無理矢理転生【リメイクの為、永久凍結】 (ハクシノユメ(元ライデン))
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番外編
作者のstaynightサーベラスの資料公開!


作者「前回のあらすじはない!何故なら今回は設定資料の会だからだ!と言うわけで早速公開しますね。今回のゲストはサーベラス君と何処からか現れたシトナイさんです。」

 

サーベラス「何か呼ばれたんだが何すればいいんだ?てか、あっちにはまだイリヤはいるはずだけど何故ここにシトナイがいるんだ?」

 

シトナイ「ここは英霊の座見たいな所だからね!にしても大きいお兄ちゃんもカッコイイな〜」

 

作者「そこの兄妹にいちいちツッコミをしていると解説が長引くから無視させてもらおう。まずはstaynightのサーベラス君のサーヴァントステータスだね。」

 

真名:サーベラス・フォン・アインツベルン

 

クラス:フォーリナー

 

マスター:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

 

筋力:B++ 耐久:A++

敏捷:A 魔力:EX

幸運:D 宝具:EX

 

身長:140cm 体重36kg(本来の姿)

身長:190cm 体重:84kg(大人の姿)

出典:この作品 地域:不明

属性:混沌 善/悪

 

スキル

騎乗EX

あらゆる乗り物を乗りこなせるスキル。

神の乗り物すら乗れる規格外のスキルの内の1つ。

ヒロインXと同じく次元すら超える。

 

対魔力A++

魔力に対する抵抗力。

令呪でもかなり抗う事が出来る。

 

直死の魔眼A++

両儀式とは違い、死の線だけでなく何処をどう刺せば相手が苦しまずに死ぬのか、相手にかすり傷のみを負わせられるのかを把握できる。

 

投影魔術EX

あらゆる物を投影できるスキル。

世界を裂く乖離剣すら投影して見せた。

 

神の祝福EX

様々な神に祝福されている為、発動するとおかしいほど強化される。彼に祝福を与えた神と与えた理由は下の通り

メドゥーサ:1番優しくしてくれたマスターだから(他の感情もあるらしい)

シトナイ:大好きなお兄ちゃんだから

オーディン:シトナイに統合されているフレイヤを手伝う為

■■■■■■■:優しくしてもらった。

■■■:上と同様。

須佐之男命(スサノオノミコト):俺みたいなやつ発見!気に入った!!

 

兄の意地

兄としての意地で殺されても魔力が残ってる限り蘇り続けるスキル。蘇る度に強化され、最後はクラスが変わるほど強くなる。

 

サーベラス「ちょっと待てぇぇい!」

 

作者「ん?どした?」

 

サーベラス「シトナイやランサーはまだわかるぞ!だが残りのは何だ!?」

 

作者「それは俺と未来のサーベラス君のみが知る……」

 

サーベラス「はぃぃぃ!?」

 

シトナイ「愛されてるねぇ〜。お兄ちゃんを弄るネタがひとつ出来たよ!」

 

作者「ハイハイ、宝具もあるから次に行くよ〜」

 

宝具

無限の幻影

ランク:EX

種別:結界宝具

レンジ:結界内の全て

最大捕捉:結界内の全て

アンリミテッド・シャドウ・ワールド

聖杯の無尽蔵とも言える魔力を使いサーベラスが使用した無限の剣製に似た性質を持つ固有結界。伝説上に存在したあらゆる武器と防具、物理現象、自然現象の“影”を映し出し現実のものとする事が出来る。

“影”を映し出す、つまり“本物”と姿、形、性能の全てが同じ物を出現させる事が出来る。

映し出せる物には限界がなくギルガメッシュが使う宝具の原点であろうと最強神の武器であろうと、未来に使用された、現在では仕組みが不明の宝具でも映し出す。

ただしあくまでも“影”を映し出す為、1度も使用された事の無い技や威力は再現できない。

逆を言えば1度使用されている物はなんでも再現出来るのだ。

ただし■■■■クラス以外では令呪を三画使用する必要がある。

 

作者「言わずとも皆、思ったであろう最強宝具だね。」

 

サーベラス「聖杯並の魔力あってこそ維持出来る結界だから士郎の無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)の方が使い勝手がいいんだよな……」

 

シトナイ「こんな宝具もあったのね………」

 

作者「まぁ、仮にも人類悪と聖杯を二つ、汚染された大聖杯を呑み込んでる訳ですし、問題は無いかと」

 

サーベラス「大ありだろ!?マスターへの負担が大き過ぎるわ!」

 

作者「説明読んだ?令呪三画を使用しないと使えないんだよ。強すぎる力は代償が大きいってね!」

 

シトナイ「じゃあ、あの文字化けは何?」

 

作者「君のようなカンのいいガキは嫌いだよ。なんて事は無いですが……まぁ、キニスルナ」

 

サーベラス「ネタバレ厳禁ってやつか……ハイハイ次々!尺を無駄にするな!」

 

■■■■■■■■■■■

ランク:不明

種別:不明

レンジ:不明

最大捕捉:不明

■イ■ィ■グ・■■■■■

■■■■としての自分を■■して■■■■に作られた■■■■■■■■■■となり、敵を■■■尽くす。様々な敵への特攻を持つ、最強に近いの宝具。

相手だけでなく空気中の魔力も■■■が特に被害はない。

 

シトナイ「今度は完全に文字化けしてるね。」

 

作者「まだ使用してない宝具だから仕方ない。」

 

サーベラス「だったら表示しなければいいのでは?」

 

作者「じゃあ今日からシャドウ・ワールドだけにする?」

 

サーベラス「文字化けしててもいいからそれだけは勘弁な。」

 

シトナイ「それでは次は、文字化けしてない宝具だよ!」

 

天地貫く主神の神槍

ランク:A

種別:対人宝具

レンジ:無限

最大捕捉:狙った物全て

グングニル

北欧神話に登場する、主神オーディンが使用する神槍

その効果は狙った獲物を逃さない。

1度狙われて槍を投げられてしまえば当たるまで槍は追いかけてくる。

その為、複数人を同時に狙い、片方が死んだら即座にもう片方に狙いを定める事も可能。

オーディンがサーベラスに祝福を与えている為、真名解放や投影時のコストがとても少ない。

 

サーベラス「俺が英雄王戦で使った宝具だな。やけに使いやすいと思ったらそう言うことだったのか……」

 

シトナイ「あの時は凄くカッコよかったね!!あっちの私も記憶で見た時は見ていた時は凄いと思ったよ!」

 

サーベラス「自動追尾の槍……自害せよなんて言われたら一溜りもないな。」

 

作者「ここではまだ紹介しないけど北欧神話関連の宝具はいくつか考えてるよ。何せ、俺が1番好きだった神話だからね!」

 

サーベラス「まぁ、その時を待ってくれると嬉しいです。取り敢えず次で宝具は最後かな?」

 

天羽々斬

ランク:A++

種別:対人宝具

レンジ:1〜100

最大捕捉:100人

アメノハバキリ

日本の古事記に記されている須佐之男命(スサノオノミコト)の剣の1つであり須佐之男命(スサノオノミコト)が八岐大蛇を殺すのに使用した伝説の剣。

とてつもない力を秘めており、八岐大蛇を殺したこの剣は日本の妖魔のみならず竜種や爬虫類に特攻を持っている。

最大威力で放つ事により八岐大蛇との戦いを再現した技を放つ事も出来る。

 

作者「日本の古事記(伝説)でお馴染みだね。でも最近は知らないって人の方が多いんだよな〜。皆、八岐大蛇の本は読んだのかな?」

 

サーベラス「これは偏見だが、八岐大蛇を知らなくても、日本人なら大体は知ってるんじゃないか?天皇様が持つ三種の神器のひとつ草薙剣(クサナギノツルギ)に続く国宝だからな。美術館に飾られてるから本物(とされる物)も見られるな。」

 

作者「ちなみに草薙剣(クサナギノツルギ)天羽々斬(アメノハバキリ)で八岐大蛇の尻尾を切った時に中から出てきた伝説の剣のひとつだな。スサノオはあの後アマテラスにそれを献上したと言う。」

 

シトナイ「私、ヤマタノオロチ?ってのはよく知らないのだけど?」

 

サーベラス「日本のヒュドラとでも思ってくれ。最も、首は八つだし、危険な毒もないし、首が増えたりもしないがな。何より死因が酒で酔わされて滅多切りにされたって言う少し変な死に方だけどな。まぁ、あれが日本で初めての酒だと言われてたんだ、慣れてないから無理も無い。」

 

シトナイ「何よそれ………本当に竜種なの?」

 

作者「伝承では八ツ又の大蛇だから八岐大蛇と呼ばれてるらしいぞ?さていよいよ終盤だ…サーベラス君にも使い魔が出来たんだなとマーリンが驚いてたね。」

 

オロチ

サーベラスが呼び出す蛇のような使い魔。

その正体は八岐大蛇であり、サーベラスが呑み込んだケルベロスの魔力に惹かれ合うように現れてサーベラスに餌付けされた結果、使い魔として契約した。

普段はサーベラスのマフラーの中で温っているがサーベラスに敵対する物が現れたり、サーベラスに頼み事をされた時のみ外に出て行動をする。

とあるサーヴァントとよく喧嘩をしてるのだとか……

 

サーベラス「可愛いよな、オロチ。」

 

シトナイ「それってさっき解説してたヤマタノオロチなんじゃ…」

 

作者「餌付けされた蛇にしか見えん。伝説の大蛇はこんなにも懐きやすい物なのか?それも、よりにもよってスサノオが少し混ざっているサーベラス君に」

 

オロチ「シャァァァ!」

 

作者「痛いから噛むな!?最後にサーベラス君の名前の由来でも話すかい?」

 

シトナイ「何それ気になる!」

 

サーベラス「俺もよくわかってないから頼む。」

 

作者「とある読者様は気付いた見たいだけどね?サーベラスって言うのはケルベロスのラテン語での名前だね。ケルベロスって言う名前は主にギリシャ、ローマでの名前でラテン語で話すとサーベラスになるらしい。」

 

サーベラス「へぇ〜そりゃ、アンリが俺の人類悪(ビースト)をケルベロスと名付ける訳だ……」

 

シトナイ「なるほどね?て事はお兄ちゃんは地獄の番犬!犬って事だ!お手するかな?」

 

サーベラス「シトナイ!?嫌、サーヴァントだけどさ!それは酷くないか!?犬って呼ばれるのはクーフーリンだけでいいだろ!?」

 

作者「それもだいぶ酷い気がするのだが………まぁ、取り敢えず今回はここまで!また解説が必要な事があった場合解説させて貰うよ!それでは!」

 

「「「またどこかで!」」」

 

作者「あっ、それと酒呑童子の前ではオロチを出さないようにね?殺されるか懐かれるよ」

 

サーベラス「あぁ………気を付ける事にするよ。」

 



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カルデアバレンタイン《サーベラスの苦労劇》

え?まだカルデアには来てないって?
流石に、めでたい日なのでこれぐらいは投稿しますよ〜

いつもより書く内容が少ないですしね……
それは、それとして……

今回はバレンタインを迎えたカルデアでのサーベラスの苦労劇を見て頂こうと思いましてね。

まぁ、要するに……
サーベラスのイベントです、以上!!

楽しんでいってくださーい!


バレンタイン……それは、人々の恋を実らせる、もしくは、より愛や友情を深める為のイベント……

 

本来はローマにいた聖ウァレンティヌスという兵士が、“戦争中は結婚してはならない”と言うルールを破り、愛した女性と結婚式をあげ、その後処刑された。

 

そのルールを破ってでも愛に正直に生きた聖ウァレンティヌスを称えて、記念日となった日がバレンタイン。

 

バレンタインのイメージカラーである赤は、血の赤なのだとか……

 

そして、恋人の日となったバレンタインはいつしか気になる人、愛してる人、日頃の感謝を伝えたい人に物を送る日となった。

 

これも、また様々な国の文化が出ていて、日本ではチョコレートを送るが、ローマ等では薔薇などの花を送るのが主流なのだとか。

 

まぁ、兎も角だ。

そんな、ほぼ全員が幸せに包まれる日がバレンタインなのだ。

 

そんな中、現在俺は胃痛に悩まされている。

理由は……まぁ、後ほど説明するよ。

 

「やっほー!サーベラス!」

 

「よぉ、マスター!どうしたいきなり?ヤケにハイテンションじゃないか。

 

もしかして、マシュ達からチョコ貰って浮かれてるとか?」

 

「よ、よく分かったね。」

 

「そりゃ〜分かるさ。天然女たらしなる弟を持つ俺は、こう言うイベントにも慣れているんだよ。

 

今更、マスター見たいな天然英霊たらしがいても驚きはしないさ。」

 

「それ、褒められてるのか弄られてるのか分からないんだけど。」

 

「ん?あぁ!褒めてるよ、褒めてる。天然なのは置いといて、英霊達に気に入ってもらえるって事はマスターがそれだけ魅力的ってことだからね。

 

まぁ、流石にキヨひーには驚くけどよ。」

 

「あはは、だよね。」

 

「っで、なんだいマスター?何か俺に用でもあったのかい?」

 

「あ、そうだった!はい、コレ!」

 

…………チョコを受け取ってしまった……

 

「いいのかい、コレ?俺のような人類悪に?」

 

「人類悪とか、関係無いよ。純粋に今までのお礼。」

 

「そうか、なら受け取っておこう…………さて、数時間ぐらい待ってくれないか?

 

朝からドタバタしててな、マトモな物がまだ作れてねーんだよ。」

 

「ドタバタってどんな風に?」

 

「ん?そりゃ〜ま、あれだ、家族と知り合いからのチョコプレゼントだ。」

 

「な、なるほどね……大変そうだね。」

 

「そうだろ?おかげで胃が痛てぇのなんの」

 

「フォウフォーウ!(面白そうだから、説明しろ!)」

 

「いて、痛いっての!?言うから、言うから叩くのをやめろ、プライミッツ・マーダー!」

 

はぁ、俺と戦ったの時の面影はどこへ行ったのやら。

 

「あれは……そうだな……」

 

 

朝5:00

 

正義の味方の朝は早い。

俺は毎日、朝早くから食堂に行って士郎(アーチャー)やブーティカさんの朝食の仕込み等を手伝うことを日課としてる。

 

だから、常に30分前に起きて、先に朝の運動だとかをすませているのだが……

 

なんだか嫌な予感がする。

ベッドから目を覚ましたらそこには、トラブルが待っている気がする。

 

それでも、目は覚ますんだけどね。

そう思い、毛布から出ようとした時だ。

 

「お兄ちゃん、おはよう!!!」

 

「ごフゥ!?」

 

イリヤ(シトナイ)にダイブされた。

はっ、腹が痛てぇ!?

 

「なっ、なんだよイリヤ。こんな朝っぱらから……」

 

「お兄ちゃん、今日が何の日か知ってる?」

 

「今日が何の日か……って?」

 

なんだっけなーと思いながらカレンダーを見る。

2月14日……あ、バレンタインデーか。

 

「あ、バレンタインか!」

 

「そう、という訳で、はいコレ!」

 

雪見チョコ……何気にイリヤからチョコを貰ったのは初めてだったな。

 

「サンキュー、イリヤ!お返しは楽しみに待っててくれよ?」

 

「うん、期待してるね!お兄ちゃん!」

 

さて、痛む腹もなんのその。

妹からチョコを貰った俺は最強だぁ!

 

そう思い、部屋を出ると白い光に突撃を喰らった。

 

「グベェ、母さん!?」

 

そう、それは案の定母さんから。

その突撃癖は英霊になっても治らないらしい。

 

いや、イリヤにも受け継がれてたなコレ。

士郎も1回やられてたらしいし。

 

「おはよう、サーベラス。はいコレ、お母さんからのプレゼント。」

 

「デッカイねぇ……でもありがとう母さん。後でじっくり食べさせてもらうよ!」

 

母さんにはチョコケーキを貰いました。

父さんとイリヤ、そして俺をモチーフにした人形は可愛らしい。

 

この人形はチョコじゃないのだとか。

よし、永久保存だ。

 

切嗣に渡しに行ってくるわ〜とハイテンションで道中にいたイリヤ(シトナイ)を捕まえてアサシンエミヤ(父さん)の所へ行ってしまった。

 

なんだあの速度……ま、いっか。

さて、とっとと食堂に行って……

 

「やぁ、兄さん。残念ながら今日の食堂は女性サーヴァントに占領されていてね。

 

私達男性の出番は今日はないんだとさ。」

 

「マジかよ、アーチャー……じゃあ、もう少し寝るかな……」

 

マイルームに帰宅帰宅……しようとしたら、超高速の物体が真横をすり抜けて行った。

 

気付け、俺の手には無数の(腹)黒い桜ちゃんらしきミニキャラが描かれた箱が……中にはいわゆるポッキー擬きが……

 

「カーマか……ありがたく受けとっておこう。にしても……今日は皆、とても早く動くな。

 

クロックアップだとか、超重加速現象でも起こってるのか?」

 

とりあえず、とっととマイルームに帰還しよう。

そう思い、歩き出す……マイルームの直前にある廊下で、蛇のような何かに捕まってしまった。

 

このパターンは……

 

「おはよう、ゴルゴーン。何か用かな?」

 

「今日が何の日か知っているのにしらばっくれるのだな。ほれ、コレをやる。じゃあな。」

 

地味にでかいたまご型のチョコを貰ってしまった。

これ、鳥のたまご……だよな。蛇のやつとは形違うし……まっ、いっか。

 

しかし、その後もマイルームに帰還する事は出来ず……

 

アルターエゴ達に捕まってチョコを貰ったり

 

「ほら、コレ。」

 

「コレ、どうぞ!」

 

「大きいけど、あげる!」

 

クリスタルに、プリンに、超巨大なチョコ。

うん、ありがたや、ありがたや。

 

今日は断食だな。

チョコを食べきらなくては……食べきれそうに無かったら……(チョコを)喰らい千切る地獄の番犬(バイティング・ケルベロス)しなきゃな。

 

さて、このパターンだと、まだまだ来るんだろうな……

 

「「「オーディン様、どうぞ!」」」

 

「困るでしょうけど……どうぞ。」

 

戦乙女達からも貰ってしまった。

俺は、オーディンと融合こそしているけど、オーディンとして扱わなくてもいいのに……

 

え?それはそれとしてお兄様?

俺は君達の兄じゃない!?まぁ、主神とか言われるよりはマシか。

 

っで、次は誰かな?

 

「スタァが苦労して作りました、食べなさいよ?」

 

メルト?水着に着替えてもう一回は流石に大丈夫なのか?

 

え?マスターにもやる?

……お前、月の海にいた頃と本当に変わらないな。

 

どーせ、心の中では愛が爆発してるんでしょ?

俺を騙せると思うなよ?

 

そしてその後はプリヤ達が

 

「はい、お兄ちゃんコレ!」

 

「私からもこれを……」

 

「お返しは、3倍の魔力でね?」

 

「ありがとう。とりあえず、クロエは後で叱っておこう。」

 

「な、なんでよ!?」

 

イリヤとクロエからは小さな袋に入ったチョコを、美遊からは月のような飾りを乗せた本格的なチョコケーキを貰った。

 

「……さて、そろそろ胃が痛くなってきたぞ?」

 

「お疲れ様です、サーベラス。」

 

「うん。おはようライダー。」

 

「朝から目が死にかけていますが大丈夫ですか?」

 

「あっ、すまん。メルトやリップ、プロテア、戦乙女、魔法少女達にチョコを貰ってな。」

 

「相変わらず仲がいいですもんね……あの、迷惑でなければコレを。」

 

ライダーがくれたチョコレートはいわゆるお店の高級チョコ。

 

そうだ、俺はコレ(普通)を求めていた……と思う。

胃痛が少し和らいだ。

 

「チョコか、ありがとうな!ライダー!」

 

満面の笑みで俺を言う。

感謝するのは、当たり前の事だからな。

 

でも、なんでかライダーが真っ赤になってどこかに行ってしまった。

 

俺、何か悪いことでもしたか?

 

「あの、サーベラスを見ませんでしたか?」

 

「あぁ、サーベラスさんですか?それならあちらにいましたよ?」

 

何やら俺を探す声も聞こえる。

聞き覚えのあるこの声……俺との付き合いがイリヤ達の次に深い英霊……そう、ランサーのメドゥーサだ。

 

「おはようランサー。俺を探してどうした?」

 

「はい、コレをあげようと思いまして!受け取ってください!」

 

そうやって受け取ったのは、たまごの中から、蛇の胴体をしたランサーが覗き込んでるチョコだった。

 

「う〜ん。可愛い。

食べるのがもったいないやつだな。」

 

「さ、サーベラス!?食べるのがもったいないって、それよりも可愛いって……」

 

「……あっ、口に出してた?いや〜本当に可愛いからさ。それに、ランサーの形をしてるだろ?ちょいと保存したいなって思ってな。」

 

よし、写真はとっておこう。

最後のご馳走って奴かな?

 

「写真を撮ったし……ありがとうな、ランサー!美味しく頂くよ!」

 

思わずランサーの頭を撫でる。

イリヤ達にやってるから癖づいてるんだよね。

 

「あ、あ、あ、」

 

ボン!と何かが爆発する音がした。

よく見るとランサーが赤くなって頭から煙を出し、倒れている。

 

「ら、ランサーが倒れた!?」

 

「「「この蛇たらし!」」」

 

「ごばぁぁ!?なんでさぁぁ!?」

 

そして、何名かの攻撃を喰らってマイルームへ吹き飛ばされた。

 

具体的に言うと、イシュタルに蹴られて吹き飛び、ジャガーマンにあの肉球の形をした謎の棒で吹き飛ぶ方向を変えられ、その後、アストライアにバックドロップされる形でマイルームに飛ばされた。

 

うん、とてつもなく痛い。

特にアストライアの攻撃は特攻が刺さるから痛い

俺の属性は《混沌・善/悪》アストライアの宝具は悪特攻持ち……後は、分かるよね?

 

「という訳で、今に至るんだ。」

 

「なるほど、流石サーベラス。ド天然だ。」

 

「誰が天然だ誰が!!マスターにだけは言われたくないね!

 

とりあえず、お返しを作ってくるから待っていてくれ。まぁ、数時間かかるだろうけどな。」

 

「じゃあ、マイルームで待ってるねー!」

 

 

 

────数時間後

 

 

 

「ノックして、もしも〜しっと……お〜い!マスター、入っていいか?」

 

「どうぞ〜」

 

「邪魔するよっと、物騒な形だが、結局これに落ち着いたな。ほらよ、味は保証する。

 

オマケは自由に貰ってくれ。

それじゃあ、俺は大量のチョコを消費に行かなきゃ行けないからな……頑張れよ、マスター。」

 

「オマケって……これは、剣!?」

 

「のレプリカ……つまりは模型だ。

やってみると意外と大変でな。流石にやり過ぎたと反省してる。

 

斬れ味はゼロで危険度はないけど、マスターはこういうの好きだろ?

 

それじゃあな!」

 

「……恐るべし、皆の兄貴にしてもこれ……カッコイイな!」

 

「フォ、フォウフォーウ!?(本格的なレプリカだ!僕も欲しい!)」

 

「フォウ君にもコレはあげないよ!チョコなら、一緒に食べよっか!」

 

「フォーウ!」

 

──概念摘出──

 

干将・莫耶チョコレート

 

サーベラスからのお返し。

 

細かく、模様の一つ一つまで丁寧に作られている。

干将はブラックチョコレートを、莫耶はホワイトチョコレートを使っていて、なんと、チョコしか使っていないのに干将・莫耶にそっくり!

 

それに加え、レプリカまでついてくる!

 

本人は、オーバーエッジさせようかな?

と悩んだらしいが、マスターのことも考えて通常サイズ。

 

レプリカと違って、チョコ本体は板チョコ程度のサイズになってるから、大量のチョコを貰うマスターにも優しい。

 

それに加え、なんと、栄養まで込められていて、食べれば魔力増幅間違いなし!

 

そして何よりも、美味しい!

これが、皆の兄貴の作るチョコか……と思い知らされる

まさに、心を込めた一品!

 

レプリカで遊びつつも、味わって頂こう。



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カルデアホワイトデー《サーベラスの苦難》

前回のあらすじ〜
サーベラスは色んな人からバレンタインチョコを貰いました。

今回はそのお返しを作成する模様です。


───三月十三日(ホワイトデー前日)

 

ホワイトデー……バレンタインと対になるイベント。

バレンタインが、女性が感謝を伝える日なら、ホワイトデーはその真逆。

 

基本的には、バレンタインの三倍返しという、暗黙のルールがあるのだとか。

 

また、日本では、お返しのお菓子にもそれぞれ意味があるらしい。

 

まぁ、生前の殆どを冬の城で過ごしていた俺は、その文化もいまいち分からないけど……

 

兎も角、ホワイトデーはバレンタインに貰ったチョコの分のお返しをする大事なイベントなのだ。

 

しかし、流石カルデア。

ここで常識が通じると思ったら痛い目を見る。

 

なんと、カルデアでは毎年、何故か男性鯖の写真集等を発売するイベント……その名も

C(カルデア)B(ボーイズ)C(コレクション)

 

あのアーチャーや、英雄王ですら、いつの間にか撮影されていると言う誰が作っているのか……また、何のために作っているのかが不明の雑誌だ。

 

正直に言うと、俺は映りたいとは思わないので、こうしてお返し作りに励んでいる所だ。

 

ただ単にお菓子をお返しとして作るだけでは、なんか、ダメな気がする。

 

だから、今の俺が何をしているかと言うと……

 

「いてっ……結構な頻度で指に刺さるな。」

 

裁縫だな。

ヴラド三世に見習って、チョコをくれた人達用のぬいぐるみを作ってみている。

 

……まぁ、ぬいぐるみが好きじゃなさそうな人もいるけど……うん、その場合は別の何かを考えよう。

 

取り敢えず、今出来てるお返しは……

 

“マスター用のマシュぐるみ”

 

“サクラファイブ用の白野のぬいぐるみ”

 

“ワルキューレ達用のそれぞれのぬいぐるみ”

 

“ブリュンヒルデ用のシグルドのぬいぐるみ”

 

“カーマ用のマスターのぬいぐるみ”

 

“魔法少女達用の変身後の姿のぬいぐるみ”

 

“母さん用の衛宮家全員のぬいぐるみ”

 

シトナイ(イリヤ)用の士郎のぬいぐるみ”

 

ここまでは、徹夜で完成させた。

だから、今作っているのは、ランサーと、ライダー、ゴルゴーン用のお返しだ。

 

確か、メドゥーサ達もゴルゴーンも、エウリュアレとステンノの事が好きだったはずだから……

 

うん、ゴルゴン姉妹のぬいぐるみだな。

基本となる素体は二人とも同じ、違うのは目付きや、手のポーズ……

 

よし、徹夜で細かな違いを完成させてやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇マスターside

───三月十四日(ホワイトデー当日)

カルデア:食堂

 

 

……あ、皆さん初めまして。

カルデアのマスター、藤丸立香です。

 

ちょっと、早い登場だけど、まぁいいよね?

ここは、カルデアの食堂。

 

古今東西様々な英霊達が集まるカルデアの中で、シュミレーションルームと同じぐらい賑やかな場所。

 

エミヤ、ブーティカ、玉藻、紅閻魔……

料理上手な英霊達が誰もが満足出来るような料理を作る一種の戦場。

 

なんなら、エミヤに至ってはこうして、戦場よりかは、キッチンに立っている方が似合ってるんじゃないかと思ってしまう。

 

さて、話を戻すと……

今日はホワイトデーだ。

 

その為、バレンタインでチョコやクッキー等をくれた女性サーヴァント達へのお返しに、俺はエミヤに手伝ってもらいつつも、数百人分のお返しを作成した。

 

……ちなみに、ここだけの話。

エミヤは様々な女性サーヴァント……主に、イシュタルとエレシュキガルやパールヴァティー、カーマ……何より大変なのが、あの腹ペコで有名なアルトリア達に気に入られている事だろう。

 

なんで気にいられているかは、俺には分からない。

でも、サーベラスによると……

 

『ん?エミヤが気にいられている理由だって?

決まってんだろ、アイツは君と同じ天然たらしなんだよ。

 

イシュタルとか、パールヴァティーとかに関してはたまたま、依り代になった子達が、生前のエミヤのことを好きだったってのもあるけどさ。

 

あ、セイバー……じゃなくて、ここではアルトリアだったな。まぁ、アルトリアも同じ理由だ。

 

基本となるアルトリアが生前のエミヤの事が好きだったのなら、その感情とかが、英霊の座を通じて、別の平行世界のアルトリア達に影響を与えたんだろうよ。

 

……マスターも、そう言うタイプには気をつけろよ?

正直に言うと、俺だっていつ君が平行世界のマシュを召喚してしまうか、怖くてねぇ〜。

 

ほら、マシュの中にいるのは円卓の騎士ギャラハッドだからさ、セイバーとしてのマシュもいるかもしれないし。

 

……え?俺のオルタ?

ナイナイ!俺はどこまで行っても守護者だからな。

 

別の世界でも、どこまでもお人好しな奴なんだよ。

にしても……やっぱり、マスターと士郎は似てるよな。

 

天然な所とか、女たらしな所とか。

あ?俺も俺で天然だって?

 

……案外そうかもな。』

 

天然は余計なお世話だけど、エミヤの生前と似てるって言われたな〜

 

エミヤって、天然女たらしだったのか……

まぁ、その片鱗は今も残ってるけど。

 

と言うか、俺は女たらしじゃない!!

兎も角!今日はホワイトデー、それは勿論、他の男性サーヴァントも同じらしい。

 

ジーク君はジャンヌに、シグルドはブリュンヒルデに、カルナはガネーシャに贈り物をしている。

 

けど……

 

「妙だ……」

 

「何が妙なんですか、先輩?」

 

「あ、おはよう。マシュ。

いや、実はね。さっきからサーベラスの姿が見えなくてさ。」

 

「サーベラス先輩が、ですか?」

 

「そうそう。さっき、エミヤにも聞いてみたんだけど、珍しく姿を見せていないらしいよ。

 

どうかしたのかな?

途中でアーチャーのギルガメッシュに絡まれたとか。」

 

「あぁ……あの二人は仲がものすごく悪いですもんね。」

 

アーチャーのギルガメッシュとサーベラス。

カルデアの中でも、一番仲が悪いと言っても過言では無いコンビだ。

 

その仲の悪さは、あのテスラとエジソンが”私達でも流石にアレ程仲は悪くないぞ”と口を揃えて言うくらいだ。

 

表すなら、犬猿の仲……いや、もはやアレはそういうレベルじゃない。

 

遭遇したら殺し合いが起きて、カルデアが崩壊するレベルだ。

 

「でも、それにしては静かですよね。」

 

「確かに……」

 

騒がしくないのに、サーベラスがいない……

何をしているんだろう。

 

「おはようございます、マスター……あの、突然で悪いのですが、マスター。サーベラスを見ませんでしたか?」

 

「あ、アナ。おはよう。

ちょうど、今その事について話してるんだよ。

 

珍しく、サーベラスが来てないからさ。

……サーベラスには悪いかもしれないけど、サーベラスの部屋に行ってみようか。」

 

そういう訳で、俺達はサーベラスの部屋に移動する事にした。

 

……向かっている途中でイリヤ達や、アルターエゴ達と、人が増えていくが……まぁ、気にしなくてもいいだろう。

 

そして、サーベラスの部屋の入口が見えてきた……

あれ?でも誰かが前に立ってないか?

 

「あ、お母様だ!」

 

「アイリさん!今、ちょうど、サーベラス先輩の部屋に用があって!」

 

「し〜っ。今は起こさないであげて。」

 

「え?起こさないでって……もしかして?」

 

「ほら、こっちこっち。うふふ、やっぱり、まだまだ子供なのね。」

 

俺達を手招きしながらそーっと、ドアを開けたアイリさん。

 

俺達は開けられたそのほんの少しの隙間からサーベラスの部屋を除く。

 

はっきりいって、部屋は散らかっていた。

なにかの設計図?のような紙が散らばっていて、その奥にある机にうつ伏せになる形でサーベラスが眠っていた。

 

その机には、イリヤ用、シトナイ用、マスター用等、それぞれに当てられた紙が貼り付けられた、ぬいぐるみが置かれていた。

 

サーベラスの手は、アナとメドゥーサ、ゴルゴーンの形をしたぬいぐるみを作り終わった瞬間に眠気に負けたのか、アナのぬいぐるみを手に持ったまま、顔を机に擦り付けて眠っていた。

 

「ふふ、あの子ったら、皆へのお返しを作る為に必死だったみたいよ?器用なはずなのに、手に沢山の怪我をしているし、何より、皆を指名してぬいぐるみを縫っていたのが、何よりの証拠ね。」

 

「……そうですね。しばらく、寝かせてあげましょう。(私や姉様達の形をしたぬいぐるみを作って寝てるって……起きたらお礼を言いましょう。)」

 

その後、起きてお返しを配り終えたサーベラスは、しばらくの間、メドゥーサ系鯖とシトナイに話して貰えなかったと言う……

 

「おーにーぃーちゃーん!!」

 

「ちょ、イリヤ!?待て待て待て、飛び込むな!ぐはぁぁ!?」

 

「「サーベラス!?無事ですか!?」」

 

「い、胃が痛い……誰か助けて……」

 

「ほれ、胃薬だ。余計辛くなる前に飲め。」

 

「サンキュー、ゴルゴーン。やっぱ持つべきものは友だな……コフッ」

 

ちなみに、この一件で何故かヴラド三世とサーベラスが仲良くなって、いつの間にか、俺に裁縫の仕方を教えて、くれるようになった……恐るべし、皆の兄貴。



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この日(エイプリルフール)の憂鬱

「………………」

 

「どうしたの、お兄ちゃん。

そんなに口を開けたままフリーズして?」

 

「……………………ど、どういう事だ?」

 

何故、イリヤがこんなに小さく……

と言うか、なぜこんなにゆるキャラっぽい姿に?

 

なんか、胃が痛くなってきたぞ……??

なんなんだよ本当に……

 

「うん、ごめんイリヤ……俺は多分、また吐血すると思う。」

 

「あ、もしかしてこの姿を見て驚いてた?」

 

「おう。そりゃぁ〜驚くさ。

だって、ただでさえ、小さいイリヤが更に小さくなるって……」

 

そう、今のイリヤの身長は、脅威の115cm!!

体重も、文字通り羽毛のように軽かった。

 

と言うか、軽すぎて、下手にいつも通りの力を入れたら吹き飛びそうで怖い。

 

……はぁ、どうして毎回こんな目に。

と言うか、お前も変わるのか、シロクマのシロウくん。

 

「あ、今のうちに言うけど、今日のカルデアは全体がこんな感じになるから、気を付けてねお兄ちゃん。」

 

「え?マジで?

マシュとか、マスターとかも小さくなるの?」

 

「うん、なんでも、変なオレンジ髪でマスターにそっくりな女性が極小特異点で発見されて以来、エイプリルフールには全員がこうなるんだって。」

 

「……そんなのありかよ。」

 

「と言うか、変わってないお兄ちゃんが異常なんだってば。」

 

「そうかな……俺は変わるつもりもないし、不便じゃないか、生前の最後の姿より小さいって……キッチンとか届かないし、掃除もしにくいし、いい事なんて全くないよ。」

 

そもそも、生活しずらいからわざわざ、大人の姿で暮らしてるのに……

 

まぁいいや。

取り敢えず、料理でもしてきますかね。

 

 

 

〜食堂にて〜

 

 

 

 

「すまない兄さん、持ち上げてくれないだろうか……」

 

「士郎まで小さく……って事は、ブーディカさんや、紅閻魔ちゃん達も……」

 

「あぁ、小さくなってる……今ではもう、エイプリルフールの恒例行事と化してるよ。」

 

「……よーし、士郎達は休んでなさい!

今日は、士郎達の分も、俺が頑張ってやる!」

 

「なっ!?兄さん、無理はしないでくれ!

ただでさえいつも、私達よりも働いてると言うのに!!」

 

「いいんだよ。俺は兄さんだからな、弟達を助けるのは当然だろ?」

 

「兄さん……」

 

「それに、こんな穢れたセイギノミカタが、戦闘以外で役に立つんだ!これほど嬉しいことはないさ。」

 

「分かったよ……だが、無理だけはしないでくれ。」

 

「勿論!全部兄さんに任せなさいってんだ!」

 

 

『うぅ……いい話ねぇ……(←面白そうだから覗きに来たイシュタル)』

 

『あれこそ、仲のいい兄弟のお手本ですよね(←イシュタルを止めに来たパールヴァティー)』

 

『あぁして見ると、冬木の時となんら変わりはありませんね。(←イシュタルを止めに来た+サーベラスを見に来たメドゥーサ)』

 

「さぁ〜て……ちょいと本気だしますかぁ!」

 

 

 

 

 

 

〜数時間後、マイルームにて〜

 

「ふぃ〜終わった終わった!」

 

あの後、必要な作業は全部終わらせた。

強いて言うなら、後は夕食を作るだけだ。

 

「んじゃ、それまでマイルームで休みますかね〜」

 

そう思っていた時だ。

ウィーン、と扉が開く音がした。

 

「ん?誰だ〜ノックもしないで入ってくる不届き者は……ん?何だこのオレンジの……」

 

「おい、お前。唯一無二のクラスを持ってる、ここにしかいない星5キャラらしいな。」

 

「あ?いきなり出てきて何言ってんだ?

クラスはまだしも、星5ってなんだ?」

 

「そうか、では連行する!安心しろ、石はちゃんと置いていく。」

 

「待て待て、意味が分からんぞ。

だいたいてめぇは誰だ。」

 

「あ?これからお前のマスターになるのに失礼だな。」

 

「あ?喧嘩売ってんのかお前?生憎、俺のマスターは俺が認めた人達だけだ。

 

てめぇなんざァ、二万年はえーんだよ。」

 

「何だと!?サーヴァントの癖に生意気だぞ!」

 

「それにお前、いつかしらに極小特異点を作った犯人だろ。」

 

「ギクッ……嫌だな〜そんな事する訳〜」

 

「問答無用!生まれ変わって出直しな!『喰らい千切る地獄の番犬(バイティング・ケルベロス)』」

 

「ギィィヤァァ!?覚えてろぉぉぉぉ!?」

 

「正義は必ず勝つ……って、何だこの姿ァ!?」

 

「どうしたんですか、サーベラス!?って……」

 

「ランサァァ〜!?俺、なんでこんな姿にぃ〜!?」

 

「…………よくある事です。」

 

「んなバカなぁ!?……はぁ、ルールブレイカーとペインブレイカーを同時投影して治すか……」

 

「えぇ……可愛いのに勿体ないです……」

 

「ん?どうした、なんか言ったランサー?」

 

「いえ、ナンデモナイデス。」

 

「……そう?なら良いけどさ。

元に戻るまで手伝ってくれると嬉しいんだけど……いいかな?」

 

「ええ、任せてください!」

 

 

 

『『『微笑ましいな……(通りすがりのマスター、マシュ、アイリ)』』』

 

今日もカルデアは平和です。





【挿絵表示】


サーベラス・フォン・アインツベルン
ひーろー サーヴァント

天然蛇たらし、最強の兄さん、の二つ名を持つ、セイギノミカタのサーヴァント。

どんな人にも手を差し伸べる、根っからの善人。
ただし、怒ると三つの首を持つ巨大な獣になる怖い人でもある。

この人を召喚した聖杯戦争で、ランサー、ライダー、バーサーカーの枠が空いてると、94%の確率で、メドゥーサ系統のサーヴァントが召喚されるから注意。

兄は強し
その言葉を具現化したような人。


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二月三日と言えば……

番外編……それは前回のあらすじも次回予告もいらない特別な一話……という訳で、今回の司会は俺では無いですけど、楽しんでいってくださいね!


番犬さん「え〜と、カメラ映ってるかな?映ってるな?よーし。

 

よぉ!読者の皆!俺の名はサーベラス、サーベラス・フォン・アインツベルンだ!長いから番犬さんとでも呼んでくれ!

 

ん?この挨拶が何かって?最近の流行りらしいから、やってみただけだ。

 

そんなことは置いておき、読者の皆に質問だ。

 

君達は二月三日と聞いて何を思い浮べる?

 

やっぱり、皆は豆撒きのイメージがあるよな!鬼は外福は内って言いながら豆をまいて、悪運を追い出すイベントだ。

 

だがしかぁし!!

俺のような型月民には二月三日は節分よりも、重要な日なのだ!!

 

何故って?それはな……

 

 

今日が、士郎がセイバーを召喚した(運命に出会った)日であり、同時に、遠坂凛ちゃんの誕生日だからだァ!

 

というわけで、今回は俺のスキル『単独顕現』を悪用……基、利用して、staynightの士郎と、セイバー、凛ちゃんにプレゼントを配る事にしたよ!

 

プレゼントの中身は凛ちゃん達には大量の宝石、士郎には料理道具、セイバーにはセイバーと士郎の運命の出会いのシーンを切り取った写真を飾ったロケットペンダントをあげようと思う。

 

作者が死にかけるからダイジェストで送るけど、そこは許してやってね?

 

それじゃあ、まずはstaynight時空へ、ゴーゴー!

 

番犬さん「やって来ました冬木市!現在俺がいるのは、衛宮邸の影の中……流石に、死んだ俺が姿を現すとめんどくさい事になるからね。

 

だから、アサシン並みの気配遮断をもつ影の中から、プレゼントを置いて行っていきます。

 

まずは、セイバー!レッツ、ラ、ゴー!!」

 

 

セイバー「Zzzzzz……シロウ〜お腹がすきました〜Zzzz」

 

相変わらず食べ物の事ばかり考えてるんだな、この腹ペコ青王は……さて、プレゼントボックスを枕元に置いてっと……

 

今考えると、これって季節外れのサンタだよな……

まぁ、いっか!

 

次は士郎だが……

 

シロウ「────投影開始(トレース・オン)。」

 

アーチャー「では、行くぞ未熟者。覚悟は出来ているな?」

 

シロウ「あぁ、勿論だ。行くぞアーチャー……やる事は単純、ただ一つだ。」

 

二人の士郎「「遠坂に最高の誕生日料理を作るぞ!」」

 

桜「ちょ、私も手伝いますぅ!!」

 

……俺がでれないんだけど?

 

士郎の部屋にでもプレゼントボックスは置いておくか。

 

最後に凛ちゃんの所だけど……

 

凛「アーチャーはいないし、桜もいないし……あぁぁぁ!!!明日が楽しみすぎて眠れないわ!

 

でも、落ち着くのよ、私。遠坂たるもの常に優雅たれよ。ここで、小学生のような反応をしても仕方ないわ。

 

でも、やっぱり……楽しみね!!」

 

あらら、寝てない。

これじゃあ、こっそり置いていく事も出来ないじゃないか……よし、衛宮邸の凛ちゃんの部屋に置いておこう。

 

…………にしても、うっかり本性を見せるとか、やっぱり遠坂家の血筋はうっかり属性になる運命なのかな……桜ちゃんもたまにうっかりしてるし。

 

まぁ、いいか!

それじゃあ、とっとと退去して……って、一回、影からでなきゃな。

 

場所は……目立ちにくいし、第四次聖杯戦争の時に俺の工房にしてた廃病院でいっか。

 

番犬さん「さーて、それじゃあとっとと帰りますかね。」

 

ライダー「随分と早い帰りですね、サーベラス。」

 

番犬さん「そりゃ〜早く帰らなきゃバレますし……って、ライダー!?ナジェバレタンデスゥ!?」

 

ライダー「これでも、元貴方のサーヴァントですからね。いいんですか?クラスが人類悪とはいえ、イリヤ達に会いに行かなくて。」

 

番犬さん「いいんだよ、ライダーにならまだしも、今の俺がイリヤ達に接触したら抑止力に消されるかもしれないんでな。」

 

ライダー「そうですか……では、またいつか、貴方がイリヤに召喚された時にお会いしましょう。」

 

番犬さん「そんな、偶然があれば、だけどね?」

 

こうして、番犬さんの一瞬のプレゼント配りは終わりを告げたのである!

 

ちなみに、翌日プレゼントを発見し、中身を見た凛ちゃんとセイバー、士郎はとても嬉しがったと言う。

 

特に士郎に渡した料理道具は一本一本の耐久性が干将・莫耶のオーバーエッジ状態並みのお手製のものだった為、その日の食事は豪華だったのだとか(後にカルデアでライダーに再開した時にサーベラスが聞いた話。)

 

いや〜短い!短いけど……オマケコーナーを忘れるなよ?

 

それじゃあ、オマケコーナー、行ってみよォ!

 

 

 

ら〜らら〜♪︎らららら〜らら〜♪︎ら〜ら〜ららら〜♪︎

 

 

黒桜の部屋

 

 

 

桜「さて、始まりました黒桜の部屋。このコーナーは本編の私が言えない文句や、質問をstaynight(別人格)の私がぶっちゃけるコーナーになっております。

 

本日のゲストは、姉さんの呼び出したサーヴァントであるアーチャーさんに来ていただいております。よろしくお願いします。」

 

アーチャー「よろしく頼む……では無くてだね?これはどういうことかね。私は先程までカルデアで凛の姿をした女神二人組に絡まれていたはずなのだが?」

 

桜「そこは、いわゆるご都合主義という事で……とりあえず、質問のコーナーに行ってみます!」

 

アーチャー「はぁ……仕方ないな。いいだろう、私に答えられるものなら何でも答えよう。」

 

桜「では、最初の質問です。今回、姉さんの誕生日な訳ですが、アーチャーさんから何か一言はありますか?」

 

アーチャー「そうだな……あえて言うのなら、おめでとうとしか言えないな。」

 

二人「「えぇ〜本当にござるか〜?」」

 

アーチャー「何だね、その地味にイラつく言い方は……そして、何故兄さんも混じっているんだ。」

 

サーベラス「今回はスタッフ枠なんで、そこんとこよろしくね!」

 

桜「アーチャーさん?素直になってください!ここでは、メタ発言が許される空間です!別に姉さんも聞いてませんし、本音をだしてもいいんですよ?」

 

サーベラス「そーだ!そーだ!答えを得たんだから、もっといい言い方があるだろうが!ほら、スマイルスマイル!」

 

アーチャー「無茶ぶりじゃないかね!?」

 

サーベラス「それでは、アーチャーの笑顔のハッピーバースデーまで、」

 

桜「3!2!」

 

二人「「1!!」」

 

アーチャー「誕生日おめでとう、遠坂。これからもよろしくな!」

 

桜「……とっ、尊いです……先輩……(lll __ __)バタッ」

 

サーベラス「良きかな、良きかな。よし、録画したし、後で凛ちゃんに送ろっと!」

 

アーチャー「なっ!?つい乗りでやってしまったが、これが目的だったのだな兄さん!?」

 

サーベラス「ふふふ、この笑顔をみた凛ちゃんはどんな反応をするかな?さらば!」

 

アーチャー「なっ!?ちょ、なんでさぁぁ!!!」

 

桜「それでは、皆様、またいつか……(lll __ __)バタッ」

 

サーベラス「その後、アーチャーの笑顔を見た凛 ちゃんは、鼻血をだしながら気絶して、その日はアーチャーをまともに見れなかったとさ(サーベラス談)

 

まったく、士郎はやっぱり罪な男だよね〜!!

流石、天然女たらしの正義の味方。」

 

ランサー「いや、サーベラスも中々な天然だと思うのですが……天然蛇たらしでアーチャーのサーベラスと蛇でランサーな私……ちょっといいかも……」

 

サーベラス「ん?どうした、ランサー?何か言ったかい?」

 

ランサー「えっ、い、いいえ、なんでもないです!!」

 

サーベラス「そう?ならいいや。」

 

ランサー「せっ、セーフです……」



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三月二日と言えば……

何とか……間に合った……
本編をどうぞ


スタッフ零号「えーと、マイクテスト〜マイクテスト!

 

よし、聞こえてるな?それじゃあ……アクション!

 

よぉ!読者の皆!俺は黒桜の部屋のスタッフ零号!別名サーベラス・フォン・アインツベルン

 

 

突然だが、読者の皆に質問だ。

 

君達は三月二日と聞いて何を思い浮べる?

 

そう、Fateには欠かせない存在(ヒロイン)……間桐桜の誕生日だな!

 

え?このパターン見た事ある?と言うか、どうせ、またプレゼント配るだけだろだって?

 

黙らっしゃい!いいから祝え!

 

まぁ、兎に角だ。

 

俺は今から、staynightとプリヤの桜ちゃんにいつもどーり、“単独顕現”を悪用……じゃなくて、活用してやっていきましょー!

 

そうと決まれば、レッツゴー!

 

 

 

 

 

Now Loading(顕現中)

 

 

 

 

 

やって来ました冬木(staynight)!

やる事は単純。

 

衛宮邸の桜の部屋にこの、士郎型ぬいぐるみと士郎と桜のツーショットが入ったプレゼントボックスを置いて逃げるだけ!

 

影移動って便利ですよね〜。

 

という訳で設置しました。

そして、毎度お馴染み!

 

士郎達が何をしているか覗いて見ましょう!

まずは士郎sから

 

アーチャー「───ついて来れるか?」

 

シロウ「ついて来れるか、じゃねぇ!てめえの方こそ、ついて来やがれ───!」

 

……カッコイイ台詞を言ってるけど、やってる事は料理とプレゼント選びなんだよな。

 

イリヤ「私の弟って、こんなにハイテンションだったっけ?」

 

同感だよイリヤ……さて、お次は凛ちゃんを……

 

凛「ここら辺がいいかしら……かなりいい具合に桜も咲いてるし、ここならちょうどいいわね。」

 

レジャーシーツを広げ、場所取りをしているな。

……成程、花見をしながら祝うのか。

 

流石だな〜

こういう時はあまりうっかりしない凛ちゃんなのであった。

 

さてさて、次だ次!

次は……プリヤの方だな。

 

 

レッツラ顕現!

 

 

 

 

〜Now Loading《顕現中》〜

 

 

 

 

 

 

さてさて来ました冬木(プリヤ)!

 

士郎(イリヤ兄)は普通に(桜の誕生日用に)料理してた。

 

さてさて、新婚夫婦である朔月士郎と朔月桜は何してるのかな〜?

 

…………見せられないよ!?

簡単に言うと、甘い!

 

言峰麻婆が甘くなるぐらい甘い会話が繰り広げられてる!?

 

美遊もそれを見て砂糖無しの紅茶を飲んで甘いって言うほどだからね!?

 

……サファイアからは今度会った時に今撮った画像を徴収する。

 

さて、今のうちにプレゼントボックス(中身は士郎型ぬいぐるみ朔月ver.と、桜ちゃん型ぬいぐるみ朔月ver.あと美遊型のぬいぐるみ)を置いて、とっとと撤退!!

 

空気が鬼甘い!

甘いのは好きだけど、流石に甘すぎる!

 

 

 

「さてさて、どうだったかな?

俺は甘すぎる空気のあまりに逃げ出してきた。

 

皆は、気を付けようね?

それと、今日は黒桜の部屋は、なしだ。

 

桜ちゃんは誕生日を満喫してるからね。

それじゃあ、また本編で会おう!

 

バイバーい!」

 

 

 

 

 

───ザッ───ザザッ───

 

 

 

???「はーい!まだ少し登場が早いですが、サクラの記念日と聞いてはいてもたってもいられません!

 

良い子も悪い子もみーんな大好きな、電子の海の大人気コンテンツ……BBチャンネル、始まります!」

 

 

《イメージBGM BBチャンネルのテーマ》

 

 

 

 

 

────Now hacking

 

 

GO!

 

 

 

BB「はーい、始まりましたBBチャンネル!

少しばかり早い登場ですが、桜の誕生日と聞いたら、この私、BBのことも忘れないで欲しいですね!

 

サクラ顔あるとこにBBちゃんあり、です!

さてさて、今回のBBチャンネルはスペシャルゲストをお呼びしました!

 

私のライバルチャンネル、黒桜の部屋のスタッフさん達に来てもらいました!

 

どうぞ、ご入場くださーい!」

 

スタッフ零号(サーベラス)「おい、BB!いくらなんでも登場が早すぎるぞ!EXTRA編はまだだからな!」

 

スタッフ一号(ライダー)「なんですか、この桜によく似た人は?」

 

スタッフ二号(ランサー)「サーベラス、お気持ちは分かりますが、少し落ち着きましょう。」

 

BB「さて、ここは黒桜の部屋に対抗して質問をしていきましょう!

 

まぁ、一つだけなのですが……」

 

スタッフ一号(ライダー)「さっさとしてください。私は桜の誕生日を祝っている途中なのですよ。」

 

スタッフ零号(サーベラス)「一瞬で終わらせてやるよ……世界を裂く勢いでな!」

 

スタッフ二号(ランサー)「BB!早くしてください!サーベラスがガチギレしかけてます!」

 

BB「分かってますって!それでは、桜さんへ向けてのメッセージを全員でお願いします!

 

では行きますよ?3、2、1!」

 

 

四人「「「「桜、誕生日おめでとう!!!」」」」

 

BB「ゴルゴーンさんも祝ってましたよ!良かったですね、サクライダーさん!」

 

サクライダー「……なんで私はこんな格好を……」

 

三人「「「サクラァ!?」」」

 

スタッフ零号(サーベラス)「BB!表でろ!」

 

スタッフ三号(ゴルゴーン)「新たに加わった私も貴様を許さんぞ!」

 

BB「それでは皆さん、さようなら〜!」

 

零号&三号「「逃げるなぁァァ!!!」」

 

 

 

おまけイラスト 作:ライデン

 

【挿絵表示】

 



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四月一日と言えば……

一日で2話作成……しかもギリギリ……辛い……
と言うか、今月だけで何話投稿を……ひえ。
と、とりあえず本編をどうぞ。


はいはい、もう恒例になったこの企画。

今回のハッピーバースデーは誰かって?

 

キングプロテアだよ。

そう、あのキングプロテアだよ。

 

電子の海にいた頃も、何回か祝ってたけど、カルデアで祝うのは何気に始めてだな。

 

まぁ、今回喜んで貰える物は……思い付かないな。

と言うか、マスターに任せるって手もあるけどね。

 

それだと、なーんか、自分が情けなく感じるんだよな……うーん、何でだろう?(←無自覚な父親精神)

 

でもなぁ……何をあげるべきか……

岸波白野型人形はホワイトデーにあげたからなぁ……

 

本当にどうしよう。

えーと、マスター人形?

 

いや、人形以外の方がいいか。

プロテアは何が好きだったかな……

 

BB?いや、あいつの事は皆、苦手か。

白野ちゃん……は、アルターエゴ達、全員にとっては大事な人か。

 

えーと、じゃあマスター……って、これも白野ちゃんと同じか。

 

だとしたらなんだ?

……あ、そういや、プロテアは怪獣とか好きだったよな。

 

特撮怪獣……ゴ■■とか、キ■■■ドラとか、ゼ■■ンとか、バ■■ン■人とか……

 

俺が初めて能力見せた時は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロテア(幼少期)「おとーさんは、どんな、ちからがあったの?」

 

サーベラス「なんだ、俺の力に興味があるのか?

そうだな……簡単に言うと、一度見た武器を作り出す能力とか、物の壊れやすい線を視る眼とか、影を纏ったり、影に潜ったり……まぁ、色々あるな。」

 

プロテア(幼少期)「それって、なんか、ウ■■ラ■ンのペガ■■星■見たいだね!」

 

サーベラス「えぇ……それは影に潜る能力しかない宇宙人でしょうが……」

 

プロテア(幼少期)「ねぇー、潜ってみてよー、ねーねー。」

 

サーベラス「だから、力は封印されてるんだって……」

 

 

 

 

 

 

 

うん、大変だったな。

怪獣マニアは怖いことが分かった。

 

と言うか、マスターに聞いたけど、第二再臨の時は怪獣イメージしてたらしいし。

 

ならば……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤丸「プロテアちゃーん!誕生日おめでとう!!」

 

プロテア「ありがとうございます、マスター!!!」

 

えへへ……

あ、皆さん、初めまして?

キングプロテアです。

 

突然なんですが、今日は私の誕生日なんですよ〜!

あの、お母様……いや、BBやメルトリリスですらプレゼントを送ってくれるんですよ〜!

 

いえーい!祝ってくださーい!!

あ、エイプリルフールだからって、嘘を言ってる訳じゃないですよ〜!

 

本当です、信じてくださーい!!

え?じゃあ、なんでいつも通りの体か、ですか?

 

それですね……お父さんが聖杯の力で無理矢理治したからです!

 

私としては、もう少し小さいあの姿でも良かったのですが……

 

お父さんが

 

サーベラス「祝うなら、やっぱり、いつものサイズの方がいいだろ?まぁ、楽しみに待っててくれ!」

 

そう言って、何か、本気になった時の眼で何処かへ行ってきました。

 

何をするのでしょうか?

うーん、BBに用意して貰ったこの島で待っていてって言われたので、待ってるのですが……

 

藤丸「こないね、サーベラス。」

 

マシュ「来ませんね、サーベラス先輩。」

 

プロテア「はい……待っててとは言われたのですが……」

 

BB「あらら〜?もしかして、忘れられてしまいました〜?」

 

メルト「やめなさいBB、いくら、父さんが蛇によく好かれる癖にそれに気が付かない天然な鈍感だったり、胃痛ばっかり感じてるとはいえ、一度言ったことを忘れるほど、頭はボケていないわ。」

 

サーベラス「おうおう、散々言ってくれるねぇ〜」

 

藤丸&プロテア「「あ、お父さん!(サーベラス!)って、」」

 

藤丸「なんで、地面に埋まってんのぉ!?」

 

サーベラス「あぁ、すまないすまない。持ってくるものが大きすぎてね?」

 

プロテア「大きい……ですか?」

 

サーベラス「そうそう!プロテアも遊べるように、特大の奴をな!

 

聞いて驚け!見て恐怖しろ!これが、俺の本気の遊びだァ!

 

地面から出てきたお父さんが、突然、空に向かって飛び、何かを引っ張ったかと思うと、地面が揺れ始めて、地面の中から、巨大な物体が姿を表した。

 

 

藤Bメマ「「「す、す、凄すぎない!?」」」

 

プロテア「こ、この姿は!?」

 

サーベラス「へへっ、どうよ!この完成度!

某特撮アニメに登場した、超有名怪獣

古代怪獣■モ■一分の一スケールフィギュア!

 

わざわざ、俺の固有結界の中で岩だとか、金属だとか、生き物の肌触りになるべく近い物質を投影、加工して、防御製、立体感、再現度レベルマーックス!の巨人用玩具!

 

無論、プロテアでも遊びやすいようにこのフィギュアその物に俺の強化魔術を何万重にも仕込み、ローアイアスの盾五つ分の頑丈さを施した代物になっている!

 

その気になれば、鳴き声や発光ギミックすら付けれるように、設計、製造、材出提供は全部俺!

 

これぞ、兄さんの……いや、玩具野郎の本気だぁ!

どうよ、気に入って貰えたか?」

 

プロテア「……………………」

 

サーベラス「さて、改めて……誕生日おめでとう、プロテア!」

 

プロテア「お、お父さぁぁぁん!!」

 

サーベラス「ギィィヤァァ!?強く握りすぎって、振り回すな目がまわるぅ!?」

 

メルト「ちょっと!!後で、このフィギュアのスモールスケールバージョンの作り方教えなさいよ!!」

 

サーベラス「いま、そんなところじゃないってのぉ!?」

 

プロテア「えへへ〜、うーれしいなー」

 

サーベラス「分かったから、せめて、振り回さないでくれぇ!?」

 

藤丸「……どう見たって、父親だよね。やっぱり。」

 

マシュ「そうですね。」

 

サーベラス「俺は親父じゃねぇぇぇぇ!?」

 

プロテア「やっぱり、白野先輩も、マスターも、お父さんもだーいすき!!」



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四月九日は……

間に合ったか?
よし、間に合ったな!

明日、明後日、明明後日もあるから、俺はこれで……
本編をお楽しみください!!


もうお馴染みこの企画。

今日は、メルトリリスの誕生日だ。

 

実は、祝ってる人も多いんじゃないかな?

ちなみに、明日がパッションリップで明後日がヴァイオレット、明明後日がカズラドロップの誕生日だ。

 

……集中しすぎてねぇか?

おかげで、プレゼントを用意するのが大変だ。

 

(後、作者が過労死してる姿が目に浮かんだ。)

 

まぁ、メルトのはもう決めてるけど……

アイツ、フィギュアや、ぬいぐるみ等の人形に分類される物に関しては、あの黒髭や、眼鏡(叡智の結晶)を持ったシグルドよりも詳しいからな。

 

極度の人形好き、電子の海では、白野ちゃんの事も人形にしようとしてたっけな……

 

まぁ、そんな事はどうでもいいさ。

とりあえず、人形の作成に入りますか。

 

今回作るのは、岸波白野(男と女両方)と、藤丸立香(男)のフィギュアだ!

 

メルトには、他の次元の記憶も統合されてるらしく、男の白野の記憶もあるらしいからな。

 

さて、早速作って言ってる訳だけど……

 

二人「「ジーーー」」

 

サーベラス「何なんだ君達は!?覗いてんじゃねぇぞ!」

 

ネロ「いや、何か、余にとって大切な何かを作っている気がしてな。」

 

玉藻「同様です、現マスターと同じ、イケ魂の匂いがしてきたのですが〜どうやら、私の未来についての話みたいで?」

 

サーベラス「あ〜、そういや、君達に電子の海の記憶はなかったっけな?まぁ、未来の話だ……気にするな。」

 

玉藻「天照()の特権で話してくれたりは?」

 

ネロ「うむ!皇帝特権で話してくれる事を望む!」

 

サーベラス「しねぇよ、だいたい、俺は少し混じってるとは言え、スサノオじゃないって何度言ったらわかるんだ!

 

……はぁ、そもそも、スサノオはアマテラスに嫌われてると思ったんだがな……仲直りでもしたのか……

 

まぁ、いいや、ほら!集中力が切れるから、とっとと帰った帰った!」

 

二人「「えぇ〜」」

 

サーベラス「はぁ……変なポーズになったらどうするってんだ。」

 

フランシスコ・ザビ……!!

とか言う白野ちゃんの定番ポーズは取らせないぞ?

 

取らせるとしたら、ねんどろいど的なサイズにするし。

まぁ、時間も時間だし、とっとと完成させるか。

 

メルト的にはガレキの方がテンションが上がるかもしれないけど、流石の俺でもガレキの作成は一日半かかるからな……

 

(⚠ガレキとは、ガレージキットと呼ばれる物の略。

一般的にはプラモデルより細かく、組み立てや塗装だけでなく、関節部分のアルミ線を使用しての接着など、文字通り、全て自分で組み立てるフィギュア等の事を言う。)

 

さて、さっさと作りますかね……

 

 

 

 

 

 

 

〜メルトの部屋にて〜

 

 

 

 

 

 

 

六人「「「メルトリリス誕生日おめでとう!!!」」」

 

 

メルト「っ!?いきなり何よ!?ビックリしたじゃない……

と言うか、リップやプロテア、BBはまだしも、なんでマスターまで私の誕生日を?

 

一度も公開なんてしてないはず何だけど?」

 

藤丸「マテリアルをちゃんと確認しておけば、これぐらいわかるよ!

 

それに、リップがメルトの為に色々頑張って用意してたしさ!」

 

リップ「少し、変な形になったけど、クッキーも焼いたから食べてみてね」

 

メルト「……そう、ありがたくいただくわ。」

 

プロテア「そういえば、さっき、お父さんが凄く早く何かを組み立ててたけど……メルトは見に行かないの?

 

多分、メルトへのプレゼントだと思うんだけど。」

 

メルト「そう、なら見る必要はないわ。」

 

マシュ「え?何ででしょうか?

てっきり、メルトリリスさんの事ですから確認しに行くかと思っていたのですが……」

 

メルト「えぇ、普段ならそうするわ。

でも、こういう時の父さんは何をするか分からないからこそ面白いのよ。

 

予想してなかったプレゼントを用意することもあるし、ドジを踏んで、面白い顔を見せてくれる時もあるからね。」

 

BB「こういう時のサーベラス先輩のドジは、本当に面白いですもんね〜!BBちゃん、ちょっと共感です!」

 

サーベラス「毎回ドジ踏んでる訳じゃないんだけどな……まぁ、月に一回くらいは踏むけどさ。」

 

藤丸「あ、サーベラス!」

 

メルト「あら、以外にも早かったじゃない?一体、何を作っていたのかしら?」

 

サーベラス「いや〜、数年前の記憶……というか、カルデアからだと、数年先の記憶を辿って思い出しながら作ったから時間がかかっちゃったけど……

 

誕生日おめでとう、メルトリリス!

はい、プレゼント……喜んでくれるといいけドふぉーう!?」

 

メルト「こ、これは!?」

 

リップ「お、お父さん凄い!?本当にそっくり!!」

 

プロテア「なになに〜?あ!白野先輩とマスター……の、フィギュア?似てる!凄く似てます!」

 

BB「ここまで、クオリティが高い物は、流石のBBちゃんも作れませんよ!?

 

どうやって作ったのですか!?

先輩のフィギュア作り方の伝授を……いいえ、何がなんでも私分にも作ってもらいますよ!!」

 

藤丸「ちょっと皆!?サーベラスが何を作ったのかは知らないけどその辺に!?

 

サーベラス、押し潰れてるから!?」

 

四人「「「「あ……」」」」

 

藤丸が注意し、メルト達がどいたその所には……

リップの爪とメルトの踵が腹に突き刺さり、プロテアの腕によって、足を押し潰され、BBの揺さぶりによって首が曲がったら行けない方向に曲がったサーベラスがいた。

 

サーベラス「月の海でコイツらの面倒見てた頃の方が酷い怪我をしたもんだし……

 

おかげで身体が潰れるのも、腹を貫かれるのも、キューブにされるのも、ウイルスを流し込まれるのも慣れてるから、あまり気にしなくてもいいぞ?

 

そんな事より……ゴギッ(首を治す音)

喜んで貰えたようで何よりだ!

 

あ、そうだ。

これはメディアに手伝って貰って作ったんだが、そのザビーズのフィギュアと一緒に飾っといてくれ。」

 

メルト「これは……私?」

 

サーベラス「そう、メルトリリスのフィギュア。

ザビーズやマスターを作成した後、ふと思い付いてな。

 

時間も少なかったから、メディアに無理言って手伝って貰ったんだ。

 

礼なら、アイツに言ってやってくれ。」

 

メルト「そう……ありがとう、父さん!」

 

サーベラス「礼を言われる事なんてしてないさ。

俺は、誕生日を祝うって言うありふれた事をしただけさ。

 

そんじゃぁ、楽しい一日を過ごしてくれよ〜!

ってコフゥ!?」

 

メルト「そうね!それじゃあ、今日一日はマスター共々、私のガレキ作りに付き合ってもらうわ!

勿論、父さんもね?」

 

サーベラス「お前なぁ……まぁ、誕生日だし、しょうがねぇか!こうなったらトコトンやってやるよ!

 

何かあったらすぐに言ってくれ。

全てを完璧に修繕してやろう!」

 

藤丸「……父親って凄いな〜、本当に偉大だね。」

 

サーベラス「だから、俺は親父じゃねぇぇ!?

百歩譲っても兄貴だって何回言えば……あぁ、もういいよ。

 

ほら、とっととガレキを組み立てんぞ〜

ちょっと鍋とガスコンロ、後はニッパーとか投影してくる。」

 

……なんだかんだで、立派に父親してる皆の兄貴(サーベラス)なのでした。



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四月十日は……

疲れた……
明日の分も作ってきます。


うわ〜、編み物って楽しいなー

どうも、強化魔術を使い作った、ローアイアスの盾五つ分の強度を持つ糸で、何か巨大な物を編んでいるサーベラスです。

 

昨日も言ったと思うけど、今日は、パッションリップの誕生日!

 

祝うしかないね!

作者は過労で何回か死んで、コンテニューを繰り返してるけど、気にする暇は無い!!

 

さぁさぁ、今回は何を作ってるかと言いますと、パッションリップの日常生活を便利にする道具を作っています。

 

ほら、アイツはあの巨大な腕だとか、虚数空間に繋がる胸だとか、被虐体質だとか……

 

正直、カルデアでは生活しにくそうだからな。

この前なんて

 

リップ「分かってはいたんですが、こんな身体なので、やっぱりメルトみたいに水着は着れませんでした……」

 

って、ガッカリしてたからな。

でも、リップもいつかしら、着れるようになると思うんだよね……

 

カルデアでは、どうかは分からないけど、観測時空(読者達の時空)では多少は人気はあるだろうし……

 

あるよな?“全くないです”とか言われたら、俺は怒って地獄門開くよ?作者殺すよ?

 

えーと、話が逸れたな。

まぁ、俺が何を作ってるかと言うと、あの腕を何とかするためのリップ専用の手袋みたいなもんだ。

 

どうして、投影できるのにわざわざ編んでるか?

それは、この糸一本に俺の魔力の殆どを流し込む為だ。

 

なんの魔術をかけてるかは……

まぁ、後ほどのお楽しみって事で。

 

でも、この作業がこれまた大変。

常に魔術を行使している訳だから魔力の消費がえげつない。

 

それに加えて、パッションリップの手のサイズの物を二つ作ってる訳だ……よし、覚悟を決めるか。

 

兄の意地……見せたらァ!

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランサー「サーベラス?聞いてますか?サーベラス!!」

 

サーベラス「……ん?おう……よう、ランサー…………どうした?」

 

ランサー「それは、こっちのセリフです!なんで、サーベラスはなんで、魔力切れを起こしてるんですか!?」

 

サーベラス「……あ、本当だ。身体が動かないわ。

プレゼント作りに熱中し過ぎたかな……ここ数時間の記憶がねぇ……

 

とりあえず、そろそろ誕生パーティーの時間だから早く行かなきゃな……あんま使いたくないけど、聖杯の力使うか……」

 

ランサー「こういう祝い事の時は何を言っても止まらないですよね……とりあえず、早めに治して行きますよ!」

 

サーベラス「分かってますって!聖杯(ヘブンズフィール)起動……よし、完全復活!

 

早速、プレゼント渡しに行ってきマース!!」

 

ランサー「随分とハイテンションですね……もしやあれ、深夜テンションと言うやつでは……まぁ、気にしても仕方ないでしょうか?」

 

思いっきり寝落ちしたけど、とりあえず早めにプレゼント渡しに行くぞー!!

 

\(OwO)/ウェェェェーイ!!

……落ち着くのが先だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは!

サーヴァントアルターエゴ、パッションリップです。

 

今日は、私の誕生日という事で、マスター達が祝ってくれるらしいです!

 

正直に言ってハイテンションです!

だからと言って、浮かれ過ぎていると周りの物を壊してしまうので、気を付けなきゃ行けないんですけどね。

 

思えば、ムーンセルにいた頃は気付かないうちにお父さんに迷惑をかけてばかりでした……

 

こんなに……その、えっと……重いのに、抱っこをねだったりとか……

 

爪で何回も引っ掻いてしまったりとか……

わざとでは無いのですが、思いっきり殴りつけてしまったりもした事がありました。

 

それでも、お父さんは

「平気、平気!俺は、頑丈さだけは誰よりも高い自信があるから!

 

キューブにされかけようと、虚数空間に連れてかれようと、押し潰されようと、ウイルスを流し込まれようとへっちゃらさ!

 

あ、胃痛はノーカウントね?

あれはマジで無理、ある意味金ピカよりも厄介。」

 

って言って、叱ってこなかったんですよね。

次からは気を付けようとは何度も言われましたが……

 

まぁ、話を戻すとして、今日は私の誕生日だから、お父さんがメルト達みたいな特別なプレゼントをくれる……といいんだけどな……

 

そう言っているうちに、マスター達が来たみたいです!

 

五人「「「「「パッションリップ、誕生日おめでとう!!」」」」」

 

リップ「あ、ありがとうございます!」

 

藤丸「サーベラスもすぐ来るって言ってたから、待っててね!」

 

リップ「あ、はーい!」

 

サーベラス「ウェェェェイ!!!パッションリップ、誕生日お、め、で、と、う!!」

 

リップ「ひゃぁ!?」

 

お父さんが凄いスピードで何かを着せていました!?

……あれ?よく見ると手にも何かを着せられて……

 

サーベラス「あ、それ誕生日プレゼントね。リップの腕の危険性をほぼゼロにする特殊な手袋。

 

カーディガンは副産物だよ。

色々魔術を付与したから何か、ランクA以上の宝具的な物を使わないと破れないから安心してね。」

 

リップ「え、あ、はい?」

 

BB「ちょっと、サーベラス先輩!?何ですかこの宝具レベルの魔術が付与された手袋は!?

 

というか、宝具レベルで攻撃しないと破れないって何ですか!?一体、何を付与したんですか!?」

 

サーベラス「えーと、先ずはいつも通りにローアイアスの盾五つ分の強度、その後は………

虚数耐性、劣化耐性

キューブ化耐性、衝撃耐性

耐熱、耐寒

軽量化付与、切断力低下

安全性付与、耐水性

腕力低下、握力低下

器用さ上昇、エトセトラ。

まぁ、俺が魔力切れになるレベルで色々付与したな。」

 

BB「センパイ、気を付けてください……サーベラス先輩がリップに上げたあの手袋は宝具レベルの品です。

 

下手に扱えばどうなるか分かりませんよ……」

 

藤丸「そんな、危ないものをプレゼントしたの!?」

 

サーベラス「いや?パッションリップの腕力とかを普通の女の子より、少し強いレベルまで下げる手袋だよ?

 

爪での危険性とか、握りつぶす危険性とかも消す為に必須な能力とか、保存に必須な能力を付与しただけだよ。

 

これで、軽量化付与で腕も軽くなるから、本当に普通の女の子になった気分を味わえるようにしたんだよ……まぁ、腕は大きいけどさ?」

 

リップ「も、もしかして、それはつまり!」

 

サーベラス「そう、これを着ている間は誰も傷付けられない!と言うか、基礎的な能力が下がるから普通に人に触れられるようになるよ!

 

カーディガンは、さっきも言ったけど副産物。

まぁ、胸の虚数空間(ブレストバレー)とかも虚数耐性で無効化できるから、本当に安全設計だけどね。」

 

リップ「や、や、やったー!!!やりましたよ、マスター!ついに、ついに普通に人に触れる事が出来ます!」

 

藤丸「良かったね、リップ!」

 

メルト「まさか、あのブレストバレーすら防ぐなんて……」

 

BB「うわぁ……BBちゃんですらどうにもできなかったアルターエゴ達の能力をことごとく封じるって……

 

サーベラス先輩は、やっぱりマトモじゃないですね。

チート級AIと同じか、それ以上のチート級ですね!」

 

サーベラス「何言ってんだ、普通はこんな事しないさ。あくまで、リップの誕生日であるのと、リップが本当の愛だとか、そう言うのを理解した記念みたいなもんだ。

 

普通は自分が魔力切れを起こすレベルの宝具もどきなんて作りはしないさ。」

 

BB「はぁ……押し付けた私が言うのも何ですが……

何処までも父親、もしくはお兄さんですね、貴方。」

 

サーベラス「当たり前だろ?俺には、セイギノミカタ以外の選択肢は、それぐらいしかないんだから。

 

まぁ、父親ってのは違うがな!

俺は親父なんかじゃねぇし。」

 

リップ「バンザーイ!早速、やりたいことが沢山あるから、一緒にやりましょう!」

 

マシュ「いいですね!それでは、ダヴィンチちゃんに言って、レイシフトをして貰えるか聞いてきます!」

 

藤丸「俺も行くよ!ほら、何してんのサーベラス、BB!早く行くよ!」

 

BB「はーい、それじゃあ、難しい話はこれまでって事で……いいですよね?サーベラス先輩?」

 

サーベラス「はいはい、それじゃあ、大人しく遊ばれてやりますよ。(無論、まだ電子の海にいるであろうあの二人とも遊んでやらなきゃな……)」

 

皆のテンションが上がる中、何やら優しい目で月を見上げるサーベラスがいるが、パッションリップと遊んでいた全員は気付けなかったのだとか

 

 



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四月十一、十二日は……

───四月十一日

 

どーも、単独顕現を使おうとしてるサーベラスでーす。

今回は作者の都合により、ヴァイオレットとカズラドロップの誕生日を祝うのが、同時になってしまった……

 

まぁ、精一杯遊んだりしてやるけどさ。

プレゼントは予め用意して置いた!

 

そして、作者は滅多刺しにして、吊るしておいたからご安心を……とりあえず、丸一日カルデアを離れるから、マスターとかには相談しておかないとな。

 

サーベラス「おーい、マスター!ちょっといいか?」

 

藤丸「あれ?サーベラスまだいたの?

さっき、BBがサーベラスは別次元にいる残り二人のサクラファイブの誕生日を祝いに行くから、丸一日ぐらい戻ってこないよって、言ってたんだけど。」

 

サーベラス「うわ、行動読まれてる……まぁ、今から行くんだよ。だから、マスターに許可を取りに来たんだが……」

 

藤丸「うん、いいよ!どうせ帰ってくるんでしょ?

それに、誕生日なら、ちゃんと祝ってあげなきゃ行けないからね。」

 

サーベラス「どうやら、俺は、良いマスターに恵まれたらしいな。サンキュー、マスター!んじゃ、後は頼むわ!」

 

さて……とっとと行きますかね!

レッツ、顕現!

 

サーベラス「コホッゴホッ……ムーンセルめ、地味に拒否ってきやがって……おかげで、少しダメージを受けたぞ!?」

 

さてさて、月の裏側に顕現した訳だが……

やっぱり残ってたか、サクラ荘。

 

菩薩戦の時に消滅したんじゃないっかって思ってたんだけど……BBが残しといたのかねぇ?

 

とりあえず、鍵は持ってるし、久しぶりにお邪魔しますよっと。

 

サーベラス「おーい、ヴァイオレット!カズラドロップ!誕生日を祝いに来たぞ〜!」

 

カズラ「え、お父さん!?なんで月の海に!?」

 

ヴァイオ「もう、退去したはずでは!?」

 

サーベラス「だーかーらー、祝いに来たって言ってるでしょう?態々、カルデアから単独顕現して来たんだよ……さぁ、丸一日はここにいるから、なんでも言ってくれ!

 

っと、その前に、ヴァイオレット、誕生日おめでとう!これ、プレゼントの服の詰め合わせ。

 

小さい頃に、いつか、和服やら、普通の女の子が着るような服を着たいって言ってただろ?

 

そう言うのを、ヴラド公や、メディアに手伝って貰って作ったから自由に使ってくれ!」

 

ヴァイオ「……あ、ありがとうございます!」

 

カズラ「見るからに目を輝かせていますね……そうだ、私、私には何かないんですか!」

 

サーベラス「それは、また明日ね?とりあえず……投影開始(トレース・オン)……メディアにも頼まれてたし、写真でも撮ろっか!」

 

 

 

 

 

 

 

〜しばらくして〜

 

 

 

 

 

 

 

────四月十二日

サーベラス「どう、満足出来た?」

 

ヴァイオ「えぇ、ありがとうございました!」

 

サーベラス「そいつは、良かった!それじゃあ、そろそろ12時だし……カズラドロップ、誕生日おめでとう!」

 

カズラ「待っってました!!」

 

サーベラス「はい、プレゼント。」

 

カズラ「ありがとうございます!中身は何ですか?」

 

サーベラス「医療器具一式……注射器とかの基本の器具は勿論、電子図や、心音、鼓膜を見る機械にレントゲン撮影用のX線機械その他諸々の詰め合わせだね。

 

本当は電子図だけにしようとしたんだけど、ナイチンゲールが、あれやこれやと追加していってな……

 

医者には必須な物です!だとさ……って、聞いてないな。」

 

カズラ「うわぁ〜!!最先端なヤツだ!これ、ムーンセルにもまだ無い物ですよ!

 

一体どうやって!?

いや、きっと投影したんでしょう。

 

……はっ!?という事は、触った事があるって事ですね!?

 

何処でですか!?

まさか、そのカルデアとかいう場所に?」

 

サーベラス「そのまさか、カルデアには、鬼の婦長こと、ナイチンゲールがいるからな。

 

医療器具を何回投影させられた事やら……

まぁ、あんな環境じゃ仕方ないだろうけどさ。」

 

カズラ「………………」

 

サーベラス「お、その目は来てみたくなったんだな?

二人も来いよ〜リップ達も来てるんだしさ。」

 

ヴァイオ「私達も行きたいのですが、あちらのマスターとは縁がないので、召喚が……」

 

サーベラス「あぁ……そういう事ね。まぁ、あのクソ菩薩を討伐しえるマスターだ、きっといつか会えるよ。

 

それじゃあ、時間的に、そろそろ俺は行くよ!

気が向いたら、カルデアに来いよな〜!!」

 

二人「「はーい!!また来てくださいね!!」」

 

カズラ「…………いつも通りでしたね。お父さんは。」

 

ヴァイオ「いいえ、アレはきっと隙あらば英霊の座に私達を登録しに行きますよ?

 

それも、抑止力にならない用に色々仕組んだ後に……」

 

 

二人「「やっぱり、何処までもセイギノミカタなんですね、あの人は……」」

 

 

月の海に残る二人のアルターエゴ。

彼女達が召喚される日は、果てしてくるのだろうか?

 

全ては、例の菌糸類と、運営次第である。



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7月20日 平行世界にて

急遽書いたので短いですがお許しください!!



さてさて……お馴染みの時間だなん

今回は誰の誕生日かって?

 

分かるだろ?

魔法少女三人衆だ。

 

……あ、普通のイリヤは11月20日だから、勘違いはしないようにな?

 

さて……贈り物はと言うと……

考えてねぇ。

 

贈り物ってのは、毎回悩んじまうもんだからな。

人形だとか、そう言うのばっか送ってるし……

 

たまには、別の物を送ってもいいのだが……

思い付かない。

 

こういう時には、基本弱いんだよな、俺。

さて……どうした物か。

 

何を送るべきなんだ?

ケーキ?いや、これは美遊兄の方の士郎が送るな。

 

なら、三人にお揃いの何か?

……それは、あっちの魔術知らずの士郎が送るな。

 

うーん。

なら、魔術的何か?

 

それはそれでナンセンスだしなぁ〜

まぁ、それは一旦あちらに行ってから考えるか……

 

とりあえず、現界現界つと……

単独顕現は便利だね〜

 

こんな適当に使っていいものでは無いけどな。

さて、冬木だと見つかるから、冬木から離れた場所……

 

若者の街、新宿に来てみた。

ここなら、離れてるし見つかる心配はゼロ。

 

なはず。

誕生日だからって、あの三人がここに来る訳ないしな。

 

気配感知に気を配ってるし、問題は無いはず。

っで、ここで探す物は………

 

イリヤには、イリヤが好きな魔法少女?のアニメ関連の物。

 

クロエには、洋服……クロエは、あまり洋服を持っていないらしいしな…………

 

後、美遊には……

美遊……この子へのプレゼントが一番の悩みどころだな?

 

……歴史とかそういう系の本は……ナンセンスだな、読み尽くしてるだろうし。

 

なら、イリヤと同じアニメ関連?

でもあの子、アニメはあまり見ないしな〜

 

ならばぬいぐるみ……って、前回と被ってるな。

まぁ、美遊は実は可愛い物好きだし……ワンチャンありか?

 

だとしてもな……

むむむ……何にすべきか…………

 

美遊の好きな物と言えば、士郎達くらいだし……

……あ、それならアレがあったか!

 

さて……そうと決まればとっととプレゼントBOXに包んで、送るか!

 

宅配装って届けとこ〜っと。

そうと決まれば、レッツゴー!!

 

 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

 

 

 

 

 

ピンポーン

 

セラ「はい、誰でしょうか?」

 

宅配業者S「あ、宅配でーす。

アインツベルン様は、こちらであっていますでしょうか?」

 

セラ「えぇ、あっていますが……(何か頼みましたっけ?もしや、奥様が何か頼んでいたのでしょうか?)」

 

宅配業者S「じゃあこちらにサインお願いします。」

 

セラ「あ、はい。」

 

……さて、まずはイリヤとクロエのプレゼント配送完了。

 

次は、美遊っと……

 

───朔月邸にて

 

 

ピンポーン

 

さて、念の為眼鏡をかけて髪色も変えて……

 

桜「はい、えっと、誰でしょう?」

 

宅配業者S「宅配です。朔月様のお宅はこちらで間違いないでしょうか?」

 

桜「はい、間違いありませんが……その、何処かでお会いしました?」

 

宅配業者S「いえ、他人の空似でしょう。それよりも、お届け物があるので、こちらにサインを頂けないでしょうか?」

 

桜「何処かで見覚えがあると思ったのですが……あ、サインですね。分かりました。」

 

宅配業者S「ありがとうございました〜」

 

………あっぶねぇ!?バレるかと思った!?

勘が鋭いな桜ちゃん!

 

いやー、ギリギリ見つからなくて良かった……

さて…………やる事やりましたし、とっとと帰りますか!

 

そう思い、朔月邸から移動し、何処か物陰で退去しようとしたその時。

 

士郎「おーい!!美遊の為にありがとうな、兄さーーん!!」

 

家の方から、手を振って叫んでいる士郎の姿が見えた。

 

サーベラス「バレてた!?……ま、いっか。

どういたしまして!!イリヤ達にも誕生日おめでとうって言っといてくれ〜!」

 

手を振り返して、今度こそ退去する。

やれやれ、いつから士郎は見破る事が得意になったのやら……

 

 

 

 

その後、何処かの未来……

カルデアにて、この日の事について、改めて礼を言われるとは、サーベラスは予想もしていなかったと言う。



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Fate/zero 編
無理矢理転生ってそんなのあり!?


皆さん初めまして、作者のライデン1115です。
何となく書いてみたくなったので書いた作品です。
駄文かもしれませんがよろしくお願いします。


突然だけど俺は死んでいる。

いつも通りFate作品を見返したりFGOをプレイしてたりしていた俺はいつの間にやら死んでいたらしい。まぁ心臓病とかを持っていたのだから当然なのだろうが。

 

それよりもそれよりもだ。何故か目の前に女神を名乗る綺麗な人が出てきて転生しろって言ってきてあまりの事の進みの速さに理解が追いつかない。

 

「それはすいませんね。突然、女神となんて名乗って転生しろって言われても分かりませんよね?」

 

これがテンプレと言うやつなのだろう。転生物によくある奴だな。まぁ心の声は読まれてるだろうし単純に質問させてもらうけど、転生しろって具体的には何をすればいいの?

 

「貴方にはFateのイリヤスフィールの兄になってもらいます。」

 

「あっそうですか。イリヤの兄にってはぁ!?」

 

思わず叫んでしまったがそりゃそうだろう。俺はFateシリーズが好きでこういう展開に少し憧れていたのだがいざやれって言われるとどうしても俺以外にいい人材がいたのでは?と思ってしまう。

 

「はいは〜い細かい事は気にしないでくださいね。」

 

「嫌、気にするでしょ普通!?」

 

俺がツッコミの要領で言葉を返すと女神が詳しい事を『 簡潔に!』教えてくれた。

 

「まぁ簡単に言うと良さそうな人達からあなたが選ばれました。」

 

「所でどうやって俺を選んだの?」

 

「くじ引きです。」

 

「ふざけていやがる…」

 

こんなふざけた方法で俺は選ばれたのかと思うと何故か涙が湧いてくる。

 

「所で、イリヤの兄ってのは理解できたけど世界的には何処のイリヤ?プリヤなのかzeroなのかそれぐらいは知る権利はあるんでしょ?」

 

「細かいですね。…まぁ貴方達の世界で言うとfate/zeroですね。まぁ貴方がいる以外にも少しだけ原作とは違いますが」

 

「嘘でしょ?zeroは好きだけど死ぬ気しかしないんだよね。まぁ頑張りますか。」

 

「次は転生特典の話に移りますよ~」

 

「アッハイ」

 

女神の説明を簡潔にまとめるとこうだ。俺にしか使えない能力を、プレゼントするからガチャ回せだとさ。何て言うか酷いな。まぁそんなことは置いておきワクワクのガチャ結果はこう。

 

影を操る

他人の体から聖杯等を取り除き吸収出来る

投影魔術、直死の魔眼が使える。

空間に関する魔術が使える。

召喚するサーヴァントの内50%の確率でオルタまたはリリィ系サーヴァントが出てくる。

兄として好かれやすくなる。

 

うん、イリヤや桜、アイリスフィールを救うには上の二つで十分であり他の二つテンションが上がったのだが、最後の二つなんなの!?

 

リリィならまだしも、50%の確率でオルタ系のサーヴァントが召喚されるって俺に死ねと申すか!

 

邪ンヌなんて召喚したらジルに崇められてしまう!?それに兄として好かれやすいって、それは士郎くんの特権だろ!?

 

「それではちゃっちゃと転生してくださいねー」

 

「随分とノリが軽いな!くっそ、己ぇぇ、女神めぇぇぇ!?」

 

俺はその台詞を最後に気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減起きてください!」

 

「後一時間ぐらい、いいじゃないか。」

 

「ダメです!そんなんだとまともな大人にはなれませんよ!」

 

「あーもー!分かったよ!起きるよ、セラ」

 

俺の名前はサーベラス・フォン・アインツベルン。衛宮切嗣とアイリスフィール・フォン・アインツベルンの息子で年齢は8歳、長いからサーベラスとでも呼んでくれ。

 

今俺を起こしてるのはメイドのセラ、メイドって言っても俺にとっては家族で姉のような存在だ。

 

「さぁ早くイリヤ様のところに行きますよ。今日は切嗣様と一緒に遊ぶ約束なのでしょ?」

 

「そういや、そうだった。今日は切嗣(父さん)とイリヤと一緒に胡桃の冬芽を探して遊ぶんだ!それじゃあ、セラ、行ってきます!」

 

俺は自分の部屋にあった冬服を急いで着ると窓から飛び出して急いで切嗣(父さん)の元に向かった。

 

途中セラが窓から飛び出さないでくださいと叫んでいたが、そんなことよりも妹を怒らせないかが心配だ。

 

俺の双子の妹のイリヤはアインツベルン当主のせいで体に小聖杯が埋め込まれていて、無理矢理アインツベルン当主に小聖杯としての教育を受けている。

 

その為、俺と遊べる回数が少なく少しでも約束に遅れると激怒する。

 

アインツベルンの森につくとイリヤは先に胡桃の冬芽を探し始めていて僕が来たことに気付くと腕を引っ張りながら早く探そうと急かしてくる。

 

「お兄ちゃん早く探すよ!キリツグよりたくさん見つけなきゃ!」

 

「分かったよ、とにかく見つければいいんだろ?お兄ちゃんに任せなさい!」

 

俺は胡桃の冬芽を見つけるとすぐにイリヤに報告し切嗣(父さん)より多くの胡桃の冬芽を見付けることに成功した。イリヤは何だか誇らしそうだ。

 

「ねぇ、父さん。そろそろ時間じゃないの?」

 

「あぁそうだったね。ありがとうサーベラス、それじゃあ行ってくるよ。また後で遊ぼうね。イリヤ」

 

「はーい!早くしてね、キリツグ。レディを待たせちゃ行けないんだから。」

 

「俺達はまだ子供だよ、イリヤ。レディを名乗るならもう少し大きくならなきゃね。」

 

俺はイリヤと屋敷に戻ると切嗣(父さん)アイリスフィール(母さん)は何処かへ移動を始めた。

 

切嗣(父さん)の腕には令呪が現れてたし、原作だとセイバーを召喚する所だろう。

 

それに俺の腕にも令呪が現れている。今はまだその事を隠しているのだがいずれバレるだろう。

 

取り敢えず俺に令呪が現れたことにより、あの麻婆神父に令呪が発現していないことを願うのだが…取り敢えず切嗣(父さん)達が日本に行くときにこっそりサーヴァントの召喚をしよう。

 

オルタと黒ジル以外なら何でもいいや。

屋敷に入ってイリヤと遊び始めてから数十分後、切嗣(父さん)アイリスフィール(母さん)がセイバーと名乗る女性を連れてきた。

 

よし!ここまでは原作通り!俺の体の中の聖杯の感覚だとキャスターとバーサーカー、ランサー以外は召喚されたらしい。

 

バーサーカーがまだ召喚されてないのならまだ間桐桜は蟲野郎に酷い目に会っていないことを祈ろう。

 

あれ?原作ではランサーとバーサーカーはもう召喚されてるのでは?まあまこれが原作と違う点なのだろう。

 

そうなると俺はとっととキャスターを召喚して、日本で蟲の爺を倒して桜の体から聖杯の欠片を取り除く作業に移りたい。

 

今更だがイリヤとアイリスフィール(母さん)の体の中の聖杯、小聖杯は5歳の時にこっそり

 

M0)俺が飲み込んだ(橘)

 

さてと、アインツベルン当主に頼めば何か触媒を用意してくれるだろうか?

 

あいつは嫌いだが、このままキャスターかバーサーカー、ランサーのランダム召喚、それもオルタ50%の召喚だけは避けたいのでキャスターのサーヴァントに関する触媒を用意したいところだ。

 

アインツベルン家はホムンクルスを作る技術が高いし、ホムンクルスに関するキャスターが来てくれる可能性はあるはずだ。

 

心の中でのキャスターこいこいは、置いておくとして来週にでも切嗣(父さん)達が日本の冬木に出掛けるらしい。

 

その為かイリヤは泣きかけていた。

 

「安心していいよ?イリヤ、母さん達は必ず帰ってくるよ。だから泣かないで?イリヤが泣くと父さんも母さんも悲しくなるんだから。イリヤはレディなんでしょ?なら母さんを、父さんを信じなきゃ。」

 

俺がそう言いながらイリヤを慰めていると母さんが突然抱き付いてきた。

 

「よくいったわ!さすが、私と切嗣の息子ね!」

 

「母さん、苦しい、締め付けが強すぎ。」

 

「あっ、ごめんなさい。ついついね~」

 

俺が指摘をすると母さんはあっさりと離してくれた。俺は父さん達にお休みと言うと自分の部屋へと走り去った。

 

そして夜になった。父さん達が完全に寝た隙を狙って僕はサーヴァント召喚の準備を始めた。

 

「触媒もないけど、サーヴァントの召喚を早くしなきゃな。」

 

俺はチョークを取り出し地面に魔方陣のような物を書く、あとは呪文を唱えるのみ!

 

「素に鉄と銀。銀と鉄。礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。

四方しほうの門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。

 

閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。(みたせ みたせ みたせ みたせ みたせ )

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する。」

 

呪文を唱える旅に少しずつではあるが魔力が吸われ始め手の甲にあった令呪が光り輝いた。

 

「――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

誓いを此処ここに。

我は常世(とこよ)(すべ)ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷しく者。

 

汝 三大の言霊を纏七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

呪文を唱え終えると魔方陣があったはずの所には綺麗な薄紫の髪と手に待つ杖が特徴的な女の人がいた。

 

「サーヴァント、キャスターです、あの、よろしくお願いします!」

 

「貴女が俺のサーヴァント、なんだよね?」

 

「はっ、はい!そうです。マスター」

 

「「…………………」」

 

二人の間に沈黙が続いた。二人とも初対面の人との会話は慣れていないのかなかなか、喋れないでいるのだ。

 

「取り敢えず自己紹介するよ。俺は、サーベラス・フォン・アインツベルン。よろしくね。キャスター。」

 

「真名はメディアです。聖杯戦争の間だけでですがよろしくお願いします!」

 

俺が召喚したサーヴァントは奇跡的にオルタ種ではなくコルキスの魔女と呼ばれるメディアの若い頃の姿で召喚された、メディア・リリィだった。

 

女神の呪いも役に立つのだな。

彼女の宝具は修補すべき全ての疵(ペインブレイカー)と言われる、本来の宝具、ルールブレイカーとは真逆の性質をもっており、死以外のあらゆる物を修復、または補うことが出来る。

 

今回の俺の目的達成には必要不可欠な能力を持っているので、俺は心の中でガッツポーズをした。

 

さらにお互い話し合ってみると聖杯への願いが二人ともないと言うことで、以外と息があった。

 

「キャスター、悪いけど最初の仕事(蟲の駆除)に付き合ってくれないかな?間桐桜って子を助けたくてね。でも日本の冬木にいるからどうすればいいか分からなくてね。」

 

「いいですよ。それじゃあ早速行きましょう!」

 

「え?行きなり!?ちょっと、キャスター、まだ武器とか用意してないからね?少し待とうか。」

 

「分かりました。少し待ちます。」

 

そう言うとキャスターは俺のベッドに座り込み不思議そうにこっちを見ていた。俺は今回の為にこっそり用意した殺虫効果を付与した短剣と火炎瓶を数本とるとキャスターに準備完了と伝えた。

 

キャスターはサムズアップをして行きますよ!と言うとあっと会う間に間桐邸の前に到着していた。

 

「じゃあキャスター、俺は蟲風呂の方を壊してくるから間桐臓硯のことはお願いできるかな?今の俺では負けるのがオチなんだよ。」

 

「任せてください、マスター!蟲一匹残さず駆逐しますよ!」

 

「うん、頑張ろう。」

 

俺達はそれぞれ行動を始めた。日本時刻ではちょうど真夜中の11時ごろだろうか?

 

壁をぶち開けて蟲風呂に侵入してみると裸で何かに怯えている黒髪の幼女がいた。

 

その外見は間桐桜の時の面影があるので確実に桜本人だろう。

 

回りにいた蟲を殺虫短剣と火炎瓶、影を体に纏って攻撃をして、殺し尽くすとそこら辺にあった服を桜の方に投げつけ、彼女がそれを着て、キャスターがこっちに来るまで待つことにした。

 

その間何故か桜が僕の膝を枕に寝ていた。こんな怖い目に会ったんだ、助けてくれた人に安心感を覚えるのは分かるのだがいくらなんでも信用し過ぎなのでは?

 

俺の見た目って子供には嫌われると言う自信があったのだが………

 

それと何と言うかこの場にいないはずのイリヤに謝りたくなったのは何故だろう。

 

 sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    

~キャスターside~

 

「貴女が俺のサーヴァント、なんだよね?」

 

「はっ、はい!そうです。マスター」

 

「「…………………」」

 

私はメディア、かつて様々な英雄が乗った船、アルゴノーツ船のメンバーの一人。

 

は聖杯戦争に召喚された。マスターは8歳ぐらいで白い髪と紅い目が特徴の子供だった。

 

しばらく私は話をする。彼の名前はサーベラスと言うらしい。何でも日本の冬木って所にいる桜って子供を助けたいらしい。

 

それには私は大賛成だ。

ここにアタランテがいたらとても怒っていたんだろうな~

 

「いいですよ。それじゃあ早速行きましょう!」

 

「え?行きなり!?ちょっと、キャスター、まだ武器とか用意してないからね?少し待とうか。」

 

「分かりました。少し待ちます。」

 

私は近くにあったマスターのベッドに座り込み準備をしているところを見てみるとマスターは魔法が付与された短剣と何か油のようなものが入った魔法瓶のような物を持ってきて準備完了と言ってきた。

 

私はサムズアップをして魔術を使うと一瞬で冬木って所にワープしました。

 

豪邸と言えるその場所につくとマスターの体から異常な量の魔力を感じた。マスターの表情は何処か悲しげで怒りが見えていた。

 

「じゃあキャスター、俺は蟲風呂の方を壊してくるから間桐臓硯のことはお願いできるかな?今の俺では負けるのがオチなんだよ。」

 

「任せてください!マスター、蟲一匹残さず駆逐しますよ!」

 

「うん、頑張ろう。」

 

マスターから感じる魔力の量は異常であるのにマスター自身が勝てないと言うのだきっと強敵なのでしょう。

 

魔術で策敵をして老人のような魔術師を見つけるたので私は取り敢えず攻撃を仕掛けた。

 

ゾウケンとは何者なんでしょう?マスターに話を聞いて危険視をしていたのですがかなり弱っちいですね。

 

しかしゾウケンと思われる魔術師は攻撃を喰らい消滅したはずなのですがその気配はまだ消えていませんでした。

 

そういやマスターは蟲がなんとかっていってましたね。近くにいた蟲が突如逃げ始めたので魔術で捕獲して攻撃をしようとしてみるとその蟲から先程のゾウケンのような声がしました。

 

恐らく憑依や魔術の1つなのでしょう。

ゾウケンが乗り移った蟲はかなり慌てていて、

 

何故だ!儂の蟲達が一匹も残っておらん!このままでは!?

 

などとほざいていたので一撃で葬ると酷くうるさい断末魔をあげ今度こそこの世から消滅したようです。

 

近くの部屋に子供がいたので眠らせて保護をし、先に待っているはずのマスターの元に向かうとそこにはマスターの膝を枕に眠っている少女(この時代ではあの年頃の女の子は幼女と言うのでしたっけ?)がいました。

 

しかしこの子達はどうするのだろう。

マスターに質問をすると宛があると言って眠っている少女を抱き抱え何処かに向かって歩き始めた。

 

私も少年を抱き抱え後ろに付いていく。マスターは体に影のような物を纏いスピードをあげて走り出すと、これまた豪邸のような所に付きました。

 

「あの?マスター、ここは?」

 

「この子の…桜ちゃんの本当の家だよ。」

 

そう言うとマスターは家のドアをノックして誰かが出るのを待っていた。

 

「はーい!誰?」

 

そういい出てきたのは黒髪のこれまた幼い少女だった。

 

「今晩は。俺は君のお母さんに用があるんだけどお母さんいるかな?」

 

影を纏ったままでマスターは少女に話しかけていた。

 

「お母さん!ちょっと怖いけど、お客さんだよ!」

 

少女は叫びながら家に入っていき、数分後に少女のお母さんと思える人が出てきた。

 

「貴女が遠坂葵ですね?」

 

マスターがその少女のお母さん、トオサカアオイに話しかけるとトオサカさんはマスターの姿に驚いて目を見開いていた。

 

「あぁ怯えなくていいですよ。俺は子供達を届けに来ただけなので。先ほど間桐邸が火事に会っていたのでそこにいたこの子達を貴女に預けようと思いましてね。」

 

マスターはいつの間にか起きていたサクラとまだ眠っているシンジをトオサカさんに預けていた。

 

「母さん!あのね!虫に襲われる所をヒーローさんが助けてくれたの!」

 

「ありがとう…桜を助けてくれて本当にありがとう。」

 

そう言うサクラの姿を見てトオサカさんは泣いていたがその涙は悲しみではなく嬉しいと言うような涙だった。

 

「それと一つ忠告します。言峰綺礼に気を付けてください。彼に気を付けないと遠阪時臣も、貴女の心も死にますよ。それほどに彼奴の中身は歪んでいる。」

 

最後にマスターが放った言葉は私には理解できなかったが子供とは思えないほど低いトーンの声と威圧感でトオサカさんは少し動かなくなった後、何故か少し微笑んで、分かったわ、と言っていた。

 

「それじゃあ行こうか、キャスター。転移魔術を頼めるかい?」

 

「えぇ、任せてマスター。」

 

私は再び魔術を使いマスターの部屋に戻るとマスターは疲れた~と言いながらベッドに倒れこんだ。

 

「これで御三家の内、間桐が潰れたし、遠坂家の者も言峰に気を付けてくれるといいのだが。」

 

「マスターは優しいですね?」 

 

私がそう話しかけるとマスターは違うよと言ってきた。

 

「俺は自分のために人を助けてるんだ。決して正義のヒーローになんてなれないけど、人を助けるぐらいは出来るからね。それにさ、人にしたいいことはいずれ自分に帰ってくるって言うじゃん?」

 

「マスターは面白い人ですね。」

 

「そうかい?さてと俺は少し寝てから可愛い妹と遊んでくるよ。気がのらないけどアインツベルン当主にも令呪の事を知らせなきゃだしね。キャスターは霊体化しててくれ。」

 

そういい残しマスターはベッドに入り眠り始めた。

 

                       sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

                          次の日

 

サーベラスside

 

「お兄ちゃん遅い!早くご飯食べよう?」

 

「ごめんごめん!それじゃあ頂きますか。」

 

間桐を倒し終え、アインツベルン当主に令呪の事を知らせ終えた俺は現在、イリヤと一緒にご飯を食べている。

 

アインツベルン当主に来週にでも冬木に出発しろ、とか言われたけど可愛い妹を置いていきたくない俺がいる。

 

イリヤや母さんにはまだ聖杯戦争の事を話していない。双子とはいえ話したくない秘密の一つや二つあるものだよと言いくるめてイリヤには何も伝えなく、母さん達は未だに自分のなかに聖杯があると思い込んでいるのでこのまま放置だ。

 

さてと、問題は聖杯戦争が始まった時の父さん達なのだが、影を纏っていれば俺だとバレないし、まぁ大丈夫だろう。汚染された(聖杯)は多分父さん達がどうにかしてくれるはずだ。俺は来週から本格的に始まる聖杯戦争の事を考えながら夜を待つことにした。




皆さんは改めまして作者のライデン1115です。前書きでは前回のあらすじ、後書きでは次回予告のような物を僕が読み上げます。では早速。

間桐邸を焼き払い、遠坂家に桜を返したサーベラスは一週間後の聖杯戦争に向け、メディアに頼み魔術の特訓を始める。しかしハプニングが発生し部屋に残っていた召喚の魔方陣が起動する。
サーベラス「なんでさ!?どうして、こうなった?これって聖杯戦争にとっては盛大なルール違反なのでは?」
■■■■■「問います。貴方が私のマスターですね?」
次回「違法召喚」お楽しみに!
コメント、メッセージ等は全て返信するつもりなのでネタや誤字方向でも気軽にコメントしてくださいね!
これからもよろしくお願いします。


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違法召喚

皆さんどうもライデン1115です。それでは早速、読み上げましょう!
前回のあらすじ
女神により無理矢理転生させられた少年、サーベラスは召喚したキャスターと共に間桐邸を焼き払う。遠坂家に桜と信二を預けたサーベラスは一週間後の聖杯戦争に向け魔術の特訓を始める。


                     

サーベラスside

 

   

「よし、頼むよキャスター。」

 

「えぇ!びしばし行きますよ。」

 

「アハハ、お手柔らかに」

 

皆さんどうも、サーベラスです。俺は現在、メディアに頼み家族が寝ている間に魔術の訓練をしている。

 

取り敢えず空間魔術とやらをマスターしてみたい。投影魔術を使うのは空間を多少操れなければ難しいと考えたからだ。

 

ちなみにアインツベルン当主に空間魔術について聞いて見たらそれは魔術ではなく魔法だ!と怒られてしまった。

 

何でも並の魔力じゃあ使うのは不可能なのだとか?

俺の魔力は現在、イリヤと母さんから取り除いた小聖杯を体に埋め込んでる為、無限に涌き続けている。

 

この事にアインツベルン当主が気付いていないのが幸いだが……気付かれたら恐らくセイバーと契約を結ばされ『HF』のアルトリア・オルタの時のようにエクスカリバー無双が始まってしまう気がする。

それだけは防がなくては!

 

「所で、特訓と言ってもどんなことをするの?」

 

「それはですね。カクカクシカジカ」

 

「なるほどわからん。」

 

「え?座からのバックアップではこれを言えばショートカット?が出来るとかなんとか。」

 

「どこ情報だよ!?はぁ~、まぁ頑張って理解しますとも!」

 

 

 

 

 

 

 

メディア説明中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……大体わかった。要するにキャスターが俺をつれてワープするから感覚を覚えろと?」

 

「はい、そうです!」

 

「鬼か……」

 

「いいえ、魔女です!」

 

「誇らしく言うものではないよね!?」

 

なんと言うかデジャブを感じたのは俺だけだろうか。きっとスカサハに修行をつけさせてもらっていた時のランサーニキもこんな気持ちだったのだろうか?

 

特訓は地獄その物だった。アインツベルン城内を高速でワープするのを繰り返すため何回かよいかけた。

 

その上、何故か起きていたセイバーに見付かりかけたときは死ぬかと思った。

 

そういや、何処かの世界(プリヤ)では魔法や魔術はイメージが大切だってクソステッキが言っていた気がする!

 

と言うわけでイメージを固めようと思う。まず瞬間移動と聞いてまず先に思い付くのはオッスでサイヤな人、次に思い付いたのは某RPGの魔法ル■■、そしてメディアの魔術、どれも空間と空間をジャンプするものだ。

 

まだ魔術をマスターしていない俺には空間のジャンプは難しい。どうすればいいのやら青狸のどこでもな扉があれば……

 

うん?何で俺は空間と空間のジャンプに執着していたんだ?どこでもな扉みたいに場所を繋げばいいじゃないか!?

 

と言うわけで早速実践!ジーとしててもどうにもならない!

 

 

 

 

 

実験中

 

 

 

 

 

 

結果は成功……したのだがなんと言うか予想以上の結果だった。

 

影や闇を操るのが得意な俺の魔術とあわせて見た結果、影に潜ると言う偉業を成し遂げてしまった。

 

う~ん。俺はペガッ■星人じゃないぞ?

さてと……影と影を移動する形になったものの闇があるところなら何処でも移動出来るらしい。

 

それに加え影に潜っている間のみ、アサシンクラス顔負けの気配遮断が出来るらしい。

 

母さんへ

今日、俺はアサシンクラスの適正を得てしまいました。

下手すればサーヴァントになるらしいです。どうすれば良いでしょうか?

貴女の息子サーベラスより

 

って、こんな手紙書いてる場合じゃなぁぁぁい!?そもそもこれどこに出すんだよ?え?どこに持ってくの、キャスター?

 

何、捨ててくる?異次元に?そうですか……まぁ転生特典からチート能力を産み出したところで次は投影魔術でも練習しましょう。

 

トレース・オンとか士郎君ファンにとっての憧れだからな!うん、頑張ろ。

 

「ではまずは初級の投影から始めましょう!包丁から投影してみてください。」

 

「キャスター、随分とノリノリだね。取り敢えずやりますか。投影開始(トレース・オン)

 

魔術回路に魔力を注ぎながら包丁をイメージすると次の瞬間、自分の手の中に包丁が投影された。

 

「おっ、出来た。」

 

「初心者にしては上出来ですよ!ですが投影魔術には一つ欠点があります。」

 

「姿、形、素材は同じでも、所詮偽物、本物よりは性能が劣るんだよね?」

 

「そうです!しかし噂ですがとあるサーヴァントは何でも自分で投影した武器を改造するのだとか……マスターも見習ってジャンジャン改造しましょう!」

 

「その前に武器の解析をしなきゃだけどね。」

 

何故、キャスターがアーチャーのエミヤのことを知っているかはこの際置いておこう。

 

取り敢えずは家にあった様々な武器、防具を解析した。斧に、剣に、魔術礼装。

 

流石、アインツベルン家、時計塔から独立したと言うのに一流の魔術礼装が沢山ある。

 

剣や斧は恐らく、セラやリズのような召し使いのホムンクルスが持つ武器なのだろう。

 

セラとリズはこんな重い武器も片手で軽く持つのか……敵に回したくないな。

 

あと何故か夫婦剣こと干将・莫耶(かんしょう・ばくや)と、いつかしら遠坂凛が使った宝石剣ゼルレッチは最初っから投影できた。

転生特典かな?

 

さて流石に疲れて来たので俺は寝ようと習得した影移動(仮名)で自分の部屋に移動し、ベッドに向かって歩き始めた。

 

しかし神の悪戯か何もない所で俺はずっこけてしまい、投影魔術を使用したばかりで未だに魔力を浴びている腕が消し忘れていた召喚の魔方陣に触れてしまった。

 

すると魔方陣はキャスターを召喚したときのように光を放ち俺の魔力が吸われ始めた。

 

「なんでさ!?俺の腕は確かに魔力を浴びているけどなんでこれだけで魔方陣が反応するんだよ!?こうなったらヤケクソだ!素に鉄と銀-以下略!」

 

「問います、貴方が私のマスターですね?」

 

魔方陣から現れたのは一部FGOプレイヤーからは『アナ』と呼ばれているクラスランサーのメデューサ(幼女?)だった。

 

「そうだけど…これって聖杯戦争にとっては盛大なルール違反なのでは?ルーラー呼ばれちゃうよ。天草じゃないなら何でもいいけどさ!」

 

「マスターが何をいっているのかは分かりませんがもしや私以外に契約しているサーヴァントがいるのですか?」

 

「いるよ、キャスターがいるよ。あっそうだ、自己紹介忘れてた。俺はサーベラス、サーベラス・フォン・アインツベルンだ。よろしくね、ランサー。」

 

「えぇ、よろしくお願いします、マスター。改めまして、クラスランサー、真名はメデューサです。」

 

ある程度、自己紹介をすると次は聖杯にかける願いを聞いたりキャスターとランサーが何やら楽しそうに話をしたりとかなり暇潰しをした。その後、俺は眠りについた。

 

時は飛んで次の日の夜に移る

 

 

今回も投影魔術の訓練だ。対サーヴァント戦もあるかもしれない為、宝具の投影を練習していた。

 

投影する宝具はランサーが持っている大鎌だ。

 

この大鎌は「不死殺し」と呼ばれるもので、かつて自分の首を刎ねた鎌剣「ハルペー」と同じ性質のもの。簡単に言うと酒呑童子の「神便鬼毒」と同じく自身の死因が宝具に昇華されたものだ。

 

この鎌があればメデューサ系統のサーヴァントは大ダメージを受けるらしい。取り敢えず手にとって解析してみる。

 

解析が終わり鎌をランサーに返しイメージを整え投影を開始する。

 

投影開始(トレース・オン)『鎌剣ハルペー』」

 

結果は大成功!俺は宝具も投影出来ることがここに証明された!まぁ、バビロンは無理だけど。

 

「問題はどう改造するかだ。エミヤの偽・螺旋剣(カドラボルグII)見たいにオリジナルの性能を加える事が出来るけど鎌剣に付与する物なんて……まぁ、影を纏ったときに使えば死神ぐらいには見えるかな?直死の魔眼と一緒に使ったら面白そうだな。」

 

直死の魔眼も試してみた。目の辺りに魔力を流し込む感覚で発動させると視界に映るあらゆる物体に赤黒い線のような物が見えた。

 

これが空の境界の主人公、両儀式が言っていた死の線なのだろう。

 

分からない方の為に説明をすると直死の魔眼と言うのは名前の通り“物を見ただけで殺す”ことができる魔眼……

 

ではなく物の寿命が“線”として見えるのである。

この線がある箇所は物によって違ったりする。

 

例えば人、首筋や心臓の辺り、腕や足に見えることもあれば頭や肘、指にのみ見えることもある。

 

線は寿命と同じような物なので相手の生命力が強ければ強いほど線の数も多くなる。

 

直死の魔眼を発動しているときに見えるこの線をなぞることでなぞられた部位からその物体は消滅、要するに死に至るのだ。

 

この線をなぞるのは指でもできるのだが武器を使うことによって射程距離を伸ばすことが出来るため武器を使用する。

 

この直死の魔眼は生きている物なら何でも死に至らせる。それがたとえ金属であってもすでに死んだ怨霊であっても。

 

両儀式の言葉を簡単にまとめて説明すると“金属だろうとそこに存在している限り物生きている”“すでに死んでいる怨霊であろうとゾンビであろうと動いているならそれは生きている”らしい。

 

こじつけに近い理論だが納得のいくものもある。

現にサーヴァント…英霊はかつて存在したとされる英雄達の伝説や空想が産み出した“英雄の霊”であり、サーヴァントであろうと“霊体”と言う“体”をもち、“退去”や“消滅”と言う“死の概念”が存在するのだ。

 

なら普通の霊に“死の概念”が存在しないとは思えないだろう?

 

ゾンビやスケルトンにしてもそうだ。死んでいるのは元の体の“精神”だけ、未だ“肉体”は存在するのだ。

 

一部の魔術師が使うネクロマンシーと呼ばれる魔術や死徒と呼ばれる吸血鬼擬きはすでに“精神が死んだ肉体”一般的に言うなら死体を自信の眷族や媒介とすることによりその肉体を動かす。

 

つまり擬似的ではあるものの“命を与える”と言う行為を行っているのだ。

 

命を与えられたのに死の概念がないのはおかしいだろう?不老不死であろうと神であろうと結局は死には抗えないのだ。

 

かの大英雄ヘラクレスは死しても蘇る怪物を相手にどうやって倒した?答えは蘇る度に殺し、完全に消滅するまで休まず殺したのだ。

 

かの英雄王はどうやってウルクを守り、神代を終わらせた?答えは神を殺したのだ。

 

イシュタルが仕向けたグラガンナを殺した事により彼の唯一の友、エルキドゥは死に至り、王は不老不死の霊草を探したと言う。しかし結局、不老不死を捨て王は死んだのだ。

 

かのアーサー王、つまりアルトリアも約束された勝利の剣(エクスカリバー)最果てにて輝く槍(ロンゴミニアド)遥か遠き理想郷(アヴァロン)をてにしたにも関わらず死んでしまい、英霊として格上げされたのだ。

 

果たして死とはなんなのだろうな。肉体の死なのか、精神の死なのか、どっちなのだろうな?

 

話が哲学的になってきて長くなったので元の話題に戻ろう。直死の魔眼で見えた木に映った線をなぞるとその木のなぞられた部位から消滅したので、結果は大成功である。

 

「あの…マスターちょっといいですか?」

 

「どうしたの、ランサー ?」

 

「いえ、大したようでは無いのですが……その…失礼なのは分かるのですが…寒いのが苦手なので暖かいものが貰えないかと」

 

突然ランサーが話しかけて来たと思えばなるほどそういう事か。ランサー…つまりメデューサは蛇の怪物ゴルゴーン。

 

例えアテナの呪いにかかる前の若かりし頃であったとしてもその性質はほとんど変わらないのだな。

 

「ランサーは蛇の性質を持ってるんだもんね。ちょっと待ってて、俺の服で良ければ持ってくるよ。」

 

俺はクローゼットまでワープをして中からもふもふなコートや、手袋、帽子を取り出しメデューサに差し出した。

 

「ありがとうございます、マスター。」

 

メデューサはそう言い残し服と共に霊体化したと思うとしばらくしてから着替え終わったのか再び実体化していた。

 

元が男物でも子供用である事には変わらない服なのか、それともただ単にランサーの元が可愛くて何でも似合うのかは知らないがその姿はとても可愛く、子供らしさが出ていた。

 

そんなランサーの姿を見ていたキャスターは何やら他の服も着せたいです!と志願していた。

 

キャスター……あんたこの頃から人を着せ替え人形にするのが好きだったのか(呆れ)

 

俺に視線を向けるな服は買わんぞ。

その後、キャスターとランサーに模擬戦を頼み自分の力量をとにかくあげた。昼間はイリヤと父さん達と遊び、夜は修行この日課を繰り返し続けた。

 

さてと、だんだん戦闘には慣れてきた。

聖杯戦争までいよいよあと1日、見ていやがれアインツベルン当主。

 

俺はお前の力を借りることなく母さんと父さん、そしてイリヤを救って聖杯戦争を終わらせてやるよ!たとえ抑止力に邪魔されようと、地獄に落ちようとな。

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フハハハハ!面白い。せいぜい我を楽しませろよ雑種!」

 

千里眼で彼を覗いていた英雄王は不敵に微笑んでいた。




作者の~次回予告!
さぁはじまりました次回予告。次の更新はネタがあれば速くなるかもネ!
それでは
いよいよ始まった聖杯戦争。サーヴァントを二人連れたサーベラスの前に不適な笑みを浮かべた英雄王が姿を表す!
サーベラス「慢心してるのに勝てる気がしないな。流石、英雄王だ。」
英雄王「フハハハハ!慢心せずして何が王か!よくいったな雑種誉めて使わす!」
サーベラス「嬉しいけど嬉しくないな!くっそ、なんだよ……あの線の数……覚悟はしていたが無理ゲーにも程がある!?」
果たして彼の初陣は上手くいくのか?
次回「慢心と初陣」
お楽しみに!


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慢心と初陣

前回のあらすじ!
前回、投影魔術と直死の魔眼を試し終え、ランサーを召喚すると言う事故を起こしたサーベラスはいよいよ聖杯戦争を終わらせる為の戦いを始める。そんなサーベラスの前に不適に微笑みながら英雄王が登場する。



サーベラスside

 

「明日からいよいよ聖杯戦争か……」

 

特訓が日課になってから数日後、俺はだんだん投影に慣れてきてハルペーの強化だけでなく、夫婦剣こと干将・莫耶のオーバーエッジ化(刀身の巨大化のこと、詳しくはwiki等を参照)等も出来るようになっていた。

 

なんなら宝具のように使うことも出来るようになった。技の名前は元になったエミヤの鶴翼三連から名前をとって鶴翼連撃とでも名付けるかな?

 

夫婦剣のお互いを引き寄せ会う性質を利用して相手の寿命の線を遠距離でも近距離でも断ち切ると言う技だ。

 

投影魔術と直死の魔眼、両方を持つ俺にしかできない荒業だ。

 

慢心しているかつ、宝具を展開してこなければ英雄王を無傷とはいかないが倒せるだろう。

うん、慢心してても宝具は展開するから無理だな。

 

アサシンやライダーならどうにかなるのだがな。それに英雄王となれば寿命の線もかなりの数だろう。

 

軽く見積もっても百以上の線があると予測できる。

英雄王をまだ見てないので何とも言えないのだが、俺は影魔術と投影魔術を主戦力にしているのだ。

 

そう、何といっても俺はあの英雄王が最も嫌いとされる贋作者(フェイカー)なのだ。

 

いざと言う時は死ぬ覚悟で聖杯の力を使い無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)の使用を考えなければならない。

 

でもこれはあくまでも“エミヤの固有結界を借りる”だけである為使い方は俺次第だな。

 

俺に出来るかは分からないが自分だけの固有結界とかも作ってみたいものだ。

 

さてと、そんなことは置いておき、今のうち何個か干将・莫耶を投影して、影に収納しておこう。

 

戦闘中の投影は隙が出来るし時間がかかる。英雄王に勝つには一万以上の剣が必要だけど、とりあえず100個ぐらいの夫婦剣を投影しておこう。

 

さてと、念のため防御手段を手にいれなければな…… 熾天覆う七つの円環(ローアイアス)でも使うかな?

 

「さーてとでは早速使えるようにならなきゃな。えーと……熾天覆う七つの円環(ローアイアス)って詠唱って必要なのかな、キャスター?」

 

「とりあえずしたらどうですか?詠唱呪文はこっちで考えますから。」

 

「待ってください、キャスターさん!?私も混ぜてください!」

 

「仲良いな君達。」

 

何だか黒歴史級の詠唱呪文ができる気がするが……よし、慣れておこうかな。

 

数時間後、キャスターとランサーが詠唱を書いた紙を持ってノリノリで戻ってきた。

 

書いてある内容は………黒歴史……確…定かな?

 

「とりあえずやってみますか。え~と、『七枚の花弁の姿をした光の盾よ、その光で我を守りたまえ!熾天覆う七つの円環(ローアイアス)』」

 

詠唱を終えると花の花弁に似た七枚の光の盾が目の前に出現した。

 

しかし精神へのダメージが大きいな!?fate世界では詠唱は普通でも結局、元一般人の俺には恥ずかしいな。

 

おい読者諸君、今笑ったな!?想像してみろ、これから自分の父や母、妹の前でこの詠唱を唱えるんだぞ!

 

読者達は耐えれると言うのか?え?他人事だからどうでもいい………この愉税大好きなマスター共め!麻婆食わせたらァ!

 

まぁメタは置いておこう。使えるだけマシと思っておこう。

 

さてと冬木にいる間は何処を拠点に活動するべきなのかね?父さんはもうホテルに着く頃だと思うし、こういう時は野宿でもした方がいいのかな?

 

考えてみれば工房が必ず必要と言うルールは無いし、ただ単に隠れ家として利用するだけならウェイバー・ベルベットみたいに他人の家を使用するのもありだな。

 

そうと決まれば空き家を探すぞ!宝石剣を使ってな!

 

宝石剣ゼルレッチ

 

転生特典で俺が最初から投影できる干将・莫耶以外の剣だ。

 

この剣はFGO内でこそ星3の雑魚礼装と言われているのだが、実際の聖杯戦争では恐ろしい物なのだ。

この剣は持つ人の魔力を消費せずに無限に攻撃が出来る、まぁHFのオルトリアがやっていた聖剣連打が可能だと思ってくれ。

 

この剣を作ったゼルレッチって人は皆おなじみカレイドスコープのあのおじさんだ。

 

この世界では今の所唯一、空間に干渉する“魔法”第二魔法が使える人物だ。

 

他の平行世界を見る事も出来るのがゼルレッチ、そのゼルレッチが作った剣は幾つもの平行世界から無限に魔力を供給し続けると言うチートスペックを持ってるんだ。

 

でも、この剣はあくまでも持つ人の限界は越えられない。

 

簡単に言うと素人が持つと素人の最大威力が、達人が持つと達人の最大威力が出るという剣だ。

 

まぁ、ゼルレッチが作ったもので有名なのは宝石剣ではなくカレイドステッキだから存在すら忘れられているかもしれないけどね。

 

さてとどうやって宝石剣で空き家を探すかと言うと、宝石剣の力を使い本のちょっとだけ空間を捻じ曲げて冬木市を覗けるようにするのだ。

 

何言ってるか分からないって?あぁ、俺イマイチ分かってないけど………

 

キャスターが言うには望遠鏡で星を覗くようなものなのだとか

 

さてさてとっとと探しましょうかね?

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

(о_о)「ナンデダロウナカナカアキヤガミツカラナイ」

 

「「マスター!?顔が、顔の絵柄が変わっていますよ!?」」

 

「すまない……空き家を見つけられず…すまない」

 

「「マスターが壊れた!?」」

 

「取り敢えず寝室に運びますよランサー!」

 

「えぇ、そうしましょうキャスター!」

 

中々空き家が見つけられず、いつの間にか顔面の絵柄が変わっていた俺はサーヴァント達により寝室へ運び込まれ、しばらく休憩をしていた。

 

ちなみに空き家は見つけられなかったが廃病院やら廃校舎などは見つけられたからそこを拠点にしよう。

 

アインツベルン当主……あぁもう面倒臭い!アハト爺に念の為の金を頼んでいつでも食べ物と服を買えるようにしてもらい、明日に備え眠る事にした。

 

聖杯戦争……絶対勝利してイリヤ達を助けてやる!

その為には俺は英雄王すら殺すだろう。

 

そういやバーサーカーは誰が召喚したんだろう?

もしかして、原作のあの殺人鬼こと雨生龍之介かな?

 

後でゼルレッチ使って止めに入ろう、うんそうしよう。

よし!此度の聖杯戦争俺はルール違反を起こすぞ!

 

と言う訳でバーサーカー召喚は何が何でも阻止させましょう。

 

それと、父さんとの同盟に、英雄王対策、ウェイバー&ライダー、うんやることは沢山だ。

 

こうなったらご覧あれ!騎士王も驚くかもしれない俺の働きっぶりを!元ブラック企業の社員舐めんなよ!

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

ランサーside

 

「くっそ、英雄王の宝物の中には確かハルペーもあったっけな?対策を考えとかなきゃな。あの父さんがそう簡単に同盟に乗ってくれるかな?隙を見て起源弾を撃ち込まれるかもしれないし、それに加えてセルフギアスクロールを書かされるに違いないし。そういやケイネス・エルメロイ・アーチボルトはどうなってるんだ?ゼルレッチを使って覗いてみるか……えぇ!?ウェイバーと一緒に聖杯戦争に参加するのか!?」

 

何やらマスターは作戦を考えるので忙しそうですね。

私はランサー、此度マスター…サーベラスに聖杯戦争に召喚されたサーヴァントの1人です。

 

マスターは何かと優しそうな人で、私が寒いから何かくれないかと頼むと暖かい服をくれ、キャスターが食べ物を頼めばいつの間にか作って出てくる。

 

その上、聖杯戦争に参加した理由が妹と母、父を幸せにする為だと言うのだ。

 

何だか姉様達とは大違いだ。本当に私を縁だけで召喚したのかと思うほど不思議だ。

 

私を縁だけで召喚出来るのと言えば女神の子孫やハルペーを持つ者、蛇の魔物に関連する魔術師だけだろう。

 

そう考えると何が原因で私が召喚されたのだろう。

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーベラスside

 

「ウェイバー&ケイネス、遠坂時臣&言峰綺礼、父さんと母さんそして俺か……圧倒的に不利だな。」

 

単純に考えると今俺は3つの陣営を敵に回している。

ウェイバー&ケイネスのサーヴァントはクラスライダー、真名イスカンダル、征服王は……ノーコメントだな。

 

言峰綺礼のサーヴァントはクラスアサシン、真名は百貌のハサン、こいつは警戒する必要は無し、どうせイスカンダルにヘタイロられるだけだしね。

 

1番の問題は遠坂時臣のサーヴァント、アーチャークラスのギルガメッシュだ。

 

あの底の尽きない財宝はかなりきつい。

 

不死殺しの宝具、竜殺しの宝具、令呪、霊薬シリーズ、天の鎖にヴィマーナー等あらゆる種類の宝具が収納されている為、敵に回すとかなりきつい相手だ。

 

唯一の救いは俺程度の相手には慢心してくれる事だろう。

 

慢心さえしてくれれば何とか勝ち筋は見えるはずだ。

うん、どうにかしよう。考えよう。

 

時は飛んで次の日の朝

 

「お兄ちゃん本当に行っちゃうの?」

 

悲しそうな目でイリヤは俺を見ている。

ことの成行はこうだ。

 

朝起きる→イリヤに野暮用で出掛けると伝える→全力で止めようとする→全力で説得する→イリヤ涙目

 

まぁ、こんな感じだ。

やめろよイリヤ俺まで悲しくなるでは無いか!

 

「大丈夫、必ず勝ってくるからさ!父さん達の到着を楽しみにしとけよ!」

 

「うん、分かった!イリヤはレディだからね!必ず帰ってきてよお兄ちゃん。レディを待たせちゃ行けないんだから。」

 

そう言って俺の帰りを信じてくれるイリヤを見て俺はとても悲しく寂しい気持ちになった。

 

何故なら俺はいずれ聖杯になり、帰ってくるのは恐らく母さんと父さんだけ、それなのに、この妹は俺の帰りを望んでくれているんだ。

 

聖杯にかける願い、決まったな。

さてとそれでは出発しようか、Fateの(聖杯戦争が)始まったあの町(始まりの地)

 

冬木にて

 

現在の拠点は冬木の地にてたまたま見つけた廃病院だ。

つい最近廃病院になったのかベッドシーツ等はキレイさっぱりの新品同然だ。

 

薬類もあり、工房にするにはピッタリだ!とキャスターが喜んでいた。

 

取り敢えず人よけの結界を貼って中に影を利用した罠を幾つか貼る。

 

これは俺に対して敵意がある者が踏むと影の中から無数の夫婦剣が飛び出してくるという物だ。

 

廃病院なだけに電気が通っておらず薄暗いからこそ作れた罠だ。うん、準備は万端だ!早速まずは勝負を仕掛けてきます!

 

ケイネスがディルムッド(初代自害するランサー)を召喚していない為、俺が魔力を放ちファーストコンタクトの切っ掛けを作る必要があると思ったからだ。

 

さてとこれまた影で瞬間移動して例のコンテナがある港へ来ました!

 

さてと魔力放出ってどうやるのだろう?ランサーもキャスターも魔力放出のスキルは持っていないし、俺がやるしかないのだが……まぁ、体内の魔力を外に向かって爆発させるイメージでいいだろう。

 

「………ほいっと!」

イメージを思い浮かべて魔力を放つとまさかの爆発が発生して恐ろしい程の魔力が外に放出されてしまった。

 

FGOの魔力放出のスキルで例えるなら魔力放出EXって所か……恐ろしいな。暫くは封印だな。

 

おっ、原作通り真っ先にセイバーと母さんが来たな。父さんと、舞弥さんも後ろでスタンバってるみたいだな。

 

他にも多数の気配があるから恐らくアサシンだろう。

退場したと聞いたがそれは嘘なわけだからな。

 

さてと、大人しくセイバー達に話しかけるとしよう。ちなみに声は魔術で偽装して見た目は影を纏った状態でフードを深く被ってるからバレる事は無いよ!

 

「さてと、誘いに乗ってくれたみたいだね。え〜と、君の姿からしてセイバーかな?俺のサーヴァントはランサーだからね。」

 

「えぇ、確かに私はセイバーですね。ですが貴方も不用心にも程がある。マスターなのに堂々と前線に立ってますか。」

 

「生憎、サーヴァントは既にスタンバイしてるし、俺はちょいと特殊な魔術を使うからな?取り敢えず、聖杯戦争だし、戦いますかね。頼むよ、ランサー、キャスター!」

 

「えぇ!」

 

「お任せ下さい!」

 

「なっ!2体のサーヴァントだと!?」

 

そりゃあ驚くだろうね。普通はマスター1人につき一体のサーヴァントと言うのが常識だ。

 

だが俺は無尽蔵な魔力と運の悪さのお陰でこうして2体のサーヴァントを従えている訳だ。

 

「本当はルール違反したくなかったんだけどトラブルがあってさ、でも今回は聖堂教会と遠坂時臣がずるをして協力し合ってるからこれぐらいいいよね?」

 

俺は聞こえるようにわざとそう宣告すると母さんとセイバーはかなり驚いた表情をしていた。

 

「さてと、じゃあ始めようか?話はその後だ。」

 

「では行きますよ!キャスター、あのセイバーはかなりの強敵です!あの見えない剣が恐らく彼女の宝具、気をつけて戦いましょう!」

 

「えぇ、任せてランサー!でも私の魔術が効くかしら?見た所彼女の対魔力はかなり強いみたいよ?」

 

「相手が二人なら遠慮はいりませんね。下がっててください、アイリスフィール。全力で行きます!」

 

セイバーが剣を深く握り一歩を踏み出すのと同時に戦いが幕を開けた。

 

セイバーの攻撃は単純、不可視の剣で斬りかかったり風王結界(インビジブル・エア)を利用した風の斬撃、風王鉄槌(ストライク・エア)を放っているのみだ。

 

対するランサーは鎖鎌の形となったハルペーを器用に操りセイバーにバレないように何かトラップを仕掛けているようだ。

 

普段のセイバーなら直感スキルで回避する事ができるのであろうがこちらのキャスターがガンガン魔術を放ってくれるお陰で直感スキルはキャスターの不意打ちや砲撃の方に向いているようだ。

 

「さてと、俺もちょいと手助けするとしますか!解析開始!」

 

俺は手をセイバーの方にかざし、投影魔術を使用する為の解析を開始する。

 

さすがに風王結界(インビジブル・エア)により隠されている聖剣までは解析できないが、まさか風王結界(インビジブル・エア)その物が解析できるとは思わなかった。

 

やったね!英雄王への対策が1つ増えたよ!

あとオマケで解析した風王鉄槌(ストライク・エア)を改造して俺が使いやすいようにしてみたよ。

 

「よし、それじゃあ早速だけど喰らってみな!投影開始(トレース・オン)、拳に纏ってからの超改造した俺の技。幻影結界(インビジブル・シャドウ)からの、幻影鉄槌(シャドウ・ストライク)!ネーミングセンスは皆無だが仕方ないよな?」

 

拳に纏われた影が、さらに暗くまさに闇になった所を不可視の弾丸として飛ばす技、ネーミングセンスは元ネタである風王結界(インビジブル・エア)から取ってきた!

 

「なっ!これは風王結界(インビジブル・エア)と同じような技だと!?」

 

「“同じような”ではなく“投影して俺なりに改造した”って所だ。体に纏っている影との相性もベストマッチ!アサシンクラスだろうが俺を見つけられないだろうね?そして、今だ、ランサー!」

 

俺が合図をすると同時にランサーは地面に垂れていた鎖を一気に動かしセイバーの腕から不可視の剣をはじき飛ばした。

 

「なっ!隙を取られて!」

 

「あらよっと。この見た目、この解析結果。なるほどね。セイバーの真名は判明したって所だな。ほい、返すよセイバー。1度解析さえ出来ればいいからね。それじゃあ次は殺す気で戦おう。」

 

聖剣エクスカリバーを解析し終えた所で高々と殺し合いの再開を宣言すると遠くから

 

「AAAALaLaLaLaLaie!!」

 

という叫び声と共に何処からかライダーが君臨した。

 

「双方、武器を収めよ! 王の前であるぞ!

我が名は征服王イスカンダル、此度の聖杯戦争ではライダーのクラスを得て限界した。」

 

「……………………」

 

唖然とするセイバー。

 

「「何を考えて(いるんだ)やがりますか!この馬鹿は!」」

 

自らの真名を隠そうともせず叫ぶライダーにマスターであるウェイバーとケイネスはかなりのストレスを感じてるように見える。

 

あ、デコピンされて気絶した!まぁ、あのイスカンダルのデコピンで気絶で済む方が凄いのだけど……

 

「うぬらとは聖杯を求め相争う巡り合わせだが、まずは問うておくことがある。うぬら……ひとつ我が軍門に降り、聖杯を余に譲る気はないか!!さすれば余は貴様らを朋友と遇し世界を征服する快悦を共に、分かち合う所存である。」

 

そう高々と宣言するイスカンダルにセイバー、ランサー、キャスター、母さん、果てには遠くにいるアサシンや父さんまで困惑の色を隠せていないようだ。

 

「っフフ、アハハハハ。これは面白いサーヴァントもいたものだ。聖杯が作られた真の目的も知らないと言うのに。それ以前に高々と自身の真名を明かすとは、さぞ、マスターは苦労してるのだろうな。」

 

一方俺は笑いを堪えきれずに話しかけてしまった。

しかし内心では色々と考えている。

 

ここでイスカンダルを仲間に出来るのなら、今すぐにでも大聖杯を破壊しに行けるかもと言うアイディアが思い浮かんだのと同時に原作道理の登場で感動していたのだ。

 

「生憎だけどこっちにも目的があってだね。まぁ、俺も元はと言えば同盟を組めるかな?程度の気分でここに来た訳だが、まさか真名を明かすサーヴァントがいるとはな。まぁ、此度の聖杯の真実は元から教えるつもりだし、別にいいよ!同盟って事でならね。セイバー陣営はどうかな?」

 

思考の結果、俺は同盟を組む事に賛成した。

英雄王を倒すにはそれだけの力が必要なのだ。

 

これでセイバーも応じてくれるといいのだが期待しようのない物には期待しないでおこう。

 

「おおぅ!そうか、同盟を組んでくれるのか!」

 

「まぁ、俺も普通なら同盟なんて結ばないさ。ちょいと特殊な目的でね。その為には何人かのサーヴァントの協力が必要だと思っただけさ。」

 

テンポよく会話を進めていく俺とライダーを目の当たりにしているセイバーと母さんは驚きの色を隠せていないようだ。

 

そして俺とライダーが次、何処で集合するか話し合おうとした時

 

「我を置いて王を名乗る不埒者が一夜に二匹湧くとはな。」

 

不敵な笑みを浮かべた金色の鎧に身を包んだ英雄王が姿を表した。

 

「難癖つけられた所でなぁ。イスカンダルたる余は世に知れ渡る征服王に他ならぬのだが…」

 

「戯け、真の王たる英雄は、天上天下に我ただ独り、後は有象無象の雑種に過ぎん。」

 

「真の王を名乗るなら先ずは名乗りあげてはどうだ?」

 

「やめとけ、ライダー。今ので大体分かった。彼奴のクラスは恐らくアーチャー、そしてあの自分が唯我独尊の王として自分を名乗る英雄。ここまでキーワードが揃えば彼奴の真名ぐらいは推測できる。恐らく古代エジプトの王オジマンディアス王…いや、それより前の王か?しかしキャスターはもうすでに俺が召喚してるから魔術王ソロモン王でもないだろう。となると恐らくメソポタミア文明にて繁栄した古代ウルクの王であり、神代を終わらせた…英雄王ギルガメッシュ王に違いないだろうな。」

 

「ほう?一目見て、一言我が語るだけで我の真名を当てるか?やはり貴様は見ようがあるな雑種。」

 

「あれってきっと慢心してるんだよな?勝てる気がしないな。流石、英雄王だ。」

 

「フハハハハ!慢心せずして何が王か!よく我が一言言っただけで我の真名を当てれたな雑種!誉めて使わす。」

 

「嬉しいけど嬉しくないな!さてと早速、『直視』」

 

直死の魔眼を発動して周りを見渡す、イスカンダルの線の数は40、セイバーも同様。

 

ウェイバーとケイネス、母さん、父さん、舞弥さんは全員5、それに対して英雄王は150と?

 

「くっそ、なんだよ……あの線の数……覚悟はしていたが無理ゲーにも程がある!?」

 

「ふん、『直死の魔眼』か…やはりその眼は伊達では無いな?どうだ、ここはひとつ我の下僕にならないか?」

 

「断らせてもらうよ。今はもう征服王と同盟を組んだからね。早々に裏切るほど俺は腐っていないんだよ。」

 

「ふん。今回はその失言、見逃そう。何せ今の我は気分がいい!精々我を楽しませる為に戦えよ、雑種。」

 

そう言い残し英雄王は金の粒子となってこの場を後にした。

 

「はぁ、緊張した。さてと、ライダー。続きは俺の工房でいいよな?」

 

「あぁ、承知だ!それでは乗れ!」

 

「乗らねーよ!俺は影で移動するから。それじゃあ行こうか、ランサー、キャスター。」

 

「「はい。」」

 

「それじゃあ、またね。騎士王とアインツベルンのマスター。あ、大聖杯には気を付けてね。危ないから」

 

俺は唖然としているセイバーと母さんにそう言い残しこの場を去った。

 

さてと上手くイスカンダルを仲間に出来ると良いんだけどな。

 

 

残り陣営

マスター サーヴァント

 

衛宮切嗣 セイバー「アルトリア」

 

ケイネス ライダー「イスカンダル」

 

言峰綺礼 アサシン「百貌のハサン」

 

遠坂時臣 アーチャー「ギルガメッシュ」

 

サーベラス キャスター「メディア・リリィ」

ランサー「メデューサ」

 

雨生龍之介? バーサーカー?




作者の〜次回予告!
さて今回もやりますよ!次回予告、ついでに最後に残っている陣営とサーヴァントも上に記載することにしました!
それでは
初陣でまさかのライダーと同盟を組むことにしたサーベラスは作戦会議改め、聖杯の現状をウェイバーとケイネスに話す事を決意したようだ。一方で冬木の殺人鬼、日本のジャック・ザ・リッパーと恐れられている雨生龍之介に宇宙サーヴァントの裁きがくだる!
龍之介「ねぇ、君って悪魔?」
???「貴方のようなマスターはお断りです。では死んでください」
サーベラス「これも呪い、もう慣れたよ。」
ウェイバー「お前も大変なんだな。」
ケイネス「なるほど、その為の聖杯戦争だったと言うのか…」
イスカンダル「なるほど……では先ずはあのアーチャーとアサシンをどうにかせねばなるまいな!」
次回 「作戦会議」
次回もお楽しみに!


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作戦会議

前回のあらすじ!
前回、イスカンダル陣営と同盟を組むことを約束し、英雄王を敵に回しす事になったサーベラスは作戦会議を始める。果たしてサーベラスは英雄王への勝ち筋を見つけられるか?気になる本編をどうぞ!


サーベラスside

 

「ようこそ、ライダー陣営諸君。俺の領域へ!」

 

移動を始め、数分後。現在俺達は俺の工房である廃病院に戻ってきている。

 

ちょいと格好つけて言っているがまぁ、気にしないでくれ。男ってのは格好つけたくなるものだ。読者諸君なら分かるだろう?

 

さて、改めて現在の状況を報告するとケイネスが何かに警戒して水銀を周りにスタンバイさせており、ウェイバーはイスカンダルに守られていると言うのが現状だ。

 

「どうした?そんなに警戒して。俺達は同盟を組んだんだから警戒するなよ。」

 

「だってぇ!こんな明確な殺意とかなりの魔力を感じるトラップ何て見た事が無いんだよォ!」

 

「ふん、くだらないな。ウェイバー・ベルベット君。そんな調子じゃあ聖杯戦争に参加するなんて生ぬるいぞ!」

 

「そう言う貴様だって水銀を召喚しておろう!フッハハハハ!師弟揃って、臆病者だな!」

 

「そう笑ってやるな、ライダー。俺だってあの英雄王にビビっていたんだ。」

 

「あれは仕方なかろう。王としての威厳が強すぎるからだろう?」

 

「まぁ、そんな事は置いておこう。今回紹介する為に呼び出したか忘れて無いだろう?」

 

「あぁ、すまんな。忘れるとこだったわ。」

 

「おいおい、はぁ。まぁこれはケイネスにもウェイバー君にも関係のあるものだ。」

 

「「何?」」

 

「要件を簡単に言おう。“今回の聖杯を諦めろ”」

 

「「「何だと?(はぁ!?)」」」

 

「説明して置こう。時は前回の聖杯戦争まで遡るんだけどね。第三次聖杯戦争の時アインツベルンのマスターは1つルール違反を起こしたんだ、何か分かるかい?」

 

「何だ?お前みたいに2体のサーヴァントを従えていたとかか?」

 

「おいおい、ケイネス。それでも時計塔のロードか?じゃあヒントを与えよう。サーヴァントには幾つクラスがある?」

 

「なっ!分かったぞ!さてはルーラーを召喚したんだな!」

 

「惜しい!ウェイバー君。」

 

「もったいぶってないで教えんか!」

 

「ライダーは考えすらしなかったのか……まぁ、正解は九つ目のエクストラクラス。復讐者のクラス、アベンジャーを召喚したんだ。その名も“この世全ての悪(アンリ・マユ)”その名の通りこの世全ての悪として召喚されたサーヴァントだ。通常ならそれは神霊、聖杯戦争では最強クラスと言っても過言ではないな。」

 

「と言うことは前回の聖杯戦争ではアインツベルンの魔術師が勝ったんだな?」

 

「否、そこでトラブルが発生したんだ。召喚されたアベンジャーはとても弱かったんだよ。それも一番最初に退場するほどね。」

 

「何!?神霊クラスなのにか!?」

 

「そうだよ!ウェイバー。無理矢理器に当てはまらせれたアベンジャーは信じられない程に弱体化したんだ。そして退場したアベンジャーは聖杯に魂を吸い取られた。魂が器に入った時、事もあろうか聖杯はアベンジャー“この世全ての悪(アンリ・マユ)”の“悪であれ”という願いを叶えようとしたんだ。その結果、聖杯は汚染され、聖杯の泥と言う、サーヴァントを汚染しあらゆる物を破壊する物を生み出したのだ。」

 

「何だと!?」

 

「要するにだ。今聖杯を使うと破壊という行為しか発動しないんだ。例えば、今、汚染されている聖杯に世界を救ってくれと願うとする、その時何が起こる?」

 

「ふむ?分からん。」

 

「なーんにも考えないんだな…ライダー。多分、破壊という願いを叶えるから世界を滅ぼすのか?」

 

「正解だ!ウェイバー君!世界を救えと願えば世界を滅ぼし、俺を助けてくれと願えば殺されるんだ!」

 

「そんな馬鹿な!?つまり、今回の聖杯は……」

 

「願いをかけられるものでは無い。何せ破壊する為の物だからな。それにサーヴァントの願いは叶わない、何せ最後に自害させるための令呪だからな。七騎のサーヴァントを聖杯に捧げ、根源に繋がるために。」

 

「なるほど……その為の聖杯戦争ってことか。」

 

そう、現在の聖杯は汚染されている。

願いを叶えようとすれば逆にその願いをさらに深く破壊するという形になるのだ。

 

そしてサーヴァントは最後に自害させられる。

英霊七騎を聖杯に捧げて根源へリンクをする。

 

その為に御三家によって生み出されたのが聖杯戦争なのだから。

 

全く、いつの時代も魔術師ってのは救われないよね。

キャスターと言い、アインツベルンと言い時計塔と言いね。

 

さてとケイネス達の反応は

 

「なるほどな。それで余の力が必要か……いいだろう!この征服王、これから征服する世界を征服する前に滅ぼされる事など許すはずがなかろう?よし、坊主ここはお前の策に乗ろうではないか!」

 

「「なっ、なっ、何言ってやが(るんだ)りますかこの馬鹿は!?」」

 

「な〜に貴様ら魔術師が目指す根源とヤラを先に潰されては困るだろう?それと同じ事よ!」

 

「ありがとう、ライダー。正直、俺とランサー、キャスターだけじゃ心細いからさ。」

 

「ハッハッハ!余の同盟なんだ!もっとシャキッとせい!お主らもだぞ!坊主、マスター。この坊主を見習ってもう少し気を張ったらどうだ?」

 

「うるさいなぁ!僕はどうせ弱虫なんだよ!」

 

「それは違うと思うんだけど……アハハハハ(苦笑い)そうだ、大聖杯を破壊するにはとある場所に行かなきゃいけないんだけど、その為には聖堂教会の言峰をどうにかしなきゃいけないんだ。」

 

「なるほど……では先ずはあのアーチャーとアサシンをどうにかせねばなるまいな!よし、その大役、余が受け持とう。」

 

「本当か!ライダー。」

 

「あぁ、任せとけ、坊主!」

 

やっぱり予想どうりライダーは面白く、そしていい人だ。この人が本当に征服王なのかと思わされる程に。

これがカリスマと言うやつなのだろうな。

 

「そうさな。いい作戦を思いついたのだが乗るか?坊主」

 

「……どんな作戦だ?」

 

「余がアサシンと英雄王を相手にするからその隙に大聖杯とやらを破壊しに行け、まぁ、その前にセイバーを誘って互いの王道を語る事にするだろうがな。」

 

「そうしてくれるとありがたい。だけど…大丈夫か?ライダーの宝具が何か知らないけどあの英雄王に勝てるのか?」

 

「な〜に、余も己の限界に挑戦してみたいだけだ。」

 

さすがライダーだ。征服王は英雄王すら征服したいと言うのだな。

 

「話の途中ですが……」

 

「ワイバーンでは無いよな?」

 

「???はい、監視しろと言っていた雨生龍之介が動き始めたのでそれを伝えに…」

 

「でかしたぞキャスター!悪いなライダー、用事が出来たから早速行ってくる!お前達はホテルに送っとくよ。」

 

俺は影魔術を使用し、ライダー達をホテルまで送ると急いで雨生龍之介が立て籠ったという家の中にワープした。

 

「みたせーみったせーみたしてみたせっと繰り返すに四度、あれ?五度だっけ?」

 

「さぁ、何度でしょう?」

 

俺が怒りの形相で睨みつけると何やら雨生は俺を悪魔だと勘違いしたようで気持ち悪い笑顔を浮かべていた。

 

「ねぇ、君が悪魔!?」

 

「悪魔……ね?違うなお前のような殺人鬼の事が嫌いな正義の味方かな?」

 

俺はあまりの怒りに片手にハルペーを投影させ首を切ろうとすると雨生が書いたであろう血の魔法陣が光り始めそこから一体のサーヴァントが姿を表した。

 

「………」

 

「おぉぉぉ!?本当に召喚された!ねぇ、君って悪魔?」

 

「………」

 

「ねぇねぇ、聞いてる?」

 

「……はぁ、貴方のようなマスターはお断りです。」

 

「え?何だって?」

 

「というか殺人鬼は死んでください。」

 

「え?」

 

俺はサーヴァントの言った言葉に対して言葉も出せないでいるとバーサーカーと思われる、嫌、自称セイバーのバーサーカーの右手に現れた聖剣で雨生龍之介の首は吹っき飛ばされていた。

 

「っち!速攻でマスターの首を飛ばしたか!一体どんなバーサーカーなんだ。」

 

「所でそこの人、私のマスターになりません?ぶっちゃけさっきの人に従いたくなかったのですが…」

 

「話についていけない。取り敢えず、先ずはゼルレッチと父さんの能力をコピーした固有時制御を利用して肉体を少し巻き戻す!聖杯の力で心臓と魂を呼び戻す、よし!キャスター!宝具を使用してこの場の全員を癒して!」

 

「はい!任せてください、マスター。

 

どうか誰も傷つけぬ、傷つけられぬ世界でありますように……『修補すべき全ての疵(ペインブレイカー)』」

 

メディアが杖をかざすとたちまち周りの景色や血が吹きでていた家族と、殺人鬼はみるみる元に戻っていき、最後には何事も無かったかのように修復されていた。

 

「よし、殺人鬼からは令呪の回収完了。後はバーサーカーだけだけど………」

 

「もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。やはり和菓子は最高ですね!」

 

いつの間に和菓子を食べ始めたんだこのバーサーカーは?と言うか何処からか取り出した!?

 

「あれってセイバーですよね?顔がそっくりです。」

 

「否、バーサーカーだよ、ランサー、キャスター。」

 

「私は謎のヒロインXオルタ……対対セイバー兵器のセイバーです……決してバーサーカー等ではありません……それともっと和菓子を要求します!」

 

「ね?バーサーカーでしょ?」

 

「「そう…ですね。」」

 

さてと、問題はこれからどうするか?令呪を奪った事により俺は強制的にバーサーカーと契約を結んだ事になったのだが、バーサーカーこと、Xオルタは和菓子を大量に消費するが代わりにかなりの戦力となりうる力を持っている。

 

特に聖剣だ、通常のエクスカリバーに加え何故かサーヴァントユニヴァースネット通販で買える特殊な剣、邪聖剣ネクロカリバーとか言う巫山戯た名前のラ■■セイ■ーを持っているのだ。

 

対英雄王の兵器としては使えるだろう。

 

「はぁ、仕方ない。これからよろしく、バーサーカー」

 

「……だからセイバーですってば……せめてえっちゃんって呼んでください。」

 

「じゃあXオルタね。これからよろしく。」

 

「……えぇ、和菓子がある限りついて行きますとも」

 

(何処かのアルトリアは古来より王とは腹ペコなのです。と言っていたがまさにその通りだな。オルタと通常の違いはただ何を好んで食べるかが違うだけだし。)

 

「……今、失礼な事を考えませんでした?」

 

「気のせいだ。取り敢えず、この殺人鬼は警察に突出すか。」

 

この後、俺は雨生龍之介を引きずりながら警察署まで連れて行って差し出してきた。

 

さてと、取り敢えず工房に戻って来たのだが……

 

「ちょっと和菓子を買ってきます……何かあったら令呪で呼び出してください。」

 

Xオルタが自由気まま過ぎて困っています。

どうすれば良いのでしょうかね?取り敢えずウェイバー君に現象報告を

 

─ピロロロロ

 

「あっ、もしもしウェイバー君?実はこんな事があって──(事情説明中)」

 

『なるほどね。にしても……』

 

「もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ」

 

『お前も大変なんだな。』

 

「言ってくれるな、悲しくなる。これも呪いだ、もう慣れたよ。」

 

ウェイバーに哀れまれる日が来るとは思いもしなかったな。

 

さてと、改めてどうしようか。取り敢えずXオルタの剣は解析させて貰ったのだが正直、これだけでは英雄王に届かない気がするんだよね。

 

さてと、どうしたものかな?Fate/zeroで現在残っているイベントと言えば後、イスカンダル、セイバー、英雄王の王道語りと、言峰綺礼による遠坂時臣殺害、凜のイベントは俺が殺人鬼を警察に突きだしたことでなくなっただろう?

 

なら後はなんだろう?そう考えながら俺は眠りについた。

 

次の日 昼

 

さて俺は今、冬木の商店街にきている。

 

理由はXオルタの和菓子を買うのと単純に腹が減ったから弁当を買いに来たってのもある。

 

念のための変装は完璧!キャスター印の変装セットはとっても実用的。

 

魔眼殺しの眼鏡、白い髪を隠すためのカツラと帽子、そして強化の魔術により防弾チョッキの数倍固くなった布製の服!極めつけはXオルタ並の対魔力を付与!

 

これほど完璧な性能はない!まぁ、代償として着せ替え人形にされたのだが……うん、ノーコメントだ。

 

これならあらゆる魔術師にバレる心配なし!

勝った!風呂食ってくる。

 

ネタは置いとき欠点を伝えよう。魔術で探る事は出来なくなっているのだがその代わり俺の強化魔術が封印されるのだ。

 

それだけではなくカツラを取られたりしたら一瞬でバレる心配があるのだ。

 

それと街の中では影を纏えないのもかなり痛い。

 

「こんな所で英雄王に不意打ち何てされたら……考えないでおこう。」

 

「失礼ですね。いくら大人の僕でもそんな事しませんよ。」

 

ん?何だか聞き覚えのある声?そう思い振り返るとそこにいたのはまさかの子供の英雄王いわゆる子ギルだった。

 

「アイェ!?英雄王ナンデェェ!?」

 

「驚きました?何故か昼は僕が行動するんですよ!」

 

「英雄王って……何でもありなんだな……路地裏行って戦争の続きでもやるのか?」

 

「いえいえ、昼には戦争なんてしませんよ。それに今回の目的は君にプレゼントを届ける事なんだよね。大人の僕が言うには『我の真名を一目見ただけで当てた褒美だ。精々身につけるがよい!』だってさ。」

 

そう言うと子ギルは黄金の波紋から金色で真ん中にブルートパーズと思われる宝石をはめた腕輪が出てきた。

 

「これですよ。珍しく大人の僕が面倒臭いのを我慢して君の誕生石を調べたんだから貰ってくれるよね?」

 

己、千里眼持ちの英雄王!にしても威圧感がすごいな、貰うしかないのか?

 

「仕方ない、あの英雄王が選んだんだ。それに受け取らなかったらどんな目に合わされるか分からないしね。」

 

「よく分かってますね。もしかして直感スキル持ってます?」

 

「そんなの無いよ。はぁ、子ギルとは仲良くなれそうな予感がするよ。何で英雄王見たいな性格になったんだろうね。」

 

「アハハハ……僕も不思議で溜まりませんよ。では、大人の僕の時は敵ですけど子供の時は仲良くしてくださいね。」

 

「マジですか。まぁそうしとくよ。じゃあ今度は戦地で会おうね。英雄王。」

 

そう言い終わると同時に小さな英雄王は霊体化してこの場を離れていったようだ。

 

「何か疲れた気がするな。よし、早く帰ろう。」

 

結局、和菓子と弁当、飲み物、そしてランサーとキャスター用の服だけ買って帰ってきた。お店の人には姉へのプレゼントって事で通ったので良かった良かった。

 

帰ってきてから

 

「マスター!?何ですかその腕輪!新手のお洒落ですか?」

 

「これは英雄王に貰ったのだが……」

 

「何ですと?この世界にもコスモギルガメスがいるのですか……Xさんを呼ぶべきでしょうか?」

 

「やめてくれもっとカオスになる。」

 

「マスター…これが私達用の服ですか?」

 

「あぁ、気に入らなかったらごめんね。それとランサーにはカイロも持ってきといたから」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「Xオルタは和菓子を食べ過ぎないようにね。」

 

「はーい。」

 

さてと、今夜は王道語りをするんだってな。

俺は参加しなくてもいいかな。

 

そう思っていると突然Xオルタが立ち上がり、では早速王道語りをしに行きましょうと言い出してしまった。

 

「おいおい、マジで行くのかよ、Xオルタ?」

 

「これでも私は王ですので。それでは行きましょう。」

 

「それには私も賛成です!私もコルキスの王女なので」

 

「キャスター!?えぇとどうしようかランサー。」

 

「仕方がありません。早く行って早く帰りましょう。念の為、何か料理を持っていった方がいい気がします。」

 

「マジですか。じゃあ急いで作るから手伝ってくれ!キャスター、ランサー!」

 

「「はーい」」

 

まさか家のサーヴァント達がノリノリとは思わなかったな。

 

よし、念の為ネクロカリバーを何個かトレースしておこう。

 

備えあれば憂いなし!これ大事!

料理は適当に酒に合うツマミを用意して完成!

 

ではではレッツg

 

「Alalalala-i」

例の声が聞こえ、流れ作業かのように俺達は連れて行かれてしまった。

 

「いつもこんなのに乗ってるのか……同情するよ、ウェイバー。我が友よ」

 

「僕達はいつ友達になったのかな!?まぁ、良いけどさ!」

 

ッシャア!初めての友達はウェイバー君だ!勝った!(Fateファンとして)フォウ食ってくる。(ATKアップ)

 

さてと、連れてこられた先は案の定、冬木のアインツベルン城だった。

 

「突撃は止めろよ、ライダー。ちゃんとノックをしろ。」

 

「征服王たる余にノックをしろと申すか!嫌、現代では常識か…」

 

やれやれ、この征服王、予想以上に苦労しそうだ。ウェイバー君もよくこの人の臣下になると決意したよな。

 

嫌、面白くてかっこよくて、憧れの王のような人だから

臣下になりたいと思うのか……さすが征服王、騎士王や英雄王とはまた違ったカリスマがあるのだな。

 

残り陣営

マスター サーヴァント

 

衛宮切嗣 セイバー「アルトリア」

 

ケイネス ライダー「イスカンダル」

 

言峰綺礼 アサシン「百貌のハサン」

 

遠坂時臣 アーチャー「ギルガメッシュ」

 

サーベラス キャスター「メディア・リリィ」

ランサー「メデューサ」バーサーカー「謎のヒロインXオルタ」




作者の〜次回予告!
さて今回もやりますよ、次回予告!
余談ですが作者は220連ガチャ回してようやくキャストリアが手に入りました!我が生涯に一遍の悔いなし……
さてさて、次回予告をやっていきまs
???「竹刀の一撃を喰らえ!」
グベラァ!
弟子ゼロ号「やりましたよ、師匠!これで新生アインツベルン相談室を開けますね!」
アイリ「やりすぎよ!ぜっちゃん。私は次回予告をやらせてもらいたくて来たのよ!ごめんなさいね作者さん。」
イエイエオキニナサラズ(ガッツスキル発動)
弟子ゼロ号「では早速」
ライダーにアインツベルン城に連れてこられたサーベラスは王の対談を目の当たりにする。
そしてついに大聖杯の元に向かう事に!?
一体全体、どうなるの?頑張ってね!サーベラス、お母さんは応援してますよ!
弟子ゼロ号も応援してます!
「「次回! 対談と大聖杯」」
次回もお楽しみに!

サーベラス「何か寒気が!」


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対談と大聖杯

いてててて、まだ竹刀で殴られた所が痛むよ。
あれは確実にBusterの攻撃だった。
それは置いとき!前回のあらすじ
前回、聖杯戦争の真実をライダー陣営に話し、本格的な協力を得る事に成功したサーベラスは王の対談に巻き込まれる。
今回、サーベラスは果たして上手く会話に割り込めるか?おや?何だかシリアスの予感!



サーベラスside

 

「よう、セイバー!」

 

「ライダー?」

 

突然の訪問、それもゲームの付録Tシャツを着ているライダーの登場にセイバーはかなり驚いているようだ。母さんも開けた口が塞がっていない。

 

「城を構えてると聞いて来てみたが……何ともシケたとこよのう。」

 

おいおい、ライダー。ケイネスとウェイバー君が呆れてるぜ?また行き当たりばったりって奴か。

 

「ん?なんだその無粋な戦支度は?今宵は当世風のファッションをしておらんのか?」

 

ライダー……ファッションに興味が無い俺でも分かる。あんたのそれはファッションとは呼ばないと思うぞ。

 

「ライダー、貴様何しに来た!」

 

あっ、質問を質問で返すんですね。ちゃんと答えましょうよ。

 

「見て分からんのか?一献交わしに来たに決まっておろうが。」

 

そう言うとライダーはドデカい樽を軽々と持ち上げた。

あれって確かワイン入りだったよな?Xオルタにネクロカリバーの使用を控えるように言っておこう。

 

「ほれ、そこに突っ立ってないで案内せい。どこぞにあつらえ向きの庭園でもないのか?この荒城の中は埃っぽくて叶わん。」

 

ライダーが宣言する中相も変わらず母さんとセイバーは唖然としたままだった。

 

「え〜と、ごめんねいきなり。ライダーは王としての格を定めたいのだとさ。俺も巻き込まれた訳だがな。まぁ、ライダーは酒、俺はツマミを持ってきた。今回ばかりは休戦と行こうじゃないか。」

 

そう言うとセイバーは渋々し、名前も知らない青い花が咲き誇っている、中庭と思われる場所へ案内された。

 

「綺麗な庭だな。そう思わないか?ウェイバー。」

 

「あぁ、確かに神秘的な気がするよ。」

 

俺達は神秘的なこの庭に見とれているが母さん達はどちらかと言うとライダーと俺達の襲来に驚いているようだ。

 

「所でライダー。メンバーはライダー、セイバー、バーサーカー、キャスターでいいのか?」

 

「なっ!バーサーカーまで仲間に入れたと言うのですか!?」

 

「またしても事故だ。殺人鬼を止めようとしたら召喚されたんだよ。不運にも程がある。」

 

「あれは本当に大変でしたよね。」

 

「もうしばらくは魔法陣を見たくないよ。」

 

本当にあの女神はろくな呪いをかけないよな。

これなら恋愛脳(スイーツ)のアルテミスの方がマシだよ。

 

さてと、いつの間にやらライダーは樽の上の蓋を叩き割っており、ワインを飲み始めていた。

 

セイバーと何か対談を始めようとしている中、俺は何か嫌な電波をキャッチした。

 

「そういやライダーの事だからそろそろもしかしなくても……」

 

そう俺が思った矢先

 

「戯れはそこまでにしておけ、雑種。」

 

やっぱり英雄王は現れた。そりゃああの人を差し置いて真の王を決めると楽には死ねないからな〜。

 

ウェイバーもケイネスも母さんも驚いてるな。

あっ、バーサーカーとキャスターも王道語りをしに行っちゃった。俺はしばらく無言でいようかな。

 

「ここらの市場で仕入れた中では逸品なのだが?」

 

「そう思うのはお前が真の酒を知らぬからだ。雑種めが、見るがいいそして思い知れ、これが王の酒だ。」

 

そう言うと英雄王は黄金の波紋の中から金の器に入った神代の酒と金色のコップ?を5つ取り出した。

 

ライダーは5つ全てに神代の酒を入れ、語りを始める全員に渡して行った。

 

「おぉ!美味い。」

 

「確かに美味しいですね。マスターの作ったツマミも中々ですよ!」

 

「私は和菓子の方が好きですが…」

 

「確かにツマミは上手いな。…だが剣も酒も我が宝物庫には至高の財しかありえない。これで王としての格付けとやらは決まったも同然であろう。」

 

「フン、アーチャーよ。貴様の極上の酒には至高の杯がふさわしい…があいにく聖杯と酒器は違う。まずは貴様がどれだけの大望を聖杯にかけるのか、それを教えてもらわねば始まらん。」

 

「仕切るな雑種。第一聖杯を“奪い合う”事を前提として理を外しているのだぞ。」

 

「ん?」

 

あっ、ライダー意味がわかって無さそうだな。

 

「そもそもにおいてあれは我の所有物だ。世界の宝物はひとつ残らずその起源を遡れば我が蔵に辿り着く。」

 

「じゃあ貴様は昔、聖杯を持っていた事があるのか?その正体を知っているとでも?」

 

「知らぬ。雑種の尺度で測るでない。我の財の総量は、とうに我の認識を超えておる。だが“宝”である時点で我が財である事は明白だ。それを勝手に持ち出そうなどと…盗人猛々しいにも程があるぞ。」

 

そういや確かにギルガメッシュはウルクの大杯と言う聖杯の原点のような物を所有していたな。

 

流石、英雄王。エアを抜いた財の総量だけで一流の英霊になれるだけある。正直いって何故、彼が冠位(グランド)のクラスを得ていない不思議に思っている。

 

「それって随分乱暴な言い方ですよね?それなら貴方は黄金羊の皮も持っているってことですか?」

 

「そんな物、探せば幾らでもみつかろう。そこのセイバー擬きも何か言ったらどうだ?」

 

「我が王道とは玉座で座って業務をするのみ。必要以上に出かける必要なんてないと思います。」

 

「ほう?雑種のくせに分かっておるな。なるほど、貴様のマスターはあの小僧か」

 

「じゃあ、何かアーチャー?聖杯が欲しければ貴様の承諾さえ得られればよいと?」

 

「然り、だがお前らごとき雑種に我が褒賞を使わす程もない。」

 

「貴様、さてはケチか」

 

「戯け。我の恩情にあたるべきなのは我の臣下と民だけだ。故にライダー。お前が我の下にくだるなら、杯の一つや二つ下賜してやってもよい。」

 

「それは出来ん相談だわなぁ、でもアーチャー。貴様、別段、聖杯が惜しいわけではないんだろう?」

 

「無論だ。だが我の財を狙う賊には然るべき裁きをくださねばならぬ。要は筋道の問題だ。」

 

「ハッハッハ!そうかそうか。では聞こうかアーチャー。“貴様の財である聖杯を壊してしまってもかまわんか?”

 

「何?」

 

「何だと!?」

 

ライダーが突如放ったその言葉に俺のサーヴァントとウェイバー以外のこの場にいた全員。いや、盗み聞きしている遠坂時臣や言峰綺礼、アサシン、父さん、舞弥さん、までもが驚いていた。

 

「どういう事だライダー!これは聖杯を得るにふさわしい人物を決めるとお前が言ったのではないか!」

 

「まぁまぁ、落ち着けセイバー。詳しい話はあの坊主に聞くといい。」

 

そう言うとライダーは俺を指さし全員の視線が俺に集まった。

 

「ほう?貴様が提案したのか雑種。では聞こう。何故、我の財である聖杯を破壊したいと言う?」

 

「おい、ライダー!いきなり話をふるなよ!全く。じゃあ簡潔に言うけど聖杯は汚染されて使い物にならないから壊すんだ。あんな厄災の塊、誰が欲するか。」

 

「厄災の……塊だと?」

 

「あぁ、そうだよ、セイバー。アインツベルンのマスターなら知ってるはずだろ?六十年前の第三次聖杯戦争の時、何をしたのか。」

 

「第三次聖杯戦争の時?」

 

「その反応を見ると知らないようだな?第三次聖杯戦争の時、アインツベルンのマスターはルール違反を犯し、この世の全ての悪(アンリ・マユ)と呼ばれるサーヴァントを呼び出した。無理矢理、呼び出した神霊はかなり弱体化しており最強の英霊となるはずが最弱の英霊になり一番最初に脱落したんだ。そのせいで事もあろうか大聖杯は彼の悪であれという願いを叶えようとしてしまい、聖杯は汚染された。これにより聖杯はどんな願いも全て破滅の方へ行く、一種の厄災の箱(パンドラの箱)になってしまったんだ。そんな物にかける願いなんてないよ。尤も、英雄王はどうでもいいらしいがな。」

 

「ふん、無論よ。汚染されていようが我が財には変わりないのでな。」

 

「まぁ、そんな訳で俺達とライダー陣営の目的は聖杯の破壊だ。それでここにいる中で協力してくれる人がいるのかの確認とついでに英雄王への宣戦布告をしに来ただけだ。(本当はライダーに連れてこられただけだけどな。)」

 

「我に宣戦布告だと?フハハハハハハ。雑種貴様、我に勝つつもりでいるのか?」

 

「目的の為なら何だって超えるって誓ってるのでな。」

 

「やはり見所がある雑種よ。今一度だけ機会を与えよう。我の下に降れ。」

 

「断る!お前はどっちにしろ俺の倒すべき敵だ英雄王!投影開始(トレース・オン)こい!干将・莫耶。」

 

「いいだろう。この場は見逃すつもりだったが我に刃を向けて、生きて帰れると思うなよ雑種!」

 

「元から死ぬ運命の奴に何を言う英雄王!お前こそ生きて帰れるかな?」

 

「「「「「何だ……あの二人は」」」」」

 

堂々とお互いを見合い武器を構えている俺と平然とし宝物庫を開く英雄王を見て他の人は唖然としているようだ。

 

「さて、模擬戦ぐらいやってやろうぜ!」

 

「思い上がりも程々にしろよ雑種!」

 

「『直死』……それじゃあ始めようか。」

 

俺は気付かれないように周りの影に今まで投影してきた干将・莫耶の内、100個ぐらいをステンバイさせるとその全てをオーバーエッジ化させ英雄王の寿命の線に向かって投げつける。

 

「はぁ!?あいつ戦うと言いながらどこに投げつけてんだよ!?」

 

「静かにしたまえ。ウェイバー・ベルベット君。彼の眼をよく見なさい。」

 

「え?眼を……何か青く光ってない!?」

 

「ほう!あの坊主、魔眼を持っていたのか!ますます我が軍に欲しくなったぞ!」

 

「でも、それと彼が的外れな方向に剣を投げつけたのは関係無いですよね?」

 

セイバー達が何か話し合ってるな。まぁ、それも干将・莫耶の性質と直死の魔眼の事を知らないからだろうけど。

 

そして投げつけた干将が英雄王の複雑に絡まっている寿命の線を5本切り刻むと同時に影に潜ませていた莫耶が干将に反応、引き寄せられさらに5本の線を持っていく。そしてここからが本番だ。

 

「行くぞ英雄王……お前の寿命の線、後20は減らしてもらうぞ!」

 

「ッチ!忘れていた、貴様のその眼、“直死の魔眼”だったな。我には線が見えないから防衛が出来ないとは実に厄介なものよ!だが貴様本体を狙えばいい話であろう?」

 

そう言うと英雄王は大量の宝具を俺に向けて射出しようとするがそれらは全て影から新たに現れた20組の干将莫耶により防がれた。

 

「何だと?」

 

「この剣の真名は干将・莫耶、中国に伝わる夫婦剣を投影魔術により複製したものだ。その性質はお互いを引き合う性質。念の為、周りに仕込んだんだ!1つを投げれば対になる1つが引き寄せられる。これが永遠と繰り返されるのだ。これが俺の秘技『鶴翼連撃』だ!さぁ、とことん命を削ってもらうぜ!」

 

「ほう、ならば我も更なる財を使って………ッチ!時臣め!我に撤退を命ずるか!?仕方ない。ここは引こう。さらばだ雑種!」

 

「なっ!くっそ25しか削れなかったか。」

 

俺は魔眼を解除し、全ての干将・莫耶を影に戻すと、何処からかアサシンが姿を表した。

 

「アサシン!?」

 

ウェイバーが放ったその言葉に反応するように母さんはセイバーに、ウェイバーとケイネスはライダーのそばにより、守りの体制に入っていた。

 

「むちゃくちゃだ!何でアサシンばかり次から次へと!」

 

「我らは分断された個、群にして個のサーヴァント、されど個にして群の影!」

 

数の暴力を使うかと思われるアサシン達は全員ナイフを構え始めた。

 

「多重人格が個として分裂するアサシンか……さてと、ライダー!この状況どうする?」

 

「ふん!坊主が戦ったのだ。余も宝具の一つや二つ見せてやろう。」

 

そう言うとライダーは立ち上がり凄まじい風圧が発生した。ライダーの姿はいつの間にかTシャツから、戦闘服に変わっており先程まで花が咲き誇る庭だった場所はいつの間にやら砂漠のど真ん中に変わっていた。

 

「これは?」

 

1人のアサシンが戸惑いの声を上げ

 

「固有結界ですって……そんなバカな……心象風景の具現化だなんて」

 

母さんは固有結界である事に驚いていた。

 

「この程度でビックリしていたら次に失神するよ?」

 

「何ですって?」

 

「フフン。ここはかつて我が軍勢が駆け抜けた大地。余と苦楽を共にしてきた勇士達が等しく心に焼き付けた景色だ。」

 

ライダーがそう言うと後ろから無数の足音、それも鎧がぶつかる音、槍が地面に刺さる音、そして旗を掲げている何者かがいる音がした。

 

「この世界、この景観を形にできるのはこれが我ら全員の心象であるからさ!」

 

そう言うといつの間にやら後ろには数万を超える人・・・いやサーヴァントの兵士が集まっていた。

 

「見よ我が無双の軍勢を!肉体は滅び、その魂は英霊として“世界”に召し上げられて、それでも尚!余に忠義する伝説の勇者達!彼らとの絆こそが我が至宝、我が王道!イスカンダルたる余が誇る最強宝具、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)なり!」

 

「こいつら一騎一騎がサーヴァントだ!!」

 

ウェイバーが驚くのも無理はない。

 

ライダー、イスカンダルが誇る正しく最強クラスの大軍宝具、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)

 

それは生前イスカンダルに従え、英霊になった無数の戦士達がイスカンダルの固有結界の元に集い、生前の征服する時のように相手を蹂躙する宝具である。

 

彼らは一人一人が英霊な為に単純な総力戦でイスカンダルに勝てる英霊はほとんどいない。

 

それに加え、彼らが最も得意とする戦場での戦いとなる為、イスカンダルの倍の軍勢を整えたとしても、彼らのフィールドで蹂躙されるのがオチなのだ。

 

問題点は魔力の消費が大きい事だが……マスターの魔力を借りずとも1度だけならイスカンダル自身の魔力のみで使用が可能なのだ。

 

イスカンダルは呼び出された英霊達を前に語り始める。

 

「王とは!誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せる姿を指す言葉!」

 

「「「「「然り、然り、然り!」」」」」

 

「全ての勇者の羨望を束ね、その道標として立つ者こそが王!故に!王とは孤高にあらず!その偉志は!全ての臣民達の志の総算たるが故に!」

 

「「「「「然り、然り、然り!」」」」」

 

「さて……では始めるかアサシンよ。見ての通り我らが具現化した戦場は平野、生憎だが数で勝るこちらに地の利はあるぞ。」

 

あまりにも迫力的であまりにも魅力的で、あまりにも恐怖を植え付けるには強すぎるイスカンダルの宝具を前にアサシン達は少しずつ引こうとするが、この砂漠に似た平野に逃げる場所も隠れる場所もない。

 

そして数千、いや、数万もいる兵士の数にたった数十人のアサシンは勝てるはずもない。そんなアサシン達にとっての絶望の中、ライダーが最後の宣告をする

 

「蹂躙せよォ!!!」

 

その掛け声を待っていたかのように軍勢はアサシンに向かっていきアサシン達はものの数秒で殲滅された。そして兵士達とライダーは勝ち鬨と大声を上げる。

 

「「「「ウォォォォ!」」」」

 

「流石、征服王。英雄王とはまた違った戦略だな。」

 

「どうよ、坊主!お前もいつかこの軍勢に加わらないか?」

 

「断らせてもらうよ。それなら俺よりウェイバー君の方が向いてるからね。」

 

「そうだな!ハッハッハ!」

 

「えぇぇ!?何で僕が!?」

 

「さぁ?何ででしょうね。ハハハハ!」

 

やっぱりウェイバーは面白いや!さてと、アサシンもいなくなり英雄王はしばらく行動しないだろう。

 

今のうちに大聖杯の所へ向かうとしよう。

でもその前に母さん達と同盟を組めるか相談しなきゃな。

 

「なぁ、セイバーのマスター。俺は汚染された聖杯が引き起こす災害を止めたいんだ。協力してくれないだろうか?」

 

俺は頭を下げて普通に頼む。大聖杯を壊すにはどうしてもセイバーの真名を解放した聖剣が必要なのだ。

 

「いいでしょう。聖杯が引き起こす災害により多くの人が死ぬなんて見てられないわ!それでいいわよね?“サーベラス”」

 

「もちろんさ。………え?今なんて?」

 

え?今、俺の名前を呼ばなかったか?おっかしいな。変装は完璧で影も纏ってるはずだけど……

 

ほら、ウェイバー達もセイバーも驚いてるじゃないか!?

 

「だって今ので分かったもの。頭を下げる時、ほんの少しだけど白い髪が見えたわ。それに目も私と同じ色。肌の色も同じ、これだけでピンと来たわ!」

 

恐るべし母親、こんなあっさりバレるなんてちょっとショックだな。て言うかいきなり抱きしめないでくれ!キツイキツイ!キブアップ!

 

「さて、後は何でここにいるかお説教ね!」

 

「ご勘弁を!取り敢えず大聖杯の元に行ってくるのでその後にしてくれ!母さん!」

 

俺は影に潜り込みサーヴァント達と共にこの場を後にした。

目的地は大聖杯があるあの洞窟。

 

いざ辿り着いて見るとそこには既に聖堂教会のマスター、言峰綺礼がいた。

 

「言峰……綺礼!!」

 

「下がってもらおうか多数のサーヴァントを引き連れたマスターよ。さもなくば聖杯戦争への参加権を取り除き、今此処でサーヴァント共々死んでもらうぞ。」

 

「俺が死ぬのはまだ先なんでね。お前に構ってる暇は無いんだよ!」

 

俺は影にしまっている干将・莫耶を言峰に投げつけ、隙ができた瞬間を狙って洞窟の奥へ進んだ。

 

「これが…………大聖杯。やっぱ汚染されてるよな。Apocryphaの時と違って閉じてるけど……」

 

冬木の大聖杯…約200年前に起動されて以来、一度も開かなかった聖杯戦争を引き起こす全ての元凶。

 

この世の全ての悪に汚染されたその姿はお世辞にも神秘的や感動的とは言えなかった。

 

周りには悪意のこもった魔力が黒い霧となって溢れており、サーヴァントや普通の魔術師だったら耐えきれないほどの魔力濃度だった。

 

「これも一応聖杯だよな?………呑み込めるのかな?」

 

いざ、大聖杯を目の当たりにしてみると本当に俺が女神から与えられた特典(呪い)でコレを自分の体に封印出来るか心配になってきた。

 

一か八かの賭けで力を使い呑み込もうとして見る。

 

「グッァァァァァァァアゥァァア!?」

 

これまで味わったことの無いほど強い痛み、まるで体を内側から焼かれるような感覚に俺は気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は!?ここは?大聖杯は?」

 

目を覚ますといつの間にかベッドの上にいた。

そこには母さんと父さんがいて所々に魔術を行使した跡が残っていた。

 

「全く!勝手に一人でどっか行って!私怒ったわよ!」

 

「今回ばかりは僕も怒ってるよ。どうしてこんな事をしたんだい?サーベラス。それにアイリの聖杯が無くなったのに、何故サーベラスに聖杯が写っているんだ?」

 

当然説教な訳なのだが……

 

目が死んでてガチトーンの父さんは怖いです。

 

「俺は……ただ単に……母さん達を助けたくて」

 

「そんな事で自分の命を無駄にするな!!」

 

「「!!」」

 

普段叫ぶことの無い父さんが怒りを露わにして叫んだ事に俺も母さんも驚きざるをえなかった。

 

「サーベラスとイリヤは僕とアイリにとって聖杯より大事で何がなんでも守りたい宝物なんだ!僕のような正義の味方になれない愚か者に出来た、唯一の宝物なんだ!それを聖杯戦争で失うなんて………失う事なんてしたくない!」

 

「………父さん………」

 

「そうよ!それに、私が聖杯になろうとしたのはサーベラスとイリヤに関わって欲しくなかったからなのよ!それなのにいきなり自分が聖杯になるって言い出して!!私達がどれだけ悲しむか考えた!?」

 

「………母さん………」

 

そういやこの世界に転生したから俺は母さん達を助ける事しか考えていなかったな。

 

残される者の気持ちを知っていると言うのに、自己犠牲のみを考えていた。

 

俺が今やっている事は原作の父さんより愚かなことだったのだ。

 

決めた。今回の俺の目的を変更する。

母さん達を助けるのではなく、母さん達と一緒にイリヤの元に帰ってやる!

 

新たな決意を胸に俺は明日にでも始まるであろう。最終決戦に向け、取り敢えず休む事にした。

 

数時間の間説教されたのは言うまでもない。

 

「和菓子をくださいマスター!」

 

「Xオルタの呼び名シリアスブレイカーXに変えてもいいかな?」

 

「オルタをつけてくださいオルタを!」

 

 

残り陣営

マスター サーヴァント

 

衛宮切嗣 セイバー「アルトリア」

 

ケイネス ライダー「イスカンダル」

 

遠坂時臣 アーチャー「ギルガメッシュ」

 

サーベラス ランサー「メデューサ」 キャスター「メディア・リリィ」 バーサーカー「謎のヒロインXオルタ」

 

言峰綺礼 アサシン敗北




作者の〜次回予告!
今回はめずらしくシリアスでしたね?展開が早いかもしれませんが後2から3話でZero編は終了かも知れません。まぁ、次回予告をしていくとしましょう。
聖杯戦争に勝ち、イリヤの元に帰ることを決意したサーベラス。突如出現した自分そっくりのこの世の全ての悪と対決する事になる。
一方ライダー陣営は英雄王との戦いを強いられる。
果たして勝てるのか?
次回 「人類悪(ビースト)の覚醒」
お楽しみにー


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人類悪(ビースト)の覚醒

前回のあらすじ
前回、王との対談に巻き込まれたサーベラスは英雄王の生命の線を25切り刻む事に成功した。
しかし大聖杯を呑み込もうとして、気を失った。
切嗣達に一括されたサーベラスの願いは家族全員でイリヤの元へ帰るとなった。
そしてついに最終決戦目前まで迫る。
一体どうなるのやら、本編をどうぞ。


 

「ここは………何処だ?」

 

今の自分の状況を整理しよう。俺は次が最終決戦になるであろうと母さん達に伝え、身体を休めるために眠りについたはずなのだが………気が付けば謎の空間にいたのだ。

 

この場所の特徴はとにかく暗い。周りを見渡せば無限に影に包まれており、空を見れば雲ひとつない青空に太陽が眩しいほど光り輝いている。

 

そして周りには様々な剣、盾、弓、槍、銃等の様々な武器が地面に突き刺さっていた。

 

まるで無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)のような空間なのだ。

 

刺さっている武器はどれも見覚えがある。

 

エミヤの干将・莫耶、偽・螺旋剣Ⅱ(カラドボルグ)赤原猟犬(フルンディング)

 

クー・フーリンの刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルグ)

 

アルトリアの約束された勝利の剣(エクスカリバー)勝利すべき黄金の剣(カリバーン)最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)全て遠き理想郷(アヴァロン)

 

ディルムッドの破魔の紅薔薇(ゲイジャルグ)必滅の黄薔薇(ゲイボー)

 

アナのハルペー

 

メディアの破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)

 

スカサハの貫き穿つ死翔の槍(ゲイボルグ・オルタナティブ)

 

ジークフリートの幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)

 

イシュタルのマアンナ

 

モードレッドの燦然と輝く王剣(クラレント)

 

Xオルタの邪聖剣ネクロカリバー

 

他にも魔剣グラムから、絶剣デュランダル等の伝説の剣、ミョルニル、グングニル等の北欧神話の神の武器、天逆鉾(アマノサカホコ)草薙剣(クサナギノツルギ)天羽々斬(アマノハバキリ)等の日本神話の武器、ギャラハッドの盾、ジャンヌの旗のような名もわからぬ英雄達の武器、更には神殺しのロンギヌスの槍まで様々な武器、防具が刺さっていた。

 

一体どういう事だ……ここにある武器は全て解析してみたがどれも偽物ではない。どれも“本物”なのだ。

 

だけどそれだとおかしい、約束された勝利の剣(エクスカリバー)はアルトリアが今も所持しているし、イシュタルのマアンナは本来、イシュタルしか持つ事が出来ないはずだ。

 

ロンギヌスの槍に至っては本物は本来、ロンギヌスと共に英霊の座に押し上げられててもおかしくはない。

 

そんな武器が一つ残らず“本物”。有り得ることでは無いのだ。いや、有り得てたまるか!

 

「どうやら驚いてるみたいだな?」

 

突然声をかけられ後ろを振り返るとそこには俺と姿形全てが同じな人物、嫌、俺そのものと言ってもいいほどの存在がいた。

 

「おっと!この姿は許してくれよ?アンタに取り込まれてからこの姿にしかなれないんだから。」

 

今の言葉でこいつが誰か分かったぞ!俺の皮を被っているこいつは……

 

「お前は……この世の全ての悪(アンリ・マユ)!!」

 

「おっ!俺の名前を知ってるのか?って当然か!今のお前は俺、俺はお前だもんな。」

 

「どういう事だ!何故、お前がここにいる!?俺は大聖杯を呑み込むと中で気を失って、結局、大聖杯はそのままのはずだ!」

 

「いやぁ!アンタッてば気を失ってもしつこくてね!気を失ったってのに最後まで俺ごと大聖杯を呑み込みやがった。」

 

「マジかよ………だが、それとこの状況は何か関係があるのか!?」

 

「あぁ、あるとも。まずはここが何処か説明しよう!」

 

「俺の真似のつもりか?」

 

「気に入らなかった?頼むから殴らないでくれよ〜俺は最弱だからさ!」

 

「殴らねぇよ。」

 

「まぁ、兎に角。ここはお前の心象風景、お前の固有結界の中だ。」

 

「はぁ!?固有結界!?俺は使えないはずなのだが……」

 

「これは1つの夢なんだ!俺がお前を呼び寄せた。」

 

「何が目的だ?」

 

「おっと!怖いねぇ!君にも関係のある事さ。あそこを見てごらん?」

 

「は?なんだアレ?」

 

俺はこの世の全ての悪(アンリ・マユ)に言われるがまま指さされた方を見る。そこには巨大な門があってその前を四足歩行で三つ首の怪物の影が動き回っている。

 

「あれはお前さんの心の悪意。悪意の塊の癖に何かを守護している矛盾の獣。」

 

「俺の悪意だと?……だが俺の悪意だけであそこまでの大きさは……」

 

「聖杯だよ……お前の中の聖杯があの獣の動力源なのさ。」

 

「つまり、あいつは不死身か?」

 

「倒せるのはお前だけってね。その為に俺はお前を呼んだ。」

 

「何故だ。お前はこの世の全ての悪の集合体。あの程度簡単に喰らえるだろう?」

 

「あれは俺より質が悪いさ!あれの正体はお前の悪意だけではないんだよ。俺によって汚染された大聖杯によって集められた過去、現在、未来の悪意とお前の何かを守りたいと言う人類愛と言う矛盾した性質を持つ二つの感情が融合した事で出現した、最低最悪であり最高最善でもある、本来生まれるはずのない可能性の獣。そうだな、お前の名前をとって名づけるなら『人類悪(ビースト)if ケルベロス』人類を護ると同時に人類を滅ぼす、最凶の獣さ。」

 

今なんて言った………今この世の全ての悪(アンリ・マユ)はなんて言ったのだ。

 

大聖杯により至る所から集められた悪意と俺の護ると言う感情の融合体……人類悪(ビースト)と言ったのか?

 

人類悪(ビースト)とは、とある世界の人理継続保障機関「カルデア」という組織により名付けられた、人類を滅ぼす巨大な悪の事を指す言葉だ。

 

ビーストはそれぞれ始まりのビーストIから終わりのビーストVIIまでの7体で構成されている巨大な悪。

しかしその根拠は人類に対する巨大な愛。

 

例えば“ビーストII 原初の母ティアマト”

彼女は子に裏切られ、殺されながらも子を愛し自らの元に帰って欲しいと願った。

 

いかなる姿形・性質を持った子供が生まれようと、愛し続けたのだ。

 

愛と憎しみは表裏一体。その巨大な“愛”は“憎しみ”となり、自らを裏切った子達、人類その物を殺そうとした。

 

カルデアが止めてくれたお陰で彼女は愛する子を殺さずにすんだのだ。

 

では目の前で門を守護している獣は何だ?

守護するという愛を元に生まれた憎しみなのか?

 

あれが……俺の本性だと言うのか?

 

「そう落ち込んだ顔をするなよ!あいつは未だ不完全だ。だからお前の心の中、体から外に出ない。だが、あいつが外に出てみろ。きっと全てを守護する為に全てを破壊するぞ?守護する必要があるものが無くなるまでな。」

 

「守護する必要が無くなるまで敵を殺し続けるか…………………確かにあの化け物は俺かもしれないな。だけど今は負ける訳には行かないのでね。今回だけは協力してもらうよ、この世の全ての悪(アンリ・マユ)。目には目を歯には歯を悪には悪をだ。悪をもって善をなすってのも悪くないだろう?」

 

「ハハハハハ!お前は俺の予想以上に面白いな!俺は最弱だけど、それぐらいは手伝おう!」

 

「ここは俺の心象風景…………ならここにある武器も俺が操れるのだろう?」

 

俺は周りに突き刺さっている全ての武器を解析し、魔力を込め、操作を始める。武器は全て空中に上がり俺の悪意、ケルベロスに狙いを定める。

 

「名付けるとするなら………まぁ、適当に無限の幻影(アンリミテッド・シャドウ・ワールド)って所か。全投影連続層写(ソードバレル・フルオープン)、全宝具、同時真名解放。約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)燦然と輝く王剣(クラレント)幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)悉く打ち砕く雷神の槌(ミョルニル)、干将・莫耶オーバーエッジ………etc」

取り敢えず思いつく限りの宝具と武器の全ての真名解放する。

 

そして無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)の要領でそれらを全て空中に浮かせる。そしてケルベロスに向けて放つ。

 

【ギガァァアォォォ!】

 

ケルベロスが雄叫びを、あげたのを合図にに戦闘の開始が告げられた。

 

「じゃあまずは俺からな!ちょいとこの剣を拝借して……そらよっと!」

 

この世の全ての悪(アンリ・マユ)は近くにあった名も知らない剣を取るとそれら全てをケルベロスに投げつけ、チクチクとダメージを与えていた。

 

俺は取り敢えず反転した聖剣を手に持ち自身の姿を幻影結界(インビジブル・シャドウ)を使用する事で認識出来なくするし、ケルベロスが俺を探している内に周りに満ちていた魔力を聖剣に溜め込んでいく。

 

ケルベロスもまるで何かを放つように止まって動かなくなった。

 

一体何をしてくるのか……先に行動したのはケルベロスだった。その三つ首からビームのようなものを出してきたのだ。

 

「おっと!危ない!準備は出来たか!?サーベラスさんよォ!」

 

「言われなくても出来てるよ!

卑王鉄槌…極光は反転する……光を呑め!

約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』」

 

放たれた黒いエネルギーは明らかに通常より多くケルベロスの首を1つ跳ね飛ばした。

 

だが、首を1つの跳ねた程度では怯む様子もなく少し体が小さくなったぐらいだ。

 

「流石、守護する感情から生まれた人類悪(ビースト)。守護する為に自身の防御力だけは最大ってか!兄の守護欲ってすげぇ〜!!」

 

「うるせぇ!遠回しに嫌味を言ってくれるな!それ、ケルベロスめ!今度はこれだ!『貫き穿つ死翔の槍(ゲイボルグ・オルタナティブ)』」

 

【グガァァアギィガァァ】

 

投げ付けた二つの赤い槍が首に刺さるとケルベロスは変な鳴き声を上げながら苦しみ始めた。

 

「まだ首は切れないみたいだな?じゃあ!俺が行くぜ、当たるかは知らんがな、『刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルグ)』おっ!当たったし、首が切れた!ついに俺も最弱卒業か?」

 

「馬鹿言え!クーフーリンの宝具とスカサハの宝具を同時に受けたら首ぐらい切れるだろう!だいたい、影の国で作られた魔槍は影の領域であるこの結果内では強化されてるんだろ!」

 

「そういう推測もアリなのか!?」

 

「知るかそんなもん!ゲイボルグの原理なんて、因果逆転ぐらいしか知らねーよ!」

 

何故だろうな。目の前のこいつと話してるとすっげー楽しい気がする。

 

やっぱ大聖杯を呑み込んだから?

まぁ、そんな事はどうでもいい。ケルベロスはしつこく首を再生させて来た。

 

これじゃあケルベロスじゃなくてヒュドラ見たいだな。

 

「所でサーベラスは最強の剣を使わないのか?乖離剣とか言う奴。」

 

「え?この空間内にもあるのか?」

 

「勿論だ!ここは世界の影。乖離剣ぐらいあって当然だろ!1度使われた事のある宝具は全て再現する!恐ろしいよな!」

 

「マジで言ってるの?試しにやってみるか……投影開始(トレース・オン)乖離剣エア!………本当に出来た!?」

 

いざ投影して見ると周りの宝具が一部消え、その代わり世界を破壊する最強の剣が俺の手元に出現した。

 

試しに解析をしてみると色々な情報が頭に流れ込んで来た。まとめると俺が投影した乖離剣はプロトアーサーの十三拘束解放(シール・サーティーン)のように拘束(リミッター)が掛かっていて特定の条件を満たさないと1から5パーセントぐらいの力しか解放できないようだ。

 

1パーセントでもかなり強いから別にいいけど…………

ある程度、乖離剣に魔力を込めると三つの筒のような部位が別方向に回転を始め、当たり一体に凄まじい風が吹き荒れた。

 

「おいおい!使うならもっとケルベロスに近付いてくれないか!?俺が耐えきれないだろうが!?」

 

「誰が好き好んで自分の姿をしたこの世の全ての悪を気にするか!これで恐らく終わりだぜ!じゃあな……俺の心の具現化……怪物(ケルベロス)になった(サーベラス)よ、これでお終いにしよう!これは悪をも善をも切り裂く乖離剣!『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』」

 

世界を切断する剣のたった1パーセントの一撃はケルベロスの首だけでなく、体そのものをこの世から消滅させた。

 

「よっしゃ!これで俺以外の悪が消えた………訳では無さそうだな。」

 

この世の全ての悪(アンリ・マユ)の言う通りケルベロスは消滅していなかった。ただ単に俺の中に戻っただけ。俺とひとつになっただけだ。

 

「あ〜あ。これでお前も悪の仲間入りか……どうする?サーベラスさんよォー。今日からお前は人類悪だぜ?」

 

「まじかよ、俺、退治されるのか………まぁ、それまでこの力をとことん利用してやるさ。取り敢えず英雄王を殺すまではね。」

 

「そうかよ。それじゃあお前の行く末を見といとくよ!」

 

そう言うとこの世の全ての悪(アンリ・マユ)の姿を認識出来なくなって来た。

 

「それじゃあ元の現実に帰りな!固有結界は使えるから

ら頑張れよ。」

 

ったく、最後までうるさいヤツだな。言われなくてもイリヤの元に帰る為に何でもやってやるよ。

 

道は険しいけどな。

そう考えている内に身の前の景色が切り替わった。

 

「おはようございます。マスター。」

 

いつも通りの廃病院のベットで眠っていた俺を目の前にいる、ランサーが俺が起きるのを待ってくれていたらしい。

 

「おはよう、ランサー。キャスターとXオルタはどうした?」

 

「彼女達なら今出かける準備をしていますよ。」

 

「ん?出掛ける準備?」

 

「はい。突然ですが数時間だけお暇を貰います。」

 

一体、何しに出掛けるのだろう?まぁ、女の子だし甘味でも食べに行くのだろうな。

 

「お金はそこの棚にあるからそれで買い物をしていいよ。それじゃあ俺はもう少し寝るよ。お休み、ランサー。」

 

女の子同士の楽しみを邪魔する訳には行かないな。

少し疲れが溜まってるからもう少し寝ていよう。

 

そうして再び俺は眠りについた。

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

ランサーside

 

「それじゃあ俺はもう少し寝るよ。お休み、ランサー。」

 

そう言い残しマスターは寝てしまいました。

さてと……私達はこれから買い物に行くとしましょう。

 

今回の私達の目的はマスターにお礼の品を用意する事です。

 

マスターは本来、英霊であり、道具として扱われてもおかしくない私達にとても優しくしてくれて、寒いと言えば暖かい服を、お腹がすいたと言えば美味しいご飯を作ってくれます。

 

なのでせめて退去の前にお礼をしたいなと思い、私達三人で計画したのが今回の買い物です。

 

「これなんてどうでしょうか?」

 

「でもマスターにはこっちの方が…和菓子もプレゼントしますかね?」

 

「真面目に選んでくださいよ。」

 

この二人は何をしているのやら。

 

キャスターもバーサーカーも服をメインに見ていました。

 

服なんていずれ着れなくなる物なのでせめて成長しても着れるものを………

 

そう思った私が見つけたのはマスターが纏ってる影に似たような灰色をしたマフラーでした。

 

「あの……このマフラーなんてどうでしょう?」

 

私がそう提案するとキャスターとバーサーカーは一斉にこっちを見てそれいいね!と言い始めた。

 

結果的にマフラーをプレゼントすることになったのだが喜んでもらえるのでしょうか?

 

ちょっと楽しみですね。

 

sideout

 

 

 

時刻 夜

サーベラスside

 

「ここは………また夢の中か?」

 

気が付けば恐らく再び夢の中にいるのだろう。

何処かで見覚えのある橋の上にいた。

 

そこには英雄王とウェイバーそしてイスカンダルが佇んでいた。

 

「この景色、この配置……見覚えがあるぞ……まさか!?」

 

ライダーは1人、自身の愛馬に乗り込むと『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』を発動し、最後の掛け声をあげた。

 

「敵は万夫不当の英雄王、敵にとって不足はなし、いざ益荒男達よ、原初の英霊に……我らが覇道をしめそうぞ!」

 

「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」

 

「アァァララララララーイ!」

 

イスカンダルが…彼の臣下達が突撃する中、英雄王は1人微笑んでいた。

 

「来るがいい、覇軍の主よ。今こそお前は真の王者の姿を知るのだ。」

 

俺は目の前の光景が信じられず宝石剣ゼルレッチを投影して夢の空間を少しねじ曲げる。しかしそこに映ったのは全く同じ光景。ここは俺の夢の中であると同時に現実で起きている映像なのだ。

 

「「アァァララララララーイ!」」

 

ウェイバーと共に叫び声をあげ、イスカンダル達は段々英雄王に近づいていく。

 

「夢を束ねて覇道を志す……その意気込みは褒めてやろう。だが(つわものども)よわきまえていたか?夢とはやがて悉く醒めて消えるのが道理だと」

 

そう言うと英雄王は黄金の波紋の中から鍵によく似た何かを取り出し空に向かって掲げる。

 

鍵からは無数の赤い線が伸びやがて何回か光ったかと思うと再び鍵に収納され、鍵が形を変え最強の剣が姿を現した。

 

「なればこそ、お前の行く手に我が立ちはだかるのは必然だったな。征服王、さぁ、見果てぬ夢の結末を知るがいい。この我が手ずから理を示そう。」

 

そして英雄王の持つ乖離剣エアが回転を始め最強の一撃が振るわれる準備段階に入った。

 

「ん?来るぞ!」

 

それを見たイスカンダルは自らの臣下達に警戒を呼びかける。そして遂に最強の一撃が放たれる。

 

「さぁ!目覚めろエアよ!お前にふさわしき舞台が整った!いざ仰げ!『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』を!」

 

世界を切り裂く一撃をイスカンダルは危機一髪で回避した物の突然崩壊し、奈落の穴が生まれた砂漠から次々と兵士達が消滅していき、固有結界すら消滅した。

 

「そんな……これじゃあイスカンダルの負けじゃないか!」

 

俺は結果を変える為に、宝石剣と大量の宝具を投影した。この宝具達を宝石剣の力で現世に投げ飛ばせばイスカンダルの死亡は回避出来るはず!

 

そう思い、空間にいる穴を開けようとした瞬間俺の意識は覚醒してしまった。

 

「マスター!?大変です、ライダーが倒れました!」

 

「あぁ、知ってるよ。もう夢で見た。」

 

「夢で………ですか?」

 

「まぁ、どうせ聖杯のせいだ。気にしないで置こう。それと……ありがとう、征服王イスカンダル。貴方に感謝を……」

 

俺は敗北し、既に座に戻ったであろうイスカンダルに向けて感謝の言葉を述べる事にした。

 

届いているのかは分からないが代わりに祈ろう。

いつかウェイバーとイスカンダルが2人並んで戦い、共に歩めますようにと……

 

 

 

 

残り陣営

マスター サーヴァント

衛宮切嗣 セイバー「アルトリア」

 

遠坂時臣 アーチャー「ギルガメッシュ」

 

サーベラス ランサー「メデューサ」 キャスター「メディア・リリィ」 バーサーカー「謎のヒロインXオルタ」




作者の〜次回!
と言うわけでお待ちかね?の次回予告!さぁさぁ次回はいよいよZero編最終回!早速読んでいくとしましょう!
イスカンダルが倒された今残る陣営は後、二つ!
果たしてサーベラスは人類最古の英雄王に勝てるのか?
未だに使っていない令呪の使い道は?
そして遂に聖杯が姿を表す。
次回 「兄の意地」
お楽しみに!

追記
8月25日に固有結界の名前を変更しました。



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兄の意地

前回のあらすじ
自身の悪意と戦い、勝利したサーベラスは最後の決戦の為に眠りについた。夢の中でイスカンダルの死を目の当たりにしたサーベラスは英雄王を倒す為、イリヤの元に帰る為に最後の決戦に挑む!
さぁ?どうなるのだろうか?気になる本編をどうぞ!


サーベラスside

 

「すいません、マスター少しいいですか?」

 

ギルガメッシュを殺しに行く準備をしている途中、ランサーが突然話しかけてきた。

 

「どうしたんだい?何か足りない物があるのかい?」

 

「えっと……ちょっとこっちに来てくれますか?」

 

一体なんなんだろうか?もしやマスター契約の破棄の話だろうか?だとしたらショックだけど認めるしか………

 

「「「プレゼントです!」」」

 

「へっ?」

 

思わずマヌケな声を出してしまったのだが…へ?

何かプレゼントボックスを貰ったのだが……

 

「開けて……いいのか?」

 

それと父さん達にしかプレゼントを貰った事がないのでちょっと戸惑ってるのもある。

 

「えぇ、開けてください。」

 

「知ってますか?マスター、プレゼントボックスは開ける為にあるんですよ?あっ、中にサーヴァントが入ってる事なんてないのでご安心を…」

 

「え?サーヴァントってプレゼントボックスに入るのですか?」

 

何が何だか分からなくなってきたから取り敢えず開けてみますかね?

 

中に入ってたのは灰色のマフラーだった。

 

「マフラー?」

 

「はい、ランサーが選びましたよ!」

 

「気に入って頂けると嬉しいのですが……」

 

マフラーか……シンプルで暖かいしランサー最高かよ!

でも俺ってマフラーとか使った事がないんだよね。どうやって首に巻くんだ?

 

「あっ、巻き方はですね…………」

 

 

 

 

説明中

 

 

 

 

「なるほどね。取り敢えずありがとうね皆。このマフラーは宝にするよ。」

 

「「「どういたしまして!」」」

 

さてと、サーヴァント達から嬉しいプレゼントを貰ったのだがお返しは出来そうにないな……。

 

「もしもし、父さん。最終決戦の準備が出来たからいまから大空洞へ行こう。」

 

でも、家のサーヴァント達は何が何でも殺させない。

そう思いながら俺は英雄王との決戦へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思いのほか早いではないか?雑種。」

 

場所は冬木の大空洞。元々大聖杯があった場所だ。

ここに揃ったのは俺と父さん、セイバー、ランサー、キャスター、Xオルタそして言峰綺礼と英雄王。

 

言峰の腕には昨日までなかった令呪が見える。

 

「言峰綺礼……遠坂時臣はどうした?」

 

「我が師なら、聖杯が汚染されてると聞いた時に私に令呪を受け渡し、娘の為に聖杯戦争から降りたが?」

 

どうやら言峰が言ってる事は嘘ではないようだ。

 

影を使い確認した所、今、遠坂時臣は凛ちゃんと桜ちゃん、そして慎二と遊んでいる所だった。

 

「嘘は言っていないみたいだな。それじゃあ聖杯戦争を終わらせるとしよう……俺の相手は………」

 

「我がやるぞ。綺礼はセイバーのマスターの相手でもしていろ。さぁ、行くぞ!我を楽しませて見ろ!!雑種!」

 

「楽しまずに死んでけ!英雄王!!」

 

英雄王の後ろに無数の宝具が現れるのと同時に俺は影から無数の干将・莫耶オーバーエッジを召喚した。

 

「行くよ皆。英雄王に目にもの見せてやろう!」

 

「「「はい!」」」

 

「私も手伝いましょう。」

 

「頼むよ、セイバー。僕の息子を守ってくれ。」

 

英雄王の宝具が一斉に発射される。

それを合図にサーヴァント達が一斉に飛び出し、それぞれの武器や魔術で宝具を弾き返していた。

 

「令呪を持って命ずる。Xオルタ!本気で宝具を使用しろ!」

 

「任せてください……では行きますよ。オルトリアクター、臨界突破! 我が暗黒の光芒で、素粒子に還れ! 『 黒竜双剋勝利剣(クロス・カリバー) 』」

 

Xオルタの本気の宝具は飛んできた宝具をほとんど消滅させ、英雄王の隙を作った。

 

「よし、固有結界の準備をする。詠唱中は動けないから、頼むよ皆!」

 

俺は神経を研ぎ澄まし、全魔力を一ヶ所に集中させる。

 

「そこははるか遠き理想郷でもなく、無限に続く剣の丘でもなく、死者が苦しむ地獄でもない。

そこは全てを映し出す世界の影――」

 

「何をしてるか知らんが隙が大ありだぞ雑種!!どれ?これでも受けてみよ!『虹霓剣(カラドボルグ)』」

 

まるでドリルのような剣が飛んでくる。

しかしその剣はセイバーの聖剣によって弾かれる。

 

「邪魔をするなセイバー!これは我と雑種の戦いだぞ!!」

 

「私のマスターに守れと言われてるのでな?守らねば騎士の名が廃るだろう?『風王鉄槌(ストライク・エア)』」

 

「私も行きます。その指は鉄、その髪は檻、その囁きは甘き毒!――これが私!『女神の抱擁 (カレス・オブ・ザ・メドゥーサ)』」

 

「っち!我に魅了は効かないがビームとはこれまた厄介な!」

 

英雄王の妨害はサーヴァント達に次々と邪魔されていく。

 

「偽りも真実も映し出す世界の鏡――」

 

「それじゃあ私もビームでも撃ちますか?えぃ!」

 

キャスターの魔術によりさらに宝具が消滅する。

 

「邪魔くさいぞ!そこで縛られてるがいい!『天の鎖』」

 

キャスター達が全員、天の鎖によって縛り上げられ動けなくなる。

 

「ふん?この程度か?このままでは楽しめん。これは慈悲だ……後10秒は待ってやろう。数えるぞ!10」

 

「今、太陽と月は上りひとつになり

世界は影に呑まれる――」

 

「9―8―7―6―5―4」

 

カウントダウンも終わりが近づき、詠唱もいよいよ終わる。

 

「そこは――

 

「3」

 

世界を映し出す――

 

「2」

 

無限の幻影で出来た世界!」

「1、終わりだ雑種。滅びろ!」

 

大量の宝具が飛んでくると同時にそれは発動し世界は一変する。

 

「それが、『無限の幻影(アンリミテッド・シャドウ・ワールド)』俺の世界だ!」

 

辺りは影に呑まれ、雲一つない空には月と太陽が上り、皆既日食を起こした。

 

大地は荒野のようになっておりあらゆる伝説上の武器が突き刺さっていた。

 

飛んできた宝具は即座に同じ姿、形をした宝具により、地面に落とされ消滅した。

 

「固有結界か……だが、よもや貴様ここまでの贋作者(フェイカー)だったとは、贋作も極まればなんとやらだな。」

 

「んなことわざ存在しねーよ。さてと、周りには無数の武器、目の前の敵は英雄王……ならあの台詞を言わなきゃな?行くぞ英雄王……武器の貯蔵は十分か?」

 

「ふん、思い上がったな。ここで滅びよ!贋作者(フェイカー)!!」

 

英雄王は無数の武器を飛ばしてくる。ゲイボルグの原点や選定の剣の原点、様々な物を発射してくる。

 

「生憎、ここは俺の世界なのでね!全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)真名、同時解放!まずはキャスター達を解放してもらおうか!」

 

射出された武器は天の鎖を断ち切り、セイバー達を自由にした。

 

「下がってくれ!ここだと俺の方が戦える!」

 

その指示を聞いてサーヴァント達は後ろに下がり俺と英雄王の一騎打ちとなった。俺は近くにあった神の槍を手に取る。

 

「ふん。セイバーを使わぬのか?道具が無ければ戦えない人間風情が!」

 

「うるせぇ!サーヴァントは道具じゃねーし、俺達人間を舐めるなよ!『直死』さぁ、とっとと貫かれろ!真名解放!解き放つは相手を射貫く必中の神槍『天地貫く主神の神槍(グングニル)』」

 

直死の魔眼を発動し、相手に必ず当たると言われる北欧神話の主神オーディンの槍を投げつける。

 

「この程度!天の鎖を使う程でわないわ!」

 

しかし英雄王はそれを黄金の波紋から取り出した別の槍で弾き飛ばし、地面に突き刺す。

 

表向きではそう見えるだろう。だが、実際は今ので45本の生命の線が断ち切られた。残り80。

 

「ッチ!やはりその“眼”が邪魔だな。潰れろ雑種!」

 

次に英雄王が放った宝具はどうみたって赤原猟犬(フルンティング)。グングニルと同じで必中と呼ばれる魔剣だ。狙いは恐らく俺の“眼”。

 

眼が無ければ、直死の魔眼は発動できないからな。だが、

 

投影開始(トレース・オン)

 

反転した聖槍を構え、魔力を込める。

 

「馬鹿な……その槍は!?」

 

セイバーが驚く。それもそうだこれはかつてのアーサー王が使ったとされる聖槍。それが禍々しく呪われているのだから。

 

「反転し、呪われた聖槍よ、我が敵を喰らえ!これが嵐の槍、嵐の牙!『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』」

 

嵐の槍は赤原猟犬(フルンティング)の線を全て切り刻み、赤原猟犬(フルンティング)は消えてなくなり、オマケで英雄王の、生命の線も10本断ち切れた。残り70

 

「くっ、よもやこの我がここまで追い込まれるとは!?エルキドゥとの戦い以来だな!良かろう我の本気を見せてやる。目覚めよ、エア……寝惚けてる暇はないぞ。」

 

そう言い、英雄王は黄金の波紋から最強の剣『乖離剣エア』を取り出した。

 

「来るか、ならこっちも!投影開始(トレース・オン)。真名解放!『乖離剣エア』」

 

周りの宝具をいくつか消し、乖離剣を投影する。

 

「雑種貴様!?エアの贋作すら作るか!!」

 

「お生憎様!これは本物の乖離剣エア。その影を実体化しただけさ!行くぞ!

これは天をも地をも滅ぼし、悪をも善をも切り裂く乖離剣──」

 

贋作者(フェイカー)風情が!贋作が本物にかてるか!裁きの時だ贋作者(フェイカー)

世界を裂くは我が乖離剣。原子は混ざり、固まり、万象織り成す星を生む。死して拝せよ!」

 

「「『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』」」

 

世界を裂く一撃が同時にぶつかる。

威力は相殺されず戦闘中の父さんと言峰は吹き飛ばされる。

 

俺も危うく飛ばされかける。だが

 

「吹き飛ばされる訳には行かない!イリヤを助ける俺の兄としての意地だ!耐えてみせる!」

 

そして場に残ったのは…………

 

「耐えて………やったぞ…………英雄王!!」

 

「認めよう雑種。今は……お前の方が強い!」

 

英雄王の生命の線は残り10次で最後にしてやる!

 

「これが最後の一撃!そして魔力が足りなくて乖離剣はもう使えまい!」

 

「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ」

 

俺は近くにあった剣の中でも最も強力かつ、使いやすい剣を2つ手に取った。

 

「まずはこれだ!切り裂け!『天羽々斬(アメノハバキリ)』」

 

一振り目はかつて八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を斬り殺したと言われる須佐之男命(スサノオノミコト)の剣拳10個分の長さを持つと言われる天羽々斬(アメノハバキリ)、それによって英雄王は腕と足を失うそしてもう一振りは……

 

「これで終わりだ!『鎌剣ハルペーオーバーエッジ』」

 

干将・莫耶以外には使用したこと無い、オーバーエッジをランサーのハルペーに使用する。するとハルペーは信じられないほど巨大化し全長だけで1kmあると思われる鎌となり英雄王の首を断ち切った。

同時に一変した世界は元に戻った。

 

「はぁ……はぁ……勝ったよ……父さん……母さん」

 

突然襲いかかってきた疲れと謎の喪失感に俺は倒れてしまった。

 

「「「マスター!?」」」

 

「サーベラス、大丈夫?」

 

「あぁ、力が込められないけど大丈夫だよ……母さん。それより問題は………」

 

「「「「私達ですよね。」」」」

 

英雄王は倒した。しかし、聖杯戦争を終わらせるには全てのサーヴァントを殺さなければならないのだ。

 

「どうした物か?」

 

父さんも真剣に悩んでいる。

 

どうせならFGO見たいに退去とかがあれば……ん?退去?令呪があったな……試してみるか。

 

「令呪をもって命ずる」

 

「何をするんだい?サーベラス!?」

 

「全サーヴァントに退去を許可する。」

 

退去を許可すればいいだけだ。

 

「なるほど……それでは先にマスターの妹さんを助けてから退去しましょう。」

 

「退去?それって何?」

 

「サーヴァント達が自主的にこの聖杯戦争を去ることだよ、母さん。」

 

「何でサーベラスはそれを知ってるのかしら?」

 

「聖杯のバックアップって凄いよね?アハハハハ……取り敢えずドイツのアインツベルン城まで行きますか……」

 

 

 

俺は残った力を振り絞り、自身をアインツベルン城へと転送する。

 

 

「ただいま……イリヤ………」

 

自分でもわかるように小さくなっていく声を振り絞って叫ぶ。

しかし、叫び声にすらならない。

 

「あっ!お帰りお兄ちゃん!」

 

だが、イリヤは俺を見つけて抱き着いてきた。

イリヤの体がすごく温かく感じる。何でだろう?

 

「お兄ちゃん凄く冷たいよ?」

 

「あぁ……お兄ちゃんも……もう短いのかもしれないネ?」

 

言葉を話すのも何か疲れるな…取り敢えず早くイリヤを連れて行かなくては

 

「行こう?イリヤ、父さん達が待ってる。」

 

「お待ちください!サーベラス様。」

 

突然俺に話しかけてきたのは何故か斧を持っているセラと同じく斧を持っているリズだった。

 

「どうしたの?セラ……リズ……」

 

「私達もイリヤについて行く。」

 

「でも君達はアインツベルンの…」

 

「それ以前にイリヤ様の世話係なのです!ご同行してもいいですか?サーベラス様!」

 

この二人はいい人だな……イリヤを任せられそうだ……

 

「あぁ……いいよ?それじゃあ行こうか?」

 

影移動を再び使用し、母さん達の元へ俺達を転送する。

 

「わぁ〜!!凄い!お兄ちゃんワープ使えたの!?」

 

「凄いでしょ?……頑張って覚えたのさ……」

 

そう言うとイリヤは母さんに抱きついていた。

 

「サーベラス……もう長くないのかい?」

 

そう言いながら父さんは涙を浮かべていた。

 

「そうだね……退去が終わったら聖杯に変わっちゃうみたい。」

 

悲しい事実を俺は告げる。

 

イリヤには見せたくないな。

 

「ねぇ、イリヤ」

 

「どうしたの?お兄ちゃん!」

 

「これからお兄ちゃん、ちょっと冒険に出るけど大丈夫かな?」

 

「えぇ〜また行くの!?それじゃあ、いつ帰ってくるの?」

 

「分からない…多分長〜い冒険になるからね。」

 

「じゃあまた帰って来てくれるって約束してくれる?」

 

「うん、約束するよ。」

 

「それじゃあ分かった!行ってらっしゃい!!」

 

「うん、行ってくるよ。バイバイ母さん。」

 

「えぇ、…………また会いましょう?私の愛しのサーベラス!」

 

そうやって送り出してくれる母さんを前に涙が溢れそうになる。

 

「うん………分かってるよ。」

 

俺はサーヴァント達と父さんと共にこの場から離れた。

そしていよいよ退去が始まる。

 

「それじゃあ私はもう行きますね。またいつか和菓子を食べましょう!」

 

そう言い、まずはXオルタが退去した。

 

「じゃあ次は私が行きますね!またいつか会いましょう?さよなら!マスター!」

 

今度はキャスターが

 

「それじゃあ私も行きますか……楽しかったですよ、マスター。人間は嫌いですが……貴方ならまぁいいでしょう。」

 

そう言うとランサーはいきなり頬にキスをして来た。

 

「ヴェェ!?」

 

「勝ち逃げと言う奴です!」

 

そしてランサーが退去した。

 

「僕の息子はまだ誰にもあげないぞ!!」

 

「父さん!?」

 

何が何だか分からなくなってきたぞ!?どういう事だ?

 

「それでは私も行きましょう。ありがとうございますとアイリスフィールにお伝えしといてください。切嗣はもう少し、穏やかに過ごしたらどうですか?1度魔術師殺しから離れて……」

 

「そうだね……そうしよう。僕はイリヤを、サーベラスを、アイリを幸せにするんだ。」

 

「では私はこれで」

 

最後にセイバーも退去した。これぞ!ハッピーエンド………とは行かなそうだな。

 

「ごめん……父さん……俺もう……持ちそうにない。」

 

「大丈夫だよ……またいつか会おう。僕は必ず会いに行くよ、待っててねサーベラス。僕の愛する息子。」

 

「そうだね。それじゃあ旅にでも出るよ………バイバイ…………また会おうね!父さん!」

 

無数のエネルギーに耐えきれなくなった俺の体も粒子となり聖杯へと変わっていった。そして意識を失った。

楽しかったな……こっちでの人生も…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが英霊の座………休めそうに無いよな。」

 

気が付くと自分の世界に居た。

しかしこれ以上外はなく。ここが英霊の座であるという知識が埋め込まれていた。

 

「こうなってしまっては仕方ないよね?最初は誰に召喚されるのかな?」

 

そう仕方ないのだ。

出来れば第五次聖杯戦争に召喚されたいな〜イリヤに会いたいし、父さんにも会いたいし。

 

あっ、でもあっちの世界ではもう聖杯戦争が起きないのか……まぁ、仕方ないよね?俺が大聖杯を呑み込んだ訳だし。

 

と言うか俺の姿が何か生前と違うのだが!?

具体的に言うと8歳から18歳ぐらいに成長してる。

これは明らかに可笑しい。

 

俺は8歳で死んだから8歳の体のまま英霊の座に登録されるはずだが………何か書いてるかなと思い、座となっている俺の部屋の本を取り出してみる。

 

「何なに?タイトルは……へ?サーベラスメモリー1?俺の記憶ってか?」

 

巫山戯たタイトルの本を読みすすめる。それはどうみたって俺が先程まで参加していた第四次聖杯戦争の記録だった。

 

「タイトルは巫山戯てるがかなり優秀だな。さて次はこれか…」

 

次の本のタイトルは無限の幻影。

俺の宝具となった無限の幻影(アンリミテッド・シャドウ・ワールド)の説明が載っていた。

 

次の本をとる。タイトルは天羽々斬(アメノハバキリ)またもや俺の宝具だ。

 

「埒が明かないな。適当に取っていくか」

 

適当に最後の段の本をとる。

タイトルはサーベラス。単純に俺の説明だけか?

そう思い本を開く。

 

そこに載っていたのは驚くべき事実だった。

何でも俺はハイ・サーヴァントと呼ばれる複数の神の融合体のようなものなのだとか……

 

融合している神は須佐之男命(スサノオノミコト)とオーディン。

 

ちょっと待て!?何故、スサノオとオーディン何だ!?

そう思って本を読み進める。

 

最後あたりのページに理由の欄が載っていた。

 

オーディン

サーベラスの妹がフレイヤとの複合神だから。

 

スサノオ

俺の剣を扱う面白いやつ!手を貸さないわけないだろ!

 

「何と言うか……胃が痛い。」

 

それに、この本棚の本何でも調べられるのだな。

何だか(転生前)に見た二人で一人の探偵ライダーに登場する星の本棚と言われる地球の記録みたいだな。

スゲーな〜英霊の座ってのは。

 

「あれ?何だこの蛇。」

 

いつの間にか腕に蛇が巻きついていた。なんだろうこの蛇、よく見ると赤い模様があって綺麗だな?

 

「お前、腹減ってるのか?」

 

「コクッ」

 

「そうか……これしか無いけど食べるか?」

 

俺は何故か部屋にあった菓子を蛇に渡す。蛇はそれを嬉しそうに食べていた。

可愛い……

 

「そうだ…俺も仮にも魔術師なんだ……なぁ、蛇さん。俺の使い魔にならないか?」

 

俺がそう問いかけると蛇は嬉しそうにうなづいていた。

OKと言うことだろう。

 

「ならまずは名前を決めないとな。え〜と」

 

名前を考えていると蛇は俺が持っていた本のページをめくり、オロチの三つの文字をさした。

 

「オロチ?オロチがいいのか!それじゃあ今日からよろしくなオロチ!」

 

「シャーオ!」

 

やっぱりかわいいなー使い魔にしてよかった!

そう思い待っていると部屋の奥に光の道が出現した。

 

「召喚って事か?それじゃあ頑張りますかね?」

 

そう思い俺は光の道を進んで行った。

道を抜けるとそこは暗くてよく見えないが恐らく土倉だろう。さてと、召喚されたらあのセリフを言わなきゃな?

 

「召喚に応じて参上した。俺はサーヴァントフォーリナーだ。問おう。君が俺のマスターか?」

 

ここから俺のサーヴァントとして初の冒険が始まるぞ!とても楽しみだ!

 

「そう、私が貴方のマスターよ!よろしくねフォーリナー!」

 

前言撤回!胃が痛くなりそうだ!




作者の〜次回予告
次からはいよいよstaynight!では早速次回予告を……『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ!)
グベェラァ!
英雄王「次回予告は我がやる!名付けて英雄王のギルギル次回予告だ!」
ネーミングセンスが壊滅的だね。取り敢えずじゃあこれ読んでね。
英雄王「よかろう!では読み上げるぞ!
サーヴァントとして雑種(イリヤ)に召喚された雑種(サーベラス)は胃痛を抱えながらも戦いに身を投じる………と思いきや聖杯戦争ではないトラブルに巻き込まれて!?
次回 「雑種死す!」楽しみに待ってお『次回のタイトルが違う!」
次回 再開と胃痛と謎の敵
お楽しみに!
英雄王「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ!我の次回予告を邪魔するとは!万死に値する!」
それでは皆さん生きてたら会いましょう!
に〜げるんだよ〜!!!


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Fate/staynight編
再開と胃痛と謎の敵


英雄王のせいで危うく死にかけた……取り敢えずあらすじを読まなきゃ…
前回のあらすじ
英雄王を倒し聖杯となったサーベラスは英霊として座に登録される。
サーベラスの初のサーヴァントとしての聖杯戦争…そのマスターは……まぁ、イリヤですよ。にしても、最近な〜んか次回予告中にボコされる事が多いような。
まぁ、いいか。本編をどうぞ……


 

「そう、私が貴方のマスターよ!よろしくねフォーリナー!」

 

さてと、今の状況を説明しよう。

俺は座に召し上げられて召喚された訳だが何故か目の前の俺のマスターと思われる人がどうみたって母さんに似た姿をしていて、口調や声的にもイリヤである事が判明しました。

 

何で、バーサーカー(ヘラクレス)じゃなくて俺なの!?もしかして触媒なしの縁での召喚ですか!?

 

「え〜と………これは改めて自己紹介が必要かな?」

 

「???フォーリナーの真名を教えてくれるってこと?」

 

やれやれ、俺の見た目で気づいて欲しいものだ。

 

「そうだね。それじゃあ、改めて。クラスフォーリナー、真名はサーベラス・フォン・アインツベルン。という訳で……ただいま、イリヤ!」

 

「………………えぇぇぇぇ!?」

 

おぉ、驚いてる、驚いてる。正直、俺の方が驚いてるぞ?だって、英霊にされて、神と融合して、挙句の果てには妹に召喚されてるんだぜ?

驚きを通り越して胃が痛いよ。

 

「おっ……お兄ちゃんって………英霊だったの!?」

 

「嫌、本当は英霊にすらなれないけど……………いつの間にか神と融合させられたり、成長してたり(後で判明したが8歳の姿にも戻れる)で胃が痛いんだよ。と言うか随分と成長したね〜?俺が死んでから何年経ってるんだ?」

 

嫌、本当は10年後って知ってるけど怪しまれないためにね?いきなり話したら困惑するだろうからね?

 

「やっぱり死んでたんだね…………ちょうどあの時から10年後ぐらいだよ。」

 

あぁ〜やっぱりね?って事は士郎とかもいるってことだよね?もしかしてイリヤの苗字も変わってたりして?

 

「その間にお母様達は結婚式を挙げたから今の私の、名前は衛宮イリヤスフィールだよ!」

 

「ほぇ〜そいつはめでたいな。何かプレゼント作らなきゃ………」

 

うん、実にめでたい!ちょっと待て?と言うことは俺の真名はサーベラス・フォン・アインツベルンじゃなくて衛宮サーベラス?俺もエミヤなのか?

 

嫌、でも座に登録されてる真名はアインツベルンの名前だし、衛宮はどちらかと言うと偽名か?

 

でも、1部海外では二つの苗字を持つことも珍しくないから衛宮サーベラス・フォン・アインツベルンか?なっげ〜名前だな〜

 

「お兄ちゃんは変わらないね………それと!私にも弟が出来たんだ!」

 

「え?弟?」

 

「そう!義理の弟、名前はシロウだよ!ほら、紹介するからこっちに来て!ちょうど今私の後輩も来てるんだ!」

 

ついにあのイリヤにも後輩が!兄ちゃんは嬉しいぞ!

うん?後輩?何かイヤーな予感が………

 

「ちょっ、引っ張らないでくれイリヤ!?お兄ちゃんは何処にも逃げないぞ!?と言うか無駄に力が強いね!?」

 

「はーやーくー!!」

 

「分かった!分かったって!」

 

俺は連れていかれるがままに歩いていく。

少しして、殆どのFateシリーズでお馴染みのあの居間に案内されたのだ。

 

「お兄ちゃんは此処で待ってて?私が呼んだら、あの時みたいに影から出てきてくれる?」

 

「随分と見栄えを気にするのだな?まぁ、良いけどさ?何よりイリヤは俺のマスターだしね?」

 

俺の返事を聞いたイリヤは居間に移動したのを見計らって俺は影に潜る。登場演出を派手にする為に大量の武器でも用意するかな?

 

影から覗いて見た所、居間に座っているはイリヤ、士郎、凛ちゃん、桜ちゃんそして彼らのサーヴァント、セイバー(アルトリア)アーチャー(エミヤ)ライダー(メデューサ)だった。

 

「それじゃあ私のサーヴァントを紹介しま〜す!クラスはフォーリナー!真名は〜(今だよお兄ちゃん!)」

 

さてと、ご指名だし出てきますかね?

俺はまずは影から大量の干将・莫耶(オーバーエッジ)を出現させ辺りに浮遊させる。

その瞬間イリヤ以外は戦闘態勢に入った。ここからが本番だ!

 

「幻想は今崩れる──『壊れた幻想(ブロークンファンタズム)』」

 

本来なら攻撃技である壊れた幻想(ブロークンファンタズム)を調整して使い、全ての干将・莫耶を小さな花火として発動させた、勿論、被害がないように威力をおさえた。

 

そして影から俺参上!

 

「俺の真名はサーベラス・フォン・アインツベルン!イリヤの双子の兄であり、此度はフォーリナークラスで現界した無銘の英霊なり!と言うわけでノリの軽いヤツだけどよろしくね〜。」

 

「「「「「「…………………………」」」」」」

 

「イリヤのご要望通り派手に登場したけど……何この空気?」

 

「私にもさっぱり?」

 

う〜ん。もしかして迫力が足りなかった?結構苦労したんだけどな?

 

「え〜と?イリヤ先輩のお兄さん?ですって?」

 

「あぁ、そうだよ?凛ちゃん。もしかして信用ならない?否、まぁ普通はそうなんだけど……まぁ、セイバーとライダーがいるから証明してくれるでしょ?」

 

「何で私の名前を知ってるのよ!?そしてセイバーとライダーが証明出来るってどういう事よ!」

 

「えっ?だってそうだろ?セイバー。」

 

「いえ、証明は出来るのですが……サーベラスってそんなに大きく無かったですよね?」

 

「え?セイバーは彼と会ったことがあるのか!?」

 

「えぇ、前回の聖杯戦争の時に切嗣の息子である彼が幼い頃のライダーであるランサーを連れて参加していました。」

 

「と言うことは俺の兄さんって事か!?爺さんはそんな事………否、思い出したが一度だけ話してたな。」

 

あぁ〜何か記憶としてはついさっきの事なのに何かすごい懐かしく感じるな〜第四次聖杯戦争は苦しくも楽しかった。

 

「他にもキャスターとバーサーカーもいましたね。」

 

「英霊のお兄さんって……先輩とイリヤ先輩の家庭の事情も複雑ですね?」

 

あっ、何か桜ちゃんが勘違いしてる……と言うかさっきからライダーが黙りなのだが!?何か怖いぞ!?

 

「否、複雑って言うより元がホムンクルス中心の魔術師の家系だからね?と言うか凛ちゃんも、桜ちゃんも俺に一度会っているはずだが?」

 

「「え?何処で(ですか)?」」

 

うん?俺の姿を見て気付いていないのか?

あぁ、そっか!あの時の俺の姿は8歳の子供だったもんな!

 

「ちょいと待ってて?姿(霊基)変えてくる。」

 

取り敢えず影に潜って体全体に魔力を集中させる。

イメージは若返りの霊薬を飲んだ英雄王、つまり子ギルになる時のイメージ。

 

しばらくすると視点が低くなり第四次聖杯戦争の時と瓜二つ…というよりそのまんまの姿に戻っていた。

 

「ハイハイ、姿を変えてきたよ〜」

 

「「あっ!あの時の変な人(ヒーローさん)!」」

 

「俺って、そんな風に認識されてたの!?酷いな〜凛ちゃん。これでも君の妹を助けたのだが………まぁ、いいか?」

 

あれ?士郎sが固まってる。まぁ、いきなり高校生が小学生に変わったら驚くのも無理はないよな〜

 

「まぁ、姿はいつでも変えられるから、士郎もアーチャーも気にしないでくれ。」

 

「「あ、あぁ。」」

 

さてと、魔力が足りねーしそろそろ俺は寝に行こうかな〜取り敢えず、母さん達に挨拶をしたいな。

 

「所で?父さんと母さんは?」

 

「今は仕事で出かけてるよ。明後日に帰ってくるんだって?」

 

「へぇ〜ならそれまで待つかな?でもな〜何して過ごそうかな?」

 

俺は何をするか悩んでいた。

取り敢えずセイバーとライダー、アーチャーは味方陣営だし、そもそも大聖杯は俺が呑み込んだから存在しないはずなのにな?あれ?そう考えると何で俺達サーヴァントは召喚されたんだ?

 

「それならさ!10年前のお兄ちゃんの話を聞かせてよ!私もよく知らないしさ!」

 

「それ私も賛成です!ヒーローさんのお話も聞きたいですし!」

 

「同じく…サーベラスに召喚される前の話は知らないですし……」

 

「あっ、やっとライダーが口を開いた。ランサーの時より無口なんだな。」

 

「え?ライダーは無口では無いはずですが……何故なの、ライダー?」

 

え?そうなの?だってさっきまで話に興味が無さそうにそっぽを向いてたし、え?

 

「それは………その………えっと………(不味い、桜にサーベラスにあんな事をしたなんて言えません。自分でやった事ですが教育に悪いですし、また姉様達に弄られてしまいます。元マスターですよね?助けてくださいサーベラス!)」

 

何だかライダーから視線を感じるな?助けを求めてるのか?

 

「えっと…桜ちゃん?人には誰しも話したくない事もあるんだよ。ほら、例えば誰が好きだとかクラスで大声で言われたら嫌だろ?」

 

具体例を伝える。これは誰しもが嫌な事だろう。

特に桜ちゃんのような子には効果は抜群のはず。

 

「そ…そうですね。それはだめですよね。

私は別に先輩が好きだって事をバラされても………嫌、ダメダメダメ。やっぱり恥ずかしい///

 

あぁー重症だな。ダメだこりゃ←地獄耳の番犬さん

 

そしてやっぱり胃が痛い。胃薬どこかに無いかな?

後で士郎に聞いてみよう。

 

その前に姿を大人に戻してっと。

 

「取り敢えず何処から話すべきかな?英霊召喚辺りからでいいかい?」

 

「あぁ、聖杯戦争をよく知らない俺の為にもお願いするよ、“兄さん”」

 

ヴッ!

今なんか士郎の方から嬉しい方の精神的ダメージが来たぞ!?

 

よし、弟のためだ。軽く語りますかね?

 

「先ずは俺がアインツベルン城でキャスターを召喚した所から始まるな──」

 

 

 

 

 

 

 

サーベラス説明中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で俺は聖杯に変化して英霊に召し上げられましたとさ………はぁ。自分の事ながら胃が痛い。」

 

ようやく話し終わった……勿論、聞かれちゃ不味い部分は話してませんよ?ランサーの勝ち逃げ?とか

 

「イリヤ先輩とサーベラスさんにそんな物語があるなんて…………」

 

「えぇ…お父様が言っていた、大聖杯を呑み込んだ魔術師はイリヤ先輩のお兄さんだったのね。」

 

あれれ?俺って噂?になっていたのか………そういや、さっきから膝が重いしやけにイリヤが静かなような……

 

「Zzzzzzzzzzz」

 

寝息を立てて寝てるな。ちょうど俺の膝を枕にする形で

 

「やれやれ、後輩と弟の目の前で寝落ちってか………まぁ、これぐらいは許すかな?」

 

仕方ないよな?久しぶりなんだし。

そう思いながら俺はイリヤの頭を撫でる。

 

「こうしてみると、イリヤより大人に見えるな。」

 

「わかるわ〜衛宮君の言う通り、イリヤ先輩のお父さんにしか見えないわ」

 

「俺は父っていう器では無いのだが……にしても、こうして俺の膝で誰が寝たのは桜ちゃんを助けた時以来か?」

 

うんうん、懐かしいな。蟲の翁はキャスターが殺したんだっけな?間桐邸は俺の火炎瓶で火事になってたし。

 

「「その話詳しく!!」」

 

あっ、凛ちゃんとライダーが食い付いた。やっぱり兄弟として、サーヴァントとして気になるのかな?

 

「え……その話は…ちょっと…」

 

「いいよ。姉である凛ちゃんには知る権利があるだろうしね?あっ、でもイリヤを起こさないように静かにネ?」

 

「えぇ、分かっt…分かりました。」

 

「あ、敬語じゃなくていいよ。最初言った通り俺はノリとか兎に角軽いヤツだからさ。」

 

「そうならありがt「話の途中ですまないな。凛、敵が接近してきた。」また後で教えて頂戴。」

 

まさかジークフリート以外からあの台詞が聞けるとは……ってそんな事よりも今敵って言ったか?

 

ようやく胃痛が治まってきて幸福の時間になったと言うのに。俺の楽しい時間を邪魔するとは飛んだ礼儀知らずと見たぞ。イリヤには悪いが、ちょっと殺しに行くか。

 

「嫌、今回は俺が行こう。イリヤの眠りを遮ろうとするのなら殺してやろう。」

 

俺はイリヤの頭ををそっと投影した枕の上にのせ、これまた投影した毛布をかけると影を使い、外に移動した。

 

「さて、今回の敵は何だ?竜牙兵か?サーヴァントか?はたまた英雄王か?」

 

敵の正体は一体何なのか、予測しながら敵がいると思われる位置へ向かう。

 

【■■■■■■■■■■!!!】

 

この叫び声は………バーサーカーなのか?

叫び声が聞こえてきたので投影した干将・莫耶オーバーエッジを手に持つ。

 

念の為、姿を幻影結界(インビジブル・シャドウ)で俺の姿を見えなくする。

 

しばらく進むとそこにいたのは現在、ランサー(クーフーリン)と戦闘中の黒い影だった。

 

「あれって第四次のアサシン(百貌のハサン)だよな?それが影になっている……シャドウサーヴァントか?否、でもこの次元にはシャドウサーヴァントは存在しないはずだし……」

 

「あーもー!クソッタレが!マスターに言われて来てみれば封印指定とやらは何処にもいないし、サーヴァント擬きがいるじゃねーか!次から次へと増えやがって!」

 

どうやらランサーも苦戦しているようだ。

ちょっと手伝いますかね?

 

投影開始(トレース・オン)、『赤原猟犬(フルンディング)』、無銘の弓。さて……狙いを定めて………シュート!壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

相手に必中する魔剣は無数のハサンの内三体を貫き、さらに二体を爆発の餌食にした。

 

「誰だ!?」

 

ランサーが俺のほうを向く。と言っても俺の姿は認識できないが…まぁ、名乗りぐらいはしないとな

 

「通りすがりのフォーリナーだ!覚えとけ!」

 

「お前もあの影のサーヴァントか!?」

 

「否、影っちゃー影なのだが……まぁ、アイツらとは全く違うぞ。まぁ、あんたの味方ってとこだ。」

 

「そうかよ。なら殺し合いは後だな。先ずはあの影の野郎共を殺しつくそうか!」

 

「まぁ、この理性の欠片も無いアサシンなんぞ簡単に殺してやるよ。ちょいとストレス発散だ。」

 

いきなり出てくる単語が殺し合いか……これでもケルトではマシな方だとは……まぁいいや。

 

俺の幸福の時間を奪った恨みは大きいぞ?

 

投影開始(トレース・オン)、『グングニル』さぁ、主神の槍を見せてやろう。」

 

「ん?その槍!?スゲー!!スゲーぞ!そいつはオーディンの槍じゃねーか!師匠が言っていた最強の槍の一つ。まさか英霊になってからお目にかかれるとはな。お前の真名ってもしかしてオーディンか?」

 

「やっぱり勘違いされるよな……確かにこれは本物だが俺はオーディンでは無いんだよ。取り敢えず、再現した宝具ぐらいは見せてやろう!

解き放つは相手を射貫く必中の神槍。対象選択、補足完了(ロックオン)!貫け!『天地貫く主神の神槍(グングニル)』」

 

真名の解放とオーディンと融合した俺が本気で投げつけた事により、グングニルは地面をえぐり、光を超える速度で放たれ、残りのハサンは全て全滅した。

 

「っしゃァ!大☆勝☆利!これが兄の力よ!ハッハッハッハッハ!」

 

よし!俺の勝ち!何で負けたか…地獄でじっくり考えな!

 

っと、巫山戯るのもここまでにしとこう。

どうやら先程まで衛宮家にいたイリヤ以外の全員が俺の戦いを見ていたようだ。

 

ランサーに迷惑をかけないうちに帰ろう。

 

「さてと、それじゃあ。運があればまた会おう!さらばだ光の御子!いつか特訓に付き合ってくれよ」

 

「おう!そんときはその槍(グングニル)で戦ってくれよ!」

 

さてと、クランの猛犬とイカれた約束をした所でとっとと帰りますかね〜。

俺は影を使い、周りに隠れていたメンバーを全員衛宮家へと転送する。

 

「さてと……俺の戦い方なんて見て楽しかったか?」

 

俺は単純な疑問を抱いたので聞いてみる。

 

「あぁ、聞きたい程は山ほどあるのだが……」

 

「フッ、今回はお前も同じ意見のようだな衛宮士郎。」

 

ん?士郎sは何を考えてるんだ?兄さんには分からないな。

 

「「さっきのカッコイイ技は何だ!」」

 

あっ、なるほど。男の浪漫だね。アチャ〜凛ちゃんが呆れてるよ〜?

 

「さっきのは北欧神話の主神オーディンの槍、グングニルだ。相手を追尾して必ず射貫く必中の槍だな。自分の手元に戻ってくるから使いやすいんだよ。投影魔術との相性もいいし。」

 

「なるほど神装兵器か……と言うことは私は投影できないのか……残念だ………」

 

「アーチャーでも投影ができないのか!?なら、俺に投影の仕方を教えてくれ!兄さん!」

 

ん?今、俺の事を兄さんって呼んだな?いいだろう!兄さんは機嫌がいいのだ!HA☆HA☆HA……

 

「父さんに怒られない程度になら教えよう。」

 

「こうなると衛宮君は止まらないわね。そろそろ遅くなるし早く帰りましょう?桜。」

 

「あっ、それなら俺が今から時臣の所に行って桜ちゃん達が泊まることを伝えてこようか?」

 

「「是非お願いします(するわ)!」」

 

さてと、これで士郎達が集中しすぎる事は無いだろう。

彼らは人が家にいる時は主夫だからな。

 

「それじゃあ!行くぞ!士郎。早速特訓だ!」

 

「あぁ!」

 

「あっ、勿論アーチャーもな。」

 

「え?私もいいのか?」

 

「俺は“士郎”に教えるって言ったんだぜ?ほらさっさとやるぞ〜!」

 

「やはり、私はまだ兄さんには敵わないようだな。」

 

「ん?何か言ったか?アーチャー?」

 

「嫌なんでもない。早く教えてくれ!」

 

「ハイよ。それじゃあイリヤを起こさない程度にやりますかね〜。」

 

それからの展開は早かった。時臣に凛ちゃん達が泊まること伝えるとあっさりと承知してくれた。

 

何故そんなにあっさり?と聞いた所、帰って来た答えに思わず吹き出しかけたのは仕方が無いと思う。

 

だって、葵さんが出てきたかと思うと二人揃って桜ちゃん達が好きな人が出来てるのかも知れないって遠坂家の家訓である。「遠坂たるもの優雅たれ」だっけ?

 

まぁ、兎に角家訓を忘れる程ハイテンションで話し始めるんだぜ?いやはや、胃が痛いな。

 

ちなみに士郎sは結局投影できず、また明日と言うことになりました。

 

さてと、それでは久しぶりの布団での睡眠を………

 

「お兄ちゃん!久しぶりに一緒に寝よう!」

 

させてくれそうにないな。と言うか何処からか視線を感じるのだがもしや録画か何かされてるのか!?

 

嫌、でもそんな雰囲気は……まぁ……多分ライダーが桜ちゃんの心配をしてるのでしょうね。

 

はぁ、魔力が足りないしもう気にせずに寝ますか……胃薬を用意しなきゃな。




作者の〜次回予告
どうも皆さん。何度ガチャを回してもイリヤが当たらない作者です。ピックアップの時すら来ないって何よ……キアラさんはノーコメで…
取り敢えず読み上げますかね。
フォーリナーとして召喚されたサーベラスは胃痛に悩まされながらも楽しい日々を過ごそうとする。
しかし、突然、時計塔からとある魔術師と、とある執行者が訪問してくる。これはまたトラブルの予感!?
次回 「封印指定とロード」
お楽しみに〜
ピーンポーン
<ハーイ
<こちらアマゾネス便です。お届け物があるので判子を押してください。
<あっ、サーベラス君の胃薬ね。ちょっと待ってて、判子持ってくる。


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封印指定とロード

前回のあらすじ
召喚され、胃痛を抱えながらもイリヤと再開したサーベラスはシャドウサーヴァントによく似た敵と戦い勝利する。
次の日、そんな彼の前に現れたのは?
本編をお楽しみください!



「時刻は深夜3時か………暇だし料理でもするかね?」

 

聖杯戦争の時の癖で思わず早起きしてしまったので取り敢えず俺は顔を洗って料理の仕込みをする事にした。

暇だしね。仕方ない。

さてと、とっとと顔を洗って……

 

「お久しぶりですサーベラス様。」

 

おっとこの声は確か

 

「そういや昨日は見なかったね。取り敢えず、ただいま、セラ。」

 

1番の風紀係兼、メイド長のセラがいた。(メイドはセラとリズしかいない。)

 

「こんな早朝から何をされるおつもりで?」

 

「暇だから料理でもしようとね?」

 

まぁ、イリヤ達に俺の料理を食わせてみたいってのもあるけど。

 

「なっ!?貴方まで私の仕事をとる気ですか!?」

 

「あれ?セラ、どうしたのかな?何かすっごく不満そうだけど……」

 

「当たり前ですよ!士郎さんは起きたら勝手に料理しだしますし、凛さん達は泊まった日に必ず掃除していきますし!メイドである私達の仕事が取られてるんですよ!!」

 

何かこのセラ見た事あるぞ!?もしや別次元の住人では!?随分と仕事熱心だなぁ!?

 

「俺はただ単に俺の料理を食べて見てほしいだけなのだが…………」

 

「大体!士郎さんは本当に男なのですか!?悔しいですが料理も美味しいし、掃除も完璧。洗濯物もいつの間にか綺麗に畳まれてる……あの人は主婦ですか!?」

 

「士郎は主夫だよ…………はぁ、こうなったらセラは止まらないか………」

 

寝起き早々、俺はセラの愚痴に付き合う事になり、何だかんだで30分経過した。

 

「セラ……そろそろその辺に……」

 

「リズもリズです!!メイドの仕事を忘れてイリヤ様と仲良く遊び始めて!ブツブツブツブツ」

 

コソコソ

 

(悪いなセラ、料理をしたいから抜け出すよ。)

 

(頑張れ、サーベラス。キッチンまでの道のりは遠いぞ)

 

(リズは随分、柔らかくなったね。まぁいいか。後は頼んだ!)

 

俺はセラの愚痴を全て投影した身代わり人形(サーベラスそっくり!)でセラの愚痴を掻い潜り、ついにキッチンに到達した。

 

「さてと、食材は…………う〜ん。ちょいとした洋風の食事でも作るかな?よし、フレンチトーストでも作るかな。」

 

冷蔵庫から卵、牛乳を取り出しボウルに入れて、そこに砂糖を入れ混ぜ合わせれば誰でも出来る簡易的フレンチトーストの元の完成!後はここの元をパンに染み込ませて…………………

 

1時間後

 

 

染み込んだので後はこれを焼いて、皿に盛れば。

完成!虎でも出来るフレンチトースト!

尚、失敗するかはその人次第だ!

さてと、まだ4時だしどうするか………

 

ピーンポーン

 

ん?こんな時間に誰だろう?宅急便とかか?

 

「はーい今出ますよっと…………」

 

「よう!昨日の坊主!こんな朝にすまんな。」

 

「いきなりどうしたんだ?ランサー、待ちきれなくて決闘を挑みに来たのか?」

 

「嫌、俺もそうしてーけどよ。生憎、今回はマスターにお前を連れて来いって言われててな。わりぃけどついてきてくれねーか?」

 

ん?ランサーのマスターね?原作だと確か封印指定執行者のバゼット・フラガ・マクレミッツだよな?

もしや俺って封印指定された?

まぁ、暇だしついて行くかね?

 

「まぁ、ちょうど暇だから行くよ。ランサーのマスターにも興味があるしな。」

 

「そうか!助かるぜ。取り敢えずこっちに来な。マスターなら教会周辺で待ってるからよ。」

 

教会……ね?そういや言峰綺礼はまだ生きていたよな……見つけたら殺そうかな。

 

取り敢えず俺はランサーに、案内されるがままに歩いていき。辿り着いたのはやっぱりあの教会。

 

その門の前に彼女……バゼットとどこかで見た事がある赤い髪の魔術師そして、成長したウェイバー君こと、ロード・エルメロイII世がいた。

 

「は?おい、ランサー。どういう事だこれは」

 

「俺にはさっぱりな。何でも時計塔?偉い人達なんだとか。」

 

「お初にお目にかかる。フォーリナーのサーヴァントよ。私はロード・エルメロイII世。今回報告された謎のクラス、フォーリナーのサーヴァントである君の調査に来させてもらった。そっちは」

 

「私は蒼崎青子だ。本来は別の目的で日本に来たのだが、フォーリナーと言う謎のクラスに少し興味が湧いてね?」

 

「私はバゼット・フラガ・マクレミッツです。そこにいる蒼崎青子さんがトラブルを起こさないように見張れと言われた所、令呪が出現したので、聖杯戦争に参加する事になりました。」

 

なるほどね?ウェイバーは謎のクラスの調査……青子の目的は何だ?まぁ、一旦置いとこう。で、バゼットは青子の監視をするはずが聖杯戦争に参加する事になったのね。

 

「取り敢えず、一言いいかな?」

 

「いいぞ。私にいちいち許可を摂る必要はない。」

 

「じゃあ!はっきり言うぞ、両手に花ならぬ、両手に爆弾を持ったな。お疲れ様、ウェイバー。」

 

「ッ!?何故、英霊の君が私の本名を……」

 

「否、第四次の時一緒に戦っただろ。」

 

「なっ!?まさか、君がサーヴァントになったと言うのか、サーベラス!?」

 

「その通り!聖杯を呑み込んで、死んで英霊になりました!我ながら胃が痛い……」

 

「規格外すぎるだろ………」

 

どうやらお互いに悩みがあるようだ。

 

「なぁ、ウェイバー。あっちで話さないか?」

 

「それもいいな。君達はもう帰っていいぞ、私は久しぶりに友達と話す事にするから。」

 

「待ってました!!今会いに行くからね〜待っててね志貴〜♡」

 

え?志貴ってあの月姫の志貴?だとしたら怖いんだけど………何あの鼻血垂らしながら車を超えたスピードで走っていく魔術師は?

 

天の道を行き、全てを司るライダー?クロックアップなの?え?

 

「なぁ、サーベラス…………今、聞いちゃ行けないものを聞いた気がするのだが。」

 

「俺もだよ。」

 

「同意見です。」

 

もしやここってstaynightじゃなくてカニファン時空でした?

だとしたら俺は秒で退去したいのだが……

 

「取り敢えず、久しぶりに話でもするかい?」

 

「あぁ、そうしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

話し合い中

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうなんだよ〜。ケイネス先生はいきなり僕にロードの座を押し付けてくるし、義理の妹となったライネスは悪魔だし、もう胃が痛いんだよ。」

 

「分☆か☆る。うちんとこも、サーヴァントにされて、いきなり呼ばれたと思ったら妹が俺のマスターだなんて………もう胃が持ちそうにないよ。」

 

「なぁ、ウェイバー。ひとついいか?」

 

「多分、僕も同じ考えだよ、サーベラス。」

 

「「お互い苦労するね。」」

 

何だかんだで約2時間、俺とウェイバーは愚痴を語り合っている。

どうやらお互い、胃が痛くなるほどの厄介事に巻き込まれているようだ。

 

「本当にやれやれだよね。今日、ウェイバーが連れてた蒼崎青子?だっけ?あの人も絶対危ない人だし。」

 

「蒼崎………青子……不味い!?死徒退治の件を伝え忘れてた!?」

 

「死徒って確か、真祖とかいう吸血鬼が量産してる眷属ってやつ?」

 

「そう、それだよ。確かこの冬木辺りにも発生していたはずだからな。本来なら聖堂教会や、執行者が動くけど、今回は聖杯戦争も同時進行されてるから動くのが難しいらしいんだ。」

 

なるほどね?もしかして、あのシャドウサーヴァントもその死徒やら、吸血鬼の仕業かも知らないな。

しょうがないし、俺が行くかな?

 

「なら、今夜とかは俺が潰して回ろうか?」

 

「うっ……本来は君に頼むべきでは無いんだけど…頼むよ。明日までには蒼崎青子にも伝えておくから。」

 

「任せろ!1番の友達の頼みなんだ。これぐらいやってやるよ。」

 

さて、死徒退治なんて、聖杯戦争に比べれば楽だからな。

見つけて、直死して切るだけ、う〜ん実に簡単!

 

さてと、それでは次の話に…

 

──お兄ちゃん!!どこいってるの!?朝ご飯の時にも帰ってこないなんて!

 

あらら、忘れてたな。

 

「すまないウェイバー。妹が呼んでるのでそろそろ言ってくるよ。」

 

「そうかい。ンッン!では暇ならまた明日に以前私とケイネス先生が泊まっていたホテルに来てくれ。」

 

「了解。それじゃあな!我が友よ!」

 

取り敢えずこれ以上怒られたくないので俺は影移動を使い、一瞬で衛宮邸に帰ってきた。

 

「どこに行ってたんだ、兄さん。中で凛や衛宮士郎、イリヤスフィールが心配してたぞ。」

 

「すまないな。しr、アーチャー。ちょいと友達の所で愚痴を語り合っていたんだ。俺と同じく、胃痛を抱える苦労人だ。」

 

「そうか……私とも気が合いそうだな。」

 

「あぁ、きっと合うと思うぞ。」

 

うん、俺とアーチャー、ウェイバーで苦労人の会が開けそうだ。

 

「ただいま〜」

 

「どこ行ってたのですか!?サーベラス様!」

 

「友達と愚痴の語り合いをしにね?」

 

「……サーベラス様に友達なんていたのですか?」

 

「失礼な!?1人だけだけどいるよ!聞いて驚け!俺の唯一の友達であり、時計塔のロードその名もロード・エルメロイ二世!」

 

「なっ!?ロードですって!?」

 

「フハハハハ!第四次聖杯戦争の時に出会って友達になったのだ!!」

 

驚いてる驚いてる!やっぱり、ひとのおどろく表情を見るのは面白いな!何と言うか、今日も平和だなって安心する。

 

「さてと、イリヤが呼んでたから俺は行くよ。」

 

「ッ……えぇ、早く行ってください!それと私の仕事を取るのはやめてくださいよ!」

 

「わかってますって!料理をするのは多分今回だけさ。」

 

うん、きっと士郎の作る料理よりは多分劣るからな。

怒られないように走ってリビングへ向かい、扉を開けるとそこには何かと幸せそうな顔でフレンチトーストをもっきゅもっきゅと謎の効果音を鳴らしながら食べているセイバーとライダー、イリヤがいた。

 

「………えっと……何この状況。」

 

「あっ、兄さん。えっとな、朝起きたら兄さんがいなくてイリヤが怒って、それで俺が朝ご飯を作る為に冷蔵庫を開けたら人数分のフレンチトーストが置いてあったから、誰が作ったかセラに聞いたら兄さんが作ったって不満そうに言っててな。」

 

「それでそれを聞いたイリヤ先輩と何故かライダーが幸せそうに食べ始めたってわけね。セイバーは…甘い物が好きだからかしら?」

 

「ライダーも甘い物が好きだったのですか?ヒーローさん?」

 

「俺に聞かれても困るのだがね?ランサーは好き嫌いも何も言わなかったからよく分からないんだよ。まぁ、女の子だから甘い物が好きなんだよ、多分。」

 

うん、女子ってのはよく分からないからな。

 

「あっ、そうだ。俺は夜になったら死徒狩りに行くからよろしくね?」

 

「「死徒ですって!?」」

 

「ん?どうしたんだイリヤ、凛ちゃん?」

 

「だって死徒ってあまり聞かない単語を突然口にしたかと思えば!」

 

「それを狩りにいくですって!?」

 

「なぁ、遠坂。死徒ってなんだ?テレビでよくやるエヴァンゲリオンってやつか?」

 

「そうそう、パターン青、使徒です!って違うわい!あんなロボは登場しないわよ!死徒って言うのは真祖と呼ばれる吸血鬼に血を吸われた人間の姿をした化け物よ。」

 

「おぉ〜見事なノリツッコミ。遠坂家ってギャグ要因だけじゃなかったんだな。」

 

と言うかこの世界にエヴァなんてあったのか………

 

「貴方、遠坂家をなんと思ってるのよ。」

 

うっかりエフェクト(トラブルメーカー)製造機」

 

「なっ!?」

 

「と言うのはちょいとだけ思ってるけどどちらかと言われると冬木に昔からいる完璧に一般人に紛れている魔術師って所かな?」

 

「ちょっとは思ってるんですね……」

 

そりゃ〜遠坂家のうっかりで魔術師ってバレる事もあるかもしれないからね。

 

うっかりエフェクトは強すぎるんだよね。もはや神代の呪いというか原初のルーンとかそこら辺に匹敵するんじゃないかな。

 

「取り敢えず死徒狩りに向けて何個か武器を投影しときますかね?」

 

巫山戯てプログレッシブナイフとかを用意してみても面白いかも!そうだ、エヴァがあるならライダーってあるのかな?あったら武器を再現してみるのも悪くないよな〜!

 

仮面ライダーの武器。子供の夢であり、俺の浪漫!

まぁ、再現に時間はかかるだろうけどやるっきゃないでしょ!

 

まぁ、夜までには頑張って作ろう。取り敢えず、死徒の情報でも集めるかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜まで武器作成中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず出来たぞ!時刻は夜の10時。冬木の人達は10時以降あまり活動しない傾向があるらしい。街の灯りはほぼ消えている。

 

「『直死』……さてと、肝心の死徒は……面倒臭い奴を見つけてしまったな。」

 

直死の魔眼や宝石剣ゼルレッチを使い、現在俺は死徒を探していたのだが、捜索の結果、見つけたのは死徒二十七祖と言う強豪の1人に入る吸血鬼。

 

名前は確かネロ・カオスだっけ?

 

月姫って言うTYPE-MOON制作のゲーム兼アニメの登場人物の1人で主人公である遠野志貴とヒロインの1人アルクェイドの前に現れて殺しにかかってくる吸血鬼。

 

確かヘラクレス見たいに命がいくつかあってそれを全て同時に削らなきゃ死なないのだっけな。

数はだいたい666個の命を持ってたっけな?

 

その他は俺や、父さん見たいに体内に固有結界を展開してたり、基礎能力がサーヴァントに匹敵するほど高かったり、とかなりのチートキャラ。

 

まぁ、それでも直死の魔眼持ちの前には精々、正面からの戦闘では殆ど勝てないアサシンと同じだ。

 

彼は666個の命を同時に削らなければ倒せないと言うが、三騎士クラスのサーヴァントにとってはその程度、宝具を使えば一瞬だし、直死の魔眼は“死”と言う概念を持っているため、直死して殺されればそこで終わり。

 

一様、地獄の番犬である俺からしたらアイツが無限に召喚する狼のような眷属は犬っころに過ぎない。

 

まぁ、要するに【スペックも能力も強いが特定の能力、アイテムには弱い中ボス】だ。

 

例を上げるなら、FFシリーズのアンデッド系モンスター、もしくはDQシリーズの大魔王ゾーマ

 

FFシリーズのアンデット系モンスターは知ってる人も多いがエリクサーや鳳凰の羽根をアンデット系モンスターに使用すると即死するのだ。

 

DQ3の大魔王ゾーマも同じだ。

詳しい理由は俺には分からないがゾーマは薬草を投げつけていれば倒せる。

 

ゾーマに対して回復アイテムを使うと有り得ないほどの大ダメージを負うのだ。

 

その為よくRTAでは薬草をひたすらゾーマに使用すると言う早急に攻略できる裏技も存在するのだ。

 

そのように強い能力を持つ敵には大体、意外な弱点がある。

 

英雄王なら慢心

ジークフリートなら背中

アキレウスならアキレス腱

ガウェインなら太陽が出ていない時間帯での戦闘

アタランテなら黄金の林檎

俺の場合は過度な魔力切れ

 

このように英霊になろうと弱点とは克服し難い物なのだ。

 

嫌まぁ、英雄王の慢心はどうにかなるし、俺の魔力切れに関しては聖杯と根源に接続すれば問題が無いけどね。

長話もここまでにして置こう。

 

取り敢えずネロ・カオスを殺してきますか。

あっ、不味い。案の定月姫のお二人さんが登場した。

しょうが無いからサッと行ってサッと倒しますかね?

 

投影開始(トレース・オン)鎌剣ハルペー。」

 

吸血鬼には不死殺し!これ、サーベラス式の常識!

と言うわけで影移動でレッツゴー。

 

「こんにちは吸血鬼の眷属さん?それじゃあ死んでもらおうか。」

 

開始早々、相手が反応をしないうちに攻撃を仕掛ける。

アサシン適性がほぼMAXな俺を舐めるなよ?

 

奇襲、暗殺、潜伏

アサシンっぽい事なら色々できるしな。

さて、肝心のネロ・カオスは?おっ、ギリギリ避けたな。

 

だけど残り線は1個になったぞ?吸血鬼の眷属はこの程度なのか

 

「何だ貴様!?いきなり出てきて俺に傷を負わせるだと!?だがこの程度………傷が回復しないだと!?」

 

「弱いなぁ〜、不死殺しや直死の魔眼にすら気が付かないって、もしかして英霊(サーヴァント)って言葉ご存知ない?それどころか魔術師すら知らなそうだな?本当に死徒二十七祖って奴の一角なのか?」

 

どうだ、この英雄王を煽る時に使用するとような言葉の弾丸は!確か死徒二十七祖って奴らはプライドが高いからな。こうやって煽れば

 

「貴様ァァァ!!!」

 

ほらな?引っかかった。では早速

 

「それじゃあお早めに退場願おうか!それじゃあ宝具の1つぐらいお見せしよう。オーバーキルにも程があるかもしれないけどね?『鶴翼連撃』」

 

影の中から現れた無数の夫婦剣により、ネロ・カオスは跡形も残らずに消えてしまった。

 

「ちょいとやり過ぎたかな?」

 

流石に宝具はダメだったか……周りへの被害は無いけどね?やっぱり恐怖を与えちゃうかな?

 

「貴方……いきなり現れてなんなの?」

 

あっ、流石に驚かせ過ぎたかな?志貴君なんて構えてるよ。まぁ、仕方ないけどさ。

 

「俺はフォーリナー、サーベラス・フォン・アインツベルン。通りすがりのサーヴァントさ?いやはや、友達に死徒退治を任されたまではいいけど、あんな面倒臭いのがいるとは思わなかったな。まぁ、直死の魔眼持ちで、サーヴァントである俺の前には噛ませ犬も同然だけどね。」

 

うん、やっぱり直死って強いよね。

吸血鬼をこうもあっさり殺せるんだから。

 

「さてと、俺の手助けは今回だけかもしれないけどまぁ、何かと縁が会ったらまた会おう。チャーオ!」

 

「なっ!ちょっと待っt」

 

こういうのは逃げるに限るな。

月姫勢と関わるのは面倒臭いし、眠いし。

特に志貴君。彼と関わるってことはシエルやその他月姫勢全員と関わることになるのでね。

まぁ、念の為監視をつけておこう。

 

「アイツらの監視…頼めるか、オロチ?」

 

「シャャォオ」

 

「よし、頼んだぞ。」

 

オロチなら安心だ。取り敢えずアルクェイド死亡ルートは回避しておかなきゃな。

さてと、腹が減ったしバーのような雰囲気を放つ喫茶店にでも入って紅茶を

 

「いらっしゃい!」

 

へ?ナマモノ?何故ここにナマモノが!?あれは虎聖杯かネタ聖杯かよく分からない謎の物体に封印されていたはず!?まさか自力で脱出を!

 

「まっ、まぁいいや。お茶ってあります?出来れば胃痛にいい物を頼みたい。」

 

「そんな物を頼むなんてお前さん随分と苦労してるみたいだにゃ〜。」

 

「色々と胃が痛いんだよ。そう、色々とね。」

 

もう座に帰りたいでござる。

 

「まぁ〜少し休んでいくといいにゃ〜。今は喫茶店じゃなくてバーだけどお茶くらいは出せるからにゃ〜。」

 

「その下手なキャラ付け疲れません?」

 

「疲れるけど仕方ないんだよ〜大人の事情ってやつ。」

 

「そうか……大人の事情……ね?」

 

その後、提供されたハーブティーと胃薬を一気飲みして帰って早急に寝ました。

 

また変な視線を感じたがもう気にしないことにしたよ。

もう疲れたよ、パトラッシュ……Zzzzzz

 




作者の〜次回予告!
ごめんね!サーベラス君。
小説にしても何にしても大人の事情ってのは付き物なのさ!
さてと、次回はいよいよ、あの人達との再会です。
果たしてサーベラス君の胃は持つのか?
締め付けが強すぎるお母さんから逃げられるのか?
そして、サーベラスは弟のデートを見守る。
次回 「親との再会、士郎のデート見守り隊」
お楽しみに!


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親との再会、士郎のデート見守り隊

前回のあらすじ
サーベラスはウェイバーと久しぶりに再会。
愚痴をひたすら語り合った後、死徒退治をお願いされたサーベラスはネロ・カオスを討伐し、アルクェイド、遠野志貴の手助けをする。
今回、いよいよ親が帰ってくるのでワクワクしているサーベラスは士郎が何か悩んでいると聞きつけて?
さてさて、どうなのやら。
本編をどうぞ。


「「「「「「ご馳走様でした。」」」」」」

 

「今日も美味しかったですよ。シロウの料理は一流ですね!」

 

「それは良かったよ。それじゃあ皿洗いは兄さんに任せていいんだよね?」

 

「もちろん。それぐらい、パッパとやっちゃうよ〜!」

 

「それは私の仕事です!なんで仕事を取ろうとするんですか!?」

 

「え〜別にいいじゃんか。サーベラス達は自分から進んでやってるんだから……自立した時には自分で全部できなきゃ行けないんだから。」

 

「うぐっ!?まさかリズからまともな言葉が飛んでくるなんて!?もしかして今日は厄日ですか!?」

 

「嫌々、なんでさ。いくらリズでもまともな話の一つや二つするでしょう。」

 

全く。セラは仕事熱心だな〜まぁそれは置いておき……

 

「いよいよこの日が来た!!」

 

今日は父さん達が帰ってくる日だ。

やったね!これで胃痛が少し減るぞ!多分……

取り敢えず父さん達を迎えに行く準備しなきゃな。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。一つ聞いてもいい?」

 

「どうした、イリヤ?」

 

「今日の士郎…………怪しくない?」

 

「いきなりどうしたんだよ。士郎が怪しいって、何がだよ。」

 

「私の姉の勘が怪しいって言ってるの!何か朝から真剣な雰囲気をずっと放ってて、セラですら近付けないんだから!!」

 

ほぇ?士郎そんなオーラ出てたか?俺には何か悩み事があるようにしか見えなかったけどな?

てっきり料理の何かで悩んでるかと思ったのだが……

 

「嫌々、気の所為でしょ?士郎がそんなオーラ出す訳がないし。」

 

「お兄ちゃんはトラブル慣れし過ぎて感覚が可笑しいだけよ!」

 

むっ!それは確かに……よく良く考えれば色々な事があったしな。

 

英雄王との本気の殺し合いとか……

イスカンダルとの対話とか……

キャスターの着せ替え人形の刑とか……

Xオルタの和菓子プリーズオーラ全開モードとか……

 

俺まともな人生を歩まなさ過ぎてトラブル慣れした!?

何か自分に胃痛を覚えて来たぞ!?

 

考えれば第四次聖杯戦争でまともだったのはウェイバー君とケイネス、ランサーだけか…………

 

「それを言われるとお終いだよ。いつかしら俺の宝具が無限の幻影から無限の胃痛に変わるんじゃないかって自分でも思う程だからね。まぁ、それは置いておくとして……そんなに気になるなら士郎に直接聞けば良いじゃないか。」

 

「でも、何か近寄り難い雰囲気だし……」

 

「えぇい!まどろっこしい!!それでも士郎の姉か!!自分の弟が悩んでいると言うのに!気迫負けをするなど……思い上がりもいい加減に……って何で俺は英雄王見たいな事を言ってるんだ!?」

 

訳が分からんぞ!まさかこれも英雄王の仕業か!?

嫌、英雄王の魂が入った聖杯を数分とは言え、体に宿してたからか………………これから気を付けよう。

 

「まぁ、兎に角。そういう時は真っ先に相談に乗るべきだろうな……今回は俺が相談に乗ってくるけど、イリヤも、あの頃と違って本物のレディの1歩手前なんだからもう少し人の気持ちをだな……」

 

「………………勝手に聖杯を呑み込む、お兄ちゃんに言われたくない」

 

「グハッ!?言葉の刃が!?と言うかそれはもう謝っただろうに…………まぁ、いいや。俺は士郎の悩みでも聞いてきますよ。」

 

やれやれ……あんな鋭い言葉の刃を投げつけてくるなんて……全く、誰に似たんだか…………

取り敢えず士郎の悩みとやらを聞いてみますかな?

 

「おーい!士郎!生きてるか〜?アーチャーに殺されたりしてない?」

 

「生きてるよ!?物騒だな兄さんは…………」

 

「所で士郎、イリヤが心配してたけど何か悩みとか無い?」

 

「兄さんにとっては。くだらないかもしれないけど…………聞いてくれるか?」

 

「モチのロンよ。俺は士郎の兄だぞ?弟の悩みを聞くぐらい普通だ。」

 

「実はな…………カクカクシカジカ」

 

 

ふむふむ、なるほどね?

凛ちゃんと桜ちゃん、オマケでセイバーとの用事(デート)が被ったと………………

 

「士郎、遺言は書いた?」

 

「なんでさ!?」

 

「考えてみろ!?セイバーや桜ちゃんはまだしも、凛ちゃんを不遇にしたり、約束をすっぽかしてみろ!?ガンドからのアーチャーの狙撃で死ぬぞ!!」

 

「グッ!?確かに…………だが!?俺には作戦がある!」

 

「…………一応、聞いておこうかな?どんな作戦だい?」

 

「作戦はこうだ!先ずはセイバーを時間制の食べ放題に連れて行く。」

 

「そのホワイトボードを何処から取り出したかはスルーするとして、セイバーは食べ放題ね?あの腹ペコ王なら確かに食うのに夢中になるな。っで?その隙に何処に行くんだ?」

 

「その隙に駅前で桜と合流!そして、遊園地へ行く。」

 

「この時点で結構キツくないか?」

 

「そんなのは俺の根性で乗り切ってやる!そして桜と遊園地を1時間楽しむ、そうしたらトイレへ行くふりをして、遠坂がまつデパートに向かう。」

 

「ほう?で?荷物持ちはどうする気だ?」

 

「遠坂には悪いが用事があるといい、買い物を早めに終わらせてもらう。荷物を遠坂の家に届けた後、とてつもないスピードで遊園地へ向かう!この時、桜に迷子になっていたと言い訳をし、さらに1時間楽しむ。そして、別れた所をセイバーの所に向かって終わりだ!」

 

「………なぁ、士郎………一つ、嫌々、かなり訂正点があるがいいかい?」

 

「訂正点……完璧だと思ったんだけどな……」

 

「先ずはセイバー。彼女に対しての対応はほぼ完璧だろう。だけどな、彼女は士郎達と一緒に食べる事に楽しみを覚えているのだぞ?」

 

「なっ!?それは…………」

 

「凛ちゃんと桜ちゃんも同じだ。桜ちゃんは士郎と遊びたくて遊園地へ誘ったんだ。士郎が迷子になったと知ったら、心配になって魔術を使ってでも探し出すだろう。」

 

「うっ!?だけど……」

 

「そして凛ちゃん。彼女は単なる荷物持ちを頼んでいる訳では無いだろうね。荷物を持って欲しいだけなら、アーチャーや慎二に頼めばいいしな。」

 

「確かに…………」

 

「彼女達は誰もが“士郎と一緒に”いたいのだ。それなのに士郎がこんな行動をして、本当に幸せになると思ってるのかい?」

 

「………………俺は……どうすれば」

 

「な〜に、初歩的な事だよ、弟よ。皆で行けばいい!ショッピングも、バイキングも、遊園地も!用事が被ってしまったことは説明さえすれば分かってくれるだろうからな。何なら、イリヤや、今から帰ってくるであろう、父さん、母さん。アーチャーやライダー等のサーヴァント達を誘って行けばいいのではないかな?皆で遊びに出かけるなんて、そうそうできることじゃないからね。」

 

「なっ、なるほど…………流石、兄さんだ!」

 

「さて、俺を褒め称えるのはまたいつかにしろ。さぁ、分かったら全員に連絡をしてきたまえ!士郎のデート計画は変更!皆で遊びに行きなさい!」

 

「はーい!!」

 

さてと、計画としてはこれはまだ第1段階だ……真の計画はここからだ!!

 

先ずはこうやって士郎達を遊園地へ連れて行く。

そうしたら俺とアーチャー、ライダーの力を駆使して交代交代で、凛ちゃん、桜ちゃんと二人きりにする!

 

そうする事で凛ちゃんも桜ちゃんもデート気分で楽しめ、ハッピーエンドとまでは行かなくともグッドエンドぐらいには行くだろう。

 

これが、俺達、士郎のデート見守り隊の究極の作戦だ!

(メンバー:サーベラス、イリヤ、アーチャー)

 

と言っても…物事は必ずしも計画通りに行く訳では無いからな。その事は俺とアーチャーがよ〜く知っている。

 

俺は良く、物事が上手くいかずに胃痛に悩まされる。

アーチャーは……もう分かるよな?中身が士郎だ。

きっとアーチャーも悩まされていたのだろうな。

 

さて……と言うわけでやって来ました遊園地……そして肝心の士郎は……

 

「次はこっちに行くわよ!」

 

「こっちも面白そうですね!」

 

「二人とも落ち着けって!」

 

「微笑ましい光景だ……そう思わないか?しr、アーチャー?」

 

「フッ、私は何とも」

 

「天然女たら士郎」

 

「ぐふぅ!?」

 

「おっ!やっぱり効いた!アーチャーも案外、分かりやすいんだな!自分では皮肉キャラになったと思っているようだが、成長しても天然な部分は変わらないみたいだな!」

 

「なっ!?にいs、君だって天然じゃないか!!」

 

「なんの事やら、俺はただ単に弟をイジってるだけだけど?」

 

「やっぱり私じゃ勝てないのか!?」

 

「(料理以外では)俺が(士郎に)負ける訳ないだろう?フハハハ!兄に勝つなど数万年早いわ!」

 

「何ででしょう?今のアーチャーとサーベラスを見ているとイリヤスフィールとシロウを見ているような気分になります。そうは思いませんか?ライダー?」

 

「確かにそうですね。あの二人、本当は兄弟だったりしません?同じ、投影魔術を使って、その中でもあの夫婦剣を主に使っていますし。」

 

「「!?」」

 

「なぁ、アーチャー。今のライダーの発言聞いたか?明らかにバレてるぞ」

 

「嫌、そんなはずは……私の真名も教えてはいないし、分かる訳が……」

 

「まぁ、気の所為でしょうね?同じ魔術を使ってるのも雰囲気が似ているのは根源がきっと同じだからでしょう。魔術の世界では当たり前のことらしいですよ、セイバー?」

 

「「ホッ、セーフ、セーフ。」」

 

「……本当に息がピッタリですね。貴方達、もしかして同一人物か何かで」

 

「そんな訳あるか!?アーチャーが俺だったらもっと凄いものを投影してるぞ!」

 

「その通りだ。変な推測もその辺にしたまえ。」

 

「ムッ!今の推測は完璧かと思ったのですが……」

 

危ねぇ、アーチャー(士郎)の真名と俺との関係がバレるとこだった。

まぁ、バレた所で一番迷惑がかかるのは士郎sだけだけどな。

 

所でさっきから何か嫌な予感がするのだが何でだろう。

具体的に言うとこれから俺が吹き飛ばされるような、イメージが……

 

「サーベーラース!!!!!」

 

あっ、これ死んだは、遺言まだ書いてないんだけどな〜

そんな巫山戯た事を考えていたら突然目の前に白い物体が超スピードで抱きついて来て俺は地面に打ち付けられてしまった。

 

「イッダァ!?力が強いよ母さん!?」

 

「久しぶりね〜!元気にしてた?聞いたわよ?もの凄いクラスになったんですって?流石、私と切嗣の息子ね!」

 

「聞いていないだと!?と言うか苦しい苦しい!締め付けが強い!!このままだと俺が座に戻ることになるから!?」

 

「あっ、ごめんなさいね〜久しぶりすぎてつい。」

 

母さんは変わりない見たいだな。と言うか大勢がいる前で、抱きついて来るのは流石に恥ずかし……誰も見ていない!?なんと言う幸運度!?恐るべし母さん。

 

「やぁ、サーベラス。久しぶりだね。」

 

「こんな形だけどちゃんと帰ってきたよ。と言うわけで久しぶり!父さん!」

 

いやはや、親との再会はいい物だね!

何と言うか、アーチャーのおかげで弱まっていた胃痛が一気に消滅したんだよね!胃痛が消えたのは、久しぶりな気がする!

 

「あぁ、久しぶりだね…………所で、士郎とイリヤは……」

 

「あぁ、二人ならあっちに…………って何じゃありゃ!?」

 

先程まで士郎達がいた方を向くとそこには一触即発の雰囲気を放つ凛ちゃん、桜ちゃん、イリヤがいた。

 

「ちょいちょいちょい!?ストップストップ!!さっきまで仲良しだったのにいきなりどうしたの!?」

 

「うっさい!?ちょっと黙ってなさい!!」

 

「お兄ちゃんは黙ってて!!」

 

「ヒーローさんは少し静かにしててください!!」

 

「なんでさ!?どうしてこんなに怒ってるんだこの人達は!?」

 

「それはですね。先程、皆で観覧車に乗る事になったのですが、観覧車が二人乗り専用だった見たいで、誰がシロウと一緒に乗るかで喧嘩を始めたのです。」

 

なるほどね?女の子って怖いねぇ〜さてと、あれ?肝心の士郎は?

 

「助けてくれ……兄さん……」

 

「………………はぁ…………仕方ない。ちょいとだけ本気を出しますかね?」

 

可愛い弟が助けを求めてるんだ、よし!兄さん頑張っちゃうぞ?

それに最近無駄にストレスが溜まってたんだよね。

ちょいとだけ、魔力として放出してみますか

 

「おい、君達……」

 

「「「だから黙って…………て…………」」」

 

「いい加減にしろよ?兄さんにも怒りの限界という物があってだね…………さっきから士郎だけじゃなくて、周りの客にも迷惑をかけて………………これから地獄を見るのと、喧嘩を辞めるの、ドッチガイイ?」

 

「「「辞めます、辞めます!今すぐに辞めます!」」」

 

「ならばよし!さて、それじゃあ平和的に誰が乗るかを決めてくれよ?」

 

この日のサーベラスを目撃した人達(アイリと切嗣以外)は思った。

サーベラスを怒らせないようにしようと。

 

「さて、大丈夫かい?士郎。また何かあったら兄さんに言ってくれよ?」

 

「あっ、あぁ。ありがとう兄さん。」

 

それは衛宮家で士郎が切嗣やアイリ、セラの次に最強の権限を得た瞬間であった。

 

「それじゃあここは公平にくじ引きで決めましょう?」

 

そう言ったのは母さんであった。

ってちょっと待て!?

 

「母さんは何処からそのクジを取り出したんだい?」

 

「それはね、母の力よ?」

 

「そうですか…………(母の力!?まともなのは僕と士郎sと父さんだけか!?)」

 

「ハハハ、相変わらず。士郎達はにぎやかだな。僕は嬉しいよ。」

 

父さんもまともじゃない!?さっきまで消えてた胃痛がまた…………うぐぐ、胃が痛い。

 

「肩をかそう。ちょっとそこのベンチで横になるといい。」

 

「えぇ、胃薬は持ってきているので飲んでください。」

 

「ありがとうアーチャー、ライダー。俺の味方は君達だけだよ。」

 

今の俺の癒しはこの二人だけだよ。

家にいる時のイリヤは大人しいんだけどな〜。

どうしてこうなった。

 

「さて、クジの結果は〜〜?あら、面白いことになったわね。」

 

ゲッ!?母さんが何か黒い雰囲気を放ってるぞ!?

嫌、悪い意味の黒ではなくてだな。

 

何と言うか、例えるなら綺麗な愉悦大好き英雄王?

嫌、この例えは分かりにくいな。

 

それはまるで先の事を期待している人の顔と、いたずらっ子な子供の顔が合わさったような……兎に角!?

何とも言えない表情をしているんだよ!?

 

「それじゃあ発表しまーす!メンバーは!!」

 

士郎&桜ちゃん

イリヤ&アーチャー

凛ちゃん&セイバー

母さん&父さん

そして……

ライダー&俺………………は!?

 

「なんで、俺も入ってるのさ!?」

 

「それには私も同感だ。どういうつもりなのか説明してくれないかな。」

 

「うふふ。秘密よ?それと……逃げようとは思わない事ね?」

 

「「はっ、はい…」」

 

何なんだろう。稀に母さんから溢れ出る謎のオーラは…

あれは英雄王より恐ろしいぞ。

 

「はぁ……仕方ない。それじゃあ行こうか、ライダー。」

 

「…………」

 

「おーい、ライダー?」

 

「えっ、あっ、はい!」

 

ライダーは何かぼーっとしているな。やっぱり、桜ちゃんと乗りたかったのでは、ないのだろうか。

 

とりあえず俺とライダーが乗り込むと観覧車はどんどん上に動き始めた。

 

「「………………((とても、気まずい))」」

 

うん、話すネタもないから静かだ。

何を話せばいいんだろう。こういう経験って今日が初めてだからな。

 

「………………(どうしましょう。話だそうにも話せません。寄りにもよって2人きりの密室って何ですか!?前回の時の私の行いが、恥ずかしくて溜まりません!?いいえ、落ち着くのですメデューサ。こんなの姉様達のイジりに比べればなんて事……)」

 

二人の間に気まずい空気が流れる。

二人とも全く違うことを考えているがそれが良くも悪くも車内を無言にしているのだ。

 

あまりにも無言すぎる為、これをアヴァロンから覗いているマーリンですら気まずくなっている。

と言うか覗くなクズ魔術師 By作者

 

気まずい空気のまま時は過ぎていき、気まずい空気のまま2人は観覧車から降りた。

 

数時間後

 

「それで?どうだった、遊園地は楽しめたかい?士郎。」

 

「あぁ、おかげで遠坂達も楽しんでくれたらしい。本当にありがとう兄さん!」

 

「どういたしまして。」

 

ハチャメチャな一日はもう終わった。さてと、俺はとっとと家に帰ってゆっくり寝る事に……

 

「久しぶりに色々話しましょう?」

 

せずに母さん達と色々、話して来ますか。

正直、この10年の間、何かあったりしたかも聞きたいし、何より、忘れていると思うが、何故、大聖杯が無いのに聖杯戦争が起きたも聞きたいしな。

 

次回に続く

 

オマケ

サーベラス達が気まずい空気の時に他の観覧車内で起きた事

 

士郎&桜

 

「あの……先輩は……その……好きな人とかいますか?」

 

「え!?いきなりどうしたんだよ桜?」

 

「いえ、何となく気になってしまって。」

 

「う〜ん……そうだな……俺は皆が好きだぞ?遠坂もイリヤも桜も兄さんもな。」

 

「そうですか……(流石、先輩。ヒーローさんとアーチャーさんが言っていた通り、鈍感かつ天然です。)」

 

 

イリヤ&アーチャー

 

「ねぇ、アーチャー。」

 

「何だ、イリヤスフィール。」

 

「貴方って未来の士郎何でしょ?」

 

「ブフッ……何処でそれを!?」

 

「お兄ちゃんが貴方に話をしている時の表情が士郎と話をしている時の表情と全く一緒だがらよ。だからそうじゃないかってね。」

 

「サーベラスの癖を見抜く、その理解力……やはり、君達は双子なのか…………私はどうやら姉にも勝てないらしいな。」

 

「フフーン!私とお兄ちゃんが連携すると凄いんだから!」

 

「フッ、それはよーく知っているとも。だが、私も負けていないぞ?」

 

「なっ!?士郎の癖に生意気なぁ!!」

 

 

凛&セイバー

 

「………………」

 

「………………」

 

「ねぇ、セイバー。」

 

「何です凛。」

 

「暇ね。」

 

「えぇ、暇ですね。」

 

 

切嗣&アイリ

 

「フフっこうして切嗣と観覧車に乗るのは初めてだったかしら?」

 

「あぁ、そうだね。これからはもっと乗れるといいな。」

 

「えぇ、そうね。」

 

 




作者の〜次回!!
どうも、最近は安全なアヴァロンで暮らしてます、作者です。
さて、今回も次回予告をしていきますよ!
遊園地を、楽しんだサーベラスは聖杯戦争が、起きた理由を探る事にする。
そこでとある場所に向かうとそこには驚きの物が!?
次回 「不完全な大聖杯」
お楽しみに!


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不完全な大聖杯

前回のあらすじ
前回、士郎達と共に、遊園地を楽しんだサーベラスは何故、聖杯戦争が起きた原因をさぐる。
さぁ、原因は何なのやら?
本編をどうぞ!


「ねぇ、母さん、父さん。一つ聞いてもいいかな?あの時、俺は確かに大聖杯を呑み込んだはず。だから、聖杯戦争なんてそもそも、10年も前に終わっていたはずだ。それが何故、続いてるんだ?」

 

俺はずっと疑問に思っていた事を口に出す。

考えればおかしな話ばかりだ。

 

まずは、セイバー、アーチャー、ライダーそして、俺、フォーリナー陣営の同盟?関係。

 

これはまだ分かる。

全員が全員、知人ばかりだからな。協力すれば確かに勝率は上がるからな。

 

次は、キャスターとアサシンの行方。

こちらはstaynightの原作通りだといいのだが…………後で会いに行って見るか。

 

次の疑問は大聖杯が無いのに、何故、聖杯戦争が発生しているのか。また、小聖杯は存在するかだ。

 

聖杯戦争は魔力を貯蔵したり、サーヴァントを呼び出す条件となる大聖杯と聖杯戦争の終了時に聖杯を顕現させる小聖杯が揃ってやっと開始されるのだ。

 

これに関してはまだ、様々なパターンが思い付く。

アハト翁がまた、小聖杯を送ってきたとか、冬木には大聖杯の代わりになる何かがあったとか……

だとしたら、思い付くのはプロトタイプの大聖杯なのだが……沙条愛歌とか考えたくないな。

 

そして次が一番の疑問。

何故、“(サーベラス)”が“エクストラ(フォーリナー)クラス”で召喚されたか。

これは偶然と思う事も出来るがよく考えてみると不思議なのだ。

 

まず、俺のような超越者(フォーリナー)やアンリのような復讐者(アヴェンジャー)、天草四郎やジャンヌのような裁定者(ルーラー)等のエクストラクラスは超がつくほどのイレギュラーなのだ。

 

第三次聖杯戦争では、アインツベルンがルール違反をして、アヴェンジャー「アンリ・マユ」を召喚して、敗れた結果、第四次聖杯戦争(Fate/Zero)へと、突入するのだ。

 

もし、そこ(第三次)でルーラー「天草四郎」を召喚されていた場合は、アインツベルンの秘技が漏れ、世界中で亜種聖杯戦争が発生、そして聖杯大戦(Apocrypha)に突入するのだ。

 

このように基本、エクストラクラスのサーヴァントはルール違反で召喚されるのだ。

 

ましてや俺は、この世全ての悪と汚染された聖杯を二つ、大聖杯そして、人類悪(ビーストif)を呑み込んでいるからライダー(メデューサ)キャスター(メディア)アーチャー(エミヤ)のような「反英霊」所か、全能の人類悪(沙条愛歌)と同じような究極に等しい悪になっている為、英霊になれなくてもおかしくないのだ。

 

さらに言えば、例え、俺が英霊として、座に召し上げられたとしてもフォーリナークラスで召喚される事なんて本来は無いのだ。

 

自慢のようですまないが俺はアルターエゴとムーンキャンサーを除いた全クラスの、適性を持っているのだ。

だが、その場合はアーチャーを除いて真名が(サーベラス)とは別の物になるのだ。

 

セイバーとアサシンの場合は「須佐之男命(スサノオノミコト)

ランサーとライダー、キャスターの場合は「オーディーン」

アーチャーの場合は「サーベラス」

そして、バーサーカー、アヴェンジャー、ルーラーの場合は「ケルベロス」

 

このように、アーチャー以外ではサーベラスでは無く、別の真名になるのだ。

 

今回の召喚の時、残されていたクラスはバーサーカー。

ならば、俺はバーサーカー「ケルベロス」として召喚されなければ行けないのだ。

 

そして、フォーリナーの俺は生前以上の力が出せるもっとも人類悪に近いクラスなのだ。

 

なのに何故、フォーリナーのサーベラスとして呼ばれたのか…………ビーストで俺を召喚なんてすれば抑止力が止めないはずも無いしな。

 

謎はまだまだあるが、話し出すと止まらないのでここまでにして置こう。

 

 

さて、質問の返信は……

 

「あぁ、本来ならそうだね。ちょうどサーベラスが聖杯に変わった後の話だけどいいかな?」

 

「うん。むしろお願い。その頃の話はイリヤ達から聞いていないから。」

 

「話はあの時に戻るよ。サーベラスの体が聖杯に変わった後、聖杯は砕けたんだ。」

 

「砕けた?砕いたんじゃなくて?」

 

「そう、で、その欠片は僕とアイリが誰にも分からない所に埋めたんだ。」

 

「ここまでは分かる。でも、それで何故、聖杯戦争が?」

 

「多分だけど、あの聖杯はサーベラスが呑み込んだって言う、全ての聖杯が混じってるんだと思う。だから恐らく聖杯はまた、自分を修復する為にサーヴァントを呼び出し、戦わせてるんじゃないかって推測したんだ。」

 

なるほどね?

要するに、俺のせいだな。

聖杯を2つと大聖杯を呑み込んだから、体の中で全てが混ざりあって、俺と言う器の外に出た途端砕け散ったと……

 

魔力が多すぎたんですね分かりません。

さて、どうするべきかな。

 

「やっぱり、だとしたら聖杯を破壊するべきだよね?」

 

「うん、僕もそう思ったんだけども、1つ、問題があってね。」

 

「問題?」

 

「切嗣ストップ!そこからは私が説明するわ!!それじゃあ、教えて!アインツベルン相談室〜番外編よ!早速やるわよ〜!メンバーは私、アイリスフィールと!」

 

「押忍!弟子ゼロ号のぜっちゃんこと、藤村大河がお送りします!今回はタイガー道場じゃないけど、よろしくね?」

 

「「いぇーい!!パチパチパチパチ!」」

 

「「……………………………………(驚き)」」

 

どう言う……事だ?

ありのまま今起こった事を話すぜ……母さんが突然、袴に早着替えをして、薙刀を持ったかと思ったら、何処からかホワイトボードと、冬木の虎が湧いて出てきやがった。

 

な…なにを言っているのかわからねーと思うが 俺も何が起こったのかわからなかった……

 

「す、すっごくピッタリタイミングで来たね。いや〜相変わらず、アイリと大河ちゃんは仲がいいね!僕は嬉しいよ!」

 

父さんもダメだ。これは、俺以上に慣れていやがる!!これは不味い!俺の胃痛レーダーが反応している。

ここは逃げるが勝ち…………

 

「相変わらず厄介事に巻き込まれているようだな。」

 

「なっ!?アーチャー!?何故ここに?まさか(遠坂邸から)自力で脱出を!?」

 

「何、単独行動のスキルがあってこそだ。それにしても…………こう言う物はこの二人から始まったのか…………」

 

こう言う物?あぁ、教えてシリーズの事ね。

Zeroでは教えて!アインツベルン相談室。

staynightではタイガー道場。

EXTRAではブロッサム先生だっけな?

 

まぁ、御託はここまでにして、次に移ろう。

 

「それじゃあ今回解説するのは大聖杯の問題に関してよ!」

 

「大聖杯は確か、サーベラス君が呑み込んだ戦争の火種でしたよね?」

 

「そうよ。私の愛しの息子サーベラスが、私とイリヤが聖杯に変わるのが嫌で、呑み込んだらしいわよ。」

 

「押忍!尊敬すべきって事だけは分かりました!」

 

「それでね。今回はその大聖杯が暴走して、また聖杯戦争を起こしたの。」

 

「そのわりにはすっごい静かですけど……何か理由があるんでしょうか?」

 

「それはね、誰も戦闘をしたがらないのよ。」

 

「誰もっすか?」

 

「そうよ。現在、私が把握している限りだとこうなるわ。

セイバー陣営、つまり士郎とセイバーとフォーリナー陣営のサーベラスとイリヤは家族。だからお互いに争わないわね。

同じ理由でアーチャー陣営の遠坂凛ちゃんとそこにいるアーチャー。そして、遠坂桜ちゃんとライダーは争ってないわね。」

 

「家族なら納得ね〜。でも、何でこの四つの陣営は協力し合ってるんですか?」

 

「いい?ぜっちゃん。それはまだ、知っちゃ行けない事よ。サーベラスは分かってるみたいだけど……」

 

「師匠がそう言うなら間違いないっすね!」

 

「それじゃあ次に紹介するのはランサー陣営。彼は基本自由にやってるわね。釣りをしたり、魚屋をしてたりと……」

 

「本当に自由気ままですね……後の陣営はキャスターとアサシンになりますが…………」

 

「キャスターは確か新婚生活真っ最中よ!お幸せにね〜」

 

「アサシンは門の前で永遠と……これ以上は行けない気がする!」

 

 

ほへ〜現状ってそうなってたんだ。

随分と把握してるんだな〜。

 

これは凄い…………ネタかと思ったらちゃんとまとめられてる!?

 

「以外としっかりまとめられているんだな。」

 

「同感だ。俺はてっきりネタコーナーかと思ってたよ。」

 

タイガー道場とか、本来は半分ネタだしね。

さて、それじゃあやるべき事は大聖杯探しとキャスターに挨拶でもした方がいいのかな?

 

「そういや、結局、大聖杯はどこに埋めたの?」

 

「それはね…………アインツベルン城よ。」

 

「えぇ!?あそこに?」

 

冬木のアインツベルン城……10年前に父さん達が拠点にしていた場所だ。城自体が工房になっており、森には結界や魔術師に反応するトラップが大量に仕掛けられている。

 

あの時はイスカンダルがゴリ押ししていたけど…………

よくよく考えれば入るのは難しいはずなんだよね。

 

恐るべし、そして、尊敬すべし、イスカンダル。

とりあえず、その埋められた大聖杯の様子でも確認しますか。

 

早速、影で移動移動…………

 

「今日はもう遅いから寝る時間よ?」

 

「嫌、俺はサーヴァントだから寝る必要は」

 

「寝る時間よ?」

 

「はい…」

 

母さんには勝てない、この事実はサーヴァントになっても変わらないんだね。

 

結局、俺はぐっすり眠りました。

さて、朝です。と言うわけで今度こそ出発……

 

「朝ご飯は食べるわよね?」

 

「はい…」

 

朝ご飯を食べてから出発しました。

と言うわけでやって来ましたアインツベルン城!

 

10年前より緑が増えてるが気にする事はない!

さてさて、大聖杯は何処かな?

 

「………………あれ?反応が薄くない?」

 

本当に何処にも見当たらないのだが…………回収されたって事は無いはずだし…………

何処に行ったのだか……

 

よし、影も使って冬木市全体を全力で探しますか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見当たらないぞ…………隠蔽魔術でも使っているのか?

聖杯探索なんてする羽目になるとは……

 

さて、聖杯は何処なのやら。

もしかして移動してるとか?

 

ちょっと待てよ。サーヴァントって確か伝承に似た能力を使うんだよな。嫌、まさかね?まさか俺の中にあるなんてないよな?

 

………………良かった。そんな事はなかった。

今更だが、聖杯が地中のさらに深くまで、行ってしまったという説は無いのかな?

 

試しに掘り進めて見ますか。

 

投影開始(トレース・オン)虹霓剣(カラドボルグ)。これを使えば!」

 

虹霓剣………フェルグス・マック・ロイが使用する宝具

FGOでは亜種特異点IIの最後あたりが1番印象に残った人が多いのではないか?

虹の光を放ち地面をえぐりとる剣として、俺は記憶している。

俺にはケルト神話なんて、クーフーリンやスカサハで限界だからな。

 

とりあえず虹霓剣を地面に突き刺し、魔力を込めると、虹霓剣は虹色の光を放ち、地面をえぐり始める。

 

しばらくすると洞窟に当たったので、中に入ってみる。

 

「案の定暗いな……灯りでもつけるかな?え〜と……とりあえず光れば見えるでしょ、投影開始(トレース・オン)、軍神の剣。これならいつでも宝具も放てるしな。」

 

さて、大聖杯は……

ありましたね。それもどう見たって不完全な奴が。

 

「まるで、組み立て途中のようだな。しかし、組み立てる人は誰もいない……聖杯自身が再生しているという事かな?」

 

誰もいない所に話しかけるが当然誰もいない。

まぁ、とりあえずこの大聖杯は呑み込むとしよう。

うん、これで魔力切れにならなくて済むね。

 

でも、俺の人生的には最後に聖杯になるENDな気がするが……まぁ、多分大丈夫でしょうね。

 

そうだといいな。

うん、もう、受肉オチでもいい気がする。なんなら俺以外のサーヴァントを受肉させよう。

 

特に被害は無いし。主にエミヤとか、アーチャーとか、メデューサとか、ライダーとか、メディアとか、キャスターとか……

 

縁による贔屓抜きで穏やかな人達だからね。

うん。セイバーは何とも言えん……アサシンは…………お疲れ様。

 

さてと、これからどうするか…………

まぁ、とりあえず帰りますかね。暇で暇で仕方がない。

 

「と言うわけで、ただいま帰りました!!」

 

「おかえり〜!」

 

「あれ?士郎達は?」

 

「今出かけてるわよ。切嗣と一緒に、買い物ですって…何で私も誘ってくれないのかしら。」

 

買い物…………あぁ、食材の買い足しか。

一日にセイバーが喰いすぎるからな。

食費がとんでもない事になってそうだな。

 

さて、本格的にやる事が無いぞ。

家事を手伝おうとするとセラが怒るしな〜

 

よし、キャスターに会いに行って見るとしよう。

こっちで呼び出されてから会いに行った事無かったし。

 

確か新婚何だっけ?

菓子折りとか持ってっとこ

 

「それじゃあちょいとお寺に行ってきマース」

 

「行ってらっしゃ〜い!」

 

さてさて、菓子折りはスーパー等で買うとしよう。

礼儀は大事だからな。

 

門番をしているであろうアサシンにも何か持っていくか

サーヴァントでも飯は食うからな。

 

弁当でも持って行ってやるか。

と言うわけでやって来ました。柳洞寺……うん。

 

結界が……貼られてないね。これじゃあアサシンの門番の意味が……

 

とりあえず上がりますか。

 

「すいませーん。紫髪で、人を着せ替え人形にするのが好きなキャスターはいますかー?」

 

う〜ん。返事なし!

本当にいないのか?いいや、確か原作では彼女の夫(予定)である葛木宗一郎は柳洞一成と一緒に暮らしてるわけだからキャスターもここにいるはず…………

 

「…………なんで貴方がいるのよ……」

 

あっ、出てきた。

やっぱりワープは健在なんだな〜

 

よし、とりあえず話でもしますかね?

 

「いや〜サーヴァントとして、召喚されたからね。うん、正直に言うと俺も驚いてるんだよ。妹に召喚されるし、他のサーヴァントは知り合いばかりだし……あっ、結婚おめでとさん!いやはや、元マスターとして嬉しいぞ!うん。それと結婚祝いはこれね。安物だけどごめんね?」

 

うん。仕方ない。俺のバイト開始の日は明日からなんだ。

菓子折りぐらいしか買えないんだよ。

 

「えぇ、感謝するわ。というか、どこで私が結婚した事を知って………」

 

「我が母の力なり。」

 

「なるほどね。それなら仕方ないわね。」

 

「納得していただけて嬉しいよ。」

 

「それはそうでしょ。貴方のお母様はアサシンかって思う程、気配を消すことも出来るし、薙刀を持てば家のアサシン……ササキと同じぐらい戦えるわよ。」

 

うへ〜家の母さんスゲーな。

サーヴァントと同じぐらいの戦闘力があるのか…………

 

何で原作では言峰に負けてたんだ?

まぁ、彼奴が黒鍵を使うからだろうな。

 

まぁ、いいか。

とりあえず、やる事はやったし、俺はとっとと帰りますかね?

 

「それじゃあ、キャスター。葛木宗一郎とお幸せに〜~まったね〜!」

 

「なっ!?……そこまでして、私をいじるのなら私も一言言わせてもらうわ!!ライダーとお幸せに!」

 

「コハァ!?(吐血)は!?どういう事だよ?」

 

「あら?気付いてなかったの……なら黙っておくわ。」

 

「ワケガワカラナイヨ。」

 

ワケガワカラナイヨ

 

「その天然な頭でよく考える事ね。」

 

そう言ってキャスターは寺の中に入っていった。

うん、ワケガワカラナイ。

 

まぁ、いいか。

とりあえず俺は帰ろう。

 

色々ありすぎてもう眠い。

サーヴァントになっても眠気には勝てないものだ。

 

はぁ〜今日もまた胃痛がする。




作者の〜次回予告!
胃痛って本当に辛いよね。
俺も散々悩まされたよ。
さて、次回は何があるかな。
不完全な大聖杯を呑み込んだサーベラスは、胃痛を抱えながらも、本格的に死徒退治を始める。
しかし、目の前にとんでもない奴が現れて?
次回 「カレイドの魔法」
お楽しみに〜!!


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カレイドの魔法

前回のあらすじ
不完全な大聖杯を呑み込んだサーベラスはいよいよ本格的に死徒退治を始める。
そんなサーベラスの目の前に、とんでもない奴が現れた。その名も……まぁ、分かりますよね……型月ではお馴染みのあの人です。
それでは、本編をどうぞ!


「我が、悪魔()は本当に困った奴でな……訪問をしてくる度にトリムマウを使用してとんでもない悪戯を仕掛けてくる。」

 

「アハハ…………今の魔術的に大丈夫なの?呪詛返しされない?」

 

「されないと思うぞ。」

 

「まぁ、家の妹は大人しかったり騒がしかったりするから正直、対応に困るんだよね。でも、何だかんだで良い子だし、天使()は本当に天使な奴でな……」

 

「良い兄弟をもててるようで羨ましいよ。」

 

現在、俺は冬木のホテルでロードエルメロイ……ウェイバーと会話を弾ませている。

 

いわゆる報告と苦労人の会だ。

いつかしら殺した死徒二十七祖の1人、ネロ・カオスの事などを報告すると同時に、またもや、愚痴語りをしているのだ。

 

ストレス発散これ大事。

流石に溜めすぎるとヤバいからね。

 

FGOの周回ばかりやっていないでたまには外に出よう。

これは前世からの常識!と言っても、引きこもっていた訳では無いのだがね。

 

「さてと……所で、死徒退治って後どれぐらいやればいいのかな?ネロ・カオス殺して、雑魚も何体か殺したけど、どれぐらいの成果が欲しいのか分からなくてね。」

 

「正直いって、死徒二十七祖の一体を殺しただけで十分な成果なのだが……そうだな。後数十体は殺して欲しいかな。そうすれば、私的にも助かる。時計塔の連中に文句を付けさせることが出来ないぐらいはな。」

 

ほへ〜時計塔内の争いね?

ウェイバーは興味無いらしいけど、何でも彼の妹……ライネス・エルメロイ・アーチゾルテがやれだの、借金返せだのうるさいらしいからな。

 

それぐらいは友として手伝うしかないでしょ!

さてさて、今日の夜が待ち遠しいな〜

 

「そういやさ、蒼崎青子は結局どうなったの?あれから音沙汰無しだけど」

 

「彼女か……何でも、弟子か何かの所で、はっちゃけていると聞いたが……胃痛の予感がするので避けたのだ。」

 

「うん。いい考えだ。蒼崎青子には関わらない方がいい気がする。」

 

どうせ月姫関連だ!関わってなるものか!

月姫勢は正直まともな奴がいないと思う。

 

例えばアルクェイド・ブリュンスタッド、通称アルク

真祖であり、月姫の主人公、遠野志貴のヒロインの一人と言うかメインヒロインであるアーパー吸血鬼。

 

自分を殺した遠野志貴に付きまとっていてなんだかんだあって惚れたヤバい人。

 

個人的には一番関わりたくない。

あんなサーヴァントに負けず劣らずチートな奴とは戦いたくないよ。

 

また、例えばシエル。通称シエル先輩

年齢を偽って遠野志貴と、同じ学校に入学している。馬鹿力を持っているシスター擬きで吸血鬼キラーのカレー好き、先輩系女子。

 

使う武器が言峰の黒鍵と呼ばれるナイフのような物に似ているし、何か個人的に近寄りたくない。

 

またまた例えば、遠野秋葉

凶悪!兄グルい!イリヤに似てる人!

staynightといい、プリヤといい、イリヤはお兄ちゃん(士郎)に禁断の恋をするとか……いや、型月では妹キャラが兄に恋するのはもはや常識か…………

(例:イリヤ、黒桐鮮花、遠野秋葉)

 

まぁ、いいや(よくない!)

遠野秋葉は何かと魔術のレベルが高い人で、怒ったり、本気を出すと髪の毛が赤く染まり、障壁を貼っても意味が無いような攻撃を連発してくる。

 

まぁ、熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)で防げるだけまだマシか……

 

そして遠野家のメイド姉妹

琥珀と翡翠……とあるステッキの人格の元になった人物達であり、月姫での攻略対象の人達。

 

実験と称し、遠野志貴を謎の機械にぶち込んだり、どこかの次元(コハエース)では、乖離剣を持ち出し、AUO、イスカンダル、アルクェイドと対立するヤベーイ姉の琥珀ちゃんと、真面目で働き者だが、たまに天然な妹の翡翠ちゃんで構成されているネロ・カオスより、混沌な姉妹。

 

姉の方の実力はかなり高く、箒に仕込んだ刀。つまり仕込み刀を常に所持しており、その斬撃は俺でも驚く程鋭い。

 

頑張ればどこかの農民みたいに燕返しとか、習得するのでは?と個人的に思っている。

 

結果、月姫勢怖ぇー。

なるべく関わりたくないね!

俺のような人類悪が関わるよりも士郎のような天然が関わった方がいいよ。うん。

 

え?俺も十分天然だって?…………オモテデロ。

ナーニ、チョット乖離剣ノサビニスルダケサ

 

とまぁ、冗談はさておき。

死徒を殺すって事は必然的に月姫勢とは関わることになる。友の頼みとはいえ、了承し難い。

 

まぁ、今接触した所で、多分襲われる事には変わりないのだろうな。

 

とりあえず、死徒退治は……引き受けますか。

ウェイバーも大変だろうしな。

 

どうせ、時計塔の老いぼれ共には刺激が足りていないのだろう?

 

なら、ウェイバーの後ろにはとんでもない友達(バケモノ)がいることを思い知らせてやろうではないか!

 

 

さて、その為には先ずは死徒退治をしなきゃだが………

念話で、オロチの様子でも見るかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、面倒臭い事になってる!

 

いざ、念話でオロチを呼び出し、様子を聞いてみると、面倒臭い事になっていた。

 

何でも今現在、衛宮邸には士郎達だけじゃなく、遠野志貴や、アルクェイド、シエルまでいるらしい…………

 

うん、どうしてこうなった。

俺の幸運度ってどうなってるの!?もしかしてラクシュミーさん並に低い?嫌、そんな事は無いはず。

 

無いよな?うん。低くてアーチャーと同じだろう。

さて、この場合俺は下手に家に帰らない方がいいな。

 

今行ったら面倒臭い事になる。

イリヤからの質問攻めが目に見えてるからな〜。

 

よし、バイトでもやろう。

そうと決まったら行ってきましょう!

 

──夕方

 

よし、バイト終了!

さて、家の様子は…………まだいるよ!?

 

へ?お泊まりか何かなの!?ウソダドンドコドン

オノレオノレオノレェェ!!これも全て死徒のせいに違いない!

 

はぁ〜。仕方ない。

うん、死ぬ覚悟で帰ろう。帰った瞬間の質問攻めは何とか回避しよう。

 

うん。この世は逃げるが勝ちってね。

というわけで、影移動を使って見つからずに行って、見つからずに、帰ってきましょう。

 

俺の気配遮断能力はアサシン超えだぜ!(思考放棄)

 

「ただいま……よし、気付かれてないな?」

 

とっとと部屋に戻って、バイト代を収納して……死徒退治にレッツゴー!

 

「あれ?お兄ちゃん帰ってたんだ。」

 

あっ、察し。

不味いぞ不味いぞ不味いぞ!イリヤに見つかった!?

最悪の展開だ……

 

「あぁ〜ついさっきね?それじゃあ出かけるからここでオサラバ」

 

「何処に行くのかな?聞きたい事が色々あるんだよね?死徒退治の件とかね……」

 

「なっ、なんの事やら、兎に角、俺はここで!」

 

「逃がさないわよ?ほら、こっちに来る!」

 

「痛い痛い!分かったから耳を引っ張るな!すっかり母さんに似てきてるよな……はぁ〜。」

 

と言うわけで、現在捕まって何故か縛り付けられてます。

 

「って、なんでさ!?俺が何をしたと言うのだ!?」

 

「こうでもしないと逃げるでしょ?」

 

「嫌、俺はサーヴァントだからこうやって縛られても、霊体化するなり、無理矢理こじ開けるなりで本気を出せば逃げられるけどさ?俺は縛られるような事をしたっけ?」

 

俺には前科も……嘘を付いて死んだ事以外、無いはずだ、うん。あるはずもない。

 

 

「お兄ちゃん。この前の死徒退治の時、志貴君達にあったのに逃げていったでしょ?」

 

「………………ノーコメントだ。我が友に頼まれたので仕方ない。生憎、死徒退治は頼まれてるけど、真祖退治は頼まれていないからな。あの子の隣の吸血鬼を殺す理由にも、関わる理由にもならない。」

 

「え?アルクって、吸血鬼だったの?」

 

「「………………」」

 

「気付いてなかったのか……まぁ、いいや!兎に角、関わりたくないので俺はもう仕事に行きますか!サラバ!」

 

「なっ!?瞬間移動なんて卑怯な!」

 

卑怯もクソもありません。

逃げる為には何でもやる。それが人間と言うやつです。

 

と言うわけでやって来ました死徒退治!

意外と多いみたいなのでバッサリ殺してやりましょう!

 

「さぁ、ショータイムだ。なんつってね?投影開始(トレース・オン)、干将・莫耶オーバーエッジ。」

 

俺はまるで、黒光りするあれみたいに、湧き出てくる死徒共を切り伏せる。

 

何と言うか……弱過ぎて手応えが感じられない。

こんな事なら第四次の時の家のキャスター式の訓練の方がキツかったぞ?

 

にしても、まだ湧いて出てくるんだな。

あれか、死徒を1匹見かけたら30匹いると思えってことか?

 

本当に面倒臭いな〜。

よし、宝具でも放つか!なるべく地味ーな奴を……

 

「解き放つは相手を射貫く必中の神槍。対象選択、補足完了(ロックオン)!貫け!『天地貫く主神の神槍(グングニル)』」

 

うん、やっぱりグングニルは便利だな〜。

対象さえ、選択すれば必ず当たる必中の槍になるからね。

 

それにこれといって派手な爆発も起こさないから目立ちたくなく、敵を殺したい時にも利用出来るしね。

 

さてさて、30体ぐらい殺したからそろそろ帰りますかね?

 

嫌、帰りたくないな。絶対面倒臭いことになってる。

もう、一日中死徒退治でもいいかな?

 

どうせならバイトでも入れれば良かったな〜。

…………例のナマモノの喫茶店にでも寄るかな?

 

胃が痛いから茶が飲みたいし……あっ、でも夜はバーだったっけ?よし、諦めて死徒退治してよう。

 

1匹〜2匹〜今更だが、何か多くない?

近くに死徒二十七柱の一体でもいるのか?

 

まぁ〜そんな訳…………

 

「なるほど……次元を歪めるほどの力を持っていたのは君か?」

 

え?誰…………って、宝石翁じゃないですかヤダー。じゃなくて!?

 

「何でここにゼルレッチがいるんだよ!?」

 

「おや?儂を知っていたのか。」

 

なんでさ…………なんでまた死徒二十七祖の1人に遭遇しなきゃ行けないのさ!?

と言うか、さっき次元を超え、歪めるとか言ってなかった?

 

俺が?ナイナイナイ。乖離剣を使ってようやく世界を裂けるのに……嫌、世界を裂ける時点で凄いか。

 

「っで?世界を探しても一人二人しか見つからない魔法使いがなんの用?」

 

「意外と驚いとるようだな?儂が来た理由は〜そうだな」

 

忘れる前に、この爺さんの紹介をしよう。

この爺さんの名前はキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。宝石剣ゼルレッチや、カレイドステッキの開発者だ。

 

世界で唯一の第二魔法の使い手で、死徒二十七祖の一人。

 

彼の使う魔法の名前は万華鏡(カレイドスコープ)

効果は並行世界の運営 と言う、一つの魔法。

 

数限りなく存在する並行世界(パラレルワールド)を行き来したり、時間を飛び越えて、過去や未来に行く事も可能。

 

挙句の果てには並行世界上に存在する、別の可能性の自分を自身に上書きする事により、プリズマ☆イリヤのように、自身に英霊や自分の未来や可能性を夢幻召喚(インストール)できるのだ。

 

まぁ、簡単に言うと……チート野郎。

だって考えてみてよ!?この人、単独で特異点に乗り込んだり、アヴァロンに行ったり、宇宙の果てや、ギャグ時空、さらには遥か先の未来にまで行けるんだよ?

 

そして、このゼルレッチは普通に強い。

と言っても、今は老けてしまってフルパワーが出せないらしいけど、若い頃は月の王やら朱い月やらを「気に入らないから」とか言う理由で殺したんだぞ?

 

スペックで表すなら英雄王相手に無傷で殴りあえる人だぞ?俺のような人類悪を人間のままで相手に出来るんだぞ?

 

そんな奴が目の前に現れたら誰でも驚くわ!

と言うか本当に何の用だよ……ゼルレッチは死徒なのに、人を襲わない事で有名なのに、俺を殺しに来たとか?

 

「君が召喚された理由でも話そうと思ってね?」

 

「知ってるのか?」

 

俺がフォーリナーで召喚されている理由を教えてくれるのなら教えて欲しい。

 

何せ、俺は人類悪だからな。

この世界そのものに影響を及ぼす可能性がある。

 

それだけは嫌だからね。

 

「もちろんだとも。君は君達の言う所の“抑止力”によってフォーリナークラスで召喚されたんだ。」

 

抑止力?

なんで抑止力が、人類悪である俺を召喚するんだ?

 

もしかして、この冬木に、他の人類悪(ビースト)がいるとでも?

俺を呼ぶ理由としてはその辺しか考えられん。

 

「理由としてはだな、この冬木に奴が現れたからだ。」

 

「その奴って誰だよ。」

 

「……霊長の殺人者(プライミッツ・マーダー)……別名キャスパーリーグ。災厄の獣じゃよ。」

 

「………………はァ!?」

 

プライミッツ・マーダーって、えぇ!?

プライミッツ・マーダーって言うのは簡潔に分かりやすく言うと“人類絶対殺すマン”だ。

 

狼のような姿をしたそいつは人類に対する絶対的な殺戮権を持っている地球(ガイア)によって作られた抑止力の獣。

 

本来なら抑止力からの命令か何かがなければ動かないそいつがなんでこの冬木に?

 

それに、俺が抑止力として投下されたって事は、明らかに異常で抑止力()抑止力(ガイアの怪物)というように、抑止力同士で争うことになるのだ。

 

どうして、抑止力であるプライミッツ・マーダー相手に人類悪(ビースト)である俺が戦わなきゃいけないんだ?

 

暴走でもしているのか?

だとしたら怖いんだけど。

 

人類悪とはいえ、俺も一応人だから殺戮されるのがオチな気もしてきたのだが…………考えたくも無いな。

 

まぁ、いざと言う時には聖杯やら、根源やらに接続して無限エーテル砲やら、乖離剣やら、無限の幻影(アンリミテッド・シャドウ・ワールド)でどうにかするしか無いだろうな。

 

たけど、あの人類悪 IV(ビースト フォウ)は相手の負の感情を吸って強くなる何処かのアークでゼロな仮面のライダーみたいな性能があるし…………あーも!!

 

エヌマればどうにかなるはず!アーサー王伝説のキャスパーリーグもゴリ押し戦闘だ!

 

まぁ、遭遇しないのが一番良いけど……それは無理なんだろうな。

 

「そいつと戦わなきゃ行けない不幸な輩にアドバイスをしに来たが……必要無さそうだな?」

 

「嫌、出来れば欲しいんだけど……霊長の殺人者に俺が勝てるとでも?」

 

「ふむ……では一つだけ。奴の性質を利用してやれ。奴はあくまで霊長の殺人者だ。君なら、勝つ方法があるだろう。」

 

それって俺が霊長類じゃないとでも?

酷い話だなー

 

「覚えておくよ。俺よりはるか昔に生まれた先輩のアドバイスだからな。」

 

「あぁ、覚えておけ。それと一つ」

 

「ん?なんだ?」

 

「もう時間が少ない。最後の言葉を考えているといい。」

 

「…………あぁ、そうかよ。ならそうする。結局俺は戦うことしか出来ないのだな。」

 

結局、人類悪は滅びる運命ってね。

さてと、戦いに向けて武器を貯めておきますか……

 

あとオマケでイリヤ達のプレゼントも用意しようかな?

10年間あげられる事の出来なかった誕生日プレゼントだから特大なものを用意しなきゃな。

 

とりあえず貯金を切り崩して明日にでも買いに行きますかね?

 

さて、大人しく帰りますか…………

今のうち、楽しまないとな。

 

質問攻めに会うのもこれが最後かもしれないしな〜。

 

 

 

その後、家に帰ったサーベラスは月姫勢に質問攻めにされました。

 

オマケ

聞き出されたこと一覧

 

アルクの質問

死徒や真祖について何処まで知っているか。

サーベラスの答え

何もかもだ!と言うのは嘘で、アルクェイドと1部の死徒二十七祖ぐらいかな。

 

志貴の質問

直死の魔眼を制御できるって本当?(それと、多重デートを成功させる秘訣を!)

答え

もちろんさ!こっちは眼に魔力を込めることによってスイッチのON、OFFを切り替えているんだ。慣れればできるさ!(諦めろ志貴君。君は最強の真祖と、最強の妹により既に詰んでいる。)

 

シエルの質問

貴方、もしかして聖堂協会と繋がりがある?

答え

繋がりと言うよりは因縁だな。特に言峰綺礼とは切っても切れない縁がある。

 

琥珀の質問

多分ですが、貴方、琥珀ちゃん的に弄りがいが……

答え

黙れぇぇぇ!!!!それ以上言うな!イリヤが、イリヤが俺にとんでもない胃痛を……コフッ…………ここまで苦手なメイドは初めてだ。

 

翡翠の質問

貴方……苦労人ですね。

答え

お互い様ですね。ガシッ!(同志が生まれた。)

 

秋葉の質問

(禁断の)恋の秘訣を!

答え

イリヤか、母さんに聞きなさい。

 

イリヤの質問

お兄ちゃん何体の死徒を殺したのよ……

答え

冬木の死徒の60%

さらなる答え(回答者アルク、シエル)

殺しすぎよ……貴方が本当の真祖なんじゃない?

 

士郎の質問

直死の魔眼って?

答え

後で詳しく説明しよう。

 

アーチャー、ライダーの質問

何か、企んでいないか?

答え

まぁ、最後の戦いについてね?

 

オマケ終了




作者の〜次回予告!
まさかアーケードでプロトマーリンが来るとは…………
この調子でアプリの方にも来て欲しい!
アーケードに来たってことはライダヴィンチと同じように今年の内に来てくれるかもしれないので、特別欲しいキャラ(村正や、ネロなどのエクストラ勢、衛宮一家等)が来ない限り聖晶石と呼符を貯めることにします!うん、俺は無課金だからね。是非も無いよネ!
それでは、次回予告に戻って
ゼルレッチの警告により、プライミッツ・マーダーの対策を取り始めるサーベラス。
その目の前に警告通り、災厄の獣が現れる。
次回「人類悪顕現
人類悪 IV(ビースト フォウ)霊長の殺人者(プライミッツ・マーダー)人類悪if(ビースト)守護の獣(サーベラス)
お楽しみに!
???「フォウ!(楽しみね!)」


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人類悪顕現 人類悪IV(プライミッツ・マーダー)人類悪if(サーベラス)

前回のあらすじ
カレイド爺に、遭遇したサーベラスは自信が抑止力により、フォーリナークラスで召喚された事を知らされる。
そして、災厄の獣と戦うことになる。果たしてサーベラスは勝てるのか?
本編をどうぞ!


「さてと……何を買いますかね?」

 

俺は今、イリヤ達に渡すプレゼントを考えている。先程から色々な物を思いついては悩んで、思いついては悩んでを繰り返している。

 

ネックレスやブレスレット、服や本、魔術的な何かなど様々な物が思いつくのだが……うん。

 

どうするべきやら…………まぁ、深く考えずに誕生石のネックレスでもあげますか。

 

士郎には……う〜ん……………士郎もネックレスかな?

でもなァ〜一体全体どうしたら……

 

よし、適当に勘でやろう。

直感スキルは無いけどどうにかなるはずだ!

 

と言うわけで結局、全員分のロケットペンダントを買って、中にこの前行った、遊園地で撮った写真を入れて、プレゼントする事にしました。

 

もちろん俺は含まないよ?だって残念ながら座には持っていけないもの。

 

是非も無いよネ!

よし、とりあえずプレゼントボックスに包んで影でこっそり直送しておこう。

 

まぁ、直送するのは俺が退去する前にしておこう。

とりあえず……今の問題はあれだ。

 

プライミッツ・マーダーだ。

人への絶対殺戮権をどうにかしなければ俺に勝ち目は無い。

 

遭遇しない内に対策を、考えなくては行けない訳だ。

俺が使える宝具等の内、何が通用するのか?

 

また、何が弱点になるか。何で、戦わなければ行けないのか等。

 

やらなくてはならない事が山積みだ。

とりあえず、家に帰ってイリヤ達にこの事を話さなきゃな。

 

流石にまた、勝手に消えると次会った時に何を言われるか怖いからな。

 

多分、俺……カルデアあたりに討伐されるだろうし……まぁ、人類悪だからね。仕方ない。

 

さてと、とりあえず何が、キャスパーリーグに効くかセイバーにでも聞きますかね?

 

それじゃあ帰宅帰宅っと……

と言うわけで帰ってきました。

 

さてさて…………どうしたものか……報告するにもまさかイリヤがいないとは思わなかったぞ……そっか、そういやイリヤって高校生だったな。

 

よし、大人しく待っていよう。

どうせ、死徒は夜に活動をするしね。

 

それまで、何をするべきか………………

昼寝でもするかな?

 

「おや?珍しいですね。サーベラスはいつも仕事をしに出掛けているイメージですが」

 

おっ、ライダーが来た。よし、適当に話し相手にもなってもらおうかな?

 

「俺にだって休日の一日や二日あるよ。そう言うライダーこそ、珍しいじゃないか?暇なら、ちょいとだけ、俺の話し相手になってくれないか?」

 

「…………えぇ、いいですよ。ちょうど聞きたいこともありますし。」

 

へ〜聞きたい事?一体何かな?10年前の桜ちゃんの膝枕の事かな?

 

「単刀直入に聞きます……また、死のうとしてますよね?」

 

「ワーオ……まさか見破られてるとは…………まぁ、召喚された原因が原因だしね?うん。仕方ないさ。」

 

「その原因を詳しく話して貰えませんか?」

 

「いいよ。どちらにせよ、今日皆に話すつもりだったしね。」

 

 

俺は自分が召喚された理由、プライミッツ・マーダーの事、俺が人類悪である事を全てライダーに話した。

 

途中から、アーチャーも参加してとんでもなく騒がしくなったが気にしないで置こう。

 

「まっ、と言うわけで俺は必ず死ぬ事になっています。…………自分が必ず死ぬ事を話すのはこれで二回目かよ……全く……嫌になるな〜。」

 

「二回目って……そんな軽々しく話すなよに……フォーリナー。」

 

「仕方ないじゃないか……聖杯に変わる宣言して、人類悪になって、死んで、英霊に引き上げられて……これぐらい気楽に語らないと俺が持たないのさ!」

 

うん。気楽に行かないとね…………はぁ、胃が痛い。

それと、士郎……隠すつもりならちゃんと隠せよ。

 

「それで、改めて聞きますが、そのプライミッツ・マーダーとやらを倒す為にサーベラスはフォーリナークラスで召喚されたと。」

 

「そうなんだよな〜……おのれ抑止力!一体何人の守護者(エミヤ)を消費すれば気が済むんだ!」

 

(切嗣とアイリが正式に結婚したので、本来の名前はサーベラス・フォン・アインツベルンから変わり、今は衛宮サーベラスになるはずだったが、真名がアインツベルンの性で登録されてしまった為、サーヴァントとしては偽名になる。)

 

天上天下唯我独尊のブラック企業は置いておくとして

 

「すまない取り乱した。とりあえず結論からしてそうだと言っておくよ。人類の殺戮者の殺害……それが俺の使命って所だ。」

 

そして、報酬はなし!ブラック企業め、壊滅すればいいのに…………まぁ出来ないから問題なのだが……誰か労基呼んで!?

 

「そんなに使い潰されてるのですか?」

 

「あぁ、抑止力はまともでは無いことを言っておこう(経験談)」

 

「アーチャーの言う通り……抑止力はまともじゃないのさ……(これから先経験する)具体的に言うと……etc」

 

「…………聞いただけで疲れてきますね。」

 

「その先は地獄とかよく言ったことだよ。」

 

「………………あの……所で、プライミッツ・マーダー対策は?」

 

「………………作れないんだよね……対策……プライミッツ・マーダーは霊長類への絶対的な殺戮権を持ってるから俺は一瞬で殺されるよ……ある場合を除いてだけど……」

 

「ある……場合ですか?」

 

「おい待て、フォーリナー……その場合とは何だ。まさかとは思うが……自分を犠牲にする方法か?」

 

「…………アーチャーは鋭いねぇ……正式には犠牲ではなく、もっと厄介なものだね?なんせ、クラスが変わるからな!」

 

「クラスが変わるだと?聖杯戦争に置いて、クラスが変わる事なんてある訳が無いだろ!?」

 

「本来ならそうだけどね?俺がどういうサーヴァントか……アーチャーとライダーには話しておこうかな。二人には切っても切れない縁があるしね。」

 

さてと…………先ずは何処から話すべきかな……?

 

「先ず、俺の本来のクラスから話すかな……」

 

「本来の……」

 

「クラスですか?」

 

「そう、俺のクラスは人類悪を意味するクラス、ビーストだ。第四次聖杯戦争にて、俺がこの世の全ての悪と汚染された大聖杯、母さんとイリヤに植え付けられていた小聖杯を二つ、桜ちゃんに植え付けられていた聖杯の欠片を呑み込んだ事により、発現した人類に倒されるべき悪……何かを守護する為にさらに多くの何かを破壊する獣……それが、俺“可能性の人類悪(ビーストif)”ケルベロスだな。」

 

「待て、人類悪とは何だ、そもそもビーストとは……」

 

「人類に対する愛の暴走体……それがビースト…人類悪とは、人類の悪意では無い人類が倒すべき悪のことだ。人類悪は人類を異常な程愛するが故に人類に仇をなす。やれやれ、俺はそんな存在になるほどの器では無いのだがね?ただ単に、母さんとイリヤを守りたかっただけで、こうなるとは思いもしなかったよ。まぁ、人類悪になったおかげで固有結界も使えるようになったが……」

 

「固有結界……そんなものが使えたのか……」

 

「使ってましたね。あの結界の中でのサーベラスはまさに最強と言う言葉が1番当てはまっていました。」

 

 

「何?見た事があるのか、ライダー!?」

 

「そりゃぁ〜そうだろ。だって……」

 

「「第四次聖杯戦争では、俺(私)とライダー(サーベラス)はマスターとサーヴァントの関係だったんだぜ(ですよ)?」」

 

「もっとも、その時はライダーの若い頃の姿……ランサーのメドゥーサとしての召喚だったけどね。」

 

いやはや、もう第四次聖杯戦争が懐かしく感じるよ。

 

「さて、作戦だけどね。この後、イリヤが帰って来たら、事情を説明して、令呪を三画貰おうと思うんだ。この令呪三画分の魔力で、少しの間だけ、固有結界を発動できるはずだから、そこで、何とかクラスをビーストに変えて無数の武器で、プライミッツ・マーダーを傷付ける。最後に、ビーストとしての宝具を使用して、相手を殺す……と言う作戦だ。この作戦の欠点は作戦終了時に俺が座に戻る事になる事だが、特に問題は無い。もう十分楽しめたしな。イリヤ達にもお礼を言って回らなきゃ。」

 

「成程……クラスをビーストに変えるとフォーリナーは霊長の殺戮権を受けないのだな?」

 

「多分……だけどね?ビーストとしての俺は地獄の番犬だし、行けるかなーって思ってるだけだからね。」

 

うん、“サーベラス”がダメなら“ケルベロス”で行けばいいしね!

 

…………人類悪になって大丈夫なのかが心配だが、まぁ、そこら辺は意地で乗り切るか。

 

俺は意地だけなら誰にも負ける気がしないしな!

よし、そうと決まれば……母さん達に報告するぞ!

 

 

 

 

 

 

 

Now Loading(説明中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうかい……じゃあ、サーベラスはまた……」

 

「本当にごめん。今度こそは楽しく過ごしたかったのに……」

 

「……仕方ないわね!なら今のうちに楽しみましょう?ほら、切嗣も買い物に行くわよ!家族で、買い物に行きましょう?」

 

「…………そうだね。最後くらい、普通の家族っぽい事をしたいしね。」

 

「なら、俺の料理も食べてみてくれよ!1回、セラに隠れて作って以来作ってなかったからさ!士郎程ではないにせよ、味は保証するよ!」

 

「それは楽しみね!」

 

「僕にもお願い出来るかな?」

 

「もっちろん!イリヤ達の分も作らなきゃね!」

 

さてと、レッツ!買い物&クッキング!

 

「ところで、何を作るつもりなんだい?」

 

「う〜ん…………ハンバーグ……かな?」

 

「なら、挽肉と人参、玉葱が必要ね!」

 

「否、玉葱なら、まだ野菜室にあったはずだよ。」

 

「なら、人参と挽肉だな。豚とか牛とかあるけど……何がいい?」

 

「なんでもいいんじゃない?」

 

「「いや、良くないよ。」」

 

「え?そうなの?」

 

「…………母さんはとりあえずレシピを覚えよっか。料理をするのは砂糖と塩を間違えないようにしてから……」

 

「確かにね。」

 

「えぇ!?そんな〜。二人とも酷いわ〜」

 

なんだかんだあり…………

 

「サーベラス特製ハンバーグの出来上がり!」

 

「……うん、美味しいね。」

 

「美味しいわね!」

 

「出来れば具体的な感想が欲しかったが……でも、美味しいなら良かった。」

 

フゥー何かやりきった気分。

やっぱり家族といると楽しいよな。

 

さて、時刻は夕方。そろそろイリヤ達が帰って来るはずだ。念の為、セイバーやキャスターにも伝えたが、俺は冬木のアインツベルン城で、プライミッツ・マーダーと戦おうとしている。

 

本当は、危険なので、俺以外の誰にも来て欲しくないのだが俺の宝具の使用の為に、イリヤが令呪を使用する必要がある……その為、近くにいてもらわないと困るのだ。

 

だから、イリヤの護衛を一部のサーヴァント達に頼んで来たのだ。

 

……やっぱり俺は扱いづらいサーヴァントなのでは?

まぁ、何処かの英雄王よりはマシか。

 

さて、俺は勝てるのかな?

結局、作戦らしい作戦なんて、思いつかなかったし。

 

結局の所、ゴリ押しにしかならないだろうけど……

まぁ、頑張ることにしよう。

 

俺が負ければイリヤ達が危ないからな。

殺戮者に守護者の本気を見せてやろう。

 

「「ただいまー!」」

 

よし、帰ってきたな。それじゃあ伝えて来ますか……

 

 

 

 

 

 

Now Loading(説明中)

 

 

 

 

 

 

「そう……また、お兄ちゃんはいなくなるの?」

 

「…………………………うん。ごめんね。イリヤ……」

 

家族を残して死ぬのはかなり心に来るな…………

サーヴァントであるからには最終的に俺は消える運命なのだが…………やはり、悲しい物だな。

 

とりあえず、これで、宝具の使用が約束された。

さぁ、勝負と行こうか?最悪の殺戮者。

 

 

 

 

 

Now Loading(移動中)

 

 

 

 

 

やって来ましたアインツベルン城!

ゼルレッチによると、抑止力の差し金である俺の元には、自然とプライミッツ・マーダーが寄ってくるらしい。

 

だから、俺の有利な戦場へ連れて来て、魔力消費を抑えつつ、戦うことにした。

 

アインツベルン城の全体は今、俺の工房になっている。

工房の中にいる限りは魔力消費は抑えられ、こちらには常に大量のバフがかかる。

 

FGO風に言うのなら永続的なNP上昇、攻撃力アップ、防御力アップ、最大HP上昇、クリティカル威力アップ、クリティカル確率アップという所か?

 

工房は人によって効果が違うが、俺の場合は味方全体への強力なサポートと、相手への妨害能力と言った所だ。

 

トラップも何個か仕掛けられているが、果たして、通用するのか……イリヤには、地下室で、セイバー達と共に隠れて貰っているが、少し、心配だ。

 

「■■■■■■!!!!」

 

来たようだな?

さぁ、地獄へ行くとしよう。

 

「先ずは先制攻撃だ!投影開始(トレース・オン)

我が骨子は捻じれ狂う──『偽・螺旋剣(カラドボルグII)』」

 

先制攻撃で、放った爆発する剣事、偽・螺旋剣(カラドボルグII)は大して、効いていないようで、敵はまだ、ピンピンしていた。

 

「■■■■■■■!!!!」

 

獲物を見つけたと言うような目で、こちらを見つめ、雄叫びをあげた。そして、急接近してくる。

 

「やっぱり化物か……それなら、これはどうだ!卑王鉄槌──極光は反転する光を呑め!『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!!』」

 

ほぼ、ゼロ距離で放たれた黒い聖剣のビームですら、ほんの少ししか傷が付けられないとは!?

 

と言うか先程から直死の魔眼を使用してるんですが線が多すぎてどうしようもありません。

 

一撃で殺せる死の点もありません。

何この無理ゲー

 

「っち!撤退撤退!近距離戦闘はやってらんないね!」

 

近距離なら、あっちの方が圧倒的に上だ。

まだ、クラスチェンジの準備が出来ていない俺では勝てる気がしない。

 

という訳で、ヒットアンドアウェイだ!

逃げては投影したグングニルを投げつけるを繰り返す……これぞ、完璧な攻略法!

 

な訳ないよな。ほら、壁を壊してこっちに向かってきた!

 

「やっぱり常識は通じないよな……出来ればこれで止まってくれよ!もっとも、お前には効かないと思うけどな!投影開始(トレース・オン)宝具展開!『妄想幻像(ザバーニーヤ)』」

 

百貌のハサンの宝具を真似た物を使用し、俺の分身を約100体ほど、生み出す。

 

本来、百貌のハサンの宝具は個体個体としての能力を低下させることにより、自分の分身を生み出すと言うような物なのだが、今回俺が再現したのはどちらかと言うと、日本の忍者が使用する“変わり身の術”とやらに近い物だ。

 

俺そっくりの動く人形……と言うか、魔力のみで形作られたホムンクルスを大量に呼び出し、一時的な身代わりにする技だ。

 

これで、詠唱の時間が稼げるといいのだが……

【──とりあえず、頼む!イリヤ!】

 

【──任せて、お兄ちゃん!絶対その化物を倒してよね?令呪三画を持って命ずる。宝具を使用し、必ず、敵を倒せ!】

 

「もちろんだ!イリヤ!

聖杯(ヘブフンズフィール)起動──根源接続(リンクスタート)

 

そこははるか遠き理想郷でもなく、無限に続く剣の丘でもなく、死者が苦しむ地獄でもない。

 

そこは全てを映し出す世界の影──

 

偽りも真実も映し出す世界の鏡──

 

今、太陽と月は上りひとつになり

世界は影に呑まれる──

 

そこは──世界を映し出す無限の幻影で出来た世界!」

 

「■■■■■!!!!」

 

詠唱が終了すると同時に、相手の方も分身を殺し終えた見たいで、雄叫びを上げながら超スピードで、近ずいてきた。

 

「歓迎するとしよう。ようこそ!俺の世界……『無限の幻影(アンリミテッド・シャドウ・ワールド)』へ!改めて、自己紹介しよう。クラスフォーリナー改め、クラス人類悪(ビーストif)……真名サーベラス・フォン・アインツベルン。通りすがりの兄だ!覚えとけ!」

 

 

世界が一変すると同時に、無数の武器を操り、プライミッツ・マーダー目掛けて、超スピードで放つ。

 

中には刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)のような一撃必殺に近い宝具も混ざっているはずなのだが、それでも、プライミッツ・マーダーには、少ししか傷を付けれない。

 

いくらなんでも、あいつチート過ぎんだろ!?

真名解放しているのに、まるで、効いていない。

 

一方こちらはちょくちょく入る爪での斬撃でかなりの傷を負う……状況は悪いとしか言えなかった。

 

だが、俺にはまだ、奥の手がある。

タイミングを見計らうんだ!しっかりしろサーベラス!

 

自分が、守るべき物が近くにある時こそ、この宝具は最強になる。

 

ここで、俺が負ければイリヤ達が死ぬ。

ならば、当然威力はMAXだ。

 

近づけろ、避けられないように。

隠し通せ、悟られないように。

 

「■■■■■■■!!!」

 

もっとだ…………

 

「■■■■■■■■!!!!!」

 

もっと近づけ!

後、2m、1m…………後、数歩!

 

人類を必ず殺す者の牙がすぐ側にまで近づく……ここが、使い時だ!

 

「宝具展開!地獄の番犬よ───喰らい尽くせ!」

 

宝具を展開する。

すると、地面からまるで、俺を丸ごと呑み込むように影が、現れる。

 

気付けば俺の姿は、かつて夢の中で殺した三つ首の獣の姿に変わっていた。

 

そして、本能のままに、三つの首を動かし、プライミッツ・マーダーに喰らい付く。

 

「ッ!?■■■■■■■!?!?」

 

三つ首の獣は自身の敵を……魔力を、その足を、その身体を、その命さえも喰らい千切る!

これが……俺の……人類悪(ビースト)としての宝具!

 

「ウォォォォォォォォォォ!!!『喰らい千切る地獄の番犬(バイティング・ケルベロス)』」

 

「…………■■……■……■■■」

 

弱々しい声となった殺戮者はやがて、嵐に晒された枯れ葉のように一瞬にして、灰となり闇夜に溶けていった。

 

「討伐完了……生まれ変わって出直しな?なんつって」

 

一変した世界は元に戻り、俺は1人、残されていた。

 

俺の足元から粒子に変換され始め、退去する1歩手前で何とか、踏みとどまった。

 

まだ、イリヤに別れの言葉を言っていないからな!

だから、もう少しだけ時間を寄越しやがれ!抑止力!

 

「ふぅ〜ようやく終わった!出てきていいぞ、イリヤ!」

 

「…………終わったの?お兄ちゃん……」

 

「まぁーね?イリヤのお兄ちゃんは最強ですから!見事に勝利を掴んできました!いぇーい!完☆全☆勝☆利」

 

「「………………」」

 

「そこは何かしらの反応をして欲しかったな……とりあえず。そろそろ時間みたいだから、言わせてもらうよ。じゃあね!イリヤ!また何処かで会おう!士郎達にもよろしく言っといてくれよ?」

 

「……うん!またね!お兄ちゃん!次会った時は色々話そうね!」

 

その言葉を最後に、俺は粒子となり、座に強制的に帰還させられた。

 

「まぁ、きっと会えるさ!俺達は双子の兄弟!運命共同体に似たものだからな……さて、少し休憩するかな。」

 

俺は疲れた霊基を休める為に、ベッドで眠りについた。

楽しかったな……冬木……そういや、アーチャーの世界の俺はどうなってるんだろう?今度記録を確認しますか……




作者の〜次回予告!
やぁ、皆さん。
初めましてかな?僕の名前はマーリン。
作者の同居人こと、マーリンさ!
さて、今回何故、作者ではなく僕が来たかと言うと、作者がぐだぐだイベントで忙しい過ぎて、寝てしまっからだね。
「Arrrrrrrrrrrrrrr!!疲れた!ガチャは透けた!もうしばらく埴輪とノッブの融合体は見たくない!よし、次回予告は頼んだ!俺は少し寝る。」
って、死んだ目で言ってたね。
まぁ、いつかは回復するでしょ。
それじゃあ次回予告を

キャスパーリーグ(プライミッツ・マーダー)を倒し、座に帰ってきたサーベラス。
のんびりと休みながら、記録を整理していた時、突然何処からか、座に接続する者が現れて?
次回 「美遊の味方(衛宮士郎)
フォウ「フォウ!(お楽しみね!)マーリンシスベシフォーウ!! 」
僕の台詞が!?


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Fate/kaleidliner プリズマ☆イリヤ編
美遊の味方(衛宮士郎)


前回のあらすじ
前回、プライミッツ・マーダーを殺し、座に帰ってきたサーベラス。
休憩中であった彼の元に、座に接続する何者かが……
そして警告しておくが、今回の主役はサーベラス君ではないぞ?今回の主役はタイトル通りだ!
詳しくは本編で!


「あぁ〜よく寝た!流石に座では暇だからな〜。やる事なんて、宝具の改造ぐらいしかないし……」

 

俺は今、自分の座でのんびりと休んでいる。

流石に冬木の一件と言い、座に帰ってきたのに疲れが残っている気がして気持ち悪いからな。

 

だから、休んでいた。

どうせ、長くは続か無いことは分かっているのだがね?

 

そう思っていた時だ。

やはりと言うべきか何者かが座に接続してきた。

 

ん?“召喚”じゃなくて“接続”?

何か可笑しくないか?普通なら召喚のはずなのだが……

 

ちょいと宝石剣を使って見てみるか。

………………………………

 

嘘だろおいおい、座に接続しようとしてきたのはまさかの桜ちゃんだぞ?

 

と言うか、あの手に握っていたのは確かクラスカードだっけ?と言うことはプリヤ時空の……それも、前世では雪下の誓いと言うタイトルで映画化していた美遊兄(士郎)正義の味方(エインズワース)の刺客と戦う奴のワンシーンじゃないか!

 

今、桜ちゃんはあのアーチャーのクラスカードを英雄王と思っているのか…………

 

と言うことはこの後桜ちゃんは……

こうしちゃいられない!正直、使いたくなかったが、単独顕現を使うしか無いか?

 

嫌、なんでかは知らないが俺の座に接続してくれたんだ。これを利用して士郎に力を貸すとしよう。

 

だったらとっとと完全に接続してやる!

邪魔をするなよ抑止力!

 

〜sideout〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜衛宮士郎side〜

 

「浅はかだったな桜ァ!! お前が裏切る事なんか、ジュリアン様は最初から想定済みだったんだよ!! そのお前にギルガメッシュのカードを渡すはずが無いだろ!! お前の持っているそれは、どの英霊にもつながっていない、正真正銘の屑カードなんだよ!!」

 

果てしない絶望が訪れる。

桜が持っていた“Archer”と書かれたカードは何の反応も示さない。

 

目の前のアサシンの複数あった腕が、一つの長い腕となり、桜に迫る。

 

「逃げろ、桜!」

 

それはとっさの反応か、俺は“兄”に教えられた通りに、強化魔術を足に使い、急いで、桜に向かって走り出す。

 

間に合わないッ!?

アサシンの伸ばした腕が、桜に接触するまで、もう数える程の時間がなかった。

 

 

 

 

 

グチャァ

 

 

 

 

 

貫く音がした。

 

 

だが、それはアサシンが桜を貫いた音では無く……

 

 

「……え?何だよこれ?……と”う”し”て”ほ”く”か”……つ”ら”か”れ”て”?」

 

 

突如、桜の目の前に出現した“見覚えのある”巨大な二振りの剣により、アサシンはその心臓(霊基)を貫かれていた。

 

「なんで?剣が……ウ”…ウ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!」

 

アサシンは耳障りな断末魔を上げ、消えていく。

アサシンがいた後に残されたものは“Assassin”と書かれた金色のカードだけだった。

 

あまりに、早すぎる展開に脳が付いて行けず、俺と桜はしばらくその場から動けなくなる。

 

「いっ、今のは……何処の英霊の……?」

 

桜が、声を上げる。

その手には未だにアーチャーのカードが握られているのに、目の前の剣は存在する。

 

それは可笑しい、有り得ないはずだ。

先程のアサシンを見ると、このクラスカードと言うものを使うと、変身ヒーロー物のように自分が、英霊に力を使えると言う物だと予測出来る。

 

なら、何故アーチャーのカードが残っているのに、目の前の剣は消えていないのか?

 

別の誰かが侵入してきたのか?

否、結界には反応がない。

 

と言うことは恐らくだが、あの剣はアサシンとも、アーチャーとも違う別のカード……二振りの剣を使うセイバーだろうか?

 

桜なら何かわかるか?

 

「なぁ、桜?」

 

「…………先輩……その姿は……?」

 

「俺の姿がどうかしたか?」

 

「兎に角!鏡を見てきてください!」

 

「ちょっ、桜!?」

 

俺は桜に押され無理矢理、鏡の前に連れてこられた。

そこに映っていたのは…………

 

「これは…………俺……なのか?」

 

俺なのに俺じゃない何か……

身体は影のような物に包まれ、髪は一部銀に似た白髪に、そして、先程まで気付かなかったが首元には影に似た灰色のマフラーが……

 

「どう言う……事だ?」

 

「まさか、先輩が何かしらのクラスカードを夢幻召喚(インストール)したと言うのですか?しかし、アーチャーのクラスカードは何処とも繋がっていないですし、アサシンのクラスカードは今、私の手元に……」

 

状況が理解出来ない……

何故、俺の姿が変わっているのか……そして、この英霊の正体は?

 

──どうでもいいから、とっととやるべき事をやれ

 

「ッ!?誰だ!」

 

突然聞こえた謎の声を発した人物を探す。

しかし、周りには誰もいない

 

「どうしたんですか?先輩……」

 

どうやら桜には聞こえていないようだ。

 

──んな事どうでもいいでしょ!こんな事をしてる暇があるなら、早く妹を助けに行かないか!

 

ッ!?何故、美遊の事を知っている?

まさか、エインズワースの刺客か?

 

──そんな訳無いだろ?俺の力を貸してるんだから、早く美遊を助けに行きなさい!今ならまだ、敵も少ないはずだ。途中で、英霊を見かけたら、兎に角倒すといい。

 

──美遊を助けるには必ずクラスカードが必要になる。クラスカードはそこにあるアーチャーとアサシンを含めた7つ……つまり、残り5つが必要だ。

全部が揃うまでは俺が、力を貸してやるよ。

 

待て待て、勝手に話を進めるな!

まずお前は何者だ?そもそも何故、美遊の事を知ってる?

 

──ん〜それは聖杯の知識というか、俺が、究極のイレギュラーだからと言うか。面倒臭いから真名でも教えるか?俺はクラス人類悪(ビーストif)真名ケルベロス……自らを悪と呼ぶ君を手伝おうと無理矢理、クラスカードとして、君に力を貸した無銘の英霊さ。

 

ケルベロス?

それって確か地獄の番犬だよな?

 

──俺は少し違うが……まぁ、気にするな。それよりも……早くエインズワースを探しに行きなさい。早くしないと美遊が危険な目に会うぞ?

 

…………聞きたいことは色々とあるけど、それも後にしておこう。力を貸してくれるというのならトコトン使わせて貰う。

 

美遊を助ける為なら、例え俺の命が燃え尽きようが、悪魔と契約だってしてやる。

 

──いいねぇ!その覚悟!それじゃあ頑張れよ?少年。君は美遊だけの味方なんだから。それじゃあ俺に聞きたい事があれば話しかけてくれよ〜。

 

その言葉を最後に、声は聞こえなくなった。

ただ、やる事だけは分かった。

 

「敵を殺して、カードを奪い取る…そして、美遊を助ける。」

 

やる事が決まったのなら今すぐに行動だ。

それにしても、この姿になってからやけに、色々な事が分かるようになって来た。

 

先程の見覚えのある二振りの剣の名前は“干将・莫耶”かつて、俺の“兄”が愛用していた剣だ。

 

あのアサシンの真名は山の翁(ハサン・サ・バッハー)の一人、呪腕のハサン。

 

桜が持っているクラスカードに接続している英霊は現在は存在しないが、俺を触媒に呼び出す事が出来る。

 

兎に角、自分でも怖くなるほど物事が分かるのだ。

これも、あのケルベロスと名乗っていた英霊の能力か何かなのであろう。

 

そう考えると俺に力を貸した英霊はかなり凄い存在だと実感させられるな。

 

とりあえず、美遊を助けに行く。

ケルベロスの話が本当なら俺を殺す為に刺客が送られて来るはずだ。

 

その刺客達が持つクラスカードを全て、集めてれば美遊を助けられるらしい。

 

普通ならあのケルベロスとか言う奴の言うことが信じられないであろう。

 

だが、なんでかは分からないが信用出来る気がするのだ。根拠はなから不思議なんだけどな。

 

「あの〜先輩?聞いてますか?先輩?」

 

「……あっ、すまない桜。少し考え事をしていた。」

 

「…………それはやっぱり美遊ちゃんの?」

 

「…………すまない桜……やっぱり俺は行かなきゃ。」

 

後輩()を置いて行くのは俺も嫌だが、何よりも先に美遊を助けたい。

 

目的地や、方法は分かった。

ならば早急に助けるだけだ。

 

「……そうですか……先輩これを持っていってください。」

 

そう言って桜が渡して来たのはアーチャーとアサシンのクラスカードだった。

 

「先輩が今使っている謎のクラスカードとこのクラスカードがあれば美遊ちゃんを助けられるはずです。」

 

「……いいのか?」

 

「ええ。だって、私は先輩の後輩ですよ?先輩がお人好しであるように、私もお人好しなのです。」

 

「……ありがとう桜……」

 

「どういたしまして。あの、先輩。もしも、もしもですね?先輩が美遊ちゃんを助け終わり、何処かに逃げるのなら……」

 

「あぁ、その時は桜も一緒に行こう。美遊も、桜なら受け入れてくれるはずだ。」

 

「…………はい!」

 

──(これは仕事が増えたな……まぁ、頑張れよ士郎。兄さんは応援しているぞ?)

 

今、何か声がした気がしたが気のせいだろう。

とりあえず、先ずは襲い来るであろう刺客をどうにかするか考えなくては……

 

ケルベロス……次に来る敵のクラスや真名は分かるか?

分かっているなら教えてくれ!

 

──急に話しかけて来たと思えば……普通、俺が知っていると思うか?俺は君達(衛宮)の味方で奴ら(エインズワース)の敵、その俺が敵の情報を知っているとでも?

 

……そうだったな。すまない。良く考えれば分かる事なのに……

 

──仕方ないねー俺が知っている限りは情報を話そう。

ただし、攻略法は自分で見つけろ、攻略法が見つけられないんじゃ美遊は救えないからな?

 

──残りの敵のクラスは“セイバー”、“ランサー”、“キャスター”、“ライダー”、“バーサーカー”そして、“アーチャー”……アーチャーだけは二人いる。

 

──君がたった今接続した事で接続した英霊……エミヤ

その他に一人いる……ソイツは俺の宿敵だ。

 

宿敵?ソイツとは因縁があるのか?

 

──因縁しかないね?生前に、アイツと戦った事がある。あの時は家族を守る為に必死でな?まぁアイツの真名は英雄王と言えば分かるかな?

 

英雄王……それって確か、古代メソポタミア文明の…

 

──そう、奴の名は“英雄王ギルガメッシュ”……

古今東西、過去未来……あらゆる宝具をマシンガンのように放つことのできる“王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)”を初めとして、世界を裂く乖離剣エアから放たれる“天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)”等の規格外の宝具をいくつも持つ強敵……まぁ、俺は一度勝ってる訳だけどな?

 

そんな奴に勝つって……………あんた一体何者だよ……

 

──通りすがりの…………嫌、こう名乗るのは辞めておこう。まぁ、真名の通り、守護の獣だよ。

 

守護の獣……忌み名か何かか?

俺にはそう聞こえるぞ。

 

──まぁ、いる意味忌み名だよな。だが、安心しろ。

これは俺が家族を守って死んだから付いた二つ名みたいなものだ。そして、サーヴァントってのは伝承には忠実……性別以外はな?この意味がわかるか?

 

え〜と……すまない。よく分からない。

 

──まぁ、アキレウスで例えるならアキレウスはアキレス腱を攻撃されれば弱体化したり死んだりする。

つまりだ。俺の場合は必ず守り通すって言う呪いみたいなものが付与されているらしい。(俺も最近知ったけど)

 

なるほど……必ず守るか……

なら、早く助けに行かなきゃな。

 

──と言う訳で学校付近に着いたが……気を付けろ少年。近くにいるぞ。クラスは恐らくランサー……だが、相手が主に使うのは月霊髄液(ヴォールメンハイドログラム)と言う水銀を利用した魔術のようだ。

 

本当に詳しいんだな。

あんたは、本当に何者なんだよ……

 

──な〜に。昔の知り合いと同じ魔力反応がしたから予測出来た事だ。これから先は流石に分からん。

わかっても精々クラスぐらいだ。嫌、真名も分かるかもしれないが……かなり時間がかかると思ってくれ。

それと、約束通り弱点は自分で見つけろよ?

 

分かってるよ。

クラスと戦闘方法が多少分かれば対策がしやすい。

相手がランサーなら遠距離攻撃と接近戦をメインにして、槍兵が得意な中距離での戦闘を避ければいいんだ。

 

──ふーん。じゃあ戦闘中は俺は黙っとくから頑張れよ〜それと、基本的にアーチャーのカードを夢幻召喚(インストール)するように。俺のカードは負担がデカすぎる。

 

了解した。

……本当に敵が来たな。よし、まだ見つかっていない。

今ならアーチャーの狙撃が使えるであろう。

 

投影開始(トレース・オン)──我が骨子は捻じれ狂う『偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)』」

 

俺は英霊エミヤとケルベロスの記憶の中にあった剣の中でも威力がかなり高く、投影コストが少なく、最も使いやすい剣を投影し、同じく投影した弓を構え狙いを定める。

 

後は弦を引いて、敵を射るだけ。そんな時だった。

 

──避けろ少年!右斜め上から強力な魔力反応だ!

敵は二人いたのだ!キャスターの攻撃が来るぞ!アサシンを夢幻召喚(インストール)して避けた後に気配遮断で様子をうかがえ!

 

ケルベロスの突如の叫び声に従い、直ぐに先程いた場所から離れるとそこへ向かってビームのような物が飛んできた。

 

「本当に攻撃された!?クソ、クラスカード暗殺者(アサシン)……夢幻召喚(インストール)!」

 

言われた通り、アサシンを夢幻召喚(インストール)して、アサシンの共通スキル“気配遮断”を使用し、自らの姿を隠す。

 

そして、監視だ。

先程のビームが飛んできたのは北の方角。そこに向かって試しにナイフを投げてみる。

 

すると案の定それに反応してビームがナイフ目掛けて飛んできた。

 

それは明らかに普通の威力じゃなくかなりの手練と見れる。流石は魔術師(キャスター)クラスのサーヴァントと言った所だろう。

 

その姿はフードを被っていて今一よく分からないが格好的には“魔女”と言うイメージがある。

 

魔女と言うキーワードのみに絞ったとしても、大昔の魔女なんて、何人もいる。

 

セイレムの魔女裁判の関係者、大魔女キルケー、コルキルの魔女メディア……etc

 

兎に角、とてつもない種類の魔女がいるのだ。

そこから真名を割り当てるのは至難の業と言った所だろう。

 

たが、ケルベロスとの約束で真名までは教えて貰えないことになっている。

 

その為、自力で見つけるしかないのだ。

とりあえず、アサシンから、アーチャーに戻って、弓を構え、とある魔剣を投影する。

 

投影開始(トレース・オン)……『赤原猟犬(フルンディング)』」

 

それは狙った獲物に当たるまで追跡する魔剣。

これを三発放ち、先ずはキャスターの撃退を試みる。

 

しかし、速攻で剣は消滅させられる。

その時、同時に何処からか槍が飛んできた。

 

「ッチ!?見つかったか!」

 

槍を投げてきたのは案の定ランサー……状況はこちらが圧倒的に不利。

 

だが、こういう時の対策は既にしている。

先を見越して、既に準備はしている。

 

「クラスカード人類悪(ビースト)……限定展開(インクルード)!疑似宝具展開………撃ち落とせ!『鶴翼連撃』」

 

限定展開(インクルード)する事により、一時的に使用出来るケルベロスの影を操る能力……

 

これと、投影魔術を重ねる事により宝具を再現してみた。効果は抜群だったようで、キャスターは傷だらけになって墜落し、ランサーはかなりの重傷を負った。

 

あの傷だとキャスターはもう戦闘不能だろう。

ランサーは恐らく“戦闘続行”のスキルがあるのかまだ、戦う力があるようだ。

 

だが、果たしてこれは受けきれるかな?

 

限定展開(インクルード)……天を斬り裂け、神の剣よ!『天羽々斬(アメノハバキリ)』」

 

何で、ケルベロスが日本の神であるはずのスサノオの剣が使えるかは知らないが、使えるのなら利用しない手は、無い。

八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を斬り殺した一撃が、ランサーの身体に直撃すると同時にランサーの体は跡形も残らず消えてしまった。

 

血と水銀が撒き散らされるはずが、斬られた後からまるで焼きれたように灰が残るだけだ。

まさか、これ程までの威力とは………

 

──そう、威力が高いから負担が大きい……だから、基本的にはアーチャーを夢幻召喚(インストール)するように言ったんだ。とりあえず、キャスターとランサーのクラスカードを回収して先に進もう。

 

──残りはセイバーとライダー、バーサーカーに英雄王だけだ。英雄王は何が何でも殺せ!認めたくは無いが、彼奴は英雄王であり、財宝王!アイツの宝物庫の中には恐らくだが、次元を軽く超えることの出来る宝具もあるだろう。まぁ、つまりだ……英雄王がいる限り少年にも美遊にも安全な場所は無いと言うわけだ。

 

次元を超えることの出来る宝具……そんな物がそんざいするのかは怪しいが分かった。

 

どちらにせよ、エインズワースの刺客であるのなら殺さなければいけないんだしな。

 

それよりも、早く美遊を助けに行こう。

残り必要なカードは三枚……セイバーとバーサーカーが一番厄介だとケルベロスは言っていたが、どう言う意味だろう?

 

そんな事を思いながら、俺はひたすらに、エインズワースの根城に向かって突き進む。

 

どうやら、誰かの人格を再現した文字通りの操り人形ドール以外の敵はいないらしい。

 

先程、二体の英霊を倒したと言うのに敵の援軍が来ないのはそう言う事だろう。

 

ケルベロスに聞いた話だと、ドールになった人達は正気を失い、バーサーカーのように狂っているらしい。

 

──安らかに寝ているはずの死者を利用するなんて、ますます許せんな。やれやれ、あれで正義の味方とは……反吐が出るな。

 

地獄の守護者と同じ名前だからか、ケルベロスは死者の魂を悪用しているエインズワースの事を許せないらしい。

 

 

──考えてみろよ。死んだはずの父親や友達が、暴走状態で操られてるんだぜ?怒らない理由が無いね。

 

 

確かにそうだ。それじゃあ死んだ人もその家族も報われないよな……

 

──そう考えてる内にどうやら、敵さんは来たみたいだぞ?クラスはライダーだ。やれやれ、真名は恐らく“彼女”なんだろうな……だとすれば敵は魔眼持ちだ。気を付けろよ、少年。一度、魔眼に捉えられてしまったら兎に角殺す事に専念しろ

 

 

あぁ、分かった。捉えられたら終わりなら見付かりにくいアサシンが有効か……

そう思い、アサシンを夢幻召喚(インストール)した俺はスキル、気配遮断を使用しライダーに接近して行った。

 

 

 

 

──to be continued(次回に続く)ってね。




作者の〜次回予告!
さてさて、プリヤ編の次回予告は俺と此奴が進めますよ!入場してください!
「フォウ!フォ〜フォーウ!(どうも、サーベラスに殺されたキャスパリーグだよ!)」
という訳で、ここからは俺と
「フォッ、フォウ!(キャスパリーグで!)」
お送りします!
いやはや、まさか、家の同居人?がサーベラス君に殺されるとはね?
今回、サーベラス君を召喚もとい、サーベラス君の座に接続したのもまさかの桜ちゃんだし……もしかして大聖杯の力?
「フォ?フォーウ。(さぁ?そうかもしれないよね。)」
まぁ、とりあえず次回は美遊兄士郎が、残りのクラスカードを回収する事になるのだろうね?
果たして、彼は勝てるのか?

「次回 正義(エインズワース)(美遊の味方)

「フォウ!(お楽しみに!)」

追記
活動報告にて、ちょっとしたアイディア募集や、質問を受け付けています。
良ければそちらもどうぞ。


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正義(エインズワース)(美遊の味方)

テスト期間で投稿が遅れてしまいました。
本当にすいません!
前回のあらすじ
突如、サーベラスの座に接続してきた別世界の間桐桜、サーベラスは士郎に力を貸すためにクラスカードとして姿を表す……一方、この世界の衛宮士郎は次々とクラスカードを集めていく……


「クラスカード暗殺者(アサシン)……夢幻召喚(インストール)

 

ライダーの“眼”に捉えられないようにアサシンを夢幻召喚(インストール)し、スキル気配遮断を使用……そして近くに近付く。

 

念の為、ケルベロスのクラスカードを手元に持ち、一撃で敵を倒せるように準備をする。

 

対してライダーは全く動かない。

獲物を探す事もせず、ただ単にボーッと突っ立っているだけにも思える。

 

まるで、これから戦う理由もないかのように

まるで、もうこの世に未練の無い亡霊のように

 

そんな事を思っていたら、いつの間にか見つかったのか、ライダーはこちらに向かって歩き出した。

 

敵意は恐らくない。

今にも消えてしまいそうな雰囲気を漂わせているライダーが接近してくる。

 

「桜……ちゃんを……頼む……幸せにして…………やってくれ」

 

そう言い残し、ライダーは消滅した。

 

──これは予想外……まさか、彼が意志を保っているだなんてね?しかも、桜ちゃんを頼むかぁ〜全く……その執念にはある意味、尊敬するよ。間桐■■さん

 

 

間桐と言う事は恐らく先程のライダーは桜の親戚か何かだろう。

 

桜を頼むなんて言うあたり、相当な家族思いと見た。

俺も見習わなきゃな。

 

──イヤイヤイヤ!?彼奴は本来、家の母さんのSの部分が覚醒する程のダメ人間で……これ以上はやめておこう。とりあえず、残りのセイバーとバーサーカー、英雄王戦に備えて、体力を温存できたと考えようか。

 

 

そうする事にしておこう。

とりあえず、早く美遊の所へ行かなくては……

 

目的地は敵の本拠地なんだ。

当然、突入する前にあのケルベロスが警戒する程の力を持ったセイバーとバーサーカーのカードを回収しておきたい。

 

 

特にバーサーカーは重要らしい。

何でも人類悪(ビースト)以外の他のクラスカードと重ね合わせて上書き夢幻召喚(オーバーライトインストール)と言うものが使えるようになるらしい。

 

 

ライダーとランサーは、何でもこの上書き夢幻召喚(オーバーライトインストール)とは相性が良く、倍の力を得られるらしい。

 

 

一応、人類悪(ビースト)を基準として上書きする事も不可能では無いらしいが、魔力の消費量と身体……空間への負担が大き過ぎるらしい。

 

 

いくら何でも規格外すぎるだろ。

 

 

──だよね〜。まぁ、好きでこんな力を手に入れた訳じゃないんだよ。是非も無しって所だ。

 

どうやら、ケルベロスも苦労していたらしい。

溜め息をこぼしながら話しているからよく分かる。

 

 

一体どんな事をしたら、これ程の力を手に入れられるのか……

 

少し気になったが、これは恐らく気にしては行けない物だろう。

 

 

それに、聞いた所で、強くなれる気もしないしな。

規格外の方法である事は目に見えているしな。

 

ライダーの真名はメデューサらしい。

意外な事に、ケルベロスとは縁が深い英霊なのだとか。

 

ギリシャ神話ではケルベロスとメデューサはなんの縁も無いはずなんだけどな?

 

やっぱり、聖杯戦争関係なのか?

英雄王みたいに、宿敵だとかそんな感じの……

 

──嫌々、それは無い。俺とライダーは聖杯戦争ではマスターとサーヴァントの関係だ。と言っても、あの時はライダーでは無く、ランサーだったのだがな。

 

え〜と……要するに元主従の関係?

 

──そうだけどさ……もっといい表現の仕方なかった?俺はサーヴァントの事を頼れる相棒やら、友達やらと思ってるから、主従とかには興味が無いんだよ。

 

そうなのか……てっきり、そう言うのにはこだわりがあるかと思っていたのだが興味が無いんだな。

 

──そもそも、サーヴァントとマスターの関係は一時的な物だ。そんな物にこだわった所で、得られるメリットは少ない。第一、サーヴァントと良好な関係を築いた方がいいしな。

 

そうなのか……こちらの聖杯戦争とは違うのだな。

 

──そりゃ〜次元その物が違うからね?

まぁ、あちらではこんなに酷いものでは無かったがね。

 

戦争に美しいも酷いもあるのかと言う疑問は置いておくとして、その聖杯戦争の結果はどうなったんだ?

 

──俺が聖杯になってお終いさ。元から、そう言う運命だったんだけど…………まぁ、俺的には妹含めた家族を守れたから満足しているんだ。

 

家族を守った……聖杯に変わっただと?

それって美遊と同じ……

 

──否、少し違うかな?俺は作られた聖杯。

朔月家の特異体質として神稚児と呼ばれている美遊は天然の聖杯…………作られた魔法使いと天然の魔法使いって違いだ。

 

作られた……?

それじゃあケルベロスは元は人間じゃなかったのか?

 

──否?立派な人間さ!もっとも、ホムンクルスとのハーフだったけどね?

 

ホムンクルス?それって、外国の昔話によくある人造人間の事だよな?

 

確かヴァン・ホーエンハイム・パラケルススと言う人が、製造に成功したとかそんな伝説が残っていたが……あのホムンクルスなのか?

 

──そうそう、そのホムンクルス。と言ってもパラケルススが実際に作ったホムンクルスと、聖杯を宿す為に作られた母さんや俺、俺の妹は名称は同じでも構造や性能が違うけどね。

 

──それに、パラケルススはもし、現代にいたら、即座に封印指定の魔術師に指定されて、聖堂教会に殺されてるよ。賢者の石やらアゾット剣やら……とんでもないものばかり作ってるからね。

 

賢者の石とアゾット剣……どれも聞き覚えのある単語だ。小さい頃から、様々な伝記を読んでおいて正解だった……

 

知ってる事が多い程、敵の英霊の真名を見抜けやすくする事が出来るからな。

 

会話もここまでにして置こう。

次、敵が現れるとしたら、敵の本拠地であるあの巨大なクレーターの守りに、英雄王……

 

という事は恐らく、途中でセイバーまたはバーサーカーと遭遇するだろう。

 

ケルベロスが言うにはバーサーカーの次に強いセイバーの可能性が高いらしいが…………

 

切り札的存在であるセイバーと、バーサーカーは恐らくエインズワースの用意したドールの中でももっとも強い奴が持っているだろうから注意しなくては……

 

近距離型のクラスであるセイバーは遠くから狙撃すればどうにかなるだろうか?

 

恐らく、剣を使う英霊でもっとも強いと思われる英霊はアーサー王伝説のアーサー王や、ランスロット、ニーベルンゲンの歌に登場するジークフリート、北欧神話のシグルト、シャルルマーニュ十二勇士のシャルルマーニュ王や、ローラン

 

日本なら宮本武蔵、佐々木小次郎、岡田以蔵に沖田総司……果てには神である須佐之男命(スサノオノミコト)……例を挙げたらキリが無い。

 

──本当に、剣士(セイバー)のサーヴァントは多いよね。最優のクラスだと言うのに、アーチャーや、ランサーより数が多いってなんなの?

 

そんなに多いのか……

まぁ、それはそうだろう。歴史や伝説上では弓や、槍を主武装にしている人より剣を主武装にしている人の方がはるかに多いからな。

 

──でも、それがセイバークラスの弱点だ。一部のセイバーはその伝承があまりにも有名すぎるが故、その剣を見られたら真名が一瞬でバレる。剣を見られなくても、剣技でバレる……セイバーは最優であると同時に最っとも真名がバレやすいクラスだな。

 

なるほど……つまりは相手の剣と、戦術をよく見極めればセイバーとは戦いやすくなるという事か。

 

ならば、やはり遠くから狙撃できるアーチャーを使おう。

 

そうすれば、少しは楽に倒せる筈だ。

キャスターは論外だ、セイバークラスの対魔力で防がれる。同様にライダーの魔眼も駄目だな。

 

強力な対魔力故に、通用するのは純粋な火力のみと言った所か。

 

それに加え、バーサーカーと違い理性があるものだからよく見極めなければすぐに真っ二つに斬られるに違いないしな。

 

──遠距離でも斬り刻んで来るセイバーはかなりいるんだけどね?後、剣からビームが出る。

 

へ?ビーム?

剣からビームが出るのか?それって、本当に英霊?

 

──何を、今更驚く必要がある?と言うかほとんどのセイバークラスは剣からビームを出すぞ?

 

英霊って凄いんだな。

もはや、何でもありなのか……

 

──何でもは言い過ぎだと思うが…………おっと、敵さんが近付いてるみたいだぞ?そろそろ本拠地も近いってのに、セイバーを一体だけを差し向けて来るって事は相当慢心しているようだな。慢心、せずに消し飛ばしてやれ!

 

分かってる。油断と慢心は3番の敵だ。

 

──ちなみに1番と2番は?

 

美遊の敵と、桜の敵かな?

家族に害をなすなら大抵は殺そうと思っている。

 

──(何か、士郎が俺よりの思考になってない!?これも、副作用!?)って、そんな事よりも早く夢幻召喚(インストール)して敵を迎え撃て!バーサーカーと英雄王戦に向けて出来るだけの体力と魔力は温存しておけ。

 

「了解…………クラスカード、アーチャー夢幻召喚(インストール)投影開始(トレース・オン)

 

敵の姿を確認すると、俺は弓と偽・螺旋剣(カラドボルグII)を構え、狙いを定める。

 

相手は西洋の騎士を思わせるデザインをした鎧を来ており、その手には光り輝く剣が握られていた。

 

「あの剣は……何だ?伝説の剣である事は決定しているのだが……」

 

伝説の剣と、言っても多すぎて分からない。

龍殺しや、聖剣……到底、当てられるとは思わない。

 

──あれは星の作った聖剣だな。セイバーの真名はアルトリア・ペンドラゴン……別世界の少年とは縁が深い英霊だな。気を付けろよ?約束された勝利の剣(エクスカリバー)は強力な宝具だ。いざと言う時は俺を限定展開(インクルード)しろよ。武器を約束された勝利の剣(エクスカリバー)に固定して置こう。

 

了解!頼りにさせてもらう。

とりあえず、射抜いて見るか。

 

「我が骨子は捻じれ狂う──『偽・螺旋剣(カラドボルグII)』」

 

高速で放たれた偽・螺旋剣(カラドボルグII)に敵は気付いていないようだったが、当たるまでもう少し、という所で、その聖剣に弾かれてしまった。

 

──直感スキルだな。直感だけで、偽・螺旋剣(カラドボルグII)を弾くって本当に凄いと思うが……所詮は直感だと侮るなよ?セイバーの直感は因果逆転の呪いをギリギリで回避する程鋭いからな。

 

それは本当に直感と言うのだろうか?

だが、何となく理解は出来た。

 

要するに、あのセイバーは文字通り、鋭い直感で、偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)を見極め、弾き返したのだな?

 

だとすると弓での攻撃は少しキツイか……

かと言って、剣での撃ち合いは相手が一歩上……どうするべきか……

 

──あちらは聖剣一筋……究極の一を極めた騎士王。

故に、同じ、聖剣での戦いでは勝てない。だけど、少年には英霊エミヤと同じスキルである“憑依経験”が使えるはずだ。

 

──憑依経験って言うスキルは、投影魔術により、投影した剣の使い手の技術を自分自身に投影するスキルだ。

究極の一を何個も使えるようになるんだ。例え、聖剣相手でも勝てるだろうさ。ここから、俺は投影やらに集中するから話せないが頑張ってくれよ。

 

あぁ、分かった。

要するに武器を投影しまくって、スキルで使いこなし、相手を倒せばいいんだな。

 

相手を翻弄しつつ確実にダメージを与える……それなら使い慣れている干将・莫耶で攻める!

 

投影開始(トレース・オン)──干将・莫耶!」

 

お互いに引き寄せ合う夫婦剣を何対か、投げつける。

それを騎士王はいとも容易く弾き、辺りに夫婦剣が飛ばされる。

 

「っち、やっぱり通じないか!ならこれはどうだ!」

 

俺は即座にもう一対、干将・莫耶を投影し剣を振るう。

本来、俺には素人の動きしか出来ないが、それらは全て英霊エミヤの憑依経験により補われる。

 

聖剣と同じスピードで振るわれる二振りの剣をセイバーはいとも容易く捌いてしまう。

 

差は明らか、こちらの方が不利だ。

干将・莫耶を何個も投影し、相手にぶつけても相手は魔力放出のスキルで、その全てを遥か彼方に弾き飛ばす。

 

「ッチ!?これじゃあ、埒が明かない!」

 

そう思っていると突然、セイバーが距離を取り出し剣を深く握り始めた。

 

──不味い!?宝具が来るぞ!早くそこから逃げるか俺を限定展開(インクルード)しろ!

 

■■■■■(約束された)───」

 

「クラスカード、人類悪(ビースト)限定展開(インクルード)十三拘束解放(シール・サーティーン)円卓議決開始 (デシジョン・スタート)!!」

 

承認──

 

是は、生きるための戦いである(ケイ)───

 

是は、己より強大な者との戦いである(ベディヴィエール)───

 

是は、一対一の戦いである(パロミデス)───

 

是は、人道に背かぬ戦いである(ガヘリス)───

 

是は、真実のための戦いである(アグラヴェイン)───

 

是は、精霊との戦いではない(ランスロット)───

 

是は、邪悪との戦いである(モードレッド)──

 

「十三拘束の内、7つ!充分だ。行くぞ!『約束された(エクス)──』」

 

「『勝利の剣(カリバー)!!!!』」

 

聖剣がぶつかり合う。

星が生み出した最強の兵器同士がぶつかる

 

その衝撃はとても人の身に受けきれる物ではなく放った本人達は後へ飛ばされる。

 

「ッチ……まだ終わってないか!」

 

騎士王は当然かのように立ち上がる。

その兜は割れており先程までは見えなかった顔がハッキリと見えた。狂気が感じられるその目にはまだ、戦意が感じ取れる……だがこれで──

 

俺の勝ち(チェックメイト)だ。」

 

俺が、投影した干将に引き寄せられ、戻ってきた莫耶により、騎士王は背中から貫かれた。

 

「ジュ……リ…アンを……頼む」

 

そう言い残し騎士王は消滅した。

そこに残ったのはセイバーのカードのみ……残りはバーサーカーか……

 

──今の内にバーサーカーの真名と特徴を教えておこう。恐らく今回のバーサーカーはギリシャの大英雄ヘラクレスだ。ランクB以下の宝具は通用しない上に、合計12回別々の方法で殺さなければ倒せないぞ。

 

ランクB以上……偽・螺旋剣(カラドボルグII)約束された勝利の剣(エクスカリバー)でギリギリ届くレベルか…………それを12回……かなりキツイな。

 

──否、一度に7回殺す方法もあるし、本当にピンチなら俺を夢幻召喚(インストール)して、どうにかするしかないがな。まぁ、休んでる暇は無いぞ!ほら、あと少しで君の妹に届くだろ?さぁ、走った走った!

 

分かってる。

早くバーサーカーを倒して、美遊を助ける。

 

それが一番の目的だ。

敵の本拠地まで、後どれぐらいなんだろうか?

 

───君の妹が天然の聖杯だとするなら、十中八九この街の中でも最高の魔力濃度と、霊脈を誇る柳洞寺にいるだろうな。あの近くの洞窟は俺の世界でも大聖杯があった。これ程の、偶然はないな。

 

 

柳洞寺……あの寺の近くに美遊がいるのか?

ここからならかなり早く辿り着けるな。

 

魔力を温存しながら出来るだけ早く行こう。

恐らく、近くにはバーサーカーがいる。

 

今の内、作戦だけは立てておこう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──Now Loading(移動中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柳洞寺に着いたが……本当にこの近くに美遊がいるのか?

 

──正確には柳洞寺近くの洞窟だな。

あそこは大聖杯があった場所……君の妹や俺の妹(聖杯)を置いておくにはぴったりな場所だったからな。

 

なら、早くそこに!

 

──ダメだな……バーサーカーのお出ましだぜ?

 

 

「お前がジュリアン様に敵対してるって言うクソ野郎か?」

 

「美遊を助けに来たと言ったら……どうする?」

 

「簡単な事だな……お前を殺すだけだ!

 

突然現れたバーサーカーらしき少女は自分の体の数倍はあるだろう巨大な剣を、軽々しく振るってきた。

 

俺はすぐさま武器を投影し、剣での攻撃を防ぐ。

ついでに剣を解析してみるが、特に変わったものはなく、ただ単に巨大な剣であることが分かった。

 

恐らく、バーサーカーの主な攻撃は剣に頼った物ではなく、自身の技術に頼ったものなのだろう。

 

巨大な剣を圧倒的な力を圧倒的なスピードで振る……それはどう考えてもあんな少女が使える力では無いのに、あの少女は使いこなしている。

 

こうして確認してみると改めてクラスカードの凄さを実感させられるな。

 

ただの少女が、あっという間に歴戦の戦士に変わるのだから。そんな事を考えながらもバーサーカーの攻撃を受け流す。

 

「ッチ……さっきから平気な顔をして攻撃を受け流しやがって……ウザイんだよ!とっととくたばりやがれ!」

 

──宝具が来るぞ!防いで技術を盗んむんだ。バーサーカーの剣技はかなり役に立つぞ。だが、気を付けろよ。バーサーカーの宝具は一度の斬撃に9つの斬撃を潜ませるとかいうイカれた宝具だ。甘く見てはいけない。

 

「元から甘く見るつもりは無い。」

 

「これで終わりだ!『射殺す百頭(ナインライブズ)』」

 

「───熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

「その程度の盾で、この宝具が防げるかよ!!」

 

展開された6枚の花弁はバーサーカーの宝具を受け1枚目の花弁は簡単に砕けるちる。2枚目は少しして砕ける。3枚目、4枚目、5枚目と着々とバーサーカーの刃は俺に近付いてくる。だがこれで解析は終了した。

 

投影開始(トレース・オン)

 

バーサーカーが使っている巨大な剣を投影する。

たった今、相手の技を見たんだ。これで投影ができなければ贋作者(フェイカー)の名が廃る!

 

──コツは相手の8つ、または9つの急所を全て同時に狙うイメージだ。贋作者の意地を見せてやれ!

 

「了解……投影装填(トリガーオフ)

 

狙うは8つの急所……頭、右腕、左腕、右足、左足、心臓、腸、そして体。そこに向かって全力で剣を振る!

 

全工程投影完了(セット)──是・射殺す百頭(ナインライブズブレイドワークス)

 

8つの急所を同時に切り裂く。突然自分の技を喰らったバーサーカーは驚きと強い風圧により、吹き飛ばされていた。

 

「グッ………てめぇ、今……何をした?」

 

「敵に教える事は無いが、強いて言うならあんたらと同じ贋物の力を使っただけだ。」

 

「クソッ……タレが……」

 

──一撃で12回殺すって……急所狙いってすげーなー。とりあえず、バーサーカー撃破だな。とっとと君の妹の所へ向かうぞ。時間が惜しい、それにバーサーカーが倒された事で彼奴(英雄王)も感づいた頃だろう。さぁ、早く行くぞ。

 

あぁ、分かっている。

だが、このクラスカードでどうやって美遊を助けるんだ。

 

──本来、聖杯戦争と言うのはね。7基の英霊を聖杯にくべることで聖杯を起動し、聖杯を使用可能にし、第三魔法の使用によって根源に到達すると言う魔術師にしか得がない儀式だ。この世界の聖杯戦争には英霊はいないが、代わりにクラスカードがある。7つのクラスカードを、使い聖杯を起動する……そして美遊を別世界に送ればいい。

 

別の世界……そこなら追手が来ないと?

 

──英雄王がいない限りはな……だから英雄王を倒す。そうじゃなければわざわざ、一番の強敵を倒す何て面倒臭い事はしないさ。警戒は怠るなよ。洞窟に近づく度に罠が貼られてる確率があるからな。

 

そうだな……あのジュリアンが警戒してないはずはないよな。英雄王は洞窟の前にいる可能性が高いな…………なんで俺達は戦わなきゃ行けないんだろうな……

 

 

──深く考えるな。エインズワース(正義)衛宮()人類()を救うか()を救うか、どちらを切り捨てるか……その理想が違っただけだ。単純な意見の違いだ。人間とはそういうものだからな。

 

そういう物なのか……だが、何と言われようと俺はたった1人の妹を選ぶ……兄さんが俺にしてくれた事と同じように……

 

ケルベロスの言葉に深く反応し、軽く物思いに浸ってしまった。だからだろうか──

 

──尤もこの世界の真理に気付いていないのもあると思うがな……全く、何処の世界でも正義の味方は救われないな。お前もそう思うだろ?アーチャー……否、“士郎”?

 

彼の一言を聴き逃したのは──

 

 

 

to be continued(次回に続く)




作者の〜次回予告!
という訳で、やってきました次回予告!
今回も俺とフォウ君でお送り致します!

「フォーウ!!(そんな事より遅れた事を反省しろ!)」

仕方ないじゃないか!テスト期間だったんだしさ!まぁ、それは置いて起き次回予告を……

全てのクラスカードを集め終え、美遊の元に向かう衛宮士郎。妹を幸せにすると言う聖杯への願いをかける彼の前に最悪の敵が姿を現す。

次回 「夢幻の剣製」お楽しみに!

活動報告で意見を募集しております。良かったら是非。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=248336&uid=308592


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夢幻の剣製

前回のあらすじ
前回、残りの英霊、セイバーとバーサーカーを倒した士郎はいよいよ、美遊を助け出し、英雄王との最終決戦に挑む。
果たして勝つのはどちらか?本編をどうぞ。


「ここが、美遊が捕らえられてる洞窟か……」

 

バーサーカーを倒してから歩いてすぐの距離にその洞窟はあった。

 

魔術を少し齧った程度の魔術師見習いとも言えない俺でもわかる。この先の魔力量は明らかに可笑しい。

 

それだけではない。ここには明らかに結界も貼られている。

 

それも人よけと言っていいレベルではなく恐らく、人だけではなく動物や果てには昆虫まで近ずかせないように構築された結界なのだろう。

 

洞窟の周りには文字通り虫の1匹も見当たらない。

それだけ、美遊の存在は必要不可欠らしい。

 

──それでも、助けるのが兄貴ってものなんだがね?

それじゃあ、念の為最初っからアーチャーを夢幻召喚(インストール)しておけ。

 

了解。

いざとなったらケルベロスを使わせてもらうぞ。

 

──もちろん。俺のクラスカードを持ってる君は一応、俺のマスターだからね。さぁ、そろそろ君の妹の所に向かうとするか!

 

ケルベロスの一言で自分にあらためて気合いを入れ、先に進む。

 

少し進む事に“これ以上進むな”と身体が警告してくる。これも結界の力だと考えると改めてすごい結界なのだと感じさせられた。

 

仲は美遊が閉じ込められているのかと感じさせられるほど静かで罠は仕掛けられてないように思えた。

 

──な〜んだ。やっぱり慢心してるじゃないか。

普通ならここら辺で魔術系の罠の1つや2つあってもおかしくないのにな……やっぱり置換魔術専門だと強すぎる罠は貼れないか。

 

ひとつの分野のみを極めるのも難点だな。

そういう俺も投影魔術と強化魔術ばかり極めているが…

 

──案外、そうでも無いぞ。エインズワースは置換魔術を極めに極めた結果、英霊の力のみを自身に置換するクラスカードと言う物を創り出したんだからな……技術力だけなら家の一族(アインツベルン)と同じぐらいか。

 

逆にクラスカードと同じぐらいの技術力を持ってるケルベロスの一族って何者だよ。

 

──気にするな。雑談はここまで……洞窟の構造を解析しておいた。単純に真っ直ぐ、一本道……罠は無く邪魔者も“まだ”来ていない。単純に俺達が来るのが速すぎて

対策が不完全なだけだろうな。早く行け、英雄王が来る前にとっとと済ませなさい。

 

「あぁ、分かっている。」

 

急ぎ足でさらに先に進むそこには何か怪しい石版らしきものが何個も置かれた大空洞に出た。

 

そこには謎の術式がそこら中に書かれておりその中心地に、丸で生贄を捧げる祭壇のようになっている場所に美遊がいた。

 

「美遊!」

 

「……お……にい……ちゃん?」

 

「随分と待たせちまって……ごめんな。」

 

本当に待たせてしまった。

だけどようやく助けられる。

 

「あの人たちに聞いた…………お兄ちゃんと切嗣さんがわたしを拾ったのは、わたしの力を使うためだって…………わたしはただの道具で、使い方を見つけられなかった切嗣さんの代わりに、エインズワースがわたしを使って世界を救うんだって…………なのに今更……どうして来たの!?」

 

そう言って叫ぶ美遊の目には涙が浮かんでいた。

きっと辛かったんだろう。

 

きっと悲しかったんだろう。

でもそんな辛いのはもう終わりだ。

 

「そんなの、考えるまでもない。」

 

持っていた7つのカードが美遊を囲むように浮遊し魔力を発し始める

 

思い出す楽しかった日々──

 

ほんの少しの時間だけだったが自分が死ぬ最後の瞬間まで優しくしてくれた兄の姿。

 

本当の兄弟になりたいと願ってくれた美遊の姿。

 

思えば、俺は助けられてばかりだったからな……

 

だから今回は──

 

 

「俺は“お兄ちゃん”だからな。妹を守るのは当たり前だろ?」

 

それはいつか自分に言われた言葉を繰り返したに過ぎないかもしれない。

 

だけど、それはかつての兄さんの言葉ではなく、確かに俺の言葉だった。

 

ある日の事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お〜い、士郎!!そこら編は崖崩れしやすいから、あまり遠くに行くなよ!!」

 

「分かってるって!ほら、兄さんも遊ぼうよ!」

 

「ハイハイ、今行く……士郎!?危ない!!」

 

その日、俺は遊んでいて、崖から落ちかけていた所を兄さんに助けられていた。

 

兄は崩落する崖から、強化魔術を使い、崩れ落ちる地面から地面へ、俺を庇いながら飛び跳ね、何とか地面に着地したのだ。

 

そのせいで兄はボロボロになっていたがお陰で俺の命は助かっていた。

 

「大丈夫か、士郎?」

 

「うん……俺は大丈夫だけど……」

 

「ふぅ〜なら良かった……」

 

「ねぇ、なんで兄さんは俺を助けてくれたの?あのままだと兄さんも死ぬかもしれなかったのに。」

 

「何言ってんだよ士郎。兄が弟を守るのは当たり前だろ?俺はね、父さんが憧れたような万人が望む“正義の味方”には慣れないかもしれない、だけどさ家族の味方になら誰だってなれるだろう?それが俺の目標!家族を守る最強の守護者!それってカッコイイと思わないか?」

 

「えぇ〜正義の味方の方がカッコイイじゃん。と言うか、守護者って何?」

 

「アチャ〜まだ士郎には早かったかな?う〜ん……まぁ、家族を守る人とでも思っておけ!」

 

「う〜ん……分かった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは今や夢となった過去の景色。本当に今更だがようやく兄さんが言っていたことの意味がわかった。

 

理屈なんていらない

ただ単に大切だから守るだけ

 

兄が妹を守る当たり前の事をする

それは善も悪も関係が無く、とても有り触れた普通の行為。

 

こんな普通の事を理解する為に数年かかるなんてな……馬鹿らしいや。

 

──願いは決まったみたいだな。さぁ、あいつが来る前に早く。

 

あぁ、分かっているさ。

 

「我、聖杯に願う──

 

美遊がもう苦しまなくていい世界になりますように──

 

やさしい人たちに出会って

 

笑いあえる友達を作って

 

あたたかで ささやかな 幸せをつかめますように」

 

それは自身を“贋物”と呼んだ人間のたった1つの“本物”の願い。

 

7つのクラスカードを持つ聖杯戦争の勝利者の願いを聖杯は聞き取り、願いを叶える為に起動する。

 

空間内に光が溢れ、美遊を中心として光で構成された木が見える。

 

それは、この世の全ての悪に汚染された別世界の聖杯とは違う神秘的な光景だった。

 

───やっぱり、これも世界の違いか……でも結局、汚染されていようがなかろうが、聖杯なんてろくでもない代物だな……そら、敵が来た。全力を持ってあの英雄王を止めるぞ少年!

 

 

 

「悪いな……今妹が頑張っているんだ。もう少しだけ待ってやってくれないか?」

 

念の為、話し合いを試みるも、

 

「ならぬ。貴様の望みは叶わない。聖杯戦争に紛れ込んだ贋物が、奇跡を手にする等……あってはならぬ。」

 

話し合いにはやはり応じず、こちらに黄金の波紋から剣や槍等の武器を宝具を放ってくる。

 

対する俺は反応が間に合わずに後ろへ飛ばされてしまう。

 

「この能力、やはり……本物の英雄王、ギルガメッシュの、カードか……」

 

それは桜を騙す為に使用されたカードであり、俺が持っていたアーチャーの英霊……英霊エミヤの天敵でもある人類最古にして最強の英雄王。

 

「カードも持たず、生身の人間が英雄王の前に立つなど愚昧極まる。」

 

──嫌、カードはあるのだが……気を付けろ少年。自慢じゃないが俺は英雄王に対抗出来る切り札だ。決して俺のクラスカードを持っていることを悟られるなよ。

 

あぁ、了解した。

 

「東西を問わずに、古今を問わずに、人類の成した全てがこの英霊の力だ。」

 

「なるほど、そりゃ桜が最強のカードと言うわけだ。」

 

古今東西、あらゆる英雄の宝具の原典が蔵にしまわれているのだ。

 

当然、最強と言われている訳だ。

それに加え、エインズワースの技量により、隙もほとんどない。

 

それに──

 

「人類……人類か…………大きいものだよな。言葉以上に。そんな途方もなく重いものがお前達のその背中に乗っている訳だ。けどさ……俺にも、背負っている物があるんだよ。」

 

──(正義の味方(エインズワース)は人類の未来を、衛宮士郎(人類悪)は家族の未来をね?本当に何処までも似ているな。第四次聖杯戦争に……)

 

「個人の感情か? あるいは感傷か? いずれにしても、この世で最も下らぬ物だ。」

 

そう言うと、アンジェリカ(英雄王)は先程放った宝具を黄金の波紋に回収し再び放ってくる

 

「くだらない……か?お前にとってはそうかもな?だが、その感情や感傷こそが俺の力でもある。

 

 

───投影、開始(トレース・オン)

 

 

 

放たれた宝具は即座に投影した干将・莫耶により、俺に当たることは無かった。

 

投影(トレース)だと?馬鹿な…………その戦い方はまるで──!?」

 

「自分が至ったかもしれない未来。その理想の体現者を憑依させ、戦いを繰り返してきた俺は、その起源までは至らずとも。その戦闘技術、魔術回路の殆どを先取りした。」

 

そう、ケルベロスによる半強制的な制限で、英霊エミヤの全てを自分に投影する事は出来なかっただがそれでも半分は力を譲り受けた。

 

「俺をただの人間だと言ったな?認識が甘いぞ英雄王(正義の味方)!お前がこれから挑むのは──人類にとっての悪であり、正真正銘!英霊のまがい物だ!」

 

英霊のまがい物……これ以上に俺を強く表せる言葉はないんじゃないかと思う。未来の俺とも言える英霊エミヤの力を連続で使用し、戦い続けてきたのだ。

 

英霊と同じ戦い方をして、同じ物を目指した……だけど、結局俺は英霊エミヤ(贋作者)の偽物なんだ。

 

彼が進んだ道……正義の味方には絶対になれない。

だけど、美遊の味方ぐらいにはなってやる!

 

贋作者(フェイカー)風情がァ!」

 

「それはお互い様だろ!贋作屋(カウンターフェイカー)!!」

 

英雄王が武器を射出してくると同時に、その全ての武器を解析、投影し、即座に射出し、少しでも自分に被弾する物を減らしながら接近する。

 

対して、英雄王は俺が近付く度に射出する武器を増やし、より守りを強化していく。

 

状況はどうみたって英雄王が有利だった。

こっちがどんなに贋作を複製しようとあちらは幾つのも真作を射出できる。それも無限にだ。

 

本来なら、俺のような贋作は即座に殺されていても可笑しくない。それでもまだ死んでいないのはまだ相手が慢心しているのと、俺が奥の手を隠しているからだ。

 

その奥の手は魔力消費が大きく発動し終えた後に俺が活動できるかすら怪しい諸刃の剣だ。

 

こんなだけど、美遊が逃げるぐらいの時間稼ぎができるなら使ってやる!それに……

 

「妹の前なんだ……かっこ悪い所ばかり見せられないもんな!」

 

「ふん。ついに狂ったか?なら、これで決めるとしよう。」

 

英雄王は黄金の波紋を展開し、士郎に狙いを定める。

士郎は避ける動作も、防ぐ動作のひとつもない。

 

普通の人が見たら諦めたように見えるのだろう。

だがそれは諦めではなく

 

 

体は剣で出来ている──

 

 

逆転への第1歩だった。

 

 

 

 

無限の剣製……それは正義の味方(衛宮士郎)に唯一許されていた魔術……

 

 

血潮は鉄で心は硝子──

 

 

無限の幻影……それは家族の守護者(サーベラス)にのみ使う事を許された世界の影を映し出す魔法

 

 

幾度の戦場を越え、不敗──

 

 

 

人類にとっての悪であり美遊の味方である衛宮士郎にはその両方は使えない。

 

 

たった1度の敗走もなく──

 

 

 

何故なら魔法を使う程の魔力は無く、正義の味方でも無く、起源も剣では無いため、“無限の剣製”は発現し得ないはずなのだ。

 

 

 

「ッチ!『天の鎖(エルキドゥ)』」

 

アンジェリカは士郎が詠唱を始めたのを気についに本気を出したのか士郎を天の鎖で縛った。

 

だが、それも遅かった。

 

 

 

たった1度も理解されない──

 

 

 

士郎を中心に空間内に青白い線が無数に走る。

 

それはそれぞれ、特定の位置につくと未だ完成していない別々の剣に姿を変えた。

 

それは空中にまで侵食しており巨大な歯車を形作っていた。

 

 

 

守護者(遺子)はまた独り──

 

 

 

アンジェリカは焦り、宝具を射出する。しかし、そのどれもが『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』に防がれてしまう。

 

 

 

偽りの剣製にて、砕氷を砕く──

 

 

アンジェリカは今止めなければ不味いと感じたのか、倉のなかから大剣を取り出し、士郎に向かって走り出す。

 

 

 

我が生涯は未だ果てず──

 

 

けれど──

 

 

アンジェリカは既に士郎の1歩前まで来ており、その大剣を今にも士郎に振るわんとする。

 

 

 

偽りのこの体は──

 

 

アンジェリカが斬りかかる。しかし、その剣が士郎を斬り裂く事は無かった。

 

 

それでも剣で出来ていた!!

 

世界が一変する

 

 

アンジェリカは剣を振り下ろした体勢のまま絶句しており、動きが止まっている。

 

 

それもそうだろう。目の前にいたはずの敵はいつの間にかいなくなり、場所は先程までいた大空洞ではなく雪原によく似た“剣製”と言えるような場所に変わっていた。

 

 

それは夢のように儚く、幻のように消えやすい印象を持たせる。これは()なのか?と錯覚するほどに

 

 

だが、確かに剣製は存在していた。だが、それは“無限(ムゲン)”と言うにはあまりに出来すぎた夢幻……まさに、“夢幻(ムゲン)の剣製”だった。

 

「これは……………………」

 

「個と世界、空想と現実、内と外とを入れ替え、現実世界を心の在り方で塗りつぶす。魔術の最奥『固有結界』……ここは(英霊エミヤ)の、そして俺の心象風景だ…………なぁ、お前には何に見える?」

 

士郎はそう語ると同時に雪原(剣の丘)を見渡す。

対する英雄王は未だに驚きのあまり、固まったままだ。

 

「無限の剣を内包する世界。俺にはこの全てが、墓標に見えるよ。」

 

文字通り、この雪原に刺さっている剣の一つ一つはかつて、何処かの戦士が、あるいは狩人が、あるいは蛮族が、あるいは侍が、あるいは英雄が使った武器なのだろう。

その持ち手から離れ、雪原に突き刺さっている風景はまるでアーサー王の最後の地と言われるカムランの丘を想像させられるほど、墓標を思わせるものだった。

 

「悪いが付き合って貰うぞ。俺の(からだ)が尽きるまで!」

 

そう言うと士郎は、一振の剣を地面から抜き、それをアンジェリカに向けた。まるで、宣戦布告するように。

 

「…………勘違いをしていた。貴様は元より、勝ち負けの舞台にすらたっていなかったのだな。他者の命も、自分の命も勘定に入れぬ、獣に劣る存在…………

 

まさしく似合いの光景だ、偽物(フェイカー)!貴様こそ死者を真似た人形その物……望み通り墓標の下に沈めてやろう!

 

その宣戦布告に乗るように、アンジェリカは先程と比べ物にならない数の黄金の波紋を展開する。

 

しかし、そのどれもが、武器を射出する前に剣製から放たれた剣によって、そのどれもが蔵の中へ押し戻されてしまった。

 

「何!?射出前に──!?」

 

「遅い!!」

 

アンジェリカが驚いた一瞬、士郎は自信に強化魔術を使い、一瞬でアンジェリカに接近し、無銘の剣でアンジェリカの首を斬り裂いた───

 

否、斬り裂いてはいなかった。アンジェリカは即座に置換魔術を使用し、士郎の剣技を防いでいたのだ。

 

「舐めるなよ、エインズワースを!!」

 

アンジェリカが置換魔術を使用していなければその首を跳ねる程の力を込めていた士郎はその一撃を避けられた事により体制を崩した。

 

たった一瞬。士郎は天空20mに強制的に転移させられていた。

 

「空間置換!?」

 

「戯れは終わりだ……来い!『千山斬り拓く翠の地平(イガリマ)』『万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)』」

 

山を斬り裂くほどの巨大な剣と、海を焼き祓う水平の剣は同時に士郎に襲いかかる。

 

本来ならば、それは神造兵装……神が作った仕組みが未知なる武器。士郎には投影できるはずの無いものだ。

 

しかし、士郎はその“中身”を、投影せず外見だけを投影し、同じ質量の剣をぶつける事によって威力を相殺。

 

剣を足場にする形で落下速度を減少させ、大怪我は免れ、そのまま雪の大地に墜落した。

 

固有結界全体が、先程の万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)の炎で燃え上がる。

 

炎と煙の先には英雄王が突っ立ったままだった。

 

「貴様の存在は破綻している。我々在来人類最後の神話において、貴様の存在は汚点に過ぎない。」

 

そう言い、アンジェリカは1歩、また1歩と士郎へ近づいて行く。

 

「その忌々しい能力も、その不可解な魔術行使も、その死人めいたおぞましい信念も……全てを斬り裂こう─

貴様の世界ごと!

 

そう言うとアンジェリカは蔵の中から英雄王の最強の宝具を……世界を裂き、神々との決別に使われた乖離剣エアを取り出し、起動した。

 

士郎は驚きのあまり、言葉が出ない。

それはそうだろう何故ならあの剣は……否、剣とすら呼んでいいのか分からない兵器はたった1本しか存在しない概念。

 

形、質量だけを投影した所で無意味な“究極の一”……“無限の剣”では到底届かない程の力を秘めた物だからだ。

 

「あぁ、確かにその剣に見合う剣はこの世界のどこにもない。だから……無作法で悪いが、全霊は──」

 

士郎は目を閉じ世界全体にイメージを、戦意を送り込む。同時に地面が……否、世界そのものが揺れ始め、空には数え切れないほどの剣が……この世界全て(無限)の剣がアンジェリカに狙いを定める。

 

(この世界)の全てで返させてもらう!」

 

「原初に帰れ!『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』」

 

そして、その全てがアンジェリカが放つ宝具に向かって射出される。

 

アンジェリカの方からは世界を斬り裂く究極の一撃が放たれる。

 

力の差は歴然。世界を裂く一撃にただの剣が耐えられるはずもなく、全ての剣がその一撃にあたる度に消滅する。

 

絶剣、名剣、聖剣、魔剣、邪剣、宝剣、神剣、業物、魔剱、妖刕、鋭刃、鈍、刀、名刀、妖刀、宝刀、鈍刀。

 

あらゆる種類、形、能力をした剣のどれもが、塵も、欠片も、跡形も残さず、いとも容易く消滅する。

 

明らかに士郎の方が押されていて、10秒も……嫌、5秒たりとも持つはずはない。

 

しかし、士郎はこんな状況でも諦めなかった。

全てはたった1人の妹を守る為に、自身の命すら捨て、人類全ての悪となっても戦い続けるであろう信念だった。

 

「力を貸せぇぇ!!クラスカード人類悪(ビースト)夢幻召喚(インストール)!!」

 

地獄の番犬を自称する英霊を自身に憑依させる。

たったそれだけで贋作を投影する速度、そして贋作の質が限りなく本物に近付いた。

 

「正体不明のクラスカード……それも我らエインズワースには必要の無いもの。まとめて滅びされ!贋作者(フェイカー)!!」

 

それでも、乖離剣エアの力には及ばずついに一撃は士郎の元に到達する。

 

士郎の意識は少しづつ遠くなるが同時に士郎は小さな笑みを浮かべた。

 

その時に士郎から何かの繋がりが切れたのだ。

それはこれまでこの世界の維持を支えた魔力。

 

これまでの士郎の戦いを全て支えてきた聖杯(美遊)との繋がりが切れたのだった。

 

だが、それは敗北ではなく……士郎にとっての勝利の証だった。

 

(大丈夫だよな美遊…………きっとお前なら、すぐに友達もできるさ…………

 

 

でもやっぱり

 

もっともっと、色々と教えてやりたかったな

 

 

 

そういや、海に連れていく約束、忘れてた

 

 

 

まずいなぁ、怒ってるかな美遊、怒ってるよなぁ……

 

 

 

まあでも、俺もちょっとは頑張ったし

 

 

 

許してくれよな……美遊

 

 

 

どうか、幸せに───────)

 

胸に少しの後悔と心残りを秘めたままだが、既に覚悟を決め終え、自分の役目を果たした、たった1人の為だけの英雄(衛宮士郎)は笑みを浮かべながら手を掲げる。

 

 

 

「勝ったよ…………切嗣、兄さん。」

 

 

 

天国、もしくは地獄にいる家族への思いを込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、お前の勝ちだよ士郎……なぁ〜んだ!たった一瞬とはいえ、お前でも俺には勝てるじゃないか!たったこれだけのサポートで英雄王の一撃を10秒も耐えきるなんてさ!」

 

アンジェリカは信じられない光景を見ていた。

そこには、世界を裂く一撃を、受けたのに、未だ無傷で立っている贋作者(フェイカー)がいたのだ。

 

「馬鹿な……ありえない!!……何故、乖離剣の一撃を受けて尚、無傷で立っている……貴様、贋作者(フェイカー)……嫌、違う!貴様一体何者だ!!」

 

アンジェリカは、問いかける。

そこにはアンジェリカが失ったはずの感情が…………恐怖の色が見て取れる。

 

“それ”を認めたくはなかった。

“それ”は人の姿をした化け物……この世の物とは思えない魔力を、神秘を、そして呪いを放っていた。

 

「ん、俺か?」

 

“それ”がアンジェリカの方を向く、それは衛宮士郎の体を借り、限界した“悪”……破壊の化身だと思わされた。

 

 

「そうだな……俺はな───

 

 

 

 

 

 

───ただの守護者だよ。」

 

爆風が走る。

アンジェリカの目の前から、衛宮士郎の世界が崩壊する……否、それは崩壊ではなかった。まるで光が闇に呑まれるような光景。

 

太陽が上り、月を呑み込み、地上は暗闇に包まれた。夢であり、幻であった“夢幻の剣製”は一瞬にして世界を映し出す影……“無限の幻影”へと姿を変えた。

 

「これは─────」

 

アンジェリカは絶句する。

この世界自体は先程の剣製によく似ていた。

 

だが、似ているようで全く似ていなかった。

先程まで雪原だった場所は荒れ果てた荒野に──

 

贋物(ニセモノ)”だった剣は全て“真物(ホンモノ)”に───

 

そして何より、そこには無数の宝具があった。

それだけなら驚きはしないだろう。なぜなら、英雄王のように無数の宝具を使う英霊がいても可笑しくはないからだ。

 

しかし、それは明らかに異常だった。

ただの宝具のみならず、神造兵装や、見たことの無い武器がそこらかしこに存在していた。

 

「俺の宝具『無限の幻影(アンリミテッド・シャドウ・ワールド)』……文字通り、この世界の影を映し出す物さ。神造兵装の10個や、100個、あっても驚かないでくれよ?」

 

“それ”は平然と語る。まるで、この風景がさも当たり前のように……それは生物ならば恐怖を覚える冷たい声だった。

 

「そうだ、そうだ。俺が何者だったかだよな?俺は、あんたらが言う通り、贋作者(フェイカー)でありそして…………この世全ての悪を喰らいし、守護の獣だ。そして俺の真名(なまえ)は───」

 

アンジェリカはこの瞬間悟った。

“これ”だけは、自分の世界に連れて行っては行けないと、これに、負けては行けないと!!

 

「クラス人類悪(ビースト)、空想上の可能性『if』、この世全ての悪と聖杯を喰らいし者、そして……衛宮家の長男………………

サーベラス・フォン・アインツベルンだ!」

 

自身の名を語った瞬間、獣がごとき、殺意がアンジェリカに向けられる。

 

「行くぞ、英雄王…………武器の貯蔵は十分か?」

 

静かに語られるその言葉は死の概念を押し付けてくるように冷たかった。

 

「くっ……滅びろ!『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』!!」

 

アンジェリカの行動は早かった。フルパワーに近い威力で乖離剣の一撃を放つ。先程までとは違い、手加減は無しなのだしかし、次の瞬間アンジェリカに突きつけられたのは…………

 

「直死……投影開始(トレース・オン)……乖離剣よ、世界を裂け……原子は塗り固まり、天は堕ち、地は消え去る──天変地異を今此処に……『天地乖離す開闢の死星(エヌマ・エリシュ)』」

 

同じ威力の、同じ能力の、同じ世界を裂く一撃により相殺され、絶望がアンジェリカに突きつけられた。

 

そして、一瞬……

 

「お終いだ。」

 

アンジェリカは未知なる英霊に……人類の悪により、断ち切られ意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ〜……全く疲れるなぁ〜。ギリギリで殺さず、英雄王との繋がりのみを断ち切るなんて無茶な技。俺じゃなきゃできないぞ?」

 

俺は俺しか聞いていないと言うのに、自然と愚痴をこぼしていた。

 

現状、俺を夢幻召喚(インストール)したまま、意識を失った士郎の体を一時的に借りる事によって俺は現界している。

 

目的は1つ!我が弟、士郎と、その後輩の幸せを願うためにここにいる。

 

「さてさて、英雄王のカードは回収して……って無い!?もしかして美遊に引っ張られて先に持ってかれた!?クッソ……ここで壊してやろうと思ったのにぃ〜!!」

 

あぁ、本当に残念だ。

あの愉悦金ピカ慢心野郎のカードが無ければこれからも事故は起きないかもしれないのに…………

 

あぁ、もう!!これだから英雄王は嫌いなんだ!

はぁ〜、胃痛がする。

 

嫌、正式には胃痛がしている気がするだけで胃痛は無いけどね。

 

だって、士郎の体は健康的だもの。

そんな事より、とっととやる事だけやって、座に帰りますか。

 

そう思い、俺は影を使い、一瞬で衛宮邸まで移動する。

現在、衛宮邸にいる人物といえばたった1人、そう!この世界の間桐桜ちゃん!

 

今回俺は桜ちゃんと士郎を幸せにする為にここに来たんだ。とっととやらないと、抑止力に、引き戻されちゃうからねぇ〜!!

 

「貴方……誰ですか?先輩じゃ、ありませんね!!」

 

「っと、肝心の桜ちゃんは敵意MAXと……嫌、確かに俺は士郎じゃないけどさ?同時に、紛れもない士郎の体なんだよ?今回はちょっとそれを借りてるだけ。何も振るつもりは無いから落ち着いてよ。」

 

「本当に、貴方が何もしないという保証は?」

 

やっぱりそこを聞くよね……この場合の返答は……

 

「俺は士郎の兄さんだよ。証拠はそれだけさ。さてと、突然だけどちょいとだけチクッとするから我慢してね!」

 

そう言い、俺はちょいとした魔術を行使する。

 

「え!?ちょ、何をするんですか!?」

 

その魔術はいわゆる変身の魔術……と言っても俺風にアレンジして、他者の姿を別の物、にするようにしたものだけどね?

 

これにより、士郎の肌の色をアーチャー(士郎)と同じ、褐色肌へ、髪色も俺やイリヤに似た白へと変える。

 

そして、桜ちゃんの見た目も変える。

その見た目は俗に言う黒桜!まぁ、自分で黒桜の部屋とか言う物を開くぐらいだし、これぐらいはいいよね。

 

「あれ?なんで私の髪色が……それに先輩の肌の色や髪色まで!?」

 

突然、自分と士郎の見た目が変わった事に桜ちゃんは驚く。まぁ、それも仕方ない訳だが……時間が無いな。

 

「時間が少ないから手短に教えさせてもらうよ。俺はこれから、自分の中の力を使って、桜ちゃんと士郎を美遊ちゃんと同じ、平行世界へと飛ばす。そして、その世界にも、間桐桜や、衛宮士郎ら存在するんだ。世界のバランスを保つ為、みたいな物かな?君達の姿をほんのちょいとだけ、変えさせてもらったよ?」

 

「え、え?どういう事ですか?何ですか?その、私と先輩と美遊ちゃんが別世界に飛ばされてそこで暮らすみたいな言い方は?」

 

「大正解!まぁ、戸籍とかは、万能の聖杯の力によって作ってるから、あっちで暮らすには障害はないと思うけど、勝手に飛ばすってのもややこしいからね?見ての通り、士郎は寝てるから代わりに桜ちゃんに、教えに来たって訳。」

 

「ちょっと待ってください。という事は本当に貴方は先輩の…………」

 

「無駄話はここまでのようだね。さてと……これが俺が聖杯に頼む初めての願いだ。

 

聖杯たる我が願う──

 

 

士郎と、桜ちゃん……そして、美遊ちゃんに幸せを」

 

 

「え?何ですか、これは?体が浮いて……」

 

「それじゃあ、桜ちゃん!士郎によろしく伝えておいてね!後、いいお嫁さんを貰ったなとも!」

 

最後に伝えたい事だけを伝えて、桜ちゃんに後を託す。

 

「え、ちょ!?それって!?」

 

おぉ、顔が真っ赤に、それもまるで、士郎の赤いマントのような……うん、これ程、士郎のことを好きだと思ってくれてるなんて、本当にいいお嫁さんを貰ったな、士郎!兄さんは嬉しいぞ!!

 

結婚式に参加出来ないのは残念だけどね……

 

「それじゃあ、俺の義理の妹になる者よ!家の弟と末永くお幸せに!後、俺は会ったことないけど、美遊も俺の妹だからな、美遊の事も頼んだぞ!!」

 

 

そして、俺は意識を士郎の体から再び闇に落とす。

次に目が覚めた時にはもう英霊の座…………

 

 

では無く、鏡によく似た世界(冬木)の中のアインツベルン城だった。

「なっ、、、なっ、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでさぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

守護者の声が、誰も居ない城に響いた。




作者の〜次回予告!
さて、今回はゲスト達が次回予告をしてくれるよゲストは遠坂凛さん(SN)と、ライダー事、メドゥーサさんです!

凜「うぅ〜(涙)良かったね、桜!本当に良かったね!」

ライダー「本当に、おめでとうございます桜!そしてありがとうございますサーベラス。うぅ(涙)」

フォウ「フォフォフォーウ!(僕をハンカチ代わりに使うんじゃない!)」

え〜と……フォウくんも、ゲスト達も使い物にならなそえなんで普通に俺がやりますか……え?尺が無い、本編に使い過ぎたからタイトルだけ?

そんなぁ!?

次回!「風雲 アインツベルン(サーベラス)城」お楽しみに!

うぅ……語り足りない。


活動報告で意見を募集しております。良かったら是非。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=248336&uid=308592


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風雲 アインツベルン(サーベラス)

前回の三つの出来事!
一、衛宮士郎が英雄王と対決、美遊を逃がす事に成功した士郎の勝利。
二、自身を、夢幻召喚(インストール)した士郎の体を借り、サーベラスは英雄王を撃破、桜と士郎を平行世界へ送る。
三、サーベラスが、目を覚ますとそこは鏡面界内の冬木アインツベルン城だった!
では、本編をどうぞ


「なんでさぁぁぁぁ!?」

 

 

なんだよ、起きたら鏡面界のアインツベルン城でしたって!?

 

何!?俺は、黒化英霊なの?妹達と戦わなきゃ行けないの?ふっざけんじゃねぇ抑止力めぇ!!

 

「はぁ〜……本当に、胃が痛い……」

 

そもそも、英雄王並に強い俺を黒化英霊にしていいのかよ……理性を失った俺なんて、ただの人類悪(ビースト)ifだぞ。

 

抑止力は何してんだよ!?働けよ!

俺なんて化け物を野放しにしたら人理が滅びるぞ!?

 

…………自分で言ってて悲しくなってきたからこの話はやめよう。

 

とりあえず、探索でもしますかね?

と言っても、まんま冬木のアインツベルン城っぽいしなぁ……-

 

イスカンダルが、王道がたりをしていた中庭も、前に来た時にセイバー達が歩いていたこの廊下も、父さんが狙撃銃片手にスタンバイしていたこの部屋も……全てが第四次聖杯戦争に戻ったような空間になっているのだ。

 

なんの因縁かな……本当にあの時のまんまじゃないか。

この世界では第四次聖杯戦争なんて関係無いと思ったんだけどな……

 

「さて、改めて現状を把握しよう。」

 

俺は恐らく黒化英霊として扱われる事になり、十中八九イリヤや、凛ちゃんに討伐されなくては行けない側だ。

 

それは分かっているのだが、肝心の相手の戦力が不明だ。原作は、何処まで進んでいるかが不明だからな。

 

果たして、今のイリヤ達の戦力はどれくらいなのか……バーサーカーを退治してすぐなのか、後に現れるであろう“もう1人のイリヤ(聖杯としてのイリヤ)”こと、クロエを仲間にしたばかりなのか。

 

それとも、英雄王戦前なのか……この三つのうちどれかしかありえない訳では無いのだが可能性が高いとは認識している。

 

鏡面界って言う異界は英霊の人数が多ければ多い程、広くなっていく習性がある。

 

その為、俺一人しかいないこの空間はアインツベルン城全てのみが鏡面界と化しており、アサシンがいるはずのアインツベルンの森に鏡面界の反応はない。

 

要するに、少なくともアサシン討伐後。

つまりは、イリヤも覚悟を決め終えた事だろう。

 

お兄ちゃんとしては負けてやりたいのだが、どうせなら英雄王の対策ぐらいはつけて欲しいからな。

 

悪役演じて妹達を鍛えますか!よし!

そうと決まれば、早速罠でも仕掛けますか!

 

作戦名は……まぁ、ここはあのミニコンテンツから貰って、『風雲 アインツベルン城!』とでもしますか!

 

え?サーベラス城?ないない。俺、城とか構える趣味じゃ無いから。さて、容赦ない罠を仕掛けまくるか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは!私はイリヤです!

とある事情から魔法少女をやっているんだけど、色々と、思ってたのと違うんだよね。

 

でも、そのおかげで、私にもクロって言う妹もできたし。美遊と言う親友も出来た。

 

それに、ルビーやサファイア、凛さんとルヴィアさんそして、桜さんや士郎さんも大切な人達だよ。

 

私は今、魔法少女になった原因であるクラスカードの回収を凛さん達としている。

 

最初はクラスカードは7つしかないと言われたのだけど、まだ、怪しい所が2つある後から判明したことで今、またこうして戦う為に呼び出されたところなのである。

 

「ちょっと、イリヤ!話聞いてる?」

 

「あっ、ごめんなさい凛さん。ちょっと別の事考えちゃって」

 

「はぁ……あのね、今回の敵は恐らく桁違いの力を持ってるから、ちゃんと対策を取らないとダメじゃない。

 

“朔月”君に聞けば、彼が知っている残りのクラスカードは人類最古の英雄王である、アーチャー『ギルガメッシュ』と、謎に包まれたクラス、人類悪(ビースト)のカード『ケルベロス』だけよ。

 

そのどれもが強敵……英雄王は英雄達が使った宝具の殆どを使うし、ケルベロスに至ってはケルベロスにあらず、クロの元になったアーチャーのクラスカードの英霊“エミヤ”と同じ投影魔術が主だと聞いてるわ。」

 

お兄ちゃん達と同じ名前の英霊……アーチャーのエミヤ………クラスカードだけじゃあ彼の事を詳しくはしれない。

 

このカードを身体に持つクロでも分からないことだらけだし。

 

「と言う事は、相当、気を付けなきゃ行けないわねリン……貴女達、確かキャスターの時に鏡面界に入った瞬間、大量の砲撃でお出迎えされたのよね。」

 

「えぇ、そうですわね……あれ程、わたくし達の対策を取っていた英霊はキャスターが最初で最後。それ以降は特に居ませんでしたからね。」

 

「クロが言いたいことはわかった。要するにもう1回あぁ、なると?」

 

「その通りよ、美遊。そのケルベロスが言っていた事を信じるなら、英雄王は慢心ばかりしているわ。だから、英雄王の場合、私達を見つけてから攻撃を仕掛けてくるわ。でもケルベロスはどうかしら……地獄の番犬を名乗ってるってことはそういう物が得意だとも推測できるわ。」

 

「ケルベロスだとか、そんなのゲームでしか聞いた事ないよぉ…………」

 

多分、歴史か神話に書かれてると思うけど、つい最近まで普通の小学生だった私には分からないことだらけだよ。

 

織田信長とか、徳川家康だったらまだ分かるんだけどな〜

 

「ケルベロスとは、冥界の門を守護している“三つの首”と“蛇そのものと言えるの尻尾”を持つ犬のような怪物の名前。

 

ケルベロスはハデスからの命令で、冥界の出入りなどを守るように命令を受けて、ほかの神や、生者が通らないように門を守っている大きな犬の姿をした怪物

 

死者の魂が冥界にやって来る場合にはそのまま冥界へ通すが、冥界から逃げ出そうとする者を捕らえて食べると言われてる。これが地獄の番犬といわれる由来。

 

また、甘い物が大好きで、蜂蜜と小麦の粉を練って焼いた菓子を与えれば、それを食べている間に目の前を通過することが出来ると言われてる。

 

この事から、外国のことわざで自分にとって、対応が難しい相手などに賄賂を渡して見逃してもらう事等を【ケルベロスにパンをあげる】と言う。」

 

「流石、美遊……小学生とは思えない程の知識量。」

 

「どんな教育をしたらこうなるのか逆に知りたいですわ。」

 

「あはは……家には絵本が少なくてつい、歴史や勉強の本ばっか読ませてたからな。そのせいで、頑固な発想が身についてしまったんだと思う。」

 

「まさかの独学と言う名前の英才教育!?」

 

士郎さんってもしかして親バカならぬ兄バカなのかな?

この人は“朔月士郎”さん。

 

肌と髪の色以外は私のお兄ちゃんにそっくりな美遊のお兄ちゃん。

 

美遊と出会った次の日に美遊が魔法少女を始めた事がバレて私達を手伝う事になった人で、なんでも、一般人よりかは魔術を使うのも、戦闘にも慣れているらしいけど、戦闘のレベルは私達や凛さん達よりも大きい。

 

クロによると、投影速度と、質、硬さ、鋭さ、そして、明確なイメージ力が段違いらしくて、クロが使うような白と黒の双剣を初めとした沢山の剣を使いこなす凄い人だ。

 

でも本人は……

 

──これでも、少しばかり、かじっただけなんだよ。家の兄さんなんて、14歳ぐらいの年頃で強化魔術だけで崩れ落ちる崖から俺を助け出したり、山登り中に現れた熊を大量の剣を投影して近付けないようにしたりしてたからね。

 

そう言われた時はクロと凛さんと一緒に“どんな怪物兄さんよ”って叫んだっけ。

 

「皆さん、お茶を入れてきたので良かったらどうぞ。」

 

「ありがとうございます桜さん。」

 

「ありがとうね桜。」

 

「遠坂さんも、少しは休んでくださいね。考え過ぎるのも毒になるので。」

 

この人は“朔月桜”さん。

士郎さんの奥さん……なんだけど、本人達はその事を聞くと顔を赤くして否定する。

 

2人とも、満更でもなさそうだし、よく2人で仲良く料理をしているから、やっぱり夫婦なんだな〜と思わされるけど。

 

こういう仲のいい夫婦の事を“おしどり夫婦”って言うんだよねって美遊に聞いたら、意味としてはあってるけど、おしどりって言うのは本当はあまり仲が良くない鳥だって教えてくれたね……う〜ん……あまり知りたくなかったな。

 

最後に、知識豊富で運動も勉強も得意(と言うか、ちょっとオーバースペック)な私の友達“朔月美遊”

 

士郎さんによる英才教育(無意識)により、勉強のレベルは多分、高校三年生ぐらいはあるんじゃないかと思う。

 

でも、冬木市に引っ越してくる前までは少ししか家から出ていなかったらしくて、ちょっとだけ世間知らずな所がある。

 

後、たまに私の“変なスイッチ”を入れてくるけど……気にしない方がいいよね!

 

改めて、今やっている事を説明すると、美遊の家に集まって、新しく判明した2つのクラスカードをどうやって回収するかの作戦会議をしているところだよ。

 

 

なんでも、片方のカードは“英雄王”って呼ばれる程、強い英霊で、もう片方もその英雄王を倒す程強い英霊何だとか……本当に私達が勝てるのかな?

 

「ありがとう、桜。それじゃあ、改めて英霊ケルベロスと英雄王について、俺が知っている事を全部話そう。その上で、作戦会議をするって事でいいよな?」

 

「えぇ、お願いね朔月君。」

 

「貴女達もよく聞くのですよ。作戦は全て上手くいくとは限りません。いざと言う時は貴女達が自分で判断する事になりますわ。その為に、少しでも多くの情報を覚えなさい。」

 

「「「はい」」」

 

「それじゃあ、先ずは英霊ケルベロスについてからだな。英霊ケルベロスは俺に手を貸してくれた英霊だ。

クラスは人類悪(ビースト)と言う正体不明のクラス。真名はケルベロス……と名乗ってはいるものの実際には違う可能性が大きいな。」

 

「え?自分で名乗ってるのに?」

 

「イリヤ……あんたそれ本気で言ってる?どう考えたって偽名に決まってるでしょ。ケルベロスって言うのは、さっき美遊が言ってたように、首が三つある犬のような怪物よ?それが、人語を喋ったり、投影魔術を使うと思う?」

 

「そう言われるとなんも言えないや……」

 

「まぁ、説明を続けるぞ。英霊ケルベロスには恐らく、今の所の俺達の最強の武器、クラスカードは通じない。」

 

「何ですって!?」

 

「どういう事ですの!?」

 

クラスカードが通じないなんて、そんなの嘘だよね!?

今の私達の戦術は半分くらいクラスカードに頼ったものが多いんだよ?

 

「まぁ、説明するから落ち着けって……英霊ケルベロス、そのクラスカードを俺は何回か限定展開(インクルード)している。でも、その度に武器が変わっていたんだ。最初は、干将・莫耶、次は約束された勝利の剣(エクスカリバー)……あいつの意思で変えられるところを見ると、恐らく神造兵器等も投影できる可能性がある。」

 

「神造兵器……という事は約束された勝利の剣(エクスカリバー)すら、投影できると考えた方がいいかしら?」

 

「実際に、投影していたからそう考えてくれ。こう聞くと強いとしか思えないだろうが、ケルベロスには弱点も存在する。」

 

「弱点……やはり、ケルベロスを名乗る程ですからヘラクレスのカードが弱点なんでしょうか?」

 

「嫌、それも違うな。ケルベロスの弱点……それは全力を出せない事だ。」

 

「全力を……」

 

「出せない?」

 

「そう、不思議に思うかもしれないが紛れもない事実だ。ケルベロスは“俺の力はあまりにも強大すぎるから、空間への影響はでかいし、抑止力に消されかけるし、魔力消費が大きいしと、メリットよりかはデメリットが多いんだよね〜”っ自分で言ってたし、実際そうだったからな。」

 

自分から弱点を晒す英霊なんているだ……嫌、その時は確か士郎さんに協力していたらしいから、自分の使い方を教えていたのね。

 

そう考えると……やっぱり変なの。

 

 

〜ここからはダイジェスト〜

 

それからはとても早かった。

作戦会議が終わって、アサシンがいた森の近くの鏡面界に行くことになって…………

 

「「またこれぇ(ですの)!?」」

 

凛さんとルヴィアさんがまた底なし沼にハマって……

 

「アハハハハ!何よそれ!」

 

【いや〜いつ見ても滑稽ですねぇ〜!ルビーちゃん的に面白いです!】

 

「「笑ってないで助けなさいよ!!?」」

 

クロとルビーが大爆笑して、凛さん達が怒ってと、色々あったけど、ようやく鏡面界が確認された場所に着きました。

 

〜ダイジェスト終了〜

 

「うわ〜……冬木にもこんなお城があったのか。」

 

「ホントよね……この前来た時は気付かなかったわ。」

 

「相当、強い結界が貼られていて、目的がなきゃここには自然と近付けないようになってるみたいですわ。」

 

そうなんだ……という事はここにも魔術師がいたりしたのかな?

 

「まぁ、そんな事はどうでもいいわね。ルビー、サファイア、鏡面界へ飛ぶ準備を。」

 

【はい、限定次元反射路形成。鏡界回廊一部反転。接界(ジャンプ)します!!】

 

【気を付けて下さいよ〜!いつぞやのキャスターの時みたいに、準備万端で待ち構えてるかも知れませんから。】

 

「そこら辺は安心してくれ、念の為に俺は『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』を、桜は影を展開してくれてるからな。」

 

「守りは私達にお任せ下さい!美遊ちゃん達は攻撃に専念して!」

 

「「「はい!」」」

 

ようやく、私達は鏡面界に着く。その瞬間……

 

やっぱり、と言うべきか、クロや、士郎さんがよく使っている白と黒の剣が何個か飛んできた。

 

それらは全部、士郎さん達が貼ったバリアによって防がれて、私達に当たることは無かった。

 

「やっぱり、干将・莫耶が……美遊、イリヤ、クロ、気を付けろ。恐らくだが罠が貼られてる。」

 

「罠ですって!?黒化英霊って言うのは正気を失って、狂ってるんじゃない……っ!?早速、剣が飛んできた!?」

 

「凛さん、危ない!?『斬撃(シュナイデン)』!!」

 

間一髪で、私が放った斬撃(シュナイデン)が、凛さんに飛んできた剣を壊した事により、凛さんに剣が当たることは無かった。

 

「ありがとう、イリヤ……何よ今の、私を狙ってきていたのに殺意は込められていなかった……もしかしてこれも罠!?」

 

どうやら、何個も罠が仕掛けられてるらしい。なんだか、ゲームとかでよくあるダンジョンのような雰囲気になってるような……

 

「さながら、ゲームのラストステージってとこ?解析出来ないほどの罠があるなんて聞いてないわよ。私はクラスカード回収は初めてだけど、あえて言うわ。一筋縄じゃ行かないわよこれ。一つ罠が発動したら、次の罠へ繋がるようになってるから、下手に動かない方がいいわ。」

 

「クロの言う通りですわ。ここは慎重に、一つ一つ罠を解除していくのが正解ですわね。」

 

「ただそれだと、一つだけ問題が…………」

 

「問題?それってなんですか?」

 

「イリヤ……あなた本当に馬鹿?」

 

「何よクロ!?そんなに強く言わなくたっていいじゃない!」

 

「言うわよ。だって、ここは鏡面界よ?当然」

 

■■■■■(偽・螺旋剣)!!」

 

「黒化英霊がいるに決まってるわよねっ!!『偽・偽・螺旋剣(カラドボルグIII)』」

 

クロが放った剣により、黒化英霊が放った剣は相殺された。正直に言うと、罠のせいで黒化英霊の事を忘れてた……

 

黒化英霊の姿を見る。

今までの黒化英霊と違い、腕や、脚まで黒くなっていて、そこからは鋭い爪のような何かが出ていた。

 

遠くから見てるから分かんないけど、私達と同じくらいの身長の子供みたいな姿をしている。

 

顔は……何かで隠されてるのかよく見えない。服も同じだ。

 

「もっと獣みたいな姿を想像してたけど……あれじゃまるで、人間の子供ね…………兎に角、やるわよ!

 

「言われなくても分かっていますわ!」

 

「「『ガンド!』」」

 

「うん!行くよ、美遊、クロ!『砲撃(フォイヤ)』!」

 

「任せて、イリヤ。『砲撃(シュート)』!」

 

「それじゃあ私も……投影開始(トーレス・オン)。さぁ、思いっきり行くわよ!」

 

私達が魔力で作られた弾を、凛さんとルヴィアさんがガンドを、クロが黒と白の剣を黒化英霊に向かって放つ。

 

だけど、そのどれもが、黒化英霊に当たることは無かった。

 

何故なら、黒化英霊はそれぞれ別の方向から飛んでくる攻撃を……

 

「──直死」

 

そう呟いた一瞬で消し去ってしまったからだ。

ってえぇぇぇぇ!?何あれ!?目が蒼く光ったかと思ったら腕を振るだけで私達の攻撃が、消えて……えぇ!?

 

「なんで……剣との繋がりが切れて……壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)が使えないなんて……壊れても数秒間は保つ繋がりを断ち切るなんて……それじゃあまるで、攻撃そのものを“殺してる”みたいじゃない!?」

 

クロの一言……納得させられるものもかなりある。

凛さん達が使うガンドって言う魔術は当たれば相手を痺れさせる事のできる魔術らしい。

 

それを痺れずにかき消すなんて、攻撃を“殺した”というしかないだろう。

 

【美遊様、イリヤ様、クロエ様、お気を付けください。あの英霊の“眼”は魔術世界でも最強格と言えるようなレベルの“魔眼”です。】

 

【どうやら、見る限りでは“静止の魔眼”とかの能力や動きを静止させる系かとも思われますが、少なくとも、腕を振る事で攻撃を殺してるのなら、魔術世界でも珍しい物体の死を見ることの出来る眼、“直死の魔眼”でしょうね?】

 

「ちょっと待ちなさいよ、ルビー、サファイア……直死の魔眼って、見たものを殺す魔眼じゃなかったの?」

 

【えぇ〜、見たものを殺す魔眼なんてあったら、人類はあっという間に絶滅してますよ?直死の魔眼は先程も言ったように物体の“死”を何か形として見るんです。一般的には赤黒い線のような何からしいですけど……直死の魔眼持ちはその線を何かしらでなぞることにより、物体をその部位から“殺す”……まぁつまりは“死”を与えれる訳ですよ。】

 

「ちょっと待ってよルビー……それってつまりあの英霊は無敵なんじゃ……」

 

【いいえ、それは違いますよイリヤ様。いくら物体の“死”を見れても、それは視界の中の物体に限られます。脳が認識できる景色の中の“死”を映し出すのがあの魔眼です。後ろにいる相手の“死”は見られないです。】

 

「つまりは、後ろに回り込めばいいってことね?」

 

「兎に角、一旦出直して作戦会議をするわよ!ルビー、サファイア!」

 

【【了解(しました)!】】

 

こうして、私達と謎の英霊ケルベロスとの初戦は私達の負けという事になりました……死を見るって本当に勝てるのかな?




作者の〜次回予告!
皆さん、新年あけましておめでとうございます!作者のライデンです。
あぁ、今年も頑張らなきゃな……

ちょっとした報告ですが、作者は1月から3月までに大事な大事な悪夢のイベント、受験を控えているので、ただでさえ遅い登校ペースがさらに遅くなってしまいます。

なので、自分目標で1ヶ月にからなず1話としていたのですが、もしかしたら3カ月間更新停止なんて事もあるかもしれません。

ですが、更新は再開するつもりなので、気長にお待ちいただけると嬉しいです。

正直に言うと、ウルトラクロニクルZでウルトラマンティガが流れるらしいから、それを見たいけど受験勉強の方が大事!!という気持ちがあり、何かの弾みにティガ全話を見てしまうかもしれないので、勉強だけに集中する為に自分を娯楽などから隔離するってのもあるんですがね。

それでは、次回予告に戻って、

作戦会議を終え、再びケルベロスと戦闘を始めたイリヤ達。

人数の多さを武器に戦うものの、ケルベロスの戦闘技術によって全ての攻撃を防がれてしまう。

サーベラスの猛攻に苦戦するイリヤがとった策とは?

次回 「別世界の兄」

お楽しみに〜!
良いお年をお過ごしください!!


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別世界の兄

前回の超簡易的なあらすじ
サーベラスと、魔法少女チームは戦闘するが直死の魔眼に苦しめられ、魔法少女チームは一時撤退をする。

作戦会議を開始し、何とか、サーベラスに勝とうとするが?
本当に勝てるの!?詳しくは本編で!


「それじゃあ、緊急作戦会議を始めるわよ。まず先に対策すべきなのはやっぱり、あの直死の魔眼よね。」

 

え〜と……私達は今、鏡面界から逃げてあのケルベロスの名前持つ黒化英霊の能力『目に映った物体を絶対殺せるようになる魔眼(直死の魔眼)』の対策をとる所です。

 

「でも、本当に対策なんてとれるんですか?相手はその……なんでも殺せる英霊なんでしょ?」

 

「問題はそこよね……どんなに攻撃してもあの魔眼の前には無意味になるのよね。恐らく煙幕とかも効かないだろうし厄介なものね。」

 

う〜ん……本当にどうしよう。

眼で死を見ているのなら死角から攻撃すればいいんだろうけど、そう都合よくあの英霊の後ろに回れる人なんて私達の中には……

 

「あの英霊も干将・莫耶を使うみたいだから気を付けなきゃ行けないわよ……直死の魔眼で死を見られてそこに変幻自在の動きをする干将・莫耶を叩き込まれたら、元も子もないわ。」

 

「あっ!!クロ!そうだ、クロがいたね!」

 

「なっ、何よイリヤ。いきなり叫んだりして?」

 

「イリヤ……何か思いついたの?」

 

「うん!いい作戦を思いついたよ!作戦わね!ゴニョゴニョ…………」

 

 

「なるほど、それなら勝てるわね。」

 

「俺も全力で手伝わせてもらうよ。英霊ケルベロスにはまだ礼も言えてないしな。」

 

「よし、そうと決まれば早速リベンジに行くわよ!」

 

「「「「「「おー!!」」」」」」

 

【そんな単純でいいのでしょうか?】

 

【こう言う柔軟な発想が勝利を産む場合もあるですよサファイアちゃん!】

 

「それじゃあ、お願いね、ルビー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鏡面界にて―――

 

「う〜ん……流石に直死の魔眼はやり過ぎたかな?」

 

どうも、現在反省中のサーベラスです……鏡面界に飛んできた瞬間に干将・莫耶と偽・螺旋剣(カラドボルグII)は鬼畜すぎたか……

 

でもこれぐらいは慣れてもらわないと後々イリヤ達が苦労するんだよね……

 

主に英雄王に……あの調子だとまだ英雄王とは戦っていない事だけはわかった。

 

理由?一度撤退して作戦を立て直すって時点で英雄王戦の後じゃない事だけは分かったよ。

 

英雄王戦をし終えているなら、鏡面界に残ったまま俺を倒す為の作戦を練るだろうしね。

 

さて、どんな作戦で来るのかな〜……これもしかして明日来るパターン?だとしたら暇なんだけど!?

 

……って、そんな事は無さそうだ。

こちら側に魔法陣らしき物が現れた。

 

鏡面界の方から見るとこちら側に魔法陣が現れるから相手の出現場所が分かりやすいんだよな。

 

ほら、早速来た。

 

「今度こそ勝つわよ!」

 

「合わせろ、美遊、イリヤ!」

 

「分かった、任せてお兄ちゃん!行くよ、イリヤ!『砲撃(シュート)』」

 

「了解!『斬撃(シュナイデン)』」

 

斬撃と、砲撃を同時に何度も発射して士郎の放つ偽・螺旋剣(カラドボルグII)赤原猟犬(フルンティング)を見えないようにする作戦か……甘いな。

 

「直死───」

 

この程度なら武器を投影するまでもない!

影を纏った腕で切り裂くだけだ!

 

直死の魔眼……煙幕や、剣等の常識に当てはまるものから、魔術や呪い、確定された未来等の非常識まで殺せる最強の魔眼…………あのステッキ共が気付いてない訳が無いんだけどな。

 

取り敢えず、今回もあいつらの負けで……ん?

ちょっと待てよ……クロエはどこに行った?

 

急いでイリヤ達の方を見る。

しかしクロエは何処にもいない。

 

直死の魔眼を使い、透明な物体すら“見る”事が出来る……いや“視る”事が出来るはずなのに、クロエは一体どこに!?

 

目を閉じて辺りの気配を探る。その間にもイリヤ達は攻撃を放ってくるが、それらは全部熾天覆う七つの円環(ローアイアス)で防ぐ……

 

まさか、凛ちゃん達の近くで隠れて、俺の隙を伺っているのか?

 

そう思った矢先、俺の後ろに何が出現した気配を感じた。

 

なるほど、クロエが持ってる聖杯の力を使っての瞬間移動か!上手く考えたものだ……

 

そして、俺がどんな攻撃を今からしようと、アーチャーのスキル『憑依経験』を無意識に使い、剣を振る速度が音と同じ速さに達してるクロエが武器を振り下ろす速度には叶わない……一本取られたって所か……

 

回避する方法が無いわけじゃないけどな……

こうなったら全力で戦ってやるか!

 

アーチャー(士郎)……お前の世界を借りさせてもらうぞ。

 

I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)───」

 

クロエの剣が首筋まで迫る……俺は魔術回路を全て開け、自身が呑み込んだ聖杯を起動する。

 

クロエが聖杯の力を使い、“俺の後ろに移動する”って言う過程をすっ飛ばして“俺の後ろに来た”と言う結果のみを出現させたように、聖杯の力で必要な詠唱と言う過程の殆どをすっ飛ばす!

 

So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS(この体はきっと、無限の剣でできていた)!!」

 

俺の姿が消える──固有結界を発動した事により、この世界にある全ての剣の元の使用者の力を解析、自身に憑依させる事により、ほんの数秒だが、高速移動を可能にしたのだ。

 

おかげで体にかなりのダメージが来るけどこれぐらいならすぐ回復するだろう。

 

「何よ、これ!?」

 

【不味いですね〜相手は奥の手を持っていたみたいですよ?】

 

【よりにもよって固有結界ですか!?】

 

「これは英霊エミヤの固有結界、『無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)』!?なんでケルベロスが使えるんだ。」

 

「固有結界っですって!?どういう事ですの!?」

 

おぉ〜驚いてる驚いてる。

魔法少女三人組に関しては口を開けたまま動かないでいるよ。

 

さてさて、

 

「行くぜ、お前ら……武器の貯蔵は十分か?」

 

「あれ!?今喋らなかった!?」

 

キノセイダヨー……さて、流石に無限の剣製の中だと無数の剣の扱いに慣れてる士郎の方が前に出てくるかな?

 

「下がってろ!ここでの戦闘なら俺の方が慣れている!」

 

やっぱり出てきたな……それじゃあ、遠慮なく斬らせて貰うか!

 

俺は、士郎が持っているのと同じ剣……干将・莫耶を投影して、互いに斬り掛かる。

 

士郎の持つ干将・莫耶にヒビが入り、即座に砕ける。

しかし、次の一手を撃ち込む時には既に再び投影しており、また同じ剣での打ち合いになる。

 

砕く、投影される、砕く、投影される……この無限の繰り返しにも思えたが何回か繰り返したその時、こちらの干将・莫耶にもヒビが入り、砕け散ったのだ。

 

士郎の野郎、攻撃する度に投影速度と強化の付与、剣の硬さが強くなっていきやがる……このままだと泥仕合の繰り返しか……

 

なら、一気に決める!

オーバーエッジの存在は忘れてないよ、なぁ!

 

俺は即座に干将・莫耶をオーバーエッジ状態に変え、士郎の強力な剣撃を、強く力を込め、速度を限界まで上げた剣で無効化する。

 

それでも威力は互角……俺が強化魔術を使用していない(手加減している)からかも知れないが、あの士郎が俺の剣撃についてこれてると考えると、嬉しいな……

 

「強くなったな、少年!だが、まだまだだ!!」

 

「なっ、いま喋った!?」

 

おっと、思わず声が……まぁ、いっか!

思いっきり鍛えてやるとしよう!

 

「それじゃ、次の戦闘の為に鍛え上げてやるよ。魔法少女も、魔術師も、家族の味方も全員まとめてかかってこい!」

 

「「「「「【【本当に喋った!?】】」」」」」

 

「何を今更、だいたい、英霊が喋らないっていつの誰が決めたんだよ。」

 

【確かにそれはそうですけど……】

 

「それじゃ、遠慮なくやりますよ〜そらそら、ボーっとしてると…………死ぬぞ?」

 

「「イリヤ、危ない!」」

 

俺は、自分に強化魔術を使い、イリヤに干将・莫耶で斬り掛かる……嫌、手加減してるからね?流石に“音を越え、光を越え”とかしてないからね?

 

まぁ、兎に角イリヤに斬り掛かるが、斬撃は全てクロエと美遊に防がれた……にしても、ステッキ硬ぇ!?

 

ステッキに当てた干将だけ砕けたぞ!?

流石、あのゼルレッチの爺さんが作った魔術礼装ってとこか……

 

「にしても、本当に君達小学生?戦闘センス可笑しいんじゃないの?」

 

「貴方こそ、その体型でその戦闘能力は可笑しいでしょ?」

 

「言ってろ言って!俺はこの年齢で死んで、座に登録されたから仕方ないの……っと、油断してると斬られるぜ?」

 

「油断なんて!」

 

「最初っからしてないですわ!」

 

「「ガンドォ!」」

 

うわ、危ない。

あの二人のガンドは普通のガンドにあらず……ガンドと言うより、(ガン)から放たれる弾丸だっての。

 

「いやはや、あのガンドは当たってたら英霊でもダメージを食らう奴だ……いやぁ〜やっぱりフードで顔を隠しての戦闘は少しキツいか?地味に視界が狭くなるし」

 

【その方が、有難いんですけどね!】

 

「そっちこそ、油断してると斬られるぞ!」

 

へ〜音もなくこっちに近づいてくるか〜成長したな、士郎。だが、まだまだ戦術が甘い!

 

「君が、無限の剣製の中にいることを忘れるなよ、少年!『是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイド・ワークス)』」

 

「そっちも使えるのかよ!?『是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイド・ワークス)』」

 

全く同じ剣技で斬り合う……その風圧により、周りにいた魔法少女達と凛ちゃん達は吹き飛ばされた。

 

「ちょいと、遠慮無さすぎじゃないかな、少年?」

 

「そっちが始めといて何を言う!」

 

まぁ、俺は手加減してるんだけどね……シャドウ・ワールド使ってないだけまだマシだろ。

 

「それじゃ、少年にはしばらく動けなくなってもらいますか!投影開始(トレース・オン)──『天の鎖(エルキドゥ)』」

 

「なっ、英雄王の宝具!?」

 

「ふふふ……慢心したな少年!それじゃ、次はあんたらだ魔法少女と魔術師さん方……全力を出さなきゃ死ぬぞ?」

 

そんな訳で手加減しつつもイリヤ達を鍛えていきますか……宝具封印しとこっと。

 

それじゃ、早速投影して……って、クロエが後ろに回ってきた!?

 

「冗談じゃねぇ!アーチャーと同じ能力持ちで、瞬間移動は厄介すぎる!『鶴翼連撃』」

 

「ッチ、腐っても英霊って事ね?小学生ぐらいの身長の癖に、身体能力が尋常じゃないわ!『鶴翼三連』!!」

 

「腐って、なんだ腐ってもって!こっちは好きで英霊やってる訳じゃないっての!嫌、たまに妹や弟に会えたりするからまぁまぁ楽しんではいるけどな…………」

 

「隙あり!『斬撃(シュナイデン)』!!からの……小さく……『散弾(フォイヤ)』!」

 

「私も、『砲撃(シュート)』、『散弾(シュロート)』!!」

 

「ッ!?剣撃だけに注意してられないってとこか……連携だけは一流、一人一人の実力が離れ過ぎてるってのが問題か……イリヤは覚悟を決めないと弱いし、美遊は頭が硬すぎるせいで肝心の魔法が上手く行かない、クロエは投影したものの質が良くないのと魔力切れがピンチってとこか……」

 

にしても……俺がイリヤ達に一撃を貰うとは、ちょっと、手加減し過ぎたかな?

 

「よし、ちょいとだけ本気を出すか……ふぅ────『聖杯(ヘブンズフィール)起動』」

 

 

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

たった一言、その一言だけで英霊ケルベロスの周りの空気が重くなったような気がした。

 

よく見ると、タダでさえ影を纏っていて黒い腕や足に青白い線が浮かんでいたのだ。

 

「魔術回路を起動した……この魔力……俺や桜、遠坂のレベルを合わせたとしても勝てない!?」

 

的確な言葉だな、士郎。

これは俺が食らった聖杯の力をちょいと引き出しただけだ。

 

あの慢心王が持つ“ウルクの大杯”だとか、アンリが汚染した“大聖杯”とは違って、元々イリヤや、母さんに植え付けられていた“小聖杯”を利用する形だから、通常の聖杯よりも、少し弱いが、小さくても聖杯だ。

 

俺の魔術回路を全開放するぐらいどうって事ない。

 

「どうした?クラスカードは使わないのか?」

 

「ッチ……やむを得ないわね。イリヤ、美遊、クラスカードを夢幻召喚(インストール)しなさい!イリヤはセイバーを!」

「美遊はランサーを使いなさい!」

 

「「はい!」」

 

「それじゃあ、私はいつも通り斬りまくるわ!投影開始(トレース・オン)!」

 

「クラスカード、ランサー夢幻召喚(インストール!)

 

「お願い、力を貸して!クラスカード、セイバー夢幻召喚(インストール)!」

 

ようやく、本気を出してくれるかな?

それとも、本当に奥の手として取っていたのか。

 

どっちにせよ、最初っから夢幻召喚(インストール)しなきゃ俺や英雄王は倒せない。

 

それぐらいの実力差がある訳だからな。

 

「それじゃ、本気でかかってこい!」

 

「最初っからぶっぱなすわよ!『───山を抜き、水を割り、なお墜ちることなきその両翼』」

 

「私達も続くよ!『────約束された(エクス)』」

 

「任せて、イリヤ!『────刺し穿つ(ゲイ)』!」

 

なるほど、その技か……それなら

 

投影開始(トレース・オン)───」

 

「『鶴翼三連』!!」

 

「『勝利の剣(カリバー)』!!」

 

「『死棘の槍(ボルグ)』!!」

 

この連携が取れた三つの攻撃……これを投影すれば避けられるはず!

 

「力を貸してくれ、ランサー!───『鎌剣ハルペー・オーバーエッジ』!!」

 

巨大化させたハルペーを全ての攻撃を相殺するように大きく振る。これにより、エクスカリバーによる斬撃も、干将・莫耶も、因果逆転の呪いも無効化された。

 

「まだまだ甘i───ッ!?」

 

ありのまま今起こった事を話すぜ…………俺は攻撃を相殺したと思った、だが気付いたら腕を斬られて、腹を石斧でえぐられてた。

 

何を言ってるか分からないと思うが俺にも分からねぇ。

よく見ると後ろには天の鎖から解放され、ヘラクレスの石斧を振り下ろした体制のまま固まっている士郎がいて、目の前にはバーサーカー(ヘラクレス)夢幻召喚(インストール)したであろうイリヤがいた。

 

どうやら、さっきの宝具は全てこの為の偽装だったらしい。真の狙いは俺が大技を放った隙を狙って大ダメージを与えるってとこか……

 

「ありゃりゃ〜油断し過ぎたな〜。」

 

「なっ、なっ、お前は……兄……さん?」

 

「え?俺は英霊ケルベロスでってフード外れてる!?さっきの風圧で飛んだのか!?」

 

アチャ〜やらかしたな、俺。

バレないうちに退去しようと思ったんだけどな〜

 

「やれやれ、バレたならしょうがない!『修補すべき全ての疵(ペインブレイカー)』……さて、固有結界は解除してっと。」

 

自身の傷を修補すべき全ての疵(ペインブレイカー)で治しつつ、固有結界を解除する。

 

士郎の兄さん発言のせいでイリヤと凛ちゃん達が口を開けっ放しにして反応をしなくなった。

 

言わゆる放心状態って奴だろ。

そりゃ〜英霊が兄だったら驚くわな。

 

「改めて名乗るとしますか!俺はサーヴァント人類悪(ビースト)!真名、サーベラス・フォン・アインツベルン……ただの守護者だ。まぁ……その、なんだ。とりあえず、よろしく。」

 

「「え、アインツベルン!?」」

 

「お兄ちゃんのお兄ちゃんなのに、イリヤと同じ苗字?」

 

「訳が」

 

「分からないですわ。」

 

「ややこしくてすいませんねぇ!抑止力の守護者にはこういう事情が付き物なんだよ。説明が欲しけりゃ、まずは鏡面界を出てからだ……と言うか、最初の戦いの時にいた桜ちゃんどこいった?」

 

「「「「あれ?そう言えば確かに何処に……」」」」

 

「皆さんストップですぅ〜!!!」

 

「ちょっと、桜さん!どこに行っていたのですか!」

 

「はぁ……はぁ、すいません。あの英霊の事を話す為に1回家に帰って証拠になる物とかを取ってきてたら……って、それよりも!あれはケルベロスではなく先輩の、」

 

「お兄さんでしょ?たった今分かったばかりよ……と言うか、なんで私やイリヤにそっくりなのよ……」

 

「話せば長くなる!と言うか、長すぎて話すのが面倒臭い!」

 

「と、とりあえず。色々話したいことがあるし、場所を移そうか、兄さん。」

 

「そうだね、とりあえず……限定次元反射路形成。鏡界回廊一部反転。接界(ジャンプ)!!」

 

鏡面界から脱出する為の接界(ジャンプ)と、影移動を組み合わせ、鏡面界から脱出するのと同時に衛宮邸へとワープする。

 

「さてと……ここなら話してもいいかな?」

 

「「空間…………転移ですって?」」

 

「う〜ん面倒臭くなる前に中に入るか……それじゃ、お邪魔しマースっと」

 

「…………って、ちょっと、待てよ兄さん!?」

 

さぁさぁ、長い話になるぞ〜!




作者の次回余k プツン













ら〜らら〜♪︎らららら〜らら〜♪︎ら〜ら〜ららら〜♪︎


黒桜の部屋



桜「さて、始まりました黒桜の部屋。このコーナーは本編の私が言えない文句や、質問をstaynight(別人格)の私がぶっちゃけるコーナーになっております。

本日のゲストは、先輩のお兄さんであり、私の義兄さんであるサーベラス・フォン・アインツベルンさんに来ていただいております。よろしくお願いします。」

サーベラス「よろしくお願いします……じゃなくて、何ここ!?作者の次回予告はどこに行ったの!?」

桜「はい、それでしたら今回は力ず……じゃなくて、作者さんと話し合って、私に出番を譲ってもらいました!」

サーベラス「絶対話し合って無いよね!?今、力ずくって言ったよね!?作者が死んだ!この人でなし!」

桜「とまぁ、そんな事は置いといて」

サーベラス「置いてかないで!?」

桜「今回、先輩達がサーベラスさんに勝っていた訳ですけど何か思う事はありますか?」

サーベラス「切り替え早いな…………思った事といえば、やっぱり士郎の成長を感じたかな。

アーチャーのカードを使っていた時よりは投影速度等が落ちてたけど、その代わり、一撃一撃の強さや、剣撃の速度、斬れ味が抜群に上がっていてイリヤ達との連携ありとは言え、俺の腕を一本切り裂いた事だけでも凄いと言うのに、イリヤ達、魔法少女と連携する事によって俺の核になってるクラスカードを砕きかけたんだ。

あれは、ガッツが無ければクラスカードを砕かれて即死だったね。本当に、俺が持つスキル『兄の維持』に感謝だよ。」

桜「いえ、そんな事を聞いてるのではなく。」

サーベラス「な〜んか、嫌な予感!?」

桜「本編での私の出番が少な過ぎると思いませんか?今回の私は先輩と……その、結婚…して………兎に角!

先輩と一緒に戦うことだって可能だったと言うのに、戦うこと無く、最後の一瞬しか出番が無いんですよ!どうなってるんですか作者!!」

サーベラス「えっと……まぁまぁ、落ち着いて!ほら、桜ちゃんは俺が敵じゃない証拠を取りに全力疾走したって言ってるから、仕方ないじゃないか。士郎の奥さんとしての行動と見ると、正解なのでは?」

桜「それは、そうですけどねぇ……私だってもっと出番が欲しいんですよ!!

Zero編では、サーベラスさんに一瞬救ってもらってだけの登場で、staynight編でも、イリヤ先輩や、ライダーに比べると登場回数が少ないですし!

それに、私だって先輩とイチャイチャして、夫婦になりたかったんですようわぁぁん!!」

サーベラス「最後のが本音だね、うん。とりあえず、他の質問をした方がいいんじゃ……」

桜「それもそうですね!では、次の質問です。」

サーベラス「切り替え早!?」

桜「本編は基本的にサーベラスさん視点の物語となっていますが、英霊の座(世間)の間では、

“抑止力なんかに振り回されて大丈夫なのか?”

“胃痛仲間として、同情するよ。頑張ってくれサーベラス”

“家族と離れて寂しくないの?”

“もうちょっと、ランサー(メドゥーサ)との関わりが見たい!”

“▅▅▅▂▅▅▅▂!!”

“桜さん可愛い”

等の意見が上がっていまして〜。」

サーベラス「なんか、最後の三つ可笑しくないか!?でも、一部は合ってるな……家族と離れるのは確かに辛いし、抑止力によって働かされるのももっと辛い……

実は読者さん達が見てない所で抑止力によるミッションを100件程、片付けたんだ。

胃痛仲間?さてはお前ウェイバーだな!……最後の三つはスルーだ。」

桜「という訳で、ここは、サーベラスさんとライダーのドキドキワクワクな日常を描いた話を20話程作者さんに作ってもらうってのはどうでしょう?」

サーベラス「作者を殺す気か君は!?それに俺も死ぬよ!?」

ランサー「やめてください、桜……私が耐え切れなくて死にます。」

桜「さて、では最後の質問に!」

サーベラス「いま、ランサーいなかった!?ねぇ、ランサーいなかった!?」

桜「気の所為ですよ。取り敢えず、最後の質問はサーベラスさんの宝具についてです。

今回はアーチャーさんの無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)を借りていたようですが、本来そんなことってできるんですか?」

サーベラス「ブレイド・ワークスか……借りてると言うより、正式にはアーチャー……もしくは士郎の固有結界その物を投影してるだけなんだよ。

だから可能……まぁ、魔力消費は士郎達が使う時より大きいけど、シャドウ・ワールドや、喰らい千切る地獄の番犬(バイティング・ケルベロス)に比べると魔力消費が少なくて済むんだ。

それに、シャドウ・ワールドはもはや魔法の域に達しちゃってるから、気軽には使えないんだよ。

本来なら『夢幻の剣製』で、俺が士郎の体を借りて発動したシャドウ・ワールドは士郎の人格が残ったまま使ってたら士郎が死にかねなかった危険な行為だったんだ。」

桜「そうなんですか……大きい力には代償が付き物ですよね……それでは、今回そのシャドウ・ワールドをこの場で使用していただきたいと思うのですが、早速、お願いします!」

サーベラス「君、話聞いてた?気軽には使えないって俺、言ったよね?代償が大きいって君が、言ったよね!?」

桜「はい!ですからこの現世などになんの被害もない空間で使ってもらおうかと思っていまして!」

サーベラス「なんでさ!?無駄に疲れるし、敵がいないのに魔力の無駄すぎるでしょ!?」

桜「まぁまぁ、そこは義妹である私の顔に免じて!お願いしますよ、義兄さん!!」

サーベラス「グッ!?俺の痛い所を……しょうがない。ここは、士郎の奥さんであると言う顔に免じて、オフでなら使ってあげよう。」

桜「オフじゃあ、意味が無いんですよ!?今ここでお願いします!」

サーベラス「以上、黒桜ちゃんの部屋でした!」

桜「勝手に締めないでください義兄さん!?

次回のタイトルは 「幻影召喚(インストール)

サーベラスさんと別世界のイリヤ先輩(年齢的には後輩)があのクソ金ピカとの決戦をするらしいですよ!しかし、サーベラスさんが魔力切れで戦闘不能になって?

一体どうなるのかワクワクですね!」

「「「次回もお楽しみに〜!」」」

サーベラス「って、やっぱりランサーがいるじゃないか!」



作者「あれ?俺の出番は!?」


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幻影召喚(インストール)

前回のあらすじ……は、尺の都合カットします。
それだけ、長い……いつもより明らかに長い。

それでは、本編をお楽しみください。


「それじゃあ、改めて自己紹介するよ。俺は衛宮……じゃなくて、朔月士郎の兄。サーベラス・フォン・アインツベルン……またの名を英霊ケルベロス。人類悪(ビースト)の、クラスにて現界した英霊だ。こことは別の世界で生まれ、聖杯戦争に参加したりしてなんだかんだあって死んで人類悪のクラスを貰った正義の味方擬きの守護者だが、まぁ、気にしないでくれ。」

 

「「「【嫌、すっごい気になるんですけど!?】」」」

 

【貴方は封印指定か何かですか?】

 

「もはやそのレベルじゃ扱えきれませんわ。」

 

「お兄ちゃんの……お兄ちゃん?????」

 

「規格外すぎるよ、兄さん……」

 

「この場合は、私の、その、義兄さん……って事ですか……ね?」

 

「と言うか、なんで私やイリヤと同じアインツベルンなのよ?」

 

うわ〜説明が面倒臭いやつだなこれ。

どうやって説明した方がいいんだろ。

 

まぁ、ゼルレッチの第二魔法を基準にした話でもするか。

 

「しょうが無いから、説明しよう。先ずは俺が英霊化した原因からかな。」

 

 

 

 

 

 

〜Now Loading〜(説明中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、俺は英霊となり、抑止力の守護者として様々な次元や、世界、時の中を移動しているのでした……って、なんで泣いてるんだよ!?」

 

「だって、、だってぇぇ!!!」

 

「こんな話も、、グスッ、、あるものなのですね。」

 

【ルビーちゃんの想像以上でした。まさか別世界の住人だったとは……】

 

「そんなに驚くものじゃないよ。ただ単に俺がそう言う運命だっただけさ。」

 

「だからってねぇ……よく貴方はそんなに軽く語れるわね……」

 

「なに、慣れだよ慣れ。これでも正義の守護者さんなんだ。これぐらい慣れないとダメなんだよ。」

 

本当に、正義の味方だの、抑止力の守護者だの……俺達エミヤは報われないんだよなー

 

座に帰ったら帰ったで速攻呼び出しだし……心が硝子な士郎なんて、魂をすり減らしに減らして鉄心の弓兵(エミヤ)になったり

 

変な自称菩薩に狂わされ、自分の名前すら捨て、悪の敵……敵を殺すだけの機械(エミヤ・オルタ)になったりと……

 

やれやれ、やはり抑止力はまともじゃないな。

アラヤもガイアも両方嫌いだ。

 

【それで、その正義の守護者さんが何の用ですか?聞く話によると、別世界の士郎様である、朔月様を手伝う為にクラスカードを利用して現界したんですよね?

 

なら、何故まだ現世に残ってるんですか?

貴方のような家族思いの事です、本来なら美遊様やイリヤ様に力を貸すためにクラスカードになると予測できますが……】

 

「ん?理由……理由ねぇ?そりゃ〜宿敵がいたら戦うのが運命って言うか、ただ単に家族を守りたいだけって言うか……まぁ、意思がないクラスカードよりも、俺の方が役に立つってのもあるけどね。」

 

うん、と言うか、俺の力を使いこなせる奴なんてそうそういないし……根源接続だとか、聖杯だとか、それぐらいの力がないとね。

 

「宿敵……それって確か英雄王ギルガメッシュでしたわよね?」

 

「その通り!俺の宿敵は慢心愉悦金ピカ野郎ギルガメッシュ!別名AUO……アイツの宝具は規格外だからな。『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』に耐えきれる自信があるならいいけど?」

 

「………………無理……対界宝具とか、対処出来るわけないじゃない……」

 

ダヨネ〜普通は対処できてたまるかって話だよ。

そんなのできたら、俺達、抑止力はいらないしさ。

 

「まっ、とりあえずは英雄王戦までの共闘だ。それが終わったら、俺は座に帰るってことで……んじゃ!遊びにでも行きますか!

 

さぁ、行くぞ、イリヤ、クロエ、美遊!兄さんがたっぷりと遊んでやるよ!……って、そんな歳じゃなかったな……(生前)の癖が残ったままか。

 

ま、いっか!ほら、士郎と桜ちゃんも行くぞ〜!」

 

「「「「「え、えぇぇ!?」」」」」

 

という訳で、再びやって来ましたアインツベルン城!

今回はここで全力で遊ぼうと思いまーす。

 

「ど、どうなってんのよ。」

 

「さぁ、さぁ、ここなら思いっきりやれるな?よし、特訓も兼ねて、俺と全力の鬼ごっこでもしようか!」

 

「特訓も兼ねてってどういう事!?」

 

「……多分、走ったり、捕まらないようにしたりすることで、反射神経と運動神経を爆発的にあげる特訓。」

 

「うわっ、美遊の理解力早くないか?どんな英才教育をしたんだよ士郎。」

 

「え〜と……兄さんが教えてくれたことは、ほとんど教えたかな。」

 

「あちゃー……俺基準か〜……そりゃ、オーバースペックになりますわ。」

 

聖杯を宿した奴なんて基準にしたらいけないっての。

チートの連鎖が止まらなくなるからね。

 

「サーベラス先輩って、生前もこんな感じだったんですね……」

 

あらら、義妹に驚かれてる……まっ、いっか!

 

「鬼ごっこのルールは簡単。

 

範囲はこのアインツベルン城全部。

 

俺が、この英雄王の放つ宝具に似せたこのスポンジ製の剣を英雄王と同じ方法で放つから、1回でも当たったら負け。

 

俺が放つスポンジ製の剣を受けずに俺をタッチ出来たらイリヤ達の勝ちだ。

 

鬼ごっこと言うよりかは、模擬戦だけどね。

武器はなんでもあり、兎に角、本気でかかってこい、以上!」

 

さぁさぁ、どれだけ持つかな?

それじゃあ、ガバエイムアーチャーするとしますか!

 

「では行くぞ!『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』精々、足掻けよ雑種…………自分で真似しててなんだけど、イラつくなこれ。」

 

何だか、実際の慢心王を思い出してイライラしている俺ですが、やる事はちゃんとやる。

 

自信に慢心王を投影するイメージを構築し、なるべくオリジナルに近づける。

 

スポンジの剣には誰も当たらない。

美遊とイリヤは魔力の塊を打ち出して避けて、クロエと士郎は干将・莫耶で切り捨てる、同じ武器を投影するなどして避けている。

 

桜ちゃんに関しては虚数魔術の一つである影を操る能力で剣を全て叩き落としている。

 

…………見た目が黒桜ちゃんで影を操る……怖いな、なんか。くうくうお腹が鳴っていないだけましか。

 

鳴ったら本当に俺は逃げたくなるね!

マキリの杯はお呼びじゃないんだよ、ヘブンズフィールで我慢してくれ!

 

さて、そうこうしているうちに、全員ガバエイムの弱点を見つけたようだ。

 

避けて少し進み、また避ける。

射出の速度を上げても、ガバエイムの攻撃では、そう簡単には当たらない。

 

さて、かなり接近してきた……この場合あの金ピカなら……

 

「おのれおのれおのれおのれぇぇ!!雑種風情がァ!なんつってね。」

 

慢心王の真似をしつつ、行動すら投影する。

正直いって精神的に疲れる。

 

イリヤ達を強化するために仕方ないとはいえ、あのクソッタレた慢心愉悦王の真似をしなきゃ行けないとか……

 

と、そんな事を言っているうちにイリヤ達が超接近してきたぞ!?

 

「トドメです!当たってくださーい!!」

 

桜ちゃんも、本気だぁ!?

 

こんな時、あの慢心王は……

乖離剣を取り出すかぁ……よし、諦めよう。

 

そもそも、こんな距離で乖離剣とか危ないにも程がある。

 

という訳で……

 

「はいはい、俺の負け。ギブアップ……いや〜連携力って恐ろしいぃ〜!」

 

「そこが、きっとお兄ちゃんになくて私達にはある物なのね。」

 

「おいおいクロエ、俺をぼっちみたいに言わないでくれる?俺だって、ランサーと組めば無敵のコンビなんだぞ?」

 

「ランサーって、……このクラスカードの英霊、クーフーリンの事?」

 

「違うよ。俺の呼び出したランサーの真名はメドゥーサ……クラスカードではライダーの英霊だったかな。」

 

思えば、ランサークラスで遭遇するより、ライダークラスで遭遇する方が多いよな……

 

ライダーの方が召喚されやすいってのもあるけどね。

 

「へぇ〜英霊って真名は同じでもクラスは違う時があるのね。」

 

「そりゃ〜そうだろ。ちなみに、メドゥーサも、ランサーの場合は子供の姿で、ライダーの場合は大人の姿で召喚されてたな。」

 

大人になっても、あまり変わらないけどね。

俺も大人の姿にはなれるけど……まぁ、こっち(子供)の方が慣れてるからな。

 

それに、この姿なら敵が油断してくれるのもいいポイントだ。

 

敵によって姿を変えるのもあり……ね?

よし、覚えた。

 

さてさて、今の所は文句なし。

イリヤ達でも十分にあの慢心金ピカ愉悦王を対処できるだろう。

 

そこに俺も加わることで……よし、パーフェクト!

 

「OK、これなら勝てるな!よし、今夜は決戦じゃぁ!」

 

「「えぇ!?いきなり(ですか)かよ!?」」

 

「な〜に、この戦力ならどうにかなるさ!それに、いざと言う時は…………俺が奴を殺す。」

 

「ッ!?お、おう。分かったよ。とりあえず遠坂にも伝えておくよ。」

 

「頼んだぜ、士郎!……さぁて……アイツの顔を拝むのも久しぶりだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…………ここが……あいつがいる場所?」

 

そこは人工的に作られた洞窟。

どうやらルヴィアちゃんが作らせたらしいけど……

 

「もう少し戦闘しやすい形に出来なかったのかねぇ?」

 

【我慢してください、時間がなかったのですから。】

 

「はぁ……まぁ、やれるだけやるさ。戦場はいつも選べる訳じゃないしな。」

 

さて、後はイリヤ達がどれだけやれるか……まぁ、頑張りますか。

 

「っで、メンバーを改めて確認するけど……イリヤ」

 

「はい!」

 

「美遊」

 

「はい。」

 

「クロエ」

 

「はーい。」

 

「士郎」

 

「あぁ。」

 

「桜ちゃん」

 

「はい。」

 

「凛ちゃん」

 

「えぇ。」

 

「ルヴィアちゃん。」

 

「そうですわ。」

 

「そして……あれ?ダメット……じゃなくて、バゼットは来てないのか?」

 

「たった今来ました……それよりも誰ですか貴方。また一般人ですか?」

 

「よーし、全員ついたな?それじゃあ早速……接界(ジャンプ)……うわぁ、悪趣味な見た目だな。」

 

鏡面界に、飛ぶ……そこにいたのは、俺が知ってる金ピカじゃなくて……

 

「▅▂▂▂▅▅▂▂▅▅▅▅!!!」

 

「随分と黒くなったじゃねぇか、英雄王!!」

 

影を纏った俺よりも黒く、禍々しい英雄王の姿だった。

 

 

「黒い……魔力の霧!?」

 

「これって、セイバーと同じ……」

 

「いえ、それ以上よ!」

 

「いや、これでも第四次の時よりは弱いね……さぁて……英雄王、俺とお前がこうして出会ったのならやる事は一つ……。」

 

「▅▅▅▅▂▅▅▂▂▂▅!!!」

 

「手加減なしの殺し合いだァ!」

 

英雄王が叫ぶのと同時に走り出す。

今のうちにイリヤ達は準備を始め、あいつにとんでもない攻撃を用意する。

 

イリヤと美遊は、凛ちゃんとルヴィアちゃんによる、魔力増幅用の砲台から放つ最大出力の砲撃を……

 

クロエは投影した約束された勝利の剣(エクスカリバー)を変形させ、矢として放つ用意を……

 

俺の仕事は、それまで耐える……もしくは、先に討伐する事だ!

 

投影開始(トレース・オン)……干将・莫耶!!」

 

さて、これから面白いものを見せてやる!

 

「行くぜ……俺に限界はねぇ!これが、これこそが衛宮家の魔術の真の力!『真固有時制御・時空加速(タイムアルター・クロノス)』!」

 

衛宮家の魔術……忘れている人が多いかもしれないがその真の力は時を操ることが出来る能力だ。

 

確か、俺の爺さんだっけか?

兎に角、父さんの父さんが封印指定された理由でもある衛宮家の魔術は時間に干渉して、その物の時を止めたり、巻き戻したり、逆に早送りにしたりする事が出来る。

 

代償は当然大きいが、その分、強力な魔術なのだ。

それこそ、進化し続ければ“魔法”の域に達する程の。

 

衛宮家の人間が元々固有結界を使用することが得意なのはこの“時間に干渉する”と言う行為が、“空間に干渉する”と言う固有結界の原理とよく似ており、それだけ、相性がいいと言うことだ。

 

今回、俺はそんな衛宮家の魔術を起源レベルで再現し、更には聖杯の力を使う事で、限りなく時を止めたのと同じ状態に近付いたのだ。

 

この『真固有時制御・時空加速(タイムアルター・クロノス)』は先程も言った通り、限りなく時を止めたのと同じ状態に近付く能力。

 

自身の体内に固有結界を展開するのと同時に、周りの時間を圧縮、そして自分の周りにのみ纏うことで、時空レベルの加速を実現した魔法に近い魔術。

 

欠点としては、この能力を使用している間は大量の魔力を消費している為、『無限の幻影』も、『喰らい千切る地獄の番犬』も、『直死の魔眼』も使えない上に、投影できる武器も、干将・莫耶に制限される事。

 

そして、これはあくまでも、“時を止めている”のでは無く、“限りなく時を止めたのと同じ状態”になっているだけ……つまりは、音や光を超える速さで動いている為、身体への、負担が大きすぎる事だ。

 

通常、生物の身体って言うものは光を超える速さで動くと、急速に原子レベルまで分解される。

 

それは、英霊も例外なくだ。

光を超えた速さで動くと、原子の質量が急増して、そこにブラックホールが発生するとも言われている。

 

アキレウスのような有名な英霊は自らの“逸話”によって光を超える速さで動いても平気なのだが、俺のような無銘の英霊は当然そのような“逸話”がない。

 

その為、俺は限られた時間……3秒間の間のみ、この能力を使用できるのだ。

 

それ以上やると、俺の身体が消滅して、ブラックホールが発生する……流星一弓(ステラ)なんかとは、比べ物にならない自爆能力でもある。

 

そんな中で俺が出来ることは少ない。

だが、それだけで十分だ。

 

──1秒経過

 

干将・莫耶を2対ほど投擲する。

そして即座に干将・莫耶(銃)から弾丸を放つ。

 

──2秒経過

 

干将・莫耶(銃)を変形、合体させ、薙刀のような形状になったものを投げつける。

 

そして、干将・莫耶を投影する。

 

──3秒経過!

 

それをオーバーエッジ状態にして投げると同時に固有時制御を解除……これが!

 

「『真・鶴翼連撃』!!」

 

これだと、ただ単にすごい速度で武器を投げているだけ、干将・莫耶も弾丸も俺の元を離れた瞬間動かなくなる。

 

ここからがこの真固有時制御の本領発揮。

先程、俺は時間を俺の周りの空間に“圧縮”したと言ったよな?

 

“圧縮”とは、文字通り圧力で何かを収縮する事を示す。

それには当然、無理矢理小さくしているので、その物体が元に戻ろうとする力が働く。

 

では、“圧縮”した物が一気に解放されるとどうなるか。

イメージするとしたらペットボトルロケット。

 

無理矢理ペットボトルに圧縮された空気が一気に解き放たれる事により、高く吹き飛ぶペットボトルロケット。

 

これはその原理と似ている。

“圧縮”した時間が、解き放たれる事により、通常とは比べ物にならない程の速度で元に戻る!!

 

つまり、簡単に言うなら……

音を超える速さの連続攻撃が、英雄王向かって放たれたという事だ。

 

横から見ている全員は驚いたまま。

英雄王の周りの魔力の霧は一瞬で吹き飛び、英雄王にもダメージをかなり与えた。

 

「な、なによ今の!?」

 

「いいから、早く攻撃しなさいって!」

 

「そ、そうね!やりなさい、イリヤ、美遊、クロ!」

 

「うん!全力の『砲撃(フォイヤ)』!!」

 

「私も、『砲撃(シュート)』!!」

 

投影開始(トレース・オン)……はぁ!!」

 

イリヤと美遊が凛ちゃんの魔術によって強化された巨大レーザー……クロエが、約束された勝利の剣(エクスカリバー)を、矢の形に変形させた物を放つ。

 

それは、英雄王を確かに、貫いた……はずだった。

 

「セイ……ハイィィィ!!!!」

 

なんと、英雄王は蔵から盾を取り出して防いでいたのだ。

 

そして、一瞬。

英雄王は美遊の方へと飛んでいく……恐らく、美遊の中にある聖杯を手に入れる為に美遊ごと、取り込むつもりなんだろう。

 

普通なら間に合わない。

だけど!

 

「美遊、危ない!!『固有時制御・二重加速(タイムアルター・ダブルアクセル)』!」

 

英雄王の速度と、俺の速度……早いのはもちろん俺なのだが、美遊達を助けて、俺も抜け出すとなると速度が足りない。

 

なら、せめて美遊達だけでも!!

俺は即座に美遊達の前に移動し、全員を後方に吹き飛ばす。

 

美遊を、掴むもうとした英雄王の手は……

 

 

 

 

 

ブチィ

 

 

 

 

 

美遊の代わりに俺の心臓を掴んだ。

 

「……ッチ、はな……れろ!」

 

残る力で英雄王を蹴り飛ばす。

だけど、アイツは探していた物を手に入れたかのように大笑いをしていた。

 

「クソっ……タレが……」

 

不味いな……何も見えねぇ……

魔力が…………足りねぇ。

 

しくじったな。

今回、俺は座から小聖杯しか持ってきていない。

 

その小聖杯もたった今、心臓ごと取られた。

つまり……俺は魔力切れで消滅するってことだ。

 

「「「お兄ちゃん!?」」」

 

「兄さん!?」

 

多分、イリヤ達が俺の所に駆け寄ってきているんだろう。

 

何も見えないし、聞こえないがそれだけは勘で分かる。

 

やべぇ…………意識が保てねぇ……

こんなピンチは…………久しぶり過ぎる…………

 

でも、美遊を……士郎を……イリヤを守らなきゃ……

ここには、クロエも、凛ちゃん達もいるんだぞ。

 

心臓とられた程度で、死ぬなよ、俺。

この程度、大丈夫なはずだろ?

 

動け、動け、動け!!

守らなきゃ行けない物がすぐ側にあるだろ!

 

当然、俺の身体は反応しない。

心臓を失った肉体は即座に死んでいくからだ。

 

心臓(聖杯)を取られた今。

俺のスキルは発動できない……なら、どうすればいいんだ!?

 

俺のクラスカードは、恐らくとっくに消滅している。

 

俺がこの世界に、残れたのは単独顕現のスキルあってこそだ。

 

それも、もう。

長くは持たない……だったらどうすれば?

 

考えに考える。

一度座に還ってもう一度顕現するか?

 

いや、ダメだ。

俺の顕現は抑止力により封印されてる。

 

では、奇跡を願うか?

いや、このままだと、美遊もあの英雄王に取り込まれてしまう。

 

今、この時に決めなきゃ……ダメだ。

でも、動けない。

何も見えない。

何も聞こえない。

何も話せない。

 

文字通り暗闇……

一筋の光も差さない暗闇。

 

俺は影だ。

光が無ければ、存在ができない。

 

もう、諦めてイリヤに任せるか……

そう、諦めの意見が自然にでる。

 

抑止力がもう無理だとでも言ってるのだろう。

俺も、結末は知っている。

 

この後は、イリヤが勝つはずだ。

……生憎、最終巻とかエインズワースの最後とか、そういうのを発表する前に俺は死んだからな。

 

でも、この先の事だ。

きっとイリヤ達がどうにかするはずだ。

 

あの子達は強い、一緒に戦えば無敵だろう。

それだけの友情があるんだ。

 

勇気もきっといつか持ってくれる。

だから、大丈夫……大丈夫……

 

『それで安心ですか?』

 

声が聞こえる……

 

んな訳無いだろ。

安心なんて出来るはずがない。

 

クラスカードが核のクロエはいつ消滅するか分からない。

 

聖杯を身体に持つ美遊はいつ魔術師に狙われるか分からない。

 

こんな、明らかにやばい状況……

安心できる訳が無いだろ。

 

『なら、何故戦わないのですか?』

 

戦えないから。

俺に……残された魔力が少ないから。

 

抑止力からも、もう終われって言われてる。

俺に出来ることなんて何一つ───

 

『その程度が……貴方の決意だったんですね。』

 

ハッとする。

決意……俺が生前に何を誓ったか。

 

俺は、家族を守るって誓ったはずだ。

例え、抑止力にこき使われようと……

 

何諦めてんだこの馬鹿は!!

身体が動かないなら、意地で動かす!

 

今までもそうだったんだ。

心臓くらい、なくても動け!!

 

「こ……の……程度……の傷で……死んでたまるかァァ!!!」

 

『それでこそ、私が好きなサーベラスです。』

 

声は聞こえなくなった。

でも、今なら動ける!!

 

残り少ない魔力も、今にも消えそうな身体も、これだけあれば戦える!!

 

「ちょっとアンタ!?心臓失って動くなんて、英霊でも死ぬわよ!!」

 

「それが、どうしたってんだ。」

 

「え?」

 

「別世界、別次元……様々な違いはあれど、イリヤも士郎も……クロエも、美遊も、凛ちゃんも、桜ちゃんも……全員俺の大切な家族なんだ……

 

 

その家族を守れずして何が守護者だ!人類悪となっても守りきるって決めたんだ、今更……俺は諦めねぇ!!!

 

ひたすらに暗い人口洞窟に、光が灯る。

それは、美遊が持っていたクラスカードから放たれていて…………こちらにカードのみが向かってきた。

 

俺はそのカードをキャッチする。

その“ライダー”のクラスカードは俺が手に取るのと同時に炎につつまれ、“ランサー”へと、姿を変えた。

 

「クラスが、変わっているですって!?」

 

「そうか……力を貸してくれるか、ランサー……ありがとうな。」

 

目も消えかけでまともに前が見えないが、それでもわかる。

 

あの英雄王はきっと、俺が覚醒するのを慢心して待っていると!!

 

「いいぜ、やってやろうじゃねぇか。行くよ……ランサー!!!

 

────幻影召喚(インストール)!!!」

 

魔力の渦に呑まれる。

だけど、悪い気はしない。

 

所々空いた穴を無理矢理だが、ランサーが埋めてくれたのだろう。

 

空間内に映る俺は髪も伸びてるし、片目の色も変わっている。

 

何より、髪の先端が蛇になっていて、前髪にもランサーと同じ髪色の、メッシュが入っているのだ。

 

まさに一心同体……ランサーには感謝しかない。

消えた心臓も、ランサーのクラスカードにより、埋められている。

 

これなら……全力で戦える!!

 

「行くぜ……英雄王…………武器の貯蔵は十分か?」

 

そう話しかけるように言葉を発すると英雄王は大きく笑って、イリヤ達をはじき飛ばし、こちらに全ての武器を向けてきた。

 

「そう来なくっちゃなぁ!!なら、俺も最初っからフルスロットルだ!」

 

英雄王が蔵から出そうとした武器を全て投影して射出を防ぐ、この一瞬の隙が、最大のチャンスだ。

 

 

「世界の幻影、我が元に──

 

我は世界を救う守護者なり

 

我は世界を滅ぼす人類悪(ケモノ)なり

 

我が力は破壊の力

 

されど、我が力は守る為にあり

 

全てを移す鏡なり

 

我、抑止の守護者の名の元に

 

顕現せよ、我が心──

 

無限の幻影(インフィニテッド・シャドウ)』」

 

 

世界が一変する───

 

そこは、無限の幻影(アンリミテッド・シャドウ・ワールド)に似ている場所……しかし、根本的に何かが違う。

 

その事に、英雄王は驚いていた。

 

「驚いたか?これは俺の固有結界であり、世界の影……世界ってのは無限に広がり続けるものだ。

 

ここが、世界を映す影なら当然。

広がり続けるに決まってるだろう?」

 

そう、ここは英雄王の蔵とよく似ている。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)は無限に人類が生み出した宝を内包する。

 

ならば、この世界は“無限”という概念を内包している。

 

文字通りインフィニティ……人間が見れる世界が広がり続けるのと同様にこの世界も広がり続けるのだ。

 

「手加減なしだ、英雄王!!どちらかが死ぬまで、いざ、勝負!!」

 

俺は一番近くにあった俺が愛用している武器である。

鎌剣ハルペーを取る。

 

ランサーの力を使っているからか、これが一番手に馴染む。

 

「▅▅▂▅▂▂▂▅▅▅▅!!!」

 

「うるせぇ!!お前なんて斬り倒してやるぜ、英雄王!!」

 

走り出す。

英雄王が宝具を放ってくるが、それらを全て斬り裂く。

 

英雄王はその間に乖離剣を取り出しているようだ。

 

「慢心なしか……なら、こっちだって乖離剣だ!」

 

この無限の世界に存在する乖離剣を腕に顕現させる。

 

英雄王の方も準備万端、撃ち合いの時間と行こう!

 

「行くぜ……乖離剣よ、世界を裂け!原子は塗り固まり、天は堕ち、地は消え去る──天変地異を今此処に!『天地乖離す開闢の死星(エヌマ・エリシュ)』」

 

「『▅▂▅▅▅▂▅▂▂(エヌマ・エリシュ)』!!」

 

もう何度目かの乖離剣での撃ち合い。

相変わらず威力は相殺。

 

そして、この場では俺が有利だ!

ハルペーを持っている方の手に力が入る。

 

この一撃で決めるという決意。

そんな決意と共にハルペーは姿を変えた。

 

それは、“鎌”では無く、まさに“剣”。

まるで俺が使いやすいように形状が変化した。

 

「ランサー……ハハッ、これじゃあランサーじゃなくてセイバーだな……でも、ありがとう。これで、全力が出せるよ。」

 

俺は、どんな武器よりも剣を使う方が得意だ。

剣以外だとハルペーが次に得意。

 

そのハルペーが剣に変形したのなら……もう俺は無敵も同然だ!

 

「行くぞ……固有結界収束開始!」

 

固有結界の、全てを剣となったハルペーに集める。

乖離剣すらも融合したこの一撃……威力は計り知れないだろうな。

 

それを感じ取ったのか英雄王はこの場から逃げようとする。

 

だけど、

 

「──魔眼、解放!」

 

俺が逃がすわけないだろ!!!

 

通常なら直死のみのそれが、ランサーを幻影召喚(インストール)した事により、石化の能力も発揮した。

 

「ザッ……シュ……雑種フゼイガァァァ!!」

 

「これで終いだ、英雄王!!『不死を斬る地獄の剣(スラッシュ・エンド・ハルペー)』」

 

直死の魔眼と不死殺しの剣による斬撃は、英雄王の身体をいとも容易く貫き、英雄王は奪った聖杯とクラスカードごと粒子となり消滅した。

 

「勝っっったぁ!!!大勝利だぜ!」

 

ピンチからの大逆転……これ程、喜ばしい勝利は無い!

聖杯が消えたのは予想外だけど……まぁいいか。

 

「さてと……美遊達は……って気絶してる?」

 

美遊もイリヤもクロエも、凛ちゃんもルヴィアちゃんも桜ちゃんも、そしてまさかのバゼットまで気絶している。

 

どうやら俺が戦闘をした余波がかなり響いたらしい。

鏡面界にも、所々亀裂が入っている。

 

仕方ない。

美遊の中の聖杯とクロエの核含めたクラスカードを全て回収して座に帰るとしよう。

 

まずは、美遊の聖杯……うん、問題無し。

次はクロエの核だけど……クラスカードの代わりに普通の人間と、同じようにしてやろう。

 

それぐらいは聖杯の力を少し使えば可能だ。

…………これでよし……

 

「それじゃあ、俺は大人しく帰りますかね……」

 

「待ってくれ、兄さん!」

 

なるほど、いないと思っていたら避けきってたんだな。

 

お前は凄いよ、士郎。

 

「なんだい、士郎?俺はもう行かなきゃなんだけど?」

 

「……いや、これまでありがとうって言いたくてな。

 

俺にも、家族を守る事がどれだけ大事か、大変かを理解出来た。

 

だから───」

 

「心配するな、お前が言いたいことは分かってるって!じゃ、頑張れよ。家族の味方(エミヤシロウ)

 

ピンチになったら、いつでも呼んでくれ。

そこが地獄でも駆けつけてやるよ。」

 

「……そっちこそ、たまには弟を頼りにしてくれよ。

守護者(セイギノミカタ)!俺だってどこにでも駆けつけてやる!」

 

「そうかよ、それはそれは、期待してるぜ?それじゃあ幸せになれよ。士郎!イリヤ達に頑張れって伝えといてくれよ〜。」

 

やれやれ、弟は随分とカッコよくなった物だ。

これなら安心、桜ちゃんと仲良く夫婦やってくれ。

 

退去する時に何故か起動した千里眼で俺が見た未来は……

 

「お兄ちゃん、こっち!!」

 

「美遊も大きくなったなぁ……」

 

「あの頃とは比べ物になりませんね、せーんぱい!」

 

「桜はいつになったら先輩呼びを辞めるんだよ……」

 

平行世界にいたままでは有り得なかったであろう微笑ましい未来だった。




作者の〜次回予告!

いや〜前回は桜ちゃんに出番を譲った、と言うよりも強奪されたわけだけど、今回は普通に俺がやりますよ!

え?なになに?黒桜の部屋の方が面白い?
うるせいやい!桜ちゃんばっかに出番を取られてたまるか!

さて、そろそろ真面目に次回予告を………………
次回からはEXTRA編!と、そ の ま え に!

次回 「タイトル不明?」

ワックワクのどっきどきだよね!(白黒のクマ感)
え?細詳が分からない、真面目に次回予告しろ、タイトル教えろ、んな事より黒桜の部屋再開しろだって?

今回ばかりはお許しを!!
次回はいわゆる■■■回でして……予告しちゃうとつまらなくなる可能性があるので、本当に今回はお許しください!

それでは、次回もお楽しみに!

あ、そうだ。

サーベラス君がTwitterを始めたよ!
この小説についてや、雑談をするらしいよ。

もしかしたら、あっちでしか聞けない裏話も?
興味があったら是非、話しかけてあげてね!

それじゃあ今度こそ、バイバーい!

サーベラス君のTwitterアカウント↓↓↓
https://twitter.com/QWid7Q2nRmaLNKU?s=09


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コラボ編
胃痛EX?助けて、ランサー!?(前編)


前回のあらすじ!
心臓を取られながらもランサーのクラスカードによる助けで、無事、英雄王を倒したサーベラス……

今回、彼が来た世界は色々とバーサーカーな世界だった!?

という訳で、まさかまさかのコラボ回!
皆さん、お楽しみください!


「さて……ここは何処でアイツはどこに行きやがったのかな?」

 

突然で悪いが問題です。

俺は今何をしている?

 

1.抑止力に飛ばされた先で仕事

2.人類悪候補殺し

3.鬼ごっこ

 

みんな分かったかな?

 

そう!答えは全部!

全く、どうしてこうなった!?

 

ある日、いつもの如く抑止力に飛ばされました。

 

そこで、暴走状態のフォーリナーと遭遇しました。

 

コイツを殺す、またはその暴走を止めるのが今回の仕事だと判明。

 

というわけで、少し悪いけど力ずくで止めようとしますとします。

 

そしたら、外なる神の権限を使って、逃げるは逃げる。

 

次元を超え、過去と未来を行き来して、何度も何度も逃げる。

 

見兼ねた抑止力は俺と繋がりが深い英霊(ランサー)をサポートとして送って来たので、現在何処かの世界に隠れたフォーリナーを2人で探している所なのである。

 

「こちらには居そうにないですね?」

 

「もしかして変装してるのかもしれないな……」

 

「そうですかね?もしかしたら、この街の魔力が濃すぎるってのもあるかもしれませんよ?」

 

確かに、この街の魔力は濃いのだが、それ以外おかしなところはないと思う。

 

ただ単にこの街の地面に巨大な龍脈があるだけかもしれないしな。

 

「人間社会に溶け込んでるとしたら厄介だな……とりあえず、この街の中で探すとしますか。先ずは着替えるのが先だな。」

 

そう思い、俺は姿を8歳の物へと変える……嫌、正確には戻したか……

 

「あの……サーベラス?何故、その姿に?」

 

「あぁ、それはね。服装が一番現代っぽいのと、あのフォーリナーがこの姿を知らないからね。カモフラージュって奴。」

 

「なるほど、現代に溶け込むんですね。」

 

「ランサーも、現代服を着れば多少はカモフラージュ出来ると思うけど、どうする?良かったら投影するけど……」

 

「是非、お願いします!サーベラスと同じようなパーカーで大丈夫ですので!」

 

「そう?なら少し待っててね。投影するのにイメージを固めなきゃ行けないから」

 

え〜と……本当に俺と同じシンプルなデザインでいいのかな?

 

ランサーは女の子だからお洒落なのがいいと思うのだが……

 

そこら辺、俺は男だからやっぱり分からないな…………うーん……

 

よし、緑のパーカーに魔眼殺しの眼鏡、それと簡易的なTシャツのジーンズでいいかな?

(FGO5周年の時に配られた英霊旅行記の礼装参照)

 

でもこれって多分他の人達から見て兄妹と間違えられるだろうな……それはそれで楽でいいのだが……

 

(※ランサーこと、メドゥーサの身長は134cm、一方、イリヤの双子の兄であるサーベラスは8歳であるのに対して、11歳であるプリヤよりも背が高く140cmはある。)

 

まぁ、身長とかはどうしようもないからな、仕方ないか……

 

「ちょっと簡易的だったけど、ごめんね?」

 

「いえ!服を貰えるだけありがたいです。」

 

「それと1ついいかな?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「ランサーの呼び名を変えた方がいいと思うんだけど、どう思う?」

 

「呼び名ですか……確かに、見た目は変わっても、“ランサー”と言うクラス名では敵に気付かれますものね。じゃあ考えるとしましょうか?」

 

う〜ん……いい呼び名ね?

ランサーは“アナ”でいいのかな?

 

フォーリナーはランサーと言う呼び名しか知らないはずだし。

 

「じゃあ、ランサーの呼び名はアナでいいかな?何となく思い付いたんだけど……」

 

「アナ……アナですか……分かりました。それじゃあ私はアナです!よろしくお願いしますね、サーベラス!」

 

「了解。それじゃあ街中を探しに行きますか!」

 

 

 

 

 

 

〜Now Loading〜(探索中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、やたらめったらに探してるけど、全然わかんねぇ……」

 

今考えれば名前も知らないこの街で地図やらなしでの探索は無謀だったか…………

 

「あれ?そういや、アナはどこに行った?」

 

周りを見渡すがランサー……基、アナの姿は何処にもない。

 

もしかして途中ではぐれた?

 

「お〜い、サーベラス!地図を持ってきましたよ〜!」

 

そんな事は無かったようだ。そして、

 

「ナイスだ!アナ!これで迷わずに済むぞ!」

 

「いえ、サーヴァントとして当然の事をしたまで……」

 

「いやいや、今はもう俺はアナのマスターじゃないからね?でも、本当にありがとう!このままだと俺は永遠と迷うところだったよ。」

 

「そうですか……お役に立てて何よりです。」

 

さて、地図をちょいと拝見して……なるほど、この街の名前は“駒王町”って言うんだな。

 

「この街で一番目立つ建物はここにある駒王学園です。なんでも、街の中でも一番敷地が広いんじゃないかと言われる程の巨大な校舎と校庭があり、この街にいる学生のほとんどはこの学園に通っているらしいです。」

 

そういって、ランサーは地図を指さす。そこには“駒王学園”と言う文字がかなり目立つように書かれていた。

 

観光名所見たいな物なのか?って事は相当、ド派手な校舎なんだろうな。

 

このサイズだと学生寮なんかもありそうだ。

 

「学園……って事は中高一貫なのかな?まぁ、それはどうでもいいとして、次に目立つ所は……この辺りか」

 

次に、俺が指さしたのは駒王学園とショッピングセンター、スーパー等がある商店街によく似た場所の中間辺りの距離にある住宅地。

 

地図を見る限り、何かと大きい家があるみたいだ。

お偉いさんでも住んでいるのだろうか?

 

「こうしてみると、地形や、建物は全く似ていないが、街全体の雰囲気は冬木に似ているな。」

 

「そうですね。案外、何処かに武家屋敷や、遠坂邸のような家があったりして?」

 

「いやいや、まっさか〜」

 

無いよね?ここにも衛宮がいるなんてないよね?

平行世界はもう疲れたよ?

 

「まぁいいか。とりあえず、まずはこの街の一番目立つ所であろう、駒王学園から見てみた方がいいかもな。」

 

「となると……この時間帯だと、ちょうど生徒達が下校する頃なので、とりあえず行ってみるのはどうでしょうか?」

 

「うん、なるべく見つからないように行こう。」

 

さてさて、こうして移動を開始した俺達ですが……

まさか、いや、まさかね?

 

「先輩ですよね?髪を切ったのですか?もしかしてイメチェンとか!」

 

「いや、だから俺は君の先輩じゃ……」

 

「あっ、そうです!今日もお菓子って貰えるんですよね……出来れば貰いたいなって。」

 

「いや、だから俺は知らないって。」

 

こんな人に絡まれるとか思わないじゃない。

俺や、イリヤに似た白髪の女の子なんだけど、やけに馴れ馴れしいし……そもそもスキルで言うなら、『気配遮断C』を使用している俺を簡単に見つけるし。

 

だいたい、先輩ってなんだよ先輩って!

俺を先輩とか呼ぶのは、俺のいた世界の桜ちゃん達だけだ!

 

「え、嘘……ですよね?私、先輩に何か悪いことしましたか?お願いです先輩、先輩のお菓子が好きなんです……あれ無しでは、私もう駄目なんです、おかしくなっちゃうんです。」

 

「え、ちょ、目が怖い。というか、俺は本当に君の先輩とは別人だってば。」

 

「先輩……何か不満があるのなら言ってください、ね?セ ン パ イ ?」

 

「げ、げ、現代の高校生怖すぎだよぉぉ!?」

 

「あ、待ってください、先輩!まだお話が!」

 

…………現代の高校生舐めてた。

あれは黒桜ちゃん以上の恐怖だ。

 

あんな人の愛?を受け止めてる先輩って人凄いなぁ……やべぇ、胃が痛い。

 

こんな事なら、ランサーと別行動なんてしなければよかったなぁ……

 

はぁ……よく分かんないとこに来ちゃったし……さて、どうしたものか……

 

「あっ、見つけたわよ!今度こそ、私の所に着艦してもらうんだから!!」

 

「あ、またこのパターン?さっきから言ってるけど、それは人違いで」

 

「問答無用!!髪を切ったって騙されないわよ!はぁ、はぁ、さぁ……この響のコスプレを……」

 

 

うわぁ……明らかにやばい人だ。

悪魔かな?髪の毛赤いし。

 

そうだ、心を落ち着かせる時は五七五がいいんだっけ?

 

「人違い

 

たちまち僕は

 

大ピンチ

 

サーベラス」

 

うん、ちゃんと五七五だね。

よし、逃げるか。

 

「『固有時制御・二重加速(タイムアルター・ダブルアクセル)』!」

 

「あ、ちょっと待ってよぉ!!」

 

「なんだコイツ!?早すぎんだろおいおい!?」

 

「私の所に着艦してぇぇ!!!」

 

「なんでさぁぁぁ!!!人違いだって言ってるだろうがぁぁ!!!」

 

もうヤダ!助けてくれ、ランサー!!

 

「待ってぇ!!私の眷属になってぇ!!」

 

「だから、ならないって言ってるなのー!!」

 

ん?俺と似たような状況な人いる?

声は正面からって事は鉢合わせするな、コレ。

 

って、あの追いかけられてるのって……イリヤ!?

おいおい、ここは平行世界かよ!?

 

なんでさぁ……

はぁ、考えるのやーめた。

 

とりあえず……よく分からん少女に追いかけられてるイリヤを回収してコイツらを巻きますか!

 

兄の意地、見せたらァ!!

 

「魔眼、解放──石化の魔眼!!」

 

魔眼を解放し、赤いアークマ(仮名)を視る。

当然、対魔力が無いだろう赤いアークマは痺れて動けなくなり、声すらも出なくなる。

 

やっぱり便利だな、これ。

使うと自然とあの時と同じ(ランサーインストール)姿になるのが欠点だけど……

 

あっ、説明すると。

前回、俺がランサーのクラスカードを、インストールした時に、消えかかっていた俺の霊基半分をランサーの霊基に上書きしたので、この能力を得たのだが、相性が良さすぎたらしくて、ランサーの霊基と半分混じった為、石化の魔眼を使えるようになったのだ。

 

なんなら、石化の魔眼を使うと、片目の色が紫になって、髪の毛が伸びて何体かの蛇になり、オマケで所々に薄紫色のメッシュが入るけど……

 

まぁ、便利だからいいけどもねぇ……

とりあえず、赤いアークマの動きを止めたなら、次はイリヤを助け出す!

 

敵は……あの異常に速い少女か……

よし、こちらにも魔眼だ。

 

試してみると……

 

「なっ、動け……ない!?」

 

「い、いきなりどうしたの!?でも、動きが止まった今がチャンスなの!!」

 

よし、効果は抜群だ!

という訳で、イリヤを回収して撤収だぁ!

 

「おい、そこの少女!こっちに来い!」

 

「え、いきなりなんなの!?どこに連れていくのぉぉ!!」

 

「悪いな、口を塞いどけ!噛むぞ!あの変な女共から逃げる為には仕方のねぇ事なんだよ、同じ変なのに追いかけられてる者同士、仲良くしようや!」

 

「え?え?どういう事なのぉ!?」

 

「後で、説明する!」

 

 

 

 

 

 

 

───Now Loading(逃走中)

 

 

 

 

 

 

とあるビルの屋上

 

「はぁ……はぁ……はぁ……ここまで来れば……安心だろ……はぁ……疲れたぁ〜。」

 

「うっぷ……少し酔ったの……」

 

「いやぁ、すまないな。いきなりあんなスピード出してよ……いやはや、まさか人違いで追いかけられるとわね。

 

着艦とか、意味の分からない事を言うし……現代って怖ぇ……」

 

うん、現代への認識を改めなきゃ行けないかもしれない。

 

現代では、固有時制御についてこれるやばい人も存在する……よし覚えた。

 

全く、現代はどんな魔境なんだよ。

なんか怖いしさぁ…………

 

「はぁ……胃が痛い。」

 

───サーベラス、大丈夫ですか?

 

(!?……アナ?これは念話かな?)

 

───はい、その通りです。所で、今は何処にいるんですか?

 

(俺は……分かんねぇ。変な奴らに追いかけられてマトモにルートを見ていねぇ……)

 

───そう、ですか……では、お互いに探索を続けましょう。もしかしたら有益な情報が手に入るかもしれません。集合はその後にしましょう。

 

(なんか不安だけど、了解。気を付けてくれよ、アナ。)

 

───はい、サーベラスこそ、胃痛に気をつけてください。

 

(う〜ん……なるべく気を付けるよ。)

 

既に胃が痛いとか、ランサーには言えないな。

あまり心配させたくないし……

 

「さてと、探索を続けなきゃ行けねぇな……悪いな、銀髪の少女。こんな女の子は見なかったか?」

 

先程、俺が連れて来てしまった、イリヤに瓜二つな少女に今回のフォーリナーの写真を見せる。

 

勿論、触手等は写っていない。

普通の時……いわゆる第一再臨の姿だ。

 

「い、いいや。見た事がないの。」

 

「そうかい……ここじゃねぇか……いいや、協力ありがとうな。

 

とりあえず、無理矢理連れて来てしまった例をさせてくれ、生憎、持ち合わせがないからこんな物になるけどな。」

 

そう言って俺が取り出すのは、投影したちょっと特殊な聖骸布……具体的に言うと、追いかけてくる奴らを自動的に縛り上げる防犯グッズみたいな物だ。

 

「え、これは?」

 

「防犯グッズみたいな物だよ。また追いかけられたらコレが助けてくれると思うよ。

 

……さて、それじゃあ俺は仕事に戻るから、バイバイ!」

 

そして俺はビルの屋上から飛び降りた。

あっ、しまった。

 

あのイリヤ擬きは俺が英霊って事を知らないから驚くよな……まぁいいか、是非もなし。

 

「スタッとな……さてさて、何処にいるんですかねぇフォーリナーさんは?」

 

こういうタイプの夜の街は多分物騒なんだよな……夜まではまだ三時間程度あるか……よし、ひたすらに探すか!

 

「シャァ!そうと決まったらレッツゴーだ!英雄王でもいない限り俺は止まらねぇぞ!!」

 

さてさて、どこにいるかな〜と探していると……

 

「うわぁ……誰がいるか察したぞ。」

 

喫茶葛木……明らかにキャスターがいるな。

よし、近付かないで置こう。

 

着せ替えられるに決まってる。

 

「あら、イリヤちゃんじゃない。今日は遅かったわね。」

 

へぇ〜この世界にもイリヤはいるんだな〜

絶対さっきのなのなのしてた子だな。

胃が痛くなりそうだな〜

 

「って、ちょっとどこ行くのよ。」

 

どこか行こうとしたのかな。

まぁ、俺には関係無いか。

 

とっととフォーリナー探索に戻って。

って、なんで肩を掴まれたんだ?

 

「あの〜人違いじゃない?俺はイリヤなんて名前じゃないぞ?」

 

「髪を切っても騙されないわよ、さぁ、今日もコスプレ頑張ってね♪」

 

「……クソッタレェイ!俺はイリヤなんて名前じゃないって言ってんだろキャスター!!この幼女趣味!着せ替え大好き女!葛木メディア!キュケオーン!」

 

「なっ!?何故それを!?」

 

「うるせぇ!大人しく葛木宗一郎の所にでも行ってろ!俺は、とっとと抑止力からの仕事をこなして座に帰るんだよ!」

 

はぁ……もうやだ。

よし、霊体化しよ。

 

霊体化すれば、見つかる訳が無いからな。

フォーリナーが霊体化出来ないといいんだけど……

 

さて、これから、どうしたものか……

とりあえず、駒王学園に行く事は決定しているけど、問題と言えば、あのフォーリナーの能力……

 

覚醒しすぎて固有結界擬きを展開するまでになっているアレは見つけるのにかなり苦労する。

 

魔眼を使えばどうにかなるんだろうけど……魔眼を使う為には霊体化を解かなきゃ行けないんだよなぁ……

 

はぁ、どうしたものか……

そんな時だ。

 

ぐぅぅ〜、と腹の虫が鳴き始めた。

はぁ……流石に腹ごしらえをするか。

 

幸い、金は聖杯の力で原価を持っている。

ランサーにも、預けているから大丈夫なはずだ。

 

(ランサー、俺はこれから食事にするよ。そっちもそっちで好きな物を食べてくれ。)

 

───はい、分かりました。遠慮なく使わせてもらいます!

 

連絡も完了っと。

さて……何を食いに行くかな……

 

「ん?ラーメン屋……いいな。よし、ラーメンでも食うか!

 

すいませーん、ラーメン、一人分お願いします!」

 

そう、俺は見かけたラーメン屋に入って食事を取る事にしたんだが……はっきり言って予想外だ。

 

「ふむ、珍しい顔付きの客だな。座って待っていたまえ。すぐに出来るだろう。」

 

「…………なんでテメェがいるんだよクソ神父

 

「何か言ったかね?」

 

「いや、何でもない……ただ知り合いの顔に似てるなと思っただけだ。」

 

「それはそれは……奇遇だな。私も君が常連客に似ていると思っていた所だ。」

 

「「………………」」

 

「出来たぞ、食え。」

 

予想通り麻婆麺……麺など飾りのアレだ。

 

「おう、先に代金を払うから何円か言え。」

 

「3000円だ。」

 

「ほらよ……さて、いただきます。」

 

明らかにヤバそうな色だが、食わなきゃ食材が勿体ないもんな。

 

さて、お味は……意外とピリ辛で美味いんだな。

俺はてっきり、もっと辛いのを想像していたんだけどな……

 

(注意⚠『喰らい千切る地獄の番犬(バイティング・ケルベロス)』と言う、敵を喰らい尽くす宝具を持つサーベラス君の味覚は少し異常です。

 

というか、半分死んでます。

彼の味覚は信じないように!!

 

俺も酷い目にあったからね?

皆も、味覚が死んでる人を信じないよう気を付けてね!

作者より)

 

……ん?なんか今、凄く失礼な事を言われた気がする。

まぁ、気のせいかな……

 

さてさて、いつの間にか食い終わっていた俺だが、この麻婆麺のおかげで何故か魔力がMAX。

 

これなら探索し放題だな!

 

「ご馳走様でしたっと……意外と美味かったぜ。じゃあな〜似非神父。」

 

「実に良い食べっぷりだったぞ。また来たまえ。」

 

「機会があったらな。」

 

さて、そろそろ駒王学園にでも行きますk

 

「あっ、さっきの人!!」

 

「あ?って、さっき追いかけられてた少女!?と……げぇ、お前は…………英雄王!!」

 

「ほう?我を知っているのか、雑種……おい、少し待て。なぜ貴様イリヤに似ているのだ。」

 

「それは、こっちの話だぜ金ピカ野郎。なんでテメェがここにいるんだよ。」

 

「「知るか、()に聞くな!」」

 

「っち、埒が明かねぇ……こっちの英雄王はあらかた、俺と敵対してる英雄王とは別の奴って事か……」

 

はぁ……なんて悪運だ。

座に帰りたい。

 

「とりあえず、話を聞かせてもらうぞ雑種……貴様が一体何者かをな?」

 

「うるせぇ、テメェに話す事なんて1ミリもねぇわ!って……これは天の鎖!?

 

いつのまに……ッチ、よりにもよって今回は近くに民家がある……下手に暴れられねぇか……」

 

何故か、平行世界のイリヤと一緒にいる英雄王に捕まったサーベラス……果たして彼の運命は?

 

「……て、展開が早すぎて、話についていけないのぉ!?」




作者の〜次回予告!

はいはい、という訳で、やって来ました作者です。
一部の勘のいい読者達はタイトルを見た瞬間気付いたみたいですけど、今回は、なんと!?

あの、クレナイハルハさんの作品……【助けてバーサーカー!】とのコラボなんです!!

いや、初めにこの案がハルハさんから提案された時は、俺も、俺が作った作品を人気が高いハルハさんの作品とコラボなんかしていいかって悩んだんですけど、なんかもう振り切ってしまいましてね……

実はこの案、去年の10月頃から出てたりします……
それをようやく、形に出来ました。

このお話は前編!
この後、中編……かは、分からないけど、コラボは後編までは続くので乞うご期待。

それでは、俺はこれd……

「おい、作者。」

あ、サーベラス君。
はいはい、なんですか?

「今お前、この企画が10月頃から出てたって言ったよな?」

は、はい。
いいました。(あれ、なんか怒ってない?)

「そんなに、人を待たせるんじゃねぇ!!『天羽々斬(アメノハバキリ)』!!」

ぎぃぃやぁぁ!!やな感じぃ!?
✧彡キラーン

「この企画を提案してから待っていただいたハルハさん。本当に、作者が迷惑をお掛けしました!

皆も、こんな奴みたいになるなよぉ!!
それじゃあ、作者は遥か彼方まで吹き飛んだから、次回は黒桜ちゃんの部屋だな。

あっ、そうだ。
俺がTwitterを始めたぞ、色々喋っているから、暇な時にでも話しかけてくれ↓↓↓
https://twitter.com/QWid7Q2nRmaLNKU?s=09

そしてこれが、今回、コラボ企画を提案してくれたクレナイハルハさんの作品【もうやだ……助けてバーサーカー!】のリンクだ。

面白いから、是非読んでくれよな!↓↓↓
https://syosetu.org/novel/219947/

それじゃあ、次回もお楽しみに〜!」


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胃痛EX?助けてランサー!?(中編)

桜の前回のあらすじです。

前回は、サーベラス先輩がひたすらに人違い……勘違いをされて、大変な目に会いました。

そのうえ、あの金ピカに捕まって……今回はどうなるんでしょう!?

私、気になります!
では、皆さん、本編を楽しんでくださいね!


「さて、いつになったら俺は解放されるのかな?」

 

「貴様の正体を語ったらだ、雑種。」

 

どうも、現在、天の鎖で捕まって、何処かに連行されているサーベラスです。

 

胃痛がする。

霊体化して逃げたいのに、英雄王の野郎、対霊能力も追加して逃げれないようにしてきやがった。

 

いまは、とりあえずランサーに助けを求めたから、ランサーが来るまで、ひたすらに何も話さず、何も反応しないが勝ちだ。

 

「ケッ、英雄王に話す事なんて、微塵もないね。」

 

「今の状況を理解して無い様子だな?貴様は捕まっているのだ、なんなら、今すぐにでも殺しても構わんのだぞ?」

 

「へぇ〜それはどうかねぇ〜?別世界とはいえ、二度も俺に負けてる奴にそんなことできるのか?

 

どうせ、慢心してやり返されるのが落ちだぞ?」

 

「ほう?では、やってみるか?だが貴様は鎖に縛られていたなぁ〜!フハハハハ!それでは戦えまい!」

 

「あ?さっきから言わせれば……もう我慢ならねぇ!守護者の本気見せてやるよ。」

 

バチバチバチと言う音がなっていると錯覚するほどに英雄王と、俺の間に何かが走る。

 

こっちは、直死の魔眼だとかを使えば、直ぐに逃げられる。

 

その一瞬の隙を狙ってアイツの心臓向かって『真・鶴翼連撃』を叩き込んでやる!

 

「行くぜ……『────直死』」

 

「ほう、抜け出したか?話すつもりもないらしいな。いいだろう。ならば貴様の体に聞くまでよ!」

 

その言葉と同時に、俺は干将・莫耶を投影し、奴を視界に捉える。

 

英雄王も宝物庫を開けてこちらを狙っているようだ。

そしていよいよお互いに宝具を撃ち会おうとした時だ。

 

「見果てぬ夢の中で散るがいい!『固有時制御(タイムアルター)───』」

 

「王たる我に逆らった罰を受けろ!『───王の(ゲート・オブ)』」

 

「ストォォォプなのぉ!!」

 

思わぬ邪魔者(イリヤ)に止められた。

 

「そこをどけ、イリヤ……我はそこの雑種に鉄槌を下すのだ。」

 

「危ないからどいてくれないかな?君も、怪我はしたくないだろう?」

 

「ギル兄も、お兄さんも落ち着いて欲しいの!?ここ街中だよ!?暴れたら崩壊するよ!?」

 

……あ、そういやそうだったな。

そうか、街中か……流石に聖杯戦争でも無いのに戦闘する理由は無い……よ……な?

 

「って、ちょっと待て?今なんて?」

 

「え?街中だから暴れないでって」

 

「違う、その前だよ。」

 

「え〜と……ギル兄も、お兄さんも落ち着いて?」

 

「ギル兄???、は?……あの、英雄王が?兄貴?おいおい、何処かに頭でもぶつけた?」

 

「ぶつけておらぬは戯け!イリヤが、言ったことは正真正銘の事実だ。」

 

「……もしかして、あの金ピカとマスター契約とか結んでる?」

 

「う、うん。他にも、アーサー王とか、マーリンとか、ジャンヌ・ダルクとかとも結んでるの。」

 

「…………うん、百歩……いや、千歩譲って英雄王の他にも、セイバーや、ロクデナシと契約を結んでるのはいいとしよう。

 

だけど、あの英雄王が兄貴だぁ?

おい、慢心金ピカ愉悦王!

 

テメェが兄貴を名乗るなんざァ、2万年早いぜ!!

 

名乗るのなら、慢心を捨ててクラスを変えて出直しやがれ!」

 

訳が分からねぇ……

英雄王が、兄貴だと?

 

この場合は英雄王が受肉してる説が濃厚だが、そもそもこの世界のイリヤはどんな存在なんだ?

 

恐らく、キャスターが店長をやっているだろう喫茶店で働いていて、セイバーとか、グランドロクデナシと契約結んでて?

 

……もう訳がわかんねぇ。

 

「あ、あの?大丈夫……なの?目が死んだ魚みたいになってるよ?」

 

「あ、あぁ……大丈夫……大丈夫なはずだ。少し、いや、かなり胃が痛いだけだ。うん、だいじょう──」

 

訳の分からないことが次々と発覚して胃痛EXが発動……心配されたみたいなので大丈夫と言おうとしたその時。

 

────サーベラス!?いきなりすいません!!フォーリナーの手がかりを発見しました!

 

「なんだって?本当か、アナ!!」

 

別行動をしていたランサーがフォーリナーの手がかりを掴んだようだ。

 

────場所は、駒王学園から地図で見て南西の方向にあるビル街の路地裏。いつもここで集まっていると言う不良達が、昼頃にフォーリナーにそっくりな女の子を見たらしいです!

 

「さっすが、アナ!こんなにも早く情報を掴むなんて!」

 

────い、いえ、そんな事は無いですよ……それよりもです。発見されたのは昼頃……多分ですが、この近くにはもういないかと。

 

「そうだよな……少し待っててくれ。今すぐそっちに行く。手がかりさえあれば、多少は探しやすくなる。

 

ここからは、二人バラバラじゃなくて、まとまって行動をしよう。

 

集合場所は?どこへ向かえばいい?」

 

───駒王学園辺りで合流しましょう。

 

「駒王学園付近だな?了解。ただ、気を付けてくれ。時間はそろそろ夜だ。

 

俺の予想だと、フォーリナーは夜に本格的な行動を開始する。

 

それが、一般的な邪神のイメージ……英霊としての逸話には十分な程の世間観だ。

 

もしかしたら、フォーリナーが襲いかかってくるかもしれないから、油断はしないでくれ。」

 

───はい、では、先に向かっています。

 

「おう、俺もすぐ行く……さて、悪いが勝負はお預けだ。せっかく掴んだ手がかりを無駄に出来ないからな。」

 

「あ、あの!その手がかりとか、フォーリナーとかって何ですか?」

 

「すまないが話す時間はない。

さらば、英雄王と別世界のイリヤ!」

 

「え、ちょ、ちょっと説明して欲しいの!?」

 

さてさて、足にだけ影を纏って……

 

「『固有時制御・二重加速(タイムアルター・ダブルアクセル)』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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……という訳で、つきました、駒王学園!

うわぁ〜校門でっけぇ……

 

「あ、サーベラス!こっちです!」

 

「アナ!他に何か見つかったか?」

 

「いいえ、目撃情報は住宅街辺りで途絶えています。もしかしたら誰が家に止めてるとか、ありますかね?」

 

「いや、流石にないだろ。そうだな……フォーリナー特有の異界でも、構築してるんじゃないかな?

 

ほら、俺や士郎の固有結界みたいな自分の心象風景を、映し出すタイプじゃなくて、鏡面界とかと同じな、狭間の世界みたいなタイプ。」

 

「……だとしたら厄介ですね。異界なんて、そうそう見分けれるものじゃありません。

 

本当に微量な魔力の歪みを感知しなきゃ見つけれないですよ。」

 

「…………そこは、俺がなんとかする。全魔力を一時的に魔眼に回せばどうにかなるだろう……

 

だけど、やっぱり、無闇に連発はしたくない。

連発しすぎたら、逆に感知されてまた逃げられるからね。

 

出来れば、ここで仕留める。

いざとなったら宝具の出し惜しみもなしだ。」

 

それだけ、あのフォーリナーは厄介だ。

それに加えめんどくさい。

 

空間から空間……世界から世界への扉を開く。

あのフォーリナーが持つ移動能力はまさに邪神君臨には必須の能力だ。

 

邪神なんて君臨した日には俺は人類悪としての全力を使ってこの街ごと消し去らなきゃ行けないからな。

 

それだけは止めなきゃ……

 

「アナ、手がかりを見つけた近くには確か、住宅街もあったよね?」

 

「は、はい。確か……地図ではこの辺りです。」

 

「…………ルートを考えて…………予測して展開……フォーリナー……邪神……逃走……異界……

 

ッチ、ある程度キーワードが揃えば聖杯の力で無理矢理答えを引き出せるけど、まだ色々と足りないな。

 

よし、とりあえず、まだ夜はあまり深くない。

住宅街辺りを探索しに行こう。」

 

「はい、それじゃあ行きましょう!」

 

「うん……固有時制御を使って移動するから、悪いけど、振り落とされないようにしっかり掴まっててね。」

 

「は、はい…………」

 

俺は、なるべく早く移動をする為にランサーをおんぶする。

 

固有時制御による高速移動をランサーは出来ないからな。

 

今回ばかりは仕方がない。

ランサーも、子供じゃないから恥ずかしいだろうけど許して欲しい。

 

「かなりのスピードが出るから気を付けろよ?それじゃあ、行くぞぉ!!」

 

「え、なっ、はい!!」

 

心無しか、ランサーが掴む力がとても強い気がした。

 

でもまぁ、仕方はないか。

簡単に表すのなら、バイク並の速度で動いてるも同然。

 

怪力スキルの一つや二つを使わなきゃ振り落とされるからな。

 

「ごめんアナ、速すぎるかな?」

 

「い、いえ、大丈夫です!?」

 

「そう?ならいいけど、無理しないでね!」

 

さてさて、住宅街は確かこっちの方……

この大きな家あたりを、目印にしてるから……

 

「よし、ここら辺か……さて、聞き込みをするのが一番早いけど、時間帯的にそれは出来ないと……」

 

「あわわ……目が、目が回ります……」

 

あ、背中に乗せてるランサーが……

 

「ご、ごめんねアナ。下手に速度を出しすぎた。暫く背中に乗ったままでいてくれ。」

 

「は、はいぃ……」

 

俺のせいで目が回っているランサーの代わりに探し回るとするか……

 

と言っても、やっぱり聞き込みが封じられるのはキツイけど。

 

次に誰かが、通りすがったら聞いてみるのもありだな。

 

「お?お前さん達、こんな夜遅くに何してんだ?迷子か?」

 

早速後ろから話しかけられたな……と言うか、この声、な〜んか聞き覚えが……

 

「いえ、実はとある子を探していてです……ね!?」

 

おいおい、まてまて……英雄王がいて、セイバーもいると聞いてまさかとは思っていたが……

 

「なんだ、兄弟でも探してんのか?」

 

クーフーリン(おまえ)がいるとは……

面倒くさいから、とっとと聞いて次に行こう。

 

「いえ、兄弟では無くてですね……実はこの子を探していまして。

 

何処かで見かけませんでした?」

 

とりあえず、フォーリナーの写真を見せる。

クーフーリンは悩むような顔をして、何か考えていた。

 

「悪ぃな。俺も見てねぇ。」

 

「デスヨネ…………いえ、ご協力ありがとうございました。」

 

「おうよ、探すのもいいけど、もう時間が時間だ。家に帰って警察を頼れよ。」

 

「は、はい。ありがとうございました。」

 

さて、無事に開放されたぞ…………流石にあの平行世界のイリヤと契約している訳では無さそうだ。

 

契約しているとしたらどんな魔力量だよって話だしな。

 

「悪いな、アナ。流石に一時撤退だ。ホテルにでも泊まって明日出直そう。」

 

「は、はい。」

 

ホテルには、俺が大人の姿になっていけば親子って間違えてくれるはず。

 

身分証明書は……投影すれば何とかなるか?

 

さて、それじゃあとっととこの場から離れて……

 

「あ、クー兄!」

 

「おう、イリヤ!今日は遅いんだな。」

 

「途中で、トラブルがあってね……クー兄も今日は遅かったね。」

 

「あぁ、かなり量の魚が釣れてな。」

 

…………よし、逃げるか。

 

(ごめんアナ。もう一回固有時制御(タイムアルター)を使う。)

 

───え?何でですか?今聞こえた限りだと、あそこにいるのはこの世界のイリヤとクーフーリンなのではないですか?

 

(それがマズイんだよ。こっちのイリヤはあの金ピカと契約をしているらしくてな。

 

さっきも、俺が、捕まってた。

バレる前にここから離れるぞ。)

 

───そういう事ですか……分かりました。全力で逃げてください。

 

(うん、そうするよ。)

 

さて、速度は……

固有時制御(タイムアルター)……二重加速(ダブルアクセル)でいいかな。

 

「よし、『固有時制御・二重加速(タイムアルター・ダブルアクセル)』」

 

この世は逃げるが勝ちってね。

 

「ほう、どうやら我は相当な豪運らしい。一度は逃した獲物を再び捕えれるとはな!」

 

ゲェ、この声は!?

 

「逃げれると思うなよ?雑種!!」

 

「ッチ、よりにもよってお前か!?アナ、悪いが君だけで先に逃げててくれ。」

 

「いいえ、この場合は逃がしてはくれません……私も戦います!」

 

またか……この状態はキツイな……後ろには必中の槍が使えるランサー。

 

目の前にはあのもう見飽きた金ピカ野郎。。

 

対する俺達は守護者が1人と鎖鎌を使うランサーが1人……戦力的にはあっちの方が有利か。

 

「ッチ、最悪、固有結界を、使わなきゃ行けないのか……ったく、なんで仕事中にアイツと遭遇しなきゃ行けねぇんだよ抑止力。

 

投影開(トレース・オ)ッ!?」

 

「天の鎖!?すいません、私はもう動けません!」

 

「ッチ、アナを人質に取るか……やっぱりお前と俺は分かり合えないな、英雄王!!」

 

「ふふ、フハハハハ!!やはり雑種程度の頭脳では我の考えを理解出来ぬようだな!」

 

考え?

ランサーを人質に取って俺を一方的に倒すんじゃないのか?

 

「我の目的は一つ、貴様らを捕らえ、洗いざらい全て話してもらうことよ!!」

 

「…………えぇ……あの英雄王が……なんでこんなに柔らかく?なんか、不気味過ぎない?」

 

「……ですね。」

 

「なっ!?」

 

うん、本当に不気味。

はっきり言って気持ち悪い。

 

「貴様らァ……」

 

「隙あり、投影開始(トレース・オン)『マグダラの聖骸布』」

 

「なっ、これは!?」

 

「男を完全に無力化できる聖骸布……普段はなんでか気が乗らないんだけど、今回ばかりは仕方がないから使った。」

 

うん、本当にコレを使うのは気が乗らないんだよね。

なんて言うか、使おうとすると言峰と遭遇した時のような寒気がする。

 

本当になんでだろう。

まぁ、いいか。

 

「って、ギル兄!?なんで縛られてるの!?それと、さっきのお兄さんと……どこかで見たことある女の子!?」

 

「うわぁ……あの布にはいい覚えがねぇ……と言うか、さっきの坊主共は英霊だったのか。」

 

「悪いね、クランの猛犬。生憎だけど、俺達には抑止力からの仕事があるからな。」

 

「なんだ、俺の真名を知ってんのか?」

 

「こっちは抑止力のせいであらゆる世界を飛ぶのでね。」

 

「なるほど、あのアーチャーと同類って事か。」

 

「同類って言うより……ま、いいか。っで、どうする?アンタもやるか?」

 

「馬鹿言え。聖杯戦争でもねぇのに無駄に戦ってたまるかよ。近所迷惑だろ。」

 

「そいつはよかった……それじゃあ、悪いけど俺はこれで。」

 

「それは、それとして、話は聞かせてもらうぜ坊主。」

 

……何でどいつもこいつもこう話を聞きたがるんだよ。

 

抑止力の話なんてつまんねーだろうが。

 

「はぁ……仕方ねぇ……だが、条件がある。おい、さっきの銀髪の少女。」

 

「え、は、はい。」

 

「俺はいいから、アナを家に泊めてやってくれ。いくら英霊とはいえ、マスター無しで現界してからずっと動いてるんだ。

 

流石に休ませて欲しい。」

 

「分かったなの……所で、アナ……さんの真名ってメドゥーサだったりする?」

 

「「え?何で知ってるの(ですか)?」」

 

「それは……アハハ。感なの。」

 

「勘……ですか?」

 

「勘ねぇ…………ま、いっか。」

 

このイリヤ……ん〜なのなの言ってるし、なのイリヤでいいかな?

 

なのイリヤは勘が鋭いのかな?

それとも……いや、無いよな。

 

「とりあえず、取引成立。んじゃ、俺の仕事について洗いざらい教えますよ……っと、先に」

 

とは言っても……何から語るべきか……

俺が抑止力の守護者になるまでは語らなくていいとして、やっぱり、フォーリナーの事は聞かれるよな。

 

フォーリナーの事は語るとしよう、だが次の問題は俺の正体について聞かれるかだ……

 

今の俺のクラスはアーチャーじゃなくてフォーリナーに対抗する為に人類悪(ビースト)、そんな事を話したら速攻で殺されるのでは?

 

と言うか、聖杯を身体に幾つも持ってる人類悪とか討伐対象以外の何者でもないよな。

 

……ま、その時はその時だ。

いざとなったら宝具を解放すればおしまいだ。

 

さて、ここじゃなんだからと、案内された場所はすぐそこの大きな家だった……遠坂邸ぐらいあるよな、これ。

 

と言うか、ここまで英霊が揃ってるとなんか不安になってきたぞ?

 

今の所、なのイリヤと契約していると聞いた英霊は……

アーチャー(ギルガメッシュ)ランサー(クーフーリン)セイバー(アルトリア)キャスター(マーリン)そしてルーラー(ジャンヌ)か……

 

もしかしなくても全クラスの英霊が一人はいるとか?

 

いやいや、ナイナイ。

ルーラーまでならまだしも、アヴェンジャーとかアルターエゴとかフォーリナーとかはそう簡単に呼べるはずがない。

 

いや呼べてたまるか。

そんなに呼べたならチートのバーゲンセールにも程がある。

 

「ここが、私の家なの。アナさんだけじゃなくてお兄さんもゆっくりしていくといいよ。」

 

「気遣い感謝する。それじゃあ、お邪魔しますっと…………え?」

 

見間違いかな?

英霊の他に、ヤバいやつらがいる気がするんだけど……

 

え〜と?

バーサーカー(ヘラクレス)アサシン(ジャック・ザ・リッパー)に、ライダー(アストルフォ)、ジークに、シトナイ(イリヤ)、プリヤ、クロエ、美遊、アーチャー(シロウ)、母さん、父さん、イシュタルにエレシュキガル。

 

……うん、ここまではいいよ、まだカルデアとかに比べれば多分マシだろう。

 

だけど、その奥にいる人達はおかしくないか?

 

ピンク髪で変な未確認生物QBと契約してしまってそうな魔法少女と、その魔法少女を助ける為に時間遡行をしまくってそうな魔法少女。

 

リリカルでなのはってそうな二人組の魔法少女……

 

俺は一体、何を見ているんだ……

やべぇ、胃が痛くなってきた。

 

「お、お兄さんどうしたの?いきなり頭を抑えて、もしかして頭痛とかあるの?」

 

「いや、何でもない……そう、ナンデモナインダ……キニスルナ……」

 

「気にするなって、死んだ魚の目で言われても困るよ!?」

 

「サーベラス、胃痛ですか?」

 

「うん、ごめんねアナ……しばらく影の中で休ませてくれ…………約束の事については後で話す……うん、胃が……痛い……コフッ」

 

「ほら、早く休んでいてください……また吐血してますよ。」

 

「すまない……本当にすまない……話して欲しい時に起こしてくれ…………はぁ、胃が痛い……」

 

なるほど、俺の起源は胃痛だったか(違う)

起源を知る者は、起源に縛られるとは本当だったのだな……まぁ、俺の起源とか知らないけど……

 

後は任せたぞ、アナ……(lll __ __)バタッ

 

「お、お兄さァァん!?」

 

「いつもの事です、お気になさらず……」

 

「え!?でもお兄さんが溶けたよ!?」

 

「影に潜っただけです。彼の胃痛が余計に酷くなるので気にしないであげてください。」

 

「え、あ、はい。」

 

「こうなると、しばらくは回復しません……すみませんがしばらく待っててください。」

 

「と、とりあえず……ご飯でも食べます?」

 

「えぇと……はい、お願いします。」

 

サーベラスの胃痛だらけの仕事は……後少しだけ続く。




ら〜らら〜♪︎らららら〜らら〜♪︎ら〜ら〜ららら〜♪︎


黒桜の部屋


桜「さて、始まりました黒桜の部屋。このコーナーは本編の私が言えない文句や、質問をstaynight(別人格)の私がぶっちゃけるコーナーになっております。

今回はコラボ回という事で、私も総員三名のスタッフも張り切って用意をして参りました!

本日のゲストは、今回、コラボを提案してくださった『クレナイハルハ』さんの書かれた作品である
【もうやだ……助けてバーサーカー!!】の世界から来ていただいたイリヤ先輩……

別名なのイリヤや、オリヤと呼ばれているイリヤスフィール・フォン・アインツベルンさんに来ていただきました。

本日はよろしくお願いします。」

なのイリヤ「私……キタァーーー!なの!!皆みてるー?桜さん、こちらからもよろしくお願いしますなの!」

桜「ええ、よろしくお願いします。
ではいつも通りに質問をしていきましょう。
先ず、今回はサーベラス先輩を家に招いた見たいですが、サーベラス先輩と初めて遭遇した時の心境はどうですか?」

なのイリヤ「正直言うと、魔王少女から逃げててパニックしてたから詳しくは思い出せないけど、私と似てるなぁってしか思ってなかったの、あと助けてもらって抱えられたとき、少し安心した感じがあったの」


桜「では、次の質問に移ります。
実は、今回の黒桜の部屋を開く時に英霊の座や、駒王学園の生徒達から様々な質問を寄せ集めてきました。

その質問の内、幾つかを紹介しますね。

【ペンネーム:魔王少女】さんから
“何度も頼んでいるんだけど、一体いつになったら私の眷属になってくれるの?私は、いつでも歓迎だぞ♪”」

なのイリヤ「営業妨害です、それに私はこれでも一応アイドルなので誰か1人は選べないの……」

桜「なるほどなるほど、それで本心は?」

なのイリヤ「死んでもお断りなの!悪魔のせいで私がどれだけ死にかけたと思ってるの?そろそろ怒るの、お仕置きする?マジで」

桜「【ペンネーム:赤いアークマ】さんから
“私の所に、是非とも……嫌、絶対着艦してちょうだい!”」

なのイリヤ(響コス)「嫌だよ。絶対に着艦しない、それに司令官には悪いけどそのまま私に近付かないでくれ。逃げるの、毎回大変なんだからね?」

桜「【ペンネーム:二天一流】さんから
“そっちには色々な美少年や、美少女……更には美味しいうどんがあるんだって?是非、私も召還してちょうだいね!いつでも歓迎です!”」

なのイリヤ「ラーメン屋にご招待する?あとギル兄に頼んでアイドルのプロデューサーでもやって貰おうかな?」

桜「【ペンネーム:人類最後の女マスター】さんから
“何回、召喚をしてもなのイリヤちゃんが来ません。私のカルデアにいつ来てくれますか?”」

なのイリヤ「うーん、私を召喚するんだったら……大量の麻婆豆腐を用意するといいの!飛んでくの!でも私を呼ぶとたぶん、ドクター辺りが胃を壊すかもよ?私を召喚するだけで他にも魔法少女召喚するし」

「等といった質問が届いておりましたが……これについてどう思いますか?」

なのイリヤ「みんなにお菓子作るので召喚、拉致、ストーカーは勘弁してください!羞恥心がないとはいえ、心はガラスなの!!」

桜「では、最後に……そちらでは私の出番はありませんか?別に、女神の依り代になっている私(パールヴァティーやカーマ)を召喚してくれても構わないんですよ?

と言うか、姉さんを依り代にしているサーヴァントだけいるとかズルいです!!

私の事も召喚してくれますか!してくれますよね!」

サーベラス「桜ちゃん?ちょっと落ち着いて?セットが壊れるから。

これ投影するの結構疲れるからね?
そして、尺がないからね?こういうのは止めておいた方がいいんじゃないかな?」

桜「サーベラス先輩は黙っていてください!!これは大事な質問なんです!」

サーベラス「あ、おう……そうか……」

桜「んん……少しお見苦しいところをお見せしました。では、改めて、質問の答えをお願いします。」

なのイリヤ「えぇーと、一応作者が言うにはカーマさんやパールヴァティーさんを召喚する考えはあるんだけど、知識が足りないのでもう少しかかる、らしいの!そう言えば気になってたけど2人は内のサーヴァント見てどう思った?」

サーベラス「胃痛がした……だって、クーフーリンやバーサーカー、衛宮家はいつも通りとして、あの慢心金ピカ愉悦王が綺麗になってたり、ほぼ全てのサーヴァントがゲーマーだったり、アルトリアとジャンヌが働いてたり、挙句の果てには型月外の魔法少女もいるんだよ?

胃が痛いったらありゃしない。
金ピカは凄い不気味だし……ああ言うのは賢王の方の金ピカの役割だろ。

あとマーリン許さん。
プライミッツ・マーダーなんて野に離しやがって……あれのおかげで俺は抑止力に召喚されてたんだからな!!
ぜってぇにゆ゛る゛さ゛ん゛。 」

桜「サーベラス先輩が言う通り、あの金ピカが一番不気味でしたよね……アーチャーさんも、あれを見たら胃が持たないんじゃないでしょうか……

流石の先輩でも、あれには言峰神父の麻婆豆腐の次に嫌悪感を示しますね。」

なのイリヤ「シンプルにギル兄への当たりが強いの……」

二人「「金ピカ、絶対に許すマジ」」

桜「さて……ここまで、様々な質問にお答え頂き、ありがとうございました!

それでは、そろそろ黒桜の部屋は終了ですね。次回予告に移りましょう。

お願いしますね、ライダー。」

ライダー「はい、変わりました。スタッフ一号こと、ライダーです。

こういうミニコーナーで私といえば(ぐだぐだ)の二人組と組んでるイメージの方が強いですかね?

次回はいよいよ後編、サーベラスがフォーリナーと対決します……あちらの世界のイリヤはどうやって関わるのでしょうか……ランサーの方の私には頑張って欲しいですね。」

全員「「「「次回もお楽しみに!」」」」

助けてバーサーカーのリンクだ。
面白いからぜひ読んでくれよ!↓↓↓
https://syosetu.org/novel/219947/


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胃痛EX!助けてランサー!!(後編)

前回のあらすじ
なのイリヤさんの家に案内され、胃痛に悩まされるサーベラス君。

彼は、少し、なのイリヤとお話をした次の日に、ついにフォーリナーを見つける、そして、覚醒しかけたフォーリナーの前に……

おっと、これはかなり先のお話でしたね。
では、そろそろ〆るとしましょう。

祝え!コラボ話の終わりを!

……それと、長くお待たせしてしまったクレナイハルハさん。本当にありがとうございました!


「サーベラス、そろそろ起きてください。」

 

…………ハッ!?少し休むつもりが寝てた!?

不味いな……うっかりしてたな。

 

「サーベラス?聞こえてますか?」

 

「はいよっと……なぁ、アナ。俺が影に潜ってから何時間経った?」

 

「ざっと二時間程ですかね……胃はもう大丈夫なんですか?」

 

「あぁ、まだ少しだけ胃痛がするけど大丈夫だよ。」

 

はぁ……正直、もう影からでたくないけど……

まぁ、取引は取引だ……こっちが出した条件を呑んでくれたんだから、こっちもちゃんとあちらの依頼に答えなきゃな……

 

「さて、それじゃあ……ってあれ?さっきより人数少なくない?」

 

「子供組は時間的に寝に行ったそうです。なのでここにいるのはごく一部のサーヴァントのみですね。

 

アイリスフィールと切嗣も寝に行ってしまいました。」

 

と言うことはここにいるのはバーサーカーとアーチャー、金ピカ、クーフーリン、セイバー、ルーラー、ロクデナシそして、なのイリヤだけって事だな。

 

「OK。それじゃあ契約通り、俺が派遣された理由についてを洗いざらい語ろうじゃないか。

 

もっとも、面白い話じゃないから期待なんてするなよ?」

 

「元から期待などしておらぬ。さっさと語らんか雑種。」

 

「うっせぇ、テメェは引っ込んでろ金ピカ!

はぁ……それじゃあ先ずは自己紹介からかな?

 

俺の名前はサーベラス。

ややこしくなるからサーベラスだけでいい。

 

今回のクラスはアーチャー。

抑止力に派遣された名も無き英霊…………ただの守護者(セイギノミカタ)だよ。

まぁ、よろしく。」

 

「はい、サーベラス……さんですね?よろしくお願いしますなの!」

 

「敬語はいいよ、堅苦しいの苦手だから。」

 

「じゃあ、サーベラス君?」

 

「それでいいよ。」

 

……自己紹介はこんなんでいいだろう。

アインツベルンとか名乗ったら今度は英霊になった原因とか聞かれそうだしな。

 

それだけは避けなくては……

 

「さてさて、それじゃあ俺とアナが来た理由でも話させてもらおう。

 

俺は普段から抑止力にこき使われていて、様々な任務をこなしているんだけど、今回もそういうパターンだ。

 

でも、その依頼が規格外でな?

人類悪候補のエクストラクラス……君臨者(フォーリナー)のサーヴァントが暴走した状態で出現したらしくてな。

 

そんな奴を野放しにしてたらたちまち、世界は大混乱!

クトゥルフの邪神様が降臨ってヤツだな。

 

それを防ぐ為に俺とアナ……ランサーのメドゥーサが派遣された訳だ。

 

理解して頂けた?」

 

「クトゥルフ……ニャルラトホテプ……這いよる混沌……ニャル子さん?」

 

「おっと、君の想像してる事が分かった気がするぞ?アニメのような奴じゃないから勘違いするなよ。

 

それに、今回はニャルラトホテップじゃない。

むしろ、もっとヤバい奴だ……

 

クトゥルフ神話の中でもトップクラスでヤバい神だ。

その名も、皆お馴染みのヨグ=ソトースだ。

 

この名前を聞けば、嫌でもどれだけヤバいか分かるだろ?」

 

そう、今回俺が追っかけているフォーリナーはヨグ=ソトースとの繋がりを持つサーヴァント……

 

その名も、アビゲイル・ウィリアムズ。

FGOでは確か、1.5部の四つ目の亜種特異点、セイレムで登場したんだっけか?

 

2部1章をクリアしてほぼ直ぐに死んだからそれより後の活躍やイベントとかは知らないんだよな……

 

前世の死因なんて気にしても仕方ないか。

ほぼ全て忘れたし。

 

兎に角、ヨグ=ソトースとかいうトップクラスでヤバい奴が逃げ出したんだ。

 

そりゃ〜俺が送られる訳ですよ。

 

「ほう?面白くなってきたでは無いか。」

 

「黙れ金ピカ。一歩間違えれば世界の危機なのに愉悦してんじゃねぇぞ。

 

まぁ、兎に角だ。

俺達はそのフォーリナーを探してるんだ。」

 

抑止力からの任務は、フォーリナーを殺すか、邪神との繋がりを一時的に断ち切るかの選択だ。

 

俺としては、一時的に断ち切る方がいいんだが、抑止力的には殺す方がいいんだとか。

 

いくら俺が、抑止力の守護者だからって、流石に何も知らない少女を殺すのは気が引けるんだよな……

 

まぁ、今更そんな事言っても意味が無いがな。

……やれやれ、セイギノミカタは大変だな。

 

さっきから金ピカとロクデナシが何やらコソコソと話してるし……

 

「 とりあえず話せる事は全て話したし、これで取引完了だな。

 

そんじゃ、俺は霊体化して外で休んでおくわ。

何かあったら起こせ。」

 

「ちょ、ちょっと待って欲しいなの!」

 

「ん?どうしたんだ、なのイリヤ。何か説明不足だったかな?」

 

「なのイリヤ!?いや、それよりも……サーベラス君はご飯を食べないの?」

 

「あぁ〜それね……別にいいさ。

俺は少し休めば十分だ。

 

本来、英霊は飯を食う必要がないしな。

さっき麻婆を食ってたのは無駄に消費した分の魔力を補充する為だ。

 

だから別に食わなくてもいいんだぜ。

まぁ、こんな奴はあまり気にしないでくれ。」

 

多分だけど、今の俺はあまり味覚がないだろうし……

無駄に食費がかかるだけだ。

 

別クラスだったら魔力が足りてない場合もあるから食うけど、アーチャーの時はそんなに消費しないからな。

 

アーチャーの英霊のスキル“単独行動”のおかげだな。

……まぁ、いざという時には“単独顕現”もあるけどね。

 

「サーベラスゥ?」

 

「な、なんだよアナ。」

 

「こちらのイリヤ……なのイリヤでしたか?兎に角、イリヤは善意で言ってくれるんですよ?

 

サーベラスはいつもそうやって善意を無駄にしようとするんですから……

 

少しは善意に甘えてくださいよセイギノミカタ!」

 

「アナ……何処でそんな言葉を覚えたんだ君は。

まるでアーチャー見たいな言葉使いだな……」

 

「はい、少し真似させてもらいました。

サーベラスはどうせ、味覚がほとんど無いからとか、食費がかかるとか思って食べないだけでしょうから。」

 

「アナって千里眼持ってたっけ?よく俺の心を読めたな。」

 

「長く、共に行動をしていたら、これぐらいはできるようになりますよ。」

 

「そう言う物かな……?」

 

「そう言う物です、それに美味しいですよ。」

 

「おう、イリヤの料理の味は俺とアーチャーが保証するぜ?」

 

「その通りだ。君が何処の英霊かは知らないが、君も別に食事は嫌いな訳ではないだろう?」

 

まさか相方に心配されるとは……

流石に、食べないのは失礼だったかな……

 

「はぁ……ここまで言われて食べない訳には行かないかな。有難く頂くとするよ……さて、手伝う事はあるかな?」

 

「えーと……特にないの。そこに座って待ってくれてればいいよ。」

 

「そうか?ならいいけどさ。」

 

…………妹の姿をした別人に料理を作ってもらうってなんか……気まずいな。

 

はぁ、なんだか疲れた。

食い終わったら本当に外で休もう。

 

この家の中では精神的にマトモに休める気がしない。

 

「何が好きかは分からないけど、これでいいかな?」

 

差し出されたのは唐揚げなどの普通の食事……いや〜思ってたのと違って普通でよかった。

 

どの世界のイリヤも、基本的に料理下手だから、てっきりドイツのアインツベルン本家にいた時に母さんが作り出した暗黒物質(ダークマター)のような何かが出てくるかと思った。

 

「それじゃあ、頂きますっと………美味しいな。」

 

良かった……普通に味覚が生きてた。

嫌、それとも超美味しいだけなのか?

 

どちらにせよ、美味いことには変わりない。

多分、士郎が驚く程に……って、別世界のとはいえ、士郎は目の前にいたか。

 

「美味しかったよ、ご馳走さん。」

 

「お粗末さまでしたなの。」

 

「さて……んじゃ、俺は屋根の上で霊体化して寝てるから、何かがあったら、アナを通して声をかけてくれ。

 

お休みなさい。」

 

「え、えーと……お休みなさい?なの」

 

さて……しばらく街の景色でも見てきますかね。

ここの屋根からならビル程ではないけど、かなり遠くまで見渡せるだろうしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランサーside

 

サーベラスが屋根に移動すると、マーリンや英雄王も何やら相談をしながら移動を始め、リビングには、私となのイリヤのみが残された。

 

「……すいません、なのイリヤ。

ちょっといいですか?」

 

「いいけど……何か用なの?」

 

「えぇ、実は少しサーベラスと話して来て欲しくて。」

 

「サーベラス君と、なの?」

 

「はい、彼は根っからの正義の味方……使命だとか、そう言うのを何もかも、自分だけで背負ってしまう癖があるので、できれば気軽に話しかけてあげて欲しいんです。

 

あぁ、やって笑顔ではいる物の。

実際にはどれ程、魂を擦り減らしてるか分からないので、少しでも貴女のような人と話して心の底から、笑って欲しいんです。」

 

「……分かったなの。でも、サーベラス君はきっと、アナさんと話してる時も心の底から笑ってると思うなの?」

 

「そうでしょうか……ね?そうだといいですね。」

 

本当にそうだとしたら嬉しいですね。

私が、サーベラスに召喚されてからほぼずっと彼を見てきていますけど、サーベラスが心の底から笑う事はあまりないですからね。

 

正義の味方は常に自分を視界に入れない。

入れるのは周りの命だけ…………

 

そんな悲しい事をずっと続けているサーベラスを心配できるのは、間近でサポートをしている私と、英霊の座からサーベラスを見守る彼の家族だけですからね。

 

私が、一緒に現界している時は、私がサーベラスの健康面に気を配らなければ!

 

そうしなきゃ、サーベラスは永遠と戦い続けるだけですからね。

 

先程も私が言ってなければご飯も食べずにあちらに……

全く……困った元マスターですね。

 

「それじゃあ、話してくるけど……サーベラス君って霊体化してるんじゃないの?」

 

「いいえ、まだしてないと思いますよ。

サーベラスのことですから、今頃街でも眺めてるんじゃないでしょうか。」

 

「サーベラス君のことは本当に何でも知ってるんだね。」

 

「元サーヴァントとマスターの関係ですからね!絆レベルで表すと15です!」

 

「MAXだったなの!?」

 

「はい!自慢では無いのですがね!」

 

「それじゃあ、言ってくるなの。」

 

彼女も一応イリヤですし、サーベラスとは仲良くして欲しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーベラスside

 

「……色々居すぎだろこの街。

冬木よりも物騒だぜこれは?」

 

さっきから魔眼とかを使って遠くを眺めてるけど、やべ〜奴しかいないんだよな。

 

変な赤くて、手の甲に緑色の宝石見たいな物がはめられた篭手?のような物を装着している高校生が、何か敵らしき者を殴ってるし。

 

先程、俺を間違えて追いかけてたあの銀髪は隣の家に住んでるっぽいし。

 

やれやれ、冬木より物騒な街は初めて見たぜ。

 

「おーい!サーベラスく〜ん!」

 

「ん?この声は……なのイリヤか。」

 

何か用かな?

取り敢えず、屋根から降りるか。

 

「スタッとな……何か用かな?なのイリヤ。」

 

「ちょっと……サーベラス君と話を……してみたくて来たなの。」

 

「お話し……ねぇ?こんな名も無き英霊の話なんて、面白いものは無いぞ。

 

悪い事は言わないから寝に行きな。」

 

そう、面白いもの何も無い……あるのと言えば、楽しかった日の記憶とセイギノミカタの日々だけだ。

 

聞いたって面白いものは一つもない。

ただ、気まずくなるだけだ。

 

「そうかもしれないけど……やっぱり話を聞いてみたいなの。

 

ほら、サーベラス君って私と見た目似てるし。」

 

「あぁ、それね……気にするなと言った所で君は諦めてくれないだろうし……

 

いいよ、ほんの少しだけ話をしようか。」

 

俺となのイリヤの辺りを影で包み込む。

いわゆる防音結界だ。

 

…………ついでに、魔力を一時的に遮断できるから、フォーリナーにも見つかんないと言う優れものだ。

 

「それじゃあ、何について話そうかな……そうだ、俺の真名でいいのかな?」

 

「サーベラス君の真名……?サーベラス君の本当の名前ってサーベラスじゃないの?」

 

「おうよ、俺の真名は“サーベラス・フォン・アインツベルン”

 

別世界の衛宮切嗣と、アイリスフィール・フォン・アインツベルンの息子で、イリヤの双子の兄貴。

 

それが俺だ。」

 

「え、えぇぇぇ!?」

 

「そんな驚くなって、シロウの事と言い、よくある事だ。」

 

「よくある事なわけないの!」

 

「そうか?結構あると思うけどな。」

 

「まさか……お兄ちゃんだったとは……私もお兄ちゃんって呼んだ方がいいのかな?」

 

「別にどうでもいいぜ?サーベラス君のままでも結構。

最初に自己紹介した時に言ったろ?

 

俺は名も無き英霊、ただの守護者(セイギノミカタ)だって。」

 

そう、本来の俺は名も無き英霊だ。

名を失っても仕方ない事ばかりしてるからな。

 

それでいて守護者(セイギノミカタ)……これが無銘にならない訳ないよな。

 

いつかしら、俺自身の名も忘れるだろう。

その時はその時、だけどな。

 

「そう……なの。セイギノミカタ……」

 

「深く考えんな。

俺は好きでやってんだ。

 

気にしないでいいよ。

こんな事、いちいち気にしてたらキリがないからな。

 

そうだそうだ、俺からも聞きたい事が一つあるんだ。

聞いてもいいかな?」

 

「うん、サーベラス君だけに質問に答えてもらってたら不公平なの!じゃんじゃん聞いていいよ!」

 

「それじゃあ、遠慮なく……

君、二重人格か何かだろ?」

 

「え?」

 

「魔術世界で人間はな、三つのカタチに分類することがあるんだよ。

 

肉体、魂、精神……

肉体は文字通り、俺達を構成している身体。

 

精神はその肉体を動かす俺達の心。

 

魂は俺達の心を内包している俺達の起源ってとこかな。

 

俺の“眼”は特別製でね。

そう言うのが見えるんだ。

 

っで、なのイリヤは肉体が一つなのに、魂が二つある。

 

精神が二つあるのなら問題は無い。それはただの二重人格だ。

 

だけど、君は二人いるんだろ?

自分とは同じ体を持つが、自分とは色々と違うもう一人の自分。

 

そういう何かが、いるんだろうね。」

 

「…………」

 

「その反応を見ると、図星かな?

となると……君の中にいるのは、別のイリヤな訳だ。

 

俺としても、君みたいになのなの言ってるイリヤは初めてだからな。

 

この世界のアインツベルンがそうやって作ったのか、それともただ単に自然とそうなったのか……

 

俺の知った事では無いけどね。」

 

「……この世界にアインツベルンはいないなの。」

 

「え?マジで?

でも君の名前はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンでしょ?」

 

「その……言いにくいのだけど、私は転生者なの。

神様の転生特典ガチャで、イリヤの身体が当たって、イリヤになってしまった転生者なの……」

 

「へぇ〜……」

 

「やっぱり、怒るよね……って、え?」

 

俺は、なのイリヤの頭を撫でる。

そんな事気にしなくてもいいよって言いながら。

 

「いやはや、まさかこんな所で“ご同業”に会えるとはね!これも、運命か何かかな?」

 

「“ご同業”って、もしかして!?」

 

「そゆこと。

俺も転生者だよ、容姿とか生まれる場所はあの似非女神に決められたけど能力に関してはガチャだったな。

 

まさか、似た境遇の人に遭遇できるとは思いもしなかったぜ。」

 

しかも同じアインツベルン!

運命ってのは不思議なもんだねぇ。

 

「私も思いもしなかったなの。」

 

「まぁ、そういう事だ。

俺も人の事を言えないってね。

 

あ、これはアナ達には秘密な?

俺の一番の秘密。

 

バレたら色々と面倒臭い。

観測時空の人だから、誰を愛用してたのかって問われる以外にも、色々と話し掛けずらくなる。

 

OK?」

 

「分かったなの。

絶対に言わないなの!」

 

「ありがとさん。

まぁ、話はここまでにしとくか……ほら、学生はとっとと寝る時間だ。

 

お休み、なのイリヤ。

……影を部屋まで繋いどいたから移動はしなくていいぜ。」

 

さて、なのイリヤを送った事だし……

探索を続けるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Now Loading(次の日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っち、成果なしか。」

 

あれから、朝まで探し回っているが、一向に見つかる気配なしだ。

 

とりあえず、一旦なのイリヤの家に帰ってきた物の……

なんだか情けない気がしてたまらない。

 

「おはようございます、サーベラス。」

 

「おはよう、アナ。ちゃんと眠れたかい?」

 

「えぇ、それはもうぐっすりと……サーベラス、貴方寝てませんね?」

 

「え、そんな事ないよ?ちゃんと寝たさ。(30分だけだけどな。)」

 

「そんな嘘で私は騙せませんよ!どうせ、夜中ずっと探し回って、30分程度しか寝ていないのでしょう!」

 

うっそぉ、バレた!?アナは千里眼でも持ってんのかよ?

 

とまぁ、ここはあえて無視しておこう。

とりあえず、とっとと、なのイリヤにさよなら言って探しに行きますかね〜。

 

 

「やぁやぁ、朝から夫婦漫才ご苦労さま。」

 

「おいロクデナシ、今聞き捨てならない事を聞いたぞ?誰が夫婦だ誰が。

 

俺のような無銘の守護者と正式な英霊であるランサーを一緒にするな。

 

大体、夫婦なんかじゃねぇよ。

ただ単に仲がいいだけだ。」

 

いきなり何を言い出すんだこのロクデナシは……

いくら心優しいアナでもその発言は許されないぞ。

 

「サーベラスと夫婦?いやいや、私もサーベラスも英霊で。そもそもサーベラスとはそこまでの関係じゃないし。嫌でも、一緒にいる時の方が多いから?でもでも……」

 

「おーい、どうしたアナ?顔が赤くなってるぞ?

やっぱり、怒っちゃったか?

 

このロクデナシが許せなかったら言えよ。

俺もプライミッツ・マーダーの事を忘れた訳じゃないし、問答無用でシバキ倒しとくからよ。」

 

「え、あ、はい!!」

 

ん?本当にどうしたんだろうか。

何処か調子が悪いのかな?

 

だとしたら無理はして欲しくないんだけどな……

 

「アハハ、サーベラス君。

君って、天然蛇たらしの才能あるんじゃないの?」

 

「あ?喧嘩売ってんのかロクデナシ。

確かに、昔っから蛇には好かれやすいが、タラシとはなんだタラシとは……

 

場合によっちゃ、この場でお前を消し炭にしてやるぞ。」

 

「うん、それは嫌だからこの話はここで終わりにしておこうか。」

 

「っで、本当の目的はなんだロクデナシ。

さっきの挨拶は明らかに俺達の反応を見て楽しむ為だけの引っ掛けだってことは知ってるぞ。

 

お前が俺に話し掛けて来る理由なんて、本当に少ないからな……何の用だ。」

 

「あちゃ〜バレてたか。

いやね、君にイリヤの護衛を頼みたくてね。」

 

「……はぁ?確かに、一宿一飯の恩はあるけど、護衛何かはお前達が霊体化してついてけば問題ないだろうが。」

 

「いやね、僕達も忙しくてねぇ〜。護衛までは手が回らないんだ。

 

それに、イリヤは君と負けず劣らずの魔力量を持ってるから、君が言うフォーリナーに狙われるんじゃないかと思ってねぇ。」

「……っち、いいよ、やってやるさ。

胡散臭いが、腐ってもグランドキャスターの言う事だ。

 

今回ばかりは口車に乗せられて護衛をするとしよう。

フォーリナーを見つけたら、俺はなのイリヤをほっといてそっちへ向かうからな。

 

そこの所、理解しとけよ。」

 

「分かってるとも、分かってるとも!それじゃあ、後は任せたよ。」

 

……はぁ、仕方ねぇ。

受けた仕事は最後までこなすか……

 

という訳で、これからアナと一緒に霊体化してなのイリヤについて行きます。

 

なのイリヤの許可は取得済み。

ただ単に守るだけだからな。

 

別に許可を取らなくても良かったかもしれないが、聞いてないとしたら、ストーカー紛いな事をする訳だからな。

 

俺はなるべく罪を侵さないタイプなのです。

さてさて、現在は、なんかのレッスン中……

 

なんでも、なのイリヤとその他、魔法少女達は金ピカの会社でアイドル?をやってるらしく、その練習なのだとか……

 

なんか、アナも誘われてたけど、アナは自分はそういうのに向かないからって言って辞めてたな。

 

さて……来たな?

地面に突如展開された魔法陣に巻き込まれる。

 

それは、接界(ジャンプ)の際に見た魔法陣と同じ見た目……って事は、フォーリナー側からの歓迎って訳か。

 

この規模だと、なのイリヤも巻き込まれるか……

仕方ねぇ、なのイリヤの安全はアナに任せるとしよう。

 

「ふふふ……フフフ!アハハハハハ!」

 

「待ってたぜ、フォーリナー!!」

 

「あれは……前見た時とは違い、随分と不気味になりましたね?

 

肌の色とか、死人めいてますし……

周りの虫とか、不気味すぎます。」

 

「あれはまだマシだよ。

酷くなれば、セイバーとかが嫌いな海魔タイプに変貌するぜ?

 

邪神ってのは、どうも気持ち悪い見た目を取るのが良いらしいからな。

 

さて……俺は、アイツを倒すから、なのイリヤの守りを頼んだぞ、“ランサー”」

 

「!?……えぇ、勿論です。」

 

「さて……おしおきだ、キツイのを見舞うとしよう。」

 

「……近くにはなのイリヤもいますから、やり過ぎないでくださいよ。」

 

「無茶言わないでよ。

少しやり過ぎが、俺の普通だってなにさ。

 

まぁ、できるだけ抑えるさ……

レディーGO!」

 

その言葉を合図に、戦闘が始まる。

フォーリナーの戦闘方法は単純。

 

空間のあらゆる所から触手を展開してきてそれで殴ってきたり、謎の虫モドキで攻撃してくるばかりだ。

 

幸い、触手にも虫モドキにも直死の魔眼は通用する。

逃げられさえしなければ何とかなるはずだ。

 

だが、フォーリナーを止める為に求められるのは、逃げられる前に速攻で倒せるスピードと、無限に生え続ける触手を一瞬で殺しきるパワー。

 

当然ながら、俺は投影魔術で対抗していたが、それだと、速度が足りなかった。

 

タイムアルターに関しては、あのなんでもありな神性の前には、ほぼ無意味だった。

 

なら、何をするか……

考えた結果、俺が辿り着いた答えは。

 

「投影はもうやめだ!無限に触手が生えてくるのなら、全部まとめて──────」

 

影を全身に纏い、宝具を発動する。

久しぶりのクラスチェンジの時間だ!

 

「────喰らい尽くしてやる!!」

 

この宝具は、人類悪としての俺を覚醒させる危険な宝具……久しぶりの登場だ!

 

「ウ”ォ”ォ”ォ”ォ”!!!」

 

雄叫びをあげる。

俺にとっては気合を入れる為のこの咆哮(ハウリング)はどうやらお気に召さないらしく、速攻で触手で攻撃してきた。

 

どちらにせよ、今の俺(ケルベロス)は雄叫び以外の声がマトモに出ないけどね!!

 

たった一瞬で触手を全て喰らい千切る。

控えめに言ってクソ不味い……邪神って不味いのか。

 

兎も角、口は三つあるんだ、当然、喰らう速度も三倍だ。

 

更にはこの形態では常に直死の魔眼を使用している為、相手は確実に死ぬ……

 

これが、俺の宝具!その名も……

 

「なんなの、あれ!?ケルベロス!?」

 

「ご名答です!あれこそが、人類悪としての全てを解放して相手を喰らい千切る、サーベラスにのみ許された宝具……その名も……」

 

 

「『喰らい千切る地獄の番犬(バイティング・ケルベロス)』!!」

 

宝具の真名解放……それと同時に喰らい千切る速度が増し、フォーリナーの触手の再生速度が間に合わなくなっていく。

 

このままでは、どう足掻いても殺される。

それに気付いたフォーリナーは前と同じように空間内の鍵穴に鍵を入れて逃げようとする。

 

だが、俺が……地獄の番犬がそう簡単に逃がすと思うのか?嫌、絶対に!

 

「にぃがァァすかァァァ!!!!」

 

ケルベロスの三つの首のうち、真ん中の首が、フォーリナーへと近付く。

 

そして、逃げようとし隙だらけになったフォーリナーを周りの空間ごと……喰らい殺した。

 

「た、食べちゃったなの!?」

 

「いいえ、ギリギリ食べてませんね。

サーベラスの事ですし、恐らく……ほら、出てきましたよ。」

 

影が少しづつ消えていく……

やれやれ……正直、疲れた…………

 

ギリギリ喰らわず、千切らずにと止めるのは難しいにも程がある。

 

それに、無駄に疲れる……

本当に……

 

「疲れた……お休みなさい。」

 

倒れ込む俺の腕には、邪神との繋がりを断ち切っただけで、肉体は無傷なフォーリナー……じゃなくて、今は無害となったアビゲイル・ウィリアムズがいる。

 

「……ふぅ……ギリギリ無事ってとこか……悪いな、ランサー!アビゲイルを持ってくれ。

 

俺は数分程度動けないから、頼むよ。

やっぱり、邪神の血肉はまずかったみたいでさ。」

 

「え、いいですけど……

 

喰らい千切る地獄の番犬(バイティング・ケルベロス)』は敵と空間の魔力を喰らうから、サーベラス自身は回復するはずですよね?

 

数分間動けないと言うのはどういう事ですか?」

 

「いやね、流石、邪神の血肉って所だね。

どうやらあの触手、数十本で小聖杯一個ぐらいの魔力量はあるみたいでさ……

 

魔力量がオーバーして俺の身体が壊れかけてるんだよ。

あ、でも安心して。

 

今、魔力放出で調整してる途中だから……どっちにしろ、退去する運命だけどね。」

 

そう、アビゲイルをどうにかできた今、俺とランサーは退去する一歩手前なのだ。

 

休暇すらまともにくれないのが、抑止力……

この後に待ってるのは地獄だ。

 

「分かりましたけど……あの、サーベラス……言いにくいのですが、一言、言ってもいいでしょうか?」

 

「いいよ?何か問題でもあるのかい?」

 

「……これ、アビゲイルは受肉してますよ?」

 

「は?」

 

「ですから、アビゲイルは受肉してるんです。」

 

「ウソダドンドコドーン!!」

 

んな馬鹿な……

受肉したって、えぇ!?

驚きのあまり、魔力放出が終わって立てるようになっちゃったよ!?

 

嘘だろオイオイ!?ちょいと待て、これ、処分はどうすればいいんだ?

 

俺の座に持ってくなんてしたくないし、殺したらせっかく助けた意味が無いし……

 

「どうしろと言うんだ……受肉したとか、邪神の始末の為だけに呼び出された俺にはどうしようもねぇよ……」

 

「そうですよね……と言うか、このままだと、私達はアビゲイルが死ぬ時まで、ここで暮らす事になりますよ?」

 

嫌だ、絶対に嫌だ。

胃痛が限界を突破して銀河レベルになるからね!?

 

「はぁ……どうしよう。本当にどうしよう。」

 

「あの……なら、私の所で預かろうか?」

 

……え?

 

「え?いいの?マジで?」

 

「う、うん。家にはジャックのような、子供サーヴァントがいるから、その子も、楽しんでくれるんじゃないかなって思ってね。帰った時の癒しがもう少し欲しいのもあるなの。

 

救世主降臨!?

マジかよ、なのイリヤ!

 

「そうしてくれるとありがたいよ!うん、本当にありがとう!」

 

思わず、なのイリヤの頭を撫でまくる俺。

 

妹の姿をした人に助けられるのは、少しばかり歯痒いが、今回は全員に甘えるとしよう。

 

俺とランサーだけだったらどうしようもなかった問題を、なのイリヤが解決してくれるとは!

 

「あ、あの。サーベラス?流石に撫で過ぎです!

なのイリヤの髪がボサボサになってしまいますよ!?」

 

「おっと、すまない。女の子の命って言われる髪を痛めることして悪かったね。

 

でも、本当にありがとう!

これで、今回の任務もなんもかなったよ!」

 

うんうん、これで一件落着。

そう思うと同時にヨグ=ソトースが作り出した異界が消え始める。

 

それと同時に、俺とランサーも光の粒子に変換され始める。

 

「……おっと、流石にそろそろ限界かな。

アビゲイルをなのイリヤに預けるって決めた時点で、抑止力からの退去命令が出たって所か。」

 

「と言うことは、もうこれでお終いですね。」

 

「まぁ、そうなんじゃないの?

また、この街に召喚されるとは思えないしさ。」

 

「でも、もしも召喚される時があるなら、私も同行しますね。」

 

「おうよ、そん時はよろしくな、ランサー!

……さて、そういう訳だ、またどこかで会おうぜ、なのイリヤ!」

 

「うん!サーベラス君とアナさんも元気でねぇ〜!!」

 

「アビゲイルの事は頼みましたよ!頑張ってくださいなのイリヤ!」

 

「分かったなの!また二人で遊びに来てねぇー!」

 

その言葉を気に終わると同時に、俺とランサーは光に還って行った……まぁ、俺には抑止力の仕事があるだろうけどさ。

 

……さて、なのイリヤにはまた会える気がするな。

まぁ、その時は、俺が呼び出される程の緊急事態って事なんだろうけどさ?

 

……精々、胃が痛くなる事件じゃない事を祈ろうかな。

それじゃあ……次も、頑張っていきますか!

 

 

THE END………?





【挿絵表示】


サーベラス「黒桜の部屋じゃねぇのかよォ!
サーベラスの愚痴語りのコーナー!イエーイ!!パチパチパチパチ!

このコーナーは、俺、サーベラスと!」


なのイリヤ「今回も、私、キターーーー!!!!なのイリヤでお送りするなの!」

サーベラス「……さて、改めて、皆さんこんにちは……かな?まぁ、兎も角。

抑止力の守護者、サーベラス・フォン・アインツベルンだ。

このコーナーは、冒頭で叫んだ通り、俺となのイリヤが馬鹿正直に愚痴を語り合ったりするコーナーだ。

そういう訳で、早速愚痴っていくが、なのイリヤは何かあるか?」

なのイリヤ「そうだね、やっぱり目かな。たぶん話してないけど、一度私、悪魔に襲われて大ケガしたの。
この両目がきられたときなんか本当に色々と終わったと思ったの。

まぁ、みんなが薬やら看病してくれたお掛けでなおったけど、あのアークマさんたちはマジで警備増やしてください、じゃないと私死ぬよ?マジで」

サーベラス「へぇ……凛ちゃんよりも管理が雑な奴がいるんだ……今度、全員まとめて鍛え直してやろうかな?

……やめとこ、多分鍛えられる前に貧弱な悪魔共が死ぬし。

地獄の番犬式のトレーニングなんて受けて、ボロボロにならない訳ないしな。」

なのイリヤ「後は、本当に悪魔や魔王少女から逃げるせいで疲れるし、もっと癒しがほしいの。ポ○モンのイー○イとか欲しいの」

サーベラス「そっちもそっちで大変みたいだな。
俺は、愚痴る事と言えば、やっぱり抑止力に関してかな。

俺を含めたエミヤだとかを便利な道具としか思ってないだろうし、そもそも休暇なんてくれないし。

オマケには外道行為バンザイだよ。
いくら俺達が抑止力の守護者だからって、外道行為はしたくないってのが人間なのによ……」

なのイリヤ「やっぱり抑止力って大変そう、私の世界にもしきつくなったり苦しくなったりする事があったら絶対私の所にきてね!!絶対に休めるバカンスと楽しめるLIVEを約束するの。(コラボフラグ?)」

サーベラス「おう、いつかしらには行かせてもらうぜ!
(LIVEってなんだ?あの、アイドルとかのあれか?)

他で言うと、作者の更新ペースの遅さにもイラついてるな。

だから、処刑した……(直死の魔眼と石化の魔眼フル稼働からの無限の幻影で、THE END。)」

なのイリヤ「アハハ……だから、ライデンさんは上でつられて死んでるんだね……。家の作者の場合は過去の話を読めばわかるけど捕まえるなんて夢のまた夢なの。チートofチートなの」

サーベラス「一体どんな作者だよ………」

なのイリヤ「えっと。空想物を実現化して仮○ライダーにもウ○○ラマンにもスー○○○隊にもなれて、たくさんのアニメのキャラと暮らしてるの。

ラーメンで例えるなら具材全部乗せ野菜マシマシの麻婆豆腐入りラーメンなの」

サーベラス「なんだその二郎系……エリザベートと同じぐらいに属性盛りすぎだろ

(まぁ、俺も人の事は言えねぇけどさ……てか麻婆って。)」

ライデン「タスケテ……」

なのイリヤ「(バーサーカー?)所で……頭に乗せてるそのアナさんみたいな人形はなんなの?」

サーベラス「あぁ、コレ?さっきスタジオの方に置いてあったから貰ってきたんだ。

なんでも、“ちびアナちゃん人形”って名前らしい。
可愛いからつい、持ってきちゃったんだ。」

なのイリヤ「確かに……可愛いなの。」

ちびアナ「可愛いだなんて……照れますね…///」

なのイリヤ「今、喋らなかった!?ほんのりと赤くなってなかった!?」

サーベラス「ん?気の所為でしょ。これはあくまでも人形だからね……桜ちゃんが用意したってのが気になるけど……ま、いっか。

それじゃあ、次は、今までで、1番思い出に残ったことについてでも話すか……なのイリヤの思い出に残った事ってなんだ?」

なのイリヤ「うーん、やっぱり和平記念冥界LIVEかな。色んな人を楽しませるアイドルに私なんかがなれるとは思ってなくて、思った以上にたくさんの人が応援してくれて、またみんなでLIVEが出来てすごく嬉しかったの」

サーベラス「ほへ〜そんな事が……
平和記念か……羨ましいねぇ。

じゃあ、次は俺が話す番だな。
俺の一番思い出に残った事は、やっぱり、家族と過ごした日々と、第四次聖杯戦争の最後の時かな?

あの時はな、まさかランサーがあんな事をして来るとは思いもしなくて……おっと、これ以上は秘密だ。

ランサーに聞かれたら、多分、ランサーが恥ずかしくて倒れちゃうからな。」


ちびアナ「///……既に……手遅れですぅ……チーン」

ライデン「ランサーが死んだ!この蛇たらし!」

サーベラス「まだ生きていたか……もう少し死んでろ!」

ライデン「クボォア…」

サーベラス「さて、そろそろ締めと行こうか。
それじゃあ皆、また次回会おうぜ!!」

なのイリヤ「助けてバーサーカーもよろしくなの!」

三人「「「それじゃあ、バイバーい!!」」」

なのイリヤ「やっぱり、その人形はアナさん本人だよね!?」

ちびアナ「よくある事です。
あ、次回のタイトルは『電子の海』です。

作者さんが外伝集とかも作っていたのでそちらも是非、見てみてください。

パスワードが解ければ、ですがね。
それでは改めまして、バイバーい!」

サーベラス「じゃあ、行こうかランサー。」

ちびアナ「最初から気付かれてた!?」

ライデン「やっぱり夫婦漫才なのでは?」

二人「「くたばれ作者!」」

ライデン「息ピッタリじゃないか、英霊夫婦!?
ギィヤァァァ!?やな感じぃ〜!キラーン✧彡」

なのイリヤ「恐ろしい程に、息がピッタリなの……」

助けてバーサーカーのリンクだ。
面白いからぜひ読んでくれよ!↓↓↓
https://syosetu.org/novel/219947/


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EXTRA編
電子の海


前回のあらすじ

前回はコラボ回でしたね。
改めて、クレナイハルハさん、ありがとうございました。

これを作るにあたって、家の倉庫から引っ張り出してきて、久しぶりにCCCをプレイしたのですが……

あれ、本当に2013年代のゲームなんですか?
完成度おかしいと思うのですが?

いや、それを言うなら同じくらいの時期に放送されてたFate/Zeroの作画とかもクオリティ高すぎなのですが……

そして、メルブラ新作の発表……
貯金足りるかな?

流石、型月と言うところですかね。
あ、無駄話にお付き合いいただきありがとうございます。

え?なんで投稿が遅かったか?
……シンエヴァ見てたり、パズドラを二年ぶりに起動してハマってました、すいません。

え?なんでそんな事を言ってるのにサーベラス君にボコされてないかって?

……士郎&ライダーと桜を当てるのに必死になってたって言ったら許してくれました。

うん、あれはラッキーだった。
なんでか、イリヤとライダーが16体ぐらい来てたけど。
とりあえず、本編をどうぞ。


何処だここ!?

気がつけば俺がいたのは不思議な空間、しかしどこか見覚えがある空間にいた。そして右手の甲にはもう見ることが無いと思っていた俺の令呪……

 

一体何があったと言うのだ。

さっきから変な化け物(エネミー)が絶えず襲ってくるし、本当になんなんだろうか。

 

俺が使用できる魔力を抑えなきゃ速攻で壊れそうなくらいに脆そうな空間……

 

【もう一度言います、サーヴァントを召喚してください】

 

そしてさっきから流れているこの謎のアナウンス。

 

サーヴァントを召喚しろと言っているのだが、怪しい。

怪しすぎる!!

 

何処かも分からないエネミーだらけの部屋?

謎のアナウンス

俺に再び現れるはずのない令呪

 

……ここから推測するとここは恐らく月だ。

 

どうやら俺は、なんの事故かSE・RA・PH(ムーンセル)に連れてこられてしまったようだ。

 

また抑止力の仕業だろうか?

まぁ、来てしまった物は仕方ないんだよな。

 

珍しく、抑止力からの目的が分からないが……

まぁ、恐らくは今回の聖杯戦争で何かあるんだろう。

 

結局は、俺も参加するしかないという事だ。

その為にはまずはサーヴァントを呼び出さなきゃ行けないけど……

 

触媒は無いから縁による召喚なのだが、来るのはランサーやメディア、あとXオルタと士郎ぐらいだろうか?父さんや母さんが来てくれても嬉しいな。

 

イリヤは………………あの時(staynight)と立場が逆転するなんて嫌だな。精神的に……

 

まぁ、悩んでいても仕方がない。

強制的に始めさせられる前に召喚を始めますか。

 

この詠唱……久しぶりだな。

 

「素に鉄と銀。銀と鉄。礎に石と契約の大公。

 

降り立つ風には壁を。

 

四方しほうの門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。

 

 

閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。(みたせ。みたせ。みたせ。みたせ。みたせ。)

 

繰り返すつどに五度。

 

ただ、満たされる刻を破却する。

──告げる。

 

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

誓いを此処ここに。

 

我は常世とこよ総すべての善と成る者、

 

我は常世総ての悪を敷しく者。

 

汝 三大の言霊を纏七天、

 

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!」

 

召喚の魔法陣が光りそこから現れたのは小さい五つの影だった。ん?五つ?小さい?

 

「あぅ〜」

 

「ばぁ〜」

 

「………」

 

「Zzz…」

 

「きゃっ、きゃ!」

 

そこにいたのは何だか桜ちゃんを思わせる髪色をした赤ん坊達だった。

 

「これは………どういう……事だ……」

 

可笑しい、明らかにおかしい!?

なんだ、召喚の不具合か!?

 

バグ、バグなの!?

いや、そんな馬鹿な……どうしたんだよムーンセル!!

 

そもそも、桜ちゃんと同じ姿をした英霊なんて、アルターエゴくらいじゃないの!?

 

それが五人!?しかも赤子って!?

 

そうやって、俺が戸惑っていると何処からか謎の音声が流れ始めた。

 

【戸惑ってる貴方を救済する!

 

月の海の人気ナンバーワンコンテンツ!

 

BB〜チャンネル!

始まりま〜す!!】

 

不穏なBGM

奪われる視界

 

明らかに不吉な声

……察した。

 

【そこで困り果てて胃痛を抱えている先輩も、どこかで見ている人達も、楽しんでいってくださいね〜!】

 

「げぇ!?どこかで見覚えのある顔!?」

 

【はーい、リアクションありがとうございま〜す!

今回、サーベラス先輩には実はお願いがあって、こうして召喚に干渉させて貰いました〜。】

 

「いきなり過ぎんだろおい……で、なんだお願いってのは?どうせ、聞かなきゃ帰してくれないんだろう?」

 

【話が早くて助かりますね。

見ての通り、先輩の目の前には五人の赤ちゃんがいますよね?】

 

「おう、間桐桜に似た五人がいるな……いや、君も含めて六人かな?」

 

【おっと、魔眼は禁止事項ですよ?

下手したら、赤ちゃん達に当たりますからね〜。

 

心優しい先輩には、罪なき赤子を殺すなんて、まさかそんな事できませんよね〜?】

 

「…………できるから問題なんだよ。

 

【はい?今、何か言いました?】

 

「何でもないよ、ただ、守護者(セイギノミカタ)は、大変だなって言っただけだ。」

 

【そうですか、では、話を続けますよ?

貴方には、しばらくの間、ここにいるアルターエゴ達のお世話をして欲しいのです!

 

あ、勿論拒否権は無いですからね?

だって、サーベラス先輩はここに閉じ込められているのですから。

 

でもでも、食材等はきっちり配達されるのでご安心ください。

 

そこら辺はしっかりと設計しているBBちゃんなのでした〜。】

 

「……はぁ……くだらねぇ。

こっちは血塗れたセイギノミカタだぞ。そんな奴に子守りだとかが出来ると思うか?」

 

【えぇ、できますとも。

だって、貴方は“守る”事は得意なんでしょ?

 

子守りも立派な守護です。

さて、時間もそろそろなので、ここら辺で終わりにしますかね〜。】

 

「おい、ちょっと待て。

んな屁理屈言われたって困るんだが?

 

そもそも、ここは戦場だろうが!?

戦場で子守りをしろと言うのか君は!!」

 

【あ〜、そこら辺はご安心を。

この後、無理矢理ですが別の部屋に移動してもらいますから。

 

それでは、次回のBBチャンネルをお楽しみに〜!】

 

そう言うとプツンという音と共に、BBは画面から消え、俺と五人の赤ん坊が残された。

 

「面倒臭いし、訳が分からないけど……

はぁ……仕方ない。見捨てるのは嫌だし、育てるしかないか。」

 

ここから俺の月での子守り生活が始まった……と思う。

…………胃が痛い。

 

五人の赤ん坊達はどうやら既に名前はあるみたいでそれぞれ

 

パッションリップ、メルトリリス、キングプロテア、ヴァイオレット、カズラドロップとなっている。

 

CCCシリーズのアルターエゴ(サクラファイブ)かよ。まぁ、BBが登場した時点で何となく予測はしてたけどさ。

 

というか、まだ赤ん坊だから、リボンがなきゃ判別できないな……

 

さて何から始めたらいいのやら……赤ん坊とは言え、AIなのだ。

 

多分だが、成長も通常の倍以上早いし、離乳食、オムツの替えが必要かも分からない。まぁ、子守りだけなら既に経験済みだ。

 

抑止力に飛ばされた先でな。

取り敢えず主人公の敵に回らないようにしなきゃな。

 

そして子供を連れて流石に聖杯戦争には参加出来ないから令呪はとっとと使って置こう。

 

「令呪三画を持って命ずる。危機が生じた時俺をその場に呼び寄せろ。」

 

令呪は光り始め俺の腕から消えた。これでこの子達の安全も確保出来た。

あれ?月の聖杯戦争って普通は令呪が消えたら敗北とみなされて存在が消されるんじゃなかったっけ?

 

もしかして俺ってNPC扱い!?マジか……

いや、どうせあのBBの仕業なんだろう。

 

まぁいいけど……と言うか、子守りって言われても、何日とか言われてないんだが?

 

期限日いつだよ、おーい!

……はぁ、胃が痛い。

 

電子の海に来ても胃痛を感じる俺って、なんなんだろうか……

 

ただの守護者(セイギノミカタ)だよな、うん。

……はぁ……

 

「きゃっきゃ!」

 

「君達は、気楽だよね……って、こんなことを赤ん坊に言っても仕方ないか。

 

……この血塗れた身体で触れるのって、何か嫌だな。

セイギノミカタになる前だったら平気だったのかもしれなかったけど。」

 

「ぶぅ〜?」

 

「何でもないよ、うん、なんでもない。」

 

さてさて、胃痛に負けず、金ピカに負けずの精神で行こう。

 

長くとも、この子達が十歳になるころぐらいまでには流石に回収されてるだろう。

 

というか、逆に考えれば、これってちょいとした休暇なのでは?

 

……よし、頑張ろう!

休暇と考えれば逆にやる気が湧いてきたぞ。

 

自分で言うのもなんだが、現金な男だよな俺。

これも、抑止力なんて言う超ド級ブラック企業を経験してるからか……

 

やれやれ、酷い話だ。

……さて、まずはミルクでも作りますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜Now Loading〜(それから色々ありまして)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……オノレBB。」

 

何が休暇だ。

赤ん坊とはいえ、当然その権能は働いている。

 

さっきも、ミルクを飲ませ終わった後、危うくパッションリップに“トラッシュ&クラッシュ”されるところだった。

 

胸の虚数空間に関しては耐性があるから無効化できるとして、キューブにされてしまえば流石の俺でも脱出が難しい。

 

いや、無限の質量を持ってしてもキューブにされるからな、対策できない。

 

まぁ、直死の魔眼で圧縮される前に空間を殺せばいいんだけどさ……ほんと、魔眼があって良かったよ。

 

なかったら、俺は今頃キューブだ。

恐ろしや恐ろしや。

 

メルトリリスに関しては、やはりまだ未熟なのと、脚につけるあのアーマー?って言うのかな?

 

まぁ、兎も角。

あのアーマーモドキがないから上手くメルトウイルスを使えないらしい。

 

と言うか、そもそもレベルの概念がない俺には効くのだろうか?

 

……効かない訳ないか。

月にいる限りはレベルも存在するだろうし。

 

でも、俺はムーンセルに登録されてないぞ?

だって、俺はあくまでも抑止力の英霊だから果たしてレベルが適用されるかどうか……

 

なんか、不安になって来たな。

この月の海では、レベルが強さを表している。

 

本来なら同じ筋力Aでも、レベルが一つ違うだけで、押し負けることだってある。

 

それが俺にまで適用されていたら本当に厄介だ。

もし、他のサーヴァントがいたら、俺は負けてしまう可能性が出てくる。

 

そもそも、聖杯戦争が起きてるのかすら怪しいけど。

だって、聖杯戦争なんて起きてたらBBは俺にこんな厄介事は押し付けないはずだし。

 

となると、本当にここは何処だ?

織天の檻じゃない事だけはわかってる。

 

だが、それ以外は検討がつかない。

月の裏か?それともそれ以外か?

 

確か、FGOでキングプロテアは堕天の檻って所に閉じ込められていたはずだよな?

 

不味いな、前世の記憶も少しづつ曖昧になって来たぞ。

と言っても、二部一章以降の事は俺は知らないけど……

 

さて、改めて……この状況をどうするか。

…………動けない、誰か助けてくれ。

 

「…………」

 

「だぅ〜がぅ〜」

 

「ジーーーー」

 

「きゃっきゃっ!」

 

「……Zzzzz」

 

現状を説明しよう。

赤ん坊の玩具にされてます。

 

蛇のように変化したヴァイオレットが巻きついてきたり、パッションリップに手を振り回されたり、メルトリリスに面白い物を見る目で見られてたり、キングプロテアに怪獣の角のような飾りが着いたカチューシャをつけられたり……

 

って、それどこから取り出した!?

またBBの仕業かよぉ!?

 

と言うか、メルトリリスはこの頃から一種の愉悦部だったのか……加虐体質って怖ぇ……

 

カズラドロップに関しては寝てる。

うん、スヤスヤと寝てる。

 

大人しくて結構。

騒がしくするのも子供の仕事だ。

 

いや、だからって子供の頃からあの金属製の腕があるとは聞いてないよ。

 

まだ小さいし、俺には精々擦り傷をつけるぐらいしか出来ないんだろうけどさ。

 

……女性には失礼な事だけど、重い。

腕が金属で出来てるから、その金属部分がとてつもなく重いのだ。

 

と言っても、やはりまだ小さいから精々30kgぐらいなんだけど。

 

赤子にしては重いよね。

これが後にコンプレックスにならないといいけど。

 

確か、最終的なパッションリップの体重って……

うん、言わないでおこう。

 

はぁ……胃と腕が痛い。

どうして俺がこんな目に……

 

「……?」

 

「いや、なんでもないだよヴァイオレット。

いいや、本当になんでもないからそう泣くな泣くな。

 

っで、プロテアは何をして欲しいんだ?

怪獣ごっこか何かか?え?パッションリップもやりたい?

 

マジで?いいけど。

……俺が怪獣になると大な三ツ首の犬になるぞ?

 

何?そういうのじゃなくて、がお〜とかいうタイプ?

そうかそうか、特撮怪獣ってか?

 

……ウ■■ラ■ンでもつけるかね。

テレビあるっぽいし……この部屋はなんなんだよ本当に。」

 

余談だが、今回の件で動物会話(E)を得ました。

……え?赤ん坊との会話って動物会話スキルで分かるもんなの?えぇ……ショウジキナイワー。

 

はぁ、胃痛がする。

これも全て、あのBBとか言うAIの仕業に違いない!

 

【いやいや、私何もして無いですからね?】

 

「いきなり出てきて、心読んでんじゃねぇよ……はぁ……胃が痛い。」

 

【えぇ〜何でですか?

別に胃痛を感じるような事なんて何もしてないじゃないですか。】

 

「うるさいなぁ……この状況が既に胃痛の素だっての。はてさて、この子達は俺の事をどう思ってるのやら。

 

ま、十中八九変な人だと思われてるのだろうけど。」

 

【いや、結構気に入られてる見たいなんですが……って、聞いてませんね。】

 

「いだだだだだだ!?

ヴァイオレット、そんなに俺を絞めつけないでくれ!?

 

あぁぁ、ごめんパッションリップ!?

被虐体質の事忘れてた!?

 

って、キングプロテア大きくなってないか!?

これが噂のヒュージスケール!?

 

あわわ、ちょ、ごめん、起こすつもりは無かったんだ。

だからそう髪を引っ張らないでくれカズラドロップ!?

 

メルトリリスは愉悦してないで止めるのを手伝ってくれぇ!?」

 

【フフw、なんですかこれw

流石のBBちゃんも笑いを堪えられませんw】

 

「うぜぇぇぇ!?

笑ってないでどうにかしろよ母親さんよぉ!?

 

俺はそもそもこう言うのは苦手なんだってぇ!?

いだだだ、だから絞めないでってば!?」

 

これぐらいじゃ死なないけど、すげぇ痛い。

恐るべし、アルターエゴのパワー!?

 

「こ、コフッ……」

 

「「「「「!?」」」」」

 

【吐血した!?】

 

「……止まるんじゃ……ねぇ……ぞ」

 

これも全て胃痛スキルのせいだ。

そう思いたい……ね、眠くなってきた。

 

【し、仕方ないですね……大量の胃薬を用意しておきます……1tとか用意しなくては……】

 

「……ありがとさん。」

 

「ばぁ〜うぅ〜」

 

そして、キングプロテアの攻撃が痛い。

兎に角、無茶苦茶、痛い。

 

そもそも、サクラファイブで一番に生まれたのがキングプロテアってのもあるけど、キングプロテアのスキル、無限に成長する能力“ヒュージスケール”によって普通のAIとかよりも成長が早いってのもあるけどね。

 

いや、俺が影を纏ってなく、強化も使っていないのもあるけど、それ以前に普通に痛い。

 

俺が英霊じゃなきゃ多分、今頃死んでる。

耐久EXでよかった……今回ばかりは、人類悪としてのステータスにも感謝だ。

 

後にキングプロテアは筋力EXっていうステータスを得るはず、だとしたら、EXレベルの耐久でようやく相殺出来るのかな?

 

……まぁ、EX級の攻撃は何回も受け出来てるから若干慣れてるけどね。

 

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)とか、プライミッツ・マーダーの攻撃とか、天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)とか……

 

あれ?俺ってマトモな攻撃受けてなくね?

だいたい、干将・莫耶で防いでそのまま叩き割ってるから……

 

成程、要するに俺もマトモじゃないって事だな。

って、今更か……そもそも守護者(セイギノミカタ)がマトモな訳ないよな。

 

こんな、抑止力に振り回されても自我を強く残せるのは精々、元から狂っている俺か、答えを見つけた士郎だけなんだよな……

 

父さんは論外。

あの人は既に心が砕けた後だ。

 

「分かった分かった、怪獣が出てくる何かをつけるから叩かないでくれ。」

 

「ばぁ〜う〜あ〜!」

 

「はいはい、パッションリップも見るのね。

メルトリリスも見る?

 

って、いつの間にソフビを……

カズラドロップに至っては寝たままだし。

 

ヴァイオレットはどうする?

はぁ、俺と一緒に見ると……仕方ないか……」

 

はぁ、どうやら、とても長い任務になりそうだ。

おのれ、BB……さて、作者の能力的にこの先はカット&ダイジェストでお送りします。

 

この後、起きたカズラドロップに髪の毛を引っ張られたり……

 

「やぁ〜う〜」

 

「痛い……地味に痛い。」

 

メルトリリスが大量の水を生み出して他のアルターエゴを避難させて溺れかけたりとか……

 

「ばぁ〜う!」

 

「はぁ、何この水!?皆、こっちだこっち!?

よし、一人も欠けてないな?って、予想以上に深い!?

 

 

ぶぼぼぼぼぼ……

って、危ねぇ、死ぬとこだった。」

 

ヴァイオレットにヤケに懐かれたり……

 

「…………」

 

「あれ?また身体を蛇に変換して遊んでんのか?

って、なんで俺が来ると速攻で巻き付くんだよ……」

 

思えばヴァイオレットってランサーに似てる気がするな。神性と言うか、雰囲気が似てると言うか……

いや、気の所為か?

 

後、キングプロテアに潰されかけたり……

 

「うわぁ〜大きくなったなぁ……」

 

「あぎゅう!」

 

「ん?なんだなんだ!?って、重!?

潰れてたまるかぁ……ふぬぬぬぬ兄の意地ぃ……!」

 

パッションリップにキューブにされかけたり……

 

「きゃっ、きゃぅ!」

 

「ちょ、パッションリップ!?それは危な……

ギィヤァァ!?体が四角く……なってたまるか!?

 

直死───せぇい!

……ふぅ、何とか生き残った。」

 

まぁ、何だかんだで10年くらいの月日が流れるわけだ。

詳しく書けなかった作者は殺す。

 

その10年の間にもかなりの進歩があってだな。

アルターエゴ達とは信頼関係も築けた。

 

後、変に歪まないように色々と教える事にしている。

と言っても、既に歪んでる俺が教えて大丈夫なのかは分からないけど……

 

後、何故か俺の“父さん”呼びが定着した。

おっかしいな……俺はアイツらが小さい頃から、“お兄さん”とか“サーベラス”ってしか名乗ってないんだけど?

 

そう思い、原因を調べた所。

原因はBBが毎回いつの間にか置いて行っている童話や歴史の本だと判明した。

 

そして、育ての親=義理の父=俺、と認識されたらしく、いつの間にか定着していた。

 

おのれ、BB。

胃痛の元を増やしやがって。

 

そもそも、俺は父になんか向かねぇっての。

不良みたいな所あるし、人類悪だし、あらゆる所を飛び回っている守護者(セイギノミカタ)だし。

 

育児放棄待ったナシだろ。

あぁ……胃痛がァ……

 

「大丈夫ですか、お父様。」

 

「また胃痛ですか?体調管理はちゃんとしてくださいって言いましたよね!?」

 

「あ、うん。大丈夫だよヴァイオレット、カズラドロップ……気にするな、俺はこれが普通なんだよ。」

 

ちなみに、サクラファイブは皆、原作と同じ姿までには成長した。

 

……逆に言うなら、原作と同じ凶悪さになったという事だ。たまにキューブにされかけたり、ウイルス流し込まれかけたり、空間ごと破壊されかける。

 

マトモなのはヴァイオレットとカズラドロップだけなのである……オノレ。

 

カズラドロップに関しては、一瞬だけならただの健康管理AIに思えるのだが、やはり裏では岸波白野の事を少し考えてしまうらしい。

 

メルトリリス達に至っては恐怖そのもの。

やはり、桜顔のヤンデレ気質は治らないらしい。

 

そして、桜顔は必ず先輩がいる。

恐ろしや恐ろしや。

 

おいムーンセル……何もそこまで再現しなくたって良かっただろうがよ……

 

ちなみに、10年経ってようやく判明した事も沢山ある。

例えば、今俺が閉じ込められているこの空間。

 

これはムーンセル内の虚数空間だと言うことがわかった。虚数空間という事は、外で経過してる時間は精々、数日程度という事だろう。

 

そりゃ、BBが自己改造をし放題な訳だ。

短時間かつ長時間の自己改造を続けたら、そりゃ〜チートになりますわ。

 

そしてもう一つ……

アルターエゴ達が、原作の姿(大人?)になるのと同時に俺の力の大半が封印された事だ。

 

具体的に言うと、投影魔術と魔眼、影が封じられた。

投影をしようとすると、魔術回路全体に鋭い痛みが流れて、吐血する。影を使うのも同様。

 

魔眼に関しては無理矢理常時発動させられている上に、視力を弱くされたから、死の線は見えるが、それ以外は全く見えないものになった。

 

おかげで、魔眼殺しの眼鏡をかける羽目になったよ……

なお、この眼鏡はヴァイオレット作です……感謝しかねぇ。

 

まぁ、つまりだ。

俺はかの自称最弱英霊(アンリ・マユ)や作家系キャスターより弱くなっているわけだ。

 

聖杯に関しては、電子空間内であるここで使うと、ムーンセルごと消滅しかねないから使わない。

 

……どーも、最弱英霊です。

本当に、どうしてこうなった。

 

「と言うか、10年間、閉じ込めるって何なの?

開放されるのはいつになるのやら……」

 

【今、と言ったらどうしますか?】

 

「ん?そりゃ、どうにでもなれって思うよ。

どうせ、マトモな場所には飛ばされないだろうし……

 

って、全ての元凶(BB)!?

いつの間に!?」

 

【何だか、ムカつくルビの使い方をされた気がします!

 

まぁ、それはどうでもいいので、サーベラス先輩に朗報です!ついに、貴方が開放される日が来ましたよ!】

 

「へぇ〜、虚数空間で10年、外の空間で数日って所か……っで、もう退去していいのか?」

 

【えぇ、開放ですよ。

ただし……この“何も無い状態から”ですがね?】

 

「なっ!?それってどう言うッ!?」

 

【はーい、質問は受け付けませーん。

それでは、10年間ご苦労様でした〜!】

 

BBがその指揮棒を降ると眩しい光と共に、前が見えなくなった。

 

そして気付けば、先程の部屋のまま……

変化は特にないように見える。

 

「……?もしかして夢か?」

 

そういや、そろそろ昼飯時かな?

そう思い出し、台所に行こうとすると、あることに気がついた。

 

「……ッ!?まさか!?」

 

俺は急いで、狭い部屋の隅々まで捜索する。

物は何一つ変わりない……だけど───

 

「ッチ、アルターエゴ達を回収したか……

確かに、今までの生活からの開放だな……だが、無性に怒りが込み上げてきたぞ。」

 

やっぱり、ヴァイオレット達はいなくなっていた。

案の定、回収されたのだろう。

 

と言うか、よく見ると、窓一つ無かったこの部屋に窓やドアがあるのはどういう事だ……?

 

妙な直感に突き動かされ、俺は扉を開き、外に出た。

そこは……

 

「……ハハ……マジかよコンチクショウ。」

 

旧校舎……恋が招いた月の裏の物語(F a t e / E X T R A C C C)の舞台だ。

 

そして、俺がいた部屋は原作には無かった学生寮見たいな所だった。

 

……かけてある札は管理人サーベラス。

そして、この寮の名前は“サクラ荘”

 

BBの奴、ハメやがったな。

戦闘能力を封印したあげく、月の裏へ強制転送ってか?

 

「厄介極まりない……はぁ……胃痛がするな……悪い、ヴァイオレット、胃薬を……って、今はいなかったな。」

 

そうそう、胃薬の管理は自主的にヴァイオレットとカズラドロップがしててくれたから、いつの間にか俺もその生活に慣れてたみたいだな。

 

さて、自分で取りに行きますかね。

ここが月の裏と分かったものの、戦闘能力が皆無の俺じゃ、何にもできないな。

 

大人しく後々来るであろう岸波白野と、そのサーヴァントに任せるか。

 

「さて、ただいまっと……」

 

住み慣れた部屋に戻る。

誰もいないので、当然、中にあるのは食材や生活用品だけになったはずだったのだが……

 

「お帰りなさい、お父様。」

 

「お父さん、お帰りなさ〜い」

 

「……目の錯覚か?

また視力悪くなったかな……?

 

アイエェ?可笑しいな。

さっきはいなかったはずのヴァイオレットとカズラドロップがいるぞ?

 

うん、目の錯覚だよな。

気の所為に違いない。」

 

「いいえ、目の錯覚ではないですよ?

私達は正真正銘、ヴァイオレットとカズラドロップです。」

 

「お父さん、また激しい胃痛のせいで脳が混乱してるんじゃないですか?」

 

…………うん、混乱してきた。

 

「あの、二人はなんでまたここに?」

 

「え?決まってるじゃないですか。」

 

「「ここが私達の家だからですよ?」」

 

「…………コフッ」

 

「お、お父様ぁ!?」

 

「あちゃ〜、また激しいストレスによる胃痛ですか。

あれ程、気を付けてくださいって言ったのに。」

 

 

 

──拝啓

最愛の弟と妹へ

 

二人とも、元気にしているか?

俺は今、胃痛に悩まされています。

 

虚数空間に閉じ込められたり、何度も死にかけたり、抑止力に振り回されていますが、それでも心配しないでくれ。

 

俺は二人の応援がある限り、何も諦めることは無いから、安心してくれ。

 

どうか、二人共、友達や父さん、母さん、セラ、リズ、あとサーヴァント達とは仲良くしろよ。

 

それと、アーチャーとライダーにもよろしく言っといてくれ。

 

二人の兄さんより

 

 

「止まるんじゃ……ねぇぞ……」

 

「って、これは本気でダメなやつじゃないですか!?

ヴァイオレット、急いで輸血パックと胃薬を!?」

 

「既に持ってきました!?布団と濡らしたタオルの用意もしてきます!」

 

「我が生涯、悔いしか残らず……」

 

「「逝っちゃダメェェ!?守護者、カムバーック!」」

 

 

To Be Continued




作者の次回予告〜!

久しぶりにやってきました、俺がやる次回予告!
今回は誰にも邪魔されないぞ〜!

なお、桜やイリヤ、タイガー等のstaynight勢はHeaven's_Feel関連で忙しい模様。

なんか、風の噂ではこのコーナーを黒桜の部屋とか、BBチャンネルにしたままでいいのでは?

と思ってる人もいるらしい。
うーん、気が向いたらですかね?

さてさて、次回は旧校舎からのスタート。
堕天の庭、ムーンセルの干渉が届かない月の裏側に囚われた岸波白野+‪α

彼女達は旧校舎のすぐ近くに建てられている寮『サクラ荘』の管理人であり、10年前からここにいる戦闘能力が封印されたサーヴァント、サーベラスと出会う。

果たして、その出会いはサクラ迷宮の攻略の鍵となるか?
それとも、獣の覚醒の兆しとなるか?

次回 「岸波白野とサーベラス」

次回をお楽しみに!



今日のヒント

これは、パスワード限定で連載している無理矢理転生:外伝集のパスワードのヒントを出していくコーナー。

活動報告での最初のヒントは『サーベラスの職業』
そして、記念すべき一つ目の文字は『ギ』

ちなみに、文字の順番はバラバラにしてるから気を付けてね。

まぁ、分かりやすい言葉だけど……
でもいいよね、それじゃあ、改めて……また次回!


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岸波白野とサーベラス

前回のあらすじ
前回、電子の海へと飛ばされたサーベラスは胃痛を抱え、アルターエゴ達を育て、そして、月の裏事件に巻き込まれる!

さてさて、この先どうなるのでしょう?
本編をどうぞ。


「……はぁ、危うく死ぬとこだった。」

 

どうも、胃痛EXとBBの呪いにより貧血気味なサーベラスです。

 

幸運と耐久以外のステータスオールE-はキツいぞ。

戦う事が文字通りできなく、できるのは防御のみ……

 

魔術どころか、武器をマトモに扱う事すら不可能。

かつて、俺をここまで追い詰めた奴はいるか?いや、いないね。

 

「はぁ……お父さんはどうしたらそこまでの胃痛を抱える事ができるんですか?

 

そもそも、胃痛のあまり吐血するってなんですか?

お父さんは色々と最弱なんですから、自分の身体をちゃんと心配してください。」

 

「いや、最弱なのはあくまでBBのせいであって、胃痛に関しては生前もこうだったから仕方ないと思うんだけど……」

 

「いえ、お父様もお父様です。

いつも言っておりますが、些細なことで胃痛を抱えすぎです。

 

もう少し気楽になることは出来ないのですか?

リフレッシュをするとか、あまり考えないようにするとか。」

 

「それはヴァイオレットもだと思うんだけど?

リフレッシュねぇ…………久しぶりに外に出てみるか……

 

ヴァイオレット達はここで待っててくれ。

ちょいと、校舎辺りにでも散歩に行くよ。」

 

「えぇ、そうしてください。」

 

「はいはい、それじゃあ行ってきますよ……」

 

さて、確認したい事もあるし早速、校舎近くにあるあの桜の木を確認しに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、レオめ、面倒事は全部私に押し付けるつもりだな?」

 

「ここを出るには、一番の戦力であるご主人様と私が前に出るのが一番安定するのですから、こればかりは仕方ないですよ。

 

さすがに、私も少し、本当にすこーしばかりイラッときましたがね?

 

今度、あんな事を笑顔で言ったら幸運度が下がる呪いをかけてやるZE☆」

 

「うむ、今回ばかりは同意するぞ。

奏者は確かにお人好しの極みだが、ここまで雑に使う事は余が許さん。

 

と言うかキャスターよ。

さりげなく、余を省くのはどう言うつもりだ?」

 

「あら、バレました?

本当はセイバーさんのことをこっそり、封印して、私とご主人様で二人きりで行こうと思ってたのですが、バレたら仕方がありませんよね〜」

 

ちょっと待って欲しい。

キャスター、その発言はOUTだ!

 

どうしてキャスターは火に油を注ぐような行為を平然とするんだ!?

 

「今のは聴き捨てならんぞ?打たれ弱くて直ぐに倒れるキャスターが、襲い来るエネミーの大群から奏者を守れると?」

 

セイバー!?

頼むからそれ以上は……

 

「は?何ですか?

私には防御の代わりに高いMPと安定した火力があるんですぅ〜

 

そこの所、特に飛び抜けたステータスのないセイバーさんには分からないのでしょうね〜!」

 

「何だと!?

余に飛び抜けて高いステータスは無いのは百歩譲って認めよう。

 

だが、だからこそ良いのだ!

飛び抜けて高いステータスが無いということは、即ちバランスが良いと言うこと!

 

バランスが良いのだから、当然、指示もしやすいし、扱いやすい。

 

防御が低過ぎて、いちいち回復の手間がかかる貴様とは違うのだ!」

 

「言いましたね?

よーし、バリバリ呪うぞ☆」

 

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて!

さっき、キャスターが言った通り、これが一番脱出に近付く方法なんだから、仲良くしようよ、ね、ね?」

 

「ふん、今日の所は奏者に免じて許しやる。

だが次は無いぞ。」

 

「はっ、それはこっちのセリフですぅ〜

次はないと思え☆」

 

どうしてこの二人は仲良く出来ないのだろう。

私としては、やっぱり仲良くして欲しいんだよな……

 

「と、兎に角、今はレオが言ってた未確認のアリーナに行ってみようよ。」

 

「そうだな、何をするにせよ、アリーナに行かない事には始まらないのだ。

 

そうと決まれば、とっとと行くぞ。」

 

はぁ……遅れてしまったけど、自己紹介をしよう。

私の名前は、岸波白野。

 

本来なら、表で聖杯戦争に参加している真っ最中だったマスターの一人だ。

 

と言っても、ここに逃げてきた後、何かの不具合のせいで聖杯戦争の記憶……主に、これまで戦って来たサーヴァントや、能力を忘れてしまったんだけど……

 

今は訳あって、この月の海からの脱出を試みている。

隣にいる二人組が私のサーヴァント“セイバー”と、後から加わった“キャスター”。

 

二人とも、こんな私にもついてきてくれる優しい英霊何だけど……見ての通り、物凄く仲が悪い。

 

正直に言って、この二人のストッパー役に、誰か男性が欲しい所だ。

 

出来れば、二人には無い特徴である、遠距離と近距離を使い分けれて、マスターである私の苦労を考えてくれる弓兵あたりが欲しい物だ。

 

今のうちに弁明しておくが、私は別に、二人が嫌いな訳では無い。

 

むしろ、好き(Loveじゃなくてlikeの方!likeの方だからね!!)だ。

 

だけど、流石に度を越した喧嘩をするのはどうかと思う。

 

私じゃなきゃ、見る者の胃を痛くすると思う。

と言うか、私も少しだけ痛い。

 

さて、本題に戻ろう。

今、私達が何をしているかと言うとレオが校庭の桜の木が未確認のアリーナの入り口になっているらしいので、そのアリーナを調査しに行くところだ。

 

調査しに行く所なんだけど……

 

「いってぇ!?弾かれるとか聞いてないんだけど!?

ステータス封印だけじゃなくて、アリーナにすら入らせてくれないのかよ!?

 

レベル上げすら封じる程、俺は危険だとでも言うのか!!

 

……はぁ、もういいや。

帰ろ……」

 

何だったんだ、今の人は。

桜の木に向かって突撃したかと思ったら、見えない壁か何かに弾かれたぞ。

 

と言うか、今の発言を見るとあの人はサーヴァント?

……にしても、帰るって言ってたけど、どこに行ったんだろう。

 

校舎の方じゃなくて、その奥の霧がかっている方向に向かって歩き出してるけど……あの奥にも何か、安全地帯があるのだろうか?

 

今は気にしてもしょうがない……取り敢えず、アリーナに行くとしよう。

 

さっきの人に関しては、後でレオ達に聞くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Now Loading(アリーナ攻略中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……私って無力だなァ。

ランサーと遠坂凛を相手に、勝てないと悟って、逃げてきてしまった。

 

うん……聖杯戦争の記憶と実力が消えたのは痛たすぎる。

 

はぁ、桜に言われた通り、一度、マイルームで休憩をするとして……

 

「ストップ、ストーップだヴァイオレット!?

確かに、すこーし、いや、かなり長く外に出ていたが、迷惑をかけるようなことは何も……

 

え?ステータスがほぼ最弱?

胃痛で直ぐに血を吐くから心配になる?

 

それを言ったらお終いだよ。

と言うか、これは呪いだって何回も説明したでしょうが!?」

 

あ、さっきの男の人と…………サク……ラ?

いや、眼鏡をかけてるから別人か ?

 

…………でも、凄い似てるな〜

まるで桜が増えたみたいな……って、男の人が連れて行かれた。

 

……と言うか、さっきまで、霧で見えなかった奥の方が見えるようになった。

 

えぇと、あの建物は……学生寮?

まるで、そう思わせる建物に男の人は、ヴァイオレットと呼ばれた桜にそっくりな女性に連れて行かれてしまった。

 

【今のは……】

 

【はい、桜に、そっくりでしたね。

後々、調査をしてみます。取り敢えず、岸波さんはマイルームで休んでいてください。】

 

「うん……そうするよ。」

 

なんだか、嫌な予感がするけど……

取り敢えず休む事にしよう。

 

目覚めてから行きなり、色んなことがあり過ぎて、流石に疲れた。

 

とりあえず……お休みなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーもー、悪かったって!

こっちにだって調べたい事は色々とあるんだよ。」

 

「はい、調べたい事があるのは分かりましたが、長い間外に出過ぎです。

 

今、お父様は最弱中の最弱。

心配になるに決まっています。」

 

「シンプルに酷くない?

これでも、本当は固有結界だって使えるんだぞ!」

 

「はいはい、作り話はいいから、ご飯にしましょう。

ヴァイオレットも、作るの手伝って〜」

 

「本当なのに……はぁ…………せめて、影を纏えれば────」

 

他のエゴ達も助けれたのに───

 

いや、あまり考えるのはやめよう。

今は、どうやって“サクラ迷宮”に侵入するかが問題だ。

 

パッションリップと、メルトリリスが迷宮にいることは確定している。

 

だけどキングプロテアの場所は分からないんだ。

アイツは俺によく似た、無限の概念を表したような能力を持つ特殊なアルターエゴ。

 

今までは、俺がちょくちょく押さえ込んできたから、BBも危険視してなかったんだろうけど……

 

恐らく、溜め込んでいた分が爆発して、今頃、BBの手に負えず、堕天の檻に閉じ込められているかもしれない。

 

そんなの、余計にプロテアの渇愛を強くするだけだってのに……

 

アイツには、まだ教えなきゃ行けないことが、沢山あるから、早めに見つけてやらないと……

 

メルトと、リップの方は岸波白野に任せても大丈夫かな……この世界線が、CCCルートである事を願いたい。

 

一応、こっちは育ての親だからな。

アイツらの幸せくらい、願ってやりたいものだ。

 

さて、プロテア探しをするにせよ、まずは空間の歪み、もしくは渇愛の重力圏……“堕天の檻(クライン・キューブ)”を見つけなきゃ、話は始まらない。

 

だけど、例え見つけたとしても今のステータスのままじゃ、防御しか出来ないから、キツイんだよな……

 

……まぁ、今の俺が無理なら“獣が顕現する”かもしれないけどな。

 

出来れば、そうしたくないのだが……

投影を封じられて弓が使えないアーチャーなんて、ただのちょっと硬いだけの人間だしな。

 

はぁ……せめて、何か武器があれば、ヒットアンドアウェイ戦法で戦えるのになぁ……

 

この際、木刀でも竹刀でもいいから、誰か譲ってくれないかな。

 

タイガーなら譲ってくれるかな?

でも、タイガーは月の裏にはいなかったな……表側にならいるのに……

 

はぁ……希望が少なすぎる。

別に、魔術回路由来の痛みなら慣れてるからいい。

 

でも、その痛みに身体が耐えきれず気絶、もしくは死亡の可能性があるから、下手に行動が移せないんだよな。

 

こうなったら、旧校舎の購買部が戦闘用の礼装を売ってる事を願うしか……

 

ッチ!!こんな時に限って、購買部で売ってた礼装の種類を覚えてない!

 

月の海には来ないだろうって前世のいらない記憶と捨てたのが間違いだったか……

 

幸運D-は伊達じゃないってか。

ハハハ……笑えねぇなぁ…………

 

よし、今日は徹夜して制服を作って、購買部で礼装を買いに行ってみるか。

 

幸い、サクラメントは何故か十分あるし、糸や布も大量にあるから、制服は作れる。

 

早速やるか。

 

「悪い、ヴァイオレット、カズラドロップ。

俺はしばらく、部屋に篭って作業をするから、先に飯を食っててくれ。」

 

「……また、何かするつもりですか?」

 

「そそ、潜入調査ってやつ?旧校舎の方に買いたい物があってね。

 

英霊の服装のままだと、怪しまれて、買わせてくれないかもしれないから制服を作って偽装するんだよ。」

 

「…………分かりました、ただし、夕方までには帰ってきてください、ヴァイオレットが心配します。」

 

「はいはい、分かってますよ。

それじゃあ、さっさと作りますかね……眼鏡に制服……完全にガリ勉モドキだな、これ。」

 

まぁ、眼鏡は気に入ってるし、つけなきゃ視界全体が、直死の線だらけになって危ない上に、前が見えなくなるからね。

 

是非もなしってやつだ。

さて……朝までに間に合うかな?

 

 

 

 

 

 

 

Now Loading(作成中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完成……見た目はよし、性能は知らん。

まぁ、魔力もクソもないから出来がいいのは見た目だけなんだがな。

 

まぁ、変装できるレベルだから良しとする。

時刻は朝……とっとと、礼装を買いに行くか。

 

「それじゃぁ、もう朝だから行ってくるよ。」

 

「「行ってらしゃーい!」」

 

さて……サクラメントは十分持った。

後は、何か攻撃ができるような礼装が売ってるといいけど……

 

……ここの靴箱をくぐる回数はかなり少ないだろう。

正直、ここに来る用事は今の所、無いしな。

 

とっとと買って、プロテアがいる場所を見つけなくては…………

 

さて、購買部に来たが……

 

「すいません、今、攻撃系の礼装はこれが一番強いんですよ……これ以上となると、ちょっと……」

 

「いや、いいんだ。こんな、古刀でも、あるのとないのでは全然違うからさ!ありがとさん。

 

そうだ、後は強化スパイクとその麒麟のマントを頼む。サクラメントは十分にあるからさ。」

 

「はい、お買い上げありがとうございます!」

 

攻撃系の礼装での現在の最強は“錆び付いた古刀”

筋力を少しばかりあげてくれる礼装だ。

 

俺は攻撃する為の道具として購入したのだが、筋力アップの効果は嬉しい。

 

次に、強化スパイク。

文字通り移動速度をあげてくれる物だ。

 

足りなくなった移動速度をあげてくれる優れものだ。

これから使い込む事になりそうだ。

 

そして麒麟のマント。

これは言わば回復用の礼装だ。

 

今は一つしか無かったからかなり高くついたけど、その値段に見合った回復力があるから損はしていない。

 

戦いに行く準備はこれで出来た。

後は、プロテアがいる空間を見つけるだけだ。

 

「…………っと、その前に。

覗いてて楽しいか?生憎、俺は用事があるから、何か聞きたいのなら早くして欲しいんだけど?」

 

「!?……気付いてたんだね。」

 

「こっちは弱体化させられてるとはいえ、仮にも英霊だ。気配遮断も知らない子供に気付かないわけないだろ。」

 

「やっぱり……英霊!!

……君は敵なの?」

 

「おっと、それは違うよ。

俺は敵なんかじゃない。

 

俺も、月の裏側に閉じ込められた憐れな守護者だよ。

君の後ろにいるであろう英霊の前には手も足も出ない弱者、それが俺だ。

 

っで、何か用かな?

月の裏側脱出隊の切り込み隊長さん。」

 

「そこまで分かってるんだ……あの、貴方は昨日、何処にいたんですか?

 

あの学生寮みたいな所、昼間は見えないし。

私達と違う所に住んでるからレオに調べて来いって言われたから聞きに来たんですけど。」

 

「学生寮?あぁ、サクラ荘の事か。

なんで、昼に見えないのかはしらないが、一応俺はその学生寮の管理人を任されてる。

 

あそこは俺と後、二人のAIが暮らしているアパートモドキだ。

 

本当は更に三人いたんだが……

俺はその内の一人を探す為にこうして装備を整えてる訳だ。

 

これでいいか?

俺は早めに探索しに行きたいんだが。」

 

「はい、大丈夫……だと思います!

話してくれてありがとうございました!」

 

「どーいたしまして。

……また何かあったら言ってくれよ。

 

それと、タメ口でいいよ。

俺のクラスはアーチャーだ。

 

守る事しか取り柄のない馬鹿だよ。

守りたい物があるなら相談してくれよー。」

 

「うん。その時はよろしくね。」

 

……よし、改めてプロテア探しにもどr

 

「そこの少年、チョォォットマッタァァ!!

ご主人様の、目は騙せても、この天照は騙せないぜ☆

 

正体を見せろ愚弟!

さもなきゃ、私がお前を、遥か天空まで吹き飛ばすぜ☆」

 

らせてくれないようだ。

 

「…………あ?少年って俺?

そんな年齢じゃないから違うか。

 

そもそも、俺に姉なんていないしな。」

 

「忘れたとわ言わせないぞ☆

大体、何なんです貴方?

 

人間界に落とされてからいい子になって、一目惚れして、挙句の果てにはヤマタノオロチの討伐をするって何ですか?

 

しかも、今回はイメチェン!

何ですか、その銀髪赤眼は?

 

もっと日本の英霊らしくしたらどうですか、スサノオノミコト!」

 

……勘違いされてるみたいだ。

確かに、俺にはスサノオが混じってるけどさぁ……

 

「俺が……スサノオ?

冗談じゃねぇ。俺は無銘の英霊だ。

 

それに、スサノオがちょいと混じっていようが俺は俺だ。

 

そこん所、理解してくれよな、天照モドキのキャス狐。」

 

「……なるほど?

スサノオ要素が混じった別人でありスサノオでもあると?

 

面倒臭いですねぇ、それ。

と言うか、魂はボロボロその癖、輝いている……何なんですかねぇ、貴方。」

 

「ただの守護者だって言ってるだろ?

今ので、狐の真名は何となく、予想がついたな。

 

っで、霊体化してるけど、もう一人いるんだろ?

赤薔薇の皇帝見たいなやつが。」

 

最も、最初から真名は知ってるけどな。

ほら、出て来いよ、暴君と呼ばれた赤薔薇。

 

「なぬぅ!?見抜かれておったのか!?」

 

「そんな派手な見た目じゃ、簡単に見つけられるさ。

俺の眼は特別性でね。弱体化させられて、眼鏡越しになろうと、見えるものは見えるんだよ。」

 

「……魔眼の持ち主、という事か。

奏者よ、少し下がれ。この男は不明要素が多過ぎる。

 

敵か、味方なのかも分からん。

目的も、点でわからぬ。

 

それに加え、住んでいる所が、現在、奏者と同じ表側の生き残り達が暮らしているこの旧校舎とは違う、学生寮なる物に暮らしておるのだ。

 

奏者に、どんな危害を加えるか分からぬ。

最も、加えようとした瞬間、余が奴を切り刻むがな。」

 

「おぉ〜怖い怖い。

まぁ、何もしないから平気だよ。

 

生憎、人類の希望を潰すなんてこと、(抑止力)にはできないんでね……チャ〜オ〜」

 

「あ、ちょっ!?……ちょっと、セイバー、キャスター!?いきなり失礼でしょ!」

 

「「そうは言ってもだな(ですね)!?」」

 

……何やら、後ろが騒がしいが、気にしないで行こう。

さて、とりあえずはプロテアがいる空間に繋がるような場所を考えよう。

 

堕天の檻(クライン・キューブ)……あれは確か、廃棄データのたまり場。

 

セラフをパソコンとして表すなら、ムーンセルはそのパソコンのシステム管理アプリ兼、検索エンジニア。

 

月の海の虚数空間はホーム画面。

熾天の檻はその検索エンジニアを起動するまでのローディング。

 

月の裏はアプリでは管理できない、更に細かな数字の領域。

 

そして、堕天の檻はゴミ箱のデータが消去される前の段階の場所だ。

 

なら、当然。ゴミに関係する場所にあるだろう。

学校でゴミに関係する場所……そして、どこか昭和より前の学校を思わせるこの旧校舎のゴミ捨て場と言えば!

 

「……ようやく見つけた。」

 

昔ながらの焼却炉。

この中にゴミを入れて、燃やすのだ。

 

なら、この近くに、入口はあるはず!

眼鏡を外し、ボヤける空間その物を“視る”

 

人も、物も、視力が弱体化して見えないが、その空間の歪みは、ハッキリと視界に写った。

 

「待ってろ。今行くからな。」

 

俺は、再び眼鏡をかけると、その歪みに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

────そこに侵入者を撃退し、その物を廃棄するための……鏡の迷宮という名のプログラムがあるとも知らずに。

 

 

to be continued




次回予告……と言うやつだ(CV:アンデルセン)

なぜ、俺がやらされているのかは気にしないでいいだろう。俺は、貰った報酬分の働きをするだけだ。

守護の獣が行き着いた先は鏡の迷宮。
心を写し迷宮を作るその場所は、獣を廃棄データへとかえようと惑わし、戦わせ続ける。

正義に狂った獣は、それでも前に進むだろう。
だが、その先に待つのは矛盾のみだ。

果たして、獣は迷宮を抜け、夢を見続ける“少女”という名の“カイブツ”に辿り着けるのだろうか?

それを知るのは、ここの愚かな作者だけだ。

タイトルは……そうだな。
「矛盾正義」
といった所だろう


今日のヒント

これは、パスワード限定で連載している無理矢理転生:外伝集のパスワードのヒントを出していくコーナー。

活動報告での最初のヒントは『サーベラスの職業』
前回、発表した一つ目の文字は『ギ』
そして、二つ目の文字は『タ』です!

分かるかなぁ?
それでは、俺はここら辺で。

それと、活動報告で意見を募集しているので、よろしければぜひ意見をください。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=259463&uid=308592


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矛盾正義

今回ばかりは、話題を変えるとして……さて

無限に書き記され続ける(とある男の話をしよう)

正義の味方の物語(何かを守る時、獣は眠りから目を覚ます)

その男は、自らを守護者(セイギノミカタ)と名乗った。

守護者(セイギノミカタ)とは何か?

無と無限の狭間、血塗れた世界を心に持ち、“正義”の為に戦い続ける愚か者の名だ。

では、正義とは何か?

何かを守ってこその“正義”

何かを殺してこその“正義”

何かを信じてこその“正義”

何かを裏切ってこその“正義”

その男は愚かにも、何を言われようと正義(その道)をひたすらに進む。

獣になろうと、何度死のうと、“正義”のために戦い続ける。

その全てが、“悪”であると知りながら────

積み上げるは死体の山。

守りきるは多くの生命(いのち)

積み重なるは無限の罪。

獣が背負うは無数の正義。

男はやはり、破綻していた。

それは、人間の歪んだ心(エゴ)が産んだ正義(絶望)の果てを見たからか

それとも、幾度の正義(殺戮)を続けてきたからなのかは

誰にも分からない。

分かった事は、彼は贋作であると同時に、紛れもない正義の体現者(ホンモノ)だった事だ。

ただし、正義とは常に悪である(矛盾している)事を忘れては行けない。

それでも、何かを守るというのなら─────

男は、間違いなくセイギノミカタと言えるだろう。



【挿絵表示】



走り出した、その先にあった空間……

そこには、異様な景色が広がっていた。

 

「ここは……冬木市……だと?」

 

そんな訳が無い。

ここは、電子の海……その迷宮のひとつだ。

 

そのはずなのに、ここは、空気も、匂いも、果てには街の雰囲気や人の流れさえも冬木市と同じなのだ。

 

冬木市に来たことがある人が、何も言われず、この空間に連れてこられたら、間違いなくここが冬木だと答えるだろう。

 

俺も、正直間違えそうだ。

だけど、ここが冬木と違う点は……

 

「俺の知るどんな冬木も、こんな殺気立ってはいなかった。」

 

まるで、戦場かのような殺気。

のどかな街中には似合わない雰囲気だ。

 

明らかに矛盾している。

……何か、何かが変だ。

 

電子の海とか、そういうのが関係無く。

違和感……何かは分からないが、大きな違和感がある。

 

街の中の小さな何かが違うのかもしれない。

でもそれが、何かが分からない。

 

まるで、俺の存在そのものが否定されていて、それなのに認められているという矛盾感が、とてつもなく気持ち悪い。

 

兎に角、今は前に進むか。

プロテアが待ってるだろうしな。

 

それと

 

「……やっぱ、迷宮(ダンジョン)(エネミー)は必須だよな。

 

いいぜ、かかってこいよ。

なんでお前らのような廃棄データがこうして人の形を取ってるかは知らないけどさ。

 

邪魔をするってんなら、神だろうが廃棄データだろうが関係ない。

 

全部纏めて殺してやるよ。

死にたいやつから前にでな!……なんつって。」

 

俺を見つけ次第、こちらに向かってくる人の形をした敵。

 

それらを全て、直死し、斬り殺す。

筋力は錆びた古刀の効果でE-からDに上がっている。

 

筋力はDもあれば十分だ。

見せ筋とは言わせん、Dでもボディービルダーの数十倍以上はある。

 

それを超えてから見せ筋というのだな。

さて、話はそれたが、敵を殺すのは本当に容易い。

 

直死すれば、硬さも関係ない。

存在そのものをゴミ箱からも消去(デリート)する。

 

動きの速い敵の動きも、強化スパイクの効果でついていける。

 

強化スパイク……本当に便利だな。

敏捷がE-から、Cまで上がっている。

 

購買部様々だ。

帰ったら、改めて礼を言わなきゃな。

 

……一つ、気になるのは。

人の形をしているはずの敵の顔が、ノイズがかっていて見えないことだ。

 

だが、そんな事は別にいいだろう。

俺は“今まで通りに”殺すだけだ。

 

それが、どんな姿の敵だろうと関係ない。

それがセイギノミカタの性だ。

 

まぁ、流石に兄妹の顔をしてたら躊躇うんだがな。

そんな敵、いないことを願うしか無いな。

 

さて、先ずはこの空間から、プロテアのいる空間に繋がる出口、もしくは入口を探さなきゃ行けないが……

 

ここが冬木市なら、場所は限られているな。

とりあえずは、大聖杯があった場所である柳洞寺近くの大空洞にでも行ってみるか。

 

 

〜冬木市 大空洞にて〜

 

 

 

「ビンゴ!。

やっぱ、冬木の魔術的名所と言えばここだからな。」

 

本来なら、大聖杯があるその空間にあったのは、大聖杯ではなく、異質な雰囲気を放つ巨大な門だった。

 

違和感の正体はこれか?

とも思ったが絶対違うだろうな。

 

この門には、違和感とは逆に安心感を感じている。

……でも、何か、触れてはいけないような危うさも感じる。

 

こういう物は、放置した方がいいだろう。

触れぬ神に祟りなしってヤツだ。

 

さて、別の場所を探すとして……今度は何処を探すかねぇ…………やっぱ、個人的に衛宮邸がどうなってるか気になるよな。

 

……んじゃ、行きますかねぇ。

誰もいないはずの衛宮邸……そう、誰もいないはずなのだ。

 

だが、そこには誰かいた。

顔は分からない、影は映らない。

 

でも、その手に持っていた剣で誰なのか分かってしまった。

 

分かりたくなかった、分からない方が良かった。

だって、分からないままだったら殺せた……だけど。

 

「……ッ!士郎……頼む、どいてくれ。

お前を……弟を俺は殺したくない。」

 

「▅▅▂▂▅▂▅▅▅!!!」

 

俺の意思は、当然伝わらなかった。

相手は偽物なのだ。

 

当然、俺の事が分かるはずがない。

そして、正体を見破ったことで顔のノイズが晴れた。

 

……やはり、士郎だ。

俺は、幾度の殺しを続けてきたが、唯一、殺した事が無いものが一つだけある。

 

家族……

俺の一番大事なもの。

 

俺が……命を変えても守り続けた物。

俺が一緒、傷付けれない大事な物。

 

その、大事なものが、巨大な壁となって俺の前に立ち塞がった。

 

「グッ……耐え凌いで逃げるしか無いか!?」

 

俺がこの士郎を倒せない以上、逃げるしかない。

俺は……戦えない……

 

迫り来る干将と莫耶を古刀を使い何とか捌く。

身体能力が落ちているから、身体中に少しずつだが、傷を付けられる。

 

俺には麒麟のマントって言う回復アイテムがあるとはいえ、このままだと、ジリ貧だ。

 

それに……もう一体、近付いてきてる。

銃声がした。

 

俺は士郎の姿をした偽物を蹴飛ばし飛んできた銃弾を古刀で弾く。

 

……銃弾が飛んできた先にいたのは、見知った瞳、見知った服装……

 

「父さんまで……ッチ!?

明らかに、ピンチだな……これ。」

 

遠距離の父さん。

近距離の士郎。

 

二対一……いや、もっといる。

何体かは分からないが、気配がする。

 

攻撃できない俺と無数にいる敵……

戦力差は圧倒的。

 

勝たないとプロテアの所にはたどり着けない。

覚悟を……覚悟を決めなくては!

 

「▅▅▂▅▂▂!!」

 

「ッ、しまっ!?」

 

油断していた。

その一瞬で、士郎の姿をした何かは俺に斬り掛かる。

 

幸いにも、古刀で防げたが、最悪な事に眼鏡を落としてしまった。

 

これじゃあ、前が見えない。

死の線だらけの視界、敵と物体の見分けがつかない。

 

そして相手は無数にいる……

本格的に行動が封じられた。

 

ここが迷宮だから床が壊れる心配はない。

それを表すように、迷宮の床には死の線が見えなかった。

 

だが、いい意味でも悪い意味でも“視え”過ぎる俺の眼は迷宮の床を透け、その先まで見てしまった。

 

その先……恐らくこの迷宮を抜けた場所まで。

そこには、巨体の少女がうずくまって一人で泣いていた。

 

プロテアだ。

……BBめ、よりにもよって最悪な手段を取りやがったな?

 

プロテアの大元はBBが事故改造の果てに抑えきれなくなった感情の一つ“渇愛”

 

人が渇いた喉を潤す為に水を求めるように、プロテアは渇いた心を潤す為に常に、愛を求め続けるのだ。

 

それを、一人にして放置とは…………

 

「何処までも合理的な思考だな、えぇ?

…………いいぜ、覚悟は決まった。」

 

誰かを何度も信じた。

誰も信用出来なかった。

 

誰かを何度も裏切った。

誰かに何度も裏切られた。

 

後戻りは元々できなかった。

後悔しても何も出来なかった。

 

それでも前に進めた。

後悔した数と、同じだけ希望を見出した。

 

守る為に、何度も何度も人を殺し。

何度も何度も殺され…………

 

そして、その度に自分の存在を否定した。

その度に、自分がここにいる意味を肯定した。

 

俺は矛盾で出来た獣、人類悪(ビースト)の一人であり

そして俺は、人類全ての守護者(セイギノミカタ)だ。

 

こうして改めてこころの奥底を見直してみると、俺はやはり、矛盾していた。

 

そんな、矛盾した正義を心に持つ俺が……

人類悪と呼ばれようと、セイギノミカタを名乗る俺が…

 

「あの子を、あのまま見過ごす訳には行かないんでね!

悪いな、士郎、父さん……お前を…………お前達(家族)を、巨体の幼き少女(家族)の夢の為に殺させてもらう!!」

 

決心を口にした。

結果はやはり、矛盾していた。

 

でも……

 

“構わないさ、贋作(私/俺)の偽物なんて

兄さんの手で壊してくれ”

 

頭を過ぎるそんな声が……

 

“僕の偽物なんて、むしろ殺してくれ

正義の味方を志した僕だけど、もう二度と家族を失わないって決めたんだ、そんな偽物、壊してくれ”

 

身体中に響くそんな声が……

 

“頑張って、お兄ちゃん!

私はずっと応援してるよ?また、一緒に遊ぼうね!”

 

心に響いたその声が……

 

“いいじゃないですか、矛盾していようが……

それが、貴方(サーベラス)らしい回答なのですから!”

 

俺の奥底で響いた声が……

BBに封印された獣の……守護者(セイギノミカタ)の眠りを、覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───投影(トレース)……開始(オン)!!」

 

 

 

 

 

 

 

獣は、いつも……

 

何かを守る時に目を覚ます。

 

 

「ウ”ォ”ォ”ォ”ォ”!!!」

 

雄叫び。

全身の魔術回路を起動した獣の叫び。

 

矛盾と言う概念を内に秘める獣の前には、BBの用意した鎖程度では脆かった。

 

あまりにも呆気なく、あまりにもあっさり、その鎖は砕け散った。

 

そして、鎖から解き放たれた獣は、真の姿を表す。

ただ守る……その為だけに。

 

士郎の姿をした偽物も、父さんの姿をした贋作も……

そして、あの冬木の街並みも姿を消していた。

 

残ったのは人形と、ガラクタばかり。

その全てには硝子の破片と思わしき物が突き刺さっていた。

 

鏡だ。

 

「なるほどな。

鏡の迷宮…………俺の心をそのまま映し出す罠か。

 

それも全部、さっきの雄叫びで割れたみたいだな。

…………正体がわかってよかった、よかった。」

 

眼鏡を拾い、影の中にしまう。

壊れるとヴァイオレット達に申し訳ないからな。

 

「そこを退け人形共!

貴様ら如きが、プロテアを閉じ込めてるんじゃねぇ!」

 

正体が分ければただの雑草。

そんな人形共にかけてる時間はない。

 

思えば、最初に俺をお父さんなんて巫山戯た名前で呼び始めたのはプロテアだったな。

 

…………今考えても笑えてくるよな。

こんな血塗れた人外が父親って。

 

でも、でもなぁ…………

 

一度でも、たった一度でも……

俺と一緒に笑いあって、泣いて、怒って…

 

アイツらと、俺が過した日々が夢なんかじゃないなら!!

 

「俺は……最後まで…………守るって決めたんだァ!!!」

 

一撃……たった一撃で終わらせる。

直死の魔眼で、死の点を見つけ、そこを思いっきり殴りつけた。

 

バギッボギッドゴッボゴッ

 

空間内のあらゆる所……いや、ある一箇所を除いて、鏡の迷宮…………堕天の檻は崩壊した。

 

残された一箇所……

それは、あの門だった。

 

安心感と同時に、生命の危機も感じる門。

幾つもの鎖で封じられた、この門の鍵は、どこにも無かった。

 

それとも、俺が消し飛ばしてしまったのか?

いずれにせよ、この門をどうにかしなければ、プロテアには辿り着けないのだ。

 

「…………鏡の迷宮内に存在する、唯一、鏡じゃない謎の門か…」

 

ここの迷宮の性質は先程理解した。

廃棄データやリソースを分解して再構築する事で、それを鏡に変換。

 

侵入者の心を映し出し、精神と肉体を破壊、そしてそれを廃棄データと認識し、また同じサイクルを繰り返す。

 

要するに、廃棄データのリサイクルだ。

ここにあったものは全てリサイクル品という訳だ……

 

なら、この鎖は何処から……

 

「俺が見た時は鎖なんて無かった……」

 

だとすると、何処からか追加されたと言うこと。

でも何処から?

 

BBでも、ここには干渉できない。

できてるならとっくに俺を再封印してるはずで……

 

「なるほど、封印か。」

 

俺を縛っていた封印。

アレは、言わば地獄の番犬を封じる為の“鎖”。

 

それを先程“壊した”のだから、当然、“廃棄データ”になっていても可笑しくはないか。

 

「って事は、この門を開けるにはこの鎖をどうにかしなきゃ行けないのか……

 

でもこれ、俺でも中々壊せないんだよな……

乖離剣なんて、使う訳には行かないし…………」

 

恐ろしく、面倒だな。

そもそもこの鎖の破壊の仕方がわからない。

 

死の線も薄いから、斬るのに時間がかかるだろうし……

この場合は…………

 

「もう一度、封印された方が早いが…………」

 

それだと、この虚数の海を越えてプロテアを外に出す事ができない……

 

なら、少々本気を出してこの鎖を破壊するしかないだろう。

 

「────投影開始(トレース・オン)……」

 

元々、士郎達を模倣した時点で、容赦をするつもりはない。

 

反転した星の聖剣を投影し、一撃でカタをつける。

 

反転した聖剣の一撃は見事、鎖のみを破壊した。

代わりに聖剣は砕けたが……まぁ、投影品だしいいか。

 

「今行くぞ、プロテア。」

 

さぁ、数日ぶりのご対面だ。

自分でも気付かないうちにイラついていたのか、門を蹴り飛ばして開ける。

 

門の先には、ひたすらに白い世界が広がっていた。

まるで、インド神話で語られている巨人が現れる白い海、乳海のような……

 

「なるほど?さしずめプロテアは、その乳海から現れる巨人……だからこんな殺風景にしたってか?」

 

笑えねぇ冗談だ。

さて……確かプロテアが閉じ込められてるのは、あのムーンセルを思わせるキューブだろう。

 

単純な質量では電子の海の中の物を超える“破壊不能”オブジェクト。

 

そんな、“破壊不能”だろうと“存在不可”つまりは“存在としての死”はあるので、直死の魔眼は通じるんだがね。

 

中のプロテアを傷付けぬように、外壁だけを直死る。

それ自体は簡単な事だ、英雄王の宝具程度の頑丈さしかないからな。

 

問題と言えば、直死った後。

プロテアを縛る枷が外れたとなると、待っているのは……

 

無限の質量の一気の解放による、擬似ブラックホールの出現。

 

俺ですらも危ない。

さてさて……どうやって対処するか。

 

直死の魔眼は発動する前に俺が呑み込まれて死。

バイティングも同様……さて、どうしたものか?

 

影もダメ、ゼルレッチは起動しない。

抑止力は働かない……あぁ、もう面倒だなぁ………

復活したてには投影コスト地味に重いしなぁ……

 

「俺はプロテアを助けに来ただけだし……

ブラックホールなんて、どうにでもなれって話しだけどさ……

 

邪魔だ、とっとと消え失せろ。

仕方ないから、乖離剣のサービスだ!!」

 

乖離剣をゲイボルグのように投げる奴か何処にいるだろうか?ここにいる!

 

目には目を、歯には歯を、ブラックホールにはブラックホールをだ。

 

まぁ、こんな事出来るの俺とか英雄王位だろうけど……

さてと……肝心のプロテアは何処に?

 

見渡しても何処にもいないし、空間内にも気配が……

 

 

 

───ザッ───ザザッ───

 

 

 

【はーい!プロテアが居ない事に疑問を持つ貴方にも手を差し伸べる!

 

良い子も悪い子も、人間もアルターエゴもみーんな大好きな、電子の海の人気ナンバーワンコンテンツ……BBチャンネル、始まります!】

 

 

《イメージBGM BBチャンネルのテーマ》

 

 

 

 

 

────Now hacking

 

 

GO!

 

 

 

 

…………!?

 

「っち、精神干渉!?

さすがBB、外道の極みだなぁ!」

 

【──わー、わー、聞こえませんね〜】

 

「巫山戯るなよ……要件はなんだ。

生憎、今の俺はテメェに付き合う暇なんて……」

 

【私だけがプロテアの居場所を知っていてもですか?】

 

「…………テメェ……」

 

【勘違いしないでください。今回の原因は私ではないですから。】

 

「はぁ?巫山戯てんのか?

この状況とタイミング、どう考えたってテメェの仕業だろ。」

 

【いいえ……これは私ではありません。

もっと恐ろしい何かが、私でも干渉不可能な何かが……して…………

 

▂▂▅▅▂▅▅▅

▅▅▅▂▅▂▂▂▅▅▅▂▅▅▂▅▅▂】

 

「ッ!?おい、BB?

返事しろBB!!」

 

いつもは態々煽りにくるBB……

そのBBの干渉が唐突に途切れた。

 

一体何が起こって……

 

『ふふふ、分かりませんかね?真の犯人はBBさん何か、では無いと言う事ですよ。』

 

「っ!?誰だ!!」

 

突如空間に響いた声。

聞き覚えのないはずなのに無性にイライラする声。

 

間違いない、コイツは抑止力案件の……

 

『ふふ……残念ですね?

貴方は見事に私の策にハマってしまったようで?

 

可哀想ですね。

親としての愛情を逆手に取らせて頂きました。』

 

「……ッチ、抑止力案件か、テメェ。

名は確か、殺生院キアラだったか?

 

よくもまぁ、こんな事してくれたなクソ野郎。

自殺願望なら最初から言ってくれないかなぁ?」

 

『自殺願望?

……とんでも無い!私は、ただ気持ち良くなりたいだけですよ。

 

それに、何か問題でもあるのでしょうか?

人間らしい、純粋な願いだと思いませんか?』

 

「レベルが違いすぎるんだよ、テメェは!

人類悪(ビースト)一歩手前のド畜生が…………

 

プロテアをどこにやった!!」

 

『うふふ……知りたいですか?

えぇ、知りたいですよね?

 

ふふふ……貴方が来た事でリミッターが付いた様子だったので、食べてしまいました。』

 

「 貴 様 ァ ァ ! ! 」

 

『おぉ、怖い怖い。

今にも食べられてしまいそう……うふふ』

 

「 グ ル ル ラ ァ ァ ァ ! !」

 

『……ついでに言えば、あのサクラ荘でしたっけ?あそこにいた二人も頂きましたよ?

 

えぇ、とても可愛らしかったですよ?

最後は、助けてって泣いてましたね?えぇ、貴方の名前を呼びながr───』

 

「 だ マ レ ・ ・ ド こ ま デ オ れ を 怒 ら せ レ ば 気 が ス む ? 」

 

アいつは、何かヲいッてイルんダ?

もウ、カンガエらレナい……

 

『……残念ですね、貴方はもうここでおしまいです。

その為に、誘い込んだのですから。

 

では、電子の海に……いいえ、虚数の海(私の中)で、たっぷり後悔していてくださいね?哀れな、守護者さん。』

 

いしキが、途切レ……ナ……なイ

 

ごメン、プロテア

助けラレなクッて

 

─ゴめン、カズラドロップ

守レなくっテ。

 

──ゴメン、ヴァイオレット

ヤくそく破ッて

 

────ごメん、パッションリップ

ふつウノオんなノ子とおナじ幸せヲ教エラれなくて

 

 

──────ごめん、メルトリリス

サイごマでキぼうを与えられなくて

 

 

ごめん、皆。

 

最後まで、面倒を見てやれなくて。

 

ダメだよな、こんな弱虫。

 

父親失格だ……

 

あぁ、沈んでいく…………

 

俺は一体なんの為にここに……

 

忘れたくない/忘れてしまう

 

あぁ、嫌だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────おれは、なにになりたかったんだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…………次回、矛盾正義/守護者の心層

おれが……俺がなりたかったものは…………


今回のヒント

これは、パスワード限定で連載している無理矢理転生:外伝集のパスワードのヒントを出していくコーナー。

活動報告での最初のヒントは『サーベラスの職業』
前回、発表した一つ目の文字は『ギ』
そして、二つ目の文字は『タ』
三つ目は『ノ』です。

遅れたので更にヒントを……
サーベラスの紹介でよく使われる単語ですね。

コピーして、張りつけた方が早いですからね〜
さて、皆さんは分かるでしょうか?











さて、雑談タイムです。
先ずはお詫びを……更新が遅れてしまい、本当に申し訳ございませんでした!

頭痛でやられたり、テストだったり、モチベが下がったりと色々ありますが、頭痛以外は全て言い訳に過ぎないようなものである為、改めて、謝罪します。

また、こんな作品をまだ読んでくださっている皆様には大変感謝をしております。

どうぞ、これからもこんな馬鹿の作品を楽しんでいただけたら、幸いです。

では、いつになるかは分かりませんが、また次回。


追記

パスワードはコピペしなきゃ、機能しないらしいです。
…………まぁ、作品内に何回も登場してるので、分かりやすいと思うのですが……


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矛盾正義/守護者の心層

…………む、なんだ?
ページが焼ききれてしまったな。

まぁ、いい。
では、話の続きをしよう。

自分を知らぬ獣は嘆く

「俺は何をしたいのだろう」と

自身の存在意義も、何もわからぬ獣は

それでも、守護者(セイギノミカタ)を貫き通した。

では、守護者(セイギノミカタ)と言う称号を剥奪された獣は何者か?

答えは単純、あの人類悪なりかけのメロン峠……いや、ある女よりもタチの悪いものだ。

少なくとも、あの女は自分の目標を持ち、自分の欲望もあった。

だが、獣はどうだ?
自身の欲望すら曖昧、セイギの為だけに動く機械人形と来た。

そんな奴からセイギを剥奪したら、残るのはただの殺戮兵器……ただの虚無だ。

所で、あの女と獣には共通点と明確に違う点があるが、分かるかね?

その共通点は、恋を知らないと言うこと。

あの女は正しき愛というものを知らず、それ故に、恋を知ることは無いだろう。

では、獣はどうか?

正しい愛が、どういう物かは知っている。

真実の愛とは何かを知っている。

だが、恋と言うものを知りえはしない。

何故なら、アイツは人形だからだ。

感情もない抑止力に動かされる人形に、恋は分からない。

だから、二人共、最後は恋を知る者に敗れるだろう。

“恋を知らぬ怪物”と言うのは“何かに恋する英雄”に負けると言うのが、物語としてのオチなのだからな。

さて、ここまでは共通点だ。

では着眼点を変えて話しをしよう。

先程も言った通り、二人には恋が分からない。

それはあの女にも、獣にも言える事だ。

では、何が違うか、だと?

決まっているだろ?
チャンスがあるかないかだ。

あの女は成長をし過ぎた。
今後、恋を知るチャンスなんて、それこそ、天と地がひっくり返り宇宙創成ぐらいしなければないだろう。

それくらい、あの女は歪んでいる。

だが、獣はどうだ?

幸いな事に、彼は幼いまま成長を止めている。

肉体的にも、精神的にもな?

更にいえば、あの獣の事を気に掛ける馬鹿な英霊もいるらしい。

美女と野獣…………いや、怪物と怪物か。

恋知らぬ怪物が、乙女と時を過ごし、恋を知るのはよくある話だが、怪物が怪物と共に過ごすとはな?

何とも、創作意欲が湧くが……無いな、没だ。

何故没か、だと?

決まっているだろ。

登場人物の両方が怪物なら、それはもう異質では無く、普通にすぎないからな。

怪物と怪物の恋話なぞ、人間の色恋沙汰となんら変わりは無い。

強いて言うなら、共感を持ちやすいか、持ちにくいか。
感情移入をしやすいか、しにくいかの違いだ。

話がそれたな。
……では、獣がどのような末路を辿るのか。

精々、適当に見て行くといい。


【挿絵表示】



────き───い────

 

……いつも、なにかのおとで、めがさめる

 

じぶんがだれか、なにものなのか、どこからきたのか、なにをしたいのかは、ぜんぶ、わすれた。

 

おもいだせることは、なにひとつない。

それでも、そのおとだけはひびいていた。

 

ずっと、ずっと、えいえんに、むげんにしずみつづけてるまいにち。

 

からだにちからははいらない、なにもかんがえたくない。

 

それなのに、あのおとでめがさめる。

 

このおと───

 

このめざめはいったい、だれのために────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆめを、みた。

 

きれいな、ゆめ。

 

よくわからない、ゆめ。

 

にんげんが、にんげんといっしょにいるゆめ。

 

にんげんが、にんげんとあそんでるゆめ。

 

にんげんが、にんげんをなでているゆめ。

 

あのこはだれだろう。

 

あのにんげんはなんだろう。

 

かんがえてもわからない。

 

でも、なぜかじぶんは。

 

ものすごく、なつかしいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────き─く──い────

 

また、目がさめた。

 

目のまえには、何もない。

 

生きるいみも、きぼうも無い。

 

ぜんぶ、とっくの昔にわすれたはずだ。

 

何もおもいつかないのに、何もするきはないのに、なぜ、いつもあのおとで目がさめるのだろう。

 

かんがえてみよう、いや、かんがえなくてもいいか。

 

ひたすらにそんなことばたちがあたまの中をまわりつづける。

 

そんざいいぎもなくなったじぶんはなぜ、目ざめるのだろう……

 

この音は、なぜひびきつづけるのだろう。

 

この音はなぜ────

 

この目ざめはいったい、だれのために

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆめを、見た。

 

さびしい、ゆめ。

 

悲しい、ゆめ。

 

にんげんが、にんげんになにかを向けていた。

 

それが、何かはわからない。

 

でも、そのにんげんが死ぬことはわかっていた。

 

にんげんは、泣いていた。

 

もうひとりのにんげんは笑っていた。

 

何でかは、わからない。

 

でも、ものすごく泣いてほしくない。

 

こっちに来ないでね。

 

そう言いたくなる、悲しいゆめ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────き─くだ─い────

 

また、目が覚めた。

 

目の前には何も映らない。

 

ただ、沈み続けるだけの毎日。

 

何か、思い出せそう。

 

何も、思い出せない。

 

永遠と、ずっと、ずっと、同じ事を繰り返している。

 

その意味も、何も思い出せないから。

 

だから、考える。

 

無意味だけど、何も無いけど、思い付かないけど。

 

けど、何だか、変な気持ちになるから……

 

いつか、あの事で目が覚める理由を知りたいから。

 

この音は一体───

 

この目覚めは一体、誰の為に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を、見た。

 

何処か、遠い、遠い所の夢。

 

三人の人間が、楽しそうに暮らしていた。

 

皆、くだらない会話で笑って、くだらない事で喧嘩をして……

 

とても、とても楽しそうだった。

 

良かったね。

 

思わずそんな事を口にした

 

あぁ、自分も、あの人間達のように、笑えたら良かったのに……

 

そう思わずにはいられない、楽しい、楽しい夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────きてくだ─い────

 

また、目が覚めた。

 

音は、段々と強くなって来ている。

 

死が近いのだろうか、それとも何かを思い出せるのだろうか?

 

どちらにせよ、興味は無い。

 

同じ毎日の繰り返し、どうせそんな日々ならば。

 

いっそ、全て無に還ればいいと思った。

 

無限の繰り返し。

 

何かの渦に永遠と呑み込まれる。

 

あぁ、せめて……

 

せめてこの世界にもう一人誰かいたのなら。

 

どんなに楽で、楽しかったのだろう?

 

この音のように、毎日話せる、誰かが。

 

この音は一体、誰の────

 

この目覚めは、誰の為に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を、見た。

 

燃えるような夢。

 

今にも、消えそうな夢。

 

一人の人間が、人を殺し続ける夢。

 

正義と言う、曖昧な物の為に戦い続ける夢。

 

とても、羨ましいように思えた。

 

何かのために、戦えるなんて。

 

戦える力が、あるなんて。

 

誰かの夢を守れる力があるなんて……

 

同時に、とても愚かに見えた

 

何かを壊する力ばかりだ、と。

 

何かを殺す力ばかりだと。

 

誰かの夢を壊す力があるなんて……

 

矛盾……矛盾…………矛盾………………

 

一体何が正義か、既にわからない身だけども

 

これだけは言えた。

 

矛盾した正義の果てに、何があるのだろう?

 

そんな、文句のような言葉しか言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─起きてください

 

 

目が覚めた。

 

あの声は、ハッキリと聞こえる。

 

何を言っているか分からなかった声は、いつの間にか明らかになっていた。

 

 

──起きてください

 

 

一体何から?

 

これは全て現実、全てが夢。

 

覚めることも、起きる事もできない、地獄だ。

 

 

───起きてください

 

 

騒がしい……自分には何も出来ない

 

自分には思い出せる事は無い。

 

だから、放っておいてくれ。

 

 

────起きてください

 

 

もういいだろ?

 

自分は……俺は十分に頑張った。

 

何も思い出せない程に、自分は消耗した。

 

何も思い出したくないと思う程、自分を嫌っている。

 

だから、放っておいてくれ。

 

だから、もう俺に関わらないでくれ。

 

 

─────起きてください

 

 

もう、いいだろ。

 

放っておいてくれ。

 

関わらないでくれ。

 

忘れてくれ。

 

消してくれ。

 

見ないでくれ。

 

話しかけないでくれ。

 

殺してくれ。

 

何も知りたくないんだ。

 

何も見たくないんだ。

 

何もしたくないんだ。

 

だから、何もしないでくれ。

 

もう、何も……何もかもが嫌なんだ。

 

誰が死ぬのを見るのも。

 

誰が戦うのを見るのも。

 

誰かを失うのも。

 

誰かと別れるのも。

 

誰かに関わるのも。

 

誰かに覚えられるのも。

 

誰かを覚えるのも。

 

もう、ウンザリだ。

 

もう嫌なんだ。

 

だから、だから…………自分を……俺を見ないでくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでいいのですか、セイギノミカタ!!

 

貴方のやるべきことは……貴方の大事なものはまだある!!

 

貴方は、まだ一度たりとも、願った事がない。

 

一度くらい、弱音を吐いて、誰かに助けを求めて……

 

願ってください!

 

戦いたくないなら、戦いたくないと。

 

守って欲しいなら、守ってくれと。

 

だから、諦めないでください!!

 

だから…………私と、また─────

 

また、私を召喚して、私に……私に貴方の力となる権利をください!!!

 

だから────起きてください!

 

顔をあげてください!

 

前を向いてください!

 

いつものように、笑って、怒って、泣いて……

 

また、私に……誰かに愛された▅▅▂▅▅▂▂に!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事、言われなくても分かってるよ。

 

あぁ、分かってるさ。

 

最初から、ずっと分かってる。

 

自分のすべき事も。

 

自分が念の為にいるのかも。

 

抑止力……

 

それが“俺”なんだ。

 

でも、もう“自分”には関係の無い事だ。

 

自分の名前すら、思い出せないのだから。

 

あぁ、でもなぜだろう……

 

無意識の内に、手を伸ばしていた。

 

虚数の海へ堕ちて行く自分の腕を掴める者は、いないと言うのに……

 

あの声も、きっと幻聴なのだろう。

 

でも…………少し、懐かしかった。

 

だから、俺は……

 

初めて、個人的な願いを込めて、手を伸ばして見た。

 

そうだ、人は何かを願って生きているんだ。

 

俺もきっと……何かを願っていたのだろう。

 

この目覚めは一体、誰の為……

 

目覚めはただ一人、自分の為。

 

目覚めは常に、他人の為。

 

だから……人は、何処かに向かって手を伸ばすんだ。

 

他の誰の為でもない、自分自身の願いの為に。

 

「……誰もいないのは知ってる……だけど───」

 

 

もし、もしもこの声が聞こえるなら。

 

 

「誰かが、こんな俺の存在に気が付いてくれるなら」

 

 

こんな愚か者の手を掴もうとしてくれるのなら。

 

 

「もう一度だけ……」

 

 

ほんの、少しだけでもいい。

 

 

「もう一度だけ!」

 

 

俺と────

 

 

「俺と一緒に!」

 

 

こんな、偽善者(セイギノミカタ)

 

 

守護者という名の愚か者(オレ)と」

 

 

一緒に───!!!!

 

 

「守る為に、戦ってくれぇぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伸ばした腕を掴んだのは─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呼ぶのが遅いんですよ!!さぁ、ここからは、私達の反撃です!!行きましょう、守る為に!」

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、やっぱり君は最高の友達(相棒)だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行こうか、相棒(ランサー)!」

 

 

 

「勿論です、マスター(サーベラス)!」

 

 

 

 

 

伸ばした腕は、最高の思い出を掴んだ。

 

 

 

 

俺のやりたい事は─────

 

 

 

 

 

─────いつでも、誰かを守る事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ……これでもダメなのか!?」

 

「なんと言う生命力……執拗いですね!!」

 

「うふふ……そう簡単に、神すら喰らった私を殺せると思いまして?」

 

ムーンセル中央区。

 

そこでは、この電子空間に生きる全ての……

 

いや、星にすら影響を与える端末を賭けた最終決戦が行われていた。

 

本来なら、表の聖杯戦争を勝ち進まなければ辿り着けないこの領域。

 

歪んだ形で到達し、全てを自身の快楽のまま飲み込もうとする人類悪(ケモノ)と、一人のマスター……そのマスター“岸波白野”につきそう二人のサーヴァントが戦闘を繰り広げられていた。

 

しかし、状況は圧倒的に劣勢。

 

神と混ざっていた獣を喰らい、ムーンセルと繋がった菩薩(ケダモノ)は、それこそ神に……いや、神そのものとも言ってもいい存在へと変化していた。

 

「ッチ、あの愚弟の力も喰らったとか、チートにも程があります……」

 

「いいでしょう?彼を態々罠にかけて、喰らった甲斐がありました。」

 

「BBや、メルト……リップだけじゃなくて、サーベラスまで!?」

 

勝ち目は見えない。

 

それでも諦めない。

 

だが、圧倒的な力……圧倒的な絶望の前にはそれも無意味なのだ。

 

立っているのがやっとなのだ。

 

満身創痍。

 

対抗する為に英霊の力を、神話レベルで解放する神話礼装も、神を喰らった者には通用しない……

 

「こんなの……どうすれば!?」

 

対抗策が思い付かない。

 

いつ、どんな時でも諦めず、前に進み続けた歴戦のマスターとはいえ、この絶望の前にはどうする事も出来なかった。

 

「では……そろそろ戯れは終わりと致しましょうか。」

 

「っ……最低最悪な宝具が来るぞ、防げ!!

さもなければ貴様らは終わりだ!!」

 

青髪で、子供のような姿をしたのキャスターが叫ぶ。

 

しかし……

 

「どうやって……どうやって防げばいいの…………」

 

歴戦のマスターは、ついに、絶望に染まりきった。

 

「すまぬ……奏者よ…………余も、もう策が……」

 

「ご主人様……すいません、すいません……」

 

それは、サーヴァント達も同じようで、空間は絶望に包まれていた。

 

 

「ふふ……では、これにて…………」

 

 

絶望の一撃が、すぐそこまで迫る。

 

これで……何もかも終わりなのだ…………

 

そう、誰もが思っていただろう。

 

ただ、二人の守護者(カイブツ)以外は───

 

 

 

 

 

 

 

『───熾天覆う七つの円環(ローアイアス)

 

 

 

 

 

 

七つの光り輝く花弁が絶望の一撃を防いだ。

 

 

 

 

「……馬鹿な、あ、貴方は!?」

 

 

「よぉ、久しぶりだな、殺生院……

悪いけど、こいつらは殺させないよ。

 

さて…………あの子達を返してもらおうか?」

 

 

「え、な、なんで…………」

 

 

信じられない光景が、その場にいた全員の目に映った。

驚くのも当然だろう。

 

殺生院に喰われ、消滅したはずの英霊が……どのからともなく現れたのだ。

 

それも、あの一撃を受けても尚、無傷でたっている、守護者を見て…………

 

 

「おいおい、驚かないでよ。

守るって決めたら、守りきる趣味でね?」

 

 

お気楽そうな口調で、その守護者は呟いた……

 

よく見ると、手には令呪らしき模様が刻まれている。

 

 

「なーにが、守りきる趣味だ、ですか?

先程は諦めかけてましたよね??」

 

「分かってるっての……と言うか、目の前であんな事をされた上に、虚数の海に放り込まれたらそりゃあぁなるさ。

 

俺も万能じゃねぇーんだよ。

だいたい、ランサーだって、虚数の海に来たは言いものの、耐性なくて死にかけてたじゃんか。

 

俺が耐性もってて、泳げてなかったら今頃パァ、だぞパァ!二人揃って虚数行きだよ?」

 

「そ、それとこれとは別でしょう!?」

 

「まぁ、そうなんだけどさ……

無駄話はここまでにしない?

 

そろそろ抑えられる気がしなくてね? 」

 

「それもそうですね。

二人で行きますよ?」

 

二度目の驚愕。

 

サーヴァントであるはずの彼が、サーヴァントを連れていたのだ。

 

これには、彼を呑み込んだはずの菩薩ですら理解をする事ができなかった。

 

「なぜ……何故、呑み込まれたはずの貴方がここに!

何故、サーヴァントを連れているんですか!!」

 

「悪ぃな、キャス狐。

質問に答える暇なんてない。

 

強いて言うなら、元マスターとそのサーヴァントの縁だよ。」

 

「元マスター……!?」

 

あまりの驚きに、言葉が出ない。

 

そう思っているのはあの二人以外全員だろう。

 

「さて……改めて自己紹介を。

サーヴァント、人類悪(ビースト)if……いや、今はただのマスター、サーベラス。

 

今だけは、抑止力の守護者関係なく……純粋な私欲により、貴様を殺す者。」

 

「そして、私はランサー。

彼のサーヴァントであり、彼の剣であり、盾であり、相棒です。」

 

「それじゃあ……行くぞ、防げるもんなら防いでみろ。」

 

「私達の連携力を崩して、どちらかを止めれれば、ですがね?」

 

言葉が終わると同時に、二人は動き出す。

その動きには、一切の無駄も、隙も無く。

 

まるで、同一人物かのように同じタイミングで。

別方向へと。

 

 

「くっ……ですが、神の力はこちらに───」

 

「あぁ、悪ぃな。

俺に混じってたヤツらなら、さっき殺したよ。

 

勿論、合意の上でな?

お前に利用されるなら、死んだ方がマシなんだとよ。」

 

「なんですって……!?」

 

「余所見を、するなぁ!」

 

告げられる衝撃の真実。

菩薩はもう、神の力は使えないのだ。

 

そして、守護者の言葉に気を取られた隙に、後ろからランサーの持つ巨大な鎖鎌が迫る。

 

しかし、菩薩はそれを空間内をテレポートするように移動する事で回避した。

 

「ま、まだです!

こちらにはムーンセルがある!!

 

いくら、貴方が規格外でも、この空間を維持しているムーンセルは殺せないはず!!」

 

「確かに、このままだと埒が明きませんね。」

 

「だけど、忘れんなよ?

俺の力の源は、俺の心だ。

 

心こそが、俺にとっての最大の力だ。

 

さぁ、招待してやるよ……

ランサー、後そこで突っ立ってる三人!!

 

時間稼ぎは任せた!」

 

「え、あ、はい!!セイバー、キャスター!」

 

「うむ……分かったぞ、奏者!」

 

「何をするつもりかは知りませんが……ご主人様の命令とあらば、お任せを!」

 

「任せてください、サーベラス!!」

 

心こそが、最大の力。

 

獣が言った意味を理解しているのはランサーだけだが、それでも、これが切り札であることを全員が理解した。

 

故に、菩薩は獣を止めに。

その他は獣の為に時間を稼ぐ。

 

そして……

 

「世界の幻影、我が元に──

 

我は世界を救う守護者なり

 

我は世界を滅ぼす人類悪(ケモノ)なり

 

我が力は破壊の力

 

されど、我が力は守る為にあり

 

全てを移す鏡なり

 

我、抑止の守護者の名の元に

 

顕現せよ、我が心──

 

無限の幻影(インフィニテッド・シャドウ)』」

 

 

 

世界が、一変する───

 

 

無限と無……即ち、矛盾の概念を内包する地獄へと。

 

 

「…………これ……は…」

 

「驚きましたか?

これはサーベラスの宝具……彼自身の心象風景を表した場所…………

 

固有結界。

魔術世界ではそう呼ばれていますね。」

 

「「「固有結界だとぉ(ですって)ー!?」」」

 

固有結界……その人間のみに許される魔術の最奥、魔法に近い物のひとつ。

 

その力は、その人間の心象風景によって変わるが、絶大な力を発揮できる。

 

ただし、世界を上塗りする魔法の為、抑止力による時間制限がある。

 

それ故に強力なのだ。

 

「驚くもんじゃねぇだろ?

 

さて……投影開始(トレース・オン)

さぁ、行くぞ似非菩薩。

 

覚悟は、出来てるなぁ!!」

 

「ぐぅ……『シェイプシフター』!!」

 

不死殺し(ハルペー)を持ち、斬り掛かる守護者を前にして、命の危機を感じた菩薩は、BBの使い魔……いや、今は自分の使い魔であるシェイプシフターを使い、守護者を黒い球体に閉じ込めた。

 

「あ?何だこれ??」

 

「ふふ……再び虚数の海へと堕ちてください!」

 

「ふーん……シェイプシフター。

“BB”や保健室のAI“間桐桜”の元になった魔術師の魔術をイメージした能力ね?」

 

「サーベラス!?くっ……あれに呑み込まれたらもう…………」

 

「残念ですね、殺生院。

貴方、案外甘いのですね。」

 

「私が……甘い?」

 

ランサー、と呼ばれた英霊の言葉に戸惑う菩薩。

シェイプシフターに呑み込まれたら最後、虚数の海へ堕ち、墓地に呑み込まれるのがオチなのだ……

 

オチなのだが……

 

「そーらよっと!!あ〜あ〜、面倒だった。」

 

なんと、守護者はいとも容易く脱出したのだ。

面倒くさそうに欠伸をしながら。

 

「何ですって!?」

 

「脱出したぁ!?」

 

「お生憎様、シェイプシフターはこっちが本家だ。

あれば元々、汚染された聖杯から派生した能力だぜ?

 

その能力に対して、俺が耐性を持っていないとでも?

さて……本家大元、聖杯その物の力を見せてやろう。

 

……これが、本物のシェイプシフターだ。」

 

守護者の影から、何か奇妙なものが姿を見せる。

それは、BBの……電子の海のシェイプシフターと姿形はほぼ同じだが…

 

「っっ……!?

奏者、下がれ!」

 

「あれは危険です、ご主人様。

今すぐに避難を!」

 

「くっ……私のシェイプシフターが!?」

 

性能はやはり、段違い。

それもそうだろう。

 

BBの、シェイプシフターは所詮、現実のシェイプシフターをモデルに電子の海用に作り出した物だ。

 

虚数に干渉する力はあれど、虚数その物であり聖杯その物とリンクしている影には勝てない。

 

そして何よりも──

 

「貴様のじゃねぇだろ。

それはBBの能力だ。

 

貴様は所詮、見様見真似で使ってるだけなんだよ。

贋作である俺よりも酷い……と言うか、再現度は皆無だな。

 

やる気あんのか?

スペックにだけ頼って、肝心の技術を磨かない。

 

宝の持ち腐れとは、この事だ。

所詮、屑は屑って所か?

 

守護者を甘く見んなよ。

ただ、デカいだけの人間風情が。」

 

経験の差、実力の差、技術力の差。

あらゆる面において、殺生院は守護者に劣っているのだ。

 

それはそうだろう。

月の海でようやくマスターとしての力を得た殺生院と、産まれた時から、魔術的な教育ばかりを受けた守護者……

 

精々100年程度しか続いていない魔術的な家系……更にいえば魔術よりかは宗教の家系である殺生院と、300年以上も前から存在する魔術家系アインツベルン。

 

家系の時点で差は歴然。

せめて、守護者がもう少し短い年数で派生した魔術家庭だったら、殺生院にも勝機はあっただろう。

 

そこを踏まえて、改めてみると。

やはり、運命とは残酷なものだ。

 

「くっ……ふふ…………

えぇ、確かに貴方を甘く見ていましたね。

 

ですが貴方でも、これは防ぎようが無いはず。

『クラック・アイス』!」

 

「なっ!?」

 

時が、止まる。

 

クラック・アイス。

それは、アルターエゴ、ヴァイオレットの能力(イデス)

 

彼女の元となった、とある女神(カイブツ)の魔眼の、更に上位のものである。

 

通常の魔眼と違う点……そこを簡単にあげるとするなら…………

 

魔眼と違い、自分が見た空間の時間その物を停止させることが出来る所だ。

 

この時間停止内で動けるのは、当然使用者のみ。

これなら、技術力関係無く、殺生院が守護者に勝ることができるのだ。

 

「意思だけが残るのもいい所ですよね?

やられている本人は、見ている事しか出来ない……あぁ、なんて素晴らしいのでしょう?

 

楽しめそうですね。

ふふふ……では、まずは誰から頂きましょうか?」

 

停止した時間の中、動けるのは殺生院のみ。

しかし、停止させられている本人達は何をされているのか認識できる……

 

認識は出来るが、行動はできないのだ。

これだけでも、十分な絶望だ。

 

勝ちを確信した殺生院は、ゆっくりと獲物を見極める。

さて、“四人”の内、誰にしようかと。

 

「ちょっと待ちなさい。

四人?後一人……ランサーは何処に───」

 

「───だから、甘いと言ったのですよ、殺生院。」

 

「ぐっ、後ろに!?」

 

殺生院の後ろから、不死殺しが首元にまで迫る。

殺生院はそれを、たった一度の無敵能力を使い、何とか回避したが、目を離した事で魔眼の効果は切れ、守護者達は自由になってしまった。

 

「ナイス、ランサー。

作戦は成功か?」

 

「いえ、首を断てなかったので失敗ですね。

一撃で仕留めようと思ったのですが…………」

 

「まぁ、そんな時もあるさ。

次こそ、上手くいくだろ。」

 

「何故……何故貴女だけ私の後ろに!?」

 

本日、何度目かの驚愕。

それはそうだ。

 

時間を止める時には目の届く範囲にいたランサーが、いつの間にか自分の後ろにいたのだ。

 

当然、驚くだろう。

 

「そんな事も分かりませんか?

私はサーベラスの後ろに隠れて魔眼を回避し、サーベラスが繋げておいた影と影の間を移動しただけですよ。」

 

そんなの、分かるわけないだろ。

と言う、奴らの心の声は方っておけ。

 

これが、守護者。

これが非常識なバケモノだ。

 

無理矢理だが、そう思って納得するのだ一番楽だろう。

 

あの守護者に関しては、理解できる方がおかしい。

 

それこそ、聖杯と繋がっていて、ガイアとアラヤ……両方の抑止力に使われる身で無ければ理解出来ないくらいに。

 

「そんな非常識なっ!?」

 

「非常識はお互いだろ。

この人類悪擬きが……いや、人類悪か。

 

アンタには、お似合いだと思わねぇか?

さて……次こそ殺してやるよ。」

 

「くぅ………ならば。

『トラッシュ&クラッシュ』!」

 

「おっと、ランサー!俺の後ろに!

潰されんぞ!!」

 

「っ……はい!」

 

「動きが、遅いですよ!!

もう手遅れです。」

 

「手遅れだと思うか!!

甘いぞ、菩薩!!」

 

パッションリップの能力(イデス)『トラッシュ&クラッシュ』

 

それは、ヴァイオレットの『クラックアイス』と似ている条件があり、条件さえ達成すれば最強とも言える能力。

 

目に映る範囲の物をキューブにする……

それを例えるなら、空に浮かぶ月を手で掴み覆い隠す様なものだ。

 

実際には掴めていないが、視界には掴んでいるように見えるだろう?

 

パッションリップの『トラッシュ&クラッシュ』はそれと同じ行動を必要とする。

 

簡単に言うなら、手で覆い隠した物をキューブにする能力だ。

 

これも、視界に映るかつ、手で覆い隠せる範囲でなくては行けないが、条件が揃えば無限の質量を持っているキングプロテアですら、キューブにされて死ぬだろう。

 

そんな物を、さて、どう防いだかと言うと……

 

「っち……腕の一本程度くれてやるよ。」

 

自身の後ろにランサーを隠し、そのまま菩薩に急接近。

 

視界に腕だけを映させ、腕を犠牲にして生き延びたのだ。

 

「なっ!?目がっ!?」

 

「今だ、ランサー!」

 

「任せてください!!」

 

腕を切り離された身体からは、大量の血が溢れ、菩薩の目を使えない物にした。

 

偶然か必然か、いや、恐らく計算通りなのだろう。

何故なら、守護者は見たものが寒気を覚えるような笑みを浮かべていた。

 

「これで、トドメぇ!!」

 

「くっ、トドメを刺されるくらいなら……!

『インセクトイーター』!!」

 

(ここで、インセクトイーター?アレは最弱の……

いや、アイツまさか!?)

 

「ッチ、セイバー、キャスター!!テメェらのマスターを守れ!!」

 

「っ!?」

 

「ランサーは、もう一回下がれ!

喰われるぞ!!」

 

「くっ……また仕留め損ないましたか!!」

 

「それよりも今は防御だ!

あの黒いのに触るなよ、触った所から喰われるぞ!

 

ッチ、俺の真似のつもりか、クソ菩薩!!」

 

インセクト・イーター。

慈愛のアルターエゴ、カズラドロップの能力(イデス)

 

それは本来なら最弱の能力であり、とても戦闘には使えない代物だ。

 

それは、BB由来の物、つまりは他のアルターエゴを吸収できる程度の能力なのだ。

 

しかし、菩薩が最後の足掻きとして発動したこれは既に菩薩によって、変質していた。

 

最弱から最悪に。

それは、己の欲求が満たされるまで相手を喰らうという能力へと変質してしまった。

 

その姿は、まるで守護者の本質(ケルベロス)のようで、彼は気持ち悪くて仕方が無かった。

 

「腕が一本ねぇーんじゃ、防御も薄いか……

残念だな、俺は影で代わりのものをいくらでも作れんだよ。

 

さぁ、守護者の本気を見せてやろうじゃないか!!

行くぞ似非菩薩!!」

 

影が守護者を包む。

獣のような影が……

 

それは、守護者の欠けた身体……

殺生院によって抉られた、腕とその半身を瞬く間に埋め、不安定だが腕の形へと変形した。

 

獣のような爪、不安定故に変形を続ける影。

言うまでもなく、戦場では凶悪な武器だ。

 

あの影の腕は変幻自在……自身の意思で変形させられると考えると、それは正しく凶器以外の何物でもない。

 

攻防一体。

なんでも出来るある種の無敵性能。

 

怒る獣と、目を潰された手負いの菩薩(ケダモノ)による戦闘。

 

それは、本当に酷いものだった。

獣を喰らおうとする菩薩の攻撃を、ものともせず、影の腕を千切られては再生し、千切られては再生。

 

その繰り返し……まるで埒が明かない。

それでも守護者は一歩づつ、確実に進んで行った。

 

その姿は醜い獣なれど、それはまるで希望に向かって走る少年を思わせた。

 

「悪いが……」

 

「くる────」

 

来るな。

そう殺生院が呟く前に。

 

「返して貰ったぜ、俺の家族を。」

 

殺生院は巨大な爪により切り裂かれ。

獣となった守護者の腕に、いくつかの光が見えた。

 

それはまるで桜の花びらのようで、次の瞬間、風に乗るように、その花びら達は遠くへ飛ばされた。

 

「ランサー、殺生院はまだ現在だ!動きを止めるぞ!」

 

「はい!!」

 

「岸波白野!!お前達はトドメをさせ!この長きに渡った因縁に、ケリをつけてやれ!」

 

「───うん!」

 

「「令呪を持って命ずる──!!」」

 

最後の命令が、サーヴァント達に下される。

 

 

「我がサーヴァント達よ、我が敵を打ち倒せ!」

 

「俺と共に、奴を打ち倒せ!」

 

 

その命令に、サーヴァント達は逆らうことも無く全てを受けいれ……

 

「そんな……そんな!」

 

その身の全てを使ってでも、この事件の元凶……

一人の怪物と化した女の人生に──

 

まだ満足していないのに(あともう少しだったのに)ぃぃぃ!!!」

 

 

最後の、幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……教えてください、私の何が、何が負ける理由になったんですか……

 

貴方には……いいえ、岸波白野(彼女)に、私が負けるはずがありません。

 

何故、私は負けたのでしょう……

実力でも、計画性でも、何もかも私が上だったのに……

 

 

「憐れだな、お前は、自分が持てなかった“少女の夢”を持ったAIに負けたんだよ。

 

それも、人魚姫のような、泡になって消えそうな、小さな恋心に。」

 

何故───

何故、恋などと言うくだらぬ物に──

 

「馬鹿め、恋とは即ち夢だ。

夢とは、生きる意思、生きる意味……そして何より、自分の存在証明だ。

 

夢を抱けなかった時点で、お前は、負ける宿命だったのさ。

 

まぁ、俺もそうなんだけどよ。

俺に夢は無い。

 

俺にも、恋の意味は分からない。」

 

だったら、何故──

何故、貴方は負けないのですか───!!

 

「確かに、恋の意味は分からないが……

 

だけど、俺には少なくとも、信じ合える友達や相棒……守るべき家族がいた。」

 

家族……ですって…………

 

「皮肉な事だ。

お前がもっと普通の家庭に生まれて、普通の愛情を知っていれば、こうはならなかったかも知れないのにな。

 

互いに守り合い、互いに愛し合える。

そんな家族を作り直して、改めて愛というものを知って……

 

“生まれ変わって出直しな”殺生院キアラ。

 

じゃあな。

無銘の英霊(オレ)よりも後に生まれた、憐れな獣よ。

 

一足先に、地獄に行ってろ。」

 

────貴方、一体何者?

 

「俺か?地獄の番犬を名乗ってはいるが、そんなもんは、俺じゃねぇ。

 

俺は────」

 

 

“ただのセイギノミカタだ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺生院を倒し終え、抑止力としての使命を果たした守護者と、そのサーヴァント、ランサー。

 

岸波白野含めたマスターや、サーヴァント、NPC達が、表の聖杯戦争……

 

正しき世界へと戻される中、彼等は最後まで、桜の木を見上げていた。

 

 

 

「綺麗ですね…………」

 

 

「あぁ、俺なんかが見ていい景色じゃないよな、これ。

…………士郎達にも、見せてやりたいもんだよな。」

 

遠く離れた家族の事を思い、守護者が呟く。

 

「えぇ、サクラにもお見せしたいですが……

ここにはサクラと同じ顔の人物が多すぎて、きっと混乱すると思います。」

 

 

「だよなぁ〜俺もそう思うよ。

まぁ、アイツらはアイツで桜を見てるだろうよ。

 

魔術師、魔術殺し……そんな家系の問題をも超えて、幸せにやってけるだろうしな。」

 

願いを込めた一言を守護者は呟く

 

「…………もう、終わりですか?」

 

「あぁ、もう帰る時間だ。

次の仕事が待ってるんだよ、俺には。」

 

「……そうですか。

それで、やりたい事は見つかりましたか?」

 

彼の相棒……

かつての女神が、彼に問いかける

 

「あぁ、見つかったよ。

俺は、俺らしく皆を救う!

 

偽善者と言われようと、俺はいつまでも守護者だってな!」

 

「ふふ、サーベラスらしいですね!」

 

当たり前の事を、当たり前のように話す。

その時間は、二人にとってはとても短く……そして、とても長く感じられた。

 

「また、会えますか?」

 

「あぁ、俺達は友人……いや、相棒だろ?

会えるに決まってるさ。」

 

「…………そうですね!

あ、そうだ……サーベラス、ちょっとしゃがんでくれませんか?」

 

「ん?なんだよ、ランサー?」

 

それはとても楽しくて────

 

「そうですね……私は───¦」

 

『私は人間が嫌いですが……貴方にならまぁ、いいでしょう』

 

「私は、人間も捨てたものでは無いなと、ほんの少しだけ思っていますよ。では……」

 

───また、何処かで!

 

「勝ち逃げ、と言うやつです!」

 

「ら、ランサー!?」

 

それは、まるである日の光景。

獣が、守護者へと変わり果てた日のように──

 

また、勝ち逃げをするランサーと

 

「……はぁ、いきなり何を……

…………また今度。

 

敵同士になっても、また会おうぜ、ランサー。」

 

一人、静かな笑みを浮かべた獣がいたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作者の〜後語り!!
EXTRA編、完 結 !

疲れました……
二週間以内に最新話を投稿した自分を褒めて欲しい。

とまぁ、戯言は置いときまして。
このコーナーも今回で最後回!

次回からは何が起こるか分からない!
ワクワクドキドキカルデア編!

無限に続く、守護者の道〜
という訳で作者の次回予告も、ヒントも今日でおしまい。

そんな訳で、もういっそ吹っ切れて答えを出そうかと!!

外伝集のパスワードは

『セイギノミカタ』

なんとも、サーベラスらしいでしょ?
カタカナにしたせいで、コピペして貰わないと見れないのですが……すいません。

後、前書きの絵は自作なんですが……
……イラストの容量足りるかな…………

サーベラス君、描きたいけどなぁ……
画力と容量が足りるかどうか……

誰か書いてくれ〜
いや、書いてもらうのは悪い気がするし、画力とかプリーズ(強欲で謙虚な作者)

まぁそれも置いといて、改めまして……
ここまで読んでくれてありがとうございました!!

これからも、よろしくお願いしま〜す!!


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