氷獄系無口女子のヒーローアカデミア (揚げ物・鉄火)
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第一話 プロローグ

この話は、所謂転生直前のお話しです。


「んんっ!

 

 

 

 

 

 

事の始まりは中国の軽慶市での『発光する赤児』が生まれたというニュースだった。

 

それ以降、世界各地で『超常』が発見され、原因も判然としないまま時は流れ、いつしか「超常」は「日常」になり「架空(ゆめ)」は「現実」に。

 

世界総人口の約8割が個性を持つ超常社会となった現在、混乱渦巻く世の中でかつて誰もが空想し憧れた一つの職業が脚光を浴びていた。

 

その職業は『ヒーロー』

 

超常に伴い爆発的に増加した犯罪件数。

法の抜本的改正に国がもたつく間に勇気ある人々がコミックさながらのヒーロー活動を始めた。

 

超常への警備、悪意への防衛。

 

たちまち市民権を得たヒーローは世論に押される形で公的職務に定められた。

 

そして彼ら(ヒーロー)は活躍に応じて国から収入と人々から名声を与えられる。

 

少年少女等は、ヒーローに憧れヒーローを目指す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり転生先が『ヒロアカの世界』なんじゃが…どうする?」

「いや…どうするって聞かれましても」

真っ白い空間で淡く光る輪を頭に浮かべ背中から純白の羽を生やした『のじゃロリ女神』の言葉に半透明の青年が困ったように答えた。

 

 

 

 

 

そもそもなぜこんな事になっているかと言うと…

まあ、所謂テンプレ中のテンプレ、『転トラ』に轢かれ『ロリ女神』こと『神様』の所に来て『神様転生』をする所なのだが…困った事に転生予定の青年は『転生先ガチャ』でまったく知らない『ヒロアカ世界』を引いてしまったので説明を受けていた。

その説明も終わりどうするか聞いたが色々と説明が不足していた。

 

「じゃから、お主の転生先が『僕のヒーローアカデミア』という作品じゃから『転生特典(欲しい個性)』はどうしたいか?って話じゃ」

「考えた事も無いですね…少し考えさせて下さい」

女神の言葉に青年は、少しの間黙り込んでから口を開く。

 

 

 

無限の石(インフィニティ―・ストーン)を六種と「駄目じゃ」なぜ!?」

欲しい転生特典を言った瞬間、却下されたことに青年は信じられない様子で女神を見た。

 

それに対して女神は説明を始めた。

「良いか?無限の石(インフィニティ―・ストーン)というのは宇宙誕生以前に存在していた6つの特異点が、宇宙誕生(ビッグバン)の大爆発によって6つの超常エネルギーの結晶に姿を変えたものじゃ」

「それぞれのストーンに途方も無い力が秘められておる…『(パワー)』、『精神(マインド)』、『空間(スペース)』、『現実(リアリティー)』、『時間(タイム)』、『(ソウル)』の六種類に分けられていてその六つを合わせると宇宙の全生命を指パッチン(・・・・・)一つで消す事も復活させることも出来る。文字通り『全てを超越した力』なのじゃ。その力には我ら神ですらうかつに手を出す事は出来ん。ましてやそれを人間に渡すことなぞ論外じゃ!他を選べ」

「う~ん…」

女神の説明を聞いた青年は再び考え始める。

 

そしてすぐに答えを出す。

「英雄王「禁止」じゃあ、オーマジオウ「それも禁止じゃ!あんなクソチート与えられるか!?」…身勝手の極意・極は?「アホかお主!?戦神達(バカ共)でさえ未だ辿り着けてない領域を転生特典で与えられるか!」う~ん…」

望んだものを全て却下され再び熟考し始めた。

 

『時間「言って置くが時間操作は、クロノスが禁止しておるぞ?」むぅ…』

口を開いた瞬間に忠告され再び口を閉じる。

 

「ベクトル操作は?」

「扱いきれる自信はあるのか?」

「ありません…」

適当に思い付いた能力を言ったら遠回しに断られた。

 

 

 

 

 

そして、たっぷり15分近く考えてから三度(みたび)、口を開く。

 

「それじゃあ…『氷に関係する能力を無尽蔵にデメリット無しで使えて、自分が生み出した若しくは他人が召喚した氷を自分の意志で自由に操れる能力』とかは?」

「さっきより随分とマシじゃな…それくらいなら良い。(ちょうど余ってるヤツも付け加えるか…混ぜたら肉体に何かしらのデメリットがあるが別にいいじゃろ)

「じゃあそれでお願いします」

女神がめちゃくちゃ大事な事を隠したまま話は進んで行った。

 

 

「よし…じゃあ、そこに立っとれ。絶対に動くんじゃないぞ?動いたら調整がズレて転生先が『戦姫絶唱シンフォギア』になってしまうぞ?」

持って行く特典と転生先が決まりいざ転生の準備と最終調整をしていると何気にとんでもない事を言い出した。

 

「その世界って危険なんですか?」

「モブに厳しい世界って事で『転生ガチャ』のハズレ枠扱いされておる。女の子が百合百合する世界じゃが同時にモブや転生者たちが死にまくる世界じゃ。ついこの間もハーレム目的で転生した大バカが居ったが転生して10秒くらいで死んだ。せっかく転生特典に『雷槌(ミョルニル)の力』を持って行ったのに使う暇も無く死んでしまってのう…神の力を持ったあれ(・・)を観察していたトール自身やオーディン等北欧を始めとした他の神々は爆笑しておったぞ。特にロキの小僧なんか笑い過ぎて呼吸困難を起こして死にかけておった。結局、天照の小娘に助けられてのじゃがな…チッ!あのまま死ねば良かったのに!」

 

「恐ろしい…」

ロリ女神の説明を聞いた青年は、緊張の余りまるで石像の様に動かなくなった。

 

そして全ての準備を済ませた女神は、魔法陣のような物を空中に浮かび上がらせる。

「よし…最終調整も完了したぞ。じゃあ転生する際の注意点じゃが基本は、好きに生きてよいが世界を滅ぼすような事をしでかした場合、神々の誰かが止めに入るぞ。極稀に…数十年に一回くらいかな?の感覚でそちらの世界に行くからその時はよろしく。あと前世の記憶を少しだけ残しておくから色々と参考にするが良い」

「何から何までありがとうございます」

青年が頭を下げながらお礼をしたが女神は、手を軽く振るだけに留めた。

 

「よい、当然の事をしたまでじゃ…それはそうと転生先でお主の肉体に何かしらのデメリットが起きるかもしれないがあまり心配するでないぞ~」

「えっ!?ちょっ!それってどう言う!「ばいば~い!」待っt…」

青年が質問をする前に転生が完了し青年は、無事ヒロアカ世界へと送られた。

 

 

 

「ふぅ~!今日の分のお仕事終わり!さっ、帰ってヘラちゃん達とお茶会でもやろ!」

仕事を終わらせた女神は、ルンルン気分で他の女神達を誘ってから自分の宮殿に帰って行き最終的に女神仲間であるヘラを始めとした他の女神達の自棄酒に付き合わされ二日酔いで寝込む事になった。




次話は、書けたら投稿します。


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第二話

取り敢えず第二話です。


日本のとある女子中学校の3年の教室にて

 

担任の女教師が手に持った紙を配りながら説明を始める。

「え~、貴女達もそろそろ進路を決める時期です。この進路希望用紙に第一志望から第三志望を書いて来週の月曜までに提出して下さい…では解散です。気を付けてお帰りください」

「「「「「ありがとうございました!」」」」」

説明を終わらせ一礼すると女子生徒達も立ち上がり一礼してから、それぞれの荷物を纏めて教室から出て行った。

 

「……」

その中で一人だけ進路の紙を書いている青髪の女子生徒が居た。

 

「…零華さん。貴女はお帰りにならないので?」

それを見た教師が質問すると零華と呼ばれた生徒は、ペンを置き教師に紙を渡す。

 

「これは?」

「…書き終えました」

「そうですか…第一志望は雄英高校それ以外は、無し。まあ、いいでしょう気を付けてお帰りください」

その紙を受け取った教師は、溜め息を吐きながら進路希望の紙を懐に仕舞った。

 

「先生…」

「どうしました?」

教室を出て行く前に一度、振り返ってから口を開く。

 

「ご結婚おめでとうございます」

「あら、ありがとう」

祝福の言葉を受け取った教師は微笑みながら礼を返した。

 

「では、ごきげんよう…」

「はい、ごきげんよう」

今度こそ教室を出て行った女子生徒は、真っ直ぐ購買に行きチョコパン3つとクリームパン3つ、そしてプレミアムメロンパンを2つ買ってから帰路に着いた。

 

 

 

俺…僕?いや、ここでは私だ。

私は、この『ヒロアカ世界』に転生?いや、どっちかというとTS転生した。

 

精神は男なのに身体は女の物だ。

そりゃあ、最初の頃は喜んだがよくよく考えてみれば幼女体型の自分の体に興奮すると言うか欲情する訳が無い。する奴なんて、それこそトップクラスの変態くらいだろう。

それならばと男の理想郷である女湯に入ったが…想像以上に想像以下だった。

過度な期待をし過ぎたせいか思ったよりも大した事なかった。

あの時の気持ちは今になっても忘れない。

チョコアイスだと思って食べたら実はコーヒーアイスだった時くらいのショックだった。分かりにくいって?伝われば良いんだよ伝われば。

 

それでまあ、この『ヒロアカ世界』に転生して一番驚いた事は、自分の実家と幼馴染みの事だ。

自分の個性の前にその二つに驚いた。

まず自分の実家だが代々ヒーローをやってる。

今代の当主である父が一応プロヒーローをやってる…らしい。

 

らしいと言ったのは父があまり仕事の事を話さない上に稀に起きる夫婦喧嘩で母に完膚無きなまでに叩きのめされているからだ。

いくら母がプロヒーロー時代に『白い死神』と呼ばれていたからと言って、ここまでコテンパンにされると何か哀れになってくる。

一度だけ床に倒れ伏した父の頭を「よ〜しよし、よくがんばったね~」と言いながら撫でてたら急に泣き出した時の父の姿が頭に焼き付いて離れない。

その数分後、母に寝室に連れて行かれ3時間ほど籠りっきりだった。

 

3時間ほど経って寝室から出て来た母の肌は、艶々してたし父に至ってはゲッソリして居たから、きっと色々と絞られたのだろう。

その一年後くらいに弟が生まれたし、きっとそういう事なんだろう。

 

この話は、一旦置いておこう。

次は、私の幼馴染みについてだ。

 

私の幼馴染みは、一言で言えば…『過保護な化け物』多分これがピッタリだろう。

過保護()ではなく過保護()だ。

 

私の実家と幼馴染みの実家は、とても仲が悪かった。

そりゃあ、代々『氷系の個性』を輩出する『冷気家』と代々『炎系の個性』を輩出する『皇家』の間に溝が出来るのは当然の事であった。

当然だったが私と幼馴染みの仲の良さを見てると争ってる事がバカらしくなり両家の当主が『八百万家』の人間を仲介人として話し合い無事仲直りした。

 

両家が仲直りした後に気づいたが皇家の当主である私の幼馴染みの父親は、頭に超が付く程の親バカだったりする。

娘の遊び場として山一つを丸々買い取り更地にしてから城を作り出す。

娘が本を読みながら「本物の熊さんに会ってみたい!」と言った次の日に地球上に現存する全ての種類の熊を調達する。

一番ひどいのが娘が「貧しい人達が可哀そう…」と呟いた次の週に貧しい人々を支援するための機関を設立する。

とか色々やってた。

 

父もそれに対抗するようにプラモデルや本(漫画)に小説とか色々渡してきたが正直いらない。

一時期アクション映画にハマって「戦闘シーンカッコいいなぁ…」なんて呟いたら次の日に何処から調達して来たか分からない数百種類もの武器を渡してきた。

武器のコピーだけ取ってコピーを取り込んだ後は、そのまま父に突き返した。

 

 

それでまあ、幼馴染みの事に話を戻すが正直言ってアイツは、おかしい。

何がおかしいって?

あいつの才能だよ。

 

相手の動きを見るだけで弱点から倒し方までを瞬時に見抜く圧倒的な洞察力。

相手に合わせて戦闘スタイルを変える圧倒的な適応力。

相手の数や動き等から次の行動を予測し最善の手を導き出す圧倒的判断力。

そして地の利なんて全く役に立たない脅威の殲滅力を持ちながら、相手一人一人に狙いを定め的確に攻撃を当てる精密な炎を操る個性を所有する。

彼女の個性『煉獄の女王』が原因で発生した炎または、元からあった炎を自由自在に操り自分の支配下に置いた上で様々な使い方を思いつく発想力とそれを可能にしてしまう応用力。

しかも不死鳥(フェニックス)が炎っぽいという理由だけで不死身の肉体を手に入れてしまう思い込みの力。

まあ、簡単に言ってみれば『炎系統の個性の圧倒的上位互換の個性を余裕で扱える化け物』って事だ。

 

正直あいつに勝てる要素なんて片手で数えられる程度しかない。

勝てる要素と言ったら前世の記憶にあるアニメ知識による氷の使い方や氷系の技。すなわち発想力(笑)。

次に手数と数の多さだろうか?

父が何処からか調達してきた武器のコピーのおかげで何時でも何処でも体内から武器(氷製)を取り出せる。殺傷力は…試した事がないので分からないが多分大丈夫だろう…心配だから今度試してみよう。

あと数の多さだが前世で『影の軍団(?)』という者達を召喚しまくれる滅茶苦茶レベルアップする主人公の能力を氷で再現出来ないか試してみたら案外行けた。

その結果、私の体内?と言うかなんと言うかに数千体を超える『氷の戦士達』住み着く魔境が出来上がった。

人型以外にも魔物とかドラゴンとか某古龍達にそっくりな氷製のモンスター達も住み着いている。

 

 

他に勝てる要素と言ったら…胸のサイズしかないが悲しくなるのでやめておこう。

ここまで話したがなぜ私にだけ過保護なのか良く分からない。

一度それとなく聞いてみたが「だってレイレイが可愛いから!」としか言ってなかった。やっぱり意味が分からない。

あと毎朝焼きたてパンを渡してくるのはやめて欲しい。美味しくて食べ過ぎてしまう。別に太らないから良い?気持ちの問題なんだよ。

 

「あっ…」

今更、思い出したが母に買い物を頼まれていた。

少し遠いがいつもの商店街に向かおう。

確か今日は、肉屋の佐藤さんのお店で30%OFFセールをやって居たはずだ。

ついでにコロッケでも買って帰ろう。

 

そう決めて商店街へと歩みを進める。

 

 


 

BOOONM!!

 

商店街で大きな爆発が起こり爆発の影響で火災が起きる。

 

「おい!誰か消せ!」

「こっちやっておくから誰かあのヴィランからあの少年を剥がせ!」

「流動体みたいな掴めねえ奴は俺の天敵だ!誰か居ねえのか!?」

「流動体だけならいけるが爆破は無理だ!他の者に譲る!」

「私は二車線以上じゃなきゃ無理~~!」

「ベトベトで掴めねえし良い個性の人質(こども)が抵抗してもがいている!おかげで地雷原だ!三重で手ェ出し辛ぇ状況だ!」

爆発によって起きた火が広がらないようにするため一人のヒーローが消火活動に精を出し他のヒーローは、救助活動を行い流動体のヴィランに捕まった『爆破』の個性を持つ少年が個性を使って抵抗するため迂闊に近づけず時間がだけが過ぎていた。

 

「うおお!!」

BOOM!!

 

「ダメだ!これ解決出来んのは今この場にいねえぞ!誰か有利な個性持ちが来るのを待つしかねえ!!」

「それまで被害を抑えよう何!すぐに誰か来るさ!」

「あの子には悪いがもう少し耐えてもらおう!」

人質の子供がヘドロヴィランに取り込まれまいと抵抗し個性を使うたび周りへの被害が拡大し周りのヒーローが攻めあぐねいていた。

全員がそのヴィランに集中していた為、それに近づく影に誰も気づかなかった。

 

「ねぇ…」

そのヘドロヴィランの後ろに立っていた一人の青髪の少女がプレミアムメロンパンを食べながら声を掛けヴィランその声に反応し振り向く。

「あぁ?」

邪魔

「ッ!」ゾクッ!

少女のワントーン低い殺気混じりの声にヘドロヴィランは、自分の死を幻視した。

 

「う、うぐぁぁぁあああああ!!」

「…」モグモグ

「グッ!?」

すぐさま攻撃を仕掛けようとしたがメロンパンを食べて無防備な彼女の後ろにトップヒーローにも引けを取らず中には彼ら(トップヒーロー)を上回る圧倒的強者達の幻を見て動きが止まった。

 

 

「なっ!?」

「バカヤロー!止まれ止まれ!!」

ヴィランが止まっている隙を突きもじゃもじゃ頭の緑髪の少年の飛び出しヘドロヴィランにカバンを投げ付けた。

 

「かっちゃん!!」

「何で!てめェが!」

「足が勝手に!何でって…わかんないけど!!」

飛び出した少年はヘドロを掻きながら叫ぶ。

 

「君が助けを求める顔をしてたから!!」

「やめっ…ろ…」

「もう少しなんだから邪魔するなぁ!!」

ヘドロヴィランが緑髪の少年に腕を振ろうとした瞬間、二人の人物が同時に動く。

 

「ふっ!」

一人は、青髪の少女。

ヘドロヴィランの頭部に冷気を纏った回し蹴りを直撃させ一瞬とは言え意識を飛ばした(ちなみにスカートの中身はギリギリ見えなかった)。

 

「まったく情けない!君を諭しておいて己が実践しないなんて!!」

もう一人は、NO.1ヒーロー オールマイト。

「ヒーローは、いつだって!命懸け!!」

 

「DETROIT SMASH!!」

 

力を込めて振り下ろした拳の風圧でヘドロヴィランを吹き飛ばす。

ついでに青髪の少女も少しだけ吹き飛ぶ。

 

「…」スタッ!

まるで何もなかったかのように着地した少女は、傘を差してさっさとその場から退散した。

 

 

 

 

「コロッケとメンチカツ下さい…」

「あいよ!」

そしてちゃんと買い物を済ませてから帰宅した。




こんな感じでした。
次回は…入試かな?
えっ?個性名?次回発表します!(考え中)

主人公のイメージ画像です。

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第三話

皆様お久しぶりです。
この小説の評価バーを見て色が付いている事に喜んだ作者です。
この小説を書いてるときにアベマでSAOを見たりちょくちょくFate/zeroを見たりしたのでそこから少しだけ影響を受けました。
その結果がこれです。
一応言って置きますが…オリ主よりオリ主の幼馴染ちゃんの方が強いです。
真正面から戦ったら大体負けます。

それでは、どうぞ。ごゆっくり!


2月26日。

倍率300倍を誇る雄英高校の入学試験の日。

 

雄英の校門の前で落ち着いた雰囲気の青髪の美少女がメロンパンを食べながら立っていた。

その真横に活発的で元気な雰囲気の赤髪の美少女がその様子を見て鼻血を垂らしていた。

「大丈夫?」

「No problem!」

青髪の少女が心配になり質問すると赤髪の少女は、ティッシュで鼻血を拭いながら元気良く答えた。

 

「…」(ジト目)

「う~ん!そのゴミを見るような目!最高に良い!!」

青髪の少女は赤髪の少女を冷めた目で見たが赤髪の少女を興奮させるだけに終わった。

幼馴染みの少女にこれ以上の痴態を晒させる訳にはいかないと考えた青髪の少女は雄英の校門を潜り幼馴染みの少女もアヒルの雛のように付いて行った。

 

 

試験会場にて

 

『エブリィバディ!アーユーレディー!!?』

シ―――ン…

 

プレゼントマイクが大きな声で質問するが誰も返事しない。

 

『こいつあシヴィ―!!受験生のリスナー!!!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディー!?』

YEAHH!!

シーン…

 

プレゼントマイクはテンションを上げたが受験生は相変わらず静かなままだった。

 

 

「………」モグモグ

「今朝あげたカレーパンを食べながら説明を聞くレイレイ可愛い…」

そんな中、青髪の少女はカレーパンを咀嚼し味わいながら説明を聞き、赤髪の少女はその様子を見て説明をほとんど聞いてなかった。

 

それを知らないプレゼントマイクは説明を続ける。

『入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれな!!O.K!?』

シーン…

 

「ふ~ん…連番なのに会場違うんだ」

「うん、残念だね…これじゃ一緒に来た意味ないじゃん!悲しいよ!」

「いや、全然」

「えっ?」

「えっ?」

青髪の少女の言葉に赤髪の少女は今にも泣きそうな表情(かお)をした。

「レイレイは…私の事、嫌いな‟の‟!?」

「ううん、どっちかと言えば好きだよ?」

「えへへへ…うれしいでしゅ…」(∀`*ゞ)

そしてすぐに笑顔になった。

それを後ろで見ていた葡萄頭の生徒は「百合…これも良い!」と呟いていた。

 

そしてプレゼントマイクは説明は続ける。

『演習場には『仮想(ヴィラン)』三種・多数の配置してあり、それぞれの『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!各々なりの個性で仮想(ヴィラン)行動不能(・・・・)にしポイントを稼ぐのが目的だ!もちろん他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』

「質問よろしいでしょうか!?」

そこまで説明すると眼鏡を掛けた一人の男子が手を挙げて質問する。

 

「このプリントには四種(・・)の敵が記載されています!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は模範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」

そこまで一呼吸で言い切ってから振り向き続ける。

「ついでにそこの縮れ毛の君!先程からボソボソと…気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻雄英から去りたまえ!」

緑髪の少年を指差しながら厳しく言い放つ。

 

『O.K!O.K!受験番号7111番くんナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は言わばお邪魔虫!スーパーマリオブラザーズやった事あるか!?レトロゲーの。あれのドッスンみたいなものさ!各会場に一体!所せましと大暴れしている「ギミック」よ!』

眼鏡を掛けた受験生の言葉に対しプレゼントマイクは説明した。

 

「なるほど…避けて通るステージギミックか」

「まんまゲームみたいな話だぜこりゃ」

「ぶっ壊せばいいのに…ねえ?」

「…脳筋」ボソッ

「有難う御座います失礼しました!」

その説明に数人の受験生が色々話し始め質問をした生徒は深く頭を下げ感謝した。

 

『俺からは以上だ!!最後にリスナーのみんなに我が校の‟校訓„をプレゼントしよう!』

そこで一度言葉を区切ったプレゼントマイクは両腕を広げてまた喋り始める。

『かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!』

Plus Ultra(プルスウルトラ)!さらに向こうへ!』

『それでは皆、良き受難を!!』

そう言って説明を終わらせた。

 

 

〇移動〇

 

 

受験生達が各演習場に移動し並び終えた頃。

 

青髪の少女…冷気 零華(今作の主人公)も中学校のジャージを着て並んでいた。

「……」

無駄にデカい演習場の入り口を眺めながら少し大きめのジャージの袖を捲り軽い準備運動を済ませて走る準備をする。

 

「デッカイなぁ…無駄に」

そんな事を呟きながら全身の筋肉を脱力させ…

『スタート!!』

プレゼントマイクがスタートの合図を出すと同時に走りだした。

 

『どうしたどうした!?』

『実践にカウントダウンなんてないぜ!もう何人か走り出してんぞ!そいつらに続け!!』

プレゼントマイクの声が響き渡りそれを聞いた受験生達も一斉に駆け出した。

 

 

零華が駆け出した直後にビルの影から2体の仮想敵が飛び出し彼女を捕捉する。

『標的捕捉!ぶっ殺す!!』

『コロス!!』

 

「……」

それらの仮想敵を認識した零華は右手を氷に変化させ青薔薇の剣(・・・・・・)を形成し周りの仮想的を一斉に斬り裂く。

 

「今ので5ポイント…ヤバい。めっちゃ足りない。人手が…作らないと!」

氷の騎士団(アイス・ナイツ)!!」

パキキキキキ…

そう呟くと地面が凍って行き、凍り付いた地面から15体の氷の騎士達が這い出る。

 

『………』

氷の中から這い出て来た氷の騎士達は零華を見ながら命令を待つ。

「仮想敵達を倒して来て…ついでに受験生達も助けて」

『…』コクッ!

命令を受けた氷の騎士達はそれぞれの得物を取り出して別方向へと駆けて行き目に付く仮想敵達を片っ端から攻撃し始める。

 

(良し…これで人手は如何にかなった。あとは、何か武器を…銃とか大砲とかは被害が凄いから却下。じゃあ、空中から一方的に攻撃は…少し危険。それなら剣とか槍とかを作って…ああ、もう!人が邪魔で思うように戦えない!救出(レスキュー)ポイント稼ぎは如何にかなるかもだけど私が(ヴィラン)ポイントを稼がないと意味がないじゃん!)

零華は思うように戦えない事への怒りが募り始めていた。

 

『標的捕『ズガンッ!』そ…k……』

そんな彼女を認識した仮想敵は、飛んで来た氷の槍にコンピュータ部分を貫かれ機能を停止させた。

 

氷獄の武器貯蔵庫(ウェポンストレージ・オブ・アイス)…消耗が激しいけど、仕方ないよね?」

自分の後方に生み出した巨大な氷の壁を見ながら自嘲気味に呟き再び走りだした。

 

 

~数分後~

 

 

「ハァッ!チェリャア!」

ズガンッ!バキンッ!

零華は青薔薇の剣を振り回し迫りくる仮想敵を破壊しながら走り続けていた。

 

「はぁ…はぁ…」

だが流石に疲労が蓄積され過ぎたのか動きが少し鈍くなっていた。

 

(そろそろ限界…これ以上個性を使うと身体(からだ)が…デメリットが…)

彼女の身体は限界を迎えていた。

 

いや、正確には少し違う。

正確には個性を使い過ぎた己の身体に対しての唯一にして最大のデメリットが発動しかかっている。と言った方が正しい。

彼女は、この実技試験が始まってからずっと個性を使い続けている。これこそが最大の問題であった。

まず最初に氷で出来た剣が鉄を斬り裂けるレベルまで引き上げその状態を維持。

次に1~3ポイントの仮想敵達を倒せる強さを持つ氷の騎士達を召喚し各々が自分の意志で別々に動き自由に戦えるレベルまで強化。

トドメと言わんばかりにエネルギーの消費が激しい大技の『氷獄の武器貯蔵庫(ウェポンストレージ・オブ・アイス)*1をフル稼働し昔、父に貰ったありとあらゆる武器を模造した氷製の武器を大量に射出し仮想敵達を破壊していった。

事実、彼女の身体は限界を迎えていた。これ以上、個性を使って何かしらの大技を使えばデメリットが発動することは確実だった。

だが、運命とは非常に残酷で面白い物である。

 

彼女の身体が限界を迎えた丁度その時…この実技試験最後にして最大の難関が現れた。

 

ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

突如として大地を震わせる振動が起こり建物を倒壊させながら巨大な何か(・・)が現れた。

 

ズズゥン…!!

 

建物を倒壊させながら現れたのは周囲の建物が可愛く見えるレベルの超巨大ロボット、0P仮想(ヴィラン)。まさに圧倒的なまでの規格外の恐怖。

人は圧倒的恐怖を前にすると心に正直になるらしい。

圧倒的強者である0P仮想敵を見た受験生達の行動は大きく分けて三つだった。

 

一つ目は、恥も外聞も捨てて逃げ惑う者達。

これは人として当然の反応だ。己が敵わない強者を相手に態々挑む者が居るだろうか?

答えは、否である。この演習場にはそのような無謀な勇気を持つ者は居なかった。

この反応が会場の約7割を占めていた。

 

二つ目は、ただ呆然と立ち竦む者達。

これは心身共に恐怖に支配されて動けなくなった者達である。

中には動けなくなった者達を助けて逃げ出す者も居た。

この反応が演習場の2割9分を占めていた。

 

そして三つ目は、0P仮想(ヴィラン)に挑む者達。

彼らはヒーローとしての素質を持ち合わせていた。

相手が圧倒的な格上であろうと臆する事なく見返りを求めず挑むというヒーローとしての本質。

その本質を持った者達が数人だけ居た。

否、その殆どが諦めた表情をしていた。

 

だが、その中で諦めた表情をしていない者が一人だけ居た。

その者の名は冷気 零華。

この作品の主人公である(メタい)。

 

コホンッ!

 

0ポイント仮想(ヴィラン)に向かって走った彼女の胸中を支配する思いがあった。

 

それは…

 

「楽しそう!」

 

この一言に尽きる。

 

皆に思い出して頂きたい。

この者(冷気 零華)の肉体は女性の物であるが前世から引き継いで来た精神は男の物である。

つまりどういう事かというと。

 

男としての性と言うべきか、やはり幾つになってもデカいロボットとか、格好いい詠唱に憧れるもの。

 

この15年余りを女性として過ごして来たが心の奥底に燻っていた『男の性』を0ポイント仮想(ヴィラン)が目覚めさせてしまったのだ。

きっとそれがいけなかったのだろう。

彼女の中で長年燻っていた男の性と男としての精神が強烈な化学反応を巻き起こし理性と言う枷を楽々破壊した。

 

「ミュージックスタート!」

彼女がそう言うと同時に演習場の方々に散らばっていた氷の騎士団(アイス・ナイツ)が集まり各々の得物を様々な楽器に変化させて映画などで使われるシネマティックBGMを奏でながら力強くも美しい歌声で歌い始めた。

 

 

 

氷河時代(アイスエイジ)!!」

氷の領域(アイスフィールド)!」

氷獄の武器貯蔵庫(ウェポンストレージ・オブ・アイス)!」

曲が流れ始めた直後に彼女は嬉々として大技を連発し始めた。

 

まず最初に『氷河時代(アイスエイジ)』で演習場の地面ごと0ポイント仮想(ヴィラン)の足元を凍らせ動きを封じた。

 

次に『氷の領域(アイスフィールド)』で周囲の建物を一気に凍らせ、凍り付いた建物から『氷獄の武器貯蔵庫(ウェポンストレージ・オブ・アイス)』により剣、槍、槌、対城杭、戦斧、大鎌等を始めとした近接武器や拳銃、機関銃、大砲等の遠距離用の武器が大量に現れ0ポイント仮想(ヴィラン)に対して一斉に猛威を振るった。

 

ドガンッ!バゴンッ!ズガンッ!

 

などと機械を破壊する音が鳴り響く中、彼女は己の胸に手を当て詠唱を始めた。

 

「氷獄の奥底に封印されし氷の剣よ。氷獄の支配者たる我の名の下に命ずる。汝の力は我が剣に。我が力は汝の身に。古の盟約に従い我の前に顕現せよ!」

 

詠唱を終わらせた彼女の胸から装飾がされた青い剣の柄と鍔が現れる。

それを認識した零華は剣の柄を掴み己の胸から引き抜く。

 

だが胸から引き抜いた剣には剣身が存在しなかった。

彼女は剣身を持たない剣の柄を両手で掴み騎士のように胸の前で構える。

 

 

ギギギギ…

 

金属が軋む不快な音を鳴らしながらボロボロになった0ポイント仮想(ヴィラン)は、残された片腕を振り上げ零華を叩き潰そうとしていた。

 

ギャリギャリギャリギャリィ!!

 

そんな事はさせないとばかりに周囲の凍り付いた建物から30本以上の氷の鎖が発射されて0ポイントを雁字搦めに拘束した。

 

「氷獄の(つるぎ)よ。我が力を汝の身と化し、我が敵を討ち滅ぼせ!」

最後の詠唱を口ずさむと柄と鍔しかなかった『氷獄の剣』に絶対零度の冷気を垂れ流しながら剣身が形成される。

氷獄の剣の剣身は淡い青色でありながら氷の様に透き通って雪の結晶のような模様が散りばめられた両刃剣であった。

剣身まで形成された『氷獄の剣』を天高く掲げて足を肩幅まで開く。

 

原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)!!!!

 

技名を叫びながら剣を一気に振り下ろす。

振り下ろされた氷獄の剣の軌跡は巨大な氷の斬撃となって0ポイント仮想(ヴィラン)を真っ二つに斬り裂き同時に凍り付かせる。

 

0ポイント仮想(ヴィラン)を斬り裂いた斬撃は止まる事なく周囲を凍らせながら突き進み演習場の壁にぶつかり、そこで初めて停止した。

 

『終~~~了~~~~!!!』

0ポイント仮想(ヴィラン)を破壊した氷の斬撃が止まると、それを狙ったかのようにプレゼントマイクの試験終了を知らせる声が響き渡った。

 

 

「ふぅ…やっちゃった」

特大の大技を放ち終えた彼女の精神は一種の賢者タイムに突入しており自分の行いを客観的に見る事が出来た。

冷静になってから自分のしでかした事の重大さを認識したが時すでに遅しお寿司。

 

唯一にして最大のデメリットが発動し始めていた。

「あ~…か、身体が…縮むぅ~!」

 

彼女の唯一にして最大のデメリット。

それは無尽蔵と言える量の氷を自由に出し操る個性の『氷獄の支配者』に付けられたストッパーである『小型化』の影響でリヨぐだ子のように二頭身まで縮む事である。

縮んだ所で個性的に特にこれと言った問題は無いが本人的には滅茶苦茶戦い難くなるので可能な限りデメリットを発動させたくないのが本心である。

身体が縮むだけだがその分、リーチが短くなったり重心(バランス)が崩れたり走るスピードも遅くなったり、幼馴染みに襲われるので本人からすればこの上ない程のデメリットである。

 

「…」テチテチテチ

ついでに言うと歩くたびテチテチと変な音が鳴る事もあるのでかなり辛いらしい。

 

歩くたびにテチテチと奇妙な音を鳴らしながら零華は演習場を後にした。

 

 

 

この後、彼女は幼馴染みに見つかり即刻捕まった。

そんなこんなで彼女の雄英高校入学試験は幕を閉じた。

雄英教師陣に特大の胃痛を残しながら。

*1
『超劣化版.王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)




ええと、これで一応3話は終わりです。
もう一度言って置きますが幼馴染みの未来火は零華より強いです。
零華を相手に完封勝ち出来ます。

技解説.
※注意.零華がデメリット無しで一日に使えるエネルギー量は約1500くらいです。

青薔薇の剣.
SAOのユージオが使っていた剣
北の守護竜に認められた者にのみ与えられる竜騎士専用武器。
零華はこれを無から作り出し無条件で装備できる(普通にチート)。
《消費エネルギー.40》

氷の騎士団(アイス・ナイツ).
零華の体内の世界で本人の許可なく勝手に建国された国の騎士団。
零華のためであれば喜んで命を投げ捨てる狂信者ばかり。
零華が与えるエネルギーの量によって階級(ランク)が変化する。
これも結構チート。
《消費エネルギー.一体につき50》

氷獄の武器貯蔵庫(ウェポンストレージ・オブ・アイス)(通称.倉庫).
父に貰った武器のコピーや氷像など氷製の物だけを仕舞って置ける場所。
通常ここから武器を射出して遠距離から一方的に攻撃したり武器を取り出して近接戦にも対応できるようになる。
元は空だったが最近少しずつ中身が増えてる。
簡単に言えば超劣化版の王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)である(英雄王が見ればブチギレ間違い無し)。
結構チート。
《消費エネルギー.300》

氷河時代(アイスエイジ).
ONE PIESEの青雉.クザンが初登場時と頂上戦争で開幕ぶっぱした技。
海や巨大な大津波を一瞬で凍らせた技。
零華は0ポイントの足元を凍らせるためだけに使った。
贅沢なチート技。
《消費エネルギー.250》

氷の領域(アイスフィールド).
氷河時代(アイスエイジ)の強化版。
建物や地面を凍らせるのではなく氷を浸食させ周囲の建造物を全て操るための技。
氷に浸食された場所は全て零華の支配下に置かれる。
氷獄の武器貯蔵庫(ウェポンストレージ・オブ・アイス)の武器発射口を開けるために使った。
零華が持つ技の中で5番目に強力。
《消費エネルギー.500~???》

原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー).
無駄に長い詠唱(別にいらない)を唱えて召喚する原初の氷で作られた剣。
胸から出て来る柄を掴み引き抜いてから力を流し込む事で剣身が現れる。
剣を天高く掲げてから一気に振り下ろす一撃必殺の大技。
射線上のある全てを斬り裂きながら凍らせる。
簡単に言えば約束された勝利の剣(エクス・カリバー)を模した技。
零華が持つ技の中でも2番目に強力。
《消費エネルギー.1200~6000》


オリ主の個性は『氷獄の支配者』です。
ありとあらゆる氷系の技をデメリット無しで扱えますがエネルギーの消費が激しい技を使い過ぎると二頭身になります。
この状態でも強さは、ほとんど変化しませんが未来火に成す術も無く捕まり愛でられます。


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第四話

今回はオリ主の幼馴染み側の実技試験の様子です。
幼馴染みちゃんは炎系統の個性持ちでオリ主より強いです。

やっぱり氷系の技より炎系の技が有名で探しやすいですね。ちょっと検索入れたらすぐに出て来ました。
氷系は…ちょっと苦労しました。

では、どうぞ。ごゆっくり!

お気に入り300件突破!通算UA数11000突破!ありがとうございます!


雄英高校の入学試験が終わった後、雄英教師陣は合否の選別をしていた。

 

「いやーそれにしても今年は豊作でしたね!」

「まさか、0ポイントが一日に三体(・・)も倒されるとは」

「緑髪の少年があの0ポイントを殴り飛ばした時、俺ァ興奮しすぎて『YEAHH!』って叫んじまったぜ!!」

「来年の予算会議は荒れるでしょうね…」

「0ポイントに挑んだりしたヤツは今まで何人か居たが、殴り飛ばすヤツなんて今まで居ませんでしたからね」

「この3位の爆豪って子も0ポイントを倒しはしなかったけど、疲労が溜まって仮想敵が少なくなる終盤までペースを落とさず個性を派手に使って仮想敵達を誘き寄せて確実にポイントを集めた。しかも終盤になるにつれ爆破の威力も上がっていたな」

全員が和気藹々と話していると雄英高校の教師である根津が口を開いた。

 

「うん、彼らも凄いけどこの入試次席の娘も中々だったね」

その一言で教師陣の会話が止まった。

 

「校長…彼女が誰の娘さんか分かって一般入試を受けさせたんですか?」

「知ってたよ。知った上で推薦入学を勧めたよ。けどね…いい笑顔で断られたんだ」

教師の一人が質問をすると根津は死んだ目をしながら答えた。

 

「それは、まあ…お疲れ様です。ちなみに主席の娘は?」

「主席の娘も同じ結果だったよ。ハハッ!」

「校長!それ以上は色々と問題になるのでやめて下さい!」

教師の一人が校長を止めているのを見ながら今年から雄英で教師を勤める新任教師にしてNo.1ヒーローのオールマイトは入試主席の赤髪の少女の鬼神の如き無双っぷりを思い出しながら冷や汗を掻いた。

「本当に…凄かったですね…」

 

 

入学試験の様子

 

未来火サイド.

 

零華の幼馴染みである赤髪の少女、未来火(あすか)は…珍しく普通に待機していた。

 

「ふ~ん♪ふふん♬」

鼻歌を歌いながら会場の入り口で待機しているほかの受験生を最後列で見渡しながら個性の使用準備を始める。

 

(雄英はヒーロー科を持つ高校の中で日本トップだし、おじさま(零華の父)に聞いたように『戦場(現場)にスタート合図なんて物はない。実践は唐突だ』って言ってたし…ちょっとだけ(・・・・・・)本気を出そうかしら?レイレイに怒られない程度に…)

数年前、全力全開の『原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)』を相殺するため余波だけで山三つを消し飛ばした大技を使った後の零華の事を思い出して恐怖で少し震える。

 

「でもなぁ…久しぶりに色々と使ってみたいなぁ…でも、世界終焉(ラグナロク)とか使ったら流石にレイレイに殺されちゃうかな?いくら、不死身とは言え死ぬのは痛いし…うん、比較的普通の技を使おう!」

『スタート!』

使う技を決めて前を向くと突如スタート合図を知らせるプレゼントマイクの声が響き渡った。

 

 

不死鳥(フェニックス)!」

未来火は反射的に数少ない飛行技をの一つを使って目の前の集団を文字通り飛び越し会場に入る。

『標的捕捉!』『タダチニ破壊スル!』

直後、5体の仮想敵達が現れ一気に消し飛ばすため別に必要ないが某忍者漫画のように両手で印を結び息を吸って一気に吐く。

 

スゥー…ッ!

「火遁・業火滅却!」

口から噴いた炎が一気に広がり目の前に居た仮想敵達を周囲の建物ごと跡形も無く焼き尽くした。

 

「う~ん…微妙かな?」

炎の熱で溶けたアスファルトを見ながら呟き、遠くの方に見える仮想敵に向かって太陽の弓を構え炎の矢を放つ。

太陽神の弓(アポロン)!」

太陽神の弓から放たれた炎の矢は仮想敵の頭部に直撃し跡形もなく燃やし尽くす。

 

「ふむ…めんどくさいから一気に済ませようかな?」

そう呟きながら炎の矢に『天照』の黒炎を付与(エンチャント)し、弓を天に向かって構え、炎の矢を一気に解き放つ。

 

黒炎の雨!!

 

天に向かって飛んで行った黒炎を纏った矢は、ある一定の高さまで登ると無数の黒い炎の矢に分裂し流星群のように降り注ぎ追尾ミサイルのように仮想敵達を狙って進行方向を変えて異常な精度で仮想敵の頭部に直撃する。

 

「人に直撃したら即死の大技…別に大技って程でもないか?極普通の一般的な技で威力は申し分なし。レイレイが本気で回避に徹する技を仮想敵達が初見で避けられるはずがない。躱したとしても追尾弾だから当たるまで追い続ける。そして一度当たったら対象を燃やし尽くすまで消えない…我ながら恐ろしい技ね」

一人で呟きながら近くまで迫って来た仮想敵に手の平を向けて技を放つ。

 

無慈悲な太陽(クルーエル・サン)…我に挑む気か?鉄くずの分際で…身の程を弁えろ!!」

「…っ!?」

技を撃ち終わった直後に口調が傲慢で威圧的になってた事に気づき慌てて両手で口を塞ぐ。

 

(はぁ…まただ。炎の技を使いすぎると口調が威圧的になる…何とか出来ないかな?)

自分の個性のデメリットの事を考えながら壁の向こうからやって来た仮想敵に攻撃を仕掛ける。

 

獄炎(ヘル・フレイム)…」

指から小さい宝石のような煌めきを持った黒い炎が近くの仮想敵に向かってゆっくり飛び出す。

炎が対象の仮想敵に当たると、その直後巨大化。対象を周囲の仮想敵達と建物の一部を燃やし尽くした。

この時の炎の温度は、エンデヴァーのプロミネンスバーンを上回っていたが本人はそれを知らないし興味ない。

 

「どうしよう…個性を自由に使って戦うのって久しぶりだからめっちゃ楽しい!」

ここ3年くらい個性を使う機会が無かったので長年溜まっていたストレスが一気に発散出来た。

そのせいで、本来使っていけない技を幾つも使ってしまった。

今の未来火の状態を表すならば「反省はしている!だけど、後悔はしていない!」と言う言葉がピッタリだろう。

 

 

~数分後~

 

 

「フンッ!」

試験も終盤に差し掛かり走り回って見つけた仮想敵を超自然発火能力で内部から焼き尽くしながら右手にバスケットボール大の炎の球を作る。

 

火球(ファイアーボール)!」

近くに居た仮想敵に炎の球を直撃させ上半身だけを吹き飛ばす。

 

「ふぅ、そろそろ終わりかな?これ以上何か来たら流石の私でも怒るよ?」

未来火は近くの仮想敵の頭部を真っ赤に燃える高熱の手で握り潰しながら呟く。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

直後試験会場全体を揺らすような振動が起こり

 

ズズウウゥゥン…

 

ビルをなぎ倒しながら0ポイント仮想敵が現れた。

0ポイントの出現に試験会場の受験生達は逃げ惑うがその中で皇は、0ポイントを見上げながら

「うわー、デッカイな~」

などと呑気に呟いていた。

 

ここで一つの疑問が生じる。

なぜ彼女(皇 未来火)は、受験生達にとって圧倒的恐怖の0ポイントを相手に逃げない事はおろか呑気に感想などを述べていられるのか?

 

その答えは至極単純。

彼女が0ポイントは疎か(おろか)、0ポイントを一刀の元に切り伏せた零華の『原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)』を上回る『全力全開(フルパワー)原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)』ですら純粋な火力のみで真正面から打ち破るため、近距離で戦う事を嫌い可能な限り氷の兵士を大量召喚し遠距離から指示を出すだけの『総司令官(ザ・コマンダー)』の数ある戦闘方法の一つ『一人軍隊(ワンマンアーミー)』に頼るしかないほどの化け物っぷり。

要するに彼女は、絶対的強者なのだ。

 

考えてみて欲しい。

御伽噺などで絶対的強者として描かれるドラゴン。

口から炎を吐き大抵の武器が通用しない強靭な鱗と全てを斬り裂く鋭利な爪、全てを見通すかのような瞳を持った空想上の生物。

一国を滅ぼせるだけの強大な力を持ち、まともに相手するには複数の国家が協力し討伐隊を組むか英雄級の力を持つ個をぶつけるしかない。

ドラゴンを倒した者は間違いなく英雄と呼ばれる。それだけの難行なのだから。

だが時には長い時間を生きて得た知識を人間に与え発展させたり王として国を治める事もある知的な一面を併せ持ち、まさに最強の生物と呼ぶに相応しい。

 

果たして、世界最強生物と称されるドラゴンを相手に蟻が一匹だけで勝利出来るのか?

答えは否だ。

 

絶対不可能。あまりにも差が開き過ぎている。そもそも生物として絶対に越えられない壁が存在している。

つまりはそう言う事だ。

ドラゴン()は、(0ポイント)を恐れる理由が存在しない。

片や世界を滅ぼしかねない大技を複数所有し、それをほぼタイムラグ無しで放てる『煉獄の女王』。

もう一方は、精々町を複数破壊する事が限界の機械人形。

実力の差は歴然だった。

 

だが彼我の実力差を理解出来ないのが機械の良い所で同時に悪い所でもある。

 

皇を認識した0ポイントは、その巨腕を振り上げ…

 

ボッ!

 

一瞬だけ炎が上がり、そのまま腕を斬り落とされた。

 

『!!!!?』

一瞬の出来事に受験生は疎かモニター越しで試験の様子を観察していた雄英の教師陣ですら何が起こったのかを理解出来なかった。

だが攻撃を仕掛けられたはずの皇を見るとすぐに何が起きたか理解出来た。

彼女の右手には、『炎の剣(レーヴァテイン)』が握られていた。

 

何が起こったのかを端的に言うと…炎の剣(レーヴァテイン)を作り出して振って0ポイントの腕を斬り落とした。ただそれだけの事である。

簡単に聞こえるが鉄を一瞬で斬り裂くほどの高熱を剣の形にし、ましてやそれをプロヒーローですら認識できない速度で振り抜くなど並大抵も実力で出来る事ではない。

 

だがここで終わりではない。

腕を斬り落とされた0ポイントは、システムの関係上彼女を排除すべき脅威とみなし残された腕を持ち上げ握り拳を作り思いっきり振り下ろそうしたが…

 

ジュオッ!

 

突如現れた炎に残された腕も灰すら残さず焼き尽くされた。

 

『……!!』

その様子をただ驚きの余り言葉を失った受験生達が眺めていると…彼女は、ある言葉(・・・・)を口にした。

 

スゥー…

まずは、限界まで息を吸い…そして思いっきり叫ぶ。

 

「もっと熱くなれよ!!!!」

 

彼女がそう叫んだ瞬間、炎のように赤かった髪が本物の炎のように燃え始め肌の色がどんどん赤みを帯びて行き…ついに肌の色がカンカンに熱せられた鉄のように真っ赤な肌に炎の如く揺らめく真っ赤な髪と見る物全てを焼き尽くすかのような赤い瞳。

そして今まで着ていたジャージは何処へやら、ジャージの代わりに背中を露出させた赤と黒をメインに所々真紅の宝石が散りばめられたドレスを着た美しい女性が立っていた。

彼女のこの姿こそが異形型個性『煉獄の女王』の真の姿である。

 

真の姿に戻った皇は、指先に小さな、それこそ微風でも吹けば消えるような極小の炎を0ポイント仮想敵に向かって飛ばし…着火。

 

「…浄化の炎(ウリエル)

 

そう言いながら背を向けると炎が一瞬にして0ポイントの巨体を包み込むほどの火柱が立ち上り、炎が収まった頃には0ポイントの姿は何処にもなかった。

 

「ふぅ…」

『終ーーー了ーーー!!!」

皇が溜め息を吐くと同時にプレゼントマイクの試験終了を知らせる声が響き渡り入学試験が終了した。

 

「……癒しの炎」

最後に(ダメージ)のみを燃やす炎で他の受験生達の傷を癒しながら皇は会場を出て行った。

 

 

 

 

 

「レイレイが可愛くなってる!抱かせてー!!」

「…っ!?」

そして偶然デメリット発動中の幼馴染みを見つけると一目散に駆け出し逃げられる前に捕らえ、小さい子供がお気に入りの人形を運ぶように胸に抱きしめたまま帰路に就いた。

 

こうして煉獄の女王こと皇 未来火の入学試験は幕を閉じた。




これにて入学試験は終わりです。
どうですか?結構強いでしょう?
これでもまだ全力を出してません。
個性.『煉獄の女王』にもデメリットは、ちゃんとあります。多分後々発表すると思います。

感想をどんどん下さい。感想を貰えると作者のやる気が驚くほど上がるのでどんどん下さい。

では、また次回!


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第五話

可能な限り早く書き終えました。
ちょっとだけ短いです。多分…

今回は、主人公の家族が登場します。
父は、ヒーロー。母は、元ヒーロー。弟は…なんだ?
まあ、取り敢えずお楽しみください。

では、どうぞ。ごゆっくり!


「じゃあね~、レイレイ。また後でね~!」

「うん…バイバ~イ」

未来火に雄英から家の前までの道中を持ち上げられたまま連れてこられ、家の前に着いたらやっと離してくれた。

 

「ふぅ…」

(疲れた…精神的にも肉体的にも疲れた。早く休みたい)

今日の入学試験で一日の使用可能エネルギー量を軽く上回るエネルギー消費で神様が付けたストッパーが強制的に発動し身体が小さくなった。

そのせいで未来火に一切抵抗出来ず簡単に捕まるし振りほどけない。

まあ、そもそもベストコンディションで『摩訶鉢特摩(マカハドマ)』を使っても煉獄の女王(真の姿)に変身してよく分らない脳筋理論で時間停止を無理矢理突破するからどっち道捕まるしかないけど…それよりも、ただのロボットを相手に原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)の使用は、やり過ぎたと今更ながら反省している。

 

(それ以前に大技の連発は流石にやり過ぎた。おかげでこのザマだ。次からは気を付けよう…)

「はぁ…」

それよりも、この後だ。私は、小型化したままだし父さんはともかく母さんは確実に何があったかを聞いてくるだろう。

弟は…熱々おでんを食べさせて黙らせればいいや。

そうと決まればさっそく入ろう。

そう決めてドアノブに手を掛けようとした。が…

 

「届かない…」

156cmあった身長が小型化の影響で50数cmまで縮み割りとゆるい絵柄の姿に成ってしまった。

そのせいでジャンプしても届かないし何なら頭がデカすぎて腕が上手く上がらなかったりもするし…ホントにとんでもないデメリットだ。

 

えっ?お前のその姿ならギャグ時空のジャンプも出来るって?

はははは、何の冗談ですか?そんな事出来る訳ないじゃないですか。この状態で跳べる高さは精々30センチが限度ですよ。

それに走るスピードも小学生レベルまで落ちるし腕も足も短いから攻撃のリーチが短いし攻撃の威力も半減するでいい事なんて制限無く使える事くらいですよ。

 

まあ、それはさて置いてさっきから家の中で破壊音が鳴り響いているんですよね。

だいたい察したけど…まあ、あれかな…うん。

きっと、いつもの夫婦喧嘩だ。うん、きっとそうだ。

 

氷の騎士団長(ザ・ナイト)…」

自分が覚えてる氷人形(アイスドール)の中で最強格の人型の戦士を呼び出す。

 

パキ…パキキッ

凍り付いた地面から現れたのは聖騎士を思わせる純白の鎧に肩から青いマント掛けた氷の騎士団(アイスナイツ)最強の騎士。

私が唯一騎士長(ナイトチーフ)の座を与えた数少ない名前付き(ネームド)の称号を持つ最強格の戦士。

その戦闘力は、トップヒーローにも匹敵するが…呼び出す際にデメリットが強制発動してしまうほどエネルギー消費が激しい。

しかも戦える時間は、某光の巨人よろしくに3分だけ。簡潔に言えば燃費が悪すぎる。

しかも自我を持っているので私の命令を無視する事もあるが基本は忠実な部下だ…偶に勝手に出て来て何処かにフラッと出かける事もあるし私の命令に従わず反論する事もある。

ふむ…デメリットの方が大きくないか?

 

『如何為さいましたか?我が主よ』

そんな彼女…アイナが私に恭しく膝を着き頭を垂れながら聞いて来た。

こいつを呼び出すのは、ピンチの時だけなのだが…今回もある意味ピンチと言えるかもしれない。

 

「…ドアを開けて」

『かしこまりました』

私の命令に従いアイナがドアを開ける。

 

『お下がり下さい!』

「えっ?」

ドアを開けた直後に私を後ろに移動させて何処から取り出したか分からない大盾を両手で構え防御の姿勢を取る。

 

「ガハッ!」

その直後、飛んで来た短髪青髪の男性…私の父が大盾にぶつかり血を吐いた。

まぁ、うん…いつも通りの光景だ。

我が両親が夫婦喧嘩を始めたら必ず一回は、起きる光景。

その度に何か壊れるが、そこはご愛敬だ。

 

「ただいま…父さん」

「ん?おお、零華か!おかえり、受験はどうだった?」

「そこそこかな?」

父に挨拶をし父も挨拶を返しながら受験結果を聞いて来たので答える。

「そうか。まあ、その姿に成ったって事は何かしらの大技を『ヴァイスシュナーベル!!』おっと!」

父が喋っている途中で無数の氷の剣が父の居た所に放たれたが見事間一髪で躱した。

 

『クッ!』

その代わり攻撃がアイナの持つ大盾に当たり砕けた。

 

「おいおい、危ないじゃないか?」

「あらー?まだ、死んでなかったのね?なら次は、絶対に躱せない追尾式の技を使わせて貰うわ」

「母さん、ただいま」

廊下の奥から両手に青薔薇の剣を持って出て来た腰まで伸びる白髪の美しい女性…私の母さんに挨拶をすると仏スマイルで挨拶を返してきた。

「あら、おかえり零華。ちょっと悪いけどそこのプリン泥棒をぎったんぎったんのめっためったにするから先にリビングで待っててくれるかしら?」

おかしい…笑顔のはずなのに目がまったく笑ってない。

あと、夫婦喧嘩の原因がプリン泥棒とかどんだけ仲良いんだよこの二人。

と言うか、ぎったんぎったんのめっためったって表現方法、今時の小学生でも使わないぞ。可愛いかよ。てぇてぇ。

 

「分かった。父さん頑張って、母さんも無理しないでね」

「あいよ!」

「大丈夫よ。すぐ終わらせるから

二人にそれぞれ話しかけると、それぞれ返事が返ってきた。

母さんは、相変わらずだ。

 

しばらく経って(閑話休題)

 

あれから数日経って自宅に雄英から私宛ての封筒が届いた。

ちなみに夫婦喧嘩は、珍しく父が勝った。

次の日、雨でも降るんじゃないか?と姉弟揃って心配したが特に何もなかった。

その日のうちに両親の寝室で延長戦が始まって父がゲッソリしがらもしっかり両足で立って、肌を艶々させながらピクピクしてる母を担いで寝室から出て来た。

どうやら延長戦も父が勝利したみたいだった。

 

 

「ね、姉ちゃん!雄英から手紙が!合否通知が届いたよ!」

弟が大慌てで雄英高校入試の合否通知が入った封筒を持ってきた。

「落ち着いて冷斗(れいと)。また熱々おでんを食べさせるわよ?」

「なんですぐに熱々おでんを食べさせようとしてくるんだよ!俺は芸人か何かか!?」

「ふふ、ありがとう」

私の台詞に突っ込みながらも封筒を渡してきた弟に礼を言いながら封筒を開けて中身を取り出す。

 

コロン…

「あれ?」

封筒の中から出て来た変な黒い機械に困惑していると近くに立っていた弟が指示して来た。

「う~ん?これは…投影機だね?ここを押せば映ると思うよ」

「ここ…?」

弟の指示通りに機械に付いたボタンを押すと空中にオールマイトが映し出された。

 

『HA-HAHAHAHA!!私が投影された!!』

「オールマイト!?」

「オールマイト!あ痛っ!?」

オールマイトが映し出された事に二人とも驚き弟は、椅子から転げ落ちた。

 

『なぜ私が映し出されたかって?「聞いてないけど?」それは、私が今年から雄英の教師になるからさ!』

「へぇ…」

「う、嘘だろ!?…ぶくぶくぶく」

私の反応とは対照的に弟は、泡を吹いて倒れた。

それにしてもこのニュースは衝撃的だ。弟が倒れるのも無理ない。

 

『では、君の合否の結果について発表しよう!筆記は全教科90点越え!そして実技試験のヴィランポイントは、あの氷の騎士達が倒した分も含めて184ポイント!だが!それと別に我々は、もう一つ見ていた!その名も救出(レスキュー)ポイント!ヒーローは、人を助けてこそだ!そこで君の救出(レスキュー)ポイントは…56ポイント!途中までの救出は、良かったが最後の最後でポイントが一気に落ちた。次からは、気を付けような?』

「…」

筆記試験の点数は、かなり良かった。

ヴィランポイントも完璧だ。だがやはり最後の最後が駄目だったようだ…反省しよう。

 

『さて、君の合否だが…ヴィランポイントと救出(レスキュー)ポイント合わせて合計.240ポイント!見事次席で合格だ!!さあ、来たまえ!ここが君のヒーローアカデミアだ!』

そこで映像が切れた。

 

「受かった…やった」

雄英に受かった事実に震えながら未来火に連絡しに向かう。

未来火に連絡すると未来火も合格していた。

それも主席合格だ。相変わらず凄いや。

 

その夜、仕事から帰って来た父と買い物から帰って来た母にも合格した事を伝えると二人とも喜んでくれた。

あと、私の中に勝手に作られた国の国民達もバカ騒ぎしていた。

祝ってくれるのは嬉しいが夜通しで宴会は、流石にうるさいのでやめて欲しい。




これで一応5話は、終了です。

キャラ情報.
主人公の家族編.

オリ主父.
名前.冷気 冷示

個性.絶対零度
氷を自由に生み出せる。

デメリット.身体が冷えて身体機能が落ちる。


オリ主母.
名前.冷気 氷雨(ひさめ)

個性.氷の彫刻家
氷で作った物を自分の意志で扱える。

礼.青薔薇の剣

デメリット.氷が無いと作れない上に作るのに少し時間が掛かる。


オリ主弟.
名前.冷気 冷斗

個性.氷
手から氷を出したり取り込んだり出来る。

デメリット.やりすぎると凍傷を起こす。


では、また次回!


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第六話

ええと…皆様大変お待たせ致しました
約5ヶ月振りの更新です…はい。
今回は、通学と教室への入室だけです。個性把握テストは次回に持ち越しです。

あとアンケートもあるので可能であれば答えて行って下さい。

では、どうぞ。ごゆっくり!


雄英高校登校初日

 

零華は、電車に揺られながら無駄にデカい胸部の駄肉をを揺らして登校していた。

「……ふふっ」

ミュージックプレイヤーに保存したお気に入りのラスボス風BGMを聞き流しながら小さく微笑む。

今日は、雄英高校への登校初日。

ヒーローに就きたい者の憧れのヒーロー育成学校に入学出来た事実に少なからず心が高揚していたのだ。

 

その高揚感を胸に目的の駅に到着した零華が電車から降りて改札を通ると見知った顔を発見する。

 

「おはよう…未来火」

「あれ?レイレイ、おはよう!突然で悪いけどメロンパン食べて」

「もがっ!?」

目的の人物に出会い何故か持ってたメロンパンを口に突っ込まれ、それを右手で掴み粗食しながら雄英高校への通学路を並んで歩く。

 

「どう?メロンパン美味しい?」

「うん…でも今度は普通に頂戴」

「まぁ…努力するわ。それよりも中にメロンクリームを入れてみたのよ!真ん中の方を噛んでみて」

「本当…?あっ……」

言われた通りにメロンパンの中心部付近を噛むとドロッとしたクリーム状の物が口の中に入ってくる。

 

口の中に広がるわざとらしいまでのメロン味。

その中にほんのり感じるメロン本来の完熟した甘味と瑞々しさ。

カリカリとしたメロンパンの表面とふわふわのパン生地に中のクリームが絶妙に混ざり合いカリふわのメロンパンがサクッとしながらもほんのりしっとりとした食感を生み出している。

咀嚼すればするほど甘味が口の中に広がり口内が幸せで満たされていく。

 

「美味しい…けど」

流石にこうも甘味が続くと口が苦味を欲するようになる。

生憎お茶が無いので口の中を支配する甘味を流し込む事が出来ずどうしたもんかと考えて隣を歩く幼馴染みの方を見る。

「ふっふっふっふ………こんな事もあろうかと…」

未来火は、何処か不敵な笑みを浮かべて通学カバンから円柱状の飲み物パックを取り出した。

「ジャーン!!コーヒー牛乳!そのメロンパンに結構合うよ。渡して欲しければ私の頬にチューを「チュッ」…はへ?」

望み通り頬に口付けをするとボンッと言う擬音と共に顔を真っ赤にして手に持ったコーヒー牛乳を落とす。

 

「おっと…ありがとう。大丈夫?」

地面に落ちる寸前でコーヒー牛乳をキャッチし蓋を開けてストローを刺し込み口の中に残った甘味を流し込む。

 

「うん、美味しい…ありがとう未来火。やっぱり私…未来火(の作ってくれるパン)を愛してるみたい」

「ほへぇ!?れ、れれれれ、レイレイ!!?さ、流石にそれを言っちゃ駄目だよ!ひ、人前だし…な、何より…お、女の子同士だし

率直な感想を告げると何故か未来火が顔を真っ赤にして何かをぶつぶつ言い始める。

 

「ん?何が駄目なの?本当に未来火(の作ってくれるパン)を愛してるって言って何が悪いの?」

「ほひゃあああああ!!!!………きゅ~…!」

またパンについての感想を告げると急に叫び出しそのまま気絶した。

気絶した未来火が倒れると同時に彼女の業火のような真紅の髪から少しばかりの炎が飛び出し人の形を成した。それだけに留まらず炎が質量を持ち倒れ行く未来火の体を支えた。

 

「零華さん…」

人の形を成した炎は、身長180センチ以上の大柄で筋肉質な男性の姿を取った。

それだけなら大丈夫だろう。ただ一つだけ問題点を挙げるとすれば未来火が大好きな極道映画に影響されて作られた事だろうか?

真っ黒のスーツを格好良く着こなした顔に大きな傷を持つ一人の赤髪短髪の男性。

顔中に広がる皺や額から目を通り頬にまで達する痛々しい傷すら渋い男としての格好良さを引き立たせている。

これが男が惚れる漢ってヤツだろうか?良く分からない。

 

その如何見ても堅気でないと一発で分かる男性が口を開き、その喉奥から重厚なダンディーボイスが響き渡る。

貴女(あんた)はんが姐さんと仲良くしてくれるのは、(ワイ)らとしても大変喜ばしいことでさぁ…しかしながら、姐さんを一々口説かれては(ワイ)らの面子に関わってくる。頼んますからもうちっと言葉に気ぃ付けて(もろ)てもいいですかい?」

「……」

跪いて頭を下げながら、それでも目だけでこちら()を殺さんばかりの眼光を向けてくる。

恐怖のあまり表情筋を動かさず身動ぎ一つせずにいると、何故か焦った様子で口を開く。

 

「確かにワイ等と零華さんは、貫目(地位)が違い過ぎて口出し出来ないって事くらいは承知しています。大親友の貴女(あんた)や叔父貴と違ってワイ等は所詮、姐さんの作り出した使い捨ての道具でしかありません。しかし…その上で言わせて頂きやす!ワシの存在が気に食わなかったらこの場で全ての指を詰めた上で腹ァ切る覚悟です!なので他の(モン)には手ェ出さんでくだせぇ!」

「うん…で?」

私が小さく頷いて続きを話すように促すと気絶したままの未来火を新しく生み出された若い衆に預け両膝を着いた。

 

「はっ!零華さんへの頼みとして姐さんへの告白染みた言葉を可能な限り控えてくれるようお願い申しあげます!!」

「…」

「何卒!何卒!!何卒宜しくお願い致します!!」

「はぁ…」

額を地面に叩き付ける勢いで頭を下げる男に対し溜め息を吐く事で答える。

 

「れ、零華さん!」

「バッカじゃないの?」

子犬の様に縋る目でこちらを見て来る男にそう言い放つとポカンとした表情を浮かべた。

 

「道具?使い捨て?地位?何言っちゃってんの?指を詰める?腹を切る?良い?あんたの有るか如何かすら怪しいそのちっぽけな脳みそを使って良ーく考えなさい。自分達が生み出された理由。自分達の存在意義。そして未来火(主人)のために自分達が何をしたいかを考えてから私に意見しろ。話はそれからだ」

訳の分からない事を言い出した男にそれだけ言い放ち若い衆から未来火を回収して雄英を目指す。

「れ、零華さん!」

後ろで何か言ってたようだが全力で無視した。

 

 

 

 

「1-Aは…此処ね」

気絶したままの未来火を肩に担いだまま多少迷いながらも自分のクラスの前に辿り着く。

「う、うぅ~ん…あれ?レイレイ…?」

そのまま暫くすると気絶していた未来火が目を覚ました。

「おはよう…寝坊助さん?」

「ほへっ!?れ、レイレイ!?どうして私が担がれてるの!?いつからなの!?もしかして気絶した時から!?…って、どうして怒ってるの?」

「…ふんっ」

目を覚ました未来火が連続で質問をして来たが、その悉くを無視して手を離し未来火を床に落とす。

 

「へぶっ!痛たた…ねぇ、レイレイどうしたの?今日は何時にも増して不機嫌だよ?何かあったの?」

「なんでもない…安心して」

「そうなの?ならいいけど…」

私の僅かな表情筋の変化に気づいた未来火が少し心配そうな様子で見て来る。

未来火には八つ当たりのようで申し訳ないが、その赤髪を見てると通学中の出来事を思い出してイライラしてしまう。ただでさえ女性特有のあの日(・・・)のせいで気分が最悪なのに赤髪を見てると怒りが込み上げてくる。

勝手だと分かってはいるがさっさと行ってくれないだろうか?

 

「じゃあ、レイレ…零華。また放課後ね」

「うん…」

私の負の感情を察知したのか何処か不安気な様子で別れた。

 

「ふぅ…」

(あとで謝らないと…)

心の中で独り(ごち)りバリアフリーを意識しているのか無駄にデカい教室のドアを開ける。

 

 

「…」

無駄にデカいドアを開けて教室に入ると数人のクラスメイトであろう男女が見えた。

黄色い髪の男子。

葡萄頭の男子。

蛙を思わせる特徴を持つ女子。

耳たぶの長い女子。

カラスみたいな頭をした男子。

ピンク肌の女子。

たらこ唇の男子。

赤髪の…

「チッ…」

一人一人確認していたら今一番見たくない赤髪の男子を目撃して反射的に舌打ちをしてしまった。

また今度落ち着いたたら謝ろう。

 

「君!教室に入って来て早々、いきなり舌打ちなんて失礼じゃないか!」

「うお…っ」

私の行動に気づいた眼鏡+堅物+坊ちゃん=ド真面目みたいな男子生徒がロボットみたいな動きで急接近して来る。

その動きに思わず一歩後退った。

 

「むっ!」

「あぁ?」

「ん?」

後退った事で後ろに居た目つきの悪い男子生徒に軽くぶつかって三者三様別々の声を上げる。

 

「てめぇは…そうか。入試次席の女か…いいか?良く覚えておけ!俺はいつかお前と主席の野郎を越えてトップになる。それまで首を洗って待ってろ!」

「………」

それだけ言ったトゲトゲ頭の男子生徒が自分の席にドカッと座り、机の上に両足を乗せた。

そしてド真面目な男子生徒がそれを注意しに行った。

 

「…」

(女なんだよなぁ…)

心の中で小さく呟き自分の席を探して席に着いた。

 

「なぁなぁ」

「…」

窓際の自分の席に着くと隣の席に座っていた葡萄頭の小さい男子生徒が声を掛けて来たが無視する。

 

「なあ、聞こえてんだろ?」

「……?」

もう一度声を掛けられて視線だけを向ける。

 

「なあ、お前……胸のサイズ幾つだ?」

「は…?」

思わぬ質問に間の抜けた声が出た。

 

「なぁなぁ、どうなんだよ?」

少し頭が真っ白になっている間にまた質問をして来た。

 

(少し…お仕置きしようか)

「…」チョイチョイ

流石に許容範囲外の質問をして来た変態野郎(峰田 実)に少しばかりお灸を添える事にした。

 

「お?どうした?」

「…」

隣の席の男子生徒が顔を近づけ耳を傾けて来た所で声帯を弄り無理矢理声を変化させてから口を開く。

 

「あまり頭に乗るんじゃねぇぞ。ガキが」cv.子安

「ひぇ!?お、おま!おまおまおま!お前!?おt、むぐっ!?」

「シー…」

何か喋ろうとした葡萄頭の口を片手で塞いで自分の口元にもう一つの手の人差し指を当てて静かにするようにジェスチャーを送る。

 

「静かに…」

「う、うぐっ!むぐぐっ!」

私の言葉を理解したのか涙目になり高速で頷いた。

 

「ふぅ…」

溜め息を吐いて窓の外の景色を見る。

「青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い青髪怖い…」

何故か隣の男子生徒が意味不明な言葉を呟きながらガタガタ震えていたがきっと気のせいだろう。そう思う事にした。

 

 

そのまま暫く待っていると教壇の近くに芋虫みたいな物体を発見した。

「はい。静かになるまで八秒掛かりました…君達は合理性に欠けるね」

「え?」

その芋虫のような物体がもぞもぞ動き出し前世で推しに推しまくっていたとある声優さんの声で喋り出した。

 

「君達の担任に成った相澤消太だ。一年間よろしくね」

やはりこの声はあれだ…あの人だ。間違える訳が無い。

 

「早速で悪いけどジャージに着替えてグラウンドに集合しろ。時間を有効的に使え。以上」

 

(この声は…諏訪部順一さんだ!

間違える筈が無い。

まさか転生先で諏訪部さんの声を聞けるとは思わなかった。

よし!なんだか凄いやる気が湧いて来た!さっきまでの不機嫌さもどっか行った!

さて、どんな用か分からないけど全力で頑張るとしよう)

心の中で呟き密かに体内で準備を進めた。




今回の話を書いてて思いました…
無口キャラをを扱うのってマジで難しい!!リメイク前の方が書きやすかったし書いてて楽しかった!あっち(冷気くん)には、(コア)を破壊される以外明確な弱点が無くてクソ強いし、無口なのが単純にコミュ障だったので稀に喋ってもコミュ障だからと押し通せたし、周りが勝手に勘違いしてくれて話がガンガン進んでいたなぁ…『氷獄の王』なんて出さなければ良かった。
ああ、再リメイクしたい…

以上。作者の心の声でした。
感想を貰えるとやる気が出ます。

では、また次回!


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第七話

今回は、個性把握テストです。
見よ!これが二日クオリティーだ!(寝不足&深夜テンション)

前話の感想で零華が完全に別人になってるというコメントを頂きました。
まったくその通りです。言い訳のしようがありません。
今回は、ギャグを少しだけ強めにしました。
やっぱり自分はシリアスなんて書いたらどっかで矛盾が起きるって事に気づいたのでシリアスを期待しないで下さい。

では、どうぞ。ごゆっくり!
あと、出来れば感想プリーズ!


担任の相澤先生の指示でジャージに着替えるよう言われ男性陣が男子更衣室へと向かった。

その結果女性陣は、必然的に教室に残って着替える事になった。

 

「………?」

早速着替え始めると何故か長い耳たぶの先がプラグみたいになっている三角眼の女の子が親の敵のような目で私の胸元を凝視して来た。

 

「…ん?」

「あ、いや…なんでもない…なんでもない……」

私が視線を向けると三角眼の女の子がなんでもないと呟きながら目から血の涙を流しそうな表情(かお)をする。

 

「…?」

それを疑問に思いながらもシャツを脱ぎスカートも脱いだ。

 

「んっ…」

まだ少し肌寒いと感じる程度の気温にちょっとした声が漏れる。

いくら肉体(からだ)の大半以上が氷で出来ているとは言え寒い物は寒い。

風邪を引くと後が(主に未来火が世話を焼いてくる意味で)面倒なのでさっさと着替える事にした。

 

「…」

昔…転生して間もない頃は女性の生着替えに興奮を覚えたが今となっては何も感じない。

そもそも肉体が女性の物だし着替えの時やシャワーを浴びた時なので女性の裸体を飽きる程見て来た。

今頃女子高生の下着姿程度で興奮する事はない。

…なんか言ってて悲しくなって来た。早く着替えてグラウンドに行こう。

 

「綺麗…」

「え…?」

シャツを着ている時、誰かがそう発したのが聞こえて軽く振り向くと女子数人が顔を逸らした。

 

「…」

気にしても仕方ないと考えジャージのズボンを履き上着を着て眼鏡を掛け直しからグラウンドに向かった。

 

 

 

 

 

グラウンドに着くと既に数人のクラスメイトが待機していた。

頭が刺々しいヴィラン顔やツートンカラーの男子。

もじゃもじゃ頭の男子や今朝の真面目系男子もいた。

男性陣だけなら分かるがあの蛙みたいな女の子はどうやって移動したんだろう?私の方が先に教室を出たはずなのにどうして私より先に着いてるのだろう。不思議だ。

 

そのまま待機しているとクラスメイトが続々と集まった。

最後の1人が着いたのを確認した相澤先生が口を開く。

「ええ、今から個性把握テストをやって貰います」

「「「「「個性把握テスト!!?」」」」」

相澤先生の予想外の発言にA組全員が驚愕の声を上げる。

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

「ヒーローになるんだったらそんな悠長なことやってる時間なんかないよ。雄英は自由な校風が売り文句そしてそれは教師側もまた然り」

丸顔の女の子の質問にそう返し刺々頭のクラスメイトにボールを手渡した。

相変わらずいい声してる。つい頬が緩む。

 

僅かに口角を上げたら相澤先生が一瞬だけ視線を向けて来た。

解せぬ。

 

「お前たちも中学のころからやってるだろ?個性禁止の体力テスト…いまだ確執的な記録で平均を取り続けている合理的じゃない。ま、文部科学省の怠慢だな。爆豪、お前中学の時の記録何メートルだ?」

「64…」

ボールを手渡された爆豪が答える。

「じゃあ円から出なければいいから個性を使って思いっきり飛ばせ」

相澤先生の言葉に爆豪が凶悪な笑みを浮かべ円の中に入る。

 

「んじゃ、まぁ…死ねや!!!」

BOOOOONW!!

 

(死ね?)

爆発の爆風をボールの投擲に合わせて飛距離を伸ばした。

発想力とそれを可能にしてしまう応用力は尊敬に値するが口の悪さは、ちょっと如何かと思う。

 

「と、まあこんな感じで自分の最大限を知って貰う…それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

先生が持っていた測定器には『706』と記されていた。

 

「700越え!?すげー!!」

「個性を思いっきり使ってやっていいのかよ!」

「なにこれ面白そう!」

「個性思いっきり使えんだ!さすがヒーロー科!」

その記録を見たクラスメイト達が一斉に騒ぎ出した。

 

 

「面白そう…か」

「これから三年間その腹積もりでやって行くつもりか?よし、ならこうしよう。八種目トータル最下位の者は見込みなしと判断して除籍処分する」

「「「「「はああああ!!?」」」」」

相澤先生の言葉にクラス中が驚きの声を上げる。

 

「最下位除籍って理不尽すぎる!いや、初日じゃなくても理不尽すぎる!」

「理不尽ねぇ…いいか世の中は理不尽だらけだ。地震に火災、津波や台風などの自然災害だけでなく大事故や何の前触れもなく現れる(ヴィラン)による破壊活動や様々な事件。世の中は理不尽だらけだ。そんなピンチを覆して行くのがヒーローだ。雄英に相応しくなければ遠慮なく切る。放課後にマックでお喋りでもしたかったか?残念ここは雄英。これから三年間雄英は君達に苦難を与え続ける。『プルスウルトラ(さらに向こうへ)』さ。ようこそ雄英高校へ、ヒーロー学校の最高峰へ」

相澤の出した案に誰かが抗議の声を上げたが相澤先生の言葉により押し黙り最後にはクラス中が覚悟を決める。

 

(全力か…本気(・・)じゃなくて全力(・・)でいいなら好きなだけ出そう。出来るのであれば本気を…あの化け物(・・・・・)を人前に晒したく無い。なにせあれは…使った後(・・・・)の方が面倒だから)

心の中で呟きながら自分も軽いストレッチを始めた。

 

 

 

 

第一競技は、50メートル走だった。

この競技は、両脚にエネルギーを流し込み脚力を上昇させる事で対応する。

この時、両脚に込めた力のせいで筋肉が膨大する事を防ぐために脚の外側にもエネルギーを流す事でいつもの細足の維持に成功した。

 

『よーい…』

「ふぅ…」

測定用ロボットの音声に合わせスタートの構えを取り小さく息を吐く。

 

『スタート!』

「シッ!」

そして合図と共に一気に駆け出す。

 

 

ピピッ!

『3秒48!』

全力で50メートルを走り抜けると測定用のロボットが記録を教えてくれた。

 

その記録が聞こえたクラスメイト達がなにやら騒いでいたが今はそれどころでは無い。

エネルギー消費量が思った以上に多かったせいで僅かだが疲れた。

自分の内側に意識を向けると勝手に建国された国に住む奴ら(国民)が何だか騒いでいるのが見える。

それを無視して別の場所に視線を移すと数字が刻まれたメーターが見えた。

そこには『残エネルギー.1350/1500』と記されている。

 

なるほど…まだ結構残ってるらしい。

だがこのペースでエネルギーが消費されるのであれば一日を過ごすのには心許ない。

エネルギーの残量を回復させる手段はあるが、それを人前で実行する程危機的な状況ではないので次の測定をしに向かった。

 

 

第二競技は…握力測定だった。

足に送ったエネルギーを腕に移動させようかと考えたが、二つ前のたわわな女子が万力を作り出したのを見て自分もそれを参考にすることにした。

 

「…いいですか?」

「まぁ…大丈夫だ」

考え付いた案を実行する前に相澤先生に確認を取ると許可を貰えた。

 

「…アイスブロック」

測定器の握る部分に指を入れ小さく呟き指に小さな氷塊を発生させ指を抜き取る。

そのまま氷塊が成長して行き握り手部分を少しずつ圧迫して行く。

普通の氷なら圧力に耐え切れず砕けるだろう。だがこの氷塊は低温度を犠牲に耐久力と強度のみを極限まで高めた特製の氷だ。

恐らく強度だけで言えば最低でも鋼鉄を優に超えるだろう。

今回みたいな特別な氷の作成は、消費エネルギー量がそこそこ多いのであまり作りたくないが仕方ない。背に腹は代えられないって言うし帰りにラーメン屋にでも寄ろう。

 

ピシッ!

そのまま暫く成長させていたら氷に罅が入り割れ始めた。

そこで氷の成長を止めると測定用ロボットが記録を読み上げた。

 

『1.72t!』

「割に合わない…」

消費エネルギーと比較して出せた記録が余りにも低すぎる。

出来れば3トンくらい出したかったが所詮消費エネルギー120ではこれが限界みたいだ。悲しすぎる結果だ。

残エネルギー.1230

 

 

第三競技は、反復横跳びだった。

両脚に流し込んだエネルギーを維持したままいれば良かった。

そう考えながら50メートル走の時と同じく両脚に多量のエネルギーを流し始めた。

それと同時に葡萄頭を見てある考えが頭を過った。

それを実行するため両脚に流し込んでいたエネルギーを足裏に溜め込む。

 

自分の番になり足裏から靴へ、靴から地面へと冷気を垂れ流し地面を凍らせた。

そのまま凍らせた地面の上を左右に超高速で移動し反復横跳びの記録を稼いだ。

『記録.586回!』

 

「うぷっ…吐きそ」

その代償として朝ご飯と今朝食べたメロンパンが胃の中でシェイクされて抗い難い嘔気を感じた。

 

ザッ!ザッ!

「……ふっ!」bグッ!

「……?」

私が地面に片膝を着いて吐き気を必死に我慢していると丸顔のクラスメイトが私の前まで来て親指を立ててサムズアップをして立ち去った。

 

(何なんだろう…)

それを疑問に思いながら凍らせた地面の氷を吸収し…言い方があれだが拾い食いに近い感覚でエネルギーを回復させてから次の場所に向かった。

残エネルギー.1080

 

 

次の競技は、走り幅跳びだった。

これには、他の競技よりも多くのエネルギーを両脚に集中させて記録を伸ばす事に努めた。

 

『記録!27.5メートル!』

悪くは無い記録だ…一気に200も消費してしまった事を除けば問題は無い。

残エネルギーが900を下回った…早くエネルギー量の最大値を上げないと、このままいつか訓練中にデメリットが強制発動してしまう。

 

それだけは、可能な限り避けたい。

小さくなってリーチが短くなるし、パワーが落ちるし、スピードも落ちるし、耐久力も落ちるし、踏ん張りが効かないし、技の威力がガタ落ちするしで、良い事なんて回避力が上がる以外に何も無い。

小さくなった状態で放った原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)なんて未来火に片手で防がれる程に弱体化するとは思わなかった。

(いい加減エネルギー量の最大値を上げないと…)

そう思いながらも次の場所に移動した。

残エネルギー.880

 

 

五つ目の競技は、長座体前屈。

これにはエネルギーを全く使わず素の状態でやった。

『記録!94cm!』

 

元々体は比較的柔軟な方なのでそこそこの記録を出せたと思う。

だが隣で蛙みたいなクラスメイトが舌を伸ばして15メートル以上を出していた。

素直に驚いた。

 

 

六つ目は、上体起こし。

先生によると特に制限が無く遠慮なくやれとの事だ。

「冷気…お前はあの氷の騎士達を召喚してやってみろ。出来るか?」

「…」

召喚では無く呼び出しだが…別に良いだろう。

 

氷人形(アイスドールズ)兵士(ソルジャー)

囁くように口を開くと半径1メートルの地面が凍って行き、凍った地面から二つの手が現れ、地面に手を突いて己の体を引きずり出してもう一方の手も地面に突いて上半身を出した。

そのまま下半身も引きずりだし片足ずつ地面から引きずり出し簡素な鎧に身を包んだ二人の兵士が現れる。

 

「おえっぷ…」

やっぱり何度見ても慣れない。

まるでB級のゾンビ映画みたいに現れた彼ら(・・)は、私のどんな命令でも聞く忠実な(しもべ)…と言ったらあれなので少しオブラートに包んで表現すると忠実な配下とでも言おう。

とにかくどんな命令でも聞いてくれるが自我が無い代わり単調な命令しか理解出来ない。

 

そのちょっとしたデメリットに目を瞑れば十分優秀な兵士だ。

だが今回は、戦闘のために呼んだでは無い。だから槍を持って周囲を見渡しながら敵を探さないで欲しい。

クラスメイト達が引いてるからいい加減やめてくれないだろうか?

 

「止め…」

「「ハッ!!」」

手を挙げて軽く制すると二体とも最敬礼のポーズを取りクラスメイト達がドン引きした目で見た。

 

「「………はぁ」」

それを見て相澤先生と同時に溜め息を吐いた。

 

「早く計測済ませろ」

「はい…」

相澤先生に言われ二体の兵士に簡素な命令を出した。

 

『よーい…』

足元に移動させた兵士に下した命令は『足を抑えてろ』と一つだけの内容。

一方、背中側に移動させた兵士には『倒れたら起こせ』と命令が少しだけ複雑になってしまったが実行できるはずだ。

たぶん…きっと…恐らく…大丈夫…なはずだ…そう願う…切実に…。

 

『スタート!』

若干の不安を募らせながらもロボットが出した計測の合図に合わせ後ろに倒れる。

 

「えっさ!ほいさ!えっさ!ほいさ!えっさ!ほいさ!」

命令通りに私が倒れると背中側の兵士が起こしてくれる。くれるのだが…なぜ餅つきの掛け声?意味が分からないよ。

 

とりあえず時間いっぱいまで協力して貰った結果。

 

『記録!97回!』

思ったより普通だった…。

 

「「イェーイ!」」

その記録を聞いた二体の兵士が何故か喜んでいた。破壊してやろうか?

 

「ランサー…自害s『我が主よ。どうかお怒りをお納めください』…」

ランサー、自害せよ。と命令を下そうとした時、氷の騎士団長が女性的な透き通った声を掛けて止めて来た。

 

(庇うのか?)

『そうではありません。我が主よ、あなた様はここ数日気分が悪いと仰っていました。そのせいで機嫌が悪いとお見受けします。だからと言って兵士や周りの者に当たるのは、いくら我等の絶対的支配者であっても到底見過ごせる者でありません。一度深呼吸をして落ち着かれて下さい。そして保健室に行って生理薬を飲んで気分を落ち着かせて下さい』

(………分かった)

思った以上に色々言われた。

確かに騎士団長(アイナ)の言う通り気分が最悪とは言え、兵士や周りに当たるのは良くない。ちょっと思考力が低下していた。一回落ち着こう。

 

「スゥー、ふぅ…」

(うん…落ち着いた。ありがとう)

『それは良かった。最後に残存エネルギー量が800ですのでお気を付けください。では』

最後にエネルギー量の残りを言って撤退した。

 

気分も落ち着いたし、相澤先生の声による気分的なバフもあるし最後の二つでちょっとだけ本気を出そう。

恐らく8秒が限界だろうがボール投げを一回くらい本気でやってみよう。

 

 

七つ目の競技であるボール投げで測定用のボールを手に取り、円の中に入ってから小さく呟く。

 

 

我こそが支配者なり(ザ・ルーラー)

 

 

呟くと同時に体中に力が漲り残存エネルギーがとんでもない速度で減少し始めた。

「ふんっ!」

エネルギーが残ってるうちに大きく振り被り測定用のボールを力の限り投げる。

投げ終わると同時にその状態を解除。

ここまで僅か5秒だがエネルギーをごっそり持って行かれた感覚なので残存エネルギーを確認した。

 

残エネルギー.298/1500。

 

(…やっぱりか)

燃費が悪過ぎる。一秒に100も消費するとか本当に意味分からん。確かにそのエネルギー消費に見合った力が手に入るけど…けども。

 

「はぁ…」

溜め息を吐いてから相澤先生に記録を聞くと「8キロを超えた辺りで反応が消失した」そうだ。

 

つまりは最低でも8キロらしい。良し!

「無限…」

とか考えてたら丸顔のクラスメイトが無限を出した。

 

「………」ズーン…

「「っっ!!」」オロオロ

その記録を聞いてショックを受けてる私の周りで二人の兵士がオロオロしていた。

いつまで居座る気なんだろうか?

ちゃっかり相澤先生にジェスチャーで自己紹介してるし。あんな事を教えた覚えないんだが?そもそもそこまでの知性があっただろうか?

 

疑問に思っているともじゃもじゃ頭のクラスメイトが「SMASH!!!!」とか言って人差し指をバッキバキに折って凄い記録を叩き出した。

(うわぁ…何あれ。私でも修復に20秒は掛るほどの怪我を負って、あんな記録を出すなんて凄い自己犠牲の精神だ。とてもじゃないが私には真似出来ない)

 

素直に関心しているとトゲトゲ頭が因縁がましく近づいたが相澤先生に拘束された。

(何あれ!?私にもやって貰いたい!ハッ!いやいや、落ち着け…声に騙されるな。相手は男だぞ?私も男で…あれ?でも体は女だぞ?つまり問題ない?いや、もしそうなればそれはホモーで…そもそも未成年者に手を出したら先生に問題がある訳で…その前に教師と生徒だと禁断の恋になる訳で…表面上が問題なくても精神的BLになる訳で………)

やがて私は、考えるのをやめた。

 

 

あれから暫くして無限ループに近い思考から脱出すると個性把握テストが終わっていた。

最終競技の持久走で思考の無限ループに浸ったままの私を兵士二人で担いで走ったそうだ。

 

ちなみに順位は2位だった。

最終的な順位は4位で終わった。

あと私の代わりにジェスチャーで赤髪のクラスメイト(切島くん)に謝ってくれた。有能かな?

 

この二人は、結構有能なようだ。あとで何か褒美をやろう。

 

「あっ、荷物みたいに担がれてた人だ!一緒に帰ろう!」

「あ、芦戸さん!

やっぱり一発殴ろう。

そう心に誓いながらクラスの女子達と一緒に駅に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイレ~イ!!どこなの~!!?」

未来火の事は完全に忘れていた。ごめん。




零華さんの機嫌が悪かった理由→生理中だったから。

気分が悪い理由→生理中だったから。

呼び出された兵士達→ギャグ要因。常にギャグ時空の影響を受けており零華が自害を命じても「死ぬかと思った~」で済ます。尚、戦闘力は一逸人クラス。

思考が無限ループした理由→前世、推しと結婚したい→でも相手は男。自分も男→転生後、推しの声を持った相手が男。自分は女→結婚出来るのでは?→しかし声だけで結婚するのはどうだろうか?→あれ?でも結構カッコいいぞ?→でも自分は精神的に男だし…→でも体は女だし…→でも…でも…でも……→以下無限ループ。

零華の本気→文字通りの本気。エネルギー消費速度が異常。その代わり超強い。具体的に言えば未来火の本気(0ポイントヴィラン戦での姿)と互角。

未来火→何故か一方的に蔑んだ目で見られ、入学式で出会えず、一緒に帰る約束をほっぽかされた可哀想な娘。(尚、後日ギュッ撫でしたら蕩けきった表情で許した模様。チョロい)


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第八話

どうもこんにちは。零華さんの最強技が思い付かない作者です。

とりあえずUSJ襲撃事件を早く書きたいので可能な限り急ぎます。
アンケートの結果によって零華さんがヴィラン相手に言うセリフや戦闘スタイルが変化しますので気が向いた時に投票して下さい。アンケートは、戦闘訓練が終わって委員長決めする時くらいで切り上げるのでそれまで遠慮なく投票して下さい。

さて今回は、コスチューム着用回です。最初の方は自宅での様子です。

では、どうぞ。ごゆっくり!


個性把握テストが終わった次の日、冷気家にて。

 

「レイレ~イ!!一緒に学校行こうー!!」

未来火が部屋に騒がしく凸ってぐっすりと寝ていた零華の布団を引っぺがし無理矢理起こした。

 

「んっ、んぅ…!」

「はぁ…えっろ

「ん…?」

未来火が何か呟いたようだが幸い零華には良く聞こえなかった。

 

「ふぁあ……おふぁよ。はむはむ…うーん…っ!」

寝起きの零華は、大きな欠伸をしてから背伸びした。

 

「ほらほら、起きて起きて!さっさと起きて学校行こうよ!!」

「うん…」

未来火が零華のクローゼットから雄英の制服を持って来る。

それを受け取った零華は、パジャマを脱いで制服を着た。

 

「変…?」

「ううん、似合ってるよ」

未来火の答えを聞いた零華は、部屋に置いてある櫛で髪を梳き髪をセットした。

 

「めがねめがね…」

大方の準備を終わらせた零華がアニメのように自分の眼鏡を探していると未来火が質問を投げかける。

 

「別に目が悪い訳じゃないのにどうして眼鏡がいるの?そのままでも十分綺麗なのに」

「………」

その質問に零華が目を見開いて「何言ってんだこいつ?」的な感情の籠った目で未来火を見る。

 

「はぁ…そうね。愚問だったわ。はい、眼鏡」

「……」

その視線を受けた未来火が降参したように両手を上げ制服と一緒に回収した眼鏡ケースを手渡す。

 

「ありがとう…」

ケースを受け取り取り出した眼鏡を装着しながら部屋の窓を開けてから食堂のある一階に降りた。

 

 

「あら?おはよう零華。未来火ちゃんもおはよう。いつもごめんね、朝ご飯食べて行かない?」

キッチンで朝食を作っていた零華の母である冷気 氷雨は、昨日零華が呼び出し何故か消えなかった二体の兵士達をパシリながらテーブルに朝食を並べていた。

 

「ありがとうございます氷雨さん。頂きます」

「いただきます…」

未来火が返事している間に零華はすでに座って食べ始めていた。

 

「……」モグモグ

「……」モッキュモッキュ

「えっと…美味しい?」

「「…」」コクッ!

黙々と食べている二人を見て氷雨が思わず質問すると二人同時に頷いた。

 

「そ、そう?なら良かった。冷斗は、まだ起きて来ないわね。ちょっと起こしてくるから食べ終わったら食器を片付けて学校に行ってね」

氷雨は、それだけ言って零華の弟を起こしに行った。

 

「「ごちそうさまでした」」

それから少しして朝食を食べ終えた二人が食器を片付けて二人で駅に向かった。

 

 

 

 

雄英高校登校二日目

 

今日から普通の授業が始まる。

 

雄英の教師は、皆プロヒーローなので授業を目当てに入学しようとする受験生もいる。

 

 

1.2限

 

英語

プレゼントマイク先生の授業。

 

 

「はい、じゃあ。この中で間違っている英文はどれでしょう?」

 

(((((普通だ!)))))

めっちゃ普通の授業なのである。

 

(クソ、つまんねえ…)

爆豪にとってはつまらない授業らしい。

 

(関係詞の場所が間違っているから4番!)

緑谷は、大真面目に受けている。

 

(関係詞の場所が間違ってるから4番…ここは恐らくテストに出るはず。覚えておこう)

零華も大真面目に受けていた。

 

 

3.4限の授業も終わり昼休み。

昼食の時間になり雄英の食堂で安価でありながら凄く美味しい料理が食べられる事で大人気だった。

 

「ざるそば…大盛り」

「はいよ!」

注文をの品を受け取った零華が席を探していると重箱を持った未来火を見つけた。

 

「未来火?」

「あっ、レイレイ!一緒にご飯食べよ!」

「えっ、うん…」

片手で5段以上の重箱を持った状態の未来火に引っ張られ席に着いた。

 

「チュルチュル…チュルチュル…もぐもぐ…ムフッ」

「はむっ!もぐもぐ…う~ん、おいひい!」

片や蕎麦を食べて片や重箱の料理を食べながら幸せそうな表情をしている。

恐らくこの二人の食事の時間を邪魔する者が現れたら地獄を見る事になるだろう。

 

 

 

 

昼も終わり午後の授業

 

昼ごはんを食べ終えた後の授業は一番眠くなる時間帯だが…誰も寝る素振りすら見せない。

 

その理由は今から始まる授業と担当の教師にある。

 

ガラッ!

(((((来たっ!)))))

 

A組のドアが勢いよく開かれそこから入ってきたのは…

 

 

 

「わ―――た―――し――――が―――」

 

「普通にドアから入って来た――!!」

 

「「「「「オールマイト!!!」」」」」

 

筋骨隆々の男No.1ヒーローオールマイトだ。

 

「すげーオールマイトだ!」

 

「一人だけ画風が違う!」

 

「本当に雄英で教師やってんだ!」

 

「あれは銀シルバー時代のコスチューム!」

 

A組のクラスメイトはオールマイトの教師姿に驚きながら各々の反応をみせる。

 

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作るのに必要な科目だ!1年を通して一番単位数が多いぞ?さっそくだが今日は…これ!」

そう言いながらオールマイトが持ってきた箱に手を入れて1枚のカードを取り出す。

そのカードには、『BATTLE』と書かれていた。

 

「戦闘訓練!」

「それに伴いこれだ!」

 

そう言うと壁の一部が突き出て番号の書かれたケースが合計21個出てくる。

「入学前に送って貰った個性届と要望にそって誂えたコスチューム!着替えたら順次グラウンドβに集まるように!恰好から入ることも重要なんだぜ?少年少女たちよ!自覚するんだ、今日から自分達は…ヒーローなんだってな!」

 

 

 

 

(おお…!ほぼ希望通りだ!)

女子更衣室でコスチュームに着替えるためケースに入った衣装を確認すると、そのほぼ全てが要望通りだった。

早速コスチュームに着替え始めるが何故か他の女子達に不思議な目で見られた。

 

何が変のだろうか?

対人戦や救出活動を予想して動きやすく、それでいて実用的な服コスチュームにしたつもりだが何かおかしいのだろうか?

とりあえず女性陣の視線を可能な限り無視しながらコスチュームに着替えグラウンドβに向かった。

 

 

全員がグラウンドβに集まり待機していた。

各々が自分の個性や戦闘スタイルに合わせコスチュームを調整し全員が特徴的な物だった。

 

その中に居る零華のコスチュームも中々に特徴的な物であった。

 

彼女のコスチュームは、キッチリとした白いスーツ。それも男性用のスーツである。

白いズボンを履き、白いシャツを着て、白い上着を羽織っている。さらに実用性を重視して足元に白い軍靴を履き両手には戦闘用の指ぬきグローブを付けていた。

さらに巨大な雪の結晶が刻まれた盾に二本の剣を交差させた紋章の描かれたマントを羽織っていた。そして口元を隠すために白いハーフフェイスガードを着けていた。

 

中々に強烈な格好だったが他のクラスメイト達も特徴的な格好だったので特に違和感なく受け入れらていた。

 

 

皆が自分達のコスチュームに満足しているとオールマイトが口を開く。

「さあ戦闘訓練のお時間だ!」

 

「先生!」

オールマイトの言葉に反応して騎士とロボットを合体させたようなコスチュームを纏った飯田が手を挙げて質問する。

「ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか?」

 

「いいやもう二歩先に踏み込む!」

飯田の質問にオールマイトが答える。

 

「敵ヴィラン退治は主に屋外で見られるが統計で言えば屋内の方が凶悪敵ヴィランの出現率が高いんだ。監禁、軟禁、裏商売!このヒーロー飽和社会…真の賢しい敵ヴィランは闇に潜む。君達には今から敵ヴィラン組とヒーロー組に分かれて屋内戦を行って貰う」

「基礎訓練もなしに?」

「その基礎を知るための実践さ!ただし今度はぶっ壊せばO.Kなロボじゃないのがミソだ」

 

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ぶっ飛ばしていいのか?」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」

「分かれるとはどのような別れかたをすればよろしいですか?」

「このマントヤバくない?」

オールマイトの説明に一気に質問が投げかけられる。

 

 

「う~ん…聖徳太子!」

一気に来た質問を捌ける筈も無く、懐からカンペを取り出し訓練の説明を始めた。

 

「状況設定は敵ヴィランがアジトのどこかに核兵器(張りぼて)を隠していてヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーロー側の勝利条件は時間内に敵ヴィランを捕まえるか核兵器を回収すること敵ヴィラン側の勝利条件は時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえること」

 

(((((設定がアメリカン…)))))

オールマイトの説明にA組全員が心の中で突っ込んだ。

 

 

 

「コンビ及び対戦相手はくじ引きで決める!」

「適当なのですか!?」

「プロは他事務所のヒーローと急増チームアップすることが多いしそういうことじゃないかな?」

「そうか、先を見据えた計らい…失礼いたしました!」

オールマイトの言葉に飯田が疑問を抱いたが緑谷の言葉で納得した。

 

「いいよ、早くやろう!」

 

 

そのままみんなくじを引き始めた。

ここで思い出して欲しい事がある。

 

今作でもA組は21人。

即ち奇数なので二人一組のチームを作った場合必ず誰か一人余る。

 

そして此度の結果は、こうなった。

 

Aチーム

緑谷&麗日

 

Bチーム

轟&障子

 

Cチーム

八百万&峰田

 

Dチーム

爆豪&飯田

 

Eチーム

青山&芦戸

 

Fチーム

砂藤&口田

 

Gチーム

耳郎&上鳴

 

Hチーム

蛙吹&常闇

 

Iチーム

尾白&葉隠

 

Jチーム

瀬呂&切島

 

Kチーム

冷気 零華

 

 

 

「………は?」

零華が一人という結果となった。

 

「では皆!先に行ってくれ!」

先にA組のメンバーをモニタールームに向かわせその結果に理解が追い付かない零華をオールマイトが手招きする。

「れ、冷気少女。ちょっとこっちに…」

「…?」

 

二人で端っこに移動しオールマイトがこそこそと事情を話し始める。

「…申し訳ない冷気少女。本来ならばB組の皇少女を相手にしようと思っていたんだ…だけどその事を根津校長と相澤君に相談したら、校長に10円ハゲが出来て相澤君が胃を抑えたまま倒れて二人共保健室に運び込まれてしまった。結果、君一人で戦闘訓練をして貰う事になったんだ…。訓練の目的として皆には、大人数での戦闘と圧倒的上位者との戦闘を学んで欲しいと思っている。君には、対大人数用の作戦を立てた上で迎え撃つ方法を学んで欲しい。…しかし入学試験の時に0ポイント仮想(ヴィラン)を倒したあの剣(氷獄の剣)による攻撃のように広範囲殲滅系の攻撃は禁止だ。訓練にならないし、何よりも危険だ。だから使うなら『氷の騎士』の召喚みたいなものだけにしてくれ。君も戦っていいけど出来れば対少人数用の技を使ってくれると助かる。もちろん君が小さくならずに出来る範囲で構わない。頼めるかい?」

「……」ムスッ

事情を説明された零華は、少しだけ不機嫌そうにしたがオールマイトの次の言葉に表情を変えた。

 

「あとで私のサイン挙げるから。あとツーショット写真も良いよ」

「…っ!」( ´∀`)bグッ!

提示された報酬に対して零華がサムズアップし了承した。

 

「ありがとう。では行こうか」

「…」コクッ

そのまま二人は、モニタールームに向かった。

そしてついに戦闘訓練が始まった。




解説.
零華が一人で戦う理由。

要約.
オールマイトに情報が届く→確認して絶句する→ベストな組み合わせが無い&まともな相手出来る人が居ない→未来火の情報を確認する→良いアイデアが思い浮かぶ→一応校長と相澤先生に相談するが怒られて変更→突然アイデアが降って来る→調整する→本人に相談←今ここ

次回は、普通に戦闘訓練です。
頑張って書きます。






リメイク前の作品を再リメイクしようかな?
では、また次回!


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第九話

なんとなくで思い付いた零華さんの最強技について友達に「どう?強そう?」と聞いてみたところ「五条悟かな?」と言われました。作者です。

その後、
「ちなみに消費エネルギー量は?」
「150万くらい?」
「wwwwwwww」
こんな会話をしながら今話を書きました。

感想下さい。
それでは、どうぞ。ごゆっくり!


戦闘訓練の組み分けと順番が決まり皆がヒーロー側とヴィラン側に別れ個性を使って訓練を始めた。

 

訓練中に緑谷が腕をバッキバキに折ってしまい保健室に運ばれた事以外、特に大した問題無く全員の順番が終わった。

全員自分の個性の弱点や応用方法を考えていると八百万がふと口を開いた。

 

「そう言えば…オールマイト先生。冷気さんの相手は、どうするのですか?」

八百万の質問は、オールマイトと冷気の会話を知らない者からすれば至極当然の疑問であった。

その質問は八百万だけでなくA組のクラスメイト達が全員聞きたかった事でもある。

 

「うん、それについてだけど…。今から君達全員に彼女の相手をして貰う。19対1の戦闘になるが了承して欲しい」

「「「「「はぁあああああああっっ!!!!?」」」」」

オールマイトの言葉にA組の全員が驚愕の声を上げた。

 

「オールマイト先生!どういう事か説明して下さい!!」

「そうですよ!19人対1なんてまるでイジメじゃないですか!」

「いくら零華ちゃんが入試次席だからってやり過ぎよ」

そしてオールマイトに対しクラスの半数以上が抗議の声を上げるが、一部は黙ったまま見ていた。

 

「落ち着いて聞いてくれ。今回の訓練の目的は、大人数での集団行動と圧倒的強者との戦闘方法を学ぶ事だ。冷気少女には、対大人数との戦闘で相手を無力化させる方法を学んで貰う」

オールマイトが訓練の目的を説明した。

だがそう簡単に納得出来ない。先ほど声を上げていた者達が再び反論しようとした。

 

「…オールマイト」

だがそこに先程まで黙っていた轟が口を挟む。

 

「その言い方だとこいつ(零華)が俺達全員を一度に相手に出来ると言う事になる…それは事実か?」

轟がオールマイトに投げ掛けた質問は、一気に話の確信を突いた物であった。

もしもオールマイトが言っている事が事実であれば零華の強さが今この場に居る全員を一度に相手取る事が出来るだけでなく、その上で訓練として成り立たせる事が出来る程強大な物だと意味する。

 

「ああ、事実だ」

そしてオールマイトは、それを何の躊躇いもなく事実だと認めた。

 

「「「「「……っ!!」」」」」

オールマイトの言葉にA組の生徒達は、驚きを隠せなかった。

「で、でも…」

だが、その中で飯田だけが言葉を紡ぐ事が出来た。

 

「もし仮にそれが事実だったとしても一人で戦わせる事は許されません!本人の了承を得た上で誰かとペアを組ませるべきです!」

「飯田少年…うん、それもそうだね。なら少しルールを変え「大丈夫…」零華少女?」

飯田の言葉にオールマイトが押されルールを少し変更しようと検討し始めた時、今まで黙っていた零華がオールマイトの肩に手を置いて口を開いた。

その声音は、落ち着いていた。とてもクラスメイト全員を相手にする者が出す声とは思えない物であった。

そしてそれに続く言葉は、普通の精神をしていれば絶対に口に出来ない(こと)であった。

 

「私…超強いから」ニヒッ

零華の言葉は、A組全員を同時に相手にしても問題ないと公言する傲慢で自信に満ち溢れた物であった。

それだけならまだしも人を馬鹿にしたようなニヒルな笑み(ハーフフェイスガードのせいで良く見えない)を浮かべてA組の全員を見た。

 

「……ほう?」ブチッ

「あ゛ぁ?」ブチンッ!

「冷気君…それはつまり?」

その言動はA組の全員を敵に回すのに十分な言動であった。

 

「…?」

だが当の本人は自分の言った事の意味を分かっていなかった。

 

「で、では始めてみよう。冷気少女には、対策を立てる5分の準備時間がある。皆も戦闘の準備をしてくれ」

それを見たオールマイトは、少し焦りながら設定が書かれた書類と小物を零華に持たせて先に向かわせた。

そして今回の訓練の設定を説明し始める。

 

設定はこうだ。

とある街に潜伏したヴィランが所持する計画書(仮)を奪取、若しくはヴィランを捕縛する必要がある。だが捕縛対象のヴィランもこちら(ヒーロー)側の情報を得て逃亡準備を進めている。

そのため相手が逃亡する前に手を打つ必要がある。なのでヴィランを捕縛するため少数精鋭(A組)で捕縛しに行く事になった。

という設定だ。

正直設定が先ほどよりもアメリカンになってるが気にしたら負けである。

 

お互いの勝利条件だが、

ヒーロー側の勝利条件は、ヴィランを捕縛するか計画書を奪取する事。

ヴィラン側の勝利条件は、制限時間までヒーローに捕まらず計画書を奪われない事。

である。

 

 

一人でクラスメイト全員の相手にする事になったが…別段問題は無い。

対大人数戦闘は、未来火との訓練で慣れている(勝ったことは無い)。

ちなみに私が大人数側で戦っても勝ったことが無い。あの殲滅力に対抗する方法は…一つしかない。ただし消費エネルギー量があれ(・・)を除けば一二を争うほどに多い。

 

今回の相手は、クラスメイト達だ。

今現在のエネルギー残量は、1500。エネルギーは、1秒に1回復する。ただしそれはエネルギー残量マイナスになってしまった場合の話だ。

エネルギー残量が0を下回った場合自動的に回復する。残量がマイナスから0に戻ると回復はそこで止まる。

0から回復する事は絶対に無い。深夜0時を超すと自動的に1500回復するが限界値を越えた回復はしないし、マイナス値が大き過ぎると回復しても大して意味が無い。

 

まぁ、それは今どうでもいい。

クラスメイト全員を同時に相手して勝つ方法を考えなくてはならない。

 

「まず…氷人形(アイスドールズ)・モデルコックローチ」

初手は、数の暴力。

モデルは、アブラムシ…要するにゴキブリだ。

これ等は、1000匹で1セットだ。1000匹召喚して消費エネルギーは、たったの1。今回の召喚でエネルギーを1499消費した。

即ち今回の召喚で呼び出せたゴキブリ型氷人形の数は、149万9千匹。そしてこれ等を吸収してエネルギーを回復させる事は不可能だ。

 

氷の騎士団(アイスナイツ)×5」

次に護衛用の氷の騎士を5体呼び出す。

 

「縮む~」

一体につき消費エネルギーが50のためデメリットが強制的に発動した。

これでエネルギー残量が-249になった。

 

アイス(氷の)…コフッ!」

さらに召喚しようとしたが一度にエネルギーを消費しすぎたため少し咳き込んでしまう。

ただでさえ体が怠いのに消費エネルギーが多過ぎて余計だるくなる。

 

「ケホッ!ゴホッ!…ふぅ。氷獄の奥底に封印されし氷の剣よ…偽りの姿を成して我の前に顕現せよ」

胸に手を当てたまま詠唱をすると『原初の氷剣』と瓜二つの剣が現れる。

 

原初の氷剣(小)(ミニゼロカリバー)…」

その剣を胸から引き抜て近くの建物に向かって歩く。

 

「最後の仕上げ…」

左手に氷の盾を作り出し、それを背中に担いで建物の前に立って氷の剣を地面に突き立てる。

 

「今ここに顕現するは我が世界。我が領土。我が絶対の領域。支配者たる我が名において命令す…ゴフォッ!」

エネルギーの消費速度に弱体化した体が負荷に耐え切れず詠唱の途中で吐血した。

 

ペロッ

「…不味い」

口元の血を舐め取り詠唱を再開させる。

 

「命令する。我が世界よ…この地に顕現せよ!氷の領域(アイスフィールド)・最大解放!」

詠唱を終わらせると同時に地面に突き立てた原初の氷剣(小)から地面が凍って行き、やがて演習場の全てが氷で包まれる。

 

「ふぅ…!ふぅ…!」

技を使い終えると同時に両膝を着くが手に持った剣で無様に這い蹲る事を防いだ。

弱った体でのエネルギー大量消費は、やはり堪える。

オールマイト先生に無理しないで良いと言われたがクラスメイト全員が相手だ。手加減してる余裕なんて無い。

 

最後の一手でエネルギーが一気に4500も減った。

これだけで回復までに75分掛る。誰か来るまでに可能な限り回復させたい。

訓練時間は、15分。

 

(まぁ…頑張るしかないか)

ポケットからエネルギー回復用アイテムを取り出しクラスメイト達を待ち構えながら氷人形達に指示を出す。

「全隊…突撃準備」

それを合図に全てのゴキブリ型氷人形が動き出した。

 

 

零華がA組のクラスメイト達を迎え撃つ準備を進めている間、当のA組も準備を進めていた。

 

「それで…誰か作戦はあるかい?」

「「「「「………」」」」」

飯田の質問に誰も答える事が出来なかった。

 

「んな面倒な事を考えずに真正面から突っ込んで計画書を奪えば良いだけだろ?」

そんな中、爆豪が口を開き提案する。

「真正面からか…漢らしくていいじゃねえか!!」

「いや、駄目だ」

その意見に切島が賛同するが直ぐに否定される。

 

「では…10人と9人ずつ、二つの班に分かれて二か所同時から奇襲を仕掛けるのはどうでしょう?」

「奇襲?」

八百万の出した提案に誰かが疑問の声を上げる。

 

「はい、奇襲です。いくら複数の騎士(?)を召喚出来るとは言え、流石にこの数を同時に相手にする事は出来ないはずです。いつの時代も数の暴力と言うのは強力な物ですわ。彼女は一人で、こちらは19人。半分が彼女を引き付けている間にもう半分が計画書を奪えば簡単に勝利出来ます」

その質問に八百万が自分の作戦を説明する。

 

「なるほど…悪くない案だ。良し、ならそれで行こう。みんなもそれで……寒い?」

八百万の提案に飯田が納得し、他のクラスメイト達に了承を得ようとした時………周囲の温度が急激に下がった。

 

 

「なっ!」

「こ、氷!?」

「やばい!温度が一気に下がった!」

「みんな気を付けろ!」

八百万の作戦を嘲笑うかのように周囲の建物が凍って行き、完全に氷の世界となる頃には温度が2度まで低下していた。

 

『作戦タイム終了!!訓練スタート!!』

その直後オールマイトが訓練開始の合図を出した。

 

 

ドドドドドドドドッ…

その数秒後、大きな地響きと共に巨大な波が押し寄せた。

 

「なんだ…あれは?」

誰かの呟きに応えるかのように、それ(・・)が姿を現す。

 

それ(・・)は、圧倒的な数の暴力。

 

それ(・・)は、人間の精神的嫌悪感を直接刺激する昆虫。

 

それ(・・)の名は、ゴキブリ。

 

人類誕生の遥か昔に存在していた生き物の大群。

 

その数、実に149万9千匹。

19人の個性所有者と言う数などまるで意味を成さない圧倒的な数の暴力。

それが互いを踏み潰しがら巨大な波となりA組に襲い掛かった。

 

 

戦闘訓練は…始まったばかりである。




解説.

氷人形(アイスドールズ)・モデルコックローチ
消費エネルギー1でゴキブリ型氷人形を1000匹生み出す技。
相手の精神にダイレクトアタック!
今回の消費エネルギー.1499

氷の騎士団(アイスナイツ)
入学試験の際に使った氷の騎士を呼び出す技。
一体につき消費エネルギー.50

原初の氷剣(小)(ミニゼロカリバー)
原初の氷剣の10分の1のエネルギー消費で召喚する氷の剣。
召喚時に溜めたエネルギーを放たない限りエネルギーを消費しない。
その代わり鈍器としては優秀。
消費エネルギー.120~600

氷の領域(アイスフィールド)・最大解放
最高出力の氷の領域(アイスフィールド)
演習場全てを凍り付かせるほどの氷を一度に生み出せるがその分エネルギー消費が激しい。
消費エネルギー.4500(上限値)

氷による武器の作成
氷で武器を作り出す能力。
作り出せるのは、自分が見た事のある武器のみ。
消費エネルギー.
小型武器(ナイフ等).1~5
中型武器(拳銃や剣など).6~10
大型武器(バスターソード、ガトリングガン、大槌、大砲など).11~50
超大型武器(斬艦刀や戦艦、艦載砲など).100~500

尚、本人は煽る訳では無くクラスメイト達を心配させないために素で安心していいと言っただけです。

それと本人は、未来火との模擬戦を基準値として一切遠慮なく油断せず本気で戦っています。
これも全て基準を上げた(すめらぎ) 未来火(あすか)って奴が悪いんだ。

それでは、また次回!


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第十話

読む前の注意点.
今回の零華さんは、割と本気だし敬意を表してるし未来火との訓練を基準値として戦闘しているので物凄い事になっています。

いえ、違うんです。
ちゃんと良い勝負にしようと思ったんです…でも、「あれだけチート性能持ってるのにA組相手に苦戦するってどうなの?USJ編との差があり過ぎない?」って言われたらこんな事になっちゃうんですよ。
USJ編では、ガチ本気出すし今回はこの程度で許して下さい。

あと今話は、零華サイドになっています。
次話がA組とオールマイトサイドになります。

では、どうぞ。ごゆっくり!


(そろそろかな?)

オールマイト先生の合図に合わせゴキブリ型氷人形を一斉にクラスメイト達に向かわせた。

 

今回私が建てた作戦はこうだ。

①ゴキブリ型の氷人形を149万9千匹作成しクラスメイト達を襲わせる(必要とあらば援軍を出す)。

②それを突破して来た者を氷の騎士団(アイスナイツ)の五体に相手させる。

③それも突破した者(恐らく一人か二人)を私が相手取る。

と三つの過程に分けた簡単な作戦だ。

 

だが問題は、私の想定している以上に人が来た場合作戦が崩壊する事だ。

もしそうなれば私が捕まり計画書を奪われる。

つまり完全敗北してしまう。それだけは許されない。

 

「…」ギリィ!

剣を握る両手に力が籠り正面の道を睨みつける。

 

「我ガ主ヨ…」

「…?」

剣を握った私の肩に氷の騎士の内の一体が手を置いて話し掛けて来た。

 

「モウ少シ肩ノ力ヲ抜イテ下サイ。力ガ入ッテイテハ戦エマセン」

「…」

氷の騎士の言葉に少し心を落ち着かせる。

そうだ。確かにその通りだ。力み過ぎたら己の全力を発揮出来ない。

せっかくクラスメイト達全員が相手になってくれているんだ。「力み過ぎて全力が出せませんでした」では面目が立たない。

ちゃんと力を抜いて未来火といつもやってる対大人数戦を参考にして順序に従って攻めよう。

 

「…作成」

まずは、エネルギーを1消費してゴキブリ型氷人形を1000匹追加投入。これで氷人形の数が150万匹になった。

 

「追加作成…850万」

近くの建物を5棟を解体しゴキブリ型氷人形を大量に作成した。

この手段は、氷の領域(アイスフィールド)を使って周囲を凍らせた上で近くに誰も居ない時にのみ使える強行手段。

凍らせた事で私の支配下に置かれた建造物を別の物に作り変えて作成するのでエネルギーを一切消費しない超お得な手段だ。

まぁ…未来火相手に使ってもがほとんど意味ないけど。

しかし今回は、運良く使える。周りに誰も居ないし無人の建造物が大量にあるしで非常に都合が良い。

 

「第二波…」

右手を頭上にゆっくり掲げると新たに召喚した氷人形達がまだかまだか、と蠢いている。

その様子に小さく息を吐き、右手を振り下ろして命令を下す。

「…蹂躙せよ!」

命令を下すと同時に850万匹のゴキブリ型氷人形が我先にとクラスメイト達に向かって一斉に走り出す。

 

今回と先程の氷人形達に与えた命令は、どちらも『熱を持つ物を攻撃せよ』だ。

私以外に熱を持つ物は何も無い。氷の騎士は文字通り氷で作られているし周囲一帯は、氷で覆われている。

先程の氷人形達の攻撃を波に例えるなら、今回の攻撃は大津波や雪崩等の大災害と例えられるだろう。

もし仮に149万9千匹の氷人形達による攻撃を防ぎ切ったとしても第二波の850万匹の攻撃を防ぐのは…100%不可能だ。

 

オールマイトのような圧倒的パワーやエンデヴァーのような圧倒的火力があるなら話は別だ。

それなら突破する可能性があるがクラスメイト達の訓練の様子を見た限り、あの波状攻撃を迎え撃つ術は無い。

 

「あむ…モグモグ」

少しだけ安心して胸ポケットから牛脂ブロックを取り出し口に含む。

 

「うっぷ…不味い」

やっぱりこの味に慣れない。

マイナスになってしまったエネルギーを回復させる方法。それは、カロリーを摂取する事。

一番手っ取り早いのがカロリー値が100gで941らしいこの牛脂ブロックだ。

だからカロリー値の高い動物性油脂(ラード)を口に含めるとその分エネルギーが回復する。

本当ならカロリーメイトとかを食べてエネルギーを回復させたいが贅沢も言ってられない。

エネルギーを回復させながら氷人形達に新たな指示を出す。

「囲って襲え…厚さは均一に」

新たに指示を出し終えてまたラードを口に含める。

やはり慣れない…。

 

あれから10分くらい経った。

勝利は確定したも同然だ。

もう心配する必要は無い。

 

「…」

そうだ…無いはずだ…。

だが、何故こうも不安感が残るのだろう?

何か重要な事を忘れている気がする…あの総攻撃を一点突破する術を誰か一人だけが持っていた。

(それは確か…)

 

 

BOOM!!

 

 

そこまで考え至ると遠くで大爆発が起こった。

 

「……」

そうか…単純な話だ。

爆豪が緑谷を相手に使った汗腺から分泌されたニトロのような汗を大量に溜め込み一気に放出する事で起こす大爆発。

確かにあれなら一点突破出来る。

爆発した後は、空気が温まり氷人形達もそこに集中する。

即ち…防御が極端に薄くなる。

そこを全員…とまでは言わないが少数精鋭で突破すれば彼らを止める方法は、もう無いはずだ。あれだけの氷人形達を向かわせたから私が一人で待ち構えている。

そう思っているのだろう。残念ながらそうじゃない。

 

私の護衛に氷の騎士が五体が完全装備で待ち構えているし何よりも…氷の領域(アイスフィールド)内は、全て私の支配下にある。

そう簡単にここまで来れるとは思わないで頂こう。

 

「……行け」

『ハッ!』

私の命令を受けた氷の騎士達が行進を始める。

氷の騎士(アイスナイト)一体の戦闘力は、最低でも一般のプロヒーローとほぼ同等だ。

それを五体。簡単に突破される奴らでは無い。

 

しかし相手がトゲトゲ頭(爆豪)紅白頭()赤髪(切島)、耳郎さん、麗日さんの五人だったら危ない。

特に麗日さんは、触れば強制的に無重力状態にするので天敵と呼んでも過言ではない。

トゲトゲ頭(爆豪)は、火力。

紅白頭()は、範囲攻撃。

赤髪(切島)は、硬化による攻撃が単純に効く。

耳郎さんの音による攻撃も氷で作られた氷の騎士相手だと効果抜群だ。

 

氷の騎士達に連絡を取る手段があるがその間、彼らは無防備になる。流石に戦闘の邪魔をする気は無い。

だが、手助け程度ならしても大丈夫だろう。

先程も言ったが氷の領域(アイスフィールド)内は、全て私の支配下にある。

つまりどういう事かって?簡単な事だ。

 

「スゥー…ふっ!」

原初の氷剣(小)(ミニゼロカリバー)を地面に突き刺し両拳を顔と胸の前で構えて、息を吐きながら右の拳を振り上げると凍った地面から巨大な氷の拳が飛び出した。

 

これが私の領域内での戦い方。相手が接近して来ようとするなら近づく前に叩き潰す。

拳を振れば拳が、足を振り下ろせば足が、武器による攻撃をすれば武器を持つ腕が周りの建造物を変化させ攻撃する。

全ての攻撃が必中…とまでは行かないが的中率が上昇する。

更に単純な一撃の大きさと重さも上昇するのでほぼ防御不可能だ。

 

ちなみにこの氷の領域(アイスフィールド)内で私の攻撃を防ぐ手段は、基本的に二つしかない。

一つ目は、攻撃を仕掛ける私を倒す事。

しかし近づけないのであれば意味が無い。

 

二つ目は、攻撃の直前に変化する場所を見極めて先に避ける事。

こっちの方がまだ現実味がある。

 

だが未来火は、強制的に三つ目の手段を作った。

三つ目の手段。

それは…この氷の領域(アイスフィールド)そのものを破壊する事。

普通に考えれば不可能だ。だが未来火は、3人に分身して『炎帝』、『カイザーフェニックス』、『火遁・業火滅却』の同時使用で無理矢理攻略した。

しかもその直後に私の顔面を力一杯殴りに来る余裕まで持っている。本当に意味分からん。

 

「ハァッ!」

ズズウウゥゥン!!

叩き付けるように手の平を突き下ろすと近くの建物が巨大な手に変化して一気に叩き付けられる。

 

「………」

二回も巨大な手による攻撃をした。

大抵の相手はこれで済むはずだ。

しかし相手は、天下の雄英のクラスメイト達だ。

一切の油断が出来ない。

 

「ふぅ…」

両手を頭の上で組んで一気に振り下ろす構えを取る。

振り下ろそうと両腕に力を込めた所でオールマイト先生の声が響き渡った。

 

『ヒーローチーム全員戦闘不能!ヴィランチームWIN!!』

「………は?」

その声に困惑したのも束の間、オールマイト先生に渡された小物の中に混じっていた通信機から声が聞こえて来た。

 

『冷気少女、決着だ。すぐにあの騎士達とゴキブリ型氷人形達を解除しこちらに戻って来たまえ。これ以上何もしないで良い』

「…はい」

返事を返しオールマイト先生の指示通りに全てのゴキブリ型氷人形と氷の騎士を強制的に解除する。

 

「…」

(どう言う事だ?何故…)

疑問に思いながら、まだ崩壊していない氷人形達と視界を共有すると動けなくなっているクラスメイト達15人と氷の騎士達の近くに倒れ伏すクラスメイト4人を見つけた。

 

「そう…終わったのね」

倒れ伏すクラスメイト達を確認して装備を全て解除。

氷の領域(アイスフィールド)も解除しラードを口に入れてモニタールームに向かって歩く。

 

「コホッ!コホッ!」

(ああ…怠い)

エネルギーの大量消費と元々の体調不良で咳き込みながら内心文句を言う。

 

その後、オールマイト先生に戦闘に対する評価と指摘を受けて授業が終了した。

クラスメイト達は、軽い低体温症に陥っていたが特に心配ないとの事だ。

一応全員に謝ったら何故か爆豪と轟が青筋を浮かべながら睨んで来た。

なぜだろう?意味が分からない。

意味が分からないまま帰った。

 

 

 

「ラーメン食べたい…」

帰り道、近くのラーメン屋に立ち寄った。

 

「大将…」

「おお!決まったかい嬢ちゃん!」

「すぅー…豚骨ラーメン大盛り、油マシマシ、太麵、麺固め、野菜マシマシ、替え玉2玉。トッピング、チャーシュー5枚、味玉2玉、メンマ4枚追加。最後にチャーハン大盛りを二皿下さい」

「お、おう…。喜んで!」

注文をし終えるとラーメン屋の四本腕の大将が少し戸惑った様子だったがすぐに注文を受けてくれた。

 

「へいお待ち!ラーメン大盛り油マシマシ、太麵、麺固め、野菜マシマシ。トッピングでチャーシュー5、味玉2、メンマ4追加。替え玉2玉は麺を食べ終わった後。それとチャーハン大盛り!ゆっくり食べな!」

「ありがとうございます…」

注文の品を全て受け取り食事を始める。

 

「…うん、美味しい」

「いっぱい食うんだな…」

普通に食べていたら大将が顔を引き攣らせながら嬉しそうにしていた。

この一食のおかげでエネルギーがマックスまで溜まった。

帰り際に「今度はデカ盛りメニューにチャレンジして行ってよ!」と言われた。失礼な人だ。




ええ…まあ…はい…。
圧勝でしたよ…1000万匹のゴキブリ型氷人形(凄い勢いで増える)が迫って来て対応出来るヒーローなんてオールマイトくらいしか居ないでしょ。
緑谷もデコピンスマッシュや普通のスマッシュを使えば何とかなるけど…他クラスメイトは無理です(断言)。
それに壁や地面から突然巨大な手が襲ってくる攻撃なんて不意打ちにも程がありますよね。

まぁ、未来火相手だと10秒しか足止め出来ませんけどね?
ケッ!クソチートが…。

では、また次回!


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第十一話

遅れてすみません。
少し忙しかったので投稿が遅れました。

少し急いだので最後が雑になってますが許して下さい。
今回は、戦闘訓練のA組&オールマイト視点です。

では、どうぞ。ごゆっくり!


A組の面々が全員で零華の相手をすると知った時、各自どのような反応を示したのだろう?

 

ある者は、この訓練内容を考えたオールマイトに怒りの矛先を向けた。

ある者は、全員の相手をする事になった彼女を哀れんだ。

ある者は、その訓練を防ぐために反論した。

ある者は、驚愕のあまり何も出来なかった。

ある者は、オールマイトにそれだけの期待を寄せられている彼女を警戒した。

ある者は…とにかく全員が何かしらの反応を示した。

 

そんな彼らに零華が「大丈夫」と言った。

最初は、自分達を心配させない為に無理して安心させようとしていると考えた。

だがそれは違った。彼女が次に言った台詞は「私…超強いから」だった。

始めは誰もが何かの冗談か聞き間違いだと思った。

だが彼女の自信満々の顔とふてぶてしい態度。そして何よりも全員を見定めるような視線と人を馬鹿にしたような笑み(素の笑顔)。

それらが合わさり彼女が本気だと理解出来た。

 

そして自分達は嘗められている事も理解した。

それならばと全員で相手してやろうと考えた。

それから少しして頭が冷えた。

全員で一斉に攻め込むのはどうかと考え八百万が提案した作戦で奇襲を仕掛ける事になった。

 

そこまでは良かった…問題はその後に起こった。

作戦も確立し後は、訓練の始まりを待っていると突如として周囲の温度が一気に下がった。

それだけならまだ良かった。

温度の低下に合わせて周囲一帯が完全に凍り付いていた。

 

『作戦タイム終了!訓練スタート!!』

その直後にオールマイトの訓練開始を知らせる声が響いた。

 

 

そして…今に至る。

 

「なんだ…あれ?」

 

ドドドドドドドドドッ…

誰かの疑問に呼応するように零華の仕掛けた攻撃がA組に迫る。

 

初手から全力。

零華の召喚した149万9千匹のゴキブリ型氷人形による進撃は、巨大な波と化しA組に襲い掛かった。

 

「ひっ!」

「ゴ、ゴキブリ!?」

「とんでもないな!」

「予想以上の数だ!」

「倒しきれんのか?これ」

「無理だろ!?」

「おっしゃああ!やるぞ!!!」

弱音を吐く者も居れば気合を入れる者も居る。

 

「クソが!」

「やるしかないみたいだな!!」

「気合入れろ!」

「全員!散会せずに円陣を組め!ここで迎え撃つぞ!」

「なるほど…彼女がギャラルホルンの担い手だったか」

「チッ!右だけで勝てるか?」

「なめんじゃねぇぞ!!」

全員が覚悟を決めて、飯田が指示を出す。

 

 

直後、両陣営が衝突した。

 

「「うおおおおおおお!!」」

「「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」」

切島が自信の拳を硬化させ砂藤がシュガードーピングを行い二人で巨大な波に対してラッシュを始めた。

 

「オラー!これでも食らえ!!」

峰田が一心不乱にモギモギを千切って投げまくる。

 

「ダークシャドウ!」

『アイヨ!』

その横で常闇が氷人形達の波で影になった影響でパワーアップしたダークシャドウで攻撃を仕掛けている。

 

「キラッ☆」

「ええーい!」

別の場所では青山がネビルレーザーを発射し、芦戸が両手から酸を出して飛ばす。

 

「ハァッ!」

「せいっ!」

飯田が氷人形の大群に加速による蹴りを放ち、尾白が尻尾に打撃を放っている。

 

「はああ…100万ボルトォォオオ!!」

「何やってんだよバカ!って、効いてる!?」

上鳴が氷人形の集団に突っ込み一気に放電しバカになった。

その時発生した電熱で数千体の氷人形が溶かされた。

一方の耳郎もコスチュームの機能で心音を増大させ氷人形を大量に破壊している。

 

「おりゃ!クソ!全然減らねぇ!」

「文句言う暇があるなら少しでも倒せ!」

瀬呂がテープを飛ばし数体を拘束し衝突させて、その隣で障子が複製腕で数体を握り潰し殴るを繰り返している。

 

「クソが!倒しても倒しても全然減らねぇぞ!!いつになったら全部死ぬんだ!?」

「クッ!このままだと…左も使わなければならないのか!?」

爆豪も連続で爆発を起こし数百体単位で倒している。轟も巨大な氷塊を作り出し氷人形の足止めや破壊を行うが氷塊の隙間や周りの建物から侵攻を続けた。

 

「……!」

「えいっ!えいっ!ああ、もう!全然減らないし寒くなって来たよ!」

「ケロォ…」

「おりゃあ!蛙吹ちゃん大丈夫!?」

口田と葉隠が取りこぼしの氷人形を踏み潰すが気温が低下したままなので動きが鈍くなっている。

蛙吹もその空間内で急激な気温低下により動けなくなっており麗日が瓦礫を投げつけ破壊しながら蛙吹の下に近づいた。

 

「皆さん!火炎放射器を作りました!これでどうにか…!」

八百万は、火炎放射器を作り出し数千単位で氷人形を溶かしていく。

 

各々が自分に出来る戦い方で応戦しているため大乱闘となっている。それでも善戦していた。

善戦出来ていた理由として「質より量」の精神で大量生産された氷人形の耐久力は、せいぜい本物と同じかそれ以下。

その程度の耐久力しか持たない氷人形の総攻撃は、A組相手だとただの足止めにしかならなかった。

150万体近くも居る氷人形による数の暴力もA組の前では無意味だった。

 

…そう思われた。

氷で作られたゴキブリ型の人形は、戦闘相手の体温を奪い身体機能を低下させていた。

しかし無限と思われる敵の数も本当に無限と言う訳ではない。

破壊した氷人形の数が120万を超えた辺りで僅かに希望が見える。

 

「よし!あと少しだ!」

飯田が残りの数を確認して声を上げた。

その僅かな希望すらも打ち砕くように再び地面が揺れ始める。

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

先程とは比べ物にならない振動が起きる。

 

「なんだ!?」

「今度は何なんだ!?」

その振動に数人が戸惑いの反応を見せ周囲を見渡す。

 

「は、ははっ…」

「なんだよ…あれ?」

そして見つけた。

否、見つけてしまった。

 

先程の氷人形による攻撃がお遊びに感じる程の数。

圧倒的物量。先程とは比べ物にならない数の暴力

先程の氷人形による攻撃を波と例えるなら今回の攻撃は、大津波と例えるべきだろう。

それほどまでに桁違いの物だった。

 

一度目は、周囲の建物や障害物を可能限り避けながら迫った攻撃。

それが二度目になると周囲の建物や街頭、駐車されている車など全てを巻き込んで迫って来る。

もはや気合や根性で如何にかなるレベルを遥かに超えていた。

 

周囲の建物を崩壊させ増殖しながら迫るゴキブリ型氷人形の数は、零華が設定した850万匹を優に超えて既に3000万に到達する勢いだった。

その光景を表すのであれば…夜の帖が下りるような光景だった。

 

「ッシャオラアアアアアアアア!!!」

誰かが気合の雄叫びを上げると同時に3000万を越した氷人形達が全方位からA組を襲った。

 

 

 

零華とA組の戦闘訓練をモニタールームで見ていたオールマイトは、顎に手を当てながら困ったように唸っていた。

「う~ん、まさかこれほどとは…予想以上としか言えないね」

 

オールマイトの予想では複数の騎士を召喚して足止めを行っているうちに零華が逃げると思っていた。

街一つ分の演習場をフィールドとして使えるのでそれが定石だ。

だが実際はどうだ。演習場全てを凍らせた上で何処にも逃げず、その場に留まり100万を超すゴキブリ型氷人形を召喚して一方的に攻めている。

 

あの圧倒的なまでの数の暴力は、自分でもかなり苦戦するだろう。

周囲の気温を低下させ身体機能と体温も低下させながら圧倒的物量で攻め込む。

プロヒーローでも手を拱くだろう。

もし仮に彼女が(ヴィラン)…それもオール・フォー・ワンの手に堕ちたら一体どれ程の被害が出るだろう。

100や200では済まない。恐らくその気になれば1000や2000…果ては街一つを滅ぼす事も出来るかもしれない。

 

「いや…それは無いな」

そこまで考え至って首を振る。

今も更に大量の氷人形を召喚してるが一向に悪意が見れない。

ヴィランに成る可能性を持つ者は、心の何処かに悪意を隠し持っておりそれは自分より弱い者と戦う時にそれが見え隠れする。

だが彼女にそれが無い。

彼女の目からは、A組に対する警戒、恐怖、焦り、期待感そして敬意が感じ取られる。

 

それを見て少し安堵すると同時にA組の行動に目が行く。

画面の中では痺れを切らした爆豪が緑谷との戦いで見せた超高威力の爆発でA組を包囲していた氷人形の巨壁に風穴を開けた。

そして氷人形達は、与えられた命令に従い強制的に温められた空気にお互いを潰し合いながら突撃した。

 

その間を潜り抜けるように爆豪、轟、飯田、切島が抜け出る。

その直後、五体の氷の騎士と接敵した。

「ふぅむ…火力、殲滅力、スピード、耐久&パワーを選んで突破したか。確かにさっきの氷人形達を見れば誰でも破壊を重視して考えるだろう。しかし…それは悪手だね。五人の実力者(氷の騎士)を相手に少人数で戦いを挑むのはあまり褒められないな。まぁ、それも後で教えるとしよう。…零華少女はちゃんと手加減出来るだろうか?」

A組の行動を褒めながらもしっかりと反省点を探り当ててる所を見るとオールマイトもしっかり先生してるというのが分かる。

最後に零華が手加減するかの心配をしながら通信機に手を掛けた。

 

 

 

 

爆豪達が氷人形の大波を突破して待ち受けていた者は、五体の氷の騎士(アイスナイト)だった。

それぞれが最低でも一般のプロヒーローと同等程度の実力を誇り、人間らしい感情を一切持たず敵を屠り(零華)の為に命を使う事を至高の喜びとする狂人。

しかも氷の領域(アイスフィールド)内であれば無限に復活する再生能力持ち。それが五体。

軽く言って絶望である。

普通のプロヒーローでも大苦戦する氷の騎士を相手に爆豪達は接戦を繰り広げていた。

 

氷の騎士の攻撃を間一髪で躱し爆発による攻撃を仕掛ける爆豪。

その攻撃をギリギリで躱し兜を少し破損させながら剣による攻撃を行う氷の騎士。

お互いが並のプロヒーローを上回り実力が同等だからこそ起きる互角の勝負。

まさに世紀の名勝負と呼んでも差し支えない戦闘と化していた。

 

轟の相手をしている氷の騎士は、一体。

両者が睨み合っていたが氷の騎士の一体がいきなり駆け出した事で静かな均衡が崩れた。

駆け出した氷の騎士がどこからともなくハルバードを取り出し振りかぶる。

「くっ!」

既に個性の使い過ぎで体温が著しく低下している。

その状態で更に氷の個性を行使した事で体温が低下し身体能力が低下してしまい戦闘力も落ちていた。

それでも大規模の氷塊を作り出す事で何とか互角の勝負を繰り広げている所は流石と言うべきだろう。

 

飯田と切島の相手は三体の氷の騎士。

背中合わせの二人を相手にそれぞれが大剣、双剣、大盾を構えてじりじりと滲みよっていたが切島が大剣を持つ騎士に突っ込んだ。

「オラァ!」

切島が本気で硬化させた拳が大剣を持つ氷の騎士にめり込み氷の体を破壊した。振り向きざまに大盾を持つ騎士に蹴りを放つが防がれる。

「ハァッ!」

切島の攻撃を受け止めた騎士の隙を突き飯田が頭部に加速させた蹴りを食らわせ頭を砕く。

その二人が攻撃後に隙を晒した直後、双剣使いの騎士が攻撃を仕掛けるが硬化した切島の腕で砕かれた。

 

『!?』

自分の得物が簡単に破壊された事に騎士が驚いていると切島のパンチと飯田の蹴りが胸部に炸裂した。

周囲に鎧の破片を飛び散らせながら吹き飛ばされる氷の騎士。

攻撃をした二人の背後から再生した氷の騎士が再び襲う。

そして吹き飛ばされた氷の騎士も胸部を再生させて再び攻撃を仕掛けた。

 

四人が五体の氷の騎士を相手に互角の勝負を繰り広げていると突如として凍り付いた地面が盛り上がりそこから巨大な拳が飛び出して来た。

知覚の範囲外から突如行われたその攻撃で飯田と切島が吹っ飛ばされた。

 

「なっ!?」

「クソッ!」

二人がいきなり飛び出した拳に攻撃されたのを見た爆豪と轟は、周囲を警戒しようとするが周りの騎士の相手もしないといけないのでビルが巨大な手に変化し迫って来るのに気づくのが遅れ…そのまま叩き潰された。

 

 

「クソ…が!」

「まだだ…!」

爆豪と轟が何とか立ち上がろうと体に力を込める。

 

『ヒーローチーム全員戦闘不能!ヴィランチームWIN!!』

しかし残酷にも決着を知らせる声が演習場全体に響き渡った。

二人は、そこで意識を失った。

 

 

 

 

保健室に運び込まれたA組の面々は、全員軽い低体温症と診断された。

診断も終わり帰って良いと言われた面々が保健室を出て氷の騎士と戦った四人(+緑谷気絶中)だけが残っていた。

 

「クソッ…!」

「負けたか…」

「数の利なんて全く意味を成さない程に完全敗北だった…」

「……」

四人共悲痛な面持ちをしていると保健室のドアが開いた。

 

ガララ

「…」

保健室のドアを開けて入って来たのは零華だった。

 

「なっ!?」

「氷女!」

「零華くん!」

「どうした?」

彼女の姿を見た四人は、それぞれの反応を見せる。

 

「……」

その四人を見てから零華が静かに口を開く。

「…ごめん」

零華の口から発せられたのは、謝罪の言葉だった。

 

当然四人には、何故謝っているのかが分からない。

戦闘訓練の際、零華が個性を使い一方的な戦闘にした事を謝罪しているかと思った。

だが彼女の目や声音からは、申し訳ないという気持ちが全く感じ取れない。

あくまで言わされていると感じる。

誠意が無いのに謝っている。だからこそ堪らなく不気味なのだ。

その不気味な雰囲気を醸しながら零華が再び口を開く。

 

「やり過ぎた…手加減出来なかった…私が大人気無かった……」

その口から発せられる言葉の数々が四人の心に突き刺さる。

 

「みんな…もっと強いと思ってた…結構期待してた…だから本気でやったのに…ホントにごめん」

それだけ言って頭を下げる零華。

本人としては、素直な気持ちで謝罪しているつもりだ。

しかし謝られている当の本人達は、馬鹿にされ煽られているようにしか感じない。

 

零華が四人の顔も見ずにそのまま保健室を出ると青筋を浮かべた爆豪と轟が怒りに顔を歪ませた。




他人からするとおこう見えるんだなって、思いました。
あと、零華さん本人は煽ってる気は一切ありません。
ただ本心を言ってるだけです。

次話は委員長決め。
次回でアンケートを締め切ります。
では、また次回!


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第十二話

皆様お久し振りです。
出来れば3月中に投稿したかったのですが無理でした次話は…出来次第投稿します。
今回の話は、普段と比べると短いです。

では、どうぞ。ごゆっくり!


戦闘訓練が終わった次の日。

 

 

雄英の校門前

 

雄英の校門の前に人だかりが出来ていた。

その人だかりの中には、マイクを持った女性レポーターやカメラマンなどが次々と生徒へと質問等をしていた。

 

この人達は、いわゆるマスコミだ。

 

その一人の女性リポーターが登校していた生徒達にマイクを向けて質問する。

 

「オールマイトの授業風景は、どんな感じですか?」

「えっ!?あ、すみません僕、保健室行かなきゃならないんで!」

 

別の女生徒にマイクを向けてまた同じ質問する。

「平和の象徴が教壇に立っている様子を聞かせてくれる!」

「えっ?えーと、筋骨隆々!って感じかな?」

 

別の男子生徒(以下略)

「教師オールマイトについてどう思ってます?」

「最高峰の教育機関に自分は在籍しているという事実を殊更意識させられますね。威厳や風格はもちろんですが他にもユーモラスな部分も我々学生は常にその姿を拝見出来る訳ですからトップヒーローとは何を持ってしてトップヒーローなのかを直に学べるまたと無い!」

飯田へ質問すると思ったよりも大真面目な返答が来てマスコミは少し疲れた顔をした。

 

「すみません!オールマイトについて!…って、あれ?君ヘドロの時の?」

「くっ…やめろ…!」

 

「あのオールマイトの…って小汚!なんですかあなたは!?」

「彼は今日非番です。授業の妨げになるんでお引き取り下さい」

相澤先生の対応によりマスコミ関係者はまたも情報を得る事が出来なかった。

 

などとマスコミが雄英の生徒や教師を困らせていた。

 

そこに二つの影がやってくる。

一人は、赤い髪を腰まで伸ばし雄英の制服を着た女子生徒。

 

もう一人は、赤髪の女子生徒に抱えられた青髪の女子生徒。

皇 未来火と冷気 零華である。

 

個性のデメリット強制発動により小型化して抱えられた状態の零華の目から完全にハイライトが消え失せており、抱えている側の未来火は満面の笑みを浮かべている。

「あの…未来火?そろそろ…」

「駄目よ!昨日の約束忘れたの?教室に着くまで担いで行くって話よ!」

「そ、そうだけど…」

二人でそんな会話をしながら学校の門を潜った。

 

尚、インタビューをしようとした者もいたが両者の本気の殺気を込めた睨みを喰らって気を失った。

 

 

 

A組の教室にて

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ…VTRと成績見させて貰ったよ」

相澤先生が教壇で書類の束を持ちながら喋りだす。

「爆豪お前もうガキみてえなマネするな。能力あるんだから二戦目のようにしっかり使え」

「…分かってる」

相澤先生の言葉に爆豪は素直に受け入れた。

 

「んで緑谷は…また腕ぶっ壊して一件落着か…」

「うぅ…」

「個性の制御いつまでも出来ないから仕方ないじゃ通させねえぞ」

「俺は同じ事を言うのが嫌いだ。それさえクリア出来ればやれることは多い…焦れよ?緑谷」

「はい!」

緑谷は背中を押される形で叱咤された。

 

「最後に冷気…」

「?」

「小さいままなのは置いといて…警戒して本気を出すのは良いが加減しろ」

「…」コクッ

 

「さて…」

零華にも注意をした相澤先生がおもむろに口を開く。

 

「ホームルームの本題だ…急で悪いが今日は君らに…」

(((((また抜き打ちテスト!?)))))

その言葉にクラスの心が一致した。

 

「学級委員長を決めてもらう」

(((((学校っぽいの来たー)))))

みんな一斉に安心した。

 

 

「委員長やりたいです!それ俺!」

「それ俺も!」

「ウチもやりたいっす」

「僕のためにあるや「リーダーやるやる!」」

「オイラのマニフェストは女子のスカート膝上30センチ!」

「俺にやらせろー!俺にー!」

普通ならこういうことにならないがヒーロー科では集団を導くトップヒーローになるための素地を鍛える事が出来るため全員、立候補するのだ。

 

「静粛にしたまえ!」

そんな中、飯田の声が響き渡る。

「多を牽引する瀬金重大な仕事だぞ!やりたい者がやれる物ではないだろう!周囲からの信頼あってこそ務まる政務。民主主義に乗っ取り真のリーダーを皆で決めると言うのなら…これは投票で決めるべき事案!」

凄くカッコいい事言ってるが…

「「「「めっちゃ聳え立ってるじゃねえか!」」」」

腕がピーンと伸びきっていた。

 

「日も浅いのに信頼もクソも無いわ飯田ちゃん?」

「そんなもん皆自分に入れらぁ…」

「だからこそここで複数票取った者こそが真に相応しい人間という事にならないか?どうでしょうか先生!」

「時間内に決まればなんでもいいよ」

飯田の質問に相澤は寝袋に入りながら答えた。

「ありがとうございます。先生!」

その言葉に飯田が頭を下げて感謝し、さっそく投票が行われた。

 

 

~数分後~

 

飯田.一票

緑谷.三票

爆豪.一票

八百万.二票

 

と、まあ意外でも何でも無い結果となった。

 

「僕3票!?」

「なんでデクに!?誰が!?」

「まあお前に入れるよかわかるけど…」

 

緑谷に票が入っていた事に爆豪はプルプルし出した。

 

「じゃあ委員長は緑谷。副委員長は八百万で決まりだ…」

 

相澤先生がそう言って朝のホームルームは終わった。

 

「まあ良いんじゃないかしら?」

「緑谷何だかんだで熱いしな!」

「八百万は公表の時のがカッコ良かったし」

 

 

 

 

昼休み.

食堂にて

 

「…あむあむ。むぐっ、あぐっ!はふほふ!ゴリンボリン!」

「凄い良く食べるね…」

零華が小さいままの状態でテーブルに乗った無数の料理を次々に平らげていた。

小さくなった原因である未来火は、それを見ながら召喚した炎の戦士(フレイム・ウォーリアー)(見た目が完全に筋者(ヤクザ))達に料理を次々と持って来させる。

 

「姐さん、これで18品目ですぜ。あとどれだけ食べさせるつもりですかい?」

「黙って言われた事やってなさい…裁きの炎(ウリエル)ぶち込むわよ?」

「へ、へい!」

部下の質問に未来火が視線を向けず本人にだけ聞こえる声音で答え、部下の男はそれに従って次々と料理を運ぶ。

 

そんな中…

『ヴゥ―――ッ!!ヴゥ―――ッ!!』

『ヴゥ―――ッ!!ヴゥ―――ッ!!』

『セキュリティー3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋内に避難して下さい』

突然サイレンが鳴り響いた。

 

「むぐ?」

「侵入者?」

食事をしていた二人がサイレンの音に気づき周囲を見渡すと食堂に居た生徒達がパニックになっていた。

 

「侵入者だとしたら結構マズイんじゃないの?煉獄の女王(本気の姿)とか出していいかな?」

「むぐむぐ…ゴクンッ!ダメでしょ」

物騒な事を言い始めた未来火を零華が宥めていると料理を取りに行っていた炎の戦士(フレイム・ウォーリアー)がテーブルに料理を置いてから片膝を着く。

 

「姐さん。侵入者の正体は、朝のマスコミ連中です。それと別にもう二つの生体反応がありました。いかがいたしましょうか?」

「う~ん…私が手を出すべき事案じゃないし、先生達に任せようか。何かあったら手を出そうか」

「へい」

「むぐっ!?」

報告を受けた未来火が指示を出しながら零華の口に料理を詰め込む。

 

 

 

雄英の校門付近にて

 

侵入してきた報道陣が相澤先生とプレゼントマイクに詰め寄っていた。

「オールマイト出して下さい!居るんでしょ!」

「彼は今日非番だっつてんだろ?」

「オールマイトに一言貰えたら帰りますので!」

「一言貰ったら二言欲しがるのがあんたらでしょ?」

 

「これ立派な不法侵入だぜ。これもうヴィランだ。ぶっ飛ばしてもいいかな?」

「やめとけマイク。あること無いこと書かれるぞ。警察を待とう」

「…チッ」

と、対応に困っていた。

 

この間も零華と未来火がマイペースで食事をして居た。

『ねぇ、レイレイ。あいつら消し飛ばしていいかな?いいよね!?』

『もしやったら貴女と友達やめる』

『ごめんなさい…』

物騒な事を言い出す未来火を止める零華。

そして謝る未来火。

割りといつも通りの光景だった。

 

 

数分後

警察が到着しもれなく全員連行された。

「グッバイ!バッドマスコミュニケーション!」

 

教室に帰ると緑谷が委員長は飯田の方が相応しいと言い委員長は飯田に変わった。

 

 

雄英の教師達数人が破壊された門を見ていた。

「ただのマスコミにこんな事が出来ると思うかい?」

「普通は出来ないでしょうね…」

「つまり何者かが唆したかもしれないね。邪な物が入り込んだか、それとも宣戦布告の腹積もりか」

「どちらしろ警備を強化しておきましょう」

灰のように崩れた扉を見ながらそう呟いた。




今話でアンケートを締め切らせて貰いました。
零華がヴィラン相手に言って欲しい台詞アンケートで『ざぁこ♡』が人気過ぎて笑いました。
『あなた、なんのために生きてるの?』と『ほら、頑張れ頑張れ(煽り)』も人気でした。
なので上位三つを零華に言わせたいと思います。
言わせるタイミングは、追々考えます。
では、また次回!


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第十三話

一日で描き終えました。
今回は、USJ編の導入です。

では、どうぞ。ごゆっくり!


マスコミの雄英侵入から数日経ったある日。

 

昼終わりのA組

 

「えぇ、今日の戦闘訓練は俺とオールマイトあともう一人の三人態勢で見る事になった」

「はい、今日は何をやるんですか?」

相澤の言葉に誰かが質問した。

 

 

「火事に水難なんでもござれの救助レスキュー訓練だ!」

そう言いながら『RESCUE』と書かれたカードを取り出す。

 

「レスキュー…今回も大変そうだな」

「ねえ」

「バカおめえ。これこそヒーローの本分だぜ!鳴るぜ腕が!」

「水難なら私の独壇場。ケロケロッ!」

 

 

「おいまだ途中!」

クラスメイト達がざわつく中、相澤先生の怒りの籠った声で一気に収まった。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定したりする物もあったりするからな訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始!」

要点だけ説明し終えると皆一斉に動き出した。

 

 

全員でバスに移動したが生憎、バスの定員が20人だった。

A組のメンバーは、全部で21人のためどうしても一人余ってしまう。

余った一人をどうすべきか考えていると零華が手を挙げた。

 

「私が走る…」

その言葉に誰もが疑問に思いどういう事か聞こうとした直後、地面が凍り着いた。

 

『ブルルル!』

氷の中から一頭の白馬が現れた。

その馬が零華を見ると頭を垂れた。

 

「大丈夫です…」

「そうか…」

零華の言葉に相澤先生が微妙な顔で返した。

 

そのままA組の面々がバスに乗り、零華も召喚した馬に乗ろうとした。

「…」

だが身長150センチ弱の女性が2メートル近い馬の背に乗るのは至難の業だった。

 

「誰か来て…」

零華は自分を馬の背に乗せてくれる氷の騎士を召喚するつもりで個性を発動した。

 

誰でも良かった。本当に誰でも良かった。

でも…

 

『お呼びでしょうか?我が主』

騎士団長(アイナ)…お前だけは駄目だ。

なぜお前が来た?3万体以上存在するはずの氷の騎士。その中で最強の騎士団長を務めるお前がどうして来たんだ?

今日は、エネルギーを限界値まで回復させた。

だがお前の召喚時エネルギー消費量は…7500。召喚できる全ての騎士の中で最高値だ。

そんな奴が勝手に出てきたら私のデメリットが強制発動してしまうに決まっている。

 

「ち、縮む~!」

案の定、デメリットが強制発動してしまった。

 

『あの…我が主?どう言ったご用件で?』

片膝を着いてキョトンとした顔で聞いてくるアイナの顔を一発殴ろうと思ったがどうせ簡単に止められるのでやめた。

 

「馬に乗せて…あとバスを追いかけて」

『ふむ…』

要件を言うと顎に手を当てて考え込む仕草をしだした。

 

「…」

『…』

少し待っているとやがて口を開いた。

 

『しかし我が主。馬で走るよりも私が貴女様を抱えて走った方が早いですよ?』

「……………は?」

何を言ってるんだこいつは?

走った方が早いって?そりゃそうだろう。本気で走ればリニアモーターカー顔負けの速度で走れるこいつが私を担いで走れば確かに馬より早く着くだろう。

しかし目的地が何処か分からないし仮に分かったとしても先に着いても意味が無いではないか。

冗談は性格だけにして欲しい。

 

「早くして…」

バスが動きだしているから早くして欲しい。

『承知しました。では…』

アイナはそう言って両手を脇の下に入れて担いだ。

 

「…」

この際、子供を担ぐように持ち上げた事には目を瞑ろう。

だが

『さぁ、行きましょう!我が主!』

何故お前も乗った?走れば良いだろう?この馬よりも早いから走れば良いだろう。

 

『行くぞ、氷輪丸!』

『ヒヒーン!!』

何故斬魄刀の名前でこの馬を呼ぶの?確かに飛べるよ?正確には『空気中の水分を凍らせてその上を駆ける』けどさ。なぜその名前にしたの?ねぇ、なんでこっち見ないの?あんたもどうしてその名に応じるの?

色々と問い質したい気持ちを抑えながら私の後ろに座ったアイナの腹にもたれかかる。

「硬い…」

アイナの鍛え抜かれた腹筋に少し悪態を吐きながら目的地まで揺られる事になった。

 

 

 

~数分後~

 

 

『いやー!楽しいですな!我が主!!』

「……っ!!」

目的地まで揺られると言ったな?アレは嘘だ。

実際最初の方は馬に揺られていた。頭の上に乗っかる双丘の感触を堪能しながら目的地まで行くと思っていた。

だが何を思ったのかアイナが急に道を外れて氷輪丸と一緒に空中を走り始めたのだ。

しかも飽きさせないためか時折、空気中の水分を凍らせる事を止めて急降下してから氷輪丸が背中から生やした双翼で空を飛びながら急上昇するとか言う無駄に凝った演出までして来やがった。

 

本人達は、楽しんでいるつもりだろうが私からしたら拷問に等しい。

ただでさえ絶叫マシーンが苦手なのにこんな事をされたら溜まった物じゃない。

 

「貴女達…いい加減に『気をつけて下さい我が主!舌噛みますよ!』は?」

突如警告を発して来た直後、また急降下を始めた。

 

「ぃいいいいいいやぁああああああああああああ!!!!?」

『アッハハハハハハハハハ!!楽しいですな我が主!!』

久し振りに本気の悲鳴を上げる私に対し、アイナは気持ちいいくらいに笑っていた。

この後も散々弄ばれた。

 

 

 

 

バスが目的の場所に着き全員が降りると宇宙服を着た一人の人影があった。

 

「皆さん!待ってましたよ!」

「スペースヒーロー13号だ!災害救助で目覚ましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

「私好きなのー!13号!」

どうやら13号は全員に人気のあるヒーローのようだった。

 

『ハハハハハハハ!!到着しましたぞ我が主!』

「くきゅ~…」

13号がA組の面々を迎えていた時、高笑いを上げながら見事に白馬を乗りこなし純白の鎧を身に纏った一人の女性騎士が小脇に気絶寸前で口から白い何か(冷気)を吐き出している零華を抱えながら颯爽と登場した。

 

『よいせっと』

『いやー!お待たせしました。騎士団長アイナ!予定通り、我が主をお連れしました』

馬から降りたアイナは、零華の首の後ろ側を掴んだ状態でまるで荷物か何かのようにA組の面々に向けて差し出す。

 

全員が若干引きながらも13号先生に案内されて全員でドーム状の建物の中に入った。

建物の中には巨大な湖、岩山、崩れたビル、土の山、赤いドームに緑のドーム等があった。

 

「うおー、すっげー!USJかよ!」

「水難事故、火災、土砂災害、暴風、etc…ここはあらゆる災害を想定して僕が作った演習場!その名もウソのU災害やS事故ルームJ!略してUSJ!」

(((((本当にUSJだった…)))))

どうやら本当にUSJだったようだ。

 

 

(いろいろとアウトじゃないの?)

気絶から目覚めた零華が心の中で呟いているとなぜか相澤先生がため息を吐いた。

 

「はぁ…不合理の極みだな、おい」

「まあ仕方ない。じゃあ始めるか?」

「ええ、では。始める前にお小言を1つ…2つ…3つ…4つ…5つ…」

(((((増える)))))

13号が指をどんどん上げて行く。

 

やがて説明を始める

「皆さんご存じだとは思いますが僕の個性は『ブラックホール』。どんな物でも吸い込んで塵にすることが出来ます」

「その個性でどんな災害からも人々を救助出来るんですよね!」

緑谷の言葉に肯定するがしかしと続ける。

 

「しかし、それと同時に人を簡単に殺せる個性でもあります。みんなの中にもそんな個性の持ち主がいるでしょ?」

13号がそう言うと全員が一斉に零華の方を向く。

 

「…?」

零華は疑問に思った。

 

「コホン!超人社会は個性の使用を視覚性にし一見に成り立っているように見えます…しかし一歩間違えば人を容易に殺せる行き過ぎた個性を個々が持っている事を忘れないでください。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知りオールマイトの対人戦闘訓練でそれを人に向ける危うさを体験して貰ったかと思います。この授業では心機一転!人命のために個性をどう活用して行くか学んで行きましょう。君達の力は人を傷つけるためにあるのではない助けるためにあるのだと心得て帰って下さいな!以上ご静聴ありがとうございました」

 

13号はそう言いながら紳士的な例をして話を終わらせた。

 

 

「素敵ー!」

「ブラボー!ブラボー!」

それに対し皆拍手していた。

 

「よし、じゃあまずは…」

 

バチバチッ!

 

相澤が口を開くと同時に照明部分に電気が走り広間に黒い靄が現れる。

 

ズズ…

 

 

 

「全員一塊になって動くな!13号生徒達を守れ!」

『ハハハハハ!困りましたね、我が主!』

それを見た相澤が全員に指示を出し首に掛けていたゴーグルを装着しアイナが礼零華の背中に手を当てて原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)を無理矢理取り出した。

 

「なんだよ?」

「まーた入試みたいなもう始まってるぞパターン?」

「動くな!」

切島が疑問の声を上げるがすぐに相澤が叫んだ。

 

「あれは…ヴィランだ!」

 

 

「イレイザーヘッドに13号ですか…先日頂いた教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが…」

黒い靄を発生させているヴィランが不思議そうに呟く。

 

 

「やはり先日のはクソ共ヴィラン共の仕業だったわけか?」

その声を聞いたイレイザーはマスコミ侵入の日の出来事を思い出す。

 

 

「どこだよ?せっかく大衆引き連れて来たのにさぁ…オールマイト…平和の象徴…居ないなんてな?」

主犯格の男が凶悪な笑みを浮かべてそう呟いた。

 

 

 

ヴィラン連合USJ襲撃事件が…

 

「子供を殺せば来るのかな?」

いよいよ始まろうとしていた。

 

 

 

 

「ヴィラン~!バカだろヒーローの学校に入り込んで来るなんてアホすぎるぞ!」

 

「先生!侵入者用センサーは?」

 

「もちろんありますが…」

 

「現れたのはここだけか学校全体か…なんにせよセンサーが反応しねえなら向こうにそういう事が出来る奴が居るって事だ。校舎と離れた隔離空間そこにクラスが入る時間割。バカだがあほじゃねえ。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

轟のその言葉にクラスに戦慄が走る。

 

 

「13号避難開始。学校に電話飛ばせ!センサーの対策も頭にあるヴィランだ。電波系の奴が妨害している可能性もある…上鳴!お前も個性で連絡試せ!それで貴女も戦うんですか?」

『お任せを!』

13号と生徒達に指示を出した相澤先生がアイナに視線を向けると同時にヴィランの大群に一人で突っ込み戦国無双のように剣一本で暴れ始めた。

 

「チィ!一人で行きやがって!冷気!あとで話がある!」

勝手に飛び出したアイナに悪態を吐きながら首元に巻いている捕縛布に手を掛けた。

 

「待って下さい!あの数を相手じゃいくら個性を消すって言ってもイレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛!正面戦闘は得意じゃないはず!」

「大丈夫だ。一芸だけじゃ…ヒーローは務まらない!」

緑谷の言葉に短く返して器用に立ち回りながら次々とヴィランを圧倒していく。

 

「すごい…多対一こそ先生の得意分野だったんだ」

「分析してる場合じゃない!早く避難を!」

A組の面々が出口に向かっているとまた黒い靄が現れ行く手を阻む。

 

「させませんよ」

「初めまして我々はヴィラン連合。僭越ながらこの度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは…平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思いましての事でして」

その言葉に誰もがあっけに取られた。

「は?」

「本来ならここにオールマイトがいらっしゃる筈ですが何か変更があったのでしょうか?まあそれとは関係なく私の役目はこれ…」

そう言いながら腕を広げるように黒い靄が広がって行く。

 

「その前に俺たちにやられる事を考えなかったか?!」

と同時に爆豪と切島が同時に攻撃を仕掛けた。

 

 

「待て!それじゃあ意味がない!」

「ふう…危ない危ない。そう生徒と言えど優秀な金の卵」

「駄目だ!退きなさい二人共!」

効果が無い事に気づいた13号はすぐに退くように言ったがそれよりも黒い靄が広がるのが早かった。

 

「私の役目はあなた達を散らして嬲り殺す!」

そう言うと同時に靄が一気に広がりA組を包んで行く。

 

スゥーッ…

何人か黒い靄に包まれず何とか逃げ出す事に成功した直後、靄の中から零華の声が響き渡る。

 

「アイナァァ!!!!」

突如響き渡った零華の声にアイナが攻撃の手を止め視線を向ける。

 

「命令だ!絶対負けるな!!」

その命令を最後に零華は黒い靄に完全に吸い込まれた。

 

『了解しました!我が主!』

その命令を受けたアイナは、原初の氷剣を握り直しヴィランに剣先を向けた。

 

『我が主の命令だ。勝たせて貰うぞ!!』

兜の下で獰猛な笑みを浮かべながら一気に駆け出す。




キャラ解説.
氷の騎士団騎士団長.アイナ。
召喚時消費エネルギー量.7500
(この消費エネルギーは、全ての氷の騎士の中で最高値)

説明.
零華の体内で勝手に建国された国の騎士団長を務める女性騎士。
原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)の本来の所有者にして名実ともに最強の騎士。
本気の未来火を相手に10分以上互角の勝負を繰り広げるガチの化け物。
今のオールマイトより強く、本気の零華に(相性の関係で)負ける。

氷輪丸.
零華が召喚した氷製の馬。
アイナが勝手に命名した。
最高速度は時速300㎞(自称)。

次回は…いつかな…?(遠い目)
では、また次回!


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第十四話

どうもこんにちは。お久しぶりです。
二話も書けたので二日連続で投稿します。

今話を読む前に皆さまに一つ質問させて下さい。
ボロボロになりながら戦う女の子って好きですか?ちなみに自分は大好きです。
なんでこんな事を聞いたかと言えばアイナさんがまさにこうなるからです。

では、どうぞ。ごゆっくり!


今日はUSJと言う施設で救助訓練をすると言われて物凄く楽しみにしていた。

夜の10時に床に入り、朝の6時に目を覚まし未来火と一緒に通学して全力で今日の訓練に挑もうと思った。

 

だが実際はどうだ?

バスの定員オーバーだから私が率先して走ることにした。

そのため我が国でも最速を誇る名馬を呼び出した。ここまでは良かった。

最速の馬でも消費エネルギーがせいぜい100程度だ。あとは乗せてくれる騎士を呼び出すだけだった。

そして実際に呼び出した…呼び出したまでは良かった。

合計3万7千4百69体も存在する氷の騎士達の中でよりにもよって消費エネルギー量が一番多い騎士団長を呼び出してしまった。

 

騎士団長であるアイナは…別に悪い奴じゃない。私の悩みを親身になって聞いてくれるし、変な黒スーツの男(オール・フォー・ワン)に諭され悪の道へ踏み出しそうになった時も止めてくれた。

未来火と模擬戦でも勝手に出て来る事に目を瞑れば未来火を相手に殿を勤めて作戦が完了するまで粘ってくれる。

本来の活動時間は3分が限度だが私が近くに居る事を条件に限界以上に活動する事も出来る。

 

ただし今回、私とアイナは離れ離れになっている。

あれでは活動限界がすぐに来るだろう。

何とかしてエネルギーをを送らなくては…でも、その前に。

 

「ヒッヒッヒッ!女が降って来る事を期待してたが、まさかこんな小せぇ奴が降って来るとは思わなかったぜ…」

「まあ、女ってだけで楽しめるだろ?」

「それもそうだな。おいガキ!動くんじゃなねぇぞ」

好き勝手言ってる周りのヴィラン(クズ共)を討伐しよう。

 

「――――――…?」

おかしいな。声が出ない。

喉や声帯は無事だし、エネルギーもちゃんと回復している。

ではなぜ?

 

(…こいつらか?)

まさかこの近くに居るヴィラン達のせいでアイナにエネルギーを送れないのか?

ならば仕方ない。始末しよう

 

「―――!――?」

やはりおかしい。四肢にエネルギーを送る事すら出来ないとは…

 

「おっと、変な事を考えない方がいいぜ?俺の個性で一定範囲内に居る全ての者の個性の使用を禁じているからな」

私が悩んでいると三人のヴィランの内の1人がそんな事を言って来た。

なるほどなるほど。それなら簡単だ。

 

「―――」

口をパクパクさせて詠唱の真似事をする。

すると私の足元から徐々に地面が凍って行く。

 

「なっ!?どういう事だ!個性を使えないんじゃなかったのか!?」

「その筈だ!クッソこいつなぜ個性を使えるんだ!?」

「てめぇらボサッとしてんじゃねぇ!」

凍って行く地面を見た男達が言い争っている間に三人目の男が太刀を取り出し振りかぶって来た。

 

「遅い…」

しかし時すでに遅し。

太刀が私に当たるよりも早く、男達が周囲一帯ごと完全に凍り付いた。

 

なぜ私が個性を封じられた状態で個性をしよう出来たかって?説明しよう。

そもそも私の個性.『氷獄の支配者』は、私の体内で勝手に作られた国が存在する氷獄から無理矢理エネルギーを引きずり出し、技として放出する物だ。

今回のように個性を封じられた時用に対策を作っておいた。それは、体内でエネルギー暴走を起こし一気に放出させる事で周囲一帯を氷の世界にする事だ。

これなら個性を封じられても何とか戦える。そう思ったがデメリットがとんでも無かった。

エネルギーの暴走によるデメリットは、暴走させたエネルギーによってエネルギー消費量が極端に上昇する事だ。

今の一回でエネルギーを1200も消費してしまった。

 

「はぁ…やっ―声が出―――カヒュッ!?」

男達を退治し終えて個性が戻ったと思ったが喉が潰れたようだ。

エネルギーの大量消費が原因だろう。

さっさとアイナにエネルギーを送らないと活動限界で動けなくなってしまう。

でもその前に…

 

「おい、なんかこっちで音がしなかったか?」

「おい!これ見てみろ!全員凍ってるぞ!」

「まさかそこの小せぇ女がやったのか!?」

新たにやって来たヴィランを片付けよう。

 

「―――」

潰れたままの喉を酷使して手の平にバレーボールサイズのエネルギー弾を形成する。

(アイナに負けるなって命令したし私も負ける訳にはいかないかな…)

 

「―――――――――」

エネルギー弾を地面に落とすと同時に一面真っ白となり周囲の温度が一気に低下した。

 

 

 

 

「ハァーッ!」

「グァァァァ!!!」

広場で零華の心配の種になっている騎士団長アイナが原初の氷剣を手に無双しまくっていた。

 

「誰か止めろ!」

「無茶言うな!皮膚の硬度がダイヤモンドと同等の奴を2秒で倒したバケモンだぞ!?」

「遠距離も近距離も通じねぇ相手をどうしろってんだ!?」

戦おうとすればするほど劣勢に追い込まれる状況にチンピラクラスのヴィラン達は、パニックになりながらアイナに攻撃を仕掛けていた。

 

「クソがぁぁああああああ!」

ヴィランの1人がヤケクソ気味に突っ込んだ。

 

「む?」

それを見たアイナは剣を手放し思いっ切り握った拳でヴィランの顔面を殴り気絶させてから剣を回収し斬撃を飛ばす。

 

「ふふん…次は誰かな?」

「「「ヒッ!」」」

剣を地面に突き立ててヴィラン達に視線を向けると数歩後ずさる。

 

 

「凄いな…まるで小さな災害だ」

その様子を見た相澤がヴィランを拘束し他のヴィランに投げ飛ばしながら感心したように呟いた。

 

実際、相澤はアイナの存在を警戒していた。

自分の生徒が氷から騎士を生み出す所を何度も目撃したしそれに近い事を出来る先輩ヒーローも何人か知ってる。

なので普通なら騎士を一体生み出した程度なら大して警戒していなかっただろう。

しかしこの騎士は違う。主人である零華をまるで物のように扱い、自我を持っている。

それだけでは特に警戒しなかっただろう。

だが、この圧倒的戦闘力を見れば誰だって警戒するだろう。

もし仮に敵に回った場合を想定すると頭が痛いどころの話じゃない。

 

相澤が複数人のヴィラン達を拘束し倒しているとアイナが手に持った剣を持ち上げた。

「安心しなさい。我が主のご命令で貴方方の殺害は許可されてません。ですが瀕死は許可されいます」

そこまで言って剣を上段に構える。

 

「瀕死=峰内なのでご心配無く!」

そう言いながら亀の甲羅のような盾を持ったヴィランを一刀の元に切り伏せる。

 

 

「チッ…なんだあいつは?」

アイナの無双劇を見ていた死柄木はいまい忌々しそうに呟く。

イレイザーヘッドだけなら、いくら数の暴力で如何にか出来ただろう。

しかしあの化け物は違う。あれにはいくら雑魚をぶつけても消耗させる事すら出来ないだろう。

ならばと対オールマイト用の最強戦力をぶつける。上手く行けば倒せる。倒せなくてもそれなりに消耗させる事は出来るだろう。

 

「脳無…あの化け物を殺れ」

そこまで考え至り隣に待機する脳無に指示を出す。

 

「ううぅぅぅ…グルァアアアア!!」

死柄木の命令に脳無が雄叫びを上げてアイナに殴り掛かる。

 

「むむっ!」

脳無の接近に気が付いたアイナが地面を砕きながら一気に方向転換して剣身の腹で脳無のパンチを受けた。

 

「うんっ!?」

しかし打撃の威力が想定以上だったため受け止めきれず受け流すように後ろへ飛んだ。

打撃の衝撃と合わさり後方へ数メートルジャンプする事で全ての衝撃を受け流した。

受け流した直後の着地と同時に再び踏み込み剣で無く、鎧の一部が砕ける程に強く握りしめた右の拳で脳無の顔面を殴る。

 

「………」

「結構本気殴ったんですが…」

アイナの本気の一撃を喰らっても尚、微動だにしない脳無に悪態を吐くアイナ。

そんな伸びきったアイナの右腕を脳無が掴みそのまま圧し折った。

 

ボギィィィィィ!!

 

「ンンンンンンンンンンンッ!!!!!」

右腕を折られたアイナは悲鳴とも取れるような取れないような声を上げて、剣で脳無の腕を斬り飛ばしながら折られた腕を抑える。

 

「うん…完全に折れてるね。これじゃ使い物にならないか…あー、痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…」

まるで呪詛のように長々と呟いてから折れた右腕を自ら引き千切った。

 

「よし、殺す。我が主に許可は貰っていないけど殺す。取り敢えず殺す。絶対に殺す。必ず殺す。とにかく殺す。死なない程度に殺す。殴って殺す。刺して殺す。斬って殺す。貫いて殺す。蹴って殺す。潰して殺す。引き裂いて殺す。抉って殺す。割って殺す。私が許可するから遠慮無く死ね!」

鎧に付いている留め具のベルトを使って腕の圧迫止血を行い、怒りの表情で脳無に向き直る。

 

「死ね!」

アイナが一歩踏み出そうとした瞬間、

『アイナ…』

『我が主!?』

USJ内の何処かに飛ばされた零華の声が頭の中に響き踏み止まった。

 

『そいつを殺すな』

『しかし我が主よ!このヴィランは私の腕を!』

『それは貴女の油断でしょ?貴女が油断したから腕を折られた、そうでしょ?』

『そ、そうですが…!』

『じゃあ殺さないで…それ(脳無)は私が相手するから』

『了解しました。我が主の御心のままに…』

零華の命令を聞き終えたアイナが悔しそうに歯を食いしばるが直ぐに切り替えて脳無に向き直る。

 

「コホン…失礼しました。殺す許可が出ていないので半殺しに留めて置きますね?」

脳無に剣先を向け不気味な笑みを浮かべた。

 

「グルルルルル…」

笑みを浮かべたアイナに対し脳無は、本能的に構えを取る。

 

「知性のあるタイプ…片腕で丁度良いか」

利き腕を失い片腕のハンデを負いながらも余裕の表情を崩さずヴィラン連合最高戦力の脳無に斬り掛かった。




はぁ…書いてて楽しいです。

出来れば感想を下さい。作者のモチベーションがバカみたいに上がります。
次話は、明日投稿します。楽しみに待ってて下さい。

では、また次回!


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第十五話

前話の続きです。
今話もアイナさんの戦闘シーンです。
結構頑張りました。

では、どうぞ。ごゆっくり!


アイナが脳無に斬り掛かったと同時に脳無もアイナに向かって駆け出していた。

 

「チッ!」

右腕を失い僅かにバランス感覚を失ったアイナが舌打ちをして脳無の攻撃を間一髪で躱すと同時に右腹を斬る。

 

「セイッ!」

振り向きざまに背中と両脚の腱も切り裂き数歩後ろに跳ぶ。

 

「再生…?」

アイナが呟くと脳無の体の切り口がまるで逆再生を行うように治り始めていた。

人体の弱点を狙った攻撃を行ったのに、ほとんどダメージが無く傷口を瞬く間に再生させてしまった脳無にアイナは、もう一度剣を構える。

 

「どうなってる?なんで再生した?それがお前の個性か?」

「……」

脳無に問いかけるが自我を持たない脳無は、それに答えず虚ろな目で返す。

 

「効く訳ねぇだろ?その脳無は対オールマイト用の兵器なんだぜ?」

「…なに?」

睨み合っていた二体に死柄木が自慢するように声を掛けた。

その言葉にアイナが視線だけで続きを促す。

 

そいつ(脳無)は対オールマイト用に作られた改造人間だ。オールマイトの打撃を耐えきれるだけ耐久性を得るための『ショック吸収』の個性とダメージを受けて破壊されても再生出来るように『超再生』の個性を備えたオールマイトを確実に殺すための手段だ!いくら強いお前でもそれ(脳無)を殺す事は不可能だ!」

「……っ!」

まるでお気に入りのおもちゃを自慢するように脳無の能力を紹介し終えた死柄木に対し、いつの間にか隣まで移動していた黒靄(黒霧)が頭を抱えるような仕草をしていた。

 

「…」

死柄木の話を全て聞き終えたアイナが苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべ頭の中で倒し方を模索したいた。

 

(打撃が効かず生半可な攻撃では即座に再生される。それに加えてあのスピードとパワーに耐久性…なるほど、対オールマイト用とは良く言った物だ。まるで天敵じゃないか…エネルギーが切れかけている今の状態ならまだしも片腕だけの状態では原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)を撃てないし、普通に攻撃しても決定打に欠ける。そもそも我が主の命令で殺す事が許可されていないからあまり大技を撃つ事が出来ない…」

「どうしたものか…」

一瞬で個人では討伐不可能と判断し、どうしたものかと呟きながら持ち主のエネルギーを吸収する原初の氷剣を構える。

 

「今の私では自分を再生出来ない…残された活動限界時間は、約3分…我が主が到着するまでは、およそ5分。2分足りないけどイレイザーヘッドなら2分くらい大丈夫だろう…それに加えてここに幾つかの生体反応が近づいて来ている…そこから導き出せる結論は…勝利!」

一人で長々と考察したアイナが勝利を確信して脳無に突っ込んだ。

 

「先手必勝!」

「グルァッ!」

アイナが剣を勢い良く振り下ろすと同時に脳無が本能的にバックステップで避ける。

 

パキィィィィン!!

 

すると脳無が先程まで立っていた場所に巨大な氷の柱が剣山のように出現し脳無を突き刺そうと動いたが一秒も掛らず止まった。

 

「チッ!躱したか…」

殺す事が出来ずとも動きを封じる為に放った一撃をまるで何も無かったかのように躱された事にアイナが悪態を吐きながら下から剣を一気に振り上げる。

 

「グルゥ…」

その攻撃も間一髪で躱した脳無が両腕を振り上げ

 

「グルァアアア!!」

「グゥッ!?」

アイナに向かって一気に振り下ろした。

だがアイナもその一撃を片腕だけで受け止めた。

 

バキンッ!!

受け止めた衝撃で地面が陥没するが、それでも脳無の一撃を受け止めた腕を動かさず脳無の次の動きに全神経を集中させる。

 

「クッ…!グゥ…」

「グルルルルル…」

自分の本気の一撃を片腕で受け切った目の前の存在に脳無の本能が警戒信号を発令していた。

 

この相手は危険だ。

己の全てを持って殺さなくては。

全て、文字通り全て。

自分に与えられたパワー、スピード、個性、その全てを使って目の前の相手を殺す。

徹底的に殺さなくてはならない。

 

脳無の本能がそう叫び、本来失われた思考能力とはまた別のナニカを用いてその判断を下した脳無は、肩腕を引いて殴る構えを取った。

 

「グルァ!!」

「おっと!」

音をも置き去りにした脳無のパンチをまるで自分に飛んで来るボールを避けるように簡単に上に跳んで躱したアイナが剣を軸にして脳無の頭部に回し蹴りをクリティカルヒットさせる。

 

「……!?」

予想だにしなかった一撃に脳無が混乱を隠しきれず次の一撃を繰り出すタイミングが一瞬遅れた。

 

「セイッ!」

当然それを見逃す騎士団長アイナ(最強の氷人形)では無い。

脳無が混乱している隙を突き脳無の六つに割れた腹筋と逞しい大胸筋に連続で蹴りを打ち込む。

 

「ハァッ!ヤァッ!」

当然ショック吸収持ちの脳無に蹴り技が通じる訳もない。

それを分かっているアイナは剣を逆手に持ち脳無の左足を切断。振り向きざまに右腕を斬り飛ばし原初の氷剣を空中に放り投げ脳無の後頭部を掴む。

 

「おりゃあ!!」

ドゴンッ!!

 

とてつもない衝撃音と共にアイナが脳無の顔面に本気の膝蹴りを食らわせ脳無の嘴が折れ曲がった。

 

「……」ギョロ!

しかし脳無も黙ってやられるほど弱くは無い。

すぐさまアイナの足を掴み持ち上げて振り上げ一気に地面に叩き付ける。

 

「ガフッ!!」

コンクリートの地面に叩き付けられたアイナが口から血を吐き身体の至る所に罅が入り始める。

 

「グルァアアア!!」

「取った!って、うおっ!?」

もう一度地面に叩き付けようとアイナの体を持ち上げ振り被るとちょうど降って来た原初の氷剣をアイナが掴む。

だが一手早く脳無がアイナを叩き付けようと腕を振り下ろした。

 

ガクンッ!

「…っ!?」

アイナを叩き付けようと腕を振り下ろした脳無が首を引っ張られバランスを崩した。

 

「……グルゥ」

「へへん…ビックリした?じゃあ、離せ!」

首に違和感を感じそちらを見るとアイナが掴んでいるのとは逆の足を首に掛け叩き付けられる事を防いでいた。

それに気を取られている隙に足を掴んでいる脳無の腕を斬り飛ばし再生を終わらせた方の腕を一瞬で切り刻む。

 

「そ~れ!」

そのまま両腕を失った状態の脳無にミサイルキックを食らわせてかなりの距離を吹っ飛ばしてから後ろに跳んだ。

 

「ふぅ…ぺっ!」

(駄目だ…どうしても決定打に欠ける。何か大技を撃たなければ…)

綺麗に着地し口に溜まった血を吐き捨てたアイナが心の中で焦りながら呟く。

 

「はぁ…はぁ…」

「イレイザーヘッド…」

複数人のヴィランを相手に一人で互角に渡り合っているイレイザーヘッドを見たアイナに妙案が思い浮かぶ。

 

「イレイザーヘッド。少しの間、あの筋肉ダルマを任せます。その間に私は一撃必殺の準備をします」

「貴女…あれ(脳無)を倒せるだけのナニカを持ってるんですか?」

イレイザーヘッドの所まで移動し背中合わせで話し掛けたアイナに対し相澤が目線を向けずに言葉を返した。

 

「はい、あります。一撃必殺…否、一撃確殺の大技が一つだけあります。ただ、これを使うには溜めに1分ほどの時間が必要で使った後にエネルギー切れで私が消滅してしまいます。しかし、当たれば死ぬ系の技に分類されているのでご心配無く」

「まったく安心出来ないが他に手も無い。生徒達を危険に晒す訳にもいかないしそれで行きましょう」

アイナの作戦を聞き終えた相澤が了承する。

 

(やはり我が主の言う通り、生徒思いの良い先生ですね。我が主は声だけでなく中身にも惚れた訳ですか…)

「では、お任せします。くれぐれも無茶しないでください」

「任されました。無茶は…多少しないとだな」

言葉を交わし終えた相澤が拘束布に手を掛け脳無に向かって走り出した。

 

「あちらは大丈夫でしょうか?少し心配ですが仕方無いですね…」

小さく呟きながら引き千切った自分の折れた右腕を回収し切断面を無理矢理くっつけた。

 

「多少不格好だけど、まあ良いか」

折れたままの右腕と正常な左腕で原初の氷剣を胸の前で握り詠唱を開始…

 

「オラァ!」

「させるか!」

しようとした直前に周りに居たヴィラン達が攻撃を仕掛けた。

 

「チィッ!邪魔よ!」

それらの攻撃を避けて反撃しながら詠唱を口遊む。

 

『氷獄最強の剣にして我が主の武器たる原初の氷剣よ。本来の所有者たる我が名の下に命ずる』

アイナが詠唱を始めたと同時に両手で握った原初の氷剣の剣身が発光し始めた。

 

「させるか!」

「おい!誰かあいつを止めろ!」

周りのヴィラン達が詠唱中のアイナを攻撃するがその悉くを避けて足技だけでカウンターを食らわせ対処して行く。

 

『我が主への忠誠を示すのであれば我が呼び声に応えよ。示さぬのであれば我が眼前の敵を打ち払う力を解放したまえ』

詠唱の第二節を口遊むとアイナの中にあったエネルギーが全て原初の氷剣の剣身に集中していく。

 

「おいおいおいおい!さっさと止めろ!!」

「遠距離の奴は居ねぇのか!?」

「さっきイレイザーヘッドに全員やられた!今はもう誰も残っちゃ居ねぇ!」

剣身へと集中していくエネルギーにヴィラン達がパニックになって行くがアイナの詠唱は続く。

 

『汝の力、我の力。我が主への絶対の忠誠。その全てを持って我が眼前の敵を打ち払え!!』

第三節を唱え終えると原初の氷剣の剣身の発光が抑えられ一気に色を失った。

 

「くっ!おい、まだか!?」

「グルァアア!!」

脳無を相手に上手く立ち回っている相澤がアイナに向かって叫び脳無が雄叫びを上げる。

 

「あれは…不味いな」

「ええ、当たれば終わるでしょう…まぁ、当たれば(・・・・)の話ですが」

「ああ、そうだな…」

アイナが放とうとしている一撃を見て死柄木と黒霧が焦らずに話始める。

 

 

ヴィラン達がアイナを攻撃しアイナが反撃する。

相澤が脳無を相手にギリギリで攻撃を躱し何とか持ち応えている。

死柄木が焦らずに作戦を立て黒霧が移動を開始する。

アイナに命令を下した零華が可能な限り急いでUSJの広場に向かって来ている。

それぞれの陣営がそれぞれの動きを行っていると、

 

『さぁさぁ!ご覧あれ!我が全力!私の全て!受け止められるもんなら受け止めてみな!決まれば勝ち!外れたら負け!一世一代の大技!喰らってみるか?遠慮するな!全て!全部!全部全部ぜ~んぶ!!持ってけ泥棒!!』

アイナがついに最終節を唱え終えた。

足を一歩引いて剣を持ち上げ、脳無に向かって一気に振り下ろした。

 

全力全開(フルパワー)原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)ァァァアアアアアアアア!!!!!』

 

アイナの放った一撃は、巨大で鋭利な氷の塊となって脳無に迫る。

それは、山を裂き、大地を砕き、海を割り、煉獄の女王であろうと防御に徹せる程の威力を誇る一撃。

それだけの一撃を相澤が既に脳無から離れていたため他者への被害を気にする事無く技を撃つ事が出来た。

 

この一手で決着が着いたと誰もが思った。

 

実際アイナもそう思って全てを出し尽くしたのだ。既に技を撃った反動で体が崩壊し始めている。

 

だが…ヴィラン連合には、アイナの天敵とも言える個性を持つ者がもう一人存在していた。

 

その者の名は、

 

「黒霧ィ!」

黒霧。

 

その個性はあらゆる物を転移させるワープゲート。

 

「させませんよ!」

発動条件は、黒い靄で転移させたい対象を包む事。

今回は、その能力が大いに役立った。

 

アイナの放った大技を脳無に当たる直前で靄の範囲を拡大する事で全て包み込み転移させた。

そしてあろうことか包み込んだ一撃をアイナの後方からこの広場へと走って来ている青髪の女子生徒(・・・・・・・)の方へと転移させた。

 

「そんな…馬鹿な…」

「ああ…申し訳…ありません…我が…主…」

アイナは、主たる零華に『絶対に負けるな』と命令されたにも関わらず己の全てを込めた一撃を防がれ、剰えこれ以上戦えなくなり敗北してしまう自分の弱さに悔しそうに歯噛みする。

そして相澤もあの強大な一撃を防がれる事など夢にも思わず呆然と立ち竦していた。

 

「はっ、ハハッ…!ハハハハハッ!アーッハハハハハハハハハハハ!!見たか黒霧!?あの女が自信満々で撃った一撃を見事に防いでやったぞ!見ろよあの女!自分の持てる最高の一手を完璧に防がれて、もう打つ手がないあの女の絶望顔を見ろよ!なぁ?どんな気分だ?自分の全てを投げ打って放った一撃を防がれた気分はよぉ!!?」

一方で膝を突いて今にも倒れそうなアイナを死柄木が嘲笑っていた。

それはもう楽しそうに。心の底から愉快そうに笑っていた。

 

「あー、笑ったなぁ…よし。脳無、あの女を殺せ」

一頻り笑い終えた後、脳無に既に戦闘不能のアイナを殺すよう命令を下した。

 

「グルルルル…」

脳無が命令通りアイナを殺すため一歩踏み出した。

その直後。

 

「アイナ…良く頑張ったね」

妙に透き通る女性の声が聞こえて来た。

 

「わ、我が主…」

「冷気…!」

膝立ち状態のアイナの隣に青髪の女子生徒、冷気 零華が立っていた。

 

「我が主…私は…貴女様に『絶対負けるな』と命令されたのに敗北してしまいました。この首一つで償えない事は重々承知しておりますが…それでも…どうか!私にこの罪を償わせて下さい…!」

弱った声で自分の主に縋るように話しかけるアイナに対し零華が頭に疑問符を浮かべ口を開く。

 

「何を言ってるの?勝負はまだ続いてるでしょ?貴女のターンが終わり私のターンになっただけ。つまり決着はまだ着いて無いのよ」

「我が主…」

「ほら、ゆっくり休んで。ちゃんと回復しなさい」

「はい…ありがとうございます。どうか…お気を付けて」

零華がまるで子供を安心させるように優しく声を掛け、それに安堵したアイナが目を閉じて凍った地面から零華の体内へと吸収された。

 

「お前…誰だ?ただのヒーロー気取りなら今すぐ「うるさい…」あん?」

突然現れた零華に対し死柄木が声を掛けるが零華に遮られる。

 

「良くも…良くも……私の部下を…あそこまで追い込んだな…!」

自分の部下にして仲間を傷付けられた事に対し零華の怒りが頂点に達していた。

 

「喜べ!貴様らは、特別に…『()』が本気で相手してやる!」

怒りの表情のままにハーフフェイスカバーを外して、怒りの一歩を踏み出す。

 

零華が一歩踏み出すと同時に地面が凍り付いた。




さて次回は、いよいよ零華の戦闘シーンです。
本気の零華の戦闘シーン…書けるかなぁ?
アンケートで選ばれたヴィラン相手に言って欲しい台詞を盛り込みます。
とにかく頑張ります!

では、また次回!


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第十六話

どうもこんにちは。
約二日間掛けて零華の本気の闘いを書きました。

…幾つか言わせて下さい。
零華の本気を書き終えた後に読み返してみたら凄い事になっていました。

あと、零華の最強技とアンケートで『ヴィラン相手に言って欲しい台詞』を全部入れました。

最後に無双を書いていると楽しさのあまり書き過ぎてしまいました。そのせいで約8000字になってしまいました。

零華の本気の闘いをご覧下さい。
では、どうぞ。ごゆっくり!


「スゥ―――」

まるで散歩でもするようにゆっくりと脳無に向かって歩く出す零華が大きく息を吸ってから口を開く。

 

「『王なくして国はなく、国なくして民はない。また、民なくして国はなく、国なくして王はない』」

口を開き詠唱を開始すると同時に零華の声にもう一つ女性の声が上乗せされて重なった状態で響く。

 

「『故に王は国を民を守れる戦士でなくてはならない。王は孤高にして常勝無敗の戦士でなくはならない』」

詠唱の第二節を唱え終えると同時に青かった髪色が頭から毛先に向かって白く染まる。

 

「『また国は民と王を繋げる架け橋でなくてはならない。そして民は王と国を支える柱でなくてはならない』」

第三節を唱え終えると眼球が色を失い氷の球のように変化し、元々青かった虹彩がより濃い青色へと変色した。

 

「『王は国の為に、国は民の為に、民は王の為に。王は孤高にして孤独に非ず…故に最強である』」

第四節を唱え終えるとほぼ同時に蟀谷から悪魔のような角が一本ずつ生えて耳の先が尖り始める。

 

「『しかし我は王でなく支配者なり。故に一人で最強、故に一人で無敵…それ即ち、最強無敵の絶対支配者!!』」

最終節を唱え終えると雪のように白くきめ細かな肌が少しの青を含んだ白色、青白磁へと変色した。

 

「『我こそが支配者なり(ザ・ルーラー)!!!』」

最終節を唱え終え足を止めた零華の姿が普段と変化しきっていた。

 

肌の色は、青白磁。

眼球が氷の球で構成され、目の色は黒に近い藍色。

目の色とは対照的に髪の色は、絹のようにきめ細かであり初雪のように白い。

蟀谷からは悪魔のような角を生やし、耳は氷柱のように尖っている。

いつもの無口ながらも若干の微笑みを浮かべる顔からは、完全に笑みが消失しまるで能面のような表情へと変化していた。

 

「………ニヒッ」

完全変化を遂げた零華の姿の名は、我こそが支配者なり(ザ・ルーラー)

零華が持つ最強にして無敵の姿である。

 

 

「なんだ…?ただ姿が変わっただけじゃねぇか。脳無、あの女も殺せ」

姿が変化しただけと思った死柄木が脳無に指示を出す。

 

「グルァアアアア!!!」

脳無がその命令に反応し姿形を変化させた零華の下に一直線で走り出し、全力で殴り掛かる。

 

「………クスッ」

零華が小さく笑うと同時に脳無が拳を振り下ろした事による爆発音が響き渡り土煙が舞う。

 

 

 

 

未来火サイド

 

「え?レイレイ(零華)の本気がどんな感じかって?」

幼馴染みの本気を聞かれた未来火がお茶を飲む手を止めて少し黙り込んでから口を開く。

 

「…それって、姿と技(・・・)のどっちの事言ってんの?」

 

―――ザ・ルーラーの方です。

 

「そっちか…まぁ、そうね。ザ・ルーラーは…なんて言えば良いんだろ?レイレイが私との模擬戦の時に絶対に(・・・)使わない最強の姿で…う~ん、なんだろうなぁ?とにかく近距離戦闘に於いて右に出る者は居ない、って自信満々に言えるくらいの最強の姿ね」

 

―――それは、どのくらいの強さなんですか?

 

「どのくらい?う~ん、短期決戦用の姿だし…エネルギー消費もとんでもないし…技は基本的に二つしかないし…」

 

―――オールマイト以上ですか?

 

「え?そうだよ?当前でしょ?」

 

―――では、ザ・ルーラーの零華さんと本気の貴女が闘えばどちらが勝ちますか?

 

「レイレイでしょ、当たり前じゃん。アレ(ザ・ルーラー)に勝てる存在なんてレイレイのお母さま以外に知らないわよ」

 

―――零華さんのお母さまは、それほどまでに強いのですか?

 

「強さの問題じゃなくて、普通に『母は強し』って良く言うじゃん?つまり、そう言う事なのよ」

 

―――なるほど。では最後に一つだけ。

 

「何かしら?」

 

―――零華さんの本気の技(・・・・)は、なんですか?

 

「ああ、それはね…………

 

 

 


 

 

USJ・零華サイド

 

ドゴォォォオオオオン!!!!

 

脳無が姿を変えた零華を殴り、隕石の衝突音や爆弾の爆発音にも似た轟音が鳴り響き土煙が立ち昇る。

 

「あ、あぁ…」

その瞬間を目撃した雄英側の人間は、あまりの戦力差に絶望した。

 

「や、やったぞ…」

「は、ははっ…!」

「やったか?」

ヴィラン連合側の者達は、妙なあ威圧感を出し突然姿を変えた女子生徒を仕留めた事と思い心の中で歓喜した。

 

だが…

 

「フフ…」

土煙の中から突如として女性の笑い声が聞こえて来た。

 

「なっ…!?」

「そんな…馬鹿な!」

「全く効いてねぇ!!」

脳無の拳が零華に当たっているにも関わらず、零華は微動だにしていない。

 

「おいおい、どういう事だ?オールマイトの一撃を喰らったも同然の威力だぞ…どうして効いてねぇんだ?」

脳無のスペックを知っている死柄木がイラつき首を掻きながら当然の疑問を口にした。

 

「…バリアか何かか?きっとそうだな。でなければ脳無の攻撃が効かねぇはずがねぇ!脳無!もっとやれ!その女がぶっ倒れるまで殴れ!」

脳無のパンチが効かない理由をバリアのような物で防いだと勝手に判断した死柄木は、脳無に新しく命令を下した。

 

「グルァアアア!!」

その命令に脳無が反応し何度も何度も零華を殴る。

 

「………」

しかし脳無の怒涛の連続パンチを受け続けている零華は、微動だにせずどこ吹く風な態度で微笑みを浮かべている。

 

「はぁ…」

やがて脳無の打撃が50に到達し掛けた頃、零華が一つ溜め息を吐いた。

 

「しつこい…」

そう呟きながら拳を握り込み腕を軽く引いて…殴った。

 

 

ドゴォォオオオオオオン!!!

 

 

先程までの脳無の連撃と比べるのも烏滸がましい程の一撃。

ショック吸収の個性により大抵の打撃攻撃が通じないはずの脳無に零華の拳がめり込み、死柄木と黒霧の間を通り抜けて近くの施設の壁を破壊させながら吹っ飛んだ。

 

 

「は…?」

「なんと…!」

脳無が一発のパンチによって自分達の遥か後方まで吹っ飛ばされた。

あってはならない事実。打撃が通じ無いはずの脳無が一発のパンチで吹っ飛ばされた。

その事実に死柄木は理解が追い付かず間抜けな声を出し黒霧が驚愕の余り硬直する。

 

「おいおい…どう言う事だ?」

やがて思考が追い付き今の状況をやっと理解した死柄木が口を開く。

 

「なんで俺の脳無がパンチ一発であそこまで吹っ飛ばされてんだよ…オールマイトの攻撃にも耐えれるはずだぞ?どうなってやがんだ!?」

対オールマイト用の兵器であるはずの改造人間.脳無が一人の女子生徒の手により遥か後方へと吹っ飛ばされた。

有り得ない事実を事実と認めたくないが為に怒りに任せ脳無に再度命令を下す。

 

「脳無!!あの女を殺せ!徹底的に殺し尽くせ!!」

「ウウゥゥアアアアアアァァァ!!!」

死柄木の怒り任せの命令に脳無が反応し再生しながら零華に向かって全力で駆け出す。

 

「クスクス……来い」

迫り来る脳無を前にして零華が小さく笑って、一歩前に歩みを進める。

 

 

 

 

脳無が零華と所に到達するに要した時間は、僅か数秒。

数秒の間に脳無が零華の下にあと一歩だけ踏み込めば到達する距離で零華が先に動いた。

 

「…摩訶鉢特摩(マカハドマ)

零華がそう唱えると同時に全世界の時が凍り付いた(・・・・・・・)

時間までもが凍り付いた世界の中で唯一この状況作った者のみが動ける疑似的時間停止を起こした。

 

「パ~ンチ!」

完全に止まった時の中で脳無の顔面にゆっくり拳を叩き込んだ。

 

「キ~ック!」

今度は、脳無の後方に移動し膝に強力な蹴りを見舞う。

 

「5000発…パ~ンチ!」

次にザ・ルーラーの状態で出せる最高速度で1秒以内に全方向から5000発連続で殴る。

 

「フフフッ…解除」

そう呟くと同時に疑似的時間停止を解除する。

 

 

「…グ、グガァアアアア!!?」

時間停止を解除した同時に時間停止中に脳無が受けるはずだったダメージが一度に流れ込んだ。

 

「ガ…ガァア…ガハッ!」

一撃一撃が確実にダメージを与える攻撃が5000発以上も喰らった脳無は、何処へ吹っ飛ぶまでもなくその場に倒れ込んだ。

 

「どういう事だ?なんで脳無が倒れてんだ?あの女…何をしやがった!?」

時間停止中に起こった出来事をまったく知らない死柄木が混乱していた。

 

「一体何が…?」

黒霧も同じように困惑している。

 

(まさか…あれが冷気の本気か?何が起こったのか全く見えなかった。話には聞いていたが…)

零華の両親から零華の本気がどのような物なのかを聞いていた相澤だが百聞は一見に如かずというように話を聞くよりも一度見た方が理解できる。

しかし今回に限っては見てもまったく理解出来なかった。

 

敵側(ヴィラン連合)味方側(A組)の敵味方関係無く誰も零華の行った事を理解出来なかった。

 

全員が理解出来ない中、零華が再び行動した。

 

「どうした、脳無?まさかそれで終わりじゃないでしょうね?」

倒れた脳無の前まで歩み寄り質問を投げ掛けた。

 

「グッ…ガァアア!!」

「そうだ。ほら、頑張れ頑張れ!」

ドゴォォオオン!

立ち上がろうとする脳無を応援しながら右足で頭を踏み潰した。

 

「ガッ…ア、アガッ…グガァ…!」

「何をしている?立て…3…2…」

再生しながら立ち上がろうとする脳無に対して零華が残酷なカウントダウンを開始する。

 

「1…0!」

ドォオオオン!!

「ガッ!?」

カウントダウンがゼロに到達すると同時に再生途中の脳無を踏み潰した。

 

「もう一度だ…立て。3…2…1…」

「グ…ガァ…!」

もう一度カウントダウンを始めた零華の言葉に脳無が立ち上がろうとする。

 

「0!」

ズズゥゥウウウウン!!

もう一度踏み潰すと今度は、脳無ごと地面が陥没する。

 

「三度目だ…立て。3…2…1…0!」

ドゴォオオオン!!

脳無の反応を待つ事無くカウントダウンを終わらせ再度踏み潰した。

 

「次は無いぞ?立て…いや、もう良い。さっさと立て…」

何処か諦観した表情()で脳無に背を向け自分を中心に5メートル陥没した大穴から歩いて抜け出す。

 

 

大穴から出て数メートル歩いた所で零華が初めて振り向く。

零華が振り向いた頃、脳無が肉体の損傷を再生させながらゆっくりと立ち上がっていた。

だが受けたダメージが思ったよりも大きく息が上がっており足もガクガクと震えている。

 

「グ…ガ…ァ…」

それでも命令に従おうと一歩一歩確実に前へ踏み出す。

 

「……」

一方の零華は、右手の人差し指を立ててビー玉サイズのエネルギー弾を作り出す。

 

「ガァ…ガァアアア!!!」

「……クスッ!」

大穴から這い出て零華に向かい合った脳無が雄叫びを上げる。

それを見た零華は、左手で口元を隠し小さく笑った。

 

「嬉しそうだな。褒めて欲しいか?」

某呪術漫画の大人気キャラの台詞をそのまま脳無に投げ掛けた零華は、次にエネルギー弾を作り出した右手の人差し指を脳無に向ける。

 

「いいぞ脳無。ほら、頑張れ頑張れ!」

応援の言葉を投げ掛けると同時にエネルギー弾からエネルギーの塊を連射する。

 

「ガッ!グァ!?ガッ…!グガァ…!カハッ!」

それは、ただのエネルギーの放出。

攻撃とすら認識されないただのエネルギーの放出により脳無が圧倒される。

零華は、それを攻撃と認識していない。だが、その実態は一発一発が零華の拳による攻撃とほぼ同等の威力を誇るエネルギーの塊を音速に匹敵するスピードで飛ばす物。しかも追尾システムを備えているため回避不可能な攻撃と化している。

喰らう側からすればこの上なく厄介な攻撃。しかもそれがほぼ無尽蔵に作り出されるエネルギーにより無限に飛んでくる。

 

 

「はぁ……飽きた」

やがて500発以上のエネルギー弾を脳無に直撃させたところで零華が溜め息を吐きながら『飽きた』と口にしてエネルギー放出を停止した。

 

零華がエネルギー放出を停止させると同時に脳無が力無く倒れた。

そのまま倒れ伏している脳無に向かってゆっくりと歩き始めた。

 

「黒霧!脳無を守れ!!」

「はい!」

これ以上脳無がやられるのを見ていられない死柄木が黒霧に悲鳴染みた叫び声を上げ黒霧がそれに従い移動を始めた。

 

「邪~魔!」

「なっ!?」

脳無の下に移動しようとしていた黒霧の前に突如として零華が現れ、黒霧の本体を掴み地面に叩き付けた。

 

「ガハッ!!?」

何が起こったか理解出来ないまま黒霧は地面に勢い良く叩き付けられた。

零華が行った事は、至極単純だ。

脳無の下に向かう黒霧を見つけたのでそちらに移動して先に黒霧を倒したまでの事。

言葉にすると簡単に聞こえるが実際は、知覚出来ない速度で移動し知覚した瞬間には叩き付けられている。やられる側からすればキツイなので済む話では無い。

 

 

「おっと、ごめんごめん。トドメを刺すのを忘れていたよ…」

黒霧を一撃で沈めた零華が脳無の下に歩き出す。

その際、騎士団長アイナが残して行った原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)に左手を向けた。

 

カタカタカタカタ…

 

零華が手を向けると原初の氷剣が震え始め、導かれるように零華の下へと飛んだ。

 

「ふふ…さぁ、終わらせようか?」

飛んで来た原初の氷剣を掴み脳無の下へゆっくりと歩みを進める。

 

「グッ…ガァア…!ガァアアア!!」

黒霧がほんの少しだけ時間を稼いだお陰で脳無が全ての損傷を治し立ち上がった。

それでもダメージまでは回復した訳では無い。そのせいで、まだ体が震えている。

それでも命令に従う事しか出来ない脳無が零華に突っ込んだ。

 

「………!」

「ガァアアアアアアアアアッ!!!!」

今度の速度は、文字通りの限界突破。

本来の脳無に出せないはずの速度で零華に肉薄した。

零華もそれに驚きほんの少しだけ目を見開く。

 

「ウガァァアアアアアアア!!!!!」

そのままの速度で限界突破したパワーで零華を殴る。

 

ドッゴォォオオオオオオオオン!!!!!

 

零華のザ・ルーラーのパンチと同等の威力まで迫る勢いの一撃。

脳無の肩が攻撃の反動で外れる威力のパンチが零華に繰り出される。

 

しかし…

 

シュゥウウウウウ…

 

「クスッ…」

それほどの攻撃が零華に右手一つで止められていた。

 

「ざぁこ♡」

挙句の果てに雑魚呼ばわりまでされる始末。

 

「ふっ!」

脳無を雑魚呼ばわり零華は、片足を高く持ち上げ脳無の頭に振り下ろした。

 

ドゴォオオン!!!

ズズゥウウウウン…!

 

再度轟く轟音。

空気を引き裂くような爆音や轟音が響き渡ると同時に脳無が完全に動かなくなった。

 

「もう終わり?残念…」

残念がりながら脳無から足を退かす。

 

ガラ…

「グッ…ガ…ガァ…」

既に限界を超えたダメージを受けているはずの脳無が死柄木の下した命令『あの女を殺せ!徹底的に殺し尽くせ!!』を忠実に守ろうとまたもや立ち上がる。

その姿は、もはや誇り高い戦士のようでもあった。

 

「……………フッフッフッフッフッ!」

「クックックッ…クフフフフッ…クハハハハッ…ハハハハハハハハハハッ!アーッハハハハハハハハハハ!!」

「良い!良いぞ脳無!良くぞ『()』をここまで楽しませくれたな!」

その姿を見た零華は、もはや怒りや呆れを通り越し、ただ純粋に脳無の行動を称賛する。

 

()をここまで楽しませた褒美だ。特別に()の本気の一撃を以て終わらせてやる」

零華がその言葉を口にすると同時に零華が右手の人差し指を立て口を開く。それと同時に夥しいエネルギーの奔流が巻き起こり地面を抉りながら巨大な青い玉へと成長する。

 

「詠唱破棄。眼前の敵を勇者と認める。『氷獄の支配者』としての敬意を示す。()が許可する…眠れ、勇者(脳無)よ」

零華が脳無にエネルギーの荒れ狂う球体を維持している指先を向ける。

 

「遠慮するな。もっと近くに来ても良いぞ?」

零華がそう言うが脳無は、もはや指一本動かせない。気力と命令を遂行しようとする意志だけで立っている状態だ。

 

「さらばだ…良く闘ったな」

脳無に別れの言葉を告げ、遂に最強の一手を下した。

 

 

「『虚無(ゼロ)…』」

 

 

零華の指先から飛び出したバランスボールサイズのエネルギー弾が地面を抉りながら突き進み、ついに脳無に直撃する。

 

カッ…!

 

虚無(ゼロ)が直撃した瞬間、世界から色が消えた。

 

ピシッ…!……………バキンッ!!

 

そして色が戻った。

 

「「「…っはぁ!!」」」

世界から色が消えた時間は、時間にして0.01秒程にも満たないほんの僅かの一瞬。

 

そんな僅かな間に起こった色の消えた世界から色とある世界への切り替えは、脳へ膨大な情報量として過重な情報処理を強制させた。

世界に色が戻り脳が情報を処理しきったあとで脳無が居た所を見る。

 

「なっ!?」

「嘘だろ…?」

「消えてる!」

ヴィラン達が口々に言葉を発する。

彼らの言う通り脳無が立っていた場所には、脳無が存在したと示す痕跡が何一つ存在していなかった。

 

「クソが…!!!黒霧ィ!逃げるぞ!!」

「ゴフッ…はい!」

脳無を跡形も無く完全に消滅させた零華に対し、死柄木が黒霧を呼び逃亡を図る。

体を這いずりながら死柄木の所に移動した黒霧が呼び声に血を吐きながら答えてワープゲートを開いた。

 

「クソッ!あんなオールマイト以上のチートが居るなんて聞いてねぇ!」

黒霧が黒い靄を広げワープゲートを開き死柄木がそこに逃げ込んだ。

否、逃げ込もうとした。

 

だが…

「ばぁっ!」

黒霧の中から(・・・・・・)零華が現れた。

 

「何っ!?ゴハッ!」

「死柄木 弔!」

死柄木が驚愕している隙を突き、極限まで手加減した拳で腹部を殴る。

 

そのまま黒霧の中から出た。

零華がどのようにして黒霧から出て来たか?方法は至極単純だ。

黒霧がワープゲートを開き死柄木が飛び込むより先に零華が黒霧ですら気が付かないスピードでワープゲート入り、再びワープゲートから出ただけだ。

ただそれだけの事を誰の目にも止まらない速度で行っただけの事。

 

「貴様ァ!!」

死柄木が殴り飛ばされたのを見た黒霧が零華をワープゲートで挟み、その体を真っ二つに断ち切ろうと一気に閉ざす。

 

しかし…

「くすぐったいぞ?離せ!」

零華の体を断ち切る事が出来ず原初の氷剣(プロト・ゼロカリバー)で実体化していない靄の部分を斬られた。

 

「馬鹿な!?再生出来ない!」

物理攻撃が効かないはずの黒い靄の部分を斬られ、その上で再生再生出来ない事へ黒霧が焦っていると零華が再び口を開いた。

 

「凍れ…」

「がっ!?」

零華が囁くように呟くと黒霧が切り口から極低温の氷に包まれ完全に凍り付いた。

 

「さて…一つ聞きたい」

黒霧を凍らせた零華が殴り飛ばした死柄木の下に歩き出す。

 

「脳無は、()を相手に命を懸けて闘い」

「あの黒霧とか言う者は、脳無を守ろうとし、貴様を逃がそうとし、そして無謀ながら()に勝負を挑んだ」

脳無と黒霧を評価しながら死柄木の下へ歩き続ける。

 

「なら貴様は、何を成すのだ?」

「がっ!痛…てめぇ!」

死柄木の下に辿り着いた零華が問いを投げかける。

 

「はぁ…」

何も答えない死柄木に対して一つ溜め息を吐いてから再び口を開く。

 

「ねぇ…貴方、何のために生きてるの?」

「っっっっ!!!」

いつもの口調で問いた零華に対し、死柄木が怒りの表情に顔を歪ませるがダメージのせいで指一本動かせない。

 

「貴様も死んでみるか?(ヴィラン)よ…」

そう問いながら再び虚無(ゼロ)を使う構えを取った。

 

 

「殺すな!零華!!」

「先生…?」

死柄木に人差し指を向けると相澤が必死に叫んだ。

 

「もう決着は着いてる!これ以上やるな!あとは、俺達(大人)に任せろ!ここから先は、ヒーローの役目だ!」

「……そうか」

相澤の必死の叫びが届いたのか零華が動きを止めた。

 

「では、後はお任せします」

零華が微笑みを浮かべて、そう呟くと同時にを解除する。

ザ・ルーラーを使用した反動で気を失うようにその場に倒れた。

 

 

「冷気!」

相澤が『我こそが支配者なり(ザ・ルーラー)』を解除した零華の下に駆け寄り脈を確認する。

 

ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…

 

「無事か…良かった」

零華の脈を確認した相澤が安堵の溜め息を吐く。

溜め息を吐いた相澤が周りを見渡すと零華の戦闘に圧倒され動けなかったヴィラン達が零華が倒れた事により少しずつ動けるようになっていた。

 

「見たか、あれ?」

「倒れたぞ…」

「あの女が倒れた…」

「あとは、イレイザーヘッドとガキ共だけだ…もうあの女は居ない」

「勝てる勝てるぞ!!」

ヴィラン達が残りの戦力を見て勝てると希望を見出し始めた。

ちょうどその時。

 

「私が来た!!!」

USJの入り口を破壊しオールマイトが到着した。

 

「やっと来ましたか…オールマイト」

到着したオールマイトを見て相澤が零華を抱きかかえながら笑みを浮かべる。

 

 

その数分後に到着した雄英の教師陣と警察に今回の主犯格と残っていたヴィラン達が全員捕らえられた。

 

こうしてヴィラン連合による『USJ襲撃事件』が終わった。

 

そして零華は、我こそが支配者なり(ザ・ルーラー)のデメリットにより、それから三日間眠ったままだった。




いやー、圧勝でしたね…はい。
まあ、しょうがないでしょ。だって零華の我こそが支配者なり(ザ・ルーラー)って未来火の『煉獄の女王』を相手にしても勝てる姿ですからねぇ…。
書いているとどっちがヴィランか分からなくなっていました。

解説.
我こそが支配者なり(ザ・ルーラー)

長々しい詠唱の後に変身する零華の本気の姿。
脳無の連撃を受けても微動だにしない防御力。
脳無を一撃で吹っ飛ばす攻撃力。
目にも止まらぬ速度で動き、一秒以内に5000発もパンチを叩き込むスピード。
などなど、色々とチート性能を持つ姿。

消費エネルギー量.秒間100。
今回の戦闘時間.約5分。
今回の消費エネルギー.約30,000。

デメリット.
使用後リヨ化した上で3日間眠る&目覚めた後、5日間のどが潰れ復活した後は、声が(cv.杉田〇和に)変わる。
ついでに喉が治ってから7日間性転換して男(冷気 零)になる。

技解説.

摩訶鉢特摩(マカハドマ)

零華が使える技の中で三番目に強力。
漫画作品『アカメが斬る!』の登場人物『エスデス将軍』が使う技。
時空を凍らせて時間停止を行う。
消費エネルギーが膨大なため一日に一度しか使えない。
零華は、これを一日に七回使える。

消費エネルギー.5,000


虚無(ゼロ)

零華の持つ最強の技。
当たれば死ぬ系に分類されている技。チート。
バランスボールサイズのエネルギー弾を対象に直撃させる技。
エネルギー弾が当たると対象が存在ごと凍らされ消滅する。
一日に二発しか撃てない零華が持つ最強の技。

消費エネルギー.150万。


取り敢えず書きたい所まで書けたのでしばらく失踪します。
では、また次回!


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