ラブライブ!〜女神の微笑み〜 (黒っぽい猫)
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出会い、それは何時でも起きうるもの

リメイク元のお気に入り登録をして下さっていた80名強の皆様、お待たせしました。UA80の為にリメイクをしました、黒っぽい猫です()

嘘です。これは自分が先に進むための一つのステップとしてリメイクすることにしました。バカテスよりも直す場所が少なくてやってて楽しい作業でした。

少なくとも、三年前よりは読みやすいはずなのでぜひ一読してみて下さい。よろしくお願い致します


……これは去年の出来事か……親友から見限られ、クラスメイトの態度が変わったのは。

 

 

『死んじまえ!』

 

 

始めは抵抗していた、いわれのない誹謗中傷を言われるのが嫌だった。助けが欲しくて手を伸ばしたけど、その先には誰もいなかった。

 

 

『おいおい、気絶してんじゃねえよ!オラ立て!』

 

 

『嫌だ〜、きったなーい……触んなよ、クズ』

 

 

 

大人は宛にならなかった。

 

 

 

『何言ってんだ、あの──がそんな事する訳ないだろ。成績がお前よりもはるかに上の彼がそんなことする意味もメリットもないだろうが。出鱈目言うな!!』

 

 

そんな事より、と大人(教師)は話を続けた。

 

 

『最近、素行不良が目立つぞ。無断欠席、遅刻、それになんだその傷は、喧嘩か?校外で勝手なことしないでくれよ。学校の評判に傷がつくんだからな。そもそも、成績をもっと上げてくれ。担任の俺の責任になるのは御免だからな!』

 

 

その時にわかった。もう駄目なんだと。

 

助けなんて望むべくもない物だと。

 

その日から自分は外に出ることをやめた。

 

人と関わる事を、やめたのだ。

 

……。

 

 

 

また夢を見ていたようだ。たった一年前のことだというのに遠い昔のように感じられるあの悪夢を。

 

そっと体を起こして目尻から零れた涙を拭う。まだ、血も涙もない人間にはなっていないようだ、なんて考える余裕も残っているならまだ大丈夫だ。顔を洗おう、そう思い洗面所へと向かった。

 

鏡に映った自分を見て自嘲する。

 

ボサボサになった髪の毛、生気の感じられない目、腕についた大量の切り傷。

 

「酷い顔だ……」

 

そう呟いて1日を始める。意味も味気もない無駄な1日を。

 

 

 

 

 

 

とは言っても、ひたすら読書に耽るだけなのだが。朝目が覚めてから日が沈むまで、一日の大半を読書に費やすのである。

 

日に何冊も本を読む。本はいい、人が生み出すものの中でも本はいつだって心を躍らせてくれる。今読んでいる本はとある文豪の半私小説だ。

 

始めて読んだのは去年のことで、それ以来愛読している。何度読もうと飽きることの無い不思議な魅力を持つ本だ……そのはずなのだが、今日は読書をするべきではないのだろうか、どうにも興が乗らない。目で文章を追っているだけで決して頭に入ってこないのである。

 

「仕方ない……外に出るか」

 

そう言って、フード付きのパーカーを羽織って戸締りを確認するとカーテンを締め切って外へ出る。上手くいかない時は一度頭を切り替えてしまうといい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分は基本外に出ることは無いが、だからといって外出をしない訳では無い。自分が食う物はスーパーで選ぶし本も本屋でしっかり選ぶ。俺は「学校」という枠で誰かといるのが嫌なのだろう。傷つけられるのが怖いのだろうからな。

 

俺は内職をしている。つまり、自分は世間でいうところのニートでは無くフリーターだ。別にコミュ障でもなく、ただ人と接するのが嫌いなだけだ。

 

「まあどの道社会不適合者であることは変わらな──」

 

呟いていると後ろから軽い衝撃。振り向いてみると赤い髪の少女がぶつかってしまったようだ。

 

「あ……ごめんな……さい……彰馬……?」

 

……ナンデコノヒトハジブンノナマエヲシッテルノダロウカ。

 

「いえ、人違いです……ぶつかってすいませんでした」

 

そう言ってこの赤髪少女を通り抜け──

 

 

ガシッ!

 

 

──られなかった。親の仇でも見るような目でこちらを睨みつけてくる少女。

 

「貴方彰馬でしょう?倉持彰馬よね?」

 

「さあ……自分は違いま──」

「まーきちゃん!何してるにゃー?」「……にゃー?」

 

決して語尾がうつったわけではなく、思わず反復してしまっただけだ、断じてうつってないので勘違いしないように。誰に言ってるんだ俺は……。

 

「り、凛っ!何でもないわ」

 

「この人だあれ?真姫ちゃんの彼氏さん?」

 

……初対面だが、この人は地雷を踏み抜くのがお好きなようで。ほらほら赤髪娘(適当)が顔を髪に負けず劣らず真っ赤にしてるじゃないか。

 

「ちょっと彰馬!適当って何よ!」

 

「地の文に割り込むな……!俺は急ぐのでそれでは失礼しま──」

「ねえねえ、真姫ちゃんの彼氏さん」「……」

 

このどさくさに紛れて離脱したかったのだが、元気娘(仮)に止められたので誤解を解こうと振り向く。いつまでも誤解させたままにしておくと、この赤髪の名誉に関わる。

 

「真姫ちゃんの話を聞かせてほしいのにゃ!」

 

「いや、君は何か勘違いをしている、俺はこの人とは無関…」

 

「否定するところも怪しいし、何よりさっき真姫ちゃんが顔を真っ赤にするなんてこれはもう当たりに違いないにゃ!」

 

「え、いや…だから……」

 

「それじゃあいっくにゃーーー!!!」

 

「ちょっと凛!彰馬!待ちなさーーい!!」

 

手を繋ぐなんて甘いものではなく、引きずられる形で俺はこの猫娘(仮)に連れていかれるのだった。

俺は誰とも関わらないで一人でひっそりといるつもりだったのにどうしてこうなった……と思いつつ外に出ようと思った数十分前の自分を呪いながら引きずられるのも嫌なのでとりあえず猫娘(仮)に合わせて走るのだった。

 

それにしても走るの早くねえか?それに付いてきてる赤髪も凄いのだが。

 

というか、俺は今日平日だから外に出たつもりだったんだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全力で走る所約5分、周りの人に色々変な目で見られたけど元々極力外に出るつもりは無いので俺は構いやしない。

 

「ここにみんながいるから紹介するにゃ!」

 

「いや、みんなって誰?まず何回も言うけど俺はこの赤髪の人とは無関係で……ってあれ?」

 

後ろを振り向いてみるが誰もいない。赤髪──毎回こう呼ぶのは面倒だから西木野と呼ぼう──は流石にこの元気娘について来れなかったのか……。

 

「あれ?真姫ちゃん居なくなっちゃったにゃ?あと、凛の名前は星空凛!宜しく!真姫ちゃんの彼氏さん!」

 

「いや…何回も言ってるけど俺は西木野の彼氏でもなんでもない。無関係だよ」

 

「でも、真姫ちゃんの知り合いっていうのはわかるのにゃ!だって凛は1回も真姫ちゃんの苗字を話に出してないのに知ってるのにゃ!」

 

そういえばそうだ。詰めが甘かったか……。元気娘──星空さんだったかな?──の洞察力が高いのもひとつあるのだろうが。

 

「でも、俺に話せることなんて……」

 

「いいから早く行くのにゃ!!」

 

「いや……西木野は良いのか?」

 

「場所はわかってるはずだからすぐ来るにゃ!」

 

もはや星空さんには何を言っても通じないか……逆らえるわけもなく、半ば引きずられるようにファストフード店に入る。そうして、星空さんは迷わず9人がけの席に向かった。7人座っているところを見ると西木野と星空さんを入れて9人の集まりということだろうか?その中でツインテールを生やしている年下であろう少女が星空に視線を向けて、俺に視線を向けると不機嫌そうな顔で言う。

 

「ちょっと、凛遅いわよ…まったく何をやって……その男誰?」

 

「真姫ちゃんの彼氏だにゃ!」

 

いや………違うのに……なぁ……だが、虚しくも周りは誤解したまま進んでいく。それにしても、このツインテールの子、誰かに似てるような?

 

「彼氏!ハラショーね!」

 

いや、何がだ素晴らしいんですかな?!

 

「へぇー、真姫ちゃんも隅に置けないなぁ」

 

西木野ってどんなイメージなんだ……?

 

「ぇええええ!!話を聞かせてください!」

 

初対面の異性にグイグイ来るね、君。

 

「か、彼氏なんて破廉恥です!!」

 

破廉恥なのか?

 

「真姫ちゃんに彼氏イタノォォ?!」

 

そんなに驚く事ナノォォ?!取り乱した……いや、彼氏では無いんだと何度言えば伝わるのか……。

 

「やんやん♪真姫ちゃんクールな顔してそんな事してたんだ♪ねえねえ彼氏さん?どこまで進んでるのかことり気になるな?」

 

何も無いですよ……そもそも彼氏では(ry

 

「な…アイドルが恋愛なんて…そんなの駄目よ!!」

 

いや、アイドルなの?でもこの人はやっぱり見覚えがある気がするんだよな。じぃっと見ると一瞬だけ視線が合ってサッと逸らされる。やっぱり他人の空似かな?

 

それにしても何というか……個性の塊みたいな人達だな。というか皆さん美少女というか……西木野と同レベルかそれ以上の人ばかりじゃん。流石に緊張するし目のやり場に困る……と、今度は見覚えのある様な気がするツインテールさんの方がじぃっとこちらを見てくるので気になったことを聞いてみることにした。

 

「皆さん、アイドルなんですか?」

 

そう聞くと、待ってましたと言わんばかりにドヤ顔で胸を張ろうとするが如何せん、張る胸がな──もとい、ドヤ顔すぎて若干鬱陶しい。

 

「ええ!そうよ──」

「スクールアイドルやけどね」

「ちょっと希!割り込まないでよ!」

 

「何故に関西弁……しかも似非……」

 

そんな俺の内心を知ってか知らずか、アメジストのような色の髪をした女性が話しかけてくる。

 

「まあまあ、気にしたら負けやで、あっと自己紹介しとこか?ウチは東條希、君の名前は?」

 

「俺は倉持彰馬、歳は16歳です。あと西木野とは何の関わりもありませんし今後も持ちません、全てそこの星空さんの勘違いです」

 

えぇーーー!と周りで非難するような、残念そうな声が聞こえるが無視する。どうせここまで来たらはっきりと間違いだと言ってしまった方が遺恨も禍根も残さなくていいだろうという判断だったのだが…。

 

「やっと追いついたと思ったらなんでみんな叫んでるのよ?」

 

軽く肩を上下に揺らしながら西木野が店に入ってきた。そんな西木野に、ツインテールの子が話しかける。

 

「ちょっと真姫!あんた、彼氏がいたのに報告しないなんてどうしてよ!少しくらい教えなさいよ!」

 

ツインテールさん俺の話聞いてたのか……?

 

先程、星空さんに言われた時と同じくらい顔を赤くする。あ、頭から湯気が出てる。

 

「か、かかか彼氏ぃ?!そんなわけないでしょ!!意味わかんない!!」

 

そっちは放置して先程話しかけてきた東條さんに疑問をぶつけてみた。

 

「あの……東條さん。スクールアイドルって中学生でもやれるんですか?ほら、あそこのツインテールの人」

 

一瞬目を見開くと次の瞬間腹を抱えて笑い始めた。西木野と言い合ってるツインテールさんを指さして笑い転げてるよこの人…何がそんなに面白いんだろう?

 

「……あはははははは!!にこっち言われとるよ!!くっくくく……君、本当に面白いなぁ……ぷっ」

 

「え?!違うんですか?!」

 

「に、にこっちはウチと高三よ?流石にそこまで純粋に間違えられるなんて……ブフッ!」

 

なんだろう、後ろからものすごい殺気を感じる。冷や汗をかきながら振り返ると件のツインテールがこちらを睨んでいた。

 

「あんた……希に何を言ったのかしら?って……あー!!あんた!」

 

は?なんだよ……俺はこんな人は知らな……知ら……。

 

………。

 

「……お久しぶりです。矢澤先輩、お元気そうでなによりです」

 

「彰馬!倉持彰馬!!本当に久しぶりじゃない!どうして気づいてくれなかったのよ!」

 

「いえ、あまりにも身長が変わらなかったので似てるとは思ったのですが……痛!」

 

足を踏まれた……普通に痛い。

 

「どうせ私は万年チビですよー!それと、今更かしこまらないでよ、やりにくいわ。小学校の頃と同じでいいわ」

 

「そっか……わかった、にこちゃん」

 

「よろしい!」

 

「ていうか、にこちゃんだっけ気付いてなかったじゃないか。なんで俺だけが怒られてるんだ?」

 

「んぐっ……それは…………」

 

「それは?」

 

「なんとなくよ……って痛いわね!何すんのよ!!」

 

「もう相手がにこちゃんなら手加減しなくていいでしょ」

 

「いいわきゃないでしょ!大体ねぇ!ずっと連絡も寄越さないで何してたのよ!」

 

「ちょ!ちょっと待って!!!にことええっと……倉持君?でいいのかしら。貴方達、知り合いなの?」

 

いきなり親しげに話し出したのが意外だったのか、金髪の女性が俺たちの会話を遮る。確かに、周りから見たらわからないか。

 

「俺とにこちゃんは、同じ小学校の同じ通学班だったんですよ」

 

「つまり、二人は幼馴染なんやね?」

 

「まあ、そうですね。そう言っても差し支えないと思います」

 

そう答えると、また周りがざわめき出す。オレンジの髪にサイドテールの人は「異性の幼馴染……!都市伝説じゃないんだ!」なんて叫んでいた。いや、俺はラ〇ュタかなにかかよ。

 

西木野は──不機嫌そうだな。一応あいつの気持ちはわかってるつもりだがそれでも俺は──。

 

「はいはいアンタ達、先ずは彰馬に自己紹介をしなさい?何も知らず突然ここに連れてこられたのはコイツなんだから」

 

言い合いモードから復帰したにこちゃんが仕切ってくれたお陰様で、ようやく西木野、にこちゃん、東條さん、星空さん以外の名前を知ることが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、今日は平日ですよね?皆さんは休みだったんですか?西木野やにこちゃんの性格からしてサボるようには思えないのですが……それとも二人ともグレた?」

 

「「グレてないわよっ!」」

 

全員の名前を覚えたことで少し落ち着いた僕は、そもそも最初に抱いた疑問を提示してみた。その結果として両隣からの睨みを受けることになった。鉄拳制裁はまだ飛んできていないので早くその握られた拳を収めさせなければなるまい。

 

「わかったわかった。俺が悪かったから拳向けるのはやめようか?2人とも可愛いんだからそうやって暴力的になっても得しないぞ?」

 

「「か……可愛い…………っ!」」

 

「というか、ここにいる9人全員可愛いと思いますけどね。アイドルをやってるって言われても納得できます。で、グレてないなら結局どうしてここに居るんです?学生なら授業では?」

 

脇の2人(西木野とにこちゃん)がなんか露骨に落ち込んでるけどスルーで。

 

「私達の高校で、土曜日にオープンキャンパスがあったんだ!だから今日はその振替休みなの。そういえば彰馬君はなんで?学校はお休みなの?」

 

「俺は学校に行ってませんよ、高坂先輩」

 

「えっ……あー…………えーっと」

 

「大丈夫ですよ。気にしていません。それに、別に勉強は学校でなければできない訳でもないですから」

 

無論、そこに限界はあるにせよ、時間をかけさえすればある程度は自分の学力は補える、というのが俺の持論だ。

 

「穂乃果、よくありませんよ。人のことに首を突っ込むものではありません」

 

気まずそうな高坂先輩を園田先輩が窘める。

 

(ったく、お前はその歯に衣着せぬ物言いを何とかしないと、友達出来ねぇぞ?)

 

その光景にかつての誰かが一瞬重なり懐かしさを感じていると、西木野が勢いよく立ち上がった。驚く俺達を見て少し焦ったような顔で話す。

 

「ごめんなさい、急用が入ったので今日は帰るわ」

 

何やら西木野は着信を見て顔を青くしてる。どうやら家からの連絡だったらしい。コイツの家は随分と厳しいからな……と、店内にある壁掛けの時計は既に4時を過ぎようとしていた。

 

「あ!もう4時か……俺一人暮らしなんで。そろそろ失礼しますね。飯とか作らにゃならんので」

 

「そっか、それじゃあ……」

「彰馬!今から着いてきなさい!」

「……真姫ちゃん?」

 

米もまだ準備していなかったので早く家に帰ろうとしたのだが、西木野に進路を塞がれる。避けて通り抜けようと試みるも何度やっても止められる。

 

「あ?やだよ。なんで俺がお前に──」

 

「事情は後々話すから早く!」

 

ガシッ!と思い切り腕を掴まれ引っ張られる。

 

お、おい……ちょっと待て……そういう前に俺は店の外に引きずり出されていた。あまりに突然のことに誰もそれを止めることは無かった。

 

 

 

 

 

……To be continued

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、第2話「令嬢の悩みと許嫁」




リメイク作業をしていると文量が増えていくのですよね、不思議です。多分自分で読んでて物足りない部分を付け足して聞くからかなーとか自己解決しています。

第一話、ここまでお読みいただきありがとうございます。

第二話のリメイクについては現時点では書く予定です。が、何時それが出るのかは読者の皆様次第です。

どうか、少しでも面白かったらお気に入り登録、評価、一言でもいいので感想を頂ければと思います。

また、改善点などございましたらふんわりとご指摘お願いします。直接的に言われると心が折れてしまいますので……くそざこ豆腐メンタルなのです。


閑話休題


後書きもそろそろ終わりますが、二つ皆様にお伝えします。

一つは全投稿作品を通して投稿が遅れたことへの謝罪を。
そして二つ目に、ここまで読んでくださった皆様に最大限の感謝を。

本当にごめんなさい、そしてありがとう。


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