モナドが断ち切るその先に (ミンナノキモチガツタワッテキタヨー)
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夢と入試と大剣と

※筆者は何にも考えてない
※ストーリーすらまともに浮かんでない
※でも心のモナドに導かれて書いた。

以上3点を心に留めて読んで頂ければこれ幸い。


時折、夢を見る。

 

 

遥か昔からある神の上で

 

二柱の亡骸と水平線が織り成す世界で

 

 

 

────夢の中の僕らは暮らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……またか」

 

じっとりとした感触が背中にある。あの夢を見るといつもこうだ。

自分だけど自分じゃない奴が明らかにおかしな世界で過ごしているのを俯瞰視点で見るのは何だか僕には気味が悪かった。

 

布団を押しのけベットから飛び退く。自分の形が残るベットの上に消臭スプレーを吹きかけた。

 

おもむろにカーテンを開け新しい空気を入れる。

天気は快晴。それだったら今日くらい、この空みたいに気分の悪い夢とはサヨナラしたかったのだが。

 

皮肉げに太陽を見せつける空に僕は少しだけげんなりする。

 

「見てしまったものは仕方ない、か」

 

しかしそうも言ってはいられない。

今日は僕にとってこれからを決める大切で重要な日。

 

嫌な夢を見たからベストが尽くせない、なんて言い訳は通じるはずもないのだから。

 

手早く朝食、歯磨き、シャワー、着替え、その他諸々を済まして玄関でキュッと解けないように靴紐を締める。

前日から玄関前に置いていたリュック、そしてギターケースより長方形に近い大きな箱の取っ手を握って玄関のドアノブに手をかけた。

 

「行ってきます」

 

答える相手はいない。

それもそのはず、僕────シュルク=クラウスは天涯孤独の身なのだから。

 

ガチャリとオートロックでドアが施錠される音を確認して僕は会場への道を足早に辿る。

 

そのうち先ほど見た夢は記憶の縁から零れたのか、僕の憂いは試験会場────雄英高校の校門を目にする頃には跡形もなく消え去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいっちに、さんし」

 

筆記試験で凝り固まった身体を準備体操でバキバキと鳴らす。

出来は上々。夢を見た割にはそこそこ集中できたと思う。

 

次の関門は実技試験。周りの受験生たちも個性の確認や僕のように準備体操をするなどしてコンディションを整えていた。

 

僕はそそくさと人の群れから脱出し端の方へ移動すると持っていた箱のロックを解除する。

 

収められているのは親の顔より見た蒼白いネオンのようなラインが走る紅い大剣。中央部はくり抜かれたように円形の空洞になっている。何も無いわけじゃなくガラス状のプレートがあるのだ。

これが僕の個性なわけなのだが……。

 

「やっぱ悪目立ちするよね……」

 

そう小さくボヤいた。

思えば箱の時点でかなり注目されていたし仕方ないと言えばそうなのだが、やはり慣れない。

これが全く個性に見えないのは分からないでもないが。

 

このご次世代に大剣引っさげてヒーローになろうと言うのはおかしい……うん、僕でもおかしいと思う。

でもこれはサポートアイテムじゃなくてれっきとした僕の個性だから!

 

そう自分に言い聞かせて周囲の視線に晒されているうちに試験時間はやってきた。

僕はゆっくり息を吐きながら大剣──モナドを構えた。

 

僕の動きに応えるかのようにモナドの蒼いラインが淡い光を帯び、中央部のサークル部分に「疾」と達筆な一文字が現れる。

 

 

「さぁ、いくよっ!」

 

 

気の抜けるような教師の合図、数拍遅れて僕はビル立ち並ぶ演習場へと飛び出した。

 



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機を断ち人を断たず

続いた。

なんでさ(自問)


追記:タグ追加しました。タグ欄を見て不穏な雰囲気を感じた人は回れ右をお願いします。


「ヤァッ!」

 

加速した勢いそのままにモナドを横薙ぎ。

耳の痛くなるような音がするけど機械いじりが趣味の僕にとっては屁でもない。そのままモナドを一気に振り切ってロボを破壊する。

まずは一体目だ。

 

開始早々に仲間を処理されたロボたちは今どきのヴィランでも言わないだろう罵詈雑言を撒き散らして僕に突貫してくる。その数三体。

 

ちょうど全部が一直線に重なったタイミングでモナドを前方へと突き出した。

だけど相手には届かない。躱されたとかじゃなくて、単純に相手までの距離が足りなかった。

 

ロボは思考回路の中で僕をあざ笑ったことだろう。

でもそれは見当違い、僕はニヤリとして──モナドの刀身をガパリと開いた。

割れた刀身の間に蒼光が迸る。そうしてモナドの全長と同じかそれ以上の光の刃が形成された。

 

図られたタイミングで放たれた一撃はロボの中枢を抉りとる。先ほどまでやかましかった彼らは物言わぬ鉄屑へと姿を変えた。

 

「うん、流れが見えてきた!」

 

拍子抜け、というわけではないが()()でロボが沈黙するのは想定内だった。

その根拠は今モナドのプレートに浮かび上がっている「機」の文字だ。

 

最初に使用した「疾」と「機」、その他にもいくつか発見した文字はあるけど、それらに共通する事項としてその文字に則したバフを与える力がある。

 

「疾」ならば行動の速さが高まり、「機」ならば機械類に対しての攻撃力が飛躍的に強化される。

そして、元々モナドは────。

 

これまでの振り返りをし始めた頭が背後から聞こえた音で中断される。

ガシャガシャとした音が風切り音に変わったタイミングで僕は身を逸らした。

 

ロボの振り下ろし攻撃は()()()()()()()()()地面へと突き刺さる。ロボが困惑したスキに僕は小さくジャンプして後方へとモナドを突き出した。

 

もう一度、次は大きく()()()()()ジャンプしロボと距離を置く。穿たれた穴からは背後の景色が見え、ほどなくしてロボの視覚カメラは光を失った。

 

 

モナドはおそらく──人を斬れないという性質がある。ソースは僕と知り合いのおじさん。

 

自分の個性のはずなのに光の刃が出ると気が付かなかった小さな頃の僕は急に飛び出たそれに運悪く接触してしまった。

だけどモナドの刃は僕の手を思いっきり弾くだけで済んだ。そのせいで脱臼したのは秘密だ。

 

その話を聞いて面白がったおじさんがあろうことかモナドで俺を弾き飛ばして見ろと言ってきたのだ。

 

好奇心旺盛でよく考えもしなかった僕はおじさんに向かって野球選手よろしくモナドをフルスイングしたら……うん、今思えばモナドにはノックバックのエンチャントがついてるのかもしれない。

地平線の彼方、とまでは言わないけどかなりの勢いでおじさんはぶっ飛ばされた。

 

ともかく、その後あれこれ試した結果モナドは人を斬れないことがわかった。他の生物も斬れないかはさすがに試したことはないけど……多分対象外なのは人だけだ。だからといって軽率に振るえば大惨事を引き起こすこと間違いなしだけどね。

 

モナドの光刃をしまってプレートの文字を「疾」に変更する。次なるロボのいる場所を目指して僕は走った。

 

 




当シュルクはスマブラとゼノブレイド本編の間の子です。OK?


今回描写したスマブラ要素としては……
・緊急回避(ロボの攻撃すり抜け)
・空後(4体目のロボトドメ)
・2段ジャンプ

そしてスマブラの「吹っ飛び」とモナドの「人を斬れない」要素を掛け合わせた結果「人斬れないけどノックバックする」という設定が生えました。
どのくらいの攻撃でどのくらい吹っ飛ぶのかはスマブラと同じ感じでよろしく。
体育祭無双しそうな剣だなお前()



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