クレイジーな奴のいる教室へ (転生したい)
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プロローグ

見切り発車で書き始めました。
なんとなくで書いていきます。


プロローグ

 

バスに揺られながら私は高度育成高等学校へ向かっていた。

 

とても憂鬱だ。

なぜ私がこんな学校へ行かなければならないの。

元々、私は地元の高校を受験するはずだったそれなのに私の両親は、本来提出するはずだった出願書をすり替え高度育成高等学校を受験する羽目になった。

 

それも受からなかったら家を追い出すと脅迫してきたくらい最低な親だ。

 

そう言われてしまっては受かるしかないので真面目に試験を受け面接もきちんとできていたと思う。

 

面接官の顔が青ざめていたのは気のせいだろう。

 

そしてさらに私は憂鬱になろうとしていた。

 

同じ高校の生徒らしき人物が優先席に座っている生徒に対してそこの婆さんに席を譲って欲しいと言っているみたい。

 

お婆さんが辛そうにしているから席を譲れと。

 

その光景をみるとため息が出る。

 

その婆さんが席を譲って欲しいと頼んだの?本当の善意かどうかわからないけど私から言わせれば偽善に過ぎない。

 

その後優先席に座っていた生徒に言いくるめられ他の乗客に誰か席を譲ってくれないかと訴えかけていた。

 

 

こいつ、めんどくさい。まるで席を譲る事が正しいと言ってるみたいじゃん。

こんなやつと一緒のクラスだったら毎日憂鬱になる。

 

そんな事を考えていると長い黒髪の生徒の前に座っていたOLらしき人が席を譲っていた。この状況下なら席を譲らないと罪悪感出るもんね。

 

まるで悪者みたいになる。

 

あの女子生徒の行動で1人の婆さんが席に座るという事ができ、その他の私ら乗客は嫌な気分になるという被害が出た。

 

大がいい思いができるなら小は切り捨てるべきだろうにな。その方が効率がいい。

 

そして目的地である学校前のバス停に着くとゾロゾロと生徒たちが降りていく。

 

そして私もバスから降りると先ほどの黒髪の女子生徒が1人の男子生徒に話しかけていた。

 

話しかけるのはいいとしても道のど真ん中で話しかけるって邪魔なんだけど。

 

まあ、こういうやつは頭がおかしいのが多いから無視していこうかな。

 

その場を通り過ぎ掲示板に大勢の生徒が集まっていた。どうやらクラス分けが書いてあるらしい。

 

そこで自分の名前を探す。

するとDクラスに神条准の名前を発見する。

 

私はDクラスか、なんか落ちこぼれみたいな感じがするな〜。

 

クラスへ着くと先ほどバスにいた4人の生徒が同じクラスだった。

 

はぁ、私の学校生活終わった、よりにもよってさっきの偽善者と一緒だし。

 

まあいいか目立たないようにがんばろ。

 

自分の席を見つけた。私は窓際の1番後ろの席だった。隣はさっき黒髪の女子生徒に絡まれてた人か。この人同種ぽいし話しかけてみよ。

 

「はじめまして。神条准っていいます。これからよろしくね」

 

「ん、ああ、綾小路清隆だ。よろしく?」

 

「あんまり、お話とか苦手なかんじ?」

 

「まあ、そうだな、得意ではない」

 

とぶっきらぼうに返してくる。

 

「そうなんだ、あんまり話しかけない方がいい?」

 

「いや、得意ではないが。話しかけてもらえたら嬉しい」

 

「うん、わかった」

 

 

「みんな聞いてほしい。まだ先生も来ていないみたいだし自己紹介しないか?」

 

クラス内で賛成の声があがる。

 

「じゃあ僕から僕は平田洋介。趣味はスポーツ全般です。これからよろしく」

 

あーみんな仲良くマンて感じする。

 

「それじゃあ次は私だね。私は櫛田桔梗と言います。ここにいるみんなと仲良くなる事が目標です。たくさん思い出を作りたいので皆さんどんどん誘ってください」

 

あの偽善者の子櫛田桔梗って言うんだ〜。あざとさ全開で男はああいうの好きなんだろうな。

 

次々と自己紹介が進んでいき私が指名された。

 

「神条准って言います。3年間よろしくね」

 

とだけ言って席に座る。

 

それにしても男子の視線がうざい。

私の胸が大きいからって見過ぎ、そういう視線はバレてるって気付かないのかな?

 

その後、隣の席の綾小路が自己紹介を始めたが盛大に滑っている。

 

あちゃ〜盛大に滑ってるよ。

まあ、この人優秀そうだしフォローしようかな。

 

と思いフォローをしようとすると

 

ガン!と机を蹴った音がする。音の方をみると赤い頭をした生徒が何やら喋っている。

 

「何が自己紹介だ。俺らはガキかよ。やりたいやつだけでやってろ」

 

「じゃあ、君はガキ以下だね」

 

私は気づけば赤い頭の生徒に突っかかっていた。

 

「なんだと!」

 

「だって君は自己紹介している人の事をガキと言った。そのガキができる事を君はやらないんだ。ガキ以下って事に君はなるね」

 

「テメェ!舐めてんじゃねぇぞ!」

 

「舐めてなんかいないよ。君は自己紹介する気はないみたいだし。これから君の事は赤ゴリラと呼ばせてもらうね」

 

と私は細く微笑んでいた。

 

赤ゴリラが立ち上がりこちらに来ようとするがタイミングよく先生が入ってきた。

 

「席につけ。いまから説明を始める」

 

「後で覚えてろよ」

 

私は微笑みだけで返す。

 

先生は教壇に立ち説明を始める。

 

「私はDクラスの担任となった茶柱佐枝だ。この学校にクラス替えはない。卒業までの3年間私がお前たちの担当となる。まずは本校の資料を配ろう」

 

そう言って先生は資料を配る。

 

「本校には独自のルールが存在する。まず全寮制で在学中に敷地内から出ることと外部との連絡を制限している。だが心配するな学園にはあらゆる施設が揃っている。生活に必要なものは全て手に入るだろう。娯楽も含めてな。買い物には学生証端末に保有されているポイントを使う」

 

先生は端末を生徒に見せながら説明を続ける。

 

「この学校ではあらゆるものをポイントで買う事ができる。ポイントは毎月1日に振り込まれる。1ポイントで1円の価値だ。お前たちはすでに今月分の10万ポイントが支給されている」

 

その言葉にクラスメイトは驚いている。

 

10万ポイントね〜。たかが高校生に10万ポイント学校側が払うなんて怪し過ぎでしょ。このクラスだけで400万ポイント、学年で1600万ポイント、3学年で4800万ポイントそれを1年間だから5億7600万。

 

この学校って国が運営してるからってその額は異常すぎる。

 

「支給額の多さに驚いたか?この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちにはそれだけの価値があるというわけだ」

 

あーなるほどね。現在の私達についての評価では10万ポイント分の価値ってわけか。つまり、後で増減するってわけね。

なるほどなるほど。

 

「以上で話は終わりだ。あとは解散して構わない」

 

先生が出ていきそこで解散となる。

 

「ねぇ、綾小路君」

 

「なんだ?」

 

「ちょっとついてきて欲しいんだけど」

 

「かまわないがどこにいくんだ?」

 

「まあ、それは行きながら話すよ」

 

2人で教室をでる。

 

「それでどこに向かっているんだ?」

 

「職員室、さっきの説明で気になる事あってさ。たぶん教えてくれないだろうけど、聞いてて損はないと思うよ」

 

「そうか」

 

職員室に入り茶柱先生のところまで行く。

 

「お前たちはなんのようだ?」

 

「ちょっと聞きたい事あるんですよ」

 

「なんだ?言ってみろ」

 

「ポイントの増減はクラスですか? 個人ですか?」

 

私の質問を聞いた先生はとても驚いた表情をしていた。

 

「まだ答えられないな」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

と言って帰ろうとすると

 

「まあまて、何がきっかけでそうおもった?」

 

「だって、高校生に10万って怪し過ぎますよ。何かの詐欺を疑います。それに茶柱先生は入学したお前達にはそれだけの価値があると言いました。つまりそれは今の価値です。この学校は実力主義、実力がなければ下がりますし実力が有れば価値が上がるのが普通じゃないですか?」

 

「ふふ、お前は面白いな。聞いてどうしたかったんだ?」

 

「何も、私さえいい生活が送れればいいので他の邪魔な方には消えてもらいたいと思ってますね」

 

茶柱はその言葉を聞いて震えた。

神条准が言った言葉に嘘が感じられなかったのだ。

 

神条准的に憂鬱だった学校生活がゲームのようで意外と楽しめそうと考えていたのだ。

 

「それでは先生、またわからない事が有れば聞きにきます。いきましょう綾小路君」

 

「ああ」

 

2人で職員室をでる。

 

「どうだった? いい情報がきけたでしょ?」

 

「神条の優秀さに驚いている。次はどうする気なんだ?」

 

「んーそうだな、生徒会室か先輩の教室ってところかな」

 

「それはどうしてだ?」

 

「先生は答えれないけど先輩達を縛るものはないでしょ? そうすればこの学校の謎もわかるでしょ?」

 

「たしかにそうだ。一つ質問だがなんで俺を選んだんだ?」

 

「んー女の勘が貴方は優秀って言ってたからかな」

 

(この神条准という女、脅威になるかもしれないな。それに何かこの女いびつだ)

 

目の前の女子に自分にあるはずのない恐怖を覚えた。

 




作者の暇つぶしで書いた作品です。


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1話 はじまり

この作品のテーマはクレイジーです。
そこを頭において見てもらあれば幸いです。


1話 はじまり

 

准は綾小路と共にショッピングモールへ向かっていた。

 

「〜〜〜♪」

 

「随分とご機嫌だな」

 

「うん!だって憂鬱だったこの学校は少し楽しめそうだって思えたし。上手くいけば良い生活が送れそうだからね。」

 

「それで目的地を教室からショッピングモールへ変更した理由を聞いていいか?」

 

「私もうっかりしててさ、今って放課後じゃない?こういう時って教室よりもショッピングモールみたいな場所の方がたくさんの人がいると思うんだ」

 

「それはわかったが俺が来る必要はあったのか?」

 

「それはね。私って巨乳で可愛いじゃない?こういう所くるとだいたいナンパにあうの。だから綾小路くんに男よけになってもらおうと思ってね。」

 

そこで改めて綾小路は目の前にいる神条准に目を向ける。白銀の長い髪に紅色の目、鼻筋も高く綺麗な顔立ちをしている。それに自分で言っているように胸が大きい。

 

「もう、そんな胸ばっかり見てると、女子から嫌われちゃうよ。女子は視線に敏感なんだから」

 

「ああ、すまない。つい見てしまった」

 

「まあ、綾小路君は許してあげるよ。色々付き合ってもらってるしね」

 

くるりと回ると准は歩き出したので綾小路もそれに続く。

 

ショッピングモールに着くと准は食料品売り場の方へ向かった。

 

食料品売り場に着くと准は何かを見つけそこへ歩き出した。

 

「何か見つけたのか?」

 

「あれ見て」

 

准が指を刺す方向をみるとそこには無料品コーナーがありお一人様2個までと書かれていた。

 

「これってたぶんポイントがない人への救済措置だと思うんだ。」

 

「ポイントを使い切った人の為というわけか」

 

「それもあると思うけどポイントが振り込まれない不良品の為だと思うよ」

 

時より彼女は無自覚にとんでもない事をいう、先程の職員室でもそうだったが全て本心にしか見えない。

 

「ここでポイントを持ってない、先輩を待つのか?」

 

「それもありだね。上級生の不良品なら簡単に教えてくれるだろうし」

 

無料品コーナーから離れ待つ事数分、1人の女子生徒が無料品コーナーで品物も手に取り選んでいた。

 

「さぁいこっか」

 

2人はその生徒のもとへ向かう。

 

「すいません、お時間よろしいですか?」

 

「な、なに?」

 

「上級生の方とお見受けします。」

 

「そうだけど」

 

すると准は端末に書いたメモを見せる。

 

『Sシステムについての情報と過去問を売って欲しい。』

 

女子生徒は驚いた表情をする。

 

「場所を変えましょう」

 

ひとけのない場所に着くと女子生徒は質問してくる。

 

「いくら出せるの?」

 

「タダで教えて欲しい所ですが1万ポイントですね。」

 

「貴方達新入生で入ったばかりでポイントまるまる残ってるでしょ、2万出しなさい」

 

「ふふ、では貴方ではなく違う人に聞くとします。」

 

准は踵を返すと歩き出していた。

 

女子生徒もポカンとした表情になる、まさか交渉が決裂になるとは思わなかったのだろう。すぐに准を呼び止める。

 

「待ちなさい。わかったわ、1万ポイントでいいわ」

 

「ふふ、何を言ってるんですか?」

 

そこで見せた彼女の表情はとても冷たかった。その綺麗な笑顔は消えとても冷たい表情をしている。

 

眼からは光が消えまるでゴミを見るかのような目で女子生徒を見ていた。

 

その表情に怯えているのか女子生徒は悲鳴を上げる。

 

「ひっ」

 

「私は交渉事が嫌いです。こちらが提示した金額で不服なようなので私は他の方にお願いすると言ったんです。」

 

「だ、だから貴方がいった、1万ポイントでいいって…」

 

「それは貴方と交渉決裂した後に貴方が言っただけ。」

 

「そんな…」

 

「でも貴方にチャンスをあげる。今から質問する。死にたい?それとも生きたい?」

 

綾小路はそのやりとりを見ながら驚いていた。彼女の行動が理解できない。先ほど呼び止めたところで1万ポイントを払っておけば予定通りの金額で情報が手に入った。

 

なぜここまでにあの女子生徒を追い詰めているのか。

 

恐怖で混乱したのか女子生徒は生きたいと答える。

 

 

「ふふ、生きたいと答えてよかったね。死にたいって言ってたらそのまま潰してたよ。」

 

彼女はもう一度冷たく笑った。

 

「じゃあSシステムの情報と過去問を持ってきてもらおうか」

 

「わ、わかりました。」

 

そして女子生徒はSシステムについて教え始めた。

 

 

 

 

「ふーん、授業態度とか問題行動とかで1000クラスポイントから引かれていくわけか。クラスポイントを増やすためにはテストでの高得点や特別試験で良い成績を残すか」

 

「し、知ってる事はこれだけです」

 

「まあ生徒が知ってる事はこのくらいかな、後は過去問を私の端末に送って、貴方の番号を教えて」

 

「わかりました。」

 

「今回は特別にポイントをあげる。」

 

そういうと准は女子生徒にポイントを送った。

 

「え?」

 

女子生徒は驚いた表情になる。まさかポイントがもらえるとは思ってはいなかったのだろう。

 

「いらないなら返して」

 

「いります、ありがとうございます。すぐに過去問も持ってきます」

 

そういうと女子生徒は走って行ってしまった。

 

 

「どうしてポイントを渡したんだ?」

 

「ん?何かおかしい事したかな?」

 

彼女は何がおかしいかわかっていないようだ。

 

「いや、なんでもない」

 

この神条准という人物の感情がわからない、冷たく笑ったかと思えば今のように普通の女の子に戻る。それも全て本心にしか見えない。

 

 

 

彼女は狂っているのかもしれない。

 




神条准の行動は理解できないと思いますが。綾小路が思ったように彼女は狂っています。


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2話 契約

2話 契約

 

准は綾小路と共に買い物をしていた。

 

「神条、お前はさっき知った事をクラスに話すのか?」

 

「話すつもりはないかな。これくらいの事調べようとも思わない人に教える価値はないしね」

 

「それだとクラスポイントが下がって神条の手元に入るポイントが減ると思うんだが」

 

「最初の3ヶ月くらいは我慢するよ。」

 

准の発言に疑問を覚えた綾小路。

 

「なんでって顔してるね。まあクラスを良くしようとは思ってないよ。でも邪魔な人には消えてもらわないといけないでしょ?」

 

「退学させるのか?」

 

「うん!聞いた話だと退学すると100クラスポイント引かれるんでしょ?それならポイントをいっぱい持ってる時より0になった時に処理しちゃった方が効率がいいと思わない」

 

彼女にとって自分を害する者はすべて消すつもりなのだろう。しかし彼女は優秀だ。誰もこの状況で動ける者は少ないだろう。

 

「効率はいいと思うが、俺が喋る事だってあると思うが?」

 

「ん?綾小路くんしゃべるの?」

 

彼女の顔から笑顔が消えた。

 

「まあ、綾小路くんが喋るとは思ってないよ。君は自分が目立つ事を嫌うよね?だったらこの事を喋ることはない。それに君はどちらかというと傍観者だ。」

 

話の途中から彼女の表情はいつもの笑顔に戻っていた。

 

「まあ、俺は喋るつもりはない。だがポイントはどうする気だ?神条の言葉から察するに0ポイントになると思っているみたいだが」

 

「大丈夫だよ。明日動くつもりだから」

 

彼女には何か考えがあるらしい。

 

「今は買い物だよ。今のうちに生活必需品とか買わないといけないしね」

 

そう言って買い物を再開する。

 

彼女は無料品コーナーからお一人様二個までと書かれた食材をカゴに入れていく。

 

俺もそれに便乗して無料品コーナーから食材を手に取る。

 

「綾小路くんって料理する人?」

 

「した事はないな。だからどれを選べばいいかわからない」

 

「ふーん、そうなんだ。なら提案なんだけど。毎月1万5千ポイントくれるなら三食私が作ってあげるよ」

 

彼女が持ちかけた提案は意外と魅力的なものだ。自炊のできない俺が学食や外食で済ませると考えた時、最低でも3万近くになる。それを半分にに抑えられるならこの提案受けても悪くない。

 

「いいのか?」

 

「うん、そっちの方が効率がいいしね。1人分を作るより2人分の方が楽だし。それに無料品も2倍かえるから。私としてもメリットがあるの。」

 

「なんで、そこまでしてくれるんだ?」

 

「私の生活を良くするには君の力が必要だからだよ。」

 

といって彼女はふふと笑った。

 

「すまないがお願いする」

 

「了解、任せて!」

 

そして2人は買い物を終える。

 

「どっちの部屋で料理しよっか?」

 

「俺はどっちでも構わないぞ」

 

「じゃあ私の部屋でしよっか」

 

そう言って彼女の部屋に案内される。

 

「じゃあ今から作るから15分くらい待ってて」

 

「わかった」

 

彼女は料理を作り始めた。

 

ものの十数分で料理ができる。

 

「はい、おまちどうさま。手始めにカルボナーラにしてみたよ。ブラックペッパーはお好みでかけてね。」

 

「いただきます」

 

綾小路は出されたパスタを一口食べてみる。

 

「美味いな」

 

自然と感想が口から出ていた。

 

「よかった。食べたいものがあるときは遠慮なく言ってね。基本的になんでも作れるから。」

 

「わかった」

 

そして食事が終わると彼女は明日の事について話を振ってきた。

 

「明日ね1年AクラスかCクラスに行こうと思ってるの」

 

「理由はなんだ?」

 

「今日職員室に行く前他のクラスを通ったじゃない?そこで早速グループ作りとか行ってる生徒とかいたんだけど。2人ほど優秀な生徒ぽい人がいたの」

 

「あの一瞬でよくそこまでわかるな」

 

「女の勘だよ」

 

「そこに俺もついて行けばいいというわけか?」

 

「うん、しっかりボディガードしてね」

 

神条であれば俺がボディガードなどする事なく相手を返り討ちにできると思うんだがな。明らかに戦闘経験がある。ここは彼女についていく方がいいか。いい隠蓑になりそうだ。

 

「わかった。明日の放課後動くのか?」

 

「うん、すぐ行かないとどこに行っちゃうかわからないしね」

 

「了解だ。」

 

「話は変わるけど明日の朝ごはんはどうしたらいい?」

 

「朝から神条の部屋にくるって事でいいか?」

 

「うん、それでいいよ。それならこれ渡しておくね」

 

そう言って渡してきたのは合鍵だった。

 

「無闇にこんなもの渡すべきではないと思うが」

 

「大丈夫だよ。君は絶対にリスクを犯さないからね。」

 

その場で解散となり次の日になる。

 

 

放課後予定通り、まずCクラスへ向かった。

 

「どいつ何だ?」

 

「あ、いたあの人だよ」

 

そう言って指さしたのは明らかに他とは風貌が違う龍園翔という生徒だった。

 

彼女はズカズカと教室に入ると龍園のところまでいく。

 

「はじめまして、神条准って言います」

 

「他のクラス奴がなんのようだ?」

 

彼女は端末に書かれているメモを見せる。

 

『取引がしたい。Sシステムについての情報を持っている』

 

龍園はそのメモを見ると驚いた顔になると同時に笑みを浮かべていた。

 

「ついてこい」

 

准と綾小路は龍園についていくとそこは屋上だった。

 

「それでその情報ってのは何だ?」

 

「まあまあ落ち着いてって、こっちもタダで売るつもりはないから」

 

「それはそうだ、いくら欲しい?」

 

「5万ポイント欲しいな」

 

「偉くふっかけるじゃあねぇか」

 

「ううん安いと思うよ。これをクラス40人で割れば1250ポイント。とても安い計算になると思う。これはサービスだよ」

 

「それほどの内容ってわけか」

 

「そうだね、どう?受ける気になった?」

 

「もしこの情報が間違ってたらどうする?」

 

「そのときは私を好きにしていいよ。」

 

彼女は満面の笑みで答えた。

 

気が狂ってるとしか思えないその言葉。

龍園ですら恐怖を覚えた。

 

しかしニヤリと笑うと

 

「わかった番号を教えろ。5万振り込んでやる。」

 

「毎度あり。」

 

ポイントの入金を確認すると神条は龍園にSシステムについて説明をしはじめた。

 

 

「どう?5万が安く感じたでしょ?」

 

「ああ、サービス感謝するぜ。これからも情報を売ってくれるのか?」

 

「もちろん!ポイントがもらえる限り君に情報を売るよ。」

 

「それときいていいか?察するにお前はクラスを勝たせる気がないように見えるが」

 

「うん、勝たせる気なんてないよ。私さえ良ければそれでいい」

 

「全く侮れない相手だな」

 

「じゃあ、私たちはいくね」

 

そう言って2人は次の取引相手のもとへ向かう。

 

Aクラスの教室へ向かうとちょうどその目的の生徒が教室から出てきた。

 

「こんにちは、神条准って言います。」

 

「こんにちは、坂柳有栖といいます。」

 

「急に話しかけてごめんね。実はお話したいことがあるの」

 

と言って有栖にだけ見えるように端末のメモを見せる。

 

有栖も龍園と同様驚くがすぐにニヤリと笑った。

 

「それでは場所を変えましょうか。」

 

向かった先は個室が付いているカフェだった。

 

カフェの個室に入ると有栖が話し始めた。

 

「それで、いくらがお望みですか?」

 

坂柳は優秀そうなので最初から値段の提示を求めた。

 

「6万は欲しいかな」

 

「それほどの情報なのですね。」

 

「うん、絶対役に立つと思うよ。それに坂柳さんの派閥で割ればそこまで痛手にならないと思う」

 

「すでに私たちのクラスの現状まで把握しているのですね。」

 

「たしか、もう1人のリーダー格の人がいたよね。スキンヘッドのその人に情報を売らないって意味でプラス1万にさせてもらったよ」

 

「なるほど、あなたはかなり優秀ですね。わかりましたお受けします。」

 

「安心して、嘘だったら全額返すし。坂柳さんの駒になってあげるから」

 

龍園の時と同様に彼女はとんでもない発言をする時必ず綺麗な笑顔を向ける。

 

「ふふ、貴方は狂っていますね」

 

神条はSシステムについて説明を始めた。

 

 

「なるほど確かに金額に見合う価値はありましたね。」

 

「でしょ。それで相談なんだけど説明した通り、Aクラスは優秀だからポイントがあまり減らないと思うの、だから定期契約にして欲しいなって思ってる。」

 

「ふふ、あなたは結構がめついのですね。それで内容は?」

 

「私達のクラスの情報や試験についてわかった事とか色んな情報を優先して流してあげる。必要ないって感じたら定期契約を切ってもいいよ。情報以外だとそれとは別にポイントをもらうけど」

 

 

「面白い提案ですね。いくらが望みですか?」

 

「坂柳さんの派閥、一人当たり2万かな。それで手を打つよ。」

 

「なるほど、それは来月からという事でよろしいのですね。」

 

「うん、もちろん。いま、6万ポイント貰ったばかりだし。今月はこれ以上ポイントを要求する事はないよ。受けてくれるの?」

 

「受けましょう。貴方と組んでいれば面白そうです」

 

「まいどあり。定期契約結んでくれたから。これはサービスだよ」

 

坂柳に渡したのは中間試験の過去問と小テストの過去問だった。

 

「これは何か意味があるのですね」

 

「うん、その時になれば気づくと思う。本来ならポイントをとるけどサービスだよ」

 

「ありがとうございます。これは受け取っておきます。」

 

「じゃあね、また連絡してね」

 

「はい、また連絡させてもらいます。」

 

2人は退席する。

 

 

「それにしても神条はすごいな今日だけで11万ポイントも手に入れたのか」

 

「へへ、私こういうの得意なんだよね。あとこれ今日付き合ってくれたお礼」

 

綾小路の端末がなるそこには2万ポイント振り込まれていた。

 

「いいのか?」

 

「うん、今日は特別に気分がいいからね。」

 

 

いつ見ても彼女の笑顔は綺麗だ。

 

しかしその笑顔の下に何があるのかは誰も知らない。

 

 




あと1話挟んで5月に行きます。


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3話 愚かさ

3話 愚かさ

 

授業中の私語や端末の使用、居眠りそんな事が絶えないDクラスの教室。

 

そんな生徒を教室の隅で観察する1人の女子生徒。

 

彼女は細く微笑み真面目に授業を受けている。

 

この教室にも少なからず彼女と同様に真面目に授業を受ける生徒はいる。

 

その生徒に対しては彼女も好感を持っている。

 

この教室にいてもいいと

 

彼女は待ち続けるその日が来るまで。

 

 

 

 

4月も終わりにさしかかったある6限目の授業

 

茶柱先生は入ってくると小テストをする事を告げる。

 

周りからは非難の声が上がる。

 

「安心したまえ、このテストは成績には関係のないテストだ。」

 

やっときた。このテスト確認するにはいい機会だね。それに今の発言でどれくらいの人が気づいたかな?成績には、関係ない、ポイントには影響する試験。多分気付けたのは坂柳さんと龍園くん、2人だけだろうな。

 

チラリと綾小路くんに目線を送る。

 

彼にはこのテストについて私が教えた。

 

目立ちたくないだろうから平均80点とってと言っておいた。

 

彼は少し嫌な顔をしたがそれを受け入れてくれた。

 

これには少しの布石がある。

 

あまり低すぎると後々目立ってしまうと私は思ったからだ。

 

プリントを受け取り問題に目を通すとこの前手に入れた過去問と同じ内容だった。

 

それを見た時またも頬が緩み微笑んでしまう。

 

 

茶柱先生が開始の合図をする。

 

答えを知っている私はものの五分ほどでテストを終える。

 

そして周りを確認すると半分以上の生徒がすでにテストを放棄し、寝ている。

 

まあバカだから仕方ないか。

 

脳味噌腐ってそうだし。

 

 

 

 

試験終了のチャイムがなる。

 

「今日のホームルームはない。このまま解散して構わない。」

 

私は大きく背伸びをして立ち上がる。

 

「今日はどこかにいくのか?」

 

「んーそうだなぁ、綾小路くんはどうするの?」

 

「特に決めてはいないが」

 

 

 

「堀北さん!今日こそみんなとカフェとかに行かない?」

 

「必要ないわ」

 

私達が会話をしている横で櫛田さんと堀北さんがいつもの会話をしている。

 

ほんとあの偽善者懲りないよね。

 

まあ、堀北さんも堀北さんだけど。

 

「そう言わずにさ、一緒にいこうよ」

 

「私を誘うより。そこの2人を誘った方がいいわよ」

 

うわぁ〜私達に押し付けようとしてきたよ。この高飛車の性格はどうにかして欲しい。

 

「神条さんと綾小路くんも一緒にどうかな?」

 

めんどくさいなと思っていると私の端末がなる。

 

相手は坂柳さんと龍園くんからだった。

 

「ごめんね〜、私達これから予定があるの、他のクラスの子の相談に乗らなくちゃいけなくて」

 

「そうなんだ、それなら仕方ないね。堀北さんは、」

 

堀北はその場から消えていた。

 

早いよほんとに、ほんと孤独と孤高を履き違えてる人だよね。

 

 

「それじゃあ、いこっか綾小路くん」

 

「ああ」

 

 

2人は教室から出る。

 

「それでさっきの着信音はあの2人か?」

 

「正解!龍園くんと坂柳さんからだよ。とりあえず2人には違う時間を指定しておいたよ」

 

「最初はどっちにいくんだ?」

 

「定期契約を結んでくれた、坂柳さんからだよ」

 

「そうか」

 

 

カフェにつくと個室へ案内されるとそこには坂柳と神室の姿があった。

 

 

「わざわざ来ていただいて申し訳ありません。」

 

「ううん、お得意様だからね。それで呼んだのは小テストの件でしょ?」

 

「はい、貴方からいただいていたこの小テストと全く内容が同じでした。」

 

「てことはもう一つの意味もわかったよね?」

 

「ええ、今度の中間試験でこの問題がまるまる出題されるのですね。」

 

「うん、そういうことだよ。今回はサービスであげたの、それがあれば派閥争いで有利になるでしょ?」

 

「貴方からしてみれば派閥が増えれば回収するポイントも増えますからね」

 

「うん、坂柳さんにはどんどん派閥を広げて欲しいと思ってる。」

 

「わかっていますよ。それに明後日は5月1日ポイントの精算が楽しみですね。」

 

「何ポイントくらいになりそう?」

 

「正確にはわかりませんが980を予想しています。」

 

「さすが〜Aクラス、私が話してからすぐ行動に移したんだね。」

 

「はい、真澄さんに動いてもらいました。」

 

「坂柳さんもいい駒持ってるね。さてと、私達次の用事があるからそろそろいくね。」

 

「次も私のような相手ですか?」

 

「その情報は別料金だよ」

 

「なるほど、おいくらですか?」

 

「5万だね。」

 

ふふと笑いながら彼女は坂柳をみる。

 

「随分と高いのですね。」

 

「当たり前だよ、誰とは言わないけど大切な取引相手だから。今の情報はサービスね。」

 

「そうですか。今回は手持ちがありませんしやめておきます。」

 

「そう、賢明な判断だね」

 

神条と綾小路は立ち上がり部屋を出るため綾小路はドアを開けた。

 

「最後に言っておくね。私を尾行するなら覚悟した方がいいよ?見つけたら、その子ただじゃ返さないからね」

 

神条の言葉は冷たく坂柳の方を見た後隣にいた神室をみる。

 

その目は普段の紅い目が黒く濁ったようになりそして天使のように微笑んだ。

 

 

「じゃあね」

 

2人は個室を後にしカフェからでる。

 

 

「これでは尾行できませんね。」

 

「無理よ、いくら命令されたってあの人を尾行するのは無理。確実にあんたが命令したのバレてたわよ。それにあの眼、人の眼じゃなかったわよ」

 

「真澄さん、今日はよく喋りますね。」

 

「それはそうでしょ、あんたが尾行しろって言った相手があんな悪魔みたいな人と思わないじゃない!」

 

「大丈夫ですよ。真澄さん尾行はさせません。今、彼女からの信用を失うのは痛いですから。それに彼女はクラスには興味ないようですし」

 

 

 

 

 

 

「次の場所はどこなんだ?」

 

「カラオケボックスだよ。部屋番号は201」

 

「質問だが、尾行していたらどうなってた?」

 

「二度と尾行できないように足がなくなってたかもね」

 

彼女はあの時のように美しく笑った。彼女がこの笑顔を見せる時、それは嘘偽りがない時だ、それと同時に彼女が狂っている時でもある。

 

「そうか、それは怖いな」

 

「ふふ、着いたよ」

 

カラオケに到着し指定された場所に入ると龍園達が既に中で待っていた。

 

「随分と遅かったじゃねぇか」

 

「こっちにも色々あるんだよ、それで今回は何が知りたいのかな?」

 

「今日行われた小テスト、教師は成績には関係ないって言った。ポイントには関係あるんだろ?」

 

「うん、ポイントに関係ある試験だよ。それが中間試験のヒントにもなってる。」

 

「中間試験のヒントねぇ、過去問か?」

 

「正解!今なら小テストと中間試験の過去問、解答付きで5万ポイントで売ってあげる。」

 

「悪くねぇな、払ってやる」

 

端末を操作し龍園はポイントを送金した。

 

「毎度あり、でも8万ポイントもいいの?」

 

「お前がSシステムについて売ってくれたおかげ早い段階でクラスを統一できた。そん時に税も納めさせたからな。安いもんだ。」

 

「それはよかったよ、私的には予想ポイント860くらいだと思ってるよ。」

 

「ほう、他のクラスは大体どれくらいだ?」

 

「Aクラス980、Bクラス750、Cクラス860、Dクラス 0ってのが予想かな、たぶんCクラスはBクラスに上がれるね。」

 

「そいつはいいな」

 

龍園はケタケタと笑う。

 

「あとそうだね、中間試験では最高で100クラスポイント手に入れる事ができるよ。クラスの平均点とか最高得点者の数とかで振り分けが変わるみたい、他に聞きたい事はあるかな?」

 

「ポイントが減る要因で1番高いものはなんだ?もちろんポイントは払う」

 

「ううん、さっきのプラス3万分はしゃべらせてもらうよ。」

 

「そうか、いい買い物をしたな」

 

「1番は退学だね。マイナス100ポイント次は停学これは停学の人が少なくて確かな情報と言えないけどマイナス80ポイントくらい。あと特別試験によって変わる感じかな」

 

「なるほど最後に一つ聞きたい。退学を回避する方法はあるのか?」

 

神条はいつものように笑う

 

「あるよ、2000万ポイントのクラスポイント300払えば退学を阻止できるよ。」

 

龍園の部下達が騒ぎ出す

 

「2000万!そんなポイントどうすれば」

 

「黙ってろ石崎」

 

「す、すいません」

 

「すまない部下が迷惑をかけた」

 

「ううん、大丈夫だよ。龍園君はお得意様だしね。じゃあそろそろ私達は帰るね」

 

「ああ、また頼む」

 

2人はカラオケルームから出て行く。

 

 

 

 

「さて、ポイントも入ったし。何かデザートでも食べて帰る?」

 

「俺は構わないぞ」

 

「じゃあ、高級なデザートでも食べに行こうか、もちろん私が奢るよ」

 

「すまないな」

 

 

 

 

そして5月1日を迎えた。

 

 

 

 



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4話 波乱

なんか物足りない気もしたけど。
これが私の限界かな



4話 波乱

 

5月1日

 

目が覚め携帯を確認する。

 

振り込まれたポイントは0それを見た時つい笑ってしまう。

 

「あはははは、ほんと傑作だね」

 

数十分後、綾小路くんが私の部屋に入ってくる。

 

「おはよう、神条の予想通り、俺たちDクラスに振り込まれたポイントは0のようだな」

 

「うん学校側から振り込まれたのは私も0だったよ」

 

彼女はキッチンで料理を作りながら答える。

 

「もうAクラスから振り込まれたのか?」

 

「うん!その額なんと30万ポイント!今の坂柳派は15人って事になるね、Aクラスは980ポイントでCクラスは870だったよ。Bクラスは取引相手いないからわかんない」

 

彼女は嬉しそうにキッチンから顔を出した。

 

「気になっていたが、なんでBクラスに情報を売らなかったんだ?」

 

「それはね、Bクラスのリーダーの一ノ瀬帆波ちゃんは私の情報の価値を0にしちゃうからだよ。彼女は私から情報買ったあと他のクラスにタダで教えちゃうような人だもん。そんな人に情報は売りたくないよ」

 

「なるほど、神条が嫌いな偽善者というわけか?」

 

配膳をしながら彼女は答える。

 

「ううん、彼女は偽善者じゃないよ、あの眼は本当の善人だね。クラスのために身体を差し出せって言ったら即答せず考えちゃうくらいの善人だね。」

 

彼女は笑う。いつもの綺麗な笑みとは違う邪悪な笑みだ。

 

「また良からぬ事を考えてる顔だな」

 

「ふふ、大丈夫だよ。まだ何かする気じゃないから」

 

でも善人の顔が歪む姿はみてて綺麗だと思うんだよね〜。

 

 

「食べ終わったし学校に行こう」

 

「そうだな」

 

 

2人は登校するとDクラス、Bクラスがとても騒がしい。

 

大方、ポイントが減っている件についてだろう。

 

まあ、Dクラスは0なんだけどね。

 

教室はとても騒がしい脳味噌お花畑達の事だ、ポイントを使い切ってしまっているんだろう。

あちらこちらでポイントが入ってないと騒いでいる。

 

 

 

茶柱先生が入ってきてホームルームが始まる。

 

「席に着け、朝のホームルームを始める。」

 

「先生〜、ポイントが振り込まれてないんすけど。毎月1日に支給されるんじゃなかったんですか?」

 

「いや、今月分はすでに振り込まれている。」

 

「え、でもなあ…」

 

「ポイントはすでに振り込まれたそれは間違いない、このクラスだけ忘れられたなどという可能性もない。」

 

「でも実際振り込まれてないし」

 

「そうだよ、振り込まれてない」

 

次々と非難の声があがる。

 

 

「本当に愚かだな、お前たちは」

 

 

はじまった、ここからネタばらしってわけね。どういう展開になるのかな?

 

他の生徒は茶柱先生の言葉に驚いていた。

 

「遅刻欠席合わせて98回、授業中の私語や携帯を触った回数391回、ひと月で随分とやらかしたものだ。この学校ではクラスの成績、評価が毎月振り込まれるポイントに反映される。査定の結果、お前たちは当初持っていた10万ポイントを全て失った。今月振り込まれるポイントは0だ。」

 

 

 

「俺ら0ポイントで生活しろっていうのかよ」

 

「な、、なんだよそれ聞いてねぇって」

 

「ただの高校生に過ぎないお前たちが何の制約もなく毎月10万も使わせてもらえると本気で思っていたのか?ありえないだろ、常識で考えて、なぜ疑問を疑問のままでしておいた?疑問を疑問のままで放置しておく?入学式の時にも言っただろう、この学校は実力で生徒を測ると、お前たちは評価0のクズというわけだ。」

 

あー最高だな、みんなの表情。絶望、驚愕、悲観、バカに使い道があるとするならこんな表情を見せてくれる事くらいだもん。

 

ざまぁ、ないね

 

「いま、お前達には評価0のクズと言ったが若干名はそうではない生徒もいる。その生徒は私の元まで来て疑問を解決しようとして来たぞ、なぁ神条」

 

クラスにいた生徒全員が私の方を一斉にみる。

 

「ふふ、それが本来するべき行動と私は思っていましたからね」

 

「じゃあ、神条はこの事について知ってたって言うのかよ!」

 

「なんで教えなかったんだよ!」

 

「そうだ!そうだ!」

 

「お前が教えてたらこんな目には、」

 

 

彼女は笑っていた。

誰もが見惚れるような笑顔で立ちあがりこう言い放つ。

 

「ふふ、発言よろしいですか?茶柱先生」

 

異様な彼女の態度にクラスは沈黙する。

 

「一つずつお話ししようか。まず今、私を罵った山内君だったけ?貴方は遅刻欠席回数25回、携帯を触った回数は約98回。たぶん貴方がDクラス最多だろうね。茶柱先生あっていますか?」

 

視線が茶柱先生に切り替わり注目が集まる。

 

「神条の言っている事に間違いはない。そのように報告があがっている。」

 

山内に非難の目が集まり山内は俯く。

 

「続けるね。次に池君、貴方は遅刻欠席20回、携帯を触った回数85回、たぶん2位の記録だね。」

 

「ああ、それについても間違いない。」

 

池はビクッと身体を震わせた。

 

「次に須藤君。遅刻欠席30回、携帯はほぼ触っていないけど授業中の居眠りはたぶん1番だろうね。ふふ、学校ではなく動物園へ行った方がよろしいんじゃないですかぁ?」

 

「テメェ!言わせておけば!」

 

「うるさいなぁ、人がしゃべってる間は黙りなよ」

 

彼女の言葉には殺気が込められていた。その殺気を感じ取ったのか須藤は黙る。

 

すぐに彼女の表情が変わり先ほどと同じように喋りだす。

 

 

「ふふ、他の人達はせいぜい1、2回程度、それでも多いと思うけど。貴方達は私にまるで非があるような言い方をしたよね?」

 

「だって、それを知っていれば、こんな事には、、」

 

「知っていれば?何を言うかと思えば知っていれば真面目に受けていたと?」

 

「そう言うお前はどうなんだよ!」

 

「茶柱先生」

 

「神条は遅刻欠席、携帯を触った回数共に0だ。あえていうなら最も模範的な生徒であったと言えるだろう」

 

 

「ふふ、らしいですよ。山内君。話を続けるね。知っていれば真面目に受けたなどと笑われるような事を言わないでくださいよぉ。ここを託児場か何かと勘違いしてるんしじゃないですかぁ?小学生でももっと模範的に動きますよぉ?先生も言ってたでしょ、なんで疑問を疑問のままにしておいたんですかぁ?あ、もしかして10万もらえるのが当たり前とでも思ってた?それだったら、とんだ脳味噌お花畑だねぇ。ふふふ」

 

彼女の狂気が教室に充満する。

 

あるものは恐怖し、あるものは驚愕し、あるものは唖然としている。

 

そして彼女が再び口を開こうとしたときそれを遮る生徒が現れた。

 

「そこまでにして欲しい。神条さん。君の言ってる事は最もだが少し言い方を考えて欲しい」

 

「ふふ、これは失礼。私に非があるような言い方をしたので、つい本音が出ていたよ。」

 

普段の彼女の表情に戻る。彼女は度々、性格が豹変すると口調が変わる。

 

「茶柱先生、説明を続けてください。」

 

茶柱先生は一度視線を彼女にむけ説明を開始した。

 

「まず、Sシステムについて説明をはじめる。」

 

Aクラス 980 cp

Bクラス 750cp

Cクラス 870cp

Dクラス 0cp

 

そのクラスポイントの差にクラス全体は驚いていた。

 

ありえないほどの差が生じていたのだ。まさに絶望的な状況である。

 

「リアルタイムで生徒を査定し数値として算出する。見ての通りお前たちは0、1番の不良品というわけだ。しかし同時に関心もした。歴代のDクラスでも0は初めてだ。」

 

「先生、ポイントの増減に関して詳細な説明をお願いします。」

 

平田は立ちあがり茶柱先生に問う。

 

「実社会と同じだ、実際の詳細な説明は教えられない。」

 

平田は俯き席にすわる。

 

「このクラスポイントは1クラスポイントごとに100プライベートポイント支払われる。入学時点では全クラス1000ポイント保有していた。もしお前たちがCクラス以上のクラスポイントを保有していたので有ればお前たちはCクラスへと昇格。CクラスはDクラスに降格となっていた。今回、BクラスはCクラスに降格しCクラスはBクラスに昇格した。」

 

「あのポイントを増やす機会はあるんですか?」

 

「あるぞ、直近で言えば次の中間試験だ。最大で100クラスポイントはいる。それと中間テストで言っておかなければならない事がある。中間テストで赤点を取ったものは退学だ。」

 

 

「ハハ、これでは殆どのものが退学だね。実に美しい。このクラスも綺麗になるじゃないか」

 

笑い声をあげたのは高円寺六助だった。

 

お、意外とわかってる人いるじゃん。私も高円寺君に賛成だなぁ。

 

「どうせ、お前だってろくでもない点数なんだろ」

 

「前を見たまえ、レッドボーイ。神条レディの下に私の名前があるだろう?」

 

神条准   100点

高円寺六助 98点

堀北鈴音  98点

 

高円寺君、能力高いと思ってたけど、レディの扱い方わかってそうで高ポイントかも。

 

「こんな奴が…」

 

「こんな奴とは失礼だね。」

 

「そこまでにしろ、説明は以上だ。ホームルームを終了する。」

 

 

私は高円寺くんの元へ向かうと。

 

「何か困った事あったら言ってね」

 

と言ってメールアドレスを渡した。

 

「受け取っておこう。君は美しいからね」

 

「ふふ、ありがとう」

 

 

そして授業が始まる。

 




YouTubeでMAD見てたんですけどこの作品のEDにフィクサーって曲使いたい笑


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5話 影

5話 影

 

授業が終わり放課後になる。今日は依頼が入っていないのでフリーの日だ。立ちあがり鞄をもって帰ろうとすると私を引き止める生徒がいた。

 

「すこし待って欲しい。神条さん」

 

「なぁに?平田くん」

 

「勉強会に参加してみんなに勉強を教えてほしいんだ」

 

「勉強会ね〜。あんな事があったのによく私に声をかけれたね。それは感心するよ。」

 

「あれは神条さんを非難してしてしまっていたからね。言い過ぎだと思ったけど筋は通っていたよ。」

 

「ふーん。じゃあポイント頂戴。一回につき5000ポイント。」

 

「5000ポイント、、、」

 

「私の貴重な時間を使うんだからそれくらいかかるよ」

 

「そんな、、クラスの為に協力してくれないのかい?」

 

「私はね時間を無駄にしたくないの。それに協力を求めるなら。私じゃなくて堀北さんとかがいいんじゃない?」 

 

この前のお返し。巻き込まれろ。

 

「私は今から行かなくては行けない所があるの、失礼するわ」

 

この女なんで自分がDクラスか聞きに行く気だね。

 

端末に着信がはいる。

龍園くんからだ。ラッキーほんといつもちょうどいいタイミングで連絡してくれる。

 

「ごめん、平田くん、私も予定入ったから行くね。行こ、綾小路くん」

 

「ああ」

 

2人は龍園が指定した場所へ向かう。

 

そこは広々としたディスコのようなものだった。

 

私達が入ると注目が集まる。

 

「ボスがあちらで待っています。」

 

「ありがとう、アルベルトくん」

 

龍園が待つ個室へ入ると

 

「わざわざ呼んですまねぇな。」

 

「ううん、大丈夫だよ。それで今回は何かな?」

 

「まあ、落ち着け。好きなものを頼んでくれてかまわねぇ」

 

と言ってメニューを渡してくる。

 

「いいの?」

 

「ああ、そっちの綾小路も頼んでいいぜ」

 

「じゃあお言葉に甘えるよ」

 

1番高そうなデザートを頼む。

 

「龍園くんが優しいと何か裏があるのかと思っちゃうよ」

 

「ハハ、これはお礼だ。神条のおかげで俺らはBクラスに昇格できた。それにお前から買ったクラスの運営方法はかなり使えた。特に税収制は役立ってる。」

 

「ポイントを集めるのにはそれが1番だしね。今のBクラスなら月2万でも問題ないし、約80万近く集まるし効率がいいよ。」

 

「今回のこのパーティーもお前が提示した。飴を与えるってのを採用させてもらった。」

 

「そんなに褒めちゃって、今回も別に情報が欲しいんでしょ?」

 

「まあ、そんな所だ。赤点の算出方法と過去問の配布のタイミングについて聞きたい。過去問のタイミングは1週間前と考えている。」

 

「じゃあ両方合わせて1万ポイントだね。」

 

「いま。送信した。」

 

「赤点の算出方法は科目のクラス平均点の半分だよ。過去問を使った時のリスクとして平均点が高くなっちゃうから51点以上取れてたら問題ないよ。」

 

「なるほど予め基礎は固めておけと言うわけか」

 

「うん、そう言う事、次に配布のタイミングだけど。1週間前でも悪くはないけどギリギリまで基礎は固めといた方がいいかな。全部で5教科だから1日2つ暗記するとして3日前から4日前がベストだね。3日前の場合は2日で5教科覚えて最終日全部見直す。4日前なら3日で5教科して最後全部見直す。それがベストかな」

 

「神条的にはどちらがいい?」

 

「んー私は4日前が1番いいかな。1つの教科に時間取れるし」

 

「なるほどなこれからもよろしく頼む」

 

「うん、こちらこそ」

 

彼女達はニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

場所は変わって職員室

 

 

「茶柱先生、なんで私がDクラスなんですか?」

 

「先程から言ってるだろう?それは話せないと。まあ、このクラスには異常な生徒が多いのは確かだがな」

 

「異常な生徒?神条さんや高円寺君のことですか?」

 

堀北は今日の出来事を思い出す。

 

「まあ、その2人もそうだが、あと1人いる。お前の隣の席の綾小路だ。」

 

「彼が?至って普通だと思いますが」

 

「まあ、時間もあるゆっくり話してやろう。彼らの入試の点数からだ神条オール100点、高円寺、平均95点、綾小路オール50点だ。」

 

「あの入試でオール100点!そんなバカな事」

 

その時綾小路の事など頭になかった。

神条が出したオール100点に意識を持っていかれていた。

 

「まあ今の話をきいてそっちに目が行くのも仕方ない事だ。私がいま注目して欲しいのは綾小路だ。」

 

「たしかにオール50点も異常とは思いますけど」

 

「お前は本当にこの異常さを理解しているか?お前も入試を受けたからわかると思うがあのテストはそうそう狙って点数を取れるようなテストではない。それをやつは全教科50点だ。全ての問題を理解し点数の配点まで理解していなければできないだろう。やつの異常さがわかったか?」

 

堀北は考えを巡らせる。

自分なら果たしてできるだろうかと。

それは否だ。

不可能であるあの状況で受かるかわからないテストで点数を調整するなどバカげている。

 

「どうやら理解したらしいな。お前がもしAクラスに上がりたいなら、その3人に協力してもらうのが1番だろうな。私の話は以上だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜私は兄さんに呼び出された。

そこで私は自分の面汚しになるから学校を去れと言われた。

 

腕を掴まれ掌底が私に当たろうとした時。

 

「あんた今本気で打ち込もうとしただろう、彼女を離せ」

 

止めに入ったのは綾小路君だった。

 

彼は兄さんの腕を掴み掌底を阻止していた。

 

「やめて、綾小路くん」

 

「ん?」

 

こんな性格してたかな

 

綾小路が手を離すと裏拳が綾小路に飛んでくる。スウェーでそれを避けると続けて頭に蹴りが放たれたので右にかろうじて避ける。

 

続けて右腕で俺を掴もうとしてきたのでそれを払い除けた。

 

「いい動きだな、何か習っていたのか?」

 

「ピアノと書道なら」

 

 

「あはははは、綾小路くん、その冗談はかなり面白いよ」

 

笑いながらその場に現れたのは神条准だった。

 

「全く、飲み物買ってくるのにどれだけ時間かかってるのかと思って来てみたら随分と面白い状況になってるね。」

 

彼女はまたしてもケタケタと笑った。

まるでこの状況を楽しんでいるかのように。

 

「ほう、お前はその端末で今の一部始終をとっていたと言うわけか」

 

「まあ、そうですね。消して欲しいですかぁ?」

 

会長は一瞬で距離を詰めると彼女の持っている端末に手を伸ばしたが、、、

 

 

届く事はなかった。

 

彼女はひらりと避けるとそのまま会長の後ろを取っていた。

 

「お前もかなり武術に心得があるな」

 

「さてどうでしょうねぇ?まあこの動画消してあげてもいいですよぉ?かわりに100万ポイント欲しいですねぇ」

 

彼女は奇妙な笑顔を浮かべている。

 

「ふん、まあいいだろう。端末の番号を教えろ」

 

「やった!毎度あり」

 

彼女は先程見せていた奇妙な笑みはなくなり年相応の彼女の表情に戻る。

 

ポイントの送金を確認すると端末を会長に渡す。

 

会長は動画を消して端末を返した。

 

「まさかこうも異質な2人に会うとは珍しいこともあったものだな。入試成績オール100点とオール50点のやつにこんなに早く会えるとは思わなかったぞ」

 

兄さんが2人に注目している?

 

「偶然って怖いっすね」

 

「入試の点数知ってるとはさすが会長ですね」

 

「お前達は異常だからな。いやでも目に入る。」

 

「そんなに異常ですか?」

 

「自覚がないか。まあいい、Aクラスへ上がりたければ死ぬ気でもがき続けろ」

 

そう言って会長は去っていった。

 

 

「いい、臨時収入も入ったし、帰ろっか、綾小路くん」

 

「ああ、そうだな」

 

2人は寮への道に戻ろうとする。

 

「待って!」

 

「ん?何かな?堀北さん」

 

「Aクラスに上がるために協力して欲しいの」

 

「嫌だよ。めんどくさいもん」

 

「あなたAクラスに上がりたくないの?」

 

「私はポイントさえあればいいし」

 

「そのポイントが私たちは0なのよ」

 

「まあクラスポイントは0だね。私ね、高円寺くんの意見に賛成してるの。勉強しない人達は退学になっちゃえばいいって思ってる。高円寺くんの言葉借りるなら美しくない」

 

「たしかにその方が効率がいいかもしれない。だけど退学によるペナルティもあると思うの。」

 

 

「ふーん、意外と優秀じゃん。」

 

彼女は堀北の発言がお気に召したらしい。

 

「じゃあ賭けをしよっか」

 

彼女はおもちゃを見るような目で堀北をみる。

 

「もし次の試験で誰1人として退学者がでなかったら、ただで一回だけ貴方に協力してあげる。」

 

 

俺は彼女の発言が理解できないでいる。

彼女に得がない。堀北にも言うほど得がない。

賭けになっていない。

しかし堀北はこの賭けを受けるだろう。

堀北はプライドが高いこう言われれば必ず受ける。

 

 

「その賭け、受けるわ。必ず、1人も退学者を出さず試験を突破するわ」

 

 

「ふふ、頑張って、楽しみにしてるね。」

 

貴方がどんなふうに踊ってくれるのか

 

 

 

神条と綾小路は寮に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 




人に無駄な事をさせられるのは嫌いなのに、無駄な事を自分でするのは好きな神条さん。


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6話 日常

今回は狂気成分少なめの日常パートです。
たまには日常も書いてて悪くないですね。



6話 日常

 

寮に戻り2人で食事をとる。

 

彼女は御満悦の表情をしている。臨時収入として100万ポイントも入ったのだ。

 

「聞きたいんだが最後の賭けは意味はあったのか?神条のメリットが少なすぎる気がしたんだが」

 

「ないよ。ただ面白そうと思っただけ」

 

ふふ、と笑いながら彼女は淡々と告げた。

 

やはり彼女の行動はわからない。俺の理解の範囲を超えている。

 

しかし彼女のこの異常ともいえる行動が俺を目立たなくしている。人は目立つ存在に注目すると言う習性があるその分俺へ向くはずの意識が彼女に向き存在感を消すことが出来る。

 

「それで、神条は何人退学すると考えているんだ?」

 

「んーそれはわかんないよ。攻略法知ってたら必勝だし」

 

「おいおい、それだとお前は賭けに負ける事になるぞ」

 

「ん?心配してくれるの?」

 

上目遣いでこちらを見つめてくる。

 

「心配はしていない。ただ神条がただで負けるとは思えないからだ」

 

「ハハ、わかっちゃう?簡単だよ。いざとなれば1人試験を受けれないようにしちゃえばいいんだよ。そしたら1人退学は確定でしょ?」

 

試験を受けれないようにする?

どう言う意味なんだ?

 

「わからないって顔してるね。じゃあヒント試験が受けれない状況って何があるかな?」

 

彼女はニコッと笑って俺に問いかける。

 

俺は思考を巡らせる。

 

「体調不良で学校に来れない。大怪我をして入院しているとかくらいか?」

 

「まあほぼ正解かな〜」

 

彼女は目を剥いて微笑んだ。

 

まさか、神条がやろうとしていることは

 

「ふふ、指でも全部折れちゃえば試験なんて受けれないよね〜。あ、口があれば書けるか私とした事が忘れてたよぉ」

 

やはり彼女は狂っていた。

彼女に他人の指などゴミも同然、それにクラスにいる邪魔な存在価値は0というわけか。しかし、彼女が暴力に走るとは考えてもいなかった。

 

「ん?どうかしたかな?」

 

「いや、なんでもない。しかし見つかれば退学になる可能性だってあるぞ」

 

「え?なんで?事故なのに?」 

 

どうやら彼女は事故に装って始末するようだ。しかし両手が折れる事故などあるのだろうか。彼女がする事だ失敗するなどと言う事はないのだろう。

 

「事故か、それなら足がつく事はないと言うわけか」

 

「そうだよ。監視カメラないところでやっちゃえばいいし。龍園くん達にでも協力してもらうよ」

 

彼女は期待するような目で頬を両手でおさえていた。まるで堀北が攻略法を見つけ喜んでいるところで絶望に叩き落とすそんな事を想像しているんだろう。

 

 

 

 

 

5月の半ば

 

そういえば他のクラスはテスト範囲変更で大慌てしてたな〜。

Dクラスは全然知らないみたいだけど。

それに茶柱先生は話す気ないみたいだし。

これなら1人始末する事なく退学者いっぱい出るだろうな〜。

ま、その程度の実力って事で。

 

授業が終わり昼休みになる。

 

いつも通りお弁当をだして食事の準備をしようとしていると、綾小路くんが堀北さんに話しかけられていた。

 

「綾小路君、ちょっといいかしら?」

 

「なんだ?今から昼飯を食べるんだが」

 

と言って私が作った弁当を指さした。

 

「そう、なら食べ終わった後、時間は空いてるかしら?」

 

その質問を受けて綾小路くんは私をみる。

 

今日は何も予定ないから大丈夫!と目線で合図を送った。

 

「ああ、空いてる」  

 

「そう、なら食べ終わったら連絡を頂戴」

 

と言って番号が書かれた紙を綾小路くんに渡して教室を出て行った。

 

まあ、大方の予想はついてる。私との賭けに綾小路くんは関係ないから情報を引き出そうって魂胆だね。プライドが高そうと思ったけど結構なりふり構わず行くところは高評価。まあ実際の所、自分で色々試して上手くいかないから最終手段に出たって所だろうけど。

 

「この呼び出しはどう思う?」

 

「単純に情報収集だと思うよ。」

 

「話していいのか?」

 

「綾小路くんが喋っていいと思うことなら喋っていいよ」

 

彼女は笑っていた。

 

しかし、目は笑っていない。

目から読み取るにある程度は構わないが、余計な事は喋るなと言うものだ。

 

「大丈夫だ。余計な事は喋らない」

 

「ふふ、それが賢明だね」

 

その後食事が終わり綾小路くんは堀北さんの元へ向かった。

 

さてと、私は特に予定ないし散歩でもしようかな。

 

私は中庭に来ていた。たまにはこういう場所でのんびりするのも悪くない。

 

私はベンチを見つけたのでそこでゆったりする事にした。

 

「〜〜♪」

 

鼻唄を歌いながら陽気に過ごしていると

 

「私の特等席を取るとはいい度胸をしているな」

 

声のする方を見ると私と同じ銀髪で紅い目をした女性が立っていた。

 

「どちら様ですか?」

 

「私は鬼龍院、2年生だ。」

 

「先輩でしたか。私は神条准です」

 

「お前が最近南雲と仲良くしている一年生か」

 

「私のこと知ってるんですね。」

 

「それなりにな、まあいい、席を半分譲れ」

 

「はい、どうぞ」

 

私はベンチの中央から右にずれる。

 

鬼龍院さんは私の隣に座る。

 

「お前はこの学校をどう思う?」

 

「面白いゲームみたいな場所ですね。」

 

「お前は面白いな。そう答える奴はなかなかいない」

 

鬼龍院さんは私の発言を気に入ったようだ。

 

「鬼龍院さんはどう思うんですか?」

 

「そうだな、実力さえあれば不自由する事ないそんな場所だ」

 

「ふふ、確かにそうですね。後は邪魔なものが消えてくれたらいいんですけどね〜」

 

神条の目から光が消える。

 

「まあ、私もそれには同感だがな。実力のないものは必要ない、それに私に意見するのは持っての他だ」

 

「それ、わかります!」

 

神条の目は光を宿し鬼龍院を見る。

 

「ほんと、実力がないのに威張ってる人って必要ないですよね」

 

「お前は話がわかるな、暇があればここに来い。私の話し相手になれ」

 

「いいんですか?」

 

「ああ、お前は私を楽しませてくれそうだ。そろそろ時間だから私は行く」

 

鬼龍院さんは立ち上がり帰って行った。

 

鬼龍院さんは話がわかるな〜。

暇があればここに来てお話ししよっと。

 

私もそろそろ戻ろう。

 

 

教室に戻ると綾小路くんは戻ってきていた。

 

「嬉しそうだな、何かあったのか?」

 

「へへ〜わかる?」

 

「ああ、なんとなくだが」

 

「私と話が合う、先輩にあったんだよ。またお話ししようって言われたんだ」

 

彼女は嬉しそうに話す。

 

神条と話が合う先輩か、これは警戒すべきだな。彼女と波長が合うと言う事はその先輩も狂っている可能性がある。

 

「それで堀北さんはなんて言ってたの?」

 

「帰って、夕飯の時にでも話す」

 

「うん、わかった。楽しみにしてるね。」

 

 

 

その後全ての授業が終わり放課後となる。

 

 

 




データーベース

氏名 神条准

誕生日 3月15日

学力 A +

知性 A

判断力 A

身体能力 A

協調生 E - (限りなく0に近い)

コメント
小、中学校と全て主席に位置し文武両道を極めた生徒であり能力は非常に高く入試においても全教科満点で主席でありAクラス候補であったが面接時の異常極まりない発言に加えて別途資料の内容も考慮しDクラス配属とする。


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7話 準備

今回も狂気成分少なめです。
テストの結果発表の日に出したいですね。


7話 準備

 

放課後

 

今日は買い物しようかな、せっかく100万ポイント貰ったんだし少しくらい贅沢してもいいよね。

 

「今日はどこに行くんだ?」

 

「ん?買い物だけど、綾小路くんは堀北さんとどっかに行くと思ってたけど違うの?」

 

「話をしただけでなぜそうなる」

 

へ〜と言った彼女はジト目で俺を見てくる。

 

「まあいっか、それでついてきてくれるの?」

 

「ああ、する事もないからな」

 

「じゃあ、荷物持ちよろしく〜」

 

「わかった」

 

私達はショッピングモールへと向かった。

 

「今日は何を買うんだ?」

 

「下着」

 

彼女は真顔で答える。

これは素の時の彼女だ。流石にランジェリーショップには入りたくない。

 

「帰る」

俺が寮へ戻ろうとすると

 

「嘘、嘘、冗談だってば」

 

と言って、俺の服を掴んで逃走を阻止した。

 

「もう、逃げないでよ。私だって冗談くらい言うでしょ?」

 

「いや、神条のあの顔は本気の顔だった」

 

「そんなわけないでしょ。買うなら流石に一人で来るよ。」

 

「それも、そうか」

 

「うん、そうだよ」

 

彼女は本当にわからない。

 

「それで何を買うんだ?」

 

「食材だよ、それと調理器具が欲しいし」

 

「新しい料理でも作るのか?」

 

少し俺は期待していた。

彼女の作る料理はあの部屋で食べていたものとは比べものにならないほど美味い。

 

「ふふ、そんなに期待しなくてもちゃんと作るよ。今日は何が食べたいの?」

 

彼女はお見通しのようだ。

感情があまりわからない俺に感情が現れたのかもしれないな。

 

「ハンバーグが食べたい」

 

「ほんと、好きだよね」

 

 

その後全ての買い物を済ませて寮へ戻る帰り道。

 

龍園くんが取り巻きを連れてあの赤ゴリラを囲っていた。

 

ふふ、何をするんだろう。

楽しみだな〜。このまま潰してくれると最高なんだけどな〜。

 

「止めないのか?」

 

「止めて私にメリットがあると思う?むしろもっとやってほしいくらいだよ」

 

「そういうと思っていたがな」

 

彼女は笑う。何かを期待するように。

 

 

 

「上等だ!かかってこいよ」

 

「お前、いつの時代のヤンキーだよ。だっせぇ」

 

「哀れなほど醜い生き物だな」

 

流石、龍園くん煽り方が上手

 

「なんだと、コラァ」

 

龍園の発言に腹を立てて掴みかかろうとするが龍園の取り巻き達がそれを取り押さえる。

 

「うざってぇな、離せよ!」

 

龍園は近づき須藤に指を刺す。

 

「今度の中間テスト、お前らから何人退学者が出るか楽しみだ」

 

「くっ」

 

「まず一人目はお前だ。不良品」

 

 

「覚悟はできてるか?」

 

須藤はそういうと取り巻きの拘束をとき、龍園に掴みかかろうとする。

 

ここで龍園くんを殴りでもしたら赤ゴリラは停学以上。残り一週間ほどしかないいまならテストで退学になるのは確実。それに上手く行けばテストを受ける事なく退学させる事もできる。龍園くんは利をとれる人だから、確実に殴らせる。

 

やっぱり彼は面白いなぁ

 

隣にいる彼女は期待している。

須藤が殴ることを。多分退学者を出せるからだろう。

 

しかし、その場に割り込んでくる者が現れた。

 

 

「両者、そこまで!」

 

止めに入ったのは一之瀬帆波、Cクラスのリーダーと言える人物だった。

 

隣にいる彼女はというと。つまらないおもちゃを見るような冷たい目で一之瀬の事を見ていた。

 

「なんだ、テメェは!部外者は黙ってろ!」

 

「この学校の生徒の一人として暴力沙汰を見過ごすわけにはいかないなあ、どうしてもケンカをするっていうなら警備員さん呼ぶことになるよ」

 

「チッ」

 

「一之瀬、これは喧嘩じゃない、俺たちは被害者だ。」

 

「そう?私には龍園君たちが挑発したように見えたけどぉ?これ以上続けるなら学校にこの事を報告するよ」

 

「フッ、おい猿」

 

「テメェ!」

 

「お前はいいおもちゃになりそうだ」

 

龍園達は取り巻きを連れて帰っていった。

 

「おい!逃げんのか!おい、こら!待て!こら!」

 

須藤はただ吠えていた。

 

「いい?君も龍園君の挑発に乗らないようにね」

 

「んだよ、ウゼェな」

 

須藤はそう吐き捨てると何処かへ行ってしまった。

 

一之瀬はこちらに気づくと俺たちの方へ歩いてくる。

 

「君達も、同じクラスメイトなんだから。なるべく助けてあげてね」

 

はぁ、これだから善人は嫌いだ。

損得ではなく良い行いをしたがる。

全く持って不愉快だ。私が彼女に情報を売らなかったのもこの性格ゆえだ。  

 

「私はあなたと初対面だと思うけど?」

 

「あ、確かに会うのは初めてかもね。一之瀬帆波です。貴方の事は櫛田ちゃんから聞いてるよ」

 

あの、偽善者仮面の女、余計な情報流しやがって。まあ、いいや、彼女は私が情報を売っている事を知らない。

 

「へ〜そうなんだ。なら名乗る必要もないかもしれないけど。神条准だよ。」

 

一之瀬が綾小路のほうを見る。

 

「綾小路清隆だ。」

 

「うん、よろしくね。前から気になってだけど2人は付き合ってるの?」 

 

2人は顔を見合わせる。

 

そういえば気にしたことなかった。

私達の関係は共犯者というのが1番しっくりくるけど、それは喋ること出来ないし。

ここは綾小路くんに任せよう。

 

「ねぇ、綾小路くん、私たちの関係ってなんだろう?」

 

「俺にふるのか、友達だと俺は思ってる」

 

ふふ、綾小路くんが珍しく焦ってる。

まあ、このくらいにしといてあげようかな

 

「まあ、そういう事にしといてあげるよ」

 

「普通に怪しいと思うんだけど。まあいいか。Dクラスもテスト頑張ってね。」

 

そう言って一之瀬も帰っていった。

 

「私達も帰ろ、早く話聞きたいし」

 

「そうだな」

 

 

2人は寮へと戻り神条の部屋に集まる。

 

 

「それで堀北さんはなんて言ってきたの?」

 

彼女はハンバーグをこねながら俺に質問をする。

 

「協力者になってほしいと言われた。それと攻略法について何か知ってるんじゃないかとも言われたな」

 

「それで?話したの?」

 

「協力者については断った。俺は神条につく方がいいと思ってる」

 

「お利口さんだね。今日はハンバーグ大きめに作ってあげる」

 

彼女は満足したようで俺のハンバーグを大きく作ってくれるようだ。

 

「攻略法についてはヒントだけ出した。神条からしたら楽しめる方を優先するだろうと思ってな」

 

「ふふ、100点満点だね。せっかく賭けをしてるんだし楽しまなきゃ。攻略法については気づきそう?」

 

「どうだろうな。堀北は頭が堅いから正解にたどり着くとしたらテスト前日がいいところだろう」

 

ふふ、前日か。これなら少しは楽しめるね。多分、攻略法を見つければ彼女は勝利を確信する。頭の堅い彼女だ、答えのわかっているテストなど満点で当然と考える。彼女に馬鹿の思考など理解はできない。

 

楽しみだなぁ、彼女の表情が歪んでいく様が。その時彼女はどう思うんだろう。多分、私が好きな絶望の表情するんだろうな。

 

早く見たい。私の可愛い可愛いおもちゃ。

 

 

彼女は不適に笑っている。

これから起こる事を待ち望むように。

 

「顔が怖いぞ」

 

「ん?そう?いつも通りだよ」

 

彼女の表情がまた変わる女神のような美しい笑顔に。

 

1ヶ月以上一緒に過ごして少し彼女の事が理解できるようになった。

 

未だに彼女の感情に理解が追いつかない時があるが、彼女の出す全ての感情は本心だという事だ。

 

 

「さてと、後は焼いて完了っと、その間に龍園くんにメールしなきゃ」

 

「何をメールするんだ?」

 

「まだ、秘密、これはもしかしたらの事だからまだ確定じゃないしね。」

 

彼女は鼻唄を歌いながらメールを打つ。

 

彼女の表情はご機嫌そのものだ。

しかし確実にクラスにとって良くない事が起こるだろう。

 




2人に関して恋愛感情はありません。
単純に楽しんでいるだけです。

神条准

身長 168㎝

体重 秘密

B89
W61
H88





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8話 テスト

今回は短いです。
その分結果発表が長くなりそう。


8話 テスト

 

テストまであと2日となった今日。

 

堀北は綾小路の取り込みに失敗し、与えられたヒントをもとに奔走していた。

 

しかし答えを見つけれずにいた。

 

「はぁ、一体私はどうすれば」

 

図書室ではテスト前と言うこともあり多くの生徒が勉強していた。

 

 

「さすが、龍園さんだよな」

 

「ああ、龍園さんのおかげでテストで退学になる心配もないしな」

 

「ほんとびっくりだよな。こんな攻略法があったなんて」

 

堀北はその言葉を聞き2人の方を見る。

 

2人は笑いながらテスト勉強を始めた。

 

攻略の糸口が見えたと思った堀北は2人の元へ行き話しかける。

 

「ちょっと、いいかしら?」

 

「ん?Dクラスのやつがなんのようだ?」

 

「その攻略法について教えてほしいのだけど」

 

2人はまずいと言った表情をする。

 

「何の事だ?知らねぇな」

 

「とぼけても無駄よ。貴方達が話していた事は聞こえていたわ」

 

「チッ、知ってたとしてもお前に教えるギリはねぇだろ」

 

「いくらほしいの?」

 

「最低、5万ポイントは出してくれねぇと売れねぇな」

 

「わかったわ、払うから番号を教えて」

 

この時、堀北には余裕がなかった。残り2日となった今、ほぼ負けが確定している状況でなりふりかまっている暇はなかったのだ。

 

「おお、物分かりいいじゃなか、あとこの事は龍園さんには言うんじゃねぇぞ」

 

「ええ、その条件を飲むわ」

 

その男はポイントを受け取った事を確認するとあるものを差し出してきた。

 

「これが攻略法なの?」

 

「ああ、この学校はテストの内容はまるっきり同じらしい。その証拠に小テストを見ればわかるが内容が全く同じだ。」

 

「なるほど、助かるわ」

 

「かまわねぇぜ、ポイントはもらったからな」

 

過去問を受け取った堀北はすぐにコピーを取るため急いで図書室を出ていった。

 

男は電話をかける。

 

「予定通り、渡しました。」

 

「よくやった、ポイントはお前らで使っていい」

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

 

次の日、堀北は平田に協力を仰ぎクラスに過去問を配布させた。

 

クラス内では喜びの声が上がる。

 

堀北は神条のもとへと向かった。

 

「どうやら、私の勝ちのようね」

 

自信満々に勝ち誇った表情を向ける。

 

「まだ、結果も出てないのに勝ち誇ってていいの?」

 

神条はこの結果を特に気にしていないようだった。

 

「テスト後の貴方の顔が楽しみよ」

 

「まあまあ、それは終わってから見るといいよ」

 

堀北は神条の表情が崩れないことに苛立ちを感じていた。

 

「なんで、貴方はそんなに余裕の表情をしているの?」

 

「実はこんな顔して、ハラワタ煮えくりかえってるかもよ」

 

神条は淡々と話す。

その行動が気に食わなかったのか堀北は大きな声を上げた。

 

「絶対、貴方に勝つわ!」

 

そういうと堀北は教室を出ていった。

 

「あらら、怒って出ていっちゃったよ」

 

「神条が挑発したからだと思うが」

 

「挑発した気はなかったんだけどね。まぁ、いいか帰ろ、綾小路くん」

 

「そうだな、神条に提示された点数を取らなくてはいけないからな」

 

「ふふ、期待してるよ」

 

 

 

そしてテストの日がやってきた。

 

クラスは自信に満ち溢れていた。

 

「お前達はどうやら答えを見つけたようだな、まあ頑張ってくれとだけ伝えておこう。」

 

そしてテストが始まった。

 

テストの順番は国語、数学、化学、社会、英語という順番だった。

 

攻略法の効果からか全員がスラスラと問題を解いて行った。

 

しかし、それは最後の英語のテストで異変が起こり始める。

 

問題自体は難しくはないのだが過去問と全く問題が違うのだ。

 

しかし、堀北は動じなかった。

 

平均点を下げてくれてありがたいわ。これなら須藤くんの寝落ちもカバーできる。彼女も墓穴を掘ったものね。頭がいいと思っていたけど、所詮、私の敵ではなかった。

 

そしてテストが終わり、堀北は神条のもとへ向かう。

 

「どうやら、貴方が仕掛けた策は失敗に終わったようね。英語のテストだけすり替えたようだけど。あれでは私に塩を送ったようなものよ。私の勝ちね。」

 

「んーそうかもね。私とした事が塩だけ送っちゃったよ〜、まあ、明日の結果発表しだいか」

 

神条は残念そうにうつむいた。

 

「明日の結果が楽しみね。貴方にはAクラスに上がるため協力してもらうわ!」

 

それだけ言い残し、堀北は帰っていった。

 

「残念だけど、帰ろっか、綾小路くん」

 

「ああ、そうだな」

 

 

そして、寮に戻り2人きりなる。

 

「いつまで、そんな表情続けてるんだ?」

 

「あははは、やっぱバレちゃった?」

 

「まさか、神条の言った通りに堀北が動くとは思わなかったがな」

 

「まあ、これも作戦のうちだよ。これで3人退学が確定したしね。」

 

「コミュ力のない俺には地獄の作戦だったがな。」

 

「クラスの内の何人か私のもとに連れてきてもらっただけじゃん」

 

 

ああ、楽しみだな。勝ちを確信してた堀北さんの表情がどんなふうに歪むんだろうな。

 

 

そして結果発表の日を迎えた。




種明かしは次回行います。
多分好き嫌いわかれるかも。


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9話 結果発表

私的には最善を尽くしたつもりですが。
まだ、足りない気がしてます。
この結末には賛否両論あると思いますが暖かく見守っていただけたら幸いです。


9話 結果発表

 

 

とうとう結果発表の日が訪れた。

 

「楽しそうだな」

 

「うん、早く結果がみたくてたまらないよ」

 

教室に着くと殆どの生徒がそわそわしている。

 

堀北は神条を見つけると勝ち誇った顔で近づいてくる。

 

「貴方の悔しがる顔が目に浮かぶわ」

 

「そっくりそのまま堀北さんに返すよ」

 

「そう言ってられるのも今のうちよ」

 

「いいから待ってなって、すぐわかるから」

 

神条は不気味な笑みを浮かべている。

 

「あなた、」

 

「席につけ、今から結果を発表する。」

 

茶柱先生は教壇に着くと大きな用紙をホワイトボードに貼る。

 

「お前達はよく頑張ったと言えるだろう。100点をとった生徒が多くいるようだ。」

 

その言葉を聞き殆どの生徒が喜び合う中、堀北は驚愕の表情をしていた。

 

「どうして、、、」

 

その言葉を遮るように茶柱先生は続けて赤いマーカーを持ち線を引っ張っていた。

 

「頑張った事は認めるが、池、須藤、山内、お前達は退学だ」

 

ニヤリと神条は微笑んだ。

 

堀北は現実を受け止められないでいる。

なぜならば英語のテストだけ100点の人数が異常に多いのだ。

 

「なんで?って顔をしてるね。堀北さん」

 

「いったい、どうして、、」

 

「すこーし、クラスの何人かにお話ししただけだよ。まああの点数ならお話しする必要もなかったかもね」

 

須藤 12点

山内 15点

池  19点

 

「あなたはいったい何をしたの?」

 

「堀北さんが過去問を渡す前に私が複数の生徒にあらかじめ渡しておいたの。ポイントで口止めしてね。それも4月の時点から真面目に授業を受けていた生徒だよ。この人達は生き残るべきだからね。」

 

神条は大きく笑い声を上げた。

 

「テメェ、そんなに俺らの退学が面白いかよ!」

 

「うん!最高だよ。これでクラスも綺麗になるもん。それに聞いてるよぉ〜。あなた達、勉強会誘われても全く顔出さなかったんだってぇ〜?そんな人がクラスに残ってていいと思ってるわけぇ?」

 

「テメェ、ふざけてんじゃねぇ!」

 

「ふざけているのは君だよ。この結果は君が招いたものだ。勉強をしていれば誰にでも解ける。」

 

須藤は立ち上がり神条に向かってくる。

 

綾小路がすぐさま対処しようとするが神条がそれを制した。

 

今、楽しいところだから邪魔しないで

 

須藤は拳を振りかぶり神条が殴られると全員が思ったその時。

 

地面に伏して気絶してるのは須藤だった。

 

「ふふ、今のは正当防衛ですよね〜。茶柱先生。」

 

「カメラに映っているから、お前の正当防衛は確実に立証されるだろう」

 

茶柱先生も予めこの事を神条から聞いていなければ即座に返答する事は出来なかっただろう。

 

須藤が眼を覚ます前に綾小路に押さえつけるように目線を送る。

 

「さて、お話しの続きをしようか。どうせ今日はポイントの増減はないし。でしょ?茶柱先生。」

 

「結果発表の時間だけはそうなっている」

 

「じゃあ遠慮なく。どこまで話したかな?ねぇ、堀北さん」

 

神条は目を剥いて笑っていた。

 

堀北に少しばかり恐怖が芽生え始める。

 

「あれ〜もしかして恐怖で喋れない?じゃあ勝手に話すねぇ。あなたはテスト2日前に過去問を手に入れたよねぇ。あれは私が頼んだんだ〜私が作った偽の英語のテスト交ぜてね。案の定あなたはなんの確認もせずクラスに配布した。まあ、確認するすべなんてないんだけどね〜。英語の点数が高いのはさっき話した通りだよ。まあ、あなたの敗因はバカ達の頭の悪さが読めなかった事、あいつらが勉強するわけないじゃん。どうせもらった過去問丸暗記したんでしょうねぇ。その証拠にあの点数。ほんとはもっとギリギリになるかなと思ったのに残念だよ。あはははは、ほんと堀北さんの表情最高だよぉ。あんなに勝ち誇った表情してたのに今は悔しそうに涙流しちゃってぇ。」

 

堀北に芽生え始めた恐怖は次第に大きくなり涙という形で表にでていた。

 

「ふふ、ほんとかわいいな〜今の堀北さん最高に綺麗だよ。そんな、堀北さんにご褒美をあげましょう。退学を回避する方法は2つあるよ。まあこの場で使えるのは1つだけど。」

 

「ほんとかよ!教えてくれよ」

 

「そうだよ!教えてくれよ」

 

「ゴミは黙ってろ。」

 

神条は2人を睨む。

 

「教えて、教えてください」

 

普段の堀北ならありえない言葉遣いに神条の気分はますます良くなる。

 

「じゃあ、教えてあげるねぇ。点数をポイントで買うの。そうすれば赤点は回避できるよ〜。ねぇ、茶柱先生」

 

「ああ、神条の言う通りポイントで点数を売ってやろう。一点50000ポイントでな」

 

50000ポイントという言葉に全員が騒ぎ出す。

 

「まあ最初に何点行けばいいかだよねぇ。このクラスの英語の平均点は65点これを半分に割った数字が赤点になるからぁ32.5点、四捨五入して33点未満が赤点になるねぇ。さて、全員を救うのに何点いるでしょうか正解は53点分、ポイントに換算するとぉ。2650000ポイントだねぇ。払えるかなぁ?かなぁ?」

 

全員が押し黙る。それだけ払って3人を救う価値はあるのかと。

 

「まあ、みんなのポイントを考えるとぉ?1人救えればいい方かなぁ?みんなポイント使い切ってポイントもってないしねぇ〜」

 

そこで池達が叫び始める。

 

「みんな、俺を救ってくれ!救ってくれたら俺頑張るから、絶対クラスに貢献するから」

 

「いやいや、池を救うより、俺を救った方が得だぜ。俺は池より高スペックなんだ。みんな頼むよ!」

 

「あははは、醜いねぇ〜。でも1つ言っておくとぉ。貴方達に喋る権利はないよ」

 

最後の言葉はとても冷たいものだった。

 

平田は苦悩している。この状況で全員救うと言う事は現実的に不可能である。しかし、1人を救うと2人を犠牲にする事になる。どちらも平田にとって死である。

 

櫛田も同様である。ここで動かなければみんなの味方という根底が崩れていく。しかし、動いたとしても自分にメリットが殆ど無いどちらにしろ見捨てるという結果だけが残り自分の立ち位置が危うくなる。

 

そんななか櫛田は思いつく

解決案を提示しつつ自分にかかるであるヘイトを他人に擦りつける方法を。

 

「神条さんなら全員分救えるポイント持ってるんじゃ無いかな。だから、今回貸して欲しいの3人を助けるために」

 

悪手に等しいこの一打に平田も便乗する。

 

「僕からもお願いするよ。ポイントは必ず返済するから」

 

「ふふ、面白い事を言うね。まあ君達がそこまで言うならその提案に乗ってあげなくもないけどぉ〜」

 

「それなら」

 

「ただし、私の質問に対して私の満足のいく答えが出せたら救ってあげるよ。」

 

神条は細く微笑んでいる。

 

「わかった。それを受けるよ」

 

「違う違う。私が質問するのは平田くんじゃないよ。そこにいるゴミ達に質問するの。さぁ、まず池くんから行こうか」

 

「おう、どんとこい」

 

「死にたい?それとも生きたい?」

 

綾小路は知っていた。この質問をするとき彼女の答えはすでに決まっている。

 

「生きたい」

 

「残念0点だ。君は退学だねぇ」

 

「そんな、、」

 

「じゃあ、次は山内くん生きたい?それとも死にたい?」

 

「生きたいが不正解って事は死にたいだ」

 

ドヤ顔で言ってくる山内に対して神条は

 

「そのまま、死になゴミムシ」

 

そう神条という女にとってこの質問はただの遊びでしかないのだ。

 

彼女は、はなからこの3人を救う気などない。しかし、彼女を満足させる回答ができたものは救われている。現にDクラスの先輩は生き残っていた。

 

「どっちを答えても救う気なんてないじゃねぇか!」

 

「そうだ!そうだ!無駄に期待させやがって」

 

 

彼女は満面の笑みを浮かべた。

 

そして眼を剥き言い放つ。

 

「あははははは、なんで私がお前らみたいなゴミを救うと思ったのぉ?最初に言ったよねぇ?貴方達は脳味噌お花畑のゴミなのぉ?それに私を満足する答えって言ってるのに何バカ正直に生きたいとか死にたいとか答えてるわけぇ?それなのになんでそんな自信満々に答えれるのぉ?ほんと理解できないよぉ〜」

 

クラスはその狂気に包まれている。

 

「まだわかんないかなぁ?君達3人はもう詰んでるんだよ。さっさと諦めて退学しちゃえばぁ?」

 

クラスが沈黙する。

神条准には勝てないのだ。

 

「そろそろ時間だ。私は色々手続きの準備があるので職員室へ向かう。3人はせいぜい最後の学校生活を楽しめ」

 

 

そういうと茶柱先生は出て行った。

 

3人の退学が決定した。

 

 

 

 

 

その放課後、神条と綾小路は誰かにつけられていた。

 

2人は監視カメラのない路地裏に誘い出した。

 

「ねぇ、うざったいからやめてくれないかなぁ?」

 

「お前を1発ぶん殴らなきゃ落ち落ち退学も出来ねぇよ!」

 

現れたの三馬鹿である。

どうやら茶柱先生から逃げ出してきたようだ。

 

「あっそ、できるもんならやってみればぁ?」

 

3人は神条達に襲いかかってくる。

 

しかし、それは成功する事はなかった。

 

どこからともなくBクラスの龍園の配下が現れ3人を取り囲んだ。

 

「クク、神条からの連絡通り来たらまた面白い事になってるな」

 

「ふふ、でも面白いからいいでしょ?」

 

神条と龍園は不適に笑う。

 

「テメェら!キタねぇぞ!こんな大人数呼びやがって!」

 

「なーに言ってんのかなぁ?この赤ゴリラは私を襲おうとしたのに、知ってるぅ?女の子に暴力振るっちゃあいけないんだよぉ?」

 

「ここに証人がいるからなぁ、テメェらは終わりなんだよ」

 

「まあ、最後にお仕置きしないとねぇ」

 

神条は今までに見せた事のない残酷な笑みを浮かべた。

 

「アルベルトくん、この赤ゴリラ抑えてて」

 

「OK」

 

アルベルトは須藤を羽交い締めにする。

 

そして神条は須藤の腕を掴み捻り上げた。

 

そしてみるみる腕が曲がらない方向へ曲がっていく。

 

鈍い音と声にならない叫び声が響き渡る。

 

 

ああ、最高だな。この悲鳴心地いいよ。

 

「あとの2人は残念だけど時間がないからいいや。綾小路くんもう連絡はついてるんでしょ?」

 

「ああ、警備員の人と学校側に連絡した。神条が須藤達3人に襲われたと。証人はここにたくさんいるしな」

 

「ああ、問題ないぞ。俺らこう証言する。神条の悲鳴を聞いた俺らは助けるためにこいつらを止めたとな、その時、こいつが暴れたので誤って腕が折れてしまったとな」

 

「最高の結末だね。檻のむこうへサヨウナラ」

 

その後警備員などが駆けつけ事態の収拾に当たった。

 

教員達にはさっき述べた事を話している。

 

この時の神条の演技は迫真のものだった。目には涙を浮かべ被害者を演じる。

 

しかし、心が笑っていた事は綾小路と龍園しか知らない。

 




3人の点数については原作と違い全く勉強をしていないという点と英語の過去問だけ神条さんが作った物なのでかなり点数が落ちてます。

前々回の龍園くんへのメールは最後の所の事と過去問の所です。


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10話 後日談 洗脳

後日談は書ければ二本くらい書く予定です。
投稿後アンケートを書くので見たいキャラに投票してもらえたら嬉しいです。
ちょっぴり狂気みたいな感じです。
相手に自覚はない感じです。


10話 後日談

 

神条の部屋では祝勝会が行われていた。

 

「ほんと、最高の一日だったね。学校にはいって1番笑ったかも」

 

「神条の作戦がはまった形だったな。龍園へのメールは過去問を堀北に渡す事と須藤達の拘束のためだったとはな」

 

「そそ、最高だったでしょ?龍園くんが須藤くんに絡んでるのみて思いついたんだ〜龍園くんも中間テスト終わったら仕掛ける予定だったからちょうど良かったみたい」

 

「まあ、神条が過去問を堀北に渡さなくても充分退学に追い込めたと思うがな」

 

「まあまあ、それで堀北さんのあの表情が出たんじゃない。あんなにぽっきり、心が折れちゃって可愛かったよね。泣き出してさぁ、つい抱きしめたくなっちゃったよぉ」

 

神条の狂った部分がすこし出てきている。

 

「しかし、俺は本当に疲れたぞ。いろんな人に声をかけさせられたんだからな」

 

「綾小路くんコミュ力低いから練習になってよかったじゃん」

 

 

 

 

佐倉愛里の場合

 

はぁ、俺はかなり憂鬱になっている。ただでさえ人と話すのは得意ではないというのに。神条から渡されたメモに書かれた人を連れて行かなければならない。

 

とりあえず、メモの1番上に書いてある佐倉から声をかけるか。

 

それにしてもこんなに丁寧に調べたものだな。

 

注意!

佐倉さんはとても臆病なウサギのような動物です。声をかける時はなるべくビックリさせないように!

話しかけても多分、すぐ逃げ出しちゃうと思うからまずは撮影している時を狙おう!

最初は写真とるの好きなの?くらいに

逃げる時多分コケるから優しく介護してあげよう!←めちゃくちゃ重要

臆病だけどいい子だから丁重にね!

 

これは果たして人に対する注意書きなのか?希少動物を保護するやり方に見えるんだが。

下の方に出現ポイントと書かれていて地図に大きな丸が書いてある。

まず行ってみるか。

 

地図に示された場所に行くと本当に佐倉が撮影をしていた。

 

いつ神条は調べたんだ?

 

ゆっくりと野生の動物に近づくように音を殺して佐倉に声をかける。

 

「佐倉か?」

 

「ふぇっ!?」

 

注意書きに書かれていた通りすごくビックリしている。

 

「写真好きなのか?」

 

「あ、あの、え、えっと、すいません、し、し、失礼しましゅ!」

 

そう言って走って行ってしまったが注意書き通り盛大に転けていた。

 

「きゃう!」

 

神条は予知能力でもあるのか?

とりあえず優しく介護だったな。

 

「大丈夫か?怪我はないか?」

 

「だ、大丈夫です」

 

「急に喋りかけて悪かったな。俺は人付き合いが苦手なんだ許してくれ」

 

「ううん、こっちこそ、急に走り出しちゃってごめんなさい。私も人付き合い苦手で」

 

「そうなのか、これから仲良くしてくれると助かる」

 

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

 

「それで佐倉に声をかけた理由なんだが神条から呼んできて欲しいと言われてな」

 

「し、神条さんですか?」

 

すこし怯えた表情で俺をみてくる。

 

「ああ、すこしおかしい奴だが神条は佐倉の事を褒めてだぞ。周りに流されず頑張ってるいい子だって」

 

すこし書かれた内容より盛って話したが佐倉の表情がすこし和らいだのでよしとしよう。

 

「あの神条さんがそんな風に言ってくれてたんだ。」

 

「ついて来てくれるか?」

 

「すこし、怖いですけど。話してみたいです。」

 

「そうか、ならついて来てくれ。」

 

「わ、わかりました」

 

オドオドしながらも俺について来てくれるようだ。

 

到着したのは神条の行きつけのカフェだった。店内は全個室制でここで密会をしろと言わんばかりの店だった。

 

「いらっしゃいませ。神条さんはいつもの個室におられます。」

 

「わかりました。いつもありがとうございます。」

 

そういうとマスターはニッコリ笑ってお辞儀をしてくれた。

 

神条のいる部屋に2人で入る。

 

「お?早かったね」

 

「ああ、佐倉も話してみたいって言ってくれたんだ。」

 

「さ、佐倉愛里です。よ、よろしくお願いします。」

 

「もう、そんなに怯えなくていいよ〜。とって食うわけじゃないし。神条准だよ〜よろしくね」

 

「は、はい」

 

神条はその怯えた表情に満足したのか佐倉に抱きついた。

 

「もう〜かわいいな〜」

 

「し、神条さん⁉︎」

 

「ごめんごめん、つい可愛くてそれと私の事は准て呼んでいいよ〜。愛里ちゃんは可愛いから特別」

 

「ええー!そんないきなり」

 

佐倉がバタバタし始める。

 

「私も愛里ちゃんて呼ぶからおあいこ、いいでしょ?」

 

「わ、わかりました。准さん」

 

「うん、とりあえず。何か注文しなよ。私が奢るから」

 

「いいんですか?」

 

「うん、せっかくトモダチになったんだもん。それくらいさせて。私こう見えてポイントいっぱい持ってるから」

 

今のトモダチって愛玩動物の間違いじゃないのか?まあ、神条のする事だ好きにしせておこう。

 

そして俺たちが注文したメニューが届くと神条が話し始めた。

 

「あ、食べながらでいいから聞いて。今日、愛里ちゃんを呼んだ理由なんだけど〜。これを渡したくてね」

 

神条はカバンから過去問を出して佐倉に渡す。

 

「これは?過去問ですか?」

 

「うん、この学校って中間テストの内容って同じらしいの。その証拠に小テストの問題この前と同じでしょ?」

 

「ほんとですね!すごいです!准さんが見つけたんですか?」

 

「うん、気前のいい先輩に譲って貰ったの」

 

強奪したの間違いじゃないか?

 

ジッとした視線が俺に向けられる。

 

「それでね。愛里ちゃんは4月から真面目に授業受けてたからあげようって思ってたの。」

 

「これは私だけにですか?」

 

「後、何人かの真面目に受けてた人には渡すつもりだけど。最初に渡したのは愛里ちゃんだよ。1番真面目だったからね」

 

神条の話術により、佐倉に自信がつき始めていた。

 

「だから、その過去問は誰にも見せないで欲しいの?だから秘密にしてくれないかな?」

 

「私、秘密にします!准さんからの期待に応えたいです!」

 

「うんうん、ありがとね。愛里ちゃん、番号教えてくれない?トモダチになったんだし」

 

「は、はい、お願いします」

 

2人は番号を交換する。

 

「それと、これは私からのプレゼント多分来月はポイントが入らないと思うから。生活の足しにして」

 

神条は端末を操作してポイントを送る。

 

「こんなに⁉︎いいんですか?」

 

「うん、気にしないで、ちゃんと頑張ってる子はこれくらい貰って当然だよ。あと英語は難しいから特に勉強した方がいいよ。」

 

「わ、わかりました!が、がんばります!」

 

「何かあったら、私に言ってね。愛里ちゃんの頼みならなんでも聞くから」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

神条は本当にすごいな、人をこうも簡単に落とせるものなのか恐怖とは違う、心酔させるという技術、彼女はまだ先がありそうだ。

 

 

 




前書きに書いた通りあと二話くらい投稿する予定です。
アンケートになかったキャラで見たいキャラがいたら感想にでも書いてもらえたら嬉しいです。


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11話 後日談 共感と利害

投票率の多かった上位2人について書きました。
性格が変わってるかもしれませんが温かい目でみてもらったら幸いです。


11話 後日談 共感と利害

 

神条と綾小路は今回の件について振り返っていた。

 

「ほんと、愛里ちゃん可愛いよね〜。癒されるって感じして」

 

「神条が佐倉に向けている感情は愛玩動物に向ける感情だと思うんだが。注意書きにも動物って書いてあったし」

 

「もう〜細かい事は気にしない」

 

 

 

長谷部波瑠加の場合

 

さて次、俺が連れてこなくてはいけないのは長谷部波瑠加か。一応、注意書きもあるし見てみるか。

 

注意

彼女は人と馴れ合う事は得意ではないタイプ。でも、利益が有れば動いてくれると思うから最初について来るメリットを話してあげよう。彼女は基本的に一人で動くから難易度は低め。

それと、彼女の胸に視線を向けない事!

不埒な視線に女の子は敏感です!

ナンパに絡まれてたら近くまで行くと向こうから接触してくれるはずだよ。

 

この注意書きはゲームなんかで使われる攻略本みたいだな。俺はゲームをした事がないが。

 

まあいいか、書かれている出現ポイントまで行ってみる。

 

 

行ってみると長谷部はナンパに合っていた。

 

佐倉に引き続き、長谷部の状況まで予知していたのか?

 

近くまで行くと神条の予想通り長谷部がこちらに走ってきた。

 

「もう、遅いよ〜。待ってたらナンパに絡まれたじゃんか〜」

 

「ああ、すまない。思ったよりも時間がかかってしまった。」

 

ナンパをしていた男達は俺をみるとそそくさと退散していった。

 

「ごめんね、綾小路くん。ナンパがうざすぎてナンパ除けにさせて貰ったよ」

 

「かまわない。ちょうど長谷部にようがあったからな」

 

「私によう?」

 

「ああ、神条から呼んできてと頼まれたんだ。」

 

「神条さん?」

 

すこし困った表情を長谷部は浮かべる。

 

「心配しなくていい。長谷部にもメリットの有る話だ。多分中間テストに関わることだ」

 

「ついて行ったら私に得があるんだよね」

 

「ああ、それは間違いない」

 

「じゃあ、さっき助けて貰ったしついていこうかな」

 

「わかった、じゃあついてきてくれ。」

 

カフェに着き神条のいる個室へと入る。

 

「連れてきたぞ」

 

「うん、ありがとう。綾小路くんは次の人の所へ向かって」

 

「わかった」

 

その場が神条と長谷部の二人きりになる。

 

「それで?私を呼んだ理由って何?」

 

「まあまあ、そんな急がないで。好きなもの注文していいから。もちろん私が払うから気にしないで」

 

「それなら」

 

長谷部は1番高いスイーツを頼んだ。

 

「じゃ、本題に移ろうか、長谷部さんが馴れ合いが苦手な事は知ってる。だから手短に済ませるね」

 

そう言って神条は鞄から過去問を取り出して長谷部に渡す。

 

「これは?過去問?」

 

「そうだよ。察しがつくと思うけどこれが中間テストの攻略法だよ。」

 

「これを渡すって事は、私に何かさせたいんでしょ?」

 

「お、意外と優秀だねぇ〜ふふ」

 

「私があんたみたいな狂人の役に立つとは思わないんだけど」

 

「それは私が決める事、それにここにきた時点で選択肢は無いとわかってるんでしょ?」

 

神条がニタリと笑う。

 

「ほんと最悪、ノコノコ付いて来た。私がバカだったよ」

 

ため息をつきながら後悔する。

 

「あはは、それは残念だったね。じゃあ突然だけど質問するね。死にたい?生きたい?」

 

ケタケタと笑いながら神条はお決まりの質問をして長谷部を品定めする。

 

「この質問って意味あるわけ?多分どっちにしろあんたが気に入らなければ私は死ぬ。だったら刺し違えてもあんたを殺して死ぬね。」

 

神条は今までになかった回答に大満足している。

 

「あははは、最高だよ。私の質問にそう答えたのは貴方が初めて。ふふ、波瑠加って呼んでいい?貴方は私を楽しませてくれそう。」

 

「私に拒否権はないんでしょ?好きにすれば、私も准て呼ぶからね」

 

「もちろんだよ。これからの事を話すね」

 

神条はこれからの予定を長谷部に話した。

 

「あの、三馬鹿を退学させるのね。いいんじゃない?池と山内は視線がウザいしキモいし。」

 

「ほんとキモいよね。胸ばっかり見てその視線バレてるって気づかないのかな?」

 

「准もなんだ。バカだから気付かないんじゃない?あんなに見られたら普通気づくけどね。」

 

「ふふ、ますます気が合うね。」

 

 

 

 

その頃、綾小路はというと次の人物に接触しようとしていた。

 

次の人物は松下千秋か。

 

注意

彼女は能力がとても高くその場を生き抜く処世術を持っている。

勘が鋭いから私からの接触とわかれば生き抜くために付いてくると思うよ。

常に何人かとグループ行動してるから少し難易度は高めかな。でもポイントがない現状なら友達付き合いもほどほどにしてるはずだから多分一人でいるはず。

出現ポイントにいたらすぐ声をかけよう。買い物とかしてたら気前よく奢ってあげてね。ポイントは後で私に請求する事!

 

 

なるほど、察しがいいならあまり会話をせずにすみそうだ。

 

出現ポイントへ向かうと松下は買い物をしていた。注意書き通りすぐに声をかける。

 

「松下か?今大丈夫か?」

 

「わ!もう、驚かせないでよ。この買い物が終わったら大丈夫だけどどうかしたの?」

 

「すまない。まだ人と話す事に慣れていなくてな。神条から松下を呼んでくるように頼まれた。」

 

彼女は驚いた表情をしたが何かを察したようだ。

 

「神条さんがね〜。まあいいよ。買い物済ませるから少し待ってて」

 

「わかった」

 

買い物の会計で俺が払うと松下は驚いた表情をする。

 

「いいの?綾小路くん」

 

「かまわない。俺はポイントに困っていないからな。松下は友達が多いからポイントの減りが早いだろ?」

 

松下は綾小路のポイントに困っていないの発言を深く捉えて意味を理解したようだ。

 

「そうなんだ。じゃあお言葉に甘えるね。」

 

松下は気分を良くしたようだ。

 

そして、神条の待っている個室へ入ると長谷部の姿はなく、神条は満足のいく表情をしていたので長谷部は神条に気に入られたようだ。

 

「連れてきたぞ」

 

「うん、ありがとう。じゃあ松下さんそこにどうぞ。好きなもの頼んでいいから。もちろん私のおごり」

 

「いいの?」

 

「うん、もちろんだよ。せっかく来てもらったし、私はポイントに不自由してないから気にせず頼んで」

 

松下はさっきの綾小路の発言と合わせて神条が優秀である事を察した。

 

そして頼んだものが来ると神条が話し始める。

 

「さて、今日呼んだ理由だけど。松下さんなら大体はわかるんじゃないかな?」

 

笑みを浮かべながら松下に問いかける。

 

「んーおおよそはわかるけど。詳しくまではわからないかな」

 

困ったような表情を松下は浮かべる。

 

「まあまあ、ハズレでもいいから話してみてよ」

 

「私が考えるに、私の他にも何人か呼ばれてると思うんだよね。神条さんの駒になりそうな生徒、それも平田くんみたいな派閥に属してない中間層のグループもしくは個人に」

 

「ほぼ、正解かな。じゃあこれあげるね。」

 

神条ニッコリと笑うと松下に過去問を渡す。

 

「これはもしかして中間テストの攻略法?」

 

「うん、松下さんが本気でやれば必要ないとは思うけど。100点をとって欲しいからね」

 

自分のやっている処世術を当てられてしまい。松下は神条の鋭さに恐怖する。

 

「まあまあ、そんなに怖がらなくていいよ。私は優秀でお利口な生徒は好きだから」

 

ニタニタとした表情を神条は浮かべた。

 

「私を駒にしたいの?」

 

「まあ、それもあるけど。単純に今回は英語で100点をとって欲しいだけだよ。」

 

「その理由は聞いてもいいの?」

 

「もちろん、実は堀北さんと賭けをしててね。退学者が1人もでなければ堀北さんに協力するっていう。それで、私はクラスに必要のない三馬鹿を退学させたいの」

 

「なるほどね〜。英語の平均点を上げるのが狙いのわけか」

 

「うん、頭の悪い人に頼むより、優秀な人に頼んだ方が早いし。松下さんは生き残りたいでしょ?」

 

その瞬間、松下は悟ってしまった。

神条に目をつけられた今、断るという事は死を意味し退学する羽目になるという事に。

 

「うん、生き残りたいかな。神条さんはただで殺してくれなさそうだし。神条さんに従ってたら私にもメリットが出てくるだろうしね。」

 

松下は神条につく利害を考え、神条につく事を決断した。

 

「これから、よろしくね。私につく限りポイントは優遇してあげる。」

 

そう言ってポイントの残高を松下に見せる。

 

松下は驚きを隠せなかった。

 

5463450pp

 

「そんな、ポイントどうやって」

 

「まあ、私にもいろんな伝手とかあるからね。ふふ」

 

「私は正解を選んだって思っていいのよね」

 

「うん、もちろんだよ。だけど…」

 

神条は不気味な笑みを浮かべ

 

「裏切りは許さないからね」

 

その時の言葉は冷たく恐ろしいものだった。




ポイントの多さについては色んな疑問があると思いますが。
伏線となる描写は数話前の話で触れています。
羽振りのいい生徒がいるんですよね笑
2人に恐怖はもちろんありますがタイトル通りですね。


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12話 後日談 服従か反逆か

この話で後日談は終わりとなります。
最後は堀北さんです。
堀北推しの方はすいません。かなりキャラが変わっていると思われます。


12話 後日談 服従か反逆か

 

神条達が綾小路と話している頃、堀北は寮で1人もがいていた。

 

「なんなのよ!一体!私はあの人の手の平で転がされていただけというの!」

 

堀北は怒りを机にぶつけ何度も叩く。

 

堀北は神条との勝負勝ちを確信していた過去問を手に入れ、退学する生徒など1人もいないとそう思っていた。

 

しかし結果は3人が赤点となり惨敗した。

 

堀北にしてみればたとえ過去問をすり替えられたとしても平均点が下がり赤点のボーダーも低くなると考えていた。

 

結果をみれば過去問をすり替えられたのにも関わらず100点の生徒が多数いた。

 

つまり、裏で神条が手を回していたのだ。過去問に頼り切るバカ3人を殺すために。

 

「なんで!私はあんな簡単な策略に気づかなかったのよ!」

 

さらに堀北は机に何度も何度も拳を叩きつける。

 

そして堀北は思い出す。

 

あの時の恐怖を。

 

 

全てを見透かしたような紅い眼で不気味な笑みを浮かべながら私を見つめているあの姿。

 

今、想像しただけでも震えが止まらない。

 

「止まれ!止まれ!止まれ!」

 

私は何度も拳を叩きつけた。

 

机に何度も打ち付けた結果表皮が削れ手から血が出ている。

 

しかし震えが止まる事などなかった。

 

そして呼吸が荒くなり両腕で自分を抱きしめる。

 

「ハァハァハァ、な、なんで止まってくれないのよ…」

 

いつのにか私は涙を流していた。

 

こぼれ落ちた涙がカーペットを濡らしていく。

 

そして膝を抱きしめベッドの端にうずくまる。

 

そうしているうちに時間の感覚がわからなくなっていった。

 

 

 

しかし涙は止まる事なく溢れ出し手からはポタポタと血が滴り落ちていく。

 

はぁ、一体私は何してるんだろう。惨めったらしく膝を抱えて泣いて。バカみたい。

 

 

その時突如、インターホンが鳴る。

 

こんな時、普通ならそのインターホンに反応する事なく無視を決め込んでいただろう。

 

しかし、私はなぜかドアを開けてしまった。

 

何故だがわからないがドアを開けなくてはという焦燥に駆られていた。

 

ドアを開けるとそこには銀髪で紅い眼の彼女が立っていた。

 

「やっほ〜会いに来たよ〜。鈴音ちゃん」

 

彼女は薄気味悪い笑顔を浮かべている。

 

「ヒッ!」

 

私は恐怖で尻餅をついた。

 

そして後退りする様に地面を這いつくばるように部屋の奥へ逃げ込む。

 

「もう〜そんな怖がらないでよ〜。心配して見に来たんだよ〜」

 

彼女は部屋に上がり込み私に近づいてくる。

 

彼女がいる恐怖からか涙が再度溢れ出してくる。

 

「いや…いや…来ないで…」

 

彼女は何も言わずに近づいてくる。

そして私の前まで来ると私は恐怖からか目をつぶってしまった。

 

 

ぽふんと柔らかいものが私を包んだ。

 

気づくと私は彼女に抱きしめら頭を撫でられていた。

 

「よしよし。鈴音ちゃんは頑張ったよ。誰もあなたの頑張りを認めなくても私は認めてあげる。」

 

彼女の声は彼女のものとは思えないくらい優しく全てを包み込むような女神のように思えた。

 

「どうして…」

 

私は理解ができなかった、なぜ彼女がいるのかも、そしてなぜ抱きしめられているのかも。

 

「それは、鈴音ちゃんが心配だったからだよ。もう、手の怪我どうしたの!ダメじゃない早く消毒しないと」

 

そう言って彼女はポケットから消毒液などを取り出して私の手を治療する。

 

「なんで、ここまでしてくれるの?」

 

「心配してたからに決まってるじゃん。はい、これで終わり、もうこんな事しちゃダメだよ」

 

そして私の頭を撫でてくれた。

 

彼女の手つきはとても優しく今まであった感情が洗い流されていくようだ。

 

「さて、ここに来た理由だけど、あなたを心配してきたのが一つめの理由、2つ目は貴方に質問しに来たの」

 

「質問?」

 

「そう、あなたにはこれから2つの道がある。一つ目は私に歯向かい続ける道、でも、私に歯向かう限りは今日みたいな事が毎回起こるだろうねぇ。」

 

ニヤリと笑いながら彼女はそう言い放つ。

その言葉を聞いて私は震えが止まらなくなった。また今回みたいになるかも知れないと考えるだけで恐怖で身体がいう事を聞かない。

 

「怖がらせちゃったね。よしよし」

 

彼女から撫でられる事で少しばかりか恐怖心が薄れて身体の震えが止まる。

 

「もう、一つは…?」

 

彼女は今までにみたことのない綺麗な笑顔をする。

 

「もう一つは私に服従する道。服従するなら今後は恐怖する事はなく安心して良い学校生活が送れるかもねぇ〜。それに私の言う事を聞くならあなたはクラスの中心になってAクラスに上がれるかもしれないよぉ〜?」

 

「Aクラス?本当に?」

 

「うん、もちろん。あなたが私の言う事を聞けば特別試験が行われる際に攻略のヒントを出してあげる。それを実行できたら〜クラス間で勝ち上がれるかもしれないよ〜」

 

彼女が言う言葉一つ一つが私にとって心地よいものだった。

 

「それでどうする?私に服従する?私に歯向かう?」

 

 

 

 

「……服従します。」

 

その言葉を聞いた彼女は私に抱きつき頭を撫でてくれた。

 

「鈴音ちゃんは良い子だね〜。それが選べるのはあなたが優秀で偉い子だからだよ」

 

 

 

この時、神条は悪魔のように薄気味悪い笑みを浮かべているが堀北に知る由もない。

 

「これから、あなたは私に服従する。だけど学校での態度は変えちゃダメだよ。いつも通り、あなたはプライドの高い自分を演じるの。いいね」

 

堀北はこくりとうなずく。

 

「よし、いい子だね。私はもう帰るけど。もう自分を傷つけちゃダメだよ」

 

「帰っちゃうの?」

 

堀北は寂しそうな目で神条を見つめる。

 

「もう、そんな顔しないの。またすぐ来るから安心して。いい子で待っててね。私の可愛い可愛い鈴音ちゃん」

 

堀北がうなずくのを確認すると神条は自分の部屋へ戻っていった。

 

部屋に戻ると綾小路がモニターでさっきの堀北とのやりとりをみていた。

 

「どうだった?綾小路くん。良いものが見れたでしょ?」

 

「ほんと、神条はえげつないな。詐欺師にでもなれるんじゃないか?」

 

「ふふ、褒めてもハンバーグしか大きくならないよ」

 

「ハンバーグは大きくなるんだな。」

 

「ふふ、これでおもしろいおもちゃがいっぱい手に入ったよ」

 

「自分で堀北の心を折り自分で救うか。マッチポンプとはよく言ったものだな。ほぼ洗脳に近いこの方法。しかも最後のは選択肢を与えているようで服従するの一択しかない。服従を選ぶまで何かしらするつもりだったんだろ?」

 

神条は満足したように笑った。

 

「あはは、だんだん私の考えがわかってきたね。」

 

「これだけ神条と行動を共にしてれば嫌でもわかってくる。」

 

「まあ、それもそうか〜。ああ〜楽しみだな〜。これから鈴音ちゃんは私の言う事を聞いてAクラスに上がれるように頑張る。でもそれがいつからか私に褒められるために頑張るようになって〜。」

 

これから起こるであろう事を考え両手を頬にあてうっとりとした表情になる。

 

「最後に私に捨てられちゃうの。その時鈴音ちゃんはどんな表情をするのかな〜。絶望?恐怖?憎悪?激怒?軽蔑?悲嘆?どんな感情が見れるんだろう?楽しみで仕方ないよ」

 

神条の恐怖は止まる事を知らない。




堀北さんは神条から与えられた恐怖で情緒不安定になっています。
そして神条さんからの言葉により洗脳されているに近い状況です。

私は堀北さんは好きなキャラの1人です。


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13話 ペットの敵は私の敵

この話はありえない事が続くと思いますが。
あくまでもフィクションなのでそこの所よろしくです。


13話 ペットの敵は私の敵

 

7月1日を迎え多くの生徒のポイントが潤う中クラスポイントが0のDクラスは疲弊していた。

 

5月、6月、7月とポイントが全く振り込まれていないのだ。

 

しかし、Dクラスの中には疲弊していない生徒が少なからずいる。

 

神条の派閥に属する生徒たちだ。彼女達は神条の派閥に入ることによって神条からのポイント支給が行われている。

 

しかし、神条自身は派閥など作った気はなかった。頑張ったものは報酬があるべきと考えている。

 

しかし、他の生徒からしてみれば神条の派閥にしか見えないのだ。

 

この事に危機感を覚える生徒が2人ほどいる。

 

 

 

しかしこれはまた別の話。

 

いずれ語るときもくるだろう。

 

 

 

 

 

7月某日

 

 

「准さん、相談があるんですけど」

 

「どうしたの?愛里ちゃん。」

 

佐倉は不安げに神条に話しかける。

 

「実はストーカーにあってるみたいなんです。」

 

「それは許せないね。私の可愛い愛里ちゃんにストーカーするとは万死に値するよ」

 

神条はかなり怒っているようだ。

殺気が溢れ出ていて佐倉が怯えている。

 

「神条、殺気が溢れ出てるぞ。佐倉が怯えているから殺気を止めてやれ」

 

神条がハッとした表情すると佐倉を抱きしめる。

 

「ごめんね〜。愛里ちゃん。怖がらせちゃったね」

 

「だ、大丈夫です。それに准さんは私の為に怒ってくれてるので」

 

神条の行動に驚きつつも自分の為に怒ってくれる事が嬉しいようだった。

 

「うん、私の可愛い愛理ちゃんのためなら怒るに決まってるじゃん!それで誰かは見当がついてるの?」

 

神条は早くそのストーカーを潰したくてたまらない表情をしている。

 

「それが、、わからないんですけど。毎日、こんな書き込みと手紙が私の元に届いて」

 

佐倉は神条に自分のサイトを見せるとそこにはおびただしいほどの気持ちの悪い書き込みがされていた。手紙にも同じような事が書かれている。

 

「これはいつからなの?」

 

「え、えっと、デジカメを修理に出した。次の週からくらいです。」

 

「なるほどね〜」

 

神条は手を顎に置いて考える。

 

 

愛理ちゃんの行動から考える限り、多分、デジカメの修理を担当した電気屋の店員で間違いない。

 

後はどう殺すかなんだよね〜

私のペットに手を出したら罪は重い。

どんな目に遭わせてやろうかなぁ〜

事故に装って殺すのが1番だけど〜足がついちゃったら面倒なんだよね〜。

 

社会的に殺すも面白いけどぉ〜。

 

どうせなら痛みを与えたいしぃ〜。

 

愛理ちゃんを暴漢してる所を撮影し脅す。その後、逃亡し誤って転倒そこにはたまたま、尖った木片が落ちていて腹部、または喉を損傷し出血、急いで救急車を呼ぶが間に合わず死亡ってのが1番面白そうだけどぉ〜。

 

愛理ちゃんを私に依存させたい所だし〜。

 

少し細工しようかな〜

 

ふふ、やり方次第では学校側からもポイントを巻き上げれるし、一石二鳥の作戦を考えよう。

 

 

「じ、准さん?」

 

怯えた様子で佐倉が神条をみる

 

「ん?どうしたのかな?」

 

「怖い顔して考え込んでいたからだと思うぞ」

 

綾小路が今の状況を解説してくれる。

 

「あーごめんごめん。犯人について考えてさ、犯人はもうわかったからどうしようかなって思って」

 

「もう、わかったんですか⁉︎」

 

「うん、まあ私にかかれば簡単な事だよ〜。さて作戦会議に行こうか〜」

 

3人は神条の部屋へと向かった。

 

 

「それで神条はどうする気なんだ?」

 

「んーおびき寄せて、捕まえるつもりだよ(表面上はね)」

 

「たしかに、それが1番早いな。(殺しでもする気か?)」

 

「でしょ。いち早く捕まえてあげたいし。愛里ちゃんはちょっと怖い思いするかもしれないけど頑張れる?(運良く事が運べたらね)」

 

「准さんの言うことなら頑張ります!」

 

 

「ふふ、じゃあ作戦を説明するね。」

 

 

神条は作戦を伝え2人はそれを了承した。

 

 

 

「わかりました!私がこのメールに返信して呼び出せばいいんですね!」

 

「うん、すぐ駆けつけるから安心してね」

 

「はい!准さんを信じてます。」

 

「うん、じゃあ愛里ちゃんは明日は作戦通り動いてね」

 

「わかりました!」

 

佐倉は神条の言うことを素直に聞き入れ明日決行することにした。

 

 

「どうする気なんだ?」

 

「それは明日行ってのお楽しみだよぉ〜」

 

 

 

 

翌日、監視カメラの無い路地裏

 

佐倉は予定通りその男を呼び出した。

 

男が現れると佐倉との距離をジリジリと詰めていき佐倉に飛びかかった。

 

「やっと僕のものになる決心がついたんだね。嬉しいよ。雫ちゃん」

 

 

 

「ふふ、こんな所で暴漢してる人がいるなぁ〜」

 

「誰だ!」

 

その男は腰からサバイバルナイフを取り出しこちらに振り向く。

 

「誰だっていいでしょぉ〜?それより今の全てカメラで収めさせてもらったから、貴方は終わりだよぉ〜」

 

男はカメラを一眼見るとサバイバルナイフを持って神条に突っ込んできた。

 

神条は避けることなく刺された。

 

 

ふふ、狙い通り。刺してくれた。

これで正当防衛が成立する。

 

「准さん!!」

 

佐倉の叫び声がこだまする。

 

「僕に逆らうからこうなるんだ!」

 

男が何やら叫んでいるが神条には関係がなかった。

 

「あはははは、ありがとう。これで心置きなくやれるね」

 

「へ?」

 

ゴキと言うような鈍い音が響いた。

 

男の指が曲がらない方向へ曲がっていたのだ。男は指が折れた痛みからか転げ回っている。

 

「出血量からして後10分くらいかなぁ〜。その間貴方で楽しませてねぇ。ふふ」

 

神条は男に近づくと男の顎目掛けてかかとを落としを放つ。

 

「ふふ、多分これで顎の骨が折れたからこの事も喋れないねぇ〜」

 

そしてもう一度男を蹴り飛ばす。

 

「私のかわいいかわいい愛里によくも怖い思いさせてくれたなぁ!」

 

そして何度も男を蹴り続ける。

 

「神条、そろそろ救急車と警察が到着する。時間だ」

 

「あは、もうそんな時間なんだ。しょうがないかぁ〜。私は倒れとくから後処理よろしくね。」

 

「それより大丈夫なのか?」

 

「ふふ、心配してるの?大丈夫よ。大きな血管は避けたし。臓器にも当てないように刺されたから。それにあれを使ったし」

 

「まさか、お前の冷蔵庫にあんなものが入ってるとは思わなかったぞ」

 

「ふふ、誰にも言っちゃダメだよ。後は打ち合わせ通りに」

 

そう言って神条は目を閉じた。

綾小路は神条の止血を始める。

 

そしてやっと硬直から解放されたのか佐倉が神条のもとへ駆け寄る。

 

「准さん!准さん!死なないで!」

 

「大丈夫だ、佐倉。神条は死ぬ事はない。今は手でも握ってやってくれ」

 

佐倉は神条の手を強く握りしめ救急車が来るのを泣きじゃくりながら待っている。

 

 

その後救急車と警察が来て事態の収拾に当たる。

 

 

そして綾小路は警察にこう証言する。

 

クラスメイトの様子がおかしかったので行ってみると男が佐倉に暴行しようとしていた。

 

それを止めに彼女が出ていき顎を蹴り飛ばしたのだが、犯人は激怒し神条をサバイバルナイフで刺した。

 

その後彼女を助ける為に自分が出ていきなんとか押さえつける事ができたがその拍子に男の指が折れてしまった。

 

「これは正当防衛になるんでしょうか、俺も彼女を救うのに必死で」

 

血が染みたシャツを握りしめながら警官に聞く。

 

「心配しなくても大丈夫だよ。君は女の子を救う為に頑張った。後の事は私達に任せておいてくれ」

 

「わかりました。」

 

神条に言われた通り演技をしながら俯いたふりをする。

神条の演技指導のおかげで上手く騙せたようだ。

 

 

そして神条は救急車で運ばれていき手術になったが彼女が死ぬ事などあり得ないだろう。

 

 

彼女がする事なのだから。

 

 




次回は多分すぐ投稿するかもしれません。


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14話 病院

今回は事件後の後日談です。


14話 病院

 

病院のベッドの上

 

「知らない天井だ。って言ってみたかったんだよね〜。いてて。流石に痛むか〜」

 

「どうやら目を覚ましたようだな」

 

横から声がしたので振り向くと綾小路くんの姿があった。それに私の手を握って目を腫らしながら寝ている愛里ちゃんの姿があった。

 

 

「ふふ、私が生きてて嬉しい?」

 

「まあ、お前がいないと困るからな」

 

「そう言う所嫌いじゃないよ。ふふ」

 

神条はこの状況が楽しいようで笑っている。

 

「まあ、お前の冷蔵庫にあったものを見た時は俺でも驚いたがな」

 

「ふふ、病院に行った時くすねておいて正解だね。輸血袋〜ふふ。こんな時の為に私の血を抜いておいて正解だったよ〜」

 

神条の冷蔵庫には自分の血液を抜いたものを何パックも保存していたのだ。

それをあの当日、自分で輸血し血の量を増やしていた。

 

「死ぬのが怖くないのか?」

 

神条にとっての死の概念が気になり綾小路が問いかける。

 

「私が死ぬと思う?まあ、死んでみるのも面白いと思うけどねぇ〜。その時の人間の表情見てみたいし。目の前で人が死ぬ時どんな表情をするのか知りたいじゃない?ふふ」

 

神条はその時を想像して笑っていた。

 

「お前は本当に狂っているな。お前がするあの質問、神条ならなんて答えるんだ?」

 

神条がいつもする質問。

生きたいか死にたいか。

神条自身はその質問についてなんと答えるのか。

 

「私は狂ってないよ。いたって正常。人の感情に興味があるだけ。私はどっちでもいいよ。私を楽しませてくれるなら飽きるまで生きるし死ぬ事が私を楽しませてくれるなら笑顔で目の前で死んであげる。」

 

神条は笑顔でそう答える。

 

「意味がわからないが。今は置いておこう。」

 

「ん?そう?それで私はどれくらい寝てたの?」

 

「1日ほどだ。驚異の回復力だと思うぞ」

 

「まあ、妥当じゃないかな〜。そろそろナースコールして診察でもしようかな。」

 

ナースコールを押そうと右手を伸ばすとその振動が伝わったようで佐倉が目を覚ます。

 

「じゅん、さん?」

 

「うん、そうだよ。おはよう。愛里ちゃん。恐い思いさせてごめんね」

 

神条が頭を撫でてあげると、佐倉が神条に飛びつく。

 

「准さんが……死んじゃう……と思って…わ、私恐くて…」

 

涙をたくさん流しながら私を抱きしめる。

 

「よしよし、大丈夫だよ〜。愛里ちゃんを残して私は死なないから。私がいつでも守ってあげるからね〜」

 

泣きじゃくりながらこく、とうなずく。

 

佐倉はこれから神条の言う事を聞き続けるのだろう。依存という形で。自分の事を身を挺して守った神条を崇めながら。

 

その後ナースコールをして看護婦を呼ぶと検診をしてもらう。

 

傷がそこまで深くなかった為、1週間ほどで退院できると言われた。

 

その後警察関係者がきて証言を求められたので綾小路と打ち合わせた内容を話す。

 

私達には一切の罪はないようだ。

 

そしてその後学校関係者の人達が来る。

 

担任の茶柱先生と理事長の坂柳さんだった。

 

「この度は我が学校の敷地内職員がこのような事件を起こしてしまい本当にすまない」

 

理事長は深く頭を下げた。

 

「大丈夫ですよ。私がやりたくてやっただけですし。でも〜私の実力でこの学校から不要な輩を排除できたので報酬が欲しい所ですね。ふふ」

 

その言葉に理事長は驚くが茶柱先生はやはりといった視線を送る。

 

「いくら欲しいんだ?神条」

 

理事長に代わり茶柱先生が質問する。

 

「そうですね〜。私に2000万ポイント、ストーカー被害にあった、佐倉愛理に500万ポイント、犯人を取り押さえ警察などを呼んだ綾小路清隆に500万ポイントは欲しいですねぇ。」

 

「中々の高額をふっかけるじゃないか」

 

神条はにっこりと笑うと話を続ける。

 

「もし、これが現金だったら適正な金額を言いますけど。この学校はポイントがお金。外で使えないですし。私の刺された場所が悪かったら学校で殺人事件が起きたことになりますからねぇ〜。条件を飲んでくれるならこの事は私が穏便に済ませて欲しいと言っているからと警察に言ってもらってかまいませんよ〜。そうすれば傷害事件が起きたくらいで済ませれますし。マスコミにも言わなくて結構です。」

 

「はは、中々面白い生徒が君のクラスにいるじゃないか。わかったその条件を飲もう。それに加えて君にはプロテクトポイントを付与しよう」

 

「理事長、よろしいのですか?」

 

「かまわない。彼女は優秀だからね、退学にでもなってもらっては困る。」

 

「話が早くて助かります。それでプロテクトポイントというのは?」

 

「1度だけ、退学を無条件で回避できるというものだよ。」

 

「それはいいものをもらいました。」

 

「それでは私は失礼するよ。今から準備があるからね」

 

理事長は茶柱先生を残して出て行った。

 

「はぁ、神条、お前は怪物だな」

 

「失礼ですよ。茶柱先生。私は怪物じゃないです。」

 

ぷんぷんといった風に神条は怒る。

 

「神条、Aクラスを目指す気はないのか?」

 

「そんなに私にAクラスを目指して欲しいですかぁ?貴方がなれなかったAクラスに」

 

茶柱先生は驚いた表情をする。

 

「なぜ、それを知っている。」

 

「私の情報網を舐めない方がいいですよぉ〜。大抵の事は調べれますからぁ〜。もちろん綾小路くんの事もねぇ〜」

 

「全てお見通しというわけか…」

 

「でも安心してください。私が何もしなくてもいずれAクラスには上がりますよ。堀北さんが〜頑張ってくれますからぁ〜」

 

ケタケタと笑いながら神条は言う。

 

「どう言う事だ?」

 

「まあ、詳しくはお話しする事はできません。それにすぐにAクラスに上がったところで他のクラスには勝てませんよ〜むりむり。だってクラス全体のスペックが違いますから。すぐ追い越されます。今は待つ時なんですよ。」

 

神条は小さな子供のような顔で笑っていた。

 

「間接的ではあるが、目指してくれるという事でいいのか?」

 

「まあ、時が来れば動いてあげますから。それまで待っててくださいよ」

 

あの期待した目、あれが歪む姿を見てみたいけど〜。鈴音ちゃんの方が美味しそうなんだよね。

 

それに〜私達がAクラスに上がったらぁ〜坂柳さんと龍園くんはどんな表情するのかなぁ〜。

 

でも上がるのは今じゃない。

 

我慢も大事、我慢すればするほど食べる時もっと美味しくなる。

 

龍園くんと坂柳さんが上位争いし続けるようにこれから私が動いて、拮抗させる。

 

そして三年生最後の最後の試験で私が逆転する。

 

その時、美味しく食べたい。

 

3人の表情が見れるのが楽しみだなぁ〜

 

 

 

 

後日、何名か神条の元へ見舞いに訪れた。

 

「お前が刺されたと聞いた時は耳を疑ったぞ」

 

「ふふ、刺された方が得だったから、刺されたまでだよ」

 

ケラケラと神条は笑う。

 

「どんなに利があったとしてもわざわざ刺されてやろうなんて思わねーよ。人間は死の恐怖からは逃れられねぇんだから」

 

「私は死ぬ時がきたらただ死ねばいいと思ってる。死んで助かる事もある。あの人みたいに…」

 

神条が初めて見せる悲しみの表情にその場にいた龍園と綾小路は驚いていた。

 

「おっと、今日の私は口が軽いみたいだ。余計な情報まで話してしまった。」

 

いつもの表情に戻った神条は笑っている。

 

「そいつは教えてくれねぇんだろ?」

 

「まあ、2000万ポイントくらい積んでくれたら話してもいいかもね」

 

「クク、ほんとお前は面白いな、バカンスには参加できるんだろ?」

 

「もちろん、私が行かないわけないじゃないか」

 

「なら楽しみにしてるぜ。またな」

 

龍園は帰っていった。

 

 

 

その次に病室に来たのは坂柳だ。

 

「お見舞いに来ましたよ。神条さん。」

 

「坂柳さんどうもありがとう〜」

 

「いえ、私も理事長の娘という立場にあります。神条さんには謝罪をしなければなりません」

 

頭を下げようとする坂柳を制す。

 

「ふふ、大丈夫だよ。見返りは貰ってるから。ほんと理事長は気前が良くて助かるよぉ〜」

 

「多大なポイントを要求されたらしいですね。面白い生徒がいたとお父様も言っていましたよ。」

 

「あは、そう言ってもらって光栄だね。それで今日はお見舞いだけじゃないでしょぉ?」

 

「貴方に隠し事はできませんね。葛城派を倒すのに御助力いただければと思いましてね。」

 

「私が売った案だけじゃ物足りなくなった?」

 

「たしかに貴方の案は画期的でした。おかげさまで葛城派の人数は随分へり、私の派閥は増えました。しかし残り少数とはいえ中々こちらの手には落ちません。そこでバカンスで決着をつけようと思いまして。」

 

「なるほど、私が渡した情報を有効的に使うわけね。潰すなら私より適任がいると思うけど〜」

 

坂柳はにっこりと笑う。

 

「龍園くんですか。もう彼には話はつけてあります。葛城派を沈める事ができるなら今度の試験Aクラスを潰してかまわないと」

 

「アハハ、さすが坂柳さんだね〜。その思い切った行動好きだよ。まあいいよ。協力してあげる。でも私のやり方でやるからね」

 

「もちろんです。貴方の好きなようにしてもらって構いませんよ。報酬も弾みます。」

 

「ふふ、ありがと、でも…」

 

神条は有栖の顎に手を添える。

 

「私を操ろうなんて思わない方がいいよ〜。私は縛られるのが大っ嫌いなの。私とやり合いたいなら覚悟しておいた方がいいよぉ」

 

神条は目を剥いて坂柳に微笑んだ。

とても邪悪で美しくまるで悪魔のようだった。

 

 

「ええ、心得ていますよ。」

 

 

坂柳からは冷や汗がこぼれ落ちた。



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15話 子猫

解説みたいな回


15話 子猫

 

退院まで数日となったある日

 

「失礼するわ」

 

「おぉ〜だれかと思えば鈴音ちゃん」

 

綾小路に目線を送り人払いをする。

 

綾小路が出ていき神条と堀北の2人きりになる。

 

「どうしたのかな〜鈴音ちゃん。」

 

2人きりなった事で堀北の顔が変わる。

 

「心配だった…貴方が刺されたと聞いて…気が気じゃなかった…私を置いていくんじゃないかって…」

 

不安を心にためここ数日を過ごしたのだろう。目には涙を浮かべていた。

 

「もう〜そんな心配しなくていいのに、私は死なないよ、ふふ、ほらおいで」

 

堀北はこくりとうなずくと抱きついてくる。

まるで母親の胸へ飛び込む子供のようだ。

堀北鈴音は愛情に飢えている。

常に優秀な兄と比較され続け親からの愛情が兄しか向けられなかった。

 

神条はそこにつけ込んだ、愛情の補完である。

 

親が向けなかった堀北鈴音という存在の肯定。神条はその心の穴を満たす。

 

神条はここ数週間にわたり堀北鈴音を肯定し続けた。優秀な存在であり自分にとって必要だと。

 

神条は助け育てる。

機が熟すその時まで。

そして自分の手で壊す。

 

神条の中の美学である。

自分で育てあげそれを自分で壊す。

 

神条にとってそれが一番美しく、一番気持ちいいのだ。

 

彼女はその時を待つ。

 

 

 

「ふふ、もう甘えんぼさんだなぁ〜。そんなに私が恋しかった?」

 

堀北はこくりとうなずく

 

「ふふ、今はだれもいないから安心して甘えてね。」

 

恥ずかしそうに神条の胸に顔を埋める。

 

「おねぇちゃんって呼んでもいい?」

 

「好きに呼ぶといいよ。鈴音ちゃんの自由だし」

 

堀北がこうなるのも仕方なかった。

現在まで堀北が甘える事ができる存在がいなかったのだ。そこに神条が現れ愛情を満たす。

 

その結果、神条の前でのみ幼児退行してしまうのだ。

 

神条は人の感情や心、過去について推測するのにたけている。

 

孤独を好み、人を信じる事が出来ず、承認欲求がある。

 

これはどれも愛情不足による症状だ。

 

そして必ずと言っていいほど人に依存する。

 

神条はそれを全て見抜いていた。

 

「ふふ、おねぇちゃんには甘えていいんだぞ〜。」

 

堀北はその言葉をかけてもらい満面の笑みになる。

 

「おねぇちゃんはいつ退院できるの?」

 

「あと数日かな、鈴音ちゃんは頑張れる?」

 

「うん、頑張る」

 

「えらいね〜鈴音ちゃんは、頑張ってくれたらご褒美あげるね」

 

「ご褒美?」

 

「うん、私が前に使ってた髪飾りあげる」

 

「本当に?私頑張る!」

 

堀北は嬉しそうに笑顔を向ける。

 

「ふふ、どっちがいいかな〜」

 

と言って2つの花の髪飾りを堀北に見せる。

 

その花はゴジアオイとリンドウだった。

 

二つの髪飾りを前にして堀北は悩んでいた。

 

そして指をさしたのはリンドウの髪飾りだった。

 

 

ふふ、そっちを選ぶのはわかってるねぇ

鈴音ちゃんに似合ってる。

ゴジアオイはまだ早い。

 

「じゃあ退院したら、鈴音ちゃんにあげるね。それまで頑張るんだよ」

 

「うん!」

 

「ふふ、いい子だね。そろそろ時間だからお帰り。また来ていいから」

 

「わかった。また来るね。おねぇちゃん。」

 

「うん、でも約束は覚えてるよね。ちゃんと戻してから行ってね。」

 

「わかったわ。これで大丈夫かしら?」

 

いつも通りの堀北に戻る。

 

「うん、大丈夫。バッチリだよ」

 

堀北は帰っていき、その後綾小路が入ってくる。

 

「全く、お前は怖いな。あそこまで洗脳が進んでいるとはな」

 

「はは、洗脳なんて簡単だよ。彼女は依存しやすい体質だし。最初の恐怖の感情がだいぶ効いてるみたいだしそれからは流れだよ」

 

彼女は楽しむように笑って見せた。

 

「それに加えて神条は堀北に愛情を与える。それによって堀北は神条を信じ込むというわけか」

 

「ふふ、多分綾小路くんにもできるでしょ?」

 

「まあ、不可能ではないな。」

 

「綾小路くんも作ってみるといいよ。おもちゃ」

 

神条は期待した目で綾小路を見つめる。

 

「候補でもいるのか?」

 

「まあ、2人ほどね〜」

 

「2人もいるのか」

 

「まあね〜候補止まりではあるけど」

 

「楽しそうだな」

 

「うん、楽しいよ。最高にね」

 

神条は笑った。

 

残虐さの溢れ出した顔をしながら。




花言葉は調べてもらえたら面白いかもです。
今回はなんというか意味がわかると怖い話的な感じですね。


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16話 依存

やっと退院できた神条さんですね。


16話 依存

 

朝から医者の最後の検診を受ける。

 

「問題ないでしょう、今日で退院して結構です。」

 

「ありがとうございます〜、お世話になりました」

 

荷物をまとめて病院を出る。

平日の昼前、綾小路達は学校で授業中のため出迎えはない。

 

 

テストが明後日に迫っているので必死に勉強してもらわなければ困るからね〜

まあ、過去問は鈴音ちゃんに配布させたし、問題ないでしょう。今回はちゃんと本物をね。まあ、最初は疑ってたらしいけど、私が入院してたからそれほど疑心暗鬼は大きくならなかったみたいだし。

 

さて、私はどうしようかな。ひとまず寮に戻るとして。今日まで公認欠席扱いだから学校に行く必要ないんだよね。

 

 

神条は部屋へ戻ると料理をする事に決めた。

病院食は栄養価は高いが美味しくないのだ。キッチンに立ちメニューを考える。1週間も入院していたので久しぶりに味の濃ゆいものが食べたい。

 

 

そろそろ、学校はお昼休みか〜

誰か来そうな予感もするから少し多めに作ろうかな。

 

ん〜でも、どうしよう。

 

神条はこの前購入した大きな冷蔵庫の前で唸る。

 

うん、決めた麻婆餡掛け炒飯にしよう。

 

やっぱり中華料理が美味しいし。

 

調理を始めもう少しで完成というところでインターホンがなる。

 

出てみるとそこにいたのは堀北だった。

 

「鈴音ちゃん、どうしたの〜?」

 

「今日、退院って聞いてたから、、」

 

恥ずかしそうに呟く。

 

「お昼は食べたの?」

 

堀北は首を横に振る。

 

「ふふ、そんなに私に会いたかったんだ〜。ちょうどご飯作ってたから一緒に食べましょ」

 

堀北は目を輝かせこくりとうなずいた。

 

堀北を部屋に入れソファーに座らせるとキッチンに立ち料理を2人分に分ける。

 

神条は出来上がった料理をテーブルの上に置く。

 

「辛いのは大丈夫?」

 

「うん」

 

「ふふ、よかった」

 

レンゲを渡し神条は微笑む。

 

「いただきます」

 

2人は食べ始める

 

「美味しい、おねぇちゃん料理上手!」

 

「ありがと。そう言ってもらって嬉しいよ」

 

神条は堀北の頭を撫でた。

 

お互い食べ終わると神条は思い出したように髪飾りを取り出す。

 

「約束だったもんね。鈴音ちゃん、頭こっち向けて」

 

嬉しそうに頭を向ける。

 

リンドウの髪飾りを堀北につけてあげる。

 

「うん、できた。かわいい。」

 

神条は堀北に手鏡を渡してあげる。

 

「嬉しい。ありがとう、おねぇちゃん」

 

「大切にするんだよ。この髪飾りは鈴音ちゃんと私を繋ぐもの。この髪飾りがある限り私は鈴音ちゃんのお姉ちゃんでいてあげれる。」

 

 

 

 

神条は次の段階へと進めようとしていた。物への依存である。この髪飾りは神条と堀北を繋ぐ唯一の物となった。堀北はこれをなによりも大事にするだろう。

 

この髪飾りがなくなったとき堀北と神条の関係は破綻してしまう。

 

ただの他人に戻る。

 

そんな事は堀北にとって最も避けなければならない事だ。

 

堀北はこの関係性を守るためこの髪飾りだけは何があっても守る。

 

そんな堀北を見るのも悪くないと神条は考えたのだ。

 

その間、家族ごっこに興じるのもまた面白いと。

 

堀北の感情を壊すのに色々な要素が有れば楽しみが増える。どんなパターンでも自分は楽しむことができるだろうと考える。

 

 

最後、堀北だけがAクラスから落ちたとしても神条とのつながりが有れば精神は崩壊せずに済むだろう。だが髪飾りもなくなれば堀北に残るのは何もない。

 

自分の手で壊すもよし。

 

他人に壊させるもよし。

 

綾小路に壊させても楽しめるだろう。

 

その姿をケラケラと笑いながら見る。

 

それもまた一興だ。

 

そこで神条は問いかける。

 

死にたいか生きたいか

 

答え次第ではその後もそばに置いてやってもいい。

 

一生かけての玩具にできるのだから。

 

どちらに転んでも満足できる。

 

神条はその時を待つ。

 

 

 

「私、大切にする。おねえちゃんの為に頑張る。」

 

「ふふ、期待してるね。鈴音ちゃん」

 

昼休みが終わるので堀北は教室へ戻っていった。

 

 

放課後になり綾小路達、派閥のメンバーが神条のもとへ集まる。

 

メンバーは次々にねぎらいの言葉をかけてくれる。

 

神条はそれに笑顔で対応する。

その後他のメンバーを帰し佐倉と綾小路だけになる。

 

佐倉が神条に抱きついてきた。

 

「准さん退院おめでとうございます」

 

「ありがとう。愛里ちゃんも勉強頑張っていたようでなによりだよ」

 

「准さんから言われていたから頑張りました。」

 

「ふふ、がんばった愛里ちゃんにはご褒美をあげよう。」

 

神条は複色のカーネーションのネックレスを佐倉につけてあげる。

 

「綺麗、もらっていいんですか?」

 

「もちろん、頑張った子にはご褒美をあげる。それが私のやり方だからね」

 

「大切にします!」

 

「うん、これからも私の為に頑張るんだよ」

 

頭を撫でながら佐倉に囁く。

 

「はい!准さんの為に頑張ります!」

 

「ふふ、期待してるね」

 

その後佐倉が帰り、綾小路と2人きりになる。

 

「順調のようだな」

 

「まあね〜」

 

「それでこれからの予定は?」

 

「そうだね〜テストまであと2日、とくに動く事はしないよ。動くのは終わってからかな。まあ、今日の予定はあるよ」

 

「俺はついて行ったほうがいいのか?」

 

「うん、まあね。ちょっと面白い事になりそうだし」

 

「相手は誰だ?」

 

「鬼龍院さんと南雲さんだよ〜」

 

「なるほど、いつもの場所か?」

 

「うん、いつものカフェだよ。時間はそれぞれ1時間後と3時間後」

 

「了解だ。」

 

「ふふ、久しぶりにお話しできるから楽しみだよ」

 

神条達はカフェへと向かう。



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17話 雑談

なんかノリで書いちゃいました。


17話 雑談

 

おなじみのカフェへに着きいつもの個室に入る。

 

そこにはすでに鬼龍院の姿があった。

 

「お待たせしてしまって申し訳ないです。」

 

「かまわない。私が突然呼んだんだ。それに、退院おめでとう。お前が刺されたと聞いた時は驚いたぞ」

 

「ふふ、面白いし、そこに利があると思ったから刺されただけですよ」

 

「はは、それができるのはお前くらいだ。人間は感情次第では人を庇い刺される事はできる。しかし、刺される事にどれだけ利があろうとも人は自分の命を最優先に考える。これは人間の真理とも言っていい。なによりも自分が大事これはかわらん。それについてはお前は破綻している。生より利が取れる人間。狂人だ。」

 

「ふふ、鬼龍院さんに褒めてもらって嬉しいですよ。」

 

「お前は私から見てかなり面白い。今までの渇きをお前は潤してくれる」

 

「それは私もですよ。ここに来るまでは渇きが潤う事などなかった。ここは面白く退屈が紛れる。」

 

2人は笑い合う。

 

「「だが満たされる事はない」」

 

「やはりそう思うか?神条」

 

「ええ、私達が満たされる事はこれから先訪れない」

 

「満たされずとも私達は求め続ける。」

 

「そうなんでしょうね。」

 

「だが、お前はいい玩具を仕入れたようだな」

 

「ふふ、情報が早いんですね」

 

神条は紅茶に角砂糖を5、6個ほど入れながら答える。

 

「お前がいない間、そこの綾小路に話を聞いていたからな」

 

「ふふ、まあ鬼龍院さんは信用できますから聞かれても問題ありません。」

 

「それで、その玩具達はどうだ?」

 

「1人は愛でるように、1人は壊すようにですかね。」

 

「お前らしいな。私も1つくらい欲しいものだ。」

 

「鬼龍院さんは玩具をすぐ壊すし飽きるでしょ。それに求めるものが高いし」

 

「私は質にも拘りたいたちでな」

 

鬼龍院はコーヒーを一口飲む。

 

「玩具なんですから少しは妥協してくださいよ。南雲先輩はすぐ妥協してくれますよ」

 

「あいつは見た目だけで選ぶだろ。私は色々吟味したい」

 

「仕入れる身にもなってくださいよ。結構手間なんですよ。」

 

神条は頬を膨らませ答える。

 

「まあ、そういうな、私から前年の試験内容を聞いているだろう?」

 

「それはありがたいですけど〜」

 

「ハハ、人を売るお前は悪人でもあるな」

 

「私はちょっとお話しして人を紹介するだけですよ〜。それに元はみんな悪人なんですから」

 

「親鸞の言葉か、本来人間は悪人である、善人とは善行などは決してできない身である事を気づかない悪人とした。全く面白い言葉だな」

 

「鬼龍院さん、物知りですね。」

 

「お前ほど博識ではない。」

 

「でも、私の会話について来れるじゃないですか〜。」

 

「元からスペックが私は高いからな。知識は有ればあるほどいい。あるだけ有限な時間を過ごせる。」

 

「ほんと、その通りですね。やっぱりお話しするなら鬼龍院さんです。」

 

「私もお前と話すと心地いい。やはり喋るなら自分と同じ価値観や頭脳を持ったものに限る。」

 

2人は微笑み合い飲み物を飲む。

 

その後雑談をし時間となった。

 

「もうこんな時間か、お前と話すと時間を忘れるな」

 

「私もです。今回の話も楽しかったです。」

 

「また、時間が合えば私に付き合え」

 

「はい、もちろんです」

 

ここで鬼龍院は退室した。

 

「ふふ、やっぱり楽しいな。鬼龍院さんと話すと心地いい」

 

「あんなに楽しそうに話す神条はなかなか見れないからな」

 

「やっぱり価値観って重要だよね。初めて私の考えが理解できた人だし」

 

「はぁ、まあ、お前らの会話に常人が入り込める余地などないだろ。会えば人の感情や価値観、支配の仕方、心理学者にでもなるつもりか?」

 

「学者なんか面白くもないでしょ。あの人達は調べてそれで終わり。やっぱり実践しなくちゃ」

 

「まあいいが、次は南雲先輩か」

 

「うん、多分勧誘だと思うけど」

 

 

 

数分後南雲が個室に入ってくる。

 

「意外と元気が良さそうだな」

 

「まあ、傷もそんな深くなかったですし。今日は取り巻きは連れていないんですね」

 

「お前と会う時は基本連れて来ないようにしてるからな」

 

「ふふ、それで今日はどうされました?新しい玩具でも欲しくなりました?」

 

「いや、それは間に合ってる。メンテナンスもこの前してもらったからな」

 

「ふふ、気に入ってもらえたようでなによりですよ。」

 

ニヤニヤした表情で南雲を見る。

 

「本当にお前は恐ろしいな。今日来たのは生徒会についてだ」

 

「それは何度もお断りしてるじゃないですか。私使われるの嫌いなんですよ」

 

「そういうな、お前の行動を制限するつもりはない。俺が次期選挙で会長をとった時副会長の席にすわってくれればいい」

 

「メリットは?」

 

「生徒会権限とある程度の事は隠蔽してやれるな。それと学校側から手当もでるな」

 

「それで?私に何をさせたいんですか?」

 

「俺の生徒会の発足後、俺の手足となる生徒を駒に変えてもらいたい。」

 

「ほんとは今すぐにでもってのが本音ですよね?会長を潰したいから」

 

「それはお前に断られたからな。ほんとは今すぐ入ってもらって会長を潰したいんだがな」

 

「まあ、会長は私でも手強いですからねぇ〜、まあ、策は無いこともないですけどね。」

 

「ほう、その策は確実なのか?」

 

「勝率で言えば6割から7割といったところですかね。現段階ではね」

 

「まだ時期が早いと言いたいんだな」

 

「まあ、そんな所です。それにまだ目立つわけにはいかないんですよね。」

 

不気味な笑みを浮かべながら紅茶をすする。

 

「つまり時期が来れば生徒会に入ると?」

 

「まあ、その気では居ますよ。」

 

「その答えが聞けただけで充分だ。」

 

そういって南雲は席を立ちドアへ手をかける。

 

「南雲先輩、玩具のメンテナンスは定期的にお願いしますよ。メンテナンスをしなければ完璧ではなくなる。」

 

綺麗な笑顔を南雲に向ける。

 

「わかっている。」

 

そういうと南雲はでていった。

 

紅茶を啜りながら神条は端末で茶菓子を注文する。

 

「もう、南雲先輩は帰ったぞ」

 

「あはははは、もう、最高だよね。一番操りやすいタイプ。」

 

「目的は南雲先輩と会長か?」

 

「うん、そうだよ。2年生のトップと3年生のトップ。どんな表情するのか気になるじゃん」

 

「2人を潰すための作戦か」

 

「そう、南雲先輩は自分で玩具を選んだと思ってる。でもそれは間違い、私が選ばせた。予め、南雲先輩の取り巻きをリストアップその中から共通点を洗い出して南雲先輩の好みを割り出す。該当する生徒にお話しして送り込む。」

 

ケラケラと笑いながらソファーに背を預ける。

 

「メンテナンスも玩具への刷り込みか?お前への忠誠心の。」

 

「そういうこと〜。人間って面白いよね。簡単に言うこと聞いちゃうんだもん。最後はその玩具にやられちゃう。そんな最後、面白いでしょ。でもまだやらないよ。南雲先輩は利用するだけ利用してから捨てるから。」

 

「鬼龍院先輩も同じか?」

 

「ううん、鬼龍院さんは別、あの人は私を理解できる唯一の人間だから。それに2人ならもっとすごいことができそうじゃない?」

 

「お前と同種というならそうなんだろうな」

 

「後は会長なんだよね〜。強敵も強敵、精神的にかなり強いからね〜でも弱点はあるからね〜それも私の手中、後は舞台を整えないといけないとね」

 

お菓子が運ばれてきて神条は美味しそうに食べていく。

 

気に入っているお菓子なので神条も御満悦の表情になる。

 

これだけ見れば普通の女子高生と何ら変わらないだろう。

 

しかし、彼女は人を陥れる時、同じ表情をする。

 

人間も彼女にとってお菓子でしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコンとドアがノックされる。

 

綾小路がそれに対応する。

 

「待ってましたよ。ーーーーーーさん」

 

神条はにっこりと笑顔を向けて向かい入れた。




なんかノリで書いてたらすごい展開になってしまった。


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18話 バカンス

とうとうバカンスまで来ました。


18話 バカンス

 

予定されていたバカンスが始まった。

豪華客船にのり無人島で1週間過ごせるというものだ。

 

神条はというとカフェの個室でゆったりと食事をとっていた。

 

「うん、美味しい。やっぱりこういう静かな場所でとる食事は最高だね。」

 

「うん、そうだね。神条さんには似合ってると思う」

 

当たり障りのないように答えているのは櫛田桔梗である。

 

「それで?私に話ってなに?」

 

「私は神条さんと仲良くなりたいだけだよ」

 

笑顔を向けながら櫛田が答える。

 

「私の弱みでも握りに来たの間違いじゃない?」

 

その言葉に櫛田は少し驚いたような顔をする。

 

「何の事かな?」

 

「いいからその仮面取れって言ってるの。せっかくの食事が不味くなる。」

 

持っていたフォークを櫛田の首に突きつける。

 

「ヒッ」

 

「その顔はいいね〜。心の中からでた恐怖美味しそう。ふふ」

 

「や、やめて、、」

 

「本当の姿を見せないなら。このフォークが刺さっちゃうかもね〜」

 

ツンツンと首筋にフォークを当てながら神条は笑った。

 

「わ、わかった。わかったから」

 

フォークを離すと櫛田の表情が変わった。

目から光が消えいつもの櫛田とは思えない表情になる。

 

「これでお望み通り?」

 

「うん、とってもいい表情してる。承認欲求の塊って顔」

 

「なんでもお見通しってわけ?」

 

「顔に書いてあるもん。私の事見てーって。早く用件をいいなよ」

 

「あんたは中間試験の一件でクラスの中心になった。あんたは中間試験が始まる前にカースト中間層のグループを抱き込み。上位層との関係を切らせている。そのおかげでカースト上位層は発言力を失っている。それにあんたの事を言いふらそうもんなら確実に潰される。みんな、あんたの的にならないように心がけている。実質、あんたの的になったあの3人は退学した。」

 

「うんうん、勘の鋭い子は大好きだよ。それでそれで?」

 

「私達、上位層は今、選択を迫られてる。あんたに服従するか、ひっそりと生きるか、それとも、」

 

「私を抱き込むか、同盟を持ちかけるかでしょ?それで櫛田ちゃんは私を抱き込むかあるいは喋らせて弱みを握ろうとしたけど。あら残念逆に正体がバレちゃったったね。ふふ」

 

「そういう事だよ。普通の人間ではないと思ってたけど、ここまで怪物とは思わなかったよ」

 

「それで〜どうする〜?私と戦う?従順な子も大好きだけど。貴方みたいな反抗的な子も大好きだよ。それに〜貴方の目的は〜堀北鈴音でしょ?貴方の中学時代を知る唯一の人間だからあわよくば退学させたいってのが本音、できれば〜私に退学させて欲しいって所かな〜」

 

「なんで、それを」

 

「貴方の表情を見てればわかるよ〜。貴方が堀北鈴音に向ける表情は少し違う。恐れとか憎しみそんな表情。それに気づいてないかもしれないけど〜。貴方、私が中間試験の時、堀北鈴音を虐めてるのをみて嬉しそうな表情してたよ〜。もっとやれ〜って顔に出てた。」

 

「う、うそ、、」

 

「そんな怯えなくても大丈夫、私以外気付いてないから。」

 

「それであんたは協力してくれんの?」

 

「いやだよ。あんなにいい玩具いないし。それにまだ使える。」

 

「私の方が上手くやれる!」

 

鬼気迫る勢いで神条に突っかかる。

どうやら堀北に負けているという評価が気に入らないらしい。

 

「べつに私は〜貴方の事を低く評価してるつもりはないよ。偽善者みたいな行動は抜いてね。」

 

「何が気にくわないのよ!べつに悪い事じゃないでしょ!」

 

「うん、悪いことではないね。貴方の偽善が人を救う事もある。入学式のバスの中みたいにあのお婆さんは救われた。でも、その分他の人達は不快な思いをした。まるで席を譲らない人は悪者、そうやって偽善は相対的悪を作り出すの。だから嫌い。これはあくまで私個人の意見。道徳的、感情的に貴方を評価する人がいる事も私はわかってる。でもね大嫌いなの」

 

「何の恨みがあるのよ!」

 

「あるよ、一生晴れない怨みがね。」

 

神条の表情が変わった。

ドス黒く人を今にも殺しそうな顔をしていた。

 

その神条の表情に櫛田は怯えている。

 

「ふふ、その表情いいね。じゃあ特別に昔話をしてあげよう。」

 

 

 

 

 

 

そう言って神条は語り出した。

 

 

それは神条の小学生時代まで遡る。

 

この頃の神条はまだ狂ってはいなかった。どちらかというと彼女は感情に乏しい、無機質な女の子だった。しかし、幼い頃からそのような前兆はあったものの彼女のそばにいた幼馴染みの男の子が神条の行動を止めていたのだ。

 

彼の名前は天離優輝。

 

とても優しい男の子だった。

 

神条に生き方を説き、ひとりぼっちの神条に寄り添う事のできた唯一の人間である。

 

しかし、そんな時悲劇が起きる。

 

クラスの中心人物である1人の男子が神条に声をかけてきた。

 

「神条さん、ひとりぼっちだと寂しいでしょ。僕たちと一緒に遊ばないかい?」

 

「べつにいい。1人が楽だし。それにユウ君もいる。」

 

「そんな事言わずにみんなで遊べば楽しいよ。」

 

彼からしてみれば1人でいる事が理解できない。みんなで一緒にいるそれが正しい事だと思っている。彼には神条に近づきたいという打算もあった。それに加えて神条の容姿は学校で1番と言われるくらいかわいい。

 

「大丈夫、私に関わらないで。」

 

この事が引き金になった。

 

その男子の事を好きだった女子達が神条にいじめを始めたのだ。

 

この頃の小学生は実に簡単である。

気にくわないそれだけでいじめをするのだ。

 

最初は物を隠す程度のものだった。

 

そんな事に神条は動じる事もなかった。

それで気が済むなら好きにすればいいと。

 

その態度がいじめを加速させていく。

 

そしてそれを止めようと動いたのがみんなの中心の男子。

 

「いじめるのは良くない。みんな仲良くするべき。」

 

その男子が行った一言が女子達の感情を逆撫でしたのだ。

 

自分達が好きな男の子が気にくわない女子を庇うそれだけでも許せない事なのだ。その後一旦収束したかに見えたいじめはその男子には分からないように続けられていた。

 

そこに天離がいたら少しは変わったのかもしれない。しかし彼は神条を庇って事故にあい入院していたのだ。

 

 

その後天離が入院から戻ってきた時、神条へのいじめは過激になっていた時だった。

 

その姿を見た天離は激怒する。

 

「なんでこんな事をするだ!」

 

そう言っていじめの主犯達に詰め寄るとここで口を出してきたのもあの男子だ。

 

「待ってくれ。僕の方からきちんと言っておくから。この場はおさめてほしい。」

 

「お前がそう言うなら」

 

クラスの中心である彼から言えば収まると天離も考えた。

 

 

その後、神条のいじめはなくなったかに見えたが、標的が変わっただけに過ぎなかった。

 

天離がいじめの対象になった。

 

いじめは更に過激なものなっていき、精神的に天離は追い詰められていく。

 

しかし、天離から笑顔が消えることはなかった。

 

「なんでユウくんはいつも笑顔なの?」

 

「どんな時でも笑顔でいるのが僕のもっとうだからね」

 

「ふーん。わかんない」

 

「いつかわかる時がくるよ」

 

 

ここで事態は一変した。

天離の親が息子の異変に気づき学校へ訴えかけたのだ。しかし学校側が取り合う事などない何も物的証拠もないのだ。

 

天離の親は呆れて息子を転校させることに決めた。

 

しかし、それに待ったをかけたのは天離だった。転校する前に学校行事のキャンプだけには行かせて欲しいと、親に頼み込んだ。

 

 

しかし、そのキャンプで事件が起きる事になる。

 

天離がクラス全員の前でキャンプファイヤーに飛び込み自殺したのだ。

 

その時、天離は今まで見せた事ないほど綺麗な笑顔を浮かべたと言う。

 

「きれい」

 

1番近くで見ていた神条は涙がこぼれた笑顔でそう呟いた。

 

天離は自分が転校すればまた神条がいじめの標的にされてしまう。どうすれば止められるかと考えた。天離は一つの答えに行き着いた。全員にトラウマを植え付けてしまえばいいと。そうすれば恐怖が残りいじめはなくなると思っていた。

 

それに、天離は自分は死なないと思っていた。

 

なぜなら、自分は神条の中で永遠に生き続けるからだ。1番近くで見ていた彼女の心に少しでも刻みつける事ができればそれで自分は生き続ける。

 

それからいじめはなくなった。

 

しかし、神条の中に2つの感情が芽生えた。

憎しみと興味だ。

 

唯一自分のそばにいた天離を自殺に追いやった者達へと憎しみと人間の感情について興味が出てきたのだ。

 

天離が自殺する時に見せたあの笑顔が忘れられないのだ。どうやったら人は死ぬ時あんな表情をするのか気になって仕方なくなった。

 

 

 

 

そして彼女は狂い始める。




次の話まで過去編が続きます。


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19話 はじまり

過去編書いてたらグロ要素が満載だったので多分r18版を別で出します。


19話 はじまり

 

櫛田は神条から話を聞かされなんとも言えない表情になっている。

 

「それで、あんたがただで終わると思ってないけど……」

 

「アハ、まあ、その通りだね。彼女達には消えてもらったよ。あのニュース見てない?集団行方不明事件」

 

ニヤニヤとした表情を浮かべながら櫛田を見つめる。

 

「まさか……あんたが……」

 

「そうだよ。みんな面白い表情して死んじゃった。楽しかったよ〜。みんなにね。質問するの死にたい?生きたい?ってそしたらなんていうと思う?」

 

「生きたい。助けて、じゃないの?」

 

恐る恐る、櫛田は神条に問いかける。

 

「半分正解だね〜。正解はどっちもなんだ〜最初の時は威勢よくこんな事してただで済むとなよ、とかだったけど。途中から謝りだしちゃってさ。ごめんなさい。ごめんなさい。助けてください。生きたいですって涙ながらに言うの。ふふ、それからすこーしいじめてあげたら死にたい。殺してくださいっていうの。あの表情はほんと綺麗だったよ。最高に楽しかった。」

 

「この悪魔…あんたそんなことその天離って子が望んでたとでも思うの?」

 

ビクビクしながらも神条を睨みつけながら問いかける。

 

「その言葉、あの男の子にも言われたよ〜うちのクラスでいう平田君だね〜。私はこう言ったの。死人に口無しって知ってる〜?ってね」

 

「それは…」

 

驚いた表情を神条に向ける。

 

「私はね。天離君がどう思っててもいいの。復讐は私がしたかっただけ。望んでる望んでないは関係ないの。私がしたかったそれだけ。それに〜あの子達はこの社会に於いて害悪でしょ。居なくなって世の中綺麗になったと思うよ〜」

 

ケタケタと笑う。

 

「そんだけの事しておいて、なんであんたは捕まってないのよ!」

 

「私の家はちょっと特殊でね〜握り潰せちゃうんだ〜簡単に。それに〜私がしなくても私がいじめられてたって知ったら〜私の親がやってたとおもうな〜櫛田ちゃんも気付いてるでしょ〜?たかが小学生が6人も殺せるわけないじゃん。大人が必要だよ」

 

「私がこの事を人に喋らないと思ってるの?」

 

必死に神条を睨みつける。少しでも神条より精神的優位を取ろうと模索する。

 

「え?しゃべるの?」

 

きょとんとした顔で櫛田をみる。

 

「この話はあんたにとっての弱みになる。話されたくなければ、」

 

櫛田が言い切る前に神条は櫛田の首を掴んだ。

 

「ぐっ…あんた…本気で…」

 

「ねぇ、櫛田ちゃん、今向かってる場所どこかわかってるかな〜?」

 

「…島にいくん…でしょ…それが…どうか…したのよ…ぐっ」

 

神条はきょとんとするがすぐに思い出したように顔をにやけさせる。

 

「ごめんごめん、すっかり忘れてたよ。みんなは本当にバカンスに行くと思ってるんだよね。実際は違うよ〜無人島で試験があるの。無人島でね。」

 

神条は無人島を強調し櫛田を見つめる。

 

「…あんた…まさか」

 

「そこで事故が起きて。櫛田ちゃんが死んじゃっても〜事故で解決するよね〜監視カメラも何もない無人島だから〜証拠も何もないよ〜それに警察は殺人よりも事故で済ませたいもん。そんな大人の汚さは誰よりも私が知ってるよ〜アハ」

 

目を見開いて神条が笑う。

 

「ヒッ…や…めて…死に…たく…ない…」

 

涙を流しながら櫛田は許しをこう。

 

首を掴んでいた手を離す

 

「げほげほっ、、はぁはぁ」

 

「その表情よかったよ。まだ生かしておいてあげる。ただこの話を知ってるのはあなた1人だけ。噂がたてば貴方が犯人ってわかっちゃうね〜あははははは」

 

櫛田は戦意を喪失してしまう。

 

この神条准は本気で殺しにくる。

一切の慈悲もなくまるで虫を殺すように。

子供が楽しんで虫を殺す事となんら変わらない。

 

 

ここで突如として放送が流れる。

 

島にもうすぐ着く事とデッキに行けば意義ある景色が見えるとあった。

 

「ふーん。もうすぐ上陸か。さてさてお仕事しないとね」

 

ひとつ背伸びをして部屋からでる。

 

「ほら、いくよ。桔梗ちゃん。君もお仕事しないとね。」

 

「……はい」

 

 

その数十分後、生徒たちは島に上陸する。

 

そして無人島試験についての説明が始まる。

 

この事を知らない者たちが非難をあげるが先生たちは気にせず説明を続ける。

 

内容はクラスに300ポイント与えられそのポイントを使い1週間無人島で過ごすというものだった。さらに残ったポイントはそのままクラスポイントに増加される。

加えて各クラスはリーダーを決めリーダーはスポットを占領する事ができ3ポイントづつクラスポイントが増加する。

最終日にリーダー当てが行われ当てたリーダー1人につき50ポイント増加する。誤答だった場合50ポイント減少し当てられたクラスも50減少する。

 

またリーダーを当てられたクラスはスポットで獲得したポイントは消失する。

 

今回の試験のテーマは自由という事だ。

 

 

その後、各クラスに分かれて担任から詳しい説明がなされ自由行動となる。

 

すぐに神条の周りに人が集まる。

 

「さて、どうしようか」

 

そこに平田達が現れた。

 

「神条さんはこの試験どうするのがいいと思ってるんだい?」

 

「とりあえずリーダーは櫛田ちゃんがすればいいよ。それに、私に聞くより堀北さんに聞くといいよ。彼女は優秀だからね。

 

堀北は前に出ると今回の試験についてDクラスがとるべき行動を話し出す。

 

 

「今回の試験私達は前半の3日間でポイントを使い切り。少数名を残して全員リタイアするべきだと思うわ。残った小数名でリーダー当てを行う。これなら無駄な労力を使う事にならずに済むわ」

 

「ちょっと待ってくれ、この試験をほぼ放棄するって事かい?」

 

「私は賛成だよ。とても理にかなってる。私は堀北さんを支持するよ」

 

その一言により神条派のメンバーから賛成の声があがる。

 

続けて堀北が発言する。

 

「せっかくのバカンスなのだから。私は遊ぶべきと思うわ。後はリタイアして船でバカンスを満喫しましょう。」

 

そう言ってDクラスのバカンスがスタートした。

 

 

そして神条と綾小路は龍園の元へと向かった。

 

 

 

「またせたね。龍園くん」

 

「ああ、手筈通りか?」

 

「うん、もちろん。はいこれ」

 

龍園にDクラスのリーダーカードを渡す。

 

「ほう、これがAクラスに渡す方用のやつか」

 

「そう、私たちもBクラス同様に若干名を残してリタイアする。私達がリーダー当てするのはAクラスとCクラス。これで2クラスは-100ポイントづつひかれるね。」

 

「クク、それに加えてAクラスはリーダー当ても間違えて-50かAクラスは何もせずに-150ポイント。Aクラスと契約してきたかいがあったな」

 

「さすが龍園くんだよ。私が前もって渡しておいた情報であれだけやるんだもん。」

 

「まあいい、後はAクラスとCクラスのリーダーを当てるだけだな」

 

「うん、それはこっちでもやっておくね。」

 

2人はケタケタと笑いながなら無人島試験が始まった。

 

 

 

 




なんか筆がのらないんですよね〜。
平凡な回


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20話 無人島試験

船上試験が早く書きたいので早めに終わらせます。


20話 無人島試験

 

無人島試験2日目がはじまりDクラスとBクラスはバカンスを始めた。 

 

「本当に良かったのか?神条」

 

「ん?なにが?」

 

「お前なら1人もリタイアさせずに最終日まで残りなおかつリーダー当てもできていたはずだろ?」

 

「まあ、できない事はないね。でも割に合わないよ。1週間も無人島だよ。めんどくさいよ〜」

 

「それを俺にやれと言ってるのが神条なんだが」

 

「いいじゃん残る人には報酬出してるでしょ」

 

頬を膨らませながら綾小路を見る。

 

「はぁ、まあいい、予定通りAとCを当てればいいんだな」

 

「うん、それでいいよ〜。後は頃合いを見て、Cクラスに仕掛けるから」

 

意地の悪い笑みを浮かべる。

 

「なにをするんだ?」

 

「それはね〜。食中毒になってもらおうと思ってね10人ほど」

 

「毒でも混ぜるのか?」

 

「まあ、そういう事だよ〜。こういう島には大体ある植物を使うんだよ。」

 

「物知りだな。」

 

「まあね〜。例をあげるとクワズイモとか見た目がサトイモとほぼ一緒なの。まあ、死ぬ事はないから大丈夫だよ。ちょっと嘔吐して試験を続ける事ができないくらい。」

 

「なるほど、一ノ瀬の性格ならクラスを第一に考えてリタイアさせると言う事か」

 

「ふふ、そう言う事だよ。もう見つけてあるから後は仕込むだけ。」

 

「だが、それが一番難しいと思うんだが」

 

「大丈夫、大丈夫、そこのところは龍園くんに任せてあるから。私達にはなにも影響はないよ。私達はあくまで毒性がある植物を教えただけだから。」

 

「という事はAクラス以外は少数を残してリタイアするということか」

 

「そういう事、だからCクラスにはこれを渡そうと思ってね。」

 

神条はそういうとポケットから櫛田の名前が書いてあるリーダーカードを出した。

 

「普通に渡しても疑われるだけだと思うが」

 

「Cクラスの人に拾ってもらうんだよ。わざと落としてね。それにリーダーを変えれるなんて誰も気づかないでしょ?」

 

「ああ、たしかにな。それに、どこにもリタイアした場合リーダーを変えなければならないとも書いてないからな。」

 

「明日の昼遊んだら私達はリタイアするから最終日の事は頼んだよ。」

 

「わかった。それとよく高円寺を説得できたな。」

 

「ふふ、高円寺くんとお喋りしたら大丈夫だったよ。今日でポイント全部消費するから今日まで待って欲しいって言ってポイントを渡しただけ」

 

「高円寺はポイント使いが荒いらしいからな」

 

「ま、そういう事」

 

 

話が終わると昼食の準備ができたと堀北が呼びに来た。

 

「俺は先に行っておくぞ」

 

「うん、りょうかーい」

 

綾小路が見えなくなるのを確認すると堀北は神条に抱きつく。

 

「もう、どうしたのかな〜?」

 

「おねえちゃんが明日リタイアするから」

 

「ふふ、かわいいな〜。ちゃんと綾小路くんの言う事聞くんだよ〜。綾小路くんの言葉は私の言葉と同義だからね」

 

「うん、わかった。」

 

「ちゃんと成功したら褒めてあげるからね。期待してるよ」

 

「がんばる!」

 

「じゃあ、お食事に行こうか」

 

「うん!」

 

堀北はキラキラとした笑顔を向けながらベースキャンプへと向かった。

 

 

 

 

 

 

そして3日目となった。

 

昼過ぎまで遊びリタイアするために教師達がいるベースキャンプへと向かう。

 

すると何やら騒がしい。

 

Cクラスの数名の生徒が担架で次々と運び込まれていく。

 

そこで神条はニヤリと笑みを浮かべた。

 

櫛田に状況を聞いてこいと目線を送った。

 

櫛田は一ノ瀬の元へむかい事情を聞き始めた。

 

集団食中毒を起こしてしまい、10人近くの生徒がリタイアする羽目になってしまったと。

 

前日の打ち合わせ通りに堀北に介入してもらう。一ノ瀬に少人数を残してリーダー当てに集中するべきではないかと提案する。1人のリタイアにつき-30ポイント引かれるので10人リタイアした時点で0ポイントとなる。それなら失うものがないので最終日まで残りリーダー当てにかけた方がいいのではないかと一ノ瀬に提案した。

 

少し困惑した表情を浮かべたが一ノ瀬は堀北の提案を受け、自分のクラスの元へと戻っていった。

 

「予定は変更するか?」

 

「うん、予定は変更するよ。こんなに早く龍園くんが仕掛けるとは思ってなかったからね。あのカードはCクラスに見せなくていいよ。そのかわりAクラスの情報を与えてあげて。それならAクラスを完璧に潰せる。」

 

「了解した。4日後の結果発表の日に」

 

「うん、結果発表を楽しみにしてるよ。」

 

 

そう言って数名を残し神条達はリタイアした。

 

そしてこの日、Bクラス、Cクラス、Dクラスの生徒の殆どがリタイアしていった。

 

 

 

 

神条が船へと戻ると坂柳が出迎えた。

 

「あれ、参加しないと思ってたけどいたんだね。」

 

「はい、無理を言って船に乗せてもらいました。流石に無人島はダメですが。」

 

「まあ、それは仕方ないよ」

 

「それで順調ですか?」

 

神条はクスッと笑う。

 

「うまくいけばAクラスは1ポイントも残らないよ」

 

「説明していただいてもよろしいですか?」

 

「うん、もちろんだよ」

 

神条と坂柳はカフェへと向かった。

 

注文を済ませて席に座り話を始める。

 

「それで神条さん、現状を教えていただいてよろしいですか?」

 

「まずAクラスは龍園くんと契約を結んで200ポイント分の物資をAクラスに支払ったその代わりにAクラスは卒業まで龍園くんに一人当たり2万ポイント払う契約をした。それに加えて龍園くんは他のクラスのリーダーカードの現物か写真を提供しないといけないってわけね。」

 

「なるほど、これは葛城君も下手を打ちましたね。」

 

はぁと期待外れのようにため息を溢す。

 

「明らかに割にあってないもんね〜龍園くんのプラスが大き過ぎるもん。」

 

「保守的な割にはこうも杜撰だと先が思いやられますよ。話がそれましたね続きをどうぞ」

 

「そこで私は龍園くんと協力することにしたのダミーのリーダーカードを龍園くんに渡して写真を撮ってもらった。」

 

「なるほどリーダーのすり替えですか」

 

「そういう事だよ。これでAクラスは-50ポイントが確定したわけ。ここからはあくまでも予定の事を話すね。まずAクラスのリーダーが分かり次第それを3クラスで共有する。これで合計-200ポイント、坂柳さんが参加できなかったから-30ポイント引かれてるから残りは40ポイント。後は坂柳さんの配下のスポットの誤使用で-50ポイントで20ポイントってわけだよ。後は龍園くんが何か行動を起こすらしいから0に近づくと思うよ」

 

「なるほど、しかしCクラスの一ノ瀬さんがよく参加を表明しましたね。彼女はかなりの保守的考えを持っている人と思っていましたが」

 

「それは簡単だよ。攻撃に出なければならない状況にしてしまえばいいの。今日Cクラスの十数人が船に運び込まれたのは知ってるよね?」

 

「はい、かなり顔色が悪かったようですが」

 

「この件でCクラスは-300ポイントを超えたの。それによってCクラス的にもリーダー当てに頼らざるをえないってわけ」

 

「なるほどそこでAクラスのリーダーの情報を流すというわけですか」

 

「うん、そういう事だよ。これでCクラスも下手を打たなければ50ポイントは手に入るってわけ」

 

「しかし、その体調不良者をどうやって?」

 

「学生だから毒性のある植物の情報なんてそうそう持ってない。毒性のある植物の情報を龍園くんに教えてあげたの」

 

「神条さんはあくまでも情報を提供しただけという事ですか。」

 

「そういう事よ。まあ大方、Cクラスの狩場に毒性のある植物を混ぜておいてんでしょうね。詳しいことは私も知らないけど」

 

「Dクラスは誰が残られたのですか?」

 

「堀北さんと綾小路くん、それに他数名だよ。綾小路くんが裏で手を引く係。表面上は堀北さんの手柄にするためにね。」

 

「あまり、クラスの事には興味がないのですね。」

 

「まあね、私は契約の内容さえ果たせればいいから。後は放置してなんの問題もないし。後はゆっくり最終日を待つだけだよ。」

 

「ふふ、そうですか。でしたらそれまでの間、私の相手をしていただけないでしょうか?」

 

「ふふ、いいよ。チェスがしたいんでしょ?言っとくけど私、そんな強くないよ」

 

そう言って坂柳と神条はチェスを始めた。



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21話 現実

書きたい所があるのでめちゃくちゃ早足。


21話 現実

 

最終日となりリーダーの指名の時間が来た。

 

残った者たちはリーダーの名前を用紙に記入していく。

 

そして島に残っている全員が一か所に集められた。あまりの人数の少なさにAクラスは驚きの声を上げている。

 

葛城は龍園に詰め寄り声を荒げている。

 

「どういう事だ!Dクラスのリーダーがいないじゃないか。」

 

「はぁ?俺はDクラスのリーダーカードの写真は渡しただろう?それ以降の事について俺が知るわけがねぇだろ」

 

そこに教師陣が止めに入り、結果が発表される。

 

「最下位Aクラス、Cクラス0ポイント。」

 

Aクラスからは驚愕の声が上がる。ありえない事が起き状況が飲み込めていないようだ。

 

対するCクラスは残念そうにしているが仕方ないという表情が見られた。

 

「二位Dクラス100ポイント」

 

堀北は胸を撫で下ろし安心した表情をしている。

 

「一位Bクラス125ポイント。ポイントの増減の詳細な内容については教える事はできない。以上だ。」

 

その結果に満足が言ったように龍園が笑う。

 

 

そして船内でも笑みをこぼしているものが2人いる。

 

「あははは、最高だね。あのAクラスの表情。なんで?なんで?どうしてこうなったの?わかんないよ?って言うあの顔そそられるな〜」

 

神条はAクラスの表情をみて御満悦の表情になる。

 

「ふふ、本当に0ポイントにしてしまうとはさすが神条さんですね。これで葛城派の信用は地に堕ちました。」

 

「私も絶望の表情みれて満足だよ〜それに報酬ももらったからね〜」

 

「それにしても残りの20ポイントをどうやって減らしたのでしょうか」

 

「それは私が説明するよ」

 

神条達の前に現れたのはBクラスの伊吹澪だった。

 

「なるほどね。伊吹さんが来て何となくわかったよ」

 

「ええ、そうですね。貴方がBクラスの最初に登録したリーダーという事ですね。」

 

「察しがよくて助かるよ。私が葛城の所へ行って私のリーダーカードを見せたの。龍園に殴られて一泡ふかせたいと思ったって言ってね。」

 

「それで終盤でリーダーを交代してリタイアしたってわけね。流石、龍園くんだね完璧にAクラスを叩き潰した。」

 

「私が言うのもなんだけど、坂柳はあれでよかったの?今回の試験で私達はAクラス。あんた達はBクラスに落ちた。」

 

「構いませんよ。これでクラスが完璧に統一されます。AクラスからBクラスに落ちたとなれば葛城君の失脚は免れないですから」

 

「あはは、まあ私はポイントさえもらえればどうでもいいよ。いま全体のクラスポイントが発表されたね。」

 

 

Aクラス (坂柳) 1170cp

Bクラス (龍園)1280cp

Cクラス (一ノ瀬)930cp

Dクラス (堀北)185cp

 

 

「まだ、100ポイント差ほどですか。問題ありませんね。」

 

「次の試験でどうにかできる範囲だもんね〜。」

 

「龍園から聞いていたけどまだ試験があるのね」

 

「そうだよ〜この船上で試験があるの。多分3日後ぐらいかな〜。それまで一時のバカンスだね。」

 

 

 

その後、神条はカフェの個室へと入る。

 

「ご苦労だったね」

 

「龍園と協力ができたから何も問題はなかった。最初の日にポイントで手に入れていた食料や施設もあったから楽だったな。スポットの占領は言われた通りしなかったぞ」

 

「スポットの占領までしちゃうとね〜。一位になっちゃうでしょ。Dクラスは放っておいてもいい存在って言う認識が欲しいの」

 

「神条がいる時点でその認識にならないと思うが。」

 

「私の情報屋としての存在を知ってるのは坂柳派閥の上層部、龍園くんと幹部数名だけだよ。でも、次の試験次第では動くよ。ふふ」

 

「また、良からぬ事を考えている顔だな」

 

「失礼しちゃうな。私の行動は利益になってるはずだよ。」

 

ニコニコとした表情で神条は見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

そして3日が経ち、突然のアナウンスが流れた。

 

内容は試験に関する情報をメールしたので今すぐ確認することとメールが届いていない場合近くの教員に申し出る事だった。

 

 

神条に送られたメールの内容は18時に会場に集合せよというないようだった。

 

 

なるほど〜メールを見る限りグループわけがおこなわれてるってことね。

 

まあ、まずは状況判断と行きますか。

 

神条は自分の派閥のメンバーにメールを送り何時にいかなければならないのか連絡させると、同じ時間だったものは、佐倉と松下の2人だった。

 

 

時間となり指定された場所へ向かうと茶柱先生が説明を始めた。

 

各クラスが12のグループに分かれて試験を行う。

 

結果1.グループには優待者が一人いて、試験終了時、優待者の名前を全員で共有できれば、全員に50万プライベート、全員での共有に導けた優待者には100万プライベートポイントが与えられる。

結果2.グループの一人でも優待者の名前を間違えたり、空欄の場合は、優待者にのみ50万プライベートポイントが与えられる。

結果3.試験終了を待たずして、優待者の名前を正解できた者が所属するクラスは50クラスポイント、さらに正解者に50万プライベートポイントが与えられる。そして見抜かれた優待者が所属するクラスのクラスポイントはマイナス50される。

結果4.試験終了を待たずして、優待者の名前の告げて不正解の場合、そのクラスのクラスポイントはマイナス50クラスポイント。そして優待者に50万プライベートポイントと、その優待者が所属するクラスに50クラスポイントが与えられる。

 

グループ全体で優待者を共有してクリアする。

最後の回答を誰かが間違えて優待者が勝利する。

裏切り者が優待者を見つけ出す。

裏切り者が優待者の判断を誤る。

 

 

なるほどね〜これは使えるな。

 

ちょっとしたお遊びに興じようかな。

 

「お前達のグループは子だ。何か質問はあるか?」

 

「はーい、茶柱先生」

 

「大きな部屋を一つ借りたいんですけどいいですか?」

 

「ポイントを払うなら何も問題ない。」

 

「わかりました。それでお願いします。」

 

「最後に学校側が提示するヒントだ。この試験はクラス単位で考えるのではなく。グループ単位で考えることだ」

 

 

そういうと神条達は退出していった。

 

部屋に戻りメンバーを集めた。

 

「さて、お仕事の時間だよ。内容はそれぞれ自分のグループのメンバーの名前を調べてくること。明日のメールで優待者になった人はそれを私に報告すること。以上だよ。」

 

全員が承知し部屋へと戻っていく。

 

 

「何をする気なんだ?」

 

「まだ、秘密だよ。綾小路くん。明日の2回の会議が終わり次第動き始めるから。」

 

神条は玩具を買ってもらえる子供のようにはしゃぎながら翌日を待つ。

 

 

 

 

 

 

翌日、正午になるとメールが届き。

 

神条は優待者でない事を知るとますますニヤニヤとした表情を浮かべた。

 

 

そのままの足で子グループの会場へと向かう。

 

会場に入ると指示されていた通り自己紹介だけが行われて誰も喋らず時間が経過した。

 

 

1回目の会議が終わると神条はメールのチェックを行う。

 

全グループの名簿が揃い。Dクラスの優待者の情報も入ってくる。

 

これにより神条はすべての優待者を把握する事になる。

 

仕組みは単純であった。

グループの名簿を五十音順に並べ替え自分のグループの干支の数字の番号の者が優待者と言うものだった。

 

 

そして、神条それぞれのクラスのリーダーにそれぞれのクラスの優待者を書いたメールを匿名で送りつけた。

 

 

メール

 

はじめまして。

私はすべての優待者を把握しています。

今、貴方のクラスの優待者のメンバーをお送りしました。

確認をしていただければ私の言っている事が真実とわかるはずです。

 

それに伴いまして。

私が望むのは2回目の会議が終わりましたら、指定された会場へお越しください。

 

皆様が望む結果をもたらすはずです。

 

加えて、お越しになる前に試験を終了されたグループが1組でもありましたら。私の独断ですべてのグループの試験を終了させます。

 

各クラスのリーダーである貴方達であればこの意味がご理解いただけるはずです。

 

メンバーはそれぞれのグループ、優待者を抜いた12人をお連れください

では会場でお会いしましょう。

 

 

 

さてと準備は整った。

高円寺くんには前払いしてあるし2回目まで我慢してくれるはず。

 

 

さて、始めようか

 

 

優待者オークション




次回の事が早く書きたくてめちゃくちゃ飛ばしました笑



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22話 優待者オークション

かなりルールに手間取りました。


22話 優待者オークション

 

2回目の会議が終わり、各クラスのリーダー達は12人を引き連れ会場へと向かっていった。

 

各クラスの表情は固い、それもそうだろう、なぜなら自分のクラスの優待者を人質に取られているからだ。

 

いつでも試験を終わらす事ができる。つまり裏切るなら-150ポイント以上の損失が出ると言う事だ。

 

「坂柳も呼ばれた口か?」

 

「ええ、どうやら龍園くんにもあのメールが届いていたようですね。」

 

「メールの差出人に心当たりはあるか?」

 

「あの人しかいないでしょう。」

 

2人は銀髪紅目の少女を思い浮かべる。

ニヤリとした表情で全てを見透かしたような瞳を持つ少女。

 

「それは俺も考えたが裏で手を引いている奴がいる可能性もあるだろ?」

 

2人には疑問が残る箇所がある。自分のお得意様を裏切るような行為を彼女はするのだろうか。しかし彼女の理念には面白いや利益を考える部分も存在する。

 

「たしかにその可能性もありますね。あの人はポイント次第で動きますから。4クラスの中にあの人と繋がり主催者として出させたと言う事も考えられます。」

 

「ああ、後ろにはDクラスとCクラスもいるからな全クラス集めたって事だろうな」

 

「しかし、メールには皆様が望む結果となるでしょうとありました。つまり何かしらの方法で優待者の情報を開示するという事でしょう。それなら12人集めた理由が伺えます。」

 

「たしかにな、上手くいけばクラスポイントが手に入るようになっているって事だろうな」

 

「ええ、私からすればAクラスに戻るチャンスですね。ふふ」

 

「クク、俺からすれば引き離すチャンスってわけか」

 

2人はお互いを睨み合い笑い合っている。

2人にとってどちらに転ぼうとも自分が勝てればいいと言う考えを持っている。

 

「にゃは、なんか前は凄いことになってるね。」

 

「それはしょうがないと思うわ。今は3クラスが拮抗している状況だもの。今回の試験でリードしたいと言う気持ちが強いのでしょうね」

 

「いったいあのメールはなんなのかな?」

 

「私もわからないわ。でも一つだけわかるのは今から4クラスで争うと言う事よ。一ノ瀬さんもそれをわかって来ているはずよ」

 

「うん、さすがに前回の無人島試験で0ポイントだったからね。ここで挽回しないとなっては思ってるよ。」

 

「一ノ瀬さんのクラスはたしかAクラスと約300クラスポイント差くらいだったわね。羨ましいわ」

 

「Dクラスは今回の試験でポイントを狙うの?」

 

「もちろんよ。別に私達は上に上がる事を諦めたわけじゃないわ。この試験できるなら私達もポイントが欲しいの。貴方もクラスを勝たせたいと思うなら少し考えを改めた方がいいわよ」

 

堀北は冷たい瞳で一ノ瀬を見る。

 

「そ、それはどう言う意味?」

 

「いずれわかるわ。貴方は優しすぎる。話をしていたらどうやら着いたようね。」

 

全クラスが所定の会場に着いた。

 

 

部屋に入るとそこにはピエロの仮面を被った者が4人が待っており。入室した順番に四方が囲まれている場所へ案内される。

そこには壁にモニターが設置されており端末が1つ置かれている。

 

全クラスの案内が終了すると正面に設置されているモニターがつく。

 

そこにはピエロの仮面を被った女子の姿が写し出された。

 

「皆さんはじめまして。この度はお集まりいただきありがとうございます。集まってもらいましたのは優待者オークションを開催したいと思い皆様にメールをお送りしました。」

 

その言葉を聞き多くの者が動揺した声を出し困惑している。

 

「オークションの内容についてお手元にあります。端末を参照してください。」

 

各クラスのリーダー達は机の上に置かれた端末を開き内容を確認する。

 

 

優待者オークション

 

優待者オークションとは子グループから亥グループまでの12グループの優待者の情報を商品とし競売を行う。

 

子グループから順番に1人ずつ行われ、入札後2分間入札が行われなかった時、落札とする。

 

入札については匿名での投票とし落札したクラスも発表されない。公平に秘匿性を高める為全てのクラスに仕切りを設けている。

 

金額については50万ポイントからスタートし、最低でも1万ポイント以上の入札を必要とする。上限はないものとし、支払い能力確認の為、端末に現在支払える額を送信する必要がある。また、今回行われている船上試験での報酬を担保にすることもできる。クラス単位でのポイントの送金も認める。

 

落札者が出たクラスはこちらのピエロの立ち合いの下その場で落札したグループの試験を終わらせなければならない。試験終了の放送が確認され次第、次の競売へ移る。

 

この部屋を出る場合はオークションを辞退したものとみなしそのクラスの優待者は残ったクラスへ分配される。

 

オークション中はこちらが配布した端末以外の使用を禁止とし全ての端末の電源を切りピエロが持つカゴへと入れなければならない。落札時のメールの送信時のみ端末の使用を許可する。

 

落札時以外での試験終了の放送が起きた場合、こちらのピエログループが一斉に残ったグループの優待者のメールを送信し全ての試験を終了させる。

 

競売がはじまり10分以上経過し落札者が出なかった場合、ピエログループが試験を終了させるものとする。

 

 

 

本件は全てクラスの自己責任の下行う事とする。

 

上記の内容に同意する場合、以下に署名を行う。

 

 

一ノ瀬以外の各クラスのリーダー達は署名を行い、自分の端末をピエロに預ける。

 

一ノ瀬はクラス内で話し合いを行なっている。

 

「どうしたらいいのかな?」

 

「俺は自分達のクラスの優待者を競り落とす事にかける方がいいと思う。こういう時の為にクラスでポイントを集めたんだ。クラスのために使うべきだと思う。」

 

「そうだよね。私達は自分のクラスを競り落とす事にしよう。」

 

一ノ瀬は署名を行った。

 

全員の署名が完了するとモニターに移るピエロの少女が話し始める。

 

「全クラスの署名が完了されました。では今から子グループの優待者から競売を始めさせていただきます。」

 

そこでモニターが変わり現在の金額50万ポイントと残り時間の10分が表示された。

 

 

一方ピエロの少女はというと。

 

「ねぇ、どうなると思う?」

 

「さあ、俺には見当もつかないが。子グループの優待者を有する坂柳のクラスが一番最初に動くと思うが。」

 

「それもそうだよね〜。守備的に動くのが普通だもんね〜。でもそれじゃあ面白くないんだよね〜ふふ。」

 

何かを期待するような目で堀北が映るモニターをみる。

 

「お前の手元にはそれぞれのクラスの申告されたポイントがあると思うが、どのクラスが一番多いんだ?」

 

「綾小路くんはどこが多いとおもう?」

 

「龍園のクラスと思う。先日の試験で坂柳のクラスからポイントも振り込まれている筈だし、元からのポイントも多いからな」

 

「ふふ、普通はそう考えるよね〜でも、正解はーーー」

 

 

 

会場では競売が始まり2分が経過しようとするが誰も動かなかった。

 

お互いが出方を伺っている。

 

しかし突如その均衡が崩れる。

 

 

『55万ポイント』

 

モニターにそう表示され制限時間が2分にきり変わった。

 

 

やっと動き出したね〜

 

お互いを削り合って戦ってね。

 

楽しみにしてるよ。

 

ピエロの少女は細く微笑んだ。

 




実際、競売に参加する前なら勝つ方法はあるんですけどね。
ちなみにこの話では自分のクラスの優待者を同じグループの優待者以外の人が指名してメールできるようになってます。
その場合、当てた事による+50クラスポイントは当てられた事による-50クラスポイントで相殺され。50万ポイントの行き先が変わるだけとしました。

ルールについての不備は後で修正するかもです。


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23話 騙し合い

いろんな事が重なって投稿が遅れました。
短いですが時間ができたらまた投稿します。


23話 騙し合い

 

『55万ポイント』

 

オークションが始まり数分後、入札が行われた。

 

「どこのクラスでしょうか?真澄さん」

 

「そんなのAクラスじゃないの?龍園のクラスが攻撃的な事はあんたも知ってるでしょ」

 

「まあ、それもあると思いますが。ここは考えてる時間もあまりありませんね。とりあえず入札しましょう」

 

坂柳は端末を操作して入札を行う。

 

『60万ポイント』

 

「とりあえず、時間が延長されましたね。」

 

「とは言っても2分でしょ?」

 

「いいえ、真澄さん。相手から与えられた2分間と自分が作った2分間は心の余裕が違います。」

 

「そ、あんたがいいならいいんじゃない?」

 

 

『60万ポイント』と表示されて他のクラスも動きだす。

 

「チッ、さっきに引き続き、入札が行われたがひよりはどう思う?」

 

「そうですね。子グループは私達Aクラスの優待者ではありませんから他の3クラスのどこかと言う事はわかります。最初の入札は攻撃、次の入札は防御と言ったところだと思いますよ」

 

「たしかに、その可能性が高いな。せっかくだ一枚俺達も噛むとしよう。」

 

龍園は端末を操作して入札を行う。

 

『70万ポイント』

 

 

 

「予定通りね。他のクラスの入札が始まったわね。」

 

「堀北さんはこの後入札しないんですか?」

 

少し怯えた目をしながら佐倉は問いかける。

 

「少ししたらまた開始するわ。私達の目的は最初のうちに相手の資金を削る事と相手を煽る事よ。」

 

「で、でも。資金的には私達は余裕があると思うんですけど。堀北さんに協力してって言われてますし」

 

佐倉は堀北に耳打ちする。

 

「それは私も聞いているわ。でもただ競り落とす事が最適とは思わない。あの人に流れるポイントは私達からではなく他のクラスからの方がいいわ」

 

「た、たしかにそうですね。」

 

「とりあえず、また入札を行うわ」

 

『72万ポイント』

 

「そんなに少なくていいんですか?」

 

「これも作戦のうちよ。相手の手持ちを探る意味でもね。それにこの入札は私達Dクラスと思わせる事もできるわ。撹乱目的よ」

 

 

 

 

 

その全クラスをモニターで見ているピエロの少女はこの状況を満喫していた。

 

「ハハ、見てよ。みんなの表情面白いよね」

 

ケタケタと笑いながら綾小路を見る。

 

「お前ならどうするんだ?」

 

「私なら〜こんなオークションなんかに参加しないよ〜。だって割に合わないじゃん。」

 

「参加せずに傍観すると言う意味か?」

 

「まあ、それに近いかもね〜。だってプライベートポイント払ってまでクラスポイント欲しくないし。まあ、どうしてもクラスポイントが欲しかったらあのメールが届いた時点で12人集めて全グループの試験を終了させるよ。」

 

「しかし、間違えた時のリスクを考えれば不用意に動けないのが普通だと思うが」

 

「ん?私が間違えるわけないじゃん。全グループ正解に決まってるよ。万が一間違えたとしても私達Dクラスのクラスポイントを考えてみなよ。減っても問題ないでしょ。まあ、他のクラスにクラスポイントはいっちゃうけど。」

 

 

たしかに彼女の言っている事は理解できる。報復など恐れず全てのグループを終了させる、法則さえわかってしまえば優待者の特定は簡単だ。しかし、それは全グループを確実に当てなければならない。

 

彼女にとってリスクなどないのだろう。

 

「このゲーム、お前の勝ちしかなかったと言うわけだな」

 

「そんな事はないよ。人は誰しも平等だ。私の喉元に噛みつくチャンスはいくらでもあった。あの子達はそれがわかってないだけ。」

 

「お前は本当に人は平等だと思っているのか?」

 

「もちろんだよ。人は何かあるたびに不平等だと言う。生まれた環境、能力、人種、家柄、様々な要因を持ち出し不平等を提唱する。だけどね、誰しも生あるものなら平等に持つものがあるそれは死だ。生物であれば逃れる事のできない、絶対的平等だ。そして殺す事、殺される事これは誰にもできるだろう?」

 

「たしかにそうだが……」

 

「あ、自ら命を断つ事も平等の一種だね。誰でもできるし。あ、Bクラスが動いたね。」

 

 

 

『100万ポイント』

 

「坂柳、そんなに振り込んでいいの?他のクラスの優待者も競り落とすならあまり使わない方がいいんじゃない?」

 

「いいえ、真澄さんこれが正解ですよ。これは長期決戦は不利です。短期決戦で相手の戦意を奪うのが狙いです。それに削れる所から取る方が効率がいいではないですか」

 

 

 

「チッ、またうごいたな。今のはBの可能性の方が高いな。」

 

「どうしてそう思うのですか?」

 

「防御型の一ノ瀬なら最初の段階で動いてる筈だ。クラスが1番大切だからな。それにDクラスにはあんなポイント出せる奴はいないだろ」

 

「たしかにそうですね。でも彼女なら出せるのではないですか?」

 

「学年で1番ポイントを保有しているのはあいつだろうがそれはない。自分のクラスの情報を簡単に売るような奴だ、そんな奴がクラスの為に動く事はない」

 

「それもそうですね。入札はされるんですか?」

 

「Bクラスに50万ポイント使わせたなら充分だろ。あまり目立っても標的にされるだけだ。」

 

ちょうど投票の受付時間が10秒を切ろうとしたとき。

 

『120万ポイント』

 

 

終了間際の投票に驚愕しているものが多い。

 

 

「この投票、龍園君でしょうか?私達のポイントを減らす為の策を打ってきたとも考えられますね。」

 

「坂柳、このままだと取られちゃうよ。」

 

「少し時間をください、投票はすぐ行います。」

 

 

 

「これはAクラスの攻撃の可能性が高いわね。その前のがBクラスの坂柳さんが自分達の優待者を守りにきたとみて間違いないないわ」

 

「でもCクラスの一ノ瀬さんが投票したかもしれないですよ。」

 

「それはないわ。彼女なら自分達のクラスを優先するはずよ。彼女のクラスの優待者は子グループにはいないわ」

 

 

 

その様子をモニター越しにニヤニヤとした表情でピエロの少女は見ている。

 

「やっと動いたね。ふふ、楽しみだなどんな動きを見せてくれるのかな?私のジョーカー」

 



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24話 資金

24話 資金

 

『120万ポイント』

 

「ジョーカーとはどういう事なんだ?お前と一ノ瀬は相容れない存在と思っていたぞ」

 

「ふふ、まあ、相容れない存在ではあるね。彼女は善人、私は悪人。一ノ瀬帆波は取引相手には向かないでも優秀じゃないとはいってないよ。」

 

面白そうに彼女は笑った。

 

「ジョーカーは一ノ瀬というわけか?」

 

「ううん、違うよ。彼女じゃないよ。私のジョーカーに相応しくない。」

 

「それは誰なんだ?」

 

「まあ見てれば必然とわかってくるよ」

 

彼女は早く画面を見ろとばかりに目を向ける。

 

 

画面越しにCクラスをみる。

 

「本当にこれで良かったのか?一ノ瀬」

 

「うん、大丈夫だよ。私達は自分のクラスの優待者がくるまで徹底防御。相手の資金を減らし続けないと私達の優待者の時に落札されちゃうからね」

 

「さすが帆波さんです!その実行力は流石の一言につきます。」

 

「ううん、この作戦を一緒に考えてくれた千尋ちゃんのおかげだよ。ありがとう千尋ちゃん」

 

「そんな事ないです。私の意見を聞いてもらえて嬉しいです。」

 

嬉しそうに白波は一ノ瀬に抱きつく。

 

「もう、こらこら。ふふ」

 

一ノ瀬は白波の頭を撫でながら嬉しそうにしている。

 

そして入札が行われた。

 

『130万ポイント』

 

ここで坂柳クラスが入札を行う、例えここで資金を失うにしても自クラスの優待者を競り落とされるのは損害が大きい。

 

 

そのまま誰も入札を行う事なく1回目のオークションが終了する。

 

『オークションが終了となりました。ピエロから答えと携帯を受け取り答えを送信してください。』

 

坂柳クラスのピエロが子グループの生徒に携帯と答えを渡す。

受け取った生徒は答えを打ち込みメールを送信する。

 

『子グループの試験は終了しました。子グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気を付けて行動して下さい』

 

現在、坂柳グループは-80万ポイントを使った事になる。

 

戦略的にポイントを相手に使わせた事により他のクラスにもポイントの余裕が生まれる。

 

 

「やられましたね。どこのクラスかわかりませんが予定より30万ポイントも使わされました。」

 

「他のクラスを競り落とすポイントはあるんでしょ?」

 

「一応備えはありますが、この調子で削られるのは少し危ないですね。ですが次で攻撃に移れます。優待者は全て割れましたから」

 

坂柳は少し微笑むと次のオークションの準備を始めた。

 

「ひより、優待者は全て割れたか?」

 

「はい、問題ありません。法則さえ分かってしまえば何の事はありませんでした。」

 

「なら、後は簡単だな狙い撃ちが出来る。資金力のないクラスをいまから競り落としていくぞ」

 

「そうですね。しかし攻め方は考えなければなりません。相手の自爆戦術もあるかも知れませんし」

 

「その時は乗らずにポイントを使わせるだけだ。最後に勝てばいい」

 

「次のグループは一ノ瀬さんのクラスですね。」

 

「ああ、ここで打撃を与えておこう。」

 

 

龍園は獲物を狩る肉食獣の目つきになる。

 

「さて次のグループは私達のクラスだけど。どうするべきだとみんなは考える?」

 

「この場合、少しずつ金額を上げていくやり方か最初から大きく出していくかの2通りだな。」

 

「そうですね。今回は相手の資金力も考えて大幅に上げていく方法がいいと思います。少しずつ出して時間を取られるよりも短期決戦の方がいいと思います。」

 

堂々と意見する白波に周りの一ノ瀬クラスの生徒は驚いていた。

 

「うん、千尋ちゃんの意見で行こう。私達の手持ちはクラスで集めてる400万ポイントだけだからね。他のクラスの事はわからないけど坂柳さんや龍園君達はそれ以上にポイントを持ってると思う。私達が止めるめどは200万までそれ以降は私達のクラスの優待者でも手をひこう。クラスポイントは減るけど確実に相手の資金は削れるからね。」

 

一ノ瀬は冷静に状況を判断し周りのメンバーに声をかける。

 

(さすが帆波さんです。あの人の言う通りやっぱり優秀なのは帆波さんです!)

 

数日前の事。

 

無人島試験が終わり船内でのバカンスを楽しんでいる頃。

 

神条は一ノ瀬クラスに接触していた。

 

「やあ、はじめまして。白波千尋さんだよね?」

 

「そうですけど。貴方はDクラスの神条さんですか?」

 

「そうだよ〜。ちょっとお話し大丈夫かな?」

 

「はい、大丈夫ですけど。」

 

「じゃあ、そこのお店に入ろっか。」

 

店員に案内されたのは個室だった。

中に入り注文を済ませる。

 

「あの、お話しって?」

 

「白波さんに聞いて欲しいことがあってさ。」

 

「私にですか?」

 

不思議そうに白波は首を傾げる。

 

「うん、貴方にしか頼れないんだよね。一ノ瀬さんの事なんだけど」

 

一ノ瀬の名前が出ると急に白波の表情が変わる。

 

「帆波さん!帆波さんがどうしたんですか?」

 

「まあ、落ち着いて、今回の試験の事なんだけど。Cクラスが集団食中毒を起こしたじゃない?あれで一ノ瀬さんが相当ショック受けてるみたいでさ」

 

「それは私も知っています。帆波さんはクラスのみんなの前では表情を変えませんけど。私にはわかります。」

 

少し悲しげな表情をしながら白波は俯く。

 

「それでね。ある情報を仕入れたんだけど。あの食中毒って事故じゃなかったらしいんだよ」

 

「え?それは、どういうことですか⁉︎」

 

「確証は持てないんだけど。他のクラスが毒物をもった可能性があるの。事を大きくしないために伏せてるけど、私達のクラスも食中毒になった人が出たの。白波さん達のクラスにも出たって聞いたからもしかしたら私達のクラスは狙われたんじゃないかって思ってる」

 

「許せません!そんな卑怯な事をして!そのせいで帆波さんは!」

 

白波は拳を机に叩きつけた。

 

「その気持ち痛いほどわかるよ。食べ物に毒を混ぜるなんて人のする事じゃないもんね」

 

神条は白波の手をとり優しく握る。

 

「白波さんの怒りはもっともだよ。でもこの事は一ノ瀬さんには黙っていた方がいいと思うの」

 

「それはどうしてですか?」

 

「いま、一ノ瀬さんは精神的にきついと思うんだ。そんな時に毒物の話なんかしたらたぶん一人で考え込んじゃう。だからこの事は白波さんに話したんだよ」

 

「たしかに、いま話すべきではないですね。」

 

一ノ瀬の為と思い白波は少し落ち着いたようだ。

 

「私はこの件AクラスかBクラスがやったと思ってるの。私達2クラスが狙われたわけだし。Cクラスとポイント差を引き離す為だと思う。」

 

「たしかに貴方の言っている事はわかります。」

 

そこで神条は邪悪な笑みを浮かべる。

 

「そこで、私達で上の2クラスを攻撃しない?」

 

「どういう事ですか?」

 

「私は先輩からこの事を聞いてたんだけど、船上でも試験があるらしいの。その試験はクラス同士を戦わせるような試験だったて聞いたからそれで攻撃できないかなって」

 

「そうなんですか?でも私だけでは決めれないです」

 

「一ノ瀬さんを安心させるにはやっぱりそこで勝つことも必要になってくると思うし。何より白波さんが一ノ瀬の支えになると思うんだ。貴方ほど一ノ瀬さんの支えになる人はいないと思うし。それにあんなに統率力があって優しくて人の為に動ける人をこのまま埋れさせておくにはもったいないよ」

 

「私が、帆波さんの支えに、、」

 

嬉しそうに白波は手を握りめる。

 

「貴方ほど適任はいないよ。それに貴方の思いも届くんじゃないかなって思う。ただの友人からそれ以上の関係にね」

 

「帆波さんとそれ以上の関係に、、」

 

「どうかな?私と組んでくれない?そしたら私は貴方をバックアップしてあげる。」

 

「組みます!私が帆波さんの隣に立つために」

 

「うん、がんばろうね」

 

 

場面はオークションへともどる。

 

(全クラスの予想ポイントはあの人から教えてもらったから大体予想できてる早めに大量のポイントを使わせないと)

 

白波は一ノ瀬の役に立てる事を信じて自分を鼓舞する。

 

『それでは第二回の牛グループのオークションを始めたいと思います。五十万ポイントからスタートです。』

 

 

「さあがんばろうね。なんポイントから入れようか。」

 

「ここは150万ポイントがベストだと思います。さっきの結果を見てもそこまで出されたら他のクラスも手を引くはずです」

 

「しかしいきなりそんなポイントを出せば後が危ないんじゃないか?」

 

神崎が心配そうに意見を出す。

 

「大丈夫です。たぶん手は出してこないと思います。こちらの資金力のアピールにもなりますし」

 

白波が自信たっぷりに言うので周りの生徒は気圧されている。

 

「うん、ここは千尋ちゃんの意見で行こう。これ以降も戦いは続くけど私たちはマイナスにならない事だけ目指せばいいと思う」

 

 

『150万ポイント』

 

「チッ、いきなりか、ひよりどこのくらすだ?」

 

「牛グループは一ノ瀬さんのクラスです。これは手を出さない方が良さそうですよ」

 

「たしかにこの出し方はかなりポイントを持っていると見るべきだな。」

 

「はい、一ノ瀬さんのこの入札を見る限り。自分の優待者3つを確実に取る動きですね。むしろDクラスだけに的を絞った方が良さそうです。」

 

「だろうな。ここでもし俺らが競り合って200万まで持っていかれでもしたらこの後に影響が出る。」

 

 

「これはスルーですね。ただでさえ防御で80万ポイントを失いました。ここで動くの愚作です。100万ポイントの失うのは大きいです」

 

「まあいいけどさ。狙うのはDなんでしょ?」

 

「はい、ポイントは確実にありませんからね」

 

 

「私達はここはスルーよ。一ノ瀬さん達とやり合う気はないわ」

 

(それに150万ポイントもお姉ちゃんに渡るのは大きい。)

 

「堀北さん、狙うのはどこにするの?」

 

「どこのクラス関係なく最後の三つよ」

 

「それはどうして?」

 

「他のクラスは私達が1番ポイントを持っていないとと思っているわ。それにより相手は私達のクラスを狙ってくるのは明白。そこで私達は少しでも相手のポイントを減らす事を優先よ。それにポイントでキビしいのはBクラスよ。葛城くんのおかげでね。」

 

櫛田が不思議そうに堀北に尋ねる。

 

「それはどう言う事なの?堀北さん」

 

「葛城君は龍園君に無人島試験の時契約をしていたの。各クラスのリーダー情報と200ポイント分の物資を供給すれば毎月卒業まで2万ポイントクラスから渡すって言う契約をね。これで5日前龍園君の元に80万ポイントが渡った。坂柳さん達はあっても350万程度よ。坂柳さんの派閥の人数を考えれば300万がいいところじゃないかしら」

 

「なるほど、その様子だと他のクラスも知ってる見たいね」

 

「調べはついているわ。龍園君のクラスは約450万ポイント一ノ瀬さんのクラスは約400万ポイント。そして私達が500万ポイント。」

 

「え!それなら攻撃にでてもいいんじゃないの?他のクラスよりもポイントが多いわけだし」

 

「たしかにここでポイントを使えば確実に競り落とせるでしょうけど。私達はそれだけじゃダメなの。今後の事を考えると相手の資金を減らしておかないといけない。」

 

「つまり、相手の資金を0にして。最後総取りするという事かしら?」

 

松下が冷静に分析を行なっている。

 

「そういうことよ。この戦いはいかに相手の資金を奪うかというゲームよ。短期決戦と思っている人達は術中にハマっているわ」

 

そして誰も投票する事なく投票が終了した。

 

 

『オークションが終了となりました。ピエロから答えと携帯を受け取り答えを送信してください。』

 

一ノ瀬クラスは携帯を受け取り牛グループの試験を終了させる。

 

『牛グループの試験は終了しました。牛グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気を付けて行動して下さい』

 

 

その様子をモニターでニタニタと見ているピエロの少女。

 

「いい展開だね。もう280万ポイントも儲かったよ」

 

「かなりいいペースだな。予定ではいくら儲ける予定なんだ?」

 

いじわるそうな笑みを浮かべて彼女はこちらを見る。

 

「まあ、1600万ポイントくらいかな?上手くいけばの話だけどね。」

 

「1クラスあたり400万ポイントというわけか」

 

「まあ、そんなところだよ。」

 

だんだんと彼女の意図が読めてくる。このままいけば彼女以外得をする事なく終わるという事だろう。

 

 

 




あと2話くらいで終わらせる予定ではいます。


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25話 拮抗

お久しぶりです。

ここ数ヶ月忙しく、執筆ができませんでしたがこれからはできしだい更新していく予定です。
作者自身もなんでこんな展開にしたんだっけ状態で前の話から読み直して理解している感じです。
後2話くらいでオークション編終わってくれたらいいな〜と思っています。


25話 拮抗

 

二回目のオークションが終了し参加者達もこの状況に慣れてくる。

 

そして、現在6回目まで終わり、オークションは淡々と進んでいた。

 

現在

 

龍園クラス

獲得優待者2名(自クラス1名) 

消費ポイント310万ポイント(担保を含む)

 

坂柳クラス

獲得優待者2名(自クラス1名)

消費ポイント260万ポイント(担保を含む)

 

一之瀬クラス

獲得優待者2名(自クラス2名)

消費ポイント320万ポイント(担保を含む)

 

堀北クラス

獲得優待者0名

消費ポイント0

 

「うんうん、実にいい前半だったね。ただ、龍園君と坂柳さんは一之瀬さんにしてやられたみたいだね。後半戦うには資金が心許ない。」

 

彼女は乾いた笑い声を上げながらモニターを見つめる。

 

「普通に考えれば充分に足りる金額なんだがな。Dクラスがポイントを持ってるとは考えないだろうし。一之瀬は防衛のみつまり実質、龍園と坂柳の一騎討ちと考えているだろう。2人からすれば一之瀬は無視し、残り5つの奪い合いと思っているだろうな」

 

「さすが、理解してるね。それに前半にちまちま金額を上げていたら、資金力のブラフも立てれなくなるし。後半で帳尻を合わせればいいって思うよね」

 

「お互い二つずつ取り合い、最後の一つで勝負って思うのが理想的だな。ただ、次の一之瀬クラスの優待者が勝負を分けるな」

 

彼女はうなずきながら笑みを浮かべた。

 

「さすがわかってるね。次の優待者は絶対に150万で終わらせちゃいけないんだよ。もしその後に参加できるようなポイントを一ノ瀬さんが持ってた場合。自分達の勝負に介入されるからね」

 

 

2人はモニターに視線を移し会場の様子を伺った。

 

現在会場は前半戦終了という事で20分の休憩時間が取られていた。

 

「次が勝負どころになりそうですね。」

 

「次は一之瀬クラスでしょ。放置でいいんじゃないの?」

 

不思議そうに神室は坂柳を見る。

 

「普通に考えればそうですが。最悪の場合を想定するとここは金額を釣り上げなければなりません。」

 

「坂柳が考える最悪の場合ってのはなんだ?」

 

今まで黙っていた橋本も話に参加する。

 

「もし、Cクラス、一之瀬さん達が150万ポイントで競り落とし、残りのポイント総額が150万ポイント以上持っていた場合私達の勝負に介入される可能性があります。」

 

「たしかに最悪の場合それはあり得る事だけど。その場合Cクラスの総資金は600万ポイントあることになるわよ」

 

「だから最悪の場合なのです。それに真澄さん、間違っていますよ。担保の事です。現在Cクラスが使った金額は200万ポイント、残りの100万は正当時の報酬100万ポイントです。それにCクラスが私達よりポイントが少ないという可能性も高くありません。特に私ですが彼女との取引のためにかなりの金額を使っています。それは龍園君も同様ですが、彼の場合クラス全体からの徴収を行なっています。それに比べて私達は約クラスの4分の3程度、正直分がわるいです。」

 

2人はその話を聞き少し焦りの表情を浮かべた。

 

「つまり最悪のところ後二つ落とせれば良いってところか。」

 

「そうですね。相手の資金次第ですが2つが取れれば良い方でしょう。Dクラスの参加者に彼女がいればまた話は変わってきたと思いますが。」

 

そう、坂柳は言ったものの、何故か不安はぬぐいきれずにいた。自分が知る彼女であればクラスポイントの為に自分のプライベートポイントを使うなどありえない。それに自分のクラスの為にポイントを貸すとも思えない、現在のDクラスに返済能力など無いに等しい。

 

そう言い聞かせ次のオークションに向けて作戦を練っていく。

 

 

 

「芳しくねぇな」

 

「そうですね。予定よりもポイントを消費させられています。全て競り落とせるとは思っていませんでしたが。意図的に金額が釣り上げれていますね。坂柳さんでしょうか?」

 

指を顎に添えながら首を傾げる。

 

「十中八九、そうだと言いたいが。一之瀬の可能性もある。あいつに腹芸が出来るとは思えないが裏に誰かいるなら話は別だ。」

 

「たしかにその可能性は否めませんね。裏にいるのは彼女である可能性が高いと?」

 

「このオークション自体はやつの仕業であることには間違いない、それがあいつのコンサルタントによるものなのか独自でやったものなのかは分からないがな。一之瀬と組むとは到底思えない、あいつの性格からして対局にいるような奴だからな」

 

ただあいつのポリシーからして客を裏切る事はしない筈だ。客の信用を失えばあいつのポイント供給源がなくなる。俺や坂柳の他にポイントの供給源が存在すれば話が変わってくるが、このオークション自体を坂柳から頼まれれば開催するかと言われれば確実にする奴だ。それにあくまでも公平の名の下にやってやがるから性が悪い。

 

チッ、この事はいくら考えても埒があかねぇか。

 

「まあ、この事は考えても埒があきません。それより次のオークションですね。一之瀬さんのクラスの優待者ですし今後のオークションに参加させないためにも金額は釣り上げる必要があります。」

 

「ああ、一之瀬クラスに4人目を取られるわけには行かないからな」

 

 

 

 

「みんな、良い調子で前半を終える事ができたね!この調子なら次でもきっと大丈夫だよ。」

 

やっぱり帆波さんはこうでなくちゃ!次の優待者は私達のクラス、できるだけ少ないポイントで勝ち取りたいけど私達の残りポイントは相手にはわからない。だから今後のオークションに参加させない為にかなり多くの金額を上乗せさせられると思う。だからここはあえて最初に今まで150万だったものを下げて100万からスタートし資金がそれほど残っていない事をアピールするべき。

でも、ここは帆波さんに意見を仰ぐべきかな。

 

「帆波さん、次のオークションの事なんですけど」

 

「次が勝負だよね。向こうは私達に今後のオークションに参加させない為にポイントを釣り上げてくると予想できるもんね」

 

全て理解してくれている帆波に嬉しくなり頬を緩ませる。

 

「はい!このまま150万からスタートするか100万まで落として私達は今後参加する気はないと意思表示するかの二通りだと思います。」

 

「うん、私もその二択だと思う。今後を考えると資金は残しておいた方がいいもんね。また、こんな事に巻き込まれないとも言い切れないし。私は100万ポイントからスタートに賛成だよ。」

 

「俺もこれに賛成だ。できるだけポイントは残しておいた方がいい」

 

「みんなどう思う?」

 

一之瀬はメンバーに問いかけるとそれぞれ肯定の答えが返ってくる。

 

「じゃあ、細かいところを詰めていこう。千尋ちゃん、頼りにしてるね」

 

「はい!」

 

あの人の言う通りに行動すると帆波さんが頼ってくれる。絶対に私は帆波さんを勝たせて見せる!

 

 

「予定通りというところかしらね」

 

「前半からあんなに金額が釣り上がるとは思わなかったよ」

 

「仕方ないことよ。そのように仕組まれているのだから。」

 

「全部、あの人の手のひらの上ってわけ?」

 

櫛田がつまらなそうな顔で呟く。

 

「そういう事かしらね。貴方の加入で派閥も増えたし、運営資金が必要ではあるけど」

 

「堀北さんがあの人の派閥にいるとは思わなかったけどね。表では対立しているように振る舞っているし。」

 

まあ、あの人は派閥なんか作ったつもりなんてなんてないんだろうけど。あくまで他のクラスには私達Dクラスはバラバラとおもってもらわなくちゃいけないし。

 

「それは貴方もそうではなくて?それに素が出ているわよ。他の人がいるのに大丈夫なのかしら?」

 

「ここにいるのはあの人の派閥のメンバー、あの人に服従した時点で偽るのもめんどくさい」

 

苛立ちを隠しながら席に座る。

 

「堀北さん、後半は予定通りいくの?」

 

「ええ、そのつもりよ。最後の3つのグループを競り落として終わりよ。ただ、後半始まっての3グループは金額を釣り上げるわ平均して100万以上は欲しいところね」

 

「まあ、私としても金額が上がってくれればそれでいいわ。その分、私たちに還元されるわけだし」

 

今回、このオークションに協力したDクラスの生徒には報酬が支払われることになっている。

 

「後半、頑張りましょう!」

 

佐倉は後半が勝負と聞かされていたのでやる気で溢れていた。

 

「ええ、頑張りましょう。」

 

 

 

 

「さてさてそろそろ時間だね。後半開始のアナウンスをしなくちゃ。」

 

これだけ彼女の予定通り進んでいるのに何故か表情はつまらなさそうにしている。

 

「上手く行っているのにつまらなそうだな。」

 

「ん?わかる?つまらないよ。予定通りすぎて。仕組んだのは私だけどさぁ。何かしら予定外のハプニングなんかおきてくれた方が面白いじゃない?」

 

やはり、彼女の考えは理解できないな、普通予定通り進めば嬉しいと思うんだがな。

 

「理解できないって顔してるね。まあ、今はそれでいいんじゃない?」

 

「そういう事にしておく」

 

「うんうん、じゃあ第二ラウンドと行こうか。」

 

 

『オークションを再開します。』

 



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26話 決着

気がついたら4月も終わりびっくりです。
忙しかったのもありますけどウマ娘にハマってました。
続きを書こうと思ったらスランプで書けず
投稿が滞ってしまい申し訳ないです。

完璧とはいえませんが続きをどうぞ。


26話 決着

 

『オークションを再開します。』

 

アナウンスが流れると全クラスが緊張感に包まれた。

 

『では第七回の馬グループのオークションを始めたいと思います。五十万ポイントからスタートです。』

 

真っ先に動いたのは一之瀬クラスだった。

 

『100万ポイント』

 

先ほどまで一之瀬クラスの優待者だった時は開始と同時に150万ポイントが入札されていたがここに来て100万ポイントの入札、坂柳と龍園はこの事態について頭を悩ませていた。

 

「これはどちらでしょうか?」

 

「普通に考えたらポイントが少ないからあんまり使いたくないって事じゃないの?」

 

「そうとも考えられますが。懸念していた次へのオークション参加の為とも取れます。」

 

「なら迷わずベットすればいいじゃない。」

 

「ここで下手に上げてしまい、私達が落札してしまった場合、次のオークションに影響がでかねません。」

 

「なら140万ポイントまで上げればいいんじゃない?流石に150万ポイントは持ってると思うわよ。」

 

『130万ポイント』

 

坂柳と神室が話しているうちに入札が行われた。

 

「まあ、様子見にはこのくらいだろ」

 

「意外でしたね。まさか今までの定石を崩すとは思いませんでした。」

 

「ポイントに余裕を持たせたいか、4人目を取りに来る布石かどちらがだ。少し困惑したがどちらにしろ俺らがする事はかわらねぇ。予定通りいく。」

 

「それがいいですね。ここで無駄に考えるのは得策ではありませんし。」

 

「どちらにしろ、一之瀬の本質は保守。ある程度まで釣り上げれば競り落としにくる。それはかわらねぇ」

 

『150万ポイント』

 

「やはり動いたか。」

 

 

「予定通りなのかな?」

 

一之瀬は仲間に問いかける。

 

「問題ないと思います。ここまでの事は予想通りです。ここのまま終わればそれでよし。ポイントを上げてくるようで有ればその金額に1万ポイント上げて私達がポイントがない事を再度アピールすれば相手は引くと思います。」

 

『160万ポイント』

 

「来ました。帆波さん。投票をお願いします。」

 

「任せて!」

 

『161万ポイント」

 

「もう、放置でいいな」

 

「そのようですね。一ノ瀬さんは単純にポイントがないと考えていいと思います。あと20万は持っていると考えられますがここで無駄に釣り上げる必要もありません。」

 

 

「これはもう充分ですね。一ノ瀬さんはこれ以上ポイントを使う気はないようですし」

 

「あんたは考えすぎなのよ。残りは5つ、龍園と2つづつ取り合って残り1つをどうするかって問題でしょ」

 

「それもそうですね。」

 

 

その後、坂柳と龍園はお互い1つずつ取り合う展開となった。

 

しかし2人に誤算があるとするならば予定よりもポイントを消費させられていることだ。

 

「上手くいったわね。これで龍園君と坂柳さんは最後の3つに参戦できないわ。」

 

「でもよくあんな高額で競り落としましたよね。」

 

「それは簡単な事よ。一ノ瀬さん達はこれ以上、参加しないと踏んでいるし、私達は論外持っていても10万ポイント程度と踏んでいるでしょう。この状況なら一対一と思うのが普通よ」

 

「でも2人ともあと2つは競り落とす気でいるんじゃないの?」

 

脚を組み替えながら櫛田は主張する。

 

「問題ないわよ。どうやっても私達の資金には届かないわ。私達は1つのオークションあたり約200万ほど使えるわ。なら確実に競り落とせる。それに最初の1つは多分動いて来ないわ。」

 

「なんで?わかるんですか?」

 

そこで堀北は彼女のように笑った。

 

「お互い一つ目の入札の金額をみてオークションから降りたと思うからよ。次は始まったと同時に150万を入札するわ。それなら資金的にもあの2人は降りたと判断するはずよ」

 

 

 

『それでは第十回の鳥グループのオークションを始めたいと思います。五十万ポイントからスタートです。』

 

『150万ポイント』

 

「クハハ。坂柳のやろう降りやがったか。ここを確実に取って後は俺らに渡すって事みたいだな」

 

「はい。私達のポイントは実際ギリギリでしたからね。これは嬉しい誤算です。」

 

「俺たちの勝ちだな」

 

 

「龍園君は降りましたか。嬉しい誤算ですね。私達はもうポイントがありませんでしたから。前回でかなり使わされましたから」

 

「後はこっちが競り落として終わりってわけね。」

 

「はい、私達の勝ちですね。」

 

そのまま誰も入札する事なく終了する。

 

「上手くいったわね。これで私達の勝ちよ。」

 

『それでは第十一回の犬グループのオークションを始めたいと思います。五十万ポイントからスタートです。』

 

『200万ポイント』

 

この投票により龍園と坂柳は驚愕する。

 

「なんだと。坂柳は降りたはずだろ」

 

「一ノ瀬さんのクラスでしょうか?」

 

「一ノ瀬のクラスがそんなにポイントをもっているはずがねぇ。」

 

「となると坂柳さんと言うことになりますが」

 

「坂柳のクラスが500万ポイント以上持っている可能性は少ない。いったいどこからポイントを」

 

 

「坂柳これってどう言うこと?」

 

「すいません。考えさせてください」

 

(これはいったい。龍園君が使ったポイントの計算が合わない。いったいどこからポイントを。)

 

顎に手を当てて考えているとふと冷徹な微笑を浮かべる彼女の姿が頭に浮かんだ。

 

(まさか…いえ、彼女は中立のはず、どちらかに肩入れをする事は今まで一度もない。しかし、こうなってしまっては嫌でも彼女の顔が浮かびますね。真意はこのオークションが終わってから確かめるとしましょう。)

 

背筋に冷たいものが落ちるのを感じながらこの勝負に勝つ方法を模索し始めた。

 

そしてこの犬グループのオークションはそれから入札される事なく終わりを告げた。

 

 

「あらら。勝負が決まっちゃったね。つまんないな。」

 

「龍園も坂柳も最後の1つにかけるようだな。」

 

「まあそうするだろうね。多分2人とも終わったら私の所に来るだろうね〜。どちらかのクラスに融資したのか?ってね。」

 

そう言って立ち上がると彼女は部屋から出て行く。

 

「最後まで見ないのか?」

 

「結果がわかっているものほど面白くないもん。それと私はここにいなかった事にしないといけないし。後は任せたよ〜」

 

そして最終オークションが始まり、Dクラスの『200万ポイント』入札によりオークションは幕を閉じた。

 

『これでオークションは終了となります。ではAクラスの方から退場なさってください。』

 

それぞれのクラスが退場していく。

 

そんな中、2人だけは見合わせたように対面していた。

 

「率直にお伺いします。最後の入札はあなたですか?龍園君」

 

龍園はイラついたように

 

「それはこっちのセリフだ坂柳。最後の3つ全てお前らなんだろと言いたいところだが、その様子じゃお前じゃねぇんだな」

 

「と言う事はやはり彼女が」

 

そこに退席してきた堀北達が通りかかる。

 

「おい、鈴音。お前らの大将はどうした?」

 

「大将?誰の事かしら?」

 

「神条さんのことです。彼女はどこにいらっしゃいますか?」

 

「神条さんならカフェにいると思うよ。オークションに来ない?って声はかけたんだけど。お金にならない所にはいかないって言われちゃった。」

 

櫛田が2人にそう伝えると2人は早々とカフェへ向かった。

 

カフェへ向かうと彼女はいつもの個室にいるようだった。

 

個室に入ると彼女はいつものように紅茶を飲んでいた。

 

「そんなに慌ててどうしたのかな?」

 

「率直に答えろ。どこかのクラスに金を融資したか?」

 

「融資?なんで?」

 

「オークションの事は知っていますね。」

 

「あ〜なんか、櫛田ちゃんに行こう。って言われたけど私のポイント目当てなのバレバレだったから断ったよ。2人が言いたいのは私がそのオークションに参加した誰かにポイントを融資したと思ってるわけか。率直に言うけど私融資なんてしないよ。自分より無能の人に融資なんてするわけないじゃん。」

 

ケラケラと彼女は笑い出す。 

 

「本当に融資していないのですね。」

 

「だから言ってるでしょ。融資なんてしてないって。でもひとつだけ心当たりはあるかな。」

 

「その心当たりはなんだ?」

 

「私、この前刺されたでしょ?その時慰謝料としてポイントもらったんだよね。それも私だけじゃなく関係者全員に同じクラスの佐倉ちゃんわかる?あの子にも慰謝料払われたらしくってたしか500万だったかな。」

 

「私は神条さんだけと思っていましたが。まさか、他にもいたとわ」

 

「つまり、最後の入札は全部Dクラスだったってわけか」

 

2人は神条が刺された時、ポイントを学校から受け取っているのは知っていた。しかし、それがストーカーの延長線上で起きた事は2人は知るよしもなかった。

 

学校側の職員と神条派閥の数名しかこの事は聞かされていない。

 

「へ〜。その様子だとDクラスにいっぱい食わされたみたいだね。どんな内容だったか教えてよ。」

 

まるで何も知らない無邪気な子供のような表情で2人に尋ねる。

 

坂柳から内容を全て聞き終わると少し驚いたような表情で話し始めた。

 

「よくできてるルールだね。これ作った人、私以上に頭が回るね。新たな敵って感じで楽しめそう。」

 

そう言ってまたケラケラと笑い出す。

 

「本当にお前は関わってないのか、神条」

 

「私だってびっくりしてるんだよ。こんなに頭が回る人、私が見逃すはずないんだけど。相当な曲者だね。それにこのオークション、クラスからしてみれば参加しても参加しなくてもマイナスでしかない内容になってるし。まあ、私だったら参加しないけど。」

 

「それはなぜですか?上手くいけばクラスポイントを増やせる機会だというのに」

 

「じゃあ、私の主義を抜いて話すけど。このオークション最初に払える金額提示しなくちゃいけないからブラフも使えないし、何よりこの匿名が厄介だよ。どのクラスが競り落としたかわからないから狙い撃ちもしづらいしクラス間で結託する事もできないもん。こんなの参加しない方がマシ」

 

「それでは主催者のクラスの一人勝ちになって、、」

 

「なるほど、そう言うことか」

 

彼女はにっこり笑う

 

「そう言うこと、クラスポイントが集中すればその主催者がどのクラスにいるか割り出せる。そしたらしらみつぶしに探していけば主催者にたどり着ける。それに一人勝ちしたら全クラスからヘイトを買う事になるし。参加しない方が私達にとってはお得なんだよ。そして参加した結果全クラス現状維持の為に多大なポイントを失いましたってなるわけ。」

 

「やられましたね。」

 

「チッ、嵌められたってわけか。俺はお前が黒幕と思ってたんだがな」

 

龍園は神条を睨む。

 

「ハハ、私ならこんな回りくどい事しないの知ってるでしょ?こんな不確定な収入より直接2人に売りに行くよ。そっちの方が安定した収入が入るし何より信頼関係壊さなくて済むし。まあ、こんど、こういうことがあったら私にも声かけてよ。その黒幕に興味持ったし」

 

「ああ、こちらでもそいつについては探しておく。」

 

「こちらでも探しておきます」

 

そう言い残すと2人は部屋から出て行った。

 

ふふ、あの困惑してた表情とても良かったよ。

 

2人とも私が黒幕と心の中では思ってるけど確証が掴めない。

 

そしてここにきて私以外の敵の可能性、もっと混乱してもらわないと、私が楽しめないよ。

 

なによりも2人が疑心暗鬼になってくれるとそれはそれで面白いんだけどな〜。

 

でもちょっとがっかり、2人はもっと私を楽しませてくれると思ったのに。

 

おもちゃくらいにしか使えない。もっと成長してもらわないとね。

 

次の相手はおもちゃじゃないから楽しみだな〜。

 

 

ゆっくりと紅茶を啜ると彼女の口角がニヤリと上がった。




なんか書き終わってみれば狂気成分が無さすぎますね。
次のシーズンは狂気多めに描きたいです。


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27話 解説

んーだらだらと書いてしまった。

内容的に薄っぺらいかもしれませんね。1、2話ほど閑話を挟んで二学期編に入るかもです。

ウマ娘でSがなかなか作れませんね〜。A +までは作れたんですけど奥が深い。


27話 解説

 

「随分とご機嫌だな」

 

「まあね〜。ポイントはたっぷり手に入ったもん。約1800万ポイント。儲かったよ〜。」

 

「まあ、その中にDクラスの分も含まれているがな」

 

「大丈夫だよ〜。愛里ちゃんにはもう返したから〜。結果発表はいつだっけ?」

 

「今日の12時だな。ちょうど始まるみたいだな」

 

モニターに全クラスのポイントが発表される。それと同時にポイントが送付されたようだ。

 

Aクラス (龍園)1280cp

Bクラス (坂柳) 1170cp

Cクラス (一之瀬)930cp

Dクラス (堀北)185cp

 

「ポイントは送られてきてる?」

 

「ああ、全クラスの送金は確認された。」

 

「うんうん。これで完璧だね。ちゃんと店の人は口裏合わせてくれた?」

 

「問題ない。元々、神条の事を好意にしてくれてたからな。神条の為なら協力すると言ってくれたよ。」

 

「この店に通い詰めたかいがあったよ。それにここの店の人がマスターの知り合いだったのがラッキーだったよね」

 

「この学校は至る所に卒業生を忍ばせているな」

 

それを的確に見抜き、彼女は少しお話をそいつとする。どんなに敵意を持つ相手でも彼女とお話しをすると急に態度を変える。話の内容は知らないが脅しているんだろう。

 

「学校も都合がいいんだよ。この学校についての理解があって秘密を守れる人を採用してるし。まあ、例外もいるみたいだけど」

 

「学校もそこまで人数を揃えれないんだろうな。この学校の職員全てとなるとかなりの人数になる。」

 

「まあ、見ればわかるんだけどね。生徒を見る目が違うもん」

 

「船上試験も終わったが次はどうする気だ?」

 

「次は特に何もしないかな〜。体育祭組むのはAクラスだし。普通に戦えば勝つよ。私の今の標的は違うからもっと大きな獲物。」

 

彼女の標的になるとは随分とそいつは可哀想だな。彼女はどのような手で勝つのかは興味がある。

 

「その敵はいったいだれだ?」

 

もったいつけたように彼女は笑みをうかべ口を開く。

 

「教えなーい。そんな簡単に話しても面白くないでしょ?まあ、そのうち教えてあげるからそれに戦うのはまだ先だよ。まあ年内には戦いたいけどね」

 

彼女はそれだけいうと紅茶を啜り始めた。

 

 

「今回の試験は上手く言ったわね」

 

「予定通りと言った所かしらね。私はポイントが潤ったからいいんだけどね。長谷部さんが羨ましいわよ」

 

「私は銀髪とカラコンつけてカフェの個室にいただけだもんね。」

 

「ここまでする必要はないと思ってたけど。神条さんには未来が見えてるのね」

 

「龍園くんと坂柳さん血相を変えてカフェに向かってたもん。」

 

「本当びっくりしたよ。まさか神条さんが私そっくりに変装してくるんだもん。」

 

「長谷部さんの変装のメイクをしたのも神条さんなんでしょ?」

 

「そうそう、ほんとびっくりだったよ。数分で完璧に仕上げちゃうもん。」

 

「本当、何者なんだろうね。彼女は」

 

 

 

 

 

「それでなんですか?私を呼び出して。」

 

「お前の今回の行動について聞きたい。神条」

 

神条と綾小路は茶柱先生に呼び出されていた。

 

「私の行動?なんと事ですかね〜」

 

ニヤニヤとした笑みを浮かべながらとぼける。

 

「私の前でとぼける必要はない。お前の部屋の借用履歴を消してやったのは私だぞ」

 

「それはありがたいと思ってますよ〜。先生が言いたいのはなんで勝てる試験で勝たなかったのか?って事ですよね。」

 

「そういう事だ。何をやったのかは知らないがあんなに優待者が何人も当てられた現状を見ればお前が何かしたと思うのが当然だ。」

 

早く話せと言わんばかりにこちらを睨んでくる。

 

「まあ、茶柱先生からすればAクラスに上がるチャンスだったのはわかりますけど。言ったでしょ。まだその時じゃないって。」

 

「そうは言われても、お前の意図が読めない。何があったのか話せ」

 

「もう、しょうがないな〜。話してあげますよ。」

 

 

どこから話せばいいのかな。

 

私が会場を借りてやった事は『優待者オークション』。

 

まず、なんでそこにいきたったかだけど、単純にポイントが効率よく集まるからですよ。

 

「お前はポイントに困ってはいないはずだが?」

 

茶柱先生の言うことはわかります。私は元々たくさんのポイント保有してたし何よりこの前の事件で多額の慰謝料もらったからポイントには困ってなかっし。

 

でも稼ぐ1番の機会なんですよね〜。

 

現在のクラスポイントは茶柱先生の知ってる通り3クラスが拮抗してると言っても過言ではありません。

 

特に無人島試験で龍園君のクラスはAクラスに上がったし、坂柳さんもBクラスに落ちたとは言ってもそんなに差はない試験次第ではまだ逆転できる位置にいる。一之瀬さんも現状、離されたくないって思ってる。

 

こんな状況なら、是が非でもクラスポイントは欲しいと思うのが普通ですよね〜。

 

そこで私は各クラスの代表と言える人たちに匿名でのメールを送りました。

 

内容は優待者全部分かったから指定の場所に来い。そのクラスの優待者の名前と勝手な行動したらこの試験を終わらせるって言う脅しもつけてね。

 

「そんなに簡単に優待者を見つけられてしまうとはな」

 

私のお話しできる子にメールを送って優待者の有無とそのグループの名簿を見せてもらったらおのずと答えは出てきましたよ。

 

「しかし、脅しがあったにしろ。自ら動き出すものもいる可能性はあったんじゃないか?」

 

んーそれはないとおもいますよ。龍園君のクラスは絶対王政だし、坂柳さんのクラスも葛城君の失態でクラスが荒れてるから勝手に動いて坂柳さんに目をつけられたくないだろうし。一之瀬さんのクラスは良くも悪くも保守的だし、一之瀬さん頼りで勝手な行動はしない。私達Dクラスは高円寺君に前払いしといたから動く人なんていませんよ。

 

それに会場に絶対くる自信が私にはあった。脅しがあったら一之瀬さんはクラスを守る為に来るし。坂柳さんや龍園君は他クラスを攻撃するチャンスと思って来る。Dクラスは私の駒だから参加は決定。

 

何より、こんだけの先制パンチをもらったなら人間だったら誰でも来ます。

 

そして全員が集まったら『優待者オークション』開くと言って説明する。

 

説明が終わったら自分の意思でこのオークションに参加する事を署名してもらう。口約束なら終わった後でなんとでも言えますから。

 

そして何よりこの説明をへて、主催者対参加者の図式からクラス対クラスの図式に変わる。

 

ここまできたら、主催者はただの司会になるわけです。

 

そしたら後はただ傍観者としてオークションを見守るだけですよ。

 

「それはないだろ。お前のことだ、何かしら仕掛けをしていたんだろう?そうでなければこのような結果になるはずがない。全クラスが全員正当しポイントの動きがなかった。これは異常だぞ」

 

まあ、予想通りでつまらなかったですよ。どこかのクラスが勝ってくれた方が面白かったんですけどね〜。

 

もうそんなに睨まないでくださいよ〜。

 

教えてあげますから〜。

 

参加者対参加者の図式が出来上がった所まで話しましたね。そうなると各クラスの目的がはっきりします。

 

坂柳さんと龍園君は自クラスの優待者を獲得しつつ他クラスの優待者を獲得しクラスポイントを増やす。

 

一之瀬さんは自クラスの優待者を守る。

 

そんなところになりますね。

 

Dクラス?特に指示も何もしてませんからね〜。多分、堀北さんの事だから3つ取れればいいと思ってたんじゃないですかね。

 

「3つ?あいつらの資金では1つすら取ることはできないだろう?」

 

まあ、それも含めて説明しますよ。

 

オークションの中盤までの展開は龍園君が2人、坂柳さんが2人、一之瀬さんが2人。

 

一之瀬さんは自クラスの優待者のみ。龍園君と坂柳さんは自クラスとDクラスの優待者を1人ずつ。

 

「そこまでは予想通りだ。坂柳と龍園の一騎打ちの図式ができている。一之瀬は自クラスしか取っていないからな保守と考えるのが普通だろう。」

 

そう、ただ2人に誤算があるとすれば一之瀬さん達の策略で通常よりポイントを使わされた事、それにDクラスの存在をないものとして考えている事。

 

「Dクラスには資金はないはずではないかと聞いたんだがな」

 

資金自体はありますよ。もちろん、私じゃありませんけど。茶柱先生、覚えてないですか?この前の傷害事件の事。

 

「……佐倉か」

 

その通りです。彼女、1人で500万という大量のポイントを持っています。前半で参加しなかったのはDクラスは参加したくても参加できない。

 

つまり資金がないと思わせるための布石。

それに、このオークションの仕様上、前もって自分達の資金を私達に申請しないといけないので資金がないと思われてるDクラスはブラフもできないと3クラスとも思っています。

 

後は一之瀬さんが自クラスの優待者を競り落とした後、Dクラスは一之瀬さんを装って金額を釣り上げていきます。

 

そして最後の3つになった所で相手の資金が届かない金額で競り落として終わりです。

 

これで全員、3人ずつ競り落としてオークション終了、これがオークションの内容です。

 

「オークションの内容はわかった。だが、なぜ勝てる試験で勝たなかったかの答えになっていない」

 

この試験で勝ってはダメなんですよ。絶対にね。もし、この試験で勝ってしまったら真っ先に誰がこれを起こしたと思いますか?

 

そう、頭のキレる人なら私がやったと思うんですよ。それに私は大事な顧客を裏切ることになるし何よりDクラスが全クラスの標的になるこれがこの試験で勝たなかった理由。

 

まあ、私はなからクラスには興味はないんですけどね〜。ただの玩具箱程度の感情しかないし。

 

オークションを開いた理由は2つ。

1つめは資金を手に入れる事。

 

もう充分持ってるだろってまだ足りないんですよぉ〜。資金はあればあるほどいいんですから〜。

 

それに、3クラスとも貯金していたポイントをかなり出してくれましたしかなり削れたとおもいますよ〜。

 

この学校はポイントで買えないものはないんでしょ?

 

 

ケラケラと笑う。

 

2つ目の理由は敵を作りたかったんですよ。

 

龍園君と坂柳さんはオークションが終わるとすぐ私のところに来ました。

 

私がオークションを開いた主催者とふんでね。

 

でも私にはアリバイがあるんですよ〜。

 

私はその時間、ずっとカフェの個室にいた事になってるんですから。

 

「カフェの従業員に聞けばわかることだ。そのアリバイはないに等しい。それにカフェには他の生徒もいる。」

 

私と背格好が同じ子を変装させてカフェを歩いてもらいましたよ。

 

人間で面白いもので人を大体特徴で見てるんですよ。私ならこの銀髪の髪、紅い眼。そして何よりこの巨乳!

 

何、冷たい顔してるんですか。

 

せっかく、場を和ませようとしてるのに。

 

まあ、いいです。

 

つまり、その条件が揃えば私と思うわけですよ。まじまじと見られない限り。

 

それに、カフェの従業員さんとはお話ししてますから口裏は合わせてくれます。

 

話を戻しますね。その2人に言ってあげたんですよ。

 

これは私じゃない。黒幕がいるってね。

 

「新たな敵の出現というわけか」

 

そういう事です。自分たちを欺き、ポイントを奪ったものがいるという共通の敵。

 

ただでさえ他クラスと戦わなくちゃいけないこの環境で新たな敵、これで疑心暗鬼になってくれたら成功ですねぇ〜。

 

それにぃ〜。あれだけポイント消費してクラスポイントは現状維持っていうこの結果が何より最高じゃないですかぁ〜。

 

あれだけ頑張って、貯めてたポイントをただ吐き出しただけ、無能がすることですよぉ〜。

 

私だったら、そんなリーダー、お腹よじきれるまで笑って罵倒してあげますけどねぇ〜。

 

(それを起こした。本人が言うセリフじゃないと思うんだが。あの茶柱先生ですらひいてるぞ。それに彼女は全て話しているわけではない。)

 

「分かったか。これだけは聞かせろ。Aクラスには上がる事は可能なのか?」

 

ケタケタと笑っていた表情が消えいつも通りの綺麗な顔に変わる。

 

「上がるだけなら簡単ですよ。維持するには圧倒的な資金、優秀な駒、そしてそれを指揮する頭脳が必要ですからね。まだこのクラスには足りないものばかり」

 

「さすがは神条会の娘というわけか」

 

急に彼女から冷徹な笑みが溢れた。

 

「喋るのはそこまでにしといた方がいいですよー。消されても知りませんよ。ふふ。」

 

茶柱は背中に何か冷たいものをかんじ固唾を飲む。

 

「わかった。この話題は控えておこう。話は以上だ。もう行っていいぞ」

 

「そうですか。行こっか。綾小路君、お腹減っちゃった」

 

「カフェで食事にするか」

 

「いいね〜。行こう!」

 

2人が出ていくと同時に緊張がとけホッとする。

 

それと同時に笑みが溢れた。

 

 

 

 




内容が食い違ったりしてたらごめんなさい。


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28話 ご遊戯

お久しぶりです。

何も思いつきませんでした。




28話 ご遊戯

 

 

深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている。

 

ニーチェの言葉である。

 

現在ではこの言葉のこの部分のみ知っている人も多いだろう。

 

前文はこうだ。

 

怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなければならない。

 

怪物である彼女を理解すると言うことは怪物と同じ思考に近づくと言うこと。

 

異常者の考えは異常者にしかわからない。

 

彼女は望んでいる自分と同じ異常者、怪物の登場を。

 

 

 

 

 

 

 

「平和だね〜。嫌になるくらい。とても平和な夏休みだ。」

 

フカフカのソファーに寝そべりながら彼女は呟く。

 

「俺にとってはこれくらい何もない方がいいんだがな」

 

珈琲を啜りながら彼女へ視線を向ける。

 

「君の言わんとしている事はわかるよ。なぜ、私が何もしないのか?って言いたげだね」

 

「俺の話は聞いていないみたいだな」

 

ため息をはくと彼女は笑顔をこちらに向けていた。

 

「参った、その顔はやめてくれ」

 

両手を上げて降参をの意思を示す。

 

「君は全然変わらないね〜。私とこれだけいるのに全然染まらない。だからこそ、君は私のそばにいられるんだろうね。」

 

「その染まると言う表現はいまいちわからないが。」

 

「ふーん、まあいいや。外に出ようか。いつまで部屋にいてもつまらないし」

 

2人はショッピングへ駆り出した。

 

 

「意外にも人が多いんだな」

 

「夏休みだからね。いつもよりは増えるよ。」

 

そう言う彼女を見ると視線が自分に向いていないことに気づく。

 

視線の方向へ目を向けると先輩とおぼしき生徒がなにやら言い合いをしている。

 

「不良品が、お前に未来なんかねぇんだよ。さっさと退学しちまえよ。」

 

「南雲のおこぼれでその位置にいるくせに。偉そうにしてんじゃねぇよ。」

 

「不良品にそんなこと言われても何も響かねぇな。口がついてること自体が驚きだがな」

 

「調子にのるんじゃねぇぞ!」

 

一方の生徒はてがでかけるが寸前の所で思いとどまっている。

 

「あぁあ、あと少しでお前は退学だったのによぉ。チキン野郎」

 

 

 

どうやら、あの煽っている方は南雲先輩を盾にああやってストレスを発散しているんだろうな。

 

ああ、あの先輩には不幸が訪れるんだろうな。なぜなら隣の彼女が笑っている。

 

それも眩しすぎるほど笑顔だ。

 

「いい事、思いついた。」

 

先輩には御冥福をお祈りすることにしよう。

 

彼女は携帯を操作し誰かに連絡を入れているようだ。

 

「ふふ、楽しみだな。はじめての試みだし楽しめそう。」

 

「何をする気なんだ?」

 

「面白い事だよ。まあ見てなよ。」

 

 

彼女はまた綺麗な笑顔をこちらへ向けてくる。

 

 

そして名も知らぬ先輩は2人とも退学した。

 

詳細はは知らないが傷害事件が起きたらしい。

 

お互いを刃物で傷つけ合いそのまま退学。

 

 

「まあまあ、上手くいったね〜」

 

「何をしたんだ?」

 

「ん?お話しただけ。復讐したくないですか?ってもう1人の先輩には退学させたくないですか?ってお話したんだよ。」

 

「お前が直接手を下した訳ではないんだな」

 

「そんな事したらあしがついちゃうじゃん。そんなバカな事はしないよ。」

 

「だが、明らかにこの結果は異常と思われても仕方ないと思うんだが」

 

「大丈夫だよ。だって2人とも素行が悪いで有名だったみたいだし。周りの人もあの2人ならやりかねないって噂してるくらいだしね。」

 

「条件は整っていたと言うわけか。」

 

「そう言う事だよ。いい遊び見つけることができたよ。あと何人かお試しでやってみようって思ってるよ」

 

「差し詰め、コンサルタントをしていくわけか?」

 

「そうだね。大物までのお遊びと行こうか」

 

 

それから彼女は鬱憤が溜まっている生徒に囁き続けた。

 

新学期が始まるまでの約1ヶ月ほどで多くの生徒が退学していった。

 

その理由は様々であり、最も多い理由が傷害事件である。

 

 

 

 

そんな中彼女はというと。

 

「随分と面白いことをしているね。准」

 

「何のことでしょう?楓花さん」

 

カフェの一室で鬼龍院と話していた。

 

「私には隠し事をしてもわかるぞ。」

 

「ハハ、降参ですよ。それで何から話しましょうかね」

 

「そうだね。このお遊びのきっかけは何だね?」

 

「上級生の言い争いを見ました。正直言って気にも留めないような言い争いです。不良品がどうとか、退学してしまえとか。醜い醜いものですよ。それを見て私は思いました。なら叶えてあげようと。」

 

「それが最初の被害者達かい。」

 

「被害者とは失礼ですね〜。実験体ですよ〜。」

 

子供のように洋菓子を口に頬張る。

 

「それでその2人を洗脳したと?」

 

「洗脳はしてないですよ。焚き付けたというのが正しいです。お互いに相手を陥れる方法があると知ったらすぐ心を開いてくれましたよ。後はゆっくり見物です。」

 

「どうだった?」

 

「面白かったですよ。まあ、お互いを斬りつけ合う様は滑稽でしたけどね、お互い正当防衛を主張するつもりだったようですけど、そんな事できないんですよね。だってお互い刃物持ってるのに」

 

「准が伝えたのか?」

 

「ええ、そうですよ。」

 

「准にしては軽率な行動と思うがね。」

 

「まあ、これが殺人にまで発展していればかなり軽率だったと思いますが。ただの傷害事件です。普段から素行が悪いので有ればなおさらその延長戦と考えるのが普通です。」

 

顎に手をおきながら鬼龍院はうなずく。

 

「たしかに的を得ているな。学校側の穴を上手く付いている。何せここは国が運営する学校、不祥事は表沙汰にしたくない。そこを逆手に取ったというわけか。」

 

「そろそろ、対策もうたれるでしょうし、しばらくはお預けですけどね。」

 

「たしかにこれほど傷害事件が続けば学校側も対策をうつか。」

 

「いえ、学校側は対策をしないと思いますよ。実力主義を謳っている学校ですよ。」

 

頬に笑みを浮かべながら紅茶を啜る。

 

「なるほど、全ては生徒の実力次第。退学したのはその生徒に実力がなかった。それで済むわけか。」

 

「それにこの学校おかしすぎるんですよ。入学するまでここの内容に関する事は一切出てこない。普通ありえます?卒業生が漏らすなり、退学者がネットに書き込んでもおかしくないですよ。つまり国規模で隠蔽してるんですよ。」

 

「たしかに言われてみればそうだな。考えればすぐに思いつく事だが、ここにいる生徒は生き抜く事で必死だからなそんな事まで頭は回らんか」

 

満足気に頷き話始める。

 

「話を戻しますね。対策をうつのは2年生の皆様方ですよ。いわゆる南雲派の人たちですね。」

 

「ハハ、なるほど、退学したのは南雲派の奴らだったか。たしかにそれなら合点はいく。奴が対策をしないわけがないか」

 

「私が関わってるって知っているのは2人だけ。楓花さんと綾小路くん。他の人は2年生から退学者が出たという情報だけ知ってる人がほとんどじゃないですかねぇ。」

 

「一年ほどまえ南雲に反発した17名が退学になっている。2年生はまたかという認識だろうな。」

 

「情報提供者には事欠かないので知っていますよ。爆弾も仕掛けている事ですし。あとは着火のみですかね。」

 

「南雲を退学させる気かね」

 

「ええ、後々は。散々使い倒してボロ雑巾のようにして捨ててあげますよ。あの小物にはそれが似合ってますから。」

 

「南雲がボロ雑巾か面白いな。その時を楽しみにしてるよ。」

 

「はい、ぜひ」

 

彼女達の間に沈黙が流れる。

 

 

そこには二人の静かな笑みだけを残して。




なるべく早く頑張ります


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29話 体育祭

この作品はフィクションです。

なんか無理があればこの言葉で突き通すってだめですかね笑

早ければ体育祭編は3話から4話くらいで終わるかもです。


29話 体育祭

 

新学期が始まり、茶柱先生から告げられたのは体育祭があるという事だった。

 

聞いてはいたけど、つまらないなぁ。

AとDクラスが組み、BとCが組むねぇ。龍園君とDクラスが組むか。

 

まあ、私は変わらず、楽しむだけだね。

 

 

体育祭のルール

 

 

・全員参加競技の点数配分(個人競技)

結果に応じて1位15点、2位12点、3位10点、4位8点が組に与えられる。5位以下は2点ずつ下がっていく。団体戦の場合は勝利した組に500点が与えられる。

 

・推薦参加競技の点数配分

結果に応じて1位50点、2位30点、3位15点、4位10点が組に与えられる。

5位以下は2点ずつ下がっていく。(ただし、最終競技のリレーは3倍の点数が与えられる)

 

・赤組対白組の結果が与える影響

全学年の総合点で負けた組は全学年等しくcp(クラスポイント)が100引かれる。

 

・学年別順位が与える影響

総合点で1位を取ったクラスにはcpが50与えられる。

総合点で2位を取ったクラスのcpは変動しない。

総合点で3位を取ったクラスはcpが50引かれる。

総合点で4位を取ったクラスはcpが100引かれる。

 

・個人競技報酬(次回中間試験にて使用可能)

各個人競技で1位を取った生徒には5000pp(プライベートポイント)の贈与もしくは筆記試験で3点に相当する点数を与える。

各個人競技で2位を取った生徒には3000ppの贈与もしくは筆記試験で2点に相当する点数を与える。

各個人競技で3位を取った生徒には1000ppの贈与もしくは筆記試験で1点に相当する点数を与える。

各個人競技で最下位を取った生徒にはマイナス1000ppのペナルティが科せられる。

 

点数を選んだ場合他人への付与は出来ない。

所持ポイントから払えない場合、筆記試験で-1点を受ける。

 

 

・反則事項について

各競技のルールを熟読の上遵守すること。違反した者は失格同様の扱いを受ける。悪質な物については退学処分にする場合有。それまでの獲得点数の剥奪も検討される。

 

・最優秀生徒報酬

全競技でもっとも高得点を得た生徒には10万ppを贈与する。

 

・学年別最優秀生徒報酬

全競技でもっとも高得点を得た学年別生徒3名には各1万ppを贈与する。

 

・全競技終了後、学年内で点数の集計をし下位10名にペナルティを科す。ペナルティの内容は各学年ごとに異なる場合があるため担任教師に確認すること。

 

 

 ・全員参加種目

 100m(メートル)走

 ハードル競走

 棒倒し(男子限定)

 玉入れ(女子限定)

 男女別綱引き

 障害物競走

 二人三脚

 騎馬戦

 200m走

 

 ・推薦参加種目

 借り物競争

 四方綱引き

 男女混合二人三脚

 3学年合同1200mリレー

 

「茶柱先生、各学年のペナルティとは?」

 

「一年生は下位10名は次のテストでマイナス10点となる。」

 

ここで騒ぎ出す生徒はいなかった。

 

このクラスは嫌というほどこの学校の恐ろしさを理解しているからだ。

 

 

「メンバー表の提出は一週間後だ。それ以降のメンバー変更はできない。この後、全学年集まっての顔合わせとなる。用意しておけ。」

 

それだけ言うと茶柱先生は退室していった。

 

「顔合わせの後、クラスでの順番を決めようと思うのだけど構わないかしら?」

 

堀北からの提案に反対することなくクラスは了承した。

 

「神条さんもそれで構わないかしら?」

 

「もちろん。全員参加しないと決めれないからね。私も参加させてもらうよ。」

 

にこりと笑みを返す。

 

 

体育館へ向かうと全学年のクラスが揃っていた。

 

「よう、鈴音。足引っ張らねぇように精々頑張れよ」

 

「ええ、そうさせてもらうわ。そちらもルール違反をして退学者出さないように気をつけることね。」

 

「言うようになったじゃねぇか」

 

「私のクラスには貴方の以上の化物がいるから。慣れたものよ。」

 

「違いねぇな。」

 

「目的をハッキリさせておくわ。私達、Dクラスは学年二位ねらいよ。一位は貴方達Aクラスにあげるわ。」

 

「えらく気前がいいじゃねぇか。」

 

「貴方達、AクラスからしてもBクラスは充分邪魔な存在でしょ?ポイント差もそこまでないし。」

 

「鈴音の言いたい事はわかった。要するに敵の敵は味方つうことでいいな」

 

「その通りよ。貴方はBクラスとの差を広げたい。私達は差を縮めたい。私達が手にするポイントは全体勝利の100ポイントで充分だわ。」

 

「今のお前となら組んでもいい。Bクラスを潰す為に協力してもらうぞ」

 

「ええ、もちろんよ。」

 

 

 

 

 

「今回はよろしくね。坂柳さん」

 

「ええ、こちらこそよろしくお願いします。一之瀬さん。私は競技に参加できませんが知略の面でサポートさせてもらいます。」

 

 

クラスの代表者達は互いに打合せを行う。

 

その頃、彼女はというと眠たそうな目をしながら壁にもたれかかっていた。

 

「ふぁ〜。顔合わせなんて意味あるのかな〜。」

 

「神条が欠伸とは珍しいな。」

 

「私だって欠伸くらいするよ。」

 

「今回はどうするつもりなんだ?」

 

「私は出る種目は一位取るつもりだよ。綾小路君もそのつもりでいてね。」

 

「俺は目立ちたくないんだがな。」

 

「それは誰の目から見て目立たない生徒でいたいのかな?」

 

彼女のからの言葉に一瞬目が開く。

 

「ハハ、君がそんな表情するとは珍しいね。大丈夫、別に君が誰であろうと君の邪魔はしないよ。私の協力者だからね。だけど君は常識を学んだ方がいい。目立たないという事は逆に目立つ要因になると言うことを」

 

「神条に常識を語られる時が来るとは思わなかった」

 

「ひどーい。私ほどの常識人はいないよぉ。」

 

頬を膨らませながらこちらを見てくる。

 

こうしていれば普通の人間なのにな。

 

「わかった。神条の言う通りにしよう。」

 

「さてさて、顔合わせも終わったようだし戻ろうか。」

 

「そうだな。」

 

その後、教室へ戻り競技の順番を決め一旦解散となる。

 

彼女はいつものカフェと向かい個室へ入る。

 

「マスター、いつもので」

 

マスターは頷き、準備を始める。

 

「今日もここに来るんだな。」

 

「まあね〜お客さんが来るだろうし」

 

そんな話をしていると扉を開く者が現れる。

 

「邪魔するぜ」

 

「連絡はなかったけど来ると思ってたよ。体育祭のことかい?」

 

「ああ、そうだ。」

 

「この体育祭は純粋な身体能力の勝負と思うんだけどね〜。まあ、龍園君が求める答えはこれじゃない事はわかってる。この体育祭の必勝法についてだね。」

 

「ああ、そう言う事だ。」

 

「この体育祭での必勝法はクラスの身体能力の高い生徒を出場させない事だよ。」

 

頬を吊り上げながらにこりと彼女は笑った。

 

「龍園君ならこの方法を思いついていたと思ったんだけどねぇ」

 

「たしかに本番中に相手クラスのエースを潰す戦略を考えていたが、出場させないとはどう言う事だ?」

 

「そのままの意味だよ。怪我なり病気なりさせて体育祭自体に参加させない。そうすれば学年下位10名のペナルティも与えられる。上手く行けば退学にもできる。とても合理的なやり方だと思うけどねぇ」

 

「それができたら苦労しねぇよ。ここは学校だ、監視カメラがいくつあると思う。」

 

「まあ、君がいう事も最もだが。ここにはカメラの死角やない場所も存在する。わざとカメラに映すことも重要だけどね。」

 

「お前にはそれができると?」

 

「もちろん可能だよ。なんなら依頼として受けてもいい。」

 

「ほう、もう既に目星はつけているというわけか?」

 

「当たり前じゃないか。顧客が望むデータは集めておくものだよ。」

 

「Bクラス、Cクラスの身体能力が高い生徒はマークしているわけか。」

 

「もちろん、Bクラスは鬼頭隼、坂柳さんの重臣で、考え方は龍園君にに近しいものがあるよ。Cクラスは柴田颯、サッカー部に所属していてかなり動けるみたい。」

 

「そいつらを潰すって事でいいのか?」

 

「そうだねぇ。とりあえず柴田君には消えてもらうとしようかな。私がするなら依頼料をもらうけど?」

 

「いくらだ?」

 

「10万だね〜。方法だけなら3万でいいよ。」

 

「方法だけ聞いた後にお前に依頼するのはありか?」

 

「それでも構わないけど。龍園君自信ないの?」

 

「お前が思いつく作戦が俺の部下が完璧にやり遂げる内容と思わねぇからだ。」

 

「方法は簡単だよ。結果だけ言ってしまえば体育倉庫で器具の下敷きになってもらうだけだよぉ。上手く行けば骨くらい折れてくれるんじゃあないかなぁ?」

 

吊り上がった笑みを浮かべケラケラと笑う。

 

「事故に見せかけて怪我させるってわけか。しかし、そんな都合よく行くとは思わねぇんだが」

 

「柴田君はサッカー部に所属していてね。部活終わりに必ず用具を片付ける為に必ず体育倉庫へ入る。一年生が片付けをすると言う古臭い風習だよ。運動場含め体育倉庫付近には監視カメラの類はかなり少ない。死角を理解していれば一回もカメラに映らず体育倉庫へ行ける。たしか最近筋トレ用の機材が運び込まれたらしい、あとは電気系統に細工をしておけば積んである箱を押すだけで事故の出来上がりだよ。」

 

「どうやら神条に任せた方が良さそうだな。うちのバカどもはヘマをやらかしそうだ。10万送金する」

 

「毎度あり〜。じゃあ2日ほどで仕上げてみせるよ。」

 

彼女は微笑むと紅茶に口をつけた。

 

 

 

そして2日後、二人の生徒が病院に運び込まれた。一人は狙い通りCクラスの柴田、もう一人はBクラスの吉田。柴田は用具の下敷きとなり両足を複雑骨折。吉田は柴田を庇おうとした結果、右脚に用具が落ち骨折。

 

彼女はその報告を聞くと気分が良さそうに鼻歌を歌いながらハンバーグをこねはじめた。

 

「予定以上の結果で嬉しいよ。もう2、3人増やそうかな。」

 

今日のハンバーグは大きく作ってもらえそうだ。彼女の鼻歌が聞こえる日は決まってハンバーグが大きい。

 

 

そういう日は決まって他人に不幸が訪れている時だ。

 




二年生編って最初からオリジナル展開の方が書けるのでは?って最近思い始めました。


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30話 夢と現実

なんとーなく描きたくなった話です。


30話 夢と現実

 

久しぶりに夢を見た。

 

幼き頃の彼との思い出。

 

何気ない彼との日常が夢として流れていく。

 

そんな二人の風景を高校生の私が見ている。

 

楽しい?嬉しい?悲しい?苦しい?あの時の感情はどうだったのか、私はそれが気になってしかたなかった。

 

「僕は准ちゃんに感情ができて嬉しいよ」

 

声をかけたのはここにはいるはずのない高校生の姿となった天離優輝だった。

 

「やぁ、ユウ君久しぶりだね。」

 

久しぶりの再会に笑みが溢れる。これが私の作り出した幻想だったとしても。

 

「君が笑っている顔をあの日以来、初めて見たよ。」

 

「あの日から私は変わったんだよ。今はどんな時でも笑顔だよ。」

 

「今は幸せ?」

 

「うん、とっても。毎日がキラキラしてるよ。」

 

「なら、僕があの日した行動に意味があったんだね。」

 

彼は私に笑顔を向けてくれる。

 

「まだ、私はユウ君みたいに笑えないな。あんな綺麗な笑顔できないもん」

 

「ハハ、そう言ってもらって嬉しいよ。僕が君の中にいると言う証明だからね。そろそろ時間だよ。」

 

「もう、そんな時間?もっと話したかったよ」

 

「また、会えるよ。」

 

目が覚める前に見た彼の笑顔はとても綺麗だった。

 

 

一つ背伸びをしてベットから起き上がる。そのままの足で洗面台に向かい顔を洗い歯を磨く。

 

そして台所へ立つと今日の朝食とお弁当について思考する。

 

(んー?何にしようかな。綾小路君はあんまり注文しないんだよね〜。ハンバーグ以外は。今日は気分がいいし豪華にしようかな)

 

少し微笑むと調理を始める。

 

そして調理が終わり弁当箱に詰め終わるとチャイムがなり綾小路がやってくる。

 

「今日は機嫌がいいんだな。」

 

「まあね。今日の目覚めはよかったよ。」

 

朝食を綾小路と食べそのまま学校へと向かう。

 

BクラスやCクラスの生徒は騒がしくしているが気にも留めず教室へ入る。

 

そして授業を受け今日もつまらない一日が始まり終わる予定だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

踊り場で倒れている神条に佐倉は駆け寄る。

 

 

「准さん…准さん…。目を開けてください…」

 

大粒の涙を流しながら神条の手を握っている。

 

その姿をただ綾小路は見ていた。

 

階段の上の方では荒い息をあげながら両腕で自分を抱きしめながらうずくまり震えている軽井沢恵。

 

「ハァハァ…こんなはずじゃなかったの…私は…私は…こうするしかなかったの…」

 

 

その後、救急車が到着し神条は担架に乗せられ運ばれていく。

 

 

病院に着くと医者から彼女の容態について聞かされた。

 

意識不明の重体で頭を強く打った事が原因のようだ。

 

軽井沢、綾小路は茶柱先生から取り調べを受けている。結果は監視カメラがなく証言が少ない為この件は事故として処理される事なった。

 

 

その後、綾小路は堀北へ事情を説明しに向かった。

 

堀北に今回あった事を伝える。

 

「少し、1人にして…」

 

「わかった。」

 

綾小路が部屋を出た事を確認すると嗚咽を出しながら泣き崩れる。

 

「…お姉ちゃん。どうして…」

 

彼女からもらった髪飾りを胸に抱きしめ1泣き続ける。

 

 

 

少し時間が経ち落ち着くと、何かに吸い寄せられるように携帯へ目がいく。

 

(そういえば、あの事故があった時、お姉ちゃんからメールが来てた。あの時はお姉ちゃんが倒れたって聞いてみる暇がなかったわね)

 

 

メールを開くとそこには

 

私のかわいいかわいい鈴音ちゃん。

 

私の期待に応えれるよね。

 

 

そのメールを見ると覚悟を決め堀北は立ち上がった。

 

「私は絶対、お姉ちゃんの期待に応えてみせる!」

 

 

そして各クラスの首脳陣に今回の事が知れ渡った。

 

「神条さんが意識不明の重体?それは本当なんですか?」

 

「間違いないわ。今日学校に救急車が来ていたのはそれよ。表向きには階段から落ちたって言う事故らしいわ」

 

「表向き?裏があると言う事ですね。」

 

「ええ、Dクラスの軽井沢って子が神条を突き飛ばしたらしいの。その結果、神条は意識不明の重体。意識が戻るかは五分五分らしいわ」

 

「軽井沢さんですか。この結果はどう捉えるべきなのでしょうね。」

 

「神条のやり方に不満を持つ生徒もいたと思うし、これは必然だったんじゃないの?あれだけ好き勝手してたら」

 

「しかし、あれでもDクラスはまとまっていました。Aクラスと同じく恐怖という方法ですが。」

 

「恐怖政治が無くなった、Dクラスはどうなると思うの?」

 

「どうでしょう。今現在、Dクラスをまとめていらっしゃるのは堀北さんです。彼女は神条さんと敵対し続けていると聞いています。彼女が今後まとめていくと思いますよ。」

 

「でもほんと事故や事件が多いわね。昨日はサッカー部でも事故があったみたいだし。」

 

「何かひっかかりますね。真澄さんそのサッカー部の事故について調べてください。」

 

「いいけど。何かあるの?」

 

「ええ、少し」

 

 

 

そして歯車は回り出す。

 

 




軽井沢恵のファンの皆様、軽井沢さんは救われるのでご安心を。


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