個性が「穢土転生」な件 (ボリビア)
しおりを挟む

エクストラ
運命の出会いな件(ヴィランルート)


取り敢えず、皆が人の穢土転生体を活躍が見たいという事がわかった。

アンケートを見ると、公安ルートとヴィランルートが求められているので、前話から続く形でのそれぞれの序章を投下してアンケート取ります。
こっちはヴィランルート
欲望全開なので倫理観ZERO


 それは、突然だった。

 ある日、転校生がやってきた。三年生のこの時期に来るなんて訳有りなのかと考えていたが、彼女を一目見た瞬間に吹き飛んだ。

 

 「中松 (くらべ)と言います。よろしくお願いします。」

 

 美しかった。

 

 黒板の前に立つ彼女は、美の黄金比を体現したかの様なスタイルと顔立ちであった。長く綺麗な黒髪に、大きな黒い瞳、肌は健康的な白さであり、彼女は作り物のような美と大自然の美を両方内包した様な美しい存在であった。

 

 彼女を前にして全てが過去になった。

 

 彼女の美をクラスメイト達も感じたのだろう。自己紹介を終えて席に座った彼女の周りに男女関係なく群がり質問を投げ掛けていく。

 次々と飛んでくる質問に律儀に答えている、その姿ですら美しい。一挙一動全てが美しい。

 

 彼女は生きた芸術だ。

 

 欲しい。

 

 彼女が欲しい。

 

 懐からナイフを取り出し、彼女の元に一気に進み、躊躇なく頭に突き立て殺す。そして彼女の髪の毛を切り裂き一番近くにいた人間に押し付けて個性を発動した。

 生け贄となった人間が塵に包まれる姿を確認しながら、今度は捕縛向きの個性持ちのクラスメイト達を殺害し、穢土転生を発動させていく。喉を裂いて殺したクラスメイトの死体を隣の人間に押し付けて発動する。集団である事が条件だが、速やかに穢土転生を発動出来る。

 彼女を含めた四人を穢土転生体にした。

 まだ生きてる人間がようやく現実を理解し、声をあげて逃げようとする。まだ何人か保存したいので、彼女以外の穢土転生体に命じて個性を発動させる。彼女の席に群がって一塊になっていたお陰で全員を捕縛出来た。

 そして、使える個性持ちを殺し、要らない人間を使って穢土転生体を作り上げる。

 クラスは彼女を含めて25名と教師が一人いたので13体の

穢土転生体が出来上がった。

 彼女以外の穢土転生体を塵に戻し、彼女を観眺める。

 

「ああ、良かった、髪の毛も元に戻っているね。自我を縛ったからヒビまみれで美しく無くなるかもしれないと思ったけど、ヒビも含めて美しいなんて!!もしかして君の個性のお陰かな?」

 

 彼女はヒビまみれでも美しかった。生気が消えた分、寧ろ彼女の肉体本来の美を感じとる事が出来る。

 

「はい、私の個性は黄金比という個性で私の体や私の作品には黄金比が宿ります。」

 

 命令に従い彼女が答える。

 黄金比、なるほどだから彼女は美しいのか。黄金比を内包している彼女なら老婆になっても美しいだろう。

 まだ、自分は出来ないが原作ではマダラを若い姿で呼び出していたし、個性が成長したら、老婆の姿や大人の姿、あるいは幼女の姿や赤子の姿な彼女を観賞するのも良いかもしれない。

 このまま彼女を眺めるのも良いが、教室は血まみれで臭い。それに、悲鳴を上げた奴がいたし、そろそろ誰か見に来るかもしれない。

 一度彼女を仕舞い、さっき作った穢土転生体を呼び出す。

 

 「さて、これから学校中の人間を手に入れる訳だけど取り敢えずこの階から始めよう。」

 

 六人ずつに分けてクラスを襲撃させる。それぞれ一人ずつの片目の視界を共有して具体的な指示を念じる。

 やることは簡単だ。欲しい人間の殺害と生け贄の確保、余った人間も偶数分は半分を殺して、半分を生け贄として確保する。残りは少しもったいないけど要らないし、見られたくないので殺す。

 2画面同時攻略なのでミスを覚悟していたが、案外簡単であった。

 この中学は一学年三組なので、これで三年生はコンプリート。

 また穢土転生を行い合計で34体手に入れる事が出来た。

 次は二年生だ、三年生は最上階にクラスがあるため、また左右に17体分けて挟み込むように制圧していく。

 体格差もあり、結構早く制圧出来たと思う。そのまま、三年生達には一年を制圧させ、二年生の穢土転生体は職員室や用務員室を制圧させる。

 用務員は元ヒーローであるためかなり抵抗したが、自傷を厭わない個性の全力使用や特攻してくる異形系の個性持ちの前では無力に近かった。

 

 結局、お昼時間迄に全て終わった。もう少し抵抗があるかと思ったが、所詮公立の中学校ということだ。

 

 校庭に、学校で作った穢土転生体を並べてみた。

 使えそうな個性持ちや余った人間、使えそうな先生や元ヒーローの用務員を含めて合計161名の穢土転生体を作り上げる事が出来た。

 

 並んだ穢土転生体のひび割れた姿を改めて眺めるが、罪悪感はなかった。寧ろ達成感の方が大きい。

 最初に手に入れた彼女を見ながら思う。

 大義だなんだとバカな事を考えていた。あんなの童貞が理想のセックスを求めて、一生童貞で生きるような間抜けな考えだ。

 

 欲しいなら手に入れる、結局それだけなのだ。

 




と言うわけでヴィランになる場合、取り敢えずこんな感じです。
目標はクリミナルマインドに出てくるようなサイコパス

以下 ヴィラン プロフィール

ヴィラン名 コレクター

個性 穢土転生

趣味 彼女の観賞、有能な人間集め

嫌いなもの 欲望を否定するヒーロー

好きなもの 彼女

 基本的に1日中彼女を眺めて過ごしているが、収集欲が高まると街へ繰り出し、気に入った人間を穢土転生体にする。
 行方不明者達と同一の個性や技術によって、新たな行方不明者が増える事から、存在が疑われている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本編
転生した件


初投稿です。
序章的な感じです。
全体は後で調整します。

7/15
文章が短いと指摘を受けたので、1話と2話を繋げて加筆修正しました。


 自分がヒロアカの世界に転生した転生者である事を思い出したのは4才の誕生日の時だ。前世と言っても、前世の自分に関する事は殆どぼんやりとしていて、記憶というより知識を思い出したという感覚だ。

 

 現在の自分の名前は、千手 扉間という。名前を見てピンと来た人もいると思うが、NARUTOに出てくる卑劣様と呼ばれるキャラクターだ。見た目もあの姿を子供にした感じで、目は細く鋭い一重で髪は白いまんま卑劣様と言った感じである。

 余談であるが、一人息子なので兄者はいない。正直あっちの方が好きなので残念である。

 

 さてさて、ヒロアカの世界のお約束で名は体を表すというか名は個性を示す傾向にある。

 その考えで行くと、自分が目覚める個性は「千手扉間っぽい事が出来る個性」になる可能性が高い。いや、両親が無個性である事から無個性の可能性もある。

 前者であれば当たり個性であろう。火影クラスの忍っぽい事が出来るなら、将来は安泰である。ヒーローとして活躍出来る神個性だ。

 逆に無個性なら原作最初の主人公みたいに、人生ハードモードである。

 個性は遺伝するのであれば自分は無個性であるが、転生者でこの容姿で無個性とか詐欺だと思うし、突然変異で個性持ちになるであろうというメタ的な憶測もある。

 両親も突然変異による個性の発現、あるいは先祖帰りの個性の発現を少し期待してるらしい。

 

 個性社会となってから、無個性への潜在的な差別は存在する。優れた個性を持つ人間が使えない個性持ちを下に見て、使えない個性持ちは無個性を下に見るという、階層構造の様な差別意識は存在し、両親は苦労したらしい。

 逆に言えばどんな個性でもあるだけ無個性よりマシに生きられるのだ。

 

 さてさて、色々と語った所で、自分、千手扉間は現在病院にて個性検査の結果待ちで母と長椅子に座っている。

 個性は4才迄に発現するということだが、前世を思い出す前も後も個性を発現したという自覚はない。千手扉間なのだから何か印を結べば発動すると思い、影分身の印を結んだがウンともスンとも言わないし、壁を登ったりとかの忍者ぽい事も出来ない。

 条件付で発動する個性かも知れないので、そもそもの個性因子があるかを検査する為に病院で遺伝子を調べてもらう事になったのである。

 検査の為の採血は一週間前に行ったので今日は結果を聞くだけである。

 

「扉間、個性が無くても大丈夫よ。」

 

 黙って座っていたら、落ち込んでると思われたのか、母さんに頭を撫でながら慰められる。

 母さんも父さんも良い人で、毎日愛されている事を実感できる。

 転生者というメタ視点的には個性があると思うが、別に無くとも、今の両親がいれば大丈夫だと安心感が持てる。

 個性を使ってみたいという欲はあるが、ヒーローに成りたいという意思は薄い。

 少なくとも両親への孝行に個性は関係ないと思う。

 

「大丈夫だよ、母さん。あってもなくても頑張るから。」

 

 何を頑張るのかは分からない。けど、個性が無い事が頑張らない理由にはならない。

 母さんは笑って抱き締めてくれた。自分も抱き返しぬくもりを感じていると、診察室へと呼ばれた。

 

「先に結論から言うとね、千手さん、息子さんに個性因子はありますよ。」

 

 診察室に通されて、まず始めに医者は結果を伝えてきた。

 個性因子がある。

 つまり、この体には個性が確かに宿っていると言うことだ。母はその知らせを聞いた瞬間に、目に涙を浮かべて抱きついてきた。

 

「よかったねぇ…よかったねぇ…!」

 

 無個性ではない。この事実だけで自分達よりは生活がしやすくなる。それだけで母さんは嬉しそうだった。

 母さんが落ち着いてから、医者が詳しい説明を始める。

 

「扉間君の詳しい個性についてですが、恐らく条件を満たす事で発動するタイプでしょう。事前の身体検査で異形系の特徴もない、問診でも五感の変化はない、血液検査も個性由来の物質は確認されませんでした。個性活性剤の投与でも血液に、変化は起きませんでしたが個性因子の活発化が確認できたので、条件を満たした上で特定の物質に作用する個性かもしれません。」

 

 条件を満たす事で発動する個性、原作知識を例に考えると、ヴィラン連合のボスの死柄木弔の初期の個性『五指で触れた相手を壊す』の様な条件の事だろうか。

 あれは、本人が無意識的にセーブした状態だから厳密には違うが。

 

「扉間君の個性ですが、所謂、先祖帰りの可能性があるので直系の血縁者の個性方面から調べていく事をおすすめします。」

 

 検査結果を聞いた後、母は帰り道にお祝いとして、フルーツ盛りだくさんのケーキを買ってくれた。

 家に帰り、ケーキを食べていると、母さんは父への報告と、早速血縁者の個性を調べる為に祖父母に連絡を始めた。

 ケーキを味わいながら自分の個性について考える。

 条件付きの個性と聞いて、心当たりがある。

 始めに思ったのが自分の個性とは一つの忍術が個性になるのではないか、と言うことだ。

 恐らく忍術が個性に置き換わっていると仮定すると、印等は簡略されると予想を付けて、扉間様が使える忍術で条件付きの忍術を思い出す。

 一つは、飛雷神の術、これは発動にマーキングが必要で、扉間様が開発した忍術で本人も使いこなしていたので候補ではあるが、この術の一番の使い手といえば、四代目なので可能性は薄い。

 次に、四赤陽陣、これは四人揃わなければ出来ないので条件付きの個性になりそうである。この忍術が元であれば、地面に手を当てる事で結界を張る個性になりそうである。

 ぶっちゃけ、原作で似た個性というかまんまな個性が有るためメタ的に可能性は低い。

 

 2つの忍術についての考察は現実逃避である。

 条件付きの忍術で千手扉間を代表する忍術なんて一つしかない。卑劣様の由縁であり、恐らくNARUTO史上最も外道な忍術である術。

 

 穢土転生である。

 

 正直外れて欲しい予測である。この術は生きた人間を生け贄に死んだ人間を塵で出来た不死身の人間として蘇らす。しかもこの術は術者にとってデメリットは存在せず、必要なのは死者の遺伝子情報だけという倫理を無視すれば大変便利な術で、敵味方問わず批判された。

 この術が個性という事は没個性、いや、禁止個性だ。生者を生け贄に不死の死者を生み出す個性なんてバレたらどんな目に遭うか分からないし、ヒーロー向きとかそんなレベルではない。

 何より、AFOに奪われたら原作崩壊なんてレベルではなくヤバい。オールマイトに先代の穢土転生体をぶつけて遊ぶに決まっているし、一般人を穢土転生して人間爆弾とか平気で行って嘲笑う姿が目に浮かぶ。それにAFOはたくさんの個性因子、即ち遺伝子情報も持っているため、単純に兵力増大という意味でヤバい。

 

 自分の将来について遠い目をしていると、母が此方を向いているのに気づいた。恐らく、父方か母方の祖父母から、可能性のある個性を聞いたのだろう。

 そしてその個性が喜ばしいものでなかったのだろう。母の顔が少し強ばっている。

 どんな個性でもあれば良いと考えている母を強張らせるのだ。聞いた個性はろくでもない可能性が高い。

 自分の個性についての予想が外れている事を願って、血縁者の個性について聞いてみる。

 

「かあさん、個性について何か分かったの?」

 

 母さんは此方をじっと見つめて言いづらそうに告げた。

 

「…お父さんの曾祖母がね、『死者を憑依させる』個性を持っていたんだって。」

 

 個性、穢土転生で確定ぽい。




一話と二話まとめて加筆修正しました。
問題なければ、全部修正します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人生設計を考える件

誤字脱字が多すぎる…!
誤字脱字報告ありがとうございます!


 死者に関わる個性なのが、母を強ばらせた理由だ。

 これは後で調べた事だが、実際、父の曾祖母『イタコヒーロー ポゼッション』は、死者の個性や身体能力を自身に付与して戦うゴリゴリの武道派ヒーローで、好意的に見れば『亡きヒーローの力を受け継いでる』とされるが、曾祖母は死んだヴィランの個性も使用した事から『死者を利用している』との批判もあり、公安委員会に個性の使用に制限を設けられる事になったらしい。

 

 そして、肝心な個性の使用方法が『死者の生体情報を身に付けながら、両手で合掌する』という方法だ。

 生体情報を利用する辺り、ますます穢土転生説が信憑性を帯びてきた。ちなみに、ポゼッションは手首に死者の髪の毛を編み込んで作ったミサンガを複数持つ事で使い分けていたらしい。つまりひと束程度の髪の毛と同じくらいの遺伝子があれば発動するみたいだ。

 

 早速試してみたい所だが、死者の遺伝子情報なんて早々に手に入るはずがない。

 父も帰ってきて、両親が話し合った結果、個性に関する事はこの時点でストップする事になった。

 両親も個性があるという事実があれば個性社会で無個性よりマシなので深追いする事はないと判断したのだ。

 

 ちょっと豪華な夕食と父もお祝いとして買ってきたケーキを食べて布団に入る。

 布団の中で改めて、個性候補である穢土転生という術について考える。

 まず発動に必要なのは、転生してない死者の遺伝子情報と生け贄として似た体格の人間。

 発動すると塵が生け贄を覆い棺になり、中には蘇った死体が入っている。姿は死んだ直後の姿で衣服も含めて塵で再現されており、最大の特徴として白目の部分が黒く染まる。

 穢土転生体は塵で構成されて不死身であり、生前の技能を振るえて、チャクラが無限に供給される正に最強の兵士として原作では猛威を振るった。

 しかし、これは本来の使い道ではなく、扉間様は自我を縛り、情報を吐き出させた後に、人間爆弾として解放し敵の拠点を吹き飛ばすのを目的としていた。

 実際に兵士として使用する場合の欠点は幾つか存在する。

 一つが、死者が解除の印を知っている場合に死者側から解除が可能で、しかも死者は無限のチャクラと不死身の体のまま現世に残る。

 二つ目が、術者より死者の実力が高い場合に完全な制御下に置く事が出来ない。

 三つ目が、自我を残して操作する場合に死者の未練がなくなり成仏する可能性がある。

 四つ目は、強力な幻覚や催眠で術の支配を上回る事が出来る。

 一つ目の欠点に関しては無視して良いだろう。解除の印を知ってる死者なんてこの世界にはいない。

 二つ目に関しては実力についてが何を指すのか明らかになってないが、規格外の存在であるオールマイトやAFO以外なら大丈夫だろうが、身体能力は鍛えた方が良さそうだ。

 三つ目は口寄せした時に自我を奪い未練を聞いていれば対策はとれるだろう。

 一番の問題は四つ目だ、洗脳や催眠の個性に関しては一人登場するが、体育祭での周囲の反応を見るに珍しい個性という訳では無さそうだし、そういった個性について情報収集が必要そうだ。

 

 穢土転生が個性の場合の注意点について整理して、今出来る事と言えば身体能力を鍛えるのがベストな気がする。

 後は野良犬とか野性動物や虫を利用して穢土転生の使用方法を含めた確認は必要だろう。

 取り敢えず、進路選択もあるだろうから、中学三年まではこの方針で行こう。

 




感想やアドバイス、評価お待ちしています!!

穢土転生の欠点や特徴はあれで大丈夫だよね…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一寸の虫にも五分の魂は無かった件

中学生まで飛びます。


 基本方針を決めてから早十年、14才の中学二年生となった。

 十年間で原作の時間軸を調べたら主人公達と同年代であったが、小学校や中学校で原作キャラとあった事はない。

 義務教育を受けながら、習い事としてヒーローがやってる格闘道場に通いながら個性について色々と試していた。

 個性に関しては、虫やネズミ、爬虫類や犬猫鳥等の入手が比較的簡単な物から試した結果、穢土転生の発動に関して条件が有ることが分かった。

 まず、発動方法はシンプルで、手で持った遺伝子情報を生きた生物の皮膚に押し付ける事で発動する。

 必要な遺伝子情報量は手のひらに乗る程度で問題は無い。

 また、穢土転生体は原作と同じく不死身であり、自我を縛ったり、命令を打ち込んだり、五感の共有も可能で解除を念じれば塵に戻る。

 因みに、起爆札や命令札は埋め込まれて無かった。

 次に、ルール1として穢土転生体の素となる生け贄は同じ科目で無くてはならない。つまり、猫を穢土転生するにはどんな種類でも猫科で無くてはならない。

 ルール2は虫や植物は穢土転生出来ない。一寸の虫にも五分の魂は無かった。

 この二つのルールに反しない限り、どの動物だろうと穢土転生体にする事は可能である。

 穢土転生体の口寄せに関しては、召喚してない状態で念じれば、穢土転生体が召喚される。

 つまり、どこでも召喚、撤退が可能であると言うことだ。

 今は、穢土転生体として猫とカラスの数匹と穢土転生の契約を行い、表向きは『塵を動物のように操る個性』という事になっている。

 

 発動方法や条件、穢土転生体で出来る事などを確認した結果、現代社会での運用に関して問題点が浮き彫りになった。

 単純に死んだヒーローやヴィラン等の使える死体の確保がほぼ不可能である事だ。

 生け贄に関してはそこらじゅうにいるが、強い個性持ちや身体能力の高い人間の遺伝子情報の確保は日本が火葬という点を踏まえても難しい。

 仮に土葬の国に行き墓荒らしをしようにも、個性が遺伝子由来という事で墓場の監視は滅茶苦茶厳しいのが現状である。

 仮に上手くいったとしてもヒーロー活動中に穢土転生体の正体がバレた時に説明が出来ない。

 つまり、ヴィランやヒーローの穢土転生体の運用はヒーローになる場合、公的機関のサポートが必要であるということ。

 つまり、自分の個性を公開するリスクがある。

 個性を公開する場合、危険な個性として処分される可能性を減らす為に、ヒーローとしての実績と信頼を積む必要がある。

 つまり使えるようになるのは随分先になる。

 逆にヴィランとなる場合、ヒーローを動物に襲わせて殺害し、遺伝子情報を確保すれば簡単に穢土転生体として運用出来る。

 つまりは、ヴィランとして活動する方が個性を最大限利用出来るのだ。

 何故、ヒーローやヴィランに成った場合の話をしだしたか、というと単純に学校でもらった進路希望表のせいだ。

 学力は前世の記憶を持ちながら真面目に勉強したおかげで問題ないし、運動方面も格闘道場で習っている為、自信はある。

 表向きの個性もある程度応用が利く為、客観的に判断してヒーロー素質はある。

 だが、自分にはヒーローになる目的がない。

 個性を全力で使いたい欲はあるが、個性で何をしたいという先がないのだ。

 それに、この個性を人に使うなら何かしらの大義が必要だと思うのだ。

 開発者の千手扉間も里を守るという大義の為に穢土転生を作り上げ、使ったのだ。既に命を弄んでおいて何を言うかと思うが、一線を越えるなら越えるなりの理由が必要だと感じるのだ。

 

「はぁ…」

 

 進路希望の一件からため息が良く出るようになった。

 単純に個性を禁止して一般人として生きれば良い話だが、それは違うというか耐えきれない自分がいる。

 今も、猫やカラスであるが数匹、穢土転生の契約を結んでいる。

 やってる事は外道のそれという自覚はあるが、個性を押さえて生きられる自信はない。

 『個性に性格や趣味趣向が引っ張られる』という考えがある。

 確かに小学生の頃の夏休みの自由研究は毎年標本を作っていた。

 正直、穢土転生の使用に忌避感はない。

 クラスメイトの個性や身体能力から穢土転生体の候補として活用法を考えている自分がいる。

 その事に気づいた時に恐怖ではなく納得した辺り、既に手遅れなのだ。

 だからこそ人への穢土転生は一線を引く必要がある。

 個人の正義や幸せの為の使用ではなく、大勢を守るために使用しなくてはならない。

 原作を考えればAFOという、巨悪そのものや彼が育て上げた死柄木弔を中心にした敵連合というヒーロー社会の敵が存在する。

 彼らを倒すために穢土転生を使うのはどうだろうか?

 生け贄も穢土転生体も全てヴィランを使用すれば良い。

 彼らを滅ぼした後に穢土転生を解除し、余生を過ごす。 

 穢土転生を使い、社会を守れる合理的な理由だ。

 

 (だめだ、正しいが違う)

 

 穢土転生は他人を殺して死者を蘇らす外法であり、どのような大義が有ろうと外法に頼る時点で破綻している。

 己を犠牲にするならまだしも、穢土転生にはそれが一切ない。

 そもそも穢土転生は大義を守る為に生まれた術であって、術の為に大義を求める時点で破綻しているのだ。

 やはり、現代社会において、どう考えても穢土転生は人に使う理由はない。

 たが、個性を使用したい欲がある。有用な人間を保存したい欲がある。

 これを抑えて生きて行けるだろうか?

 何かを切っ掛けに爆発しないだろうか?

 保証がないなら自分は今の時点で命を絶つべきではないだろうか?

 

 

 結局、進路希望の紙は空白のまま提出した。

 公立の中学なので、空白で出した事には特に注意を受けなかったのは幸運だった。

 その後、何度か希望調査が行われ、同じように悩みながら白紙を提出し、三年生へとなった。

 

 三年生になる頃には、格闘術の方は教わってるヒーローから『お前に教える事は何もない!』と免許皆伝を伝えられ、今では教える側として通っている。

 そして三年生になったある日、進路希望を白紙で出したのはまずかったらしく、進路担当の教師に呼び出された。

 学校側が伝えてきた内容を要約すると、雄英を第一候補に、ヒーロー科を受けて欲しいらしい。

 我が校初の雄英生、あるいは我が校出身のヒーローという文句が欲しいのだろう。

 進路担当とのお話があったその日の帰り道ぼんやりと考える。

 

 (今、答えを出す必要はないのではないか。今の個性の使い方でヒーローになって、衝動が強くなったら改めて考えれば良いのではないだろうか。)

 

 逃げの思考だが、仕方ない。実際に強い衝動に駆られている訳ではないし、様子見という事で、個性免許を取るために雄英に行くのが一番な気がしてきた。

 早々に、人を穢土転生する決断なんて訪れるものではないはずだし。

 




後、遺伝子情報の確保ですが、曾祖母は手に入れてたやんというツッコミは、昔は緩かったというか日本で厳しくなったのは曾祖母の活躍への批判のせいと思ってください。

以下、現時点のプロフィール

名前 千手 扉間

個性 穢土転生(表向きは塵を動物の様に操る個性)

身長 165cm

体重 55kg

見た目 全体的に、千手扉間ぽいぞ!

扉間eye 鋭い!周りからはいつも不機嫌だと思われてるぞ!
 
扉間hair 白くてボサボサ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

スカウトな件

公安ルートの場合はこんな感じ、公安ルートは比較的平和でセリフ多め。

アンケートの結果、公安ルートメインで行きます。
ただ、ヴィランルートの要望もかなりあるので、エクストラとして本編が完結したら更新、思い付いたら更新していきます。


 ある日の格闘術の稽古からの帰り道に彼は現れた。

 

「君が、千手扉間君かな?どうも、ホークスって言います。単刀直入に言うと、君公安にこない?」

 

 やっほー、と声かけてくるこの男は、赤い翼を背に従える最速のヒーロー、ホークスだ。

 18歳から事務所を立ち上げ、その年の下半期チャートで10位に史上最年少でランクインした、速すぎる男ホークス。エンデヴァーに憧れ、幼少期に一人で事故から人々を守った為、ヒーロー公安委員会に保護されてヒーローになった男。

 その男が今スカウトとして目の前にいる。

 

「一つ質問があります。俺の個「君の個性は死んだ生物に同じ生物を使うことで塵の体を与える個性。はいこれ、資料。」

 

「っ!?」

 

 思わず、一歩後ずさる。いつから監視されていた?個性の正体は誰にも明かしていないし、テストも数回行っただけのはず!いったい何時から見られていた?いや、まさか…

 

「曾祖母ですか。」

 

「はい、正解。君に個性が発現したって届け出があってからずっと君の事監視してたらしいよ。」

 

 あっさりと、監視していた事実を資料をパラパラと見ながら認めやがった。

 

「何故、今このタイミングで貴方が?」

 

 中学三年生のこの時期に声をかけてきたのは疑問に思う。18歳を越えてからでも問題ないはずだ。

 

「君が将来について悩んでいるから。正直今のまま個性を偽ってヒーローしてもらうのも良いけど、偽装がバレた時の事を考えたりとか、個性を抑える事に限界きて暴走する前に、君に声をかけるべきだって上は判断した訳、ちなみに今動かせる人間で一番年近いのが俺って訳でこうして来た訳。」

 

「自分に何をさせたいんですか?」

 

「死んだヴィランからの情報収集。」

 

 ホークスの言い分から分かることを考える。曾祖母の血縁関係の人間に個性が出たということで監視がついて尚且つ、個性に関しては殆ど把握された上でのスカウト。

 役目としては死んだヴィランからの情報収集。この二つから推測だが曾祖母の個性は死人の意思も呼び出していた可能性がある。それがバレて表向きは引退し死人ヴィランからの情報収集に集中したのではないだろうか?

 そして今はその役割を担う人間がいない、だから自分を監視していた。スカウトの理由は分かった。

 そしてスカウトを断った場合の処刑人が恐らくホークスだ。自分の個性は生け贄が必要とはいえ死人に肉体を与える個性。野放しは危険だ。

 断って逃げるのは不可能。

 

「追加で質問良いですか?」

 

「全然良いよ。」

 

「まず、生きた人間の確保は?」

 

「死刑囚を使う。」

 

「此方のメリットは?」

 

「報酬と家族を含めた保護」

 

「保護の責任者は?」

 

「俺」

 

 実際に個性について悩んでいるのは事実だし、理解者を得れるという点と親を保護してもらえる点はメリットだ。

…それに、彼はヒーローが暇になる世界を実現するために、スパイを行い、殺しも行った。そのあり方は千手扉間様に似ている。

 彼の夢ならば、手を貸す価値がある。

 

「一つ、条件がある。」

 

「何かな?」

 

「自分の上司はホークス、貴方であることを公安委員会に認めさせる事。」




こっちだとホークスが上司で色々活動する感じになります。
目標は特に決めてませんが、探偵や刑事ぽくなるかも。

以下プロフィール

ヒーロー名 ホカゲ

個性 穢土転生

趣味は人間観察

主な活動は、表向きの個性である塵の動物による広範囲の監視やサポート
裏の活動は、ヴィランから情報収集及びスパイとしての活用

ホークスのあり方に扉間様を重ね、手を貸す事にした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

就職報告の件

アンケート結果で公安ルートに決まりました。

ヴィランルートはエクストラとして残しておきます。

オリジナル小説も書いたので見てやってください!
↓↓↓
『ギルドの以来で弟子とる事になったけど、死んでも責任とりません』






 あの後、ホークスは自分の名刺を渡して、直ぐに飛んでいった。

 

 次の日、ホークスから携帯に連絡が来た。内容は『ホークスが上司である事を認められた事』『両親を保護するに当たり、説明をするので後日公安委員会の人達と来ること。』という事であった。

 後日と言っていたので、二、三日かかると思っていたが次の日の夜にインターホンを鳴らしてきた。両親が揃っている事は把握済みなのだろう。流石公安と言うべきか。

 

 そして現在、リビングで両親と自分、公安委員会とホークスが向かいあっていた。

 父さんも母さんも動揺している。まあ、若手No.1ヒーローと公安委員会を名乗る人間が家に来たのだ、無理もない。

 二人が落ち着いた所で、公安委員会は曾々祖母が協力していたこと、両親を今まで監視していた事、自分をスカウト及び保護を行う事、それに伴い二人も保護する事を話した。

 二人は黙って聞いていた。母さんがこっちを見た。

 

「…ねぇ扉間、本当…なの?個性の事。」

 

「…………本当です。」

 

 母さんの反応が怖くて、下を向いて答えた。自分の産んだ子供が外道極まりない個性を持って生まれた事実がばれたのだ。それに隠していた。

 どんな反応をされても自分は受け入れなければならない。

 

「ごめんねぇ…!気付いてあげられなくてぇ…!辛かったよねぇ…!」

 

 母は泣きながら抱き締めてくれた。拒絶されると思っていたので、思わず顔を上げると、父も泣きながらこっちを見ている。

 病院で抱き締めてくれた時と変わらない、暖かいハグだった。

 気が付いたら、母さんを抱き締め返してワンワン泣いてしまった。

 抱擁はホークスの「そろそろ、良いですか?」の一言で終わった。涙を拭き、両親と一緒に向き直る。

 冷静になってみると、ホークスの目の前で泣いてしまったのが恥ずかしくなってきた。両親も少し顔が赤い。

 

 その後、話し合いは進み、両親の希望を交えて、ルールが決まり、両親は保護を受け入れる事になった。

 

 1.自分の個性カウンセリングを最低週一回、個性使用後も必ずカウンセリングを受ける事。

 

 2.個性の使用を拒絶出来る権利を認める事、また個性の使用時にはホークスが立ち会う事。

 

 3.個性に関して、外部に漏らさない事

 

 個性の使用に関するルールは大体こんな感じだ。他には身分や将来の保障、プライバシーに関するルール等が大まかに決まり、後日正式な文章としてサインする。

 ざっくり言うと、自分の意思優先である事、安全を保障する事だ。また、両親とは離れて暮らすという事にはならなかった。

 

 両親と自分の保護や保障に関する話し合いが終わったので、公安委員会とホークスは帰っていった。

 

 ホークス達が帰った後に、両親からは改めて抱き締められて、謝られた。自分も謝り、三人で泣いた。

 

 その日は三人で並んで眠りについた。

 

 

  

 

 




短いですが、こんな感じで序章終了です。

目指せ!日間ランキング掲載!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

はじめての穢土転生(人)な件

前回短かいと感じるので早めの次話投稿。

何でも良いので感想ください、筆が進むので。


 現在、自分達家族は福岡にいる。

 あの後直ぐに、保護に当たり(任務に当たる、担当する、相当する)責任者のホークスの拠点である福岡に引っ越したのだ。

 表向きの理由は父さんのヘッドハンティングという事になっている。

 心配な点として、ホークスは日本各地を飛び回るタイプのヒーローである事だ。(後日聞いた所、サイドキックには変質的なヴィランに狙われている家族ということにしてサイドキックと公安による二重警護が行われているらしい。)

 生活に関しては、父さんは公安委員会が用意した会社に就職して、普段と変わらない仕事をしてるし、母さんも前より広い家になったので喜んでいる。

 自分は中学生であり学校にいかなければならないが、引っ越し先の地元中学には書類上所属し、実際には行ってない。勉強に関しては教材を取り組むことになった。

 

 

 

 そして、個性を使う時が来た。

 福岡での暮らしを始めて一週間程でホークスから連絡が来た。

 ホークスの指示に従い、家から路地に進むと一台の車が止まっており、近付くと窓が開いてホークスが顔を見せて車に乗るように促されたので車に乗る。

 車はワゴン車でホークスは羽がデカイため、真ん中の席を占領する形で座っている。

 自分は一番後ろに座ると車が発進した。

 

「やぁ、福岡での暮らし、慣れた?」

 

「まだ、方言は慣れませんが、良いところだと思います。」

 

「本当?

 なら今度、美味しい焼き鳥の店連れていって上げるよ。」

 

 移動中、ホークスは仕事の話はせず地元の話をアレコレと話してくれた。お気に入りの店、観光名所、安いスーパー。

 正直言うと、これから何をするのかを聞きたい。

 だが、質問をしようとするとホークスが絶妙なタイミングで話し出して質問をさせてくれない。

 ホークスの話は車が何処かの建物の中に入るまで続いた。

 

 建物の駐車場に入ってからは、運転手を勤めたスーツの人の案内で奥まで進む。

 途中、カード認証、網膜認証、声紋認証等、複数のタイプのパスワード等の様々なセキュリティを通していった。

 

 案内の人は扉の前で止まった。

 目的地はこの扉の向こうだろう。

 ホークスがしゃがんで目を合わせてくる。さっきまでのヘラヘラした感じはない。

 

「扉間君、これから君にして貰いたい事は俺達には必要な事だけど君には必要の無い事だ。

 だから何時でも辞めて良い。

 辞めたとしても俺は死ぬまで君や家族を守るし、公安委員会にも守らせる、それだけは覚えといて欲しい。」

 

 ホークスは、辞めて良い、辞めても守ると自分の口でハッキリと告げてきた。

 目をそらさず真っ直ぐと見つめて。

 その目を見た時、自分は心配されているとハッキリと自覚した。

 ホークスにとって、本来、自分は守るべき人なのだ。

 未成年の学生で本来ならその翼で守るはずの人間なのだ。

 本当は俺を使う事に反対だし、出来れば辞めて欲しいとそう考えてくれている。

 

「ホークス、自分は自分の個性について悩んで苦しんでいた。

 日に日に強くなる欲求に耐えて、自分がこの個性を持っている意味を考えていた。

 けど、自分の中では見つけられなかった。

 だけどホークス、貴方にスカウトされて色々と考えたんだ、そしてこう思った、使う目的だけは正しくありたいと。

 だから貴方を上司にするように条件を付けた。

 貴方は自分にとっての正しさなんだ。

 だから、個性を使う時は貴方に任せる。

 そして任せる以上、俺は逃げない。」

 

 前世の記憶なんて言えない。

 でも、ホークスの願いは正しい物だって事は分かる。

 だから手を貸したい。

 そして、ホークスに個性の使用を委ねる以上、逃げることはしない。

 ホークスはじっと此方を暫く見つめて、

 

「分かった。俺は君の期待を裏切らないと誓おう。」

 

 そして、扉の先に向かう。

 扉の先は検死室のような場所だった。

 銀色の台の上に布を被せられた人間が寝ている。

 死体に見えたが、個性の発動にはそこまでの遺伝子情報は要らないので恐らく、生け贄となる死刑囚だろう。

 

「君には、ある未解決事件の被害者を蘇らせてもらう。自我を縛った状態で質問は俺がする。何か質問は?」

 

「質問は無いです。でも、生け贄になる死刑囚の名前だけ後で教えてください。」

 

「分かった。」

 

 ホークスから渡された、被害者の髪の毛を持って死刑囚の寝ている台に近付く。

 顔を布で覆われている為見えないのは救いだった。

 覚悟は既に決めた。

 手を合わせてから髪の毛を押し当てて個性を発動する。

 

 個性を発動した瞬間、何処からともなく塵が死刑囚を覆っていく。

 塵で覆われていく様を俺とホークスはじっと見つめている。

 やがて、死刑囚の寝ていた台には塵で出来た棺が出来上がった。

 

「開けますよ。」

 

 一言、ホークスに声をかけて穢土転生体を棺からだす。

 棺の扉が外れ、中から出てきたのは女性であった。

 ヒビだらけであるが、普通の女性の姿で服装も普段着のような格好である。

 すぐに、念じて自我を縛ると、全身のヒビがさらに大きくなった。

 ホークスは呼び出した穢土転生体を観察して、気になった事があるのか質問をしてきた。

 

「このひび割れや白目の黒い部分は、消せないのかい?」

 

「目は直すことは出来ませんが、ひび割れは制御下にあればあるほど大きくなるみたいで、やった事無いですが完全に制御を放棄すればひび割れは無くなると思います。

 試しに自我の縛りを解きますか?」

 

「いや、良い。それより扉間君は大丈夫かい?」

 

「今は何ともないです。」

 

 恐らく、スパイとして活動させる事が出来るかを考えていたのだろう。

 制御下にある時点でひび割れが服を含めて発生するので出来るとしたら声や指紋の利用くらいだろう。

 人へ個性の使用については猫やカラスに行った時と同じ感覚で、特に罪悪感や後悔のような気持ちはなく、寧ろ、人に使えた事に満足感のような解放感のような感覚の方が強い。

 流石に正直に伝えるのは不味いと思い、何ともないと答えたが、後であるカウンセリングでは正直に話そう。

 ホークスは俺の回答に対して、少し間を置いて「分かった。」と返した。

 その後、ホークスの質問に正直に答えるように穢土転生体に命令し、尋問を行った。

 事件の詳細を俺は知らされていないが、端々の情報を繋ぐと二年位前に起こった事件の様だ。

 暫く時間が経ち、欲しい情報が得られたらしくホークスから穢土転生体の解除を命じられた。

 解除の方法も念じるだけで、解放出来る。

 穢土転生体を解放すると、女性が塵に戻り中から死刑囚が出てきた。

 

 (この死刑囚は死んでいる。)

 眠ってるように見えるが、直感は死体だと伝えてくる。

 穢土転生体の生け贄になった人間は死ぬ。

 これが穢土転生の唯一の代償である。

 だが、その事に罪悪感を感じない辺り、俺は手遅れである事が実感できた。

 

 やるべき事が終わり、再びドアの向こうの案内人に案内されて駐車場まで戻る。

 移動している時にホークスが話してくれたが、彼女の証言で犯人が絞り込めたらしい。

 公式な証言にする事は出来ないが、公安委員会が証言を元に証拠品の確保を行い、犯人を捕まえる事が出来るだろうと話してくれた。

 俺としても、穢土転生をした意味がなければ困る。

 人への個性の使用に何も感じないと分かったが、無駄な犠牲は避けたい。

 

 俺はカウンセリングを受ける為、ホークスとは駐車場で別れた。

 最後に、今度焼き鳥をご馳走するといって飛んでいった。

 ホークスの性格からして直ぐに実現するだろう。

 

 カウンセリングは個性を使用した時の感情をリラックスした状態で話すというシンプルな物だった。

 カウンセラー曰く、自分の感情を吐き出してリラックスするのが個性カウンセリングで大事な事らしい。

 カウンセリングは個性社会になってから需要が急増した職業である。

 主に個性を使用出来ない一般人が利用する事が多い。

 個性に由来する欲望との向き合い方、自分の個性に関するコンプレックス、異形種である事に対する周りの反応等の個性由来のストレスは現代個性社会の社会問題の一つにもなっている。

 人を癒す類いの個性持ちがカウンセラーになる事が多い。

 俺を担当するカウンセラーも体からリラックス効果のある体臭を出す個性持ちで、確かに部屋に入った時から癒されるような感覚になった。




ホークスとのシーンが難しい。
後、方言難しい。

今回の話で、主人公の穢土転生バージンは卒業です。
これからはバンバン使うかは、わかりません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

高校進学はしない件

個性社会の苦労人話とか書きたくなってきた。
無個性の人とかトップヒーローの劣化個性で比較されて鬱なヒーローとか、残念個性で劣等感がヤバいとか。

時系列とか一切ふれてなかったけど、中学生3年の5月にスカウト&引っ越し、個性使用が6月といった感じです。
あとで、話数の統合とかで加筆するかも

予約投稿失敗したので一度けしました。


 初めての人への穢土転生から、一月経って今は7月。

 あの後も何度か個性の使用をお願いされた。死人の証言は役にたっているらしい。

 証言としては使えないが、本人しか持ち得ない情報を元に証拠確保や犯人の特定、犯罪組織の構成員や判明してない幹部の名前など、宝の山らしい。

 そのあとの流れとして、カウンセリングを受けて後日、ホークスが福岡観光につれていってくれる。

 個性を使用した時の流れはこんな感じだ。

 後、一応公安所属という事で盗聴対策や護身術の訓練等を此方の都合に合わせて行っている。

 公安の保護も完璧とは言えないらしく、一応の備えとしている。

 ちなみに、母さんや父さんは受けていない。両親はあくまで保護した一般人であるためだ。しかし個性の情報が漏れた場合に人質になる確率が高い為、警護は普通の保護より厳重である。

 

 ちなみに、俺は高校には行かない。

 俺は現在中学生三年生、本来なら高校受験を意識し勉強に火を入れている所だが、此方に来てからは書類上在籍している事にはなっているが中学校へいってない。

 母さんの考えというか一般的な考えだが、中学の次は高校に進むのが普通の考えだ。

 個人的には高校へは行きたくない。というか個性を使用している場面を多く見たくない。

 普通に生活する中で、すれ違ったりとか深く相手と接しない分には問題ないのだが、他人の個性や能力を知れば知るほど、こう、欲しくなってしまうのだ。

 個性由来の欲もあるが、単純に他人の個性を羨ましいと思っている面もある。考えてしまうのだ、普通の個性を持った自分を。

 その個性を自分ならどう活かすかを妄想して、自分の個性を思い出して惨めさを感じる。

 小学生の頃は無邪気に妄想して癖になって楽しんでいたが、中学生から現実を見るようになって苦痛に変わった。だから、雄英体育祭は見なくなったし、話題を避けるようになった。

 後から知った事だが、この頃の自分は個性鬱と呼ばれる精神状態で、ヴィランの何割かはこの傾向が強いらしい。

 今は学校に通ってないし、カウンセリングのお陰で大分マシになったけど、たまに朝のニュースとか見ると鬱ぽくなってしまう。

 こういった理由で高校というか集団に長くいるのは苦手なのだ。

 両親もこの事は知っているし、カウンセラーとホークスにも話している。

 個性由来の鬱は珍しくないらしく、公安委員会からは指定のカリキュラムを三年間取り組むことを条件に高卒認定を出してもらえる事になっている。

 もし、スカウトがなくて、高校に通う事になっても個性持ちの少ないヒーロー科がなくて、個性的な奴が集まりにくい学校に通う事になっていただろう。ただ、無個性しかいない学校なんてないし、個性的な奴が集まりにくい高校なんて警備は甘いだろうから、多分個性を使ってしまうと今の俺は思う。

 ヒーロー科のある学校や雄英なんていったら、雄英初の史上最悪ヴィランになってた気がする。

 

 中学卒業後、表向きは書類上の高校生となり、裏向きは公安委員会所属の身分が与えられて、正式なホークスの部下という事になる。

 そして、僕のヒーローアカデミアが本格的に始まってしまう。




主人公は個性を堂々と使えないのに他人は堂々と使ってるという事も含めて、学校とか精神的苦痛のフルコースになってます。
ヴィランルートだとここら辺の要因も相まって爆発してヴィランになります。
というわけで主人公は学校に通いません。
取り敢えずは公安委員会の秘密兵器として活躍の予定。
死人という死角からヴィラン連合やAFO、ヤクザ等を攻めていく予定。

今回は短いですが、取り敢えず次回から原作スタートです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作介入な件

原作突入だけどどうなるんかな。

こっから先更新遅くなる可能性が濃厚。
原作の話でいまの時期関われるのコレしかなくない?


 年があけて、春となった。

 原作が始まる年で、これから敵連合が台頭してくる。ヒーロー社会にとって試練となる一年が始まる。

 俺は三月から、ヒーロー公安委員会の人間として本格的に働く事になる。

 基本的には、ホークスが全国を周り個性で集めた情報から、未解決事件や表沙汰になっていない事件の情報について死者の証言がどうしても必要な場合に個性を使用してサポートする。他には公安委員会からの要請で、山で発見された遺体の身元を本人から聞いたり等を行う。

 他の国のスパイ、国内のテロ組織、AFOの信者が潜んでいる可能性を否定しきれない為、公安委員会全体には『死者と対話する個性』という事になっている。穢土転生の事を知っているのはホークスやその上司等のごく一部だ。

 後は、ホークスの公安の書類仕事の手伝い等、個性に関する事以外は事務員みたいな感じで活動している。

  

 

 最近のホークスの調査中の案件の中にステインの逮捕がある。

 ヴィラン名ステイン。17人のヒーローを殺害し、23人を再起不能に追い込んだ凶悪なヴィラン。

 犯罪の特徴としてヒーローを狙うこと、一つの町で複数のヒーローを襲撃し、一定期間の冷却をおいて次の犯行を繰り返す。

 戦闘スタイルは様々な刃物によるサイレントキリング。

 犯行の動機は『英雄回帰の為の贋作の排除』

 原作知識として知っているステインはこんな所だ。ヒーローとしても公安委員会としてもステインの犯行は見過ごせないという事でホークスが調査に当たっている。

 ステインの犯行動機や戦闘スタイルは再起不能になったヒーローへの取り調べで公安委員会も把握しているが、本名は不明で個性についても、『動きを止める個性』以外に、把握出来ていない。

 また、行動パターンも冷却期間がある事位で、全国何処にでも現れる神出鬼没である。

 ホークスの調査でも居場所が特定出来なかった。

 そのため、ステインの情報を得るために穢土転生を使う事になった。

 今回呼び出すのは、ステインを最も追い詰めたと考えられるヒーローで『毛髪ヒーロー怒髪天』髪の毛を操る個性で、髪を全身に纏って戦う武闘派ヒーローである。

 追い詰めたという根拠は、その町で最後に殺されたのが彼であり、またその後のステインの冷却期間が普段よりも長かったことだ。そのため彼が重傷を負わせたのではないかと考えられている。

 地下施設に向かいホークス立ち会いの元に穢土転生を発動する。ちなみに、今回使用する遺伝子情報は髪の毛だった。

 

 穢土転生で蘇った彼は、頭から伸びる髪の毛が全身を覆い姿を見る事が出来ない。

 早速自我を縛り、ホークスが質問をする。

 

「君は毛髪ヒーロー怒髪天であってるか?」

 

「ああ、あっている。」

 

「ステインの個性について知ってる事はあるか。」

 

「ステインの個性には個人差がある。」

 

「具体的には?」

 

「説明しにくいので、その時の状況を話す。

 ステインとはサイドキックと共に交戦した。交戦中に体が動かせなくなり、咄嗟に髪の毛で二人の全身を包んだ。

 奴は俺の髪の毛をどんどん切り裂き、後少しで俺たちに届く所まできていた。

 そのときだ、何故か俺の方が早く硬直が解けた。

 俺はその時、残った髪の毛を右腕に集中して殴り付けた。

 だが殴り付けた瞬間に奴はナイフを俺の首に刺しこみ俺は倒れこんだ。

 意識が朦朧とする中でサイドキックの方をみたが、硬直は解けてなかった。」

 

 証言を得られたので、穢土転生を解除し、ホークスと話し合う。

 

「硬直に個人差ね…、扉間君はどう思う。」

 

「戦闘中に個性が発動して個人差があるとなるとステインの個性は相手の何かをトリガーに発動する条件付き個性だと思います。」

 

 原作知識を明かせるように誘導してみる。

 上手く行けば飯田の兄を救えるかもしれない。

 

「戦闘中に得られる個人差のあるモノ…。

 …血か!」

 

 流石ホークスだ、すぐに気付いた。

 

「資料だと血液型の情報だけですが、怒髪天はO型でサイドキックはB型、複数の現場の血痕からステインはB型だと判明しています。」

 

 驚いた呈で補足として、前もって目を通した情報をホークスに伝える。これで血液型に依存する説はかなり強まったはずだ。

 その後、ホークスの報告により、ステインによって再起不能になった元ヒーローに、戦闘中のステインの動きについて警察が深く事情聴取を行い、『ナイフや傷を舐めとる』という裏付けからステインの個性は明らかになった。

 裏付けが取れた結果、ステインの個性に関する情報は警察を通して全国のヒーローに周知された。

 これで、インゲニウムもある程度まともに戦う事が出来るだろう。

 長く戦えば、彼の性格を考えるとステインから英雄認定を受けて助かるかもしれない。

 恐らくこれが俺に出来るステインに関する最善策だろう、保志市に現れるなんていっても信用されないだろうし。

 一応、原作介入をした事になったが、暫くは行えない可能性が高い、というか介入するポイントが無い。

 

 原作の序盤は学校内の出来事中心だし、ホークスの登場はかなり後という事もある。

 公安委員会の立場からの介入ポイントを強いて上げるなら、雄英襲撃事件の後だろうか?

 敵連合の初登場で死柄木君がまだクソガキみたいな性格の時だ。

 確か襲撃の結果、無数のチンピラと脳無が一体捕獲されるはず、脳無が複数のDNAを持つ事から警察から依頼が来る可能性がある。

 

 そして、この事件をきっかけに公安委員会も動きだすはずだ。

 後は、体育祭の後のインターンで雄英生をホークスが一人受け入れるはず。だが、これに俺は関係ない。

 ホークスのヒーロー活動には参加した事ないし。

 積極的に原作介入するつもりは無いが、今回程度であれば問題ないだろう。

 後は単純に忙しい。

 ホークスは全国を飛び回り、ヒーローとして各地での事件解決を行い、公安としては敵組織の情報収集を行ったりしている。

 なので、報告書は膨大になり程度の低い書類を処理している俺でもかなりの量を扱う。

 それに踏まえて、勉強課題、公安での訓練なども行う為、暇が少ない。

 暇があっても、保護の関係上遠出は不可能だし外出の際は見えない護衛が付く。

 なので、原作での事件について協力を求められたら応じる位しか接点がない。

 

 それにしても、個性社会は治安が悪い。

 オールマイトがいるお陰で発生率は少ないが、犯罪者の質がおかしい。

 大量殺人を行うサイコパス凶悪犯が多すぎる。単純に犯罪数が減ったから浮き彫りになっている可能性もあるが、海外ドラマの舞台かと思うほど頻発している。

 後は組織犯罪も多い、詐欺、麻薬、人身売買等の組織ぐるみの犯罪もある。

 個性持ちが複数関わるので方法が複雑で分かりにくいし、癖が強い。

 上記の事件に関しては何度か個性を使用して協力をした。

 個人的に一番気になる点は、行方不明者が多いことだ。

 これに関してはその傾向がある年以降にハッキリと増えている。

 そう、オールマイトとAFOが戦った年だ。

 確か、オールマイトによってAFOは顔を失い、体に機械を着けなきゃ生きていけないレベルの重傷を負ったはず。

 傷の治癒の為に超再生の個性を手に入れたが、治らなかったはずだ。

 行方不明者の個性を調べると、大半がチンピラや犯罪者だが、年単位で見るとわずかだが、増加傾向のある年からの合計で見ると1 割が再生に関わる個性持ちで一般人が多い。

 ホークスに相談した所、公安委員会でも行方不明者の増加は把握しており原因を調査しているが、殆どがチンピラや犯罪者で進展がないらしい。

 なので、再生個性持ちが行方不明者の一割である事を伝えると、個性で分類した事はなかったらしく詳しく分析する事になった。

 死体の一つでもあれば協力出来るが、個性を抜き取った後の体は恐らく脳無の実験に使われているのだろう。

 AFOに関して現時点で介入出来るのはここまでだろう。

 後は、雄英襲撃事件が終わってからだ。




色々とガバガバだけど、勘弁して下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

事後処理な件

そういえば、介入しづらいけど敵連合イベントで合宿前にデクと会うイベントありましたね。


 前回のステイン個性解明の件から最近ホークスに意見を求められる事が増えてきた。

 未成年なのでそこまでの期待はされてないが、事件で引っ掛かる事があるとモノは試しと聞いてくる。

 原作で出てこない事件は原作知識を生かせないが、サイコパス的な犯人が多いからか、前世で読んだり、見たことのあるミステリー作品の知識が役に立った事がある。

 そういえば、前にホークスに伝えた行方不明者の個性による偏りについてだが、あの後公安委員会の専門家が改めて分析した結果、再生持ちと同時期にシンプルで使いやすい個性が統計的に無視出来ないレベルで偏りがある事が判明したらしく、公安委員会全体が慌ただしい。

 この反応からみて、どうやら公安委員会の中でAFOが死んでいない可能性が強まっているようだ。

 この介入がよい方向に向けば良いが。

 

 

 4月9日にマスコミによる不法侵入騒ぎが雄英であった。俺は昼のニュースで見たが、公安委員会にも報告が来たみたいだ。

 それから数日後、襲撃事件が発生した。

 襲撃事態は原作通りに解決したが、襲撃発生から連日連夜マスコミが雄英の管理体制について報道している、中にはオールマイト赴任直後と相まって赴任そのものを問題視しているマスコミもいる。

 オールマイトが雄英で教師を出来るのは、オールマイトが怪我をしていると世間が知らないからだ。

 彼なら何処へいようと日本中に直ぐに飛んでいけるから、世間は容認している。

 もし、オールマイトが衰えていると知られれば容認はされないだろう。

 まあ、オールマイトの話はどうでもいい。

 問題は脳無だ。

 現在、いつもの地下施設で脳無から見つかった複数の遺伝子から穢土転生を試みる為に公安の施設で遺伝子の培養と分別を行っている。

 それぞれの遺伝子を必要量確保するのに時間がかかるらしく、一月後にはある程度確保出来るらしい。

 チンピラに関しては黒霧と呼ばれる奴に雇われたり、雄英を襲撃出来ると聞いて応じたり様々だ。

 なので、暫くはいつも通りホークスの報告書の整理が主な仕事になる。

 一応、ホークスに今回の事件の目的について質問された。

 

「扉間君は今回の犯人どう思う?主犯の内一人は子供じみた性格でもう一人は保護者みたいだったって事だけど。」

 

「実際に見た訳じゃないので断言は出来ませんが、彼らは実行犯であって計画を用意したのは別にいると思います。彼らが用意したチンピラを従える器量が、二人にあるようには思えません。」

 

「俺も概ね同じ考え。目的は何だと思う?」

 

「目的は…威力偵察と実習ですかね。証言では何度か先生という単語を犯人は呼んでいましたし、崩壊持ちは典型的な子供大人で、生徒だとするとオールマイトの実力を見て学ぶ、あるいは憎悪を強めるとかですかね。実際にオールマイトに罵声を浴びせてます。

 子供は良くも悪くも純粋です。そこに悪意を植え付けられれば相当凶悪な敵になるでしょう。」

 

「…実習ね、ありがとう参考にする。」

 

 一応、ホークスには黒幕が育成している可能性を伝えた。成長する可能性は危険度が上がると考えれば公安委員会も対応を強める可能性がある。

 そして、ホークスに意見した時に気付いた事がある、育成についてだ。

 果たして、死柄木が最初の教え子だったのか。

 普通、大事な実験は何回かテストを行ってから本実験を行う。

 次のAFOを育てる実験をぶっつけ本番でするだろうか?

 もしかしたら、過去に実験をしている可能性がある?

 早速、データベースで過去の事件を調べる。

 期間はオールマイトと戦った年以降、比較的若い敵でヒーロー等に憎悪を向けた事件。

 調べると複数の事件が見つかった。

 どれも犯人は未成年で家族関係が劣悪で孤児となり、児童養護施設に入所している。

 その後施設を出た後、犯行を犯している。

 別々の施設だが、どの施設もAFOの協力者である殻木球大の援助で運営されている。

 しかも、個性登録と明らかに異なる個性になっている犯人も中にはいる。

 彼らがテストの為に使った人間だろう。

 一つ一つの事件を調べると、幸いな事に一件だけ被疑者が死亡している事が分かった。

 




実験の前段階として絶対テストしてると思うんですよね。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真っ黒な件

カレーの味しかしないカレー嫌い。
伝わる?このフィーリング?


 あれから、資料をまとめ死柄木以前にテスト実験の可能性と、その可能性が高い事件、全員がある医師の支援の下に運営された施設出身である事をホークスに伝えた。

 犯人の一人が死んでいる事にはあえて触れなかった。

 向こうが必要だから提案してくるのと、一応公安の人間だが俺が進んで使用を提案するのは意味合いが少し変わる。

 個性に呑まれていると思われる可能性は避けたい。

 ホークスは俺の調べた内容を上層部に進言し、調査をする事を約束してくれた。

 

 ホークスへの提案後に更に俺は殻木球大の援助している施設に関して、気になる点を探していた。

 個性社会では、個人情報はかなり厳密に保護されている為、児童養護施設に入所した孤児の個性登録位しか閲覧は出来ない。

 かなりの数の施設を援助していた為、10年前まで遡って孤児の記録は数百人に昇る。

 (さて、どうやって見るか。)

 始めに、施設に入る前に個性登録がされている子供を調べる。

 AFOは優秀な個性を集める趣味がある。

 登録される前の孤児なら、奪った後に登録すれば無個性として登録出来るが、既に個性登録済みの子供なら入所時点の記録と出所後の記録を比較すれば、個性を奪われたか判明するかもしれない。

 

 

 あれから、数日かけて調べたが成果がでない。

 優秀な個性、珍しい個性を中心に調べたが、全員里親が見つかったり、16になって出所した子供もその後に高校へと進学している。

 比較的微妙な個性持ちや無個性の子供も調べたが全員が同じだ。

 ならば、犯人達の入所した施設なら情報があるかと調べたが、此方も空振り。

 (流石に登録済みの個性は奪えなかった?)

 (此処まで成果がないということは、テスト説も間違っている?)

 

 何かが引っ掛かる。

 

 

 引っ掛かりが解消できたのは、殻木の支援を受けてない施設の子供達を調べていた時だった。

 (何人かは出所後に敵になっているが、凶悪と呼べるものは少ない、せいぜい強盗くらいだ。後は、何人か住所不定になっているが、優秀な個性持ちではない…いや、そうか!行方不明!)

 殻木の支援する施設の記録と比較する。

 思った通り殻木の施設は綺麗すぎる、行方不明者はおらず、出所後の犯罪歴もない。

 

 

 ホークスに報告し、何人かの現在の所在をホークス自身に調べてもらった。

 結果は黒。

 調べてもらった結果、引き取られた子供は里親すら存在せず、高校生に進学した子供や就職した子供は、在籍の記録が確認できなかった。

 更なる調査の結果、施設側の職員は長期間の洗脳状態にある事が分かり、恐らく施設に入所した時点から一部の子供達は行方不明になっていた事が分かった。

 公安委員会もこの事実は無視出来ず、警察を動かし一斉に施設を検挙した。

 

 警察は殻木はあくまで出資者の一人であるため、今回の事件を結びつけるのは難しく任意の事情聴取しか出来なかった。

 また、この事件とテスト実験説の報告を踏まえて、殺害された少年達に穢土転生の使用を行う命令が下った。

 

 幸い、遺伝子情報は凶悪事件の為、検死の時に保存してあった。

 恐らく、曾祖母の経験から俺の様な個性持ちが見つかった時の為に保存しておいたのだろう。

 いつもの地下施設に赴き、ホークス立ち会いの下に行う。

 

「君の名前と個性は?」

 

「…毒島 腕甲、個性は毒手。」

 

「よし、情報通りだ。君は何処で教育を受けた?」

 

「真っ白な部屋、先生に教わった。」

 

「先生とは?何をしてくれた?」

 

「先生は先生、僕を助けてくれた。僕に気付かせてくれた。僕が一人なのに助けてくれないヒーローはいらないってこと。先生は教えてくれた、個性の使い方を戦いかたを。」

 

 ホークスが質問していく、どのような教育を受けたか、先生の下にはどの位いたのかを、そして肝心な事を聞いた。

 

「先生とはAFOの事か?」

 

「そう。先生はAFOって呼ばれてるって先生言ってた。」




1500文字を目処に書いてます。

時系列は4月の終わりか5月の始め頃です。
体育祭とか主人公の精神衛生上見ちゃダメなので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

成果を上げすぎた件

最近、ヒロアカ目当てでパズドラ始めました。
エンデヴァー二体引けたので良し!
世間様じゃオールマイトじゃない方とか言われてるけれど、関係ねぇ!

あ、初手スキル遅延してくるダンジョンはノーセンキューです。


 今回の穢土転生でAFOの生存と敵連合の黒幕が分かった。

 公安委員会も本格的に動きだし、殻木が院長を勤める病院にスパイを送る事を決定、また自身の後身を育てていると仮定し、支える側近を用意する可能性が高いと判断し、裏世界のブローカーや闇のコスチューム職人と呼ばれる人間の監視の強化も決定した。

 これなら、他の敵が合流した時に把握が出来るし、ブローカーの金の流れや動きを見て先手を取れる可能性もある。

 また、AFOの育成方針も判明した。

 AFOの育成方針は保護とゲーム、精神を自分に依存させ、ゲームを与える事で元々少ない倫理や道徳を削り、そこに敵を倒す時、ミッションをクリア時の快感を仕込みより過激な思考と子供染みた精神を維持させ、少しずつ経験を積ませる。

 今回の穢土転生した犯人は事件発生の時期的に恐らく最後のテストとして教育を施したと考えられる。

 なので、この教育を死柄木にも実践したと考えてよいだろう。

 現在、公安委員会では教育の次の段階について分析し敵連合の次の動きを予想しようと試みている。

 因みに分析については意見を聞かれなかった。

 ホークスが聞いて来ないので、質問したら『目立ちすぎ』と言うことらしい。

 どうやら、役割以上の成果を上げてしまったらしく、公安の他の部署に嫌われたらしい。建前としてはAFOのスパイに見つかる可能性があるという事で関わらせないらしい。

 一応、ホークスからの意見ということになっていた筈だが、ホークスが助言を貰ったと上司に言ってたらしい。

 理由を聞くと、穢土転生以外の俺の価値を示す必要があったとか。

 何でも、上層部の中に薬漬けにし、個性を使う人形の様に厳密に管理すべきという主張があり、その意見が主流になる前に穢土転生以外の価値を示す必要があったという事だ。

 …俺が言うのも何だが、まあその主張は正論というか間違ってはない。

 

 そういう事なら、今回のハブは穢土転生以外の価値を示した結果と捉えよう。

 公安委員会も人の集団、嫉妬する人も出てくるだろう。

 あるいは、信奉者の妨害か。

 取り敢えず、殻木の監視とブローカー達への監視も強まったしこれ以上目立てばAFOに興味を持たれる可能性もある。

 正直助言を求められても、死柄木の自立の為にオールマイトを引退させた上に自分も逮捕されるなんて信じて貰える根拠が薄いし。

 

 

 そういえば、ようやく脳無の遺伝子情報の分別と培養が終わった様だ。

 だが、此方はたいした成果は得られなかった。

 基本的に、一人でいる所を突然黒い霧に覆われて気付いたら死んでいたらしい。

 そういえば、脳無そのものを穢土転生出来るのだろうか。

 魂があれば穢土転生は可能だが、果たしてどうなるのか?

 今回出現した脳無は生け捕りだが、死んだ脳無がいれば試したい。

 

 

 

 というわけで色々と成果を上げた結果、5月はほぼ暇になった。

 ホークスも職業体験の受け入れ等ヒーロー活動が忙しく、公安の仕事はしばらくお休みなので書類仕事もない。

 勉強と訓練以外は暇だが、立場上気軽に外出はできない。

 因みに、父さんや母さんは引きこもりの息子がいるという設定で周囲に話す事になっている。

 個性社会では良くいるらしく、そこまで怪しまれる事はなかった。

 

 泣けるぜ。




因みに、AFOはこの最終テスト敵をUSJ襲撃時見たいに唆して、ヒーローの前に放り出してヒーローに処分させてます。

取り敢えず襲撃事件関連は終わり。
次からステイン偏

因みに主人公の今の成果

死人の証言による数々の事件解決へのサポート
ステインの個性判明
施設の情報改竄を暴いた結果、殻木の個性集めの手段を減らす。
殻木のAFOとの繋がりの強い可能性の提示。
AFOの生存、及び敵連合の黒幕の事実。
AFOの死柄木への初期段階教育方針判明。
闇のブローカーの監視強化。

主人公が得たもの

ホークスの信頼
個性以外での公安での価値
他部署からの嫉妬等の暗い感情

失ったもの

穢土転生への初な感情


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暇な件

お気に入りが1000件越えたので何かやりたいな~と思ってるんで、意見あれば感想までお願いします。


 暇だ、成果を上げすぎて干されて暇だ。

 外出を控える必要があるため、やることがゲームか読書位しかない、テレビはヒーローの活躍とかばかりで見たくないし。

 生きてるやつが個性使いこなしてる姿なんか見る価値ねぇよなぁ。

 カウンセラーにも見るなって言われてるし、ゲームも個性を意識させるゲームは大体禁止されてるし、やることがマインスイーパーとソリティア位しか出来ない。

 読書は普通の小説ではなく事件資料を読んでいる。

 簡潔で簡素で個性を扱う描写が少ないから、読んでて苦にならないし、捜査手法とか学べるしで現状唯一の娯楽になっている。

 

 

 そういえば、そろそろ体育祭だっけか?

 日付を確認すると、丁度今日行われているらしい。

 ということは、ステインが飯田の兄を襲撃する日付でもあるはず。

 ステインに関しては現状やれるだけの事はやったし、仕事があるとしたら、捕獲した脳無の素材になった人の証言とかだろうが、多分黒い霧に覆われて気付いたら死んでいる以外の情報は得られるとは思わない。

 あ、そういえば敵連合がマスコミのカメラに映るんだっけ?

 ステイン加入のせいで敵連合の知名度が上がって野良敵がブローカーの紹介で参加する流れだ。

 此方もブローカーの監視は強化されるし何かしらの情報は得られるかもしれない。

 一番の対策はマスコミに報道規制かける事だけど、生放送だから難しい。

 その後は、原作主人公にショッピングモールで接触、その後に林間合宿への襲撃。

 そして、AFOとオールマイトの対決になって、ヒーロー社会は強制的に次の世代に目を向けざるを得なくなる。

 その後、悪の世界は次の支配者を目指すべく群雄割拠状態になりヤクザや異能解放軍が出てくる。

 AFOという絶対的な後ろ楯を失った敵連合も一時は失墜するが、最終的に異能解放軍を吸収し超常解放戦線となり規模がでかくなる。

 その過程でホークスがスパイとして暗躍、その結果ヒーロー対超常解放戦線の戦争になる。

 というのが今後の敵連合の流れだ。

 ここまで描いて途中退場したのだとしたらAFOは天才としか言いようがない。

 ここまでの流れを考えると、ステイン関連でのメディア露出は決定的な気がする。

 ステインという一種のカリスマが加入したという認識が裏社会に伝わる事が仲間を増やすきっかけになった。

 異能解放軍も長年地下にいた集団だし財力もあって介入は厳しそうだ。

 ヤクザはそもそも警察の管轄だし。

 

 残念な事に今の俺では手段がない。

 公安が敵連合とステインが接触したという情報を押さえれば、助言という形で介入出来るが。

 (やっぱり、ステイン事件後しか関われそうにない。)

 公安というか、体制側に加入するとどうしても後手に回ってしまう。

 本気で社会を守りたいなら、公安辞めて独自に動くか?それとも、ホークスに前世ぶちまけて信用してもらうか?

 前者は単純にホークスが追跡者という無理ゲーになるし、後者はやっぱり精神病を疑われる未来しかみえない。

 そもそも、本気で守りたいかって言われたら微妙だけど。

 ホークスが信用出来るから此方にいるって感じの方が強いし。

 

 

 あの時スカウト受けなかったらどうなってたのかな?

 暇すぎて、ふと考えてみた。

 恐らく、何処かのタイミングで個性欲が爆発する。

 堂々と個性使ってる奴らを見て、発狂し人殺して穢土転生して、コレクションするんだろうなぁ。

 コレクションの基準は容姿や能力が優秀かどうかが基準で個性を使いこなしてる奴は殺して穢土転生、逆に個性を使いこなせてない奴は腹立って殺す気がする。

 堂々使える個性持っておいて使いこなせないとか死んでいいよね。

 無個性でも優秀な奴はストックして、普通の無個性は基本的に生け贄かな。

 後は同じような、個性で苦しんでる奴には優しくしそう。

 あー楽しそう。




ステインの名前の由来ってテイスティングなのかな?
ヒーローの腐敗がないか確認するって意味で。

最近ネタが出てこない。
気晴らしに敵編かこうかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暇が毒な件

パズドラに飽き始めている…



 おっと、不味い思考だこれは。

 原作について考えると、つい『普通の個性持ちに対する感情』が沸いてきてしまう。

 彼らは優秀な個性持ちで使いこなしている為、純粋に欲しいと思ってしまう。

 普段は情報をシャットアウトしたり、文章で読む事で抑えているけど、原作については大好きな作品であった分、鮮明にイメージしてしまう。

 正直、ステインの個性だって羨ましい。

 キャスターの角が生えるだけの個性も羨ましい。

 彼らが欲しい。

 ああ、ダメだ、ダメだ、考えるな。

 最近、カウンセリングも効果があるように思えない。

 寝ているときも、夢をみてしまう。

 ある意味一番効果があるのは仕事だ。

 個性を使えるし、原作知識を生かすために資料の分析やまとめに集中しているのが一番楽になる。

 今は皮肉な事に、仕事をしたら仕事を取られたのでそれがない。

 ああ、早く事件が起きてほしい。

 

 

 願いが叶ったのか、一週間後テレビでステイン逮捕の速報が流れていた。

 原作通りに、ステインの叫びと敵連合も放映されてしまった。

 原作と違うのは、逮捕者がインゲニウムとエンデヴァーになっていた事だ。

 どうやら、インゲニウムは重傷を負ったが再起不能になっておらず怪我を押してステイン確保に動いたらしい。

 速報を見ているとホークスから連絡が来た。

 仕事に復帰できるらしい。

 今回の事件で被害が抑えられたのは、ステインの個性が判明していたためで、お陰で一人のヒーローが再起不能に為らなかった結果は俺の功績となった。

 公安委員会も今回の一件で俺の個性以外の価値を認め、個性だけの人形にすべきと主張する連中を黙らせるのに充分だったみたいだ。

 

 今回の仕事というか役目は個性ではなく意見を聞きたいらしい。

 ホークスもいつもの施設で会い、幾つかの資料を渡される。

 一つはAFOについて、オールマイトからの証言も含め、その所業や現在の状態を推測した資料。

 後は、ブローカー等の裏社会の金や資材の流れについてである。

「AFOの育成についての更なる考察と敵連合の扉間君なりの動きの予想を聞きたい。」

 

 資料を眺めながら、何処まで話すか考える。

 AFOの教育方針についての他の公安の考察も乗っているからまずはここからかな。

 

「AFOについてですが、色々と教育関連の資料を見て考えたのですが、どのような分野であれ教育の理想的な形は自立です。なので、敵連合に対して直接指揮を取るようにはせず、アドバイザー的な立ち位置で活動し最終的には死柄木の元を離れると思います。」

 公安も馬鹿ではない、此処までは資料でも候補の一つとしてあげている。

「…離れるという点について具体的な考えは?」

 離れる事に関しては具体的な考察はされていない。

 

「行方を眩ます場合は、恐らく死柄木は捨てられたと感じるので違います。死亡も復讐という短絡的な発想になるのでこれも違います。なので、居場所が分かって生存が確認出来て手が出せない場所が理想的です。」

 

「…わざと捕まるって事か。」

 

「捕まるにしても、恐らく全力で暴れるでしょう。理想としてはかなりの被害を出してオールマイトと全力で戦って致命傷を与えて敗北する。これなら市民に敵連合の恐怖を刻み、社会に不安を与える事も出来ます。もしオールマイトも退場したならAFOを失った敵連合が力を蓄える時間もかなり稼げます。」

 

 AFOの原作での展開を最悪の予想として伝える。教育という根拠から考えれば一番現実的な予想として。

 

「それと、敵連合ですが此れから数を増やすと思います。USJを襲った時のチンピラ連中ではなく、本物の敵が加わると思います。

 ステインの最後のセリフ、あれが致命的です。

 ステインが逮捕された今、ステインという実力者であり、信念を持つ人間が加入した敵連合はステインの意思を継ぐ輩や、単純に暴れたい輩が集まるでしょう。

 実際、もらった資料にも何人かのブローカーの動きが活発になっています。

 そして、集めた敵を選別するために何か事件を起こす可能性も高いと思います。」

 

 さっきの考察をあわせて考えればAFOは死柄木をサポートする幹部を集めているようにも見えるだろう。

 ホークスも今の考察を聞いて深く考えている。

 

「敵連合の流れやAFOの考えについては分かった。後、一つ聞きたいのは、AFOの後継という形について考察を聞きたい。」

 

 ホークスの方から聞かれるとは思わなかった。流石速すぎるヒーローと言うべきか、今ある情報で此処までは予想するのか。

 

「…俺は遺伝子学とかの教授じゃないんで完全な素人考えによる妄想ですが、AFOの個性である『個性を奪い与える個性』と脳無の複数の遺伝子が混ざりあっているという事実から、AFOの個性を死柄木に移す事だと考えています。

 殻木が協力者であるなら、個性因子の培養は容易でしょうし、AFOの遺伝子を死柄木に定着させれば死柄木は崩壊の個性と合わせて最恐の存在になります。

 脳無はその実験の副産物で、もしかしたら、脳無の身体能力は素でオールマイト並みとUSJ事件の報告であるので、身体能力も身につける可能性があります。

 直ぐに行わないのは、精神面の成長を待っているからでしょう。」

 

 原作でのAFO逮捕後の流れを妄想として伝える。殻木が協力者である可能性は非常に高いが、まだ可能性の段階だし他人の遺伝子を植え付けて安定する技術や人体の出力を改造する技術なんて信じろというのが難しい。

 個人的にはさっさと殻木の地下室を潰したいが、地下室には恐らくAFOがいるから今襲えば、反撃にあい今度こそ行方を眩ます。

 ベストはAFO逮捕直後に襲撃だが、それまでに証拠が揃うだろか。

 恐らく、死柄木とAFOは敵連合が活動にヒーローの注意を逸らして地下で研究を進めている段階だろう。

 研究に目処がついたらAFOは捕まるために行動を起こすがそれまで影も形も見せない。

 病院に送り込んだ公安が成果を出せれば良いが。




今回は長め。

頭の中で着地点が見えてきた気がします。

明日と明後日はポケモンGoが忙しいので更新ないかもしれません。
もしくはコンパスの新コラボで発狂してるかもしれません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

敵連合の思惑な件

ポケモンGOで初めて腕疲れた。
皆さんはポケモンGOやってます?


 ホークスも俺の考えを現実的に起こりうる、最も最悪な案として認識し、上に伝える事になった。

 細部を詰める為にホークスと色々と話し合い、AFO及び敵連合が次に狙う標的についての話になった。

 

「恐らく、AFOが敵連合から離れるのは今年中だと思います。

 四月のUSJ襲撃事件、保須市の一件、あれが実習だと仮定すると座学は既に終わっている。

 実習も二回やって幹部候補を何人か確保しているでしょうし、あり得ない事はないと思います。」

 

「仮に今年中だとして、AFOは何を狙う?」

 

「実行と計画は死柄木ですよ。標的は簡単です、オールマイトがわざわざ作ってくれたようなもんですから。」

 

「…雄英生か。」

 

「恐らく、狙うタイミングとしては前回みたいに教師やオールマイトが離れている時に襲ってくるでしょう。前回はオールマイト側の問題で鉢合わせはなかったですが、今回は確実にオールマイトがいないタイミングで襲ってきます。」

 

 それも、時間をかけずに拉致を行うはず。

 

「なるほど、雄英は学校としてもヒーローとしても監督責任を問われるしオールマイトも怒りに燃えるだろうね。」

 

「それだけじゃありません。ヒーロー社会の威信に関わりますからね、警察も全力で捜査して敵連合を叩きにいくでしょう。

 あえて情報を漏らして不意打ちで敵連合を襲わせて、そこを助ける為にAFOが登場、現役ヒーローと民間人を沢山殺してオールマイトと相討ちで自分は刑務所、俺の考えが現実になればこんな筋書きでしょう。」

 

 この筋書きには一つ欠点があるがホークスは気付くだろう。

 

「だけど、敵連合を警戒する雄英を襲うタイミングをどうやって知る?

…まさか扉間君はスパイがいると思っている?」

 

「いる可能性は高いでしょう、ヒーローの中に裏切り者とかAFOらしいですし、スパイじゃなくとも無意識に情報を漏らすように洗脳とかAFOなら可能でしょう。」

 

 ぶっちゃけ、メタ視点だと一人しかいない気がする。

 合宿を行う最終決定を行った、あのネズミ。

 過去に人に色々されたとかあるし、普通に考えれば林間合宿とか行わないか警備増やすだろう。

 一応、機密性を高めるために少人数行動とか言ってたが

 山岳救助メインのヒーローチームと教師二人のみとか敵連合舐めてんのか。

 まあ、これは完全な証拠もない妄想なのでホークスには黙ってるが。

 後はエクトプラズマかな?一人だけ個性が複雑過ぎるし。

 

 話し合いの結果、ヒーロー公安委員会を通してカリキュラムの変更があるか学校側に確認する事になった。

 此処までは原作の流れを説明しているだけだが、一つ確認しなければならない事がある。

 

「そういえば、殻木の病院については何か情報入りました?」

 

「ああ、看護師として潜入した者の報告では殻木が時々霊安室に籠るそうだ。他のスタッフには死んだ患者に黙祷を捧げていると話しているらしい。扉間君の話から考えると、何かありそうだけど。」

 

「俺的には真っ黒なんですが、一応病院や周辺の電力状況や水道の使用状況とか調べて見てください。脳無の実験とかしているなら確実に怪しい点が見つかると思います。」

 

 取り敢えず、殻木の地下実験場の場所は把握出来ているみたいだ。

 だけど証拠が足りない、AFOを捕まえた後に制圧出来れば良いのだが。

 確か、神野の一件で脳無格納庫を制圧してたからそこから何か出れば良いが。

 

 

 数日後、公安委員会が学校側に確認取った結果、外部に情報を伏せて林間合宿を行う事が判明した。

 その報告を聞いてホークスと俺は襲撃を確信したのは言うまでもない。




ヒーローは悪に屈してはいけないという言い分は最もだけど、悪がAFOと仮定したら甘いよねって話

次回、主人公は林間合宿に対する介入がどれだけ出来るのか…!

最近個性使ってないなこいつ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

守りを固める件

フェス楽しかった~


 ホークスと色々話し合ったが、結論として合宿には介入しない事に決めた。

 下手に介入して敵連合が拉致に失敗した場合に予測が出来なくなる。

 恐らく、敵連合は電撃戦を挑み一人拉致したら撤収するだろうという予測とホークスがヒーロー科一年の個性や体育祭での活躍を見て、死なない程度には動けるだろうという事から公安委員会は介入しない事になった。

 ホークスは若干不服そうだが、ここは抑えてもらう。

 正直、子供が何人か死のうとAFOと殻木を確保出来るなら十分なお釣りが来ると思う。

 

 合宿には介入しないが、敵連合が拉致を成功させたと仮定して準備を進める。

 拉致後にわざとアジトや施設の情報をAFO側が漏らすと仮定し、その準備段階での足取りを掴む。

 拉致後のヒーローからの敵襲に備えるため、脳無を何体か活用するだろうと仮定し、殻木の病院を出入りするトラックや地下に秘密の通路があると仮定して、透視の個性持ちに病院の地下を遠くから見張らせる。

 個性増強剤を使用する事で、超遠距離からの監視を行い、AFOに気付かれない様にするとのことだ。

 透視が出来るなら初めからやれと思うが、増強剤はリスクが高くAFOに感知される可能性を否定できない為、許可が中々降りなかったが、今回はAFOとその側近、及び後継者を一網打尽に出来る可能性があるので許可がおりたらしい。

 それと、万が一作戦がバレた場合に最も危険があると思われる俺に専属の護衛を作る許可が降りた。

 護衛を作るということは、つまり穢土転生体を使役して良いという事に近い。

 ただし、条件として今後、俺は首に爆弾を付ける事になる。

 穢土転生体を使役するなら首に爆弾、しかも遠隔操作可能で許可なく外してもBAN。

 どっかのシンジ君みたい。

 もしくは、今まで通り公安委員会とホークスのサイドキックによる護衛で爆弾なしか。

 

 悩む事もなく前者を選んだ。

 ホークスはその答えに複雑そうな顔していたが、正直メンタル的に限界なのだ。

 一人で良いから人形が欲しい。

 その事をホークスに伝えたら、渋い顔のまま了承してくれた。

 ホークスは俺がこのまま暴走する可能性と子供に爆弾を付ける事の両方が気に入らないのだろう。

 彼はやはりヒーローなのだ、俺とは違う。

 

 穢土転生候補として公安が用意したのはヒーローであった。

 てっきり敵なのかと思ったが、一度死んだ存在が露見した場合にヒーローの方がカバーしやすいのだろう。

『瞬神ヒーロー テレポン 個性 テレポート』

 渡された資料にはヒーロー名と個性が書いてあった。

 個性はテレポートで条件はマーキングしたポイントにしかテレポートが出来なく、生前は武器にマーキングして敵を倒していたらしい。

 …まんま飛雷神の術だな。

 因みに、男ではなく女だった。

 

 いつもの施設の地下で、ホークス立ち会いの元穢土転生を発動する。

 今回呼んだ穢土転生体は俺の護衛として利用するので解除せずに使役する。

 テレポンの容姿は、金髪で貧乳で忍者の格好をしていた。

 自我の縛りに関しては、俺の自由で良いらしい。

 取り敢えず、自我は解放せずに顔を頭巾で隠させた、美人だったが流石にひび割れゾンビに欲情はしない。

 忍者の格好で良かった、これなら塵に戻しても顔を隠しやすい。

 早速、個性を活用する為に今いる場所と俺の体にマーキングを施す。

 マーキングの施し方はどうやら手のひらにマークがあり、押し当てる事でマーキング出来るらしい。

 

 マーキングが完了したので取り敢えず、閉まってしまう。

 

 「扉間君、テレポンの使用は危ない時だけ使うように、一応操作とか動かし方を知りたければ事後報告で良いから確実に俺に知らせてね。」

 

 最後にホークスに釘を刺されて自宅に戻った。




短いですが、ここまで。

取り敢えず合宿には干渉せずに敵連合の拉致成功を祈ります。
拉致後の動きについて公安委員会は病院を観察し、殻木とAFOを結ぶ決定的な証拠を掴みます。
まあ、AFOが神野で暴れてくれれば状況証拠でガサ入れ出来そうだけど。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

確認な件

日刊ランキング7位!!!!

嬉しい!
書かねば!!


 あれから家へと帰り、部屋で穢土転生体テレポンを呼び出し色々と試していく、

 動物の時のように、念じれば自動で動くし五感の共有も問題なく行える。

 五感を共有して操れば、自分の手足の様に動かせる。

 不死性も小さな傷なら数秒、腕を落としても数分で戻るし、五感を共有した感じ、痛覚もない。

 さて、問題は個性の方だ、取り敢えず部屋の端にマーキングを施してもらい、個性を発動するように命じる。

 すると、テレポンは一瞬で部屋の端に移動した。

 よし、個性も問題なく使える。

 後は個性の制限についてだが、手のひらのマークは直径3cm位で、完璧に貼り付けなければ機能しない。

 筒状の物は握る事でマーキング出来るみたいで、重要なのはマーキングする面積らしい、なので俺の首についたチョーカーは外す事は出来ない。

 チョーカーは細く、マーキング出来るほどの面積がないし、握るのも首にフィットしてるので不可能だ。

 だから公安委員会もテレポンを寄越したのだ。

 

 

 久々に、警察から協力要請があったので、いつもの施設の地下で個性を使う。

 その時に穢土転生を穢土転生体越しに使う事は可能なのか試してみたが、流石に出来なかった。

 契約した穢土転生体を呼び出すのは可能だろうが、今はテレポン一体しかいないので試せないし、仮にいてもホークスの前では行わない。

 爆弾を付けられた身だ、手札は隠したくなる。

 いつもの、尋問が終わって穢土転生を解除した後に、ホークスに自我を解放して良いか尋ねた。

 一応守ってもらう身だ、自我があった方が護衛としては使いやすいだろう。

 ホークスは安全確保の為に動きを縛る事を条件に許可してくれた。

 穢土転生の欠点の一つに術者より強いと縛りに逆らえるが、一応自我を縛れるし大丈夫だろう。

 ホークスがテレポンの周囲に剛翼を展開して、自我の縛りを解除する。

 

 縛りを解いた途端、無表情だった顔に生気のような顔つきになった。

 

「…ここは、何処ですか?確か自分は死んだはずなんですが!?」

 

「はじめまして、テレポン。俺は千手扉間、俺の個性であんたを蘇らせた。ここは公安委員会の施設で隣にいるのは現役ヒーローのホークスで俺の上司。」

 

「蘇り!?公安!?ホークスってあの速すぎる男!?」

 

 驚いている所に情報を与えるのは悪手だが、此方に注意を向けてもらいたいし、後は思考が読めるか試してみたい。

 

(えっ!えっ!蘇り!?あり得るの!?いやワープもあるなら蘇りもあり得る!?私の個性すごい!?)

 

 念じたら覗けたが、殆ど口に出した事と同じで裏表がある感じではなさそうだ、ついでに此方の思考を送ってみる。

 

(ファミチキください。)

 

「ファミチキ!?えっ今のだれ!?」

 

 こいつ馬鹿だ。

 ホークスも少し呆れている。

 取り敢えず、此方の情報と現在のテレポンの役割を情報を整理するまで黙るように念じて送る。

 

 …口を開くのに十分またされるとは思わなかった。

 

「…取り敢えず、私の今の状態や役目についてはわかりました。

 少年、難儀な個性を抱えましたね。」

 

 驚いた、自分の状態について罵倒されるかと覚悟していたが、まさか、同情されるとは思わなかった。

 動揺して、縛りを緩めてしまう位には。

 テレポンは動けるようになった途端に、抱きついてきた。

 ホークスは咄嗟に剛翼を彼女に突き刺すがお構いなしに、抱きついて頭を撫でてくる。

 …これが、ヒーローか。

 

 塵で出来たひび割れた体で熱もないはずなのに温かった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

実力確認な件

沢山の感想、誤字修正ありがとうございます!!
これからも更新頑張っていきます!






 抱擁の後に、本人がこの体の使い方を知りたいと申し出たので、ホークスと模擬戦を行う事になった。

 この施設は訓練場もあるみたいで、すぐに行う事になった。

 体育館のような場所で、テレポンとホークスが相対している。

 俺はガラスの向こうの観客席から二人の戦闘を見守る。

 一応、ルールとして先に拘束したほうの勝ちという事になっている。

 

 「さーて!いきますよー!」

 先に仕掛けたのは、テレポンだった、複数の棒手裏剣をホークスへと投擲する。

 ホークスは剛翼を飛ばし打ち落としにかかるが、一本の棒手裏剣に羽が届く瞬間、テレポンへと入れ替わった。

 ホークスの剛翼は応用力があるが、決定打が存在しない、手裏剣を落とす事が出来ても人一人を打ち落とす事は出来ない。

 テレポンは自分に刺さる羽を無視して更にホークスへ複数の手裏剣を投擲する。

 ホークスもさすがに距離が近いと判断したのか自ら中へ飛んでかわす。

 おっ、ホークスが驚いている。

 ホークスが上にとんだ瞬間、既にテレポンがホークスより上にいた。

 流石にこれは読めなかったのか、ホークスはそのままテレポンの蹴りで地面に叩き付けられる。

 恐らく、最初の投擲で手裏剣の一つを天井に突き刺していたのだろう。

 ホークスに蹴りを食らわした後、テレポンはすかさず地面に散らばった手裏剣の一つと位置を入れ換えて着地する。

 

「あれ!?」

 

 ホークスへの追撃を仕掛けようとするが、テレポンは動かない。

 (うわ、エグい。)

 よく見ると、テレポンの肘と膝に剛翼が何本も刺さっている、あれでは手足を動かせない。

 背中への蹴りの瞬間に突き刺したのだろう。

 テレポンは何度か転移したが、体に巻き込んだ翼を取り除く事は出来ないみたいだ。

 体が動かせないテレポンに一気に剛翼が迫る。

 だが、飛雷神の術ならアレがある。

 全身に羽が突き刺さる瞬間に、テレポンは自身とホークスの位置を入れ換える。

 相手の攻撃を相手にぶつける、シンプルかつ強力な戦法。

 ホークスは咄嗟に剛翼を反らそうとするが何本かは自身に突き刺さる。

 

「いやー!流石に速すぎるヒーロー!強いですね!瞬神ヒーローを名乗る私的には生意気だと思っていましたが強くて速い!あっ!名乗っていたですね!死んでますから!」

 

「いやー、それは、此方こそですよ。瞬神ヒーローテレポンさん。現役なら俺も相当楽できましたよ。」

 

 朗らかに会話してるが、片や関節ボロボロ、片や血まみれである。

 しかも、ホークスに至っては少しキレている、恐らく久々に傷を付けられて真剣モードって意味のキレ方みたいだが。

 その後は、ホークスが剛翼で手裏剣と自身に付けられたマーキングを傷を付けて無効化し、テレポンの全身を剛翼でハリセンボンみたいにして拘束してホークスの勝ちで終わった。

 やっぱり、剛翼万能過ぎるよね、羨ましい。

 

 

 

「いやー!便利で良いですね!この体!」

 今は、模擬戦の反省会をしている。

 ホークスの傷も浅かったので、施設の治療室で処置を行い参加している。

 

「模擬戦の後も色々試して見ましたが、痛覚ないわ、すぐに再生するわで私みたいな近接ヒーローには最高の状態ですよ!」

 

 穢土転生されて此処まで肯定的なのは予想外というか、なんというか。

 俺の為に喜んでいるフリをしているのかと思ったが、思考読む限り大げさに喜んでるのはわざとだが、本心でも普通に喜んでいる。

 (ポジティブ過ぎる!これがヒーローか。)

 

「異物を絡ませれば再生を阻害出来る点は漏れないようにした方が良いね。」

 

 ホークスは冷静に穢土転生体の対策について考えてくれている。

 これは予想してた事でもある、塵が集まる形で再生するので既に体内に異物があると異物を取り込む形で塵が集まってしまうのだ。

 異物を取り除けるような個性なら対応が出来るがテレポンは無理だ。

 まあ、原作ではホークスみたいに数を操る敵は出てこないのでそこまで心配する必要は無さそうだが。

 

「まあ、似たような感じになったら不死ですし!自爆特攻でもしてリセットすれば大丈夫ですよ!」

 

 うっ、ポジティブ過ぎて眩しい。

 

 

 取り敢えず、テレポンの実力も計れたので自我を持ったまま、護衛をしてもらう。

 両親には流石に穢土転生体を使役していることは伝えない方が良さそうなので顔を隠してもらい、公安委員会から依頼されたヒーローで24時間護衛をしてもらうと説明した。




身長に関してですが、単純に設定ミスです。
175から165に変更しました。
言い訳になりますが、ホークスって身長180後半はありそうとか思ってました。

後、テレポンのヒーロー名というか二つなですが瞬神ヒーローに変更します。






余談ですがスカイリム始めました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

死因な件

皆さん、色んな感想や誤字修正ありがとうございます!
特に文法の誤りを指摘してくださるのはとても助かります!




 取り敢えず、まだ雄英では期末試験すら始まっていない6月半ば、一応7月の頭にはショッピングモールで事件があるが公安はあえて深く関わらないため、実質8月まで余裕がある。

 他の公安委員会は病院の監視強化や敵連合に合流し始める敵やバイヤーの監視等で忙しいが、俺はこの件に関しては敢えて外れて注目されるのを避ける為暇である。

 なので最近は、テレポンといつもの施設で訓練を行っている。

 性格はアホっぽいが、実力は高いため、個性なしの組み手で一本も取れない。

 

「そういえば、テレポンの死因ってなんなの?」

 

 ある日の訓練の休憩中に気になって聞いてみた。

 あの個性で死ぬって、味方をかばったり爆発寸前の爆弾も一緒に人がいない場所に転移したりとかカッコいいというのは不謹慎だが、ヒーローらしい死に方をしたのだろうか。

 

「えっ、し、死因ですか?えーっと、そのー、あ!あれですよ!敵が自爆しそうになったので、こう一緒に転移してそれで…!」

 

「あっ、ググったら出てきた。

 喉に餅を詰まらせて窒息?」

 

「人に聞いといて、ググるとか!ちょっと人として、どうなんですかね!?」

 

 命令でないとはいえかなりキョドって思い付いたように嘘をつくのだ、雰囲気的にシリアスな感じでもなさそうだし。

 にしても、餅で窒息…

 

「…そ、そんな呆れた目で見ないでくださいよ。ちょっと食べ過ぎたと言いますか、その年の出来が良くて箸が進んじゃったと言いますか。」

 

 ネットの記事では、テレポンは自宅で餅を食べて窒息と書いてある。

 同世代のヒーローからは、『いつかはやると思ってました。』とコメントがあった。

 

「えぇ…」

 

「いつかはやるって、何ですかあのヤロー!扉間君!ちょっとあのヤローを呼んでください!!」

 

「まだ現役だぞ、ホラ。」

 

「わー!おっさんになってる!うわ!子供がいる!」

 

 怒ったり笑ったり忙しい。

 因みに、休憩後の訓練は苛烈を極めた。

 

 

 今は、AFOや後継者開発を担う殻木の確保に集中しているがその後も個性社会にとっては気が抜けない。

 裏と表のNo.1の引退は今まで潜伏していた他の敵組織が動く切っ掛けになる。

 オーバーホールと異能解放軍、どちらも暴れた場合、個性社会への影響は深刻だ。

 どちらもAFOを失った敵連合にちょっかいかけて、片や薬を奪われ、片や吸収と死柄木の糧になってしまう可哀想な組織だが公安委員会として滅ぼさねばならない組織だろう。

 問題なのは情報がほぼない点だ、特に異能解放軍に関しては影も形もない。

 異能解放戦線の再出版が出たらホークスに進言する位しか出来そうにない。

 あと、覚醒死柄木もヤバい、崩壊が伝播するようになり凶悪になるし過去を思い出すことで精神面も成長するしで、改造を受ける前の時点でヤバい。

 一応、異能解放軍との戦闘で欠損レベルでボロボロになるため倒せなくはないが。

 後はギカントマキア、殻木を確保すればほぼ完封出来るかも知れない事が希望だ。

 強さ的には覚醒死柄木以上の強さがあるかもしれないし。

 (殻木と改造装置をぶっ壊して、脳無を全て処分出来れば敵連合の価値は下がるか?いや、AFOが庇った時点で評価は必然的に高くなる。)

 社会の敵が多すぎて頭を抱えたくなる。

 というか、原作には出てきてないだけで、AFOが退場した後に活発になる敵組織は沢山いるだろう。

 だが、ポジティブに考えればチャンスとも取れる、活発になって安定していない時にデカイ敵組織を鎮圧出来れば、裏社会も静かになるはず。

 

 取り敢えず、過去に活動していた敵組織や現在マークされている敵組織について情報を集めなければ。

 

 

 

 

 




前半はコメディ、後半は神野以降について。
個性社会テロリスト多すぎるよ~


歴史残った敵ってAFOとデストロと張間以外にいましたっけ?
いなければ作るか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

接触を図る件

更新遅くなってすみません!

スカイリムが楽しすぎぃ!


 取り敢えず、ヤクザの方は後回しにしよう。

 個性を消す薬の可能性が浮上しなきゃ、彼らに対してアプローチの取りようがない。

 異能解放軍については、幹部やボスや構成員の殆どが一般人に溶け込んでいる点から組織の全容が見えにくい。

 確か、彼らの主義というか思想は『異能=個性の自由行使は人の権利』という個性至上主義の過激派みたいな存在だ。

 厄介な事に、彼らは11万人もいる癖に組織として腐敗しておらず、全員が組織の為に死ねる立派なテロリストだ。

 個人的には彼らのような団体が現れるのは自然というか仕方ないと思う。

 だって個性は使いたくなるから。

 今の社会では個性を悪用する人間を敵と呼ぶが、性格や趣向は個性に引っ張られる関係上、個性によってはどうしても犯罪行為に走る人間は一定数いる。

 一応個性カウンセリングはあるが、完全ではないし世間では個性によって性格や趣向に影響を受ける事への理解は低い。

 原作でもトガちゃんは、『血を吸って変身する個性』の影響で、可愛いと感じたり、好きになった人や動物の血を吸いたくなってしまう。

 彼女からすればとても自然な行為で、それを禁止するのは人や動物を好きになってはいけないという事と同義だ。

 そして彼女のそれを両親は理解出来なかった、あるいは理解できても対処出来なかったのだろう。

 彼女に我慢を強いて、彼女も両親の言う通りに我慢した、その結果彼女は敵になった。

 確か、異能解放軍の幹部の一人が彼女を現代社会の闇の体現者みたいな事を言ってたか?

 正にその通りだと思う。

 他人を必要とする個性が存在する時点で、他人は強い欲求の対象となってしまう。

 それも思春期の強い時期に集団生活なんて送らせたら、どうなるかは良く分かる。

 俺がそうだったのだ。

 俺の個性欲求は転生者で精神が成熟していたから耐えられたが、普通の子供が耐えられるとは思えない。

 個性を我慢させられて苦しんでいる人間からしたら、異能解放軍は正に救世主だ。

 個人的には今の社会は未熟で彼らの思想は先を行きすぎている。

 あと少し、個性に対して社会が理解していれば彼らの思想も受け入れられたかもしれない。

 

 (まてよ、彼らの思想と個性由来の欲求、社会の理解…)

 

 ここに異能解放軍へのヒントがあるかもしれない。

 確か、幹部は全員社会的立場が高い。

 サポート企業、政治家、出版社、IT。

 どの業種でも、個性の悩みを聞ける立場にある。

 サポート業は異形系個性、政治家の場合は住民問題や社会的な個性問題、出版社は特殊な個性に関する出来事や関心の強い敵の取材、ITならネットに吐いた個性の悩みを集める事が出来る。

 その中から、自分達の思想に近い人をスカウトしているのではないだろうか、じゃなきゃ11万人も熱狂的な人員を集められるはずがない。

 AFOが逮捕されていないから、彼らは本格的な活動を起こしていない。

 今からなら末端に入り込めるかも知れない。

 勧誘を受けた時点で報告すれば公安委員会もマークをする可能性がある。

 (試す価値はあるかもしれない。)

 まだ、神野まで時間はある。

 




短いですが先が思い付かないので取り敢えずここまで。

感想待ってます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ネットな件

闇の一党が終わったので投稿します。

スカイリムバグ多すぎるんじゃが…


 取り敢えず新しいアカウントを作ってネットで検索を行う。

 確か幹部はデトラネット社のCEOだったはずなので、デトラネット社が関わっているコミュニティを探してみる。

 (個性 悩みで検索っと。)

 検索で出てきたサイトの運営を別の端末の別のアカウントで調べて幾つか除外する。

 一応ハッキング対策というか、これなら万が一調べられた時に潜入目的でコミュニティを探していると推測されにくいだろう、ハッキングの知識そんなに無いから何とも言えないが、しないよりましだろ。

 幾つかのサイトを閲覧してようやくデトネラット社の子会社が運営しているコミュニティサイトにたどり着いた。

 コミュニティの一覧を眺めると人気のコミュニティは個性に関する内容が多い。

 異形種の住宅が制限される事への不満や、制御しにくい個性の対処方法の相談や愚痴などが内容の中心みたいだ。

 取り敢えずサイトに登録して早速投稿してみるか。

 

『Name マダラ

 初投稿です。 

 私は現在16才ですが学校に通えていません。

 危険な個性のせいで、他人から危険視されて学校からはずっと腫れ物扱いで疲れてしまいました。カウンセリングにも通いましたが改善せず今は家に引きこもっています。

 両親は大丈夫だと言ってくれますが将来に不安を抱えてしまいます。』

 

 取り敢えずこんな内容で良いだろう、コミュニティの内容的にもあってるし危険な個性ということで戦力アピールもした。

 早速幾つか反応があった。

 同情や似た経験があるという主旨の反応には当たり障りの無い返事をしつつ、異能解放軍の主張に近そうな内容や社会に対する不満系の内容に同意するような反応を返していく。

 その中で一個気になるコメントがあった。

 

『Name アイスマン

 マダラさん、僕もずっと学校に行っていませんが周りの人達に恵まれて幸せな日々を送っています。

 危険な個性とおっしゃってますが、生まれ持った個性を否定してはいけないと思います。

 ましてや腫れ物扱いするなんて、今の社会は間違ってます。』

 

 アイスマンでずっと不登校、腫れ物扱いの件が学校から社会に膨らんでいる。

 こいつ外典か?

 確か学校に通わずに個性を訓練して規格外すぎる力を手に入れていたはず。

 過去のコメントを検索するとアイスマンは個性至上で実力主義のようだ。

 これも本人の性格に似ている…

 まだ確定的ではないが、交流を深めておくべきだろう。他に幾つかの似た主張の人達と積極的に交流を深めておく、異能解放軍は神野からしばらく後だし、神野事件をネタにすればさらに交流を深められるだろうから慎重に行こう。

 

 

 コミュニティへの書き込みが終わり、ふと部屋を見渡すとテレポンがいない。

 そして何故か下の階のリビングが賑やかだ。

 リビングに降りていくと、テレポンがいた。

 

「うまいもんだなぁ!やぱりお餅は美味しいですね!おっ?扉間君も食べますか?」

 

 (ドラ◯もんかな?)

 

 リビングで餅をバクバク食べながら頭巾のせいで顔を見れない筈なのにおそらく満面の笑みを浮かべている護衛がいた。

 お前それ死因だぞ。

 

「ふふっ、護衛の人お餅が好きって前にいっていたけど本当に大好きなのね。扉間も食べる?」

 

 台所から母さんがお盆を持って出てきた。

 お盆の上には磯辺焼きが乗っている。

 一瞬護衛を放棄して餅を馬鹿みたいに食ってるテレポンにぶちギレそうになったが母さんが笑顔なので我慢した。

 (俺偉い。)

 

 

 

「いやー!呼吸必要ないからお餅いくら食べても問題ないですね!良い体です!」

 

 あの後、俺も餅を食べて一緒に部屋に戻ってきた。

 餅は殆どテレポンが食べた。

 

「…そもそも食欲すらないだろうが。」

 

「いやいや!これは食欲ではなく嗜好品なのでセーフですよ!セーフ!」

 

 セーフもアウトもねぇよ、てか食った餅はどうなるんだ?

 

「消化されるのか?」

 

「さあ?蘇って初めての食事なので知りません!」

 

 その日の夜中、テレポンはトイレに籠った。

 




なんでトイレに籠ったのかというと、あの世の存在は現世の食べ物を食べれないというジンクスから察してください。

ギャグ書くの楽なのだわ。

感想や誤字訂正お待ちしてます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

疑惑な件

ナイチンゲール装備かっこいい!


「扉間君さー、最近また何かやってる?」

 

 穢土転生での尋問後の何時もの食事会の時だった。

 因みにテレポンは個室の前で待機している。

 

「いきなりなんですか?後、またってなんですか。」

 

「ネットでこそこそやってるでしょ?何か別の部署から君がネットで動いているって話が来てさー、向こうは君が裏切る予兆だって騒いでるから確認だよ。

 俺的には、色んなコミュニティ覗いて一個のコミュニティだけに投稿してるし、内容が嘘半分って感じだからまた何かしてんのかなーって思ってるけど。」

 

 相変わらず軽い、焼き鳥片手でプラプラさせて頬杖しながらする質問じゃない。

 後、やっぱりネットも監視されてんのか。

 

「…変に誤解が広がる前に聞いてくれて助かりました。

 AFOの居なくなった後は裏社会は群雄割拠になると思いまして、今のうちに潜んでいる組織を割り出せないかなと、あのコミュニティを選んだのは個性に関する投稿が多いからですよ。

 今の社会は全ての個性に対応出来てる訳でもないですし、そういう不満から生まれた組織が一番多そうだと思ったので。」

 

「ふーん、まぁそういうことならやる前に最初に報告してねマジで。取り敢えず上に報告するからその間は書き込み禁止ね、もしかして既に勧誘受けてたりする?」

 

「幸いまだ勧誘は受けてませんよ。後、コミュニティで気になった人間が何人かいるので調べてもらえると助かります。」

 

「ん、了解。

 いやー良かった良かった!扉間君がガチでそっちの道いくなら俺が止めなくちゃ行けなかったし。

 俺も速すぎる男なんて言われてるけど扉間君も相当速いよね、勧誘して良かったー。」

 

 止めるって殺すって意味だよね?朗らかに笑ってるけど、確信はしてないよなこの笑み。

 まあ、正直に話したしこれで誤解が解けてないならそこまでの話だし。

 でも俺って公安委員会の中に敵いるんだっけ?出世的な意味で。

 意固地に疑う奴らが出てくるだろうなぁめんどくせぇ。

 

「ホークスが上司で良かったです。」

 

 

 

 上層部の判断が終わるまでネットも禁止されてしまったので暇だ。

 ホークスの報告書を読んでも特に目を引く事件はないし、時期的にはそろそろショッピングモール事件が起こる頃だが、死人が出ないから報告書読む位しかやることがない可能性が高い。

 最近は死人の証言も警察が有能なのか、今はちょいちょいしか依頼が来ない。

 後、最近俺が暇なのが分かったのかテレポンの訓練が過激になっている、暇が潰せるので良いのだがたまに自分が穢土転生体であることを前提の技をかけてくるのはやめて欲しい。

 余りに訓練がアレな時は「餅配管。」と言えば静かになるのだが。

 

 

 

 ショッピングモール事件が起こった。

 俺は仕事が無いかもしれないと思ったが、報告書を渡されて意見が欲しいとホークスに言われた。

 報告書を読むと原作通りに緑谷と死柄木は接触し、会話をしたようだ。

 

「報告書を読む限り死柄木は方針を再確認したと見て間違いないでしょう。

 AFOの口添えもあると思いますが実行犯もノリノリになったのだから合宿襲撃説はより濃厚ですよ、そういえば、雄英のスパイに関してはどうなりました?」

 

「スパイのほうは全く、全員経歴もしっかりしてるし真っ白すぎる何もなかったよ。」

 

「ネズミも含めて?」

 

「あー、訂正。校長先生に関しては詳しくは国からストップかかってるから無理だった。」

 

 まあ、実験動物みたいな扱いしたらしいので当然か。

 因みに合宿に関しては、当面通りに行うらしい、場所を秘匿してオールマイトを敢えて外した少人数体制で。

 

「バイヤー関連はどうですか?」

 

「バイヤーは動きがないけど、何人かの指名手配中の敵の犯行と思われる事件が最近起きてないから多分一部は合流していると見て良いと思う。」

 

 既に合流して潜伏していると見て良いだろう、あるいは、黒霧の隠蔽力で被害自体が確認出来てないだけか。

 それにしても指名手配敵の犯行というのは少し盲点だった。

 AFOや殻木の方に目が行きすぎて敵連合の動きを疎かにしすぎた。

 何が暇だ、アホか俺は。

 

 

 




今回はこんな感じで、次回は神野に行けたらいいな!

次回の更新はメインクエスト一つ終わったら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

奇襲な件

内戦クリアしたので投稿です。


 取り敢えずネットの件は公安委員会の別の部署が引き継ぐ事になった。

 調査を依頼したアカウントの一つが過去に潰れた敵組織の元メンバーであることが分かり、また現在もどこかの組織に属してる様な発言があり、コミュニティ自体が監視対象になった形だ。

 まぁ、俺みたいな素人よりはそっちの専門家が集まった方がネットに関しては良いだろう、このまま異能解放軍の影くらいは掴めれば良いが。

 ついでに俺の監視項目からネットが除外された。

 別に見られても構わないが、俺本人にバレた事と公安委員会の一部が独断で行っていた事もあって監視項目から外れたらしい。

 俺を監視したくなる気持ちは分からなくもないので特に思うことはない。

 

 

 

 ネットの件から暫くたって7月の終わり、遂に雄英拉致事件が起こった。

 拉致られたのは原作通りの爆豪少年、林間合宿で捕まった敵も原作通りだ。

(ここまでは原作通りに進んでいる、原作で見えなかった動きはどうだ?)

 拉致事件の予兆として数日前から病院周辺の電力使用量が増加している事が報告書に書いてあった。

 原作では事件から一週間程度で警察とヒーローによる反撃作戦が展開される。

 AFOがわざと情報を残すと判断している為公安委員会は全力ではなく半分の人員で捜査を行い、残りの人員は病院の監視を行っている。

 俺も流石に家にいるのは厳しい状態なので、いつもの施設に家族で移って万が一に備えている。

 いつもの施設には俺と家族とテレポンしかいない。

 ホークスは殻木の病院周辺を活動地域としてヒーロー業務を行い備えている。

 

 事態が動いたのは拉致事件から三日後、病院内部のスパイから『殻木が地下に消えた』という報告と病院地下を遠距離から透視するチームから『内部に脳無確認』と報告が来た。

 これで、AFO確保後に殻木を確保する事が出来る。

 透視するチームには感謝しかない、彼らはAFOに感知されない距離から個性増強剤を飲んで監視にあたってくれたのだ。

 そして表でも動きがあった。

 複数の出入りがある潰れた地下バーと脳無らしき影が見えた倉庫の情報が警察にもたらされた。

 この情報を便りに雄英高校と警察は協力して殴り込みをかける。

 

 拉致事件から5日後、雄英は記者会見を開いている。

 今は記者が相澤先生を挑発しているシーンだ、今頃死柄木はこのシーンを使って爆豪を口説いてる所だろう、そしてフラれた上でヒーローに殴り込まれている所だろう。

 AFO逮捕の為に協力をお願いしたヒーロー以外の武闘派ヒーローたちは後日殻木確保及び施設の破壊に協力してもらう予定だ。

 彼らもあの惨状を見た後なら全力で事にあたってくれる筈だ。

 SNSでは既に神野周辺の出来事が発信され始めた。

 公安委員会も全力で事にあたっている。

 

 

 …まてよ、今この施設には俺と家族、そして護衛のテレポン以外いない。

 いくら全力で事にあたっているとはいえ、この施設に俺の関係者以外いないなんてあり得るか?

 

「っテレポン!両親をホークスの元に飛ばせ!」

 

 テレポンのヒビが増える、強制的にテレポンに命じて別の部屋の両親の元に飛ばす。

 そして俺に衝撃が走ったのは指示のすぐ後だった。

 

「はぁはぁ!…くそが、ご丁寧に一直線に来れるようにセキュリティ外しやがったな。」

 

 日頃の訓練が生きた。

 恐らく敵は壁ごと俺を潰すつもりで攻撃を仕掛けてきた、幸いテレポンの過激な訓練のおかげで受け身を取れたがダメージは0ではない。

 起き上がって敵を確認する。

 

「嘘だろ…!?ギガントマキアかよ!?」

 

 そこにいたのは巨人だった、筋骨隆々で背中は山のように尖っている。

 公安委員会にも異形系の個性はいるから通路はわりと広く出来ているけど、通って来れるのか。

 どうでも良いことに構ってる場合じゃない!

 

「あの方の声を聞け…」

 

 首にかけたラジカセをギガントマキアは此方に向けてきた。

 

『やぁ、これが再生されているという事はマキアはたどり着いているんだね、本当は僕自身が出向いてあげたかったんだけど、これから忙しくてね、千手扉間君。』

 

『まさか僕の計画を見破る人間が現れるなんて思わなかったよ。昔喧嘩別れした友人がヒーローが乗り込む直前に教えてくれてね、彼も彼だ、あんな直前に教えるなんて、咄嗟にマキアを君に差し向ける位しか出来なかったよ。』

 

『計画は止められない、僕の敗けだ。だからこれは悪あがき、マキア彼を捻り潰してあげて。』

 

 俺の情報を教えた糞はAFO逮捕と同時にAFO並みに危険な個性持ちである俺を処分したいのだろう。

 だから、計画変更出来ないタイミングでAFOに教えて刺客を俺に向かわせた。

 個性に関して触れてこない辺り、上手く隠して伝えたのだろう、流石公安と言った所か。

 AFOの録音が終わりマキアが此方に迫ってくる。

 スピードは案外速い、ホークスに比べたらゴミだけど狭い屋内じゃ十分な速さだ。

 AFOの命令通りに潰す為の手のひらが向かってくる。

 ああ、これ死ぬな。

 でもまぁ両親を逃がせて良かったし、俺が死んだらテレポンは自由だ、握り潰されて死ぬなんてまあ報いとしては悪くないかもな。

 俺は迫るギガントマキアを前に目を閉じた。

 

 

 




本当は煮えたぎる位怒ってるAFOですが、流石にオールマイトは無視出来ないしマキアを差し向けました。
尚、個性を知っていたら計画放り投げて自分が向かった模様(バットエンド)

本編で明かされる事ない話

密告した公安の人は元AFOの信奉者で色々あって目を覚ました。優れ過ぎた個性は危険という考えの元に動いている、公安委員会内部にAFOの信奉者がいないのは彼のおかげ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホークスはヒーローな件

今回短いだす。


「簡単に諦めないでほしいな。」

 

 衝撃が来ない、その代わり誰かに抱えられている感覚と浮遊感、そして何時もの軽い声。

 目を開けて確認すると間下にギガントマキア、そして見上げると。

 

「ホークス!家族は!?」

 

「君の両親は俺個人の安全な所に預けた、取り敢えず逃げるよ!」

 

 ホークスが加速し一気にギガントマキアから距離を取る。

 俺は加速の風圧で目を閉じてしまう。

 このまま逃げられれば良いが奴は鼻が効く、すぐに振り返り此方に向かってくるのが遠ざかる破壊音で分かる。

 

「よし、取り敢えずここまで逃げれば大丈夫。」

 

 浮遊感がなくなりホークスに下ろされた、辺りを見渡すとまだ施設内なのが分かる。

 

「ここは?」

 

「特別収用室、この施設で一番頑丈な場所。」

 

「…俺をここで殺す気ですか。」

 

「いや違う違う!ここに来たのは闘う為だよ、取り敢えず首失礼。」

 

 ホークスが武器として使っている剛翼を俺に向けて一閃し、ポトリと首輪が外れた。

 外して大丈夫なのか?

 

「大丈夫大丈夫、それダミーだし、今は緊急事態だから事故で外れたみたいなもんだよ、二度と付けさせないから安心して、取り敢えず奥へ進むよ。」

 

 さらっと重大な事を言ってくれたが、今は緊急事態、後で聞こう。

 ホークスと並んで収用室の奥へと走る。

 飛んだ方が合理的かと思ったが羽が半分ない、恐らくギガントマキアの足止めに使ったのだろう。

 そういえばテレポンは何処行った、指示してから全ての制限は解除した為、念じても場所がわからない。

 

「彼女は少しお使いを頼んだ、そろそ「ホークス!言われた物、持ってきましたよ!」

 

 人のセリフに被せるようにしてアタッシュケースを片手にテレポンが飛んできた。

 

「よし、扉間君はステイン事件の時に現れた脳無の事を覚えている?あれが今向かっている場所にいる。」

 

「…良いんですかそれ?」

 

 ホークスのセリフから何をしようとしているか把握できた、だかソレは…

 

「守ると言ってこのザマだし、俺の上司は許可している。」

 

「お?仲間増えるんですか?良いですね~、戦隊組んじゃいますか!」

 

「因みにここの情報漏らしたの公安委員会の人間らしいんですが?」

 

「少なくとも俺の上司ではないよ、そんな人なら着いていかないし。」

 

「あれ?無視ですか?ちょっとさっきのジョークはないかな~と思ってますが。」

 

 うるさいテレポン、今はシリアスなんだ。

 目の前の扉が見えてきた所で、後ろから破壊音が聞こえた。

 

「まじかよ、あの扉オールマイトでも10分持つって聞いてたのに、取り敢えず中へ!」

 

 ここまでの通路は一直線だから障害はないし、地下なので崩落の危険がある。

 中へ入ると、そこには拘束された脳無が三体いた。

 

「個性使ったらすぐに上に飛んでもらう!」

 

「今さら何ですが、蘇らせる対象は大丈夫なんですかね?」

 

「そこは実力も人格も保証するよ!」

 

「なら遠慮なく!」

 

 生け贄の脳無に関しては、特に罪悪感もない。

 渡されたアタッシュケースの中身を取り出して個性を連続で発動させていく。

 三つの塵の棺にテレポンがマーキングを施して俺達は一気に地上に飛んだ。

 

 




短いですがここまで!
次回登場させるヒーローが思い付かない訳じゃないんだからね!
今の所候補が出来たけどマキアに勝てるビジョンが思いつかない…

因みに、ホークスは自分の羽何本かに事前にマーキングを施させており緊急事態用に必要な場所に羽を置いてテレポンを活用出来るようにしています。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大決戦な件

新キャラ思い付いてもマキアに勝てるか?と原作最新話見ながら考えると難しい。

元々デカイのに巨大化、高揚を運動エネルギー(マゾ?)、異常な体力、痛覚無効、優れた五感…勝てんのかなぁ?


 地上ですぐに三体の穢土転生体に現在の状況とホークスとテレポンの個性の内容を送る。

 

「えーお三方、色々説明すべき事がありますが、助けてください。」

 

 既に地響きが起こっている、色々と説明したり交流したりが必要かも知れないが時間がない。

 

「「「わかった!」」」

 

 今彼ら三人に縛りは殆どない、俺やホークスへの暴行禁止以外の命令はしていない。

 この即答は彼らの本心!

(本当、ヒーローってかっこいいなぁ。)

 

「…蘇りの個性、ぶっ飛んだ個性がいつか現れるとは思っていたがここまでとは、それにAFOがまだ生きていたとは。」

 

 白髪だが老いを感じさせない筋骨隆々な老人。

 

「死んでもヒーローやれるとか最高だな。」

 

 黒のライダースーツとマスクの青年。

 

「俺を求めるなら答えなくちゃなあ!」

 

 全身に赤い刺青の入った半裸の男性。

 

「本当は五人だと良いのですが、紅一点なだけ良しとしましょう。」

 

 黙れテレポン。

 

 

 

 口火をきったのは老人からだった。

 

「今の状況は理解出来た!時間もない!

 ホークス君とやら周囲は安全か!」

 

「ええ、ここら辺は山の中で他人の立ち入りはありません、公安の土地なので思いっきりやってください。」

 

「よし、なら先ずは我々三人の個性の確認だな!

 ワシはヒーロー名Plus Ultra!個性は限界を超える個性!生前は雄英高校の校長でもあった!」

 

(え、その個性で校長ってまさか…。)

 

 ホークスに目で確認する、ホークスは黙って頷いた。

(初代雄英校長というか創設者かよ!)

 

「校長というか創設者でしょ貴方。

 じゃあ次は俺ね、グラディエーター、個性は重量操作、自分の体重を自由に出来る。」

 

「あんたの後だと俺達の自己紹介が地味になっちまう、俺様は熱量ヒーローカロリ様だ!個性は熱量操作!熱を蓄えたり放出したりの万能神個性さ!」

 

「うむ!皆良い個性だ!褒め称えて上げたい所だが、地響きがでかくなっている!ホークス君、扉間君と一緒に高く飛べ!扉間君!君の視界を我々に見せてくれ!テレポン!全員にマーキングをしてカロリ君と後方待機!迎撃は私とグラディエーター君で行う!」

 

 Plus Ultraの指示に従い、俺とホークスは空へそして俺の視界を彼らの脳内に投影する。

 投影が上手くいったからか、Plus Ultraが此方に笑顔でサムズアップを向ける。

 テレポンは三人にマーキングを施した後、カロリと共に後方へ離れる。

 残った二人はそれぞれ構えを取って待機している。

 

「さて!不死の体とやらはワシの限界突破に耐えられるか!」

 

「自壊しても問題ないなら取り敢えず生前最大加重を叩き込みますか。」

 

 ギガントマキアが現れたのは全員が配置についたその時だった、施設の入り口があった場所を破壊しながら俺が遭遇した時の倍以上の大きさになって飛び出してきた。

 最初に動いたのはPlus Ultraだった。

 

「先ずは一発!

 Plus Ultra Buster!!」

 

 飛び出してきたギガントマキアより高く飛び上がり、拳を叩き込んだ。

 その拳はギガントマキアは一気に地面にめり込ませた。

 そこにふわりと浮かんだグラディエーターが更に一撃を加える。

 

「校長一人で良い気がするけど、だめ押しで。

 急転直下100丁蹴。」

 

 めり込んだ、ギガントマキアの真上に飛んだグラディエーターは飛び蹴りの姿勢のまま一気に加速して蹴りを叩き込んだ。

 グラディエーターの蹴りはあのギガントマキアの皮膚に突き刺さっている。

 

「止めは貰うぜ、

 スティールハンド<絶対零度の右手>!」 

 

 グラディエーターと位置を入れ換えたカロリがグラディエーターが突き刺さった部分に手を添える。

 添えた瞬間にギガントマキアの体を霜が覆い、カロリの背中から炎が上がる。

 

(強すぎる!)

 

「不死の特性を生かした上で彼らを選んだけど、先ずはPlus Ultra、彼は自分の限界を超えた身体能力を引き出す個性、生前は強すぎる力で自壊してしまうのが欠点、次にグラディエーター、彼は自分の体重を最低は0、最高はいくらでも増加出来るけど、体が加重に耐えられなかった。カロリは熱を吸収したり放出出来るけど、蓄えられる熱量に限界があったんだ。」

 

 ホークスの説明を聞いて納得した。

 今の彼らは自分の体という枷を気にせずに個性を使用出来るからここまで強いのだ。

 自壊を気にせずに殴ればオールマイト並みの威力、自壊を気にせず加重すれば最強の槍に、自壊を気にせず熱を吸えるのだから触れた瞬間に凍らせられる。

 

 

 このまま封殺かと思ったが、様子がおかしい。

 カロリの背中から炎が消えない。

 

「オイオイ!どうなってんだコイツァ!さっきから全開で熱を吸ってるのに芯まで凍らねぇぞ!」

 

 (ギガントマキアは複数の個性移植に素で耐えた怪物…

まさか!)

 

「ホークス!更に上空へ!テレポン!全員を下がらせろ!」

 

「我が主ぃいいいいいい!!」

 

 ギガントマキアの咆哮と共に衝撃が襲いかかった。




というわけでこんな感じになりました。
一点悩みというか、書き終わってから気付いたのですが過去に読んだ二次創作に似た個性が登場してるんですよね、やっぱり不味いかなあ。

アンケート取ります。

わざわざアンケートとる理由としては作ったキャラが単純に気に入っていて、個性変えるならキャラも変わる可能性高いので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハメ倒す件

前回は色んな反応ありがとうございます!
アンケートや意見を見て個性被りは気にしない事にします。



「…っ!?」

 

「気がつきましたか扉間君!」

 

 さっきの衝撃波で気絶していたのだろう、隣でホークスも座って休んでいる。

 どうやらテレポンが助けてくれたらしい、Plus Ultra達も俺を守るようにしてギガントマキアに警戒している。

 ギガントマキアはさっきの位置から動いていないが、此方をしっかりと見ている、まだ手足が凍っているのだろう。

 

「あれで決まりかと思っていたが!舐めていたな!それに不死の体を舐めていたな!」

 

「確かに、あれくらいの自壊ならもっとやれますが、敵も敵で怪物過ぎませんかね。」

 

「さっき触れた感じ冷やすのは無理だ、焼くしかねぇ。

 時間をくれ、そしたら不死ならではの一撃をくれてやる、さっきみたいに穴開けてくれや。

 おい、ホークス!ここ以外で潰していい山はあるか!

 あと、坊主!俺の準備ができたら合図を送りたい、念話出来るか!」

 

「分かりました、近くの山まで羽を飛ばすのでテレポンに飛ばしてもらって下さい。」

 

「此方が覗く感じになりますが可能です。」

 

 三人とも相手の怪物度合いと自分の不死加減を理解したようだ。

 ホークスがマーキング羽を一枚別の山へ飛ばして、テレポンが入れ換える形でカロリを飛ばす。

 

「よし!取り敢えずワシが前に出て注意を引く!その間にテレポン君がマーキングして宙に浮かし倒す!そこにワシがグラディエーター君をぶん投げて穴を開ける!そこをカロリ君が焼く!」

 

「俺槍ですか、まぁいいですけど。」

 

「敵の攻撃も私が飛ばして回避させます!ホークスの残りの羽をマーキングするので援護頼みます!」

 

 再びホークスが俺を抱えて高く飛ぶ、だがさっきよりスピードが遅くなっている。衝撃のダメージで羽が減ってしまったのだ。

 このスタイルでの戦い方が出来るのはこれで最後だろう。

 Plus Ultraがさっきまでより更に速くギガントマキアへと迫る。

 

「不死の凄さはよく分かった!さっきの一撃は腕にヒビが入る程度だったが、今回は遠慮なし!

 Plus Ultra Rush!!」

 

 まだ動けないギガントマキアに連続打撃を放つPlus Ultra、爆発音のような打撃音が響きギガントマキアの皮膚が破裂していく。

 そしてその隙にテレポンがマーキングをギガントマキアに施す。

 だが、ギガントマキアは無視するように此方を見ている。

 

「ホークス、あれ痛覚なさそうですよね?普通なら呻くとか気絶とかしそうなんですが。」

 

「というか、さっきよりでかくなっているよアイツ。」

 

 ホークスのいう通り、全身の霜が溶け始めると同時に徐々に体が大きくなっている。

 

「邪魔だ!」

 

 ギガントマキアがPlus Ultraを払い除けようとするがギリギリでテレポンが飛んできて回避した。

 軽く腕を払ったように見えるが、それでも暴風としか表現出来ない風が此方まで迫ってくる。

 そして、穴から出る為に両腕を使い這い出てくる。

 それをグラディエーターは許さない。

 

「…!?」

 

「背中失礼、乗り心地悪いな、今回は加減なしの無限加重だ。」

 

 穴から出ようとした不安定な体勢のギガントマキアがいきなり現れた重さに沈みこむ、グラディエーターの加減なしの自壊前提の全力加重、オールマイトでも持ち上げるのは不可能だろう。

 これでギガントマキアが完全に封じ込めた、後はカロリを待つだけだ。

 

(準備出来たぞ坊主!)

 

「カロリの準備が出来ました!皆さんお願いします!」

 

 ホークスが羽を三枚上空へ飛ばし、テレポンがPlus Ultraとグラディエーターを上、下にギガントマキアとなるように飛ばす。

 

「さて!準備は出来てるかグラディエーター君!ワシ等の全身全霊の投擲を見せてやろう!」

 

「加重0に戻しましたし、体勢もOKです。」

 

Plus Ultraの体が輝きだす。

 

「Plus Ultra!Over Lord !」

 

 輝きと共にグラディエーターを真下にいるギガントマキアに投擲する。

 

「自重加重 無限」

 

 全身全霊の投擲に無限の加重によるインパクトが加った必殺の一撃は地面に、否、地面を割り更に深く底の底へとギガントマキアを叩きつけた。

(腰まで刺さったぞ。)

 グラディエーターからの念話を確認してテレポンに指示を出す。

 

「テレポン!グラディエーターさんとカロリさんの位置を入れ換え!カロリさん後は頼みます!」

 

「何で私だけ呼び捨て何ですかねぇ!」

 

 騒ぎながらテレポンはカロリとグラディエーターの位置を入れ換える。

 

「任せろ坊主!山一つ分の熱量を喰らいな!

 インフェルノ666<絶体絶命の大炎海>!」

 

 地の底、Plus Ultraの投擲で出来た谷の底が炎が吹き出し、大地が燃える。

 

「おっと!」

 

 谷底からの火柱は上空にいる俺の目の前まで高く伸びてきたのでホークスが慌てて避ける。

 

 

 

 一時間程経ち、ようやく火柱が降りていった頃、カロリから念話が入った。

 

(坊主終わったぜ、奴さんの手足は完全に焼けたが、まだ生きてるから今度は冷凍しといた。)

 

 ホークスに念話の内容を伝え、テレポンにカロリと焼けたギガントマキア、グラディエーターを呼び戻すように伝えた。

 

「嘘、生きてんのかよ…、奴を封じ込める監獄とかあるのかなー。」

 

 

 地面には、Plus Ultraの下半身とカロリ、グラディエーターとテレポンが揃っている。

 流石に上半身すべての再生には時間がかかるみたいだ。

 そして、ギガントマキア。

 

「すみませーん、地面熱すぎて降りられないんで冷やしてもらって良いですかー。」

 

「おっとすまねぇ、ダメージないから気付かなかったぜ。」

 

 カロリが片手を当てて、地面を冷やす。

 地面に降ろしてもらってギガントマキアの状態を遠目に確認する。

 手足は焼け落ち、全身が炭化してるように見えるが生きているらしい。

 

「カロリさん、生きてるんですか?」

 

「おう、完全に焼いたと思ったがまだ心臓が動いてやがる。手足は完全に焼いたから再生しないと思うが気を付けた方が良い。」

 

 その言葉を聞いて腰が抜けてしまった。

 あの炎を浴びて生きている怪物から生還出来たのだ。

 

「む!どうなった!焼けてるな!成功か!」

 

 Plus Ultraの再生も終わったようだ、これで被害は凍った山一つと、砕けて谷が出来て燃え尽きた山だけとなった。 




バトル描写が難しい、大味過ぎるけどこれが限界。
いつか気が向いたら書き直そう。
ギカントマキアの怪物ぶりを書きたかったが、耐久力やスタミナに注目した結果あんな感じになりました。
山一つ分の熱量食らって生きてる時点で化け物ですよね?

戦いと怪物ぶりを簡潔に説明すると

全力投擲+超質量の一撃に耐えきれなくなって山が割れて地の底までギカントマキアが叩きつけられる。

別の山一つ分の熱量を体の内側からぶちこまれる

体の8割以上炭化して生きてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

後日談な件

生きてる事に皆驚いているけど、万が一スペックが明らかになった時の保険でもあります。
流石にこのタフさを越えてこないよね?



 後日談というか今回の顛末。

 表側の話はAFO逮捕とオールマイトの引退、そして殻木も逮捕出来た。

 脳無研究施設やAFO移植実験施設は完璧に解体された。

 今は警察とヒーローの一部が全力を上げて敵連合を追っている。

 黒霧がギガントマキアを探しにいく可能性が低いだろうから捕獲にはかなり時間がかかるかもしれない。

 

 ここからが裏の話。

 取り敢えずギガントマキアについてはタルタロスではなく専用の監獄を作ってそこにぶちこまれる事になった。

 今はカロリが四六時中凍結させている。

 さっさとぶち殺してしまえと思うが、俺が言うのも何だがこの国は法治国家である。

 罪状を確認して裁判やって死刑という流れは守らなければならない。

 後、襲撃があった日に公安委員会のNo.2が自殺していたらしい、自宅に火を付けて焼死していて遺書は見つかってないが死ぬ前に公安のサーバーに警察や官僚、政治家等のAFOの信奉者と見られるリストを残していて、その中に自身の名前もあったと聞いた。

 こいつが俺を殺そうとした糞野郎なのは間違いないが、死体が焼けていて遺伝子情報が取り出せず確認が出来ない、だがこのリストは公安の役に立つだろう。

 

 それとギガントマキア逮捕は俺の功績として公安委員会は正式に認めた。

 GPS以外の全ての監視の解除と呼び出した穢土転生体については緊急時の対応として認められて、今後解除しなくて良いと通告があった。

 解除については彼らと話し合う必要があるが強制的に解除しなくて良いのは嬉しい。

 それと、昇進もした。

 俺はホークスと同列の立場になりホークスの上司直属の部下になる。

 ちなみにその上司は今回の一件やらNo.2の自殺やらで公安のトップになる事が確定した、つまり俺は公安トップの懐刀的立ち位置らしい。

 待遇が良くなり過ぎる気がするがホークス曰く、『戦力的に手放したくないのと失った信頼を取り戻したいらしいんだってさ。』

 今後は公安の秘密兵器として活躍してください!何でもしますから!って感じだ。

 今までの対応に関しては理解出来るというか温いというか、あのタイミングで処分したい気持ちも非常にムカつくが理解できるのでそこまで気にしてない。

 俺が真っ当に生きる為には公安の立場が必要だし、待遇が良くなるなら願ったりかなったりだ。

 取り敢えずこれで一件落着としておこう。

 

 呼び出したヒーロー達は俺の元に残ってくれた。

 理由としてはPlus Ultraは

『子供を守るのは大人の役目さ!』

 グラディエーターは

『俺は誰かを助けたくてヒーローになったんだ、不死は寧ろ歓迎さ。』

 カロリは

『坊主を守る必要もあるし、ギガントマキアみたいなやベー奴がまた現れないとも限らねぇからな。』

 テレポンは

『君を一人にするのはヒーローとして失格です!』

 

と言って残ってくれた。

 俺としてもあの力を知ったら解除した後の衝動が強くなるのは目に見えているので正直非常に助かるし彼らのヒーロー精神に敬意を抱いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺は今、バカンスに来ている。

 

「どーですか!扉間君!お姉さんの水着は!!」

 

「胸も尻も血色も無い女の何処を褒めろと?」

 

 血の気が無いとどんな水着を着た美人でも一切興奮しないことが分かった、性的趣向まで個性に引っ張られなくて良かった。

 

 バカンスの理由としては、監獄でAFOが俺の名前を呟いた事がきっかけだ。

 その呟きについて警察が調査しているらしく、公安が俺の存在を隠すために、ほとぼりが冷めるまでバカンスにいっておいでという事だった。

 何処かの田舎で良かったのだがテレポンが『海行きましょ!海!』と騒いだので沖縄の那歩島に行くことになった。

 那歩島と言えば映画の二作目の舞台だが、殻木逮捕の時に実験台であったナインも確保されているので事件なんか起きない。

 そのうちA組が来るかも知れんが、俺達が事件を起こさない限り接触はないだろう。

 取り敢えず、人気の無い砂浜でビーチェアに座りながら、ボーッとするのは良い事だ。

 目の前で崩れ落ちたテレポンを見ながらそう思った。

 




取り敢えず次回はバカンス回です。
ほら水着回だぞ!土気色でひび割れてるけどな!

感想では今回の件で公安のけじめどうすんねん的な意見ありましたが、取り敢えず最終兵器とした万全のケアを施すのと公安トップの直属の部下として周囲から守る形になりました。
主人公が比較的真っ当に生きるためにも公安必要ですし。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

満喫な件

筆が進んだけど、バカンス一話で終わりました。




 A組が来たときはその時に考えよう、今は彼らみたいにバカンスを満喫したい。

 グラディエーターは自分の個性を使い、沖で文字通りの海中散歩をしている。

 呼吸は要らないし、目に海水が染みなくてとても楽しいらしい。

 Plus Ultraはひたすら泳いでいる、無限の体力で生前の記録を越えたいらしい。

 カロリは今昼飯の準備をしてくれている。

 料理が趣味らしく公安パワーで揃えた海の幸を前にワクワクしていた。

 テレポンは水着に着替えてるのに泳がず崩れ落ちている、砂を感じたいのだろう。

 そういえば個性の成長というか穢土転生体の再生について服をON/OFF出来るようになった。

 テレポンが水着を着たいと駄々をこねたので試してみたらいけた。

 ちなみにグラディエーターの素顔は黒髪イケメンだった。

 

 

 カロリから料理が出来たと声をかけられたので全員砂浜から泊まっているコテージに移動する。

 カロリの料理は絶品だった。

 個性を生かして食材毎に最適な熱量を加えて焼いたから全てが旨い。

 テレポン以外が旨い旨いと食べ進む。

 ちなみに、三人とも消化出来ない事を伝えてある。

 

「ふむ?テレポン君は何故食べないのだ?我々は消化は出来ないが味を楽しめる、勿体無い気持ちは少しあるが我々に用意された食事を消化されないとは言え残すことも失礼だよ?」

 

 Plus Ultraが教師らしい物言いでテレポンを諭すように質問した。

 テレポンはとても食べたそうにしてるが、手が伸びない。

 

「もしかして、海産物ダメか?ならこの後ステーキも焼くからそっちならどうだ?」

 

 カロリも心配してステーキの提案をしてくる。

 テレポンもステーキの単語を聞いて、目が『食べたい!』と告げてくる。

 

「まぁ、彼女なりのポリシーとかあるかも知れませんし。」

 

 グラディエーターの配慮に、テレポンはグッと我慢を強めた。

 

「もしかして、まだ配管を気にしているのか?」

 

 俺の質問に睨み付ける事で返答してくる。

 三人が「配管?」と首を傾げているので、無言であの時の記憶を見せる。

 三者三様の反応を見せた。

 Plus Ultraは、まるで教え子を眺めるような慈愛の目でテレポンを見た。

 グラディエーターは残念な者を見るようにテレポンを見た。

 カロリは大爆笑している。

 三人の反応を、というかカロリの大爆笑を見てばらした事に気づいたのだろう。

 

「ばらしましたね!扉間君!あー!もう良いです!」

 

「いや、量考えれば済む話だろ。」

 

 全員にバレた事で吹っ切れたのか、俺達以上の勢いで食べ始めた。

 

「ちくしょう!旨い!カロリさん!ステーキを早く!」

 

 食べるのは構わないが良く噛めよ。

 

 

 その日の午後、砂浜でテレポンを見た人間はいなかった。

 

 

 

 こんな感じで最初の3日間はバカンスを楽しんでいのだが、四日目の朝。

 

「強化合宿の始まりである!!」

 

 朝食時にPlus Ultraが突然宣言し始めた。

 他の三人が驚いていない辺り話し合って決めたのだろう。

 

「わしらは不死身だが、扉間君は生身!わしらが24時間不眠不休で護衛をするが世の中に完璧など存在しない!故に扉間君を鍛え、最低限の危機に立ち回る力が必要である!」

 

 ぐうの音も出ない。

 こうして、バカンスは終わり真夏の強化合宿へと変貌した。

 それから一日のスケジュールはこんな感じに変わった。

 午前中は六時に起きて朝食前の砂浜ランニング、朝食後は各種筋肉を鍛えるためのサーキットトレーニング、昼食後は一時間の休憩の後にひたすらグラディエーターとテレポンとの実戦練習、夕食後は柔軟を行い9時就寝。

 午前中の監督はPlus Ultra、生前教師だった為指導はしっかりしてるが熱血だ。

 午後はテレポンから逮捕術を習い、グラディエーターからはグラディエーター独自の格闘技を習う。

 グラディエーターから習う格闘技は急所を狙う容赦ない技で、本番では『初撃で敵の動きを止めて、逃走の時間を稼げ。』と言われた。

 カロリは食事や飲料のサポートと柔軟の補助を行う。

 地味だが非常に有り難かった。

 筋トレに最適な栄養素を兼ね備えた旨い飯と柔軟の際に筋肉を温めてほぐしてくれたりと今回の合宿でMVPを送るならカロリだろう。

 

 そんな合宿を行って三週間が経過して、ホークスから帰っておいでと連絡がきた。

 




没ネタ

食事にて

「いや~、やっぱり勿体無いじゃないですか!あっ!私から出てきたモノを「言わせねえよ!」


A組フラグ出したけど、今って時系列考えると入寮行脚中なんですよね…
なのでA組は来ないです!冒頭の主人公の考えはバカンスでボケてるって事で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

プロフィールな件

物語が一区切りついたので穢土転生されたヒーロー達のプロフィール紹介です。

テレポン追加編集


ヒーロー名 テレポン

本名 転井 飛美

没年 24才

個性 マーキングテレポート

 両手の平にあるマーキングスタンプを場所や物に張り付けることで、マーキングした物と自分、マーキングした物同士を入れ換える。

 自分以外の入れ換える対象の重量や距離でカロリーを消費する。

 

ヒーローとしての活躍

 活動時期は10年位前。

 個性と逮捕術を駆使して戦うスタイルと容姿からヒーローチャートでは上位に入る実力と人気がある。

 地元では明るく残念な性格から『実力のあるマスコット』と呼ばれていた。

 穢土転生としては、個性のカロリー制限がなくなったので自由自在に飛べる。

 死因は餅による窒息死

 

 

ヒーロー名 Plus Ultra

本名 越後 無限

個性 Plus Ultra

没年 96才

 自身の限界を越える個性、生前は限界を越えすぎるパワーを引き出すと体が持たないというデメリットがある。 

 

ヒーローとしての活躍

 活動時期は超常黎明期。

 自身の体を限界を越えて鍛えて戦闘で更なる限界を越えたパワーを引き出して戦うスタイルで長年戦ってきた。往年、雄英を創設、初代校長としてヒーロー活動をしながら後進の育成にも力を入れた。

 また、当時AFOとその信棒者達と最前線で戦っている。

 穢土転生として蘇ってからは再生能力を生かした自壊前提の限界突破を行う事で超パワースタイルで戦う。

 死因はとある敵の一撃を相殺するための限界突破による自壊。

 技名は基本英語

 

ヒーロー名 グラディエーター

本名 麗日 重士

没年 28才

個性 自重操作

 自身の体重を自由に操作出来るが強度を上げる訳ではないため、加重しすぎると自壊してしまう。

 

ヒーローとしての活躍

 活躍時期は黎明期末期

 雄英出身の為Plus Ultraの事を知っている。 

 戦闘スタイルはインパクトの瞬間に加重して攻撃、相手の物理攻撃に対して体重を0にして受け流す等の対人格闘のスペシャリスト。自身の弱点である強度をカバーするために軽くて頑丈な素材で出来たボディーアーマーとマスクで戦う。

 穢土転生後は自壊前提の超加重による戦闘を行う為、すべての攻撃が一撃必殺。

 死因はある事件で見つかった時限爆弾から周囲を守る為に爆弾を抱えて海の底へ沈み爆死。

 余談だが麗日お茶子の遠い親戚にあたる。

 技名は日本語

 

ヒーロー名 カロリ

本名 寒 暖

没年 32才

個性 熱量操作

 触れた対象に熱を与えたり、奪ったり出来る。

 普通の人間より熱に耐性があるが一度に操作出来る熱量や溜め込める熱量に限界がある。

 

ヒーローとしての活躍

 活躍時期は15年位前。

 ヒーローとしての活躍は相手や周囲から奪った熱を一点放出して高温を敵にぶつける中距離型ヒーロー。

 個性を生かすために上半身裸で刺青まみれなので主婦層からの人気がない。

 穢土転生後は細胞が燃えない為一度に操作出来る熱量、貯められる熱量が大幅に上昇した。

 死因はとある火災現場での人命救助中の過剰な熱吸収による焼死。

 技名はカタカナでルビをふる。

 

 

 

 

「改めて思うけどやっぱりテレポンだけ残念だよな。」

 

「やっばりって何ですか!やっぱりって!」

 

「普通、動物系の個性じゃなきゃマスコット何て言われてない。」

 

 

「愛嬌があったんですよ!愛嬌が!!ムキー!」

 

「バナナ食べるか?」

 

「あっ、頂きます!」




次回から第二部です。

投稿が一月も続くとは思ってませんでした、皆さんの評価や感想がモチベーションになりました!
今後ともやる気がある限り更新していきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

会談な件

第二部はじまるよー!


「オールマイトに会って欲しい?」

 

 バカンスという名の合宿を終えて初めての新上司からの連絡は命令ではなくお願いだった。

 何でも箝口令を敷く前にAFOが牢屋で俺の名前を出した事がオールマイトの耳に入ってしまったらしい。

 オールマイトは俺の捜索に箝口令が出た事も相まって今もヒーロー時代の伝手を使って捜索してるらしい。

 既に俺が書類上しか高校に所属してない件や中学生の時に公安に保護された事は知られているらしく、公安としても俺をオールマイトが探している状況は歓迎するものではない為、殆どの情報を伏せて『頭脳を買って公安で協力していること、彼がAFOの裏の計画について暴いてくれた事』を伝えたら、是非お礼がしたいとのことだそうだ。

 公安としては長年、平和の象徴として社会を守ってくれたオールマイトの貢献に報いたい気持ちもある為断りづらく、本人次第と答えたという事だ。

 俺としては正直、オールマイトの貢献に応えられるなら構わないが、AFOと殻木逮捕は俺の為という側面もかなり強い為、感謝されるのはむず痒い。

 取り敢えず四人に聞いてみる。

 

「ワシ個人としては会ってみたい!生きてOFAを次代に継承した彼には興味がある!しかし、扉間君の安全を考えると直接会うのは控えるべきだな!」

 

「俺もPlus Ultraに賛成かな、向こうも色々とあるだろうし電話で話くらいは聞いてあげれば?」

 

「会う会わないは、坊主次第でいいだろ。」

 

「オールマイトの気持ちは分かりますが、私は反対です!例え電話でも監視されている可能性があります!なので私が代わりに会いましょう!扉間君!色紙持ってますか!」

 

 テレポンが建設的な事を言ったと思ったらこれだ。

 だがテレポンの考えにも一理ある、オールマイトの周辺が100%善人とは言い切れない。

 ホークスにも電話で相談してみるか。

 

『そこまで疑心暗鬼になる必要ないと思うよ。引退したあの姿見たら敵も監視しようとは思わないし、寧ろ裏社会も混乱してる今しか連絡出来ないかもね。』

 

 確かにAFOがいなくなった今、裏社会は次の支配者の椅子に座るべく様々な組織がにらみ合っている。

 オールマイトの監視より、隣人の監視の方に忙しいというわけだ。

 表も表でマスコミはオールマイト引退騒動は落ち着いてきている為、オールマイトの周囲にマスコミの影はない。

 確かに会うなら今しかないだろう。

 結果、グラディエーターの意見を採用してオールマイトと電話で話す事になった。

 その事を公安が伝えるとオールマイトは此方の事情を察したのだろう、電話での会談を了承してくれた。

 電話は此方からかけてくれて構わないとも言って公安に電話番号を渡してきた。

 

 電話番号を渡された次の日の夜。

 

「それじゃ電話するぞ、確認だが四人とも静かにたのみます。特にテレポン。」

 

「何で私だけ名指し!そして呼び捨モガッ!」

 

 念じた方が確実だな。

 テレポンの無力化に成功したので電話をかける。

 

 prrrr…

 

『もしもし、八木です。』

 

「もしもし、千手扉間と申します。今お時間大丈夫ですか。」

 

『おお!千手少年か!ありがとう、私の我が儘に答えてくれて!今は丁度部屋で休んでる所だから大丈夫だよ!』

 

 やっぱり人が出来ている。

 取り敢えず、向こうも用事が無いようで助かった。オールマイトにかけ直す勇気は流石にない。

 

「なら良かったです。」

 

『改めて、ありがとう。私も奴を捕まえて終わりだとは思っていなかったが、まさか奴は自分の個性を後継者に移植させようと考えていたとは思わなかった。

 もし君が居なければ、次の世代にとんでもない悪を残す事になっていた。本当にありがとう、千手少年。』

 

「…オールマイト、俺は貴方にそこまで感謝される程の男じゃありませんよ。

 俺はAFOを釣り出す為に林間合宿での襲撃を予期した上で公安に見過ごさせたんです。」

 

 感謝に耐えきれなくなり打ち明けてしまった、俺がAFOの計画を完全に潰す為に雄英生の危機を見逃した事を。

 あの神野の事件は本来AFOが死柄木から離れる為の卒業式で、あえて誘導させられていた事を。

 殻木という医者がAFOの協力者である事を早い段階から突き止めていて、殻木の病院の地下にAFOがいる可能性が高い事を突き止めていた事を全て打ち明けた。

 全ての行いは正義の為ではなく俺の安全の為に行った事だ、オールマイトに感謝される資格はないのだ。

 四人にも概要は説明しているが、ここまではっきりと説明はしていない。

 テレポン達と俺、そしてオールマイトの間で沈黙が保たれた。

 

『扉間少年、君の言い分が正しければ確かに君は雄英生徒諸君を見捨てたのは事実だ。』

 

「…」

 

『だが、君はその事を私に打ち明けてくれた!隠して賞賛を受け入れるのを拒み、罰を求めた!その精神を私は尊敬する!

 そもそも彼らを守りきれなかったのは我々大人の責任!そして、AFOを過去に倒しきれなかった私の責任でもある!

 だから扉間少年!私は君を許す!』

 

「…オールマイト。」

 

『もしそれでも君が君を許さないのであれば!いつか彼らに直接謝罪するといいさ!

 大丈夫!彼らも許してくれる!』

 

 気が付いたら泣いていた。

 大泣きしていた。

 歯をくいしばり、嗚咽を上げて泣いてしまった。

 

 

 オールマイトは俺が落ち着くまでまってくれた。

 

「…お恥ずかしい所を聞かしてしまいました。」

 

『HAHAHA!扉間少年、泣くことは恥ずかしい事じゃないぜ!

 そして、改めてお礼を!君のお陰でAFOとOFAの因縁に終止符を打つことが出来た!本当にありがとう!』

 

「まだ敵連合が残ってますよ。」

 

『ああ!だが私はもうヒーローとして活躍は出来ない、だけど君や現役のヒーロー達がいる!

 頼りにさせてもらうさ!』

 

「…俺を頼っていいんですか?」

 

『ああ!君は私を、OFAを助けてくれたのだ!ならもう君は立派なヒーローさ!』




第二部初っぱなが懺悔回
でも必要だとは思うんですよね、合宿襲撃を黙認させた事を見逃したのは穢土転生関係ないですし。
神野は?って思う方もいるかも知れませんが、対決を想定した公安が頑張って避難をさせたので原作よりは被害が少なかったとお考えください。
AFOの力を知っている死んだ公安No.2が頑張りました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

前を向く件

泣きすぎな主人公…
でも、エドテン持ちでヒロアカ世界に来たら誰でも情緒不安定になると思う。



 オールマイトは『何時でも連絡してきてくれ!』と言って会談は終わった。

 オールマイトには許された、でもここには四人のヒーローがいる。

 

「扉間君、ワシの生きた時代は正にAFOとの戦いの時代でもあった。

 数多くのヒーローが協力し、AFOという悪を倒すために全力を尽くし、多くの犠牲があった。

 ワシ自身もその一人として死んだ。

 あの時代を生きたヒーローで君の行いを咎めるものは誰一人としていない、そしてありがとう。」

 

 Plus Ultra、頭を上げてくれ。

 

「俺も似た感じかな、犠牲が無いのが一番だがそれは理想論だ、もし罪に感じてるなら一緒に償おう。」

 

 …グラディエーター、ありがとう。

 

「坊主が悪いとは言えねえだろ、そもそも坊主の意見を聞いて実行した奴も悪いし、AFOを倒せなかった全員が悪い、ま、一番は悪いことしたAFOだけどな。

 取り敢えず、まだ火種は残ってんならそっち片付けてからにしようや、今度は俺たちがいるしな。」

 

 カロリ、そうだ全て終わった訳ではない。

 

「ムー!ムー!ムー!!!」

 

 あっ、口閉じさせたままだった。

 

「あー!空気美味しい!必要無いですけど!

 さて扉間君、私は貴方の個性も行動も全部許します。

 貴方の行動や個性を許さない人が出てきても、その時は貴方の側に必ず立ちます。

 だから悩むような事があったら聞いてください、ヒーローとして一人の人間として私たちは貴方を支えましょう。」

 

 正直言って俺の中に正義とはっきりと呼べる者は存在しないと思っていた。

 公安に入ったのもホークスに力を貸す事を言い訳に個性を使用したかっただけだった。

 こんな個性ではヒーローになれない、こんな個性では真っ当に生きられない、この個性を使う理由を考えてたら公安にスカウトされた。

 そして原作の流れを理由に雄英生の犠牲から目を背けてAFOの完全排除を行った。

 この流れの一切に正義はない、AFOは俺の安全の邪魔だったからだ。

 それで良いと思ってた。

 だけど、オールマイトに感謝されて俺は雄英生を犠牲にした事を後悔してる事に気付いた。

 AFOの居場所に気付いた時点でなりふり構わず個性を使って排除すれば良かったのではないかと、そうすれば犠牲なく全て終わったのではないかと考えてしまった。

 だけど、オールマイトは目を背けてた俺をヒーローだと、助けてくれてありがとうと俺に言ってくれた。

 俺は俺を許せない。

 けど俺をヒーローと呼んでくれるなら、俺はそれに応えたい。

 

「皆、感謝する。

 俺は自分の個性に対しては覚悟をしていた、だけどAFOを倒す事を言い訳にして、俺の行いや言葉に対する覚悟が出来ていなかった。

 他人事で、犠牲に対して鈍感であるように努めていた。

 それでも俺をヒーローと呼んでくれる人が出来た、ならそれに応えたい。

 そして、今度は犠牲なく助けたい。

 だから協力してほしい。」

 

「良いとも!良い目だ扉間君!」

 

「望む所だ、理想を叶えよう。」

 

「挑みがいのある良い熱だ!」

 

「勿論です!一緒に頑張りましょう!」

 

 謝罪は全て終わってからだ。

 敵連合、死穢八斎會、異能解放軍、それ以外にも敵は沢山いる、放置していても犠牲を払っていつか勝手に解決するだろう。

 だが、俺はここいる。

 取り敢えず、原作の犠牲をなくしてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして

 

「いやー!それにしても良い泣きっ面でしたね!

 扉間君!悲しいことがあったら何時でもお姉さんの胸で泣いて良いんですよ?」

 

「胸ないじゃん。」

 

「おやー?キレが悪いですね~!照れてるんですか~?コノコノー( ´∀`)σ!」 

 

「扉間君はまだ少年!個性や立場を考えれば泣くのはしかたない!気にするな!」

 

「先生、それ追い討ち。」

 

「慰めてるつもりなら、男の涙をからかってやるなよ。」

 

「…」

 

「あ、あれ?勝手に首が捻、れ、て、あれ?完全に背中向いちゃってますよ、扉間くーん?」

 

「首を回せと念じたが本当に出来るとは、そしてテレポン

まじで背中と胸の違いがわかんない。」

 

「確かに。」

 

「確かに。」

 

「確かに。」

 

「ムキー!」




全てといってますが、原作完結してないんですけどね。
全力原作介入でハッピーエンド目指す事になりました。
ま、基本はエドテン体が動くので客観的に見たら少しシュールですが。
エドテンの責任とかヒーローになれないとか、やべー思考とか原作通りだから犠牲は仕方ないとか色々モヤモヤしてたのを封じ込んでいたけど、ようやく吹っ切れました。

最後はシリアスや熱血に耐えられなくなったのでギャグ、何かテレポンが沖田さんになってた。
後、UA数の増加みてニヤニヤしたいので投稿は1日一話にします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

目標を建てる件

やっぱりちょっと賛否両論があった前回、前々回
でもあれないとヤグサ編に介入する動機なくなっちゃうし。

この時期はFGOとグラブルが忙しい…!

投稿時間間違えてた!


 取り敢えず四人には俺の知識を話すことにした。

 信頼の証というか、正直ヤクザ編に介入する理由が見つからないので、良い案が出るかと思ったのだ。

 

「むむ、まさか転生等という現象が起こるとは!しかし、蘇りがある時点であり得るか!」

 

「しかも、こっちの世界が漫画で扉間君の前世は皆個性が無い世界とか治安よさそう。」

 

「信じられねーと思いたいが、坊主がAFOの計画を完全に潰せた訳が分かったな。」

 

「それにしても、良く立ち回りましたね!偉いですよ!」

 

 全員で頭を撫でないでくれ首が死ぬ。

 

「話したのは信頼の証と今の俺達の立場から次に起こる事件に介入する理由が思い付かないからだ。」

 

 実際、ヤクザ編の切っ掛けは治崎が起こした事件だった、それにナニカを感じたサー・ナイトアイ事務所が調査を開始、その結果敵連合との接触を確認、そしてリューキュー事務所とファットガム事務所とのチームアップによる検挙。

 事件はサー・ナイトアイの死亡、ルミリオンの個性消失、敵連合に個性消失弾が渡るという結果で終わった。

 

「第一目標はサー・ナイトアイの生存、次にルミリオンの個性消失を防ぐ事、犠牲という点ではこの二つを。

 そして可能なら敵連合をここで捉えたい、そうすれば次の異能解放軍との合流及び死柄木、トゥワイスの覚醒を防げる。」

 

「普通に、公安からの派遣って形で逮捕に合流って形が一番じゃねぇか?」

 

「それは難しいかもしれない、俺達の立場は秘匿されるべきでこの事件は客観的に規模が小さい。

 異能解放軍との戦いなら出撃可能かもしれない。」

 

 公安としての立場を使うならカロリの案がもっともだが、グラディエーターの言うとおり、確かに事件とした考えると規模が小さく許可が降りるか分からない。

 

「うーん、案外上司の方に言えば許可降りるんじゃないですか?」

 

「うむ!テレポン君の言うとおり、彼らも同じ社会を守る者である!君の今までの信頼と結果を考えれば話せば分かるだろう!」

 

 テレポンやPlus Ultraの言うとおり、俺にはステインの事件から積み上げてきた実績がある。

 まだ事件まで時間はあるが、サーナイトアイ達が踏み込む際の令状を理由に関われるように掛け合ってみる価値はある。

 だが、いきなり『この事件に首を突っ込ませて!』といっても怪しまれる可能性がでかい。

 取り敢えず、下準備としてもう少し気軽に動けないか聞いてみる事にしよう。

 

 

 

『いいですよ。』

 

 次の日連絡したら、あっさり許可が降りた。

 

『貴方の個性や戦力の使用は気軽に行って良いものではありませんが、頭脳労働という点で貴方を働かせない程、今の公安に余裕があるわけじゃありません。』

 

 理由を聞けば納得がいった。

 今はオールマイトの引退と都市伝説だったAFOが実在した事、そしてAFOが監獄にいることで次の支配者を狙う敵組織の活性化に伴い公安も忙しいのだ。

 

『なので、貴方はホークスと組んで敵連合を追ってください。情報処理や諜報に関してはホークス側に部下として何名か付くので貴方の個性がばれる心配はありません。』

 

 つまり、昔と一緒だ。

 違うのは部下ではなく同僚ということだ。

 早速、地元に戻ってきたホークスと会うことになった。

 

「今度は同僚としてよろしくね、大出世だ。」

 

「やることは前と一緒な気がしますけどね。」

 

 握手をして早速話し合いを行う。

 外なので一応テレポン以外の三人は口寄せ出来る状態で待機してもらう。

 テレポンはいつもの頭巾モードで待機してる。

 

「取り敢えず、敵連合の行方はまだ分かってない。

 今は後ろ盾も脳無もいないから潜伏してるだろうね。」

 

「オールマイトも居なくなったし、敵連合の目的はヒーロー社会そのものを破壊することに切り替わってるでしょう、似た目的の団体と手を組む可能性もあります。

 そういえばギガントマキア逮捕はまだ世間に漏れてませんよね?」

 

「漏れてないよ、そうそう、ギガントマキアだけどようやく刑務所が完成したよ、その名もコキュートス。」

 

 ギガントマキアは手足を失い胴体の八割を炭化したにも関わらず生きている、また医者の見立てでは脳へのダメージから昏睡状態らしいが複数の個性を持ってる事からいつ目覚めてもおかしくないらしい。

 刑務所では冷凍保存という形で収容される事が決まり、そこからコキュートスと名前が付いている。

 

「ギガントマキア逮捕が広まってないなら、噂を流せば釣れるかもしれませんね。

 彼らもギガントマキアの存在を知っていて可笑しくないですし、何より彼らは建て直す為の力を欲してるはず。」

 

「よし、他に手段はなさそうだし取り敢えずその案でいこう、結構大規模な工作になるし噂を流す時点で警察やヒーローと衝突する可能性があるから事前に協力してもらおう。」

 

 確かに、噂を使って誘き出すなら必然的に警察やヒーローの耳に入って余計な動きをされると困る。

 予め協力した方が良いだろう。

 

 




というわけでまだ仮免試験すら始まってないので黒霧逮捕編からです。
といっても作戦提案で終わっちゃう可能性がありますが。

あ、呼札でキャスターアルトリア引きました!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

懸念な件

 前回は沢山の感想ありがとうございます!
 ガチャなんて時の運ですからね、いや、本当にマジで、去年水着メルトに1万ぶっ込んで一人しか来なかったし。

 プロフィールな件でテレポンの部分を少し加筆しました。


 取り敢えず、黒霧捕獲作戦はこれで良いだろう。

 身柄は公安で確保出来ないが、敵連合と離す事に意味がある。

 と思っていたのだが。

 

 (あれ?そもそも黒霧ってAFOの計画全部知ってる?)

 

 そうだ、黒霧は逮捕後の尋問で、死柄木の居場所を病院とハッキリ答えている。

 ヤクザ編の終わりで捕まった黒霧から病院というキーワードが出てくるということは、AFOの計画を知っていると捉えるべきだろう。

 そして、もしギガントマキア接触が戦力確保ではなく、自身の退場とギガントマキアに死柄木の情報を渡す事だったら。

 この二点が目的だとすると、今の作戦は失敗する可能性がある。

 黒霧という便利な執事兼参謀が退場する事で、死柄木は自身の力のみで敵連合を率いる必要がある。

 つまり、死柄木の支配者としての精神的成長に繋がる。

 現状、ギガントマキア逮捕は世間には知らされていないが、殻木逮捕に関しても情報規制は行ったもののヒーローの協力や警察、多数の職員がいた関係上、完全とはいえない。

 もし、殻木逮捕が知られれば黒霧は行動を起こさない可能性がある。

 (いや、逆に先がないからこそ求めるか?)

 殻木が逮捕された時点でAFOの計画は頓挫したと黒霧は考えるだろう。

 先の見通しがなくなり、死柄木を守る為の戦力としてギガントマキアに接触する可能性はある。

 現状情報が少なすぎる、結局ギガントマキアの噂を流して反応を見るしかない。

 

 それにしてもギガントマキア捕獲はメリットしかないと思ってたが黒霧というデメリットがあるとは。

 現状の死柄木は精神的に成長してるだろうが、圧倒的に実戦の経験値が足りない。

 原作ではドクターの支援を受ける条件としてギガントマキア屈服のために一月睡眠ほぼなしで戦闘を行う事で、足りない経験値を補っていた。

 だが、ドクターもギガントマキアも今は刑務所だ。

 経験値の確保が出来ないという事は戦う場合、確保の可能性が高くなる。

 デメリットとしては、もし俺の懸念が正しく、黒霧が行動を起こさずに死柄木の安全を優先した場合に居場所の特定からの確実な確保が出来ない可能性が非常に高い。

 それに、時間を与えればAFOや殻木、ギガントマキアを脱獄させる可能性もある。

 現状、AFOは未知の個性所持や罪状の多さから死刑にするリスクが高すぎるし、ギガントマキアはそもそも殺せる方法が確立されていない。

 ギガントマキアは細胞を採取して、公安の研究施設で有効な毒の作成を行っている。

 穢土転生なら間接的に殺せるかも知れないがAFOに接触するリスクがあるし、ギガントマキアの場合も自身に作用する個性に反応する個性を持ってない保証はない。

 やるなら最後の手段になるだろう。

 

 一応、黒霧も実戦経験が少なそうなので居場所が分かれば鎮圧できる可能性もある。

 それに、殻木逮捕に関しては関連する呟きやマスコミの情報を公安のサーバー班と警察が協力して規制をかけている。

 只の懸念であると良いが。

 

「ホークス、敵連合の逮捕については、全員の一斉逮捕が理想ですが、黒霧を確実に逮捕しましょう。

 敵連合で唯一の転移系の個性持ちです。奴を逮捕出来れば敵連合の足を潰せます。」

 

「確かに一斉逮捕が理想だけど優先順位は付けた方がいい。

 扉間君の言う通りもし全員の確保が難しければ、黒霧を第一優先に行動するようにヒーローや警察には伝える。」

 

 死柄木を優先したいところだが、死柄木を逮捕すれば敵連合は散り散りになる、まずは黒霧を潰して確実に敵連合を追い詰める。

 その後、ホークスと作戦について現状出来る範囲で詳細を詰めてその日は終わった。

 

 

 

帰宅後

 

「いやー、それにしても扉間くんはああいう話し合いの時ってかっこいいですねー!こう、細い目がキリっとして!」

 

 撫でるな。

 

「ホークスも気付いて無視してたけど、途中から話の内容把握出来なくてアホ面してたぞ。」

 

 そう、テレポンがじっとしてるから護衛に徹してるつもりなのかと思ってたが、作戦の詳細を詰めだした辺りから顔がどんどん間抜けになっていた。

 

「いやー、私は足で探すタイプなので、ああいう作戦は余りしたことがなくて、でもちゃんと護衛はしてましたよ!!」

 

 まぁ、顔以外は気を抜いてないのはわかっていたが。

 

「いや、あの顔はひどい。

 そうだ、戦場であえてアホ面してれば敵も萎えて戦いやすいんじゃないか?」

 

「そんなひどい、アホ面してないですよ!!」

 

 そこまで言うなら確かめようと、呼び戻した三人に俺の記憶を見てもらうと、満場一致で「有効」と判断された。

 

「良かったなテレポン、武器が増えたぞ。」

 

「ムキー!」

 




黒霧に関して色々読み返した結果こうなりました。
体の殆どが霧で、分裂できて、霧同士がワープゲートとか死柄木以上にぶっ壊れな気がする。

そして、文字数稼ぎのギャグ。
使いすぎるとアレだから気を付けなくては。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

知名度な件

今回は四人の知名度の話
仮免の話は次回かな。


「そう言えば、この中で誰が一番有名何ですかねー。」

 

 きっかけはこの一言だった。

 これから積極的に動こうとした時に、死人が活動している事がバレてはいけない。

 なので、ヒーローの前で活動するときは、何かしらの対策が必要だと話していた時にテレポンが言ったのだ。

 

「有名ならワシだろう!教科書にも載っている!」

 

 一番に名乗りを上げたのはPlus Ultra、俺の社会の教科書を持ち出して顔写真を見せてくる。

 確かに雄英高校の創立者で黎明期に活躍したヒーローとして教科書に載っている。

 授業で一度は習うが、逆に歴史上の人間過ぎて今活躍してもそっくりさんで終わりそうな気もしてくる。

 

「知名度なら俺が一番低いだろうな、先生は例外として、あの時代のヒーローはただの公務員。

 今みたいなタレント業とか認められてないし、当時は今よりずっと治安が悪かったしな、俺の記録なんて国で保管されているくらいだろう。」

 

 確かに、グラディエーターは副職が認められる前の時代のヒーローだし、黎明期は社会情勢が不安定な事もあって知名度は少なそうだ。

 

「俺様も半裸で刺青だしで、個性も制限強くて活躍も地味だしで人気なかったなぁ、寧ろ匿名でやってた料理ブログの方が人気だったわ。」

 

 カロリの料理ブログとか気になる、後で調べよう。

 で、あとはテレポンだけなんだが、グラディエーターの話からニヤニヤしてる。

 

「フッフッフッ、皆さんの知名度はよーく分かりました!

 お三方の中ではPlus Ultraさんが一番でしたが、歴史上の人物という知名度、その点私はヒーローランキング上位でTVに何度も出ちゃう売れっ子ヒーロー!

 この中で一番に人気なのはこの私のようですね!!」

 

「いや現代で知名度あっても困るんだけどな。」

 

 というか、その人気も10年前じゃねえか。

 

「うむ!その通り、実力も人気あるのは素晴らしいぞテレポン君!」

 

「そうでしょう、そうでしょう、アーハッハッハ!」

 

 基本人を褒めるPlus Ultraは寧ろテレポンを褒めてるし、そもそも人気に興味のないグラディエーターは呆れてる。

 カロリは少し拗ねてるけど、人気がないのは事実なので何も言えないぽい。

 このままじゃしばらくテレポンがうざくなる、何か粗を探さねば。

 取り敢えず、TVに引っ張りだこと言ってたのでそれを確認する、どうせリアクション芸人みたいな役ばかりだろ。

 テレポン 動画で検索。

 

「…あれ?TVに引っ張りだこってこの大食い大会の事か?」

 

「ギクッ。」

 

 調べたら大食い大会の映像しか出てこない、一部バラエティもあったけど、何か激辛料理か巨大料理ばかり食べてる。

 

「しかも、ヒーローデビュー前から大食い大会出てるじゃねぇか!」

 

 ヒーローとしてじゃなくて完全に大食いファイター扱いである。

 

「審議!」

 

 カロリからの物言いが出たので、全員で動画を幾つか確認する。

 

「おお!見事な食べっぷりだ!」

 

 褒めるPlus Ultra。

 

「何処に入ってるんだこれ。」

 

 純粋に引いてるグラディエーター。

 

「何でこんだけ食って胸にも尻にもいかねぇんだ?」

 

 さっき凹まされたので切れ味がエグいカロリ。

 

「これはマスコットですわ。」

 

 マスコット扱いの理由が分かってきた俺。

 

「しょーがないじゃないですか!学生時代から訓練で個性沢山使うとお腹減るし、食費が馬鹿にならないのでチャレンジメニュー制覇とかしてたら、スカウトされて食費も浮くし、将来の知名度UPになるかなーと思ったら、デビュー後も大食いタレント扱いだし!

 まあ、デビュー当時お金ないので助かりましたけど!」

 

 あ、当時のヒーロースナックの付録カードでも何か食ってる。

 まあ、TVでの扱いはともかくヒーローランキングはデビューしてから上位を維持してるし、確かに現代における知名度と人気はテレポンが一番だろうと決まった。

 いや、知名度あるの不味いんだけどね。

 




安定のテレポン。

テレポンの個性でお腹すくのは後付けですが、移動距離や自分以外の物体を飛ばす時にカロリーを消費するという設定です。
エドテン後は関係なくなりましたけど。
プロフィールも更新済みです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮免な件

夏イベ発表されましたね!
キャストリアのスキル上げ大分楽になりそう…
水着パイセン配布なのが嬉しい!

キアラ欲しいけど言峰村正貯金しようかな…


 雄英生は今頃、仮免にむけて特訓してる時期だろうか。

 今のところ噂作戦はまだ拡散段階で、黒霧の姿を確認出来ていない。

 サー・ナイトアイの事務所の報告書を閲覧してるが、そもそも治崎が起こす事件自体まだ起こってない。

 仮免は大きな事件は起こってないが、一つだけ懸念がある。

 仮免にトガは単独行動で侵入し、緑谷の血を採取する。

 確実にこれはフラグとして響いてくる可能性が高い。利用方法は原作でも不明だったし、もしかしたら活用されない可能性もあるが出来れば潰したい。

 

 取り敢えず、ここらの流れを確認しよう。

 学生側は仮免が九月の中旬、10月にインターン、11月に文化祭ってのが今の所の流れな筈。

 敵連合はトガが仮免侵入、10月はヤクザと協力、11月はギガントマキアとの戦い。

 学生は置いておいて、確か敵連合は10月以降資金が底をついて装備もボロボロの最弱状態になる。

 何とか他の敵組織を襲って金品を稼ぐが、オールマイト引退によるヒーローや警察の士気は高く、何処もカツカツだ。

 実際報告書を読むと、敵組織の資金源を潰したり、敵組織そのものが検挙される数が増えている。

 ヒーローや警察も敵が徒党を組む事の危険性、第二の敵連合の誕生を阻止するために躍起になっていると言ったところだ。

 だが、犯罪率は増えている。

 主に少人数での強盗を中心に暴力的な事件が増加している。

 殆どが鎮圧済みだが、報告書を読むと敵側の闇市製のヒーローアイテムの使用がちょくちょく見れる。

 出所を聞いたら闇市で買ったらしいが、値段が格安だそうだ。

 粗悪品ということも考えて、裏社会の活性化にともなう需要の増加と考えるのが筋だが、原作を知ってると異能解放軍の可能性が高い。

 まだ数が少ないからはっきりとしないが、11月辺りから出回る量と監視している闇の職人のデータを照らし合わせれば確実に何か出てくるはず。

 敵連合がステインと合流した時から強化された監視体制はそのまま維持されてるし。

 だが今は、仮免試験どうするか。

 ホークスに一応聞いてみるか。

 

「もしもし、ホークス、千手です。噂作戦上手くいってますか?」

 

『やあ扉間君、噂作戦は今のところ順調だよ。

 元々噂があった地域でギガントマキアが活動しているような噂を流してる。

 それだけ?』

 

「いえ、そろそろ仮免試験の時期だと思ったのでどう言った対策とかしてるのかなと。」

 

『警備を二倍に増やすくらいかな、全国で行われてるし人手に限界がある。

 仮免に興味持つなんて、何か気になる事がある感じだね?』

 

「敵連合の一人、渡我被身子が居るじゃないですか。

 奴なら、似た体格の人間が沢山いる会場に潜入して血を集めるかと思ったので。

 特にオールマイトのいる雄英生に化ければ、何時でも暗殺出来ますからね。」

 

『…確かに、その可能性は否定出来ないけど雄英は寮になったし警備もかなり厳重になったから可能性は低いと思うよ。』

 

 確かにその通りだ、俺の今の意見は疑心暗鬼に近い考えだ、やはり厳しいか。

 

「一応、渡我被身子が合宿襲撃中に接触のあった麗日お茶子と蛙吹梅雨の二人には試験中の監視を強化してもらえませんか?

 調書を見ると、二人とは会話をして友達と呼んでいるので何かしら執着があるかもしれません。」

 

『それくらいなら可能だと思う。

 二人への試験中の監視の強化と録画した映像を試験後に渡すから何かあったら教えて。』

 

「ありがとうございます。」

 

 ホークスとはまた焼き鳥行こうと言って電話は終了した。

 取り敢えず、仮免で出来る事はこれぐらいだろう。

 そして、これは原作との乖離が起きてないかの指標にもなる、麗日の行動を観察してれば必然的に緑谷と士傑の生徒に変身したトガの接触が確認出来るはず。

 

 

 




仮免介入はこれくらい。

そもそも、緑谷への執着とか緑谷がOFAを引き継いでる事とか主人公が知ってたらおかしいので、トガちゃんと接触のあった二人を理由に監視する位しか出来ない。

昨日暑くて無理矢理寝たら徹夜して朝迎える夢みて最初はだったゾ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鑑賞な件

暑くてやる気起きない
純粋な質問として、文章短いって評価しばしばあるけど何文字なら納得というか普通なの?
私、気になります!


 無事に仮免試験も終わり手元に麗日お茶子と蛙吹梅雨の試験中の映像が届いた。

 俺一人で見ると衝動がやばそうなので四人と一緒に見ることにする。

 Plus Ultraは雄英生が見れるので興味津々、グラディエーターも自分の遠い親戚というか子孫なので興味はある様子。

 カロリは興味はそこまでないのか原作との乖離があるかのヒントの可能性があるので目を通す感じ。

 テレポンはポップコーン片手で完全に映画鑑賞と勘違いしている気がする。

 取り敢えず、麗日の映像から見るか。

 蛙吹のは方便として必要なだけで見る必要ないし、後でPlus Ultraとテレポンが見るだろう。

 

「蛙吹梅雨のは観たい人は後で見てください、麗日お茶子も緑谷と合流する辺りまで飛ばしますんでそっちも観たい方は後で。」

 

「えー!

 ポップコーン用意しちゃいましたよぉ!」

 

「まあ、坊主の事考えたら仕方ねぇし重要なのは緑谷って野郎と士傑が接触している箇所だけだしな。」

 

「うむ、しかたない!

 ワシは二人とも見たいので後で一緒に見ようテレポン君!」

 

「俺は麗日お茶子の個性だけ見れればいい。」

 

 全員から同意を得られたので映像を早送りする。

 おっと、緑のもじゃもじゃ発見。

 少し戻してっと。

 あっ… 

 

「…麗日と緑谷が合流した所ですが、襲われてますね。」

 

「複数人の意識の隙をついて動いている。

 接近戦は厄介だな。」

 

「うむ、この年齢でこの動きは天性のものだ!

 是非ともヒーローになって欲しかった!」

 

「意識の隙なんてかなり鍛えなきゃ対応出来ねぇ。

 集団戦なら何人も気付かれずにコイツに殺されるぞ。」

 

「ムシャムシャ、皆さんが大分言いたいこと言ってくれたので一言だけ。

 士傑の人スタイル良いですねー。」

 

 個性の関係上、全裸なんだよなぁ。

 あーヤバイ、テレポンにバレるとヤバイ。

 連絡を理由に席を立とう。

 

「取り敢えず、身のこなしがおかしいという点から調べてもらうようにホークスに連絡してきます。

 詳しくみて気付いた事あれば教えてください。」

 

 よし、慌てず、普段通りに移動しよう。

 

扉間退出後

 

「ムシャムシャ、扉間君って意外とウブなんですね。」

 

「まあ、お年頃だし。」

 

「うむ、青春だな!」

 

「坊主の事より、弄りにいかないテレポンに感心したわ。」

 

「さすがに、嫌われるかな~と。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ということで、麗日お茶子の記録で緑色の髪の雄英生と合流した時に交戦していた受験生について調べて下さい。」

 

『了解。

 それと、後でメールでも送るけどサーナイトアイ事務所の報告書で死穢八斎會っていうヤクザが敵連合と接触しようとしてるって報告があった。』

 

 ようやくヤクザ編が始まるのか。

 

「わかりました、死穢八斎會は恐らく敵連合のブランドが欲しいんでしょうね。

 死柄木が傘下になる事に応じるとは思えませんが、奴らも資金不足なので人員を派遣するかも知れません。

 あと、気になるのがヤクザが動き出した点です。

 正直、死穢八斎會というかヤクザが敵連合を取り込んだところで、裏社会の支配者になれるとは思いません。

 何か秘密兵器でも持ってるんでしょうか?」

 

『確かに、ヤクザは今や生きた化石レベルの存在だし、何かしらあるかもしれない。

 組を仕切ってる治崎の個性は分解と修復、十分脅威となる個性だし警戒はした方が良いと思う。』

 

「敵連合との接触を試みる事も含めて向こうは活動を活発化するでしょうし、出方をもう少し観察するしか無さそうですね。」

 

『サー・ナイトアイ事務所の報告書に関しては次から直接メールするよ。

 仮免の件についても結果が分かったら連絡するね。』

 

「了解です。」

 

 よし、ホークスとの会話で顔の火照りもとれた。

 向こうに戻るか。

 

「ホークスから連絡が…」

 

「うひょー!

 雄英レベル高すぎじゃないですか、何ですかこのオッパイ!

 コスチュームも攻めてるしけしからんくないですか?」

 

「あれは個性上しかたない服装だろう。」

 

「うむ、個性を考えれば合理的だ!」

 

「俺様も上半身裸だしな。」

 

 戻ってきたら、大画面に八百万モモの一部が拡大されて映されていた。

 どっちかの映像に映っていたのをテレポンが見つけてしまったのだ。

 

「こんなの扉間君が見たら鼻血だして飛んじゃいますよ!!」

 

 よし殺そう。

 




暑くて死にそう。

ヒーロー事務所は多分ヒーロー公安委員会に活動日報的な報告書とか送ってると思ってる。

ちょっとお空とランドソルと特異点が騒がしいので明日の更新遅れたらごめんなさい。

最後の部分はボツネタにしようと思ったけど載せました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準備な件

ただでさえ暑いのにソシャゲやるとスマホがアチアチで辛い…

文字数に関してはこれまで通りというか、間隔空けると絶対サボるので一日の限界というかやる気が続く1500文字位で行きます。

後、いくつかの話を統合したので話数が減ってしまいました。
6話分を3話にまとめました。
始めてのエドテン(人)な件と原作介入な件と一寸の虫にも五分の魂な件
の3話です。
今後も、行けそうな部分は暇なときに統合と編集します。


 テレポンは箱にした。

 

「…サー・ナイトアイ事務所からヤクザが敵連合に接触を試みてる可能性ありという報告があったとホークスから連絡がありました。

 原作を考えれば、2週間前後で三つの事務所と警察による家宅捜索が関西で行われるハズです。」

 

 あの後送られてきた、サー・ナイトアイ事務所の報告書によると、死穢八斎會は敵連合についての情報収集を行ってるらしい。

 警察側には決定的な証拠が出ない事、調査がバレるのを防ぐために少人数で調査したいという事だ。

 また、既にトップヒーローのリューキュー事務所には協力体制をお願いしてるらしい。

 

「原作の流れとしては雄英生のインターンの時期にファットガム事務所が個性を破壊する銃弾を確保した事が決定的となり、警察とヒーローによる家宅捜索に繋がります。

 ヤクザが動いている事から恐らく原作通りに事は進むでしょう。」

 

「それで、俺達はどう介入する。」

 

「介入に関しては、公安所属の個性使いという線で動いてもらう予定です。

 今回は室内戦が中心なのでグラディエーターさんとカロリさんに動いてもらいます。

 Plus Ultraは万が一の保険、テレポンは全員のサポートについてもらいます。」

 

 彼らを動かす事は、公安委員長からかなり渋られたが、許可は降りている。

 敵連合と死穢八斎會が手を組む場合、死柄木と治崎という対人最悪の二人を相手取る可能性がある。

 明らかに穢土転生体をぶつけるのが一番被害を押さえられる可能性が高い。

 

「敵連合の存在が明確になっている事件、明らかに被害が大きくなる可能性が高い事件の場合に出動が許可されました。

 個性を破壊する銃弾と敵連合からの派遣で必ず許可は降りるでしょう。

 それと、身バレ対策として公安からカロリとPlus Ultraには専用のスーツが支給されますので後で確認お願いします。」

 

 カロリは刺青対策として、全身をカバーできるマントとズボンで顔にはゴーグル。

 Plus Ultraはオールマイトのスーツと同じ素材で出来た灰色のスーツとマスク。

 服装をon/off出来るようになったから可能になった。

 デザインについてはコスチュームを元に、配色を黒を中心にした地味な形になっている。

 取り敢えず、二人にスペックの書かれた紙を渡す。

 

「派手さはないが、仕事人って感じで悪くねぇ。」

 

「形ではなく、行動こそが大事だ!

 問題ない!」

 

 グラディエーターは知名度が低い上に元々全身を覆う形のコスチュームなので今回は見送られた。

 テレポンに関しても基本俺の護衛で、マーキングさえあれば視界共有で発動は可能なので見送られた。

 なんか、箱がガタガタ動いてるが無視だ。

 ヒビに関しても、視界共有とかそれくらいの制限しかないため、殆ど現れてないから問題はないと思う。

 

「それと、これを渡しときます。

 公安所属の身分証です、偽名というか、偽ヒーロー名で登録されているので覚えておいてください。」

 

 公安所属のヒーローというのは一応存在する。

 基本的に日陰者として、世間にバレてはいけない事案を解決するために個性を使用する存在として世間は認知している。

 あの、透視個性持ちも公安所属のヒーローである。

 偽ヒーロー名に関しては元の名前とかから適当に考えた。

 グラディエーターはグラディス。

 Plus UltraはOver Master。

 カロリはジュール。

 テレポンはシュンテン。

 

「グラディスの方が良さそうだな。」

 

「うむ、良い名だ!」

 

「元々適当に付けた名前だし、問題ねぇ。」

 

 ガタガタ!

 

 全員名前に文句は無さそうで良かった。

 後は令状の申請を待つだけだ。

 令状なら公安でも見る事が出来るし、タイミングとしても問題ないだろう。

 

 

 一週間後、家宅捜索令状の申請が行われた。

 ホークスからの連絡を聞いて早速上司に許可を貰うために連絡をした。

 

「死穢八斎會への家宅捜索令状、これへの派遣の許可をお願いします。

 個性を破壊する銃弾と敵連合、それに治崎の個性は生身には十分な脅威ですが彼らなら問題なく対処出来ます。」

 

『しかし、令状を見る限り、現場にはプロヒーロー複数に警察とインターン生がいます。

 あれほどの規模ならマスコミも嗅ぎ付ける可能性があります。

 貴方の個性が公になるリスクを考えると今回は認めたくないのですが。』

 

「ヒーローやインターン生の個性を破壊されて後悔したくないですし、それに敵連合がその銃弾を手に入れた場合を考えると今潰すべきですよ。

 それに直接向かうのはグラディエーターさんとカロリさんです。

 彼らなら知名度やコスチュームで身バレの可能性は低い。」

 

 まあ一人ヒーローオタクがいるから絶対ではないが。

 

『…わかりました。

 屋内での活動のみを条件に許可します。

 決してマスコミ等の映像に残らないように。』

 

「許可していただきありがとうございます。

 それと、治崎を逮捕した場合に身柄や銃弾を狙って敵連合が襲撃する可能性があります。

 囮の用意をお願いします」

 

『わかりました、護送に関しては手配します。』

 

 よし、これで正式な活動としてヤクザ屋敷に乗り込める。

 そばに控えていた四人に指示を送る。

 

「許可が下りました。

 公安の準備が出来次第、二人は関西に。

 Plus Ultraは後からテレポンの転移で秘密裏に送り待機をお願いします。

 表向きは個性破壊弾の破壊と敵連合の捕縛ですが、第一優先はサー・ナイトアイの生存、次にミリオの個性破壊を防ぐ、そして壊理ちゃんの救助です。」

 

「ああ、任せてくれ。」

 

「室内なら個性を押さえる必要あるが、ギガントマキアレベルの化け物はいねぇし何とかなるな。」

 

「屋外戦闘が禁じられたが、バレなければ良いこと!

 速さの限界を超えて見せよう!」

 

「お土産は、たこ焼きでお願いします!」

  




取り敢えずヤクザ編介入の準備はここまで。

個性破壊する銃弾とか公安が動く理由として十分でしよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

顔合わせな件

予約投稿ミスったので一度消しました。

FGOもプリコネもグラブルも水着キャラを無料でお迎えできて怖い。
ソシャゲの運良いとリアルラック死ぬ気がする。
運営が無料ガチャや石配ったとはいえ上手く行きすぎてるのだわ。


 公安の準備が整い、グラディエーターとカロリの二人は関西に飛んでもらった。

 公安パワーで用意された個人用ジェットで送られた二人は、早速原作でもあった会議へと合流する。

 

「すまない、遅くなった。

 公安特別捜査班のグラディスとジュールだ。」

 

 グラディエーターの視界から会議の面々を確認する。

 ナイトアイ、リューキュー、ファットガムを筆頭に多くのヒーロー、イレイザーヘッドも今回はヒーローとして呼ばれている。

 敵連合担当のグラントリノ、そしてインターンの雄英生達。

 塚内警部は囮作戦のほうに駆り出されている。

 原作通りに全員いるみたいだ。

 サー・ナイトアイと塚内警部、イレイザーヘッド、グラントリノ以外の面々は此方側を警戒している。

 公安を名乗っているのにヒーローコスチュームを着ているのだから当然といえば当然だ。

 

「彼らは公安に所属するヒーローで、敵連合を追っています。

 今回は彼らとも協力関係にあります。」

 

 サー・ナイトアイから一応の説明が入る。

 事前に公安ヒーローが参加する事を知っているのは、今回の令状を申請したサー・ナイトアイと塚内警部の二人だけだ。

 イレイザーヘッドとグラントリノは公安ヒーローの存在を知っていたようだ。

 

「公安としても、個性を破壊する銃弾の存在自体許しがたい。

 そして、敵連合がその力を手にする最悪のシナリオを防ぐために、協力は惜しまない。」

 

「俺たちじゃあ力不足って訳か?」

 

「そうではない、絶対に捕らえるという覚悟の現れだと考えてくれ。」

 

「まあ、ええやないか、味方が増えるちゅーことならワイは歓迎や!

 飴ちゃんいるか?」

 

 いきなり、ロックロックの噛みつきにより、不和になるかと思ったがファットガムがフォローしてくれた。

 ちなみに、ジュールもといカロリは顔出しを避けるためにフードを被ってグラディエーターの後ろにいる。

 万が一、緑谷にバレる可能性を無くすためだ。

 

「では、全員揃ったので今回集まっていただいた訳を改めて説明します。」

 

 ここからは原作と同じ流れだ。

 サーナイトアイの調査に大阪での事件、敵連合との接触、・個性破壊弾の原料について。

 原作の流れで会議は進んでいく。

 

「公安からは何か情報はありますか。」

 

 ナイトアイから確認が来た。

 公安としては今回の事件に関しては正直なんも情報はないが、一応仮免試験の事は話しといた方が良いだろう。

 

(グラディエーターさん、仮免については既にホークスから士傑の生徒に変装してトガヒミコが潜入していた事の連絡を受けています。

 今回の件との関係は薄いですが、何も情報が無いよりましです。)

 

「(わかった。)

 …今回の事件との繋がりかは分からないが、最近行われた仮免試験にトガヒミコが潜入していた事は確認している。

 公安では死柄木の指示ではなくトガヒミコが単独で動いたものと見ている。」

 

 仮免の一件を話すと、緑谷と麗日が反応をしめしたが、グラディエーターはチラリと見て無視をする。

 ナイトアイも今回の事件との関連は薄いと判断したのか、深堀せずに会議を進めていく。

 

 

 会議終了後、退席をしようとしていたグラディエーターに緑谷が駆け寄ってくる。

 

「あの、すみません。

 さっきの仮免の事なんですが、僕心当たりがあります。」

 

「ああ、此方も映像で君との接触を確認している。

 詳しく聞きたいところだが、今はこの事件に集中したい。

 後日改めてお願いする。」

 

 今は早々に切り上げる。

 仮免の事を話せば、話しかけてくるとは分かっていたがあの場で何も知りませんとは言えない。

 だが、今バレるのも宜しくはない為、目の前の事件に集中という事にして後日別の人間に行ってもらおう。

 さて、顔合わせも済んだ。

 敵の本拠地も数日で判明し令状も下りている。

 

 そして、家宅捜索当日。

 死穢八斎會本拠地を前に、構成員を全員逮捕するために集められた警察とヒーロー達。

 グラントリノはどうやら囮作戦が成功したようでそちらに向かっている。

 刑事の捜索令状読み上げを合図に突入する予定だ。

 ヤクザにもノックしてもしもーしで最低限の筋を通す必要はあるのだ。

 

「なんなんですか~!」

 

 インターホンを鳴らそうとした瞬間、ガタイのいいペストマスク野郎が門をぶち壊して警察官を吹き飛ばす。

 確かこいつは気力を吸いとって力に変えるんだっけ?

 警察がこちらの動きが読まれている事に動揺する中、既に跳んでいたグラディエーターが踵落としで地面に沈め、さらに竜化したリューキュウが取り押さえる。

 

「ここはリューキュウ事務所で対処します。

 皆さんは引き続き中へ。」

 

 テレポンにも少しでいいからこのクールさが欲しい。

 

 




単行本のヒーローの私服姿良いですよね。

個人的に苦手な戦闘シーン!

何か最近予測変換が初期化された見たいで色々とやりづらい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

殲滅な件

映画見てきたけど良かった、満たされた。


 先陣を切ったのはグラディエーターだった。

 ここで改めてグラディエーターの戦闘スタイルについて話そうと思う。

 グラディエーターの個性『加重』は自身の体重を自由に操作出来、最低は0kgから上限は天井しらず。

 欠点というか注意すべき点は、あくまで体重の操作のみ行う為、重すぎれば筋力が足りず動けなくなるし、軽すぎれば筋力に振り回される事になる。

 普通に考えれば、鈍足パワースタイルとスピードタイプとを切り替えて戦うのが普通だろう。

 たがグラディエーターは違った。

 黎明期末期の凶悪な敵達を瞬時に鎮圧するためにより速く、より重い一撃を求めた。

 より強くなる為に瞬間的な体重操作を極め、0から1tに瞬時に切り替われるように個性を極めた。

 結果、インパクトの瞬間に加重するという技を編み出した。

 例え話として、同じ大きさで同じ固さの重いボールと軽いボールがあるとしよう。

 簡単に速く投げれるのは勿論軽いボールだが、威力があるのは重いボールである。

 もし、軽いボールが相手に当たる瞬間に重くなったらどうなるか。

 それは軽いボールの速さで重いボールが飛んでくるのと同じ威力である。

 グラディエーターはこれを無意識に行える域まで生前に鍛えた。

 軽くて速い拳が相手を殴る瞬間だけ重くなる。

 軽くて速い踏み込みが大地に触れる瞬間だけ重くして解除する。

 その結果、見た目から想像出来ない速さで移動し、見た目から想像出来ない威力の拳が振るわれる。

 勿論、作用反作用の法則上反動で手足に甚大なダメージが発生するため、生前は連発出来ない技だが今は関係ない。

 分かりやすく説明するなら、常時縮地で迫る鉄塊だ。

 なぜ改めて説明したのかというと、既に戦闘は終わっていたからだ。

 高速で飛来する強固な外格を纏った鉄塊を受け止められる人間は此処には居なかった。

 門の向こうで待機していた死穢八斎會の構成員を一瞬一撃で全員を昏倒させた。

 

「庭は片付いた。

 ナイトアイ、隠し通路の案内を頼む。」

 

「…ああ、此方です。」

 

 カロリ以外全員唖然としているが、先にいくぞとグラディエーターが促しナイトアイが動き出す。

 ナイトアイに続いて、ファットガム、ミリオと続々動き出し、内部へと踏み込んでいく。

 内部で待機していた構成員もグラディエーターが片付けていく。

 

「ここです、開けます」

 

 ナイトアイが隠し扉を開いた途端構成員が襲ってきたがグラディエーターが鎮圧した。

 隠し扉の先は行き止まりになっていた。

 雄英生達がぶっ壊すと、通路全体が動き出す。

 

「ジュール、熱源は?」

 

「おう、小さくて高めの熱源を把握した。」

 

 地下の気温は基本的に低い、カロリなら人の熱源、特に子供の熱源は探知しやすい。

 俺を経由してカロリのイメージをグラディエーターに伝える。

 これで、グラディエーターとカロリは壊理ちゃんの熱源を追う事が出来る。

 通路が変形していくが、グラディエーターは粉砕することで無理矢理道を作り熱源へと進んでいく。

 本来なら先行したミリオ以外を広間に落として処理するはずだが、グラディエーターを危険と判断したのか、先にグラディエーターを無力化しようとするが、それよりも速く壁を粉砕していく為追い付かない。

 

「大人サイズで高い温度、こいつだな。」

 

 迷路を作っていた入中という男はかなり強いクスリを使い個性を強化していた、個性を強くするという事は細胞の活性化、つまり高温になる。

 

「指向吸熱<ハンドスティール>」

 

 入中がいる方向に手をついたカロリ。

 手のひらを向けた方向から熱を吸い出す事で、狙撃するように熱を奪い凍結させる。

 カロリが入中らしき熱源を凍らした瞬間から壁の変化は止まった。

 これで迷路化は防げた。

 

「通路に出たぞ、ナイトアイ確認してくれ。」

 

 グラディエーターも通路にぶち当たったようで、道があってるかナイトアイに確認する。

 

「ええ、この道は予知で見た箇所です。」

 

 道が正しいと分かり、グラディエーターはドンドン先行していく。

 早くミリオに追い付かなくては。

 




グラディエーターの生前と今のヤバさを比較すると。

生きてる時 
常にライト級チャンピオン並みの速さ×ヘビー級チャンピオン並みの重い拳

エドテン時 
常時縮地レベルで移動する鉄塊

説明の物理法則が間違っててもスルーしてください。
言いたい事は要するに↑みたいな事です。
防御面に関しては雑に説明すると理不尽な消力(バキ参照)。

戦闘時のグラディエーターはターミネーターみたいな感じです冷静沈着に慈悲なき拳で鎮圧していきます。 
一応鎧の耐久ギリギリまで押さえてこれです。
カロリが活躍出来ていない…

というか、戦闘シーン書くといって一行で終わったのだわ。

サーが自分が死ぬ予知って何処で見たっけ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

圧倒した件

今回少し多めに書けたよ。
ちなみにカロリの描写についてですが。
基本的に熱の吸熱と放熱なので見えないです。
どっかの家庭環境最悪紅白君と違って目に見えない熱波や瞬間冷凍でサイレント攻撃です。
なので、遮蔽物越しに凍らしたり焼いたり得意。
多分、蜃気楼とかも得意。


 ドンドン進撃していくグラディエーター達、途中、入中がやられた事に気づいた鉄砲玉達が襲いかかってきたがファットガム事務所の面々というかファットガムが対処した。

 

「ワイラも活躍したるわ!

 雑魚は任せとけ!」

 

 と言うので任せた。

 なので今グラディエーターとカロリに着いてきているヒーローはナイトアイと緑谷、ロックロック他ヒーローの面々。

 向こうの手持ちは、酔っ払いと真実話しちゃう奴、あとは体の動きを止める三人だけ。

 酔っ払いと真実はミリオが瞬殺してたから多分やられているはず。

 実質、治崎と鉄砲玉の二人だけ。

 いや、奴らがいたか。

 

「ここは通さねぇ!

 通してやる!」

 

「わぁ、デク君だぁ。」

 

 少し広めの広間にトガとトゥワイスがいた。

 トゥワイスは既に鉄砲玉全員を複製して待ち構えている。

 ここで乱戦を起こして、その隙にトガが暗殺する段取りだろう。

 

「邪魔だ。」

 

「急いでるんだ、焼けな。」

 

 本来なら因縁とか色々あるんだろうけど、グラディエーターにトガを鎮圧させ、カロリの熱放射で分身とトゥワイスをまとめて焼く。

 

「捕縛は任せた、先に行く。」

 

 他のヒーローに捕縛を任せて先に進む。

 ついてきたのは、ナイトアイと緑谷だけだ。

 既に壊理ちゃんらしき熱源は素早く動いている。

 ミリオが個性を失うまで時間がない。

 先に進むと、酔っ払い野郎が倒れていたが真実野郎はいない。

 原作では、根性で起き上がった真実野郎が治崎から個性破壊弾を受け取り、壊理ちゃんを狙う。 

 ミリオは壊理ちゃんを庇って個性を失ってしまう。

 真実野郎がいないことを確認したグラディエーターは鎧が壊れるのも気にせず加重を強めて速く踏み込んでいく。

 グラディエーターが全員を置き去りにして踏み込んだ先で、治崎とミリオが戦っている。

 そして、真実野郎が既に壊理ちゃんに銃を構えている。

 

(扉間、テレポン、カロリ!)

 

 グラディエーターは持たされていたクナイを壊理ちゃんへと投げ付ける。

 ミリオも同じタイミングで壊理ちゃんを抱き抱える。

 既にグラディエーターの視界はテレポンへと送ってある。

 クナイが二人の前を通る瞬間。

 

(ここです!)

 

 クナイとカロリが入れ替わり、二人を庇うように銃弾を受け止める。

 穢土転生体に個性破壊弾が使われると、どうなるかは正直分からない。

 解除されるのか、あるいは塵なので無効なのか、一時的に効いてすぐに再生されるのか。

 あるいは、生身の体に蘇るのか。

 色々と考えられるが、今回は何も起こらない。

 何故なら、カロリは既に熱を纏っている。

 個性破壊弾の素材は人の細胞、つまりはタンパク質だ。

 つまり、熱に弱い。

 いくら加工しようと、細胞由来の時点で分かっていた個性破壊弾の弱点。

 鉄をも溶かす熱を身に纏ったカロリの体に到達する前に銃弾は焼かれて溶けた。

 銃弾だった、液体がカロリの皮膚を伝って地面に落ちる。

 

「な、に…?」

 

 治崎か真実野郎かどちらが言ったかは知らないが、それが断末魔になった。

 グラディエーターが真実野郎を一撃で沈め、カロリが手をついて、地面ごと治崎を凍らせた。

 

 

 後日談というか、事後処理。

 

 二人が問答無用で終わらせた家宅捜索はミリオの個性消失もナイトアイの死亡もなく無事に終わった。

 ミリオからは二人にお礼を言われた。

 庇った時の瞬間移動について聞かれたが機密と言って逃げた。

 ファットガム達もボロボロだが無事に倒せたみたいだ。

 所持していた残りの個性破壊弾もカロリが焼いたので敵連合の手に渡ることはない。

 敵連合についてもトガとトゥワイスの二人を確保出来た。

 特にトゥワイスを捕まえられたのは大きい。

 そういえば、これからタルタロスへ護送をする訳だが、死柄木達は鉄砲玉や構成員の逮捕で沢山の護送車があったなかでどうやって治崎を正確に捉えたのだろう。

 もしかして既に監視していたとか?

 …空の護送車が無駄になったかもしれない。

 原作では敵連合は治崎の護送車を襲撃したが、今回は仲間も捕まっている。

 敵連合は情に厚い、恐らく二人を奪還するために動くだろう。

 なら、敢えてトガとトゥワイスはまとめて護送させよう。

 今回の手柄は、治崎やその他構成員の逮捕は警察とヒーローの手柄、敵連合の二人は公安の手柄として話は付けてある。

 グラディエーターが手柄は要らないとか顔合わせの時に言ってしまったが、グラディエーターとカロリは最大の功労者であるから許された。

 公安の人員がトガとトゥワイスを護送車に乗せて出発する。

 護衛として二人が付き、こっそり待機していたPlus Ultraも後から追いかけていく。

 

 

 

 結論から言うと敵連合は来なかった。

 治崎の方へ向かったのかと思ったら、そっちにも来なかった。

 改めて原作を思い出すと、トガトゥワイスは途中でヤクザを裏切って逃亡してる。

 もしかしたら、その間に連絡を取り合って襲撃したのかもしれないな。




なんかあいつら使うと、どう考えてもギガントマキア以外瞬殺なんじゃが。
本当はトゥワイスとトガは分身という事にしようと思ったけど、トゥワイストラウマ克服出来てないのでトゥワイスだけ本物にしようとしたけど、トゥワイス置いて逃げるトガちゃんとかありえないなと思って二人とも生身にした。
次回は成果まとめと反省会とMVP決めと噂作戦について。

ヤクザ編で二人を選択した理由としては鎧と熱で銃弾対応出来んじゃんと思ったから。
後、ヤクザ編あっさり終わったのは単純にミリオが個性無くすまでの時間が短すぎる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

反省会な件

ヤクザ編終わるとまたかなり暇になるというね…


「いやー、ハフ、それにしても、ハフハフ、上手くいって、ハフ、良かったですねー。」

 

「食べるか喋るかどっちかにしろ。」

 

「ハフハフハフハフ。」

 

 喋る事辞めやがったコイツ。

 今は、全員福岡に戻ってきて、たこパをしている。

 大阪のたこ焼きが食べれなかった事をテレポンが残念がったので急遽たこ焼き器を買って行われた。

 いつもならガン無視する所だが、作戦が上手くいったのはテレポンのおかげでもあるので行った。

 

「ワシは保険としてだったから活躍がなかったが、保険は使われない事こそ、上手くいった証である!」

 

「先生が備えてたお陰で寧ろ全力で取り組めましたよ。」

 

「よし、綺麗に出来たな。

 ほらよ坊主。」

 

 各々感想を言ったり、料理に集中したりとしているが、上手くいって良かったと思う。

 早々に入中を排除したお陰で、敵連合が逃げる隙を与えなかったし。

 ちなみに、敵連合の二人に関してはそれぞれ別の刑務所に送られた。

 犯罪グループを同じ刑務所に入れてはいけないからだ。

 ちなみに、世間には敵連合も逮捕出来た事は知られていない。

 治崎は原作通りタルタロスに送られた。

 全身に凍傷を負ったが、両腕がないよりましだろう。

 壊理ちゃんは個性の関係上、イレイザーというか雄英で保護される事になった。

 今回の後始末をまとめるとこんな感じか。

 

「そういえば、最後の方でグラディエーターさんは鎧というか足砕けた所見られましたが、何か言われましたか。」

 

「ああ、緑谷とナイトアイにこっそり聞かれたが、機密保持に関わると釘をさした上で、複数の仲間のサポートが関わっていると答えといたよ。」

 

 一応、あの場にいたヒーロー、インターン、警察には機密保持契約にサインさせてある。

 彼らはいないことになっているし、治崎逮捕はミリオ、いやヒーロールミリオンの手柄となっている為、マスコミはそっちに行っている。

 複数の仲間のサポートによる補助を受けた公安ヒーローと言われれば向こうは納得するしかない。

 遠隔で発動する個性なんて聞いたことないだろうが、珍しい個性だからこそ公安に所属して隠匿されて活躍してると考える事も出来る。

 …ふと思ったのだが、もしかして緑谷の成長妨げた可能性あるのかな?

 いやでも、原作のラスボスも大幅に弱体化したし問題ないよな、うん。

 町がぶっ壊れる事もなかったし、平和平和。

 敵連合に関しても死柄木と荼毘、トカゲ君とマジシャンの4人しか残ってない。

 ギガントマキアとの戦闘もないし、彼らは異能解放軍に勝てんのかな?

 無理だろうなぁ。

 そういえば、囮作戦は上手く行ったのだろうか。

 ホークスからの連絡は今だに来ない。

 てっきり、家宅捜索と同時に戦闘があったと思ってたんだが。

 

 

 

 

『今回は非常に多くの成果をもたらしてくれました。』

 

 連絡が来ないかと思っていたが、どうやら成果について一度、上司とホークスとで三人で話し合う事になったみたいだ。

 所謂、電話会議。

 

「取り敢えず、此方の成果としては敵連合のメンバー二人の確保と個性破壊弾破壊とその製造施設の確保ですかね。」

 

 個性破壊弾は脅威で排除したが、個性を弾丸に詰めた上で効果を発揮する技術は利用出来る。

 壊理ちゃん程でないが、個性弾にすることで有用な個性は沢山あるしロマンがあるのは否定出来ない。

 破壊した方が良かったのは事実だが。

 

『こっちの囮作戦は黒霧確保だけですね。』

 

 どうやら、黒霧は無事に確保出来たみたいだ。

 

『今回、奇しくも同日に事が起こり敵連合の構成員三名の確保ができました。

 特に黒霧とトゥワイスの確保は大きいでしょう。

 お二人は現時点の敵連合の脅威をどう考えますか。』

 

『十分脅威だと思います。

 死柄木の個性は凶悪、個性が成長した場合に破壊という点でAFOを上回るかもしれません。』

 

「ホークスの意見に賛成です。

 集団としての力は削れましたが、敵連合自体は死柄木を確保出来ない事には潰せません。」

 

 死柄木には先がない。

 頼る伝手を全て潰してあるし、仲間を増やすにも中途半端な敵ではヒーローに潰される。

 敵連合は現役のヒーローと警察にとっては潰すべき象徴なのだ。

 奴等が取れる手段は多くない。

 潜伏を続けるにも資金がない、助けを求めるにも相手がいない。

 崖っぷち、絶体絶命、だからこそ取る手段。

 

「…敵連合は恐らく潜伏し個人の力を付けるでしょう。

 彼らは仲間を失い身軽になりましたが、同時に今の自分たちで手を組める相手が弱い事を学びました。」

 

『敵連合というブランド以上の力を手に入れると?』

 

「そして、屈服させた他の敵組織を率いてタルタロスへ向かいAFOを脱獄させるとかですかね。

 死柄木の個性ならタルタロスを破る事も可能になるかもしれません。

 AFO脱獄に失敗してもタルタロスなら凶悪敵は多くいますから、戦力確保に繋がる。」

 

 正直、死柄木のプライドの高さというか、あの二人の関係だと可能性は低そうだけど、タルタロスに仲間を集めに行くのはあり得るかもしれない。

 タルタロス以外にも刑務所はあるが、一級の敵はタルタロスに収容される事が殆であるし手段としては悪くない。

 

『力をつけてる間に、他の敵組織との抗争で死ぬ方が可能性ありそうだけど?』

 

 ホークスの言う通り、そっちの方が可能性は高いが逆の可能性もある。

 

「まあ、ホークスの言う通り、そっちの可能性の方が高いんですが、俺が考えるに死柄木を後継者に選んだのは個性以外にも精神的な物もあると思うんですよね。

 所謂、悪のカリスマって奴です。」

 

『なるほど、抗争の結果敵連合に可能性感じちゃう訳か。』

 

 原作だとその流れで11万人の兵士手に入れちゃうわけだしね。

 実際死柄木単体で見ても、カリスマと破壊の個性の時点で相当に最悪なのは変わらないし。

 色々成長イベントへし折っても時間稼ぎになるかどうかって感じもする。

 

『二人の意見は良く分かりました。

 引き続き、敵連合を脅威とみなし二人には引き続き追ってもらいます。

 それと私の方で、タルタロスの警備の見直し手配、個性の成長に関しての分析を行います。』

 

 まあ、今打てる手段はこんな所だろう。




取り敢えず、ヤクザ編はこれにて終了。
世間的にはルミリオンの活躍に注目が集まっています。

今回は2400文字!
頑張った!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話な件

正直、ヤクザ編以降のネタ思い付かないので別人視点を投下するぞい。


ある敵の独白

 

 嫌な流れになっている気がする。

 TVでは死穢八斎會逮捕の件が流れなくなっても二人は戻って来なかった。

 そして、黒霧も多分捕まった。

 俺たちは七人から四人になってしまった。

 金もない、人もいない。 

 

「なぁ死柄木、これからどうなる?」

 

 死柄木は黙ったまま答えない。

 金がなく、装備もボロボロ、四人に減った事で出費が減るかと思ったが、敵組織への強盗で負担が増えた分、寧ろ装備がボロボロになった。

 俺達には先がない。

 前に、死柄木の先生だったAFOの側近のドクターも逮捕された可能性があると死柄木は週刊誌を見せながら言ってきた事がある。

 見出しには『病院にて人体実験!?秘密の地下施設の実態!!』と書かれてあった。

 情報はこれひとつだが、ヒーローが踏み込んだのは事実で、院長の男も逮捕されたのも事実。

 所謂、週刊誌なので内容は妄想に近そうな内容だが、少ない事実から逮捕された医者はドクターだと死柄木は考えてる。

 黒霧が探していた戦力に関しても情報はほぼない。

 地下のバーから始まった俺達は、今や地方の寂れた建設現場の事務所まで落ちぶれた。

 最近会話も少なくなってる。

 人の機微に敏感なトガちゃんと騒がしいトゥワイスが居なくなって単純に静かになっただけではない。

 それぞれが敵連合に対して不満を抱え始めている。

 コンプレスは片腕を失った上に仲間を二人失った事が堪えたのか、仮面を付けっぱなしになった。

 仮面の下でどんな顔をしてるのか見たくない。

 荼毘は最近、拠点に戻る頻度が少なくなった。

 近場の奴らは燃やしてしまい、スカウトに時間が掛かってると言っているが、本当は俺達の次を探してるんじゃないのか?

 死柄木も口数が減り、考える事が多くなった。

 俺もそうだ、俺は田舎で異形種であることを理由に虐められて、空っぽのまま育って、ステインの最後に感動して敵連合に参加した。

 今の敵連合にステインの意思を全うできるのか分からない、何処に向かっているのか分からない。

 ここで死柄木にぶちまけてしまえば良いと思った事もあるが、多分それが、敵連合の致命傷になる気がする。

 俺達には先がないのか、見えていないだけなのかどっちなんだ死柄木?

 

 

 

ある雄英生の疑問

 

 あの事件から暫くがたった。

 TVでは死穢八斎會の件がニュースになっており、ミリオ先輩が活躍した事も話題になっている。

 僕はあの事件に参加した雄英生で一番怪我が少なかったというか無傷だった。

 あの時、ナイトアイや僕の前を走った二人の公安ヒーローが全て片付けてしまった。

 あの敵連合の二人すら一瞬で倒してしまった。

 公安ヒーロー。

 

 打ち合わせの後、先生に聞いた話を思い出す。

『公安ヒーローというのは、主に表に出ちゃいけない事件や慎重に対処する事件に対して動くヒーローだ。

 政治家の汚職とかテロ組織とかな。

 基本的に外部と協力せずに公安だけで動くんだが、今回は特例だろう。

 グラディスが言っていたが、敵連合が個性破壊弾を手に入れる事を危険視したんだろうな。

 まあ、表に出ないことで出来るヒーロー活動もあるってことだ。』

 

 相澤先生曰く昔スカウトされたが断った事があるらしい。

 彼らの活躍を思い出す。

 グラディスさんの庭での一瞬の鎮圧や、迫り来る壁を破壊し続けたスピードとパワー。

 ジュールさんの遠距離吸熱による無力化。

 それに、彼らをサポートしていた人達。

 彼らの動きから、視界共有や物と人を入れ換える個性、後は鎧ごと再生させていたから壊理ちゃんみたいな巻き戻しの個性だろうか。

 どれも遠距離からの支援で行えるなんて正直聞いたことがないし、AFOの事が頭を過り、複数個性持ちなのかと疑ってしまう。

 機密保持契約にサインしてるから本当はダメなんだけど、オールマイトにこの事を相談してしまった。

 

「公安ヒーローが複数の個性持ちか…。

 緑谷少年の疑念は尤もだが、公安ヒーロー達は信頼して良いと思うよ。

 はっきりとは言えないというか、此処だけの話というか、公安には友人で私を助けてくれたヒーローがいてね。

 彼がいるから心配する必要はないと思うよ、うん。

 あ、これ本当にオフレコね、マジで。」

 

 僕の疑念よりも、オールマイトを助けてくれたヒーローが気になって身を乗り出して聞こうとしてしまった。

 オールマイトは教えてくれなかったが、オールマイトが言うなら大丈夫なのかもしれない。

 オールマイトの言葉で疑念が和らいだ分、無力感が沸き出る。

 僕は結局、あの娘を助けると言って何も出来なかった。

 二人の公安ヒーローやミリオ先輩が率先して動いて全部解決してしまった。

 あの娘が無事で本当に良かったと思うけど、同時に無力感も感じている。

 僕はあの場に必要ではなかった、壊理ちゃんを助けるという思いやミリオ先輩が先行してるから進んだけど、切島君のフォローに行くのが正解だった気がしてくる。

 つい、そのこともオールマイトに呟いてしまう。

 

「緑谷少年、確かに君の言う通りかもしれない。

 でも少女は助かったし、悪を捕まえる事が出来たのは良いことさ。

 それに、君はまだ成長期だ。

 今、無力感を感じてるなら、これから成長して今度は君が彼らを助けられるヒーローになれば良いのさ!

 私もサポートするから、一緒に頑張ろう!」

 

 オールマイトの言葉にハッとする。

 そうだ、結果は良かったのだ。

 これ以上を求めるなら僕の我が儘になる。

 これからだ、これからもっと頑張って強くなって、今度は僕が来たって示せばいいという事を忘れていた。

 オールマイトに礼を言って、自分の部屋に駆け込む。

 先ずは、グラディスさんの動きを全部分析しよう。

 あの人の体の動きを組み込むことが出来れば、更に成長出来るはずだ。

 

 

 

 

継承するはずだった敵の独白

 

 先生を上回った奴がいる。

 あの事件の時、先生はわざと俺から離れたというのに後で気付いた。

 俺に「考えろ。」と言って、俺のもとから離れたのは、俺を成長させる為なんだろうという事にも気付いた。

 先生は居なくなってもドクターがいる。

 恐らく、俺が相応しいと判断したらドクターが俺にナニカを与える。

 脳無や先生の個性、ドクターの技術を考えればすぐに分かった。

 俺にAFOを与えるのだと、それに見合った肉体に改造して。

 だけど先生の計画はぶちのめされた。

 あの週刊誌によるとドクターが捕まったのは、先生が捕まってから直ぐだった。

 地下施設とやらも何もかもぶっ壊されて、先生が遺そうとしてくれた物は全て失くなった。

 どう考えても、先生の計画を全部知った上での行動だ。

 最初は先生にはドクター以外の協力者がいて、そいつが先生をはめたのかと考えたが、それなら先生もドクターもいない今こそ俺達に接触して利用するなり、捕まえるなりするはずだ。

 だからこそ最悪な事に、外部の恐らく警察か何かの誰かに先生の計画を全て気づいて暴いた奴がいる。

 判ってるのはそいつがヒーローではないって事だ、ヒーローが先生の計画に気づいてるなら林間合宿を襲った時に対策を建てるはずだし、先生の元に徒党を組んで襲撃をかけるはずだ。

 敢えて、計画を進めさせて先生が捕まってからドクターを捕まえたんだ。

 その狡猾さでヒーローな筈がない。

 しかも、そいつはヤクザの一件にも関わっている。

 ヤクザどもの計画は聞いていたし、襲撃があると分かっていた、攻めてくるヒーローの資料もあった。

 ヒーローの戦力を考えて、あいつらなら逃げれると確信して貸し出したんだ。

 なのに、あいつらは戻って来なかった。

 それに、あの組長がインターン如きに捕まるなんざありえねぇ。

 いくらインターンの情報が無いとはいえ個性破壊弾を持ってたのに捕まるだと?

 どう考えても影で動いた奴がいるし、俺の勘が先生の計画を暴いた奴だと言っている。

 別に、先生の遺産とかはどうでもいい。

 オールマイトが守った世界を壊す。

 これは俺自身が決めた目標だ、先生の遺産なしだろうとやり遂げてやるさ。

 だが、先生の計画を暴いた奴は警戒しなくちゃいけない。

 俺の邪魔だし、一応、恩師の仇だし殺してやる。

 いいねぇ、頼りはなし、数も減った、お先真っ暗って訳だ。

 クソゲー以外の何物でも無いがやってやるさ。

 

 




先がない敵連合と活躍出来なくてちょっとナイーブな緑谷少年と元後継者の話。

敵連合は二人がいない分空気が死んでるし、コンプレスがヤバい。

緑谷君はヤクザ編で活躍0なのでちょっとナイーブ。
そう言うときはオールマイトに投げるのが一番よ。

死柄木は先生の計画とかどうでもいいが、謎の存在Xが邪魔だと認識。

本当はもっと謎の存在X(主人公)の話しさせたいけど、今は彼らの原作崩壊の影響を書きたくなった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

解放軍な件

『敵ルートがよかったです星0』だと書く気起きません。
後は感想と評価貰えると喜ぶ人間なので気軽に感想下さい。

UA数って何の略称何だろう。

8/23
思う所があったので前書き少し訂正しました。


 さて、ヤクザ編は終わった。

 今は11月の始め、11月は原作では文化祭が描かれて裏では敵連合がギガントマキア相手に戦う修行編って所だろう。

 ギガントマキアは捕まえてあるので、敵連合は引き続きじり貧状態で潜伏中だろうか。

 敵連合の足取りは一応掴めてる。

 強盗目的で襲ってる敵組織の幾つかは公安のマークがついているか、絶賛調査中の組織なので、どの地方に逃げてるか位までなら絞りこみはすんでいる。

 裏付けという訳ではないが、チンピラやら敵の焼死体について、荼毘がスカウトマンやってる可能性があるとして進言したし、実際方向が一致してる。

 それに、奴等も潜伏のプロではないので、目撃情報は幾つか出ている。

 捕まるというか、ヒーローからの襲撃を受けるのも時間の問題だな。

 正直、あの二人を失っても瓦解してないのに少し驚いてる。

 ムードメーカー的立場でもある二人がいない敵連合とか常時お通夜状態みたいなもんだろう。

 まあ、感想はともかく俺の頭脳労働者として出来る事は今のところ少ない。

 原作崩壊のお陰で敵連合の動きは読めない。

 まあ、俺なら各地の刑務所ぶち壊して適当に敵脱獄させて、ヒーローを地方に集中させたところでタルタロス落とすかな。

 古今東西、金も人もいない組織の戦法はゲリラ一択だからあり得ないアクションじゃない。

 それに、オールマイトが捕まえた犯罪者を仲間に出来たらワンチャンあるかもしれない。

 オールマイトにしか捕まえられないとは言わないけど、オールマイトがいなければもっと被害を出した敵もいるはずだ。

 戦力を確保出来て、混乱を巻き起こせる。

 結構選択肢としては悪くない。

 このまま潜伏するよりはずっとマシかもしれない。

 一応、この考えも改めて上司に伝えておこう。

 

 敵連合についてはこれくらいにして、次は異能解放軍について改めて考えるか。

 取り合えず、既に異能解放軍の基地の一つである泥花町に公安が潜入している。

 班が別なのであんまり干渉出来ないが、報告書を読む限り、『町全体が普通ではない。』『町の人間がたまに使う個性の質が高い』という事には気づいているようだ。

 一応、俺切っ掛けで発見した面もあるし多少の融通は効く。

 泥花町の造りや成り立ち、出版した会社について意見すれば動けるか?

 というかそもそもの話、敵連合と合流しなきゃ未来の不穏分子で放置でもいい気が少しある。

 今の社会が個性に対して未熟なのは事実だし、まだ時間がかかるが、いずれは異能解放軍の思い描く社会に近い形になるだろうし。

 …Plus Ultraならデストロについて何か知ってるかな。

 

「デストロか、ワシも彼の主張について理解できる部分もあった!

 ワシの時代は個性に対して余りにも未熟過ぎた、異形種は人に在らず、危険な個性持ちは隔離すべきとな!

 彼のような思想が出てくるのも、ある意味自然な事だった!

 …だが、彼はその手段に暴力を用いた。

 扉間君、今の時代はワシの時代よりずっと優れている、個性に対する理解も進んできている。

 今の時代に革命は必要ないのだ。」

 

 革命は必要ないか…。

 異能解放軍は11万人の兵士を揃え、彼らの手で革命を起こそうとしている。

 それに、リーダーの四ツ橋力也には子供がいない。

 自分の手で革命を起こすという決意の現れだろう。

 奴等の計画では、主要都市破壊による混乱の中、花畑の政党を使って国を手に入れる。

 自衛を訴えて武器を配り、今を壊す。

 既に下地という訳では無いが、デストロの本は出回り始めているし、売れている。

 変化は常に訪れる。

 何処のどいつが偉くなろうが知った事ではないが、解放軍による混乱は無視できない。

 やっぱり敵連合関係なく叩く必要が有りそうだ。

 11万人全員を叩く必要はない、幹部と指導者たる四ツ橋主を逮捕出来れば行けるか?

 尻尾掴むのが大変過ぎる。

 下手な掴み方すると、簡単に千切れるだろうし。

  

 

 

 

 

 




自分で原作壊しといて、原作知識が通用しない事に悩む主人公。

Switchで面白いゲームあったら教えてください。
まだポケモンとスカイリムしか持ってない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

警告な件

 トガちゃんの素敵なイラストが原作者のTwitterに上がってるので皆見てね!
 こっちのトガちゃんは独房行きだよ!


 結論から言うと、証拠が出ない。

 泥花町の成り立ちやら、出版社やらを色々漁ったが幹部に繋がる証拠がない。

 泥花町の金の流れや、成り立ちに不審な点はあるが四ツ橋含む幹部に繋がる情報は出てこない。

 完全に徹底している。

 全員が狂信者に近いのだ、泥を被る事すら解放の為なら喜んで行うだろう。

 (方針を変えるべきか…。)

 証拠による異能解放軍を逮捕ではなく、奴等の計画が起こった場合の対策に切り替える。

 ここまで証拠が出ないなら、現状から未来を予測する形で奴等のテロ計画について話した方が良さそうだ。

 実際、デストロの本を売り出してるしネットでも何か工作してるし。

 公安の捜査力なら俺が気づけない事に気付くはずだ。

 早速上司に電話するか。

 

prrrr…

 

『貴方の方から電話するという事は敵連合について何か掴んだのでしょうか。』

 

「今回は別件です。

 デストロの本が再出版された件、知ってますか。」

 

『ええ、表現の自由はあるので何も言えませんが、少々頭の痛い事です。』

 

「再出版で気付いたのですが、自分がネットで参加していたコミュニティ覚えていますか。」

 

『ええ、あの件で既に数名が泥花町に向かい、調査中ですね。

 再出版と繋がりがあると?』

 

「彼らの思想はデストロの思想に近かった。

 それと、再出版された本に目を通したのですが、彼らの書き込みの方が古い言い回しを感じました。」

 

『貴方がデストロの本を読んだ事実に、頭痛を覚えますが続けて下さい。』

 

「所々、個性を異能と呼んでいたり、再出版された本に近い言い回しがあったりとまるで昔のデストロ本を熱心に読み込んでるみたいでした。

 それも複数人が。」

 

 デストロの本は出版された当時に圧力で直ぐに発禁されたから市場に出回った数は少ない。

 それなのに読み込んでいる奴等が泥花町に集まってるのだ。

 

『…つまり、泥花町にデストロの信奉者がいる可能性があると?』

 

「その可能性は高いかと。」

 

『それだけなら私に直接連絡してこないでしょう。

 まだあるのですね?』

 

「寧ろここからが本題です。

 AFOもオールマイトもいない不安定な時期にデストロの本が再出版された。

 これって合図だと思いませんか?

 あるいは、一般市民に自分達の思想を理解してもらう為の下地作り。

 実際売れているみたいですし。」

 

『近いうちにテロが起こると?

 少々飛躍しすぎかと思いますが。

 貴方の言い回しではまるで出版社もグルのように聞こえますが。』

 

「あの本をこの時期に再販出来るなんてどう考えてもグルと考えるべきです。

 それに、ネット上でも流れを作ろうとしている動きがあります。

 規模からしてかなり金も人も必要な工作もありますし、組織自体が社会にかなり溶け込んで準備してますね。」

 

『…はぁ。

 貴方の思うテロの目的と手段は?』

 

「目的はデストロの掲げた、現体制の破壊による異能を自由に使える社会の作成。

 手段は、主要都市への一斉攻撃による混乱とヒーロー制度の破壊、混乱の最中に政権を取るとかだと予想します。

 せっかく社会に溶け込んでいるのだから、出来るだけ土台は残して置きたい筈です。」

 

『確かに、今の社会体制は個性の抑圧という形をとっているのであり得ない話と一笑する事は出来ませんね。

 しかし、貴方の予想する計画なら既に政界にまで入り込んでいると言うこと、支持母体全員がテロ組織の一員と考えると数万人規模のテロ集団になりますよ。』

 

「あり得なくは無いでしょう、『個性の抑圧』は大小あれど全員が共有する個性社会唯一の不満です。

 何十年と勧誘と準備を進めれば可能です。

 個人的に一番危惧してるのは、彼らと敵連合が合流することです。

 彼等の目指す形は『支配』、正にAFOの再誕みたいなものです。

 AFOが見出だした死柄木というカリスマにあてられる可能性があります。」

 

『正に最悪の予想ですね。

 敵連合はヒーローと対等な力を手に入れる事になります。

 …わかりました、至急泥花町の監視レベルの引き上げとチームを作成して事に当たります。

 状況によっては此方から貴方を頼る場合があるので覚悟しておくように。』

 

「了解しました。」

 

 にしても、個性社会の共通の不満が『個性の抑圧』なんて皮肉も良いところだ。

 これで一応異能解放軍に対して警戒する事が出来る。

 後は公安の監視が上手く行けばテロを未然に防ぐ事も可能になるし、原作通りに進むなら、敵連合との対決時に漁夫の利が出来るかも知れない。

 異能解放軍は利用ではなく排除の為に敵連合と接触してたし、利用価値が下がろうと関係ないだろう。

 それに奴等は敵連合に嫉妬してる節がある、彼らは名前を世間に轟かせたのだ。

 長年地下活動してきた異能解放軍からしたら羨ましいだろう、それに彼等の起こした混乱を利用して革命を起こすのだ。

 後から歴史を書き換えるにしても敵連合はいない方が都合が良い。




色々考えた結果、異能解放軍の証明よりテロリストがいる可能性を公安に伝えた方がスマートだと思ったのでこうなりました。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

潜入な件

今回も短いです。


『敵連合と例のテロリスト集団、潜入するならどっちが良いと思う?』

 

 最近、ホークスが前置きもなく本題に入るようになった。

 信頼の証なんだろうか、今回も電話に出るなりぶっこんできた。

 

「…テロリスト集団だと思いますよ。

 敵連合はパトロンも仲間も失って頼る相手がいない、それに殻木逮捕も知っているだろうし、ヒーロー側が敵連合に先がないと思っている事を向こうは知ってる可能性が高いです。

 潜入するなら手土産が必要かと。

 テロリスト集団は潜入まで時間がかかるかも知れませんが、彼らの目的が革命とすると貴方の知名度を利用したいはずなので、重宝される可能性が高いです。」

 

 正直、敵連合にスパイするメリットはないと思う。

 AFOの思惑は先回りして潰してあるし、彼ら自体の戦力は十分に危険だが全容はほぼ把握されてる。

 それに、仲間が減ったからか、目撃情報も少なくなっている。

 一瞬罠かと警戒したが、彼らの起こしたと思われる事件は起きてないので、より深く潜伏している可能性が高い。

 テロリスト集団、もとい異能解放軍への潜入はホークスなら簡単だと踏んでいる。

 今は本が出回ってるし、恐らくヒーローに対するスカウトマンが既にいるはず。 

 現役ヒーローが異能解放を支持していると分かれば、構成員の士気向上、革命後の一般層への受けが良くなる。

 人気が高ければ高いほど価値は上がるはずだ。

 

「というか、専門外の俺に聞く時点で答え出てますよね?」

 

『まあね、扉間君の案で警戒レベルを上げて調べたら、扉間君の読み通りかなりデカイ組織って事が分かってね。

 今の敵連合よりこっちが重要じゃないかって話になってね。

 テロリストの方に回る事になった。』

 

 確かに、現在の状況でホークスの能力を生かすなら異能解放軍の内偵をしてもらった方が良いだろう。

 

「危険ですよ?」

 

 正直、ホークスの背中が焼かれる未来はごめんだ。

 

『承知の上。』

 

「なら俺から言う事は死なないで下さい以外に特にないです。

 後、敵連合は此方で追い詰めます。」

 

『じゃ、これから連絡出来なくなる。

 手伝いが欲しくなったら別の手段で連絡する。』

 

 通話が終わる。

 ホークスはスパイとして異能解放軍に潜り込むだろう。

 もしかしたら泥花町で敵連合を迎え討つかもしれない。

 その前に敵連合を捕まえる必要がある。

 改めて、敵連合の最近の目撃情報を地図上で確認する。

 基本的に、目撃されやすいのはトカゲ、次に勧誘に動いている荼毘だ。

 死柄木はオーラというか全身から敵オーラ出してるし、コンプレスは素の顔も仮面も割れているしボロボロの義手は目立つだろう。

 最近の目撃情報はほぼ荼毘に集中している。

 荼毘が目撃された近くで焼死体が見つかってる場合が多い事から本物と考えて良いだろう。

 他の三人についてはヒーローが何回か潜伏場所と思われる場所に踏み込んだが、ギリギリ逃げられている。

 敵連合は荼毘の目撃情報や潜伏場所の位置から一直線に北上している。

 北海道なら土地もあり、人も少ない。潜伏にはもってこいだ。

 それに、北海道には二番目の規模の刑務所がある。

 警戒レベルは上がっているが、警備の質はタルタロスに数段劣る。

 死柄木とコンプレスの二人なら潜入も破壊も可能だろう。

 流石に北海道襲撃なんて安直かと思ったが、時期的に今の北海道は人が少ないし、ヒーローや警察は雪で増援は望めない。

 敵からしたらある意味理想の潜伏場所だ。

 

「テレポン北海道は好きか?」

 

「蟹!ウニ!味噌ラーメン!」

 

 

 




というわけで、こっから北海道編!
冬の北海道という誰が行きたがるのかちょっと不思議な場所に移ります!
オリジナルエピソードなので無理そうなら早めにかたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

説得な件

難産
あ、無事に30連で水着キアラ(10連)と水着アビー(20連)お迎え出来ました。
何故か星4水着は来ないというね。


「敵連合を捕まえる為に北海道に行こうと思う。」

 

 北海道に行くには四人の同意が必要だ。

 彼らは俺を守る人間として俺の安全を確保したいと考えている。

 命令する事も出来るが、それはしたくないし、してはいけないと思う。

 彼らとは人形と主人ではなく、対等な関係でありたい。

 

「ワシらだけ向かうのはダメなのか。」

 

「人が少ない冬の北海道とはいえ皆さんは正直目立つ。

 それに、今回の目的地は網走監獄で長期滞在を考えています、人との交流は避けられません。」

 

 今回は網走監獄に直接向かう。

 敵連合が北上している以上、戦力の確保を考えると網走刑務所は潜入や破壊する難易度が低く、タルタロスには劣るが十分に厄介な敵も多い、出来れば待ち構える形で敵連合と相対し、鎮圧したい。

 長期間滞在となると四人の正体に気付かれる可能性が高い。

 

「そもそも、奴等が監獄を襲撃する可能性は高いのか?

 潜伏するだけの可能性もある。」

 

「確証はないですが、敵連合に今必要なのは戦力とブランド力の維持。

 どちらも得る手段としてあり得なくはないかと。」

 

 敵連合の名前が過去の物なったり舐められた状態だと、他の敵組織との交渉で不利になる。

 刑務所襲撃による集団脱獄を敵連合が行う事で世間に恐怖を刻み、他の敵組織からも評価が変わるだろう。 

 それに、奴の目的はオールマイト含めヒーロー社会そのものを壊すことだし。

 俺の意見を聞いてPlusUltraとグラディエーターは考え込んでいる。

 もう一押し必要か。

 

「坊主の考えはわかったし、意味はあると思う。

 テレポンがいるし戻ってくる事は容易い。

 ただ、俺達が動くべきかと考えると正直微妙だ。

 仮にも向こうは二番目の規模を誇る監獄だ。

 警備もしっかりしてるだろうし、俺達が和を乱して余計な被害が出ないとも限らない。」

 

 カロリの言うとおり、懸念自体は正しいが四人を動かすと考えると、根拠が弱い部分もある。

 

「確かにそのとおりです。

 正直に話すと、異能解放軍への警戒の策として拠点を増やしたいのもあります。

 彼らは衛星も持っていますし、ホークスがミスするとは思えないが万が一を考えるとここ以外の拠点が必要かと。」

 

 緊急用の拠点。

 異能解放軍は衛星による監視も可能な集団だ。

 ホークスが潜入に成功した場合、素性を調べるだろう。

 ホークス自身から俺に繋がる事はないが、サイドキック達の周辺のパトロールはまだ続いている。

 万が一俺の成果や個性が向こうに漏れた場合を考えると拠点がもう一つあった方がよい。

 

「確かに、異能解放軍は情報分析能力も規模もデカイ。

 俺達の指一本でも写真か何かに映ればアウトかもな。」

 

 とりあえず、カロリも説得出来た。

 後はテレポンだけだが、一番厄介な気がする。

 今も話を聞きつつ、此方を微笑みと共に真っ直ぐ見つめている。

 

「扉間君、建前は分かりました。

 貴方の本音を聞かせて下さい。」

 

「…」

 

 ダメだ、勝てない。

 

「…ホークスが俺の意見でスパイ活動を始めた。

 このままじっとしていたらホークスの背中が焼かれるかもしれないし、もしかしたら死ぬかもしれない。

 それだけはごめんだ。」

 

 敵連合は原作以上に追い詰められている。

 後々、異能解放軍とぶつかって合流した場合により過激な存在になる可能性も否定出来ない。

 

「よし!

 なら早速北海道に向かう準備をしましょう!

 扉間君は上司の方の説得をちゃんとやってくださいね!」

 

「いいのか?」

 

「いいもなにも、貴方の側に立つと言ったじゃないですか?

 間違っていたらビンタでもしますが、正しい願いです。

 協力しますよ!」

 

 Plus Ultraとグラディエーター、カロリもやれやれとテレポンの意見に賛同する。

 

「色々と建前を作る前にもっと本音を聞かせてくれたまえ!」

 

「友を守れなきゃ社会も守れんよ。」

 

「今の俺は坊主の味方だしな、社会より坊主の我が儘優先だろ。」

 

 皆の言葉に、少し胸が熱くなる。

 ありがとう。

 

「わかった、ホークスの悲劇を少なくするために敵連合を捕まえるために北海道に向かう!」

 

 




説得編。
思ったより展開考えるの難しくて、毎日投稿厳かも。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

北海道な件

北海道観光させようと考えたけど、北海道行ったことないや。




 冬の北海道は寒くて白かった。

 説得から1週間、俺は今、網走監獄からくる迎えを網走駅で待っている。

 北海道へ行くよりも北海道内の方が移動に時間がかかるとは思わなかった。

 設定としては、警察官僚の息子の大学生が卒業研究の取材の為、コネで網走監獄に暫く滞在するという設定になっている。

 変装として一応メガネをかけている。

 取り敢えず、テレポンは北海道に用意した拠点で待機させて三人は口寄せを解除して呼び出せる状態で連れてきている。

 

「寒すぎる…」

 

 吐いた息が白を通り越してなんかキラキラしてる。

 体感的には最新の防寒着を着たお陰で、真冬の関東並みには寒さが軽減してる気がする。

 最新の防寒インナー、売り文句が『冬でも春気分!』だったんだが北海道の冬には負けるようだ。

 本当に敵連合は来るのかと一瞬考えてしまうほどの寒さだ。

 しかし、この疑念は余裕があるから沸く疑問だ。敵連合には選択肢はない。

 それに、移動中の新たな目撃情報から既に北海道入りしてると考えて良さそうだ。

 それに、死柄木ならこの寒さで笑って進軍してる気がする。奴は楽しくて仕方ないのだ、自分で考えて実行し、今を楽しむことが。

 困難に対して笑うのはヒーローの素質ある気がするが、まぁどうでもいい。

 

「にしても遅いな…。」

 

 迎えの車が中々来ない、既に約束の時間から30分経っている。

 一応ここ最近は晴れ間が続いているし、道も整備されてるはず、それに迎えにくる人間は刑務官だ。

 時間を守らないとは思えないし、遅れてくるなら連絡があっても良いはずだ。

 此方から連絡をしてみるか。

 

prrrrr…prrrrr…prrrrr…prrrrr………

 

(出ない…)

 

 どうやら最悪を疑うべきなようだ。

 駅から離れて、人気がない場所で懐から棒手裏剣を取り出し地面に放る。

 

(テレポン、緊急事態だから来てくれ。)

 

(モガ!?了解です!)

 

 棒手裏剣と入れ替わりにテレポンが現れる。

 蟹の脚は見なかった事にしよう。

 

「監獄からの迎えが来ないし、連絡も繋がらない。

 急ぐ必要がありそうだ。」

 

「既に襲撃されている可能性がありますね。

 わかりました、手筈通りに先行しますので後から来てください。」

 

 テレポンは懐から、銃を取り出して監獄のある方向に射出する。

 あの銃は、特別製でマーキング出来るギリギリの大きさの玉を打ち出すテレポン専用のアイテムだ。

 1kmは飛ぶから、個性を使用すれば長距離移動が可能になる。

 テレポンが移動を開始したので、一応公安に警戒の連絡を取りPlus Ultraを呼び出して今の状況を伝える。

 

「懸念が当たってしまうとは!」

 

「まだ、ヒューマンエラーの可能性もありますけどね。

 一応迎えが来たとき用に棒手裏剣とネコを駅に置いていきます。」

 

 人間はミスをする生き物だ、複数のミスが重なっただけの可能性もある。

 どちらにしろ最悪を考えて動くべきだろう、ヒューマンエラーなら笑い話になるだけで、これで本当に襲撃があって動かなければマヌケも良いところだ。

 

「よし、では我々も向かうとしよう!」

 

 Plus Ultraに抱えられながら雪原を進む。

 大体、4km位だしテレポンは既に監獄についているだろう。

 

(テレポン、状況は?)

 

(事前に聞いた話では入り口に二名、塀の上にも警備がいるはずですが見当たりません。

 周辺も調べましたが、戦闘の形跡はありません。

 監獄へ向かう足跡が数名、出ていく足跡はありません。

 侵入者はまだ中にいる可能性が高いですね。)

 

 テレポンの視覚を覗いて確認したが、確かに警備はいないが争った形跡もない。

 敵連合の仕業なら、壁の一つや二つ崩れているか、抉られていると思ったが。

 

(まさか、別の組織か?)

 

 どちらにせよ、網走監獄が非常事態になってる事は確定だ。

 網走監獄は地上1階、地下13階の地下に伸びる監獄だ。

 1階と地下6階は医療室や監視室、作業部屋や運動場になっており、それ以外全てが牢になっている。

 基本的に凶悪犯であればあるほど地下に収容される。

 殆どの受刑者が知的犯罪で捕まった者ばかりだが、地下深くには殺人を犯した敵や組織の親玉等もいる。

 他の組織だとしたら、組織の会計係や金庫番も此処に収容されているから、そちらが目的というのもあり得ない話ではない。

 襲撃者が何者か分からないが、戦力確保、あるいは仲間を助けに来たのなら恐らく地下にいるはずだ。

 

(内部に先行しますか?)

 

(いや、俺達が揃うまで待機だ。

 それに彼を呼ぶ。)

 

 一応秘密兵器も用意したが、早速使う事になるとはな。

 話は北海道に向かうことを上司に説得していた時に遡る。

 

『貴方の意見は分かりました。

 確かに、敵連合が向かう可能性は高いという分析結果もあります。

 拠点の場所については報告する義務はありません。

 それと網走監獄に貴方一人が向かう事で此方の動きを悟らせない事も理解できます。

 危険は十分承知なのですね?』

 

「まだ未成年ですが、俺は公安の一人です。」

 

『ホークスがいたら全力で止めていたでしょうね。

 分かりました、貴方の北海道行きを条件付きで許可します。』

 

「条件とは。」

 

『貴方の現在の戦力は対AFO戦を想定した者で今回の作戦には不向きな者が多いでしょう。

 なので室内戦に向いた人間を一人此方で用意するので同意の元に活動を共にしてください。』

 

 この場合というか、俺に言う場合の人の用意とは、穢土転生を意味する。

 室内戦に関しては、カロリとテレポン以外は確かに難しいだろう。

 監獄の構造上グラディエーターは加重による威力を十分に発揮出来ないし、Plus Ultraはやれなくはないが体格的に少し難しい。

 

『素材には捕らえた脳無を使用するので、罪悪感を感じる必要はありません。

 それと用意する人材はヒーローではありませんが彼等に匹敵する人格と強さを兼ね備えている事は保証します。』

 

 元々というか初めから罪悪感がない事は黙っておこう。

 それよりヒーローではないとはどういう事だろう。

 

『それに、今回の監獄という点に置いても有効だと思いますよ。』




というわけで新メンバーが次回!

SwitchでるffccってDSの奴じゃないのね。
DSのffccの奴は神ゲーだった記憶。
主人公がスープの味分かんなくなったりしていくの今でも覚えてる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

潜入な件

ラビリスタは月末実装見たいですね!
実装当日に自慢してなかったら察してください。



 この世界の近代史をちょっと深く勉強していれば誰でも知ってる事だが、ヒーロー以外にも個性使用を認められていた職業が過去にあったのだ

 個性社会黎明期の刑務所は地獄だった。

 今より個性に対する理解もなければ設備もないため、刑務所や監獄は毎日個性によるトラブルに見舞われ、その対応を行う刑務官や囚人の怪我が多数発生し、機能不全に陥る刑務所が多発した。

 この事実を重く受け止めた国は、監守や刑務官に鎮圧を目的とした個性使用を認める事にしたのだ。

 今は個性に対応した設備が充実しているため、個性使用は原則行ってないが、法律自体はひっそりと残っている。

 いきなり何を言い出すのだと思ったかもしれないが、まぁつまりそう言うことだ。

 

(なるほど、確かに監獄向きだな。)

 

 上司からプロフィールを確認して、新しく用意された施設で脳無を元に穢土転生を行った。

 棺が開き現れた男は長身で背筋を真っ直ぐに伸ばし、警官の正装の上から黒いコートを着ている。

 警察帽から見える髪色は黒く、顔の彫りも深く眼差しは冷たい。

 厳格な性格が伝わってくる。

 取り敢えず、個性の使用と動きを封じて此方の今の状況を念じて送る。

 

「整理出来たら、協力してくれるかどうか答えてください。」

 

暫くの間、静寂が訪れる。

やがて向こうの口が開いた。

 

「…少年よ、貴君の口から改めて聞きたい。

 貴君は何のために私を使役する。」

 

「使役と言えば、使役になるか…。

 何のためと言われれば、俺の我が儘の為だ。

 知ってしまった悲劇、知らなかった悲劇から誰かを救いたい。

 そのために貴方の力を借りたい。」

 

 向こうは下を見るように、俺は見上げるように目を向ける。

 目線が会ったまま、沈黙が流れる。

 

「いいだろう、貴君が正義を持つ限り従おう。」

 

「ええ、よろしくお願いします。

 初代タルタロス監獄長 黒縄 鎖縛さん。」

 

 ここまでが数日前の話。

 今は俺達は網走監獄の前にいる。

 グラディエーターとカロリ、そして監獄長も呼び出して作戦会議を行っている。

 ちなみに監獄長という呼び名は最初は名字で呼ぼうとしたらテレポンがブーたれて色々あって本人の了承の元、監獄長という呼び名に収まった。

 

「改めて網走監獄は異常事態にあると考えて良いんですかね。」

 

「その通りだ。

 平時ならばいかなる催しがあろうと警備は必ずいなければならない。」

 

「カロリさん、熱源は?」

 

「地上の建物内には確認出来ねぇな。

 地下については此処からじゃ確認出来ねぇから中に入るしかなさそうだ。

 それと、地面の熱の感じから穴を掘った可能性は無さそうだ。」

 

 建物は一見無傷で穴を掘って内部に侵入もなしか。

 

「可能性としては、転移系の個性か洗脳系の個性、あるいは内通者か。」

 

 転移系の個性は割りと希少だし、都合良く敵連合に加入するとは思えない。

 

「此方の知る規則のままなら、全ての監獄の扉は担当者二人一組の承認が必要だ。

 規則として担当は毎日全員が出勤後にランダムに選ばれる。

 例外として監獄長と副長のみが緊急時の対応として片方の代理として全ての扉にアクセス出来るが、その場合自動的に警察とヒーローに通知が行く手筈になっている。

 それに、外部に繋がる扉は全て内側からしか開ける事が出来ない仕組みのはずだ。」

 

 監獄長の意見を聞いて、改めて網走監獄を確認する。

 建物から伸びるアンテナ類が破壊されている様には見えない。

 それに、到着してから暫く立つがヒーローや警察が来る気配はない。

 

「扉は壊されてないし、アンテナも無事。

 そしてヒーローや警察がやってこないとなると、計画的な犯行と考えていいでしょう。

 問題なのは一つの可能性を除いて敵連合の仕業とは思えない事です。」

 

「貴君はAFOの信奉者が内部にいると?」

 

「貴方の立場なら考えたくないのは分かりますが、あり得なくはないでしょう。

 公安ではリストを元に粛々と対応を取ってますが、リストに漏れた人間もいる可能性はあります。

 まあ、可能性的には敵連合と手を組んだ組織と考えるべきでしょう。」

 

 取り敢えず、異常事態で中の人間が悲劇に見舞われてる可能性が高いし、敵連合抜きにしても行動するしかない。

 

「取り敢えず、既に公安に異常事態である事は連絡済みです。

 ただ、到着を待って行動しては悲劇に間に合わない可能性があるので内部に侵入します。

 テレポン頼んだ。」

 

 テレポンの個性と専用銃を使えば、高い塀なんか関係なく内部に潜入出来る。

 

(人影も気配もなし。

 全員呼びますね。)

 

 そして今のテレポンなら複数人の転移も可能である。

 一瞬で全員が塀の向こう側に移る。

 事前に渡された資料通りなら監視室があるはずだ。

 斥候としてテレポンが先行し、俺の周りを四人が固めて移動する。

 

「電源が落ちてるな。」

 

 監視室はもぬけの殻で、争った形跡がない。

 それに全てのカメラが止まっていた。

 電源を付けても砂嵐が映るだけで、どうやら入念にこわされているらしい。

 

「取り敢えず一階部分の捜索を、カロリさんは地下の熱源をお願いします。」

 

「扉間君の護衛は私がしますね。」

 

 取り敢えずテレポンが俺の護衛に就いて各自で捜索を開始する事にした。




というわけで新キャラの職業は『黎明期の監守』でした。
技術的というか個性に対応した牢屋って結構ハイテクだと思うので、黎明期は監守とかが個性で対応してると考えてこういう形になりました。
グラディエーターと被る気がするが真面目系です。
個性についてはまた今度で。

ちなみに身長は190cmの予定


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

地下ダンジョンな件

風呂敷の畳み方わかんない。


 探索の結果分かった事は、記録上今日出勤の人間は全員来ていること、地下監獄の換気機能は生きていると言うことだ。

 しかし、看守用の6Fへの直通エレベーターは破壊されていた。

 また、地下へ向かう扉、各階を繋ぐ扉も計器上は破壊されてなく、犯人は監視カメラだけ破壊したようだ。

 やはり何があったか分からない以上、下に潜るしか無さそうだ。

 

「取り敢えず、テレポンは俺を拠点まで戻してくれ。

 それと誰か一人、これからやって来るであろうヒーローや警察への説明が必要だから1Fで待機してもらいたい。」

 

「なら俺が待機しよう。

 階層のある建物だと生前以下の戦力になる可能性があるからな。」

 

 俺が残ろうと考えたが、異能解放軍を考えると警察やヒーローと接触するのは不味いと思い、俺は拠点にてサポートに。

 グラディエーターは連絡員として1Fに残り、後の四人で地下に侵入する事になった。

 

「じゃあ、飛ばしますね。」

 

 テレポンが俺に触れて北海道の拠点に飛ばす。

 拠点はまだ仮拠点だが、札幌の雑居ビルを拠点にした。

 …殺風景な部屋に飛んだと思ったが、何故か炬燵があり炬燵の上に土鍋とカニが置いてあった。

 一人でカニしゃぶを楽しんでいたらしい。

 一通りの安全を確保し、取り敢えず炬燵に入りテレポンと視覚を共有する。

 四人は既に地下への扉も壊して中へと進んでいる。

 先頭に監獄長、中列にカロリとテレポン、Plus Ultraが後衛に回り進むようだ。

 地下一階は無個性の犯罪者が多く、戦闘向けの敵はいないはずだ。

 

「おい!

 誰か入ってきたぞ!」

 

「誰でもいいから助けてくれ!」

 

 取り敢えず、地下一階の囚人は無事みたいだ。

 俺達の侵入に対して扉に近付いて

 最初に四人を見つけて声を上げた男に監獄長は近づく。

 

「番号と何があったか報告しろ。」

 

「はい!

 囚人番号114514、鈴木太郎です!

 朝8時頃に突然、監守長殿と副長殿が外部の者と看守や医者なんかを全員連れ立って降りてきました!

 その後昼を過ぎても誰も戻ってきていません!」

 

「外部の人間の特徴を伝えろ。」

 

「はい!

 体が手だらけの男と、火傷まみれの男、義手をした仮面の男、トカゲのような男です!」

 

 彼の言い分が正しければ監守長と副長はどうやらAFOの信奉者らしい。

 事前の資料では網走監獄の長は『恫喝』という支配系の個性だが効果時間が短いはず。

 いくらドーピングしてもここまで長時間の支配はあり得ない。

 副長に関しても届け出上は無個性だがAFOに個性を与えられている可能性がある、そっちが操っているのか? 

 相手は支配系の個性持ちか。

 彼らに効果がなければ良いが。

 原作でも、幻術で支配権を奪われるという設定があるが描写が最高レベルの瞳術による幻術なので下限が分からない。

 

(取り敢えず敵が支配系の個性持ちなら注意してください。)

 

 四人の警戒レベルが上がる。

 

「…度しがたい。

 看守の長たる者達が敵となり、しかもAFOの信奉者だと…!

 更正が必要だ、厳罰が必要だ。」

 

 一人激怒していた。

 監獄長の性格というか生前の事を考えたら無理もない。

 監獄長の最後はとある敵を護送中にAFOが敵の個性目当てに護送車を襲撃、監獄長はその場の全員を守り死亡したのだ。

 取り敢えず、囚人達には後から別にヒーローや警察が来ることを伝えて先に進もう。

 

 どうやら地下二階の囚人達も無事なようだ。

 彼らにも話聞くと地下一階の時と同じ証言だった。

 さらに、敵連合と監守長の会話を聞いた囚人曰く、どうやら地下13階に用があるらしい。

 13階の囚人は凶悪な単独犯かヤバい組織犯罪のボスしかいない。

 

(敵連合の目的が13階だと分かりましたが、何か意見ありますか?)

 

「一つある。

 奴等が看守全員を連れていった理由だ。

 私の時代ではタルタロス独自のルールだったが、特定の囚人に関しては牢を開けるには全員の認証がいる。」

 

「つまり、連れていかれた看守達だけなら最下層にたどり着くまで無事という事ですね。」

 

「彼らが地下に潜ってから既に1時間経過している!

 我々が急げば間に合うかもしれん!」

 

「敵もバカじゃねえ、次の階から囚人どもが待ち構えてるぜ。

 それと、6Fに何人か集まってるみたいだな、看守以外のスタッフかもしれねぇ。」

 

 カロリの熱感知を確認する。

 確かに、地下3F以降の熱源が規則正しく並んでおらず自由に動き回ってる。

 

「他の職員の安否が気になる。

 先を急ごう。」 

 

 監獄長の言う通りだ。

 それに途中に出てくる囚人達も彼なら問題ない。

 Plus Ultraの拳で3階への扉が吹き飛び、監獄長が一人中に入る。

 一瞬、ぶっ飛んだ扉にびびったようだが囚人達は一斉に監獄長に飛びかかる。

 各々が個性を暴力に利用して襲いかかってくる。

 プロヒーローでも対処できる者は武闘派ヒーローの一部くらいだろう。

 

「眠るがいい、一切捕縛」

 

 監獄長に届く次の瞬間、監獄長の体から囚人達に向かって鎖が伸びる。

 鎖の激流とも呼べる量の鎖が監獄長から伸びて、襲いかかってきた囚人の後ろにいたもの、襲撃に参加せず開け放たれた牢屋にいたもの全てを縛り上げた。

 ただ、縛り上げるだけではない。

 鎖から逃れようとしていた囚人達から力が抜けていき体力が低い者から気絶していく。

 

「捕縛完了、解除する。」

 

 余計な鎖は監獄長の中に戻っていき、残ったのは分離した鎖で縛られ気絶した囚人達だけになった。

 これが監獄長の個性『黒鎖』、体から放出した黒い鎖は人体を縛り上げて体力を奪う。

 まさに鎮圧に特化した個性だ。




という訳でプロフィール

名前 黒縄 鎖縛
身長 190cm
あだ名 監獄長
個性 黒鎖
  全身から黒い鎖を伸ばす事が出来る。
  人体に触れた場合縛り上げて体力を奪い気絶させる。
  伸ばした鎖は分離させる事も出来るが切り離した分の血肉を消費する。鎖自体の強度は普通の鋼鉄くらいなので巻き付けて打撃戦とかも可能。

生前の活躍
  生前はタルタロスの監獄長。
  個性黎明期は牢屋が個性に対応していないため、囚人鎮圧を目的に監守達は個性の使用が認められていた。最初にして最後のタルタロス内で発生した全囚人による暴動を一人で鎮圧した実力者。最期はとある凶悪敵を護送中に個性目当てで襲撃したAFOと交戦、護送対象や他のスタッフを守りきり殉職。

 備考
 鉄面、厳格、真面目。

 要約
 チェーンで拘束、体力デバフ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

中間地点な件

虫歯0なのに親不知抜く意味あったのか?


 一気にかけ降りていく四人。

 道中に囚人達からの襲撃があったが、監獄長の個性の前には無意味だった。

 穢土転生体になった事で個性のデメリットがなくなった監獄長は囚人達を問答無用に拘束していく。

 彼らは恐らく時間稼ぎの使い捨てで尋問する時間すら惜しい。

 4階、5階へと進んで行き、6階へとたどり着いた。

 6階は7~13階の監視室や運動場、作業部屋等になっている。

 カロリの熱源探知によればここには何人かのスタッフと思われし人間がいるはず。

 恐らく、監守以外の夜勤か何かで泊まり込みしていた人間だろう。

 6階の扉を開けて中に入る。

 すかさず集まっている熱源へと向けて四人は移動する。

 熱源が集まっているのは、どうやら宿直室の様だ。

 監獄長がノックをして確認する。

 

「我々は貴君らを助けに来た者だ。

 決して危害を加える様な事はしない。」

 

 返事がない。

 此方を信用してないのか、あるいは出れないのか。

 

「我々が信用出来ないのであれば構わない。

 我々は直ぐに地下に降りて敵を追う。

 1階までの扉と囚人達は無効化してあるので立ち去った後に出ていくといい。」

 

 扉の向こうで一人が此方に向かってくる。

 

『本当に味方なのか。』

 

「我々は公安の人間である。

 地下に降りた彼らを助けるために急ぐ必要がある為、早急にここを開ける気がないなら我々は立ち去る。」

 

 ヒーローなら彼らの信頼を得るために頑張るかもしれないが、監獄長はヒーローではない。

 扉の向こうの彼らが情報を持ってる可能性を考えて声をかけている面の方が強い。

 監獄長の言葉を聞いて、扉が開いた。

 出てきたのは神父服の老人であった。

 

「疑うような事を言ってすまなかった。

 私はこの監獄に牧師として勤めている、悟 啓と言う。

 ここには私と医療スタッフが三人入っている。

 全員怪我はない。」

 

「何故貴君らは無事だった?」

 

「それは、私の個性によるものだ。

 私の個性は『天啓』、最適な行動を閃く個性で監守以外のスタッフを集めてここに閉じ籠ったのだ。

 それと医師の個性『密着』を利用して扉を塞ぎ、スタッフの『幻影』で部屋の存在を隠していた。」

 

 なるほど、天啓で予知して扉を塞ぐ事で籠城したのか。

 それに監守をあえて外す事で彼らは執着せずに先を急いだのだろう。

 

「侵入者について何か分かるか?」

 

「すまない、私の個性は行動を示すもので万能ではない。

 ただ、彼らは急いでいた。

 『急な来客で気付かれるかもしれない』と言っていたよ。」

 

 俺以外に来訪の予定は無いから来客とは恐らく俺の事だろう。

 なるほど、つまり俺の来訪というイレギュラーの結果焦っているのか。

 運が良いのか悪いのか。

 取り敢えず奴等は急いで行動している事が分かっただけ良しとしよう。

 取り敢えず、彼等にグラディエーターと合流してもらうように指示をして先に進もう。

 

(ということで、避難してくる方達の保護をお願いします。グラディエーターさん。)

 

(了解した。)

 

 お約束の展開の一つの人質に黒幕がいるとかあってもグラディエーターなら対処できるだろう。

 流石に考え過ぎだろうけど。

 取り敢えず四人は地下に進んでもらう。

 囚人達の個性は把握していないが、仮に物理無効的な存在がいてもカロリがいるしなんとかなるだろう。

 7階に足を踏み入れると案の定、囚人達が襲ってくる。

 動きも個性の質も6階までの囚人達よりは明らかに上だが、監獄長を止める事は出来なかった。

 階毎の壁が厚く派手な戦闘音も出さずに鎮圧しているためか、下の階をカロリの熱センサーで確認しても動きはない。

 8階、9階、10階と進みようやく13階へ進む扉までたどり着いた。

 

 

 

 




腫れて噛めなくてお粥生活で痛くて更新する元気なかったけど無課金天井でラビリスタとプリンセスコッコロ迎えられたから更新しました。
これでプリフェス限定揃ったてばよ。
グラブルも水着ミムルメモルきたし、今年の夏は最高ですね。


今週のヒロアカ読んだけど、ギガントマキアやばくない?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

畳み掛けるな件

チェーンソーマン三巻まで読んだ。
主人公がこれだよこれ!って感じにドンピシャだったし楽しいなぁ、おい!


 正直言うと今回の状況には一つ奇妙な点がある。

 まず始めに死体が転がっていない事。

 いくら囚人とはいえ敵連合に黙って従うとは思えないし、見せしめの死体があってもおかしくないと覚悟していたが、死体が無い。

 囚人達も怯えているようには見えず、寧ろ嬉々として襲いかかってきた。

 監守長の個性でないとしたら副長の個性が原因なのだろうか?

 いや、此処まで来て考える疑問でもないか。

 この扉を開ければ答えが分かるはずだ。

 

(今の敵連合で一番我々が警戒すべきはコンプレスです。)

 

 奴の個性は封印タイプ、原作同様に封印が唯一の穢土転生への対抗手段だ。

 既にカロリの個性で中の人数と配置は分かっている。

 

「よし、ではワシが扉を破り、先頭を走る!

 監獄長は全体を分断しつつコンプレスの確保に集中!

 カロリ君は荼毘、テレポン君は監守達の保護を頼む!」

 

 Plus Ultraの指示に全員が同意を示して突入する。

 扉を破った瞬間、青い炎が視界を染める。

 荼毘の先制だろうが、四人には効かない。

 火達磨になりながら突っ込んでいくPlus Ultraとその後ろから監獄長は鎖を放出し、死柄木とトカゲ君、コンプレス、荼毘、監守長達を分断するように鎖の壁を作る。

 その鎖の隙間を縫うようにテレポンとカロリがそれぞれの役割を果たす為に進む。

 コンプレスの姿はPlus Ultraの視界を見せているため、問題なく捉えている。

 一瞬コンプレスを拘束したが、直ぐに圧縮によって鎖を千切られる。

 だが、その一瞬でも体力は吸収される。

 

「お前ら、やベーぞ!

 この鎖体力を吸いやがる!」

 

 コンプレスが全員に情報を共有しようと声を上げるが、反応はない。

 死柄木とトガケはPlus Ultraと向き合い、荼毘はカロリ、テレポンは監守長と副長に猛攻を仕掛ける。

 監守長や副長の前にはずらりと監守達が並んで待ち構えている。

 監守長は個性を使い、迫るテレポンの動きを止めようとするが、テレポンの聴覚は一時的に閉じている為止まらずに個性が効かない。

 監守達の間に棒手裏剣を投げて、位置を入れ替わることであっという間に監守長の前に迫り蹴りを放つ。

 蹴りを加えたテレポンに対して監守達が一斉に攻撃を仕掛けるが、既にテレポンは其処にはいない。

 

「動きが単調、どうやら洗脳ではなく直接操られているようですね。」

 

 蹴りと同時に真上に投げていた棒手裏剣と入れ替わり、再び棒手裏剣を副長の後ろへと投げて入れ替わり、当て身を喰らわす。

 副長が気絶すると同時に監守達も糸が切れた様に一斉に倒れ出す。

 

「取り敢えず、監守達を地上に送ってサポートに回りますね。」

 

 テレポンが監守達を無力化するのと同時にカロリと荼毘の対決も終わった。

 室内、そして地下という環境は荼毘にとって相性が悪い。

 そして荼毘は自身の炎が熱すぎて圧縮放出による高速移動や攻撃が行えない。

 炎をカロリに放出してもカロリは熱を吸うことで無力化し、荼毘へと接近戦を仕掛ける。

 荼毘も相性が悪いと分かったのか逃げようとするも鎖がそれを阻む。

 

「ほい、タッチ。」

 

 カロリが荼毘に触れた瞬間、荼毘は沈黙した。

 監獄長は既にコンプレス、監守長、副長、荼毘の全員を捕獲し、今は死柄木とPlus Ultraを閉じ込める事に注視している。

 因みに既にトカゲはノックアウトされ、捕獲されている。

 Plus Ultraと死柄木の戦いはまだ続いている。

 分断した後に、Plus Ultraは一撃で鎖の壁に叩きつけて鎮圧しようとしたが、トカゲ君が死柄木を庇う事で失敗した。

 その後、何度もラッシュを仕掛けるが死柄木はかすりながらもギリギリ避け、鎖の壁も崩壊させる事で体力を吸われないように対応しながらPlus Ultraから逃げ回っている。

 

(むぅ、此処までの身のこなしとは!)

 

 死柄木の厄介な体質というか、人としての本能というか追い詰められる程に成長していく。

 笑いながら、ボロボロなくせに、身のこなしは原作でもみせた猫の様な動きを見せている。

 

(むっ!)

 

 Plus Ultraの脇腹に一瞬手が触れる。

 それだけでPlus Ultraの脇腹が崩れ落ちる。

 

「おいおい、なんだぁその体は?」

 

 不味い、死柄木に塵の体がバレた。

 此方が不死と悟られれば最悪建物をぶっ壊して逃げる可能性もある。

 

(Plus Ultra、作戦変更で一度捕らえます。

 テレポン、監獄長お願いします。)

 

 この手は出来るだけしたくなかったがしょうがない。

 鎖の檻の中からPlus Ultraがテレポンと入れ替わり、死柄木へと突っ込んでいく。

 

(マーキング完了しました!)

 

 入れ替わった一瞬で死柄木に近付きマーキングと共に一撃を加えるテレポンは流石としか言いようがない。

 

「鎮圧独房」

 

 テレポンは棒手裏剣と入れ替わり、鎖の檻の中は死柄木一人になると同時に監獄長が鎖を戻し締め上げる様に死柄木を捕らえて体力を吸い上げる。

 

「此方は体力を吸い付くした。」

 

(グラディエーターさん。)

 

(既に上へ投げた。)

 

 グラディエーターの返事を聞いたテレポンが死柄木を外に飛ばす。

 死柄木は気力で立ち上がる可能性がある。

 此処で捕まえて万歳した瞬間に崩壊の個性が覚醒して建物全体を壊すなんて展開をさせない為にも死柄木を空中へと飛ばした。

 空中なら崩壊の個性が発動しても意味がない。

 死柄木に続いて四人と捕まえた敵連合、荷担した監守長達も地上に戻る。

 地上に戻った四人が見上げる先には死柄木が宙を落下している。

 見たところ覚醒しているようには見えない。

 テレポンが監獄長から鎖を受け取り、落下する死柄木に合わせて棒手裏剣を投げ、死柄木と並列にテレポンが並ぶ。

 

(手首固定完了です!)

 

 死柄木を抱えたテレポンが地上に戻る。

 死柄木の両手は後ろ手に鎖で縛られており、もはや何も掴む事が出来ない。

 更に、特別な樹脂で指だけスプレーする事で完全に無力化する。

 この樹脂は対死柄木捕獲様に用意した物で、振りかけると一瞬でコーティングが固まり、解除することが出来ない。

 死柄木の個性は五指で触れなければ発動しない。

 一応、コーティングされるだけで普通に手を使う分には何も問題ない。

 これで敵連合は全員逮捕出来た。

 取り敢えず、上司に電話するか。

 

Prrrrr‥

 

「扉間です。

 網走監獄にて敵連合及び彼等に荷担した者を捕らえる事が出来ました。」

 

『素晴らしい成果です。

 既に護送車を手配してあるので、護衛としてカロリさんと黒鎖さんを警護に就けて護送をお願いします。

 それと、ヒーローや警察がそちらに向かい始めているので、速やかに拠点に戻るように。』

 

「了解しました。」

 

 




オリジナルストーリー難しくて終わらせてしまったぜ。
というか、敵連合が彼処から逆転出来るシナリオは一個浮かんだけど、風呂敷の広がり方がやばくなりそうで止めました。
没だけどせっかく書いたので活動報告に投稿するね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

後日談というか社会への影響な件

お粥飽きたんじゃが…


 敵連合全員の逮捕は大々的に発表された。

 執行者は世間的には公安の特別チームとだけ発表されて俺達の名前は一切報道されなかった。

 マスコミに騒がれるのは嫌だし、名誉もどうでもいい。

 寧ろ公表されたら、敵連合を捕まえた奴を倒して名を上げようなんて考えるバカに絡まれるだろうし。

 ヒーロー側の面目を保つ為にヒーロー達の積極的な拠点探しが大いに役立った事もアピールされて、世間は『オールマイトがいなくても平和が保たれる。』と拍手喝采だ。

 死柄木達はバラバラの監獄の独房へと送られる事になった。

 タルタロスはAFOがいるため、各地方に散らばった形だ。

 そういえば、敵連合を手引きした監守長と副長はどうやらAFOの信奉者ではなかったらしい。

 地下に収容されている囚人の部下で、その囚人は色々と偽ってタルタロス行きを免れて、当時ヒラの監守だった二人が立場を得るまで待っていたらしい。

 敵連合が北海道に来ていると聞いて興味が湧いたらしく彼らを呼びつけて、面白そうなら一緒に活動しようとしていたとかなんとか。

 なんでここまで分かったのかというと、公務員というか警察関係者が敵の部下だったので面目丸潰れな方々が滅茶苦茶締め上げて、全部吐かせたらしい。

 まあ、事件の顛末はこんな所だ。

 これで原作の懸念材料は異能解放軍のみとなった。

 まだAFOは生きているが、奴は呼吸器なしに生きられないし、個性も移植した事で劣化している。

 何もかも失ったのだからせめて俺だけでも殺しに来るかと考えたが、それは奴の美学に反するだろう。

 裏社会にも動揺が走っている。

 ヒーロー以外の存在が敵連合を逮捕した事に対して動揺してるようだ。

 公安は裏から社会を守る存在、ヒーローが採らない方法も躊躇なく行う。

 まだ裏社会の支配者の席を争い続けているが、今後はこの勢いのまま取り締まりが活発になるから大きく価値を落とすだろう。

 敵連合を逮捕出来た事で裏社会の弱体化には成功したと見て間違いない。

 異能解放軍に関しては動きは今の所ない。

 ホークスもまだとっかかりが得られただけで深くは潜入出来ていないみたいだし、今年中は動かないだろう。

 俺はというと、公安委員長からお礼と謝礼をもらった。

 本来なら英雄として称えるべき事を隠す事への謝罪の意味も含めてかなりの額を貰った。

 そもそも、表に出る気はないが貰わなければ向こうの面子が立たなそうだし貰っておこう。

 それにしても、敵連合があっさり片付いた事に自分の個性がどれほどぶっ壊れているかを再確認した。

 こう、一度くらいプラスウルトラするのかなと思っていたらしなかったし、いやしても困るけど。

 まあ、取り敢えずこれで雄英生達とかもトラブルなくヒーローを目指せるだろうしひとまず一件落着としよう。

 

prrrrr…

 

 おっと公安委員長から電話が来た。

 

『扉間君、申し訳ないのですが一部のマスコミや警察内で今回の功労者を探す動きが出てきているので、また那歩島に避難してください。』

 

 知ってた。

 というか、予想出来ていた。

 今回の成果を考えれば、マスコミが騒がない訳がない。

 警察内でも公安が一人大手柄を上げた様なものだし面白くないから粗探しの為に此方を調べようとするのも無理ない。

 俺の活躍が知られれば、拍手喝采してる市民達が一斉に非難轟々な市民に変わってしまう。

 

「テレポン、那歩島に行くから四人にも準備するように伝えてくれ。」

 

「ヒャッホー!

 新しい水着を買わなくては行けませんねぇ!!」

 

 

 




ということでバカンス回へ
それにしても一月以上も書いている自分にビックリしている。
皆さんの感想のおかげだと思います!

異能解放軍どうしよ。
二作目の劇場版の時系列どうなってるんだろう?
今度こそ主人公と会わせてしまおうか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

再びのバカンスな件

フォローした作品が更新止まったなって実感出来る瞬間って辛いよね。



 冬の那歩島は快適だ。

 ほどほどの気温で心地がいい。

 なんかこういう南の島でボーッと過ごす事の良さはおっさんになってリタイアした後だと思っていたが、何かもうずっとここにいたい。

 前回も来たプライベートビーチと別荘でぐだくだするのは何とも言えない素晴らしさがある。

 ビーチチェアに体を預けて水平線をボーッと眺める。

 Plus Ultraは遠泳、グラディエーターは海底散歩に赴きカロリは料理の準備をしている。

 テレポンは新作水着がウンヌンカンヌン言って着替えてる。

 監獄長以外はこの環境を楽しもうとしている。

 監獄長だけはいつも通りの服装で俺の後ろで警護をしている。

 本人曰く、此方の方が性に合っているとの事。

 

「…やっぱり、監獄長も海を楽しんだらどうだ?」

 

「結構、此方は生前から遊びをしない男であった。

 休息が要らない今こそ、生前の理想である。」

 

 仕事人間ここに極まり。

 本人がこうと決めたのなら尊重しよう。

 

「監獄長の視点から見て、今後の俺達はどうなると思う?」

 

「表向きの存在が作られると予想する。

 我々は現在、裏表問わずに動向を探られる存在。

 デコイとしての存在を世間にさらして探りを入れてくる人間、デコイと見破って行動を起こす人間を監視して悪を炙り出す。」

 

 なるほど、偽物の敵連合を捕らえた人間を公表する事で探りを入れてくる人間を観察か。

 ついでに、次代の平和の象徴とまではいかないが世間の安定にも繋がる。

 

「俺には名誉なんてどうでもいいし、最適な方法かもな。」

 

「この案は貴君が名誉に興味が無い事で意味をなす。

 仮に此方の案が現実になったときにデコイの人気に目を潰されないように。」

 

「寧ろデコイ君に同情するよ。

 虚栄なんて空しいだけだし、手当は弾ませなきゃな。」

 

 まあ、そんな人間をデコイにするような事はしないだろうが。

 監獄長の案は多分実行されるだろうな。

 流石に今回の功績はでかすぎる。

 個人がどう思おうが世間は敵連合を捕らえた人間を知りたがってるだろうし、隠すとせっかくよい方向に収まってきた治安が悪化する可能性がある。

 もしくは極秘特殊部隊とかで煙に巻いて、裏社会に見えない恐怖を刻むか。

 

「どうなろうと、やるべき事は変わらないか。

 これ以上言うと鬼に笑われるか。」

 

「…。」

 

 まさかの監獄長スルー。

 そういえばテレポンはどうしたんだ?

 前回みたいに、いの一番に水着に着替えて海に走っていくと思ったが未だに別荘から出てこない。

 カロリに連絡してみるか。

 

(カロリさん、テレポンはまだ別荘に?)

 

(あー、うん。

 今出てきたぞ。)

 

 何か返答にキレがない。

 異常事態ではなさそうだし、テレポンがまたアホな事でも企んだのだろうか。

 そう考えていたら、目の前の砂地に棒手裏剣が一本飛んできて突き刺さった。

 棒手裏剣にはマーキングが付いているからこれと入れ替わって驚かそうとしてるのか。

 まあ、所詮生気ゼロの土気色の人間の水着、前回同様に一刀両断してくれよう。

 一応待ち構えていると、テレポンが飛んでき…た…。

 

「どーですか、今回の水着は!

 大量のファンデーションで全身を塗ったので土気色とか生気がないとかもう言わせませんよ!」

 

 紛れもなくテレポンだった。

 だが、何時ものテレポンではなかった。

 肌色の彼女は美しかった。

 生前の彼女本来の美がここにある。

 黒のビキニを着ているせいで寸胴なのが顕著なのに、それすら美しく見える。

 ヤバい、これはヤバい、目が離せない、何も考えられなくなる。

 

「綺麗だ…。」

 

 声に出してしまった。

 幸いテレポンには聞こえないほど小さな声量だった。

 全身が熱くなる。

 

「…ほう。」

 

 珍しい者を見たように監獄長が小さく笑った事すら気にならない。

 ずっと見ていたい。

 

「おや?

 いつもの一刀両断が聞こえて来ませんね?」

 

 ヤバい、何か言い返さなくては。

 だが思考が纏まらない。

 見とれていた事を本人にバレたくないというか恥ずかしい。

 誰か助けてくれ。

 

「おや、これはひょっとしブビャ!?」

 

 願いが通じたのか水飛沫が俺達を呑み込んだ。

 

「すまない!

 巨大なサメが襲ってきたのでつい張り切ってしまった!」

 

 水飛沫を起こしてくれた救世主はPlus Ultraみたいだ。

 水飛沫が収まり周囲を確認する。

 監獄長は咄嗟に前に出てくれたのか、直立不動で俺の前に立ってくれている、お陰でそこまで水に濡れなかった。

 

「ありがとう監獄長。

 テレポンは?」

 

 監獄長は黙って視線だけを俺の足元に向ける。

 其処には顔から地面に突っ伏した肌色と土気色が混ざった何とも言えない不気味な姿のテレポンしかいなかった。

 ズボッと頭を上げて自分の姿を確認するテレポン。

 

「あー!?

 せっかく塗り込んだファンデーションが!?」

 

 そうそう、これだよこれ。

 

 




久しぶりのギャグ回

主人公、実はテレポンにベタぼれというね。
エドテンのあの体なら何とかなっていたけど、生前に近い姿だとアカン。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

実践的な件

何か「出血押さえるためにきつめに縛ったら血が回ってないので糸抜きます。」とか言われたんじゃが?
何かこう、黒いんじゃが?


「強化合宿である!」

 

 知ってた。

 ということでバカンスは三日で終わった。

 今回は監獄長がいるので放出系の個性の対策が出来ると楽しそうに言ってくるPlus Ultraに少し殺意が湧いたのは秘密だ。

 

「今回は実践形式で基本的に訓練を積んでいく!

 多対一や、特殊な環境、可能な限りの環境を想定し戦っていくぞ!」

 

 基本的なルールとしては俺が時間内に逃げ切れるか、無力化すればオッケーでひたすら戦っていく。

 しかもカロリ以外は個性を使用してくるという超ハードモードだ。

 

「今回は長期間の滞在が予想されるので、徐々に制限時間を長くしていく!

 目標は一回でも20分逃げ切る事!

 まずは手始めにワシと浜辺で勝負だ!」

 

 浜辺には俺とPlus Ultra、審判役のテレポンしかいない。

 後の二人は別荘にて待機してテレポンの視界を共有することで、後からアドバイスを貰う事になっている。

 お互いに距離を開けて向かい合い、テレポンの合図を待つ。

 

「今回の制限時間は5分です、はじめ!」

 

「っ!」

 

 気が付いた時には視界一杯にPlus Ultraの右手が広がっていた。

 Plus Ultraは合図と共に一瞬で詰めてきたのだ。

 ギリギリの所で気付き、右に避ける。

 Plus Ultraの無力化は体格差を考えれば不可能。

 突きだした右腕をかわされたPlus Ultraが上体を捻って今度は左腕で裏拳を放ってくる。

 咄嗟に両腕でガードをするが、思いっきり吹き飛ばされてしまった。

 

「…防いでこれか。」

 

 ガードした両腕が痺れる、ある程度手を抜いてこの重さか。

 愚痴ってる場合ではない、Plus Ultraが突っ込んでくる事を予想して砂を蹴りあげて後ろに飛ぶ。

 

「むっ!」

 

 Plus Ultraが砂を被ってる隙に遮蔽物が多くある森へと逃げ込む。 

 浜辺で逃げ回るのは不可能、森なら遮蔽物もあるし足場も悪い、条件は此方も同じだが向こうの方が影響はでかいはず。

 森の中でPlus Ultraの視界から逃れる為に腰を低くして木々の間を走る。

 

「すぐに森へ逃げる点は誉めよう!

 だが、敵は環境破壊なぞ気にしない!」

 

 バキバキバキッ!

 

「は?」

 

 破壊音に振り替えるとPlus Ultraが木々をへし折りながら無理矢理此方に向かって来ている。

 

(敵に成りきり過ぎだろ…)

 

 Plus Ultraから逃げる為にスピードを上げたいが地面が不安定で走りにくい。

 既に真後ろまで破壊音は聞こえている。

 …あえて戻るか。

 目の前の木を踏みつけ反転しながら跳び、真後ろに迫っていたPlus Ultraの肩を足場に後ろへと駆け抜ける。

 

「おお、見事!」

 

 直ぐにPlus Ultraも反転し捉えようとするが、勢いを殺せず木々に体をぶつけている。

 その隙にPlus Ultraが進んできた道から脇に逸れるようにして、再び木々の間へ逃げ込み、暫く走った後に木を盾に地面に伏せる。

 すると、Plus Ultraが再び木々をへし折りながら迫り、俺の隠れた木もへし折れ、木屑が降り注ぐが声を殺して耐える。

 そのままPlus Ultraは俺に気付かずに森の奥に進んでいく。

 どうやら、上手くやり過ごせたみたいだ。

 

(5分経ったので終了でーす!)

 

 丁度テレポンの終了の合図が頭に響いたので浜辺へと戻る。

 何とか逃げ切れたが、腕は痺れるし森の中で切り傷は出きるしで反省点は多い。

 浜辺に戻ると、既にテレポン以外の二人は来ていた。

 

「まだ先生が戻ってきてないが、始めよう。

 まず、俺からだが森に逃げた点や先生の体格を考えて伏せた点は良かった。

 だが裏拳を受けた時に硬直していたな、力を抜けばダメージを押さえられたし飛距離も稼げた。

 腕が使えれば森の中でも動けただろう。」

 

 確かにグラディエーターからは力を抜いてダメージを軽くする方法を教わっているが、実践で実行出来ないならまだまだと言うことか。

 

「此方からも一つ、森に逃げるなら木々の上を跳ぶ事を推奨する。

 足跡を残さずに、自由に動く事ができるからな。」

 

 監獄長からは逃亡の際にいかに痕跡を残さないかをレクチャーされた。

 確かに、木々の上を跳ぶのは出来なくもないが、後ろから迫るPlus Ultraの圧に焦って普通に逃げてしまった。

 

「私は裏拳の時にしゃがんで、あのまま浜辺で対峙するのもありだと思いますけどね。

 二人の体格差ならピッタリ近付かれると逆に攻撃しづらいですし。」

 

 テレポンの言い分も間違ってはない、確かに足元でうろちょろして時間稼ぎもありかもしれないが。

 

「いやテレポン、流石にその度胸はない。」

 

「うーん、なら後で手本を見せてあげましょう。」

 

 テレポンって結構天才気質な面があるんだよなあ、技術とかは分かりやすく教えてくれるのだけど、実践的な活用方法が独創的というか天才的なのだ。

 

「ワッハハハ!

 初戦にして早速負けてしまった!」

 

 森からPlus Ultraが戻ってきた、このままPlus Ultraの評価を聞こう。

 

「砂を浴びせる判断、森に入る判断は見事だ!

 しかし、森での走り方を知らずに走っていたので距離を詰めるのが容易であった!

 しかし、その後の機転は良かったぞ!」

 

 確かに、森の中は想像以上に走りにくかった。

 これから時間があれば森の中でランニングするか。

 

「では、評価も終わったので休憩後に次の訓練だ!

 グラディエーター君頼むぞ!」

 

「任されました。

 扉間君、次は別荘を使った俺との室内戦だ。」

 

「あ、じゃあ休憩中に私とPlus Ultraの組み手を扉間君に見せましょう。

 よろしいですかPlus Ultra?」

 

「うむ、構わない!

 扉間君の基礎は君だから見るだけで意味のある訓練になるだろう!」

 

 

 

  




という訳で訓練回。
さっそく環境破壊してますけど、劇場版にくらべたら誤差だよ誤差。
ちなみにカロリは戦闘訓練に参加しません、一撃必殺なので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

観戦な件

顎の衰えがやばい。


 休憩中にPlus Ultraとテレポンの戦いを見学することになった。

 浜辺には距離を取り対峙する二人と見学兼審判の俺だけが残る。

 

「扉間君は片目で私の視界を見てくださいね。」

 

 テレポンは体を解しながら、此方に見学の仕方を教えてくれる。

 視界共有はよくやっているからその程度なら問題ない。

 テレポンは構えをとらず、Plus Ultraは腰を低くして構えており、準備は出来たようだ。

 

「では、はじめ!」

 

 始めの合図と共に俺の時同様にPlus Ultraは個性を使用し、一気に距離を詰めていく。

 俺の視界からは一瞬で迫っているようにしか見えないが、テレポンの視界でみると高速で迫ってくるPlus Ultraの動きを捉えている。

 Plus Ultraが突きだした右手をしゃがみながら避け、そのまま斜め前に転がる事で、Plus Ultraの後ろを取るテレポン。

 Plus Ultraもすかさず後方へ振り向くが、振り向いた瞬間にテレポンが砂を投げつける。

 恐らく転がった時に掴んでいたのだろう。

 

「扉間君、体格に関係なく弱点というのは存在しますよ。

 こんな感じで!」

 

 視界を封じられたPlus Ultraの動きが一瞬止まった瞬間に滑り込むように懐に入ったテレポンが股間へと拳を放つ。

 

「Oh…!」

 

「更に、こう!」

 

 懐から飛び上がるように今度はPlus Ultraの顎にアッパーを放ち、Plus Ultraは思わず仰け反ってしまう。

 

「そして、最後にこう!」

 

 仰け反ったPlus Ultraの体を蛇のように登り、肩車のような姿勢から両足で首を絞めて、両手で目を潰す。

 

「視界を一時的に潰したら即座に急所を狙えば体格差があろうとこのように!」

 

 なるほど、一瞬の混乱から畳み掛けるように急所を狙う事で敵の行動を無力化し最後に絞め落とすのか。

 

「アーマーとか着ている場合はどうするんだ?」

 

「その場合関節を極めてください。」

 

「うむ、素晴らしい攻撃だテレポン君!

 だが、そろそろ外して欲しい!」 

 

「おっと失礼。」

 

 にしても、Plus Ultraがいとも簡単に無力化されるとは思わなかった。

 Plus Ultraからみてどう評価するのだろうか。

 

「目潰しからの一連の流れは素晴らしいの一言!

 異形型も含めて人間の弱点を克服出来た存在は少ない、特に顎と股間に対応した存在はほぼいないだろう!

 たが、ヒーローの場合は別かもしれない、ファウルカップを装着したヒーローは普通にいるからな!」

 

「あー、そうですね。

 頭の良い敵や経験値がある敵はファウルカップ付けてる場合が多いですね。

 まあ、そんなときは棒手裏剣を遠慮なく振るいますが。」

 

 エグい。

 テレポンが忍者スタイルなのは、個性以外にもこの合理的で容赦なしな戦闘スタイルも理由なのかもしれない。

 忍者ならエグい戦いをしても忍者だからしかたないと片付けられるし。

 

「さて、まだ休憩時間はありますし、付き合って頂けますかPlus Ultra?」

 

「うむ、此方もテレポン君のような相手との経験は少ないから、是非続けよう!」

 

 再び、元の位置に戻り構える二人。

 俺が開始の合図を出すと、Plus Ultraがテレポンに向けて砂を巻き上げる。

 Plus Ultraのパワーで巻き上げられた砂は天然のショットガンみたいな物だ。

 生身であれば全身に傷を負う上に視界を遮られる。

 実際にテレポンの視界は砂埃が舞って前方が見えない。

 すかさず、Plus Ultraはテレポンのいる位置目掛けて地面すれすれまで全身を低く、両手を広げて蠍のような姿勢でタックルを繰り出す。

 普通、あそこまで低い姿勢ならスピードは出ないが、Plus Ultraの超パワーなら砂浜でも思いっきり踏み込めば一息で迫る事が出きる。

 それに両手を広げる事で横に逃げられないようにしてあるので必然的に避けるなら真上に避けるしかない。 

 テレポンはタックルを予想してか、真後ろに跳んで反動をつけて高く跳ぶ事でPlus Ultraを飛び越える形で避けようとするが、Plus Ultraはテレポンが最初にいた位置で急停止して空中のテレポンの片足を掴み砂浜に何度も叩き付ける。

 

「うむ、これで一勝一敗!」

 

「タックルは予想してましたが、あそこで急ブレーキしてくるとは流石ですね。」

 

「ワシの戦闘スタイルはパワーによる圧倒だが少し頭を使わせてもらった!」

 

「あっ、扉間君。

 今回は飛んでしまいましたが戦闘中には飛ばない方が良いですよ。

 宙に浮いたらこんな感じで料理し放題なので。」

 

 ぶらーん、とPlus Ultraに片足持ち上げられながら言われると説得力がある。

 今回の読み合いはPlus Ultraの勝ちだが、方法がごり押しに近いので考え方だけ参考にするか。

 その後も何度も模擬戦を繰り返す二人だが途中から此方そっちのけで熱中し始めたし休憩時間終わったので一声かけてから別荘に向かった。

 

「時間だから、戻るけど砂浜直しといてくださいね。」

 

「さあ、私が勝った数が多ければ晩御飯のおかず頂きますよ!」

 

「別に頼まれれば普通に上げるが、さあ来い!」

 

 砂浜無事かなぁ。

 




というわけで以外と汚い戦法もするテレポン。
目潰し金的なんでもござれです。
今回は主人公の為拳のみだけど、本来は棒手裏剣片手に個性も使うのでかなりエグい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

室内戦な件

今週のジャンプを読んだらギガントマキアバケモノ過ぎて引いてる。
もう、本当何だあれ。


 別荘に戻るとグラディエーターと監獄長が別荘の前に立っていた。

 

「来たか、テレポンはどうした?

 奴が審判のはずだが。」

 

 とりあえず休憩中に何があったか説明する。

 

「なるほど、今の我々において個性の成長はないが、実践訓練による技術の質を高める事は可能だからな。

 俺も後で加わるとしよう。」

 

 呆れるかと思ったが、意外にも肯定的な意見が出て驚いた。

 そういえば、グラディエーターはテレポンの強さをどう見てるのだろう?

 

「テレポンの戦闘力か、個性は相手を選ばないし彼女自身も天性の戦闘センスがある。

 対人戦に置いては生前ですら相手はしたくないが、今はサポートに徹する時が一番恐ろしい。」

 

 サポートか、確かにテレポンがサポートするということは被弾を抑えて死角からの奇襲、敵を宙に飛ばしたりが可能だろう。

 

「さて、お喋りはここまでだ。

 今回は室内戦で俺が敵となって奇襲する。

 五分後に突入するので、突入から五分耐えてみせろ。」

 

「質問、内部で工作は?」

 

「ふむ、アリだ。」

 

「外に逃げるのは?」

 

「俺から逃げられると思うならアリだ。」

 

 ふむ、Plus Ultraの時と違ってグラディエーターは体を軽くする事によるスピードがある。

 外より室内の方が安全そうだし、大人しく室内で戦うか。

 別荘は木造二階建てで一階はキッチンやリビング、風呂があり二階には個室が通路を挟んで並ぶ形で六部屋ありその先にバルコニーがある。

 リビングにはテーブルとソファのシンプルな家具配置だ。

 窓は浜辺が見えるようにリビングに大きな窓が一枚、トイレにも解放できる窓と通路の階段側にはめ窓がある。

 中に入り、始めにリビングの窓とバルコニーの窓をカーテンで塞ぎ施錠を確認する。

 これで外から内部を確認出来なくなったはず。

 次は何処に潜むかだ、あまり時間がないし凝った場所は無理、グラディエーターも敵として戦うが別荘が倒壊するほど暴れるとは思えない。

 よし、二階に潜もう。

 二階ならグラディエーターも個性を使用し辛いはずだ。

 音を消して歩きながら、階段側、一番手前の個室の中に入る。

 中はシンプルにベッドとベッドテーブルの上にランプがあるのみだ。

 取り敢えず向かいの部屋のベッドからシーツを剥ぎ取り広げられるように両手で持つ。

 別の部屋から持ってきたのは、外から確認した時にシーツの有無で俺のいる位置を誤認させる為だ。

 

(この程度の事グラディエーターに効果があると思えないが。)

 

 室内戦というか待ち伏せするような戦いはどちらかというと苦手だ。

 侵入パターンを考えて策を練るより、相手の出方や痕跡から行動を読み解く方が得意だし。

 

ズドン!

 

 自己分析をしていると、グラディエーターが天井に穴を開けて俺のいる部屋に着地した。

 咄嗟にシーツを投げ付けて廊下に転がり、そのまま一階に進む。

 考えが甘かった。

 別荘を壊す気満々だあの人。

 良く考えたら別荘にカロリがいない時点で気付くべきだった。

 なら此方も遠慮はいらない。

 早速武器になりそうな物があるキッチンへと向かおうとするが、後ろからトン、トン、トンと軽い物が跳ねるような音が聞こえた次の瞬間、襟首を捕まれリビングのテーブルに叩き付けられる。

 

「~っつ!」

 

 グラディエーターは容赦なく腹を踏みつけようとして来るので、慌てて転がり立ち上がる。

 テーブルが砕けた。

 

「はぁはぁ、別荘壊して良いんですか?」

 

「建物の一つや二つ壊してもお釣りが出るくらいの恩は公安にあるだろう。

 今は育成が最優先だ。」

 

 いやまあ、おっしゃる通りなんですが。

 質問の最中もグラディエーターからの攻撃は止まない。

 軽く速い足運びで此方に近づき、重く速い拳や蹴りが迫ってくる。

 ギリギリ避けるのが精一杯だが、グラディエーターは容赦なくフェイントも仕掛けて、俺はそれに引っ掛かり腹に一撃をもらい鎮圧された。

 

「さて評価しよう。

 シーツを被せてきたのは良かったが後は酷いな。

 あのまま、二階の部屋を移動し続けてシーツなりを使い、俺を絡めとるべきだった。」

 

 踞る俺に容赦なく評価を行うスタイルはどうなんですかね。

 

「…部屋が分かった理由は何ですか?」

 

「俺の個性を知ってるから二階を選ぶのは必然だ。

 それにシーツがない部屋があったが、あれがブラフとして近い部屋にいると判断、後はバルコニーから遠いあの部屋を選んだ。

 ブラフならすべてのシーツを剥がしておくべきだったな。」

 

 なるほど、一部屋からシーツがないのが逆にヒントになってしまったのか。

 Plus Ultraの時みたいに上手く行くかと思ったが慢心だな。

 

「さて、早速躓いた訳だが次は監獄長とだ。

 休憩が終わり次第浜辺に向かえ。」

 

 

 




室内戦かくの大変なのさ。
単純にグラディエーターって投げるにしても体重がいきなり増えたりして腰にダメージ喰らうし寝技に持っていけてもパイルバンカーみたいな肘内喰らうしでクソゲーなんだよな。
重量制限があっても体重0による高速移動は可能だし室内戦だと三次元で動けるしやっぱりクソゲーだわ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ざっくりな件

たまに、古い話の誤字報告あると新規で見てくれる人がいると思って嬉しい。


 監獄長との戦いは一方的だった。

 最初は鎖から逃れようとしたが、監獄長は俺を囲うように鎖を放ち、それに気をとられている間に本命として一本の鎖を高速で射出されて捕らえられた。

 

「放出系の個性持ちは、個性にかまけて動きが鈍いというありがちな弱点があるが、このように極めれば動かずに制圧するのも容易い。

 それと放出系の個性は圧縮により火力や速さを高める事も出来る故、改めて確認してから挑む事を推奨する。」

 

 言われた事は知識として知ってはいたが、実際に体験すると訳が違う。

 監獄長の場合、圧縮による効果は射出速度の上昇のみだがその練度が凄まじい。

 速度だけで言えばグラディエーターの踏み込み並みではないだろうか。

 それに放出系の個性は放出した物質や現象を操れないという欠点があるが、放出する角度や勢い、わずかな体の動きで手足のように鎖を操ってきた。

 それに今回監獄長は一歩も動かずに鎖を放つだけだったが、自身に鎖を巻き付けて鎧の様にしたり、鎖の鉄球を振り回したり等近接でも普通にヤバい。

 

「…監獄長って生前捕まえられなかった人います?」

 

「AFOのみである。」

 

 5分逃げられる気がしない。

 今の所、Plus Ultra、グラディエーター、監獄長の三人と相手にしたが、五分間逃げる事はPlus Ultra以外クリア出来てない。

 一応今回の訓練は個性のタイプに対応して逃げられるようにするための訓練で、三人は異形、対人、放出系の敵を想定だ。

 環境次第では耐えられる可能性があるが、やはり武器なしで無個性が抗うには厳しいものがあると再確認出来た。

 そして、最後は設置系の個性を担当するテレポンなんだが、場所は森の中だ。

 想定は敵陣ど真ん中と言った感じだろう。

 休憩を終えて、森の中を進む。

 

「ふっふっふ!

 見てましたよ~監獄長との戦い。

 動きはそこそこですが、やはり実践の経験値が足りないですね。」

 

 声が聞こえても場所が分からない。

 そして声をかけてきた時点で既にテレポンの陣地という事だ。

 会話の相手をせずにきた道を急いで戻ろう。

 

「おや、逃げれると思います?」

 

 おかしい、いくら走っても森が続いている。

 そろそろ浜辺が見えてきてもいい頃だが一向に見えて来ない。

 …そういう事か。

 

「はぁはぁ…いつ飛ばした?」

 

「しばらく森を歩いた所です。」

 

 テレポンの転移はラグとか暗転がない。

 不意打ちで似た場所に飛ばされたら気付く事が出来ないのか。

 森の中で地面のマーキングは分からないし、テレポンの姿も見えない。

 

「これが相手の領域に入るという事です。

 敵は確実に殺すために逃げることなど許すはずもありません。

 ちなみに扉間君が止まらなければ既に死んでますよ。

 周りを良くみてください。」

 

 テレポンに言われて周りを確認すると、俺の胸元ギリギリで何かが光に反射していた。

 

「…これはやり過ぎだろう。」

 

 胸元だけではない、良く見渡して見るとそこら中に糸が張り巡らされていた。

 しかも地面を気にしてると気づけない位置にある。

 地面に落ちている石を糸に投げつけると、蔓で出来た罠が作動した、片足釣りにされるタイプだ。

 糸の配置もわざと隙間を作って誘導しようとしてるし嫌らしい事この上ない。

 

「あの先に進むとどうなるんだ?」

 

「お、気づきましたか。

 そうですね~、死なないと思いますよ!」

 

 これでもレベル低い方なんだろうな、俺でも誘導に気づけるレベルだし。

 

「今こうやって会話していますが、実際に敵も自分の領域でヒーローを待ち受ける場合は大々的お喋りというか一方的に語りかけてくる事が良くあります。

 言動に注意すれば攻略のヒントになったりする場合がありますので敢えて相手をして時間稼ぎもありですね。

 取り敢えず五分経ったのでクリアとしましょう。」

 

 そう言って目の前にテレポンが飛んでくる。

 

「本番は10分からです。

 今回はあくまでも敵の領域に入った場合の話。

 次回からは罠を学ぶという意味でも私の罠を攻略してもらいます。

 ちなみに、罠にかかって自力で解けない場合はおかず一品貰いますので。」

 

 じゃ、別荘に戻りましょうか、と言ってテレポンと俺は別荘へと飛んだ。

 

 




訓練展開を巻いていくぅ!
四人の実力を描写する目的だったけど、難しい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

映画な件

ちょっと緑谷君に軽率な事させてしまい過ぎたので書き直します。
軽率な行動取らせたのは自分だけど皆、緑谷君に厳しない?


 修行開始から2週間が経過した。

 今は全員で朝食を食べている。

 全員からの5分間の逃走はクリア出来たが、次の段階がクリア出来る気がしない。

 5分間の時はチュートリアルだったのだ。

 Plus Ultraは単純にスピードが上がり、グラディエーターは奇襲の質が、監獄長は放出する鎖の量、テレポンは複数のタイプの罠を二重に仕掛けてきた。

 二段階目でこれなのに三段階目とか5分持つかも怪しい。

 誰か武器なし実質無個性で頑張ってる俺を褒めてくれ。

 

「頑張ってると思いますよ?

 ただ現実は厳しいというか、扉間君が襲撃されると予想した場合に仮定する敵の質が高いせいなんですが。」

 

 テレポンの言う通り、俺が奇襲される状況を作れるとしたら確実にテレポンと穢土転生体のどちらかに対策をして孤立させてから襲うだろう。

 そういう計画を立てて実行できる組織、あるいは個人を想定するとこのレベルの訓練でも温いかもしれない。

 

「うむ、ワシらの予測では今の段階で監獄長君とグラディエーター君の訓練はクリア出来ないと思っていたからな!」

 

「まあ、五分クリアと言ってもギリギリだったし今の段階で3分も逃げ切れていないがな。」

 

 相変わらず、訓練ではグラディエーターは辛口だ。

 たが、Plus Ultraの予測を上回っているというのはちょっと嬉しかったりする。

 

「貴君が立ち回りは意識したからこその成果。

 常に考えて行動すれば、目標の達成も難しい事ではない。」

 

 監獄長の評価は厳しいが褒める点はしっかり褒める。

 ルールに乗っ取った動きなら大体の事は肯定してくれる。

 まあ、つまみ食いしたテレポンの様にルール破ったら吊るされるが。

 

「俺はマッサージくらいしか力になれねぇが頑張れよ。」

 

 何時もマッサージありがとうございます。

 

prrrrr…prrrrr…

 

 む、電話だ。

 

「隙あり!」

 

 スマホに気をとられた瞬間におかずが消えたが、犯人はテレポンだし、この後速攻で吊るさせるので無視して電話にでる。

 

「はい、扉間。」

 

『私です。

 那歩島での暮らしは慣れましたか。』

 

「ええ、訓練しながら快適に過ごしています。

 そちらに戻る予定は立ちましたか。」

 

『いいえ、政府や警察への対応は済みましたが世間やマスコミへの対策に時間が掛かります。

 もう少しの間滞在をお願いします。』

 

「了解しました。」

 

『では、本題に。

 今滞在してる那歩島ですが、町の唯一のヒーローが引退した為、現在町にヒーローはいません。

 そこで、雄英生が後任のヒーローが到着するまでの繋ぎとして現地実習を行うという事なので、一応私有地なので立ち入りは無い筈ですが、注意してください。』

 

 二作目の映画か。

 あれ、時期が不明でパラレルって話だけどこの世界ではこの時期なのか。

 

「俺移動した方が良くないですか。

 もしくは、実習に干渉して場所変えるか。」

 

『移動について検討しましたが、ここ以外の公安の施設は潜入の為の拠点が多く都市部にあります。

 実習についても中止か変更を検討しましたが、ホークスが内偵している団体が貴方の予想通りの規模と判明、全面戦争になった場合を考えて少しでも仮免を持っている生徒には経験を積ませるべきと考え、承認しました。』

 

 なるほど、確かに異能解放軍とぶつかる場合、全国のヒーローが事にあたる必要がある。

 仮免とはいえヒーロー、前衛を厚くする意味でも後方支援として少しでも人手は欲しいか。

 

「わかりました、大人しくしときます。」

 

『此方の都合とはいえ、ありがとう。

 ホークスの内偵で得た情報はこの後送るので何か発見があれば報告をお願いします。』

 

 通話が終了し、取り敢えず全員に状況を報告する。

 

「というわけで町から距離はありますが、大人しくしときましょう。」

 

「取り敢えず、夜間の我々の組み手は止めた方が良いですね。」

 

 夜間の組み手とは、個性が成長しない彼等が穢土転生体としての体の使い方や戦い方を研究するために行っている戦闘訓練だ。

 何時もは訓練場の耐久力とか考えて取り組めていなかったが、人気がほぼ無いこの場所ではお互い不死身なので遠慮なく個性をぶっぱなして戦っている。

 何度か見学したが、砕けながら再生しながら戦う姿は北欧神話のヴァルハラを想起した。

 ジャンプ漫画特有のインフレの極みみたいな戦いだったよ、うん。

 あれは、ラグナログに備えて集められた戦士達が修練するが俺達というか、四人が備えなければいけない戦いは果たしてやってくるのだろうか。

 

「昼間に関しては、熱中しなければ大丈夫だろう!

 良かったな扉間君、訓練続行だ!」

 

…はは、ですよねー。




というわけで書き直しました。
それに伴い『邂逅?な件』を消しました。 

あと小ネタを思い付いたので活動報告にのせてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

内偵な件

pixivのチェンソーマンの二次創作大体ほのぼの日常系なのが面白い。
推しの子とか最近の漫画面白すぎて語りたいのだが、そういう場所ってあるのかな?


 とりあえず、報告書を確認すると言って訓練の開始は遅らせた。

 …別にサボりたいからとかじゃない、必要な事だし既に遅れた分だけ遅くなると釘刺されたし何故かグラディエーターが側にいるし。

 送られてきた内容としては、団体名と規模、指導者の名前等の情報が乗っていた。

 これで、異能解放軍の存在が公安に認知された。

 ホークスは異能解放軍に所属しているヒーローから勧誘を受けて潜入、トップヒーローという社会的立場ともたらす情報から既に原作同様に数十個の発信器と監視衛星を付けられているが中枢に入り込んだみたいだ。

 ただ実際に接触した幹部はスケプティック、近属友保のみで他の幹部はコードネームしか把握出来ていない。

 だが他の構成員との交流を行い、幹部達の職業や社会的立場については絞り込めているみたいだ。

 これなら、組織の全容を把握するのも時間の問題だろう。

 気になってた点として、やはり組織内での腐敗は確認できてないみたいだ。

 まあ、思想の元となる不満は殆どの人間が思っているし、活動資金は幹部達の会社が稼いでいるから腐敗しにくいのだろう。

 異能解放軍の今の活動は広報に専念している。

 当初はある程度広まれば良しとしていたみたいだが、敵連合逮捕で暴力的な革命を起こすのは現状は危険と判断し、思想を広めて社会認知を高める方針で動いているみたいだ。

 恐らく、マスコミ対策で時間がかかっているのはこれが原因だろう。

 生半可なやり方では異能解放軍に俺の存在がバレる可能性があるし、俺の存在を知れば奴等は多分俺の排除と同時にメディアをフル活用して公安にもダメージを与えるだろう。

 もしくは俺を勧誘してくる可能性もあるか?

 いや、ないな。

 俺が向こうの立場なら、自由に個性を使ったら危険とか異能解放へのアンチみたいな存在だしな。

 とりあえず、今の所報告書で気になった点はない。

 俺の仕事は恐らく、彼らが強行手段に出た時だろうし、思想を広めて社会を変える事は違法ではないし。

 まあ、でも何れは強行手段に出てしまうだろう。

 長年の地下活動で構成員全体の鬱憤は溜まっているし、今の路線を維持したら穏健派と過激派に割れる可能性がある。

 

「…この案使えそうだな。」

 

 早速、提案を文書に纏めよう。

 穏健派と過激派の対立構造を作り出す工作活動。

 うん、公安らしくて良いじゃないか。

 ホークスの構成員の情報を元に派閥の基礎となる人間をピックアップしていく。

 具体的には、家族や恋人がいる人間を穏健派に集めて、個性欲求が強い人間を過激派になってもらう為に煽る。

 対立構造が出来た後は、スパイがいる事を露呈して内部で疑心暗鬼になってもらおう。

 そうなれば幹部達は組織を纏める為に行動を起こす。

 それをヒーロー達や公安が潰して、幹部への信頼を落とさすと同時に団体からの独立を煽る。

 少人数でも独立すれば組織全体に動揺が走るはず。

 組織が分裂して捕まえるのが大変になるが、デカイ活動を起こしにくいしヒーローは飽和してるから対処しやすいだろう。

 粗大ごみと一緒で大きすぎて対処が出来ないなら分解して小分けにした方が楽だしね。

 もしかしたら、既に計画してるかもしれないが、提案を纏めて公安委員長にメールする。

 問題点として十中八九ホークスが実行する事になるんだよなぁ。

 でも、解放軍問題を解決するには多分これが一番安全だしなぁ。

 11万人全員が一ヶ所に集まれば俺というか五人で対処できるのに。

 一応、この案も提案しておこう。

 

「ふむ、仕事は終わったようだな。

 では、このまま室内戦に移行する。」

 

「…もう、三時ですけど。」

 

「ふむ、では今日は訓練は夜からするか?

 夜を利用して逃走する術を学べるし、ありだな。

 そうしよう、全員に伝えくれ。」

 

 やぶ蛇だった。

 いや、夜間なら確かに逃走しやすいし、上手くいくかもしれない。

 …いやダメだ。

 テレポンの罠が暗闇でヤバイし、監獄長の鎖も黒くて同化するし、浜辺も暗くてPlus Ultraの動きに反応出来なくなる気がする。

 グラディエーターは室内戦だしほぼ関係がない。

 というか、雄英生来る前まで夜中に五人とも戦ってたし不利じゃん俺。

 …詰んだかも。

 




11万人って忍界大戦での敵側人数と同じくらい何ですよね。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

替え玉な件

スカサハ師匠かっこいい!


 あれから、二週間が経ち漸く帰還命令が出た。

 訓練については目標の20分は達成出来ず、15分が限界だった。

 結局、島でA組に出くわすこともなく騒ぎを起こさずに立ち去れたのは良かったと言えるだろう。

 別荘は色々あって半壊したが、それくらいなら問題ないと言ってくれたし無事に過ごせただろう。

 今、俺は公安委員長と電話してメディア対策の説明について受けている。

 戻ってこれたのは公安のメディア対策が上手くいったからだ。

 具体的には公安第四特殊犯罪対策室が出来ていて、そこの室長が総理大臣から表彰されているのをテレビで知った。

 第四特殊犯罪対策室が敵連合を逮捕した事になっており、作戦を指揮した室長を中心にメディアに露出する事にしたらしい。

 公安委員長曰く俺の活躍については室長以外のメンバーは頭脳面での事しか知らせておらず、あの部署は俺の存在を隠す為の部署で俺との繋がりは一切無いとのこと。

 唯一俺の活躍を知っているのは室長のみだが、信頼出来る相手らしい。

 部署としては俺や対策室の事を嗅ぎ回る人間を調べあげて、危険人物や敵組織の人間であれば逆に監視を行い摘発の証拠を集めるのが仕事である。

 既に何名か怪しい人物を監視している事から餌として機能している。

 てっきりそこに所属するのかと思ったが今まで通り、公安委員長直属の部下として仕事をしてもらいたいとのこと。

 

『ということで、今後も今まで通りにお願いします。』

 

「わかりました、そういえば異能解放軍はどうなってますか。」

 

『既に貴方の提案を精査し、ホークスを中心に何名かのスパイと共に活動を行っています。

 既に穏健派と過激派の溝が出来はじめているので上手く行けば半年以内に分裂させる事が出来るでしょう。』

 

 やっぱり、ホークス中心に行うのか。

 ホークスなら適任と言えば適任だ、人の懐に入るのが上手いし、個性で情報収集すれば言葉選びも容易い。

 それに、ホークスは象徴になる。

 派閥の溝が致命的になった時にどちらの立場かは分からないが独立をする際に自分を象徴にすることで彼らに与える動揺は大きくなるだろう。

 ホークスを危険に晒してしまったのは物凄く心苦しいがホークスが適任なのも事実だ。

 原作よりマシかもしれないが、やっぱり不安になる。

 

「一ヶ所に纏めるとかは、やっぱり無理ですか。」

 

『規模からして不可能でしょう。

 ただ、作戦の結果によってはヒーロー達による鎮圧も考えています。

 その時は幾つかの施設制圧に貴方の力を貸してください。』

 

「勿論です。」

 

 厳密には五人の力だろうけど。

 公安委員長との連絡が終わって色々と考える。

 …正直、頭脳労働として異能解放軍を相手取るのはここら辺が限界だ。

 それに、一応影武者的な存在が出来たがまだ目立たない方が良いだろう

 原作知識もほぼ使いきったし勉強に力を入れるのも良いかもしれない。

 メタ視点による発想力は使えるが、それを補う知識はまだまだ足りてない自覚はある。

 五人にも相談して、暫くは解決済みの事件を参考に推理力でも磨こうか。

 

「というわけで、異能解放軍に関しては作戦の結果次第で動く事になる。

 そして、今後の方針だが原作知識もほぼ使いきったし暫くは勉強に重きを置こうかと考えている。」

 

「まあ、現状異能解放軍は罪を犯した証拠はない。

 仮に証拠があったとしても、11万人を相手取るよりは分裂させた方が楽だろう。

 それと、今後の方針については異論はない。」

 

「うむ!

 勉学に励むのは若人の権利!

 沢山勉学に励もうではないか!」

 

 グラディエーターとPlus Ultraは肯定的。

 

「うーん勉強に関しては賛成ですが、異能解放軍に関してはもっと動いた方が良くないですか?

 分裂の作戦が失敗した場合、向こうはより強固に過激になっちゃいますよ。

 最悪でも幹部全員の捕獲出来るように準備は必要ですよ。」

 

「テレポンの意見も一理あるぜ。

 ああいうのは頭を潰さなきゃ意味がねぇ。」

 

 テレポンとカロリが一部反対か。

 たしかに、幹部全員あるいは指導者である四ツ橋の捕獲は必要かもしれない。

 

「貴君の意見は悪ではない故、規則通りに此方は従おう。」

 

 監獄長は賛成というか中立か。

 

「全員の意見は分かった。

 異能解放軍に関しては幹部や四ツ橋の捕獲に関われるか交渉してみる。

 勉強に関しては、ヒーロー関係や犯罪心理なんかは皆に教わりたいと思うから宜しく頼む。」

 

 

 

 




 夜食にカレーパン食べたら胃もたれしたぞ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

分裂な件

新作投稿しました。
4000文字目安に書いていて2話まで投稿済みです。
つまり8話分くらいの量です。


 1月後。

 公安による分裂作戦の結果、異能解放軍には二つの分派が出来ていた。

 開戦派と慎重派だ。

 開戦派は文字通り、彼ら本来の計画である『主要都市機能の破壊による革命。』を主張する派閥でありオールマイトもAFOもいない今こそ解放を始めるべきだと主張している。

 慎重派も今がチャンスと考えているのは同じだが、武力ではなく政治的なやり方でも可能なのではないかという思想が出来始めている。

 全体の割合としては9割が開戦派であるが、逆に言えば1割は融和派なのだ。

 公安としては過激な新興宗教みたいなグループに慎重派が少しでも生まれたのを成果として捉えている。

 しかし、1割では次の段階である派閥の対立関係に進めた場合に鎮圧される恐れがある。

 故に公安は更なる分派を作る工作を仕掛けている。

 過激派の内部で少しずつ革命後のベクトルをずらすのだ。

 革命が成功した後のビジョンについて幹部以外の比較的上の人間に革命後の統治や自分達の役割と違いを際立たせる。

 そうすることで、革命の同志からライバルへと立ち位置を変化させ、互いを蹴落とす関係性を作り出す。

 同じ道を行くようで微妙な進む向きが違う細かい派閥とは言えない程の差だが組織力に罅が入るだろう。

 革命自体は全体の意思として統一されているが、革命後のポスト争いに関しては隙がある。

 革命の機運が高い今だからこそ、革命後のポスト争いを意識させる事で足並みが乱れる。

 公安委員長いわく、過激派内での革命後のポスト争いで疑心暗鬼になった人間が出来れば過激派内部での分裂は決定的になるだろう。とのこと。

 

(流石、公安汚い。)

 

 ちなみに、ホークスは今回の工作には敢えて関わらずにいる。

 ホークスが加入してから融和派が生まれたのだ、続けて過激派のいざこさが生まれたら疑われてしまう。

 故にホークスは幹部の直属の部下として仕事をして、他の構成員にあまり関わらないように振る舞っている。

 ちゃくちゃくと異能解放軍解体に向けて動いている。

 

(まあ、俺は暇なんですけどね。)

 

 一応、警察からの依頼で死者の証言を得る仕事はあるが、異能解放軍に関しては分裂作戦の提案以降関わっていない。

 異能解放軍に対する役割は完全に戦略兵器で、作戦か失敗した時に踏み込み鎮圧する事が役割になっている。

 なので、作戦が順調な今は待機状態だ。

 

「というわけで、明けましておめでとうございます。」

 

「モガモガ!(明けましておめでとうございます!)」

 

「明けましておめでとう!!」

 

「よろしく頼む。」

 

「俺達の場合、今年もよろしくしていいのか?」

 

「死者にも新年があっても良いだろう。」

 

 今は新年を迎えたので、皆でお節を食べている。

 若干一名はバカみたいに餅を食ってる。

 

「詰まらすなよ?」

 

「もが!(準備バッチリです!)」

 

 そういってテレポンは替えの配管を見せてきたがそうじゃない。

 




寝た切れ感が強い…

暫くは話の統合とかで、話数減るかもしれませんが。
その時は活動報告にのせていきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

反応な件

もう一個も更新したんで見てやって下さい。
あと、今回は三人称です


side No.1

 

 (公安ヒーローか。)

 

 敵連合全員逮捕は世間にとってもエンデヴァーにとっても寝耳に水であった。

 昔の彼ならこの事実に対して燃え上がるような己への怒りが沸いただろう。

 だが、今は違う。

 息子の仮免補講を見学し、オールマイトと平和の象徴について話し合った事で己のNo.1としてのあり方を見つけ出した彼は冷静に捉える事が出来ていた。

 

(これで犯罪率が下がる。)

 

 己がNo.1の座に座る事が決まってから増えた犯罪率に歯止めをかける。

 オールマイトがいなくとも平和は保たれるという事が証明された事は歓迎すべき事ではある。

 だが同時に、No.1としての責務を奪われたような錯覚を感じたのも事実だ。

 昔のエンデヴァーであれば、虚無感を埋める為により熱を上げて、己への怒りで顔を歪めていただろう。

 

(だが俺がすべき事は変わらない。)

 

 息子が誇れるヒーローに、次の世代が笑ってくれるヒーローを目指し続ける。

 

(むしろ、ここからが俺のNo.1としての務めだ。)

 

 敵連合以外にも、悪はいる。

 公安ヒーローが晴らしてくれた空を再び曇らせる事がないように己の炎で維持し続ける。

 それこそがNo.1としての、息子が誇れるヒーローになるためにすべき事なのだ。

 

 

side イレイザー

 

 イレイザーは敵連合を捕まえた公安ヒーローについて考える。

 彼らを捕まえたのは恐らく、死穢八斎會摘発の時に出てきた公安ヒーローのチームであると直感が告げていた。

 直感なんて非合理的だと普段なら気にしないが、今回は事が事だけに直感を信じてしまう。

 それと、死穢八斎會摘発の時も感じた疑問がさらに強くなった。

 

(公安ヒーローってこんな事するのか?)

 

 己がスカウトを受けた身だからこそ、今回の敵連合逮捕に首を傾げてしまう。

 自分をスカウトしに来た公安の人間の説明では、公安ヒーローはあくまでも極秘に活動して情報収集を中心に行い、証拠を集めて敵組織摘発に協力するのが役割のはずだ。

 その役割故に、敵連合を直接逮捕するという行為には納得出来ない。

 

(俺が、スカウトを受けた時とやり方が変わっただけかも知れないが。)

 

 どちらにせよ、教師として公安ヒーローという職業を一度確認する必要が出てきた。

 

(将来あいつらがなるかも知れないしな。)

 

 危険かどうかではなく、職業としてどんな事を求められるのか、索敵や情報収集だけでなく戦闘力を求められるならある程度カリキュラムを調整する必要があるのだ。

 

 

side オールマイト

 

 オールマイトは敵連合逮捕に心底ホッとしていた。

 AFOの残滓とも呼べる彼らが逮捕された事よりも、己の後継者である緑谷出久がお師匠の孫と戦う事がなくなった事にホッとしていた。

 死柄木弔はオールマイトのヒーローとしての心残りのひとつである。

 一度は悪として殴ってしまったが、可能ならば話がしたい。

 彼がどんな目にあってしまったのか、彼が何故敵となってしまったのか、最早彼が更生の余地が無くても師匠からOFAを引き継いだ人間として受け止める義務がある。

 そして二度と同じことが起きないように緑谷出久のサポートをしながら、更に続いていく次の世代にもサポートを引き継げるようにしていく事がOFAを生きて次代に託した者としての新たな務めだとオールマイトは考えている。

 

(そういえば、今回の逮捕も彼が関わっているのだろうか?)

 

 緑谷出久と同年代ながら、既に公安の人間として活躍しAFOの企みを暴いてくれた少年、千手扉間。

 何となくだが、今回の件にも彼の協力があるような気がしてならない。

 本人に連絡しても多分、否定される気がするが少年の嘘位はオールマイトは見抜ける。

 

(本当に扉間少年が関わっているならば、ちゃんと誉めなければな!)  

 

 決意と共にマッスルフォームになり、吐血し地に臥すまであと5秒。




というわけで、エンデヴァーたイレイザー、オールマイトの今回の敵連合逮捕に対する反応です。
 他にも見たい視点があれば感想欄に書いてみてください。
 ビビッとくれば書くかもしれません。

今後の更新ですか都合により不定期なりそうです。
都合というのは単に現実が忙しいからです。
後、『とある未元物質の劣化能力者』の更新したのてよろしければ見てやってください!
五話目で文字数二万文字!
この作品の20%分です!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

保護目的でスカウトした未成年が俺より早い件(前半)

要望の一部に答えてホークス。


sideホークス

 

 最初に千手扉間の情報を見たときに思ったのは『危険』だという事だ。 

 個性自体も危険極まりないが、既に小動物を実験体にしている。

 彼の中で命が軽い存在になっている懸念があった。

 更に調査の結果、個性を偽っている事も含めて大分個性による欲求で歪みかけているという報告もある。

 

 (恐らく、このまま公安が干渉せずに放置すると、最悪な形で一線を越える。)

 

 ホークスは公安としてもヒーローとしても彼を保護する必要があると判断して自ら接触を提案した。

 そして、直にあって扉間君がかなり危険なレベルにあると判断して半ば脅しに近い形で説得を試みた。

 ただ、その時に向こうから此方を上司にするように求められたのは意外だったが。

 自分の中に、個性を使う大義がないと話してくれた時点でヒーローとして彼を支える必要があると感じたのはよく覚えている。

 そして自分が上司になり、何度か個性を使ってもらったが規格外と言わざるを得なかった。

 はっきりとした嘘偽りのない証言を得られる事だけでも反則だが、扉間君の言葉が正しければスタミナ無限回復の不死身な存在でもあるわけだ。

 実物を見て改めて扉間君が不死身の兵隊という力に溺れてしまう懸念を感じた為、証言を取る事以外は許さなかったが生前の情報を嘘偽り無く話させるのは反則だとも感じた。

 生かすより殺した方が確実な証言を取れるなんて皮肉にも程がある。

 扉間君が規格外なのは個性だけではなかった。

 本人との話し合いの結果もあるが、将来的に公安で働いてもらう計画でもあったので、部下として機密性の低い事件の書類仕事を任したら、まさかステインの個性を暴くとは!

 これには流石に驚いた。

 ヒーロー全体に共有出来たお陰で次の襲撃の時に被害が殆ど無くステインを捕らえる事が出来たが、ある問題が発生した。

 第二のAFOの可能性が公安内部で懸念として膨れ上がったのだ。

 元々、個性が規格外で首輪をつけるべきという主張があったが、そこにステインの個性を暴く推理力が判明した為、第二のAFOという懸念が生まれた。

 正直、自分も彼は危険だと考えた事がある。

 個性だけなら、此方が誘導する形で操る事が出来たけど、彼は単純に質が高かった。

 危険極まりない個性と頭脳、第二のAFOになり得るかもしれないと考えるのが公安として正しい警戒だとは思う。

 けどヒーローとしては違う、その可能性は周りに誰もいない場合の話だ。

 まだ彼は道を踏み外していない。

 個性に飲まれないようにケアをしながら、ヒーローとして人としての正道を歩めるように大人が導けば彼はAFOではなく、社会を支える重要な存在になる。

 だから公安の一部がキナ臭い時に、彼に一人護衛としてヒーローを呼び出してもらった。

 瞬身ヒーローテレポン、彼女は俺が子供の頃から活躍してたヒーローで性格はアホみたいに明るい。

 彼女が側にいて道を踏み外す事があれば、もはやそれは運命か何かだと諦めよう。

 それに彼女の個性ならいざという時に扉間君を逃がすことが出来る。

 俺は政治に関しては正直苦手だが、俺の上司なら上手くやれるはずだ。

 それまでは、彼の意見を積極的に採用する形で事件を解決し公安に必要な存在としての功績を固める。

 そのはずだったのだが。

 

(結局、ステインの次がAFOで間に合わなかった訳だけど。)

 

 閲覧できるレベルを上げた途端にAFOの生存と協力者、さらには後継者計画を暴くとは思わなかった。

 半信半疑な人間もいたが、実際に扉間君の指摘に従って調査したら黒に近いグレーレベルで確証が得られた。

 これには公安も一丸となって事に当たった。

 病院の監視、逮捕時の罪状の整理、想定される被害を減らすための可能な限りの工作。

 もはや、功績なんてレベルでは片付けられない、個性の問題さえ無ければ英雄と称えられてもおかしくない成果だ。

 だが、神野の悪夢と呼ばれる悲劇の日に事件は起こった。 

 前から扉間君を危険視していた公安の一人がAFOに接触し刺客を差し向けさせたのだ。

 AFOは既に計画が変更出来ないギリギリの段階で知らせた辺り、公安としての正義で動いたのだろう。

 俺も、病院周辺で待機していた時は驚いた。

 急にテレポンさんが扉間君の両親をつれて飛んできたのだ。

 襲撃されたとの報告を聞いて、テレポンさんに急いで俺を飛ばしてもらったら、何とかギリギリの所で初めて彼を助けられた。

 その後は、功績を残せなかった場合に『扉間君最終兵器案』として備えていたヒーローの遺伝子情報と脳無を使って何とかあの化け物を逮捕する事が出来た。

 

 (というか、あれで死ななかった化け物が可笑しいと思う。)

 

 あの化け物は現在も生きている。

 身分証も存在しないが、所持品のラジカセからAFOの部下である事は確定だし秘密裏に死刑にする事が決まっている。

 

 (問題なのは化け物を殺す方法がわからない事らしいが、そこは総力を上げて頑張ってくださいとしかいえんわ。)

 




前半後半に分けます。
とりあえず、出会いから神野まで。
ホークスとしては個性以外の価値を示して生存させようとしたら、いきなり裏ボスの存在引っ張りあげてきて困った。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

後編な件

死刑云々について、主人公の個性使おうという意見ありましたが、個性に反応する個性という可能性が原作を見ても否定仕切れないので最終手段です。
後は、「巨大な人型存在が、ボロボロで氷付けで幽閉されてるって良くない?」というロマンもある。


side ホークス

 

 神野の悲劇やギガントマキア襲撃事件後、公安は速やかにヒーローと連携を取り、殻木確保及び個性移植技術確保の為に動いた。

 あのオールマイトの活躍とAFOの脅威を認識したヒーロー達は全力で事に当たってくれた。

 結果、殻木逮捕、脳無確保、個性移植技術及び個性複製技術を確保する事が出来た。

 殻木は脳無を使用し激しい抵抗を見せたが、事前に対脳無を考えてチームで動いてもらい、負傷したヒーローは沢山出たが死亡者は0に終わった。

 個性関連の技術については、技術自体は記録として厳重に保存し装置自体は完全に破壊、拉致した人間の実験記録や押収した個性因子に関しては今後殻木とAFOの罪の証拠として活用されるだろう。

 ギガントマキア襲撃事件を唆した公安の職員に関しては焼身自殺を図り死亡した。

 DNAは取れなかったが、歯形から本人と断定。

 使用していたパソコンには遺書がなく、代わりに彼自身を含むAFOの信奉者リストが残されていた。

 此方に関しては俺が直接捜査していないから詳しくは分からないが、リストにはかなりの大物の名前もあり適切に処理しなければ火種になる可能性があると上司が苦い顔をしていた。

 今は、リストにある人間の中で影響力のある人間を中心に表社会から退場させる工作を行っているが数年は掛かるだろう。

 その後、オールマイトの正式な引退により社会全体が動揺するなか、獄中のAFOが扉間君の名前を呟いてくれたおかげで、さらに隠蔽工作の仕事が増えた。

 

(今も忙しいけどあの時が一番忙しかった気がする。)

 

 扉間君を那歩島に避難させて隠蔽工作をやっていると、今度は平和の象徴と裏社会の支配者がいなくなった影響で幾つかの要監視団体が動きを見せたり、解散した敵組織が再び集結したりと何時もの三倍くらい日本中を飛び回る羽目になった。

 自身のライフスタイルと真逆な忙しさに疲弊してると、今度はオールマイトが扉間君を調べ出したと聞いた時は一瞬膝が折れそうになった。

 直属の上司としては失格だが、流石にオールマイトの対処は無理なので上司に丸投げした。

 平和の象徴と裏社会の支配者が消えた事で公安は忙しくなったが、良いこともある。

 扉間君の立場だ。

 あの襲撃の一件から、扉間君は四人のヒーローに囲まれている。

 不死身という特性を生かして、個性の制限を取っ払った彼らに守られる扉間君に物理的に干渉出来る人間はいない。

 どさくさに紛れて首輪も外したし、ある意味誰も手出し出来ない存在になった扉間君に対して公安はもはや懐柔という手段しかとれない。

 扉間君に今回の件を謝罪した所、まだ公安に残る選択を取ってくれた為、改めて全面的なバックアップを約束をした。

 その結果、上司が公安委員長に就任した関係もあり委員長直属の部下というNo.1の懐刀的立場を作った。

 これで、彼が道を外れない限り公安内部で彼に政治的に干渉する事は出来なくなる。

 

 (ほとぼりも冷めて、安全を確保出来て扉間君に戻ってもらうと今度はネットで怪しいことしたから胆が冷えたよ全く。)

 

 まあ、本人にその場で刺し違える覚悟で、直接聞いたら敵団体引っ張りあげるとは思ってなかったけど。

 何か、もう彼保護してから忙しいか胆冷やすかでジェットコースター乗ってる気分なんだよね。

 しかも調査報告書引っ張り上げた団体がかなりキナ臭いし大規模かもしれないって聞いた時は一周回って笑ったよね。

 舌の根も乾かないうちに、今度はヤクザの事件に関心もって、これはかなり内部でも揉めたけど穢土転生で甦った人達の運用テストという事で試してみたら普通に成果上げてくるし。

 いやー、本当に俺より仕事してるよマジで。 

 しかも拾ってくる事件が全部社会問題になりかねない重要な事件で、変な言い方すると要点を押さえてくれてて、将来的に楽になるのが目に見えてるから俺も含めて皆やりがい感じてるんだけどさ。

 




というわけで、ホークスからみた主人公。
途中から愚痴半分な感じになりましたが、主人公を保護してから公安は重大事件ラッシュで現在進行形でデスマーチです。
だけど、無事に解決すれば社会が良くなるの目に見えているから頑張ってます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

二月な件

4000文字つらたん。



 二月、本来なら超常解放戦線とヒーローがぶつかり合う原作の山場だが、この世界ではそんな事は起こっていない。

 AFOの遺産は廃棄されたし、殻木や敵連合が既に逮捕されているからだ。

 一応、二月にイベントが起こるかもと警戒したがそもそも騒動を起こせる団体がいない。

 最大規模を誇る異能解放軍は現在内部争いが絶えないし、それ以外の団体は規模が小さいし調査結果をみる限り同盟を組んで何かをなそうという動きはない。

 後、公安の内部工作ヤバい。

 最初は大きな対立を生み出すというのが俺の案だったが、どんどん発展していき今は小さい派閥が大量に出来はじめている。

 革命後の先の考えの違いや革命の方法に疑問を持つもの、家族の安全を考えるモノと揺さぶりをかけて過激な人間をより過激に煽り、いざこざを起こさせて保身的な人間をより慎重にさせる。

 全員の足並みが不揃いで一部足を踏みあっているのが組織の現状だ。

 ホークスはいざこざを抑える事で幹部から評価されて更に内部へと踏み込む。

 もはや、異能解放軍はリ・デストロがいなければ烏合の衆も同然だ。

 既にホークスのお陰で、地方軍含めて幹部の名前から末端まで全ての人間の名前と立場が判明している。

 後は決定的な証拠を入手出来れば良いのだが流石にそこまでは信用されていないみたいだ。

 今の異能解放軍にテロを起こせる組織力はない。

 資金や武装ならあるのだろうが、肝心の内部での足並みが揃っていないのだ。

 故に、テロを実行しても成功した後に瓦解する可能性がある。

 それが、リ・デストロ含めた中央幹部の認識らしい。

 まだまだ解体には時間がかかりそうだが、元々長期戦の構えだし、向こうが強硬したら俺が動けば良い。

 これが、今の原作イベントの現状だ。

 そして、こっから先は完全に未知の世界である。

 個性使用の依頼なら問題ないのだが、ある時未解決事件の資料の山を公安委員長が寄越してきた。

曰く、

 

『もし、気になる点があれば教えて下さい。』

 

 との事だ。

 正直勘弁してほしい。

 原作知識がない俺の推理力なんてたかが知れている。

 知れている筈なんだか…

 送られてきた未解決事件の資料で気になる点なんて探せるかと思い資料に目を通すと。

 

(…このパターンはドラマでみたな。

 多分これは過去の連続殺人の模倣犯。

 犯人は恐らく過去の犯人の境遇と自分を重ねている。

 これは、連続殺人にみえるが最初の二件以外は遺体の扱い方が違うから関連性は低い。

 逆に二年後に起こっている別の事件は遺体の扱い方が同じ。

 逆にこれとこれ、あとはこれだな。

 同じ地域で偶然起きただけの手口が違う犯行に見えるが、宗教の例え話をなぞってる。)

 

 流石、個性社会というべきか犯行は個性的で癖が強い。

 未解決の場合は自分に繋がる証拠を残さないようにしてるが自分が行った事を示す証拠は残す。

 サイコパスは拘りが強いのだ。

 死体への拘り、犯行そのものへの拘り、被害者への拘り。

 ただ、単純に上手く殺した事件は一切分からないが連続殺人に関しては前世のミステリードラマ鑑賞のお陰で何となく当たりがつく。

 

 (個性の影響か漫画の世界だからか分からないがサイコパスが多すぎる。)

 

 一応、五人にも確認して貰って進言する価値ありとした事件、特に犯罪者を長年眺めていた監獄長の御墨付きを最優先として公安委員長に報告した。

 外れていれば、期待外れで二度と頼まれないだろうと思っていたがまさか全部当たりで解決されるとは思ってませんでした、はい。

 いやサイコパス多すぎるだろマジで。

 そっから、定期的に未解決事件の山を送られてくる様になった。

 お陰で、うろ覚えなミステリードラマの内容を思い出す刺激兼将来に必要な勉強として心理学や犯罪心理の勉強をする時間が出来た。

 戦闘訓練(テレポン、グラディエーター)、高校の勉強(Plus Ultra)、公安訓練、心理学の勉強(監獄長)。

 何で、自分のクビ締めてるんだろう。

 




1500文字が書きやすい。
そのうち呪術廻戦の二次投稿するかもしれません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10年後な件

とりあえず完結。
感想の返信ですが、この回を投稿してから返します。


 10年の月日は人を変える。

 例えばホークスは今やNo.1ヒーローになっているが、次世代のオールマイトである緑谷君に抜かれそうだ。

 オールマイトが現役の時代をヒーローの黄金期とするならば今こそ第二の黄金期と言えるだろう。

 原作ヴィランが一掃されて、原作より壁は減ったが越えるべき壁を安全に越えた原作世代の生徒はヒーローとして活躍している。

 特に緑谷、爆豪、轟、通形の四人はエンデヴァー引退後に一位を譲られたホークス、同じく二位にスライドしたジーニストと並ぶ勢いがある。

 この間発表されたヒーロービルボードチャートは過去最高の投票数の中、一位から六位までの人気投票がほぼ横並びになるほどだ。

 恐らく来年にはホークスも一位の座を譲り渡す事になりそうだ。

 

「…平和になったな。」

 

「そうですねぇ。

 異能解放軍も無事に解体されましたし、AFOや敵連合、ギガントマキアの刑も無事に執行されましたし。

 扉間君も無事に大学卒業出来ましたし。」

 

「最後のは余計だ。

 そもそもあの留年は俺のせいじゃないし。」

 

「原因は確かにそうですが、あの時の扉間君なら波風立てずに事を運べたでしょう。」

 

 留年は知恵を貸していた案件について、事件が思ったよりややこしく複数の組織を跨いでの仕事になったのだが、その時に俺に指揮権が与えられたのだ。

 後は手柄や年功序列やら嫉妬やらのせいで必修単位を一つ逃したのだ。

 

「仕方ないだろう、手柄欲しいと言ったからくれてやったのに欲張った向こうが悪い。」

 

「確かにそうですね。

 …それにしても扉間君も成長しましたね。

 要注意監視対象からヒーロー公安委員会特別顧問ですから。」

 

 ヒーロー公安委員会特別顧問は俺専用の肩書きだ。

 10年間で個性より頭脳を活躍する機会が多くあり、その功績と既に引退したが公安委員長の尽力で設けられた立場である。

 具体的な権限として特別予算や独自捜査権、制限なしのデータ閲覧等で要するに公安の名前使って好きに動いて良いという立場だ。

 俺への命令権は公安委員長が持つが、公安委員長就任の推薦権を俺は持っているため、おいそれと公安委員会でも手が出せない立場になる。

 悪用しようと思えば色々やれる位には強い権力だが、それだけ信用するという事だろう。

 

「立場は強いけど部下とか事務とか一人もいないし、幾つかの部署や幹部には嫌われてるけどな。」

 

 陸の孤島感凄い。

 

「まったくもう。

 褒めてるんだから素直に受け取ってくださいよ。

 一応結婚したのに。」

 

「だからこれくらい気安いんだよ。」

 

 言い忘れていたが、俺は現在自宅でテレポンに膝枕されている。

 互いの薬指には指輪をつけて。

 詳細は省くが俺も素直になったという事だ。

 

「そもそも、結婚だってPlus Ultraが成仏したのが切っ掛けですし。

 根っこが素直じゃないんですねぇ本当。」

 

「まあ、いつか成仏する可能性に気付いたから告白したがそうじゃなきゃ俺の寿命辺りで告白していたよ。」

 

「死ぬ寸前じゃ素直とは言いませんねぇ。」

 

 穢土転生から逃れる術は解呪以外にも一つだけ方法がある。

 生前の未練が果たされて成仏する事だ。

 正直Plus Ultraが成仏するまで忘れていた。

 Plus UltraはAFOの刑が執行されてから直ぐに成仏した。

 生前の因縁の相手といっても過言ではないAFOが死に、その因子を持つ者達も死んで未練が果たされたのだ。

 本人は最期まで共にあれずにすまないと謝っていたが、俺は未練が果たされて良かったと思っている。

 次に成仏したのはグラディエーターだった。

 彼も黎明期にAFOの軍勢と平和を得る為に戦ったヒーローだ。

 子孫である麗日お茶子がヒーローデビューを果たして直ぐに成仏の兆候が気付いた彼は最期に俺と組み手をしてから成仏した。

 結果は惜敗したが、あれほど満ち足りた敗北は二度と味わえないと思う。

 次に成仏したのは監獄長だ。

 俺が特別顧問に就任した時に、監獄長からの最初の仕事として監獄の監査を行った。

 小さいのから大きい物まで様々な改革を提案、実行し、初期の成果が確認出来ると次の日にひっそりと成仏した。

 振り返るとあの監査自体が監獄長からの贈り物なのだろう。

 あの経験は今も捜査に生きている。

 次はカロリだ。

 カロリは本当にあっさりしてた。

 監獄長が成仏して直ぐに、お手製のレシピ本を残して成仏した。

 レシピ本はやたらと一人前が強く表示されていたのでつまりそういう事だろう。

 …そしてテレポンが今日らしい。

 

「…そろそろか。」

 

「…ええ、本当はもっと一緒に居たいですが意識がたまにフワッとするのでそろそろでしょう。

 膝枕もやめましょうか、今成仏したら死体の膝枕になりますし。」

 

 膝枕から起き上がって、テレポンを見つめられる様に真正面に座り直す。

 その姿は10年前と変わらないが、身体中から少しずつ塵が流れている。

 

「扉間君は背が伸びましたね。

 …本当はもっと貴方と一緒に居たいですが、貴方の成長や女として幸せを実感したり今のヒーローの活躍を見ると私も次に進みたくなってしまいます。

 貴方の側にいると、味方であり続けるという約束が果たせず申し訳ありません。」

 

「…大丈夫だ。

 例え成仏しようとも俺は皆と共にいる。

 10年でようやく学べたよ。」

 

「ふふっ。

 本当に成長しましたね。

 では最期に貴方との時間は私にとって、彼らにとってもかけがえのない時間でした。

 貴方はもう大丈夫。

 愛しています。」

 

「ああ、俺も愛している。」

 

 テレポンは自分の指輪を俺に握らせながら微笑んで成仏した。

 形が崩れて、生け贄となった死体が横に倒れて現れた。

 俺は手のひらの指輪を一度握り込み、懐にしまい電話をかける。

 一度目の前の死体を見るが、そこにテレポンは居ない。

 

「私です。

 死体の処理を頼みます。」

 

 死体の処理を依頼して自宅を出る。

 涙を流す事は無い。

 覚悟はしていたし悲しい出来事ではない。

 愛する者が未練を全うしたのだ。

 

「…妻との思い出に耽りたいのだが。

 さて、同僚に向けるべきではない物騒な物を構えた君たちの用件は何かな?」

 

 フラフラと歩いて人気のない路地についた途端にこれだ。

 挟み込む形で男達が囲んできた。

 手にはサイレンサー付きの拳銃握りしめているのは立派だが、何人か震えているのが滑稽で笑いそうになる。

 

「…。」

 

 問いかけに返答は無いが代わりに弾丸も飛んでこない辺りこいつらは俺を知らないらしい。

 

(捨て駒か。)

 

 俺が彼等に対処出来るのか分からない奴らが下っぱを使って調査しようとしているのだろう。

 ヒーロー黄金期ではあるが完全に平和ではないし公安は常に人不足だ。

 無駄な事はやめて欲しい。

 

「撃たないなら退いてくれ。

 独りの気分なんだ。」

 

「……撃て!!」

 

 一歩歩いて漸く前から後ろからも弾丸が飛んでくるが俺に届く前に黒い霧に触れる。

 弾丸は黒い霧を通して彼等の手足へとデリバリーした。

 手足を射たれて動揺している彼等を観察すると一人だけ反撃した事自体に驚いてる奴がいた。

 直ぐに黒い霧を使いそいつを目の前に召喚する。

 

「お前が指揮官か。

 あー、なるほど。

 色々聞こうと思ったがお前の顔には覚えがあるぞ。

 上司も分かった。

 お、なんだカメラついてるじゃないか。

 生放送?」

 

 傷口を踏みつけながら聞くと、どうやら生放送らしい。

 

「生放送なら見せた方が早いよな。」

 

 黒い霧で人形達を呼び出す。

 茶髪の継ぎ接ぎ男、女子高生、全身タイツ、仮面を付けたシルクハットの紳士、手がたくさん付いた少年。

 全てを縛り上げているため、全員の全身に罅が大量に入っているが敵連合と言われていた死人達だ。

 

「見えるか?

 四人のヒーローは確かに成仏した。

 でも丸腰じゃない。

 後ろのこいつらは護身用でね。

 お前らなんかとっくの昔にこっちは把握しているよ。

 ちなみに公安委員長は彼等について知っている。」

 

 個性を一度でも使用した時点で天国に行けるなんて思ってない。

 ならせめて地獄に行く人間を減らせる様に頑張るのが俺のヒーロースタイルって事にした。

 

「脅すような感じで申し訳ないが、公安も人手不足だ。

 余計な事せずに仲良くやっていこう。」

 

 伝える事は伝えたし、人形を引っ込めて路地を出る。

 さて、妻との思い出を振り返ろうか。

 




このまま放置も嫌なのでとりあえず完結にしときます。
原作の展開とか読んだりしておまけ書きたくなったら続き書く感じで。

今までお付き合いありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編
10年後のあれこれ


10年後は多分こんな感じという設定です。


千手扉間

 現在の主な仕事は殻木の個性遺伝に関する研究データと個性届けを活用して赤子の段階から潜在的凶悪敵になる可能性のある子供の監視・保護を行っている。(要するに第二のトガちゃん見たいな敵にならないように矯正している。)

 サイコパス敵の捜査は大学時代に捜査手法の基礎となる論文を発表し、その後チームを発足させ教育して警察に引き継いだ。

 個性に関しては若返りや人形の個性を扉間が使えるようになったり単純に操作性能が向上して、手を付けられない位に強くなった。

 後、身長が10cm伸びた。

 

ホークス

 エンデヴァー引退後にNo.1となった。

 多分主人公が真っ当になって一番喜んでいる人。

 No.1となってもヒーロースタイルは変わらず、たまに主人公の知恵を借りたりするし主人公もホークスを使う事もある。

 月に一度は友人として主人公と飲んでいる。(最近主人公の前で泥酔するようになった。)

 後、自分の遺伝子情報を主人公に渡している。

 

オールマイト

 校長になっている。

 扉間からの要請で保護した子供の世話を依頼されて雄英内部に孤児院を設置した。

 良く顔を出して子供達を笑顔にしてる。

 主人公とは仕事以外にも定期的に連絡を取り合っている為比較的仲が良い。

 

 

エンデヴァー

 敵連合逮捕後の捜査で荼毘が死んだはずの息子と知ってヒーロー引退を決意。

 家族にも話して大荒れしたが家族の形は崩れなかった。

 引退会見の場で自身の行いを自ら告白した。

 隠居してからは奥さんと二人で暮らしている。

 よくホークスが遊びに来る。

 主人公に関してはホークスから友人として紹介されて軽く会話した程度。

 

雄英生

 ヒーローとして順調に成長している。

 主人公的にはいつか誰かしらが自分にたどり着くかも知れないと警戒している。

 多分一番最初に辿り着くのは爆豪。

 

敵連合

 どう頑張っても死刑です。

 死後は個性が便利なのと敵連合という名前が威嚇や牽制に有効な為主人公の人形となった。

 主人公が死ぬまでコキ使われる予定。

 

AFO

 AFOは死期を悟り脱獄した所を主人公が敵連合の人形達を伴って相対。

 結果、自ら灰も残らぬ形で自殺した。

 

殻木

 研究データは全て公安により利用され、一部は世間に名前を換えて発表されて医療とかで役立っている。

 

ギガントマキア

 科学技術の進歩で毒殺された。

 死体の一部は主人公が所持。

 

異能解放軍

 保守派、過激派、中央派への内部分裂からの内部抗争に発展させて内部崩壊から分裂に成功。

 分裂した殆どの組織が検挙された。

 

公安委員会

 主人公の推薦がなければ公安委員長になれないため排除しようとする人間が定期的に現れるがその度に弱味を握られるのが風物詩。

 大多数の幹部は敵対しなければ捜査に協力してくれるし、実績もくれるので比較的友好的。

 だけど、急に大規模な仕事を持ってくるのは勘弁してほしい。

 

元公安委員長

 引退して孫バカな祖母になっている。

 テレビや新聞で主人公が関わってる事件か判断できる技能が身に付いたが、同時に当時の苦労を思い出すので、最近韓国ドラマしか見てない。




無事に完結となりました。
ここまで続いてこれたのも皆さんの感想や評価、誤字脱字の指摘のお陰だと思っています。
改めてありがとうございます。
今後は未定ですが、こちらに関しては思い付いた小話を時系列無視して投稿していくかもしれません。
また何処かで会う機会があればよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ある晴れた日

ちょっと書きたくなった。


 現在の公安には決して表に出てはいけないデータが一つある。

 通称『タラント』、殻木の個性研究データと国の個性届けを元に作られたそれは将来生まれてくる子供の敵適性を予測するシステムである。

 『人格が個性に引っ張られる。』という前提の下に開発されたシステムで、個性の内容から人に積極的に害をなす可能性が高い個性を測るシステムでもある。

 将来の敵適性を測るシステムが表に出れば大問題だが、上手く活用すれば凶悪敵の発生を抑止出来る。

 両親の個性が平凡でも、組み合わせによっては凶悪な個性が子供に発現する可能性がある。

 タラントは夫婦を対象に将来的に生まれてくる個性のパターンを算出し、敵適性の高い個性が無いか判断するのだ。

 敵適性の高い子供が生まれる可能性があれば、準監視対象となり、敵適性の高い子供が生まれれば要監視対象として扱われる。

 要監視対象であれば、子育てを公安によって監視されてネグレクトや暴力等があれば即刻介入し、敵に傾かないようにあの手この手を尽くす。

 要するに、第二のトガちゃんが育たないようにする為に『タラント』は活用されている。

 

(けど、完璧じゃない。)

 

 そもそもの親の届けが違う場合や、突然変異によって系統とは全く違う個性が発現してしまう場合がある。

 こちらが把握した時には既に虐待が致命的なレベルになっていたり、子供の個性が暴走したりしてしまう事もある。

 

「だから、俺がいるわけだけど。」

 

 路地裏。

 賑やかな町並みから外れて、配管の走る細いビルとビルの間を進む。

 日の入らない暗黒地帯はお世辞にも衛生的とは言えず、沼地のような空気が漂う。

 表の賑やかな町並みと並んで一瞬、人間社会の縮図に見えてしまう位には最悪な所だ。

 ピチャリ、ピチャリとぬかるんだ地面を進み、ビルの壁に囲まれた行き止まりに彼はいた。

 汚れきった体を丸めて、何処かで手にいれた残飯を貪っている姿は獣にしか見えないが、彼は子供だ。

 

「おい、そんなものよりこっちを食え。」

 

 びくり、と体を震わせて此方に振り返る。

 怯えていた。

 

「話をする前に、食事をしよう。

 旨いものを食べるんだ。」

 

 持ってきた紙袋をそっと近くに置く。

 中身は皆大好きなカレーだ。

 臭いで少年も気づいたが、警戒してか動かない。

 

「食べるまで動かないぞ。」

 

 よいしょと座って少年が食べるのを待つ。

 

「冷めても旨いが、温かい方が旨いぞ。

 俺も食べるか。」

 

 懐から同じ袋を取り出して昼食のカレーを食べる。

 カツカレーだ。

 取り敢えず、カツを一口。

 うん、旨い。

 我ながら完璧だ。

 続けてカレーを一口。

 甘口で具材の旨味を楽しめる。

 そして、カツとカレーを一緒に食べる。

 旨い。

 やはり、この組み合わせは最高だ。

 

「…ゴクリ。」

 

 味わっていると、少年が物欲しそうな目をしている。

 

「同じのが其処に入っている。

 君のはカツが二枚乗っている。

 旨いぞ。」

 

 我慢の限界が来たのか、恐る恐る紙袋に手を伸ばして、カレーを食べ始める。

 

「コラ、ゆっくり食べろよ。」

 

 掻き込む様に食べるので注意すると、ゆっくり食べ始めたのでこの子は良い子なのが改めて分かった。

 

「よし、食事を終えたらご馳走さまだ。」

 

「…ごちそうさまでした。」

 

 手のひらを合わせて、食事が終わった。

 

「さて、話をしよう。」

 

「君の名前は◯◯だね?」

 

 コクリ、と少年は頷く。

 

「簡単に言うと、俺は君を助けに来た。」

 

「…ヒーロー?」

 

「かもな。」

 

 ヒーローと名乗る気には未だになれない。

 

「とりあえず、ここ出ないか?

 鼻が曲がりそうだ。」

 

「…ダメ!」

 

 少年に近付いて抱き上げようとした瞬間、少年の個性が発現した。

 『個性 腐敗』

 有機物を発酵させる個性を突然変異で発現した少年は母親を腐敗させて生まれてきた。

 どこぞの神話みたいな話だが個性社会では割とある。

 少年の個性は突然変異なのだから父親とも母親とも違う。

 父親は亡き母親の浮気を疑い、子を愛せなくなった。

 親戚からも親を殺して生まれた子だと言われ味方はいなかった。

 そして、ある日酒乱となった父親の暴力の最中、個性が暴走した。

 父親と家を腐らせて逃走して今に至る。

 少年は俺も父親と同じように腐らせてしまうと必死に個性を抑えようとしている。

 

「大丈夫だよ。」

 

 塵は腐らない。

 穢土転生体となったトゥワイスの個性で増やした人間は塵で構成されるようになった。

 つまり、俺は千手扉間のコピー体である。

 保護する子供は大体、対人特化なので死んでしまうが、これなら問題ない。

 

「世界は広いだろ?」

 

 何ともない体をアピールして安心させる。

 俺の何ともない姿に呆然として、泣き出し抱き着いてくるので抱き返す。

 今度は嬉し涙だと思いたい。

 ああ、今日も良い天気だ。 

 

 

 

 

 

 




十年後の主人公の主な仕事。
凶悪敵になりそうな子供の監視とかケアとか個性が突然変異して家庭環境がヤバい子供の保護とかしている。
保護した子供は雄英に作らせた孤児院に預けたりしてる。
後はたまに表に出すと面倒くさい敵組織潰している。
トゥワイスボディ万歳。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

WHM編

この世界線だとどうなるかって話


「さて、どうするべきか。」

 

 AFOの一件や敵連合の逮捕等のゴタゴタが終わり、雄英の一年A組達も無事に進級出来たりした今日このごろ。

 オールマイト無き今、新たなナンバーワンヒーローであるエンデヴァーはヒーローとして新たな形を示した。

 エンデヴァー、ホークス、ジーニストの3名のチームによる活動だ。

 オールマイトには成れないがナンバーワンヒーローとしての在り方を示す為に固執を止めた彼のお蔭で、公安が予想していた犯罪率よりも緩やかな犯罪率の上昇に留まっている。

 しかしそれは表向きの話。

 裏はAFOが逮捕されたと知ると嘗ての敵組織や新興の敵組織が活発化していた為、扉間達は普通に働いていた。

 そしてとある日、穢土転生動物達を基点とする日本中の情報収集システムを用いて扉間達はある敵組織を壊滅に追いやった。

 

「まさか、世界規模のテロ組織だったとは!!」

 

「団員の殆どが無個性だと取り扱いに困るな…」

 

 ホークス経由で届いた資料を見て驚くプラスウルトラとグラディエーター。

 

「取り敢えず、日本が無事な事にホッとするべきですかねー。」

 

「国内の次は世界かよ…」

 

 世界の危機の前に日本が無事であるとこに取り敢えず確認するテレポンと呆れるカロリ。

 

「無個性による個性差別の過激派か。

 何時の時代も人の本質は何も変わらないものであるか。」

 

 監獄長は嘗ての時代の囚人達や世情を思い出し、落胆を隠せない。

 届いた資料に書かれた内容を簡潔に纏めると、『扉間が発見、検挙した組織は国際的テロ組織の日本支部』『近々世界規模テロを実行する可能性アリ』『彼らの宗教思想から構成員の殆どが無個性』の3つ。

 国際社会が標的の時点で扉間の手が届かない話であり、組織の全容を聞いてもさっさと外務省を通して各国と連携して行動をすれば良いと言うのが扉間の感想だったのだが、連絡を寄越したホークス曰く『何処にシンパがいるか分からない。』のが問題らしい。

 

「各国の中枢にシンパがいる可能性は高く、妨害によるテロ阻止の失敗確率は高いか。」

 

 現代において無個性とは潜在的弱者である。

 男性社会において女性が軽んじられる様に個性が台頭した現代において無個性は軽んじられる。

 無個性は良く言えば守るべき対象であり、悪く言えば劣等種という認知を互いに潜在的に持っており、無個性と個性持ちの間には見えない溝が存在する。

 故に日本を含めた国際社会はヒーロー以外の個性使用を犯罪として扱う等を行い、無個性と個性持ちの社会的な差をなくそうとしておりそのキャンペーンの一環として企業の採用枠に無個性を設けたりしており、政府も積極的な雇用を行っている。

 しかし人間とは比較する生き物である。

 無個性が優秀な働きをしたら個性持ちが嫉妬し、無個性が無能なら個性持ちは愉悦するし、その逆もしかり。

 ぱっと見の無個性差別は無くなった代わりに潜在的な醜い差別意識が増大したのが現代であった。

 幸い日本ではオールマイトという絶対的平和の象徴が君臨していた為、潜在的な個性差別は少ないが中学時代の緑谷と爆豪を知っていれば無個性がヒーローを目指せば笑われる程度で済んでいる。

 しかし、海外は個性の広まりと共に治安は悪化しており日本より数倍悪く差別も強烈であり、個性持ちが無個性を殺すより無個性が個性持ちを殺した方が罪が重い傾向にあるくらいには根深い。

 つまり、シンパは何処にでもいるし差別意識による忠誠心もとても高い。

 

『だから各国と連携を取ろうと動いても敵に察知される可能性が高いんだよね。』

 

「それで何で俺に出動の話が回って来るんですか。」

 

 扉間としては自分達が動く必要性を感じていなかった。

 世界単位の話であるが、日本は既に無事である。

 ヒーローとしては手を貸すのが筋であるし、扉間としても何か出来ないか考えたが、自分の立場というか個性を考えると世界に晒すのは悪手である。

 

『世界というより国内の対応をしてほしいんだよ。

 今回のテロを未然に防いで彼らの存在を知らせた事で世界中の諜報が興味を持ち出してる。

 唯一安全な日本に本部を置くだろうという予測を建前に世界中の諜報部隊が侵入しようとしていて防諜が追いつかないのが現状だよ。』

 

 世界は日本の成果ではなく方法に注目したのだ。

 各国の諜報機関の中にも存在自体は認知している国もあり、実際にスパイを送り込んでいた国もある。

 それでも末端からの侵入であり数年の月日をかけてようやく本部に近いところまで漕ぎ着け、これから情報収集するレベルだったのだ。

 それを日本は支部とはいえ、圧倒的速さで制圧して敵に情報を処分させる暇も与えなかった。

 お陰で彼らが使う個性増強爆弾の威力や範囲、組織の資金の流れから予測される数まで判明しており、彼らのダミーの本部や支部については既に所在も分かっている。

 既に各国で監視チームが組まれて爆弾らしき物品の運搬が無いか監視されており、後は本部の場所を明かせば解決する段階まで来ている。

 それもこれも日本の成果だ。

 

「つまり世界的テロはヒーローに任せて、その間に国際テロ組織の全貌を暴いた日本の諜報について各国が探りを入れると。」

 

『既に中国、アメリカ、ロシア、ヨーロッパ各国とぞろぞろと入ってきてるよ。』

 

「元々裏が活発になって公安が人手不足な所に世界的テロの対応を利用して日本のヒーロー達を派遣させて層が薄くなった所でスパイを送り込むって…」

 

 人間の醜さというか全てを利用するという大国の強かさとその対象が自分で有ることに思わず頭を抱えてしまう扉間。

 

「人気者ですねー!」

 

 そして大して考えてないテレポン。

 

  




まあ扉間がいる時点で組織なんてけちょんけちょんよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ある模範囚との会話 1

時系列的には最終話より前の十年間に会った出来事という名目です。


「会って欲しい人がいる?」

 

 ある日、いつものように公安の訓練や仕事をこなしていると、ホークスから『会って欲しい人がいる。』と連絡があった。

 

『会って欲しい人物を簡単に言うと俺の前任者かな。』

 

 ホークスの前任者、つまりは公安所属のヒーローというだけでは無さそうだ。

 公安所属のヒーローは何人かいるが態々『前任者』と呼ぶということは恐らく汚れ担当というのは察しがついた。

 

『ヒーロー名はレディナガン、本名は筒美火伊那。

 今はタルタロスに重犯罪者として収監されてるんだけど。』

 

「…公安ヒーローでタルタロスに居るって、使い捨てられたか暴走でもしたんですか。」

 

 公安のヒーローがタルタロスに居る。

 その言葉だけでレディナガンがどのような目に遭ったか想像に難くない。

 知らなくて良いことを知ってしまったか、全体の正義を捨てて個人の正義に走ったかだ。

 

『表向きはヒーロー殺しで収監されてるけど、実際は前任の公安委員長を殺してるんだよねー。』

 

 前任の公安委員長については今の公安委員長と違い、大分過激なタチだったらしいとは聞いた事があるが、末路は身内に殺されたのか。

 送られてきた資料によると、どうやら危険思想の犯罪者を何人も未然に処理させられていたらしい。

 年齢的にも大分若い頃から仕事をしていた辺り、前任の公安委員長は口が上手かったらしい。

 明るい未来だ何だと嘯いて、彼女に殺しをさせていたと資料には書いてある。

 

「ホークスの前任者については分かりました。それで、俺が会う理由は何ですか?」

 

 レディナガンに対しては多少同情するが、俺と関係があるかと言われれば関係無いと断言できる。

 前任の公安委員長も知らないし、彼女自体も面識は無いのだから。

 

『扉間君の個性による監視網プログラム覚えてる?』

 

「動物の穢土転生体を利用した監視網ですよね。

 結果は上々でしたが、公安の人手不足で見送りの筈ですが。」

 

 俺の個性は現状、護衛を務める5人以外に死者の証言取りを行う位しか実行してないが、将来的な俺の公安内部での地位向上を図る一環で個性のさらなる運用が必要と判断した俺とホークスは動物による穢土転生体を利用した監視網を実現させた。

 鳥類を中心に監視対象のいる地域に存在する小動物を使用した監視網は監視対象に悟られる事無く生活や行動記録を丸裸に出来る最高の監視網である。

 犠牲となる小動物には申し訳ないし、畜生道に堕ちるのは確定だが個人的には人間相手では無い分、精神的苦痛が少なく個性欲求を満たせる為、とても良い。

 

『そうなんだけど、実際に運用する為にも彼女を公安に戻そうという意見が出てね。

 彼女に公安ヒーローに復帰して貰うための面談と、後は扉間君への教育に良いかなって。』

 

「教育はともかく面談は大丈夫なんですか?」

 

 教育というのは単純に公安に所属することによる発生する負の面を知って貰おうという意図があるのは分かった。

 穢土転生という個性を持った以上、日本で暮らすには公安と離れる事は出来ないし公安もレディナガンのように暴走させないために知ってほしいのだろう。

 

(とりあえず、そういう公安アンチのヒーローと会話しても大丈夫だと思われてる位に信用されていると思っておくか。)

 

『うーん、そこは俺も不安なんだよね。

 まあ、人手不足だからナガン先輩には復帰してほしいけど、扉間君と会わせる必要はぶっちゃけ無いし。

 けど、公安委員長のお願いなんだよね。』

 

「それは何というか意外ですね。」

 

 公安委員長はある意味俺にとって恩人でもある。

 前任と違って比較的穏健派な彼女は俺を擁護し利用しつつも、ある程度の自由を確保し捜査に関して資料閲覧の許可や先程の監視網実現の為の許可も彼女が責任を負う事でテストが実施されたのだ。

 本人からすればヒーロー社会維持の為に必要な事をしたまでと言うかもしれないが、俺にとっては後ろ盾であり居なくなっては困る替えの利かない人間である。

 だからこそ今回のお願いは無視出来ない。

 それと、公安委員長が『千手扉間に個人的なお願いをする。』というタブーを犯してまでレディナガンを救いたいという意思を感じたからだ。

 

「現状、俺の命を脅かすとしたら狙撃ですし。

 彼女が復帰すればその穴も埋まるという名目で俺の面通しをするというのはどうでしょう。」

 

 そもそも狙撃されるレベルで特定される事は殆ど無いと思うが、ウチには対遠距離持ち個性は居ないし、多分おそらく必要だろう。

 だから、盗み聞きしてたテレポンはニヤニヤするな。

 

『結構乗り気だね。

 断られるつもりで話したけど、そういう事なら話を進めておくよ。』

 

 




WHM編が続き思いつかないのでレディナガン編を始めようかと。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ある模範囚との会話 2

オチは書き直すかも。


 あれから暫くして、レディナガンとの面談の日程が決まった。

 現在、護衛としてホークスとテレポンの3人で向かっている。

 場所はタルタロスではなく、公安の施設の一つを使用するらしい。

 タルタロスから犯罪者を移送して大丈夫なのかとホークスに確認したら、本来レディナガンの罪で考えると別の刑務所でも良いらしい。

 タルタロスは国家転覆や大量殺人等の個人で社会を脅かすヤバい奴らを封じる為のものであり、レディナガンの場合は模範囚であり元公安のゴミ処理係という公安にとってスキャンダラスな存在ではあるが対外的には一人しか殺してない。

 仮に今回の面談が失敗に終わってもタルタロスではない別の刑務所に送られる事が決まっている。

 

「後、今のタルタロスにはAFOがいるからね。

 扉間君を近付かせる訳には行かないし。」

 

 万が一、俺の終の住処になる可能性があるので一度くらいは見学したかったが残念だ。

 

「いやーにしても、扉間君が応じるなんて偉いですねー!」

 

「…撫でるな。」

 

「払わない辺り、満更でもないんでしょーこのこのー!

 ぎゃー、腕がありえない方向にー!」

 

 テレポンに見透かされているが、俺自身かのレディナガンへの関心はない。

 公安委員長から助けを求められなきゃ断った案件だ。

 レディナガンの経歴や殺害の動機からして、『個性が有用だから公安で監視を付けて未成年を働かせている公安』なんて許せる筈がない。

 彼女の精神鑑定の結果からして善良なヒーロー的精神を持っているから俺自身に危害を加えないだろうが公安と公安が維持してる現社会を憎む可能性は大いにある。

 

(なのに、俺に会わせた上で復帰させるって、変な期待持たれてんのかねー。

 まあ、善良なヒーローからしたら俺という存在と公安の在り方は認められないだろうけどさ。)

 

 公安ヒーローだからある程度、割り切れるとは思いたいけど。

 

「はぁ…」

 

「あれ、意外と不安な感じ?」

 

「不安でしょ。

 彼女からしたら俺はある意味、被害者二代目ですからね。」

 

「じゃあ、直接君を勧誘した俺は大犯罪者だ。」

 

「ホークスの事だから俺を勧誘する前から真っ黒でしょ。」

 

「まあね!」

 

 個性社会という名の個人主義を中心とした社会を真っ当に運営等出来るはずがない。

 緑色の胎児の誕生から今日まで、社会を揺るがす個性持ちや団体は数多く生まれては、社会維持の為に処分されて来た。平和の象徴が居た時代に活動していたレディナガン自身がその証明だ。

 

「さて、この扉の先に彼女が待っている。」

 

 扉の前には雑談をしながらたどり着いた。

 

「最後に確認だけど、どのような結果になっても扉間君に責任はない。

 交渉が決裂して塀の向こうに戻ることになっても、彼女がどのような理由であれ、私情で人を殺した事実は覆せない。

 この面談そのものが特例措置なんだ。」

 

「分かってますよ。

 俺だって最初は無理矢理巻き込まれた身ですが、今は自分なりに覚悟決めて今の立場に居るつもりなんで。

 まあ、失敗したくは無いですけど。」

 

 彼女が俺に対して何を言おうが、オールマイトと会話したあの日から覚悟は出来ている。

 

「そっか。

 なら安心だ、じゃあ中へ行こう。」

 

「…あのー、いい感じに話を進めるのはいいんですか、その前に腕治してくれません?」

 

 ああ、忘れてた。

 テレポンの蝶結びを治してから、扉を開ける前に深呼吸を一つ。

 これから行うのは交渉だ。

 交渉で大事なのは常に冷静になる事。

 相手は公安アンチの元ヒーロー。

 確実にこちらを煽ってくるだろうが、冷静に受け流してカウンターを決めるのがクールなやり方だ。

 改めて、心を落ち着けてから扉を開ける。

 中にはテーブルが一つ。

 そして向かい合うように席が2つ。

 扉から反対側の片方の席には手枷が嵌められた、一人の女性が座っていた。

 女性は俺は見るやいなや、侮蔑の表情でホークスとテレポンを見た。

 

「はっ、子供を使うなんて相変わらずのようだね。」

 

 俺の後ろに立つ二人を公安の人間だと思ったのだろう。

 早速、煽ってきたがここは冷静に一つ。

 

「ホークスはともかく彼女は俺個人の繋がりだ。

 次彼女を侮辱したら、ブチ殺すぞ糞アマ。」

 

 

 

 

 




言い訳をすると主人公にとってナガンは至極どうでも良い存在。
周りが良い人で身内を直接侮辱される機会が無かったしまだ高校生活の年齢。
なので身内への攻撃に対する沸点は馬鹿みたいに低い。
自身への侮辱は個性的にしゃーなしと割り切ってる模様。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ある模範囚との会話 3

おひさしぶりです。


「…ッ!?」

 

 あまりに強い殺意に思わず反応し、応戦しようと反射で立ち上がる身体をグッと堪える。

 冷や汗が頬を垂れる中、首元に赤い羽根が添えられている事に気付いたからだ。

 完全に立ち上がった場合、頭が転がっていた。

 子供が大人を従える構図に引っ掛かりを覚えつつも自分を使っていた時代と何も変わらずの無垢な人間を利用して使い捨てていると思っての挑発は少年の異常性を顕にした。

 レディナガンも表と裏の両方の修羅場を潜り抜けてきた猛者である。

 並大抵の殺意では動じない彼女ですら思わず身体が動いてしまう殺意を少年が放っている事に驚愕を隠せなかった。

 

(藪蛇どころじゃない…!

 間違いなく、この少年がこの場の支配者!

 公安に何があった…!?)

 

 異常な殺意を持つ少年に従う公安ヒーローという絵面はレディナガンを大きく混乱させた。

 一体、どのような経緯があれば目の前の怪物が生まれるのか、否、公安は少年が怪物になるまでに何をしていたのか。

 少年が怪物にならなくてはならない最悪が起こっていたのか。

 レディナガンの中で疑問が幾つも湧いて来る。

 表情こそ鉄仮面を装って隠しているが、頭の中では状況を整理出来ていない。

 

「…失礼した。

 貴女の過去を考えれば、仕方ない発言だったな。」

 

「…理解して貰って悪いけど、発言も意味も取り消すつもりはないよ。」

 

 突然、殺意が霧散したかと思えば少年が真摯に頭を下げる。

 急な態度の変わり様に一瞬言葉に詰まったが平静を装って突き放す。

 

(この場に、私という犯罪者の前に立たせた時点で公安と何も変わらない。)

 

 混乱の最中であっても目の前の少年が怪物である可能性があっても、未成年を公安が利用している事実はレディナガンを冷静にさせた。 

 

「始めましてレディナガン。

 俺は千手扉間、今回の面接官を務めさせてもらう。

 それと、俺が今回面接を行うのは合格の場合に俺の部下として貴女を使うからだ。

 二人は俺の護衛だから気にするな。」

 

「…公安は正気?」

 

 思わず問いを漏らしながら、レディナガンは一番立場がマトモな公安であろうホークスに目線を向けると目線を合わせずに涼しい顔で受け流した。

 徹底的に護衛に徹するつもりであり、その態度で少年が言っている事は事実であると認めていた。

 

(公安と言えど、ありえないだろ。

 …いや、特例を敷く程の『個性』を少年が持っているって訳か。)

 

 公安に取り込んだ上で立場を与える程の個性。

 となれば、マトモな個性ではないと察しがついた。

 

(ま、どうでもいいか。)

 

 そこまで考えて、扉間についての考察をレディナガンは放棄した。

 彼女は公安に協力したくないし、現在のヒーロー社会に対して疑問を抱くが故に正義を持っていない。

 少年が自分と似た立場にあることに多少後ろ髪を引かれる思いが無くはないが、それでも彼女は社会に戻るつもりはない。

 

「正直言うと、俺は貴女を部下にしたくない。

 だが貴女を助けてくれという声を聞いた。

 だから此処に居る。」

 

 扉間は急にやる気をなくしたレディナガンに対して呆れるように本音をぶち撒けた。

 個人的にレディナガンが嫌いになったのと、生きてるくせに死人の様な振る舞いをしているのが気に入らなかった。

 だからさっさと話を終わらせようと面接の意図を教えたのだ。

 

「…公安が今更、どういうつもり?」

 

 助ける。

 この言葉にヒーローとして活躍していた過去が一瞬頭を過る。

 誰かを助けた事はある、だがその言葉が自分に向けられた事は無かった。

 扉間の本音とは裏腹に予想以上にレディナガンは食い付いてきた。

 

「簡単な話だ。

 貴女を助けたい人間がいて、ウチは公安の事情に精通してるヒーローを求めている。

 それだけの話だ。」

 

「そんな言葉で私を信用させて今度は誰を殺させるつもりだ?」

 

 レディナガンにとっては当たり前の返しに対して、扉間は溜息を吐いた。

 

「駆け引きは面倒だ。

 貴女を助けてほしいと願ったのは現公安委員長だ。」

 

 扉間は纏っていた雰囲気を捨てて、公安委員長の写真をレディナガンへと滑らせた。

 

(あっ…。)

 

 彼女の写真が目に映った瞬間、レディナガンは思い出した。

 私を見るたびに、顔を顰めていた女だった。

 

「当時から貴女を利用している事に納得がいかず、何度も抗議していたらしい。」

 

 自分がヒーローを騙る殺人者だから軽蔑されていると思っていた。

 公安の癖に私を軽蔑するのかと、感情を刺激していた存在だったが真実は違った。

 今、振り返るとあれは堪えていたのだ。

 私の顔を見るたびに悔恨の念を表にださないように。

 

「抗議の結果は左遷され、当時の公安委員長が君に殺されて次の公安委員長に上手く取り入り彼女は現在の公安委員長さ。

 公安は人手が足らず、彼女は権力がある。

 合法的に貴女を助けられる最後のチャンスが今だ。」

 

「だから?

 彼女が権力を持ったからなに?

 公安に人手が足りないからなに?

 利用されて、その結果として公安委員長を殺した女が外に出て良いと思ってるの?」

 

 扉間は冷静に彼女の反論を切り捨てた。

 

「国に騙された哀れな女で居たいなら構わん。」

 

「あ?」

 

 哀れな女。

 この一言に今度はレディナガンがキレた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




着地点見つけてないんですよね。
とりあえずレディナガンと主人公の相性は最悪です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

とある模範囚との会話4

着地点どこ…?


 レディナガンは初めて、扉間の顔を見た。

 哀れな女という侮辱に対して、怒気を込めて睨みながら正面から彼の顔を見た時、怒りは霧散した。

 少年の目は真っ黒だ。

 公安の人間特有の感情に蓋をした冷徹な目だ。 

 

(なのに、その目は輝いている。)

 

 自分が無くしてしまった輝きを前に怒気が抜けていく。

 項垂れて、懺悔するように自然と本音が漏れていく。

 

「ああ、そうさ。

 疲れたんだよ私は。

 ヒーロー目指して頑張ってたのに、血まみれの自分に気付いちまった。

 正義の為だと納得させてヒーローの務めだと飲み込んでいたつもりだけど、一度立ち止まると駄目だった。」

 

 公安の考えが間違っているとは思わない。

 ヒーロー社会を維持するために、ヒーローの腐敗は公に出来ない。

 敵と繋がったヒーローの存在を認めてはいけない。

 何故ならヒーローとは信頼で成り立っているから。

 個性社会は表の人間が思っているよりも脆い。

 だからこそ、誰がが殺らなきゃいけない。

 レディナガンもそれが正義だと思いながら、実行してきた。

 けれども、子供と握手しようとした時に気づいてしまった。

 

『自分は本当にヒーローなのか?』

 

 血に汚れた己はヒーローと呼べるのか。

 信頼を保つために人を殺さなければならない社会は必要なのか。

 ヒーローも敵も何も変わらないのではないか。

 自分が守ってきたモノがハリボテに思えてしまった。

 レディナガンの本音はヒーロー社会の闇そのものであった。

 

「…。」

 

 彼女の本音を吐き出されてから暫く沈黙が訪れる。

 扉間は眉を顰めて、右手を顎に添えて或ることを考えていた。

 

(…コレが普通なのか?

 それとも彼女は馬鹿なのだろうか。)

 

 扉間はレディナガンの本音を聞いて、本気で彼女がバカであるか心配していた。

 扉間からすれば、彼女の疑問は当たり前のモノで少し考えれば誰でも気付く事だと思っていた。

 ヒーローというある種の特権階級により維持されている社会とは言い方を変えればヒーローに支配されている社会である。

 そもそも『個性』というものが存在する時点で『数の力』と『個の力』の差は少なく、平等を謳う現代社会が成立するためには数多くの歪みを抱えるのは目に見えている。

 

(故に、テロリストや思想犯が数多く存在し、それを処理できる機構がヒーローであり公安な訳だが。

 あー、どうしよう根本的に分かりあえる気がしない。)

 

 扉間もレディナガンの経歴は知っている。

 純粋にヒーローを目指して努力し、デビュー前から公安にスカウトされる狙撃能力を買われて公安ヒーローになったのが彼女だ。

 

(彼女のオリジンはオールマイトの様な表のキラキラしたヒーロー、心が折れるのは必然だっただろうに何をしてんだか。)

 

 もし、彼女が組織的な敵や汚職ヒーローの被害者であれば恐らく今も現役の公安ヒーローとして活動していたに違いない。

 あるいは、プロヒーローとして精神が成熟してからスカウトされれば話は違っただろう。

 どちらにせよ、死ぬか公安の二択によるスカウトを受けた扉間とは根本的に在り方が違う。

 

(公安ヒーローに成るには彼女は眩し過ぎる。

 …だが、ヒーローとしてなら活かせるか?)

 

 能力だけでスカウトした当時の公安に呆れつつも、扉間はレディナガンにヒーローとしての再起の可能性を感じていた。

 彼女の心が折れた理由は市民では無く大義を守らせた事であるのは明白であった。

 その一点を解決出来ればレディナガンが社会復帰出来ると判断したのだ。

 

 

 

 

 




ヒーロー社会ってどう考えても歪んでる様に思えちゃう


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。