バビロニアにネテロがフワリと舞い込んで⁉︎ (yupon)
しおりを挟む

ウルク攻城戦

初投稿。
勉強ほったらかしで衝動で書いた。
後悔。


若干してるかも。


荒地が目立つ広い平原。しかし視界を遮るものはなく、遠くには天をつく山々の峰が並ぶ。ここは現代ではあまり見られなくなった、人の手が見受けられない場所。

そして空には、雲が空の青を白く塗りつぶすことはなく、

燦々と輝く太陽の元、青空が気持ちよく晴れ渡っている。

空を仰ぎ、存分にこの空気を堪能しようとした行商人が、ある物を見て慄く。

いや、人だろか。

え?ひと?え……?

 

 

親方、空からヒトが。

 

 

「うぎゃーーーーーーー!!」

「先輩、捕まってください!」

 

高速で接近する地面。

あわや激突と言った瞬間に、大楯を持った少女が隣で仲良く落ちている少年を俵持ちし、着地する。

巻き上がる粉塵。

普通なら全身強打で即死を免れない場面。

しかし少女は危なげなく屈んでいた状態から立ち上がり、先輩と呼んだ少年を見遣る。

 

「無事ですか、先輩?」

 

「いや…大丈夫…。無事じゃないけど…。ありがとう、マシュ」

 

マシュと呼ばれた少女は別に少年を放り投げたわけではないが、着地した拍子に手を離してしまったようで、少年が近くで伸びている。

 

『いや〜、ごめんごめん!レイシフトにつまづいて、高度を間違えちゃうとは…。ロマン一生の不覚!』

 

「あの、ロマン…なんか楽しんでません?」

 

「ロマン許すまじ…」

 

『あ、いや、ごめんて!そんなつもりはなかったんだけど…。と、とにかく何ともなくてよかったよ!』

 

いまだに伸びきっている少年ー藤丸立花ーは、伏したままどこからともなく聞こえてくる声の主に呪詛を呟く。

どうやら絶叫系は受け付けなかったらしい。

 

「ロマンがドジなのはいつものことです。話の続きを聞きましょう、先輩」

 

「マシュ、男のドジっ子なんて需要ないんだよ?」

 

『ドジって…』

 

そんな幸先よろしくないスタートを切る二人。とりあえずは居間を正して声の主、ロマンと呼ばれた青年の言葉を待つ。

 

『も、もしかしたら僕のドジっ子成分だって需要があるかも…』

 

「は?」

 

立花の若干の威圧に気圧されるロマン。

六つの特異点を超えたサポーターとは思えない情けなさである。

しかし神経の図太さも培ってきたのも事実。

そんなことはともかくとばかり。

 

『まぁいいさ!

ここはレイシフト前に説明した通り、紀元前のメソポタミア。君達に向かって欲しいのは、ギルガメッシュ叙事詩の舞台となった、都市国家ウルク。今は丁度三英雄の内2名は残っているはずだ。一人はだいぶ高齢のはずだけどね』

 

「三英雄って?」

 

『おや、聞いたことぐらいないのかい?

ウルクを治めた賢王ギルガメッシュ、新造兵器にして盟友のエルキドゥ。

そしてその二人を同時に相手にして大立ち回りをかました、

 

 

 

 

アイザック=ネテロだよ』

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

心なしか、ネテロについて語るロマンの声も、興奮の色が滲み出ている。

『ギルガメッシュ叙事詩のなかで人気の場面といえば、ギルガメッシュとエルキドゥによるお宝探しの大冒険。両者とネテロの対決。次いで三者によるフンババの討伐だね!

そして何より、ネテロによる「ウルク防衛戦」こそ、ネテロをギルガメッシュに伍する英雄として位置付けられるに至った事件だからね。

今回はそれについて、ウルクまでの道中で語ろうか!ーーーーー』

 

 

読者諸君はネテロとギルガメッシュ達の対決も気になろうが、ロマンの言うようにひとまずは「ウルク防衛戦」または「ウルク攻城戦」について語ろう。

 

これは初めて都市国家同士の本格的な戦争であり、国際条約が締結された形跡の残る戦役であった。

まぁ条約といっても、賠償金の代わりにウルク侵攻の科を以って、ギルガメッシュが「観光に来ない」こと。

つまり、ウルク軍がどうたらと言うより、ギルガメッシュ本人が出張らないように最大限に媚びただけの、国家同士の条約とも取れない代物ではあったが…。

 

当時ギルガメッシュは、エルキドゥの死後、死の克服のために不死の妙薬を探し回っており、その間、ひとまずは五年間、都市を守る人物を立てておかなければならなかった。他の都市国家、特にラガシュの王の動向が怪しかった。それに対してウルクには王の子がおらず、今やエルキドゥもいない。そこで白羽の矢が立ったのがネテロであった。

当時からやけにギルガメッシュと親しく、剣(?)客として信任していたネテロに国を任せることにしたのだが…。

民は王の不在に不安がった。

いかに「エルキドゥとギルガメッシュに大立ち回りを演じた」と本人達が口にしようと、彼らはネテロとの衝突の後にすぐにフンババを討伐している。遠目からは、どの傷がネテロとフンババ、どちらに付けられたものすら定かではない。

人当たりが良く、愉快奔放なネテロ個人の人格に好感は覚えれど、

ウルクが任せられるのか…。

 

三年が経った時、ある噂が立った。曰く、ネテロが女遊びに現を抜かしていると言うのだ。

これに飛びついたのはラガシュの王である。

兼ねてよりフンババがいた森を開拓し、富と人々が集中しているウルクを手中に収めたかったのだ。

そしてウルと言った他の都市国家に連合の打診をしていたときに、この知らせが来た。

そして他の都市国家も同調し、あっという間に五万の軍勢を揃えるに至ったのだ。

 

虫がいいとは思った。

しかし一角の英雄であったラガシュの王にもギルガメッシュの後釜に遅れを取ることはないと言う自負はあった。

ギルガメッシュは恐ろしい。ウルクの統治の手腕もそうであるが、彼が最大の防衛力に立っている点が最も他の国々の侵略の抑止となった。

だが、そう言う大黒柱ひとりで回っている国は、えてして脆い。普通、そう言う国は柱が不在になったら動揺するものだか、さすがにギルガメッシュ。

すぐに混乱させるような後続を用意しなかったようだ…。がその後続が

ここに来て「弛んで」きたのだろう。しかも、自分が秘密裏に連合軍をまとめあげようとしているこのタイミングで。

神の采配としか思えなかった。

 

かくして五万の威容を称えた連合軍は、

ウルクに向けて進軍することとなった。

 




軍略家、上に立つものとしてのネテロの力量も書いてみたかった。

原作では見られない、キャラクターの追加要素も、

転生、憑依物の醍醐味では…。
え?いらない?
あっ…ソウスカ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ウルク攻城戦I弐

あと二話ぐらいで攻城戦は終わりそう。

結構ご都合主義な展開だったり理論だったりするかもしれない…。




ワシは、アイザック=ネテロである。そして転生者じゃ。ネテロの体を持ってHUNTER×HUNTERの世界に生まれたらしい。。。

 

こう言う類のモンは大抵みな男。そして一人称は「俺」じゃろう。

こんなジジ臭い喋り方もせんじゃろう。

 

しかしな、考えてみぃ。

百二十年以上も生きてたら三分の一以下の人生での価値観なんて上塗りされるもんよ。しかもワシ自身、「アイザック=ネテロたれ」と律っしておったしの。

 

おやおや、懐古趣味もなかったはずなんじゃが…。

ともかく、ワシは転生したらしい。

そしてHUNTER×HUNTERによく似た世界で原作によく似た展開を迎え、

あのにっくきアリ野郎にしてやられたわけじゃ。

これなら怨で呪ってやればよかったわい。

 

なんで彼奴にそんなにヘイト貯めてるかって?

 

そりゃ、原作と違う動きしたかったのにそれが叶うことなく、

 

血反吐吐くような鍛錬をしても生き残れなかったのじゃ。

 

少しは恨むというもの!

 

 

なりゃなんで原作改変できなかったって?

 

次に目覚めた時にわかったよ。

一度目は街中で意識を取り戻し、

二度目は森の中じゃった。その二度目でな、なんと全身金ピカの鎧を身につけた、これまた金髪の小僧に、緑髪のおなご(のようなナニカ)を見つけたからじゃよ。

 

悟ったな。

 

「型月世界かよ…」

 

たぶん、HUNTER×HUNTERの物語が原典となる世界に紛れ込んでしまっていたのじゃろうなと。

 

世界の修正力が何かだと悟ったよ。

ワシが、なにゆえここにいるかは知らない。

じゃがワシが、「なにゆえここにいられるのか」は理解できた。

ワシが転生前にいた世界とは違ったからじゃろうなと。

 

そんなこんなで金ピカ達と戯れて、古代メソポタミアのウルクに食客として招かれた。

彼奴らはワシは剣客とかいってたがとんでもない。おんぶに抱っこの生活やったよ。暴君の気質が残る金ピカもよく政務をさぼってたからの。二人してわいのわいの昼から酒を煽ってはシドゥリめらにおいまわされたがのぉ。

 

しかし彼奴はワシの覗きには行動を共にせんかった。見目麗しきおなごこそ観音。

なんど拝んだかは数知れぬわ!

緑髪の奴にはジト目で見られたがの。

なぜ理解できなんだか。解せぬ。

あやつはあれでも女ではないらしいし、をのこならろまんを求めればいいものを。

 

 

エルキドゥがフンババの討伐の後、つまりワシがでおうて数年もせんうちに死んでしもうてな。そんで金ピカが不死の薬を見つけるだのトンチンカンなことをいいだしおって、ふんふんと聞いておったらいつのまにか王の代行とやらに。

書類仕事から逃げ回っておったらいつのまにか

おなごに現を抜かしとるとか不名誉な噂までたってな。

失礼な。

わしだって分別くらいあるわ。

いかな、隙あらば夜の街に真昼間から出かけようとしたところでな、

これは立派な王の代行としての見回りじゃよ!

おなこも引く手数多じゃったよ…うぇへへ!

 

 

あれこんなキャラじゃったかの。

それはともかく。

なんと軍がきおった。しかも五万。いかに金ピカが事前に各国に間者を放って、軍の調練を欠かさなかったといっても、

こちらは三千。

相手は五万。

城攻めには二から三倍を持って当たるのが定石にしても、流石に肝が冷えたのぉ。

 

しかしな、ワシはいかな食客とはいえ一日の飯の恩もある。

せめて食った分は返さんとな。

ということでワシゃ腹ぁ括ったよ。

 

しかと見よ!

 

ここからがワシ、アイザック=ネテロ改め

ウルクの孔明の、皆があっと驚き膝を打つ、妙策を用いた華麗なる大立ち回りぞ‼︎‼︎

 

 

 

 

孔明(笑)の修飾過多な自己紹介は置いておいて。ここからはこの戦争の経過を見ていこう。

 

 

 

間者からの報告を聞きつけて、ネテロは意識を改めた。彼も、一端の武人であり、曲がりなりにもハンター協会という曲者揃いの集団の長を務めあげたのだ。

 

彼はまず、非常に不本意ながら自らの悪評を利用することにした。

 

執務室から出ない代わりに、昼間から酒に浸るようになったという噂を広めた。

 

無論、敵方も間者は放っているが何しろギルガメッシュが治めていた土地。そういう痴れ者は悉く討ち取られており、現在では組織の末端や、街の中に潜伏する程度しか諜報網を確保できていなかった。情報の審議が判断できるほど深いところは探れないでいた。

 

女遊びの件も相まって、ネテロは愚昧な人間であると諸侯は判断。

ラガシュの王、グラックが盟主となる連合軍として諸侯は纏まっているが、各自勇足となった。先鋒の一万だけでも攻め落とせると豪語するものまで現れる始末であった。

軍をこのまま進めれば、功に焦った先鋒がひどく離れてしまうのは明白。

 

しかしグラックも、五千前後しかいないらしいウルク軍が、打って出てくるとは考えていなかった。自分ならば徹底した籠城の構えを取り二週間を耐える。

 

それならば危機を察知したギルガメッシュが、たとえ東の高原にいようと西の大河にいようと駆けつけるのに充分時間稼ぎができるだろう…。

 

篭城戦とは、時間が経てばたつほど味方に有利に働く場合に取る選択である。例えば、戦争の時期が冬で、相手が食糧の備蓄が底をつくとか、味方から援軍が来るのをあてにできる場合などである。

故に、ギルガメッシュが存命な以上、篭城戦を取るのは無難な策でありこちらも力押しでは被害が出るのも明白。されどこれは連合軍。勇足の他の諸侯を前線に立たせ無理に攻め立てることで擦り潰し、両者疲弊したところでラガシュ軍が一番乗りを果たせばよい…。そうすれば戦後もラガシュはメソポタミア内で盟主的な立場を保持できるし、軍事的優位も取れる。

 

彼はどこまでも冷徹な戦略家としての思考を持っていたのである。

 

 

 

先鋒を率いるロビーが軍を駆け足で進めていた時、遠くで、呑気に水浴びをしている兵達を発見した。

新兵を斥候として使っているのか、はたまた戦争が差し迫っていることも知らずにのほほんと訓練の合間の休憩をとっているのか。

ふとあちらの兵がこちらを見て、慌てて逃げ出した。どうやらモノホンのウルク兵らしい。

彼らを捕虜にすれば内情を詳しく聞き出せる。しめたとばかりにロビーが先鋒の、さらに自軍の五千を割いて追い立てる。

 

追いつきそうで追いつけない微妙な距離が維持され、苛立ったところで森の中に入る。ふと見失った後、道の先、開けた場所で倒れ伏している兵を発見する。

置いてぼりにされたのだろう。

ロビー達が悠々とウルク兵に近づいて…。

 

落ちた。

 

落とし穴にである。

 

 

突如として落っこちたロビー達に兵が唖然としていると、道の両脇(こちらも鬱蒼とした木々が生えていた)から、伏兵が飛び出し、大量の弓を放ってきた。

 

突然の来襲。さらに言えば指揮官不在の混乱のもとでまともな統率が取れるわけでもなく怒号が響き渡り叫喚の中でバッタバッタと兵が伏していく。時折やられてばかりではと、少数の兵が道脇のウルク兵に向かうも、近づいたものから矢を射られて、まとまった行動が取れないためにそれ以上近づけないでいた。

もはや一方的な蹂躙である。

しかし、弓を防ぎながらロビー達がやっとの思いで穴から這い上がり、現状確認と混乱する軍をまとめ上げたときには、伏兵達は引いていた。

ひとりも剣を交えることなく忽然とである。

 

大慌てで帰投した先鋒の無残な姿を見て流石のグラックも動揺する。が、その戦術を聞いて、敵軍の状況に確信を深める。

敵は五千のほとんどを討ち果たせる好機で、ひとりも剣を交えなかったという。

なるほどネテロとは搦手に優れてはいるのだろうが、将として度胸が足りない。

ここで多少被害を被っても先鋒を叩いておくべきなのに、自軍の損失を恐れて二、三割の死傷者を出し、満足してしまったのだ。

前に、ネテロが軍を指揮したことがあるとも聞かぬし、これが初陣。この中途半端さは慣れない戦故のものも、あるのであろう。

それに、流石にもう打っては出まい。これほど兵の損失を避けるのはこの先の篭城戦を思えばこそ。

搦手はハイリターンかもしれないがハイリスクである。なんせ敵軍は少数。多勢に無勢で、野戦において、包囲されればすぐに全滅の憂き目に会うのだ。

多少出鼻は挫かれたが、大局には影響がない。

 

そう語るグラックに諸侯は安心しきった。

 




ギルガメッシュはメソポタミアにおいて最強。

みんな怖がっちゃうんだ!

いいね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 15~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。