-魔法少年と魔法少女- (マコスパ)
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-第一章- 全ての始まり編
プロローグ -少年と少女-


初投稿です。そして、初めて小説を書きました。その為に一部文章がおかしい所や、矛盾点、今後タグが追加·削減される可能性等が見られると思いますが、悪しからずご了承下さい。
それと、オリジナル技を考えないといけない為に他作品の技の名前、内容を一部又は丸パクリになるかもしれませんが、なるべくオリジナルで考えようとしていますので、どうかお許し下さい。

それでは、どうぞ。

尚、視点は以下の通り(仮)です

<全体編>…所謂解説者目線
<銀雪編>…銀雪(いぶき)目線

作品の途中、別で-番外編-が追加される事がありますが、番外編は18歳未満の方は見ない様にして下さい。
(番外編を見なくても本編には直接差程影響ありません)


 「見滝原市」、そこは物資や人が豊かで、古そうなものからまるで近未来の様なものがある大きな街だ。工場は日々忙しく稼働していて、市内最大の駅「見滝原市駅」では、1日に何本もの旅客列車や貨物列車が発着し、人や物を運ぶ。

 

 ────────

 

<全体編>

 

 そんな見滝原市に住む一人の少年、「桜 銀雪(さくら いぶき)」は高校2年生。高校に通う為に両親とは別居しているが、両親が田舎に移住する際に引き継いだ一戸建ての家に住んでいる。彼は学校には友達がいるが趣味の関係上、基本的に一人でよく行動する。10月のある日、今日もいつもの様に学校へ向かう。彼はいつも余裕をもって登校するので遅刻をした事が無い。

 

 銀雪が通学路の道中にある公園を過ぎた時、ふとあるものを見つけた。それは、ベンチで林檎を丸ごと食べている一人の少女だった。少女は黒いシャツの上に緑のパーカーの前を開けて着ていてへそを出し、青いホットパンツを履き、ブーツを履いていた。紅く燃えるような髪を黒いリボンで留めてポニーテールにしている、如何にも可愛いらしい少女だった。銀雪は少女を見て何か不思議な気分になったが、とりあえず学校へと向かう事にした。だが、銀雪が少女から目を離した直後に、少女が銀雪の事を見ていた事を、銀雪は知らなかった。

 

 

(学校到着→授業終了)

 

 ────────

 

<銀雪編>

 

 授業も終わって俺は帰宅の途についていた。途中、スーパーで買い物を済ませ、俺は再び公園の横を過ぎた。その時には流石にあの少女の姿はなかった。公園に入った俺は少女の座っていたベンチを眺める。理由は無い。ただ何となくだった。

 

銀雪「不思議な女の子だったな……」

 

そうして俺はその場を後にし、再び帰宅を続ける。

 だが帰宅途中、俺はある違和感を感じた。“誰かに見られている気がするのだ。”パッと後ろを振り返っても誰も居ない。

 

銀雪「……?気のせいなのか?」

 

そう思いながらまた歩き始め、再び振り返る。

やはり誰も居ない。

 

銀雪「どうやら疲れているらしい…」

 

俺は額に手を当ててそう思う事にした。

時刻は17:30ようやく家に辿り着いた。

 

 

家の構造は大体こんな感じだ。細かな配置は追々言うとしよう。

1階…リビング·キッチン、トイレ、洗面所·脱衣所·風呂

2階…銀雪の部屋、元両親の部屋(空室+屋根裏部屋)、物置部屋(空室)、物置部屋(空室)

 

 

 まず自室に荷物を置き、部屋着に着替える。俺はお洒落を好まない人間なので持ってる服は全てシンプルなデザインばかりだ。

そしてリビングへ向かいさっき買った食料と家の残りで夕飯の支度をする………筈だった。

 

ピンポーン

 

突然インターホンがなった。この家に客人が来るのは稀だ。俺はよくある迷惑勧誘かと思いながらドアを開ける。

 

ガチャ

 

しかし外には誰もいなかった。

 

銀雪「……いたずらか?」

 

そう思ってドアを閉めようとすると、何かにドアを止められた。

 

銀雪「………?」

 

ふと目線を落とすと、そこには人がいた。

黒いシャツの上に緑のパーカー、開いたパーカーから見えるへそ、青いホットパンツを、ブーツ、紅く燃えるような髪を黒いリボンで留めたポニーテール。

 

銀雪「……っ!?」

 

そう、公園で見たあの少女だった。

俺は困惑した。何故あの少女が俺の家にいるのか?、何故俺の家を知っているのか?

そう考えている俺はとりあえずこう言った。

 

銀雪「……うちに何か用ですか?」

 

少女「…あ、あのさ…」

 

少女は少し言葉に詰まった後、突然とんでもない事を言った。

 

少女「あたしを、妹にしてくれねぇか!?」

 

 

プロローグ -少年と少女- 終




初投稿、初小説は如何でしたか?初めたてなので、まだ不慣れな点は多々あると思いますが、これから徐々に慣れていきたいと思います。

ここから登場人物紹介

桜 銀雪(さくら いぶき)17歳(初対面時)(高校2年生)
身長179㎝、得意科目は社会、苦手なのは理系(特に数学·英語)。又、見た目に反して運動が大の苦手、体力·力においても恐らく杏子に負ける程非力である。
しかし時に思わぬ力を発揮するらしい……?
性格はかなりのあがり症で人見知り、精神的にも弱い。
しかし優しい心の持ち主でもあり、親身になって手助けしようとする。
一部の人間としか関わりを持てず、更に趣味の関係上基本的に行動は孤独。
好きなものは鉄道やメダルゲーム、可愛いもの

佐倉杏子 14歳(初対面時)(本来なら中学2年生)
(魔法少女まどか☆マギカ より)
元々は見滝原市の隣の風見野市で魔法少女として戦っていた。「第一次見滝原ワルプルギス戦役」の後は一人で活動していたが、戦役前に比べると性格はかなり丸くなっている。その為に自己中心的な考え方もほとんど無くなり協調的でより命を大切にする様にしている。


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-第1話- 少年少女と晩御飯

大変長くなってしまいすみません……

プロローグに続いての投稿です。



<銀雪編> 

 

少女「あたしを妹にしてくれねぇか!?」

 

 突然俺の家を訪ねられ、いきなりこんな事を言われれば俺でなくてもびっくりする。俺はその言葉で更に混乱していた。“何が一体どうなってるんだ?”と。 

 

銀雪「スー……ハァー…」 

 

 ひとまず俺は深呼吸をして心を落ち着かせた。

 

 そして少女にこう言う。

 

銀雪「あの…それはどう言った理由で……?」

 

 少女は少し黙り込む。俺はその様子を見て、何か理由があるに違いないと感じた。

 すると、

 

グウゥゥゥ…

 

少女「はわわっ……!!///」

 

 少女は顔を真っ赤にしながら慌ててお腹を抑えた。丁度晩御飯の支度をしようとしていたので俺は、

 

銀雪「とりあえず、御飯を食べながら話を聞かせてくれないか?」

 

 少女は赤らめた顔で頷いた。

俺は少女を家に入れてリビングへと案内する。

何でこうしたのかは理由は色々だ。

まずここで追い出せばもうすぐ夜になる為に少女の身に何が起こるか分かったものではない。

それに、お腹を空かせた少女を放って置くことも出来ない。

最も大きな理由は、“少女に運命を感じたからだ”。

 

 キッチンに戻り夕飯の支度を再開する。食料は多めに買っていたので何ら問題はない。ちなみに俺は料理は苦手だ。簡単なものくらいしか作れない。

 少女は4人掛けのテーブルの椅子に座って家の中を色々と見ていた。まるで誰かの家を訪れる事があまり無さそうな様に。

 夕飯が出来た俺は2人分のご飯をテーブルに運ぶ。

今日の夕飯は「ざるうどん」だ。年中いつでも食べられるし、今日はまだ少し暑いのでぴったりだった。

 俺は、

 

銀雪「こんなもんしか作れなくてすまんな。」

 

と申し訳無く言った。

 しかし少女は

 

少女「うわ!すっげー旨そう!!」

 

と目を輝かせながら言った。まるで録なものを食べていなかった様だった。そう言えば少女の服を見ていると所々汚れていた、きっと何日もまともに洗濯出来ていないか?

 

銀雪·少女「頂きます!」

 

 二人で一緒に言うと、冷たいうどんを出汁に浸けて食べ始める。

 

少女「うっめえーーー!!」

 

 少女はそう言うや否や次々とうどんを口に運ぶ。俺は少しずつ食べていた。

 それを見た少女が、

 

少女「あっ、わりぃ…はしたなかったよな……」

 

と言った。

 俺は気にする事無く、

 

銀雪「お腹が空いてるなら、どんどん食べて構わないぞ。俺が食べるのが遅いだけだしな。」

 

と返した。

 

少女「……ありがとう」

 

少女はそう呟くと再び食べ始める。その時の俺は見逃さなかった。“少女の目にうっすらと涙が浮かんだのを…”

 

──────

 

<全体編>

 

 御飯も食べ終わり、片付けたところで銀雪はいよいよ少女の話を聞くことにした。

 

銀雪「……君の事、そろそろ教えてくれないかな?改めて、俺の名は桜 銀雪(さくら いぶき)だ」

 

食後の紅茶をテーブルに置いて彼女の前の椅子に座る。

ちなみに銀雪はコーヒーが苦手だ。

 

少女「……ああ」

 

少女(以下杏子)「あたしの名は佐倉杏子(さくら きょうこ)だ。見滝原市の隣にある風見野市からやって来たんだ。それでだ、あんたの家に来た理由なんだがよ……」

 

すると杏子はテラスの方を向いた。そしてこう言った。

 

杏子「来てくれ!キュゥべえ」

 

銀雪(「キュゥべえ……?一体それは何者なんだ?」)

 

俺は少し考えた。

すると、

 

ドンドン

 

とテラスのドアを叩く音がした。

 

銀雪「ん?」

 

杏子は席を立ちテラスのドアを開けた。

 

と、その時、

 

ピョコ、ピョコ

 

ドアを開けるや否や何かが家の中に入ってきた。杏子はドアを閉めてまた椅子に座る。

そして銀雪の視界に映ったもの。それは、白い猫の様な、狸の様な、そして如何にも無表情で不思議な生き物だった。

 

キュゥべえ「呼んだかい?佐倉杏子?そしてこの男は誰なんだい?」

 

杏子「来たかキュゥべえ、まずは紹介するよ。こいつは桜 銀雪だ。」

 

キュゥべえは銀雪の方を見て挨拶した。

 

キュゥべえ「桜 銀雪、ボクの名はキュゥべえだ。と言っても、ボクの姿や声はキミには見えないし聞こえないけどね。」

 

しかしその直後銀雪はこう言った。

 

銀雪「……その白いのがキュゥべえなのか?」

 

杏子·キュゥべえ「!?」

 

 

-第1話- 少年と少女の晩御飯 終




もし自分も、目の前に杏子ちゃんや2次元の人物がいたらびっくりしますよ笑笑

それでは次回もよろしくお願いします。


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-第2話- キュゥべえと魔法少女

※キュゥべえは多分物語全体の最初の方にしか出さない予定ではあります。

それでは、どうぞ。


<全体編>

 

杏子はガタッ!と椅子から立ち上がりとても動揺した。

 

キュゥべえ「何と言う事だ!こんな事は初めてだよ!!」

 

杏子「あの無感情なキュゥべえがこんなに驚いてるだと!?ちょっと待て銀雪!お前、こいつが見えるのか!?」

 

銀雪「ああ。そこに白い不思議な生き物が見えるぞ。」

 

彼が指差す先にはキュゥべえがいた。

 

キュゥべえ「これは驚かされたよ!まさか男であるキミにボクが見えるとはね。」

 

杏子もキュゥべえも驚きを隠せていなかった。特に元々感情の無いキュゥべえの驚き様は異常である。

 

杏子「……ってことは」

 

キュゥべえ「それはつまり……」

 

杏子·キュゥべえ「こいつ(彼)は魔法少女の力を持っていると言うのか(言うことになるのかい!?)!?」

 

杏子とキュゥべえが驚く中で銀雪も困惑している。

何故自分はこの白い生き物が見えるのか?そして何故自分が魔法少女とやらの力持っているのかもしれないのか?

 

それぞれが謎で頭を悩ませた。

 

全員「………」

 

やがて銀雪が口を開く。

 

銀雪「とりあえず落ち着いて、その魔法少女とやらが何なのかを教えてくれないか?」

 

杏子「ああ」

 

杏子は再び椅子に座ってまずはキュゥべえに説明をさせた。

 

キュゥべえ「ボクから説明するよ。魔法少女はボク達と契約をしてなるものだ。魔法少女は願いを1つ叶える代わりに、魔女と戦う運命を背負う事になるんだ。」

 

すると杏子は懐から何かを取り出した。卵型の紅い宝石である。

 

杏子「こいつがソウルジェム、魔法少女である証であり、魔力の源だ」

 

銀雪はそれをそっと手に取り眺める。

 

キュゥべえ「ソウルジェムを扱う時にはくれぐれも気を付けて、万が一壊れたりでもしたら死んでしまうから。」

 

銀雪「ああ、分かった。」

 

“近くで見るととても綺麗だな”

銀雪はそう思った。

 

杏子「ここからはあたしが説明する。ソウルジェムは魔力を使うにつれて黒くなっていく。所謂“穢れ”ってやつだ。そして穢れが限界に溜まると、そいつはグリーフシードへと変わり、魔女になってしまう。だから、定期的に魔女を倒す必要があるんだ。魔女を倒すとグリーフシードを獲れる。それを使えばソウルジェムの穢れを取り除けるって訳だ。」

 

続けて杏子はキュゥべえを指差してこう言う。

 

杏子「こいつは何て事無い奴に見えるが、何の感情も持たない種族だ。だから、話す時には用心した方が良い。今までこいつに騙されて悲惨な目にあった奴は何人もいたからな。」

 

キュゥべえは何も言わずにそれを聞いた。

杏子の言うことは正しくて反論する必要が無いからだろう。

 

銀雪「なるほどな、大体の事は分かった。だが気になることが幾つかある。まず、“何故俺にこいつ(キュゥべえ)が見えるのか?”次に“何故男である俺に魔法少女の才能があるのか?”最後に“何故杏子が俺のもとに来たのか?”だ。」

 

杏子とキュゥべえも考え始める。

 

杏子「最初の2つはよく分からないが、最後に関してはあたしの気紛れかな。或いは、神様がこうなる運命にしたのか……。結局どれも分からないな。」

 

キュゥべえ「確かに、こんなケースは初めてだ。だか銀雪、キミにボクが見えるのはキミに魔法少女の才能があること。これは確かな事だ。つまりだ、ボクと契約すれば、キミも魔法少女になれる。」

 

杏子「おいおい、契約するのかはともかく、男が魔法少女になるのはちょっと絵面がな………。」

 

銀雪「……そいつは俺も思っていた。なるならせめて男のままが良いな……。」

 

キュゥべえ「それはなってみないとボクにも分からないよ。それもそうだが銀雪、契約するなら“願い事”を叶えないといけない。その為にキミも願い事を考える必要がある。」

 

銀雪「しかしいきなり言われてもな……。」

 

キュゥべえ「無論急いで考えてとは言わない。急かすことはボク達には出来ないからね。じっくり考えてからで良いさ。決まればその時にまたボクに話しかけてくれたら良い。」

 

杏子「魔法少女になるなら、それなりの覚悟が必要だぞ、今までの様には暮らせなくなる。」

 

銀雪「そうだな、だが、杏子とキュゥべえが此処に来た時点で、今まで通りの生活も出来なくなっているな。こいつも何かの縁だと思うぜ。」

 

杏子「……明日、魔女退治に付き合うか?実際に体験すればどんなものなのか要領がつくと思うぞ。……命懸けだけどな……。」

 

銀雪「………分かった、そうしよう。」

 

キュゥべえ「決まりの様だね。明日また此処に来るよ。」

 

そう言うとキュゥべえは帰っていった。

家には銀雪と杏子の2人だけだ。

 

銀雪「さて、疲れたしそろそろ風呂を沸かしておくか。」

 

銀雪はポチッっとボタンを押して湯船に水を張り始める。

 

銀雪「沸いたら、先に入りな。」

 

杏子「……良いのか?疲れてるんだろ?」

 

銀雪「その様子だとまともに何日も入ってないだろ?俺はまだ平気だ。」

 

杏子「……ああ、分かった。ありがとな……。」

 

風呂が沸くと杏子は脱衣所へ向かった。

 

銀雪「魔法少女…か、俺がなったら魔法少年だな。」

 

そんな事を呟いて、杏子の寝る場所を探しに銀雪は2階へ上がった。

 

 

 

-第2話- キュゥべえと魔法少女 終




魔法少年ってどんな見た目になるのか、正直自分も想像がつかないです。とまあ、色々と考えていきたいと思います。

それではありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。


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-第3話- 杏子と少年

今回より<杏子編>を追加します。
杏子ちゃん視点から話が展開します。


<杏子編>

 

 銀雪にすすめられて脱衣所に来たあたしは色々と考え始めていた。何日も洗えず汚かった服を脱ぎ、頭に着けていたリボンをほどいて髪を下ろし、胸にタオルを巻いて浴室へと入る。浴室は男とは思えない程きちんと整理されていて何処に何があるのか分かりやすかった。特に困る事は無さそうだ。

 

 シャワーを身体に浴びせて、自分の紅い髪を洗い始める。何日も洗えず汗でベトベトになっていた。その髪にまずはシャンプーをつけてごしごしとしっかり汚れを洗い落とす。次にリンスをつけて髪をさらさらにするためにしっかりと馴染ませる。髪を洗い終えるとあたしの髪はとても綺麗になり、前よりも鮮やかな紅になっていた。

 

 そして次に身体を洗おうとする。一度タオルを外して自分の裸体を露にし、ボディーソープをつける。

 

杏子「珍しいな……林檎の香りがするなんて」

 

 あたしは林檎が好きだ。だから、これで身体をアラッテイテ何だか心地よく感じる。石鹸を洗い落とすとみるみる身体は林檎の香りに包まれた。これで洗うのは終わりだ。

 

 再びタオルを巻いて湯船に入る。此処からは磨りガラスのドアのせいでよく見えないが、脱衣所の様子が何と無く見える。きっと銀雪があたしの服を洗濯しようと回収しているのだろう。それから別の事を考え始めた。今日1日の事だ。

 

 朝、あたしはいつもの様に見滝原をぶらぶらしていた。先日に魔女退治をしたせいか、今日は中々当たりと巡り会えず、朝から暇だ。ふと、あたしは住宅街への道を見つけた。そこはまだ行った事の無い道だった。別に用事の無いあたしはそこを通ってみる事にした。数百メートル程進むと、公園があった。結構綺麗で整備もしっかりされていた。あたしは1つのベンチに座り、マミから貰った紙袋から林檎を取り出した。昨日偶然マミと出会って、その時のお裾分けの様なものだ。まあよくマミの家に食べ物をたかりに行く事もあるが、それ以外はなるべく自分でどうにかしようと思っている。今は前みたいな強盗の様な事からも足を洗えている。

 

 それからだ、あたしは“魔力”を感じ取った。それに、誰かに見られていた気がした。慌てて辺りを見回すが魔女の結界はこれっぽっちも無い。それに妙だった。魔力のパターンが“魔女”ではない。そして、“魔法少女”でもない。あたしは魔力を探す。そして辿り着いたのは、1人の男だった。何の特徴も無さそうな、如何にも平凡そうな男だった。だが、確かに彼から魔力が出ていた。こんな魔力は感じた事が無かった。話しかけようともしたが、突然話しても通じる筈が無い。だから様子を見ることにした。

 

 夕方、再び彼を見つけた。今度ばかりはあたしも積極的に動く事にした。“尾行”だ。そして彼の家に辿り着いた。

 

 そして、あたしは彼と会った……桜 銀雪と………

 

 ちなみに、さっきあたしが最初、銀雪に“彼が魔力を持っている事”を言わなかったのは、まだ確証が無かったからだ。だが、キュゥべえが見える以上、確証を持った。彼には自分では気づいていないが、不思議な力を持っている。そして、それは魔法少女の力とよく似ているものなのだと。

 

銀雪「湯加減はどうだ?」

 

 ドア越しから銀雪の声がする。

 

杏子「ああ、丁度良いくらいだ。」

 

 あたしはそう返すと、銀雪はそのまま脱衣所を後にした。

 

 それからして、あたしも湯船を出て、脱衣所へと上がった。そして、タオルで体を拭き、ドライヤーで髪を乾かした。あたしは手ぶらでこの家に来たから、荷物はほとんど無い。だから、パジャマは代わりに銀雪のお古を貰った。結構綺麗にされているから、躊躇いはない。

 

 

 

 これから、こんな日常が再び始まるのだ。かつてあたしが何年もの間感じる事の無かった、「家族」としての生活が……

 

 

 

 あたしはそう思いながら、リビングへ向かう

 

-第3話- 杏子と少年 終




次回もよろしくお願いします


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-第4話- 少年と魔女

魔法少女体験コーススタートです。

長らくお待たせしてすみません……



<全体編>

 

 杏子が銀雪の家に来た翌朝、遂に銀雪の魔法少女体験コースが始まった。手始めに魔女を探さなくてはならない。魔女は人が多い所を好み、そして人々に呪いを振りまく。

 

銀雪「その魔女の結界とやらを見つけないといけないのだな?」

 

杏子「ああ、そうだ。魔女はそこにいる」

 

キュゥべえ「もう少し先へ進んでみよう」

 

そうして、全員が更に歩くと杏子が異変を察知した。

 

杏子「……近いぞ!」

 

 杏子の言う通り、少しあるけば“それ”は直ぐに見つかった。

 

 不気味な文字と模様で飾られた、“魔女の結界”が……

 

銀雪「これが…“魔女の結界”……」

 

 すると杏子は魔法少女へ変身した。

紅く綺麗な髪に似合う、燃える様な紅い魔法少女衣装に、女の子が使うには少々大きそうな一本の槍を手にしている。

 

杏子「そうだ、此処からは互いに命の保証は無いぞ。覚悟は出来てるか?」

 

銀雪「ああ、分かってる」

 

 こうして、三人は結界へと入っていった………

 

──────

“魔女の結界”

 

銀雪「気味が悪いな、魔女と言うより、化け物の巣だな」

 

杏子「……これが、魔法少女の成れの果てだ」

 

銀雪「………気を悪くしてしまったか?」

 

杏子「いや、魔女になってしまえば、そいつに情を抱く必要は無い。やるべき事は、そいつらを絶望から解放してやる事だ」

 

 そう言うと杏子は手に持つ槍を強く握り締めた。

 

銀雪「………。」

 

 そこでキュゥべえが口を開いた。

 

キュゥべえ「危ない!魔女の手下達だ!」

 

 キュゥべえの言う通り、目の前に10は軽く超えるだろう、おぞましい見た目をした小さな化け物が現れた。やたらカラフルな色をした、鼠を模した様な化け物だ。

 

杏子「下がってろ」

 

銀雪はその指示に従い10m程後退した。

そして、杏子は手にした槍の関節を増やし、あたかも鞭の様に振り回した。

 

杏子「ふんっ!あんたらなんて相手じゃねぇ!」

 

杏子の言う通り、魔女の手下は一瞬の内に葬られた。

 

銀雪「凄いな、俺よりも運動神経抜群だ」

 

銀雪は自虐しながら杏子を褒めた。

 

杏子「分からねーぜ?あんたが魔法少年になればあたしより強くなれるかもよ?」

 

杏子がそう言うと銀雪は、

 

銀雪「まさか…ね」

 

と笑いながら返した。

 

 命を落とすかもしれないこの場で、こうしているのは、まだ戦えない銀雪なりの気遣いかもしれない。杏子はそう受け取った。杏子は確かにベテランだが、短気でもある。その為に、場を和ませば神経を張り詰めすぎずに落ち着いていられるからだ。

 

 しばらく進むと、一際広い空間に辿り着いた。

 

銀雪「こいつは如何にも……」

 

杏子「ああ、そうだな…」

 

キュゥべえ「間違い無いね、来るよ」

 

 三人の予想は見事に的中した。反対側から、巨大な猫の様な化け物が現れたのだ。

 

銀雪「これが…魔女……」

 

 さっきの手下と同じ様に、カラフルな模様が全身にあり、更に尻尾が2本生えている。

 

杏子「キュゥべえと一緒にいな、あいつはあたしが片付ける」

 

 そう言うと杏子は一人で魔女に戦いを挑んだ。魔女は杏子を見ると一目散に突っ込んで来た。杏子はそれを見事にかわし、横から鋭い突きを魔女にお見舞いした。

 

魔女「!!!??!!?」

 

 魔女は痛がっている様で、その場でたじろいだ。

そこから杏子が一気に攻め込んでいき、大ダメージを与え続ける。

 しかし魔女もしぶとく、中々倒れない。

 そして遂に、魔女が反撃し始めた。背後から攻撃しようとした杏子を尻尾で掴み、壁へと投げつけたのだ。

 

銀雪「……まずい!」

 

ドガーン!ガララッ……

 

杏子「……くそ、しまった…」

 

 杏子は大ダメージを受けて動けなくなってしまった。そこへ魔女が迫ってくる。

 

キュゥべえ「大変だよ!銀雪、早く願い事を決めて!」

 

銀雪「杏子!しっかりしろ、杏子!!」

 

 キュゥべえの話も頭に入ってなかった銀雪はそう叫んだ。そうしている内にも魔女は杏子へトドメを刺そうとしていた。

 

杏子「銀…雪……」 

 

 魔女が杏子へ腕を振り下ろす。

 

銀雪「……杏子ーーー!!」

 

 銀雪は杏子と魔女へ向けて右手を伸ばした。

 すると突如として、魔女の大部分が“凍り付いた”のだ。

 

杏子「な、何だ!?」

 

 杏子は目の前で起きた事に驚き辺りを見回した。すると突然、

 

キュゥべえ「き、キミは一体……!?」

 

 杏子は声のする方を向く。

 そこには、青を基調とした衣装に身を包み、左手には両刃の大きな剣を、右手には水晶玉の様な青い宝玉を手にした、“魔法少年”がいた………

 

 

 

-第4話- 少年と魔女 終




これから銀雪の技名やオリジナルの魔女を考えないといけないと考えると頭が………笑笑

それではまた次回もよろしくお願いします。

-猫の魔女- その本質は“自由”
手下である鼠を追いかけ回し、疲れたら直ぐに眠る、お気楽そのものな魔女である。人間を見ると遊び道具と思い込み、じゃれて弄ぼうとする。


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-第5話- 魔法少年と戦い

遂に“魔法少年”となった桜 銀雪。
彼にとって初めてとなる“魔法少年の戦い”とは………?
そして、彼の“願い事”とは………?


<銀雪編>

 

「……杏子ーーー!!」

 

 そう叫んだ瞬間、俺の目の前は真っ白になった。その時だけは、時間の流れが止まったかの様に。

 

 

 

“銀雪の精神世界”

 

銀雪「……ここは?」

 

???「貴方は、“力”が欲しいのですか?」

 

銀雪「だ、誰だ!?」

 

???「私は………よ」

 

 名前の所だけが抜き取られた様に聞こえなかった。非情にもどかしい気持ちだ。俺は仮称として、“女神”と思っておく事にした。

 

女神「答えてみなさい。貴方は、力が欲しいのですか?」

 

銀雪「……“力”?」

 

女神「そう、“力”よ。今目の前で人が死のうとしている、貴方が彼女を助ける為には、力が必要でしょう?」

 

銀雪「………。」

 

女神「……だったら、言い方を変えてみるわ。“貴方の守りたいものはなんですか?”」

 

 女神にそう言われ、俺は自分でも不思議なくらいにその問いには直ぐに答える事が出来た。

 

銀雪「………っ!!…俺が守りたいのは……“家族”だ!今も、これからも…!」

 

女神「そう……、なら、やることは1つよね?」

 

銀雪「……俺が魔法少年になれば、杏子をたすけられるんだな?」

 

女神「ええ、きっと助けられるわ」

 

銀雪「だが、その為には願い事が必要だ」

 

女神「その通りね、願い事はあるのかしら?」

 

銀雪「それは………」

 

 俺は再び黙った。願い事なんて要らないって言う良い子気取りをしたかったのではない、本当に願い事が出てこないのだ。お金持ち、人にモテたい、不老不死、そんな願い事はどうでも良い。それ以外の何かを願いたいのだ。

 だが、願い事は出てこない………

 

女神「さあ、どうするの?もう時間は無いわよ。」

 

 俺はそう言われ、ある1つの結論に達した。

 

銀雪「……いらない」

 

女神「何て言ったの?」

 

銀雪「“今は”……願い事は要らない、とにかく魔法少年にさせてくれ」

 

女神「………後払いと言う事ね?」

 

銀雪「ああ…、悪い」

 

女神「願い事をせずに魔法少女(少年)になるなんて、貴方の様な人は初めてだけど、分かったわ、これで契約は成立よ。貴方を魔法少年にしましょう。」

 

 女神はそう言うと、俺の身体に手を突っ込んだ。端から見ればとんでもない光景だが、不思議と痛みは無かった。そして、女神が俺の中から取り出したもの、それは、“青く光る宝玉”だった……。

 

女神「さあ、それが貴方のソウルジェムよ」

 

銀雪「……卵型じゃない…?」

 

女神「貴方は特殊な存在なの。だから、他の魔法少女とは少し違うわ。勿論、ソウルジェム以外でもね。後は、なってみれば分かるわ。」

 

銀雪「1つ教えてくれ、魔法少女は沢山いると聞いている。だが、俺以外に魔法少年はいるのか?」

 

女神「………。」

 

 すると、今度は女神が黙り込んだ。何かを言うのを躊躇う様に。

 

女神「……いるわ、“もう1人”だけ」

 

銀雪「本当か!?」

 

女神「ええ、でも、その人もまた、特殊な存在、貴方とも大きく違うわ。そして、何れ貴方とも会う“運命”になるわ。」

 

銀雪「“運命”、か……」

 

女神「その通りよ…、さあ、そろそろ行きなさい。」

 

銀雪「ああ、ありがとう。また会おうか。」

 

女神「じゃあ…ね」

 

 そこで俺は現実に戻された。目の前では杏子が魔女にやられかけている。そして俺は、あるものに目が行った。

 

 のばした右手の前に浮く、“青く光る宝玉”を……

 

 すると突然、宝玉から青い光線が魔女へ向かって飛んでいった。その光線が魔女に当たると、魔女は大部分が“凍りついた”。

 

銀雪「これが…俺の力?」

 

 俺は宝玉に手を触れる。そうすると今度は、身体全体が光に包まれた。衣服は“銀色”と“青色”で“雪”や“氷”を連想させる様な服装へ変わり、左手には両刃の剣を握っていた。宝玉だけはそのままだった。

 

 光が拡散し、再び現実に戻る。魔女は未だ凍り付いたまま、身動き出来ない。杏子はまだ傷の為に動けないので、これが俺の、魔法少年としての“初陣”となる。

 

 俺はソウルジェムを胸の真ん中に装着した。どうやら変身すると此処につけられる様だ。剣を右手に持ちかえ、魔女の元へ走る。剣を両手で持ち、最初の一撃を身動き出来ない魔女に喰らわすのは意図も容易い事だ。

 

 最初に攻撃したのは尻尾だ。恐らくこの魔女の最も厄介な部位でありそうだからだ。続けて、体のあちこちを剣で斬り、魔女と距離をとる。

 

銀雪「これで…終わらせる!」

 

 ソウルジェムを左手に持ち、魔力を消費して魔女へ冷気魔法をお見舞いする。魔女は完全に凍り付いた。

 俺はトドメを刺すべく、剣を大きく振りかぶりながら魔女へ突撃し、

 

銀雪「やあーーー!!」

 

 ……魔女を一刀両断した。

 

 魔女はたちまち消滅し、結界は消え、残ったのは黒い不思議な物体だけとなった。俺はそれを拾い、杏子の元へ駆け寄り、

 

銀雪「杏子、こいつは……」

 

それを見せた。

 

杏子「……そいつが“グリーフシード”だ。前に少し話した筈だが、それで魔力を回復出来る。大体1つで1~3回程度だ。あんたが使えよ。」

 

銀雪「………。」

 

 俺は黙って、杏子のソウルジェムにグリーフシードを当てた。すると杏子のソウルジェムの濁りが消え、燃える様な赤に戻った。

 

杏子「…何してんだよ」

 

銀雪「杏子の方が怪我が酷いからな、俺は少しで良い」

 

杏子「そいつはあんたの獲物だろ?」

 

銀雪「もし仮にそうでも、それをどうするのも俺の自由だろ?」

 

 俺達は見つめあって、黙り込んだ。そして、少しするとお互いに大笑いした。

 

杏子「あはは!何だよそれ!」

 

銀雪「大切な妹の為だ!当たり前だろ!」

 

 俺達は可笑しくて仕方なかった。でも、それを幸せとも感じた。

 

キュゥべえ「やれやれ、この世の中にはまだ未知なるものが沢山ある様だ」

 

 キュゥべえは俺達の邪魔をしない様にか、静かに立ち去っていった。

 

 それから、俺は杏子をおんぶして帰った。

 

杏子「良いってそんなの!恥ずかしいだろ!///」

 

と嫌がる杏子を黙らせるのは少々苦ではあったが、お構い無しに俺はおんぶした。帰っている時も、俺達は色々と話し合った。

 

銀雪「(こんな時間が何時(いつ)までも続けば良いな………)」

 

 胸の中で、俺はそう思っていた。

 

 

 

 俺の魔法少年としての最初の戦いは、“勝利”に終わった。

 

 

 

-第5話- 魔法少年と戦い 終




登場人物紹介2

桜 銀雪<魔法少年ver>
ソウルジェム 青(但し卵型ではなく水晶玉の様な球体)
変身すると胸の真ん中に移り円形となるが、球体状にして手に浮かせて持ちそれで攻撃する事も出来る。
武器 両手で持つタイプの中型両刃剣(刃部分は彼の身長の半分程の長さ)。但し片手だけで持って攻撃する事も出来る。
固有魔法 冷気系魔法
願い事 現時点不明(後払いと言う形)
備考 キュゥべえと契約したのではなく、別の存在と契約した。
   大体は魔法少女と変わらないらしい。



佐倉 杏子<魔法少女ver>
ソウルジェム 赤
変身すると襟の部分へ移り楕円形となる。
武器 槍(手で持つ部分には多数の関節が隠されており、ムチにして攻撃したり拘束したり出来る)
固有魔法 結界·幻覚
願い事 親父の話をみんなが聞いてくれる様に



それでは次回もよろしくお願いします。


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-第6話- 少年少女と事件(Ⅰ)

失踪状態になっていて本当にすみませんでした………。


<全体編>

 

《リビング》

 

 銀雪の初勝利から翌日となった日の朝の事

 

杏子「兄貴~」

 

銀雪「…兄貴?」

 

杏子「あんたの事だよ、銀雪」

 

銀雪「……兄貴…か」

 

杏子「……何だよ」

 

銀雪「いや、俺には馴染まないからな……」

 

 彼は親と別離してから独りだったので、自分に妹が出来た気分になった。今この家に住んでるのも、彼一人だったので、新しい家族が出来た事は彼にとっては心より嬉しく感じていた。

 

杏子「ま、よろしくな。兄貴♪」

 

 杏子はそう言うと彼女の部屋へと上がっていった。もうすっかり傷は癒えたらしくピンピンしている。銀雪は肩の荷が下りたように安心した。

 やることも無いのでテレビをつけてみる

 

銀雪「今日も大した事は無いな……」

 

 テレビではニュースやバラエティーが放送されていたが、特に興味を持たなかった彼の目にはとまらなかった。

 

銀雪「魔法少年…か」

 

そう言うと彼は、自身のソウルジェムを手に取る。

ソウルジェムは青く輝いていた。彼は自身の力を試したく感じた。

 

銀雪「昨日は上手く勝てたが、何時もあんな風にはいかない筈だ。もっもしっかりしないとな。」

 

するとあるニュースが流れた。

 

銀雪「ん?何だこれ、見滝原の親子が行方不明?………何か怪しいな。」

 

もう少しニュースを見てみる。

 

銀雪「昨日の夜から忽然と姿を消した……か。杏子に相談するか」

 

彼は杏子の部屋へ向かう。

 

──────────

《杏子の部屋》

 

銀雪「杏子、いるか?」

 

杏子「ああ、いるぞ。」

 

銀雪「入るぞ」

 

杏子「ああ」

 

銀雪は杏子にさっきの事を話した。

 

杏子「確かに気になるな、だけど、まだもう少し情報は欲しいところだな。」

 

銀雪「そうなんだが、このまま放っておいておくのも……。それに、俺もこの力の事を試してみたいんだ。」

 

杏子は少し黙り込み、

 

杏子「……まぁ、あんたの言う通りだな。せっかく2人もいるんだから、あたし達なら楽勝だろうよ。行くか!」

 

銀雪「…ああ!」

 

 

 

こうして2人はこの謎の事件へと足を踏み入れる事となった………

 

 

 

─────────

<銀雪編>

 

《見滝原市内》

 

事件の手掛かりを探し始めて3時間、未だ何も見つからない。

 

銀雪「やはり少し無謀だったか……」

 

俺は杏子の言うことが正しく感じ始めて自らを後悔し始めたが、

 

杏子「やるって決めたなら、最後までやるもんだぜ!」

 

杏子は逆に俺を励ます。この言葉で元気が出てきた。

 

銀雪「ああ、もう少し頑張るさ!」

 

~(30分後)~

 

銀雪「なあ杏子、少し思ったんだが」

 

杏子「ん?何だ?」

 

銀雪「あいつ呼んでみるか?」

 

杏子「ああ、あいつか。確かにあいつなら何か分かるかもな」

 

もう兄妹としての意思が疎通しているらしい。俺は嬉しく思った。

 

銀雪·杏子「出てこいキュゥべえ~!!」

 

俺達2人はそう叫んで少しすると、そいつは現れた。

 

キュゥべえ「やあ2人とも、今日はどうしたんだい?」

 

~(説明中)~

 

キュゥべえ「なるほど、魔女が絡んでるかもしれない事件を解決したいのだね。それでボクに何か出来るかと聞きにきたわけだね。」

 

銀雪「で、どうだ?何か分かるか?」

 

キュゥべえ「うーん、ボクにもあまり分からないな。」

 

俺と杏子は顔を合わせ……

 

“キュゥべえをボコボコにした”

 

~(しばらくお待ち下さい)~

 

キュゥべえ「酷いじゃないか……ボロッ」

 

ぼろぼろになったキュゥべえがそう言う。

 

杏子「あたし達を利用してる奴がそれ言うか?」

 

そう言われたキュゥべえは黙り込んだ。

 

銀雪「逞しい妹だ」

 

そんなコント混ざりな事をして、俺達は再び調査を再開する。

 

それから間も無く、

 

銀雪「おい、杏子!見つけたぞ!」

 

俺が魔女の結界を見つけた。

 

杏子「なあ、この場所……」

 

銀雪「どうやら当たりらしい」

 

そう、魔女の結界があるこの廃ビル、親子が行方不明になった場所とほぼ同一なのだ。

 

キュゥべえ「中に2人誰かいるよ、恐らくまだ無事なんだよ!」

 

銀雪「よし、行くぜ杏子!」

 

杏子「勿論だ兄貴!」

 

俺達は魔女の結界へ飛び込んだ。

これが2度目の戦いとなる………。

 

-第6話- 少年少女と事件(Ⅰ) 終




キュゥべえに感情芽生える方針にするか迷う笑笑
キュゥべえはネタ枠(確信)笑笑


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-第7話- 少年少女と事件(Ⅱ)

今回は<銀雪編>と<杏子編>が交互になりやすいですのでご注意下さい。


<銀雪編>

 

《魔女の結界》

 

銀雪「やあっ!」

 

目の前にいる魔女の手下を剣で斬りつける。

 

杏子「喰らいな!」

 

後ろで杏子が魔女の手下を串刺しにする。

 

 俺達は今、背中合わせで戦っている。周りには魔女の手下がいっぱいだ。少しも気を抜けない。

 

キュゥべえ「このままじゃキリが無いよ!」

 

俺の肩に乗っているキュゥべえがそう言う。

 

銀雪「ああ、そうだな。こいつら一体ずつは雑魚いが、数がやたらと多くて面倒だな。」

 

まるでデパートの大売り出しにいる客だ。

 

杏子「どうするんだ兄貴?こいつらしつこいぞ。」

 

銀雪「何か一気に倒す方法は無いものか………。」

 

 多数を攻撃する手段は俺達にはあまりない。策を考えようと俺は辺りを見回す。すると一際小高い足場を見つける。

 

銀雪「あそこからなら………。杏子、あそこへ行く為に道を作るぞ!」

 

杏子「ん?ああ、分かった!」

 

 俺と杏子は同時に攻撃をして、足場へ続く道の手下を一掃した。

 

銀雪「今だ!」

 

 俺と杏子は足場を目指して走り出した。

不思議な事に、何故か2人とも“手を繋いで”いて”………。

 

 

──────

<杏子編>

 

 あたしは兄貴に言われた通りに、足場へ向かう道を作り、一緒に走った。その時、兄貴があたしに向けて手をのばしていた。そして、それをあたしは握った。

 

そう、“手を繋いで”いたのだ。

 

 あたしにもどうしてそうしたのかは分からない。況してや、どうして兄貴が手をのばしたのかも分からない。心配だったのだろうか?考えても答えは出なかった。

 

そうしていると、足場に辿り着いた。

 

銀雪「良いか。今からあいつらを全員凍らすから、杏子はあいつらを一撃で全滅させてくれ」

 

杏子「ああ、任せな!」

 

 あたしは攻撃準備に備える。兄貴は手に魔力を収束し始める。兄貴の手には、青い光が球体のように集まっていった。

 

銀雪「いくぞ!杏子!」

 

 兄貴は青い光球を地面の手下に投げつけた。

すると、手下達が全て氷漬けにされ、全く動かなくなった。

 

銀雪「今だ杏子!」

 

杏子「喰らえーーー!!」

 

 あたしは足場から飛び降り、その力で槍を思い切り地面に突き刺した。その衝撃で氷が割れ、手下達は粉々に砕け散り、全滅した。

 

兄貴も飛び降りて来て合流する。

 

銀雪「流石だな、杏子」

 

杏子「まだまだこんなの軽いさ」

 

あたし達は結界の更に奥へと足を進めた……。

 

──────

<銀雪編>

 

 杏子と大量の手下を始末してから少し経った頃、俺達は結界の深部へ進んでいた。さっきの時の数がおおすぎたのか、今は敵は全然現れなくなった。

 

杏子「なあ兄貴」

 

銀雪「ん?」

 

杏子が突然口を開いた。

 

杏子「兄貴はあたしと会う前はどんな感じだったんだ?」

 

銀雪「いきなりどうした?」

 

杏子「いや…、何と無く気になっただけだ……」

 

 本当に唐突な質問だった。それに、杏子の声に何か“悲しさ”を感じた。

 

銀雪「……俺の人生談なんてつまんないもんだぜ」

 

俺はただそれだけを言った。

 

杏子「…兄貴……」

 

銀雪「お前はどうなんだ?」

 

杏子「………。」

 

 杏子はしばらく黙り込んだ。きっと何か言いたくない事があるのだろうと俺は考えた。

 

杏子「……兄貴と…同じかもな………」

 

銀雪「そうか…悪いな……」

 

杏子「いや、大丈夫だ……」

 

 そんな会話をしていると、一際広い空間に出た。

そして、何か大きな音が聞こえる。

 

銀雪「いよいよおでましの様だな。」

 

杏子「ああ、この前みたいなヘマはしないさ!」

 

 空間の反対側から魔女が現れた。

 

キュゥべえ「銀雪、杏子!生命反応はこの空間からあるよ!」

 

銀雪「本当か!?」

 

杏子「よし!だったらこいつをとっとと片付けるか!兄貴、あんたは親子を探してくれ!」

 

銀雪「ああ、お前こそ、あんな奴にやりたりするなよ?」

 

杏子「勿論だぜ!」

 

 親子を守るには防御も出来る俺の魔法の方が、魔女を倒すのは攻撃に適した杏子の魔法が良いのは2人共分かっている。

 

銀雪「親子は…どこにいるんだ?」

 

 俺は魔力を使って生命反応を探る。魔法少女同士なら魔力で分かりやすいが、通常の人間を探るのは簡単ではない。心で生命の光を探るしか無いのだ。

 

ふと、心の中に何か2つの光が見えた。

 

銀雪「これが……?」

 

──────

<杏子編>

 

 兄貴と別行動を始めたあたしは、魔女を前に戦闘態勢に入る。 魔女は見た目からして、力は強いが、その分素早さがあまり良くない様だ。

 

杏子「だったら……」

 

あたしは両手を前に組み、祈る様なポーズをとった。

 

杏子「……必殺!」

 

そう言うと続けて

 

杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」

 

 あたしはそう叫んだ。すると、あたしの周りに沢山のあたしが現れた。この技は、13人のあたしの幻影を作り出して敵を混乱させたり、一斉に攻撃して大ダメージを与える事も出来るとっておきの技だ。

 

杏子「今日は速攻で片付けてやるぜ!」

 

 あたしは幻影の内の6人を連れて魔女に突っ込んでいく。後の7人は後ろで待機させる。

 

杏子「やあっ!」

 

 幻影と6方向から魔女に攻撃する。1~2人の幻影は攻撃を受けてしまったが、それでも残りの幻影とあたしの攻撃でのダメージは大きい。魔女は大きく怯んだ。

 

 今の内にあたし達は後方へ下がり、待機していた幻影と交代する。そう、要するにループだ。簡単に言えば、“長篠の戦いの信長鉄砲隊”だ。こうすれば隙もほぼ無く被害も抑えられる。

 

 これを繰り返している内に魔女は反撃の余地も無くかなり弱っていった。

 

杏子「これで…」

 

あたしは幻影を円状にして魔女を囲む。

 

杏子「トドメだぁーーー!!」

 

──────

<銀雪編>

 

 遂に見つけた。ニュースで見た行方不明の親子だった。

幸い怪我も無く無事だった。

 

銀雪「大丈夫ですか?」

 

親子(母)「え、ええ……あの…ここは……?」

 

銀雪「大丈夫です。私達が今助けますので。」

 

親子(娘)「私達、助かるの……?」

 

 娘の方は今にも泣きそうだった。まだ7歳くらいだろうか、こんな状況なら誰だって恐いだろうと俺は思った。

 

銀雪「勿論だよ。お兄ちゃん達に任せてね。」

 

 娘を安心させる為に俺はそう言った。

 

銀雪「2人共、私の傍から離れないで下さいね。」

 

親子(母)(娘)「はい(うん)。」

 

 もしかしたら魔女の手下がまだいるかもしれないと踏んだ俺は、2人を守る為に警戒した。

 

 すると、何かが見えた。紅い影が、それも沢山の。

 

そして、

 

「ドゴォォォン!!」

 

と大きな爆発音がした。

 場所的に杏子と魔女がいた場所だ。きっと決着がついたのだろう。その時の俺には、何故か不安は無かった。

 

「勝ったのは杏子だ」

 

と、確信したのだ。

 

 そして、それは現実のものとなった。

 こちらに歩いてくる紅い影、そう、“佐倉杏子”だ。

彼女は魔女に勝ったのだ。

 

杏子「……楽勝だったぜ。」

 

杏子は余裕の笑みでそう言う。グリーフシードを見せながら。

 

銀雪「こっちもな。」

 

 俺も笑って返す。後ろでは親子が安心していた。

 

 魔女の結界が消え、俺達は現実世界へと戻った。誰も怪我する事無く。

 

親子(母)「助けて頂いてありがとうございました!!」

 

母は礼儀正しくお礼をした。

 

親子(娘)「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう!」

 

娘も元気にそう言った。

 

親子(母)「このお礼はいつか……」

 

銀雪「いえいえ、お礼なんて結構ですよ。」

 

杏子「そうだぜ、これがあたし達の使命だからな。それと、この事は内緒で頼むぜ。」

 

母はそう言われて少し戸惑ったが、

 

親子(母)「では、せめてお名前だけでも……」

 

 俺と杏子は顔を見合わせ、

 

銀雪「私は桜銀雪」

 

杏子「あたしは佐倉杏子」

 

銀雪·杏子「魔法少年(少女だ)です」

 

 親子は一瞬ぽけーっとしたが、

 

親子(娘)「……カッコイイーーー!!」

 

 娘は目をきらきらさせていた。母も引いた様子は無く、微笑んでいた。

 

 少し会話をしたのち、

 

親子(母)「では、そろそろ時間が遅くなるので……」

 

銀雪「そうですね、では、お気を付けて」

 

杏子「お前もだぞ~」

 

杏子は娘にそう言っていた。

 

親子(母)「本当にありがとうございました。銀雪さん、杏子さん」

 

親子(娘)「ばいばーい!」

 

 俺達は親子と別れた。そして、俺達も帰り道につく。

 

-第7話- 少年少女と事件(Ⅱ) 終




 すみません、悩んだ挙げ句魔女ネタが浮かばなくて説明がありません………。

 尚「ロッソ・ファンタズマ」については、「12人の幻影+杏子」なのか、「13人の幻影+杏子」なのか、私もはっきりと知らない為、この作品では後者の「計14人」で攻撃する魔法として登場させます。


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-第8話- 弟子と師匠

今回は<杏子編>のみで、杏子ちゃんととある人物との過去のお話です。


(キュゥべえとも別れた後2人きりとなり)

 

<杏子編>

 

銀雪「親子…か……」

 

杏子「ああ…」

 

 兄貴の言葉にあたしはそう反応した。あたしは自分の家族が好きだった。だけど、その家族を壊したのは、あたしだ………。

 

銀雪「…杏子?」

 

 兄貴はあたしの顔を覗き込んだ。心配していそうな表情だ。

 

杏子「……何でも無い」

 

あたしはそう誤魔化した。

 

銀雪「……俺がいるだろ?」

 

杏子「え…?」

 

銀雪「俺が、お前のお兄ちゃんで、家族だろ?」

 

杏子「……兄貴…うん」

 

 あたしは嬉しかった。そんな風に言われるのはいつぶりだっただろうか……?

 

銀雪「そう言えば…」

 

 兄貴が口を開く。

 

銀雪「魔女と戦っている時、不思議なものが見えたな。」

 

杏子「?」

 

銀雪「紅い…影?沢山見えたな。」

 

杏子「……ロッソ・ファンタズマだ」

 

 あたしは技名を恥ずかしながら言う。

 

銀雪「凄い技だったな、あれは杏子が考えた技なのか?」

 

杏子「……ああ、まぁな」

 

 そう、確かにこの技はあたしが考えた。

 

 でも、考えたのは“あたしだけ”ではない。

 

杏子「……本当は、もう1人いるんだ…。そして、この技の名前をつけたのも、そいつなんだ……。」

 

銀雪「……?」

 

杏子「昔、あたしが世話になった先輩…“師匠”だ。」

 

銀雪「師匠?」

 

杏子「ああ、“マミ”って言うんだ。“巴マミ”」

 

銀雪「巴マミ……。」

 

杏子「マミは、とっても優しい奴だった。あたしのもう1人の家族と言っても良かったさ。」

 

 そこからあたしは、マミとの過去を語り始める

 

──────

 

 まだ魔法少女として駆け出しの頃、あたしは風見野で魔女退治をしていた。ある日、見滝原に逃げた魔女を追い掛けて、あたしは見滝原に来た。

 

 その魔女は予想外に強くて、あたしはもう負けそうだった。動けないあたしは目を閉じて覚悟したよ。そして魔女が攻撃してきた。

 

 その時だった。

 

???「ティロ・フィナーレ!!」

 

 次に目を開けた時には魔女は吹き飛んで跡形も無くなっていた。残っていたのはグリーフシードだけだった。

 

???「危なかったわね、もう大丈夫よ。」

 

 そうして、その人は手を差し伸べてくれた。

 

 それが、“巴マミ”との出会いだった。

 

マミ「貴方、見ない顔ね。見滝原の魔法少女?」

 

杏子「いや、あたしは隣の風見野の魔法少女だ」

 

マミ「そう…ねぇ、良かったら今からうちに来ないかしら?」

 

杏子「……え?」

 

マミ「ほら、貴方まだ怪我してるし、せっかく会ったものだから。」

 

 マミは初対面の人間にも躊躇い無く接する事が出来る人間だった。あたしはマミの招待を受け入れ、あいつの家に行った。

 

マミ「そう言えば挨拶がまだだったわね。私は巴マミ。見滝原の魔法少女よ。」

 

杏子「あたしは佐倉杏子だ、風見野で魔法少女をしてる。」

 

 あたしとマミは沢山の事を話した。マミの事、あたしの事、色々とだ。

 その時にあたしはマミに頼んだんだ。

 

杏子「……あのさ」

 

マミ「何かしら?」

 

杏子「良ければその…あたしをマミさんの弟子にしてくれないか?」

 

マミ「……!?」

 

杏子「貴方は…魔法少女でも特段に強いです。あたしはまだ、駆け出しの魔法少女。貴方の様な師匠がいれば、あたしも強くなれるかなぁ…って」

 

 あたしは魔女に負けそうになった時を思い出して恐怖を抱いていた。そんな気持ちをもう味わいたくないと思ったんだ。

 

マミ「……そう、良いわよ。」

 

杏子「本当か?」

 

マミ「ええ、私も1人で寂しいから、貴方と一緒にいることが出来れば、私も楽しいわ。」

 

 マミは幼い頃に両親を交通事故で亡くし、その時にマミも死ぬ所だったんだ。そこにキュゥべえが現れて、マミは「私を助けて」と願って、生きる事は出来た。だが、それからはずっと孤独に………。

 

杏子「………ありがとう、マミさん」

 

マミ「よろしくね、佐倉さん。」

 

 それからはマミさんに魔法少女の特訓を受ける日々が続いた。マミはあたしの魔法を見ると、すんなりとどう使えば良いかあたしに教えてくれた。

 

 その努力で出来たのが、「ロッソ・ファンタズマ」だ。技名も、マミの提案だった。

 

 マミ曰く、「あたし程成長するのが速い魔法少女は初めて」だと、あたしを褒めてくれた。

 

 あたし達はもう家族同然だった。時にはマミをあたしの家に招待して御飯を食べた事もある。本当に幸せだった。

 

 ………あの時までは

 

 あたしが魔法少女であること、神父であるあたしの父の信者があたしの願いで集まった事を知った父は、あたしを魔女と罵り、あたし以外の家族と無理心中したよ。

 

 それからはマミとの関係も崩れ始めた。あたしは家族の事から、「魔法は自分の為だけに使う」と決心し、正反対の考えのマミと対立し、遂には戦った。あたしはマミに勝って、あいつのもとから離れて、1人で生きてきた。

 

──────

 

銀雪「それで…巴さんは……?」

 

杏子「しばらくしてから偶然再会したよ」

 

──────

 

 あたしはいつもの様に魔女狩りをしていた。この日は何となく見滝原に来ていたんだ。そして、偶然見つけた魔女の結界の中で、マミを見つけたんだ。

 

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

 

 マミはかつてあたしを救った必殺技を魔女に放ち、勝った、つもりだった………。

 

 魔女の中から更に魔女が現れて、マミはそいつに喰われそうになったんだ。

 

 「魔法は自分の為にしか使わない」

 

 そう決めていたはずのあたしは、その時だけはいてもたってもいられず、間一髪でマミを助けて、魔女を倒したんだ。

 

 マミは魔女に喰われるかもと言うショックで気を失っていて、その時に実際にあたしの顔を見る事は無かったが、後日また再会した時にはそれはバレていた。マミの後輩から話を聞いたらしい。

 

マミ「まるで、初めて会った時の逆ね」

 

杏子「……ああ、そうだな」

 

マミ「もしかして、あの時の事、まだ気にしているの?」

 

杏子「………。」

 

マミ「私はもう気にしていないわよ。またこうして貴方と会えたのだから。」

 

杏子「マミ…?」

 

 あたしはマミと離れてからその時まで、心の中で密かに悔やんでいた。そして、マミも怒っているのだろうと、心配だった。

 

マミ「だって、私達、“家族”でしょ?」

 

杏子「……!!」

 

 こんなあたしにでさえ、マミは怒りの感情1つすら出さずに、あたしにそう言った。そう言われたあたしは、嬉しかった。

 

 それからして、見滝原に“ワルプルギスの夜”が現れた。魔女の中でも最強最悪の魔女だ。あたしはマミに言われて、見滝原の魔法少女のチームに一時的に加入した。

 

 そして、あたし達は勝った。

 

マミ「ねぇ、佐倉さん」

 

 戦いの後、マミがあたしに話しかけた。

 

マミ「また、昔みたいに暮らさないかしら?」

 

杏子「え…?」

 

 それはあまりにも意外な言葉だった。そして、それはあたしにとって嬉しい言葉だった。

 

 だが、

 

杏子「……悪い、それは無理だ」

 

 あたしは断った。

 

杏子「嫌な訳じゃない、本当は嬉しいさ。だけど、今直ぐにはまだ暮らせない。時間が欲しいんだ。でもあんたとは会いたい。だから、たまには顔出すよ。」

 

マミ「そう…分かったわ、いつでも貴方が来るのを待っているわ、佐倉さん。いえ、私の御弟子さん。」

 

杏子「ありがとうマミ…いや、師匠」

 

 そしてあたし達は再び別々の道を辿った。

 

 いつか再会する事を願って………。

 

──────

 

杏子「まあ、こんな所だ。」

 

話終えて時にはもう兄貴の家に着いていた。

 

銀雪「良い人を師匠にしたんだな。」

 

杏子「ああ、また会いたいさ。」

 

銀雪「俺も、会ってみたいな。」

 

 あたし達は家に入り、今日の疲れを癒す事にした。

 

──────

<???編>

 

???編「……あの娘、元気にしてるかしら…?」

 

-第8話- 弟子と師匠 終




私は杏さやも好きですし、マミ杏も好きです笑笑


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-第9話- 少年少女と恋

どんどん雑くなってきて申し訳ないです………。

今回は短めの話です。


<銀雪編>

 

1人自分の部屋にいる時、俺は悩んでいた。

 

銀雪「……何だろうか、この気持ち…」

 

 杏子と住んでから2ヶ月が経ち、もう12月の後半だ。

その間、俺の心には不思議な感情がずっと芽生えていた。

 何かもやもやする、それも、杏子といる時が特にだ。

 

銀雪「もしかして…俺は……?」

 

 この時の俺は、1つの結論に達してしまった。

 

 そう、これは「恋」なのだと……

 

 俺は生まれてこのかた「恋愛」とは縁の無い人間だった。モテるモテない話ではない。そもそも興味が無かったのだ。

孤独な人生の中、二次元に興味を持ち始めてからは、現実世界への関心が急激に狭まり、特定のものだけが残るだけとなった。

 

 そんな俺が、こんな感情を抱くのは、言うなれば有り得なかった。だが、俺の気持ちは現にこうなっている。こうなればもう認めるしか無かった。

 

銀雪「だが、俺は……」

 

 同時に、俺は幾つかの不安を抱えた。1つは、初めて持つこの感情は、どう扱えば良いのか分からない事。これから彼女とどう接するべきかだ。そして、もう1つは、杏子がどう思っているかだ。恋愛は必ず叶うものではない。フラれる方が多いのは流石に知っている。

 

銀雪「杏子は好きな人とかいるのだろうか……?」

 

 そう考えながら、俺はベランダで寒空の中、星を眺める事にした。

 

 この体験した事が無い気持ちがどんどん強まる事を俺はまだしらなかった………。

 

──────

<杏子編>

 

 あたしには親しい仲がいる、家族やマミの他にも、幼馴染みがいた。

 

 名は“霧雨羽賀峯”だ。

 

 あたしが魔法少女になった時、彼は隣にいたから、あたしが魔法少女になった事は知っている。時には魔女狩りに付き合ってくれた。

 

 とはよく遊んだ。幼馴染みと言った親しい関係だったので、男女なのにも関わらず互いに楽しい生活を送っていた。マミに会ってからは、彼との関係を話すとマミにちゃかされたりされたが、それもまた楽しかった。それにあたしもその気が無かった訳でもなかった。

 

 言わばあたしの初めて好きになった奴だ。

 

 しかし…

 

 あたしの家族が心中してから間も無くの事、魔女狩りをしていた時に彼は死んだ。

 

 あたしが魔女を倒した後、油断していたあたしは魔女がまだ息を持っていた事に気付かずに、魔女に攻撃を許してしまった。その時、羽賀峯があたしを庇って致命傷を負い、治療の可否無く帰らぬ人となった………。

 

 今も生きていれば、銀雪と同じ年であった。

 

 それ以来、あたしは誰かを好きになるのが怖くなった………。またあたしのせいで死なせてしまうかもしれないと恐怖を抱いている。きっと、誰かがあたしを好きになってもあたしはそれを断るだろう……。

 

杏子「あたしは誰かを不幸にさせてしまうのだろうか…?」

 

──────

 

恋をする少年と、恋を拒絶する少女。

 

その結末は、果たして………?

 




流石に急展開過ぎた事は意識していましたが、すみません、話を間に挟もうとしてもネタが出なかったのです………。

次回、早くも最終回となります。

そして、最終回でお知らせがあります。


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-最終話- 兄と妹

早くも最終回となってしまいました。

初の小説投稿でしたが、如何でしたでしょうか?

最後となりますが、よろしくお願いいたします。


<銀雪編>

 

12/24 クリスマス·イブ

 

 数日前、俺は覚悟を決めた。“杏子に自分の想いを伝えることを”。

 

 例え駄目だったって良い、この気持ちを伝える事自体が大切だと思っている。ずっと言わない方が後で後悔すると思っている。

 

 俺は杏子が好きだ。初めは突然現れていきなり妹にした時は驚いたが、魔女退治、御飯、生活を共に過ごしていると、兄妹の枠を超えてしまいそうな位に好きになっていた。

 

 俺は早速実行に移した。告白をする為の準備を。

告白する場所は何と“列車の中”だ。この見滝原市にも鉄道は走っている。そして、クリスマス·イブの夜だけに走る列車「聖夜号」が俺の狙いだ。

 

 聖夜号は、蒸気機関車に引かれた5両の客車で構成される臨時特別列車である。座席は全席指定席、前述の通り、5両しか無い上、クリスマス·イブにしか走らない為、乗車券の争奪戦が毎年激化している。

 

 なので俺は、乗車券の発売初日の3時頃から列に並んだ。最初は俺だけだったが、他の人達も次々集まり、夕方の発売同時と共に窓口へ突撃した。そして一番乗りで窓口へたどり着き、二人分の乗車券の獲得に成功した。

 

 

──────

クリスマス·イブ当日17:00

 

 俺は杏子に「少し出掛けてくる」と言って家を出た。その時リビングのテーブルに手紙を置いておいた。とても手渡しで渡せる勇気が無かったからだ。

 

 聖夜号の見滝原駅発車は20:00丁度、それまで俺は駅の改札口の前でずっと待つことにした。

 

 彼女への想いを伝える気持ちを整理しながら……

 

──────

<杏子編>

 

14:00

 

杏子「今日はクリスマス·イブだな~、ケーキ、チキン、ローストビーフ……ああ考えただけで腹が空くぜ」

 

 クリスマスにちなむ食べ物を妄想しながらあたしは寛いでいた。きっと今日は美味しい料理が沢山食べられるだろうと思っていた。

 

 そう言えば兄貴に“今日は予定があるのか?”と聞かれたが、他の魔法少女との予定も無いので、あたしは今日暇な身だ。

 

 

──────

17:00

 

銀雪「少し出掛けてくる」

 

 兄貴の口から衝撃の言葉が出たのはこの時だった。

あたしはそれを聞いてがっかりした。兄貴には誰かとクリスマスを過ごす用事があるんだと思ったのだ。

 

 兄貴が出掛けてから、

 

杏子「あたしは…1人ぼっち……」

 

 そのままあたしは自分の部屋の布団で眠ってしまった。最悪の気分になり、何もすることが無いからだ。

 

 

──────

19:50

 

杏子「んん…水……」

 

 目が覚めたあたしは喉が渇いたので、リビングへ下りた。

 

杏子「水…水……ん?」

 

 リビングに入ったあたしは1枚の紙を見つけた。

 

杏子「これは……手紙?」

 

 気になるあたしは中を開けてみる。

 

「来(きた)る聖夜の夜19:50、見滝原駅で貴方を待ちます。」

 

杏子「………。まさか、兄貴…あたしを……」

 

 そこでようやくあたしは勘違いに気が付いた。

 

 そう、兄貴は初めからあたしとクリスマスを過ごそうとしていたのだ。それをあたしは………

 

杏子「まだ…間に合うかな……?」

 

 手紙を持ったまま、あたしは見滝原駅へ走った。

 

──────

<銀雪編>

 

19:50

 

 時計を見ながら俺の心は曇り始める。ホームからアナウンスも聞こえ始めた。

 

アナウンス「間も無く、2番線に、特別列車“聖夜号”が到着します。危険ですので、黄色の点字ブロックの内側までお下がり下さい。」

 

 列車の入線する音も聞こえる。だけど杏子は来ない。

 

 

──────

19:59

 

アナウンス「間も無く、2番線から、特別列車“聖夜号”が発車します。ドアが閉まります。ご注意下さい。」

 

 そして、20:00、列車は行ってしまった………。

 

銀雪「………。はぁ……。」

 

 ここまで待っても杏子は来ない……。

 俺は遂に諦めた。

 

銀雪「直接手紙を渡せていれば………。」

 

 そんな事を後悔しながら俺はその場を去った。しばらく1人でいたかったので、家にも帰らない。

 

 駅を出た俺はそのまま、人混みの中へと消えた。

 

 

──────

<杏子編>

 

20:03

 

杏子「……っ!…っ!兄貴…何処だ?」

 

 見滝原駅に着いたあたしは兄貴を探し始める。だが人混みが激しく、兄貴も全く見つからない。

 

杏子「兄貴……何処なんだよぉ………」

 

 あたしは今にも泣きそうになっていた。目には涙も浮かんでいた。

 

 それでもあたしは探し続ける。兄貴を見つけたい。

駅を出たあたしは闇雲に探す訳でもない。1つ手掛かりになる方法を思い付いたのだ。

 

杏子「確か兄貴の魔力は他の奴とは異なっていた……。なら…その魔力を感じ取れば……!」

 

 あたしは魔力を探す。少しの反応も見逃さない。

 

杏子「頼む…もうこれしか方法は……っ!」

 

 見つけた…この反応は間違いない。

 

 見失う前にあたしは追いかける。

 

杏子「兄貴…待っててくれ………」

 

 

──────

<銀雪編>

 

 気が付けば、大通りに出ていた。

 

 辺りを見回せばカップル達がイチャイチャしている。

 

銀雪「俺は…結局一人か………」

 

 ポスッ

 

銀雪「いて!……何だ?」

 

 後ろを振り返る。

 

 孤独感に浸っていた俺の頭に雪玉をぶつけたのは、杏子だった………。

 

 

──────

<全体編>

 

銀雪「……杏子」

 

杏子「……兄貴」

 

銀雪·杏子「すまなかった!(ごめん!)」

 

銀雪·杏子「え?」

 

 2人ともきょとんとしてしまった。

 

銀雪·杏子「………。」

 

 そしてお互いに黙り込んだ。どっちが先に話すのか分からないからだ。

 

 やがて、杏子から口を開いた。

 

杏子「あの…これ……」

 

 そう言って杏子が出したのはあの手紙だ。

 

杏子「あんたの気持ち……無駄にしちまった……」

 

銀雪「………。」

 

 銀雪は黙り込んだ。

 

銀雪「……いや、俺が根性無しだったからお前にちゃんと言えなかったんだ……」

 

 銀雪はそう言うと、息を吸って覚悟を決めた。

 

銀雪「杏子、お前に言いたい事がある」

 

杏子「…ああ」

 

銀雪「俺は…お前が好きだ。きっとこの気持ちは届かないだろうけど、俺は杏子、お前が好きだ。」

 

 杏子は少しの間黙り込み、やがて口を開く。

 

杏子「……すまない兄貴、あんたの気持ちには答えられない……。あんたを好きになると、何だか怖い気がするんだ……。」

 

銀雪「………。」

 

杏子「だけど……、兄貴がそう思っていてくれて、あたしは嬉しかったよ。自分勝手な事だけど、あたしは、あんたを兄貴にして本当に良かったと思ってる……」

 

銀雪「……俺も、お前を妹にする事が出来て良かったと思ってる。この気持ちが届かなくても、俺達は兄妹なんだから」

 

杏子「兄貴……答える事は出来ないが、これだけは言わせてくれ。……あたしも好きだ…」

 

銀雪「杏子……」

 

杏子「……銀雪」

 

 そして、雪の降る街の中、二人はお互いに抱き締め合った。

 

杏子「兄貴…あんたにはいつか、良い奴が出来るよ……」

 

銀雪「そうだと良いな……」

 

 例え気持ちが届かなくとも、2人は通じ合う。

 

 そう、2人は兄妹だから………

 

 

 

-最終話- 兄と妹

 

魔法少年と魔法少女 -完-




短いながらもここまでのお付き合い、ありがとうございました。

さて、前話でも申し上げました通り、お知らせします。

今回で幕を閉じる-魔法少年と魔法少女-ですが………


















………続編の-魔法少年と魔法少女-“第2章”を同じくハーメルンで製作します!!

続編、こんな無茶苦茶な小説ですが、もしよろしければ、楽しんでお待ちください。よろしくお願いいたします。

それでは改めまして、ここまでありがとうございました!!


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-第二章- 愛の始まり編
-第1話- 少年と少女 Re:Ⅰ


 はじめに
 長らくの間、失踪していてすみませんでした……。
現実に於いて多忙を極めていた結果、執筆が滞った為に投稿が遅れました。
 その代わり今回は長めに書いたのでお許し下さい……

 これは恐らくですが、私が執筆を辞める時には混乱を避けるために必ず「執筆辞めます」と報告する筈なので、それがない限り(不慮の事故等による例外を除く)は執筆活動は続いていると思って下さい。



 それでは、魔法少年と魔法少女-第二章-愛の始まり編、始まります!!


前章までの簡易キャラクター紹介

 

·桜 銀雪(17歳) 魔法少年

 固有魔法 冷気

 使用武器 剣

 必殺技 現時点では無し

 願い事 不明(後払い?)

 

·佐倉杏子(14歳) 魔法少女

 固有魔法 結界·幻惑(この物語の杏子は幻惑魔法を封印したのちに再解放)

 使用武器 槍(多節棍)

 必殺技 ロッソ·ファンタズマ等

 願い事 みんなが父親の話を聞いてくれる様に

 

 

 

──────

<全体編>

 

 銀雪が杏子に自らの想いを伝えてから半月程が経った。

 

1月19日 10:30

 

-杏子の部屋-

 

杏子「うーん…zzz」

 

銀雪「杏子~?」

 

杏子「zzz……」

 

 ノックしても杏子の返事がしない銀雪は、ドアを開けて部屋に入る。

 

銀雪「……まあ何と言うのか…」

 

 銀雪が見たのは、寝相の悪い杏子だった。

 

 一緒に住んでから何度も見てはいるが、今日は一段と酷い。

 

銀雪「何でこんな体勢で寝られるんだ………」

 

 銀雪は杏子を起こそうとほっぺをツンツンした。

 

杏子「んあ~…まだ寝かせろ~……zzz」

 

 寝言の様な返事…返事の様な寝言を返す杏子。

 

 流石の銀雪も痺れを切らした。

 

銀雪「起·き·ろ·!」

 

 そう言うと銀雪は杏子の掛布団と毛布を一気にひっぺ剥がした。

 

杏子「うぎゃあぁぁぁ!?さっむぅぅぅーーー!!」

 

 悲鳴を上げてようやく杏子は飛び起きた。

 

杏子「何すんだバカ兄貴!」

 

 顔を真っ赤にしながら杏子は銀雪に言う。

 

銀雪「今何時だと思ってる」

 

 銀雪が指差したのは掛け時計だ。

 

-10:37-

 

杏子「げっ……」

 

 言うまでもなく、杏子は大寝坊した。

 

銀雪「全く……」

 

杏子「……ごめん兄貴」

 

 杏子は無茶苦茶な所はあるが、根はしっかりしている。

 それは銀雪もよく分かっていた。

 

銀雪「……朝御飯あるから、さっさと食べな。」

 

杏子「……うん」

 

 2人は一緒にリビングへ降りた。

 

 杏子は朝御飯を食べ、その間銀雪はテレビを見る。

 

 録画していたアニメを見るのは銀雪の楽しみだ。

 

杏子「それ、面白いのか?」

 

 ご飯を食べながら杏子が聞く。

 

銀雪「ああ、少なくとも俺にはな」

 

杏子「ふーん」

 

-30分後-

 

杏子「御馳走様」

 

 杏子は食器をキッチンに片付ける。

 

 丁度銀雪の観ていたアニメも終わった頃だった。

  

 杏子はソファに座っている銀雪の隣に座る。

 

銀雪「今日は何をするかな。」

 

杏子「さあな、魔女退治するにしたって、何も手掛かりが無いしな。」

 

 一応グリーフシードのストックはまだ十分ではある。

 

銀雪「は~あ、何か腹痛いからトイレでも行くか……」

 

 そう言うと、銀雪はリビングから出ていった。

 

 

 

──────

<杏子編>

 

杏子「そういや…あいつは元気にしてるかな………」

 

 そう呟くあたし、この頃よく思い出す人物がいる。

 

杏子「……しばらくマミとも会ってねぇな…」

 

 銀雪と過ごしてから、家族の温かみを感じていると、嘗てのあたしの師匠、巴マミの事をよく思い出す様になった。

 

杏子「もしマミが…兄貴の事気に入ったらどうするんだろうな………。兄貴も会ってみたいって言ってたし。でも今あたしがマミと会うのも何だかな……。」

 

 あたしもマミに会いたいとは心から思っている。でもやはり、過去の事を思うとまだどこかでそれを躊躇っていた。簡単に言うと素直になれないのだ。

 

 そんな事を考えていると、テレビに1つのニュースが流れた。

 

杏子「ん?」

 

アナウンサー「今日も見滝原市で新たな行方不明者が出ました。見滝原市の○○さんです。これによって行方不明者は27人となりました。」

 

杏子「………何だよこの事件?」

 

 あたしはテレビに向けて問う。

 

アナウンサー「この事件は、見滝原市の女性が次々と行方不明となり、未だ手掛かりがあまり掴まれていない状態となっています。警察は、大量誘拐事件の可能性が濃厚でおると見て、捜査を進めています。」

 

杏子「大量誘拐…か」

 

アナウンサー「現在分かる限りの情報をお伝えしますと、これまでの誘拐の対象となるのは全員女性であり、且つ中学生や高校生と言った若い人がターゲットとされている模様です。ですので、中学生或いは高校生の女性の方は、何卒十分にお気を付けてお過ごし下さい。では続いては……」

 

 話が終わるとニュースは次の話題へと移った。

 あたしはそこでテレビを切る。

 

杏子「気になるな……。けどあたしが一人で調べに行けば兄貴は心配するし寂しがるだろうな………。……待てよ?」

 

銀雪「んー、すっきりしたぜ」

 

 丁度そこへ兄貴が帰ってきた。

 

銀雪「ん?どうかしたか?」

 

杏子「ん?何でもないよ」

 

──────

<銀雪編>

 

16:00

 

杏子「んじゃ、パトロール行ってくるよ」

 

銀雪「ああ、気を付けてな」

 

 パトロールは交代制だ。今日は杏子の番である。その間俺は家事や買い物をしなくてはならない。勿論、俺がパトロールの時は杏子がしている。

 

銀雪「さて、今日の晩御飯は何にするかな」

 

──────

19:00

 

銀雪「………遅いな」

 

 毎日のパトロールは約2時間なのだが、今日は3時間経っても帰ってこない。杏子の事だから心配は必要無いと思っているが、やはり段々と心配になる。

 

銀雪「………探しに行くか」

 

と思って玄関に向かった時、

 

ピンポーン

 

とインターホンがなった。

 

銀雪「杏子か?」

 

 そう思ってドアを開ける。

 

銀雪「遅いじゃないか、心配したんだぞ……!?!?」

 

 そこにいたのは杏子ではなかった。

 杏子と同じくらいの年と身長の少女である。金色の髪をドリルの様にくるくるにしたツインテールの髪に美しい表情、そして何より目を引くのが体格に反するかの様な豊満に膨らんだ胸………。

 

 それに…何処かで見た様な気がした………。

 

銀雪「あ、あの……どちら様……ですか?」

 

金髪の少女「あの…お世話になります!」

 

第1話 少年と少女 Re: 終




新たな物語が始まり、少年少女達はどうなるのか?

そして次回の更新は一体いつになるのか…?笑
忙しくはありますが、なるべく早く執筆はしようと思いますので、温かい目で見守って頂ければ幸いです。

それでは、次回もお楽しみ下さい。


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-第2話- 少年と少女 Re:Ⅱ

こっから先、急展開の連続になるかもです


<銀雪編>

 

金髪の少女「あの…お世話になります!」

 

銀雪「えっ…!?あの…ちょっと!?」

 

 前の杏子の時もこんな感じであったが、今回は前回よりも驚きを隠せていない。

 

金髪の少女「えっ…?」

 

少女はきょとんとしている。そして、驚きの言葉を口にした。

 

金髪の少女「貴方…桜 銀雪さんですよね?」

 

銀雪「えっ!?」

 

 そう、少女は俺の名前を言ったのだ。まだ名乗ってもいないのに………。

 

銀雪「ど、どうして私の名前を……?」

 

金髪の少女「あら、ごめんなさい。名乗り忘れていました。私は“巴マミ”と言います。」

 

銀雪「巴マミ……巴マミ?じゃあ…もしかして……貴方が杏子の…」

 

マミ「はい、彼女の元師匠です。」

 

銀雪「そうですか…貴方が……。取り敢えず、中にお入り下さい。」

 

 俺は巴マミ、マミさんを家の中へ入れた。

 

マミ「お邪魔します♪わあ、綺麗なおうちですね。」

 

銀雪「ありがとうございます。どうぞこちらへ。」

 

 俺はマミさんとリビングのテーブルで対面に座る。

 

銀雪「それにしても、どうして此処へ?」

 

マミ「そうでしたね、佐倉さんから何も聞いてないから知らないのでしたね。」

 

銀雪「杏子?杏子がどうしたんですか?」

 

マミ「実はね、あの娘、今ある事件に関わってるの。」

 

銀雪「ある事件?」

 

マミ「この見滝原市で私達くらいの女の子が次々と行方不明になってるの」

 

銀雪「行方不明!?って事は杏子も!?」

 

マミ「大丈夫よ、あの娘はこの事件を解決するために動いてるわ。それに、少しの間だけだったけど、あの娘は私が見るにそう簡単にしくじらないわ。」

 

銀雪「でも、何でまたこの事件に…?それにこの事件と貴方が此処に来た事とどう関係するのですか?」

 

マミ「今日、私の家にあの娘が来たの。そこで聞いた話だと、最近ね、あの娘が私の事をよく思い出すらしいの」

 

銀雪「マミさんを?」

 

マミ「ええ、銀雪さんと暮らす様になってかららしいわ、きっと“家族の温もり”を久々に感じたからでしょうね。だけど、あの娘は不器用なのよ。私に会いたいけど昔の事でまだ面と向き合えないって感じかしら。その時に丁度あの事件を知ったのよ。あの娘は事件を上手く利用したわ。」

 

銀雪「……と言いますと?」

 

マミ「事件を解決するには数日はかかるわ。その間銀雪さんが独りになって不安や佐倉さんを心配する事になるのは間違いない。だから、代わりに私を此処に住ませる事にしたの。ほら、前にあの娘に“私に会ってみたい”って言ってたってあの娘から聞いたのだけれど?」

 

銀雪「そう言えば…確かに言いましたね。」

 

マミ「この機会に私の事を知って欲しいって言うあの娘なりの気遣いなのかもしれないわ。」

 

銀雪「なるほど…話は大体わかりました。」

 

マミ「ええ、所でなんですけど……」

 

銀雪「はい?」

 

マミ「銀雪さんは、私より年上に見えますけど…どうして私に敬語なんですか?」

 

銀雪「そ、それは…何故なんでしょう……私にもよく分からなくて………」

 

 そう、彼女、マミさんと話す時の自分は明らかに普段と違っていた。一人称も“俺”から“私”となっている。だがどうしてなのか、自分でも分からない………。

 

銀雪「その…嫌でしたか?」

 

マミ「いいえ、そんな事ないですよ♪」

 

銀雪「ふぅ…暫くは敬語のままかもしれませんね。あと、私と話す時は柔らかい感じで話して頂けると助かります。私が言うのもあれなのですが、堅苦しいのは苦手なので……。とにかく、改めて少しの間ですが、よろしくお願いします、マミさん。」

 

マミ「分かったわ♪こちらこそ、お世話になります、銀雪さん♪」

 

 こうして、俺と巴マミ、マミさんとの同棲生活が始まった。

 

-第2話- 少年と少女 Re:Ⅱ




新登場キャラクター紹介(まどマギから登場)

·巴マミ(15歳) 魔法少女
 初対面相手にも気にせずに接する事が出来る、とても優しい性格を持つ少女。但し下手に怒らせると杏子も縮こまるレベルで怖い。正義の為に戦う事に誇りを持っている。かつての杏子の師匠でもあり、只の関係ではない。
 戦闘能力はベテラン中の大ベテランであり、「第一次見滝原ワルプルギス戦役」では見滝原の魔法少女チームのリーダーとなってまどか等の後輩を率いてワルプルギスの夜と戦い、皆と共に勝利した。
 銀雪より2つ年下ながら、彼よりも炊事、洗濯、掃除とあらゆる家事を万能にこなす。特に、彼女自身が好きな紅茶を淹れる事が一番の得意な事であり、自身でケーキも作れる。
 ちなみに銀雪は、彼女に初めて飲ませて貰ったアールグレイが気に入った模様。

 固有魔法 リボンによる拘束や武器·足場作り
 使用武器 マスケット銃(体術もそれなりに使える)
 必殺技 ティロ·フィナーレ(列車砲verは未完成)等
 願い事 私を助けて

 マミさん相手だとどうしてもマミさんを年上の様に思ってしまいます。別に悪口やネタでも偏見でも決して無く、人を惹き付ける雰囲気と言いますか、大人びた振る舞いと言いますか、お母さん·お姉ちゃんの様に甘えたい、ただそんな純粋な気持ちでそう思ってしまいます。

 “マミさんって理想の女性な気がしますよね……?”

注意 次回から恋愛要素も入ってきます。


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-第3話- 少年少女と晩御飯 Re:

はじめに

注 今回より恋愛要素が強くなります。

それでも大丈夫な方は御覧下さい。


<銀雪編>

 

20:00

 

<ぐぅ~……

 

突然2人のお腹が鳴った。

 

銀雪「す、すみません…///はしたない所を…///」

 

マミ「こちらこそ…///ごめんなさいね…///」

 

 確かにもう晩御飯の時間を過ぎている。無理もないだろう。

 

銀雪「……ご飯にしましょうか」

 

マミ「そうね、冷蔵庫の中を見ても良いかしら?」

 

銀雪「ええ、あまりありませんがどうぞ」

 

 マミさんは冷蔵庫の中を見た。

 

マミ「これだけあれば2人分足りるわ」

 

銀雪「え?そんな、客人に作らす訳には……」

 

マミ「あら?私は此処にお世話になるのだから、これくらいの事はしない方が失礼になっちゃうわ♪」

 

 確かにマミさんの言う事も正しい。それに、せっかくの御好意を無駄にしてはいけない。 

 

銀雪「じゃあ…私にも手伝わせて下さい。私はあまり料理出来ませんが…任せっぱなしにするのも嫌なので。」

 

マミ「ええ、良いわよ♪」

 

 こうして俺達はキッチンに並んで立つ。

 

銀雪「ところで、何を作るのですか?」

 

マミ「肉野菜炒めよ♪」

 

銀雪「肉野菜炒め?」

 

マミ「ええ、昔佐倉さんによく食べさせたわ♪」

 

銀雪「杏子が好きだったのですか?」

 

マミ「う~ん…半分半分って所かしらね?」

 

銀雪「半分半分?」

 

マミ「あの娘、肉が好きな代わりに、野菜が嫌いなのよ。いつも栄養の偏ったものばかり食べてるから、バランスもあんまりね。だから好きな物と嫌いな物を一緒に入れてみたらどうかなって、それで食べさせたわ」

 

銀雪「それで…杏子は食べたのですか?」

 

マミ「初めはあんまり野菜を食べなかったけど、段々少しずつ食べる様になっていったわ♪“私の料理は美味しい”って言ってくれた事もあったかしら。でもまだまだあの娘には野菜が足りないわ♪」

 

銀雪「なるほどです」

 

マミ「銀雪さん、貴方はお肉の方をお願いするわ」

 

銀雪「はい」

 

~準備中~

 

銀雪「フライパンに油を敷いて……よし、これくらい熱くなれば良いか」

 

 俺は牛肉をフライパンにのせた。牛肉はジュージュー音を立てて火を通される。

 

マミ「ところで銀雪さん?」

 

 マミさんをが話しかけてくる。

 

銀雪「はい、何ですか?」

 

マミ「貴方…佐倉さんの事、好きなのかしら?」

 

銀雪「えっ!?」

 

 慌てた俺は危うくフライパンから手を離しそうになった。

 

銀雪「ど、どうしてそんな事をいきなり……?」

 

マミ「……いいえ、少し気になったのよ」

 

銀雪「そうですか…、んー…兄妹として好きって言う感じですね。」

 

マミ「ふぅん、じゃあキスとかはしてないのね?」

 

銀雪「っ!?」

 

 今度はさっきよりも強烈な質問が飛んできた。

 そして驚いた拍子に……

 

<……ジュウゥゥゥ

 

銀雪「熱ーーーっ!?」

 

 俺は親指をフライパンの金属部分に触れてしまった。

 幸いにもフライパンは手から離さなかったが、親指は酷く火傷した。

 

銀雪「あちちち!」

 

マミ「まあ!大丈夫かしら!?フライパンは私が見てるから、早く水で冷やして!」

 

 マミさんにそう言われて、水道の水で俺は親指を冷やす。

 

マミ「……ごめんなさいね」

 

 マミさんが申し訳なさそうに謝る。特に彼女は悪くないのにだ。

 

銀雪「いえ、私がドジなばかりに……怒ってませんよ」

 

マミ「本当に?」

 

銀雪「本当です」

 

マミ「……ありがとう」

 

 そんな事もありつつ、俺達は晩御飯の支度を終えた。

 再びテーブルに向かい合って座る。

 

銀雪·マミ「いただきます」

 

 俺は最初に肉野菜炒めを口に運んだ。

 

銀雪「!お、美味しいです!凄いですねマミさん。」

 

マミ「ありがとう、でも今回は貴方の力もあっての事よ♪」

 

銀雪「でも、途中でドジ踏んで迷惑を……」

 

マミ「それでもフライパンを離さなかったのは格好良かったと思うわよ?」

 

銀雪「っ!///」

 

 マミさんに褒められた時、マミさんの笑顔を見た俺は顔が知らない内に赤くなっていた。

 

マミ「……どうしたの?」

 

銀雪「な、何でもありません///」

 

 誤魔化す為に俺はご飯を食べ続けた。

 晩御飯を食べながら俺は、マミさんと過ごす数日間、心臓が持つか心配であったが、この後心臓が爆発しそうになりそうなあんな事になろうとは夢にも思わないのであった………。

 

-第3話- 少年少女と晩御飯 Re:




皆さんも火傷には十分に気を付けて下さいね。


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-第4話- 初めては紅茶の味?

1ヶ月以上失踪していてすみませんでした………。


<銀雪編>

 

21:00

 

銀雪·マミ「ごちそうさまでした」

 

 晩御飯を食べ終え、俺は食器と片付けた後の事。

 マミさんが、

 

マミ「銀雪さん、ティーポットとティーカップってあるかしら?」

 

 と聞いてきた。

 

銀雪「はい、あまり使ってないので少し洗わないといけませんが、食器棚の中にありますよ」

 

マミ「ありがとう♪少し使わせていただくわ」

 

 と言うと、マミさんはキッチンで何かを始める。

 

銀雪「(……何してるんだろ?)」

 

 テーブルの椅子に腰掛けてマミさんを待つ。

 

──────

10分後

 

マミ「お待たせしたわね♪」

 

 そう言う彼女が持つトレーの上には紅茶の入ったティーポットとティーカップが乗っていた。ちなみに紅茶だと分かるのはカップもポットも耐熱ガラス製で透明だからだ。結構丈夫である。

 

銀雪「紅茶ですか?」

 

マミ「ええ、私、紅茶がとても好きなの♪」

 

銀雪「……私も、好きですよ、紅茶」

 

マミ「あら、それは嬉しいわね♪」

 

 ティーカップに紅茶を注ぐマミさんを、相当慣れていそうな手つきだと、俺は感心しながら見ていた。

 

マミ「はい♪」

 

銀雪「ありがとうございます」

 

 俺はティーカップを受け取った。

 

銀雪「いただきます」

 

 俺は紅茶を一口飲んでみる。そして驚愕した。

 

銀雪「これは…!何と言う美味しさですか……!」

 

 そう、言葉に出来ない位美味しい紅茶だった。

 落ち着いた気分にさせる香り、砂糖がいらないくらい苦みがしつこくない。

 

マミ「まあ、そこまで褒めてくれるの?♪これ、アールグレイって言う紅茶の中では基本的な茶葉なの♪」

 

銀雪「……アールグレイ」

 

 その名前だけなら俺も聞いた事があった。しかしこんな味、アールグレイはおろか、他の高級な茶葉の紅茶でも味わう事の無さそうな味だった。

 

銀雪「…最高です」

 

 俺は一瞬でこの味の虜となった。

 

マミ「……ねえ銀雪さん」

 

 マミさんがさっきまでとは話し方を変えて話し掛けてくる。

 

銀雪「はい?」

 

 紅茶を飲み終えた俺はティーカップをテーブルに置く。

 

マミ「さっきご飯を作っている時の話なのだけど……」

 

銀雪「ご飯を作っている時……あっ」

 

 俺は自分の赤い親指を見た。

 

マミ「その…聞きそびれてしまったものだから……」

 

銀雪「……まだですよ」

 

マミ「…え?」

 

銀雪「杏子とは…まだしてません」

 

マミ「そうなのね……」

 

 マミさんは少し黙り込んで顔を下に向けた。

 そして、少し覚悟したような目のする顔をあげて

 

マミ「銀雪さん、少し目を瞑ってくれないかしら?」

 

銀雪「え?は、はい」

 

 俺は椅子に座ったまま言われるままに目を瞑る。

 

銀雪「(何をされるのだろうか……?)」

 

 そんな不安と心配でいっぱいになりそうだった。

 しかし次の瞬間、それらは全て消え去ってしまった。

 

マミ「…ん///」

 

……チュッ

 

銀雪「(……!?!??!!?)」

 

 唇に何か柔らかい感触が伝わる。それと共に、さっきまで飲んでいた紅茶と同じ味がする。

 目を瞑っている以上、確かめる事は出来ない。しかし、俺は今にも心臓が爆発しそうなくらいドキドキしている。

 

 約1分近くに及んだ後、唇から感触が離れる。

 

マミ「…良いわよ///」

 

 目を開くと、その目には顔を真っ赤にさせたマミさんが映った。

 

マミ「貴方も私も、お互い初めてね///」

 

銀雪「……マミさん///どうして…?///」

 

 2人して顔を真っ赤にしていた。

 

マミ「……練習よ///」

 

銀雪「練習?///」

 

マミ「いつか…銀雪さんが佐倉さんとする時の為のね…///」

 

銀雪「私が…杏子と……?」

 

マミ「ええ…」

 

──────

23:00

 

-銀雪の部屋-

 

 その夜はとても眠れなかった。夢なのかと思って頬をつねってみても痛かったので、あれは現実だったのだ。

 

銀雪「(マミさん、相当本気の様な顔をしていた……あれは本当に練習だったのだろうか?)」

 

 唇に残る感触は、いつまでも消える事は無かった。

 

 こうして、17年間封印されたままだった少年の“初めて”は遂に奪われたのだった。

 

-第4話- 初めては紅茶の味? 終




皆さんは紅茶は好きですか?

私は紅茶が大好きです。


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-第5話- 少年少女の通学

大変長らくお待たせしました。
すみません………。


<銀雪編>

 

-翌日 1月20日(月) 6:30-

 

銀雪「うーん……」

 

 目が覚めた俺は布団の上で体を伸ばす。

 

銀雪「……朝か」

 

 まだだるい体を無理矢理起こしてリビングへと降りる。

今日は学校だ。日曜日が終わってからの1週間の始まりが絶望的に感じるのは皆も思う事だろう。

 

銀雪「……?(クンクン)」

 

 リビングへ降りる途中、何か良い香りがしていた。それはリビングからだ。

 

マミ「おはよう、銀雪さん♪」

 

 その香りの正体は直ぐに分かった。テーブルにはトーストやサラダ、目玉焼き等、シンプルでありながらとても美味しそうな朝御飯が既に準備されていたのだ。

 

銀雪「お、おはようございます……///」

 

 俺は思わず顔を赤らめて返事した。昨日の事を反射的に思い出したからだ。なのにマミさんの余裕そうな表情、どうしてなのだろうか?

 

 2人ともテーブルの椅子に座り、

 

銀雪·マミ「いただきます」

 

 マミさんの作った朝御飯を食べる。味は最早言うまでもなかった。見た目で分かっていたからだ。

 

銀雪「マミさんも中学生ですから、今日から2人とも学校ですね。」

 

マミ「ええ、そうね」

 

銀雪「多分、私の方が遅くなるとおもうので、家の鍵はマミさんが持ってて下さい。」

 

 そう言うと俺はマミさんに鍵を手渡す。

 俺は高校生なので、中学校と比べると高校は授業が終わる時間も遅くなる為だ。

 

マミ「分かったわ♪」

 

 マミさんはそれを受け取り、鞄の中に大切にしまう。

 ご飯を食べ終え、締めに朝からマミさんの紅茶を飲んでいるが、やはり最高の味がする。クセになりそうだ。いや、もうなっていると言った方が良いかもしれない。

 

 学校に行く準備は前夜の内に済ませておいたので、朝はバタバタせずに用意が出来る。準備が終わっても時計はまだ7:10を指していた。

 

 マミさんは市立見滝原中学校に通っている。実は俺も同じ学校を卒業して、市立見滝原高校に進学した。これは俺が卒業した後の話だが、マミさんが中学二年、俺が高校一年の頃、大規模な改修工事がされ、校舎が綺麗になったそうだ。その姿は市立とは思えない程らしい。

 ちなみに高校と中学校はそれ程距離も離れていない。この家からだと、高校の方が若干近く歩いて30分程度、その先にある中学校も大差無い。そして始業時刻はどちらも8:30である。俺はいつも7:30に出て、8:00に着くようにしている。これはいつどんな緊急事態が起きても対応する為の余裕だ。

 

-7:25-

 

 そろそろ出る時間が近付いてきた。マミさんも同じだ。理由は単純で、高校までは一緒に行ける為であり、マミさんがせっかくと言う事なので一緒に行く事になった。

 

 家を出る前に、マミさんが、

 

マミ「銀雪さん、これを」

 

銀雪「……これは?」

 

 渡されたのは布に包まれた箱だった。

 

マミ「お弁当よ♪」

 

 そう言うとマミさんは自分の弁当箱を見せる。

 

銀雪「もしかして、作ってくれたのですか!?」

 

マミ「ええ♪銀雪さん、あまり料理が出来ないって昨日聞いたから、学校のお昼御飯もお店で買うのが多いかなって。………余計なお世話だったかしら?」

 

 最後の方だけ少し不安そうな表情をするマミさんだが、マミさんの言う事は図星だった。

 

銀雪「そんな、嬉しいです!ありがとうございます。」

 

 俺は弁当箱を受け取る。

 

銀雪「(……弁当なんて何時ぶりだろうか?)」

 

 そう思いながら俺は、胸が温かい気持ちでいっぱいだった。

 

-7:30-

 

 家を出る時間だ。2人で家を出る。

 しかし外に出て歩き始めてから、あまり会話をしなくなった。

 

銀雪「(………気まずい)」

 

 2人の距離は何と無く短く感じた。

 そこで俺は、横目でマミさんの表情を見てみる。

 

マミ「………。」

 

 ………少し暗そうな表情だった。

 

銀雪「(きっと…俺が何も話しかけないから寂しいのだろうか?)」

 

 そう申し訳ない気持ちのまま、2人は高校の前へ辿り着く。

 ここでマミさんとは一時のお別れだ。

 

-見滝原高校前-

 

銀雪「それじゃ…また夕方で」

 

マミ「ええ…」

 

 去っていくマミさんの後ろ姿を俺は見ていた。

 その背中は寂しさを物語っているのは明らかだった。

 

銀雪「(……マミさん)」

 

 そして俺は暗い気持ちのまま、学校の中へと入って行った………。

 

-第5話- 少年少年の通学



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