オレがサッカー部のマネジメントをしたら!? (ユーチャロー)
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第一章  相澤翔平と歩美の二人三脚で始まるチーム作り
プロローグ


相澤純平22歳。体育大学出身で2歳〜20歳までの18年間サッカーをしており中学時代は全国大会ベスト4。高校時代は強豪校に入学し1年から1軍のスタメン入りをし全国大会ベスト8まで進んだ。大学に進学してからはサッカー部に所属するも20歳の時に思わぬ事故でサッカー部を退部。そこからはスポーツ医学やスポーツマネジメントの勉強をしサッカーライセンスB級にスポーツトレーナーの資格を取得。某飲料水メーカーに就職し近々社会人サッカーチームのコーチに勤めようと考えていた。しかし…妹の歩美の一言により彼の人生が変わる。 

 

相澤歩美18歳。私立大学に進学。彼女は兄の影響で小学生チームに所属し男子達と混えてサッカーを始める。中学時代は女子サッカーチームのユースに入り高校3年生まで所属していた。しかし…プロ女子サッカーチームの育成選手として重宝されていたが、身体が小さいや技術が足りないと上層部から言い渡されユースチームを退団さぜるを得なかった。この出来事によりサッカーをやめようと思った時期があったがあることが原因でまた好きだったサッカーを始めようと思った。そして、プロリーグに入る野望が再び芽生えたのであった。

それは自分が1からサッカーチームを作りプロリーグに加盟すれば良いと考えたのである。そこで彼女は仕事帰りの兄に尋ねるのである。

 

「ねぇ…。兄ちゃん。真面目な話があるんだけど。」 

 

「なんだよ?」 

 

「私…この大学でサッカーチームを作りたい。」 

 

「はぁ…?お前…大学に入ったらエンジョイするって言ってたじゃん。サッカーはもう懲り懲りだしやりたくないって言ってたやんけ?」 

 

「あの時は自暴自棄になってたからそう言っただけだよ。でも…私はこの間のU20の日本代表選手が優勝したニュースを観てまたサッカーを始めたいと思ったの。」 

 

「ふーん。そこにお前がユースに所属していた選手達が世界で活躍しているからか?」 

 

「違う。そんなんじゃない。単純に私の中の闘志が燃える感覚が蘇ったのよ。やっぱり私がサッカーが好き!だから…また始めたいの!」 

 

「お前が言いたい気持ちはわかる。しかし…選手で食べていくというのはどのぐらい厳しいかはわかっているよな?」 

 

「わかっているよ!!でも…私は諦めたくたい!!お兄ちゃんも本当は選手としてキャリアを歩みたくなかったんじゃないの?」 

 

「……。歩美。それ以上言うな。」

 

「兄ちゃんこそ…逃げてるんじゃないの!?選手生命が尽きたと言って…諦めているのは!!」 

 

「歩美。次同じ事を言ったらオレはキレるぞ。オレは…これで良いと思ってる。オレの選手生命が尽きたのなら逆に選手をサポート出来るような自分になりたい。そして…選手達が思う存分サッカーが出来る環境を作ることが大事だと思いライセンスをとりトレーナーの資格を取った。それがオレのサッカー愛だということを知ってもらいたい。だから…オレはあえて社会人チームがある企業につき…いずれかはそこでコーチを勤めるのがオレの夢なんだ。」 

 

「兄ちゃんに野望があるなら…尚更私の大学で女子サッカー部を設立してチャレンジリーグでもいいから兄ちゃんが思っているサッカー愛を今…出せば良いと思ってる!ライセンスを持ってるから…監督もできるでしょ!?兄ちゃんの夢を私に預けてくれないかな?兄ちゃんは……。」

 

 

「歩美。それ以上言ったらオレはキレると言ったぞ。この話はなしだ。オレはここで頑張ると決めた。だから…お前の野望や夢に付き合っているヒマはない。オレはもう社会人だ。お前みたいな夢見てる学生とは違う。お前らが描いている夢と正反対な現実がある。それはきっとお前もいつかは気付くだろう。今はそうやって夢を抱いていればいい。まっ…それはすぐわかると思うよ。」 

 

翔平は自分の部屋に行くのであった。 

 

(私は……自分にウソをつきたくない…。兄ちゃんは…きっと…あの出来事があったから自分の本当にやりたかったことを諦めているかもしれない。しかし…今の兄ちゃんの言葉を聞いて思った。兄ちゃんはサッカーが大好きだという気持ち。その気持ちを発揮出来るのは今だと私は確信した!だから…私は兄ちゃんを説得して…私が1から作るチームを作る!!) 

 

 

歩美は自室に戻って将来のビジョンを考えるのであった。

 

 

次回話に続く…。




キャラ紹介 

相澤翔平。22歳。体重186cm。体重81kg。右足。ポジションCB。
父の影響でサッカーを始める。9割ぐらいCBとしてプレーをしていたが…あと1割はCFでたまに攻めに参加していた。日本のプロリーグだけでなくヨーロッパのクラブからオファーが殺到するぐらいディフェンス能力に優れていた。「和製ファン・ダ○ク」と呼ばれていた。 

相澤歩美。18歳,。身長148cm。体重45kg。左足。ポジションSMF。
兄の影響でサッカーを始め中学時代になるとユースチームに加入。
ドリブル能力やスピードやスタミナに優れているが…サイドポジションに必要なクロス精度とパス精度が問題点であった。
真面目で真っ直ぐな性格で周りを巻き込むキャプテンシーがある。


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翔平の過去

 

翌日。 

翔平はいつもどおりに朝6時に起きて朝ご飯を食べて支度をし出勤する。満員電車の中いつもと変わらない景色にOLや学生、サラリーマン達がすし詰め状態になりながら必死に耐えている。

 

翔平はこの光景を見て感じてた。自分が思い描いていた現実と異なっていることを。U15やU18の日本代表を経験し交際大会も経験していた。そして、日本やヨーロッパのチームのスカウト達が将来有望なセンターバックの選手として期待されていた。 

 

本当は高校を卒業したらプロチームに加入する予定だったが…彼は大学でやりたいことがあったため大学を卒業するまでは育成選手という形で保留になった。しかし、20歳の時に不幸な出来事が起きる。 

 

 

「さて…そろそろ新しいスパイクを買いに行こうかな。だいぶ使ってるし…金も溜まってきたから良いスパイクを買おう。」 

 

 

彼が小学生の頃から通っているサッカーショップに向かう途中にスマホを見ながら自転車を漕いでいた若者にぶつけられ腰を強打。打ち所が悪く椎間板ヘルニアになってしまう。リハビリをし再びサッカーをやるつもりだったが…医師から衝撃な言葉を聞いてしまう。

 

「キミはもうサッカーは出来ない。激しい運動をすると腰に負担がかかり更に病状が悪くなり最悪下半身不随になる。そうなったらキミは車椅子の生活になる。これは…キミにとって辛い現実かもしれないが…理解してほしい…。」 

 

翔平は言葉が出なかった。再びサッカーが出来ると信じていたがその想いは一瞬で砕けてしまった。 

 

「わかりました……。」 

 

彼は病院の屋上に行き青い空を見上げながら缶コーヒーを飲んだ。

凄く苦く美味しいと感じなかった。 

 

「オレはまだ現実を受け止めることが出来ない。なんで…こうなったんだよ!!クソっ!!クソっ!!」 

 

 

「お兄ちゃん?」 

 

 

「歩美か……。なんだっ?」 

 

 

「お兄ちゃん…。またサッカーが出来るよね……。」 

 

 

「……。」 

 

 

翔平は涙が一粒流す。翔平の表情を見た歩美は察した。

サッカーはもう出来ないと…。

 

 

「歩美…。すまんな…。オレの夢はここで終わった…。」 

 

 

「………。」 

 

 

(こんなに落胆してるお兄ちゃんは初めてみた…。自信がみなぎっているお兄ちゃんに憧れてた…。あの時の面影がない。)

 

 

「お兄ちゃん…。私…お兄ちゃんの分…一生懸命やるよ。ユースから引っ張ってもらえるよう猛練習して必ずプロでプレーするから!」 

 

 

「……。歩美。すまんな。一緒にプロチームに入る夢はここで終わりだ。夢は潰えた。歩美は歩美らしく自分がなりたい道を歩めば良い。オレは応援してるから。」 

 

 

「わかった…。お兄ちゃん…。病室に戻ろう…。」 

 

 

「もう少しここにいたい。先に行って良いよ。」 

 

 

「……。わかった…。」 

 

 

歩美が居なくなるのを確認するとずっと涙を堪えていたのか雨のように涙が出てきた。妹の前で情けない姿を見せないように振る舞っていたが限界だった。

 

 

「うっ……。うっ……。うあああああああ!!!」 

 

 

思い切り泣き崩れる姿を遠目で歩美は見つめていた。 

 

 

(1番悔しいのはお兄ちゃんだよね…。わかってるよ…。だから……私がお兄ちゃんの夢を背負って頑張るから!!) 

 

 

その後。翔平はケガが原因でプレー不能になり育成選手としてチームを退団。そして、彼はこの出来事によりスポーツ医学の道に行くと決意した。それと同時に将来子供達にサッカーを教える指導者を目指しライセンス取得に向けて勉強を開始した。

 

 

 

「○○駅。○○駅。」 

 

 

翔平は昔の事を思い出していたらあっという間に下車する駅に着く。

 

 

(あれから2年経つのか…。早かったような気がする…。あの出来事がなかったらオレの未来は変わっていたかもしれない…。だが…これはこれで良いと思うし間違っていないと思う。あの頃と違って新たな目標も出来た。だから…オレはその目標に向かって進んでいく。) 

 

 

翔平は駅のホームの階段を下っていくのであった。 

 

 

次回話に続く…。



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歩美の新たな友達

 

歩美は2限目の授業が終わるとすぐ大学の売店に売ってる1日30個しか売らない『外はカリカリ!中はクリーミー!なメロンパン!』を求めて自慢の足の速さで売店に走る!! 

 

しかし…着いた時にちょうど売り切れてしまった。歩美は全身の力が抜けたようにガッカリした。

 

「はーあっ…。あとちょっとだったのに…。」 

 

すると、隣にいた身長が170cmぐらいあるスタイルが良い女性に話しかけられる。

 

「もし良かったら…このメロンパンあげようか?」 

 

「えっ…。それは悪いですよ!貴女もこのメロンパンを求めて買いに来たんじゃないの?」 

 

「この大学の名物だと友達が言ってたからどんな味か確かめてみたかった。でも…私は別にこのメロンパンそこまで食べたい訳じゃないし。」

 

「そうですか…。でも頂けませんよ!」 

 

「私は他にパンを沢山買ってるからメロンパン1個ぐらいどうでもいいよ。」 

 

彼女のビニール袋の中に大量のパンが入ってた。歩美は女の子が食べ切れる量でないと思いドン引きした。

 

「食べなよ。ここまで全速で走ってきたんだから…このメロンパンあげる。」 

 

歩美は彼女に甘えてメロンパンを頂くことにした。

 

「ありがとうございます!あの…もし良ければ一緒にご飯食べませんか!」

 

「…。いいよ。これも何かの縁だと思うから一緒に食べよう。でも…私の友達がいるけど良いかな?」 

 

「良いですよ!」 

 

 

歩美はその女性についていくと大学構内にある人工芝のそこそこ広いグラウンドにたどり着いた。そこにベンチがあってその女性の友達らしき人がこちらに手を振っていた。 

 

 

「買えた〜?」 

 

「うん。買ったよ。でも…この人にあげた。」 

 

「えーー!!ちょっと何してるのよ!私の分って言ったじゃん!」

 

「私がちょうどラストの1個で売り切れた。この人はこのメロンパンを求めて全速力で走ってきたみたいでかわいそうだったからあげた。」 

 

「もう〜。このバカマミ!! で…貴女は誰かしら?」 

 

 

「はいっ!!私は相澤歩美といいます!スポーツ医療学部です!」 

 

 

「ふーん。なるほどねー。私は上条由希奈よ。でっ…その子は下北真美。よろしくね〜。私達もスポーツ医療学部なんだ〜。一緒の学部でびっくりしたよ〜。」

 

「私は下北真美。よろしくね。貴女もスポーツ医療学部なんだ。今まで何かスポーツはやってたの?」 

 

「はいっ!ずっとサッカーをしておりました!!」 

 

 

すると、上条と下北は驚いた。 

 

 

「私達もずーーとサッカーやってたよー。ねぇー真美。」 

 

「うん。私は由希奈と幼なじみで小さい頃から同じチームにいた。小学校から中学校、高校、大学までも一緒だから腐れ縁って奴だな。」 

 

「なにそれー。綺麗な縁でしょ!」 

 

 

「そうですか…。2人とも仲が良くて羨ましいです!」 

 

 

「でしょでしょ!!でっ…歩美ちゃんはポジション何処なのよ!」

 

 

「私はサイドハーフやサイドバック、ウィングです!足が速さとスタミナを武器にずっとサイドポジションでした!」 

 

 

「ふーん。だからあれだけ全速力で走っても息が切れない訳ね。納得するよ。私はずっとゴールキーパー。」 

 

「私はフォワードよ!!女は攻めないとね!!サッカーも恋愛も!」

 

「いや。防御は最大な攻撃っていう。だから…守ってこそ勝てる。」

 

「ちっちっちっ。真美はわかってないなー。サッカーは点を取れば良いのよ!」 

 

「点をとっても守らなきゃ意味がない。」 

 

 

歩美は2人の言い争いを見守っていた。 

 

 

(2人ともサッカーが好きなんだね。聞いてみるだけ聞いてみよう!)

 

 

「あのっ!!もし良ければ私と一緒にサッカーチームをこの大学で作りませんか!!」 

 

 

由希奈と真美はキョトンとした表情で見つめた。 

 

 

「この大学でサッカーチームを作る?面白そうねー!」 

 

「貴女…部員や監督やコーチ、スタッフは集めているの?」 

 

 

「いえっ!これからです!!まだ誰も集まっていません!!サッカーは高校までと決めたけど…でも…やっぱり私はサッカーが好き!!だから……1からチームを作って…チャレンジリーグに出場することが私の夢なんです!」 

 

 

すると、由希奈は歩美の肩を叩いた。 

 

 

「歩美ちゃん。貴女の熱いハートが伝わってきたわ!!なら…私も全力で手伝うわ!!」 

 

「ありがとうございます!由希奈さん!」 

 

「あー。それとっ。敬語はもうなしね!」 

 

 

「貴女。本気?」 

 

「はい!!本気です!!」 

 

真美は歩美の真剣な表情を見つめた。

 

(この子…。本気ね。)

 

 

「わかったわ。私も由希奈と同様に協力するわ。」

 

「ありがとうございます!」 

 

 

「ねぇ〜そろそろ食べよーよ!お腹空いた〜。」 

 

「そうだね。食べよう。」 

 

 

3人で仲良くパンを食べて昼休みを過ごすのであった。

歩美に新たな友人が2人増え、更にサッカー経験者である由希奈と真美の勧誘に成功するのであった。

 

 

次回話に続く…。





キャラ紹介。

上条由希奈。18歳。FW,。身長159cm。体重45kg。
金髪ポニーテールで少し肌が黒い。ギャルっぽい容姿とファッションを好む。将来の夢はインストラクター。
下北真美の幼なじみ。楽観主義でありムードメーカーで陽気な性格。
彼女の合言葉は「女は攻めないと!」 

下北真美。18歳。GK。身長177cm。体重55kg。
黒髪のショートヘアー。肌が白くスタイルが抜群。高校時代に『クールビューティー真美様』と言われてた。普段は男子が着るような服を好みシンプルなデザインが多い。将来の夢はプロリーグのトレーナー。
上条由希奈の幼なじみ。無口で冷静沈黙な性格。実は熱いところも?
彼女の合言葉は「防御は最大な攻撃」


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兄妹喧嘩

兄妹喧嘩

 

歩美は家に帰ると上機嫌だった。

新たに上条由希奈と下北真美と友達になれたことや、サッカー経験者てあり攻撃の要であるFWに、ゴールを守る守護神のGKが加わった。歩美はGKを探すのが1番苦労すると感じていたが意外にすんなり見つかってしまった。歩美自身大きな収穫であった。 

 

「お兄ちゃん!今日ね!新たにFWとGK経験者の友達が出来てスカウトしたらOKを貰えた!!これで一歩前進したよ!」 

 

「お前…。まだそんなことをやってたのかよ…。オレは監督はやらない。お前らの遊びに付き合っている程ヒマじゃない。新社会人で仕事を覚えることや先輩についていくのが大変だというのに…少しはオレの気持ちもわかってくれないか?」 

 

「確かにお兄ちゃんは仕事で忙しいのはわかってるけど…。」 

 

「ならもういいだろ。スポーツ医療学部にいるなら誰かしらサッカー経験者がある教授がいるだろ?その人をコーチ兼監督で就かせればいいじゃん。」

 

「それではダメ!!お兄ちゃんと一緒に夢を叶えたい!!だから…お兄ちゃんじゃないとダメなの!」 

 

「そんなことを言っても無理なことは無理だ!」 

 

「お兄ちゃんこそ私の気持ちを理解してよ!」

 

「はぁー?それはお前も一緒だ!!」 

 

すると、母がキッチンからやってきて怒鳴る!

 

「アンタ達!口喧嘩はやめなさい!」 

 

 

「もういいよ!お兄ちゃんなんか知らない!」

 

 

そういうと歩美は部屋に戻っていった。母はため息をついた。 

 

「翔平…。歩美と何があったの?」 

 

「母さんには関係ないよ。アイツが一方的に言ってくるから。」 

 

「母さんに関係なくても言いなさい!何か…仕事先で嫌なことでもあったんじゃないの?」 

 

「いやっ…。そうじゃない。会社は先輩と付きっきりで仕事教えてくれるし、良い人ばかりだよ。」 

 

「それか…歩美がなんか翔平に不愉快なことを言ったの?」

 

「……。」 

 

「あんた…すぐ顔に出るからわかりやすいのよ。歩美に何か問題があるなら言ってみなさい。」 

 

「母さんには構わないな…。わかったよ…。言うよ。」 

 

 

「……。そんなことがあったのね。歩美は翔平が怪我した時に医者から一生サッカーが出来ないと言われた時が1番悔しいと言ってたわ。歩美はずっと翔平の背中を見てサッカーを始めて努力したのよ。それに…歩美はスポーツ医療学部を志望した理由は…翔平のヘルニアの後遺症を治したいからよ。こんなことも言ってたわね。私がお兄ちゃんが叶えることが出来なかった夢を私が背負うってね。だから…歩美は真剣なのよ。」

 

翔平はその時…歩美の想いを感じた。

 

(オレはバカだな…。歩美がそこまでしてオレの夢を背負っていたのだな…。歩美が真剣にサッカーに対する気持ちを忘れたくなかったから…オレに……。) 

 

 

「母さん。ありがとう。オレ。歩美に謝るよ。」 

 

「私の可愛い妹を泣かせるようなら…あんたは男として失格よ!だから!ちゃんとケジメをつけなさい!」 

 

「わかったよ…。」 

 

 

(やっぱり母さんには構わないな…。) 

 

 

翔平はすぐ歩美の部屋に行く。 

 

 

「歩美。母さんから全て聞いた。歩美の本当の想いを。だから…オレはお前の想いを無駄にしたくない。だから…そのかわり…オレがお前を必ずなでしこジャパンで活躍出来るような選手に育成してやる!!」 

 

 

すると歩美は翔平の顔を見た。 

 

 

「それは本当?お兄ちゃん?」 

 

 

「ああ!やるといったらやる!逆にお前はなでしこジャパンで活躍したくないのか!?同期達が次々と出世をしていって!」 

 

 

「悔しい!悔しいよ!私は……スピードやスタミナがあっても…サイドポジションに必要なクロス精度やパス精度…足元の技術がないと言われ…悔しかった!!だから…私は強くなりたい!!」 

 

 

「歩美……。」 

 

 

(歩美にも苦労はあった…。確かに歩美はスピードやスタミナは長所であるが…しかし…サイドポジションに必要なクロスやパス精度…ドリブルの技術が劣っている部分は確かだ。だから……オレは妹が真剣にプロを目指すのであれば……オレは協力する!) 

 

 

「わかったよ。歩美。オレは平日は働いているから面倒は見れない。しかし、土日なら練習を見ることができる!だから…オレはまずお前らのコーチから始める!それで良いな?」

 

 

「うん!それで良いよ!私の夢は絶対諦めたくないから!」 

 

 

翔平は歩美の真剣な表情を見て確信した。

 

オレが妹を育てると同時にチームを育成すると。翔平の心の底にある闘志が再び燃えたのである。 

 

 

(兄ちゃんはバカだな…。たかが…ケガをしただけで夢を諦めてしまうのは…。) 

 

 

「歩美。オレはお前らをサポートする。それで良いな?」 

 

「うん!お兄ちゃん!」 

 

 

2人は和解してお互いの夢を叶える約束を交わすのであった。 

 

 

次回話に続く…。



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昼休みのサッカー

 

翌日。歩美は学校にボールを持っていく。

昼休みに由希奈と真美と一緒にボールを蹴る予定が出来たからだ。歩美は楽しみで仕方なかった。

 

(早く…昼休みにならないかな〜。) 

 

2限目が終わるとすぐ学校構内にあるグラウンドに行き由希奈と真美が来るのを待った。 

しばらくすると…ユニホーム姿の由希奈と真美が来た。 

 

「歩美〜!お待たせ!!」 

「待たせたかな?」 

 

「2人ともカッコいい!由希奈ちゃんは黒のユニホームで…真美ちゃんは赤のキーパーユニホーム!」

 

「これは私達がつい最近まで所属してたチームのユニホームだよ〜!カッコいいでしょ〜。」 

 

「私はキーパーだから赤だけど。でも…気に入ってるよ。」 

 

「歩美は私服でやるの〜?」 

 

「うん!そうだよ!」 

 

「歩美が今まで着てたユニホーム見てみたかったな〜。それにやりづらくない?」 

 

「……。ごめんね。捨てちゃったんだ。私服でも出来るよー。」 

 

「そうなんだ〜。早くやろう〜。」 

 

真美は歩美の表情を見て違和感を感じた。

 

「歩美。5限が終わったら時間ある?」 

 

「真美ちゃん!いいよー!」 

 

「わかった。早速やろうか。」

 

 

真美と歩美、由希奈は近くに置いてあったサッカーゴールを少し動かして真美がゴール前に立つ。 

 

 

「PK?2人いるからセンタリング出来るわね。」 

 

「歩美がサイドハーフだからセンタリングで〜!良いクロス上げてね〜。」 

 

「うん…。」 

 

 

歩美はサイドハーフでありながらクロスを上げるのが下手だった。真美が合図すると歩美はドリブルをして由希奈にクロスを上げるが…。 違う方向に飛んでしまった。

 

 

「歩美〜!ちょっと〜。」 

 

 

「ごめんごめん!もう一回やるねー!」 

 

 

再びクロスを上げるがまた違う方向に…。 

 

 

「歩美〜!私の足元か頭に合わせるようなクロスを上げてよー。」 

 

「ごめん〜。やっぱり運動着でやれば良かった〜。」 

 

「もーう。わかったわ!私がクロスを上げるよ〜。」 

 

「うん!」 

 

由希奈がドリブルしクロスに上げる!

歩美は彼女の正確なクロスに対応しヘディングするが…真美は素早く反応してキャッチする!

 

「凄いね!真美ちゃん!」 

 

「このぐらい防げないとゴールを守れないから。」 

 

「出た〜!真美のドヤ顔!!」 

 

「もう一回。」 

 

「全く〜仕方ないな〜。もう一回上げるわよ!反応してよね〜歩美〜。」 

 

「はい!」 

 

再び由希奈がクロスを上げる。今度は歩美が胸トラップをしてボレーシュートを打つ!

 

(ゴールの隅なら!) 

 

歩美は真美が届かない所を狙いゴールインしたと確信するが…しかし、真美は横に素早く飛び長い腕を伸ばしギリギリなところでボールを弾いた!歩美は真美の動体視力と反射神経、キーパーに恵まれている体型で驚きを隠せなかった。 

 

「歩美。キーパーがとりづらいところを狙ったね。」 

 

「真美ちゃん!凄いよ!あのボールに素早く反応して防いだ!」 

 

「真美は私のシュート練に付き合ってくれたら自然と真美も防げるようになれたのよ〜。」 

 

「由希奈のシュートは上手いから。小学生の頃から由希奈と毎日欠かさずシュート練習をしてきたからね。」 

 

「私はシュートを決める側。真美はシュートを止める側。お互い競って育ってきたからね〜。」 

 

「そうね。歩美。由希奈のシュートを見てみたい?」 

 

「見てみたい!」 

 

「なら…由希奈が1番得意な縦パスからのダイレクトね。あれは私も未だに防げない。」 

 

「歩美〜!クロスが下手なら〜フライパスは出来るよね?」 

 

「そのぐらい…出来るわよ!」 

 

「なら良いわ!頼むね!」

 

歩美は20mぐらい離れて由希奈にフライパスをするが…由希奈は一切後ろを見ない。歩美は不思議そうに見てた。

 

(なんで後ろみないの!) 

 

すると由希奈は絶妙なタイミングで自分の前にボールが落下してリバウンドすると由希奈は空中に浮き強烈なボレーシュートを打つ! 

ゴール上の角ギリギリなところを狙う!

真美は手を必死に伸ばしたが届かずゴールイン。シュート精度やシュート力、ボールが落下するタイミングを計算してるところが素晴らしく歩美は言葉が出なかった。真美と由希奈のスペックの高さに驚いてしまう。

 

(凄い…。チームの守護神にエースストライカー!)

 

すると、昼休みもあと10分しかなくやめることにした。

 

「私達〜次の授業があるから〜そろそろ行くね〜。またやろうね〜!」

 

「歩美。またあとで。」 

 

「うん!またね〜!」 

 

3人は3限の授業に間に合うよう別れるのであった。 

 

 

18時。

歩美は真美に呼ばれた場所に行く。すると、真美は真剣な表情で歩美を見つめていた。 

 

「待ったかな?」 

 

「いやっ。ちょうど来たところだから。」 

 

「そうなんだ!話って何?」 

 

「歩美。あなた…ユース出身みたいね。」 

 

「!!。なんで…知ってるの!」 

 

「あなたのことを見覚えがあってもしかしたらと思って調べてみたら納得したわ。」 

 

「……。」 

 

 

「あなた…ユースにいたのね。」

 

 

次回話に続く…。

 



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歩美と真美の思わぬ出会い

 

歩美はフリーズした。突然、真美に自分がユース出身であることを知っているからだ。冷静に考えると、ネットや何か文献を見ればわかるかもしれない。しかし、何故そこまでして歩美のプロフィールを見たのか疑問だった。 

 

「真美ちゃん。何で私がユース出身だとわかったの?」 

 

少し間を置くと真美は冷静に話す。 

 

「私は貴女のことを過去に見たことがあるから。U-15日本代表の選考試合の時…敵チームのベンチに貴女らしき人を見た。私が見た当時のスコアブックに貴女は試合終了間際に交代し、アディショナルタイムで勇敢にドリブルでディフェンダー達を蹴散らし…貴女は私からゴールを奪った。その時に貴女のドリブルの技術とスピード。僅かな時間であったが貴女は目立ってた。その後…私はU-15日本代表に選ばれたが…貴女は選ばれなかった。貴女みたいな選手がいれば世界で戦えると思った。しかし、私達は惨敗し世界のレベルには構わなかった。だから…私は必死に練習し皆んなにゴールを任せられるようなキーパーに成長しようと決めた。話がそれてしまったが…私と貴女と再会した時に貴女を見て感じた。この子はあの時選考試合にいた○○FCレディースユースの相澤歩美だとね。」 

 

 

歩美は当時の記憶を思い出した。

歩美は監督やコーチの勧めでU-15の選考試合に招待されたが…他の選手と比べてパスやクロスが苦手であるため、選考試合で出場機会を与えてくれなかった。しかし、2試合目の試合終了間際に突然交代され…歩美は全力でアピールした。自分が得意なドリブルとスピードを活かし無我夢中でゴールを目指す。

 

(私は!!世界で戦いたいんだ!!)

 

歩美は渾身の力でシュートを放つ。

敵のゴールキーパーは長身で鉄壁な守りとして有名なゴールキーパーだった。歩美は負けたくなかった。自分の力を証明するためにゴールを決める。すると、歩美が放ったシュートがゴールインし味方チームから褒められる。 

 

 

「凄いね!あの鉄壁なキーパーから点をとるなんて!」 

「あのキーパーから点をとった!」 

「よっしゃー!」 

 

 

この試合は1-0で勝利したが…歩美は選ばれなかった。

その知らせを来て歩美は涙を流した。 

 

「私の得意なプレーをアピールをして点をとったのに…何故…。」 

 

その後、歩美も猛練習に励むのであった。

 

 

 

「歩美。貴女がサッカーチームを作りたいと言われた時…あの時貴女からゴールを奪った人と一緒にプレーが出来ると思うとワクワクした。

貴女のおかげで私は強くなろうと思えた。だから…私は貴女に感謝する。そして…また再会出来て良かった。」 

 

「真美ちゃん…。今…思い出したよ!あの時のゴールキーパーは真美ちゃんだったんだね!サッカーの神様はきっと真美ちゃんとまた再会出来ることを望んでいたんだよ!」 

 

「そうかもな…。あと1ついいかい?」 

 

「何?」 

 

「貴女は…何故大学でチームを作りたいの?ユース出身ならプロチームに昇格して今頃プレーをしてる。ユース出身の貴女が大学に来てチームを作るのに疑問を持ってた。だから…聞いてみたい。」 

 

「真美ちゃん…。わかったよ…。でも…2人だけの秘密にしてくれる?」

 

「そこまで深刻な話なら誰にも言わないよ。」 

 

「わかった。ありがとう。実は……。」 

 

 

歩美は何故大学でサッカーを始めたいのかを真美に話す。真美はずっと歩美の視線を見つめて話を聞いてた。 

 

 

「そういうわけなんだ…。」 

 

「そうか。歩美。ありがとう。これで私も納得した。私も…プロからスカウトが沢山来てたが断ったんだ。私にも夢があるから。私も歩美の夢をサポートしたい。だから…今後ともよろしく。」 

 

「ありがとう…。真美ちゃん…。」 

 

2人は握手を交わした。

 

 

「あれっ!!歩美じゃない?」 

 

 

歩美が振り向くとそこには…。 

 

 

「ねぇ?覚えてる?ユースで一緒だった左文字綾香!!闘牛の!!」 

 

「あっ…綾香!! なんでここに!!」 

 

「ふふーん。私は今…ユースでなく育成選手になってるんだよねー!そのうちプロに入れると思うけど〜。ん…。貴女は…下北真美ね。久しぶりだわー。あの時はお世話になったねー。」 

 

「貴女もここにいたのね。」 

 

「まーね。一応大学は出た方が良いかなーと思って。なんで歩美と下北さんがいるの?不思議だなー。」 

 

「それは…。」 

 

 

次回話に続く…。





キャラ紹介

左文字綾香。18歳。身長171cm。体重62kg。右足。
歩美と同じユース出身でありその恵まれた身長と体格の良さから「闘牛」と呼ばれていた。空中戦やフィジカル、守備能力に特化しているためCBやDMFのポジションが多かった。真美とは過去にU-15やU-18の日本代表で戦った経験があり、世界に通用するディフェンダーである。

マイペースなところがあり少し気が抜けている部分が、いざとなると頼れる女子である。歩美とは仲良しである。


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左文字綾香と右田善子

 

真美と歩美が会話していたら左文字綾香が乱入してきた。綾香と歩美はユース時代の友人でありお互いの長所や短所を共有できる長い付き合いである。歩美がユースを退団した時に綾香は今までの功績が実ったのかプロリーグに加入することが決まっていたが…綾香は現役を引退した時に一般企業に就けるよう大学を進学したいという想いでプロに加入せずに育成選手として週4日練習に加わっている。卒業したらプロに加入する約束をとっている。 

 

「綾香は今頃…○○FCレディースの一員として試合に出てるのかなとずっと思ってた…。」

 

「私は私なりに考えがあって大学にいるの!一応…育成選手としてるから仮加入っていう形かな〜。」 

 

「左文字さん。貴女はなでしこジャパンのスーパールーキーとして道を歩むのではないの?」 

 

「下北さん。貴女もわかってるでしょ。女子サッカーの現実を。プロでも…仕事をしながらサッカーをしてるプレイヤーが沢山いるでしょ〜。男子みたいにサッカーだけやって稼げるわけじゃないんだから〜。未来を見据えて大学に進学してるの?貴女もそうじゃないの?」 

 

「……。」 

 

(彼女の言ってることは正論かもしれない。バックアップにスポンサーがいるだけで男子みたいに年俸制でもないし決まった給料も入らない。だから…プロで食べていくことは難しい。)

 

「まっ…。そういうことよ!」 

 

歩美は左文字に聞いてみるだけ聞いてみた。 

 

「綾香!私達…これからチームを作ろうと思ってるの!綾香の守備能力とフィジカルは素晴らしいから…試合に参加するだけで良いから入らない?チームの練習もあるだろうから…。」 

 

綾香は歩美の言ってることが理解できなかった。 

 

「歩美〜。チームを作るってどうやって?」

 

「今…部員を集めていて現実3人しかいないの!監督兼コーチは私のお兄ちゃんについてもらうことにしてる!最終的に…チャレンジリーグに出場したいの!」 

 

「チャレンジリーグって…1部と2部があって…その下のチャレンジリーグのことね。J3みたいなもんか…。確かに大学のチームも加入してるしね……。」 

 

歩美はもう一押しお願いする。 

 

「綾香のディフェンスはプロ並みの実力だと思ってる!だから…お願い!!試合に出るだけで良いから…。」 

 

「…。試合だけなら良いわ。私も○○FCレディースの練習もあるから貴女達と練習することは出来ないけど…それでも良いの?」 

 

「うん!」 

 

「……。わかったよ〜。正直…またいつか歩美と一緒にサッカーがしたかったし…チャレンジリーグで自分の今の実力を試すのも悪くないと思ってる。ちなみに…メンバーは誰がいるの?」 

 

「今のところ真美ちゃんと私と上条由希奈ちゃんっていう子の3人よ。」 

 

「なるほどね〜。私さ〜大学で出来た友達がいるんだけど〜その子めっちゃサッカーに詳しいんだよ〜。スカウトしてみよーかな。」

 

「是非是非!」 

 

「わかった。今…電話してみるね。」 

 

綾香は電話をかけると5分ぐらい会話してた。すると、まだ大学構内にいるということで呼び出した。 

 

5分ぐらい待つとその女性が来た。 

 

「綾香……。何?」 

 

「来た来た〜!」 

 

歩美と真美は同時に感じた。本当にサッカーに詳しいのかと。雰囲気的に暗そうな表情をしており前髪が目に隠れていてオバケを見てるような感じだった。 

 

「右田善子ちゃん!こーみえてサッカー上手いんだよ!!」 

 

歩美と真美は思った。 

 

(えっ…。この子が…。) 

(身体を見た感じ…細いし本当にサッカー経験者なのかわからない。) 

 

歩美は勇気を振り絞って右田に話しかける。 

 

「はじめまして!相澤歩美です!」 

 

「私は…右田善子です…。よろしく…。」 

 

「あの〜。右田さんはサッカーは経験したことありますか?」 

 

「私は……。ないです。」 

 

「えっ…。」 

 

「私…サッカーボールの形が好きなんです…。だから…常日頃持ち歩いているんです……。」 

 

すると、右田のリュックの中からサッカーボールを取り出した。歩美と真美は驚いた。リュックの中にはサッカーボールしかいれていなかったからだ。

 

(勉強道具とか教材は入れてないの…。)

(変わってる子だな…。) 

 

「せっかくだから…中庭のグラウンドで善子ちゃんの実力を見せてあげるよ!」 

 

「うん…。私はサッカーボールを蹴るのが好きだから…やろう…。」 

 

歩美と真美は疑った。

本当にサッカーが出来るか。詳しいだけで本当は出来ないのではないかと。歩美と真美は確かめるだけ確かめようと思った。 

 

そして、4人は中庭のグラウンドにいく。ちょうど誰も使っていなかったからゴールを設置する。真美は右田に問いかける。

 

「あの…。私服でスパイクなしでやるの?」 

 

「私は…裸足でやるから…。」 

 

「はだ…し?」 

 

「うん。私…こーみえて小さい時から裸足でボールを蹴ってるから…。だって…サッカーボールを…直接感じるんだもん…。」

 

真美は彼女の衝撃発言に戸惑う。

サッカーボールは硬いぶん素足で蹴ると怪我をしかねない。 

 

「わかったわ!右田さん!リフティングは出来るかしら?」 

 

「それでしたら出来ますよ…。」 

 

右田は素足になりリフティングを始める。想像してたよりリズム良くリフティングをし…たまにヘディングやもも上げをしボールコントロールがずば抜けていた。真美は予想に反していたため目が点になる。真美は試した。 

 

「貴女…ドリブルシュート出来るかしら?」

 

「……。それは私の得意技です…。」 

 

(ほう…。素足でシュートすると脚に負担がかかる。だから…試してみる価値がある。」 

 

真美も素足になりゴール前につく。 

 

「さぁ!来なさい!」 

 

「真美ちゃん!素足だし…キーパーグローブないけど大丈夫!?」 

 

「歩美。大丈夫よ。」 

 

右田はボールをセットしてドリブルする。真美は構えると右田は真美の近くまで接近する。真美は瞬時に判断した。 

 

(ループシュートか。それならば私の手足の長さを活かしてセーブ出来る!)

 

右田は真美の動きを予想してループシュートを放つ。 

 

(手が届く範囲!) 

 

「甘いわね。」 

 

すると右田自身が飛んでボールを再び足に収めた! 

 

「何!」 

 

そのまま右田は空中で回転してゴールラインを割った。ダイナミックな動きで自分の身体ごとボールと共にゴールを中に入る。真美は一瞬の出来事で理解が出来なかった。まるで体操選手のような身体のしなやかさにボールを巧みに操る能力。まるで、ブラジルの選手のようなボールコントロール。歩美は右田のプレーを見てますます興味を持った。 

 

「右田さん!凄い!どこで身につけたの!?」

 

「……。私。サッカーボールが好きだから…ずっと毎日のようにボールと遊んでいたら自然と身についてた…。リフティングだって1000回できるよ…。だって…私はサッカーボールを愛してるから…。」 

 

「ほう〜。リフティングは基本中の基本だからね…。」 

 

「歩美〜!凄いでしょ!善子ちゃんのボールコントロール技術!」 

 

「綾香。確かにそうだけど……。」 

 

「善子ちゃんなら!サッカー出来るよ!!このボールコントロールとキープ能力は必要でしょ!」 

 

「でも…サッカーはいくら個の能力が優れていてもチームスポーツだからね…。」 

 

すると真美は歩美に話しかける。 

 

「私は彼女をチームに入れたい。サッカー経験がなくてもあの動きが出来れば役に立つ。それに彼女はやる気満々みたいだし。」 

 

「私…ボールにより長く触れることが出来れば…サッカーチームに入っていいよ…。だって…ボールを見るだけで興奮するんだもん…。」 

 

歩美は少し考えたが…右田を加入することにした。 

 

「右田さん。貴女のその能力を活かしたいわ。だから…よろしく!」 

 

「こちらこそ…よろしくお願いします…。やったね…。ボールちゃん…。」 

 

右田はボールに頬をすりすりした。 

 

 

「変わってる子だけど…これはこれで面白いかも。」 

 

 

歩美は左文字綾香と右田善子をチームに加入した。 

 

次回話に続く…。




キャラ紹介 

右田善子。18歳。身長157cm。体重42kg。両きき。
独特な雰囲気を感じるミステリアスな女の子。サッカーボールが好きすぎて365日持ち歩いているらしい…。自身曰くリフティング1000回は出来るらしい。サッカー経験はないがボールコントロールとキープ力がずば抜けている。


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翔平の同僚

 

歩美が部員を増やしている時に翔平は新商品の開発に同僚と話しながら考えていた。 

 

「どーしようか。何を売るか…。」 

 

「翔平は真面目だよな。相変わらず…。」 

 

鎌田広大。翔平と同じく入社した同期だ。翔平と同じ大学出身であることを知り入社してずく仲良くなった。

 

「なぁ…。広大ならどーゆうのが良いと思う?例えば…味を変えるか…それか…飲みやすい物にするか?」 

 

「うーん。わからないなー。ったく…先輩は無茶振りするよな〜。新入社員だから若い世代達がウケるような新商品を開発してくれって…急に言われてもな…。」 

 

翔平は考えた。スポーツドリンクを専門に取り扱っている会社であるためスポーツ飲料水にしなければいけない。従来の王道商品は売れ行きが良いが…味のバリエーションがなかった。そのため、新商品を開発しろと言われるのは難しい気がした。

 

(うーーん。どうしよ…。来週までに決めないといけないし……。)

 

「とりま。翔平。気休めにコーヒーでも飲みに行くか!!頭をスッキリしてから考えようぜ!」

 

「でも。まだ仕事中だし外出して良いのか?」 

 

「オレら今週は新商品開発の案を出せって言われてるし自由だよ!あとで先輩に言えばなんとかなるだろ!」 

 

「……。わかったよ。コーヒー飲みながら考えよう。」 

 

「レッツゴー!!」 

 

 

翔平と広大は会社を出て近くのカフェに行く。翔平はブラックコーヒーを注文し、広大はカフェオレを注文した。飲み物を渡されるとテラス席に座り2人で会話する。 

 

「そーいえば翔平って…サッカーやってたんだよな?」 

 

「そうだけど。」 

 

「そっか!スポーツしてさ…スポドリを飲む場面ってどうゆう場面よ!」

 

「試合前やハーフタイム、試合後かな。」 

 

「ほうほう。汗をかくから水分と塩分(ナトリウム)を摂取するからか…。なるほど…。」 

 

「てか…ずっと気になってたんだけどさ…広大はスポーツしてたの?だって…体育大学だぜ。オレら…。お前も何かしてスポーツをしてて体育大学に通ったんじゃないの?」 

 

「翔平にまだ話してなかったか…。オレはスポーツビジネス学部にいたんだ。オレら…学部が違ったから接点はなかったかもしれないけど…スポーツはこれといった経験はないかな〜。学校の体育ぐらいで。将来はプロチームのフロントで働きたい!それはどんなスポーツでも良いがな!」

 

翔平は閃いた。もうかしたら…こいつとビジネスパートナーになれる

のでは思って聞いてみた。

 

「広大。お前。大学サッカーチームとか興味ないか?」

 

「えっ…。」 

 

「スポーツビジネスなら大学サッカーも一緒だ。フロントではないが…ビジネスといったところは出来る。グッズ販売やチケット販売を行う。それも立派なビジネスだと思う。」 

 

「ほーう。つまり…翔平は大学サッカー部のマネジメントをしたいのか?」 

 

「ああ。妹と約束したからな。」 

 

「妹…?お前…妹がいたのかよ!写真見せろよ!」 

 

「いや。持ってない。」 

 

「面白そうだけど…今…新商品の開発しようとしてるんだぜ。笑。」

 

「オレら働いているけど…妹と約束したんだよ。監督兼コーチをしてくれって。それにあいつの夢を叶えてあげたいんだ。」 

 

「翔平ってシスコンなん。笑。」 

 

「ち…違うわ!」 

 

「検討しとくよ。で…妹さんのサッカー部は活動してるの?」 

 

「いや。まだこれからだ。部員がまだ3人しか集まっていないらしい。だから今頃勧誘してると思う。」

 

「ほーう。」 

 

すると広大はあることを思いついた! 

 

 

「なぁ!妹さんたちに味を検証してもらうっていうのはどうだ!?

スポーツしてるし…女子だぜ…。女子好みの味なら売れるんじゃね!なぁ!!やろうぜ!!」 

 

「急に言われてもな…。」 

 

「そこを頼むよ!お前も困るだろ!このままじゃ!」 

 

「それもそうだな…。妹に今週の土曜日に練習に付き合う約束をとってるからその時に検証してみるか?」 

 

「ああ!それよ!翔平!会社に戻るぞ!今日はざんぎょーうだー!」

 

「ああ……。そうだな…。」 

 

翔平と広大は会社に戻って味を決めるために開発するのである。 

 

 

次回話に続く…。




キャラ紹介 

鎌田広大。22歳。翔平と同じ体育大学のスポーツビジネス学部出身で同じ会社に勤めている。外見は良いが内面が残念な残念系イケメンであるである。大の女子好き。過去に何人か付き合ったことがあるプレイボーイである。将来はプロチームのフロント。


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初練習

あれから翔平と広大夜遅くまで会社に残りいろんな味を開発していった。金曜日の11時に検証用のスポーツドリンクを完成した。 

 

「翔平…。この4つに絞るぞ…。」

 

「ああ。あとで歩美達に検証してもらうだけだ。」 

 

「オレら……。疲れたよ……。あれから3日間ずっと……会社に残って残業したからな……。」 

 

「ああ…。これなら来週に間に合うな…。とりま…お疲れ様。モン○ターとレッド○ルーを飲むぞ。」 

 

「ああ。翔平。頼むわ。」 

 

2人はエナジードリンクを飲んでほんの少しだけ疲労を回復した。 

 

 

翌日。

 

 

翔平と広大は開発したスポドリを持ってフットサル場に行く。

そこで歩美達と合流することになっていたためフットサル場を貸してもらった。 

 

「あっ…!お兄ちゃん!」 

 

「歩美。待たせたな。あれっ…いつの間に増えたな。部員。」 

 

「うんっ!」 

 

「ちなみにコイツはオレの同僚の鎌田広大だ。今日は歩美達にスポドリの味を4種類用意した。試作品だから是非協力してほしい。」 

 

「いいよー!どれも美味しそうだなー!早く飲みたい!」 

 

広大は小声で翔平に話しかける。 

 

 

「お前の妹可愛いじゃん…。オレっ…ゾッコンよ。」 

 

「相変わらずスケベだな…。お前…。」 

 

 

翔平は広大の女好きな所に呆れる。すると由希奈と真美が来た。 

 

 

「歩美。お待たせ。」 

「歩美〜!」 

 

 

「来た!今日は…お兄ちゃんが開発したスポドリを4種類用意してるから飲んでみて!」 

 

由希奈はスポドリを見て早速1本空けて飲んだ。 

 

「ぶは〜!これっ…塩レモン味?いけなくはないけど…ちょっとしょっぱいねー。これはハーフタイムに飲むのが1番ね!」 

 

 

翔平は由希奈の感想を聞いて参考にした。

 

 

「貴重な意見をありがとうございます。あと3種類あるので是非飲んでください。」 

 

「あれっ…。この人!!和製ファン・ダ○クの人じゃない!真美!」

 

「……。やっぱりそうでしたか。U-15やU-18、U-20日本代表のCBで日本やヨーロッパのクラブから注目を集めた人。歩美のお兄さんがまさか相澤翔平とは意外だわ。この人が指導者につけるのは良いわね。よろしくお願いします。相澤翔平さん。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。」 

 

広大は女子に話しかけられていて翔平に嫉妬した。 

 

 

(こいつ…そんなに有名人なの!!) 

 

 

次に左文字と右田が来た。左文字もすぐ気づいた。

 

「あら。あなたは相澤翔平選手ね。私はあなたのプレーを観て学ばせて頂いたわ!私も同じCBなので…。」 

 

「ありがとうございます。妹とユースの時から仲が良いみたいなので妹にいつもお世話になっております。もし良ければ…試作品ですが…スポーツドリンクがあるので飲んでみてください。」 

 

「では…早速いたただきますね。」 

 

綾香はエナジードリンク風スポーツドリンクを飲んだ。 

 

「うん。これは炭酸が入ってるのかな?今まで飲んだことないスポドリで斬新なアイデアね。日常生活で飲む分には良いかもしれないけど…練習中や試合中には飲めないわね。」 

 

「貴重な意見をありがとうございます!」 

 

右田はスポドリに興味を示さずひたすらボールを抱っこしながら歩いていった。

 

そして、翔平はメンバーが集まったところで監督兼コーチとして初仕事を始める。 

 

「皆さん。はじめまして。僕は歩美の兄の相澤翔平です。妹にいつもお世話になっております。僕のことをご存知な方がいるので自己紹介は省略しますが…そこにいる女の子は何故ずっとリフティングをしているんですかね?」 

 

右田のことだった。彼女は相澤翔平に興味を示さずひたすら1人でリフティングをしてる。相澤はすぐ彼女のもとに駆けつける。 

 

「キミ。リフティング上手いね。」 

 

「邪魔しないで…。私…ボールに触れるのが好きだから…。」 

 

相澤は彼女が蹴ってるボールを奪う。 

 

「なにをするんですか…。253回リフティングしてたのに…。」 

 

「キミは本当にサッカーがしたいのかな?リフティングがしたいならリフティングの技術を競う大会がある。サッカーはチームスポーツだ。1人だけミーティング中にリフティングするのは協調性に欠ける。」

 

「……。私は…サッカーがしたいというより…ボールに触れたいんです…。だから…邪魔しないで…。」 

 

「……。まっ。いいだろ。ボールは返す。しかし…キミ専用の練習内容はこのコートを今日借りている時間は3時間だ。だから…3時間ずっとキミはリフティングをして良い。それで良いかな?」 

 

「…。良いですよ…。私…リフティング最高記憶が1024回なので…自己更新したいので邪魔しないでください。お願いしますよ…。」 

 

「わかった。なら…キミはリフティングして良い。」 

 

 

すると、右田の友人である綾香は翔平に文句を言う。 

 

 

「善子ちゃんは本当は私達とサッカーしたいんだよ!!何故…リフティングだけしろって言うんですか!?」 

 

「彼女がそう望んでいるなら邪魔はしない。それだけです。」 

 

「でも…。善子ちゃんは自ら私達のチームに入ったのよ!!」 

 

「左文字綾香さん。あなたは本当に彼女の友達なんですか?友達ならやりたくないことを無理矢理勧めたりしない。彼女はリフティングが好きなんだ。それに…自己更新したいと言ってる。そんな彼女の気持ちを踏みいじるのか?」 

 

「……。それは……。」 

 

「なら…彼女を見守るんだ。では…今日の練習内容は自由だ。」 

 

歩美と由希奈、真美、綾香は驚いた。真美がすぐ反論する。 

 

「何故。練習内容がないんですか。監督やコーチなら練習内容を言いますよね?」 

 

「まず…僕は君達の実力を知らない。だから…君達の自由に今日は練習すると良い。あと…喉が渇いたらスポドリを飲んでください。僕らは今日仕事で来てるので。」 

 

「……!わかりました。由希奈、歩美、綾香。やるわよ。」 

 

「わかった…。」 

「……。」 

「お兄ちゃん…。」 

 

 

歩美は翔平に話しかける。 

 

 

「なんで…あんなことを言ったの?善子ちゃんのことも…。」 

 

 

「歩美。監督やコーチというのはまず選手を知らないといけない。初回だから彼女達の実力もわからないし…どういう選手なのか知らない。だから…今日は自由にさせる。そこでオレは次回からメニューを考える。それが監督やコーチという仕事だ。」 

 

「でも!善子ちゃんは何故リフティングだけしろって言ったの!」 

 

「歩美。オレは彼女のリフティングを見て感じた…。近い将来…あの子はこのチームの切り札になる。オレはそれに賭けようと思う。」

 

「!!!」 

 

「歩美。良いメンバーを見つけたな。さぁ…練習に戻りなさい。」 

 

「わかった…。」 

 

歩美達が練習してる時に翔平は彼女達を見守りながら見つめていた。隣で黙々と見てた広大は翔平に話しかける。 

 

「なぁ…。お前…何もんなんだよ?何故…彼女達はお前のことを知ってるんだ。U-15やU-18、U-20の日本代表とか言ってたけど…お前は…本当ならプロに行ってもおかしくなかったんだろ?なんで…飲料メーカーの平社員として働いているんだよ…。」 

 

「広大。本当はお前にこのことを話したくなかったが…仕方ない。これからもしかわりにビジネスパートナーでやるとしたらオレの過去を話さないといけないからな。だから…聞いてくれるか?」 

 

「……。わかったよ。」 

 

翔平は広大に全て語る。広大は真剣に翔平の話を聞いてた。

一通り話が終わると広大は決意する。

 

「翔平…。オレをスカウトした理由がよくわかったよ!そういうことならオレも全力で協力する。妹さんの夢を叶えるんだろ。だったら…オレも本気出すよ!」 

 

「そっか…ありがとうな。」 

 

「それに〜歩美ちゃんのことが気になるから〜。」 

 

 

「おい。さっきの感動を返せ。」 

 

 

すると歩美達は1対1の練習を始める。綾香がディフェンダーで歩美がオフェンスで始める。 

 

「歩美!来なさい!」 

 

「綾香!行くわよ!」

 

歩美はシザーズフェイントを使い綾香を抜けようとしたが…綾香はすぐ得意なフィジカルを活かしたショルダータックルをし歩美からボールを奪う。 

 

「どんなもんよ。歩美!」 

 

「やっぱり…綾香はフィジカル強いな…。」 

 

 

すると翔平が綾香にアドバイスを送る。 

 

 

「これがペナルティーエリアだったら敵にPKを与えるぞ。腕なんか使わなくもボールをとれるはずだ。」 

 

「!!。」 

 

「左文字さんはフィジカルがあるからタックルに頼る癖があるかもな。真のセンターバックならポジショニングを意識するべきだ。身体を当てることも大事かもしれないが…何より敵のオフェンスの動きを読み…効率よくボールを奪った方が良い。」 

 

「お兄ちゃん…?」 

 

綾香は真剣に彼の話を真剣に聞いてた。同じポジションの経験者であるため説得力があったからだ。歩美は彼が綾香に指導してる場面を見て感じた。 

 

(お兄ちゃんについていけば…間違えない!) 

 

 

「ありがとうございます!参考になりました!」 

 

「左文字さんはセンターバックとして才能はある。だから…ポジショニングを意識すればもっと良くなる。」 

 

 

再び1対1をやると、綾香のプレーが変わった。歩美が持ってるボールの位置と歩美の動きを伺っていたからだ。歩美は右側から抜こうとすると綾香は左足で歩美からボールを奪った。歩美は驚いた。兄のアドバイスですぐ改善されたから。綾香は嬉しそうな表情をしてた。 

 

翔平は右田が隅でリフティングしてる様子を見た。

 

「621回…。622回…。」 

 

(彼女のあの集中力。素晴らしいね。)

 

 

真美と由希奈はシュート練習をしてた。翔平は2人の様子を見た。

 

「もう一本!」 

 

「真美!少し休憩しない?」 

 

「そうだな。給水するか。」 

 

 

真美と由希奈は翔平達が持ってきたスポドリを飲んだ。

すると翔平は由希奈にアドバイスする。 

 

 

「上条由希奈さん。あなたにとっておきなアドバイスを送る。」 

 

「!!?」 

 

「どんな長身なキーパーでも弱点がある。」 

 

「えっ…。」 

 

「手足が長い分守備範囲が広い。しかし…1つ手や足が届かない場所がある。」 

 

「……。まさか!!」 

 

「そう。気づいたようなら答えは言わない。実際やればわかるはずだ!」 

 

「…。わかったわ。あと…ピーチ味のスポドリは不味いから販売しないほうが良いわねー。」

 

「ああ…。貴重な意見ありがとう…。」 

 

 

由希奈は翔平に言われた通りに真美の弱点に狙いシュートする。

真美は瞬時に感じた。

 

(真ん中のグランダーシュート!どーゆうことかしら!なら…防げるわね!) 

 

真美は止めようとしたが遅かった。由希奈のグランダーシュートの速さや威力に手足が間に合わなかった。 

 

(ウソ!なんで!ど真ん中のグランダーシュートなのに!) 

 

 

「やったー!!本当に狙ったら入ったよ!」 

 

 

由希奈は翔平にピースサインを送った。翔平は狙い通りだと感じた。

 

 

「やっぱりな。手足が長いキーパーは股下のグランダーシュートに弱い傾向がある。予想通りだな。」 

 

 

こうしてあっという間に3時間の練習が終わる。 

スポドリも全部なくなった。検証した結果…塩レモン味が人気だった。

右田はまだリフティングをしてた。 

 

「1534回…。1535回…。」 

 

綾香は右田にリフティングをやめされた。 

 

「もう帰るわよ!何回出来たの?」 

 

「1536回…。自己更新記憶!!やったね!ボールちゃん!」 

 

「良かったね!」 

 

 

翔平が総括を始める。

 

 

「今日はお疲れ様。そして、僕達に協力してくれてありがとう。今日は解散。あと、右田善子さんだっけ。キミに少し話があるから残って。」

 

 

「……。わかりました。」 

 

 

次回話に続く…。



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反省会

他のメンバー達が帰りの支度をしている時に翔平は善子を呼び止め話しかけた。

「急に何ですか?」

 

「君にはこれから宿題を与える。」

 

「宿題?」

 

 

「来週までにサッカーのルールやポジションについて研究したレポートに、海外のサッカー選手のプレーを見た感想文を書いてほしい。3800字から4000字までにまとめるんだ。」

 

 

善子は何故こんなだるい思いをしてまでレポートを書かないといけないのかと疑問があった。

 

 

「私は…そんな暇じゃないので…。」

 

「まぁ…やらなかったらキミは退部してもらう。」

 

「…。この鬼コーチ…。」

 

「キミはボールに長く触れたいからチームに入ったんだろ?それに…僕はキミに活躍出来る場所は必ずあると思う。キミのその並み離れた集中力にボールコントロールはチーム一の能力だ。だからこそ、キミはサッカーのルールや他の選手達のプレーを見て学んでほしい。」

 

 

「つまり…こんな私でも活躍出来るの…?」

 

「当たり前さ。経験の有無関係無しでやる気があれば活躍出来る。それをサポートするのがオレの仕事だ。」

 

「…。わかった。来週の練習に間に合うよう頑張る。」

 

「頼んだよ。」

 

 

翔平と善子の会話が終わると歩美が翔平に話しかける。

 

 

「お兄ちゃん!明日も練習やりたい!いいかな?」

 

「いいけど…最近夜遅くまで残業して疲れてるから…昼間からにしてくれ…。」

 

「わかった!みんなに伝えておくよ!」

 

「ああ…。」

 

 

【歩美は相変わらず元気で体力バカなところは人一倍あるな。】

 

 

その後、翔平と広大は検証結果をまとめるために近くのファミレスで書類を作成をする。歩美達は地元で有名なパフェ屋に行くが、善子はパフェ屋に寄らず帰ってしまった。綾香は寂しそうな表情をしたが…善子の性格上興味を示さないのはわかっていた。4人でそれぞれパフェを頼み反省会を始める。

 

「お兄ちゃんの指導は良かったね!」

 

「そうだな。歩美。由希菜に私の弱点を見抜いた。私にこんな欠点があるとは一度も感じたことがなかった。キーパーの正面にシュートを狙うプレイヤーはそういない。だから。新たな発見が出来て良かったと思う。」

 

「私も今まで真ん中にグランダーシュートを蹴ることなかったからね~。でも嬉しかったな~。真美からゴールを奪って!」

 

「由希奈。そうやってすぐ調子こくからな…。」

 

 

綾香は翔平からアドバイスされたことをメモ帳に書いてた。

 

 

「ふう~。書き終わった~。」

 

「綾香。見せてよ!」

 

 

メモ帳を見ると細かく書いてあり歩美も見た。ディフェンスのポジショニングや相手を分析することなど書いてあった。

 

 

「私はセンターバックだからディフェンスが出来ないと話にならない。だから、今日学んだことを明日の練習に活かしたい。」

 

「そうだね…。私も頑張らないと!」

 

「歩美はまず…パスやクロスを練習しないとね!」 

 

「うん。そうだね…。」 

 

歩美はその時思った。

お兄ちゃんは何故私に何もアドバイスをしてくれなかったのか。

 

(お兄ちゃんは…私に何もアドバイスをしてくれなかった。善子ちゃんのリフティングを褒めていたし…綾香にディフェンスの極意を伝え…由希奈ちゃんは真美ちゃんの弱点を見抜いて…真美ちゃんは自分の課題点を見つける事が出来た。今日の私のプレーに何も指摘しなかった…。何故だろ…。) 

 

歩美は今日の練習で何が足りなかったのか知りたくなった。 

その後、4人は雑談をして解散する。

 

 

歩美が家に帰ると母が用意してくれたご飯を食べて風呂に入り兄が帰ってくるのを待った。1時間経つと兄が帰ってきた。 

 

「ただいま。母さん。会社の同僚と一緒に飯を食べてきたからご飯はいらない。そのまま風呂に入る。」 

 

「あんた!今日…歩美の練習に行ったんだって!?」 

 

「うん。そうだよ。今…新商品の開発のために歩美達に協力してもらった。来週に上司を提出する書類のため同僚と飯を食いながら作成してたから遅くなった。」 

 

「あら。そう。最近…あんたが仕事から帰るの遅くなったのもそうゆうことね。お疲れ様。」 

 

「うん。今日は疲れたから風呂入って寝るわ。」 

 

 

翔平は風呂に入るために洗面所に行くと歩美が立ってた。

 

 

「お兄ちゃん!お帰りなさい!」 

 

「歩美。ただいま。」 

 

「ねぇ。お兄ちゃん…。なんで…私に何もアドバイスをくれなかったの?」 

 

「……。歩美。お前にアドバイスすることは山程あるからだ。だから…あとで言おうと思ってた。今日は疲れたから風呂入って寝るよ。」

 

「今言ってよ!!」 

 

「歩美…。そこまで気になるなら簡潔的に言う。」 

 

「うん…。」 

 

 

「歩美。本当にチャレンジリーグに行きたいのか?」 

 

 

「えっ…。」 

 

 

「本当は技術的な指導も入れたいところだけど…それ以前にお前は本当にチャレンジリーグに挑戦する気があるのか?それだけだ。明日も練習があるなら…その答えを自分で出せばいい。オレは風呂入るから。」 

 

 

「……。わかった…。」 

 

 

歩美は洗面所から去り自分の部屋に戻った。 

 

 

(チャレンジリーグに挑戦する気があるのか?ってどういうこと?私にはわからないよ!!お兄ちゃん!!) 

 

 

歩美は翔平から言われた言葉が気になってしょうがなかった。 

 

 

翔平は風呂場で呟いた。 

 

 

「歩美がこのチームを束ねるなら…歩美に試練を与えた方が良い。歩美はきっと答えを導き出すからな。それがわかるまでオレは何も言わない。明日も…アイツらの面倒を見ないといけないから今日は早く寝るか。」 

 

 

翔平は風呂場で明日の練習内容を考えるのであった。 

 

 

次回話に続く…。



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歩美のキャプテンシー 前編

 

翌日の13時40分。駅ビルの屋上にあるフットサルコートに集合することになった。善子以外の4人が来た。全員集まると翔平は練習内容を伝える。 

 

「集まりましたね。今日の練習内容はフットサル。ここに学生や社会人のチームが集結してる。フットサルは5人だから…オレはGKで参加する。後ろから君達のプレーを見守ることにする。」 

 

本職のゴールキーパーの真美が翔平に問いかける。 

 

「私はキーパーだ。何故…監督がキーパーをやるのですか?」 

 

「キーパーはゲームの流れが良く見えるだろ。だから…オレはキミらのプレーを見守りつつ指示をしていく。」 

 

「つっ……。」 

 

真美は納得がいかない様子だったが監督の指示なら仕方ないと思い真美はディフェンスで入ることになった。 

 

「キミたちは2人オフェンスに2人ディフェンスのフォーメーションにする。フィニッシャーは由希奈さん。ポストプレイヤー兼アタッカーに歩美。アンカーは綾香さん。ブロッカーは真美さん。これでいく。フットサルだからコートが小さい分よく動く。だから…これは持久力と判断力、展開力が必要になる。他に3チームいるから最低1勝を目標にいこう。では…アップを開始していい。」 

 

 

由希奈は久々のフットサルに興奮してた。

 

 

「フットサルよ!!それに相手は全員男子!あの人…イケメン♡」 

 

「全く…。由希奈は相変わらず男ばっかり見てるな。」 

 

「はははっ…。」 

 

 

すると、綾香は翔平に尋ねた。 

 

 

「あの。なんで善子ちゃんがいないのですか?」 

 

「善子さんには課題を与えているから来週まで練習に一切参加しないよう指示してますから。」 

 

「…!善子ちゃんだけ仲間外れは酷いのですよ!」 

 

「別にオレは仲間外れをしたいからしてる訳ではない。むしろ…逆に彼女のために課題を与えているのです。」 

 

「どーゆうこと!?」 

 

「それは…1週間後わかります。そろそろ始まるので行きましょう。」

 

「……っ。」 

 

 

月1てま開催するフットサル大会。学生から社会人など幅広い世代達が集まる大会。翔平は実戦方式でフットサル大会を今日の練習内容にした。それに彼の狙いがあった。 

 

 

1試合目は40代ぐらいのおじさん達が有志で集まったチームであった。

 

 

おっさんA「女子チームだな!」 

おっさんB「あの子タイプー。」 

おっさんC「おじさん…。若い女の子とフットサルが出来るなんて嬉しいなー。」

おっさんD 「可愛いねー。君達。」 

おっさんE 「おっさんパワーを見せようぜ。」 

 

 

おっさん達 「おおお!!!」 

 

 

由希奈 「ちぇっ。おっさんかよ。」 

真美  「余裕だわ。」 

綾香  「きも〜い。」 

歩美  「私達なら勝てるよ!」 

翔平  「……。」 

 

 

キックオフ! 

 

 

序盤から攻めていく!歩美がボールを持ち由希奈にパスを送る。

 

「おっさん達見てな!これが私のシュートよ!!」 

 

由希奈はダイレクトシュートをするが、おっさんEはボールを弾いてタッチラインを割る。

 

「どんなもんだい!お嬢ちゃん!」 

 

「くそっ…。」 

 

 

その後。攻め続けるがおっさんEのキーパーの上手さに由希奈はイライラし始める。

 

 

「私がゴールを決める!だから…パスを!」 

 

 

綾香や真美、歩美は由希奈にパスを出すがおっさんディフェンダー達に読まれボールを奪われる。綾香と真美のディフェンスのおかげで防戦一方の展開になる。後ろから見守っていた翔平は何も指示を出さなかった。すると、おっさんAがドリブルで攻め込み綾香のディフェンスをかわしおっさんAと翔平の1対1になる! 

 

「しまった!監督!守ってください!」 

 

おっさんAがシュートが打つ!しかし、翔平は一歩も動かずゴールを許した。先制点はおじさんチームに。 

 

 

おっさんA 「よっしゃー!」 

おっさんB 「あいつ。ゴールを守る気ないな。」 

 

 

おじさん達からバカにされるが…翔平は動じなかった。 

そして、綾香と真美、由希奈に怒鳴られる。

 

綾香 「なんでゴールを守ろうとしなかったのですか!」 

真美 「私がキーパーだったらあんなシュート止めたのに!」 

由希奈 「あんた!!やる気あるの!!?」 

 

 

翔平は彼女達の言葉にも動じなかった。 

 

 

「今の失点はお前らの責任だ。」 

 

 

真美 「私達のせいですか!?」

綾香 「私と真美は守っているのよ!」 

由希奈 「てか!あんた達が変なパスを出すから私にボールが集まらないじゃない!!」 

真美  「由希奈もパスを受ける努力をしろよ!」 

由希奈 「バカマミ!何が防御は最大の攻撃よ!全然ダメじゃない!」

 

歩美はひたすら彼女達を見守ることしか出来なかった。

仲間割れが始まり連携が崩れていく。

 

その後。由希奈にパスを送るがおっさん達に奪われ真美と綾香は必死に守る。サッカーは攻める時より守る時の方が体力の消耗が激しい。だから、綾香と真美に疲労が蓄積していく。真美がおっさんCのドリブルをスライディングで阻止しようとするが、ワンツーで崩され再び翔平とおっさんAと1対1になりシュートを打つ! 

 

 

「おりゃ!」 

 

 

翔平は一歩も動かずまたゴールを許しおじさんチームに追加点が入り2-0に。真美は翔平のやる気の無さに怒りの感情が限界を達した。

 

 

「ゴールを守る気がないなら!私がゴールを守る!!最初から私がキーパーになれば良かった!邪魔だ!監督!そこは私のポジションだ!!」 

 

 

しかし、翔平はゴールから退こうとしなかった。 

 

 

「真美さんはディフェンダーだ。自分のポジションに戻りなさい。」 

 

「やる気ないなら!ピッチに立つな!」 

 

「オレの指示に従わないなら真美さんを退場させます。」 

 

「くそっ…。」

 

 

歩美は翔平がどんな狙いがあってこの試合をしているのか。私には理解ができない。

 

 

その後も、チームの連携が上手くいかず不完全燃焼で試合が終了。

2-0でおじさんチームが勝利した。 

 

 

おっさんA 「やったぜ!」 

おっさんB 「対したことなかったな〜。」 

おっさんC 「まさか…勝っちゃうなんて思わなかったぜ!」 

おっさんD 「みんな良くやったよ!若いもんには負けたくないからなー!!」 

 

おっさんEは無言で彼女達を見て立ち去った。 

 

 

試合が終わると、真美は翔平の胸ぐらを掴んだ。 

 

 

「あんたのせいで負けた!」 

 

「離してくださいよ。」 

 

「この〜!!」 

 

 

真美は翔平の顔に殴ろうとするが、歩美は泣きながらとめた。

 

 

「やめて!お兄ちゃんは……悪くないよ……。私達に……何かを伝えようとしてるのよ……。ねぇ……。お兄ちゃん……。」 

 

 

「キミ達にハッキリ言います。サッカーなんかやめちゃえば?」 

 

 

由希奈と綾香は便乗するように翔平に反論する。

 

 

由希奈 「はーぁ!?まともにゴールを守ろうとしないアンタに言われたくないよ!アンタのせいでチームの雰囲気を悪くしてるの気づかないのー?」 

 

綾香  「真美と私が必死に守ってるのに…あなたは守る気が0!」 

 

 

翔平はハッキリ物申した。 

 

 

「キミ達にもう何も教えることはないし…教える気がない。この大会の参加費はオレが払うからあとはキミ達の自由にするが良い。オレはもう帰るから。」 

 

 

翔平は帰っていこうとするが…歩美は翔平を引き止めた。

 

 

「お兄ちゃんは何がしたいの……。私だけで良いから教えてよ。」 

 

 

「歩美。昨日の夜…オレは言ったよな。お前が答えを見つけろと。ちなみに…今のがヒントだ。じゃ…オレは帰る。」 

 

 

「えっ……。」

 

 

次回話に続く…。

 



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歩美のキャプテンシー 後編

翔平は歩美に言い残しフットサル場から去ってしまった。

歩美は「答えを見つけろ。」というワードに何を伝えたかったのか理解出来ずに次の試合に向けて休憩する。チーム内は険悪なムードで誰も会話していなかった。真美は他のチームの試合を見てた。綾香と由希奈はスマホをいじっていた。歩美は考えた。 

 

(このままではいけない…。真美ちゃんと綾香は必死にディフェンスしてたし…由希奈ちゃんも声を張りながらパスを要求していた。私も出来る限り由希奈ちゃんにパスを出していたけど…おじさん達にパスカットされた。なんだろう…。何がいけなかったのか…。) 

 

しばらくすると他のチームの試合が終わり、歩美達の2試合目が始まる。翔平がいなくなったことで真美が先陣を切って指示をする。 

 

真美 「監督が試合放棄したから4人で行く。私はゴールを守る。綾香と歩美がディフェンスを頼む。由希奈はシュートを打つことだけを考えれば良い。ボールを奪ったらカウンター。それでいいわね。」 

 

由希奈 「今度こそ!私にボールを集めるのよ!私がシュートを決めるから!!」 

 

綾香  「歩美!私が後ろからカバーに入るからあなたは相手を切るのよ!!」 

 

歩美  「…。わかった…。」 

 

真美  「今度こそ勝つわよ!」 

 

 

2試合目は男子学生のチームでサークル仲間が集まって出場している。先程の試合で5-0で大勝。真美は前の試合を見ていたため攻撃型のチームだと感じてた。守備型のカウンター戦法にする。 

 

 

キックオフ! 

 

 

学生チームは細かなパスでボールを繋いでいき開始10秒でファーストシュートを打つ! 歩美は持ち前のセービング能力を活かしてボールをキャッチ。すぐ、由希奈にロングスローで由希奈の得意な形の縦パスからのボレーシュートを決める!! 先制点は歩美達のチームがとった。

 

学生A 「あのキーパーなかなかやるなー。一気にFWにロングスローで繋げるとはな…。」 

学生B 「まだ試合は始まったばかりだぜ。」 

学生A 「そうだな。」 

 

先制点を決められた学生チームはパスを細かく繋ぎシュートを打つ。真美は止めて由希奈にロングスローに入れ由希奈がボレーシュートを決め追加点をとった。 

 

学生C (なるほどな…。そういうことか…。) 

学生E (こいつら…単調的な攻撃だな…。ならば…。)

 

すると、学生Eは由希奈にずっとマークをつかせて他を攻撃要員に回した。1人欠けている歩美チームは攻めの要である由希奈を封じ込まれ歩美と綾香が守備に奮闘するものの…数的不利とパスワークによりシュートを打たれるが…真美は必死にセーブをしゴールを守った。由希奈にパスを出してもマークをつかれているため思い通りに由希奈にボールが集まらない。歩美はこの状況でどうすれば良いか考えた。 

 

(私達は4人しかいない。由希奈ちゃんはずっとマークにつかれていてボールが繋がらない。それに…私と綾香が守備をしても彼らのパスワークの速さと連携で簡単にシュートを打たせている。真美ちゃんは必死にゴールを守っているが…攻める手がない!!どーすれば……。) 

 

翔平は密かに彼女達にバレない場所で試合を見守っていた。 

 

(それはそうだろうな。エース封じをしてしまえば守備に困ることはない。あのチームはパス中心で点をとるチームだ。3対2の場面を作ってしまったら…ウチが不利に決まっている。歩美ならどう出る?) 

 

真美がシュートを防ぐと歩美はボールを要求した。 

 

「真美ちゃん!私にボールを頂戴!!」 

 

「歩美!」 

 

歩美は真美からボールをもらう。 

 

 

(由希奈ちゃんが封じられてるなら…私が攻めるしかない!) 

 

 

歩美はドリブルで敵陣内に入るが…。 

 

 

学生D 「女子は男子のフィジカルには勝てないよな!」 

 

 

学生Dがタックルをして歩美から簡単にボールを奪う! 

 

 

歩美  「しまった!!」 

 

 

歩美が攻めたことにより守りが綾香しか1人しかいない。

 

 

学生D 「そろそろ決めようぜ!」 

 

綾香  「うおおおお!!」 

 

綾香は学生Dにスライディングをするが…学生DはFWの学生Aにボールをパスして真美と1対1になる! 

 

真美  「こい!」

 

学生Aは真美に接近して真美はシュートコースを塞ごうとしたが…左サイドから学生Bが走り込んでいたため学生Aは学生Bにパスを送りゴールを決める。学生チームが1点を取り返した。 

 

学生B 「ナイスアシスト!!」 

学生A 「1点返したぜ!」 

 

 

歩美の判断ミスで失点をしてしまった。 

 

 

歩美  「みんな…。ごめん…。」 

綾香  「いやっ…。歩美が自らドリブルで仕掛けにいくのは悪くなかったよ!」

真美  「防げなくて…ごめん。」 

由希奈 「もうなんなのよ!!私ばっかりマークついて!!」 

 

 

歩美は考えた。 

 

 

(私が攻めたら綾香が1人で守備することになる。由希奈ちゃんはずっとマークをつかれてパスが出せない…。これでは相手チームの思う壺よ…。どうすれば…どうすれば…良いのよ!!お兄ちゃん!!) 

 

 

翔平は影から黙って見守る。 

 

 

(歩美よ。この危機的状況をひっくり返すには…。) 

 

 

真美は考えた。

 

 

(由希奈は完璧エース封じの餌食になり、歩美は攻めたくも攻められない。綾香が攻めに加担したら守備力が0に等しくなる…。このまま攻めずに守ったら…数的不利で私達の守備を簡単に突破しシュートを打ち放題。こうなったら一か八かでいくしかない!!) 

 

 

真美はゴールを離れて自ら攻めにいくことを決めた! 

 

 

真美 「歩美!!パスを!!」 

 

歩美 「えっ!真美ちゃん!」 

 

綾香 「ゴールはどうするのよ!!」 

 

真美 「いいからパスを!こうするしかない!攻めなければ私達は負ける!!」 

 

歩美は真美にパスを出してワンツーで崩し綾香にパスを送る! 

 

真美 「綾香!!そのままドリブル突破するのよ!!」 

 

 

綾香は男子に対抗できるフィジカルがあるため男子にタックルされても倒れなかった。すると、危険と感じた学生Eは由希奈からマークを外してシュートコースを塞ぎにいく!由希奈にパスコースが出来た。

 

綾香  「来た!! 由希奈!!」 

 

学生E 「しまった!!」 

 

綾香は由希奈にパスをする!パスを受けた由希奈はシュートする!

 

 

由希奈  「いけー!!」

 

 

だがしかし…由希奈が打ったシュートを学生Cがキャッチする!

 

 

学生C 「ほーーらよ!!」 

 

真美 「みんな!全力で戻れ!!」 

 

 

だが既に遅かった。ゴールがガラ空きになった今…学生CはFWの学生Aにロングスローをし学生Aがゴールを決めた。これで同点で2-2。ここで試合終了。結果は引き分けだが…敵チームに封じ込まれなす素手がなかった。真美は床に手を叩いて悔しがってた。

 

真美 「くそッ!くそッ!私のせいで!!」

 

綾香 「結果引き分けだから良いじゃない…。真美は沢山シュートを防いでたから良かったよ…。」 

 

由希奈  「ごめん…。私…ずっとマークにつかれていて…何も出来なかった……。最後…点をとらなきゃいけない場面だったのに…。」 

 

 

歩美はその時に翔平から言われた言葉の意味を理解することができた。

 

 

(お兄ちゃんはきっと…私達に…。) 

 

 

そこで翔平が彼女達に顔を出しに来た。 

 

 

翔平  「どうだった?みんな…。これでわかっただろ。」 

 

 

真美  「監督…。」 

綾香  「翔平さん。」

由希奈 「……。」

 

 

すると、歩美は大声で彼女達を励ました。

 

 

歩美  「1試合目は…皆んなな気持ちがバラバラで試合にならなかった…。この試合中…真美ちゃんは沢山シュートを防いで最後は自ら攻撃に参加した!綾香は一生懸命守備して最後は男子達に負けじとドリブルで切り込んで由希奈ちゃんにラストパスを送った!由希奈ちゃんはマークをずっとつかれていたけど…必死にマークを外そうと努力した結果最後シュートを打てた!皆んなの勝ちたい気持ちが最後のプレーで現れたんだよ!結果は引き分けだったけど…良かったよ!!次の試合は勝とう!!」 

 

 

真美  「歩美…。そうだな。引き分けだけど…皆んなの気持ちが1つになれた気がしたよ。」 

 

由希奈 「歩美も…ドリブルで仕掛けにいった時はカッコ良かったよ…。悔しいけど…次の試合は負けないんだから!」 

 

綾香  「歩美。次の試合勝とう!翔平さんも最低1勝は勝つと決めたし…勝とう!!」 

 

歩美  「うん!!次は勝とう!!」 

 

 

4人  「おおお!!!」 

 

 

翔平は彼女達に伝えたいことが伝わって良かったと感じた。

 

 

(そう。団結と結束する力を教えたかった。ポジション関係なく最後の最後まで勝とうとする気持ち。がむしゃらさ。それがこのチームに必要だ。そして、歩美。お前も成長したな。真っ直ぐで芯がブレないところがキャプテンにふさわしい。だから…オレはお前に答えを考えてもらうことにした。今日の練習内容は無駄ではなかったな…。一時期はどうなるかとヒヤヒヤしたがな…。) 

 

 

翔平  「そうだ。次はオレは試合に出ない。かわりに…この子を助っ人につれてきた。もう来ていいよ。」 

 

 

すると、肌白のロシア人みたいな美貌な女の子が来た。 

 

 

「Добрый день 」 (こんにちは) 

 

 

歩美  「誰?」 

 

 

「私…エレナ・ジョルワと申します…。日本語はベラベラなのでよろしくお願いします…。」 

 

 

次回話に続く…。



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エレナ・ジョルワ

 

「私はエレナ・ジョルワ。よろしくお願いします…。」 

 

歩美は何故この人とお兄ちゃんが知り合いなのか不思議で仕方がなかった。翔平は彼女にユニホームに着替えてくるように言うと更衣室に行った。歩美は翔平に問いかける。 

 

「あの子…なんでお兄ちゃんの知り合いなの?」 

 

「地味にお前らが通ってる大学に訪問してサッカー部募集のポスターを貼りにいったんだ。そしたら…彼女が自ら志願したんだ。聞いた話によるとロシア代表に選ばれたことがあるみたいだね。」 

 

「えっ…。そうなの!身長も歩美ちゃんと変わらないぐらい身長あったし…さすが…ロシア人だね…。」 

 

「オレは彼女の実力を見てみたい。ポジションはキーパー以外ならどこでも出来るみたいだし期待してる。」 

 

「そうなの…。」 

 

 

するとエレナがユニホーム姿で出てきた。 

 

 

「自己紹介を頼むわ。」 

 

「はじめまして…。エレナ・ジョルワでロシアから留学生で来ました。将来は通訳の仕事に就きたいです。サッカーは18歳までやってました…。私はキーパー以外ならどこでも出来ます。身体を動かすことは好きなので…サッカー部に入りたいと思いました。よろしくお願いします…。」 

 

由希奈はすぐエレナと握手した。 

 

「よろしくね!エレナちゃん!本当に可愛いね!スタイルもいいし…身長もデカいし…憧れるわ!絶対彼氏いたでしょ!?」 

 

「彼氏も今…日本にいるので…。」 

 

「やっぱりー。」 

 

「私は下北真美。よろしくね。貴女は…U-15ロシア代表でいたよね?」

 

「はい。私はあの時FWとSMFで出場してましたね…。確か…JAPONと対決した記憶が…。」 

 

「ああ。私は覚えているよ…。確か…貴女に点を決められた記憶があるわ。」 

 

「あの時の…!ゴールキーパーの方ですか!」 

 

「ああ。とりあえずよろしくね。エレナさん。」 

 

「こちらこそ…。」 

 

綾香ももちろんU-15で戦ったことがあるため覚えていた。 

 

「あの時はボコボコにやられたけど…貴女は目立っていたわ。」 

 

「そうですか…。私はあの時初めてFWやりましたから…感覚でやってたので…。」 

 

「でも…貴女は素晴らしいプレイヤーだわ!そのプレーをまたみれるなんてね…。よろしくね。」 

 

綾香は握手をした。 

 

「こちらこそよろしくお願いします。」 

 

 

そして、新たにエレナが加わり5人で3試合目に挑む。

翔平は3試合目のフォーメーションを伝える。 

 

「真美さんはキーパー。基本的に1試合目と変わらないが…エレナさんはリベロ。」 

 

歩美  「リベロ!!」 

 

「オールラウンダーに動いてもらう。次の対戦相手は現役草フットサルチーム相手だ。平均年齢は25歳。攻めも守りをこなすバランス型だ。だから…気をつけるように。ちなみに今日からキャプテンは歩美だ。オレが使っていたキャプテンマークをあげよう。」 

 

翔平はキャプテンマークを歩美の二の腕につけた。 

 

(このキャプテンマーク…。あの時の…。) 

 

「次は勝つんだろ。なら…勝とうぜ!」

 

5人  「おおお!!!」 

 

 

キックオフ! 

 

 

序盤は歩美と由希奈が攻め要員でパスを繋いでいき攻め上がるが…相手チームの守備反応が想像以上に早くボールを奪われ前に繋いでいく。

綾香はパスコースを塞ぎパスをさせない作戦に出る。すると…エレナが相手チームのFWに身体をあてにいく! 

 

社会人A 「なんだ…この体幹の強さ!細いのに全然倒れない!」 

 

エレナ 「貴方もなかなかやりますね。だが…ゴールまでいかせません!!」 

 

エレナはボールを奪い真美にバッグパスをして真美はフライパスで前線にいる由希奈にパスして歩美に落とす。 

 

「歩美!決めて!」 

 

「うん!」 

 

歩美はダイレクトシュートするが敵キーパーに弾かれた。 

 

 

翔平  「良いぞ!その調子で守って積極的に攻めるんだ。」 

 

 

しばらく両者の実力が互角で接戦。翔平は時間を見て残り時間がわずかなところで指示を出す。 

 

「エレナさん!攻撃を行くんだ!」 

 

エレナは相手の選手から素早くボールを奪い…エレナが1人で攻める!2人の選手に囲まれるがエレナは冷静に判断した。

 

「歩美さん!」 

 

エレナは歩美にパスをし、エレナはゴール前に走る!歩美はエレナにパスを送る! 

 

「エレナちゃん!」 

 

エレナはシュートを打つかと思いきやスルーをして見送る。

 

(えっ…。どういうこと!) 

 

そこに由希奈が走ってきてトラップをしシュートを打とうとしたが、相手のディフェンスが由希奈のシュートコースを塞ぎシュートを打てなかった。

 

「由希奈さん!ループパスを!」  

 

エレナはパスを要求した! 由希奈は迷ったが彼女を信じループパスを送る。すると、エレナは後ろにヘディングする!そこに歩美がいてエレナの落としたボールでシュートを打つ! 

 

社会人E 「しまった!!」 

 

歩美のシュートがゴールネットを揺らして先制点をとった。 

 

由希奈  「やった〜!」 

綾香   「ナイス連携プレー!」 

真美   「よしっ!」 

エレナ  「やりましたね!」 

歩美   「エレナちゃんのおかげで得点をとれた!」

 

翔平はエレナの才能を認めた。 

 

(彼女は司令塔的な存在になるだろう。常に周りの選手の動きを把握し最適な指示を送る。そんな彼女の存在はこのチームを更に向上することが出来る。) 

 

残り時間は逃げ切り試合終了。1-0で歩美チームが勝利。 

全試合が終了し歩美のチームは1勝1分1敗で2位で終わる。 

 

翔平は最後に彼女達に総括する。 

 

「今日でキミ達はだいぶ成長した。次の練習日は土曜日だ。来週は練習が出来る場所を探してくるから。今日はお疲れ様。」 

 

 

「お疲れ様でした!」 

 

 

他の5人は私服に着替えてフットサル場を去る。

 

 

歩美  「ねぇっ!ここの駅ビルにあるタピオカ店にいこうよ!」 

由希奈 「いいねー!行こうよー!」 

綾香  「喉乾いたー。」 

真美  「……。仕方ないな…。」 

エレナ 「私もいっていいですか…?」 

歩美  「いいよー!!エレナちゃんと色んな話したいし!」 

エレナ 「ありがとうございます!」 

 

 

5人は仲良くタピオカ店に行くのであった。 

 

 

次回話に続く…。

 





キャラ紹介 

エレナ・ジョルワ。18歳。ロシア人。身長178cm。体重58kg。左足
U-15のロシア代表に選ばれた経験がある。ポジションはキーパー以外なら何処でもこなすことが出来るユーティリティープレイヤー。
日本に来た理由は通訳になることと彼氏も一緒に日本の大学に進学するからである。その美貌な容姿に誰もが見惚れる。


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双子?

フットサル大会から3日後。 

翔平と広大は歩美達の検証結果をもとに上司に新発売商品の案が通る。そして、3か月後に店頭販売することが決まった。翔平と広大は会社の休憩室で軽食を食べながら喜びを分かち合ってた。 

 

「やったぜ!翔平!!」 

 

「ああ!オレ達が夜遅くまで残業して開発したかいがあったよ。ボーナスも上乗せだな!」 

 

「なぁ!翔平はボーナスが出たら何に使うんだよ!」 

 

「オレはボーナスの全部はあいつらのために使おうと思ってる。一応監督やってるからな…。非公認だけどね。」 

 

「そっか。オレだったら合コンに使うわ〜。なぁ?翔平…お前さ…。前から気になってたけど女に興味ないのかよ?」 

 

「興味がない訳ではないが…恋愛したことないしずっとサッカー一筋で生きてきたからな。」 

 

「そうか…。急に話を変えるが…あのチームの為にオレが出来ることあるか?」 

 

「いやっ。今のところないな。部員は6人になったけどサッカーは最低11人いないと試合は出来ない。まずは部員を集めることだ。この間…大学に訪問してポスターを貼りにいった。だが…ポスターを見て連絡が来たのは1人だけ。まっ…そう簡単にいかないよな。」 

 

「お前のポスターが地味すぎたんじゃないの〜?」 

 

「まぁ〜手書きだしな…。」 

 

「それだ!翔平!サッカー部に入りたくなるようなポスターをオレが作るよ!仕事も落ち着いて時間に余裕が出来たから作ってやる!!」 

 

「そうか。なら…頼むわ。」 

 

「任せろって!!」 

 

 

その頃…。

歩美はエレナと仲良くなり昼休みになると一緒にご飯を食べていた。

 

「エレナちゃん!」 

 

「歩美!」 

 

2人がご飯を食べていると綾香が来た。 

 

「もう〜歩美!私を置いて行かないでよ!」 

 

「あれっ?善子ちゃんはいないの!?」 

 

「善子ちゃんは今日…学校に来てないみたい…。珍しいよね。」 

 

「そうなんだ…。一緒に食べよう。」 

 

3人は雑談をしながらご飯を食べた。 

 

 

18時。

五限が終わると…歩美達は毎日1時間だけ練習することにした。サークルが使わない時間帯であるため中庭のグラウンドは使いたい放題だった。だから…歩美はグラウンドを使わせていただくことにした。

 

歩美  「綾香はユースの練習で…善子ちゃんも来てない。今日は4人だけど…練習しよう!」 

 

由希奈 「少し寂しいな〜。」 

真美  「仕方ないよ。平日は監督は仕事だし…まだ部員も6人しかいないから。」 

エレナ 「今日は何をするのですか?」 

 

歩美  「今日は…1対1とセンタリング…シュート練習ぐらいかな…。4人だし練習出来る内容が絞られちゃうからね…。」 

 

真美  「時間も限られているから準備しよう。」 

 

 

歩美達は準備をして練習を始める。

歩美はグラウンドの外でこちらを見つめている女子が2人いて気になったが練習に集中した。

 

真美  「よし!最後にシュート練習をするぞ!」 

歩美  「そうだね!」 

 

 

すると、じーと見つめていた女の子2人がグラウンドに入ってきた! 

 

 

「あのっ!私……。」 

「もう言いなさいよ!冬花!」 

 

 

「あのっ!!私…サッカーがやりたいんです!!」 

 

 

これからシュート練習をやる時に急に女子2人が乱入してきて真美や歩美、由希奈、エレナは全員驚いた。歩美はチームのキャプテンとして2人に話しかける。 

 

歩美 「それは本当に〜!?」

 

「はいっ!!」 

 

歩美 「そっかぁ!私は相澤歩美!よろしくね!」 

 

冬華 「はじめまして…。私は堂安冬華です…。こちらは…妹の夏海です…。 

 

夏海 「ふんっ!私は堂安夏海よ!冬華はコミュ障なところあるからね!!」 

 

冬華 「夏海はオープンすぎるんだよ…。だから…彼氏に騙されるんじゃん…。」 

 

夏海 「その話は今は関係ないでしょ!」 

 

歩美 「キミ達…双子かな?」 

 

夏海 「そうよ!血の繋がった双子!私…FWやりたいわ!!」 

 

歩美 「サッカー経験はあるの?」 

 

夏海 「私はあるわ!だけど…冬華はやったことないね。」 

 

歩美 「そうなんだ…。今日はシュート練習で終わりだから…明日もここで練習してるから来てね!」 

 

夏海 「わかったわ! 冬華! 帰るわよ!」 

 

冬華 「…。うん…。」 

 

 

2人は帰っていった。 

その後。シュート練習が終わり今日の練習は終了する。 

 

 

歩美  「お疲れ様!明日…新たに堂安夏海ちゃんと冬華ちゃんという双子ちゃんが体験ということで練習に参加するけど良いかな?」 

 

真美  「ずっと私達の練習見てたからね。私は良いよ。」 

由希奈 「真美と同様に良いわ!」 

エレナ 「良いですわ!」 

 

歩美  「ならっ…。決まりだね!着替えたら…近くのラーメン屋食べに行こう!!」 

 

由希奈 「良いねー!お腹空いたよ〜。」 

真美  「運動後の食事は大事だからな。」 

エレナ 「私…ラーメンを食べるの初めてです!食べに行きたいです!」 

 

 

4人は普段着に着替えてラーメン屋に向かうのであった。 

 

 

次回話に続く…。



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堂安夏海と堂安冬華

 

翌日の18時。歩美は彼女達が来るのを待つ。 

しばらくすると堂安夏海と冬華が来た。 

 

夏海 「今日はよろしくね!」 

冬華 「よっ……よろしくお願いします!」 

 

歩美 「こちらこそよろしくね!夏海ちゃんはサッカー経験があるみたいだから早速…基礎練から始めようか。冬華ちゃんは私と一緒に教えていくからね。」 

 

冬華 「あっ…はい!!」 

 

夏海は由希奈と基礎練を始める。基礎練を始めるが…。 

 

「あれっ…。可笑しいわね!久々だから感覚が戻っていないんだわ!」

 

由希奈は少し疑った。インステップキックやトラップが経験していたといっても出来ていなかったからである。 

 

(本当にこの子は経験者かな…。どー見ても初心者な感じがするけど…。) 

 

 

その頃。歩美はボールの蹴り方やトラップの仕方を教えていた。 

 

「これで出来ると思うわ!サッカーの基本はまずパスをしてトラップをする。これができれば大丈夫よ!」 

 

冬華と歩美はずっとパス練習をしてた。由希奈と夏海は基礎練習が終わると真美とエレナと共にセンタリングの練習を始める。 

 

真美 「エレナ!クロスを上げてもらっていい?」

 

エレナ 「良いわよ。由希奈と夏海さんはFWだから…私はずっとクロスを上げれば良いのかしら?」 

 

由希奈  「最初に夏海さんの実力を見たいから…夏海さんから先で良いわね?」 

 

夏海は焦る表情をする。 

 

夏海  「いい…いいわよ!私からで!!さぁ!来なさい!」

 

エレナはクロスを上げると夏海はボールに合わせてヘディングする!

しかし、真美の正面であっさりキャッチする。 

 

夏海  「惜しかったわ!次よ次!」 

 

(ふう〜。適当にやったらたまたま出来たから良かったわ…。) 

 

由希奈はまだ夏海を疑った。

 

由希奈  「エレナちゃん!次はファーサイドに上げて。」 

 

エレナ  「ファーサイドにですか?」

 

由希奈  「ええ。」 

 

夏海は何を言っているのか理解出来なかった。 

 

由希奈  「夏海ちゃん!ファーサイドにポジショニングとってね。」

 

夏海   「ええ!わかったわ……。」 

 

 

エレナはファーサイド気味にクロスを上げるが…夏海はずっとゴールの中心に立っていたためシュートすることが出来なかった。これで由希奈は確信した。夏海は経験者ではないことを。 

 

 

由希奈  「ファーサイドって意味がわかるかしら?」 

 

夏海   「ええ〜と。ゴールより外側にいろっていうことね!」 

 

由希奈  「サッカーを経験してて…かつFWならニアサイドやファーサイドはわかるはずだけど…理解していない。貴女…サッカー経験者じゃないでしょ?」 

 

夏海   「久々にやったからわからなかっただけだよ!」 

 

由希奈  「いやっ。嘘だね。基礎練もまともにできてなかったし…ニアサイドやファーサイドも区別出来ないんだから…サッカー経験者ではない。何故…嘘をついたの?」 

 

夏海は何も答えることが出来なくなった。 

 

 

夏海   「私は…大○選手のファンでずっと観てた。W杯のコロンビア戦でヘディングシュートを決めた時からファンになったの。私も…サッカー始めたいって…。だから…ごめんなさい!!嘘をついて…。」

 

 

由希奈は夏海にデコピンした。 

 

 

由希奈  「最初からそう言えば良かったじゃない。まっ…私も貴女の気持ちはわかるわ。私だって憧れの選手がいたからFWにしたの。だから…憧れの選手のように自分もプレーしたいのはわかるわ。でも…貴女が本当にそうなりたいのならば…練習しかないのよ!!これだけは言っておく!私達に誤魔化したとしても…練習は誤魔化せないわよ!!練習は努力の結晶だから!!」 

 

 

夏海は一粒涙を流した。 

真美やエレナは彼女を許した。 

 

真美  「本当にサッカーがやりたいなら私達はサポートする。」 

エレナ 「私達はまだ始まってもいません。夏海さんや冬華さんが来て…サッカーが出来れば良いのです。」 

 

由希奈は歩美と冬華がずっとパス練習をしてる風景を夏海に見せた。 

 

由希奈  「あなたのお姉さんは楽しそうにパス練習してるじゃない。サッカーはね…ボールがあれば誰でも出来るスポーツなのよ。あれだけ楽しもうにサッカーしてるお姉さんは素晴らしいと思うよ。」 

 

真美は由希奈の言葉を真剣に聞いてた。

由希奈はチームのエースストライカーとして結果を出していたのは高校時代である。しかし、それ以前は彼女は補欠要因で試合終了5分前に出場する選手だった。一時期…サッカーを辞めたい時期もあったが諦めなかった。毎日のように練習し、チームのストライカーになると信じて練習していた。その結果、チームのエースストライカーに成長出来たのは彼女の努力が実ったからである。 

 

由希奈  「あなたが本当に大○選手のようになりたいのなら…わたしは貴女の練習相手になるわ!それに…FWはサッカーの花形みたいなポジションだからね!」 

 

夏海  「由希奈…。わかった。私は今日から1から練習するわ!そして…試合で点をとる選手に成長してみせるわ!」 

 

由希奈 「うん!私も負けられないね!同じFWとして!」 

 

 

夏海と由希奈に友情が芽生えた。 

 

 

しばらくすると練習時間が終わり、歩美は彼女達に最終確認をする。  

 

歩美  「2人共…今日は体験入部で練習したけど…サッカー部に入る?」  

 

夏海はすぐ答えた。 

 

 

「私は入部するわ!冬華は?」

 

「……。私も…入部したい…。だって…楽しかったんだもん…。」 

 

 

歩美は嬉しかった。サッカー未経験者であるが…入部することを決意したからである。

 

歩美  「改めてよろしくね!夏海ちゃん!冬華ちゃん!」 

 

夏海  「こちらこそよろしく!」 

冬華  「よろしくお願いします…。」 

 

 

これで部員は8人になった。 

 

 

次回話に続く…。

 

 





キャラ紹介

堂安冬華。18歳。身長154cm。体重48kg。左足。
引っ込み思案で人見知りな部分があり、友達がなかなか出来ない。
自分を変えたいと思いサッカー部に入部する。そんな彼女に意外性が?

堂安夏海。18歳。身長154cm。体重48kg。右足。
誰でもフレンドリーに接することが出来るが…見栄っ張りなところがある。嘘が下手でだいたいバレる。サッカーを始めたい理由は憧れの選手がありからである。


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右田善子の覚醒!?

 

待ちに待った土曜日。 

翔平が指導できる日であり歩美達はこの土日を利用して指導してもらう。翔平は今日はサッカーボールを使わない練習をするということで相澤家の近くにある公園で集合することになった。 

 

翔平 「よし。集まったようだな。歩美が言ってた双子の姉妹かい?」 

 

歩美 「そうよ!」 

 

堂安夏海 「貴方が監督ね!よろしく!」 

堂安冬華 「よろしくお願いします…。」 

 

翔平 「まずはランニング10km。この公園の外周は1kmある。ここを10周。時間制限は1時間だ。時間はオレが測っている。では…準備して。」 

 

善子以外の7人のプレイヤー達が準備を完了すると、翔平の合図でランニングを始める。

 

翔平 「さて…そろそろ出てきて良いぞ。」 

 

木の影から善子が出てきた。 

 

善子 「お久しぶりです…。」 

翔平 「お久しぶりだな。では…早速レポートを見せてもらう。」 

善子 「はい……。」 

 

善子が書いた原稿用紙10枚分のレポートを見た。原稿用紙ギリギリまで書いてきたため3800字から4000字までのミッションはクリア。翔平が気になるのは研究内容。 

 

善子はサッカーのルールやポジションの役割について原稿用紙8枚分にまとめて書いてある。そして、残りの2枚分にはフランスの名門チームのパリ・サ○ジェル○ンのブラジル人選手のネ○マール選手についてまとめていた。翔平は善子が彼をリスペクトした理由がわかった。 

 

(右田さんは彼のプレーを真似たい理由はわかるな…。) 

 

翔平は善子がまとめたレポートを隅々まで読み善子に返した。 

 

「なるほど。善子さんはネ○マールみたいな選手になりたいの?」 

 

「私は…彼が楽しそうにサッカーをしてるところと…巧みにボールを操るトリッキーなプレーをするのがたまらないんです…。」 

 

「なるほどな。確かに彼はドリブルスピードはもちろんだが、シュートもフリーキックもパスも一流だ。彼は面白いプレーをするから誰もが虜になる。一時期あの有名なバルセ○ナに所属してた。」 

 

「私は彼がスペインにいた時のプレーも見ました…。私…彼みたいに…ドリブルも上手くなりたい…。」 

 

「そうか。なら…キミに今日は特別メニューを与える。ちなみにレポートは合格だ。」 

 

「ありがとうございます…。で…私の特別メニューとは?」 

 

 

「キミは今日からキミ愛用のボールと一緒にドリブルをする練習だ。走りながらボールを巧みに操る。簡単だろ。キミが好きなボールにも触れられる。」

 

「そうだね……。ボールちゃんに長く触れられるなら私は苦ではないよ…。」 

 

「そういう訳でキミはこの公園の敷地内なら何処でも好きにドリブルすれば良い。ただし…彼女達が10周終わる頃に戻ってくるように。」 

 

「わかった…。じゃあ…。私はドリブルしてくる…。」 

 

「うん。頼むよ。」 

 

善子は裸足になり公園中をドリブルしていくのである。 しばらくすると歩美が1番で10周を終わらせた。 

 

「タイムは45分54秒!歩美が1番だ。」

 

「やったー!」 

 

次にゴールしたのは真美と由希奈。タイムは2人とも52分34秒。エレナは30秒後に戻ってきた。しかし、堂安姉妹が帰ってこない。 

 

「そろそろ1時間経つな…。2人共どこにいるんだ?歩美。探しに行ってくれないか?」 

 

「わかった!」 

 

すると夏海と冬華が来る。2人共トロトロ歩いていた。 

 

夏海 「10km走るなんて無理よ…。」 

冬華 「はぁはぁ……。」 

 

翔平 「もう1時間経った。もう終了だ。で…何周したのかな?」 

 

夏海 「8周よ…。」 

冬華 「……。疲れた。」 

 

翔平 「まぁー仕方ないか。君たちはだいぶ疲れているようだから…しばらく休んでいると良い。さて…次の練習内容を伝える。さぁ…そろそろ来てよいよ。」 

 

するとドリブルでずっとボールを蹴ってる善子が来た。 

 

善子 「ドリブルってこんなに楽しいんですね……。少しはネイ○ールになれたかな…。」

 

歩美 「善子ちゃん!!」 

善子 「お久しぶりです…。」

真美 「右田さん!」 

由希奈 「まさか…ずっとドリブルしてたの?」 

 

翔平 「善子さんには課題を与えました。サッカーのルールや知識を彼女に叩き込みました。これからサッカーをしていく上で必要なことですからね。だから…1週間全く顔を出さなかった。」 

 

真美 「なるほど。そうゆうことか。」 

 

善子 「皆んなに私がドリブルが上達したところを見せる…。」

 

歩美 「もしかして…今までずっとドリブルしてたの!?」

 

善子 「うん…。ドリブルにハマっちゃった…。もっと早くやれば良かった。」 

 

真美 「ならば…確かめようか。」 

 

善子 「良いですよ…。皆さん…かかってきなさい。わたしはこの1時間でかなり上達しましたから…。」 

 

すると、真美がディフェンスに行く! 

 

「今回は負けないわよ!」 

 

だが…善子は冷静だった。善子はネイ○ールのプレー集を1日中観てた日もあってそれを真似る。真美を驚いた。フェイントのタイミングが絶妙で真美を軽々と抜いた。

 

真美 「本当に…なんなの…この子!」 

 

善子 「次は誰かしら?」 

 

由希奈 「なら…私が行くわ!!」 

 

善子は由希奈とデュエルするが…善子は由希奈の足や身体の動きを予測し、シザーズで善子が抜いた! 

 

由希奈  「すごい…。こんなにすぐ上達するの!!?」 

 

善子  「次は貴女とやりたい…。貴女…ロシア人かな…。」 

 

エレナ 「はじめまして。私はエレナ・ジョルワと申します。よろしくお願いします。」

 

善子  「私は右田善子…。よろしくお願いします…。」 

 

善子はセレナとデュエルするが…エレナは食らいつく。お互い様子を見ながら隙さえあれば奪う作戦に出る。善子は仕掛けたいがエレナも対応し抜かせないようディフェンスする。 

 

エレナ 「なかなかやりますね。」 

善子  「貴女もね。」 

 

そして、エレナは一瞬の隙をついて身体を当てに行こうとしたが…善子はターンしてボールをキープした。エレナは善子の1対1の技術に驚いた。 

 

エレナ 「素晴らしいですね!」 

善子  「貴女もなかなかやるわ…。」 

 

翔平は彼女の急成長ぶりに感激した。

善子はネイ○ールみたいなキレキレな動きを再現しており翔平の予想以上に彼女の進化に驚いた。 

 

(これは…彼女の持ち前のボールコントロール技術とドリブルスキルを身につけたことにより一流の選手並みの1対1の強さが磨いた。本当に意外性抜群な選手だ!) 

 

善子 「私は…ドリブルを極める…。何かを極めたほうが…私は…活躍出来る…。」 

 

歩美は善子のプレーを見て感じた。 

 

(善子ちゃんは絶対サイドポジションが似合う!ドリブルで相手を崩れる能力がある!これは…期待するわ!) 

 

歩美  「お兄ちゃん!」 

 

翔平  「歩美も同じことを考えていたか。ああ。善子さんはきっと近い将来…化けるよ。彼女の吸収力はピカイチだ。リフティングをした時からずっとそれは感じてた。だからこそ…彼女の意外性に賭けてみたい。」 

 

 

その後。鳥籠やパス練習をして練習が終わる。右田善子の覚醒ぶりに翔平にとって収穫があった。

 

次回話に続く…。



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ソサイチ 前編

 

翌日。13時。

翔平はある場所で集合するになってた。そこは東京の調布にある味の○スタジアムに隣接するサッカーグラウンドだ。このグラウンドは歩美にとって思い出の場所でユース時代にお世話になった場所である。歩美はこの場所に来て昔を思い出した。

 

(私が6年間お世話になったグラウンド…。あれからまだ時間はそこまで経っていないが…またここでサッカーが出来るなんて思っていなかった。)

 

翔平は彼女達が来ると今日の練習内容を伝える。 

 

翔平  「今日の練習内容はソサイチという7人制サッカーだ。サッカーコートより短くソサイチ特別ルールがある。ルールの方は主催者の方が説明すると思うから聞いてほしい。今日は、思う存分サッカーが出来る。君達は放課後に毎日練習してると聞いた。練習の成果を出せるキッカケだ。それに…今日は綾香さんも来てるから8人かな。」 

 

綾香  「皆んな久しぶり〜!このグラウンド懐かしいね!歩美!」

 

歩美  「うん…。綾香と共に汗を流したグラウンドでまたサッカー出来るなんて…光栄だよ!」 

 

翔平  「そういうことで…早速フォーメーションを言う。3-2-1の陣形で行く。DFの3人の左は堂安冬華さん。真ん中は綾香さん。右はエレナさん。MFは左は右田さん。右は歩美。ワントップは由希奈さん。キーパーは真美さんで。申し訳ないが…夏海さんは控えで…。」 

 

夏海  「なんで私が控えなのよ!」 

 

翔平  「途中で出すかもしれないから。今は我慢して…。」 

 

夏海  「仕方ないわね!必ず出しなさいよね!」

 

翔平  「わかった。」 

 

そして、準備が終わるとソサイチ1回戦が始まる。相手は女子高校生でサッカーが好きな有志が集まったチームらしい。歩美は対戦相手が同性で相手に不足がなかった。 

 

 

ホイッスルが鳴りキックオフ!

 

 

まず、序盤は相手チームのペースでパス回しや連携も完璧だった。本当に有志達で集めたチームとは思えなかった。相手チームのFWがパスを受けるとミドルシュートを打ってきた。真美はスーパーセーブをしボールを弾く。弾いたところにエレナがボールを拾いドリブルで前線に上がる。エレナは逆サイドにいた右田にフライパスする。右田がトラップするとドリブルで切り込む!相手のディフェンダー達は彼女を止めようとするが…善子は軽々とかわしていた。相手選手も彼女のスキルを見て驚いた。

 

(まるで…海外の選手みたいなドリブルスキル!!彼女は…プロなの?)

 

由希奈 「私に!パスを!」 

 

「もらった!!」 

 

相手選手がスライディングで右田からボールを奪おうとすると…右田は咄嗟の判断で直接シュートを打つがキーパーの正面だった。

 

由希奈 「パスしてよ!」 

 

善子  「…。貴女にパスを出したら相手選手にボールを奪われると思ったから…。」 

 

由希奈 「まぁ…。いいわ!切り替えよう!」

 

キーパースローに綾香がヘディングでクリアをし、クリアしたボールが歩美に渡るが相手チームのディフェンスにボールを奪われる。右サイドに走っていた相手選手はボールを受けドリブルでゴール前に行こうとするが、冬華がブロックにいくが…相手選手が巧みにフェイントでかわしていった。綾香はすぐカバーにはいりボールを奪取。右サイドからエレナが前線に上がっていたからエレナにスルーパスをだす。エレナが敵陣を突破し指示を送る。

 

「由希奈さん!ゴール前に!歩美さんはあの選手をマーク!」 

 

エレナはクロスを上げて由希奈の頭上を超え逆サイドから走ってきた右田が反応しボレーシュートを放つが、バーをあたり枠を捉えきれなかった。 

 

右田  「また入らなかった…。」 

由希奈 「おしかった!!」 

 

ゴールスローで冬華がマークしてる選手にパスをおくる!しかし、冬華はサッカー初心者であるためどう動けば良いのかわからない。相手チーム側から見て右サイドの守りが甘いことを見抜いていた。歩美チーム側から見ると左サイドに前には右田、後ろに堂安冬華がいる。この2人は最近サッカーを始めた初心者であり守備がまともに出来なかった。そのため、相手チーム側の右サイドが攻撃の起点になる。それに気づいた歩美は声をかける!

 

「皆んな!左サイドが攻められている!だから…なるべく左サイドの守りを固めよう!」

 

だがしかし…相手選手のスペックが高く、なかなか上手くボールを奪えなかった。相手選手がクロスを上げると…綾香とエレナはゴール前にいる2人の選手をマークする!

 

エレナ 「歩美さん!その選手をマーク!」

 

エレナはこのクロスは罠だと気づき逆サイドから上がってくる選手を歩美の足の速さを活かしマークについた。ボールはそのまま流れてタッチラインを割る。 

 

真美  「エレナ。良い指示だった。逆サイドから上がってきた選手を歩美にマークをつかせたのは正解だった。もし…あのボールが繋がっていたら失点してた。」 

 

エレナ 「ええ。しかし、まだ安心は出来ません。左サイドが私達の弱点になってます。だから…守りをどうにかしなければ…。」 

 

真美  「ああ。そうだな…。」

 

その後。左サイドが攻められディフェンスの綾香とエレナは苦戦をする。守るのが精一杯で攻めることが出来ない。歩美や由希奈も守りに対応する。しばらくすると前半が終了。

 

翔平は前半の戦いを振り返り歩美達に指示しる。 

 

翔平 「やはり…左サイドの守りが手薄になってる。ソサイチだから25分ハーフでコートが狭い分動きも激しいし…守備だけしてると体力が消耗する。そこで…冬華さんを下げて夏海さんが入る。そして、DFを綾香さんとエレナさん。中盤は歩美と右田さん。FWは夏海さんと由希奈さんでバランス良い編成で行く。なるべく…シュートを打つことを意識する。あと…中央突破で行く。」 

 

真美 「中央突破ということは…サイドは?」

 

翔平 「サイドは捨てる。なるべくボールを繋ぎシュートを積極的に打つ。」 

 

歩美 「皆んな!後半は積極的に行こう!」 

 

 

そして、後半が始まる。 

 

 

翔平の指示通りに中央でボールを繋げる作戦でボール支配をし積極的にシュートを狙うよいにしたいが…相手のDF選手の身長が高く、由希奈は思うように動けない。歩美がボールを持つと夏海にパスする! 

 

歩美 「夏海ちゃん!」 

 

夏海は歩美にパスをもらいすぐシュートを打つ!しかし、枠を捉えられなかった。 

 

夏海 「外した!!」 

 

ゴールスローすると歩美が対応するが…相手選手の方が体格が良く歩美は力負けした。

そして、相手チームのパス回しで崩していく。シュートを打たれると真美はキャッチする。真美は考える。 

 

(誰に出すのがベストなんだ?歩美?由希奈?エレナ?善子さん?夏海さん?)

 

真美は由希奈に向けてスローをし由希奈は相手選手のマークを外し…すぐサイドに上がってきたエレナにパスする。

 

(ここは由希奈さんにパス!!) 

 

エレナは由希奈にパスを出し、由希奈はゴールの左端を狙い強烈なグランダーシュートを打つと…キーパーは反応出来ずゴールを奪う。チーム初得点は由希奈が決めた。

 

由希奈 「やったー!!ナイスアシスト!」

エレナ 「ナイスシュートです!!」 

歩美  「やったね!!」 

綾香  「やっと入ったよ〜!」 

真美  「よしっ!」 

 

翔平の狙い通りにパスで繋げる作戦が成功。初得点に安心する。 

 

(よし!) 

 

しかし、相手チームは陣形を変え守りを固めた。歩美は異変に気づき最良な判断をする。 

 

(相手は守りを固めた…。こちらの守りは2人…。ならば私も守ろう!) 

 

歩美 「守りを固めよう!私が下がるから…善子ちゃんと夏海ちゃん、由希奈ちゃんの3人で攻めて良いよ!」 

 

由希奈 「わかったわ!だけど…ピンチになったら私も守るから!」 

 

善子 「……。私もやられてばかりで嫌だから……必要になったら守るよ。」 

 

夏海 「私は前にいるから!」 

 

歩美 「わかった!切り替えよう!」 

 

 

相手チームもヒートアップし更に攻めるスピードが増した。歩美は常に動き回りパスコースを塞いだりマークをついたりして相手のプレーを妨害しにいく。綾香とエレナも必死にカバーリングし…シュートを打たせないよう走る。真美は後ろからディフェンダー達に指示する。守る機会が更に多くなりなかなか攻めることが出来ない。キープ力がある善子にパスを出したいがマークにつかれている。この状況を打開するにはどうすればよいか。歩美は考える。 

 

(善子ちゃんも由希奈ちゃんもマークをつかれている…。となると…一か八かだけど…やるしかない!) 

 

歩美は思い切りフライパスを出す!そのパスは前線で張っていた夏海にパスをおくる。 

 

歩美 「夏海ちゃん!走って!」 

 

夏海はサッカー初心者で何のことなのか理解出来なかった。歩美は彼女に賭ける。この状況を打開出来るキッカケになると信じて…。 

 

歩美 「ゴール前に走って!!そして…シュートを打って!夏海ちゃんの憧れ選手みたいに…カッコよく決めて!!」 

 

夏海  「!!」 

 

(私は…あの人の熱いプレーを観てサッカーを始めたいと思った。あの人はトラップが上手いし…ゴールへの嗅覚が優れている。だから…私もあの人みたいなプレイヤーになりたい!)

 

夏海はゴール前に走るが…相手のDFが夏海を阻止しようとタックルを仕掛けるが…夏海は倒れずにただひたすら仲間のパスを必死に追う。夏海は胸トラップをしてワンテンポ置いてからシュートを打つ! 

 

夏海 「これが私のシュートだ!!」 

 

翔平はこの時、彼女のプレーを見て驚いた。

 

(あの気迫と…泥臭くゴールを狙う。まさに…岡○慎司みたいだ。) 

 

夏海が気合いがこもったシュートがゴールネットを揺らし追加点が入る。歩美達は夏海のプレーを見て誰もが驚いた。初心者でありながら歩美が上げたボールを胸トラップをし…ワンテンポ置いてからシュートを打ったからだ。歩美は彼女を信じてパスを出して良かったと感じた。 

 

歩美 「やったね!夏海ちゃん!カッコ良かったよ!」 

 

夏海 「ありがとう…。私…人生で初めてゴールを決めた!嬉しい!!」 

 

歩美 「サッカーは楽しいでしょ。」 

 

夏海 「うん!楽しいよ!」 

 

 

真美は夏海のゴールも凄いが…何より歩美の一言で状況をひっくり返すキャプテンシーに感心した。 

 

(歩美の一言でここまで出来るとは…。やはり…私はこのチームに入って正解だった!) 

 

そして、歩美達は残り時間を守備中心の作戦に変え守り切り試合終了。初戦は2-0で勝利。 

 

歩美 「初戦突破ね!あと2試合あるから次も勝とう!!」 

 

綾香 「初戦からハードだよ…。結構強かったよね…。」 

 

由希奈 「次も決めるわよ〜!」 

夏海  「私も!!」 

 

真美 「守備も安定してたし…攻撃も形になってた。次も勝とう。」 

 

エレナ 「皆さん良かったです!次も勝ちましょう!」

 

冬華と善子は何も言わずにベンチに座る。翔平は2人のことが気になり話しかけた。

 

翔平 「どうしたんだい?」 

 

善子 「私…悔しい…。弄ばれた感がして…。」 

 

冬華 「皆さんの足を引っ張ってしまった…。それに…夏海は…活躍しましたし…。」

 

 

(善子さんも冬華さんは自分達のプレーで皆んなの足を引っ張ってしまい落ち込んでいるのか…。) 

 

 

翔平は2人を鼓舞した。 

 

 

「君達はチームの足を引っ張ってしまったと感じているが…誰も君達を責めてないだろ。サッカーは全員の力を合わせないと勝てない。だから…そんなに落ち込む必要はない。

確かに相手は強かったけど…でも君達は精一杯戦った。ベストを尽くしたなら良いんだ。」

 

善子  「……。」 

 

冬華  「そうですよね…。私が初心者でありながら…一生懸命やりました…。だから…次も頑張りたい…。」 

 

翔平  「ああ。選手達が活躍できる場を作るのがオレの仕事だ。だから…オレも頑張らないとな…。次も試合があるから頑張ってほしい。」 

 

 

こうしてソサイチ1回戦は2-0で白星を飾り次の試合に向けて休憩するのであった。 

 

 

次回話に続く…。

 



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ソサイチ 中編

 

1回戦は女子高生の寄せ集めのチームで実力も強豪校レベルで苦戦し2-0で勝利した。しかし、ボール支配率は少なく守備する機会が多く体力を消耗が激しかった。

 

2回戦の相手は社会人女性達の寄せ集めで実力はそこまで高くないが、ソサイチに遊びに来た雰囲気を感じるチーム。しかし、翔平は油断出来なかった。歩美達の試合も見ていたが周りのチームの様子も観察していた。格下でもスポーツ経験者みたいな動きをして運動神経は悪くなかった。体力が削られ思うように動けるかが焦点になる。そこで翔平は彼女達に次の試合の指示を伝える。 

 

翔平 「次の対戦相手は実力はそこまでないが…彼女達は疲れている様子がない。オレの主観だが全員スポーツ経験者みたいだ。なるべく体力を温存するコンパクトな戦い方をする。次の試合はフォーメーションや作戦は自由にやると良い。」 

 

(時には彼女達が考えてゲームをさせるのも悪くない。キャプテンの歩美と司令塔のエレナさんに試練を与える。この2人がどういうゲームを組み立てるか。見所だ。)

 

夏海 「自由なら!私…試合に出たい!」 

善子 「私も…出たい。」 

冬華 「わ…わたしも…出たいです!」 

 

初心者3人組はやる気マンマンな様子だった。

 

歩美 「わかった!なら…私は控えにいるよ!」 

 

他の7人はキャプテンが出ないことに驚く。真美がすぐ反論する。

 

 

真美 「キャプテンが試合に出ないのはおかしいでしょ!それに…貴女が1番体力があって動けるのに!」

 

由希奈 「真美と同意見!まさか…楽しようとしてるんじゃないの〜?」 

 

綾香 「歩美!どーしたの?いつもの貴女なら試合に出たがるのに!」 

 

エレナ 「どうしてですか?」 

 

歩美は自分の想いを全員に話す。

 

歩美 「皆んなのプレーを外から見てみたい!ピッチ外で新たな発見があるかもしれないし…キャプテンだからこそチームを見守ることも大事だと思う!」 

 

歩美の熱い想いに誰もが反論しなかった。

 

翔平 「オレも歩美の意見に賛成だ。」 

 

真美 「わかったわ。ならば…代わりにエレナさん。キャプテンマークつけてもらって良いですか?」 

 

エレナ 「わかりました!」 

 

歩美はエレナの二の腕にキャプテンマークをつけて2試合目に挑む。エレナは作戦を伝える。 

 

エレナ 「どんな相手であれ私達は本気で行きます!DFは綾香さんと私が守ります!2列目と前線に関しては自由にやって良いです!しかし、由希奈さんが主体で攻撃組を指示してもらって良いですか?」 

 

由希奈 「わかったわ!夏海!冬華!善子!点をとるわよ!」 

 

夏海  「もちろんよ!」 

冬華  「はい!」 

善子  「うん…。」 

 

ホイッスルが鳴り2回戦が始まる。

 

歩美と翔平は彼女達の試合の流れを見ていく。

 

翔平  「歩美。よく言ったな。」 

歩美  「えっ…。」 

 

翔平  「キャプテンだからこそチームの見えない部分をピッチ外から見る。それは…これからお前達が強くなる為に必要なことだ。この試合を見て感じたことを今後の練習に活かすことが出来る。ちゃんと見るんだぞ。」

 

歩美  「うん!」 

 

(お兄ちゃんに…久しぶりに褒められた!)

 

試合開始早々。由希奈がマイボールで攻め上がる。左に善子。右に夏海が一緒にゴールに目指して走る。由希奈は相手選手をかわし1人で上がる。 

 

(確かに監督の言うとおりに…対したことないわね。なら…ここは夏海にシュートを打たせよう。) 

 

由希奈は夏海にパスをおくり夏海がボールを受けとりシュートを打つ!しかし、相手ゴールキーパーがキャッチする。 

 

「危なかった…。投げるよー。」

 

キーパースローするが、綾香がクリアをしエレナにボールが渡り由希奈にパスをおくる。

 

「善子!」 

 

善子にパスをし得意なドリブルスキルで2人の選手を軽々とかわしキーパーと1対1になる。シザーズでキーパーもかわしそのままゴールイン。善子の個人プレーで点を決める。 

 

善子 「やった…。3人抜き…。」 

 

由希奈は善子にハイタッチする。 

 

由希奈 「やったわね!さすが善子!」 

善子  「うん…。」 

 

夏海は不安そうな表情をした。 

 

(なんで私にパスをよこさないのよ!)

 

冬華は夏海の不機嫌な表情を見た。 

 

(夏海…。) 

 

その後。前半は一方的な攻めでいつの間にかスコアも5-0で善子が2得点で由希奈が3得点を決めハットトリックを達成。格下の相手で簡単に点がとれる。 

ハーフタイムに入ると由希奈と善子は満足そうな表情をしていたが、堂安姉妹は満足していなかった。綾香とエレナ、真美の守備陣は前半のプレーを振り返り会話してた。このチームの雰囲気を見た歩美は話しかける。

 

歩美 「皆んな!お疲れ!皆んなに1つ話したいことがあるんだけど!」 

 

エレナ 「なんでしょうか?」 

 

歩美 「ハッキリ言うわ!守備陣の連携が良く無失点で抑えられたけど…攻撃陣の連携は良くないよ!」 

 

由希奈 「えっ?なんで?私と善子が点とってるし…5得点もとれてるから良いじゃない!」 

 

歩美 「違うよ…。由希奈ちゃんはずっと善子ちゃんにしかパスしてないし…善子ちゃんに関しては個人プレーが目立つ!夏海ちゃんや冬華ちゃんに全然パスをしないよね!」 

 

由希奈 「だって…善子がボールを持てば自然と前に行くじゃない?自由にやれって言われてるから自由にやってるんだけど?」 

 

歩美 「お兄ちゃんは自由にやれと言ったけど…でも…サッカーは全員の力を合わせないとダメだよ!確かに善子ちゃんがボールを持てば安心かもしれないけど…でも…夏海ちゃんや冬華ちゃんもチームメイトなんだから…パスを出してよ!」 

 

由希奈 「言ってることが矛盾してるよ。歩美。夏海や冬華にパスをしても勝てる保証はあるの?実際善子と私か5得点とって結果を残している!歩美。あんたは試合に出てないから偉そうなことを言ってるかもしれないけど…貴女も試合に出れば良いじゃない。」 

 

歩美 「由希奈ちゃん…。」 

 

真美は由希奈の暴走を抑えた。 

 

真美 「由希奈。確かにお前が悪い。夏海や冬華も一生懸命パスを要求してるのにパスを出さない。それは…お前が信頼すべきチームメイトにしかパスを送らない。そこを歩美が指摘してる。」 

 

エレナ 「私も…なるべく夏海さんや冬華さんにパスを出しました。確かにボールをとられるシーンが多かったかもしれませんが…頑張ってボールを追っていましたし…やる気に溢れていましたよ。由希奈さん。貴女の言いたい気持ちはわかりますが…私達はこれからサッカー部として活動するのです。だから…チームメイトと仲良くやりましょう。」 

 

綾香 「私達は経験者だから…初心者の夏海や冬華に頼れないのもわかるかもしれないけど…でも…同じチームメイトだから少しは信じてみたら〜。」 

 

あまりにバッシングされている由希奈は頭が上がらなくなる。

 

翔平 「由希奈さん。僕が自由にやれというのも君達を試したかった。オレが指示しなくてもどこまでやれるかを見てみたかった。だが…オレの予想は超えて歩美がこの試合を見たいと志願した。キャプテンの責務をこなすにはチーム全体を見ないといけない。たがらこそ歩美は控えにいる。それでキミ達の前半のプレーを見て歩美はアドバイスをしているんだ。」

 

由希奈 「歩美…。ごめん。私がバカだったね…。それに夏海と冬華。ごめんね。」

 

夏海 「もう…。私達が初心者だから頼りないかもしれないけど…私は真剣だから!」

 

冬華 「うん…。大丈夫だよ…。」 

 

由希奈 「2人ともありがとう。後半も暴れるわよ!!」 

 

選手達  「おおお!!!」 

 

 

キャプテンらしい仕事が出来たと歩美は安心した。翔平は歩美の頭を撫でる。

 

翔平 「良くやったな。歩美の一言でチームの雰囲気が変わった。それでこそキャプテンだ。だから…自信持って責務をこなすんだ。」 

 

歩美 「うん!」 

 

後半が始まるとチームの雰囲気が変わり生き生きとしたサッカーでリズムを作る。その後。由希奈が2得点。夏海が1得点決める。

冬華は攻めるより守る方が多かった。そこで翔平は冬華のプレーを見て感じた。

 

(なんだろ?この献身的な守りにあの危機対応能力…それに守備反応も悪くない…。もしかして…彼女は…。) 

 

そのまま試合が進み8-0の大勝利で2回戦が終わる。選手達は笑顔でベンチに戻る。

 

由希奈 「5得点決めたわ!やっぱり…女は攻めないとね!!」 

 

真美 「また…すぐ調子こくんだから。」 

 

エレナ 「良いじゃないですか。活躍したので…。」

 

綾香 「やったわ!大勝利〜!」

 

善子 「今度は何人抜き出来るかな…。」 

 

夏海 「今回も決めたわ!次も必ず得点を決めてみせるわ!」

 

冬華 「はっはっはっ…。久々にこんなに走ったよ…。疲れた……。」

 

歩美 「みんな良かったよ!次も勝とうね!」 

 

すると翔平は冬華を呼んだ。 

 

冬華 「監督さん…。何ですか…。」 

 

翔平 「キミの才能を活かしたいと思う。ここだけの話だが…明日からキミに特別メニューを与える。もしかしたら…キミはアンカーに向いているかもしれない。だが…現在のキミの体力ではアンカーを任せることが出来ない。特別にキミに体力増強プランを実行する。それで…キミはこのトレーニングをしたい?これは僕が高校時代にやらされたトレーニングでかなりハードな特訓だ。それについていくメンタルがないとついていけない。どうする?」

 

冬華は考える。

 

(夏海があんなに活躍して…私は…何も出来ていない…。サッカー部に入部したのも自分を変えたいから…。だからわたしは…。)

 

冬華 「やります!」 

 

翔平は再度聞く。この特訓は並大抵のトレーニングでないことを経験してるからだ。 

 

翔平 「本当にやるのね?」

 

冬華 「はい!監督が私のことを期待しているなら…やります!」

 

 

(彼女にとってターニングポイントになるかもしれない。なら…責任を持って彼女を育成する!) 

 

翔平 「わかった。では…早速キミに最初の試練を与える。次の試合…走り続けろ。歩くのも給水も禁止だ。良いかな?」 

 

冬華はハードな試練に涙が出そうになるが…やると決めたならやるしかないと感じ返事する。 

 

歩美 「わかりました!」 

 

翔平 「よし。今は休憩するんだ。」 

 

 

次の試合に向けて彼女達は休むのであった。

 

 

次回話に続く…。



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ソサイチ 後編

2回戦は女性社会人チームと対戦し8-0で大勝。チームの士気が上がる。翔平は冬華のプレーを見て彼女の才能を開花させるために特別メニューを命じた。冬華はストレッチと水分補給を入念にし次の試合に備えるが、基礎体力がなくだいぶ疲労が溜まっていた。それに気づいた歩美は冬華に話しかける。 

 

歩美 「冬華ちゃん。だいぶ疲れている様子だけど…次の試合…休む?」 

 

冬華 「いえ…。次の試合出ます…。」 

 

歩美 「そう……。きつくなったら言ってね。」 

 

冬華 「わかりました…。お気遣いありがとうございます…。」 

 

 

そして、翔平は次の試合の作戦を伝える。

 

 

翔平 「次の試合は少し変えて…2-3-1で後ろに綾香さんとエレナさん。2列目の左は善子さん。真ん中は冬華さん。右は歩美。ワントップは由希奈さんでいく。今回は中盤の人数を増やす。善子さんと歩美はアタッカーで前線にボールを繋ぐように。冬華さんはアンカーで。」

 

善子 「あの…。アンカーとは何ですか?」

 

翔平 「アンカーは簡単な例を言うが守備の最初の砦だと思えばわかりやすいだろ。後ろの綾香さんやエレナさんの守備を軽減させるため2列目で攻撃を阻止する選手のことなんだ。だから…アンカーはサッカーで1番忙しいポジションなんだ。これはあくまでも練習だからスタミナと守備力を鍛える。」 

 

善子 「なるほどね…。わかりました。」 

 

歩美 「私は守備するの!?」 

 

翔平 「お前の場合はディフェンスが少し下手だからこの試合で意識してほしい。でもアタッカーだから攻める時は攻めるんだ。」

 

歩美 「わかった!」 

 

冬華 「……。」 

 

由希奈 「私はずっと前線にいれば良いのでしょ?」

 

翔平 「そうだね。状況によっては守備にも協力してほしい。」 

 

由希奈 「わかったわ。」 

 

綾香 「私達は後ろで構えていれば良いのでしょ?」

 

翔平 「そうだけど…なるべく最終ラインを越されないように2人で工夫してほしい。それに…冬華さんのカバーに入らなくて良い。」

 

綾香 「どうゆうことよ。冬華は初心者よ。そもそもなんで難しいポジションを彼女にやらせるのよ?私でも良いんだけど。」 

 

翔平 「これは冬華を鍛えるために必要なことなんだ。今は試合に集中してほしい。」 

 

綾香 「……。わかったわ。」 

 

 

3試合目の相手は男性でソサイチ経験者の寄せ集めチームである。歩美は相手チームのキャプテンと握手をすると…。 

 

「キミは!歩美ちゃんだよね?」 

 

歩美 「あっ…はい。そうですが…。」 

 

「覚えているかな?ユースの時に男女混合で練習した時に一緒に基礎練した…中嶋光輝だよ!」 

 

歩美 「あっ…!思い出した!中嶋君ね!」

 

中嶋 「覚えてくれて良かった…。まさか…歩美ちゃんとこんな形でまた会えるなんて…想像していなかった!」 

 

歩美 「中嶋君は今…何をしてるの?」 

 

中嶋 「今…オレはスポーツ医療の専門学校に通ってる!歩美ちゃんは?」 

 

歩美 「私は学生です。私も同じスポーツ医療の勉強をしているんです!」 

 

中嶋 「そうなんだ!また後でゆっくり話そう!よろしくね!」 

 

 

ホイッスルが鳴り試合開始! 

 

 

まず歩美達は様子を見ることにする。相手チームがどのようなサッカーをしてくるのかエレナは分析する。冬華は試合開始と同時に相手選手のボールしか見ておらず…ひたすら追いかけて守備をする。冬華はスライディングをし相手選手からボールを奪う!

 

冬華 「奪います!」 

 

そして、冬華は左サイドにいる善子にパスをおくる。善子はボールをキープし次々と相手選手達を置き去りにする! 

 

「なんだ!このフェイントは!」 

 

善子は考えた。 

 

(この場合…由希奈さんにパスするべきか。このまま私が攻めるか。) 

 

由希奈 「こっち!」 

 

善子はマークを外しフリーになる。善子はグランダーのパスで由希奈に出すが…。

 

「させるか!」 

 

相手キーパーが飛び出しボールをキャッチ! 

すると、キーパーのロングスローで一気に相手FW選手にボールが渡るが…冬華が必死に追いかけてボールカットする!この圧巻なプレーに翔平は狙い通りと確信する。 

 

(やはり…ボールを必死に追う姿は彼女にしか出来ない特権。守備力を鍛えればきっと彼女は…。) 

 

冬華は歩美にパスを送り歩美は前線まで上がりチャンスを作る。そして、歩美は逆サイドから走ってきた善子にクロスを上げるが…善子に届かずクリアされる。攻めても思うようにいかずオフェンス陣は焦り出す。

冬華はずっと走り続けているため息切れをする。冬華が止まろうとすると翔平は怒鳴る。

 

翔平 「冬華さん!脚を止めるな!ずっとボールを追い続けるんだ!」 

 

冬華 「あっ……。はい……。」 

 

 

隣で試合を観戦してた夏海が翔平にキレる。 

 

 

夏海 「あんた!正気!!」 

翔平 「僕はいつでも正気ですよ。」

 

夏海 「何故…ずっと走っているのよ!!あれじゃ…冬華が倒れるよ!」 

 

翔平 「その時はその時だ。」 

夏海 「あんたねー!」 

翔平 「これは練習だ。」 

夏海 「練習…?」 

翔平 「彼女に試練を与えている。」 

夏海 「試練?」 

翔平 「ああ。それは今は言えない。」

夏海 「貴方…意外と秘密主義なのね…。」

 

その後。冬華は走り続け守備に貢献する。

綾香やエレナの守備の連携が厚くシュートを打たせないように守り続けた。善子や歩美も守備をするが…チャンスがあれば前線に上がり攻め続けた。由希奈も4本のシュートを打つが相手キーパーがセーブをし得点がとれない。しかし、相手チームのペースでボール支配率も良い。歩美達は守備をしてカウンターする戦術に切り替えるが…なかなかうまくいかない。そうしているうちに前半が終了。冬華はすぐにボトルの水を飲んだ。翔平はチーム全員に後半の立ちまわりを伝える。 

 

翔平 「前半戦は皆さんの守備連携が良く無失点に抑えられた。しかし、これで満足してはいけない。相手も後半からはヒートアップしてくるだろう。それに…3試合してるから疲労も溜まってる。それは相手も同じ。だから…最後の1秒まで戦いきろう。後半は善子さんを下げて夏海さんを入れる。今までは守備に徹底したが…後半戦からは攻める。前に由希奈さんと夏海さんを中心にドンドン攻める姿勢を保とう。歩美と冬華さんはボランチ的存在で攻守動いてほしい。綾香さんとエレナさんは今まで通りに守備に集中してほしい。エレナさんに関してはスペースがあれば上がって良い。最後の25分間…戦うぞ!」

 

チーム全員 「おーーー!」 

 

チームに作戦を伝えると翔平は冬華を呼び出した。 

 

翔平 「冬華さん。走り方のフォームを変えた方が良い。余計な力を使っている。走るフォームをしっかりすれば余計な力を使わずにスムーズに走れる。あと…腕をよく振ると良い。」

 

冬華 「アドバイス…ありがとうございます…。」 

 

翔平 「前半は良く相手選手を追ってボールを奪ったシーンがあった。後半もその調子で頑張ってほしい。あと…立ち止まらないこと。」

 

冬華 「……。はい。」 

 

後半戦が始まる。

 

序盤から翔平の言われた通りに攻撃重視で攻め上がる。歩美がドリブルで攻め上がり夏海や由希奈にボールが集まるようにパスを出す。しかし、相手は男性でありフィジカルはもちろんだが…タックルの勢いや体力的な部分で勝り苦戦する。それでも、歩美達は攻める姿勢を止めなく何回もトライする。そして、ついに大チャンスがきた。左サイドで夏海がボールをキープしてる時に周りの選手達が集まり逆サイドがガラ空きになっていた。歩美はすぐにパスを要求し夏海からボールをもらう。すると…それに気づいたエレナが逆サイドからパスを要求した。 

 

エレナ 「こっちです!」 

 

歩美はエレナにスルーパスを出し歩美は由希奈と夏海に指示する。 

 

歩美 「夏海さんはゴール前に!由希奈さんは夏海さんのカバーに!私は相手の選手をマークする!」 

 

エレナはゴール前の夏海や由希奈にセンタリングを上げようとしたが…相手選手のマークが速くあっという間につかれてしまう。歩美も同様にマークをつかれていた。パスの出しようがなくエレナは考える。 

 

(どうすれば良いですか…。マークをつかれてパスが出せません!このまま私がシュートを打つか…それとも…。) 

 

すると、冬華が相手ゴールに向かって走る!エレナは迷ったが…一か八かでセンタリングをあげる! 

 

由希奈 「なんで上げたのよ!これでは…カウンターをくらう!」 

夏海 「邪魔なのよ!あんた達!」 

歩美 「エレナちゃん!ダメだよ!」

 

エレナが上げたボールはキーパーの正面。 

このままボールが彼に渡ればキャッチされ守備が手薄になった歩美チームがカウンターによりピンチになる。

 

 

(私は……変わりたい……。弱気で内気で…消極的な私だけど……でも……こんな私でも……必要としてくれる人がいる…。だから……私は!!絶対にあきらめない!)

 

 

冬華は必死に走りキーパーより先に頭でボールに触れダイビングヘッドで押し込む!思わず相手キーパーも一瞬の出来事で理解ができなかった。キーパーより先にボールを触れると思っていなかったからである。冬華の意地の走りと諦めない気持ちが得点が繋がった。冬華はゴールネット内で倒れ込む。だいぶ疲労が溜まっておりすぐ起き上がることが出来なかった。

 

冬華 「はっはっはっ……。」 

 

この気迫溢れるプレーにチームメイト達は鳥肌が立つ。妹の夏海に関してはこんなことを考えていた。

 

(あの冬華が…こんなことが出来るとは思っていなかった…。) 

 

歩美 「凄い……。あれが冬華ちゃんのプレーなの……。」 

 

夏海はすぐ冬華の身体を起こすと…冬華は気絶気味になってた。そこで夏海と歩美は冬華の肩を持ってベンチで寝かせることにした。翔平はすぐ善子にロックアイスとポカリ買うように命じた。その間に翔平は冬華の看病をする。 

 

(まさか…ここまで出来るとは予想していなかった…。気力だけで走り続けていたかもしれない。冬華さん。貴女は凄いです…。) 

 

歩美達は気を取り直して試合に集中する。しかし、冬華の退場により1人欠けた状態でチーム内の疲労が影響し、守備が手薄になり2失点する。歩美達は最後まで諦めずにゴールを目指したが、相手選手の堅い守備に阻まれ追加点をとることが出来なかった。時間が過ぎていき試合終了。結果は2-1で敗北。歩美達は自分達の限界まで走りきり給水をとるとすぐ座り込んだ。 

 

歩美 「負けたけど…やりきった…。」

綾香 「悔しいけど…悔いはないかな…。」

夏海 「疲れたわ…。」 

真美 「皆んな…よく戦ったよ。」 

 

エレナ 「お疲れ様です…。皆さん…良かったです!今までで1番良い試合でした!」

 

由希奈 「もう〜動けないよ〜。」 

 

翔平は善子が買ってきてくれたロックアイスを冬華の首元に置き無理矢理でもポカリを飲ませた。そのおかげでだいぶ回復してきた。

夏海は冬華が心配で仕方がなかった。

 

夏海 「で…。冬華はどうなったのよ…。」

 

翔平 「今はだいぶ回復してきた。大丈夫だよ。善子さん。看病してくれてありがとうございます。」 

 

善子 「いえ…。監督が言われたとおりに実行しただけですよ…。」 

 

夏海 「なら…良かったわ…。」 

 

翔平 「皆んな。良く戦った。相手は男子で体格や体力的な差はあったかもしれないが…それでも諦めずにがむしゃらに走りきった。負けたけど…でも…君たちは後悔してないだろ?」 

 

由希奈 「そうね。久々にサッカーをしたっていう感覚だわ。」 

真美 「皆んな頑張ってた。」 

エレナ「私も後悔してません!」 

綾香 「楽しかったね。」 

歩美 「私も!」 

 

彼女達の表情を見て翔平は笑顔になる。

戦いきった汗を流していると。

 

翔平 「2勝1敗で2位で終わったが…今日のソサイチで得るものは沢山あった。充実した1日だったね。」

 

 

その後。彼女達が着替えている間に翔平はある人物に電話をかける。 

 

翔平 「もしもし。久しぶりだな。」 

 

? 「ええ。久しぶりね。翔平。」 

 

 

翔平 「ああ。絵梨華。」 

 

 

次回話に続く…。



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中森絵梨華 前編

 

 

「ああ。久しぶりだな。絵梨華。」 

 

「翔平。女子サッカーチームの監督をしてるみたいね。」 

 

「ああ。絵梨華に頼みたいことがある。」 

 

「翔平のことだから言いたいことはわかるわ。つまり…お父様の会社でスポンサー契約をとりたい。そうゆうことね。」 

 

「ああ。正解だ。」 

 

「私がお父様の秘書であり副社長である私だから交渉しやすいと。幼なじみなんですから。」 

 

「お前には数え切れないぐらい感謝してるし…歩美にもお世話になった。何も恩を返してないからこんなことを言うのも図々しいかもしれないが、スポンサーになればチャレンジリーグの出場権はとれるし、チームが発足すればスポーツビジネスはもちろんだが…絵梨華の会社のPRになる。ビジネスパートナーも見つけた。だから…スポンサーになってくれる企業を探しているんだ。」 

 

「私の会社が大手だからこんなに必死に説得してるのかしら?」 

 

「……。単純に頼みやすいからだ。」

 

 

(幼なじみだから頼みやすいのもあるが…正直有名スポーツメーカーだから…バックアップが凄いのが正直なところ…。)

 

 

「あらっ…そう。そうね…まずはあなたと直接会って商談するところから始めないといけないわね…。翔平はお客さんなんだから。」

 

「わかった。時間がある時に会って話そう。」

 

「なら。明後日の火曜日はどうかしら?」 

 

「わかった。○○駅前のス○バで。」 

 

「了解。では…失礼するわ。」

 

 

翔平は電話を切ると深く溜め息をついた。近くの自動販売機でコーヒーを買ってベンチに座り空を見上げた。 

 

(相変わらず絵梨華はビジネスに関しては執着があるよな…。大手スポーツメーカーのプ○マの社長の娘だもんな…。正直…だいぶハードルが高い商談になるな…。別の意味も含めて…。) 

 

 

すると歩美達が翔平のもとに集合した。 

 

 

歩美 「お兄ちゃん!本日の参加費を集めたから!」 

 

翔平 「ありがとう。あとで払いに行く。そうだ…皆んなにジュースを奢ろう。喉渇いているだろ。」

 

由希奈 「じゃあ〜。私は紅茶○伝!」

綾香  「わたしは〜イチゴオレ!」 

夏海  「メロンソーダね。」 

善子  「私は…微糖コーヒー。」

真美  「私は遠慮するわ。」

エレナ 「私も大丈夫です。」 

歩美  「私も遠慮しとく…。」

冬華  「私もいらないです…。」 

 

翔平 「今日は皆んな頑張ったから遠慮せずに好きなドリンクを選んで良いよ。」 

 

言葉に甘えてドリンクを奢ってもらう。チームの全員は冷えたドリンクを飲んで疲れた身体を癒すのであった。

 

歩美 「お兄ちゃん!私達…いつも練習後に反省会を開いているんだけど…お兄ちゃんも来る?」 

 

翔平 「だから…いつもオレより遅く帰ってくるのか。これから来週の練習場所を確保したり…皆んなの練習したデータをまとめないといけない。だから…歩美達だけで行って良いよ。」

 

歩美 「そうなんだ…。でも…お兄ちゃんもたまには息抜きしても良いんじゃない!」 

 

綾香 「私も〜歩美と同意見!たまにはお兄さんも私達と一緒にご飯食べようよ!」 

 

エレナ 「監督さんと練習しかコミュニケーションをとる機会がないので…私達も監督さんと色んな話をしたいです!」 

 

 

翔平は彼女達の熱い視線に仕方なく一緒に反省会に参加することにした。 

 

 

翔平 「わかりました…。監督も選手達とコミュニケーションをとることが大事なので…この機会だし行きますか。」 

 

 

歩美がユース時代に通っていた定食屋に行くと翔平のスマホから電話がかかってきた。 

 

 

翔平  「もしもし。なんだ…絵梨華。」

 

絵梨華 「貴方に朗報だわ。お父様に頼んだところ心良くスポンサー契約して良い許可を得たわ。ユニホームも制作してくれるみたいだし。そこで…ユニホームのデザインについて相談したいんだわ。」 

 

翔平  「相変わらず仕事が早いなぁ。それは良かった。絵梨華のお父さんに御礼の手紙と品を贈るよ。ユニホームに関しては彼女達が決めることにする。丁度…チームメイト達とご飯を食べているところだから聞いてみる。」

 

絵梨華 「それは丁度良いタイミングね。聞いた結果をまとめて折り返し電話してくれるかしら?」 

 

翔平 「わかった。」 

 

翔平は電話をきりスポンサー契約を結んだことやユニホームの件について話すと色んな意見が飛び交う。 

 

由希奈 「やっぱりピンクが1番ね!」 

 

真美  「私は縦ストライプのユヴ○ン○スのような黒と白のユニホームが良いわ。」 

 

綾香  「私は東○FCのユニが良いわね!」

エレナ 「私はミ○ンが良いです!」 

夏海  「代表のユニホームが良いわ!」

冬華  「私はなんでも良いです…。」

善子  「私はブラジル代表が良い…。」

歩美  「私は鮮やかな水色が良いな!マンチェスターシ○ィーみたいに!」 

 

翔平は色んな意見があり決められなかった。

反省会というよりユニホームの会議になってしまった。 

 

(ユニホームのデザインを決めるのに思ったより時間がかかるな…。)

 

その後。2時間ぐらいユニホーム会議で時間がたつ。最終的にマンチェスターシ○ィーのようなシンプルな水色のデザインに決めた。

翔平は意見がまとめたところですぐ絵梨華に電話をかける。

 

翔平 「ユニホームのデザインを決めた。イギリスの強豪チームであるマンチェスターシ○ィーみたいなデザインと色にしてほしいと彼女達の希望がある。どんな感じかググってみればわかる。」

 

絵梨華 「わかったわ。明後日までにユニホームのデザインやスポンサー契約の書類等を持って来るわ。だから…印鑑を持ってくるように。」 

 

翔平 「わかった。では。」 

 

絵梨華 「翔平。商談が終わったら買い物に付き合ってもらうから。」 

 

翔平 「はぁ…。何を…。」

 

翔平は言おうとしたが電話がきれてしまった。

 

翔平 「マジかよ…。相変わらず絵梨華は…何を考えているかわからないな…。だが…今回も絵梨華に協力してもらうことになってしまった。でも…たまには良いか。」 

 

歩美 「お兄ちゃん?誰と電話してたの?」 

 

翔平 「中森絵梨華だ。歩美も覚えているだろ?」 

 

歩美 「うん!覚えているよ!私達に試作品のスパイクやウェアをもらっていたよね!」

 

翔平 「ああ。スポンサー契約を結んだのも彼女の父親が社長だから聞いてみたんだ。そしたら契約を結ぶことが決まり…明後日…久々に絵梨華と会話して書類を書かないといけないからな。」 

 

歩美 「お兄ちゃん!絵梨華さんに感謝しないといけないね。」 

 

翔平 「そうだな…。あいつにはいろいろお世話になってるから…感謝しないとな。」

 

翔平と歩美は会話をしながら家に帰るのであった。 

 

次回話に続く…。

 

 




キャラ紹介 

中森絵梨華 22歳。翔平の幼なじみ。
某スポーツメーカーの社長の娘。小中高生時代は文武両道で生徒会長を経験。モデルみたいな容姿で男性から絶大な人気があった。ビジネスに関しては敏感である。実は…密かに翔平のことを気にしてる…?


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中森絵梨華 後編

 

ついにこの日が来てしまった。

翔平と絵梨華の商談する日が…。 

会社の上司に「仕事を早退しますと。」と伝えると「何故?」と答える上司。

翔平はプ○マの副社長と商談することを言うと上司はこう言う。 

 

「ウチの会社と契約をとってこいよ。」 

 

というハードル高めな要求をされる。

翔平はチームのことで頭がいっぱいなのに会社の営業の為に契約をとるミッションを与えられ翔平の頭がショートしそうになる。 

そんな中、約束通りに○○駅のス○バの前で彼女を待つ。 

 

「久しぶりね。翔平。あなたに会いたかったわ。」 

 

「絵梨華。久しぶりだな。高校以来だな。」

 

「ええ。そうね。4年も経てばお互い立場が変わるものね。早速ビジネスの話をしましょう。」 

 

(絵梨華は国立大学の経営学部の首席で卒業したと聞いた。久々に会ったがあの頃と違う雰囲気を感じる。いかにお偉いさんと接待するような感覚だ。) 

 

ス○バに入りそれぞれコーヒーのトールサイズを注文し本題に入る。 

 

「まず…この書類を書いてほしい。」 

 

それはチームのスポンサーになる契約書。

翔平は書類を一通り読んでサインをする。

 

「一つ質問だけど…オレ達は大学サッカーチームとして開設するつもりだが…この書類にはプ○マが女子サッカーチームを設立する契約だな。」 

 

「あらっ。そうなの。大学にしろ私の会社がチームを立ち上げるのも変わりはないわ。むしろ…私達がバックアップでついたほうがメリットはあるはずよ。」 

 

「……。確かにお前の会社のスポンサーについたらお互いメリットはあるが…しかし、歩美は1からサッカーチームを作り上げたいと言ってる。歩美達が理想とするチーム像を崩す可能性があると思う。その点はどう思う?」

 

「歩美ちゃんね。彼女が発端なのかしら?」

 

「ああ。歩美は真剣に考えている。オレは全力で妹の為にサポートしたい。」

 

「そう。相変わらず翔平は妹想いね。そうゆうところが私は好きなんだけどね。」 

 

「えっ…。今…なんか言った?」 

 

「なんでもないわ。話が逸れたが…歩美ちゃんや選手達の希望があればそれに応えるよう練習場所やトレーニング環境、スタッフ、道具を用意するわ。」 

 

「わかった。歩美達に伝えておく。」 

 

「次にユニホームの件だけど……。」 

 

 

その後。1時間ぐらいこれからチームの方針や経営面のやりくりについて話し合う。ひと段落話が終わると…翔平の会社と契約をとる交渉に出る。 

 

「絵梨華。オレの会社の上司が…契約をとってほしいと言われてるんだ。」 

 

絵梨華は一瞬考える。すると意外な答えを出す。

 

「なら。私はあなたの会社の株を買うわ。」

 

あまりの衝撃発言に翔平は言葉が出なかった。

 

「えっ…。つまり…会社を吸収するということか?」

 

「ええ。そうよ。そうすれば契約を取れとか言わなくて済むじゃない。」 

 

「しかし…それは…。かなり…ハードルが…。」

 

すると、絵梨華は翔平に感情が宿ったように語る。

 

「あなた。中途半端よ。会社勤めしながらサッカーチームをマネジメントするって良く言えるわね。どちらかに絞りなさい。貴方の答え次第ではこの契約書は今…この場で破り捨てるわよ。」 

 

(えっ…。何を急にこんなことを言い出すんだ!この女!!サイコパスすぎるだろ!これは試されているのか!オレ!!) 

 

 

翔平は30秒考えた末に出した答えは…。

 

 

「なら…オレは…今勤めている会社を辞めて!プ○マに入社する!!そして…お前らのバックアップでサッカーチームを経営し…そして…必ずチャレンジリーグに出場し…優勝してやる!!」 

 

 

「採用よ。貴方は今から私達のメンバー。ようこそ。そして、貴方はスポーツマネジメント部として入社を許可するわ。お父様に伝えておく。」 

 

 

翔平は何が何なのか理解出来なかった。

 

 

「私は貴方を試したわ。ビジネスをするということは何かを犠牲にしないといけない。それに何事も中途半端では必ず成功しない。経営するならプロフェッショナルにならなければならない。その覚悟を試したのよ。」 

 

 

(そっか…。会社勤めしながらサッカーチームのマネジメントするなんて普通に考えたら出来ない…。オレの考えが甘かった…。やっぱり…絵梨華はそこらの人間となんか違うよな…。昔からずっと感じていたけど。)

 

 

「それに…貴方のチームに私も加入するわ。」

 

「えっ…。どういうことだ?」 

 

「私は広報担当に経理担当もするが…プレイヤーとして私も参加するわ。」 

 

「……?絵梨華…。もう一回言って良いか?」

 

「だから…プレイヤーとして私も参加するって…。」 

 

 

(えっ…。絵梨華がプレイヤー?確かに文武両道で運動神経が抜群なのは…知っているが…サッカーは出来ないのでは?) 

 

 

「絵梨華。1つ言う。確かにお前は学生の頃から文武両道で運動神経が良いのはわかっている。しかし、サッカーは球技だ。それにチームスポーツだ。ルールや技術面や戦術面等身につけないといけない。そう簡単なスポーツではないぞ。」 

 

「それなら心配無用。翔平に今まで言ってなかったかもしれないが…私、実はお父様の仲間達と社会人チームに所属していたわ。小学生の頃からサッカーボールに触れていたのよ。お父様と翔平の影響があってね。こう見えてサッカーは上手いのよ。ポジションはCMFやOMF、DMF、CFやCBといった中央ポジションをこなせるわ。」 

 

その時、絵梨華が何故運動神経が良いのかわかる。 

 

(なるほど…。絵梨華が運動神経が良いのはそういうことか…。) 

 

「そうか。絵梨華がサッカー経験者なのはわかった。で…入社手続きとかはどうするんだ?」 

 

「今から貴方の会社に電話して私は貴方をスカウトしたと伝えるわ。だから…明日から会社に行かなくて良いのよ。書類は明日書けば良いし。」 

 

「そんな上手くいくのか?」 

 

「ええ。円満退職にならないかもしれないが…これで貴方が縛られるものが無くなったから良いじゃない。」 

 

「確かにそうかもな…。」

 

(こんな形で会社を辞めてしまうのは申し訳ない気持ちはあるが…しかし、サッカーに集中出来る環境に転職出来た。これはこれで良かったかもしれない。しかし、彼女達にこのことを伝えなきゃいけない。そこが問題だ…。)

 

 

絵梨華はすぐ翔平が勤めている会社に電話をし事を丸く納めた。 

 

 

「これで貴方は…私と共に歩むビジネスパートナーであり…私は選手として加入出来るわ。」 

 

「絵梨華は相変わらず大胆で行動的だな…。そこは昔から変わらないな…。」 

 

「そうね。そろそろ買い物に行こうかしら。チームに加入するなら私の足に合うスパイクを買わないとね。」 

 

「買い物に付き合ってほしいということはそういうことか?」 

 

「ええ。そうよ。」 

 

「そっか。これは…嘘ではなさそうだなぁ。」

 

 

2人はス○バを後にしスポーツ用品店に行くのである。 

 

次回話に続く…。

 



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歩美と綾香の葛藤

 

翌日。

翔平はスポーツ用品メーカーであるプ○マに就職することになった。本社に着くと絵梨華の父親が出迎えてくれた。社長室に入るとお互いソファーに座り社長挨拶を行う。

 

「久しぶりだな。翔平君。おじさんのことを覚えているかい?」 

 

「もちろん覚えていますよ。大輔さん。」 

 

プ○マの社長で絵梨華の父である中森大輔。

翔平が小学生の頃からお世話になっていた人物だ。プ○マの試作品のスパイクやウェアをよく提供してくれた人であり時々翔平のサポートをしてくれたこともあり、翔平はその恩を忘れていなかった。 

 

「あの時はいろいろありがとうございました。」 

 

「こちらこそ…我々の商品開発の為に協力してくれてありがとう。おかげ様でウチの会社も近年右肩上がりしてるよ。絵梨華から聞いたが…翔平君はサッカーを引退したって聞いたんだが…本当かね?」

 

「はい。ケガが原因で引退してしまいました。」 

 

「そうか…。それは残念だね…。翔平君がU-18やU-20で活躍してる姿を拝見したよ。」

 

「ありがとうございます。」 

 

「ところで翔平君は…スポーツマネジメント部に配属することになっているが…早速キミは部長に任命したいと思う。」

 

「えっ…。どうゆうことですか?」 

 

 

「実はスポーツマネジメント部は今日から立ち上げるんだよ。」 

 

 

「はいっ?」 

 

 

翔平に理解出来なかった。元々スポーツマネジメント部があるものだと思いそこの平社員として所属すると思っていたからである。その時、翔平は副社長の絵梨華の成り行きで決めたことだと感じた。

 

「翔平君。キミがこのスポーツマネジメント部の第1号だ。キミが1からスポーツマネジメント部を作り…盛り上げてほしい。あとは…キミの自由だ。」 

 

「ちょっと待ってください!急にスポーツマネジメント部の部長と言われてもピンと来ないですよ!」

 

「ははは。そうだよね。絵梨華のわがままもあると思うが…私個人としては1度人生の挫折を味わった人間はより成長出来ると思う。だからこそ…キミにしか出来ないことがあるはずだ。それにキミはこれから新たなプロジェクトを始めようとしてる。だから…キミに手でプロジェクトを成功してほしいんだ。」 

 

「そうですか…。」 

 

(いきなり部長か…。戸惑いはあるが…だが…大輔さんの顔つきや目は真剣だ。オレに期待しているなら…やるしかない。) 

 

 

「わかりました。これからスポーツマネジメント部の部長として会社やチームに貢献出来るよう努めてまいります!改めましてよろしくお願いします!」 

 

「よく言ってくれた。翔平君。こちらこそよろしく。何か困っていることがあれば相談してほしい。なるべく君達のサポートに私も努めよう。」 

 

「ありがとうございます!」 

 

翔平は社長室を出ると早速翔平は歩美に電話をかけチームメイトを集めるよう伝える。次に絵梨華に電話する。 

 

「絵梨華か。時間あるか?」 

 

「これからお客様の接待があるからそれが終わったら時間はあるわ。どうして?」

 

「歩美達のチームに話さないといけないことがある。それにお前がチームに加わるから来てほしい。」 

 

「わかったわ。貴方の為なら私はどこでもついていくつもりだわ。あと…お父様と会ったかしら?」 

 

「ああ。大輔さんは相変わらず熱い方だな。」

 

「そうよ。お父様は何でも全力ですから。当然でしょ。」

 

「そうか…。また後でな…。」 

 

翔平は電話を切ると歩美達が通っている大学に向かうのである。

 

 

14時15分。

大学に到着すると中庭で歩美と綾香、真美、由希奈の4人で練習をしてた。

 

歩美 「由希奈ちゃん!シュート!」 

由希奈 「食らえ!真美!」

 

由希奈が放ったシュートは真美が止める。 

 

真美 「甘いわね。由希奈。」 

由希奈 「ちぇっ…。」 

綾香 「ドンマイドンマイ〜!」 

 

 

翔平 「練習熱心だな。4人とも。」 

 

 

歩美 「お兄ちゃん!そろそろ皆んなが来る頃だと思うよ!私達は3限は授業入ってなかったから練習してるの!」 

 

翔平 「そうか。急に集まってもらってすまんな。君たちに3つ大事な話があるから伝えたい。」 

 

歩美 「そうなんだ…。」 

 

歩美達は練習を中断し他のメンバーが来るのを待つと…。 

 

絵梨華 「あらっ。お久しぶりね。歩美ちゃん。」 

 

歩美 「絵梨華さん!何故…ここにいるんですか!?」 

 

翔平 「早速ネタバレかよ…。皆んな…まだ来ていないが…大事な話の1つ目は中森絵梨華が選手として加入する。」 

 

歩美 「え…えりかさんが!!」 

 

絵梨華 「ええ。そうよ。よろしくね。歩美ちゃん達。」 

 

真美 「貴女…サッカー経験はあるかしら?」 

 

絵梨華 「私?あるわよ。もちろん。だって…私は社会人リーグで優勝した事がありますから。」 

 

真美 「社会人リーグ?」 

 

絵梨華 「知らないのかしら?一般企業にもサッカー部が存在しており…私達プ○マは3年連続優勝よ。ちなみに私は男性の中に混じりながらプレーをしているわ。」 

 

綾香 「凄いじゃないですか!しかも…プ○マよ!!一流企業じゃん」

 

由希奈 「え〜!紅一点プレイヤーよ!これは凄いじゃない!」 

 

真美 「どれぐらいの実力があるか見せてもらおうかしら?」 

 

絵梨華 「良いわ。ちょうど…スパイクとウェアを持っているから出来るわ。しかし…その前に貴女達に重大な話がある。貴女達はプ○マがスポンサーの女子サッカーチームに所属してもらうわ。練習場やトレーニングルームやスパイクやドリンク、ウェア等の用具管理など…貴女達に練習しやすい環境を整えていくつもり。それに…翔平監督は弊社のスポーツマネジメント部の部長として貴女達を全力でサポートする契約をとってる。私も選手兼広報や経理の担当をやらせていただくわ。何か質問がある方はいるかしら?」 

 

翔平は自分が話すべき内容をサラッと言ってしまい驚きを隠せなかった。 

 

(絵梨華ー!!オレが全部話そうと思っていたのに…先に言ってしまった!彼女達のこの話をするのめっちゃ緊張していたのに…。) 

 

この場にいた4人は全員黙る。しかし、歩美はチームのキャプテンとして絵梨華に問いかける。

 

歩美 「絵梨華さん。そこまで…私達のサポートをしてくれるのは嬉しいです!でも…メンバーを集めるのは私達でやりたい!」 

 

絵梨華 「私達はあくまでもバックアップでサポートするだけで…貴女達が目指すチーム像を崩すつもりはない。貴女達が自由にやっていいわ。翔平も…私も貴女達の意見を尊重するつもりだし…翔平に関しては貴女達を必ず優勝させると宣言しました。」

 

翔平 「おい!絵梨華!」

 

真美 「私は悪くないわ。どんな形であろうがチームを始動することに変わりはない。」

 

由希奈 「監督が決めたことなら私は反対しないわ!それに…私達を優勝させるんでしょ!だったら…私も点を決めて決めまくってチームの優勝に貢献するわ!」 

 

歩美 「本来は…この大学から女子サッカー部を作りたかったけど…でも…私は…お兄ちゃんが…サッカーに集中出来る環境なら…私は…反対しないわ。」 

 

綾香 「……。」 

 

翔平は歩美と綾香の反応を見て感じた。歩美にとって本来は、大学の女子サッカーチームでチャレンジリーグに挑戦したい気持ちはあったかもしれない。しかし、企業がスポンサーについたことによりプ○マの管轄のチームになる。一方…綾香はユースチームの契約もあり、他のチームに契約するとなると元々所属しているチームを退団しないといけなくなる。翔平は、両者の気持ちを踏みいじってしまった後悔が芽生えた。 

 

(彼女達と話し合う時間をとればよかった…。オレの判断で決めてしまった…。)

 

絵梨華は2人の反応を見て率直に感じたことを伝える。 

 

絵梨華 「歩美ちゃん。貴女の気持ちはわかるわ。こういう形になってしまったことは私の責任かもしれない。しかし、貴女が目指すチャレンジリーグはスポンサーがついていないと加入することが出来ない。それに…仮にメンバーが集まったところで大学側も部活として公認してくれるかわからない。そう思うと私達がチームを作った方が手っ取り早く…貴女達が練習できる場所を確保することが出来る。このままいったとしても上手くいく確証はないわ。」 

 

歩美 「確かにそうですよね…。大学でサッカー部を設立するより…プ○マの女子サッカーチームとして設立した方が良いと思います…。」 

 

絵梨華 「貴女達全員に言うが…何かを始める時は犠牲にしないといけないことがある。何ごとも理想だけを求めていても現実にしていく努力や苦労がなければ成功しない。これはお父様が良く言っていたわ。だから…私もそれを実行している。」

 

綾香 「!!」 

 

絵梨華 「そこの貴女。心当たりがあるなら…言いなさい。」 

 

綾香 「私…実はユースチームに所属しています…。最初は歩美達の助っ人として参加すれば良いと思っていました…。」 

 

絵梨華 「貴女…中途半端ね。だから成功しないんだわ。ユースチームをとるか…私達のチームをとるか…どちらかにしなさい。今…決めて。」 

 

翔平は心の中でこう感じてた。

 

(またこのパターンかよ…。絵梨華は少し言い過ぎだぞ…。)

 

綾香は黙り込んでしまう。 

 

翔平 「絵梨華!お前…いい加減にしろ!」

 

絵梨華 「翔平。貴方にはわからないわね。こうしないと…彼女自身成長しないから。」 

 

翔平 「だからといって…この場ですぐ決めなくても良いんじゃないか!?」 

 

絵梨華 「後で決めるというのは逃げよ。私なら…どんなこともその場で決めるわ。その方が先に進めるからね。」 

 

翔平 「…っ。綾香さん。ゆっくり考えるべきだ。貴女の未来もあることだし…。」 

 

 

綾香 「私は…このチームの一員で活躍したいです!」 

 

 

絵梨華 「わかったわ。なら…貴女は今日から私達のチームの正式な一員として加入してもらうわ。これから貴女のユースチームに退団手続きを私がするから。」

 

翔平 「そんなにすぐに出来るのかよ?」 

 

絵梨華 「私なら出来るわ。だって…お父様はいろんな企業と繋がりがあるから。」 

 

翔平 「大輔さん…。そんなに人脈があるのかよ…。」 

 

絵梨華 「ええ。だって…お父様だもん。」

 

 

(出たよ…。親父自慢…。)

 

 

絵梨華 「貴女のデータは全部把握してるから…今すぐ電話する。一応…最終確認するが…貴女…本当にこのチームに入るかしら?」 

 

綾香 「……。うん。私は……このチームに入ります!!」 

 

絵梨華 「わかったわ。」 

 

絵梨華はすぐに綾香が所属してるユースチームに退団手続きを行う。しばらくすると絵梨華は退団交渉が成立した事を伝える。 

 

絵梨華 「これで晴れて貴女は私達のチームとして迎えることが出来るわ。」 

 

綾香 「そうですか…。ありがとうございます…。」 

 

翔平 「……。」 

 

(複雑な気持ちだな…。でも…絵梨華は綾香さんの為にとった行動だと思う。だからこそ…オレは綾香さんの夢を奪ってはいけない。いや…オレが必ず優勝させる!) 

 

エレナ 「あの…。そろそろよろしいでしょうか?」 

 

エレナ達は絵梨華と綾香のやり取りがあり場に入れない様子だった。 

 

翔平 「エレナさん。夏海さん。冬華さん。善子さん。お疲れ様です。すみません…待ちましたか?」

 

エレナ 「いえっ。私達も話を聞いていたので…。」 

 

翔平 「そうですか…。」 

 

絵梨華 「貴女達もチームの一員なのね。話を聞いていたなら質問はあるかしら?」

 

誰も質問しなかった。 

 

絵梨華 「質問がないなら…貴女達は正式に私達のチームに加入することになるね。私はこれから契約書の準備をしてくるからこれにて失礼するわ。」

 

真美 「絵梨華さん。もし…よろしければ私達と少し練習しませんか?」 

 

絵梨華 「私は貴女達と違って仕事で忙しいから。」 

 

真美 「あの。貴女は先程…中途半端じゃいけないとおっしゃいましたね?私達のチームメイトになるなら…仕事を優先しませんよね?」 

 

絵梨華 「先程言ったでしょ。選手兼広報や経理の仕事をすると。」 

 

真美 「貴女は副社長。ということは…私達のチーム以外に本業の仕事があるということですよね?」 

 

絵梨華 「私はしばらく…副社長を降板するわ。私の代わりは養子についてもらう。」 

 

真美 「チームを優先するなら…私達の練習に参加しますよね?」 

 

絵梨華 「……。わかったわ。貴女達とサッカーをするうえに貴女達の実力を知るのも仕事だからね。ならば…貴女達の実力を確かめてもらうわ。」 

 

真美 「わかりました。皆んな。練習を始めるよ。」 

 

翔平は絵梨華が社会人サッカーチームの一員にいたことを確かめてみたかった。 

 

(絵梨華の実力を確かめる良い機会だ。) 

 

彼女達は練習着に着替えて練習を始めるのであった。

 

次回話に続く…。



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小林七実

 

絵梨華は真美に練習に参加をするよう呼びかけると絵梨華は仕方なく参加する。準備を済ませると絵梨華はリフティングを始める。

翔平は彼女のボールコントロールに肝を抜かれた。 

 

(経験者というのは伊達ではないな。) 

 

次に基礎練習を始めるとインステップやアウトサイド、腿トラップや胸トラップ、ヘディングも経験者並みにこなしていく。 

 

(ほう…。絵梨華ってこんなに上手かったのか…。) 

 

翔平が彼女達の練習風景を見てると後ろから女性が話しかける。 

 

「あの〜?もしかして…相澤翔平さんですか?」

 

翔平 「あの…どちら様ですか?なんで…僕の名前を知っているんですか?」

 

「私…小林七実と申します!私…相澤翔平さんのファンです!センターバックで和製ファン・ダ○クと呼ばれるぐらいに身体能力や足元の技術、守備能力も優れているプレイヤーでしたね!U-18日本代表に選ばれ…ベルギー対日本戦で翔平さんがコーナーキックからのヘディングでゴールを決めた時に一目惚れしました!」

 

翔平 「そうですか。あの時は応援ありがとうございました。」 

 

七実 「あのっ!サインをお願いします!」 

翔平 「サインですか…。良いですよ。」

七実 「ありがとうございます!」 

 

七実はプラスチック製の透明な筆箱を取り出すとサインペンで翔平のサインを書く。 

 

七実 「あ…ありがとうございます!この筆箱…一生捨てられないな〜。」 

 

翔平 「僕は今…彼女達の練習を見ているのでこれにて失礼するよ。」 

 

七実 「ほーう。今は…彼女達のコーチをしているんですか!?怪我で引退したと聞いたのですか…。」  

 

翔平 「まぁ。そうだね。」 

 

七実 「あの!私も練習に入っちゃて良いですか〜?」 

 

翔平 「まぁ…良いけど…。責任者とキャプテンに相談してくる。」 

 

七実 「はーい。」 

 

 

翔平 「皆んな!少し休憩だ!」

 

 

翔平は歩美と絵梨華に話しかける。 

 

翔平 「あそこで練習を見てる小林七実さんという方が練習に参加したいようだが…どうする?」 

 

歩美 「私は賛成よ!」 

絵梨華 「あなた…あの子にサインを書いていたわね。」 

 

翔平 「そうだけど…。それが…何か?」 

 

絵梨華 「私もサインが欲しいわ。それなら許す。」 

 

翔平 「??。とりあえずわかった…。」 

 

翔平は七実に伝えると彼女は着替えもせずにグラウンドに入ってきた。 

 

七実 「皆さん!はじめまして!私…小林七実と申します!相澤翔平さんの大ファンなんです〜!早速…ボールを蹴りましょう!」

 

真美 「こちらこそよろしく。その前に…貴女は経験者?」 

 

七実 「私ですか〜。遊びでやってたぐらいです!」 

 

真美 「あら…そう。善子。この子の基礎練習の相手をしてくれるかしら?」 

 

七実 「私〜。こ〜みえて〜天才なんですよ〜。基礎練とかしなくても出来ますから!」 

 

真美 「この世に天才な人はいない。」 

 

七実 「そっかな〜。なら見ます?私の実力を!」 

 

真美 「望むところだ。」

 

絵梨華 「少し待ちなさい。私も貴女と勝負したいわ。」 

 

真美 「絵梨華さんでしたっけ。良いでしょう!」 

 

翔平は2人の実力を試すのを良い機会だと思った。歩美も半信半疑になりながら七実を見つめた。真美はPK勝負を求め…先に七実が蹴ることになる。 

 

七実 「いくわよ〜!」 

 

ゴールの右上の隅に強烈なシュートを放つ。 

 

(ウソ!まさか…!) 

 

真美 「くそっ!」 

 

そのままゴールインし七実は満足げな表情をする。 

 

七実 「やった〜!決まったわ!」 

 

真美 「ウソでしょ……。本当に遊びで身についたと思えないシュートだわ……。」 

 

七実 「なめたらあかんぜよー。」 

 

翔平は七実のシュートコントロールにシュート力に驚きを隠せなかった。 

 

翔平 「ほう…。なかなか良いシュート打つな…。これは…もしかしたら…。」 

 

絵梨華 「次は私よ。真美さん。あなた…私をなめているみたいだけど…私…こう見えてシュートは得意だわ。」 

 

真美 「ならば…見せてもらおうか!」 

 

絵梨華 「望むところよ。行くわよ!」 

 

絵梨華は左のグランダーシュートを打とうとするが…蹴る寸前でフェイントを入れる。真美はすぐに反応する。 

 

(左と見せかけて右に蹴るつもりね!それならば…私も防げる!) 

 

絵梨華 「甘いわね。」 

 

絵梨華はゴールの真ん中の上に狙いを定めてボールを蹴る!真美は絵梨華のトラップにハマりゴールの右側に飛んでしまう!

 

(しまった!) 

 

そのままゴールインし絵梨華の勝利。 

 

絵梨華 「貴女…。慢心したわね。その慢心が命取りになることを忘れてはいけないわ。」

 

真美 「2回連続失点…。くそっ!」 

 

真美は地面を叩いて悔しそうな表情をした。

 

七実 「絵梨華さん。やりますね〜。」 

絵梨華 「当然の結果よ。」

 

翔平 「2人とも素晴らしいシュートだ。君達が実力あることを認めるが…サッカーはあくまでもチームスポーツだ。だから…その実力に甘えずに日々精進することと…仲間を信じる気持ちを養ってほしい。」 

 

七実 「翔平さんが言うことは絶対だわ。」

 

絵梨華 「翔平の為ならなんでもする覚悟よ。だから…みてなさい。」 

 

歩美 「凄いよ!七実ちゃんに絵梨華さん!これからよろしく!」 

 

七実 「私は何でも出来るから任せなさい!」

 

絵梨華 「最初からそうするつもりよ。」 

 

翔平 「さて。そろそろ練習に戻ろうか。時間も限られているから質の良い練習をしよう。」 

 

翔平は彼女達に練習内容を伝える。しかし…真美は翔平に相談する。

 

真美 「私は練習…参加しないです…。」

由希奈 「私も参加しない!」

翔平 「何故ですか?」

 

真美 「私…悔しい…。あの2人にシュートを決められて…悔しい!」 

 

翔平 「そうか…。練習に参加しなくて良いが…君達に試練を与えよう。」 

 

由希奈 「試練?」 

 

翔平 「チームの練習に参加しないかわりに…今から1週間。君達はシュート練習をしてもらう。そこで…歩美!」 

 

歩美 「何?お兄ちゃん?」 

 

翔平 「お前はしばらく真美さんと由希奈さんと3人で練習するように。以上だ。」 

 

歩美 「えっ…。どうして?」 

 

翔平 「お前は…サイドハーフだ。サイドハーフに必要なパス精度やクロス精度を鍛えてもらう。1週間後に…何も変わっていなければ…お前はキャプテンから降板し…そして…チームを退団してもらう。」 

 

歩美 「お兄ちゃん!何を言ってるの!」 

 

翔平 「そのままの意味だ。実行出来ないのであれば…お前は今すぐここで退団してもらう。」

 

歩美 「ちょっと!お兄ちゃん!」 

 

翔平 「口答えをするな!お前がキャプテンである以上…2人を見守る責任があるのと…お前自身…技術的なところで成長しなければいけない。」 

 

歩美 「…!わかったよ…。真美ちゃん!由希奈ちゃん!やろう!」 

 

歩美と真美、由希奈はその場を去ってしまう。この様子を見たエレナと綾香は翔平に口論する。

 

エレナ 「あの3人に何をしたのですか?」

綾香 「少し言い過ぎよ!」 

 

翔平 「これは彼女達のためだ。」 

 

エレナ 「でも……。」 

 

 

絵梨華 「翔平。あなた…良い判断をしたわね。」 

 

綾香 「!!。そもそも…貴女が…!」 

 

絵梨華 「私は正しいことをしたし…正直な気持ちをあのキーパーの子に言っただけだわ。」 

 

綾香 「あなたね!」 

 

翔平は絵梨華と綾香が緊迫した状況を止めようと怒鳴る。

 

翔平 「お前らやめろ。練習に戻れ。」 

 

綾香 「くっ…!わかったわよ!」 

 

絵梨華 「すまないね。翔平。少し私も感情的になってしまったわ。」 

 

翔平 「オレは監督として義務と仕事を果たすだけだ。」 

 

絵梨華 「それでこそ…。私が惚れた男ね。」

 

再び練習が再開するのであった。

 

次回話に続く…。




キャラ紹介 

小林七実。18歳。身長158cm。体重47kg。
両きき。経営学部経営学部に進学。
相澤翔平のファンでありサッカー観戦が大好きな女子。好きなクラブはリバ○ール。
サッカー観戦が好きすぎて友人達とサッカーをしていくうちに、彼女自身上達する。
天才肌で1度学んだことを身につくほど。学力もトップクラス。楽天的な性格にマイペースである。


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11人目

あれから一週間後。

プ〇マと契約完了した歩美達はチーム名が決まる。

チーム名は『東京ドリームプ〇マレディース』

チームの由来はチームメイト達がそれぞれの夢を叶える想いが詰まっている。一番気に入っていたのは歩美であった。

 

歩美も翔平もお互いの夢を叶えることが出来ずに一時期諦めていたが、お互いの諦めきれない気持ちがまたサッカーをやるキッカケになった。歩美が主体で積極的にスカウトをし、翔平も出来る限りの努力をしていった。その執念と努力でチームメイトが集まり専属のスポンサーもつくことが出来た。しかし、まだ部員が足りないのが現状である。

そんなある日、歩美達はプ〇マが管理するグラウンドで練習をしてると、1人の女性がこちらの練習風景を覗いていた。チームメイト達も誰だという表情で見つめていた。

 

翔平 「さっきから俺達の練習を覗いている女性がいるが誰なんだろう?見た感じ…外人っぽいが…。」

 

エレナ 「きっと私達の練習に興味がある方なんでしょう!」

 

翔平  「そうかな!?気になるけど練習に集中しよう!」

 

 

チームメイト達が練習をしていると、由希菜と真美と歩美が来た。

 

 

歩美 「お兄ちゃん…。約束通りに真美ちゃんと由希菜ちゃんと修行してきたよ…。」

 

翔平 「ほう…。早速見せてもらおうではないか。」

 

歩美 「真美ちゃん!由希菜ちゃん!見せよう!私達が成長した姿を!」

 

真美 「やってみよう!」

 

由希菜 「私達が成長した姿を見せよう!」

 

翔平 「ほう…。見せてもらおうか!」

 

歩美がボールを持ちドリブルを仕掛け、クロスを上げると由希菜が反応しへディングシュートするが真美が防ぐ。翔平はこのプレーを見て感じたことは歩美のクロス精度が良くなったことや真美の守備範囲が広くなったところである。だが…翔平は再び要求する。

 

翔平 「もう1本だ!しかし、ディフェンスに綾香さんとエレナさん、冬華さんをついてもらう。」 

 

綾香  「私達が?」 

エレナ 「オフェンス組だけでなく…ディフェンス組もやれることを見せてあげましょう!」 

 

冬華 「私は…あれから少し…上手くなった…。」 

 

翔平 「3対2では不公平だから…夏海さんはオフェンス組についてもらおう!」 

 

夏海  「良いわよ!歩美!由希奈!私にボールを集めなさい!」 

由希奈 「夏海!貴女こそ私の足を引っ張らないで頂戴!」

夏海  「貴女は私のライバルだからね!」 

由希奈 「そうこないと!」 

 

 

歩美はドリブルで綾香とデュエルする! 

 

 

綾香 「歩美!貴女と1対1出来るなんて光栄ね!」 

歩美 「綾香!貴女もユース時代からずっとお互い成長していったよね!だけど…私は綾香より上手くなったことを証明するわ!」 

 

綾香 「やってみせなさい!」 

 

歩美はフェイントで綾香と距離を保ちながら…様子を疑う。

綾香も歩美が右と左のどちらを抜いていくのか疑いながら歩美の足元を見ながらディフェンスをする。歩美は綾香のディフェンスのクセをわかっていた。 

 

歩美 「今だ!」 

綾香 「何!?」 

 

歩美は綾香が油断した隙にシザーズで抜いたが…カバーに入っていたエレナがスライディングする! 

 

エレナ 「甘いわね!歩美さん!」 

 

すると…歩美はボールを奪取される。

翔平は綾香のエレナの連携プレーに関心を持つ。 

 

(ほう…あの2人はソサイチの時から思っていたが…ディフェンスの連携が悪くない。) 

 

綾香  「ナイス!エレナ!」 

エレナ 「綾香さんが右側を切ってくれたおかげでボールを奪取出来ました!」 

 

由希奈 「貴女達もやるじゃない!私達も負けられないよ!」 

夏海  「ちょっと!何…とられているのよ!」 

歩美  「ごめーん!でも!次は負けないわよ!」 

 

 

??  「素晴らしいデスね!」

 

 

チーム全員がその女性を見つめる。

 

 

「私はアリア・ホームズ・ジュリア。アリアで良いデスよ!」 

 

 

翔平 「アリアさんと言うんですね…。ちなみにハーフの方ですか?」

 

アリア 「ハーイ!私はイギリスと日本のハーフですよ!エリカの友達デスー!」 

 

翔平 「絵梨華の友達?」 

 

絵梨華 「翔平。私が彼女をスカウトしたのよ。1年間イギリス留学してた時に知り合った女の子よ。」 

 

翔平  「そうなんだ…。」 

 

アリア 「please ball!」

 

綾香はアリアにボールを渡す。 

 

アリア 「ユー達!カモン!」 

真美  「これは挑発なのか?」 

 

 

すると由希奈と夏海がアリアに向かう! 

 

 

由希奈 「貴女!私達を抜けられると思うの?」 

夏海  「止めるわよ!」 

 

アリアは苦笑いして2人を軽々と抜き去る! 

 

由希奈 「何!?」 

 

 

アリア 「2人がかりで来ても私を止めることは出来ませ〜ん!だって…私はマンチェスター出身で強豪チームのユース出身ですからね〜!」

 

 

翔平 「!!!?まさか……。」 

 

アリア 「私を止めるなんて10年早いわよ〜。」 

 

エレナ 「私とお手合わせお願いします。」 

 

アリア 「ユーは…。元ロシア代表の〜エレナ・ジョルワ!貴女も…モスクワの有名チームのユース出身みたいね!ならば…相手に不足はないですね〜!」 

 

エレナ 「貴女と私。大会で何回もあったことありますよね?貴女は…『ベッ○ムの女版』と評判されてましたから!」

 

アリア 「あの方は…イングランドのレジェンドですからね〜。そう呼ばれると嬉しいですねー。」 

 

エレナ 「さぁ!来なさい!」 

アリア 「貴女はロシアでは有名みたいね〜。だから…その実力を確かめてもらうわよ〜。」 

 

アリアとエレナの実力は互角でありボールをとられたらすぐ奪う!

お互い外国人の血が流れているため身体能力は日本人より勝る。

翔平は2人のプレーを見て感じた。 

 

(やはり…海外の選手達はフィジカルや身体能力、足元の技術が素晴らしい。) 

 

エレナ 「今だ!」 

アリア 「油断したわね!」

 

すると、アリアはゴールから20mも離れた場所からロングシュートを打つ! 

 

真美 「何!」 

 

アリアが放った無回転で何処にボールが落ちるのか予測が出来なかった!真美はボールの落下地点がゴール前に落ちると予測し、少し前に飛び出す! すると…冬華が走ってくる! 

 

冬華 「はぁー!!」 

 

冬華が渾身のシュートブロックをし…アリアが放ったシュートはゴールラインを割る。 

 

真美 「ナイスシュートブロック!冬華!」

冬華 「間に合って良かった…。」 

 

アリア 「amazing!貴女…凄いわね〜!」 

 

 

翔平は冬華がこの1週間は付きっきりで特訓に付き合っていた。冬華の才能を活かせるように翔平は彼女にハードなトレーニング内容を与える。その成果が出たことに翔平は冬華に握手した。 

 

翔平 「冬華さん。まだまだですが…あのプレーが出来るようになれたのは特訓した成果ですね!」 

 

 

絵梨華 「翔平。彼女を私達のチームに雇いたいと思わない?」

 

翔平  「ああ。さすがサッカーの本場で鍛えられた選手だと思う。1つ気になるのが…何処で知り合ったんだ?」 

 

絵梨華 「私が直接マンチェスターユ○イデ○トの会長と商談した時にたまたま彼女が練習場で練習してる姿を見たら彼女のプレーに惹かれたのよ。だから…いつか私達のチームでプレーしてみないかと誘ったら了承を得たのよ。彼女の父親が日本人だからね。」 

 

翔平  「なるほどな。お前…地味に凄いところに行ってるよな…。」

 

絵梨華 「だって…ビジネスですから。」 

 

翔平  「そういうところはブレないよな…。」 

 

 

その後。歩美達の練習を見守る翔平であった。

 

 

次回話に続く…。

 




キャラ紹介 

アリア・ホームズ・ジュリア 
22歳 身長181cm 体重65kg 両きき。
マンチェスター出身で母親がイギリス人で父親が日本人のハーフである。モデル兼サッカー選手としてイギリスで有名である。数々の世界大会を経験し『ベッ○ムの女版』として名を世界中に浸透している。


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サッカークラブ始動!

 

アリアが加入してから4日後。

翔平と絵梨華は絵梨華の父で社長である大輔と社長室で会議を始める。 

 

大輔 「いよいよスポーツマネジメント部が始動する時が来たようだな。契約書も集まったしチームの門出の日だな。」 

 

翔平 「はい。」 

 

大輔 「早速だが…翔平君。キミはしばらく彼女達が通っている学校に行ってスカウトしてほしい。」 

 

翔平 「スカウトですか?」 

 

大輔 「ああ。確かに11人は集まったかもしれないが…しかし…万が一のことがあって控えのメンバーもいないといけない。だからこそ…スカウトをしてほしいのだ。」 

 

翔平 「僕もそれは思っています。あと最低5人は欲しいです。しかし、僕は指導者としての立場がありますからスカウトばかりに専念してもいけない気がします。」

 

大輔 「確かにそうだな…。ならば…誰かついてもらうのはどうか?」 

 

翔平 「そうですね…。」 

 

絵梨華 「なら…私がいくわ。お父様。」

 

大輔 「絵梨華…。」 

 

絵梨華 「ええ。サッカー経験があるから行けるわよ。それに、翔平は彼女達を育成するのに忙しいようだから。」 

 

大輔 「わかった。なら…スカウトは絵梨華に任せよう。翔平君は選手達の育成に専念してほしい。」

 

翔平 「わかりました。」 

 

翔平は選手達の管理や育成を中心に、絵梨華は選手をスカウトしに行くのであった。翔平が社長室を出ると、近くにある自動販売機で缶コーヒーを買い休憩室で一休みする。 

 

翔平 「ふーう。少し休むか…。」 

 

突然、スマホが鳴る。

 

翔平 「もしもし。」 

鎌田 「おっ!久々だな!翔平!」 

翔平 「広大か。急にどうしたんだ?」 

 

鎌田 「お前…プ○マに転職したみたいだな!急にいなくなったから何ごとかと思ったよ。しかし…お前がいなくなってからオレの仕事量が増えたじゃねーかよー。この裏切り者が〜。」 

 

翔平 「あの時はすまなかったよ…。お世話になった上司の顔を見ずに退職してしまったからな。仕事が少し落ち着いたら顔を出しにいくよ。」 

 

鎌田 「全く〜。で…チームの方はどうなっているんだよ?」 

 

翔平 「ああ。順調だ。オレはスポーツマネジメント部の部長に任命されて忙しいよ。」

 

鎌田 「なに〜!!部長だと!大出世じゃねーかよ!すげーな!」 

 

翔平 「でも…まだ部署には2人しか配属していないんだ。それに…今日から正式に仕事が始まったからね。」 

 

鎌田 「そうなんだ。とにかく頑張れよ!あっ…そういえば…お前に頼まれたポスターが完成したぞ!」 

 

翔平 「ありがとう。あとで取りに行くよ。」

 

鎌田 「なぁ…翔平。ここだけの話だけど…聞いてくれるか?」

 

翔平 「なんだよ。」 

 

 

鎌田 「オレ。今の会社をやめてお前と一緒に仕事をしたいんだ。」 

 

 

翔平 「えっ。お前。何を言ってるんだ!お前がやめたら…先輩達の負担が多くなるぞ!それに自主退職だろ!リスクあるだろ!」 

 

鎌田 「ああ。わかってる。本来はスポーツビジネスをしたいんだ。それに約束したろ。お前がビジネスパートナーでオレと組もうって。」

 

翔平 「そうか…そうだよな。約束したもんな。わかった。オレから社長に相談してみるよ。」 

 

鎌田 「ありがとう!持つべきものは友達だよな!」

 

翔平 「ああ。」 

 

 

翔平は電話をきると残りのコーヒーを飲み干して仕事を再開するのである。

 

 

その頃。絵梨華は歩美達が通う大学に到着し、キャンパス内を歩くのであった。

 

絵梨華 「ここのキャンパスは広いわね。それに立派なグラウンドも沢山あるし…前まで練習していた中庭もある。スポーツに力を入れている学校だけあって良い環境だわ。」

 

善子 「あれっ…。なんで貴女がここにいるの?」

 

絵梨華 「あら。善子さん。あきコマですか?」 

 

善子 「ええ…そうよ。だから…これからリフティングをやるの…。」 

 

絵梨華 「そうですか。私はこれから仕事なので失礼します。」

 

絵梨華は再び歩み始めキャンパス内を周ると1人でシュート練習をしている女の子がいた。絵梨華は思わず近寄り話しかける。 

 

絵梨華 「良いシュートを打つわね。」 

 

「貴女?誰?」 

 

 

絵梨華は名刺を取り出して彼女に渡す。

 

 

「プ○マ?私に何か用があるのかしら?」 

 

絵梨華 「ええ。貴女は明らかにサッカー経験者みたいだけど…何年間やっていたのかしら?」 

 

「私は4歳からずっとよ。」 

 

絵梨華 「そうなの。貴女の名前を教えてくれるかしら?」 

 

「私は……。」 

 

 

翔平は再び社長と会う約束をとり…約束の時間に社長室に入る。 

 

大輔 「何か私に相談したいこととは?」 

 

翔平 「前の職場にいた同僚が僕と一緒にビジネスをしたいと言ってますが…よろしいでしょうか?」

 

大輔 「そうか…。だが…1回だけ翔平君の紹介者と会わないとわからないな。」 

 

翔平 「そうですよね。わかりました。彼に連絡してみます。」 

 

翔平は社長室を出るとすぐ鎌田に電話する。 

 

翔平 「社長に伝えた。明後日の10時に来てほしいようだ。」 

 

鎌田 「わかった。」 

 

電話をきると絵梨華から電話が来る。

 

絵梨華 「翔平。1人スカウトしたい子がいるけど…顔合わせしてくれないかしら。」 

 

翔平 「わかった!そっちに向かう。」 

 

絵梨華 「よろしくね。」 

 

 

翔平はすぐ絵梨華のもとに駆けつけるのである。 

 

 

次回話に続く…。



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