黒き神(女体化?)と転生サイヤ人の奮闘記 (菅野アスカ)
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原作開始前 黒き神の第7宇宙旅行記
第1話 アルジュナ・オルタと第7宇宙


皆さんは、神たるアルジュナ…アルジュナ・オルタをご存じだろうか。

Fate/Grand Orderに登場するバーサーカーのサーヴァントであり、2部4章の異聞帯の王にして、あらゆるインドの神性を統合し、絶対神となったアルジュナ。善神も悪神も統合して、機械的に邪悪を判断し、創世と破壊を繰り返す存在。最後には、辛うじて残った人間性…誰かに勝ちたい、優れた者でありたい、何かを憎み、怒りたいという欲求、すなわちエゴイズムをカルナに呼び起され、敗北する。

そんな彼が、今の私だった。

 

私の名はアルジュニー。芯人、という種族だ。

生まれながらにどこか別の場所で生きていた記憶を所持していた私だが、地球人でいうところの5歳くらいに相当する歳の時、ある方に出会ってその記憶の詳細をある程度思い出した。

 

それは、私の前世の記憶。ただの地球人だった私が、生まれて死ぬまでの記憶だったのだ。

そしてその記憶に、今現在の私とほぼ同じ外見の存在がいた。それがアルジュナ・オルタである(芯人としては異常な見た目だが、そこは私に少々特殊な事情があるためだろう。その事情についてはおいおい説明する)。…名前が違うし、外見も少々女っぽくなってしまっているが、この辺りは中身が私だからだろうか。朧気だが、前の私は女だった気がする。

それだけでも十分混乱するというのに、克明になった記憶は、私にさらなる追い打ちをかけた。

 

前述したとおり、私の種族は芯人。前の記憶の中の、わずかに残されていた情報に、その種族名はあった。

漫画、ドラゴンボールの設定。界芯星という星で界樹の実として生れ落ち、界王神や界王となる種族、それこそが芯人であった。

 

この事実に気づいてしまった瞬間、めまいと頭痛を起こして倒れ、とてつもなく心配された。元々特殊な芯人ということで腫れ物に触るような扱いだったが、それ以降、以前にも増して注意深く接されるようになった。…いや、それはいい。よくないが、今はいい。

問題は、芯人が「界王神や界王となる種族」ということ。

間違いなく、何かしらの形で、原作にかかわることになる。そう直感した。

 

そうでなくとも、後々界王神となる身(先ほども言ったがやや特殊であるため、ちゃんとなれるかどうかは謎なところだが)。ビルス様のような怠惰な破壊神(大変申し訳なく存じますビルス様)のところへ行くことになったとしてもきちんとやっていけるよう、精進しなくては。この外見の本来の持ち主、アルジュナ・オルタのように、宇宙を消滅させるほどとまでは行かずとも、せめてフリーザの対処ができる程度にはなっておかないと。

その一心で鍛錬を続けてきた私だが…この度、上からある通達が来た。

要約すると、こんな内容だ。

 

「広い世界を知るために第7宇宙行ってこい。あんまりやらかしすぎないように」

 

上層部が私を持て余しすぎて人柄(神柄?)のいいシン様に丸投げしたんじゃなかろうかと邪推した。いえ、確かに第7宇宙の界王神候補の予定でした(そして現在は未定)が…ちょっとこれはないんじゃないでしょうか…

 

まあ、命じられてしまったものは仕方ない。というわけで、期間も長い(50年ほど。さすが神、スケールが大きい)ことだし、ちょっとした旅行気分で第7宇宙へ赴いた。

しかし。ここで誤算が発生した。

 

まず大前提として、私には原作知識がなきに等しい。一応漫画を全巻読みはしたが、それだけ。あとはネットで調べた知識がほとんどだ。その記憶も、長い芯人生活で薄れてしまって、ほとんど思い出せない。

とりあえず主要な登場人物とある程度の用語と大筋だけは覚えていたから、そのわずかな記憶を頼りに自分がどれくらいの生まれなのかを探っていた。

 

老界王神様が封印済みであり、第7宇宙の界王神がシン様しかいない。ビルス様が起きている。極めつけに、ザマス様が自分より年上で(ゴワス様がザマス様をスカウトしたというのがうわさになっていた)、存命。

以上から、おそらく原作開始前であろうと推測した。確かに、それは当たっていた。…いたのだが。

 

最初にたどり着いた惑星ズンの料理屋にて、あるうわさを聞いた。…()()()()、ツフル人がサイヤ人に絶滅させられ、惑星プラントが惑星ベジータと名を変えたという話である。

私が生まれたのは、原作開始のずっと前だったのだ。




アルジュニー
ブウが封印された直後くらいに生まれた界王神候補…なのだが、やや特殊。基本誰にでも敬語だが、これは自分自身を未熟者で半端者だと認識しているため。
外見的には、顔立ち体つきが中性的になったアルジュナ・オルタ第三再臨。CV悠木碧。長いこと芯人やってるから性自認はかなりあやふや。


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第2話 アルジュナ・オルタと地球

side/アルジュニー

 

第7宇宙にやってきたはいいが、どこへ行こうかと考えあぐねていた私は、Aの惑星からBの惑星へ、というように、あちこちの惑星を転々と…と言うか放浪していた。

幸い、どこかの惑星の神でもない限りは私の正体に気づくことはなく、割と気ままにやってはいた…が、どうにも時間を持て余していた。

要するに、暇。

 

「…そうだ、地球行こう」

 

そんな旅行のCMみたいなノリで、地球行きを決行したのであった。

 

 

 

××××

 

 

 

「ここは、あまり変わらないな」

 

まあ、原作開始まで20年くらいしかないのだから、そこまで大幅に違うことはないだろう。というか、ここがそんなにホイホイ変わっていたらおかしい。

現在地は、ユンザビット高地である。

 

「あ、宇宙船」

 

特に何も考えずにふらふらと歩いていたら、神様が乗ってきた宇宙船を見つけた。地球に飽きたら、ナメック星に行ってみるのもいいかもしれないな。

 

それにしても、この場所は本当にこれ以外何も無いな。食べられそうな草木どころか、水もろくにない。こんな環境で生きるのは、苦しかっただろうに。

 

「…ん」

 

妙な違和感。はて、何だろう。

…ああ、そうか。()()()()()()んだ。時々どなたかが、界芯星の様子を千里眼(で、いいのだろうか)で視察しておられるときの、あの感覚と同じ。

いったいどなただろう。私を見ていると考えるならば、大神官様か、シン様か、あるいは…

 

「地球の神…」

 

ほぼ無意識につぶやくと、一瞬、見られている感覚が揺らいだ。驚かせてしまっただろうか。

 

「急にお邪魔して、申し訳のうございます。あまり問題を起こす気はございませんので、どうか無礼をお許しください。少ししたら出て行きます」

 

この声、ちゃんと届いているといいのだが。

 

 

 

××××

 

 

side/地球の神

 

「か、神様…今の」

「あ…ああ、心配ない」

 

下界にいきなり強い力を感じ、何事かと焦って下界を見下ろした私の目に飛び込んできたのは、灰色の胴着を着た、黒い髪と褐色の肌の青年。頭上の2本の角と、爬虫類のような長い尾、とがった耳は、地球上のどの種族とも似ていない。強烈な力は、間違いなくその青年から発せられていた。

いったい何者なのか、見極めようとした瞬間、青年の口から「地球の神…」とこぼれ落ちた。…見ていることに気づかれたのは、初めてのことだった。

青年は、いきなりやって来たことへの謝罪や、少ししたら出て行くことなどを丁寧な口調で述べ、次の瞬間には別の場所へと移動していた。

 

あれは明らかに、神の気。それも、あれほどの力の持ち主となれば…

 

「大界王様…いや、もしや…」

 

それよりも、上。

 

「何故、そのようなお方がここに…」



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