にみんなを幸せにすることを誓います。ですから、安心して見守っていてください」

 

シャルロット「…だから安心して見守っていてね。お母さん」

 

信二「よろしくお願いします!」

 

そう言って、信二は頭を下げた。ここで誓わなければ男が廃ると思っていた。そして、シャルロットと恋人つなぎをして去っていった。

 

帰る途中信二は「のどが渇いた」と言いい、近くの湧き水を飲もうとしたらショートカットの金髪にアメジストの瞳。スレンダー体系ながらどこか優しいまなざしで信二を見ている女の人がいた。信二は必死に勉強してきた、フランス語で挨拶してみた。

 

信二『こんにちは』(たどたどしいフランス語)

 

「ふふ、日本語で大丈夫ですよ」

 

信二「そうでしたか。地元の人ですか?」

 

「そうね…もう40年もいるわね」

 

信二「それにしては、随分とお若いですね」

 

「ありがとう。そんな事を言われたのは初めてよ。もしかしてだけどこれが、俗に言うナンパと言うことかしら?」

 

信二「ち、違いますよ!そんな事をしたら、僕は…」

 

「ふふ、冗談よ。やっぱり面白いわね。あなたは」

 

信二「そうですか…」

 

「ええ、流石私の娘が選んだことだけはあるわね…」

 

信二「えっと…勘違いしていたら申し訳ないんですけど貴女はもしかして…」

 

「ええ、シャルロットの母ジャンヌとは私の事よ」

 

信二「しかし、貴女は確か…」

 

そう言って、スカートの一部を上げると、本来ならばあるはずの足首から先が透けていた。

 

「今はこんな風になってしまったけどね。今日来てみたら、シャルロットがアルベールとは別の男の人を連れて来ていたのよ。まさか、彼氏を連れてくるとはね」

 

信二「アハハ…」

 

「ねぇ信二君でいいのかしら?あの子は幸せに暮らしているかしら?」

 

信二「ええ、僕のほかにも仲間や友達がいます。その中で彼女は伸び伸びと育っていますよ」

 

「そう、なら母親として安心するわ。おてんば娘だけどこれらもお願いしますね」

 

信二「はい!必ず彼女を、シャルロットを幸せにして見せます」

 

「期待しているわよ。彼氏さん♪」

 

シャルロット「しんじ~」

 

「ほら、もう行きなさい」

 

信二「けど、彼女は貴女に会いたがっていました」

 

「私はそろそろ限界なのよ…」

 

そう言うと、彼女の身体は量子化するみたいに光の粒が出始めていた。

 

「もし、娘に言えることがあるのであれば、「愛している」って言ってちょうだい…」

 

信二「わかりました」

 

「それじゃあね、信二君…シャルロット」

 

ジャンヌはそう言って、消えて行った。

 

シャルロット「どうしたの信二?泣いているよ?」

 

信二「え?」

 

信二は自分の頬から涙が出ていることに気づいた。そして、信二は先ほどの事をシャルロットに話して、今度はシャルロットが泣く羽目になった。墓地から帰ってきて夕食時に先ほどのやり取りを話したら、アルベールが「そうか…」と言い静かに男泣きをしていた。

 

デュノア社の大浴場で身体を洗い湯船に浸かっていると、ドアが開いて人が入って来た。よく見るとアルベールと社員が一緒になって入って来た。

 

アルベール「やあ、信二君一緒に良いかね?」

 

信二「いいですよ」

 

アルベール「今日は娘の我儘に付き合ってくれてありがとう。父親として礼を言うよ」

 

信二「そんな事ないですよ。彼氏として当然のことをしたまでです」

 

アルベール「それでもだよ」

 

「そうっすよ。ありがとうございます」

 

「シャルロットお嬢ちゃん、今までにないくらい楽しそうに笑っていましたからね」

 

信二「そうでしたか。それなら良かったです」

 

アルベール「ところで信二君。デュノア社の2代目社長になる気はないかい?」

 

信二「そ、そんな恐れ多いこと出来ませんよ!」

 

アルベール「いや、君は色々な人から恵まれている。そのチャンスをここで遺憾なく発揮しても良いんだよ」

 

「そうですよ。何たって彼女が8人もいる人なんて聞いたことないですからね」

 

「羨ましいよなぁ~」

 

信二「アハハ…」

 

アルベール「まぁ、今すぐにでもとは言わない。人生の候補に入れておいてくれ」

信二「…検討しておきますね」

 

その後は社員達からの質問攻めに、合っていた。最も多かったのは『誰が一番の正妻候補何だ』であった。皆の意見はシャルロット一択であったが、信二は「そんなのに優劣を付ける気はない」と言い放った。

 

風呂から上がり自室に戻った信二はベットが膨らんでいる事に驚いていた。恐る恐る剝がして見るとそこにはエプロン姿のシャルロットがいた。俗に言う裸エプロンである

 

信二「ちょ!どうしたのシャルロット!」

 

シャルロット「いや~信二と一緒に寝たいなぁって思ってね」

信二「それなら何か着てよ!」

 

シャルロット「嫌だよ!ちゃんとこっちむいて…恥ずかしいんだもん///」

 

信二「それなら、着なきゃいいのに…」

 

シャルロット「だってこうもしないと、他の人に取られそうなんだもん」

 

信二「シャルロット…」

 

シャルロット「だから…ね///」

 

信二「…いいの?」

 

シャルロット「うん。初めては好きな人に貰って欲しいから…お願い///」

 

そう言って、部屋の電気を消した。そこからは互いを求めあう激しい夜になった。時折見せたテクでお互い何度も絶頂を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。床にはお互いの下着が散乱していた。そんな事を気にせずシャルロットより先に目を覚ましたのは信二だった。寝ているシャルロットは一切服を身に付けておらず、生まれたままの姿になっていた。

 

信二は悪戯をしようとして、シャルロットの胸に手を置こうとしたが、手首を掴まれてしまった。

 

信二「おはよう、シャルロット」

 

シャルロット「おはよう信二。今何をしようとしたのかな?」

 

信二「いや~ちょっとね」

 

シャルロット「何がちょっとなのさ~人のおっ〇い触ろうとして…」

 

信二「その…ごめん」

 

シャルロット「全くもう~その気になれば触らせてあげるのに…

信二「シャルロット何か言った?」

 

シャルロット「べ、別に!それよりも早く朝ご飯食べに行こう」

 

信二「そうだね。シャルロット身体とか大丈夫?」

 

シャルロット「うん、大分痛みは引いてきたけどまだ、信二が入っている感じがするね///」

 

信二「シャルロットその…」

 

シャルロット「謝らないでね。これでようやく、ボクううん、私は信二と一緒に居られるんだね」

 

信二「シャルロット///」

 

シャルロット「信二///」

 

 そう言って、お互いにキスしようとしたその時

 

 

「コンコン」

 

 

信二・シャルロット『!』

 

アルベール「信二君。シャルロットが部屋にいないんだが、どこに行ったか知らないかね?」

 

昨夜シャルロットが部屋に戻って来なかった事を心配したアルベールが信二の部屋に尋ねて来た。この姿を見られるのは非常にまずい。

 

シャルロット(どうしよう信二!)

 

信二(落ち着いて!先ずは僕が出てくるからシャルロットはクローゼットの中に隠れていて)

 

シャルロット(わかったよ)

 

そして、シャルロットが服を着てクローゼットに隠れたのを確認して信二はドアを開けた。

 

信二「すみませんでした。シャワーを浴びていたので」

 

アルベール「朝からすまないね。シャルロットを知らないかね?」

 

信二「シャルロットですか?昨日の夜寝る前に、話していましたがそれ以降は知りませんね」

 

アルベール「そうか…疑って悪かったよ」

 

そう言って、アルベールは出て行った。そして、信二はシャルロットと一緒に部屋を出て食事をしていた。偶々通りかかったアルベールに聞かれたところ、仲の良い友達の所に泊まりに行っていたと答えた。

 

 

3日間のフランス滞在を終えて信二は次の目的であるオランダに向かう為、シャルルドゴール空港にいた。

 

信二「3日間お世話になりました」

 

アルベール「こちらこそ、娘の恩人と恋人に会えて嬉しかったよ」

 

ロゼンダ「今度は、貴方の祖母にも会いたいわね」

 

信二「それは、喜ぶと思いますよ。ぜひお願いします」

 

シャルロット「信二!…元気でね」

 

信二「わかったよ。シャルロットも元気でね///」

 

そう言って、オランダ行きの飛行機に乗り込むのであった。その時、シャルロット夫妻の周りに浮かんでいるジャンヌに目がいき(頑張ってね!彼氏クン♪)と言っている様に聞こえた。飛行機が滑走路から離れたところで

 

信二「Merci la France! A bientot!(ありがとうフランス!また会おう!)

 

そう呟いて、フランスを後にし、ロランが待つオランダに向かうのであった。

 




一番の難産であったセシリアとシャルロット編でした。特に想いであるキャラなのでしっかりと書きたいと思っていました。

次はロランとヴィシュヌですが…正直言って思いつきません。また投稿が空くかもしれませんが気長に待って頂けると幸いです。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第二十八話 夏休み(ロラン・ヴィシュヌ)

とあるPです

今回で夏休み編終わりになります。

次回は、日常編を挟んでお盆休み編になるかな?


それでは本編どうぞ!


シャルロットのいるフランスを後にして、一路オランダに向かう途中にロランから連絡が入った。

 

信二「ん?ロランから電話?もしもしロランどうしたの?」

 

ロラン『やぁ、信二元気にしているかい?』

 

信二「お陰様で元気だよ」

 

ロラン『それは良かった。ところでオランダにはいつ頃着くかな?』

 

信二「そうだね…大体「動くんじゃあねぇ!」うん?」

 

信二がロランに答えようとした時だった。突然飛行機の前後から、銃を持った男達4人組が現れた。

 

「この飛行機は、我々『血のバレンタイン団』が占拠した!逆らう奴はぶっ殺すぞ!」

 

『キャーーー!』

 

「うるせぇ!ギャアギャア騒ぐんじゃあねぇ!」

 

なんと、信二が乗った飛行機にテロリストが乗っており、この機体を占拠したというのだ。今のところ彼らの目的が不明な為、迂闊に動けずにいた。

 

そして、リーダー格の人物が機内放送を使い、犯行声明を出してきた。

 

『我々は血のバレンタイン団。目的はただ一つ、この機体をオデッサに向けることである!それまで皆が何もしなれば、こちらは大人しくしている。但し、一つでも怪しい行動をとればこいつが目を覚ます!』

 

そう言って、服を脱ぐと身体中にC-4爆弾を巻き付けているのを見せた。それを見た乗客達は恐怖を覚えた。そして、男達は電話をしている信二を見つけた。

 

信二「ごめんロラン。また電話する」

 

ロラン『えっ!ちょっと…』

 

「オイお前!」

信二「…何でしょうか?」

 

「今、誰と電話をしていた?」

 

信二「オランダに居る彼女と電話していただけですよ」

 

「けっ!彼女とは羨ましいぜ。それなら、ちょっと来い!」

 

男は信二の腕を取ると、一番前の席に移動させた。そして、1人の見張りを付けてこう言った。

 

「お前らの行動一つで、こいつの命がなくなるからな!覚悟しておけよ!」

 

そう言って、信二に銃が突き付けられた。しかも、最悪な事まで暴露されたのである。

 

「ちょっと待て!こいつ世界に2人しかいないIS男性操縦者じゃあねぇか」

 

「こりゃあラッキーだぜ!日本政府にたんまり身代金を要求できるぜ!」

 

信二「…僕を脅しても駄目ですよ。そんな要求通るわけありませんから」

 

「そんな事ないとおもうぜ~例えば…IS学園とかよ」

 

信二「!」

 

「まぁ、お前の処遇については後だ。オラ!全員携帯電話を出せ!」

 

そう言って、男達は前後から練り歩き乗員乗客から携帯電話を回収して行った。そして、2人の見張りを残してコクピットへ入って行く。その間信二は頭をフル回転させ、この事件を穏便に済ませるために考えていた。

 

そんな時、1人の女性が信二の隣に行きたいと言い出してきた。

 

???「失礼。先ほどの男性操縦者と話したいんだけどいいかしら?」

 

「あ?だれだおめぇ?」

 

「まぁいいじゃあねぇか」

 

そして、女性は信二に近づきこう提案してきた。

 

???「君は、新田信二君であっているかしら?」

 

信二「はい、そうですけど貴女は?」

 

???「私は、貴方を助けに来たわよ。今からひと暴れするけど乗ってくる?」

 

信二「…信用できませんね。僕の名前を知っておきながら、素性を知らいない相手と協力するのは」

 

アトラ「…わかったわ。私の名前はアトラ・モンテヴェルディと言うわ。アトラでいいわよ」

 

そこには、修道女に似た白い制服、胸に黄色のブローチがあり小さな眼鏡をかけ、赤みがかった髪をウェーブ状にしている女性がいた。

 

信二「わかりました。それで作戦は?」

 

アトラ「簡単な事よ。私が合図したら目の前の男を気絶させてほしいの。そして、私がコックピットに向けて助けを呼ぶわ。その隙に残りの2人を倒して欲しいの」

 

信二「そうしたら、後ろにいるもう1人の男はどうするんですか?」

 

アトラ「私の仲間が対処するわ」

 

信二「わかりました。それじゃあお願いします」

 

アトラ「ええ、それじゃあ行くわよ」

 

そう言って、アトラはオランダ語でこう叫んだ

 

アトラ「een(エーン)twee(トゥエー)drie(ドゥリー)GO!!」

 

信二「っく!」

 

「なんだ!ぐあ!」

 

「どうした!ぐはぁ!」

 

それを合図だと思って信二は目の前にいる男を殴り、無力化した。そして、後ろでも同様の声が聞こえた。アトラの言っていた仲間が無力化したらしい。

 

アトラ「ご苦労様です。ステラ、砕蜂」

 

ステラ「…ステラ…頑張った」

 

砕蜂「全く、暗殺がメインな私が、どうして無力化しないといけないんだ…」

 

アトラ「ここで、それはダメよ。それに、まだ敵がいるからね」

 

金髪ショートカットで、ピンクと白のラインが入ったワンピースを着ている大人しそうなお姉さんと、黒髪ショートカットで黒い袴に、白色の上着に背中に「二」と書かれている着物を着ており、いいかにも目がキツめのお姉さんがいた。どうやら、この2人が無力化したらしい。

 

砕蜂「お前が新田信二だな」

 

信二「はい、貴女は?」

 

アトラ「自己紹介は後よ。さて、本丸を落とすわよ」

 

そう言って、4人はコクピットに向かって行った。そして、アトラがノックをして「助けて~」と叫ぶとテロリスト2人が出てきたところを信二と、ステラが手刀で沈黙させた。

 

そして、アトラが機長に事情を説明し無事テロリストは捕まったのである。捕まえたテロリストから危険物を押収すると、乗客達から歓声が起こった。その時改めて2人から自己紹介があった。

 

砕蜂「先ほどはすまなかったな。私は護廷十三隊の二番隊隊長砕蜂(そいふぉん)申す」

 

ステラ「…ステラは…ステラって言うよ…よろしくね」

 

信二「新田信二です。ありがとうございました」

 

アトラ「こちらこそありがとうね。急なお願いにもかかわらず…」

 

信二「いえ、慣れているので大丈夫ですよ」

 

『こちら機長です。只今より、進路をオランダはアムステルダム・スキポール空港へ合わせます。皆さま今しばらくお待ちくださいませ。繰り返します…』

 

アトラ「どうやら、無事に着きそうですね」

 

ステラ「…うん…これで安心する」

 

砕蜂「全くだ、これだから飛行機と言うのは…」

 

アトラ「まぁまぁいいじゃないかしら。偶には空の旅も大事よ♪」

 

砕蜂「確かにそうだが…」

 

信二「アハハ…」

 

 

砕蜂の愚痴を聞きつつ飛行機は、アムステルダム・スキポール空港へと向かうのであった…

 

 

空港で出迎えたのは、銀髪のショートカットにオレンジ色の瞳を持つ信二の恋人、ロランツィーネ・ローランディフィルネィその人であった。

 

しかし、彼女の顔は嬉しさよりも、怒っていると言った方が良かった。

 

信二「ごめんねロラン。急に電話を切っちゃって」

 

ロラン「フン、どうせ私よりも綺麗な花がいたのだろう」

 

信二「そんなこと「そんなことないですよ。ロランツィーネ・ローランディフィルネィ」え?」

 

アトラ「彼は、私と協力してテロリストを撃退したのですから。そう無下にしないでください」

 

ロラン「ア、アトラ・モンテヴェルディさん!」

 

アトラ「ええ、久しぶりねロラン」

 

ロラン「いつオランダに?」

 

アトラ「そうね、欧州連合次世代機選定計画(イグニッション・プラン)の帰りに飛行機が、テロリストにハイジャックされたのは覚えているわよね?」

 

ロラン「はい、その連絡を受けて私とセシリア・オルコット、シャルロット・デュノアに出撃要請がかかりましたが…まさか!」

 

アトラ「ええ、あの飛行機に私と新田信二君が同乗していたんですよ。最も彼のおかげで無事解決しましたけどね」

 

ロラン「そうだったのか…信二疑って悪かった」

 

信二「そ、そんな事ないよ。だから謝らないで」

 

ロラン「そう言ってもらえると嬉しいよ。それに貴女も乗っていたのなら、連絡をくれれば良かったんですよ。オランダ代表(・・・・・・)アトラ・モンテヴェルディさん」

 

信二「ええ!貴女がオランダ代表の!」

 

アトラ「あら、ロラン。バラすのが早いわよ」

 

ロランの言葉に納得のいく信二であった。彼女の統率力やステラ達の連携。テロリスト達のウィークポイントなどを把握したうえであの作戦を立てたのであろう。

 

アトラ「それじゃあ、私達はこれで失礼するわね。2人共オランダを楽しんでね~♪」

 

そう言ってアトラ達3人は空港を後にした。残されたロランと信二はオランダの街を観光するのであった。

 

ロラン「信二、あれが有名なキンデルダイクの風車だ。綺麗だろ」

 

信二「そうだね。やっぱりオランダって言ったら風車とチューリップだよね」

ロラン「そうだな。時に信二。チューリップは色によって花言葉が違ってくると知っていたか?」

 

信二「そうなの?」

 

ロラン「ああ、全般的な花言葉は「思いやり」だが、赤であれば「愛の告白」、白であれば「失われた愛」、黄色であれば「望みの無い恋」、ピンクであれば「誠実な愛」、紫であれば「不滅の愛」と愛や恋にまつわる花言葉がいっぱいあるんだ」

 

信二「そうなんだ。そう考えると花言葉って面白いね」

 

ロラン「ああ、それを踏まえて信二はどのチューリップを私達に送る?」

 

信二「そうだな…僕だったらこれかな?」

 

信二は近くの花屋で数本のピンク色のチューリップを買ってロランに手渡した。

 

ロラン「誠実な愛か…いいセンスだ///」

 

信二「ありがとうね」

 

ロラン「そうだ、今夜舞台をする事になっていてね。良かったら見に来てくれないか」

 

ロランは胸ポケットから、チケットを1枚信二に手渡した。それを見た信二は喜んで受け取った。

 

 

アムステルダム市立劇場。ここで行わる歌劇 カルメンに主役の「カルメン」役としてロランが出演することになっている。信二はタキシードを着て渡されたチケットの席に座ってみようとしたら、どこにも載っていない。

 

係員に聞いてみたら、大急ぎで支配人が出てきた。何とこのチケットは特別席でのチケットだった。そうとも知らず来てしまった信二は笑うしかなかった。

 

そして、席に座った時同じく特別席のチケットを持った人が現れた。

 

信二「貴女はアトラさん」

 

アトラ「あら、信二君じゃないここに居るって事は…」

 

信二「はい、ロランからチケットを貰ったので、ここで見ようかなと思いましてね。

 

アトラ「そう、あのロランがね…」

 

信二「知っているんですか?」

 

アトラ「ええ、あの子は私が師事した優秀な子だもの。それに女の子しか目になかったロランが、君にここを招待したと言う事は、それなりの人と受け取っ手もいいかしら?」

 

信二「ええ、そうですね。彼女とは「付き合っているんでしょ?」え?」

 

アトラ「分かるわよ。空港でのやり取りを見ていればわかるわ」

 

信二「アハハ…」

 

アトラ「お似合いだと思うわよ。しっかり彼女と、他の子達を幸せにしなさいね」

 

信二「はい。え?それはどう意味ですか?」

 

アトラ「あら、幕が上がったわ。お喋りはここまでにしましょう」

 

 

そう言って「シー!」と言ってお喋りをやめて彼女が行うカルメンを観ていた。

 

 『歌劇:カルメン』ジョルジュ・ビゼーによって作曲されたオペラあり、今では世界で最も有名なオペラの一つだが、ビゼーの生前にはヒットせず、彼の死後に人気を高めていった。

 

このオペラには、「ハバネラ」「闘牛士の歌」など所々に名曲が散りばめられている。「序曲」はクラシックファンではなくても、すべての人が耳にしたことがあるであろう音楽だろう。

 

そんなカルメンのあらすじは、真面目な兵士ホセは、自由に生きるジプシー、カルメンに恋をする。そのことでホセの人生は大きく狂い始める。

 

やがて、二人は結ばれますが、気の代わりが早いカルメンはすぐにホセを捨ててしまいます。失恋し嫉妬に狂ったホセが、カルメンを殺してしまったところで幕がおりる。

 

そして、舞台は終盤のカルメン役のロランにホセが短刀で刺し殺してしまい、ホセが「愛するカルメン!」と叫びオペラが終了した。スタンディングオベーションが鳴り響き、信二は余韻に浸っていた。

 

隣りを見てみると既に空席になっており、席の上には書き置きがあり「愛しの彼女達とお幸せに! アトラ・モンテヴェルディ」とメッセージを残していた。

 

出演者控室に行く途中、信二はど派手に着飾った謎の女性集団に囲まれていた。その数90人近くいた。

 

信二「えっと…皆さんは?」

 

「あら、私達はロランさんの愛を受けた者達でしてよ」

 

信二「そうなんですね。僕もロランさんに用事があって楽屋に行こうとしていたんですよ」

 

そう言って、信二が行こうとしたらパッシン!と床に叩き付けられる音がした。よく見ると女の子の1人が鞭を持っていた。

 

「貴方の様な方がロラン様に近づくなんて汚らわしい!恥を知りなさい!」

 

信二「そんな事ないですよ!これでも彼女は僕の恋人だ!」

 

「アハハハハハハハハハ!」

 

「ロラン様と貴方が恋人?冗談も大概にしなさい!そんな醜い姿の貴方にロラン様が惚れる訳がないわ!」

 

「そうよ!そうよ!」

 

「大体、なぜ男がここに居るのかがわからないわ。男なんてISが使えない弱いだけの生き物なのにね~」

 

信二「……」

 

「あら?怖くて声も出ないのかしら!」

 

「オホホ、それじゃあ皆さま、そんな人放っておいてロラン様に挨拶しに行きましょう」

 

「ええ、そうね」

 

そう言って、女たちは機尾を返してロランの控室に向かうのであった。何も言い返せなかった信二は暫く立ち尽くし、その場を去ろうとした。

 

しかし、1人の女の子が遠慮がちに信二に話しかけてきた。サファイヤブルー色の目に赤毛、頬にニキビ跡があり、服装は他の人達よりは落ち着きがあるものであった。

 

「…あの~」

 

信二「…何ですか?」

 

「彼女たちの事気にしないでくださいって言っても難しいと思いますけど…」

 

信二「どうせ、貴女もそう思っているんでしょう」

 

「…そんな事ありません。あの人達、ロラン様が最近貴方の事ばかり話すので嫉妬しているんですよ」

 

信二「それは、貴女も同じ気持ちじゃあないですか?」

 

「私は、こんな格好ですからね。ロラン様に声をかけてもらえるだけでも嬉しいんですよ」

 

信二「…そうなんですか?」

 

「そんなもんですよ。だから、あの人達や女性を嫌いにならないでください」

 

信二「大丈夫ですよ。ありがとうございますね」

 

「そ、そんな事ないです!///それじゃあまたね」

 

信二「あ、ちょっと待ってください。あのお名前だけでも」

 

「アンと言います。それじゃあ…」

 

そう言って、アンはそそくさと行ってしまった。信二は後を追おうとしたが、見失ってしまったので仕方なくロランに連絡をした。『今夜舞台公演を祝ってディナーはどうかな』とそうしたら、『いいだろう。場所はこちらで手配する』と連絡が来た。信二は相変わらずカッコイイことするなぁ〜と思っていた。

 

 

そして、信二はあるサプライズを思いついて何処かに連絡していた。

 

 

連絡を受けて20分後。ロランは予約していたホテルに向かっていた。そこには、既にガチガチに緊張していた信二が待っていた。

 

信二「おかえりロラン」

 

ロラン「すまない。着替えに戸惑ってしまってね」

 

信二「大丈夫だよ。それに、よく似ている」

 

ロランは、淡い黄色の花をあしらったロングドレスに身に纏い、肩から白いファーを掛けていた。レストラン前で腕を組み、ファーを取ってそれボーイに渡すと席までエスコートした。

 

そして、セシリアから学んだテーブルマナーをして楽しい会話をしていた。食事が終わる瞬間、信二からある提案をして来た。

 

信二「ロラン。明日は何か予定でもあるのかい?」

 

ロラン「そうだね。特にこれと言った予定はないよ。もしかしてデートの誘いかい?」

 

信二「うん。そうだね」

 

ロラン「え///」

 

信二「僕は、あの時の告白から君の事をまだ知らないからね。だから、この旅行中に知りたいと思ったんだ。どうかな?」

 

ロラン「…うん。喜んで受け取るよ///」

 

信二「本当かい!良かった」

 

そう言って、2人は食事を楽しんだ。そして、会計(もちろん信二の自腹)が済んで帰ろうとした時である…

 

信二「どうしたんだい?」

 

ロラン「今日は、女の子達の所に泊まると言ってきた。だから、帰りたくない///」」

 

信二「…わかった」

 

その一言で察した、信二はロランの手を引いて部屋へと戻って来た。そこは…

 

ロラン「わぁ~綺麗だ」

 

部屋中を埋め尽くしたチューリップであった。その色は紫とピンクで統一されていた。そして、信二は一輪の赤いチューリップを持ってロランにこう言った…

 

信二「ロラン。いゃロランツィーネ・ローランディフィルネィさん。僕は貴女を愛しています。どうかこれかもよろしくお願いします///」

 

ロラン「信二///私もだよ、信二」チュ!

 

そう言って、一世一代の告白をした2人はベットに倒れこみ互いにキスをした。

 

ロラン「信二///私もIk hou van jou(愛しているよ)///」

 

そこからお互いを求めあう夜になっていた。気が付けばロランのドレスも、信二のタキシード姿も脱がされており一糸纏わぬ姿で抱き合ったり、求めあったりしていた。

 

その様子を見ていたのは、部屋を覆いつくしていた紫とピンクのチューリップしかいなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。互いに抱き合って寝ていた2人は同時に目が覚めて顔を見合わせて笑っていた。

 

ロラン「おはよう信二///」

 

信二「おはようロラン///」

 

ロラン「昨日は、その…とても良かったぞ///」

 

信二「大丈夫だった?何処か痛い所とかない?」

 

ロラン「どこも痛くないと言ったら嘘になるがな…と言うか信二上手くないか?」

 

信二「アハハ…」

 

ロラン「まぁ、私以外の人をあれだけ抱いてきたんだからな」

 

信二「それは…」

 

ロラン「けど、これだけは言わせてもらうぞ。私は一番信二を愛している。それは変わらない。だから…」チュ~

 

信二「ん!ロランこれって…」

 

ロラン「これで、信二は私の物だな♪」

 

なんとロランは信二の首を思いっ切り吸っていた。そこは赤く腫れており、いわゆるキスマークであった。これに対してお返しとばかりに信二はロランの胸に同じくキスマークを付けた。

 

それを見た2人は高笑いをして、シャワーを浴びて朝焼け眩しいオランダの街に出かけたのであった。

 

ロランとの逢瀬を楽しんだ次の日。信二はロランと腕を組んで空港に到着していた。遠くにはロランの彼女達99人が悔しそうに見つめていた。その中にはあのアンの姿もいた。

 

信二はロランと一緒にアンの所に行き、お礼をしていた。

 

信二「アンさん、あの時はありがとうございました」

 

ロラン「私からも礼を言うよ。ありがとう」

 

アン「そ、そんな私の事は気にしないでください///」

 

「ムキー!なんであの子だけ…」

 

信二「これ、僕の連絡先です。悩みがあったら連絡してね」

 

ロラン「やれやれ、彼女の目の前で他の子を口説くとは…信二はどこまでも浮気性何だね」

 

信二「ち、違うよ!僕はただこの子が心配なだけで…」

 

ロラン「フフフ、知っているよ。そんな優しい所に皆惚れているんだよ」

 

信二「もぅ~それに、僕はロランの事が大好きに決まっているじゃないか///」

 

ロラン「し、信二!?」

 

アン「フフ、お二人ともお熱いですね♪」

 

そんなやり取りを最後までしていて、信二は最後の目的地タイへと飛び立ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

アムステルダムからバンコクのスワンナプーム国際空港までは10時間のフライトとなった。その時間を利用して信二は各地の彼女達と連絡をしていた。

 

先ずは、箒と静寐である。向こうは夜中である為短めみしていた。

 

信二「もしもし。箒?」

 

箒『し、信二か!///』

 

信二「うん。良かった、まだ起きていたんだね」

 

箒『ああ、日本はもう10時だがな。皆元気にしているぞ』

 

信二「そっか、なら安心しているよ。風邪とか引いてないよね?」

 

箒『そんなに心配しなくても大丈夫だ。一夏達も元気にしている』

 

信二「知っているよ。箒はそんなに軟な身体じゃあないからね」

 

箒『か、身体!///』

 

信二「あ///」

 

箒『///』

 

信二「そ、それじゃあまた、連絡するね!」

 

箒『う、うむ!道中気を付けてな!』

 

信二はあの夜の事を思い出してしまい、急いで電話を切った。次に掛けたのは静寐であった。

 

信二「もしもし、静寐?」

 

静寐『もしもし!信二君!元気にしていた?』

 

信二「ああ、元気だよ。静寐は?」

 

静寐『私も元気だよ。何かお母さんが変わりたいんだって』

 

信二「え!?」

 

雫『もしもし信二君~元気にしてますか~?』

信二「お、お久しぶりです。雫さん…」

 

雫『そんな雫さんだなんて他人行儀なこと言わないで、お義母さんとか言わないの?』

 

信二「そんな、まだ早いですよ」

 

雫『あら、まだ(・・)って事はいつか呼んでくれるのね~楽しみだわ~』

 

信二「アハハ…」

 

雫『そう言えば最近、酸っぱい物が食べたくなるのよね~。これって、静寐が生まれる前にあったことだけど、どういう事かしら~?』

 

信二「!そ、それってもしかして…」

 

雫『あとで、静寐に聞いてみるわね~それじゃあ~またね~』プッツン

 

信二「え!ちょっと雫さん!「ツー・ツー・ツー」ハハハ…」

 

 

信二は気にするのをやめて、セシリアに連絡してみた。

 

信二「もしもし、セシリア?」

 

セシリア『あら、信二様。ごきげんようですわ』

 

信二「セシリアも元気そうで良かったよ。これから、タイに向かうところなんだ」

 

セシリア『そうでございましたか。失礼、信二様ビデオ電話してくださいますか?』

 

信二「?わかったよ」

 

そう言って、信二は一旦切ってビデオ電話を立ち上げた。そこに写っていたのは、プリプリ顔のセシリアとシャルロットの姿があった。

 

セシリア・シャルロット『信二(様)!』

 

信二「おわ、どうしたんだよ?」

 

シャルロット『どうしたんだよ?じゃないよ!心配してしたんだからね!』

 

信二「えっと…」

 

セシリア『先日、信二様が乗った飛行機がハイジャックを受けたと、オランダ政府から連絡がありまして、急遽私とシャルロットさんに出撃要請が入りましてね』

 

信二「そう言えばそんな事をロランが言っていたっけ…」

 

シャルロット『もう!そんな事なんて言わないでよ。ボク達は、とても心配したんだからね…』

 

信二「シャルロット…セシリア…ごめんよ」

 

セシリア『まぁ、信二様が無事で本当に良かったですわ』

 

シャルロット『帰って来たら、いっぱい甘えるからね』

 

信二「わかったよ…」

 

シャルロット『それまで、元気にいてね』

 

セシリア『あの…信二様///よろしければ…』

 

信二「ああ、セシリアもおいで」

 

セシリア『はい!』

 

信二「じゃあ、またIS学園でね」

 

そう言ったセシリアはとても笑っていた。そして、離陸するアナウンスが流れ始めたので信二はビデオ電話を切った。

 

そして、10時間のフライトが始まった。空の旅は快適だった。時折小さな女の子が迷子になっていて、「お兄ちゃん目ケガしているの?」とか「大丈夫?」とか会話してきたが、信二は嫌な顔せず話していた。

 

女の子と両親を探していると、辺りをキョロキョロしていた夫婦が居たので、それとなく聞いてみたところ女の子の両親だった。泣きながら両親に向かって行く姿を見て、信二は羨ましいと思ってしまった。

 

女の子両親達は「是非ともお礼がしたい」と言ってきたが、「お気持ちだけで大丈夫です」と丁寧に断った。去り際に「バイバイ♪お兄ちゃん」と言ってきた。

 

 

 

 

飛行機は事故もなく、タイのスワンナプーム国際空港に到着した。7月でもタイは日本のようにムシムシするような暑さではなく、カラッとした暑さだった。そして、空港には褐色美人のヴィシュヌが待っていた。

 

信二「ヴィシュヌ!元気だった?」

 

ヴィシュヌ「ええ、信二。それにしても会わないうちに、随分と逞しくなっていますね」

 

信二「そうかな?ヴィシュヌには負けるけどね」

 

ヴィシュヌ「それは一時だけでしょう。それにしても…」

 

信二「な、何かな?」

 

ヴィシュヌ「クンクン…何やら、匂いますね」

 

信二「そ、それは…ほら、飛行機内で、迷子の女の子を助けたからその時に移ったと思うよ」

 

ヴィシュヌ「…そうでしょうか?」

 

信二「そうだよ!さぁタイの街を案内してよ」

 

ヴィシュヌ「ええ、分かりました」

 

 

そう言って、タイの名所を見て回った。ワット・ポーにワット・アルン。タリンチャン水上マーケットでは昼食を一緒に取り時折ヴィシュヌにも笑顔が出ていた。

 

彼女から「家に行きませんか?」と誘われたので、向かうことにした。そこは、古びた格闘場であった。そして、案内されて入って行くと中では格闘技の訓練中であった。

 

ヴィシュヌ「お母さんただいま。信二を連れてきました」

 

???「おかえりヴィシュヌ!」

 

そこには、筋骨隆々でお腹が六つに割れており、鷹の様な目、真っ赤なルージュや紫のアイシャドーで男を魅惑するような容姿をしおり、腰まである長い黒髪をなびかせた褐色美人がいた。

 

どうやら、この人がヴィシュヌの母親で間違いないらしい。

 

???「アタシはガブリエル。ギャラクシー・ガブリエルってんだ。よろしく」

 

信二「僕は「新田信二君だよな」ええ、そうですよ」

 

ガブリエル「話しは娘から聞いているよ。学園に気になる奴がいるって言っていたからね。それがまさか男で彼氏とはね」

 

ヴィシュヌ「別にいいじゃないですか///」

 

信二「アハハ…」

 

ガブリエル「それよりも新田君。君は強いかね?」

 

信二「それは…分かりません」

 

ガブリエル「なんでさぁ?聞くところによると、暴走した軍用ISを止めたそうじゃあないか?」

 

信二「それは、僕一人ではなくみんなで戦ったことですから」

 

ガブリエル「そうかい…」

 

信二「ええ、いつか胸を張って強いと言いたいですけどね」

 

ガブリエル「なら、勝負しようじゃあないか」

 

信二「え?」

 

ガブリエル「アタシから、この3日間で一本でも勝ちを取ったら娘との交際を認めてやる。それが出来なければ、娘とは別れてもらうよ!」

 

ヴィシュヌ・信二『えええ!』

 

ガブリエル「アタシはこれでもムエタイチャンプなんだ。それよりも強い男じゃあないと安心して、娘を任せられないからね。さぁ!どうする?」

 

ヴィシュヌ「信二…」

 

信二「…やります!お願いします!」

 

ガブリエル「ウムよく行った。それじゃあ、明日勝負しようじゃあないか」

 

信二「はい、よろしくお願いします」

 

そう言って、今日からヴィシュヌの家で寝泊まりする事になった。心配そうに信二を見るヴィシュヌをよそに信二は眠るのであった。

 

次の日。早速信二はトレーニングを開始した。いつものトレーニングにシャドーボクシング、柔道などこれまで培ってきた格闘技を再確認していた。

 

そして、だいぶ体がほぐれてきたところで、ガブリエルと対戦することにした。向こうもアップが終わったのかリングの上からこちらを覗いていた。

 

ガブリエル「おはよう。昨日はよく眠れたかい?」

 

信二「ええ、それじゃあよろしくお願いします!」

 

ガブリエル「遠慮はいらないよ。さぁ!かかっておいで!」

 

信二「行きます!」

 

そう言って、2人はリング上で拳をぶつけ合いバトルがスタートした。信二はボクシングの要領で仕掛けて行ったが、流石はムエタイチャンプ。お見通しとばかりに、かわしており逆にカウンターを貰ってしまった。

 

次にガブリエルから仕掛けていき、ラッシュを信二めがけて行ってきたがガードをするだけで手一杯だった。結局初日はガブリエルの圧勝でバトルが終わった。気が付けば信二がマットに倒れて居るところをヴィシュヌが助けていた。

 

ヴィシュヌ「大丈夫ですか信二?」

 

信二「ああ、情けない所を見せてしまったね…」

 

ヴィシュヌ「そんな、初日で母に勝った人間なんていませんから」

 

信二「ありがとう。そう言って、もらえると嬉しいよ」

 

ヴィシュヌ「…本音を言うとこのまま、一緒に駆け落ちしてもいいですけど」

 

信二「それは、ダメだ」

 

ヴィシュヌ「え?」

 

信二「それじゃあ、何かから逃げているような感じがして僕が嫌だ」

 

ヴィシュヌ「信二…」

 

信二「それに、この試合に勝てばもうワンステップ行けそうな気がするんだよね」

 

ヴィシュヌ「そうですか…なら私も一緒に対策を考えます」

 

信二「ありがとう。そうだ!ヨガについて教えてよ!」

 

ヴィシュヌ「ヨガですか?しかし、何故ヨガ何ですか?」

 

信二「ヨガを教われば、体の柔軟性とか向上しそうだし、そうすれば活路が見出せるかもしれないんだ」

 

ヴィシュヌ「そうですか。わかりました。なら、ヨガについてお教えします」

 

そこからは、ヨガについて一日中ヴィシュヌの指導の元、色々な方法を教わった。呼吸法や様々なポーズ、それを戦いに活かす方法などを信二は吸収していった。

 

 

2日目。今日も信二は朝からトレーニングを行った。そして、ガブリエルと2度目対戦をする事になった。

 

ガブリエル「おはよう。昨日は何か掴めたかい?」

 

信二「ええ、よろしくお願いします!」

 

ガブリエルと対峙する事1分。昨日は信二から仕掛けて行ったが今日はそう言った素振りはなかった。逆に信二は受け手に徹していた。ガブリエルは何故動かない事に考えていたが、居ても立っても居られなく仕掛けて行き、関節技を決めに来た。

 

これを好機とみた信二はまず、猫ねじりのポーズを応用した体位で関節技から脱出し、逆に関節技をしていた。そして、蛇のように巻き付き柔道の一本背負いを行った。更に、マット上でコマンド殺法を決めてガブリエルの表情が驚きに変わった。

 

ガブリエルがマットをタップした時点でゴングが鳴り、信二の勝ちが決まった。

 

ガブリエル「…参ったな。完敗だよ。おめでとう」

 

信二「はぁ、はぁ、…ありがとうございます」

 

ガブリエル「約束だ。娘の事任せたよ」

 

信二「はい、ありがとうございます」

 

そう言って、ガブリエルは部屋を出て行った。ヴィシュヌは嬉しさのあまり抱きついて来た。

 

ヴィシュヌ「おめでとうございます!信二!」

 

信二「ありがとう。ヴィシュヌ…」

 

ヴィシュヌ「何だか浮かない顔をしていますが、大丈夫ですか?」

信二「…ああ、大丈夫だよ。ちょっと汗を拭いてくるね」

 

ヴィシュヌ「ええ…」

 

そう言って、信二はガブリエルの後を追った。彼女は自室で椅子に座っていた。

 

ガブリエル「おお、信二じゃあないか。どうしたんだい?」

 

信二「…どうして手を抜いたんだですか?」

 

ガブリエル「どういうことだい?」

 

信二「あのくらいの技であれば、直ぐに抜け出せたはずですよ、なのにどうして!?」

 

ガブリエル「…あの娘の事を考えちまってね。アタシといるよりIS学園や信二と一緒にいる方が幸せだと思ってね。そうしたら、身体が動かなくなったんだよ」

 

信二「ガブリエルさん…」

 

ガブリエル「けど、勝負は勝負。信二は本当に強くなっている。だから、あの娘の事、ヴィシュヌを幸せにしてやりな」

 

信二「…はい!」

 

そして、互いに拳をぶつけ合い幸せにする事を誓ったのであった。

 

ガブリエル「しかし、早く孫の顔が見たいものだね」

 

信二「が、ガブリエルさん!///」

 

ガブリエル「照れんな、照れんなってアハハハハハ!」

 

最後の最後まで豪快な人だった。その後ヴィシュヌも合流しガブリエルは「今日は2人で出かけてくるといい」と言いったきり、朝食の準備するのだった。

 

その後はヴィシュヌと昨日行っていなかったタイの名所を回っていた。夕食時になって自宅に帰って来たが、ガブリエルが居なかった。机には「今日は友達の家に泊まって、明日の信二の出発時間までには戻る」と書いてあった。

 

信二「どうする?」

 

ヴィシュヌ「と、とりあえずご飯にしましょう」

 

信二「うん…」

 

急に二人っきりになったことで緊張し始めたヴィシュヌであるが、信二と料理をしているうちに、徐々に緊張の色がなくなった。そして、お風呂になり信二が先に入っていることになった。

 

信二「ふぅ~やっぱりガブリエルさんって強いや」

 

ヴィシュヌ「…信二いますか?」

 

信二「ヴィシュヌ?どうしたんだい?」

 

ヴィシュヌ「いえ、大したことじゃあないのですが…」

 

信二「ん?」

 

ヴィシュヌ「その…お邪魔します」

 

信二「んな!なんで入って来るの!」

 

そこには、バスタオル1枚だけを纏っているヴィシュヌがいた。普段から鍛えているボディに褐色肌に白いタオルと相反する色なので、信二はとてもドキドキしていた。

 

ヴィシュヌ「?母さんが意中の人と仲良くなるにはこれが一番だと聞いて…迷惑でしたか?」

 

信二「あ~いやそんな事はないけど…」

 

ヴィシュヌ「なら、いいんですね?お邪魔します///」

 

信二「う、うん///」

 

そう言って、ヴィシュヌはおずおずと入って来た。お互い若干照れくさそうにしているのを他所に、ヴィシュヌは身体を洗っている。

 

そして、信二の横に座り湯船に浸かっていた。

 

信二「……」

 

ヴィシュヌ「……」

 

お互い無口になり、どう話しを切り出せばいいか探っていた。そんな沈黙を破ったのは…

 

ヴィシュヌ「信二は…母さんと対戦してどうでしたか?」

 

信二「そうだね…ただ強いだけでじゃあなくて技の完成度、パターン、それに意志の強さを感じたね」

 

ヴィシュヌ「意志の強さ?」

 

信二「上手く表現できるかどうかわからないけど、何かを守っている感じがしたよ。それがヴィシュヌ、君だってことを知ったよ」

 

ヴィシュヌ「そうですか…」

 

信二「だから、明日会ったら先ずはお礼を言った方がいいよ」

 

ヴィシュヌ「そうします」

 

信二「それじゃあ、僕先に上がるね」

 

ヴィシュヌ「…待ってください」

 

信二「…ヴィシュヌ?」

 

ヴィシュヌ「その…今日は一緒に寝てもいいですか?」

 

信二「え?」

 

ヴィシュヌ「いつもは1人で大丈夫なんですが、母さんが居ないので寂しく感じてしまうんです…」

 

信二「そっか…」

 

ヴィシュヌ「ダメでしょうか?」

 

信二「…そんな顔されたら断れ切れないよ」

 

 

 

そう言って信二は先に出て寝床の準備をしていた。その後にヴィシュヌが来て、背中合わせで横になった。

 

信二「…ヴィシュヌ寝た?」

 

ヴィシュヌ「…いいえ、まだですよ」

 

信二「そうだよね…」

 

ヴィシュヌ「…ええ///やっぱり、こうした方がいいですね」

 

信二「なにが…ん!」

 

ヴィシュヌ「チュ…んちゅぱ…はぁ///」

 

信二「ヴィシュヌ…」

 

ヴィシュヌ「私だって、信二の彼女なんですよ///だから、信二が求めたいのであればそれに答えます。それに、私も証が欲しいんです///」

 

信二「ごめんね…ヘタレな僕で///」

 

ヴィシュヌ「そんな信二も好きですよ///」

 

 

 

どうやらそれがスタートだった。信二はマウントを取られながらも、ヴィシュヌが気持ちよくなるであろう場所を重点的に攻め続けた。そのたびにヴィシュヌから「ああ信二~♡」と感情的な声が漏れ始めていた。負けじとヴィシュヌもヨガで培ってきた柔軟性を活かして、信二を気持ちよくしていった。そして、朝日が昇るころには、信二の汗がヴィシュヌにかかるほど激しい夜だったのを物語っていた。

 

 

 

 

 

信二「おはよう、ヴィシュヌ」

 

ヴィシュヌ「おはようございます信二」

 

信二「ヴィシュヌ…そのどうだっだ?」

 

ヴィシュヌ「そうですね…とても気持ちよかったです///」

 

信二「そ、そうか///」

 

ヴィシュヌ「ええ、信二のおかげです。ありがとう///」

 

信二「い、いや~ヴィシュヌもその、す、凄かったよ///あんなのどこで知っていたの?」

 

ヴィシュヌ「ええ、母さんに彼氏が出来たと話したら「いずれする事だ」と言って、その手のDVDを見て勉強しました///」

 

信二「へ、へ~ソウナンダ…(何してんだよあの人は!)」

 

ヴィシュヌ「それよりも、そろそろ帰って来る時間ですよ」

 

そう言って、時計を見てみると既に10時を過ぎていた。信二は14時の飛行機で日本に帰るので、そろそろ出ないとまずい。

 

しかし、この幸せ空間に浸っていたかった信二は心を鬼にしてベットから出た。そして、ガブリエルが帰って来たタイミングで部屋を出た。ガブリエルからは「昨夜はお楽しみでしたね」と言った視線を向けられたが、無視して家を後にした。

 

スワンナプーム国際空港に着いた時は既に12時になっており後は搭乗手続きのみとなっていた。そんな中ヴィシュヌから「恋人つなぎをしたい」と要望があったので、数分間だけであるが繋いでみることにした。

 

ヴィシュヌ「いいですね。腕を組むよりこっちのほうがより繫がりを感じます」

 

信二「僕もそう思うよ。学園に帰ったらいっぱいしようね」

 

ヴィシュヌ「はい///」

 

そして、ヴィシュヌとの別れを惜しみつつ、信二は日本へと帰るのであった。そんな中帰りの飛行機内でとんでもないことが起きていた。

 

『次のニュースです。日本政府は先ほど記者会見を行い“IS男性操縦者に対し、一夫多妻制を適用する法律が衆参両議会で可決された”と発表がありました。これにより、現在のIS男性操縦者織斑一夏さん、新田信二さんにこの制度が適用されます。

この発表を受け、イギリス、フランス、オランダ政府から了承の返答がありました。また、タイ政府、中国政府、ドイツ政府からも近日中に何かしらの返答があるかもしれません』

 

この発表により、世界中を巻き込む大騒動が起こることと思った信二は…考えるのをやめた。

 




最後でとんでもない事が発表されましたね。今後は新たな物語を書き始めたので更新速度が更に遅くなるかもしれません。

それでも待っていただけると幸いです。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第二十九話 夏休み(真耶・ナターシャ)

とあるPです。

2021年もどうかよろしくお願いします。

相変わらずの駄目文ですが、精一杯面白い作品を届けられる様に努力してまいります。

それでは本編どうぞ!


タイからの帰国途中に発表された、一夏と信二の一夫多妻制度。それに一番反応したのは、信二であった。空港に着くとマスコミや新聞記事に質問攻めにあうかもしれない。そうした危惧を察したか、ニュースでは次のような発表があった。

 

『えーなお、両名は現在夏季休暇中であり、また学生である為過度な接触は禁ずると政府及びIS学園から発表がありました。これに違反した場合は、それ相応の処置を行うとの発表も行っております』

 

信二は一安心したが、一夏の事が気掛かりであった。メールで『大変な事になったけど大丈夫?』と聞いてみたが『おう!俺は今の所関係ないけどな!』と何ともお気楽な回答が飛んできた。

 

とりあえず、信二は帰ったら真耶と千冬の両名に相談してみようと思った。

 

 

 

 

 

飛行機は目的地の成田空港に着いた。先ほどの発表であったように、過度な接触はなかったものの、女性からは好奇の目で、男性からは尊敬と嫉妬の目で見られていた。そんな中信二は急ぎIS学園に戻ろうとしていた。

 

しかし…

 

「あ、あの新田信二さんですよね?」

 

信二「はい、そうですけど…」

 

「すご~い。有名人に会っちゃった!ねぇ!写真いいですか?」

 

信二「あの、困ります…」

 

「いいじゃないですか!減るもんじゃあないんですし!」

 

信二「ちょっと!」

 

その女はあろうことか、信二に抱きつき写真を撮ろうとしていた。しかし、それを止めようとした人物がいた。

 

???「は~い。そこまでよ」

 

信二「え?」

 

「誰ですか?」

 

???「そうね、この子の婚約者(フィアンセ)かしらね♡」

 

信二「ファイルスさん!」

 

ナターシャ「ハァーイシンジ!元気にしていた?」

 

「誰この人」

 

信二「僕の友人ですよ」

 

「はぁ~それよりも早く行こう!」

 

信二「そんなこと出来ませんよ。だいいち、僕はあなたの事知りませんし」

 

ナターシャ「それに、シンジに取り入って良からぬ事を考えていないかしら?」

 

「え、えっと…」

 

真耶「信二君!」

 

信二「真耶さん?」

 

そこに現れたのは、信二の恋人でIS学園の教師である山田真耶が現れた。どうやら来るのが遅くなったから迎えに来たようだ。

 

真耶「遅いので迎えに来ました」

 

信二「ありがとうございます」

 

ナターシャ「ハァーイマヤ!元気にしていた?」

 

真耶「…ファイルスさん?来るのは来月からじゃあないんですか?」

 

ナターシャ「あのニュースが見たら居ても立っても居られなくてね。飛んできちゃった」

 

信二「そう言えばファイルスさん。アメリカ空軍はどうしたんですか?」

 

ナターシャ「うん?辞めた」

 

信二・真耶『はーーい!?』

 

この発言に信二と真耶はびっくりした。なんと、ナターシャはアメリカ空軍をやめてきてここに来たのだ。更に次の発言にもびっくりだった。

 

ナターシ「それから、私IS学園で働くことになったからね」

 

真耶・信二『えーーーー!!』

 

ナターシ「だって、働く場が無くなったんだもん。その事をチフユ(ブリュンヒルデ)に相談したら

 

『それだったら、ウチに来い。なに、教師ならアイツ(信二)の側にいれるからな』って言ったから、即OKしちゃった!」

 

この答えに信二は驚きを隠せなかった。そして、声をかけてきた女の子は2人がIS学園の教師である事を知った途端一目散に逃げて行った。

 

ナターシャ「さて、これで邪魔者が居なくなったから、心置きなくイチャイチャ出来るわねシンジ♪」ダキ

 

信二「ちょっと、ファイルスさん!」

 

ナターシャ「んもぅ!私の事はナターシャ、若しくはナタルでもいいのに」

 

信二「それじゃあ…ナターシャさん?」

 

ナターシャ「さんもいらないんだけどね♪まぁおいおい無くしていきましょうね」

 

真耶「ちょっと待って下さい!ファイルスさん!」

ナターシャ「ん?」

 

目の前で彼氏が他の女とイチャイチャするのを黙って見ている真耶ではなかった。真耶にも彼女としての、そして、フィアンセとしての意地がある。

 

真耶「いいですか!信二君は私の彼氏なんですよ」

 

ナターシャ「知っているわよ。だって、私もその1人だし」

 

信二「え!そうなんですか!」

 

ナターシャ「ええ、あの子(シルバリオ・ゴスペル)を身を呈して止めた事。ベルと分かり合えたことが何よりもの証拠よ」

 

信二「えっと…あの時は必死だったので…」

 

ナターシャ「それに、それを抜きにしても私はもう貴方にぞっこん何だもん♡」

 

信二「アハハ…」

 

ナターシャ「てい言うわけで、ほら真耶隣が空いているわよ」

 

真耶「はぁ、今回だけですよ///」

 

そう言って、信二は右にナターシャ、左に真耶と言う美女2人を連れてIS学園に向かうのであった。タクシーのおっちゃんも「えらい別嬪さんやな~」と言って茶化していた。

 

そうこうしているうちに、IS学園に着いた3人は千冬がいる職員室に来た。勿論、ここに来るまで2人に挟まれてながらである。残っている生徒からは「え!新田君ってそんな人だったの?」と誤解されることがあった。

 

 

信二「失礼します。新田信二只今戻りました」

 

千冬「お~帰ったか。すまんな、山田先生がどうしても行きたいと言ってな」

 

真耶「お、織斑先生///」

 

千冬「冗談だ。それよりも自室に帰るといい。山田先生は仕事とナターシャは引継ぎ作業があるんでこちらに」

 

真耶・ナターシャ『わかりました』

 

信二「それじゃあ僕は、部屋に戻りますね」

 

千冬「ああ、旅の疲れをアイツで癒してもらうといい」

 

信二「?」

 

頭に?を浮かべながら信二は、自室に戻るのであった。そして、自室に戻ってくると

 

マホ「おかえり、シンジ」

 

信二「マホ!久しぶり!元気だった?」

 

そこには、IS学園の夏服を着ていたマホが居た。ショートカットのマホに夏服がよく似合っていた。

 

マホ「ああ、お母様の所で色々勉強して来た。これからは一緒に住むことなる」

 

信二「良かった〜」

 

マホ「?どうしてだ?」

 

信二「だって、今までいたのにまた、離れ離れになるのは嫌だからね」

 

マホ「安心してくれ。これからは出来る限り一緒にいるつもりだから」

 

信二「うん。よろしくね」

 

マホ「ああ、よろしくだ」

 

幸いにも、クラスメイトには臨海学校の時に会って居るから大丈夫だと思う。しかし、どうしても紹介しておかないといけない人物がいた。

 

信二「おばあちゃんにはどうやって説明すればいいんだ…」

 

 

そう、祖母の芳江への説明が残っていた。これは、一筋縄ではいかない気がしてきた。芳江にはマホを見せたことない。会った瞬間に腰を抜かしてしまうかもしれない。しかし、マホのマスターとして伝えなければならない。と心に刻むのであった。

 

 

時刻は昼になり久しぶりにIS学園でご飯を済まそうと思った。食堂に行くと意外な人物と出会った。

 

信二「おばちゃん、焼き魚定食ね」

 

「それなら、私は日替わりね」

 

信二「あなたは…」

 

「久しぶりね。新田君」

 

そこには、何かとお世話になっている保健室の看護婦長がいた。今日はナース服ではなく、私服姿になっている。それぞれ料理を受け取った2人は空いてる席を探し向かい合って座る事にした。

 

信二「あの時はありがとうございました。えっと…」

 

「そういえば名前言って無かったよね。では、改めてIS学園看護婦長の花菱 麗(はなびし れい)よ。よろしくね。新田信二君」

 

信二「はい。よろしくお願いします。」

 

麗「うん。それで調子はどう?」

 

信二「特に気だるくなる事もないですよ。と言ってもあの時(VT事件)以降大きな戦いとかないですからね」

 

麗「嘘おっしゃい。福音戦ではかなり無茶な事したって聞いたわよ」

 

信二「えっと…なんで…っは!」

 

麗「そうよ。私はここの看護婦長よ。生徒達の怪我や病気の事なんて知らない事はないわ。最も気にかけてる生徒なら尚更ね」

 

信二「え?」

 

麗「私はね、君のお母さん、美波と知り合いだったのよ」

 

信二「そうだったんですか!」

 

麗「もっとも大学時代のことしか知らなかったけどね…」

 

信二「そうですか…」

 

麗「ええ、だから美波が亡くなった事には衝撃を受けたわ」

 

信二「……」

 

麗「けど、君がこのIS学園に来たことに何かしらの運命を感じてしまったの。だから影ながらサポートしようと思ったのよ」

 

 

その言葉に嘘偽りは見えなかった。思えばこの人は信二の事に関しては我が子同然のように接してくれた。

 

信二「そうでしたか…1つ聞きたんですけど大学時代の母さんはどんな人でしたか?」

 

麗「あの子は今よりも美人で学校のアイドル的存在だったわ」

 

信二「ええ…」

 

麗「本当よ。何人の男たちを落としてきたか。着いたあだ名は『撃墜王美波』らしいわ」

 

確かに撃墜王とか、笑い話になりそうな予感である。

 

「笑わないの!」ポカ!

 

その瞬間信二の頭に軽い衝撃がおこったが本人は「?」マークを浮かべていた。

 

麗「けどね、その撃墜王を落とした人がいるのよ」

 

信二「それが…」

 

麗「ええ、君のお父さんよ」

 

信二「へぇ〜」

 

麗「彼はね、他の人とは違くて真面目で優しくて、気配り上手で下心なんて一切なかったわ。むしろ美波が無茶しそうな時に励ましたり、注意する様な人だったわ」

 

意外な所から両親の馴れ初めを聞いた信二は驚きの連続だった。それから食事をしながら両親たちの昔話に花を咲かせていた。

 

 

 

 

麗とは食堂で別れて自室へ戻っていた。別れ際に「何時でも相談に来て大丈夫だからね」と言っていた。

 

自室に着くとマホの姿がいなく、置き手紙があり「IS学園を散歩してきます。夕刻までには戻ります」とあったので彼女が他の人と接する為に善い傾向に向かっていると思いそのままにするのであった。

 

流石にこれから出掛ける気にもなれずに、信二は暇を持て余す訳にもいかず、夏休みの課題に手を付けるのであった。

 

しかし、このところ激務(意味深)がたたったのか手をつけてすぐに睡魔が襲ってきてしまい、勝てずに寝てしまった。

 

 

~真耶・ナターシャside~

職員室での引き継ぎと雑務を終えた真耶とナターシャはある場所に向かっていた。それは、職員室に戻ってきたIS看護婦長の麗によってである。

 

麗「ただいま戻りました〜」

 

千冬「お疲れ様です。花菱婦長」

 

麗「休憩ありがとうございますね。あ、そう言えば新田君戻って来てましたね。食堂で会ってびっくりしましたよ」

 

千冬「と、言うと?」

 

麗「いゃね、美波の息子だと思った子がここまで、成長したんだなぁと思ってね」

 

千冬「そうでしたか」

 

麗「ええ。そして、なにを思ったのか、両親の馴れ初めを聞きたいと言ってきたんですよね〜」

 

千冬「はぁ…」

 

麗「いゃ〜あの時の新田君可愛いかったわね///」

 

千冬は(またか…)と思っていたが、それを面白くないと思った2人がいた。真耶とナターシャである。自分達が仕事していたのに、他の女とイチャイチャしやがってと思っている。そして、それが爆発した。

 

真耶「織斑先生!仕事が終わったのでちょっと出てきます!」

 

ナターシャ「チフユ!私も終わったから失礼するわね!」

 

千冬「う、うむ…」

 

そう言って、2人はドアを乱暴に開けて出ていった。麗は(私なんかやっちゃたかしら?)と思うのであった。

 

真耶とナターシャは信二の部屋までお互い譲らずに走って行くのであった。

 

真耶「ファイルスさん!廊下は走っては行けませんよ!」

 

ナターシャ「そんなことないわよマヤ。向こうでは、日常茶飯だったわ」

 

真耶「ここは日本ですよ!それに何処に向かっているんですか?」

 

ナターシャ「貴女と同じ目的地よ!」

 

真耶「私はお花摘みに行こうとしたんですけどね。そっちは逆方向ですよ」

 

ナターシャ「そう、なら案内して欲しいわね。私ここに来るの初めてなんだけど!」

 

真耶「その割には、何処に向かっているかわかってるんですよね?」

 

ナターシャ「そうかしら?」

 

『うむむ〜』

 

お互い睨み合ったままだがなんだかバカらしくなってきた。

 

真耶「はぁ〜もうやめましょうか」

 

ナターシャ「ええ、こんな事をしていても意味がないものね」

 

真耶「そうですね。なら、戻りましょうか」

 

ナターシャ「それもそうね」

 

そう言って、職員室に戻ろうとした瞬間であった。2人は一歩踏み出したが、すぐさま回れ右して信二の部屋にダッシュで向かうのであった。

 

~真耶・ナターシャside out~

 

 

真耶とナターシャは信二が寝静まったタイミングで部屋に入って来た。どうも2人が入っても起きることなく。ぐっすり寝ていた。

 

真耶「寝顔も可愛いですね」

 

ナターシャ「ええ、とても私達のフィアンセと思えないくらいね」

 

真耶「ねぇ、ファイルスさん」

 

ナターシャ「ナターシャでいいわよ。今は“先生”ではないのだから」

 

真耶「なら、ナターシャさん。どうして信二君の事好きになったんですか?」

 

ナターシャ「それはね。空港でも話したけど、私達の暴走を止めたのもあるけれども、一番はフィーリングよ」

 

真耶「フィーリングですか?」

 

ナターシャ「ええ、何となくだけど暴走が無かったとしても彼を好きになっていたと思うの…」

 

真耶「……」

 

ナターシャ「勿論、他にも好きな人がいても私は全然OKだったけどね♪」

 

真耶「…そうですか」

 

ナターシャ「マヤ、貴女はどうだったの?」

 

真耶「私ですか?」

 

ナターシャ「ええ。私だけ聞いて貴女はなしって言うのは卑怯だもの」

 

真耶「最初は、弟みたいな存在でした。織斑君と比べて大きな後ろ盾がなく直ぐにでも、常に危険な状態でした」

 

ナターシャ「……」

 

真耶「それに、事あるごとに無茶をするのでそれが心配でとても手のかかる子だと思っていました。だからこそ、この子は守らなければならないと思っていました。それがいつの間にかこんな立派な人になっていて…気が付けば彼のことをずっと追いかけていました」

 

ナターシャ「で、惚れちゃったと?」

 

真耶「はい///」

 

ナターシャ「んふふ~」

 

真耶「…何ですか?」

 

ナターシャ「べつに~!ただマヤも乙女チックな所もあるのねと思っただけよ」

 

真耶「な!何ですか!」

 

信二「う、う~ん」

 

真耶・ナターシャ『信二君(シンジ)!』

 

信二「あれ?僕いつの間に寝てたんだ?」

 

真耶「恐らく、このところ色々旅して来ましたからね。その疲れが来たのでしょう」

 

ナターシャ「なら、無理せずに今日はゆっくり休んだら?」

 

信二「いえ、皆に遅れない様に頑張らないと…」

 

真耶「信二君…」

 

ナターシャ「なら、私達先生が生徒に教えてあげないとね」

 

真耶「そうですね」

 

信二「ナターシャさん、真耶さん…ありがとうございます!」

 

ナターシャ「フフフ、それならお礼をもらわないとね」

 

真耶「ええ、そうですね」

 

信二「僕の出来る範囲でいいのであれば…」

 

真耶・ナターシャ『そうですね~』

 

 

3人で夕食を済ませた後自室に戻る途中、真耶とナターシャは「先に部屋に戻っていてね」と言われて信二は自室でシャワーを浴びていた。そして、上がるタイミングで部屋がノックされドアを開けてみると、そこにパジャマ姿の真耶とナターシャがいた。

 

真耶はその充実している胸を全面に押し出した形になっている。ナターシャはネグリジェ姿に下着の色が見える程度に透けており、とても直視出来るものではなかった。

 

信二「な、な、なナターシャさん!それに真耶さんも!なんて格好をしているんですか!」

 

ナターシャ「あら~男と女が一緒の部屋にいるって事でやる事って言うのは一つしかないじゃない///」

 

真耶「うー…ナターシャさんやらないとだめですか?」

 

ナターシャ「何いっているのよマヤ!シンジを他の人に取られてもいいの?」

 

真耶「それは…嫌ですけど…」

 

信二「と、とりあえず中に入ってください!」

 

今の学園は人がいないが、他の人特に千冬に見られたらたまったもんじゃあない。罰則を考えただけで恐ろしくなる。因みに真耶とナターシャに発破をかけたのは千冬本人である。

 

そうとは知らず信二はパニック状態だった。余りの急転回についていけてない。そんな中でもナターシャはペースを崩さず飄々としていた。

 

ナターシャ「ほーら!美人教師2人がいるのに手を出さないの?据え膳食わぬは男の恥って言うじゃない」

 

信二「そうですけど…」

 

真耶「あ、あの信二君!」

 

信二「は、はい!」

 

真耶「私は、貴方に告白した日から覚悟を決めていました。ですから私を、私を抱いてください!!」

 

信二「真耶さん…」

真耶「正直、年下のしかも生徒にこんな事言うのは間違っていると思いますけど、私の本心です。だから、お願いします///」

 

ナターシャ「私も同じ気持ちよ。別に場の雰囲気や伊達に酔狂したわけじゃあないわよ。ほんとにシンジと一つになりたいと思って言っているのよ///」

 

信二「ナターシャさん…」

 

真耶・ナターシャ『だから、来てください///あなた///』

 

信二「…後悔しないでくださいね」

 

そこからは、2人からの猛追であった。信二は「男だからリードしないと」と思っていたが、どうやら2人は予習をしており、「信二君はそのままでいいから」と言われ、なすがままであった。そして、甘美な声が響く中3人は生まれたままの姿で抱き合って寝ていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。信二は双方から柔らかい物で押されている感覚で目を覚めた。そこには、あと数センチでキスが出来るくらいの近さにある真耶・ナターシャの顔があった。2人とも寝ておりまだ起きる気配がない。信二は起こさないように慎重に動いて着替えをし、朝食の準備をしていた。

 

3人分の朝食を用意したところでナターシャが目を覚めた。

 

ナターシャ「おはよう。シンジ」

 

信二「おはようございます。ナターシャさん」

 

ナターシャ「ウフフ///」

 

信二「どうかしましたか?」

 

ナターシャ「いぇ、好きな人が傍にいることがこんなにも嬉しいことだと思うとね」

 

信二「それは、僕もですよ。みんな僕のことを心から好きになってくれたことに、感謝していますからね」

 

ナターシャ「そ・れ・に♡えい!」ムニュン

 

信二「な、ナターシャさん!」

 

ナターシャ「こんな風に私達の物だと覚えさせておかないとね。ダーリン♡」

 

ナターシャは信二のYシャツを着ており、下着を付けていない。いわゆる彼シャツ状態で抱きついて来た。そんなやり取りをしていると真耶も起きてきた。真耶も着ている服は信二のYシャツを着ていた。

 

自己主張が激しい胸をたゆんたゆんさせて部屋から出てきた。昨夜はあの胸を…と思いだしそうになった所で頭を精一杯振って忘れる様にした。

 

真耶「おはようございまーす…」

 

信二「おはようございます」

 

ナターシャ「おはよう。マヤ」

 

真耶「あー!何抱き着いているんですか!」

 

ナターシャ「マヤも来なさいよ!今なら顔を赤くしているシンジに抱きつき放題よ!」

 

信二「ま、真耶さん!?」

 

真耶「う~!し、信二君!」

 

我慢できなくなってしまった真耶は信二に抱き着いて来た。そこから3人で朝食を取るのにしばらくかかるのであった。2人とも昨晩の事を思い出すと顔を赤くしたり、お腹の辺りをさすり(ここに信二君の物が…)と思い出に浸っていた。

 




今回で、信二君は全員と関係を結びました。次回からは信二の実家帰省編です。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第三十話 実家へ帰ろう(前編)

とあるPです。

久しぶりの信二の話しです。

それとアンケートがあるので、ぜひお願いします!

それでは本編どうぞ!!


第30話 実家へ行こう(前編)

 

夏休みもあと1週間となったある日、祖母である芳江から電話があった。

 

信二「もしもし、ばあちゃん?」

 

芳江『お~信二か?元気してたか?』

 

信二「うん、何とかね」

 

芳江『そうかい。ところで今年の夏は帰ってくるのかね?』

 

信二「う~ん。どうしようかなぁ…」

 

芳江『出来れば帰って来て欲しいんだがね。畑仕事の時期で人手が足りなくてね…』

 

信二「隣の喜朗(よしろう)叔父さんは?」

 

芳江『孫が帰って来て、それどころじゃないって』

 

信二「あーそう言えば3人目が生まれたんだってね…」

 

芳江『あとは、ほとんどないからねぇ…』

 

信二「わかったよ。それに、紹介したい人が沢山いるからなるべく早めに帰るね」

 

芳江『すまんね…』

 

信二「大丈夫だよ。それじゃあまたね」

 

そう言って、信二は電話を切って職員室に向かうのであった。職員室では、千冬と真耶それに、ナターシャが2学期に向けて準備をしていた。

 

信二「失礼します。織斑先生はいらっしゃいますか?」

 

千冬「ああ、ここにいるぞ」

 

信二「織斑先生、外泊許可を取りたいので申請に来ました」

 

千冬「いいぞ。何処に行くんだ?」

 

信二「ええ、実家に帰ろうと思って」

 

千冬「そうか、実家はどこだった?」

 

信二「東北地方なんで、帰省もかねてですね」

 

千冬「そっか。なら、長期になるな…」

 

その時、真耶とナターシャの目が光った。

 

真耶・ナターシャ『織斑先生!』

 

千冬「却下だ」

 

真耶・ナターシャ『ええ!!なんで!?』

 

千冬「お前たちは2学期の準備があるだろ。それとも何か?もう終わっているのか?」

 

真耶・ナターシャ『うう…』

 

信二「アハハ…けど、ばあちゃん。祖母には、みんな(友人)を紹介したいと言ったので出来れば来て欲しいですね」

 

真耶・ナターシャ『みんな(フィアンセ)を紹介したい!?』

 

とてつもない勘違いをしている2人をほっておいて、信二は外泊許可書を作成して、問題なかったので申請が受理された。なお、外泊には護衛を付けるよう言われたので更識家の者が付くようになった。

 

そして、真耶とナターシャにも「無理しないでくださいね」といい職員室を出て行った。真耶とナターシャは信二の実家に行きたいが為に、物凄く仕事を進めて2学期の準備を済ませた。千冬からは「普段からこのくらいやって欲しいくらいだ…」とぼやいていた。自室に戻る途中に偶々学校に来ていた一夏に出会い、帰省する話しをしたら「オレも行っていいか?何なら鈴とラウラにも声をかけておくか?」と言われたので快くOKした。

 

その後、何処から嗅ぎ付けてきたかわからない、箒と静寐が外泊許可を貰って行ったり、セシリア、シャルロット、ロラン、ヴィシュヌ達海外組に「今度帰省する」と喋ってしまった信二に対して彼女達から『是非とも行きたい!』と言われたので、皆連れていくことにした。

 

この事を芳江に話した結果『部屋はたくさんあるから心配ない。何なら好きに使ってもいい』とOKが出たので皆を迎えることにした。

 

諸々の準備がある為2回に分けて行く事になった。前半を国内組(箒、静寐、一夏、鈴)、後半を海外組(セシリア、シャルロット、ロラン、ヴィシュヌ、ラウラ)とした。

 

そして、帰省当日。東京から新幹線で2時間半かけて最寄り駅に着いた信二は、迎えに来ていた親戚の車を探していた。

 

駅のロータリーに一台にワンボックスが止まっており、中から恰幅のいい男の人が現れた。

 

???「帰って来たか信二!」

 

信二「喜朗叔父さん!家の方が大丈夫なの?」

 

喜朗「なに、家内に任せてきたからな。少しばかりなら大丈夫だ」

 

一夏「信二この人は?」

 

信二「この人は喜朗叔父さん。僕の家の隣に住んでいるんだ。勿論隣って言っても50mくらい離れているけれどね」

 

喜朗「信二。こいつらは?」

 

信二「学校の友達だよ。織斑一夏君、篠ノ之箒さん、鷹月静寐さん、凰鈴音さん」

 

『よろしくお願いします!』

 

喜朗「おう、よろしくな!」

 

そう言って、全員と握手をした。皆驚いていたが、喜朗がいい人だと知り安心ていた。そこからは喜朗の運転するワンボックスに揺られながら1時間かけて山奥に入っていた。途中、「動物注意」の看板がある中一行は信二の家の前まで辿り着いた。

 

一夏「そう言えば信二の家って、どんな感じなんだ?」

 

信二「う~ん…そんなに広い家じゃあないよ。寧ろ家の周りなんもなくて、困っているぐらいだしね」

 

箒「でも、店はあるのだろう?」

 

信二「あるっちゃあ~あるけどね…」

 

喜朗「そろそろ着くぞ」

 

静寐「でも、信二君の家私は楽しみにしてるよ」

 

信二「アハハ…ありがとうね」

 

森を抜けると、立派な門構えと田畑が広がる場所に出た。街灯など一切なく、夕方を過ぎれば一面闇夜に包まれる、そんな場所であった。

 

そんな中に赤い屋根の家で蔵があり、もう一軒大きな建物があった。それに4人は驚く声を出した。

 

『うわ~~!』

 

喜朗「じゃあ、また来るぜ」

 

信二「ありがとう。喜朗叔父さん」

 

そう言って、喜朗は帰って行った。残された5人は信二を先頭に家の中に入って行くのであった。

 

一夏「凄いな。信二の家。俺ん家よりも大きいかもしれない」

 

信二「そんな事ないよ」

 

鈴「ねぇ、あの蔵みたいな建物には何が入っているの?」

 

信二「あそこには、米や畑仕事で使う道具があるんだよ」

 

静寐「なら、蔵に書かれている文字みたいなのは?」

 

信二「あれは、「屋号」って言って、ここいら一帯に同じ苗字の人達がいっぱいいるんだ。それを区別する為に苗字とは別の呼び方があってね。その名残なんだよ」

 

鈴「じゃあ、あの建物は?」

 

信二「ああ、離れのこと?」

 

『離れ?』

 

信二「あの建物は、家に入りきらない物や僕が帰って来た時に、よく使う建物だよ。夏は涼しいけど冬は寒いんだよね…」

 

箒「ほ~お。まだまだ、知らない事ばかりだらけだな」

 

そして、一般家庭には似つかわしくない、木彫りの熊が置いてあり皆を迎えていた。玄関を抜けると囲炉裏がある部屋に通された。

 

信二「ただいま、ばあちゃん」

 

芳江「おかえり、信二」

 

『お邪魔します!』

 

芳江「この子達が電話で言っていた子かい?」

 

信二「うん。そうだよ」

 

芳江「そうかい。初めまして、信二の叔母の新田芳江と言います」

 

一夏「織斑一夏です」

 

箒「篠ノ之箒です」

 

静寐「鷹月 静寐です」

 

鈴「凰 鈴音です」

 

信二「あと、5人ほど来るけど大丈夫だよね?」

 

芳江「ああ、離れを用意してあるからね。とりあえず一夏君以外がそこを使うといいよ」

 

一夏「え?なんで?」

 

鈴「アンタ馬鹿か?女の子の所にアンタ1人だとおかしいでしょ!」

 

一夏「ああ、そうか」

 

信二「アハハ…」

 

そう言って、一夏は信二の隣の部屋に案内された。女性陣は離れに案内され、早速寝床の確保をしていた。信二は自室に入ると懐かしさを覚えていた。ISを起動して4ヶ月になるが、あの時のままであった。感傷に浸るのも束の間、台所に行くと芳江が夕食の準備をしていた。

 

信二は無言で芳江の隣に立った。そして、夕食の準備をした。それを見た箒と一夏も手伝おうとしたら信二から「客人なんだからゆっくりしていていいよ」と言われたので、お言葉に甘えるのであった。

 

夕食は、カレイの煮付け、かぼちゃの煮物、焼売と信二の好物ばかりであった。それを食べた鈴は思わず泣きだし芳江に向かって「おばあちゃん!」と抱きついてくるほどの美味しさであった。箒と静寐に至っては、信二の好物だと教わり、必死にレシピを教わっていた。

 

お風呂が沸き、一夏→箒→鈴→静寐→信二の順で入って行く。途中信二は夕食の残りを持って外に出て行った。そこには、黒いベンツが止まっており、運転席の窓を開けると2人の中年男性がいた。この2人こそ、更識家が用意したSPである。

 

「どうかしましたか?」

 

「何かトラブルでも?」

 

信二「いえ、暑い中ご苦労様です。これ、夕食の残りですが良かったらどうぞ。おばあちゃんの料理は絶品なんですよ」

 

「…これは、どうもありがとうございます」

 

信二「護衛とか大変そうですがよろしくお願いしますね」

 

あとで聞いた話しだが、この差し入れによりこの2人は「命に代えてもこの少年を守ろう」と心に決めた。

 

そして、信二が風呂から上がって外に出てい涼んでいた。夜中なのに満天の星空でとても空気が澄んでいた。そこに浴衣姿の箒が現れた。

 

箒「信二ちょっといいか…」

 

信二「箒?どうしたの?」

 

箒「なに、信二が外に出ていく所を見たのでな」

 

信二「そうなんだ」

 

箒「ああ。それにしてもいい天気だな。私は色々と転校して来たがここまで、静かな場所は初めてだ」

 

信二「うん。ここに来れば嫌なことがあっても忘れることが出来た」

 

箒「信二?」

 

信二「…僕ね、中学の時までいじめにあっていたんだ」

 

箒「!」

 

信二「こんな容姿だし、両親もいなかった。だからかな。おばちゃんには良く助けてもらったよ。それに、この満天の星空を見れば安心する自分がいるんだ」

 

箒「信二…」

信二「けど、それをネタに両親を妬んだり、悔しいと思った事はないよ。そもそも、それを他人に押し付けるのはお門違いだもんね」

 

箒「そうだが。なぜ…なぜ、言わなかった!」

 

信二「箒?」

 

箒「信二、私は信二の何だ?」

 

信二「箒はクラスメイトで僕の大切な人だよ」

 

箒「なら、その大切な人になぜ、相談してくれなかった!なぜ、甘えてくれなかった!」

 

信二「…それは」

 

箒「私は、あの日信二に抱かれた日から全てを受け入れる覚悟をしていた。過去も、現在も、未来も…だから、これは何時でも頼ってくれ。甘えてもいいのだぞ///さぁ!」

 

そう言って、箒は両腕を開くと信二を受け入れる体制だった。信二はためらったが、箒に甘えてもいいと言われたので、素直に抱き着いた。

 

信二「ありがとう箒///」

 

箒「フフフ、どういたしましてだ///」

 

たっぷり10秒ほど抱き合った2人は顔を赤くしながらも離れるのであった。そして、手を繋いで縁側に座った。そこで、信二はある決意を言うのであった。

 

信二「決めた!」

 

箒「何をだ?」

 

信二「僕、夏休みが明けたら皆の事を報告するよ」

 

箒「それは、付き合っている事か?」

 

信二「それもあるけど、一番は…みんなと結婚することだよ」

 

箒「え!!」

 

信二「正直言うか迷っていたんだ。僕はまだ学生だし、経済的に余裕が無い事はわかっている。けど、みんなと一緒にいたい。離れたくないと思ったんだ。だから!」

 

箒「信二…」

 

そう言って、信二は箒と向き合って箒の両肩に手を置いてこう宣言した。

 

信二「篠ノ之箒さん。貴女が好きです。他の人も好きって言うと怒るかもしれないけど、僕は皆を幸せにしたい。だから、僕と…け、結婚してください!///」

 

箒「信二……はい///。不束者ですが、よろしくお願いします///」

 

信二「箒…ありがとう///」ダキ

 

箒「おっと!フフフ///」

 

信二は嬉しさのあまり箒に抱き着いてしまったので、箒は優しくあやす様に背中をさすっていた。落ち着いたところで、信二は箒と再度向き合いそして…

 

信二「箒…」

 

箒「信二…ん///」

 

満天の星空の下2人は唇を重ねるのであった。

 

 

 

 

次の日。箒と静寐は朝食を手伝うために芳江と共に台所に立っていた。そこに信二、一夏、鈴の3人が現れた。3人は近くの山奥でトレーニングを行って居た。

 

信二「おはよう。箒、静寐」

 

箒・静寐『おはよう信二(君)』

 

一夏「珍しいな、箒が料理しているなんて」

 

箒「そうか?」

 

鈴「それに、静寐。アンタも料理出来たのね」

 

静寐「えへへ、お母さんが『信二君をものにするなら、まず胃袋を掴むんですよ~』って言ってたから、頑張って覚えたんだよ」

 

鈴「へぇ~」

 

一夏「うん?どうした鈴?」

 

鈴「な、なんでもないわよ!///」

 

そんなやり取りをしていると、料理が出来上がって来たので、信二は慣れた手つきで配膳をする。そして、みんなで一緒に朝食を取るのであった。その時に今日の予定を決めるのであった。

 

信二「みんな今日はどうする?」

 

鈴「アタシはもう一度トレーニングして来るわ!どうしても、あの道を攻略したいから」

 

一夏「それなら、俺も付き合うぜ。鈴」

 

鈴「つ、付き合うって!」

 

一夏「?トレーニングだろ?」

 

鈴「そうだったわね…」

 

静寐「私は、宿題を片付けようかなぁ~あと少しで終わるから」

 

箒「なら、私も付き合おう。丁度分からない部分があってな…」

 

信二「そうなんだ。ばあちゃんはどうする?」

 

芳江「そうだね~畑の草刈りはあらかた終わったから、今日はのんびりしているよ」

 

信二「わかった。なら、僕は街に行って食材の調達とかして来るよ」

 

箒・静寐『じゃあ私達も!』

 

信二「ダメだよ。2人は宿題が残っているんでしょ?」

 

箒・静寐『うう…』

 

 

信二に言われて黙ってしまう2人であった。事実2人は宿題が終わっていない状態で来たので、やらなければならない。また、土地勘に慣れている信二はタイムセールを行うデパートを知っているので、効率を考えると1人の方が行動しやすい。無論護衛の人を付けることになる。

 

そして、信二は護衛の2人と共に街に出向き明後日から合流する人達の分の食料品を調達するのであった。それぞれの彼女達から好き嫌いを聞いていたので、それに合った食材選びをしていた。

 

しかし、買い込んで家に戻る時に事件が起きた。

 

信二「よし。これくらいかな」

 

「ん?あれって新田じゃね?」

 

「ホントだ!あの新田じゃん!」

 

信二「ん?…あ!」

 

そこには、中学校時代に信二に対して偽の告白をさせようとしたマドンナの子だった。その周りにクラスメイト達がいたので信二は避ける様に出て行こうとした。

 

「ねぇ、何処に行くの~」

 

信二「離してくれよ。これから帰るんだからか」

 

「まぁそんなかたい事言わないでよ~。アタシ達友達でしょ~」

 

信二「…君たちと友達になった覚えはないよ」

 

「つれないね~私に告白しそうになったのに~」

 

信二「あれは、君のいたずらなんだろ…」

 

「ええ、そうよ。アンタの絶望する顔を見たかったのよ」

 

「○○えげつない趣味してるよね~」

 

「アハハ!」

 

信二は薄々感じていたが、そんな風に思われていたと思うと頭に来ていた。そんな信二を絶望に追い込む一言が彼女達から発せられた。

 

「てかアンタ、まだ生きてたんだ」

 

信二「!」

 

「そうだよね~。最近新田の事全然聞かないからてっきり死んでいると思ったよ」

 

「死んでくれてたらウケるんだけどね。アハハ!」

 

信二「……」

 

その一言に信二は言い返せなかった。確かに、信二がISを起動出来る事は国の機密情報になる為、公に公開されていない。

 

そのことを抜きにしてもこれは言い過ぎだと思いマイク越しに聞いていた護衛の2人が出ようとした瞬間

 

『それ以上、信二(様)の悪口はよしてもらおうか!』

 

「あ?」

 

「誰アンタたち?」

 

信二「みんな!?」

 

そこに現れたのは信二の彼女である、セシリア、シャルロット、ロラン、ヴィシュヌと信二を兄と慕うラウラであった。

 

セシリア「大丈夫でしたか。信二様」

 

信二「ああ、大丈夫だよ」

 

シャルロット「ホントに?」

 

信二「うん」

 

「…誰よあんた達」

 

ロラン「私達は信二の彼女だ」

 

ヴィシュヌ「正確にはお嫁さん候補と言った方がいいでしょうかね」

 

ラウラ「私は信二の妹だ!」

 

「はぁ?馬鹿言ってんじゃないわよ。こいつのどこを好きになる奴がいるのよ」

 

その一言で信二の彼女達とラウラがキレた。そこからは嵐のように信二の良い所やカッコイイ所などの惚気話しを約2時間、懇切丁寧に説明と言う名の説教をしていた。

 

それを聞いたクラスメイト達は「ウン、シンジクンハカッコイイ…」と廃人化していた。

 

信二「何だか恥ずかしいな///」

 

セシリア「まだまだ話足りないくらいですわ」

 

シャルロット「まぁまぁ、向こうも納得してくれたからいいじゃない」

 

ロラン「そうだぞ信二。君は私達にとってそれくらい、魅力的な人なんだ」

 

ヴィシュヌ「ええ、だから彼氏を馬鹿にされて熱くならない彼女はいませんよ」

 

ラウラ「私は兄上の事を知らない輩に、とやかく言われるのが嫌だったからな」

 

信二「ラウラ…みんなありがとう」

 

いつの間にか女の子達は居なくなって、マドンナ的な子だけしかいなかった。

 

信二「〇〇さん…」

 

「な、何よ…」

 

信二「あの時は行けなくてごめんね」

 

「え…」

 

信二「僕、君からの告白を受けたらその後が怖くなって行けなかったんだ。だからごめん」

 

「ち、違う…」

 

信二「え?」

 

「私は…アンタを、新田を騙そうとしたんだよ…それなのに…謝るなんて…」

 

信二「……」

 

「それに…あんなひどい事まで言ったのに…それを許すなんて…バカだよ…」

 

信二「確かに、僕はバカだよ。だけど、小さい事なんて気にしないんだ。だから、僕は君を許すよ」

 

「新田…うぅぅ…」

 

彼女はその場で泣き崩れてしまった。流石にまずいと思った信二よりも、先に動いた人がいた。

 

ロラン「泣かないでくれ、子猫ちゃん」

 

「…貴女は?」

 

ロラン「私はロランツィーネ・ローランディフィルネィ。ロランと呼んでくれ子猫ちゃん」

 

「///」

 

この瞬間みな心の中で(あ、堕ちたな)と思っていた。

 

ロラン「君には涙は似合わないよ。さぁこれで拭くんだ」

 

「あ、ありがとうございます///」

 

ロラン「それと、今後は信二共々よろしくね」

 

「はい!ロラン様!」

 

信二「ええ~」

 

その答えに少しだけ、げんなりする信二であった。その後「べ、別にアンタの為に仲良くしようとしてないからね!///」と言うセリフを言いながら、女の子は帰っていた。

 

信二はなぜここにセシリア達がいることについて聞いてみた。

 

信二「そう言えばセシリア達はどうしてここにいるの?着くのは明日だよね?」

 

セシリア「それは、本国の仕事がひと段落着いたのでその足で来たのです」

 

ロラン「海外組で連絡を取り合ってね。皆同じ便で来たのさ」

 

シャルロット「けど、来たのはいいけど信二の実家がわからなくてね」

 

ヴィシュヌ「だから、ある人(・・・)の力を借りて来ることにしたのです」

 

信二「ある人って…まさか!」

 

???『そう、そのまさかよ(です)』

 

信二はその声を覚えている。なぜなら、一昨日会ったばかりだからだ。そして…

 

信二「はぁ~いるなら言ってくだいよ。山田先生(・・)ファイルス先生(・・・・)

 

真耶・ナターシャ『……』

 

信二「あれ?」

 

そこには、信二のクラスの副担任でもある山田真耶と新任のナターシャ・ファイルスだった。しかし、2人は見るからに不機嫌な顔をしていた。

 

真耶・ナターシャ『……』

 

信二「山田先生?ファイルス先生?」

 

真耶・ナターシャ『フン!!』

 

セシリア・シャルロット・ロラン・ヴィシュヌ『はぁ…』

 

明らかに不機嫌そうな2人は信二を置いて駐車場に戻っていた。そこには、5人乗りのバンが止まっておりセシリア達が乗り込むと猛スピードで走り去ってしまった。

 

仕方なく信二は護衛の2人と一緒に帰ることにした。その間、2人からは「早く彼女達と仲直りしたほうがいいですよ」と言われたので、信二はさっきの行いを悔やんでいた。

 

 

 

 

その夜。芳江は一挙に人数が増えたことに驚いていたが、喜朗叔父さんのお嫁さんや娘さん達が夕食を作りに来てくれたのでちょっとしたパーティーになった。

 

信二は風呂に入る前に真耶とナターシャに「お風呂から出たら話しがあります」とメールをし、風呂から出るのであった。

 

 




次回真耶とナターシャに新たなる進展が!

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第三十一話 実家へ行こう(後編)

とあるPです。

今回で夏休み編は終了です。

それと実施しているアンケートですが、来週末までとします!

どしどし回答してくださいね。

それでは、本編どうぞ!!



 

信二は風呂から上がると、早速真耶とナターシャを縁側に呼び出した。2人はパジャマ姿で信二が来るのを待っていた。

 

信二「こんばんは、真耶さん。ナターシャさん」

 

真耶「こんばんは信二君」

 

ナターシャ「それで、私達を呼んだ訳を聞かせてもらおうかしら」

 

真耶は穏やかであるが、ナターシャはそうでもなかった。それもそのはず、昼間の1件を根に持っているのである。お互い恋人関係になっているのにもかかわらず、苗字で呼ぶなどよそよそしく思ったのであろう。

 

とりあえず、信二は余り刺激しないように話し始めるのであった。

 

信二「その、昼間の件はごめんなさい!」

 

真っ先に信二は頭を下げた。その行動自体に2人は驚いた。信二には非がなく寧ろあの場で冷たい態度を取ってしまった2人が悪いと思っていた。だが、実際には信二が頭を下げた。

 

真耶とナターシャはお互いに顔を見合わせると(仕方ないわね)と思いがちに信二に詰め寄った。

 

真耶「大丈夫ですよ、信二君。寧ろ私達こそ冷たい態度を取ってしまって申し訳なかったです」

 

ナターシャ「そうよ。確かに大人げなかったわ。ごめんなさいねシンジ」

 

信二「真耶さん…ナターシャさん…」

 

真耶「さて、湿っぽい話しはこれで終わりにしましょう」

 

ナターシャ「ええ、そうね。明日も早いことだし早めに寝ましょうね」

 

2人が寝室に帰りそうになった時に、信二はもう一つの用事を思ったように言いだした。寧ろこっちが本命である。そう思った時に2人の手を取ってある決意を告白したのだった。

 

信二「ちょ、ちょと待ってください!」

 

真耶「どうしたんですか?」

 

ナターシャ「うん?どうしたのシンジ?」

 

信二「お二人に話しておきたい事があるんです」

 

真耶「はい」

 

ナターシャ「OKよ」

 

信二「僕は、これからもこんな状態が続くのは嫌なんです。こんなコソコソ生きていくのが…」

 

真耶「……」

 

ナターシャ「……」

 

信二「だから、決心しました。僕、新田信二は…夏休み終了後に全世界に向けてお二人を含めた全員と婚姻関係にある事を発表します!」

 

突然の告白に真耶とナターシャは事態が追い付いていなかった。信二が今まで隠していたことを、公表しようとしている。こんな事をしようものなら、恐らく今までの生活は送れないだろう。

 

だか、信二の意思は固かった。真耶は思いとどまる様に伝えたが、ナターシャは賛成のようだった。

 

真耶「そんな、せめて卒業してからでもいいんじゃあないのですか?」

 

ナターシャ「アタシはいいと思うけどね」

 

真耶「ファイルスさん!」

 

ナターシャ「だって、シンジが決めたことでしょう。だったら応援するのが先生であり彼女じゃあないの?」

 

そう言って信二の傍まで来ると、右腕に抱きついて来た。先ほどまで風呂に入っていた2人である。その肌は熱を帯びていた。また、客用の浴衣を着崩しているため扇情的な格好になっていた。

 

ナターシャ「そ・れ・に♪これで堂々とナターシャって呼んでくれるからね♪」

 

信二「ナターシャさん!」

 

ナターシャ「ん~どうしたの?」

 

信二「その…あ、当たっているんですけど///」

 

ナターシャ「んふふ~当てているのよ///」

 

そんなやり取りを面白くないと思った真耶は大股でナターシャとは反対側の腕に抱きついて来た。こちらもナターシャに負けないくらいの大きさを誇る胸を惜しげもなく当ててきた。

 

真耶「む~う…私だって!!」

 

信二「ま、真耶さん!」

 

真耶「し、信二君!」

 

信二「は、はい!///」

 

真耶「その…私頼りないと思いますが、精一杯信二君の彼女いえ…お、奥さんとして頑張りますね///」

 

信二「真耶さん///」

 

真耶「信二君…」

 

2人は見つめ合うと、徐々に顔を近づけて行った。そしてあと数センチでキスしようとした時、反対側に居たナターシャによって阻まれるのであった。

 

信二はもみくちゃになりながらナターシャと真耶に唇を奪われるのであった。

 

ナターシャ「ちょっと!何2人していい雰囲気を出してるのよ!」

 

信二「え!」

 

真耶「そ、そんな事ないですよ!」

 

ナターシャ「んも~こっちにも可愛い彼女がいるんだから相手しなさいよ!」

 

信二「ナターシャさん!暴れないでください!そんなにしたら見えちゃいますよ!」

 

ナターシャ「もう見ているんだから今更でしょ。ほら、この胸を好きにしていいのは、シンジだけなのよ」

 

信二「ちょっと!う、うわぁ!」ドサ!

 

ナターシャ「さぁシンジ覚悟しない…今まで会えなかった分たっぷりと楽しませてもらうわよ。ンチュ///」

 

真耶「わ、私も…可愛いがってくださいね…チュ///」

 

2人からのキスの嵐をなすすべもなく信二は受けるのであった。そして、朝になると信二の部屋で寝ていた3人を見て祖母の芳江は孫の心配はなさそうだと思うのであった。

 

□□□□

 

今日は各々別れて行動することにした。一夏とラウラと信二は近くの山で修行。真耶と箒と静寐は芳江の手伝い。セシリアとシャルロットとロランは近くを探検と言う名の散歩。ヴィシュヌと鈴とナターシャは組手をして過ごすという。途中お昼ごはんになり、皆は大広間に集まっていた。

 

一夏「いゃ~あの道結構厳しいな。あれを毎日特訓していた信二には敵わないぜ」

 

ラウラ「全くだ。それで料理もしているのだから大したもんだ兄上は」

 

箒「私達も芳江さんの手伝いをしていたぞ。久しぶりに裁縫をしたが、腕は鈍っていなかったな」

 

静寐「うん、うん。何かもう1人のおばあちゃんって感じだったよ」

 

真耶「私も童心に帰って、ついつい作りすぎちゃいました///」

 

セシリア「わたくし達は近くの駄菓子屋?と言う所に行ってまいりましたわ」

 

シャルロット「凄いよね。昔ながらの日本のお菓子屋さんって感じだったよ」

 

ロラン「ああ、あのアイスクリームとかはオランダにもあるが、オランダと違った味がしたよ」

 

鈴「ムキー!もう少しでヴィシュヌに勝てそうだったのに!」

 

ヴィシュヌ「伊達にタイ代表候補生と信二の彼氏を名乗っていませんからね」

 

ナターシャ「けど、途中からちょっと力を出していたのは分かっていたわよ」

 

皆が思い思いの会話をしている中信二と芳江はお昼ご飯の準備をしていた。今日のお昼は素麺ときゅうりの漬物、デザートにコーヒーフロートを作っていた。

 

そんな時、芳江は信二を呼び出していた。信二はいい機会だと思い、今後の事を話そうと思っていた。

 

信二「よし、あとはコーヒーが固まるのを待つだけだな」

 

芳江「信二。ちょっとこっちにおいで」

 

信二「どうしたの?おばあちゃん?」

 

芳江「信二。何か隠していないかい?」

 

信二「…どうしてそう思うの?」

 

芳江「おばあちゃんには丸わかりだよ。それとも言いにくいことかい?」

 

信二「そんな事じゃあないよ。ただ…迷惑をかけるかもしれないと思ってね」

 

芳江「信二…子供は親にいっぱい迷惑をかけてもいいんだよ。今は美波も晃もいないけど、ばあちゃんがいるからね」

 

信二「ばあちゃん…ごめんね」

 

芳江「いいんだよ。…それで何んで悩んでいたんだい」

 

改めて信二の悩みを聞き出した芳江。この先どうしていいのか、そして彼女達を幸せにする為にはどうしたらいいのかを話した。しかし、芳江はそんな悩みを吹っ飛ばすくらいに豪快に笑いだした。

 

信二「これからの事を考えてね。多分これから多くの人に迷惑をかけると思う。もちろんおばあちゃんにも迷惑をかけるかもしれない…そう思ってね」

 

芳江「アハハハハハハハ!」

 

信二「え、ばあちゃん!?」

 

芳江「何だいそんな事を考えていたのかい。それには及ばないよ。信二は信二が信じた道を行きなさい。ばあちゃんはいつまでも見ているからね」

 

信二「ばあちゃん…ありがとう」

 

その日信二は初めて祖母の偉大さを知った。この人が大丈夫だと言うのであれば問題ないと思えた。そして、夕食も2人で作りその日はぐっすり眠れたそうだ。

 

なお、昨日抜け駆けした真耶とナターシャは他の人が監視する中びくびくしながら寝ていたという。

 

 

 

 

 

 

翌日。朝早く目覚めてしまった信二は散歩がてら近くの小川に向かうのであった。そこには意外な人物が待っていた。

 

信二「あれ?あのうさ耳カチューシャは…束さん?」

 

束「あーシンちゃんーーー!会いたかったよ~」ダキ

 

信二「うわっとっと!僕も会いたかったですよ」

 

束「束さんも寂しかったんだよ~寂しいウサギは死んじゃうんだよ~」

 

信二「すみませんでした。これでいいですか?」

 

そう言って、束の頭を撫でていた。これに束は嬉しくなり笑顔が戻って来た。

 

束「うんうんうん!元気百倍になったよ!ありがとうね♪」

 

信二「いえいえ、それよりもクロエは?」

 

束「クーちゃんなら多分おばあちゃんの所に行って朝ご飯の準備をしていると思うよ」

 

信二「そうなの?」

 

束「うん!最近料理本とか見ているから、すっごく上達しているんだ!」

 

信二「そっか。なら楽しみだな」

 

そう言って信二はひそかにクロエの料理を楽しみにしているのであった。帰って来るなり朝食の良い匂いが迎えてくれた。

 

信二「ただいま~」

 

『おかえりなさい』

 

束「ただいま~束さんだよ~!」

 

『ええええ!』

 

驚く皆を尻目に信二は台所に向かうのであった。そこでは、銀色の長い髪をなびかせて規則正しい包丁音が響いていた。その姿を見て一目でクロエだと判断した信二は後ろから呼んでみた。クロエは芳江から教わりながら朝食を作っていた。

 

信二「おはよう。クロエ」

 

クロエ「おはようございます。信二お兄様」

 

芳江「おはよう信二。クロエちゃん料理が上達していてびっくりしたよ」

 

信二「そうなの?よかったねクロエ」

 

クロエ「いえ、勿体ない言葉です。それよりも早く朝食に致しましょうか」

 

信二「そうだね。出来た物を運ぶのを手伝うよ」

 

そう言って信二はクロエの出来た料理を運んで行くのであった。

 

信二「みんなおはよう」

 

『おはよう(ございますわ)』

 

信二「朝ご飯出来たから、みんな食べようか」

 

一夏「オオ!美味そうだな!信二が作ったのか?」

 

信二「いや、作ったのはこの子だよ」

 

クロエ「皆さま、お初お目にかかります。クロエ・クロニクルと申します。以後お見知りおきを」

 

ラウラ『!』

 

箒「信二、この人は?」

 

信二「クロエは束さんと一緒にいた子だよ。後は僕が料理を教えた子かな?」

 

その一言に一部の人(信二ラバーズ)は過剰に反応したが、ラウラだけは違っていた。クロエを見た瞬間一瞬だが強張った表情を見せた。

 

それは、信二にはわからなかったが、どうやらこの2人は何かしらの因縁がありそうだ。だが折角の朝食が冷めてしまったら勿体ないので、この件は頭の片隅に置くのであった。

 

朝食後に縁側に座っているラウラに近づいて朝の出来事を聞いてみた。どうやらクロエの出生について、少しだけ知っているようだ。その事について信二はラウラの相談に乗るのであった。

 

信二「ラウラどうしたの?」

 

ラウラ「兄上…」

 

信二「もしかして…クロエの事を気にしている?」

 

ラウラ「ええ、兄上もしかして……」

 

信二「そうだよ。クロエは、僕やラウラにあるVTシステムを完成させる途中で出来上がった実験者だ」

 

ラウラ「……」

 

信二「僕も初めてあった時変な動悸があったよ。それからかな、クロエのことを気にしていたのは…」

 

ラウラ「……」

 

信二「だけど、へんに気覆う必要はないんじゃないかな?」

 

ラウラ「え?」

 

信二「確かに、僕らの為にクロエが出来た…けどそれでクロエは僕達の事を嫌いになったかな?」

 

ラウラ「そ、それは…」

 

信二「本音を聞くのが怖い?」

 

ラウラ「…」コクン

 

信二「そっか…」

 

信二はこんな時どうすればいいのか考えていた。仮とはいえ妹(ラウラ)の不安を、取り除く兄の務めだ。そう思って信二は一緒に話しを聞こうと提案した。

 

信二「それなら、一緒に聞く?」

 

ラウラ「し、しかし…」

 

信二「なに、仮とはいえラウラは僕の妹なんだ。たまにはお兄ちゃんらしい所を見せたいんだよ」

 

ラウラ「兄上…いいでしょうか?」

 

信二「ああ!」

 

ラウラから頼られたことが嬉しくて、信二はラウラとクロエの仲を取り持つことにした。そして、お昼ご飯。今日は暑かったので、そうめんにしてみた。何本か色が付いたそうめんを見て、海外組は珍しがっていた。

 

夕食は大人組(真耶、ナターシャ、芳江)が担当し、学生組は冷たい麦茶、ナターシャ、真耶、束はキンキンに冷えたビールで乾杯していた。

 

それから酔っ払い3人の相手をする信二はたまったもんではなかった。グラマラス級のスタイル3人に囲まれて、鼻を伸ばそうもんなら他の彼女達がいい気分ではない。

 

そんな3人を宥めつつ信二とラウラはある作戦を実行すべく、打ち合わせをしていた。

 

そして、クロエにはこんな連絡を入れていた。

 

『今夜話しがある。縁側に来てほしい』

 

 

 

 

信二は風呂から上がると、ラウラと一緒にクロエが待つ縁側に訪れた。そこには、薄いキャミソールを羽織り、縁側に座って居るクロエがいた。信二とラウラはクロエの両隣に座って話し始めた。

 

信二「こんばんはクロエ」

 

クロエ「こんばん信二お兄様」

 

ラウラ「…」

 

信二「隣に座ってもいいかい?」

 

クロエ「ええ、いいですよ。丁度貴女とも話しをしたかったので。ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

ラウラ「え?」

 

彼女は目が見えないのに、ラウラの気配を感じ取っていた。それを受けてラウラは一瞬驚いたが、大人しく座ることにした。

 

信二「クロエその…」

 

クロエ「はい、信二お兄様が言いたいことは分かります。私とラウラ・ボーデヴィッヒのことですよね」

 

信二「ああ、前に君は言ったよね。僕がVTシステムの成功例だってこと。それで、彼女は遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)として生み出された試験管ベイビーなんだ。だから、クロエと同じなんだよ」

 

クロエ「そうでしたか…」

 

ラウラ「確かに私は遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)として生み出された。だが、今では自分の生き方を見つけるために生きている。その中でも嫁や鈴…そして、兄上とも出会った」

 

クロエ「フフフ、いい仲間持ったんですね」

 

ラウラ「ああ!だから、クロエさんとも仲良くないたい!」

 

クロエ「私とですか?」

 

信二「僕からもお願いできないかな?」

 

クロエ「…」

 

ラウラ「いきなり言ってすまないと思っている。この通りである!」

 

ラウラは初めて頭を下げた。こんな事をするラウラを初めて見た信二は驚きを隠せなかった。だが、クロエは冷静沈着だった。

 

信二「ラ、ラウラ!」

 

ラウラ「おこがましいと思っても仕方ないと思っている。けど、貴女とはわだかまりを無くしておきたいんだ…」

 

クロエ「…頭をあげてください」

 

そう言ってラウラは頭を上げた。そして、クロエはラウラを抱き寄せた。

 

クロエ「ラウラ・ボーデヴィッヒさん。貴女は誤解をしています。別に私は貴女を恨んでいませんよ。ただ、驚いているだけです」

 

ラウラ「え?」

 

クロエ「確かに、私が失敗してラウラさんが生まれました。実験に失敗はつきものです。だから成功があるのです」

 

ラウラ「違う!そんな自分を卑下しないでほしい…」

 

クロエ「いいえ、卑下ではありません。事実を言ったまでです」

 

信二「…だけど、それは言い過ぎだよクロエ」

 

クロエ「信二お兄様?」

 

信二「僕はクロエにそんな風に思ってほしくないんだ。だって、僕達は家族じゃないか…」

 

クロエ「あ…」

 

その一言でクロエの目から涙が出てきた。今度は信二が彼女の手を取り、優しく語りだした。

 

信二「クロエ言っていたよね。僕の事をお兄様と…」

 

クロエ「…」

 

信二「嬉しかったよ。本当の妹が出来たみたいで。だから、自分を卑下するような言い方はやめてくれよ。それに、君にとってラウラは妹みたいな感じだよ」

 

クロエ「妹ですか…」

 

信二「ああ、結果はどうあれクロエがいたからラウラは生まれてきたんだ。だから、ラウラと友達になってほしい」

 

そう言って、信二は更に強く握りしめた。そして、観念したクロエはラウラを妹として認めたのだった。

 

クロエ「はぁ…仕方ありませんね。本当の事を言うと少しだけ嬉しかったんですよ。私の生き方を認めてくださったお兄様とラウラさんが」

 

ラウラ「じゃあ!」

 

クロエ「ええ、よろしくお願いしますね。ラウラ」

 

ラウラ「ああ!よろしくだクロエ義姉さん!」

 

クロエの返答に満足したラウラ。これで本当の意味で、クロエとラウラは姉妹になれたと思えた。そして、ラウラは「早速一緒に寝よう!」と言い出しクロエを強引に連れていく。

 

少しだけ苦笑いをしていたクロエだったが、まんざらでもなさそうだった。

 

 

 

 

 

そして、実家で過ごす最終日。ラウラとクロエ姉妹揃って髪がぼさぼさの状態で、ラウラとクロエは起きてきた。仲良く手を繋いで。その状態を見た他のメンバーは、(かわいい)と思うのであった。

 

最終日は近所のスーパーで、それぞれお土産を買っていくのであった。一夏は姉の千冬へお酒とおつまみ、箒は両親と雪子叔母さんへ茶碗、セシリアはそうめんが気にいったらしく、屋敷中のメイド達に買っていくそうだ。今でもみんなでの夕食は続いているらしい。

 

シャルロットは、両親に料理を食べて欲しくて料理セットを一式。静寐は、ここでしか売っていない調味料。

 

ロランとヴィシュヌは意外にも石鹸を気にいった。どうやら海外では珍しく、余り売っていないそうだ。ラウラとクロエは仲良くお揃いの、ヘアピンにした。大人組(真耶、ナターシャ)は地酒を買いあさっていた。

 

そして、信二はある人物と待ち合わせをしていた。その人物とは…

 

信二「久しぶりですね」

 

「…」

 

そこには、信二を振って絶望した顔を見たいと言っていたマドンナの子がいた。遠くにはいつもいる子達もいたが、信二は冷静に話し始めた。

 

信二「まず、この前は避けるような事をしてごめんね」

 

「べ、別にいいよ。怒ってねぇし…」

 

信二「良かった。それと僕はこれからIS学園に帰るけど……元気でね」

 

「え?」

 

信二「何か変だった?」

 

「そ、そりゃあお前!散々いじめて来た奴に元気でねって普通言わないだろ!」

 

信二「そうだけど、もう昔のことだし。それに……僕は今の時間(とき)が幸せだから」

 

「あ…」

 

そう言った信二の顔は笑っていた。そして、マドンナの子は愚かな事をしていたと改めて思った。

 

皆の買い物が終わって帰る時マドンナの子は信二を呼び止めた。

 

信二「それじゃあ、僕は行くね」

 

「ま、待てよ!」

 

信二「うん?」

 

「そ、その……元気でね///」

 

信二「…君もね。それじゃあバイバイ」

 

最後に手を振った時に女の子は泣きながら送り出していた。そして、信二を見送った後泣き崩れていた。

 

そして、真耶が運転する車に乗って実家に帰って一同は芳江に挨拶するのであった。なお、クロエと束はこのまま信二の実家を中心に活動するらしい。

 

本人達曰く「シンちゃん(信二お兄様)の住んでいたところが安心する」とのことだった。もちろん最高峰のセキュリティ対策をした上での事だが…

 

 

『お世話になりました!!』

 

芳江「はい。いつでもおいでね」

 

信二「それじゃあ、ばあちゃん。いってきます!」

 

芳江「ああ、行っといで」

 

信二「うん。クロエと束さんもばあちゃんの事頼みますね」

 

クロエ「はい。クロエ・クロニクル。命に代えても御守り致しますね!」

 

束「この大天災束さんにまかっせなさい!例え隕石が落ちてこようが、ここだけは守ってみせるよ!」

 

そうなっては欲しくないと願いつつ信二は仲間と一緒にIS学園という第二の家へ帰っていくのであった。

 

 

■■■■

 

同時刻IS学園生徒会室。ここに居る生徒会室長更識楯無は「ある計画」を行うべく準備をしているのであった。

 

楯無「ふ、ふ、ふ…時は来た!」

 

どうやら2学期になっても、一夏と信二の2人に安寧の時間はなさそうだ…




いよいよ次回は文化祭編そして、あの姉妹が登場します!

やったね!一夏ハーレムルート再開だよ!

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第6章 新学期
第三十二話 新学期と転入生


久しぶり過ぎて申し訳ございません。

IS学園に戻って来た信二達。来るべき文化祭の準備をするのであったが、そこにある人物が転入生してくる。

ヒントは夏に大活躍した人(子)だよ!

それでは本編どうぞ!


IS学園に帰って来て数日。いつも通りのクラスメイト達だが、この日ばかりは違っていた。

 

「ねぇねぇ夏休みどこ行っていた?」

 

「ハワイに旅行に行っていたよ!そっちは?」

 

「アタシは家の近くで遊んでいたなぁ~」

 

「ねぇちょっと焼けた感じしない?」

 

「ホントだ!どうしたの?」

 

「今年の秋は絶対に彼氏をゲットするんだ!」

 

「あ~やめなよ。男作ったっていい事ないよ」

 

「え~そんな事ないって!絶対新田君みたいなカッコイイ彼氏捕まえるのだから!」

 

「てか、アンタ理想高過ぎじゃない?」

 

「そんな事ないよ!」

 

「大体あれを見ても恋人作りたいと思っているの?」

 

「え?」

 

そう言う女の子の視線の先に居たのは…

 

信二「えっと…次の授業は」

 

箒「次は数学だぞ信二」

 

セシリア「それが終わったらお昼ご飯ですわよ信二様♪」

 

シャルロット「今日は天気が良いから、屋上で食べようよ!」

 

静寐「いいね!じゃあ先生達も誘おうよ!」

 

ロラン「ついでにヴィシュヌも呼ぼう。なに、彼女なら二つ返事でOKするだろ」

 

そこには、恋人達(5人)に囲まれながら、次の授業の準備をしている信二の姿があった。それを見た女子生徒は「あれは、例外」と言っていた。

 

数学の授業が終わり屋上に集まった信二達。そこに、授業前に話していた真耶とナターシャ、ヴィシュヌの姿もあった。

 

真耶「遅れました~」

 

信二「大丈夫ですよ」

 

ヴィシュヌ「お弁当を取って来るのに少しだけ時間がかかってしまって」

 

ナターシャ「大丈夫よ!信二はそれくらいじゃあ怒らないからね」

 

信二「ええ、それじゃあみんな揃ったし、食べましょうか」

 

 

『いただきま~す!』

 

 

そして、彼女達は自慢のお弁当を持って信二と食べさせあった。

 

箒「信二、この唐揚げを食べてくれ!今回はかなりの出来だぞ!」

 

静寐「なら、私はこの筑前煮かな!お母さんが教えてくれたの」

 

セシリア「でしたら、わたくしはこのサンドイッチをどうぞ!大丈夫ですわ。今回もシャルロットさんと一緒に作りましたから」

 

シャルロット「本当セシリアの料理は大変だったよ。あ!私はこれラタトゥイユ作って来たんだ」

 

ロラン「信二、オランダの家庭料理パンネンクーケンを作って来た。口に合うといいのだが…」

 

信二「大丈夫だよ。ロランが作る料理にマズイ物はないからね」

 

ロラン「信二///」

 

『うっんん!』

 

信二はハッとすると、ロラン以外の子達がジト目で睨んできた。仕方なく信二は他の子達が作って来たご飯を食べながら今後の件について考えていた。

 

5時間目は再来週から始まる文化祭の出し物について話し合われていた。担任の千冬は『手が離せないので決まったら職員室まで報告しに来るように』と言って出て行った。

 

 そんな中議長がクラス長の一夏、書記に信二という体制で進めてきたが、今まで出てきた案は…

 

『一夏&信二のご奉仕喫茶』

『一夏&信二とお散歩』

『一夏君とお料理教室(アシスタント信二)』

『信二君の簡単ダイエット教室(アシスタント一夏)』

 

一夏「…却下!」

 

『え~!』

 

一夏「当たり前だろ!これ誰が得するんだよ!」

 

「得はするよ!私達が!」

 

「そうだ!そうだ!」

 

一部の女子生徒達からは人気だがこれでは、一夏と信二への負担が多すぎる。信二が代案を考えている時意外な人物から代案が出てきた。

 

?「メイド喫茶なんてどうだ?」

 

『え?』

 

ラウラ「喫茶店なら、飲食代も確保できるし回転率を考えたらその方がいいだろう」

 

『それだーー!』

 

信二「ら、ラウラ?」

 

「それなら、私達もメイド服を着れる!」

 

「それに、織斑君と新田君は燕尾服にしようよ!そうすることで集客率アップだよ!」

 

「早速裁縫部の人達に連絡取って!え?あっちも忙しい?新田君と織斑君の生写真あげるからって言いなさい!それで釣れるわよ」

 

「それなら、こっちは食料品の準備だね!任せて!食堂に賄賂(新田君と織斑君の生写真)握らせて優先的に回してもらうようにするから」

 

一度決まったら止まらないのがこのクラスのいい所だ。けど、信二や一夏の写真は何処から出てきたのかわからない。

 

結局ラウラの後追いもあり、1年1組の出し物は「メイド喫茶」に決まった。この事について担任の織斑先生に報告する為一夏と信二は職員室に向かうのであった。

 

一夏「失礼します。織斑先生に用があって来ました」

 

千冬「ここだ。それで出し物は決まったか?」

 

信二「はい。メイド喫茶になりました」

 

千冬「メイド喫茶?誰の案だ?」

 

一夏「えっと…ラウラの案です」

 

千冬「ラウラの?…アハハ!そうか、アイツも変わったんだな…」

 

信二「織斑先生?」

 

千冬「いや、何でもない。それよりも、メイド喫茶の件許可しよう。但し、火の元は気を付ける事だ」

 

一夏・信二『分かりました』

 

千冬「時に新田。お前はどうするんだ?」

 

信二「どうとは?」

 

千冬「お前はただでさえ目立ってしまうからな。特にその眼帯とかな」

 

信二「そうですよね…それなら僕は裏方に徹しますよ」

 

千冬「フム…」

 

そう言って、千冬は何やら考え込む仕草をした。そして、ある助言をして来た。

 

千冬「それなら、(アイツ)に頼んでみらどうだ?」

 

信二「束さんにですか?」

 

千冬「ああ、アイツなら何とかしてくれるんじゃないか?」

 

信二「そうですね。だって束さんですからね」

 

そうと決まれば早速今夜あたり電話してみようと思った。そして、職員室から出て帰ろうとした時向こうから現れた人物に驚いた。

 

楯無「あら、今帰り?」

 

信二「ええ、そうですよ」

 

一夏「なぁ信二。この人って誰なんだ?」

 

信二「この人は更識楯無さん。このIS学園の生徒会長だよ」

 

楯無「はじめまして。楯無よ」

 

一夏「どうも、織斑一夏です。IS学園の生徒会長って偉いんですか?」

 

楯無「偉いと言うよりは強いってことね」

 

一夏「それはどういうこと…」

 

一夏が『どういうことか説明してほしい』と言おうとした瞬間楯無の後ろから2人の女子生徒が飛び出して来た。

 

1人はボクシンググローブを握り肉薄してきた。もう1人は空手の道着に身に纏い突っ込んで来た。

 

「はぁぁぁ!」

 

「貰った!」

 

一夏「うわ!」

 

信二「楯無さん」

 

楯無「分かっているわよ」

 

そう言って、信二は空手の子を楯無はボクシングの子を相手にしていた。

 

「な!新田信二だと!聞いていないぞ」

 

信二「フン!セイ!」

 

信二は素早く空手の子に突っ込んで行った。そして、見事に一本背負いを決め、相手をダウンさせた。その間に楯無もボクシングの子をダウンさせていた。

 

信二「あとは…あそこですね」

 

丁度反対側の校舎の窓が開いている部分から弓道部の女子生徒がこちらに向かって矢を射ぬく時だった。そして、楯無めがけて矢が放たれが、寸前の所で信二が受け止めた。

 

楯無「お見事」

 

信二「いえいえ、それじゃあ僕はちょっと行ってきますね」

 

そう言って、窓枠に手をかけ反対側の校舎めがけて、飛び出した。因みにここは3階である。その行動に楯無はおろか一夏でさえ驚いていた。

 

一夏・楯無『ちょっと!』

 

そして、中庭に生えている大木を利用して、向かいの校舎まで飛んで行くと弓道部女子生徒を拘束した。

 

信二「どうも、こんにちは」

 

「は、はいぃぃ…」

 

それを見た一夏は「スゲー」と思う反面楯無は信二に対する評価を変えた。どう見ても人間技を超えていると…

 

結局楯無の事を上手く説明できないまま、その日は終了した。自室に帰った信二は早速束に電話した。

 

そして、2コール目で出迎えた。

 

束『ハイハイ!あなただけのアイドル!束さんだよ~!』

 

信二「お久しぶりです。束さん」

 

束『あ~そんな硬い事言わなくてもいいんだよ!それで何で電話して来たのかな?わかった!束さんの声が聞きたかったんだよね!んも~シンちゃんの寂しがり屋さん!』

 

信二「違います」

 

束『あ、そうなんだ…』

 

信二「その…気分を害したのなら謝りますから黙らないでください!」

 

束『うん!わかったよ!』

 

信二「ハァ~その頼みがあって」

 

そこから、今日の事を話し始めた。文化祭の出し物でメイド喫茶をする事。その時に一夏と一緒に執事をする事。その時に眼帯が目立ってしまうかもしれないと思った事などを話した。

 

そして、一通り話し終わって束はある提案をして来た。

 

束『ふ~ん。そっか…それならいいものがあるよ!』

 

信二「ホントですか?」

 

束『うん。一時的だけどVTシステムの力を抑えるコンタクトレンズを開発するから、それを付ければ大丈夫だよ!』

 

信二「けど、そうしたら緑色の目が出て更に目立ってきそう…」

 

束『シンちゃん…例えみんながそれを見て怖がっても束さんは、ずっとシンちゃんの味方だよ。それに、シンちゃんには箒ちゃん、シズシズとか他の子達が居るから大丈夫だよ』

 

信二「束さん…ありがとうございます」

 

束『いえいえ~それじゃあシンちゃん特性のコンタクトレンズ作って来るね~』

 

そう言って、束との通話が終わった。何だか安心しきった信二はそのまま寝てしまうのだった。

 

次の日。朝トレから帰って来た信二は朝食を取りに食堂に行こうとすると、そこには楯無が立っていた。

 

楯無「おはよう。新田君」

 

信二「楯無さん。おはようございます」

 

楯無「うんうん!ちゃんと挨拶出来る子は好きよ。ところで今日の放課後空いているかしら?」

 

信二「そうですね。これと言って予定はないですよ」

 

楯無「そうなのね。なら、付いて来てほしい場所があるの。いいかしら?」

 

信二「大丈夫ですよ」

 

楯無「なら、放課後待っているわね」

 

そう言って、楯無は何処かに行っていた。信二は朝食に遅れまいと急いで食堂に向かうのであった。

 

 

 

 

放課後になり、楯無と約束していた時間になった。昼休み『教室で待ってくれる。迎えの子が行くから』と言われたので待つことにした。

 

そして、教室に本音と信二の2人っきりになった時に、三つ編みに丸眼鏡、そして、どこか落ち着いた雰囲気の女子生徒が現れた。

 

?「本音?ここに居たのね。楯無お嬢様がお待ちですよ」

 

本音「は~い!それじゃあ行こうかしんにゃ~」

 

信二「そうですね。あの~そちらの方は?」

 

虚「初めまして、本音の姉の布仏 虚(のほとけ うつほ)と言います」

 

信二「新田信二です。よろしくお願いします。布仏先輩」

 

虚「虚でいいですよ。布仏だと2人いますからね」

 

信二「しかし…」

 

本音「しんにゃ~。お姉ちゃんが良いって言ってるんだから、呼んであげらたら」

 

信二「わかりました。よろしくお願いしますね虚さん」

 

虚「ええ、男の子から名前呼びされると少しだけドキッとしますね///」

 

本音「それよりも、早く行こうよ~」

 

虚「そうだったわね。それじゃあ新田さんも付いて来てください」

 

信二「はい。それと、僕の事は信二でいいですよ」

 

虚「わかりましたよ。信二君」

 

そう言って、虚の案内でとある部屋の前まで来た。名前は『生徒会室』。虚が先に入ってその後に信二、本音の順番で入るのであった。目の前にはゴージャスな椅子が置いてあり、まるで補完計画をするような雰囲気の楯無が居た。

 

楯無「よく来てくれたわね。虚ちゃん。信二君にお茶を出してちょうだい」

 

信二「いえ、お構いなく…」

 

楯無「遠慮しなくてもいいのよ。虚ちゃんが入れる紅茶は絶品なんだから」

 

そんな話しをしている間にも紅茶が準備されており室内にはお茶の良い香りが漂って来た。虚は信二に応接用のソファーに座る様に言った。その向かいに楯無が座り今回ここに呼び出した理由を話し始めた。

 

楯無「それじゃあ、単刀直入に言うわよ。信二君。貴方生徒会に入る気はある?」

 

虚・本音『!』

 

信二「…根拠を聞いてもいいですか?」

 

楯無「ええ、2つあるわ。先ず1つ目。現在IS学園では何処かの部活動に所属する事になっているわ。その中で一夏君と君はまだどこにも所属していない。これについては、他の部活から苦情があってね…」

 

信二「苦情ですか?」

 

楯無「ええ、「ウチの部に欲しい」とか「入らないと暴動を起こす」とかね…」

 

信二「はぁ…」

 

楯無「だから、生徒会としては一刻も早く何処かに所属して欲しいのよ」

 

信二「もう1つは?」

 

楯無「こっちが本命かしらね。もう1つは君の力が欲しくなったのよ。昨日の行動を見て俄然興味がわいたわ」

 

信二「あ~あれですか…」

 

楯無「ええ、生徒会に入れば最低限の安全は保障するわ。勿論、君だけじゃない。ご家族の方も更識家の人間で対処するわ」

 

信二「…」

 

楯無「で?どうする?」

 

信二「う~ん…ちょっと保留でお願いします」

 

楯無「あら、悪い条件じゃないと思うわよ」

 

信二「確かに素敵な案件ですけど、まだ心の整理がつかないと言いますか…」

 

楯無「そう、なら仕方ないわね」

 

信二「ええ、折角のお誘いを断ってしまって申し訳ございません。近いうちに答えは出しますので」

 

楯無「わかったわ。無理強いするのは良くないからね」

 

 

 そう言って、信二は生徒会室を後にした。その後残った3人はある事を企てるのであった。

 

 

 次の日。朝食をいつものメンバーで食べ終わりSHR。本来なら文化祭の準備をする為の時間だが、真耶から驚きの発表があった。

 

真耶「皆さんおはようございます。早速ですが今日は転校生を紹介します」

 

「転校生?この時期に?」

 

箒「珍しいな」

 

セシリア「どなたでしょうか?」

 

信二「なんか嫌な予感がする…」

 

真耶「それじゃあどうぞ」

 

?「失礼する。本日付で転入する事になった新田マホだ。よろしく頼む」

 

『マホ!(マホちゃん!)』

 

なんと、転入生はかつてヤークトティーガーのコアISだったマホだった。福音戦の時に箒がIS【紅椿】でワンオフアビリティである《絢爛舞踏》によって、信二のIS【ヤークトティーガー】はセカンドシフトにより【マウス】へと進化した。

 

そして、【ヤークトティーガー】コアであった【マホ】がこの世に生まれてきた。一時は信二の遠い親戚の子と言う名目で束に預けていたが、この度信二の妹ととして、IS学園に転入してきたのだ。

 

真耶「マホさんは、新田君の妹になります。皆さん仲良くしてくださいね」

 

『は~い』

 

真耶「それじゃあ、マホさんの席は新田君の後ろになりますね」

 

マホ「わかった」

 

 そう言って、マホは信二に近づいて席に座るのであった。

 

マホ「よろしく頼む。兄さん」

 

信二「こちらこそよろしく。マホ」

 

 SHR後からは文化祭の準備をする為準備をしていた。それぞれ、被服班、調理班と別れて作業をしていた。調理班のリーダーは一夏。被服班のリーダーは信二。一夏は普段料理をしている為、教え方もうまかった。

 

 対する信二は服の事は祖母の芳江から教わっているので大抵の事はこなしていた。但し細かな作業となると女子生徒達の方が得意だったので、そこは任せていた。

 

 特に彼女達が着るメイド服や信二・一夏が着る服に関しては豪華だった。だが、一点だけ違う所というと…

 

信二「どうして、僕だけ軍服なの?」

 

 そう。一夏は執事達が着る一般的な燕尾服だが、信二だけは何故か緑色の軍服だった。しかも、某ゲームで“皇帝”と言われるキャラが着ている服そのものだった。

 

「いいじゃん!いいじゃん!新田君カッコイイんだからさ」

 

「そうそう」

 

信二「そうかな?僕より一夏君の方が女の子受けがいいと思うよ」

 

『それはない!』

 

信二「へ?」

 

「新田君は知らないと思うけど、校内では隠れファンクラブがあるくらいだからね」

 

「そうそう、今じゃあ「一夏派」と「信二派」で分かれているくらいだから、気を付けた方がいいよ」

 

信二「気を付けるって何から!?」

 

「そりゃあ……ね」

 

「うん」

 

信二「何故溜めたの!」

 

「大丈夫!大丈夫!新田君なら彼女候補達が守ってくれるよ」

 

信二「彼女候補って///」

 

『え?知らないと思っていたの?』

 

信二「え?」

 

「前から有名だったよね」

 

「うんうん。然も多数いるって知ってるしw」

 

信二「そうだったんですね」

 

「だから、アタシらは応援してるからね」

 

「うん!絶対幸せにしてよね」

 

信二「皆さん…ありがとうございます」

 

 信二は目頭が熱くなるのを感じていた。自分がこんなにたくさんの人に受け入れて貰えている事に…

 

 信二の採寸が終わったので今度は一夏の採寸となった。一夏は信二をベースに型紙を作ってそれを縫い合わせる。料理の方もある程度決まったので、初日は終了となった。そして、信二は日課のトレーニングが終わり自室に戻るとそこには…

 

信二「ただいま~」

 

『おかえりなさい』

 

信二「…」バタン

 

 信二は無言で扉を閉めた。そして、目をこすった。(疲れているのかな…)そう思って再度入った。

 

信二「ただいま~」

 

『おかえりなさい!旦那様!』

 

見間違いでも何でもなかった。そこには、信二の彼女兼お嫁さん候補が揃っていた。

 

 

何故かエプロン姿で

 

 

信二「ドウイウコトカセツメイシテ」

 

そう言いながら信二は部屋に入って行くのであった。

 

箒「うむ、説明しよう///」

 

セシリア「実は夏休みの時余り皆さんと一緒に遊べなかったでしょう」

 

シャルロット「あの時は、それぞれ思い思いに過ごしていたからね」

 

ロラン「そこで思ったのだ」

 

ヴィシュヌ「誰も信二にエプロン姿を見せていなかったと」

 

ナターシャ「だから、ここで見せようと思ってね」

 

真耶「は、恥ずかしいですけど…信二君の前なら///」

 

信二「ちょっと!マホは?」

 

箒「マホなら、友達の部屋で泊まると言って帰って来ないぞ」

 

信二「なに~!それでいいんですか!」

 

真耶・ナターシャ『先生が許可します!』

 

信二「ブルータス!お前もか!」

 

シャルロット「さぁ信二…覚悟してもらうよ!」

 

信二「え!ちょっと待って…アーーーー!」

 

 

その頃マホは、友達になったクラスメイトの部屋にいた。クマの被り物をしたパジャマ姿でトランプをしていた。

 

マホ「む!今兄さんの声がしたような気が…」

 

「え?そうかな?」

 

「そんなことよりほら!マホっちの番だよ!」

 

マホ「気のせいか…よし、行くぞ!」

 

 

マホはクラスメイト達と目一杯遊んで楽しく過ごしたそうな…翌日。部屋でぐったりしている信二と何故か肌がツヤツヤで生まれた姿で抱き合っている彼女達がいるのであった。

 




書いていて言うようですが、信二君羨ましいですね。

次回は文化祭編突入します。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。


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第三十三話 文化祭(前編)

お久しぶりです!だいぶ更新が遅れてしまい申し訳ありません!

それでは本編どうぞ!


 

一組の文化祭準備が順調に進んでいる中で信二達は日々特訓していた。但し今回はちょっと訳ありの予感がする。

 

箒「でりゃぁぁぁぁぁ!」

 

箒のIS【紅椿】の日本刀型ブレード《雨月》をマウスの装甲で受ける。そして、信二は束から受け取った《パンツァー・アックス》で斬りかかろうとするが、シャルロットのIS【ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ】とセシリアのIS【ブルー・ティアーズ】が襲い掛かる。

 

信二「何の!おりゃぁぁぁ!」

 

シャルロット「僕がいる事忘れないでね」

 

セシリア「わたくしも居ますわよ!」

 

信二「ちぃ!」

 

シャルロットとセシリアからの挟撃を避けるため、一旦箒から離れる。その間にラウラのIS【シュヴァルツェア・レーゲン】と静寐のIS【Ⅳ号戦車H型】は信二に照準を合わせた。

 

ラウラ「目標捕捉…パンツァー・カノニーアFire!」

 

静寐「目標物確認!徹甲榴弾装填完了!Fire!」

 

信二「そこか!!」

 

信二は着弾地点を予測し、素早く避ける。そして、この戦いにケリをつけるべく信二は覚醒するため、眼帯を外し両腕の装甲からトンファーに持ち替え信二はこう唱えた。

 

信二『みんなを守る力を!比類なき最強ヲ!Hasenjagd!』

 

すぐさま、左眼が緑色から黄金色に変化し、瞬時加速(イグニッションブースト)を使って先ずは、ラウラと静寐、セシリアに肉薄した。

 

ラウラ「それでこそ、兄上だ!」

 

静寐「うぁ~来たよ!どうする!」

 

セシリア「落ち着いてくださいな!先ずは散開いたしますわよ」

 

『了解!』

 

覚醒モードに入った信二は先ずはラウラを目標に定めた。おもむろにトンファーを繰り出して打撃戦を仕掛けるつもりだった。しかし、ラウラはプラズマ手刀を2本取出し応戦するのであった。

 

ラウラ「流石ですね兄上!だが私も負けません!」

 

更にラウラはワイヤーブレードを6本展開する本気モードだ。だが、信二も負けじと、トンファーのスピードを上げ、ラウラの斬撃をミリ単位で対応した。

 

信二『うぉぉぉー!』

 

ラウラ「ダメだ!防ぎきれない!…ぐぁぁぁ~!」

 

静寐・セシリア『ラウラちゃん!(さん!)』

 

『シュヴァルツェア・レーゲンSEエンプティ!』

 

信二『次!』

 

今度はセシリアと静寐へと迫って行く。だが、横から一夏が【白式】で突っ込んで来た。

 

一夏「でりゃぁぁぁぁぁ!」

 

信二『…』

 

信二は冷静に対処して避けると一旦は後退するもそこに、箒の《空裂》、セシリアの《ブルー・ティアーズ》、シャルロットの《ガルム》、静寐の《徹甲弾》と波状攻撃が襲ってきた。

 

箒「みな、一斉に行くぞ!」

 

『はい』

 

箒「いっせ!…さ、散開!!」

 

信二は波状攻撃を仕掛けるのを察知して、司令官である箒を行動不能にする為に襲い掛かった。慌てて攻撃を中止した箒だが、間に合わず信二の接近を許してしまった。

 

箒「っく!信二勝負だ!」

 

信二『望むところ…』

 

そこに、今まで傍観していた鈴が乱入し、2対1での乱打戦が始まった。

 

鈴「はぁぁぁ~!信二覚悟しなさいよ!」

 

信二『鈴さん……邪魔をするな!!』

 

鈴「おわ!」

 

今までのトンファーを主軸とした打撃戦から一変、カポエラー、マーシャルアーツ、果てはブラジリアン柔術を織り交ぜながら、鈴と取っ組み合いになった。

 

箒は離れた位置でその戦いの様を見ていた。とてもあの中に入れる状況じゃないと…そうこうしている間に徐々に鈴のSEが切れ始めていった。更にマズイと思った一夏が《零落白夜》を発動しながら信二と鈴の間に入って来た。

 

一夏「りーーん!」

 

鈴「一夏!なにアンタまで来てるのよ!」

 

一夏「馬鹿野郎!無視できるかよ。相手は覚醒モードの信二だぞ。いくら鈴でも勝つのは難しいって」

 

鈴「それじゃあどうすればいいのよ」

 

一夏「そうだな…『一夏聞こえるか?』箒か?」

 

箒「今からセシリア達による一斉射撃を行う。その後に一気に突っ込むぞ」

 

一夏『分かった』

 

鈴『OKよ』

 

そう言って、一夏と鈴は一旦後退する。そこに、セシリアを主軸とする遠距離攻撃が始まった。

 

セシリア『行きますわよ!…Fire!』

 

『Fire!』

 

他の子達も遠距離からの攻撃を行った。しかし、信二は倒れずその場にとどまっている。

 

箒「ば、化け物か…」

 

セシリア『箒さん!来ますわよ!』

 

箒「はっ!ちぃ!」

 

信二「……」

 

咄嗟に《空裂》で防いだがSEの数十%を持っていかれた。慌てて鈴と一夏が間に入ろうとしたが、箒がそれを止めた。

 

一夏・鈴『箒!』

 

箒「手出し無用!この信二(・・・・)は私が止める!」

 

このような事になったのは数時間前に遡る…

 

 

 

 

 

 

訓練が始まる前に信二自身まだ【マウス】の力を100%引き出していないと思っている。今後戦いが激化するかもしれない…だから今のうちに、特訓して強くならないと思っていた。そこで、信二はいるメンバーにこんな提案をするのであった。

 

信二「ちょっといいかな?」

 

セシリア「どうかしましたか?」

 

信二「今日の特訓だけどね。全員で僕に向かって来てほしい」

 

ラウラ「どういうことだ、兄上?」

 

信二「有事の事を考えて、強くならないといけないと思っていね。だから今日の特訓では覚醒モードを、全開放する」

 

シャルロット「大丈夫なの?」

 

信二「分からない。多分この前(ラウラVTシステム事件)の様にはならないと思うけど、多分意識は保っているかもしれない…だけどこの力を制御したいんだ!」

 

静寐「信二君…」

 

信二「だからお願いします」

 

一夏「分かったぜ、信二!」

 

鈴「ええ、アンタと本気で戦いたいからね!」

 

信二「みんなありがとうね」

 

 

 

そして、今に至る。だが、箒も焦っていた。現段階の最新IS(第四世代)を持ち、信二の彼女兼妻(本人は本妻だと思っている)として負ける訳にはいかないと…

 

箒「信二…目を覚ませーーー!」

 

信二「…」

 

箒の無慈悲な言葉も虚しく、攻撃の手を止めない信二。たまらずセシリアとシャルロットも駆け寄って来る。

 

セシリア「信二様―!」

 

シャルロット「目を覚ましてーーー!」

 

信二『邪魔を…するなーーー!』

 

マウスの副砲である36.5口径の7.5cmと7.92mmMG34機関銃をセシリアとシャルロットに向けて発砲した。たちまち2人ともSEが無くなってしまった。

 

セシリア「う~ん…無念ですわ」

 

シャルロット「いてて…箒後はお願いね!」

 

そんな中で未だに箒と信二は対峙していた。しかし、徐々に箒が押し始めた。これなら勝てると思っていた。事実、信二にも疲れの色が見え始めた。

 

信二『くっ…』

 

箒「降参しろ!信二!」

 

信二『俺は…僕は…みんなを…守らないと…』

 

箒「大丈夫だ、信二。私達がいる。だから、ゆっくり休め」

 

信二「…箒…」

 

そう言うと信二の左眼が黄金色から緑色に変化し、箒に倒れこむのであった。それを見ていた彼女達(セシリア、静寐、シャルロット)は駆け寄って来るのであった。

 

『信二(様・君)!』

 

箒「大丈夫だ。よく眠っている」

 

そう言って、信二は箒の胸で寝息を立てていた。それを見てセシリア達は(羨ましい…)と思っているのであった。

 

こうして、信二の特訓は終わりを告げるのであった。信二は力の代償として、文化祭前日まで保健室で眠っていた。

 

 

 

 

 

 

そして、文化祭当日。学園関係者と生徒が持っているチケットを手にした人しか入れないという、狭き門の中に信二はある人物達を招待していた。

 

その人物達が来るまで、1組のメイド喫茶で働いていた。勿論束からもらったコンタクトレンズをしているので、VTシステムが発動することはない。

 

信二「いらっしゃいませ。お嬢様。さぁ、お席へとご案内いたします」

 

「は、はい///」

 

緑色の軍服姿にセシリア仕込みの接客術でお客様を席へとエスコートしていく。その仕草にお客はもちろん、周りの女子生徒達までもが黄色い声援を上げていた。

 

信二「こちらがメニューになります」

 

「は、はい…えっと…」

 

信二「焦らずごゆっくりどうぞ」

 

「は、はい!じゃあこのオムライスをお願いします///」

 

信二「かしこまりました。それでは失礼いたします」

 

「はい///」

 

注文を受けた信二は厨房にオーダーを通すのであった。

 

信二「オーダー!オムライス1つお願いします」

 

「了解!……はいよ!」

 

信二「ありがとうございます」

 

そして、優雅な仕草で席へと向かうのであった。

 

信二「オムライスでございます。お嬢様」

 

「わぁ~美味しそう!」

 

信二「ええ、では、失礼します」

 

「へ?」

 

そう言って信二はスプーンを取って、オムライスを一口サイズに取り

 

信二「ふー、ふー…はい。あ~ん」

 

「ええ///」

 

信二「どうかされましたかお嬢様?」

 

「い、いえ…じゃあ…あ~ん///」

 

なんと、冷ますだけではなく、あ~んまでサービスをするのであった。これには流石の信二の彼女達は怒るだろうかと思っていたが(私達はこれ以上の事をしたから大丈夫)と思いの外余裕をもっていた。

 

そう言って、信二は一口サイズのオムライスを口へと運ぶのであった。それを食べた女の人は「人生でこんなに美味いオムライスはなかった」と語った。

 

そして、お会計を済ませたのだ。

 

信二「お会計は980円になります。丁度ですね。またのお越しをお待ちしておりますお嬢様」

 

「は、はい///また、絶対に来ます!」

 

そう言って、女の人は最後尾に並ぶのであった。因みに最後尾は開始から120分待ちの大行列となっていた。信二は1人目が終わってほっとしている。別のテーブルでは一夏が燕尾服を着て駆け回っている。他の生徒もメイド服を着て接客をしているが、圧倒的に信二の指名が多い。

 

それもそのはず、いつもの眼帯を外し左眼が緑色、右目が青色とオッドアイズになっている。更に軍服の下には筋骨隆々たる体格。おまけに性格・言葉使いもパーフェクトときた。

 

こんな優用物件を逃すまいとお客さんはあの手この手と信二を墜としにかかる。

 

「ねぇねぇ君カッコイイね!連絡先交換しようよ!」

 

「文化祭終わったらヒマ?お姉さん達と一緒に回ろうよ!」

 

信二「申し訳ございませんがお嬢様。この後も立て込んでおりまして、時間が取れない状況なのですよ」

 

「え~そこをなんとか!ねぇ!」

 

『お嬢様方!』

 

信二が断ろうとした瞬間、5人のメイド達が信二と女性客の間に、立ちはだかった。

 

箒「申し訳ございませんが」

 

セシリア「この方ひじょーーーーーに忙しくて」

 

静寐「あとがつっかえているんだよね」

 

シャルロット「だから、とっととケーキ食べて」

 

ラウラ「…失せろ」

 

『ひーー!ごめんなさい~!』

 

余りにも箒達の剣幕に怖くなった女性客は逃げて行くのであった。

 

信二「ふぅ、助かったよ。ありがとう」

 

ラウラ「この位朝飯前だぞ。兄上」

 

シャルロット「そうだよ。信二に変な色目使って来る人達が悪いんだよ」

 

箒「全くだ。信二も、もう少し自覚を持ってもらいたい!」

 

セシリア「そうですわ!ただでさえライバルが多いのですもの」

 

信二「アハハ…」

 

彼女達から心配されるのは嬉しいが、同時に心配をかけたくないとも思うのであった。

 

信二「わかったよ。今度は気を付けるよ」

 

そう言って、信二は給仕を再開するのであった。幸い先ほどよりも癖の強い客は、いなかった。ここで午前中の仕事が終了し、一旦は休憩することになった。

 

そして、信二が軍服を脱ごうとした時に、館内放送が鳴り響く。

 

『新田信二君、新田信二君。至急IS学園校舎前にお集まりください。繰り返します…』

 

信二「何だろう?とにかく向かうか」

 

信二は軍服姿のままでIS学園校舎前に向かうのであった。途中でロランやヴィシュヌに見られて、1組に遊びに来るように言うのであった。

 

そして、校舎前に着くとそこには思わぬ人達がいた。

 

信二「あれ?ばあちゃんとスコールとオータムさん?」

 

芳江「信二~元気だったか?」

 

オータム「よう!信二」

 

スコール「ごきげんよう信二君」

 

信二「どうしてここにいるんですか?」

 

芳江「あれ信二?携帯に連絡したんだが、気がつかなかったのか?」

 

信二「え?…あっ!気がつかなかった…」

 

どうやら芳江が電話していたが、仕事していて気がつかなかったらしい。因みに信二はチケットを芳江に渡そうとしたが、「信二がお世話になっている人に渡せばいい」と断られた。

 

そこで、束が起業しそこで社員として働いている、オータムとスコールに渡した。マドカも行きたそうにしていたが、容姿が千冬に似ていることから、混乱を避けるために、お留守番となった。

 

では、なぜ芳江がここに居るのだろうか。答えはIS学園で用務員をしている十蔵が「私には家内も子供もいないから譲りますよ」と言い出してきた。信二は申し訳ないと思いながらも、チケットを受け取った。

 

こうして、信二は祖母芳江をIS学園に招待する事が出来たのだ。なお、ここまでの移動にはオータムとスコールの両名が同伴してきた。

 

オータム「アハハ!ダッセーな信二!」

 

スコール「やめなさいオータム。ところで、信二君の所はどんなお店をしているの?」

 

信二「僕達はメイド喫茶をやっているんですよ。この服もそこの衣装なので…「ふ~ん?」スコールさん!?」

 

信二が店の説明をしていると、スコールが寄ってきた。セシリアや箒に負ける劣らずのスタイル。何よりも美人なのが決定的な事でもある。

 

そんなスコールにドキドキしていると、意地悪そうな顔をして信二にある提案をしてくるのであった。

 

スコール「ねぇ信二君。店までエスコートしてくれないかしら?」

 

オータム・信二『え?』

 

スコール「私ここに来るまでに、喉が渇いちゃってね~」

 

信二「ちょっとスコールさん!」

 

スコール「ねぇ~早く行きましょうよ~」

 

信二「わかり、分かりましたから!そんなにくっつかないでください!」

 

信二は右腕に抱きついて来たスコールの感触を忘れるため、急いで店に戻る事にした。なお、オータムは芳江の御守役として色々回るとの事だった。

 




信二には8人の彼女兼妻がいますが、作者の中では本妻は…セシリアです!

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第三十四話 文化祭(2日目)

とあるPです。

遅くなって申し訳ありません。文化祭2日目になります。

それと今回で彼女達に新たなライバル登場です!

それでは本編どうぞ!


 

軍服姿で歩く信二の腕にピッタリと寄り添う形でスコールは、信二の教室に向かっていた。途中女子生徒達を一身に受けながら、針の筵状態で教室に着いた。

 

信二「ここが、僕の教室です」

 

スコール「へぇ~メイド喫茶なんてやっているのね。それでそんな格好(軍服姿)なの?」

 

信二「はい。僕が接客をするんですよ」

 

スコール「なら、私も頼もうかしら」

 

信二「ええ!それは…」

 

スコール「ふふふ、私これでもあなたのこと気に入っているのよ」

 

信二「え?」

 

スコール「あの事件 (福音戦)で仲間を守る姿勢。それに、VTシステムを持っているのにも関わらず、その力に溺れず自身を高めている。私はそこに惹かれているのよ」

 

信二「スコールさん…ありがとうございます」

 

スコール「お礼は私をお嫁さんにして欲しいわね」

 

信二「アハハ…」

 

信二は苦笑いをするしかなかった。そんなやり取りをしていると、教室からメイド服姿のセシリアが出て来た。どうやら、信二の戻りが遅く感じて探しに行こうとしていたようだ。

 

セシリア「信二様~ってあれ?」

 

信二「セシリア?どうしたんだいこんな所で?」

 

セシリア「どうしたもこうしたも、ありませんわ!信二様ったら全然戻らないので、探しに行こうと思っていたのですよ」

 

信二「あ~ごめんね。スマホ鞄の中だった」

 

セシリア「もう、気を付けてくださいまし…」

 

信二「わかったよ」

 

スコール「ねぇ信二。この子は?」

 

信二「この子はセシリア・オルコットさんです。セシリア。この人は「ボーイズ&パンツァー」の社員です」

 

スコール「スコールと言うわ。よろしくねお嬢ちゃん」

 

セシリア「…セシリア・オルコットと言います。以後お見知りおきを」

 

スコール「へ~オルコット家の若き当主様がこの子なのね」

 

セシリア「な、何ですの!それに、次期オルコット家の当主は信二様ですわよ!」

 

そんな話し声を聞いて、箒や他の子達も集まり始めた。これ以上集まると収拾がつかなくなると思った信二は、急いでホール仕事に戻った。

 

そして、お客様として来たスコールに色々サービス(ポッキーゲームやあ~ん)を行って満足したスコールは「今度はオータムと一緒に来るわね」と言って、出て行くのであった。

 

一通り仕事が帰り、一夏から「偶には1人で回ってこいよ」と言われたので、校内を回ることにした。同行したい彼女達(信二のお嫁さん達)は(偶には1人の時間が必要だよね)と心の中で思ったので、あとを追って来るような事はしなかった。

 

軍服姿からIS学園の制服に着替えた信二は、中央のコンサート広場で行っている野外ライブに向かって行った。

 

女子生徒達が思い思いの歌を歌っている。それを見た信二は自分も歌ってみたいなと思ってしまった。そんな時近くにいた女子生徒達に羨ましい言葉を聞かれてしまった。

 

信二「いいなぁ」

 

「あれ!?新田君!どうしてここに居るの?」

 

信二「暇を持て余していたんですよ。そしたらここから音楽が聞こえて来たので、来てみたらライブをやっていたので、見に来ました」

 

「もう~それ先に言っていよ!これだったら、メイクしてくればよかった…」

 

信二「あの~これって飛び入り参加とか可能ですか?」

 

「あ~たぶん大丈夫と思うよ。何か歌うの?」

 

信二「ええ、偶には歌いたいですね」

 

「なら、私聞いてくるね」

 

そう言って、女子生徒は関係者みたいな人に連絡して信二が出れるように手配してくれた。バックヤードに連れてこられた信二は、IS学園制服から、黒色のジャケットに白のTシャツ、黒のスキニージーンズ、白のテープハイカットスニーカーを履いて、更には『マウス』のドックタグを首から飾り舞台へと上がった。

 

『お待たせしました~!IS学園のプリンセス!新田 信二君の登場です!』

 

ワァァァァ!

 

信二「うゎ~すご!」

 

『さぁ飛び入り参加の新田君に一言挨拶してもらいましょう!今の気持ちは?』

 

信二『えっと…上手く歌えるか分かりませんが、一生懸命歌います』

 

ワァァァァ!キャーキャー!

 

『会場のボルテージも最高潮になった所で歌っていただきましょう!曲名は、今話題の曲。YOASOB〇さんで「夜に駆ける」です!』

 

信二は目を閉じて一度深呼吸した。そして…

 

「沈むように溶けてゆくように~

二人だけの空が広がる夜に~」

 

心の底から歌いだした。

 

そして歌い終わると、割れんばかりの拍手が起こった

 

ワァァァァ~キャー!カッコイイ~!

 

信二『ありがとうございました』

 

『いゃ~いい歌聞かせて貰いましたね。そして、もう一曲あるとの事ですけど?』

 

信二『ええ、流石に一曲だけだと味気ないと思って…』

 

ワァァァァ!イイゾ~!アンコール!アンコール!

 

『会場からもアンコールが出ましたので、もう一曲お願いします』

 

信二『わかりました!』

 

そう言って、再びマイクを握りしめタイトルコールをした。

 

信二『それじゃあ、A〇oさんで…うっせいわ』

 

「正しさとは 愚かさとは…

それが何か見せつけてやるー!」

 

先程とうってかわってパンク気味に歌いだす信二に会場の女子生徒達はメロメロになっていくのであった。

歌い終わった信二はステージ裏で主催者側学生達と話していると、メイド服姿の箒が走って来た。

 

箒「信二。今大丈夫か?」

 

信二「ああ、大丈夫だよ箒」

 

「あれ?1組の篠ノ之さん?どうしたのそんな格好して?」

 

箒「ああ、1組はメイド喫茶なんだ。それよりも信二来てくれ!お客さんが溢れそうで大変だ」

 

信二「わかったよ。それじゃあまたね」

 

『はい!ありがとうございました!』

 

さっきの歌で上機嫌の信二は彼女達と別れの挨拶をしてバックヤードを後にした。それが若干嫌になった箒は急に信二の左腕を組んで更には、恋人つなぎされた。

 

箒「む~!し、信二!」

 

ムギュ

 

信二「ど、どうしたの箒?」

 

箒「な、なんでもない///」

 

信二「わかったよ」

 

そう言って、箒と信二は教室に戻るまでの間恋人つなぎを楽しんだ。

 

教室に帰って来るとそこは戦場と化していた。一夏はヘトヘトになりながら、ホールをあっちこっち走り回っている。厨房も客を捌くためにフル稼働していた。行列も1時間待ちは当たり前になっている。

 

一夏「お、おう…しんじ…」

 

信二「一夏!大丈夫かい?」

 

一夏「これを…みて…大丈夫だと…思うなら…眼科へ…いけよ…」

 

信二「わかったよ。後は僕が引き受けるよ」

 

一夏「ああ…たのだぞ…」

 

そう言って、信二は一夏から仕事を受けってホールをひたすら駆け回った。サービスを求む客が居れば精一杯サービスし、写真も撮りまっくた。

 

もちろん待たせている客が居れば謝罪した。そして、明日の優待券を渡して全ての客を捌く事が出来た。

 

午後は学生達限定でイベントが行われるため、保護者達はここまでとなった。信二は校門に行き、芳江とスコール、オータムを見送った。

 

芳江「それじゃあ信二。またね」

 

信二「うん。婆ちゃんも元気でね」

 

オータム「おう、ばあさんは責任もって送って行くからよ。安心しろよ」

 

スコール「それじゃあまたね信二君」チュ

 

そう言って、スコール達は信二の頬にキスをして去っていた。一瞬何をしたか分からなかったので対応が遅れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

IS学園の講堂に集まった生徒は200人弱。その中で信二と一夏は2人だけと言う特殊な環境にいた。そんな中で残りの女子生徒達からの視線が痛かった。

 

そんな風に思っていると、壇上に1人の女子生徒が上がってきた。IS学園の生徒会長で「最強」の称号を持つ更識 楯無だ。

 

楯無「みんな~青春してる~!」

 

『ワァァァァ~!』

 

そこには『歓声!』と広げた扇子があった。すると、スクリーンに一夏と信二の姿が映し出された。

 

楯無「今から、この2人を使ったゲームをするからちょっと待ってね~」

 

そう言って、楯無は壇上から降りて行った。2人は訳も分からず、どうすればいいのか啞然としていた。

 

そして、2人の元に生徒会役員である、虚が頭を抱えてやって来た。

 

虚「申し訳ございません。ウチのお嬢様があんな事を言い出して…」

 

一夏「大丈夫ですよ。少しだけびっくりしただけですから」

 

信二「ええ、それで虚さん。僕達は何をすればいいんでしょうか?」

 

虚「お2人にはこちらに来てもらいます」

 

そう言って、2人はアリーナの更衣室へとやって来た。そこにあったものは…

 

 

 

再びIS学園の講堂。壇上の楯無はどこか嬉しそうだった。

 

楯無「さぁ~今日のメインイベント!それはこちら!」

 

後ろの液晶画面にはこう表示されていた。

 

『集え!乙女たち!!秘密の鍵を入手するのは誰だ!』

 

楯無「ルールを説明するわね。さっき言っていた織斑君と新田君にはある秘密を含んだ鍵を持っているわ。それを全力で奪い取って貰うわよ~!」

 

「あの~会長。その鍵に込められている秘密って何ですか?」

 

楯無「それはね…なんと!2人の部屋の鍵よ~!」

 

『…うぉぉぉぉぉぉ!』

 

一瞬の静寂の後女の子達の声が雄叫びとなった。それもそのはず意中の相手と一緒に居られるからだ。教師達を見ても、千冬は頭を抱えている。真耶とナターシャは目に炎を宿していた。

 

楯無「さぁ2人に出てきて貰いましょうか!」

 

そう言って、2人は出てくるのであった。

 

しかし、そこにはIS学園の制服ではなく一夏は王様が被る様な王冠にマント。そして、ステッキと何処にもいるような王様の格好で出てきた。一方の信二はオールバックにモノクル。黒一色の燕尾服。手袋と一国の王に従う執事長の格好で出てきた。

 

一夏「俺こんな格好で大丈夫か?」

 

信二「僕なんてこんな髪形にしたのは初めてだよ…」

 

楯無『さぁ!景品(一夏と信二)は揃ったわ!集え乙女達!欲しければ奪い取れ!秘密の鍵を入手するのは誰だ!ゲームスタートよ~!』

 

そう言った突端一斉に女の子達が群がって来た。一夏と信二は恐怖のあまり脱兎のごとく逃げ出した。

 

『鍵をわたせ~!』

 

一夏「うわ~!」

 

信二「とりあえず逃げよう一夏!」

 

2人はアリーナに向かうことにした。しかし、その途中で剣道着姿の箒とチャイナ姿の鈴の2人に出会った。その2人も一夏、信二を見るや否や鍵を奪うために襲い掛かって来た。

 

一夏「り、鈴!?」

 

信二「箒!?どうしてここに?」

 

箒・鈴『鍵を…わたせ~~!』

 

一夏・信二『うぉ!あぶねー』

 

アリーナは危険と判断した一夏と信二はそれぞれ別々の方向に行こうとした。一夏は第二アリーナ。信二は第三アリーナに行く作戦だった。その道中で一夏はある事に気づいた。

 

一夏「そう言えば、この王冠を取ればいいんじゃないか?」

 

『ピンポンパンポーン!その王冠を無理矢理取ろうとすれば電気ショックが発生して、王様は気絶してしまいます』

 

一夏「何だよそれ!」

 

信二「なら、僕はこのモノクルを取ろうとすれば…」

 

『同様に執事長のモノクルを無理矢理取ろうとすれば電気ショックが発生して、執事長は気絶してしまいます』

 

信二「僕もダメなんだね…」

 

一夏「仕方ねぇ。あと何時間あるかわかんねぇけど逃げるか」

 

信二「そうだね。僕は手筈通り第三アリーナに逃げるよ。それじゃあまたね」

 

一夏「おう」

 

~信二side~

 

執事長の信二は第三アリーナに向かって走っていた。その時、上からの気配に気付いて左に避ける。すると、暴徒鎮圧用のゴム弾が信二の左に当たった。目線を向けると真耶とセシリアが狙撃しているのが見えた。

 

信二「マジかよ…」

 

セシリア「信二様!鍵をお渡しくださいません!」

 

真耶「信二君大人しく鍵を渡しなさい!」

 

信二は壁つたいに歩いてゴム弾を上手く躱しながら、目的の第三アリーナに着いた。すると、IS【Ⅳ号】を纏った静寐とIS【オーランディ・ブルーム】を纏ったロランがいた。2人とも臨戦態勢万全だった。

 

信二「ちょっと待って!流石にそれは卑怯だろ!」

 

静寐・ロラン『問答無用!鍵を渡せ~!』

 

信二「あ~も!知らないぞ!」

 

そう言って、信二はIS【マウス】を纏う。そして、覚醒モードで2人と応戦した。

 

信二「Hasenjagd(狩りの時間だ!)

 

そう言うと、すぐさまトンファーを装備して静寐とロランを撃退する為に対峙した。静寐が【Ⅳ号】で撃って来るが紙一重の所で躱す。しかし、ロランのシード・ショットを胸部に受けてしまった。

 

信二「しまった!」

 

ロラン「あの時(臨海学校)は決着が付かなかったからね。ここは、決めさせて貰うよ」

 

そう言ってロランは「咲きほこれ…!」と囁くと信二は爆発していった。それを見ていた静寐は「流石にやりすぎじゃないの?」と言った。

 

そして、爆発で発生した煙が晴れると…そこには、無傷の信二が立っていた。

 

静寐・ロラン『ええー!』

 

驚愕しているロランと静寐を他所に信二は迎撃態勢を整えていた。そこに覚醒モードの信二が襲い掛かる。

 

信二『行くぞ!』

 

静寐「うわぁ~んロランさんのバカー!」

 

ロラン「こんなはずじゃなかったのに~!」

 

かくして、ロランと静寐も覚醒モードの信二には敵わなった。信二はそのまま2人を倒し更に進んで行った。

 

第一アリーナの入り口まで行くとそこにはIS【シルバリオ・ゴスペル】を纏ったナターシャの姿がいた。

 

信二「ナターシャさん…貴女もですか?」

 

ナターシャ「いいえ、私は純粋に信二と戦ってみたかっただけよ。あの時(福音戦)の私はこの子(シルバリオ・ゴスペル)の中で眠っていたからね。だから、確かめてみたかったの。私を救ったナイトさんの力をね♪」

 

すると、【シルバリオ・ゴスペル】のユニットが羽の様に展開された。信二は思った。(この人は本気の戦いを望んでいる)と。ならば、全力で相手をしようと…

 

信二「分かりました。全力で(・・・)いいですね」

 

ナターシャ「ええ、全力で(・・・)いいわよ」

 

そう言って、信二は二度目の覚醒モードに入った。この状態になるのは初めてだ。最悪自我を忘れるかもしれない…そうなったらいよいよ僕も終わりだと思いながらも覚醒モードに入るのであった。

 

信二「Hasenjagd(狩りの時間だ!)

 

そう言うと、すぐさまトンファーを装備して個別瞬時加速(リボルバーイグニッション)を繰り出した。すると、ナターシャも左に瞬時加速(イグニッションブースト)をして、初撃を躱すのであった。信二も左に個別瞬時加速(リボルバーイグニッション)を繰り出しナターシャを追撃して行く。

 

ナターシャ(なんて速さなの…この私に追いつくなんて)

 

信二(……)

 

ナターシャ(いいわ…それなら、これでどうよ!)

 

するとナターシャは《銀の鐘シルバー・ベル》を打ち出してきた。大型スラスターと広域射撃武器を融合させた新型システムで36の砲口をもつウィングスラスターでどんな敵でも撃退出来る。

 

だが、信二はそれらを全てトンファーで捌いて見せた。

 

ナターシャ「噓でしょ!」

 

信二『……』

 

ナターシャ「ならこれならどうかしら!!」

 

そう言って、第二形態移行(セカンドシフト)した。その為機動速度など性能が著しく上昇し、全身からエネルギーの翼のようなものが生えてきた。

 

ナターシャ『これで互角になった感じかしら…それじゃあ行くわよ!』

 

信二『コイ!』

 

そう言うと、エネルギーの翼から弾丸のように撃ち出して来た。流石の信二も全て避けきる事は出来ずいくつか被弾してしまう。

 

それでも近づくことをやめない信二に対してナターシャは恐怖を感じていた。

 

ナターシャ『噓!まだ来るの!なら、こちら行くわよ!』

 

信二『グルル…ウォォォォォォ!』

 

最早狼の咆哮に近い声を上げて信二もナターシャに向かうのであった。そして、互いに交差する瞬間勝負が決した。

 

ズガガガーン!

 

『信二!』

 

その音を聞き箒やセシリア、他のメンバーも集まって来た。

 

 

ナターシャ・信二『……』

 

一瞬の静寂の後先に倒れたのは……信二だった。倒れたのと同時にIS【マウス】は強制解除されモノクルをかけた執事長の姿になった。

 

信二「……」

 

ドサ!

 

ナターシャ「ハァハァ…私の勝ちの…ようね…しん…じ」

 

ドサ!

 

その数秒後にナターシャも同様に倒れてIS【シルバリオ・ゴスペル】が強制解除された。たまらず彼女たちはナターシャ、信二の両方に駆け寄って行った。

 

箒「ナターシャさん大丈夫ですか?」

 

セシリア「お怪我はございませんか?」

 

ナターシャ「ええ、大丈夫よ。それよりもシンジが…」

 

信二の方にはヴィシュヌとロランが向かっていた。

 

ヴィシュヌ「大丈夫ですか信二!」

 

ロラン「しっかりしろ!信二!」

 

ポロ。その時、モノクルが外れたのでそれをヴィシュヌとロランが咄嗟に取ってしまった。

 

ヴィシュヌ・ロラン『あ!』

 

『新田信二君のモノクル反応ロストを確認!おめでとう!ロランちゃん!ヴィシュヌちゃん!新田君の部屋の権利を獲得したよ~!』

 

『ええええええ!』

 

皆驚いていたが元々このイベント自体一夏と信二の部屋の鍵を取り合うイベントだったのを今の今まで忘れていた。

 

しかし、勝利は勝利。ヴィシュヌとロランはあえて信二の部屋の鍵を手に入れた。だが、喜びもつかの間。信二が一向に動かないのであった。いつもならケロっとして起き上がるのだが一向に動かない。

 

静寐「大変だよ!信二君、息してない!」

 

『え!?』

 

静寐「信二君しっかりして!信二君!!」

 

必死の静寐の呼び掛けに答えることなく、信二は目覚める事はなかった…

 




さて、覚醒モードを2回使った信二君。果たしてどうなるのでしょうか!

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第三十五話 信二救出作戦(前編)

とあるPです。

2021年はお世話になりました。2022年もゆる~く進めていくので何卒宜しくお願い致します。

それでは本編どうぞ!


文化祭で行われた一夏と信二の部屋の鍵を取り合うイベントから一転、ここはIS学園の保健室。そこには、未だ意識不明のまま寝ている信二とそれを取り巻く彼女たちでいっぱいになっていた。

 

信二が倒れて早4日が経とうとしていた。それでも彼女たちは目覚める事を信じて、頑なに信二の傍を離れようとしなかった。

 

箒「信二…」

 

静寐「信二君…」

 

セシリア「信二様…」

 

シャルロット「ねぇ信二…起きてよ」

 

ロラン「信二…早く目覚めてくれ」

 

ヴィシュヌ「信二…目を覚ましてください」

 

ナターシャ「信二…ごめんなさい。私が無茶な事をしたばかりに」

 

真耶「ナターシャさんのせいではありませんよ」

 

ナターシャ「でも、これで信二が目覚めなかったら」

 

真耶「大丈夫です。信二君は…私達の彼氏はそんな軟な方じゃあありませんよ」

 

ナターシャ「真耶…強いのね。アナタ」

 

真耶「そんなことありませんよ。気丈にしておかなければ泣き崩れてしまいそうなんですから…」

 

そう言って、真耶は両手をギュっと握るのであった。それを察したナターシャは彼女が一番慕っていると悟ったのだ。

 

ナターシャ(信二…貴方はこんなにも慕われているのよ。だから、必ず戻ってきなさい)

 

一方、とある国の上空で『吾輩は猫である号』にいる束はある作業に没頭していた。ろくに睡眠をとらず目の下に隈が出来る程だった。

 

そして、5日目の朝。突然IS学園中に警報音が鳴り響いた。

 

『緊急警報発令~!緊急警報発令~!正体不明の物体がIS学園に接近中。繰り返す。正体不明の物体がIS学園に接近中。直ちに専用機持ちは迎撃に当たれ!』

 

千冬「ちぃ!この忙しい時になんだ!」

 

一夏「千冬姉!俺も出るよ」

 

千冬「ダメだ。お前は残ってクラスメイト達の避難誘導をしろ」

 

一夏「けど、信二がいない今どうやって皆を守れっていうんだよ」

 

千冬「お前と新田は世界で唯一の男性操縦者だ。失う訳にはいかないんだ」

 

一夏「…っく」

 

千冬「安心しろ。その力は次の機会にでも取っておけ」

 

一夏「…わかったよ」

 

一夏は悔しそうになりながらも、クラスメイト達の避難誘導をするのであった。そして、専用機持ち達は正体不明の物体に向かって行くのであった。

 

肉眼で確認できる距離まで近づくと正体不明の物体は円形の物体である事が分かった。

 

クロエ「束様、大事(おおごと)になりましたが大丈夫でしょうか?」

 

束「大丈夫~大丈夫~!それにしてもいっぱい出て来たね」

 

クロエ「はい、箒様を始め他の皆様も続いています」

 

束「それじゃあ、始めようか。シンちゃん救出作戦を!」

 

 

 

 

専用機持ちはそれぞれの専用機に乗り、正体不明の物体へと一気に飛翔して行った。

 

箒は【紅椿】、セシリアは【ブルー・ティアーズ】、静寐は【Ⅳ号戦車H型】、シャルロットは【ラファール・リバイブカスタムⅡ】、ロランは【オーランディ・ブルーム】、ヴィシュヌは【ドゥルガー・シン】、真耶は教師用に改良された【ラファール・リヴァイヴ・スペシャル】、そして、ナターシャは【シルバリオ・ゴスペル】と一国のパワーバランスが狂ってしまう程の過剰戦力で向かって行った。

 

箒「こんな忙しい時に!」

 

セシリア「ですが、なぜこのタイミングで来たのでしょうか?」

 

シャルロット「兎に角、これ以上IS学園に近づけさせないようにしないと」

 

静寐「そうだよね。行こうみんな!」

 

『了解!』

 

セシリアと静寐は遠距離攻撃。シャルロットと真耶、ロランは中距離攻撃。ヴィシュヌ、ナターシャ、箒は近距離攻撃を行う。

 

後詰めとして鈴とラウラはIS学園に待機となった。

 

千冬『全員聞こえるか。今回の作戦はあくまでもIS学園に近づけさせない事が重要だ。最悪の場合回収は無理だとしても撃破しても構わん。全員生きて帰ることだ。いいな!』

 

『了解』

 

千冬『それと、正体不明の物体は今後「エミネータ1」と総称する。では、作戦開始!』

 

セシリア・静寐『先手必勝!(ですわ~!)』

 

ブルー・ティアーズのスターライトmkⅢとⅣ号戦車H型の背中に搭載されているレールカノンが火を噴いた。これで撃破したと思ったがエミネータ1には傷1つ付いていなかった。

 

セシリア「そんなバカな!」

 

静寐「撃破したと思ったのに~!」

 

シャルロット、ロラン、真耶、ナターシャはそれぞれの武器でエミネータ1に攻撃を行うのであった。

 

『いっけ~!』

 

ドガーーン!

 

ロラン「やったか?」

 

しかし、4人の全力をもってしてもエミネータ1に傷が付くことはなかった。4人が驚いている中エミネータ1は高速で箒とヴィシュヌの下に向かって行くのであった。

 

シャルロット「しまった!箒、ヴィシュヌそっちに向かったよ!注意してね!」

 

箒『了解した』

 

ヴィシュヌ『了解しました』

 

IS学園の正門前。そこには、【紅椿】と【ドゥルガー・シン】を展開している箒とヴィシュヌの姿があった。2人共それぞれ雨月(あまづき)空裂(からわれ)、拡散弓クラスター・ボウを取り出していた。

 

そして、肉眼まで接近した時に同時に攻撃をするのであった。

 

箒・ヴィシュヌ『セイヤーー!』

 

雨月は刺突攻撃の際にレーザーを放出し、空裂は斬撃そのものをエネルギー刃として放出した、クラスター・ボウからはエネルギー状の矢が複数本、放射状に広がった。それだけでなく箒とヴィシュヌは近距離まで接近し、切りつけたり殴り合いを行った。

 

箒「ハァー!セイ!ヤー!」

 

ヴィシュヌ「フン!セイ!」

 

そして、徐々にであはあるが、エミネータ1に傷が付き始めた。やがてエミネータ1は煙を上げて動かなくなった。

 

箒・ヴィシュヌ『これで終わりだーー!』

 

ドガーーン!

 

箒「やったか?」

 

ヴィシュヌ「いえ、まだ油断はできません」

 

「…」

 

そこに、セシリア達が帰還してきた。箒とヴィシュヌは恐る恐る近づいていくと、エミネータ1は大きな音を立てて割れ始めたのであった。

 

すると、中から束の声が聞こえてきたのであった。

 

セシリア「やりましたの?」

 

静寐「どうだろう?けど、止まっているよね?」

 

ロラン「にしても、かなりの強敵だった」

 

シャルロット「そうだよね。もう、あんな事をするのはごめんだよ」

 

真耶「私ももう一度鍛え直さないといけないですね」

 

ナターシャ「あら?それなら、お供するわよ」

 

箒「ハァハァ…これで」

 

ヴィシュヌ「終わりましたよね?」

 

プシュー!

 

『!?』

 

束『おめでとう~!よく、この物体を止めたね!』

 

『束博士?』

 

箒「姉さん!?どうして、姉さんの声が…」

 

束『それはね、この装置でシンちゃんを助けてほしいんだ』

 

そう言って、エミネータ1が展開して球体からホテルのベット状態になった。すると、束とクロエも出てきてこの装置について、説明してきた。

 

束「オッスオッス!束博士だよ!みんな元気だった?」

 

クロエ「お久しぶりです皆様。クロエ・クロニクルです。お元気そうで何よりです」

 

千冬「束、クロエか…これは一体どういうことか?」

 

束「んとね。シンちゃんの状況なんだけど、この前の戦い(文化祭)でかなりのダメージを負った関係があるかな?」

 

そう言った時にナターシの顔が強張った。自分が全力で戦いたいと言ったのが気に病んでいるのであろう。

 

束「それで今のシンちゃんの意識は精神世界に捕らえられているんだ。それを助けるのが、この装置『ユメサメール』なんだよ」

 

千冬「つまり、その装置を使って新田の精神世界に入って、こちらに呼び戻すということか?」

 

束「大体合ってるね。けど、ただ連れ戻すだけじゃあダメだよ。シンちゃんがこっちに来たいと思わないとダメだからね」

 

千冬「ふむ、ならここは担任であるわた『ちょっと待ってください!』うむ?」

 

『その役目!私達にやらせてください!』

 

そう言って来たのは、信二の彼女達であった。彼女達は先の戦闘の疲れも見せずに、行く気満々だった。

 

千冬「お前達…正気か?戻ってこれる可能性はないんだぞ」

 

箒「分かっています」

 

ナターシャ「それに、これは私の責任でもあるわ。チフユ」

 

真耶「私も同じです。信二君を止めれなかった私にも責任はあります」

 

セシリア「こればかりは織斑先生と言えど止められませんわ」

 

シャルロット「それについては、セシリアに賛成だね」

 

静寐「うん。私も同じ気持ちかな」

 

ロラン「早く信二には帰ってもらって、一緒に住む準備をしなければな」

 

ヴィシュヌ「それについては同感です」

 

千冬「皆…わかった。それなら、私からは何も言わん。必ず新田を連れ戻して来いよ」

 

『わかりました(ですわ)!』

 

束「そう、そう!向こう世界に行ったらサポート役がいると思うから、頼るといいよ~!私は現地で調整しないといけないから頑張ってね!」

 

そう言って、信二と全員ベットに寝てバイザーを被った。すると、意識が遠のいていくのであった…

 

 

 

~箒side~

 

気がつくと私は道着姿になっていた。そして、目の前には私と同じ黒髪ではつらつとした女の人がいた。違うと言えば、着ている服が昔の人が着ている様な格好だった。

 

箒「ここは…信二の精神世界なのか?」

 

??「いかにもその通りであります!」

 

箒「うん?貴女は?」

 

絹代「はっ!申し遅れました!私、知波単学園戦車道チーム隊長西 絹代と申します!以後お見知りおきを!」

 

箒「私はIS学園1年1組篠ノ之 箒だ。よろしく頼む」

 

絹代「IS学園?それはどんな学校ですか?それよりも、貴女は篠ノ之さんですね!私の事は絹代と呼んでください!」

 

箒「では、私の事は箒と呼んでくれ。それと、見たところ同い年だから敬語は不要だ」

 

絹代「はい!ですが、これは私の性分なので直すのは難しいかと…しかし、私と箒さんは同期の桜!ここで会ったのは何かの縁!いざ!突撃しましょう!」

 

箒「待て、待て!何処に突撃するというのだ…全く」

 

絹代「それよりも箒さんは、どうしてここに?何だか訳ありの様ですが」

 

箒「実はな…」

 

私は絹代にここまで来る経緯を話した。すると、彼女も一緒に行こうと言い出したのだ。

 

箒「…という事があってな」

 

絹代「なるほど…わかりました!では、一緒にその信二さん?と言う人に向かって吶喊致しましょう!」

 

箒「待て、待て!さっきも言っただろう!何処に向かえばいいのかわからんと」

 

絹代「大丈夫です!吶喊すればいずれたどり着きますから!」

 

箒「…まぁ、今らここに居ても仕方ないか。では、行くとしようか」

 

絹代「ええ!いざ、吶喊!」

 

こんな感じで彼女と知り合ってしまった。これからどうしたらいいものか…

 

~箒side out~

 

 

 

~静寐side~

 

束博士から渡されたバイザーを付けて意識が戻ると、IS学園じゃない制服姿だった。白地に緑色のスカート。黒いセーラー服用三角スカーフを着ていた。

 

静寐「あれ?この格好IS学園の制服じゃない。何で?」

 

??「それは、この世界で着る服ですよ」

 

そこには、私と同じ格好の女の子がいた。黒いロングヘアにきりっとした目。そして、右側にチョコンと伸びている可愛い寝癖?のある子だった。

 

静寐「貴女は?」

 

??「初めまして。私は五十鈴 華と申します。大洗女子学園で戦車道をしております。以後お見知りおきを」

 

静寐「は、初めまして!IS学園1年1組鷹月 静寐と言います。よ、よろしくお願いします!」

 

華「うふふ、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。鷹月さんですね。私の事は華と呼んでください」

 

静寐「そんな、苗字なんて他人行儀ですよ。私の事は静寐と呼んでください。華さん」

 

華「でしたら。さん付けは不要です。よろしくお願いしますね」

 

静寐「はい!」

 

華「では、静寐さんはどうしてここに?」

 

静寐「実は…」

 

私は華さんにありのままの事を話した。その間華さんは変な顔をせずに、キチンと聞いてくれた。そして、私と一緒に行って手伝ってくれるといった。

 

静寐「…という事があったんです」

 

華「まぁ、それじゃあ、信二さんは今も目覚めず仕舞いと言うことですね?」

 

静寐「ええ、だから心配で…」

 

華「静寐さん…でしたら、私もお供します」

 

静寐「いえいえ、華さんには悪いですよ」

 

華「『袖振り合うも多生の縁』と言います。私と静寐さんが出会うのはもしかしたら決まって居たのかもしれませんね。ですから、お手伝いをさせてください」

 

静寐「華さん…わかりました。よろしくお願いします!」

 

華「はい。不束者ですが、よろしくお願いします」

 

こうして、私は華さんと一緒に行動する事になりました。

 

~静寐side out~

 

 

 

~セシリアside~

 

(わたくし)が目覚めると、青いセーターを着て黒いタイツを履いていました。そして、周りからは紅茶のいい香りが漂ってきておりました。

 

セシリア「これは…ダージリンの香り?」

 

??「如何にもそうですわ」

 

そこには、金髪にショートカット。私と同じ青いセーターに、黒タイツを履いており、優雅に紅茶を嗜んでいる人がいらっしゃいました。

 

セシリア「貴女は?」

 

ダージリン「(わたくし)は聖グロリアーナ女学院で戦車道チームの隊長ダージリンですわ。以後お見知りおきを」

 

セシリア「ご丁寧にありがとうございます。私はIS学園1年1組セシリア・オルコットと申しますわ。以後お見知りおきを」

 

ダージリン「IS学園?聞かない名前ですわね」

 

セシリア「そうでしたか…」

 

ダージリン「それよりも、貴女訳ありの様ですわね」

 

セシリア「実は…」

 

私はこれまでの話しについてダージリンさんに話しました。すると、ダージリンさんはあるアドバイスを頂きました。

 

セシリア「…と言う訳なのですわ」

 

ダージリン「…」

 

セシリア「ですから、ダージリンさん。どうか、私と一緒に信二様を助けて下さいませんか?」

 

ダージリン「こんな言葉をご存知?『助けを求めることは恥ずかしいことじゃない』」

 

セシリア「はい?」

 

ダージリン「とあるアイドルの言葉なのですが、助けてと言う人がいれば、手を差し伸べる。それこそが真実の人助けだと私は思うのです。ですから、あなたからの人助けお受けいたしますわ」

 

セシリア「ダージリンさん…ありがとうございますわ」

 

ダージリン「フフ、それにしてもこんな素敵な方から助けを求められるなんて、さぞかしその信二さんと言う方の事をお慕いしているのですね?」

 

セシリア「え!?ま、まぁ…はい///」

 

ダージリン「フフフ、それであればもう1つ良い格言がありますわ『イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばない』と言うのを」

 

セシリア「ええ、知っていますわ。私もイギリスの貴族出身ですから」

 

ダージリン「まぁ、怖いですわね」

 

セシリア・ダージリン『ウフフ』

 

こうして、ダージリンさんと一緒に信二様の救出へと向かうのでした。

 

~セシリアside out~

 

 

 

~シャルロットside~

 

僕が目を覚めると、ケーキを食べながら紅茶を飲んでいる人がいた。その人は偉そうな態度で返事をしていた。

 

シャルロット「う~ん…ここは?」

 

??「あら、目覚めたのね」

 

シャルロット「あの?ここは何処ですか?」

 

??「人に物を尋ねる時はまず、自分から名乗るのではなくて?」

 

シャルロット「ごめんなさい。僕はIS学園1年1組シャルロット・デュノアと言います」

 

マリー「IS学園?知らない名前ね…私はBC自由学園戦車道隊長のマリーといいうわ」

 

シャルロット「マリーさん…ここは何処なんですか?」

 

マリー「知らないわ」

 

シャルロット「え?」

 

マリー「私もここに今しがた呼ばれたんだもん。知るはずないでしょう」

 

シャルロット「そ、そうなんだ…あははは…はぁ、どうしよう」

 

マリー「…何か困りごとなのかしら?」

 

シャルロット「実は…」

 

そう言って、僕はマリーさんにこれまでの経緯を話し始めた。最初は疑問だったマリーさんも最後には呆れ顔になっていた。

 

シャルロット「…って言うことがあったんだ」

 

マリー「はぁ、その信二って言う人、バカじゃないの?」

 

シャルロット「ば、バカって!そんなこと」

 

マリー「ここまで彼女に心配させるような男はバカと相場が決まっているのよ」

 

シャルロット「アハハ…結構ハッキリと言うんだね」

 

マリー「それで?貴女はどうしたいのかしら?」

 

シャルロット「僕は…信二には、戻って来てほしい。そして、また楽しい日々を過ごしたい///」

 

マリー「それなら、答えは出ているんじゃなくて?」

 

シャルロット「そうだよね。…僕行くよ。マリーさん話しを聞いてくれてありがとう」

 

マリー「…待ちなさい。私も付いて行くわ」

 

シャルロット「え?」

 

マリー「話しを聞いていたら、その男の事を殴らずにいられないわ」

 

シャルロット「なんで!?」

 

マリー「だってそうでしょ?貴女みたいな人をほっておいて、目覚めずじまいだもの。1発殴らないと気が済まないわよ」

 

シャルロット「マリーさん…」

 

マリー「ほら、行くわよ」

 

シャルロット「は、はい!」

 

こうして、マリーさんと一緒に信二を助ける為に出かけるのであった。待っててね信二!

 

~シャルロットside out~

 

 

 

~ロランside~

 

僕が目覚めると、ガムを嚙んでいる女の子がいた。この子が、篠ノ之博士が言っていたサポート役なのだろう。

 

ロラン「やぁ、初めまして子猫ちゃん。私はIS学園1年3組ロランツィーネ・ローランディフィルネィ。君の名は?」

 

??「IS学園?聞かない学校だね。それに、子猫ちゃんって…アタシはそんなガラじゃないんだけどね。アタシはサンダース大学付属高校で戦車道をやっているナオミだ。よろしく」

 

そう言って、彼女…ナオミさんは手を出してきた。握手をして分かった事は彼女の手は女の子にしては、ゴツゴツしていることだった。

 

ロラン「戦車道?それは、どんな事なんだい?」

 

ナオミ「戦車道を知らないのか…まぁいいや。戦車道って言うのは乙女の嗜みの一つとして、戦車を使った武道なんだ。だから、各地で独自の車種を使って競っているんだ」

 

ロラン「なるほど。それにしても戦車を使うとなるとかなり物騒な物なのかい?」

 

ナオミ「そんなことない。車体には特殊なカーボン素材を使っているからね。搭乗者が死ぬことなんてないんだ」

 

ロラン「なるほどね。僕らのISに搭載されている「絶対防御」みたいなものなんだね」

 

ナオミ「まぁその『絶対防御』がどんな者なのか知らないけどね。それよりも、ここに来たって事は訳ありなんだね」

 

ロラン「実は…」

 

僕はここに来るまでの事をナオミさんに話した。彼女は変な顔を一つせず聞いてくれた。そして、聞き終わった後で一緒に探しに行こうと提案してくれた。

 

ロラン「…という事があったんだ」

 

ナオミ「なるほどね。しかし、ロランさんも健気だね。さながら惚れた弱みってかな?」

 

ロラン「まぁ…そうなるかな///それに、さん付けはやめてくれ。むずがゆい」

 

ナオミ「なら、アタシにも敬語はやめてくれ。見たところ年下のようだしね」

 

ロラン「なら、ナオミ。僕と一緒に信二を助けてくれないか?」

 

ナオミ「of course(もちろん)よろしくな、ロラン」

 

こうして、僕とナオミは信二を助ける為に歩き出したのだった。

 

~ロランside out~

 

 

 

~ヴィシュヌside~

 

私が目を覚めると、1人の女の子がいました。服の上からでも分かるくらいの大きい胸を惜しげもなく見せびらかしながら、近づいて来るのでした。

 

ヴィシュヌ「う、うぅん…ここは?」

 

??「気が付いた?良かった~!起きてくれて」

 

ヴィシュヌ「貴女はいったい誰ですか?」

 

エル「アタシは青師団高校戦車道隊長のエルって言うんだ。貴女は?」

 

ヴィシュヌ「私はIS学園1年3組ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーと申します。それでエルさんは」

 

エル「あ~アタシの事はエルでいいよ」

 

ヴィシュヌ「それであれば私の事はヴィシュヌと呼んでください」

 

エル「わかったわ。それでヴィシュヌはどうしてここに来たの?」

 

ヴィシュヌ「実は…」

 

私はここに来るまでの経緯について簡単に話しました。すると、エルは涙ながらに話してくれたのです。

 

ヴィシュヌ「…という事があったんです」

 

エル「う…ひっぐ!いい話だ~!」

 

ヴィシュヌ「え、エル?どうしたんですか」

 

エル「だってそうでしょ!惚れた人のためにそこまでするって!よっぽどの覚悟がないと出来ないよ」

 

ヴィシュヌ「そうでしょうか?IS学園にいたら日常茶飯事な事なので…」

 

エル「物騒なところなのねIS学園って…」

 

ヴィシュヌ「お時間をいただきました。私はこれで…」

 

エル「ちょいまち!その話しアタシにも手伝わせてよ」

 

ヴィシュヌ「ですが…」

 

エル「ヴィシュヌが大変なのはわかったからね。それに、アタシもその信二って子に興味が湧いてきたんだよね」

 

ヴィシュヌ「…言っておきますが、信二は渡しませんよ」

 

エル「あら?これだから彼氏持ちは余裕があるわね。いいわ、私が彼を魅了してあげるわよ」

 

ヴィシュヌ「無駄だと思いますよ」

 

そう言いながら付いてくるエル。何だか姉がいたらこんな感じになるのでしょうか。そう思いながら信二を探しに向かうのでした。

 

~ヴィシュヌside out~

 

 

 

~真耶 side~

 

私が目覚めるとそこには、長い黒髪をして冷たい目をしていた。女の子がたっていました。

 

真耶「あの~」

 

??「…」

 

真耶「あの~ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

 

??「…なんです?」

 

真耶「あ、やっと反応してくれた。ここって何処でしょうか?」

 

??「…ここは、あの世とこの世の狭間です」

 

真耶「うそ!私死んじゃったんですか!?」

 

??「うそです」

 

真耶「へ?」

 

??「冗談をいえと同志カチューシャからそう言われました」

 

真耶「あ…そうなんですか」

 

ノンナ「改めまして。私はプラウダ高校戦車道のノンナと言います」

 

真耶「私はIS学園で教師をやっています山田真耶と言います」

 

ノンナ「IS学園…聞かない学校ですね。それでここに来たのには理由があるのでは?」

 

真耶「そうなのです。実は…」

 

私はここに来るまでの経緯を話しました。するとノンナさんは信二君の救出について快く快諾してくれました。

 

真耶「…と言う事があったんです」

 

ノンナ「そうですか。少しだけ待ってください」

 

真耶「?」

 

※ここからはロシア語になったつもりで聞いてください

ノンナ『もしもし、同志クラーラですか?…はい。…そうです、今手に負えない事案が発生したので一次的ではありますが、カチューシャの世話をお願いします。…そうです。3時のおやつは紅茶とピロシキをお願いします。では』

 

真耶「どうしたんですか?」

 

ノンナ「いえ、問題ありません。では行きましょう。同志マヤ」

 

そう言って、ノンナさんは先に向かうので、私は慌てて付いて行くのでした。

 

~真耶side out~

 

 

~ナターシャside~

 

私が目を覚ますと私そっくりのナイスバディの持ち主がいた。その子は私を見ると、にかっと笑って話しかけてきた。

 

ナターシャ「ここはどこかしら?」

 

??「ハァ~イ!目が覚めたかしら?」

 

ナターシャ「貴女は?」

 

ケイ「アタシはサンダース大学付属高校で戦車道をやっているケイよ。よろしくね♪」

 

ナターシャ「初めまして。私はIS学園で教師をしているナターシャ・ファイルスよ。気軽にナターシって呼んでね」

 

ケイ「お~け~!それでナターシャはどうしてここにいるの?」

 

ナターシャ「…実はね」

 

そう言って、ここに来るまでの事を話したわ。ケイは笑わずに最後まで聞いてれた。そして、私の旅に同行すると言い出したわ。

 

ケイ「なるほどね。恋人の為にここまで来たってわけね」

 

ナターシャ「ええ、けど何処に行けばいいかわからなくて…ダメね私…」

 

ケイ「Why(なぜ?)

 

ナターシャ「バトルに熱くなって彼の状況を把握していなかった。それに、己の欲望欲しさに危険な目に合わせてしまった。第一生徒である彼に手を出してしまったのが、一番の罪かもしれないわね」

 

ケイ「…」

 

ナターシャ「大人である私が我慢すればいいのにね」

 

ケイ「…彼は嫌な顔していた?」

 

ナターシャ「え?」

 

ケイ「私が彼の立場なら、嫌な顔せず堂々と戦うかもしれないわね。もちろんフェアプレーの精神を忘れずにね」

 

ナターシャ「…ケイ」

 

ケイ「私は彼じゃないわ。けど、一つだけ言えることは…彼は心の底から貴女を愛していると思うわ。だってそうでしょ?そうでもしなきゃ、教師と生徒の禁断の恋なんてやらないわよ」

 

ナターシャ「そうかしら?」

 

ケイ「ええ、そうでしょうね。いい機会だわ。彼に聞いて見るといいかもしれないわね♪」

 

ナターシャ「確かにそうね…ありがとうね。ケイ」

 

ケイ「そうと決まれば、善は急げと言いうわ!早速彼に会いに行きましょう!」

 

ナターシャ「ええ!待ってなさいよシンジ~!」

 

ケイ「ねぇねぇ良かったらそのシンジって子紹介してよ~!」

 

ナターシャ「え~こればかりはケイでもダメよ」

 

ケイ「あっそ。なら、私の実力で落として見せようかしらw」

 

ナターシャ「ちょっと待ってよ~!」

 

こうして、シンジに私の事を聞くために、旅が始まったのであった。

 

 




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