とある世界のお話と転生した人間の話。 (秋津守丸九)
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いちばんさいしょのおはなし

今まで読み専でしたが、書きたいと思う様になったので書くことにしました。初投稿です。


「暇だ。」

 

ここに一人の男がいました。

男はとても暇でした。

とてもとても暇でした。

やるべき事は有るのですが、男はそれをしようとしない無気力で集中力の無い怠惰な人間でした。

男は暇をどうにかして潰せないかと考えていました。

 

それは突然の事でした。

 

「何か創るか。」

 

男はそう思い立ちました。

男は妄想癖がありました。

しかし、男は一人での妄想に既に飽き、何かの形にしたいと思ったのです。

ですが、案の定男一人ではアイデアはあってもやはり形には出来ません。

男はできるのならば、とっくのとうにやっていました。

やるべき事はやらない癖に。

 

「今、暇?」

 

ですから、男は友人に尋ねました。

友人は答えます。

 

「そうだけど、何で?」

 

男はそれを聞いて、説明をしました。

"暇を潰せるだけの物を創りたい"と。

友人はそれを聞いて、"面白そうだから参加する"と言いました。

 

「ありがとう。」

 

男は友人が同志になる事に喜びました。

そして、自身の想像が形になるという事に喜びました。

こうして、"ソレ"が作られて行く事になったのです。

 

"ソレ"は男がアイデアを出し、友人がまとめ、二人で協力して創り上げました。

男と友人は"ソレ"に自らの趣味と自らの知識を埋め込みました。

途中にはいくつかの苦難がありました。

ですが、完成した今では良い思い出となりました。

男は思いました。

"コレがあれば暇になる事も無くなる"と。

"コレはきっと楽しい物だ"と。

"面白くなる"と。

友人の方を見ると友人も同じ様な事を考えているのだと分かりました。

 

男と友人は"ソレ"の管理をして行こうと思いました。

管理の方法は分かりませんが、時間ならあります。

男と友人は一つ一つ手探りで管理方法を見つけて行くことにしました。

 

男と友人は"ソレ"の管理方法を見つけました。

いいえ、最初からわかっていたのかもしれません。

とにかく、男と友人は"ソレ"の管理方法を見つけたのです。

男と友人は喜びました。

そして、男と友人はその方法に面白さを見出しました。

元々、面白い物が好きな男と友人はその方法を実行しました。

もはや、"ソレ"を管理するのではなく、"ソレ"で楽しむのが男と友人の目標となっていたのです。

 

男と友人はその方法を成功させました。

男と友人は喜びました。

男と友人は"ソレ"をもっと面白くする為に活動を開始しました。

男は友人のする事に頭を抱え、友人は男のする事に苛立ちを覚える様になるのですが、それはまた別のお話。

 

いつしか、男と友人は消えて無くなりました。




今後、どうぞ宜しくお願いします。


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始まりの話

短いですがどうぞ。


「あ……ありのまま、今起こった事を話すぜ!気がついたら死んでいた。な……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何が起きたのかわからなかった……。」

 

私は今、ジョ○ョの奇妙な冒険のポル○レフの真似をしている。そうでもしないと、気が狂いそうだ。理由はお察しのとおり、私がいつの間にか死んでいたからだ。

 

……何を私は言っているのであろうか、まるで観客がいるかの様な説明的な事を言うとは。大学受験の真っ只中の筈なのにここまで厨二病を極める人間も少ないのではないだろうか……。……全く誇れることでは無いな。

 

で、私が私という肉体が死んだとわかるのは何かそこに漠然とした深層的な刷り込み意識があるからである。まぁ他にも、ここに催眠されたとか洗脳されたとかの選択肢があるのだが、一応ここでは私は死んだと仮定する。となると、理由としては以下の3つが挙げられる。

1,勉強のやり過ぎと睡眠不足による過労死

2,不摂生な食事による急な発作での病死

3,テクノブレイク

私としては1か2を推したいので、現実が非情でない事を祈ろう。

 

さて、私が今いるこの空間であるが、何も無いし、何も感じ無い。死後の世界というのがこの様な物なのか、はたまた今から異世界転生が始まるのか。正直とても楽しみで仕方が無い。私は学歴を中学受験という形で作ったので約5年間程趣味に生きる事ができた。であるから、なろう、カクヨム、ハーメルンetcと大抵のサイトを読み尽くしたと自負している。だから、チートが欲しいとか無双がしたいとまではいかなくても、異世界に行ってみたくはある。であるから、天使だとか使徒だとか神様でも何でもいいので出てきて欲しい所なのだが……。

 

「全く出てくる気配が無いな。」

 

あっれれー?丘ピーポー?なぜ!?なんで、全くもって何も出てこないんだ!!WHY!!普通ここで空気読んで出でくるものでしょ!!なんで!?ちくしょう!!落ち着けた事は一度も無いけど素数を数えて落ち着かなくちゃ。1 2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41 43 53 57……ふぅ、落ち着いた。……もしや本当にこれが死後の世界なのだろうか?だとしたら、それはとてもマズイ事になる。つまるところ、今、私は5億年ボタンの永遠版にいる事になるからだ。

それだけは絶対に避けたい。よって、私は出口がないかを探す事にした。

 

「あった。……こんなに簡単に見つかって良いのか?」

 

何故かすぐ側にあった。というか、この状態で動けたんだな。まぁそれは置いといて、その出口の形がthe裂け目っていう形なのだが、入ってもいいのだろうか?しかし、周りを見回しても出口は無いようなので入るしか無いように思える。

 

「アムロ行っきまーす!!」

 

意を決して、私は裂け目に飛び込んだ。

 

ウワァァァァァァァァァァァァァァァ!!

 

ボルガ博士みたいになった。(後悔)

もう二度とこんな事はやらん。(フラグ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、遅れて済みません。会議で遅れちゃって。ってアレ?ここに来る筈の人間さんは?」

 

彼女は辺りを見回すが目当ての人間がいるわけが無い。

 

「何処ですかー?隠れてないで出て来なさーい。ここは包囲してますよ〜(大嘘)。…………出て来ない。もしや何か手違いがあったのかな?でも、そうじゃ無かったら私の首が飛んじゃう。うぅ……嫌だなぁ。これを報告するの。はぁ( ´Д`)=3」

 

そして、心底辛そうな(´・ω・`)とした顔をして帰っていった。

 

そして、このとき、もはや裂け目は無かったのであった。




この位の多さでこれからも書こうと思っております。 
これからも宜しくお願いします。


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浪漫何それ美味しいの?だった話

駄文な気がする。


やっほー皆さん。私です。……だからなぜ私はこんなYouTuberみたいな話し方をするのだろう?

まぁ、それは置いといて、私は5歳になりました。ここまで本当に辛かったです。眼福な事もあったけど、赤ちゃんムーブが結構辛かった。否ね、生おっ○いとか、生セッ○スを見れるのは良いんだけどね……この年にもなって赤ちゃんみたいにしたり、おっぱいを吸うのはねぇ。

さて、私は何処にいるでしょーか?……こっこでーす。ここ!ここ!ここでございます。正解はですね、日本によく似た大扶桑帝国東京都京橋区のマンションの一室でした。いや、途中から変える努力しなかっただろって言うレベルのクリソツぶりには驚きましたね。因みに、京橋区は戦前の東京都江東区の名前ですね。いやー凄い。

 

ここで私のプロフィールをば、名前は土御門進二、5歳。母方にロシア系の血が流れているようで顔は彫りが深い感じでそこそこイケメン。家族は父、母、兄、姉、私、妹の6人家族。父親は大学教授、母親は新聞社の記者という中流階級の上の方の家に生まれました。父、母共に内地人ですね。

そう、この世界の日本は朝鮮と台湾を未だ保有しているんですよね。で、世界地図見てみたらクラっと来ましたね。だってヨーロッパが殆ど1つの国だし、ロシアがウラル以東にしかないし、植民地支配は続いているし、アメリカが分割されているのですもの。そりゃあ驚くしかないよねっていう。

で、枢軸国勝利の歴史ifの世界なのかなって思ったら魔法というのがあるっていうね。無茶苦茶喜びましたね。これは。いやー素晴らしい。やっぱり最高だぜ!そう思っていた頃が私にもありました。はい、長ったらしい詠唱しなきゃいけない上に使い勝手がクソ悪い魔法君は使い道が無いですね。乙。あゝ、終わった。私の素晴らしい転生ライフ(泣)。

でも、異世界に来て良いこと?もあったんですよ。歴史はなぜか名前だけしか変わってないみたいだし、大学受験の勉強をしていたので数学などもバッチリ!!つまり、俺is最強的な天才神童ぶりを発揮できるんですよね。

で、私は来年の4月に国民学校に入学するのですけども、今からでも某少年探偵の憂鬱さが分かったような気がしますね。やっぱり、自分のわかっている事をもう一度やらされる上に、寝ていても100点取れるとしても、不自然になるから寝られないっていう。もう最悪ですね。

いや、この気分を晴らしてくれるのは魔法の授業だけですよ。使えないけど。

思ったんですけど、テンプレだったら素晴らしき魔力量とか凄いスキルとかで無双ムーブできる筈じゃなかろうか。つまり、"無双とかチートとか要らないと言ったな"あれは嘘だ。って事なんですよね。

はぁ( ´Д`)=3どうせなら、"俺TUEEEEE"な無双チートハーレムをやりたかったなぁ。否、非リア充だった私でも頑張ればハーレムとかくらいはできる筈。きっと、メイビー。よって当面の目標は布石として、女の子達からの好感度を稼ぐ事と、頑張って強くなる事ですかね。




読んでくれてありがとうございます。


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可哀想な天使の話

前話よりも少し前のお話。


「マジですか?」

 

彼女は言われた事が信じられなかった。

 

「マジです。」

 

しかし、現実は非情である。彼女に救いはなかった。

 

「残念ですが、貴女はクビです。」

 

彼女が今、最も聞きたくない言葉がその耳に届く。

 

「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

 

彼女は泣き崩れた。彼女の心を奥深くまで抉ったその言葉はいっそ冷酷に告げられた方が良かったであろう。しかし、上司の言葉は憐憫と慈愛に満ちた同情の言葉であった。

 

「貴女みたいな優秀な社員を私達もクビにしたくは無いんです。ですが、就業規則第596条の第3項にもあるとおり"自身の担当となった魂を見失ってしまい正当な業務ができなくなった場合"その社員を正規非正規の区別なくクビにする事になってますので。残念ですが……。」

 

さらなる追撃によってHPはもう0だったのにも拘らず、ダメージを受けた彼女はさめざめと泣く事しか出来なくなっていた。

しかし、神への祈りが通じたのか分からんけれども、一筋の希望が彼女に舞い降りた。

 

「……ですが、我々は悪魔ではありません。貴女にチャンスを上げましょう。」

 

その言葉は傷付き、ボロボロになった彼女の心に染み込んでいった。

 

「チャンス……ですか?」

 

もう駄目だぁ。お終いだぁ。となっていた所にチャンスである。まともな思考なら、何か裏があると感じただろう。しかし、この時の彼女はまともでは無かった。このまま"放り出されて路地裏に連れ込まれて犯されるんだろう"という自身の最悪な未来を想像していたのである。

 

「そうです。貴女にチャンスを上げると言っているのです。就業規則第464条によると、クビになる社員への特例的撤回法があるのです。そして、貴女は第9項に当てはまります。人間に身を落とし、本来ならば担当する筈だった魂をサポートするのです。幸いな事に件の魂が何処に行ったのかは分かりました。貴女はその魂をその人生を掛けてサポートしなさい。それが達成出来た暁には貴女は晴れて、ここの正社員として戻ってこれます。やりますか?」

 

彼女の上司が言ったこの提案はどんな甘味よりも甘く、美味しそうなものであった。そして、彼女は迷わずこの提案に食らいついた。

 

「やります!!私にやらせて下さい!!」

 

彼女は叫ぶ様に言い放つと、その瞳にメラメラと炎を燃え上がらせた。"全ては自身の生活の為に!!その魂をサポートしてみせる !!"と。

 

「わかりました。では直ぐに用意をしましょう。」

 

上司がそう言った途端に彼女の足元が魔法陣に変わり始め、彼女自体が光り始めた。

 

「えっ!?」

 

彼女が自身に起きている事を理解するのに戸惑っている間にも、着々と準備が整っていく。そうして、彼女が現状を理解した頃には全てが終わった後だった。

彼女の立っている床に急に穴が空き、彼女は落ちていったのだ。

 

キャアァァァァァァァァァァァァァァァァ…………。

 

"神の御加護があらん事を。"彼女は真っ逆さまに下界に落ちていく際、そんな声が聞こえた気がした。

 

こうして、また一人の犠牲者が生まれたのであった。




こんな感じで良いのでしょうか?


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幼馴染はKAWAIIという話

遅れてすまねぇ。きっちり補填するから許して…。


はい。どーも、私です。土御門進二です。最近、この喋り方で考えるのが普通になってきて、内心ものすごく戦慄を抱いています。

さて、私にはとても可愛い幼馴染がおります。お隣さんで、名前は杏樹・アンゲルス。私は日本人のクォーターでスラブ系だと勝手に思っておりますが、銀髪翠眼のかわいい女の子ですね。彼女のは自分的にアッシュブロンドだと思う。

彼女は私と約一年程の年の差がありますが、何時も何かと大人ぶって私に注意したりしてきます。そして、彼女はなぜか物心つく前から何かと私についてきていた上、時々物陰からジッと私を見ている事もありました。でも、そんなこんなで私との付き合いはもう5年間程になるという間柄であります。

私が思うに、これがツンデレってやつになっていくと思うのです。

しかしもって、ここが一番重要なのですが、彼女は何故か魔法がラノベの主人公レベルで使えるんですよね……。おかしい……。おかしくない?もしかして、ここは私の読んだことの無いラノベの世界で彼女は神様転生して来た、俺TUEEEEEEEな主人公なのか?そう一瞬考えるくらい彼女はクソ役にも立たない筈の魔法がまともに使えるんですよね。

というか、なんでそんな才能の塊見たいな奴が私の事を慕ってくれているのでしょうか?私はさっき、こういうのがツンデレになると言いましたが、実は結構疑っております。で、彼女が転生者という仮説を立てて彼女に質問したりしているのですが、何時もはぐらかされてしまっています。彼女の言い分通り、ただ本当に慕っているだけなら物心つく前から私に付いてきているのが結構気になるのです。しかし、だからといって彼女が転生者であるとは言えない上に敵対する可能性が未だ低く、良い道具になってくれるだろう為、今はまだそれなりに距離を起きつつまぁ、可愛いのは本当なので好感度を稼いで行きたいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が例の魂を感知して見つけたのは、私が人間として産まれてからすぐの事だった。例の魂はこの世界でも人間の男として産まれていた。彼は私が生まれたときには赤ん坊出会ったが、私の見立てに拠れば珍しい事に例の魂はもう彼の自我に覚醒めている様だった。その事を受けて、私は上司の命令であり、私唯一の希望である"例の魂をサポートする"という行動を実行に移す為には何が良いかを考えた。例の魂がまだ自我に覚醒めていなければ幼馴染として関係性を構築し、彼が自我に覚醒めた頃にはもう近くにいても不自然では無い様にさせる事も出来た。しかし、彼が彼という自我に覚醒めたのならばそれはとても難しくなる。最初期から接近していれば怪しまれるからだ。まぁ、幼馴染となってサポートするのは当然として、彼を観察しつつ、どの様に接近するかを考える事にする。



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夜の街の話

いつもの2倍


「チキショー!!」

 

夜の繁華街、その一角の酒場にて一際大きな声が響き渡った。

 

「大損しちまった。畜生、あいつの一人勝ちじゃねえか。」

 

赤ら顔になりつつも、まだまだヤケ酒を煽りながつつ愚痴を吐く彼はこの酒場でのブックメーカーを生業にするブッキーである。彼は今、賭けのレートを読み間違い大損してしまったのだ。

 

「誰もあんな華奢な女が勝つとは思っちゃ居ねえよ。しょうがねぇ。誰もアイツが勝つとは思わなんだ。」

 

相方が肴を摘みつつ、彼を慰める。だが、そんな彼らを傍目に全ての元凶である女が再び騒ぎ出す。

 

「おい!!私と勝負する奴はいるか!?何時でも誰でも相手になるぞ!!」

 

その白衣を纏った酔っ払いはビールがなみなみと入った大ジョッキを掲げつつ、更に続ける。

 

「私は今、金がある。私に勝ったらこの金、全部やるぞ!!」

 

彼女は札束を机に叩きつけるとジョッキの中のビールをイッキした。

 

「さぁ、誰でも良いからかかってこい。今なら参加費はこいつの10分の1にしてやるぞ!!」

 

その言葉を聞いて、彼は遂に吹っ切れた。

 

「畜生!!俺と勝負しろ!!この酔っ払い女!!おら、金だ!!」

 

そう言って彼はなけなしの金を財布ごと机に叩きつけた。

 

「本当に大丈夫だな?酔っ払っているみたいだが。」

 

そう言いつつ、彼女は彼と自身のジョッキに空いている酒をなみなみと注いでいく。

 

「ケッ!!なぁにぃが酔っ払ってるだ。オレぇはまだ全然イケるぞぉ。」

 

誰が見ても酔っ払っている彼を相方が止めようとするも彼は勝負するとの一点張り。遂には相方も止めるのを諦めた。

 

「じゃあルール説明だ。ジョッキ一杯づつ飲んでいって、酔い潰れるか、逃げたらそいつの負けだ。で、勝ったやつはここの金を全部貰える。簡単だろ?わかったか?」

 

そう言って、彼女は給仕に更に酒を頼む。

 

「あぁ。わかった。始めよう。」

 

彼がそう言うと、二人はジョッキを構えた。

 

「「スタートッ!!」」

 

掛け声と同時に二人は酒を飲み始める。ジョッキの中のビールはみるみるうちに減って行き、二人は同時に次のジョッキに手を伸ばした。

 

〜十数分後〜

 

「もう限界じゃないのか?」

 

「にゃんのこれしきぃ!!」

 

飲み比べはクライマックスに差し掛かってきていた。彼は酔い潰れそうになっていたのだ。しかし、彼女はまだまだ余裕そうである。だが、ここで招かれざる客が乱入してきた!

 

バァン!!

 

そんな音が響いて、酒場のドアが勢いよく開けられる。ドアの向こうにいたのは肩を怒らせ、顔は赤くなり、怒髪天をついた怒りを体現しているかの様なメイドであった。

 

「美華様!!ここにいたんですか!!探したんですよ!!私が居ながら酒場に行くのも許せませんが、今回は書き置き無しで行ったでしょう!!お仕事が溜まってますからもう帰りますよ!!」

 

彼女はツカツカと大股で歩き、美華と呼ばれた白衣の女性を掴み、引きずり出そうとする。

 

「待って!!今、飲み比べの途中なの!!負けちゃうからやめて!!」

 

美華はジタバタと抵抗するが、そんな事を関係ないとばかりにメイドは椅子から引きずり下ろす。

 

「こら!!止めなさいジャンヌ!!離しなさい!!HA☆NA☆SE!!」

 

抵抗するも、離して貰えず美華はジャンヌに引きずられ、酒場の外に出ていってしまった。

 

「……こりぇはおれぇが勝ったんだよなぁ?」

 

その言葉に他の客も男が買った事に気づき始めた。彼の顔に生気が満ちていく。彼は酔っ払い特有の危なっかしい体勢で机の上の金をかき集め叫んだ。

 

「やった!!勝った!!この金は俺のもんだ!!」

 

このあと、彼がこれを元手に金持ちになるのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カツッ、カツッ、カツッ

 

表通りから溢れる光と、月明かりだけが支配する薄暗い裏路地に2つの足音は小気味よいリズムを反響させながら、進んでいった。

 

「それで?溜まった仕事っていうのは?」

 

彼女はメイドに説明を求める。

 

「こちらになっております。」

 

メイドはタブレットを取り出すと彼女に見せた。

彼女はそれを一瞥すると、特に変わってもいないと感じて、そんな事で楽しみを奪ったのかと叱責しようとした。しかし、ある一文が目に入るとその気は失せ、彼女はそれを読み始めた。

 

ドンッ!!

 

しかし、歩きながら読んでしたせいか彼女は不幸にもガタイのいいチンピラに当たってしまう。

チンピラは彼女の肩を掴み、顔を覗き見る。

 

「おい!どこ見て歩いてんだよこのアマ!お!よく見たら中々上物じゃないかちょいと付き合えy……ヒデブッ!」

 

ゴパァンッ!

 

しかし、彼の人生はここで終わってしまった。彼女が生理的嫌悪感から反射的に裏拳を叩き込んでしまったからである。

 

「あぁ、またやってしまった。加減という言葉が嫌いなのだが...残念な事にしなければならぬようだな。」

 

彼女は血のついた手の甲を拭い、ため息をつく。

 

「また、指名手配犯になるのですか?美華様も物好きですね。自分自身だけでなく、周りの事も考えては?」

 

メイドが皮肉を吐くが彼女には届かない。

 

「で、この案件だけど……」

 

美華は肉塊の事は放っておいて、仕事について話始める。

 

「こことここ、消すよ。」

 

その顔は、憎悪と悪意に歪みつつもある種の期待感に震えている矛盾を抱えた歪な物であった。



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とある決意の話

Q.作風が変わった?
A.筆者は作風が変わりやすいです。(察して)


「行ってきま~す!!」

 

私はそう言うと、勢いよく玄関の扉を開けた。

そして、"ドンッ!"と何かにぶつかる音と"むぎゃ〜!!"という叫び声が聞こえたのはほぼ同時のことだった。

 

「あちゃ〜……やっちゃった。」

 

ドアの向こうを恐る恐る見てみると案の定と言うべきか、杏樹が顔を抑えて蹲っていた。

咄嗟に私は"大丈夫?"と聞こうとしたが、その発言権は相手が話し始めたことにより強奪された。

 

「アンタねぇ!!急にドア開けるってのはどう言うこと!?頭ついてる?そもそも、人がドアの前にいるって事考えられないの!?というか人の話聞いてる?」

 

"(聞いて)ないです。まぁ多少はね。"的な事を言ったらば絶対に張り手されるに決まってますし、私は幼女のビンタがご褒美っていう人種でもないので、無難に返事を返す事にする。

 

「あーきいてる。きいてる。めっちゃきいてる。」

 

「それどう考えても聞いてないわよね?私をバカにしているの!?」

 

どう言う事であろうか?私が思うにとても素晴らしいショタロールプレイの完璧な返答の筈なのに。どこがいけなかったのだろうか?

 

「こら、進二、杏樹ちゃんに失礼でしょ。謝りなさい。ごめんね、杏樹ちゃん。うちの進二が。痛くなかった?」

 

そう言って、この口論を止めたのは私の母である。それを受けて、杏樹も引き下がったのか"私もいけませんでした"とほざく。だが、私は知っている。私と接する時はいつも高慢チキで全然しおらしくないという事を。

 

「じゃあ、行ってらっしゃい。楽しんで来てね。それと杏樹ちゃん、進二を宜しくね!」

 

そう言って、私の母は私達を送り出した。私達は図書館に遊びに行くという事になっているのだ。やはり日本という事もあり、治安はバッチリ。こんな事をしても許される。法治国家万々歳だ。

 

「「行ってきます!!」」

 

そう言って私達は家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達の息子は素晴らしい。他の子供達も優秀だが、あの子は特別だ。子供達には夫と共に英才教育を施して来たが、彼だけは他の子とはまるで違った。あの子は私達が何を教えるまでもなく、数学の問題をとき文字を書いた。彼は特別なのだ。土御門を取り込む為にやった事だったが、予想外の収穫だ。彼を我々の仲間にすれば我々はもっと飛躍する事が出来るようになるだろう。どうにかして、彼を我々の仲間にしなければならない。その為には…

 

ピンポーン!……ピンポーン!……ピンポーン!

 

あぁ、もう煩い。今出れば良いんだろう。夫も子供達も家にいるのだから、誰か出れば良いのに。考え事の邪魔になる。

 

「はいはい。今出ますよ〜。」

 

私はドアを開ける。そこには、ダンボール箱を抱えた郵便配達員がそこに居た。

 

「土御門さんのお宅はここであっていますでしょうか?」

 

宅配員はそう聞いてきた。全く、誰宛に来たのかくらい言えば良いものを。そう思いつつ、私は肯定の返事をする。

 

「わかりました。では、サインをここに。」

 

相手はサインを求めてきたので、事務的にサインを速記して行く。長男がまた何かを通販で買った様だった。後で説教をしなければ。

 

カチッ!

 

その音が私の聞いた最期の音であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その報せは私達が図書館で本を読んでいる時に訪れた。

私達が本を読んでいると、ガヤガヤと周りが騒がしくなった。チラとその中心となっている方向に目を向けると、手帳らしき者を持った人間数名に図書館の職員何かを尋ねられており、その職員がが私達の方を指さしていた。私は面倒事に関わるのはゴメンだからここに来るなと願っていたのに、どうやら彼らは私達が目的らしく私達の目の前で止まった。

 

「土御門進二君と杏樹アンゲルスちゃんだね。お話ししても良いかな?」

 

どうも、彼らは警察の様だった。私の知っている物よりは随分と手帳らしい警察手帳を取り出して彼らは私達に尋ねてきた。杏樹の方に目配せすると彼女は心底どうでも良さそうな顔をしていたので私は"なんでしょう?"と返事した。

彼らはとても悲しげな顔をした後に、高層住宅で爆発が起こり私達の家族や他の人が死んだ事、私達の家が消えた事などを話してくれた。

それ以上は何を言っていたのかは覚えていない。私は絶望と悲しみで心がいっぱいになっていた。私に取っては他人の様なものだったけれど、5年も過ごせば愛着も湧くし精神が体に引っ張られる感じもした。しかし、私は深い絶望をおった。

 

「大丈夫。まだ、私がいるよ。」

 

そう杏樹が慰めてくれた事はとても嬉しかった。恥ずかしながら、私は彼女に寄り掛かりながら号泣してしまった。

私は1つ耳にした。これは組織的なものであると。組織的な集団が用意しなければこの犯行は出来なかったと。

 

私は心に誓った。奴らを見つけ出し、私の平穏を安寧を壊した奴らに復讐をしてやると。

奴らを壊滅させてやると。

鉄槌を下してやると。

生き延びてやると。

地獄を作ると。

私達二人だけは何があっても生き残ってやると。



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事後処理の話

あの後、色々な事があった。

事件については私達はあの後何も教えては貰えず、警察が全てをかたしていった。

家の事については、自称親戚の人(私が見た感じ詐欺師だ)がやってきては肩を落として帰って行ったり、他の色々な人がやってきては相談をしていた。遺産の相続の問題なのだろうが当事者である私はその輪の中に入れては貰えなかった。

最後に、私達についてだが自称母方の親戚が唯一引き取ってくれると言ってくれた。と言うより、私が条件を設定した為にそれが障害となって誰も引き取ろうとしなかったのだろう。杏樹は何故か親族がいないようだった。だから、彼女曰くこのままでは孤児院送りになるそうだ。私はソレが無性に嫌だった。もしかしたらその時の私は彼女に心的依存になっていたのかもしれない。私は私を引き取る条件に彼女を連れて行く事を指定した。どうにも聞いた限りでは、私に引き継がれる財産は大きい様だった。だからこそ、私はこの条件をつけた。しかし、その大きさは子供二人を養うには足りなかったらしい。親戚の者は皆、杏樹を連れて行くのを嫌がった。土御門の宗家は金が有ると聞いた事があるから探して見たが、居なかった。この後に知った事だが父と宗家はどうにも絶縁の状態になっていたらしい。

私は私と杏樹を引き取ってくれる所が無いと知って落胆していた。最悪、前世の知識で持って暮らして行くのも可能だろうが、そんな事はここが法治国家である限り許されず、我々は孤児院に入れられる。そう思っていた。だが、そこに母方の親戚を自称する男が現れた。

 

「君たち、まだ引き取り先が見つからないのかい?」

 

男はそう聞いてきた。

私は"そうだ"と肯定の意の返事をした。

すると、男は"私が引き取ろうか?"と聞いてきたので、私は"この子も一緒じゃないと嫌だ"と返事した。私は、また断られるのだろうなと考えていたが、男の回答は予想だにしない物だった。

 

「この子達は僕が引き取ります!!」

 

彼はそう皆に向かって宣言していた。

ふと、表面上は彼らの方を見ると安心した様な、しかし内心では苦虫を噛み潰した様な歪な表情をしていた。

 

「君たち、宜しく。僕は神崎敬介だ。君たちとこれから一緒に暮らす人間の名前だよ。」

 

彼はそう言って握手を求めて来てくれた。私はそれを握り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕から見た彼の第一印象は何の変哲もない只の子供だった。だから、今は亡き彼女を信じて彼を引き取った。これは一種のかけだった。でも、彼と話すうちにやはり報告にあった様に彼は子供では無いかのような神童ぶりがチラと見え隠れしていたし、素晴らしい事に奴等に対しての敵愾心も持っているようだった。やはり、これは奴等に対するリーサルウェポンになり得ると確信した。僕は彼らにwinwinの提案をした。



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学校に行くことになったって話

一週間ぶりなので実質初投稿です。

………友人に勧められたシャドウバースというゲームにハマっていました。すいません。


どーも皆さん。私です。あれから一年ほど経ちました。

 

私達はあの後、神崎さんの家がある東京都郊外に引っ越しました。なぜ私達を引き取ってくれたのかを聞いたら、何度がはぐらかされましたが最後には根負けしてとある事を教えてくれました。

神崎さんはHIA(Human Independence Association 人類独立協会)という組織に所属しており私の母も所属していたという事、この組織は人類平等と世界平和を訴えるがそのせいで多数の組織に狙われていると言う事、私の母はその組織の1つに殺されたと思われると言う事、そのせいで私達は孤児になってしまったので神崎さんが引き取ったという事。

私はこれを聞いてまず最初にこう思いました。"はぁ?何言ってんの?"と。だってそうでしょう?急に私は結社の一員で君はその結社の敵対組織のせいでこうなってしまったって言われたら相手の頭を疑いますよ。誰だってそうする。俺だってそうする。しかし、よくよく聞いている内にこれはどうやら本当だぞとなってきたんですよね。で、嫌な事に気づいたんですよ。彼の話は本当であると言う事は、彼曰く他の結社が存在する。つまり、他の結社が実在するという事に気づいたんです。更に、その結社は一つ一つが組織的な暗殺やテロ行為を行える所で、私はそんな所に喧嘩を売ろうとしていたのだと気付き戦慄しました。ですから、私の今の目標は"当初の目標+二人で生き残る"となっております。

 

さて、最初に一年たったと言いましたね。私は今6歳。つまり、学校に行く年になりました。勿論、杏樹も一緒です。彼女は早生まれなので一緒に登校できるという事ですね。

さて、現在私は"学校に行くのがダルいと言ったな。あれは嘘だ"という事になっております。なぜなら、私はHIA傘下の私立学校に行けるからなんですね。この私立HIA学院付属初等部は6年制プログラムによる学校であり、これが凄くハイレベルな事(魔術もハイレベルであると聞いた)をやってくれるんですね。まぁ、自身の結社の幹部養成学校の様な所ですしそうはなりますが。そして、こんな所に来れるのはその入試を乗り越えたり、所謂神童と呼ばれる児童達なんですね。よって、私は素晴らしい人脈作りが出来そうだと考えていて、敵対結社を倒す事ができるのかもしれないとも思っております。

まぁ、何はともあれ素晴らしい学園生活がこれから始まるという事は間違いなく、生前は陰キャヲタクだった私にも幼馴染ボーナスで9年後にはハーレムができるのかも知れないので楽しみですよ。

 

あぁ早く始まらないかな。




これから2〜3週間程期末試験の影響で投稿出来ないかもしれません。気長にお待ち下さい。


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学校に行く話

多機能フォームとやらを使ってみた。



面倒くさかった。


「きつい………。」

 

何故こんなきつい物を着なければならないのだろうか?

 

「こら、きついとか言わない!杏樹(あんじゅ)ちゃんはきっちりと着こなしてるよ!君が弱音吐いてどうすんの!?」

 

神崎敬介(かんざきけいすけ)さんが私を叱咤激励するが、私としてはどうしようもないと思っている。私は前世も含めて今まで制服なんぞ2、3回しか着たことないのだ。私服の方が性にもあってる。ふと、杏樹(あんじゅ)の方を見ると、

 

フッ!!

 

鼻で笑っていた。しかも凄くムカつく顔で。

私は激怒した。私は制服の着方が分からぬ。だが、私は人の感情には人一倍敏感であった。私はしょうがないので、文句を言わないことにした。

神崎さんはこの雰囲気を察してくれたのか、HIA学院付属の事について話してくれた。

私はどんな物かな?と想像を膨らませていたのだが、

 

「でかい………。」

 

それが私がこの学校を見たときの最初の感想だった。話を聞いて想像をしていた規模の倍以上でかい。

 

「大っきいですねぇ………。」

 

杏樹(あんじゅ)もどうやら同じ感想を抱いているようだった。学校のあまりの大きさに呆けている我々の隣を他愛もないガキの会話をしながら数多の児童が通り抜けて校門をくぐって行く。

 

「校舎は見終わった?早くしないと君達、遅れちゃうよ。」

 

見送りに来てくれていた神崎敬介(かんざきけいすけ)さんが呆けていた我々の目を覚ましてくれる。

 

「あっ!早く行かなきゃ!遅れちゃう!」

 

杏樹(あんじゅ)が私の手を引っ張りながら校門へ走って行く。私は転びそうになりながらも、学校目掛けて走っていった。

 

教室につくと、そこは私には考えられない空間が広がっていた。教室にいる人間が全てが制服を着ている上に、この位のお年頃なら我が母校と同じ様に動物園と化すであろう教室が少し騒がしい程度に収まっているのだ!!

 

「そんな……バカな……。我が母校は小学生以下とでも言うのか……。」

 

私はあまりのショックに入り口で両膝両手をついてしまった。

 

「大丈夫?気分悪い?」

 

杏樹(あんじゅ)が私の事を心配して声をかけてくれた。彼女の反応を見るに声は聞こえていないと思うが、迂闊だった。今後、こんな事は起こさないようにしなければ。そう思ったときだった。

 

土御門進二(つちみかどしんじ)君でしたっけ?二神真紀奈(ふたつがみまきな)よ。よろしくね。」

 

彼女が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は目の前に現れたバケモノから彼を守ろうとした。が、彼の方が反応が素早く、彼女に反応してしまった。彼の呟きがまる聞こえだったとか、それを周囲に聞こえないように努力したとかはどうでも良い。今はこの化物から彼を救い出す事の方が重要だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何話してるの?さっさと席に着くわよ。」

 

杏樹(あんじゅ)がそう言って、二神真紀奈(ふたつかみまきな)さんとの会話中だった私を引っ張って席についてしまった(当然私も私の席に着く事になってしまった)。クソっ!彼女とのいいフラグになったはずかもしれなかったのに!チクショウ!杏樹(あんじゅ)は何故か機嫌が悪そうだし、あゝもう私の学校生活は最初からサイアクだ!




頑張って書きます。

あと、読んでる方がいるなら感想とかこうすればいいよ的なのをお待ちしています。


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学校での話

頑張って書いていきます。


私は今、女の子と手を握って歩いています。嬉しいとお思いでしょうか?字面だけ見れば非リアの私は喜ぶべきなのでしょう。しかし、私は全く嬉しくありません。だって正確に言えば杏樹に腕を掴まれて、引きずられている状態なのですから。この状態を嬉しいと思う人間がいるのでしょうか?(嬉しいと言うMはお帰り下さい)

 

「そろそろ放して貰っても宜しいですか?」

 

腕がもうそろそろヤバくなってきたのだが、まだ放してくれないんでしょうか?

 

「ダメよ。私が放したら絶対真紀奈ちゃんのところ行くでしょ。」

 

イタイイタイイタイ。力いれないで。手に力入り過ぎでは?というか、これは6歳の女の子が出していい握力ではない。やめて、腕が潰れる。

 

「行かないよ。行かないから放して。嘘じゃないから。嘘じゃないから。待って、力入れないで、腕が!腕が!」

 

ようやく放してくれた。痛い。骨が折れるみたいだった。折れたこと無いけど。

杏樹は立ち止まり、真紀奈ちゃんとは関わるな的な事を言ってきた。

 

「イテテテテ。なんだって、真紀奈ちゃんは駄目で他の子はOKなのさ。」

 

いつもは私がどう行動しようとも実力行使しないのに、なぜ真紀奈ちゃんの時だけ実力行使をするのか訳が分からん。いや、彼女が特別変な人と言うなら分かるのだけれども彼女は成績優秀、品行方正というまるで絵に描いた様な優等生なんだよ。もしやそのせいなのだろうか?まぁ確かに普通と比べて結構精神年齢高そうだけどそれは厳しい教育の賜物と言う事で収まる範囲内だし。う〜ん。どうなんだろ?

 

「そうですのよ。なんで彼が私と話そうとしたりすると彼を何処かに連れて行ったりして私と彼の話を妨害するんですの?」

 

って、気づかぬ内に真紀奈ちゃんが話の輪の中に混ざって来てるし、たまにこういう事があるから驚かされる。

さて、私の目の前では今、世にも怖いという女の口喧嘩と言う物が始まっております。普通なら仲裁に入るのですがこの二人なら精神年齢高そうだしきっとキャットファイトには成らないと信じております(現実逃避)。……と、どうやら口喧嘩だけで済んだようで、杏樹が折れて真紀奈ちゃんが勝った様ですね。

 

「わかったわ。だけど、進二と会うときは私も一緒の時にしなさい。いいわね?」

 

杏樹が変な条件をつけたようだが、真紀奈ちゃんはそれを呑んで遂に私と真紀奈ちゃんとの日常的な会話などが許されました。にしても、あの条件から考えて杏樹は一種の束縛系のデレを患ったのではないだろうか?それならば、杏樹が私に好意を抱いている事の確認ができたから良い……のか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり、やっぱり、そうだった。そうだったのよ!!

土御門進二(かれ)杏樹アンゲルス(かのじょ)は他の蛆虫にも劣るゴミどもとは違う。白衣の居候(おねーさん)が言っていたとおりの子達だった。白衣の居候(おねーさん)は肝心な事は言ってくれない人ですからその隣で鼻血出してる人(メイドさん)が一人でいる時に聞いたけど、やっぱり教えてもらった特徴に合致しています。この事は白衣の居候(おねーさん)に教えるべきなのだろうか?いや、おとーさんも言っていた通り、一先ず自分で考えましょう。う〜ん………まだ、言わない方が良いかもしれませんわ。だってまだ私の知りたい事聞いていないませんし。情報とかを聞き出した後で教えても別に白衣の居候(おねーさん)は困らないでしょう。あっ、でもその隣で鼻血出してる人(メイドさん)が怒られちゃうかもしれません……。だけど、その隣で鼻血出してる人(メイドさん)時々私のこと嫌な目で見てくるし……うん、良い気味ですわ。これは取り敢えず私だけの秘密にしときましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が二神真紀奈(バケモノ)と話したりする事を望んでいた。私が二神真紀奈(バケモノ)と関わらないようにしてあげているのに、鈍い奴だ。だけれども、私の最優先事項は彼のサポートだ。だから、二神真紀奈(バケモノ)とも口論した結果、彼と二神真紀奈(バケモノ)の接触を許可してしまった代わりに、私が彼の傍に居ることを了承させた。この私がいる限り彼には絶対に指一本たりとも触れさせはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから、真紀奈ちゃんにもフラグを建てたいな〜と思う今日この頃。勉強をやるふりも順調だし、目標達成に向けて頑張っていこう。今日も私は平和です。(◡ ω ◡)




はぁ( ´Д`)=3
感想がほしい。


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授業の話

真紀奈ちゃんの口調をお嬢様風に直しました。

そして、書く毎に登場人物の性格や口調が少しづつ変わっていっている気がする。


カッ!カカッカッ!カッ!

 

「ですから、皆さんはこの基本事項を覚えるのが最も重要なのです。わかりましたか?」

 

……魔法学。私は今、その授業を受けている。

魔法学とは所謂魔法を使える様になる為に学ぶ基礎学問だ。ただし、ここでの魔法とは西洋魔術や東洋魔術更には錬金術や占星術などの魔導基礎学問を包括的に含めたものであり、科学、歴史、外国語、魔導理論、場合によっては数学なども複合したアホ難しい学問である。だけれども、それは初等部でやるような内容では無く、前に見た日本の指導過程から考えても初等部では主に魔法の安全な使い方と基礎的な理論をほんの少しだけ行うと言う事は当然であろう事はわかっていた。

でも、神崎さんはここHIA学院では指導要領より少し難しい事をすると聞言っていた。うむ、確かにこれは指導要領から少し進んだ事なのかもしれない。だが!だが!だが!ここまで難しい物だとは思ってもみなかった!どうして、基礎理論の中でも基本の基とも言われるこれがこんなにも難しいんだ!と言うか、なぜ他の奴はこれが理解できているんだ!何故!?

 

「………君、…御…君、聞いていますか!?土御門君。」

 

ガタッ!!

 

「ハイッ!!聞いています!!」

 

反射的に立ってしまった。周りを見渡せば皆の呆けたような驚いた様な顔と一部の呆れたような顔、更には失笑している顔が目に入ってくる。

 

「じゃあ、私が何を言っていたのか答えられますね?」

 

先生がテンプレな質問をしてくる。ここではズバッと答えてカッコよくキメたいのだが、あいにくと私は考えに夢中になっていたようで、先生の話を聞いていなかったらしい。どうしたものかと考えるが、うん……全く答えが思いつかない。屁理屈こねるのも止めたほうが良さそうだし、ここは分かりませんと言うべきか。否、ここはそれっぽい事を言って万に一つの可能性にかけるべき!!

 

「魔法の六大構成素は火、水、木、金、土、エーテルであり、物質における構成比率の変化とエーテルを介して行われる直接介入によって魔術は行使されます!」

 

言い切った。どうだ!?当たったか?

 

「……貴方の知識の多さは認めましょう。しかし、貴方が私の話を聞いていなかったと言う事はよ〜く分かりました。ですから、廊下に立ってなさい!!」

 

Oh!my god!!嘘だと言ってよバーニィ!!廊下に立たされるなんて、畜生!!体罰で訴えてやる!!(不可能)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は頭が良い筈なのに何でそう見当違いの事を言ったのだろうか?それともやっぱりバカなのだろうか?

 

「皆さん、土御門君の様に聞いていない人がいるかもしれませんからもう一度いいます。現代魔術は無詠唱かつ媒介具無しで行使される魔術です。これと対をなすものが伝統魔術又は古代魔術とも呼ばれるもので、詠唱を必要とし媒介具無しでの行使はほぼ不可能です。また、皆さんは学苑内ですから許されていますが、魔導法という法律で許可証無しでの外部での魔術使用は認められていません。ですから、皆さんはこの外部で魔法を使用してはいけないという基本事項を今日は覚えて帰ってください。いいですね。」

 

リーンゴーンランラーン↑ゴーン↓リーンゴーン↓ラーンゴーン↑ラーンゴーン↓

 

ヤケに長ったらしいチャイムがなって授業が終わった。にしても、やはりこの身体は薄々勘付いていたが人間としては規格外らしい。彼女が言っていた伝統魔術とやらも普通に使えてしまっているのだ。まぁ、彼をサポートするのには問題無いので良いとして、そのせい人になりきれなかったとか言われてでサポートが終わったあとに帰れなくなるのは勘弁してほしい。はぁ( ´Д`)=3この体はこのままで良いのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も暇でしたわ。どうせなら、何時も彼らの実働部隊が使っている軍用攻撃魔法でも教えれば良いのに。それが『許可証なしに魔法を使ってはいけない』ですって?自分たちから後々それを破るように伝えるのに………ハァ……バカバカしいにも程がありますわ。う〜ん。学校に来る楽しみが、彼らとの接触だけですのよ。はぁ( ´Д`)=3つまりませんわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、私は上を見上げた。そして、思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつまで私は廊下に立っていなきゃいけないんだと。



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