ビースト・マーダー (ヒシモチ)
しおりを挟む

第1話 開幕

 30XX年 6月 27日 13:30頃 東京都 港区 どこかの住宅街──

 

「……退屈…。」

 

そう呟き歩いているのは、水月 陸(みなつき りく)犬系獣人の20歳。

 

大学生で、近くのアパートに住んでいるが、大学に入る前まで施設で暮らしていた青年である。

 

(確かにこの町は暮らしやすいけどなぁ……。)

 

そんなことを思いながら歩いていると、少し離れたところのT字路を通る人影を見た。猫獣人のようだ。しかし陸は、

 

「ここら辺に猫系の奴はほとんどいないはずだが……」

 

そう不審に感じ、後を追った。

 

追って数分後、ある建物に着いた。

 

ごく普通の一軒家だ。

 

強いて言えばカフェとかに使われるような小さな建物。

 

陸(…こんなとこあったっけか?)

 

そうは思ったが…興味本位で扉を開け、中に入った。

 

…が、しかし机とソファー、椅子が幾らかあるだけで、後は何もない。しばらく見渡していると、

 

「あれ? キミどうやってここに来たの?」

 

 声がしたほうに目をやると、そこに少年? 少女? が立っていた。さっき追っていた猫獣人のようだ。

 

「普通の人間には、ここ廃墟に見えるようにしてあるんだけどなぁ……」

 

陸「……。」

 

「迷い込んできたって訳でもなさそう……。ねぇ、キミはなんていうの?」

 

陸「……水月 陸だが……。」

 

 急なことで少し驚きながら答えると

 

「陸、だね。ボクは「ネコ」って呼ばれてる。魔法使いだよ」

 

陸「は? 魔法使い? 空想とかに出てくる……あの?」

 

 陸は疑って聞き返したが「ネコ」は、

 

ネ「そそ、しっかし……陸の目は不思議だね……銀色で猫系の人間の瞳みたいになってる……それにその首筋の火傷の跡、まさかとは思うけど……いや、まさかね」

 

陸「待て待て…顔近いしなんの話だよ…って言うか「ネコ」って本名じゃないだろ絶対。」

 

 そう言うと「ネコ」は、おっと失礼と言って顔を離し、

 

ネ「まぁ、確かに偽名なんだけどね、訳あって本名は名乗れないんだ。それとボクが魔法使いというのは嘘じゃない。ぶっちゃけボク以外にも沢山いる。なんなら見せよっか?」

 

陸「……聞けば聞くほど信じがたいが……ってか、そんな簡単に見せて良いのか?」

 

陸はそう言ったが「ネコ」は

 

ネ「勿論見せるとも! だってキミ面白そうだし」

 

陸「いや…面白そう…て…」

 

そう言って、まだ疑いを隠せていない顔をしている陸を奥にある扉に連れていった。

 

扉を開いて見せたが中は掃除用具が少々、残りは見た目だけの役に立たなさそうな物がほとんどだったが…

 

ネ「ここは普段、物置きとして使っているんだけど……見ててね」

 

「ネコ」は扉を一旦閉めて、

 

ネ「このドアノブを180度回転させながら開くと……」

 

 そこには薄暗い下り階段があった。肝心の陸はというと、

 

陸「…………からくりとかじゃないよな…。」

 

 驚きを隠せていないようだった。

 

ネ「フフッ……でもこれは序の口…来て。」

 

陸「おっ……おう」

 

 二人は現れた階段に足を踏み入れたが、少し進んだ先で陸の足が止まった

 

陸「……変だな……。妙な気配がする……」

 

ネ「…え?」

 

陸「……いや、なんでもない…」

 

ネ「わ……かった……(やっぱりあの目は……)」

 

 しばらくして、階段を降りると「ネコ」は、

 

ネ「ようこそ! ボクの工房へ!」

 

 その「工房」と呼ばれた部屋は、先の部屋より3~4倍広く雰囲気も違っていた。

 

ネ「ここでボクは魔法を研究したり、いろんな物を作っているんだ。あ、そうだ。さっきさ、「妙な気配がする」って言ってたけど、もしかしたらコイツのせいかも」

 

 そう言って視線を向けた先に一つの人形があった。ただ違うのは大きさ、形、見た目、まるで本物の人間がそこにいるようであった。

 

陸「人形…なのか?」

 

ネ「うん、あるモノの研究。その時の副産物でね、ついでにコイツで実験したのはいいんだけどさ…」

 

陸「失敗したのか?」

 

ネ「うん、一応封印を施したけど…ボクの使う魔法が合わないみたいで消えないんだよねぇ、困ったことに…。」

陸「確かにそいつから妙な気配を感じるが…消せない?どういうことだ?」

 

ネコ「その人形の中身だよ。幽霊みたいなモノさ。さっきも言ったけど封印は施してあるから、近くでみても大丈夫なハズだよ。」

 

陸「いやお前「ハズ」って…」

 

そう言いながら陸は人形に近づいて、まじまじと見つめた。

 

…人形は本当に、不気味で、どこか美しく、魅了されてしまいそうなモノであった。

 

しかし陸は、その妙な気配のこともあって

 

陸「うーん…ケチつける訳じゃないが……オレには気味悪く見えるな……」

 

 そう言って振り替えると、「妙な気配」の主に気付いた。「ネコ」の背後で襲い掛かろうとしていた。

 

陸「おい「ネコ」避けろ!後ろだ!」

 

気配の正体は「悪霊」。人形の魂だったモノ

 

ネ「なっ! 人形の封印が解けた!?」

 

「ネコ」が振り替えろうとしたその時だった

 

 ズバッ!!

 

 鋭く、切り裂く音と共に悪霊は消え失せた。「ネコ」の視線の先には、ナイフを持ち、銀色に目を輝かせていた陸の姿だった。

 

ネ「……今…陸がやったの?」

 

陸「あぁ、殺した…。」

 

ネ「……やっぱりそうか。その銀色の眼……陸は「神秘殺し」の家系だったんだね……」

 

「ネコ」は陸の銀の眼のこともそうだが、一瞬だけ見えた陸の御技にも感動していたようだった。しばらくして

 

ネ「それと思い出したよ…どこかで見たと思ったら…その首筋の火傷の跡。20年前────」

 

言いかけたその時。

 

「「ネコ」さぁーん。ここにいるんですかぁー?」

 

女性の声だ。階段から聞こえる。

 

ネ「あ、帰ってきたみたいだね。」

 

陸「知り合いか?」

 

陸は持っていたナイフを仕舞いながら尋ねると「ネコ」は、

 

ネ「そうだよ。まぁ、もう一人いるんだけどさ。」

陸「うん?もう一人ってのは?」

 

ネ「そのうち会えるよ。」

 

そんな話をしているうちに、その女性が降りてきた。

 

「あっ、やっぱりここにいたんですね。あれ?お客さんですか?ここは普通の人には気付かないようにしていたのでは?」

 

ネ「あー、それなんだけど…」(説明中…)

 

「それで、今に至ると。」

 

ネ「うん。」

 

「了解です!では「水月さん」ですね。はじめまして!篠原 七海(しのはら ななみ)と言います!20歳で、種族はボーダーコリーです!」

 

陸「うん、よろしく。」

 

七「それにしても、本当に幽霊、倒しちゃったんですか?すごいです!水月さん!」

 

陸「そりゃどーも。」

 

ネ「さて、二人とも。そろそろ上に戻らない?もうじきアイツも帰ってくる頃だし。」

七「そうですね、そうしましょう。」

そう言って3人は階段を上った。

 

そして階段を上りきった時、その「もう一人」がちょうど帰ってきたようだった

ネ「あ、おかえりー。どうだった?「蒼太」。」

蒼「ただいまー。まだ見つかんない…。」

 

陸「……。」

 

陸は何かを感じ取ったのか身構えた

 

蒼「うん?その人は?」

 

ネ「あー、そうそう。この子はねえ…」(説明中)

 

蒼「へぇ「ネコ」の結界もすり抜けたうえに幽霊を殺したねぇ…。僕は「色崎 蒼太」(いろさき そうた)って言うんだー。よろしくー。あ、種族は狼だよー。」

 

陸「あぁ……。一つ聞いていいか?」

 

蒼「なに?陸君。」

 

陸「初対面で失礼だけどさ……お前、今まで何人殺した?」

 

七「水月さん!?」

 

ネ「……」

 

陸がそう聞くと、蒼太は真顔で

 

蒼「…さぁ。何のこと?」

 

陸「惚けるな、お前から血の匂いがする。あと火薬か?」

 

蒼「おやおや、僕は嫌われちゃったみたい…それで?そのナイフで殺すかい?」

 

隠す気はないようだ

 

蒼「まぁ別にいいけどさ、僕は君の御両親の仇じゃないよ?」

 

陸「どういうことだ?」

 

蒼「君、20年前のたぶん被害者だろ?その首筋の火傷の跡、それと水月って名前。これだけでも大方予想は出来る。それに20年前って言ったら僕…そん時4歳だぜ?」

 

陸「……。」

 

20年前、生まれて1ヶ月くらいしか経っていない赤ん坊を除いて、その子の両親を惨殺した挙げ句、家を全焼させるという未曽有の大事件が起こった。

 

その赤ん坊が彼、水月 陸である。

 

蒼「それとさぁ、僕もその犯人追ってるんだよね。国から「見つけ次第殺せ」って言われてる。」

 

陸「殺し屋か、お前。」

 

蒼「まぁ実際は何でも屋で、対象は殺人鬼とかそう言う奴なんだけど。……ねぇ!僕の仲間に入らない?」

 

陸「は?何言ってんだお前。」

 

当然の反応だ。 しかし蒼太は

 

蒼「犯人…探してるんだろ?もうじき居場所が判明するところまできてる…。利害の一致ってことで入らない?」

 

陸は溜息をつくとナイフを仕舞い直し、

 

陸「わかった、協力する…あと陸でいいよ…名字とかで呼ばれるの苦手だからさ…」

 

こうして陸は蒼太達の仲間になった。

 

ネ「あ、ねぇ蒼太。「青谷」(あおや)は?」

 

陸「青谷って?」

 

七「青谷 将大さん(あおや まさひろ)私達の仲間ですよ。アオダイショウの男の人です。」

 

蒼「今さっき僕にメールが来たんだけど、青谷は警視庁で捜査とかの情報提供ってことで呼び出されてる。だからまだしばらく掛かるってさ。」

 

ネ「あー、了解。」

 

蒼「僕がメールで陸のこと紹介しとくから、「ネコ」達はゆっくりしててよ。」

 

ネ「わかった。ありがと。」

 

陸「ところで、蒼太がはじめの方に言ってた「見つかんない」ってのは?誰か探してるのか?」

 

蒼「うん、国と警察からの依頼でね。とある連続殺人事件の犯人なんだけど…」

 

陸「20年前のとは別のか?」

 

蒼「そう、しかも被害者の遺体が一つもない。変わりに大きな血溜まりだけが残されてる。」

 

 

 

その頃、新宿のとある路地裏にて

 

「や…やめろ…こないでくれ……命だけは…。」

 

「……………。」

 

「あ…あ…ギャアアアああああ!!イ"ダイ"イ"ダイイ"ダイ"イ"ダイ"!!だずげ…………で………」

 

メキッ バキッ グチャッ ゴキッ ベチャッ ゴリッ ペキッ パキッ

 

 

 

翌日

 

「これで何件目だ?」

 

「…はい、これで6件目です。報道されていないのと合わせると20件超え…同一犯と見て間違いないでしょう。」

 

新宿のとある路地裏で大きな血溜まりが発見された。




はじめまして。ヒシモチと言います。
小説を書いたのは初めてですが、よろしくお願いいたします。
誰かしら読んでくだされば幸いです。
読んでくれる方がいれば続けようかと思います。

キャラシート

第1主人公

水月 陸(みなつき りく)男性

犬系雑種?

10月15日生まれ 20歳

身長 172cm 体重 62kg

東京都出身

ちょっとツンギレ

剣道3段 (実力は6段以上のレベル…なのにナイフ使ってる)

空手も少しかじった (明らかに達人)

陸の目は概念そのものが見えている魔眼のようなもので、幽霊でも見ることが出来る。と言うより、「見えてしまっている。」の方が正しい。ちなみに実体化させる原理は謎。

20年前、陸が生まれて間もない頃。両親が殺害され、家も燃やされた。このことを施設の職員から聞き、自分の人生を奪ったその犯人を今も探している。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 キョウリョクシャ

 陸が仲間になったその日の翌日。

 

 6月28日 午前9時34分

 

 新宿 とある路地裏

 

 刑A「これで何件目だ?」

 

 刑B「……はい、6件目です。報道されていないのと合わせると20件超え……同一犯と見て間違いでしょう」

 

 昨日、蒼太が言っていた「被害者の遺体の変わりに大きな血溜まりが残されてる」事件だ。

 

 刑A「ところで……アイツはいるのか?」

 

 刑B「いないですしむしろ呼びませんよ! あんなのに来られたら捜査の邪魔ですよ! 大体! 何で上はあんなイヌ野郎に見方してるんですかね!? ホント」

 

 蒼太は一部の者に「手柄を全部持っていかれる」等と思われているようで割りと毛嫌いされている。だが当の本人はというと、

 

 蒼「ヒドイなー、そこまで言わなくてもいいだろー。あと僕イヌじゃなくて狼だから」

 

 刑B「!?」

 

 この通り…神出鬼没な上に全く気にしてすらいない

 

 刑A「……いつからそこに?」

 

 蒼「刑B君が罵倒し始めた時から。」

 

 刑B「……聞いてたのかよ…」

 

 蒼「まぁ、いつものことだし、どうでもいいけど(笑)……さて本題に入ろう。被害者は誰か解った?」

 

 刑A「いや、まだ解らん。通報も今さっきと言うこともあって、DNA鑑定もまだだし、男か女かも判明してない状態だ」

 

 蒼「うーん……そっか……。了解」

 

 しばらくすると蒼太が血溜まりを見て言った。

 

 蒼「ねえ、刑Aさん。もうちょっと近くで見てもいい?」

 

 刑A「構わんが……触るんじゃねえぞ?」

 

 蒼「そんな野暮なことしないよ。」

 

 基本、自由奔放な蒼太だが、こういうものはしっかりと許可をもらうらしい。

 そして蒼太は血溜まりに近づきしゃがみこんだ。

 

 蒼「……渇きはじめて…8時間以上は経過してるか?」

 

 刑A「どうだ? なんか解ったか?」

 

 蒼「んー…参考になるか分からないけど…この人が死んだのが昨日の深夜くらいってことかなぁ…。血の渇き具合から見てだけどさ。」

 

 刑A「ふむ……了解した。とりあえず刑Bがそこにいるから。それを伝えてくれないか? 俺はもうちょっと調べにゃならん。」

 

 蒼「はいよー。」

 

 蒼太は刑Bにそれを伝えると、

 

 蒼「じゃあ、僕は帰るから。またなんかあったらよろしく~」

 

 刑B「……分かりました。(ツーン)」

 

 蒼「つれないなぁ。じゃ、そういうことで」

 

 そう言って現場を後にした。

 

 しばらくして

 

 蒼「ただいま~」

 

 ネ「おかえりー。なんか進んだ?」

 

 蒼「全然だよ……ところで、青谷は?」

 

 ネ「今コンビニにいる。もう帰ってくる頃合いだよ。陸と七海も一緒かな」

 

 蒼「もう終わったんだ、あいつ」

 

 二人の会話によると、青谷は警視庁に呼び出された後、今日の午前7時過ぎくらいに終わって帰ってきているらしい。そして

 

 ?「ただいまー……疲れた……」

 

 ネ「噂をすればなんとやら。帰ってきたね」

 

 青谷 将大(あおや まさひろ)24歳 蛇系獣人

 蛇系獣人の特徴は足が無く、代わりに巨大な尻尾が足代わりとなっている。本人曰くアオダイショウらしいが……

 

 七「私達も戻りましたー」

 

 陸「頼まれたやつ買ってきたぞー」

 

 続いて二人も一緒に帰ってきた。ちなみに陸の紹介は蒼太が事前に連絡していたため、コンビニで挨拶は済ませたそうな。

 

 ネ「青谷はどうだった?」

 

 青「うん……出来る限り情報は伝えたけど……まだ進まなさそう……そういえば、容疑者が一人挙がったんだけど、だいぶ前に釈放された直後に、行方不明になった奴なんだけどさ、一応ってことでそいつの弟に後程、アポ取るから話聞いてきてって言われたよ。」

 

 蒼「うーん、確率は低そうだけど、行くだけ行ってみよっか。初仕事ってことで陸も行かない?」

 

 陸「ああ、解った。俺も行く」

 

 青「決まりだね。詳しい日時はまた後程送るみたいだから、そん時に」

 

 蒼「りょーかーい」

 

しばらくして。

 

 青「そういえば陸ってさ「古代種」とか「神獣種」って知ってる?」

 

 陸「いや、「幻獣種」又は「魔獣種」なら聞いたことはあるが……その二つは聞いたことがないな」

 

 七「そういえば、私もないです…」

 

 青「俺達人間は大まかに分けて二つに分かれているのは知っているね。通常種と、さっき陸が言ってくれた幻獣・魔獣種だね」

 

 幻獣・魔獣種とは、ペガサスやユニコーン、グリフォン等の幻獣・魔獣が獣人としての種族をいう。ちなみにドラゴン系は人口が意外にも多いので通常種となっている。

 

 青「まず神獣種だけど、神様に直接遣えてた…または神様の兄弟、もしくは神様から生まれたやつの子孫があたる。例えばそうだな……ケルベロスって知ってる?」

 

 七「確か、旧人類の神話上に出てくる、三つ首が特徴の地獄の番犬でしたっけ?」

 

 陸「ハーデスっていう神様に遣えてて、ヘラクレスっていうのにボコボコにされたんだっけか」

 

 青「うん。間違ってはないけど……。そのケルベロスの子孫が現代のギリシャで大学教授やってる」

 

 七「え!? 本当ですか!?」

 

 青「うん、三つ首ってこともあってトーク力がすごいから講義が本当に面白いうえに分かりやすいらしい」

 

 陸「よく考えれば教授が3人もいるんだもんな。出来るなら受けてみたいな」

 

 青「さて次に古代種だけど……単刀直入に言おう。こいつらは次元が違う。寿命にあっては、幾千、幾万、幾億の年月を生きている」

 

 七「そんなに……」

 

 青「ちなみに俺の母さんがこれにあたる。ヒュドラだ」

 

 陸「不死身で猛毒を司る伝説の怪物か……じゃあ、まさかお前は……」

 

 青「神獣種だね。確かに母さんの遺伝子もあって。寿命を除けば不死身だよ。」

 

七「ところで、青谷さんはなぜ「アオダイショウ」と種族を偽ったのですか?」

 

青「古代種や神獣種は、裏社会だと研究対象でね…こうでもしないと普通に生活が出来ないんだよね…」

 

七「そう…だったんですね…」

 

青「ついでに言うと父さんは神獣種のバシュムだったりする」

 

 七「全神話上、最強の毒を持つ蛇ですか…………うん? バシュムとヒュドラのハイブリッド? …………あ」

 

 青「ご明察。俺は歩く劇物ってこと」

 

 陸「とんでもないな……あとお前、さっき「不死身」って言わなかったか?」

 

 青「うん。言ったね。細胞がどーのこーの関係無しに秒で再生できる」

 

 陸「……悪い。さすがに凄い通り越して引くわ…………」

 

 七「私も、さすがにそれはちょっと………………」

 

 青「えぇ……そんなぁ……」

 

 そんな会話を横で聞いていた「ネコ」はニヤリと悪魔のような笑みを浮かべて、こんなことを言い出した

 

 ネ「じゃあさ、実際に見せてあげれば? 手伝うよ? むしろ見せよう(笑)」

 

 青「うん、君がそういう顔してる時は大抵ろくでもないこと考えてるの俺知ってるからな?」

 

 ネ「大丈夫、大丈夫(笑)一瞬だから痛みは無いからさぁ……結界発動。陸! 七海ちゃん! 嫌かもしんないけどしっかり見てて!」

 

「ネコ」が発動と言った瞬間、青谷の周りに結界が張られた。内側からは出てこれないらしい。そして

 

 青「え? あ…、ちょっ!ちょっと待って!! まだ心の準備が出来てな──」

 

ネ「開始。」

 

青「ちょっ!ホントに待っぷぇ…(ドロリ…」

溶けた。成人男性が一瞬にして跡形もなく、血と細胞が混ざり合った赤黒い液体と化した。

 

蒼「うへー、相変わらず派手にやるねぇ…」

 

陸「……死ん……だのか?」

 

当然の反応。七海にあっては卒倒しかけた。しかし「ネコ」は笑みを浮かべながら

 

ネ「ああ、普通の人間ならね。」

 

次の瞬間、目の前の赤黒い液体が少しずつ泡立ち始めた。

 

泡はどんどん増え、幾つかの泡の塊ができた。そして

 

ネ「……ここからだ…」

 

「ネコ」がそう言うと、泡からズルリと右腕が生えた。

 

七「え……。」

 

陸「嘘…だろ……。」

 

ネ「言っとくけど、魔法は一切使ってないよ。」

 

蒼「………。」

 

二人が驚愕している間にも、左腕、尻尾、上半身、頭、目玉、次々に泡から再生し、同時に赤黒い液体は比例してどんどん小さくなっていく。

 

青「オォ…エェ…オォォォ……」

 

次第に再生したパーツ達は集合していき、元の「青谷 将大」を形成していった。

 

ネ「はい、服。そしてお疲れ様。」

 

青「………………うん。」

 

ネ「どうかした?」

 

青「どうかした?じゃないよ!!いきなり人溶かす奴があるか!!確かに痛みは無かったけどさぁ!!心の準備があるってもんでしょ!心の準備が!!あーホントびっくりした!(怒)」

 

蒼「そらキレるわな。」

 

陸・七「……。」

そんな二人のやり取りを見ながら、ふと、陸は気になったことがあるようだ

 

陸「なあ蒼太。青谷を溶かす前になんで「ネコ」は結界を張ったんだ?」

 

蒼「ん?ああ、そのことか。青谷は自分でも「歩く劇物」って言ってたけど、劇物の枠内に収まんないんだよね。」

 

陸「えーと……つまり、」

 

蒼「本当に例えるなら「この世の地獄」とか「死そのもの」って言ったほうが正しいくらい彼が精製する毒は強力。さっきの赤黒い液体だって気化とかしていたら…ね。」

 

七「どれだけの被害が出るか…なんですね…」

 

蒼「そうだね、ここの四人だけならまだ本当にいい方。だけど下手に広がりでもしたら…この住宅街だけでなく、町や都市の一つや二つ…軽く潰せてしまう…。だから結界を張ったんだよ。」

 

青谷の毒の効果は、内臓という内臓を破壊しつくし、さらに全身の激痛、幻覚作用、極度の吐き気、めまい、頭痛、溶血、末端からの壊死等々…様々な効果。恐ろしいのは「すぐに死ぬことができないこと。」最長で約10分間、この地獄を体感しなければならない。

…………万が一、青谷の血液がそのまま体内に入り込めば………考えたくもない。

 

陸「…もはや生物兵器だな……。」

 

このような会話をしてしばらく。落ち着いた頃。

 

午後 5時頃

ピロン♪青谷の携帯が鳴った

 

青「誰からだろ?…あ、警視庁からだ。」

 

蒼「指示メール?」

 

青「そうだね。パソコン、パソコン…。」

 

警察や国からの指示、依頼は全て暗号化され、青谷のパソコンに行く。

 

ネ「内容は?」

 

青「待ってね……。えっと…昼過ぎぐらいに言ってた容疑者の弟のアポ取れたみたい。時間は今日の6時からでいいみたいだね。住所は…ここだね。」

 

蒼「よし!じゃあ準備したら行きますか。」

 

陸「ああ、了解した。」

 

 

そして、例のアパート前

 

蒼「このアパートだね。204…二階か。」

 

陸「………。」

 

蒼「うん?陸どうしたの?」

 

陸「…………。」

 

蒼「…陸?」

 

陸「……いや、何でもない。」

 

蒼「?」

 

蒼太はいきなり黙り込んだ陸が少し気になったが、とりあえず204号室のインターホンを鳴らした。そして目的の男性が出てきた

 

?「ハイ。あっ、連絡のあった人達ですか?」

 

蒼「そうです!今回、担当する色崎 蒼太です!わざわざすみません。「逆島 穂(さかしま みのる)」さんですよね。よろしくお願いしますね。」

 

穂「ええ、よろしくお願いいたします。」

 

陸「………。」

 

そして3人は部屋に入っていった。

 




ヒシモチです。今回もありがとうございました。
キャラシートです。今回は二枚です。(七海と「ネコ」)

第1ヒロイン

篠原 七海 (しのはら ななみ) 女性
(癖毛のセミショートカット)
4月10日生まれ(20)

ボーダーコリー

身長155cm 体重ヒミツ

ゆるふわ天然系

ゲームが得意だったりする

いろんなところで運が良かったりする

一応こう見えて公務員…の下っ端。色崎 蒼太の監視員としてここにいる。
特に蒼太が戦闘となる場合は必ず一緒にいる。



重要人物

ohxoccicufuchhvvihcohcohjwjduwjfjfooqldu8bdoxjqkpf+tuc5s#fpaiduxkdjxudjjhfobhkvsbjdvdgjqhsvhdjwhdobdivivwibfibibwvidhcowuvuwvuwgjdusoqljucycuwjwhdyjkBt:Vjjiiiiuacaftd'ekia
pa0wkfhuwjfjxudjfhufiejduuejduUujjHhyvHujcJxej"gtgfsdjKopgf7+feyugfdgsjwjwgekdiwkhduwjwjdiuwieiwiehhduGgjkjhyyyttttttyhuoiaiqososlsicidkdjxjdududjfjcTtskwLqdpcpig#ldpgiuwiajsjdjxjsksjdjclxkjccuwjfhkckkeuukejjfjfjfjejfdjxkdid8sosdifuvtbtbrnrrbrfbrrjJc7fHsosos@@aicjgjtubxjkfjdjjsjjsudud






君達には、まだボクの情報は早い






udufufuufufufufdycyxtctrdcvwh4728829wu%6wjckixkdhvqjdos@suduvy.ykrxiuxizjehryfJWJDUUJWHUXOALJHQHSYcodkfkdjfjrtigkfkfkfjbt=hviuwvaiduqkfirbbtjtcqhhduudhwhf8fjfvyckg&28qoqp73u3yett3te84o4517181827ziw#92o92iu/uckhpsahbdjkxvxucuryqtfufjfbvvfvyodjdidefhefgheffghesrjJyojshagavaxkuvgklnjshsj








目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 アルターエゴ

容疑者の弟、犬系雑種、逆島 穂(さかしま みのる)のアパートに赴いた二人、
到着後、陸は急に黙り込んでしまう。
そんな陸には、お構い無しに蒼太は情報収集を開始した


蒼「いやー、急にすみません。情報収集とはいえ…お茶まで出していただいて…。」

 

陸「ありがとうございます…。」

 

穂「フフっ、大丈夫ですよ。姉があんなで、しかも行方不明…疑われても仕方ありません。…心配なのは事実ですがね……」

今回の事件の容疑者となっている逆島 穂の姉、逆島 咲(さかしま えみ)。

数年前に自身の殺人衝動のために何人も殺傷した凶悪犯。

 

本来なら死刑または無期懲役を処されていたが、彼女の場合は精神的異常、精神病を患っていると見なされ、禁固刑となり、数ヶ月前に出所した人物であるが、出所した数日後に行方不明となっている。

 

蒼「さて、本題に入りましょう。…単刀直入に言います。我々、国や警察達は咲さんを捜索しています。いなくなる前に、何か言っていた。…そういうのは、聞いてたりしませんか?」

 

穂「ごめんなさい…何も聞いてないです…強いて言えば、最後に外に出ようとした時に「ちょっとそこまで。」としか言っていなくて…それっきりです。」

 

蒼「…そう…ですか。……それでは次に──────。」

 

穂「────、────────。」

 

蒼「──……。────、──────。」

 

陸「………………。」

 

陸は一応、会話の内容を要約しながら紙にまとめ、ずっと考えていた

 

それから2時間ほど情報収集をして

 

蒼「本日は本当にありがとうございました…。」

穂「いえ、こちらこそありがとうございました。お役に立てなくてすみません…。」

 

蒼「そんなことありません。また何かあれば、こちらからまた連絡しますので、お願いします。」

 

こうして帰り道。午後8:00

 

蒼「うーん…。やっぱり進展しないよなぁ…。陸はなんか解った?」

 

陸「…わからない…。」

 

蒼「そうだよねぇ…陸もわからな――――

 

陸「そうじゃない。わからないのは逆島 穂の方だ。」

 

蒼太を遮って言った

 

蒼「…どういうこと?」

 

陸「気のせいかもしれないが、何かを感じた。……本当に集中してないと気づかないくらいの…」

 

蒼「何か…ねぇ…幽霊の気配とか?」

 

陸「いや、奴らとはまた違うものだった。」

 

蒼「ふむ…なら、陸の目は特殊なんだろ?なんか見えたりとかは?」

 

陸「見えなかった。おそらく小さすぎるか、本当に気のせいか…。例えるなら肉眼で微生物を見ようとするのと一緒だ。だから確証も持てないし、断言もできない。」

 

蒼「じゃあしょうがないか…悪く言うつもりは無いんだけど、本当にそれが関係あったとしても、証拠とは言えないよね…」

 

陸「…悪い…変な期待させちまった…」

 

蒼「そんなことないさ。とりあえず今は帰ろう。話はそれから。」

 

陸「ああ、わかった。蒼太」

 

そうして帰宅した二人。もうじき午後9時になる頃、ちょうど青谷のもとに一通のメールが届いた。

 

蒼「ただいま~」

 

陸「今戻った。」

 

ネ「あっ!二人とも!」

 

七「今さっき警視庁から鑑識結果が届いたんです!」

 

蒼「情報は?被害者?加害者?」

 

青「被害者だよ。ただ、見た感じ無差別みたい。老若男女、若い人が多いけど。しかも種族、牙型・臼歯型さえも無差別だね。………何が狙いなんだか…。」

 

牙型→肉食系

 

臼歯型→草食系

 

陸「一つの種族に私怨を持っている…ということではないか…。」

蒼「僕も逆島 穂に話を聞いたけど…ダメだな…ますますわかんないや…。」

 

青「俺らも犯人のDNAが見つかったと思って期待したんだけどね……。」

 

ここまで来ると青谷もお手上げ状態のようだった。そんな中、ダメ元で先ほどの陸のことを説明した。

 

蒼「そういえば、陸が相手からなんか感じたような気がするって言ってたんだよ。ただ、あまりにも小さすぎる…のかな?見えなかったんだって。肉眼で微生物を見ようとするのと一緒だって」

 

ネ「小さすぎる…ねぇ……何とも言えないなぁ…申し訳ないけど。」

 

やはり「ネコ」もお手上げ状態だった。

 

陸「どうしたもんかな…。」

 

そこで七海が一旦リフレッシュするべきだと、口を開いた。

 

七「私が言うのもあれですが、一旦家に帰ってリフレッシュしませんか?そうすれば、何か見えてくると思います。」

 

青「それも…そうだね。一旦帰ろうか…。」

 

これに皆 賛成し、仕事場を後に「ネコ」を除く4人は、それぞれの自宅に帰って行った。

 

そして、ある日の事。

 

7月1日 10時半頃 陸の自宅

 

ピンポーン インターホンが鳴った

 

陸「誰だ……?」

扉を開けると、そこに七海が立っていた。

 

七「おはようございます!陸さん!」

 

陸「ハヨ…よくここがわかったな。」

 

七「「ネコ」さんに教えもらったんです。……陸さんのこと、色々知ってこいって…。」

 

陸「そんなことも出来んのか…アイツ…。なら、上がってけよ。立ち話もなんだしさ。」

 

七「え…良いんですか?」

 

陸「ちょうど退屈してたし、せっかく来てくれたんだ。無下になんてしねーよ。」

 

そして、

 

七「事前連絡もなかったのにすみません…。」

 

陸「退屈してたのは本当だし、別にいーよ。あっ、麦茶でいいか?」

 

七「あ、ありがとうございます!」

 

数分後

 

七「気になってたんですけど、よく見ると陸さんの瞳って猫系みたいですよね…。あと耳も若干大きいし…。」

 

陸「ああ、言ってなかったか…俺は狐と犬の混合種なんだ。父親がキタキツネで母親が甲斐犬、「カニド・ハイブリッド」ってやつ。」

 

カニド・ハイブリッドとは、犬科の中の種、亜種を越えた混合種のことであり、狼犬もこれに当たるが、本来はこのような場合で子供が産まれる時、例で犬の父親と鹿の母親の場合、母親の種に6割、父親の種に4割で、どちらかの種が産まれる。しかし、陸の親の場合のように、種族が近ければ、種族差はあるが最高値で父親と母親の種、双方種4,5割、混合種1割の確率で産まれる。

 

陸「説明どーも。」

 

七「……えっと…今のは…。」

 

陸「俺にもわからん。気にしたら負けだと思う。」

 

七「えぇ…」

 

そして七海が色々聞いた後、

 

陸「………なぁ。俺からも一つ聞いていいか?」

 

七「ええ、なんでしょう?」

 

陸「こんなこと聞くのもあれだが、「愛」ってなんだろうな。」

 

この時の陸の表情は、何ともないように見えたが、本当にどこか悲しさがあったという

 

七「……陸さん………。」

 

陸「俺には「両親」ってのがいないから、「愛される」とか「人の暖かみ」がわからないんだ…ましてや「愛する」ということさえも。」

 

七「…私も、その本質はまだ分かりません。でも、いつかは誰であれ「愛」が分かると思います。私も…陸さんも…。」

 

陸「………そうか………。」

 

そして、

 

七「今日はありがとうございました。」

 

陸「ああ、俺からも今日はありがとな。」

 

七「ハイ!では、また明日。」

 

陸「ああ、」

 

そんな1日が終わり、翌日。

 

ネ「…。」

 

青「…。」

 

蒼「…。」

 

七「…。」

 

陸「…。」

 

全員 何かないものかと考えを巡らせていた。そんな中、七海が何か思い付いたようだった。

 

七「そういえば陸さん、肉眼で微生物を見ようとするのと一緒だって言ってましたよね?なら顕微鏡を用意すればいいんじゃないかって、今 思ったのですが…どうでしょう?」

 

陸「顕微鏡…なぁ…。」

 

ネ「あっ、出来る!その手があったか!」

 

青「あー、そういうことか。」

 

蒼「えーっと…つまり?」

 

ネ「ボクが顕微鏡の代わりをすればいい。詳しく言えばボクが過去を映し出すと同時に、君の目の力を引き出してやればいい。」

 

陸「言ってることがハチャメチャすぎるが…それしかなさそうだな。」

 

ネ「ヨシ!早速準備しよう!」

 

しばらくして

 

ネ「陸!準備は良い?」

 

陸「ああ、いつでも。」

 

ネ「じゃあ…<過去を映せ>…。」

その瞬間、陸の目の前に逆島 穂のところに行った時の映像のようなものが映し出された

 

七「これは…」

 

ネ「蒼太と陸の記憶だよ。あとは陸の目を強化するだけ。」

 

陸「………やっぱり気のせいじゃない……「ネコ」!頼む!」

 

ネ「了解!強化!」

 

強化が完了すると、陸にあるものが見え始めた。

 

陸「………これは…!?」

 

ネ「何が見えた!?」

 

陸「……気配の正体がわかった。それと俺の予想が正しければ、犯人は明日の夜 池袋に現れると思う」

 

蒼「正体ってのは?」

 

陸「犯人の正体。犯人は──」

 

青「………わかった、明日だね。陸、蒼太、七海ちゃん、今のうちに準備を。」

 

そうして色々陸は聞かれ、翌日。

 

7月3日 午後11時頃 どこかの路地裏

 

男「ヒィ…ヒィ…いてぇよぉ……」

 

?「………。」

 

男は何度も左肩辺りをメッタ刺しされたらしく、血まみれだった。

 

男「や…やめてくれ…死にたくない…」

 

?「………。」

 

ナイフを振り上げたその時だった

 

蒼「やっと…見つけた」

 

?「!?」

 

振り向くとそこに蒼太と陸と七海が立っていた

 

陸「お前だな?殺人鬼は、」

 

七「………。」

 

男「ヒィィィ!助けてくれぇ!」

 

隙をついた男は蒼太達の方に逃げ出す…が。

 

陸「おいバカ!下手に動くな!」

 

ドズッ

 

男「ガフッ……え…。」ドサッ

 

倒れた男の背中、心臓辺りに深々とナイフが刺さっていた。

即死だった。

 

殺人鬼は男からナイフを抜き取り顔を上げた

 

陸「やっぱり、お前だったか…逆島 穂…いや、逆島 咲。」

 

逆島 穂の体をした逆島 咲が狂ったように笑い飛ばし、そして続けた。

 

咲?「アンタらさぁ…今さらアタシが犯人ってわかったんだァ…」

 

蒼「そりゃアンタの体が無いんだもん。分かるはずないだろ?………そんなことよりさ、いつも死体はどこやってんの?」

 

陸「聞いても無駄だと思うぞ。実際、処理してんのは穂の方だからさ。」

 

逆島 咲?は変わらずニヤついていたが

 

陸「という訳だ。逆島 穂の方を出せ。」

 

咲?「ハァ…ハイハイ出せばいいんでしょ?出せば。」

 

そう言うとすぐに逆島 穂が出てきたのが分かった

 

蒼「オイ」

 

穂「待ってくれ!僕はただ、中にいる姉さんを止めようと…」

 

陸「うるさい、そんな御託はどうでも良い。…正直に答えろ。………お前、何人喰った?」

 

その瞬間、逆島 穂の表情が冷酷なものに変わった

 

蒼「…始めは姉さん…逆島 咲を止めようと殺してしまい、遺体の処理に困ったアンタは、その遺体を食べて隠蔽しようとしたのが始まりだった。」

 

陸「そしてお前は人間の味が忘れられず、何らかの拍子に発現した、殺したはずの逆島 咲の人格に殺人を任せ、遺体はお前が喰って処理をするという形になり、現在に至る…こんなところか?」

 

そう、逆島 穂は二重人格者(アルターエゴ)であった。

 

穂「…正解…だね。始めは僕もだめだって思ったよ?でもさ、美味しくって…止まらなくってさ、殺人は姉さんに任せてたし、処理するくらいならいいかなって…血もちゃんと残さず飲んでいた時期もあったけど、飲まなくなってからだいたい10人目くらいで数えるのやめたかな?」

 

蒼「こいつ…」

 

七「悪魔…。」

 

陸「…どちらにせよ行動に移したのは、お前の体だろ?それに、お前は人間を喰った時点でもう戻れないんだ。」

 

穂「…何が言いたいの?」

 

陸「簡単だ…お前らは、ただの怪物だ。」




お待たせしました~ヒシモチです。次回からようやくバトルです。


キャラシート 種族の部分が破けている…

第2主人公

色崎 蒼太 男性

12月16日生まれ 24歳

狼(手書きだ…)
身長188cm 体重72kg


基本のらりくらり

戦闘時 凶悪な性格が現れる

趣味はないみたい

戦闘時に装備しているのは、デザートイーグル、S&W m500、トンプソン コンテンダーの3丁、弾薬は鋼鉄弾と通常弾、「ネコ」によって防音のエンチャントが施されている。

彼は昔、両親から虐待を受けていたが、ある日、両親 (ここから下はインクで塗り潰されているようだ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 裏と影

蒼太達は、やっとのことで犯人を見つけだすことができた。しかしその犯人は二重人格であり、遺体を食べていたことが判明した。果たして、蒼太達は犯人を倒すことは出来るのだろうか。


穂「何が言いたいの?」

 

陸「簡単だ。お前らは、ただの怪物だ。」

 

言い放った瞬間、人格が咲に変わり

 

咲「アタシが黙ってりゃあ、色々言ってくれんねぇ…。アタシらが怪物?上等だよ。アンタから先に殺す。んでもって穂に喰わすワ…」

 

陸「…俺が先だってさ。蒼太。」

 

蒼「ちぇー、つまんないの。いらないと思うけど、危なくなったら助けるから。」

 

陸「ああ、頼んだ。」

 

咲「…ずいぶんと舐めた態度とるじゃんか…アンタらは絶対殺す…!」

 

陸「うるさいな。そればっか言ってないでさっさと掛かってこいよ。」

 

咲「野郎…後悔すんなよ!」

 

挑発に乗った彼女は陸の首にナイフを突き立てようと飛び掛かる…が。

 

陸「…。」

 

陸は一歩も動かずに、軽く弾いてみせた。

 

咲「テメェ…!!」

 

激昂する彼女だが、変わらず陸は弾いてみせる。

 

逆島 咲は怒りに任せて攻撃しているため、急所は捉えているものの、だんだんと刃筋がメチャクチャになっていく。しかし陸は依然として、ナイフ一本で弾き、いなし、かわし…全ての攻撃を無傷で捌いていた。

 

そして陸は飽きたのか、ため息をついて言った

 

陸「はぁ…お前メチャクチャだな。ナイフはな、こう使うんだ。」

 

その瞬間、陸は一瞬にして逆島 咲の頸動脈、脳、心臓…3つの急所を捉え、刺し穿ち、切り裂いた。

 

陸「怪物ごときが…人間に敵うと思うな。」

 

彼女は大量の出血とともに倒れた。そして二人に振り返って言った

 

陸「…終わったぞ。」

 

蒼「結局 出番無しか。」

 

七「凄い…」

 

陸「呆気なかったな。死体はどうするんだ?」

 

蒼「終わりましたって国に電話で報告する。そうすれば片付けてくれる。」

 

七「では、報告しますね。」

 

蒼「うん、よろしく……え?」

 

蒼太が陸の方に目を向けた、その時だった

 

蒼「陸伏せろ!後ろだ!」

 

陸の後ろでどういうわけか、殺したはずの相手が起き上がり、陸に襲い掛かろうとしていた。

 

これに反応した陸は、すかさず伏せる。同時に陸の頭上を三発の銃弾が一直線に飛んでいき、奴の下顎から上を吹っ飛ばした。

 

陸「な…なんで!?」

 

蒼「……チッ、ダメか。」

 

もう本当に人間でなくなった奴は、頭を再生させながら起き上がり、狂ったように笑った。

 

咲?「アッハハハハ!アタシらがそう簡単に死ぬかよ!!」

 

穂?「姉さん、笑いすぎだよ…いくら滑稽だからってさ…。」

 

蒼「不死身か?」

 

もはや、陸達の前にいるのは本物の怪物。壊れた機械のようにペルソナが変わる姿は狂気と恐怖そのものだった。

 

そんな中、七海は目の前の狂気と恐怖に押し潰され、今にも発狂し泣き出しそうになっていた。

 

七「…あ……あ……蒼…太……さん…陸……さん…。」

 

その時だった。

 

?「ハイハイ、泣くにはまだ早いよ七海ちゃん。…こんなことだろうと思ったよ…。」

 

咲?「あー?誰だ?」

 

陸「お前は…!」

 

蒼「なんだ来たんだ…「ネコ」。」

 

ネ「うん、魔力を感じてさ。」

 

「ネコ」は逆島 穂だった怪物を睨むと、右手を伸ばし、何かを掴むような仕草をしたとたん、奴は胸を抑えて苦しみだした。

 

咲?穂?「うぐあっ!…が……!」

 

ネ「……コレか。」

 

そう言って、今度は引き抜く動作をすると、「ネコ」の手には何かが握られていた。

 

咲?穂?「…そ…それは…!」

 

ネ「キミの中にあった「暴食の力」。コレを引き抜けば残りの魂もついでに引き抜けると思ったけど…。まぁいい、で?これは何処で手に入れたの?」

 

蒼「暴食?魂?どういうこと?」

 

ネ「ん?ああ、大丈夫だよ三人とも。こいつは青谷のように完全な不死身じゃない、有限だ。」

 

陸「ようするに…」

 

ネ「ゲームでいう「残機」と一緒。全て殺し尽くせばいい。」

 

種を明かされた逆島は苦虫を噛み潰した表情になり

 

穂「…予定が変わった…逃げるよ姉さん。」

 

咲「チッ、分かった…」

 

陸「待てっ!逃げるな!」

 

咲「やだね。…土産だ。」

 

そう言って投げたのは、スタングレネードだった

 

瞬間、辺りが光に包まれた

 

七「キャッ!」

 

陸「くっ…!」

 

蒼「…!」

 

ネ「………逃げられたか…。」

 

そこには、すでに誰もいなかった。

 

蒼「まさか、本当に魔法が関わっているなんてねぇ…」

 

ネ「…もしや、アイツが関わっているのか?」

 

陸「……アイツ?」

 

ネ「ああ、でも今は帰ろう。さっきの奴はもう人間を食べられないようにしたからさ。説明はそれから」

そう言って「ネコ」は「ゲート」という空間を繋げる魔法を使い、3人を帰らせ、周りを確認すると「ネコ」も帰っていった。

 

ネ「さて…皆には、話たいことが山ほどあるけど、結論から言おう。黒幕がいる…多分だけど、その黒幕は他のにも関わってると思う…」

 

青「ふむ…その黒幕ってのは、誰だか分かったりする?予想だけでも…」

 

ネ「ああ、そいつの名は「バーゲスト」僕と対極の位置に立つ者だ。今回の「暴食の力」も奴が与えたって考えてる…」

 

バーゲスト…不幸を司る妖精、または不幸そのもの。姿は熊のような姿もあれば黒い犬の姿している時もある。

 

青「そう…とりあえず今日のことは、警察の本部長達に報告したよ。報告書くれれば、上手いことまとめてくれるって。」

 

ネ「ありがとう。助かるよ。」

 

しかし、まだ陸は疑問が残っていたようだった。

 

陸「なぁ…その「暴食の力」ってなんなんだ?アイツの不死身となんか関係あるのか?」

 

ネ「うん、それはね、ただ食欲を増やすだけじゃなくて、「食べたものを食べた分だけ完全にエネルギーに換える。」普通の食べ物だったらスタミナに…命を持つ生き物であれば回復力や生命力に……つまり、人間であれば肉体はスタミナやエネルギー、魂は回復力に回される。魂に至ってはその場で消費じゃなくて使われる時になるまでストックされる。半永久的な不死身ってわけだね。」

 

蒼「それでゲームの残機に例えたんだ。」

 

ネ「そういうこと。あ、そう言えば今何時?」

 

青「1時過ぎてるね、もうこんな時間か…」

 

ネ「夜遅いし、泊まってきなよ。七海ちゃんもまだあんな感じだし…。」

 

七海の方を見ると、うつむいて座っており、よく見ると、まだ足が震えていた。あの怪物がトラウマになってしまっているらしい

 

蒼「よほど怖かったんだね…」

 

ネ「あんなの見たら、誰だってトラウマになるよ…それに、あの状態で帰すことなんて出来ないよ…」

 

陸「分かった、泊まるよ。シャワー貸せよ?」

 

蒼「じゃあ僕もー。こっから帰んのダルいし。」

 

青「俺は、これから報告書作るから確定ってことで。」

 

ネ「あとは…七海ちゃんだけだね。七海ちゃん今日は泊まってってね、もう夜遅いから。」

 

七「え?…あ、はい……」

 

そしてしばらくして、陸と蒼太は椅子に座って眠り、「ネコ」と青谷は地下の工房で魔法の研究、報告書の作成をして、七海はソファーに横になって、眠っていた。

 

七「………。」

 

また、あの光景が、あの怪物が出てくる

 

<?「アッハハハハ!アタシらがそう簡単に死ぬかよ!」>

 

何回も頭を吹っ飛ばされてる。 何回も心臓を壊されてる。

 

どうして…なんで生きているの?

 

<?「姉さん…いくら滑稽だからって笑いすぎだよ…。」>

 

グジュグジュと音を立てて再生しながら笑っている

 

二つの顔が混じり合いながら笑っている

 

もうやめて…私の中に出てこないで…

 

<??「アッハハハハ!ギャハハハハ!!」>

 

 

七「う……うぅ………っ!………夢……。」

 

悪夢に苛まれ、目を覚ました七海は、ゆっくりと体を起こした。まだ3時のようだ。

 

陸「どうした?眠れないのか?」

 

窓際で月を眺めていた陸が、声を掛けてきた。

 

七海「陸さん…ええ、怖い夢見ちゃって……ごめんなさい、変ですよね…大人が悪夢なんかで眠れないなんて…。」

 

陸「ふーん……なぁ、目を閉じてもう一度思い浮かべられるか?一瞬でいい」

 

七「ええ、大丈夫ですが…でも、なぜですか?」

 

陸「いいから。」

 

七「は、はい…」

 

七海は言われるがまま目を閉じて思い浮かべた。案の定すぐに出てきた。

 

あの恐怖と狂気に満ちた光景、あの狂った怪物、だんだんと笑い声も聞こえてくるような気がした。

 

七「うぅ………陸さん…もういいですか?」

 

そう聞いた瞬間だった

 

陸「七海、動くな。」

 

スパッと音がしたと同時に、思い浮かべてたものは、霧のように消え失せた。

 

七「…え?」

 

陸「お前が怖いって言ってたヤツを切った。」

 

目を開けると、陸が前にいた。すでにナイフは、しまったらしい。

 

陸「もう出てこないようにしたから、安心しろ。」

 

七海はもう一度思い浮かべようとしたが、もう出てくることはなかった。どうやら本当に切ったらしい。

 

七「本当に凄いですね…ありがとうございます!…ところで、陸さんは幽霊以外も見えるのですか?」

 

陸「そうだな…俺の目は概念そのものを視ているから、具体的には存在さえすれば全部見えるし、やろうと思えば触ることも出来る」

 

七「そういうことですか…」

 

陸「まぁ、そのうち詳しくな、もう眠れるか?」

 

七「はい、おかげさまで…本当にありがとうございます。お休みなさい…陸さん…。」

 

陸「ああ…お休み…」

 

そして夜が明けて

 

七「ありがとうございました!「ネコ」さん。陸さんもありがとうございました!では、また明日。」

 

ネ「うん!じゃあ気をつけてね。」

 

陸「ああ、またな。」

 

七海が帰った後、蒼太がからかってきた

 

蒼「陸にも優しいとこあるんだねぇ…昨晩は見直したよ(笑)」

 

陸「うるさい…寝たふりの上に盗み聞きかよ…悪趣味。」

 

蒼「いやーそれ程でもー(笑)」

 

陸「誉めてねぇ。」

 

 

時を同じくして違う場所、

 

どこかのビル内

 

暴力団 白山組

 

男A「この写真の男がそうか…」

 

男B「ええ、そいつが例の色崎 蒼太ですぜ、兄貴」

 

男A「オヤジ(組長)にはもう伝えたな?」

 

男B「ええ!一番にしっかりと!」

 

男C「しかし、本当にコイツが俺らのシマ荒らしている上に、組の人間を潰しまくってるのか?」

 

男D「だとしてもなぁ…」

 

男F「こんなヒョロヒョロな奴がそうだなんて嘘だろ。」

 

組長「おう、テメェらなにやってんだ?」

 

男A「オヤジ!お疲れ様です!実は…(説明中)」

 

組長「ああ、例のヤロウか。なんならそいつの仲間拉致って誘き寄せて殺っちまえばいいじゃねえか。」

 

男A「なら、三神(みかみ)の奴にやらせますか。オヤジ。」

 

組長「ああ、好きにしろ。」

 

そして、

 

男B「というわけだ、俺とお前でやることになった。ちなみにチャカ(拳銃)はお前が持てってさ。」

 

?「なっ…なんでオレが!?」

 

三神 優希(みかみ ゆうき)20歳 タイリクオオカミ

 

男B「お前が一番下だし、兄貴達が決めたんだ、文句あんのか?」

 

優「う…わかったよ…やればいいんだろ…。」

 

そして、一週間程経ったある日のこと

 

7月11日 8時頃

 

七「フンフフーン♪」(徒歩通勤中)

 

優「……。」

 

七「むぐっ!?」

 

七海は後ろから口を押さえられ、そのまま車で連れてかれてしまった。

 




お待たせしました。ヒシモチです。
今回は「ネコ」達の日常をショート漫画のように紹介します!どうぞ!

七海と青谷のスマブラ

七「フンフーン♪(余裕)」(キャプテン・ファルコン)

青「ぬぅ……。」(ゼロサム)

七「ジャスガ~下投げ~空N空N~♪」

青「くっ…まだ舞える…まだ舞える…(崖外)」

七「無駄です。空下ドーン(バキィ、チュドーン」

青「チックッショ…」

数秒後、

七「下投げ~空上~空上~上B…あ、外しちゃった。」

青「ハッハァ!当たってねぇんだよ攻撃がぁ!」(調子乗り)

七「そうですね、でもしっかり当てますよ、膝。(ドゴォ、チュドーン」

青「ゴ…ゴフゥ…」

さらに数秒後、

青「ぬぅ…さっきからちょこまかと…(85%)」

七「まぁまぁ、これで落ち着いてくださいな…(NBポチー)…ファルコンパンチ!(ギューン、チュドーン」

青「あ。」

「game set!! キャプテン・ファルコン、win!」

七「うふふ♪楽しいですね!青谷さん!」(3タテ)

青「むぅ…おに。」(連敗中)

蒼(青谷って、あれでもVIP部屋の上位勢なんだけどなぁ…)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 蒼太のセイギ

青「前回のあらすじぃ!!」

蒼「七海ちゃんが誘拐された!以上!!」

ネ「はっちゃけてるなぁ…」

陸「いや真面目にやれや…」

七「第5話スタートです!どうぞ!」


7月11日 8時半頃

 

どこかの大型倉庫。

 

七海の口を塞いでいたものを取られると、七海は

 

七「プハッ!な…何をするんですかぁ!」

 

そう言って動こうとしたが、手足を拘束された上で椅子に座らされていたため、動けなかった

 

優「仕方ないだろ、色崎 蒼太を誘き寄せるためなんだ、おとなしく捕まっといてくれ。」

 

七「むぅ……それにしても、誘拐して誘き寄せるとか、なんかベターじゃないですか?」

 

優「…は?」

 

七「今 捕まってるので、あれですけど、なんだかありきたりと言うか…普通と言うか…他に無かったんです?」

 

優「う、うるせえな!考えたの組長なんだから仕方ねえだろ!」

 

七「じゃあ、漫画かドラマの観すぎですね…その組長さん。」

 

優「お前…組長バカにするなら容赦しないぞ…色崎をぶっ殺した後お前どうなっても知らねえからな!」

 

七「はあ…そうですか。言わせてもらいますが、あなたが蒼太さんに勝てるとは正直思ってません。むしろ、逃げたほうが良いと思います。」

 

優「バカにして!」

 

七「あと一つ、あなた方その…暴力団?ですかね、蒼太さんをどう思っているのか知りませんが、あなたが言っていた「ぶっ殺した後どうなっても知らないからな」これ、ここ以外でも何回も聞いてますが、全部返ってきますよ?」

 

優「お前…何を言って…」

 

七「…後に分かります。」

 

一方その頃、

いつもの事務所

 

蒼「おはよー、あれ?「ネコ」と陸と七海ちゃんは?」

 

青「おはよ、「ネコ」と陸は朝早くに警視庁本部に行ってる。もうちょっとで帰ってくるよ。大事な話があるんだって、七海ちゃんは分かんないなぁ…いつもならもう来てるはずなんだけど…」

 

そんな時、青谷のパソコンにダイレクトメールが届いた

 

青「珍しいな…誰だろ。」

 

蒼「どれどれ…」

 

メールの内容は、七海を誘拐したこと、そして場所と蒼太一人で来るようにと言う指示等のことが書かれていた

 

青「誘拐…場所は…この倉庫か………思ったんだけどさ、ベター過ぎない?コレ。」

 

蒼「ね、思った。それよりも足になるものない?」

 

青「君のヤマハ・スポーツタイプが裏のガレージに置いてあるよ。ハイ鍵」

 

蒼「サンキュ。じゃあ、パッと行ってくる。」

 

青「ああ、お願いねー。」

 

蒼太は装備を整え、向かって行った。

 

しばらくして、七海は まだ拘束されていた

 

優「…なぁ…「全部返ってくる」って…」

 

七「そのままですよ。誘拐されたのは初めてですが、全員最低でもボコボコにされてます。」

 

優「ボコって終わりかよ。」

 

七「話聞いてました?「最低でも」って言いましたよ?私。あなたが言う最高は知りませんが、一番酷かったものを見た時は正直、失神した後吐いちゃいました。」

 

優「ハッ、信じられねえな…」

 

七「まぁ、そうですよね。……あ、噂をすればなんとやら、いらっしゃったみたいですね。」

 

優「!」

 

同時に、蒼太が入ってきた

 

蒼「ここであってるかな?七海ちゃーん、いるー?」

 

七「はーい、ここですよー。」

 

蒼「お、いたいた……で?君かな、こんな面倒事起こしたの…君の上司の命令かい?」

 

優「そうだよ…悪いが、お前を殺させてもらう!」

 

そう言って、三神 優希は銃を構えた

 

蒼「ほう、グロックのオートマか…ならこうしよう!君は何発撃ってもいい、ただし僕は一発のみで、ゼロ距離じゃなきゃ撃てないって言うハンデをあげるよ!」

 

優「舐めやがって…死んじまえ!」

 

銃を撃つが、蒼太は右へ、左へユラユラと避けていきながら、一歩、また一歩と三神の方に近づいていった。

 

そして三神の目の前に蒼太が立った

 

優「う…嘘だ…なんで当たんないんだよ…」

 

蒼「で?次は?」

 

優「チィ!」

 

三神は銃を突き出すが蒼太は、すかさず相手の銃を掴み、三神を突き飛ばした。

 

優「うわっ!……野郎!……あれ!?スライド……」

 

蒼「ここだよー。」

 

蒼太の手には、グロックのスライドが握られていた。

 

スライドを後ろに投げ捨て、また歩いて近づいていった

 

優「くっ…まだ…こっちには、もう一丁有るんだよ!……あれ?なんで…撃てない……」

 

そして蒼太は、また目の前に立つと

 

蒼「…はぁ……セーフティ…」

 

優「え?…あっ…」

 

セーフティが掛かったままになっていたことを指摘した

 

蒼「君…銃持ったことないでしょ…」

 

優「うる…せえなあ!!うわっ!」

 

三神は思いっきり突き飛ばされ、そのまま後ろに倒れてしまった

優「イタタ……この!!…ぐあ!」

 

今度は、そのまま胸を押さえつけられ、動けないようにされた。

 

持っていた銃は、押さえつけられた時に手から離れてしまったようだ。

 

優「殺せ…殺せよ!」

 

蒼太は銃を三神の眉間に突き付けると

 

蒼「言いたいことはそれだけ?じゃあ、殺すね…ん?(フニュ)」

 

変な感触がした。蒼太は相手の胸から左手を離して、しばらくその左手を眺めると、

 

蒼「君…女の子?」

 

優「…………………っ!!!」

 

理解したのか優希の顔は、みるみる赤くなっていった

 

優「う……う…うるせえな!…お…オレが…女で…悪いかよ……。」

 

蒼太は、少ししてから立ち上がり、優希を起こした。

 

優「え…あ、ちょっと…」

 

蒼「……。」

 

そして蒼太は、七海の縄をほどきながら言った

 

蒼「飽きた…それに女の子が銃なんて持つもんじゃないよ?」

 

ほどき終わると、七海を連れて出口に向かった

 

優「お…おい!待て!」

 

蒼「待たない。じゃまたねー。」

 

七「蒼太さん…最低です。」

 

そして。

 

出口を抜けたところ

 

七「あれ?帰らないんですか?」

 

蒼太は倉庫の影から動こうとしなかった

 

七「蒼太さん?」

 

蒼太「シッ!静かに…」

 

すると、倉庫内から声が聞こえた

 

?「お前…女なんだってなあ?」

 

優「お前!いつからそこに…」

 

男Bが現れた

 

男B「奴は殺せねえわ…チャカは壊されるわ…挙げ句の果てに、俺らに嘘ついていたのか…テメェ…」

 

優「ち…違う!ただ…オレは…」

 

男B「俺らに嘘つくような女はお仕置きだなぁ…」

 

優「や…やだ…やめろ…うわあ!」

 

優希はそのまま拘束され、男Bに車で連れてかれてしまった

 

それを見ていた七海達は

 

七「…蒼太さん!」

 

蒼「分かってる。七海ちゃんは青谷に迎えに来てもらって。僕は、あいつらを追いかける…」

 

七「え…でも監視役が…」

 

蒼「その点は問題ない、ああいうのを潰す時は監視役はいらないって言われているからさ…」

 

七「わかりました…お気をつけて。」

 

蒼太は、うなずいてバイクに乗り、倉庫を後にした

 

しばらくして

 

どこかのビル内

 

優希は、既に服を脱がされた挙げ句、テーブルの上に押さえつけられ、下着の姿で何回か殴られて身体中、青アザだらけになっていた。

 

組長「胸にサラシ巻いて隠してたとはなあ…よくここまで過ごせたもんだ…」

 

そう言って、優希をまた何回も殴った

 

優「ぐぁ…が…ごふ…あが…」

 

組長「もういいだろう…後は犯すなり殺すなり、お前らが好きにしろ。」

 

優「…だれ…か……たすけて……」

 

その時だった。

 

男B「さあ…これからがお楽しみ…グギャ!!」

 

部屋のドアが吹っ飛び、男Bに直撃し、体を真っ二つにした。そこには蒼太が立っていた。ドアは蒼太が蹴り飛ばしたらしい

 

蒼「…どうもー、そしてサヨウナラ。今からあんたらを皆殺しにします。」

 

組長「皆殺しぃ?テメェが色崎 蒼太か!お前ぇら!殺っちまうぞ!」

 

優「…あ…たすけて……」

 

そのまま優希は気絶した。

 

しばらくして、事が済んだ

 

蒼「………。」

 

蒼太は優希の方を見て、まだ息があることを確認し、ロッカーから誰かのコートを引っ張り出すと、優希に被せて、抱き上げた。

 

蒼「…「ネコ」。」

 

ネ「もう…ボクは呼び出せば、どこにでも現れるわけじゃないんだぞ…ってその人は?…うわあ、蒼太血まみれじゃん。」

 

蒼「…いいから…いつもの事務所に…」

ネ「…わかった。」

 

そして事務所に戻り、皆に説明した。優希は七海と「ネコ」に手当てをされたが、意識は戻らなかったので、二人掛けのソファーに寝かされた

 

翌日 8時頃

 

優「…………ここは……?」

 

目が覚めた優希は体を起こし、辺りを見回すと、蒼太がテーブルを挟んで向かい側のソファーに座りながら眠っていた

 

優「……この人…」

 

すると入り口から七海が来た

 

七「おはようございます!あ、目が覚めたんですね!良かった…傷だらけだったので心配しましたよ…」

 

優「その…ここまで誰が…」

 

七「ああ、運んだのは蒼太さんですよ。血まみれの状態であなたを抱きかかえて来るんですもん…驚きましたよ…」

 

優「そう…なんだ……この手当ては?」

 

七「それは私達がやりました。幸いにも痕は残らないだろうって…ちょっと雑ですけど…」

優「そんなことない!…ありがとう…」

 

七「いえいえ、どういたしまして♪…さて、そろそろ起きてください蒼太さん!いつまで寝てるんですか?目を覚ましましたよ!」

 

そう言って蒼太を揺すり起こすと、ようやく起きた

 

蒼「んあ……ああ、目が覚めたんだね…調子はどう?」

 

優「…あんたは…」

 

蒼「ん?」

 

優「あんたは、なんで…オレを助けたんだ?」

 

蒼太はしばらく考えると

 

蒼「そうだなぁ…僕なりの正義…善意かな。」

 

優「正義…善意…」

 

しばらくして、残りの3人が来た。自己紹介をした後、こんな話になった

 

ネ「ところで、キミ帰る宛はある?」

 

優「…ない。」

 

それを聞いた蒼太は

 

蒼「なら、僕のトコ来る?」

 

七「はい?」

 

青「は?自分で何言ってるか分かってる?」

陸「七海や「ネコ」ならまだしもな…」

 

優「な…なんで。」

 

当然の反応。しかし「ネコ」は黙って聞いていた

 

蒼「いやかな?それとも異性同士だからかな。」

 

優「異性だからとかは、関係ないとしてもだ!オレはあんたを殺そうとしたんだぞ!あんたの仲間にも危害を加えようとした!そんな奴をなんで置いておこうとするんだよ!」

 

優希がそう言うと、蒼太は言った

 

蒼「……「殺そうとした」、「危害を加えようとした」……これは君の本意だったのかな。」

 

優「っ!…それは……。」

 

蒼「僕は本意じゃないと思う。じゃなきゃ君は「助けて」なんて、あの時言ってないだろ?」

 

優「なんでそれを…」

 

蒼「聞こえたんだ、だから僕は助けた。……ここには、君を無下に扱うような奴はいない。それに…」

 

優「…?」

 

蒼「もう無理なんてしなくていい…君は、一人の女の子なんだから」

 

優「う…うるさい!オレは…ただ!……あれ?…なんで…涙が…こんなに…溢れて…」

 

優希は押さえようとしたが、もう止まらなかった。溢れる大粒の涙は幾度となくこぼれ落ちた。

 

七「…私達は工房にいましょうか…」

 

青「…ああ…そうしよう。」

 

陸「…うん。」

 

ネ「…フフッ…」

 

そして、二人切りになった

 

蒼「君が僕をどう思おうと構わない。寝首だって掻いてもらってもいい。ただ、「一緒にいる」、それだけだよ。」

 

優「…うん。」

 

ずっと暴力を受け続け、心を壊しかけ、言うことを聞くだけの人形になりかけていた人間が、本物の優しさを受けて、ごく普通の女の子に戻った瞬間だった。




お待たせしました。ヒシモチです。

今回は、ちょっとシリアスなおまけです。


どこかのビル 暴力団事務所跡

刑A「あとは、よろしくと言われて来てみれば……」

刑B「ウプッ………オエェ…(オロロロ)」

刑A「おいおい…」

いつもの事務所 工房

陸「そう言えば、七海が一緒にいた中で、一番酷かったのはなんだ?」

七「そうですね…やっぱり一番酷かったのは、あれですかね…失神した上に吐いちゃいましたし…」

青「多分この銀行強盗事件のときかな?写真あるよ。」

陸「どんなのだ?」

青「見てもいいけど…覚悟はいい?相当キツイよ?…じゃあ、カチッと。」

陸「…これって……嘘だろ…」

刑事二人と陸が見ている光景は……地獄そのものだった。

床は血の海

至るところに肉の山

人間のパーツが所々に落ちていた

死体だとわかっても人間の原型なんて留めていなかった

刑事達二人と陸は思った

「あいつは…何者なんだ…」




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 伝承を殺す者

青「前回のあらすじは!?」

優「お…オレが仲間に…じゃなかった…み、三神 優希が仲間になった!」(カンペ)

蒼「良くできました!」

ネ「それはそうと今回は、前回にボクと陸が本部に呼び出された時の話みたいだね。」

七「なんで呼び出されたんです?」

陸「すぐにわかる。第6話、スタートだ。」



七海が優希に連れ去られ、蒼太が救出していた時、「ネコ」と陸は警視庁本部に呼び出されていた。

 

職員「こちらです。」

 

ネ「うん、ありがとう。」

 

「ネコ」は礼を言って案内された部屋に入ると、一人の男性が待っていた。

 

陸「…失礼します。」

 

ネ「失礼しまーす。久方ぶりですね…地域部本部長、早川 悟(はやかわ さとる)殿…。」

 

警察には、それぞれ地域、刑事、交通、生活安全、etc…様々な部門があり、その中の地域部の本部長がこの男、犬系シェパード

早川 悟(はやかわ さとる)である

 

早「はい、お久しぶりです。貴方が水月さんですね?「ネコ」さんも本日は、ご足労頂きありがとうございます…お二人をここにお呼びしたのは他でもありません。折り入ってお願いがあるのです…。」

 

ネ「貴方が我々を呼び出すくらいです…何があったのですか?」

 

早「ええ、最近奇妙な110番通報を受理しまして、その内容がこちらです。」

 

そう言うと二人の前に1枚の資料を出した。その内容は

 

「変な箱が届いた、怖いから警察来てほしい」

 

というものだった

 

ネ「場所は…島根?何でまた…」

 

陸(島根…箱…まさかな…)

 

早「確かに場所が気になると思いますが、問題はこのあとなのです。」

 

ネ「ふむ、問題とは?」

 

早「はい、島根県警は、この家に二人程向かわせたそうで、その際にモノを確認したそうですが、その箱は小さな木箱で、爆発物でもなかったようです。ですが…数日後に家主の女性は亡くなりました…」

 

ネ「え!?急にですか?」

 

陸「誰かに殺されたとかは?」

 

早「一応、検視の資料を拝見しましたが、それらしい外傷はありませんでした。ただ…」

 

ネ「…ただ?」

 

早「…内臓がズタズタになっていたのです。」

 

ネ「内臓だけ?一体なぜ…」

 

その時だった

 

?(「ネコ」…)

 

ネ「あ…すみませんね本部長…呼び出し喰らったので部屋出ますね。」

 

早「いえいえ、お気になさらないでください。」

 

そう言うと「ネコ」は部屋を出た

 

早「さて…どうしたものか…」

 

陸「要は、また何か動きがあれば俺が何とかすれば良いんだろ?本部長。」

 

早「全てでは、ありませんが…差し支えないのでしたら、よろしくお願いいたします…」

 

ネ「陸!急だけど帰るよ!」

 

「ネコ」が勢いよくドアを開けた

 

陸「わかった。」

 

ネ「すみません、本部長。一応話は聞いていたので大丈夫です。こちらこそ。よろしくお願いいたします。…では」

 

早「はい、お気をつけて。…………さて…何もなければ良いんですが…」

その後は傷だらけの優希を看病し、蒼太と優希が和解して、仲間になった

 

そして数日後、陸のもとに例の家からまた被害者が出たという通達があった。

 

7月20日 17時頃

 

島根県 安倍家別荘

 

陸「ここが例の…」

 

周りは一面田んぼで、その中心にこの一軒家…邸宅があった。現在、家の関係者は警察署にいるらしい

 

?「すみません!お待たせしました!」

 

陸「ん?ああ、あんたが今日立ち会ってくれる人か。よろしく頼む。」

 

鈴「はい、○○署の鈴木(すずき)と申します。本日は宜しくお願いします。」

 

この家に入るに当たって、立ち会い人を一人つけてくれたようだ

 

そして二人は家の中に入っていった

 

しばらくして

 

鈴「もうすぐ、被害者が倒れていた部屋です。…それにしても真夏なのに…妙に冷えませんか?それに…明るいのに薄気味悪いし…」

 

陸「大丈夫。気のせいだ…さて、この部屋か」

 

鈴「はい、この部屋で被害者は亡くなられていました。今開けますね。」

 

その瞬間、陸は何かに気づいた

 

陸「待て!……」

 

鈴「ど、どうしました?」

 

陸「…一つ…」

 

鈴「…え?」

 

陸「二つ…三つ…四つ…」

 

鈴「み…水月さん?」

 

陸「五つ…六つ…七つ…八つ…全部子供?…いや…後ろにでかいのが一つ…」

 

その時だった

 

陸「うあっ!………」

 

鈴「っ!危ない!」

 

陸が急に倒れそうになったが、鈴木がすかさず陸を受け止めた

 

鈴「水月さん!大丈夫ですか!?」

 

陸「ああ…何とか…それよりも、この家に誰も近づけるな!」

 

鈴「…了解!」

 

鈴木は指令台に無線で現状を報告し家を出た

 

陸「頼むぞ…さて…ここまで強力な呪いは初めてだな…」

 

そう言うと陸はドアを開けた

 

部屋は呪いで溢れ返り、部屋の中心には小さな木箱が置かれていた。陸に見えていた光景はその木箱を中心に、呪いが燃え盛る真っ黒な業火のように見えていた

 

陸「…こいつか。」

 

陸は構え、気合いを入れるとともに一喝した

 

陸「……大昔の伝承が…今頃出てくんじゃねぇ!!」

 

おもいっきりナイフを突き立てた

 

同時に絹を裂くような悲鳴が響き、黒いモヤのようなものが勢いよく吹き出した。

 

外にいた鈴木でさえ、真夏なのにかなりの悪寒を感じる程のおぞましいモノが一瞬、辺り一面を埋め尽くしたのを感じた

 

そして

 

陸「……ハァ…ハァ…終わったか…」

 

陸は、呪いが抜けきった木箱を手に取り部屋を出た

 

陸「…クソッ…こうやって…歩くのが…限界…か…。」

 

陸は今にも倒れそうで、壁に寄りかかりながら家の玄関に向かった

外に出ると、鈴木が待っていた

 

鈴「水月さん!大丈夫ですか!?」

 

陸「ああ、…大丈夫だ…生きてる…。そうだ、コレ使って青谷って奴に電話をかけてくれないか?」

 

そう言って携帯を渡し、青谷や「ネコ」にあったこと全て説明し、陸は「ネコ」に自分と鈴木についた呪いを祓ってもらい、いつもの事務所に帰った

 

その後

 

陸「…。」(←アイマスクしてソファーに寝っ転がり)

 

ネ「しっかし、こんな小さな木箱から呪いかぁ…聞いたことあるけど…なんだっけなぁ…」

 

蒼「都合良く専門家とかいないかねぇ…。」

 

ネ「専門家ねぇ……あ、いた。」

 

優「いるのか…」

 

ネ「ボクの弟子に一人いるよ!ただ…今日本にいるかな…」

 

そう言うと小さな魔方陣を展開し、話始めた

 

?「Hello?(もしもし?)」

 

女性の声だ

 

ネ「Hello「リサ」久しぶりだね、ボクだよ。急にゴメンね」

 

リ「あら、その声はマスターじゃないの!久しぶりねえ。どうしたの?」

 

ネ「リサは占星術を研究してた過程でさ、呪いとかの類いも研究してたよね?それで呪いについて聞きたいんだけど…こっちに来てもらっていいかな?」

 

リ「なんだか…ただ事じゃないみたいね…私で良ければ行きましょう、My Master」

 

ネ「ありがとう!すぐにゲートを開くよ!」

 

そう言うと、空間を繋ぎゲートを開いた。するとゲートから20代?くらいの女性が出てきた

 

ネ「本当にありがとう、「リサ・ウィリアムズ」急なのにゴメンね…」

 

リ「ウフフッ、良いのよ。ところで…この人達は?」

 

ネ「ああ、この子らはね…(紹介中)」

 

リ「私も自己紹介しましょうか、私は「リサ・ウィリアムズ」(牛獣人)アメリカのマサチューセッツ州出身よ。nice to me to you♪」

 

青「お姉さんも魔法使いなんですね。」

 

リ「ウフフッやーね。コレでも私49歳のおばさんよ?子ども達二人も大学生なんだから(笑)」

 

青「49…えぇ!?49!?…見えない…」

 

七「ウィリアムズさん凄く綺麗です!」

 

リ「リサでいいのよ、おばさんでもいいわ。でもありがとう♪………さてマスター?呪いについて何が聞きたいのかしら。」

 

そう言ってリサは「ネコ」に振り向いた

 

ネ「ああ、実は…(陸が処理した木箱を説明中)」

 

リ「これってまさか…確かに今は、呪いは感じないわね…念のため聞くけど、子どもの影が見えたのよね…何人だったの?」

 

ネ「それは──。」

 

陸「八人だ。」

 

陸が口を開いた。起きてたらしい。

 

その答えを聞いたリサは驚愕した

 

リ「八人!?今八人って…ああ!なんてこと…」

 

ネ「り…リサ?」

 

リ「ようやく確信できたわ…その木箱は「コトリバコ」。呪いの類いじゃ最高クラスのモノよ…」

 

優「…そんなに…ヤバいモノなのか…?」

 

リ「ええ、その家の女や子供を二週間足らずで殺せるわ…それにコトリバコにはランクがあってね、生け贄になった子供の数によって決まるの。一人から順にイッポウ、ニホウ、サンポウ、シホウ、ゴホウ、ロッポウ、チッポウ(シッポウ)、そしてハッカイ…今回はそのハッカイのコトリバコよ。でもね…私が驚いたのはそこじゃないの…」

 

ネ「というと?」

 

リ「コトリバコはね…作ることが出来ないの…もっとも、旧人類の時代に失われているのよ…」

 

それもそのはず、コトリバコの材料の中に魂が入る前の胎児が必要とされている。いくら陸のような能力者や、リサや「ネコ」のような魔法使いであれ、胎児にいつ魂が入るかなど見極めることなど出来ない。

 

故に、そのようなことを出来る者は、もうこの世に存在しない

 

リ「だから、作るなんて不可能なはずなのに…」

 

蒼「じゃあ…一体誰が…何のために…」

 

七「コトリバコの作り方をどこで…」

 

青「うーん…出来るとしたら…」

 

陸「…お前が言ってた、古代種の人間ぐらいだろうな。」

──────────────────────────

 

どこかの場所

 

?「ほう…妾も幾千万と生きておるが…あの憎き「安倍大秦」の血を絶やすために作成してみたとはいえ…コトリバコの呪いを弾いてみせるとはのう…「水月 陸」…誠に面白い輩じゃ…」

 

 




ハイ、どーもヒシモチです。

青「え?終わり?短くない?」

ネタが尽きたんです…君と優希ちゃんのキャラシート紹介するから許して…

青「ああ、俺の紹介してなかったね…良いんじゃない?」

本当にごめんなさい…と言うわけでどうぞ!

主人公組 サブキャラ

青谷 将大(あおや まさひろ)

ヒュドラとバシュムのハーフ(神獣種)

5月5日生まれ 24歳

体重89kg 全長3、4m(尻尾を除くと1、7m)

基本優しい シリアス時は知的で、かっこいい

事務所の主人、IQ200以上はある…なのに不幸体質だったり、やってることが残念な奴

ゲームとパソコンと車の運転が大得意


第2ヒロイン

三神 優希(みかみ ゆうき) 女性

タイリクオオカミ

3月17日生まれ 20歳

体重62kg 身長174cm(髪型 ボーイッシュヘア)

ツンデレ(本人自覚無し) 強がり

わけあって、とある小さな暴力団に男性だと偽って所属していたが、今回の話で蒼太と出会った。ついでに救出。そして蒼太と同棲。

(蒼太曰く、優希はこういう感じだが、根は優しく、真面目で、か弱い、ごく普通の女の子なんだとか)





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間 6,5話 ブレーク タイム デイ

陸「ぜんかいのあらすじー。」

蒼「陸が活躍してコトリバコの呪いを殺した!新キャラ登場!以上!」

ネ「設定としては1ヶ月近く経ってる設定だってさー」(←メタ

七「あはは…あ、そういえば前回から随分早くないですか?」

優「バトルとシリアスだけじゃネタがつきるんだとよ。他にもやりたかったことがあるとか。」

青「今回は、バトルシーン、シリアスシーンは無くて、逆にホッコリ展開があるみたいだよ。という訳でスタート!」




安倍家別荘、コトリバコ事件から1ヶ月が経とうとしていた。

 

あれから動きもなく、かといって進展もない、他の事件が発生することもなかった

 

挙げ句の果てに、この事務所…6人に、上から命じられたのは「待機」

つまり暇。そんな中でのある日のこと

 

8月14日 午前11時半頃

 

蒼太、青谷、コンビニで買い物中

 

陸「…。」(←ナイフや刀の雑誌見てる)

 

ネ「zzz…」

 

七「…。(ジー…。)」

 

優「……。」

 

七「…。(ジー…。)」

 

優「な…なんだよ…」

 

七「優希さんって、男性モノしか着ないですよね。」

 

優「…悪いか。」

 

七「いいえ、でもなんだか勿体ないです。優希さんせっかく前より髪が伸びて、背も高くて足も長いし、全体的に綺麗なのになーって。」

 

優「うるせー、余計なお世話だ。」

 

七「うーん…勿体ない…あ!そうだ!」

 

陸「…?」

 

ネ「フガッ!?」

 

優「びっくりした…急に大声出すなよ…どうした?」

 

七「今度、皆でアウトレット行きませんか?」

 

陸「…。(そういや行きたいって言ってたっけ)」

 

ネ「…あうとれっと?」(寝ぼけ)

 

優「またなんで…」

 

七「勿論、優希さんの女の子らしさを追及するためです!あと私が前々から行きたかったというのもあります。」

 

蒼「たっだいま~」

 

青「アイス買ってきたよ~」

 

七「あ!蒼太さん、青谷さん!今度、皆でアウトレット行きませんか?」

 

蒼「へぇ、良いんじゃないかな。」

 

青「今度とは言わず、明日でも良いね。まぁどうせ明日も待機だろうし」

 

ネ「どうせ明日も暇だろうし、明日行こうよ。…ファ~ア…(あくび)」

 

七「やったー♪」

 

翌日。午前10時

 

七「ついに来ましたね♪」

 

青「久しぶりに来たなあ。」

 

蒼「へぇ…初めて来たな…」

 

ネ「あ、雑貨店もある。」

 

陸「ふーん…何でも揃ってるのか。」

 

優「わぁ…」

 

七「えーッと、まずは…この有名店行ってみましょうか。」

 

青「はーい。」

 

数分後 店内試着室

 

七「あら、素敵です!」

 

蒼「おお。」

 

優「さ…さすがにこれは…恥ずかしい…な…」(薄ピンク ワンピース)

 

青「いいぞぉ、これ…」(写メ)

 

陸「お前は黙ってろ。」

 

ネ「ハイハイ、ボクらは店の外にいようねー」

 

青「ええ…そんなぁ…」

 

その後、こんな感じの流れを繰り返しながら、各店舗を周り、少しずつ服などを購入していった

 

七「あ!このお店、洋服も素敵ですが、アクセサリーも素敵なんですよ。」

 

青「へぇー、行ってみようじゃん。」

 

優「(やっぱり…女ものは、苦手だなぁ…)」

 

そんなことを思っていると、店内のあるショーケースに目がいった

 

優「…綺麗……」

 

蒼「優希?なにを見てるの?」

 

優「うわ!びっくりした…な…なんでもねぇよ!」

 

蒼「ああ…行っちゃった…うん?…ああ、コレか。」

 

その後

 

陸「蒼太の奴遅いな…」

 

蒼「ごめんごめん!買ってたものあったからさ。」

 

七「大丈夫ですよ。ところで、何を買ったんですか?」

 

蒼「フフン♪…優希、ハイこれ」

 

優「…?」

 

そう言って小包を渡した

 

蒼「開けてみて。」

 

優「ああ…なんだろ……あ!コレ!」

 

中から出てきた物は、片耳に着けるタイプの小さな蝶のイヤリングだった。所々に金の細工が施されており、本当に綺麗なものだった

 

蒼「ずっとコレを見てたでしょ?せっかくなんだ、僕からのプレゼントとして受け取って欲しい。」

 

優「…着けてみても…いいか?」

 

蒼「もちろん!」

 

優希は着けようとするも、嬉しさで手が震えてうまく着けられない

 

蒼「貸してごらん……痛くない?」

 

優「…うん」

 

蒼「これでよしっと…思った通り、似合ってるよ。」

 

優「…うん…ずっと、大事にする。ありがとう!」(守りたい、この笑顔)

 

一方、これを見ていた外野組

 

陸「やれやれ…ホント、甘酸っぱいな…」

 

七「ええ…来て良かったです…」

 

ネ「うーん…何か物足りない…ちょっとイヤらしい雰囲気に…」

 

陸「やめろバカ、一気にぶち壊しだよ…」

 

七「もう…「ネコ」さんったら…」

 

青「ちっくしょ…リア充め…早く結婚して末永く爆発しろ…」

 

七「青谷さん言い方!」

 

陸「まじで黙っててくれ…ぶち壊しだから…」

そして、その日の夜

 

蒼太の自宅

 

優「あの…イヤリング…ありがとう……あのさ…」

 

蒼「うん?どうしたの?急に、」

 

優「…なんでもない……」

 

蒼「そう?」

 

そう言って布団の上に座ると、背中に優希が抱きついてきた

 

蒼「…優希?」

 

優「…少し…このままで…いさせて…」

 

優希の息が少し荒かった、顔も恥ずかしそうに赤らめていたので、もう、お察しである

 

蒼「…。」

 

優「…ハァ…フゥ…」

 

蒼「…。」

 

優「…。」

 

蒼「…落ち着いた?」

 

優「…うん…なあ、蒼太…」

 

蒼「なに?優希。」

 

優「…一緒に…寝たい…。」

 

蒼「…うん。」

 

この後仲良く寝た




七「あれ?終わりですか?」

陸「作者曰く、6,5話だから内容も半分だと。」

青「そんなことは、どうでもいい…蒼太と優希ちゃんがイチャイチャしてるんだよ!?見かたによっては一種のBLにも見えるし、あのあと絶対「この後メチャクチャシた」とかになって(殴

数秒後

陸「…。(怒)」

青「…前が見えねぇ…。」

七「自業自得です。」

ネ「あはは…じ…次回は本編7話だよ。よろしくね!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 オトギバナシ

優「ぜ、前回のあらしゅじは!?」(噛んだ)

青「優希ちゃんと蒼太がイチャいty…ゴヘェ!?」(殴られた)

陸「コトリバコ事件解決から随分経ってるぞ」(殴った人)

七「反省しないですね…」

蒼「アハハ…」

ネ「今回は蒼太が主役だよ!それではスタート!」


出掛けた日から、また暫く月日が流れた

 

9月29日 12時頃

 

青谷のパソコンが久しぶりに鳴った

 

青「お!ようやくきたか。内容は…」

 

内容は「不自然な死体が川から引き上げられた」というものだった。

 

青「だってさ。一人来てほしいって。」

 

蒼「久しぶりに行きまーす。場所は?」

 

青「待って、印刷するから…ハイこれ。八王子側の河川敷だね」

 

ネ「はいよー、ゲート通したよ。」

 

蒼「ああ、ありがとう。八王子か…、行ってきまーす。」

 

陸「青谷、どんな死体なんだ?」

 

青「…不自然にも程があるね…これなんだけど…」

 

一方その頃、

 

八王子 どこかの河川敷

 

刑A「死体の縫われた腹から出てきたのは、大量の石…顔は潰れてるが…」

 

刑B「特徴を見るに犬系の類いでしょう…」

 

蒼「おっすー、久しぶりだね。」

 

刑A「おー、来たか。1ヶ月ぶりか」

 

刑B「ホントに来た…」

 

蒼「そんな顔しないでよー…で、死体は?」

 

刑A「ああ、こいつなんだが…川から引き上げる前は腹が膨れてて、縫われていたんだ。…まぁ、すでに腐乱してるもんで、引き上げたら中のもんが出てきた…ここまでは、お決まりだが…」

 

蒼「その中のもんってのが、大量の石と…」

 

刑B「ええ…顔にあっては、魚に食われたか、生きてる時に潰されたか…周辺は何もないし、情報も少なすぎる…今の状態では犯人を特定するのは難しいですね…」

 

蒼「そっか…このヒトの種族…背がでかい…狼種かな?」

 

刑A「そこまでは判らん。署に持ってって、検視しなきゃな…」

 

蒼「了解、じゃあ僕は帰るね。検視の許可もらってないし。」

 

刑A「おう、とりあえず、また何かあったら連絡する。」

 

蒼「りょーかーい。」

 

そう言って、事務所に帰っていった。

 

その後、検視結果はその日の内に分かり、種族が狼の前科も前歴のない、ごく一般の男性だとわかった

 

青「ふーむ…腹から大量の石ねぇ…しかも縫ったような跡か…その上「川」ときたもんだ…」

陸「それに殺された男の種族は狼…なんか引っ掛かる…」

 

すると「ネコ」が声をあげた

 

ネ「あ、思い出した。「狼と七匹の子山羊」の狼だ。」

 

七「あー、懐かしいですね、狼が子山羊達を食べようとする話でしたっけ。」

 

ネ「一応、食べられてはいるんだけどね。…しかし変だ…狼の死にかたと、今回の男性の死にかたが、ここまで酷似しているなんて…。」

 

優「…なぁ、もしその男の人が誰かを殺そうとして、逆に殺された…正当防衛によるものだったとかは?」

 

蒼「悪いけど、それは無いと思う。理由は二つ、一つは検視の結果で、男に抵抗の跡があったこと。二つ目は正当防衛で殺したにしては、明らかに処理方法が猟奇的すぎること。」

 

そう、もし正当防衛の殺しだったら、そのまま逃げるか、そのままどこかに死体を捨てるか、だいたいの人間は、気が動転しているため、単純なことしか考えられないからだ

 

蒼「…腹部に石を大量に詰めて川に捨てるとか、普通考えられないからね…。」

 

優「あー…そっか。」

 

蒼「まぁ今の段階じゃあ、なんとも言えないけどね。今後の捜査次第だね。」

 

そして、2週間程経ったある日

 

また、青谷のパソコンに「二人目の被害者が出た」と、知らせが届いた。この死体も狼種で、石が大量に詰められてあった

 

この日から、一人…また一人と、同じような被害者が増えていった。

 

また暫く経ったある日

 

10月24日

 

青「あれから被害者の合計が6人か…いずれも性別、年齢もまばら…どうしたもんか…陸も出張で暫くいないしなぁ…」

 

すると、青谷のパソコンに知らせが届いた

 

青「…………チッ。」

 

蒼「…。」

 

青「…蒼太、七人目が出た。場所は一人目の時と同じ場所だ、はっきり言って俺らや警察をなめているとしか思えない。」

優「じゃあ、こっちで捜査するとか出来ないのか?」

 

ネ「そうしたいのは山々だけどね…」

 

七「上からの命令や許可がないと、出来ないんです…」

 

そして今度は、電話が鳴った

 

青「はい、アオヤ事務所です…はい……それは確かですか?…了解しました。…では、今日の夜に…ええ、お願いします。…では、失礼します。………目撃情報だ。」

 

情報の内容は、夜に子ども?が狼種の人間に声を掛けて、その子どもと狼の人間が一緒にどこかに向かっていったというものだった。

 

蒼「子どもと一緒に…ねぇ…」

 

青「ちなみに、数日前も先週も…5人目と6人目の日に似たような目撃情報もあるらしい。…信じがたいが。」

 

蒼「同伴者は?」

 

青「「ネコ」だってさ。万が一の危険を考えたんだと。」

 

ネ「開始時間は?」

 

青「今日の夜、時間は10時ちょうど。それまでに準備を。」

 

蒼「場所は?」

 

青「八王子駅。」

 

蒼「…わかった。」

 

そして二人は準備を終え、八王子駅に向かった。

 

午後10時頃

 

帰宅途中だろうか、若いサラリーマンの狼の男が駅から出て歩いていると、山羊の子ども?が声を掛けた

 

子ども?「ねえ、お兄さん。ぼくのお父さんとお母さん知らない?」

 

男「え?わからないけど…どうしてこんな時間にいるの?お巡りさんのとこ行く?」

 

子ども?「やだ、なら一緒に探して。」

 

男「ええ…いいけど…どこでいなくなっちゃったか、覚えてる?」

 

子ども?「うん!こっち!」

 

男は言われるがまま、ついていくと、人気のない所に出た

 

男「…ねぇ、本当にここなのかな…?」

 

子ども?「…そうだよ…ココダヨ…」

 

その時、男は背後から後頭部をやられ、気絶した。

 

男「え…?ぐあっ!」

 

暫くして、男は目を覚ますと、どこかの小屋の中にいた

 

男「…ここ…どこ?…え?なんで縛られて…」

 

子ども?「あ、オハヨ。と言ってもまだコンバンハの時間だけどね。」

 

男「え…え?…君…なんで…」

 

子ども?「色々聞きたそうな顔してるね。聞いたところで無駄だと思うよ?だってあんた死んじゃうもん。」

 

男「は?え?…し、死ぬ?…俺が?…なんで…」

 

子ども?「別に?理由は無いよ。あんたの運が悪かっただけ。」

 

すると、死角から凶器を持ったもう6人現れた。

 

全員山羊系で、一人は屈強な男、一人は背の高い男、一人は狂気的な目をした男、一人は狂気的な笑みをした少年、一人は血濡れた裁ち鋏を持った少年、一人は血濡れた針と糸を持った少年、そして目の前にいる子ども?は石を大量に持っていた。

 

男「え…ま、待って!待ってよ!まだ…嫌だ!俺は!」

 

子ども?「もういいかな…もういいよね…じゃあ…殺そう。」

 

その時だった

 

?「こうして、悪い狼を退治した7匹の子山羊達は、お母さんと共に、幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし…」

 

子ども?「っ!だれだ!?」

 

?「君ら殺人鬼達がこのままハッピーエンド?おかしなことを…初めまして、色崎 蒼太と申します。そしてサヨウナラ。今宵はバッドエンド、貴方達を皆殺しにします…「ネコ」、被害者を…」

 

ネ「りょーかい…転移完了…あとはお願いね…」

 

蒼「ああ……さて、君らを尾行するのは疲れたよ…」

 

屈強な男「さっきからごちゃごちゃと…テメェを代わりに…ごべっ!」

 

蒼太は近づいてきた屈強な男に、アッパーを喰らわすと、男の首が吹っ飛び、天井にへばりついた。残った体は血を吹き出しながら倒れた

 

蒼「うるさい、黙れ。」

 

子ども?「何が…起こった…」

 

蒼「思い出した…君、大量殺人で指名手配されてる…榊原(さかきばら)だろ…ホントに子どものふりが上手いんだな…まぁいい…殺したら報告書も同時に…」

 

榊原「お、お前ら!そいつを殺せ!!」

 

蒼「……。」

 

榊原を除く残りの5人が一斉に襲いかかる…が、蒼太の相手にもならなかった

 

ある者は蹴りひとつで上と下に分断され、ある者は胸に大穴を開けられ、ある者は頸を握り潰され、ある者は床におもいっきり叩きつけられた…虐殺なんて生温い…蹂躙だった

 

蒼「…。」

 

そして、裁ち鋏の少年が残った

 

少年「…あ…あ…ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

裁ち鋏の少年は恐怖のあまり、蒼太に土下座し、泣きながら「ごめんなさい」と続ける…が、

 

蒼「…。」

 

蒼太は躊躇なく、一切の慈悲も情もなく、少年の頭を踏み潰し、殺した

 

蒼「さて…榊原、次は君の……逃げたか。」

 

一方その頃、榊原は森の中を走って逃げていた

 

榊原「ハァ…ヒィ…なんだよあの化け物!…ハァ…ハァ…」

 

蒼太は、というと小屋の屋根の上にいた

 

蒼「まだそんな離れてないか…つまんないの。」

 

そう言うとトランクケースからスナイパーライフルを取り出した

 

蒼「自分だけ…生きて帰れると思うなよ?」

 

蒼太はライフルを構え、1~2秒だけ照準を合わし、発射した

 

榊原「ハァ…ハァ…ここまで来れば…ガハッ!…」

 

弾は心臓に命中し、そのまま倒れ、絶命した

 

蒼「バッドエンドだって、言ったろ…」

 

ネ「相変わらず、すごい腕してんね…ホント。」

 

蒼「おや、いつの間に…被害者は?」

 

ネ「ああ、後頭部以外に怪我は無かったから、記憶を少し弄って警察署に預けたよ」

蒼「そう、じゃあ本部に連絡して帰ろっか」

 

ネ「はーい。」

 

その後、いつもの刑事二人が駆り出された

 

刑A「やれやれ…久しぶりとはいえ…派手にやったなぁ…」

 

刑B「…。」

 

刑A「おいどうした?また気持ち悪いのか?」

 

刑B「あの時よりマシです。…ただ…」

 

刑A「なんだ?」

 

刑B「ええ、ずっと気になっていたことがあって…アイツ…色崎 蒼太は…本当に人間なのか…って…」

 

刑A「どういうことだ?」

 

刑B「銃はともかく…今まで、色崎が出したほとんどの死体に、凶器を使用した形跡が無いんです…素手で人間を引き裂いたりしているのだとしたら…」

 

刑A「…ああ、そうだな…考えたことなかったが…ただの人間がこんな馬鹿力…出せるはずがない…」

 

刑B「…ええ、これでは本当に…」

 

刑A「ああ、まるで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで…「怪物」だな

 




どーもヒシモチです。

いつも読んでくださる方、ありがとうございます。

今日のおまけは…ん?何この焦げたカメラ……電源ついた…

ひとつ、見れるのがありますね…せっかくなので見てみましょう。




(カチッ……ガササッ…ゴソッ……)

?「写ってる?…これでいいのかな?」
(一瞬、狐の男性が写った)

?「あら?何してるの?」
(今度は犬の女性が写った。寝ている赤ちゃんを抱きかかえている)

?「せっかくカメラを買ったんだ、試し録りしないとね♪」

?「フフッ、こんな日常風景でいいの?」

?「当然!それに僕にとって日常は特別だよ。なんせ、大好きな家族と一緒にいられるんだから。」

?「フフッ、もう…あなたったら……」
(本当に幸せそうな笑顔と笑い声だ)

(ピンポーン)
(インターホンが鳴ったようだ)

?「あら?誰かしら。」

?「誰だろ、僕が行って来るよ。」

?「ええ、お願いね。」

?「うん。カメラは閉じてっと…」

(パタン)

ここで録画は終わったようだ

録画時刻
30XX年(約20年前) 11月25日 PM,9時38分




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 魔法使い

七「前回のあらすじ!」(ノリノリ)

陸「残虐なお伽噺話は皆殺し、以上。(棒)」

優「今回は、陸が前回の話で出張した時の話みたいだな。」

蒼「何の前触れもなく出張してなかった?」

ネ「作者が下手くそ過ぎるだけでしょ。一応今回でわかるみたいだけど。」

青「ボロクソだなぁ…気を取り直して、スタート!」




10月15日

 

青「…これで6人目、何か法則とか無いかねぇ…せめて目撃情報とかあれば…」

 

ネ「いいんだけどね。」

 

七「ですね…」

 

考えを巡らせていると、陸が出勤してきた

 

陸「おはよーさん。」

 

青「あ、おはよー。」

 

ネ「おはおはー。」

 

七「おはようございます、陸さん。それと誕生日おめでとうございます♪…そう言って何か渡せれば良かったのですが…」

 

陸「こんな状況だ、無理に祝おうとしなくても、気持ちだけで充分だ、ありがとな。それに来年もあるさ。」

 

七「陸さん…なんだか、すみません。」

 

陸「別に七海が謝ることじゃない。ところで、何か進んだか?」

 

青「情報が乏しくてねぇ…」

 

ネ「上に協力させてって言ってるんだけど…ね。」

 

すると今度は、蒼太と優希が出勤してきた

優「おはようございます。」

 

蒼「はよー。情報とかは…その顔だと、来てないみたいだね。」

 

青「そーなんだよ、上も許可出してくんないし…」

 

すると電話が鳴った

 

青「はい、アオヤ事務所です。……はい、そうですが…」

 

ネ「情報かな?」

 

七「だと良いですね。」

 

青「宮城県警?珍しいですね。どのようなご用件で?…」

 

蒼「情報じゃないんかーい。」

 

陸「いや静かにしろよ…」

 

優「でも、なんで宮城県警が?」

 

青「うちの水月に依頼したいこと?…心霊とかの関係ですか?」

 

蒼「おっ、陸に仕事かな?」

 

青「承知しました。では、今から言うメールアドレスに簡単でいいのでその内容を送って下さい。では、メールアドレスは―――――です。抜け等は無いですか?…はい、ではお願いします。」

 

陸「…心霊とかの関係か?」

 

青「そう。でも待ってて、少ししたらメールが届くから。」

 

暫くするとパソコンにメールが届いた

 

青「来た来た、内容は………やまの…かい?」

 

書かれていたのは、その「山ノ怪」というものが宮城県のとある山中で人間の女性に憑依し、害を及ばせている。というものだった

 

青「だって。勿論、陸に指名が入っているからね。場所は宮城県の○○で、明日の昼の12時に来てほしいってさ。」

 

陸「やまのかい…か。…わかった、何かあったら連絡する。準備もあるから、今日は一旦帰らせてもらう。いいか?」

 

青「ああ、大丈夫。明日よろしく頼むよ。」

 

そう言って帰ろうとした陸だが、ふと何を思ったのか、「ネコ」に振り返った

 

陸「あ、そうだ。明日「ネコ」は来れないんだよな。」

 

ネ「そうだけど?」

 

陸「「ネコ」の弟子の人って何人いる?できたらその人に明日、同行してもらいたいんだが。」

 

ネ「ボクの弟子は卒業生で4人いるけど…なんで?」

 

陸「…相手は腐っても怪異、本当なら俺のような人間が相手にできるモノじゃない。目のおかげでギリギリやりあえているが。」

 

ネ「なるほど…なら、ちょうど暇している奴がいるから、そいつを送るよ。魔法使いで、フランス最強の騎士さ。」

 

陸「それは心強い…すまない、ありがとな。」

 

そして翌日、朝7時

 

事務所前

 

陸と「ネコ」が待っていると、一台の車が来た。降りて来たのは外人の狐の男

 

ネ「おはよう、久しぶりだね「シャルル」突然ですまないね。」

 

シ「ええ、ご無沙汰してます先生。全然大丈夫ですよ。」

 

ネ「ありがとうシャルル。よろしく頼むよ。」

 

陸「水月 陸と申します。短い間ですが、よろしくお願いいたします。」

 

シ「アハハ、そう畏まらないでよ。こちらこそ初めまして、「シャルル ローラン」(35)です。出身はフランスのブルターニュだよ。よろしくね!敬語使われるのは慣れていないからさ。」

 

ネ「挨拶は済んだ?じゃあ、よろしくねシャルル、陸。」

 

シ「ええ、では、行ってきます。」

 

そうして、二人は車で宮城県に向かっていった。

 

その途中、車内での会話のこと

 

シ「そうなんだよ…大学の教授として講義もしないとだし…騎士の剣術も教えないとだし…」

 

陸「大変なんだな…ところで、ローランは「ネコ」の4人の卒業生の一人って聞いたんだが、ローランとウィリアムズと…あと二人は誰なんだ?」

 

シ「シャルルでいいよ。一人目が日本人のライオンの「千子 彩花(せんじ あやか)」(35)。二人目がドイツ人のドラゴンの「グローサー 」(40代?)…ただグローサーはね…名字が今も解らなかったり、年齢もドイツの何処なのかも曖昧で謎が多い男でさ…でも一緒にいるだけでも心強いね。」

 

陸「へぇ…シャルル達4人は、どんな魔法使いなんだ?」

 

シ「そうだね…言うなれば…僕らは「禁忌の魔法使い」と呼ばれているものでね、」

 

陸「禁忌?」

 

シ「そう、「禁忌」って言うのは禁断中の禁断でね、普通ならどんな魔法使いでも、禁忌には至ることはないんだ」

 

陸「ふーん、その言い方だと、魔法使いにもランクがあるみたいだな。」

 

シ「勿論、ランクはクリフォトの木になぞらえて低い順に、マルクト、イェソド、ホド、ネツァク、ティファレト、ゲブラー、ケセド、ホクマー、ビナー、ケテル。」

 

陸「その上が禁忌…と。」

 

シ「そう、普通に極めるだけだったら、ケテルで止まるんだけど…僕ら4人は変人でね…極めただけじゃ満足しなくってさ、更なる究極を求めた結果が…」

 

陸「その禁忌か…どんな魔法なんだ?」

 

シ「僕は古代ルーン文字の魔法や、神様や天使が使える呪文魔法を使う「詠唱 神話再現」。リサは封印された邪神達を召喚して使役する「召喚術 邪神・旧支配者」。彩花は錬金術で、材料無しにどんな物も錬成する「錬成術式 賢者の石」。グローサーは医療魔法で普通の人間を不老不死にしたり、不治の病を完治させる「医神 エリクサー」。この4つかな。」

 

陸「聞くだけでもエグいのばっかりだな…そう言えば、「ネコ」も禁忌の魔法使いなのか?」

 

シ「先生は…確か「ディザスター」って呼ばれてたけど…正直、どんな魔法なのかは解らないや…」

 

陸「ふむ、「ディザスター」…「災厄」か…」

 

シ「あ、そう言えば、陸君って日本の剣士だよね?今度、僕と手合わせ願えないかな!?」

 

陸「フランス最強クラスの騎士と手合わせか…面白そうだな…いいぜ、その代わり手加減は無しだからな?」

 

シ「ああ、勿論!日本古来の技がどれ程のものなのか見させてもらうよ。」

 

一方その頃、「ネコ」達も事務所で同じ話をしていた

 

七「そう言えばさっき、ランクがあるって言ってましたよね?ランクがあるってことは、魔法使いのグループがあるのですか?」

 

ネ「あるよ。連盟なんだけど、大きく分けて3つある。英国のアヴァロン、北欧のユグドラシル、大西洋に沈むアトランティス。この3つかな。ボクはアヴァロンに加盟してる。」

 

優「連盟に加盟してないといけないのか?」

 

ネ「魔法使いのルール、いわゆる法律のようなものに要約すると連盟に加盟しなさいって、あるんだよ…全く…アイツめ…面倒なものを創ってくれちゃったよ…。」

 

優「アイツ?」

 

ネ「いーや、なんでもない。ただの独り言。」

 

蒼「君が独り言とか珍しー。」

 

青「……(アヴァロンにユグドラシル、アトランティス…伝説とか神話に出てくる場所だな…)。」

 

蒼「ん?さっきからどうしたの青谷。」

 

青「え?…ああいや、ちょっとボーッとしてた。」

 

七「もう…青谷さんったら。」

 

蒼「ハハッ、やれやれだね。」

 

そして、暫く

 

出張組はサービスエリアで写真を見ながら、こんな話をしていた

 

陸「へえ、子どもがいるんだな」

 

シ「養子だよ。虎の女の子なんだ。」

 

シャルルは日本に引っ越してから、色々あって日本人の養子がいるそうな。

 

名前は「あやめ」(5)まだ産まれて間もない頃に、深夜、施設の前に名前も無い状態で捨てられていたらしい。

「あやめ」という名前は当時の職員が付けたそうな

 

陸「じゃあ今家に奥さんと、あやめって子がいるのか…なんか悪いことしたな…」

 

シ「別に大丈夫だよ、妻とは5年前に別れたんだ。今は彩花の家に預けてる」

 

陸「…離婚したのか。」

 

シ「色々とありすぎてね…特に喧嘩…子どもが産まれる数週間前に大喧嘩しちゃって…今は僕も、相手も、お互いに悪かったなって思ってる。でも、お互いにやり直そうとは思ってない…これで良かったんだって…」

 

陸「…本当の子どもは?」

 

シ「本当の子どもは産まれる前だったからね、親権は元妻だよ。…別れてから連絡取ってないし、産まれた子どもがどちらなのかもわからない…」

 

陸「…。」

 

シ「ごめんよ、辛気くさくしちゃって。」

 

陸「大丈夫だ、もう二人とも前は向いているんだろ?」

 

シ「ああ、勿論。…さあ!宮城県までもうすぐだ、出発しよう!」

 

そしてまた暫くして

 

11時55分

 

シ「やっと着いたのは良いけど…この辺かな?」

 

陸「…あれか?」

 

見つけたのは、寺の住職(猿系)とスーツの男性(鷹系)が一緒に寺の入り口の前で立って、キョロキョロと周りを見て待っていた姿だった

 

陸「声かけてみるか。」

 

シ「そうしよう。…すみません、もしかして連絡にあった方ですよね?」

 

住「おお…貴方がたが、アオヤ事務所の方々ですかな?わざわざ遠いところから…」

 

警「スーツ姿でわかりづらいですが、宮城県警の○○署の者です。本日はありがとうございます。」

 

陸「いえ…それより、書類にあったあの題名は…」

 

住「詳しくは、中でご説明しましょう…こちらです。」

 

そう言われ、二人は中に通された

 

住「…さて、まずこちらの写真を…」

 

写真に写っているのは小さく、はっきりとではないが、腕が2本、頭部にあたる部分が無く、脚は1本に見える。

 

シ「…この写真は…山で?」

 

警「はい、その通りです。この写真自体は、別の者が撮ったようです。」

陸「別の者?」

 

住「近くの山にキャンプをしに来た若い男女の二人組が持って来た物で…この写真に写るモノが「テン、ソウ、メツ」と言いながらこちらに向かって来たから、あわてて撮って逃げてきたようで…」

 

シ「その男女は?」

 

住「写真を渡した後に帰りました。東京に住んでいると言っていましたよ。…今まで、このようなことは無かったのですが…写真のやつは「ヤマノケ」という妖怪です…」

 

ヤマノケ、深夜の山に現れる妖怪。女性に憑依し、淫乱な行為を憑依相手が死ぬまでやり続ける悪趣味な妖怪。「テン、ソウ、メツ」と何度も呟く

 

シ「ヤマノケ…ですか。」

 

警「しかも女性にしか憑依しないという…どうにか出来ないでしょうか…」

 

ふと、陸は立ち上がり、部屋の出口に向かった

 

陸「失礼。…シャルル…ちょっと。」

 

陸に手招きされ、ついていくと、陸が小声で話始めた

 

陸「…シャルルも魔法使いなんだろ?いいこと思い付いたんだ。」

 

シ「…どんな?」

 

陸「俺を魔法で女にできるか?」




お待たせしました。ヒシモチです。

今回は魔法使い二人のキャラシートを紹介します!

キーキャラ

シャルル ローラン 男性

5月15日生まれ (35)

フランス ブルターニュ出身

アカギツネ系

優男。

身長 186cm 体重72kg

5年前に子どもが産まれる前に離婚し、それから連絡は一切取っていない。日本には3年前に引っ越し、大学教授をしながら1年後に、虎のあやめを養子にとる

使用魔法

禁忌「詠唱 神話再現」

ルーン魔法

詠唱魔法(高速)

身体強化魔法

ウェポン・エンチャント

異名、肩書き

「天界の代行者」


キーキャラ

リサ ウィリアムズ 女性

4月3日生まれ(49)

アメリカ マサチューセッツ州 セイレム出身

ホルスタイン(牛)

おっとり、お姉さん(巨乳) 美人

子どもは二人(男女の双子)でどちらも大学生。リサはアメリカに住んでいるが、たまに日本に遊びに来る。旦那は結構厳ついが、リサ曰く「優しくてとても素敵な人」だとか。…おしどり夫婦め…

身長 172cm 体重45kg

使用魔法

禁忌「召喚術 邪神・旧支配者」

召喚術 原始の聖霊

占星術

呪い魔法

異名、肩書き

「外なる神の魔女」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 山ノ怪

ネ「前回のあらすじ。」

青「まさか、陸が性転換を申し出るなんて…」

優「いや説明すべきは、そこじゃないし…ぜってぇ違うだろ…」

蒼「陸が担当しているこの事件は、「ヤマノケ」っていう妖怪が黒幕だと判明したよ。」

七「相手は真性の異形…妖怪、果たしてどう相手取るのか…それではスタートです!」


陸「俺を魔法で女にできるか?」

 

シ「…い、いきなりどうしたの?」

 

急にこんな事を言うのだからシャルルが戸惑うのも無理もない。

しかし陸は、いたって真面目に答えた

 

陸「相手は女しか狙わない異形だ。男の俺達が行ったところで、現れすらしないと思う。」

 

シ「なるほどね…出来なくはない。でも「完全に」となると、僕には無理だ。それこそ、ここにグローサーか先生を呼ばないとだ。」

 

陸「完全じゃなくていい。…どうやるんだ?」

 

シ「禁忌で幻術を掛ける…それも、神や天使を騙せるくらいのね…」

 

陸「流石、魔法使い。…決まりだな、一旦戻ろう。」

 

シ「わかった。」

 

二人は部屋に戻り、住職と警察の二人に

 

陸「今回は俺ら二人だけで、ヤマノケをやらせて下さい」

 

と言うが、「はいわかりました」と言うはずもなく

 

警「え…だ、大丈夫なのですか!?…相手は妖怪ですよ!?…私達人間が敵うかどうかもわからない…得体の知れない奴が相手なんですよ!?」

 

言っていることは正論だ、「憑依するだけ。」とはいえど、相手は異形そのもの、その気になれば人間なんて軽く殺せてしまうかもしれない。

 

しかし…住職は違った

 

住「お待ち下さい…信じましょう…」

 

警「えっ…ですが…」

 

住職は二人を信じきっていた

 

警「……わかりました…。」

 

住「…お願いできますか?」

 

シ「お任せください。絶対に何とかします!」

 

そうして二人はここを後にした

 

警「どうして、あの二人を信じようと?」

 

住「なぁに、ジジイの直感ですよ(笑)……絶対に、あのお二人は大丈夫ですよ。」

 

一方、事務所組

 

優「なぁ、「ネコ」。グローサーってどんな奴なんだ?」

 

ネ「そうだなー…ちょっとだけ変わり者かな。伊豆大島で小さな病院開いているくらいだし。」

 

七「病院の先生なんですね。」

 

蒼「にしても…なんで母国のドイツじゃなくて伊豆大島?」

 

ネ「さぁ?研究が捗る(はかどる)って言ってたけど。」

 

優「その…禁忌以外にどんな魔法を使うんだ?」

 

ネ「アイツは他にも…「マジック・オートマタ」を作って使役してたり、仮にも医者だから、身体強化の魔法は当然、魔法薬を作ったり…かな。」

 

青「…医者としての腕は?」

 

ネ「かなり優秀だと思うよ?住民からの評判もいい感じだし、何処だったかは忘れちゃったけど、医療大学も首席で卒業するくらいだからね…頭の良さは青谷といい勝負じゃない?」

 

青「ふーん…じゃあ、グローサーさんの見た目は、どんな感じ?」

 

ネ「え?見た目?…えーと…蝙蝠型の翼があって、角が無くって、鱗は黄緑色、髪は金髪、身長は…185くらい、体格はドラゴン系にしては細いかな 。…こんなとこか。」

 

青「…(そういやドラゴンには種類は無いようなもんだっけ…でも角は無いのか…なんか引っ掛かる…)わかった、ありがとう。」

 

優「でもドラゴン系って、もっと肉体的な仕事してるんだと思ってた。」

 

蒼「ね。」

 

七「私は、この前図書館で、ドラゴンの司書さん見ましたよ?…着てた服の上からわかるくらい、すごいムキムキでしたけど…」

 

蒼「アハハ、マジか(笑)」

 

ネ「…でもアイツ、ボクの見立てじゃあ…4人の中で一番強いよ?」

 

優「へぇ…」

 

ネ「魔法に対して理解の速さが違うし、それに魔力の質が良すぎる。挙げ句の果てに自分の魔力を使いこなしているからねぇ…」

 

優「すごいんだな…グローサーさんって…」

 

青「…。(角無しで、黄緑色…どこかで…)」

 

七「…それにしても、出張とはいえ陸さんだけずるいです…。」

 

蒼「じゃあ、今の案件達が終わったらどっか行こうか。青谷、いいだろ?」

 

青「うん?ああ、なら三重県なんてどう?」

 

七「あー良いですね!行ったことないので行きたいです!」

 

そして、10月24日

 

深夜1時40分 出張組 山道の入り口

 

陸「…はぁ。これで山に入るのも7回目だな…いつになったら現れるのやら…」

 

シ「相手は異形…妖怪だからね、そんなポンポン出られても逆に困るよ…」

 

陸「そうだな…。じゃあ、そろそろ魔法を掛けてくれるか?」

 

シ「わかった、じっとしてて…」

 

そう言うと、シャルルは呪文を唱え始めた

 

すると陸の足下に魔方陣が現れ、淡く輝き始めた

 

シ「<北欧の神、ロキよ、力を貸せ…幻を…神を惑わす幻よ…>」

 

陸「…。」

 

詠唱が終わったのか、魔方陣が消えた

 

シ「さて、これで7回目…女子になった気分はどう?」

 

陸「…本当に何も変わって無いよな…」

 

シ「そりゃそうさ、幻術を掛けただけなんだ、本人には分からないよ。でも、僕には女子に見えるよ?」

 

陸「ふむ…ならいいんだが…やっぱりこういうのは慣れないんだ……本当にずっとじゃないよな…。」

 

シ「大丈夫、効き目は2時間だけさ。心配は要らないよ。」

 

陸「なら良いけど。…わかってると思うけど…万が一の時は…」

 

シ「…わかってる、行こう。」

 

そして、深夜2時。その時は来た

 

二人は山の中を暫く進んでいたが、歩みを止めた

 

シ「…。」

 

陸「…。」

 

シ「…陸君。」

 

陸「…わかってる。」

 

テン…ソウ…メツ…テン…ソウ…メツ…

 

陸「…。」

 

シ「…。」

 

テン…ソウ…メツ…

 

声が段々と近づいて来る

 

陸「…。」

 

シ「…。」

 

テン…ソウ…メツ…

 

そして「それ」は遠くの方だが、二人の前に現れた

 

青白い肌、長い両腕、一本の脚、首の無い上半身、胸の部分に大きなニヤけた顔

 

ヤマノケだ

 

奴は上半身をメチャクチャにぶらしながら、陸に近づいて行った

 

だが、させじとシャルルは剣を出現させ、奴を斬り伏せようとしたが…

 

シ「…っ!?(外した!?…いや…実体が無いのか!?)」

 

奴はシャルルに構わず、陸に近付いていく

 

陸「…。(間合いに入ればいけるか?)」

 

陸は構え、奴は陸に飛び掛かった

 

陸はナイフを突き刺そうとした時、奴はフッと消えてしまった

 

陸「…。」

 

シ「逃げられたか…陸君、大丈夫?」

 

陸「…。」

 

シ「…陸君?」

 

陸「…レタ…ハイレタ…」

 

シ「…え?」

 

陸?「ハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタ」

 

狂った笑顔で「ハイレタ」と繰り返す

 

ヤマノケに憑依された

 

シ「そんな…陸君!戻って来い!!」

 

陸?「テン…ソウ…メツ…テン…ソウ…メツ…」

 

シャルルの呼び声は届かない

 

シ「そんな…」

わかってると思うけど…万が一の時は…

 

シ「…かくなるうえは…」

 

そう言って陸に剣を突き付けた時

陸?「テン…ソウ…メツ…テン…ソウ…メ……チガウ…」

 

シ「…え?」

 

陸?「チガウ!!チガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ!!」

 

陸?は苦悶に満ちた表情で叫び散らした

 

陸?「デタイ!デル!デレナイ…デレナイ!デレナイデレナイデレナイデレナイデレナイ!!デタイ!デタ…………………やっと…」

 

シ「…!」

 

陸「捕まえた!」

 

シ「陸君!」

 

陸「心配掛けて悪かった!おっと…ヤロウ…ここまで暴れるか…ととっ…」

 

ヤマノケが陸の中で逃げ出そうと暴れているのか、陸は少しふらついている

 

陸「…長い間、好き勝手しやがって…報いだ、逃げられると思うな。」

 

そう言うとナイフを取り出し、刃先を自分の胸に向けた

 

陸「これ以上、好きにはさせない…もといた場所に…」

 

シ「…。」

 

陸「黄泉に帰れ…!」

 

自分の胸に…心臓に突き刺した

 

陸「…。」

 

すると陸から青白い炎のような、煙のようなものがゆっくりと、空に昇っていった

 

陸はナイフを引き抜いた。

 

刺した胸に傷は無かった。どうやら上手いこと能力を使い、ヤマノケだけを殺したらしい

 

しかし、ヤマノケだけを殺したとはいえ、陸の中で暴れていた分と、自分の心臓を刺すという命を傷つける行為、かなりのダメージを負っていた

 

陸「…ぅ…あ…。」

 

シ「っ!陸君!」

 

陸はその場で倒れそうになったが、何とかシャルルが受け止めた

 

陸「…ハハッ…妖怪相手にここまで持ってかれるとは…」

 

シ「能力が使えると言っても、君は人間だ…無茶は駄目だ。」

 

そう言うと、回復魔法を掛け、陸をおぶさった

 

シ「よっこいしょっと…それに――」

 

陸「…?」

 

シ「君を大切に思っている人が…いるからね。」

 

陸「…家族はもういない…誰一人として…。」

 

シ「知ってる、先生から聞いたよ…でも、大切に思っている人はまだいるじゃんか。」

 

陸にもう家族…両親はいない。でも、まだ友人達がいる。蒼太や七海達がいる

 

陸「…そうだよな…。」

 

シ「…さあ、帰ろう。………。」

 

そして、10月25日

 

事務所

 

陸「ただいま。」

 

七「あっ!お帰りなさい!陸さん!と、その方は…」

 

ネ「おー、シャルル!」

 

シ「お邪魔します。…あなたが七海さんかな?…はじめまして、シャルル ローランです。よろしくね。」

 

七「はい、よろしくお願いいたします!」

 

陸「ところで七海。残りの3人は?」

 

七「はい、蒼太さんと青谷さんは、ご自宅で休んでます。優希さんは10分くらい前に、すぐそこのコンビニに行きました。そろそろ戻って来ると思います。」

 

陸「二人とも休みか…俺がいない間なにがあったんだ?」

 

ネ「ああ、それなんだけど―――(説明中)―――てな訳で、事件は解決したんだ。」

 

陸「ふーん、そんなことが…」

 

七「それと、今度のお休みに、皆さんで三重県に旅行しに行くことになりましたので、お願いいたします!」

 

ネ「シャルルはどう?」

 

シ「いえ、遠慮させていただきます。仕事もありますし、それに…」

 

いつもいつも…あなたは仕事の事ばかり…いつも大事な時に限って、仕事だからって…あなたがいない…

 

シ「……私には…あやめが…いますから…」

 

 

 

フランス ブルターニュ

 

?「あら?誰からかしら…シャルルから……」

 

君に伝えたいことがある、今週の日曜日に会えないか?

 

?「…久しぶりに連絡が来たと思ったら……」

 

わかったわ。でも復縁については、お断りだから

 

 

わかってる。ありがとう。今週の日曜日に、海が見えるあの広場で会おう

 

?「…未練タラタラね…私とあなたが出会った場所…ホント、あの人ったら…」

 

 

あの人ったら…変わらないのね…

 

 




お待たせしました。ヒシモチです。

今回のおまけです

残念な青谷さん

コンビニ道中

陸「そう言えば、青谷って頭良い癖して色々残念だよな…」

蒼「あー、わかる。この前なんか一人部屋で、アイドルの動画見て盛り上がってたもん。ボッチで。」

陸「えぇ…、いや…一人ならまだいいか…」

蒼「他にも、やけに真剣にパソコンの画面見てるなーって思ったら、そのアイドルのイラストだった。」

陸「うわ…(引)」

一方その頃

事務所

七「…。」(ファッション雑誌読)

優「…。」(テレビ見)

青「…なんだろう、スゲー馬鹿にされてるような気がする…」

優「は?」

コンビニ道中

蒼「それで、青谷が僕に気づいてブラウザバックで閉じたんだけどさ、トプ画はアイドルだし…デスクトップは整理されてなくてファイルだらけで汚いし…」

陸「うわぁ…(ドン引き)もうアイツ一回死んで転生しろよ…」

一方その頃

事務所

七「…。」(ゲーム実況動画見)

優「…。」(テレビ見)

青「…。ぶへぇあっくしゃぁぁぁぁぁあぁああああはぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!!!」(注、くしゃみ。)

優「…っ!!!!!!うるっさいわボケぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

七「…。(にぎやかですねえ…)」(←慣れた)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間 番外 オー・ルボワール


夫婦だった…とある二人の話。


フランス ブルターニュ

 

10月 日曜 昼頃

 

「…この街も変わらないな…5年前と変わらない…」

 

この街はシャルルの古郷であり、愛を育み、愛を壊した街

 

「…。」

 

貴方はいつだってそう!仕事、仕事って!いつも大事な時に限っていないじゃない!!

 

「……さて、この道だったかな。」

 

道を抜けると、海が見える広場に出た

 

「…。」

 

仕方ないだろ!休みたくても休めないんだよ!遊びでやってるんじゃないんだ!!

 

「相変わらずだな…ここも…」

 

「貴方も…変わってないのね…。」

 

「…!」

 

ノエル フォンテーヌ(34)キタキツネ

 

シャルルの元妻

 

「ありがとう、来てくれたんだね…ノエル。」

 

「ええ、シャルル…久しぶりね。」

「5年ぶりだよね…」

 

「…。」

 

「…。」

 

君だってそうだ!毎回、毎回だ!いつもわがままを言って!僕の気持ちを考えたことあるのか!?

 

貴方に言われたくないわ!そんなこと言って!いっつも私とお腹のこの子をほったらかしじゃない!!貴方こそ!私達のこと考えてるの!?

 

「…ここに来たのは、君に伝えたいことがあるんだ。」

 

「…何?」

 

「…僕はもう…ここには戻らない。君にも会わないつもりだ…。」

 

「…はぁ、何を言い出すかと思えば…5年も連絡しない上に顔すら出さなかった人が、今更何言ってるのよ…」

 

「うん…それに関しては、申し訳ない…」

 

「それで?もう戻らないって言うあたり、何か目的とかできたの?」

 

「目的かどうかは、わからないけど、日本に引っ越して養子を迎えたんだ…これが写真。」

 

「…この虎の子?あら…かわいいじゃない。名前は?いくつなの?」

 

「名前は、あやめ、5歳だよ。」

 

「あやめちゃんかぁ…私の子と同い年なのね…そう言えば、貴方まだ私の子見てなかったでしょ。はい、写真。」

 

「…男の子だったんだ…名前は?」

 

「名前は「ジャン」よ。」

 

「フフッ、良い名前だね。やっぱり大変かい?」

 

「そりゃそうよ。フフッこの前何か――」

 

「アハハ、そんなことがあったんだ。大変だね。」

 

「ウフフ、大変なんてものじゃないわよ。」

 

「…。」

 

「…シャルル?」

 

「…ねぇ、ノエル。」

 

「なに?」

「…どこかで間違えてなければ…僕らは家族として…こんな風に…笑えたのかな…」

 

「…ええ…、私も同じように思う時が何度もあったわ…」

 

「…初めてここで僕らは出会って…」

 

「…ここで貴方に告白されて…プロポーズされた…」

 

「…でも、僕らは何度もぶつかり合ってしまった。」

 

「…ホント、お互い子どもみたいに、いがみ合いの繰り返しだったわね…」

 

「この先ずっと…お互いに心を傷つけ合うくらいなら…そう思って…」

「ええ…」

 

「…僕から…「別れよう」って言った…」

 

「……そう…貴方は正しかったと…思うわ…」

 

「…。」

 

もういい…!限界だ…!もうやってられない…!君に家は渡すよ!

 

え?…なによ…!なにが言いたいのよ!?

 

別れよう…!僕は出ていく…!

 

わか…ッ!…ああそう!?じゃあ好きにしなさいよ!

 

………ああ…好きにさせてもらうさ…君と言い合うくらいならね……さよなら。

 

……………なによ…なんなのよ…

 

「……今でも思い出すわ…あの日のこと…私のエゴで貴方を振り回そうとした…」

 

「…そうだね…でも、あの時の君の言い分も正しかった…頑なに拒否したのは…僕だ…」

 

「…。」

 

今思えば…いつも、お互いが悪かったんだ

 

「色々思い出すわね…。」

「うん…今日の朝、君に会うって思うと、どんな顔していいかわからなかった…」

 

「私は…ため息ばっかりついていたわ…まだ怒っているんじゃないかって…」

 

「そんなことないさ…僕だって同じだったよ…」

 

それでも…思い出すのは、ケンカの光景ばかり。お互いが笑い合っている光景は見えなかった。

 

いや…お互い忘れてしまった…だが、その方が幸せなのかもしれない…なぜなら

 

「…。」

 

「後悔」という炎が、今よりもっと燃えて、渦を巻くと思うから

 

「…。」

 

でも、その炎が燃えているのは、今も同じ。

 

誰が予想できた?紡いだ糸が、縦に裂けてしまうなんて…

 

「…この広場は――」

 

「…?」

 

「相変わらず…人がいない…」

 

「ええ、そうね。」

 

「…ここから見える海も綺麗なのに。」

 

「…ええ、そうね。」

 

なのに…僕らの愛は…どうしてここまで、汚れきってしまったんだろう…

 

いや…わかっていたんだ。いつか必ず、ぶつかり会うだろうって…お互いに、わかっていたはずだった。

 

それでも、お互いに仮面を被って暮らした。

前から小さなケンカは、よくあったから、またケンカしたら仲直りすれば良い…そう思っていた。

 

その結果がこれだ…

 

「…。」

 

結局、僕らは何も変われない。

 

でも…別れなければ「今」は無かった…これが正解なんだ

 

「…ねえ、シャルル…お願いがあるんだけど…」

 

「なに?ノエル。」

 

「…――――、―――――――――。――――」

 

「…は?冗談だろ?」

 

「失礼ね…冗談なわけないでしょ。知ってる人が貴方しかいないからいってるのよ。」

 

「いやでも…だからって…」

 

「それに、万が一のことがあれば、赤の他人じゃないほうが良いでしょ?それとも…私の最後のお願いくらい、聞いてくれないの?」

 

「うぅ…わかった、わかったよ…」

 

「フフッ…流石、私の元旦那。…貴方しか信用できないの…」

 

「ハァ…そういう強引なとこ、変わってないね…」

 

「あら、お互い様じゃない?(笑)」

 

「フッ、そうでした。」

 

「…あらやだ、もうこんな時間。…じゃあ、そういうことだから…」

 

「ああ、わかったよ。…会えて良かった…」

 

「ええ、…精々、私より良い奥さん見つけなさいね(笑)」

 

「アハハ…言うじゃんか。君も、僕より良い人見つけなよ(笑)」

 

「フフッ、何よ。」

 

「ハハッ、そっちこそ。」

 

「…さようなら、シャルル。」

 

「…さようなら、ノエル。」

 

 

そして二人は、わらい合い、振り替えることは無かった。

 

 

さようなら、愛していた人。

 




七「こんにちは!こんばんは!おはようございます!いつも読んでくださってる方もありがとうございます!」

七「今回、作者は忙しいみたいなので、私からお知らせを。」

七「12月の中旬までおやすみだそうです。なので、楽しみにしてくださってる方々、大変申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします…では!さよならです!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 カミサマの住む所

青「前回のあらすz((激突
――――ゴッヘェ!!」

作者「お休みありがとうございました!」←激突した奴

蒼「うわあデジャヴ。」

陸「コイツ毎回ひどい目会ってんな。」

優「約1ヶ月ぶりなのに騒々し過ぎんだろ…」

七「アハハ、相変わらず賑やかですねえ……あ、前回のあらすじです。宮城のヤマノケを退治して、八王子で起きた連続猟奇殺人及び死体遺棄事件を解決しました。それから約1ヶ月弱が経って、私たちは三重県に旅行することになりました。」

ネ「今回は、その三重県からスタートだよ!…では、どうぞ!」


12月14日 午前10時頃

 

三重県 伊勢山

 

七「…ここが伊勢山ですか。」

 

優「一度来てみたかったんだよなーここ。あ、あれ名物の饅頭かな!」

 

七「えっ、何処ですか?」

 

蒼「アハハ、二人共はしゃぎ過ぎないようにねー。」

 

陸「空気が澄んでいて気持ち良いな…」

 

皆が皆、心を踊らせる中、青谷は少し考え事をしていた

 

青「……。」

 

ネ「青谷どしたの?疲れてる?」

 

青「ん?いや、何でもないよ。」

 

ネ「そう、ならいいけど。」

 

青「…(あの時、本当に俺は三重県に~って言ったのかな…無意識だったとしても、ぼんやりとぐらいは覚えてるはず…なのに一切記憶に無いなんて…)」

 

確かにあの時、青谷は「なら三重県なんてどう?」と言ったが、

何故か本人にその記憶がない。

 

一応、道中の車の中で、このことを青谷は話したが、皆からは「無意識で言っちゃうのは、あるあるだよ(笑)」と軽く流されたそうな

 

陸「こういう休みも良いな…」

 

…―――――。

 

陸「うん?」

 

………。

 

陸「…気のせい…か。」

 

蒼「陸ー?行くよー。」

 

陸「ああ、今行く。」

 

………。

 

伊勢山 登山道

 

蒼「伊勢山ってそこまで高くないんだってね。」

 

青「ああ、標高500メートル弱。登山道も舗装されて、初心者や体力の無い人でも登りやすい山で有名だな。まあ、実際には訳あって山頂まで行けないから少し低いみたいだけど。」

 

優「そうなのか?」

 

青「うん、色々と言い伝えがあって、その中で有名なのだと―」

 

昔、旧人類の時代

 

ここは本来、山など無く、大きな神社があったそう。

 

人々からの信仰も厚く、毎日のように沢山の人が訪れていた。

 

しかし、ある日を境に、その神社を中心に、土地が盛り上がり、次第に山となった。

 

そして、山の頂上にあるその神社は、まるで人々を避けるかのように、晴れることのない、とても濃い霧に包まれた。

 

今まで、何十人、何百人と頂上を目指したが、誰もたどり着けず、むしろ、霧の中に入る前の場所に戻って来てしまうらしい。

 

更にこの霧は、今まで一度も晴れていないらしい

 

青「――っていうのが有名な言い伝え。」

 

七「へぇ…そんな不思議な話が…」

 

ネ「記憶にないって言っておきながらさー、青谷が一番楽しみにしてたんじゃないのー?ホントは記憶あったりして(笑)」

 

青「うん、すごい楽しみだった。でもホントに言った記憶ないんだって。」

 

陸「ハハッ、ホントかよ(笑)」

 

…―――。

 

陸「ん?」

 

…………。

 

蒼「陸どうしたの?」

 

陸「今何か…聞こえたような…」

 

蒼「?」

 

陸「いや…何でもない。」

 

そして暫く歩いていると、景色がとても綺麗な、大きな広場に出た

 

どうやらここが、山頂の代わりらしい

 

青「ふぃー、着いた―。」

 

優「おおー、景色が綺麗だなぁ…」

 

七「あ、あれって…」

 

七海が見つけたのは、濃霧に包まれた登山道だった

 

蒼「青谷が言ってたやつじゃない?」

 

ネ「看板もあるし、ここみたいだね。」

 

看板には、「神隠れの道」

 

内容に書かれているのは、夜間帯は立ち入り禁止、足下注意、ポイ捨て禁止など…

 

他には青谷が紹介した言い伝えが書かれていた

 

青「俺ちょっと入ってみようかな…」

 

優「あっ、オレも行きたい!」

 

蒼「どうせなら皆で入ろうじゃん。」

 

七「良いですね!そうしましょう!」

 

そして、一行は二人ずつ入ることになった。

蒼太と優希、陸と七海、「ネコ」と青谷、この順で入って行った

 

蒼太組

 

蒼「いやぁ…ここまで霧が濃いとは…1メートル先も見えないなんて…」

 

優「しかもお互いの顔さえボヤけるレベルって…ホントに霧か?これ…」

 

陸組

 

陸「…どう考えても「濃霧」ってレベルじゃねーぞこれ…」

 

七「ええ、念のため持ってきた懐中電灯がこの有り様です…」

 

七海が持ってきた懐中電灯は光ってはいたが、2メートル先すら照らせず、まるで小さなロウソクのようになっていた

 

陸「新しいやつだよな…それ…」

 

「ネコ」組

 

ネ「…真っっ白。なんも見えない…」

 

青「足下も ろくに見えないなんて…」

 

ネ「それに登山道って言う割には平坦過ぎないかな…」

 

青「確かに登ってる感じしないよな…」

 

そんな会話をしながら歩いていると、目の前が明るくなってきた

 

青「おっ、出口じゃない?」

 

ネ「割と掛かったね…」

 

そして二人は霧の外に出た

 

ネ「着いたあ!あ、あ……あ?」

 

青「…あれ?…あ、看板…」

 

同じ場所。

 

蒼「二人共ー、こっちこっちー。」

 

青「…百聞は一見に如かず…か。」

 

ネ「うーん…ずっと真っ直ぐに歩いたはずなんだけど…」

二人は疑問を抱きながらも、皆と合流した

 

その後、写真を撮ったり、景色を眺めたりして、下山しようとした時だった

 

青「うんじゃあ、次行こうか。」

 

蒼「はーい。」

 

優「あ、饅頭買っていい?」

 

七「あ、私もー」

 

陸「…さてと。」

 

その時だった

 

…コッチ。

 

陸「ッ!」

 

ネ「ん?」

 

何かに呼ばれた。いや、ずっと呼ばれていたがようやく聞こえた。

 

声は霧の方、陸は迷うこと無く―――

 

陸「…………!」

 

ネ「え!?ちょっ……陸!?」

 

―――声の方に走った

 

七「え!?陸さん!「ネコ」さん!どこへ――」

 

ネ「すぐ戻るから!先に降りてて!」

 

「ネコ」も後を追い、霧の中に入っていき、かろうじて陸についていくことが出来た

 

陸「………。」

 

ネ「陸!待ってよ!(すんでのところで魔法を使ってついていけてるけど…)」

陸「………。」

 

ネ「陸ってば!(何処まで走る気だ?)」

 

すると、何かが見えてきた

 

ネ「あれは…門…じゃないな…」

 

今度は橋を渡った

 

陸「………。」

 

ネ「こんなところに橋があったんだ…」

 

そしていくつか門のようなものをくぐり、橋を渡った。

 

最後の門のようなものをくぐり抜けると、ようやく霧が晴れ、陸の足も止まった

陸「………。」

 

ネ「ゼェ…ハァ…やっと…晴れた…」

 

「ネコ」は息を整えると目の前の建物に気づいた

 

ネ「…この建物は…」

 

木造というのは分かったが、もうボロボロの状態。

 

どれ程の年月の間、人が訪れていなかったのだろうか…

 

…コッチ。

 

ネ「あ…!また…」

 

陸「…奥か。」

 

そう言って歩くと、先ほどと同じような建物があった。

 

ネ「二つあるんだ…」

 

陸「………。」

 

更に二人は、奥に進むと、一本の大きな木が生えていた

 

ネ「わぁ…大きい…」

 

幹の直径は3メートルぐらい、高さは15メートルぐらいあるだろうか

 

ネ「ずっと…ここにいたのかな…」

 

「ネコ」が感傷に浸っていると陸が何かを見つけた

 

陸「…あれか。」

 

陸の視線の先、木の根元に、錆びた金属の棒のようなものが刺さっていた

 

ネ「なにこれ?」

 

陸「…刀だ…」

 

ネ「え?これが?」

 

陸「おそらく…何十年、何百年と放置されていたんだろ…」

 

…使ッテ。

 

ネ「…今…」

 

陸「…ありがたく…使わさせて頂きます……お借りします。」

 

そう言うと、刀を抜き取った

 

刀は錆び付いていたものの、不思議なものを感じた

 

一息ついたところで

 

ネ「さて、陸。ボクは君に言いたいことが沢山ある」

 

陸「…!…あ、…いや…その…」←ゆっくりとそっぽ向く

 

ネ「オイ、コラ、コッチ向け。」

 

この後めちゃくちゃネチネチ怒られた。

 

数分後

 

陸「スミマセンデシタ」

 

ネ「よろしい。…全く…いきなり走るから何事かと思ったよ…まぁ、いいや。はい、刀のバッグ。そのまま持っていけないからね」

 

陸「ああ、わるいな。」

 

ネ「…それにしても、ここら辺は結構ボロボロなのに…全く嫌な感じがしない…むしろ、まだここにいたいな…って…」

 

陸「それは多分、ここが言い伝えにあった神社なんだろう…」

 

周りを見てみれば、ボロボロではあるものの、道中含め、その名残は沢山あった。

 

門のようなものは鳥居だったのだろう。

 

大きな木の周りには、建物の柱の跡がいくつかあった。

 

ネ「…戻ろっか。」

 

陸「…ああ。」

 

そして二人は霧の中に入っていった。

 

霧の中に入って一歩二歩踏んだ塗炭だった。

 

陸「……どうなって…」

 

ネ「……ゑ?(え?)」

 

気づけば霧の外、あの看板の前にいた

 

ネ「と…とりあえず…皆と合流しようか…」

 

陸「お、おう…」

 

そして皆と合流し、車内で七海に軽く説教された後、山頂及び神社のことを話した。

 

そして旅館

 

午後5時頃

 

陸「なぁ、「ネコ」。」

 

ネ「なーに?」

 

陸「度々悪い、お前の知り合いで、刀匠か研師の人いないか?忘れないうちに、刀を磨いてもらおうと思うんだが…」

 

ネ「ああ、勿論。「千子 彩花(せんじ あやか)」知ってるだろ?」

 

陸「あー…シャルルが言ってた禁忌の…」

 

ネ「そそ、錬金術師の。今からでも行こうよ。どうせ皆、自由行動でいないし。」

 

陸「それもそうだが…良いのか?」

 

ネ「暇だし、良いんじゃない?」

 

陸「そ…そうか…」

 

そして

 

東京都 荒川区 住宅街

 

彩花の工業店

 

彩「ふぁー…はあ…今日も疲れたー。あと1時間かー…」

 

千子 彩花(35)女性 ライオン

 

ここは彩花が営む修理店。

 

基本的に錬金術を使って修理したりしているので、直せない物は無く、材料費も掛からないので、住民からとても良い評判を受けている。

 

実は、刀匠…刀鍛冶の家系だが、流石に暇すぎるので始めたのがこの修理店。

 

営業は6時までなので、もうすぐで片付けをしようとしていた時だった。

 

ガラガラ

 

彩「ん?こんな時間に珍しいな…はい、いらっしゃい…って…」

ネ「おひさー、元気だったー?」

 

彩「おおー、師匠じゃんか!久しぶり!…と、その人は?」

 

ネ「ああ、こっちは――」(紹介中)

 

陸「――と、いうわけで、よろしくお願いします。」

 

彩「ああ、よろしく!そんな畏まらないでおくれよ、堅いのはあまり慣れないんでね。さてと、今日はどうしたの?」

 

ネ「うん、簡単に言うと、この刀を直してほしいのさ。」

 

そう言って、伊勢山で手に入れた刀を取り出した

 

彩「うおぉ…錆びてるなぁ…結構掛かるけどいい?」

 

ネ「うん、お願い。」

 

彩「じゃあ、まず鑑定するから、待ってて。」

 

ネ「はーい」

 

そう言うと、彩花は作業台に行き、刀の鑑定を始めた

 

彩「えーと、まずは錆びてるから色々逆算して…全長が99,99センチ…刃長が80,3センチ…反りが2,7センチ…先幅が1,91センチ…元幅が2,91センチ…と。」

 

先ほど図った長さを記入していき、今度はルーペを取り出した

 

彩「さて次は、刃紋…流石に駄目になってるな…銘は…おっ、あったあった。えーと……………………嘘だろ…」

 

ネ「――それでさ、それでさ、――」

 

陸「へぇ、そんなことが…」

 

彩「…なぁ、少し聞いてもいいか?」

 

彩花は作業台の方に向いたままゆっくりと立ち上がった

 

陸「…え?ああ…」

 

彩「…この刀は何処で?」

 

陸「伊勢山だが…」

 

彩「…山の何処で?」

 

ネ「山頂だよ。神社みたいな場所だった。」

 

彩「……だとしたら…!」

 

そう言うと、彩花は店の奥に走って行った

 

すると奥から、ドサッガサッ、と言う音がして、奥から彩花が何かの本を読みながら出てきた

 

彩「…もし本物だったら…」

 

ネ「あー…彩花?」

 

彩「頼む!お代とか要らないから、この刀…私に直させて!!」

 

陸「びっくりした…わかった…」

 

彩「師匠も!完璧に直すから、禁忌を…賢者の石を使わして!!」

 

ネ「え?あ…うん。それは…好きにして?」

 

彩「ホント!?やったー!完璧に直すから、楽しみにしててよ!」

 

こうして、錆びた刀は修理されることとなり、二人は旅館に戻って行った。

 

山頂で手に入れた刀の正体が判明するのは、まだ先の模様…

 




青「アイタタタ…」

作者「ごめんってばー…あ、どうもお久しぶりです。ヒシモチです。冒頭でも言いましたが、お休みありがとうございました!」

青「礼儀正しいのは良いことだけど、はしゃぎ過ぎないようにね。」

作者「ごめんってばー…」

キャラシート

キーキャラ

千子 彩花(せんじ あやか)女性

3月8日生まれ(35)

東京都 練馬区 出身

ライオン

男勝りな性格 結構フランク 楽しいもの好き

身長165cm 体重49kg

シャルルとは長い付き合いで、よく あやめちゃんを預かったりしている。
5歳の男の子が一人いて、自宅の1階が修理店。2階3階が居住スペース
夫は警察官、自ら進んで尻に敷かれに行くタイプで、仕事場でも物腰柔らか、部下にも姿勢低く、優しく接する人。
近所からの評判もすごく良い家族で、いつも笑顔が絶えない

使用魔法

禁忌 錬金術式「賢者の石」

通常錬金術

身体強化魔法

など…

追記:一般人の家系から極稀に魔法使いが生まれるが、彩花がその例。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 フィクサー

陸「前回の!」

七「あらすじ!」

優「前回は、6人で三重県に旅行に行って、そこで伊勢山って言う山に登った。陸と「ネコ」は山の頂上で、とある錆びた刀を手に入れたんだ。そして刀を、禁忌の魔法使い「千子 彩花」さんに暫くの間、預けることにして、完成を待つことになったぞ!」

蒼「それでは、スタート!」

ネ「今回は真面目だなぁ。」

青「ね。変な物でも食ったんかな。」←いつもふざけてる人


???

 

何処かの廃墟

 

逆島咲「…いきなり呼び出されたかと思えば…誰もいないじゃん!」

 

逆島穂「まぁ、姉さん落ち着いてよ。あちら側も何かあるんでしょ。」

 

そんな一人芝居をやっているかのような、この二重人格の男?女?

 

逆島 咲・穂

 

大分前に、蒼太と陸に対峙し、何回か殺され、「ネコ」に「暴食の力」を取られ、敗走した人物。

 

一時期、指名手配もされていたが、何故ここへ呼ばれたのか、誰に呼ばれたのだろうか、

 

そんな時

 

?「やぁ、元気してたかい?お二人さん。」

 

奥から少年の声

 

逆島咲「やっと来たか…「バーゲスト」…」

 

奥から出てきたのは、黒の犬系の少年?だった

 

バ「いやぁ、待ったよね~ごめんねぇ~(笑)」

 

逆島咲「…(怒)」

 

逆島穂「姉さんってば……それで…何のご用で?」

 

バ「うんうん、穂クンは話が早くて助かるなぁ♪」

 

逆島咲のほうが今にもキレそうだが、構わずバーゲストは続けた

 

バ「キミ達にあげた、「暴食の力」あるだろ?■■■■■■■に力の大部分盗られたっぽいけど、まだ「核」の部分残ってるでしょ。」

 

逆島咲「■■■■■■■?あの猫の魔法使いか?力なら若干まだ残ってるが。」

 

バ「うん、それとキミ達はアイツらに何回か殺されたみたいだけど、まだ50人分位残ってるでしょ?」

 

逆島穂「…ええ、まだ魂達は50くらいは、あります…。」

 

逆島咲「それで?この力と魂…アタシらが呼ばれたのと、何か関係あんの?」

 

バ「ああ、勿論さ。…その前に、キミ達に紹介したいのがいるんだ…出て来ていいよー。」

 

バーゲストが建物の奥に呼び掛けると、それは現れた

 

?「……妾(わらわ)を呼んだかの…」

 

女性の声…だが明らかに人間ではなかった

 

黒い靄(もや)に包まれ、目であろう部分は赤く光り、逆島は血の気が引き、全身の細胞が恐怖で震えるのを感じた

 

逆島咲「…ッ!(何だ…コイツ…)」

 

逆島穂「…ぁ(何だ…この感覚…息が…詰まりそうだ…)」

バ「さぁ♪紹介するよ、この人は■■■■。またの名を■■■■■■■■。…聞いたことあるでしょ。」

 

逆島咲「…そ…それとアタシらに何の関係があんのさ…」

 

バ「いやぁ実はさぁ、この人、前まで封印みたいなことされてたんだよね。力が弱くなっちゃってるワケ。そこでキミ達に協力してほしいのさ!」

 

逆島穂「ぐ…具体的には…なにを?」

 

バ「なにって、簡単だよ。――――

 

 

 

 

 

バーゲストは冷酷な笑みを浮かべると言った

 

 

 

 

 

―――― ■■■■の糧になってよ。」

 

逆島「…ッッ!!」

 

「…いつまで茶番をしているつもりだ?」

 

逆島穂「まっ…待って!待ってください!!」

 

「…妾は腹が減った。食糧を目の前にして、何故待たねばならんのじゃ。」

 

逆島咲「…バー…ゲスト…お前エェ!!」

 

バ「なに怒ってんのさ。僕は言ったよ?人間ごときに情なんて無いって。勿論、キミらも例外じゃないけど?」

 

「…。」

 

■■■■から黒い風が放たれ、一瞬で逆島咲・穂を包んだ

 

逆島咲「よっ…止せぇ!!」

 

バ「それに、尻尾巻いて逃げてきたキミ達だ。尚のことだよね。」

 

逆島「ッッ~!!ッー…!ッッーー……――――――――

 

叫び声が聞こえなくなると同時に黒い風も消え、逆島穂・咲も消えていた

 

バ「さて、満足した?」

 

「…ここまで大量に喰ったのは久方ぶりじゃの…。」

 

バ「それは良かった。キミには、すぐにでも力を戻してもらわなきゃ困るからね。」

 

「…妾は喰わずとも我が妖術・呪術は変わらん。前に作ったコトリバコは無力化されたがな。しかし「腹が減っては戦は出来ぬ」とはよく言ったものよな…」

 

バ「ハハッ、確かに。さてと、僕は色々と準備があるから、これで。」

 

「ああ、………行ったか…さて、妾も準備をしようかの…」

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

12月24日

 

事務所組

 

蒼太と七海は、ある依頼を受け、とある小さなビルの前に来ていた

 

蒼「ここかな?」

 

七「住所もここで合ってるので、間違いないですね。」

 

蒼「全く…「麻薬密売、製造、買い占めのアジトを見つけたから殺して潰せ」とか…今日クリスマスイブなのに…」

 

七「上からの指令ですもの…仕方がありません…」

 

依頼とは、蒼太が言った通り、そのアジトを潰すこと。

 

そしてアジトのリーダー格を抹殺及び、組員の鏖殺(おうさつ)

 

要するに皆殺しだ

 

蒼「じゃ、始めようか。」

 

蒼太達はビルに入り、階段に向かった。

 

すると、アナウンスが流れた

 

?「はいはーい、皆さーん、侵入者が入って来たのでー、殺しちゃって下さーい、出来た人にはー、大好きな「おクスリ」をあげまーす。なのでー、頑張ってくださーい。」

 

蒼「…やけに高い声。コイツがリーダーかな?」

 

七「耳が痛くなります。」

 

そして二階の扉の前に着いた

 

蒼「じゃあ、七海ちゃんは―――」

 

七「ええ、ここにいますね。」

 

蒼太は軽く頷き、扉を思いっきり開けた

 

蒼「どうもー、ブラックサンタでーす。という訳で死んでくださーい。」

 

組員1「お前が侵入者か!ぶっ殺して――ゴファッ」

 

蒼「うん、ちょっと黙ってて。」

 

そう言いながら、両手に持った拳銃を容赦なくぶっぱなす。

 

近付いて来る敵には、素手で殴り、蹴り殺す。

 

それを繰り返すうちに、2階は鎮圧された。

 

蒼「2階はハズレかなぁ…。」

 

七「じゃあ3階行きますかって…血まみれじゃないですか…。」

 

蒼「いやぁ狭かったもんでね。」

 

七「……。」

 

そして二人は3階に上がった。どうやらここが最上階らしい。

 

扉を開け、部屋の奥に進むと、ここのリーダー格がいた。

 

七海と同じくらいの身長の女性で、右手に銃が握られていた。

 

女「こんにちは、お二人さん。すごいのね、私の子達を無傷で殺せるなんて…でも甘いんじゃないかしら?」

 

七「キャッ!!」

 

蒼「…!」

 

?「動くな!この女がどうなっても良いのか!?」

 

いつの間にか組員の男が二人の後ろにいた。

 

2階に生き残りがいたらしい。

 

七海を人質に取り、七海に銃を突き付けていた。

 

女「私の言うことを聞いてくれれば解放してあげる。」

 

蒼「…言うことって?」

 

七「蒼太さん!ダメです!」

 

組員2「うるせえ!黙ってろ!」

 

女「そうねぇ…じゃあ、あなたの身体の一部と引き換えで私達を見逃すのであればいいわよ?身体の一部は、腕1本とか、足1本とか、両目玉とか…」

 

蒼「わかった。じゃあ…目玉あげる。」

 

七「蒼太さん!?ムグッ…」

 

そう言うと、蒼太は自分の右目に手を突っ込み、抉り出した。

 

グチュッ、ブチッ、ブチブチッ

 

蒼「……ハァ…ハァ…もう…片方…!」

 

そして、左目も…

 

グヂュッ、ブチッ、ブチッ

 

蒼「……ハァ…ハァ…ほら…」

 

そう言って、目玉を女に投げ渡した。

 

女「…まさかホントにやるなんてね…いいわ。約束通り、そのまま踵(きびす)返して帰って。」

 

蒼「…わかった。」

 

そう言うと蒼太は、ゆっくりと七海の方に振り返る

 

七「……ッ!…蒼太さん……!」

 

振り返った蒼太の顔。両目のまぶたは窪んで黒みがかり、頬が血に濡れ、血がボタッ…ボタッ…と、滴り落ちていた

 

組員「…ひでぇ面だな。」

蒼「言ってろ。……行こう。」

 

七「……蒼太さん…。」

 

蒼太達二人が部屋を出ようとした時、リーダーの女はニヤリと笑い、二人に銃を向けた

 

女「…………フフッ……」

 

その時

 

ガシュン!…カチャン……

 

女「…は?」

 

リーダーの女の手から銃が落ち、その右手は血だらけで原型がなくなっていた

 

女「…ああ…ああああああああ!!」

 

組員「お嬢!!」

 

撃ったのは蒼太。直感で振り返り、リーダーの女の銃を右手ごと撃ったらしい

 

蒼「そんなことだろうと思ったよ。」

 

組員「テメェ…よくも――

 

蒼「うっさい。」

 

組員の男を問答無用で撃ち殺し、リーダーの女の喚く声に向かっていった

 

女「あああ…痛い……手が………ヒッ!!」

 

顔を上げると、蒼太が銃を突き付けていた

 

蒼「…最後に、言い遺すことは?」

 

女「ま…まっ、待って!お願いだから待って!!そ、そうだわ!取り引きしましょ!?お金ならいくらでも―――

 

蒼「くだらない。目玉は返してもらうよ。」

 

ガシュン!ガシュン!ガシュン!ガシュン!………

 

七「………。」

 

何度も、何度も…静かで無機質な銃声が鳴り響き、血と火薬の臭いが部屋中に広がっていった

 

そして…

 

蒼「…さぁ、終わったよ。…帰ろう。」

 

七「………はい。」

 

その後、事務所に戻った二人。蒼太に関しては優希に、目元を包帯でぐるぐる巻きにされた。

 

事務所

 

ネ「目玉を持って帰ってきたのは良いけどさ…治せないよ?ボクじゃあさ…」

 

蒼「なんとか出来ないかな?」

 

ネ「うーん…わかったよ。ちょっと待ってて。」

 

そう言って少し黙り、指をパチンと鳴らすと、白衣を着たドラゴンの男性が落ちてきた

 

?「(ドイツ語)"うわっ!アイタ!!"」

 

青「…!…この人…」

 

?「(ドイツ語)"イタタ…誰だ!?いきなり呼び出すバカは!"」

 

ネ「そのバカはボクだよ。急用なんだ。」

 

?「あー?」

 

青「(ドイツ語)"あの…すみません。貴方が「グローサー」さんですか?…お願いがあります。私の友人の目を治していただけませんか?"」

 

グ「随分と流暢で綺麗なドイツ語だな…日本語でいい。そう、俺が「グローサー」だ。」

「グローサー」(45?)ドラゴン 細身の角無し ドイツ人 男性

 

ネ「…と、言うわけだ。急で申し訳ないけど、お願いできる?」

 

グ「…ハァ…わかった。患者は…お前か。」

 

軽く見回すと、蒼太に気付いた。

 

同時に蒼太もグローサーに気付いたようだ

 

蒼「あんた…お医者さん?」

 

グ「そうだ。じゃあ、診察するぞ。」

 

数分後

 

グ「この野郎…右目はギリギリ治せるが…左目は角膜が抉れて水晶体が損傷してやがる…目は繊細な物だってからに…」

 

蒼「アハハ…」

 

グ「アハハじゃない。…しかし、軽く診てわかったが…お前もコチラ側か…」

 

蒼「え?コチラ側って…どういう…」

 

ネ「…。」

 

グ「独り言だ。だがまぁ、その根性気に入った。特別だ、俺の人形を利用して完璧に治してやる。」

 

優「あの…具体的にはどうやって…」

 

グ「あー?簡単だ。コイツの損傷した左目をベースに、人形の目を組み合わせる。云わば実際に機能する義眼だ。右目は若干傷ついているが、再生の魔法掛ければ治る。」

優「ホントに!?…良かった…」

 

グ「じゃあ、作業に――

 

ネ「グローサー、ちょっと。」

 

グ「あー?なんだよ。」

 

「ネコ」はグローサーを呼び出すと、工房に降りた

 

ネ「重ねて悪いね。もう1つお願いがあるんだ。」

 

グ「お願い?なんだ?」

 

ネ「蒼太の血を採取してほしい。彼の血を調べたいんだ。」

 

グ「血を?そりゃまたどうして。」

 

ネ「キミと「同じ側」なら、蒼太の本当の種族がわかるかもしれないんだ。」

 

グ「「もしかしたら」の話だ…だが状況は理解した。いいだろう。それに、そいつ専用の薬とかも開発できるかもしれんしな」

 

ネ「すまないね、よろしく頼むよ。」

 

グ「わかった。報酬は弾んでもらうからな?(笑)」

 

こうして、蒼太の目は治されることとなり、グローサーも全面的に協力する事になった。




どうも、ヒシモチです。

今回は、こんなおまけです

事務所組の尻尾を誤って踏んづけると?

陸の場合

陸「………。」

ぐにゅ。

陸「アイダ!!…ッ…テメェ…」

結果、物凄い目で睨んでくる


蒼太の場合

蒼「…。」

グリッ

蒼「イッ!!…タ………グルルルル……」

結果、めちゃくちゃ怖い唸りかたされる


七海の場合

七「………。」

ゴリッ

七「痛い!!…もう、気を付けてください!」

結果、めちゃくちゃ怒られる


優希の場合

優「……。」

グニッ

優「キャッ!!………ううう……。」

結果、涙目で睨まれる


「ネコ」の場合

ネ「…。」

グリッ

ネ「イッ!!……………………。」

結果、無言で睨まれる

青谷の場合

青「………。」

ぐにゅ

青「アイタ!!…俺ので良かったね。陸とか蒼太の尻尾だったら何されるか分かんないよ?」

結果、軽く説教


結論、足下には気を付けましょう



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 騎士と侍 前編

青「前"回"の"あ"ら"す"じぃ!!!」(クソデカデスボイス)

優「いやうっるっさ…」

ネ「音割れ。」

陸「前回は蒼太が、とある麻薬密売、製造とかしていた組織のアジトを潰したぞ。そこでリーダー格の女に七海が人質として捕らわれた。七海を助けるために蒼太は取り引きとして自らの両目を
抉った。」(←耳塞いでた)

七「アジトを潰した蒼太さんと私は事務所に戻り、蒼太さんの両目を治すべく、「ネコ」さんにお願いして、禁忌の魔法使い「グローサー」さんを呼び出しました。今回は少しだけ時間が経っています!」(←耳塞いでた)

蒼「じゃあ、今回もお願いします!スタート!…まだ耳が痛いや…後で青谷ぶっ飛ばしてやろ。」




グローサーが「ネコ」に呼び出され、工房で蒼太の目の治療を開始してから数時間が経った

 

12月24日 事務所 地下魔法工房

 

グ「ふむ…これでいいだろう。視界はどうだ?両目ともしっかり見えるか?」

 

そう言われて、蒼太は辺りをキョロキョロと見回した。

 

特に異常は無いようだ

 

蒼「すげぇ…バッチリだ…本当にこれ(左目)人形の目?」

 

グ「まぁ「部分的」にだがな。水晶体と角膜・強膜は人形だが、眼球内部の硝子体と視神経及び虹彩は、お前自身のものを使用している。拒絶反応とかの心配も無い。」

 

そう言うと、グローサーはタバコに火を着け、吸い始めた

 

グ「………フゥー…吸うか?」

 

蒼「いや、いらない。…医者も吸うんだね。」

 

グ「よく言われる。…その言い方だと、前は吸ってたのか?」

 

蒼「中学の時にね…とっくの昔にやめたよ。」

 

グ「そうか、それが良い………フゥー…」

 

暫くして、グローサーがタバコを吸い終わった。

 

吸殻を手の上で、魔法で燃やし尽くすと言った

 

グ「さて、戻るか。」

 

蒼「はーい。」

 

そしていつもの部屋に戻った

 

グ「終わったぞ。」

 

優「凄い…ちゃんと見えてるか!?違和感は!?痛みとか…無い?良かった…」

 

ネ「さっすがグローサー。ところでタバコ吸った?変わんないねぇ…」

 

グ「まぁ、な…」

 

陸「お騒がせな奴だな、ホント。」

 

青「よかった、よかった…」

 

すると、勢いよく入り口のドアが開き、近くに立っていた青谷をぶっ飛ばした。

 

シャルルだ

 

青「ヘブッ!」

 

陸「あ。」

 

シ「お邪魔します!聞いたよ陸君!刀を手に入れたんだって!?」

 

青「ホギャース!!(ガシャーン

 

シ「あ"。…ごめん!大丈夫!?」

 

ネ「いいよ気にしないで、直しとくから。」

 

青「イタイ…」

 

シ「ええ…(困惑)」

 

グ「おいシャルル、俺のことは無視か?」

 

シ「え?…て、グローサーじゃないか!元気だった?…あれ、タバコ吸った?」

 

グ「悪いか。」

 

シ「イシャノクセニ。」

 

グ「よく言われる。」

 

陸「それで…刀だったか。あれまだ千子のところで研いでもらってる。」

 

シ「彩花のとこかい?まだ掛かるんだ…手合わせできると思ったから、ちょっと残念だなぁ…」

 

陸「刀って意外と繊細だからな…魔法でも時間掛かるんだろうさ…」

 

そう言って肩を落としていると、「ネコ」が言った

 

ネ「ボクで良ければ、刀を錬成してあげようか?」

 

陸「え!?良いのか!?」(尻尾ブンブン)

 

ネ「え、あ、うん。彩花ほど正確じゃないけど…良ければ…(…凄い嬉しそう。)」

 

陸「お願いします!!」(珍しく敬語)

 

ネ「あっはい。それと、やるんだったら地下の工房でね。外だと銃刀法で捕まっちゃうから。今さっき、かなり広くしたからさ。」

 

シ「はい!先生ありがとうございます!行こう。」(尻尾ブンブン)

 

陸「おう!」

 

ネ「…よっぽど暴れたかったのかな。」

 

暫くして

 

地下魔法工房

 

シ「よし…こっちは準備完了!」

 

シャルルの装備は意外と軽装だった。

 

籠手と、胸当て、80cmくらいの無骨な灰色の魔法剣。

 

灰色の部分は外郭だろうか…刃は付いているが、鞘のようにも見える。

 

それに対して陸は「ネコ」が錬成した太刀一本のみだった

 

シ「え…それだけで良いのかい?」

 

陸「ああ、これでいい。」

 

陸は抜刀すると言った

 

陸「よし、じゃあ…はじめるか…。」

 

シ「……!(なんだ?…ただの剣気じゃない…!)」

 

剣気、殺気とはまた違い、剣や刀を持つことで放たれる気合いや威圧のこと。

 

シャルルが驚いていたのは、それだけじゃなかった

 

陸「………。」

 

シ「……。(剣道だけやってれば身に付くようなものじゃない…でもなぜ………構えない…?)」

 

陸は抜刀してから構えずに、ごく自然体で立っていた

 

陸「………。」

 

シ「……。(先攻は譲る…てことか……なら!)」

 

シャルルは構え直し、勢いよく踏み込み、陸に斬りかかった

 

シ「ッ!!」

 

その時だった

 

キンッ! ヒュンッ!

 

シ「うおっ!?」

 

シャルルはバランスを崩したものの、機転を利かし、大きく飛び退いた

 

シ「…。(あり得ない…あの瞬間に二撃加えるなんて…)」

 

あの瞬間、何が起こったのか。

 

先ほどシャルルは、間違いなく先手を打ち、袈裟に斬りかかった

 

しかし陸は、それに合わせて、斬り上げの勢いでシャルルの剣を弾き、二撃目に刀を返し、シャルルの首を狙った

 

シ「…。(仕方ない…もう一度!)」

 

シャルルは、もう一度陸に斬りかかった

 

シ「ヤァアッ!!」

 

陸「………。」

 

しかし、何回か繰り返すも、結果は同じだった

 

カンッ! キンッ! ヒュン! ヒュン!

 

陸「………。」

 

シ「…。(どういうことだ…気合いも力もコチラが上、先手も打っている…なのに…)」

 

陸「………。」

 

シ「…ッ!!(なぜ攻防が逆転する!?)」

 

今度は連続で斬り掛かった。

 

しかし、結果はまた同じ。数秒で攻防が逆転した

 

シャルルが飛び退くと、陸が言った

 

陸「…フフッ…いやぁ凄いな。異種対抗とはいえ、ここまで張り合えるなんてな…そのうえ汗1つかかないとは…」

 

シ「………ああ、僕も同じだよ。…こんなに間近で日本古来の技が見れるなんてね…。」

 

陸「ただ、気になるんだが…シャルル……数秒先かもしれないが…」

 

シ「…。」

 

陸「未来、見えてないか?」

 

シ「…!!」

 

シャルルはリサ程ではないものの、ほんの少し先だけ未来が見える。

 

たった数秒でもシャルルにとっては、攻めも防御もこれで事足りる。

 

だが実際は…

 

陸「俺の動きが分かってるような…動きがちらほらとあったから、気になってな…」

 

シ「……それをわかってて攻め返しているんだろう!?」

 

陸「…フフッ…バレたか(笑)」

 

陸は、あらかじめ「魔法使いは未来が見えている可能性がある」という予測をたてていた。

 

そのうえで、相手に予想外の攻め方をして、防御の未来しか見させないようにしていた

 

陸「じゃあ、続きだな。もうじきその剣の真髄も見れるだろうし。」

 

シ「…。(この剣の本質を見破ったのか?)」

 

陸「…そろそろ本気で来ないと死んじまうぞ?」

 

シ「クッ…!」

 

相手は死角を縫うようにして急所を取ろうとしてくる。

 

挙げ句の果てに、全てが初見。

 

一般的によく知られている剣道のような、人を活かす剣。いわゆる「活人剣」ではなく、こちらは人を殺す刀。いわゆる「殺人刀」。

ただ人を殺すための剣術。

 

無理に防ごうとすれば、どうなるか…

 

陸「…そら。」

 

今度は陸が先手を打ち、刃を横にして喉元を突いてきた

 

シ「グッ!…ぅう!」

 

対してシャルルは剣を立て、防御を取ったが防ぎきれず、首に掠めてしまった

 

陸「…そら、そら、そら。」

 

次は死角を縫うようにして、連続で首、胴、心臓を突き、斬り裂こうとしてきた。

 

シャルルは防ごうとするも、防ぎきれず、実際は「凌いでいる」という方が正しい。

 

こうしているうちに、どんどんと切り傷や掠り傷が増えていく

 

そして…

 

シ「…フゥゥゥ……。」

 

陸「…流石、フランス最強の騎士…10回以上は殺したはずなんだが…まだ五体満足とは…」

 

シ「僕もびっくりだよ…日本の剣術がこれ程までに恐ろしいなんてね…」

 

陸「安心しろ、この剣術は俺だけだ…。人を殺すのに術理なんぞ不要。ただ死角を縫い、急所を斬ればよろしい…。それが俺の剣術であり、考え方だよ。」

 

シ「…。」

 

陸「しかし、シャルルに強敵と認めてもらえたのは、嬉しいが…その剣は…まだ俺のことを認めてないみたいだな…」

 

シ「…。(この剣のギミックをもう理解してるなんて…)」

 

陸「主に認められても、その剣に認めてもらえないのは…些か癪(しゃく)だな。ガキっぽいが…」

 

シ「…。(何をするつもりだ…。)」

 

陸「とは言えど…最初から本気じゃなかったのは、こっちが先…それなら、俺から本気を出すのが………礼儀だよな?」

 

そう言うと、陸は「下段の構え」を取った

 

陸「フウゥゥゥ…………………シャルル…「死ぬなよ?」…」

 

シ「ッッ!!!」

 

「死ぬなよ?」陸がそう言った瞬間だった。

 

数秒先の未来を「見た」。

 

違う…嫌でも「見えてしまった」。

 

ズタズタに切り裂かれ、大量の血を噴き出しながら倒れ、死に行く自分が…

 

シ「クッ!!(防御を…!)」

 

シャルルは咄嗟に防御のルーン魔法を発動させる。が…

 

陸「受けてみろ…」

 

シ「…!!(間に合わない!)」

 

刹那。陸から一本の剣線が放たれた。

 

そして、その剣線は三本に変化し、シャルルに襲いかかった

 

ガキンッ!!

 

シ「ガァッ!!」

 

シャルルは防いだ衝撃で、思いっきり壁に背中を打ち付けた

 

陸「…「防いだ」というよりは「凌いだ」の方が正しいか。」

 

シ「グゥッ……(今…何が起こった?)」

 

陸「それでも凄いな…三つの斬撃を凌ぐことができたとは…」

 

先ほどの瞬間に何があったのか…。

 

陸は下段の構えから、上から下へ袈裟斬り、切り返して下から上へ逆袈裟斬り、最後に横一文字に一閃。

 

この三つの技を一息に重ねて放った。

 

一方シャルルは、これをどうやって凌いだのか。

 

あの瞬間、間に合わないと判断すると、剣を立てて防御の姿勢を取り、バックステップで後退。

 

すると、シャルルの剣がそれに呼応し、剣の外郭が盾に変化してシャルルを守った。

 

だが、斬撃に耐えきれず、砕けてしまったようだ

 

陸「…さて、ようやく姿を見せたな…。本当に…綺麗だ…。」

 

灰色の外郭が砕け、ようやく見せた真の姿。

 

白金(プラチナ)色に輝く細身の刀身、翼を広げた天使がモチーフであろうガード(鍔)とグリップ(握り)。

 

千子 彩花が打った銘のない聖剣

陸が剣に見とれていると、シャルルが起き上がり、言った

 

シ「見とれているとこ悪いんだけどさ、僕…思ったんだ。」

 

陸「うん?」

 

シ「スピードと技術で負けているなら…手数を増やせばいいんじゃないか…て。」

 

シャルルはそう言うと、砕けた外郭の破片を左手に集合させた

 

陸「へぇ…二刀か」

 

集められた破片は、剣へと変化した。

 

全体的には灰色だが、ダマスカスのような模様が浮かび上がった輝く細身の刀身、翼を広げた悪魔がモチーフであろうガード(鍔)とグリップ(握り)。

どうやら姉妹剣のようだ。

 

二振りの剣を構えて言った

 

シ「さぁ…行くぞ!」

 

太刀を構えて応えた

 

陸「おもしれぇ…望むところ!」

 

騎士と侍が戦うという、異色の仕合。

 

勝つのはどちらだろうか…。

 

二人の剣士は同時に踏み込んだ。




作「お待たせしました。ヒシモチです!…って、なんで生首なの?将大。」ヒョイッ

青「(口パク)"いやぁ…前書きの部分でふざけすぎちゃって…したらさ、蒼太に真顔でぶん殴られて…"」

作「あららそんなことが…体は?」

青「(口パク)"あっち。"」

作「あっち?」

蒼「………。」

グチャッ ベキッ ドチャッ…

青「………。」

作「ヤダ…うちの子怖すぎ!?」

青「(口パク)"いや古…あ、次回に続きまーす。"」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 騎士と侍 後編

注意!今回は「後編」です!「前編」を読んでいない方は「前編」を読んでからをおすすめします。


二振りの剣を構えて言った

シ「さぁ…行くぞ!」

 

太刀を構えて応えた

 

陸「おもしれぇ…望むところ!」

 

二人は同時に踏み込んだ。

 

騎士は踊るように二振りの剣を振るい、侍は舞うように刀を振るい、目にも止まらぬ高速の剣戟が繰り広げられる

 

二刀のシャルルが優勢かと思われた。が…

 

シ「く…ぅ…!」

 

それでも、シャルルは手数が足りておらず、苦戦を強いられていた。

 

…その戦いを遠くから見ている男がいた

 

?「ほー…二刀流の方が強いと思ったが…」

 

そう呟くのはグローサーだった

 

グ「しっかし、陸…だったか…俺らのような魔法使いでもないのに…人間の身で、あそこまでやるなんてな…」

 

グローサーは、二人が工房に降りた後、「ネコ」に万が一に備えて、二人を視ておくようにと言われている。

 

グ「それに…あの目……魔眼か?…いや、それに似た何かか…。おもしれぇ奴…興味深い…。」

 

一方その頃、事務室内。

 

シャルルが来た時、あやめも連れてきていたらしい

 

あ「…えっと…「あやめ」っていいます…よろしくおねがいします…」

 

あやめ(5) 虎 女の子

 

七「はあぁ///…カワイイ…七海って言います。よろしくね、あやめちゃん!」

あ「うん…えっと…ななみ…おねえちゃん?」

 

七「きゃあぁ///…おねえちゃんだなんて…なんでも言ってねぇ//」

 

優「…七海が敬語外れてるとこ初めて見た…」

 

七「エヘヘ///そんなこと無いですよ優希さん~///」

 

優「デレデレじゃねーか…」

 

あ「…ゆうき…おねえちゃん?」

 

優「おっおう!なんだ!?」

 

あ「…おみみの…ちょうちょ、とてもきれいです…」

 

優「そっ…そうだろ!///蒼太からもらったんだ!///」

 

青「ここまでヒドイ即オチ初めて見t―――(ティッシュ箱

 

パコーンッ!

 

蒼「てぃ…ティッシュ箱飛んできた…」

 

青「…イタイ…。」

 

ネ「やれやれ…。はじめまして、あやめちゃん。ボクはシャルルの先生だよ。よろしく!」

 

あ「…せんせーの…せんせー?…よろしくおねがいします…。」

 

ネ「先生って言うと…シャルルのことかな…?うん、よろしく!」

 

蒼「チビッ子は女性陣に任せますか…。」

 

青「イタタ…うん、そうしようか。」

 

蒼「あ、生きてたんだ。」

 

青「生きてるよ。」

 

そして、魔法工房。

 

剣戟が続いていた

 

シ「…クッ…ぅ(手数が…足りない!)」

 

陸「…。」

 

グ「張り合うなぁ…。」

 

グローサーが、そんなことを呟いた瞬間

 

ガキンッ!

 

陸「…!?」

 

シ「うおっ!?」

 

陸の刀と、シャルルの左手の剣が宙を舞った。

 

陸が斬り上げ、シャルルが左の剣を振り下ろした時、

 

互いの武器がぶつかり、吹っ飛ばした。

 

二人が飛び退くと、陸の目の前にシャルルの剣が。

 

シャルルの背後に陸の刀が突き刺さった

 

シ「……どうする?返そうか?」

 

陸「……いや、いい…。」

 

そう言うと、陸は目の前の剣を手に取り、言った

 

陸「…弘法、筆を選ばず…ってな…」

 

陸が構えた途端、シャルルは何かを察知したのか構えた

 

シ「…!(なんだ…この感じ……さっきと違う!)」

その瞬間、陸は一気に踏み込んだ

 

シ「なっ…(縮地!?)」

 

陸「…ヤァッ!」

 

そして一気に振り下ろした

 

シ「うッ…グッ!(なんだ…!?このパワー…さっきより遥かに重い!!)」

 

シャルルは、どうにか防げたが、あまりにも重い一撃。

 

堪らず弾き返し

 

カキンッ!

 

陸「…!」

 

飛び退いた。

 

シャルルは息を整え、再度構えた

 

シ「…君がそう来るなら…僕もそう行かせてもらう…!」

 

陸「……!」

 

それから5秒…6秒程だっただろうか、そのたった数秒がとても長く感じる沈黙があった。

 

そして、最初に動き出したのはシャルル。

 

それに応えて陸が動き出した。

 

今度は刀と剣という異種対抗ではなく、剣と剣の対抗。

 

即ち、同じ舞台での戦い。

 

全てが初見というハンデ、小細工はなく、ただ純粋な力と技のぶつかり合い

 

シ「……!」

 

陸「…クッ!」

 

完全にシャルルの土俵。

 

死角から急所を狙うという技が出来ないうえに、シャルルは数秒先の未来が見える。

 

そして全てが初見というハンデ、小細工の無い、純粋な力と技のぶつかり合い。

 

今度は陸が徐々に押されていく。

 

その時、斬り合いの最中、陸がバランスを崩してしまった。

 

それをシャルルが見逃す筈がなく、横一文字に斬り払った

 

シ「そこっ!!」

 

陸「…グッ!」

 

防いだ。

 

だがバランスを崩していたこともあり、陸は吹っ飛ばされたが、どうにか受け身を取り、態勢を立て直すことができた

陸「…チッ…分が悪いな………ん?……あ…。」

 

すると陸があるものに気づいた。

 

だが、シャルルが止めを刺さんと斬り掛かってきた

 

シ「トドメッ!!」

 

陸「…。」

 

ガキンッ!

 

そして、勝負が着いた

 

陸「…。」

 

シ「……クッ!!」

 

陸はシャルルの振り下ろしを剣で防ぎ、いつの間にか回収したのか、シャルルの首に刀を突き付けていた。

 

本気の振り下ろしが片手で防ぐことができたのは、シャルルが直前に刀に気づき、力を抜いたから。

 

刀に気づかず、そのまま踏み込んでいれば、シャルルの首は串刺しになっていただろう。

陸「…。」

 

シ「…。」

 

シャルルはゆっくりと後ろに下がり、間合いから外れるとその場に座り込んだ

 

シ「…降参だ。…参りました。」

 

陸「…もういいのか?」

 

シ「ああ、…あのまま刀に気づかなかったら、死んでいたのは僕だしさ。」

 

陸「…。」

 

シ「それに、君の得物である刀が戻ったんだ、…今の僕には勝ち目が無いよ。」

 

陸「…そうか…なら引き分け…だな。」

 

シ「…え?」

 

陸「俺も、運が悪かったら、あのまま頭カチ割られて死んでたぜ?それだったら引き分けで良いんじゃないかって。」

 

シ「……ハハッ、そっか…君がそう言うのなら。…ありがとうございました…。」

 

陸「あざした…。」

 

そして二人は剣、刀を納めた

 

グ「…さて、満足したか?」

 

シ「グローサー!いつからここに?」

 

グ「お前ら二人が戦い始めてからずっとだ。…シャルルはズボンと上を脱げ。治療してやる。」

 

シ「え…今?」

 

グ「そうだ早くしろ…どうせここには野郎3人しかいねぇんだからよ。…それとも、お前の嬢ちゃんに心配させる気か?」

 

シ「うぅ…わかったよ…。」

 

グ「さて、陸…だったか。お前も肌が見えている部分の擦過傷(擦り傷・かすり傷)がヒドイ。治療するから来い。」

 

陸「えー…俺も?」

 

グ「当然。これでも医者だ…目の前に患者がいれば誰であれ、症状が何であろうと治療する。…つーわけだ、こっち来い。」

 

そうしてグローサーの治療を受け、3人は地上の事務室に戻った。

 

事務室

 

シ「ただいま戻りました~。」

 

陸「ただいまー…っと。」

 

あ「あ!おかえり!せんせー。」

 

シ「うん、ただいま!あやめ。」

 

あ「…りくおにいちゃん、つよかった?」

 

シ「そりゃもう…」

 

あ「…りくおにいちゃん、ありがとうございました。」

 

陸「…ああ、ありがとうございました…。」

 

そしてシャルル達が帰った後

 

七「あやめちゃん、可愛いかったですねぇ…。」

 

優「なー。」

 

蒼「ああ、とてもね。」

 

陸「…にしても…「おにいちゃん」とな…。」

 

青「フフッ、嬉しかったんじゃないの?「りくおにいちゃん」って(笑)」

 

陸「ハッハハ、テメェ後で面貸せや…滅多斬りにしてやる…。」

 

青「ヒェ…。」

 

ネ「やれやれ…。」

 

あれから1ヶ月。

 

また退屈な日々を送っていたようだ。

 

夜8時 事務所

 

陸「…コンビニ行くかなー…。」

 

蒼「あ、僕も行くよ。なんか買ってくる物ある?」

 

七「ありがとうございます。私は大丈夫です。」

ネ「ボクもいーや。」

 

優「それなら、麦茶のパックが丁度無くなったから、それ頼む。」

 

陸「麦茶のパックな…他は?」

 

青「じゃあ、コーヒーお願いしていい?仕事がまだあるのに眠くて…。」

 

蒼「仮眠取んなよ…まぁいいけど。」

暫くして。

 

道中

 

蒼「…へぇ、そんなことが…シャルルさんも凄いな…。」

 

陸「…ああ、後半かなりギリギリだったぞ…まぁ、運良く刀の方に飛んだから逆転できたんだけど。」

 

蒼「陸も大概だけど凄いよ……あ、そうだ。」

 

陸「うん?」

 

蒼「ここの公園通ってこうよ、その方が早いし。」

 

陸「公園なんてあったんだな。どんな公園なんだ?」

 

蒼「中途半端にでかくて遊具もベンチも無い、木が幾らか生えているだけの公園。…ベンチは探せば有るかもだけど。」

 

陸「公園か?それ…」

そんな会話をしながら、公園内を通っていく。

 

すると陸があることに気づき、呟いた

 

陸「…この公園、なんか変じゃないか?色々と…。」

 

蒼「それは思う。公園の外灯とか壊れてるのか全部着いてないし…まるでずっと人が寄り付いていなかったような感じで…。」

 

そして二人は公園を抜け、コンビニで買い物を済まし、また例の公園の中を通っていた

 

蒼「改めて思うけど、結構不気味だよね…なんか出そう…。」

 

陸「出たら俺が殺すよ…確かに、異様に不気味だが……え?」

 

その時、陸は有り得ないことに気付いた

 

蒼「ん?どうしたの陸、急に立ち止まって。」

 

陸「…1つだけ聞いていいか?…こんな「建物」あったか?」

 

蒼「建物?……え…。」

 

そう言って陸の視線の先を見ると、そこにはボロボロの廃マンションが建っていた。

 

しかし驚くべきはそこではなかった

 

陸「…俺たち…ここ通ったよな…。」

 

蒼「!!」

 

そう、コンビニに向かう時に一度通った場所。

 

しかも今、陸達が立っている場所は廃マンションの目の前。

 

つまり最初に通った時に気付く筈。

 

何回も通ったことがあるのに気付けなかった蒼太は尚の事。

 

すると今度は蒼太が廃マンションの入り口のある物に気付いた

 

蒼「うん?あれは…人形?」

 

陸「え?」

 

入り口にあったのは、人間と同じくらいの大きさの人形だった。

 

しかしこの人形、どこかで見覚えがある物だった

 

陸「なぁ…これ…「ネコ」のヤツの人形に似てないか?」

 




作者「ギャアアア!あ、あ、あ…イダダダゴメンナサイ!ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!」(コブラツイスト)

優「ゴメンナサイじゃあねぇんだボケぇ…ずっとサボりやがって…反省しやがれ!!」

作者「ギャアアア!!」

七「はぁ…1ヶ月以上サボってしまい申し訳ありませんでした…こんな作者ですので、またこのようなことがあるかもしれません…その時は気長にお待ち頂けると幸いです。そう言うわけですので、大変お待たせ致しました。次回もよろしくお願いいたします。」

優「オラァトドメだ!!」(筋肉ドライバー)

作者「アグァッ――」(ボキッ)

七「あ。」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 リヴェンジャー

陸「前回のあらすじ。」

蒼「シャルルと陸の勝負が引き分けになって、それから1ヶ月が経過。」

七「夜に珍しく陸さんが蒼太さんと一緒にコンビニに行き、その帰りに近道として通った公園内で、謎の廃マンションを見つけました。」

優「今回はその続きから!」

青「…珍しく真面目だなぁ。」

ネ「本当はこうでなきゃいけないの。」



陸「なぁ…これ…「ネコ」のヤツの人形に似てないか?」

 

とは言えど、この人形も廃マンションと同じようにボロボロ。

 

外装も所々風化して破損が酷く、中身が無い状態

 

蒼「…確かに「ネコ」が作ってる人形にそっくり…だけど…」

 

陸「…言いたいことは分かるよ。」

 

気になる所はそこではない。

 

明らかに古すぎる

 

蒼「この人形もそうだけど、このマンションも…こんなボロボロになるまで…一体いつからここにあったんだろ…。」

 

陸「…。」

 

そんなことを言っていると、マンション内から何かの音がしてきた

 

カシャン……カシャン……

 

陸「…?」

 

蒼「…足音?」

 

どんどん近づいてくる

 

カシャン…カシャン…

 

陸「…。」

 

蒼「…。」

 

そして、音の主が現れた

 

陸「…は?」

 

陶器のような…くすんだ白い外装。

 

犬系の尻尾と頭部。

 

真っ黒な目に、部分部分に球体関節。

蒼「人形…」

 

人形「……。」

 

陸「…。」

 

人形は、ただ二人を凝視しているだけで動かない。

 

…様子を伺っているようにも見えた

 

蒼「…。」

 

人形「……。」

 

陸「なぁ…蒼太。」

 

陸が目を反らした瞬間、人形が陸に襲い掛かって来た

 

陸「ッ!?」

 

蒼「…!」

 

すかさず蒼太が陸の前に飛び出し、人形の頭に一撃を喰らわせた

 

人形「…。」

 

ガチャンッ

 

さすがに人形でも蒼太に殴られたら一堪りもない。

 

人形の頭はひび割れ、陥没し、首があらぬ方向に向いていた

 

蒼「ふぃー…大丈夫?」

 

陸「悪い…助かった。…それ、どうする?」

 

蒼「……持って帰って「ネコ」に見てもらおうか。」

 

そう言うと蒼太は人形を持ち上げ、頭部に触れた時、手が水ではない何かに濡れた。

 

違和感を感じた蒼太は自分の手のひらを見ると、いつの間にか赤黒く染まっていることに気付いた。

 

蒼「…なにこれ?」

 

陸「オイル…でもなさそうだな…」

 

すると蒼太にとって嗅ぎ慣れた匂いが鼻を抜けた

 

蒼「…これ…「血」?」

 

事務所 地下魔法工房

 

青「帰りが遅いと思ったら…そんなことがねぇ…。」

 

ネ「急に出現した廃マンションに…風化した魔法人形…挙げ句の果てに「血のようなもの」と来たもんだ…ただ事ではないね。」

 

陸「…。」

 

蒼「僕が起こしてしまったことだけど…やっぱり面倒事になっちゃう…かなぁ?」

 

ネ「まだわからない…それに、今回のは運悪く出会ってしまった事故のようなものさ。気にすることないよ。」

 

青「という訳で、この人形は俺と「ネコ」で調べるからさ、先に帰っててよ。」

 

蒼「…わかった、お言葉に甘えて……行こう、陸。」

 

陸「…ああ。」

 

陸と蒼太が部屋を出た後に作業が始まった

 

ネ「…さて青谷、そこのペンチとメスを取って。」

 

青「はいよ。」

 

ネ「よし、まずは…頭の外郭を…」

 

一方その頃

 

千子宅

 

彩「や…やっと…できたぁ…。」

 

彩花がヘトヘトになりながら、一本の刀を完成させた

 

彩「これを…明日…!」

 

そして、翌日

 

事務所 7時半頃

 

七「おはようございまーす!」

 

陸「ハヨー。」

 

七「陸さん!今日は随分と早いですね。」

 

陸「ああ、なんか目が覚めてさ。」

 

七「あー、それでですか。」

 

少し経つと蒼太と優希が来た

 

優「おはよー。」

 

蒼「おはー、おっ陸じゃん。早く来るなんて珍しいね。」

 

陸「そりゃどーも。目が覚めたんだ。」

 

暫く会話をしていると、彩花がやってきた

 

彩「おっじゃまっしまーす!陸、刀ができたよ!」

 

陸「おお!ありがたい!」

 

蒼「えーっと…どちらさん?」

 

彩「あっ、ごめんなさいね。急だったよね…千子 彩花って言います!「ネコ」師匠の弟子の一人って言えば分かるかな?」

 

七「あっ、「ネコ」さんが言ってました!私は篠原 七海です!」

 

各々挨拶を軽く済ませると陸が話を戻した

 

陸「ところで、どんな刀なんだ?」

 

彩「ああ、そうだった………これだ。」

 

そう言って机に黒い鞘の刀を置いた。

 

陸は刀を手に取り少し眺めると、彩花が続けた

 

彩「ソイツはね…旧人類の時代の遥か昔…歴史上で言うとこの「平安時代」に打たれたモノでね…」

 

優「平安時代…聞いたことあるな…何百年以上も前だったか…。」

 

彩「いや…もっとだ…千年は下らない。」

 

七「千年…。」

 

彩「平安時代は、世界で言うところの神話の時代と言われていてね…そこに出てくる、とある鬼の首を斬っている…」

 

蒼「…。」

 

彩「鬼の名は「酒呑童子」、鬼の首領と呼ばれた鬼だ。」

 

陸「酒呑童子を斬った刀…まさか!」

 

彩「そう…酒呑童子の血を浴び、天下五剣と呼ばれる5本の名刀の一つ…その名は「童子切安綱」…最高峰の刀だ。」

 

陸「これが…童子切…安綱…。」

 

陸が刀に見とれていると、工房から「ネコ」と青谷の二人が戻ってきた

 

ネ「はぁー…まさかとは思ったけど…」

 

彩「あっ!師匠!」

 

ネ「あれ?彩花。いらっしゃい、珍しいね。何の用?」

 

彩「錆びた刀を持ってきてくれた時あったろ?完成したから、持ってきたんだ。」

 

そう言いながら陸の方に指をさすと、陸が鞘から少し出して刀身の一部を見てたので、あわてて「ネコ」が声をあげた

 

ネ「陸!ストップ!!」

 

陸「え?」

 

陸が刀を振るおうとしたのに気付き、刀が抜ききられる前に止められた

ネ「その刀…妖怪とかそれ以上の存在を斬っているだろ…そんな神秘とかを斬れる代物の刃をふるってみろ…ここの結界が斬れて、この建物が崩壊するよ……それだけで済めばいいけど…」

 

それを聞いた陸は少し驚きながら黙って、静かに刀を納めた

 

彩「ご…ごめん師匠…その事忘れてた…。」

 

ネ「私興味ない、でやってたな?全くもう…そこは変わってないなぁ…」

 

彩「うぅ…ぐうの音も出ない…。」

 

そんな中、少しばかり空気になっていた青谷

 

青「あのー…昨日の人形で分かったことがあるんだけど…そろそろ良いかな?」

 

ネ「あ、ごめん。すっかり忘れてた。」

 

気を取り直し、人形のことについて話始めた

 

ネ「まず、ボク達魔法使いが扱う人形…魔法人形(マジックドール)だけど、人造人間(クローン)タイプとゴーレムタイプがあって、今回は前者の人形だった。」

 

青「そして昨日、蒼太達が持ってきてくれた、あの人形…脳は人工物だったけど、他の内容物は細胞培養で作られたような物じゃなかった。」

 

ネ「…人間の物だった。れっきとしたね…。」

蒼「それってつまり…」

 

ネ「…ああ、蒼太。脳以外…内臓も、筋肉も、目玉も、脊髄も、血液も、全部!…「何処かの誰かさん」…ってことだよ。」

 

七「なんてこと…」

 

ネ「それも一人や二人だけじゃないだろうね…犠牲者は。」

 

彩「…。」

 

ネ「それで、ボクとしての提案なんだけど、ボクはあの廃マンションは放っておけない。」

 

「ネコ」は冷静を装っていたが、それでも込み上げる怒りが隠しきれていなかった

 

陸「…大方、「ネコ」の知り合い…黒幕がそこにいるんだろうな。その言い方だと…いつ乗り込むんだ?」

 

ネ「存在すら忘れ去られていた場所なんだ。許可がどーのこーのとか、関係ないよ……明日の夜にでも。」

 

???

 

バ「うーん…■■■■■■■にこの場所がばれちゃったかぁ…」

 

?「…たかだかこの場所が知られただけであろ?何もきゃつらが妾達を殺せる筈がなかろう…バーゲストよ…。」

 

バ「ま、そうだけどさ。」

 

すると、蛇系の男が現れた

 

バ「おや、レーベじゃないか。」

 

レ「やぁ!我が親友よ!計画が完成しそうなんだって?」

レーベ、ドイツ? 年齢不明 幻獣シーサーペント

 

バ「そうさ!もう、仕上げの段階さ!」

 

?「ところでこの計画とやらは、あとどのくらいかの?」

 

バ「なぁに…あと3日程で完了する…そうすればキミは本来の力を取り戻して、この日本を…世界を壊してしまおう………。」

 

レ「芸術は爆発…誰かが言っていたなぁ…そうだ、破壊こそ!崩壊こそ芸術!そして美しい!そして…あのトカゲ野郎…グローサーに分からせてやる…知らしめてやる!」

 

バ「勿論、本来の力を戻せたら、レーベは好きに暴れたりしてもらって構わないよ。」

 

?「…フッ、日本…か…。いつだったか…妾が一つの都を支配していたように…。」

 

バ「ああ…、そうさ…またあの時のようになれるんだよ…そして奴ら人間に復讐をしよう…奴ら人間をメチャクチャにしよう…奴ら人間を不幸のドン底に叩き落とそう…!なあ、―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――「九尾」よ!」

 




作者「……。」

七「…何が言いたいか分かりますね?」

作者「……はい。」

七海「…いくら何でもサボりすぎです。」

作者「…申し訳ないです。」

青「…あー、作者はこっぴどく怒られてるけど、今後は月1更新でやらさせて頂きますんで、よろしくお願いいたします。」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 イレギュラー

リ「Hay!皆覚えているかしら?リサ・ウィリアムズよ。それは、さておき…前回は陸君達二人が持ち帰った謎の人形の正体が分かったわ。」

彩「あと、私が修復した刀の正体も判明したな!」

シ「そんなわけで、闇と陰謀が混ざり合う廃マンションに乗り込むことになったよ。」

グ「遂にバーゲストと接敵するわけだ…はたしてどうなるんだろうな…。」

リ「ところで…いつもの6人はどうしたの?」

シ「ああ…作者がさ、あらすじくらい、いつもと違うメンバーでもいいだろうって。」

彩「へぇー、気分転換?」

グ「理由なんて…(シュボッ…ジジッ…)…フゥー…そんなもんだろ。」

リ「あら、タバコの銘柄変えたのね。いつもは金のマルボロなのに。」

グ「ああ、今日は赤マル(赤のマルボロ)だ。作者と同じ理由…気分転換だ…。」

彩「タバコ辞めたら?医者なんだから…。」

グ「よく言われる。」

シ「イシャノクセニ。」

グ「よく言われる。」


1週間前

 

1月19日 午後6時頃

 

伊豆大島

 

診療所兼グローサー宅

 

グ「…。」

 

グローサーは知り合いであった男、「レーベ」からの魔法の手紙(マジックメール)を読んでいた

 

マジックメールは一昔前の魔法使いで言うSNS、携帯メールのようなもので現在は、ほとんど使われていないが連絡先等が分からなければ、このように使われることがある。

 

看護婦「…掃除も終わりね…後は……あら?先生、お手紙ですか?」

 

グ「…ああ、大学の時の学友だった男だ、会って話したいことがあるんだそうだ……。」

 

すると、グローサーは適当な白紙を取り出し、サラサラとドイツ語の文を書くと、レーベの手紙が入っていた封筒に入れた

 

看「もう、面倒臭がって…それにしても綺麗な封筒ですね…いつ投函をなさるんです?」

 

グ「投函はしない、魔法で送る。」

 

そう言うと、グローサーは手の上で手紙をパラパラと回転させると、パチンッと指を鳴らした。

 

すると弾けるようにして手紙が消えた

 

看「…はぁー、いつ見ても凄いですし便利ですねぇ。」

 

グ「そうか?まぁいい…残った仕事は無いだろう、明日は休診日だし、もう定時だ…上がれ上がれ。」

 

看「あら、そうでしたね。…では、お疲れ様でした。」

 

グ「おう、お疲れさん。」

 

そして

 

???

 

レーベ宅

 

レ「…おや、もう返事が…」

 

レーベは送られてきた手紙の封筒を開けた。

 

内容は「どうせ断っても来るんだろ?」とだけ書かれてあった

 

レ「フフフ…今度こそ…アイツに認めさせてやる…。」

 

翌朝

 

海の綺麗な波の音が聞こえる朝。

 

空が優しい光に照らされる朝。

 

グローサーはタバコを吸いながら待っていた

 

グ「…。」

 

しかし…その海が、その空が、次第に不自然に荒れていく…。

 

そして海は大荒れ、外は雷雨となった…

 

グ「…来たか。」

 

そう言うと、診療所の扉が開かれた。

 

レ「やぁ!グローサー。元気してたかい?」

 

レーベだ。

 

グ「…。」

 

レ「おや?いつもより冷たいじゃないか、悲しくなっちゃうなぁ…挨拶ぐらいしようぜ?気持ちのいい朝なんだから。」

 

グ「ハァ…その前に、この嵐をなんとかしろ。島の住民に危険が及ぶし、それに…その気持ちのいい朝を壊したのは誰だ…。」

 

レ「ハハハ、ハイハイ分かった分かった。パフォーマンスなんだからさぁ…そう怒るなよ…な!(パチンッ)」

 

そう言って指を鳴らすと、外の嵐が一瞬にして嘘のように静まり、先ほどの静かな朝が戻ってきた

 

グ「…で?何しに来た…。」

 

レ「ハハハ、そう面倒臭そうな顔するなよ。」

 

グ「…。」

 

レ「いやぁ、それにしても、日本は良い国だねぇ…まず皆親切!そして電化製品やら何まで最先端!日本に来て暫くは経つけど、とても研究とか色々はかどるね!後は――――――、―――。

 

グ「ハァァ…始まった…おい、レーベ…。」

 

レ「ん?ああ、失礼。ついつい気持ちよくなって喋ってしまったよ。」

 

グ「本当にただお喋りがしたいだけなら、帰ってもらう…。そんなクサイ演技は見飽きた。…要件が、他にあるんだろ?」

 

そう言われたレーベは、陽気な笑顔から冷酷な笑顔に変わった

 

レ「フッ…ホント、お前って奴はさ…察しがいいねぇ…」

 

グ「…なんだ?ようやく禁忌にでも至るか?」

 

レ「ああ…、そうさ!ご名答!!…私はお前が作るような人形は作れない…知識もそこまでない……それでも!私もようやく…お前にたどり着ける…追い付けるんだ!!」

 

グ「…フッ。」

 

するとグローサーは静かに笑った

 

レ「何がおかしい…。」

 

グ「フフッ、いいや?おめでとう!お前もようやく禁忌に至れるんだな!………それで?誰の協力だ?」

 

レ「…!」

 

グ「今まで「ビナー」止まりだったお前が…それに、いつも俺の魔法の域を…どんな手を使ってでも超えようとしてたんだ…急に禁忌とか、そんなおかしな話があるかよ。」

 

レ「うぅ…グゥ…。」

 

グ「…図星か。かまかけたんだが…まぁいい、何の魔法だ?」

 

そう聞かれると、レーベは再び冷酷な笑みを浮かべて言った

 

レ「…フ…フフ………それはな…。」

 

グ「…。」

 

レ「…「魂の蒐集」だよ…」

 

グ「ッ!!」

 

「魂の蒐集」この言葉を聞いた時、グローサーの表情が真剣なモノへと変わった

 

グ「お前…いや、「お前ら」…はっきり言っておく…やめておけ。この国に…この世界に本物の「地獄」を創るつもりか?…世界が終わるぞ…。それに…」

 

レ「それに?」

 

グ「…それに、「人間」に戻れなくなるぞ…。」

 

レ「フフフ…「地獄」を創る?「人間」に戻れなくなる?…私はいつだって、お前を超えられるように…どんな手でも使ってきた。今更知ったことか…それになグローサー…。」

 

グ「…。」

 

レ「「地獄」を創るのは…「私ではない」…。」

 

グ「待て!それはどういう…。」

 

レ「フフフ…グローサー、お前がその時…どんな顔をするのか楽しみだよ…。」

 

そう言い残して、レーベは一瞬のうちに消えてしまった

 

グ「…「魂の蒐集」…アイツは本気なのか…?」

 

グローサーは嫌な胸騒ぎを覚えながら、ただ窓の外を見つめていた。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

現在

 

1月26日 午後8時頃

 

廃マンション前

 

マンションを調査するために、「ネコ」、蒼太、陸、優希が来ていた

 

優「…ここが…例の…。」

 

蒼「うん、急に出てきたんだよねー。」

 

ネ「ハイハイ、お喋りはそこまでにしてね。今日はこの廃マンションの調査だ。そろそろ気を引き締めていかないと…」

 

蒼「おっとそうだね…でもまぁ、何もないに越したことはないけど。」

 

陸「いいや蒼太、「何もない」はおかしい。」

 

蒼「…と言うと?」

 

陸「ここが、ただの廃マンションなら話は別だ。…でも、この廃マンションが「何もない」ところから出現して、元人間だった魔法の人形が出てきたんだ…絶対に何かある。…でなきゃおかしい。」

 

そう、ここが普通の場所だったら話は終わっていた…しかし、このマンション、この場所は普通ではない…「異常」だ

 

「何もない」で済ますことは絶対にできない

 

ネ「とまぁ、そう言う訳さ…てことで調査を開始しようか。」

 

蒼「はいよー。」

 

そうして、調査が開始された

 

1階エントランス、中庭(広場)

 

陸「居住スペースは無し…ここは…広場か?」

 

蒼「1階から10階まで吹き抜けなんだね…天井部分にガラスが張られてたのかな…空が見える。」

 

ネ「やっぱり中も酷い状態だね…それに魔力も少し感じるな…」

 

すると優希が案内板を見つけたようだ

 

優「なぁ、ここは2階から居住スペースで、地下があるみたいだぞ?」

 

蒼「地下?…駐車場かな?」

 

ネ「地下か…となれば……あった、あれだ。」

 

「ネコ」の視線の先は地下への階段。

 

4人は近づいてみる…が

 

優「…崩れてる。」

 

蒼「完璧に埋もれてるね…飛び降りて瓦礫を退かしてもいいけど…それはそれで危険か。」

 

陸「だろうな。反対側はどうだ?階段が一つしか無いわけがないからな…。」

 

そう言って反対側の階段に向かったが、今度は鍵が掛かっていた

 

陸「鍵か…「ネコ」、開けられるか?」

 

ネ「はいはーい、………(バチンッ)うわ!?」

 

優「ん?どうした?」

 

ネ「…弾かれた。」

 

蒼「…え?それってつまり…。」

 

ネ「このマンション…ボクと同等、もしくはボク以上の魔法使いがいるね…まさかピンポイントでワープと鍵開けの魔法が弾かれるのは、予想外だったけど…。」

 

陸「はぁ…仕方ない、さっきの階段なら上に行けそうだな。」

 

優「うん?何で上?」

 

陸「何でって…鍵が掛かっている以上、上の階で鍵が開いている所を探すしかないだろ。」

 

蒼「あー、なるほど。」

 

陸「いやお前は分かっとけよ…」

 

ネ「…んじゃ、決まりだね。2階から順繰り見ていこうか。」

 

そんなこんなで調査が開始された。

 

そして、5階のある部屋

 

優「…なぁ、この部屋…何か変な臭いしないか?」

 

蒼「…死臭だね…薄いけど。ランプある?」

 

ネ「はいこれ。」

 

陸「ランプのスイッチは…これか?」

 

パチッ

 

優「…え?…ひゃあ!?」

 

部屋が明るくなり、現れたのは2体のミイラ化した死体。

 

いずれも、腹と頭が割れて中身が無かった

 

蒼「…これじゃあ、いつ死んだのかわからないなぁ…。」

 

ネ「おおよそで見積もっても…15年、それ以上か…。」

 

陸「要は奴らの殺人が大分前から続いてたってことだろ?…次行くぞ。」

 

蒼「…ああ、分かった。」

 

優「え?…そ、蒼太?」

 

蒼「…陸の言うとおりだよ優希。この部屋に留まってたってしょーがない。」

 

優「蒼太…陸…。」

 

蒼「死んだその人が可哀想って気持ちは分からなくもない。でも、この異界で死んでる以上、僕達にはどうすることもできない。」

 

優「……。」

 

ネ「…行こう。」

 

優「…うん。」

 

4人は死体を後に、調査を再開した。

 

そして10階

 

ネ「さて…着いたね。この扉かな?」

 

4人はもう一方の階段の前に着いた。

 

しかし扉には南京錠が掛けられていた

 

蒼「南京錠か…皆。壁側寄って。」

 

そう言ってホルスターに手を掛けたとき

 

陸「…跳弾、気を付けろよ?」

 

蒼「そんなヘマしないよ…」

 

カシュンッ!(パキンッ!)

 

蒼「よし、壊れた。」

 

ネ「デザートイーグルだっけ?相変わらず凄い威力だね…。」

 

蒼「一応、猟銃だしね。音消してるだけでサプレッサーは着けてないから、威力はそのままだもん。」

陸「扉は…開くみたいだ。行こう。」

 

そうして4人は10階から地下に降りていった

「………。」

 

この廃マンションと言う「異界」の主が見ていたとも知らずに…

「…やはり、あの二人は強い魂じゃのう……さて、あやつの言う計画とやらも…もうすぐかのう。」




おまけのキャラシート

キーキャラ

「グローサー」

男性

ドラゴン系 (緑で角無し)

生年月日 不明 (40代?)

身長186cm 体重84kg

冷淡な性格

ドイツ出身(地方は不明)

禁忌魔法「医神 エリクサー」(現在封印中)

使用魔法

回復魔法(下位~最上位)

身体強化(最上位)

(消されてる…他にも魔法があったみたいだ)

伊豆大島と言う日本の小さな島で個人院、診療所を営んでいる。

冷淡で物事を常に客観的に見ているため、ものすごく気難しい男だと思われがちだが、相手が患者であれば絶対に完治させるという信念は人一倍ある。

普段は診療所で患者を診察したり、休診日は魔法の研究、魔法人形の作成(「ネコ」のものより上質)をしたりして過ごしている。

彼は、その昔
(ここから先は綺麗に消されてる…)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 「色」 序

青「えーっと…前回までのあらすじ。」

七「廃マンションを調査、以上です。今回って私達の出番無いみたいですね…大技キャンセルナイスです。」

青「仕方ないよ…閃光ナイス。」

七「次回に期待しましょうか…このまま削り切っちゃいましょう。」

青・七「イエーイ!裸でバル●ァルク討伐たっせーい!」


■年前

 

■月■日

 

■階 ■0■号室

 

ああ…、事業も失敗…負債だらけ…どうして…何で…どこで間違えた……もう終わりだ………そうだ、トラロープがあったな…死んでしまえば…楽に…

 

■年前

 

■月■日

 

■階 ■0■号室

 

そうやって…お酒ばっかり飲んで…少しは働くなり、仕事を探したらどうなのよ…!

 

ああ?うるせぇな…俺の勝手だろうが!テメェこそ働いてねぇじゃねぇか!……なんだ?その目は…生意気だなあ!

 

な…何よ!止めて…キャッ!……うぅ…

 

…チッ、面倒な女だな…

 

……もう、耐えられない…こんな人生いらない…

 

あ?何をごちゃごちゃと…な、お前…何で包丁を……ッ!!待てっ!考え直せ!

 

あなた…一緒に…死んで。

 

■年前

 

■月■日

■階 ■0■号室

 

…スー…スー…

 

…よく寝てる…、もう何年ぐらいこの子の介護をしたんだっけな……

 

…スー…スー…

 

…なりたくて障害者になった訳じゃないもんね…

 

…スー…スー…

 

…君のせいじゃないのは分かってる…君が悪い訳じゃないのも分かってる…でも…もう疲れちゃった…

 

…スー…スー…

 

…もう、死にたい…

 

…スー…スー…

 

…練炭なら楽だよね…一緒に逝こう……ごめんね…。

 

■年前

 

■月■日

 

■階 ■0■号室

 

…────…―。

 

■年前

 

■月■日

 

■階 ■0■号室

 

……………。

 

現在

 

廃マンション 階段

 

4人は階段をゆっくりと降りながら、このマンションのことを話していた。

 

特に優希は背筋がゾッとするような悪寒とマンション中に漂う薄い死臭に嫌気がさしていたようだ

 

優「…本当、このマンションは何なんだ?その…肉が腐ったような…死臭だっけ?ずっと漂ってるし…それに、時々…実体の無い何かに触られたり視線を感じたり…ウッ……なんだか気持ち悪くなってき──

 

ネ「…優希!」

 

優「うわっ!…な、何?」

 

ネ「それは「気のせい」だよ。死臭はともかく…ね。」

 

蒼「そうだったとしても僕達がいるんだ、心配ないよ。」

 

そう言って優希の肩をポンッと叩いた

 

陸「落ち着いたか?」

 

優「…ああ、ありがと。」

 

陸「なら良し。」

 

「ネコ」が軽く咳払いをすると、本題に入った

 

ネ「さて、1階から10階の開いていた部屋を見て周った訳だけど、確認できた死体は6体程。でも、鍵が掛かった部屋を考慮すればもっと有ると思う…。」

 

優「だとしても…腐敗状況もまばらだったし…やけに多かったな…。」

 

蒼「それもそうだけど…見た死体全部がさ、「老衰」じゃないんだよね。」

 

優「え?…あ。」

 

陸「全部、他殺か自殺のオンパレード。…もし、他の住人達が同じ自殺、他殺とかだったら、もう偶然とは言えない。」

 

優「で、でも!死体がいつまでたっても警察とかに見つからないのは、おかしくないか?」

 

陸「確かにな…でもまぁ、この部屋を見ればほとんどが分かると思うが。」

 

ネ「着いたね…。」

 

4人が話している間に、地下の駐車場と思わしき空間の扉の前に着いた

 

蒼「…もう古いけど、まだ臭いが濃いね…血と臓物の臭いだ。」

 

陸「当たりだな…さ、開けるぜ?答え合わせだ。」

 

そう言って扉を開けた。

 

4人が見た扉の向こうは

 

陸「…。」

 

蒼「…これは、」

 

ネ「悪趣味。」

 

優「…は?」

 

死体、惨殺体、死臭、散らばる内臓のカケラ

 

優「…なんだよ…これ…。」

 

蒼「…優希。」

 

腐乱死体、バラバラの人形…赤黒い床、新しいものから古いもの。

 

まさに地獄と見紛う光景

優「…ウッ!…ウップ……。」

 

蒼「優希…!吐くな…耐えろ。この人達は「死にたくて死んだんじゃない」。」

 

優「フゥ…フゥ…分かってる…ありがとう。」

 

蒼「…さて、まずは…ここが駐車場なら出入り口が…あるはずだけど……やっぱ何処もかしこも崩れてるなぁ…」

 

その頃、陸と「ネコ」は部屋の中央奥に「ある物」を見つけたようだった

 

ネ「これは…。」

陸「…確定だな。」

 

ネ「2人とも!こっちに!」

陸達は何を見つけたのか。

 

優希は「それ」を見た瞬間、目を丸くした

 

優「なんだ…これ。」

 

太い締縄が巻かれ、赤い何かの文字が書かれた大きな黒い柱の様な物

陸「…2人とも、よく見てみろ。」

 

優「…え?これって…」

 

蒼「…おいおい…これじゃ何処ぞの映画じゃんか。」

 

よく見ると柱の内部で、大量の人間の脳髄が浮き沈みをしながら保管されていた。

 

優「……。」

 

ネ「……人間に対する屈辱だ、死を分かってない。」

 

「ネコ」は怒りで今にも我を忘れそうになったが、なんとか冷静を保った

 

陸「…本当、見てると呆れてくる。」

 

優「え?り…陸?」

 

すると陸は、スタスタと階段へ歩いて行ってしまった。

 

それに驚き、優希は陸を追いかけ1階まで階段を駆け上がった。

 

階段を登った先に陸は立っていた

 

陸「…。」

 

優「おい!待てって…あ!いた…まだ調査は…」

 

陸「…。」

 

優「…陸?」

 

返事もせず、陸は只一点を睨んでいた。

 

視線の先はマンションの出口。

 

疑問に思った優希は、ふと視線を出口に移した。

 

そこには––––––––

 

優「…お前なんで出口なんか見て……え?」

 

何処から湧いて出てきたのか。

大量の人形達がキリキリと音を立て、出口付近で陸達を見つめていた

 

優「ヒッ…な、なんだよアイツら…。」

 

陸「…人形。」

 

優「え?」

 

陸「元人間のな。…生きる意味を奪われた悲しい奴ら。…お前も工房で見たろ?」

 

すると蒼太達が調査を終えて上がってきた

 

蒼「あ、いたいた。急に出てくもんだからびっくりしたよ…っと、それどころじゃないみたいだ。」

 

ネ「…秘密を知った以上、タダでは帰さないってことか。」

 

蒼「ざっと数えて…100以上はいるな…どうする?陸。」

 

陸「コイツらは、どんなに苦しくても今は死ぬことが出来ないんだ…やるなら一瞬だ。」

そう言って陸はナイフを構え、蒼太は2丁の拳銃を構えながら応えた

 

蒼「一瞬…ね。永久に苦しませるくらいなら、一思いにしてやった方が慈悲か…流れ弾には、お気を付けて。」

 

陸「ハッ、お前はそんなヘマしねえだろ。」

 

蒼「フッ…それはどーも。「ネコ」はバリアを張っててよ。」

 

ネ「はいリョーカイ。」

 

優「えと…オレは、どうすれば…?」

 

その質問に陸は踏み込み、蒼太は歩きながら答えた

 

陸「そこでじっとしてろ!」

蒼「そこでじっとしてて。」

 

その瞬間、人形達も動きだし襲いかかったが、次々に首を刎ねられ、心臓または脳を撃ち抜かれて、機能を停止されていった

優「すごい…」

 

ネ「2人が規格外に強くて助かったよ。おかげでボクは電撃のバリアを張るだけだからね。」

 

そして、2人が互いに背中を預けてから暫く、最後の人形を破壊した。

 

「ネコ」もバリアを解き、2人に向かって歩いて行った…その時だった

 

優「すごい…本当に全部壊して…あれ?出入り口に誰かいる…?」

 

ネ「ヒュウ、素晴らしいね。」

 

蒼「よし、ひとまずは一件落着かな。って…弾薬補充しなきゃ…あと3発…。」

陸「流石、見事な腕前だったぜ。」

 

すると、いつの間にか現れていた「それ」は

 

優「狐の人?…え、尻尾が…!陸も…「ネコ」も気づいていないの!?」

 

優希が3人に向かって叫んだ

 

優「3人とも!後ろ!!」

 

蒼「…!」

 

陸「…ッ!」

 

その呼び掛けに蒼太と陸は真っ先に反応し、振り向いた。

 

後ろに立っていた「それ」は狐の女性の形をしていたが、尻尾が9本あった。

 

「それ」と目が合った瞬間、2人は異様なものを感じ取り、一気に後ろへ飛び退いた。

 

だが、目を合わせても平常、冷静を保つ者がいた

 

ネ「…驚いた、誰かと思えば…。」

 

?「…ああ、久しいのう…「英国の」。こうして顔を合わせるのも何年ぶりだったか。」

 

ネ「…まぁ、どうでもいいんだけどさ。…このマンションは君の縄張りかい?「白面金毛九尾の狐」さん?それとも、「玉藻前」と呼んだ方がいいかな?」

 

白面金毛九尾の狐、または、玉藻前、古代種

 

九「懐かしい呼び名じゃの、…しかし妾の縄張りときたか…それで?だとしたら?」

 

ネ「やめさせる。何が目的かは知らないけどね。」

 

九「…フッ、ククク…。」

 

ネ「…。」

 

九「アッハッハッハッハ!!やめさせる!そうきたか!フククク………」

 

ネ「…やめさせるさ。君等の目的が何であれ、結局は破滅だからね。」

 

九「はぁ…この妾の領域に張り巡らせた呪術を弾けもしなかった貴様と、たかだか人間3匹に何ができる?笑わせるでないわ……「ヒレフセ」。」

 

優「うわっ!…あぁ…。」

 

蒼「ぐっ…!」

 

ネ・陸「ッ!」

 

その瞬間、4人に途轍もない重量が加わり、跪き、優希はうつ伏せで今にも押し潰されそうになっていた。

 

ネ「九尾…いつのまに…こんな力を…」

 

九「…ハッ、貴様が堕ちただけであろう。…それはさておき──」

 

そう言うと九尾は蒼太に向き直り

 

九「おいそこな人間。」

 

蒼「クッ…僕かな…?」

 

九「おー、おー、そうじゃそうじゃ。貴様…名は何という?」

 

蒼「…色崎…蒼太…だけど?」

 

九「良い名だな、肉体も強い。…さっそく、貴様の魂もらうぞ。」

 

ネ「お前!一体何を…!」

 

九「此奴のことは前から見ておったのでな、その魂が欲しいと思っておった。」

 

蒼「はは…そう言うことか…でもお生憎様、僕はね…2人目の物にはならないって決めてるからさっ!」

 

九「…!」

 

その瞬間、蒼太は九尾が放った重力を自慢の怪力で振り払い、残り3発の弾丸を九尾の眉間に命中させ、九尾の頭部上半分を消し飛ばした。

 

しかし

 

蒼「な、何で…ぐあっ!」

 

九「…戯けが。」

頭部の大部分が損傷してるにも関わらず、倒れなかった九尾に驚いて油断してしまった蒼太は首を鷲掴みにされてしまった

 

九「小賢しい真似を…折角の術が解けてしまったわ。」

 

蒼「…アアァ…ガァァ…」

 

九「さて、そろそろ貴様の魂をもらうとしよう。」

 

そう言いながら、損傷した頭部を煙のように復活させると瞳を赤く光らせた

 

優「蒼太?…蒼太!?」

 

蒼「優…希…逃げ──

 

ドサッ

 

ネ・陸「…ッ!」

 

優「ああ…ああ…蒼太あああ!!」

 

九尾は魂を奪うと、抜け殻となった肉体を投げ捨てた。

 

そして、そこに残ったのは蒼太の肉体と優希の悲痛な叫びだった

 

陸「…「ネコ」優希。」

 

ネ「…何?」

 

陸「離れてろ。」

 

陸は刀を抜刀し、九尾に歩み寄った

 

九「ほぉ?妾に畏れを為さず近寄るか…面白い、愛でてやろう。」

 

陸は一気に踏み込み、斬りかかる…が

 

陸「…ッ!…クソッ!」

 

陸の刀は九尾の尻尾によって受け止められてしまった

 

九「…甘いのぉ。」

 

陸「ああ、そうかもな…でも、まだだ!」

 

九「何!?」

 

その瞬間、陸は刀を手放し、懐から取り出したナイフで九尾の心臓部を「カツンッ」と言う音とともに突き刺した

 

だが

 

陸「…クソッ…浅かったか…」

 

九「…ふふ…これは効いたぞ…。」

 

九尾はニタリと笑うと地中から真っ黒な鎖を出現させ、陸を捕らえた

 

九「貴様…水月と言ったな…貴様のことも見ておったが…気に入ったわ、妾のものにしてやろう。…言い残すことはあるかえ?」

 

そう言って陸の頭を掴んだ

 

陸「ねぇよ。絶対に殺してやる…。」

 

九「その威勢や良し…「トジヨ」。」

 

陸「ッ!!……」

 

そして陸は眠りや、失神よりも深い機能の停止、魂を監禁させられ、そのまま5階あたりに投げられてしまった。

 

投げられた陸は壁に当たると、そのまま壁の中にズルズルと取り込まれていった

 

九「残るは貴様等じゃが…まぁ良い、逃げるなり何なり好きにすると良い。」

 

ネ「……優希、逃げるよ。」

 

優希は2人も目の前で失ったことに絶望していたが、

 

優希は涙をグッと堪えて立ち上がった

 

優「…ごめん!」

 

九「…良い判断じゃな…。」

 

そうして「ネコ」と優希は走り去り、マンションを後にした




キャラシート

???

白面金毛九尾の狐、玉藻前

性別無し、身体上女性

狐型古代種

身長、体重、自由自在(接敵時、175cm、64kg)

冷酷な性格

太古の妖術と呪術を使用(1つ1つが最上級魔法に匹敵)

呪術 ??? (禁忌級魔法に匹敵)

4000年以上生きる太古の大妖怪、九尾の狐その人

旧人類の時代に退治され殺生石になった(封印されたとも)が、どう言う訳かバーゲストに復活させられる。

実際の所、この計画がバーゲスト含め全ての破滅と知りながらも何故、加担するのかは不明。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 「色」 惡

えーっと、前回のあらすじ…かしら?
前回は廃マンションに調査をした4人は魔法の人形の仕組み、間接的に殺されてしまった被害者の人達…。
でも、そんな秘密を知りながらタダで帰すはずがなく、背後に現れた古代種、九尾の狐に陸と蒼太君の2人は、なすすべ無く人質として捕らえられてしまう…。
残った2人は九尾に見逃されて、逃げることに…。
…え?私が誰かですって?…ふふ、いずれわかるわ…。


九尾が現れた頃、同時刻

 

禁忌の魔法使い達は、この異様な気配を感じ取っていた

 

アメリカ リサ・ウィリアムズ宅

 

リ「…!この感じは…嫌な予感がする…!」

 

「…どうした。」

 

デイビッド・ウィリアムズ(50) 闘牛種 リサの夫

 

リ「あなた!…ごめんなさい、今から私、日本に行かないと行けないの。だから…」

 

デ「大丈夫だ、行ってこい…。」

 

リ「…あなた。」

 

日本 シャルル宅

 

シ「…ッ!」

 

あやめ「…せんせー…いま…」

 

シ「…あやめ、彩花おばちゃんのところで、良い子にできるかい?」

 

あ「…うん、せんせー…怪我しないでね?」

 

シ「ごめんよ…あやめ…でも、ありがとう。」

 

千子 彩花宅

 

彩「今のは…!?」

 

「どうしたの?彩花。」

 

千子 秀ニ 「せんじ しゅうじ」(37)ライオン 彩花の夫

 

彩「…ごめん、ちょっと用事ができた…多分だけど、あやめちゃんが来るから、面倒見てあげて…。」

 

秀「…わかった。俺のことは いいから、…気をつけて行ってきて。」

 

彩「うん、…子ども達をお願い…」

 

伊豆大島 グローサー宅

 

グ「…そろそろか…あいつ等も集結してきてるのか…行くとするか…」

 

そして暫く。

 

「ネコ」と優希が逃げた後、九尾は少しボーッとしていた。

 

するとバーゲストがニヤニヤしながら現れた

 

九「…貴様、おったのか。」

 

バ「フフン、まあね…それにしてもこの■■■■■の子孫を無力化するなんて、やるねぇ…。」

 

九「色崎 蒼太が■■■■■とな、道理で強い魂と肉体の筈じゃな。」

 

するとバーゲストは閃き、嬉しそうに抜け殻の蒼太の肉体を見つめた

 

バ「…クフフ、イイコト思いついちゃった。ねぇ九尾、この肉体と上の階に投げた肉体を使って良い?」

 

九「…好きにしろ。」

 

バ「クフフ、あいつ等どんな顔するのかなァ?タノシミダナァ…」

 

1月27日 午前0時頃

事務所 

 

優「蒼太…陸…」

 

ネ「…」

 

優「目の前で2人がやられているのに…オレ…何も出来なかった…。」

 

七「優希さん…」

 

皆が項垂れ、室内が静寂に包まれていたが、青谷が破った

 

青「それで?話を聞く限りだと、優希は兎も角、「ネコ」…君が何も出来なかった…ってのは少しおかしくないか?君ともあろう魔法使いが、だよ?何か理由があるんじゃないか?…それか俺らに隠していることとかさ…」

 

皆の視線が集まる中、小さく息を吸い、「ネコ」は言った

 

ネ「…皆には言っていなかったね、こんなルールがあるんだ…「古代種同士は干渉してはいけない」だからボクは何も出来なかった。」

 

青「…」

 

七「古代種同士って…まさか…」

 

ネ「そう、ボクは古代種の一人…イギリスが旧人類の時代、ブリテン王国と呼ばれていた時代…アーサー王と殺し合った怪物の一体…ボクの本当の名はーー

 

青「…その名は「キャスパリーグ」フランス名シャパリュ。災厄の体現、英国の怪猫…だろ?まぁ何故、魔法が使えるのかは知らないけど。」

 

キ「…そこは追々話すよ…。」

 

優「…黙って聞いてたけどさ…要は助けられないってことなのかよ…!」

 

七「優希さん…何を…」

 

青「…。」

 

優「…助けに行く…殺されてでも助けに行く!」

 

その時、事務所の入り口のドアが開き、そこにはドラゴンの男が立っていた

 

「医者の目の前だってのに、なに命を粗末にする様なこと言ってやがる…ちったあ冷静になれ。」

 

グローサーだ

 

優「…アンタは…。」

 

グ「お前は人間なんだ。相手は化物の中の化物…縄張りに入った瞬間、喰われてお終いだ。」

 

そう言われ、優希は冷静さを取り戻し、黙り込んだ

 

キ「…とはいえど、いくらキミとはいえ、グローサー1人がどうこう出来る問題じゃないだろ?」

 

グ「いつ俺一人で行くと言った…。」

 

するとまた扉が開き、今度は彩花がやってきた

 

彩「師匠!突然ごめん!…ってグローサー、あんたも…」

 

グ「俺らだけじゃないぞ。」

 

彩「え?」

 

そしてシャルルとリサもやってきた

 

シ「先生!」

リ「マスター!って勢揃いじゃないの。」

 

シ「…皆やってきた理由は同じか…」

 

キャスパリーグの弟子達、4人の禁忌の魔法使い達が揃うとキャスパリーグは言った

 

キ「…来てもらって早々お願いがある。」

 

グ「…なんなりと。」

 

キ「白面金毛九尾の狐に仲間である色崎 蒼太と水月 陸が囚われた。よってキミたちには2人を救出してもらい、九尾達の計画を阻止してほしい!」

 

彩「合点承知!」

 

シ「C’est entendu.(承知しました。)」

 

リ「Yes my master .(ご下命のままに。)」

 

グ「Alles klar….(了解した…。)」

 

七「皆さん…」

 

彩「で、だ。アタシとリサ姉はマンションの結界と人形供を調べようと思うんだけど、あんた達はどうすんの?シャルル、グローサー。」

 

シャルルは、そう言われると七海に向き直り言った

 

シ「…僕と、一緒に来てくれるかい?七海君。」

 

七海はそう聞かれて少し驚いたが、すぐに答えた

 

七「も、もちろんです!一緒に行きます!」

 

リ「…聞くまでもないけど、貴方は?グローサー。」

 

グ「決まっている。おい、三神 優希…だったか、顔を上げろ。お前は俺と来い。」

 

優「…で、でも…」

 

グ「助けたいんだろ?」

 

優「…助けたい…!だから、一緒に…!」

 

グ「決まりだな。」

 

その後、彩花とリサはマンション周辺の結界の調査を開始し、七海とシャルルは陸が投げ飛ばされた5階付近へ、グローサーと優希は中央の広場を調査を開始していた。

 

広場

 

優「…なぁ、気になってたんだけど…そのカバン…何?」

 

グ「ん?ああ、これか?護身用の人形だ。…さて、このマンションの仕組みの方は、なんか聞いているか?」

 

優「仕組み?あるのか?」

 

グ「…アイツ(キャスパリーグ)のことだから言ってないだろうと思ったが…やっぱりか。このマンションはーー」

 

5階

 

シ「このマンションはね、「大勢の人間から負のエネルギーを集める為の装置」言わば発電機なんだ。」

 

七「装置…負のエネルギー?一体なんのためにですか?」

 

シ「負のエネルギーは、一部の悪霊や妖怪、そして妖精が必要とするものでね、九尾もその一人なんだ。」

 

七「九尾…だからと言って、人を大勢殺すだなんて!」

 

シ「確かにね…それに人間一人から得られるエネルギーは微々たるものだ。」

 

広場

 

グ「いちいち住人を補充していたんじゃ、効率が悪いにも程がある…そこで魔法人形の出番だ。」

 

優「人形…そういえば大量にいたな…」

 

グ「だろうな、…でだ。殺し殺された住人達の脳髄を何らかの方法で保存、その脳髄一つ一つを人形にインストールし、その人間が死んだ日を繰り返すことで、ある意味永久機関の完成という訳だ。」

 

優「っ…なんて惨い…地下にあった脳髄達は、そういうことか…。」

 

グ「地下?地下があるのか…案内してもらえるか?」

 

優「ああ、こっちだ。」

 

優希は脳髄達がどのように保存されていたのか、説明しながら案内をした

 

そして、地下駐車場

 

優「ここだ、この先に脳髄が入った黒い柱があるんだ。」

 

グ「…そうか…それと気付いていないかもしれんが、奴がいるぞ。」

 

優「奴…九尾か!?」

 

グ「…すぐにわかる。」

 

そう言って扉を開けると、部屋には人形の山が築かれていた。

 

その頂上に見覚えのある狼の男が背を向け座っていた。

 

優希が探していた人だった

 

優「蒼…太?蒼太だ!よかった…無事だったーー

 

グ「待て!!それ以上近づくな!」

 

蒼太?「…grrrr…」

 

血走った左目と燃えるように赤い右目。

 

剥き出しの牙。

 

返り血で染まった両手。

 

そこにいたのは、以前の物腰柔らかな青年ではなく紛れもない怪物、獣だった

 

獣「grrrrr…」

 

優「…蒼…太…そんな…。」

 

すると山の後ろから男が現れた

 

?「あーあ…もう少しで絶望しながら殺される姿を見れたのに…芸術が分かってないなぁ、グローサー?」

 

グ「…レーベ…テメェの仕業か。」

 

レ「ハッハッハ!なに、私だけじゃないさ…でもまあ、この「彼」と言う人形だが、これは貰ったモノだがね?…さて、試しに…ちょっと戯れあってもらおうか…」

 

グ「ハァ…やっぱりこうなるか…。」

 

そう言うと持っていたスーツケースを置き、軽く蹴った

 

グ「起きろ、出番だ。」

 

するとスーツケースからグローサーと同じくらいの大きさの人形が飛び出した。

 

銘は「ラドン」

 

黄金の果実を守る百頭竜の名を冠したグローサーの最高傑作の一体

 

レ「さて、殺し合うとしようじゃないか…」

 

グ「…やってみろ。」

 

一方、シャルル達は5階部分を隈無く探索し階段に向かっていた時だった

 

シ「…!」

 

七「どうしたんですか?」

 

シ「七海君…僕の後ろにいて。」

 

シャルルは身に覚えのある剣気を感じるとすぐに身構えた。

 

すると階段から黒い刀を持った、ある人物が現れた

 

シ「こんな形で…あの日の続きをすることになるなんてね…。」

 

七「陸…さん?」

 

赫く輝く瞳。

 

マズルガードのようなマスクで覆われた口元。

 

血が滴る刀。

 

そこに立っていたのは、いつも気怠そうな青年ではなく、ただ相手の死を見つめる死神であった。

 

死神「…。」

 

七「陸さん…。」

 

死神「…!」

 

七「…っ!」

 

シ「しまった!七海君!」

 

七「カッ…ハッ…ヒュー…ヒュー」

 

目を合わせてしまった七海は、死神が発する剣気に射抜かれてしまい、一気に恐怖に呑み込まれてしまった

 

シ「大丈夫、目を閉じて、ゆっくり深呼吸だ。」

 

死神「…。」

 

シ「…出来るのであれば、こんな形で死合いたくなかったんだけど…仕方ない、決着を着けよう。」

 

そう言ってシャルルは無銘の聖剣を構えた




キャラシート

キャスパリーグ

猫型 古代種 

性別なし 九尾と同じくらいの年齢

使用魔法

全て

本気であれば、ほぼ全て禁忌級

アーサー王伝説に登場する厄災を振り撒く一騎当千の怪物。

アーサー王に両手足を切り落とされたうえで倒された筈だが、ギリギリ生きていたらしく、アヴァロンに逃げ隠れて過ごしていたらしい。
その後、同じく逃げてきたマーリンに魔法を教えてもらっていたそうな



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。