衞宮士郎に憑依したけど平穏に暮らしたい (幸1511)
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1話

ありのまま今起こった事を話すぜ、目が覚めたらそこにはおっさんの泣き顔が

何を言ってるかわからねーと思うが以下略

というーか身体がめっちゃ痛いナニコレ?

そして俺はあまりの痛みによって意識を失った

 

「知らない天井だ」

次に目を覚ましたら病院だった、とりあえず今自分が子供の姿で入院しているが一体どういう状態なんだろう、まず自分の子供の頃に戻ったとかではないだろう、髪の色が違うし、なら知らない間に子供に憑依または転生したのか?いやまずここは現代なのか?本当に俺の知っている病院なのか?実はファンタジーと科学がごちゃ混ぜになった世界とかいやもしかしたら〜

[コンコン]「失礼するよ やぁ目が覚めたようだね、士郎君いきなりだけど孤児院に引き取られるのと知らないおじさんと一緒に来るの、どっちがいいかな?」

そこにはくたびれたスーツに死んだ目をした男性がいた

 

よりにもよってfateの世界かよ、そりゃアニメの主人公になってカッコイイことしたいとか可愛い子とイチャイチャしたいとか考えたことはあったけど死亡フラグ満載の危険な世界のfateとか無事に過ごせる気がしないんですけど嫌だー無理だーこんなの...

 

そんな事をうだうだと考えていたら切嗣が口を開いた

「あー急にこんなこと言ったら戸惑っちゃうよね、君は新都の大火災の中で偶然生きているのを僕が見つけてこの病院に運んだんだ、これもなにかの縁だど思い君を引きとろうと思ったんだけど駄目かな?」

俺は考えた、もしここで断わったら...

言峰綺礼の教会行き=死

この考えに至った俺は自分でもびっくりするぐらい早く答えた。

「あなたのところがいい他のところは嫌だ」

すると切嗣は嬉しそうに答えた。

「そうか良かったよそれじゃ今から君は僕の息子だ、そう言えば自己紹介がまだだったね、僕の名前は衞宮切嗣そして君は今から衞宮士郎だよろしくね」

そう言うと切嗣は俺に向かって手を差し出した。

これからのことはひとまず置いといて差し伸べられた手に答えるように握手をしながら答えた。

「よろしくお願いします」

切嗣は握手し返してもらったことに満足そうにしながら答えた。

「とりあえず今は君の容態を医者に診てもらおうか、問題なければ退院して家にでゆっくりするといいよ。」

そういうと切嗣はナースコールで医者を呼んだ。

医者に体調を見てもらった際に事故の前の記憶がないと報告したが肉体的には問題がないため退院して定期的に病院へ通院することになった。

 

 

現在切嗣の車で移動中

まず自分に起きてることを整理しよう転生・憑依どっちかわからないが俺は士郎に憑依ということにしとこう

次にアニメ道理に行くと、高校二年生の時に聖杯戦争に巻き込まれたら生き残れる自信がないけど聖杯をほっといてもギルガメッシュか言峰綺礼が聖杯使って人類滅亡になるから理想としては5次聖杯戦争が起きないようにもっていくしかないが、まずどうやって聖杯戦争を止めるかだ、子供が首を突っ込めることでもないし切嗣に聖杯戦争を止めてなんて言った日にはなぜ知ってるか追及されしまうだろう・・・ん?いや別に切嗣に追及されても馬鹿正直に答えて自分に損はあるのか?

まず整理しよう切嗣に追及されたとしてなぜ困るのか

①どうやって憑依したのかの説明がいる

②なぜ魔術について知っているかの説明がいる

③未来で起きることについてなぜ知っているかの説明がいる

こう考えると無理に感じるな、とりあえずデメリットは置いといて次にメリットを考えてみるか

①言峰綺礼の抹殺&ギルガメッシュへの魔力供給源の排除によるギルガメッシュの消滅

②護身のための魔術を通常士郎より教えてもらえる可能性

③フリーランスの封印指定の執行者をやっていたため魔術協会・聖堂教会にコネがあるだろうから聖杯を解体するのに役立つだろう

④魔術の世界に首を突っ込む足がかりとして利用できる

 

俺が考えているうちに車は止まり切嗣が話しかけてきた

 

「ほら士郎ここが今日から君のお家だよ」

そう言いながら俺を家の中に招待した

「えっとお邪魔します」

「違うよ士郎はもう家の子なんだからここはただいまだよ」

「た ただいま」と俺は少し恥ずかしげに答えた

「うん それじゃあ僕は車を止めているから居間でくつろいでて」

切嗣は車を止めに行った

「はーメリットを考えたら切嗣の協力は必須だなーまず魔術の世界に足を突っ込まないことには聖杯解体なんて夢のまた夢だしどうやって説明しよう」

まずなんで士郎に憑依してしまったんだ?

良くある神様転生とかじゃないしなんだ?聖杯か?なんか変な異変が起きたらたいてい聖杯のせいだしやっぱり聖杯が原因か?

俺が頭を悩ましていると切嗣が帰ってきた

「士郎ただいま」

「士郎初めに言っておくとね、実は僕魔法使いなんだ。」

帰ってきたと思ったらいきなり切嗣が爆弾発言を放り込んできた

「うん?いい年してと呆れられるか、何言ってるんだみたいな反応されるかと思ったんだけど意外な反応だね」

と言いながら切嗣がこちらの様子を見ていた。

ヤバイ怪しまれてるもうバレたか?嫌だ死にたくない

俺は焦って口を開いてしまった

「知っていますあなたが魔術師な事は」

その瞬間切嗣の顔が豹変した

「君は何処かの魔術師の子供だったのかい?

僕が調べた限り冬木市の魔術師の家は2つだけだったと思うんだけど」

切嗣は俺をにらみながら答えた

「いえ 魔術師の家の生まれではないです火災のあとからいろんな知識を知ったんですすみません殺さないでください」

俺は半泣きになりながら答え、切嗣がなにか考えているのをビクビクしながら様子をうかがった

「士郎僕の目を見てくれ」

切嗣がそう言いながら目線の高さに顔を合わせてきた

俺は切嗣に言われたまま目を合わせると意識が薄れていった

 

「初歩的な催眠の魔術だけどどうやらかかった様だねよしまずは君は本当に魔術師の家の人間ではない?」

士郎はぼんやりした顔のまま答えた

「はい」

「じゃあ次の質問だ君は僕に危害を加えようとしたりなど考えているかな?」

「いいえ」

「君は一体何者なんだ?」

士郎は何も答えなかった

うん?どういうことだ?何かしら返答があると思ったんだが何も返答しないなんてこの子も現状を把握してないということなのか?

とりあえず考えていても仕方ない話を聞いてみるか

切嗣が催眠を解くと士郎ははっとしたと思うと頭を降ってから喋った

「今何をしたんですか?」

「初歩的な催眠の魔術で君について聞いていたよ」

「自分はどこまで喋りました?」

「魔術師の家の人間ではないこと僕に危害を加えるつもりがないことぐらいかな」

「あれ?俺が何者とかは聞かなかったんですか?」

「いや聞いたが答えてくれなかったよ君の中でも自分が何者かよくわかってないんじゃないかな」

「えーとじゃあ自分についてわかることを俺から話したほうがいいですよね?」

「そうしてくれると助かるよ僕も催眠の魔術は得意じゃないから根掘り葉掘りは聞けないからね」

「えーとまずこの体のいくつかの未来の可能性を知っていますそれから···「いやちょっと待ってなんかすごい気になる事がすでに2つもあるんだけど」あーじゃあ一つずつ説明しながらいきますか」

「そうしてくれると助かるよ」

「まず俺はこの体のもとの持ち主じゃないはずです」

「それはどういうことかな?」

「いやこの体じゃないときの記憶があるんです」

「つまり君はその子の体に魂が憑依したということかな?」

「多分そうだと思います自分でもどうやって憑依したのかわかりませんが」

「そうか次にいくつかの未来の可能性とは?」

「この体の持ち主は十年後聖杯戦争に巻き込まれますその時にいくつもの選択を迫られるんです」

「十年後の聖杯戦争だって?あの子はイリヤはどうなるんだ?」

「一つだけイリヤが生き残る可能性の未来が有りますが、ホムンクルスの寿命により数年たたずに死にます」

切嗣はだまってうつむいた

「切嗣さんイリヤを救いたいですか?」

「救いたいに決まってるだろう!!」

「切嗣さん落ち着いて聞いてください今俺たちは未来の情報を持っている、この情報をもとに聖杯戦争を止めることができればアインツベルンにとってイリヤは用済みになるその時に魔術的に価値のある物とイリヤを交換すればイリヤを救えるかもしれません」

「だがどうやって聖杯戦争を止めるんだい?」

「まず確認したいことがあるんですが切嗣さん今回の聖杯は貴方が破壊したのであっていますね?」

「そうだよ聖杯と対話した後、僕がセイバーに令呪を使って破壊した」

「なら切嗣さんは聖杯が危険なものということはもう知っていますね」

「ああ」

「あれは第3次聖杯戦争の頃の話なんですが、アインツベルンがアンリマユの召喚が原因で聖杯は願いを全て悪意ある叶え方しかしない様になっています」

「もし次の聖杯戦争にやっとの思い出勝ったとしてもちゃんとした願いは叶わないのかい?」

「最初から悪意ある願い以外は叶いませんね」

「そのことを他の御三家は知っているのかい?」

「間桐以外は知らないと思います知ってたら遠坂は聖堂教会と結託して止めると思いますし、アインツベルンは大聖杯を直そうとするでしょうから」

「ならすぐにアインツベルンに言って大聖杯の修理を」

「どうやってアインツベルンと連絡を取るつもりですか?彼らからしたら貴方は宿願達成を邪魔したにくいやつですよ、後間桐とかはどうするつもりですか?」

切嗣は黙ってしまった。

切嗣の様子を見ていると唐突に士郎のお腹がなった外を見ると空はもう暗くなっていた

「そうか起きてから今まで何も食べていなかったもんねよし難しい話は一旦おいといてもういい時間だし食事にしよっか」

一旦話をやめ俺たちはファーストフード店へとむかった。

俺たちは食事の最中一言も喋らなかった、多分切嗣もこれからのことを考えるだけでいっぱいいっぱいなんだろう今のうちに俺も話を整理しておこう。

まずこの世界は切嗣の話的にfate/zeroの世界の続きだろう

そして俺たちがやらなければいけない事は聖杯の解体とそれを邪魔するだろう言峰綺礼と間桐臓硯の排除、後切嗣の目的のイリヤ奪還

 

イリヤ奪還は聖杯さえ解体できればなんとかなるだろうが言峰綺礼と間桐臓硯この二人が問題だ、最悪言峰綺礼は切嗣に暗殺してもらうとして間桐臓硯はどうしたものか

そんなふうに考えてる内に食事も終わり考えを一度切りやめ衞宮邸に戻った

 

衞宮邸居間

 

「切嗣さんこちらはある程度考えがまとまったから今後の方針を決めたいんですけどいいですか?」

 

「ああ大丈夫だよ」

 

「まず1つ目聖杯の解体」

 

「それに関しては僕の知り合いに魔術協会の封印指定の執行者と聖堂教会の代行者がいるからそこからあたっていくよ」

 

「次に2つ目聖杯解体を邪魔する奴の排除」

 

「それも執行者の知り合いでなんとかなると思う」

 

「これについてなんだけどこの体は投影魔術の才能が異常なほどあるらしいから俺に魔術を教えてもらうことはできるかな?」

 

「うん?投影魔術なんてあまり役に立つとは言えない魔術でどうするつもりなんだい?」

 

「普通の投影魔術ならそうなんだけど未来でこの体の投影魔術は宝具すら投影して武器として使うことが出来るらしい」

 

「それが本当だったら封印指定ものだけどそんな馬鹿げたことが本当に可能なのかい?」

 

「そんな馬鹿げた力があったからほぼ一般人のこの体が聖杯戦争で勝利できたんです、聖杯戦争に勝利する難かしさはあなたのほうが詳しいですよね?」

 

「確かになんの準備も無しに聖杯戦争に巻き込まれて勝利なんてふざけたことを可能にするにはそれぐらい馬鹿げた力が必要か...」

 

「とりあえず俺が妄想を真実だと信じ込んだ頭のおかしい奴じゃないかの確認の為にも本当にそんな事が可能なのか確認が取りたいからできるだけはやくに魔術を教えてほしい、いくら魔術で本当か嘘か確認をとった所で本人が狂っていたら意味がないからな」

 

「確かにこんなに色々考えているのに蓋を開けたら狂人の戯言でしたなんて笑い話にもならないからね、わかった話が終わりしだい君の魔術回路を開くとするか」

 

「よしじゃあ最後に3つ目イリヤの奪還」

 

「僕にとってはそれが本命でほか2つはその為の布石だからね、よし方針も決まった事だし士郎蔵に行くよそこで君の魔術回路を開くよ」

 

「士郎今から君の魔術回路に魔力を流し込んで魔術回路を無理やり開く、激痛が走るが我慢してくれ」

 

「わかった始めてくれ」

 

切嗣が俺の肩に手を乗せると俺の体に何かが流れ込んでくる感覚きて体中に激痛が走りうめき声を上げた

 

しばらくすると痛みが収まり切嗣が声をかけてきた

 

「大丈夫かい?これで魔術回路が全部開いたはずだよ、まさか魔術師の家系でもないのに魔術回路が27本もあるとは驚いたよ」

 

俺はハァハァと息を荒げながらその場に倒れ込み意識を失った。

 

 

 

 



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2話

「知らない天井だ」

 

「目を覚ましたかい士郎体の方はどうい?」

 

切嗣に声をかけられ自分の中に意識を向ける

 

「自分の中に今までなかった流れ?みたいなものを感じます後体が痛いです」

 

「そうかいなら大丈夫だ、その痛みは魔術回路を開きっぱなしにしているから感じる痛みだろうなれるしかないね」

 

切嗣はそう答えながらポケットから銃弾を取り出した

 

「これはアイリから教わった錬金術をもとに作った銃弾だ、これを君に飲んでもらい今から魔術回路のスイッチを作る」

 

そう言うと切嗣は俺に銃弾を渡した

 

「それを飲み込んだらなにか回路を切るイメージしてくれ、それでスイッチができるはずだ安心して体に害はないよ」

 

俺は衞宮士郎と同じ撃鉄のイメージをしながら銃弾を飲み込んだ

 

「痛みが無くなりました」

 

「そうかいなら成功だよもう一度魔術回路を起動できるかい?」

 

俺は撃鉄を引くイメージをすると、体に痛みと共に魔力が身体を巡る感覚がやってきた。

 

「うんうまくいってるね、よしそれじゃあ僕は一度寝るから食事はピザでも適当に頼んどいてはいこれここの住所」

 

「え?今から寝るんですか?」

 

「君の魔術回路が暴走しないように寝ずに見ていたからね」

 

そう言うと切嗣は部屋を出ていこうとした

「あ 後僕のぶんも頼んどいてね」

 

その言葉を残して切嗣は今度こそ出ていった。

 

Fate/hollowataraxiaで衞宮邸の間取りはある程度知っているが詳しい間取りを確認した後ピザを注文してすることがなくなったのでゴミをあさり見つけたビンで強化の魔術を試してみることにした。

 

まず撃鉄を下ろし魔術回路を起動させ魔力をビンに流そうとしたら頭の中にビンの構造全てが設計図として浮かび上がった。

それになんの考えもなしに魔力を流してみた結果魔力に耐えられなかったのか瓶が割れてしまった。

次にキッチンから包丁を取り出し構造を読み取ることにした。

「トレースオン」

 

基本骨子、解明 構成材質、解明 憑依経験、ゼロ!?

 

俺は頭に浮かんだ設計図通りに魔力で包丁を投影した。

 

「できた」

俺の手の中には先程構造を読み取った寸分の狂いもない包丁が握られていた。

「さて投影ができたはいいけどこれどうやって消すんだ?」

 

俺は魔術回路を閉じてみた。

「消えないな」

 

どうやって消すか悩んでいるとインターホンが鳴った。

 

考えをやめピザを受け取ろうとした時切嗣にお金を渡されていないことに気づき切嗣を起こしに行った

 

切嗣がピザを受け取り居間で二人で食べながら切嗣が寝ている間に試したことを喋った。

 

「切嗣さんが寝ている間に投影魔術を試してみたんだけど成功しました。」と言いながらキッチンから投影した包丁と本物の包丁を持って切嗣に見せた

 

「ゴホゴホ」

切嗣は盛大にむせた後頭を抱えた

 

「切嗣さん!?大丈夫ですか?」

「誰のせいでって ハー」

切嗣はため息を吐きながら会話を続けた

「士郎今君は魔術回路を切っているね」

「切ってますけどそれが何か?」

「普通投影魔術で投影したものはオリジナルと比べ劣化が激しい、これは世界の修正力が働いているからなんだ、だから通常の投影魔術でだしたものは世界の修正力に逆らうために魔力を送り続けないといけないのに君の魔術ときたら...」

切嗣はそう言うとため息を吐きながら頭を抱えた

「士郎とりあえずそれを貸してくれ」

 

切嗣に投影した包丁を渡した

切嗣はてに持った包丁を観察してから喋った

「これはすごいねこの包丁世界の修正力で魔力に戻される力が働いてないね君が消すかこれを壊さない限り消えないんじゃないかな?

士郎本物の包丁も貸してくれ」

 

切嗣に言われ本物の包丁を切嗣に渡すと切嗣は包丁同士をぶつけた

「強度も本物と変わりないようだね、士郎もういいよこの包丁消してくれ」

 

「あーそれなんですどその包丁どうやって消すんですか?」

 

「え?自分出だしたのに消し方わからないのかい?」

 

「未来の可能性を知ってるって言っても未来を映像として見てたって感じなんでわからない事とかも結構あるんですよ」

 

「そうかとりあえずこの包丁を魔力に戻って消えるイメージをしてみてくれ」

 

俺は言われた道理のイメージをすると切嗣の手に持っている包丁は霧散した。

 

「よし、士郎これで君の未来の知識の信憑性がもてたこれから色々動いていくよ」

 

「まずは何からしていくつもりですか?」

 

「そうだね士郎、まずは病院行こっか」

 

俺は切嗣さんの発言になんとも言えない雰囲気なりながらも指示に従うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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3話

病院へ移動中

 

「切嗣さんわざわざ病院へ行かなくても自分平気ですしいいんじゃないですか?」

 

「士郎 君昨日まで大火災で緊急入院してた子供なんだよ、アヴァロンで治ってるとはいえ病院的に見たらまだ要観察患者の一人なんだよ」

 

「なら暗示や催眠の魔術で上手い感じに誤魔化したりわ」

 

「暗示や催眠の魔術はそこまで万能って訳じゃないんだよとくに組織的相手に対してはね」

 

「え?でもホテル爆破や巨大海魔とか無茶苦茶やっても一般人の記憶に残ってませんでしたよね?」

 

「あれは聖杯戦争の監督役である聖堂教会が暗示の魔術を上手く使える人と軍や警察の方に裏工作できたからこそなんとかなったんだよ」

 

「例えば何ですけど、どういった時に暗示って解けるんですか?」

 

「そうだね〜さっき士郎が言った病院で例えると医者に暗示をかけてもカルテを見たり他の医者またはナースに突っ込まれたりしたら僕レベルがかける暗示だったら解けてしまうかもね特にカルテとか証拠になるものを見られたりすると解けやすいと思うよ」

 

そんな話をしていると病院についた

 

 

俺は現在医者に見てもらっている

「ふーむ体の方はもう健康そのものだね士郎君記憶の方はどうだね?」

 

「いえ 火災前のことは何も思い出せないです」

 

「ふーむもしかしたらなにか昔の事に対して刺激を与えると思い出せるかも知れないね、そういえば火災で君以外にも生き延びた親のいない子を教会が引き取ったらしいその子達の中には君を知っている子がいるかもしれないあってみるのも手の一つじゃないかな?」

 

医者はカルテを書きながらそう言った

 

「教会ですか?僕が知っている教会は言峰教会だけなんですが?そこであっていますか?」

切嗣は医者に聞いた

 

「ええそこであっていますよあそこの神父のえーと言峰綺礼さんがうちに居た子を引き取っていきましたよ」

 

「そうなんですか、わかりました今度士郎を連れて行ってみようと思います」

 

「そうするといいでしょう、ああそれと士郎君のことなんですけどもう通院の必要もないですよ」

 

「そうなんですか?退院してから1日しかたってないですけど判断するにはすごく早いですね」

 

「いやー実は大火災のせいでどこの病院もいっぱいいっぱい何で病院じゃなくても対処できるような患者さんには申し訳ないがこないように言ってるんですよ」

 

「そうなんですか」

 

「ええ後大火災ちょっと前からなんですけど精神科の方が忙しくて、なんでも変なタコに襲われる夢とかを見て精神が不安定な人が精神科にいっぱい来てるらしいんですよ不思議ですよね」

 

医者が軽く笑いながら話した話に切嗣は苦笑いしながら答えた

 

「大変そうですね、それでは僕らも邪魔にならないうちに帰ります士郎行くよ」

 

士郎達帰宅中

 

「切嗣さんさっきのタコの話まずいんじゃないですか?」

 

「士郎僕もそう思うよ聖堂教会にこの事も話した方がいいかもね」

切嗣はそう言いながらため息をついた

 

「そういえば士郎きみ言峰綺礼についてはあまり話していなかったけどあいつは次の聖杯戦争には関わっていないのかい?」

 

「すみません切嗣さん、この体の事とかイリヤの事とかの話しばっかでもれていましたけどあいつも聖杯を狙ってます。

それも前回のサーヴァントが残ったままなのでかなり危険です」

 

「サーヴァントも残っているだって!?どういうことなんだい?」

 

「子供を引き取ったってさっきの医者も言ってたじゃないですか、その理由は子供をサーヴァントの魔力源にするためなんですよ、だからもう教会地下で子供達は助からない状態になっています」

 

「そうか」

 

切嗣は思い悩んだ表情のまま黙ってしまった。

 

「いやほら切嗣さんなら爆殺したり暗殺したりでなんとかなりますよ、マスターさえ殺せばサーヴァントは勝手に消えてくれるんですから」

 

「それは無理だよ士郎まず暗殺だけど奴ならスナイパーで撃ったとしても黒鍵で弾丸を弾けるだろうし爆殺は仕掛けに行けないだろう毒殺とかも対策はしてるだろうし」

 

「そうですかなら魔術協会と聖堂教会の人に協力してもらえば」

 

「それしか今のところは考えが浮かばないねとりあえず僕は連絡をとってみるよ」

 

家についてすぐ切嗣は連絡してくると言い部屋に籠もった

 

俺は投影魔術の練習の為家中のいたるものを解析し投影したりして時間を潰していた

「はー結局投影できてもこんな物じゃ武器にならないだろうし原作みたいに干将・莫耶とか投影できないかなー」

そんなふうにアニメの干将・莫耶思い出していると頭の中に干将・莫耶の設計図が思い浮かんだ

 

え…なんか頭の中に設計図思い浮かんだんだけどマサカーアニメから宝具の解析なんかできるわけないよねーうんうん無理無理ハッハッハ

 

俺は現実逃避をやめ何故解析できたかを考えた

①実は大火災の時に座と繋がってしまっていた。

②fateの世界に来たことによりアニメ映像が未来の映像という概念が付与され未来・過去の記録からでも投影できるこの体が対応した。

③聖杯のイタズラ

④実は神様転生でチートを授かってた

 

うん①③は結局聖杯のせいで②④は確かめることができないし深く考えても仕方ない、取り敢えず聖杯のせいということにしとこうFGOでもなにか異変があったらたいてい聖杯のせいだし

 

俺が考えをまとめていると部屋の襖が勢いよく開かれた

「士郎喜べ魔術協会と聖堂教会と連絡が取れた聖堂教会の方は連絡をとった人が日本にいるから今日の夜には来れるそうだよ」

切嗣が嬉しそうに話してきた

「切嗣さんいったいどんな人が来るんですか?」

 

「ああそうだね士郎カレーは作れるかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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4話

俺は切嗣さんのカレー発言に思い当たる人物が一人出てきたので質問した

「まさか埋葬機関のシエルさんですか?」

 

「おや士郎はシエルのことも知っているのかい?」

 

「ええ、それよりよくそんなすごい人と知り合いになっていますね」

 

切嗣は黄昏ながら答えた

「ああ昔ナタリアと死徒化の研究している魔術師を追っている最中に知り合ったんだ」

 

切嗣の地雷を踏んでしまった俺は話を変えた

「えっとカレーですか市販のなら作れますけどいやちょっと待ってください」

 

俺はそう言いながら投影を開始した

「トレースオン 基本骨子、解明 構成材質、解明 憑依経験、共感完了 トレースオフ」

 

俺の手の中には包丁が握られていた

 

「士郎 急に投影なんて始めてどうしたんだい?」

 

「投影する時なんですけど投影物の経験とかも解析して投影してるんですよ、今投影した包丁は未来のこの体が使っていた包丁なんです」

 

切嗣は頭を抱えながら聞いてきた

「つまり君は宝具を投影すれば体に英霊の経験を投影して英霊みたいに動けるということかな?」

 

「流石に英霊と同じ様に動くことは出来ないですけど英霊に一歩劣る動きはできると思います」

 

切嗣は諦めた顔をするとため息を吐きながら聞いてきた

「はー 士郎きみの魔術には驚かされてばかりだよ他には魔術のことで言っていないことはあるかい?」

 

「あー最後にとびっきりのがあるんですけど驚かないでくださいね」

 

「これ以上のことがまだあるのかい?」

 

「実は何ですけど俺の魔術ってとある魔術の延長なんですけどそのとある魔術と言うのが固有結界なんです」

俺は申し訳なさそうな顔をしながら切嗣から目をそらした

 

「え・・・士郎今固有結界って言ったかい?もしかして僕の耳は狂ってしまったのかな?アハハハ」

 

俺は切嗣の肩をゆすりながら声をかけた

「あー切嗣さん残念だけどあなたの耳は正常ですよー現実に帰ってきてくださーい」

 

「ごめんね士郎ちょっと取り乱してしまったよ取り敢えずカレーの具材でも買いに行こっか」

 

正気に戻った切嗣さんと一緒に買い物へと向かった

 

「そういえば切嗣さんキッチンに入った時調味料が見当たりませんでしたけど家になんの調味料があるか覚えてますか?」

 

「あー士郎 家に調味料は無いよ、それどころか飲み物以外家になにも無いよ」

 

「うーんなら買い物に結構時間かかりそうですね、シエルさんって何時ぐらいに到着予定ですか?」

 

「今東京にいるって聞いているからだいたい3・4時間ぐらいかな?」

 

「そうですかなら急いで買い物をすませましょうか」

 

俺達は急いで買い物を終わらせ帰宅し、カレーを作り始めた。



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5話

家に帰ってカレーを作っているとインターホンが鳴った。

 

切嗣は今魔術協会と連絡をとっているため俺がかわりに出た。

 

「はーい」

俺が玄関を開けると一人のシスターが立っていた。

 

「すみません私教会のシスターをしていますシエルといいます、こちらは衞宮切嗣さんのお宅で間違いないでしょうか?」

 

「はい、切嗣さんから話はうかがっていますどうぞ中へ」

そう言いながらシエルを居間へと案内した。

 

「この匂いはまさかメシアン級いやそれ以上」

 

シエルを居間へと案内したら、シエルは真剣な顔で一人ぶつぶつと呟いていた。

 

「切嗣さんは今魔術協会と連絡をとっているので少し待ってください」

 

そう言い残し俺は切嗣を呼びに行った。

 

「待たせてすまないね、これからことの始まりから説明を...いやまずは食事にしたほうが良さそうだねシエルさんも一緒に食べるかい?」

 

「ぜひお願いします!!」

 

切嗣は話をしようとしたがシエルの様子を見て食事を先にすることにした。

 

俺は食卓にカレーを人数分並べ席についた。

 

「ではいただきます」

切嗣がそういった瞬間目にも止まらぬ速さでシエルはカレーを食べた。

 

「むはぁああああああーーーーー!?」

がたんと振動するテーブル、震えるカレーの皿 

「こ、これわぁーーーーーー!?」 

だん、と感動のあまり拳を打ちつけるしえる。

 

 ……ぴしり、テーブルにひびが入っていたが見ないことにした。 

 

「えええ衞宮さん、このカレー……」

 

「そ、そんなに気にいったのかい、士郎おかわりはまだあるかい?」

 

シエルの様子に引き気味の切嗣はシエルから目をそらしこちらに話をふった。

 

目がイッてるシエルがすごい勢いでこちらにふりむいた。

 

「お、おかわりならまだありますからよそってきますね」

 

俺はシエルから発する圧に怯え、急いでカレーをよそいにいった。

 

結局その後残りのカレーをシエルだけですべて食べた。[合計で10人前、途中御飯が無くなりカレーだけ]

 

「ごちそうさまでした。士郎君後でレシピもらってもいいですか?」

 

「お、おそまつさまです。レシピは話が終わってから渡しますね。」

 

俺はシエルから逃げる様に食器を片付けにいった。

 

シエルが落ち着きを取り戻した頃を見計らって、切嗣は話を始めた。

 

現状わかっている事を未来の知識についてを隠しながら説明した。

 

俺は切嗣に質問した

「切嗣さん魔術協会の方はいつ頃到着するかわかりますか?それとわかれば誰が来るのかも」

 

「ああ、それなんだけどね戦闘の可能性があるということもあり執行者であるバゼット・フラガ・マクレミッツ調査役もかねて明日には来てくれるそうだ」

 

「これまたすごい大物が来ましたね、もしかして魔術協会の執行者の知り合いってその人のことだったんですか?」

 

「ああ、そうだよ、えーと、もう質問は無いかな?」

 

シエルが切嗣に質問した。

 

「最後に質問いいですか?その子はいったい何者なんですか?」

 

 

「あー、僕達もよくはわかってないんだけど、この前の大火災で偶然拾った子なんだけど、中身に別人が入ってしまってるらしいんだよ」

 

シエルは士郎を睨みながら更に質問した。

 

「元の中身はどうなったんですか?」

 

その質問に士郎が答えた。

 

「大火災の影響で精神が死んでしまった所に入ったのか、俺が上書きしてしまったのか、入れ替わったのか、この体の中で眠っているのかのどれかだと思いますが、どれかはわからないです。」

 

「結局何もわかって無いってことですか。」

 

「これで質問は全てかな?無いようだね。

シエルさん今日泊まる所は決まっているかな?よければ家に止まっていくといいよ。」

 

「ありがとうございます、ではご厚意に甘えようかと。」

 

「士郎、シエルさんを空いてる部屋に案内してあげて。

その後で僕の部屋に来てくれ」

 

そう言い残し切嗣は自分の部屋へと戻った。

 

俺はシエルを案内した後切嗣の部屋に入った。

 

「今から蔵に行って士郎の魔術でどんなことができるか確認したいけどいいかな?」

 

 

「問題は無いですけど、どんな事って言われると、色んな宝具があるせいで確認だけでもどれぐらいかかるのかわかりませんよ?」

 

「そうかい、取り敢えず蔵でいくつかの宝具だけでも見せてくれ」

 

俺達は蔵へと向かった。

 

「えーと取り敢えずいくつかのって言われても……そうだ!切嗣さん今あなた聖杯の泥を浴びて呪われていますよね?」

 

「そうだよ、僕は聖杯の泥を浴びて呪われてるけど、なんとかできるのかい?」

 

「トレースオン」

 

「士郎、その歪な短剣は何だい?」

 

「この短剣の名は破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)この短剣の剣先を対象に突き立てる事で、あらゆる魔術を初期化する対魔術宝具です。」

 

「士郎それを大聖杯突き刺せば大聖杯は消せるのでは?」

 

「消せるかも知れないですけどもし、よくわからないまま突き刺してまた泥があふれたら危険なので、これを大聖杯に突き刺すのは最後の手段にしたいんですよ。」

 

「そうかい、まあ正式な手順で解体できるならそっちのほうが安全か…よしわかった

それじゃあ僕にそれを突き刺してくれ。」

 

そう言いながら切嗣は腕を出した

 

「行きます――――術理、摂理、世の理。その万象、一切を原始に還さん。破壊すべき全ての符(ルールブレイカー)」

 

「ふう、さっきまでの体の重さが嘘みたいだよ、聖杯の呪いさえ解除出来るなんて……

こんなこと他にバレたら危険な魔術に失敗した時の治療薬として監禁されるんじゃないかな?」

 

「怖い事言うのやめてくださいよ。

他の宝具も投影していきますか?」

 

「そうだね士郎君が投影出来る宝具で一番ランクの高い物をお願いするよ。」

 

「わかりました トレースオン

勝利すべき黄金の剣 (カリバーン)」

 

「自分でお願いしといてなんだけど、選定の剣を投影するなんて常識外れな事ができるなんて……」

 

切嗣は頭を抱えてため息をついた

 

「士郎疲れただろう、とりあえず今日の所は終わろっか」

 

俺達は蔵を後にした。

 

「今日はもう疲れた僕は寝ることにするよ、おやすみ」

 

「おやすみなさい」

 

 



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6話

バゼットさんのこと調べてみると、fate/zeroの時はまだ13歳で、魔術協会に関わったのは15歳からみたいですね。
この作品では10歳からということにしときます。
fateファンの皆さん設定ガバガバですみません。


翌朝全員が居間に集まった。

 

「全員集まったようだね。

魔術協会の方は昼前に到着する予定らしい、

これからのことは魔術協会が来てから話し合おうと思う、いいね?」

 

「問題ありませんよ」

「わかりました」

 

「なら朝食にしよっか」

 

「あー切嗣さん、その事なんですが、昨日全て食い尽くしたので冷蔵庫は空ですよ。」

 

「そ、そうかいなら外に食いに行こっか」

 

俺らはバゼットが早く到着する可能性も考え、出来るだけ食事を早く済ませる為、某牛丼チェーン店へ行くことにした。

 

俺と切嗣は牛丼をシエルはここでもカレーを食べていると、バゼットが入店してきた。

 

「おや、そこにいるのは衞宮切嗣と教会のものですか。」

 

「おや、奇遇だね、とりあえず話は食べ終わってからにしないかい?」

 

「それもそうですね」

 

バゼットは牛丼を驚くべきスピードで食べ終えた。

 

「さて、話しを伺いたいのですが、ここでは難ですし、何処か話のできるところはありますか?」

 

「なら、僕の家で話そうか。

みんなもそれでいいかい?」

 

「「「問題ありません」」」

 

俺達は衞宮邸に戻った。

 

「まず、魔術協会と聖堂教会の方針を聞かせてもらってもいいかな?」

 

「では、まず魔術協会の方針から話しましょう。

魔術協会としては一般人の被害が出ても根源への道ができるのであれば聖杯の解体はしないとのことです。

ですが、衞宮切嗣の報告によるとサーヴァントを全て聖杯に入れる前に聖杯が溢れたとのこと、

第3次聖杯聖杯では壊れはしましたが、溢れる事なく終えたのに今回は溢れた、

その為、御三家へ話しを伺った後に聖杯の調査をします。

これが魔術協会の方針です。」

 

「つまり、魔術協会としては根源への到達が出来なければ聖杯を解体するということでいいんだね?」

 

「ええ」

 

「わかった、じゃあ次は聖堂教会の方針をお願いするよ」

 

「わかりました。

聖堂教会の方針でが、神秘の秘匿ただそれだけです。」

 

「聖杯が神秘の秘匿の邪魔になれば解体も視野に入れているのかい?」

 

「はい」

 

「二人ともありがとう。

では、次に僕達がわかっている事を話そう。

まず、僕は聖杯から溢れた泥いや、あれは呪いというべきかな、に飲み込まれ聖杯と対話した。

そこで聖杯に全人類の恒久的平和を願っていた僕は聖杯に叶った際の結果を見せられた……」

 

バゼットは問いかけた

「それでなにを見せられたんですか?」

 

「平和の邪魔になる可能性がある存在全ての虐殺を見せられたよ。」

 

シエルは問いかけた

「待ってください、平和の邪魔になる可能性の線引きはどういったものですか?」

 

「争う可能性がある存在全てだったよ……」

 

「まさか全人類ですか!?」

 

「ああ、その通りさ、だから僕は聖杯を壊した。」

 

「なぜそんな事に?」

 

「これは僕の推測だけど、聖杯自体が呪われているんだと思う」

 

「なぜそんな結論にいたったのですか?」

 

「僕が聖杯から漏れ出たものを被って呪われたからさ、普通聖杯の中身は無色の魔力のはずなのに今回の聖杯の中身は触れた物を呪う危険物になっていた。」

 

「聖杯が危険な物になっている可能性がある事はわかりました。

ですが大聖杯を調査するにしても御三家へのうかがいをたてずに行なうわけにもいきません、ここは間桐にうかがいをたて魔術協会の調査員を呼ぶことにしましょう。」

 

「待ってくれ、もし間桐が聖杯が危険なのを承知で聖杯戦争を続けようとしているなら僕等は邪魔者だ、君は敵の魔術工房にノコノコ足を踏み入れる事になるんだよ?危険すぎる。」

 

「ですが許可なく調査するわけにもいきません、危険なのを承知でいくしかありません」

 

切嗣は呆れられた顔でため息をついた。

 

「はー、わかった僕もついていくよただし、準備もある明日の昼頃に向かういいね?。」

 

「わかりました。」

 

「士郎明日の準備をするから後で蔵に来てくれ。

それと君達今日の泊まる所はどうするんだい?」

 

「問題ありません、この時間だとホテルは厳しいでしょうが、いざという時は公園のベンチだろうとどこでも寝れます。」

 

「いや…年頃の女の子が野宿はどうかと思うよ…

はー、仕方ない家に部屋は余っている家に泊まるといいよ。

シエルさんもどうだい?家に泊まっていくなら今の部屋をそのまま使ってくれていいよ。」

 

「お言葉に甘えさせてもらいます」

 

「よし、なら食事にしようか、明日の準備もあるし手早く済ませたいまた牛丼でいいかな?」

 

「「「問題ありません」」」

 

こうして俺達は夕食をすませるのであった。

 

 

 

 

 

 



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7話

注意オリジナルの投影物が出ます。



俺と切嗣は某牛丼チェーン店から帰宅し、明日の準備の為蔵に入った。

 

「それじゃあ士郎、間桐臓硯について君が知っている事を話してくれ。」

 

「わかりました、まず間桐蔵硯の魔術ですが、水属性と吸収を持ち蟲の使役に特化しています。」

 

「そこまでは僕も知っているよ。」

切嗣は続きを促した。

 

「戦闘としては翅刃虫という幼虫を羽化させ大群で人を襲います。

翅刃虫の顎の力は牛の骨すら噛み砕くので、群がれたらひとたまりもないと思ってください。

後奴は肉体を虫に置き換えています、この虫を殺さない限りやつは死にません。」

 

「虫に対しての対策はあるかい?」

 

「虫自体は火に弱いです。」

 

「そうかい、本体が虫なのは厄介だね、火炎放射器を持ち歩くわけにもいかないし、最悪火炎瓶を投げながら撤退するしかないか、別に今回は殺す必要は無いわけだし、

うん、ありがとうこれで対策が取れるよ。」

 

「ちょっと待ってください切嗣さん、今回の間桐蔵硯との会談なんですけど俺等を殺す気なら奴は地下に俺等を呼ぶと思うんです、地下で出口を虫で塞がれた時の対策もいると思います。」

 

「士郎はなにか打つ手があるのかい?」

 

「宝具で一つだけ対処できる可能性があるものがあります。」

 

「士郎、執行者の前で君の力を使うのは危険すぎる、その手は最後の手段だできるだけ使わない方がいいよ。」

 

「わかってます、ただ最後の手段が有効か今のうちに確かめておきたいんです。」

 

「わかった、今のうちに色々試しておこう。

 

こうして俺達は色々宝具を試して一日を終えた。

 

翌朝全員で居間に集まった。

 

「みんなおはよう、今日、間桐蔵硯との会談をしに行くが十中八九戦闘になるだろう。

相手は500年生きた魔術師だ一瞬の油断で命取りになるだろう気をつけてくれ。

それと間桐の魔術だけど虫を使役してくる、この中に火の魔術を使える人はいるかい?」

 

「初歩的なものですが、火のルーンを使えます」

 

「私は火葬式典が使えますが、虫など大群相手にはむきませんね」

 

「そうかい、決め手にはかけるね、まあ今回は間桐蔵硯を殺しに行くわけじゃない、奴が襲ってきたら、聖杯が危険な物であると承知のうえでこちらが邪魔者だから襲ってきたとか適当なこと言って、無理やり調査すれば良いしね」

 

「皆はなにか言っておきたいことはあるかい?」

 

「「「ありません」」」

 

こうして俺達は間桐邸へと向かった。

 

バゼットがインターホンを押して少し待つと、中から桜が出てきた。

 

「魔術協会の者ですね、お爺様から話はうかがっていますついてきてください」

 

俺達は桜に案内され地下の虫蔵へと向かった。

 

階段を下り底につくと、そこには間桐蔵硯が待ち構えていた。

 

「この度魔術協会から聖杯調査の任を受けましたバゼット・フラガ・マクレミッツといいます、聖杯調査の許可をもらいに来ました。」

 

「ふん、こんな小娘を寄越すとは魔術協会は大分人手が足りんらしいのう」

 

「御託はいい、調査の許可を出せ!!」

 

「クカカカカ どうした?随分焦っているように見えるのう、なんじゃ?娘が次の聖杯になるのがそれほど嫌か?」

 

「黙れ!!」

 

切嗣はコンテンダーを間桐蔵硯に怒りながら向けた。

 

「切嗣さん落ち着いてください。」

俺は切嗣を抑えながら話を続けた

 

「それで間桐さん調査の許可はもらえるのでしょうか?」

 

「ふん、なにを白々しい、わしが許可を出さなくとも勝手に調査するつもりだろうに」

 

「まあ、すでに魔術協会と聖堂教会が動いてる時点で調査は行われるでしょうが、形式だけでも取繕うって話です。」

 

「ふざけるな小僧共儂らは200年もの時を聖杯の完成に費したそれを危険だから解体じゃと?笑い話にもならん。」

 

「では、どうするつもりですか?俺達を殺したところで魔術協会と聖堂教会が止まるはずがありません」

 

「ふん、知れた事よ、貴様らを殺し脊髄に虫を入れ操り魔術協会と聖堂教会に適当な報告をさせれば良い」

 

そう言いながら間桐蔵硯は杖で床を叩くと、蔵の至る所から翅刃虫がでてきた。

 

「クッやっぱりこうなったか」

 

そう言いながら切嗣は火炎瓶を投げた。

 

「クカカカカ 衞宮切嗣お前には一目おいていたのじゃがな、まさか儂の魔術工房にノコノコと足を踏み入れるとはのう、なんじゃ?嫁をその手にかけて気でも狂ったか?」

 

「黙れ!!」

 

切嗣は袖からサブマシンガンを取り出し間桐蔵硯を蜂の巣にした。

 

蜂の巣にした間桐蔵硯の体が虫に変わり崩れ落ち、別の場所に虫が集まったかと思うと間桐蔵硯があらわれた。

 

「クカカカカ 昔のお主なら儂の家ごと燃やしてたろうに、なんじゃ?自分の娘と同じぐらいの娘がおるから一緒に燃やすことができんかったのか?」

 

「危ない!!」

 

シエルが全員を囲む様に黒鍵を投げ結界を張った。

 

「ふー、これでひとまずは安全です」

 

「すまない、助かったよ」

 

「どうしますか?このままだといずれ結界がとけ、皆虫に食われますよ。」

 

「クッ、正直侮っていたよ。火を付ければ虫ぐらいどうとでもなると思っていた、だがあのヌメヌメした虫【淫虫】を火に被せて消されてる、切り札を切ったところで僕達のほうが先にたまが尽きてしまうだろう。」

 

「切嗣さんその切り札で時間は稼げますか?私も一つ切れる札があるのですが、結界を一旦解く必要がありますけどいけますか?」

 

「どれぐらい時間を稼げばいい?」

 

「数秒ほどで十分です。」

 

「それぐらいなら余裕さ、士郎僕の鞄からあれを取り出してくれ。」

 

俺は切嗣さんの鞄から数本の波打った形状の剣を取り出した。

 

「それは?」

 

バゼットが切嗣に質問した。

 

「これはフランベルジュの贋作品さ、火の神秘を内包する剣なんだけど、家には剣を使えるものがいなくてね、蔵に眠っていたのさ。」

 

「それでどうするつもりですか?」

 

バゼットは続けて質問した。

 

「剣に内包する神秘を無理やり開放させて爆弾代わりにする。

火の神秘が宿っているぶん普通の火よりは消えにくいはずだよ。」

 

「なるほど、わかりました。

それが爆発した瞬間に結界を解きますいいですね?」

 

「わかったよ。

僕・士郎・バゼットさんの3人で一斉にこれを投げるその後は頼んだよ士郎」

 

俺は切嗣さんとバゼットに一本ずつフランベルジュをわたした。

 

「行くよ」

 

3人で一斉に間桐蔵硯がいる方向以外の3方向に投げた。

 

「壊れた幻想」

 

3本の剣が一斉に爆発し周りの虫達を吹き飛ばした。

 

その瞬間シエルが結界を解くと間桐蔵硯の周りに黒鍵を投げながら一瞬で間桐蔵硯を捕まえた。

 

「私が殺す。私が生かす。私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が目の届かぬ者は一人もいない。

打ち砕かれよ。

敗れた者、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。

休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる。

装うなかれ。

許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を。

休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。

永遠の命は、死の中でこそ与えられる。

――――許しはここに。受肉した私が誓う

――――この魂に憐れみを

(キリエ・エレイソン)」

 

シエルが詠唱を終え掴んでいた間桐蔵硯が消滅した。

 

「ふー、終わりましたか」

 

バゼットとが気を抜いてルーンを解いた。

 

「バカ!!まだ気を抜くな!!」

 

俺がバゼットに声をかけたその時、バゼットの近くの一匹の翅刃虫の幼虫が羽化しバゼットを襲った。

 

「バゼット!!」

 

俺はバゼットを突き飛ばした。

 

 

そして俺の腹から鮮血が舞った。

 

 



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8話

皆さんこんばんは
まず、遅れてしまい申しはけありませんでした
去年中には投稿しようと思っていたんですが仕事のストレス解消に酒飲んで全裸で踊るのに忙しくてこんなに期間が空いてしまいました。


「士郎!!」

「士郎くん!!」

 

俺は腹を突破られその場に崩れバゼットがその場を呆然と眺めていた。

 

「なにをぼうっとしているんだ!!早くその虫を殺せ」

 

火が上がっていない方向からくる虫を殺しながら切嗣はバゼットに指示を出した。

 

バゼットは全身にルーンをまとい、士郎の腹を今も食い尽くそうとしている翅刃虫を捕まえ握りつぶした。

 

「衞宮士郎大丈夫ですか!?気をしっかり持ってください。」

 

「シエルさんさっきの結界をもう一度はれるかい?」

 

「次で最後ですけどはれます」

 

「すまないが頼むよ」

 

切嗣がお願いするとシエルはこちらに移動しながら黒鍵を周囲に投げ結界をはった。

 

「士郎大丈夫かい?今から鞘に魔力を送るよ」

 

「切嗣さん、ハァハァ  治療は待ってください。ハァハァ」

 

荒い息を上げながら切嗣の治療行為を止める。

 

「何故止めるんだ士郎!?」

 

「このままじゃいずれ俺達は結界がとけ食われてしまう、その前に無茶をしようと思う、だから治療じゃなく延命処置だけしてほしい。」

 

「一体何をする気だい?士郎…」

 

「見ていればわかりますよ」

 

そう言いながら俺は投影魔術を開始した。

「トレースオン、

基本骨子、解明

構成材質、解明

憑依経験、共感 ウグッ 完了ハァハァ

全行程投影完了 ハァハァ

いくぜ間桐蔵硯、これはテメェの自業自得だ!

逆さまに死ね、『偽り写し記す万象』」

 

俺が宝具を使用したその瞬間、この虫蔵に案内した桜の方から、間桐蔵硯の悲鳴が聞こえてきた。

 

「なっ!?一体何をしたんだ士郎!?」

 

切嗣は驚きながら士郎にたずねた。

 

「ただ傷をつけた相手に自分と同じ傷をつける呪いを行っただけです。

この呪いは俺の傷をもとに相手を呪ってるんで、俺の傷が塞がらない限り相手も傷が塞がらないんで、治療じゃなくて延命処置を続けてください。」

 

「わかったよ士郎。」

 

それから数十分ほど途中シエルと切嗣が交代し魔術で士郎の延命処置を続けていると、桜の方から聞こえてくる声が途絶えた。

 

「ふぅ〜間桐蔵硯の声が途絶えたし虫達にかかっている使役術も解けたみたいだし、これで終わりですかね?」

 

シエルがそう言うと延命の為の魔術から治療の魔術に切り替え傷を塞いでくれた。

 

「士郎君 立てる?」

 

シエルはそう言いながら手を差し出してきたので、俺は手を取り立ち上がった。

 

「ありがとうございます、シエルさん」

 

シエルは一瞬怪訝な表情をした後、桜の方に目を向けた。

 

「えーっと貴女名前はなんていうのかしら?」

 

「桜、間桐桜です」

 

桜は不安そうな顔で答えた。

 

「そう、桜ちゃんね、貴女の中に間桐蔵硯がいたみたいだから、今から貴女の体を調べさせてほしいんだけどいいかな?」

 

シエルは桜に優しく問いかけ、桜はそれに不安そうに頷いた。

 

「よし、それならここから出るとしよう。

士郎も休ませたいし、何処か休める部屋はないかな?」

 

「それなら雁夜叔父さんの部屋が空いてますので案内します。」

 

桜はそう答えながら俺たちを案内した。

 

 



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9話

俺らは蟲蔵を後にして雁夜の部屋に案内された。

 

「じゃあ桜ちゃん、貴女の身体を調べたいから私を別室に案内してくれないかな?」

 

シエルと桜は別室へ行こうとした時、切嗣が声をかけた。

 

「ごめんね、ちょっといいかな?

色々と調べたい物があるんだけど、この屋敷を調べさせてもらってもいいかな?」

 

「お祖父様はもういませんから、好きにしてもらって構いません」

 

「ありがとう、呼び止めてごめんね」

 

会話が終わると、今度こそ二人は別室へ移動した。

 

「衞宮切嗣貴方は何を調べようとしているのですか?」

 

バゼットは切嗣に質問した。

 

「間桐蔵硯は聖杯が危険なのについて知っていた、なら聖杯に変化に気づき自分の目的が達成できるか知る為に聖杯を調べてる筈だ。」

 

「そういう事でしたか、なら私も手伝います。」

 

「調べ物なら人手があった方がいいでしょうし、自分も手伝います。」

 

「いや士郎はさっきの戦いで疲れてるだろう今は休んでいいよ。」

 

そう言い残し切嗣達は部屋から出ていった。

 

俺はベッドに寝転がりながらさっきの戦いを振返った。

 

俺はアンリマユの宝具を投影してしまった。

特殊な状況でしか活躍しないクソ宝具だが、一般人の俺と魔術師の価値感は違う。

 

最悪この投影がきっかけに狙われる可能性がある。

 

幸いアンリマユの宝具はホロウでアンリマユが士郎の殻を被って登場した時に現れた宝具の為、アンリマユの宝具とは特定されないだろう。

 

この事はこれ以上考えても意味はないだろう。

 

周りの反応を見つつ対応するしかないか。

 

次に憑依経験の投影からの真名解放下にもかかわらず、今普通にすごせているのはなぜか?

 

原作士郎はナインブレードワークス使用時英霊エミヤの腕を使い死にそうになっていた。

 

いくら最弱の英霊であるアンリマユの宝具であろうと自分に被害が全くないのはなぜか?

 

原作士郎も干将・莫耶の投影には魔力消費が少ないなどがあるし、アンリマユの宝具と相性が良かったのかもしれない。

 

なら、なぜ?アンリマユの宝具と相性が良かったのか?

 

①士郎顔のサーヴァントだから

②火災時に大聖杯との繋がりができていた為中のアンリマユと相性が良くなった

 

考えられるのはこの2つぐらいか。

①なら話は簡単だ他の士郎顔サーヴァントの武器を試してみればいい。

 

もし、これが出来るのなら千子・村正 エミヤ・オルタ 天草・四郎の憑依経験・宝具を投影出来ればかなりの戦力アップに成るだろう。

 

そう俺が考えを巡らせていると、ドア

からノックが鳴った。

 

ドアを開けるとそこにはシエルが立っていた。

 

「まだ他のみんなは調べ物中?」

 

「はい、まだ切嗣さん達は聖杯の資料がないか調べてる最中ですよ」

 

「そう、なら桜ちゃんの診察結果はみんなが集まった時に話すね。」

 

「そうだ士郎君、私地下に気になった事があって調べようと思うんだけど士郎君も来てくれないかな?」

 

「自分ですか?調べ物ならあまり役に立たないですけど…」

 

「調べ物はすぐに終わるから大丈夫だよ。

君とお話もしたいから調べ物ついでに話をしようと思ってね」

 

「そういう事なら大丈夫ですよ」

 

「そう、ありがとうね士郎君」

 

そう言いながらシエルはとかに向けて移動したので俺はついて行った。

 

地下の階段を降りながら俺はシエルに質問した。

 

「シエルさん自分と話がしたいと言っていましたがいったい何の話ですか?」

 

「実は士郎君、君の魔術について聞きたいことあるの」

 

「俺の魔術についてですか?」

 

やばい聖堂教会に俺の魔術が知られれば実験動物のような扱いを受けるか殺されるかの二択だ、ここはなんとしても誤魔化さないと。

 

「やっぱり投影魔術は珍しいんですか?」

 

「いや投影魔術自体は儀式の触媒代わりに使う人もいるんだけどね君の投影魔術はちょっと変だったから気になったの」

 

「変?他の投影魔術を見たことがないので自分では解らないですが…」

 

「本来投影魔術は数分間しか持たないし、劣化の激しい為、維持するのにも魔力消費がいるあまり使えない魔術なの」

 

「そうですね、それが何か?」

 

話をしていると俺達は地下の蟲蔵に着いた。

 

「ねえ士郎君ならあれは何かな?」

 

シエルが指を指したその先には俺が投影した右歯噛咬と左歯噛咬が落ちていた。



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10話

「ねえ士郎君あれは何かな?」

 

シエルが俺に聞いてきた。

 

「いや、えーなんでしょうね〜ハハハ」

 

「ねえ士郎君そんなので誤魔化せると思う?」

 

俺は勢いよく体勢を変えた。

 

「なっ!?」

 

勢いよく体勢を変えた俺にシエルは慌てて構えたが、そこに映るのは

 

「命だけはご勘弁を〜!!」

 

きれいな姿勢で土下座する俺の姿だった。

 

「えっと、士郎君とりあえずその姿勢やめてもらえないかな?」

 

シエルは困った顔をしながら士郎を立つように言った。

 

シエルと俺は投影した宝具の方に向かいながら会話を続けた。

 

「士郎君、さっきの反応からして君の魔術の異常性はわかっているのね。

いったいどういう魔術か教えてくれるかな?」

 

「いや、あの……言わないとだめですか?」

 

「君が言わないなら魔術で無理やり聞き出すだけよ。」

 

「言いますのでこの事は聖堂教会に伝えないでもらえませんか?」

 

「ごめんね、今回の事件のこと、報告書に詳しく書かないと聖堂教会も聖杯解体に動いてくれないと思うからそれは無理かな。」

 

「さっきの間桐蔵硯の自白と今切嗣さん達が探してる資料じゃだめですか?」

 

「魔術教会にも間桐蔵硯の殺害方法は知られるだろうし、無理じゃないかな」

 

「はぁ、わかりました。

俺の魔術は自分の心象風景にある物の投影です。」

 

俺は観念して自分の魔術について喋った。

 

「ちょっと待って、心象風景の投影って……まさか固有結界!?」

 

「そうです固有結界ですよ。

だから知られたくなかったんですよ。」

 

「……いや、ごめんね。

まさかそんな厄介なものとは思ってなくて…」

 

「一つ聞いてもいいですか?」

 

「何かな?」

 

「この事が教会に知られたら自分どうなりますか?」

 

「うーん、士郎君の場合、切嗣さんがアインツベルンの関係者だからね、魔術協会に士郎君がわたる前に始末するか、教会で監禁して実験に使われるかで、ろくなめには遭わないと思うよ」

 

「この事は聖堂教会に黙っててもらえませんかお願いします。」

 

「私が教会に黙ってて魔術協会にこの事が知られたら、いずれ聖堂教会にもバレて、黙ってた私にも被害がおよぶかもしれから無理かな。」

 

俺は項垂れその場に呆然とした。

 

「はー、それにしても、これが投影品とは思えない出来だね。」

 

シエルは床に落ちている右歯噛咬を拾い、眺めた。

 

「えい」

 

シエルは右歯噛咬を何気ないようにへし折り呟いた。

 

「あ、壊れると流石に消えちゃうんだね。」

 

「いやいやいや!! 簡単にへし折ってますけど、それ宝具ですよ!!」

 

「そうだね、聖堂教会が作る儀礼剣なんかよりは硬かったよ。」

 

「貴女はゴリラかなんかですか!?」

 

俺は立ち上がりながらシエルにツッコミを入れると

 

「グフッ」

 

「こんなか弱い女の子に対してゴリラなんて失礼しちゃうじゃない。」

 

か弱い女の子は普通剣を折りませんし人に腹パンはしない。

と言うか女の子って年じゃ……

 

「何かな?士郎君言いたい事があるなら言ってもいいのよ?」

 

シエルはこちらに笑顔で微笑んだ。

 

「いやー、やっぱりシエルさんはお美しいですねーハハハ」

 

「そう、ありがとうね、

次に変なこと言ったらさっきの剣のようにするから」

 

「イエス マム」

 

俺は最敬礼をした。

 

「話がそれちゃったね。

と言うか今サラッと言ってたけど宝具ってどういうことかな?」

 

俺は何故宝具を投影できるかの理由についての説明として、この体の未来の知識についてシエルに説明した。

 

説明が終わる頃、切嗣がやってきた。

 

「二人ともこんなとこにいたのかい、探したよ…」

 

切嗣は床に落ちている左歯噛咬を見て察した表情をしながら言った。

 

「士郎、短いつき合いだったけど君の事は忘れないよ」

 

「お願い!!切嗣さん、諦めないで!!頼れるのは貴方だけなんです」

 

俺は切嗣の足にすがり着いた。

 

「いやいやいや、無理だって僕じゃ聖堂教会から君を匿うとか不可能だから」

 

「神は死んだ、もういない」

 

「いや、士郎君気持ちはわかるけど、一応私シスターだからね?私の前でその発言はどうなの?

ってそんなことよりも私達を探してたってなにか見つけたんですか?」

 

「そんなこと!?」

 

「いや、士郎、今から真面目な話をするから黙ってて。

実は桜ちゃんについてなんだが…」

 

「桜ちゃんについてなら私からも皆に話したいことがあるの、上で話しましょう」

 

「わかった。

バゼットさんはさっきの部屋に待たせているからそこで話をしよう」

 

俺達は先程の部屋へと歩みを進めるのであった。

 



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11話

桜以外の全員が間桐雁夜の部屋に集まった。

 

切嗣が全員集まったのを確認し、口を開いた。

 

「さて、皆集まったね。」

 

「あの、衞宮士郎の目が死んでいるのですが、いったい何があったんですか?」

 

バゼットが俺を見ながら困惑した表情をうかべた。

 

「ああ、あれは気にしないでいいよ。

それよりもシエルさん、桜ちゃんの検査結果はどうでしたか?」

 

「ええ、私もそれについて話たいことがあったの。

まず、間桐蔵硯死んだ痕跡があの子の心臓部分で発見できたわ。

次にあの子の体の中何だけど、大量の蟲が埋め込まれているます。」

 

「それだけかい?」

 

切嗣はシエルに問いかけた。

 

「私が分かっていることはこれだけです。

他に何かあったんですか?」

 

「そうかい…

なら僕達が調べて分かったことを話すよ。

あの子の中にどうやら聖杯が埋め込まれているらしい。」

 

俺は切嗣があまりにも真剣な表情で言ったことに対して疑問がうかんだので質問した。

 

「?切嗣さん聖杯が埋め込まれているのがなにかまずいんですか?。

別にアインツベルンだって聖杯入りホムンクルスとか作ってますし、そんな大げさに話すことでもないでしょう?」

 

「そうだね士郎、ただ聖杯が埋め込まれてるだけならそこまで問題が無いんだけどね…

さっきシエルさんが言っていた蟲が問題だったんだよ。」

 

「なにかまずいんですか?」

 

「桜ちゃんの魔術特性が無理やり歪められて、吸収の特性を持っているらしいんだ。」

 

その話を聞いた瞬間、シエルとバゼットは顔をしかめた。

 

「えっと、それの何がまずいんですか?」

 

「いいかい士郎、聖杯は英霊7基の魔力を蓄えることができるのは知っているね。」

 

「ええ、それで完成した聖杯で願いを叶えるんですよね。」

 

「そうだね、今回問題なのは魔力を膨大に蓄えれる存在に魔力を集める方法がある事なんだ。」

 

「え?でも英霊を聖杯に入れないと根源への道は開かれないですよね?」

 

「士郎、根源への道は別に聖杯だけじゃないし、大量の魔力を欲する目的が根源到達と決まったわけじゃない。」

 

「つまり俺と一緒で色々なところから狙われるからヤバイということですか?」

 

「それもあるけど、もう一つ良くないことがあってね、桜ちゃんに埋め込まれてる聖杯はアイリの欠片何だけどね、アイリはアンリマユと繋がっていたから恐らく桜ちゃんの中の聖杯もアンリマユと繋がっていて魔力を溜めるとろくでもない事になる。」

 

「結局どうするんですか?」

 

切嗣は俺の問いかけに真剣な表情で言った。

 

「今のうちにあの子を殺したほうがいいだろう」

 

 



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12話

ガチャン

 

部屋外で食器が割れる音がして全員が振り返った。

 

「どうやら聞かれていたみたいだね。」

 

そう言いながら切嗣は扉へと向かい、扉を開いた。

 

そこにはへたりこんだ桜がただ震えながらこちらを見ていた。

 

「待ってください!!切嗣さん!!」

 

俺は切嗣と桜の間に割り込んで切嗣を止めた。

 

「士郎、君の気持ちもわかる、だが、そこをどいてくれ。」

 

「まだ桜の聖杯が危険な物とわかってないでしょ!!

それに大聖杯を解体出来れば本体のアンリマユも消えるだろうし、この子を殺す必要はないでしょう!!」

 

「士郎、大聖杯の解体が終わるのにどれくらいの時間がかかると思っているんだい?

それにね、その子の聖杯が危険じゃないとして、その子を狙う魔術師達はどうするつもりだい?」

 

「それは……」

 

「僕もね殺したくて殺すわけじゃないんだよ。

この子が他の魔術師に引き取られたら、この子は今殺されなかった事を後悔する目に会うだろう。」

 

「なら、他の魔術師に引き取られる前に聖杯を取り除くというのは?」

 

「間桐蔵硯の資料を見たところ、聖杯はその子の体に溶け込んでいる。

シエルさんも見つけれなかった事から無理だろう。」

 

「俺の解析なら、見つけれるかもしれません。」

 

「見つけたところで、どうするんだい?

どういう形で溶け込んでいるかはわからないが、シエルさんが見つけれなかった事から見て、恐らくだが形ある状態じゃないだろう。

見つけて体から抜き取ると言うのも無理だろう。

士郎、もういいだろう、そこをどいてくれ。」

 

切嗣は顔をうつむかせ、ただ呆然と立ちすくんでいる俺を横に押しのけ桜に近づいた。

 

「いや……」

 

桜は腰を抜かしているのだろう、ただ震える腕で後ろに逃げようとした。

 

「桜ちゃん、君もわかっているだろう?

他の魔術師に捕まってしまえば、間桐蔵硯にされていた事より酷い目会うだろう。

今死んだほうが君のためだ。」

 

切嗣はそう言いながら懐から銃を取り出し、桜に向けた。

 

「いや……なんで?……

いい子にもしてました……

お祖父様に酷いことをされても耐えました……

なのに……なんで!? なんでなんですか?……

助けて……助けて…姉さん……」

 

「君が悪い訳じゃない、君の周りが悪いんだ。

すまない、許してくれとは言わない。

僕を恨んでくれて構わないよ。」

 

銃の引き金に切嗣が指を掛けた時

 

「待ってくれ!!」

 

「またかい、士郎」

 

切嗣は死んだ目をしながらこちらを見た。

 

「さっき切嗣さんは溶け込んでいて形が無いから取り出せないって、言いましたよね。」

 

「そうだね」

 

「なら、形があれば取り出せるんですよね?」

 

「何が言いたいんだい? 士郎。」

 

「俺が聖杯を解析して、聖杯の足りない部分を補うように投影して、正しい形にしてやれば取り出せませんか?」

 

「士郎、アイリを投影で、作るつもりかい?」

 

「できませんか?」

 

「士郎、もしだ、アイリを投影出来たとして、どこに投影されるんだい?

その子の中に投影されてでもみろ、その子が破裂するぞ」

 

「それは……」

俺が言葉言いよどんでいると、後ろからバゼットが答えた。

 

「それなら、なんとかなるかもしれません」

 

「なんだって?それは本当かい?」

「なんだって?それは本当か?」

 

俺と切嗣は二人同時にバゼットに問いかけた。

 

「ええ、私が間桐桜に蘇生のルーンをかけた後なら、間桐桜が破裂しようが問題ないはずです。」

 

「切嗣さん!!」

 

俺は嬉々とした表情で切嗣に声をかけた。

 

「わかったよ士郎、僕もこの子を殺したいわけじゃない。」

 

俺は桜の元へ駆け寄り声をかけた。

 

「やったぞ桜、殺されなくてすむぞ!!」

 

「いや、士郎、ちょっとその言い方は……

僕もやりたくてやってるわけじゃって……

聞いてないか」

 

切嗣がなにか言っているようだが俺の耳には入らず、俺は桜の手を取り喜んだ。

 

俺達が落ち着いた頃を見計らって、切嗣が声をかけた。

 

「さて、やっと落ち着いたかい。」

 

「すみません。お見苦しいところを見せました。」

 

「いや別に構わないよ。

それよりも士郎、本当にアイリを投影できるのかい?」

 

「いや、正直解らないですがアイリさんも魔術で作られたホムンクルスですし、魔術で作れるんじゃないかって……」

 

「ハァー、試して見ないとわからないってことかい。

試さないと解らないっていうのに君はあんなに喜んでたのか……」

 

切嗣は呆れた調子で俺を見つめた。

 

「いやー、アハハ……すみません」

 

「とりあえずやって見るしかないか。

バゼットさん蘇生のルーンの用意にどれぐらい時間がかかるかな?」

 

「そうですね……半日といったところですか。」

 

「そうかい、なら明日の昼前から準備して士郎の投影は夜にするいいね?」

 

切嗣が全員に聞くとシエルが答えた。

 

「ちょっと待って」

 

「?どうしたんだいシエルさん」

 

「桜ちゃん何だけど、さっきも言ったとおり体の中に蟲が埋め込まれているから、それを取り除かないと士郎君達の魔術の邪魔になるかもしれないから、今日中に取り除きたいんですけど、何処か立地のいい場所はありませんか?」

 

「それなら僕の家の蔵を使うといい。

明日もそこでおこなうつもりだ。」

 

「わかりました。」

 

「というわけで桜ちゃん、今日は家に泊まっていってくれないかな?」

 

「わかりました。」

 

「よし、なら家に帰るか。」

 

こうして俺達は帰路についた。 




ここまで読んでくださってありがとうございます。
桜ちゃんが酷い目に合うと作中で言ってましたが作者が考えつく酷いことの内容をここに書いときます。

①ホムンクルスの大量生産ができる家に引き取られ、男性ホムンクルスによる交代での休みなしでの魔力供給【意味深】後に魔力炉として日の目を見ることのない生活

②切嗣が住んでいたような辺境の島で島民を操って魔力供給【意味深】後に召喚魔術等の生贄

③魔術協会に引き取られ適当な人間を集め魔力供給【意味深】後に召喚魔術等の生贄

④人肉など魔力の多いものを食べさせ魔力を貯め後に召喚魔術等の生贄


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13話

俺達は衞宮邸に到着した。

 

「さて、帰ってきたところだけど士郎、シエルさん達を蔵に案内してくれ。」

 

「わかりました。」

 

俺は切嗣の指示に従い、シエル達を蔵に案内した。

 

「うん、ここなら問題ないです。

士郎君申し訳ないけど、桜ちゃんが横になれるようになにか敷く物を用意してくれませんか?出来れば台になる物も。」

 

「うーん、敷く物なら布団でも用意すればいいですけど……人一人横になれる台となるとちょっと……」

 

「士郎君なら投影でなんとかならない?」

 

「ああ!その手がありましたね。

ちょっと待っててください。」

 

俺はそう言われ、間桐邸にあったベットを投影した。

 

「いやー、改めて見るとすごいね。

こんなサイズの物を簡単に投影できるなんて、一家に一台士郎君がいれば、欲しいものに困らないんじゃないかな?」

 

「自分は家電かなにかですか……」

 

俺はシエルの言葉に呆れながら答えた。

 

「それに、自分の投影も万能じゃないですよ。」

 

「そうなの?」

 

「はい。

まず、やっぱり大きい物は魔力の消費が大きいですし、複雑な物も魔力の消費が大きいですね。」

 

「複雑な物が魔力の消費が大きいなら、宝具はどうなの?神秘の投影なんて複雑でしょう?」

 

「剣なら相性がいいので1ランク下がった物を魔力消費少なく投影出来ますけど、剣意外は魔力消費が大きすぎるので相性の良いやつか、神秘の低いものしか投影できませんね。」

 

「やっぱり、何でも簡単に投影とはいかないんですね……

ああ、ありがとうございます。

じゃあ士郎君は外に出といてね。」

 

俺はシエルに外へと追い出されたので、切嗣達の所へ向かった。

 

居間に入ると切嗣が声をかけてきた。

 

「ああ、士郎、おかえり。

シエルさん達はどうだったかい?」

 

「蔵で問題無く治療を行える様です。」

 

「そうかい、それは良かった。」

 

「この後はなにかありますか?」

 

俺は手持ち無沙汰になったので切嗣になにかないか聞いた。

 

「いや、何もないよ。

君は明日に備えて休んでくれて構わないよ。」

 

「そうですか……

そう言えば、晩御飯はどうするんですか?」

 

「ふふ、そう言えば、そろそろそんな時間だね。

士郎、何か今から作れるかい?」

 

切嗣は俺が手持ち無沙汰なのに気づいたのか、笑いながら聞いてきた。

 

「今から買い物に行けばすぐに作れますよ。」

 

「そうかい、なら任せてもいいかな?」

 

「?切嗣さんは何か用事でもあるんですか?

俺一人だとスーパーとかの場所がわからないんですが……」

 

「明日の準備をちょっとね……

そうかい、これからの事も考えると知っといたほうが良いだろう、簡単な地図を書くよちょっと待ってくれ。」

 

そう言いながら切嗣は適当な紙に地図を書き、お金と一緒に渡してきた。

 

「買い物ですか?

ただで泊めてもらっているのも悪いですし、荷物持ちぐらいならします。」

 

「そうかい?なら悪いけど、二人で行ってきてくれるかい?。

5人分の食料となると結構重いだろうし。」

 

「わかりました。」

 

こうして俺とバゼットは買い物へでかけた。

 

スーパーへの道すがら俺達は会話がなく黙々と歩き続けた。

 

『気まずい……』

 

「あの……バゼットさん?」

 

「なんですか?

それと、バゼットで構いません。衞宮士郎。」

 

「そうですか……なら、バゼット、何故?買い物へ付き合ってくれたのかな?と……」

 

「貴方と二人で話がしたいと思いまして。」

 

「話とは?」

 

「今はまだ周りに人も多いですし、人のいない場所で話しましょう。」

 

バゼットはこれっきり話もないままスーパーへ到着した。

 

買い物も終わり、日も暮れた帰路の途中、周りに人が居ないのを確認して、バゼットが話しかけてきた。

 

「衞宮士郎、貴方は何故、あの時私をかばったのですか?」

 

「いや、何故と言われましても……

うーん、そうですね、気付いたらついって感じですかね」

 

その回答にバゼットは困惑した顔で、

さらに質問してきた。

 

「貴方は何が目的何ですか?」

 

「いや、目的とかそんな大層なものは考えてませんよ。

そうですね、しいて言えば平穏無事に暮らしたいってくらいですかね。」

 

「なんですかそれは?

私を庇って死にそうになってるのに目的が平穏無事に暮らしたいとは矛盾しています。」

 

「うっ、それを言われると何も言えないんですが、そうですね、理由を付けるなら……

そう!!心の平穏!!」

 

「心の平穏?」

 

「ええ、やっぱり目の前で美少女に死なれたりしたら、後悔しそうですから。

あの時こうしてればとか……

?バゼット、どうしたのですか?」

 

俺が喋っている途中でバゼットは俯いてしまった。

 

「いえ、なんでもないです。

それより早く帰りましょう。」

 

そう言ってバゼットは早足で俺をおいて先に進んだ。

 

「ちょっと!!待ってください」

 

俺はバゼットを慌てて追いかけるのだった。

 

 



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14話

俺達は帰宅し居間に入った。

そこにはシエルと切嗣が寛いでいた。

 

「ただ今戻りました。」

「ただいま。」

 

「おかえり。」

 

切嗣が寛ぎながら返事をした。

 

俺はバゼットから荷物を受け取りキッチンへ向かった。

 

キッチンで調理をしようとすると、シエルが声をかけてきた。

 

「士郎君、今日は何を作るのかな?」

 

「そうですね、スパイスが残っているので鳥のカレー炒めですかね。」

 

そう言いながら鳥を取り出し、包丁を投影して料理を始めようとした。

 

「あのー?士郎君……なんで料理に投影魔術なんか使ってるのかな?」

 

シエルはなんともいえない表情で聞いてきた。

 

「いやー、これ便利なんでハハハ」

 

「ちょっと!?切嗣さんどういう教育してるんですか!?

こんなことに魔術を使うなんて!!」

 

シエルは切嗣に詰め寄って問いただした。

 

「いやー、美味しいし、いいんじゃない?」

 

「いやいやいや、たかが料理になんであんな無駄に高度な投影魔術を……

はー、あれ程の投影魔術、他の魔術師が見たらなんて言うか……」

 

俺はシエルと切嗣のやり取りを見ながらも、

手は休めずに料理を作った。

 

料理がある程度出来上がったころ、俺はシエルに質問した。

 

「すみません、シエルさん、間桐さんはどうしたのですか?」

 

「桜ちゃんなら大丈夫ですよ。

今は治療が終わってお風呂に入ってる所だから。」

 

俺が料理を作り終わったころ、バゼットがこちらに来た。

 

「衞宮士郎、これを食卓に運んどけばいいのですね。」

 

「ああ、すみませんお願いしてもいいですか?」

 

バゼットに手伝ってもらい、食卓に全ての食事が並んだ頃、桜が居間に戻ってきた。

 

「さて、みんな集まったみたいだし、

いただきます。」

 

「「「「いただきます。」」」」

 

食事の途中で炊飯器から、お米の炊けた音がなる。

 

俺は前回のシエルの食いっぷりから、予め追加の米を追加で炊いていた。

 

これでいくらおかわりされようが、お米は足りるだろうと思い、ニヤリと笑った。

 

「フッ、シエルさん今日は予め追加で炊いときました。

さあ、シエルさん、お腹の空きは十分ですか?」

 

「良いでしょう、この勝負受けてたちます」

 

それからしばらくして、2つ目のお櫃の半分がなくなり、山のように作った料理も残りわずかになった頃

 

「クッ、これ以上は流石に……」

 

シエルは悔しそうに箸を置いた。

 

「フハハハ、勝った!!」

 

シエルがダウンしたのを見て調子にのっていると、恥ずかしそうに茶碗が差し伸べられた。

 

「なん……だと」

 

俺は驚きながら、差し伸べられた茶碗の方を見ると、桜が申し訳なさそうに言った。

 

「すみません、おかわりを貰ってもいいですか?」

 

「あ、ああ……どれくらいよそえばいいですか?」

 

「すみません、大盛りでお願いします。」

 

落ち着け俺、まだお櫃は半分もあるし、カレー炒めはシエルに全て食べられたが、他のオカズだって残っている。

まだ、慌てるときじゃない。

 

そう自分に言い聞かせ、桜の茶碗にご飯をよそった。

 

「ありがとうございます。」

 

そう言いながら桜は一切ペースを落とさずに食べ始めた。

 

それからも桜はペースを落とさずにお櫃の中のご飯を食べきった。

 

「ばかな!?

あれほど用意したのに、全て食べ切られただと!?」

 

クッ予想外だ。

こんなところにこんな伏兵がいたとは。

俺は膝を付き絶望した。

 

「クッ、これで勝ったと思わないでください次こそは全員に参ったと言わせて見せます」

 

そう言い残し、俺はキッチンに洗い物をしにった。

 

「いや、これはなんの勝負なんだい?

残さず食べたのだから、

そこは喜ぶべきじゃないの?」

 

切嗣が呆れながら言った言葉は誰の耳にも入らず虚空へと消え去るのだった。

 




ここまで読んでくださってありがとうございます。
fateで大食いと言ったらセイバーのイメージがありますが、桜のほうがセイバーよりも食べるらしいですね。


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15話

俺達の謎の戦いも終わり全員を部屋空いている部屋に案内した後、切嗣から居間に呼び出された。

 

「なんですか?切嗣さん」

 

「ああ、士郎呼び出してごめんね。

これを夜の間持っていてほしいんだ。」

 

そう言ながら切嗣は光る液体の入ったビンを渡してきた。

 

「なんですか?これ?」

 

「それは魔力に反応して光る液体なんだ、それで士郎の魔力が一番強い時間を調べたい。

一番光が強い時間帯を教えてほしいんだ。

その時間に合わせて聖杯の投影をしようと思うんだ。」

 

渡された瓶を見つめながら俺は切嗣に質問した。

 

「切嗣さん、渡された理由はわかりましたけど、夜に渡されても朝とかに魔力が高まる可能性もあるんじゃないんですか?」

 

「そのことなんだけど、君にはアヴァロンが入っているね。」

 

「ええ、それが何か?」

 

「君の魔術特性が変化したのもアヴァロンのせいなんだよね?」

 

「そうみたいですね。

元は強化だったらしいですけど、それが何か?」

 

「アーサー王はガウェインと対を成す剣を持っていてその剣には月の加護があり、

夜に強くなるらしいんだ。

君はアヴァロンによって魔術特性が変化する程相性がいいみたいだし、魔力の高まる時間帯も夜だと思うんだ。

だから夜に行うと言ったんだよ。」

 

「そうなんですね、ハイ、わかりました。」

 

そう言いながら俺は時計を確認した。

 

現在10時半のところを針が指していた。

 

「これを作っていたから買い物に行けなかったんですね。」

 

「ああ、材料が家に無くてね、一回間桐の家に車で行って取ってきたんだよ。」

 

「サラッと言ってますけどそれ、空き巣なんじゃ……」

 

「失敬な偶然家に少年が帰ってきてたみたいでね、その子に桜ちゃんを明日まで預かる事と、その液体の材料の話をして、ちゃんと了承を得て取って来たよ。」

 

「偶然ですか……

もし、その少年が居なければ、どうしてたんですか?」

 

そう切嗣に問いただした。

 

「ああ!!

士郎、そんな事より明日のご飯は足りるかい?」

 

切嗣は雑に話をそらしたので、俺は呆れながら回答した。

 

「ハァ、バゼットが手伝ってくれたので、沢山買えました。

お米まで持ってもらって、申し訳なかったですよ。」

 

「そうかい、??バゼット?

士郎、いつからバゼットさんの事をさん付けしないで呼ぶようになったんだい?」

 

切嗣がニヤニヤと、うざい顔をしながら聞いてきた。

 

「何ですか、その顔は?

ただ、バゼットから、そう読んでくれと言われただけですよ」

 

俺は何でもないように答えた

 

「ふーん、そうなんだー」

 

「とりあえず、これが一番光ってる時間帯を言えばいいんですね。

もう用事は無いですね?

では部屋に戻りますよ。」

 

切嗣は俺をニヤニヤと見つめてくるので、居心地が悪くなり、そう言い残して部屋に戻った。

 

俺は夜、肌身はなさず瓶をもって、確認し続けた。

 

特に光ったのは月が一番高くなる24時で、

3時以降は最初に渡された時より光が弱くなっていった。

 

6時になった頃これ以上はもう光が強くなることはないと思い瓶を手放した。

 

朝食を全員分作ってから、瓶の確認の為、風呂に入れなかったので風呂に入る事にした。

 

風呂からでて、脱衣所で髪を吹いていると、

急に脱衣所の扉が開いた。

 

「え!?」

 

俺は驚きながら扉の方へと振返った。

 

「え、衞宮士郎」

 

そこにはバゼットが立っており、視線が下を向いていた。

 

「いやぁぁぁぁ」

 

俺が最後に見たのは顔を赤くしたバゼットと唸る拳だった。

 



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16話

ドタドタと足音を鳴らしながら、

切嗣がやってきた。

 

「なんの音だい!?」

 

切嗣が見たのは顔を真っ赤に染めながら、

拳を振り切った状態で硬直しているバゼットと全裸で気絶している士郎の姿だった。

 

「いや……なんとなく予想はつくけど、バゼットさん、一体何があったんだい?」

 

バゼットは切嗣に声をかけられて、意識を取り戻したのか、慌て始めた。

 

「いや、違います、覗こうとしたわけでは……あ、あああああ」

 

バゼットとはとある一部をガン見しながら、言い訳を残し、走り去っていった。

 

「ええー……と、とりあえず士郎を起こそうか……」

 

俺は切嗣に揺さぶられて目を覚ました。

 

「おはよう、士郎」

 

「あれ?切嗣さん、俺は一体……イテッ」

 

顎に痛みを感じながらも、立ち上がり、

記憶を思い出そうとした。

 

「ああ、バゼットに殴られたんだっけ?」

 

「うん、大丈夫みたいだね。

記憶も正常だし、問題ないね。」

 

「ええ、ありがとうございます。」

 

「それで何だけど……士郎……前,隠したほうがいいよ。」

 

そう言われ、自分の姿を確認すると……

気絶した自分に掛けてくれていたのだろう、

タオルが床に落ちており、股間が丸出しの状態だった。

 

「すみません、すぐに着替えます。」

 

「ああ、そうするといいよ。

皆は居間で朝食の準備をしているから、

着替え次第、居間に来てくれ。」

 

「わかりました。」

 

俺は手早く着替えを済ませ、居間にむかった。

 

「おはようございます。」

 

「お、おはようございます。

え、衞宮士郎先程はすみませんでした。」

 

顔を赤くしながら、バゼットが誤ってきた。

 

「いえ、自分が鍵をかけ忘れていたのが悪いので、こちらこそすみません。」

 

「アハハハハ、おはよう士郎君、災難だったね。」

 

シエルが笑いながら挨拶をしてきた。

 

「これ、もしかして皆知っている感じですか?」

 

「ああ、士郎、ごめんね、僕が君を起こそうとする前にタオルをかけとけば良かったんだけど……」

 

「もしかして……全員に見られました?」

 

俺の股間が全員に見られたかを質問すると、

切嗣とシエルは苦笑いし、

バゼットは顔を赤くしながらうつむき、

桜は何時もと変わらない表情をしていた。

 

「あ、間桐さんは見てないんですね。」

 

俺は桜の顔に変化が無いので少し良かったと思った時だった。

 

「いえ、私も見ました。お祖父様の蟲比べてちっちゃくて可愛かったですよ。」

 

「グフッ」

 

俺は桜の発言によって、膝から崩れ落ちた。

 

「士郎!!しっかりするんだ!!心を強くもて!!」

 

それからしばらくして、俺が気を持ち直し、皆で朝食を取るのだった。

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございます。
作者自身まさか主人公の下半身だけで1話使うと思っていなかったです。
次回こそは聖杯取り出しになるはずです。


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17話

俺の硝子の心に傷を負う意外は無事、朝食が終わり、切嗣が話しかけてきた。

 

「あー、ごめんね士郎、落ち込んでいるとこ悪いけど、昨日の結果について聞いていいかな?」

 

「あー、ちょっと待ってください、ヨシッ

はい、もう大丈夫です。

えーと、昨日の件ですね。

22時半に渡されて……一番光ったのは24時で、3時以降は渡された時より光が弱くなっていきました。」

 

「そうかい、なら士郎の魔力のピークは24時だね、そうと分かれば聖杯投影は24時に決行するよ。バゼットさんも24時には蘇生のルーンを完成させてくれ。」

 

「わかりました。儀式に時間がかかりますので、時間は多ければ多いほどいいです。

間桐桜、今から貴女にルーンを施しますので、蔵に来てください。」

 

「はい。」

 

二人は蔵に向かっていった。

 

「士郎、君も確認の為に一日中起きていて眠いだろう?

今のうちにしっかり寝て体調を整えていてくれ。」

 

「わかりました。」

 

「士郎君は今から寝るんだね、士郎君にはしっかり休んでいてほしいし、お昼と夜ご飯は私が作っときますよ。」

 

「ありがとうございます、シエルさん。」

 

「それでね、士郎君、昨日あんなこと言ってたのに何だけど……

大きい寸胴鍋を1つ投影してくれないかな?」

 

シエルは手を合わせ申し訳なさそうな顔をしながら頼んできた。

 

俺はカレー屋で使われているサイズの寸胴鍋を投影した。

 

「これでいいですか?」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

「では、自分は寝てきますね。」

 

そう言い残して部屋へと移動した。

 

俺は布団を敷きすぐに眠りについた。

 

 

昼頃だろうか、カレーの匂いで目を覚ました。

 

俺は匂いにつられる様に居間へと向かった。

 

「あ、士郎君もう起きたんですね。」

 

「ええ、おはようございます。

カレーのいい匂いがしてきたので目が覚めてしまって……」

 

「そうなんですか、もうちょっとだけ待ってくださいね、そろそろ完成しますので。」

 

俺は食卓の方で待つことにした。

 

待っていると切嗣がやってきた。

 

「おはよう士郎、もういいのかい?」

 

「おはようございます切嗣さん、いえまだ眠いので食べ終わってからもう一眠りしようかと……」

 

「うん、そのほうがいいだろう。」

 

切嗣と話をしていると、シエルがカレーを持ってきた。

 

「お待たせしまた。シエル特性カレーです。」

 

そう言いながらシエルは3人分のカレーを並べた。

 

「バゼットと間桐さんは?」

 

3人分しか用意されていないので、

疑問に思い質問した。

 

「バゼットさん達は儀式の最中だからね、

流石に宝具クラスの奇跡だからね、途中で一旦切り辞めるなどできないよ。」

 

「宝具クラスの奇跡ですか……」

 

「ああ、普通は士郎みたいに宝具クラスの奇跡をポンポン出すことはできないんだよ。

改めて君の異常性を思い知らされるよ……」

 

切嗣は呆れた表情でため息ついた。

 

「まあ、士郎の事は後回しにして、

聖杯の投影の事だけ考えよう。

その為にも今はまず、ご飯を食べて英気を養ってくれ。」

 

「そうですね、ではいただきます。」

 

「「いただきます。」」

 

俺はカレーを食べ終えてもう一眠りすることにした。

 

起きて時計を見ると、時計の針は18時を指していた。

 

俺は布団を片付けて、居間に向かった。

 

「やあ、士郎、しっかり眠れたようだね。」

 

「ええ、おかげさまで体調はバッチシです。」

 

「それは良かったよ。」

 

「バゼット達はまだ儀式の最中ですか?」

 

「ああ、けど予定より早めに始めたから、そろそろ終わるんじゃないかな?。」

 

俺達はすることが無くただのんびりとすごした。

 

20時になる頃、バゼット達は居間にやって来た。

 

「お疲れ様、ルーンの方はどうだい?」

 

「問題ありません。

しっかりと刻み込めました。」

 

「そうかい、なら良かったよ。

お腹空いているだろう、シエルさん、

カレーの用意をしてくれないかな?」

 

「もう、温め終わってますので、すぐに用意しますね。」

 

そう言いながらシエルはキッチンへ行きカレーをよそい、全員の前に並べた。

 

「よし、全員食べながらでいいから聞いてくれ。

23時頃から聖杯の投影の準備を始めるが、

その前に役割を決めとく。」

 

「役割ですか?

俺が投影するだけじゃないんですか?」

 

「ああ、今回やる投影はぶっつけ本番だ。

何が起きるかわからない。

もしもの為、役割を決めとこうと思う。

まず、士郎、君は投影に集中してくれ。

 

次に僕だが、士郎の投影は剣以外の投影には魔力の消費が激しいので、魔力回路が焼けきれないように士郎の中のアヴァロンに魔力を贈り続ける。

 

次にバゼットさん、万が一にもルーンが切れないように、ルーンに集中してくれ。

 

次にシエルさん、桜ちゃんに痛みを抑える魔術をかけてほしい。

せっかく蘇生のルーンをかけたのに、痛みによるショック死と破裂で2回死んでしまったら意味が無いからね。

それと、もし、投影で出た物が桜ちゃんと融合した状態で出てきてしまった時、桜ちゃんから切り離してくれ。

注意時点として切り離すさいは投影物に傷をつけない事、いいかな?

 

よし、最後に桜ちゃん、士郎を信じ、魔力を受け入れてくれ。

 

皆何としても成功させるぞ。」

 

「「「「はい!!」」」」

 

俺達は食事を終え、片付けを済ませて全員で蔵に入った。

 

蔵の中心には俺が投影したベッドが置かれていた。

 

「じゃあ、士郎、ちょっとだけ血をもらうね。」

 

そう言いながら注射器を取り出したので、

俺は腕を差し出した。

 

「よし、ごめんだけど桜ちゃん、士郎の血を飲んでくれ。」

 

桜は言われるがまま口を開けて、

注射器から俺の血を飲んだ。

 

「よし、飲んだね、じゃあベッドに横になってくれ。」

 

桜はベッドに横になった。

 

「まずはシエルさん、魔術をかけてくれ。」

 

「わかりました。」

 

そう言いながらシエルはベッドに近づき桜の額に手を当て何かを呟いた。

 

すると桜が光始めた。

 

「士郎、桜ちゃんの身体を解析してくれ。」

 

俺はベッドに近づき、

桜の手を握り目を閉じた。

 

「トレース、オン」

 

何処だ聖杯

 

「基本骨子、解明」

 

桜の基本骨子を解明した時、桜のお腹辺りに何か分からない物を発見した。

 

「これか!!」

 

俺は桜の手を握っていない方の手を桜のお腹の上に持っていき、更に解析をした。

 

「基本骨子、解明グッ」

 

聖杯の解析をし始めた瞬間、さっきまでの魔力消費とは桁にならないほど、

激しく魔力が消費されていった。

 

「構成材質、解、明、ハア、ハア」

 

痛い、熱い、身体の内側を焼かれているような激痛が走り出す。

 

「創造理念、グッ解明」

 

身体の中の神経を焼切られては修復が繰り返されているような痛みを感じるが、

俺は投影を続けた

 

「制作技術、解明」

 

あまりの痛みと情報量に頭が馬鹿になりそうだ。

周りでは何か俺に話しかけているのだろうが、聞き取れない、だが投影だけは辞めるわけにいかない。

 

「憑依経験、解明」

 

鼻から熱い何かが流れ出す。

意識が薄れかけ、握る手から力が抜け落ちそうになった時、逆に手を強く握られ意識を持ち替えし投影を続けた。

 

「蓄積年月、解明!!

投影、完了!!」

 

俺はベッドの上に横たわる女性と泣きそうに成っている桜の顔を最後に、

意識をうしなった。



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18話

「ア、アイリ……」

 

切嗣は悲しそうな表情で、投影されたアイリを見つめた。

 

「切嗣さん!!

今は士郎君の治療が先です!!」

 

シエルに言われ、慌てて士郎のアヴァロンへ魔力供給を再開した。

 

「桜ちゃん、すまないけど、どいてもらえる?」

 

桜はシエルに言われ、慌てる様にベッドからどいた。

 

それを見た切嗣は士郎をベットに寝かし、治療を再開した。

 

「衞宮士郎は大丈夫なのですか?」

 

バゼットが心配そうに聞いてくる。

 

「ああ、僕の予想以上に士郎の回復が早い。

このまま魔力を贈り続ければ、すぐに治るだろう。」

 

それからしばらくして、切嗣は魔力を贈るのを辞めた。

 

「ふう、これでひとまず問題ないだろう。

すまないけど、誰か士郎の部屋に布団を敷いといてくれないかな?」

 

切嗣がそう言うと、バゼットがいち早く士郎の部屋へと向かった。

 

「切嗣さん、私が士郎君を運びます。

切嗣さんは色々とあるでしょう……」

 

シエルが気を利かせて、士郎を運ぶ役割をかってでた。

 

「ありがとう。」

 

「桜ちゃん、ごめんだけど士郎君を運ぶの手伝ってくれないかな?」

 

「わかりました。」

 

桜がうなずくのを確認すると、シエルは士郎を持ち上げ出ていった。

 

「アイリ、士郎はすごいよ……

僕も士郎の様に君が助かる方法をもっと考えとけば、君を助けれたのかな……」

 

切嗣の目から涙溢れる。

 

「うぅ、アイリ……アイリ……」

 

投影されたアイリに覆いかさぶるようにして、切嗣は泣いた。

 

「すまない……すまない、アイリ……」

 

静かな蔵の中、切嗣の鳴き声だけが、こだまする。

 

「う、うん」

 

投影品のアイリから声が聞こえた。

 

「アイリ?」

 

切嗣は顔を上げ、アイリの顔を見つめた。

 

「あら、切嗣、おはよう」

 

「アイリ……アイリ!!」

 

切嗣はアイリに抱きついた。

 

「どうしたのよ?切嗣」

 

アイリはキョトンとした顔をしながら、切嗣のなすがままにさせた。

 

しばらくして、落ち着きを取り戻した切嗣はアイリに質問した。

 

「アイリは覚えていないのかい?」

 

「あら、そう言えば私、聖杯になったはずなのにどうして?」

 

「聖杯になった所までは覚えてるんだね。

じゃあ、その後の事を説明するよ。」

 

切嗣の説明が終わるとアイリは口を開いた。

 

「切嗣、ごめんなさい。

私達アインツベルンのせいで切嗣にいろんな辛い思いをさせてしまって……」

 

[いや、僕こそあの時に君達を連れて逃げ出していればこんな惨劇も起きなかったのに」

 

「切嗣……」

「アイリ……」

 

二人が見つめ合っていると蔵の扉がなった。

 

「すみません、切嗣さん取り込み中の所申し訳ないんですが、士郎君が目を覚ました。」

 

シエルは申し訳なさそうに蔵へ入り告げた。

 

「そうかい、ありがとう、僕達も向かうよ。

アイリ立てるかい?」

 

切嗣に手を引かれアイリは立ち上がり、シエルに続くように歩いたのだった。



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19話

俺は目を覚ますと、自分の部屋の布団の上だった。

 

「目が冷めましたか。」

 

「ああ、バゼット、投影の方はうまくいきましたか?」

 

「それなんですが、投影自体は成功ですが間桐桜から聖杯が取り出せたかはいまだ不明です。」

 

「なら、俺が間桐さんを解析すれば……」

 

「衞宮士郎、貴方は魔力回路を酷使して倒れたのです、しばらくは休んでいてください。」

 

「わかりました。」

 

会話が終わった時、襖が鳴った。

 

「どうぞ。」

 

俺は中に入るように言うと、タオルを持ったシエルが入いってきた。

 

「ああ、士郎君、目が冷めたんですね。」

 

「ええ、心配をおかけしました。」

 

「それはいいけど、士郎君、自分でふける?」

 

「ふくって、何をですか?」

 

「士郎君、気づいてないの?

顔、血で凄いことになってるよ。」

 

「え?」

 

自分の顔に触れると鼻の下辺りが、乾いた血で酷いことになっていた。

 

俺の顔が熱くなる。

 

さっきまで真剣な顔で解析すればとか言っていたが、傍から見ると、鼻血で顔を汚しながら真剣な表情をする変な奴にしか見えない。

 

「アハハハ……その様子だと気づいてなかったんだね。

じっとしててね、拭き取るから。」

 

シエルがお湯で濡らしてくれていたのだろう、温かいタオルで拭いてくれた。

 

「良し!これでもう大丈夫。」

 

「ありがとうございます。」

 

「士郎君も目覚めた事だし切嗣さんを呼んでくるね。」

 

そう言い残してシエルはタオルを持って部屋から出ていった。

 

「衞宮士郎、私は今回の件を魔術協会に報告する義務があります。

貴方の投影魔術を協会に報告すれば、恐らく貴方は封印指定を受けるでしょう。」

 

「そうですね……」

 

俺とバゼットは俯いた。

 

「あの、封印指定ってなんですか?」

 

俺達のただならぬ雰囲気に疑問を持った桜が、質問した。

 

「簡単に言えば、衞宮士郎は希少な魔術師なので監禁するってことです。」

 

「そんな!!私のせいで……」

 

「いや、間桐さんのせいじゃないですよ。

聖堂教会からも間桐蔵硯との戦闘の際に、

自分の魔術の希少性はバレていました。

魔術協会にもいずれバレていましたよ。」

 

俺達が話していると襖が空いた。

 

「士郎、もう大丈夫なのかい?って、

なんだい?このお通夜みたいな雰囲気は?」

 

「ええ、切嗣さん身体の方は大丈夫です。」

 

「そうかい、それは良かったよ。

アイリ、この子が、君を投影した子だよ。」

 

切嗣はそう言いながら、アイリの手を引いて部屋に入ってきた。

 

「あら、この子がそうなの、

はじめまして、私はアイリスフィールっていうのよろしくね♪」

 

俺は唖然としながら呟いた。

 

「え?なんで生きて動いてるの?」

 

「「「え?」」」

 

全員の口から声が漏れた。

 

「えーっと、士郎、君がアイリを動けるように投影したんじゃないの?」

 

「いやいやいや、切嗣さん、俺の魔術がいくらおかしいからってそんな事できるわけ無いじゃないですか!!」

 

「いや、現にアイリは動いてるじゃないか」

 

「もしですよ、俺の魔術で動けるようになっているなら、死んだ人間を魔力があれば生きてる状態で投影出来るってことになるよ!!

そんなの一種の死者蘇生じゃないか!!

それに、魂はどうするんですか!!

俺、魂の解析なんて出来ないよ!!」

 

俺は混乱しながらも回答した。

 

「えーっと、士郎、じゃあなんで動いてるの?」

 

「いや、だからこっちが分からないから聞いてるんじゃないか!!」

 

「いや、僕に聞かれても君の魔術だろう!!」

 

俺と切嗣はお互いに混乱した状態で言い合った。

 

「いや、あのー、二人とも落ち着いてください。」

 

シエルが二人を宥めようとするが……

 

「「これが落ち着いていられるか!!」」

 

「切嗣……」

 

「なんだい、アイリ、今はいそがグフッ」

 

アイリが切嗣のボディーに一撃を入れ、

だまらせた。

 

「落ち着いたかしら?」

 

俺は崩れ落ちる切嗣を見ながら慌てて黙った。

 

「えーっと、シロウでいいのよね?」

 

「はい!!」

 

「そんなに怯えなくても大丈夫よ。

とりあえず、シロウの魔術で動けるようになった訳ではないのよね。」

 

「はい、魂の解析、投影なんて事は出来ませんから……」

 

「では一体なぜアイリさんは動けるのでしょうか。」

 

「まず、アイリスフィールは死んでいるのですよね?」

 

「私自身よく覚えてないけど聖杯に塗りつぶされて消えたはずよ。」

 

「聖杯に塗りつぶされて消えたとは?」

 

「まず、アインツベルンの聖杯何だけど、

第3回聖杯戦争の時に壊れてしまったのよ。」

 

「ええ、それは知っています。」

 

「そこで第4回では聖杯が壊れないように自衛手段として私が生まれたんだけど、

聖杯が完成に近づくたびに生体機能、人格が塗り潰されるのよ。」

 

「つまり、聖杯の完成と共に生体機能が無くなり死亡したと?」

 

「そのはずよ。」

 

「すみません。一ついいですか?

アイリさんはサーヴァントが入るたびに生体機能がなくなっていくんですよね?」

 

「ええ、そうよ」

 

「では、今アイリさんにはサーヴァントが入っていますか?」

 

「いえ、私の中には何も入っていないけど……それがどうしたの?」

 

「もしかして何ですけど、サーヴァントがいなくなった事でアイリさんを塗りつぶしている物が無くなり、アイリさんがまた出てこれるようになったんじゃないかと。」

 

「え?」

 

「いや、待ってください、アイリさんは死んでるんですよ。

塗りつぶす物が無くなったからってアイリさんが消えてるんですからそれは無理なんじゃ……」

 

「そこなのですが、まず、死亡とはどういった状態の事を指すんですか?」

 

「?何言ってるんですかシエルさん」

 

「いいですか、私達はアイリさんの生体機能が無くなったから死んだと決めつけていますが、アイリさん自体が聖杯の機能の一つなら、聖杯が生きてる限りアイリさんも生きているのでは?」

 

「いや、魂はどうするんですか?」

 

「物に魂を宿らせることは可能ですから、

聖杯の中で魂も保管されてたのでは?」

 

「うーん、つまり自分達はアイリさんが死んだと勘違いしてただけで、実際は聖杯の中で生きていて、自分が身体を作ったから表に出てきたと。」

 

「ええ、それだったら辻褄が合うと思うんですよ。

桜ちゃんの中の聖杯も機能は生きてましたし。」

 

「なるほど」

 

「つまり切嗣とシロウが勘違いして慌ててたと、もー二人ともおっちょこちょいなんだからー」

 

アイリがそう言って笑い、みんなもつられて笑ったのだった。



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20話

「それよりもシロウ〜」

 

「なんでしょうか?アイリさん」

 

「そう!!それよ、それ」

 

「それとは?」

 

「貴方、切嗣の息子なんだよね。」

 

「まあ、そうですけど……」

 

「じゃあ、私の息子でもあるわけよね」

 

「ええ…」

 

「なのに、かたいよ〜

というわけで、ママって読んで♪」

 

「え!!いや、アイリさん……」

 

「マ〜マ♪」

 

アイリはニコニコと笑いながら詰め寄ってくる。

 

「いや、あの……」

 

「マ〜マ♪」

 

俺はたまらず、うずくまっている切嗣の方に助けの視線を向ける。

 

視線を向けると切嗣は諦めろと、言わんばかりに顔をふる。

 

「あ、あの、かあさんじゃ駄目ですか?」

 

「うーん、そうね〜、イリヤちゃんにはママって呼ばれているし、かあさんも新鮮だからいっか♪」

 

俺はホッとした。

 

「けど、ですかってかたいかな〜」

 

「あー、もう、これでいいか、かあさん。」

 

「うん♪」

 

そう言いながら抱きついてきた。

 

「いやー、娘はいたけど息子がいなかったからほしいな〜って思っていたのよ〜」

 

「アイリがかあさんなら、僕はとうさんになるのかな」

 

そう言いながら先程までうずくまってた切嗣が立ち上がった。

 

「いや、切嗣さんはそのままでもいいでしょう。」

 

「そんな事言わないでくれよ、僕も呼ばれたいなー」

 

ニヤニヤした顔で切嗣は言ってきた。

 

「あー、じゃあ切嗣さんは親父で。」

 

「オヤジ!!僕はそんなに老けているかい?」

 

「一様言っとくけど、未来の俺なんか親父の事をじいさんって読んでたぞ。」

 

「じ、じいさん」

 

切嗣は周りの反応を見た。

 

シエルは目をそらし苦笑いを

 

バゼットは納得したような顔を

 

桜は笑いをこらえる様な顔していた。

 

「味方はいないのかい」

 

「大丈夫よ切嗣、いくら切嗣が老けて見えようと私が切嗣の事を好きなのには変わりないわ」

 

「アイリ……」

 

「切嗣……」

 

親父気づけ、かあさんも親父の事を老けてると思っているんだぞ。

 

「あら、シロウ何かしら?」

 

「いえ、何でもありません」

 

「ゴホン、さて、アイリスフィールの件も分かったことですし、次は衞宮士郎のことを話しましょう。」

 

「?シロウがどうかしたの?」

 

アイリが質問する。

 

「ええ、このままだと衞宮士郎が封印指定を受けてしまうので、どうしたものかと。」

 

「あらまぁ、それは大変ね。」

 

「いやーどうしたものかと言われても……

ぶっちゃけ無理じゃないかな?」

 

「親父諦めないでくれ!!

あんたの息子の命がかかってるんだぞ!!」

 

「いや、そう言われても……

正直な話、聖堂教会、魔術協会に士郎のことがバレると両陣営はどう動くと思う?」

 

「そうですね、私達聖堂教会は士郎君が魔術協会に渡る前に抹殺か誘拐のどちらかでしょうね。」

 

「魔術協会としては保護と言っていますが、

恐らく魔術の保存として、ホルマリン漬などの状態保存でしょう。」

 

「お互いで奪い合う形になるのかな?」

 

「「恐らくは」」

 

「士郎を求めて牽制し合う分にはこっちとしては有り難いが、聖堂教会の方は士郎を最悪殺すことを視野に入れてる分危険だね。」

 

全員が黙り込んでしまった。

 

「まず、士郎って何ができるの?

凄い投影は出来るみたいだけど……」

 

「そうだね、今のままだと埒が明かない。

明日色々調べようか。

今日はみんな疲れただろう、もう寝よう。」

 

そう言ってみんなも解散していくのだった。

 

 



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21話

翌朝、目を覚ました俺は朝食の準備を使用とキッチンへ向かった。

 

キッチンへ向かう途中外を見るとバゼットが鍛錬をしている姿が見えた。

 

「ああ、だからあの時、朝から風呂にやってきたのか。』

 

苦い記憶を頭から振り払い、居間へと入った。

 

「あら、おはよう士郎、早いのね。」

 

居間に入るとかあさんがいた。

 

「おはよう、かあさん。

朝食の支度をしようと思ってね。」

 

「士郎は料理が出来るの?」

 

「ああ、出来るよ。」

 

「へー、私、料理ってしたこと無いのよ〜

アインツベルンの時はセラが家事は私達の仕事ですーってやらせてもらえなかったの」

 

アイリはそう言いながら目で私もやりたいと訴えてくる。

 

「あー、じゃあ母さんもやってみる?」

 

俺がそう言うとパーッと笑顔になった。

 

「良いの!!ありがとう〜シロウ」

 

そう言いながら抱き着いてくる。

 

「わ!!母さん!!離してくれ。」

 

母さんから離れ俺は米の準備をした。

 

「じゃあ、まずはこの米を洗ってくれ。

洗剤で洗うなんてことはしないでくれよ。」

 

俺は先にボケを潰しながら母さんに米を渡した。

 

「これを洗えばいいのね、よーし、ママ頑張っちゃうぞー」

 

俺は母さんに米を渡した後、冷蔵庫を覗いていると、おかしい事に水の音が聞こえなかった。

 

「?母さん?」

 

俺はおかしいと思い後ろを振り返ると、母さんが米を持ったまま居間を出ていくとこが見えた。

 

母さんは何をするつもりなんだ?

米を持ったまま居間から出ていくなんて……

俺はわけがわからないまま、母さんを追いかけた。

 

母さんは鼻歌を歌いながら迷いなく進んでいた。

 

確かこの先は……風呂場だ。

 

母さんは脱衣所の扉を開け中に入っていった。

 

俺は脱衣所で母さんに追いついた。

 

「母さん?一体ここで何をしようとしてるんだい?」

 

「え?さっきシロウがお米を洗ってくれって言ったんじゃないの〜」

 

「待って!!母さん、ここでどうやって米を洗おうとしたの!!」

 

「え?普通にこれで洗おうと思ったんだけど……」

 

そう言って母さんが指した物は洗濯機だった。

 

「・・・え?いや、ちょっと待ってくれ・・・

母さん?洗濯機は服を洗うものであって、

決して何でも洗えるものでは無いよ。」

 

そう言いながら母さんから米を奪った。

 

「あー、ひっどーい」

 

「ひっどーい、じゃ、ない!!」

 

そんなやり取りをしているとバゼットがやって来た。

 

「衞宮士郎、どうかしたのですか?」

 

「おはよう、バゼット

母さんが洗濯機きで米を洗おうとしてな……」

 

「私はあまり機械に詳しく無いのですが、

最近の洗濯機は米を洗えるようになったのですか?」

 

「そんなわけ無いだろう!!

あー、もう、行くぞ!!母さん。」

 

「あーれー」

 

俺は母さんの手を引き台所へ戻った。

 

「米はこうやって洗うんだ。」

 

俺は実演し見せた。

 

「ふんふん」

 

「じゃあ、母さんやってみてくれ。」

 

「はーい♪」

 

母さんが米を洗っている間に、冷蔵庫から魚を取り出し塩を振り、置いてる間に、味噌汁の準備をし、簡単なサラダを作った。

 

「じー」

 

母さんがこっちを見てきた。

 

「もう米は洗い終わった?」

 

「これぐらいで良いのかしら?」

 

洗った米を見てOKを出した。

 

「じゃあ、今から魚を焼くけど……やって見る?」

 

「ええ♪」

 

そう言って母さんは魚を持ちコンロに乗せようとした。

 

「まてまてまて!!

コンロに魚を直接乗せようとしない!!」

 

「え?ここから火が出てくるんでしょ?

何がまずいの?」

 

「まず、コンロは直接食べ物を置くようにできていないし、魚を焼くならこっちで良い。」

 

そう言ってグリルを指差す。

 

「そうなのー」

 

「ああ、ここに魚をのせて、火をつけて待つだけだ。」

 

「うーん、つまらないわねー

士郎、他になにかない?」

 

「そうだなー、後はだし巻き卵を作るけど……

これは難しいからなー」

 

「私やるわ、難しくても頑張るわ。

切嗣に美味しいって言ってもらうんだから。」

 

「はー、なら俺が先にやるから見といてくれ。」

 

そう言ってだし巻き卵を作ってみせた。

 

「こんな感じだけど出来る?」

 

「ええ、卵を入れて巻くだけでしょう。

簡単じゃない。」

 

そう言うので母さんに場所を譲り、後ろで待機した。

 

「まずはー卵を入れてー」

 

母さんは油も引かずに卵を卵焼き器に卵をなみなみと入れた。

 

「まてまてまて、母さんそれでどうやって巻くつもりだ。」

 

「あらー、どうしましょう?」

 

母さんはそのまま卵を強火で焼き始めた。

 

すまない親父、俺にはもうどうする事もできない。

 

卵の上が固まったので卵焼き器から皿に取り出した。

 

皿に乗せようとするが、

卵焼き器に引っ付き形は崩れ酷い出来となった。

 

「母さん、最初はこんな物さ、後は俺がやるから今で待っててくれ。」

 

俺が母さんに、そう言うと、母さんはだし巻き卵?を持って居間へ向かった。

 

俺は気にせず全員分の卵を焼き、味噌汁を完成させ、グリルから魚を取り出した。

 

しばらくして、居間に、切嗣以外の全員が集まり、食事も全て並んだ頃、切嗣がやってきた。

 

「やあ、皆おはよう」

 

「おはよう、切嗣」

「「「おはようございます」」」

「おはよう」

 

「今日も美味しそうだね。

冷めないうちに頂こうか、それじゃあいただきます。」

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

いただきますの合図と共に食べようとした時、

母さんが作っただし巻き卵?を渡した。

 

「実はね、シロウに無茶を言って私も料理したの。

切嗣、食べて♪」

 

親父は形が崩れ、焦げた卵を見た後こちらに助けの視線を送ってきた。

 

「あ、俺キッチンに忘れ物をしてたよー

ちょっと取りに行ってくるよー」

 

俺が逃げたのを見て、助けが来ないのを察し、覚悟を決め切嗣は焦げた卵を食べた。

 

「アイリ、うん、僕はアイリの手料理が食べれて嬉しかったよ。」

 

「うふふ、切嗣ったら……喜んでもらえて良かったわ。

また今度作ってあげるわね。」

 

「あ、ああ……ありがとう……次を楽しみにしとくよ……」

 

切嗣とアイリが笑い合っているのを横目に、キッチンから持ってきた物をシエルの前に置いた。

 

「すみません、シエルさん、これを忘れてました。」

 

そう言って俺が置いた物はカレー粉だった。

 

「あのー……士郎君、私の事をどういうふうに見ているのかちょっと聞いてもいいですか?」

 

俺は即答した。

 

「カレー先輩」

 

「そうですかーウフフ」

 

俺はこの時言った発言のせいで後で地獄を見る事になるとは今はまだ知らないのであった。



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22話

切嗣が死にそうな顔をしながらも食事が終わった頃、切嗣が口を開いた。

 

「良し、食事も終わったことだし、士郎の魔術を調べたいと思う。」

 

「調べるって一体何をするんだ?

この前、蔵で色々投影はしたと思うけど……」

 

「そうだね、まず、士郎が投影できないものってあるかい?」

 

「えーと、まず魔力が足りない物、次に俺が解析できない物、この2つかな?」

 

「解析できない物って何があるんだい?」

 

「そうですね、神造兵装の一部は解析出来なかったよ。」

 

「待っててくれ!!、逆に言うと一部の神造兵装を解析出来たのかい!?」

 

切嗣は驚きながら肩を掴んでくる。

 

「ああ……ちょっと近いぞ親父、落ち着いてくれ。」

 

「これが落ち着いていられるか!!

士郎は魔力さえ有れば神の一撃すら再現出来る可能性があるってことだよ!?」

 

そう言いながらガクガクと俺の肩を揺らしてくる。

 

「いや、流石に、未来の、俺も、神造、兵装は、かなり、劣化して、で、しか、投影、できないぞ」

 

ガクガク揺らされながらも答える。

 

落ち着きを取り戻してきたのか、肩を揺らすのをやめた。

 

「ハァハァ、落ちつたか、親父……」

 

「あ、ごめんね、士郎」

 

切嗣は申し訳なさそうな顔で肩から手を離した。

 

「とりあえず劣化してって、どれほど劣化するんだい?」

 

「うーん、威力の数値化とか出来てないから分からないけど……

そもそも俺の投影で作られた物は全部贋作なんで、

そのせいかランクが落ちるんだ。」

 

「そうかい、劣化するとはいえ、神造兵装の投影か……とりあえず投影できる神造兵装はなんだい?」

 

「今の所、分かっているのはエクスカリバーだけだよ。」

 

「なるほど、もしかしてだけど士郎、君の固有結界の中にエクスカリバーはあるのかい?」

 

「ああ、あるよ。」

 

「なるほど、だからあんなに回復が早かったのかい。」

 

そう呟き一人納得している切嗣だった。

 

「回復が早いとは?」

 

「士郎、君の中に入っているアヴァロンはあらゆる傷を癒し老化を停滞させると言われている。」

 

「確か、アーサー王はそのおかげで不老不死何でしたっけ?」

 

「そうだね、けど、それほどの力は今のアヴァロンにはないのはわかるね。」

 

「ええ、そうじゃ無いと俺は不老不死って事になりますからね。」

 

「僕が最初にアヴァロンを体に入れたのはアーサー王を呼ぶ前だったんだ。

もちろんその時にどれ程の治癒能力があるか試したさ。

けど士郎ほど、回復が早くはなかったよ。」

 

「もしかして、これもまずい事なんじゃ……」

 

「まあ、常人より年をとるのが遅くはなっているだろうし、外で怪我をしたところを見られるのも良くないだろう。」

 

「怪我はおいといて、

老化の方は幼顔って言い訳で、なんとかなりますかね?」

 

「うーん、まあ老化速度にもよるけど……

何とかなるんじゃないかな……

シエルさん、そこの所どう思うかい?」

 

「まあ、私も肉体年齢と実年齢が違いますが、今のところ問題になってないですし、問題になるとしても当分先の話ですから今は大丈夫じゃないでしょうか。」

 

「そうかい、ならこの話はおいとこうか。

で、次だが魔力の消費はどうだい?」

 

「うーん、相性が良いやつなら、魔力消費は同じランクでも少ないよ。」

 

「相性が良いやつって、何か法則でもあるのかい?」

 

「そこは分かってないけど、思い当たりはあるので試していいですか?」

 

「そうかいなら、庭に出て試してみよう。」

 

こうして俺達は庭に出るのであった。



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23話

俺達は庭に出た。

 

「じゃあ、士郎、お願いね。」

 

「わかったよ。」

 

皆に見られながら俺は投影を開始した。

 

「トレース、オン」

 

俺はまず、夫婦刀を投影した。

 

「それは……蔵でも投影してたね。

確か……干将、莫耶だっけ?」

 

「はい、未来の俺もよく投影してた物です。」

 

そう言いながら親父によく見えるように、手を上げた。

 

「これの魔力消費はどれぐらいなんだい?」

 

「強化の魔術と一緒ぐらいですね。」

 

そう言うと桜以外の全員が黙った。

 

「あー……士郎……前からおかしいとは思ってたけど……等価交換の無視が酷いね……」

 

呆れかえってる親父に補足をした。

 

「いや、その代わりと言っては何だけど……

他の魔術がからっきしなんだよ……」

 

「?けど……士郎って憑依経験の投影で呪術使ってなかったかい?」

 

「あー、それなんだけど……

他の魔術の憑依経験を試したことがないからわからないんだ。」

 

「そうかい……

ならそれも後で試そう。

他に相性の良い宝具はあるかい?」

 

切嗣にそう言われたので俺は干将、莫耶を消し次の宝具を投影した。

 

「トレース、オン」

 

それは鍔も柄も鞘も無い抜身の刀身だった。

 

「それは?」

 

「村正。

正確には千子村正が作った刀の1つだ。」

 

「そうかい、能力はどんなものなんだい?」

 

「うーん……憑依経験も投影出来てるから戦闘は出来るって言うのと、千子村正の宝具だが……投影したらこれ、死んでしまうな」

 

「え!?なんだいそれは士郎の魔力が足りないから使えないんじゃ無いのかい?」

 

切嗣は困惑した顔で聞いてくる。

 

「いや、そうじゃなくて、宝具が強すぎて使ったら体が耐えきれなくて死ぬ。」

 

「そ、そうかい。

なら次、いってみよう。」

 

切嗣はなんとも言えない表情をして次をせかした。

 

「トレース、オン」

 

「次は普通の日本刀だね。

一体誰の宝具なんだい?」

 

「これは天草四郎時貞の宝具で憑依経験のおかげで神父の真似事は出来そうです。」

 

「そうかい、で他には?」

 

「ちょっと待ってくれ。」

 

そう言って憑依経験から宝具を読み取って見るが……

 

「あー……霊脈に接続して自分の体の中で魔力を暴走させてる見たいだ。」

 

「またしても自爆宝具!?

え?なに?士郎は自爆宝具と相性がいいの!?」

 

「そんなわけ無いと思う……」

 

「他に使える宝具はないの?自爆しないやつで。」

 

「次で最後です。

トレース、オン」

 

刃の付いた2丁の銃を投影した。

 

「最初に投影した夫婦刀とにているね。」

 

「これは未来の俺の可能性の1つ何だけど、最初に投影した夫婦刀を変化させて使っているんだ。」

 

「そうなのかい。わかった。宝具はいけそうかい?」

 

「やって見るよ。

I am the bone of my sword」

 

俺が詠唱を始めると、体から痛みと異音が発生した。

 

「士郎、ストップだ、何かおかしい。」

 

そう言って切嗣が止めようとした時、俺の体から剣が突き出てきた。

 

「グハぁ」

 

俺は血を吐きながら倒れた。

 

「シエルさん、バゼットさん、直に投影品を破壊してくれ!!」

 

切嗣が慌てて指示を出す。

 

「フッ」

「はい!!」

 

二人は俺が倒れた拍子に手放した宝具に一撃を入れる。

 

宝具は砕け魔力になり消えた。

 

宝具が消えたのと同時に、俺の体から生えていた剣も消える。

 

「大丈夫かい!?」

 

そう言いながら親父が俺を起こし、アヴァロンに魔力を送ってくれた。

 

「ありがとう親父、助かったよ。」

 

「今のは?」

 

「未来の俺の宝具を投影したんだが、制御ができなかったんだと思う。」

 

「そうかい……」

 

「結局、役にたつ物は無かったな。」

 

そう言いながら俺は項垂れた。

 

皆も黙り込んでしまう。

 

その時、切嗣が口を開いた。

 

「いや、最後の宝具は使えるかもしれない。」

 

「親父、どういうことだ?

そりゃあいつかは制御できるかもしれないがその前にどっちかの陣営に殺されるだろ。

 

「いや、実際には使わなくていい。」

 

俺は親父の言葉にますます意味がわからなくなる。

 

「士郎、聞いてくれ。

まず、魔術協会は士郎がほしいんだ。」

 

「ああ、だから俺を封印指定にするんだろ?]

 

「そうだね、けど今の宝具があれば士郎の身柄がほしい魔術協会としては手が出しにくくなる。]

 

「なるほど、わかりましたけど、聖堂教会の方はどうするんですか?

勝手に死んでくれるなら聖堂教会としてはありがたいんじゃ……」

 

「いや、宝具なんて神秘の塊が暴走して飛び出してくるのは聖堂教会としては神秘の秘匿の観点からして嬉しくない事だ。

出来れば手を出したくないだろう。」

 

「ですが聖杯戦争の様にもみ消すことも可能では?」

 

「いや、それも厳しい。

まず聖杯戦争だけど、それによる被害の費用及び人件費はアインツベルンが負担しているんだ。

だからこそあんな無茶が出来るんだけど、

君の捕獲または抹殺に対しての被害費用及び人件費の負担をしてくれる奴は居ないだろう。」

 

「なら、これで俺は狙われなくなるんですね。」

 

そう安心していると、切嗣が俺の発言を否定した。

 

「いや、大きい組織が士郎を狙わないだけで、フリーの魔術師は狙ってくるだろう。」

 

「けど、そんな事したら自爆する事になるから魔術協会や聖堂教会が止めるのでは?」

 

「もしかしたら助けてくれるかもしれないが、その時は助けられた組織の庇護下に入れられるだろう。

そうなれば結局、封印指定とかわりないよ。」

 

「なら、どうすればいいんだ。」

 

「簡単さ、士郎が強くなって、護られなくてもいいようにすればいい。

よし、そうと決まれば修行あるのみだよ。」

 

そう言って親父は俺を道場へと連れて行こうとする。

 

「待っててくれ親父、さっきの投影のせいで今はしんどいから休ませてくれ。」

 

「あー、そうだね、なら士郎は休んでてくれ。

今の内にやることやっとくよ。」

 

「やることってなんだ?」

 

「それはだね。

まずは桜ちゃんを家に返さないとだね。」

 

そう言って親父は桜を家に返しに行った。

 



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24話

カレン当たりました。

そういう事で上機嫌で投稿します。


桜が親父を怖がった為、母さんが親父についていって桜を家に送り返しに行った。

 

「じゃあ、俺は部屋で休むよ。」

 

「わかりました。」

 

「あ、士郎君後で話があるのだけどいいかな?」

 

「ここじゃ駄目なのか?」

 

俺がそう言うと、シエルはバゼットを横目で見てから言った。

 

「ちょっと……ここじゃ無理かな?」

 

「わかった。

じゃあ、部屋で話そうか。」

 

そう言って俺達は部屋へと向かった。

 

「それで話ってなんだ?」

 

俺が聞くと、シエルは答えにくそうに話した。

 

「えーと、士郎君、士郎君の投影で魔眼封じってあるかしら?」

 

「それって、遠野志貴のための物ですか?」

 

俺がそう聞くとシエルは顔をこわばらせた。

 

「そう、この事も知っているんですね。

この事を他の人には?」

 

「言ってないよ。

俺の発言のせいで人が死ぬのは嫌だからね」

 

「間桐蔵硯はいいの?」

 

「悪人は別だよ。」

 

「ふーん、まあいいです。

それよりも……できるんですか?」

 

「魔眼封じか……ちょっと記憶の中の物を解析してみる。」

 

解析するのはライダーの目隠し。

 

「解析はいけたから投影できると思うけど……

直死の魔眼程のものとなると、抑えれるかは試してみないとわからない。」

 

「そうですか……ありがとうございます。」

 

そう言ってシエルは頭を下げる。

 

「ちょっ!!

シエルさん、頭を上げてくれ。」

 

俺が頭を上げるように言うと、頭を上げてくれた。

 

「とりあえず士郎君、君が回復してからで良いですから魔眼封じの投影をお願いします。」

 

「わかりました。」

 

「では、私はこれで失礼しますね。

しっかり休んでくださいね。」

 

そう言い残してシエルは部屋から出ていった。

 

昨日、寝るのが遅かったからか眠くなったので、寝ることにした。

 

「士郎、士郎」

 

誰かが俺を揺さぶっているので目を開けた。

 

「やっと起きたかい。

昼ご飯を買ってきているだ、冷める前に食べよう。」

 

俺が目を覚ますと切嗣は言うことを言って部屋から出ていった。

 

「う〜ん」

 

俺は体を伸ばし起き上がり、居間へと向かった。

 

「お待たせしました」

 

そう言って居間に入ると

 

「もう、士郎おっそーい〜」

 

母さんがはしゃいでいた。

 

「どうしたんだ母さん?そんなにはしゃいで」

 

「私ねこういうの食べるの初めてなの〜」

 

そう言いながら牛丼を指差した。

 

「さて、全員が集まったみたいだし

いただきます。」

 

「いただきま〜す」

「「「いただきます」」」

 

「う〜ん、美味しい、こんな味なんだ。」

 

そう言って上機嫌で母さんは食べていた。

 

それにつられて皆も笑顔で食事をするのであった。

 

 



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25話

「さて、みんな食べ終わったね。」

 

食事が終わった頃切嗣が口を開いた。

 

「これからの事を話したい。」

 

切嗣がそう言うと全員が真剣な表情をした。

 

「衞宮切嗣これからの事とは?

聖杯の異常は間桐蔵硯の資料もある事ですし、後は報告書を書くだけでは?」

 

バゼットがそう問いかけると

 

「いや、まだ問題が残っているんだ。

士郎、もう皆に話すけどいいかな?」

 

切嗣は俺に聞いてくる。

 

「ああ、もう色々とバレているし構わないよ。」

 

「ありがとう、じゃあ話すね。

まず、僕が聖杯解体の異常を知ったのは士郎の知識のおかげなんだ。」

 

「衞宮士郎の知識ですか?」

 

バゼットは困惑した顔で聞いてくる。

 

「ああ、士郎の事何だけど聖杯の事故のせいか未来を知っているんだ。」

 

「未来をですか……それで?」

 

「士郎の知識によると十年後、聖杯戦争が起きるんだがそこには今回のアーチャーが出てきて聖杯を暴走させようとするらしい。」

 

「待ってください。

サーヴァントは聖杯戦争が終われば消えるのでは?」

 

切嗣の発言にバゼットが待ったをかける。

 

「恐らく受肉して生きているんだと思う。」

 

「その知識はあてになるのですか?」

 

切嗣の返答にバゼットは問う。

 

「まだサーヴァントの確認は取れていないが……

言峰綺礼が魔力を集める為か子供を引き取っていると言うのは病院で聴けたよ。」

 

「確かにそれはおかしいですね。

基本聖堂教会は神秘の秘匿の為よほど優秀な存在じゃない限り一般人を引き取るなんてしませんから。

恐らく切嗣さんの言うとおり魔力の補給源にするためでしょう。」

 

「なるほど、わかりました。

それで生き残っているサーヴァントの真名はわかっていますか?」

 

「ここからは俺が話すよ。

まず真名だけど……古代ウルクの王にして英雄の中の英雄、英雄王ギルガメッシュだ。」

 

俺がそう言うと全員が黙った。

 

沈黙を破りバゼットが質問してきた。

 

「衞宮士郎、貴方が見た未来ではギルガメッシュはどうなったのですか?」

 

「倒されたよ。」

 

「どうやってですか?」

 

「俺が見た未来は複数あるんだけど……

1つ目は俺が未来で召喚したサーヴァントであるアーサー王と一緒に倒していた。

2つ目は聖杯に取り込まれる。

3つ目はサーヴァントを取り込んだ間桐の聖杯……間桐さんに油断している所を食われていた。」

 

「そうですか……どの手段も現状使えませんね。

ギルガメッシュの能力や弱点などは?」

 

「まずやつの能力だけど、人類最古の王の蔵ゲートオブバビロン。

その蔵にはありとあらゆる宝具の原点が入っているらしい。」

 

「ありとあらゆるですか……」

 

全員が黙り込んでしまい暗い雰囲気になったので俺は慌ててギルガメッシュの弱点を話した。

 

「そう言えば弱点だったな!!

あいつの弱点だが英霊としては技術や身体能力が低いのと常に慢心しているからそこをつけこめば……」

 

「士郎、慢心ってどんな感じなんだい?

ちょっと油断してるくらいなら正直な話、僕達じゃ相手にならないよ。」

 

「ああ、未来の俺と一対一で戦っていた時は取り出す宝具は全て剣で、俺でも投影できる低ランクの宝具しか使ってこなかった。」

 

「未来の士郎はサーヴァント相手に一対一で戦ったりしてたのかい?」

 

切嗣は呆れた様子で聞いてきた。

 

「ああ、正義の味方に憧れて頑張っていたよ。」

 

俺の返答に苦い顔をする切嗣であった。

 

「士郎が一対一で戦っていた時は最後どうなったんだい?」

 

「人から魔力を供給してもらいながら戦ったが、後ちょっとのところで俺の魔力切れだった。」

 

「魔力さえあって、ギルガメッシュが慢心していれば士郎なら勝てるってことかい?」

 

「いや、子供の俺じゃ戦闘は魔術だけになるだろうから無理だと思う。

せめてサーヴァント相手に近接戦が出来る人がいてくれないと……」

 

「そうかい、シエルさん、バゼットさん、両陣営から助けは呼べないかな?」

 

「私の方は一番上の方がちょっとあれなんで、呼べないと思います。」

 

シエルは苦笑を浮かべながら答えた。

 

「サーヴァント相手になると最低でもロードクラスじゃないと相手にならないでしょうが、ロードを呼ぶのは難しいでしょうね。」

 

「聖堂教会じゃなくてもシエルさんの知り合いは呼べませんか?」

 

俺は地球最強の吸血鬼を思い浮かべながら聞いた。

 

「私の知り合いですか?……ああ彼女ですか……まだ本調子じゃないですし、本調子だとしてもあの自分勝手なやつの事ですし来ないでしょう。」

 

シエルは最初誰の事かわからず困惑するが、思い浮かんだ瞬間嫌な顔をして答えた。

 

「はぁ、仕方がありません。

私が前衛を努めます。」

 

「なら私も前衛を努めましょう。

一人より二人のほうがいいでしょう。」

 

「すまない。

それしか無いようだし、それでいくとしよう。」

 

「切嗣さん、あと一つ質問いいですか?」

 

「なんだい?」

 

「病院で話を聞いたって言ってましたけど魔術による記憶処理とかはどうなっていますか?」

 

シエルがそれを聴いた瞬間、俺と切嗣は思い出す。

キャスターの魔術を見た被害者達が多数いることに。

 

「あー、その事なんだけどね、落ち着いて聞いてくれ。

言峰綺礼のことも何だが……今回の聖杯戦争でキャスターの魔術を多数の人が見ているんだが……」

 

切嗣は端切れの悪そうに喋る。

 

「まさか!?」

 

「あー……今も精神病院は人で一杯らしいよ。」

 

そう切嗣が言うとシエルは顔を真っ青にした。

 

「聖堂教会の監督役は何をしているんですか!!」

 

「監督役だが死んでしまってね、代わりの監督役が言峰綺礼何だけど……彼、魔術を習って数年の素人何だ。」

 

「はあ?!監督役のくせに問題を起こそうとしているのですか!?

切嗣さんも切嗣さんです。

言峰綺礼が魔術の素人と知っているなら、貴方が動かなくてどうするんですか!?」

 

シエルは顔を真っ赤にして怒鳴った。

 

「あー、すまない。

僕も暗示の魔術とかはあんまりでね……

現状、前の監督役が悪夢という事で済ませているから……」

 

切嗣は申し訳なさそうに言うとシエルは頭を抱えた。

 

「悪夢と言う事で誤魔化しても病院に一杯になるほどいたらいつか気づかれるでしょう。

はぁ、仕方ないです。

とりあえず士郎君の力量を確認した後、私は病院にむかいます……」

 

そう言ったシエルの顔には哀愁が漂っていたのだった。



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26話

「はー」

 

シエルがため息を吐いて落ちこんだ。

 

「あー、とりあえず士郎の力量を確認しようか。

ここじゃ近所に聞こえてしまうからアインツベルン城に移動しようか。」

 

切嗣はシエルから目をそらしながら言った。

 

「いえ、待ってください。

それなら私が人よけと防音のルーンを展開しときます。

周りを気にせず存分にやってもらって構いません。」

 

そうバゼットが言い、魔術を展開した。

 

「おや、それは助かるよ。

よし、じゃあ庭に出るよ、士郎。」

 

切嗣はそう言うと庭へ出ていった。

 

それに全員がついていくのだった。

 

「おや?みんな来たのかい。」

 

「ええ、一緒に戦うのです。

味方の戦力は知っておきたいです。」

 

そうバゼットが答えシエルも意見が同じなのか首をたてにふる。

 

「私はみんなが行くからなんとなく〜」

 

アイリはおっとりとした態度で答えた。

 

「そ、そうかい。

まあ、いいか……

士郎、攻撃に使える魔術を見せてくれ。」

 

切嗣はアイリの態度に呆れていたが、すぐに気持ちを切り替え指示を出す。

 

俺は干将、莫耶を投影し、英霊エミヤの憑依経験を投影した。

 

「いつもの剣かい?

けどね、士郎、今回君には後衛としての力を見せてもらいたいんだが……」

 

そう切嗣が困った顔で言ってくる。

 

「まあ、待ってくれ親父。

工程完了。全投影、待機。」

 

俺が干将、莫耶から読み取った英霊エミヤの憑依経験を元に魔術を展開した。

 

「空中に一気に沢山の武器を投影か……

それでどうするつもりだい?」

 

「一気にって言うのは少し間違えだけど……まあいいか。

親父これを撃ち出せるんだが、どこか撃っていい方向はあるか?」

 

俺は親父に質問すると……

横からシエルが答えた。

 

「では私に向かって打ち出してください。」

 

「「え!?」」

 

俺と親父は二人揃って驚いた。

 

「埋葬機関七位の名、伊達ではない事を教えてあげます。」

 

そう言いながら黒鍵を取り出すシエル。

 

その姿に俺達は困惑するが……

 

「どうしました?

遠慮はいりませんよ?」

 

撃って来いと言うシエルに俺はどうしたらいいかわからず、切嗣の方を見る。

 

「まあ……言峰綺礼も銃弾を近距離で弾いてたし問題ないのかな?」

 

首を傾げながらも切嗣はそう言った。

 

「えぇー、と、とりあえず撃ちますけどまずは、一発だけいきますね。

停止解凍、投影層写!!」

 

そう言って俺はシエルに武器を撃ちだした。

 

「ふん!!」

 

シエルは片手であっさりと、打ち出された武器を壊した。

 

「おや?地下で投影した物より脆いですね。

もっと撃って来ても問題ないですよ。」

 

俺は驚きのあまりに口をポカンと開けていたが、シエルの言葉にわれのかえり、待機している武器を撃ちだした。

 

「停止解凍、全投影連続層写!!」

 

シエルは両手を使い俺が撃ちだした剣を全てへし折っていく。

 

俺は剣を打ち出すのをやめ、弓を投影した。

 

「ほう?今度は弓ですか……」

 

俺は棒立ちのシエルに、様子を見ながら弓を憑依経験通りに撃ちだした。

 

「ふむ。さっきより連射力は上がっていましが……一発一発はさっきよりも脆くなっていますね。」

 

そう言いながらシエルは弓を弾く。

 

「これくらいなら!!」

 

そう言ってシエルが走り出した。

 

俺は様子見を止めて全力で撃ち出す。

 

その連射力はマシンガンをも超えるが、シエルは気にせず弓を弾きながら近づいていき、最後には俺の持っている弓を壊した。

 

「ふぅー、弓の連射ですが、一発一発が軽すぎますね。

あれなら、最初の剣を撃ち出すほうが実力が上の相手にはいいでしょう。」

 

空いた口が塞がらないとはこの事を言うのだろう。

 

俺、親父、母さんは口が開いたまま固まっていた。

 

「流石、埋葬機関の者ですね。

私では全て弾きながら近づくなど出来ませんね。

せいぜい回避しながら近づくぐらいしかできません。」

 

バゼットがそう言ってシエルを褒めていた。

 

「親父はできるか?」

 

俺は親父に質問した。

 

「バカを言うんじゃない。

タイムアルター、ダブルアクセルを使って逃げるのがやっとだよ。」

 

切嗣はそう言いながら首をふった。

 

「士郎君、あれ以外に遠距離攻撃はないのかな?」

 

そうシエルは聞いてくる。

 

「後は宝具を爆発させるのは間桐邸で見てますし……

あ、そうだ!!」

 

シエルに他にないのか聞かれたので実演することにした。

 

「これは壊れない限り追いかけてくるんで注意してくださいね。

喰らいつけ、赤原猟犬!!」

 

そう言って俺はためずに放った。

 

シエルは俺が放った赤原猟犬を様子を見るように弾く。

 

弾かれた赤原猟犬はもう一度シエルに向かって飛んでいくが、今度は様子見で放った一撃より強い力でたたきつぶされた。

 

「これで終わりですか?」

 

「後は遠距離狙撃と宝具の爆破ぐらいだよ。」

 

「そうですか……ありがとうございます。

では次に近接戦の方も一様見ときましょう。」

 

そう言ってニッコリ笑うシエル

 

「先手は譲ります。

どこからでもどうぞ。」

 

俺は弓を消して干将、莫耶を投影して斬りかかった。

 

何度か斬りかかるが、シエルに全て片手で弾かれる。

 

元々英霊エミヤは自分からいくより守りながらカウンターを狙う動きのせいか、攻めてこないシエルを相手には攻めづらかったので、俺は武器を村正に変えることにした。

 

「おや?武器を変えましたか。」

 

武器を変え再び斬りかかった。

 

「さっきと動きが違いますが……」

 

そう言いながらシエルはカウンターで蹴りを入れてきた。

 

「グハァ」

 

俺はシエルの蹴りになすすべもなく、吹き飛ばされた。

 

「ある程度の力の差ならいいですが、自分を顧みないその動きは相手との力量差が離れ過ぎている場合しないほうがいいですよ。

ただの的です。」

 

「グゥ」

 

俺は立ち上がり、干将、莫耶に持ち替えた。

 

「では今度はこちらからいきます。」

 

そう言ってシエルは黒鍵を3本投げ、それに追従する様にこちらに向かってきた。

 

「クッ」

 

俺は黒鍵を防ごうとするが、あまりの威力に吹き飛ばされる。

 

「うーん、動き自体は悪くないんですけど……

身体能力が低いですね。」

 

そう言いながら動きを止めるシエル

 

「はは、それは仕方が無いよ。

士郎はまだ子供だからね。」

 

切嗣は笑いながら答えた。

 

「ハァハァ、もう、終わりでいいですか?」

 

俺は立ち上がりながら終わっていいか聞いた。

 

「うん、じゃあ実力を見るのは終わりにしましょうか。」

 

「ホッ……うん?実力を見るのは?」

 

俺は一瞬安心したが、シエルの発言に違和感を覚える。

 

「ええ、このままじゃあれだし、ちょっと特訓をつけてあげるよ。」

 

シエルはニコニコ笑っているがその顔は怖かった。

 

「あのー、シエルさん?俺なんか悪いことしましたか?」

 

「ん〜?どうしたの?士郎君急にそんなこと聞いて……」

 

シエルはそう言いながら新しく黒鍵を取り出しながら近づいてくる。

 

俺は逃げようとしたが、一瞬で回り込まれた。

 

「もしかして……朝の事ですか?

すみません、土下座でも何でもしますから……

いや、ホントすみません。

お願いします命だけは……」

 

そう言いながら周りに助けてと視線をおくる。

 

「しろ〜う頑張って〜」

 

母さんは笑顔で手をふっていた。

 

慌てて別の二人に視線をうつす。

 

親父は目をそらし、バゼットは先程のやり取りに触発されたのか、トレーニングをしていた。

 

「あら?士郎君、相手から目を離すなんて駄目じゃない……かくご!!」

 

「ぎゃ〜」

 

青空の下、俺の悲鳴が響き渡る。

 

もう二度とシエルの事をカレー先輩と呼ぶのはやめようと心に誓うのだった。



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27話

「士郎、君の事は忘れないよ……」

 

「切嗣……」

 

衞宮夫妻はよこたわる衞宮士郎の前で黄昏ていた。

 

「俺を勝手に殺すな〜!!」

 

「おや、士郎、起きたのかい。」

 

「あら〜士郎、生きてたのね。」

 

「あんた等酷いな!!特に母さん!!」

 

そう言って起き上がり服の汚れを払った。

 

「いや〜そう言われても元々の原因は士郎だし。」

 

「うっ、そう言われると何も言い返せないが、心配ぐらいしてくれてもバチは当たらないんじゃないか?」

 

「ははは」

「ウフフ」

 

「そこ!!笑って誤魔化さない。」

 

「まあまあ、士郎君、落ち着いて。」

 

俺をボコボコにした人が、俺をなだめた。

 

「一様、聖堂教会に今回の事を報告書に纏めて送ろうと思います。

追加の戦力には期待出来ないと思いますが……」

 

そう、シエルが言うとバゼットもトレーニングを止めてこちらに来た。

 

「そうですか。

私も魔術協会に報告書は出そうと思います。」

 

そう言うバゼットも戦力が来ない事はわかっているのか暗い顔をしていた。

 

「そうかい、では両陣営の返答が来てから動くとするか。」

 

 

「では私は報告書ができ次第、病院へ行きますね。」

 

そう言うとシエルは部屋へと向かった。

 

「じゃあ僕達も解散するとしようか。」

 

「お疲れ様」

「わかりました」

「はーい♪」

 

そう言って全員は部屋へと戻った。

 

俺は先程のトレーニングのせいで服が血で駄目になってしまったので、服を取り出そうとタンスを覗いた。

 

「やばい、残りの服が少ない。」

 

思い返せばここ数日流血騒ぎばっかりで服を駄目にしてばっかで洗濯出来る服も無い。

 

「まずい、親父に相談するか。」

 

俺は親父に相談しにいった。

 

ノックをして親父の部屋に入った。

 

そこには親父と母さんがいた。

 

「ん?どうしたんだい?士郎。」

 

「あら〜士郎、どうしたの?」

 

親父達は俺に質問してきた。

 

「あー、お邪魔だったか?。」

 

「いや、そんなことはないよ。」

 

「そうか、なら良かった。

それで何だけど、実は服を駄目にしてばっかで少なくなってきたんだ。」

 

「あー、そう言えば士郎は何かあるたびに服を血で汚してしまっているもんね。

わかった。

今から買いに行くには微妙な時間だし明日でもいいかい。」

 

「ああ、問題ないよ。」

 

「よし、なら明日買い物に出かけようか。」

 

切嗣がそう言うとアイリが目を輝かせた。

 

「ショッピング!?

この前はセイバーと一緒に色々と見て回ったけどまだ全て見れなかったのよね〜ウフフ

そうだ!!桜ちゃんも呼んであげていいかしら?」

 

「え!?、いや僕は構わないけど……あの子も嫌がるんじゃないかな?

特に僕、怖がられてるし……」

 

そう、苦い顔で親父は答える。

 

「まあ、俺も問題ないよ。

と言うかどうやって間桐さんを呼ぶんだ?」

 

「二人共いいのね。

なら今から電話するわ。」

 

「え?アイリあの子の家の電話番号を知っているのかい?」

 

「ええ。切嗣が桜ちゃんを怖がらせてたからお仕……止めたときに聞いといたの♪」

 

今サラッと不穏な言葉が聞こえかけたので、親父の方を見ると親父は腹をおさえていた。

 

「ついでに他の二人も呼んじゃいましょう。」

 

「あー、バゼットさんはともかく……

シエルさんは忙しくて無理なんじゃないかな?」

 

「とりあえず誘ってみるだけ誘ってみるわ、と言う訳で行ってきま〜す♪」

 

そう言いながら母さんは部屋から出ていった。

 

「ただいま〜♪」

 

「「はやっ!!」」

 

母さんは出ていって数分で帰ってきたので、俺達は驚いた。

 

「あら〜二人共いきピッタリね♪」

 

「ああ、それでどうだったんだい?」

 

「桜ちゃんとバゼットさんはOKだったわ♪」

 

「はは、それは良かったよ。

それにしてもアイリ、君が面白いことが好きなのは知っているから他の人を誘うのは予想がついたけど、なぜ?もう家に返した桜ちゃんをわざわざ誘ったんだい?」

 

親父が母さんに質問すると、母さんは真剣な表情をし答えた。

 

「切嗣、あの子はね私と合ったばかりの貴方みたいな表情をしていたの。

だからねほっとけなかったの……」

 

「そうかい……」

 

しんみりとした空気が流れた。

 

「もう、切嗣ったらそんな顔して〜」

 

暗くなった親父の顔をおさえ母さんは笑った。

 

「はは、君にはかなわないよ。

アイリ……」

 

「切嗣……」

 

二人の空間が出来上がってしまい、居心地が悪くなったので、お邪魔虫になる前にこっそりと出ていくことにした。

 

自室に戻ろうと廊下を歩いているとバゼットと遭遇した。

 

「おや、衞宮士郎、部屋へ戻るところですか。」

 

「ああ、そう言うバゼットの方こそこんな所でどうしたんだ?」

 

「先程アイリスフィールが買い物に誘ってきたのですが、時間を言われていませんので、それの確認に行こうかと思いまして。」

 

「ああ、そう言えば俺も聞いてなかったな。

あ〜けど今は取り込み中だから後にしたほうがいいよ。」

 

「そうですか。

では衞宮士郎、今は暇でしょうか?」

 

「?暇だけど」

 

「なら私と模擬戦をしましょう。」

 

そう言いながらバゼットは俺の腕を引っ張り道場へと向かうのだった。

 

 

 

 



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28話

遅れてすみませんでしたー。
何でもするので許してください。

はい、開幕からふざけてすみません。
今回遅れた理由なんですけど仕事のし過ぎでちょっと体調を悪くしていました。




「あの〜バゼット?俺、さっきの訓練で魔力があんまりないんだけど……」

 

そう言いながらバゼットとの模擬戦から逃げようとするが。

 

「干将、莫耶なら魔力も少なく投影出来るのですよね。

なら、近接戦に問題はないでしょう。」

 

そう言いながら手袋をはめるバゼット

 

ヤル気満々のバゼットから逃げれないと察し、俺は干将、莫耶を投影し変化で刃を潰した。

 

「ほう、変化ですか。

準備も出来ましたね……では、いきます!!」

 

そう言って突撃してくるバゼットの拳を避け、剣を振るった。

 

バゼットがそれを腕で受け止めた時、ガキンと音が鳴った。

 

それは腕で受け止めたのでは到底鳴るはずの無い音だった。

 

俺は一瞬呆けてしまいその隙を突かれ腹を殴られた。

 

「グハァ」

 

バゼットは吹き飛ぶ俺を見て手を止めた。

 

「どうしたのですか?

模擬戦中に呆けて。」

 

「いてて、

いや、わかってはいたつもり何だけど、こう異常な状況を見なれてないせいかびっくりしてな。」

 

「そう言えば魔術を使える様になってまだそんなにたっていないんでしたね。

ですが、衞宮士郎。

戦場で、なれていないからと言う言い訳は通りませんよ。」

 

「ああ、わかっているよ。

すまない。もう大丈夫だ続けよう。」

 

俺はそう言いながら立ち上がり剣を構えた。

 

「では、いきます!!」

 

先程と同じ様に突っ込んで来るバゼットの腕を下から弾くと、鉄どうしをぶつけたような音がなる。

 

今度は呆けずに腕を弾かれているバゼットに追撃した。

 

バゼットは体をそらして俺の剣をかわすと、殴りかかってきたので、追撃したほうと違う剣で受ける。

 

「クッ」

 

あまりの威力に剣が手から離れてしまった様に見せかける。

 

バゼットは俺の手から剣が離れたのを好機と思い追撃してくるが、既に俺の手には剣が握られ、カウンターを繰り出していた。

 

バゼットはカウンターにたいして体制を崩しながら回避する事で紙一重で避けた。

 

「あの状態から回避するのか……」

 

「もう少し剣が速ければ当たっていました。

技術はそちらのほうが上ですが、身体能力の差のせいでしょう。」

 

「一様、憑依経験の投影で身体能力も上がっているんだけどな……

投影の精度が悪いのと体が子供のせいで押し切られてるようだ。」

 

そう言いながら溜め息をつく。

 

「そこは鍛錬あるのみですね。

今日は貴方も疲れているようですし、ここまでにしましょう。」

 

そう言いながら腕をおろすバゼット。

 

「ああ、そうしてくれると助かるよ。」

 

俺もそれに合わせて武器を消した。

 

「シャワーを浴びてきたらどうです。

先程のシエルとの訓練から浴びてないようですし、凄いことになっていますよ。」

 

「そう思うなら、ここに連れてこないでくれよ。」

 

バゼットの言葉に呆れながら返し、道場をあとにするのだった。




最近シエル先輩の設定をwikiで見直していたのですが、シエル先輩の持つ礼装が強すぎて笑えないです。


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29話

道場をあとにして自室に向かった。

 

「いてて。

バゼットのやつあのボディーブロー、一般人なら病院行きだぞ。」

 

腹をおさえつつ自室のふすまを開け部屋へと入った。

 

風呂に入る為洋服を取り出そうと、タンスを開けたら中に見覚えの無い服と紙が入っていた。

 

「なんだこれ?」

 

紙を拾い見てみると文字が書かれていた。

 

(ハァーイ♪、士郎。

服が少ないって言っていたから、昔セイバーに着てもらう為に買った洋服を入れといたわ。

未使用だから安心して着てね♪

ママより。)

 

手紙を読み終わり洋服を広げると、そこには大人サイズの青いエプロンドレスとデフォルメされたライオンが描かれた女性物のパンツがあった。

 

「なんでさ!?」

 

どこからツッコミを入れればいいのだろう。

 

まず、サイズを考えてほしいし、女物の服を息子に渡して(ありがとうママ!!)

とでも言うと思っているのか!?

 

頭を抱え見なかった事にしてタンスの奥にしまった。

(流石に捨てるのは酷いかなと思い)

 

「よし!!

俺は何も見なかった。」

 

気分を変え別の服を取り出し風呂へと向かった。

 

脱衣所に入り、鍵を閉める。

 

服を脱ぎ鏡を見るとシエルとバゼットにボコボコにされた傷がほとんどなくなっていた。

 

「はー、俺も非常識の仲間入りだな。」

 

改めてアヴァロンの凄さを確認した後、風呂へと入った。

 

風呂から出ると晩御飯にはいい時間になっていた。

 

俺はシエルへの復讐をかねて晩御飯の準備をする事にした。

 

キッチンで晩御飯を作っていると母さんがやってきた。

 

「あら?士郎、あの服は着なかったの?」

 

母さんは不思議そうな顔で質問してきた。

 

「母さん、あの服は女性物だぞ。

男の俺が着るわけないだろう。」

 

呆れながら返した俺に母さんは不服そうに答えた。

 

「え〜士郎なら似合うと思ったのに〜」

 

俺は痛くなる頭に手を当て、ため息をついた。

 

「それよりも士郎、何作ってるの?」

 

「ミートスパゲティだよ。

そろそろ出来上がるから暇なら皆を呼んできてくれ。」

 

「はーい」

 

そう言いながら母さんは走ってキッチンから出ていった。

 

「こらー廊下は走らない。

まったく、どっちが親なのかわからなくなってくるな……」

 

俺は母さんの態度に呆れながら料理を続けた。

 

料理が完成し始めた頃、皆が居間に集まってきた。

 

「あれ?シエルさんはどうしたんだ?」

 

俺が質問すると切嗣が答えた。

 

「ああ、シエルさんなら忙しくて今日は帰れないらしいよ。」

 

親父の回答に心の中で悔しがりながらも平然とした態度で返答した。

 

「そうなのか、先に知っていれば作る料を減らしたのに。」

 

「あはは、まあ一人分ぐらいなら皆で分ければ問題ないだろう。」

 

「それもそうだな。」

 

そう言いながら料理を盛り付けていき、食卓に並べた。

 

全員の食器を運んでいると、切嗣が微妙な表情をしながら言ってきた。

 

「あー士郎、できるならフォークじゃなくて箸のほうがいいんだけど問題ないかな?」

 

俺は親父の発言に疑問に思い質問した。

 

「?別にいいけど……あれ?親父ってフォークも別に使えるだろ?」

 

「ああ、問題なく使えるけどね……何故かフォークが苦手なんだよ。」

 

俺は冗談半分で言った。

 

「なんだ?昔フォークで誰かにでも刺されたりしたのか?」

 

「いやー、そんな経験ない筈なんだけどね……

まあ、そんな事より早く食べようじゃないか。」

 

「それもそうだな。」

 

そう言いながら箸を親父に渡し席についた。

 

「ありがとう。

では、いただきます。」

 

「「「いただきます。」」」

 

食事が終わり食器を洗っていると母さんが話しかけてきた。

 

「ねえ士郎。」

 

「?なんだい母さん。」

 

「士郎ってデザートとかって作れないの?」

 

俺は母さんに言われたので、英霊エミヤの憑依経験からデザートを作っている時がないか見てみた。

 

「作れるけど……」

 

そう言いながら冷蔵庫をのぞく。

 

「今は材料が無いから明日の買い物の時に材料も買っていこうか。」

 

「ホント!!士郎の料理って美味しいからデザートも楽しみにしているわ♪」

 

母さんはそう言いながら嬉しそうにした。

 

「あー、憑依経験をなぞって作るけど、上手くいくかはわからないからあんまり期待しないでくれよ。」

 

「うん♪わかったわ♪」

 

そう言ってウキウキしながら母さんは居間から出ていった。

 

「ったく、わかっているのか?

はー、明日は責任重大だな。」

 

そう言いながらも、頬を緩ませながら食器を洗っていくのだった。

 

 

 



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30話

食事の片付けも終わりやる事が無くなったので早めに寝て、日は変わり翌朝。

 

早めに寝たせいか、時計を見ると4時頃だった。

 

「うーん、早く起きすぎたな。」

 

そう言いながらも布団をたたみ着替えた。

 

部屋を出てとりあえず居間へと向かおうとすると、途中でバゼットと合った。

 

「おはよう、バゼット。

起きるのが早いんだな。」

 

「おはようございます、衞宮士郎。

ええ、私はこの時間からトレーニングをしていますからね。

それよりも衞宮士郎、昨日あんなに体を動かしましたが、筋肉痛などは大丈夫なのですか?」

 

バゼットはそう言いながこちらを確認してくる。

 

「そう言えばなんにも問題ないな。

これもアヴァロンのおかげかもしれないな。」

 

そう言いながら体のあちこちを動かしてみる。

 

「筋肉などはどうなっているのでしょうか?

もし、肉体を怪我する前に復元するのでしたらいくら体を鍛えようとしても意味が無いですからね。」

 

「それは困るな……」

 

「すぐにわかる事ではないですが、鍛えていけばわかるでしょう。

私は今からトレーニングをしますのでどうです?一緒にやりませんか?」

 

「うーん、朝食の準備もあるから6時にはきりやめるが、それまで一緒にやるか。」

 

そう言って二人で道場に向かった。

 

「まずは準備体操からいきましょうか。」

 

「わかった。」

 

二人で準備体操を行うことになった。

 

「バゼット、背中を押してくれ。」

 

「わかりました。」

 

そう言いながバゼットが俺の背中を押すと胸が床についた。

 

「体は柔らかい見たいですね。」

 

「どうやらそうみたいだ。

よし、もういいだろうありがとう。」

 

柔軟も終わり立ち上がる。

 

「そう言えばトレーニングって何をするんだ?

ここにはそう言う道具とかはないが……」

 

「なに、簡単です。

模擬戦をしましょう。」

 

そう言いなが手袋をギュッっとならす。

 

「なんでさ!?」

 

「ふむ納得いかないようですね。

いいですか模擬戦をすれば剣を振るいますし、激しく動きますから体の色々な部分が鍛えれるはずです。

ですから、模擬戦をしましょう。」

 

「もっと平和的なトレーニングは?ほら、腕立て伏せとか。」

 

「それなら一人でも出来るでしょう。

せっかく二人いるのです、さぁ殺り合いましょう。」

 

「待て!!今なんか字がおかしかったぞ!!

わかった!!わかったから、ちょっと待て。」

 

「焦らしますね、時間は有限ですから早くしてください。」

 

「ああ、助かる……ヨイショっと」

 

そう言いながら上を脱ぎ隅におく。

 

「な!なにをしているんです!!」

 

俺が上を脱ぐと顔を真っ赤にして慌てふためくバゼット。

 

「いや、最近服を駄目にしてばっかで服が無いからな……

お前とやり合ったら服が無くなってしまうからこうするしかないんだよ……」

 

「なら、服を強化すれば問題ないでしょう!!」

 

「あー、俺はバゼットみたいに表面に魔力の装甲をつけるわけじゃないからなー

服を強化してしまうと動くのに邪魔になる。」

 

「そ、そう言う事なら仕方がないですね……」

 

バゼットは俺の説明で落ち着きを取り戻したが、まだ顔が赤い。

 

「では気を取り直して……いきます!!」

 

この後バゼットにメチャクチャボコられた。



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31話

投稿が遅くなってすみません。

ウマぴょいしてたら投稿が遅れました。


「グハぁ」

 

何度目になるかわからないボディブローを受け吹っ飛ばされた。

 

吹っ飛ばされた俺を横目に時計を確認するバゼット。

 

「そろそろ時間ですね。」

 

そう言うと魔術を解いた。

 

「いてて、もうそんな時間か。

それにしても、こんなに腹ばかり殴りやがって、俺の腹に怨みでもあるのか?」

 

俺は腹をさすりながら言った。

 

「いえ、そんな事は無いですよ。」

 

「なら、なんでこんなに腹ばかり殴るんだよ。

見てみろよ、腹だけスゲー痣だらけだぞ。」

 

そう言いながら腹を指差す。

 

「衞宮士郎、バスケットボールをお腹に落として腹筋を鍛える方法があるのは知っていますか?」

 

「?ああ、たしかボクシングのトレーニングだったか?それがどうした……ってまさか!?」

 

「ええ、そのまさかです。

バスケットボールのかわりに私の拳で貴方の腹筋を鍛えましょう。

目指せシックスパックです。」

 

そう言いながら拳を握りしめドヤ顔するバゼット。

 

「ふざけるな!!

そんな事されたら、

腹筋が鍛えられる前にお前の拳で俺の腹に穴があいてしまうぞ。」

 

俺はその光景を思い浮かべながら顔を青くする。

 

「その時はアヴァロンが何とかしてくれますでしょう。

それよりも衞宮士郎、朝食の準備をしなくてもいいのですか?」

 

「クソッ、後で憶えておけよ。

あ、すまんが先にシャワー浴びていいか?」

 

「ええ、私はまだトレーニングを続けますのでお先にどうぞ。」

 

「ありがとう。

じゃあまた後でな。」

 

そう言い残し俺は道場から退室した。

 

俺は道場を出て急いでシャワーを浴び、朝食の準備を済ませるが、誰も居間に来ない。

 

「?バゼットはシャワーだからわかるが、他の皆はどうしたんだ?」

 

俺は誰も来ないことを不思議に思い皆の部屋を回ることにした。

 

まずは親父達の部屋に向かいノックをする。

 

コンコン「親父〜起きてるか〜?」

 

俺のノックで起きたのか、ゴソゴソと動く音が聞こえる。

 

待つこと数分で親父が出てきた。

 

「ふあ〜、やぁ士郎おはよう。」

 

親父はでかいあくびをしながら挨拶をしてきた。

 

「おはよう、親父母さんは?」

 

「ああ、アイリなら今起きて着替えてる最中だよ。」

 

「そうか、それにしても眠そうだな。」

 

「ああ、アイリが今日の買い物を昨日から楽しみにしててね、なかなか寝かしてくれなかったよ。」

 

親父はそう言いながら苦笑した。

 

「子どもか!!

はー、朝食の準備は出来てるから顔を洗ってきてくれ。」

 

「はは、そうさせてもらうよ。

あと士郎」

 

「ん?なんだ?」

 

「若い頃からため息ばかりつくと幸せを逃すよ。」

 

「そう思うなら俺にため息をはかせないでくれよ。」

 

「はは、それじゃあ僕は顔を洗ってくるよ。」

 

笑って誤魔化しながら親父は顔を洗いに洗面所へ向かった。

 

「はー、母さんも着替え終わったら顔を洗って今に来てくれ。」

 

部屋の中の母さんに聞こえるように大きな声をかけた。

 

「はーい♪」

 

声が返ってきたので、俺はシエルの部屋に行くことにした。

 

シエルの部屋にノックをするが、返事がない。

 

「まだ寝ているのか?」

 

不思議に思い何度かノックをするが、やはり返事はない。

 

「シエルさーん?

入りますよー?」

 

返事がないのでドアノブを回すとカギがかかってないのか開いた。

 

「シエルさーん?」

 

部屋に入って確認するがシエルは居なかった。

 

「昨日から帰ってないのか?

休み無しで働いているのか、聖堂教会ってブラックなんだな。」

 

シエルを憐れみながら部屋を退室しようとすると、洗面所の方から大きな音が聞こえた。

 

「なんだ!?」

 

俺は慌てて洗面所へ向かった。

 

洗面所の前に着くと、そこには白目を向いた親父が倒れていた。

 

「親父〜!?」

 

俺は親父に駆け寄った。

 

「親父!!誰にやられた!?」

 

俺が親父に声をかけると、ぷるぷると震える腕で洗面所の方を指差す。

つられて俺も指が指している方向を見る。

そこで俺は自分のミスに気づく。

先程から洗面所と呼んでいたが、正式名称は洗面脱衣室そう脱衣である。

そこにはタオルで体を隠すバゼットと怒った母さんがいた。

 

「あ〜、取り込み中みたいだな、うん、俺ちょっと用を思い出したからちょっと……」

 

そう言ってその場から逃げようとするが、母さんに肩を掴まれる。

 

「シロウ〜、女の子の肌を見といてただで帰れると思っているの?」

 

母さんがニッコリと笑顔でこちらを威圧してくる。

 

「待て!!母さん。

話せば分かるはずだ!!

俺は大きな音がしたから来ただけで……」

 

俺は慌てて弁明する。

 

「衞宮士郎、後で覚えておけよと、先程言っていましたが、こんな方法で復讐してくるとは見損ないましたよ。」

 

バゼットが俺をゴミでも見るような目で見てくる。

 

「そう言えば切嗣に顔を洗って来るように言ったのはシロウだったね……」

 

母さんはそう言って肩を掴む手の力が強める。

 

「待って!!違う俺はそんなつもりで」ドゴォ

 

慌てて弁明するが、弁明の途中でバゼットに腹を思いっきり殴られ意識を手放すのだった。

 

 

 



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32話

俺と親父はしばらくして目を覚ます。「いやー酷い目にあったね、…

俺と親父はしばらくして目を覚ます。

 

「いやー酷い目にあったね、士郎。」

 

そう言いながら親父は殴られた場所を擦る。

 

「ホントしっかりしてくれよ親父。

俺まで巻き込まれて殴られたんだからな。」

 

「いやいや、ちょっと待ってくれ士郎。

士郎がちゃんとバゼットさんがシャワーを浴びてる事を僕に伝えておけばこんな事にはならなかっただろ。」

 

「いやいや、俺が伝えてなかったとしても人が着替える場所にノックも無しに入るのは非常識だろ。

特に今なんかは家族意外の女性を泊めてるんだし。」

 

「いやこんな朝早くからシャワーを浴びてるなんて思わないだろう普通。」

 

「いーや、昨日もにたような事がおきたんだ警戒しとくべきだろ。」

 

そう、言い合いをしていると母さんが笑顔で呟いた。

 

「あら?二人共そんなに言い争いをして、

元気ね〜お仕置きが足りなかったかしら?」

 

母さんの呟きに俺達はビクッと反応した。

 

「ははは、アイリ、言い争いだなんて、これは士郎とのコミニケーションだよ。

それよりも、士郎が朝ご飯を用意してくれているんだろ?

さぁ皆で食べようじゃないか。」

 

「そ、そうだな。

冷めないうちに早く行こうぜ。

ははは」

 

俺達は次のお仕置きを恐れ、慌てて居間へと向かった。

 

「フフッ、切嗣達ったらホント仲がいいんだから。」

 

母さんはそう呟きながら俺たちの後をついていった。

 

居間につくとバゼットが食卓で待っていた。

 

「いやぁ、待たせてごめんね。」

 

「いえ、私も後になって鍵をしていればこんな事にはならなかったと思いました。

すみません。」

 

「ははは、うん、今度からは鍵をしてくれると助かるよ。

アイリのお仕置きは痛いからね。」

 

「え!?

親父をやったのって母さんだったのか?

てっきりバゼットかと……」

 

「衞宮士郎、私をなんだと思っているのですか?

私はそこまで狂暴ではありません。」

 

「ああ、すまん。」

 

俺は喉まで出かかった言葉を飲み込み謝ることにした。

 

「もう、そんな事より早くご飯を食べましょうよ。」

 

しびれを切らした母さんが言う。

 

「ああ、そうだね。

この後の予定もあるし早く食べるとしようか。

士郎、お願いしてもいいかな」

 

「わかった。

味噌汁を温めなおすから少し待ってくれ。」

 

そう言ってキッチンへむかい朝食の準備をする。

 

「そう言えば、士郎。

シエルさんはどうしたんだい?」

 

「部屋を見たけど居なかったよ。

たぶんだけどまだ帰ってきてないんじゃないかな?」

 

「そうかい。

神秘の秘匿に時間がかかってるんだね。」

 

切嗣は申し訳なさそうな顔で言う。

 

そうこう話していると朝食の準備が終わり、俺も席につく。

 

「さて、朝食もならんだ事だし食べるとしようか。

いただきます。」

 

「「「いただきます。」」」

 

朝食を食べ終わり片付けをする。

 

「士郎、片付けはそろそろ終わるかい?」

 

外出の準備をすませた親父が聞いてくる。

 

「準備はそろそろ終わるけど、シエルさんように炊いた米が余ってしまってて少し時間がかかりそうだ。」

 

「?余った米でなにかするのかい?」

 

「ああ、シエルさんが帰って来たときにお腹を減らさないように、おにぎりでも握ろうかと。」

 

「わかったよ、それなら僕は先に桜ちゃんを拾ってくるとするよ。」

 

そう言いながら親父は居間から出ていった。

 

俺がおにぎりを握っているとドタドタと足音を鳴らしながら母さんが、居間に入ってきた。

 

「シロウ〜、切嗣見なかった?

後何しているの?」

 

そう言いながら興味深く俺の手元を見てくる。

 

「ああ、親父なら先に間桐さんを拾ってくるって出ていったよ。

後、これはシエルさんが帰って来たとき、お腹を減らさないようにようにと、おにぎりを作ってるんだ。」

 

「ふーん。」

 

母さんは返事を返しながらもずっと俺の手元を見続ける。

 

ジー

 

(やり辛い)

 

「あー、なんだ?

母さんもやってみるか?」

 

「良いの!?」

 

「まぁ、おにぎりなら難しくもないしな。」

 

「じゃあ、やるね!!」

 

母さんはそう言って米にてをのばそうとする。

 

「待て待て。」

 

「なによシロウ。

やっぱりダメなの?」

 

 

 

「いや、まずは手を洗わないと。」

 

「あ、そうね。」

 

母さんはそう言って手を洗う。

 

「洗ってきたわ。」

 

「うん、ならやり方を説明するぞ。

まずは手に塩をつけるから手を出して。」

 

「はーい」

 

差し出された手に塩を盛る。

 

「手に盛った塩を馴染ましてくれ。」

 

「こう?」

 

「ああ、それじゃあご飯を手に取ってくれ。」

 

「これぐらい?」

 

「うん、じゃあ手に取ったご飯の中心に具材を置いて。」

 

「具材は何でもいいの?」

 

「ああ、何でもいいけど具材は基本一品だけのほうがいい。」

 

「えー、いろんなものを入れたほうがよくない?」

 

「母さん、例えばだが、酸っぱくて辛くて塩っぱくて甘い、味がごちゃまぜの物を食いたいか?」

 

「うーん、あんまり食べたくないかな?」

 

「そう言うことだ。

具材が多いと変な味になるから基本は一品だけなんだ。」

 

 

 

「はーい」

 

母さんはそう言いながら具材を一品取って入れる。

 

「良し、じゃあ先に俺がやって見せるから見といてくれ。」

 

母さんによく見えるようにゆっくりと握る。

 

「こんな感じだ。」

 

そう言って完成したおにぎりを置く。

 

「ねえ、シロウ。

何回も持ち直してたけど意味があるの?」

 

「ああ、一回で無理やり三角の形にするより、優しく何回も握ってやる方が米が潰れないし形も綺麗になるんだ。」

 

「へー、わかったわ。」

 

「よし、ならやってみてくれ。」

 

「うんしょ、うんしょ。

うーん、シロウみたいに綺麗にならないわ。」

 

「はは、最初はそんなもんだ。

貸してみて。」

 

「はい。」

 

母さんから受け取ったおにぎりをきれいな三角にする。

 

「わー、すごいわシロウ!!

まるで魔法みたい。」

 

「魔術師の俺達に魔法みたいって・・・

まあいいか。

やり方はわかったな?

ならやっていこうか。」

 

「はーい」

 

俺達はおにぎりをひたすら作り始めた。

 

最後のおにぎりを作り終え、母さんが握ったおにぎりの形を整えていると親父が帰ってきた。

 

「ただいま。

まだおにぎりを作っていたのかい?」

 

「ああ、今ちょうど終わるとこだ。」

 

「ねえねえ切嗣。

シロウって凄いのよ。

シロウが握ったおにぎり何だけど、アッという間にきれいな形になるのよ。」

 

母さんはそう言いながらおにぎりを指差す。

 

「へぇ、確かにきれいな形になっているね。」

 

「これぐらいは普通だろ?」

 

そう言いながらおにぎりにラップをして冷蔵庫にしまう。

 

「よし。あとは書き置きを残して…これで完了だ。」

 

「終わったかい?

なら出かけるとしよう。

バゼットさんは先に車に乗っているから後は僕たちだけだよ。」

 

親父はそう言って俺達を外へと促す。

 

俺と母さんは促されるまま玄関へと向かおうとするが、親父はついてこない。

 

「親父?」

 

玄関に行かない親父を不思議に思い声をかける。

 

「シエルさんが帰ってきた時の為に書き置きなどを置いとかないといけないから、先に車に乗っておいてくれ。」

 

「わかった。」

 

俺と母さんは玄関へと向かった。

 

玄関を出るとすぐそこに車が止めてあり、後部座席に桜とバゼットが乗っていた。

 

「母さん、俺が助手席でいいか?」

 

そう母さんに質問すると、不思議そうな顔で返してきた。

 

「え?流石に切嗣を後ろに乗せるのはおかしいんじゃないかしら?」

 

そう言い終わると母さんは運転席へ入っていった。

 

「待て!!母さん!!

ここはアインツベルンの私有地じゃないんだぞ!!

母さんは安全運転が出来るのか?

まず免許証を持っているのか?」

 

運転席の窓を叩きながら中に聞こえるように叫ぶ。

 

「どうしたんだい?士郎。

そんな大声を上げて。」

 

親父が玄関から出てきて俺に声をかける。

 

「どうしたもこうしたもあるか!!

母さんが運転席に座ってるんだよ。」

 

「あー、士郎。

世の中諦めも肝心だよ。

さあ、のったのった。」

 

親父はそう言いながら助手席に入る。

 

その姿をみて俺も諦めて車に乗ることにするのだった。



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33話

「作者死んだはずじゃ!?」

「残念だったな、トリックだよ」

はい、冒頭からふざけてすみません。
最近積みゲーを消化をしたり、
腸を悪くしたりしてました。

次の投稿も最近月姫を買ったので遅れてしまうと思います。


俺は諦めて車に乗ると、シートベルトをしながら母さんに文句を言った。

 

「母さん、俺が外から話しかけてるのに無視するなよ。」

 

 

「ごめーん何言ってるか聞こえなかったし、切嗣がいたから別にいいかなって。」

 

そう言いながらギアを入れた。

 

「え?聞こえなかったって、俺、結構叫んでたぞ?」

 

俺は疑問に思い質問すると切嗣が答えた。

 

「ああ、士郎は知らないのか。

この車は聖杯戦争ように用意した車だから防音、防弾に優れててね、中で叫ぼうが声が外にもれない代わりに外からの音も聞こえにくいんだ。」

 

「え……てことは!!」

 

俺は慌てて桜達のシートベルトを見るが遅かった。

 

車が急発進し席に押し付けられる。

 

「キャッ」

 

桜から悲鳴が聞こえてくる。

 

「クッ 母さん!!まだ桜達がシートベルトをしてないぞ!!」

 

母さんは振り返って話しかけてくる。

 

「え〜事故らないから問題ないわよ〜」

 

「いや、事故る事故ら無いじゃなくてって!!母さん前!!前!!」

 

母さんは前を向くが、前はT字路で、このままでは民家に突っ込んでしまう。

 

母さんはハンドルを思いっきり切り、ドリフトしながら曲がる。

 

急に曲がった為に俺と桜はドアの方に押し付けられる。

 

「キャーッ!!」

 

「クッ、桜、口を閉じとけ!!舌を噛むぞ。」

 

そう言いながら俺の方に来た桜を抱きしめる。

 

「は、はい」

 

桜はそう言いながら俺にしがみつく。

 

「クッ、バゼットは大丈夫か?」

 

そう言いながらバゼットの方を見る。

 

「ええ、なんとかルーンが間に合いました。」

 

バゼットはそう返事を返しながら座席に片手でしがみついていた。

 

しばらく車に揺られていると疲れてきたのか、バゼットの腕がプルプルし始めた。

 

「バゼット、大丈夫か!?

クソッ、親父、後どれぐらいでつく?」

 

俺が質問すると親父はスピードメーターを見ながら答えた。

 

「今スピードが200くらいだから……

後10分って言ったところだよ。

すまないけど、もちこたえてくれ。」

 

「200!?馬鹿じゃないのか!!

というか警察はどうした!?

なんで?止めに来ない!?」

 

「アイリが運転する可能性も考えてこの車には認識阻害の魔術が仕組まれているんだよ。」

 

「アホか!!

そんなとこに力いれるより、母さんに道路交通法を叩き込むのに力を入れろよ。」

 

「いや、聖杯戦争時に道路交通法とか言ってられなくなると思ってね。

ってそろそろ着くよ、急ブレーキにそなえてくれ!!」

 

「待て!?

200キロの速度で駐車するだと!?

正気か?」

 

「もう遅い、全員思いっきりしがみつけ!!」

 

俺たちの乗っている車は急ブレーキをかけ、ドリフトしながら駐車に成功した。

 

「う〜ん楽しかった。」

 

母さんはそう言いながら体を伸ばす。

 

「全員無事かい?」

 

「何が楽しかっただ!!

この惨状を見ろ!!」

 

俺がそう言うと母さんはこちらに振り返った。

 

「あら?シロウ、さくらちゃんともうそんなに仲良くなったの?

すみにおけないわね〜」

 

「何を言ってって……

すまん桜!!」

 

そう言いながら俺は抱きしめていた桜を慌てて開放する。

 

「い、いえ逆にこちらこそすみません。」

 

「あー、みんな、怪我とかはないか?」

 

俺は気まずくなり話をそらした。

 

「僕はシートベルトをしてたから無事だよ。

 

「私は座席とドアにしがみついていたので無事です。」

 

「えっと私も士郎さんのおかげで無事です。

ありがとうございました。」

 

「も〜みんな大袈裟な〜」

 

「母さんは反省しろ!!」

 

俺が怒りながら注意するが母さんは聞く耳を持たず、俺はため息ついた。

 

「まぁまぁ、士郎、小さいことで怒らずに買い物を楽しもうじゃないか。」

 

そう親父がなだめる。

 

「はー、今回だけだからな。

次こんな事したら母さんだけデザート無しな。」

 

「ブーブー、横暴だー。」

 

「ブーブーってあんた何歳だよ……」

 

「9歳です♪」

 

母さんの返答にその場が凍る。

 

「え、衞宮切嗣、確かあなたには娘がいるんでしたよね……」

 

バゼットが切嗣に問いかけるが、母さんが答えた。

 

「ええ♪

8歳になる可愛い娘がいるわよ。」

 

母さんの返答に桜は一歩下がり、バゼットの視線が冷たくなる。

 

「まっ待ってくれ!!

お願いだから性犯罪者を見るような目で見るのはやめてくれ!!

士郎からもなにか言ってくれ!!」

 

親父は焦りながら俺に助けを求めてきた。

 

「お、俺!?

あー、なんだ?

あれだ、母さんは当時にはもう今の見た目だしな……」

 

「衞宮士郎、あなた的には当時1歳いえ、妊娠期間も考えると当時0歳の右も左もわからない子どもとその…するのは見た目が大人なら問題ないと思うのですか?」

 

「……すまん、親父。」

 

バゼットの問いかけに俺は謝ることしかできなかった。

 

「士郎!?」

 

「いや…無理だろ。

産まれたての人とやってしまったのは事実だし…」

 

「いやいやいや、確かにアイリの年齢は問題かもしれないけどね、お互いが愛し合えば問題なくないかい?

それに魔術師の中にはもっとやばいやつなんてわんさかいるんだから。」

 

「衞宮切嗣、確かに魔術師にはもっと酷いのもいるでしょう。

しかしだからといってあなたのやった事が問題なしになるわけではないでしょう。」

 

「親父、何事も諦めが肝心なんだろう?

なに、ただ事情を知ってるごくわずかな人からペドフェリアと思われるだけさ。」

 

俺達の言葉に切嗣は顔を伏せる。

 

「ねえ、切嗣。

イリヤを生んだことは間違いなの?

そんなことはないでしょう?」

 

母さんの問いかけに親父は顔を上げる。

 

「アイリ…

ああ、そのとおりだ!!

たとえ周りからどう思われようが、イリヤを産んだことが間違えであるはずがない!!」

 

「そうよ、その意気よ。」

 

そう言いながら見つめ合うふたり。

 

「結局、切嗣さんが変態という事実は変わらないんじゃ…」

 

見つめ合う二人を見ながら桜がボソリと呟いた。

 

「しー、なんかいい話的な感じにまとまってるんだ今はそっとしとこう。」

 

そう言いながらそっと二人を見ることにするのだった。




切嗣は称号ペドフィリアを獲得した。


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34話

最近なぜかアイリさんがダイスケを踊る夢を見たので、月姫を後回しにして投稿しました。

今回は他の話よりは少し長いです。


親父が悲しき称号を受け入れて数分が経ち、全員が落ち着きを取り戻した頃。

 

「なあ、そろそろ買い物をしにいかないか?」

 

「そうだね。

そろそろ買い物に行こうか。」

 

俺はシートベルトを外し外に出ると、桜が俺の方から続いて降りてこようとした。

 

「間桐さん、大丈夫か?」

 

先程まで揺られていたので心配になり、声をかけ手を差し出す。

 

「は、はい……

あの、名前…」

 

「?」

 

「先程まで桜名前で呼んでいたので。」

 

「ああ、すまん、焦っていてつい。」

 

「い、いえ。

あの、呼びやすいのなら名前で読んでもらってもいいです。

それに名字だと兄さんもいますから…」

 

「そうか?

ならこれからは桜って呼ばせてもらうよ。」

 

「はい!!」

 

桜は俺の返答にパァと顔をほころばせた。

 

「「ニヤニヤ」」

 

「おい、そこのバカップル、言いたいことがあるなら言え。」

 

「え〜別に〜」

 

「いやいや、言いたいことなんてないよ。」

 

そう言いながらもニヤニヤとする二人。

 

「だー、もうさっさと買い物に行くぞ!!」

 

俺はそう言い残して先に向かうことにした。

 

先に向かう俺を追いかけるように皆もデパートに向かうのだった。

 

「さて、デパートについたけど先に何から買うかい?」

 

「食品関連は最後のほうがいいし、先に俺の服を買うか?」

 

「そうね!!先に服を見に行きましょう。

私も色々見ておきたいわ。」

 

「桜ちゃん、バゼットさんもそれでいいかい?」

 

「ええ、私は買いたいものなどありませんので、それでかまいません。」

 

「はい。」

 

二人に了承をもらったので、洋服店に向かうことにした。

 

「さて適当に着れるもん選んでさっさとすますか。」

 

俺は適当に服を選ぼうとした。

 

「え〜!!そんなのつまんな〜い。

もっとこう、買い物を楽しみましょうよ。」

 

「いや、男の服なんてある程度ダサく無ければ何でもよくないか?」

 

「いやよ〜

そうだ!!

皆一人一着ずつ士郎に似合いそうな服を選びましょう!!

そうと決まれば皆いくわよ!!」

 

そう言い残し母さんは一人駆け出した。

 

「待て、母さんって、クソ、どこいった?」

 

俺は母さんを追いかけようとするがすぐにみうしなった。

 

「はは、仕方がないね。

皆もゴメンだけどアイリに付き合ってあげて。」

 

「まあ、別に服を選ぶくらいかまいません。」

 

「私も問題ありません。」

 

「はは、ありがとう。

お詫びといっちゃなんだけど、後で好きなものを買ってあげるよ。」

 

「そこまでしてもらわなくてもいいのですが……」

 

「まぁまぁ、ほら僕達も服を見に行こうか」

 

そう言って親父も服を選びに行った。

 

「あー、俺達も行くか。」

 

そう言い残し俺達はバラバラになり服を選びにいった。

 

俺が適当に服を見ていると、マネキンの一つにカプサバの士郎の服一式があった。

 

「お、これでいいか。

一着だけだと足りないし、他にも見繕っとくか」

 

適当な服を見繕い終わりもとの場所に戻ると、切嗣以外が集まっていた。

 

「シロウおっそ〜い」

 

母さんが大量の服が入ったカートの隣でプンプンと怒っていた。

 

「すまん。

皆に見せる服とは別に、普通に着る服も選んでたら遅くなった。」

 

俺は誤った後、遅れた理由を話す。

 

「そう言えば元々衞宮士郎の普通に着る服がなくなってきたから買い物に来たのでしたね。」 

 

バゼット達は俺の言葉に納得してくれた。

 

「親父はまだなのか?」

 

「ええ、ホント、切嗣ったら何をしているのかしら?

もう先に始めちゃいましょう。」

 

母さんはそう言いながら俺の手を掴み、カートを押して試着室に向かう。

 

「え!?

もしかして、それ全部俺に着せる気か!?」

 

俺が驚くのも無理はない。

母さんが押しているカートには明らかに女性物の服しか入っていないのだから。

 

「ええ、あたり前じゃない。

似合っているかはやっぱり着てみないとわからないもの。」

 

母さんの発言に俺は顔を青くする。

 

「いや、待って、お願い、デザート母さんだけ多くするから。」

 

「だ〜め♪」

 

「いや俺に女性物の服は似合わないって、な!」

 

そう言いながら助けを求めるように、他二人に話をふる。

 

「衞宮さんなら何でも似合うと思いますよ。」

 

「いやいや、まって!!

え、なんでさ!?正気か!?

と言うか何?その目

さっきまで親父みたいな目だったのに、

なんでそんな生き生きした目なの?」

 

「衞宮士郎、先程、衞宮切嗣も言ってましたでしょう。

諦めがかんじんです。」

 

「お前、他人事だと思って、

母さん、俺よりもバゼットのほうが似合うと思うから、俺に着せるんじゃなくてバゼットに着せよう、な?」

 

そう言って矛先を俺からバゼットに変えようとする。

 

「シロウ安心して。

皆のぶんも選んでおいたから。」

 

母さんはそう言いながら棚で死角になっているところから、カートをもう2つ出してきた。

 

「「「え?」」」

 

母さんいがい全員が呆気にとられる。

 

「さあ、いくわよ。」

 

俺達が呆気にとられてるうちに母さんは俺を試着室に押し込んだ。

 

「ふふ。

これで逃げられないわよ。」

 

手を怪しく動かしながら母さんが迫ってくる。

 

「待って、お願い。

アーーーーー!!」

 

メイド服を着せられて皆の前に立たされる俺。

 

鏡を見るとそこには藤丸立香♀にのメイドの姿が映し出される。

 

「やっぱり、私の想像通りね。」

 

「わぁ、衞宮さん似合ってます!!」

 

「まさか衞宮士郎にこんな才能があるとは思いもしませんでした。」

 

「ふふ、もうお嫁に行けない。」

 

「なによもう、これぐらいで。

ほら、まだまだいっぱいあるんだから、

ほら、着替えて。」

 

「クソ、もうどうにでもなれ。」

 

諦めの境地に達し、俺は様々な服を着せられていくのだった。

 

「ふーいい仕事したわ。」

 

母さんの服を全て着終わり出る俺。

 

「さあ、次は他のみんなが選んだ服の番ね。」

 

「ああ、そうだな。

他の服は今よりはマシだろう。」

 

そう言う俺の今の格好は魔術礼装カルデアだ。【もちろん女性者】

 

「じゃあ、次は私が選んだ服を着てください。」

 

そう言って、もじもじと恥ずかしそうに桜は服を手渡してきた。

 

俺は服を受け取り試着室に入る。

 

試着室で桜から受け取った服を広げると、そこには白馬に乗った王子とかが着てそうな服があった。

 

(え?何これ?もしかして貴方は私の王子様♥てきなやつ?

もし、そうだとしたら桜、チョロすぎない?

これはどう反応するのが正解なんだ?)

 

「とりあえず着るか。

着ずに出たら強制的に着せられるだけだろうし。」

 

俺は覚悟を決め、服を着て外に出る。

 

「あら〜シロウ、似合ってるじゃない。」

 

「衞宮さんカッコイイです。」

 

「ククッ、衞宮士郎、似合ってますよ。」

 

3人が褒める。

 

「おい、バゼット、言いたい事があるならハッキリ言えよ。」

 

「いえ、言いたい事なんてありませんよフフッ。」

 

バゼットはそう言いながらも、肩を震わせながら笑いをこらえる。

 

「だー、もういい。

さっさと次、行くぞ。

バゼット服をよこせ!!」

 

「え、もう着替えちゃいんですか?」

 

桜は残念そうにする。

 

「さっさと着替えないとこの後もまだあるからな。」

 

「残念ですね。

では衞宮士郎、どうぞ。」

 

そう言ってバゼットが俺に手渡してきた。

 

赤黒くてダメージが入っている物を一つ渡される。

 

「?バゼット、これだけか?

ズボンとかは無いのか?」

 

「ええ、それだけです。

それを見た瞬間これしかないと思える一品でした。」

 

バゼットは自信満々に言う。

 

「そうか、そこまで自信満々に言うなら期待しとくよ。」

 

俺は試着室に入り、期待しながらそれを広げてみると、それはアンリマユが纏ってる赤黒いボロボロの布切れだった。

 

「とうとう服ですらない!?」

 

脳筋ゴリラに期待した俺が馬鹿だったと諦めて腰に巻き外に出た。

 

「フッ、私の目に狂いはありませんでしたね。」

 

「何が狂いはないだ!!

目どころか頭まで狂ってるだろ。

服を選んでこいって言われて、布切れを持ってくるやつがどこにいんだよ!!」

 

「ごめん、待たせたね。

おや、士郎、面白い格好をしているね。」

 

「はぁ、親父、聞いてくれよ。」

 

そう言いながら振り返ろうとした時、親父の方からガシャンと音がなった。

 

「ガシャン?」

 

振り返り終わり、俺が目にしたのはアサシンエミヤが着ている鎧の子供用バージョンだった。

 

「親父、アンタもそっち側かよ。」

 

「どうしたんだい?

士郎、そんな裏切られたみたいな顔をして。」

 

「どうしたもこうしたもあるか!!

なんなんだよ。

なんで服を選んで来いって話で服以外を持ってくるやつがいるんだよ。」

 

「士郎、何が不満なんだい?

こんなにカッコいいのに。」

 

「親父だけはまともだと思った俺の気持ちを返せ。」

 

俺と親父が言い合っていると母さんが間に入って来た。

 

「まーまー、とりあえずシロウ、さっさと着なさい。」

 

「母さん、すでに飽きてきてない?」

 

「ソンナコトナイワヨー」

 

「明らかに棒読みなんだが!?

おい、俺の目を見て話せ。

はぁー、わかったよ。

親父、俺、鎧なんて着方がわからんから手伝ってくれ。」

 

「うん、構わないよ。」

 

数分経ちやっと着終わったので、俺と親父は試着室から出た。

 

「「「………」」」

 

「せめて何かしら反応してくれよ。

もういい、最後に俺が選んだ服着るからな。

親父、これ脱ぐの手伝ってくれ。」

 

「構わないよ。」

 

俺は着替えて試着室から出る。

 

「それが士郎が選んだやつか。

うん、普通だね。」

 

「シロウ、つまんなーい。

何かもっと面白そうな服は無かったの?」

 

「面白みもない普通の服で悪かったな。」

 

「あの、衞宮さん。

似合ってますよ。」

 

「衞宮士郎、悪くはないと思いますよ。」

 

「二人共ありがとう。

次は二人の番か?」

 

俺が母さんに質問すると、時計を見て親父が答えた。

 

「あー、悪いけどこの後もあるし、二人の着替えはまた今度にしてくれるかな?」

 

親父の発言に全員が時計を見ると昼を過ぎていた。

 

「あら、もうこんな時間なのね。

店員さーん。」

 

母さんは時計を確認し店員を呼ぶと、すぐに店員がこちらにやってくる。

 

「これ全部買います♪」

 

そう言って店員に虹色のカードを見せる。

 

「そ、それは!!

限度無制限のレインボーカード!!

はい!!只今準備します。」

 

店員はそう言い残しカートを全て持っていった。

 

「……母さん、色々言いたい事があるが、これだけは言わせてくれ。」

 

「な〜に?シロウ?」

 

「俺は二度と女装なんてしないからな〜!!」

 

デパートに俺の叫びがこだまするのだった。

 



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35話

衣類の買い物も終わり時間もいい感じなので、食事をする為俺達はフードコートへ向かうことにした。[衣類は配送することにした。]

 

「うーん、やっぱりこの時間だと混んでいるね。僕は席を取っとくから皆で見ておいでよ。

はい、これお金。」

 

親父はそう言って母さんに一万円札を手渡す。

 

「あー俺もこれと言って食いたい物も無いし、親父と席で待っとくよ。」

 

「そう?じゃあシロウと切嗣のは私が選んでくるわ!!

それじゃあ行きましょう。」

 

母さんはそう言い終わるやいなや桜とバゼットを引っ張って行った。

 

「はー、まったく母さんには落ち着きというものがないのか?」

 

「はは、そう言わないであげてよ。

アイリは今までずっと城の中で過ごしていたからね、何でも珍しいんだよ。」

 

「母さんの境遇には可哀想だと思うが、親父は甘やかしすぎじゃないか?」

 

親父は苦笑いをするだけで何も言わず、席を探す為歩き始めた。

 

「親父、笑ってごまかせると思うな。

だいたい普通嫌がってる人に無理やり女装なんてさせるか?」

 

「そうは言うけど士郎、君なら無理やり逃げることもできただろう?

それをしないで僕にあたるのは酷くないかい?お、ここ空いているね。」

 

見つけた席は端の方でまだ人も少ない場所だった。

 

俺達は席に付き、俺は周りを見渡してから小さな声で喋る。

 

「親父、母さんの体は今、俺の投影で出来ているんだぞ。

どの程度、傷ついたら消えるかもわからん危険な状態で、そんなこと出来るか。」

 

俺が、そう言うとさっきまで、ほんわかしてた親父の顔が、鋭くなる。

 

「士郎、もし、アイリが消えてしまった時、再度投影し直す事は出来ないのかい?」

 

「聖杯がどうなるか分からないから俺からはなんとも言えないが、元々壊れかけの聖杯を桜に入れて生かしていたから問題無かっただけで、今投影されている母さんが消えた時、聖杯は桜の中に戻らないだろうから、あまり良いとは思えない。

まず、聖杯の中で母さんの魂と精神が生き残ってた理由がわからないし。」

 

「そうか。

士郎、アイリの体を何とかする方法とかはしらないかい?」

 

「確証はないけど、アインツベルンの爺さんか人形師、蒼崎橙子この二人ならなんとか出来るかも。」

 

「アインツベルンの当主はわかるが、蒼崎橙子って誰だい?」

 

「第5魔法『青』に到達した家計の生まれの天才にして、魔術協会で王冠の称号を与えられた人だ。」

 

「第5魔法だって!?」

 

「親父、声がでかい。

第5魔法は妹の方が継承してるから蒼崎橙子自身は普通の天才魔術師だよ。」

 

「すまない。

その人の居場所とかはわかるかい?」

 

「確か、表の顔として、日本で建築デザインの事務所を開いていたはず。

会社名まではちょっと覚えてないな。

後、何年に会社が造られたかも分からない。

もしかしたらまだ出来てないかもしれない。」

 

「いや、そこまで分かれば僕の方で調べれるよ。

ありがとう。

ふー、それにしても士郎。

君の記憶は凄いね。」

 

「なんだ?

改めて。」

 

「いや、なに、君の記憶が無ければ僕は全てを失うところだったからね。

君には感謝しているよ。」

 

「やめてくれよ、親父。

俺はただ、自分が平穏無事に暮らす為に親父達を利用しているだけだぞ?」

 

「それでもさ。

改めて、士郎、ありがとう。」

 

そう言って親父はニッコリ笑う。

 

俺達の話が終わり一息ついて周りを見ると、店側の人達の視線が一方向を向いていた。

 

「何があったのかな?」

 

「母さん達じゃないか?

全員、そこらのアイドルが裸足で逃げ出すぐらいには美人だし。」

 

「いや、それならもっと前から騒がれてるはずだよ。

何かあるのかもしれない。

士郎、気をつけろ。」

 

親父が、真剣な顔で視線の先をおう。

 

それにつられるように俺もそちらを向くと、母さん達がいた。

 

「フー、なんだよ、親父。

やっぱり母さん達じゃないか。」

 

「はは、ごめん。

僕のカンも鈍ったのかな?

おーい。こっちー」

 

親父が遠く離れた母さん達に見えるように手を振る。

 

母さん達がこっちに気がつき歩いてくる。

 

エミヤの視力を持つ俺には見えてしまった。

 

「なんで!?

どうしてそれがここにある!?」

 

俺は見えてしまった物に慌てふためく俺。

 

「どうしたんだ!?士郎。」

 

俺の尋常じゃない反応に驚く親父。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「泰山の激辛麻婆豆腐!!」




最近自分の小説情報を見てこの小説が一周年を過ぎてることに気づいて、一周年記念を逃しましって慌ててしまった投稿者です。
もう遅いなんて話じゃないが記念枠で何か書こうか悩み中です。


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36話

紅洲宴歳館・泰山の激辛麻婆豆腐、それは見るだけで人に恐怖を与え、食した者に地獄を味合わせる激物である。

 

どれ程危険かと言うと、英雄王ギルガメッシュですら食べれば唇が腫れ腹痛を起こし、二度と味わいたくないと思わせるほどだ。

 

そんな危険物が今、目の前に置かれている。

 

「アイリ?こ、これはなんだい?」

 

親父が麻婆から発せられる禍々しいオーラに恐怖しながら母さんに質問する。

 

「麻婆豆腐って言う料理らしいわ。

切嗣も見たことないの?」

 

「そ、そうなんだ。

アイリはこれを食べるのかい?」

 

決して料理名を聞きたいわけでは無いが、母さんの無垢な反応に言葉を飲み込み質問する。

 

「え?

私はこれを食べるわよ?」

 

母さんはそう言いながら指すのは色とりどりのドーナツだった。

 

「なら、これは誰が食べるんだい?」

 

親父はそう言いながら、テーブルに置かれた激物を指差す。

 

「え?

切嗣か士郎じゃないの?

何でもいいって言ったからこれを選んでみたのだけど。」

 

母さんの発言に俺達は数分前の自分を殴りたくなってしまった。

 

数秒頭を抱えた後もう一度、激物をみる。

 

[やあ、俺、外道麻婆、お前を地獄に落としに来た。]と言わんばかりに毒々しさを放つ。

 

激物から目を逸らし親父を見ると親父と目が合う。

 

「士郎、僕は子供舌だから辛いものは苦手なんだ良かったら食べてくれ。」

 

「ははは、何を言うんだ親父、俺なんか肉体的にも子供なんだから俺の方が辛いのは無理だよ。」

 

お互いに睨み合う。

 

親父の目からは[まだ死にたくない]と言う強い意志を感じる。

 

「ふー、仕方がないね士郎。

ジャンケンでどっちが食べるか決めないかい?」

 

「そうだな、最初はグーでいいか?」

 

「そうだね。

勝っても負けても文句無しの一回勝負。

アイリ掛け声をお願いしてもいいかい?」

 

「?俺達で掛け声じゃ駄目なのか?」

 

「イカサマは無しでいきたいからね。」

 

「それもそうか。

母さん頼む。」

 

「はーい、それじゃあ、最初はグー」

 

母さんの掛け声に俺達は大きく手を振りかぶる。

 

「ジャンケン」

 

「Time alter―double accel」ボソ。

 

手を下ろそうとする時に親父がボソリ呟く。

 

「ポン」

 

出した手は親父がグー、俺がチョキだった。

 

「はー、はー、残念だったね士郎。」

 

親父は息を切らしながら言う。

 

「ちょっと待てーーー!!

今、使っただろ!!」

 

「?使ったけどそれがどうかしたのかい?」

 

何が悪いと言わんばかりの態度で答える親父。

 

「いや、イカサマだろ!?」

 

「何を言うんだい?士郎。

ジャンケンのルールは後出しをしてはいけない。

グー、チョキ、パー以外を出してはいけないと言う簡単なものだろう。

いつ僕が破ったんだい?」

 

「ぐっ、いやでも常識的に考えてそれはないだろ!!」

 

「士郎、常識と言うものは人によって変わるものだよ。

相手の提案を鵜呑みにした士郎が悪いよ。

それに先に言っただろう?

文句無しの一回勝負だって。」

 

切嗣はそう決め顔で言った。

 

「お、大人気ねえ。

そんなんだからイリヤにもズルいって言われるんだよ。」

 

「ふふっ、さぁ士郎、早く食べないと冷めるよ。」

 

親父はそう言いながら麻婆豆腐セットの隣に置かれている普通の炒飯セットを取る。

 

「じゃあこれはシロウのね〜」

 

母さんはそう言いながら俺の前に激物を移動させた。

 

「士郎、鞘に魔力を流しといたほうがいいよ」

 

親父が真剣な表情で俺に忠告する。

 

「逃げ場はないのか?

くそっ、敗走も無く勝利も無いとはこの事か。

・・・アーメン」

 

全ての魔力をアヴァロンにまわし麻婆豆腐を口にする。

 

 

 

 

 

 

目の前が真っ暗になったかと思えば俺は見覚えの無い草原の丘に立っていた。

 

「何だここ?

もしかしてここが死後の世界か?」

 

そう一人でつぶやきながら周りを見渡す。

 

夜なのか空は暗く、満月が見えるが、月以外の星は見えない。

 

「雲1つ無いのに星が見えないな・・・

?あっちの方が明るいな何だろう?」

 

丘の頂きに光が見えたので、俺はそちらに向かうことにした。

 

「綺麗だ・・・」

 

頂きには金色に輝くリンゴが成っている木が一本生えていた。

 

ふと、このリンゴを食べたいと思い取ろうかと考えるが、子供の身長では取れない位置に実はなっているので、どうしたものかと考た。

 

考えた結果、投影で取ろうと思い剣をイメージした瞬間、何処からともなくイメージした剣が飛んできてリンゴを一つ切り落とした。

 

「おっとっと。」

 

金色に輝くリンゴをキャッチし、あまりの美しさにまじまじと眺めていると声が聞こえた。

 

「士郎!!士郎!!」

 

「衞宮士郎!!」

 

「士郎さん」

 

はっと目を覚ましたら3人が俺を囲んでいた。

 

「あれ?

俺は何を?」

 

「士郎、覚えてないのかい?」

 

「覚えてないって何を?」

 

「士郎、君は麻婆豆腐を一口食べたかと思うと、目を大きく開き一心不乱に麻婆豆腐セットをかきこんで倒れたんだよ。」

 

親父はそう言いながら空になった皿を指差す。

 

「あれを全部完食できたのか!?」

 

「いや、本当に焦ったよ。

完食した時の周りの歓声と君が倒れた時の悲鳴は凄かったよ。」

 

親父はそう言いながら周りを見る。

 

つられて周りを見ると、麻婆豆腐を作った店の店長だろうか?

 

その人が嬉しそうに俺の手を掴む。

 

「凄かったです。

この麻婆豆腐を完食できた人は修行時代に別の店で働いていた時に来た神父を除けば初めてですよ。

これよかったら貰ってください。」

 

なるほど、この人は泰山で修行していた人だからここにこんな物があったのか。

 

「あはは、これは?」

 

俺は苦笑しながら受け取った物を見る。

 

激辛麻婆豆腐無料券。

 

死ぬ程いらない。

 

いや実際に臨死体験をしたのにこれを渡してくるなんてこの人は正気か?

いや正気ならこんな物は作らないかと、一人で納得した後ポケットにしまった。

 

「あ、ありがとうございます。

親父、もう皆、食い終わったか?」

 

「ああ、士郎が倒れてるうちに皆も食べ終わってるよ。」

 

「なら次に行こう。

ごちそうさまでした。」

 

俺達は店長に一礼してその場を後にするのだった。




ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回切嗣がしたイカサマの補足ですが、
ケンイチの達人ジャンケンかハンターハンターのジャンケン必勝法と同じで、タイムアルターで相手の振り下ろす手を見て自分の手を変えています。 


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37話

すみません
夜勤続きで体がやばくて少し休んでました。
また投稿が遅れるかもしれませんが最低でもギルガメッシュを倒すまでは頑張ります。


俺達はフードコートから逃げるように移動した。

 

とりあえずその場から離れたかった俺達は何も考えずに移動していると、雑貨売り場についた。

 

「あら、ここは雑貨売り場かしら?

切嗣、ちょっと見てきていいかしら?」

 

母さんが、商品を眺めながら親父に問う。

 

「ああ、構わないよ。

皆も欲しいものとかあったら気軽に言っていいよ。」

 

親父は桜たちの方を向いてそう言った。

 

「衞宮切嗣。私は準備をしてこちらに来ていますので今のところ、欲しいものはありません。

衞宮士郎、間桐桜。

あなた達は何かありますか?」

 

バゼットはこちらに質問してくる。

 

「んー。

と筆記用具など生活に必要な物って揃ってたっけ?」

 

「あー、そこらへんはあんまり無かったと思うよ。

元々、聖杯戦争中のセーブハウスとしての使用しか考えてなかったからね。」

 

「なら、そこらへんを見とくか。

間桐さんは欲しいものとかあるか?」

 

俺がそう言うと全員の視線が桜に集まる。

 

「いや、あの。

お金を出してもらうのはその、申し訳ないですし、私は大丈夫です。」

 

桜は遠慮がちに答えると母さんが、桜を抱きしめながら優しく呟いた。

 

「桜ちゃん。

そんなこと気にしなくてもいいのよ。

今まで辛い思いをしてきたんだからもっと、わがままになってもいいのよ。

それにアインツベルンの資産を使えばこのデパートぐらい10や20は買えちゃんだからちょっとしたものくらい気にしないわ。

そうでしょう?切嗣。」

 

「うん、もちろんだよ。

アイリ。」

 

そう言って母さん達は湿ったい空気を壊すように上機嫌に話す。

 

「ほら、桜。

母さん達もこう言っている事だし遠慮なんてしなくていいぞ。」

 

「なら、えっと、これが欲しいです。」

 

そう言って、桜はそっと遠慮がちに指を指した先を目で追うと、そこには[ジャプニカ暗殺帳あいんつべるん発行]があった。

 

親父は暗殺帳を手にとって呟く。

 

「これは…日記帳かい?」

 

「はい、私、最近嬉しいことばかり起きていて、寝る時にもしかしたら今までの出来事が夢なんじゃないかなって不安になるんです。

けど、日記を付けとけば起きてすぐに夢じゃなかったって確認が取れるんじゃないかなって…」

 

そう言葉を紡ぐ桜の顔は今にも儚く散ってしまいそうな顔だった。

 

その顔を見た母さんは桜を抱きしめて言った。

 

「ごめんなさい、桜ちゃん。

私達魔術師のせいで辛い目に合わせてしまって

けど、これからは違うは私達が桜ちゃんに書くのが辛いってくらいいっぱい嬉しい目に合わせてあげるから覚悟しといてね。」

 

そう言って母さんはニッコリと微笑んだのだった。

 



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