こういうことっす! (たらこまん)
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こういうことっす!
いやほんとに、書きながら小説書く人すごいなって思いながら書いてました。そんな人たちとは比べちゃいけないくらい駄文なので、本当に時間があって暇すぎて仕方ない人だけ読んでください。後悔してもアフターフェスティバルです。責任はとれません。
気になったとことかばんばん指摘してくださると幸いです。
書くにあたって、自分の中の勝手なあさひ像を作り上げながら書いていたため、事実に即さない場合があります。その時は豊田議員連れてきて「違うだろぉ!」って言ってください。最後のとこはあまり詳しく書いてないので、「は?」ってなる方もいると思いますが許してください。
前置きが長いぞってね。ほんとにごめんなさい。
ソレデハドウゾォ!
「おおっ! こっちは冬優子ちゃんにそっくりっすー!」
風が時折強く吹き抜ける午後、営業からの帰路の途中。色とりどりの綺麗な花が並ぶ店先に、見慣れた少女を見つけ、俺は声をかける。
「おーい。あさひ、何してるんだ?」
「……いや、でも冬優子ちゃんはもっと可愛くてもっとつんつんした感じかな……」
彼女らしいと言えばそうなのだが、やはり聞こえてはいなかったか。彼女に向けて歩みを進めながら、もう一度声をかける。
「あれ、プロデューサーさん! こんなとこで何してるんす?」
「俺はちょうど仕事の帰りだったんだ。俺も花屋に用事があってな」
「あ! もしかして、プロデューサーさんもこれ、気になってたっすか?」
と言う彼女の瞳に映るのは、植木鉢で咲く、ピンクや橙の色とりどりな花だった。
「これ、なんて花か知ってるっすか?」
「いや、すまん。花には詳しくなくてな……」
「あはは! そうなんすね! わたしも知らないっす! ……けどなんか、惹かれるんすよね……」
そう言った彼女はあの時と同じ顔をしていた。
────1週間前。
俺とあさひはW.I.N.G準決勝の会場にいた。そしてそこで初めて、俺は彼女の成長を目の当たりにした。成長という言葉は今だからこそ言えるのだが。
『今、生まれてはじめて悔しいっす!』
これは強がりでもなんでもない。混じり気のない、彼女の心からの声だった。
俺よりもずっと若いが、その性格からこれまで多くのことを経験してきたであろう彼女。やらせてしまえばなんでも出来てしまうような才能の持ち主であることは、スカウトをした俺が1番わかっている。だからこそ、彼女が放ったあの言葉の重みがひしひしと伝わってきた。
それから彼女は、多くを語ることはなかった。なかったが、俺はそれでいいと思っていた。『悔しい』と言った彼女の顔は、何かを見つけたような、そんな顔をしていた。
────────
「そんなに気になるんなら買っていこうか。ちょうどはづきさんにも、事務所に置く花を探してきてくれって言われてたんだ」
花に疎い俺は、選ぶ手間が省けて良かったと思いつつ店員と話し、購入の手続きをする。
「プロデューサーさん。これ、"ランタナ"って言うらしいっすよ。……いろんな色があるんすねぇ。日本語では"シチヘンゲ"って言うみたいっす! そのままの名前すぎてなんかつまんないっすね」
それは花の名付け親に言ってくれ……。
「さて……、無事に買えたことだし。それじゃあさひ。また……」
と言いかけ、一瞬考えた後、言い直す。
「あさひ、一緒に寄り道しながら事務所まで帰ろうか」
「はいっす! まだまだ楽しいこと探すっすよ〜!」
事務所へ帰る道すがら、いつもは通らない河川敷を歩いていた。あさひは俺の前方でいつものように、向かいから来た散歩をする犬とじゃれあったり、道端に落ちているキラキラと光る石を見つけては宇宙からきた隕石なのではないか、などと元気に走り回っている。俺はそんな彼女を見ながら微笑ましく思うと同時に、安堵していた。初めて悔しさを覚えたあさひが、アイドルに、引いては色々なことに興味を持たなくなってしまうのではないか、などと考えていたが……。「……杞憂だったみたいだな」
とぼやき、顔を上げると、前方にあさひの姿がない。
しまった。つい考えこんで目を離してしまった。そう焦っていると、自分のいる場所より少し下の方から声がした。
「お〜い! プロデューサーさーん! こっちっす〜!」
見ると、河川敷の坂を下った川のそばにあさひは立っていた。
「ぼーっとしてないで、こっち来てほしいっす〜!」
「あ、あぁ。今いくよ!」
「……見てくださいっす! 石が変な感じに並んでるっす! 誰が並べたんすかね? なんの意味があるんすかね!」
見た感じ、法則性があるようには見えないし、ただ積み上げただけなんだろうが。それにしてはすごいバランスで積み上げられているな……。
などと思慮をめぐらせていると、足元から唐突に質問を投げかけられた。
「この川の水って、何考えて流れてるんすかね」
「……え?」
「雨として降って、山を通って川に流れて。これから自分がどうなるか、分かって流れてるんすかね」
「うーん。そりゃあ、水だし。今後どうなるかなんて分かってないんじゃないか?」
「そっすよね。当然分からないまま、いつの間にか川から放り出されて、海にとけていっちゃうっす」
「もちろん、そうだな」
「じゃあ……」
と言うと同時に彼女は腕をまくり、手を川につけていた。
「こういうことっす!」
「……は?」
彼女の小さな手のひらには西日に輝く水がすくわれていた。
「こうやってたまたますくわれて、すくわれた先がたまたまお花屋さんで、それみたいにプロデューサーさんの傍で、綺麗な花を咲かせることだってあるって事っす!」
そう言いながらあさひは俺が持つ花の鉢に水をかけた。
花は水をうけ、より一層キラキラとひかり輝いていた。
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