このバランスのいい山本に祝福を! (加治屋まるい)
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この素晴らしいバランスに祝福を!

初めまして皆さん、これが初投稿です。よろしくお願いいします。お手柔らかに見てもらえると嬉しいです。 
自業自得なのですが、実は一回書き上げたのですが、間違えで消してしまって今かなりショックを受けています。ですが、頑張って書き上げたので、暖かく見て上げてください。何卒よろしくお願いいたします。


「山本稔さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです」 

 

唐突に美少女といえるであろう目の前の女性にそんな事をこの真っ白い部屋で告げられた。何がなんなのか分からない山本は自分の中にある最後の記憶を思い出してみた...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山本稔、身長184センチ、体重104キログラムのシュート・レスリング(プロレスの様に打撃技のあるレスリング)の選手であり、長いモジャモジャの頭と整った顔、赤いバンダナを着けているのが特徴の選手で、バランスのいい山本と呼ばれ愛されているキャラである。 

 

この日も山本はいつものようにトレーニングをしていた。

 

しかし、あまり集中ができずに外に気分転換がてらにランニングに出ていた。

 

彼が走っていたのは都心に比較的近い緑多い公園だった。舗装されたアスファルトの道、道の周りには木や草などの植物が生い茂っていて葉っぱの間から差し込む太陽の光で心が癒される風景が広がっていた。

 

普段の山本ならこの様な光景をしっかり噛み締めながら走っていただろう。

 

しかし山本はそんなことができないほど考え事をしていた。あまりトレーニングを集中できなかったのも考え事をしていたからだ。その考え事とは...

 

(まさか、あそこまで手も足も出せずに負けてしまったとは)

 

そう彼、山本は地下闘技場の最大トーナメントに出場しだが、一回戦で天内悠に一撃も当てることなく負けてしまったのだ。

 

だが、山本が弱かった訳ではなかった。彼はシュート・レスリングの選手で地下闘技場の最大トーナメントに呼ばれるほどの実力者であり、あのバキや勇次郎からも名前を知られているほどの実力者であり、表舞台ではトップクラスの実力者であることは疑いがない。

 

さらに、山本は打って良し、蹴って良し、掴んで良しのバランスのとれたマルチファイターで、最大の武器は対応力の高さでありバランスのとれた選手である。

 

しかし、そんな彼でも一回戦で天内悠に一撃も当てることなく負けてしまったのだ。

 

だが、負けたのはしょうがないといえるであろう相手だったのだ。それほどの異質だったのだ、天内悠は。

 

急遽参戦が決まり、山本が表格闘家なのに対して天内は表の武道者ではない、圧倒的に天内が情報の面で有利であり、山本は不利だった。

 

何より天内悠の空中殺法も敗因の一つである。

 

競技、はたまた路上ファイトでも見かけることがない技で、いくら対応力に自信がある山本であっても、初見で空中殺法に対応することは酷であるだろう。

 

独歩の様にしっかり対策を立てなければ対応することは難しいのだ。

 

しかし、いくら御託を並べても負けてしまったことは事実だった。それが山本は許せなかったのだ。

 

(いくら初見の空中殺法とは言え、一撃も与えられないとは本当に恥ずかしいことだ。)

 

(しかし負けてしまったことは認めなければならない。完璧だと思っていた自分の技も何か変えなければいけないのかもしれない。何よりこんな調子では満足にトレーニングもできない。もう少し集中しなければならない。)

 

ふと彼が周りの景色に目をやると、すでに公園を抜けていて、交差点の横断歩道の前に立っていた。

 

いい感じに体を動かしてリラックスできていて、もうそろそろ切り上げ、トレーニングに戻ろうと思い。

 

「ふう、もうそろそろ戻るか」

 

と呟いた時だった。横断歩道に向かって猛スピードで車が近づいて来ていた。それに気付いた山本は、

 

「危ないな、念のためもう少し離れておくか。」 

 

そう思い、2、3歩後ろに下がり、横断歩道を見てみると、横断歩道の真ん中辺りにベビーカーを引いている女性が目に入った。 

 

「危ないな、でもさすがに止まるか」 

 

そう思いふと目線を車に戻すと車の運転手が老人で、気付いた様子がない。

 

このままいけば赤子と女性を轢いてしまうだろう。 

 

「何!?」 

 

気付くや否や、山本は駆け出していた。その姿勢はレスリングの体勢の低いタックルだった。

 

此処が横断歩道でなくリングで試合だったら見ている者全てが驚嘆の声を上げていたであろうほど見事なタックルだった。

 

そして、ベビーカーに着くや否や赤子をすくいあげ、女性のてに無理矢理持たせ、突き飛ばした。圧巻のスピードであった。

 

「キャーーーー!」

 

悲鳴がなり響く。

 

(すまんな、腰から着く様に突き飛ばしたが、怪我をするかもしれない。だが、轢かれるよりもましだろう。)

 

そう思いながら右腕を曲げ、頭の横に持ち上げガードの姿勢をした。さらに、左手を右腕の肘に着けて、両足を内股気味に曲げガードを完成させた。バランスのとれたいい姿勢だった。

 

そして車が、右腕にぶつかって来た。

 

「ドン!!」

 

鈍い音が響き渡る。だが、山本のガードによって右腕にダメージがある程度で致命傷ではなかった。

 

そう、山本は確証していたのだ!決して山本は無謀な行動はしないのだ。確証があり行動していた。だが、此処で山本を悲劇が襲った。

 

確かにダメージは多くなく防げたが、衝撃を完璧に殺しきった訳ではなく、約8メートル近く吹っ飛ばされたのだ。

 

交通事故で人間がそんな飛ぶわけないと思うかもしれないが、決してそんなことはない。実際にはもっと吹っ飛ぶケースもある。

 

しかし、山本もそのぐらいは想定していた。だから、地面に叩きつけられない様に受け身を取ろうとしていた。

 

しかし、飛んだ方向が悪かったのである。なんと山本は反対車線に吹っ飛んだのだ!そして、反対車線にはトラックが走っていた。

 

なんと、そのトラックに地面に着く前に激突してしまったのだ。

 

 

「グハッ!!」 

 

想定外の衝撃に思いがけないダメージを受けてしまったのだ。

 

しかし、さすがは格闘家山本、持ち前のタフネスで決して軽いダメージではないが、致命傷といえるダメージではなかった。

 

そして、山本はそのまま地面に倒れてた。しかし此処で、トラックの運転手は急激な衝撃に驚き、ハンドルを左に切ってしまった。

 

これが山本の命運を分けた。なんと、右のタイヤの進行方向が山本の頭と被ってしまったのだ。

 

そのまま、山本の頭がタイヤの下敷きになり、致命傷を負ってしまった。

 

さらに、追い討ちやトドメを刺す様に後続の車が何が起こったのか分かっておらず、そのまま山本を轢いてしまったのだ。

 

これが決定的となり山本の人生は幕を下ろしてしまった。

 

 

交差点には摩擦したゴムの匂いと鉄のような匂いが残った...。

 

 

 

 




初めまして主です。
今回が初めての投稿でしっかりできているか不安です。何より、一回間違えて本文を消してしまったのがショックでしょうがないです。そして、書くスピードが遅く焦って次を出せるか不安な者です。アドバイス、感想、挨拶など、コメントして頂ければとてもモチベーションが上がり、作る力になります。







話は変わりますが、実は今カズマを入れようか迷ってます。入れる、入れないの二通りのパターンをしっかり考えていますが、実は主は原作は完結してるのにも関わらず、13巻位の知識しかなく、カズマにしか出来ないことがこれからあるかわかりません。山本さんは万能なのでカズマがどうしても必要でなければいなくても問題ないのですがわかりません。できれば皆さんの意見をコメントに書いてくださると嬉しいです。(コメント稼ぎ)
次があったらお会いできたら嬉しいです。 
ではまた


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プロローグ

二回目の投稿です。
リアルが少し忙しい時期にあって、ペースが落ちましたが、書くことが出来ました。ですが、本当に話は進んでおりません。見ていただけるととても嬉しいです。ちなみにカズマ君はいることにしました。 

前回は山本さんの不運な死因を書いて終わりましたね。
本編始まります。



俺が一通り記憶を思い出していたら、

 

「...さん? ..稔さん? 山本稔さん?聞こえていますか?」

 

「ん?ああ聞こえてる、聞こえているよ。記憶を思い出していて集中してしまっていた。」

 

「そうですか。それならいいんですけど」

 

どうやら、記憶を思い出していることに集中し過ぎて、相手が聞こえてるか心配していたようだ。

 

(しかし、状況が理解できてきた。仮説を立てて見ると此処は彼女が言っている通り、死後の世界で俺は死んでしまったのだろう。さながら目の前の美少女は女神とか天使といったところだろう。もっとも此処が仮説通り、死後の世界であるならばの話だがな。しかし、死んでしまったのにやけにに冷静にいられるな。)

 

そう思っていると、目の前の美少女が話を始めた。

 

「訳あって、私は日本の若く死んだ魂を導く役目をしている女神の仕事を引き継いだ天使です。記憶を思い出したということは、此処が死後の世界だということは理解出来ましたか?」

 

「ん?少し気になるところがあったが、まあいい。一応理解はしたが、半信半疑でとりあえずは信じるしかないというところだ。」

 

「はい、わかりました。それでは話を続けさせてもらいます。あなたには2つの選択肢があります」

 

「1つは人間として生まれ変わり、新たな人生を歩むか。そしてもう1つは、天国的な所でお爺さんみたいな暮らしをするかです。」

 

(あまり気が進まないな、おそらく生まれ変わりは記憶がない状態で生まれ変わるだろうからそれは嫌だし、かといって天国では記憶はあるだろうけど闘争とは遠い環境になってしまうだろう。)

 

どちらにしても消化不良になってしまうだろうと残念に思っている俺を見て、天使は更に話を続けた。

 

「実は、前の2つはあまり気が進まないという若い人のために、もう1つの選択肢があるんです。」

 

話を要約すると、

 

此処ではない世界、すなわち異世界というところに魔王がいて、その魔王の軍によって侵攻によってその世界がピンチらしい。その世界は俗にいうファンタジーな世界らしく魔法やらモンスターがいる世界らしい。ファンタジーなどに疎い方の俺だが、なんとなくは理解出来た。

 

「実はその世界で死んだ人達は、魔王軍やモンスターなどに殺された訳でして、あんな死に方をしたくないといって、生まれ変わりを拒否するケースが増えていて、このままではあっちの世界が滅んでしまうので、それなら他の世界の死んでしまった人を送り込むという案が出され、採用されました。送ってすぐ死なれると意味がないので、若く死んだ人達に向こうの世界に好きなものを持っていける権利を与えて送っている訳です。いわゆる異世界転生というやつです。」

 

「なるほど、確かに悪くはない提案だな。」

 

(しかし気になるところもある。)

 

「ひとつ質問しても?」

 

「はい、どうぞ。」

 

「あっちの世界の言語とかはどうすればいいんだ?」

 

「そちらは心配ないです。私達神々のサポートによって、異世界に行く際にあなたの脳に負担を掛けて、一瞬で習得出来ます。勿論字も読めます。でも、副作用として運が悪いと脳がパーってなるかもしれませんが。」 

 

(ニコニコしながら話しているが、聞きずてならないことが聞こえた気がする、大丈夫だろうか。しかし、そのリスクを差し引いても転生は魅力的だ。)

 

「よし!その異世界に転生を選ぼう!」

 

「畏まりました。では最後に持っていくものを選んでください。」

 

そういいながら、カタログ的な物を天使が渡してきた。

 

一通り見てみると量が多かった。<怪力><超魔力><聖剣アロンダイト><魔剣ムラマサ>などなど色々な物がある。

 

(うーん、どれも凄そうだが、余り詳しくないから外れを引く可能性があるのが嫌だな。どうしようか、あれとかどうだろう聞いてみるか。)

 

「すまない、ここに書いてある物じゃなくていいのか?」

 

「物によりますね。例えば、どんなのがいいですか?」 

 

「そうだな、俺が今まで使っていたトレーニングルームとかはどうなんだ?」

 

「そうですね、例えば、持ち運び可能の設置型の異次元空間の入口などにして、その中をあなたが使っていたトレーニングルームを再現する位なら出来ますけど」

 

(つまり一番危惧していた、トレーニング不足での能力の低下が心配いらないのか?素晴らしい、これにしよう。)

 

「是非とも、それでお願いしたい。」

 

「え!! そんなんで、いいんですか?」

 

「ああ、十分すぎる。」 

 

「まあ、納得してるならそれで、いいんですけど。」

 

「それでは、この魔方陣の中央からでない様にしてください。ちなみにこれから送る場所は駆け出しの冒険者の街、アクセルです。最初に冒険者ギルドに行くことをオススメします。」

 

「分かった。」

 

決意を決め、これからの新たな生活に思いを馳せる。

 

「いってらっしゃいませ、山本稔さん。あなたをこれから、異世界へと送ります。魔王討伐とための一人として。魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう。」

 

「贈り物?」

 

そう聞いた俺に穏やかに微笑みながら、答えた。

 

「そう。世界を救った偉業に見合った贈り物。......たとえどんな願いでも。たったひとつだけ叶えて差し上げましょう」

 

「凄いなそれは、だが、しっかり倒せてから考えとくよ。」

 

その言葉に天使は微笑みながら厳かに告げた。 

 

「さあ、勇者よ! 願わくば、数多の勇者候補達の中から、あなたが魔王を打ち倒す事を祈っています。......さあ、旅立ちなさい!」 

 

そして、明るい光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ふーー、なんとか書けました。でも、全然進んでませんね笑、見て頂き、ありがとうございます。今、リアルが忙しいので、できれば次は土日のどっちかに載せたいと思います。僕の中では山本さんは20代位と思っています。因みに、ランニングしていた格好なのでジャージ姿を想像しています。絶対にカズマの時代と山本さんの時代は違いますが、そこは御愛敬ということでお願いします。全然進まなく終わらない気がします。頑張って、終わらせたいです。感想などくれるとペースがアップするかもしれません。(稼ぎ) では、次があったらお会いしましょう。
サヨナラ!!


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この素晴らしい職業に祝福を!

はいどうも、またまたお会い出来ましたね。皆さんのお陰で続きを書けました。お気に入り登録ありがとうございました。とても励みになり、モチベーションに繋がり、書き上げることが出来ました。誠にありがとうございます。さあ張り切って参ります。前回は山本さんが、あの世からこのすばの世界に送られて終わりましたね。
本編始まるよー


目の前を馬車が横切っていった。

 

「なるほど、此処が新しい世界か」 

 

今、自分が突っ立っているのは中世ヨーロッパのような街並みにある噴水がある広場だった。なるほど、確かにファンタジー的な世界だった。周りを見てみると、毛皮がある人間(獣人族)、耳が長く尖っている人間(エルフ族)などが普通に歩いていた。

 

「確か、最初は冒険者ギルドに行くんだったな」

 

天使に言われたことを思い出しながら、大通りを歩いてみると

 

(そういえば、場所を聞いてなかったな)

 

大事なことを思い出し、何か情報がないかと周りを見回してみるとふと、背中に違和感があった。

 

見てみると、まるで剣のように十字型の白い棒を背負っていた。上の方に穴があり、下の方は尖っている棒だった。(遊戯王の死者蘇生の下が尖っているみたいな感じ) 

 

(なるほど、これが、天使が言っていた設置型のトレーニングルームか、恐らく地面に刺して使うのか)

 

試そうと思ったが、冒険者になってからにしようと考えた。

 

(取り敢えずそこの女性に冒険者ギルドの場所を聞いてみるか)

 

そう思い、中年位の主婦ぽい人に声を掛ける。

 

「あのーすまない、出来れば、この街の冒険者ギルドの場所を教えて頂けると嬉しいのだが?」

 

「ギルド? あら、珍しいわね、この街の冒険者ギルドを知らないなんて、その珍しい服といい、もしかして他所からいらした方かしら?」

 

山本は自分の格好を思い出した。今の服は死んだ時の格好のままなのでジャージ姿であり、この世界では目立ってしまう服装だったのを懸念していた。

 

しくったな、取り敢えず話を合わせとくか

 

「ああ、そうなんだ。遠くから来て、ついさっき、来たばかりなんだ」 

 

「なるほど、それはご苦労様です。この街に来たという事は、冒険者を目指している方かしら。ようこそ、駆け出しの街、アクセルへ。この通りの突き当たりから右に曲がって進めば、看板が見えてくるわ」

 

「ご親切に感謝します。早速いって来ます」

 

「まあ、いいのよ、これからお世話になるかも知れないし、頑張ってね!じゃあ元気でね」

 

「はい、ありがとうございます。お元気で」

 

女性と別れたあとに教えて貰った道を歩いていると武器を持った多くの人が出入りする大きな建物が見えてきた。さっきの女性が言っていた通り看板が見え、冒険者ギルドだと確信でき、早速中に入ってみる。

 

 

------冒険者ギルド--------

 

 

中に入ると......。

 

「いらっしゃいませー。お仕事案内なら奥のカウンターへ、お食事なら空いてるお席へどうぞー!」

 

ウェイトレスのお姉さんが愛想よく、声を掛けてきた。

 

中を見回してみると、今は空いているのか、人が少なかった。

 

(えっと、冒険者登録をするんだったな。じゃあカウンターに行くべきか)

 

そう決心し、カウンターへ向かう。比較的空いていたからなのか、受付には人がほとんど並んでいなくて、取り敢えず自分から近くの受付にいた女性の人の所に行く。

 

「はい、今日はどうされましたか?」

 

受付の人はウェーブのかかった髪のおっとりとした感じの美人だった。

 

「冒険者になりたいんだが、何分、田舎から出てきた者で、右も左も分からなくて...」

 

「そうですか。えっと、では登録手数料が掛かりますが大丈夫ですか?」

 

手数料...?

 

そんなもの必要だと聞いていなかった。しまったと思い、何か無いかとポケットの中をまさぐってみると、紙が数枚入っていた。見てみると、人の絵と数字が書いてあった。使えるかと、出してみると。

 

「これは使えるかな?」

 

「はい、えっと、一万エリスですから登録手数料は千エリスなので9千エリスのお釣です。」

 

どうやら使えたようだ。恐らく、天使が入れといてくれたのだろう。お釣を受け取って安心していると。受付の人が説明をしてくれた。

 

「では。冒険者になりたいと仰るのですから、ある程度理解していますが、改めて簡単な説明を。......まず、冒険者とは街の外に生息するモンスター......。人に害を与えるモノの討伐を請け負う人の事です。とはいえ、基本は何でも屋みたいなものです。......冒険者とはそれらの仕事を生業にしている人達の総称。そして、冒険者には、各職業というものがございます」

 

そういうものに疎い俺だが、想像していたものと、大体合致していた。職業か、正直何があるのか想像もつかないな。

 

受付の人が俺の前にカードを差し出して来た。

 

なんだろうか、身分証みたいにも見える。

 

「こちらに、レベルという項目がありますね?ご存知の通り、この世のあらゆるモノは、魂を体の内に秘めています。どの様な存在も、生き物を食べたり、もしくは殺したり。他の何かの生命活動にとどめを刺す事で、その存在の魂の記憶の一部を吸収できます。通称、経験値、と呼ばれるものですね。それらは普通、目で見る事などはできません。しかし......」

 

受付の人がカードの一部を指差した。

 

「このカードを持っていると、冒険者が吸収した経験値が表示されます。それに応じて、レベルというものも同じく表示されます。これが冒険者の強さの目安になり、どれだけの討伐を行ったかもここに記録されます。経験値を貯めていくと、あらゆる生物はある日突然、急激に成長します。俗に、レベルアップだの壁を越えるだのと呼ばれていますが......。まあ要約すると、このレベルが上がると新スキルを覚えるためのポイントなど、様々な特典が与えられるので、是非頑張ってレベル上げをしてくださいね」

 

なるほど、説明を聞いてみると、確かにファンタジーな世界だ。

 

「まず、こちらの書類に身長、体重、年齢、身体的特徴の記入をお願いします」

 

身長184センチ、体重104キロ。黒髪に黒目......。

 

「はい、結構です。えっと、では、こちらのカードに触れてください。それで貴方のステータスが分かりますので、その数値に応じてなりたい職業を選んでくださいね。経験を積む事により、選んだ職業によって様々な専用スキルを習得できる様になりますので、その辺りも踏まえて職業を選んでください」

 

ふむ、自分のステータスが数値化されるのは中々興味深い。躊躇なくカードに触れた。

 

「......はい、ありがとうございます。ヤマモトミノルさん、ですね。ええと......。えっ!凄く高い数値です!筋力、生命力、敏捷性どの数値が大幅に平均値を越えています!知力、器用度、魔力値も平均をそこそこ上回っています!幸運だけは平均的ですが、全体的に身体的ステータスの数値が尋常じゃありません!凄いですね!」

 

俺のカードを見た受付の人が、大声を上げた。すると、施設内がざわついた。

 

どうやら、中々にステータスが良かったらしい。魔力などは置いといて、筋力や敏捷性など自信があったモノが良い数値だと中々に嬉しいものだ。

 

「ああ、それより、どの様な職業に着けるんだ?」

 

その問いかけに我を戻したのか、受付の人は声を少し落ち着かせながら、答えた。

 

「えっと、そうですね。このステータスですと魔力と知力はそこそこなので、流石にアークウィザードやアークプリーストなどの後方の上級職は無理ですが、それ以外ならどの職業に就くことができます!ステータス的に前衛の上級職をオススメしますよ」

 

「そうだな、俺は、武器術の心得があまり無いから、前衛で武器ではなく、素手が主な攻守共にバランスの取れたモノなどはあるのか?」

 

「えっと、それなら......、素手前衛は格闘家や武道家などがあって、上級職の素手前衛職は、グラップラーがあります。しかし、どの職業も素手が主ということで使う人は少ない職業ですけど」

 

受付の人の話を聞いた俺は迷わず、決めた。

 

「そのグラップラーで頼む」

 

「はい、グラップラーですね。グラップラーは上級職の前衛の中での攻撃力や防御力はやや劣りますが、その代わり、攻撃のレパートリーが多く、武器も持てますが、主に素手で戦うバランスのいい前衛の上級職です!では、グラップラー......っと。冒険者ギルドへようこそミノル様。スタッフ一同、今後の活躍を期待しています!」

 

受付の人はそう言って、にこやかな笑顔を浮かべた。

 

そうして、俺の冒険者生活が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、すみません。書くのに時間を掛けてしまいました。

今回はオリジナル要素として素手の前衛職をいれてみました。このすばの世界ではあるか、無いか明記されておりません。多分武器があるのに素手で前衛をするのが危険だから使う人がいなくて、明記されていないのでしょう。日本でも素手の武術は刀狩りによって発展していきましたし、そうゆうことも関連してると思います。グラップラーはグラップラー刃牙から取った訳で、寝技とか間接技を得意とする総合格闘家の事らしいです。

でも、このすばの世界では寝技とか間接技はほとんど知られていないと思います。理由はさっき言った通り、武器が主流で素手の武術は発展していないと思っているからです。そしてグラップラーは上の寝技とか間接技を得意とする方ではなく、ソードワールド2.0みたいなバランス重視型で行きたいと思います。そして、武器も使って行きます。楽しみにしといてください。

ここまで観ていただきありがとうございます。また次でお会いしましょう。
次は来週中に更新したいと思います。


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