転生したら下っ端天使になってた件 (真田幸村)
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最近人々の信仰が薄れているらしい
神が死んだ。
大事件にも程があるそれは、最近やけに活発になってきてる悪魔達を更に勢い付かせるのには十分な火種だった。
よもやと言うかやはりと言うか、早速天界の比較的下の方に悪魔達が攻め入ってきやがった。他の天使とかは、顰めっ面が普通の状態と仮定したときの顰めっ面と言っても過言ではないくらいに顰めっ面だった。
......どうやら俺も混乱しているらしい。
聞いた話だと、神が居ない状態の我々と通常の悪魔が戦った際に勝つのは悪魔側らしい。堕天でもしよっかな?
まぁしないけどさ、ただでさえトップが死んで士気が右肩下がりの天使軍じゃあちと分が悪い。わかってる風なこと言ったが、守護天使統括にでも聞かれたら即前線行きだな。戦時中かよ。いや戦時中だったわ。
ま、そうなったとしても私は死なんがね
神の最初の置き土産、チートってやつさ。つってもかなり限定的だけど。俺は等級が一定以下の悪魔からの攻撃が無効になる身体を持って生まれた。
問題はその等級だが、実はその基準を越える悪魔は居ない。
そんな悪魔は神が死ぬ前に最後の力を振り絞って滅ぼしたからだ。
更に言えば、このチートには副作用がある。それと言うのが、この身体で悪魔に触れると、それだけで悪魔が消滅すると言うもの。
詰まるところ俺は悪魔に負けることはない。
じゃあなんで下っ端なのかって?
生まれて間もないからです。
まあ色々制約があって、百年ぐらい生きてないと上の階位には行けないらしい。神様、そんなの聞いてないんですけど。
神の力によって転生して早四十九日。
あ、実は天使は生まれたときから人で言う大人の姿をしていて、知能も人で言う所の大人並みだ。そこから姿形が変わる事なんて滅多に無い。敢えて例を挙げるなら階位が昇格したときくらいだ。
閑話休題とか言うんだっけか、話が逸れたんで戻す。
長く生きる天使だが、俺は生まれて間もない赤ちゃんな訳よ。そんな俺を悪魔が見逃す筈もなく、あれよあれよと悪魔たちに捕まってしまった。
そんでさっき言ったチートで生き延びたって訳。
え?
方法?
なに言ってんだよ、目の前で見せてやったろ。悪魔さん?
「分かった、分かったよ! 俺達が悪かった、今後一切こんなことしない! 誓うよ...! だからどうか見逃してくれぇ!」
まあまあ落ち着いて。ひとつ質問しよう。
今までの俺の話に何か違和感はあったか?
「......え?」
三流だな。
あぁいや、違う違う。俺がね。俺が三流ってこと。
ほら、今の一連の流れとか聖書に記すじゃん?
こういうのってさ、もっと正々堂々してた方が良いしなぁって思ったんだよ。
「せい...しょ...?」
神が死んだ
「な、何を急に...?」
悪魔たちはそれを聞き、大急ぎで天界に攻め入った。何故ならば、神が死ぬ前に最後の力で強大な悪魔をすべて滅ぼしていたからだ。報復のために立ち上がった悪魔たちは、しかし敗北して滅んでしまった。
神の遺した次なる神によって......
やっぱ三流かなあ、俺の文才って。
これじゃ、マッチポンプってばればれじゃん?
折角自殺して新しい身体にしたのに、天使たちがいつの間にか作ってた制度のせいで下っ端天使になっちゃったし。
神様失格だよ、ほんと。
世界一雑な設定集
神は最初に生まれた天使の別名
守護天使統括は、よく神の秘書と呼ばれている
悪魔などと言う種族は存在しなかった
この作品は、神が死んで四十九日経った世界での一幕を切り取ったものである
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