平和国家召喚 (アンモナイト)
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平和国家?召喚

ノリと勢い


中央暦1639年の1月末、クワ・トイネ公国は、異世界からやってきたと主張する緑茶国の()()()と接触した。

 

何でも緑茶国は島国で、約70年前にコーラ合衆国をはじめとした連合国との大きな戦争で敗北し、一切の軍備を解体されたらしい。

 

その戦争で、第三のビール帝国やカプチーノ王国といった同盟国が敗れても、緑茶国は抵抗をやめないで、ヴォトカ社会主義共和国連邦(以下ヴォトカ連邦)とコーラ合衆国や大紅茶帝国を主とした連合国を相手に熾烈な本土決戦を行って敗北し、

北部のカニカマ地方と呼ばれる島がヴォトカ連邦に、それ以南がコーラ合衆国などに占領された。

 

 

戦後は、ヴォトカ連邦とコーラ合衆国の二つの超大国も結構な被害を被ったので、しばらくは代理戦争も起きず、世界には短い平和が訪れたが、長く続くこともなく、2つの超大国は世界を舞台とした陣取りゲームを始めた。

 

 

その中で、緑茶国はちゃっかり復興しており、一時は世界第二位の経済大国になった。

ヴォトカ連邦が崩壊した際に、カニカマ地方を取り戻して再統一もした。

ただ、その国には軍事組織がなかった。詳しいことは聞くな!

 

その後、異世界に召喚された緑茶国は、その食料自給率が低い非資源国だったが、その両方に満ちたクワ・トイネ公国とクイラ王国と国交を締結することで、最悪の状態は脱した。

 

だが、その後ロウリア王国が二カ国に宣戦を布告して、戦争が始まった。

ロウリア王国は、人族至上主義の国家で、亜人の滅亡を夢見て、亜人の多いクワ・トイネ公国とクイラ王国に攻め入ったのだ。

 

この世界の5大列強のうち一つであるパ皇から支援を受けたロウリア王国は、圧倒的な力で、クワ・トイネ公国とクイラ王国を蹂躙し、ロデニウス大陸から亜人を駆逐した。

 

クワ・トイネ公国とクイラ王国は、緑茶国に援軍を要請したが、緑茶国は軍を持たない。よって派遣できる戦力も無いので、二つの国が消滅して、地図がきれいになった。

 

緑茶国は食料や資源の輸入先がなくなって困っていたが、すぐにロウリア王国からそれらの輸入を始めた。

緑茶国は、異世界の国で亜人がそもそもいなかったので、人族至上主義のロウリア王国は、緑茶国の技術を知ったこともあって友好関係を築いた。

ロウリア王国と国交が結ばれるまでの間、緑茶国の国内では、食料輸入が絶えたことで数百万程の餓死者が発生しており、この国交締結は国民に歓迎の声で受け止められた。

 

 

 

 

中央暦1639年1月下旬

 

「我々に隷属せよ!!!」

 

フェン王国に侵攻したパーパルディア皇国軍に緑茶国人観光客が見せしめに殺害されたが、緑茶国は抗議しただけで、特に何もしなかったしできなかった。

 

その後、パーパルディア皇国は、ロウリア王国で活動する商人の情報から、緑茶国は高い技術力を持っていると判断、それを手に入れるために侵略を決定する。

 

バルス司令官に率いられた、パーパルディア皇国海軍の総数900隻にもなる竜母や戦列艦が一路東へ進む。

 

緑茶国の領海に入ってから、緑茶国海上保安省の()()()との交戦になった。

緑茶国は、一切の軍備を持たないため、緑茶国は海賊に悩まされたので、沿岸警備隊相当の組織の海上保安省の巡視艦は、速射砲や個艦防空ミサイルなどで武装、軍艦にこそ及ばないものの、重装備を持っていた。

 

だが、まさか攻めてくるとも思っていなかったのか、巡視艦の配置転換も完了していなかったので、絶対数が足りず、パーパルディア皇国軍の一部に上陸を許してしまった。

 

だが上陸したパーパルディア皇国軍は、湯豆府警に応援に駆けつけた鮒寿司県警の機甲隊に所属する74式特車や装甲戦闘車などとの交戦で全滅してしまった。

竜騎士団は、携SAMで頑張って落とした。

 

緑茶国内では、パーパルディア皇国軍を銃刀法違反、爆発物の不法保持、殺人未遂とかの容疑で、緊急避難で制圧することができるのだ!!

 

その後、パーパルディア皇国海軍は、海上保安省の巡視艦に全滅させられた。

 

ここに来て、緑茶国政府幹部は流石ににまずいと思ったのか、国内にいる緑茶国の召喚に巻き込まれた可哀想なコーラ合衆国第17艦隊を、どうにか説得して、パーパルディア皇国を制圧するようお願いした。

 

食料を含めた一切の補給を絶つ可能性すら示唆した交渉に、コーラ合衆国在緑茶国司令部は屈して、第17艦隊が出撃、緑茶国内のコーラ軍基地からは戦闘機や戦闘爆撃機が次々と離陸した。

主力艦隊を失ったパーパルディア皇国に、その進軍を防ぐ力もなく、皇都エストシラントを火の海にされ、パラディス城は倒壊し、皇帝ルディアスや観光客殺害の首謀者レミールも巻き込まれて圧死した。

その後暫定政府代表カイオスは、エストシラント沖に停泊した原子力空母フライド・ポテトの甲板上で、降伏文書に調印した。

 

 

 

 

中央暦1642年4月22日、この日先進11ヵ国会議が開催された。

 

「我々に隷属せよ!!!」

 

そこで、グラ・バルカス帝国の外交官シエリアが突如として全世界への宣戦布告をして、参加各国の艦隊にグラ・バルカス帝国の戦艦グレードアトラスターや機動部隊が襲いかかった。

 

グラ・バルカス帝国は第二次大戦程度の技術力を有しており、神聖ミリシアル帝国が何とか対抗できるだけで、他の国はまるで相手にならなかった。

 

唯一の例外は、緑茶国の巡視艦であり、迫り来るアンタレス艦戦、リゲル艦攻、シリウス艦爆を次々と撃ち落とした。

だが、大和型戦艦に似た戦艦グレードアトラスターに、対艦能力がほぼオミットされて速射砲や個艦防空ミサイル程度の武装しか持たない巡視艦が対抗できるわけもなく、46センチ砲弾を食らって爆沈した。

 

その後、第二文明圏に進入したグラ・バルカス帝国を倒すべく、神聖ミリシアル帝国が音頭をとって、つくった世界連合艦隊がグラ・バルカス帝国を前に危うく全滅しかけて、パル・キマイラ1隻引き換えでどうにか助かったり、ムー国の都市、オタハイトやマイカルが空襲やら艦砲射撃を受けたりした。

 

緑茶国は戦力を派遣しなかったので、直接の被害は受けなかったが、ムー国の都市が攻撃されたことや、ムー国に向かっていた貨物船がグラ・バルカス帝国の潜水艦に撃沈されたりして、消費が鈍り大きな経済的打撃を受ける。

 

それからしばらくして、グラ・バルカス帝国がムーを難なく征服すると、本格的に危機感を覚えた神聖ミリシアル帝国は、国内に残存する古の魔法帝国の残した超兵器、空中戦艦パル・キマイラの残り4隻を全力投入して、戦線を第二文明圏内に押しとどめることに成功する。

 

 

 

 

その混乱の中、古の魔法帝国の子孫が建国した国家、アニュンリール皇国は、国内の魔石不足を補うべく第三文明圏へと侵攻した。

 

第1世代ジェット戦闘機程の性能のアニュンリール皇国製天の浮舟が空を支配し、パル・キマイラが都市を焼き、海ではアダマン級魔導戦艦の霊式40.6センチ魔導砲が唸る。

 

アニュンリール皇国は、アルタラス王国等の魔石に富んだ地帯を征服した。

ようやくアニュンリール皇国の正体を把握した神聖ミリシアル帝国は、パル・キマイラの爆撃や占領地域の維持で同じく疲弊しつつあったグラ・バルカス帝国と第二文明の占領を認めて講話した。

 

 

以後、各国のにらみ合い状態が続き、アニュンリール皇国の強さを認識したグラ・バルカス帝国が神聖ミリシアル帝国と同盟を組むなどの些細なことはあったものの、特に何も起こらなかった。

 

変わったことと言えば、緑茶国では、在緑茶国コーラ軍がクーデターを行って、緑茶国総督としてハン・バーガー氏が就任し、再軍備、軍拡を推し進めたことぐらいだ。

 

 

 

 

 

中央暦1650年6月

 

「我々に隷属せよ!!!」

 

この時、異世界中が恐れる国家、ラヴァーナル帝国、またの名を古の魔法帝国が復活した。

ラヴァーナル帝国はまず手始めとばかりに、光翼人の仲間を自称する不届き者、アニュンリール皇国にその刃を向けた。

 

海上要塞パルカオンや対空魔船からうちだされる誘導魔光弾でアニュンリール皇国空・海軍は全滅し、皇都マギカレギア等の都市にはコア魔法が撃ち込まれて、皇帝ザラトストラは死んだ。

 

 

これに世界各国は今一度団結し、グラ・バルカス帝国も加えた新・世界連合軍が結成されるが、1970年代の先進国レベルの技術力を持つラヴァーナル帝国の敵ではなかった。

 

これを討つべく、緑茶国総督兼コーラ合衆国異世界軍総司令官ハン・バーガーは、異世界に存在するコーラ合衆国軍と緑茶国軍の全戦力を差し向ける。

敵は質はともかく、量がやばかった。

ラヴァーナル帝国海軍は、10隻の航空魔導母艦、海上要塞パルカオン5隻(航空ミサイル戦艦)とそれを守る対空魔船、4隻のオリハルコン級魔導戦艦、そしてコア魔力式潜水艦100隻(魔法版原子力潜水艦)など、15個空母打撃群、4個水上戦闘群を持つ合計で約600隻にもなる大戦力であった。

 

ハン・バーガー氏とて、何も考えていなかったわけではない。

接収した緑茶国の宇宙開発組織に命じて、何故か緑茶国が保有していた固体燃料ロケットを元にICBM、ゼータロケットを開発し、核兵器の大量生産を行っており、さながら冷戦期にタイムスリップしたかのようであった。

 

 

神聖ミリシアル帝国を制圧すべく航行していたラヴァーナル帝国第1~第4艦隊に凶刃が向かう。

まずはコーラ合衆国海軍と緑茶国海軍の潜水艦がサブロック2潜水艦発射核ミサイルを放ち、その爆発で混乱に陥った魔帝艦隊に、ハープーンが殺到した後、核爆発で魔導電式変換波動反射探知レーダー等の雷魔法系設備が使えなくなった魔帝艦隊に、フォールアウトの影響を一切知らされていなかった新・世界連合軍が再度襲来した。

魔力レーダーは健在だったため、魔力生物のワイバーンや、高い魔力反応を出す天の浮舟等は甚大な被害を被ったが、魔力反応に乏しいグラ・バルカス帝国機は大きな戦果を上げた。

 

 

ほぼ同時に、ラヴァーナル帝国本国と、その防衛に残っていた魔帝艦隊へと向かって、無数のゼータ多弾頭ICBMその進路を向ける。

 

あまりの核ミサイルの数に、科学者が戦争後の環境について危惧したが、そんなことは関係ない。

今まで得た情報から、ラヴァーナル帝国には話が通じない。その証拠に問答無用でアニュンリール皇国を滅ぼした。

在緑茶国コーラ軍は、ロデニウス事変、対パーパルディア戦争、新世界大戦で、この世界への不信感にとらわれており、もはや誰も求めることはできない。

 

ゼータ多弾頭ICBMは、ラヴァーナル帝国の軍事基地らしき場所は勿論、都市という都市すべてに向かって飛翔し威力を解放、光翼人約4億が1日にして蒸発した。

 

数時間後、ラヴァーナル帝国の自動報復システムが作動、運良く生き残っていた地下ミサイルサイロから、全世界を照準としたコア魔法搭載の魔法版ICBMが放たれるが、魔法版ICBMは単弾頭型で、しかも数が少なかったので、()()()()()()()()()()()()()()は、全て迎撃ミサイルに撃ち落とされた。

 

 

 

 

かくして、ラヴァーナル帝国は滅亡した。

 

大量に使われた核ミサイルの影響で大気中に大量の微粒子が浮遊することになり、地上に届く太陽光が弱くって、世界中の穀物生産に悪影響が発生し、全世界規模の食糧危機が起こったが、それでも食料の過剰生産が可能なロウリア王国を事実上の属国とする緑茶国とハン・バーガー総督には関係のない話であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




平和な世界。


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赤色リメイク
ロデニウス事変①


リメイクで、微妙に仕様変更があります。


ここは、我々がいるのとは異なった世界のある惑星。

そこには、緑茶国と呼ばれる島国がある。

 

その国は、約70年前に大戦争で、第三のビール帝国やカプチーノ王国と同盟したが、ヴォトカ社会主義共和国連邦(以下、ヴォトカ連邦)とコーラ合衆国や大紅茶帝国などの連合国を前に、同盟二国は緑茶国に先んじて降伏、残った緑茶国は連合国を相手取り熾烈を極めた本土決戦を行った。

 

勿論、圧倒的な戦力を持つ連合国に勝てるわけもなく、連合国はジェット戦闘機や化学兵器に飽き足らず反応兵器まで投入し、緑茶国の国土は徹底的に破壊され、敗北した。

 

 

 

戦後、ヴォトカ連邦とコーラ合衆国の二つの超大国はかなり緑茶国の抵抗が激しく、結構な被害を被ったので、しばらくは代理戦争も起きず世界には短い平和が訪れたが、長く続くこともなく、2つの超大国は世界を舞台とした陣取りゲームを始めた。

 

 

その結果、ヴォトカ連邦に占領されたジンギスカン地方は、清酒人民共和国(通称、北緑茶国)として、コーラ合衆国や大紅茶帝国などに占領された南部は緑茶国(南緑茶国とも)として独立することになる。

 

2つの超大国のボードゲームが行われている間、二大国の代理戦争が行われている間の特需や、発展めざましい途上国への工業製品輸出で、南北緑茶国はちゃっかりと復興していた。

 

 

 

そんな冷戦は、ワイン暦1991年のヴォトカ連邦崩壊で終結し、清酒人民共和国は緑茶国と統一され、ジンギスカン道となった。

 

しかし、緑茶国はかつての地獄のような本土決戦がトラウマになっていて、軍への不信感が強く、軍事組織の復活を決して認めなかった。

なので緑茶国は1兆圓を超える金額でコーラ軍に国防を代行してもらっている。

 

 

 

 

そんな緑茶国は突如として異世界に召喚された。

 

 

 

 

 

 

そして緑茶国は当然のように大混乱に陥った。

緑茶国は資源に乏しいだけでなく、食糧自給率も低い。

食料は切り詰めればどうにかならないこともないが、資源についてはどうにもならない。

国周辺の状況を調べたいが、緑茶国に軍隊は無い。

かといって本国と連絡が取れないコーラ軍に頼むこともできない。

 

仕方なく緑茶国政府は、ジンギスカン道警に協力を仰いだ。

ジンギスカン道警は、旧人民共和国軍から受け継いだ兵器を多数保有、運用していた。

ジンギスカン地方は緑茶国の特別行政区であり、緑茶国政府と仲が余りよくないため頼りたくはなかったが、他に頼れる相手もいなかった。

 

 

 

 

 

 

数日後、クワ・トイネ公国に一匹の鉄竜が、爆音を伴って飛来した。

クワ・トイネ公国は、保有するワイバーン(最高速度時速235km)で迎撃を試みるが、まるで相手にならなかった。

それもそのはず、この鉄竜の正体はジンギスカン道警の水上保安隊に所属するTu-142MG対潜哨戒機である。

これは二重反転プロペラをターボプロップエンジンで回していて、最高速度時速925kmというプロペラ機としては破格の速度を持つ。

ワイバーンでは、どうやっても追いつけない。

 

 

その後クワ・トイネ公国に緑茶国海上保安省の巡視艦が訪れ、領空侵犯を謝罪した後両国は国交を締結、その後緑茶国は、クワ・トイネ公国を介してクイラ王国とも国交を締結した。

 

クワ・トイネ公国は1億越えの人口を持つ緑茶国の食糧需要を余裕でまかなえる馬鹿げた量の食糧生産能力を持ち、クイラ王国はこの世界では不毛の地扱いだったが、その全土に石油などの地下資源が大量に埋蔵されていた。

 

穀物/石油メジャーに喧嘩を売っているような二国のおかげで緑茶国は最悪の状態は脱した。

 

 

かに見えた。

 

 




・ジンギスカン地方(ジンギスカン道)

緑茶国北部に位置する緑茶国で2番目に大きな島。

かつてヴォトカ社会主義共和国連邦に占領された後独立、清酒人民共和国(通称は北緑茶国)を名乗っていた。
ヴォトカ連邦が崩壊した際に緑茶国に編入されたが、現在でもほぼ自治州のような立場にある。
本国(南緑茶国)とは未だに仲が悪い。
主要産業は、農業、水産業、そして軍事産業。
一度は赤い国家になったこの地方が、皮肉にも旧緑茶国の伝統を一番引き継いでいる。



・ジンギスカン道警
清酒人民共和国軍を経由して大戦前の旧軍からいろんなものを受け継いでいるため気性が荒い。
旧南緑茶国の警察以上に物騒なものをいっぱい持っているが、あくまで警察を名乗る。
緑茶国でほぼ唯一の固定翼機を有する実力組織の予備航空隊を傘下に持つ。
南の連中とは違う。

・Tu-142MG対潜哨戒機
GはGreen teaのG
Tu-142の架空発展型。


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ロデニウス事変②

基本コメディーをやってるつもりですが、今回は胸糞展開があるので注意してください。


中央暦1639年4月の中頃、ロデニウス大陸にあるもう一つの国家、ロウリア王国がクワ・トイネ公国とクイラ王国に宣戦布告、当日のうちにクワ・トイネ公国との国境付近にある町、ギムが奪われた。

ロウリア王国は、人族至上主義の国家で、ロデニウス大陸から亜人の放逐すべく、亜人の多いクワ・トイネ公国とクイラ王国に攻め入ったのだ。

 

要塞エジェイは何とか持ちこたえていたが、圧倒的な物量を持つ敵を前に陥落は時間の問題だった。

 

どうやら、ロウリア王国には第三文明圏の列強パーパルディア皇国軍から支援を受けているらしく、その軍事力は圧倒的だった。

ここでクワ・トイネ公国は、自国だけではどうにもならないと考えて、緑茶国に援軍を要請したが、緑茶国は軍を持たない。よって送れる援軍などない。

無い袖は振れないのだ。

 

しばらくしてエジェイが陥落すると、ロウリア王国軍は破竹の勢いで進撃し、クワ・トイネ公国が亡国となりかけている時に、その隣国、クイラ王国ではある決断が下されつつあった。

 

それは国内にいるドワーフや獣人の国民、クワ・トイネ公国から逃れてきたエルフ難民を船に乗せて他国へと亡命させようというものだった。

クイラ王国は緑茶国より食糧自給率低く、ロウリア王国がクワ・トイネ公国を攻略すれば、干上がるしかない貧国であった。

 

クワ・トイネ公国艦隊がロデニウス沖海戦で撃破され、マイハークが落とされたことにより、食糧危機が発生しており、ロウリア王国に征服されるのは時間の問題だ。

そして、そうなれば自国内の亜人たちは容赦なく虐殺され、滅ぼされるだろう。

 

 

緑茶国と国交を結んでからも、食糧自給率が低いことに変わりはなかったが、自国内に存在する地下資源開発の見返りとして、かなりの富を得ていた。

 

そのためクイラ王国は、その富を使って緑茶国だけでなくパンドーラ大魔法公国やパーパルディア皇国、リーム王国等の第三文明圏の船をチャーターし、国民を国外へと脱出させようとしていた。

どうせ負けるのなら、死者は少ない方がいい。それがクイラ王の言葉だった。

脱出民の中にはクイラ王国の王族や貴族も含まれていた。それは王国の終焉を意味していた。

 

クイラ王国が降伏文書に調印する前日、クイラ王は責任をとって王宮で自害した。

 

クワ・トイネ公国が落ちクイラ王国が戦わずして降伏したため、ロデニウス大陸はロウリア王国1国に支配され、地図が見やすくなった。

 

 

 

その後すぐ、ロウリア王国はある国家と国交を結んだ。

 

緑茶国である。

 

 

 

緑茶国はロウリア王国がロデニウス大陸で戦争をしている間、クワ・トイネ公国からの食糧輸入が途絶えており、クイラ王国ほどではないが深刻な食糧危機に陥っていた。

 

幸いにもクワ・トイネ公国と国交を締結した後の食料を過剰気味に輸入していたので、しばらくは大丈夫だろうと考えられていたが、かつてのような大量消費は到底望めなかったので、食料が配給体制となった。

ロデニウス大陸での戦争が長引くにつれ、配給の量は減り闇市での食糧の値段も右肩上がりになるばかりで、国内で十数万人の餓死者が発生していた。

 

この状態が長く続くのは、到底受け止められなかったので、緑茶国はクイラ王国に国民を早々に国外へと脱出させるよう説得し、船を貸し出して犠牲者を減らし、ロデニウス戦争を一日でも早く終わらせようと頑張っていた。

 

 

緑茶国は、本来は異世界の国家である。そのため亜人がそもそもおらず、国民は皆人族だ。

そのため人族至上主義のロウリア王国と対立することもなく、ロウリア王国が緑茶国の技術を知ったこともあって友好関係を築いた。

 

緑茶国では、餓死者の発生だけでなく、配給体制の下で多くの商店が打撃を受けて廃業に追い込まれていたりしたので、この国交締結は国民に歓迎の声で受け止められた。

 

 

 

 

 

 

ロウリア王国クワ・トイネ州リーン・ノウの森

 

 

ここにはエルフの神が住まうという伝説があり、旧クワ・トイネ公国では聖地と呼ばれていた場所で、ハイエルフと呼ばれるエルフの中でも純血に近い種族が守護者として管理していた。

 

同地はエルフの神である緑の神の加護がはたらいていて、溢れ出る魔素はハイエルフの元々強力な魔法をさらに強力なものへと変えるので、ロウリア王国がクワ・トイネ公国を占領したとしても、ここだけは落とせ無かったと思われていた。

 

・・・・思われていた、のだ。

 

 

いま、リーン・ノウの森の状況を表す言葉としては、地獄絵図が適当だ。

 

 

 

ありとあらゆるものがが炎に包まれ、ロウリア王国兵が乗った馬無し馬車が木々の合間を縫って駆け回り、手には光魔法を宿した魔法の杖を持っている。

馬無し馬車の荷台に乗った、ロウリア王国兵が魔法の杖を使うと、魔法に優れるはずのハイエルフたちは次々と倒れていった。

 

ロウリア王国軍も、多くの馬無し馬車が破壊され、かなりの被害が出ていたが、軍団を率いているのは恐怖の副将アデムである。

多少の被害などお構いなしだ。

 

そして今、ハイエルフのウォルは、同じくハイエルフのミーナと共に、濃密な死の予感が漂うこの地から逃げようとしていた。

だが、後ろから大きな土煙をあげて、ロウリア王国軍の馬無し馬車が迫ってくる。

馬無し馬車は、馬がいないのに馬より早く走り、それに乗ったロウリア王国の魔術師が魔法の杖を振るうとウォルの足に激痛が走る。

 

 

 

アデム「ひっひっひ・・・・あのハイエルフこうなると恐るるにたらないな、弱すぎる」

 

馬無し馬車から降りてきたアデムが二人を嘲う。

 

ウォル「なぜ僕達ハイエルフが人間族に・・・それもこのリーン・ノウの森で負ける!?」

 

 

アデム「ひひ・・察しが悪いな、これは魔法ではない。この銃と車は我らの友好国、緑茶国から渡来したものだ」

 

 

ロウリア王国は、クワ・トイネ公国より交渉に長けており、食糧や石油といったものの輸出引き換えに、緑茶国から自動車やアサルトライフルを輸入していた。

緑茶国政府は、ジンギスカン地方側の兵器輸出を、この世界での圧倒的な技術格差を理由に禁止しているため(本音は召喚前から快く思っていなかった兵器の輸出をこれ見よがしにやめさせたかった)ので、同地では不満が貯まっている。

 

 

アデム「流石のハイエルフも科学とやらで動く武器の前には無力のようですねぇ?

さて、後で君たちは魔獣の餌にしてあげよう。

私の役に立てるのです。光栄に思いなさい」

 

 

こうして、ロデニウス大陸からは亜人は一人残らず消え去ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この森には、以前緑茶国の軍隊が召喚された折に使用されたジーク戦闘機が残されており、火災の被害からも免れていたが、後に観光で同地を訪れた緑茶国人により、悪しき帝国主義の象徴として破壊されてしまった。

 

 




アデムにとってはハッピーエンド。

緑茶国の輸出できるもの
AFV×
航空機×
艦船×
アサルトライフル○
テクニカル○


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第三文明圏戦争①

中央暦1639年1月下旬

 

「我々に隷属せよ!!!」

 

緑茶国は、異世界流の手荒い歓迎を受けていた。

異世界5大列強の一角のパーパルディア皇国は、第三文明圏統一事業の一環として、フェン王国に侵攻していた。

その時にフェン王国に観光で訪れていた緑茶国人の観光客がパ皇国軍に拘束された。

そして呼び出された緑茶国外交官にパ皇国皇族のレミールは、我らの属国になるなら彼らを解放してやるという温情に満ちた条件を提示した。

 

しかし何を勘違いしたか、緑茶国外交官はこれを拒絶。

恐れ多くも文明圏外国の緑茶国は、彼女の慈悲を無碍にして列強国の顔に泥を塗った。

 

だが慈悲深いレミール皇女は、数百人の緑茶国人観光客を見せしめに殺害するにとどめ、緑茶国に決断を下す猶予を与えた。

それにも拘らず、完全に血迷ったらしい緑茶国の蛮族の外交官は抗議したので、第三外務局から追い出された。

 

 

 

それからしばらくして、パーパルディア皇国は、ロウリア王国で活動する自国の商人から、緑茶国が非常に高度な技術力を持っていることを確信し、それを手に入れるために侵略を決定する。

 

緑茶国はパーパルディア皇国を超える技術力を持っているが、軍隊を持たず、

右の頬をぶたれたら左の頬も差し出すような国家らしい。

 

なので大幅に技術力で劣る自国でも征服は可能だろうと判断した。

ただ1億を超える人口を有する巨大国家ではあるらしいため、パーパルディア皇国は竜母や魔導戦列艦で構成された約900隻の大艦隊を出撃させた。

 

大艦隊は帆に風をいっぱいに受けて、東を目指す。

 

バルス司令官は、艦隊を二分した。

主力の600隻を緑茶国の首都のある最大の島に、残り300隻を経済的に立ち後れているらしい二番目に大きな島へと向かわせた。

 

 

バルス司令官の率いる主力艦隊の旅は平和そのものだった。

流石に、少しくらい抵抗を行ってくるのかとも考えたが、途中、緑茶国のものと思われる商船と出くわし、ワイバーンロードで火達磨にして沈めるなどのこともあったが、基本は平和な航海だった。ワイバーンの1匹も軍艦の一隻も見当たらず本当に何もしてこない。

 

 

そんな平和な船旅は、緑茶国の領海に入って終わりを告げる。

そこでは、緑茶国海上保安省の()()()が待ち構えており、ここに第二次緑茶海海戦が勃発した。(第一次は、召喚前である。)

 

緑茶国は、召喚前に海賊の被害に悩まされてはいたが軍備を持っていない。

その対応のため、巡視艦という種別の大口径の速射砲や個艦防空ミサイルで武装した重装備の艦艇を運用していた。

 

速射砲や機関砲が火を噴けば魔導戦列艦が爆沈し、ESSMがワイバーンロードを次々と撃ち落とす。

 

だが、緑茶国はこれほどまでに技術差があるのにまさか本気で戦争を仕掛けてくるとは考えておらず、配置転換が未完了で数が足りていなかったことや、彼らには領海内という限られた場所での攻撃しか許されていなかった。

 

おかげで茶緑国海上保安省艦隊は折角の技術差を生かせずワイバーンロードや戦列艦に接近、包囲され、損傷艦艇すら出す自体に陥っており、パーパルディア皇国軍の本土への攻撃を許してしまう。

 

魔導戦列艦の一斉射撃で放たれる榴弾が町に降り注ぎ、地竜とワイバーンロードの火炎が逃げ遅れた者を灰へと変えていった。

 

 

だが、ヒーローというものは遅れてやってくるものだ。

すぐき府警とその応援に駆けつけた鮒寿司県警の機甲隊に所属する74式特車やT-72特車(緑茶国再統一の後、旧清酒民主共和国地上軍から編入)、装甲戦闘車が到着しパ皇軍を制圧する。

竜騎士団は、地対空ミサイルで撃ち落とした。

 

緑茶国内では、パーパルディア皇国軍を銃刀法違反、爆発物の不法保持、殺人未遂とかの容疑で、緊急避難で制圧することができるのだ!!

 

 

その後、パーパルディア皇国海軍と緑茶国海上保安省の間で行われた第二次緑茶海海戦――政府発表では緑茶海事件は、パーパルディア皇国海軍が艦艇の7割程が沈没したことで、緑茶国への侵攻は不可能と判断して撤退したことにより、終結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この裏で残りの300隻はさらに悲惨な目に遭っていた。

 




個艦防空ミサイルが必要な海賊とは一体。



・機甲隊
地方警察の指揮下にある特車(間違っても戦車ではない)などの戦闘用車両を運用する部隊。
軍ではなく、あくまでも警察の下部組織であり、国内の犯罪者を取り締まる目的で重装備を持っているということになっている。



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第三文明圏戦争②

ネタに全振りするので、展開が変わり始めます


パーパルディア皇国の分遣艦隊300隻は、主力艦隊の陽動と、緑茶国に万が一戦力があった場合はそれを分断するために、緑茶国の北部を目指していた。

 

第三文明圏において最強である大砲を満載した戦列艦と、これまた最強のワイバーンロード(但しガハラ神国の風竜とワイバーンオーバーロードは考えないものとする)を合計で320騎搭載した多数の竜母の行軍は力強く、この世界の住人を恐怖させるだろう。

 

 

しかし第三文明最強にして敵うものなど存在しないはずの大艦隊は、猛烈な攻撃を受け、一瞬にして全滅することになる。

 

 

 

どうしてこうなった。

 

 

それを説明するためには、時を少し巻き戻す必要があるだろう。

彼らがここまで来る前に、緑茶国の商船を1隻撃沈していた。

そしてその商船は緑茶国の、それもジンギスカン地方の会社の商船だった。

 

そして彼らが向かっているのは、緑茶国北部に位置する緑茶国で2番目に大きな島、つまりジンギスカン地方である。

 

 

ジンギスカン地方の前進である清酒人民共和国は、冷戦の終結で緑茶国に編入され、(南)緑茶国のように軍隊を解散させられた。

しかし、彼らはかつての軍備を警察へと譲り渡し、継承していた。

これについては本国から圧力がかけられたり、非難されたが決して譲らなかった。

 

 

そして、つい先ほど自分の地方の商船が撃沈されたと聞いて、しばらく前にフェン王国で同地に拠点を置く企業の社員が殺害されて、怒り心頭だったジンギスカン道特別行政区政府は完全にブチ切れた。

 

怒りのままに、名目上は領海・領空のみで活動することになっている水上保安隊に配属されている駆逐艦――人民海軍から継承、予備航空隊――航空軍及び防空軍の後継者を出撃させた。

 

 

ワイバーンロード相手に「Su-27G改」戦闘機が無双し、竜母はキ号空対艦誘導弾(Kh-32のパチモン)で粉砕され、戦列艦にはAGM-84がぶっ刺さる。

 

 

そして、絶望して逃げだそうとしていた戦列艦艦隊を、遅れてやってきたミサイル駆逐艦が追撃する。

100ミリもしくは130ミリ速射砲が放たれる度に、戦列艦が爆散する。

パ皇海軍は戦闘の意思を放棄して、この世界における降伏の合図をするが、そんなもん知らないので構わず全滅させる。

 

それでも怒り冷めやらぬ艦隊は、緑茶国本土から逃げ去ろうとしていたパーパルディア皇国海軍残存艦隊の攻撃に向かう。

 

 

「絶対に許さない」

 

 

補給を済ませた戦闘機及び戦闘攻撃機も加わって、パーパルディア皇国の緑茶国侵攻軍を殲滅した。

 

 

 

 

 

 

本土への襲撃を受けて、ようやく事態の重要さを理解した緑茶国政府は苦悩していた。

それはパーパルディア皇国が戦争を仕掛けてきたことで、主力艦隊が消滅して高いプライドがへし折られたパーパルディア皇国が、殲滅戦を宣言したという些細なことではない。

 

皇国海軍の散発的攻撃により民間船舶への被害の危惧などで経済活動が鈍っていることだ。

このままでは、ようやくムー国への工業製品輸出で持ち直していた景気が悪化し始めており、圧力団体からどうにかしろと言われている。

 

そこで緑茶国政府は、緑茶国の召喚に哀れにも巻き込まれた在緑茶国コーラ軍と交渉、自分たちの代わりにパーパルディア皇国を叩き潰してほしいとお願いした。

 

ジンギスカン特区に頼めばいいのではないか?

 

それはダメ。

 

それをやれば、緑茶国政府が存在を認めていないジンギスカン道特区の、戦闘機に飽き足らず爆撃機すら保有する予備航空隊の存在や、水上保安隊の軍艦保有の正当性を認めることになるので絶対ダメ。

 

 

彼らの持つ他国へ攻め入る軍用機や、領海外で使う軍艦なんて戦争の道具など緑茶国にはあってはならないものなのだ。

せいぜい国内のみで使う機甲隊がギリギリだ。

 

 

 

そんなわけで、緑茶国の交渉、燃料・弾薬・整備のみならず食糧の供給すらを断絶する可能性を示唆した必死の説得を前にコーラ合衆国在緑茶国司令部は折れ、第17艦隊が出撃、緑茶国内に多数存在するコーラ軍基地からは戦闘機や戦闘爆撃機が続々と空へと舞い上がり、西へと向かう。

 

 

しかし、その緑茶国の考えをよそに、ジンギスカン道特別行政区政府は、コーラ合衆国に混ざって予備航空隊を出撃させていた。

しかも零式戦闘攻撃機(Su-35Sのパチモン攻撃機)に飽き足らず、緑茶国に唯一存在する爆撃機、Tu-22M3G改を50機以上も飛ばしていた。

 

同爆撃機は、こいつだけは退役させるよう本国議会からの圧力がかけられたり、デモが頻繁に行われている問題の機体である。

 

 

この行軍を阻む力が主力艦隊の有無に関わらずパーパルディア皇国にあるはずもなく、想像を絶する量の弾薬が皇都エストシラントに降り注いで、歴史ある町並みは、炎で焼き尽くされて、パラディス城は空からの爆破解体が行われ、皇帝ルディアスや観光客殺害の重要参考人レミール以下の政府幹部は大半が逃げ遅れて圧死した。

運良くエルト氏は何とか逃げおおせたが、大怪我を負って病院送りである。

 

その後、上司が職務遂行不能になったことで、パーパルディア皇国暫定政府の代表になったカイオスは、エストシラント沖に停泊した原子力空母フライド・ポテトの甲板上で、降伏文書に調印した。

 

 

この後、皇帝ルディアスが身罷られたことや、パーパルディア皇国(皇族全滅)の軍事力が

大幅に減退したことで、コンキスタドール的な支配を受けていた属領は次々と独立した。

 

しかし、パ皇統治下でかつての統治組織が壊滅させられていたこと、元々領土を巡って争っていたこと、そして崩壊したパ皇軍からワイバーンや地竜や兵器が流出したことで、

フィルアデス大陸は治安最悪の紛争地た・・・・ゲフンゲフン、群雄割拠の戦国時代に突入したのだった。

 




・Su-27G改
ヴォトカ連邦が開発した戦闘機をノックダウン生産したものの独自改修型。
予備航空隊主力戦闘機。


・キ号空対艦誘導弾(キ号爆弾):Kh-22ッチン。
ヴォトカ連邦が崩壊の混乱時にジンギスカン地方に放置していったKh-22ミサイルをリバースエンジニアリングし、改良を施したもの。
スペックはKh-22の発展型Kh-32と同じくらい。


・零式戦闘攻撃機(F-2)
資本主義に魂を売ったSu-35s。AGM-84の発射プラットフォーム。
緑茶国編入後の混乱の中、ジンギスカン道特別行政区がコーラ合衆国の支援を受けて開発した国産の第4+世代ジェット戦闘機。推力偏向ノズルを装備し高い運動性を持つ。
ヴォトカ連邦の継承国が後年に開発したモノホンのSu-35sとは似ているが別物で、RCSや空戦能力は若干劣る。
若干劣るものを短期間で作れるのが異常。


・Tu-22M3G改
緑茶国唯一の爆撃機。Tu-22Mの架空派生型。



ジンギスカン特別行政区がこれらを維持できるのは、これがネタ小説だから。


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第一次新世界大戦~西部戦線①

昼頃に次の話を投稿します。


中央暦1642年4月22日、この日神聖ミリシアル帝国のカルトアルパスで先進11ヵ国会議が開催された。

参加国は以下の通り。

・神聖ミリシアル帝国(序列1位・主催)

・ムー(序列2位)

・エモール王国(序列3位)

・アニュンリール皇国(序列9位・蛮国)

・グラ・バルカス帝国(序列10位・新興国その1)

・緑茶国(序列11位・新興国その2)

・以下略

 

 

「我々に隷属せよ!!!」

 

 

そこでたかだか蛮地の新興国に過ぎないグラ・バルカス帝国の外交官シエリアが全世界に対して宣戦を布告するという暴挙に出て、参加各国から顰蹙を買った。

 

そして参加各国は、開催地のカルトアルパスに攻撃を仕掛けてきたグラ・バルカス帝国の戦艦と機動部隊に立ち向かう。

 

神聖ミリシアル帝国とエモール王国は、グ帝のアンタレス艦戦を前に、天の浮き船と風竜が惨敗したことで各国空軍及び竜騎士から失笑を買うが、グラ・バルカス帝国は第二次大戦クラスの技術力を持っているので、彼らは惨敗すらできなかった。

 

 

唯一の例外は、緑茶国の巡視艦であり、76ミリ速射砲、ファランクスCIWS、ESSM個艦防空ミサイルがアンタレス艦戦、リゲル艦攻、シリウス艦爆を次々と撃ち落とす。

 

だが、46センチ砲を搭載し、相応の防御力を持つ戦艦グレードアトラスターに、対艦能力がほぼオミットされて速射砲や個艦防空ミサイル程度の武装しか持たない巡視艦に対抗手段などなく、46センチ砲弾を弾薬庫にプレゼントされて爆沈した。

 

 

数ヶ月後、異世界特有の高いプライドをへし折られた各国は、神聖ミリシアル帝国の元に集い、新世界最強の艦隊、新世界連合軍を組織し、第二文明圏を不法占拠するグラ・バルカス帝国の征伐に向かう。

 

だが、新世界最強はグラ・バルカス帝国の出現で過去形になってしまっているので(アニュンリール皇国?あれは南方の蛮地のでしょ?)、普通に全滅しかけ、空中戦艦パル・キマイラ1隻という高すぎる代償を払ってどうにか助かるという事態に陥った。

 

ほぼ同時期にムー国の都市、オタハイトやマイカルに、グラ・バルカス帝国の艦隊が来襲、空襲やら艦砲射撃を受けたりした。

 

緑茶国は一切の戦力を派遣しなかったが、新世界連合が惨敗したこと、ムー本土が攻撃を受けたこと、そして緑茶国近海で商船が撃沈されたのをきっかけに、グラ・バルカス帝国の潜水艦による通商破壊作戦が本格化したことで、緑茶国を含めた世界は、壊滅的な経済的打撃を受けていた。

 

 

一応、緑茶国は対戦ソナーを装備した巡視艦による船団の護衛を行うことで対抗したが、

異世界には、潜水艦という概念すら存在しないので、当然対抗手段もなく、ミリシアルやムーの船は雷撃を食らって、その他の国の船は浮上砲撃で次々と海に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、第三世代圏の地域大国であるロウリア王国は緑茶国から輸入した魚群探知機と簡易的な対戦迫撃砲や自前で作った爆雷を駆使して、元気に海路輸送を行っていた。

 

そんな中、緑茶国では現在の内情を快く思わない者たちが、ある計画を発動させようとしていた。

 

 

 




次は東部戦線ですね。


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第一次新世界大戦~東部戦線①

ジンギスカン道特区は、空母と戦略原潜以外はだいたい持ってます。



中央暦1643年2月26日

 

 

この日、ジンギスカン道特別行政区は、旧態依然とした組織、現緑茶国政府を滅ぼすべく、

緑茶国軍を動員、ここにクーデター作戦を発動した。

緑茶国は、この期に及んで軍事力の海外への投射を否定しており、如何に国内にいるコーラ合衆国軍の力が強大といえども、このままではグラ・バルカス帝国の数を前に突破されかねない。

それに、倫理観の欠片もないDQN国家、ラヴァーナル帝国の国家が復活することがほぼ確実視されていることもある。

秘密協定により、在緑茶国コーラ合衆国軍は介入しないとの確約を得ているので、安心だ。

 

 

 

緑茶国は、航空機を持たない一方で、大量の地対空ミサイルを抱え込んでいるため、これが脅威だった。

 

これを突破するために、最新鋭のF-3ステルス戦闘機「颶風(ぐふう)」を投入していた。

これは、どこから手に入れたのかは全くの不明だが、ヴォトカ連邦崩壊で霧散した計画であるはずのYak-141の発展型Yak-201の技術を手に入れ、秘密裏に開発していたものだ。

 

ジンギスカン島の極秘基地から、リフトエンジンを使ってV/STOL型「颶風」は短距離で離陸、ジンギスカン特区側の不穏な動きを警戒していた緑茶国の不意をつく。

 

レーダーでとられることのできない戦闘機は、緑茶国内にあるレーダー基地を次々と破壊し、その目を奪う。

 

 

主要レーダー基地が吹き飛んでいる中、 電子戦型零式戦闘攻撃機からなる敵防空網制圧部隊(SEAD部隊)が高空から、その後を追って、大量の爆弾やミサイルを抱えた零式戦闘攻撃機、Tu-22M3改爆撃機などが低空から進入する。

 

それらを迎撃しようとする地対空ミサイルと、先行していた SEAD部隊との間で攻防が行われるが、電子妨害(ECM)を交えた緑茶国空軍の猛攻により突破される。

 

AGM-158を先頭として、空対地ミサイル、精密誘導爆弾、無誘導爆弾が雨あられと襲いかかり、地中貫通爆弾すら使用され事実上の軍事基地である武装警察基地を消滅させていった。

 

この攻撃は、武装警察基地に限定されており、市街地や生産工場は、ほぼ無傷であった。

さすがに同胞を攻撃するのは気が引けたし、そもそも後で使おうと考えていたからだ。

 

 

これに呼応して、緑茶国の近海に展開する巡視艦を撃滅すべく、駆逐艦がP-270超音速対艦ミサイルを、伊971型潜水艦(アクラ級SSN)や呂877型潜水艦(キロ級SS)を長魚雷ぶっ放す。

 

その後は空挺降下、ドック型揚陸艦、150トンもの積載量を持つ特大空気浮揚機動艇(ポモルニク級)、そして徴発した民間船舶等を用いて緑茶国陸軍が揚陸戦を開始する。

 

 

だが緑茶国政府は、ある程度予測しており、武装警察を基地から避難させていたため、まだその兵力の60%程が健在であった。

 

そして武装警察機甲隊は、艦砲射撃を避けるため敵を内陸部まで引きつけ、緑茶国軍を迎え撃とうとしていた。

40%が吹き飛ぼうとも武装警察の戦力は数において緑茶国軍の約1.5倍も残っているので、緑茶国軍も苦戦するかもしれない。

 

 

だが、結果は武装警察機甲隊の惨敗であった。

それは機甲隊が用いる特車もとい戦車が74式、T-72を主力とし、少数のM1A2(コーラ合衆国からの輸入品)を運用していたのに対し、

緑茶国軍は、より高初速化された48口径125ミリ滑腔砲を搭載する九〇式戦車「チヲ改」(オプロートにクリソツ)を主力とし、一部は更に新鋭の一〇式戦車「チワ」を装備していたのだ。(T-72は誤射の危険性があるので置いてきた)

 

武装警察機甲隊特車を緑茶国陸軍のタンデム弾やAPFSDSが食い破る一方で、機甲隊特車の砲撃は、複合装甲と爆発反応装甲の前に防がれる。

正に一方的だった。

 

装備の質で劣っており、ついでに練度でも劣るため適うはずもなかった。

M1A2は脅威ではあったが、数が少ないことで側面や後方に回り込まれたり、制空権が奪われていることでSu-25K等の航空攻撃で倒されていった。

 

最初からわかりきっていたことだが、軍隊ではない武装警察の装備では、軍隊である緑茶国軍にかなうはずもなく、今はまだなんとか、地の利と数的優位で進軍を押しとどめてはいるが、時間稼ぎでしかないのは明らかであった。

 

頼みの綱のコーラ合衆国軍も、国内の問題だとして静観する構えを見せている。

 

最早どうしようもないはずであった。

 

だがここで、緑茶国政府は起死回生の大作戦、

 

 

『国家領域における破壊作戦に関する命令』を発した。

 

 




用語

・F-3戦闘機「颶風(ぐふう)
プチブルと化したYak-201。
外見以外は西側戦闘機。
F-35にはRCSで若干劣るが、機動性で上回るらしい。
実は制式採用前で未完成。



・特大空気浮揚機動艇:ポモルニク級(ズーブル級)エアクッション揚陸艦
150トンもの積載量を持ち、最大63ノットで爆走する怪物。
開発国はエアクッション小型揚陸艦とか言っているが、こいつは世界最大のエアクッション揚陸艦である。
召喚前は何に使うために持っていたのかは謎。


・九〇式戦車「チヲ改」
チヲはT-84に、チヲ改はオプロートにクリソツ。
主砲は48口径125mm滑腔砲。
チ=中戦車、ヲ=いろはにほへとちりぬる


・一〇式戦車「チワ」
詳細不明。

・伊971型潜水艦:971型アクラ級攻撃型原子力潜水艦。
・呂877型潜水艦:877型キロ級通常動力型潜水艦。
伊が原子力、呂が通常動力。


・P-270、Su-25K、M1A2
P-270はコピー品、Su-25Kは独自改修済み、M1A2はM1A2Gという架空仕様だったりするというどうでもいい設定がある。

 
特別行政区だけで少なくとも三千万人くらい住んでそう。


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第一次新世界大戦~東部戦線②

前の話でチヲ改にT-72が圧倒されてるのは、多分近代化が完了していないから。
一部はT-90並になっているが、数が足りない。
結論。制空権も取られてるので、どのみち勝てない。詰んでる。



『国家領域における破壊作戦に関する命令』

 

それは、新制緑茶国に軍事力で大幅に劣る現緑茶国が勝利をつかむための唯一の作戦だ。

より正確に言えば勝利というより、強引に引き分けに持ち込む作戦である。

 

 

現緑茶国は、軍用機や軍艦は持たないので、新制緑茶国に、航空/海上優勢どころか制空/海権を完全に分捕られてしまっている。

当然である。

 

唯一地上における戦力では、数的優位を持っているが、制空権を奪われていることと、その質で大幅に後れをとっているので、最早話にならない。

連合軍を敵に回した本土決戦の方が遙かにましなレベルで負けている。

 

 

後三ヶ月もあれば緑茶国全土は新制緑茶国に支配されるだろう。

 

現緑茶国政府は、それを許せなかった。

彼らに支配されれば、緑茶国はかつてのような軍事国家になり、その卓越した科学文明の力を使い、世界に戦争の惨禍を広げるに違いない。

 

我らに、新制緑茶国の悪行を止める軍事力は無い。

だが、軍事力を用いずとも止めることはできる。

 

 

 

 

それが『国家領域における破壊作戦に関する命令』だ。

 

その内容は極めてシンプル。

 

緑茶国内の将来軍事的に利用される可能性のあるものを全て破壊しよう!というものである。

 

破壊してしまえば、新制緑茶国は何も得ることはできず、彼らの持つ兵器・・・それなりに自給できるようだが、最新兵器はこちらの部品がなければ動かない。

稼働率を大幅に下げることが可能だ。

 

最高の作戦じゃないか!!

 

国民には誠に申し訳ないが従ってもらおう。

なぜなら新制緑茶国が成立すれば、すべておしまいだ。

真の緑茶国人は、我々とともに今ここで滅ぶのだ。

戦争後に残った偽りの緑茶国人など知ったことではない。

 

 

まずは通信基地などの情報関連施設を破壊する。

これで、国民の間で情報の共有が遅れ、破壊工作が効率的に行える。

首都の電波搭がポッキリ折れて、地上に落下する。破壊の宴の始まりだ!

 

民間の工場を接収、打ち壊す。

第二次産業に分類されるものを、なにもかも全部を破壊する。

 

爆破、特車の砲撃、重機、人力エトセトラ・・・。

 

造船所はぶち壊され、工場は瓦礫の山に変貌し、備蓄した石油や石油化学コンビナートは炎で包まれてゆく。

 

 

動きを察知した緑茶国軍が侵攻速度を上げたぞ。

後回しになっていた沿岸部の発電所、特に原子力発電所、核燃料再処理工場は全て占領された。

かなりの無茶をしたようだ。

命令無視や裏切りも行われ始める。おのれ!!

 

だが内陸部の水力発電所は、手が回っているはずもないので爆破、決壊させる。

湛えられていた水が鉄砲水となって、下流の町を破壊する。一石二鳥!!

 

そして官民とわず、全ての艦船を自沈させる。

空前絶後の一斉自沈!!港も当分使えない!!

 

 

もう第二次産業は終わりだ。

次は第3次産業やインフラ、資源何もかもを破壊しろ。急げ!急げ!

現政府への国民の抵抗や武装警察のサボタージュの規模が大きくなる。裏切り者ども!!

 

緑茶国軍が侵攻した都市の建造物を爆破、都市を封鎖する。

これで進撃が遅れる。やったぞ!

 

 

と思ったが空に零式戦闘攻撃機の編隊が現れる。

Tu-22Mまで来やがった。最早これまでか・・・

 

 

 

 

 

 

こうして世界が戦禍に覆われる中、古の魔法帝国の子孫である有翼人が建国した国家、アニュンリール皇国は、ミリシアル帝国の目が届かない今を狙い、国内の魔石不足を補うべく第三文明圏外へと侵攻した。

 

 

文明圏外国の使用するワイバーンは、第1世代ジェット戦闘機程の性能を持つアニュンリール皇国製天の浮舟の魔光砲に射抜かれ、

戦列艦は小型艦の霊式12.7センチ魔導速射砲で粉砕され、

アダマン級魔導戦艦が霊式40.6センチ魔導砲を沿岸部に叩き込み、

空中戦艦パル・キマイラが都市を焼く。

 

 

こうして、折角パーパルディア皇国軍を追い払って再独立したアルタラス王国等を含めた魔石の鉱山を持つ文明圏外国が占領されたのだった。

 

 

 

 

 

この混乱の中、リーム王国の艦隊が内戦中なら倒せるんじゃね?と思って緑茶国に攻めてきたが、普通に撃退された。

だが、緑茶国軍からの反撃は無かった。

 

アジ・ダハーカという名前らしい巨大生物がリーム王国に現れ、破壊の限りを尽くしていたからだ。

緑茶国軍には、本土で忙しく、これに対処する余裕が無い。

 

何故ここにいるのかというと、トーパ王国を滅ぼした魔王を食らって、周辺諸国を荒らしながら南下してきたアジ・ダハーカを、マオ王国を中心とした諸国が団結してパ皇亡き後(亡国じゃないけど)横暴に振る舞っていたリーム王国へ誘導、押し付けた。嫌われるってつらいね。

 

しばらく後、アジ・ダハーカは、体制を整えた緑茶国空軍による猛攻により消滅したが、その頃にはリーム王国は滅んでいたのだった。

 

 




魔王の扱いに困った結果、アジ・ダハーカのエサになった。


・新世界大戦、陣営内訳

 ・ミ帝陣営
  神聖ミリシアル帝国
  ムー
  新制緑茶国
  その他戦力外

 ・グ帝とその他。
  グラ・バルカス帝国
  旧制緑茶国
  リーム王国
  アニュンリール皇国


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第一次新世界大戦~西部戦線②

今更ですがパ皇空爆のTu-22Mが50機は多すぎますね。
空母打撃群もいるのでエストシラントは更地になってるんじゃないでしょうか。
修正はしませんが。


緑茶国の内戦が終わってから一年と半年くらいたったころ、

第二文明圏の空を支配していたのは、緑茶国で作られた性能劣化型赤外線誘導空対空ミサイルを搭載したムー空軍所属のミリシアル製戦闘機エルペシオ3.5だった。

 

 

 

何言ってんのかわかんないね。

 

 

 

こんな意味のわからない状況を作り出したのは、だいたい旧制緑茶国のせいだ。

旧制緑茶国政府は、そのイデオロギーを守るべく、国内にある産業の徹底破壊を命令、

新制緑茶国の侵攻速度の急上昇や、配下の裏切り、国民の抵抗などもあったが、国内の産業をズタボロにすることには成功した。

 

 

この成果として、新制緑茶国が目論んでいた、ムーへの兵器輸出を含めた軍事援助計画の白紙化、予備役の重航空巡洋艦(キエフ級のようなもの)の戦列復帰などを含めた軍拡計画の無期限延期などに成功した。

 

そこで、新制緑茶国政府は、神聖ミリシアル帝国に何とか生産の目処がついた空対空ミサイルの輸出と引き換えに、ミリシアルに戦闘機をムーに輸出するようもとめたのだ。

 

これは、ムーの複葉機では到底グラ・バルカス帝国の零戦もどきには歯が立たず、世界最強(自称)のミリシアル機に、自国製短距離空対空ミサイルのシーカーの性能を下げたものを載せれば戦えるのではないかと考えたからだ。

 

 

これはミリシアル皇帝の鶴の一声もあり、改修は急ピッチで進み、ついでに緑茶国の技術者の助言もあって、速度は時速700km程まで改良され、同戦闘機はエルペシオ3.5と命名された。

 

 

これを神聖ミリシアル帝国は戦場に持ち込み、一方的にグラ・バルカス帝国機を狩りまくった。

このまま圧倒することもできたが、緑茶国の圧力を受けムーへも輸出、これによりムーの空から、グラ・バルカス帝国機が消えた。

 

 

 

そして次は地上戦だ。

 

ムーはグラ・バルカス帝国に技術力で大幅に劣っていたが、押され気味ながらも何とか対抗できていた。

 

それは神聖ミリシアル帝国から速射砲や魔法版セミオートマチックライフルを輸入していたからだ。

ミ帝製の速射砲は、ムーのものより遙かに高初速で、これが無ければグ帝戦車には倒せなかった。

 

だが、押されていることに変わりはなかった。

 

そこに緑茶国からRPG-7、八九式自動小銃(ヴィーガーのパチモン)等の先進的な銃火器が供与された。

RPG-7よりグラ・バルカス帝国の戦車は軒並みスクラップとなり、またこれは弾頭を変えればに火力支援にも使える優れもの。

次に緑茶国が持て余していた近代化が済んでいないT-72をレンドリースしたことで、航空優勢も相まって

グラ・バルカス帝国の進撃を止め、攻守が逆転した。

 

T-72神が放たれる鋼鉄製APFSDSやHEAT弾は、グ帝のハ号やチハ車に似た戦車を粉砕し、RPG-7もまた同様に、グ帝の戦車だけでなく、グ帝に鹵獲されてムー陸軍のT-72を粉砕していった。

 

これの対策として、外してあった爆発反応装甲が再び取り付けられ、被害は減少した。

これをパクったミ帝が、魔導アーマーといった陸軍の兵器のみならず、爆発反応装甲を魔導戦艦などの軍艦にも取り付けていたのは見なかったことにしよう。

 

この間、緑茶国軍は、攻撃型原潜をレイフォル沖、グ帝本土へと派遣、機雷敷設という嫌がらせを行っていた。

悲しいかな、国内ボロボロの貧乏軍隊にはこれくらいしかできることがない。

 

 

しばらくすると、何とか態勢を立て直した新制緑茶国が軍隊を送り込んだ。

 

Su-27G改戦闘機、零式戦闘攻撃機、そしてTu-22M3G改爆撃機が、レイフォル沖に展開するグラ・バルカス帝国艦隊に襲いかかる。

 

ロケット、ジェット、ラムジェット。空対空に空対艦。

個性豊かなミサイルたちが、それぞれ目標を捉えて、軌道をなぞり飛翔する。

 

レシプロ機が爆散し、水上の艦艇たちには対艦ミサイルが降り注ぐ。

 

対艦ミサイルの嵐の中、グレードアトラスターを含めた一部の戦艦は、生き残っていたが、すぐ後に上空40kmから音速の4倍を超える速度で降ってきたキ号爆弾(Kh-32のパチモン)に水平装甲をぶち抜かれて爆沈した。

そのルーツは対空母打撃群用決戦兵器の一角Kh-22だ。諦めろ。

 

 

その後、緑茶国陸軍が加わった世界連合軍が追い打ちのように一大攻勢をかけ、グラ・バルカス帝国を追い出していった。

 

 

そして緑茶国は、グ帝が去ったムー大陸に秘密兵器、『さ号兵器』を持ち込んだ。

 

これは、召喚前の冷戦時代にヴォトカ社会主義共和国連邦が極秘裏に清酒人民共和国が存在したジンギスカン島に建設したミサイル基地に配備した大陸間弾道弾R-36の秘匿名称である。

 

これを冷戦中ヴォトカ連邦と清酒民主共和国は隠し通した。

 

その秘密は冷戦後にも及び、ジンギスカン道特別行政区はそれを継承、というより奪い取り改修を繰り返し、今日に至るまで保有を続けていた。

 

それは清酒民主共和国の財政を圧迫しており、工業製品や兵器を第三世界に輸出し、社会主義の優等生と呼ばれる発展を遂げていた同国の崩壊の遠因となった曰く付きの兵器である。

 

だが、近代化作業で得られたものは多く、現在ではその模造品を作ることが可能な程の技術を獲得するに至っている。

しかし、作れても実際に撃ったこともなければ試験をしたこともない。

 

なので、今回実戦で使ってみようというのだ。

 

核弾頭については今まで補給が効かなかったが、その問題は解決している。

 

 

そんなこんなで、新制緑茶国は多弾頭型R-36ICBMをグラ・バルカス帝国に向け発射、搭載された10発の弾頭は、それぞれ別の目標へと向かって飛翔した後、威力を解放。都市を避けて狙ったので蒸発したグラ・バルカス帝国人は数万人ですんだ。

 

 

 

その後、こりゃたまらんと思ったグラ・バルカス帝国と世界連合軍の間で、休戦条約、次いで平和条約が結ばれ、グラ・バルカス帝国は、多額の賠償金、軍備制限などを受けたが、ムー大陸以外の植民地の保有は認められるは、賠償金も国家財政を破綻させる程のものではないなど、甘ったるい処分を受けていた。

 

これは、グラ・バルカス帝国を科学文明陣営の一員として組み込むためた。

 

 

その原因は、神聖ミリシアル帝国がコア魔法の復活に成功したことだった

以前、ミリシアル帝国は、魔法帝国の核開発施設の遺跡からコア魔法の概念的設計図や製造方法に関する資料を入手していたのだが、解明できていなかった。

だが、緑茶国出身のあるマッドな科学者が協力したことで、出力の割には馬鹿でかく、空中戦艦パル・キマイラにしか載せられないほどの巨大なものだが、遂に完成してしまった。

 

緑茶国が、産業崩壊と内戦でズタボロになっていたことで、国民の海外渡航を把握できていなかったことが、原因だった。

それでも怪しい技術者の助力程度で作れるミ帝も案外優秀だ。

 

神聖ミリシアル帝国は、コア魔法爆弾を試験として、イルネティア島に複数発を投下、同地に植民していたグラ・バルカス人を蒸発させていた。

 

 

戦後すぐ、パル・キマイラ搭載用コア魔法爆弾を多数配備、そして結構優秀な神聖ミリシアル帝国は、天の浮舟に搭載可能なブースト型コア魔法(ブースト型核爆弾に相当)の実用化も秒読み段階にこぎ着けており、熱核型コア魔法(水爆に相当)の開発も進んでいるのだという。

 

そして産業崩壊の困窮から、緑茶国の航空機や宇宙開発に携わっていた技術者も国外へと流出している。

 

 

異世界では魔帝の復活を前に冷戦が始まろうとしていた。

 




用語

・T-72神
 どうでもいい設定として、同軸/上部機銃が西側仕様に変更されている。
 残念ながら、T-62、T-54/55は渡せるようなものが残っていなかった。
 APFSDSは鋼鉄で作ると貫徹力がゴミカスになるので普通はタングステンとか使って作ります。


・八九式自動小銃
 市場経済の夢を見たAK-74。ヴィーガーのパチモン。
 5.56×45mmNATO弾対応。


・R-36タン:さ号兵器
 R-7以外で東側のICBMと言えばコレってイメージが私の頭にある。
 だが、ジンギスカン島に配置するのは戦略的にどうかと思う。



・重航空巡洋艦(キエフ級のようなもの)
 戦略原潜と空母が無くても重航空巡洋艦は予備役で持ってる。
 スキージャンプを持ってる方はマジでないです。



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新世界冷戦

意欲が欠けたので適当にまとめる


新世界では、古の魔法帝国の復活を前にして、核爆発が何度も起こっていた。

ミリシアル帝国と新制緑茶国の核実験合戦だ。

 

新制緑茶国は、核開発施設を持っていないので、追加の核弾頭生産はこれまで不可能だった。

 

 

しかし、第三文明圏戦争でパ皇から割譲させた土地で、

レッドマーキュリーの鉱脈が発見されたので、問題は解決していた。

レッドマーキュリーは鉄のカーテンの向こう側で作られたと語られる伝説の物質だが、ファンタジー世界では普通に鉱脈が存在していたようだ

 

これがあれば核弾頭の追加生産は容易だ。

長い開発期間も必要ない。

科学文明の盟主なのに戦力が乏しい新制緑茶国は核弾頭の大量生産に勤しむ。

 

他には零式戦闘攻撃機(Su-35Sのパチモン)をはじめとした航空機、一○式戦車チワなどのAFV、各種ミサイルなどの生産ラインをどうにか復旧させ、自国向けの再生産をする傍らでスペックを落としたモンキーモデルをムーとグラ・バルカス帝国へと輸出を開始する。

 

これらの輸出で得られた収入だけでは、旧制緑茶国の破壊活動でボロボロになった国内の復興には到底どうにもならず、技術流出防止法の制限を下げて、大量の工業製品を輸出が開始され、その結果科学文明陣営の平均的技術力レベルは大幅に向上する。

 

 

 

一方でミリシアル帝国では、旧制緑茶国亡命政府が誕生していた。

平和の守護者は悪しき帝国主義の後継者である新制緑茶国の暴力に、屈しはしない。

正義は決して悪に負けはしないのだ。

新制緑茶国の政府幹部たちは元はヴォトカ連邦の影響下にあった反動で、帝国主義に目覚めてしまっている。

そんな奴らは断罪せねばならない。

 

だが、旧制緑茶国亡命政府とともに亡命してきた学者たちは、学者たちの全人代とも呼ばれる緑茶国学者協会で、かつてのような悲惨な戦争を防ぐために人殺しの技術研究を禁じるなどした平和を愛する崇高な学者たちばかりで、ミリシアル帝国で平和を守る道具の開発に寄与できるはずもなかった。

 

だがこのままでは、悪の枢軸を構成するムー、グラ・バルカスはともかく、その盟主である新制緑茶国に対してミリシアル帝国は技術力が劣っていたため、このままではファシズムが全世界に拡散してしまう。

 

それだけは、是が非でも防ぐのが旧制緑茶国亡命政府の使命である。

 

ミリシアル帝国の技術力を向上させるために旧制緑茶国亡命政府は『ファミリークリップ作戦』を発動した。

 

この作戦は、旧制緑茶国亡命政府は工作員を緑茶国に派遣、そこで人殺しの道具を作る手伝いをさせられている技術者を救済するものだ。

 

これは新制緑茶国内にいる協力者に技術者の家族の安全を保護し、場合によってはミリシアル帝国へと避難させ技術者に安心して悪しき軍国主義国家から亡命してもらうのだ。

たとえ亡命できなくても、情報を渡してくれるだけでも十分な協力になる。

 

それに加えて覇権主義国家の戦争のための道具を作るという悪行で堕落していた技術者の魂は、ミリシアル帝国の平和を守るための道具を作る手伝いをするという善行で救済されるのだ。

これで彼らは新制緑茶国に暮らす戦争と支配の協力者である偽りの緑茶国人ではなく、平和と正義を愛する真の緑茶国人になれるのだ。

 

この努力の成果の一つが、新世界大戦中に完成したミリシアル帝国の核兵器だ。

 

新制緑茶国が『国家領域における破壊作戦に関する命令』でボロボロだったこともあり、平和の使者であるミリシアル帝国は、科学文明陣営に対抗するために、新制レイフォル共和国をはじめとした魔法文明陣営への技術供与が行われたことで技術力は大幅に向上し、悪の枢軸である科学文明陣営に対しては質で劣るものの、圧倒的な物量を生かした物量戦法で対抗できるようになった。

 

だが、魔法文明陣営が緑茶国首都にコア魔法爆弾を落とせる技術を獲得する頃には、緑茶国も復興したため、おいそれと撃つわけにはいくなってしまった。

 

その結果、両国はかつてヴォトカ連邦とコーラ合衆国が行った陣取りゲームを再現するに至るのだった。

 

 



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