NARUTO ~獣の道~ (打鉄)
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始まり

第三次忍界大戦終結、大戦へ戦争へと向けられていた意識が、だんだんと平和に向かいはじめ、いたるところに戦争の傷跡が残り、四代目火影の殉職を悼む声が時々聞こえてくる。

 

突然の四代目の死に里の上層部は大わらわで、慌ただしい足跡と焦ったような声怒号すら聞こえてくる時がある。その中でやっと引退だと思ったら、火影を任せられる人物が大戦の影響で減り、実力がある忍びも里の復興や、こんな時でも減らない任務の影響で出払っており、もう一度火影を決める議論などしている余裕がないおかげで、久しぶりと思うには早すぎた、火影の椅子に身を任せながら、

 

三代目火影猿飛ヒルゼンはため息をついた。

 

「まったく、老人をこき使ってこんな時期だからどうしようもないといってしまうとそこまでなんじゃが。」

 

と、たまりにたまっている書類の山を睨みつけ、もう一度溜息をはくように、煙管から煙をはきだし、仕事を再開した。小一時間ほど書類をかたずけていると

 

``コンコン``と扉をたたく音と同時に

 

「ワシじゃ猿飛先生」

 

と教え子の声で仕事を中断した。

 

「入ってよいぞ、自来也」

 

と声をかける、扉の奥から懐かしい顔が見えた。

 

「猿飛先生、話があると聞いてきたんじゃがのう」

 

「あぁ、極秘の任務じゃ」

 

と、教え子の自来也に向かってつげる。

 

「ワシは、大ガマ仙人様の予言の件で忙しいんじゃがのぉ」

 

と、当の本人は乗り気ではないが、お構いなしに話を進める。

 

「最近、また大蛇丸の奴が行動を再開しおった。」

 

これをつげると、自来也の目の色が変わる。

 

「それは本当のことでいいかいの?」

 

「当り前じゃ、このくらい大ごとでなければ、予言の子を探しておるお主には話はいかん。」

 

「しかし、ワシはその予言の子について一から探さなければならないからのぉ」

 

「自由に里の外を行動することができ、大蛇丸と同等以上の実力を持っとるやつなどワシはお主しか知らんぞ、自来也。それに、奴の手の内をよく知る者は少ない。ワシはこのとうり火影の仕事があり、この時期に里長であるワシは動けん。綱手も医療班として今、里を離れてもらうわけはいかん。」

 

「わかった。この件はワシがやる」

 

「よし、ではお主に極秘任務を言い渡す。予言の子の探索と並行し、大蛇丸の情報を集めよ、殉職することは、ワシが許さん。」

 

「じゃあ、早速行ってくるとしようかの。」

 

「任せたぞ、自来也」

 

 

 

こんなやりから数年がたった。里もほとんど復興し、町を歩く人々の顔は笑顔がよく見られるようになった。

 

(自来也は今どこにいるんかいのぉ)

 

とまたあの日のように、ヒルゼンは煙管の煙をはきだした。

 

 

 

「また、ここも違うか」

 

自来也は、「森の奥で変な音が聞こえる」という町の噂などを手掛かりにして、世界中を回り予言の子の探索と極秘任務である大蛇丸の情報を集めていた。今回はある筋からの情報で、「山の奥に集落跡ようなものがあった」という情報を手に入れ、そこに向かったが、確かに集落跡はがあった。少なくとも半年前には滅んでいるようだった。村の中央には、『偉大なる先達ここに眠る』と書かれた墓があった。

 

自来也は集落跡周辺を探索した。しばらく探索を続けていた自来也はあることに気が付いた。山の壁の一部の色が少しだけ違っていたのだ。普通の人なら気づかないような変化だったが、流石に『伝説の三忍』として謳われた自来也の目はごまかせなかった。

 

「なかなか固いのぉ」

 

と、壁を``コンコン``と叩きながら自来也はつぶやき

 

「螺旋丸!」

 

術を使い壁を崩した時、自来也に何者かが襲い掛かった。

 

 

 

歴史的に考えても、血継限界の一族ははるか昔から忌み嫌われてた。迫害を受けることがないほうがおかしいと言えるほど、酷い扱いをされてきた。そんな中、血継限界の一族の者達は、バレないよう己の血筋を隠して町の中に住むものもいれば、一族で固まって村を作り息をひそめて生きてくものなど様々だった。そんな中、鬱蒼とした山々の間に、小さな血継限界の一族が住む集落があった。

 

一族の名は、『獣道』、獣のように昔から山の中の集落で暮らす一族であり、『拳法 鳥獣戯画』と『万象眼』を操る一族である。

 

その子供は、顔と背中に獣に引っ掛けられたような痣がある子供だった。しかし、この小さな集落では、子供は大切な存在であったために大事に育てられた。

 

その子供の名は『獣道 カガヤ』輝くように明るかった夜に生まれた子供だからつけられた名前

 

物心つく頃から、生きていくために、戦い方を仕込まれた。その名は全29からなる拳法。『拳法 鳥獣戯画』これを操れる者は、この一族のみであり、血継限界だと言われ、恐れられる所以である。

 

カガヤは天才と呼ばれる子で、生まれた時から『万象眼』を開眼し、5歳の時点で全ての型を覚えるほどだった。集落の人々は大喜びし、お祭りの様だった。

 

そしてカガヤが6歳を迎える日の前日、何者達の手によって集落は滅んだ。

 

カガヤは、集落で会合をする時に使う、穴倉に押し込められ、ただ見てることしか出来なかった。人々の悲鳴や怒号。肉の焼ける嫌な臭いに何かが切られた音。人が倒れる音。小さな隙間から見える炎の赤い色。そして一度だけ見えた[♪]のマークだけだった。

 

炎の色が濃く出るたびに、カガヤの目は暗く淀んでいった。握りしめた手からは血が滲み、噛み締めた口からは歯軋りが鳴った。

 

カガヤが外に出れたのは、集落が滅んでから丸三日たった日だった。

 

全滅だった

 

自分だけが世界に取り残された様だった。それから子供は、あの日見た村の様にするため穴を掘り、焼けて誰かもわからない死体を穴埋め墓を作った。

 

『偉大なる先達ここに眠る』

 

そう記された墓の文字はまるでその子供を見守っているようだった。

 

カガヤは、穴倉を拠点として生活を始めた。川から魚を取り、山から木の実を取りまるで獣のような暮らしを一年ほどした。

 

あの日のように固く閉じられた穴倉の中で、寝ていたカガヤは、``コンコン``とした音に飛び上がった。また奴らが来たのかと、そう思ったカガヤは戦闘態勢に入った。息を殺し、気配を消し、万象眼を発動させた。

 

一撃によって崩された壁の向こうに見えた人影にカガヤは飛び掛かった。

 

「シッ!!」

 

と、鋭い呼吸とともに蹴りを出したが

 

「何じゃ!」

 

という、男の声とともに繰り出された、突きが見事にみぞおちに食い込みカガヤは吹き飛ばされた。壁に体が食い込み意識が一気に持っていかれる。せめて自分が誰と対峙したのかと、見ようとしたが、目に映ったのは、[油]と書かれた額あてだけで、カガヤは意識を落とした。

 

 

 

自来也は驚いた。おそらく襲撃を受けだろうとは、予測していたが、相手が5~6歳ほどの子供だったことと、子供とは思えない鋭い蹴りを出してきたことに

 

「こいつは伸びるなぁ」

 

と、思わず反撃してしまい意識を手放してしまった子供を見ながら自来也はつぶたいた。

 

「おーい!起きろー」

 

と顔を叩いてみたが、起きる様子がなく

 

「もしやワシ、殺っちまった?」

 

と焦ったが、辛うじて聞こえる呼吸の音に胸をなでおろした

 

「誰にも見られていないとしても、ガキを殺っちまうのはのぉ」

 

と誰もいないにも関わらず、周りを見渡す自来也だった。

 




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