皇女という設定でVtuber始めたら大変なことになった (フルシチョフ)
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配信1回目!

「あ、Vtuberなろう」

 

そうだ京都に行こう並の軽いノリで私はそう思った。

Vtuberとは、動画投稿サイトで二次元の体を持って活動している人たちのことを指す。

それになりたいと私は思った。

 

画面の中で生き生きとしている姿は羨ましく私も一緒にゲームとか歌ってみたい。

幸いお金には困っていないので機材やモデルとかはすぐに準備できた。

 

そして、初配信日当日。

私は心なしか緊張していた。

 

「大丈夫…あんなに自己紹介や流れの確認もしたし…」

 

自分にそう言い聞かせてカウントダウンを始める。

時刻は1900、この時間なら見てくれる人がいると考えたからだ。

改めて今回用意したモデルを確認する。銀髪をサイドテールにし、碧眼で胸は控えめ。

見れば万人が可愛いと思えるような仕上がりだった。

ありがとー!作ってくれた人ー!!

 

そして、その時がきた。

震える手で配信開始ボタンを押す。

 

「みんなー、こんばんわー!」

 

元気よく挨拶し、コメント欄を確認する。私の読み通りならばそこには可愛いと言う文字が、文字が、文字が…。

 

「……そうだよね」

 

コメントなんて一つもなかった。それどころか見てくれてる人もいなかった。

詰まるところ、えーーー、誰一人来ませんでした⭐︎つら。

 

「誰もいないかー…。まぁ、そうだよね!でも、アーカイブ見てくれる人もいるかもしれないから自己紹介とかやっていくね!」

 

一人も見てないからなんだ!最初は誰だってこうなんだ!個人でやってるから尚更だ!!

 

「私の名前は、桜山銀。16歳高校生!身長は149cm、血液型はA型」

 

私が言いなれた台詞を聞いてくれる人は誰もいない。でも、続けていく。

 

「好きなことはー、寝ることと食べること!」

 

 

 

 

 

「なんで私がVtuberやろうと思ったかと言うとー」

 

 

 

 

 

 

「この配信ではー」

 

 

 

 

 

 

「それではこれで配信終わりたいと思います!みんなー、バイバイー!!」

 

約30分の配信は誰もこないまま終わりを告げた。

でも、悲観する必要なんてないよね!ここからここから!!

配信終了ボタンを押すと私は椅子に背中を預ける。

 

「でも、やっぱりちょっと寂しいかなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【実況】Vtuberについて語るスレPart3

 

13 名無し

最近、Vtuberの流れきてますね

 

14 名無し

それなー!でも多すぎて誰を見れば良いかわからん…

 

17 名無し

>>14 おすすめは大御所である秋葉紅葉ちゃんとかかなー。新人Vtuberでもたまに原石紛れてるから一番は自分の息子に素直になることやな

 

21 名無し

私女です

 

24 名無し

>> 21どこ住み?

 

25 名無し

>>21 会える?

 

28 名無し

>>24 >>25 きっしょw

 

 

 

 

143 名無し

んー、自分の股間を信じて漁ってるけどなかなか良い子いないなー

 

144 名無し

実行してて草

 

145 名無し

ははー、さては貴様男だな?

 

146 名無し

>>145 ピッチピチのJDやぞ

 

147 名無し

きっっっっっっっっっっつ

 

148 名無し

さっき見つけたんだけどこの子とかどうよ

URL⇒http://www.Sakurayama

 

149 名無し

これは個人でやってんのか?にしては声もいいし、モデルもいいな…

 

150 名無し

うわ。アーカイブ見てみたらこの子配信中視聴者0人やんけ!

 

151 名無し

ほんとや!…え、てことは誰もみてないのにあんなにハキハキ喋ってるんか…?

 

152 名無し

クソつよメンタルやんけ…俺ならすぐにVtuberやめるぞ…

 

153 名無し

 

154 名無し

>>153 どうしたJD(仮)

 

155 名無し

>>153 もしかして…

 

156 名無し

>>153 お眼鏡にあったんでせうか?

 

157 名無し

この子推せるわ!!!!!!!!

あと(仮)つけた奴お前絶対許さない

 

158 名無し

>>157 ヒエッ

 

 

 

 

 

 

 

214 名無し

じゃあ、今までのまとめるぞ

 

215 名無し

>> 有能

 

216 名無し

>> 有能

 

217 名無し

>> 有能

 

221 名無し

名前は桜山銀

身長149cm、好きなことは寝ることと食べること。

デブではないない。スレンダー。

事務所には所属していない

Vtuberやろうと思ったきっかけはVtuberで元気をもらったから私も皆に元気を分け与えたいと思ったから。

配信では主にゲームを、たまに歌うみたい。

設定として一国の皇女。

 

まぁ、こんな感じか

 

222 名無し

銀ちゃんめっっっっっっっっっっっっっっちゃいい子やん…

 

223 名無し

疚しい視線で見てたJD(仮)はどう思っているんやろうなぁ

 

224 名無し

そりゃ罪悪感でいっぱいよ

 

225 JD(仮)

コロ…コロ…シテ…

 

226 名無し

 

227 名無し

ちゃっかりコテハンつけてて草

 

228 名無し

(仮)つけてて草

 

229 名無し

でも、この声どっかで聞いたことがあるんだよなー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉がノックされる。

閑散として部屋にはそれが大きく響き、配信を終えたばかりの私を現実に戻した。

 

「ーーー皇女様。お時間です」

「えぇ、今行くわ」

 

扉をあけ、皇女でありモデルと同じ姿を持つ私は城の頂上にある演説場に立つ。

眼下には民たちが私に向かって声を送ってくれる。

 

 

「皆様、こんにちわ」

 

配信と違って凛とした作り出した声で民たちがシンと静かになる。

私の名前は、リヒ・アルエスト。

 

アルエスト王国の皇女である。




リアルの某皇女をモデルにしたわけじゃないんよ…
Vtuberいいですよね。
特に、アブラホムさんの配信がおすすめです!!!


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配信2回目!

アルエスト王国。

これは日本から約2000km南西にある島国である。

九州の約1.5倍の面積を持っている。

では、何故日本よりも遠い地にあるのに公用語が日本語かというと鎌倉時代まで遡る。

海に出ていた漁師がこの地を発見し幕府に報告。なおこの話、最初は信じられなかった。

それはそうだ。当時の航海技術は発展しておらず、その地にいくことさえあまりにも現実的ではないと判断されたからだ。

 

しかし、この漁師はクソほど幸運であった。

なんと再度その地を目指し何事もなく到着し、そこの物珍しい植物などを持ち帰ってきたのだ。

幕府もそこまでされたら信じるしかない。その男を筆頭に一つの船団をその島に向かわせた。

だが、その船団は帰ってこなかった。

幕府はすぐにその船団を忘れた。しかし、数日後ことが動いた。

浜辺にあの男からの手紙が流れ着いていたのだ。

潮の流れに運良く乗って、運良く幕府近くの海辺に、運良く流れ着いたと言ったべきか。

木箱に厳重に入れられた手紙の内容は大雑把に言えばこうだ。

 

『ここめちゃんこ快適すぎるからみんなで移住するわ』

 

これである。馬鹿なのでは?

そこから発展を重ねていき、日本と貿易するまで至った。

なお、その地域では謎めいた現象が起こる。

生まれたばかりの赤ん坊の髪の色がおかしい。

 

そう、突然変異である。そこから何やかんやあって今に至るというわけだ。

 

アルエスト王国はすでに独立国として扱われてはいるが日本とは強いつながりがあるとだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

それで、皇女の私はこの漁師の子孫にあたる。もう笑うしかない。

 

 

「皇女様」

「何かしら」

「ここの書類なのですが」

「あぁ、それは」

 

皇女の仕事には既に慣れたもんだ。

こうやってスラスラ処理できる。

 

「皇女様、ここの処理間違っております」

「…わかったわ」

 

でもたまにミスをする。まぁ、そこも愛嬌よね。

失敗した書類をぐしゃぐしゃにして適当に後ろに投げる。

すると、幸運にもゴミ箱に入る。

 

そう、私たち王族は漁師の名残からか皆して幸運なのだ。

まぁ、Vtuberの初回配信は不運にも誰も来なかったけど。

 

 

粗方仕事を終わらせると私は自室で配信の準備をする。

何事もコツコツとやらないとね!

チャンネルに移動すると驚くべきことが起こっていた。

 

「ふ、増えてる…!」

 

そう!チャンネル登録者が17人になっているのだ!!

なにこれめっちゃ嬉しいんだけど!!

 

そうそう、私は皇女として凛とした言葉遣いを意識してはいるが素が配信中の私ということを追記しておこう。

 

すぐに準備を整え、1900。

私は配信開始ボタンを押す。

 

するとーーー

 

コメント:初見

コメント:初見

コメント:今北、やってる?

 

「はわわわわ!こ、こ、こんにゃちわ!」

 

どうしよう嬉しぎて噛んじゃった…。

いや、まさかこうやってみてくれる人がいるなんて…。視聴者数は現在11人。

まだ少ない部類に入るけど昨日より大躍進してるわね!

 

コメント:初手かわムーヴ。さては貴様できるな?

JD(仮):緊張しないで?応援してるわ

コメント:くそっ!もう嗅ぎつけやがった!!!

コメント:噂のヤバいやつがきたわね

 

「え、え、なんですか?この人やばい奴なんですか…?」

 

コメント:怯えないで…

コメント:銀ガチ(ガチ)勢やぞ

JD(仮):;)

コメント:ウインクきっっっっつ。年齢考えろ

JD(仮):貴様さては(仮)つけた奴だな

コメント:やべ

コメント:特定されてて笑う

 

コメントで行われるコントに私はちょっと笑ってしまった。

 

「ふふっ」

 

コメント:笑顔可愛すぎか?

コメント:笑い声助かる

JD(仮):投げ銭させて…させて…

 

「投げ銭!?ごめんね…私有名じゃないから収益化が夢のまた夢…はぁ…」

 

コメント:泣かないで

コメント:その夢、現実にしてやる

JD(仮):銀ちゃんに悲しい思いをさせるとどうなるかわかるか?私も悲しい。

コメント:感受性100点満点。性格0点

JD(仮):あ?

コメント:そういうとこやぞ

 

「喧嘩しないのー!」

 

コメント:はーい!

コメント:はーい!

JD(仮):ママー!!

 

「誰がママじゃ」

 

このJD(仮)っていう人なかなかに個性的で面白いな…。

さてと、じゃあ今日はゲーム配信やるぞー!

 

「今日はねー!ゲーム配信するよー!その中で私のハッシュタグとか色々考えて欲しいんだけど…いいかな…?」

 

コメント:この首コテンで十二回死んだんだけど?

コメント:成仏してクレメンス

コメント:ええでー!

JD(仮):なにやるのー?

 

「任天○から発売されたアソビ大○やる!」

 

コメント:ルドーやらんか?

コメント:おい馬鹿

 

「ルドー?なにそれ」

 

コメント:一生遊べる(物理)ゲーム

コメント:ただサイコロを投げるだけのゲーム

 

「なんか面白くなさそう」

 

コメント:逃げる?w

コメント:なんでこいつこんなに煽るん?

 

「誰が逃げるって?」

 

こいつぅー!私を舐め腐ってるな!!いいよ!やってやろうじゃねぇか!!

 

コメント:おいばか乗るな!

JD(仮):乗るな!戻れ!

コメント:所詮はvtuber界の敗北者じゃけぇ…

 

「て、てめええええええええ!!」

 

そのルドー完全攻略してやらあああああああああああ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、一位でゴールしました」

 

コメント:うっっっっっそやろ…

コメント:全部6とかありえるのか…?

JD(仮):流石私が見込んだ子ね

コメント:声震えてるぞ

 

わずか5分でクリアするとコメント欄が賑わう。

というか気がついたら視聴者数が3桁になってる!え、え、なんで?

 

コメント:ルドーRTA配信ってここですか?

コメント:次はヨットやってみて

 

「ヨットですか?どういうゲームなんです?」

 

コメント:サイコロを投げるゲームです

 

「またサイコロかよ」

 

コメント:ジト目助かる

コメント:低い声助かる

 

 

 

 

 

 

 

「はい、一位で終了ですね」

 

コメント:この子怖すぎる

コメント:これ最高得点なんじゃ…?

JD(仮):空って青いですね

 

「え、そうですね」

 

JDさんどうしたんだろう…?

……んん?待って待って!

 

「視聴者数1000人超えてる!なんで!!」

 

コメント:トレンド載ってるで

コメント:運を飼い慣らす女がいると聞いて

コメント:紅葉ちゃんが反応していたぞ

 

「え」

 

その一言で私の脳内が真っ白になる。

紅葉ちゃん。私がVtuberを目指すきっかけを与えてくれた張本人。

そんな人が見てくれてるの…?

 

コメント:豪運で震えてた

コメント:運ゲー界のラスボスって言ってる

コメント:低い声で倒さなきゃって言ってる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀ちゃんを応援するスレPart1

 

432 名無し

今日の配信はやばすぎた

 

433 名無し

彼女に運ゲーをやらせない。いいね?

 

434 名無し

アッハイ

 

435 名無し

ルドー⇒オール6でクリア

ヨット⇒最高得点でクリア

BJ⇒一度もバーストしない。また20の値で間違ってヒットしてしまったけれども1を引くという神業をやってのける

ポーカー⇒ロイヤルストレートフラッシュなんて初めて見ました…

将棋⇒運要素がなければという思いの元提案したが25手詰を20秒で解くという神業をやってのける

 

これで一般人名乗ってるってやばない?

 

436 名無し

は?銀ちゃんは皇女やぞ?当たり前なんだが?

 

437 名無し

当たり前、とは?

 

438 JD(仮)

まとめ有能ニキそろそろ頼む

 

439 有能ニキ

おっしゃまかせろ

 

440 名無し

忠犬かな?

 

441 名無し

まとめ助かる

 

457 有能ニキ

ファンアート⇒#ぎん絵

放送タグ⇒#国民放送銀の民

視聴者⇒銀の民

 

今回の放送で登録者数が1000人突破。まぁ、いろんなことがありましたからね…。

 

ツイッターのトレンドの3位にのる。そりゃルドーを5分でクリアしたら乗りますわ。

また、煽りには弱い模様。可愛い。

 

紅葉ちゃんに認知されフリーズする。これまた可愛い。

 

結論、ぎんちゃん可愛い

 

459 名無し

 

460 名無し

 

461 名無し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃ!今日もアソビ○全やっていくよ!」

 

コメント:紅葉ちゃんのクソ雑魚プレイ期待してます:)

コメント:どうせ負けるんや!

コメント:ルドー今なら最速クリアできると思うんだけどどう?

 

「昨日ルドー勧めて1時間以上無駄にさせたお前らを誰が信じると?」

 

コメント:草

コメント:草

コメント:草

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁー!また負けたぁ!!!」

 

コメント:クソ雑魚プレイ助かる

コメント:叫び声助かる

コメント:今日は不運紅葉ちゃんね

 

 

 

コメント:やっぱりこれが普通だよなぁ

 

 

 

私は何故かそのコメントに目がいった。

いつもなら流し読みする程度だが気分転換に反応してみた。

 

「普通?普通ってどういうこと?」

 

コメント:新人Vtuberの銀ちゃんって子がルドー5分でクリアしたりヨットで最高得点だしててですね…

 

本来、配信の中で他のVtuberの名前。ましてや同じ事務所ではない名前を出すのはマナー違反だが私はそのコメントの内容に興味が惹かれてしまった。

 

「ーーーっ!ちょっと興味出たから配信見てくる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この子やばない?」

 

コメント:これはラスボス

コメント:麻雀やらせたらやばそう

 

その日、紅葉のアカウントでこう呟かれていた。

 

『待ってる』

 

 

意味など簡単だ。

トップVtuberと新人がコラボできるなんてあり得ない。だから、コラボしたいから頂点まできなさい。

そういう意味だ。



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配信3回目!

「これ、本当に現実…?」

 

私は自分のチャンネルを見ながらそう呟いた。

昨日の配信でなんと登録者が4桁になり、衰えることなく登録者数が増え続けている。

 

そして、何より紅葉ちゃんの件だ。

現在のVtuber界の土台を作ったと言っても過言ではない大物に認知されたことに私は喜びを抑えることができなり、枕を口元に持ってきてベッドの上でジタバタと足を動かしてしまう。

 

「〜〜〜っっ!!」

 

こんなはしたない所はメイド長とかに見られたくないな…。

 

そんなことを考えていると扉がノックされる。

私は慌ててベッドから飛び降り、服の皺を伸ばす。

扉の向こうから声がかかる。

 

「皇女様。先ほど苦しげな声が聞こえましたが大丈夫でしょうか?」

「んにっ!?」

 

嘘!?今の聞かれてた!?

 

「んにっ?」

「…いえ、なんでもないわ。問題ないわ」

「そうですか、ならよかったです」

 

扉を開けると、そこには190cmを超える巨体。赤髪をオールバックにしたいかにも剣士といった風貌をした男性がいた。

 

この男の名前は、サルエルト・リアーズ。私直属の護衛隊の隊長である。

 

「しかしサルエルト。私の生活音を聞くほどあなたって歪んでたかしら?」

「お戯れを。それが仕事なのです」

 

このサルエルト、なんと朝の0815から1700まで常に私の側にいて守ってくれている。正直、この特別な国で私を狙う輩など存在しないためただの形式上のものとなっているが。

 

「サルエルト、貴方最近疲れているわよね。何か気分転換になるものとかないの?」

「…そうですね。最近はスイーツ作りでしょうか?」

「あら意外」

 

ほんと意外だよ!私知ってるんだからこの見た目で夜中にスイーツをニコニコで作ってるってこと!!可愛かったわよ!!

 

「もし良ければ頂いてもいいからしら?」

「お口に合わないですよ」

「馬鹿ね、臣下が作った食べ物よ。美味しいに決まってるじゃない」

「これまた嬉しいお言葉を言ってくださりますね」

 

いや、謙遜とかじゃなくて貴方のお菓子ばちくそ上手いからな?

この前つまみ食いしてみたら旨すぎて……馬になったわ 

 

まぁ、世間話とかこれぐらいにして仕事しますか!早く配信したいなー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、きたわね。

配信の時間の数分前からコメント欄は私を目的に見にきてくれた人たちで賑わっている。

 

コメント:今日はなにをやるんですかね?

コメント:ホラゲーって書いてあるだろ読めねぇんかカス!

コメント:んだとオラァ!!

桜山銀/Gin Sakurayama:こんなところで喧嘩はめっ!

コメント:ママー!

コメント:ママごめんよー!!

 

前回の配信でJD(仮)さんが私のことをママと呼んだせいかこういうテンプレが出来つつある。

さてと、今日やるホラゲーは最近発売されたS○nyから発売された『Call not』というゲームである。

 

これがどんなゲームかというとある一人の青年が気がついたら真夜中の学校に居てだな

そんでな学校の窓などは全て開かなくなっているの

出られないからどうしようかなと思ったらなんと目の前にクラスメイトがいるではないか

呼ぶとそのクラスメイトは顔を歪ませあり得ない姿勢で追いかけてきたではないか。

 

まぁ、やってみたほうが早いか。

 

「みんな!こんにゃち!!」

 

コメント:こんにゃちー!

コメント:こんにゃちー!

コメント:噛んだ時の挨拶を使用するVtuberの鏡

津百合楓:面白い女

コメント:!?

コメント:くそ!またやべえーやつかよ!!

JD(仮):またって前にもやばい奴がいたの?

コメント:オメーだよ!

コメント:さくちゃんコメント読んで!

 

「えとえと、今日はねーCall notやっていくよー!…ん?なんでこんなにコメント欄が加速してえええええぇぇぇえええええ!!!??つゆ様!?!?!??!」

 

津百合楓。通称つゆ様。

あの天下の紅葉ちゃんが所属するニジライブの2期生の一人だ。

見た目は黒髪の清楚なお姉さんキャラなのだが口が悪いことで有名だ。

それこそゲームで負ければ暴言、騙されたら暴言といった具合である。

しかし、語彙力がないせいか罵倒は全て小学生レベルで逆に人気を博している。

 

「あ、あ、あ…!つゆ様ぁ…!」

 

コメント:反応がオタクのソレ

コメント:微妙に気色て好き

JD(仮):さくちゃんを困らせて食べる飯はうまいか?私は旨い

コメント:てめーは黙ってろ!!

津百合楓:今日は1リスナーで来たから気にしないで!

葉隠薫:お前そんなキャラだった?

コメント:二期生がどんどんくるな

 

「薫くん!?」

 

コメントに現れるはつゆ様と同期の葉隠薫くん。

前髪で片目を隠したまぁいわゆるイケメンVtuberだ。なんでこんなに二期生が…。

いやいや!はよ実況しなきゃ!!

 

「コホン!でわでわ気を取り直してやっていくでござんす」

 

コメント:口調バグってて草

コメント:さくちゃん可愛い。可愛くない?

コメント:さくちゃん可愛い。これは全世界共通認識なんだが??

 

コメント欄が可愛いで埋め尽くされていく中不穏な空気が流れ始めた。

まず、このCall not何が厳しいかというと主人公の他にも迷い込んだ人たちがいるということ。しかし、迷い込んだ人たちも呼んだら化け物になってしまうことを知っているため武器を持って襲いかかってくるかおもいっきし逃げていきます。

 

まぁ、このゲームデスロワイヤルホラゲーという新ジャンルなのである。

 

コメント:でもまぁよくこの鬼畜げーをチョイスしたな

コメント:これ化け物と人間の区別つかないし化け物じゃなくて人間も襲いかかってくるし、人間は殺せるけど化け物は殺せないし色々カオスだよな

コメント:…調理室

コメント:ヒェ

コメント:ネタバレNG

コメント:ユルシテ…ユルシテ…

コメント:トラウマえぐられている人いて草

コメント:さくちゃんホラゲー大丈夫なん?

 

え、ホラゲー大丈夫かって…?

んー、どうなんだろう。この国は幽霊より怖いものなんて沢山あるし…まぁ、ヘーキヘーキ!

 

「わかんないけどヘーキだと思う!」

 

葉隠薫:誰かこいつを止めてくれ

コメント:薫くん優しい

津百合楓:悲鳴助かる(素振り)

コメント:草

 

「よっしゃ、始まった!さてと、なるほどこういう始まりなんですね」

 

主人公の青年はアルバイトのため深夜のコンビニに足を向けた。

真夜中の星空は煌めいて見え、足取りが心なしか軽かった。

 

『あれ?』

 

青年は首を傾げる。

針が12時を回っているこの時間帯に幼い黒服の少女がこちらを電灯の下からジッと見つめているではないか。

長い髪で顔が隠れ、その表情を窺うことが出来ない。

しかし、不気味さと同時に心配する気持ちが彼を突き動かした。

青年には目の前の女の子とそう歳が変わらない妹がいたからだ。

 

『君、こんな時間にお出かけは危ないよ』

『ーーー』

『あぁ、ごめんね。いきなりで警戒しているよね。でも大丈夫。お兄さんがお家までちゃんと送ってあげるから』

 

ーーーだから、おいで

 

 

 

 

彼は、呼んでしまった。

どこからか笑い声が聞こえてくる。自分の背後からだ。

 

 

 

 

「へ、へぇー、なかなかにグラフィック綺麗でいいですね」

 

なんだよぉ…思った以上に怖いじゃないかよぉ……

 

コメント:ビックビクで草

コメント:震えてるさくちゃん正直にいって好き

JD(仮):この震え声だけであと64億年は生きれる

 

 

彼は咄嗟に振り返る。しかし、そこには何もなく電灯がチカチカと夜道を照らしていた。

 

『今のは一体……っ!』

 

再度、子供の方に目を向けるとそこには誰もいなかった。まるで、彼女の存在だけが綺麗に切り取られたかのようにあまりにも自然に時が流れていた。

 

 

 

 

そして、いきなり女の子の歪んだ表情が映し出される。

 

『ア゛ア“ア“ア“ア“ぁぁ』

「あびゃああああああ!!」

 

コメント:悲鳴可愛い

コメント:初見だとやっぱりそこでびびるよなw

コメント:なんかさっきから音が聞こえないんだけどなんで?

コメント:鼓膜の予備用意しとけよ

コメント:悲鳴助かるわぁ

JD(仮):着信音にした

津百合楓:目覚まし音にした

葉隠薫:君ら人の心無いの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっしゃああああああああああああ!!!調理室の鍵ゲット!!」

 

配信から1時間が経過した頃、私のテンションは絶頂を迎えていた。

 

コメント:ホラゲーやるテンションじゃない

コメント:さっきからこの子口ぱくじゃん。やる気あんの?

コメント:また鼓膜の犠牲者が…

JD(仮):切り抜き確定

葉隠薫:でも調理室って…

コメント:あ

コメント:あ

コメント:スー

 

「なんだい!なんだい!余裕じゃないか!全然怖くないな!!おら!もっとこいよ!おらおらんびっぱっ!!」

 

コメント:んびっぱってなんやねんw

コメント:あ、君かー

 

まだ心臓がドクドクいっている。私が調理室の道に向かっていたら突然振り返って黒服の少女が真後ろにいるんだもん。

 

『ねぇ、次の調理室は嫌な予感がするの』

『嫌な予感?』

 

青年は少女の話に耳を傾ける。

既に故人となっているこの黒という少女は昔にいじめで亡くなったんだがその際の恨みでこの異次元の学校と化物を作り出してしまい、無関係な人を巻き込んでいるらしい。

目の前の黒は善な心のみをもつ幽霊で青年に力を貸してくれている。

 

そして、彼女がいう予感とは外れることない。

 

『ーーー恐らく次が最後の場所。調理室は私が殺された場所。そこに行けば私を、黒を成仏させることができる何かがあるはずよ』

 

彼女の言葉に背を押されるように扉に手をかける。

 

『ありがとう、力を貸してくれて』

『私こそありがとう。私のために頑張ってくれて。あなたに出会えて本当によかった。ーーーきっとお兄ちゃんがいたらこんな感じだったのね』

『ーーーまたな』

 

 

 

 

         『うん、またね』

 

 

 

 

 

「うぅ…黒ちゃん……」

 

黒ちゃんは最初は怖かったけど本当に主人公を献身的に助けてくれたりしてくれてこのゲームの癒しだった。

 

コメント:このシーンは本当に泣けるね…

コメント:笑顔で消えていく姿なんてもうね…

JD(仮):鼻水止まらん…

津百合楓:つハンカチ

葉隠薫:その優しさを少しでも俺に分けてくれ

津百合楓:うるさい

 

 

「よし…いくよ皆!」

 

調理室の鍵を使いますか?  ▶︎使う

               まだ使わない

 

ガラガラ。

扉がゆっくりと開かれていく。

そこにはーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

コメント:クリアした感想は?

コメント:こんなんトラウマ決定やろ…

コメント:海外で怖すぎて規制された理由がわかった

コメント:体の震えが止まらん

JD(仮):…がちで動かないな

 

 

ーーーはっ!あまりの怖さで失神してた!

 

「ご、ごめんね?ちょっと失神してた」

 

葉隠薫:重症ですねこれは…

コメント:ちょっと失神…?

コメント:皇女失神…閃かない

コメント:それでよし

 

 

 

「ふぅー!まぁ、無事にクリアできたからよしとしよう!でももうホラゲー配信しないからな!!」

 

コメント:鋼の意思を感じる

コメント:最後にエピローグやって終わりですね^^

 

ん?エピローグ?

あ、これかぁ。最初の電灯の所から何々コンビニに行けばいいのか。

そういえば此奴バイトに行く途中やったな。あんな目にあった後バイト行く精神やばくない?

 

 

 

 

青年はバイトの道のりを歩いていく。

すると、目前にコンビニの店長がこちらを笑顔で見つめていた。恐らく心配して探しに来てくれたんだろう。

 

 

 

 

「あ、お前!あの時はよくもやってくれたな!」

 

学校の中でもなんとこの店長がいたのだ。しかも、すぐ序盤で出会って呼んだら笑顔でブリッチしてな高速で追いかけてきたんだよな。

それで捕まってゲームオーバーになったのはいい思い出だ。

 

 

『てんちょー!』

 

青年は控えめな声量で店長を呼ぶと彼の顔の笑顔がどんどん広がっていく。

 

 

 

「え、え、え」

 

何これ何これ何これ!

 

 

 

 

その光景はあの学校で沢山見てきたソレだった。

店長は張り裂けた口元を見せつけるかのようにブリッジした。

 

そしてーーー店長の張り裂けた顔がアップで表示されゲームが終わった。

 

「んにいいいいいいいいいい!」

 

やりおったなあのご○カスうううううううう!!

 

 

 

コメント:一言お願いします

 

 

 

「もうホラゲーなんてやらんもん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀ちゃん(さくちゃん)を応援するスレPart5

 

311 名無し

今日も可愛かったな

 

312 名無し

叫び声だけで20分以上あるのヤバすぎる

 

313 名無し 

それだけCall notがやばいということ。ちなみに近々続編のCall not2が発売される模様

 

314 名無し

主人公の妹である莉音ちゃんが主人公だっけ?さくちゃんやってくれへんかな

 

315 名無し

『もうホラゲーなんてやらんもん!』

 

316 名無し

悲しいなぁ…

 

317 名無し

今更だがアルエスト王国の皇女と外見一致すぎだよな

 

318 名無し

リヒ様だっけか?まぁ、写真はテレビに映るの極端に嫌ってるから人伝いの情報だけどそうやなぁ

 

319 名無し

情報をもとに作ったんやろうなぁ

 

320 名無し

案外本人だったりしてw

 

321 名無し

そうだったら不徳を働いたJD(仮)さんは…

 

322 名無し

残念ながら…

 

323 JD(仮)

さくちゃんに殺されるならむしろ本望!!

 

324 名無し

頭のネジ逝かれてて草

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

567 有能ニキ

よし、今日のまとめだ。

 

さくちゃんの初のホラゲー配信。

ニジライブの2期生が見にきててオタな反応する。可愛い。

Callnotに完全にやられてしまったさくちゃん人生初の失神を経験する。可愛い。

ゲームで失神って相当やばいわね!

 

次の配信はマシュマロを読んだり、お歌を歌うらしい。

皆!くそまろを送るなよ!!

 

568 名無し

注意喚起を忘れない有能ニキ好き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皇女の護衛を終えた私は明日の仕事の準備を終え、調理室へときていた。

最近ハマっているスイーツ作りだ。

今日作るのは皇女の大好きなショートケーキだ。あの人に献上するものだから下手は許されない。

 

 

「よし、こんなもんか。後はスポンジを焼き上げて…。40分暇だな。どうするか」

 

そんなことを考えていると部下からお勧めされた動画サイトのことを思い出した。

スマフォの中に入っているそのアプリを開いてみると急上昇のところに私は目を疑うようなサムネイルがあった。

 

「リヒ様!?」

 

そう。我が皇女と瓜二つのキャラがいたのだ。

…これが噂に聞くVtuberというやつか。

 

『おっしゃああああああああああああ!!!調理室の鍵ゲット!!』

 

いや、皇女ではないな。

あの冷静沈着、頭脳明晰なあのお方がこんなお声を出すはずがない。

しかし、人を惹きつける声に関しては皇女と似通う所はある。

 

 

 

 

 

ゲームが終わり、このさくちゃんと呼ばれている桜山銀というVtuberは涙声で色々文句を言っている。

しかし、こうも夢中になって見れるものなのか…。

 

私はチャンネル登録ボタンを押して好奇心でコメントしてみる。

 

 

コメント:一言お願いします

 

『もうホラゲーなんてやらんもん!』

 

その言い方がなぜか幼き頃の皇女と重なり私は笑みを溢したのだった。




津百合楓:ニジライブのヤベーやつ
葉隠薫:ニジライブのぱぱポジション

次回はマシュマロと歌回です!
活動報告になんか質問とか書いてください!ねたがないんです!


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配信4回目!

「大丈夫?」

 

その出会いが必然ではないとしても、私はその出会いが素晴らしいものだと思ってしまった。

赤く染まった空から覗く彼女の凛々しさは胸の鼓動を早め、息を荒くさせる。

それが、小さい頃の、小さい物語だったとしても私を変えた人生の一幕ということを今も覚えている。

 

「あ、ありがとう…ございます…」

「そう、貴方が無事なら良かったわ。でも、無闇に道路に出ちゃダメでしょ?私が引き寄せなきゃ貴方引かれていたわ」

「ご、ごめんなさい…」

「ん、謝れて偉いわね。そうだ、お礼として一つお願いしてもいいかしら」

 

私はその言葉に少し胸がドキッとする。

彼女の身なりからかなり裕福な家庭で育っているということは一目瞭然。

だが、お礼として金銭を要求されたらたまったもんじゃない。

しかし、私の予想を嘲笑うかのように彼女の願いはただ単純なものだった。

 

「貴方の名前を教えて欲しいの」

 

その言葉にそれまでの邪な思考に陥っていた私はポカンと口を開ける。と、同時に笑いがこみ上げてきた。

その様子を見た彼女はおろおろしながら困惑の表情を浮かべる。

一頻り笑った後、目尻にたまった涙を指で拭った。

 

「ふー……。私は、桜山日菜。貴方は?」

 

彼女は銀色に靡く髪を押さえながら満面の笑みでこう言った。

 

ーーー私は、ただの皇女様よ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、あの子の名前は教えてもらえなかったなぁ」

 

大学生となった私はあの子と二人で撮った写真を見つめながらそう呟いた。

あの皇女発言の後二人して笑い合ってその後一緒に遊んで、嫌がる彼女を説得して写真を撮って…。過ごした時間は本当に短かったけどすごく貴重な体験をした。

ベッドの上でゴロゴロしていると母親の声が聞こえてきた。

 

「日菜ー。お迎えが来てるわよ」

「ありがとう、お母さん。今いくわ」

 

服のシワを伸ばし、荷物をまとめ玄関へと向かうとそこにはスーツを着てる初老の男性がいた。

彼は私に軽く会釈すると家の横につけてある車へと私を促す。

 

「行ってきます」

「行ってらっしゃい。体には気をつけるのよ?」

 

車で数十分。初老が運転する車でとあるビルへと到着する。

車を降り、エレベーターで最上階へと向かう。

『社長室』と書かれているプレートへと入室し、私は躊躇することなく椅子に座る。

 

扉がノックされ、一人の女性が入ってきた。

 

「お疲れ様です、社長。本日のご予定なのですが」

 

私の名前は桜山日菜。

大学生(仮)の一人の女性だ。

 

そして、このVtuberの会社であるにじライブの社長である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、こんにゃち……」

 

コメント:こんにゃち……

コメント:寂しげな声

コメント:大丈夫?

 

うう…。今日なんか知らんけど昔の夢見て悲しくなってる…。

あれは何年前なのかしら。

日菜ちゃん元気にしてるかなー。

 

「ちょっと懐かしい夢見て悲しくなってる」

 

コメント:さくちゃん泣かないで

コメント:でも悲しげなさくちゃん…いいわね

コメント:さく虐はNG

 

コメント欄は私を心配するこえで溢れているがこんなんじゃ今日の配信を無事に終われない!

よっし!切り替えて行こー!!

 

「でも今日はちゃんと配信するよ!」

 

コメント:偉い

コメント:この子は伸びる

コメント:さくちゃんはママで俺たちはパパだった…?

コメント:父性を得て、母性を得る

コメント:この熟語は流行る

 

「流行らんわ」

 

コメント:一蹴は草

コメント:否定助かる

 

この人たちは何を言っても助かるのでこっちも気にせず行けるから助かる(洗脳)

さて、今日やるのはマシュマロと歌配信だ。前段はマシュマロを消化し、後段は歌を歌う。

 

「マシュマロいっくぞー!」

 

コメント:ぞー!

コメント:ぞー!

コメント:ぞー!

 

『好きです付き合ってください』

「ダメです」

 

コメント:無慈悲

コメント:惜しくないやつをなくした

コメント:強く生きて

 

「初手これって中々に不安なんですけど…!次行きますよー!」

 

コメント:よー!

コメント:よー!

コメント:よー!

 

『ぴ』

「いやぴはわからんのよ」

 

コメント:草

コメント:どうしようねぇマシュマロだなぁ!

 

ほんとだよ!なんかこういいマシュマロ期待してたんだけど!!

いや期待した私がバカだった!!

でも、次行っちゃうぞー!

 

『炊飯器新しくしました!』

「おめでとうございます。……そういうのはTwitterでやってください」

 

コメント:大喜利始まったな

コメント:大喜利配信ってここですか?

 

「大喜利配信じゃありません!というか皆さん私への質問ないの!?」

 

コメント:そういう日もある

コメント:ランダム選択機能無能

 

そうなんだよね。

マシュマロが思った以上に来てたせいで選ぶのが大変だったからランダム選択にしたんだけど…愚作だった。

悪いけど選択機能は引退してくれぃ…。

 

『外見がアルエスト王国の某皇女の見聞した姿にクリソツな理由教えてください』

「お、まともなの来ましたね」

 

コメント:それ知りたかった奴

コメント:ランダム選択くん有能

コメント:掌くるっくる

 

コメント欄ではどうなの?と流れてくるがこれどうしようかな…。

別段答えてもいいけどこんなことやってるのメイド長に知られたり、サルエルトに見つかったりしたら大目玉だと思うんだよね。

 

「うーん…、単純にその皇女様の姿がドストライクだったからですね。だって、見聞した時点で美少女って感じだったし」

 

ここは誤魔化しておこう。あと、本当は美術のセンスがなく結局自分をモデルにしたことなんて誰にも知られたくないし。

 

コメント:自己紹介かな?

コメント:まぁそれは同意する

 

それから何個かマシュマロを消費するとちょうどいい時間になっているのに気付いた。

さてと、次は歌なんだけど…。あれ、なんだろうこの恥ずかしさ。

 

「……なんか恥ずかしくなって来たんですけど」

 

コメント:おうた弱々か?

コメント:大喜利で喉潰すから…

コメント:それらは俺らのせいであって

 

「ま、やっか」

 

コメント:!?

コメント:なんだ今のイケボ

コメント:男前皇女すき

コメント:新しい扉開いた

 

ん?なんか無意識に出した声が民どもに好評ぞ。

では、第一曲目聞いてくださいな。

 

「チューリングラブ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わった〜!どうだった?」

 

コメント:イケボとカワボの両刀使いとは恐れ入った

コメント:恐ろしいほど早い声替え…俺じゃなきゃ聞き逃しちゃうね

コメント:どや?俺の彼女すごいやろ?

コメント:お前の彼女じゃない定期

コメント:主将は農家で米を作っててどうぞ

 

おお〜、コメント見る感じかなりいい感じなのでは。

しかし、思った以上に男声の評判がいいですね。

……!

 

「じゃ、次の曲いくよ」

 

コメント:あびゃあああああああああああ!

コメント:かっこいいっっっっっ!!

コメント:まさか女にされるとは

コメント:さくちゃんそんな格好良くて誇らしくないの?

 

私が意識して出した男声でコメント欄が荒れに荒れ狂う。なんでしょうか。いつもコメント欄に踊らされてはいますがいざ立場が逆になるとこうゾクゾクってしますね…!!

さ、時間もないですしどんどん行きますよー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だっはー!!おっしゃどうだやってやったぞ!!!!」

 

コメント:誰だブリキノダンス3倍速歌ってくださいをリクエストしたやつ

コメント:【悲報】皇女壊れる

コメント:途中まで清楚だったのに…これじゃ清楚キャラが壊れるなぁ

コメント:ホラゲー配信でそれはもうぶっ壊されたでしょお爺ちゃん!

コメント:男声で3倍速ブリキノダンス歌う皇女かっこよかったよそろそろ結婚する?

 

 

おうおう!生憎そんなコメントに突っ込むほどの気力は残ってないんじゃい!!

というか本当に息が持たなかった!本当はやりたくなかったんだけどそれを言ったら逃げるの?って煽ってくるからついやってしまった…。

煽られたらやりたくなる年頃なの。

 

「ぜー…ぜー…、ん。では、歌も一段落した事ですし最後にマシュマロを一つ読んで終わりにしますか」

 

コメント:始まって2時間、体感2秒

コメント:良マロ期待

 

 

 

 

 

『ゲンガーの破壊光線!ピピピピピピピピピピ』

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーーーーーーおつさく!!」

 

コメント:クソマロのトップオブトップで締めくくるVtuber

コメント:乙作〜!

コメント:おつさく

コメント:乙作

コメント:乙作

コメント:おつさく

コメント:今回(仮)こなかったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さくちゃんを崇拝するスレPart3

 

 

 

345:名無しの崇拝者

さくちゃん相変わらず可愛かったわ

 

346:名無しの崇拝者

クソマロを送ったやつはぜひ処してもろてですね…。

 

347:名無しの崇拝者

というか珍しくJD(仮)こなかったがどしたんだ?

 

348:名無しの崇拝者

なんでも仕事で見れなかったらしい

 

349:名無しの崇拝者

ソースはツイッター

 

350:名無しの崇拝者

大学生でれっきとした会社で働いているってそれ誇らしくないの?

 

351:名無しの崇拝者

ツイッターで荒ぶってて草

 

352:名無しの崇拝者

というか有能ニキもおらんなどしたんやろ

 

352:名無しの崇拝者

まぁ来たら労ってやるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はあの日の記憶を掘り起こす。

そうだ、今日みたいな綺麗な夕焼けでそれであの子が私を助けてくれて…。

 

 

それでそれでそれでーーー。

 

 

 

 

でも、私は思い出せない。

あの子の顔が、あの子の声が、ただいたという事実だけが脳内にあって、不規則で規則的に彼女の顔と声だけがすっぽり抜け落ちていく。

 

 

写真を見る。

そこには小さい頃の私とーーー顔だけが黒く滲んだ少女の姿だけがあった。



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