[完結]FIA-F2 WorldChampionship story of speed 1st season (九嶋輝)
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Round0全ての始まり

2017年のGP3、F2、F1の最終戦アブダビGPが終わって、暫くして開催された、FIA-F2世界選手権ポストシーズンテストに参加した俺。そこで得たものとは?


時は2017年の12月。アブダビにある、ヤスマリーナサーキット。そこでは、今年GP2から新しく名前を改称した、「FIA-F2世界選手権」のポストシーズンテストが行われていた。そこに俺はエントリーしている。そして、気になるチームは、イタリアの老舗強豪チームとして知られているプレマレーシング。そこから、今回のポストシーズンテストにエントリーしている。車両こそ以前に俺が乗った事ある旧型のダラーラF2/11だけど、来季からはF2/18というマシンに刷新され、マシンには頭部保護デバイス「halo」という物が装着されており安全性も格段に向上している。そしてエンジンも、従来の排気量4リッター水冷4ストローク、V型8気筒DOHC32バルブ自然吸気エンジンから、排気量3.4リッターの、水冷4ストローク、V型6気筒DOHC24バルブ直噴ターボエンジンという、今の時代では「主流」になりつつある「ダウンサイジングターボエンジン」と呼ばれる物であり、性能も「信頼性」も大幅に向上してるとの事だが、これは実際乗ってみなくちゃ分からない。そうこうしてるうちに、もう走行する時間となった。俺は、ゆっくりとマシンに乗り込むと、メカニックのギャレットから「無線が正常に動作してるか、確かめたいから、ラジオボタンを押して、何か喋ってみてくれ。」と言われて、直ぐに、ラジオボタンを押して「copy」(業界用語で了解という意味)と話しギャレットも「OK。正常に動作してるみたいだ。」と返ってきたからまずは一安心。そして、少し深呼吸してから「エンジンイグニッション」と言い、エンジンに火が入った。イヤープラグをしてても聞き覚えのある「あの音」が聞こえてくる。コースオープンとなり、各車続々とコースインをして行き、俺も、ピットから慣れた手つきでクラッチを切って、1速にギアを入れてコースイン。最初の2ラップは、そんなに早く走らずに体に感覚を覚えさせて、次の3ラップ目から、アタック開始。ガレージでも、監督やメカニックの皆が熱い眼差しを送っている。最初のタイムは、全体トップタイムだったが、自分では「こんなんじゃダメだ!まだまだ行ける!!」と確信して、更にハイペースかつ攻撃的に攻め、タイムを更新して、ピットから無線で「このラップで戻って来て。」と指示が出たので、ここで1度ピットインして、ガレージにマシンを戻した。その際、監督から無線で「ヒカル、お前は一体何者だよ!?普通はあんなタイム出ないのに何で?」と問われ、俺は軽く笑いながら、「実は俺、適応能力高いもんで!」と返答した。そしたら監督も納得の表情をしているのがヘルメットの中からでも分かった。そんな俺でも、当初は、ホンダが毎年やってる「ホンダフォーミュラドリームプロジェクト」の枠でエントリーしようと考えて無かったと言うより、このFIA-F2世界選手権自体、そして今年から復活した、FIA-F2アジア選手権にも参戦する予定も計画も無かったと言うより、ヨーロッパ復帰の為に、シート探しをしようとしていたところに山本さんから推薦される形で「プレマのシートに空きがある。1度行ってみたらどうだ?F2マシンがどんなもんかを知る、良い経験になるぞ。」と言われて、エントリーしたという流れでもある。そして、この話には前置きがあり、実はこのテストの前に、GP3の最終戦アブダビGPがあって、今年は、このカテゴリーでは、強豪チームとして知られるイタリアのトライデントから、フル参戦してる俺にとっては、最後のGP3でもあり、ここでF2のポストシーズンテストがあるというのを知っていた為、このレースが終わった後、F1の最終戦をマクラーレン・ホンダで見学した後に、エントリーしたという流れである。最初はプレマは強豪チームだから、殺伐とした雰囲気なのかなという個人的な偏見を抱いていたけど、実際そうでも無くて、逆に超家庭的且つ、皆超ノリが良くて王者も取ってるというまさに俺には打って付けのチームであった。かなり前置きが長くなったがこの物語は2018~2020シーズンにフル参戦している俺の参戦記(?)みたいなものである。どうぞ皆様お楽しみください。



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Round1 シーズン開幕

前回のエピソードではポストシーズンテストにエントリーした時の話を書いたけど、今回からは本格的にシーズンの話を書いていくよ。それでは始まり。


前回のポストシーズンテストから暫くして、プレマレーシングから、正式に、今季のFIA-F2世界選手権に、フル参戦する事が発表された。カーナンバーは「4」となり、チーム名は、「セオドール・プレマパワーレーシング」になった。そして、マシンの左右のカウルには、ホンダフォーミュラドリームプロジェクトのロゴ「FD」があしらわれ、リアウィングの部分とリアカウルにも「FD」のロゴがあしらわれている。そして迎えた、第1戦バーレーンGP。舞台は、サクヒールサーキット。実はバーレーン、イスラム教徒が大半を占めており、戒律に則って、シャンパンではなくて、ローズウォーターがシャンパンファイトで使われている。そして迎えたフリー走行1回目。路面温度も少し高めであり、タイヤチョイスとセッティングが、鍵を握ってると言っても過言ではない。そしてフリー走行開始と共に、各車続々とコースインをして行き、俺もコースイン。その際、俺は無線で、「とにかく、データ収集に徹したい。多分状況的には、大豊作になりそうだから。それじゃ行ってきます。」と言って、ピットレーンリミッターを解除して、コースインして、1周ウォームアップしてから、アタック開始。今シーズンから、ステアリングも変わった為、ディスプレイも非常に見やすく、その上、情報も分かりやすく表示されてる為、すごい助かっている。そしてストレートでは、DRSを使い、この日のトップスピード308.95km/hを記録。そしてタイムは、RTロシアンタイムズのマシンから、コンマ2秒落ちのタイムを記録したが、個人的には納得して無くて、1回ピットに戻ってタイヤをソフトに変えて、もう一度アタックをしようとした所、気持ちが早まりすぎて、アクセル全開にした際、思いっきりバランス崩してスピン。そう、このマシンに搭載されてるエンジン「メカクロームV634」は、1~2速のパワーがもう所謂「ドッカンターボ」に近い特性を持ってる為、ステアリングにあるシフトインジケーターランプもモニターも、直ぐに9000rpmに当ってしまい、直ぐに3速に入れなきゃ行けないから、もう大変である。そしてスピンの次には、もう最悪の事態が発生するなんて、この時まだ俺を含め、誰も知る由もなかった。ストレートに差し掛かる最終コーナーの立ち上がりから、アクセルを踏み込んだら「バンッ!」という、聞くも嫌な音が聴こえたため、ミラーを確認したら、思いっきり火を吹いて白煙を上げていた為、これはまずいと思い、マシンをストレートのイン側に停車させ、直ぐにマシンから飛び降りて、事なきを得たが、お陰で赤旗が振られ中断。チームを含め、皆に迷惑を掛けてしまって、この後ガレージの片隅で大泣きしてたのは内緒。でもデータは、思った以上に大豊作であり、ひとまず心配する必要は無くなった。そして迎えた予選。この時、自分で考えていたセッティングで、アタックをしたいという旨を伝え、アタックを開始。全セクターともに、上手くまとめてストレートを通過してタイムはトップタイムでポールポジションを獲得した。そして迎えた、決勝レース1、フィーチャーレース。俺の初陣でもあり、このチームの本領を発揮する時が来た。無線では、監督から「とにかく初陣を楽しんで来い!!Good luck!!」と言われた為「copy」と答えてセーフティカーラップが終わりグリッドに着いてそしてシグナルがブラックアウト。スタートは完璧に決まって、1コーナーの飛び込みも完璧に決まった。そして無線で「この周でピットインして。」と言われ、ピットインをしてピット作業も全て完璧で迎えた、最終ラップ。そしてフィニッシュ。もう完全制圧して、レース1を締めくくって迎えたレース2、スプリントレース。このレース2は、ピットイン義務がないため、ただひたすら走るだけである。そしてグリッドはリバースグリッドの為、8番手になったが、そんなこともうどうだっていいのだ。一度でも、波に乗った俺は、もう誰も止められないのだから。そしてレーススタート。実はこの時、俺はとある作戦を実行する準備をグリッド上でしていたのだ。至って簡単な作戦である。最初っからロケットスタートを決めず、普通にスタートして、様子を伺って、そっからズバズバ抜いていくだけという作戦である。そして1コーナーの進入で1台をパス。そして次のコーナーでは大外刈りをして1台をパス。そして1番の見どころとなったのがストレートでDRSゾーンに入ってスリップを奪いトップに躍り出たが直ぐにパスされて2位に、そして最後の力を振り絞って誠真に食らいつくも1歩届かず、2位でチェッカーフラッグが振られフィニッシュ。まさにルーキードライバーとは思えないデビュー戦だった。だけどこの時、無線でめちゃくちゃ喜んで「Yes boys come on!!hahahaha!!Yes!!!thank you guy's!!!」って叫んでた。そして、、マシンから降りてガレージに戻ると、監督からは「よくやった!!F2での初レースお疲れ様。どうだい?見える景色や世界がGP3とは違って見えただろ?最初の1年はこんな感じでスタートしていくけど、この世界は、GP3と違って一瞬のミスが致命傷となるから、気を抜かないようにな!」と言われ、第1戦バーレーンGPは終わり第2戦の舞台アゼルバイジャンの首都バクーへと旅立った。しかし、誠真の優勝した時のポーズかっこよかったな。




今回のRound1楽しんでいただけたでしょうか。実はこのストーリーは全3部構成になっておりその3部で自分の進化と成長と出会いと別れが楽しめる物語となっておりこのストーリーの第3部終結後のアフターストーリーではここで軽くネタバレしちゃいますがF1にステップアップをしています。


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Round2 超高速戦のバクーGP

前回ラウンドでは「ルーキードライバー」ながら「ルーキードライバー」とは思えないデビューを飾り、一躍注目を集めることになった俺が向かったのは、アゼルバイジャン共和国の首都バクー、ここで待ち受けるものとは?そして前回ラウンドではいきなりF2の洗礼を受けた俺は、このラウンドで少しやり方を変えて挑む!!俺のF2参戦記第2話はじまりはじまり!!


前回ラウンドで、あまりにも衝撃的すぎるデビューウィンを飾り、一躍注目されている俺が向かったのは、アゼルバイジャン共和国の首都バクー。この国は、今のロシア(旧ソ連)の構成国であり、言語はアゼルバイジャン語だけど、大体の人達は、ロシア語を普段使用して生活してるとの事。そしてレースの舞台は、ここバクーシティーサーキットという、バクーに仮設される市街地サーキットであり、なんと言ってもストレートが長くトップスピードが鍵となってる。そしてコース図を見る限り直角カーブと高速区間が多く、とにかくパッと見でも、俺が大好きなコースになること間違いない!!そして今回のセッティングは、ダウンフォースを普段より30%~45%位削ったセッティングである。大体市街地コースとなると、ダウンフォースを稼ぐセッティングをするけど、このコースの場合2.2kmも加速区間がある為、ダウンフォースを削んないと、かえって遅くなってしまい、逆にタイムアップが出来なくなる。実は、前回ラウンドでは、一見ノントラブルで、全て円滑に行ったと思う人多いと思うけど、実は前回ラウンドでは、フリー走行中にクラッチが滑っていたり、決勝中にクラッチが危うく張り付きそうになったりと、とにかくクラッチに不安を抱えていたけど、このラウンドが始まって直ぐに、クラッチを交換して対策を施したが、まぁこのクラッチ問題は、先代車両だと、あれ程のパワーが受け止めきれず、すぐにぶっ壊れたり、仕舞いにはエンストといったトラブルが頻発しており、俺もガレージで見てた時少々心配はしてたけど、新しい車両となってからは、そんな問題は気にする程でもないけど、やっぱり心配になる。そしてクラッチを交換する際、メカさんがカウルを開けてエンジンを出して、クラッチを外して見せてもらったが、もうかなり疲労が蓄積されていたらしく、いつ壊れても可笑しくないと言われる程であった。でも原因を探ってると、もしかしてその原因が俺にあるのではと思い、ちょっとドライビングスタイルを変えてみる事にした。主な変更点は、タイヤを温存させて後半からバンバン攻めるというやり方である。そして何よりも、クラッチを労わらないといけないから変えるというのが、本当の答えである。そしてフリー走行が始まり、各車続々とコースイン。俺もコースインをして走行開始。まずは、このセッティングがこのコースに合ってるかどうかを確かめるのと、スリップストリームに入った時に、どう作用するのかも探る為である。でもその前に、俺に新たなスポンサーがいくつか着いてくれた。そのスポンサーと言うのは1つ目がCASIO、2つ目がオーディオテクニカで3つ目がブシロードである。理由は、CASIOは、俺がG-SHOCKを愛用しているのと、ああいう3~4G近い空間でも耐えれる時計と言うのを、間接的に宣伝してるからとの事。そしてオーディオテクニカは、俺がよく集中力を極限まで持ってくのに音楽を聴いていて、音質にこだわっていて、いいイヤホンがオーディオテクニカのイヤホンを愛用しているのと、エンジンの爆音とかから、耳を保護する為の、イヤープラグという耳栓兼イヤホンみたいなやつを作りたいという事と、ブランドイメージを上げて欲しいということで、スポンサーに就任したとの事。ブシロードは、日本で活動してた時に、ちょっとした縁があって、スポンサーになってくれた。だから、マシンの横の白色の部分には、青色で「CASIO」、黒色で、同社のフラッグシップモデルの「G-SHOCK」のロゴと、黒地に白で、「Audio Technica」白地に黒色の文字で、「BUSHIROAD」と印刷されている。このモータースポーツの世界では、シーズン中にスポンサーが着いたりと言った事は、もはや当たり前の事である。話を元に戻すと、ダウンフォースを削ったセッティングを試して相性を調べるのが目的である。だけどそんなことやろうとした矢先、赤旗が振られ、試す所か、ろくにデータ収集もままならないまま、ガレージに一旦撤収した。そして、モニターで、そのリプレイを見ると1台壁に刺さって動けなくなって、しかもこの状態で走行を続行させるのは、極めて危険とオフィシャルが判断した為という事。そして俺の場合、マーシャルカーに乗って必ず事故現場に行くという、まさにアイルトン・セナと一緒の事を、日本で活動してる時からずっとやってるのである。その際マーシャルが俺に、「お前さんかい?今年復帰したドライバーのヒカル・クシマは?」と聞かれ俺は直ぐに「はい。俺ですけど。ヒカル・クシマと言うのは。」と答えこれにはマーシャルもビックリしてマーシャルが「後でサインください!」と言ってきたから俺は、「わかった。後でサインくれる!」というやり取りをしてる間に、その現場に到着。そして原因が分かった。ここに突っ込んだら、そら赤旗になるは。というのが分かったのが、壁に刺さった際、思いっきりガードレールかひしゃげてたからだ。流石にこれで走ってろは、いくら何でも危険だよ。そんなことがあってピットに戻って、原因を探って来た事を伝えると、皆満場一致でうんうんと頷いてくれた。とにかくガードレール修復中は、赤旗で何も出来ない為、俺はひとまずリラックスして、緊張を解していた。我々ドライバーにとっては、こういったことも非常に大切なのだ。そして赤旗中断が解除が宣言されると、俺は直ぐに耐火マスクを被って、ヘルメットとHANSを着けて、マシンに乗り込み、もう一度コースインをして、さっき試すに試せなかった、セッティングを試して、明日の予選、いや、明後日の決勝に焦点を当てて走り込んだ。そして、この日の全体トップを叩き出して、フリー走行は終わった。そして迎えた予選。まぁ一言で言い表せば荒れたね。うん。ものすごく荒れた。なんでかと言うと、1回の予選アタック中、何回トップが入れ替わったか、俺分かんなかったもん。そしてタイミングモニター上でも、凄い目まぐるしく、トップが入れ替わっている中、最も凄いアタックを見せたのが俺との事。実は俺の場合、1番デンジャラスな時間帯でもある、ラスト5分でコースインをして、アタックを敢行した。全コーナー完璧にまとめて、ストレートを通過した際に超大逆転ポールポジションを獲得した。その際2位との差は、0.0001秒という、F2にまたひとつ、新たな歴史が書き記された。そして決勝。もう全て完璧な流れになっていて、チームの士気もかなり盛り上がってる中迎えた、レース1、フィーチャーレース。セーフティカーラップが終わり、グリッドに着くと、俺は隣を横目で見て、直ぐに臨戦態勢になり、シグナルがブラックアウト。スタートは、俺お得意のロケットスタートを決めて、相手との差をみるみる離し、ピットからも「この周でピットイン」と言われ、ピットインをしてピットアウト。作業も円滑に決まった為、相手との差は離れるばかりに。そしてこのレース1も圧勝。自身3勝目を挙げた。そしてレース2、スプリントレースは、俺にとって、ある意味、「悪夢」でもあった。それは、相手が俺に当たり、俺は壁に直行して、接触リタイアという、まさに悪夢にうなされている様だった。悔しい。だけど、ただ悔しいんじゃない。あれは、相手にも俺にも非があったさ。そりゃ当然、当てられる所にいた俺も悪いし、当たる所を走ってた相手も悪い。言ってしまえば50%俺が悪くて、50%相手が悪いという事になるのさ。あの後、相手は俺に謝ってきたけど、俺も流石に謝ったね「あんな所に居た俺も悪かったよ。君に道を譲ってやれば良かった。でもお互い無事なんだからさ。怪我なく終われるのが1番だよ。」と言って、何とか収束した。さぁ反省点も出来た事だし、次の舞台スペインバルセロナへ٩(.^∀^.)งLet's go!!




いやぁ今回のラウンドでは初めてリタイアを経験して俺もこのリタイアから学ぶ事も多かったです。でもこれもモータースポーツではよくある事なんです。あぁ俺も早くフォーミュラリージョナルに出てみたいなぁ〜。今回も読んでくださりありがとうございました。次回もお楽しみに!!


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Round3 passion ofバルセロナ

前回はもうズタボロになって散々な目に遭った俺達が向かったのはスペインバルセロナ。そこで待ち受けている運命とは一体?2018シーズンラウンド3開幕!!


前回ラウンドで初めてリタイアを経験した俺達が向かった次の舞台はスペインバルセロナサーキット。この国は、主に闘牛で有名な国でもあり、このラウンドの舞台となってるバルセロナは、1992年にバルセロナオリンピックの舞台となった所でもある。まぁ、とにかく情熱的な人が多くて、何をやるにしても妥協を許さず、完全にやり遂げるというのが何と言うのかこの国の「お国柄」と言ったところである。そして今回もF1と同時開催の為、自分を売り込むにはもってこいのラウンドであった。それと同時に今シーズンのF2も残すところあと9ラウンド。それもあっという間に来てしまうのだ。でも今考えてみるとかれこれ3ヶ国目か。最初は中東行って次にロシア圏行ってお次はヨーロッパの方だからね。早いね。まぁそんなことはさて置き、我々プレマ御一行はコースに到着すると毎戦やってる事がある。それは「トラックウォーク」言われる自分達が車ではなく実際に自分の足でコースを歩いて確かめるという行為である。それである程度感覚を掴めたらマシンに乗り込みフリー走行が始まった。俺もコースインをして全てを決めるセッティングを作る為にかなり走り込んだ。そしてこの日の全体トップを出した時のセッティングをベースにして決勝のセッティングを作るというやり方を取っている。そして迎えた予選。とにかくこの予選程面白いのはないと思ったね。まずは老舗強豪チームでもあるDAMSがトップタイムを出したその次にカーリンがトップになったタイミングでコースイン。もうピットリミッター解除したと同時にアクセル全開で直ぐにでもタイヤを温めてアタックを開始。そしてこのアタックは誰もが無理だと思っていたスーパーラップになった。まずはコーナー進入時にオーバースピードだと思ってたら実際そうでもなくてむしろちょうど良いスピードで進入してそっからアクセルを踏んでグイグイ加速してコーナーを脱出。そしてストレートに帰ってきてゴールラインを通過した時ポールポジションを獲得。この時観客席からは物凄い歓声と物凄いスタンディングオベーションが聞こえた。無線からも「ヒカル!!よくやった!!」と聞こえてきて俺も「これも日頃頑張ってくれてるみんなのおかげだよ。こちらこそありがとう。」と言った。が…まさか決勝では思いもよらない事態になるとはまだ俺を含め皆知る由もなかった。そして迎えた決勝レース1フィーチャーレース。ここまで物事が上手く纏まってるから決勝でも上手くいくはず。という考えが甘すぎた。そしてシグナルがブラックアウトしてスタート。この時俺はスタートミスってトップの座から陥落。だけど負の連鎖はこれだけに留まらず前を走ってるドライバーを俺が抜こうとした際コーナーで俺を押し出して行ったのである。幸いにもグラベルでは無かったから何とかなったけどグラベルだったらマジでどうしてくれるのか教えて欲しかったね。これには流石の俺も怒りを抑えきれず無線で「F**K」やら「Holy S**T」やらテレビだとピー音入る言葉を吐きまくった。そしてフィーチャーレースはこんな形ながら一応トップ10には入ったものの俺を押し出した奴には当然5秒のタイムペナルティーとレース2での5グリッド降格処分が決定した。そんな中迎えたレース2スプリントレース。もうこのレースに全てかけるしかないと思いながらスタート。スタートはまずまずと言ったところ。そこから順調にレースを進めていたその時であった。バックストレートでいきなり「シュルルルルン」というバックタービン音と同時にパワーが無くなりいくらアクセルを踏んでもパワーが上がらずスローダウン。結局マシンをエスケープエリアに停止させて俺のレースは呆気なく終わった。後で原因をさぐった所タービンが壊れた事によるエンジンブローというのが原因との事。まさに今週は踏んだり蹴ったりのレースウィークだった。流石の俺もコースからガレージに戻る時に涙を流しながら戻ったけど戻る時に観客席からはよく頑張ったという惜しみないスタンディングオベーションが起こった。俺もそれに応えるかのように手を振りながら戻って行ったけどピットではメカニックやクルーや監督が拍手で迎えてくれたけど俺は「マシンぶっ壊してごめん!!」って泣きながら謝ったけど監督が俺にこう言った「何もお前が壊した訳じゃない。トラブルで壊れたんだ。形あるものは何れ壊れる。だから次も頑張れ!!」と励ましてくれてこのラウンドは幕を閉じた。このおかげでランキングは8位まで転落。だけどこのトラブルよりもっと深刻な事態が起きるとはまだ誰も知る由もないのである。次の舞台は伝統のモナコモンテカルロ。




さぁこのラウンドではまさかの2連チャンで悪夢が襲いかかるというもう散々な目に遭ってますが次こそこの流れを断ち切れるのか楽しみです!次回もお楽しみに!


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Round4 伝統のモナコモンテカルロGP

前回ラウンドでは目も当てられない結果となった俺達が向かったのはモナコ公国のモンテカルロ。この気品と伝統あるサーキットで待ち受けているものとは?第4戦モナコGP開幕!!


前回ラウンドではまさかの2連チャンで悪夢が襲いかかるという悲惨な結果になったけどそんな事はさておき今回、俺達が向かったのはモナコ公国にあるモンテカルロ市街地コース。このモナコという国はよく世界中の大富豪やセレブやF1ドライバーが住んでいることでも有名な国でもあり、またセキュリティーが馬鹿みたいに高く、例え財布を落としても99%自分の元に帰ってくるほどの高さである。こんなの日本じゃまず有り得ない。そしてこの国はマカオ同様カジノがとても有名でありそのおかげで税金やら色々お金が潤沢にあるという事かな。この国の有名な所と言えば。そしてここモンテカルロ市街地コースは極端な超低速サーキットで有名でバックストレートで300km/h出るか出ないかそれくらい超低速コースである。その為セットアップはもう決まっている。こういうコースのいいとこは一目でセッティングが決めれるというところかな。そしてフリー走行が始まり俺はガレージで無線を使って「今回はダウンフォースマシマシのギアショートで行くよ。」と伝えた。さぁいざモンテカルロ市街地コースへと出陣!!このコースはとにかく壁に突っ込まなければ大丈夫と思い果敢に攻めて感触を確かめながらの走行となったが、それでもダウンフォースを増やしたおかげでかなり曲がりやすくなっておりコーナリング面が少し改善されてホッとした。だけどこのコースの怖いところは縁石を使って攻める時に乗り過ぎるとバランスを崩してそのまま壁に接触して最悪その反動でマシンが弾き出されてコース上になんて言う超ハイリスクハイリターンなサーキットでもある。そんな事を気にせずに走ってたらこの日のトップタイムと全体ベストタイムを出して走行を終えた。そして迎えた予選はとにかく大荒れとなった。強いて言うのであればイエローフラッグ量産という俺も聞いた事ない前代未聞の予選となったが俺は第2戦から続いてる負の連鎖を断ち切るかのような走りを見せてポールポジションを獲得した。そして決勝レース1フィーチャーレースはとにかく予選よりちょい荒れとなった。まず俺が好スタートしたのはいいけどミラーで後方確認をしてると皆第1コーナーで詰まって黄旗となりその後その事故車両の撤去が終了してレース再開。ピットインのタイミングを見極めながら走り半分を消化した所でピットインを済ませてあとは後方とのマージンをとにかく稼ぎレース1フィーチャーレースは圧勝。そしてレース2スプリントレースはとにかく予選以上に大荒れとなったサバイバルレースになった。まずは完走したのがまさかの半分という普段のレースでは有り得ない展開となった。まず俺が昨日から波に乗ってるためスタートも完璧に決まってヨシと思ってたその時であった。何故かステアリングのモニターに黄旗が提示されており、何でと思ったが原因を確かめようとミラーを見たところどうやらスタートに失敗したマシンに相手のマシンが避けきれずに接触してこうなったとの事。これでまず2台が戦線離脱してさぁこっからかなり大荒れとなるのであった。名物のトンネルに差しかかる時のカーブでまた1台壁に突っ込みそこでまた複数台接触してまた黄旗。そしてトンネルを通過した後のリズミカルな縁石コーナーで1台が縁石に乗り上げて跳ねて壁に接触。また黄旗。てか数えただけでもざっと6台くらい戦線離脱してんぞ!いくら何でもやば過ぎんだろ。てかどんだけ黄旗出れば気が済むんだよ。そのおかげで皆追い越せなくてめちゃくちゃカオスな事になってる。そしてレース2でも俺は優勝して実に開幕戦以来の完全制覇となった。これでランキングは2つ上がり6位まで来た。さぁ次は知る人ぞ知るフランスポールリカールへさぁ行くぞ!!




今回のRound4モナコモンテカルロはどうでしたか?俺も昨日リージョナルフォーミュラのオンボードを確認してたら最高速度はF3とそんなに変わらない事が分かったのと国Aライセンスでエントリー出来るという利点がありこれはもう出るしかないと思い日々準備をしている最中です。次回のRound5もお楽しみに。


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Round5スピードオブ ル・カストレ

前回ラウンドでは開幕戦以来の完全勝利を遂げ復活を果たした俺達が向かったのはフランスポールリカールサーキット。この歴史ある高速サーキットで待ち受けている運命とは一体?ラウンド5ここに開幕!!


前回ラウンドで完全勝利をして復活を果たした俺達が向かったのはフランスにあるポールリカールサーキット。今回の舞台となるのはフランス。この国の有名な所と言えばやっぱり花の都パリと凱旋門。そして俺達レーシングドライバーにとっては一生の内1度は出たいと憧れるル・マン24時間耐久レースの開催国でもある。そしてここポールリカールはよくトヨタガズーレーシングがTS050のテスト走行に使ったりさらに深く歴史を辿ると90年代までF1もやっていたサーキットでもある。そしてこの2018シーズンからポールリカールサーキットでF1が復活したと同時にF2もこのサーキットでは初開催となる。そしてこのサーキットの醍醐味と言えばなんと言ってもストレートでのスリップストリーム合戦が出来るという所だけどF1の場合パワーユニット保護という観点でコーナーが設けられており俺達F2ドライバーも同じレイアウトを使用する為ストレートがちょっとだけ短くなっている。だけどF2にはそんなパワーユニットなどという贅沢なものは搭載してない為そんな心配する必要無いのである。でも冷静に考えたらもうあと1戦で全12戦中の半分を消化したという事になるけどだからといって焦る必要は無い。焦ったら見えるものも見えなくなるから。そしてフリー走行が始まった。各車一斉にピットアウトして行く中俺はガレージで状況を見計らっていた。そしてメカさんが「新たなセッティングをちょっと試してみないか?」となかなか興味深い事を言ってきたから俺は「とりあえず物は試し。試してみるよ。」とやり取りを済ませてコースイン。走ってみて正直な感想を言うとまさに扱いやすい上にこのサーキットには相性ピッタリのセッティングだった。これ考えて俺のマシンにこのセッティングを施してくれたメカさんあざっす!!とにかくトップタイムを叩き出してピットインしてガレージに戻って来てメカさんに「このセッティングは最高だよ!!このサーキットにピッタリだよ!!ありがとう!!」と感謝を伝えるとメカさんも「いやぁこのセッティング実はダメ元で試してみようかなぁって考えてたんだけどイマイチ使い所が分からなくてお蔵入りさせようかなぁと思って考えてたけどここに来てふと思い付いてやっただけなんだよ。だけどここまで喜んでくれるとは俺も思って無かったけど良かったよ。決勝もこれで行こう。」と話してくれて俺も「このセッティングにはこういう経緯があったのね。試してみて正解だったよ!!」と言いフリー走行は終わりを告げた。そして迎えた予選。予選ではまさかのカーリンとの極限対決が始まり皆カーリンのタイムを超えようとマジでタイムアタックがヒートアップしてさらにエスカレートして行って白熱したタイムアタックになり俺もそのタイムアタックに加わりさらにヒートアップして行き観客のボルテージもかなり最高潮に達していた。そしてこの極限対決は決勝までもつれ込むことに。そんな予選ではポールポジションを獲得したのが俺。しかもカーリンとのタイム差は0.00秒所謂同タイムとなったが俺を含め実に4台が同タイムという結果に観客からも大歓声があがり最高の予選となった。そして決勝レース1フィーチャーレースはもう楽しい所か精一杯走って勝つしか無かったのだ。理由はDRSゾーンに入ってもトラブルで全車DRSが作動せずストレートではノンDRSでの激しい攻防戦をして最終的には俺が勝った。でもこの時監督は無線で「何でDRSを頼りにせずあそこまで果敢にブロック出来たのか分からないんだよ。教えて欲しいくらい不思議だよ。」そして俺も無線で「いやぁこれに関しましてはね、全日本F3やマカオF3やスーパーフォーミュラで鍛えましたから。慣れてるんですよ。だって今挙げたもん全部DRS無い分どれだけ自分の順位を守りきるのかもレースの鍵握ってましたから。」と言い監督も納得。そして迎えたレース2スプリントレースは波乱の展開となった。まずスタートをするはいいけどさて問題はここから。まずDAMSの1台がトライデントの1台と接触。そこまではいいが問題はここからである。このクラッシュを避けようと皆して同じ事したもんだからまぁ大混乱が発生してそれを上手い事回避出来て思わず胸を撫で下ろしてホッとしたなんてこともありながらレース2も圧勝してこのレースを締め括った。お次のラウンドはあのレッドブルレーシングの本拠地でもあるオーストリアシュピールベルグ。♪レッドブル翼を授けるぅ〜。




今回のラウンド5ポールリカールGPはとにかく書いてて楽しいレースとなりました。さぁ次はシーズンの折り返しオーストリアシュピールベルグ。お楽しみに!!


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Round5.5今までのおさらい

Round6に行く前に、F2デビューから今ラウンドまでの前半戦をサラッとおさらいしていくよ!箸休め感覚で読んでいってね!!


次のラウンドに行く前に、今回は番外編2本立てのうちの1つ、今までのおさらいをしていくよ。まずデビューに至るまでの経緯から超サラッと説明していくよ。まず時は遡ること3年前のGP3最終戦アブダビGPが終わって暫く経ったある日F2のルーキーテストにプレマから参加して高パフォーマンスを見せつけ周囲を驚かせてこれには流石の監督も「彼を起用しない訳にはいかない」と言い張り俺も「このチームがピッタリ」と言ってルーキーテストから暫く経ったある日プレマから正式にオファーを受けフル参戦に至ったというのがF2デビュー前の話でそこから開幕戦での2レース2連勝そして次のラウンドで初めてリタイアをして次のラウンドではもう散々極まりないレースになり次のレースは2レースとも大荒れとなったサバイバルレースになりそして前回ラウンドのポールリカールでは開幕戦以来の2レースともに優勝で締め括った。そんな感じかな。まぁこれはあくまでも箸休めだからそんなに食入る程見る必要は無い。サラッと流して貰って構わないよ。しかしまだ俺達があの一件を目の当たりするとはまだ誰も考えてはいないだろう。今でも忘れないよ、あのスパの惨劇を。だけどあれを乗り越えたから今がある。きっと天国であいつも笑って俺達を見守ってるんだろうな。オールージュにはあの時の惨劇を物語るかのような跡も無くまるで元通りになっている。そしてオールージュには綺麗な花が手向けられており今年も俺は花を手向けることは出来なかったがちゃんと手を合わせて「亀ちゃん、今年もちゃんと頑張ってるよ。お前の分までちゃんと生きるってあの日交わした約束はちゃんと守ってるよ。今度はちゃんと王者とってお前に良いとこを見せてやるから楽しみに待ってろよ!!」と。天国に居る友人の亀ちゃんにあの日交わした約束は今もちゃんと守ってる事を伝えてベルギースパ・フランコルシャンGPに挑む俺は少し複雑な気持ちであった。あの日以来俺のマシンのミラーに移るのは俺の顔ではなく何故かアイツの顔が写ってるように見えている。そしてあれ以来俺が着けているレーシンググローブはあいつの形見を着けている。しかし偶然が重なったのか何なのか知らないけど今シーズン所属しているユニ・ヴィルトゥオーシは元々RTロシアンタイムズを引き継いで2019年から参戦しているチームで今年俺はそこのファーストドライバーとして走ってるがつい俺は同じ立場だった亀ちゃんと照らし合わせても自分は自分だっていつも気付かされながらも元気を貰って走ってる。この話については1st seasonの後半戦で触れる事になるでしょう。だけどあの一件以来皆で誓った事がある。アイツの死を無駄にしてはいけないと。




今回はマジで箸休めです!!


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Round6 オーストリアシュピールベルグGP gives my wing

前回ラウンドではかなり白熱したレースを演じた俺達が向かった次なる国はオーストリア。そこで待ち受けているものとは?第6戦オーストリアシュピールベルグGP開幕!!


前回ラウンドではかなり白熱したレースを演じた俺達が向かった次なる国はオーストリア。この国はレッドブル・レーシングの本拠地でもありあのハンガー7がありそこには数多の激戦を戦い抜いた名機が動態保存されておりイベントでよく飛んでいるとの事。ここにはあのB-29スーパーフォートレスや歴代F1マシンが展示されたりとまさに博物館いや楽園にも等しい所だ。そしてそのレッドブルが所有してるサーキット、レッドブルリンクで今回のレースは開催されるのだ。このサーキットの特徴はなんと言っても超バランスタイプのサーキットでもあり主にストレートではなんと言っても最高速度はF1だとざっと325km/hくらい出ればいいかなと言うくらいのコース。実際俺もシミュレーターを使って走ったりしたのだがこのコースで通用するセッティングは全体的に優れてるバランスタイプを使うというのを決めていた。そして迎えたフリー走行だが天候は雨!!そしてF2での初体験となるレインタイヤ。さぁどうなる事やら楽しみになってきた。だけど俺はあまり雨のレースが得意ではない。何でかって?理由は簡単。あまり視界が良くなくてスリップストリームに入った時には水しぶきで前が見えずその結果クラッシュしてリタイアなんて言うオチが待ってるからだ。そしてフリー走行が始まりコースインして走行を始めたが流石に10ラップ位走ってギブした。そして俺はガレージで「俺はあの雨のナカジマみたいに早く走れないしそして怖い」と言い流石に雨に対する恐怖心は克服しきれてないのを表していた。雨の中走ってる時のデータロガーとか見せてもらったけどその時のバイタルを見せてもらったが通常の走行時よりちょっと高くなってるのが分かった。多分まだピレリのレインタイヤのグリップを完全に信じきれてなくてヒヤヒヤしながら走ってたのが多分原因だと思う。俺は走ってる時つい「あぁハイドロ起きたらどうしようかなぁ、そのまま壁に突っ込むのも嫌だしなぁ。かと言ってスピンするしか手はないのかなぁ。」なんて考えながら走ってたけどよくあんな状況で走れたと思うとやっぱりメンタルは凄いと思ってる俺だった。でも各チームこの天候に翻弄されてスピンやらクラッシュやらが続出してそのまま赤旗中断。流石にこの雨には誰も太刀打ち出来ないと言うのが今の現状だ。そして暫くしてからレースディレクターからこのセッションの中断が正式に決定した。いくら何でもこの雨の中走り込めは流石に危険極まりない。中断して正解だと思う。いやぁこれがもし予選だったらかなり変なグリッドになるんだろうな。例えば今のポイントランキング順とかさ。とにかくモニターで明日の天気を調べたら晴れてくれるとの事なのでまず一安心。そして迎えた予選。今回は路面がインターミディエイトという晴れてるけど路面が少し濡れてるというコンディションの中予選は始まった。そして予選は思わぬ展開となった。なんとプレマ、カーリン、DAMSの3強の中に何故か今シーズンあまり成績がよろしくないBWTアーデンとトライデントが割って入るという異常事態が起きこれを機に予選は大荒れとなった。そんな中俺も負けてられないとコースインをしてかなり攻撃的にアタックして結果はなんと自身何度目か分からないポールポジションを獲得。それにしても何故いきなりアーデンやらトライデントやらが早くなったのか俺にはさっぱり分からないのだ。一応アーデンにも仲のいい友人が居る為良く話を聞くがその時に口にしたのが「コースとマシンの動きが全くあってない!!自分もこんなマシン良く乗れると思うよ。」と言っていたが、俺は「まぁこれは巷の噂かもしれないが今アーデンゴタゴタがあってめちゃくちゃ大混乱してるでしょ?だって可笑しいもん。本来ならそこそこ強いはずのアーデンがいきなりド底辺近くまで陥落するなんて。今度のアブダビテストの際ちょっと乗せてくれないか?相談してみてくれ?俺だってこのアーデンのマシンで確かめたい事が山ほどとまでは行かないが色々ある。頼む。」と言うと友人は「一応相談はしてみるがお前もプレマのトップや監督にも相談してみてくれ。」と返ってきた為俺は「分かった俺も監督とトップに相談してみる。」と言い自分達のガレージに戻った。そして俺は監督とトップに「あの、1つ相談したい事あるんですけどお時間大丈夫ですか?」と言いひとまず相談をする準備は出来た。そしてプライベートルームみたいな部屋でトップが「ヒカル、その、相談したい事とは何だい?」と聞かれ俺は「今度のアブダビテストでアーデンの機体をテストしたいんでその許可を貰いたいんです。」と言うと監督とトップは「まぁそれは自分の自由だけど変にやり過ぎるなよ。それと何の為にテストしたいなんて言うんだい?」と聞かれ俺は「アーデンに仲のいい友人が居るのですが友人曰くマシンの動きとコースの動きが全くあってないと言うのでそれを確かめに行きたいんです。恐らく監督は知ってると思いますが今アーデンは色々ゴタゴタがあって大混乱してる影響でマシン開発が思う様に進んでないと思うんですよ。その結果あんなアンバランスなマシンが仕上がってると思うんですよ。そして今俺がいるこのプレマとの比較をする為にも行きたいんです。」と言うと監督とトップは「OK分かった。君のためになるならば良いよ。」とあっさりOKしてくれた。なんて事が予選終わった後あった。アブダビテストは後々書くのでその時までのお楽しみということで。そして迎えた決勝レース1フィーチャーレース。天候は晴れ、路面はフルドライという絶好のコンディションの中で行われた。そしてレーススタート。スタートは完璧に決まり全て完璧に決まった。そしてポールtoウィンを達成。そしてレース2スプリントレースでも他を寄せつけない超ハイペースで完封勝利をしてポイントランキングは2位にまで浮上した。ここまで戻るのにめっさ時間かかったけど最終戦アブダビまで気が抜けない。これで前半戦は終了してタイトル争いは後半戦に突入。次なる舞台はイギリスシルバーストーン。そしてこの物語は思わぬ形で最後を迎えるとはまだ誰も考えてはいないだろう。歯車が徐々に狂い始めてることもだ。




今回のラウンド6はどうでしたか?ここから物語は思わぬ方向に進んで行きます。そして最終戦アブダビgpまで物語はさらに加速していきます。読んでくださりありがとうございました。次回のラウンド7イギリスシルバーストーンGPもお楽しみに。


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Round7 後半戦 イギリスシルバーストーンgp開幕

2018シーズンも遂に後半戦に突入そしてクライマックスへ!そしてその後半戦最初のラウンドはイギリスシルバーストーン。激動の2018シーズン後半戦いよいよ開幕!!


前回ラウンドで前半戦が終わりシーズンは後半戦に突入。その後半戦最初のラウンドはイギリスシルバーストーン。この国の有名な所は紅茶とあとはジャガーやアストンマーチン、ベントレー、ロールスロイス、ロータスといった名だたる高級車メーカーの生まれた国でもある事かな。そして前回俺はこのシーズン終了後のアブダビテストで今年度のアーデンをテストドライブするとか言ったけど、あの後に監督とトップからお許しが出た為正式にテストドライブする事が決定した。そして早いけど来シーズンの移籍先を実は今探してる真っ最中なのである。俺的には古巣であるARTGPとかに行こうかなぁなんて思ってる。まぁこの話は2nd seasonで書くからお楽しみに。さて話を戻すとこのシルバーストーンサーキットはふたつのコースレイアウトがあって1つはF1,F2,F3が使うフルコースとショートコースというふたつのレイアウトがあるけど今回はF1も同時開催だからフルコースレイアウトを使う。そしてセッティングは一応前回のラウンドで使ったやつを流用する方針で進めている。そして迎えたフリー走行。まずは前回のラウンドで使ったセッティングが通用するかどうかを探る為ひたすら走るだけ。そして走り込んでピットに戻ってメカさん達にも「このセッティングで行こう。これここでも使えるから。」と伝えとりあえず1回ガレージでマシンから降りて相手チームの動向を確かめる事にした。そして自分もある程度体力を回復した為もう一度走りこの日の全体トップでフリー走行を終了した。そして迎えた予選。青空快晴の中予選が始まり、俺も今回ばかりは何故か調子が良くて予選自体も大して荒れなかった為変に心配すること無くポールポジションを獲得した。そして迎えた決勝レース1フィーチャーレース。スタートも完璧に決まり自分でもペースでレースを進めていきピット作業もノーミスで完了し、このレース1も2戦連続ポールtoウィンを達成してポイントランキングトップに返り咲いた。そしてレース2スプリントレースではまさかの相手チームが同士討ちをした隙を狙ってトップでゴールをして完封勝利を達成した。そしてここでシーズンは1回夏休みに突入。と行きたい所なんだけど実はこのラウンドが終わった後トロ・ロッソホンダのトップ、フランツ・トストから声をかけられて「君かい?今F2で波に乗ってるヒカル・クシマと言うのは?」と聞かれ俺は「はい、ヒカル・クシマは俺の事ですけど。何か。」と応えるとトストさんからかなり衝撃的な言葉が返ってきた。「もし興味があるならでいいけどうちのF1マシンに乗ってみないか?」というかなり衝撃的な返事が来て俺は「はい!是非とも乗ってみたいです!!」と言いひとまずトップに相談をしてみたところトップは「いいんじゃないか。F1に乗るという機会はそうそう無いからね。この夏休みの間にF1,F2の違いも体験できるから良い経験になるよ。」とすんなりOKが出た。小さい頃からの夢であるF1に乗る事がまさかこんな形で叶うとは驚きである。この話は次回のラウンド7.5「夏休み」で書くからお楽しみに!!夏休み明けの次なる舞台はハンガリーハンガロリンク!




今回のラウンド7イギリスシルバーストーンGPどうでしたでしょうか。まさかF1テストドライブというのが意外な形で叶うというのもこの世界の醍醐味となっていてそこで才能があると認められた者のみがあのF1の世界に行くことが出来るのです。俺もリージョナルフォーミュラに出れるようにそろそろ準備せねば。今回も読んでくださりありがとうございました。


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Round7.5夏休み

さて前回ラウンドが終わり俺達は束の間の夏休みを満喫していたが俺に限ってはF1テストドライブという大仕事が待っていた。とりあえず今回も箸休め回!!


前回ラウンドが終わった後、俺は、束の間の夏休みを満喫していたが、俺はその間、イタリアにあるF1チーム、スクーデリア・トロ・ロッソの本拠地ファエンツァにいた。理由はF1マシンをカタロニアで行われる「ルーキーテスト」でテストドライブする為だよ。まぁ俺がいるプレマもこのトロ・ロッソも同じイタリアが本拠地で、プレマはグリジャー二・ディ・ゾッコという所に本拠地を置いてる為、比較的移動は楽である。そしてトロ・ロッソの本拠地ファエンツァに到着するとそこには皆して俺をお出迎えしてくれた。そして俺は1人ずつ握手を交わしファクトリーに案内されそこでマシンのシートの型どりとかステアリングの簡単なレクチャーとかを受けてひとまず今日は終了した。しっかしここは、1日居ても飽きない。そしてこのチームは元々ミナルディというチームを引き継いで参戦してるという事を一体どれ程の人が知ってるだろうか?そして何よりミナルディ時代からよく言われてるのがとにかくご飯が美味くてあのアイルトン・セナでさえレースウィーク中は、必ずミナルディでエスプレッソコーヒーを飲んでたとか。さすがイタリア!飯に関しては一切の妥協を許さないとこが俺のお気に入りの一つである。まぁそんな事もあり今日やっと念願のF1初体験となった。一言で言い表すと「簡単に扱えるような代物では無い」というのが第一印象かな。F2との違いといえば1つはパワステがある事、そして何よりF1はF2よりステアリングがかなり複雑で、レース中これを弄って早く走ってるガスリーやハートレーには頭が上がらない。そしてこれはマジで言えるけど「常人が扱っていいような代物ではない」という事だ。そう考えると選ばれた22名のドライバーしか乗れないやつに乗ってる俺はすごい幸せ者だと思ってる。そしてカタロニアでのルーキーテストで、初ドライブも終わりマシンから降りるとトスト代表が「君の走りを言い表すとまるで1つの芸術作品を見てるみたいだ。それ程私には君の走りが美しく見えた。普通なら初体験でこれ程美しく走るドライバーを私はあまり見た事が無い。いつかこのチームで走れるようシートは確保して置くから、君はF2の残りのシーズンを頑張って走り抜いてくれ。期待してるぞ!!」と声をかけられて俺も「俺も必ずトスト代表の期待に応えられるように頑張ります!!」と言い俺のF1初ドライブは終わった。次回のラウンドはハンガリーハンガロリンク!!夏休み明けで心機一転して迎えるラウンドが楽しみになってきた!!さぁ物語は遂にクライマックスへ!!最終戦アブダビでの王者決定の瞬間まで目が離せない!!




今回は箸休め回第2弾でもあるF1テストドライブというのを執筆しましたが実はF2ドライバーがF1をテストドライブするという事はそんなに珍しくないんですよ。例えば今シーズンだとウィリアムズからイスラエル人ドライバーでもあり佐藤万璃音選手のチームメイトでもあり親もミナルディでF1ドライブをした事があるロイ・ニッサ二ーがFP1でF1デビューをしているというのも事実です。


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Round8グッドバランスハンガリー

前回は夏休みに俺がトロ・ロッソホンダをテストドライブした事とか書いたけど今回からは再びシーズンに。そして今シーズンも残す所あと4ラウンド。そして今回の舞台はハンガリーハンガロリンク。そこで待ち受けるのは一体?Round8ハンガロリンク開幕!!


前回は夏休みを迎えた俺がトロ・ロッソでテストドライブをしたというのを書いたけど今回からは再びシーズンに戻って俺達が向かった次なる舞台はハンガリーハンガロリンク。この国の有名な所はブダペスト。あの杉原千畝縁の地でもある。 そしてこの地にあるサーキットこそハンガロリンクなのである。このサーキットは2006年にホンダF1第3期初優勝をした地でもある。そしてこのサーキットは俺が得意としてる数少ないサーキットの内の一つでもありGP3でも好成績を残した程相性ピッタリなのである。そして天気はと言うと全日程ともに晴れという最高のコンディションに恵まれた。そして9月の心地よい風が吹いていてとても最高のコンディションである。そして迎えたフリー走行。今回はオールラウンダー型のセッティングをちょっとだけ弄ったセッティングを施して挑むという他チームもあまりやらない様な奇策を編み出した。そしてコースインをしてF2で走るハンガロリンクに慣れる為にかなり走り込んだ結果この日の全体トップでフリー走行を終えた。これには俺も嬉しくてピットに戻って来て結構ルンルン気分でマシンから降りた。なんだろうすっごい久しぶりにルンルン気分でマシンから降りたな。普段はゆっくり降りるのに。これには皆も大満足していた。そして予選でもこの勢いは止まらず、ポールポジションを獲得。そして決勝レース1フィーチャーレースでも流れを掴んで全て自分のペースでレースを進めポールtoウィン。そして決勝レース2スプリントレースでも誰も寄せ付けない異次元過ぎる速さで優勝したけど燃料規則違反を疑われてサンプルを提出して確かめてもらう為一旦保留となったが違反は全く確認出来ず正式に優勝が決定。これでランキングは2位に浮上した。ここまで戻すのにめっさ時間かかったけどそんなのどうでもいい。そしてまさかだったけど次のスパのフィーチャーレースであんな事が起きるとはこの時はまだ誰も知る由もない。そして俺の歯車も狂い始めてる事もだ。次回のラウンドはベルギースパ・フランコルシャン。そしてレースはここでもう一度2ヶ月のお休み期間に入るが恐らく気を抜く事さえ許されないお休み期間になりそう。本当はもう少し落ち着いてゆっくりしたいのに気が抜けないとなると落ち着いて本拠地近くでイタリアで出来た趣味の「自由猫」観察も出来ないじゃないか!頼むから俺にもう少しだけ癒しをそして猫成分を補給させてくれ!!




今回のハンガロリンクGPはどうでしたでしょうか?今回はあまり書く内容が無くて1000文字ジャストですが次回は遂に以前の箸休め回でも書いたスパの惨劇を書いていきます。あの一件から俺の人生は大きなターニングポイントを迎えたと言っても過言では無いくらい。それくらい悲しくて辛い出来事でした。では次のRound9ベルギースパ・フランコルシャンで会いましょう。読んでくださりありがとうございました。


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Round9スパ・フランコルシャンでの惨劇

前回のハンガロリンクで完全制圧をして迎えた第9戦ベルギースパ・フランコルシャンGP。そこで待ち受けていたのは神による残酷なイタズラであった。俺のF2キャリア、いや、人生の大きなターニングポイントとなったベルギースパ・フランコルシャンGP開幕!!


前回のハンガロリンクで完全制圧をして迎えた第9戦。舞台はベルギー、スパ・フランコルシャンGP。この国の有名な物といえばやっぱりチョコレートかな。特に、オレンジチョコレート。なぜ、最初にチョコレートが出たかと言うと、俺が甘党男子だからだよ。そして今回の舞台は、スパ・フランコルシャンサーキット。このサーキットは「オールージュ」と呼ばれる超高速登り坂セクションでも有名なサーキットでもあり、WEC(世界耐久選手権)では毎年ル・マンの前哨戦として各チーム、ル・マン用のローダウンフォースパッケージや、3台目のマシンを持ち込んでレースをするという、「ル・マン前哨戦」という名にふさわしいサーキットなのである。そして今回は、ローダウンフォースのセッティングで行くという方針を固めた。迎えたフリー走行。まずはF2マシンでのオールージュを早く試してみたくて、ガレージでうずうずしてて、早くコースインしたくてたまらなかった。そしてコースインをして、全開でアタックしてオールージュを通った際に、GP3マシンとは比べ物にならないくらい凄いGが俺を襲ったが、それ以上に走っていてとても面白いサーキットだ。そして予選。予選では良い感じの順位に着けたから、まぁ変に心配する必要は無い。そして迎えたレース1フィーチャーレース。このレースがまさか修羅場になるとは、この時はまだ誰も知る由も無かった。シグナルがブラックアウトになりスタート。スタートは良い感じに決まり、無難に1周目を消化して2周目に差し掛かった時のラディオンと呼ばれるオールージュを過ぎた後にある、高速セクションであった。まずはトライデントのマシン(21号車)が、オールージュに差し掛かる所でパンクして、ラディオン付近でスピンした後ガードレールに接触。その3秒後に、俺の2つ前を走ってたRTロシアンタイムズから出てる俺の友人が、それを回避しきれず、時速300km/h近いスピードでフロントウイングを吹っ飛ばしながら、セーフティーバリアに突っ込み、その反動でコースまで弾き出され、俺もメット越しに見えたが、本来ダラーラ社も接触が想定されてないと考えていた、サイドセクションにチャロウズレーシングシステムのマシン(12号車)がフルブレーキして回避を試みるも、回避しきれずにピンポイントで当たってしまった為、モノコックが破壊されて身体が露出して、首もぐらんとしており、意識も無かった。だけどこれだけではなく、マシンの方も最悪の状況だった。コックピットとエンジンの部分が真っ二つに千切れて完全に破壊され、パーツは四方八方へと飛び散った。しかも俺の見る限り、単独ではまずこんな壊れ方しないはずだが、恐らくセーフティーバリアに突っ込んで、その衝撃でマシンがコースに弾き出てしまい、それをチャロウズのマシンが減速しても避けきれず当たってしまって、こんな壊れ方をしたんだと思う。でも明らかに混乱を回避しようとして、ランオフのアスファルトに向かって突っ込んだと思う。とにかく即座に赤旗が振られ、クラッシュしたマシンの2台後(3秒後)にいて、思いっきりブレーキングしてかろうじて止まれた俺のマシン(その間ハンドクラッチパドルを握ったまま)や、その後ろに居たチームメイトの星奈のマシン、果てはその後続車までもが緊急停止してしまったが、皆クラッチを切って止まった為、幸いにもエンストを回避する事が出来た。そして後ろに着けていたチームメイトの星奈と一緒に再スタートしてスロー走行(遅くて時速80~速くて120Km/h前後)の状態でピットまで戻って行った。その際二人揃って国際映像にあの瞬間しか映らなかった為、一時安否が心配されたが、二人ともケガひとつなく無事に帰って来たのが、チームにとって唯一の救いであろう。そしてレース1は、約1時間37分という馬鹿みたいに長い中断を経た後、正式に中断が決定され、レースは再開しないという判断が下された。その間レースディレクターからは、何も指示が無く、ただ不穏な空気がピットレーンそしてドライバーやチーム間で漂っていた。もう事故現場もそうだが、ピットレーンもかなり大混乱していた。チームやドライバーの間では痺れを切らして「レースディレクターは何やってんだ!!」という怒号や罵声も聞こえていた。俺もこれが現実だと受け入れたくないあまり、パニック状態に陥りかけていていた。実はその裏でF1ドライバーであり、現王者でもあるメルセデスのハミルトンがインタビューを受けていた際、このクラッシュを見た時には「ちょっと待って。おいおいおい嘘だろ…マジかよ…」と言って、インタビューを止めるという位の事故の酷さでもあった。そしてレース1フィーチャーレースは、FIAのレギュレーション上レースの75%を消化していない為、レースとしては成立しない代わりに、全員にハーフポイントを与えるという裁定になった。誠真の件だが、どうやら搬送先の病院での懸命な治療の甲斐無く、残念ながら亡くなってしまったという事が翌日伝えられた。この時俺は、良きライバルでもあり、仲が良かった友達を失ったという残酷な現実を突きつけられた。しかし「死」というのは、誰もが避けては通れないものであり、必ず訪れるものでもある。特に、このモータースポーツの世界では。どんなにマシンが安全になろうが、どんなに車両規定が変わろうが、常に「死」と隣り合わせの世界でもある。俺だって、はっきり言って怖いさ。だけど、いずれ訪れる「死」というのを受け入れる覚悟が無ければ、この世界では生き抜けない。俺は彼の死を知った瞬間、大粒の涙を流して目が真っ赤になって痛くなっても泣いていた。「死ぬのが早ぇんだよ!!早すぎんだよ!!馬鹿野郎!!」と自らのマシンの傍で泣きながら呟くと、俺の身を案じてか、チームメイトの星奈(きらな)が「大丈夫…大丈夫…大丈夫…大丈夫。」と俺の所へと駆け寄って、俺の背中をさすってくれたおかげで、少しだけ落ち着く事が出来た。多分、全ドライバーでも辛いのは、俺以外にも沢山居るはずだ。だけど俺は、あいつの最期を看取ってやれなかった、ただそれだけが悔しくて悔しくて泣いていた。あの時すぐにでも、マシンから飛び降りてあいつのとこに行って、もう生きていないと分かっていても、せめて手でも握らせてやれば、話は違ってたのかもしれない。だけどあの直後、俺は体を動かそうとしても、恐怖のあまり、すぐに動いてくれず、そのクラッシュの酷さ、これが現実で起きているという恐怖が故に、手が震え、呼吸が乱れ、無線でも「まさか誠真じゃないよね?ねぇ…ねぇ!何とか言ってよ!!お願いだから何とか言ってよ!!ねぇ!!俺の声聴こえてるんでしょ!!ねぇ!!頼むよ…お願いだから…何とか言ってよ…頼むよ…」と取り乱して、声を荒らげて叫ぶことしか出来なかった。そしてマシンから降りて、ピットまで戻るその前に、少しの間でも良いから、あいつのとこに行ってやれば良かった。それなのに俺は、あいつに背中を向けたまま、何も出来ずにただ残骸が回収されていく様を見て、ピットに戻って行った。もし行けたとしても、マーシャルの制止を振り切って行けば良かった。それで失格になっても構わない考えだった。それだけが、ただただ悔しくて涙が止まらなかった。だけど一度失われた命は、どれだけ泣こうが、どれだけ叫ぼうが、もうこの世には二度と戻ってこない。そして、俺達は今日、一人一人の「人生」の決断を迫られた。友の為、自分の為、チームの為、応援してくれている皆の為に全力で駆け抜けるか、それともこの世界から一旦身を引いて、母国もしくは自分の活動拠点としてる国でモータースポーツとは無縁の平穏な日々を送り、精神的に落ち着いたらまた復帰するかという決断を。だけど、皆の決断は前者だった。もちろん俺もここまで来て、今更逃げ出す訳にもいかない。そう決めていた。そして主催者及び運営は、遺族の意思を尊重して明日のスプリントレースを行わないと発表した。俺は、この発表の直後に、事故現場であるラディオンまで行き、手を合わせて「今まで本当にありがとう。そしてお疲れ様。天国でゆっくりと休んでくれ。後は俺がお前の分まで頑張るからさ。見ててくれ。俺と皆の走りを。」と声をかけて現場を後にした。そして、未だにその恐怖で震える手をグッと握り、涙を堪えながらピットまで戻った。ただ一つ良かったのが、奇跡的にチャロウズのフルブレーキが上手くいき、他の後続車両も皆フルブレーキで減速したおかげで、二次被害を生み出すのを未然に防ぐ事が出来たのが、不幸中の幸いである。もちろん俺も、あのブラインドセクションに到達した時に、何かヤバいぞと感じ咄嗟に減速をして、マシンを止めて、他のドライバーにも止まれという合図を出す事が出来た。だけど、一度見てしまったあの3秒間の惨劇、いや、修羅場は今後一生忘れる事が出来ない光景になったし「トラウマ」にもなった。あの事故の後皆一度F2のトップに招集をかけられ、彼の状況がどうなってるかが伝えられたが、この事は、メディアやSNSでは、まだ発信しないようにする事が告げられた。はっきり言って、俺自身軽くパニック状態に陥っていて、話をまともに聞けるような状況では無かった。そして話が終わり、外へと出てきた俺達の表情にはいつもの様な笑顔は無く、ただ重く硬い表情をしたり、中には涙を流しながら、外で待ち構えていたメディアには「今日俺達は一人一人の決断を迫られた。友の為に皆の為に全力で駆け抜けるか、この世界から一旦身を引いて平穏な日々を送るかという決断を。だけど俺の答えは前者の方だ。理由なんて必要無い。」こう答えて、まさに悪夢ともいえるレースの舞台と化したスパ・フランコルシャンを後にした。そしてレース後に彼が被っていたヘルメット「ブロッサム・カローラMS1」は、俺がご両親の了解を得て、形見として保管する他「3年後の最終戦で使う」という事をご両親に伝えると「君が使ってくれる方が、誰よりも嬉しいはずよ。3年後の最終戦は、きっとあの子にとっても、君にとっても本当の最後の晴れ舞台にしてやりたい。そして3年後の最終戦で君が王者を獲得する瞬間が見れるようにこっちも頑張らないとね!君も3年後の最終戦で王者を獲得できる様に、この今という瞬間を思いっきり駆け抜けてくれ。そして、3年後の最終戦はちゃんとこの目で、君が世界王者になる瞬間を見届けるよ!」と励ましの言葉をかけてもらった。




このエピソードを書いていたらふと2年前にあの世に逝った友人を思い出して アイツ今あの世で何やってんのかなぁ?なんて思いながら執筆してました。ちなみに期間を大幅に改変しており本来のシーズンだと8月のところを11月に変えています。理由は11月に友人があの世に逝ったというのを今も鮮明に覚えて居るからです。今年の2回忌に良い報告が出来るように頑張んないと!!今回も読んでくださりありがとうございました。次回は遂にプレマの母国ラウンドイタリアモンツァ・サーキット!!お楽しみに。


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Round10ティフォシインザイタリア

前回ラウンドのフィーチャーレースで俺の友人でもありライバルでもあった友人が事故であの世に逝ったという事実を未だに受け入れられない中迎えたイタリアモンツァGPそこで見た光景とは?第10戦イタリアGP開幕!!


前回ラウンドのフィーチャーレースで、俺の友人でもあり良きライバルだった友人があの世に逝ったという事実を未だに受け入れられない中迎えたイタリアモンツァGP。実は前回ラウンドが終わってから俺はすぐに日本へと帰国して、通夜に出向きチームメイトとライバルと共に彼の死を偲んだ。そして俺は通夜の帰りに友人のご両親に「俺がアイツの生きれなかった84年分精一杯生き抜きます!!」と思い切って啖呵切ったらご両親も「ありがとうね。きっとあの子も天国で喜んでくれるよ。」と俺に感謝の意を伝えてくれた。でも1番自分にとって一生破れない約束をアイツと交している。それはアイツの棺の前で「俺はこの世でお前が生きれなかった84年分ちゃんと生きてやる!!だからお前は皆を天国から笑顔で見守りながらピンチになった時や絶望的な状況なった時に力をくれ!!そして皆の背中を押してくれ!!」という約束を交わした。このレースからレーシンググローブが変わっており、普段着用している奴からアイツが着けていた奴に変更している。あのレース後にチーム間でのF2史上初となる超大シャッフルが敢行された。これによりアイツのシートを埋めるような形でチームメイトの星奈(きらな)がRTロシアンタイムズに移籍して、空いた3号車のシートには自動的に俺が入り、俺の前回ラウンドまでの愛機だった4号車にはDAMSから移籍してきたライバルが加入という形になりF2史上初となる全チーム超大シャッフルを敢行して、このドライバーラインアップで最終戦アブダビまで走るという事になった。これによってカーナンバーは変更され、俺は「3」に小さく「+1」と入れたナンバーになったが、なぜ「+1」かと言うとそれは彼に敬意を表すと同時に、いつまでも一緒に走るという意味である。今回の舞台はイタリアモンツァ。この国の有名な物といえばピザ、スパゲッティ、自由猫!!自由猫というのは日本で言う野良猫みたいな物。イタリアの場合あまりにも平和すぎて皆人懐っこくてとても警戒心がガバガバである。可愛い…。このレースの舞台となるモンツァ・サーキットはフェラーリのホームラウンドでもあり、熱狂的なティフォシが愛してやまないコースでもある。このサーキットの特徴はなんと言っても高速サーキットの為、ダウンフォースを少なくしたローダウンフォースパッケージで挑むという事だ。そして俺が所属してるプレマのホームラウンドでもある。迎えたフリー走行。だけど走った時の感覚がいつもと違い過ぎる、可笑しい。俺はすぐさまピットに戻って「マシンの感覚が何かいつもと違い過ぎるけど何もしてないよね?俺の気の所為だといいんだけど。」と無線で交信してもう一度コースインをしたけど、やっぱり何が違う。そんな感じでフリー走行を終えて迎えた予選。予選ではまさかの地元ファンの目の前で大暴発してしまい史上初となる2桁グリッドとなった。迎えた決勝レース1フィーチャーレース。このレース前には、前回ラウンドで亡くなった友人に哀悼の意を表す為に皆で1分間の黙祷を捧げた。その1分間モンツァの地が静寂に包まれた。1分間の黙祷後、会場中からは最大限のスタンディングオベーションがこだました。このレースは、とにかく走りきる事に焦点を当てて俺は戦に挑んだ。そしてシグナルがブラックアウト。レースがスタート。スタートは至って普通だったが、問題はその後であった。なんと俺にタイムペナルティの審議対象という事が伝えられた。最初は身に覚えが無かったが後々気づいたら、あの時のオーバーテイクで「俺もしかして押し出して抜いて行ったかもしれない」と気付いてレース終了後3秒のタイムペナルティが課せられたが、もう今の俺にはとにかく完走する以外頭に無かった為、順位なんてどうでもよかった。そして迎えたレース2スプリントレース。グリッドは幸いな事に20番台では無くまぁ心配する事はない。シグナルがブラックアウト。スタートはフィーチャーレースよりは上手く行った。俺の場合レースウィーク中、特にフィーチャーレースでタイヤをカットしてまった為、スプリントレースでは終始タイヤに気を遣いながらのレースだったが、惜しくもチェッカーフラッグが振られフィニッシュ。結果は入賞手前の11位完走。俺はレース終了後、ヘルメットの中で涙を流しながらパルクフェルメへと戻りマシンを降りてガレージへと戻って行った。でも俺の戦いぶりを見たファンはありったけの祝福を俺に贈ってくれた。今の俺は勝つよりもこれの方がよっぽど嬉しいのだ。ランキングはノーポイントの影響で6位まで転落したがまだチャンスはある。残りの2レースもアイツの分まで走ると決めてるんだ!!。次のラウンドはロシアソチオートドロームサーキット。次回も全力全開で行くぜ!!そして、レース後に俺はメディアに対して、「彼の家族、友人、そして彼を最後の1秒まで助けようと全力を尽くしてくれた医療関係者に最大限の敬意を払いたい。友達が亡くなったからこの世界から足を洗ってなんて言うバカな事は出来ない。逆に失礼に値する。だから俺はこれからも走り続けるし絶対F1に行くと彼に約束してきた。」と答えた。一時はチームメイトとなった愛咲ちゃんと共に、このレースを撤退しようと考えていたが、誠真のご両親やチームの皆から出て欲しいという声が多く挙がったのとご両親が「ポンッ」と2人の背中を押してくれて「行ってきなさい。その方があの子も喜ぶよ」と優しく言ってくれて、当初はチーム側がメンタル面を考慮してこのラウンドを撤退すると表明していたが、それを撤回して出走する決意を固めてエントリーした。なんて言う経緯があった。




遂にシーズンもあと2ラウンドとなった中迎えたイタリアGPですがファンの存在はとても大切だと言うのに気付かされたラウンドでもありました。そしてこれは本来プロローグで語るはずだった話ですがチームとは1年契約の為アブダビGP終了後に契約満了となる為新たなチームを探さないと大変な事になります。今回も読んでくださりありがとうございました。次回もお楽しみに。


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Round11 ブライトストリームインザロシア

前回ラウンドはあの事故を受け入れられない中頑張って完走を果たした俺達が向かったのはロシアにあるソチオートドローム。そこで待ち受ける運命とは一体何なのか?俺のF2参戦記ファーストシーズン最終回直前となる第11戦ロシアGP開幕!!


前回ラウンドは2レース共にノーポイントながら完走を果たし自分に少しでも希望がもてたイタリアGPだったがそんな俺達が向かったのはロシアにあるソチオートドローム。この国の有名な物といえば、ボルシチ、ピロシキ、マトリョーシカ、チェブラーシカである。そしてソチオートドロームはソチオリンピックの会場内に作ったサーキットとして完成当初はマスメディアからも大いに注目されていた所でもあった。そしてセッティングは「ミディアムダウンフォース」というちょっと中途半端なセッティングとも言えるセッティングを使う事を計画していた為ある意味初めてづくしでもある。これは余談なんだけど俺が昨年まで参戦していて、今シーズンはカーリンから俺の1つ下の後輩、佐藤晴南選手が参戦している「GP3」が来シーズンからは「FIAF3WorldChampionship」となり車両も新規定車両となる「ダラーラF3/19」となる模様でレースは全8ラウンド+マカオF3(これは任意参加であり強制では無い)となる。そして最終戦の舞台がここロシアソチオートドロームになるとの事。そして今シーズンも次でおしまいとなり、俺もプレマに別れを告げるとなると少し悲しい気持ちになるが俺が今出来る事は、このチームに恩返しをする事。それしか浮かばない。でもまだ涙は堪えていた。流すのはまだ早いと。そして迎えたフリー走行。このセッションでは全体トップタイムを叩き出して終えた。そして予選では久しぶりのフロントローとなり俺も大満足の結果で終えた。そして迎えた決勝レース1フィーチャーレース。レース前俺は何故か普段よりもテンションが高かった。何故だろうか?共産主義国だから「アカ」の血が騒いでるのだろうか(笑)それとももっと別の要因で血が騒いでるのだろうか?そんな抑えきれないハイテンションの中グリッドに向かいセーフティカーランの時にはステアリングを握る力が普段の2倍くらいになっていた。そしてシグナルがブラックアウト。スタートは失敗したと思ったらまさかのロケットスタートをぶちかましてこれには現地ファンも大盛り上がり。そしてピットインをしてタイヤ交換義務を消化するとそこからはもう完全に俺のペースでレースは進みフィーチャーレースは俺の久々の勝利となりランキングは6位から5位へ。そしてレース2スプリントレースは俺の独壇場となり誰も追いつけない超ハイペースで飛ばしてこのレースも圧勝となりランキングは1つ上がり4位となり今シーズンのラストとなる最終決戦アブダビヤスマリーナGPに向かうのであった。




今回の第11戦ロシアソチオートドロームGPどうでしたでしょうか?次回は遂にファーストシーズン最終回となる第12戦アブダビヤスマリーナGP!!今シーズンの集大成でもありプレマでのラストレースそしてラストランとなるラウンドをお楽しみに!!今回も読んでくださりありがとうございました。


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Round12「最終回」ヤスマリーナグランドフィナーレ

前回ラウンドでは完全復活を果たしランキング4位で迎えた最終決戦アブダビ。そしてこのシーズンの最後を飾るのにピッタリなラウンドでもある。そして舞台はヤスマリーナ。夜のサーキットで今シーズンの最後を彩る時速300km/h以上のマシンが織り成す幻想的な宴ここに開宴!!


前回は、俺の完全制圧で終わって迎えた最終決戦、アブダビヤスマリーナGP。そしてプレマでのラストレースとなるこの第12戦アブダビGP。舞台はアラブ首長国連邦の首都アブダビにあるヤスマリーナサーキット。しかし、いざシーズンを振り返ってみると、ほんとにあっという間に最終決戦を迎えてしまった。それもヤスマリーナで始まりヤスマリーナで終えるというのがあと2年続くとなると、ある意味勉強にもなった1年でもあり、多くの事を学んだりした1年でもあった。そして残酷な現実を突きつけられながらも成長した1年でもあった。そして俺は、レース2のチェッカーランの時に今までの感謝を伝える事を決めていた。そんな中迎えた、今シーズン最後のフリー走行。俺はこの最終戦に限ってマシンデザインを変えている。それは、シャークフィンの部分に自分の名前を英語から漢字に変えており、漢字で「輝」とデザインされている。そしてマシンに乗る前に、ここまで戦い抜いたチームクルーと固い握手を交わしエンジンに火が入り、俺は監督に無線で「本当に最後になるけど…今までありがとうございました。そして行ってきます。」とコースインをして、ピットレーンを走行してる時監督から無線で「私も君というドライバーに出会えて本当に良かった。色々楽しませてもらったよ。それじゃ、行ってらっしゃい!!」と交わしてコースイン。このプレマレッドとシルバーに彩られたマシンと過ごす最後のレースウィークの内の1日を噛み締めるかのように走り込んだ。そして結果はセッティングがかなり決まっていて全体トップかつコースレコードを更新という結果に。そして予選では皆ラストという事もあり予想以上に気合いが入っていた。勿論俺もその中のうちの一人だ。そして予選開始が告げられると各車両一斉にコースイン。各車両ウォームアップを終えると今シーズンのラストを飾る前哨戦が始まった。ここからはもう皆明日のポールポジションをかけた戦いが始まった。そしてコンマ1秒を削る戦もだ。そして予選はデスマッチとも言えるくらい白熱した争いとなり全チーム一時たりとも予断を許さない状況になった中予選は俺のスーパーラップが炸裂。そして俺のタイムに触発されて皆してタイムを更新しようと試みたが惜しくも届かず結果は俺のポールポジションとなった。そして迎えた決勝レース1フィーチャーレース。ここまでチーム一丸となって頑張って来たんだ!このラウンドは最高の形で終えたい。という一心でセーフティカーラン終えグリッドに着きシグナルがブラックアウト。スタートは今まで以上に完璧なスタートを決めて後ろとの差をガンガン引き離して迎えたピットイン。ピット作業も完璧にこなしてチェッカーフラッグが振られフィニッシュ。だけどこれはまだ始まりであり次のスプリントレースが本当の最後。そして迎えた今シーズンのラストを飾る決勝レース2スプリントレース。俺はこの最後のレースを表彰台でもいいから終えたいと思っていた。そしてシグナルがブラックアウト。スタートは過去最高レベルの出来だった。そしてDRSゾーンに入り相手のスリップを奪って豪快にオーバーテイクをしてファンそして観客を大いに沸かせた。そしてチェッカーフラッグが振られフィニッシュ。結果は3位で終えたが俺は無線で「1年間本当あっという間に終わっちゃったね。このレースでこのチームとお別れとなると少し寂しいけどここまで来れたのは本当に皆のおかげなんだ1年間本当にありがとう!!そして…ここで過ごせたこの1年は次のシーズンに繋げられる良い勉強にもなった1年でもあり多くの事を学べたのも本当に君達プレマのおかげだよ。ありがとう!!」と涙を流して泣きながら無線で感謝の意を伝えた。そしてガレージに戻り皆と記念撮影をして今シーズン最後のレースを終えた。そしてポイントランキングは3位でルーキーシーズンを終える事ができた。そしてこの物語は2nd seasonへ続く。




遂に1st season最終回を迎える事が出来ました。いやぁ〜長かったぁ〜!でもいざ終わってみるとあっという間に終わるもんだなと改めて実感できました。これで1st seasonはおしまいですがまだまだ物語は続きます!!そして次回の2nd seasonもアブダビテストからスタートです!!お楽しみに!!読んでくださりありがとうございました!!


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Round13エピローグ

前回最終戦でプレマラストランを終えた俺は次にどこのカテゴリーにエントリーしようかと悩んでいた所に日本から連絡が来て「SFルーキーテストに出てみないか?」と打診される。これはこのストーリーのエピローグでもあり番外編でもある。


アブダビでのプレマラストランが終わり、暫くの間イタリアで「束の間の自由」を謳歌してた時に、1本の電話が俺に来た。よく見ると日本から連絡が来ており、どうやら山本MDからだった。俺は、何だろうと思い電話に出ると、山本MDから開口一番「来月に鈴鹿でSFのルーキーテストがあるけど、出てみないか?きっとF2とのいい比較対象にもなるし日本のトップフォーミュラをもう一度経験出来る絶好のチャンスだと思うよ。あっ、それとひとつ、シートは取り敢えず、ドコモチームダンデライアンレーシングを確保してある。まぁひとまず日本に帰って来てくれ。」と言われ俺は「分かりました。すぐに準備して日本に帰国します。帰国でき次第すぐに鈴鹿サーキットに向かいます。」と返事をしたら「慌てないで大丈夫だから。」と返事が帰ってきた。これには俺も思わず納得してしまったがもう日本に帰国する準備は出来ており、すぐにでも帰国出来るような状況だった。そして帰国の日。俺は1度イタリアに別れを告げて空路羽田に着いた。久しぶりに吸う日本の空気も悪くない。そして羽田空港内で「時差ボケ解消食」を済ませて

 

歩いていても、俺の場合は、意外とみんなに気付かれずに済んだ。流石度付きサングラス!やる時はやるねぇ!!そしてまずは、修善寺にある実家に帰って、近況報告とかしようかなと思ったけどそんな余裕は無かった。とにかく鈴鹿サーキットに向かう事で頭いっぱいだったから、そんな事考える時間も無かった。そして鈴鹿サーキットに到着して、ドコモチームダンデライアンレーシングのガレージへと向かった。そこにはあの紅白のドコモカラーのマシンに俺の名前が貼られており、凄い嬉しかった。そしてシートの型どりや、改めてステアリングのレクチャー等一通り終わって、いざ久しぶりにマシンに乗り込むと案外自分にフィットしており、安定感もあった。F2のマシンも自分にフィットしており安定感もあるけど、SF14の方が少しだけ上だった。そして帰国後初のフォーミュラカードライブの時間となりコースイン。リミッターを切るやいきなりF2とはまた違う加速の仕方だった。しかもいきなりレブったからマジでビビって、もう冷や汗かいちゃったよ。だけどそれより最も怖かったのが西ストレートからのあのカーブかな。はっきり言ってノンブレーキで突入した際マジで首が引きちぎれるかと思った。それくらいのコーナリングGが俺を襲うのだ。もうコーナリングGは皆が言う通り、F1に匹敵するというのは本当だった。てか東セクションのあのS字でさえ首が痛かったから相当な代物だと言うのも理解出来た。そしてピットインしてガレージへ戻りマシンを降りたらまずは笑いが1番だった。なんでかって?こんな楽しいマシン乗ったの昨年ぶりだからだよ。でもこのテストで分かったのは、ヨコハマとピレリの特性の違いかな。それとまず苦労したのが感覚があまりにも違いすぎすぎて最初の内はその感覚に適応する事から始めた。でもSFにはパワステ着いてるからF2よりステアリングは軽かった。F2でもいい加減着ければいいのに。そして2日目となる最終日も同じチームで走ってこの日の全体トップを叩き出してルーキーテストは幕を閉じた。そしてガレージへと戻りマシンを降りてメット類全部脱いでチームの皆にお礼をした。「今回はこのような機会を設けてくれてありがとう。凄い良い経験になったよ。もしかしたらまた来年も来ると思うからその時もよろしくお願いします。」とお礼をしたらチームの代表は「君みたいな凄いドライバーは初めて見たよ。普通のルーキードライバーとはひと味もふた味も違う走りを見て俺もとても驚いたよ。そして来年もまたおいで。」と声をかけてくれて俺も「また来年のルーキーテストもここで走りたいです!!」と返事をして鈴鹿サーキットを後にしてまた自分の活動拠点であるイタリアに戻り次なる活動拠点となるフランスへの引越しの準備を進めた。



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特別企画 今シーズンのエントリーリスト及び各チーム毎のプレイバック

今シーズンを戦い抜いた全ドライバーのエントリーリストを一挙公開!!


まずは、昨シーズンチームタイトルを獲得した、ロシアのRTロシアンタイムズ。今年はシーズン途中で三鷹選手を事故で失う悲しい出来事にも直面したが、それでもめげずにランキングトップ4を獲得。

 

No1 三鷹 誠真(Rd1~9)†(享年16歳)(ベルギーGPレース1の多重事故で死亡)(ルーキー)(日本)、宮藤星奈(きらな)(Rd10~12)(三鷹選手の後釜としてエントリー)(ルーキー)(日本)

 

シャシーナンバーはF218-002&F218-021

 

No2 李一飛(リー・イーフェイ)(フル)(ルーキー)(中国)(16歳)

このチームは、本当に速かった。もし、このままの組み合わせだったら、本当に王者取ってた。それくらい速かった。あの時見た、「蒼き閃光」は、今も消えること無く、輝いてるよ。誠真。

 

シャシーナンバーはF218-017

 

今シーズン、日本人ダブルルーキードライバーコンビながら、ランキングトップ3を獲得したイタリアの名門チーム、セオドールプレマパワー

 

No3 宮藤星奈(きらな)(15歳)(Rd1~9)(ルーキー)(日本)、九嶋 輝(Rd10~12)(宮藤選手のシートを埋める形)

 

シャシーナンバーはF218-003

 

No4 九嶋 輝(Rd1~9)(ルーキー)(日本)(15歳)、角田 愛咲(Rd10~12)(15歳)(ファーストになった俺の枠を埋める形)

 

シャシーナンバーはF218-004

 

このチームは、強豪と言うだけあって、何もかもが凄かった。シーズン途中に起きた悲劇を乗り越えて、皆で掴んだトップ3。本当に、愛咲ちゃんの仕事ぶりにも感謝してるし、星奈が、プレマを去る前に、俺に「私が居なくなっても、あんたなら大丈夫!だから私があんたに、このシートをあげたのも、私があんたを信頼出来るからあげたから。それだけ。後のことは任せたよ!輝。やっと…名前で呼べたね。……楽しかったよ。一緒に走れて。また一緒に走れるその日まで、私も頑張るから!」その一言が、俺を助けてくれた。それ以来、カーナンバー「3」には、ただならぬ縁がある。

 

今年は、ラティフィと雅2人揃ってランキングトップ10入りを果たしたフランスの名門チームDAMS

 

No5 ニック・ラティフィ(フル)(カナダ)(21歳)

 

シャシーナンバーはF218-005

 

No6 白石 雅(ルーキー)(フル)(日本)(16歳)

 

シャシーナンバーはF218-006

 

このチームは、ラティフィが引っ張ってくれたおかげで、常に安定した成績を残せてた。特に、バランス特化型のマシンは度々強さを発揮。俺でさえ手こずった程だ。

 

今年は、ラッセルがシリーズタイトルを獲得したフランスの名門チームART GP

 

No7ジャスティン・ラッセル(フル)(ルーキー)(イギリス)(19歳)

 

シャシーナンバーはF218-007

 

No8角田 愛咲(Rd1~9)(ルーキー)(日本)(15歳)、ニック・エイトキン(Rd10~12)(イギリス、韓国)(ルーキー)(19歳)

 

シャシーナンバーはF218-008

 

このチームは、多く語ることは無い。だって、上記に書いてあるのが、今シーズンを物語ってるから。でも強いて言うなら、角田選手の後任で途中加入した、エイトキンがラッセルのペースに追いつけなくて、地獄を見たくらいかな?

 

今シーズン、双方のマシンで実に4人もドライブした、オランダのチーム、MPモータースポーツ

 

No9 リカルド・メルヒ・ムンタン(Rd1~8)(ルーキー)(スペイン)(23歳)、ラルフ・ボコラッチ(Rd9~12)(ルーキー)(フランス)(24歳)

 

シャシーナンバーはF218-009

 

No10 ライアン・ボシュン(Rd1~10)(スイス)(25歳)、ミカ・カリ(Rd11~12)(ルーキー)(フィンランド)(19歳)

 

シャシーナンバーはF218-010

 

このチームは、ドライバー人事が荒れに荒れまくってた。それくらいしか、書けんよ。マジで。

 

今シーズンは、チームが大混乱して迷走を極めた、オーストリアのBWTアーデン・レーシング

 

No11 カルロス・ギュンター(Rd1~11)(ルーキー)(ドイツ)(22歳)、アレックス・ティクタム(Rd12)(ルーキー)(イギリス)(19歳) もう、このチームも、後々のトライデントも書くことなさすぎて、逆に笑えてくるよ。本当に。強いて言うなら、愛美ちゃんが、地道にコツコツとポイントを獲得してた事くらいだ。

 

シャシーナンバーはF218-011

 

No12 菅田愛美(フル)(ルーキー)(日本)(16歳)

 

シャシーナンバーはF218-012

 

今シーズンは、ギオットが殆どポイントを獲得していた、スペインの名門チーム、カンポス。今シーズンは、新たにタイトルスポンサーとして、ヴェクサテックという企業がスポンサーに就任した為、カンポス・ヴェクサテック・レーシングとしてエントリー。

 

No14 ルチアーノ・ギオット(フル)(イタリア)(26歳)

 

シャシーナンバーはF218-014

 

No15 リナス・ニッサ二ー(Rd1~10)(ルーキー)(イスラエル)(24歳)、リカルド・メルヒ(Rd11~12)(23歳)

 

シャシーナンバーはF218-015

 

このチームは、途中でニッサ二ーが負傷退場。とりあえず「放浪人生活」していた、メルヒを走らせたりと、そこそこ良い順位取ったり、俺らがカオスになって、とっ散らかった時に強さを発揮してたイメージがある。

 

今シーズンもお約束の「テールエンダー」になってしまった挙句、フェルッチの問題行動が目立ちに目立った、イタリアのチーム、トライデント。

 

No16 ジェハン・マイニ(フル)(ルーキー)(インド)(18歳)

 

シャシーナンバーはF218-016

 

No17 スコット・フェルッチ(Rd1~7)(アメリカ)(19歳)、ルカ・ロランディ(Rd8~12)(ルーキー)(イタリア)(22歳)

 

シャシーナンバーはF218-017

 

もうこのチームは、書くことねぇからいいや!もう!上記に書いてあるのが全てだし。だってこのカテゴリーで「集金」してGP3に強さ全振りしてるんだぜ?そらそうなるよ。

 

今年は、ノリスが見事F1昇格を果たした、イギリスの名門チーム、カーリン

 

No18 リチャード・ノリス(フル)(イギリス)(19歳)

 

シャシーナンバーはF218-018

 

No19 ニコラス・セッテ・カマラ(フル)(ブラジル)(21歳)

 

シャシーナンバーはF218-019

 

このチームは、2人強くね?ガチでチートだろ!そりゃノリスも王者取れますは。そして、誰もがシートを渇望する訳ですは。なんか可笑しいなぁって思ったら。

 

年齢は、エントリー時の年齢で、フルエントリー勢は、エントリーリストに記載された時の年齢です。

 

 



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