ゴジラ VS 司波達也 (たかと)
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1954~2092 ゴジラの足取り

驚異的な再生能力を持つゴジラ細胞と
吐き出す炎により破壊の限りを尽くすゴジラ

生まれつき驚異的な自己再生能力を持ち
自身だけの特殊な魔法《分解》を使う司波達也

最強の巨大生物と最強の魔法師が激突する物語



1954年

 

水爆実験の影響で誕生した初代ゴジラが

東京に姿を現し破壊の限りを尽くすも

芹沢博士が自身の研究の際に開発した

《オキシジェン・デストロイヤー》の

効果により抹殺され日本は救われたが

《オキシジェン・デストロイヤー》が

軍事利用されることを危惧した芹沢は

初代ゴジラと運命を共にして死去する

 

 

1984年

 

大黒島の火口深くに眠っていた

初代ゴジラとは別個体のゴジラが

噴火によって地表に押し出され出現

 

ソ連の原子力潜水艦と静岡県の

井浜原子力発電所を襲撃して

核エネルギーを取り込んだ後に

30年前のように東京を襲撃する

 

その後、生物学者の

林田教授が帰巣本能を利用して

大島の三原山にゴジラを誘導し

三原山火口の深くに封じられる

 

 

1989年

 

1984年に三原山に封じられたゴジラが

日本が驚異的な再生能力を持つゴジラ細胞から

開発した抗核バクテリアを奪取を狙う海外の

テロリストによる三原山爆破により復活する

 

ゴジラ細胞と薔薇の細胞を融合することで

産み出された植物怪獣"ビオランテ"と箱根の

芦ノ湖で激突した後に消耗したエネルギーを

取り込む為に大阪湾から高浜原子力発電所を

目指して移動する途中に抗核バクテリアを

体内に注入されるも体温が低さの原因により

活動停止には至らぬものの再生能力を持つ

ゴジラ細胞から産み出された"ビオランテ"が

高浜原子力発電所に出現し再度ゴジラと激突

 

高浜でのビオランテと、その戦闘と直前の

高圧電流によってゴジラの体温が上がり

抗核バクテリアの効果が現れたことにより

ゴジラは戦意喪失し日本海へと姿を消す

 

しかし体内の抗核バクテリアの活動が

本格的になるまでの間にゴジラは海底を

移動し人知れず沖縄海域まで辿り着くものの

そこで抗核バクテリアの効果が完全に現れた

ゴジラは沖縄近くの海域で深い眠りについた

 

 

1999年

 

人類に魔法師が誕生

以後、世界中で魔法技術が発達していく

 

 

2062年

 

大亜連合の崑崙方院により四葉真夜が

誘拐・強姦され3日後に救助されるも

生殖能力の喪失により七草弘一との婚約を解消

この事件で双子の姉の四葉深夜との関係が悪化

 

 

2079年

 

司波達也誕生

 

 

2080年

 

司波深雪誕生

 

 

2085年

 

四葉真夜が四葉家の当主となり

「人造魔法師実験」を本格的に計画

 

 

2090年(オリジナル展開)

 

大亜連合が密かに日本侵攻を企て

近海で幾度が軍事訓練を実施する

 

海底での魚雷やミサイル発車実験を行う

 

大亜連合の幾度に及ぶ軍事訓練により

海底に眠っていたゴジラに目覚めの兆し

 

 

2092年

 

司波達也と司波深雪……沖縄へ家族旅行に訪れる

 

大亜連合と国防陸軍のスパイが沖縄侵攻を開始

その影響で海底に眠っていたゴジラが目覚める

 

国防陸軍と共に大亜連合軍と戦う達也や

人々の目の前に103年ぶりにゴジラが出現

 

 

 

 

 

そして……最強と最強がぶつかる!!

 

 

 




なんか書きたくなって書いちゃいました

無茶苦茶な展開になるかもしれませんし
更新も疎らになるかもしれませんが宜しくです


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第1話 大亜連合の愚挙

この物語は《ゴジラVSビオランテ》から
103年後の設定になっていますので

その時の話が多数出てくるかもしれません
分からない人が居られましたら申し訳ありません

それでは第1話……スタートです!


2092年……沖縄

 

 

「グギャァァァァァァァ オォォォォォォン!」

 

 

沖縄に侵攻してきた大亜連合の大部隊

彼らとの戦闘の最中それは突然現れた

海から押し寄せる大亜連合艦隊の船が

突如として海底から放たれた青白く

光輝く炎で破壊されると海の底から

現れたのは漆黒の巨大な生物だった

 

 

「なっ、何だアレは!?」

 

 

「わっ、分かりません!」

 

 

海岸で大亜連合を迎え撃っていた

日本国防陸軍の部隊は黒い生物の

あまりの巨大さと咆哮に戸惑っていた

 

 

一方……

 

 

「あっ、アレは一体!?」

 

 

「お母様……」

 

 

「…………!?」

 

 

国防陸軍沖縄基地の防空指令室で匿われた

二人の女性と一人の少女もモニター画面に

写し出された漆黒の巨大生物の姿に動揺していた

 

 

ビィーーーッ ビィーーーッ ビィーーーッ

 

 

『非常警報発令 非常警報発令!!』

 

 

『海中より謎の巨大不明生物出現!!』

 

 

『各部隊、不測の事態に備えよ!!

繰り返す! 各部隊、不測の事態に備えよ!!』

 

 

陸軍基地中に非常警報音が鳴り響くなか

スピーカーから部隊に対する指令が飛び交う

 

 

「お兄様……」

 

 

そんな中で先程の少女はモニター画面に

写っている一人のアーマースーツを着た

青年を心配そうに見つめていた

 

 

 

 

 

 

 

ーー事の発端は2年前ーー

 

 

 

 

 

 

 

沖縄海域より北西の海域 大亜連合海域

 

 

 

《作戦司令部より全潜水艦隊へ

これより沖縄侵攻を想定した訓練を開始する》

 

 

「了解! 各艦、概ね順調に潜航しています」

 

 

《よし! 魚雷ならびにミサイルの方は?》

 

 

「各艦、全て以上ありません!」

 

 

海中を大亜連合の潜水艦数艦が

魚雷とミサイル発射訓練の為に潜航してた

その中の一つの潜水艦に乗艦していた

実行部隊長と見られる男が大亜連合本国の

地上の作戦司令部からの通信に応答していた

 

 

《今回の訓練は近い内に実行予定の

沖縄侵攻を想定した訓練だ。抜かるなよ!》

 

 

「了解!」

 

 

《よし! 各艦所定の位置に到着次第

命令あるまで待機。訓練開始の命令と

同時に各艦、発射訓練を開始させるぞ》

 

 

司令部からの通信を受け潜水艦隊は予め

各々指令された地点へ移動を開始した

互いの魚雷やミサイルが当たらない為だ

 

 

「各艦、所定の位置に到着しました!」

 

 

《各艦、配置完了確認!》

 

 

潜水艦隊の実行部隊長からの報告に

作戦司令部から各艦の配置完了を

確認した通信が入った

 

 

ーーそして数分後ーー

 

 

《魚雷並びにミサイル発射訓練開始!!》

 

 

「了解! 各艦、砲撃開始!」

 

 

『『『『『ラジャー!!』』』』』

 

 

バシュ バシュ バシュ

 

ドドーーーン ドドーーーン ドドーーーン

 

 

作戦開始の命令が出るや否や一斉に

魚雷やミサイルが潜水艦隊から発射され

至るところで魚雷やミサイルが爆発する

爆発音が響き渡り海中に衝撃が巻き起こる

 

海中は空気中より音がよく響くので

その爆発音は海底にまで響いていた

 

その様子を大亜連合本国の作戦司令部で

見守る軍のトップ達は満足そうに見ていた

 

 

……しかし

 

 

彼らは知らなかった……そして気付かなかった

 

 

その海底に100年前から深い眠りについている

決して目覚めさせてはいけない強大な存在の

眠りを妨げ怒りを買ってしまっていたことに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グルルルルル……」

 

 

 

ーー何奴だ! 我の眠り妨げる者は!?ーー

 

 

 



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第2話 運命の沖縄旅行

この話からは原作やコミックに合わせ
主に深雪視点でストーリーを進めます
その中にゴジラの行動を組み込ませていきます

今回と多分、次回は殆どコミックと同じような
展開になるかもしれませんが書きたいので
何卒お付き合いくださいませ


大亜連合が極秘の軍事訓練を行い始めて2年後

 

 

ーー2092 沖縄空港ーー

 

 

真夏の暑い日差しが照りつける

言わずと知れた観光地に一人の少女が降り立つ

 

 

(私は司波深雪……今日から

大好きなお母様と楽しみにしていた沖縄への

家族旅行で、いつもより心がウキウキしています)

 

 

「深雪さん。そろそろ行きましょうか?」

 

 

「はい、お母様。お待たせしました」

 

 

深雪は母親に優しく呼び掛けられ

嬉しそうに母の元へと駆け出していく

だが彼女には一つ、心に引っ掛かることがあった

 

 

「そういえば、"あの人"はどちらに?」

 

 

「あぁ、達也なら……

わたくし達の荷物を運ばせてるわ」

 

 

深雪の母親"司波深夜"は、そう言いながら

後ろで荷物を運んでいる一人の青年に目を向ける

 

 

「……お待たせしました」

 

 

「…………」

 

 

そう言う青年を見る司波深夜の表情は

娘の深雪を見る時とは180度も違う

冷たく目障りだと言わんばかりの表情だった

 

 

「深雪さん、行きますよ」

 

 

「はい……」

 

 

深夜に促され歩美を進める深雪は

不安そうに後ろを歩く青年の事を考えていた

 

 

(この人は"司波達也" 私の実の兄)

 

 

(けど私を含めここにいる全員

いえ……恐らく家族や身内も全員

この人を家族とも身内とも思ってないでしょう)

 

 

(雑用は当たり前のように兄の仕事

使用人同然の扱いなのに何故この人は

今のような境遇で平気なのでしょうか)

 

 

(兄のことは嫌いではありませんが

正直に言って私は……この人が苦手です)

 

 

達也について色々なことを頭の中で考えながら

ふと後ろを見てみると達也と目があってしまう

 

 

「……なん…ですか?」

 

 

「いえ、なんでもありません」

 

 

「でしたらジロジロ見ないで、不愉快です!!」

 

 

思わず怒鳴ってしまった深雪は後悔した

兄である達也が妹である深雪を見るのは

自然で当たり前な行為だ

 

そんな自分に嫌気を感じ兄に

どうやって謝ろうかと思った瞬間

 

 

「失礼しました」

 

 

「!?」

 

 

以外にも達也の法から深雪に謝罪したのだ

 

 

(なんで謝るの?……あなたは悪くない

さっきのは私の我が儘なのに……なんで?)

 

 

そう思った深雪は自己嫌悪を感じると共に

更に達也に苦手意識を持ってしまう

 

 

(理不尽な理由で怒鳴ったのに謝る)

 

(何を考えているのか分からないわ)

 

(やっぱり私は……この人は苦手です)

 

 

心の中で呟きながら母の後について歩く深雪

 

 

 

 

 

ーーそれから暫くしてーー

 

 

 

 

 

「お母様。ここが新しい別荘ですか?」

 

 

「ええ、そうよ」

 

 

3人が見るからに豪華な別荘に到着すると

 

 

ガチャ

 

 

「お待ちしておりました」

 

 

「穂波さん!」

 

 

正面玄関の扉が開くと別荘の中から

穂波と呼ばれたショートヘアーの

一人の女性が3人を出迎えてくれる

 

 

「ご苦労様」

 

 

「お世話になります」

 

 

深夜、深雪の順に穂波と会話を交わす

 

 

「もう掃除は終わっていて?」

 

 

「はい。午前中に済ませておきました

この"桜井穂波"奥様の為でしたら

身の回りの世話にボディーガードまで

何でもやらせていただきますよ!」

 

 

「頼りにしてます」

 

 

「お任せください、お嬢様」

 

 

深夜に清掃完了の報告をした穂波は

深夜と深雪に仕える喜びを口にすると

直後の深雪の言葉にも笑顔で応じた

 

 

その後、深雪は自分が使用する部屋に

運ばれた荷物を片付け終えると穂波に

提案され散歩に行くことにしたために

半ば強制的に日焼け止めを塗り付けられた

 

 

「あら、深雪さん。どうかしたの?」

 

 

「あの……少しお散歩に行きたいのですが」

 

 

「そう、あまり遅くならないようにね」

 

 

「はい♪」

 

 

深雪が散歩に行きたいことと深夜に告げると

深夜は快く承諾をしてくれたが直後に思わぬ

条件を言い渡された

 

 

「ああ……それと、達也を連れてお行きなさい」

 

 

「ですが、お母様……!」

 

 

言い渡された言葉に思わず深雪は抗議するが

 

 

「……深雪さん

達也はあなたのガーディアンなのですよ?」

 

 

「……わかりました」

 

 

そう言われて最早それ以上は抗議できなかった

しかし苦手意識を持つ兄が同行することになり

意気消沈してしまうのだった

 

 

(あの人と一緒だなんて……

せっかくの、お散歩が台無しだわ……)

 

 

その後、深雪は日差しが落ち着いたこともあり

爽やかな海風も吹いていたこともあって

途中まで気持ちよく散歩を楽しんでいたが……

 

 

ザッ ザッ ザッ

 

 

(あっ……あの人の足音……)

 

 

後ろから付いてくる達也の足音を

意識した途端に先程までの気持ち良さが無くなり

 

 

(あなたが私を護るというの?

私より魔法の才能が無いくせに?

歳だって私と1つしか離れてないのに

あなたに、いったい何ができると言うのよ!?)

 

 

苦手に思う自身の兄か付いてくる苛立つ深雪

 

 

一方、四葉の別荘では……

 

 

「奥様……二人とも大丈夫でしょうか?」

 

 

「心配いらないわ」

 

 

深夜のガーディアン桜井穂波は

深雪と達也の身を案じているが

深夜は一言無用だと言うだけだ

 

 

「達也くんがついているからですか?」

 

 

「ええ、あの子は深雪のガーディアン

自分の意思で辞めることも許されない

深雪だけのボディーガードなのだから」

 

 

「…………」

 

 

「達也はこれからも四葉当主の姉の

息子ではなく次期四葉家当主候補の

ガーディアンとして一生を費やすことになる」

 

 

「達也くんは、それで本当に良いのでしょうか」

 

 

「さあ? それこそ私には分からないことだわ」

 

 

達也の母親である筈の深夜も達也のことを

まるで便利な道具のようにしか見ていない

ような口調であった

 

 

 

 

 

……しかし

 

 

 

 

 

この時の深雪、深夜、穂波……

そして日本中の誰も想像していなかった

 

数日後に強大な破壊の王が目覚めること

そして達也がその破壊の王と互角に

合間見える程の力を示すことなろうとは

 

 

 

 

 

 

 

ーーその日の深夜ーー

 

 

 

 

 

 

 

ゴウン ゴウン ゴウン ゴウン ゴウン

 

 

真夜中の沖縄近くの海域を進む謎の潜水艦

それは正に大亜連合所属の潜水艦であった

 

 

「よいか? 今回の任務は沖縄近海の偵察だ

よって呉々も日本の国防軍に悟られぬように

万が一我々に気づくものが居たら発砲魚雷を

使用し拉致しても構わないと命令が出ている」

 

 

「「「「「ラジャー!!」」」」」

 

 

艦長の指示に乗組員が返答すると

大亜連合の潜水艦は沖縄へと向かっていったが

彼らは気付かなかった……付けられてることに

 

 

 

 

 

 

 

「グオォォォォォン」

 

 

ズズーーーン ズズーーーン

 

 




ゴジラといえば潜水艦撃沈です

それにしても追憶編を初めて見た時は
まさか深雪が達也にあれほど苦手意識を持って
思わず本当にこの娘は深雪なのかと思いましたね

次回はゴジラが姿は見せませんが
達也と深雪に急接近してきますのでお楽しみに!


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第3話 潜水艦出現……そして消滅

お待たせしました

遂にゴジラが達也と深雪に接近
そして達也がゴジラの気配を察知します

それではご覧下さい!


沖縄の別荘に来てから三日目の午後

深雪は深夜と穂波そして達也と共に

セーリングを楽しんでいたのだが

 

 

「…………」

 

 

深雪は船の後方にいる達也のことが

気になり頭が一杯になってしまっていた

事の発端は例の初日のお散歩での出来事だった

 

沖縄の恩納村にある国防陸軍所有の

恩納基地に所属する《レフト・ブラッド》と

呼ばれる旧沖縄駐留アメリカ軍遺児2世代に

当たる軍人を一撃でノックダウンさせたのだ

魔法がまったく使えない筈であった達也がだ

 

そして翌日の夜には四葉家の分家である

黒羽家のパーティーに深夜の代理として

達也と共に出掛けた際には殆どの四葉の

一族や分家が達也を見下す中で数少ない

達也を慕う亜夜子と文弥に見せた自然な

笑顔を見て亜夜子と文弥の二人に嫉妬し

自分にもあの笑顔を向けてほしいと思い

逆に達也を目障りな目で見る二人の父で

黒羽の主の黒羽貢に対し不快感を抱いた

 

そして極めつけは今朝のビーチでの出来事だ

気持ちよく日光浴をした為に熟睡した深雪を

守ろうと数人の不良達を相手に達也は一人で

戦い人知れず深雪を守っていたのだ

 

そんな達也を見ている内に深雪は達也の事を

もっとよく知りたいと思うようになったのだ

 

 

(今までも見えないところでガーディアンとして

私のことを、ずっと護ってくれていたのですか?)

 

(私はまだあの人のこと……なんにも知らない)

 

(知りたい……もっと、あの人のことーーー。)

 

 

達也に対する色々な感情が飛び交う中で

深雪はセーリングへと出発したのだった

別荘のある恩納瀬良垣から伊江島周辺を

廻るクルーザーである

 

 

そして……

 

 

ザザーーーン ザッパーーーン

 

 

「わぁーーー! いい気持ち♪」

 

 

先程まで悩んでいた深雪だったが

爽やかな海風を浴びて上機嫌になっていたが

 

 

「達也くーーん!

こっちに来たほうが気持ちいいですよ」

 

 

「……はい」

 

 

穂波が船の後方にいる達也を呼び出すと

 

 

「ほら! 深雪さんの隣へ!」

 

 

「(えぇ!?)」

 

 

「……わかりました」

 

 

半ば強引に達也を深雪の隣に座らせたのだ

別荘に来てからというものの何かと穂波は

達也を深雪の側へと近づけようとするので

達也のことをよく知りたいと思うようには

なったが最近までは苦手に持っていたので

心の準備が出来るまで待っていた深雪には

少々迷惑な行為に感じた

 

 

「…………」

 

 

それでも何とか達也に声をかけようと思い

達也のことを"チラチラ"と横目で見ながら

様子を伺っていた

 

 

 

 

 

その時だった!

 

 

 

 

 

《緊急連絡!! 緊急連絡!!》

 

 

突然、非常警報音と共に乗っていた

船の船長が無線機を取り出し声を荒上げた

 

 

《伊江島南南東にて所属不明の潜水艦を確認!》

 

 

港に無線で緊急連絡をする船長の言葉に

達也、深雪、深夜、穂波の表情にも緊張が走る

 

 

「なんで潜水艦が此処に!?」

 

 

「日本の領海に大亜連合が攻めてきたの?」

 

 

深雪と穂波が緊迫した声をあげると……

 

 

「まさか戦争でも始めるつもりなの!?」

 

 

穂波が今度は一転して憤ったような声をあげる

 

 

「ダメだ! 無線が繋がらねぇ。壊れてやがる!」

 

 

無線が壊れていて救難信号が届かないようだ

すると船長は舵をとると船員に指示を飛ばす

 

 

「帆を巻き上げろ! 港に引き返すぞ!!」

 

 

船員がそう言って舵を取ると船は

猛スピードで180度転回し港に向かうと

 

 

「きゃああっ!?」

 

 

その拍子に深雪は放り出されそうになるが

 

 

「お嬢様、お護りします」

 

 

達也が瞬時に深雪の体を支えて護った

 

 

「ここは我々ガーディアンにお任せを

奥様は静養中の身……お下がりください」

 

 

深夜のガーディアンである穂波も

腕にあるCADを取り出し護ろうとしている

そんな穂波に続いて深雪もCADを取り出し

穂波と共に潜水艦に対処しようとしたのだが

 

 

「まずい! 魚雷を撃ってきたぞ!?」

 

 

船長から驚愕の言葉が発せられた

 

 

「魚雷!? なんの警告もなしに!?」

 

 

「真っ直ぐこっちに向かってくる!?」

 

 

このままでは海の藻屑となってしまう

深雪の心が緊張と恐怖に囚われてしまった

 

 

しかし……

 

 

「え……?」

 

 

向かってくる魚雷に達也が手を向けた瞬間

海の中で目映い光が発生し深雪が乗る船に

放たれた魚雷がバラバラに砕かれてしまう

 

 

「魚雷の反応、消滅……」

 

 

「どうなってるんだ……?」

 

 

突然、魚雷が消滅し訳が分からなそうな船員達

 

 

「とにかく全速力で港に帰港しよう」

 

 

「あぁ、また撃たれたら貯まったもんじゃない」

 

 

船員達がそう言うと船は

港に向けて全速力で飛ばしていくが

そんな中で深雪は戸惑いながら達也を見ていた

 

 

(うそ……この人がやったの……?)

 

 

深雪が戸惑うのも無理はなかった

達也の使用した魔法は魚雷自体の

構造情報に干渉して分解するという

最高難易度の術式の魔法だったのだ

 

 

(魔法が苦手な兄が使える代物じゃない)

 

 

(じゃあ何? あなたは本当は魔法が…………)

 

 

達也を見つめる深雪は心の中で

完全に動揺し葛藤してしまうのであった

 

 

 

 

 

 

 

ーーその頃、海底ではーー

 

 

 

 

 

 

 

「魚雷の反応、消滅しました」

 

 

魚雷を撃った大亜連合の潜水艦の

乗組員が魚雷が消滅したことを告げていた

 

 

「どういうことだ、一体何があったのだ?」

 

 

「分かりませんが、恐らく目標に

高等な魔法を使う魔法士が乗っていたかと?」

 

 

艦長の質問に隊員が自分の憶測を述べる

因みに知ってのとおり大正解なのである

 

 

「目標、遠ざかっていきます」

 

 

潜水艦のレーダーには深雪の乗る船が

全速力で遠ざかっていく様子を捉えていた

 

 

「艦長、追いますか?」

 

 

「そうだな……我々の存在に

気づかれた以上は捉えるか撃沈せねばな」

 

 

そう呟くと艦長は隊員達に命令を下す

 

 

「全速前進、今度こそ目標を仕留めろ」

 

 

「「「「「 了解 」」」」」

 

 

隊員が艦長の命令に応じ深雪の乗る船を

追跡し今度こそ捉えるか撃沈しようとしたが

 

 

「艦長!!」

 

 

突然、ソナーを見ていた隊員が声をあげる

 

 

「どうした?」

 

 

「後方から何かが接近してきています」

 

 

「なんだと!?」

 

 

レーダーに目を光らせていた隊員の

言葉に館長が驚愕した声をあげレーダーを見ると

 

 

 

 

 

ポーーーン ポーーーン ポーーーン

 

 

 

 

 

確かにレーダーが潜水艦の後方から

接近してくる謎の潜水物体を捉えていた

 

 

「日本の潜水艦でしょうか?」

 

 

「分からん……」

 

 

レーダーを見ながら艦長は暫く考え込んだが

 

 

「見つかったからには仕方がない

船体を180度回転させた後に攻撃準備だ!」

 

 

「艦長!?」

 

 

「魚雷も発砲魚雷から実弾のに切り替えろ」

 

 

「宜しいのですか!?」

 

 

「構わん。沖縄侵攻の前祝いに沈めてやれ」

 

 

「逃げた船は?」

 

 

「放っておけ、日本国防軍に

見つかったのなら撃沈しても意味はない」

 

 

「分かりました」

 

 

「はっ! 攻撃用意!!」

 

 

「了解! 攻撃用意!!」

 

 

日本国防軍の潜水艦だと決めつけた艦長は

深雪が乗る船に対する追跡と攻撃を諦めて

近づいてくる潜水物体への攻撃を命令じた

 

 

「目標、尚も接近中!!」

 

 

「身のほど知らずな……魚雷発射用意!!」

 

 

「了解、魚雷発射用意!!」

 

 

艦長の指示を受けた潜水艦の隊員が

向かってくる敵と思われる物体へと

標準を合わせ魚雷の進むコースを設定すると

 

 

「魚雷、発射準備完了!」

 

 

「よし!」

 

 

攻撃の準備が整ったことを艦長に告げた

 

 

そして……

 

 

「魚雷、発射!!」

 

 

「発射!!」

 

 

プシュー プシュー

 

 

潜水艦から魚雷が接近してくる

謎の潜水物体への発射されると

 

 

 

 

 

ドドーーーン

 

 

 

 

 

魚雷が命中した爆発音が確認された

 

 

「魚雷、2発とも命中」

 

 

「よし」

 

 

命中した報告を受け思わず拳を握りしめる艦長

 

 

「以外に呆気なかったですね」

 

 

「そうだな……平和ボケし

今さら環境保護を意識している甘い連中に

この大亜連合の最新の潜水艦に敵うものか」

 

 

そう言って敵を撃沈したと確信した

艦長が声をかけてきた隊員に言い放った

 

 

 

 

 

 

 

しかし!!

 

 

 

 

 

 

 

「艦長!!」

 

 

「どうした?」

 

 

「敵は尚も接近中!?」

 

 

「なんだと!?」

 

 

「しかも先程よりも移動速度が上がりました」

 

 

「バカな!?」

 

 

部下の隊員からの信じられない言葉に

艦長が驚愕しながらレーダーに目を向けると

確かに撃沈したと思っていた謎の潜水物体が

尚も潜水艦の方へ接近してきていたのである

 

 

「魚雷は命中したのではないのか!?」

 

 

「はい、2発とも命中を確認しました」

 

 

「ならば何故、撃沈できてないのだ!?」

 

 

「わっ、分かりません」

 

 

「えーーーい、構わん!

再度魚雷を撃ち込んで今度こそ沈めろ!」

 

 

「了解! 魚雷発射!!」

 

 

プシュー プシュー

 

 

再び潜水艦から2発の魚雷が発射され

 

 

ドドーーーン

 

 

魚雷が命中した爆発音が再度響き渡った

 

 

「魚雷命中!」

 

 

「どうだ!?」

 

 

命中確認の報告を受けた艦長が

今度こそ撃沈したか確認すると

 

 

「目標、更に接近……目の前にいます!!」

 

 

「そっ、そんな筈は……」

 

 

「「「「「 ………… 」」」」」

 

 

艦長だけでなく潜水艦に乗っていた

全ての隊員は緊張感より恐怖心に囚われる

魚雷を4発も受けたにも関わらず沈まずに

敵が接近して来るので当然といえば当然だった

そしてソナーが信じられない音をキャッチした

 

 

「かっ、艦長……」

 

 

「なっ、なんだ?」

 

 

緊張しながら返答すると……

 

 

「巨大な……心臓の鼓動が!?」

 

 

「なっ、なに!?」

 

 

ソナーの探知士の言葉に艦長が動揺した直後

 

 

ズガガガーーーーーン

 

 

「「「「「「「 !? 」」」」」」」

 

 

潜水艦が激しい揺れに襲われたのだ

 

 

「何が起きた!?」

 

 

「分かりません!!」

 

 

「コントロール不能!!」

 

 

「右舷破損、海水が浸水!!」

 

 

海水が浸水した報告が伝えられた……そして

 

 

ザババババ

 

 

至る箇所から海水が入り込んできたのだ

忽ちパニックに陥ってしまう潜水艦内部

 

 

「メーデー、メーデー、こちら偵察艦

現在、正体不明の攻撃を受けている、救援を……」

 

 

堪らず艦長が救難信号を発信しようとするが

 

 

ガガァァァァァン ザバァァァァァッ

 

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

艦長は浸水してきた海水に飲み込まれてしまった

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

ズドドドーーーーーーーン

 

 

「グギャァァァァァ オォォォォォォン」

 

 

海中に潜水艦の爆発音と不気味な咆哮が

響き渡ると大亜連合軍の潜水艦は消息を

断ってしまったのであった

 

 

 

 

 

 

 

その頃、海上では……

 

 

 

 

 

 

 

「!!!?」

 

 

潜水艦から港に全速力で引き返すクルーザーに

乗っていた達也が何かを察知し後ろを振り返る

 

 

「? 達也くん?」

 

 

そんな達也に穂波が声をかけると

深雪と深夜も達也の様子に気づく

しかし達也は穂波の声に気づかず

鋭い視線を海に向けている

 

 

「達也くん?」

 

 

「…………」

 

 

「たーーつーーやーー君!!」

 

 

「はっ、はい?」

 

 

大声で呼ばれて漸く達也は穂波の声に気づいた

 

 

「一体どうしたのよ、怖い顔して海を見て?」

 

 

「いえ……」

 

 

「大丈夫よ、必ず潜水艦は振り切れるわ」

 

 

穂波は達也が潜水艦を過度に

警戒してるか恐れていると勘違いすると

 

 

「まったく……そんな事で

深雪さんのガーディアンが務まりますか?」

 

 

深夜が冷たい声で達也を睨み付けるが……

 

 

「いえ、潜水艦ではない別のなにか

もっと強力な気配を感じたような気が?」

 

 

「「???」」

 

 

達也のその言葉に深夜と穂波は

訳が分からなそうに首を傾げていた

 

一方で深雪は魚雷を破壊した達也の

魔法を目の当たりにして更に達也のことを

更にもっとよく知りたいと思っていたのだった

 

 




ゴジラのお陰で達也と深雪が潜水艦から
逃げられた形になりましたが如何でしたか?

次回の話から今回のゴジラの行動の
影響によりコミックの内容にオリジナルの
要素が多く混ざっていくと思うのでお楽しみに!


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第4話 唯一の生き残り

お待たせしました!
ゴジラの潜水艦襲撃によるオリジナル展開です

矛盾する点があるかもしれませんが御容赦下さい

それではご覧下さい!



セーリングの途中に所属不明の潜水艦が現れ

襲われながらも無事に潜水艦を振り切り(?)

別荘に帰って来た深雪たち

 

 

しかし、その夜……

 

 

「突然のお呼び立て申し訳ありません」

 

 

深雪たちの別荘に一人の男性が訪ねてきた

 

 

「私は国防軍大尉の風間玄信です

遭遇した潜水艦について話をお聞かせ願います」

 

 

やって来たのは国防軍の上官であった

どうやら深雪たちが遭遇した潜水艦の

情報を掴んで詳細を聞きに来たようだ

 

 

……そして

 

 

「では恩納瀬良垣から伊江島へと

進んだ海域で所属不明の潜水艦と

接触した……と」

 

 

「はい」

 

 

「潜水艦を発見したのは偶然だったんですか?」

 

 

「最初に発見したのは船長さんです

詳しくはあちらに聞いてくださいませ」

 

 

風間からの質問の殆ど穂波が答えると

直後に風間が穂波や深雪には不愉快な

質問を投げ掛けてきた

 

 

「魚雷を撃たれたそうですね」

 

 

「はい……」

 

 

「攻撃された原因に何か心当たりは?」

 

 

「!!!?」

 

 

「そんなもの、あるわけないでしょう!」

 

 

その質問をされた瞬間

深雪と穂波の表情に憤りが現れる

まるで自分たちが潜水艦が手引きを

したのではと疑われたように感じたのだ

しかし風間はそんな深雪と穂波のことを

気に止めず今度は達也に質問をして来た

 

 

「君は何か……気づかなかったか?」

 

 

「…………」

 

 

風間に尋ねられた達也は

少し間を開けてから質問に答えた

 

 

「……目撃者を残さぬために

我々を拉致しようとしたのではと考えます」

 

 

(えっ?)

 

 

達也の言葉は深雪にとって

予想外のものに加え自分たちが

拉致されていた可能性があったのだと

知り戸惑いながら心の中で声をあげた

 

 

「ほう……拉致かね?」

 

 

風間は達也の推測を興味深そうにしている

 

 

「乗っていたクルーザーに

発射された魚雷は発泡魚雷でしたから」

 

 

「達也くん……なんですか、それ?」

 

 

「弾頭に大量の泡を作り出す薬品を仕込んだ

魚雷のことです……泡で満たされた水域では

スクリューが役にたたなく状態にし足止めし

事故を装って乗務員を捕獲することを目的に

作られた兵器です」

 

 

「……何故、そう思う?」

 

 

達也が穂波からの質問に答えると

再び風間からの問い掛けを受ける

 

 

「あの時、クルーザーの通信は妨害されてました

事故を偽装する為には通信妨害の併用が必須です」

 

 

「兵装を断定する根拠としては些か弱いと思うが」

 

 

確かに達也の説明だけでは根拠として弱いが

達也は自分だけが使える特殊な手段で魚雷を

実際に無効化したので魚雷の正体を見抜いた

 

しかしそれは表沙汰にすることは許されない

四葉家の最高機密なやり方だったので達也は

確証していながら予想という形で答えたのだ

 

 

「無論それだけで判断した訳ではありません」

 

 

「他にも根拠があると?」

 

 

「はい」

 

 

「……それは?」

 

 

風間は知ってか知らずか達也にそれを尋ねてきた

しかし最高機密を漏らすわけにはいかない達也は

堂々とした態度で風間に言い放った

 

 

「回答を拒否します!」

 

 

「「!?」」

 

 

達也の堂々とした姿勢に風間と深雪が息を飲んだ

 

 

「根拠が必要ですか?」

 

 

「……いや不要だ」

 

 

達也からの更なる言葉に辛うじて返答する風間

すると今まで沈黙を貫いていた深夜が溜め息を

吹きながら風間に口を開いた

 

 

「大尉さん。そろそろ宜しいのではなくて?

わたくし達に、お役に立てる話はできないと

思いますよ」

 

 

深夜は達也を援護したわけではなく

深夜自身も達也の……強いて言えば

四葉の秘密を知られる訳にはいかず

達也の言葉に助け手を出したのだ

 

 

「…………」

 

 

風間は達也と深夜のタダならぬ様子を

悟ったのかソファーから腰をあげると

 

 

「ご協力に感謝します」

 

 

そう口して深夜たちに頭を下げて

別荘を出て基地へ戻ろうとした時だった

 

 

バタン

 

 

「大尉!」

 

 

突然、部屋の扉が勢いよく開かれると

風間の部下とみられる男性が

緊迫した様子で部屋に駆け込んできた

 

 

「ちょっと、なんですか

ノックもしないだなんて失礼ですよ!?」

 

 

急かさず穂波が男性に抗議するが

男性は穂波を無視して風間の元に駆け寄る

 

 

「一体どうしたと言うのだ?」

 

 

「はっ! 実は先程……」

 

 

「ん?」

 

 

ヒソ ヒソ ヒソ

 

 

風間の部下が風間の耳に何やら小声で囁くと

 

 

「なんだと、確かなのか!?」

 

 

「はっ! この方々が魚雷による攻撃を受けた

海域ですし日本の潜水艦では無かったそうです」

 

 

部下の言葉を聞き驚愕した表情になる風間に

達也と深夜は表情を崩さず冷静に振る舞うが

深雪と穂波が何事かと緊迫した表情になると

風間は再び達也たちに不可解な質問をして来た

 

 

「申し訳ないが、もう1つお尋ねしたい」

 

 

「何ですか?」

 

 

穂波はしつこく質問してくる風間に先程から

嫌気が指していたことに加えて部下の男性が

ノックもせずに勝手に入ってきたので苛立つ

感情を隠さずに気に入らなそうに返事をする

 

 

「変な質問だと承知の上で尋ねます

皆様が海中で見たのは潜水艦だけでしたか?」

 

 

「!!」

 

 

その質問に達也が目元を動かし反応した

 

 

「だから何度も言っているではありませんか

海中を潜航している物体を目視するだなんて

素人に出来るわけがないではありませんか?」

 

 

穂波としてはハプニングがあったので

体調の悪い深夜と動揺している深雪を

気づかい再度苛立ちながら返答すると

風間の口から信じられない言葉が帰ってきた

 

 

「……実は先程あなた方を攻撃したと思われる

潜水艦が沈没しているのが発見されたそうです」

 

 

「「えっ!?」」

 

 

「「…………」」

 

 

風間から聞かされた言葉に深雪と穂波が

声を揃えて驚きの声をあげ深夜も表情が

僅かに変わったのに対して達也の表情は

何やら鋭さを増していると風間も達也の

様子に気付き尋ねてきた

 

 

「……君は何か見たのかね?」

 

 

風間にそう尋ねられた達也を見て

深雪と穂波は先程の潜水艦から

逃れようとしていた時の達也の

様子を思い出した

 

 

「……確証ではありませんが?」

 

 

「構わん。話してくれ」

 

 

間を置いてから達也は風間に

自分が感じた通りのことを、そのまま話した

 

 

「潜水艦より大きく……

それも生物のような気配を感じました……」

 

 

「「「!!!?」」」

 

 

達也の話に風間と深雪と穂波が

案の定、驚き戸惑った様子に変わる

 

 

「たっ、達也くん……

そんな潜水艦を沈められるような

巨大な生き物が居るわけないじゃない……」

 

 

「そっ、そうです

そんな大きな生き物がいたら

とっくの昔に見つかっている筈です……」

 

 

動揺しながらも達也の言葉を

穂波と深雪の順に否定すると

 

 

「達也。深雪さんのガーディアンである

あなたがそんな非現実的な空想話をして

深雪さんの顔に泥を塗るつもりですか?」

 

 

深夜も声はいつもの冷たくも気品のある

静かなものだが表情は怪訝なものだった

深夜も潜水艦が沈没していたという話は

驚いたが流石に潜水艦を沈められる程の

巨大な生物を感じたという達也の言葉に

何を言い出すのだと苛立ちを覚えたのだ

 

 

「……失礼しました」

 

 

それを察したのかは分からないが

達也は深夜に頭を下げて謝罪した

 

 

「分かりました、ご協力感謝いたします」

 

 

その様子を見ていた風間は席を立つと

頭を下げて外へ出ていったので達也と

深雪が見送りに出た

 

その際旅行初日のお散歩の際に深雪に

絡んで達也に返り討ちにされた男性の

一人と再会し彼は風間の部下の一人で

国防陸軍の部隊であったことを知った

名前は"桧垣ジョゼフ"で上等兵だった

 

桧垣は絡んだ事を素直に謝罪したので

達也は淡々と深雪は渋々ながら了承し

両者が和解すると風間は達也に陸軍の

基地の見学を提案して桧垣の運転する

車に乗って帰っていった

 

 

しかし基地では風間が思いもしない

更なる衝撃的な事態が待ち構えていた

 

 

 

ーー国防陸軍恩納基地ーー

 

 

 

別荘を後にして風間が基地に戻ってくると

何やら基地の様子が慌ただしかったのであった

 

 

「なんの騒ぎだ?」

 

 

「分かりません」

 

 

風間と桧垣が基地の様子に首を傾げていると……

 

 

「風間大尉!」

 

 

「真田か、一体なんの騒ぎだ?」

 

 

風間の元に国防陸軍平気開発部の真田が

戻ってきた風間に気付き駆け寄ってきた

 

 

「つい先程地元住民からの通報で恩納瀬良垣の

海岸に数人の外国人とみられる遺体が数体ほど

打ち上げられているとの連絡がありました」

 

 

「なんだと!?」

 

 

「しかも遺体の身なりからして軍人かと」

 

 

「それで現状は?」

 

 

「只今、部隊を派遣して調査に向かうところです」

 

 

「わかった、私も行こう」

 

 

「大尉、自分も同行します」

 

 

「うむ、頼むぞ桧垣」

 

 

戻ってきて直ぐであったが風間は

真田と桧垣と共に恩納瀬良垣の海岸に

打ち上げられたという外国人の軍人と

見られる遺体の回収と現地調査に向かった

 

 

 

ーーそしてーー

 

 

 

恩納瀬良垣の海岸には通報通り

軍服を来た男達の遺体が倒れていた

 

 

「これは……」

 

 

あまりの惨状に風間を初め

駆けつけた陸軍の部隊は騒然とする

 

 

「見たところ全員

海から流されてきたみたいですね」

 

 

「あぁ……もしかすると

先程、見つかったという沈没した

潜水艦の乗組員の可能性が高いな」

 

 

「たっ、確かに!」

 

 

風間の言葉に真田や他の部隊も共感する

 

 

「とにかく念入りに調べてから

遺体をすべて基地まで運ぶ手筈をするように」

 

 

風間が指示を出すと陸軍部隊は

一斉に遺体の様子の状態をチェックすると同時に

遺体の着ていた服装や他に流れ着いた物の中から

何処の国の部隊かを割り出そうと作業を初めると

 

 

「これは……」

 

 

「あぁ、十中八九……大亜連合だな」

 

 

風間たちは遺体の着服していた軍服に

付いていた紋章や特徴を見て日本と

敵対する大亜連合の部隊だと見抜いた

 

 

「仮に彼らが例の潜水艦の乗組員だとすると」

 

 

「やはり潜水艦は大亜連合の物ということだ」

 

 

風間たちも潜水艦の正体は敵対する大亜連合の

潜水艦ではないかと思っていたようだが遺体を

調べて自分たちの見解が正しかったと確信した

 

 

……その時だった

 

 

「大尉!」

 

 

「ん?」

 

 

近くで遺体を調べていた桧垣が

慌てながら大声で風間を呼んだ

 

 

「この男、まだ息があります!」

 

 

「なんだと!?」

 

 

桧垣の衝撃的な大声に急かさず風間が駆け寄ると

 

 

「うっ、うぅ……」

 

 

かなり衰弱しているが確かに男は生きていた

 

 

「これはいかん! 直ちに基地へ運ぶぞ」

 

 

「「はっ!」」

 

 

風間は他の遺体と漂流物の調査を

他の部隊に任せると真田と桧垣の

3人で男を基地へと運び込んだ

 

 

基地には既に連絡が来ていたらしく

風間たちが車で到着すると直ぐに陸軍に

所属する医療チームによって運ばれていった

 

 

「大丈夫でしょうか?」

 

 

「分からんが我々としては

事情を聞き出したいので助かってほしいな」

 

 

「ですね」

 

 

基地の医務室へ運ばれていく大亜連合の男を

見送りながら風間たちが呟くと直後に風間は

深刻な事態を口にしだした

 

 

「最悪の場合……大亜連合が潜水艦の沈没が

我らの攻撃によるものだと見る可能性がある

そうなれば報復しようとしてくるかもしれん」

 

 

「「!!!?」」

 

 

風間の言葉を聞き緊迫した表情になる真田と桧垣

 

 

「それに潜水艦が沈没した原因も気になる

明日から沖縄周辺の監視を強化するように」

 

 

「「はっ!」」

 

 

風間の指示に真田と桧垣は敬礼しながら答えた

そんな二人を見ながら風間は先程別荘で達也が

言っていた言葉を思い出した

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「潜水艦より大きく……

それも生物のような気配を感じました……」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ハハハ……まさかな」

 

 

そう呟きながらも風間は嫌な予感がしながらも

大亜連合の報告を口実とした侵攻を恐れていた

 

 

 



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