こいし「お姉ちゃんに薄い本没収された。」 (塵紙驀地)
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こいし「お姉ちゃんに薄い本没収された。」
短編
やほーい。こいしちゃんだよ。
お姉ちゃんの前で薄い本を朗読し、お姉ちゃんに薄い本を没収されて、はや二日。
あの本は私の秘蔵の品だったのよねー。取り返そうと第一書斎のAからJの本棚の中を探ったんだけど、見つからなかったの…。
そんなとき、たまたまだけどね、いや、私、見ちゃったんだよね?
お姉ちゃん、薄い本持ってたよね?
いやー、一階に降りていくお姉ちゃんがちらっと見えただけなんだけど、あーる18って書いてあったはず。その後、一度もお姉ちゃんが薄い本を持っていたのをみた訳じゃないのだけどね、その時だけは持ってた。
ちがうじゃん?お姉ちゃん、
「エッチなことはダメだと思います。」
って言って没収したのに、ちがうじゃん?
そこで私、思い付いちゃったんだよね。
お姉ちゃんがエッチな証拠を見つけて、お姉ちゃんを脅せば薄い本が戻ってくる!!!
完璧でしょ。
あの薄い本はたとえお姉ちゃんであってもあげる訳にはいかない。何としてでも取り返さなければいけないわ。
待っててお姉ちゃん!こいしちゃん探偵が証拠を見つけてあげる!
とりあえずは状況整理。そして証拠の発見。
有力な手掛かりを得るために、まずはお燐だよね!
――――――――――――――――――――――
「と、いうわけなのさ。お燐エッチだから、何か知ってるでしょ?」
「いや、あたいは変態じゃないからね?」
急な否定は怪しいわ…。お燐はエッチ側だね…。お姉ちゃんとグルかも。
「そうなの?本当に?」
「当たり前だよ!聞いたとこ、こいし様の自業自得じゃないの?薄い本、諦めたらどうですか?」
む、なんてこと言うの。まさか、お姉ちゃんと組んで私の薄い本を手にいれようと?お燐はエッチでお姉ちゃんのネコだからあり得る…。
おのれお姉ちゃん!
お燐を手駒にするなんてやっぱりエッチじゃん!とにかくあの本は手放せないの!
「だめだよ、心理描写が他のよりリアルでさー、
「え、どんなの?」
うわ食いついてきた。こわ。エッチなのはいけないと思います。
「やっぱりエッチじゃん!」
「いや、これは単なる興味であって、その、あれだよ。さとり様に追いつけるくらい賢くなるために、本が読みたいからさ。それで―」
むむ、お姉ちゃんとグルでエッチなお燐からは何も情報が得られないかもしれない…。とりあえず何らかの情報だけでも得ないと名探偵こいしちゃんの名が泣いてしまうわ!
「―別に変態なものに興味がある訳じゃなくて、 さとり様がいつも読んでる心理描写の優れた本がある本棚」
お?変態なさとり様がいつも読んでる優れた本って言った?
「お燐その話詳しく!」
「え!?さとり様はこっそりあたいに一番大切な本棚があることを教えてくれて…。」
「場所は!?」
「いや、そこまでは話さなかったかな…。」
ダメかぁー。お燐でも知らないのかな?本当に知らないのかな?
「お燐、教えてくれたら薄い本数冊あげるよ?」
「いやあたいは薄い本は要らないからね?どうしても、と言うなら貰うけど、要らないからね?」
「ま、分かったらよろしく!」
次の手掛かりへ急行せねば!
「いや置いていかれたあたいはどうすればいいの?」
――――――――――――――――――――――
次の目的地はお空!え?…お空は鳥頭だから、なにも分からないし、何も手掛かりが得られない?…甘いんだよねー…もう一度学び直したら?確かにお空は鳥頭。それは間違いない。だからこそいろいろなマニュアルとか、館の分かりやすい建物図、何でも残してあるってわけだ。
お空はただ、全てを忘れるまぬけという訳じゃなくて、お姉ちゃんから言われた大切なことはずっと覚えてるから、マニュアルとか全部残してるはず!
「と、いうわけなのさ。お空何か知ってる?」
「うにゅ?こいし様の大切な絵本、さとり様にとられちゃったの?」
「そうそう。お姉ちゃん酷くてさ。絵本の読み聞かせをしたら怒っちゃったの。」
いまお空をさとり陣営につかせないためにも、出来るだけぼかして話をしよう。
尊いものは尊いってこいし知ってるから!
「どうしてだろうね?眠くなかったから?」
確かになんでお姉ちゃん怒ったんだろ?このお空の何気ない発言。実は深いものかもしれないわ。掘り下げてみようかな。
「どうしてだろうねー。」
お姉ちゃんも私も同じ古明地家。お姉ちゃんは賢い。姉が姉なら妹も妹。私も賢いはず…。
ん?私エッチじゃん。
ならお姉ちゃんもエッチじゃない?
ははーん。証拠を一つ手にいれたわ。お姉ちゃんが拾ってきた遺伝子学の本にも載ってたわ。遺伝するって!エッチの遺伝子だね。仕方ないね。
※遺伝子学はそんな簡単なものではない。
お空から証拠を一つ手に入れられた!さすがだよね!お空は有力な情報提供者だね。あとはマニュアルや建物図も見せてもらおう。
「あ、そうそう。私も部屋割りとか、仕事のマニュアルみたいなもの忘れちゃってさー。あれば見せてほしいな。」
「ん!こいし様も忘れることあるんだ。地図はこれだよ。」
うん!お空は背は高いけどかわいいね!
どれどれ?…二階の私の部屋にある建物内図より丁寧に書かれてるなぁ。
『仕事で困ったらここ。』
『お燐に聞く』
メモまでとってる。すごいなぁ。ならメモにある部屋は除外。お空が来る部屋に薄い本なんか置かないよね。お姉ちゃんはきっと隠れスケベだから…。
一階にある仕事部屋や二階のお姉ちゃんの部屋は丸がつけられてる。二階の第二書斎はメモが無い。おかしいね。お姉ちゃん普通に第二書斎にもいるのに。
もしかして、薄い本はここかな?薄い本が返ってくるなら、お姉ちゃんを調査しなくて済むね。そっちの方が楽かな?でも、私の本見つからなかったしなぁ。
「仕事のマニュアルも見ていい?」
「何に使うの…?」
…あれ?さすがにお空にも怪しまれたかな?理由を考えないと。どうしたらいいかな。
「ここにはお空の仕事以外のマニュアルもあるでしょ?」
「そうだけど…。」
「お姉ちゃんから、いらないマニュアルは回収してきてって言われたからね。」
「どうして…?さとり様はいろんなことを見て学んでみなさいって、みんなのしていることを知りなさいって言ってたよ?こいし様さっきの話は本当なの?」
お空は思ったよりも純粋だった。失敗したかな?これ。…まだ諦めるには早いはず。
「や、ここにあるものさ、一部核融合炉稼働前のマニュアルが残ってるかもしれないんだよね。お空の為に私が残ってないか探してあげるから。」
「んー…。そっか!ありがとうこいし様!」
危なかった…良かった。何とかなったね。
「と、いうわけなの。マニュアル見せて?」
「いいよ!ちょっと待っててね!」
かわいいね。ちょっとアホの子入ってるし、乳あるし最強じゃない?
…そんなことしている場合じゃなかった。早めに私の薄い本を見つけ出すか、お姉ちゃんがエッチである証拠を見つけないと。
今のところ本棚がある部屋は…、
地下
お空の為の仕事管理室
古い資料とかいろいろあるよ!
一階
第一書斎:本棚を調べたけど無さそう。
台所:料理本があったね。
お燐の部屋:お燐の本があったよ!二冊くらいこっそり借りてるけどね。
仕事部屋:大量の本棚と、良くわからない本。そして資料だね。
二階
お姉ちゃんの部屋:お姉ちゃんの部屋だよ!
私の部屋:秘蔵の本はとられたよ…。ここには無いね。
第二書斎:調べてない。たくさんの本棚があるね。お姉ちゃんの薄い本もあるかもね。
三階
来ない来客用の部屋多数。数冊ずつ置かれてる。いや来客に薄い本を読ませる様な真似をお姉ちゃんが…ねぇ?
空き部屋:古い本とか、がらくたがたくさんあるよ!ここに私の本があったら泣けてくるかな…。
物置:たしかー、古いベッド。私が入ることは無いかなー?
お姉ちゃんの良くいる場所は…、
地下
温泉:一人で入るときも二人のときもあるよ!
一階
トイレ:トイレはトイレだよ!
リビングダイニング:そんなにお姉ちゃんいないかな?
仕事部屋:毎日あそこでなにやってるんだろね?いつもいる気がする。
第一書斎:仕事部屋と繋がっているね。多くの本棚があるよ。
二階
トイレ:トイレはトイレだよ!
お姉ちゃんの部屋:夜は大概ここにいるね。
第二書斎:居ないわけではないかな…。
三階
トイレ:トイレはトイレだよ!
掃除用具の部屋:来客用の部屋を掃除するために使ったりするみたい。私は掃除しないけどねー。
「持ってきたよ!」
「ありが…すごい量だね。」
高…でも、これも薄い本のため!
『間欠泉緊急時の対応保存版』『交流変電所手引き』『核融合炉使用前にお読みください。』『核融合炉の手引き』『霊烏路さん、お元気ですか。にとりです。この度は焼き鳥などと―』『地上への電力供給に関する条約』『うつほの日記』『お空 ゆっくり休んでね。あとは私たちが―』『季節の境目は風邪を引くので―』『ホットプレート 使用時の注意点』『灼熱地獄運用手引き』『灼熱地獄過熱状態時の対応マニュアル』『日本の神話』『お燐の持ってくる死体について』『気軽にできる!整理整頓術』『不可侵条約の概要をまとめておいたわ。 さとりより』『瓦斯管の配置図』『可動型本棚J番号使用時の留意点』『固定式本棚の作り方』『地霊殿の建物内図』『地上-旧地獄不可侵条約』………
「…お空。灼熱地獄や死体は昔のだね。不可侵も。もう外にどんどん出ていいよ。」
「そうなの?黙認しているだけじゃないの?」
「そうだよ。でも紫が認めてるからいいでしょ。」
…ダメだ!全然手掛かりが得られない!どうでもいいものが多すぎるよ!
ハズレかな…。
「お空は何か良くわからない紙見つけた?」
「わからない…。」
あー…お空は鳥頭だから仕方ないか…。まだ物的証拠が無い。これじゃあお姉ちゃんがエッチだって証明できないよ…。今回はここから情報を探るのは止めよう。やってらんないわ。
―――――
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―――
――
―
「よし、大体整理出来たね!お空?あとは片付けといてくれる?」
「はーい、分かったよ。」
あーいいこだわー。私もこんなペットが欲しいな!お空に任せて、第二書斎に向かおう。
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ここは第二書斎だよ!
お姉ちゃんは、いないかな。私の本とお姉ちゃんの本どちらも探してみよう!ここまでの証拠から、私の見込みによれば、ここにあるはずだからね。
どうしてかって?
第二書斎は、私は滅多に入らない。お空や、お燐もここを詳しく知らない。お姉ちゃんが薄い本を隠すにはちょうどいいね。
もう一つある。お姉ちゃんが薄い本を持っていた時、二階から一階に降りていったんだよね。つまるところ、お姉ちゃんはここから本を持ち出した。
薄い本は、ここにある!探していこう。
L棚にはー。 『社会学』『人心を掌握する方法。』『嫌われない為にも。』
…違うね!
M棚にはー…。 『マックス・ウェーバーの統治学』『君主論』『人文主義者の宴』
…次!
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――
嘘…。LからZまで見たけど、一個も無いよ。どうなってるの?本当にお姉ちゃんは薄い本を持っていないとでも言うの?
…一つの可能性がある。お姉ちゃんが二階から出てきたのはトラップ。お姉ちゃんは二階から出てきた。そこは正しい。
なら、なんでお姉ちゃんは他の日にも第二書斎から薄い本を持ち出さなかったの?
ここは仮置き場だったわけだ。薄い本を一時的に置いておく、仮置き場。私は千載一遇のチャンスを逃した?
こんなことは許されない!でも、どうしよう…。私の薄い本、これじゃあ返ってこないよ…。
…まだだ、まだ地霊殿のみんなにしか話を聞いていない。諦めるわけにはいかない。
でももうこの手しかない。旧都に行けば、あるいは…。
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「こんばんは!」
「あれ、こいしちゃんじゃない!」
「おお、あんたが来るなんて珍しいね!呑んできな!」
うん、飲兵衛達はいつも宴会をしているから見つけやすいね!なら、いつもの勇儀に話を…あれ?お酒泥棒萃香も居る!なんで?
「どうして地底に居るの?」
「あー?私?理由を聞かれても困るね。私は幻想郷のどこにでも居るからね。」
「理由になってないよ。」
「やめときな、萃香に理由を聞いてもまともに答えてはくれないさ。」
「ま、そんなもんよ。どうしたのこいしちゃん。宴会に来るなんていつぶり?」
「いつぶりだろー…。そんなことより、聞きたいことがあってここに来たの!」
ここで何も得られなければ負け。乾坤一擲の大博打だよ!特に萃香は泥棒の達人。大切な物がある場所を知っている訳だ。たまたま会えるなんて、幸先がいいや。
「構わんよ。」「鬼に何を聞くつもりだい?」
「お姉ちゃんに薄い本を没収されちゃって、」
「「!?」」
「取り返したいの。それで、地霊殿のどこに隠してあるかなーって。」
「な、なああんた。薄い本ってのは、若いもんがえっちらおっちらやるあれかい?」
「ははは!もうそんな歳になったつもりかな?」
「そんな歳?お姉ちゃんも持ってるから別にいいでしょ。それで、お姉ちゃんがエッチな証拠を見つけるか、私の本を見つけるかして、お姉ちゃんから私の本を取り返すの!」
「…なあ萃香。どうするんだいこれ。こんな幼子の春画を取り返すことに協力するなんて、」
幼子って何よー。萃香にまだ早いって言われちゃったけど、萃香には言われたくないかなぁー。見た目なら身長勝ってるし!背は低くても立派な古明地家の妹だよ?見た目よりも大人びたお姉さんなんだから。
「いいだろ勇儀。全身全霊をかけてここに来たみたいだし。しかしこいしよ、さんざん人に裏切られた鬼に協力を求めるとは、何を見返りとしてくれるんだい?生半可な物では動かないよ。」
来た。門前払いじゃない。お酒を出せば勝ち―
「お酒は?」
「毒の酒を飲まされた鬼に提案することかな?」
うそ。なんで?
「いつもお酒で動いていたじゃん!」
「昔を思い出していたのさ。今日はダメだよ。」
「おつまみは?」
「そんなもの、地上から持ってくればいいさ。」
「地霊殿に遊びにくる?」
「さとりがいるだろ?オチオチお酒をとれりゃしない。」
「あのときも、お酒盗ってたでしょ!」
「今盗れるかは、判らんよ?」
むう…。萃香に弄られてる…。この泥棒マスターの協力を得られたら強いのに…。どうしよう。出せる手が無いよ…。
「なあ、諦めたらどうだい?さとりもあんたのことを思って
「勇儀は黙ってな。で、どうするんだい?」
どうするどうする。お酒を拒否された時点で負けに近い。萃香に拒否されたら行き詰まりに近い。
どうしていい案が思い付かないの!不味いな。私はお姉ちゃんみたいにたくさん物を持っている訳じゃないから、物々交換には向かないんだ。地霊殿からなにかを持ってくる?
地霊殿から食べ物を持ってくる案は拒否された。
さすがに地霊殿から家財を持っていくのは無理だ。お姉ちゃんに感づかれてしまう。
駄目、地霊殿の物は持ち出せない。
私が持っているものを考え出さないと。
駄目、薄い本しかないよ!…これしかないのかなぁ。
「…薄い本数冊で…、どうかな?」
うあー。無理じゃん。駄目じゃん!勇儀は協力してくれないしー。
「いや、あんたそれは無理だろうよ。な、萃香
「乗った!」
ええ…。さすがの私も理解できない。なんで?
「萃香!?駄目だろ!」
「自分の宝物を出すその心意気やあっぱれ!ははは!やるねえこいしちゃん!成長したねえ!うんうん。」
「待て待て萃香!春画を対価に出すことを成長とは言わないだろう!?」
私もそう思うー。
「面白いから許す!「おい!!」うるさいなー。あっちでパルスィが呼んでたよ?そっち行ってやりな。…で、さとりから薄い本を取り返すんだろ?」
「そうだね。」
なぜかお酒泥棒の協力を得られた!でも、どうやって協力するつもりなんだろ…。
「うんうん。さとりかぁ、懐かしいね。あいつは臆病だから、何も変わっていないさ。」
「貴方ね、お姉ちゃんは臆病じゃないんだけど。立派な地底の管理者だよ?」
「はは…ごめんね。そう思うなら、そうなんだろうさ。」
「何が聞きたい?さとりの行動、思考か?あんたのとられた品のありかか?」
「わかるの?」
「当てられるとは、言わないよ。鬼だからね。」
「確信があるんでしょ。」
本のありかも聞きたい所だけどー。多分萃香は推理に自信を持ってる。聞いたら、お姉ちゃんの行動を本当に当ててくれるかもね。どうしよう…。
「さあね。本のありかを聞けば、私はそれに対する私の意見を言うよ。もしかしたら本当にそこにあるかもしれないね。さとりについて聞けば、私はそれに対する考察をしてあげる。それが本のありかに繋がるかは、こいしちゃん次第だね。」
自分で考えて見つけ出すか、萃香に丸投げするか。薄い本は大切だけど、お姉ちゃんの考えを知れば、もっと仲良くできるのかな…。
お姉ちゃんの方が大切。
「お姉ちゃんは、何を考えているの?」
「さとりは思ったよりもケチさ。」
「お姉ちゃんはケチじゃないよ。あれだけ泥棒した萃香にもお酒を振る舞っていたし。」
「泥棒とは人聞きの悪い。まあまあ聞いてくれ。あれは私が一階のある部屋に忍び込んだ時の事だ。そこは酒蔵だったんだがね。普通なら酒蔵は樽を運びやすい位置にあるだろ?」
そうだなぁ。お姉ちゃん前はお酒も軽く作っていたんだった。今は作っていないんだけどね。
「そうだね。」
「あいつ隠し部屋なんか作っていやがった!しかもだ、そこにさとりの配下を寝泊まりさせて、見張り番までさせていたんだ。私が酒を頂戴しようとしたら大きな音で騒ぎ立てるし。さとり、わりと怒ってたね。貴方にあげる酒はありません。だって!」
「なんか、これ貴方が悪いよね?」
「まあまあ、これ続きがあるんだ。そのお酒蔵。あんたに一番いいお酒をプレゼントするためにずっと内緒にしてたんだってさ。これには私も諦める他無かったよ。」
嬉しいな…でもどのお酒なんだろう。これはお姉ちゃんが心を込めて作ったお酒って言われたこと、ないんだけどなぁ。
「そっかぁ…。そんなことあったんだ。でもその話。別にお姉ちゃんの考えの考察でもないよね?」
「まあな。それより、そんなことあったんだ、だって?そのいいお酒、貰ってないのかい?」
「いや、何も言われなかったなぁ。」
「…そうか。…纏めると、さとりはあんたにも隠し事をしているよ。家族にさえ全てをさらけ出すなんて出来ないんだ。臆病者だね。」
「お姉ちゃんは私の為に隠し事してたんだよ?お姉ちゃんが臆病者って話じゃないよね?」
「そうかい?あんだけ頑張って作ったお酒を、感想を恐れて私の作った酒って言えない奴のどこが臆病者じゃないっていうんだい?」
「それは…。」
「はいはい、この話は終わり。私は大サービスしたよ。後は依頼主が一人で頑張りな。」
「…うん。ありがとうね。」
結局お姉ちゃんはどこに隠したんだろ。わからないよ…。
――――――――――――――――――――――
やっと帰ってきた…。萃香の話、分かりにくくて、お姉ちゃんの薄い本も、私の薄い本の場所もわからないよ…。
どうしたらいいんだろ。
考え直さないと。
お燐からは、秘密の本棚があるって。
お空からは、遺伝子以外に何もなかった。
第二書斎からは手がかりなし。
酒飲みからは、お姉ちゃんの秘密の部屋と、お姉ちゃんの考え。私はあれを認めないけど。
…お燐の秘密の本棚の話と、萃香の秘密の部屋。あれは同じものなのかな?
萃香は一階にあるっていっていたけど。
でも、どこにそれがあるの?
お姉ちゃんは隠し部屋を持ってる。私は知らない。お姉ちゃんならどこに隠す?
…分かった。そっか、別にお空とか、お燐がその部屋を訪れても、わからないところにおけばいいんだ。
お姉ちゃん、私の勝ち。
私、Kの本棚を一度も見てない。そこにあるんでしょ。
一階の隠し部屋。それは第一書斎の奥だよね。
『可動型本棚J型』を動かせば、隠し部屋があるんでしょ。
そこに私の本か、お姉ちゃんの本があるはず。
『本棚J』
来たよ。あってるよね?今まで気がつかなかったけど、これ、可動式だったんだね。
―行くよ。
――――――――――――――――――――――
「え、こいし!どうしてここに!」
「あれ!お姉ちゃん!なんで脱いでるの!?これってオ
「待って!待って!これは違うの!」
「違わないでしょ!エッチなのは駄目っていったじゃん!」
「ずるい!お姉ちゃんまさかこんなところでオ「わああああああ!」
「私もまぜて!」
「こいし?これの何にまざるっていうのうわやめなさ
#続きは省略されました#
エッチコンロ点火型推理風小説?ふーん。凍結じゃん。
こいしちゃんの特別な薄い本は返ってきました。良かったね。
続かない
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