[凍結]女の子同士でなんて、と言い張る茜ちゃんを陥落させる12の方法 (名も無き二次創作家)
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春は出会いの季節。
どうしてこうなった


初めまして。よろしくお願いします。
この小説は作者の趣味で書いています。
合わない、嫌いだと思った方は感想欄などで報告する必要はありません。
すぐにブラウザバックしてください。
本文はIQを3にしてからお読みください。
追記:幹部メンバーの会話は誰がどの台詞なのかとか気にしなくて大丈夫です。大体こんな感じの話し合いだったんだなーて認識でよろしくお願いします。
追記2:調子こいたガキ感を出そうとしたのですが、痛さ満載になっていたので修正しました。塩梅が難しいです。よろしくお願いします。


俺の名前は百合(ひゃくごう)百合音(ゆりね)。最近よくいるTS転生者だ。

 

「百合、あんたボーダーに入ったんだって?」

「やるじゃん、ひゃくごー」

「あいかわらず、あたま以外のスペックは高いやつだなあ」

 

この3人は同じクラスの友達。全員レズだ。

人呼んでレズ3人衆。

去年の入学初日、いきなり襲われたときは焦ったぜ。しかも3人がかりで。

まあ、逆に美味しくいただいてやったがな。

特にくびれが美味しかったです。ぐへへ

 

「まあ、勉強以外であたしにできないことはそうそうないよね。だってあたしだし」

 

ドヤッサ!

運動神経に美貌にと、天は二物を与えてくださった。しかし——

 

「その勉強が致命的すぎる」

「この前のテストも、赤点すれすれだったよね~」

「おい、たしか隣のクラスの秀才ちゃんにみっちり教えて貰ったって……」

 

「うるせえ。一ヶ月前からおにゃのことのニャンニャンを封印してやっと勝ち取った赤点ゼロの奇跡を馬鹿にするな!」

 

なんだよその目は……。ちきしょう!

バカだからってバカにしやがって!(カブト構文)

ああ神様、どうして知能(三物目)は与えてくださらなかったのですか。

それくらいついでにくれたってよかったのに。

 

はあ……、つっかえ。

 

「まあいいや。あたし、今日から放課後はほとんど毎日ボーダーに直行しなきゃだから。ばいばい♡」

 

「お、おう///」

「(キュン♡)」

「が、頑張れよ///」

 

暴力的な可愛さを持つ俺は、同性相手にもニコポができるのだ!!

 

 

 

 

 

 

ボーダーに入隊してから数日がたった。

今世から才能に溢れている俺はさくさくB級に上がり、開発室の人達からも引っ張りダコ。

今日も城戸司令に招集をかけられている。俺またなにかやっちゃいました?w

 

いろんなチームがスカウトに来たけれど、どのチームにも大抵はかあいいおにゃのこが一人は居るから決めきれなくて保留にしてる。

どの隊もオペレーターのレベルが高すぎるッピ!

 

 

俺はこの身体になってから、性的に興奮すると舌なめずりをしてしまう癖がある。

そしてボーダーのオペレーター相手に何度も舌なめずりをしてきた。

ちなみに俺は狙った獲物は逃さない。

ノンケだろうとかあいければかまわず喰っちまうタイプだからなあ?

同性だろうがあたしの可愛さで虜にしてしまえるし、(身体は)同じ女だからシて欲しいこととか触って欲しいところがよくわかるため、今のところ撃破率120%で6割がリピーターになっている。

しかしあたしとのおせっせがよすぎて戻れなくなりそう、とかで4割が一夜限りの関係で終わってしまっている。

迫っても逃げられるんじゃしょうが無い。

あたしも(自分からアタックしてノンケをばりばりむしゃむしゃするとはいえ)、最終的には相手との合意のもと行うようにしているゾ。

レイプだめ絶対。

 

「おっと、そういえば今日は城戸指令に呼び出されてるんだった」

 

可愛くて強い俺は、ボーダーでもまじで引っ張りダコなのだ。

あー、人気者は辛いぜえ(ニチャア)

 

百合(ひゃくごう)百合音(ゆりね)、呼び出しに応じ参上しました」

 

『うむ、入れ』

 

ガチャ

 

「よく来てくれた。百合くん」

 

「いえいえ、人気者は色々な方に呼ばれるものなので。それよりみなさんお揃いで、今日はどうされたんですか?」

 

最高責任者兼本部指令の城戸さん、本部開発室長の鬼怒田さん。

さらにメディア対策室長の根付さんに本部長の忍田さん、玉狛支部支部長の林藤さんまで……。

 

「ふ、人気者、か。そういえば近頃ボーダー内部の、特に女性に人気の人物がいるそうじゃないか、根付室長」

 

おろ?無視???今城戸さんこの超絶可愛い俺を無視した????

 

「ええ、どうやらまだ学生でありながら勉学を差し置いて、ふしだらな行為にうつつを抜かす者がいるようです。忍田本部長もご存じですか?」

 

へー、そんなやつがいるのか。学生の本分である勉強のためににゃんにゃんを封印した俺を、少しは見習って欲しいな。

 

「……そうですね。残念ながら、非常に有名ですので。『ボーダー内の女性は隊員・職員問わず次々と食べ散らかすやばい奴がいる』と。しかも、どうやら噂によると鬼怒田さんもよく知っている人物だとか」

 

へー、そんなやつがいるのか。食べ散らかすなんてもったいない。おにゃのこはちゃんと綺麗に、徹底的にしゃぶり尽くさなきゃだめじゃないか。

 

「…………才能はあるんだ。だが、奴は本当に余計なことばかりする。しかも無駄に人に好かれるからか、被害者の女性達も絆されてしまい、訴えるどころか懐いてしまうばかり」

 

へー、そんなやつがいるのか。被害者て、まさか無理矢理襲っているわけではあるまいな?おにゃのことのにゃんにゃんはちゃんと合意の上でやらないといけないんだぞ。

 

「へー、そんなうらやまけしからんやつがいるんですか。最低ですね。で、犯人の名前はわかっているんですか?」

 

 

 

「貴様のことだ、この馬鹿者があッ!!!」

 

 

 

ドンッ!と机を叩いていきなり大声を出す鬼怒田さん怖い。

ぴえん。わけがわからないよ。

 

「実はボーダーへ多額の寄付をしてくれている企業がこの噂を聞きつけてねえ。言われてしまったよ。『我々は、学生にそんな爛れた性生活を送らせるために寄付をしているわけではない。改善が見られない場合、次回からの寄付金額は考え直させてもらう』と」

 

お、おかしい。どうしてこうなった?

俺はただかあいいおにゃのこと合意の上で戯れていただけなのに。

まるで女の子を適当に喰い漁ってポイして職場にまで迷惑をかけてるクズやろうみたいな評価を受けている。

なんで??????

 

はっ、そうだ。ここにはまだ上層部最後の良心である林藤支部長が!

 

「………………期待の眼差しに応えてやれなくてスマン。だが今回は相手方の言い分が100パーセント正しいし、200パーセントくらいおまえが悪い」

 

なん……だと……!?

おかしいと思ったんだよ。

外回りの人を除いて上層部メンバーが勢揃いなんて、いくら何でも大仰すぎる。

開発を手伝っている俺は鬼怒田さんと仲がいいし、他の上層部メンバーとも会えば気軽に話す仲だ。

まさか上層部を勢揃いさせたのは、お偉い方の中におまえの味方はいないぞとアピールするための策略!?

 

「これは、ボーダーの信頼に関わる重大案件である。よって、この件を引き起こした百合百合音隊員には一週間の謹慎という罰をあたえる。これはボーダー最高責任者としての命令である」

 

え、まって。

それはおかしい。

ちょま、まっ、待てって。ちょ、まてよ!!!!

 




今日の昼12時40分に続きを予約で投稿しときます。よろしくお願いします。
感想もらえたらうれしいです。
下の方に評価ボタンありますので是非高評価ください(乞食)


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百号、ボーダー辞めるってよ(?)

2話です。よろしくお願いします。
しかしTSモノでよく見る「男のプライド」って、アレなんなんでしょうか?
スカート履くのは男のプライドが、とか
精神が男だろうが前世が男だろうが、たかが服一つでごねるほうがよっぽど男らしくないと思う作者です。
「いや、自分はわかる」という方いましたら是非感想欄でよろしくお願いします。
追記:最後のbyボーダーの意訳文ですが、1年になってたので6ヶ月に訂正しておきました。



謹慎処分を受けたため、学校が終わったら即帰宅しなければならない。

だからにゃんにゃんもできない。

さすがに見張られてはいないだろうが、今回は城戸指令直々の命令だ。

破ったのがバレたら除籍処分だろう。

 

 

 

 

―6日後―

 

「百合音―、明日からボーダー復帰なんでしょー?晩ご飯しっかり食べなさーい!」

 

おにゃのこが……、おにゃのこ成分が足りない…………。

テスト前も封印したが、あれは勉強という集中すべきものがあったから乗り切れたのだ。

もう無理。死ぬ。

俺なんでこんなことになってるんだっけ……。

たしかボーダーの偉い人達に怒られて謹慎処分をくらったんだよね。

でも明日から復帰だから今日を乗り越えればまたおにゃのことにゃんにゃんできる……——

 

 

あれ?

 

 

ボーダーへの寄付って、普通に考えて単発ではない。

ボーダーはこの寄付を継続して受けねばならない。

では、またにゃんにゃんしたら寄付金問題再びだ。

 

つまり、この先ずーとおにゃのことにゃんにゃん禁止?

謹慎があけてもボーダーにいる限りずっと禁止!?

 

「あれれ?俺なんでボーダーに入ったんだっけ」

 

 

◇ダイジェスト回想

 

 

うわ、女の子になってる!?これが噂のTS転生?

 

 

【緊急速報】マッマの顔面偏差値が高すぎる件。これは俺の顔も期待できるか?

 

 

【事件】俺の見た目がよすぎて同性(おにゃのこ)にまで好かれ始める。

 

 

ほう、レズセですか。据え膳食わぬは男の恥よ!身体は女だけど。

 

 

心は男のままだから、恋愛対象は女の子ですね。

 

 

お?男に逆セクハラしてやるのも案外たのしいぞ。(ニチャァ)

 

 

ボーダーってやっぱ人気だなあ。ここに入ればもっとおにゃのこ達に好かれちゃうかも?

 

 

射手(シューター)は武器を持たないから両手が空くのか……。おにゃのこを咄嗟に抱き留められるな。ヨシ!キミに決めた!

 

 

 

ふむ、俺がボーダーに入った理由は今以上におにゃのこにモテたいから、か。そういえばそうだったな。

しかしこれ以上ボーダーに居るとおにゃのこたちとにゃんにゃんできない。

 

 

 

 

じゃあもうボーダーにいる意味ないじゃん。

 

 

 

 

俺ボーダーやめるわ。

 

 

 

―ボーダー本部開発室―

 

「ついに明日ですか。あのバカの釈放も」

「あいつがいないせいで緊急脱出(ベイルアウト)の改良がまったく進まんかったからな」

「ほんと、戦闘技術からトリオン量、果ては副作用(サイドエフェクト)までとことん優秀ですからねえ、彼女は」

「ただ頭とオンナグセが悪すぎる」

「違いない。ま、そんな彼女も明日からまた来ますからね。改良実験が進みますよ」

 

 

「大変だあ!あの馬鹿、ボーダー辞めるってよ!」

 

 

「なにいッ!!?」

「やっぱり謹慎一週間はやり過ぎだったんですよ」

「怒っちゃったのかなあ」

「のんきなこと言ってる場合ですか!このままではあの貴重な被検体を失うことになるんですよ!?正式な除隊は数日後になるでしょうから、それまでに我々で説得してきましょう!」

「おめーあの子のこと大好きだったもんな」

「ここのスタッフは全員そうでしょ!?」

 

ガタンッ

「…………城戸指令に話がある。ここは任せるぞ」

 

「鬼怒田さん……」

「室長……」

 

 

 

 

「さて、急な呼び出しをしてしまってすまない。鬼怒田開発室長がどうしても緊急会議を開きたいというのでね」

「みんな、応じてくれてありがたい」

「いえ、我々も気になっていたことですから」

 

「それで、議題はやはり……?」

「ええ、百合(ひゃくごう)百合音(ゆりね)隊員がボーダーを辞めたいといってきた。噂で聞いた人も居るだろうが、先程城戸指令に事実だと確認が取れた」

「その通りだ。彼女は自主脱退を申し出てきた」

 

「百合隊員、というとこの前1週間の謹慎処分にした彼女ですよね」

「遊びたい盛りの中学生には耐えられなかったんでしょうか」

「しかし、彼女の起こした問題の規模的に考えて、逆にその程度の罰なら温情といっても過言ではないはずですよ」

「まあそうですが……」

 

「みんな、いいかな。まず私の立場から明確にしよう。組織の長として、私は彼女の除隊を引き留めない。ボーダーのやり方に賛同できないなら出て行ってもらうしかない」

 

「……城戸さんの言うことには一理ある。しかし、開発組にとって奴は貴重な被験者。正直、みすみす手放したくはない」

「本部長としても、戦力的に彼女ほどの人材を手放すのは得策ではないかと」

「広報の面からしましても、彼女ほどのルックスを有効活用しない手はないかと」

 

「俺は城戸さんに賛成かなー。本人が辞めたいって言ってるのに大人の都合で無理矢理続けさせるっていうのもかわいそうじゃない?」

 

「な!?」

「……ほう、珍しく林藤支部長と城戸指令の意見が合いましたね」

「本当に珍しい……」

 

「おっと、俺が言ってるのは『本人が本当に辞めたがっているのなら』という話だぜ?」

 

「……どういうことだ、林藤支部長」

「城戸さん、彼女はまだ中学生です。もしかしたらいきなりの1週間謹慎で精神がまいってるだけかもしれない。とりあえず、彼女が精神的に回復してここに直接これるようにまでなったら除隊云々は考えるとしましょうよ。それまでは休学ならぬ休隊。お給料は払わないけど除籍もしない、って感じでどうです?」

 

「ここは教育機関ではなく職場なのだがな」

「職場にだって育休とか産休とか、休みはいくらでもあるでしょ」

「……私は正直、1隊員にそこまですることもないと思うのだが。他の者はどう思う」

 

「今すぐ除籍はしない、というのは悪くないが……」

「辞めるなら辞めるではっきりして欲しくはありますね。他との兼ね合いもありますし」

「じゃあ休隊に期間を設けましょう。例えば彼女が中学を卒業するまでとか」

「彼女は確か……、今は2年生でしたっけ。じゃあ1年と数ヶ月、ですか」

「長いな。6ヶ月が限度だろう」

「じゃ、それで」

 

 

 

 

『6ヶ月保留にする。それまでは除隊させない。どうしてもというのなら司令室に直接足を運べ(意訳)』byボーダー

 

なん……だと……!?

辞めさせてすらもらえないとは、俺そんなに恨まれてるの!?

そんなに恨まれてるところに直接来いとか、行ったら何されちゃうんだよ俺エ!!

怖くて行けるわけねえだろ!いい加減にしろ!

 




うわー、たいへんですー。このままじゃオリ主がボーダー辞めちゃいますー(棒)


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こひにおちたひ

前回の最後のbyボーダーの意訳文ですが、誤って1年となっていたので6ヶ月に訂正しておきました。よろしくお願いします。

城戸さんが丸い気がしますが気のせいではないです。
原作でも「最終決定権は私にある」的な感じで、本作みたいに「私は反対だがみんなは?」というシーンは見たことがない。
これもオリ主による変化の1つ、ですかね。
コイツ関わる人間をすぐ絆す?ので。

あと6ヶ月の除隊保留期間は、表向き既に除隊済みってことになっています。
復帰する場合も表向きだけは再入隊という扱いになります。

それではIQ3にした方から本文へお進みください。よろしくお願いします。


俺は百合(ひゃくごう)百合音(ゆりね)。どこにでもいる普通のTS転生美少女だ。

季節は春。学年は中3。

ボーダー隊員という人気の職を辞めたあの日から、もうすぐ6ヶ月が経とうとしていた。

いや、正式にはまだ除隊処理してもらえていないから一応ボーダー隊員なのだが。

それもあと1週間くらいで終わる。

俺はようやく、人を人とも思わないあの人権侵害組織から解放されるのだ。

 

恋愛という個人の自由まで制限されるなんて、ひどいことだ。

この現代社会でそんな横暴が許されるなんて。

まあ、除隊なんて怖くなくなり、むしろぜひ除隊させてくれという気持ちになった俺を止められる者はいない。

 

勿論あれから沢山のおにゃのこたちとにゃんにゃんしまくりましたよ。

ふわっふわのおっぱいにすべっすべの太もも。そして強く抱くと折れそうなくびれにトロンとしたえっちな目。

こんな素晴らしい行為を禁止するだなんて、やっぱりボーダーなんて辞めるのが正解だったな。

 

百合(ひゃくごう)、おまえボーダーくびになってからオンナグセの悪さに拍車がかかってるな」

「もお半年くらい前の話でしょ~?まだ引きずってるのぉ?」

「他校生にまで手を広げてるんだって?あんまし名前が売れると変なのも寄ってくるし、気いつけなよ」

 

「お、レズ3人衆」

 

だからその呼び方やめろ。と言われるが無視する。

今年もクラス一緒だな。

 

「クビになったんじゃなくて辞めてやったの。あんな悪の組織、やってられっか」

 

「ボーダーが悪の組織って……」

「またひゃくごーが頭のおかしなこと言いだした~」

「どっちかっていったらオマエのが悪だろ。女ったらし」

 

「うるさいなあ、ハァー。あ、きみたち今日暇?4pしようぜ」

 

「そういうとこだよ」

「残念ながらうちら全員今カレシ持ちだから~」

「嫌なわけじゃないが、浮気は萎える」

 

おめえら、レズ3人衆じゃなくてバイ3人衆だったか。

あー、暇だなー。ハァ~~~。(糞デカため息)

今日は知り合い誰も釣れなかったし、知らない美少女適当に引っかけるかあ。

 

「にゃんこだ~~~!」

 

お?その声、美少女じゃな?

今のは校舎裏か。ちょっとのぞいてみようぞ。

 

 

 

 

 

 

「ほう、やはり美少女じゃったか」

 

美しいというよりかわいい系。

紅色の髪に紫のキャスケット(帽子)という、かなり目立つ子だ。

ツインのおさげもキュート。

こんな子をノーチェックだったなんて、信じられんな。

 

「なるほど、その表情は『飼い主に構われすぎて鬱陶しくなったから家を飛び出して適当にぶらぶらしている』って感じだねえ。じゃあわたしもあんまり構わない方がいい?……え、『ぶらぶらしてる間にまた誰かに構われたくなった』?なんというタイミング。じゃあもふもふしちゃうよ~」

 

ネ、ネコと対話してる…………。宗教か?

いや、きっと小動物にも人間と同様に接することのできる良い子なんだろうな。(名推理)

 

どうやら彼女はにゃんことにゃんにゃんするのが好きっぽい。

俺も混ぜてよwww

 

「おや、ねこさんですねえ!」

 

誰もいないと思っていたのだろう彼女は、突然現れた俺にビビって「どぅわああああ~~~~~~!」という特徴的な叫び声を上げた。

それに驚いたねこが逃げてしまう。

 

「あ、急にごめんね。驚かせちゃって……」

 

しゅんっ、とした俺も可愛かろう?

上目遣いのサービス付きだオラァッ!

 

「わっ、可愛い……ごほん。あなたも猫好きなんですか?」

 

「いえ、そういうわけじゃないんですけど……。学校の敷地内にいるのは珍しいと思ったので、つい///」

 

「なるほど……。あ、わたしは3年の日浦茜っていいます。あなたは?」

 

さっきまではねこに話しかけていた姿を見られて恥ずかしかったのか、ようやく目と目が合った。

その瞬間————

 

 

 

 

トゥンク

 

 

 

 

あ、れ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!!!!!

 

「ええい、うるさいぞ!アポイントメントも無しに何だ!?今は会議ちゅ…………う?」

 

俺のノックにたまらず扉を開けたのはボーダー本部開発室長の鬼怒田さん。

なんと、会議中でしたか。だから開発室長の鬼怒田さんが司令室にいるんですね。

 

「タイミングが悪かったみたいですね。出直します」

「いや待て、丁度貴様のことを話していたのだ。入れ」

 

うわ、ちょっ。

急に引っ張らないでくださいよ。

 

 

 

「B級百合、入室します」

 

一応連れ込まれる前に一声発する。

さっきは興奮のあまり乱暴なノックをしてしまったが、今日はお願いをする立場だからな。腰を低くしていこうじゃないか。

 

「待っていたぞ、百合(ひゃくごう)。君の決断を聞かせてくれたまえ」

 

あれ、アポ取ってないのに待ちかまえられてた?

俺が今日来ることわかってたの?副作用(サイドエフェクト)

まあいい。向こうが聞いてくれる姿勢ならむしろ話がはやくて助かる。

 

「はっ、約6ヶ月前にあたしが出したボーダー除隊願いを取り下げさせていただきたく参上つかまつりました!」

 

頼むよボーダーは人々を護るヒーローなんだろこんな美少女が頼んでんだぞいいよななあなあなあ!オナシャス!

ここで「え、君が辞めるって言ったんだよねえ?今更そんな言い分が通るとでも?」とか言われたら返す言葉もないぞ。

 

「……君はあれから、前にも増して浮名を流しているようだな。ボーダーに復帰するならばそのような淫らな行為は慎んで貰うことになるのだが、君にそれができるかね?」

 

何を言うかと思えば。

 

「余裕です!」

 

あの、今なんで「ザワッ」ってなんたの?

確かに日頃の行いは悪かったが、レズセしないと死ぬ病気じゃないんだから、驚きすぎでしょ。(無自覚)

 

「実はあたくし、恋をしまして。もう以前のように不特定多数の女の子たちと寝るようなマネはできません!」

 

「……恋?」

 

「同じ学校の日浦茜ちゃんです!彼女もボーダー隊員って聞きました!今は彼女しか眼中にありません!」

 

「……………………根付くん」

「はい。淫らな生活ならともかく、流石にただの恋愛まで外部に文句を付けられることはないかと」

「……では、彼女の復帰を認めるという者は挙手を」

 

城戸指令以外の全員の手が上がった。

 

「私も、どうしても反対というわけではない。わかった。本日付けで百合のボーダー復帰を認めよう」

 

ヨシ!

これで俺もまたボーダー隊員だ。やったね!

 

 

 

 

 




オリ主の発言は、IQ低そうにするために毎回手直しが入ります。
なにも気にせず書くと、例えば「今日は挨拶が出来ましたが明日も出来るとは限りません。このことは気にとめておいてください」ってなります。
これを手直しして「今日はあいさつできました。でも明日もできるかはわからないのでそこはそんな感じでよろしくです」みたいにします。
あ、次回はメスガキ回です。
影浦先輩を逆セクで弄り倒す回です。
それでは次回もよろしくお願いします。


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影浦パイセンで逆セクハラ

しまった、22時20分に投稿するつもりだったがカゲさん視点を追加してたらとっくに過ぎてました。
ということで後半はカゲさん視点です。よろしくお願いします。
カゲさんの口調がわかりません。
イメージ的に某セロリみたいにセリフがカタカナになるイメージだけど、案外そうでも無いのかもしれないです。
よろしくお願いします。


副作用(サイドエフェクト)。それは選ばれし者の心に膨らむ奇跡のつぼみ……。

まあ、大体そんな感じの不思議能力だ。違うのは原因不明のまま能力が使えなくなったりしないことと、あくまでも人間の機能の延長線上にある力だから火を出したり等はできないってところくらいかな。

なんのことかわかんない人はミルキィをみて、どうぞ。

dアニメでもみれるぞ。なんなら原作をやってもいいぞ。

 

まあそれはおいといて、トリオンっていうのが多い人が希に持っているのが副作用だ。

たぶん「強すぎるトリオン能力の副作用によって生じる不思議現象」ってことでそんな漢字になったんじゃないかな?知らんけど。

 

 

「あ!影浦パイセン、チッスちわーっす!奇遇ですねこんなところでお久しぶりです。やー、どーもどーも」

 

「うげっ、テメェ……嘘だろ?勘弁してくれよ」

 

なんだよその反応は。

可愛い過ぎる後輩と久々に会えたっていうのに。

“可愛すぎる”後輩と!

 

「それ以上に性格がウゼエんだよ!!!」

 

この人の副作用は、えーと確か感情受診体質?だった気がする。

自分に向けられる感情を肌で感じ取れる、みたいな。

だからたまにこうやって、まるで心を読んでいるかのような会話になる。

本人が言うには、そこまで便利なものじゃないらしいが。

 

「へえ~?外見が可愛いことは認めてくれるんですね~?」(ニチャア)

 

狼狽えてる狼狽えてるw

 

「じゃ、オレはもう行く「影浦パイセン!今から食堂で昼飯食べていくんですけど一緒にどうですか?いいよあり!」

 

逃 が さ ね え よ 。

 

 

 

ボーダーの食堂も久々だなあ。

今日は日曜日だから混んでるかもと思ったが、まだちらほら空席がある。

焼き鯖定食とかいう渋いのを頼んでるパイセンの横で、俺はオレンジジュース(大好物)とパフェを頼んだ。

昼食がパフェ。はい俺かわいい。

 

いや、正直まじでこの身体になってから甘い物が好きすぎてやばいんだよな。

まあ太らない体質だからどんだけ食べても問題無いんだけどね??

 

「ここがあいてンな」

 

隅の方の人目につきにくいところが二席ぶん空いていた。

他にも二席あいてるところはあるけど、一番近いのはここみたいだ。

 

角なだけあって少し暗いけど、大声でも出せばすぐ注目の的になれそうだな。

人目につきにくいと言っても所詮その程度。

 

のそっ、と影浦パイセンが奥に座る。

「失礼します」

 

すっと俺がその“膝の上に座る”。

 

 

 

 

 

 

 

「ハ?」

「ふえ?」

 

 

「現実が上手く認識できない」というような声を出した影浦パイセンに、「どうしたんですか?」と問いかける俺。

もちろんカクシンハンだ。

 

俺は中3にしては小柄だし(ただし幼児体型ではない)、影浦パイセンは高3男子の平均身長よりちょい高め。

膝の上に乗っかると、案外すっぽり収まるもんだな。

 

「……テメェ、どういうつもりだ?」

 

怒りが3周くらい回って逆に静かな口調で問いかけてくるパイセン。

少しでも選択肢を間違えたらバッドエンドだろう。

だが、ここはあえて押していく!

 

「いいじゃないですか。半年振りですよ?少しは甘えさせてください」

 

まあ、これは100%嘘ってわけでもない。

俺はこの人が気に入っているんだ。

だから久々に会えて嬉しいって気持ちも確かにある。

それを副作用で感じ取ったのだろうパイセンは俺を膝の上から退かそうとするのを辞めた。

こういうところがすきなんだよねえ。あ、like的な意味でね。

 

けど、もちろんそれだけじゃねえよなあ?

 

「……おい、なにやってるやめろ。動くな止まれ」

 

「なにやってる」って、俺のキュートなお尻でパイセンのチン○ン刺激しようともぞもぞ動いてるだけですけど?

 

「マジでいい加減にしろ。あんま調子にのんなよバカガキ殺すぞ」

 

威勢の良いこと言う割りには焦って早口になってるし、説得力が欠片も無い。

おそらく他のことに意識を裂くと、息子がビンビンになってしまうのだろう。

ゆえに、俺に怒りを向ける余裕がない。

 

これが普通の少女ならただのビッチになってしまうが、俺は元男のTS転生者のためこんなくだらないお遊びにもケイソツに身体を使えるのだ。

 

中身が同性ゆえの距離の近さで男共をドギマギさせる。

これこそTSモノの醍醐味の1つでしょ!

 

そ し て

 

パオーン!

 

「あれあれえ?後輩に欲情しちゃったんですかあ♡?いっつもクールぶって、そのくせ問題行動ばかり起こすヤンキー気取りのパイセンもお、こんな小さな女の子におちん○ん反応させてたら形無しですねぇ♡それにしても年下の女の子に乗られて興奮するなんて、プライドないんですかあ♡?パイセンってド変態のマゾヒストだったんですねえ♡」

 

もう勃ってしまった後のため、ちそちそは諦めて此方に怒りを向けようとしてくる影浦パイセンの濃厚な殺意を察知。

まずい。

 

「テメ「うわあ、影浦先輩かたいものあたってます!ヘンなの押しつけないでください!」(クソデカ大声)

 

「なッ」

 

ざわざわ

ざわざわ

 

「先輩の不潔うぅぅ!」

 

はい、ここで脱兎の如く逃げ出す!

 

 

あ^~、影浦パイセンで逆セクハラして遊ぶのは楽しいなあ!!!

パイセンのあの反応、オレンジジュースの次くらいに美味しかったぜ!

 

 

 

 

翌日しっかり復讐されました。

 

「お、美味そうなの飲んでンな。俺にもくれよ」

「あ゛っ!?あたしのオレンジジュース!?」

ぴえん

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

俺はとにかく人相が悪い。

殺人鬼の目つきだと思われることも少なくない。

そんな俺の人生に、年下の女という生き物はとことん無縁だった。

まあヒカリは例外だ。

アレはどうにも、年下って気がしネェ。

 

ヒカリを除くと、心当たりは1人だけになっちまう。

そいつも半年前にボーダー辞めたらしいし、それから会ってネェ。

きっとこのまま疎遠にナンだろオな。

なんとなくそう思ってた——なのに。

 

「あ!影浦パイセン、チッスちわーっす!奇遇ですねこんなところでお久しぶりです。やー、どーもどーも」

 

なんでコイツがボーダー本部にいやがる?!

辞めたんじゃなかったのかよ!

 

 

 

 

俺にとっての百合百合音は、クッッッッッッッッッッッソうぜえのについ気にかけちまう妹分的存在だ。

なにを気に入ったのか、俺をみるとすぐ飛びついて背中に這い上がってくるし、兎に角距離が近ェ。

 

いつかのある日に俺が膝の上を死守したとき、近くに居た迅が『こっちの膝なら空いてるよ?』とかバカなこと言いやがったことがある。

それに対して百合百合音は『気持ち悪いです生理的に無理ですセクハラですか訴えますよ』と早口でガチ拒絶してたし、そう考えると誰にでもベタベタしてるわけじゃなさそうだな。

 

……基準がわからネェ。

強面の俺なんかより迅のほうがよっぽどルックスが良いと思うんだが。

 

「ギガ盛りフルーツパフェ生クリームマシマシ、オレンジジュース付きで!」

「ボーダーの食堂にそんなメニュー無いけど……、百合音ちゃんのために特別に用意しちゃう!おばちゃんからの復帰祝いだよ!」

「うわーい!ありがとー!」

 

こいつ、性格はクソだがそれを相殺してあまりあるほど顔がいいのだ。

今も食堂のおばちゃんは無理難題を押しつけられてんのに、百合(バカ)の屈託無い笑顔に満足げだ。

つか待て、今なんつった?

今から食うのは昼飯だろ?

昼飯にパフェ食うとかまじかよ。イラつくなあ……。

しかも『お昼もパフェ(甘い物)食べちゃうあたし女子力高いっ、可愛い♡』って顔してやがる。

こういうところがウゼエんだよなぁ。

 

まあいい。

こいつがウザいのなんて今更じゃねえか。

さっさとメシ食って解散してやる。

 

 

 

「ハ?」

 

なにを考えたのか、俺の膝の上に乗ってきやがった。

俺は今から食事するんだが?

正直、前は膝の上に座られることもけっこうあった。

でもヨォ、いくらオメエが小柄だからって、普通に頭が邪魔なんだが???

食事するときには皿から口までの間に空白地帯が必要なんだが???

やることがバカ過ぎて理解できねえ。

 

一応注意するが、コイツが素直に言うことを聞くとは思えネェ。

案の定コイツは『いいじゃないですか。半年振りですよ?少しは甘えさせてください』とか的外れなことを言ってくる。

バカとは話が通じネェ。

 

……まあ、確かに「俺に会えて嬉しい」という感情が突き刺さってくるから嘘じゃないんだろう。

しかも俺に向けられる感情の9割もがそれなのだ。

よくわからねぇヤツだが、こういうのがあるからコイツのことを嫌いになれネェんだろう。

残り1割りは……愉悦?コイツ、なにかバカなことをシやがる気だ!

 

気付いたときにはもう既に遅かった。

このバカのせいで、俺はまた事実無根のヒデェ噂をたてられちまった。

クソッ!やっぱ俺アイツ嫌いだわ!!!!

 

 

 




ゾエ「1つきいていい?」
カゲ「あ?」
ゾエ「百合音ちゃんがいくらすばしっこいからって、
   生身の女の子一人くらい本気で邪魔すれば背中
   に登らせないようにできるよね?膝の上も」
カゲ「…………」
ゾエ「あ、ふーん」

二人は仲良し☆

ケイソツに感想をください。よろしくお願いします。
それと下の方に評価ボタンがありますのでそちらもよろしくお願いします。


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5月、まずは仲間からおねがいします
那須隊入隊


くまちゃんの喋り口調わからないけどこんなもんでいいですかね。
ということで後半はくまちゃん視点です。よろしくお願いします。


4月末、ボーダー本部那須隊隊室前。

今俺は、人生を左右するとてつもなく重要な試練にいどもうとしている。

臆して引けばそこまでだ。

でも勇んで進んでもコケそうだ。

おーけい、ここは最悪を想定しつつラッカン的にかまえよう。

超絶可愛いこの俺ならいけるはずだ。

 

「連れてきました~」

「了解、茜ちゃん。入ってもらって」

 

このドキドキは今から始まる試練のせいなのか、それとも隣の女の子のせいなのか、それはわからない。

今わかることはただ1つ。

 

 

『だったらうちの隊に入りませんか?』

 

 

俺は、今世で初めて本気で好きになった女の子に“求められている”!(ただ勧誘を受けただけ)

 

ボーダーに舞い戻って数日たったが、俺はいままでソロでぷらぷらしてた名残で未だに入隊先を決めきれなかった。

キョドらないように変に意識しちゃいながらそう話した俺にたいして日浦さんがかけてくれた言葉がさきほどのセリフだ。天使かな?

 

別に必ずしもどこかの隊に入らないといけないわけでもないが、忍田本部長が俺の除隊処分を保留にしてくれたのが「戦力的価値」な以上今までのように遊んではいられない。

ソロよりも隊を組んだ方が任務も回って来やすく、戦力でコウケンできるのだ。

 

緊張してるのがバレたのか、茜ちゃんが俺の方を向いてにっこりスマイルをくれた。

は????可愛すぎてムリなんですけど???????

けど10周回って落ち着いた。

心臓の動悸も、面接へのドキドキと茜ちゃんへのドキドキが相殺されて収まった。

それではいざ!

 

「しつら、失礼します!」

「「「「ようこそ、那須隊へ」」」」

 

 

 

 

そこで噛むか?俺よ。

 

 

 

 

 

 

スタートダッシュで失敗した俺だが、那須隊の面々にはおおむね快く受け入れてもらえた。

一番の決め手は俺の愛らしい容姿だった。

やはり人は見た目が10割。見た目良ければすべて良し。

あ、これ俺の座右の銘ね?

 

もしかしたら軽い実力試験があるかもしれないと思っていた。

しかし、実際には俺の入隊は決定事項前提という扱いの上で、お互いを知るための緩い女子トーク(面接らしい)が始まっただけだった。

 

いやあ、それにしても攻撃手の熊谷(くまがい)パイセンいい尻してますねぇ!

パイ乙もかいでーなんだけど、やっぱ尻のがダンゼン魅力的ィ。

 

オペレーターの志岐パイセンは運動をしないタイプなのか、ほんの少しだけ体つきがだらしない。

けして太っているわけではなくむしろ細いのだが、その理由が「不健康だから」というのは見ればわかる。

そのため、細いのに身体が引き締まっていないのだ。

だがそこがいい。

たぷたぷの二の腕や太もも、大好物です。ジュルリ

 

そして最後にこの那須隊の隊長であり射手の那須パイセン。

ふつくしい……。

俺はかわいい系だが、彼女は美しい系だ。

那須パイセンは「ボーダーのトリオン技術を医療に役立てる」ための研究の被験者でもある。

その被験者になるには2つほど条件がある。

1つ目はトリガーを使えるだけのトリオン能力があること。

2つ目は身体が弱いこと。

つまり、那須パイセンは薄幸の美女。

すばらしい。

しかも、身体が弱いことが周知の事実である那須パイセンは、隊室に専用のベッドがある。

そして、基本的に生身のままここから動くことはない。

つまり、現在もあたしの目の前でベッドに入り、上体を起こしながら話しているのである。

女の子とベッド。後はもう、わかるよね……?

妄想はかどります。

 

 

「あの、百合(ひゃくごう)さん?」

「あ、ごめんね日浦さん。ちょっとぼーっとしちゃってた」

 

いけないいけない。

俺はもう茜ちゃん一筋で行くって誓ったんだ。

……よく考えると、軽く拷問だよな?

那須隊は全員が女のガールズチームだ。

こんなの、砂漠の旅人が目の前で「水が入ったコップ」をいくつも並べられているような状況じゃないか。

飲みたい。この美味しそうな水たちをがぶがぶ飲みたい。

だがそれは許されない……。

 

うう……、ツライ。ビクンビクン

 

 

 

 

 

 

あたしの名前は熊谷(くまがい)友子(ゆうこ)

那須隊で、一応攻撃手をやっている。

でも実際には攻撃手とは名ばかりで、主に玲のサポート役だ。

あたしが(れい)の実力について行けてない現状、これ以上この隊が上に行くのは厳しいだろう。

本当は、玲はB級なんかにいていい存在じゃないのに……。

 

玲はけっしてこの事実を認めないだろうが、玲以外のこの隊の全員が理解している。

玲1人だけの実力が飛び抜けていて、周りの自分たちが追いつけていないってことを。

茜も、小夜子も、もちろんあたしも。

 

そんな悩みを常に抱えているあたしたちだが、この前茜が有望な追加メンバーの勧誘に成功した。

しかもその相手とは、なにかと話題に欠かないボーダー屈指の有名人である百合(ひゃくごう)百合音(ゆりね)のことだった。

たしかにあの子は半年ほどのブランクがあるとはいえ、入隊後すぐにB級に上がっているし、A級部隊から勧誘されるほどの実力の持ち主だったはずだ。

 

玲以外は勿論、玲自身もこのチームで上にいくために彼女の入隊を快諾してくれた。

玲はこの隊を第2の家族のように思ってくれているから、もしかしたら追加人員を望まないかもしれないと思っていたが、その心配も杞憂に終わった。

むしろ「家族が増えるね、くまちゃん」と嬉しそうだった。

 

 

 

どうやってそんな大物をゲットしたのかはわからないが、茜にしいては珍しく大手柄だな。

あとでジュースでも奢ってあげるか。

 

「連れてきました~」

 

来たか。

玲の返事と共に、茜が連れてきた百合が入室してきた、のだが……。

緊張しているのか、百合はいきなり噛んだ。

やべーヤツだとかクソ生意気だとかアイツは顔だけだとか、散々な噂も耳にしていたし、才能がある人というのは癖が強い場合が多いから少し身構えていたのだが、案外可愛げのある普通の女子中学生じゃないか。

……可愛げというか、可愛いな。

 

ルックスがよくて周りの同性に嫉妬される女子はたまにいるが、これは、なんていうか“格”が違いすぎてうらやましいとすら思えない。

人間が天使を見て、「天使なんだから造形が整っているのは当然だ」と思うのと同じような心情だ。

 

 

まあ、彼女を酷評していた人達も不快感がそこまでみられなかったし、なんだかんだで上手くやってるんだろうなとは思ってたから、完全にあたしの心配しすぎだったかな。

 

そう思っていたのだが……。

 

 

なんか、今お尻をいやらしい目でみられていたような?

一瞬だったし、気のせいかなっておもったのに。

百合が今度は小夜子と玲の全身をなめ回すように眺めた。

そこで、あたしは百合に関するとある事実を再確認する。

 

『百合百合音はレズビアンである』

 

これはボーダー内どころか一部の地域でも周知されていることだ。

A級の勧誘を蹴ってB級中位の那須隊を選んだのも、うちがガールズチームだったから?

これは危険だ。

ルックスが良いからかわからないけど、コイツにそういう目で見られると此方までそういう気分にさせられる。

あたしがにわかに警戒し出すと、茜が百合に声をかけた。

 

「あの、百合(ひゃくごう)さん?」

「あ、ごめんね日浦さん。ちょっとぼーっとしちゃってた」

 

今のに気付いたのはあたしと小夜子だけだ。

小夜子は、圧倒的美少女から微かに「男」を感じたため混乱している。

これは、コイツの入隊を考え直した方がいいのでは……ん?

コイツさっきから茜のことちらちら見てるけど、おいまじか。

さっきのあたし達に向けてきた不躾な視線とは違い、相手の様子を伺うような、それでいて熱をはらんでいるような視線じゃあないか。

 

完全に恋する乙女の目だった。

 

もしかして、A級を蹴ってこの隊を選んでくれたのはうちがガールズチームだからでもボーダー屈指の美人が隊長をやっているからでもなく、単に茜に誘われたから……?

 

だとすれば、あたしたちは茜を生け贄に差し出すだけで強力な鬼札を手に入れられることになる。

 

 

…………ごめん、茜。那須隊のためだ。

 

 

と、いけない。

小夜子にも訊かなきゃな。

 

「小夜子、大丈夫かあの子の加入」

「……あの玲の笑顔を見て反対できると思う?」

「……」

「まあ、ガワは女の子だしリハビリには丁度良いかもしれないわね。根も悪い子じゃなさそうだし」

 

なるほど。

小夜子も男性恐怖症を治したいと思っていたらしい。

これで反対する理由はなくなったな。

 

その後、軽いトークを挟んで正式に百合百合音がこの那須隊に加わることになった。

 

「加入を認めていただきありがとうございます。ところで、ズバリ決め手はなんでしたか?」

 

え、百合の加入を認めた決め手ってこと?

 

 

茜は「困ってるし、戦力がほしかったから」

あたしは「強いらしいから」

玲は「(顔が)可愛いから」

小夜子は「顔が女だからリハビリに使えるため」

 

 

つまり……。

「戦闘力と……、あとはやっぱり顔かなぁ……?」

 

思わず正直に応えてしまったあたしに、これ以上無いほどのドヤ顔を向けてくる百合。

なるほど。

これが憎めないウザさというやつか。

 

彼女のことを酷評していた人たちの気持ちが少しだけわかってしまった。

 

それはそうと、ねえ玲。

後輩を可愛がるのはいいけど流石に度が過ぎた猫かわいがりはどうかと思うよ。

さっきから抱きしめてわしゃわしゃしてるけど、百合が欲情しないように必死にこらえてるから。

茜一筋ってことなのかそれとも同じ隊の仲間として線引きをしているのかは知らないけど、その努力を無邪気に破壊してやるのはやめてあげなよ……。

 

 




 百合百合音と関わった者の大まかな分類
「ちょっと変わったところもあるけどそこも含めて超可愛い」という全肯定派
「基本的にウザいけど顔が良いし頼めば大抵のことはやってくれるし能力も高いから嫌いになれない、というかむしろいつのまにか好きになっちゃってる自分がいる。悔しい!ビクンビクン」という絆され派
カゲさんとくまちゃんと幹部連中は後者。
那須さんと開発室の一般メンバーは前者。

感想と評価お待ちしてます。
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無理ですう~~~~~~!

この作品はTSオリ主が茜ちゃんを堕とすだけの作品のはずが、TSの醍醐味と言えば逆セクだよね!と軽い気持ちで付けたメスガキ要素の方が人気高そうでヤバイ……。
一応茜ちゃんとの恋愛はタイトル通り、作品内時間で1年かけて進める予定なので序盤である現在は恋愛少なめのメスガキ成分多めですが、話が進むにつれてバランスが逆に傾くのでメスガキ成分は描写少なくなっていきます……たぶん。予定通りに行けばそうなるはず。
メスガキムーブ=男(精神的同性)との絡みなのでね。
よろしくお願いします。


5月が始まったばかりの昨日、愛しの茜ちゃんに勧誘されてほいほいついて行った俺。

そこで茜ちゃんと同じ那須隊に加入できたのは良い流れだった。

俺らしくもなく少しキョドってしまったが、最終的には持ち前の可愛さで面接(笑)もクリア。

 

このまま茜ちゃんと少しずつ距離を縮めていって、ここぞというタイミングで告ろう。

俺は頭を使うこと以外はなんでもできる男。

先に立てた計画をなぞるのに頭はいらないだろう。

ということで、昨日の夜から今日の朝にかけて徹夜で告白までの計画を立ててきた。

 

寝不足でちょっと頭がボーッとしてるけど大丈夫。

今日那須隊は非番のため、茜ちゃんを誘ってデパートに来ている。放課後デートだな。

フードコートで目を輝かせる茜ちゃんに、視線の先のモノ——ソフトクリームを奢ってあげた。

このスマイルが110円で買えるんですか!?安い!!

チキクリ+スマイルはおんなじ値段でスマイルがついてくるが同じスマイルでも普通フェイスのお姉さんのと好きな女の子のとでは価値が違う。価値はドルにしたら、いちじゅひゃくドル……ドルチェは甘味、みかん、くだもの、リンゴ、青森、あれ?

 

いかん。思考が定まらない。

 

「わたしソフトクリーム好きなんです!」

 

いちじゅうひゃく、ドル、甘味がスマイルで値段がチキクリりんごろうじゃなくてえーとえーっと……すき?すき、うん。好きだ。

 

「俺も好きだ。付き合ってくれ」

「え?」

 

……ん?俺今なんつった?

 

「どぅわああああ~~~~~~ッ!?」

 

だあああああっ!?

やらかした!

今日の朝完成した計画なのに1日もたたないうちにぶち壊しだ。

 

「えっと、付き合うって買い物とか……ですよね?百合(ひゃくごう)さんもソフトクリーム好きなんですね!こんどソフトクリーム巡りしましょう!」

 

ここでこの話に乗ればこの場はごまかせる。

まだいける。間に合う。

ごまかせ俺!

 

「あたしは、ソフトクリームが好き————なわけじゃない。日浦茜さん、あなたのことが好きなんだ。本気です。お付き合いしてくださいッ!」

 

嘘はつけなかった。

この気持ちを偽ったら、たぶん今までの身体をもとめるだけの愛と区別がつかなくなっていただろう。

なんの根拠もなく、理屈も怪しい変な話だ。

でも、はたから見てそうでも自分がそうだと思ってしまったらもうおしまいな気がする。

それが怖かったのかも知れないな。

 

今までの女の子との関係にも、確かに愛はあった。

しかし、その愛はどちらかというとlikeで、この(love)とは違うということを明確にしなくちゃいけなかった。

違うモノだと俺自身に証明しなくちゃならない気がしたのだ。

 

「わたしたち女の子同士ですよ!?確かに最近はそういうこともアレですけど、アレはアレでアレなのであれ……、あれ?と、とにかくわたしには女の子同士でなんて無理ですう~~~~~~!///」

 

やはり、いきなりは無理か。

引かれちゃったな。嫌われちゃったかもしれない。

これはまずは友達からって言っても口約束だけになりそう。

もう一歩外の、そう。

 

「じゃあ、まずは同じチームの仲間からお願いします!」

 

そこから距離を詰めてみせるから。

 

 

 

 

「と、いうわけで今から相談に乗ってほしいんですよ」

「俺は暇じゃネエ」

 

ぴえん。

影浦パイセン酷いよ。こんな可愛い後輩が困ってるのに。

 

「じゃ、個人戦であたしに勝てたら見逃してあげましょう」

「だから暇じゃネエっつってんだろ!今日は店手伝わなきゃいけねんだよ!」

 

勝てないからって逃げやがった。

イクジ無し!弱虫!目つき悪い!人殺しの顔!ファッション不良!

 

「いい加減殺すぞテメェっ!!」

「きゃあっ、なんで!?なにも言ってないのに!」

「全部声に出てんだよ!!!!」

 

まじか。

でもだからって、この俺の顔(人類の宝)をマジ殴りしようとしなくていいじゃない。

 

「可愛い後輩の失言くらい見逃してよ。そんなんじゃウツワが知れますよ?」

「んなもん勝手に知れてろ!!ほんとにかわいくねえヤツだなァ!」

 

痛い痛いいたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたッ!!!!

 

「頭ぐりぐりやめてくださいぃー!」

「うるせえ!」

 

くっそーっ、影浦パイセンのクセにぃ……!

これは“わからせ”てやらんといかんよなあ?

俺は咄嗟に背後にいるパイセンのちそちそを優しく指で扱く。

そして怯んだパイセンの両手首を自分の両手でつかみ、下げる。

パイセンの手があたしのコメカミから首、肩を通り越して双丘におおいかぶさる。

 

「……は?」

 

「きゃーっ、影浦先輩あたしのおっぱい揉まないでください!エッチ!変態!バカァ!」(クソデカ大声)

 

あれれ~?おっかしいぞォ?

どおして俺の腰にパイセンのちそちそが当たってるんですかねえ????

ま☆さ☆か!興奮したんですか?可愛くない後輩に?

さっきあたしのこと可愛くないって言いましたよね?

そんな後輩に性的興奮するとか、結局下半身でしかモノを考えられないんですかあ♡

ザーコザーコ♡(ニチャア)

 

と、目でそうやって煽りながら腰を動かして刺激してやる。

いきり勃ちちそちそもだが、それ以上に顔が真っ赤で草はえる。

 

俺は中三にしては小柄だがおっぱいはギリCだ。

半年前にはよく影浦パイセンにBカップで「当ててんのよ」をやって遊んでいたが、その時と比べて明らかな成長を見せたこのおっぱいの感触に恐れおののけ!

しかも今日は体育だったから柔らかい素材のスポブラだ。

おらおら、どおせ未経験のチェリーボーイなんだろぉ?

童貞には刺激が強すぎたかな?(勝者の笑み)

 

人通りはまばらだが誰も居ないわけではなく、また基地内だから声も響きやすい。

これにはパイセンもたまったモノではなかったらしく、前屈みのまま逃走した。

 

ところで、ここは開発室の近くだから防犯カメラが回っている。

映像データを確保して影浦パイセンがまじで俺を襲ってるように編集し、パイセンのスマホに送りつけてやった。

そしたら口きいて貰えなくなった。

ぴえん。

 

上目遣いに涙目、ガチ土下座にご奉仕(意味は深くない)を駆使して2週間後にやっと許してもらえた。

あと俺の恋を応援してくれるそうだ。協力も惜しまないって。

なんだよ、怒った振りして俺のこと大好きなんじゃん。まったくこれだからツンデレは。

 

それはそうと、俺が送りつけた動画を再生したときにたまたますぐ後ろに親がいたらしい。

家族会議になったとか。

 

 

「テメエ反省してねえだろ!」

 

 

 

~シカト中~

 

根付「君、百合隊員と仲が良いですよね」

カゲ「あ゛???」

根付「前の状態に戻られたら困ります。ですから彼女の恋のサポートをしてあげてください」

カゲ「イヤだ」(最大限オブラートに包んだ)

根付「これは開発室から入手した映像なのですが……」

カゲ「……!?」

根付「やっていただけますよね?」

カゲ「ハイ」

 




個人的にあんまり納得できてないけどあまりに更新止まるとエタったと思われそうだから更新しました。
この話で評価下がりそう。

次回はどうしましょう。
茜ちゃんとの仲を進めるために那須隊での連隊訓練とか書くか、それともボーダー内でいろいろ頼まれごとされて軽く引き受けちゃうオリ主を書くか。
オリ主自身は顔だけで世間を渡ってると思ってるけど実際はそれもあるけどそれだけじゃない、みたいなシーンを書きたい。
今までも匂わせてきたけどちゃんと伝わってるか不安ですし……。
でもそろそろ茜ちゃんとの恋を進めないとタイトル詐欺になっちゃう……。
いや、まだ序盤だ。問題無い。
そんな感じでよろしくお願いします。
今週はまだ糞みたいな集中講義が詰まってるので次話はまた来週!
ていうかもうこれからすっと各週ぐらいでいきます、たぶん。
よろしくお願いします。


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新制那須隊

グーでリアンは言いました。「硬い皮膚より速い足」と。
いいですよね、スピード。
どんな攻撃も当たらなければどうということもないですし。
速度こそが正義。

……とか言いながら更新遅すぎるのはどういうことかといいますと、dアニ○でいつもけだるげな田中くんのお話が期限間近だったもので。
楽しみにしてくださってた方がもしいましたら申し訳ない。
あとハーメルンでパパ活したい中等部生徒会長の話も読んでました。
面白すぎた。
現在は圭ちゃん√連載されてますが僕は小藤派なのでそこから先は通行止めです。
おっと、それよりそろそろ本編どうぞ。それとアンケありがとうございました!
よろしくお願いします。


「いい?一人で1の戦果を挙げるのがソロだとしたら、五人で6以上の戦果を挙げるのがチームなの。そして戦果がどれだけになるかはチームの連帯力で決まるわ」

 

とは那須隊長のお言葉。

だからまずは、俺を入れた新制那須隊での連帯訓練をすることになった。

 

「初めての共同作業だね!」

「はうっ!?なにいってるんですかぁ~!」

 

「百合音ちゃんは射手(シューター)だったわね。ログを見た限りでは前衛って感じの動きだったけれど」

「だったら(サブ)エースってことでいいんじゃないか?玲の戦闘面での負担を軽減して貰おう」

『そうね。那須先輩には今まで負担をかけすぎていたし、彼女を前に出して隊長には指揮に専念してもらいましょう』

「じゃあわたしと熊谷先輩は特に動きに変わりはないんですね」

 

訓練室で連隊をイシキしながらトリオン兵を狩っていく。

俺と那須隊長はどっちも変化弾(バイパー)がメインウエポンだから、初めは基礎的な連隊くらい難なくこなせると思っていた。

 

『あわわ、百合(ひゃくごう)さん速すぎですぅ~!合わせられませんよ~!』

「え、ごめん」

 

通信越しに茜ちゃんにダメ出しされた。

 

「どわっ!?」

「ご、ごめんなさい百合音ちゃん!」

 

那須先輩が曲げた変化弾にひっかかりそうになった。

 

『そこの通りを右に……』

「え、もう越えちゃいました!すみません戻ります!」

 

志岐先輩の指示とかみ合わなかった。

 

言い忘れていたが、俺はゲームだと必ずスピード型のキャラや武器を好む典型的なスピード狂なのだ。

リアルの運動神経もよくて、スピードが大好き。

そんな俺は移動時にグラスホッパーや韋駄天を多用しがちだ。

いや、しがちというか多用しないとイライラしてくる。

素早くパパッと動かないとどうにも落ち着かない。

 

スピードは俺の持ち味の1つだから、我慢すればいいというわけでもないしな。

それじゃあ本来の力を発揮できない。

どーするべきか。

 

 

◇◇

 

 

ともかく初めての連隊訓練でいきなりつまずいた俺たちは、作戦会議のために那須先輩の家へ来ていた。

 

『まず百合、あんたのトリガーセットについてもう一度聞かせてもらえる?』

 

またか。

連帯訓練の前にもやったぞ。

まあいいけど。

 

「メインが変化弾(バイパー)普通弾(アステロイド)、グラスホッパー、テレポーター。

サブが変化弾(バイパー)通常弾(アステロイド)炸裂弾(メテオラ)、韋駄天です。

主に韋駄天→グラホ→韋駄天→テレポなどのコンボで高速移動しつつ持ち前の優れたトリオン能力による強烈な弾を撃ち込むのが得意戦法です。変化弾のリアルタイム軌道引けます。合成弾も5秒くらいかかっちゃいますけど使えます」

 

『自分で優れたトリオン能力とか言われるとムカつくわね』

 

志岐先輩ヒドイ……。

事実を言っただけなのに。

 

「どんなにトリオン能力が優れていても、普通そんなむちゃくちゃな使い方してたらトリオン切れになって自滅しちゃうんだけど……」

副作用(サイドエフェクト)のせいで実際に出来てしまう、と」

「むちゃくちゃですねぇ」

 

なんという言われよう。

これでもいくつかのA級部隊からお墨付きを貰ってる戦い方なんだぞ。

 

『連帯するためには何らかの形で矯正しなきゃと思うけど、出来れば持ち味は残すというか活かしたい。次は百合のいいところをまとめましょう』

「……スピードは持ち味と言えば持ち味ですよね。問題がおおいですけど」

「トリガーの切り替えが素早いと思う」

「変化弾や合成弾を扱えるし、器用よね」

『物怖じせずに突っ込んでいけるけるところも長所ね』

 

「ああ、でもセオリー的にはいったん下がるべき場面でも強引にスピードで解決するところがあるよな」

狙撃手(スナイパー)のセオリーではあそこでわたしが牽制する筈なんですが、百合さんはもの凄い速さで突っ込んでしまうのでできません……」

「速さと言えば、小夜子の指示を置き去りにしてたな」

『あれは酷かった』

 

 

あれれ、おかしいぞ?

俺の良いところを挙げるんじゃなかったの?

 

 

「でも移動中のスピードは削れませんよ?だってシールドもバグワもないんですから」

『……じゃあ入れろよ』

「嫌ですよ!グラホとか外さなきゃ行けなくなるじゃないですか。そしたらあたしの本領であるスピードが活かせないじゃないですか」

 

シールドなんかいらない。

すべての攻撃をスピードで置き去りにすればいいだけだ。

バグワもいらない。

例え常時捕捉されていようとも、それで俺に追いつけるわけではない。

それに見られているならいるで、動きようもある。

げんじょーのシールド・バグワ必須論に対して、俺はシールド・バグワ不要論を唱えたい。

 

「通常弾2つもいらないんじゃないか?それ1個外してシールド積めばいい」

「嫌ですよ!徹甲弾(ギムレット)撃ちたいんですから。壁抜き徹甲弾とか大好きなんですよあたし!」

「知らねーよ……」

 

まったく、俺のトリガーは熟考に熟考を重ねたすえにミチビキ出された最強の編成?なのに。

何一つ変えられないよ。

 

しかし、ここで俺の意見を曲げないためには解決策が必要だ。

実際に“俺が速すぎる”せいで連帯ができていないのだ。

“俺が速すぎる”せいでな。

ここでなにか、みんなを納得させられる案をださないとただのわがままになってしまう。

 

 

うーん——、むぅーん——。

 

 

俺はスピードを落としたくない。

しかしそのスピードのせいで連帯がとれていない。

例えば、狙撃手である茜ちゃんが援護射撃をしても俺が高速で動き回るから位置関係がめちゃくちゃになったり。

例えば、俺が高速で動き回るからタイミングが測れず那須さんの引いた変化弾とぶつかったり。

どちらが悪いというわけではない。……たぶん。

おたがいに合わせようと必死なんだ。

しかし、どうにもかみ合わないしどんなに練習を重ねてもかみ合う気もしない。

 

む?

ああ、なるほど。

 

「どちらもが変に合わせようとするからおかしくなるんだ」

「……百合音(ゆりね)ちゃん、どういうこと?」

「合わせるのはあたしだけでよかったんですよ。例えるなら、2倍速で動くあたしに1倍速で追いつくなんて物理的に不可能でしょう」

 

だからまず那須先輩たちに動いてもらって、その動きから意図を読んで俺が合わせる。

 

「なるほど?それなら理論上は連帯が可能かもしれない」

「じゃあ後は練習あるのみ、ね」

「百合さんの動きをわたしが援護するのでわなく、わたしの狙撃に百合さんが合わせるってことですか?!」

「茜ちゃんの心の内なら秒で読めるからまかせて。那須隊のゴールデンコンビも夢じゃないよ!」

「な、なにをおかしなこと言ってるんですか!///」

『あたしや那須先輩の指示を置き去りにする問題が残ってるけど』

 

そこはまあ、おいおい?

 

 

 

『よし、作戦会議おーわり。そろそろアニメ鑑賞の時間だぞ』

 

アニメ鑑賞?

どういうことだ?

 

「小夜ちゃんが布教?してくるのよ」

「でもアニメの非現実的な身体の動かし方とかは、意外とトリオン体の動きの参考になることもあるから侮れないよ」

『さっすが、わかってる~!』

「わたしは恋愛モノが好きなんですけど……」

 

「なるほど。それで今日はなにをみせてくれるんですか?」

『運命/stay night』

 

……倒してしまってもかまわんのだろう?のやつか。

 

この世界の“運命”は前世と違いがあるのか無いのか、楽しみだ。

前世で見知っていた作品がこっちでは存在してなかったり、逆に前世ではなかった作品があったりする。

どっちにもある作品でも細部が変わっていたりするため、そういうところも楽しめるのだ。

 

ちなみに好きなキャラはキャスターです。

おっと、舌なめずりしちゃったぜ。

 

「…………///」

「ん?なぁに、茜ちゃん」

「な、なんでもないでしゅ!」

 

嘘つけ。ぜったい見てたよね?

 

 

 

 




百合百合音
射手
トリオン:15
攻撃:13
防御・援護:5(防御:0)
機動:15
技術:8
射程:6
指揮:0
特殊戦術:10

※副作用持ち

ちなみにニノさんのトリオンは14です。
また、オリ主はシールド積んでないからランク戦だとマグロ並に止まったら死にます。
どうしても止まる場合は狙撃手の位置を把握するか屋内じゃないとですね。
バカだけど持ち前の”野生の感”で戦う感覚タイプ。

改めてアンケ協力ありがとうございました。
アンケで勝った方を次書くといったが負けた方は書かないとはいってない。
というわけで次回は茜ちゃん視点でオリ主の行動を観察する話でいこうと思います。
あれ、それってストーカー……。
ま、ええか。
それでは次回もよろしくお願いします。
あ、dアニ○にしゅごキャラ2期来ててはじめて気づいたんですが、dアニ○さんしゅごキャラあったんですね。
うろ覚えなので履修しなおします。
その合間に書くのでまた来週辺りの更新になりそうです。
なでしこちゃんくん好き。
よろしくお願いします。


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日浦茜の珍獣観察1

OKASII
1話で終わらせるはずが2話もかかってしまう……だと!?
でも今期と来期のランク戦は省くつもりだったんで模擬戦で1話取るのは良いかもしれません。
みなさん知ってました?ランク戦って1年で3回もあるんですって。
そしてこの二次小説は作品内時間が1年。
異世界ものの学園パートなみにダレるランク戦を3回も書くとか正気の沙汰じゃないですよね、てこの例え通じるかなあ。

前回の後書きで「グラホあるんだから防御ゼロはないでしょ」と思った方もいるかと思いますが、まだオリ主はグラホの例の仕様を知らないので防御に使えないんですね。
いずれ知ることになりますが。
よろしくお願いします。



B級那須隊で狙撃手を務める平凡な中学三年生。

そんなわたしには、現在気になる人がいる。

好きな人とかではなく、むしろ好きになられた人と言いうか……。

 

その人はボーダーの内外関係なくここら辺ではすごく有名で、男子女子問わず人気らしい。

しかし、わたしが彼女のことを知ったのはつい最近だ。

平凡を地で行くわたしと、正反対に非凡な存在である彼女との接点が今までなかったのは、ある意味普通のことだろう。

可愛くって、キラキラしていて、誰からも好かれて、運動もできて。

本当にわたしとは正反対だなぁ。

 

志岐先輩に見させられたアニメ風にいうと、彼女は特異点という存在だと思う。

運動も勉強も顔も、なにもかも普通。

そんなどこにでもいる普通のわたしが、彼女——百合さんと出会っただけで、あっという間に非日常に連れ去られてしまたのだ。

 

 

『日浦茜さん、あなたのことが好きなんだ。本気です。お付き合いしてくださいッ!』

 

 

う~~~~ッ////

思い出すだけで恥ずかしい!

彼女が女の子と、その……ふしだらなことをして遊び歩いているというのは小耳に挟んだことがある。

しかしあのときの彼女は本気で、けっして遊びではなかった。

告白とかされたことないわたしだけど、それでも確信を持ってアレは本物だったと断言できる。

 

そして、あの衝撃の告白より少し前あたりから、百合さんの女癖の悪さが急に鳴りを潜めていて近隣の生徒たちの噂になっていたらしいことを友達から聞いた。

それはちょうどわたしが百合さんと出会った時期なんだけど……まさか一目惚れされちゃったのかな?なーんて///

って、女の子から告白されたのになんでまんざらでもない感じになっちゃってるのよわたし~~~~っ!!!

 

おかしいおかしい、絶対おかしいから!

女の子同士で恋愛なんて、ありえない!

志岐先輩には「今は多様性の世の中だぞ」とか言われたけど少なくともわたしはそういうの興味ないから!

……じゃあきっぱり断ればいいんだけど、百合さんの顔が綺麗すぎて圧倒されちゃうというか。

あの神がかり的な可愛さの前で、凡人代表のわたし程度が緊張しないわけがなく。

う~~~~!

あの可愛さは卑怯ですよ!!

 

結局その件は「まずチームメイトとから始めよう」ということになってしまった。

そしてその結論どおり彼女はチームメイトとしての距離を保ってくれていた。

でも、おかげで肝心なことを聞きそびれた。

百合さんはどうしてわたしを好きになったんだろう。

今までやっていたふしだらな行為を控えてまで、わたしなんかに拘る理由はなんだろう。

 

というか。

わたしは彼女のことをほとんど何も知らない。

友達に噂話を少しきいた程度だ。

告白を断るにしてもokするにしても(そんな可能性はありえないが)、相手のことを知って誠実な返事をしなくてはいけない。

恋愛ってそういうものだと思う。

わたし自身は恋愛したことないけど、恋愛を見る機会はおおいからよくわかる。おもに漫画とかで。

ほんとはいい子なのに誤解されてフラれた主人公をみて、悔しい気持ちになったのは1度や2度じゃない。

わたしはそんな酷いことはしたくないから、まず本当の彼女を見極めよう。

その上で断るのだ。

 

そうと決まれば百合さんを観察して、記録をつけよう!

名付けて『百合さん観察記録』!

 

 

◇◇

 

 

「百合くん、この後暇だろう?また緊急脱出(ベイルアウト)改良実験手伝ってほしいんだけど」

「え~、ぴっちぴちの激カワJC百合音ちゃんが暇なわけないじゃあないですか。みんなに引っ張りダコですよ」

「きんっきんに冷えたオレンジジュースがあるんだけど」

「なぬ、やります暇ですはーいはーい!」

「クッキーもあるよ」

「やたー!いつもご馳でーす!」

 

あれは百合さんと開発室の職員さんですね。

オレンジジュース、好きなんだ……。

それにしても今のやりとり、こなれるた感があったような。

「いつも」と言っていたし、すでになんども開発室に協力しているのかもしれない。

 

この日は結局一日中開発室から出てこなかったから、わたしは諦めて帰った。

オレンジジュースとクッキーで放課後をまるごと潰して協力するなんて、彼女はけっこう人が良いのかもしれない。

そこがみんなに好かれる理由だったりして。

わたしだったら任務がない日くらいゆっくりしたり、トレーニングしたりする時間に充てたい。

 

 

◇◇

 

 

「影浦パ~イセン!」

「うげ、ひっつくなッ!」

「またまた~、嬉しいくせにィ」

 

今日はB級1位景浦隊隊長の影浦先輩だ。

噂の1つに「百合百合音の趣味は男を手玉に取ること」というものがあった。

でも告白とかはすべて断っているから、あくまでからかうだけで好きなのは女の子だけだろうという話だ。

その噂を今この目で確かめる!

 

て、あれ胸当たってませんか!?

影浦先輩も顔赤いですし、からかうためだけにそこまでしますかあ!?

う~~~~///

ハレンチですう~~!

 

あれ、影浦先輩の背中にへばりついていた百合さんが急に降りてしまった。

どうしたのだろうと思ったら、曲がり角から仁礼(にれい)(ひかり)先輩がでてきた。

もしかして気配でも察知したのだろうか。

人目を避けている様子もなく騒いでいたのに、仁礼先輩が来たとたんに影浦先輩から離れたのはどうしてだろう。

 

「カゲとユリネじゃねえか。相変わらず仲いいな。付き合ってんのか?」

「ごじょーだんを。あたしは女の子にしかキョーミないですよ」

「ふざけんな。誰がこんなのと」

「ちょっと、世界一の美少女つかまえて「こんなの」はないでしょ」

「へっ、顔だけ良くたってナァ?」

「は???」

 

「はいはいそこまでにしろ~。ほんっとおまえらはアタシがいなきゃすぐケンカしやがるなあ」

 

「それよりヒカリさん、あたしこの後模擬戦に誘われてて影浦パイセンの相手できないんですよお。ぼっちでぶらぶらさせるのもカワイソウなんで、相手してやってくんないですか?お願いしますヒカリさんだけが頼りなんです」

 

「は?おいちょ「まったくおまえら、アタシがいないとほんとダメだな~。しょうがねえから付き合ってやるか!ほら行くぞカゲ」

 

 

「……やっぱヒカカゲなんだよなぁ」

 

 

影浦先輩を仁礼先輩に押しつけた百合さんは、去って行く2人をみてそう呟いた。

ひかかげ……?

どういう意味なんだろう。

でもあっさり他の女の子に預けたって事は、やっぱり好きとかじゃないんだ。

でもからかうだけのために身体をあそこまで密着させるのはよくないと思う……。

 

「順不同だけどね。普段態度がでかくて口が悪いヒカリさんが影浦パイセンの攻めにたじたじな姿もいいけど逆に初めての性の快感に圧倒されてマウントとられちゃう影浦パイセン(ギャップMAX)にヒカリさんのシギャクシンが煽られて……みたいな。はー、ディルドになって2人のプレイに使われてー。カゲヒカでいつもの強気はどこえやらなヒカリさんのぐっちょぐちょなあそこに突っ込まれてー。そして2人の良い感じの空気を壊さず近くで観賞してー。たしか換装するトリオン体の形は動きやすいように生身とかわらないよーにしてるだけで、ほんとはどんな形にも出来るんじゃなかったっけ?わからんけど、たしかそうだったと思う……、たぶんきっとおそらく。開発室の人達に相談してみよ」

 

 

?????????????????

 

 

なにをいっているのかよくわからなかったけど、なんとなく変態的なことを言ってるのはわかってしまった。

あまりにも気持ち悪すぎて鳥肌が……。

これはいくら可愛くても流石に——うわ!

模擬戦が楽しみなのか、急に笑顔になった!

 

かわいすぎるう……、ずるい!!

 

 

 

 




オリ主「あたしをディルドにしてください!」
開発室職員「「「「「「ぶふぉっ!!?」」」」」」

オリ主「実はかくかくしかじかで」

鬼怒田「ぶわっかもーんっ!!!」


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日浦茜の珍獣観察2

お久しぶりです
戦闘シーンはほんとうに難しいですね
超難産でした
そして苦労したわりに戦闘シーン短い……。

戦闘中は

◇——
あばば
——◇

のようになってるところがあります。
あばばの部分が茜ちゃん視点です。
オリ主たちの戦闘をはたから見た感想とかを差し込んでるかんじですかね。
ランク戦で、途中で解説席の説明が挟まるシーン的な。

いつも言い忘れるんですけど、誤字報告感想評価等してくださっているかたありがとうございます。励みになってます。
あと本誌でワートリが加速してるみたいですけどこっちは二次創作だし百合(恋愛)モノなので分けて考えてください。
ではそろそろ本編どうぞ。よろしくお願いします。


「いつもすまない。今日はよろしく頼む」

「風間先輩のお願いなら断れませんよぉ」

 

風間蒼也先輩。

背はちっちゃいのにそれをものともしない“できる大人の男”って感じのカッケエ人だ。

あと女性人気(特に年上から)が高い。

実は、俺はこの人を男として尊敬していたりする。

 

「あ、わ~い!きくっちーパイセンだー!」

 

俺をみて心底嫌そうなヒョージョーを浮かべた失礼な菊地原先輩に突進。

彼は咄嗟に腕でブロックしようとするが甘いな!

フワサァ

と髪を掻き上げてとびっきりの美少女スメルを嗅がせてやればほらこのとおり。

いくら風間さん並のポーカーフェイスだとはいえ思春期の少年。

一瞬の硬直はまぬがれない。

その隙を突いて俺は菊地原先輩の背中によじ登る。

 

「離れてくれない?不愉快なんですけど」

 

こいつは口が悪い。

そんな毒舌無表情男をあっとーてき可愛さで屈服させるのが楽しすぎてツライ。

まあ正確には毒舌というよりもただ言葉をオブラートに包まないだけだけど、今はおいておこう。

タンテキに言って、彼は影浦先輩の次くらいに逆セクのしがいがあるお気に入りターゲットなのだ。

 

「ええ~、そおんなこと言いながら顔ちょっと赤いんですけど~?不愉快なのにどおして赤くなってるんですかねえ♡おかしいなあ、おかしいなあ♡そもそも「不愉快なんですけど」って敬語になっちゃってるじてんで説得力無いですねえ♡強がっちゃって、動揺してるのバレバレ——ちょ、なにするんですか誰ですかここからが本番だったのにィ!」

 

さてここからたたみ込むぞという場面で誰かに首根っこを捕まれて持ち上げられる。

なんだよ、邪魔すんなよ。

て、

 

「なんだ歌川パイセンですか。いたんですね」

「酷い!?オレも風間隊なんだから当たり前だろ!」

 

この人はよく言えば常識人、悪くいえば没個性的な歌川遼先輩だ。

 

「付き合わせている身で言うのもなんだが、お互い時間を持て余しているわけでもないだろう。そろそろ模擬戦を始めよう」

 

おっと、風間先輩を待たせるなんて我ながらとんだゴブレーを働いてしまった。

今行きます!

 

 

◇——

 

さっき話してたとおり、これから模擬戦をするみたい。

しかも相手はA級3位の風間隊!

そんな凄いチームに模擬戦の相手を頼まれるなんて……。

百合さんがA級隊員たちに認められるほどの実力者だという話も本当なんですね。

しかもずいぶんと親しげだ……。

 

模擬戦を観戦しようとモニターの近くによったら人が押し寄せてきた。

 

「今日は風間隊とかあ。おまえはどう予想する?」

百合(ひゃくごう)百合音(ゆりね)、かわいいよなぁ」

「前回はついに百合音ちゃんが“野生の勘“で風間隊の隠密(ステルス)戦法を破ったんだろ?」

「勘は言っちまえば第2の目だし、他隊の隠密戦法をことごとく破った菊地原の副作用とおんなじ土俵なんだもんな」

「風間隊も百合さんも全員目の保養になりますありがとうございます!」

「うちに欲しかったのに、那須隊に先こされたなぁ」

 

お~!A級からC級まで、いろんな人達が観戦するみたい!

ちょうどいい。

わたしもこの人混みに紛れて観戦しよう!

 

——◇

 

 

市街地A、昼間の晴れ。

とりま10本。

 

試合開始と共に風間隊が隠密トリガー“カメレオン“を起動する。

これは簡単に言ってしまうと「透明人間になれる」という男の夢そのものなエッチトリガーだ。

おそらく開発者はそうとうなスケベだぞ。

だがそんなエロゲ御用達トリガーには弱点がある。

 

まず、カメレオンの起動中に他のトリガーを発動できない。

よってバッグワームも使えず、トリオン反応で位置がバレバレ。

例えば影浦先輩がカメレオンを起動して女子トイレに潜伏したとしよう。

本部の職員が常にチェックしているため、影浦先輩がトリガーを起動したことと女子トイレの座標にいることが秒でバレて上に報告されるのだ。

残念。現実は甘くない。

 

そしてもうひとつ。

カメレオンが隠せるのは視覚だけ。

つまにおいや空気の揺れなんかはそのまんまなのだ。

 

 

とりあえずカメレオンを使ってきたから移動系トリガーは使えない。

そう判断して素早いバックステップと共に弾速重視の(フル)通常弾(アステ)をぶっ放す。

 

だが、勿論あたらない。

 

誰でも思いつく単純な手だし、俺のトリオン量は向こうもジューブン把握している。

この道路を埋め尽くす程度の弾トリガーが当たるはずがない。

はやさ重視で手元から撃ちだしたからホーシャジョウになっちゃったし。

すでに路地に散開してるはずだ。

 

◇——

 

改めてみるとほんとうに凄まじい……。

両攻撃(フルアタック)とはいえあの強烈かつ濃密な弾幕、どうかんがえても理不尽だ。

トリオン量だけなら№1射手の二宮さんを超えている……?

でも戦績的には二宮さんに負け越してるって前に百合さん言ってたなあ。

 

ところで

カメレオンを使う相手から視界を切ってしまっていいのだろうか。

ここからどうやって戦うんだろう。

 

 

——◇

 

「(ママ——、じゃないや。歌歩さんトリオン反応の情報ありがとうございます)」

『これをやらないとこっちの訓練にならないからね』

 

風間隊はカメレオンをよく使うくせに、それと相性の良いダミービーコンを使わない。

まあ、使う必要が全くないからいいんだけど。

 

全員頭も勘も運動神経もいいし、菊地原先輩の副作用もある。

超近接格闘やポジションの取り方などをハイセンスでこなしてくるから、大体の位置がわかる程度のトリオン反応だけじゃあまず捉えられない。

 

 

とりあえず、動く。

というか逃げる。

 

今回の模擬戦は俺を近界民(ネイバー)にみたてているらしい。

前半でこっちが攻めこむ役となり、後半5つで風間隊が攻めこむ役となる。

 

視界を切ってからバグワに切り替えたらしい風間隊。

完全に見失ったな。嫌なことしてくれるなあ。

 

風間隊は全員A級としての攻撃手(アタッカー)の動きができる。

相手の予想どおりに動くと一瞬で距離を詰められて狩られる。

 

まずはグラホを6方向に展開して韋駄天でそのうちの1つに触れて跳ぶ。

 

「っち……」

 

突然現れた菊地原先輩のスコピが脇腹にかすった。

フェイクを入れなければ完全に捕まってたなこれ。

頭おかしいんじゃないの?

韋駄天は地面を蹴る音もしない完全無音ノーモーションなはずなんだけど?

 

風間隊はさっき俺がいた位置を取り囲むように展開しているはずだから、テレポで菊地原先輩先輩から距離を取って弾を撃とう。

 

(フル)変化弾(バイパー)

 

地面に足をつける暇なんて与えない。

弾幕の隙間も作らない。

(フル)防御(ガード)を強引に割って左腕に2発と右足に1発、胴体に2発が突き刺さる。

これが菊地原先輩と俺の、トリオン能力の差だ。あっとーてき。

この人もトリオン能力は高い方なんだけどね。

 

このままとどめを刺したくなる。

でもそれだけはいけない。

同じところにずっといたら残りのひとたちに捕まっちゃうから。

 

 

グラホを数個展開して本命に韋駄天に当たる。

ちょうど菊地原先輩の上にくの字の屋根をつくる形に跳んでアステロイドぶっぱ。

 

「くっ!」

「さすが!でも!」

 

空中で身をひねりかわした菊地原先輩はさすがA級。

でも、それだけでせーいっぱいじゃあ、まだまだだね。

 

 

 

 

『トリオン体活動限界 菊地原緊急脱出(ベイルアウト)

 

 

 

置き弾くらい警戒しておかなきゃ。

 

 

◇——

 

どぅわ~~~~~~!?今すっごいことが起きました!

韋駄天とグラスホッパーで斜め上の空中に飛び出した百合さんに、咄嗟に食らいついた菊地原さん。

風間隊はカメレオンにトリオンを裂くためにトリガー構成をシンプルにしているって前にきいたことがある。

だからたぶんグラスホッパーみたいな空中で移動できるタイプのトリガーは持っていない、と思う。

つまり、空中に飛び出した菊地原さんはやられる前提の囮。

百合さんが菊地原さんに弾トリガーを使う隙を狙う。

それが風間隊のとっさの判断だったんじゃないかな!

 

でも、どんなにトリオン体での足が速くても韋駄天やグラスホッパーにはかなわない。

攻撃しようと思ってから実際に攻撃に移れるのが、全ポジションの中で一番おそいのが射手(シューター)だから、そこで追いつきたかったはず……。

でもトリガー選択もキューブを出すのも弾道を引くのも威力やスピードを調整するのも、なにもかもが予想以上に素早かった。

 

おまけに、今思うと百合さんは明らかに一カ所にとどまらないことを意識した動きをしてた。

移動トリガーを使う間隔がいつもより極端に短かった。

あれは風間隊の狙いを見破っていた証なんだ……。

 

 

それで高速で移動する自分に注意を引きつけて置き玉を菊地原さんの意識からそらし、回り込んで挟撃。

そこまでが速すぎて、跳んだ菊地原先輩は地面に落下する暇も無くやられてしまった。

さすがにまずいとおもってカメレオンで急接近してきた残りの2人も、グラスホッパーのフェイクにほんの一瞬だけ判断が鈍ってしまった。

結果、菊地原先輩がただで落とされた。

 

グラスホッパーや韋駄天、テレポーターにあそこまで食らいつく風間隊は明らかにおかしい。

見てから動いて間に合う速さじゃないし、たぶん予測で動いてる。

そしてそんなおかしい人達を振り回す圧倒的なスピードを出しながらトリガーの素早い切り替えや相手の狙いを読む思考をこなす百合さんもおかしい。

 

連帯訓練は順調だけど、百合さんとそれ以外が合わせようとするとまだまだお互いの実力を出し切れないのが正直なところ。

 

いつかはこの状態の彼女と連帯できるようにならなきゃいけないんだ……。

 

 

——◇

 

 

 

◇◇

 

 

 

なんやかんやで風間先輩たちとの模擬戦を終えた俺は、広報の職員とCMの打ち合わせをしていた。

嵐山隊と俺の2パターン作りたいらしい。

俺が隊員募集のCMなんかしたら希望者がサットーしない?

え、むしろそうならなきゃやる意味無い……?そう。

 

じゃあ天上天下のすべての顔面をぶっちぎりで置き去りにする美少女力をほこるこの俺が、全力の笑顔でやってやろうじゃねえか。

 

 

 

後悔すんなよ?

 

 

 




根付「程度というものを考えていただきたい」
オリ主「(だから言ったのに……。)じゃあ中和するために影浦パイセンも」
根付「ヨシ」
         ↓
学友「おまえと一緒にCMでてた子可愛すぎるだろ!紹介してくんね!?」
カゲ「……俺の前で糞ガキの話題だすんじぇねえ」(殺気)
学友「ピッ!?」

茜ちゃんはこの観察でオリ主の認識を「同性なのに自分に告白してきた変な人(可愛い)」から「同性なのに自分に告白してきたすごく強い人変な人(可愛い)」に改めたんですね。
……あれ?改めるってなんだっけ。
まあ、これによってチームのこれからとか個人としてのこれからとかオリ主との接し方とかそういうのを考えるきっかけが改めてできたんですね。
次回もよろしくお願いします。

感想お願いします。
高評価お願いします。
ここすきもぜひお願いします。
追記:活動報告にお知らせあり


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