【RTA】竜王攻略! 供御飯万智ルート (戦場加賀美)
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【RTA】竜王攻略! 供御飯万智ルート 01

ゲーム開始~


はーい、よーいスタート(棒読み)

 

今回走りますのは、『りゅうおうのおしごと! コレカラ2』になります。

 

タイトルにあります通り、供御飯万智で九頭竜八一を攻略します。

ニコ生RTAを検索したのですが、何故か先駆者兄貴がおりませんでしたのでレギュレーションは私が決めたいと思います。

 

まずエディットストーリーモードで供御飯万智を選択。

棋才を早熟、特性を勉強家にします。理由は後程説明します。

次に開始年齢を最年少の六歳に。若さは正義。九頭竜八一先生なら、全面的に同意してくださるでしょう。

ここでゲームスタートを選択した時点からタイマースタートとします。

 

供御飯万智ルートの場合、実家の京都のお屋敷からゲームが開始されます。

日常パートでは一週間のお稽古の予定を組んで、それによってステータスを上げていくことになります。午前と午後に区切って、一日に二コマ予定を入れることができます。

そして、ここが重要なのですが……

 

なんと、一週間に四コマを超えて将棋を入れてしまうと、

供御飯ちゃんは次の一週間、将棋を選ぶことができなくなってしまいます! ウッソダロオイ!

イベントが発生し、所詮お遊びに現を抜かすなとか言い出されます。

他のお稽古の場合一週間十四コマ全て同じものを選択しても何も言われないのに一体どういうことなの……?

ちなみに、一週間で十コマ以上将棋を選択すると特殊イベントが発生し、棋書だけでなく盤駒まで燃やされます。

悲しみに暮れる供御飯ちゃんですが、一か月後にはしれっと盤駒が用意されています。

将棋盤は足つきなんですが、供御飯家のお金の使い方は一体どうなってるんですかね……?

 

画面を倍速にしたところで、今後の指針を発表したいと思います。

前述の通り、少ないコマ数で棋力を向上させる必要があるのですが……。

最年少でスタートしたとしても、普通にプレイしていては最初のハードルである八歳のとあるイベントをクリアするだけのステータスに到達しません。

このイベントは最年少で開始する必要があることとも関係があります。

 

九頭竜八一を攻略するうえで最強の敵は、空銀子先生です。

九頭竜六歳、空四歳で師匠の家に内弟子入りするのですが……

この二人が出会った時点でフラグが発生し、今後どんなに頑張ったとしても九頭竜を攻略することができなくなります! 意外と早く堕ちたな……。

 

つまり、あと二年後の供御飯ちゃんが八歳の時点で空銀子イベントをクリアしなければ、竜王は空先生の手に落ちることになります。製作者は何を考えてこんなフラグを用意したんですかね……?

 

ともあれ、時間を最大限に用意したにもかかわらず、時間が足りないという問題に直面します。何か解決策はあるのでしょうか?

 

あ り ま し た。

 

画面の供御飯ちゃんは一週間すべてを古典に費やしています。この世界で彼女はまだ一度も将棋の駒すら触っていません。大丈夫なのでしょうか?

おや……? 等速に戻りましたね。これは……?

 

はい、イベント発生です。

熱心に源氏物語を読み込む供御飯ちゃんに、先生が何かを感じ取ったのでしょうか。

「好きなキャラクターは?」この選択肢がキーとなります。

間違っても女キャラクターを選んではいけません。『頭中将』一択です。

ちなみに、頭中将はとうのちゅうじょうと呼びます。世界のとうの。

この選択に先生はご満悦。供御飯ちゃんの両手を取り、研究会に誘ってくれます。

賢明なホモの諸兄ならもうお気づきでしょう。

古典の先生の名前は鈴木。農林高校で発酵食品を研究してそうな名前ですね。彼女は腐女子です。お前ホモだったのか。

鈴木先生と(鈴木大介先生とは別人。これだけは真実を伝えたかった)交友を結ぶことで、なんと古典の時間に将棋を勉強することができます。『古典(将棋)』の隠し選択肢が選べるようになるのです。やったぜ。

 

さて、再び倍速。

この間に今回選択した棋才と特性の説明をします。

早熟を選択した理由はただ一つ。序盤にステータスを伸ばす必要があったからです。バランスや晩成ではとてもではありませんが間に合いません。

勉強家を選択したのは、お稽古のステータスにも補正が入るからです。定期的に発生するお稽古の習得状況を確認するイベントをクリアしなければ、強制的にクリアできなかったお稽古が入ってしまいます。痛いですね、これは痛い。

そんなこんなで十倍速。一気に運命の二年後へ。

 

三年目開始時点での供御飯ちゃんのステータスと状況を説明しておきましょう。

芸事は見事に必要水準を満たしています。どこに出しても恥ずかしくない、立派な淑女であります。

はて、これは一体何でしょうか? スキル欄に『創作』とありますが……。

バイ……鈴木先生のもとで、彼女もまた、立派な後継者に育ちました。ホモが広がってないか?

日本の文芸美術では時折変態が現れますね。

日本最古のネカマブロガーの紀貫之然り。

海外に触手物を輸出した葛飾北斎然り。

供御飯ちゃんもまた、そんな先達の歴史を引き継いで、立派な文化を創造してゆくのでしょう。

 

三年目に入ってすぐ、芸事各種と将棋のパラメーターが一定以上あるとイベントが発生します。

「将棋が好きなようだし、先生に教えてもらってみるか?」

とても盤駒を燃やす暴挙に走る人間の言葉とは思えません。人間の鑑がこの野郎。

選べる先生は加悦奥大成、蔵王達雄、清滝鋼介の三人。加悦奥先生はリアル師匠ですが、今回は清滝鋼介を選択します。先生許して。

それではついに、彼女に挑むことにしましょう。

みなさまお待たせしました。ラスボス、空銀子との一局です。

 

清滝先生の家に着くと、まず先生と一局指すことになります。もちろん勝てませんが、ここで粘り強さを見せることで清滝先生の指導方針が変わってきます。

イベント対局なので、キャラクターの心の声が表示されるのでそれをご覧ください。

(綺麗なおべべのような将棋や)

定跡部分を正確に指してゆくと、このメッセージが現れます。

すると、

(ほな、ちょいと試させてもらうか)

このメッセージの次のモノローグが分岐となります。

(箱入り娘やったな……)終盤力が足りない、もしくは粘れないとこのメッセージが表示され、今後稽古をつけてもらったとしてもパラメーターの上昇だけとなってしまいます。

(箱入り娘かと思ったら、なかなかどうして……)終盤力が一定以上、かつ粘りを見せるとこのメッセージが発生します。すると、今後の稽古で清滝鋼鉄流の隠しパラメータが上昇し、受けに強い気風となります。

ところで、初対面の相手がノンケか否かを判別するための質問に、「攻めの反対はなにか?」という問いがあるそうです。

一般人は守り、と答えるそうです。ホモは受けと答えるそうです。はえー、すっごい賢い。

将棋を指す人も当然受けと答えます。ならば、棋士も女流棋士も全員ホモなのでは? 機会があれば山刀伐先生に聞いてみましょう。

 

対局後、感想戦を行う二人のもとに銀髪の少女がとことこと近寄ってきます。

「おまえ、誰だ」

まさしく将棋の妖精。非実在性ロリ。空銀子です。

「おお、そうや銀子。この子と指してみんか?」

「こいつと……? 師匠より強い?」

「……銀子よりも強いかもなぁ」

「やる」

清滝先生の見事な煽りで、殺意を露わにする空先生と対局することになります。

絶対に負けることはできません。(114敗)

 

勝ちました。今回の供御飯ちゃんはうまくやったようです。お前のことが好きだったんだよ!

ここから、少し倍速。ついに攻略対象である九頭竜八一と対面することになります。

おっと、等速になりましたね。

ここから九頭竜のモノローグが挟まります。コレカラはギャルゲーだった……?

他のルートでは、『プロ棋士の家には将棋の妖精がいた』となります。このメッセージが表示された瞬間、あの忌々しいフラグが立ちます。

さて、今回はどうなるでしょうか?

…………。

 

『プロ棋士の家には将棋の妖精と、お姫様がいた』

 

ついに、ついに第一関門突破です!

今までに散っていた幾人ものクイーン山城桜花もこれにはニッコリでしょう!

今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。



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【RTA】竜王攻略! 供御飯万智ルート 02

供御飯:八歳~


前回のあらずじ。

 

腐女子に弟子入り。

 

清滝先生に師事。

 

鉄壁のフラグ(第一弾)を破壊。

 

前回、供御飯ちゃん八歳までスキップしましたが、もちろん七歳時点で小学校になり日常ステップでの運用も変わっておりました。

しかし三年目のイベントを優先して皆様にお見せしたかったので倍速としました。

誠に申し訳ない。(メタルマン)

等速版をYouTubeにアップロードしておりますので、気になるホモの方はどうぞご覧ください。

 

はーい、よーいすたーと(棒読み)。

 

新たなホモの力で空先生を緊縛する第二章はーじまーるよー。

 

さて、無事二人の初対面フラグをへし折ったところからスタートです。

原作ではこの後、空先生と九頭竜先生で一局指し、竜王が調教され、夕食を取り、清滝桂香先生も含めた三人で入浴する展開となりますが、あくまで供御飯ちゃんは指導を受けるだけの立場なので夕食前にオサラバします。

 

入念な準備の末に最初の山場をクリアしたわけですが、気を抜いてはいけません。

なぜなら、空先生は供御飯ちゃんが清滝家を訪れるたびに勝負を仕掛けてくる復讐者と化すからです。

嵌め手から当時最新戦術、さらに番外戦術まで、可哀そうな九頭竜君を実験台にしてその効果のほどを検証してから供御飯ちゃんに繰り出してきます。

 

その対抗手段は一つしかありません。

 

愛です。

 

というわけで、さっそくイベントが入りました。

 

将棋(古典)じゃなかった……古典(将棋)をこの時点で一定コマ数以上とっていると、このタイミングで鈴木先生からある人を紹介されます。

薔薇園先生です。隠す気ねえな。

彼は供御飯ちゃんが同好の志(意味深)であること、将棋に力を入れていることを鈴木先生から聞き興味を持ったそうです。

なんでも薔薇園先生は昔奨励会に入っており、プロ一歩手前まで昇り詰めたとか。

しかしまだ退会年齢にはほど遠かったものの、勝負の世界に嫌気がさして退会し帰省。実家の芸家を継いでいるとのこと。

「一局、指しませんか?」

京都出身なのに標準語が偉くきれいなんですね、と供御飯ちゃんが尋ねると、薔薇園先生は好きだった人が東京の人でね、と答えます。東京……薔薇……なにか引っ掛かりますね?

ともあれ、イベント対局です。負けイベントなので三倍速。

 

「供御飯ちゃん、自分に才能があると思うかい?」

対局終了後、薔薇園先生に聞かれます。

「いいえ」が正解です。

するとその返答を聞いてにっこり笑うと、「どうしても勝ちたい相手はいるかい?」と再び問われます。答えはもちろん「はい」です。

「わかった」彼は言い、続けて、

「僕の友人であり、世界一尊敬する棋士の奥義を伝授するよ。君にはその才能がある」

そして、その奥義の名前を厳かに宣言します。

「その名も……『恋愛流』」

 

恋愛流の説明をします。

のほほんとした名前と裏腹に、強力なバフ効果を持つスキルです。

対象一人に対して徹底的な研究を行い、その相手に対してはほぼ負けないといっていいほど効果を発揮します。

今回の効果対象は、攻略対象である九頭竜八一、ではなく空銀子です。

これにより彼女の可愛がりと、やや先の話にはなりますが、絶対に彼女に勝たなければならない試合のために重宝します。

その代わり、それ以外の棋士には全く効果を発揮しないため、コロッと負けたりします。

 

薔薇園先生から恋愛流をもらってやることは、空先生への逆調教です。

弟弟子を犠牲にして得た戦法を意気揚々と引っ提げて調教してくる空先生を、コテンパンにします。

このころ、原作では空先生は竜王を調教することで崇拝の感情を抱かせることに成功しています。空>>八一の刷り込みが発生するわけですね。

そこで、空先生を供御飯ちゃんが調教することで、供御飯>空>>八一の図式が完成します。ちなみに小学生名人戦を待たずに、数か月後には八一>供御飯の力量差になっているのですが、姉弟子を恐れた竜王はまず供御飯に戦いを挑むことがありません。

空先生に崇拝の感情を抱かせた時点で試合終了なので、これは是が非でも阻止しなければなりません。

 

そんなこんなで、倍速していた画面が等速に戻りましたね。

九頭竜小学三年生、供御飯小学五年生。運命の小学生名人戦が始まります。

供御飯ちゃんのお相手は月夜見坂燎先生。はい、負けイベントです。

負けて項垂れている供御飯ちゃんに、九頭竜少年は気障なセリフを吐いてステージへと上がっていきます……堕ちたな。

原作通り九頭竜八一が優勝し、ついでに月夜見坂先生も堕ちます。こいついっつも堕としてんな。

 

この状況は決して楽観視できません。なぜなら……。

この瞬間、月夜見坂もライバルキャラとなるからです。……は?

 

彼女はオリジナル、エディットともにどちらのキャラストーリーをプレイヤーが選んだとしても竜王を攻略することができません。鉄壁の第一関門を突破することができないからです。京都出身の供御飯とは違い、月夜見坂は東京出身。そもそも、関西圏まで出向く理由が存在しないからです。「クズを攻略するから新幹線代くれよ」などとは口が裂けても言えないわけです。

しかし、今回の竜王攻略・供御飯万智ルートにおいては、第一関門を供御飯ちゃんが破壊しているために彼女にも攻略のスキが生まれるわけです。持つべきものは親友なんやなって(皮肉)。

 

また、供御飯ちゃんもここで運命の選択を迫られます。

京都のご実家に帰ると、玄関先にご両親が雁首揃えて待ち構えています。

……今後の進路の決定です。将棋を続けるのか、否か。続けるにしても、奨励会(プロ棋士)を目指すのか、研修会(女流棋士)を目指すのか。

もちろん……研修会です。

なぜなら、

奨励会ルートを選択した瞬間、エンディングに入るからです。バグではありません。

よって、研修会ルート一択となっております。

これについては視聴者兄貴たちも思うところはあると思いますが、仮に奨励会ルートで進めることができていたとしても難しい、というよりまずプロ棋士になることは無理だと思います。

九頭竜のストーリーモードなんかをやると分かりますが、奨励会ルートで対戦する相手は文字通りステータスが桁違いです。早熟+勉強家という組み合わせで、他にキャラ固有のスキルが貧弱な供御飯ちゃんでは粉々になることは想像に難くありません。

こんな魔境を潜り抜けた空先生は、やっぱ人外なんやなって。

 

そんな彼女のもとに、夏休みに入ると泥棒猫(月夜見坂先生)から連絡が入ります。

なんでも武者修行で関西に行きたいからどうにかしてくれとのこと。

友人の頼みは断れません。たっぷりと歓迎してあげましょう。

関西将棋連盟に二人でダラダラと侍っていると、ターゲットがやってきます。

即座に八一に絡みつく月夜見坂に、「燎くん、お久しぶり」などと何もわかっていない竜王。いきなりラブコメが……もう始まってる!(五年目)

さて、この展開ともなればホモの諸兄は今後の展開がもうお判りでしょう。

警察だ!(インパルス板倉)とばかりに空先生がやってきます。

そして、すぐさま月夜見坂悶絶ショーの開幕です。

たっぷり調教された彼女をしり目に、供御飯ちゃんは供御飯ちゃんで大事なことを九頭竜と空に告げなければなりません。

女流棋士を目指すことになること。奨励会ではなく研修会に進むこと。

この頃の空先生は奨励会(プロ)と研修会(女流)の区別がついていないのでどこかポカンとしています。彼女が史上初の女性プロ棋士を志すことになるのは、すぐ後に神鍋歩夢先生が師匠の釈迦堂里奈先生と共に清滝家に来訪した時ですので無理はありません。

一方、九頭竜少年は……呆然としています。

自分も含めた決勝トーナメントまで進んだ四人は当然奨励会に進むと疑ってはいなかったようです。まして、日常的に自分を調教し続けてきた姉弟子を常に完封してきた相手です。

 

普通の小学生が夏休みの宿題に漠然と頭を悩ませながらも遊びつくす毎日を送る中。

若き将棋少年少女たちの苦悩と友情の日々はどちらへと向かうのか。

季節は真夏。

さらに過熱した青春は、危険な領域へと突入する……!

 

ご視聴、ありがとうございました。



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【RTA】竜王攻略! 供御飯万智ルート 03

供御飯:十歳~
今回はホモ語録、ビーム兄貴的言い回しが控えめとなっております。


全く将棋をしない第三章、はーじまーるよー。

 

前回のあらすじ。

 

新たなホモ先生。

 

恋愛流。

 

小学生名人戦。

 

今回はしょっぱなから清滝家に釈迦堂里奈先生と神鍋歩夢先生が来訪します。原作では二人だけですが、供御飯ちゃんと月夜見坂も付いてきます。

しばし清滝鋼介と釈迦堂が話した後、九頭竜、空、神鍋、月夜見坂はさっそく将棋をするべく別の部屋へ。ここで空先生は初めて“将棋星人”という存在を知ります。

 

供御飯ちゃんはそちらには混ざらず、研修会入りの件について鋼介先生に報告することになります。

「……そうか」

どこか予想していたのでしょうか。奨励会に行かないことについては何も言いません。

二人の会話を釈迦堂先生も聞いています。

「女流も女流で容易くはないぞ? 華やかな世界を夢見ているのならやめておいたほうがよい」

文字通り血のにじんだ助言でありますが、供御飯ちゃんは決然として言い放ちます。

私には夢があること。

その為にはどんな苦労も恥辱も耐えられると。

「夢?」

「観戦記者どす」

その言葉に清滝先生は一度口を開きかけますが、彼女の心中を慮ったのでしょう。

「何やら、ちゃんとした考えと覚悟があるようやな」

「ふむ、なら我から言うことは何もあるまい」

二人が納得したところで、供御飯ちゃんはあるお願いをします。それは……

「師匠に別の人を指名したいやと?」

清滝先生からすれば青天の霹靂でしょう。

一方、釈迦堂先生はしばし瞑目し小考すると、ため息とともに苦笑を浮かべます。

「やさしい娘だ。さしずめ、奨励会に入る八一を慮ったのであろう?」

それを聞いた清滝はハッとし、申し訳なさそうに眉が歪みます。

「そういうことか……わしはホンマあほうやな」

小学生名人戦の上位四人の中で唯一奨励会に挑戦しなかった……いやできなかった存在がほとんど身内といっていい距離にいる。多感な小学生にとって、それは将棋に集中できなくなるには十分すぎる理由です。

「わかった。餞別に、わしのとっておきを見せたる」

そう言うと、清滝先生は将棋盤を自ら供御飯ちゃんの前に置くと、

「清滝鋼鉄流の真髄……伝授したる」

黙って盤を挟む二人は礼を交わし、それから奏でられる指し手の交差を、釈迦堂は眩しいものでも見るかのように目を細めて見守っています。

それから、指導は別室の子供たちが空腹を訴えて降りてくるまで続きました。

「わしは、万智ちゃんのことも家族と思っとる。いつだって来てくれてええ」

帰り際、清滝から受け取った言葉を、供御飯ちゃんはいつまでも胸にとどめておくのでした……

 

いやークソ長イベントでしたね。

ようやく要約(クソ上手ギャグ)してもこの長さ。

さて、これにて清滝先生からの指導から、加悦奥先生の門下へと移ることになります。

理由としては、まずは同門縛りです。

観戦記者としてならば問題がないのですが、約七年間は竜王も奨励会で揉まれる生活をすることになります。その間、記録係として同席できないというのは、かなりのディスアドバンテージとなるのです。

また、かなり先の話にはなるのですが、貞任綾乃ちゃんが妹弟子になる、というのも重要です。具体的に言えば詰将棋の悪魔(雛鶴あい)関連で大変お世話になります。

 

さてさて、イベントはガツガツ入ってきます。

お次は、アマ名人記念対局。

月光聖市対夜叉神天祐。記録係は九頭竜八一。

もうお判りですね? 夜叉神天衣先生のお父様の対局です。

供御飯ちゃんは観戦記者見習いとして同席しますが、本命はそちらではありません。

なんと、このゲームにおいては未来を変えることができるのです!

対局終了後、しきりに「九頭竜君はすごい」と連呼する夜叉神氏に対し、「交通事故にお気をつけなはれ」と一言助言します。これにより、夜叉神天衣先生のご両親の生存フラグが成立するのです。

 

あからさまに怪訝そうな表情を浮かべる彼に伏見稲荷的なうさん臭い笑顔を残してその場を去ると、夜叉神氏は通りかかった九頭竜少年に「彼女は何者か」と尋ねます。

「万智ちゃんはお姫様なんだ!」

「お姫様?」

「将棋もめちゃくちゃ強くて……でも“おうちの事情”で棋士にはなれなくて……」

「複雑なご家庭なんだね(僕も似たようなものか)……ちなみに苗字は?」

「くぐい!」

「くぐい、まち、か」

帰宅後、夜叉神氏は娘に土産話を持ち帰ります。

「九頭竜君はすごい! 天衣が大きくなったら彼の弟子にしてもらうんだ!」

「関西将棋連盟には妖怪が住んでいるぞ……“くぐい”という名前の狐の妖怪は、天衣もぱくっと一飲みにしちゃうぞ」

この頃はまだ、そこそこ純真な心が残っていた天衣は謎の妖怪“くぐい”に震え上がった。

 

翌年に入ると、空先生の小学生名人戦があります。

彼女にはぜひとも小学生名人になってもらう必要があります。

そこで、今年の小学生名人戦。

供御飯ちゃんは欠場します。

で、何をするのかといいますと……清滝桂香先生と研究会をします。

今年度、供御飯ちゃん十二歳、桂香先生十九歳。とんでもなくいい匂いがしそうな空間ですね。(ノンケ)

研究会をする理由はもちろんお判りですね?(ジョルノ)

桂香先生の信頼度をとにかく稼ぐためです。信頼度を稼いでどうするかって? とっとと女流棋士になってもらいます。

この後の空先生の原作の流れを大まかに説明しますと、

小学生名人獲得(小学二年生)→同年奨励会試験受験失敗→翌年奨励会試験合格→女王獲得(小学五年生)

だいたい、奨励会試験失敗あたりから桂香先生は自分の将棋そっちのけで空先生のフォローに回ることになります。

このフォロー役を仰せつかるために信頼度を上げておく必要があったのですね。

ある程度信頼度が上がると、空が病弱であることを打ち明けられます。

そして、かかりつけの医者として明石先生を紹介してもらえます。

小児科の先生です。そういえば竜王の将来の夢の一つが小児科の先生でしたね。

とはいえ、明石先生も元奨励会三段。いつか空先生が対局するかもしれない相手に、致命的ともいえる弱点を教えるというのは非常にためらわれます。明石先生は神的にいい人だから。

しかし先生の心配はフヨウラ!

なぜなら、空先生は供御飯ちゃん相手に調教失敗するたびに高熱を出して寝込んでいたのだ。そのたびに介抱したのもまた供御飯ちゃんです。

 

その話を桂香先生から聞いていた明石先生は……絶句した。

(空銀子、彼女の才能は本物だ。それを目の前の女の子が完膚なきまでに?)

試しに一局指した。終盤の粘りは大したものだが、鈍重。あっさり勝ててしまい、途端に供御飯という少女の言葉が信じられなくなる。

呆然と終局図と少女の顔とを見比べていると、目の前の少女はからかうような口調で、

「いややわあ、そんなに見んといて。それとも先生はそういったご趣味がおありで?」

思わず顔に血が上る。

からかうな、と叱るべきか。

ロリコンじゃない、と弁解すべきか。

小児科の医者がそれでは世も末だ、と肩をすくめるべきか。

――おそらくどれも正着ではないな。

長年生きるか死ぬかの勝負の世界に身を置いていた直感から不用意な発言を避けた。直感が、目の前の自分の半分にも満たない年齢の少女に口で勝負できるようには思えなかった。

「ここで二人で問答してもしょうがなさそうだね。ちょっと席を外すよ」

明石先生は桂香先生に連絡を取ります。供御飯という少女が言っていることが本当のことなのか、彼女に再び確かめる必要があったのです。

先ほどの将棋の内容も含めて伝えると、答えは、是。

曰く、空銀子はタダノ一度も彼女に勝ったことがないとの事でした。

それを聞いて明石先生は腹を括ります。

(何故彼女が銀子ちゃんに勝ち続けられるのかは非常に不思議だが……このままでは桂香ちゃんに負担がかかりすぎているのも事実。一人が二人になるというのも心強いか)

 

小学生名人戦の方に供御飯ちゃんが付き添うことはありませんが、続く第一回目の奨励会試験ではガッツリ部屋の中に待機することができます。

そして――悲劇はやってきます。

奨励会員特有のクソ粘りに脳みそがフットーした空先生は対局中にぶっ倒れってしまいます。

混乱する周囲に対して、供御飯ちゃんは至って冷静に対応をしていきます。対戦相手だった男子にもフォローを欠かさない聖人君子ぶり。

病院に空先生を搬入し、ベッドに寝かせて経過を見る段階になって、師匠の鋼介先生は深くため息を吐き出すと、ガバッと頭を深く供御飯ちゃんに下げます。

「万智ちゃん、ほんまにありがとう。なんでも言ってくれや」

「なら、八一くんをもらいましょか」

供御飯ちゃんが悪戯っぽくウィンクすると、冗談と思った鋼介先生はどこか心が解きほぐされた表情で胸を叩きます。緊張が続いていたので無理はありません。

「おう、八一の一人や二人くらい好きなだけもってき。ただ、銀子と要相談やな」

ニカっと笑ってそう言う鋼介。

銀子と要相談。殴り合い宇宙(将棋)しか見えないのですがそれは。

それから一年間、供御飯ちゃんは本当の清滝一門かのように献身的に空先生のケアに協力します。銀子ちゃんもその姿に少しずつ心を開いてゆくことになります。

翌年夏、無事に空先生は奨励会に入会します。

供御飯十三歳、清滝桂香二十歳。約一年間続いた研究会もこの時点をもって終了です。

「ありがとう、万智ちゃん。いえ、供御飯先生。何かお礼ができればよいのですが」

先にサクッと女流棋士になった供御飯ちゃんに、桂香先生は他人行儀にそう言います。もちろん本心ではなく、どこかお道化た雰囲気です。

「お礼は盤上でいただきます」

ほな、さっさと女流棋士になってくれや。そんなことは直接的には言いません。

「ええ、もちろん」

ケツイを秘めた表情で、供御飯ちゃんと握手を交わした桂香先生。彼女の今後の括約に期待しましょう。

 

さて、次の目標となる対局を視聴者兄貴たちにお知らせしておきましょう。

二年後の女王戦本戦準決勝。

小学五年生になった空先生に勝たなければなりません。

原作では供御飯先生、ここで大落手を二連続で放ってしまいます。

女王になった空先生に『浪速の白雪姫』の称号を与え。

竜王に『姉弟子』呼びを授けてしまいます。

その結果、二人の将棋へのモチベーションの本質を、互いに追いつきたい、近づきたいという物へと変化させてしまうのです。これでは他人の付け入るスキがありませんね。

仮に女王を空先生とってしまうと、ゲームなのにこの落手二連発を供御飯ちゃんは放ってしまいます。プレイヤーに選択権はありません。問答無用で今までの苦労が水の泡になってしまいます。

では、どうすればよいのでしょうか。

答えは簡単です。

将棋が強くなれば良いのです。当たり前だよなぁ?

今回はまったく将棋をしてませんね。

しかし次回はガッツリと将棋を指すことになります!

 

ご視聴、ありがとうございました。



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