対魔忍ガチャピン (エロスはせがわ)
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ガチャピン、闇夜に立つ。
魔都、東京――――
闇の存在、そして魑魅魍魎が侵食しつつある、夜の街。
人と魔の間で
それは我々の生きる表社会すらも、侵食し始めている。
しかし――――正道を歩まんとする人々もまた、決して無力では無い。
政府は魔に対抗しうる唯一の存在、通称忍と呼ばれる者達からなる“対魔忍”を組織。
彼らは人魔外道の悪に対抗すべく、今日も元気に頑張ってるのであった!
「対魔忍ガチャピン! 参上いたしました!」
炉端の炎だけが照らす、薄暗い部屋。
今、なにやらピッチリした紫色のボディスーツを着たガチャピンが、この屋敷の主である“長老”の部屋へと赴いていた。
「どうしたの長老? こんな夜更けに。ぼくもうお布団に入ってたのに」
キョトンとした顔、そして眠たそうに瞼をこすりながら、炉端の前に座る長老の元へと寄っていく。
ちなみに今ガチャピンが着ているピッチリボディスーツは対魔忍としての衣装であり、実はキレッキレのハイレグという、物凄いセクシーさであったりする。
彼がもし女子であったなら、世の男性諸君は思わず
……まぁこの衣装って、引退した元対魔忍である“アサギさん”というお姉さんからの、お下がりだったりするのだけれど……。
ハイレグにリメイクしたのは、動きやすさを考慮したアレンジなのである。ばっちり動けるよ!
「おぉ、よぅ来たなガチャピンよ。
いやなに、実は少し問題が起こってしもうての」
「もんだい? なにかのトラブルかな?」
「さよう。ゆえにもう寝る時間であったお主に、わざわざ来てもろうた次第じゃ。
多忙なお主は、明日も朝早ぅから取材やらYou tubeの撮影やらがあったろうに……許せよ」
ポンキッキーズの放送は終わってしまったけれど、現在もガチャピンはユーチューバーとして自身のチャンネルを運営したり、各地で講演会をやったり、企業とコラボ商品を開発したりと、とても多忙な日々をおくっている。
各種ボランティア活動や、その芸歴40年以上という経験を活かしたあらゆる団体への協力とサポート、そして今の生業である対魔忍の仕事などなど……毎日やる事がいっぱいだ。
だからせめて睡眠時間くらいは、しっかりと確保してあげたいのだけれど……。いくら凄い子とはいえ、ガチャピンはまだ子供(という設定)なのだし。
長老の男はすまなそうに頭を下げる。
「いいんだよ長老! トラブルが起こったんなら、ぼくの出番でしょう?
ぼくがんばって、ぜったい解決してあげるからね♪」
「すまぬなガチャピン。お主の献身にはいつも助けられておるよ。
わしを始めとした、この国に生きる全ての人々がの」
胸をドンと叩き、「まかせて!」と笑顔を見せるガチャピン。
彼の元気いっぱいな姿を受けて、長老は心を決めたように、話を切り出した。
「実はの? 先日から“ムック”の消息が、掴めんのじゃよ」
「えっ?! ムックがっ!?」
「あぁ。連絡が付かず、音沙汰も無しという状況が、暫く続いておったのじゃが……」
ガチャピンの相棒であり、現在は同じ対魔忍を生業とする同僚であるムック。
雪男である彼は、何故か赤いモジャモジャの身体というファニーな姿をした子ではあるが……、楽器を弾いたり歌をうたったりと様々な特技を持っている。
そして対魔忍としての実力も確かな物で、とっても頼れるヤツなのだ。
「だが今日になって、ある企業に潜入したうちの忍が、
ムックとおぼしき者が捕まっている事を突き止めての?」
「ムックが……ムックが敵に捕まっちゃったの?!
ありえないよ! まさかムックに限って……! あんなにも強いのにっ!」
ムックは相棒だし、よく一緒に仕事をするけれど、ここ最近は顔を見ていなかった気がする。
そういえばここ数日はメールの返信が無かったり、連絡がつかなかったりしたと思う。
ムックも多趣味だし、とてもアクティブな性格だ。だから忙しくも元気にしているものとばかり思っていたのに……。
彼の実力を誰よりも知るガチャピンだからこそ、まさかこんな事になるなどとは、思いもよらなかったのだ。
「そしての? これは恐らくは“宣戦布告”めいた意図の物なのじゃろうが……。
先ほどその企業より、このディスクが送られてきたのじゃ」
「ん? なにこれ、ブルーレイかな?」
「しかり。恐らくこれには、何かしらの“ムックの映像”が映っておるハズじゃ。
ムックは預かっている、返して欲しくば……というメッセージなのじゃろう」
「くっ……! 許せないっ、許せないよ長老っ!
ぼく今すぐそこに行って、ムックを取り返してくるっ!!」
思わず立ち上がり、出入口へ向かおうとする。しかし長老がガチャピンの肩を掴み、この場に押し留めた。
「待たぬか。行くは良いが、まずはこのディスクを観るのが先決ぞ。
今は少しでも情報を得るのじゃ。落ち着かんか」
「う……うん。ごめん長老……」
長老がリモコンのスイッチをポチッと入れると、天井と床がウィーンと開いていき、そこからホームシアター的な物が現れる。
このお屋敷は絵にかいたような和風だが、随分とハイカラな設備を導入したものだ。ガチャピンは地味にビックリする。
「このディスクが届いたのは、つい先ほどの事での?
わしもまだ見てはおらんのよ」
「そうなの? じゃあ一緒に観よう!
ムックの無事を確認するのが一番だけど、
これを観て作戦を考えなくっちゃ!」
慣れた手つきでディスクを挿入し、長老が鑑賞の準備をおこなう。
ガチャピンは長老の隣に座り、真剣な顔で大きなモニターを見つめる。
「あっ、始まったよ長老!
これは……どこかの地下室かな?」
「むむ……」
強烈なライトが照らす、不気味な地下室の一室。
ガチャピンたちが固唾を飲んで見守る中、そこにムックの姿が映し出された――――
………………………………………
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『――――んほぉぉおおおおお! いっ……イグゥ! イキますぞぉぉぉ~!!』
「!?」
「!?!?」
――――絶句する。モニターに映る光景に。
『 おおン!! わ……わたっ! わたわたわた……わたくしはぁっ!
絶対にお前達などにはぁ! あああ~っ♪ くっ! くっしませんぞぉぉ~っ!!
おほぉおおおお~~~~っ☆☆☆ 』
今ガチャピンが目にしているのは、自らの大切な相棒であるムックが、何かの器具の上で磔になっている光景。
何やらよく分からない艶声も出している。
『 やっ止めっ……んォウッ!?!?
ずっ、ずごっ……!? コレすごうィ~ですぞぉぉ~~♪♪♪ 』
「ムック?! ムックぅー!」
「!?!?」
白目を剥き、なんか幸せそうな恍惚の表情をしているムック。
ガチャピンはただただ友の名前を呼び、長老はただただ絶句している。目の前の惨状に。
「ちょ……!? これ何?!
これムック何してるの?!」
「!?!?」
『 ふぅいいっ! いひっ! いひぃっ! 奥までズコズコ来てるぅっ!
コンコンって奥をノックしていますぞぉぉぉ~っ!! アヘェェェーー☆☆☆ 』
ちなみにだが、一応しっかり映像は観ているものの……ガチャピンにはこの行為が理解出来ない。
いったいムックが今何をしているのか、どういう目に合っているのか……それは子供(という設定)であるガチャピンには、まったく理解できないのだ!
「長老! ムックなにされてるの?!
どうしてこんなに苦しそうなの?! なんなのコレ?!」
「えっ!? あっ、あの……。それは……」
『 あひぃいいっ! やっ、やあああっ!!
イキしゅぎへぇ! おかひくなりましゅぞぉぉぉ~~っ!! 』
「おしえてよ長老! ムックとっても辛そうじゃないか!
なにをされてるのさコレ!」
「そ、それはじゃなガチャピン……? えっと、……これは……」
『 むっ……むぁっ……ンブブブッ、ちゅっ、ちゅるっ……!
ひっ、ちゅぅぅ~~っ……!
や、止めなしゃ~ぃっ……! こんなの止めりゅのですぞぉぉ! ぁあ~っ♡ 』
激しく問い詰められるも、それを説明して良い物かどうかを葛藤する長老。
純真無垢な子供であるガチャピンに、いまムックに行われているこの行為を、果たして教えてしまっても良い物なんだろうか?
まだまだガチャピンには早い気がするのだ! とても説明なんて出来ないッ!!
「なに?! 何あのおっきいの?!
あのブツブツのついた、ピンクの棒みたいなヤツ!
それいったい何に使うのっ?! ムックをどうするつもりなの?!」
『 ンいぎィィイイイ!!?
アヘおおお! あおおおお! イクイクあああ!! 』
「やめてよ! ムックいじめないで!
よく分からないけど……苦しそうにしてるじゃないかっ! やめてよ!」
『 ごッ☆ んごっ、すごいっコレっ、ふぐぐ~ん!
コレっすごぅいひ~んっ♡ 』
「――――なんでムックちょっと嬉しそうなのさっ!!
ちゃんと抵抗しなきゃダメでしょ!? 負けちゃダメでしょ!?」
「…………」
ガチャピン曰く、ムックに“何かが入っている”らしいのだが……それがどういった行為なのかはガチャピンには分からない。
どういう意味を持つのか、いったい何でこんな事をされているのか……、まったく理解出来ない。
そして、よく分からないという事は、すなわち“描写が出来ない”という事だ――――
ゆえにここでも、「なんか入ってる」とか「苦しそうにしてる」とか、そんな風にふんわり説明する事しか出来ない。
行為の所載を詳しく書く事など、不可能なのだ。
『 うぃぃ! こ……こねないでッ、へぇ!!
そんにゃにグニグニしにゃでぇ~っ!
こねっ……メッチャこねられてますぞぉぉ~!! うぐぐぐひぃ 』
「ムーック! しっかりするんだムック! ムーーック!!」
『 ヒィまたイク! ち……チク……!? カプって噛んりゃらエヒャアア☆
わたくしのビンビン丸がぁぁ~! トロけてイックゥゥゥッーー!!!! 』
「イク? どこへ行くっていうのさムック! いま縛られてるのに!
いったいムックは何をされてるのっ?! 教えてよ長老!!」
『 まっ! 今っ! 今はっ……!!
今はふぎぃぃぃぃ~~んっ♪ 』
いまムックは拘束器具で縛り付けられ、ガチャピン曰くなんか“こねられたり”“噛まれたり”しているらしい。
スピーカーからは、ムックの「アヒィ~☆」とか「んほぉぉ!」とかいう艶っぽい声がして来ているが、いったい彼はどんな目に合っているのだろう。謎だ。
『――――あーっはっはっは♪ 良い姿だねぇムック♪
天下の対魔忍ともあろう者がさぁ~!』
その時――――画面にムック以外の人間である、高笑いを上げる女性の姿が映る。
「あっ! この人は!」
「ぬぬっ!」
その女性の姿を観て、思わず声をあげる二人。
いまムックの傍にいる、この妖艶な雰囲気の女性に……ガチャピンは見覚えがあったのだ。
『こうなってしまえば、対魔忍と言えど可愛いもんさ♪
もうアンタは、こうして喘ぎ声を出す事しか出来ない、無力な肉便器なのさ!』
「
思わず叫ぶガチャピン。だがその声は届くハズも無く。
いま目の前に映っているのは、数年前にガチャピンが戦った事のある人物。敵として成敗した朧という女だ。
たしかにこの手でトドメを刺したハズなのに、いま朧はこうしてムックと向かい合っているのだ。
なぜお前が生きている!?
『お前たち対魔忍に復讐すべく、こうして魔の力を授かって復活したのさっ!
……まぁ本当は、ガチャピンを捕まえる予定だったんだけど。
なんの間違いかムックを捕らえちまったんだよねぇ……。どうしたモンかなコレ……』
「!?!?」
――――えっ、ムックってぼくの代わりに捕まったの?
――――ムックはぼくの代わりに、そんな目に合ってたの?
ガチャピンは驚愕の表情を浮かべた。とばっちりじゃないか。
『うん! まぁ捕まえちまったモンはしょうがないよね! てへっ♪
さぁ覚悟しなムック!!』
『ん゛ん゛ん゛~~!! ふぎぃぃ~!!
放しなさい朧さん~! わたくし許しませんぞぉ~! んほぉぉおお!!』
朧はめげずに拷問を再開する。そして今も揉まれたり、噛まれたり、入れられたりしているムック。
だが、たとえどんな状況であろうとも対魔忍の誇りを胸に、毅然とした態度で敵と向かい合う。
まぁたまに『イグゥ~!』とかも言っちゃってたりするが。そこそこは立派だ。
『あっはっは♪ その強情さがいつまで続くのか見物だねぇ♪
では今からお前に、
『な゛っ?! なんですかそれは?! どういう事なんですか!!』
『うん、この薬を注射するとね?
ようはいつもの3000倍くらい“感じやすく“なっちゃうのさ。
もう軽く身体に触れられただけで、ビクビクぅ~ってイッちゃうんじゃないかねぇ?
……まぁ私よく知らないけど。使った事なんて無いし。
あ、そ~れプスッっと♪』
『……やっ、やめ! おやめなさいっ!
やめるのですぞぉぉぉおおおおお~~!!』
叫びもむなしく、ムックの腕に注射器の針が刺さる。
暫くすると、今までなんとか気丈に振舞っていたムックの様子が変化していき、どんどん息が荒くなっていくのが分かった。
『これで貴方は、全ての痛覚が快感に変わるようになった。
うふふ、よかったわねぇムック? 羨ましいわ♪』
『お、おぼっ……! おぼろさんんんッ!!
ぜ、絶対っ! 絶対にゆるしませんですぞぉぉぉおおおおお!!!!』
『それ……そんな気持よさそうな顔して言うセリフじゃないねぇ?
さーパーティの始まりだよ! そーれぺローンっと♪』
『――――アヘアァァァァァァァァァーーッ☆』
スピーカーから流れるムックの甲高い声が、ガチャピンの部屋に響き渡る。
『あーっはっはっは!!
ちょーっとくすぐっても、鞭で叩いても、お漏らししながら大 絶 頂 ☆
フフフ! 便利な身体になったものねぇムック?』
『 おほぉおおおああっ!! イグイグイググクぅぅうううう!!!!
イってしまいますぞぉぉぉぉおおおおおおおおーーーー!!!! 』
『さぁこれから昼も夜も関係なく、徹底的に削り取ってあげる。
はたして何回イクことになるのかしらねぇ……。
1万回? それとも10万回?』
『 はっ、ぐぅっ、ぐっ……ぐぅぅっ……!!
こ、この程度でぇ……! 対魔忍を舐めるなぁっ! ですぞぉぉ~!! 』
『あら強情。とっても素敵よムック♪
まぁいつまで持つのか知らないけれど、せいぜい頑張って頂戴ね?
――――ではいくわよムックっ!!』
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その後……ガチャピン達が見守るモニターには、約10時間にも渡る筆舌に尽くしがたい拷問の数々が映し出されていった。
ムックという大切な友が凌辱される、心が潰れるような、耐え難い映像――――
長老はお年寄りという事で、無理せずたまに態勢を変えて寝転んだり、ちょっとお茶を飲んで小休止をはさんだりしながら。
そしてガチャピンは子供なので、スマホでゲームをしたり、ジュースやお菓子を食べたりしながら、まぁなんか適当に映像を観進めていった。
そしてここからは、音声のみ。
スピーカーの音声のみで、ムックの様子をお送り致します――――
『 誰が、イグッ……がッ……!
誰が貴方の言いなりになっオ!? ――――ホウウウウウッ!! 』
『 あああっ! こんなの初めてぇっ!
こんなの初めてですぞぉぉぉおおおおおおっ!! 』
『アググッ、ヒグッ!! アグッ、ア、ア、アゥ!!
いい、いいぃぃ、ひやっ!! ひぐぐぐぐっ!!!! 気持よすぎますぅぅーー!!』
『おっほ!! うあっこんな! あっアア!
……こ、こんなのが丸1日なんてっ……ハオオッ!』
『――――さぁお前たち! やっちまいな! こいつを好きに使って良いよ!』
『へへへ! コイツぁとんだドスケベ対魔忍様だぜ!』
『あぁそうだな! 俺達なんかにお宝丸出しでヨガってくれるんだからなァ!』
『 そ、そんあ…酷ひぃ!!
いぎぃ……許しま……! ぜったひ許しませ……ですぞぉぉおお~~!! 』
ぬぢゅぬぢゅぬぢゅ……ぬぢゅぬぢゅぬぢゅぬぢゅ!
『 ひぁ、んふっ、だめ、だめ、だめですぞぉぉおおおぉぉ!!!! 』
『 いッ! イガしゃれへるっ……! イガしゃれひゃっへりゅぅううっ!』
『 あひぃいいっ! やっ、やあああっ、 イキしゅぎへぇ!
おかひふっ……なりまふぅうううっ! 』
『 んぉっ、お゛っ、おぉっ!
だっ、出しゅなぁ~……。ぁあああ……。らめぇ~……!
わたくしに……種付けしゅるなんへぇ……! ら、らめですぞぉおおっ♪ 』
『そらっ! 産卵しろムック!!』
『そぅれ産・卵ッ! 産・卵ッ!』
『『『 産・卵ッ!! 産・卵ッ!! 』』』
『ひぎぃい☆
止まんなっ♪ 腰振りとまりまちぇ……! ダメラメやめれェエエ~~ッ♪』
『ドクドク♪ どっくんどっくんっ♪
ぉひいッ、トロける☆ トロけちゃううう♪』
『あぁ……♪ スケベですよぉ♪
この触手☆ と~ってもスケベですぞぉぉ~~♡』
ズキュウウウウ! ズキュウウーーンッ!!
『 ――――へヒひぃいいいいイイインッ?!?!? 』
『 んあぁぁぁっ! 凄いっ! これ凄いのぉぉぉおおおっ!!!! 』
『 おっほぉお!! よし来たぁッ! イグイグイグぅぅうう!!!!
――――わたくしっ! 絶 頂 い た し ま す ぞ っ !!
アッヘぇぇぇぇえええ~~ん♡♡♡ 』
…………………………
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ピヨピヨ……ピヨピヨ……。
朝の光が差し込み、外から小鳥たちの声が聞こえて来る頃――――
「………ねぇ長老? 正直に言っていいかな……?」
映像を全て観終わったガチャピンが、同じく隣に座る長老へと、口を開く。
「ぼくあんまり、
なんで嬉しそうやねん。なんで途中から喜んどんねん。
薬の効果、そもそもがガチャピンのせいだという事情はあったとしても……ガチャピンにはムックを助けたいという想いが、どうしても沸いてこないのだ。
「自分で帰って来てよ。ぼくあんな所いきたくないもん」
「う……うむ」
「それじゃあぼく帰るね?
ひと眠りしたら、You tubeの撮影に行かなきゃいけないの」
「お、おう……。それじゃあの、ガチャピン……」
襖を開くと、そこには眩い程の光――――
さっきまでの気持ちの悪い映像で汚れてしまった心を、洗い流すかのような心地よさだ。
「ムックはもうダメだ。忘れよう――――」
あんな「アヘッ☆」みたいな顔をする人と、友達になった覚えはない。
ガチャピンはそう心に決めて、安らかにお布団で眠った。
すやすやと。とても幸せそうに――――鼻ちょうちんを出して。
……余談ではあるけれど、後日また長老のお屋敷に、例の企業からのディスクが送られてきた。
恐らくはビデオレター的な物と思われる。
一応はまた観てみたけれど、再生した瞬間にムックの“アへ顔ダブルピース”が画面いっぱいに映ったので、ガチャピンは黙って停止ボタンを押した。
魔都、東京――――
闇の存在、そして魑魅魍魎が侵食しつつある、夜の街。
これは世に蔓延る魔に対抗しうる唯一の存在、“対魔忍”となったガチャピンの、戦いの物語である。
ムックは、そのまま引き取ってもらった。
ムック、ほんとにゴメン。
愛してるよ。
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