女神と妖 (孤独なバカ)
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プロローグ

「氷河!!もう早く起きなさい!!」

「……」

「あ〜今日からでしょ?下宿させてもらうのだからバスに遅れるわよ」

「……う〜ん。後5分」

「いいから起きなさ〜い!!」

 

と俺は母さんに起こされる。

渋々起こされて俺は渋々食卓へと向かう

すると大広間に俺がたった

 

「母さんもう少し寝かせてくれよ。」

「もう。いいから起きる。もう中学生でしょ?」

「いやだってさ。夜中の徘徊行っていたら流石に眠いんだよ。兄貴も今日まで遠野だろ?流石に本家で学校行っているんだし」

 

俺は首を掻きながらあくびをする。

すると呆れたような母さんに俺は気にせず歩く

 

「つーか。父さんは?」

「リクオ様?リクオ様なら今は四国の方に入られますよ」

「……はぁ。挨拶だけしていこうと思っていたんだが。まぁしゃーない。俺は後継ではないし、ぬらりひょんとしての血は多いことはないしな。母さんの血の方が多いことは確かだしな」

 

ぬらりひょんの孫と雪女の子供である俺は妖怪奴良若頭候補であったが兄に全ての権利を捨て、俺は

名前を変えることで全てを手放したのだ

 

「……本当にいいの?その選択で」

「いい。……まぁ籍も及川だもんなぁ。つーか母さんいい加減父さんのことリクオ様って言うのやめたら?」

「えっ?でもリクオ様はリクオ様ですし〜」

「まぁいいけど。兄貴には助けが必要なら呼んでって伝えておいて。戦闘面であれば力になれると思うし特攻隊隊長の名がなくから」

 

と言いつつも俺は2度と呼ばれないことが分かっている

俺は小さく、そして一つだけ父さんからもらった祢々切丸を持ち懐に入れる

この刀は家宝の一つであるが実際のところ、これは縁切りみたいなものだ。

だから母さんの涙腺が緩んでいるのは仕方ないだろう。だってこれは俺が独断で決め、組みのためを思ってのことだったのだから

 

「はぁ。そういう自由気ままな性格は誰に似たんですか」

「元々ぬらりひょんってそういう妖怪だろ?」

「まぁ、そうなんですけど……」

「それに、俺がいたら邪魔だろ?兄弟でも後取りは一人だけ。俺が修行しているうちに遠野の奴らと協力して安倍晴明の残党たちとやったリクを誰もが四代目って認めるって」

 

事実俺はそっちの方があっている。妖怪の強さ的には俺の方が強いのだ

だからこそ俺を後取りに勧める妖怪もいる。特に外部との繋がりが多い俺にとって都合のいいのだろう

そして雪女にも継ぎ先は存在している。セララ姉さんがいるので結果的に俺は後継というところから奪回してくるようになる

 

「まぁ、姉さんもしっかりしているし、俺はゆっくり隠居するよ。……兄弟で争うのは、絶対に嫌だから」

「……」

「まぁ、今生の別れってことでもないし、妖怪は寿命が長いんだろ?嫁さん見つけたら見せにくるよ」

 

とけらけら笑う。いや笑うことしかできなかった。

当然のことだろう。恐らく最低数百年は俺たちは会えないのだから

 

「えぇ。その時はおいしい……料理を……作って」

 

ついに涙腺が解けたのか俺に抱きつき顔を埋める

全く、母さん俺たちを産んでから涙脆くなったって聞いていたけど

 

「はぁ。泣くなよ母さん。つーかいつかは分かっていたじゃねーか。リクか俺。どちらかは離れて暮らすことになるって」

「でも。」

「でもも無いから。まぁ下宿先もひいじいちゃんの知り合いのところだろ?それなら大丈夫じゃねーの?俺が半妖ってことも知っているんだろ?」

 

どうやら戦国時代から忍の一家と言われてきた人間の一族らしい。

八重樫って名は正直聞いたことがないのだが

 

「……まぁ。父さんにも。母さんにも時々顔を見せにくるって。だって俺はぬらりひょんなんだから。ぬらりくらりとやってくるさ」

「全くそういうところは、お爺様とお代わりないですね」

「あぁ。……まぁ全く、食べようぜ。もう冷えていると思うがな」

「あっ。温めてきます」

「いいから。母さん。そんな暇あるんなら話そうぜ。……冷たい方が俺は好きだしな」

 

と俺はそのまま歩きはじめる

リクも父さんも分かっているのだ

いつかは絶対に戻ってくると

百年、いや二百年になるかもしれない。

でも、俺はいつかリクの元で

リクの息子の元でまた前線に出たい

家督争いが治るまで俺はまた自分を強化し続けるのだ

 

俺の名前は及川氷河

 

ぬらりひょんと、雪女の血を受け継ぎ者なのだから



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八重樫家

ここかなりオリジナル要素、ネタバレが含んでいます


「次は…」

 

バスに揺られ30分、修行とはいえ剣術や忍術についての修行であるが都心からそこまで離れてはいないのであまり遠くはなく奴良組の傘下だ。

……正直俺も詳しくは知らないんだがどうやら北条と徳川きっての忍びであり、今は剣術道場として過ごしているとか。

同じ年の子供さんがいるとも聞いているし少し楽しみであることには違いない

 

「……人間50年。妖1000年か」

 

ぽつりと呟く。俺は色々とこの十一年で大型連休を使い色々と修行に出ていた

京都、九州、四国、遠野が比較的多く、昔父さんがお世話になったところらしい

そのおかげで修行としてはかなり捗ったものになったのだ

一応俺の島に入っているため自由にしてもいいと父さんから言われている。夜も出入れは自由で比較的に自由だという

妖術を使うかは任せると言ったが恐らく使わない方がいいだろう。

それがリクのためでもある

組みの安定をとるには俺という存在が邪魔なのだ

今は組の内戦に費やしたらいけないって夜の俺が言っている

目的の家に着くころにはお昼を少し過ぎた頃になっており人もそこそこでていく

桜の花が咲き、季節が移り変わっていくのだろう

 

「…てかでけぇ」

 

うちの組も家はかなり広いと思うのだが。八重樫家もかなりでかいな

まぁ、道場が同設しているので当たり前かと思っていると

う〜ん。まぁここは普通にはいるか

と呼び鈴を探そうとしたら妙に雰囲気が違うインターフォンがある

……ここら辺は俺らの家と同じなんだな

と思いつつそれを鳴らす。

簡易的な音がなりしばらくなるとプツっと音がした

 

「はい?どちら様でしょうか?」

 

どうやら出たのは女性の人らしい。俺は早速話しかける

 

「すいません。今日からお世話になる及川氷河って者ですが」

「及川?えっと?道場への参加者でしょうか?」

「えっと?……確か……たかぞうさん?しゅうぞうさん?すいません。ひいじいちゃんから聞いてきたのでお名前がどちらなのか分かりませんが、その方がうちのじいちゃんと知り合いで今日から居候をさせてもらう予定になっているんですが……」

「えっ……?」

「えっ?」

 

数秒間空白が生まれる。

 

「しょ、少々お待ちください!!お爺ちゃん!!どういうこと?」

 

と掛けていく音が聞こえる

もしかして聞かされてないのかと思っていると

 

「あれ?もしかして君が及川くんかい?」

「えっ?あっはい。そうです」

 

すると反射的に頭を下げる。見知らぬ土地だから俺も少し不安だったので俺は知っている人がいたと思って少しだけホッとしたのだ

その男性の頰には切り傷がつけられた渋い男性だ。年齢は40代くらいだろうか?

 

「僕は八重樫虎一。ここ八重樫流の師範代を務めさせてもらっている。君のひいお爺ちゃんとはもう四百年くらいの付き合いでね。実は一度あったことがあるのだけど」

「すいません。記憶にないですね」

「だろうね。まぁ、入って。裏の道場には君と同じような人がいっぱいいるからね」

 

同じような人たち。即ち妖怪ってことは明らかだろう。

表があれば裏もある。こうやってこの人たちはこの街を守ってきたのだろう

中に入ると整備された日本庭園が存在しており、これじゃまるで本家の庭と似ている

客間に通されるとすると日本風の豪邸といった方がいいだろう。いかにも和風という雰囲気があっている

 

「とりあえずここの部屋は自由に使っていいよ」

「えっ?」

「元々来客は多いけどリクオくんの息子なんだろう?それも十分剣が立つって聞いている。こういった修行は初めてではないんだろう?」

「…一応。えっと?」

「雫がいない場所では普段通りでいいよ。ぼくも父さんも知っているから」

「……雫さんですか?」

 

俺はさっきの何も聞かされなかった女性を思い出す。

もしかしてあれが他の人が話していた場合蔵かどこかに隠されていたのか?

 

「うん。雫の前では裏のこともなるべく話さないでくれないかな?そういうのは一切伝えないようにしているから」

「……えっと。もしかしてですが」

「うん。君には八重樫の名を継いでもらいたいって思っている。苗字は変えなくてもいいから。事実上の養子ってことになるかな?元々僕たちは奴良組と大阪城の変以上の長い付き合いなんだ。先祖様が元々の総大将であるぬらりひょんと義兄弟のちぎりを交わす程度にはね」

「それ初めて知りました」

 

初耳である。というよりそれをなんで教えてくれなかったと聞きたいんだが。

するとそれを笑っている

 

「多分リクオくんも、リクくんも知らないんじゃないのかな?いや、若い世代の人は恐らく知らないだろう。でも、人間でも組のためにできることがある」

「そういえば父さんとは」

「小学生から高校まで護衛をやっていたんだ。リクオくんとはそこまで話さなかったからあっちは覚えてないだろうけどね」

 

なるほどな。

確かに俺が知る限りはかなり仲がいいグループが小学生のころからずっと形成されていたこともあるんだろう

 

「そういう氷河くんは大丈夫なのかい?八重樫の名を継ぐってことになっても」

「俺にとってはありがたいですよ。半妖の俺にも居場所ができますし。それに俺の特技もどちらかといえば戦闘寄りなんで」

「表の道場にも表向きは参加してもらうけどいいかね?一応門下生とさせてもらうけど……」

「実際剣術については何も分からなかったんでありがたいです」

 

俺は戦闘ばっかりで技術面的なことはよく分からなかったしな。こういうのは少し楽しみだ

 

「それじゃあ、八重樫の門下として、登録しておくよ」

「はい。これからお願いします」

 

と頭を下げる。思ったよりも優遇されているなぁって思いながらも俺は少し嬉しく思ってしまう

そして、その後家族の紹介と家の案内をしてもらい、俺はその日の午後に届いた自分の荷物の整理をすることにより初日は過ぎていった




設定上ここ繋いでおかないと後々面倒なことになるので
アンケート乗っけておきます。基本的に地球組オンリーになる予定


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夜中の庭にて

「……」

 

俺は朝早くから目覚めると見知らぬ天井が俺の前に立ち塞ぐ。

いつもの騒がしい様子は既になく、ただ静かな夜が広がっている

 

「こんなに寂しいものなのか」

 

一人での夜はかなり寂しい。いつもなら夜に付喪神と遊んだり、酒盛りをしているのだが

……はぁ。

客間だけあって綺麗であり、整理整頓がなされている

 

「夜中であれば振ってもいいって言っていたな」

 

愛刀である祢々切丸を取り出す

俺の護身刀であり毎日のように振ってきた

5歳くらいに夜の父さんから剣の腕褒められ俺はいつの間にか夜の街に多くのめり込み、小学生三年になるころには早いと言われたが自分のシマをもらうことになったのだ。

元々は俺一人だったが、地方を巡るうちにいつの間にか付き従う者は多くなっていった。いつからか、そこは境界のない国として俺は俺なりのシマを作っていったのだ

……やっぱり自分だけが傷つくやり方はらしくなかったかな

百鬼夜行。言わずもがな俺も一部隊として父さんの百鬼に加わっていた

……少し外にでるか

俺はしばらくは妖怪ではなく人間として暮らすことになる

庭に出ていると春に近づいているにも関わらず闇の中は北風が吹いていた

冷たい風は俺にとってかなり気持ちがよくそしてしばらくの間その風を感じていた。

 

「いい風だな」

 

夜中にポツンと声が響くとがさっがさっと足音が聞こえてくる

 

「ん?」

「……何しているのかしら?あなた」

 

するとポニーテールの女性が現れる。えっと確か八重樫雫さんだったかな?

 

「夜風に当たっているんだよ。涼しくて気持ちいいだろ?」

「こんな深夜に?」

「あぁ。夜が好きなんだよ。だから時々起きて夜中にぶらぶらしているかな?」

 

俺はそういうと八重樫さんがジト目で見てくる。まぁ当たり前だろう

 

「えっと」

「私のことは雫でいいわよ。これから一緒に住むわけだし」

「じゃあ俺も氷河でいいぞ。前の家でもそう言われていたしな。雫はなんでここに?」

「あなたが出てきたから迷ったんじゃないかって思って。私の家広いから」

「あ〜。そりゃ悪いことしたな」

 

と苦笑してしまう。俺の家もっと大きいことを知らないとこうなるんだよなぁ

 

「まぁ、こうやって闇夜に浮かぶ月を見るのが自分のとっての気休めになるんだよ」

「月ね」

「あぁ。月夜に浮かぶ桜が好きでよく父さんと見てたんだよ。たまに剣で打ち合ってくれて……楽しかったなぁ」

 

俺は少しだけ見上げる。

 

「まぁ明日から早速学校と道場があるから早めに寝るけどな。軽く素振りでもしとこうかなって思ったんだよ。どうやら剣道の道場が表向けなんだろ?剣術については個別に教えてくれるらしいから」

「剣術?……剣道を習いにきたんじゃないの?」

「俺は剣道はやったことないな……元々俺がやっているのは人間を相手じゃないし」

 

俺は苦笑してしまう。すると雫はキョトンとしているが知らない方がいいだろう

と思った矢先だった。どこか妖気に見られているような気がした

 

「っ!避けろ!!雫!!」

「へ?」

 

俺は一瞬の反応が遅れた雫を押し倒す。するとその瞬間大きな鳥が俺たちの真上を通り

……ヤベェ付けられていたのかと思っていたらすぐにその妖怪が現れる

特徴をあげるのであれば人面鳥であることには……脳内の妖怪図鑑から俺はどんな妖怪か探り当てる

そして今まで殺気に敏感な俺が気づかなかった理由が視線を見たら明らかだった

こいつ俺を命を奪うっていうより、俺と雫の両方に目がいっているらしい

 

「へ?な、なに?」

「野良の姑獲鳥だな。……お前狙われているらしいぞ?」

「こかくちょう?」

「妖怪の一種だよ。妊婦が死した後変じたもので、その恨みから人間の子供を攫っては自分の子として育てる妖怪だな。危害は少ないけど……どうやら結構計画的な犯行。即ち雫を狙っていたぽいな」

 

妖怪という言葉に雫がキョトンとしていた。まぁ初めて見る妖怪。まぁ妖怪もどきが近くにいるのだが雫にとったら何が起こるか分かってないんだろう

 

「あら?そこの坊ちゃんは知っているのかしら」

「生憎妖怪については人一倍詳しくてね」

 

なんせ元々後継者として何かあった場合俺が継ぐことになるのだ。

これくらいの知識は持っている

 

「……んで?一度避けられた相手にまた仕掛けるのか?元々あんまり戦闘力を持っていない妖怪だったはずだ。あんたら組に入っていたら別だがどうせ野良妖怪なんだろ?」

「あら?あなたたち二人で、それもあなたはここの門下生になりたて。そんな美味しい二人が夜中にさまよっていたらさらうしかないでしょ?」

「……に、逃げましょ?氷河。」

「逃げるってどこにだよ。家特定されているから既に逃げ場はないんだぞ?」

 

と俺は懐から鞘を取り出し刀を抜く。

いつも俺の愛刀片手に

 

「あら?あなたヒーロー気取り?子供が何ができるって思っているの?」

「…雫。怖いのなら俺から放さず目を瞑ってろよ」

「……へ?」

 

俺は片手で雫を持ち上げる。雫は顔を真っ赤にし少しだけ訳が分からないって感じだが頷く

 

「かかってこい鳥女。弱者にしか襲わない弱い妖怪なんか俺のシマにはいらねぇんだよ」

「………後悔するといいわ。あなた、絶対に私の子にしてみせる」

 

すると大きな羽毛を広げ俺たちに向かって襲いかかってくる。本当バカな奴だ

このシマの総大将の息子くらい知っておけよ

俺はぬらりひょんとしての畏を発動させる

鳥女は俺のさっきまでいた場所に飛びかかっていたが既にはいない

 

「えっ?」

「闇夜に桜と雪の演舞、呪いの吹雪と共に全てを凍らせろ」

 

妖気が漏れ剣先から冷気が流し始め俺は剣を振るう

 

「明鏡止水”斬”雪桜」

 

俺は一瞬のうちに鳥女の腹部を斬り冷気によって傷口が全て氷に包まれる

俺が畏をぶった斬るために作った技であり、俺の本質と言える技だ

 

「ガハッ!!」

 

鞘を収めそしてその妖怪を見る。

よそ者の妖怪ってことは、この付近にナワとしての妖怪はいないのか?

と色々考えていると

 

「氷河?その格好は?」

「ん?……まぁ。今回はしゃーないか」

 

俺はいつのまにか妖怪の姿に変化していたらしい。元々は雫を守るために斬ったことを思い出す

視点が高く、髪の毛が父さんのようにではなく爺ちゃんに似た、いや母さんににた黒髮の軽く天然パーマが入った髪は最初の俺の姿とは全然異なる

人間の姿で妖術を扱い切れていないのかと少し反省しつつまぁ嫌われるかもなっと小さく息を吐いた

 

「俺は半妖なんだよ。いや。半分以上妖怪の血が流れている」

「……半妖?それって氷河も妖怪ってこと?」

「7割はな。ぬらりひょんと雪女の血が流れている。俺って体温低いというよりかなり冷たいだろ?残り3割は人間の血が流れているって感じか。……つーか怖くないのか?お前を襲おうとした妖怪の仲間なんだぞ?」

「……」

 

すると無言を貫く雫。ただ困惑しているって感情をしていたが少しだけ俺の和服の襟をギュッと掴む

 

「怖くはないわよ。氷河は私を助けてくれたから」

 

俺は助けたというより巻き込まれたって感覚が強かったんだけど

笑顔を振りまこうとしているが握っている襟の

多少震えていることから怖かったことは本当のことだろう

……そういえば昔にたようなことあったよな

あれは初めて妖怪に襲われた時だったかな?俺は昔から好奇心旺盛でどこか歩き回るような子供だった。多少剣の腕もあったので余計に油断していたのだ。

その時に妖怪に襲われたのだ。……俺にとっても怖く、今でも畏れてしまった

そんな時に父さんが助けに来てくれたのはいうまでもないがその後母さんに抱きしめられその胸で思う存分泣いたのだ

だから異性の抵抗があったのもあるんだが俺は剣を一度落としその手で雫の頭を撫でる

 

「……氷河?」

「いや。お前強いなって思ってな、俺も同じような経験があった時は母さんに慰められて胸でずっと泣いていたから」

 

怖いはずがない。さっき襲われかけたのだ。

妖怪とは悪である。いい妖怪や神がいることは知っているが基本的には悪と呼べるのであろう

 

「今度も俺が近くにいたら悪意からは守ってやる。俺は妖怪で雫は人間だろ?……俺は何百年と生きるけど雫は百年も生きられない。その間はずっと守ってやる」

「……私を?」

「あぁ。そうしないとお前は結構危ない性格ってことがよく分かったからな。怖いときにちゃんと怖いって言えるような奴は必要だろ?」

 

その一言で雫が明らかな動揺が見られる

本当にこの家族は面倒くさい人間が多い。その典型例が虎一さんだ。

なんで俺を八重樫に呼んだのか、そしてなんのために雫に伝えなかったのかがわかってしまった

俺が家族が好きだから奴良組から離脱したように、雫のことを少し過保護なくらいに大好きなのだ

妖怪も、忍術も必要最低限しか教えなかったんだろう

そしてこの雫にもちゃんと面倒な性格は遺伝されているようだ

 

「…だからお前が死ぬまで俺が守ってやる。八重樫の門下生は全員を家族として扱うのだろ?だから家族のことを守ることは可笑しいことではないだろ?」

「……」

「どうした?顔を真っ赤にして」

「い、いえ。何もないわ。えぇ。何もないわよ」

 

俺は小さくため息を吐く

まぁ、話たくないことなら別に聞きやしないけど

 

「そう。……俺はしばらく外で涼んでおくけど雫はどうする?」

「もう少しだけ居てもいいかしら。一人になるのはまだ……」

「ん」

 

と俺はしばらくのあいだ雫を持ち上げながらフラフラとのらりくらりと歩き始める

結局雫が腕の中で眠るまで俺たちは夜の散歩をしていた




アンケートは今日の正午までとさせてもらいます


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冬のスーパーにて

風邪を引きました
みなさんもクーラーによる夏風邪には気をつけてください


あれから二年目の冬が訪れてうら

師範には俺が半妖であることが雫にバレたということを言わざるを得ず、その件については妖怪から守ったことより、許してはもらえた。

雫は幼馴染と一緒の学校に通うらしく中学校が違ったが、俺もそこまで友達付き合いでは苦労していない。元々知り合いである谷口鈴を筆頭とするグループに入っており、俺も学校では人気がある部類に入るらしい

雫も今となっては襲われることもないのだが、裏にどっぷり闇があることはわかってはないだろう

八重樫の裏道場ではやっぱりというべきか、とある妖怪が所有している山を所持して居たことより奴良家と連絡。俺も向かって驚かれていたが元々は俺の傘下であったのでこのシマについて色々話をしているのだ

雫とは少しは関係に変化している

というよりも気づけないほど俺はさすがに鈍感ではない。

時々であるが合間を見つけては俺を遊びに連れ出したり、お弁当を作ってくれることもある

そんな雫を止めようとしない師範たちにさすがに俺も困り顔になりつつあった

まぁ雫を京都に連れていったりしたり半妖の里に連れていったり。俺も結構乗り気であれば

そんな寒い中のある日のこと、いつも通り夜の見回りを終え帰っていた

烏天狗の通達の元、暫くの間その付近は手がつけようがなく、どうやらリクはこれから長野に行くらしい

勢力争いの中で手のつけようがないのだとか

結果数ヶ月間は小勢力との争いがあったがうちの組だけでなんとかなるほどの勢力で今じわりじわりとシマを拡大している

結局妖怪での俺の組は消せないんだなと思いつつも朝焼けが早く夜型の俺にとっては少しうとうととする時間帯であった

そうしながらも俺は昼は人間、夜は妖怪としてまた八重樫の名の元に日課を送っていた

 

「お〜い鈴。早くいかねぇと先に行くぞ!!」

「ちょ、ちょっと待ってよ!!氷河くん!!」

 

俺は今学校終わりに少し隣町の新作のアイスを買いに隣町に来ていた

少し子供っぽい笑顔で答えるのは中学校で隣の席になった元より縁のある谷口鈴という少女だ。いつも笑顔でニコニコ笑っているのが特徴的でよくムードメーカー同士仲がいいのだ

 

「いいよ〜全然。そういえばさ」

 

と話している時だった

騒がしい声が聞こえてくる

 

「なんか騒がしいな。」

「うん。どうやらお婆さんが男性の人に絡まれているみたいだよ?」

「……やっぱり耳いいな。んで?」

「なんかヴィンテージ物のズボンを汚されたとかだと思う、クリーニングって声が聞こえるから」

「何そのくだらない争い」

 

俺はうんざりする。まぁどうせ弁償しろとかそんな声が俺にも聞き取れるようになっていた

 

「まぁでも、昼間のパトロールだしせっかくだから助けるか。鈴?財布預けるから箱買いしているから料金払っておいて」

「え〜」

「アイス、半分やるから」

「いいの!!うんじゃあ行ってくる!!」

 

現金な奴だと思いながら、俺はスーパーに絡んでいる人に近づく。

カメラをこっそり操作し録画をオンにすると俺は笑顔を作る

 

「はいはい。そこまで。とりあえず買い物客の邪魔になるだろう!!とりあえず一旦落ち着いて」

 

俺は手を叩きながら笑いながら近づく

 

「あぁ関係ない奴は黙ってろよ」

「ここはアイスをよく買う常連客なもんで。それに関係ないとはいえ服ひとつ、それも一回ソースをつけられただけで弁償しろっていうのはやりすぎじゃないですか?」

 

のらりくらりと捕まりヘラヘラと笑ってヘイトを溜めていく

頭を下げることで周囲に誠意を向けているのが一番の布石だ

 

「あぁ?それならお前が払えよ!!」

「クリーニング代なら払うぞ。でも弁償となると無理だ」

 

するとイライラし始めていたのだろう少し青筋を立てる俺を軽く突き飛ばし剣呑な視線を送り蹴り放たれて腹をとらえる。ここまで行動パターンが読みやすいやつはそうそういない

少し妖怪も混じっているので痛みはない。

だからこそ俺の企みは上手くいった

そして満面な笑みで称賛した

 

「お前躊躇なく踏み切るなんてすげぇな。こんなに人が多く集まっていたら幾ら何でも言い逃れできれねぇぞ?」

「あっ?何が?」

「暴行罪。及び脅迫罪かな。この場合は該当するのは」

「……」

 

するとどういう意味か分かったのだろう。さっきまで威喝していたのが恐れを抱き始める

 

「……この騒ぎだ。こんなに閲覧者が集まっているし流石に言い逃れできねぇぞ?警察だって呼ぼうかって声を聞こえてきてた。さすがに逃げ切れると思うな。ついでにカメラも回しているからな」

「…てめぇ」

「言っとくけど元々あんたが悪いぞ。気づかないのか?非があったにしろあんたは子供を泣かして、お婆さんを恫喝した……そのズボンがどれだけ高かったとしても、折り合いはつけるべきだ」

 

俺は冷たい口調で呟く

 

「…んでどうする?お前は?」

 

笑みを浮かべている俺に大学生ぽい男は恐れを見せる

恐らく悪魔にみたいに見えているのでだろう。

 

「……はい。クリーニング代だけでいいです」

「ん。それくらいなら払えるよな?」

「は、はい。」

「…ん。それじゃあこれで解散な」

 

とちょうど終わったところで鈴が出てくる

どうやら買い終わったのだろう

気配を消しながら鈴に近づき俺は早々に離脱する

 

「あの、……えっ?あの人は」

 

とお婆さんはクリーニング代を支払い終わってお礼を言おうとしたのか俺のいた方を向いていたが既に俺はいない

 

「……やっぱ仕事した後のアイスは最高だな」

「確かに美味しいけど……少し寒いよ」

 

と鈴と二人で肩を並べながら帰り道に向かう

俺はこの時気づかなかった

この瞬間二つの歯車が周り始めることを

そして大きな災いの種を生むことを



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絡新婦と入学式

鈴と恵里について大きな変更点があります


「どうしたんだい?一体いつもは隣に誰かいるのに」

「……って絡新婦か。珍しい。」

「ボクには中村恵里って名前があるんだけど……」

 

と最近妖怪になった百鬼夜行の一人でもある中村恵里と呼ばれる絡新婦が睨みつける

今いるのは地獄であり、俺の傘下の妖怪の依頼を終わらせ宴会を開いた後、明日から高校なので急いで帰宅する準備を整えたのだ

 

「一応特別な妖怪以外は妖怪の名前で呼ぶことになっているんだよ。俺が結んだのは義兄妹の誓いを契った鈴だけだ。」

「……えっと?」

「猫又族の少女。所謂金銭収取のための妖怪でよく歌舞伎座で飲食店を経営しているな。猫カフェとか開いているし明るい武力を持たない妖怪」

「……やっぱり難しいね」

「仕方ないだろ……つーか一年で全員覚えろとは言ってないだろうが。せめて10年以内にはなるべく覚えていて欲しいけどな」

 

俺は小さく苦笑する。鈴は俺と同じ年という希少な妖怪である。

恵里は同じ年だが元々人間で、去年自殺事件を起こした際に妖怪化した妖怪だ。

絡新婦。本来なら四百年たった蜘蛛が人間の姿に化ける妖怪であるのだが恵里の場合は、家族の恨みから

俺が初めて会った時はそれはもう悲惨だった。

恵里の母親が糸を包まれ恵里に食べ散らかれていたのだから

 

「……でも、なんで鈴なの?てっきり君のことだから戦闘向けの妖怪と盃を結んでいると思ったんだけど」

「ん?盃を結んでいる妖怪は結構いるぞ?妖狐とか土蜘蛛とか閻魔とか」

「ちょっと聴きたくなかった名前があるんだけど。……って閻魔?閻魔って閻魔大王のこと?」

「ん?それ以外に何があるんだ?今回の件も氷河組傘下閻魔組の要請で地獄に向かっていたわけだしな」

「……君の百鬼夜行はどうなっているの?」

 

基本的な百鬼夜行とはひとつの組が重なりそれを引き連れるものであるのだが俺の場合は少しだけ特殊であり、他の独立勢力による混合部隊からなっている。ひとつひとつの大将と義兄弟のちぎりを結び対等な役割をになっているのである意味同盟と呼べる勢力なのだ。

地獄や安倍晴明による弱体化が懸念された京妖怪や九州組など応用力が持ち、秩序と好戦的で圧倒的な戦力をかかげている

所謂独立遊軍、強さに誇りを持ち、誰もがバラバラであり、各自の勢力を持つ。だけど蹴散らす相手が同じであれば……個の能力として俺たちはかなり優れているものとなる

なお、総大将は各自の代表が毎年正月にする決闘で決めることになっているので、百鬼の主はコロコロ変わるのであるが、三年前からずっと俺が総大将を勤めている

 

「百鬼といっても時期を見て解散になるだろうな。元々は各地方のかなり強力な勢力だ。それに今は奴良組と協力関係を結んでいるからな。まぁ閻魔組と妖狐組は俺の傘下なんだけどな」

「…君本当奴良組の主じゃないんだよね?」

「あんな束縛されたものやりたくねぇよ。それに今は雫の護衛だからな……あいつがいる限りは俺は奴良組じゃなくて八重樫の及川氷河ってわけだ」

「……あの女のこと随分買っているんだね」

 

するとジト目で睨む絡新婦。確かに少し関わりすぎと言われてもいいだろう

……感情がどうとか分からない

 

「……まぁ仁義は守るのが当たり前だろ。……守るって決めたのに約束を破るのって恥ずかしくね?」

「そういうところは律儀だね」

「……それにお前にとっては嫌かもしれないが家族だしな……家族や仲間は守る者。俺はそうやって教わってきたから」

 

そうやって育ってきたんだ。強き物は弱者を守る

それが父さんの教えだったから

 

「……」

「ん?何かいったか?」

「何でもない。……それじゃあ久しぶりに戻ろうか」

「あぁ。さてと久しぶりの現世だ。……平和ならいいけどな」

「はぁ。どうせ平和だよ」

 

と言いながらも地獄の門を開き現世へと向かう

そしてまた日常が始まろうとしていた

 

 

 

「は?」

 

俺が入学式で最初の発言は、雫や鈴たちと同じクラスになったということよりもたった一行に俺は驚きを隠せないでいた

 

及川セララ

 

俺の姉貴の名前がそこには書かれていた。姉貴といっても俺とセララ姉さんは20歳以上離れているが……100%雪女のためセララ姉さんは高校には通っていない。というよりも元服の儀を13で行うため高校には通わないのが普通だ。

籍どうするんだよと思いながらよくよく考えたら八重樫にそういう専門の人がいたなと小さくため息を吐く

 

「……あっ。あはは」

 

隣にいる鈴もどうすればいいのか分からず乾いた笑いで戸惑っていた。年代的にも正直厳しいが……確かに見た目は女子高校生にしか見えないし、趣味も少しアレなので混じれるだろうけど

そうやって入学式が終わり鈴と恵里と話しながら教室に向かい自分の席に座ると

 

「氷河!!」

 

バタバタと走りながら雫がこっちにやってくる

 

「おっ!雫か。どうした?」

「放課後どこか寄って帰らないかしら。午前中で終わるでしょ?昨日まではいなかったから少しだけ遊びにいきたいけど」

 

そういえばそうだったな。……まぁいいか

と俺が声を出そうと思った時

一瞬で空気が冷えた気がした

俺でさえ冷たいと思う雰囲気。

そしてその方を見ると一人の黒髪の女子が強烈な冷気を放ち後ろの鈴が震えて俺の後ろに隠れる

 

「雫ちゃん?何抜け駆けしようとしているのかな?かな?」

「か、香織!?」

「……えっと?」

「白崎香織さんだよ。ボクの学校と同じだったから覚えている」

「……ってことは雫と同じ学校か。そりゃしらねぇわ」

 

俺は少しだけ苦笑してしまう。

 

「えっと3人は雫ちゃんと知り合いなの?」

「俺は雫の家に厄介になっているからな。二人は俺の友達で……鈴は何度か雫にあったことがあったよな?」

「えぇ。氷河が毎日って言っていいほど家に連れてくるから」

「……もしかして付き合っているの?」

「付き合ってない。噂は結構されるけど親友だな」

「うん。よく噂はされるけど今はまだ親友だよ?」

 

あれ?もう一度冷気が強くなったような気がする。

 

「地雷踏みすぎでしょ」

「……恵里なんか言ったか?」

「別に?」

 

と呆れ顔でこれだからと呆れた様子の絡新婦

まぁ大体理解はできたけど、

……白崎に関しては完全に謎なんだよなぁ?どこかであったか?

まぁのらりくらりとかわしていけばいいか

 

「えっと。私は雫ちゃんの親友の白崎香織です。」

「知っているのか分からないけど俺は及川氷河。これから一年よろしくな」

「ねぇ。せっかくだし雫ちゃんの家で交流会しない?せっかくだから皆で」

「いや。今日は雫に付き合うかな」

「えっ?」

 

驚く雫に俺は少しだけ苦笑する

 

「俺実家に戻っていたから雫と会うの結構久しぶりなんだよ。元々雫と春休み中卒業旅行行く予定だったけど、家の急用でキャンセルになったからな。今日一日くらいなら付き合おうって思って」

「……」

 

すると雫がキョトンとしている。まさか自分が選ばれるとは思いもしなかったんだろう

 

「えっ?どこに行く予定だったの?」

「九州。阿蘇山とか福岡とかその辺り」

 

二人があぁ、妖怪関連かって苦笑しているのだが今回に限っては完全に遊びに行くことが目的である

なお、毎年夏休み中に京都で修行に向かっているので部活動がない限りは基本的に京都で修行兼関西観光になっていた

 

「仲いいんだね?」

「まぁ八重樫流の同門で一緒に住んでいるからな。もう三年目だしそりゃ仲もよくなるだろ?」

 

するとうぅと地団駄を踏む白崎。雫が少し苦笑し俺の方をいい

 

「……ふふ。別にいいわよ。せっかくだし二人も参加しないかしら」

「えっ?」

「いいの?」

「いいわよ。氷河も来るでしょ?」

「……天之河が来ないのであればな」

 

俺はうんざりした顔で言っているのだろう。すると3人は不思議そうにしている

 

「はぁ。本当に光輝のこと苦手なのね」

「生理的に受け付けないし、面倒になることはほぼ確定だろ?」

「分かったわ。光輝が来なければいいんでしょ?まぁ破門になった以上これないわよ」

 

それもそうか

まぁとある事件がきっかけになり一度破門騒動が起こったのだ

 

「席についてください。ホームルームを始めますよ!!」

「ん。それじゃあまた後で」

「えぇ」

 

といいながら別れていく俺たち。これから騒がしく、そして楽しくなりそうだと学園生活に胸をときめかせた

 




プロフィール及び設定集
及川氷河 種別 不明 

主人公でありぬらりひょんと人間と雪女の混合種族である
妖怪と人間のコントロールを完全にこなすことができ、2代目と戦闘スタイルが同じと曾祖母の治療能力と再生能力を受け継いでいることから2代目の生まれ変わりと言われることが多い
畏を完全に操ることができ纏も含め15歳ながら独立百鬼夜行を持つほどの強さを持つ。実力的にいつリクオを抜いてもいいと答える妖怪が多く、奴良組を離脱しなくてはいけないほどのシマを持っている。成績は中の中性格は少し寂しがりやの義理深い性格
なお谷口鈴と義兄弟の盃を結んでおり、ほとんど一緒にいることからよく付き合っているのかと勘違いされている
なお天然のたらし。妖怪では守るなどリクオの教育の為弱者を守ることを優先しているのだか、昔から鈴を1人にしないという約束と、雫との約束より何事よりもその二人を優先する。地獄に向かっているときは自分の護衛を、恵里以外連れて行かずこの他を雫と鈴に残す程の過保護。

ヒロイン枠妖怪側
谷口鈴 種別 猫又
氷河と義兄弟の盃を結んだヒロインの一人。明るくいつも笑顔で振る舞っているのだが、氷河がいないと畏れを急激に失い子供みたいに泣きじゃくるほどの寂しがり屋。また氷河のいる場所なら何処でも付いてくき、雫との旅行も猫の姿で擬態しながらも着いていくほど。氷河の過保護癖の元凶。でも弱いってことに劣等感を抱いてり戦闘向けの妖怪を羨ましく思っている。なお地獄が苦手で猫舌。ぬらりひょんの孫でいう雪女ポジション。
妖怪のときの見た目は人型は黒色の猫耳をつけている。なお猫は黒猫であることを少し気にしている

中村恵里 種族 絡新婦
この世界軸では光輝が自殺現場に訪れなかった事により悪くどころが悪く痛みをじわじわと苦しみ続けたことにより、死への恐怖と犯されそうになったときに助けなかった母親への恨みによって妖怪になった。氷河の組で唯一の人を食べる妖怪。戦闘スタイルは糸により動きをとめじわじわと苦しみを与えながら殺していく。
普段は毒舌や少し嫌味を言っているだが、恵里は拾ってくれて、さらに家族当然のように振る舞ってくれる氷河に感謝している。氷河組の居心地が良く鈴と特に仲が良く、ライバルだらけの氷河攻略戦で裏から応援兼サポートしている。


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異世界へ

「おはよう!!氷河くん」

「おはよう香織」

 

と朝の挨拶の交わす。

あれから名前で呼び合う関係にまで進展していた

今日は月曜日。高校に入って一年が経とうとしていたのだが

というところでマフラーにセーターなど多くの衣服に纏った女性が歩いていく

 

「ファ〜」

「姉貴。また寝不足なのか?」

「えぇ。ハジメくんに借りたもの明後日読んでいたらね」

 

姉貴ことセララ姉さんは少し大人の雰囲気を醸しているすでに30超えている雪女である

この学校の3大女神と言われており残り二人は雫と香織。俺と馴染みのある奴ばかりで男子の嫉妬を買っている。

まぁそれでも交友関係が悪いわけではなく、よく浩介たちのグループと話している

その姉貴とはいうと俺の監視のために学校に来ているのと、他のグループに入っているので俺とあまり話さないのだ

 

「あら?今日は早いのね?」

 

とその数秒後雫が朝練終わりだろうか

 

「雫か。まぁ今日は誰とも一緒に登校せずに来たからな」

「あら?珍しいわね。今日は鈴の日じゃなかったかしら?」

「断った。金土と外に出てたから日曜に休養したかったんだよ。それに今日日直だし」

 

いつのまにか俺の放課後と登校時間は3人によってローテが組まれ、土日もほぼ誰かが遊びに誘ってくるので毎日のように誰かがやってくる

だけど強制じゃないってことは確かで、最近家の本当の姿をしった雫と一緒に裏の道場に通っていたり、また妖怪や少し京都での恩を返したりしているので毎日って訳ではないのだが、裏でリアルハーレム野郎と呼ばれているらしい

……なんでこんなに好意を抱かれたのか分からない

 

「あぁ。どこにいっていたのかしら」

「京都だよ。例の物が仕上がっていたから取りに行っていただよ」

「……例のものって……本当に使うの?」

「使わなくても予備に必要だろ?最近物騒だしな」

 

俺はしばらく夜の街を徘徊していて小さな小競り合いみたいなものを幾度か体験している

なので外に出る機会が多く俺は雫のために作ったのだが……流石に学校じゃわたせないだろうな

 

「おっはよ〜」

「おはよう」

「おはよう。二人とも」

 

と鈴と絡新婦も遅れること10分くらいにやってくる

いつもの組み合わせにほっこりしていると。

すると舌打ちが多く聞こえてくる

視線の先には南雲ハジメという少年が歩いていく

女子生徒も友好的な表情をする者はいない。無関心ならまだいい方で、あからさまに侮蔑の表情を向ける者もいる。

極力意識しないように自席へ向かう。しかし、毎度のことながらちょっかいを出してくる者がいる。

 

「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

一体何が面白いのかゲラゲラと笑い出す男子生徒達。

 声を掛けてきたのは檜山大介といい、毎日飽きもせず日課のように南雲に絡む生徒の筆頭だ。近くでバカ笑いをしているのは斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人で、大体この四人が頻繁に絡む。

まぁ理由は明らかでうちの姉貴関係なんだけど

まぁ関係ないか

俺は視線を戻し話始める

姉貴は姉貴、俺は俺で学校生活を送っているのであり、お互い不干渉であるのだ

 そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り教師が教室に入ってきた。教室の空気のおかしさには慣れてしまったのか何事もないように朝の連絡事項を伝え、いつもの学園生活が始まった

 

 

「んで?うまくいっているのか?」

「いく訳ないでしょ?恋愛なんて初めてだし」

「だよな」

 

珍しく姉貴に呼び出された俺は弁当を広げ食べている

どうやら姉貴は南雲のことが好きみたいなので

 

「それにしてもそっちもモテるわね。今のところ学園の女神を二人独占しているんでしょ?」

「う〜ん。まぁ鈴は分かりきっていたし雫も少し覚えがあるからな、ただ香織に会ったこともないのに好意を向けられているっていうのがなぁ」

「そうなの?……八重樫さんと仲がいいからその繋がりだと思っていたんだけど」

「いや。多分違うだろ。俺は元々幼馴染会には参加しないし……つーか天之河と相性悪いし」

 

すると苦笑いすると

 

「珍しいわね。そうきっぱりと相性が悪いっていうなんて」

「あんな。俺たちは人間にとっては恐怖の存在なんだぞ?無害だからって本当の姿を打ち明けられることはない。バレたら面倒だろうってこともあるしな。それに」

 

と言いかけたところで南雲が周りの音起きる

するとそこにある弁当箱にキョトンとしながら手紙を呼んでいて俺たちの方を見て一礼する

 

「…姉貴の弁当か。珍しいな」

「な、何よ。おかしい?」

「べっつに〜」

 

と言いながらも俺は弁当を食べる

そんな俺をジト目で見ながら

 

「そっちこそ今日は誰が作ったのよ?」

「今日は香織」

「……毎日のように女子の手作り弁当を食べるのってあなたぐらいしかいないと思うわよ」

 

と呆れながら呟く姉貴に俺は苦笑すると

……その瞬間大きな妖気が下から発せられた

 

「「「「っ!!」」」」

 

俺、恵里、姉貴、鈴はすぐ様反応するがそこには妖怪の気配がない。

その代わり、大きな純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れる

 

「…は?」

 

俺は見たことがない情景に息を呑む。それはクラスメイトも同じことで動けずにいる

 

「皆!教室から出て!!」

 

と社会科の畑山愛子先生が叫ぶが恐らくもう遅いと判断する

光は強く輝き呑み込まれ俺たちは顔を覆う

そしてこれから非日常生活が始まろうとしていた



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操り人形

光が収まると俺はすぐ様周辺を見回す

巨大な壁画や彫刻が展示されており周りにはクラスメイトとみたことない衣服に包まれた集団が俺たちを囲んでいる

妖怪退治とは違うが、異質な雰囲気を感じていた

見たことない風景に戸惑いながらもとりあえず鈴の近くに移動する

 

「鈴。大丈夫か?」

「えっ?う、うん」

「雫も大丈夫か?」

「えぇ。ここは?」

「日本ではではないってことは確かだろうな。香織と恵里も無事か?」

「う、うん」

 

と戸惑いながらも軽く鈴や雫たちが無事なことにホッとする

すると特に豪奢で煌びやかな衣装を纏い、意匠の凝らされた烏帽子のような物を被っている老人が進み出てくる。

軽く京都で作ってもらった護身刀をいつでも抜けるようにし警戒をしていると手に持った錫杖をシャラシャラと鳴らしながら、深みのある声でこう告げた

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 

場所を移り恐らく会食が行われるだろう十メートル以上ありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間に通されていた。

 

「……ねぇ?ここって」

「異世界って奴で間違いないだろうな」

「地獄を通れば地球に帰れるのかな?」

「地獄を通れば帰れるけど……さすがに雫たちは無理だろ。時々異世界のゲートが開いて処理してくるいるし、鈴でさえ一度大変な目にあっていることだし戦えるのは」

「私と氷河だけってことだね」

 

と小さくため息を吐く。異世界があることは知っており地獄で何度か異世界でのトラブルの解決に呼ばれることがある

実際絡新婦は護衛として一緒にいることが多いので最悪俺と絡新婦は帰れるだろうが他は無茶だろう

 

「氷河ちょっと来てくれないかしら?」

「んどうした?」

「ちょっと一緒に聞いていてほしいの。氷河はこういったことに慣れているでしょ?」

「あぁ。アドバイスが欲しいっていうのか。別にいいぜ」

 

と言って上座の方に向かう

そして全員に飲み物が配られた後に、聖教教会とやらの教皇であるイシュタルからの説明が始まった。

簡単にまとめると、最初に言っていたようにこの世界はトータスと呼ばれ、主に人間族、魔人族、亜人族がいるという。生息域としては、人間族が北一帯、魔人族が南一帯、亜人族が東にある巨大な樹海の中でひっそりと暮らしているという。

現在はその中でも人間族と魔人族が何百年も戦争をしており、人間族は数で、魔人族は個々の実力で優れており、今まではその勢力は拮抗していた。だが、ある時、突然魔人族が魔物を使役し始め数の有利をなくなった人間族が追いやられることになる

魔物とは通常の野生動物が魔力を取り込んで変異した異形の存在で、それぞれの種族で強力な魔法が使えるらしい。まぁ妖怪とそう変わりはしないだろう。魔物は本来なら人間族、魔人族に関係なく襲い、使役できても1,2体が限度だったのだが、その常識が覆された。

この状況を打破するために、聖教教会の唯一神であるエヒトが勇者を召喚するという神託を出し、現在に至る、ということだ。

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

正直どうでもいいって思っていたので多少漏れていると思うのだが

ボケーと聞いていると突然立ち上がり猛然と抗議する人が現れた。

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

プリプリと怒るのは畑山先生だ。〝愛ちゃん〟と愛称で呼ばれ親しまれているのだが、本人はそう呼ばれると直ぐに怒る。

なんでも威厳ある教師を目指しているのだとか。なおその威厳のあるかと言われたら…ないのだが

次のイシュタルの言葉に凍りついた。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

 場に静寂が満ちる。誰もが何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見やる。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

「そ、そんな……」


先生が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

「なんで、なんで、なんで……」


パニックになる生徒達。その様子をみながら少しだけ違和感に気づいていた

なんで妖力が弱まらないんだ?

妖力とは元々人間の信仰や畏れの力によってその妖怪の力になるのだが…弱まるどころか強まっている

今妖怪の姿になれと言われたらすぐに変化できるだろう。

しばらく考えていると

パンっと音が聞こえる

どうやら天之河が立ち上がったらしい。クラスメイトの顔を見て

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

世界を救うね。

戦争の意味も分かってなさそうだけど本当に世界を救えると思っていたのか?

 

「バカバカしい。」

 

俺は大きなあくびを一度して椅子に深く座る

動かされているのに気づかないのかよ。

教皇が事情説明をする間、それとなく天之河を観察し、どの言葉に、どんな話に反応するのか確かめていたことを。

 

面倒だな、

小さく呟く声にはこれからの不安が募っていた



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ステータス

昨夜は色々あり会食が終わった後お開きになったんだがあまりにもいろいろ有りすぎて詳しい話はまた明日ということになった

そして俺は夜中に行動することはなく少し疲労の回復を開けた翌日から早速訓練と座学が始まった。

 

 まず、集まった生徒達に小さい長方形の銀色のプレートが配られた。何もヘンテコもないプレートに疑問を覚えていると説明役である騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

証明書?この板が?

俺は首を傾げながらそのプレートを見る。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

「アーティファクト?」

 

アーティファクトという聞き慣れない単語に天之河が質問をする。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

へぇ〜なるほどな。即ちこの世界ならではの道具と捉えることができるだろう。俺はそうすると隣の鈴と一緒に指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝くとその先に表が見える

 

及川氷河 17歳 男 レベル:1

天職 総大将

筋力 300 (+3000)

体力 300 (+2000)

耐性 300 (+1000)

敏捷 500 (+3000)

魔力 0

魔耐 300 (+4000)

 

技能 剣術 体術 気配遮断 気配感知 再生 妖力操作 妖力変換 畏 鬼纏 妖術[+ぬらりひょん][+雪女] 妖化 先軍 回復魔法 言語理解

 

なんか両極端だな。まぁ強い方がありがたいが

しかし魔力にかんしてはゼロか。

まぁ妖力があるから別に構わないけど

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

人間として限界は100ってことだから俺たちには変わらないということか

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

魔力がゼロなんですがと言いたがったがそれでも最初のアドバンテージをもらえるのには変わりはない

というよりも俺にとっては十分すぎる。

それよりも装備っていうのが気になるところだ。この世界ではどんな武器と出会えるのだろうか

 

「氷河?これってステータス見せない方がいいよね?」

「ん?」

「私たち魔力がないし、全員妖力変換もっているから。それに鈴に帰っては擬人化あるから」

 

元々半妖の俺とは違い絡新婦は人型だが鈴に限っては本来なら猫又である。なので擬人化の技能も納得だった

 

「あ〜……まぁ適当に誤魔化せばいいって。そういえばお前ら天職なんだ?」

「僕は軍師だね。いつも参謀役として氷河の隣で采配振るっているし妥当じゃないかな」

 

絡新婦の天職には納得する。確かに作戦面では絡新婦が入って戦闘が楽になったのだ

 

「鈴は?」

「鈴は結界術師だよ」

「結界術師?」

 

陰陽師がよく使っているイメージがあるし、どちらかといえば陰陽師側だと思っていたのだが

しかし次の言葉で俺は固まることになった

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

……絶対見せられないステータス。それも本来の姿になったら恐らく化け物級のステータスであろう

軽く冷や汗をかく

 

「……ステータスは見せない。いいよな?」

「う、うん」

「えっと、氷河もしかしてステータス酷いの?」

「……強すぎる。これくらいの力があったら教会に目をつけられてもおかしくはないからな」

「あぁなるほど」

 

と言いながらもコソコソ話していると

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

「いや~、あはは……」

 

と照れる天之河どうやら勇者という天職だったらしい

まぁどうでもいいけど

そして進むにつれてホクホク顔のメルド団長たち。そして俺の番になるのだがちょっと前に適当にいじっていたステータス隠蔽で技能とステータスを隠していた

 

「ん?総大将は聞いたことない職業だな。それとステータスを隠蔽してあるのだが……」

「いや。隠蔽するでしょ?技能とステータスは生命線なんだろ?信頼できる人にしか見せないっていうのが当たり前だろうし。正直見られたくないからな」

「だが」

「信用できるかは俺が決める。自分の宣告が信じられないのであれば協力しないっていうのも一手だろうしな」

 

メルド団長が何か言おうとするがすると口を噤む。

雫もこっちに気づいた。恐らく殺気について

 

「……私たちに危害を加えるつもりは?」

「今のところない。……ただ。俺のダチに手を出すのだったら」

 

俺は刀を取り出し頰を当てる

 

「容赦なく殺す」

 

一瞬の出来事。俺は殺気を放ちながら告げる

 

「……っ!わ、分かった」

「ひょ、氷河くん?」

「ん?」

 

と言いながら俺は軽く刀を向けそして自分の方へ下ろす

すると当たり前だが人間の体であれば斬れない祢々切丸であるので何もない

 

「模擬刀だよ。師範から何か会った時に脅す道具として持たされているんだ」

「えっ?あっ!」

「つーか本物の刀な訳ないだろ?普通に法律で持っていただけで務所行きだしな」

 

俺はケラケラと笑う。するとだよなぁとか言い出すクラスメイトに俺は少しだけため息を吐く

今笑い事じゃないんだけどな

俺の殺気が本物だと気づいていれば恐らく本当のことに気づいているだろう

 

本当の刃を持っていることに

 

そして南雲は錬成師だったらしく一人だけ非戦闘職でクラスメイトから絡まれていたが先生のだめ押しによってだめ押しされ、姉貴によって慰められていたのはまた別の話



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