ドラえもん のび太のSTARWARS (断空我)
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時空乱流

リハビリがてらお試しで短編を作成。

もしやるとなれば、つぎはぎなれど、エピソード9まで案はある。




「じゃーん」

 

その日、いつもの空き地に集まったのび太達。

 

そこでスネ夫が四枚のチケットをのび太達へみせる。

 

「パパの知り合いで映画会社に働いている人がいて、特別にもらったんだ!」

 

スネ夫がみせているチケットを見てのび太は首を傾げた。

 

「なんのチケットなの?」

 

「のび太は遅れているなぁ、今話題のSF映画のチケットだよ。名前はスター・ウォーズ」

 

「おぉ!?マジかよ!」

 

ジャイアンが興奮して喜ぶ。

 

「なにそれ?」

 

「海外で公開しているけれど。とても大人気らしいのよね?」

 

「流石、しずかちゃん!来年までならないと日本じゃみれない特別な映画だよ」

 

「へぇ、すごい!」

 

みんなの話でようやく状況を理解するのび太

 

しかし。

 

「のび太はだめぇ」

 

「えぇ!どうしてぇ!?」

 

「チケットは四枚しかないの。それに、のび太は臆病だし、みるだけ無駄ってものだよ」

 

いつものようにのび太をのけ者にするスネ夫。

 

馬鹿にされたのび太は悔しくて家へ戻ってドラえもんに泣きついた。

 

「映画なんて待てばいいじゃない」

 

「うわぁぁぁ、ドラえもんはわかっていないんだぁ!みんながみて、僕だけみてないからのけ者にされるんだ!」

 

「まったく、キミときたら」

 

呆れたドラえもんは外へ出ていく。

 

「あ、どこへいくのさ!」

 

「どら焼きの特売」

 

笑顔でドラえもんはドアを閉めて出ていく。

 

残されたのび太は地団駄を踏む。

 

「そうだ!」

 

あることを思いついたのび太は机の引き出しを開ける。

 

勉強机の引き出しの中はドラえもんが未来からやってきたときに使ったタイムマシンが置かれているのだ。

 

「一年後の未来へ行ってその映画を見てこようっと!」

 

引き出しの中に入って設置されているタイムマシンを起動する。

 

「あれ?」

 

その時、のび太はタイムマシンの座席の上に置かれているものをみつけた。

 

「ドラえもんのスペアポケットだ。しまい忘れたのかな?」

 

以前、ポケットを紛失して取り寄せた時に落としていたのだろうか?不用心だなと思いながらスペアポケットをしまう。

 

「出発!」

 

笑顔ののび太。

 

しばらくしてタイムホールの中が薄暗くなっていく。

 

「な、なんだぁ!?」

 

驚くのび太。

 

やがて、タイムマシンは緑色のスパークを放つ中へ突入していく。

 

この時期、タイムホールでは不規則に時空乱流が起こっており、不用意な時空間航行は制限されていた。

 

のび太は当然のことながらそのことを知らない。

 

衝撃でふりおとされないように必死にしがみついていたのび太。

 

しかし、強い衝撃でタイムマシンから放り出されてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁああああああああああああああああああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のび太は突如、出現した時空乱流に飲み込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うーん」

 

頭上で声が聞こえてのび太は目を開ける。

 

のび太が体を起こすと同い年くらいの少年が聞いたことのない言葉でこちらに話しかけてきた。

 

「何を言っているのかわからない……そうか、言葉が通じないんだ」

 

のび太はポケットからドラえもんのスペアポケットを取り出す。

 

「確か、この中に」

 

――ほんやくコンニャク。

 

軽くちぎってほんやくコンニャクをのび太は食べる。

 

しばらくして、少年へ尋ねた。

 

「ここはどこ?」

 

「なんだ、話せるんだね」

 

言葉が通じるとわかって少年は笑顔になる。

 

「キミは砂漠の真ん中で倒れていたんだ」

 

「そうなの……あれ、タイムマシンは!?」

 

「タイム……なんだって?」

 

のび太は慌てて少年へ尋ねる。

 

少年は目を白黒させながら「何もなかったよ。キミだけが倒れていたんだ」と話す。

 

「ここは」

 

「あら、目を覚ましたのね」

 

奥から女性がやってくる。

 

「私はシミ・スカイウォーカー。貴方は?」

 

「僕はのび太……野比のび太っていいます」

 

「ノビって名前なの?」

 

「ううん、のび太が名前だよ」

 

ファーストネームがのび太であると訂正をして周りを見る。

 

家みたいなのだがまるで岩の中をくりぬいたような造りにみえた。

 

日本で少なくともこういう建物は見ない。

 

「(外国に来ちゃったのかな?)」

 

首をかしげるのび太に少年が話しかける。

 

「僕、アナキン。ねぇ、ノビタ。キミはどこの星から来たの?」

 

「え、なんだって?」

 

一瞬、アナキンが何を言っているのかわからなかった。

 

ぽかんとしているのび太にアナキンは尋ねる。

 

「だから、どこの星?」

 

「!?」

 

嫌な予感がしてのび太はシミ・スカイウォーカーの呼ぶ声を振り切って外に出る。

 

ドアを開けた途端に顔へ飛んでくる砂に手で防ぎながら空を見た。

 

「そんな……」

 

のび太は呆然と夕焼け空を見る。

 

空に浮かぶふたつの星。

 

「ここって、地球じゃないの!?」

 

のび太は理解する。

 

ここは地球ではない。

 

どこか別の惑星だ。

 

そして、帰るための手段はここにない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドラえもぉぉぉぉおおおおおおおおん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかの空に向かってのび太は叫んだ。

 

 

 

 



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EP.1 ファントム・メナス
来訪者


 時空乱流に巻き込まれたのび太。

 

 気付けば、彼は地球ではない遠くの惑星へ来ていた。

 

 助けてくれたスカイウォーカー家に聞いてみるも「地球」は知らないという。

 

 最初は泣いていたのび太だが、アナキンやシミが家に住まわせてくれているおかげで何とか生活できていた。

 

 そして。

 

「うわぁああ!」

 

大きな音を立てて崩れる機材。

 

 砂の惑星タトゥイーンにとってはどれも貴重品だ。

 

 付け加えるならワトーの店でしかない。

 

「小僧!またかぁ!」

 

「ごめんなさい!」

 

 のび太はただ居候させてもらうのは申し訳ないと思ってアナキンの働いているお店を手伝っていた。

 

 しかし、持ち前のドジを起こして主であるワトーに怒鳴られる日の方が多い。

 

「あーあ、また、やっちゃったよ」

 

 ため息をこぼしながら砂の道を行くのび太。

 

 ワトーに頼まれてお使いをしているのだ。

 

 のび太がいるのは惑星タトゥイーン。

 

 銀河共和国という国?の端にある惑星で、この惑星はハットと呼ばれる種族が実質的に支配しているらしい。

 

 ハットというものをのび太は目にしたことはないが、友達になったアナキンの話によるとギャングらしい。

 

 その為に治安は最悪で共和国が本来禁止している奴隷制度も当たり前のように存在していた。

 

 当たり前のことだが、多種多様な異星人が存在している。

 

 のび太を助けてくれたスカイウォーカー家も奴隷だときいてとても驚いたのが半年前。

 

「もう、半年なんだよね」

 

 お使いを済ませた帰り道。

 

 ぽつりと言葉を漏らすのび太。

 

「(ママやパパはカンカンだろうなぁ、ドラえもん、心配して探してくれているのかな?ジャイアン、スネ夫やしずかちゃんもどうしているんだろう?)」

 

「キミ」

 

 呼ばれて振り返る。

 

 その時、奇妙な感覚に包まれる。

 

 まるで待ち望んでいたような奇妙な感覚。

 

「貴方、聞こえているの?」

 

「あ、はい」

 

 男性の傍にいる少女に呼ばれてハッとのび太は自身がぼーっとしていたことに気付く。

 

「宇宙船のパーツを探しているんだ。どこか良い店はあるかな?」

 

「あぁ、それなら僕が働いているところがいいかも」

 

 男性に尋ねられてのび太はワトーの店へ案内することにした。

 

「ワトーさん、お客様だよ」

 

「ほぉ、小僧、客を連れてきたか、よくやったぞ」

 

 背中の翼を動かしながらワトーがやってくる。

 

 ワトーを紹介したのび太はカウンターの向こう側へ入る。

 

 作業をしていたアナキンが男性達を見た後にのび太へ声をかけた。

 

「ノビタがお客さんを連れてきたって?やったじゃないか」

 

「ありがとう!でも、本当に偶然だよ」

 

 半年という期間だが、のび太とアナキンは親友になっていた。

 

 最初は奴隷という立場のアナキンと自由人なのび太ということでアナキンの方で遠慮があったが、ポッドレーサーのセブルバとのイザコザでのび太が助けに入り、その際にアナキンを奴隷扱いしたセブルバに怒ったのび太。

 

 その出来事から互いの中の気持ちを吐き出したことで親友の間柄になった。

 

 男性とワトーが奥に消えて残された少女をみて、アナキンが尋ねる。

 

「お姉さん、天使?」

 

「え?」

 

「パイロットの人が言っていたんだ。宇宙にはきれいな天使がいるって、お姉さんがそうなのかなって」

 

「貴方、面白いことを言うのね…………奴隷なの?」

 

 奴隷という言葉にアナキンは顔をしかめる。

 

「僕は人間だよ。名前はアナキン」

 

「僕はのび太、奴隷じゃないけれど、この店で働いているんだ」

 

「ごめんなさい、あまり知らなくて」

 

 失礼なことを言ったと気づいたのだろう、少女は自らをパドメと名乗る。

 

 もう一人はジャージャーらしい。

 

 少し前なら驚いていたのび太だが、半年の間に様々な宇宙人?をみてきて、耐性がついている。

 

 パドメとアナキンが楽しそうに話をしている中でのび太はジャージャーと話をしていた。

 

「ミー達はナブーから来たのよ!」

 

「ナブー?」

 

「自然豊かな星!ミーはそこで優雅に朝食をとろうと思っていたんだけど、ドカン!気づいたらここまできていたのよねん」

 

「そうなんだ」

 

「ユーはどうしてここに?」

 

「えっと」

 

 ジャージャーに問われてのび太が話をしようとした時、奥から男性と青と銀のアストロメク・ドロイドがやってくる。

 

「帰ろう」

 

 男性がそういうとパドメやジャージャー達も去っていく。

 

 アナキンは寂しそうにパドメの後姿をみていた。

 

「アニー?どうしたの」

 

「な、何でもないよ」

 

 誤魔化すように首を振るアナキン。

 

 ワトーは怒っていた。あの男性ともめたのだろうか?

 

「片付けが終わったら帰っていいぞ!」

 

「やった!すぐに終わらせよう!ノビタ」

 

「うん!」

 

 早めに帰るために協力して片付けを終えて、店を出る。

 

 そこそこ明るい時間だったことで二人はどうするか話し合いながら歩いているとある騒ぎを見つけた。

 

「やめなよ!」

 

 気付いたのび太がジャージャーの胸ぐらをつかんでいるセブルバを止める。

 

「お前かぁ」

 

 忌々しそうにセブルバがのび太を睨む。

 

「ここで騒ぎを起こしたらレースに出場できなくなるぞ」

 

 アナキンが警告をセブルバへ飛ばす。

 

 いくらセブルバが人気者のレーサーでも騒ぎを起こせば、参加することもできない。

 

「そうなれば、アニーの土壇場だね」

 

「フン、いいか、次のレースは背後に気を付けるんだな」

 

 物騒な警告を飛ばしながらセブルバはジャージャーを開放して酒場へ戻っていく。

 

 手の中にある干物の食材を齧りながらギロリとアナキン達を睨んでいた。

 

「危うかったね」

 

「大丈夫?ジャージャーさん」

 

「サンキュー!ミー、殺されるところだったよ」

 

「本当に気を付けて、セブルバは容赦しないから」

 

「私の連れが世話になったみたいだね。助かったよ」

 

 柔和な笑みを浮かべながら男性がのび太とアナキンに感謝する。

 

 

「私は、クワイ=ガン・ジンというものだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クワイ=ガン・ジンは彼らから感じるフォースに驚いていた。

 

 ジェダイ評議会からの任務の為にナブーの女王、アミダラをコルサントへ連れて行こうとした途中で立ち寄ったタトゥイーン。

 

 壊れた船の修理のためのパーツを見つけたものの共和国通貨が使えないという問題にぶちあたったところで出会った二人。

 

 アナキン・スカイウォーカーとノビタ・ノビという子供。

 

 砂嵐のための一時避難先でスカイウォーカー家へ訪れたクワイ=ガン。

 

 短い時間でアナキンとノビタと触れ合っていたクワイ=ガンはある可能性を考えていた。

 

 予言にあったフォースにバランスをもたらす者。

 

 もしかしたら、彼らのうちどちらかがその子供なのではないだろうか?

 

 船の修理パーツを手に入れるため、ワトーとポッドレースで賭けをする流れになる中でクワイ=ガンは確認するためにアナキンとノビタの血液を採取する。

 

「オビワン、今から送る二つのデータのミディクロリアンを調べてほしい」

 

『わかりました』

 

「送るぞ」

 

 端末に接続してデータをパダワンのところへ送る。

 

『二つともすごい数値です。マスターヨーダでもこんな数値はでない』

 

「おそらく、どのジェダイでもありえないだろう」

 

『どういうことです?』

 

 困惑しながら尋ねるオビワン。

 

 クワイ=ガンは確証が持てないことから先の言葉を飲み込んだ。

 

 だが、あの二人をジェダイの騎士に育てたいという気持ちが生まれつつある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよ、我々が姿を見せる時が来たのですね、マスター」

 

「そうだ、我が弟子よ」

 

 コルサントのどこか。

 

 マスターシディアスと弟子のダースモールは逃げたアミダラ女王をみつけるために活動を始めようとしていた。

 

 彼らの目的のために何としてもアミダラ女王の署名がいる。

 

 生きていようと死んでいようとそれが手に入ればこれからの計画はよりスムーズに行えるだろう。

 

「……だが、気をつけよ。何か強大なものが我らを阻もうとしている。お前に教えられるすべての技術を授けた。ジェダイなんぞに遅れはとらぬだろうが」

 

「イエス、マスター」

 

 フードの中でギラギラと瞳を輝かせながらダースモールは頷いた。

 



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旅立ち

筆がのったので最新話。

ファントム・メナスは後、2~3話程で終わる予定。


 

アナキン・スカイウォーカーがポッドレースで優勝した。

 

ハプニングがありながらもアナキンの優勝は奴隷達に衝撃と喜びを与える。

 

親友であるのび太も自分のことのように喜んでいた。

 

クワイ=ガンはワトーとアナキンが優勝したら奴隷から解放するという賭けをした。

 

アナキンは優勝したことで奴隷でなくなる。

 

「アナキン、ノビタ」

 

スカイウォーカーの家でクワイ=ガンはアナキンとのび太の肩をたたく。

 

「キミたちはジェダイになるんだ」

 

「ぼ、僕も!?」

 

「母さんは?」

 

「すまない、キミのお母さんも助けようとしたができなかった。ワトーが手放そうとしないんだ」

 

「……そんな」

 

アナキンはシミへ抱き着く。

 

「離れたくないよ」

 

「アナキン、これがあなたの運命なの」

 

笑みを浮かべながらシミはアナキンを優しく抱きしめる。

 

シミへのび太は声をかける。

 

「シミさん」

 

「ノビタ……貴方も無理しないでね」

 

「シミさん、これを」

 

のび太はポケットからシールのようなものを渡す。

 

「それは?」

 

「お守りみたいなものです。何か困ったことがあれば、それをお腹に貼ってください」

 

シールを受け取ったシミは優しくのび太を抱きしめる。

 

「ごめんなさいね。貴方の力になれなくて」

 

「そんなことないです!シミさんやアナキンが助けてくれなければ、僕はどうなっていたかわからないです」

 

のび太はぎゅっとシミを抱きしめる。

 

「僕に何ができるかわからないけど、友達を助けることができます。だから、えっと」

 

気付けばのび太はぽろぽろと涙を零していた。

 

「なんだよ、ノビタが泣く事なんてないだろ」

 

「アニー、だって泣いているじゃないか」

 

指摘されてアナキンは自分も泣いていることに気付いた。

 

そんな二人を見てシミは優しく抱きしめる。

 

「アナキン、これはあなたの運命、でも、あなたの傍に素敵な友達がいる。独りじゃないわ」

 

「うん……」

 

「ノビタ、あなたは私にとって二人目の子供のようなもの、あなたの故郷がみつかることを祈っています」

 

「はい!」

 

二人の頭を優しく撫でる。

 

これ以上、この場にいると本当に別れが辛くなってしまう。

 

それがわかっているからのび太とアナキンの二人は旅立つ準備をする。

 

「必ず戻ってくるね」

 

「えぇ」

 

最後にアナキンとシミは互いを抱きしめあう。

 

荷物をまとめて外に出ると準備を終えたクワイ=ガンが待っている。

 

不安に感じたアナキンの手をのび太は握りしめた。

 

「ノビタ……」

 

「大丈夫、何かあればこの四次元ポケットを使えばいい」

 

励ますのび太にアナキンは微笑む。

 

四次元ポケットは不思議なものがいっぱいある。

 

少しばかり使用してアナキンは改造を思いついたものも、その気になればここへ戻れるかもしれない。

 

「ジェダイになって必ず母さんを奴隷から解放しよう」

 

「うん、約束だ」

 

二人は互いに拳をぶつけてクワイ=ガンの下へ向かう。

 

そんな二人の姿が見えなくなるまでシミ・スカイウォーカーは見送り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、待ってよぉ」

 

「もうノビタ、急がないと置いて行かれるよ?」

 

砂漠の道を歩き続けて数時間。

 

のび太とアナキンの二人は先を歩くクワイ=ガンへ追い付こうと急ぎ足だった。

 

少し離れたところではクワイ=ガンが乗ってきた銀色の宇宙船がある。

 

二人はこれからあれに乗ってジェダイになるためにこの星を去る。

 

ぜぇぜぇと呼吸の荒いのび太。

アナキンが近づこうとした時だ。

 

「アナキン、伏せろ!」

 

クワイ=ガンの叫びと共にのび太を巻き込みながら地面に倒れるアナキン。

 

二人の頭上を飛び越えながら緑色のライトセーバーを起動するクワイ=ガン。

 

背後から赤い刃のライトセーバーでクワイ=ガンの一撃を受け止める黒装束の男。

 

バチバチとぶつかり合いながらクワイ=ガンはのび太とアナキンへ叫ぶ。

 

「二人とも船へ向え!急ぐんだ!」

 

「はい!ノビタ!早く!」

 

「こ、腰が抜けて」

 

「もう!」

 

怒りながらアナキンはのび太の腕を掴んで走り出す。

 

そんな二人の姿を見て黒装束はクワイ=ガンを押しのけると後を追う。

 

「急いで!追いかけてきた!」

 

「えぇ!?」

 

二人は必死に走るも男の方が早い。

 

クワイ=ガンが後を追うもほんの僅かの差が縮まらなかった。

 

「えっとぉ、これだ!」

 

迫る黒装束の男を前にのび太は腹部に装着している四次元ポケットへ手を入れて一つの道具を取り出す。

 

「名刀電光丸!」

 

道具の名前を出すとともに刃が黄色く光りのび太は来た道を戻り男に向かって刃を振り下ろす。

 

「!!」

 

男は驚いた表情で振り下ろされる刃を躱す。

 

続けて繰り出される一撃をセーバーで反撃しようとするが避けられるどころか脇へ一撃を入れられてしまう。

 

信じられないという表情を浮かべながらもすぐに怒りに顔を染めてのび太へ追撃を仕掛けようとした。

 

「させん!」

 

横からクワイ=ガンのライトセーバーが割り込む。

 

「クワイ=ガンさん!」

 

「ノビタ!キミも船に向かうんだ!」

 

一足先にハッチへたどり着いたアナキンの方を指さしてクワイ=ガンが叫ぶ。

 

足をもつれさせながらのび太もハッチを目指す。

 

追いかけようとする男の前にクワイ=ガンが構えをとる。

 

「お前の相手は私だ」

 

「……」

 

舌打ちをしながら赤い刃を構える。

 

のび太が呼吸を乱しながら宇宙船の中へ入るとアナキンは急ぎ足で操縦席の方へ向かっていく。

 

助けを呼びに行ったのだ。

 

「ふぅ」

 

ぺたんと座り込んでいると船が動き始める。

 

「わ、わぁ」

 

動いている船に驚いているとハッチからクワイ=ガンが入ってきた。

 

彼はライトセーバーを収納するとぺたりと座り込んでしまう。

 

「クワイ=ガンさん、大丈夫?」

 

「あぁ、しかし、見事な動きだったな。何か、技を習っていたのか?」

 

「違うよ、この道具のおかげなんだ」

 

のび太は手短に電光丸について説明する。

 

そこでアナキンと若い男の人がやってくる。

 

「あれは何者です?」

 

「わからん、だが、古いジェダイの技と酷似していた」

 

呼吸を整えながらクワイ=ガンはのび太とアナキンへ若者を紹介する。

 

「アナキン、ノビタ、彼はオビ=ワン・ケノービ。オビ=ワン、二人はアナキン、ノビタだ」

 

「はい、貴方もジェダイなの?」

 

「はじめまして」

 

「よろしく」

 

笑みを浮かべながらオビワンと挨拶をする二人。

 

「船を急ぎコルサントへ向かわせよう」

 

クワイ=ガンは立ち上がると操縦席の方に歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜(外は宇宙なので真っ暗だが)になったので大人たちは交代で睡眠をとる中、のび太はスペアポケットに(なぜか)入っていた枕と布団でアナキンと一緒に寝ていた。

 

「うぅ……トイレ」

 

ふらふらと起き上がりながらのび太は宇宙船の通路を歩く。

 

目的地へ辿り着いてきた道を帰ろうとした時、何かに呼ばれているような気がして立ち止まる。

 

「ん?」

 

首を傾げながらのび太はその方向へ歩いていく。

 

しばらくすると、室内で瞑想をしているクワイ=ガンを見つける。

 

邪魔しちゃ悪いかな?と思って部屋に戻ろうとしたのだが。

 

「眠れないのかね?」

 

クワイ=ガンがのび太をみる。

 

「ごめんなさい、邪魔をするつもりはなかったんです。ただ、何かに呼ばれたような気がして」

 

「……ふむ」

 

顎髭をなでるように思案するクワイ=ガンはしばらくしてのび太を手招きする。

 

対面へ座るように言われて腰かけるのび太。

 

「ノビタ、キミはフォースを感じ取れるようだね」

 

「フォース?」

 

「誰の身近にあるもの……古くから存在しているもの……私達ジェダイはフォースと共にある」

 

「えっと、ごめんなさい。難しくてよくわかんないや」

 

「いずれ、わかるようになる。キミはとても感受性が良い。アナキンもそうだが、鍛えれば立派なジェダイの騎士になれる」

 

「……慣れるかな?僕、どんくさいし、テストの点もよくないし」

 

「それはフォースについてわかっていないからだ……ほら、背筋を伸ばして、気持ちを落ち着かせるんだ」

 

クワイ=ガンに言われるとおりにのび太は瞑想をはじめる。

 

普段ののび太ならここですぐに眠りに落ちてしまうのだが、今は違う。

 

温かい何かに包まれているような感覚。

 

そう、小さいころに泣いていたのび太を抱きしめてくれたママや大好きだったおばあちゃんのようなぬくもり。

 

懐かしいなと感じていると遠くから自分を呼ぼうとしているような何かに気付いた。

 

つい、そちらへ視線を向けるのび太。

 

どこまでも遠く、遠い、どこかの宇宙空間。

 

飛行する一隻の宇宙船。

 

その中にいる赤と黒の入れ墨を顔に施した燃えるほどの――。

 

「ハァッ!ハァッ!」

 

「ゆっくりと呼吸を整えなさい」

 

異変に気付いたクワイ=ガンが優しくのび太の背中をなでる。

 

全身から噴き出す冷や汗にのび太は自分が何をしたのかわからない。

 

「ぼ、僕は……何を」

 

「ノビタ、キミはフォースに身を委ねたんだ」

 

クワイ=ガンの言葉にのび太はただ戸惑う。

 

彼が渡してくれた飲み物を一口、含んでから尋ねる。

 

「あの温かい感覚がフォース?じゃあ」

 

あのひどく冷たいものは。

 

「明日にはコルサントへ着く。色々と大変なことがあるから休みなさい」

 

「あ、はい、おやすみなさい。クワイ=ガンさん」

 

「おやすみ」

 

優しく微笑むクワイ=ガン。

 

頭を下げて部屋を出ていくのび太。

 

クワイ=ガンはのび太の資質に驚いていた。

 

アナキンとのび太、二人ともミディクロリアンの高い数値を持っていた。

 

どちらかが予言に記されている“フォースにバランスをもたらす者”かもしれないと期待していたのだが、どちらかわからなくなっている。

 

アナキンの素質はレースでみた。のび太はたった今、その素質を自ら証明した。

 

言われた事を飲み込み、一回でフォースに身を委ねてしまった。

 

ジェダイマスターであるクワイ=ガンが疑ってしまうほどの感受性の強さ。

 

「だが、最後のあれは……ダークサイドのものだ」

 

のび太が感じ取ったものはフォースの暗黒面といわれるもの。

 

彼自身が放っていたものではない、遠いどこかのものを感じ取ったのだろう。

 

それができるものなど、歴代のマスターでいただろうか?

 

だが、同時に危うさもあるということをクワイ=ガンは理解する。

 

「これは大変なことになるかもしれないな」

 

いろいろな無茶をやらかしてきたクワイ=ガンだが、今回は今までの中でとびっきりになるかもしれない。

 

ジェダイ評議会の面々がどんな反応をするか考えただけで、少し、ほんの少しだけ気がめいってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、アニー、その毛布、どうしたの?」

 

「パドメにもらったんだ」

 

のび太が部屋に戻るとアナキンが毛布に身を包んでいた。

 

「パドメさんかぁ」

 

「ノビタ、僕、パドメの事、好きだ」

 

「パドメさん、良い人だもんね」

 

「うん」

 

楽しく話しながら二人は横になる。

 

アナキンはパドメに初恋を抱き、のび太はフォースに触れた。

 

それが後にどういうことになるのか、今はまだ、誰も知らない。

 



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ナブーの戦い(前編)

 銀河共和国の首都、コルサント。

 

 宇宙の中心ともいわれる都市は今まで様々な大冒険をしてきたのび太が目を見開くほどの巨大都市だった。

 

 立ち並ぶ超高層ビル。

 

 行きかう乗り物。

 

 様々な種族たち。

 

 どれもがのび太とアナキンにとって衝撃なものだった。

 

 大冒険で様々な場所を見てきたのび太だが、22世紀の日本と同じくらいもしくはそれ以上の発展をしている都市に目を輝かせている。

 

 ナブーの宇宙船が着陸してハッチが開く。

 

 アミダラ女王達の後に続いて、クワイ=ガン、オビ=ワンの二人に続いてのび太とアナキンも二人も降りる。

 

 外へ出ると様々な種族の人達を引き連れた初老の男性が現れる。

 

「えっと、オビ=ワンさん、あの偉そうな人は誰?」

 

 のび太は近くにいたオビ=ワンへ尋ねる。

 

 オビ=ワンはちらりと一瞥してから小さな声でのび太、そして、アナキンへ聞こえるように話す。

 

「あの人が元老院最高議長のヴァローラム。もう一人はナブー選出のパルパティーン議員だ」

 

「えっと、どういうこと?」

 

「つまり、とても偉い人という事だ」

 

 困惑するのび太へ今度はクワイ=ガンが補足した。

 

 その説明で納得するのび太。

 

 アナキンは説明を聞きながら去っていくパドメを見つめていた。

 

 パドメはアナキンへ優しく手を振る。

 

「二人はこっちだ」

 

 クワイ=ガン達へ言われて二人は別の場所。

 

 ジェダイ聖堂へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ノビタ」

 

「なに?」

 

 ジェダイ聖堂へやってきたのび太とアナキンだが、会議があるため外で二人は待たされている。

 

「ノビタは好きな人っている?」

 

「好きな人……うん、しずかちゃんっていって、とってもかわいい子」

 

「その子と一緒にいるとドキドキする?」

 

「う、うん」

 

 急なアナキンの言葉に戸惑いながらのび太は話す。

 

「もしかして、アニー、あのパドメって人の事」

 

「しっ!」

 

 続けて言おうとしたのび太をアナキンは止める。

 

「お願い、黙っていて……その、恥ずかしいから」

 

「いいよ」

 

 アナキンのお願いをのび太は了承する。

 

「いいの?」

 

「うん!友達のお願いだもん!」

 

「ありがとう、のび太」

 

「二人とも、きなさい」

 

 クワイ=ガンに言われて二人は奥の部屋に入る。

 

 部屋の中は複数の椅子が並んでおり、そこへ様々な種族の者達が並んでいた。

 

「のび太、アナキン、彼らはジェダイマスターだ」

 

 クワイ=ガンはそういうと部屋の外へ出る。

 

 見知らぬ人達と一緒ということで不安になるアナキンだが、親友であるのび太が一緒であることから不安は多少和らぐ。

 

「はじめまして、僕、野比のび太です」

 

「あ、アナキン・スカイウォーカーです」

 

「儂はヨーダ、これから二人にいくつか質問をする。応えてくれるかの?」

 

「はい」

 

「……わかりました」

 

 次々と言われる質問へ答えていく二人。

 

 真剣な表情になっていくマスター達だが、アナキンは何故、こんな質問をするのだろうかと疑問を浮かべる。

 

 それはのび太も同じ気持ちだったのだろう。

 

「あの、この質問は何か意味があるんですか?」

 

「意味ならあるとも」

 

「キミは家族に会いたいと思っているね?」

 

「そっちのキミはお母さんに会いたいと思っている」

 

「はい、でも、それって、何か問題が?」

 

 アナキンは尋ねる。

 

 母に会いたいと思うことの何がいけないのだろう?

 

「問題ならあるとも、怒り、悲しみはフォースの暗黒面へ繋がっている」

 

「フォースの暗黒面、それって、あの暗い嫌な?」

 

 ぽつりと呟いたのび太の言葉にヨーダは興味を持ったように椅子から立ち上がる。

 

「お主はフォースの暗黒面へ触れたことがあるようじゃの、触れて、どう感じた?」

 

「最初は寒くて、怖いと感じた……けど」

 

「けど?何か思ったのかの?」

 

 のび太は思い出す。

 

 たった一瞬だったけれど、忘れることができないあの感情を。

 

「その奥に、暗くて冷たいものとは別のものを」

 

「ほう、フォースの暗黒面に触れただけでなくその奥の何かを感じ取ったというのかの?うん?」

 

「うーん、よくわかんないけど」

 

 ヨーダは小さく頷きながら椅子へ戻る。

 

「テストはこれで終了じゃ……外で待っていてくれるかの?あと、クワイ=ガン達を呼んでほしい」

 

「わかりました」

 

「はい」

 

 外に出たところで緊張の糸がきれたようにぺたんとのび太は座り込んでしまう。

 

「ノビタ、大丈夫?」

 

「う、うん、よくわかんないけど、すっごい緊張した」

 

「テスト、どうなるのかな?」

 

「うーん。わかんないや、筆記テストとかだったら僕は0点だろうけど」

 

「どうだろう、僕も自信ないや」

 

 首を振りながらアナキンとのび太は空いている椅子へ腰かける。

 

 不安そうな表情を浮かべるアナキンをみて、のび太は思い出したように腹部の四次元ポケットへ手を入れる。

 

「普通のどら焼き!」

 

「あ、それ」

 

 アナキンは思い出す。

 

 二人が親友となった日、お祝いとしてのび太がポケットの中から取り出したお菓子だ。

 

 どら焼きをみて、アナキンは目を輝かせる。

 

「これからどうなるかってことは僕もわからないけど、不思議とアニーと一緒ならなんとかなると思う!」

 

「僕も、ノビタと一緒なら不思議と安心する。頑張ろう。ジェダイの騎士になっていつか、母さんのところへいくんだ」

 

「うん!」

 

 どら焼きで乾杯して二人は約束を交わす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ジェダイ評議会の場でクワイ=ガンはアナキンとのび太を弟子にしたいということを伝える。

 

「マスタークワイ=ガン、お主は既に弟子を取っておる」

 

「オビ=ワンは一人前です」

 

「一人でやっていきます」

 

 クワイ=ガンの横へ並び立つオビ=ワン。

 

「弟子として教えられるべきことはすべて教えています」

 

「それを決めるのは評議会なのじゃ」

 

「あの子達は修業を受けるにしては歳がとりすぎている……修業を受けさせられない」

 

 二人へマスターウィンドウが修業を受けさせないことを伝える。

 

「何故ですか、彼らのフォースはとても強い。どちらかが予言にある選ばれし者の可能性も」

 

「確かに二人の素質は認めよう。だが、精神面で不安の部分もある」

 

「評議会としてはそこを懸念しておるのじゃ」

 

「育て方を間違えれば、暗黒面へ落ちてしまう」

 

「強いフォースを持つ者ほど、慎重にならなければならない」

 

 各々のマスターの言葉にクワイ=ガンは納得していない。

 

「じゃが、儂らも答えを急ぎすぎているかもしれん」

 

 意見しようとしたクワイ=ガンに待ったをかけるヨーダ。

 

「アミダラ女王の方で何やら動きがあるようじゃ、あの二人を連れて護衛を行うのじゃ……お主達を襲った暗黒面の戦士も現れるはずじゃ」

 

「わかりました」

 

「はい」

 

「フォースと共にあらんことを」

 

 

 

 惑星ナブーを封鎖した通商連合の総督ヌート・ガンレイはシスの暗黒卿と密かに手を結び利益を得ようとしていた。

 

 しかし、ジェダイの介入、ナブーの女王の逃走を許してしまった事で徐々に追い詰められている。

 

 そんな彼の傍にはシスの暗黒卿が遣わした弟子のダース・モールが控えている。

 

 言葉を発しないモールに不気味さを感じながらもアミダラ女王が戻ってくるというチャンスにガンレイは歓喜しつつも今度失敗すれば自分の命はないと怯える。

 

「(…………)」

 

 沈黙して彼らの後ろを歩くモール。

 

 ガンレイの考えていることなど既に察している

 

 だが、師の指示がない限り動いてはならない。

 

 ならないのだが。

 

 モールは自分の手をみる。

 

 砂の惑星で戦ったジェダイの騎士。

 

 そして、変な武器を持った子供。

 

 そうあの子供だ。

 

 モールの中に奇妙な感覚が湧き上がる。

 

 怒りや憎しみと違う別の何か。

 

 その何かがモールをひどく苛立たせる。

 

 眉間へしわを寄せながらモールは誓う。

 

 あの子供は何があっても自分が倒すと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いたね。パドメさんが女王様だったなんて」

 

「うん」

 

 コルサントからナブーへ密かに戻ったアミダラ女王達だが、通商連合のドロイド達と戦う為に圧倒的に戦力が足りない

 

 そこで、同行していたジャージャーの案内でグンガンの民に協力を申し出る運びとなる。

 

 のび太とアナキンはそこで親しくしていたパドメこそが本物のアミダラ女王であるという事を知った。

 

 今まで接していたアミダラ女王は影武者だったという。

 

 その事をクワイ=ガンやオビ=ワン達もわかっていなかった。

 

「これから、戦闘が始まるんだね」

 

「うん……あ、そうだ!」

 

 のび太は四次元ポケットへ手を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノビタ、これは?」

 

 クワイ=ガンはのび太が差し出したシールをみて尋ねる。

 

「それはやくよけシールという秘密道具です。えっと、おへそに貼ることで危険なことから身を守ってくれます」

 

 これからはじまる戦闘で多くの人が死ぬかもしれない。

 

 少しでも救うことが出来ればとのび太が思いついたのがやくよけシール。

 

 フエルミラーで沢山のやくよけシールを作り出してそれを全員へ配る。

 

「そんなシールが役に立つのか?」

 

「オウ!ミー、使ってみたけどすごかったよ!オビーも貼ることを勧めるね!」

 

 首を傾げるオビ=ワンへ既にやくよけシールを貼って、効果を実感したジャージャーが促す。

 

 ジャージャーが嘘をついていないことをわかったクワイ=ガンは頷いた。

 

 師匠が貼るのであれば、と同じようにオビ=ワンも貼る。

 

「ノビタは凄い力を持っているのね」

 

 やくよけシールに触れながらパドメが驚く。

 

「これは僕の力じゃないよ。ドラえもんっていう猫型ロボットの道具さ。それにたくさん、増やすっていう案はアニーのおかげだし」

 

 のび太だけではやくよけシールを一枚だけしか思いつかなかった。

 

 だが、フエルミラーの事を思い出したアナキンの案で沢山のやくよけシールの生産に成功したのだ。

 

 準備を終えて、グンガンの民がドロイド軍を引き付けて、その間にパドメ達が王都へ攻め込み総督を確保すると共に宇宙へ出てドロイドを操作している制御艦を撃退する。

 

 撃退するのだが……。

 

「ここどこぉ!?」

 

 ナブーの王都へ侵入してスターファイターの格納庫へやってきたクワイ=ガン達。

 

 あっという間にドロイドを撃退して格納庫から飛び立っていくスターファイター。

 

 のび太はドロイドの戦闘中に道に迷ってしまい、気付けばパワー発生装置が並ぶエリアに迷い込んでいた。

 

「アニーと連絡を取る方法もないし、やくよけシールを渡しているからみんな大丈夫だと思うけど……そうだ!」

 

 のび太は四次元ポケットから通り抜けフープを取り出す。

 

「これで一回、外にでてしまえばいいんだ!」

 

 適当な壁に設置して潜り抜けるのび太。

 

 潜り抜けた先で緑のライトセーバーを振るうクワイ=ガン・ジンと赤い両端から赤い刃を放つライトセーバーを振るうダース・モールの姿がそこにあった。

 

「え?」

 

「ノビタ!?」

 

 モールと対峙していたクワイ=ガンは驚いた表情でのび太をみる。

 

 振り返ったモールが不気味に笑う。

 

「え、あ、わわ!め、名刀電光丸!」

 

 クワイ=ガンからのび太へ標的を変えて近づいてくるダース・モールにのび太は慌てながら名刀電光丸を取り出す。

 

 ブン!と本来なら起動するはずの名刀電光丸だが、バチン!と嫌な音を立てて光が消えた。

 

「え、壊れたぁ!?」

 

 何度やっても起動しない電光丸。

 

 何か出そうとポケットへ手を入れようとするもライトセーバーの刃が振り下ろされる。

 

 赤い刃がのび太を捉える瞬間、横からクワイ=ガンがのび太を抱きかかえる。

 

 振り下ろした刃はクワイ=ガンのわき腹を掠め、大きな音を立てて床に倒れるクワイ=ガン。

 

「マスター!!」

 

 いくつかのエネルギーの壁に阻まれた先にいるオビ=ワンの叫びが響く中、のび太は呆然とした表情で倒れているクワイ=ガンを見ていた。

 

「く、クワイ=ガンさん!」

 

 のび太は慌ててクワイ=ガンの容態をみる。

 

 といってものび太に医療の知識はない。

 

 お医者さんカバンを取り出して診察を開始する。

 

 だが、ダース・モールは待ってくれない。

 

 ライトセーバーを構えてゆっくりとのび太へ近づいてくる。

 

 まるでのび太を怯えさせようとするかのように。

 

「あ、あぁ、ど、どうしょう!?」

 

 名刀電光丸は使えない。

 

 他に役立つ道具を選ぼうにも何をすればいいのかわからない。

 

 涙を零しながら困惑するのび太の足元で小さな音がした。

 

「これ……」

 

 のび太の足元にあったのはクワイ=ガンのライトセーバー。

 

「っ!」

 

 地面に落ちているライトセーバーを手に取って握りしめるのび太。

 

「震えているぞ?」

 

 ダース・モールの指摘の通り、のび太の足は震えている。

 

 フォースの暗黒面を操るダース・モールにとってのび太の恐怖など手に取るように分かった。

 

 威圧するように凶悪な笑みを浮かべ名ながらライトセーバーを回転させて地面を焦がす。

 

 のび太はぶるぶる震えてライトセーバーを落としてしまいそうになる。

 

 

――無理だ、僕なんかに。

 

 

『ノビタ?』

 

 

 震えて今にも泣きだしそうになっていたのび太の脳裏にアナキンの声が響いた。

 

 

――アニー!?

 

 

『不思議だ。宇宙にいるはずなのにノビタの声が聞こえる』

 

 

 アナキンの声と共にのび太の視界は宇宙空間でドロイド軍と激しい戦闘を繰り広げるナブーのスターファイター部隊の戦いが広がっていく。

 

 

『ノビタ、もしかして、アイツと戦っているの!?』

 

 

――怖いよ!すぐにでも逃げたい、でも。

 

 

『傷ついたクワイ=ガンさんを放っておけないんだね?』

 

 

 アナキンの言葉にのび太は頷く。

 

 

――どうすればいいのかな?使える道具もない。こんな僕じゃ。

 

 

『ノビタは強いよ!』

 

 

――そんなことないよ、今にも泣きそうだし。

 

 

『そんなことないよ』

 

 

 アナキンは語る。

 

 自分達が本当の意味で親友となったあの日。

 

 セブルバの言葉に激怒したのび太。

 

 相手がどれだけ強くて、ボロボロになりながらも何度も立ち上がっていたのび太。

 

 あの姿と言葉を知っているからこそ、アナキン・スカイウォーカーは自信を持って言える。

 

『ノビタは強い!大丈夫!よくわからないけれど、そんな気がするんだ!ノビタだってそう思うでしょ?』

 

 否定できなかった。

 

 アナキンの言葉通り、さっきまで怖かったのが嘘のように恐怖が消えた。

 

――僕、頑張るよ!

 

『負けるな!僕もこいつらを蹴散らしてやる!』

 

 傍にいないのに、傍にいるように感じる。

 

 のび太とアナキンは自然と拳をぶつけあう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれは」

 

 エネルギーシールドの壁に阻まれているオビ=ワンはのび太から放たれるフォースに息を飲む。

 

 今までに感じたことのない強いフォースを発しているのが幼い少年であることにオビ=ワンは動揺を隠せない。

 

 そして、対峙しているダース・モールも体から冷や汗が止まらなかった。

 

 フォースの暗黒面を極めた自分が怯えている?

 

 手がわずかに震えていることに気付いたダース・モールはライトセーバーを握る手に力を込めて振り上げる。

 

 赤い刃がのび太を切り裂こうとする瞬間。

 

 軽快な音と共に射出した緑の刃が赤い刃を押しとめる。

 

 目を見開くダース・モール。

 

「僕が」

 

 ライトセーバーを握りしめながらのび太はゆっくりと顔を上げる。

 

 先ほどまでの泣きそうだった顔じゃない。

 

 力強い覚悟を宿した瞳でダース・モールを見据えながらクワイ=ガンのライトセーバーを構える。

 

「僕が、相手だ!」

 

 

 



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ナブーの戦い(後編)

連続投稿です。

前の話を見ていない方は前からみてください。


 ナブーの王都にあった格納庫から発進したスターファイター。

 

 その中にアナキン・スカイウォーカーがいた。

 

 彼はR2-D2と共に戦火の中を潜り抜けていた。

 

 オートパイロットを解除して操縦桿を握りしめるアナキン。

 

「行け!のび太!」

 

 彼は自然と友の名前を叫びながら戦いの中へ突入する。

 

 

 

 

 

 

 

「怖いけど、アニーだって戦っているんだ!僕だってぇ!」

 

 同じころ、ナブーのパワー発生装置のエリアの一角でクワイ=ガンのライトセーバーを起動させてのび太はダース・モールと対峙していた。

 

 のび太の放つフォースにダース・モールは目を見開きながらもライトセーバーを強く握りしめて走り出す。

 

「う、わわ!?」

 

 ダース・モールが振り下ろす一撃にのび太は戸惑いながらライトセーバーで防ぐ。

 

 続けて繰り出される一撃も尻もちをつきながら回避して地面を転がりながら剣先を向けていた。

 

「お前は一体、なんなんだ」

 

 のび太をみながらダース・モールが初めて言葉を発する。

 

「お前からは敵意や殺意が感じられない。先ほどまでは恐怖でいっぱいだったというのに、今は違う、貴様はジェダイでもない、一体、何故、ここにいる」

 

 本当にわからないという表情でダース・モールは問いかける。

 

 のび太はゆっくりと立ち上がる。

 

「今も、怖いよ」

 

 怯えた表情は変わらないままだが、その目は力強い決意を浮かべていた。

 

 震える足に喝を入れるようにしながらのび太はダース・モールと目を合わせた。

 

「でも、僕の後ろには傷ついたクワイ=ガンさんがいる。ここで僕がなにもしなかったらクワイ=ガンさんは死んじゃう……誰かが死ぬのは嫌だ。そんなことになるくらいなら、僕は、僕が戦う!」

 

「ならば、貴様から死ね!」

 

 叫びと共に振るわれるダース・モールの一撃を受け止める。

 

 次撃をのび太はライトセーバーを思いっきり背中へ振り上げることで防ぎながら。

 

「えい!」

 

 がむしゃらに振り回した一撃がダース・モールのセーバーの片側を破壊した。

 

 片方の刃が破壊された事に驚きを隠せないダース・モールは怒りに顔を歪めながら次々と攻撃を繰り出す。

 

「わわ、わ、わぁああ!」

 

 怯えた声を上げながら怒涛の攻撃を次々と受け流していく。

 

 しかし、のび太とダース・モールの体格差、今までの修業経験、年齢など、様々な理由で不利なのび太は体力を失い、ボロボロになっていた。

 

 有利な立場でいるはずのダース・モールも最初のころの冷静な姿は見られず感情的な面が強くでている。

 

「なんなんだ、お前は一体……」

 

「はぁ、はぁ」

 

 フラフラになりながらライトセーバーを握りしめるのび太だが、ブルブルと手が震えていた。

 

 もうすぐセーバーを満足に振り回すこともできなくなるだろう。

 

 勝利が目前であるというのにダース・モールは焦燥感が増していく。

 

 フォースの暗黒面を鍛えてジェダイなど圧倒できるはずの自分がたかだか強いフォースを放つことが出来る小僧に手こずっている。

 

「そういう、貴方は、何を怯えているの?」

 

「なんだと?」

 

 のび太の問いかけにダース・モールは困惑した声で尋ねる。

 

「さっきから貴方は怯えているようにみえる。最初は怖くて、怒っているようにみえたのに、今はひどく怯えているみたいだ」

 

「黙れ!」

 

 フォースプッシュでのび太を突き飛ばす。

 

 フラフラなのび太は地面に倒れる。

 

 その際にライトセーバーも彼の手から離れた。

 

「俺は最強だ!フォースの暗黒面で自らを鍛えた!俺にはそれしかないのだ!お前のような小僧に……小僧に何がわかる!」

 

 叫びながらのび太の首を掴んで持ち上げる。

 

 怒りながらフォースを放つダース・モールとのび太の弱弱しいフォースが交差した。

 

 その時、のび太は気づいた。

 

 ナブーの宇宙船でのび太が感じたもの。

 

 感じた正体が何なのか。

 

「そっか、あれは、貴方だったんだ」

 

「貴様ぁ!」

 

 苛立ちの声を上げながらのび太にとどめを刺そうとした時。

 

「やめろぉお!」

 

 叫びと共にシールドが解除された事で駆け付けたオビ=ワンのライトセーバーがダース・モールの片手を切り落とす。

 

 腕を切り落とされて、苦痛に顔を歪めるダース・モールはバランスを崩して最下層へ落ちていく。

 

 はずだった。

 

「なに」

 

「ノビタ!?」

 

 オビ=ワンの驚愕の声。

 

 ダース・モールが顔を上げると残された手を必死に掴んでいるのび太の姿がそこにあった。

 

「お前、なぜ」

 

「ノビタ!彼はシスだぞ!」

 

「シスとか、知らないよ!死にそうになっている人を助けちゃ、助けちゃダメなんて、僕は思わない!」

 

 必死にダース・モールを引き上げようとしているのび太をみて、オビ=ワンものび太へ手を貸そうとする。

 

 だが、それよりも早くダース・モールが乱暴にのび太の手を振り払う。

 

「あ!」

 

「小僧、貴様は甘い。その甘さを捨てなければ、この先、生きていけん」

 

 最後に、ダース・モールは不敵な笑みを浮かべながら最下層へ真っ逆さまに落ちていった。

 

 のび太が慌てて手を伸ばすもその手は何も掴むことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナブーと通商連合の戦いはナブーの勝利に終わる。

 

 ドロイドを操作している制御艦をアナキン・スカイウォーカーがスターファイターで内部から破壊したことによって轟沈。

 

 地上のドロイド部隊がすべて機能停止を起こし、アミダラ女王をはじめとした突撃部隊によって通商連合の総督ヌート・ガンレイを確保に成功。

 

 その結果、通商連合が推し進めていた契約は破棄となる。

 

 ナブーに平和が戻ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一隻の船がナブーへ着陸する。

 

 ハッチから降りてくるのは共和国の最高議長となったパルパティーンがジェダイマスター達を伴ってやってきた。

 

「アミダラ女王、驚きましたぞ」

 

「最高議長就任おめでとうございます」

 

 互いに挨拶を返す二人。

 

 これからやることが沢山ある。

 

 傍で様子を見ていたアナキンとのび太をパルパティーンがみた。

 

「キミがスカイウォーカーとノビか、これからが楽しみだな」

 

 二人の肩へ手を置いてパルパティーンは去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナブーの一室にて、オビ=ワン・ケノービとヨーダが向き合っている。

 

 クワイ=ガン・ジンはダース・モールとの戦いによる治療の為、眠りについている事からこの場にいない。

 

「今回の騒動の解決の功績を認めて、お主をパダワンからナイト昇格を認めよう……じゃが、あの子達にジェダイの訓練を受けさせることは反対じゃ」

 

「……私はノビタの強いフォースをみました。クワイ=ガンが言う様に彼らのどちらかが選ばれし者かもしれません」

 

「だとしても、危険が多い。報告によればシスの暗黒卿を助けようとしたという。あの子達は優しすぎる。それが暗黒面へ繋がる危険も」

 

「私とクワイ=ガンが必ず一人前のジェダイにしてみせます」

 

「……師が師なら弟子も弟子じゃな」

 

 ヨーダはため息を零して少し思案する。

 

「二人の修業についてはわしから評議会へ掛け合おう」

 

「ありがとうございます」

 

「但し、ノビタ・ノビについてはシスの暗黒卿を助けた事実を伏せたうえで複数のマスターに修業をつけてもらうことにする」

 

「それは」

 

「どちらかが選ばれし者だとしても、あの子の優しさが心配じゃ」

 

 ヨーダの言葉にオビ=ワンは言葉を噤むしかなかった。

 

 話を終えたオビ=ワンはヨーダと別れてナブーの一室へ向かう。

 

 そこは医療室として使われており、今回の戦闘で負傷した者達が休んでいた。

 

 事前にのび太からやくよけシールを持っていた者達は重傷でなかったがシールを貼っていなかった者の中に何人かの重傷、軽傷がいた為にこの一室が医療エリアにされている。

 

 部屋のベッドの一角でクワイ=ガン・ジンが眠っていた。

 

 ダース・モールとの戦いに負傷したもののやくよけシールのおかげで致命傷は避けられている。

 

 麻酔で眠りについている彼の傍にアナキンとのび太の姿があった。

 

 今回の功労者のアナキンとシスの暗黒卿を追い込んだのび太。

 

 心配そうにみている二人をみてオビ=ワンは思う。

 

 二人のどちらかがフォースにバランスをもたらす者なのだろう。オビ=ワンは評議会の指示でアナキンを指導することになる。

 

 だが、のび太は――。

 

「アナキン、ノビタ」

 

 まだわからない先の事を考えても意味がないとして、オビ=ワンは二人へ声をかける。

 

「オビ=ワン、さん」

 

「僕達は、どうなるの?」

 

 のび太とアナキンは不安に揺れる表情でオビ=ワンをみる。

 

 オビ=ワンは視線を落として二人へ目線を合わせた。

 

「お前達はジェダイになるんだ。マスターも望んだ事で私達が必ず二人をジェダイにする」

 

 二人へ優しくフォースを流しながら言葉を伝える。

 

 不安に揺れていた二人の表情が穏やかなものになっていく。

 

 オビ=ワンは眠っているクワイ=ガンをみた。

 

「(厄介ごとを本当に持ち込んでくれましたね。マスター)」

 

 心の中でマスターへ愚痴をこぼすオビ=ワン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうしてナブーの戦いは終わりを告げた。

 

 しかし、ジェダイとシス。

 

 光と闇の戦いは長い年月を経て再び開始したのである。

 

 戦いに巻き込まれていく野比のび太とアナキン・スカイウォーカー。

 

 どちらがフォースに選ばれし者なのか。

 

 彼らは後に銀河をまたにかける英雄と呼ばれることになるのは、まだ、誰も知らない。

 

 




今回でEP1は終了です。

EP2の前に断章と一話~二話ほど挟みます。


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二人の日常

今回の話は間章です。

次からクローンの攻撃に入ります。

次回の投稿は少し間を置くかも。


 

 ナブーの戦いから一年後。

 

 コルサントのジェダイ聖堂の一角。

 

 昼時に小さな爆発が起こる。

 

 突然の事に聖堂を守護するテンプルガードが身構えるも方角を見て、構えを解いた。

 

 何故なら、そのエリアは毎日のように小さな爆発が起こる。

 

 いってしまえば日常茶飯事のエリアとなっていた。

 

 そして。

 

「アナキン!ノビタ!また、お前達は!」

 

 決まってジェダイナイト オビ=ワン・ケノービの怒号が響き渡っていた。

 

 室内で黒焦げになっているアナキンとのび太。

 

 二人の傍には転がっている機材がある。

 

「今度は何をやったんだ?」

 

 眉間へしわを寄せながらオビ=ワンは尋ねる。

 

 滅多なことでは驚かないぞと目が語っていた。

 

「えっと、通り抜けフープのサイズをLLサイズにしようって考えて」

 

「構造を確認して、幅を広げようとしたんです。でも」

 

「「何がいけなかったのかなぁ?」」

 

 二人同時に首を傾げる姿にオビ=ワンは深い息を吐いた。

 

「それ以前に二人は昼からセーバーの鍛錬だったはずだ。今の時間は?」

 

「「あ」」

 

 ヤベッという表情を浮かべて二人が時間を確認する。

 

「お前達は科学者じゃない。ジェダイになるんだ。不思議な道具に意識を向けるんじゃなくセーバーの訓練へ意識を向けるんだ!」

 

「でも、クワイ=ガンさんが」

 

「マスタークワイ=ガンだ。パダワン」

 

 アナキンへオビ=ワンは厳しく告げる。

 

「ジェダイというのは」

 

 一歩、踏み出したオビ=ワンの足に何かが当たった。

 

「なんだ?」

 

「あ、それ、ショックガンを強化できるかと思って用意したスピーダーのエンジン」

 

「なんか、熱を放って」

 

 直後、爆発が起こった。

 

 オビ=ワン達は軽傷で済んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっはっはっはっ」

 

「笑い事ではありません」

 

 隣で笑うクワイ=ガンにオビ=ワンは怒る。

 

「まったくあの二人は」

 

「まだまだ忍耐の修業が足りないのではないか?オビ=ワン」

 

「まさか、貴方と一緒にいて嫌というほど忍耐を学びましたよ」

 

 ジェダイナイトになったオビ=ワンだが、クワイ=ガンとは未だにマスターとパダワンの関係のようなやり取りが続いている。

 

 そのやり取りをすぐに卒業しなければと考えるオビ=ワンだが、今のところうまくいっていない。

 

 クワイ=ガン自身がそこまで変化を急いでいないというのもあるのかもしれないが。

 

「ところで、マ、クワイ=ガン、ノビタについては?」

 

「公文書館で調査を続けているがやはり、ノビタ・ノビの言うチキュウとやらの場所についてはわかっていない」

 

 野比のび太が住んでいたという地球。

 

 クワイ=ガンはジェダイの管理している公文書館で調べてみたのだが該当する場所は見つからなかった。

 

「そういえば、ノビタは今?」

 

「マスタードゥークーに預けている」

 

「大丈夫ですか?その、マスタードゥークーはオーダーを去るという噂が」

 

「すべてはフォースの導き次第だ」

 

 クワイ=ガンの表情は変わらないがオビ=ワンは不安な表情が拭えていない。クワイ=ガンの元マスターということだが、オビ=ワンは面識がない。

 

 知っているからこそ、クワイ=ガンなりの考えがあるのだろう。

 

「そういえば、オビ=ワンよ。お前とアナキンの関係はどうだ?」

 

 尋ねられたオビ=ワンはなんともいえない表情だ。

 

「マスターと鍛えられたおかげですか多少の事は耐えられます。ですが、ノビタと合わさるとトラブルが倍増です!今日の事もそうですが、この前など、わけのわからないカップに閉じ込められたと思ったら巨大怪物に襲われるなど……あれが遊び?わけがわからない」

 

 ひみつ道具が引き起こす騒動に巻き込まれるのは主にオビ=ワンやジェダイマスターとなったキット・フィストーのパダワン、ナダールが被害にあっている。

 

「それも修行だ。お前とアナキンは師と弟子の関係となった。互いに学べる関係なのだ。オビ=ワン、フォースがすべてを教えてくれる」

 

「わかりました。マスター」

 

「私は次の任務がある。フォースと共にあらんことを」

 

「はい、フォースと共にあらんことを」

 

 そういって別れるクワイ=ガンとオビ=ワンの二人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は失敗だったね」

 

「本当だよ。オビ=ワンは頭が固い」

 

 訓練の時間。

 

 ライトセーバーで模擬戦闘。

 

 彼らの戦いを見ているのはジェダイ・イニシエイトや他のパダワン達。

 

 振るわれるライトセーバーが交差する。

 

 アナキンの持つライトセーバーの色は青。

 

 野比のび太の持つライトセーバーの色は緑。

 

 二人は同時にカイバー・クリスタルを見つけて、共にライトセーバーを組み立てる。

 

 のび太のライトセーバーは名刀電光丸のパーツが用いられているのでグリップに面影が残っていた。

 

 アナキンが攻撃的なフォームを使うのに対してのび太は守りのフォーム。

 

 互いに切磋琢磨している姿にイニシエイトやパダワン達は興味津々という様子だ。

 

 一年と言う短い期間ながらも二人の技術は同世代の群を抜いている。

 

「アニー、師匠なんだからもう少し仲よくしたら?」

 

「しているよ。けど、オビ=ワンは僕のやることを否定するんだよねぇ。なんでだろう?」

 

「ひみつ道具で調べてみる?」

 

「うーん」

 

「スカイウォーカー、ノビ、鍛錬に集中できぬようじゃの」

 

 ぎょっとした表情でのび太とアナキンは声の方を見る。

 

 杖を突きながらゆっくりとやってくるのはヨーダ。

 

 緑のしわくちゃの老人は二人の顔を交互に見るとため息を零す。

 

「何に意識が向いておるのじゃ?うん?」

 

 尋ねられて気まずい視線を向けあうのび太とアナキン。

 

 この後、ヨーダから飲まされたお茶に顔をしかめたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスターヨーダのお話って長いんだ」

 

「あのお茶、本当に苦いよね」

 

 とぼとぼと聖堂の通路を歩く二人。

 

 パダワンになった二人はナイトに昇格しない限り許可なく聖堂から出ることはできない。

 

 その為、セイバーの特訓やフォースの瞑想、そして特例として認められているのび太のひみつ道具の改造をするなどしている。

 

「そういえば、今度のマスターはどうなの?」

 

「あぁ、その話?」

 

 のび太は気まずそうに視線を逸らす。

 

「どうしたの?」

 

 アナキンはのび太が定期的に交代するマスターの指導を受けていることを知っていた。

 

 今までに何人ものマスターの修業を受けているが、気まずそうにしている姿を見るのははじめてだ。

 

「その、なんというか、礼儀作法に厳しいんだよね?今のマスター」

 

「え、礼儀作法?セーバーの訓練とかは?」

 

「勿論してくれるんだけど、どうも、その入室の作法とか、話し方とか、そういう指導が多いかなぁ?」

 

 のび太としても教えてくれるのはありがたいのだけれど、小学校に通っていた学校の先生と似たような雰囲気がして少しばかり苦手意識がある。

 

「ここにいたか、パダワン」

 

 聞こえた声にのび太の動きが固まる。

 

「ま、マスター」

 

「セーバーの鍛錬は終了したようだな。では、今日のレクチャーを行うとしよう」

 

「え、あの」

 

「失礼」

 

 アナキンへ断りを入れるとやってきたジェダイはのび太を連れて去っていく。

 

「あー」

 

 呆然とアナキンは見送るしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。

 

 様々な鍛錬を終えてまもなく就寝時間になるのだが、ベッドでのび太とアナキンの二人は四次元ポケットから取り出した色々なものをみていた。

 

「これは?」

 

「それは絵本入り込み靴、絵本の世界へ入れることが出来るんだ」

 

「エホン?」

 

「この惑星だとないから、まぁ、使えないかな?」

 

「じゃあ、これは?」

 

「これは、これはなんだったかな?」

 

 首を傾げながら談笑する姿はどこにでもいる子供だ。

 

 本来ならフォースの瞑想などすべきなのだが、アナキンはこの時間が好きだった。

 

 ポケットの中にある一枚の写真をこっそりと取り出す。

 

 のび太が撮影してくれた貴重な一枚。

 

 幼いアナキン・スカイウォーカーとパドメの写真。

 

 勿論、のび太や他の人達も写っているがアナキンにとって大事な宝物。

 

 この時間帯、のび太と一緒でなければ決してみることのできない大事なものをアナキンはみる。

 

 写真を見ていつも思う。

 

 パドメはどうしているだろう?

 

 自分の事を覚えてくれているだろうか?

 

 また、いつか会いたい。

 

 オビ=ワンに打ち明けることが決してできない心の中。

 

「ノビタ」

 

「うん?」

 

「必ずジェダイになろう」

 

「うん!」

 

 そうして、二人は約束を交わす。

 

 ジェダイになろう。

 

 拳をぶつけあって約束する。

 

 

 

 

 そうして、月日は過ぎて。

 

 

 新たなる物語がはじまる。

 




ちなみに、オビ=ワンの巻き込まれた騒動は他にもあったりして、のび太のひみつ道具が原因で飛ぶことが嫌いになっています。

カップメンの奴は名前思い出せないけど、ホラーカップとか、なんとかカップみたいな奴をテレビで見た気がします。



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EP.2 クローンの攻撃
爆破テロ


今回からエピソード2がスタートします。

ここから少しばかり変化がはじまっていきます。

アンケートも実施する予定です。


 ナブーの戦いから十年後。

 

 銀河共和国は腐敗によりその機能を低下させつつあった。

 

 腐敗による機能低下から共和国を見限り次々と離脱する星系が現れ、元ジェダイのドゥークー伯爵を旗頭に分離主義勢力を結成して、共和国と緊張状況が広がっている。

 

 この事態に共和国の軍隊保有の是非についての議論の為、ナブーから女王から元老院議員となったパドメ・アミダラが惑星コルサントへ訪れることになっていた。

 

 まもなくやってくるアミダラ議員を迎える為、発着場に二人の人物が立っている。

 

 一人は腕を組み、もう一人は立ったまま寝ていた。

 

「パダワン、昼寝をするにはまだ時間が早いんじゃないか?」

 

「あ、ごめんなさい、マスター」

 

 クワイ=ガンから指摘されて謝罪するのは青年へ成長した野比のび太だ。

 

 あれから何人ものマスターの指導を受けたのび太はようやくクワイ=ガン・ジンを師として落ち着くことになった。

 

 この結果に親友からかなり羨ましがられたのは懐かしい記憶だ。

 

 羨ましがられてライトセーバーの鍛錬で追撃の連続で毎日が疲弊していた。

 

「どうしたパダワン。心が乱れているぞ?」

 

「ごめんなさい。その、嫌なことを思い出して」

 

「ナブーの船が到着したら護衛開始とはいえ、油断は禁物だ……フォースに妙な揺らぎを感じる」

 

「そうですね、なんだろう。凄い嫌な予感がする」

 

「フォースの流れを読むこともそうだが、お前の直感は時として鋭い。今回の任務はどこかきな臭い。注意しなければ」

 

「あ、来ましたよ」

 

 のび太が指さす方向。

 

 霧の向こうから姿を見せるのは二機のナブー・スターファイターと共にやってくる大型船。

 

 元老院議員となったパドメ・アミダラが乗る船。

 

 ゆっくりと着陸する船。

 

 そこからゆっくりとアミダラ議員と護衛がやってくる。

 

「マスター!」

 

「!」

 

 のび太の叫びにクワイ=ガンはフォースを用いてアミダラ議員を引き寄せる。

 

 四次元ポケットから一つのひみつ道具を取り出す。

 

「ちょっとタンマ!」

 

 取り出したタンマウォッチによって時が止まる。

 

 その間にのび太はアミダラ議員の護衛をしている人達を安全圏まで避難させ、機内のパイロット達も外へ連れ出す。

 

「よし」

 

 カチッとスイッチを押した直後、ナブーの船は大爆発を起こした。

 

「コーデ!」

 

「え?」

 

 スターファイターから降りてきたパイロットがヘルメットを脱ぎ捨てて駆け寄ってくる。

 

 パドメ・アミダラ議員だった。

 

「もしかして、この人は影武者?」

 

「アミダラ議員、彼女は無事です」

 

 ローブで爆風の影響が及ばないように守っていたクワイ=ガンの言葉にパドメは安堵した表情を浮かべる。

 

 彼女の護衛として行動していたキャプテン・タイフォは目を見開きながらも離れたところで呆然としている船のクルー達の方へ駆け寄っていく。

 

「貴方は、ノビタ?」

 

「お久しぶりです。パドメ、あ、ごめんなさい。アミダラ議員」

 

「パドメでいいわ。成長していて誰かわからなかったわ」

 

 コーデや周りの人達が無事だったことをようやく理解したことで余裕が生まれたのだろう。

 

 パドメの言葉にのび太は頷いた。

 

「もしかして、貴方の不思議な力でクルー達を?」

 

「うん、タンマウォッチっていうアイテムで時間を少しだけ止めたんだ」

 

「そんな力が……ありがとうございます。貴方がいなければコーデや皆が」

 

「ううん、それよりも、誰がみんなを狙ったんだろう」

 

 首を傾げるのび太にパドメは力強く答える。

 

「この騒動の背後にドゥークー伯爵がいると、私は感じます」

 

 パドメの言葉にクワイ=ガンは瞳を閉じ、のび太はぶるりと体を震わせた。

 

 何かが起ころうとしている。

 

 その予感が間違ってほしいと思いながらものび太達は彼女達を安全な場所へ連れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「多くの星系が分離主義勢力へ加わっている。長い歴史を持つこの共和国を二つに分けることなど出来んよ。交渉は必ず成功させる。話し合いで」

 

「決裂した場合、ジェダイだけで共和国を守ることはできない。我々は平和の守護者であって戦士でないのです」

 

 のび太がパドメと一緒にパルパティーン最高議長のオフィスへ訪れるとヨーダをはじめとするジェダイマスター達と対談中だった。

 

「後にする?」

 

「いいえ、行きましょう」

 

 オフィスへ入るパドメに続くのび太。

 

 パドメの姿を見るとパルパティーンは笑顔で立ち上がる。

 

「アミダラ議員、無事のようで安心しましたぞ」

 

「ありがとうございます。パルティーン最高議長。御覧の通り私は無事です」

 

「アミダラ議員、あの発着場の事件はおそろしいことじゃ、そなたの無事な姿を見て心がほったしたわい。若きパダワンよ。お前とマスタークワイ=ガンに行かせて正解だったようじゃ」

 

「はい」

 

 ヨーダに言われて背筋を伸ばすのび太。

 

 その姿に一部のマスターが苦笑していた。

 

「今回の騒動にドゥークー伯爵がいると思われます」

 

「それはありえない」

 

「彼は政治的理想主義者であって殺人者ではない。議員が知っている通り彼も元はジェダイだ。暗殺など行うわけがありません。彼の人格に反します」

 

 パドメの意見を否定するマスター達。

 

 沈黙するウィンドウはのび太へ視線を向ける。

 

「ノビ、お前はこの事件をどうみる?短い期間とはいえ、お前は彼の弟子だった」

 

「え!?ぼ、僕ですか?その、難しいことはわからないけれど、あの人だったら直接自分の手は汚さずに、そういうことを考えるかなぁ?」

 

 のび太が告げたのはマスター達の考えを否定するものだった。

 

「ほう、どうしてそう思う?」

 

 興味深いという表情でヨーダが尋ねる。

 

「えっとぉ、昔、礼儀作法とか教えてもらった時に直接手を汚すようなことは優雅ではないとか、やるなら、どうとかそういう話を聞いたような」

 

 昔を思い出すように天井を見るのび太。

 

「とにかく、事態の究明がされるまでアミダラ議員はマスタージェダイの保護下へおかれるというのはどうでしょう?」

 

 話を遮るようにパルパティーン議員が提案をする。

 

 反論するパドメや他の議員達。

 

「状況は思うより深刻だと思いますぞ?護衛で身が窮屈に感じるというのなら、仲の良い者はどうです?例えば、旧友のマスタークワイ=ガンなど?」

 

「クワイ=ガンは別の任務がこれから控えておる。じゃが、その意見は賛成じゃの。友人であるケノービがアンシオンの国境紛争から戻ってきておる」

 

「素晴らしい。彼らに護衛を任されてはどうか?」

 

 笑みを深めながら提案するパルパティーンに渋々という形でパドメは護衛を受け入れることにした。

 

「それなら、私から一つ提案を」

 

「何かな?」

 

「友人であるケノービがついてくれるというのならここにいるノビタ・ノビも一緒に」

 

「彼はパダワン。まだジェダイではない」

 

「私は彼に命を助けられています。彼もいれば心強いです」

 

「……ふむ、護衛が多くなるがそれで議員が安心するというのならよかろう」

 

「ノビ、キミにアミダラ議員の護衛を命じる」

 

「はい」

 

「暗殺者はどこから現れるかわからん、用心するのじゃぞ」

 

 ヨーダの言葉にのび太は頷いた。

 

 誰にもみえないところでパルパティーンがのび太を見つめる。

 

 表情は笑っていたが目はひどく冷めていた。

 

 

 



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暗殺者を追え

ドラえもんの映画が来年まで延期というのが残念。

楽しみにしていたんだけどなぁ。




『そういうことでは仕方ない。今回の任務は私一人で赴こう』

 

「すいません、マスター」

 

『気にすることはない。パダワンよ。お前は久しぶりに友と語らうといい』

 

 コムリンクを使ってのび太はマスタークワイ・ガンと会話をしていた。

 

「マスターはこれから、ドゥークー伯爵の追跡を?」

 

『あぁ、あの人に教えを受けた身ではあるから適任と判断されたのだろう……ノビタ。キミは不思議な力を持っている。もし、何かあれば、その力を使うのだ。ためらう必要はない』

 

「わかりました。マスター」

 

『そろそろ行くとしよう。オビ=ワン達によろしく頼む。フォースと共にあらんことを』

 

「フォースと共にあらんことを、マスター」

 

 通信を終えてのび太は歩き出す。

 

 空を見上げると多数の乗り物が飛び交っている。

 

 戦争になれば、これらの光景も変化してしまうのだろう。

 

「……戦争か」

 

 まだ地球にいた頃、ピリカ星の戦争を止めるために奮闘した。鉄人兵団と戦う為にザンダクロスと仲間達と共に戦った。

 

 あれも戦争。

 

 この銀河が戦争になる。

 

「それは、嫌だなぁ」

 

 ぽつりと呟きながらのび太は目的の場所へ入る。

 

 エレベーターで目的のフロアにあがると懐かしい人物と遭遇する。

 

「あら、ノビー!?」

 

「久しぶり、ジャージャー」

 

 ジャージャー・ビンクス。

 

 ナブーの戦いの後、重役に出世していると聞いたときは驚いた。

 

 そんな彼はやってきたのがのび太だとわかるとあっさりと通してくれる。

 

「キミを殺そうとしている奴は必ず見つけるよ。パドメ」

 

「命令を逸脱してはならんぞ。若きパダワン」

 

 通してくれた部屋にたどり着くといつものように揉めているオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーがいた。

 

「でも、僕らは護衛ですから襲ってきた相手を捕まえるのは問題がないのでは?」

 

「ノビタ!」

 

 のび太の登場にアナキンは笑みを浮かべてオビ=ワンはため息を漏らす。

 

「……やれやれ、トラブルコンビの面倒を見なければならないのか」

 

「マスターケノービ、トラブルコンビだなんて」

 

「最高のコンビですよ。ノビタがいればマスターヨーダ百人力だ」

 

 口をとがらせるのび太。

 

 アナキンは久しぶりの親友との任務にテンションがあがっている。

 

「評議会から聞いている。アミダラ議員の護衛だな」

 

「はい、後……パドメの付き人から呼ばれていて」

 

「コーデね?本当に感謝しているわ。ノビタがいなければ、彼女やみんなはどうなっていたか」

 

「いやぁ、すべてはドラえもんのひみつ道具があったからで」

 

「パドメ、もう大丈夫。僕とノビタがいればすべて解決だ」

 

「勘弁してくれ。お前達が一緒にいると命がいくつあっても足りない。二人に殺される」

 

「そんな!兄や親の様に思っているマスターを殺すなんて」

 

「よく言うよ。お前だけでも苦労しているのに、これでノビタまで加わったら……私は忘れていないからな? お前達と一緒の任務に出て、巨大昆虫に追いかけられ、終いにはある惑星の陰謀を阻止するなど……」

 

「ノビタの言葉を借りるなら大冒険ですね」

 

「あんなことはジェダイに必要はない。ジェダイは冒険をするためにいるわけじゃない」

 

 パドメを置いて白熱するオビ=ワンとアナキン。

 

「あの二人はいつもあぁなのですか?」

 

「えっと、まぁ?」

 

「まぁ、あなた方がいることでこの脅威渦巻く謎を解明してくれることでしょう。よろしければ、休ませてもらいます。ノビタ、コーデはこちらよ」

 

「あ、はい」

 

 二人が去って、のび太が戻ってくるまで二人の議論は続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アニーに会えてミーは嬉しいよ!」

 

「ジャージャー、彼女は僕の事をわからなかったよ。僕は片時も忘れなかったのに」

 

 アナキンとの再会を喜ぶジャージャーだが、アナキンは覚えていてもらえなかったことにショックを受けているようだ。

 

「きっと、色々なことが重なっていたんだよ」

 

「……ノビタの言う通りだ」

 

 優しくオビ=ワンが励ます。

 

 なんだかんだいいながらこの二人は最高のコンビだとのび太は思う。

 

 二人に言われてアナキンは少しだけ元気を取り戻したようだ。

 

「我々は護衛なのだが、なぜ、監視カメラが映らないんだ?」

 

「議員がオフにしているようです」

 

「これでは護衛にならない」

 

「じゃあ、スパイカメラセット使う?」

 

 のび太が四次元ポケットから球体とテレビの道具を取り出そうとしたがアナキンは止める。

 

「いや、R2もいるし、カメラを切っているってことはみられたくないってことじゃ」

 

「それでは護衛ができないだろう。彼女は命を狙われているんだぞ?」

 

「……ですが、女性の寝室を覗くというのはどうなんです?」

 

「アナキン、確かに彼女と再会できたことは嬉しいが、私情を挟みすぎじゃないか?」

 

「そんなことはありません。僕は他人のプライバシーを覗きすぎることはよくないと」

 

 白熱する二人。

 

 のび太が止めようとした時、三人はあるものを感じた。

 

「今……」

 

「マスターも?」

 

「僕も、嫌なものを感じた」

 

「寝室だ!」

 

 オビ=ワンに言われてのび太とアナキンはパドメが眠る寝室へ飛び込む。

 

 薄暗い室内。

 

 隅で待機しているR2。

 

 寝ているパドメのベッドの上を移動する三匹の虫。

 

「毒虫だ!」

 

 アナキンとのび太は同時にライトセーバーを起動。

 

 二匹の毒虫を青い刃が、一匹を緑の刃が切り落とす。

 

「動かないで」

 

 突然の事に動揺しているパドメにアナキンが優しく声をかける。

 

「あそこ!」

 

 のび太が窓際に浮遊しているドロイドを発見する。

 

 近くにいたオビ=ワンは窓へ突撃してドロイドを両手で捕まえた。

 

「僕達に任せて!」

 

「議員が襲われました。僕達は襲撃犯を追いかけますから彼女を頼みます」

 

 のび太が事情をコーデ達へ説明して外に飛び出す。

 

「先に行くよ!」

 

「僕は良い乗り物を確保する!」

 

 のび太は頭にタケコプターをつけて一足早く空へ。

 

 アナキンは急ぎスピーダーの選定をはじめる。

 

 タケコプターで飛行しているのび太は空を飛び交う乗り物に激突しないように注意しながらオビ=ワンを探す。

 

 フォースに意識を集中させると少し離れたところでドロイドにしがみついているオビ=ワンの姿があった。

 

「あっちか」

 

 のび太が速度を上げて向かうと赤い光がドロイドを撃ち抜いていた。

 

「ヤバイ!」

 

 暗殺者がドロイドにしがみついているオビ=ワンに気付いたのだ。

 

 狙撃で爆発するドロイド。

 

 掴むものがないオビ=ワンは引力によって落ちていく。

 

 のび太はタケコプターの速度を上げてオビ=ワンの手を掴む。

 

「の、ノビタ!」

 

「ぐぐぐぐぐ!」

 

 顔を真っ赤にしながらオビ=ワンの落下を阻止しようとするのび太。

 

「ノビタ!手を放せ!このままではお前も」

 

「嫌だ!そんなことは、嫌だ!」

 

 のび太の脳裏を過ったのは十年前。

 

 助けられなかったシスの戦士が過る。

 

「あんなことにならない為に僕は」

 

 遠くから豪快なエンジン音をあげながら一台のスピーダーが接近してくる。

 

「ノビタ!」

 

「アニー!」

 

 運転席にいるアナキンに気付いてのび太は手を放す。

 

「お、おい!」

 

 オビ=ワンが息を飲み、落下するというタイミングでアナキンの操るスピーダーの助手席に収まる。

 

「遅くなり申し訳ありません」

 

「危うくお前達に殺されるところだった」

 

「そんな!マスターを殺すなんてことは」

 

「暗殺者を追うぞ!あっちだ!」

 

「ノビタは先回りを頼む!」

 

「わかった!」

 

 動き出すスピーダー。

 

 のび太はタケコプターで暗殺者の乗り物を追いかける。

 

 夜のコルサントで暗殺者とジェダイの追跡劇が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジェダイです。ごめんなさい。ここは危険なので近づかないで」

 

 追跡を開始して数十分ほどして、暗殺者の乗り物は地面に落下して機能停止している。

 

 のび太はタケコプターをポケットにしまうと近づいてくる野次馬を追い払う。

 

 暗殺者の乗り物を破壊したアナキンは落下の際に離れた場所へ落下していたらしい。

 

「大丈夫?」

 

「オビ=ワンに怒られるよ。ライトセーバーを落とした」

 

「そうみたいだね」

 

「見ていたのか?」

 

「いや、後ろ」

 

 嫌な予感がして振り返るアナキン。

 

 振り返った先にアナキンのライトセーバーを持って怒っている顔のオビ=ワン・ケノービの姿がそこにあった。

 

「あぁ、マスター、その」

 

「アナキン!何度言わせるつもりだ!ライトセーバーを手放すな!自分の一部だと思えと」

 

「マスターケノービ、アニー……アナキンもそのことは理解しています。ただ、その、えっとぉ、実践することに苦労をしていまして」

 

 のび太のフォローに少し落ち着いたのか悲観の息を吐くとアナキンへセーバーを渡す。

 

「次落としたら、これじゃすまないからな」

 

「はい……それより、暗殺者ですが、奴は素顔を変えられるようです。あのバーへ逃げ込みました」

 

 アナキンが情報を伝えて三人は店の中へ入る。

 

「アニーの情報通りだとすると見つけるのは苦労しそうだね」

 

「そうでもない」

 

「何か考えが?」

 

 オビ=ワンは笑みを浮かべるとカウンターを指さす。

 

「私は一休みする。お前達は周辺を探すんだ」

 

「……わかりましたよ」

 

 指示に従ってオビ=ワンと別れるのび太とアナキン。

 

「探すといわれたけど、どうしょう?たずね人ステッキでも使う?」

 

「こんなところで使っても目立つだけだ。マスターの指示通り探すしかないな」

 

 アナキンと共に店の中を探す二人。

 

 店内はギャンブルに興じている者、酒を楽しんでいる者、何やら怪しげな取引をしている者達がいた。

 

 怪しげな取引をしている者についてはフォース・マインドを用いて「人生考えなおせ」と伝えた。

 

「マスター!」

 

 アナキンの叫びにのび太が振り返るとオビ=ワンが暗殺者をライトセーバーで無力化させるところだった。

 

「騒ぐな。ジェダイだ」

 

「楽しんでいるところごめんなさい。犯罪者を探していて……店員さん、これ、迷惑代です」

 

 のび太は四次元ポケットからお金を取り出して店員へ渡す。

 

「足りるかわからないけれど、お客さんへ」

 

 小さく頷いた店員を確認してからのび太は外に出る。

 

 外へ出るとオビ=ワンとアナキン、そして、干からびたミイラのような死体があった。

 

「それは?」

 

「クローダイト、パドメを狙った犯人だ」

 

「死んでいるのは……」

 

「伏兵がいた。手がかりは残っているが……」

 

 オビ=ワンの手の中にはクローダイトの女性を始末した毒矢が握られていた。

 

 アナキンの話によると外で尋問しようとしたらジェットパックを背負った伏兵によってクローダイトの暗殺者は始末されたのだという。

 

 

 

 

 




オビ=ワンとアナキンはよく揉めますが、それがよりバディらしさを出せたらいいなぁと思っています。

ちなみに、のび太はアナキンに大冒険の話をしており、オビ=ワンも全部ではありませんが知ってはいます。


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隠された座標

新たにアンケートをだしました。

一応、クローンの攻撃はあと、三話か四話くらいで終わる予定。

一つ目のアンケートについては、もう少し続けます。

まぁ、あの結果を見る限りIFでいくことになりそうですけど。



「あれ、これは何だろう?」

 

 暗殺騒動の翌日。

 

 のび太は調子が悪いライトセーバーのメンテナンスをしていた。

 

 パドメ・アミダラを狙ったクローダイトの暗殺者が放った毒虫をライトセーバーで切り裂いた時に出力にブレがあることに気付いた。

 

 どこかのパーツが摩耗したのではないだろうかと考えたのび太はライトセーバーのメンテナンスを始めたのだ。

 

 ライトセーバーのバッテリーカバーを外すと入れた覚えのないパーツが入っている。

 

「これって、マップかな?」

 

 首を捻りながらのび太はパーツを置いて点検を始める。

 

 十分立たずにライトセーバーを元に戻す。

 

 アナキンと一緒にひみつ道具の改造を手伝っていた影響か、昔よりも手先が器用になっていた。

 

「問題は、これか……公文書館で調べてみようかな?」

 

 のび太が向かったのは公文書館。

 

 宇宙の様々な情報が記録された巨大な図書館のようなもの。

 

 勉強が得意でないのび太はあまり利用したくないのだが「知識は重要だ」とあるマスターに諭されてからというもの、適度に訪問していた。

 

 今回はライトセーバーにあるチップを調べること。

 

「おや、こんなところでノビタと会うなんて明日はブラスターの雨かな?」

 

「そんなことないですよ。僕だって適度にここは利用しています」

 

「嘘でも真面目に利用していると言ってほしかったね。ところで何を調べているんだ?」

 

 ため息を零しながらオビ=ワンはのび太へ尋ねる。

 

 のび太はライトセーバーに覚えのないパーツがあったこと。

 

 そのチップにある惑星の座標が記されている事を話す。

 

「ほう、それはおかしな話だな」

 

「カミーノという惑星みたいなんですけど、情報がなくて」

 

「ふむ、それはおかしな話だ。ところで例の暗殺者を殺した者の情報がカミーノにあるらしい。ノビタ、同行するかな?」

 

「はい!……あ、パドメの護衛は」

 

「それはアナキンに任せても大丈夫だろう……そもそも、お前達二人が一緒に護衛をしているという姿は私にとって不安でしかない」

 

「そんなに僕達、トラブルメーカーにみえます?」

 

「今までの事を思い出してほしいものだ」

 

 のび太のぽつりと呟いた言葉はしっかりとオビ=ワンの耳に入っており、自覚してほしいと正面から告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 狙われているパドメ・アミダラはアナキンと一緒にナブーへ避難することになった。

 

 ナブーであれば、コルサントより安全で襲撃者も迂闊に手を出せないだろうという評議会の判断でもある。

 

 のび太はオビ=ワンと共にスターファイターに乗ってコルサントを離れてライトセーバーに記されていた座標“カミーノ”へ向かった。

 

 カミーノは惑星の七割が水で覆われた星であり、カミーノ人はクローン技術において素晴らしい技術を持っているという。

 

「(なんで僕のライトセーバーにその座標があったんだろう?このライトセーバーのメンテナンスは確か前に亡くなったサイフォ=ディアスに教えてもらったんだよね)」

 

 記憶を探ろうとするのび太だが、まるですっぽりと抜け落ちたようにサイフォ=ディアスと何をしていたのか思い出せない。

 

「不安に揺れているようだな」

 

「そうみえます?」

 

「あぁ、お前は顔に出やすい。フォースがなくてもわかるぞ」

 

 オビ=ワンに言われてのび太は困った表情を浮かべる。

 

「なぜ、お前のセーバーにカミーノの座標があるのか、その謎はこれから解き明かしていけばいい。議員の護衛をアナキン一人に任せるのは心配だが、さぁ、行こう」

 

「マスターケノービも少しくらいアナキンを信用すればいいのに」

 

「信用はしている。ただ、無茶ばかりやらして心配なんだ。今の若者達に多い傾向だ」

 

「そう、かな?」

 

 のび太は知らないことだが若い世代のジェダイにおいて、実力を過信して慢心する者は少なくない。歴代のマスター達もその点で苦労を重ねているらしい。

 

「まぁ、その点はクワイ=ガンも似たような部分があったからなんともいえないが」

 

「あははは」

 

 苦笑いを浮かべるのび太。

 

「でも、アニーは成長していると思う。マスターも少しアナキンを認めてあげてほしいな」

 

「……」

 

 のび太の言葉にオビ=ワンは少し考える。

 

「前向きに検討しよう」

 

「ありがとうございます」

 

 オビ=ワンの言葉に嬉しそうにするのび太をみて、彼は心の中で思う。

 

「(ノビタとアナキン、二人がいるとトラブルメーカーだが、強い信頼関係があるのかもしれん。少し羨ましいと思う自分がいて驚いてしまうよ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 赤いジェダイ・スターファイターと緑のジェダイ・スターファイターは惑星カミーノへ向かう。

 

 アウターリムの向こう側、水に覆われた惑星カミーノ。

 

 水に覆われた星を見て、のび太は地球を思い出す。

 

 ジェダイになるための修業や任務で色々な惑星へ向かったが地球はみつからない。

 

 広大な宇宙、すぐに見つからないことはわかっている。

 

 だが、もう十年も経っていた。

 

「ドラえもんやみんな、何しているかなぁ?」

 

 会いたくないといえばウソになる。

 

 一つの戻れる可能性をのび太は思いついていたが実践していない。

 

 それをした場合、本当に戻れるという保証がない。

 

 そして。

 

「(あの夢、あれが本当に起こらないか、僕は心配なんだ)」

 

 のび太が暗い宇宙を見ていた時だ。

 

「アニー?」

 

 どこからかアナキンの悲しみの感情が伝わってきた。

 

「アニーに何か起きている?」

 

 のび太は目を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノビタ?」

 

 アナキン・スカイウォーカーは絶望の中にいた。

 

 何年もあっていない母の苦しんでいる姿を夢でみることが多くなり、その夢を愛しい人であるパドメに打ち明けた。

 

 すると、パドメは会いに行こうと決める。

 

 彼女と共に故郷タトゥイーンへ戻ったアナキン。

 

 ワトーから母の行方を聞きだすと水耕農夫ラーズの後妻となっていることがわかった。

 

 奴隷から解放されていることに喜びながらラーズの下へ向かったアナキン。

 

 しかし、母は砂漠の民、タスケンレイダーに誘拐されていたことが分かった。

 

 一人でタスケンの集落へ向かい、母を見つけることはできた。

 

 しかし、タスケン達の暴行によって母、シミ・スカイウォーカーは弱っている。

 

 アナキンに母を助けることが出来ない。

 

 その事実に苦しんでいた時、彼の前にのび太がいた。

 

「どうして」

 

「アニーの、悲しんでいる声が聞こえたんだ。どういうこと?」

 

「母さんが死にそうなんだ。タスケン達に、でも、僕は何も」

 

「大丈夫!それなら」

 

 のび太は四次元ポケットへ手を入れる。

 

「お医者さんカバン!」

 

「それは……?」

 

「これがあれば、アニーのお母さんを助けられるよ!だから、諦めちゃだめだよ!」

 

 元気づけるのび太の言葉にアナキンの心から悲しみが消えていく。

 

――まだ、母を助けられるかもしれない!

 

「ノビタ!やってみる。母を助ける!」

 

「うん!信じているよ」

 

 数度、瞬きするとのび太の姿はどこにもない。

 

「……え?」

 

 幻をみたのか?と戸惑うアナキンだが、横たわっているシミの傍にお医者さんカバンが置かれている。

 

「ありがとう、ノビタ」

 

 アナキンはお医者さんカバンを使ってシミを助ける。

 

 様態が安定したところでタスケンに発見されるという事態になりながらもアナキンはライトセーバーでタスケン達を無力化させて、母を連れて集落を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ?」

 

 スターファイターに接続しているR3からの呼びかけにのび太は目を開ける。

 

 いつの間にか眠っていたらしい。

 

「さっきの夢?」

 

 ぽかんとしながらカミーノへ到着していることに気付いたのび太はハッチをあける。

 

 既に外へ出ていたオビ=ワンへ追い付くと入口が開いてカミーノ人が現れた。

 

「マスタージェダイ、ジェダイパダワン。ラマ・スー閣下がお待ちしております」

 

 カミーノ人の言葉にのび太とオビ=ワンは互いの顔を見る。

 

 どうやら事態は思った以上に悪い方向へ向かっているかもしれない。

 

 スターファイターをアストロメク・ドロイド達に任せて中に入るとラマ・スーと思われる人物と謁見する。

 

「よく来られましたジェダイのお二人。何年も交信が途絶えて諦めていたところです」

 

「それは申し訳ありません」

 

「お久しぶりですね。ノビ。貴方と再会できたことが契約続行しているという何よりの証明だ」

 

「え?」

 

「対価は期待してよろしいでしょうね?」

 

 ビジネスライク的な喜びをぶつけられて戸惑うのび太だったが、咄嗟にポケットの中へ手を入れて“もしかしたらの時の為”に貯金していたクレジットを差し出す。

 

「ひ、ひとまず、これで」

 

「!?」

 

「その様子を見る限り、あなた達は商品の、クローンの状態を確かめに来ただけのようですね。正式な報酬は後日という事ですな」

 

「えぇ、報酬はきっちり支払いますとも、これだけ長い間、待たせていたんです。オーダーはしっかりと誠意をみせますよ」

 

 のび太だけに任せるとボロを出しかねない。そう判断したオビ=ワンが頷いた。

 

 その後、話の断片だけだがクローン兵士を受注したのは数年前に死んだジェダイマスターサイフォ=ディアスだということ。驚くことにのび太も何度かサイフォ=ディアスと共に訪問をしているという。

 

 全く記憶がなかったのび太だったが、ラマ・スーが「預かっていた」と言われるひみつ道具をみて謎が解けた。

 

 

――ワスレンボー

 

 

 ぶつけた相手の記憶を忘れ去れるひみつ道具。

 

「その道具が事実だというのなら、口が軽いノビタの口から情報を漏れることを懸念したサイフォ=ディアスがワスレンボーで記憶を消した。ただ、自分にもしもがあった時の為にノビタのライトセーバーにカミーノの座標を残したという事だな」

 

「口が軽いって」

 

「事実だ。ノビタは口が軽いところがある」

 

 オビ=ワンの身もふたもない言葉にがくりとショックを受けながらクローンの生産ラインを見学する。

 

 遺伝子操作された幼体から成長を調整して一定の年齢へ引き上げたクローン達。

 

 純白のアーマーを纏い、隊列を乱さない兵士達。

 

 のび太とオビ=ワンは製造されているクローンたち、戦うクローンたちの姿をみて驚きの表情を浮かべていた。

 

「彼らの遺伝子ホストは?」

 

「賞金稼ぎのジャンゴ・フェットです」

 

「え?」

 

 告げられた名前にのび太は驚きの声を漏らす。

 

「知っているのか?」

 

「はい、前にホグデンの月で一度だけ……射撃の腕が凄かったです」

 

 その際にギャンブルについても教えてもらったということは言わない。

 

 言えば四次元ポケットの中にあるクレジットについてばれてしまう。

 

「彼は今どこに?」

 

「ここにいますよ。彼は報酬として自分と同じクローンを要求した」

 

「それは成長速度も?」

 

「えぇ、変わっているでしょう?遺伝的に純粋な複製、もう一人の自分です」

 

「寂しかったのかな?だから、息子を求めたんじゃない?」

 

「寂しい?」

 

 のび太の言葉にオビ=ワンが目を見開く。

 

「閣下、ジャンゴ・フェットは妻帯者ですか?」

 

「いいえ、独身だったかと……あぁ、つまり、彼はジェダイでいう弟子が欲しかったのですね」

 

「あの人は凄腕の賞金稼ぎだったから、自分の後継者が欲しかったとかじゃないかな?」

 

「閣下、ジャンゴ・フェットと謁見を望むのですが」

 

 ラマ・スーの取り計らいでジャンゴ・フェットと謁見することになった。

 

 のび太はオビ=ワンの指示でカミーノについての報告をするためにスターファイターへ戻る。

 

「ひゃあ、凄い雨」

 

 降り注ぐ雨に身を守るようにしながらのび太はR3へ声をかける。

 

「R3、評議会へ連絡を!」

 

 軽快な音声を出しながらR3は了承する。

 

 ホロ再生装置を使って聖堂にいるヨーダへ連絡を繋いだ。

 

『ノビよ、何事じゃ?』

 

「マスターケノービに代わって報告します。惑星カミーノをみつけました。それでなんですけど」

 

 のび太は惑星カミーノで起こった出来事をすべて伝える。

 

 ワスレンボーで自分が記憶を失っていた事、ライトセーバーにカミーノの手がかりが隠されていた事、クローン兵士達、ホストであるジャンゴ・フェットのこと。

 

『ふむ。事態は我々の想像を超える極めて深刻のようじゃ。ノビよ。黒幕についてどうおもう?』

 

「少なくとも辺境の星の人じゃないと思います。もしかしたら、コルサントにいるかもしれない」

 

『儂もそう思う。じゃが、まずは目先の事じゃ。オビ=ワンに伝えよ。ジャンゴ・フェットの身柄を抑えて情報を聞き出せと』

 

「……え、本気ですか?」

 

『何か問題があるのかの?』

 

「前にジャンゴ・フェットと一度だけ戦いましたけど、並のジェダイなら瞬殺されてしまうほどの早撃ちです」

 

『じゃが、お主は生きておるのじゃろう?』

 

「それは敵対していなかったからで……あぁ、いや、一応、勝負はしましたけど」

 

『相手が手ごわいことは理解した。じゃが、お主一人で戦うわけではない。ナイトのオビ=ワンもおる。命は大事じゃが、恐れて立ち止まっていてはいかん』

 

「わかりました。マスターケノービとすぐに行動します」

 

『よろしい。何かあればすぐに知らせるのじゃぞ』

 

「はい」

 

『フォースと共にあらんことを』

 

 ヨーダの通信を終えるとのび太は足早にオビ=ワンの下へ向かおうとすると、ドアが開いてオビ=ワンがやってきた。

 

「あ、マスター」

 

「ノビタ、オーダーに連絡はついたか?」

 

「はい、マスターヨーダからの指示でジャンゴ・フェットを確保せよと」

 

「わかった」

 

「後、相手は早撃ちの名人です。気を付けてください」

 

「キミが言うのなら用心しよう」

 

 オビ=ワンはのび太がセーバーよりもブラスターの方の技術が高いことを知っている。

 

 そんな彼が警戒するように伝えるのなら心して挑まなければならない。

 

 部屋へ向かうと既にもぬけの殻だった。

 

 バレて逃走するのかもしれない。

 

 オビ=ワンとのび太が発着場へ向かうと荷物を運ぶジャンゴの息子、ボバと目が合う。

 

「パパ!」

 

 ボバの言葉にマンダロリアンのアーマーに身を包んだジャンゴ・フェットが振り返る。

 

「危ない!」

 

 のび太が咄嗟に前へ出てセーバーを振るう。

 

 ジャンゴがホルスターからブラスター・ピストルを抜いて発砲。

 

 オビ=ワンの眉間に直撃するはずだった光弾が弾かれてしまう。

 

「チッ、こんなところで好敵手に会うとはついていない」

 

「大人しくしてください!さもないと」

 

「斬るか?悪いが報酬をもらっていないんでね。これからクライアントのところへいくのさ」

 

「その前に我々と同行してもらう!」

 

 ライトセーバーを起動させてジャンゴへ接近するオビ=ワン。

 

 のび太も後を追う。

 

 こうして、一人の賞金稼ぎと二人のジェダイによる戦いがはじまった。

 

 

 




R3

のび太が廃棄置き場から拾ってきた壊れていたアストロメク・ドロイド。

部屋に運んでアナキンと共に修理。

ひみつ道具で修復&強化がされており、R2と同じくらい高性能ドロイドとなっている。



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ドロイド工場での勧誘

スター・ウォーズに組み込むことは難しそうだけど、クローン・ウォーズならいくつか大長編組み込めそうだよなぁと思ってしまう。ロボット王国とか、南海大冒険とか、いくつか思ってしまうんだよなぁ。




 

 アナキン・スカイウォーカーは十年ぶりに母と再会した。

 

 タスケンレイダーによって痛めつけられた傷が少し残っているものの、ひみつ道具、お医者さんカバンのおかげで時間の経過と共に傷が癒えることはわかっている。

 

 アナキンが母を連れてラーズ家へ連れて戻るとシミの旦那であるラーズや家族はとても驚いていた。

 

 シミを助けるために多くの犠牲を出し、ラーズ自身も足を失うという結果を出すほどにタスケン達は凶悪だ。そんな連中を相手に一人でシミを助け出したことに驚き、そして、彼に感謝している。

 

 シミを助けることを諦めていたオーウェンは驚きながらもアナキンの事を家族として義兄弟として受け入れた。

 

「母さん、また会えてうれしいよ」

 

「私も……もう、貴方と会えないかもしれないとあきらめていた」

 

 寝室のベッドで横たわるシミの手を握りしめて微笑むアナキン。

 

 久しぶりの親子水入らずということでクリーグ達は気を利かせて退室する。

 

 アナキンが作っていたC-3POは最後までいようとしたが『空気を読め』とR2に注意されて渋々、外へ出た。

 

「僕一人じゃ母さんを助けられなかった……どうしてか、わからないけれど、ノビタが力を貸してくれたんだ」

 

 アナキンは足元に置いてあるお医者さんカバンをみる。

 

 この道具がなければ母を助けられなかった。

 

 もし、母親を助けられなかったら?

 

 その先の未来を考えてアナキンは自身の体を抱きしめる。

 

 助けられなければ怒りに任せて刃を振るっていたかもしれない。

 

 ジェダイにあるまじき行為をしていたかもしれない。そうしてしまう可能性がアナキンは想像ができた。

 

「あの子に感謝しないといけないわね。私達にとって天使といえる子だわ」

 

 そんなアナキンの頬をシミは優しくなでる。

 

「あの子は貴方と同じくらい優しく、人の痛みや悲しみに寄り添うことが出来る。だから、私は安心して貴方を送り出せたと思うわ。貴方達二人ならなんでもできる、そう思えたの」

 

 微笑むシミにアナキンも小さく頷いた。

 

「今度、ここへ来ることがあったらノビタも連れてくるよ。きっと、会いたいと思うはずだ」

 

「えぇ、私も会いたいわ……そういえば、あの人は?貴方の好きな人?」

 

 シミの言うあの人とはパドメのことだとアナキンはすぐにわかった。

 

「母さん、ジェダイは誰かを愛することを禁止しているんだ。執着心を生むと」

 

「でも、貴方は彼女に惹かれているのでしょう?」

 

 シミに言われて少し悩みながらアナキンは頷いた。

 

「初恋だった……ひと時も彼女の事を忘れたことはない。でも、それはいけないことだ」

 

「もし、本当に彼女の事を愛しているのなら、ここへ戻ってきてもいいのよ?」

 

 優しくシミはアナキンの頬を撫でる。

 

「ジェダイだけがすべてじゃない。アニー、私は貴方の幸せを願っている」

 

 優しく微笑むシミの手にアナキンはゆっくりと触れた。

 

「ありがとう、母さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナブーの船へ戻ったアナキンへパドメが声をかける。

 

「お母さんはどう?」

 

「今は安静にしている」

 

「そう」

 

「これのおかげだ」

 

 アナキンはお医者さんカバンを机に置いた。

 

「それは、もしや、ノビタ様の道具ですか?」

 

 お医者さんカバンを見て尋ねるのはかつてアナキンが作ったC-3PO。

 

 母によってボディをもらい、配線は隠されている。

 

 去り際にシミが「貴方のものよ」といって与えてくれたもの。

 

「ノビタは貴方にとって素敵な友人ね」

 

「かけがえのない親友だ。彼がいなかったら僕は……」

 

 アナキンはちらりとぶら下げているライトセーバーをみる。

 

 もし、あの場にのび太が現れなければアナキンはタスケン達を怒りのままに殺していただろう。

 

 彼が親友でよかったとアナキンは心の中で思った。

 

 その後、オビ=ワンからの連絡をコルサントへ経由するも、評議会から待機命令を下されてしまうも。

 

「貴方は私の護衛よ。私がジオノーシスへ行くのだから貴方も付いてこなければなりません」

 

「だが」

 

「ここからジオノーシスまで1パーセクよ。コルサントよりもこっちから行く方が早い」

 

「わかったよ。キミに従うよ」

 

 アナキンは両手を挙げて降参の意思を示してシートへ腰かける。

 

「え、宇宙へ?」

 

 戸惑う3POにR2が軽快な音声で答える。

 

「私。これが初の宇宙旅行なのですが」

 

 戸惑う3POを置いて、ナブーの銀色の船はジオノーシスへ飛び立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわー、迷っちゃった」

 

 カミーノでジャンゴ・フェットを取り逃がしたオビ=ワンとのび太。

 

 二人はスレーブⅠに取り付けた発信機で追跡していたのだがのび太のスターファイターが不具合を起こし、オビ=ワンとはぐれてしまう。

 

 その後、オビ=ワンのスターファイターのビーコンを頼りにジオノーシスへ到着したのだが、迷っていた。

 

 R3に援軍の要請を頼んでたずね人ステッキを使ってオビ=ワンを探していたらいつの間にかドロイドの製造工場へ迷い込んでいた。

 

「うーん、やっぱりたずね人ステッキの確率の問題なのかなぁ?」

 

 首を捻りながらのび太は通路内を歩いていく。

 

 たずね人ステッキは地面に突き立てて手を離すと目当ての人や方向に倒れるというひみつ道具なのだが、的中率は70パーセントというもので、絶対に見つけられるかといわれると怪しい部分がある。

 

 左右には多くのバトルドロイドのパーツが並んでおり、作業用のアームによって次々と組み立てられていた。

 

「へぇ、ドロイドってこうやって組み立てられるんだなぁ」

 

 興味津々という表情でドロイドのパーツを眺めながら歩いていく。

 

 オビ=ワンの姿がどこにもない。

 

 R4に連絡を取ろうとしてもなぜか通じない。

 

「R3、オビ=ワンの反応は近くにあるかな?」

 

 コムリンクを用いてスターファイターで待機しているR3へ連絡を取る。

 

 軽快な機械音と共に返事がきた。

 

「え、反応が消えた?居場所がわからない?」

 

 R3の困った声にのび太は考える。

 

「マスターに何かあったんだろうなぁ……聖堂へ連絡をしてくれる?あと、危険を感じたらすぐに避難してね」

 

 了承する音を立てて答えるR3と通信を終えるのび太。

 

「反応が消えたって、無事だといいんだけど」

 

 首を傾げながらのび太はたずね人ステッキを取り出す。

 

「マスターオビ=ワンの居場所は?」

 

 くるくると回転しながらたずね人ステッキが音を立てて壊れた。

 

「え?」

 

「あのジェダイもそうだが、お前も中々に悪運の持ち主だな」

 

 反対側の通路にブラスター・ピストルを構えたジャンゴ・フェットの姿がそこにあった。

 

 ブラスター・ピストルによってたずね人ステッキが破壊されたのだ。

 

 コムリンクを懐へ仕舞いながら身構えるのび太を前にジャンゴ・フェットはホルスターへブラスター・ピストルを収納する。

 

「どういうつもり?」

 

「周辺の警護がくるまで少し時間がある。この前の決着をつけようじゃないか」

 

「この前……」

 

 ジャンゴに言われてのび太が思い出すのは彼と出会った時。

 

 賞金稼ぎとして活動していたジャンゴの狙っていた獲物とのび太が追跡していた相手が同じであったことから戦うことになった。

 

「あの時の決着はまだついていない」

 

「悪いけど、今は大事な人たちを探しているんだ……勝負をしている暇はないんだ」

 

 のび太はオビ=ワンを探している。

 

 彼自身も決着をつけたいと望んでいるものの、優先すべきものを間違えるわけにいかない。

 

 何よりフォースがのび太へ囁いている。

 

 この場で戦うべきではない。

 

「貴様の探しているジェダイは伯爵の手の中だとしてもか?」

 

「居場所を知っているなら教えてほしい」

 

「いくら払う?」

 

「え?」

 

 ジャンゴはヘルメットの中で小さく笑う。

 

「賞金稼ぎを従わせたいなら方法は二つ、一つは金。お前は俺にいくらのクレジットを払う?」

 

「えっと」

 

「ちなみに伯爵が支払ったクレジットは」

 

 ジャンゴの告げたクレジットの内容にのび太の目玉が飛び出しそうになった。

 

 いくらギャンブルで予算があるといっても、支払える額ではない。

 

「それかもう一つは」

 

 彼の声を遮るように周囲に武器を構えたジオノージアンとドロイデカと呼ばれるドロイドが四体現れる。

 

「残念、時間切れのようだな……どうする?これだけのメンツ相手に斬りあうか?」

 

 周りを見渡したのび太は観念したという風にライトセーバーを地面へ置いて両手を挙げる。

 

 ライトセーバーをジャンゴは回収する。

 

 ジオノージアンに手錠をかけられたのび太はドロイドに担がれて連行された。

 

「決着をつけそびれたな」

 

 ぽつりと呟きながらジャンゴはジェットパックを起動して空へ舞い上がる。

 

 

 




アンケートは締め切り、新たにアンケートを展開します。

これについては、あくまで仮案なので確定というわけではありません。



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ジオノーシスの戦い(前編)

今回含めた前後偏ともう一話でE.P2は終わりです。

次回はクローン・ウォーズを行う予定。

アンケートの件、モールの票の多さにびっくり。

続いて、カルだったので、カルの票が多ければ、ジェダイ・フォールンオーダーの話もオリジナリティありでやる予定。

その前にシスの復讐やらいろいろやることはあるけれど。

尚、今回の話、ドラえもんの映画版の小ネタが挟まっております。


「はぁ」

 

「マスター、溜息を吐くと幸せが伸びますよ」

 

「それを言うのなら逃げるだ。伸びてどうするんだ」

 

「あ、いけないや」

 

 普通にしているのび太の態度にオビ=ワンは深い溜息を吐く。

 

 二人はジオノーシスにある闘技場へ連れてこられて複数の柱の一つ一つに拘束されていた。

 

「この場所は嫌な予感がするな」

 

「周りにジオノージアンが集まっているから、これは本当に嫌な予感がするなぁ」

 

 ぽつりとのび太が呟いていると新たに拘束されてやって来る者達がいた。

 

 アナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラである。

 

 二人が連行されてきたことにオビ=ワンは目を丸くしていた。

 

「これは奇遇ですね。マスター、ノビタ」

 

「私の通信は届けてもらえたのかな?」

 

 拘束されているアナキンへオビ=ワンが尋ねる。

 

「届けたからここにきているんです。貴方を助けに来ました」

 

「助けにきた?そういう風にはみえないな。どちからというと拘束されているようにみえるが?」

 

「それは、色々と厄介な問題がありまして」

 

「ほう、その問題を教えていただきたいな」

 

「あの……僕を間に挟んでもめるのやめてくれない?」

 

 二人の喧嘩を聞いている間に闘技場へ六本足に鎌を持つクリーチャー“アクレイ”や複数の目を持つ獰猛な獣“ネクスー”のび太からすればサイと似たようなクリーチャー“リーク”が運ばれてきた。

 

「うわぁ……すっごい嫌な予感がするよ」

 

「彼女が危ない!」

 

「アナキン、落ち着け」

 

「落ち着いてなんかいられませんよ!彼女は」

 

「アニー、横を見て」

 

 のび太とオビ=ワンに言われて横へ視線を向けるアナキン。

 

 いつの間にかパドメは手錠の片側を外して柱をよじ登っていた。

 

 自分達よりも行動的な彼女の姿に絶句しているアナキン。

 

 アクレイがオビ=ワンに接近するも鎌をうまく利用して手錠の鎖を破壊して次々から繰り出される攻撃を回避する。

 

 アナキンは突進してきたリークを回避する。

 

 かなり勢いのある突進はアナキンを拘束していた柱を壊したばかりか、隣ののび太の柱を壊す。

 

「げほっげほっ!」

 

 土埃にせき込みながら倒壊した柱から脱出するのび太。

 

 周りを見るとオビ=ワンはアクレイと戦い、アナキンはリークの背中に飛び乗るとパドメを狙っていたネクスーを仕留めると闘技場内を走り回っている。

 

「何か使える道具は……」

 

 追いかけてくるジオノージアンから逃げながらのび太は奪われなかった四次元ポケットから出した道具をオビ=ワンへ投げる。

 

「おい、こんな時に食べ物か!?」

 

 オビ=ワンは受け取った袋の中に入っている団子をみて叫ぶ。

 

「マスター!それは桃太郎印のきびだんごです!それを食べさせればどんな生き物もいう事を聞きますよ!」

 

「本当だろうな?非常事態だ。仕方ない」

 

 道具を見たアナキンの叫びに過去の出来事を思い出したオビ=ワンは袋からだんごを一個取り出し襲い掛かってくるアクレイの口へ放り投げる。

 

 口の中に入っただんごを咀嚼しながらゴクンとアクレイが飲み込んだことを確認してオビ=ワンは叫ぶ。

 

「よし、檻へ戻るんだ」

 

 叫んだオビ=ワンの眼前へアクレイの鎌が振り下ろされた。

 

「……」

 

 振り下ろされた鎌をみて、アクレイをみて、オビ=ワンは脱兎のごとく逃走した。

 

「おい!どういうことだ!?全くいう事を聞かないぞ!」

 

「そんなはずは……」

 

 戸惑いながらのび太はオビ=ワンのだんごが入っている袋をみた。

 

「あ!?」

 

 だんごの袋を見て目を丸くしたのび太。

 

「それ、桃太郎印じゃない!おしり印だ!」

 

 

 本来の桃太郎印のきび団子は桃と葉っぱが描かれているのだが、オビ=ワンの手の中にある袋のデザインは葉っぱがなく、おしりらしきものが描かれている。

 

「はぁ!?」

 

「なんでそんなものを出すんだよ!?」

 

「あ、慌てていたんだよ!?」

 

 のび太は慌ててポケットへ手を入れようとした時。

 

 アクレイに異変が起きる。

 

 目を丸くして腹部へ鎌を当てるアクレイ。

 

 次第に体中から嫌な汗を拭きだすと近くにいたジオノージアンを薙ぎ払ってどこかへ去っていく。

 

「どういうことだ?」

 

「おしり印は即効性の下剤だから」

 

「腹を下したわけか」

 

 なんともいえない表情を浮かべるオビ=ワン。

 

 脱出のために四次元ポケットへ手を入れようとした時、ジェットパックを使ってジャンゴ・フェットが現れる。

 

「ジャンゴ・フェット」

 

「今度こそ、決着をつけようじゃないか……ジェダイ」

 

「ノビタ、一人で相手をするのは危険」

 

「おっと」

 

 ブラスターがオビ=ワンの足元へ直撃する。

 

「そっちは大人しくしてもらおうか。一対一の……男同士の戦いだ」

 

 ジャンゴ・フェットの低い声にのび太は四次元ポケットへ手を入れる。

 

 互いに睨みあったまま一歩も動かない。

 

「(久しぶりだぜ。ここまで緊迫した空気、色んな奴を相手してきたが間違いない。コイツは最強だ)」

 

 ホルダーへ手を伸ばしながら全身の神経を集中させるジャンゴ。

 

「(大丈夫、落ち着いていつも通りやればいいんだ。フォースもそうだけど、僕の射撃の腕は誰だって負けないんだ)」

 

 のび太はコーヤコーヤ星で戦った相手、ギラーミンに勝利したことを思い出しながらも全身にフォースを纏う。

 

 一歩も動かない状況の中で、すっきりして戻ってきたアクレイが近くにいたジオノージアンを始末する。

 

「!!」

 

「!!」

 

 ジャンゴ・フェットはトリガーへ指を伸ばす。

 

 のび太は四次元ポケットへ手を入れた。

 

 ブラスターの音と空気の音が響く。

 

「いっつぅぅ」

 

 膝をついたのび太。

 

「……ナ、ニィ?」

 

 ドサリと音を立てて倒れるジャンゴ・フェット。

 

「ノビタ!」

 

 膝をついたのび太へ近くにいたオビ=ワンが駆け寄ってくる。

 

 オビ=ワンがみるとのび太の肩から少しばかり血が流れていた。

 

「大丈夫です、かすり傷だから」

 

「どういう、つもりだ」

 

 ジャンゴ・フェットが起き上がる。

 

 ヘルメットが地面に落ちて隠れていた彼の素顔が現れていた。

 

「その武器は殺傷能力がないな!どういうつもりだ!」

 

 のび太の右手、すっぽりと覆っている黒い筒。

 

 “空気砲”が装着されていた。

 

「決闘だけど、殺し合いをするって言っていないし……何より」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――貴方は悪人だけど、心から悪い人に思えなかったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハッ」

 

 のび太からの言葉にジャンゴ・フェットは呆れた表情の後に笑い出す。

 

「え?」

 

「ハハハハハッ、貴様みたいなバカな奴に負けたのか、なんて笑える話だ」

 

「褒められている?」

 

「私が思うに、一応、褒められていると思うぞ?」

 

 戸惑っているのび太とオビ=ワン。

 

 その間にドロイデカとバトルドロイドが包囲していた。

 

「伯爵、何のつもりだ!」

 

 ジャンゴは自身に向けられている銃口に驚きの声を上げる。

 

「キミは素晴らしい働きをしてくれた。だが、負けたのであればもう用済みだよ。ご苦労だった」

 

 伯爵の言葉にジャンゴは舌打ちする。

 

「これならギャラをもらってさっさとトンずらすべきだったな」

 

 身構えるジャンゴだったが、急にドロイドが動きを止める。

 

 のび太達がドゥークーの方を見ると紫のライトセーバーを構えているメイス・ウィンドゥがいた。

 

 彼の剣先はドゥークーへ向けられている。

 

「マスターウィンドゥ、遠路はるばるキミが来てくれて嬉しいよ」

 

「パーティは終わりだ」

 

 共和国と戦争をするために集められたガンレイや分離主義勢力の連中が狼狽えている中でドゥークーは表情を崩さない。

 

「愚かだな、嘗ての友よ。多勢に無勢だ」

 

「そうかな?」

 

 闘技場の至る所で輝くライトセーバー達。

 

 アナキンやオビ=ワン、のび太達を助けるために多くのジェダイが集まっている。

 

「まずい!逃げよう!」

 

「慌てることはない」

 

 沢山のジェダイがいることに慌てるガンレイだが、ドゥークーが指を鳴らす。

 

 すると、ウィンドゥがやってきた通路から機械の稼働音が聞こえてくる。

 

 振り返ると最新型のバトルドロイドが腕の武器を構えた。

 

 ドロイドに追い立てられるようにウィンドゥは観客席から闘技場へ降り立つ。

 

 そこからドロイドとジェダイの戦いが始まる。

 

 次々と現れるドロイド達へライトセーバーを構えたジェダイ達がブラスターをはじき返しながら応戦していく。

 

 ジャンゴ・フェットは自身も標的にセットされていることに気付いてドロイドを撃退しながら隠し持っていたライトセーバーをのび太へ返す。

 

「ジェダイ!」

 

「ありがとう!」

 

 緑色の刃を起動させて近づいてきたバトルドロイドを両断する。

 

「助けてくれるの?」

 

「賞金稼ぎを従わせたいなら金を払え……それか」

 

 のび太を背後から狙おうとしたドロイドへブラスターを撃ちこむ。

 

「賞金稼ぎを倒せるほどの実力を持っていることを証明することだ」

 

 緑色のライトセーバーの刃がジャンゴのすぐ横を通過した。

 

 彼を狙おうとしていたバトルドロイドの頭部が溶けて地面に倒れる。

 

「それなら問題ないね」

 

 離れたところでオビ=ワンやアナキンも仲間から受け取ったライトセーバーで応戦している。

 

「ノビタ!」

 

「マスター!」

 

 任務で離れていたクワイ=ガンがライトセーバーを振るいながらのび太へ声をかける。

 

「任務の方は?」

 

「無事に片づけてきた!しかし、この数のドロイドは参るな」

 

「マスターならまだ大丈夫ですよ!」

 

「人を年寄り扱いするんじゃない」

 

 緑色のライトセーバーを操りながらブラスターを弾き、ドロイドの頭部を切り落としていく。

 

 パドメもドロイドから奪ったブラスターで勇敢に戦っていた。

 

 しかし、ドロイドの数は多く、一人、また一人とジェダイが倒されていく。

 

 じりじりと縮まっていくドロイドの包囲網。

 

 突如、ドロイド達が動きを止めた。

 

 突然の事に戸惑うジェダイ達。

 

「マスターウィンドゥ!」

 

 そんな彼らにドゥークーが呼びかける。

 

「キミたちは勇敢に戦った!この戦いはジェダイのアーカイブに記録される価値があるだろう!だが、ここまでだ。降伏しろ。そうすれば命は助けてやる」

 

「捕虜となって交渉の材料になるつもりはないぞ!ドゥークー!」

 

 周囲を警戒しながらウィンドゥは叫ぶ。

 

「それでは残念だ」

 

 ドゥークーが手を下すと構えを解いていたドロイド達が一斉に銃口を向けてくる。

 

 ライトセーバーを構えなおすジェダイ達。

 

「あれをみて!」

 

 ブラスターを構えたパドメが空を指す。

 

 ジェダイやドゥークー達が空を見上げると複数の戦闘機が次々と降りてくる。

 

「クローン兵士だ!」

 

 のび太の叫び通り共和国の元老院の承認が下りたことに設立された共和国軍のクローン・トルーパー達をヨーダが受領して救援に駆け付けたのだ。

 

 低空強襲トランスポートが次々と闘技場内のドロイド達を倒していく。

 

「乗り込むんだ!」

 

 ウィンドゥの指示でトランスポートへ乗り込んでいく。

 

 周辺を警戒しつつトルーパーがブラスターでドロイドを破壊する。

 

「俺はここまでだ」

 

 近くのトランスポートへ乗り込もうとするのび太へジャンゴ・フェットが告げる。

 

「これ以上お前達と一緒にいたら牢獄にぶち込まれてしまうからな、こっちは勝手に逃げるとする。ボバにもしもの手段として逃走の準備はしてある」

 

 のび太は引き留めるか少し考えて。

 

「わかった。でも、また何かあったら協力してよ」

 

 彼を一緒に連れていくべきではないと判断する。

 

「ギャラ次第だな」

 

 ジャンゴの言葉にのび太は笑う。

 

「そうだ、これを」

 

 ブラスター・ピストルが収められたホルスターをのび太へ投げる。

 

 驚きながらものび太は受け取った。

 

「これ……」

 

「ジェダイの技についてはわからないが、お前の射撃の腕は腐らせるに勿体ない。それを使え、最高の賞金稼ぎの武器だ。最高に頼りになるぞ」

 

「……ありがとう!」

 

 のび太はライトセーバーの反対側にブラスター・ピストルを装着する。

 

「またね。賞金稼ぎ」

 

「またな、ジェダイ」

 

 飛翔するトランスポートからのび太は手を振る。

 

 ジャンゴ・フェットはサムズアップすると近くのドロイドを火炎放射で破壊しながら逃走を開始した。

 




というわけでジャンゴは生存です。

その結果、ボバに降りかかる災難のいくつかは回避されます。



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ジオノーシスの戦い(後編)

連続投稿です。

前の話を見てない方は、前の話から見てください。




 

 ヨーダが率いて救援に駆け付けたクローン・トルーパー達は連携を取りながらジオノーシスのドロイド軍と戦いをはじめる。

 

 低空強襲トランスポートをはじめ、ウォーカーと呼ばれる機動兵器や固定砲台など、様々なものを用いて分離主義勢力のドロイドや宇宙船を破壊していた。

 

 トランスポートから降りたウィンドゥや他のジェダイ達もクローンの小隊を率いて戦闘をはじめる。

 

「僕達も地上へ降りた方がいいのかな?」

 

「あそこをみて!ドゥークーよ!」

 

 のび太が提案した時、パドメがスピーダーに乗っているドゥークーを発見する。

 

「パイロット!撃ち落とせ!」

 

「残弾ゼロです!」

 

 救出するために消費しすぎたのだろう。

 

「なら、低空飛行で追跡だ!」

 

「奴を捕まえれば、この戦いは終わる!」

 

 オビ=ワンの言葉通り、分離主義勢力を束ねているのはドゥークー。

 

 彼を確保することが出来れば分離主義勢力は空中分解。この争いに終止符を打つことが出来る。

 

 戦いを終わらせるためにドゥークーの追跡を開始した。

 

 しかし、ドゥークーは追跡者の存在に気付いていたらしく、護衛機に指示を出してトランスポートの背後へ回り込む。

 

「後ろに回られた!」

 

「撃墜されないように回避運動を!」

 

 急激に揺れるトランスポート。

 

 皆が手すりを掴んで落ちないようにしがみついていた。

 

 その時、大きく揺れた衝撃でパドメが外へ落ちる。

 

「パドメ!」

 

「ぼく――」

 

「私が行こう!」

 

 のび太が取り出したタケコプターを掴んでクワイ=ガンが外へ飛び出す。

 

「マスター!」

 

 オビ=ワンが飛び出そうとしたのを傍にいたトルーパーが止める。

 

「すぐに戻るんだ!」

 

 アナキンが叫ぶもオビ=ワンが止める。

 

「ダメだ!ここでドゥークーを逃しては多くの星系に戦火が広がる!」

 

「でも、彼女が!!」

 

「クワイ=ガンが助けに向かった!彼がいれば彼女は安全だ」

 

 顔を歪めながらアナキンはパドメの身を案じていた。

 

 彼の気持ちを理解しながらオビ=ワンはアナキンの肩へ両手を置く。

 

「ドゥークーと戦うとなると私一人ではだめだ。アナキン、お前の力が必要なんだ」

 

「……すいません、マスター」

 

「もし、クワイ=ガンがいなければ、私が飛び出していたかもしれん」

 

 俯くアナキンへオビ=ワンが笑みを浮かべながら告げる。

 

 ドン!

 

 護衛機の攻撃がトランスポートを掠めたらしい。

 

 衝撃に驚きながらアナキン達が後ろを見る。

 

「このままじゃ、こっちが先に落とされてしまいます」

 

「だが、こちらの武器は何もない。今は躱すだけで」

 

 精一杯と言おうとしたオビ=ワンの言葉を遮るように護衛機が派手な音を立てて爆発する。

 

「何が起きたんだ?」

 

「あれだ!」

 

 オビ=ワンがある方向をみる。

 

 大きく旋回しながら残りの護衛機へ攻撃を仕掛けるのは緑色のジェダイ・スターファイター。

 

「R3!」

 

 のび太の叫びへ答えるようにくるりと回転するスターファイター。

 

 のび太の危機を察知したR3は着陸していた場所から避難。宇宙空間で様子をうかがっていたのだが、クローン軍の到着で発見が遅れながらものび太の危機へ駆け付けたのである。

 

 R3の操縦で残りの護衛機も撃墜される。

 

 トランスポートへ並ぶ形でスターファイターが接近した。

 

 軽快な音を鳴らしているR3の姿は「どうだ?凄いだろう」といっているようにみえる。

 

「最高のドロイドだな」

 

「うん!」

 

 アナキンの言葉にのび太は頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やがて、ドゥークーは格納庫の入口でスピーダーを乗り捨てると足早に中へ入っていく。

 

 アナキン達の乗るトランスポートはゆっくりと格納庫近くで浮遊する。

 

「戻って補給を済ませるんだ。そして、増援を連れてきてくれ」

 

「了解!」

 

 パイロットはアナキン、オビ=ワン、のび太が下りたことを確認すると来た道を戻るように飛行する。

 

 スターファイターは着陸してソケットからR3が出てくる。

 

「R3はここで増援を待っていて。僕達が先に行く」

 

 了解というように合図したR3を残して三人は格納庫の中へ足を踏み入れる。

 

 はずだった。

 

「え?」

 

 のび太の視界の片隅にみえた赤い光。

 

 その正体が何なのか理解する前に腰のホルダーからブラスター・ピストルを取り出して発砲。

 

 襲撃者はひらりと身をかわす。

 

「なんだ!?」

 

「二人はドゥークー伯爵を追って!ここは僕が!」

 

 ブラスター・ピストルで牽制しながらのび太は二人を促す。

 

「ノビタ!でも!」

 

「大丈夫!僕もすぐに追いかけるから!」

 

「アナキン、ここはノビタに任せよう」

 

「マスター!?」

 

「ノビタ!」

 

 咎めるアナキンを抑えてオビ=ワンは尋ねる。

 

「すぐに追いつくな?」

 

「勿論!」

 

「アナキン、ノビタを信じるんだ」

 

「でも……」

 

「アニー!すぐに追いつくから先に行って!」

 

 振り返りながらのび太は笑みを浮かべる。

 

「フォースとともにあらんことを!」

 

 アナキンは顔を歪めながら。

 

「すぐにくるんだぞ!待っているからな!」

 

 そういって二人は格納庫へ踏み込んだ。

 

 のび太はブラスター・ピストルをホルダーへ戻す。

 

「へぇ、ジェダイの癖に銃を使うとはねぇ」

 

 ゆらりと現れたのはスキンヘッドの女性。

 

 しかし、全身から迸る冷たいフォースからのび太は相手が只者ではないと知る。

 

「そういう貴方は……ジェダイじゃないよね?」

 

「当然さ、アタシはシスの精神を継ぐものさ!ジェダイなんかと一緒にしないでもらいたいいね」

 

 憎悪に顔を歪めながら二本の赤いライトセーバーを起動する。

 

「アンタはここで殺すよ。ジェダイ」

 

「悪いけど」

 

 緑のライトセーバーを起動する。

 

 セーバーを顔のすぐそばで構えた。

 

「友達との約束があるから死ぬわけにはいかないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 公式に記録されていないがドゥークーの弟子であるアサージ・ヴェントレスがジェダイの前に姿をみせた時である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドゥークーに追い付いたアナキンとオビ=ワンだったが、終始、ドゥークーに圧倒されていた。

 

 のび太の事が心配だったアナキンは冷静さを欠いて突撃をしてしまい、ドゥークーのフォースライトニングを受けて倒れてしまう。

 

 止めようとしたオビ=ワンにもフォースライトニングを放つがライトセーバーで受け流す。

 

 オビ=ワンの動きにフォースではなくライトセーバーを取り出して戦いを始める。

 

 しかし、ドゥークーは終始、オビ=ワンを圧倒。

 

 彼の手足を傷つけて身動きをとれなくした。

 

 とどめを刺すというところで意識を取り戻したアナキンが乱入。

 

 ライトセーバーでドゥークーの攻撃を阻む。

 

「勇敢だな。だが、まだまだ修行中の筈だったと思うが?」

 

「修業中でも、マスターが殺されるのを黙ってみていられないんでね」

 

 ドゥークーにさらなる攻撃を仕掛けるアナキン。

 

「アナキン!」

 

 オビ=ワンの持っていたセーバーを受け取り、二刀流の型でドゥークーへ挑む。

 

 何度か刃をぶつけあいながらも片方のセーバーをあっという間に破壊されたアナキンは焦りを感じつつもセーバーを振るう。

 

「焦りを感じるぞ?まだまだ未熟だな」

 

「そうかな?僕の力はこんなものじゃないぞ」

 

 バチバチとぶつかりあう赤と青のセーバー。

 

 しかし、ドゥークーは強かった。

 

 彼と負けて地面に倒れるアナキン。

 

 そんな彼を冷たく見下ろしながらドゥークーはセーバーを構える。

 

「もう少し研鑽を積むべきだな。坊や。無謀すぎるというものだ。代償として右腕の一つでも頂こうか」

 

 振り下ろそうとするドゥークー。

 

 その時。

 

「ひらりマント!」

 

 タケコプターで飛行しながらやってきたのび太の手の中にあるひらりマントによって刃の軌道がそれて、近くの機材を切り裂く。

 

「む!」

 

 驚きの表情を浮かべていたドゥークーだったが、続いてやってきた存在に目を見開く。

 

「マスター、ヨーダ!」

 

「久しぶりじゃのう、伯爵」

 

 マスターヨーダの登場に警戒を強めるドゥークー。

 

「ノビよ、二人を守るのじゃ」

 

「……僕も」

 

「手出しはいかん。ここで儂と伯爵の戦いを見るのも修行じゃ」

 

「古き友よ。昔の私だと思わないことだ。私はより強くなった!」

 

 のび太に動くなと伝えるヨーダへドゥークーはフォースライトニングを放つ。

 

 ヨーダはフォースでライトニングを受け流す。

 

 それから機材を壊し、フォースでぶつけようとするもヨーダに防がれる。

 

「フォースでは決着がつかないようだ。ならば、セーバーで」

 

 一度は収納したライトセーバーを起動して構えるドゥークー。

 

 ヨーダは杖を置いて、ローブを動かしてフォースの力でライトセーバーを手に取る。

 

 起動する緑の刃。

 

 小さい体を縦横無尽に飛び跳ねるヨーダ。

 

 ドゥークーは先ほどと異なり動き回るヨーダの攻撃を防いでいた。

 

「凄い」

 

 ヨーダとドゥークーの戦いを見ているのび太は息を飲む。

 

 戦いは終始ヨーダが圧倒しているように見えた。

 

 しかし、ドゥークーは僅かな隙をついて、壁に設置されていた機材をフォースで壊して落とす。

 

 その先は倒れているアナキンとオビ=ワン。

 

「わっ!」

 

 のび太は咄嗟にフォースで受け止めようとする。

 

 しかし、ドゥークーが次々と落としてきた機材に力負けしそうになった。

 

「!」

 

 ヨーダはドゥークーとの戦闘を中断してのび太へ加勢する。

 

 その間にドゥークーは船に乗り込んで逃走してしまう。

 

「ふぅ!」

 

 ヨーダの手助けを借りながら機材を安全な場所へ下ろすことに成功したのび太。

 

「伯爵を逃がしてしまったの」

 

「追いかけましょう!」

 

「手遅れじゃ」

 

 杖を拾いながらヨーダは首を振る。

 

 少しして、クワイ=ガン、パドメとトルーパー達が格納庫へ駆け付ける。

 

 案内役として先陣をきったR3は勇ましさをみせるように軽快なリズムをとりながらやってきた。

 

「もう、終わったよ」

 

 そんなR3へのび太は告げる。

 

 しょぼんとするようにR3はリズムを止めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、ジオノーシスの戦いは終わりを告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドゥークー伯爵がシスは元老院を支配しているといっていました。信じられますか?私は信じられない……いや、信じたくありません」

 

 ジェダイ聖堂の一室。

 

 そこでオビ=ワン、ウィンドゥ、ヨーダの三人は話し合っていた。

 

「ドゥークーはダークサイドに与しておる。嘘と欺瞞、疑い惑わすのが奴らの手段じゃ」

 

「だが、元老院へ監視の目を向ける必要はある。」

 

 シスは裏切りや騙すことが常套手段。

 

 何もかも信じていては足元をすくわれる。

 

 しかし、消されていたカミーノの座標、秘密裏に製造されていたクローン。

 

 謎が多い状況下において、すべて嘘と断じることはできない。

 

 政治に疎いジェダイだからこそ、余計に気を張らなければならない事態となっていた。

 

「アナキンとノビタは引き続きアミダラ議員の護衛でナブーへ向かっています。その、ノビタについての質疑は戻ってからになるかと」

 

 言葉を詰まらせるオビ=ワン。

 

 記憶を消されていたとはいえ、のび太はクローン製造に関わっていた。

 

 そこから何か糸口が掴めるかもしれないと評議会は考えている。

 

「記憶を消されているとはいえ、情報が知りたい、ノビには悪いが確認せねば」

 

 ウィンドゥは疲れたように息を吐く。

 

「多くのジェダイが失われる戦いとなった」

 

「認めざるを得ません。クローンがいなければ勝利はありませんでした」

 

 オビ=ワンの言葉にヨーダが首を振る。

 

 その表情は険しい。

 

「勝利?勝利といったか?オビ=ワンよ。勝利ではない。はじまったのじゃ、シスのとばりが降りてきた」

 

 これから先の未来を憂いながらヨーダは告げる。

 

 長い戦いの始まり。

 

 ジェダイとシス、そして銀河中を巻き込むことになる最悪の戦い。

 

「クローン戦争のはじまりじゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コルサントの一角。

 

 パルパティーン最高議長をはじめとした元老院達は隊列を組んでいるクローン・トルーパーをみている。

 

 ウォーカーやトランスポート、そして宇宙へ飛び立つクルーザー。

 

 これから戦争が始まる。

 

 共和国と分離主義勢力との。

 

 その先に平和があると元老院の者達は信じている。

 

 ベイル・オーガナは戦争がはじまったことに悔しさを感じながらトルーパー達をみていた。

 

 クローン戦争のはじまりだ。

 

 




次回でクローンの攻撃は終了。

その後、番外編をいくつか挟んで、クローン・ウォーズ。

アンケートは次の話の投稿まで残しておきますが、モールはともかく他の票次第かなぁ。



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幸せな未来を信じて

これでエピソード2は終了。

次回と次々回は番外編を入れて、クローン・ウォーズへ突入する予定です。

クローン・ウォーズはあまり長くやらずに、シスの復讐へ行きたいと思っております。




「えぇ!?アニー、ジェダイの服のままなの!」

 

「これ以外に服がないんだから仕方ないだろ」

 

 惑星ナブー、アミダラ議員の護衛の為にきているのび太とアナキン。

 

 しかし、ここであることが行われようとしていた。

 

「結婚式なんだから、タキシードとか着ようよ」

 

「タキシードが何かわからないけど、この格好しかないのは知っているだろ?」

 

 アナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラの結婚式。

 

 ジェダイは恋愛や結婚が禁じられている。バレれば、追放などがあり得る。本来なら止めるべき立場にあるのび太なのだが、むしろ祝福して結婚式を提案したのだ。

 

「そんなアニーの為に」

 

 のび太が四次元ポケットへ手を入れて取り出したのはきせかえカメラ。

 

「これは自分が描いたものにきえかえることができるカメラなんだ。事前にパドメからもらっていたアニー用のスーツをセットして」

 

 カメラをアナキンへ構えてシャッターを押すとジェダイの服装からパドメの希望したタキシード姿へ変わる。

 

「うわっ、相変わらず凄い道具ばかりだな」

 

「まぁね」

 

 自分の服装が変わったことに驚いたアナキン。

 

 純白のタキシード姿に微笑むのび太。

 

 少ししてのび太へアナキンは真剣な表情を向ける。

 

「その、すまない。ノビタ……本当なら誰にも知らせないつもりだった。でも、ノビタに知っておいて欲しくて、祝ってほしいと思ったんだ」

 

「むしろ、呼んでくれて僕は嬉しいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そして、サプライズだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アニー」

 

 聞こえた声に顔を上げるアナキン。

 

 そこにいたのは母であるシミ。

 

「母さん、どうして!?」

 

「ノビタが連れて来てくれたの」

 

「二人で挑んだどこでもドアの改造が成功したからね。タトゥイーンからここまであっという間だったよ」

 

 驚いているアナキンの手をシミは優しく触れる。

 

「貴方の結婚式がみられるなんてとても嬉しいわ」

 

「僕も……僕も来てくれて嬉しいよ。母さん」

 

 泣いているアナキンの頭を優しく撫でるシミ。

 

 のび太へパドメが声をかける。

 

「サプライズは成功という事かしら?」

 

「まぁね」

 

「貴方には本当に感謝してもしきれないわ。ノビタ」

 

「いやぁ、そんなぁ」

 

 照れるのび太。

 

「あぁ、ダメです。私、こういう場面に弱いんです」

 

 後ろでC-3POが手で顔を覆い、R2とR3が感動したような音を鳴らす。

 

「まぁ、成功して良かったよ」

 

 どこでもドア(改造版)は十年をかけて二人で挑んだものだ。

 

 本当なら銀河系どこでもいけるようにという意図があったのだが、地図のインストールがうまくいかず、失敗続き。

 

 最近になってなぜかタトゥイーンの座標を入力することに成功した。

 

 再会を喜ぶ二人の姿を見ているとうまくいって本当に良かったとのび太は思う。

 

「二人の結婚式に呼んでくれたことが僕は一番の幸せだよ」

 

「……でも、秘密がばれたら」

 

「そうなったら僕とアニーはジェダイをやめないといけないけれど、それは今じゃないと僕は感じている」

 

 少し間を置いてから恐る恐る、のび太は尋ねる。

 

「パドメは、そのアニーとの結婚は嫌だった?」

 

「そんなことないわ!彼は純粋で優しい。でも、ジェダイである彼を苦しめることになるかもしれない」

 

「大丈夫だよ!アニーは一人じゃない。パドメがいる。何より、僕だっているんだ。すぐにどうこうできなくてもいつかは、うん、いつかはなんとかなるかもしれない」

 

 希望がないわけじゃないんだ。

 

 のび太の力強い言葉にパドメは救われたように笑みを浮かべる。

 

「ありがとう、ノビタ。貴方がアニーの親友で本当に良かった」

 

「いやぁ、それほどでも」

 

「パドメ」

 

 母との再会を終えたアナキンが声をかける。

 

 ジェダイの服装でなく、パドメが描いたタキシード姿。

 

 そして、パドメも結婚用のドレスに着替えていた。

 

 二人や互いの手を優しく握りしめる。

 

 アナキンは周囲を見る。

 

 親友ののび太、ドロイドの3PO、R2、R3、パドメの親友コーデ、そして、母であるシミ。

 

 神父の言葉を聞きながら最後にパドメをみる。

 

 自分の最愛の人。

 

 この結婚式は決して外へ漏れてはならないもの。

 

 バレたらアナキンはジェダイでいられなくなる。

 

 けれど、今までの短い人生の中でとても幸せなものだった。

 

 その幸せが続いてくれることをアナキンは願う。

 

 パドメと向き合い、アナキンはゆっくりと彼女へ近づいて優しくキスをする。

 

 夫婦になることは秘密。

 

 けれど、彼らに祝えてもらうことはとても嬉しかった。

 

「そうだ。記念撮影しよう!」

 

 のび太が四次元ポケットから取り出したのは普通のカメラと三脚だ。

 

「タイマーをセットするからみんな、並んで!」

 

 のび太に言われて真ん中にアナキンとパドメ、周囲をシミ、コーデ、3PO、R2、R3が並ぶ。

 

 タイマーの点滅が早くなり、滑り込むようにしながらのび太が入ったところでカメラのシャッターが切られる。

 

「すぐに現像は厳しいけれど、いつか、二人へプレゼントするから」

 

 約束して四次元ポケットへ仕舞うのび太。

 

 いつまでもこんな幸せな時間が続いてほしい。

 

 奇しくも全員が同じ気持ちを抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、彼らは知らない。

 

 運命という残酷なレールは走り出しているという事を。

 

 これからはじまるクローン戦争。

 

 そして、シスの思惑によって最悪な未来が待っていることを。

 

 この中にいる誰も知らなかった。

 

 

 

 




短いですけど、今回はここまで、




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ダース・シディアスの苛立ち

今回、シスサイドのお話です。

番外編で、短いです。




 

 コルサントのどこか。

 

 ジオノーシスから脱出したドゥークー伯爵を一人の人物が出迎える。

 

 彼をアプレンティスとして鍛え、ジェダイへ復讐を画策する者。

 

「マスター、計画は順調です」

 

「素晴らしい。我が弟子よ」

 

 弟子のダース・ティラナスの言葉にマスターであるダース・シディアスはフードの中で笑みを浮かべる。

 

「これから戦争が始まる」

 

「そうです、このすべてが終わった時、新たな平和がやってくる」

 

 ドゥークーは共和国の腐敗を嘆いていた。

 

 何もしないジェダイ評議会に絶望し、強い力を持つシスの勧誘を受ける。

 

 シディアスの計画を聞いたドゥークーは賛同し、サイフォ=ディアスを殺害することでアプレンティス、ダース・ティラナスとなった。

 

 そして、シディアスの計画の為に分離主義勢力を集めて共和国との戦争を起こす。

 

「こちらが、最終兵器のデータです」

 

 ジオノーシスから脱出する際、ドゥークーはジェダイに気付かれないように計画を進めている最終兵器の設計図のデータを手に入れた。

 

 これがジェダイへ渡れば計画は頓挫してしまう。

 

 彼の求める強い国家、最強の国の建造が夢のまた夢となってしまうのだ。

 

「すべてが計画通りに進んでいる」

 

「えぇ、この戦争ですべてが変わります」

 

 彼の思い描く未来を想像して笑みを深めるドゥークー。

 

 しかし。

 

「(だが、もう一つの方の計画は思う様に進んでおらん)」

 

 ドゥークーに気付かれないようにフードの中のシディアスの表情は険しかった。

 

 伯爵を仲間に引き入れて戦争を起こす。

 

 ジェダイを疲弊させて、根絶やしにする。

 

 シスは裏切りが常套句。

 

 ドゥークーは元ジェダイ故にそこを深く理解していない。

 

 不要になれば、弟子であろうと切り捨てる。

 

 それがシス。

 

 シディアスはかつての師を殺した時の事を思い返す。

 

 あの時から彼の目的は変わらない。

 

 全てが順調に進んでいれば、心からシディアスは喜んでいただろう。

 

 ドゥークーを切り捨てた後に手に入る予定の強い弟子。

 

 その弟子を手に入れるための準備がうまくいっていない。

 

 少し前に話をした時からそうだ。

 

 彼の中にある絶望、深い恐怖。

 

 それらすべてが薄れていた。

 

 さりげなく誘導を試みようとしていても成長している心や精神がはねのけている。

 

 これもすべて。

 

「(あの小僧め……)」

 

 フードの中でシディアスは顔をしかめる。

 

 何もかも、あの小僧が現れてからだ。

 

 邪魔者のヴァローラムの暗殺の失敗、不要だから始末しようとしたのに失敗した。

 

 今は遠方の地にいるが、あの小僧を気に入って手助けしている可能性がある。

 

 そして、何より、あの目が気に入らない。

 

 恐怖や絶望を知らない、赤子の様に純粋無垢のような瞳

 

 あれを間近でみているだけでセーバーを使ってぐちゃぐちゃにしてやりたい激しい怒りをシディアスは必死に抑え込んでいる。

 

 ジェダイ一掃の未来に陰りはない。

 

 だが、若くて強い弟子が手に入る未来が全く見えない。

 

 これでは自分の思い描く計画に修正をいれなければならない。

 

 ジェダイを抹殺しても、弟子が手に入らなければ意味がないのだ。

 

 シディアスは予備で考えていた計画を実行に移すことを検討していた。

 

 全てはこの戦争次第。

 

 クローン戦争で決めてしまおう。

 

 新たな弟子を手に入れる事を諦めるか。

 

 新たな弟子を“造る”ことにするかどうか。

 

 そう、計画はまだ途中だ。

 

 慌てて修正を入れる必要はない。

 

 ジェダイを抹殺するために長い年月を待ったのだ

 

「もう少し待つくらい、造作もない」

 

 広がるコルサントの光景を見ながらシディアスは笑みを深めた。

 

――ジェダイの最後をみるのが楽しみだ。

 




次回はおバカな番外編を予定しております。


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どら焼き

今回、頭を空っぽにして読んでいただけると幸いです。
この話はギャグです。
シリアス、本編のネタバレは一切ありません。

むしろ、趣味です。

それでもいいよという方は読んでいただけると嬉しいです。




 

 

 

 

 

 

 

 

 今回、一部のキャラ崩壊が起こります。

 

 これもすべて、ドラえもん世界のどら焼きが原因です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん?」

 

 ジェダイ聖堂を歩いていたオビ=ワンはある室内から漂ってくる香りに気付いた。

 

「なんの香りだ?」

 

 疑問を抱きながら一室の中へ入るオビ=ワン。

 

 そこではアナキンとのび太が何かを作っていた。

 

「おや。マスター、どうしました?」

 

 最初に気付いたアナキンがオビ=ワンへ尋ねる。

 

「いや、何か変わった臭いがしたのでね。二人は……何をやっているんだ?怪しい実験か?」

 

「違いますよ。ノビタが故郷の味を忘れられないということで作っているんです」

 

 アナキンは苦笑しながら隣で四苦八苦しているのび太を指す。

 

 のび太は何かを一生懸命、作業をしていた。

 

「ふぅ、よし!」

 

 やがて満足したのか、鍋の中にあるものを置いてあるパンのようなものにサンドした。

 

「出来上がり!」

 

「それはなんだ?ノビタ」

 

「あ、マスターケノービ、来ていたんですね。食べてみます?」

 

 のび太はそういうとパンでサンドしたものを差し出してくる。

 

「悪いものじゃないだろうな?」

 

「大丈夫です!何度も試食してやっと完成した品です!」

 

 おそるおそるといった感じでオビ=ワンは渡されたものを一口。

 

 しばらく咀嚼して飲み込む。

 

「!?」

 

 驚いた表情をしてオビ=ワンは何度も食べて、あっという間に食べきってしまう。

 

「ま、マスター?」

 

 今までにみたことのないオビ=ワンに戸惑うアナキン。

 

「うまい」

 

「え?」

 

「とても素晴らしい味だ!こんなものを食べたのははじめてだ!」

 

 少年のように目をキラキラさせるオビ=ワンにのび太は面食らう。

 

「こんなマスター、はじめてみた」

 

 驚いているアナキンを他所にのび太は戸惑いながら説明する。

 

「僕の故郷にあるどら焼きっていうんです。友達が大好きだったんですけど、僕も好きで、食べてみたいなぁと思って、似たような材料を集めてようやく完成したんです」

 

 当然というべきなのか、コルサントにどら焼きは売っていない。

 

 食べたいと思って手軽に買いに行けないのだ。

 

 その為、のび太はある伝手を使って似たような材料を集めてどら焼き制作に乗り出した。

 

 これについては、幼いころに助けて気に入られている元政治家のヴァローラム氏に頼み込んだ。

 

 のび太のおかげでテロに合わなかったということで恩人といって気に入っているヴァローラムは完成品を味わうことを条件に協力へ応じてくれた。

 

 銀河のありとあらゆるところから集めた食材を苦戦すること、一年。

 

 ようやくどら焼きが完成したのである。

 

 

 もっとも、この日からのび太はいろいろな意味で苦労する羽目になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何の列だ?」

 

 修業を終えて部屋に戻ろうとしていたナダールは列ができていることに気付いた。

 

 イニシエイトやマスターまで様々な人物が並んでいる。

 

 誰もがワクワクしており、期待や喜びといった感情がフォースを通して伝わっていた。

 

 首を傾げながらナダールは列の先を目指す。

 

 しばらくして、誰も使用していない部屋の前に到着する。

 

「これは……」

 

「おや、ナダールじゃないか」

 

 入口から出てきたのはアナキン・スカイウォーカー。

 

 ただし、いつものジェダイとしての姿ではなく、白い服にエプロン、帽子をつけている。

 

 その姿は。

 

「キミは料理人へ転職したのか?」

 

「まさか、見栄えをよくするようにと言われたからノビタときせかえカメラで用意しただけだ」

 

 疲れた様子のアナキンにナダールは尋ねる。

 

「ところで、これは何の集まりなんだ?」

 

「もしかして、知らないのか?少し前から色々なジェダイが集まってきていたんだが」

 

「いや?私は次のトライアルに向けて修業をしていたんだ。それより、キミ達もそろそろトライアルを受けるんじゃないのか?こんなところで油を売っていていいのか?」

 

「好きで売っているわけじゃないんだ。というのも」

 

「スカイウォーカー!」

 

 部屋の奥から杖を突きながらやってくるのはマスターヨーダ。

 

 真剣な表情でやってきたことから大事な用なのだろうとナダールが思っていると――。

 

「緑茶とどら焼きはまだかの!かれこれ、三十分は待っておるぞ!」

 

「え?」

 

「あぁ、すいません。今、ノビタが仕込みをしておりますから、それが完了したらすぐに!」

 

「待っておるぞ!あれが楽しみで仕方ない!」

 

 笑みを浮かべながら待ち遠しいという表情でヨーダは戻っていく。

 

 ポカンと口を開けて呆然としているナダール。

 

「い、今の、マスター、ヨーダなのか!?」

 

 わかる、わかるという風にアナキンは頷く。

 

「あぁ」

 

「い、い、い、一体、何が!?」

 

「まぁ、説明するとかなり面倒なことになるんだが」

 

 アナキンとのび太がどら焼きを作り上げた翌日。

 

 どら焼き、そして緑茶の存在に興味を示したジェダイ達が集まってきた。

 

 少量が僅かだったことからすぐに売り切れとなり、食べ損ねた一部のマスター達がわずかな貯金をだして、のび太達へ製作を依頼。

 

 それを知ったヨーダは空き室の一部を改装してどら焼きと緑茶を作るためのスペースを用意。

 

 流石に他のマスター達から反感を買うのでは?と懸念していたアナキン達だったが、あろうことか、マスターウィンドゥもGOサインをだしたことでまさかの、どら焼き食堂が開店したのである。

 

「そんなにおいしいのか?」

 

「気になるようなら食べに来てくれ……明日もやっているから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 どら焼きと緑茶に興味を持ったナダールはいくつかの言い訳を用意して列に並ぶ。

 

 一時間と少しして入店に成功する。

 

 品をみたナダールだが、首を傾げてしまう。

 

「どら焼きというのはこんなに種類が多いのか?」

 

 メニューには「どら焼き」から様々な星の調味料がふりかけられたどら焼きが何種類も並んでいた。

 

 当初は普通のどら焼きだけだったのだが、一部のマスターが自分の星の味を所望した為に種類が爆増したのだった。

 

 ナダールは無難にということで普通のどら焼きと緑茶を選んだ。

 

 しばらくして、アストロメク・ドロイドのR3がトレイを頭にのせて運んでくる。

 

「良い匂いだな……それに、シンプルなデザインをしている」

 

 どら焼きを眺めてからおそるおそる一口。

 

「お、おいしい!?」

 

 脳に電撃が駆け抜けたように衝撃を受けるナダール。

 

 続けて一口、さらに一口、そして、大きく口を開けてどら焼きを食べる。

 

 最後に緑茶を飲んで一口。

 

「とても、おいしかった」

 

 満足したナダールの目の端にきらりと涙が落ちた。

 

 それくらい、どら焼きが素晴らしいものだった。

 

 こうして、ジェダイ聖堂内にどら焼きが大流行している。

 

 どら焼き目当てで来る者もいれば、のび太が苦心して作り上げた緑茶を欲する者もいる。

 

 

 

 

 




次回からクローン大戦がはじまります。

映画版をやって、テレビ版のエピソードを少しやったらシスの復讐へ入ります。



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EP.2-5 クローン大戦
パダワン来訪


今回からクローン大戦に突入します。

アンケートの結果を反映しています。

あと、ひみつ道具についてですが、すべてを網羅しているわけでもない事とパワーバランス崩壊する事も嫌なので色々と制限を設けています。





「敵が戻ってきた!」

 

「勝利宣言は早いといっただろう!補給のために船を返したのは間違いだった」

 

「そういう指示をだしたのは貴方です!マスター!」

 

「お願いだから僕の間で喧嘩をしないでよ!」

 

 三人のジェダイの騎士が叫びあう。

 

 アナキン・スカイウォーカー。

 

 オビ=ワン・ケノービ。

 

 そして、野比のび太。

 

 彼らの傍にはクローン・トルーパー達。

 

 アナキンの副官、キャプテン・レックス。

 

 オビ=ワンの副官、コマンダー・コーディも控えている。

 

「レックス!部下を連れていけ!」

 

「コーディ!戦闘配置!」

 

 分離主義勢力のドロイドと共和国軍のクローン達が正面からぶつかり合う。

 

 飛来する砲弾をライトセーバーで切り裂きながらのび太はクローン・トルーパー達と共に戦火の中を駆け抜ける。

 

 道を阻むドロイドをセーバーで両断しながら走る。

 

 離れたところでオビ=ワンが指示を出して、アナキンは高いところから砲撃をしているマグナ・トライドロイドを撃退するための作戦を開始していた。

 

 のび太は囮である。

 

 派手に動き回ってアナキンの動きを察知されないようにしていた。

 

「邪魔だよ!」

 

 遠くから攻撃を試みていたドロイドへブラスター・ピストルを撃つ。

 

 くるくるとピストルを回転させてホルスターへ戻す。

 

 マグナ・トライドロイドをアナキンが破壊した事を確認してのび太は叫ぶ。

 

「邪魔なブリキは破壊されたよ!突撃だ!」

 

「将軍に続けぇ!突撃ぃ!」

 

 走り出したのび太の後に続くようにクローン・トルーパー達もドロイドを撃退していく。

 

 水を得た魚の様に次々と共和国軍によって分離主義勢力は追いやられる。

 

「敵が撤退していくぞ!」

 

「ざまぁみやがれ!」

 

 一時とはいえ、敵を追い払ったことでトルーパー達は喜びの声を上げる。

 

 のび太もホルダーにブラスター・ピストルとライトセーバーを戻す。

 

「お疲れ様だな、ノビタ」

 

「もう少し早く倒せたんじゃない?」

 

「どうだろうな?」

 

 肩をすくめるアナキンに苦笑いを浮かべながらのび太は空を見る。

 

 ゆっくりとこちらへ降りてくるシャトルの姿があった。

 

「シャトルだ」

 

「今度は返さないようにしないとな。さっきみたいなことはこりごりだ」

 

「そうだね」

 

 今度は変な喧嘩をしないでほしいなぁと心の中で思うのび太。

 

「いっておくが僕だけが悪いんじゃない。マスターも大人げないんだ」

 

「僕の心を読まないでよ!?」

 

「ノビタがわかりやすいんだ。フォースを使わなくても手に取るようにわかるぞ」

 

「えぇ?!」

 

 のび太が驚くとアナキンは声を上げて笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジオノーシスの戦いをはじまりとしたクローン大戦。

 

 最初の戦いは共和国の勝利に終わるものの、分離主義勢力の反撃にあい窮地に立たされてしまう。

 

 戦火は各銀河に飛び火して裏切りと策謀が飛び交っていた。

 

 平和の守護者であるジェダイはクローン・トルーパーを率いて各銀河で戦っている。

 

 野比のび太とアナキン・スカイウォーカーもジオノーシスの戦い後にトライアルを受けてパダワンからナイトへ昇格した。

 

 現在はオビ=ワン・ケノービと共に分離主義勢力と戦っている。

 

 今のところ優勢だが、敵対勢力がシールドを展開して進軍をしてくると迎撃する手段がないため、重砲による定期的な攻撃で進軍を遅らせていた。

 

 反撃作戦を行おうにも戦力が足りず、マスターヨーダが連れてくる予定の戦力を待っていた。

 

 待っていたのだが。

 

「なに!?冗談だろ!何かの間違いだ!それか、相手を間違えている!僕じゃないはずだ!」

 

「いいえ、私のマスターはアナキン・スカイウォーカーだと言われました。カルはノビタ・ノビということで聞いています。ね?」

 

「はい」

 

「そんなバカな」

 

「あははは」

 

 信じられないと叫ぶアナキンとなんともいえない表情を浮かべるのび太。

 

 ヨーダが補給として訪れるはずだったシャトルに少女と少年がいた。

 

 二人ともパダワン見習いで、少女はアソーカ・タノ、もう一人はカル・ケスティス。

 

 ヨーダに言われてアソーカはアナキンの、カルはのび太のパダワンとなったという。

 

 尤も、カル・ケスティスはジャロ・タパルのパダワンなのだが、彼が危険な任務に就いているための期間限定パダワンであり、最も安全に任せられるジェダイとしてのび太が選ばれた。

 

 しかし、アナキンは自分にパダワンはまだ早いと言ってオビ=ワンへ預けようとしていた。

 

「とにかく、その件は後にしない?」

 

「ノビタの言う通りだな。一時的に敵を追い払っているだけだ。スキを突かれて重砲を破壊されでもしたら一気にこちらが不利となる」

 

「そうですね、えぇ、そうしましょう」

 

「作戦は?」

 

 のび太が尋ねると傍に控えていたR3がマップを表示した。

 

「最優先にすべきことは敵のシールドジェネレーターを破壊することだ」

 

「重砲でシールドを破壊はできません」

 

 コーディの指摘にアナキンは頷いた。

 

「そこで少数精鋭の部隊を率いてジェネレーターの破壊に向かいます」

 

「ふむふむ」

 

「マスターに囮をお願いしたいのですが……敵を引き付けてほしいんです」

 

「そうなると思ったよ……だが、長く引き付けることはできない」

 

 アナキンの作戦にオビ=ワンは反対意見がないらしく、囮を引き受ける。

 

「じゃあ、さっさと破壊しちゃおう。私はどうすれば?」

 

「破壊チームは僕、じゃじゃ馬娘、ノビタ、そして、ケスティスの少数で行う」

 

「ちょっと!じゃじゃ馬娘って私の事!?」

 

「他に誰がいる?」

 

「スカピョン、酷いよ!」

 

「誰がスカピョンだ!」

 

「マスタースカイウォーカーって呼ぶの長いからスカピョンって愛称をつけたの!いいでしょ?」

 

「やめろ!」

 

 目の前で繰り広げられるやり取りにのび太は自然とため息を吐き、オビ=ワンは頭に手を置いた。

 

 コーディとレックスは「「どこかでみたような光景だ」」と心の中で思いながら口に出さない。

 

「話はまとまったな。囮である私は準備に入ろう。コーディ、ついてきてくれ」

 

「了解です。将軍」

 

 触らぬ神に祟りなしという風に足早に去っていくオビ=ワンとコーディ。

 

 未だに揉めているアナキンとアソーカ。

 

 ちらりと一瞥してからレックスはのび太へ尋ねる。

 

「我々も準備をしますか?」

 

「……そうだね?カル、行こう」

 

「は、はい!」

 

 アナキンとアソーカの喧嘩が終わったのはそれから五分後の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どうやってジェネレーターを破壊するの?」

 

「お前に案があると思っていたぞ」

 

 ジェネレーター破壊チームのアソーカがアナキンへ尋ねる。

 

 やる気に満ち溢れていたが作戦があるというわけでなかったらしい。

 

「ノビタ、あれを出してくれ」

 

「わかった」

 

 のび太は四次元ポケットからあるひみつ道具を取り出す。

 

「それ、なに?」

 

「マント?」

 

 受け取ったアソーカとカルはマントを見て首を傾げていた。

 

「これは透明マントといって、装着すれば姿が見えなくなるんだ」

 

「そんなものがあるの?信じられるわけ」

 

 否定しようとしたアソーカだったがのび太がマントを装着すると姿が消えてしまう。

 

 驚くアソーカとカルの前に再びのび太が現れる。

 

「信じたか?」

 

 揶揄うアナキンの言葉にアソーカは小さく頷いた。

 

「僕に名案がある。連中の進軍する橋の下、タケコプターと透明マントを装着して突き進む。姿が見えないから邪魔もない」

 

「あの、タケコプターとは、なんですか?」

 

 話に割り込むべきか悩みながらカルはアナキンへ尋ねる。

 

「これがタケコプターだよ」

 

 のび太がポケットからタケコプターを取り出す。

 

「これを頭、背中、もしくは腰に装着する。プロペラの稼働音が心配だが、相手はドロイドだ。連中の動きで誤魔化せるだろう」

 

「将軍、こちらの部隊の戦闘準備は整いました」

 

 レックスの言葉にアナキンは頷いた。

 

「じゃじゃ馬娘とカルは二つの道具に慣れていないから僕とノビタの傍から離れるんじゃないぞ」

 

「不安にならなくて大丈夫だよ。透明マントの方はともかくタケコプターはすぐになれるから」

 

「こんなのすぐに使いこなせるわ」

 

「は、はい!」

 

 のび太はカルをみる。

 

 平然としている風にみえるが、タケコプターを持つ手がわずかに震えている。

 

 何より、フォースを通して彼の中に緊張と恐怖が渦巻いていることがわかった。

のび太はちらりとアナキンを見る。

 

 小さく彼が頷く。

 

「僕とじゃじゃ馬娘が先頭だ!レックスは部隊の指示を頼む。しんがりはノビタ。任せる」

 

「うん」

 

「じゃあ、行くぞ!」

 

 タケコプターと透明マントを装着して飛び出すアナキン達。

 

 彼らが飛び出したのに動かないのび太をみて、カルは尋ねる。

 

「ま、マスターノビ。俺達もいかないと」

 

「カルは怖い?」

 

 のび太はカルと目線を合わせる。

 

 見つめられたカルは目を逸らす。

 

「そんなことはない、です。ジェダイは平和の使者です。分離主義勢力が争いを広げるなら止めるのはジェダイの使命だと」

 

「僕はカルの気持ちが聞きたいな」

 

 優しくフォースを使ってのび太が尋ねる。

 

 やがて、おずおずとカルが呟いた。

 

「怖いです。戦闘でこれだけ大きな音がして、熱くて、怖いところだと思ってもいませんでした。少し間違ったら俺は死ぬんじゃないかと、でも、ジェダイがそういう感情を抱くことは間違いだと!」

 

「間違いじゃないよ。ジェダイの前にカルは人だもの。怖いなら怖いといえばいいよ。それに、僕だって怖いから」

 

「え?でも、マスターは強いって」

 

「強くても僕だって人だよ?楽をしたい時だってあるし、昼寝もしたい。戦争なんて、怖くて痛いことは本当ならやりたくない」

 

「なら、どうして」

 

「やらないと、誰かが傷つくでしょ?その方が何十倍も僕は嫌だから……それはアニ……スカイウォーカーやケノービだって、同じ……この戦争を終わらせたいから戦っているんだ」

 

「戦争を終わらせる」

 

「カル」

 

 のび太の言葉に顔を上げた。

 

 先ほどまでの緊張や恐怖はない。

 

「僕一人でやれることには限界がある。でも、一たす一は少なくとも一より強い。だから、僕を手助けしてよ。そうして、早く戦争を終わらせて平和な世の中を取り戻そう」

 

――協力してくれる?

 

 のび太の言葉にカルは頷いた。

 

「勿論です!マスターノビ!」

 

「ありがとう、カル(マスターって呼ばれるの、慣れないなぁ)」

 

 心の中で苦笑しながらタケコプターを装着してカルの手を引きながらのび太も先に飛び出したアナキン達の後を追いかける。

 

「遅かったじゃない」

 

 追い付いた二人に気付いたアソーカの言葉にのび太は苦笑する。

 

「いやぁ、ちょっと疲れちゃって」

 

「ちょっと!そんな調子で大丈夫なの?」

 

「問題ない」

 

 叫ぶアソーカに振り返らずにアナキンが言う。

 

「のんびりしているようにみえて、ノビタは決める時は決める奴だ。お前より頼りになるぞ?」

 

 アナキンの言葉に目を細めるアソーカ。

 

 それからジェネレーターの近くにいたドロイド達を無力化させる。

 

 透明マントのおかげで敵は混乱している間に全滅した。

 

「ところで、ジェネレーターまでは接近してもどうやって破壊するの?」

 

「ノビタ」

 

「はいはい」

 

 促されて前に来たのび太は四次元ポケットからひみつ道具を取り出す。

 

「ネンドロン!これをかけたものはどんなものも粘土みたいにぐにゃぐにゃになる」

 

 パッパッとネンドロンの粉を浴びたシールドジェネレーターは粘土のようになった。

 

「おぉ!?」

 

「これは凄い……」

 

「オビ=ワンも待っているかもしれないが少しの息抜きだ。こいつで何か作ろう」

 

 悪戯を思いついた子供の表情のアナキン。

 

 頷いたのび太達はジェネレーターをこね始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら、囮は成功だったらしい」

 

 敵に包囲されて時間を稼いでいたオビ=ワンだったが、上空を覆うシールドが消えた事を確認して、フォースでドロイドからライトセーバーを取り戻すと戦闘を開始する。

 

「えぇい!迎撃だ!」

 

 優位に立っていると思った分離主義勢力の指揮官は怒りに顔を歪めながらドロイドに指示を飛ばす。

 

 そんな戦闘の中心地に桃色のドアがいきなり現れる。

 

「な、なんだ!?」

 

 分離主義勢力の指揮官が驚いている中、ドアが開いて、そこからライトセーバーを構えたアナキン・スカイウォーカーと野比のび太が現れる。

 

 続いて、ライトセーバーを逆手に持っているアソーカ・タノ。一本のライトセーバーを構えているカル・ケスティス。

 

 そして、レックスをはじめとする第501突撃大隊のクローン・トルーパー達。

 

 沢山の増援に敵の指揮官は目を白黒させていた。

 

「い、一体、何が!?」

 

 戸惑いながらもドロイドに指示を飛ばす。

 

 アナキンはドロイドを両断しているオビ=ワンへ近づいた。

 

「まったく、どこで道草を、いやどら焼きを食べていたんだ?」

 

「間に合ったから良いでしょう?あと、どら焼きが欲しいならノビタへ言ってください」

 

「あれが恋しいけど、できるなら静かなところで緑茶と一緒に飲みたいものだ」

 

 連携をとりながら次々とドロイドを倒してくオビ=ワンとアナキン。

 

 少し離れたところでカルが青い刃を振るいながらドロイドを倒してく。

 

 背後からカルを狙う一体のバトルドロイドだが、頭が吹き飛ぶ。

 

 アソーカと共にドロイドを倒していたのび太がブラスター・ピストルで狙撃したのだ。

 

「ジェダイなのにブラスターを使うの!?」

 

「大事な好敵手からもらったからね。腕を腐らせるわけにいかないんだ」

 

 片手でブラスター・ピストルを撃ちながら、ライトセーバーでビームを弾きつつ、近くのドロイドをバラバラにしていく。

 

 その洗練された動きをみてアソーカは張り合う様にライトセーバーを振るう。

 

「マスター!」

 

 カルの言葉に頭上をみあげるのび太。

 

 増援として宙からトランスポートが次々と姿を見せる

 

 ドロイドを瞬く間に破壊された上オビ=ワンに拘束された指揮官は降参を宣言した。

 

 

 




というわけでのび太のパダワン(仮)はカルになりました。

本来のマスターは別にいる為、期間限定となります。




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新たな任務

大長編のアンケート、夢幻三剣士が今のところ優勢だなぁ。

他の票もじりじり近づいているけど。





 

「ご苦労だったの、ケノービ、ノビ、スカイウォーカー」

 

 一機のトランスポートから降りてくるマスターヨーダにのび太達は頭を下げる。

 

「苦戦しましたが、無事に勝利を収めました」

 

「うむ」

 

 頷いたヨーダはちらりとのび太とアナキンへ視線を向ける。

 

「パダワンの件じゃが、オビ=ワンから報告を受けておる。どうするかの?スカイウォーカー、ノビよ」

 

 アナキンはちらりとオビ=ワンをみる。

 

「報告はしておいたぞ、苦労しているようだったからな」

 

「僕は大丈夫です。どこまで僕が教えてあげられるかわかりませんけど」

 

 カルをみて、のび太は答える。

 

 一時的なパダワンだが、教えられることは教えてあげよう。

 

 決意しているのび太にヨーダは頷いた。

 

 アナキンはちらりとアソーカをみる。

 

 先ほどまでの自信に満ちていた表情が揺れていた。

 

「オビ=ワンに彼女は荷が重すぎる」

 

 アナキンの言葉に目を伏せるアソーカ。

 

「僕のパダワンならなんとかやっていけるでしょう」

 

 彼の言葉に不安から一転して喜びの表情を浮かべるアソーカ。

 

「よろしい。アソーカをスカイウォーカーへ任せる」

 

「やったね」

 

 のび太とアナキンはハイタッチする。

 

「早速じゃが、三人に緊急のオーダーを受けてもらう」

 

「緊急ですか?」

 

「そうじゃ、テス星系へ向かってほしい」

 

「テス星系?あそこは何もない。分離主義勢力がいるわけでもない場所だ」

 

 アナキンが不思議そうな表情を浮かべる。

 

「ハットの息子が誘拐されて、テスへ運び込まれたという報告を受けておる」

 

「まさか、引き受けたわけじゃないですよね?」

 

 嫌そうにアナキンは顔を歪める。

 

 タトゥイーンを支配していたハット族。

 

 その中で特に強い力を持っているジャバ・ザ・ハット。

 

 金と権力にまみれたハットを嫌うアナキンは共和国が引き受けたことに衝撃を受けている。

 

「外縁部の通行はハットが抑えている。戦争に勝つためにハットの協力が必要なのだ。アナキン」

 

「そうかもしれませんが」

 

「アニー、ハットの事は僕も好きじゃないけれど、子供に罪はないと思うよ?」

 

「……そう、だな」

 

 のび太の言葉にアナキンは悩みながら頷いた。

 

「マスターヨーダ、居場所の目星はついているんですか?」

 

「先行しているトルーパーが怪しい寺院を発見しておる。まずはそこを調べるのじゃ」

 

「寺院の調査はお前達に任せる。私はタトゥイーンへ向かってジャバと交渉する」

 

「急ぐのじゃ、この件は何やら嫌な予感がする。くれぐれも油断せぬことじゃ」

 

 ジャバ・ザ・ハットの息子救出任務を引き受けたのび太達。

 

 クリストシフスから宇宙へ出る。

 

 オビ=ワンはスターファイターでタトゥイーンへ。

 

 のび太やアナキン達を載せたクルーザーはテス星系にハイパースペースでジャンプした。

 

「しかし、ハットの子供か、そんなものを誘拐するもの好きがいることに驚きを隠せない」

 

「戦争のどさくさにハットへ恨みがある人が行動したのかな?」

 

 クルーザーの格納庫内でアナキンとのび太は話をしていた。

 

「だとしても、僕達を巻き込んでほしくなかった」

 

「同感だよ」

 

 話をしながら格納庫を歩いていると小さな人だかりができていることに気付く。

中心にいるのはアソーカとカル。

 

 彼らはシールドジェネレーターを如何に破壊したのか語っている。

 

 ふと、のび太はアレについて尋ねることにした。

 

「そういえば、アレについて、ヨーダからは何も言われなかったね」

 

「あぁ」

 

 ニヤリとアナキンが笑う。

 

「みられていなかったのかも」

 

「それだと助かるね」

 

 シールドジェネレーターをネンドロンでぐにゃぐにゃにして丸めた後。少し手を加えて出来上がったのはマスターヨーダの顔をしたシールドジェネレーターだった。

 

 お遊びでやったがまさか、マスターヨーダが来ると思っていなかったのでのび太はひやひやしたものだ。

 

 人だかりへ向かうとトルーパー達やアソーカの会話が聞こえてくる。

 

「マスターが粉をふりかけるとジェネレーターがぐにゃぐにゃになったんだ」

 

「瓦礫でドロイドをスパイダードロイドを叩き潰した後はジェネレーターをこねて、マスターヨーダの顔を作ったの。それで無効化。マスターは無事」

 

 アソーカの説明に笑うトルーパー達。

 

 レックスはやってきたアナキンへ尋ねる。

 

「本当ですか?将軍」

 

「まぁ、大体はあっている。なぁ?ノビタ」

 

「ま、まぁ、大体はね?」

 

 ノリノリでヨーダの顔にしたのはアナキンとアソーカであったことは黙っていようとのび太は心の中で呟く。

 

「さぁ、諸君、任務だ」

 

「イェッサー!さぁ、みんな聞いたな?解散!」

 

 レックスの合図でそれぞれの持ち場へ戻るトルーパー達。

 

 アソーカとカルは何人かのトルーパー達とハイタッチしていた。

 

「ところで、マスター、あの不思議な道具は一体なんなの?」

 

「それは俺も気になっていました」

 

 興奮冷めぬ空気の中で気になっていた疑問とぶつけてくるアソーカとカル。

 

 質問をぶつけられたのび太は少し悩みながら自分は別の星系からやってきて、その道具は友人の恩恵だということを伝える。

 

「あんまり大っぴらに使わないようにしているんだ。これは一歩間違えたら危険なものだから」

 

 それ故に共和国へひみつ道具を提供していない。

 

 あれば兵士達の命が沢山救われるかもしれない。

 

 でも、一歩間違えればひみつ道具はとんでもない事態を引き起こす。

 

 成長したのび太はその危険性の面も理解しており、使用する道具も制限を決めていた。

 

 但し、傲慢かもしれないが自分の手の届く範囲の人達は必ず助けよう。

 

 心にそう決めていた。

 

「あまり気にするな。戦争を早く終わらせればいいだけだ」

 

 悩んでいるのび太に気付いたアナキンが肩へ手を置く。

 

「ありがとう、アニー」

 

 彼の言葉に感謝する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャバの息子が惑星テスの寺院にいる可能性があり。

 

 寺院は要塞化しており、ドロイド軍二個大隊に守られているという。

 

 輸送用ガンシップ内でオビ=ワンから通信が入る。

 

『アナキン。ジャバと話を付けた。息子を惑星が一周する時間内に助け出せということだ』

 

「簡単にいってくれますね」

 

『私も交渉が済み次第、すぐに援軍を率いて後を追う。派手に暴れて構わないぞ。なんなら私の出番がなくてもいい』

 

「マスターの増援が必要にならないことを祈っています」

 

 オビ=ワンと通信を終えたタイミングで寺院側に発見されて輸送機が砲撃を受ける。

 

「近くの森林へ着陸するんだ!」

 

 アナキンの指示で次々と寺院がみえる森林へ着陸する輸送機。

 

 輸送機から降り立つトルーパー達。

 

 運んできたAT-TEも地面へ降り立つ。

 

 AT-TEが山頂の寺院へ砲撃を行う。

 

「うわぁ、これを上るの?」

 

「競争する?」

 

「僕から離れるんじゃないぞ」

 

 アナキン達はアンカーガンを使って崖を上っていく。

 

「マスター、俺達も」

 

「あー、これを使おう」

 

 のび太は残っているカルやレックスへある道具を渡す。

 

「どこでもローラースケート!」

 

「なんです?ブーツに車輪がついていますが」

 

「これはどこでもローラースケートといって、川でも崖でも滑ることができるんだ。フエルミラーで用意していた分をみんなに配って……こうやるんだ!」

 

 のび太はスケートを装着すると崖に向かって踏み込む。

 

 すると、車輪が回転して崖をすいすい上っていく。

 

「えぇ!?」

 

「将軍の道具には驚かされるばかりだ」

 

 目を見開くカルとレックスもスケートを装着して後を追いかけていく。

 

「おっさきにぃ~」

 

「あ!ずるい!パイロット急いで!」

 

 すいすい上っていくのび太にアソーカは叫び、AT-TEのパイロットを急かす。

 

 アナキンは横から奇襲を仕掛けようとしたドロイドの乗り物を奪取して寺院の入口を目指す。

 

 二人はアイコンタクトすると上空へ舞い上がり、ライトセーバーを起動。

 

 トルーパーへ攻撃していたバトルドロイドを両断していく。

 

「これで全部?」

 

「そうらしいな」

 

 のび太は周りを見る。

 

「バトルドロイドとスパイダードロイドだけって、戦力として不足していない?」

 

「罠だな」

 

 ライトセーバーを戻しながらのび太は周囲を見渡す。

 

 新たな敵影がでてくる気配もない。

 

 少し遅れてAT-TEの上部に乗っていたアソーカがやってくる。

 

「ずるい!マスター!」

 

「いや、アソーカもかなり無茶をやっている」

 

 慣れないローラースケートを使用してふらふらした様子のカルが遅れてやってきた。

 

 ふらふらなのはカルだけでなくレックスも同じらしい。

 

「か、壁にぶつかるところだった」

 

 ぽつりと聞き取れないほど小さな言葉を零しながらレックスは上がってきたトルーパー達へ周囲の警戒を促す。

 

 のび太とアナキンは一部のトルーパーを連れて寺院内へ入ろうとする。

 

 トルーパー達はヘルメットのライトを点灯する。

 

「この寺院、ジェダイの寺院とどこか似ている」

 

「元はジェダイとかかわりがある寺院だろう」

 

「でも、今は犯罪集団に占拠されて犯罪拠点の一つとして利用されているんだろうね」

 

「……そこにハットの息子を運び込んだということは、犯罪集団がハットに恨みを抱いて?」

 

「結論をだすのは早いぞ」

 

 カルをたしなめるアナキンが動きを止める。

 

 奥からゆっくりと一体のドロイドが現れた。

 

「何者だ!」

 

 警戒するレックスが叫ぶ。

 

「私はこの寺院を管理するドロイドです。バトルドロイドに脅されていて、助かりました」

 

「(なんか、嘘くさいなぁ)」

 

 ドロイドの言葉をのび太は怪しむ。

 

「ここにハットの子供が運び込まれているはずだ。どこにいる?」

 

「地下でしょうか?囚人を閉じ込める地下牢があります」

 

「よし、僕とアソーカで地下へ向かう。ノビタ、カルとレックスと共に寺院内を調べてほしい」

 

「わかった」

 

 頷いたのび太へアナキンが顔を近づける。

 

「もしかしたら罠の可能性もある。警戒は怠らないように」

 

「うん、そっちも」

 

 

 



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アサージ・ヴェントレス

次回の話でハット誘拐の話は終了。

その後は、何話か載せて、大長編、もしくはシスの復讐へ向かう予定。

いう間のところ、夢幻三剣士が優勢だなぁ、他のも勢いを上げているけど、どうなるか?




「マスター、ジェダイとクローンが寺院へ入りました」

 

 寺院の高い位置。

 

 そこからスーパーバトルドロイドを率いてローブで素顔を隠した女性がある人物と話をしていた。

 

 立体映像の人物は頷いた。

 

『結構。計画は順調に進んでいるようだな』

 

「はい、マスター」

 

 頷いていた女性は続いて現れる立体映像の人物に気付いて膝をつく。

 

『計画はすべて順調だ。もうまもなくジェダイは新たな勢力と戦うことになる』

 

『時を見計らい、ハットの息子を取り戻せ。そして、邪魔なジェダイは殺すのだ』

 

 にやりとフードの中で女性は笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、アナキンとアソーカは地下にいた。

 

「マスター、気付いている?尾行されているわ」

 

「そうだな」

 

 振り返らずにアソーカはアナキンへ尋ねる。

 

 彼らの後ろをバトルドロイドがつけていた。

 

 撃退しようといきまくアソーカに対してアナキンは冷静だ。

 

「私に任せて」

 

「あぁ、好きにするといい」

 

 アナキンが言うとアソーカは緑のライトセーバーを起動すると同時に振り返って次々とバトルドロイドを破壊する。

 

「よし!」

 

「残しているぞ」

 

 横にセーバーを振るうアナキン。

 

 隠れていたバトルドロイドが地面に倒れる。

 

「マスターの為に残しておいたの」

 

「口の減らないパダワンだな」

 

 笑みを浮かべていたアナキン達は歩みを止めた。

 

「この先だな」

 

「ここにいるのね」

 

 アナキンはフォースを用いて牢屋の隔壁をあげた。

 

 その中にいるのはハットの子供。

 

「なんか、思った以上に小さい。でも、可愛い」

 

「大人のハットをお前は知らないんだ。あれをみたらそんなことをいっていられないぞ」

 

 ハットの子供はアナキン達が想像していた以上に小さく可愛かった。

 

 タトゥイーンでハットを嫌っているアナキンも拍子抜けするほどの小さいサイズ。

 

 アソーカは笑みを浮かべてハットの子供を抱き上げる。

 

「マスター、この子、体調が悪いみたい」

 

「クルーザーの医療施設へ……いや、ノビタのところへ連れていくとするか」

 

「マスターノビのところ?」

 

「アイツにみせる、いや、持っている道具なら一発だ」

 

 アソーカは不思議そうにアナキンをみる。

 

「なんだ?」

 

「マスターってマスターノビの事、とても信用しているよね?」

 

「当然だ。アイツは親友で最高の相棒だからな」

 

 アナキンの力強い言葉にアソーカは「ふーん」と言葉を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノビ将軍、スカイウォーカー将軍は大丈夫でしょうか?」

 

 寺院の調査をしていたのび太へレックスが声をかける。

 

「アナキンは大丈夫だよ」

 

 レックスへのび太は迷わずに答えた。

 

 フォースがアナキンの無事をのび太へ教えてくれる。

 

 同じようにのび太の無事をアナキンへフォースが伝えてくれるだろう。

 

「どうしたの?レックス」

 

「え?」

 

「何か聞きたそうにしているから」

 

 尋ねられたレックスは少し間をおいて。

 

「自分は何度もスカイウォーカー将軍と戦いを潜り抜けてきました。それ故にノビ将軍と一緒に行動しているときは自分達よりも強く……その、深く連携しているように思うのです」

 

「あぁ、まぁ、僕とアナキンはずっと一緒にいたからね。修業も、任務も」

 

「それを羨ましいと思う自分がいます。変ですよね?クローンが」

 

「そんなことないよ。クローンだからとか、そんなこと……誰だって悩んだり、嫉妬したりするんだ。レックスだってジャンゴのクローンだけど、性格はまったく違う。だから悩んでもいいんだ」

 

 レックスはヘルメットの中で小さく「オリジナルと違う」と呟きながらのび太へ頭を下げる。

 

「すいません、ノビ将軍。ご迷惑をおかけしました」

 

「これ位いいよ。レックス」

 

 のび太とレックスは笑いあう。

 

「楽しそうだな」

 

 地下からハットの息子を連れてアナキンとアソーカが戻ってくる。

 

「おかえり。ハットの息子は?」

 

「見つけてきた。だが、体調がよくないらしい。ノビタ、お医者さんカバンを頼む」

 

「オッケー!」

 

 のび太が四次元ポケットからひみつ道具を取り出す。

 

 お医者さんカバンを使い、ハットの息子、プクプクちゃんの看病を始めている間に、スターファイターに乗ってやってきたR2、R3を通してオビ=ワンや評議会へ連絡を繋いでいた。

 

『アナキン、ハットの子を連れてタトゥイーンへ向かってくれ』

 

「将軍!敵襲です!」

 

 トルーパーが上空を指す。

 

『アナキン!私もすぐに援軍として向かう!急いでハットの子を連れて行くんだ!』

 

 上空にドロイド輸送艦とドロイドスターファイターの姿がある。

 

「迎撃準備だ!」

 

 アナキンの叫びにトルーパー達が準備に入る。

 

 のび太がハットの子を抱えてきた。

 

「治療は終えたよ!この子はどうする?」

 

「……アソーカ、カル!ノビタとハットの子を連れて寺院に入るんだ!レックス、僕達は敵を撃退するぞ!」

 

「イェッサー!野郎ども!準備をするんだ!」

 

 先制攻撃するように敵からの砲撃が降り注ぐ。

 

 R2とR3が慌ててスターファイターから飛び降りる。

 

 二体のドロイドが避難した直後に砲撃でスターファイターが破壊された。

 

 爆風から身を守りながらアナキンとレックスは後ろへ下がる。

 

「増援が必要だな」

 

「ウォーカーの数も足りません」

 

 寺院へ攻め込む際に何機かのAT-TEが失われている。

 

 残されているAT-TEだけで敵を撃退することは厳しい。

 

 アナキンはのび太にコムリンクを繋ぐ。

 

「ノビタ!僕達が可能な限り敵を撃退する!寺院を調べて脱出する手段を探すんだ」

 

『わかった!』

 

 通信を終えた直後、砲撃が開始される。

 

 反撃するように上空から砲撃が降り注ぐ。

 

 爆発と共に破壊されるAT-TE。

 

 発着場にドロイドの輸送機が降り立ち、バトルドロイドやスパイダードロイド、スーパーバトルドロイドが現れる。

 

「後退だ!」

 

 ライトセーバーでビームを弾きながら叫ぶ。

 

「寺院まで徹底だ!オビ=ワンの援軍を待つ!」

 

「イェッサー!」

 

 レックスは後退の指示をトルーパーへ出す。

 

「全く、厄介ごとだらけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アナキン達が戦闘で苦戦していた頃、のび太達は寺院内を歩いていた。

 

「R3、この寺院を調べて」

 

 軽快なリズムをあげながらR3がコンピューターに接続する。

 

「おい、暴れるなって!」

 

「この子、マスターの薬を飲んだら凄い元気になっちゃった」

 

 のび太の後ろでカルとアソーカが暴れるプクプクちゃんに悪戦苦闘していた。

 

 バックパックから抜け出そうとプクプクちゃんが暴れる為、たしなめるような音をR2が鳴らす。

 

 しばらくして、R3がマップを表示する。

 

「寺院の裏手に発着場がある!」

 

「ここにガンシップを呼べば、脱出できるかも!」

 

 喜ぶ二人の前でのび太はアナキンに通信機を接続する。

 

「アニー、聞こえる?」

 

『悪いけど、取込み中だ!』

 

「後にした方がいいかな?」

 

「そんなこと言っている場合じゃないじゃん!」

 

 アソーカがのび太の腕を掴んで通信機へ叫ぶ。

 

「あ、待っ」

 

「マスター!寺院の裏手に発着場を見つけたわ」

 

『アソーカ!?お前、あ、待て!ヴェントレス!』

 

 通信機の向こうから焦った様子のアナキンの叫びと共にブチッと通信が切断されてしまう。

 

「もしかして……かなりヤバイかも?」

 

 沈黙しているのび太とアソーカの前でカルがぽつりと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!あのおてんばめ!」

 

 アナキンはライトセーバーでビームを弾きながら悪態をついた。

 

 彼はトルーパー達と共に寺院の中に後退したものの、ドロイド達によりゲートを突破されて戦闘へ突入。

 

 アナキンはドロイドを率いてやってきたシスの手先、アサージ・ヴェントレスと戦闘になった。

 

 アサージ・ヴェントレスは赤い二本のライトセーバーを操りながら襲い掛かってくる。

 

 アナキンは身近のドロイドを盾にしながら攻撃をしのぎ、反撃する。

 

「スカイウォーカー、いつも一緒の坊やはいないのかい?」

 

「ヴェントレス、お前の相手は僕一人で十分だ」

 

「強がりおぉ」

 

 叫びながら攻撃を仕掛けるヴェントレス。

 

 アクロバティックな動きを冷静に見極めてアナキンはセーバーの一撃を受け止める。

 

「そういえば、お前はノビタに敗北したことがあったな」

 

「だからなんだい?」

 

「お前は僕にも敗北するという事さ」

 

 大ぶりに振るうアナキンの一撃をヴェントレスは距離を取り、壁を蹴りながら接近していく。

 

 青と赤のライトセーバーがぶつかり合う中、タイミング悪くのび太が連絡してくる。

 

 敵と交戦中という意味合いを込めて伝えたものの、焦れたアソーカによって彼らの居場所がバレた。

 

 ヴェントレスを追いかけようとするアナキンの前にドロイデカが阻む。

 

「将軍!」

 

「レックス!連中を片付けてすぐに奥へ向かうぞ!」

 

「了解です!」

 

 飛来するビームを躱しながらブラスター・ピストルでドロイドを撃ちぬくレックス。

 

 他のトルーパー達も応戦しているがドロイドの数が多く追い詰められていた。

 

「マスターはまだか!?」

 

 到着の遅いオビ=ワンに対していら立ちの声をあげるアナキンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユラーレン提督!寺院の裏手に僕達はいます。迎えの船を寄越してくれますか!」

 

『敵の攻撃は激しくすぐに準備はできません!』

 

 クルーザーで指示を出しているユラーレン提督へ通信を繋ぐも、上空でクルーザーは敵の艦を激しく戦闘を繰り広げている。

 

「しばらくはここで足止め……」

 

「見つけたよ。坊や」

 

「マスター!」

 

 カルとアソーカが身構える。

 

 のび太が振り返るとぞっとするほど冷たい笑みを浮かべるアサージ・ヴェントレスの姿がそこにあった。

 

「アサージ・ヴェントレス」

 

「ジオノーシス以来だねぇ、また、こうやって会えたことを嬉しく思えるよ」

 

 二本の赤いライトセーバーを構えるヴェントレスをみて、ライトセーバーを構えるアソーカとカル。

 

「選ばせてやるよ。ここで私に斬られるか、落ちるかねぇ」

 

 直後、地面が揺れる。

 

 のび太が下をみるとスパイダードロイドが壁を上りながら砲撃をしていた。

 

「マスター!戦おうよ!」

 

「そうだ!こんなところでやられてなんか」

 

 戦おうという二人に対してのび太は視界の端にいるR2へ合図を送る。

 

 ヴェントレスへ気付かれないようにマップを表示しているR3へのび太は頷いた。

 

「じゃあ、ヴェントレス。僕は第三の選択肢をとるよ」

 

「なに?」

 

「宇宙船で逃亡だよ!R2!」

 

 のび太の指示を共に機械へ接続していたR2の手によってヴェントレスの目の前の隔壁が下りた。

 

「マスター!?」

 

「ちょっと、ここを閉めたら逃げられない!」

 

「大丈夫!タケコプター!」

 

 のび太はタケコプターを取り出すと二人へ取り付けて発着場から地面を蹴る。

 

 R2とR3は左右の脚部ユニットについている飛行パーツで飛翔した。

 

「「ア、オウ」」

 

 スパイダードロイドは崩壊した瓦礫を受けて爆発を起こす。

 

「ま、まだ、慣れないなぁ」

 

「マスターノビ!どうして、戦わないの!?」

 

 カルはタケコプターが慣れないのかまだふらふらした動きを取っている。

 

 ヴェントレスと戦わずに逃げるという選択肢を取ったのび太にアソーカがかみついた。

 

「地形じゃあっちが有利だったんだ。それに僕達の任務はヴェントレスと戦うことじゃない。その子を親のところへ届けることだよ」

 

 のび太はアソーカが背負うハットの子へ視線を向ける。

 

 飛ぶことが楽しいのか、キャッキャッと楽しそうにしていた。

 

 指摘されたことが正しいと気づいたのだろう、沈黙するアソーカと共に彼らは輸送船の前に到着する。

 

「これ、動くのか?」

 

「どうだろう?」

 

「こんなポンコツしかないなんて」

 

 三者三様の意見を漏らしていると下部のハッチから寺院の管理ドロイドが姿を見せる。

 

「アンタ!こんなところで何をしているの!?」

 

「あ、いえ、その、おそろしくて隠れておりまして」

 

 アソーカの視線から逃れるように視線をさ迷わせる管理ドロイド。

 

 ちらりとその視線はハッチの方へ向けられている。

 

 知られてはいけないものがあるのだろうか?とのび太が考えていた時。

 

「オイ、ジュンビハデキタノカ?」

 

「スグニイドウスルゾ……ア」

 

 ハッチから二体のバトルドロイドが姿を見せる。

 

 ヤバイものをみたという声を漏らすドロイドをみたアソーカは眉間へ皺を寄せてライトセーバーを起動する。

 

「スパイだったのね!」

 

「いえ、誤解です。それは、あの」

 

 最後まで管理ドロイドが言い切る前にライトセーバーで首を切り落とす。

 

「アソーカは怒らせると怖いなぁ」

 

「女性は怒らせると怖いんだよ」

 

 カルが呟き、逃げようとしているバトルドロイドを破壊しているアソーカの姿を見て、のび太は自分の母親の事を思い出す。

 

 周囲に敵がいないことを確認してのび太達は輸送船の中に入る。

 

「もともとはスパイスの輸送船だったみたいだね」

 

「マスター、ダメです。エンジンが入らない」

 

「そういう場合はR……ちょっと喧嘩しないでよ」

 

 のび太が指示を出そうとしたところでどちらが機械へ接続するのかということでR2とR3が喧嘩を始めてしまう。

 

「さっきはR2に活躍してもらったから、次はR3、エンジンの確認を」

 

 指名を受けたR3はやる気に満ち溢れた音を出しながら機械へ接続する。

 

 カルが輸送船の起動ボタンを押す。

 

 一回目は反応なし。

 

 二回目、反応なし。

 

 三回目にボタンを押したところでシステムが起動。

 

 エンジンに火がともる。

 

「これでクルーザーへ?」

 

 のび太は少し考える。

 

 この小型輸送船はハイパースペースドライブが搭載されているからテスからタトゥイーンのジャバ・ザ・ハットへ子供を届けることはできるだろう。

 

 だが、そうすると戦闘中のアナキン達を置いていく事になる。

 

『ノビタ?』

 

 悩んでいたのび太の脳裏にアナキンの声が聞こえる。

 

『アニー?』

 

 ドロイドへビームをはじき返していたアナキンにのび太の声が響く。

 

『どうしたんだ?』

 

『ジャバの子を連れて輸送船へ乗っているんだけど……このまま行ってしまっていいのかな?アニー達は戦っているのに』

 

 のび太としてはアナキン達のところへ戻りたい。

 

 ドロイドもそうだが、強い憎悪、アサージ・ヴェントレスがいる。

 

『おいおい、彼女一人に僕が苦戦すると思っているのか?それよりも、ノビタ、僕の心配よりもやるべきことを果たせ』

 

『僕のやるべきこと?』

 

『ハットの子を連れて行くんだ』

 

 のび太は悩み。

 

 彼の悩みはフォースを通じてアナキンもわかっていた。

 

 だからこそ、背中を後押しする。

 

『これくらい僕一人で何とか出来る。お前は使命を果たせ』

 

 閉じていた目を開けるのび太。

 

 目の前の操縦桿を掴んだ。

 

「マスター?」

 

「マスターノビ?どうするんですか」

 

「このままタトゥイーンへ行く」

 

「マスタースカイウォーカー達はどうするんですか?増援も」

 

「大丈夫」

 

 不安の声を上げるカルにのび太は笑みを浮かべる。

 

「増援なら来た」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハイパースペースを抜けたクルーザー。

 

 格納庫でオビ=ワンはジェダイ・スターファイターに乗り込む。

 

「さて、アナキンの手助けに行くとするか」

 

「大丈夫でしょうか?敵は大勢と報告にありましたが」

 

「その程度ならアナキンは大丈夫だろう。私が先行する。続けてファイター中隊、その後のタイミングはコーディ、任せるぞ」

 

「了解です。我々の獲物は残っていますかね?」

 

「残しておくとも、少しだけでも文句は言わないでくれよ」

 

 コーディが離れるとハッチを閉じてオビ=ワンのスターファイターが出撃する。

 

 クルーザーから続けて出撃するスターファイター中隊。

 

「オッドボール、編隊を組むんだ」

 

『イェッサー、将軍』

 

 ファイターを操縦するパイロットが返事をして、オビ=ワンに後続する。

 

 寺院を攻撃していたドロイドが変形して迎撃へ向かう。

 

「攻撃開始だ」

 

 空で戦闘が開始する。

 

 ファイターの一機にドロイドが取りついた。

 

『後ろにつかれた!振り切れない!』

 

「任せろ」

 

 ドロイドの背後へ回り込んでビームを撃つ。

 

 ビームを受けて爆発を起こすドロイド。

 

『お見苦しいところみせました。将軍』

 

『構わないさ、オッドボール……さぁ、アナキンを助けるぞ』

 

 寺院のスパイダードロイドやスーパーバトルドロイドが迎撃しようとするがトランスポートのミサイルやファイターのビームでことごとく一掃される。

 

 オビ=ワンは着陸したファイターから降りると同時にライトセーバーを起動してバトルドロイドを破壊した。

 

 壊れたAT-TEを盾にして攻撃を防いでいたアナキンが顔を出す。

 

「遅かったですね!」

 

「これでも急いできたんだぞ!ハットの交渉は大変だったんだ」

 

「そうですか、その割には短い時間しかとれませんでしたけど」

 

 ライトセーバーを振るいながらいつものように会話をするアナキンとオビ=ワン。

 

 増援のトルーパー達の迎撃もあり、ドロイドは一掃される。

 

 周囲を確認しようとしたところでオビ=ワンはライトセーバーを振り上げる。

 

「ヴェントレス。久しぶりだな」

 

 不意打ちが失敗して顔をしかめるアサージ・ヴェントレス。

 

「不意打ちを仕掛けるなら殺意を消した方がいいな。我々に通用しないぞ」

 

「減らず口を叩けるのはそこまでだ」

 

 二本のライトセーバーを振るうヴェントレスと戦うオビ=ワン。

 

「ここは私に任せろ。ドロイドを一掃するんだ!アナキン」

 

「ですが!」

 

「ヴェントレスの一人や二人、どうということはないさ」

 

「言ってくれるねぇ!」

 

 不意打ちを仕掛けるように接近するヴェントレスの刃を受け止める。

 

「行くんだ!アナキン!」

 

「後で会いましょう!」

 

 去っていくアナキンを見送ってオビ=ワンはライトセーバーを構える。

 

「さぁ、続きと行こうか、ヴェントレス」

 

 

 



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新たなる友

これでハットの子供誘拐事件は終了です。




 

「このポンコツ、武装はないの!?」

 

 テスの大気圏を突破した輸送船。

 

 追跡してくるドロイドスターファイターの攻撃を受けて揺れる船内でアソーカは叫ぶ。

 

「武装はついているみたいだけど、こっちの指示を受け付けない!」

 

「後部のシールドを強化!R3、砲撃を!」

 

 不安そうな音をあげながらシステムを操作するR3。

 

 装備されている砲塔が背後のドロイドへ狙いを定めるもあっさり回避されてしまう。

 

「へたくそ!」

 

 アソーカの怒鳴り声にショックを受けたR3を突き飛ばすようにしてR2がシステムに接続。

 

 R2による攻撃でドロイドのスターファイターは撃ち落とされて炎に包まれる。

 

「さっすが!R2」

 

 軽快な音で答えるR2をみて、カルはのび太へ尋ねる。

 

「もしかして、R3って」

 

「システムハックはR2より早いんだけどねぇ、射撃はいまいち」

 

「納得です」

 

 肩をすくめるのび太。

 

「R2、そのままハイパースペースの準備を!座標はタトゥイーンだよ」

 

「タトゥイーンって、スカピョンの故郷だよね?どんなところかマスターノビは知っているの?」

 

「うん、砂漠の惑星。無法者が多いけど、良い人達もいる。ポッドレースもやっているし」

 

 何よりのび太とアナキンが出会った場所で、ジェダイになることを決意したところでもある。

 

 そのことを思い出すとのび太はあることを考える。

 

 あれから既に十数年経過している。

 

 地球のみんなはどうしているだろう?

 

 しずかちゃんは結婚したのだろうか?ジャイアンやスネ夫はどうしているだろう。

 

 ドラえもんは――。

 

 そこから先をのび太は考えることをやめた。

 

 思考の停止といわれるかもしれない。

 

 だけど、会えるかどうかわからない上に戦時中という理由をつけてのび太は操縦に集中する。

 

 船内で警報が鳴り出す。

 

「な、なに!?」

 

「エンジンがオーバーヒートしている!このポンコツ!」

 

「みんな、掴まっていて!」

 

 ハイパースペースを抜けた目の前に広がる惑星タトゥイーン。

 

「このまま突入するよ!」

 

 悲鳴をあげる二体のドロイドの声を聞きながらのび太は操縦することに意識を集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し時間は遡る。

 

 パドメ・アミダラはハットの誘拐事件を調べる為、C-3POを伴ってコルサントのズィロ・ザ・ハットの拠点を訪ねようとしている。

 

「一人で赴くのは危険ではありませんかな?アミダラ議員」

 

「マスタークワイ=ガン!」

 

 背後から声をかけられて振り返ると、ジェダイマスタークワイ=ガン・ジンが立っていた。

 

「どうして、ここに?」

 

「急ぎ足で向かう貴方を偶然にもヴァローラム議員が目撃しましてね。何か危険なことに飛び込もうとしているのではないかと心配したようです」

 

「そう、ですか」

 

 ヴァローラムは最高議長を退いた後は目立った活動はないものの、ナブーの一件で無力だったことを後悔しているらしく、パドメを支援している。

 

 パドメとしては最高議長の椅子から落とした張本人である自分を支援してくれることになんともいえない気持ちを抱きながらも手助けをしてくれることに感謝はしていた。

 

「しかし、貴方の直感は時に事件の根幹を的確についていることが多い」

 

「今回の件、貴方はどう思います?」

 

「分離主義が関わっていることは否定できません。ですが、ハットの息子を狙ったという事から……少なからず私怨めいたものを感じます」

 

「手がかりとして、ズィロ・ザ・ハットが何かもっているかもしれません」

 

「もしくは……いえ、まずは話を聞きに行きましょう」

 

 クワイ=ガンという心強い援軍を得たことで力強く頷いたパドメ。

 

 後ろにいる3POは「あぁ、過激なことが起こりそうな予感」と肩を竦める。

 

 ズィロの拠点へ訪れた三人を待っていたのは分離主義勢力のドロイド。

 

 そこで戦闘が行われたことで3POの予感は的中するのだが、少し後のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、大丈夫?」

 

「俺は大丈夫です」

 

「あぁ、もう、体中が痛い。最悪の不時着だね」

 

 タトゥイーンの砂漠。

 

 エンジンが爆発するという事態に見舞われながらもなんとか到着したことにのび太は安堵の息を漏らす。

 

「この子も無事……ウソ、笑顔なんだけど」

 

「将来、大物になるよ、きっと」

 

 元気にはしゃいでいるハットの子供の姿にのび太は毒気を抜かれたような気分になる。

 

「急ごう、ハットの指定した時間が近づいている」

 

 船の残骸からいくつかの物資を手に取ってのび太達はタケコプターを取り出す。

タケコプターで空へ舞い上がる三人。

 

 ドロイドも飛行して後を追いかける。

 

 そんな彼らを遠くからみているドロイドがいた。

 

 人型ドロイドは通信機を取り出すとある人物へ連絡を取る。

 

『ご苦労、そのまま監視を続行せよ。なに、すぐに私の前に現れるだろう』

 

 フードの中で彼は笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、もう一人。

 

「……来たな」

 

 全身をぼろ布で包み込んだ人物が顔を上げる。

 

 待ち望んでいた人物がようやく来たことを察知した。

 

 彼は立ち上がると傍に置いてあるオンボロのスピーダーバイクに跨る。

 

 フードの中の黄色い瞳がランランと輝きを放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に砂しかないのね」

 

 アソーカはタケコプターで夜空を飛びながら周囲をみる。

 

 タトゥイーンは砂漠で覆われた惑星。

 

 そして、ハットが支配しており、共和国の通貨など紙くず同然。

 

 ハットに逆らう事さえしなければ生活することは可能。

 

 共和国の目から離れた星故に荒くれ者達が集まっている。

 

 モス・アイズリー宇宙港が良い例だろう。

 

 宇宙のならず者たちが集まっており、日夜、騒ぎが起こっていると聞いたことがある。

 

 騒ぎが起こるも、腕に自信のある者達が多い。

 

 アナキンがパイロット達から天使の話を聞いたことをのび太は思い出す。

 

「(昔のアニーって、平然とあんなこと言えるよなぁ。僕だったら恥ずかしくて無理だよう)」

 

 そんな砂漠の星の支配者の依頼をクリアしないと共和国軍は不利になる。

 

 のび太はハットの宮殿へ急ぎ向かおうと考えた。

 

 その時。

 

「あ、わ、わぁ!」

 

 カルの装着していたタケコプターが狙撃で破壊される。

 

「カル!」

 

 のび太とアソーカが咄嗟に彼の腕を掴んだおかげで地面へ落下せずに済む。

 

「狙撃!?どこかに隠れているの?」

 

「このまま飛ぶのは危険だね。降りよう」

 

 のび太に頷いて砂漠の地面へ降り立つ。

 

 周囲の地面が盛り上がり、そこからバトルドロイドと見たことのないドロイドが現れた。

 

「待ち伏せ!?」

 

「でも、なんで」

 

 身構えるアソーカとカル。

 

 そんな彼らの耳に拍手の音が聞こえた。

 

 音の方へ視線を向けると初老の男性が立っている。

 

「……伯爵」

 

「この人が……ドゥークー伯爵」

 

「どうして、ここに!?」

 

 のび太が呟いた言葉であの初老の男性が分離主義勢力の親玉、ドゥークー伯爵であるとわかり、ライトセーバーを抜いて身構える二人。

 

「ハットの子供を渡してもらおう」

 

「誰が渡すものですか!」

 

「そうだ!渡せない!」

 

「随分と威勢がいいな。二人ともお前のパダワン、ではないだろう。一人はスカイウォーカーか?本人もそうだが、弟子の鍛え方がなっていないな」

 

「僕の親友の悪口をいわないでいただけますか?…………マスター」

 

「ほう、まだ私をマスターというのか」

 

 のび太の言葉に目を見開いたドゥークー。

 

 懐かしさからくるのか、シスとなった自分を未だにマスターという彼を愚かと思っているのか小さく笑う。

 

「では、元パダワンに免じて、素直にハットの子を渡せば命だけは助けてやろう」

 

「断るに決まっているでしょう!」

 

「お嬢さん、私が話をしているのは元弟子であって、キミではないよ。全くスカイウォーカーは指導がなっていないな」

 

「マスターの悪口を言わないで!」

 

「落ち着いて、アソーカ」

 

 前に出ようとしたアソーカをのび太が止める。

 

 落ち着かせるためにフォースを彼女へ送りながらゆっくりとのび太はドゥークーをみた。

 

「どうやら断るようだな」

 

「えぇ、僕達はこの子を父親のところへ届けるのが使命です。貴方に渡す事じゃない」

 

「残念だ。ここで命を落とすことに――」

 

 ドゥークーの近くにいたバトルドロイドの頭がビームで撃ち抜かれる。

 

「(速い!)」

 

 ジェダイの技術とシスの秘術を併せ持つドゥークーが見落としてしまうほどの早撃ち。

 

 ブラスター・ピストルを片手に構えながらのび太は笑みを浮かべる。

 

「それと、僕達はここで死ぬ予定もないよ」

 

「結構、その自信を完膚なきまで潰してやろう」

 

 パチンと指を鳴らす。

 

 ドロイド達がブラスターを構え、人型のドロイドがエレクトロ・スタッフを構えた。

 

「アソーカ、ハットの子は僕が背負う!」

 

 アソーカからハットの子を受け取るのび太。

 

 二人がライトセーバーを構えたことを確認して近づいてくるドロイドを次々とブラスター・ピストルで射貫く。

 

「ジェダイが銃を使うなど、無粋な」

 

「僕はこっちの方が得意なので」

 

 ニコリと笑みを浮かべるのび太。

 

 マグナガード二体がアソーカとカルへ近づく。

 

 ライトセーバーを構える。

 

 振るわれるエレクトロ・スタッフをセーバーで弾きながら戦おうとするが攻撃を全て無力化された。

 

「なんだよ、このドロイド!」

 

「ただのドロイドじゃない。こいつら、強い!」

 

 苦戦しているアソーカとカルをみて、助けに行こうとするのび太。

 

 道を遮るようにドゥークーが前に立つ。

 

「さて、あれからどれだけセーバーの技術があがったのかみせてもらおうじゃないか、パダワンよ」

 

「……マスター」

 

 のび太はピストルをホルスターへ戻して、腰に下げていたライトセーバーを手に取る。

 

 回転させながら緑色の刃を起動した。

 

 ドゥークーはローブを脱ぎ捨て、腰に下げていたライトセーバーを手に取り構えた。

 

 赤い刃をのび太へ向ける。

 

 ライトセーバーを構えてじりじりと近づいていく。

 

「この!」

 

 先手を取ったのはのび太。

 

 振るうライトセーバーの刃をドゥークーはいなしながら反撃する。

 

 迫る刃を受け止めた。

 

 バチバチとぶつかりあう緑と赤の刃。

 

「ほう、ジオノーシスで手合わせをしていなかったが前よりも腕はあげているようだな」

 

「師の教えが良いので」

 

「その師は私の教え子だということを忘れているのではないか?」

 

 連続して振るわれる刃をのび太はぎりぎりのところで躱す。

 

「そして、お前を鍛えた一人はこの私でもある!」

 

「忘れていませんよ。だからといって、貴方から逃げていいわけじゃない」

 

「覚悟は立派だ。だが、力が伴っていなければ意味がない」

 

 近付こうとしたのび太にフォースライトニングを放つ。

 

 ライトニングをライトセーバーの刃で受け流す。

 

「あぁっ!」

 

 後ろで聞こえた悲鳴に意識が向いてしまう。

 

 振り返るとマグナガードのエレクトロ・スタッフを受けて倒れているカルと庇いながら二体のマグナガードと戦うアソーカ。

 

「よそ見は禁物だ!」

 

 背後から近づいてくるドゥークー伯爵。

 

「弟子が気になるか?だが、自分の身を案じるべきだな。今のお前では私に勝てん!」

 

「そうかもしれないけど!」

 

 押し戻しながらセーバーの剣先を向けた。

 

「だからって諦めていい理由じゃない!」

 

「物覚えが悪くなった」

 

「いいえ、欲張りなだけです」

 

 呆れながらドゥークーが刃を構えようとした時。

 

 頭上を越えて一台のスピーダーが走る。

 

「え?」

 

「ぬ!?」

 

 驚いている二人を通り過ぎてアソーカを狙おうとしていたマグナガードを轢き倒して停車した。

 

 突然の乱入者に身構えるマグナガード。

 

 フードで素顔を隠した人物はスピーダーバイクから降りるとマグナガードと向き合う。

 

 マグナガードは警戒しながらエレクトロ・スタッフを振り上げようとした。

 

 その眼前の掌が突き出されて吹き飛ばされる。

 

 吹き飛ばされた際に手放したエレクトロ・スタッフを掴んでその場で回転させた。

 

「あれは……」

 

 彼の動きを見た時、のび太の脳裏には十数年前に対峙したある人物の姿が過る。

 

「何者だ?」

 

 ドゥークーがのび太から距離をとりながら尋ねる。

 

 その目は強く警戒していた。

 

「俺は」

 

 問われた相手はフードを脱いだ。

 

「モール、ただのモールだ」

 

 十数年前、のび太と戦い死んだと思われていたモールだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下がっていろ」

 

 ライトセーバーを構えているアソーカへモールは短く答えるとマグナガードへ接近する。

 

 振るわれる攻撃を躱してマグナガードの顔へエレクトロ・スタッフを突く。

 

 顔面のフレームが歪みながらもマグナガードは反撃を試みる。

 

 エレクトロ・スタッフを振り上げようとした眼前に掌を前に突き出す。

 

 フォースプッシュによってマグナガードは砂漠の大地へ倒れる。

 

 起き上がろうとしているマグナガードの頭部をエレクトロ・スタッフで叩き潰した。

 

「ダース・モール、十数年前にジェダイに倒されたと聞いていたが?」

 

「俺はジェダイに倒されていない。俺はそこの男に負けたのだ」

 

 対峙するドゥークーとモール。

 

 彼の問いかけにモールは淡々と答える。

 

「ほう、記憶が正しければ、我が弟子は子供だったはず。子供に負けるとはシスのアプレンティスとして情けないのではないかな?」

 

「抜かせ、ジェダイ」

 

「私はジェダイではない!ダース・ティラナスだ!」

 

 ライトセーバーを構えるドゥークー。

 

 モールはエレクトロ・スタッフを構えながらのび太をみる。

 

「ここは俺に任せて、その子供を届けろ」

 

「……ありがとう!」

 

 敵意を感じないからのび太はライトセーバーを腰に下げると不意打ちをしようとしたバトルドロイドを蹴散らしながらアソーカとカルにどこでもローラースケートを渡す。

 

「急ごう!立てる?」

 

「大丈夫です、マスター!」

 

 ふらふらとおぼつかない足取りながらも立ち上がったカル。

 

 三人はローラースケートを装着すると急ぎ足で駆け出す。

 

 R2とR3をアソーカとカルが背負う。

 

 追いかけようとするドゥークーの前に立つモール。

 

「ジェダイの手助けか、元シス」

 

「なんとでもいえ、俺はただのモールだ!」

 

 叫びと共に赤い刃のライトセーバーと紫電を放つエレクトロ・スタッフがぶつかりあう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 のび太達は道を阻もうとした新たなマグナガードを瞬殺してジャバの宮殿へ辿り着いた。

 

 ジャバの宮殿に案内されて、子供をジャバ・ザ・ハットへ差し出す。

 

 父親と会えて嬉しいのか、子供はキャッキャッと楽しそうにしている。

 

 満足そうに笑みを浮かべてジャバが言葉を告げる。

 

 通訳ドロイドが三人とドロイドをみる。

 

「偉大なるジャバは直ちに三人を処刑せよと仰っております」

 

「えぇ!?」

 

「ちょっと、どういうことよ!」

 

「くそっ!」

 

 じりじりと縮まる包囲網。

 

 のび太が四次元ポケットからショックガンや空気砲を取り出そうとした時、通信が入る。

 

 通信の相手は元老院議員のパドメ・アミダラ、そして、クワイ=ガン・ジン。

 

 彼らは今回の事件の黒幕を逮捕したという。

 

 周囲にはコマンダーフォックス率いるトルーパー達の姿がみえる。

 

 トルーパー達に銃口を突き付けられながら姿を見せるのはズィロ・ザ・ハット。

 

 ズィロの顔を見てジャバは目を細める。

 

 目をそらしながらズィロはハットの言葉で言い訳をしていた。

 

 ズィロからパドメへ映像が変わる。

 

『共和国の交易路通過を認めていただきますね?』

 

「偉大なるジャバ様は締結に同意いたしました」

 

 通訳ドロイドの言葉にのび太達は安堵の声を漏らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったようだな」

 

 ジャバの宮殿を出たところでスピーダーバイクにもたれているモールの姿があった。

 

 身構えるアソーカとカルを制止してのび太はモールの前に立つ。

 

「ありがとう、助かったよ」

 

「昔のカリを返しただけだ」

 

 腕を組んでいたモールは立ち上がるとのび太の前に膝をついた。

 

「え、ちょっと!」

 

「お前の弟子にしてほしい」

 

「唐突だよ!?」

 

「カルはお役御免だね」

 

「えぇ!?」

 

 アソーカの呟きにカルが悲鳴を漏らす。

 

「どうして、弟子なんか?」

 

「俺はかつてのマスターに誘拐されジェダイを憎めと教えられながら修業をした。ジェダイを殺そうとした時に対峙したお前からは憎しみと違う全く別のものを感じた。あの後、各地を旅しても答えはでなかった。お前と一緒にいれば、何かわかるかもしれないと思ったのだ」

 

 モールの真剣な目にのび太は少し考える。

 

「そういってもらえると嬉しいよ。でも、ごめん。僕は今、弟子を取っているからもう一人弟子をとることができないんだ」

 

「そうか……」

 

「だけど、友達になれる!」

 

 悲痛の表情を浮かべていたモールにのび太は手を差し出す。

 

「僕がキミへ教えられることがあるのかわからないけれど、友達としてこれから仲良くしよう!」

 

「友達……それがどういうものかわからない。だが、教えてくれるのなら助かる」

 

 モールはのび太の手を掴んで立ち上がる。

 

 こうして、のび太は元シスの友達ができた。

 

 




この後、モールは評議会で尋問を受けるも、シスの秘術により、ダース・シディアスについての情報は開示できなかったという裏設定があったりなかったり。

次回はテレビドラマ版のクローン・ウォーズをいくつかやります。

映画については、次回の投稿までを期日とします。



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ルーキーズ初戦闘

最後の方はギャグになっております。




「あれ、ここ……リシ?」

 

 ハイパースペースを抜けた緑色に塗装されたジェダイ・スターファイター。

 

 操縦席の中でのび太は困惑の声を上げる。

 

「R3、僕達は別の宙域へ向かうはずだったよね?どうして、リシへ?」

 

 操縦席のパネルに文字が表示される。

 

「え、知らない!?計算はR3に任せたじゃないか」

 

 パネルの文字は否定していた。

 

「えぇ!?もしかして、計算間違えた?」

 

 失礼な!とパネルに文句が表示された。

 

「目的地に急がないと……って、エネルギーが切れかけている!?」

 

 計器類をチェックしていたのび太はスターファイターのエネルギーが僅かであることに気付く。

 

「補充しないと……確か、リシに基地があったね」

 

 肯定する表示がでる。

 

 リシはクローンを製造している惑星カミーノの玄関ともいえる重要拠点。

 

 ここが落とされるようなことがあればカミーノが戦火に包まれることもあり得る。

 

 もし、カミーノが敵の手に落ちてしまえば、クローンの製造ができなくなってしまう。

 

 それ故に重要拠点と決められていた。

 

 のび太は操縦桿を操ってスターファイターを惑星リシへ向かわせた。

 

「前線基地でエネルギーが補充させてもらおう。急がないとカルとモールが心配するし」

 

 ハットの息子の誘拐事件からパダワンであるカルと新たに友達としてモールと行動するようになった。

 

 元シスということで評議会は良くない反応をしていたが-。

 

――俺はジェダイに従うわけではない。友達のノビタと共に行動するだけだ。

 

 この一言でジェダイに従わないということからのび太と行動させるということで落ち着きをみせた。

 

 その際にのび太、カル、モールの三人は独立遊撃隊へ振り分けられることとなり、各銀河系で戦うジェダイや大隊の支援をしている。

 

 今回、急ぎというわけでないものの、支援を待っている艦隊の応援へいかなければならない。

 

「でも、なんだろう。嫌な予感がするなぁ」

 

 ぽつりと呟きながらのび太はスターファイターから基地へ味方のシグナルを送信する。

 

 同時刻、前哨基地がコマンドードロイドの襲撃を受けていることを知らず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リシ 前哨基地

 

 時間は少し遡る。

 

 責任者の軍曹をはじめとして、カミーノで訓練を卒業されて新兵として配属されているクローン・トルーパー達がいる。

 

「何もなし、何もなし、1000回見ても同じ景色だ」

 

「自分としては嬉しいね。こうして勉強ができる」

 

 監視を担当しているヘヴィーが悪態をつき、読書をしているエコー。

 

「やれやれ、俺達は一番、平和な場所へ配属となったらしいぜ?ファイヴス」

 

「平和でなければならない場所だ」

 

 そのタイミングで責任者の軍曹がやってきたので全員が直立する。

 

「いくらお前達が新兵とはいえ、ここが重要な拠点であることは理解しているはずだ。ここが襲われるような事態があれば、我々の故郷カミーノが危機にさらされる。まもなく士官がお見えになる。万事抜かりのないよう視察にそなえておけ」

 

「「「了解です!」」」

 

 基地内に警報が鳴り出す。

 

「軍曹!流星群です!」

 

「シールドを張れ」

 

「やれやれ、隕石のシャワーか」

 

 いつものことで慣れてしまったヘヴィーがぽつりと言葉を漏らしながらシールドを展開する。

 

 だが、今回はいつも通りといかなかった。

 

 隕石に紛れて分離主義勢力が派遣したコマンドードロイドの部隊がまぎれており、基地の歩哨を静かに制圧してしまう。

 

「異常は?歩哨!応答せよ!」

 

「電波障害でしょうか?」

 

「歩哨の姿が見えません!」

 

「様子を見てこい!」

 

 軍曹から指示を受けたドロイドベイトともう一人のトルーパーが外へ出ようとする。

 

 そのタイミングでコマンドードロイドの襲撃が発生。

 

 ドロイドベイトともう一人は反撃する暇もなく殺され、責任者の軍曹も命を落としてしまう。

 

 命からがら基地から脱出したのはヘヴィー、エコー、ファイヴス、カタップのメンバー。

 

 そして、時間は現在。

 

「軍曹抜きでどうすればいいんだ?」

 

「服務規程によれば、次の階級の高いものが指揮をとることに」

 

「静かに!今の音が聞こえたか?ドロイドじゃない」

 

「そういえば、巨大ウナギに気をつけろと」

 

「でも、見たことがないぞ?」

 

 直後、地面から噂の巨大ウナギが現れる。

 

 巨大ウナギは口を開けてカタップを飲み込んだ。

 

「カタップ!」

 

「なんだよ、こいつ!」

 

「こんなデカイのか!?」

 

「カタァップ!」

 

 ヘヴィーが声を上げたその時。

 

 

 空から急降下してくる者がある。

 

 その者は巨大ウナギの口の中へ自ら飛び込んだ。

 

「おい、今の何だ!?」

 

 ファイヴスが驚いていると巨大ウナギの体から緑色の刃が飛び出す。

 

 身構えるヘヴィー達の前で刃が巨大ウナギを切り裂いていく。

 

 悲鳴をあげてのたうち回る巨大ウナギ。

 

 潰されないように慌てて離れるヘヴィー達。

 

 やがて、断末魔をあげて動かなくなる巨大ウナギ。

 

「うえぇ、ベトベトだよ」

 

 死んだ巨大ウナギの中からライトセーバーを片手に現れる青年とカタップの姿が。

 

「カタップ!」

 

「無事だったか!」

 

 エコーとファイヴスはカタップの生存を喜ぶ。

 

「助かりました。貴方は……ジェダイですか?」

 

 粘液まみれになっているカタップはヘルメットを脱ぎながら感謝の言葉を述べる。

 

「うん。僕はノビタ・ノビだよ」

 

 のび太にヘヴィー達も駆け寄る。

 

「自分はヘヴィーです。もしかして、視察というのは貴方が?」

 

「いいや、僕じゃないよ。多分、あれかな?」

 

 のび太はプラットホームへ着陸しようとしているシャトルの姿を指さす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リシへ到着したのび太は上空で異変を察知。

 

 巨大ウナギに食べられたトルーパーに気付くと安全なポイントへ着陸するようにR3へ伝えてハッチを開けるとそのまま空中ダイブ。

 

 昔なら絶対やらないのだが、アナキンの影響だろうか、勇敢と破天荒な行動が目立つようになっていた。

 

「それで、キミ達はどうしてここに?」

 

「この基地はドロイドの襲撃を受けて制圧されています。責任者の軍曹とドロイドベイト、他のトルーパー達もやられていて……」

 

「じゃあ、彼らが危険だ。ドロイド襲撃の信号弾を使うんだ。キミ達は岩場に隠れてくれぐれも流れ弾に当たらないように」

 

「将軍はどうされるつもりですか?」

 

 ヘヴィーの問いかけにのび太は笑みを浮かべる。

 

「上にいって、彼らを助けてくるんだ」

 

 タケコプターを装着してのび太は空に舞い上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基地の視察のためにやってきたレックスとコーディ。

 

 二人は基地の歩哨がいないことに気付いて、異変を察知していた。

 

「歩哨がいない」

 

「これは何かが起こっているな」

 

 扉が開いてクローン・トルーパーが現れる。

 

「リシにようこそ、コマンダー。御覧の通り基地は何の問題もなく維持されております。遠路はるばるどうも、お気をつけて」

 

 どこかぎこちない動きのトルーパーにレックスは警戒を強める。

 

「基地内を確認してからだ」

 

「ああ、その必要はありません。何も異常はありませんので」

 

「責任者の軍曹を呼んで」

 

 直後、上空に信号弾が撃ちあがる。

 

 ドロイド襲撃報告の信号弾。

 

「その必要はないよ」

 

 上空からタケコプターを付けたのび太が降り立つ。

 

 降り立つと同時にライトセーバーを抜いてトルーパーの首を刎ねる。

 

「ノビ将軍!?なんてことを!」

 

 コーディは息を飲む。

 

 横にいたレックスがトルーパーのヘルメットを持ち上げる。

 

 その中から出てきたのはドロイドの頭。

 

「新型のコマンダードロイドですね?」

 

「うん。この基地は敵の制圧下にある」

 

「では、今の信号は生存者からの?」

 

 信号弾で確信したのだろう。コーディと比べてレックスは冷静だった。

 

 その時、隠れていたコマンドードロイドが攻撃を開始する。

 

 レックスとコーディが武器を構えて応戦する。

 

 のび太はライトセーバーでビームを弾きながらビーム・ピストルで狙撃した。

 

 しかし、対弾性能を強化されているコマンドードロイドに効果はない。

 

「仕方ないか」

 

 ホルダーへピストルを戻しながら地面を蹴り、フォースを操りながらコマンドードロイドを撃退していく。

 

 しばらくしてプラットホームに敵はいなくなり、ヘヴィー達がケーブルを使ってあがってくる。

 

「凄い、これがジェダイか」

 

「ただのドロイドじゃない。新型のコマンドードロイドを」

 

 自分達を苦戦させたコマンドードロイドを瞬く間に倒してしまったのび太やレックス、コーディに驚きを隠せないヘヴィー。

 

「ところで、どうしてノビ将軍はここに?」

 

「ファイターの燃料が切れかけていたから補充の為に立ち寄ったんだ」

 

 コーディの質問にのび太は答える。

 

 その間にレックスが新兵のヘヴィー達と話をしていた。

 

「さて、この分厚い扉をどうやって開けさせるか」

 

「別に開けさせなくていいんじゃない?」

 

 のび太に全員の視線が集まる。

 

 四次元ポケットから道具を取り出す。

 

「とおり抜けフープ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな簡単にいくとは驚きだ」

 

 コーディの言葉通りとおり抜けフープによって分厚い壁を通り抜けたのび太達の手によって前哨基地を難なく取り戻すことに成功する。

 

 初陣ともいえるトル―パー達もジェダイやコマンダー、キャプテンもいるおかげで負傷しなかった。

 

「通信システムをすぐに直さないと」

 

「異常なしの信号を送るように細工が施されています!すぐに戻すのは時間が」

 

 遅れてやってきたR3がエコーへ体当たりを仕掛ける。

 

「おい、なんだ?遊んでいる暇はないんだぞ!」

 

「エコー、だっけ?R3に任せて」

 

「え、わかりました」

 

 戸惑いながら場所を譲るエコー。

 

 R3がシステムに接続して数分。

 

 異常なしという信号から緊急事態発生という信号を発信へ切り替える。

 

「凄い……」

 

「増援がくるといってもすぐじゃない……迎撃のための準備をしないと」

 

「どうします?将軍」

 

「え、あぁ、僕か」

 

 近付いてくる上陸艇をみて、のび太はあることを思いついた。

 

「沈めてしまおうか」

 

「え?」

 

「何か考えがあるようですね?」

 

 のび太の提案にコーディはぽかんとして、レックスは不敵な笑みを。

 

 他のルーキー達は困惑するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 武器庫から武装を選ぶトルーパー達。

 

 のび太の作戦を聞いたものの、もしもということがある。

 

 その為に各自、武装を選んでいる。

 

 武器庫はDC-15AブラスターライフルやDC-15Sブラスター、爆薬などが並べられている。

 

「よし、俺はこれだ」

 

 ヘヴィーが選んだものはガトリング型ブラスター・キャノン。

 

 ファイヴスやエコー、カタップもそれぞれに武装を選ぶ。

 

「よし、準備が済んだら将軍のところへ向かうぞ」

 

「はい!」

 

「キャプテン、質問が」

 

「なんだ?」

 

「ノビ将軍はいつもあのような作戦を展開するのでしょうか?先ほどの不思議な力を用いたものばかり」

 

 ファイヴスが自らの疑問をレックスへぶつける。

 

「あの人自身、道具に頼り切るつもりはないそうだが非常時において必要と判断すれば使うぞ」

 

「あの力は一体?」

 

「俺も将軍から一度だけ聞いたが、遠い星にいる友人のものらしい。さ、将軍が待っているぞ」

 

「了解です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危険ではないですか?」

 

 トラップの準備をしているのび太へコーディが尋ねる。

 

「え?」

 

「将軍の言う通りの性能をだすのなら作戦としては有効かもしれません。ですが、もし、失敗すればこの基地を失う危険性もあります」

 

 作戦を聞いた時から疑問に思っていた事をコーディは尋ねる。

 

「まぁ、僕が思いつきで考えた事だからね。コーディはこれよりも的確な案ってある?」

 

「……プラットホームに爆薬をセットして近づいてくる上陸艇を撃破」

 

「そっか、そういう作戦もあるかぁ。僕はそういうこと思いつかなかったなぁ」

 

「いえ、自分の考えた作戦では基地の損害が大きすぎます。ですが、将軍の考えた通りなら基地の被害が少ないでしょう」

 

「そういっても僕はズルしているようなものだからね。作戦はマスターやマスターケノービから教えてもらっていてもうまく実践できないし」

 

 俯くのび太にコーディは言葉がでず沈黙が時間を支配する。

 

 しばらくしてのび太は笑みを浮かべた。

 

「時間だ。隠れよう」

 

「了解です」

 

 近付いてくる上陸艇をみて、のび太とコーディは隠れる。

 

 別の場所でレックスやヘヴィー達が武装して待機していた。

 

 万が一、作戦が失敗してドロイドがぞろぞろと現れたら戦闘になる。

 

 近付いてくる上陸艇に身構えるのび太達。

 

 ゆっくりと上陸艇がプラットホームに着陸する。

 

 中からスーパーバトルドロイドやバトルドロイドが現れた。

 

「今だ!」

 

 合図と共にスイッチを押す。

 

 プシュー!とプラットホームに設置しているガスが蔓延する。

 

「ナンダ?」

 

「ウワァアアアアア!?」

 

 煙を体に浴びたドロイド達は瞬く間に地面へ沈む。

 

 沈まないようにあがこうとするも上陸艇もブクブクと地面の中へ消えていく。

 

「成功ですね」

 

「どうなるかと思ったけど、よかったよ」

 

 のび太が思いついた作戦。

 

 それはドンブラ粉を使って上陸しようとするドロイド達を沈めてしまおうというもの。

 

 いくつか設置したドンブラ粉の効果によって敵は全滅したのである。

 

「戦わずして勝利かよ」

 

「凄い」

 

「これがノビ将軍だ」

 

 ルーキー達が感嘆とした声を上げる中でのび太の傍にR3が近づいていく。

 

 軽快な音を鳴らしながらシステムの修復が完了して援軍がくることを伝えた。

 

「そっかぁ、あぁ、お腹すいてきたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「将軍、これは何ですか?」

 

「どら焼きだよ」

 

 増援がくるまで少し時間があるということでのび太達は小腹が空いたのもありポケットの中からどら焼きと緑茶をみんなにふるまっていた。

 

「これが緑茶、ケノービ将軍にきいたことがある」

 

「スカイウォーカー将軍が言うには大盛況になって一日潰れたと」

 

 コーディとレックスは興味津々という様子でどら焼きと緑茶を味わう。

 

 ルーキー達はおそるおそるという様子だったがどら焼きを食べた途端、目をキラキラさせた。

 

「将軍、折り入ってお話したいことが」

 

 しばらく談笑していたところ、意を決した様子でヘヴィーがのび太へ声をかける。

 

「おい、ヘヴィー!失礼だぞ」

 

「いや、いいよ。話って何かな?」

 

「自分を将軍の部隊へ入れていただけないでしょうか!」

 

「え?」

 

「自分はARCトルーパーを目指しています!本気です!将軍の部隊で色々な実力を積みたいです!」

 

 真剣なヘヴィーの言葉にのび太は少し考えて。

 

「ヘヴィー、キミの考えはわかった」

 

「では!」

 

「だけど、まだ、僕の部隊にいれることはできない」

 

 のび太は申し訳ないと言って説明を続ける。

 

「僕の部隊は他のところ比べると人数が少ない。少数精鋭で危険な場所の支援もある。ヘヴィーやここにいるルーキー達は素晴らしい素質を持っていると僕は思う。だから、レックスのところでしっかりと経験を積むべきだ。レックスのところで鍛えられた後にまだ僕のところへ行きたいというのなら希望して。その時は受け入れるよ……それでいいかな?レックス」

 

「勿論です。それにお前達はもうピカピカではない。お前らがいなければ共和国は敵の奇襲に気付くことなくこの基地を奪われていただろう。素晴らしい動きだ。ぜひ、我が501大隊で活躍してもらいたい」

 

「「「「サー・イェッサー!」」」

 

 四人が敬礼する。

 

「ありがとう、レックス」

 

「構いませんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これはどういう状況だ」

 

 増援としてやってきた共和国軍。

 

 その中にオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカー、アソーカ・タノの姿があった。

 

「あー、マスターケノービ、そのこれには色々と理由がありまして」

 

「大方、ハイパードライブの座標計算を間違えたんじゃないのか?」

 

「えぇ!?そうなの?マスターノビ?」

 

 驚くアソーカの言葉にのび太は視線を外す。

 

 溜息を吐いていたオビ=ワンは目を見開く。

 

「ノビタ…………まさかと思うが我々が来るまでにどら焼きと緑茶を飲んでいたのでは?」

 

「え、あぁ、はい」

 

「まだ、あるかね?」

 

「えぇ、一応」

 

 目を輝かせるオビ=ワンの姿にアナキンはため息を零す。

 

「これは長引くなぁ」

 

 

 

 



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変わり者のジェダイ

クローン大戦もそろそろ終わりにします。
その後はいよいよシスの復讐へ話を向けます。

映画版については、その後にやる予定です。

感想が多いと励みになるかも?




とある惑星。

 

 霧が深く周囲が見渡すことが厳しく深い谷が広がる。

 

 そんな場所に一機のシャトルが降り立つ。

 

 ハッチが開いて中から現れるのはジェダイ騎士、シア・ジュンダ、パダワンのトリラ。

 

 そして、ナダールの三人。

 

 周囲を警戒するクローン・トルーパー達。

 

「ナダール、ここにグリーヴァスのアジトが?」

 

「あぁ、評議会はグリーヴァスを確保して戦争終結を望んでいる」

 

 シアは周囲を見る。

 

 どこか肌寒い空気を感じた。

 

「将軍、入口を発見しました」

 

「わかった。キミ達は我々についてくるんだ。残りはシャトルの護衛だ。行こう。シア」

 

「えぇ、トリラ、行きましょう」

 

 不安に揺れる感情を押し殺しながらトリラは頷いた。

 

 歩き出したタイミングでシアは尋ねる。

 

「そういえば、もう一人、アジト探索でジェダイが来ると聞いていたけど」

 

 シアは評議会から四人で調査をするように命じられていた。

 

 しかし、この場にいるのは三人。

 

 一人足りないのだ。

 

「あぁ、アイツなら遅刻です」

 

「遅刻?」

 

 ナダールの言葉にシアは首を傾げる。

 

「今はベスピンにいるらしいんだが……ファイターの故障で到着が遅れるという連絡が来ています。なぁに、我々だけでグリーヴァスの討伐できます」

 

 強気なナダールの言葉にシアはなんともえいない表情を浮かべる。

 

 果たして自分達だけで捕まえられるほど、簡単なことなのだろうか?

 

 疑問と小さな不安を抱きながらもシアはトリラを連れてグリーヴァスのアジトへ突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴホッゴホッ、どうやら予定通りにネズミが入り込んだようだな」

 

「はい、ご主人様」

 

 せき込みながら薄暗い部屋に入ってくるドロイドのような装甲に身を包んだ人物こそ、分離主義勢力のナンバー2のグリーヴァス将軍。

 

 彼の傍に拠点の管理ドロイドが控えている。

 

 設置されている監視カメラは侵入してきた者達を映し出していた。

 

「ご主人様、連絡が入っております」

 

「映せ!」

 

 目の前の立体映像が現れる。

 

『作戦は順調か?将軍』

 

「伯爵。えぇ、獲物が入り込みました。伯爵に我が実力をお見せしましょうとも」

 

『期待しているぞ。将軍』

 

 ドゥークー伯爵と話を終えたグリーヴァスは爬虫類のような鋭い瞳で映像をみる。

 

「覚悟するがいい。ジェダイ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがグリーヴァスのアジトというのは間違いないのかもしれないわね」

 

「ですが、嫌な予感がします」

 

 トリラが呟いた直後、背後から炎が噴き出す。

 

「走れ!」

 

 ナダールの叫びと共に全員が逃げ出す。

 

 逃げ遅れたトルーパーが一瞬で黒焦げになる。

 

「罠だわ!」

 

「マスター!前の隔壁が!」

 

 徐々に前方の隔壁が下りている。

 

 このままでは全員が黒焦げになってしまう。

 

 シアはフォースで隔壁の動きを一時的に止める。

 

 その間にナダール、トリラ、シア、そしてトルーパーが入り込む。

 

 シアが入って力を止めた。

 

 大きな音を立てて閉じる隔壁。

 

 呼吸を整えるシア達。

 

 ナダールは拳を壁に叩きつける。

 

「くそっ、この借りは必ず返すぞ」

 

「…………ナダール」

 

 シアは怒りを膨らませているナダールに言葉が出ない。

 

「侵入者撃退のトラップが沢山あるのかもしれない。より慎重に行動を」

 

「いいや、急ぎで突破する。グリーヴァスの確保を優先だ」

 

 ナダールはシアの提案を拒絶する。

 

 トル―パー達は沈黙。

 

 トリラは不安でナダールとシアのやりとりをみていた。

 

「ここで時間を潰している暇もない……脱出も視野に入れて調査を続行しましょう」

 

「いいでしょう」

 

 頷いたナダール。

 

 再びグリーヴァスのアジト調査を続行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クローンが一匹死んだだけか……だが、次はそうはいかないぞ」

 管理ドロイドが不敵に笑う。

 

 パネルのスイッチを押す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前の隔壁が下りる。

 

 代わりに別の通路の隔壁が上がった。

 

「これは、誘導されているわね」

 

「罠か、ならば、突破するのみだ」

 

 意気込むナダール。

 

「ナダール、貴方はもう少し冷静になるべきだわ。敵は明らかに私達の動きを」

 

「読んでいたとして、すぐに対策が思いつくか?我々は敵を討たなければならない。そうしなければ死んだ者達は浮かばれないんだ」

 

 ナダールの強い言葉にシアは少し圧されてしまう。

 

「だ、だけど、それはジェダイとして」

 

「先を急ごう」

 

 シアとの会話を打ち切るようにしてナダールは歩き出す。

 

 続くトルーパー。

 

「マスター、どうするの?」

 

「行きましょう。トリラ」

 

「はい」

 

 頷いて彼らの後を二人は追いかける。

 

 彼らがたどり着いたのは先ほどまでと異なり広い場所だった。

 

「何かしら、嫌な予感がするわ」

 

「マスター、ここ、闘技場みたい」

 

 身構えるシアにトリラが己の不安を打ち明けた直後。

 

 奥の部屋が開いて。

 

「なっ!」

 

 ナダール達は息を飲む。

 

 奥から現れたのは四足歩行の炎を吹くクリーチャー。

 

 雄叫びと共に突進してくる。

 

 避けるナダール達だが、間に合わず尾の一撃を受けてトルーパーの一人が壁に体を打ち付けた。

 

「くそっ!」

 

 ライトセーバーを起動してクリーチャーに接近するナダール。ライトセーバーで足を斬るも、切り落とすまでにいかず、余計に相手が怒る。

 

 トルーパーがブラスターで狙撃しているとクリーチャーの炎で黒焦げにされてしまう。

 

「あっ」

 

 トリラが震える手でライトセーバーを落としてしまう。

 

 音に気付いたクリーチャーがトリラへ視線を向ける。

 

 縦に割れた瞳がトリラを見据えた。

 

「ダメ!」

 

 彼女を守るためにシアは走る。

 

 クリーチャーの尾の攻撃をかいくぐり、額へライトセーバーを突き立てた。

 

 暴れて口から炎を出すも振り落とされないようにシアはしがみつく。

 

 ナダールが地面を蹴り、クリーチャーの尾を切り落とし、フォースプッシュで壁に追いやる。

 

「このぉおおおおおおおお!」

 

 叫びと共にライトセーバーを振り上げて額に深く突き立てる。

 

 大きな音を立てて地面に崩れ落ちたクリーチャーは最後に大きな断末魔をあげると動かなくなった。

 

 ライトセーバーを戻してシアがトリラへ駆け寄る。

 

「大丈夫?」

 

「マスター、私、私」

 

「落ち着いて、もう大丈夫だから」

 

 怯えているトリラへフォースを送り、彼女の精神を落ち着かせる。

 

「くそっ、必ず敵を討つからな……」

 

 怒りに震える姿にシアは不安を覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナダール、これ以上は危険よ。今回は撤退すべきだわ」

 

 トリラを少し離れたところで休ませてシアはナダールと話をしていた。

 

「撤退?何を馬鹿な。これだけの犠牲者が出たんだ。奴を捕まえなければ無駄死にじゃないか!」

 

「そうかもしれない。でも、この先にどんなトラップがあるのかわからない。私達は既に犠牲者を出している。もしかしたら、次は私や貴方が死ぬかもしれない。そうなったら誰がここの情報を伝えるの?」

 

「それは……」

 

「何も今回限りというわけじゃない。それに、今のあなたは死に急いでるようにみえる」

 

「そんなことはない!」

 

「だとしても、冷静さを欠いたままじゃ危険だわ……」

 

「……わかった。撤退しよう」

 

 ナダールの言葉にシアは安心する。

 

「ありがとう、出口を探しましょう」

 

「あぁ」

 

 彼が了承してくれてよかった。

 

 シアがそう思った時、奴は現れる。

 

「もう帰るのかな?ジェダイ」

 

 聞こえた声に振り返るシアとナダール。

 

「グリーヴァス!」

 

「我が城は楽しんでいただけているかな?この程度で満足して帰られては困るな」

 

「トリラ!」

 

 シアはトリラを呼んでこの場から逃げることにした。

 

 ライトセーバーを取り出そうとしたナダールだったが、シア達をみて、後を追う。

 

「フン、ここからは逃げられんぞ!」

 

 余裕の表れか走る三人に対してゆっくりとグリーヴァスは歩く。

 

「管理ドロイド!タイミングを見計らって前方の隔壁を下せ」

 

『わかりました』

 

 通信で管理ドロイドへ指示をだすグリーヴス。

 

 狩りは慌てず楽しむものが勝ち。

 

 様々な罠を張り巡らせているテリトリー故に余裕を崩さない。

 

「まずい!前の隔壁が下りるぞ」

 

 先を走っていたナダールが隔壁を潜り抜ける。

 

「トリラ、頑張って!」

 

「はい、マスター!」

 

 笑いながらグリーヴァスは指を鳴らす。

 

 横の隔壁が開いてマグナガードが一体、飛び出す。

 

「トリラ!あぁ、ダメ、ダメェエエエエエエ!」

 

 咄嗟にライトセーバーでマグナガードのエレクトロ・スタッフを受け止めたシア。

 

 その間に隔壁が下りてトリラがグリーヴァス側に取り残されてしまう。

 

「そんな!すぐに」

 

「危ない!」

 

 ナダールがライトセーバーを抜いてシアの横へ振るう。

 

 壁の一部がスライドして毒矢が放たれたのだ。

 

 彼がライトセーバーを振るわなければシアは毒矢で命を落としていた。

 

「戻らないと、トリラが」

 

「だが、こいつを相手にしていては」

 

 焦るナダール。

 

 その時、二人の通信機に連絡が入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トリラは恐怖に支配されていた。

 

 呼吸を整えようとしても機械の足音が思考を乱してしまう。

 

 ライトセーバーを握りしめる手も恐怖で震えてカチカチと音を鳴らしていた。

 

「どうした、抜かないのか?小娘よ」

 

 グリーヴァスの嘲る言葉にトリラは怯えて後ろへ下がる。

 

 しかし、すぐに分厚い壁にぶつかった。

 

「お前もジェダイなら戦って死ぬといい。抜かぬなら苦痛にまみれて死ぬがいい!」

 

目を細めながらグリーヴァスは獲物であるトリラへみせるようにライトセーバーの一本を手に取る。

 

 刃を起動させてくるくると回転させた。

 

 バチバチバチと地面を激しく擦りながら刃がトリラへ迫る。

 

「ヒッ!」

 

 悲鳴を漏らしてライトセーバーを落とした。

 

 グリーヴァスが笑いながらトリラへ刃を突き立てようとした瞬間。

 

 横から飛び出した影がグリーヴァスへ一撃を放つ。

 

「ぐぅぅ!?」

 

 突然の事に驚きながらも体を捩じって急所を回避する。

 

 しかし、完全に躱しきれなかったようで表面の一部が焦げていた。

 

「獲物を前に舌なめずりは三流のすることらしいよ?」

 

「誰だ!貴様!」

 

 体を傷つけられたことで激昂するグリーヴァス。

 

 トリラを守るように立った人物はジェダイローブを翻しながらフードを脱ぐ。

 

「ジェダイだよ」

 

 グリーヴァスは目を細める。

 

 乱入者の顔に覚えがあったからだ。

 

「お前は、見覚えがあるぞ……そうだ!伯爵の元弟子!貴様がノビ将軍か!」

 

「はじめまして、グリーヴァス将軍。貴方をここで逮捕する!」

 

 グリーヴァスは声高らかに笑う。

 

 トリラは自分を守ってくれている人物の名前を聞いて思い出す。

 

 

――ノビタ・ノビ。

 

 

 

 ジェダイの騎士で風変わりといわれる人物がいる。

 

 曰く、選ばれし者の可能性あり。

 

 曰く、シスを倒した。

 

 曰く、ジェダイ聖堂の一室を何十回以上爆破した。

 

 曰く、マスターヨーダをどら焼きの虜にした。

 

 曰く、人の痛みがわかり、寄り添える優しいジェダイ。

 

 噂だけだが、トリラも聞いたことがあった。

 

 その彼が目の前にいて自分を助けてくれたという事に理解が追い付かない。

 

「大丈夫だよ」

 

 不安に揺れるトリラの肩へ手を置く。

 

 のび太の言葉と共に優しいフォースがトリラに伝わってくる。

 

 マスターであるシアよりも暖かくて、とても安心するフォースだった。

 

 気付けばトリラの中にあった恐怖が消えている。

 

 落ち着いたことを確認したのび太は前を向く。

 

 地面を蹴り、グリーヴァスが飛び掛かる。

 

 のび太はトリラを抱えてその場から離れた。

 

「ゴホッゴホッ!これは嬉しい!私のコレクションが増えるぞ!貴様も伯爵に鍛えられたらしいが、わしも鍛えられたライトセーバーの腕をみせてやろう!」

 

 マントを脱ぎ捨ててグリーヴァスは両手をさらに二つへ分離させる。

 

 合計四つの手にライトセーバーを握りしめてグリーヴァスは構えた。

 

「うわぁ、その手、分離するんだ」

 

 驚くのび太はソレスの構えをとる。

 

 グリーヴァスは相手を怯えさせるように二つの腕を回転させる。

 

 握りしめているライトセーバーが回転して周囲を切り裂いていく。

 

 迫る刃を前にのび太は冷静だった。

 

 フォースに全身を委ねて静かに待つ。

 

 ここでのび太は死なない。

 

 フォースがどうすればいいか教えてくれる。

 

 のび太は迫る二本の刃をいなしながら、片方のライトセーバーを破壊した。

 

「ぬぉっ!やりおる!」

 

 驚きながら残り三本のライトセーバーを操るグリーヴァス。

 

 一つを回転させながら残り二本でのび太を串刺しにしようとする。

 

 躱しつつ、ライトセーバーで受け流していくのび太だが、相手の猛攻に押され気味だった。

 

「借りるよ!」

 

 のび太はトリラの落としていたライトセーバーをフォースで引き寄せて構えた。

 

 先ほどよりも状況が変わりのび太の振るうライトセーバーによって三本のうち二本のライトセーバーが破壊される。

 

「ぐぅぅぅう!」

 

 グリーヴァスは地面を蹴ると昆虫のような動きを取りながら天井の一部の隠し通路へ逃げ込んでしまった。

 

「逃げられちゃったかぁ」

 

 ライトセーバーの刃を収納したのび太は呆然としている表情のトリラをみる。

 

「はい、これ」

 

 トリラへライトセーバーを返す。

 

「落としちゃだめだよ?ライトセーバーは自分の命だと思わないと」

 

「はい、ごめんなさい」

 

「まぁ、僕もしょっちゅう落とすから偉そうなことを言えないけど」

 

 肩を竦めながら言うのび太の言葉にトリラは自然と笑顔になる。

 

「挨拶がまだだったね。僕はノビタ・ノビ。キミ達と一緒にグリーヴァスを捕まえるオーダーを受けていたんだけど、遅刻してごめんね」

 

「いえ、マスターノビがきてくれなかったら私は危なかったです。ありがとうございます」

 

「ううん、間に合ってよかった」

 

 のび太としては最初から合流していればトルーパー達の命を救えたかもしれないと考える。

 

 たらればを考えてもキリがないと言われるがクローン戦争が始まってからのび太はこういう事を偶に考えてしまうようになる。

 

「マスターノビ?」

 

「ごめん、考え事をしていたよ……シアさんとナダールはこの壁の向こうなんだね?」

 

「はい、どうしますか?」

 

「こうするんだ」

 

 のび太は四次元ポケットからとおり抜けフープを取り出して壁につける。

 

 開いた穴を通って向こう側へ行く。

 

 トリラは半信半疑ながらも後を追う。

 

 のび太は通信機を起動させる。

 

「こちらノビ、ナダール、シアさん、聞こえますか?」

 

『こちら、ナダール。ノビタ!大遅刻だ!』

 

「ごめんなさい、ちょっとトラブルが発生して。それより、パダワンのトリラちゃんを保護したよ」

 

『本当に!?トリラは無事なの!』

 

「シアさん、大丈夫です。そちらは?」

 

『我々の妨害をしていた管理ドロイドを破壊したところだ。ここの出口も発見した。本来ならグリーヴァスをというところだが、場所が悪すぎる。撤退だ。マップのデータを送る。そこの座標で合流しよう』

 

「わかった。グリーヴァスの妨害もあると思うから気を付けて」

 

『それはこちらのセリフだ。ナダール通信終わり』

 

「えぇ~、ノビタ通信終わり」

 

 コムリンクをオフにしたのび太へトリラが尋ねる。

 

「マスターは無事ですか?」

 

「大丈夫だよ。これから彼女達と合流するから」

 

「よかった」

 

 安堵の息を吐いたトリラをみて、のび太は四次元ポケットからボールを取り出す。

 

「それは?」

 

「ここはグリーヴァスの迷宮だからね。そういうところの安全策だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グリーヴァスは苛立っていた。

 

 管理ドロイドがやられたことは仕方のないことだが、あれから罠に招き入れたジェダイ達がトラップに全く引っかからなくなってしまったのだ。

 

 安全ルートがわかっているかのようにあっさりと合流されてしまう。

 

 このままでは伯爵に自分の実力をみせられない。

 

 脳裏にドゥークー伯爵から告げられた警告を思い出す。

 

 

――やはり、あの小僧は要注意だ。

 

 

 伯爵に鍛えられたという元弟子。

 

 ジェダイとしてケノービや噂のスカイウォーカーに匹敵する力を持つ者。

 

 戦う時は注意せよ。

 

 今更になって警告の意味を理解したグリーヴァスは策を練る。

 

「ゴホッゴホッ、奴らは、あぁ、あそこか」

 

 彼は端末を操作してその場へ残りのバトルドロイドを向かわせる。

 

 この基地の防衛が手薄になろうと、この場でジェダイの一人は必ず葬る。

 

 そうしなければ、ここまでセッティングしたすべてが無駄になってしまう。

 

 獣のような瞳を鋭くさせながらグリーヴァスは行動を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、トリラ!」

 

「マスター!」

 

 シアはトリラの無事な姿を見て喜び駆け寄る。

 

「ケガはない?」

 

「はい、マスターノビに助けてもらいました」

 

「そう、ありがとう。ノビ」

 

「仲間ですから」

 

 シアの言葉にのび太は微笑む。

 

「合流したがどうやってここを脱出する?シャトルは破壊されている」

 

「それなら大丈夫」

 

「どういうことだ?」

 

 疑問を漏らすナダールにのび太は説明する。

 

 侵入する前にスターファイターに搭乗しているR3に救援シグナルを送るように指示を出していた。

 

 まもなく救援がやってくるという。

 

「僕達はここを脱出しよう」

 

「そうだな、あんなものをみてしまうと気分が悪くなる」

 

「何かみたの?」

 

 のび太はナダールの様子がおかしいことに気付いた。

 

「道中、奴の保管庫をみつけた。奴は倒した相手の一部を保管しているんだ」

 

「……グリーヴァスに倒されたジェダイのライトセーバー」

 

「そうだ、戦利品のように、あんなこと」

 

「ナダール、落ち着いてよ」

 

「私は落ち着いている!」

 

「そりゃ、グリーヴァスが許せない気持ちはわかるよ。でも、許せないからって怒りや憎しみで挑むのは間違いだと思う」

 

「では、何で挑むという!」

 

「それは」

 

 ナダールとのび太は同時にライトセーバーを構える。

 

 頭上から降りてきたグリーヴァスの不意打ちを防ぐ。

 

「見つけたぞ!ジェダイ共!ここから生きては返さん!」

 

「いいや、僕達は帰るんだ!みんなが待っている!」

 

「ここで死ぬのだ!」

 

 叫びと共に振るわれるライトセーバー。

 

 ナダールが前に飛び出す。

 

 カバーするためにのび太が隙を見計らってグリーヴァスへ攻撃を仕掛ける。

 

 グリーヴァスは四本のライトセーバーで二人のジェダイを追い詰めようとするものび太とナダールの攻撃でライトセーバーを持つ手事破壊されてしまう。

 

「ナダール!」

 

「指図するな!」

 

 叫びながら二人は後ろの開いた扉の向こうへ飛び出す。

 

「わわ!」

 

 ドアの向こうからすぐ先がなかった、

 

「無駄だ!ここは私の城だ!お前達は絶対に逃がさん!」

 

「どうかな?」

 

 のび太の言葉にグリーヴァスが違和感を覚えた直後。

 

 頭上から新たな乱入者が現れる。

 

「マスター!?」

 

 ナダールが驚きの声を上げる。

 

 現れたのは不敵な笑みを浮かべるジェダイマスター、キット・フィストー。

 

 緑のライトセーバーを振るい、グリーヴァスを退かせる。

 

 背後からゆっくりと近づいてくるシャトル。

 

 既に避難していたシアとトリラの姿もある。

 

 ナダールとのび太がシャトルへ乗り込んだ事を確認したキットはフォースプッシュでグリーヴァスを壁に叩きつけるとシャトルへ飛び乗った。

 

「パイロット!上昇して!」

 

「イェッサー!」

 

 パイロットがシャトルを急上昇させる。

 

 衝撃に顔を歪めながらもグリーヴァスの城から急速に遠ざかっていく。

 

 グリーヴァスが意識を取り戻した時、シャトルは大気圏を突破していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、どうして」

 

「救援信号をキャッチしたのだ。キミ達が無事で本当に良かった」

 

「マスターフィストー、助かりました」

 

 シアがのび太をみる。

 

「ノビタ。貴方もありがとう」

 

「いやぁ、僕は遅刻しちゃったから」

 

「全く、お前が遅刻しなければ。だが、お前がいなかったら全滅していたかもしれん。助かったぞ」

 

「うん」

 

 ナダールの言葉にのび太が笑みを浮かべる。

 

「(ナダール、キミも私のパダワンのころより成長しているようで安心したぞ)」

 

 二人のやり取りをみて、キット・フィストーは心の中で思う。

 

 

 




ナダールについては、アンチ的な書き方をしているかもしれないですが、本編だと、段々と冷静さを失っていた感じもあったので、こんな書き方にしました。



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不協和音な戦い

今回は前編後編になります。




 

独立遊撃部隊。

 

 それは共和国軍の501大隊と異なり、様々な部隊の支援を目的としている部隊。

 

 部隊は野比のび太、モールを含めた二人だけ。

 

 元シスの肩書きを持つモールの扱いに困ったジェダイ評議会の決定によって組織された。

 

 今回、のび太は惑星アンバラで現地の抵抗組織と戦っている501大隊の支援をしている。

 

 首都攻略のための応援としてのび太はシャトルでモールと共に501大隊の応援へ来たのだが。

 

「そうか、お前がノビタ・ノビか」

 

「失礼、貴方は?」

 

「クレルだ。ジェダイマスターでコルサントへ戻ったスカイウォーカーに代わって501大隊の指揮をとることになった」

 

「そうなんですね。僕はノビタ。こっちは」

 

「あぁ、そっちは知っている。裏切りが常套の元シス、モールだったな」

 

「そんな言い方!」

 

「構わん、奴の言うことは事実だ」

 

 ジェダイは元シスのモールに対して冷たい。

 

 中には仲間として受け入れてくれるジェダイもいたが、ほとんどがクレルのような態度をとっていた。

 

「……それで、任務の状況は?」

 

「今から首都を攻める為に大隊を率いて進軍する。お前達には我々と共に進軍してもらう」

 

「わかりました」

 

 沈黙で肯定したモールと共にのび太は準備の為、クレルから離れる。

 

「ごめんね、モール」

 

「気にしてはいない。俺が元シスであるという事実は消えない」

 

「そうかもしれないけど、みんな固すぎるんだよ。シスとかジェダイなんか、拘るから」

 

「……お前はそういうものに拘らないな」

 

「まぁね」

 

「(そんなお前だからこそ、俺は信じられるのだろう)」

 

 モールはのび太をみながら心の中で思う。

 

 話をしている二人へ声をかける者がいた。

 

「ノビ将軍、モール、久しぶりだな」

 

「レックス!」

 

 クローン・トルーパーのレックス、元ドミノ分隊のファイヴスやヘヴィー、カタップの姿もある。

 

 拳を打ち鳴らしながら喜びを表すファイヴス。

 

 少し前の戦いでファイヴスやヘヴィーはARCトルーパーに昇格していた。

 

「久しぶりだね。二人とも」

 

「一緒に作戦を行動できて光栄です!」

 

「カミーノの戦い以来ですね!」

 

 クローン達はモールを元シスだとみない。

 

 共に戦いを潜り抜けてきたことで戦友の関係を築いていた。

 

「お二人がいれば、心強いです」

 

「頑張るよ。任せて!」

 

「あぁ」

 

 のび太とモールは力強く答える。

 

 しかし、事態は彼らの予想を超えて最悪なことばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クレル将軍率いる第501大隊はアンバラの首都攻略のための進軍を開始した。

 

 開始したが、いつ敵に襲われるかわからない状況や不安定な足場、何より非常に速いペースの進軍によってトルーパー達に疲労が出ている。

 

「ノビ将軍、兵士に疲労がみえます」

 

「クレル将軍はなんて?」

 

「進軍続行とのことです」

 

「あの人は俺達の事をドロイドか何かだと思っているのか?」

 

「よせ、ファイヴス」

 

 悪態をつくファイヴスを止めるヘヴィー。

 

 のび太は足早にクレルの隣へ向かう。

 

「なんだ?ノビ」

 

「兵士に疲労がみれます。ここで不意打ちを受けたら全滅する危険もあります。休憩すべきです」

 

「ノビよ。後ろをみろ。ここには大勢の兵士がいる。我々の目的を忘れたのか?首都の奪還だ!」

 

「奪還の前に疲弊でまともに動けなくなります!」

 

「甘いな。共和国はそんな甘い考えを許さん。進軍を続けよ!」

 

 のび太が意見しても考えを曲げることなくクレルが進軍を命ずる

 

 その直後、敵の襲撃を受けてしまう。

 

 部隊が危機に陥るものび太、レックス、モールの機転によって危機を脱するも。

 

「CT-7567!お前は私の命令を無視した!このルートは敵に支配された!作戦が台無しだ!」

 

「クレル将軍、差し出がましいようですがキャプテンは大隊を救いました!そのことにお気づきでないのですか?」

 

「ART-5555、黙っていろ!」

 

「やめてください!」

 

 ライトセーバーを取り出したクレルの動きに気付いたのび太は腰のライトセーバーを取り出して刃を防ぐ。

 

「ノビ!貴様はクローンを庇うのか!」

 

「僕達は戦争をしています。相手はドロイドだけど!味方はドロイドじゃない!人間だ!命なんです!そんな命を無碍にするようなこと、僕は嫌です!」

 

 クレルの刃を弾き飛ばしてのび太は叫ぶ。

 

「いいだろう。だが、作戦は台無しになったのだ。貴様が代わりの作戦を立案して首都を奪還するのだ!」

 

 刃を戻してクレルは離れていく。

 

 のび太は緊張の糸がきれたのかライトセーバーの刃を収納して腰に下げる。

 

「すいません、将軍」

 

「いいよ。レックスやファイヴスの言うことが正しいから……」

 

 その後、オビ=ワンから敵の空軍基地を奪取せよという命令が下される。

 

 首都占拠において抵抗を支援する空軍基地からの補給を断つ必要がある。

 

「これは、嫌な予感がする」

 

 クレルは進軍と命じるのみ。

 

 のび太はこのままでは疲弊して全滅の危険があるとして。

 

「マスタークレル、僕に作戦があります」

 

「ほう、お前に名案が?」

 

「はい」

 

 疑うようなクレルの言葉にのび太はまっすぐみる。

 

「少数精鋭を率いて基地を占拠します。これなら大隊の疲弊を防ぐことができ、消耗も少ないです」

 

「よかろう、やってみるがいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、やっちゃった」

 

 のび太はぺたんとその場に座りたくなる衝動を堪える。

 

 いくらクレルが気に入らないといっても、あんな真っ向から反抗するのはよくなかったかもしれない。

 

「いいや、あれでよかったぞ」

 

 沈黙を貫いていたモールがのび太へ声をかける。

 

「しかし、少数精鋭で基地を占領か、作戦はあるのか?」

 

「実のところ、ないです」

 

「だろうな」

 

 表情を変えずにモールは尋ねる。

 

「作戦はないけど、突撃することは変わらないかな」

 

「俺も行くぞ。お前は無鉄砲なところがある」

 

「ありがとう、モール」

 

 のび太とモールが話をしていると二人のトルーパーが声をかける。

 

 

「クレルとの話を聞きました。その少数精鋭に自分達を加えてください」

 

「アイツに一泡吹かせてやりましょう!」

 

「ヘヴィー、ファイヴス」

 

 敬礼する二人のトルーパー。

 

「キャプテンの許可は得ています」

 

「でも、いいの?」

 

「自分達は命令に従う兵士。兵士ですが、その命令が正しいか正しくないかを考えることはできます!」

 

「クレルの作戦は滅茶苦茶だ。無駄死にする作戦に従うことはできません」

 

 二人の強い言葉にのび太は少し悩みながら。

 

「わかった。参加を認める」

 

「「イェッサー!」」

 

 その後、レックスの部隊からハードケース、タップの二人が作戦に協力することになった。

 

 のび太、モール、ヘヴィー、ファイヴス、ハードケース、タップの六人は大隊から離れて敵の空軍基地の近くにきている。

 

「それで、将軍の作戦は?」

 

「透明マントを使って基地内に侵入。敵の拠点のいくつかを無力化させる。僕とモールが派手に動くからその間に罠の設置を四人には頼むよ」

 

「了解です」

 

「くそっ、俺も暴れたいぜ」

 

 ハードケースが残念がる姿に他のクローン達は笑う。

 

「じゃあ、作戦通りに」

 

 トルーパー達が透明マントで姿を隠したことを確認してのび太とモールが基地の中央に立つ。

 

「やっほー!」

 

「……」

 

 基地の中心と言える場所へ普通に現れたのび太とモールに敵は呆然としてしまう。

 

 最初は呆然としていたが、すぐに敵だと気づいた兵士達は攻撃を開始する。

 

「じゃあ、行くよ」

 

「あぁ」

 

 暗闇に緑と黄色のライトセーバーが煌めく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠くから聞こえる砲撃や銃撃音を聞きながらヘヴィーやファイヴス達は爆破の準備をしていた。

 

「よし、設置完了だ」

 

「将軍たちへ合図を送るんだ」

 

「よし!」

 

 タップが信号弾を空へ撃ちあげる。

 

「モール!」

 

 準備完了の合図をみたのび太は近くにいた兵士へライトセーバーを振り下ろしながらモールを呼ぶ。

 

 くるくると回転しながらダブル=ブレードライトセーバーを振るうモールは頷いた。

 

 二人は目の前の敵を蹴散らしながら走る。

 

 

 

 

 

 

 一時間後、クレルの率いる501大隊は敵の妨害もなく空軍基地へ入り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回は幸運が味方したようだな。ノビ」

 

「幸運なんかじゃないですよ。僕を信じてついてきてくれた友と兵士達が優秀だったおかげです」

 

「勝利に代償はつきものだ。お前もいずれ知るだろう」

 

「代償が必要な勝利ならいりません。僕はできるなら不要な犠牲を出さないことが望みですから」

 

「高望みすれば、痛い目にあうことを知るんだな」

 

 クレルはそういうと基地内へ入っていく。

 

 のび太の後ろにいたモールやヘヴィー達はクレルがいなくなると笑みを浮かべた。

 

 振り返ったのび太と共にハイタッチを交わす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基地を占拠した事で首都占領が優位になるかと思ったのだが、軌道上の艦隊からの直接補給を受けている為に戦況が不利のままらしい。

 

 その為、オビ=ワンからの援軍要請で501大隊はクレルの指揮で出撃することになるのだが。

 

「どう?壊れている?」

 

「いいえ、使えます」

 

 のび太は空軍基地の格納庫に保管されていた敵の戦闘機をタップ達に頼んでみてもらっていた。

 

「壊れてはいないのですが、将軍、これの操縦方法を調べるのに時間がかかります」

 

「まぁ、すぐに出撃にならないなら……」

 

「どうやらそうは問屋がおろさないようだぞ」

 

 モールの言葉にのび太が振り返ると意気消沈した様子のレックスがやってくる。

 

「みんな、聞いてくれ……将軍の指示で十二時間後に首都へ向けて進軍を開始する」

 

 レックスの言葉にトルーパー達は不平不満を漏らす。

 

「また自爆作戦か……首都の防衛は完璧だ」

 

「クローン浪費作戦か、まったく」

 

 呆れた様子のトルーパー達をなだめるレックス。

 

「どうやら時間がなさそうだね」

 

 溜息を吐きながらのび太はレックスの方へ向かう。

 

「レックス」

 

「ノビ将軍……クレル将軍から首都進撃の指示がでました」

 

「そうみたいだね……出撃開始時間は?」

 

「十二時間後です」

 

「じゃあ、六時間ほど、僕達に時間をくれないかな?」

 

「何をするつもりです……?」

 

「敵の補給艦を叩く。この基地の戦闘機を使って補給艦に侵入して内部から破壊する。そうすれば、敵の猛攻も弱まってマスターケノービも楽になるでしょ」

 

「……それでは将軍に負担が」

 

「別に大丈夫だよ。それよりもマスタークレルに悟られないように気を付けて」

 

「わかりました」

 

 レックスと別れてのび太は格納庫へ向かう。

 

「将軍、何をやらかすつもりですか!俺達も参加させてください!」

 

 格納庫へ入るとハードケースが声をかけてくる。

 

「好戦的だね。ハードケースは、まぁ、これから行く場所はかなり危険だよ?」

 

「構いませんよ。共和国の為なら!」

 

 力強く答えるハードケース。

 

「まぁ、調整済みの戦闘機の数が少ないから僕と一緒だよ?」

 

「やったぜ!」

 

 調整をしていたタップが駆け寄ってくる。

 

「将軍、準備が完了しました。使えるのは三機です」

 

「ありがとう、タップ」

 

「俺も行こう」

 

 のび太へモールが声をかける。

 

「それなら俺も!」

 

「自分も!」

 

 ファイヴスやカタップも集まってくる。

 

 のび太は少し考えて。

 

「モール、頼みがあるんだけど」

 

「なんだ?」

 

「実は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?あの戦闘機はなんだ?おい、誰が操縦している!」

 

「将軍、ノビ将軍の判断で少数精鋭で敵の補給艦を撃破するために作戦を開始しました」

 

「私は連絡を受けていないぞ。これは問題ではないのか?現在、この補給基地は第501大隊を指揮している私が管理している。キャプテン、お前は報告する義務があった。作戦の事をお前は知っていたはずだ。これは問題では」

 

「失礼するぞ」

 

 管理センターの扉をあけてモールが入ってくる。

 

 モールの姿を見たクレルは舌打ちしつつ、視線を向けた。

 

「何の用だ?」

 

「遅れながら伝達だ。ノビ将軍が作戦を実行する」

 

 モールの手には作戦を知らせる連絡情報があった。

 

「そうか、ならば、そこへ置いていただこう」

 

「あぁ」

 

 情報をデスクへ置いて去る。

 

 去り際にレックスがモールへウィンクした。

 

 モールは肩を竦めながら部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後、のび太達の作戦が成功して敵の補給艦が墜落していく。

 

 空軍基地でその様子を見ていたレックスや他のトルーパー達は喜びの声を上げる。

 

 やがて、脱出した戦闘機が基地へ戻ってきた。

 

 出迎えるトル―パー達だが、レックスやヘヴィーの表情は暗い。

 

 出撃した三機のうち二機しか戻ってきていない。

 

 誰かが落とされたということになる。

 

 緊張しているレックス達の前に降り立つ戦闘機。

 

 降りてきたのはタップ、ファイヴスの二人。

 

「そんな!」

 

 ヘヴィーが信じられないという表情でファイヴスへ駆け寄る。

 

「おい、ファイヴス!将軍は!?」

 

「ノビ将軍は……」

 

 ファイヴスが言葉をつづけようとした時。

 

「おーい」

 

 空からのび太の声が響く。

 

 トルーパー達が視線を向けるとハードケースを抱えたのび太がタケコプターでゆっくりと降りてくるところだった。

 

「将軍、心配しましたよ」

 

「いやぁ、到着したけれど、戦闘機が故障してね?ハードケースと一緒にこうして、危険な空の旅をすることになっちゃったよ」

 

「将軍のおかげで助かりました。空の旅はこりごりです」

 

 ヘルメットを外して肩を竦めるハードケース。

 

 駆け寄っているトルーパー達が笑い声をあげる。

 

「では、作戦は成功したという事だな?ノビ」

 

 聞こえた声に全員の視線が向く。

 

 背中に腕を回しながらゆっくりとクレルが現れる。

 

「えぇ、モールから作戦の連絡は届いていましたよね?」

 

「勿論。だが、キミ達が発進した後というのはいささか問題にさせてもらおう」

 

「敵から奪取した戦闘機を一つ壊してしまいましたけど、もともと戦力としてカウントしていないものですから良いですよね?」

 

「構わんとも、しかし、キミは勇敢だな」

 

「僕だけじゃないです。ここにいる兵士達もいたから出来た事です」

 

「結構、ケノービ将軍と打ち合わせをするのでセンターへ戻らせてもらう。首都迎撃作戦について話し合うのでね」

 

 話を一方的に打ち切ってクレルは去っていく。

 

 ファイヴスが「本当に嫌な奴だ」と悪態をついて数人のトルーパーが同意する。

 

「ふぅ」

 

 のび太は緊張を解いてぺたりと座り込む。

 

「あの威圧感、怖いなぁ。ママやジャイアンを思い出しちゃうよ」

 

 尤も、それ以上に恐ろしいものを何度も体験しているのび太。しかし、怖いものは怖いのである。

 

「将軍、大丈夫ですか?」

 

「ありがとう、ファイヴス」

 

「いえ、それよりこのままクレルに指揮を任せて大丈夫なのでしょうか?」

 

「これ以上、無茶な指令がないことを祈るけど」

 

 

 

――いやぁな予感がするよなぁ。

 

 

 ファイヴスへ告げずにのび太は心中で呟いた。

 




カルは本来のマスターのところへ戻りました。




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裏切りの代償

この話にて、クローン大戦は終わり、次回からシスの復讐に入ります。




 

 のび太は夢を見る。

 

 戦場でクローン・トルーパー達が声を上げながら戦っている。

 

 しかし、空爆や現地のクリーチャーの襲撃を受けて負傷、命を落とす兵士が次々と出ていく。

 

 残された兵士達はそれでも戦い続ける。

 

 兵士達は共和国の平和を願って戦っている。それがインプットされた事だとしても、彼らにとって果たさねばならないことだ。

 

 ある任務が発生した。

 

 トルーパー達は先制攻撃を仕掛ける。

 

 その結果、彼らは勝利した。

 

 しかし、その勝利に代償があった。

 

 敵対者と思っていた相手は自分達と同じクローンだった。

 

 彼らはその時に理解してしまう。

 

 自分達が命令に従って戦っていた為に、同士討ちをしてしまった。

 

 その最悪な未来に一人のクローンが空に向かって叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!」

 

 ガバッとのび太は体を起こす。

 

 全身から嫌な汗が噴き出す。

 

「ゆ、夢?」

 

 それにしては酷くリアリティのあるものだった。

 

 まるで自分がその戦場を体験していたような。

 

「これって、フォースの未来予知?いや、でも、今までにそんなことなかったしなぁ」

 

 のび太はフォースの力を借りて戦うジェダイだが、他のマスターやアナキン・スカイウォーカーのように未来予知をしたことがなかった。

 

 正確に言うとジェダイになってからというのが正しいのかもしれない。

 

 ジェダイになる前は夢をみていると、それが現実に起こっていた出来事だったりした。

 

「僕、疲れているのかなぁ」

 

 のび太がため息を零した時、目の前にアナキンの気配を感じた。

 

「アニー?」

 

『ノビタ?どうしたんだ。真っ青じゃないか!』

 

 目の前にいない筈なのにアナキンの顔がある。

 

 自分を心配してくれる友達の姿にのび太は安心する。

 

「うん、怖い夢をみて、でも、大丈夫」

 

『それならいいけど、どんな夢だった?』

 

「クローン達が戦う夢……とてもリアリティがあって怖かったよ」

 

『そうか』

 

「ねぇ、アニー」

 

 のび太は少し間をおいて自らの悩みを打ち明けることにした。

 

「僕はどうすればいいのかな?」

 

『なんだ?また何かに悩んでいるのか』

 

「昔はこういうことに悩むことはなかったんだけどね。良いことなのかな?」

 

『どうだろうな』

 

「今の状況ははっきりいってクローン達にとって最悪だ。マスタークレルは最適なルートをとっているけれど、それは戦うクローン達にとって疲弊させることばかり、勝つことが大事だってわかるけれど、その犠牲が多いことが本当に正しいのかな」

 

『難しいことだな。僕も戦争の中で何度、悩んだ事だろう。最速で僕が敵を倒せば戦いが終わるというわけじゃない。一人でも死者を出さないように考える必要もある。僕自身、時々、どうすれば正解だったのか悩むことがある』

 

「そう、だよね」

 

『ノビタ、何が正しいのか、それはすぐに答えが出せないかもしれない。だけど、今、ノビタは戦場にいる。彼らを率いるのがクレルだとしても、彼らの事を第一に考えているのはノビタの筈だ。ノビタのやりたいことをやればいいんじゃないか?』

 

「それって、つまり、アニー流ってこと?」

 

『おいおい、それだと僕が問題児みたいに聞こえるぞ』

 

「ごめんごめん……アニー」

 

『なんだ?』

 

「ありがとう、どうすればいいかわかった気がする」

 

『いつも助けられているんだ。役立てるならいいことだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目を覚ましたのか」

 

 モールに呼ばれてのび太は周りを見る。

 

 占拠した空軍基地の一室。

 

 物資が積まれている場所の一角でのび太は寝ていた事を思い出す。

 

 コンテナの一つに腰掛けてモールがそこにいた。

 

 彼の目は不思議そうにのび太をみていた。

 

「あぁ、ごめん。もしかして起こしに?」

 

「いや、近くを通った時に不思議な感覚があった。気になってきたらお前がいた」

 

「そっか」

 

 しばらく沈黙が続く。

 

「大丈夫なのか?」

 

 静かにモールは尋ねた。

 

「え?」

 

「この任務を受けてからお前はつらそうな顔ばかりしている。無理をしていないか心配したのだ」

 

「…………ありがとう、大丈夫だよ」

 

 のび太は一瞬、呆けた表情を浮かべるも笑顔になって答えた。

 

「心配してくれたんだね。ありがとう」

 

「心配……そうか、これが心配か」

 

 のび太に指摘されてモールは自身がのび太を心配していたのだという事を理解する。

 

「お前に教えてもらってばかりだ」

 

「そんなことないよ。僕も助けられている」

 

 立ち上がったのび太の顔に迷いはない。

 

 彼は覚悟を決めた表情でモールを見上げる。

 

「助けてくれるかい?」

 

「友の頼みなら引き受けよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レックスは戸惑っていた。

 

 クレルから新たに任務が下された。

 

 敵が近づいている。

 

 しかも、武装を奪ってクローン・トルーパーに変装しているという。

 

 そんなことがありえるのかとレックスは疑問を浮かべる。

 

 敵の勢力がわからないも大量の武装が奪われるという事態になれば作戦中止もありえるというのにクレルは作戦続行といって聞かない。

 

――こんな時、スカイウォーカー将軍ならどうするのだろう。

 

 尊敬し頼りにしている上官の不在がレックスの心にぽっかりと穴をあけてしまった気分だ。

 

 ファイヴスやヘヴィー、カタップ達などがサポートをしてくれているもいずれ不満は爆発するかもしれない。

 

「レックス」

 

 悩んでいたレックスへ声をかけるものがいた。

 

 顔を上げると野比のび太が近づいてくる。

 

「ノビ将軍……」

 

「疲れた顔をしているね。マスタークレルから何か言われた?」

 

「そんなことは……いえ、ジェダイに嘘は通じませんね」

 

「ジェダイじゃなくてもレックスが何かを思い悩んでいることはわかるよ?」

 

「……新たにクレル将軍から任務が下されました。敵がトルーパーの装備を奪い、変装している。その状態で進軍をせよと」

 

「そうか」

 

「将軍、はっきりいってクレル将軍の作戦は納得できないことが多すぎます。兵士として上官の命令は絶対です。ですが、この作戦を部下へ強いることに自分は、どうすればいいのか」

 

「大丈夫」

 

 ポンとレックスの肩にのび太の手が置かれる。

 

 アーマー越しだというのに不思議とその部分が温かくなったようにレックスは思った。

 

「僕がなんとかしてみせる」

 

 力強く答える彼の目にレックスは自然と頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 のび太から指示を受けたレックスは兵士達を集める。

 

「野郎ども!新たな任務が下された!」

 

「また、クレルの消耗作戦か」

 

「俺達を何だと思っているんだ!」

 

「静かにしろ!」

 

「キャプテンの話を聞くんだ!」

 

 騒ぐトルーパー達をヘヴィーやカタップが叫ぶ。

 

「敵が俺達の装備を奪って待ち構えている。俺達はスタンモードの武装で進軍して敵を無力化する。兄弟の武装を奪った連中たちを裸にひん剥いてやるんだ!」

 

「スタンモードか」

 

「殺すなってことか」

 

「準備をはじめろ」

 

「よし、キャプテンの指示は聞いたな?すぐにかかれ!」

 

「しかし、敵が俺達の武装を奪ったのに進軍するなんてどうかしていないか?」

 

「あの将軍の考えている事なんかわかるかよ」

 

 タップやハードケースが話している会話を聞きながらレックスは通信回線を開いた。

 

「こちらの準備は完了した」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中央センターでクレルは腕を組んでいる。

 

 彼の思い描く未来は徐々に近づいていた。

 

 そのことにクレルは自然と笑みを浮かべていた。

 

 クローン達は自分の命令に従って装備を奪って変装している敵勢力と戦っている事だろう。

 

 クレルの嘘を信じて、同じクローン・トルーパーで同士討ちを。

 

 自分の指示通りに動く優秀な駒。

 

 ふと、クレルは周囲のフォースが揺らいだことに気付く。

 

 腰に収めている二本のライトセーバーへ手を伸ばす。

 

 中央センターの扉が開いた瞬間、武器を構えたクローン・トルーパー達が流れ込んでくる。

 

「これは裏切りか!クローン!」

 

 叫び振り返るクレルに対して我慢できないという風にファイヴスが叫んだ。

 

「ふざけるな!どちらが裏切り者だ!」

 

「クレル将軍、我々は貴方の指示を受けて指定されたポイントで敵を待ち構えました。貴方は仰いましたね?敵は我々の装備を奪って装着していると」

 

 今にも引き金へ指をかけようとするファイヴスを止めてレックスが前に出る。

 

「そうだとも」

 

「ふざけるな!何が装備を奪った敵だ!指定されたポイントを訪れたのは俺達と同じクローンだ!」

 

「アンタは俺達を駒としか思っていない。だが、同士討ちさせようとするなんて共和国に対する裏切りに等しい!」

 

「ここで粉みじんにしてやるぜ!」

 

 平然と答えるクレルに兄弟の殺し合いという最悪な状況を作り出した事でヘヴィー、タップ、ハードケースは怒り心頭だ。

 

「あぁ、お前達は私を殺そうというのか、上官の命令を逆らう裏切り者め!」

 

「将軍、貴方を拘束します」

 

 レックスが指示を出してトルーパーが前に出た瞬間、フォースプッシュで入口のトルーパー達を吹き飛ばす。

 

 クローンに背を向けるとそのまま中央センターの窓を壊して外へ飛び出す。

 

 着地したクレルに外で待機していたトルーパー。

 

 そして。

 

「どこへいくんですか?マスタークレル」

 

 クレルの前にのび太とモールが立つ。

 

「良いところにいた!ノビ!クローンの反乱だ!我々を殺そうとしているぞ!」

 

「白々しい、ジェダイは嘘をつく事が下手なのか?」

 

 モールが呆れたように肩を竦める。

 

「貴様の嘘はもうバレている。どれだけ取り繕ったところで意味がない」

 

「……どういう意味だ」

 

 今まで余裕の態度を崩さなかったクレルがわずかに戸惑う。

 

「マスタークレル、貴方がマスターケノービに連絡して敵の座標と偽りながら501大隊の居場所を教えたことはわかっています。既にマスターケノービから評議会へ報告されています」

 

「……ほう」

 

「評議会は真偽を確かめる為、貴方をコルサントへ連れてくるようにという指示をだしています」

 

 淡々と告げるのび太。

 

「それと、アンタは俺達が同士討ちしているところをみたかったのかもしれないが、それは失敗だ。なぜなら俺とモールがケノービ将軍へ情報の確認として伝えていたからな!」

 

 傍に待機していたカタップの言葉にクレルは目を細めた。

 

「計画が失敗した気分はどうだ?といっても、お前の計画は遠回し過ぎて無駄が多かったな」

 

「覚悟するんだな!裏切り者!」

 

 腕を組んだまま告げるモール、ブラスターを構えるカタップ。クレルは大きな声をあげて笑う。

 

「今更!今になってようやく気付いたのか?遅すぎるわ!評議会などもはや意味がないという事を知らぬ証拠だな!」

 

「抵抗しないでいただきたい。僕は貴方を斬りたくない」

 

「そういうのは力のある者が言うことだ!こういう風に!」

 

 フォースを操りライトセーバーをのび太に向かって投げる。

 

 モールが割り込んで片側のライトセーバーを起動して弾き飛ばす。

 

 プルで引き戻してダブル=ブレードライトセーバーを構えるクレル。

 

 片方の手にもう一本のダブル=ブレードライトセーバーを起動した。

 

「撃て!」

 

 周囲に展開していたトルーパー達がブラスターで攻撃を開始する。

 

 クレルは二本のダブル=ブレードライトセーバーを操りながらクローンの攻撃を防ぐ。

 

 近くにいるクローンへタックルして包囲網を抜けようとする。

 

 そんな彼の前にのび太が立つ。

 

「邪魔だぞ!」

 

 叫びながら黄色い刃がのび太を刈り取ろうと迫る。

 

 瞬間。

 

 緑の刃が煌めく。

 

 クレルは危機感を覚えて後ろへ下がる。

 

 視線をライトセーバーに向けると片側の刃の射出口が切り落とされていた。

 

 驚いているクレルへブラスター・ピストルを撃つ。

 

 早撃ちに対してライトセーバーでビームを弾く。

 

 しかし、連射した二発目は躱しきれず、肩を掠めてしまう。

 

「ぐぅううう!」

 

 怒りに顔をゆがめたクレルは近くのクローンをフォースで宙に持ち上げてのび太へ目掛けて投げ飛ばす。

 

「!!」

 

 のび太は慌てて落下してくるトルーパー達を受け止めた。

 

 その間にクレルは基地の外にある森へ駆け出そうとした。

 

「わかりやすい陽動だな、ジェダイ!」

 

「邪魔だぞ!裏切り者め!」

 

「それはこちらのセリフだ!」

 

 道を阻むモールとライトセーバーで斬りあう。

 

 片方のライトセーバーを壊され肩を負傷していながらもクレルの技に衰えはない。

 

 むしろ、モールを圧倒する程の勢いがある。

 

「どうした!この程度か?未熟者!」

 

 モールを挑発するクレルは防御に徹している事を笑う。

 

 フッと小ばかにする笑みを浮かべたモール。

 

 その意味を理解しようとした瞬間。

 

 背後からスタンモードの攻撃を受けてクレルは地面に崩れ落ちる。

 

「……」

 

 スタンモードのブラスターを構えるレックス。

 

「コイツを牢屋へ閉じ込めておくんだな」

 

「わかっている。おい、連行しろ」

 

 ライトセーバーを収納してモールが告げると疲れた表情でレックスは部下へ指示を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マスタークレルは評議会で尋問を受ける為、コルサントへ連行されることとなった。

 

 首都攻略はコルサントから戻ってきたアナキンが引き続き行うこととなり、その報告を受けたトルーパー達は喜びのあまりヘルメットをその場から放り投げるほど。

 

 離れたところで様子を見ていたのび太とモール。

 

「あれでよかったのかと悩んでいるな?」

 

「わかる?」

 

「不思議とわかる」

 

 モールの言葉にのび太は小さく笑う。

 

「あれが正しかったのかどうかわからん。だが、あのままだと、多くの兵士が命を落とし、いずれお前やケノービにも奴は手を出していたかもしれん」

 

「励ましてくれているんだね。ありがとう」

 

「昔の俺ならそんなことはいわなかった。どうしたのだろうな」

 

 自らに戸惑うように手をみるモール。

 

「それだけモールが人間らしさを取り戻したということだね」

 

「……人間らしさ、か」

 

「うん」

 

 のび太の優しい言葉にモールは困ったような表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある宙域。

 

 惑星コルサントへ向かうシャトル。

 

 シャトルの中には拘束されたクレルの姿がある。

 

 フォースで操られない対策として周囲にトルーパーはいない。

 

 失敗したがこれで終わりだとクレルは思っていない。

 

 なぜなら終わりは近い。

 

 どうジェダイやクローンが足掻いたところでいずれくる終わりに対処できない。

 

 全てを飲み込もうとする闇が近づいている。

 

 その足音をクレルは聞いて笑みを深めた。

 

「ん?」

 

 ふと、シャトルが停止した事に気付く。

 

 ハイパースペースしているとはいえ、まだコルサントへ着くことはない。

 

 では、なぜ?

 

 疑問を浮かべていると目の前のハッチが音を立てて開く。

 

「ハハッ!」

 

 現れた人物にクレルは笑みを浮かべる。

 

「いつくるかと!待っておりました」

 

 拘束された状態でありながらクレルは相手を敬う。

 

 暗闇ではっきりと姿は見えないが黒いローブやフードで全身を覆っている。

 

「……」

 

 フードの人物はフォースを操り、クレルを拘束しているシステムを停止させる。

 

 体が自由になったクレルは改めて目の前の人物へ膝をついた。

 

 ローブの中から手を伸ばしてクレルへ手をかざす。

 

 クレルは喜びの中にいた。

 

 瞬間、その顔が苦痛に歪む。

 

 視線を下すと胸元を“赤い刃”が貫いていた。

 

「な、なぜ!」

 

 戸惑いを隠せないクレルが目を見開く。

 

 跪いている彼は気づいた。

 

 フードの中にいる人物が何者か。

 

「貴様、どういう――」

 

 最後までクレルが言葉を発することはなかった。

 

 引き抜いた赤いライトセーバーの一閃によってクレルの首は胴体から落ちる。

 

 相手が死んだことを確認するとライトセーバーを仕舞って、シャトルに爆弾を設置した。

 

 操縦してきた船へ戻り、シャトルを切り離す。

 

 数秒後、シャトルは大爆発を起こした。

 

 クレルを殺した人物は通信を開く。

 

「マスター、用済みの駒を始末しました」

 

『素晴らしい。拘束されているとはいえ、マスタークラスを簡単に始末できたお前は私の教えを身に着けているようで安心したぞ』

 

「ありがとうございます」

 

 褒められたことが嬉しいのかフードの隙間から覗く表情が柔らかい。

 

『では、次の任務を与える。貴様は取り急ぎ、次の指定する座標へ向かい、ジェダイを暗殺せよ。よいか、くれぐれもジェダイ、そして、ティラナスに悟られてはいかんぞ』

 

「はい、マスター」

 

『よろしい、吉報を期待しているぞ。我が弟子……ダース・ベイダーよ』

 




シスの復讐について、ですがEP4に展開は繋げるのですが、オリジナリティある展開にしたいと思っています。

どこまでやれるかわかりませんが。



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EP.3 シスの復讐
最高議長救出作戦


今回からシスの復讐編です。




 

 クローン戦争勃発から三年。

 

 共和国軍は分離主義勢力との戦争において優位に立っていた。

 

 ジェダイとクローン達は銀河系の様々な惑星で勝利をおさめ、戦争終了を感じ始めていた時、コルサントをグリーヴァス将軍の艦隊が襲撃。

 

 パルパティーン最高議長を誘拐する。

 

 議長を救出するため、銀河を飛び回っている最高のジェダイの騎士が駆け付けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コルサントの近くで戦う分離主義勢力の艦隊と共和国軍の艦隊。

 

 その隙間を縫うように二機のスターファイターが飛んでいく。

 

 艦隊の砲弾が飛び交う中を一糸乱れずに進んでいくファイター。

 

 二機のジェダイ・スターファイターに乗っているジェダイは英雄と言われる者達だ。

 

 一人は知略と冷静さで戦況を見極めて勝利を掴んできたオビ=ワン・ケノービ。

 

 もう一人は勇敢で怖いもの知らず、どんな状況でも諦めずに突き進むアナキン・スカイウォーカー。

 

 黄色のジェダイ・スターファイターの中でアナキンは笑みを浮かべていた。

 

「さぁ、行くぞ」

 

 様々な戦場を駆け抜けてきたアナキンは操縦桿を握りしめて戦火の中へ飛び込む。

 

「マスター、前方にグリーヴァスの旗艦がみえます」

 

 アナキンは師であり友であり兄弟のような関係のオビ=ワンへ呼びかける。

 

『あれなら侵入は簡単だな。オッドボール、聞こえるか?』

 

『はい、将軍』

 

 オビ=ワンは通信で戦闘に参加しているクローンのパイロットへ呼びかける。

 

『私の位置をマークしろ。中隊を後方に並べるんだ』

 

 指示通りにオビ=ワンとアナキンの後ろにクローンの操縦するスターファイターの編隊が続く。

 

 敵を視認したグリーヴァスの旗艦“インヴィジブル・ハンド”からドロイドがスターファイターに変形して攻撃の為に接近してくる。

 

『戦闘態勢!』

 

 オビ=ワンの合図と共にジェダイ・スターファイター、107スターファイターが攻撃態勢に入る。

 

 スターファイターのソケットにいるR2が悲鳴を上げるほどにたくさんのドロイドが接近してくる。

 

 操縦席にいるアナキンも少し息を飲むほどの勢い。

 

 しかし、それだけだ。

 

 アナキンやオビ=ワンにとってこの程度のことはいつもの事に過ぎなかった。

 

『後ろにつかれた!振り切れない!援護を!』

 

 通信に焦るクローンの声が聞こえてきた。

 

 一機のドロイドにクローンのスターファイターが攻撃を受けている。

 

 回避運動をとっているが撃墜されるのは時間の問題だった。

 

「任せろ!すぐ援護に」

 

『ダメだ!彼らに任せるんだ!自分の任務を優先しろ!』

 

 救出へ向かおうとしたアナキンをオビ=ワンが止める。

 

 その言葉にアナキンは顔をしかめた。

 

「しかし!」

 

『いぃぃぃゃっほぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおう!』

 

 通信機から聞こえる歓声にアナキンは笑みを深めた。

 

――彼がきた!

 

 視線を向けるとコルサントから急上昇する緑のジェダイ・スターファイターがある。

 

 スターファイターは信じられない速度でクローンを狙うドロイドをあっという間にスクラップにした。

 

『大丈夫かい?』

 

『将軍、助かりました』

 

 

 クローンと親友のやり取りに心強い安心感を覚える。

 

――野比のび太。

 

 アナキン・スカイウォーカーにとってかけがえのない親友。

 

 最愛の人と同じくらい大切な存在。

 

『遅れたかな?』

 

「そんなことはないぞ!」

 

 通信機から聞こえた親友の声にアナキンは応える。

 

「これから楽しいパーティのはじまりだ!」

 

『全く、お前達がそろうとトラブルの予感しかないな』

 

『あ、酷いこと言うなぁ~。マスターに言われて猛スピードで飛んできたのに』

 

 様々な宙域にのび太とマスターであるクワイ=ガンもアナキン達と同じように飛び回っていたのだが、偶然にも彼らはコルサントへ戻ってきていた。

 

 クワイ=ガンは元老院や市民を安心させるためにコルサントへ残り、援軍としてのび太がやってきたのである。

 

『それに、最高記録更新だよ!』

 

「最高記録か?あれが最高だったら僕の方がまだまだ上があるぞ!」

 

『あ、いったなぁ!僕の実力を見せてやる!』

 

『勘弁してくれ』

 

 楽しそうに答えるのび太。

 

 呆れるように息を吐くオビ=ワン。

 

 不思議と戦場だというのに誰も恐れない、そんな空気を彼らが作っていた。

 

 

 ホロネットで過去に特集が組まれるほどにアナキン、オビ=ワン、のび太の三人は有名だった。

 

 アナキン・スカイウォーカーは勇敢で怖いもの知らず。

 

 オビ=ワン・ケノービは知的で冷静に物事を見極める。

 

 野比のび太は風変わりで誰よりも平和を願う。

 

 そんな彼らがいれば大丈夫とジェダイに不信感を抱き始めているものすら思ってしまうほど、彼らは凄かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パズドロイドによってオビ=ワンのR4の頭部が千切れ、ファイターが半壊するという事態に陥るということがありながらもグリーヴァスの旗艦“インヴィジブル・ハンド”の格納庫へ侵入することに成功した。

 

 格納庫内にいたバトルドロイド達が一斉にブラスターを構える。

 

 その中でハッチを切り裂いて飛び出すオビ=ワン。

 

 着陸しながらゆっくりとハッチから降りるアナキン。

 

「ウテ!」

 

 ドロイド達が攻撃しようとした瞬間、彼らはフォースを身にまとい、神速のごとく行動を起こす。

 

 ブラスターのビームを弾きながら次々とドロイドをライトセーバーで切り裂くアナキン。

 

 オビ=ワンはゆっくりと洗練されたソレスの型を用いてドロイドを破壊する。

 

「アナキン、ノビタは?」

 

「彼は外でかく乱してもらっています。アイツが派手に暴れれば、そちらへ意識が向きます」

 

「その間に我々は議長の救助だな」

 

「R2」

 

 アナキンはR2を呼んでコンピューターに接続するように指示する。

 

 R2はよちよち歩きしながらコンピューターへ接続。

 

 アナキンの指示で艦内の情報を表示した。

 

「これは罠だな」

 

 議長のシグナルが表示されたことでオビ=ワンは敵が自分達を誘導していることを見抜く。

 

「えぇ、ですが無視をするわけにもいかないです」

 

「つまり……」

 

「いつも通りという事ですね」

 

「そうらしいな」

 

 二人は頷いて議長救出の為、移動を始める。

 

 ついていこうとするR2をオビ=ワンは止めた。

 

「R2はここで待機だ」

 

 嫌々という風に体を揺らすR2にオビ=ワンはコムリンクを投げた。

 

「これで連絡を取る、何かあれば頼んだぞ」

 

 渋々という様子でR2はコムリンクをキャッチして待機する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エレベーターでひと騒動ありながら二人は議長が囚われている区画に到着する。

 

 議長は椅子に拘束されているだけで手荒なことをされていないことにアナキンとオビ=ワンは一安心した。

 

 二人を見てパルパティーンは笑顔を浮かべる。

 

「マスターケノービ、スカイウォーカー」

 

「議長、助けに来ましたよ」

 

「これは罠だ」

 

 拘束されているパルパティーンの言葉にオビ=ワンとアナキンの表情は変わらない。

 

「いつものことです」

 

「罠なら突破するだけです」

 

 入口にスーパーバトルドロイドを引き連れてドゥークー伯爵が現れる。

 

 身構えるオビ=ワンとアナキン。

 

「議長の前で恥をさらすことになるぞ」

 

 余裕の表情を浮かべるドゥークーは指示をだしてスーパーバトルドロイドを下がらせる。

 

「ここは我々に」

 

「相手はシスだ!降伏しよう!」

 

「シスの相手は我々の役目です」

 

 降伏を促すパルパティーンに対してオビ=ワンとアナキンは戦う気満々だった。

 

 ジェダイローブを脱ぎ捨ててライトセーバーを構えるオビ=ワンとアナキン。

 

 ドゥークーは呆れたように肩を竦めながらライトセーバーを手に取る。

 

「二人だけで大丈夫かな?見たところ、ポケットにマスターヨーダを忍ばせているわけでもあるまい?」

 

「僕は前よりも比べものにならないくらい成長している」

 

「我々とそこはいってほしかったな」

 

 二人は青い刃のライトセーバー。

 

「やれやれ、代償は高くつくぞ?お前達の命だ」

 

 赤い刃を展開してドゥークーはライトセーバーを構える。

 

「今度は一緒にやろう」

 

「僕は元からそのつもりですよ」

 

 二人は同時にドゥークーへ攻撃を仕掛ける。

 

 ジェダイの二人を相手にしながらドゥークーは余裕の態度を崩さずに赤いライトセーバーを振るう。

 

 オビ=ワンが攻撃を防ぎ、アナキンが仕掛ける。

 

 二人の息の合った連携は三年間に及ぶクローン大戦の中でさらに研鑽されていた。

 

「よし、行け!行け!」

 

 拘束されているパルパティーンが応援する。

 

 最初は余裕の態度だったドゥークーだが二人の猛攻に追い詰められていく。

 

 状況を打破するためにフォースでオビ=ワンを宙へ吊り上げた。

 

 近付こうとするアナキンをフォースプッシュで壁に叩きつける。

 

 宙に釣り上げたオビ=ワンを遠くの地面へ投げ飛ばす。

 

 そのまま彼の頭上にあるパネルの一部を壊して叩きつける。

 

 一人はこれで無力化した。

 

 ドゥークーがオビ=ワンを無力化させた隙をついてアナキンが殴る。

 

 殴られたドゥークーは回転しながら床に落ちた。

 

 回転しながら着地したアナキンはライトセーバーを振り下ろす。

 

 ドゥークーはライトセーバーで振り下ろされる一撃を受け止めた。

 

 アナキンは冷静にかつ的確にドゥークーの動きを見切る。

 

 三年前と異なりアナキン・スカイウォーカーはジェダイとして成長していた。

 

 ライトセーバーの技術も友であり相棒であるのび太と共に研鑽を続けている。

 

 ドゥークーはアナキンの猛攻に追い詰められた。

 

 やがて、ライトセーバーを持つドゥークーの右手が斬り落とされる。

 

 アナキンはドゥークーのライトセーバーを掴み、二本のライトセーバーを交差させて首元へ突きつける。

 

「素晴らしい」

 

 拘束されているパルパティーンが感嘆の声を上げた。

 

「素晴らしいぞ。アナキン、さぁ、殺すのだ」

 

 パルパティーンが告げた言葉にアナキンは耳を疑った。

 

 その言葉に一番、驚いているのはドゥークーだ。

 

 彼は信じられないという目でパルパティーンをみると叫ぶ。

 

「議長!貴方は約束したはずだ!」

 

 なりふり構っていられない。

 

 そんな表情を浮かべているドゥークーをパルパティーンは冷酷に「殺せ」と促す。

 

 アナキンはパルパティーンをみて、そして、ドゥークーをみた。

 

 ライトセーバーと片手を失った哀れな老人。

 

 彼を殺す必要はない。

 

 何より分離主義勢力のトップ、敗戦宣言をさせればこの戦争も終わる。

 

 アナキンの天秤が傾き、ライトセーバーを収納した。

 

「できません。コイツに今までの罪を償ってもらう。多くの命を奪った責任を果たしてもらいます」

 

「……そうか、そうだな。よかろう」

 

 アナキンの意見に納得する様子でパルパティーンは頷いた。

 

 議長も同意した事でアナキンはライトセーバーを収める。

 

「私を助けるのか、スカイウォーカー」

 

「アンタの為じゃない。戦争を終わらせるためだ……しいて言うなら」

 

 少し迷いながらアナキンは驚いた顔をしているドゥークーをみる。

 

「アンタが死ねば、アンタの元弟子が悲しむ。それも避けておきたいだけだ」

 

「……」

 

 アナキンの言葉にドゥークーの戦意は完全に喪失する。

 

 これで戦争が終わる。

 

 そう、気が緩んでいたアナキン。

 

「スカイウォーカー!」

 

 ドゥークーは何かに気付いてアナキンを突き飛ばす。

 

 少し遅れてブラスターの音が室内に響く。

 

「何が」

 

 呆然としているアナキンの前で床に崩れ落ちるドゥークー。

 

「ドゥークー!」

 

 アナキンは駆け寄りドゥークーを抱き起す。

 

 彼の胸はブラスターによって穴が開いていた。

 

「くそっ、何が」

 

「気を付けるのだ……スカイウォーカー」

 

「喋るな!すぐに手当をすれば」

 

 アナキンの手を掴み、ドゥークーは必死の表情で見つめる。

 

「気をつけろ、シスの罠はすぐ、そこだ」

 

「伯爵!そんな!伯爵!」

 

 必死にアナキンがドゥークーへ呼びかけるも、彼が目を開くことはなかった。

 

「そんな!」

 

 悔しさで拳を地面へ叩きつけるアナキン。

 

 撃った張本人を探そうとするも、室内に誰もいなかった。

 

 

 



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奇抜な作戦

今回、ドラえもん映画のあるシーンを再現しています。

ちなみに、小説本編にでている登場人物の一部は小説版シスの復讐で出てきた人物たちです。


『ノビ将軍』

 

 アナキンとオビ=ワンがドゥークー伯爵と激しいライトセーバーの斬りあいをしていた頃、のび太はクローンの小隊を率いてインヴィジブル・ハンドを守ろうとしている周囲の艦隊を無力化させるために宙域を飛んでいた。

 

 そんなのび太にインテグリティーのロース・ニーダから連絡が入る。

 

「はい、こちらノビ」

 

『ノビ将軍、我々はグリーヴァスへ降伏勧告を行いました』

 

「その様子だと断った感じかな?」

 

『我々の艦隊を退けろと言ってきました』

 

「えぇ」

 

 呆れた表情を浮かべるのび太。

 

 大方、インヴィジブル・ハンドの前にいる艦隊が邪魔でハイパースペースできないから退かせといったのだろう。

 

 敵の艦にパルパティーン最高議長という人質がいるから要求は通ると考えたってところか。

 

 しかし、のび太は確信がある。

 

 議長が人質とされている時間は長くない。

 

 自分の親友達がいるんだ。議長に窮屈な思いをさせていないだろう。

 

『敵艦が十分以内に降伏ないし、議長の無事な姿をみせない場合、インテグリティーを含んだ艦隊でインヴィジブル・ハンドを撃墜するという指示がでています』

 

 すぐ近くで爆発が起こり、スターファイターの中が揺れる。

 

 コルサントのこんな近くで分離主義勢力の中心が暴れている故の策だろう。彼の上官でなくとも同じ事を考えたかもしれない。

 

 しかし、敵の旗艦に最高議長、そして助けるために突入したジェダイの二人がいる。

 

 彼らの命を犠牲にすることをのび太は嫌だった。

 

 動揺を表に出さないようにしながらニーダへ尋ねた。

 

「十分?」

 

『そうです』

 

「もう少し伸ばせない?」

 

『既に決定されたことです』

 

「わかった」

 

 ソケットにいるR3も同じことを思ったのだろう、パネルに文字が表示される。

 

「わかっている。助けに行きたいけど、このドロイド達を片付けないとね」

 

 目の前を数機のドロイドスターファイターが通過していく。

 

「アニー達、無事だといいんだけど」

 

 敵を撃墜しながらのび太はスターファイターの速度を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービはパルパティーンを連れて脱出を試みたのだが、失敗してグリーヴァスのいるブリッジへ連れてこられていた。

 

 グリーヴァスはアナキンをみる。

 

「お前があのスカイウォーカー将軍か、思っていた以上に若いな」

 

「そういうアンタがグリーヴァス将軍……思っていたよりも小さいな」

 

 アナキンの挑発にグリーヴァスは目を細めながらも反応しない。

 

 自分が優位にあることを理解しているのだ。

 

 ドロイドから回収した二本のライトセーバーを受け取る。

 

「これがあのスカイウォーカーとケノービのライトセーバーか、これで私のコレクションが増える。願わくば、あのノビ将軍のライトセーバーもコレクションに加えたいものだ」

 

「それは不可能だな」

 

「あぁ、不可能だ」

 

 オビ=ワンに続いてアナキンもグリーヴァスの言葉を否定する。

 

 グリーヴァスが言葉の意味を考えようとした瞬間。

 

「R2!」

 

 叫びと共に控えていたR2の体から様々なパーツが飛び出す。

 

 威嚇するような行動に全員の目が向かう。

 

 その隙にアナキンとオビ=ワンはフォースを用いて自身のライトセーバーを取り寄せる。

 

 青い刃を展開して、腕の拘束を破壊して周囲のバトルドロイドを破壊した。

 

「こざかしい奴らだ!」

 

 叫びながらグリーヴァスはマグナガードへ指示を出す。

 

 対ジェダイ仕様で製作された特注品。

 

 顔に今まで戦ったジェダイによってつけられた傷が残っている二体がアナキンとオビ=ワンへ向かう。

 

 しかし、様々な戦いを潜り抜けてきた二人にとってマグナガードは脅威ではなかった。

 

 瞬く間に破壊されるマグナガード。

 

 しかし、グリーヴァスが逃げ出すための時間は確保された。

 

「素晴らしい腕前だ。褒美にお前達へこの船をやろう!もっとも」

 

 グリーヴァスは近くのコンソールを叩き潰す。

 

「この船はまもなく墜落するがねぇ!」

 

 アナキン達に追跡されないように獣の様に床を這いながら逃走する。

 

 追いかけようとするアナキン達だったが、船が激しく揺れて、正面の隔壁が緊急展開される。

 

「まさかと思うが………」

 

「この船は墜落を始めていますね」

 

「勘弁してほしいものだ」

 

 ため息を零すオビ=ワン。

 

 アナキンは操縦席へ滑り込む。

 

「議長は安全なところに、なんとか着陸させます!」

 

「墜落の間違いでは?」

 

「空中分解しなければ、そうなるかもしれませんね」

 

 アナキンの言葉にオビ=ワンは「いつも通りになったな」とため息を零す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 インテグリティーは後部から爆発してコルサントへ落下の航路をとっているインヴィジブル・ハンドに気付く。

 

「最高議長を失うことになると……」

 

『そう落胆するのはまだ早いよ』

 

 ロース・ニーダが失望の声を漏らす中、明るい声が艦内に響いた。

 

 ホログラムが表示されて格納庫で作業をしているのび太の姿が映る。

 

「ノビ将軍。ですが、敵の旗艦は墜落し始めています」

 

『そうだけど、まだ潰れたわけじゃないよ?』

 

 背後でせわしなく動いている兵士の姿が映る。

 

「ノビ将軍、貴方は、貴方は何をしようとしているのですか?」

 

 ニーダは眉間へ皺を寄せてのび太へ尋ねた。

 

『普通じゃできない救出作戦、かな?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「R3、準備はいいかい?」

 

 ロース・ニーダと通信を終えたのび太は振り返り、せわしなく動き回っているR3へ尋ねる。

 

 R3は大きな音を鳴らす。

 

「おっけ!トルーパー達も準備はいいかい?」

 

「はい、将軍……ですが、これは一体」

 

 のび太はビッグライトをトルーパー達へ渡していた。

 

 フエルミラーで増やしたビッグライトをみてトルーパー達は戸惑っている。

 

「作戦は簡単。各ファイターに巻き付けたこのひらりマントで墜落しようとしているインヴィジブル・ハンドへ接近。タイミングと同時にこのビッグライトでひらりマントを大きくしてインヴィジブル・ハンドの落下コースを変更する」

 

「それは……可能なんですか?」

 

「タイミングが重要になると思う。でも、みんなで議長やアナキン達を助けよう!」

 

 力強く答えるのび太にパイロット達も同じように答える。

 

「出撃だ」

 

 のび太の乗るスターファイター、そしてクローン達の乗る三機のスターファイター。

 

 それぞれにひらりマントの端をくくりつけてクルーザーから出動する。

 

 妨害しようとするドロイドスターファイターもいるが、それは別の部隊のスターファイターが撃墜した。

 

 邪魔がいないことを確認して落下していくインヴィジブル・ハンドの前に飛行する四機。

 

「今だ!」

 

「「「「ビッグライトぉ!」」」」

 

「ひらりマントォォォォォォ!」

 

 合図と共に巨大化するひらりマント。

 

 スターファイター達が同時に動いてインヴィブル・ハンドの落下コースが変更となる。

 

 落下していたインヴィジブル・ハンドへ近づいたジェダイクルーザーからけん引ビームが発射された。

 

「これで、落下の心配はないかな?」

 

 のび太の疑問に大丈夫というようにR3の言葉はパネルに表示された。

 

「え、アニーみたいな無茶な作戦を考えるようになった?そんなことはないよ…………多分」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「計画に修正が必要かもしれないな」

 

 コルサントのどこか。

 

 本来ならコルサントに落下して街へ多大な被害を出すはずだったインヴィジブル・ハンドがクルーザーによってけん引されて安全に着陸していく光景を見ながら二人の人物が話し合っていた。

 

「いいや、修正の必要はないだろう。マスターの計画は完璧だ。些細なミスで狂うことはない」

 

 フードで素顔を隠している二人が話をしている。

 

 周囲に誰もいない。

 

 漆黒のローブで彼らの放つフォースをジェダイが察知すればシスだと判断するだろう。

 

 しかし、ジェダイは察知していない。

 

 三年間という長い戦争によってジェダイのほとんどが疲弊している。

 

 比べてシスは三年間でより力をつけていた。

 

「我々の復讐を果たすときは近い」

 

「あぁ……もう間もなくマスターの計画が成就する。ジェダイが滅び、シスが銀河を手中に収める」

 

「そうだ、その時に俺達はマスターの為に奴らを殺すのだ」

 

「あぁ、そうだ。ベイダー」

 

「レン、俺達が姿を現す時は近いぞ」

 

 

 



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朗報

今回、モールの謎について、少し明らかになります。
賛否両論あるかもしれませんが。






 メイス・ウィンドウはトランスポートから降りる。

 

 パイロットへ待機するように指示を促す。

 

 クローンが了承するように拳をあげたことを確認してウィンドウはある場所へ向かった。

 

 ジェダイクルーザーが鹵獲したインヴィジブル・ハンド、否、そうだったものの残骸が保管されている区画。

 

 半壊している船の姿を見てメイス・ウィンドウはため息を吐きたい衝動に堪える。

 

 またスカイウォーカーとノビか。

 

 あの幼かった二人が今や銀河中で名の知らぬ者はいない英雄となっている。

 

 そのことを喜ぶべきなのか、ジェダイとしての道筋を離れた事を悲しむべきなのか、その答えを見つけられていないウィンドウはゆっくりと保管庫の中へ入る。

 

 保管庫はドロイドやトルーパー達が動き回っている。

 

「状況は?」

 

「データを調べておりますが、事前に削除されていたのか、データの復元を行っております」

 

 控えていたトルーパーが答える。

 

「グリーヴァスの隠れ家に関してのデータは?」

 

「わかりません」

 

「引き続きデータの復元を頼む」

 

「イェッサー!」

 

 敬礼するトルーパーから離れてウィンドウは近くで船を見上げているヨーダに近付く。

 

「敵は追い詰められておる」

 

「我々が優位に立っているとみるべきなのでしょうか?」

 

「わからん、我々も長い戦争で疲弊しておる。戦争の早期終結を目指すべきじゃが……」

 

 ヨーダは沈黙する。

 

 何かよくないものが近づいている事をウィンドウとヨーダは感じていた。

 

「シスの秘術がまた使われているのでしょうか?」

 

 シスに鍛えられた元アプレンティスのモールへシスのマスターについての情報を求めた時と同じような感覚をウィンドウは覚える。

 

 モールはシスの秘術によって主についての情報を覚えていなかった。漠然としたイメージはあったのだが、抽象的過ぎてわからず仕舞い。

 

 アプレンティスが捕まった場合に備えての策だったのか、それすらわかっていなかった。

 

「とにかくグリーヴァスを探すのじゃ。伯爵が倒された今、あの将軍を捕まえることができれば戦争は終わる」

 

「そうですね。奴を捕まえれば、シスの暗黒卿へまた一歩、近づけるはずだ」

 

「我々の考えている通りであれば、な」

 

 ウィンドウは頷き、ヨーダと共に保管庫を離れる。

 

 何かが動き始めている。

 

 フォースを通してヨーダはそれを感じ取るもはっきりしないもどかしさに顔をしかめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、アナキン・スカイウォーカーはオビ=ワンと別れて最愛の妻、パドメと幸せな時間を過ごしていた。

 

 クローン戦争が始まって三年。

 

 共にいられる時間があれば一緒にいられるようにしてきた。

 

 その中でアナキンはある決意をする。

 

「パドメ、大事な話があるんだ」

 

「アニ-、私も大事な話があるの」

 

 どうやらパドメも大事な話があるらしくアナキンは促した。

 

「まずはキミからでいいよ」

 

「ありがとう。実はね」

 

 パドメは笑顔で告げる。

 

「妊娠したの」

 

「…………え?」

 

 アナキンは一瞬、何を言われたのか理解できなかった。

 

 しばらくして、パドメが妊娠したといわれて喜びの声を上げる。

 

「本当に?」

 

「ええ」

 

「それは、うん、最高の事だ!あぁ、待って、突然の事に何を言っていいか。でも、嬉しい。あぁ、素敵だ」

 

 パドメの手を取ってアナキンは喜ぶ。

 

「それで、貴方の話って?」

 

 パドメに言われて、アナキンは少し間をおいた。

 

「戦争が終わったら、僕はジェダイをやめようと思う」

 

「それは、どうして?」

 

 予想をしていたのかパドメは驚かず、静かにアナキンへ尋ねる。

 

「前から考えていた事なんだ。キミの事を隠し続けることに限界がある。それに」

 

「それに?」

 

「ノビタの故郷を探してあげたいんだ」

 

「ノビタの」

 

 ジェダイとして長く戦ってきた親友の野比のび太。

 

 彼はもともと、この銀河で住まう者でない。

 

 遠くの星に家族や友達を残している。

 

「あれから長い月日が経っている。僕はノビタに返しきれない恩がある。少しでも返せるなら故郷へ彼を戻してあげたいと思うんだ」

 

「……そうね。だから、戦争が終わってからなのね?」

 

「あぁ、戦争が終わった後を押し付ける形になるかもしれないけれど、オビ=ワンやヨーダ達もいる。レックスをアソーカに取られるのは抵抗はあるけれど、彼らに任せてもいいんじゃないかと思うんだ」

 

「……」

 

「その事、ノビタには?」

 

「いや、まだだ」

 

「アニーの考えは尊重するけれど、ノビタにちゃんと話をしてからでも遅くないわ」

 

「そうだな。今度、ノビタと話をするよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、のび太は昼寝をしていた。

 

 三年間のクローン大戦において、遊撃隊として各地で戦ってきたのび太にとって久しぶりのコルサント。

 

 自室で昼寝を満喫していた。

 

 満喫していたのび太だが、次第に表情が険しくなる。

 

 燃え盛る大地。

 

 マグマが噴き出す場所でオビ=ワン・ケノービがライトセーバーを握りしめている。

 

 対峙している相手はシスではなく、アナキン・スカイウォーカー。

 

 悲しみや怒りを混ぜた表情でライトセーバーを握りしめるオビ=ワンに対して、アナキンは黄色い瞳で睨んだ。

 

「お前は選ばれし者だったのに!まさかシスになるなんて!」

 

「僕はアンタが憎い!」

 

 マグマが噴き出す中でオビ=ワンとアナキンがライトセーバーで斬りあう。

 

 振るわれる青と青の刃。

 

 炎の中で二人は殺しあう。

 

「うっ!」

 

 のび太は慌てて体を起こす。

 

 全身から嫌な汗が噴き出している。

 

「嫌な夢をみたなぁ」

 

 ブルブルと首を振りながらタオルで顔を拭う。

 

「それにしてもあんなことありえないのになぁ。アニーとマスターケノービが殺しあうなんて、二人は兄弟、家族同然なんだから」

 

 休んでいるのび太のコムリンクに通信が入る。

 

「こちらノビ」

 

『マスターノビ』

 

 コムリンクに現れたのはパルパティーンの側近だった。

 

『最高議長がお呼びです。至急、きてください』

 

「……わかりました」

 

 何故、最高議長が自分を呼ぶのか謎だが、のび太は部屋の外に出る。

 

 外に出て通路を歩いているとキット・フィストーに出会う。

 

「やぁ、ノビタ!」

 

「やぁ、マスターフィストー」

 

「どこかへいくのかな?」

 

「わからないけど、最高議長に呼び出されたんだ」

 

「そうか、気を付けて」

 

「ありがとう」

 

 キットと短いやり取りをしてのび太はジェダイ聖堂を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ!ノビタ!待っていたよ」

 

 最高議長のオフィスへ到着すると両手を広げてパルパティーンはのび太を出迎える。

 

 のび太は戸惑いながら議長の出迎えを受けた。

 

「お久しぶりです」

 

「キミとは、聖堂爆破事件の時以来だね」

 

「あれは嫌な事件でした」

 

 少し前に発生したジェダイ聖堂爆破事件。

 

 犯人はジェダイのバリス・オフィー。

 

 彼女は今のジェダイが間違った方向に進んでいると非難して爆破事件を起こした。

 

 のび太は彼女を止められなかったことが残念で仕方なかった。

 

「そうだな。だが、キミやアナキンがいたからこそ、あの被害で済んだのだろう」

 

「どうでしょう」

 

 爆破事件に巻き込まれたパダワンのアソーカを助ける為、アナキンとノビタ、モールは奮闘し、事件を解決した。

 

 事件後、疑ったマスター達は謝罪、アナキン、ノビタはマスターに、アソーカとモールはナイトに昇格する。

 

「そういえば、あの事件の功績でキミとアナキンはジェダイマスターに昇格したのだったね」

 

「はい」

 

「その時の祝いの言葉を伝えていなかった。おめでとう」

 

「ありがとうございます。もしかして、その事で僕を?」

 

 のび太はマスター就任祝いで自分が呼ばれたのだろうかと疑問を浮かべる。

 

「それもあるが、もう一つ。ある情報をキミへ伝えようと思ったのだ」

 

「情報?」

 

 首を傾げるのび太。

 

 議長が入手した情報とは何か?

 

「実はグリーヴァスの行方がわかったのだよ」

 

「ええ!?それは本当なんですか!」

 

「勿論、ウータパウでグリーヴァスを発見したとクローンの情報部が発見したのだ」

 

 ふと、のび太は気になったことを尋ねる。

 

「クローンの情報部はジェダイへ報告することになっていたはず」

 

「少し前に法律が改正されたことを知らないようだね」

 

 パルパティーンは出来の悪い子をみるようにのび太へ話す。

 

「ジェダイや最高議長の直轄となっているのだ。ジェダイの指揮するクローンも私の配下というわけだ。その為にクローンの情報部からの報告も私へ直接くるのだ」

 

 憲法改正について、のび太は知らなかった。

 

 銀河中と飛び回りコルサントへ戻ってこなかったからだろうか?

 

 マスターに聞けば教えてくれるかもしれない。

 

 のび太はその事を考えながらパルパティーンへ尋ねた。

 

「じゃあ、グリーヴァスはウータパウにいると?」

 

「その通り、その事をジェダイ評議会へ伝えるといい」

 

「報告はします。グリーヴァスを捕まえれば戦争は終わるんですから」

 

「果たしてそうかな?」

 

 柔和な笑みを浮かべるパルパティーン。

 

 不思議とのび太は寒気を覚えた。

 

 目の前の笑顔に敵意のようなものを感じたからだろう。

 

「グリーヴァスを捕まえて戦争が終わることは最高議長も望んでいる事でしょう?」

 

「勿論、だが、グリーヴァスは強敵だ。どのジェダイが行くことになるかな」

 

「それは……」

 

「私としてはマスターケノービとアナキンが行くべきだろうと思っている」

 

「そうですね。二人が行けば敵なしです」

 

 オビ=ワンとアナキンの実力を知っているのび太は安心だと思う。

 

「どうかな?」

 

「え?」

 

「いいや、ノビタ。私は戦争終結もそうだが、別の事を望んでいるのだよ」

 

「それは一体」

 

「おっと、失礼。次の予定があるんだった。すまないが評議会へ報告は頼んだよ」

 

 中途半端に話を打ち切られたのび太は気になりながらも報告の為、ジェダイ評議会へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次の指示だ。連中をムスタファーへ連れて行くのだ」

 

『ゲホッゴホッ、わかりました』

 

 通信でシディアスはグリーヴァスと話をしていた。

 

 ドゥークーが死亡した今、彼の主はシディアスなのだ。

 

 獣のような野蛮人だがシディアスの力の恐ろしさを知っている為、グリーヴァスは従順だった。

 

「ジェダイに見つかれば面倒なことになる」

 

『わかりました。すぐに行動します』

 

「良いか、将軍。お前は私の命令に従うのだ。そして、知るのだ。お前を捕まえるためにやってくるジェダイは二人。そう、オビ=ワン・ケノービ、ノビタ・ノビ」

 

『ケノービとノビですか?必ず殺します』

 

「そうだな。報告を待っているぞ」

 

 通信を終えたタイミングでシディアスの傍に現れる者がいた。

 

「心にもないことを言いますね。あのブリキ野郎の運命は決まっているのに」

 

「シスは裏切りが常套……だが、あれは駒だ。駒をどのように使うのかはその者次第ということだ」

 

 振り返らずに答えるシディアスにフードで素顔を隠した人物は笑い声を漏らす。

 

「じゃあ、あの駒は捨てる為にあるようなものなのですね。マスター」

 

「その通り、さて、もうまもなく出番だ」

 

「ようやくですね」

 

「あぁ、ジェダイの驚く顔が目に浮かぶようだ」

 

 シディアスはローブの中で深い笑みを浮かべる。

 

「すべては我がアプレンティスが姿を見せる時、シスの復讐が始まる」

 

 

 



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崩壊のカウントダウン

遅くなり申し訳ありません。
ガンプラづくりや、その他のことで執筆していませんでした。

シスの復讐も半分を迎えました。




「グリーヴァスがウータパウにいるか」

 

のび太から報告を受けた評議会のマスター達はなんともいえない表情を浮かべていた。

 

これがクローンの諜報部隊から直接、伝えられた情報ならば迷わずに行動を起こしていただろう。

 

しかし、この情報を伝えたのがクローンではなく最高議長のパルパティーン。

 

情報の真偽性について、マスター達は悩んでいる。

 

「マスターヨーダはキャッシークの敵部隊と戦闘中」

 

「あの」

 

手を挙げたのび太へマスター達の視線が集まる。

 

「最高議長がウータパウへ、マスターケノービとマスタースカイウォーカーを向かわせてはどうかと言っていました」

 

「議長が?」

 

驚いた表情を浮かべるアナキン。

 

それに対してウィンドウは顔が険しくなる。

 

「ノビ。それは最高議長が言ったんだな?」

 

「はい」

 

「……」

 

ウィンドウは考える。

 

最高議長がオビ=ワンとアナキンを向かわせるべきということを素直に応じるべきか。

 

少し考えてウィンドウは決めた。

 

「ウータパウに向かうのはケノービとノビとする」

 

「え!?」

 

驚いた表情を浮かべるのび太。

 

自分が指名されるとは思っていなかったのだろう。

 

「二人でウータパウへ向かい、グリーヴァスを捕まえるんだ。奴を捕まえれば戦争が終わり、議長の腹の中がわかるようになるだろう」

 

アナキンは自分が外された事に驚いている。

 

「待ってください。最高議長に逆らうんですか?」

 

「最高議長がジェダイ評議会に意見したことが引っかかっている。その真意を探るためでもある。アナキン」

 

ウィンドウはアナキンをみる。

 

「この件を議長へ報告してくるんだ。この報告を聞いて議長がどういう判断を下すのかがわかる」

 

「マスターウィンドウは最高議長を疑っておられるんですね?それは何故ですか」

 

「最高議長の行動に疑惑がある……この三年間、議長は非常事態宣言によってその座から離れていない。そこに我々は何かあるのではないかと思っている」

 

アナキンは何とも言えない表情を浮かべてウィンドウをみた。

 

「アナキン。最高議長を我々は疑っている。だが、それは白なのか黒なのかわからないからだ。議長を信じたいのならば、身の潔白を信じているお前自身が明らかにするのだ」

 

「……わかりました」

 

心の中で納得はしていないだろうけれど、アナキンは渋々という様子で着席する。

 

そんなアナキンの肩を少し離れたところにいるオビ=ワンが優しく叩いた。

 

「では、ケノービとノビはすぐにウータパウへ向かってくれ。フォースと共にあらんことを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウータパウへ向かう為に発着場へ向かうオビ=ワンとのび太。

 

見送りとしてアナキンが付き添っていた。

 

「グリーヴァスを捕まえれば戦争は終わる。奴を捕まえれば臆病なガンレイも交渉の場へ立たないといけなくなるだろう」

 

「……戦争が終わる……んですね」

 

「その場に自分がいけないことが悔しいです」

 

戦争が終わることに感慨深い表情を浮かべるのび太。

 

アナキンはその場へ自分がいけないことに悔しさを感じていた。

 

「でも、アニーだって議長の身の潔白を明らかにしたいんでしょ?」

 

「あぁ……良くしてもらったというのもある。だから、信じたいんだ」

 

だが、アナキンの中で評議会が彼を疑う気持ちにほんの少しだけ同意する部分がある。

 

ドゥークーを倒した時、パルパティーンは「殺せ」といった。

 

いつも温和な笑顔を浮かべている姿から想像できない冷たい瞳。

 

あの瞳はシスと対峙した時と同じものだった。

 

「アニー?」

 

「あぁ、いや、戦争が早期終結することを僕も願う……きっと、ここにいないアソーカやモールも同じ気持ちだ」

 

「そうだね。二人もいれば心強いんだけど」

 

ナイトに昇格したアソーカと仲間として受けいれられたモールはマンダロアへレックスやヘヴィー達を連れている。

 

あちらの戦況はどうなっているのかわからないが早く会えることをのび太やアナキンは思っていた。

 

戦闘準備の為、物資を搬入しているトルーパー達を横目に見ながらアナキンはオビ=ワンをみる。

 

「マスター、僕は貴方の言うことをよく聞きませんでした。きっと、何度も貴方を失望させてしまったでしょう。ですが、貴方のことは父や兄のように尊敬しています」

 

「……それは、私も同じだ。あの日、キミを弟子にすると決めた日から……お前にとって私が優秀な師だったかといわれると自信はない。だが、お前は優秀な弟子だ」

 

「ありがとうございます。マスター、フォースと共にあらんことを」

 

「フォースと共にあらんことを」

 

オビ=ワンはちらりとのび太をみて、タラップへ一足先に向かう。

 

アナキンはのび太と向き合った。

 

「ノビタ、マスターの事を頼む」

 

「僕が足を引っ張るかもしれないけれど……任せて」

 

「それと、この戦争が終わったら話したいことがあるんだ」

 

「話したいこと?」

 

「あぁ、だから、生きて戻って来いよ」

 

「約束するよ」

 

のび太は小指をだす。

 

アナキンは笑う。

 

差し出されている小指と自身の小指を絡める。

 

「ゆびきりげんまん!うそついたらハリセンボン、のーます!」

 

「ノビタ」

 

向おうとするのび太へアナキンは笑顔を浮かべる。

 

「フォースと共にあらんことを」

 

「フォースと共にあらんことを、アニー、任せて」

 

そういってクルーザーに乗り込む。

 

しばらくしてクルーザーはコルサントの空へ飛び立つ。

 

クルーザーが完全に見えなくなるまでアナキンはその場に立ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「心配か?」

 

クルーザーのブリッジでコルサントをみているのび太へオビ=ワンは声をかける。

 

「マスターケノービ、はい、心配です。アニー、大丈夫かなって」

 

「アナキンなら心配ない。奴ならどんな敵が相手も大丈夫だ」

 

「そうですね」

 

「我々は任務の完遂に集中しよう。ウータパウ近くまでたどり着いたら格納庫で作戦会議だ」

 

「わかりました」

 

クルーザーはハイパースペースに入る。

 

のび太はぎゅっと腰に下げたライトセーバーを握りしめた。

 

グリーヴァスを捕まえて戦争を終わらせる。

 

そのことに意識を集中していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルーザーが飛び立ったのを見送ったアナキンはその足で最高議長のいるオフィスへ足を運んだ。

 

「最高議長」

 

「やぁ、アナキン。良い知らせかな?」

 

「オビ=ワンとノビがグリーヴァスを捕まえるためにウータパウへ出撃しました」

 

「そうか、しかし、評議会は私の情報を信じたようだが、私の意見を通す気はなかったようだな」

 

「それは……評議会は議長を疑っています」

 

「私を?」

 

「はい、貴方がシスに繋がりを持っているのではないかと」

 

「成程、だが、それは間違いだ」

 

パルパティーンの言葉にアナキンは笑みを浮かべる。

 

「間違いだとも、シスに私がつながりを持っているわけではない。私がシスなのだよ」

 

一瞬、アナキンは自分の耳を疑った。

 

彼はなんといった?

 

最高議長パルパティーンの告げた言葉の意味を理解することにアナキンは時間を要した。

 

「どういうことです?その言い方では、貴方が、シスそのものだと」

 

「その通りだ。私はシスの暗黒卿。ダース・シディアスなのだ」

 

告げた言葉にアナキンは咄嗟にライトセーバーへ手を伸ばしそうになった。

 

「抜かないのかな?」

 

「今の貴方の言葉は告白ですか?自分がシスだと、すべてを仕組んだ張本人だと!」

 

怒りの声を上げながらもアナキンはまだ冷静だった。

 

腰のライトセーバーを抜かなかった事がその証拠だろう。

 

「どう捉えるかはキミ次第だ。仮に私がシスだったとして、キミ達にどうこうできるのかな?」

 

「戦犯として貴方を逮捕します!」

 

「証拠は?私は自らがシスであると名乗ったに過ぎない。証拠がなくては逮捕などできない」

 

「だとしても、シスが戦争を引き越した多くの命が失われたのだ!」

 

「戦争拡大の原因はシスだけであるまい?ジェダイもそれに一役買っている」

 

「それは……」

 

アナキンも薄々感じ取っていた。

 

ジェダイが戦争悪化の原因の一翼を担っている。

 

多くのジェダイが戦争中におかしくなり、最悪な事態を引き起こしたこともある。少し前のバリス・オフィーが引き起こした聖堂爆破事件も市民の反感をかっている。

 

「だとしても、許すわけにいかない」

 

貴方を逮捕する。

 

アナキンが近づこうとした瞬間、視界が暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイス・ウィンドウはコムリンクの連絡に立ち止まる。

 

コムリンクを起動するとアナキンが現れた。

 

『マスターウィンドウ。議長へウータパウについて、報告しました』

 

「そうか、最高議長は何と」

 

『それが、驚かずに聞いてください』

 

アナキンの表情にウィンドウは怪訝な表情になる。

 

いつものアナキンとどこか違う。

 

「アナキン……?」

 

『最高議長が自らシスだと告白しました』

 

その何かを探ろうとしたタイミングでアナキンが告げた。

 

「……それは、本当か?アナキン」

 

『間違いありません。録画したデータをそちらへ送信しました。確認をお願いします』

 

アナキンが送ったファイルをウィンドウは開く。

 

そこに表示されたデータはアナキンに向かってパルパティーンがシスの暗黒卿であることを告白するもの。

 

ウィンドウも表情は平然としているものだったが、内心は衝撃で冷静さを失っている。

 

自分の信じていた共和国が瓦解する音を聞いた。

 

「わかった、アナキン、そこで待機しているんだ。議長の事は我々に任せるんだ」

 

『わかりました。マスター』

 

コムリンクを閉じたウィンドウは呼吸を整えると行動を起こす。

 

普段の彼ならば、ヨーダに連絡をしていただろう。真意を確認するべく、通信してきたアナキンを評議会へ呼び戻していたかもしれない。

 

それを怠るほどに冷静さを失っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、最高議長のオフィスに記録された音声である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスターウィンドウ!よく来てくれたね」

 

「単刀直入に伝えます。議長、貴方を逮捕します」

 

「逮捕?それは一体。なぜ?」

 

「我々は貴様の正体を知っているのだ。貴様が何か、貴様を拘留する」

 

「失礼、理解が追い付かなくて……私が何か?キミが仕えることを誓った共和国の議長だったが?拘留というのは、保護の間違いではないのかね?メイス・ウィンドゥ。これは反逆罪だぞ!それに、逮捕とは、どんな罪状かね?」

 

「貴様はシス卿だ!」

 

「ほう?たとえそれが真実だとしても、それは罪に問われるのかな?もう一度、聞こうか?私が犯したはずの罪はなんだね?キミは元老院の前でこの反逆をどう正当化するつもりかな?それとも議員たちをみな、逮捕するつもりなのかな?」

 

「ここに来たのは議論するためではない」

 

「ああ!裁判もせずに私を監禁するつもりだな?法的な手続きを踏むふりすらせずに、そうか、これがジェダイの計画だな!キミ達は共和国を乗っ取るつもりだ!」

 

「一緒にきてもらおう」

 

「断る!私を殺害するつもりなら、ここですればいい!」

 

「抵抗は無駄だ」

 

「抵抗する?一体、どうやって?これは殺人だぞ!キミ達ジェダイは反逆者だ!この私がキミ達にどんな脅威になるというのかな?」

 

【争う音】

 

「助けてくれ!助けてくれぇ!セキュリティー!誰か!助けてくれ!人殺しだ!反逆だ!あぁ、スカイ――」

 

 

記録終わり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、のび太とオビ=ワン・ケノービはクローン部隊を率いてウータパウの近くまできていた。

 

クルーザーはウータパウの近くで待機している。

 

格納庫でオビ=ワンは自分の率いている202のクローンメンバーと話をしていた。

 

のび太は少し離れたところで自身のスターファイターを整備している。

 

「どうしたんだ?ノビ」

 

「え?」

 

「表情が険しい、フォースがやけに乱れているぞ。そんな状態でグリーヴァスに挑むつもりなのか?」

 

「……」

 

のび太は整備道具を置いて、オビ=ワンをみる。

 

「よくわからないんです」

 

「わからない?」

 

オビ=ワンは少し考える。

 

「ノビタ、もし、その不安がすぐに消えないというのなら……この作戦に参加することをやめるんだ」

 

「いえ、大丈夫です。マスター、行きましょう」

 

スターファイター二機がウータパウへ向かう。

 

操縦席の中でのび太は不安を抱いていた。

 

「あぁ、ごめん。大丈夫だよ、R3」

 

心配の文字が操縦席のパネルに表示された。

 

のび太はR3に大丈夫と伝えながら深呼吸する。

 

「そうだよ。大丈夫……多分」

 

ギュッと操縦桿を握りしめてのび太はウータパウへ突入する。

 

 

議長のオフィスへメイス・ウィンドゥは数人のジェダイマスターを連れて訪れる。

 

ウィンドゥの険しい表情にキット・フィストーや他のマスター達は若干の不安を抱えながら着いていく。

 

オフィスに入るとパルパティーンは仕事をしていた。

 

「マスターウィンドウ!よく来てくれたね」

 

笑顔を浮かべているパルパティーンだが、それが演技の類だとウィンドゥは判断する。

 

「単刀直入に伝えます。議長、貴方を逮捕します」

 

「逮捕?それは一体。なぜ?」

 

驚いているという表情を浮かべるパルパティーン。

 

これらすべてが演技だ。

 

ウィンドゥは腰に下げていたライトセーバーを握りしめる。

 

「我々は貴様の正体を知っているのだ。貴様が何か、貴様を拘留する」

 

「失礼、理解が追い付かなくて……私が何か?キミが仕えることを誓った共和国の議長だったが?拘留というのは、保護の間違いではないのかね?メイス・ウィンドゥ。これは反逆罪だぞ!それに、逮捕とは、どんな罪状かね?」

 

戸惑った表情を浮かべて、後ろへ下がるパルパティーン。

 

「貴様はシス卿だ!」

 

「ほう?たとえそれが真実だとしても、それは罪に問われるのかな?もう一度、聞こうか?私が犯したはずの罪はなんだね?キミは元老院の前でこの反逆をどう正当化するつもりかな?それとも議員たちをみな、逮捕するつもりなのかな?」

 

「ここに来たのは議論するためではない」

 

ウィンドゥやマスターはライトセーバーを起動する。

 

「ああ!裁判もせずに私を監禁するつもりだな?法的な手続きを踏むふりすらせずに、そうか、これがジェダイの計画だな!キミ達は共和国を乗っ取るつもりだ!」

 

「一緒にきてもらおう」

 

傍にいたマスターがパルパティーンを拘束する為に近付く。

 

「断る!私を殺害するつもりなら、ここですればいい!」

 

「抵抗は無駄だ」

 

「抵抗する?一体、どうやって?これは殺人だぞ!キミ達ジェダイは反逆者だ!この私がキミ達にどんな脅威になるというのかな?」

 

派手にデスクの周辺のものを飛ばしながら後ろへ逃げるように下がっていくパルパティーン。

 

「助けてくれ!助けてくれぇ!セキュリティー!誰か!助けてくれ!人殺しだ!反逆だ!あぁ、スカイ――」

 

パルパティーンの安堵した表情にウィンドゥが身構えた途端。

 

マスターの一人が悲鳴を上げて地面に崩れる。

 

崩れ落ちたマスターの傍に赤いライトセーバーを握りしめて黒いフードで素顔を隠した者が一人いた。

 

「何者だ!」

 

叫ぶキット。

 

ライトセーバーを構えて乱入者へ意識を向けた瞬間、パルパティーンは袖に仕込んでいたライトセーバーを取り出して起動。

 

赤い刃で瞬く間に二人のマスターを殺害する。

 

残されたウィンドゥとキットは背を向けあいながらライトセーバーを構えた。

 

「本性を現したな!」

 

「こちらは私が相手を」

 

「任せた」

 

ウィンドゥは自身が得意とする第七のフォーム、ヴァーパッドを使用する。

 

キットは赤いライトセーバーを構えている相手と向きあう。

 

赤いライトセーバーの持ち主はキットと互角、それ以上の戦いを繰り広げていた。

 

冷や汗を流しながらキットは緑のライトセーバーを操る。

 

「なんだ、ジェダイというのはこの程度か」

 

「っ!?」

 

フードが捲れて素顔が露わになった瞬間、キットは激しく動揺する。

 

「なぜ」

 

戸惑い動きが鈍った瞬間を赤いライトセーバーがキットの体を射抜く。

 

「どういう、ことだ、なぜ、キミが」

 

目を限界まで見開いているキットに応えずに、ライトセーバーを引き抜いてキットの首を斬り落とす。

 

キット・フィストー、エージェン・コーラー、サシー・ティン。

 

ウィンドウが連れてきたマスター達が瞬く間に殺されてしまう。

 

パルパティーンは嗤う。

 

「これは、一体……!?」

 

動揺を隠せないウィンドゥに対してパルパティーンがライトセーバーを振るう。

 

「ジェダイの終わりという事だよ」

 

「黙れ!」

 

嗤うパルパティーン。

 

瞬く間にマスター達を殺した謎の人物はライトセーバーの刃を収納して腕を組み、動く気配がない。

 

ウィンドゥは紫のライトセーバーを構えて集中する。

 

パルパティーン、シスの暗黒卿を倒せばすべてが終わる。

 

そう考えてパルパティーンへ猛攻を仕掛けた。

 

追い詰められていくパルパティーン。

 

振るったライトセーバーの一撃がパルパティーンのライトセーバーを弾き飛ばす。

 

「このぉぉぉぉおおお!」

 

叫びと共にパルパティーンがフォースライトニングを放つ。

 

フォースライトニングをウィンドゥはライトセーバーで受け止める。

 

激しい火花を散らしながらじりじりと距離を詰めるウィンドゥ。

 

フォースライトニングの余波でパルパティーンの顔が変貌していく。

 

おぞましく変わる姿、このままいけば自分が勝利する。

 

弱っているように感じたパルパティーンの笑みが深まった。

 

その意味を理解しようとした瞬間、激痛がウィンドゥを襲う。

 

目を動かすと自分の片手がライトセーバーごと斬り落とされている。

 

「何が」

 

「見よ、これがシスの力だぁあああああああ!」

 

事態を理解する暇もないまま、全身に雷撃を受けてウィンドゥはコルサントの闇の中へ消えていく。

 

パルパティーンはしわくちゃになった顔に深い笑みを浮かべる。

 

「さぁ、計画の大詰めだ」

 

その言葉を待っていたというように、腕を組んでいた人物も笑みを浮かべる。

 

「いよいよ、ですね。マスター」

 

「そうだ、我が弟子よ。お前はこれより計画通り、聖堂を襲撃するのだ。これより、オーダー66が発動される」

 

 

 



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オーダー66…………?

評価バーが赤くなっていたのでびっくりしました。

今回の話は賛否両論あるかもしれないのですが、後々の展開を考えて、このような流れにしています。




コルサントで異変が起こっていた頃、野比のび太とオビ=ワン・ケノービはグリーヴァスを捕えるためにウータパウへ潜入。

 

ウータイからドラゴンマウントをレンタルしてグリーヴァスがいるであろう場所へ突入。

 

オビ=ワンの突然の行動にのび太は面食らいながらも迫るドロイドをライトセーバーとブラスターを使って撃退する。

 

ホイールに乗って逃走するグリーヴァスをオビ=ワンと共に灰色のドラゴンマウントの雌に跨ってのび太は追跡していた。

 

そして、グリーヴァスを追い詰める。

 

「しつこい奴らだ!ここで始末してやる!」

 

「お前を逮捕するぞ」

 

ライトセーバーを道中で落としたオビ=ワンだが、グリーヴァスから奪ったエレクトロ・スタッフを握りしめる。

 

笑いながらグリーヴァスは隠していたブラスターを使おうとしたが、のび太の早撃ちによってブラスターを手から落としてしまう。

 

獣のような咆哮をあげながらオビ=ワンへ飛び掛かるグリーヴァス。

 

「マスター!」

 

のび太は助けようとするがグリーヴァスはのび太の射撃を警戒してオビ=ワンを盾にして射線上に入らない。

 

オビ=ワンは両手でグリーヴァスの装甲をこじ開ける。

 

こじ開けられた装甲の中にあるのはむき出しになった臓器。

 

グリーヴァスはオビ=ワンを投げ飛ばす。

 

のび太がブラスター・ピストルで狙おうとするがグリーヴァスは足元に転がっていた岩を蹴る。

 

咄嗟にのび太は腕でガードするも、不意打ちによってブラスター・ピストルを落としてしまう。

 

起き上がったオビ=ワンに狙いを定めるグリーヴァス。

 

オビ=ワンは離れたところにあるエレクトロ・スタッフ、近くにあるブラスターをみて、咄嗟にブラスターを手に取る。

 

飛び掛かろうとするグリーヴァスの臓器に一発。

 

ブラスターの直撃を受けてグリーヴァスの臓器は瞬く間に燃え上がる。

 

何とか火を消そうとするグリーヴァスだが、二発目の光弾のよって体が燃え上がり、残ったのは纏っていたドロイドのボディのみ。

 

オビ=ワンは自身の手の中にあるブラスターを手放す。

 

「野蛮な武器だ」

 

「いつつつ」

 

オビ=ワンはのび太が落としたブラスター・ピストルを拾い上げて近づく。

 

「大丈夫か?」

 

「腕が少し痺れます」

 

腕を振りながらのび太はグリーヴァスだったものをみる。

 

「倒したんですね?」

 

「あぁ、倒した」

 

「……これで、戦争が終わるんですよね?」

 

「まだだ、残っているドロイドを一掃する仕事がある」

 

オビ=ワンの言葉にのび太は苦笑する。

 

「アニーに良い報告ができる」

 

「間違えるな。まずは評議会へ報告だ。その後にアナキンへ自慢できるかな」

 

ニコリと笑うオビ=ワンに続いてのび太も笑みを浮かべる。

 

「さて、問題はここからどうやって戻るかという事だが」

 

「マスター、あれを」

 

のび太に言われて視線を向けると離れていた二体のドラゴンマウントがやってくる。

 

「本当に賢いお嬢さん達だ……」

 

「そうですね」

 

やってきたドラゴンマウントを撫でて跨ろうとするオビ=ワンだが、思い出したように振り返る。

 

「そういえば、ノビタ。私がライトセーバーを落としたことは秘密だぞ」

 

「あははは、わかりましたよ」

 

戦闘中にライトセーバーを落としたことを秘密にするように言われたのび太は苦笑しながらも頷いた。

 

ドラゴンマウントに跨ったオビ=ワンとのび太の二人はコーディがいる部隊のところまで戻ることが出来た。

 

「将軍、敵は撤退しております」

 

「このまま片付けてしまおう」

 

「了解です。これをお忘れではありませんか?」

 

コーディがオビ=ワンへライトセーバーを差し出す。

 

「良かったですね。マスター」

 

のび太の言葉にオビ=ワンは苦笑する。

 

「行くぞ」

 

「はい!」

 

ドラゴンマウントを操り駆け出す二人。

 

少ししてコーディの通信機に連絡が入る。

 

『コマンダー・コーディ』

 

通信の相手はパルパティーン最高議長だ。

 

しかし、いつもと異なりフードで素顔を隠している。

 

『時はきた』

 

ヘルメットに隠れているコーディの表情が変わる。

 

『オーダー66を実行せよ』

 

「了解です」

 

頷いたコーディは近くのウォーカーへ指示を出す。

 

「奴らを撃て!」

 

指示と共に発射される砲弾。

 

砲弾は崖を走っていた二人に直撃。

 

大きな悲鳴を上げるドラゴンマウント達と共に落ちるオビ=ワンとのび太。

 

「遺体を探せ」

 

コーディは冷酷に部下へ指示を出した。

 

その直後。

 

「とんとん」

 

握りしめて拳をぶつけあう。

 

「とんとん」

 

同じように彼の前にいたクローン達が一斉に両方の拳をぶつけあう。

 

「ふざけるな。ジェダイの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パルパティーンの言うオーダー66。

 

それはクローン・トルーパーの脳に埋め込まれている制御チップに仕込まれている指令を実行に移すためのもの。

 

造られたクローン達全員に埋め込まれているチップの指令は時がくれば実行されるようになっていた。

 

指令の内容は“ジェダイを殺せ”というもの。

 

だが、このオーダー66。パルパティーンは知らなかったがある指令がもう一つ、組み込まれていた。

 

“歌って踊る”。

 

それはサイフォ=ディアスが生きていた頃、のび太がワスレンボーで記憶を消される少し前、カミーノへ来ていたのび太は道に迷い、クローンを製造しているシステムを誤って操作してしまった。

 

 誤った操作の内容は偶然にもオーダー66の内容について。

 

 既に仕込んでいた事によって手を加える事無く、サイフォ=ディアスが死んだ後も制御チップはクローン達に埋め込まれていく。

 

二つの指令が同時に起こるように設定されていたことで銀河中のクローンでジェダイを殺すために行動を起こす者や踊りだすクローン、両方を行うクローンが現れて戦況は大混乱となる。

 

だが、このイレギュラーによって何人かのジェダイの命が救われた。

 

そして、この動作を行ったクローンの多くが戦争で死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッシークでドロイド部隊と戦っているクローンを指揮しているヨーダは多くの命が散っていくことをフォースで感じ取る。

 

急速に失われる命にジェダイマスターのヨーダは顔を顰めて膝をつく。

 

彼の持っている杖が地面へ落ちて、ターフルやチューバッカも動揺している。

 

少し離れた所で待機しているクローン・トルーパーに通信が入った。

 

『オーダー66を実行せよ』

 

「了解」

 

通信を終えると控えていたクローンに指示を出してゆっくりとヨーダに近付く。

 

ヨーダは背後から迫る殺意に気付いて懐のライトセーバーを取り出す。

 

地面を蹴り、宙で回転するように舞いながら緑の刃を振るう。

 

一撃で二人のクローン・トルーパーを撃退したヨーダは杖を拾う。

 

「ここから逃げる必要があるの」

 

チューバッカがヨーダを持ち上げる。

 

先を歩くターフルと共に森の中へ逃げ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、ここどこ?」

 

暗闇の中にのび太はいた。

 

起き上がったのび太は周りを見る。

 

暗闇で何も見えない。

 

戸惑いながら周囲をみていると、人がいた。

 

「アニー?」

 

「……ノビタ!」

 

のび太に気付いたアナキンは駆け寄ってくる。

 

「ノビタ!キミは、キミは無事だったのか!?良かった、キミが生きていてよかった!あぁ、僕はなんてことを」

 

「え?ど、どうしたの?落ち着いて。アニー」

 

泣き崩れているアナキンにのび太は戸惑いながらも落ち着かせようとする。

 

「この状況が夢なのかどうかわからない。だが、聞いてほしい!議長が……最高議長パルパティーンがシスの暗黒卿だ!彼はクローンにジェダイを殺すオーダーを仕込んでいたんだ!ジェダイがクローンに殺されてしまうんだ!止められたのに、僕は止められたかもしれないのに!」

 

「アニー……」

 

アナキンは自分がその場にいたら止められたかもしれない、もしかしたらに苦しんでいる。

 

のび太はアナキンを強く抱きしめた。

 

「起こった事を止められない……止められないならこれから起ころうとしていることを止めよう!」

 

「ノビ……タ」

 

「大丈夫。アニーは一人じゃないよ。マスターケノービやパドメさん、僕だっている!」

 

「……」

 

「待っていて!すぐに僕も行くから」

 

不思議とのび太はアナキンがどこにいるかわかった。

 

彼を助けないといけない。

 

のび太の強い意志を宿した瞳をみて、アナキンも頷いた。

 

「あぁ、待っている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「げぽ!ごほっごほっ!」

 

「気付いたか」

 

激しくせき込むのび太へオビ=ワンが声をかける。

 

「マスターケノービ、僕は……」

 

「静かに、まだ周囲をクローンが索敵をしている。見つかるとまずい」

 

周囲を警戒しているオビ=ワン。

 

落ち着いたのび太にオビ=ワンは状況を話す。

 

ドラゴンマウントに乗っていたところをクローンに攻撃された二人だが、ドラゴンマウントのおかげで死んだことに偽装され、落ちた池を泳いで安全な場所まで逃げてきたのである。

 

「しばらくここで休むしかないな」

 

「でも、すぐにコルサントへ向かわないと」

 

「コルサントへ?危険だ」

 

オビ=ワンはクローンが攻撃してきた以上、コルサントが一番危険な場所だと思っている。

 

「コルサントにアニーがいます。アニーが助けを求めているからいかないと」

 

「アナキンが助けを?」

 

のび太の言葉にオビ=ワンは悩む。

 

知的な部分のオビ=ワンは危険故にコルサントへ行くべきではないと訴える。

 

しかし、パダワンを、否、彼を大事な家族同然に思っている部分のオビ=ワンはすぐに行動すべきと訴えていた。

 

どうするべきか、本来ならフォースに身を委ねているオビ=ワンだが、悩む。

 

「コルサントへ行くにしても、探索しているクローンが去ってから行動すべきだ。クローンを相手するとなると我々が不利だ」

 

「でも」

 

「焦る気持ちはわかる。だが、慌てて行動してしまえば」

 

バチュン!

 

大きな音を立ててオビ=ワン達のいた近くの岩にブラスターの光弾が直撃する。

 

振り返るとブラスターを構えたクローンの小隊が近づいてきた。

 

「しまった。ここは」

 

逃げるべきと考えたオビ=ワンはライトセーバーを取り出す。

 

クローン達が援軍を呼ぼうとした時、頭上から一機の低空強襲トランスポートが接近してくる。

 

「ノビ将軍!ケノービ将軍!」

 

側面のハッチがスライドして顔を出したのはクローン・トルーパー、ファイヴス。

 

「ファイヴス!?」

 

死んだと報告を聞いていたオビ=ワンは驚いて動きを止めてしまう。

 

のび太は迷わずにトランスポートへ向かった。

 

「ノビタ!?」

 

「マスター、彼は大丈夫です!信じてください!」

 

「……わかった!」

 

背後から迫るブラスターを躱しながらオビ=ワンもトランスポートへ乗り込んだ。

 

トルーパー達からのブラスターを躱すようにしながらあっという間に急上昇していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッシークのある場所。

 

ターフルにヨーダは別れの言葉をかける。

 

昔、ヨーダがウーキーを奴隷売買しようとした組織を摘発した事から彼らの家族として受け入れられていた。

 

「さらばだ、友よ」

 

隠していた脱出ポットに乗り込むヨーダ。

 

別れを惜しむターフルとチューバッカ。

 

森の中へ向かう二人。

 

ヨーダは脱出ポットを起動してキャッシークを脱出した。

 

 




次回はジェダイ聖堂がどうなったか、アナキン救出についてをやる予定です。





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共和国の終わり、帝国が生まれた日

今まで、どうして、のび太とアナキンが交信みたいなことができていたのか。

独自解釈ですが、一つの答えをだしております。

また、彼らの秘密についてもすこし


ジェダイ聖堂はクローンの攻撃を受けていた。

 

聖堂を守護するテンプルガードや残っていたナイト、マスター達が迎撃しようとするも多勢に無勢で一人、また一人とジェダイが殺されていく。

 

クローンだけならなんとか撃退できただろう。

 

しかし、クローンを指揮する者がシスのアプレンティスだったことが状況をさらに悪化させていた。

 

「ジェダイは子どもだろうと生かすな。全員、殺せ」

 

赤いライトセーバーを操りながら一人のテンプルガードを殺して指示する。

 

指示を受けたクローンはブラスターで逃げようとしていたパダワンを撃つ。

 

「やめてぇ!」

 

子どもが撃たれた事に悲鳴を上げたジェダイの一人がライトセーバーを振り上げる。

 

「遅い」

 

ライトセーバーを躱して赤い刃で心臓を貫いた。

 

こと切れたジェダイの手が素顔を隠していたローブをめくりあげる。

 

そこから覗いた顔はアナキン・スカイウォーカー、そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖堂の一角でクワイ=ガン・ジンはライトセーバーを操り、クローンの攻撃を防いでいた。

 

彼の後ろには隠れているイニシエイトの子ども達がいる。

 

子ども達だけでも逃がしたいところだが発着場は既に抑えられており、脱出するには目の前のクローン達を蹴散らさなければならない。

 

一人、また一人とクローンを撃退していくクワイ=ガン。

 

「へぇ、中々、強そうじゃないか。アンタ」

 

クローン達をかき分けるようにして彼が現れる。

 

「アナキン……いや、違うな。誰だ」

 

クワイ=ガンは彼の顔を見て、アナキンだと驚くもすぐに違うと察する。

 

「驚いたな。俺が殺したジェダイ達は俺をアナキン・スカイウォーカーだと信じて疑わなかったが、アンタは特別らしい。流石はマスターが警戒するジェダイってところか」

 

「何者だと聞いている」

 

「ダース・ベイダー、それが俺の名前だ」

 

赤いライトセーバーを起動して刃を向けるベイダー。

 

クワイ=ガンは冷静に緑の刃を構える。

 

最初に仕掛けたのはクワイ=ガンだった。

 

振るう刃をベイダーは冷静に受け流す。

 

受け流して激しい攻撃を仕掛けるベイダー。

 

クワイ=ガンはベイダーの攻撃をギリギリのとこで避ける。

 

相手の攻撃が強すぎて攻撃に徹することで被害を最小限にするしかなかった。

 

「ハハッ、腐ってもジェダイだな。だが、俺の方が強い!」

 

「そのようだな。だが、強ければ良いというわけではない」

 

ベイダーの攻撃によって体中が傷だらけのクワイ=ガン。

 

傷だらけでまだ済んでいた。

 

並のジェダイであれば、ベイダーによって細切れにされている。

 

クワイ=ガンの体力は限界を迎えつつある。クローン戦争に加えて、彼は年老いた。

 

その事で体力も落ちつつあった。

 

「だが、遊びもこれで終わりだ。中々、楽しかったよ。ジェダイ!」

 

振るわれるライトセーバーがクワイ=ガンの命を刈り取る瞬間。

 

横から割り込んだライトセーバーの刃がベイダーの攻撃を阻んだ。

 

「お前は」

 

「年老いたかい、ジェダイ」

 

二人の間に割り込んだのはアサージ・ヴェントレスだった。

 

ヴェントレスはクワイ=ガンを守るようにしながら二本のライトセーバーを構える。

 

「貴様、どうやってここに」

 

「オンボロタクシーできたんだよ。そっくりさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰がタクシーだよ!誰が!」

 

「高度を維持しろ」

 

サヴァージ・オプレスに怒鳴られながらホンドー・オナカーは貨物船の操縦桿を握りしめていた。

 

ホンドー・オナカーはクローン大戦中期にドゥークー伯爵を捕えて共和国へ身代金を要求した海賊だ。

 

しかし、欲に目が眩み交渉にきたアナキンとオビ=ワンを捕まえてその分の身代金を要求。

 

救援に駆け付けたのび太とクワイ=ガンの手によって計画は失敗。

 

失敗後、海賊として活動していたものの、グリーヴァスの邪魔をしたばかりにドロイドの部隊による襲撃を受けて自分以外は壊滅。

 

殺されるという所で賞金稼ぎとして活動していたサヴァージ・オプレスとアサージ・ヴェントレスの二人に助けられて、運び屋としてこき使われている。

 

そんな彼らがどうしてコルサントに訪れ、そしてジェダイを助けているのか。

 

兄であるモールがコルサントで起る異変を察知して賞金稼ぎをしているサヴァージへ救援を要請。

 

報酬もあるということからヴェントレスも参加。

 

運び役としてホンドーも巻き込み、ジェダイを助けるためにオンボロ貨物船で救援に駆け付けたのである。

 

子ども達が閉じこもっているエリアに突入したヴェントレスは「生き残りたかったら乗り込むんだな!」と叫びながら部屋の扉を開けてその先で戦っているクワイ=ガンとベイダーの戦いに割り込んだのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタもさっさと下がりな…………限界だろ」

 

「すまない」

 

ヴェントレスはクワイ=ガンの体力が限界であることを見抜き、貨物船へ向かうように促す。

 

クワイ=ガンはライトセーバーを仕舞うと振り返らずに貨物船の方へ向かう。

 

「撃て!」

 

ベイダーの指示にクローン達がブラスターで発砲するも光弾はクワイ=ガンに当たらずに逃げられてしまう。

 

追跡しようとするベイダーを阻むようにヴェントレスが非常装置を起動して隔壁を下す。

 

通路を断たれ、ベイダーは怒りを隠さずにフォースで壁を破壊しようと試みるも大きなへこみを残すのみだ。

 

「チッ。まぁいい、残っているジェダイを逃すな」

 

「了解」

 

頷いたクローン・トルーパーは部隊を引き連れて離れる。

 

ベイダーは鳴り出す通信機に気付く。

 

「こちらベイダーだ」

 

『こちらレン。そちらの状況はどうだ?』

 

「今のところ順調といったところかな?スカイウォーカーの方は?」

 

『逃げられる訳がないさ。俺がいる。オーダー66に従っているクローンもいる。だが』

 

「だが?」

 

『ノビタ・ノビの死の報告がきていないのが気がかりなだけだ』

 

「死んだら困る?」

 

『当たり前だ。奴は俺の手で始末するって決めているからな』

 

「そうか、こちらは仕事に戻る」

 

ベイダーはジェダイ抹殺に意識を集中させる。

 

全ては我らがマスターの為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オビ=ワンとのび太を助けたトランスポートはあっという間に宇宙空間へ出るとクローンの艦隊が展開している方向と別の宙域へ向かう。

 

しばらく飛行していると貨物船が近づいてくる。

 

貨物船のハッチが開くとトランスポートが入った。

 

「ファイヴス、ここは一体?」

 

オビ=ワンは警戒しながら尋ねる。

 

「そこまで身構えることはないぞ?ジェダイ」

 

貨物船の入口から一人の男が現れる。

 

マンダロリアンのアーマーを纏い、腰に下げているのは二丁のブラスター・ピストル。

 

クローンのホストとなったジャンゴ・フェットだ。

 

「久しぶりだな。ジェダイ、お前達の噂は銀河の端まで届いているぞ」

 

「助けてくれてありがとう賞金稼ぎ、ファイヴスを貴方に託して正解だったよ」

 

"元ARCトルーパー" ファイヴス。

 

彼はある任務中にジェダイを抹殺しようとしたクローンの調査をしていた時、シスに知られたら困る事を察してしまい、命を狙われるものび太のおかげで本来なら死ぬところを助けられ、賞金稼ぎのジャンゴ・フェットへ彼を預けたのである。

 

「再会を喜びたいところだが、ファイヴス、一体、何が起きているんだ?我々はどうして仲間であるクローンに命を狙われたのか」

 

「それは頭に埋め込まれていたバイオチップが原因です」

 

「チップ、確か、感情抑制の為にカミーノ人が埋め込んでいたものだな」

 

「感情不要が連中の考えだからな。そのチップに共和国をジェダイが裏切らないという名目でオーダーが一つ埋め込まれていた。最も、連中はジェダイの裏切り防止だと信じていたようだが」

 

「それでは、クローンは」

 

「お前達の敵、シスとやらの手駒というわけだ」

 

ジャンゴの言葉にオビ=ワンやのび太は言葉を失う。

 

「この船はどこへ向かうんだ?」

 

「本来なら俺達の拠点へ向かうところだが、お前達を連れていくわけにいかない。危険を持ち込むわけにいかないからな」

 

「ジャンゴ、それは……」

 

ファイヴスがジャンゴへ意見しようとするが、のび太が止める。

 

「賞金稼ぎの言葉は正しいよ。僕はコルサントへ行きたい。途中まで送ってくれないかな?」

 

「それなら、格納庫にあるアレも持って帰ることを勧めるぞ」

 

「持って帰る?」

 

のび太が首を傾げると派手な機械音をあげてアストロメク・ドロイドがやってくる。

 

「R3?R3!!どうしてここに!」

 

「俺達をこんな場所まで呼び込んだのはソイツだ。どうやらクローンの異変に気付いて行動を起こしたようだぞ」

 

「優秀なドロイドですよ」

 

ファイヴスの言葉にのび太は頷いた。

 

沈黙していたオビ=ワンだったが、ジャンゴへ声をかけようとした。

 

「父さん」

 

マンダロリアンのアーマーを纏った青年がやってくる。

 

「ボバ、どうした?」

 

「そこのドロイドが発した信号に反応があったよ。同業者だ」

 

「よし、通信をここへ繋いでくれ」

 

「わかったよ」

 

頷いたボバはシステムを操作して通信回線を繋いだ。

 

『おやおやぁ、愛しのケノービじゃないかい。生きていたようだね』

 

「アサージ・ヴェントレス!?」

 

「落ち着いてください。今は賞金稼ぎとして働いています。金をもらっている限りは裏切りません」

 

ファイヴスの言葉でオビ=ワンは警戒を緩める。

 

『そういうことだよ。もっとも、アンタが金を持っているとは思えないけど』

 

「無駄話をするために通信をしたわけじゃないんだろ?早く話せよ」

 

ヴェントレスの悪態に呆れながらボバが急かす。

 

『うるさい坊やだね。ケノービ、アンタの師匠やガキ達を保護している。引き取るなら座標を指定しな。しなければ、適当なところで放り出すよ』

 

「……クワイ=ガンが!?聖堂の子達もいるのか!」

 

『全員ではない。限られた時間で助けられた子供だけだ』

 

サヴァージ・オプレスが通信に入り込む。

 

「合流するなら丁度いい。おたくらを探している連中がいるようだ」

 

ジャンゴがパンと手を叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のび太やオビ=ワンを乗せた貨物船に接近してくるベイル・オーガナの宇宙船。

 

貨物船から移動してオビ=ワンとのび太、R3そしてファイヴスは艦内へ入り込む。

 

オーガナはクローンであるファイヴスをみて身構えるものび太やオビ=ワンが味方であることを伝えた。

 

「マスターヨーダ!無事だったんですね」

 

「脱出したところをオーガナ議員に助けてもらったのじゃ、二人とも無事でひとまず安心じゃ」

 

「マスタークワイ=ガンの方は頼りになる者達が救援へ向かっている」

 

「他のジェダイは?」

 

オビ=ワンはヨーダとオーガナへ尋ねる。

 

「わからぬ……聖堂からは戦争は終結した、戻ってくるようにというビーコンが出ておる」

 

「そんな!」

 

オビ=ワンは目を見開く。

 

オーダー66によりクローン達はジェダイを殺す。

 

何も知らずにコルサントへ戻ったらジェダイは死んでしまう。

 

「信号を信じた者が危ないです。戻らないと」

 

「危険だが……やむを得ん。何が起こっているか知る必要がある」

 

「わかりました。進路をコルサントへ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベイル・オーガナの所有するタンティヴⅣがコルサントへ接近すると緊急回線の反応が表示された。

 

「気付かれましたかな?」

 

「そうではないだろう。通信に出るのじゃ」

 

ヨーダに促されてオーガナは回線を開く。

 

通信の相手はマス・アミダで、内容は緊急招集を開くというものだった。

 

「罠、でしょうか?」

 

「それはありえん。連中はオーガナ議員が飛び出した理由を把握しておらん。何より、我々は死んだ、もしくは別の場所へ逃走したことになっておる。よもや、危険地帯のコルサントへ戻るなんて思ってはおらんじゃろう」

 

「どうしますか?」

 

「オーガナ議員は緊急招集に応じて下さい。その間に、我々は聖堂のビーコンを」

 

「マスター」

 

今まで沈黙していたのび太が話に割り込む。

 

「僕は行きたいところがあります」

 

「ノビタ?」

 

「ノビよ。どこへ行こうというのじゃ?」

 

「アニーのところです」

 

「……お主はスカイウォーカーがどこにいるのかわかっておるのじゃな?うん?」

 

「はい……不思議とわかるんです。アニーは捕まっている。助けに行かないと」

 

「やはり、お前達は……いや、その事は後でよい。じゃが、ノビ一人を行かせることは危険じゃ」

 

「だったら」

 

のび太は後ろに控えているファイヴスをみる。

 

「ファイヴス、協力してくれないかな?その、ギャラをすぐに払えないけど」

 

ファイヴスは拳を叩く。

 

「自分は貴方に命を救われました。返しきれない恩がある。それを少しでも返せるなら喜んでお供します」

 

「決まりじゃな」

 

ヨーダは頷く。

 

「オーガナ議員は緊急招集へ、その間に儂とケノービで聖堂のビーコンをオフにする。ノビとファイヴスはスカイウォーカーの救出じゃ、くれぐれも油断するでないぞ?シスはすぐ近くにおる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういう状況だ?」

 

「ジェダイが謀反を起こしたと」

 

オーガナはナブーのポッドへ入り、腰かける。

 

「ジェダイの暗殺者達は私を傷つけ、醜い顔を残した。しかし、私の心を傷つけることはできなかった。彼らは私の決意を損なうことはできなかったのだ!残りの反逆者達はどんな隠れ家も根こそぎ暴かれ、正義の裁きを受けることになるだろう!死んでいようと、生きていようと、彼らに手を貸す者は同じ運命がまっている!敵を守る者は敵なのだ!今こそ、その時だ!我々は反撃するのだ!我々を滅ぼそうとする者達を……滅ぼすのだ!民主主義の敵に死を!」

 

「ジェダイが裏切るなど」

 

「何を信じればいいのかわからなくなる」

 

ジェダイが裏切り、最高議長を殺そうとした。

 

証拠まで出された事でパドメは不安に揺れる。

 

だが、真実を知っているオーガナは安心させるようにパドメに裏切りなどないと小声で話す。

 

「戦いは終わったのだ!」

 

黒いローブに隠れているパルパティーンの演説に全員が歓声を上げる。

 

「分離主義勢力は完全に敗北した。共和国はもちこたえたのだ!団結し、自由を勝ち取った」

 

元老院は歓喜する。

 

「我々は二度と分裂することはない。家族や親せき同士が争うことは二度とない。我々は一つの国家だ。分割できない国家なのだ。我々が常に立つことを確かにするために、常に一つの声、一つの行為、一つの手で行うために共和国は変わらなければならない、進化、成長する必要があるのだ。我々は帝国となった!それにふさわしく、名前も変えるべきであろう。共和国は進化、成長し!我々は銀河帝国の創設者となるのだ!」

 

元老院は嵐のような轟きに満ちる。

 

「今、自由は死にました」

 

周りが歓声を上げる中で、パドメは静かに告げる。

 

共和国は死に絶え、ここに帝国が産声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元老院が帝国樹立の騒動に包まれていた頃、ジェダイ聖堂でオビ=ワンとヨーダがライトセーバーを振るい、駐留していたクローン・トルーパーを倒す。

 

「数が少ないですね」

 

「ここのジェダイを一掃したということかもしれんの。ビーコンの解除を急ごう」

 

ライトセーバーの刃を収納して二人は聖堂の中へ入る。

 

聖堂内は死んだジェダイやパダワン、クローンの亡骸が横たわっていた。

 

オーダー66の騒動の後処理が終わっていないのだろう。

 

オビ=ワン達はこと切れたジェダイ達の亡骸に悲痛の表情を浮かべながらもビーコン解除の為に行動する。

 

「儂がビーコンを解除する。生存者がいないか確認をしておくのじゃ」

 

「……わかりました」

 

ヨーダはビーコン解除の為、システムルームへ。

 

オビ=ワンは聖堂内を探し始める。

 

数十分後。

 

オビ=ワンはシステムルームへ足を運ぶ。

 

腰かけたヨーダは悲痛の表情を浮かべていた。

 

システムに触れてオビ=ワンは聖堂内の監視システムを立ち上げる。

 

「そんな!?」

 

監視カメラのログをみたオビ=ワンは驚きの表情を浮かべる。

 

映像はテンプルガードやジェダイに切りかかるローブを纏った男。

 

フードが捲れて現れた素顔はアナキン・スカイウォーカー。

 

「アナキンが、どうして?」

 

「わからぬ……だが、これが本当にスカイウォーカーかどうか」

 

「どういうことです?映像の記録は捏造されていない……」

 

「ノビの存在じゃ」

 

「ノビタ?」

 

ヨーダは杖で床を突く。

 

「前から気になっていた……今回の件で確信したのじゃ」

 

「何を、です?」

 

困惑するオビ=ワンにヨーダは告げる。

 

「ノビタ・ノビとアナキン・スカイウォーカー、二人のフォースは同一のものじゃ、二人は一人である」

 

「どういう意味です?」

 

「予言にあるフォースのバランスをもたらす者は“どちらか”ではない。“二人が”選ばれし者なのじゃ。じゃから、片方がダークサイドに堕ちれば、同じように片方も影響を受ける。じゃが、ノビにその様子はみられなかった。ならば」

 

「これは、アナキンではないと?」

 

「すべてはノビの感じたもの次第。それで答えがでる」

 

ヨーダとオビ=ワンはこの場にいないのび太の身を案じる。

 

「これを起こした者が我々の知るアナキン・スカイウォーカーなのか、それとも何者かの手によって生み出されたもう一人のアナキン・スカイウォーカーなのか、その答えはノビが引き寄せることじゃろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファイヴス、大丈夫かい?」

 

その頃、のび太とファイヴスはコルサントの都会にある廃工場へ来ていた。

 

この工場はかつて真実を知ったファイヴスがアナキン達に真実を伝えようとして撃たれた場所である。

 

ファイヴスにとって嫌な記憶の残る場所。

 

「大丈夫ですよ。それより、将軍。俺の兄弟を殺さないでくれてありがとうございます」

 

彼らの足元にはスタンモードで気絶したクローン・トルーパー達がいる。

 

どういうわけかこの工場を守護していたトルーパー達。

 

兄弟を殺すことに抵抗があったファイヴスだが、のび太がスタンモードにしたブラスターで次々と狙撃したことから死者はゼロである。

 

「今は敵対しているとはいえ、元は仲間だったんだ。頭の制御チップを破壊できればよかったんだけど、これしか今は手段がないから」

 

「ありがとうございます」

 

ファイヴスはのび太の優しさに感謝していた。

 

「必ずスカイウォーカー将軍を助けましょう」

 

「うん、後で」

 

のび太はファイヴスと別れると工場の中へ侵入する。

 

工場内部にクローン・トルーパーの姿はないがどす黒い何かをのび太は感じ取っていた。

 

ダークサイドに堕ちた存在が近くにいる。

 

のび太は警戒しながら奥へ向かう。

 

しばらくするとレイ・シールドに捕らわれているアナキン・スカイウォーカーの姿を見つける。

 

「アニー!」

 

のび太は驚いてレイ・シールドで囚われているアナキンの方へ駆け寄る。

 

彼はのび太に気付くと立ち上がって、レイ・シールドの傍まで近づいた。

 

よくみると、彼の両手は手錠で拘束されており、いつも下げているライトセーバーもない。

 

「ノビタ!どうして」

 

「キミを助けに来たんだよ。アニー」

 

「ノビタ……」

 

のび太の言葉にアナキンは笑顔を浮かべるも、すぐに険しい表情を浮かべる。

 

「後ろだ!」

 

アナキンの言葉に振り返るのび太。

 

「よぉ、待っていた」

 

のび太の後ろにローブで素顔を隠した者が立っていた。

 

「キミは……」

 

「俺の名前はカイロ・レン。ダース・シディアスに仕えるアプレンティス」

 

カイロ・レンを名乗った男はフードを脱ぐ。

 

「!?」

 

「そんな……どういうことだ!」

 

驚きで言葉が出ないのび太。

 

レイ・シールドに囚われているアナキンも信じられないと驚いている。

 

カイロ・レンの素顔は野比のび太そのものだった。

 

 

 



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コインの裏と表

次回と次々回くらいでシスの復讐編は終了



 

ダース・シディアスはシスとしての復讐を果たす為に長い時間を費やして計画を練ってきた。

 

その中で彼はクワイ=ガン・ジンが連れてきたアナキン・スカイウォーカーに目をつける。

 

彼をダークサイドへ堕とし若く強いシスにする。

 

その為に様々なアプローチを仕掛けてきた。

 

何故なら、彼が予言にある選ばれし者だと直感していたからだ。

 

しかし、彼の行動すべてが失敗してしまう。

 

それはアナキンと共にやってきた野比のび太によって。

 

アナキンが精神的に不安定になり、パルパティーンにとって有利になると、まるでバランスを戻そうとするようにのび太が光の側へ呼び戻す。

 

何度も、何度も失敗してのび太を暗殺しようとまで考えたシディアスだったが、途中であることに気付く。

 

野比のび太とアナキン・スカイウォーカー。

 

二人のフォースは同じもので、二人は一つの存在である。

 

フォースによって二人の意識はリンクして、遠く離れていても近くにいるように会話ができる。極まれな存在。

 

その事実に気付いてからシディアスは理解する。

 

二人で一つの存在である彼らこそが選ばれし者だと。

 

それから二人を闇へ堕としてしまうことも考えたがある実験を思いつく。

 

成功するかわからない実験。

 

ただの戯れだったのだが、それは意外にもシディアスにとって良い方向に事態を進める事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕と同じ顔?」

 

「まさか、クローンか!?」

 

「正解」

 

アナキンの言葉にのび太と同じ顔のカイロ・レンはにやりと笑う。

 

「俺ともう一人、ベイダーはお前達の遺伝子を基にして作られたクローン。だが、只のクローンじゃない。フォースを操ることが出来るし、成長速度を速めたものの短命というわけでもない」

 

近くのコンテナをフォースで浮かばせて落とすといったことを行うカイロ・レン。

 

「キミは、何が目的なの?」

 

「シスの悲願。ジェダイの抹殺!長い時代を闇の中で潜んできたシスの復讐!まぁ、それは我らが師の願い、俺とベイダーが願うことは一つ」

 

カイロ・レンから湧き上がる膨大な殺意。

 

のび太の顔で獰猛な笑みを浮かべ、袖に隠していたライトセーバーを起動する。

 

赤い刃を展開して、カイロ・レンは殺意を滾らせた。

 

「オリジナルを殺してその人生を手にする!それが俺とベイダーが望むこと!ノビタ・ノビ。俺は貴様を殺す!」

 

獣のような雄叫びを上げて飛び掛かるカイロ・レン。

 

不意打ちにのび太は驚きながらもライトセーバーで応戦する。

 

「ぐっ!」

 

「どうしたぁ?この程度か!」

 

獣染みた激しい動きでのび太に襲い掛かるカイロ・レン。

 

後ろにアナキンがいることからのび太は防御に徹している。

 

レイ・シールドがあるとはいえ、何かの拍子に刃がアナキンを貫くかもしれない。

 

そんな不安と恐怖がのび太の心の片隅にあり、守りに徹しさせていた。

 

勿論、カイロ・レンはその事をわかっている。

 

彼のポケットにレイ・シールドを解除するリモコンがあり、のび太が避ければシールドを解除してアナキン・スカイウォーカーを殺す。

 

本来であれば、ベイダーがやりたいことなのだが、彼自身は既に行動を起こしており“ついで”にレンが始末してくれるなら大助かりでもある。

 

「守るだけじゃあ、俺に勝てないぞ!」

 

大ぶりに振るわれた一撃を受けてのび太は近くのコンテナに体がぶつかる。

 

砂埃をまき散らしながら地面に倒れるのび太へレンは落胆の表情を浮かべた。

 

「おいおい、これが銀河を救った英雄様か?弱すぎるだろう。それとも、同じ顔だから戦えまちぇんなんて事いわないよな?だとしたら、笑えないジョークだぜ?おい」

 

「別に……そんなことはないよ。驚いているけれど、キミは僕じゃない」

 

「あ?」

 

「同じ顔だけど、キミは僕と全然違う。最初は驚いたけれど、キミから感じるフォースは悪意や殺意に包まれている。そんなキミと僕は全然違う」

 

「口はよくまわるようだが、セーバーの技術は俺が上みたいですけど」

 

「どうだろうね。それに、僕はただ守りに徹していたわけじゃないんだ」

 

「あ?それは」

 

どういう意味か?というレンの言葉はすぐ近くで起きた爆発によってかき消される。

 

「がぁああああああああああああああ!?」

 

間近で起こった爆発を浴びた事で顔を抑えてのたうち回るレン。

 

同時にアナキンの周囲を覆っていたレイ・シールドが解除される。

 

「アニー!」

 

のび太はアナキンに駆け寄るとライトセーバーで手錠を切り裂く。

 

「逃げるよ」

 

「そうした方がよさそうだな」

 

二人は出口に向かって走る。

 

「ぐぞぉぉ、にがさねぇぞぉ、このぉおお!」

 

顔の半分に火傷を負いながらカイロ・レンは追いかけようとするが爆発と続けて起こった煙幕によって視界を遮られてしまう。

 

煙幕が消えた時、そこに二人の姿はなかった。

 

「くそがぁああああああああああああ!」

 

カイロ・レンは怒りに震え、ライトセーバーで近くにあったコンテナを次々と切り裂く。

 

指示を受けて周囲を探索していたトルーパー達は工場の中から聞こえる音を聞いて、静かに迂回した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノビ将軍!スカイウォーカー将軍!」

 

のび太がアナキンを助けて工場を抜け出すとファイヴスが駆け寄ってくる。

 

「!!」

 

「アニー、落ち着いて、ファイヴスは味方だよ」

 

「ファイヴスだって!?彼は死んで」

 

「自分の命をノビ将軍が助けてくれたのです」

 

ヘルメットを脱いでファイヴスが手短に説明する。

 

工場へ入る直前、のび太と別れたファイヴスはアナキンの状況を察すると密かに爆薬を設置。

 

レンに気付かれないようにのび太へ情報を伝えてタイミングを見計らい爆破のスイッチを押した。

 

アナキン救助を優先していたのび太はその為、カイロ・レンへ反撃せず防御に徹していたのである。

 

「それと、こちらを」

 

偶然、発見したアナキンのライトセーバーをファイヴスは差し出す。

 

「あぁ、助かった」

 

「爆破でトルーパーが集まってきます。ひとまず、ここから離れましょう」

 

「そうだな……そうだ、ノビタ、ファイヴス」

 

ライトセーバーを腰から下げてアナキンは二人を呼ぶ。

 

「助けてくれてありがとう。それと、ライトセーバーを無くしていた事はマスターに黙っていてくれ」

 

少し調子を取り戻したいつものアナキンの言葉にのび太は苦笑する。

 

「二人ともよく似ているよ」

 

 

 



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ムスタファーの戦い

オーダー66によってジェダイ聖堂がクローンの襲撃を受けていた時刻。

 

アナキンに扮したダース・ベイダーはパドメ・アミダラと会っていた。

 

「貴方が無事でよかった」

 

パドメは目の前のアナキンに違和感を覚えながらも彼の無事を喜ぶ。

 

安堵の表情を浮かべるパドメにベイダーは心の中で黒い感情を浮かべていた。

 

もし、ここでパドメ・アミダラをライトセーバーで貫いたらどんな表情を浮かべるだろうか?

 

もし、このタイミングで本物のアナキン・スカイウォーカーが現れたらオリジナルはどんな顔を浮かべるのか?

 

それと同時に目の前の女性へ僅かだが、愛情を抱いている自分に気付いた。

 

この女を独占したい。

 

自分だけのものにしてしまいたい。

 

そんな独占欲に驚きながらも悪くないと密かに思うベイダーは彼女を優しく抱きしめながらムスタファーにいる分離主義勢力を捕まえると嘘をついてR2と共にスターファイターでコルサントを後にする。

 

――誰も自分をアナキン・スカイウォーカーと信じて疑わない。

 

その事に激しい怒りと妙な優越感を覚えつつ、ムスタファーに向かう。

 

ダース・シディアスの命令通り、分離主義勢力のトップを皆殺しにするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀河帝国樹立後、分離主義勢力は邪魔になる。

 

もう、彼らが敵として存在する必要はなくなった。

 

シスは裏切りが常套。

 

彼らに提示した約束を果たさずその命を奪い取る。

 

事前にシディアスからは報酬を届けるためにベイダーが迎えることは伝えられており、彼らは疑いもなく通した。

 

ダース・ベイダーの姿を見たガンレイはいの一番に自らが握手を求めるも、フードの中から現れた顔を見て悲鳴を上げる。

 

「アナキン・スカイウォーカー!?」

 

「違う。私はダース・ベイダーだ」

 

事前に隔壁をおろして全員を閉じ込めており、兵力は僅かなドロイド。

 

ベイダーにとって脅威ではなく、瞬く間に無力化する。

 

怯えている分離主義勢力のトップをじわじわと追い詰めて、一人、また一人とライトセーバーで始末した。

 

「約束した!繁栄を!我らに約束を!」

 

涙を零しながら命乞いするガンレイだが、ベイダーは嗤う。

 

「あぁ、そうだ」

 

ライトセーバーを握りしめる。

 

「お前達は役目を果たした。故にシディアスはお前達に安らかな死を与える。それがシスからの慈悲だ」

 

泣きじゃくるガンレイの首をライトセーバーで斬り落とす。

 

「後は…………オリジナルを始末すれば、俺は俺になる」

 

フードを被りなおしたベイダーの顔はこれから先の事を考えて歓喜に震える。

 

目は恐ろしいほどの狂気を宿し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナキンとのび太、そしてファイヴスはオビ=ワン達と合流する。

 

「アナキン!」

 

「マスター……すいません、僕が」

 

「お前が悪いわけじゃない。すべてはシスの策略だ」

 

消沈するアナキンをオビ=ワンは慰める。

 

「これから、どうするんですか?」

 

「皇帝を暗殺する」

 

少しの間をおいてヨーダは告げる。

 

「では、僕達も」

 

「ダメじゃ、お前達は果たさなければならないことがあるはずじゃ。皇帝の暗殺は儂一人で行う」

 

ヨーダの言葉にのび太とアナキンはカイロ・レンとダース・ベイダーの事を考える。

 

「アナキン、お前は一人じゃない私もいる」

 

オビ=ワンの言葉にアナキンは感謝する。

 

「将軍、自分は将軍に救われました。どこまでもお供します!」

 

ファイヴスの力強い言葉にのび太は笑みを浮かべた。

 

「でも、彼らはどこに」

 

「ふむ、オーガナ議員が何か掴んでおるかもしれん。ひとまず、情報を集めるのじゃ」

 

ヨーダの言葉にうなずく一同、だが、アナキンはある不安を抱いていた。

 

「アニー?」

 

「パドメの事が心配なんだ」

 

「え、あぁ」

 

共和国が滅び、帝国が生まれる場合、元老院議員であるパドメの身がどうなるかわからない。

 

愛する人の事を心配するのは当然だろう。

 

「…………こっそりとパドメさんのところへ」

 

「あぁ」

 

こそこそと動いている二人の様子をオビ=ワンとファイヴスは気づいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のび太とアナキンの二人がパドメのいる部屋に向かおうとした時、外出用の服装姿のパドメが慌てた様子でC-3POと歩いていく姿を見つける。

 

「どこへいくんだろう?」

 

「わからない。後をつけよう」

 

気付かれないように後を追いかける二人。

 

しばらくして、パドメは宇宙船へ乗り込む。

 

「このタイミングでコルサントをでるなんて」

 

「彼女が奥に入ったタイミングで僕達も」

 

「アナキン」

 

後ろから呼ばれてびくぅと驚く二人。

 

振り返るとオビ=ワン、そしてファイヴスがいた。

 

「ま、マスター」

 

「ファイヴス」

 

これはまずいという顔を浮かべる二人。

 

「なんだ?乗り込まないのか?」

 

オビ=ワンの言葉にぽかんとした表情を浮かべてしまう。

 

「ケノービ将軍も自分もお二方を心配してきたんです。そうしたら慌ててどこかへ出かけるアミダラ議員ですからね」

 

「話しは後だ。船が出てしまう」

 

四人はこっそりと船へ侵入する。

 

一人ならともかく四人なら隠れるスペースが厳しい。

 

そこで、のび太が四次元ポケットからかべかけハウスを使う。

 

ハウスの中で彼らは休憩をとる。

 

「マスター、その、すいません」

 

「…………薄々感じてはいた。だが、彼女のお腹をみて確信した」

 

オビ=ワンはアナキンをみる。

 

「あの子供はキミとパドメの子だな?」

 

「…………はい」

 

アナキンは認める。

 

嘘をつかずに真っすぐとオビ=ワンを見返す。

 

しばらく見つめあう二人だが、苦笑するオビ=ワン。

 

「何度もお前も無茶や無謀と思えるような出来事と比べたら……子供ができたことくらいは些細な問題だな」

 

「ですが、ジェダイは」

 

「今回の件で、ジェダイは戦争で疲弊して視野が狭くなっていた。この戦いが終わった時に我々が生き残っていたらジェダイも考え直さなければならないと思う」

 

オビ=ワンは笑顔を浮かべてアナキンの肩を叩く。

 

「この戦いが終わって本当の平和を取り戻せたら、アナキン。彼女と子供のために幸せな生活を送るんだ。それがマスターである私が教えられることだろう」

 

アナキンは目を見開く。

 

今まで規則、教えを守れとずっといってきたオビ=ワンとは思えない言葉だ。

 

けれど、今の彼をみればわかる。

 

彼は本当にアナキン、パドメ、そして、お腹の子どもの事を思ってくれている。

 

それがアナキンにとって、とても嬉しかった。

 

「マスター、はい、必ず、必ず幸せになります」

 

二人のやり取りを見ていたのび太とファイヴスは離れた所で小さくハイタッチをする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムスタファーにいたベイダーはすべての分離主義勢力の命を奪った。

 

これで帝国を脅かすものは存在しない。

 

シスの復讐はまもなく完遂する。

 

後はベイダーとレンのオリジナルを抹殺すればすべてが終わる。

 

その後、パドメを手にいれば。

 

ベイダーが深い笑みを浮かべた時、施設が接近する船の存在を知らせる。

 

「あれは」

 

発着場へベイダーが向かうと笑みを浮かべて近づいてくるパドメの姿。

 

「どうして、ここへ?」

 

「貴方が心配だったの」

 

パドメを抱き返しながらベイダーは笑みを浮かべる。

 

「もう大丈夫だ。敵はいなくなったんだ。誰も、僕達に歯向かう者はいないんだ」

 

「な、何を」

 

「僕達が銀河を支配するんだ。すべてが僕達の」

 

「――貴方は誰」

 

パドメは怯えた表情で後ろへ下がる。

 

ベイダーは一瞬、何を言われたのかわからなかった。

 

何故、彼女は怯えているのか。

 

何故。自分から遠ざかろうとしているのか。

 

何故、自分は戸惑っているのか?

 

何故、自分から彼女は逃げようとしているのか。

 

「何を言っているんだ。僕は」

 

「顔は同じだけど、目が冷たい。別人……みたい」

 

パドメ自身に確信はないのだろう。

 

彼女の知っているアナキン・スカイウォーカーとベイダーは異なると直感めいたものを感じている。

 

ベイダーの中で激しい怒りが湧き上がる。

 

それが嫉妬というものだと理解する暇もなくベイダーの手がパドメの首を掴む。

 

「あ、ぐぅ!」

 

「ふざけるな」

 

冷たい声でベイダーはパドメの首を締めあげていく。

 

苦悶に歪むパドメをみていると、こみ上げてくるものがある。

 

だが、ベイダーは自分のものにならないのなら、遠ざかろうというのなら許さないと激しい感情が渦巻いていた。

 

「やめろ!」

 

顔に衝撃を受けてベイダーは地面を転がる。

 

口の中に広がる鉄の味。

 

顔を上げた時、自分が欲していたパドメはアナキン・スカイウォーカーの腕の中にいる。

 

ベイダーは怒りの炎を燃やした。

 

「アナキン・スカイウォーカーーーーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パドメ、パドメ!」

 

船が着陸した事に気付いてアナキン達は船のハッチへ向かう。

 

先頭にいるアナキンはパドメを締め上げているベイダーの姿に怒りで頭が真っ白になる。

 

オビ=ワンやのび太を止める声を聞かずに地面を蹴り、全身にフォースを纏い、拳を振るう。

 

顔に拳を受けて地面へ倒れるベイダー。

 

崩れ落ちるパドメを抱きかかえるアナキン。

 

「……ぅ」

 

「もう、大丈夫だ」

 

傍にやってきたファイヴスとのび太がパドメを抱きかかえる。

 

「彼女を頼む」

 

「うん」

 

「自分達に任せてください」

 

ファイヴスとのび太がパドメの身を守ると約束してくれた事でアナキンは冷静さを取り戻す。

 

立ち上がったアナキンの傍に立つオビ=ワン。

 

「落ち着いたようだな」

 

「失礼しましたマスター」

 

オビ=ワンは起き上がって赤いライトセーバーを握りしめているベイダーをみる。

 

「お前と同じ顔をしているが、まるで別人だな」

 

「当たり前です。僕と同じ顔をしているだけですよ」

 

二人はローブを脱ぎ捨てる。

 

「今度こそ、二人で戦おう」

 

ライトセーバーを構えるオビ=ワン。

 

「貴方がいて心強いですよ。マスター」

 

青い刃を展開して構えをとるアナキン。

 

灼熱の大地で戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のび太とファイヴスは船のベッドへパドメを寝かせる。

 

「い、一体、何が起こって」

 

3POの口をのび太が止める。

 

戸惑いながら3POは後からやってきたR2とR3へ問いかけた。

 

「3PO、話はあとで、今はパドメを休ませないと」

 

ぴたりとのび太が動きを止めた事にファイヴスが怪訝な表情を浮かべる。

 

「将軍?」

 

「ファイヴス、今からハッチを閉じるから、僕やマスター達が戻ってくるまで開けることはしないで」

 

「わかりました!」

 

ファイヴスに船を任せてのび太は外に出る。

 

「よぉ、オリジナル」

 

顔の半分が火傷によっておぞましい事になっているカイロ・レンが立っていた。

 

のび太はフォースの揺らぎと殺意から近づいてくる存在に気付き、ファイヴスに船を守る事を任せたのである。

 

「逃がさない。お前だけは必ず殺す」

 

「キミは悲しいね」

 

「あ?」

 

のび太の言葉にカイロ・レンは顔を歪める。

 

「僕のクローンとして生まれたばっかりに、変なものに執着しているなんて……悲しいよ」

 

「黙れ!知った風に語るな!」

 

激しい怒りに顔を歪めてカイロ・レンはライトセーバーを振り下ろす。

 

のび太は緑の刃で受け止める。

 

「だから、僕がここで終わらせる!」

 

刃を押し返しながらのび太は告げる。

 

「カイロ・レン、キミはここで僕が倒す。すべて終わらせるんだ。ここで!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナキン・スカイウォーカー、オビ=ワン・ケノービ、そしてダース・ベイダーの戦いは熾烈を極めた。

 

炎の柱が噴き出す近く。

 

防御シールドで守られているとはいえ、その熱は凄まじい。

 

そんな場所で三人はライトセーバーを振るう。

 

アナキンを集中的に狙うベイダーだが、割り込む形でオビ=ワンが防御の型で守っていく。

 

思う様に攻められない状況にベイダーは苛立ち、冷静さを欠いていた。

 

オビ=ワンに守られながらアナキンは攻める。

 

攻撃によって徐々に体へ傷を作っていくベイダー。

 

三人の戦いはやがて、マグマの海へ移り変わる。

 

ドロイドの上に乗りながら戦いあう三人。

 

ちらりと、オビ=ワンがアナキンをみる。

 

頷いたアナキンと共にドロイドから地面へ飛び移った。

 

「地の利は僕達にある。お前に勝ち目はない」

 

「無理に跳べば、足を切り裂かれてマグマの海へ落ちるぞ!」

 

勝利宣言するアナキンと警告するオビ=ワン。

 

だが、ベイダーは不敵な笑みを浮かべる。

 

「舐めるな。僕の力を思い知らせてやる!」

 

ドロイドから地面を蹴り、宙を舞うベイダー。

 

オビ=ワンとアナキンは同時にライトセーバーを振るう。

 

悲鳴と地面を転がる音。

 

そして、肉が焼けていく臭い。

 

二人のジェダイによって四肢を斬り落とされたベイダーは砂の大地を転がり、そのままマグマの炎によってその体を焼かれる。

 

「あぁあああああああああ、憎い!お前が憎い、憎いぃぃぃいいいいいいいい」

 

血走った黄色い瞳がアナキンを見つめて離さない。

 

その目に見つめられて足が凍り付いたように動けないアナキン。

 

「アナキン、行こう」

 

オビ=ワンがアナキンの腕を掴む。

 

無言でアナキンは頷いて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コルサント、元老院にてダース・シディアスとヨーダは戦っていた。

 

帝国の皇帝を暗殺してシスの支配から解き放つ。

 

ジェダイが謀反を企てたという罪は消えないままだが、シスの支配が続くよりも良い。

 

小さな体で元老院の通路を飛び回るヨーダと狂気に染まった笑みを浮かべながらライトセーバーを振るうシディアス。

 

両者の戦いは熾烈を極める。

 

邪魔が入らないように人払いした結果、トルーパーの増援等もない。

 

勝敗を決めるのは両者のフォース、そしてライトセーバーの実力次第。

 

確実にシディアスを倒すべく攻撃を繰り出すヨーダ。

 

シディアスもジェダイを根絶やしにすべく暗黒面の力を引き出す。

 

決着は意外な形でついた。

 

シディアスの繰り出すフォースライトニング、ヨーダがフォースで受け止めようとした二つのエネルギーの爆発。

 

その爆発を正面から受けた二人。

 

シディアスはポッドにしがみついて落下を凌いだが、ヨーダはポッドから一気に最下層まで落ちてしまう。

 

ライトセーバーも失い、体のダメージも大きいことから暗殺は失敗したと判断したヨーダはそのまま通気口に入り込んで逃走。

 

シディアスはクローンにヨーダの遺体を捜索させる。

 

遺体が見つからなかったがあの高さから落ちて生きていないだろうと判断したシディアスはシャトルの手配をする。

 

「我が弟子に危機が迫っている」

 

シディアスは急ぎ、ムスタファーへ向かう事にした。

 



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希望は未来へ

これにて、シスの復讐は終わりです。

年内最後の投稿になる予定です。




アミダラの船から離れた炎の海の近くでのび太とカイロ・レンは戦う。

 

「!?」

 

フォースで繋がっているベイダーの異変にレンは気づく。

 

「そこ!」

 

隙をついたのび太の一撃がカイロ・レンの左手を斬り落とす。

 

「ふざけるな!」

 

のび太から距離をとりながらライトセーバーを構えなおすカイロ・レン。

 

「キミも感じた筈だよ。ベイダーは……倒された」

 

「違う!俺と一緒に目的を果たすんだよ。こんなところで」

 

「キミ達は悲しすぎるよ」

 

ライトセーバーを収めてのび太は言う。

 

「なんだと?侮辱するのか!?」

 

「違うよ……僕やアニーと同じ遺伝子から生み出されたから、同じことをしないといけないなんてことはないんだよ」

 

「うるさい!お前に何がわかる!俺達の事を知った風に語るな!」

 

激昂と共にフォースライトニングを繰り出すが片手で疲労しており威力が低下していた。

 

のび太はフォースライトニングを躱しながらライトセーバーを見つめる。

 

「わかった、これでしか、キミをとめられないというのなら」

 

緑の刃を展開してのび太は駆ける。

 

フォースライトニングを放つカイロ・レンだが、手の痛みと灼熱の大地にいることによる疲労の蓄積によって命中率や威力は落ちている。

 

「来るな、来るなぁああああああ」

 

この時、カイロ・レンは野比のび太に恐怖していた。

 

正面に立つのび太へフォースライトニングを放つが、緑の刃で受け止められてしまう。

 

「終わりだ」

 

カイロ・レンへのび太は刃を突き立てる。

 

「くそ、オリジナル……」

 

刃で貫かれたカイロ・レンはどさりと音を立てて地面に崩れ落ちる。

 

「ごめん、こんな事しか、僕はできなかったよ」

 

のび太はライトセーバーを戻して船の方へ歩き出す。

 

船に向かうとアナキンとオビ=ワンが別の場所からやってきた。

 

「アニー」

 

「ノビタ」

 

二人は互いの無事を喜ぶと軽く抱き合う。

 

「無事でよかった」

 

「キミの方も無事でよかった……」

 

「終わらせたようだな」

 

オビ=ワンの言葉にのび太は頷く。

 

安堵の表情を浮かべた三人だが、すぐに身構える。

 

「マスター」

 

「あぁ、私も感じた」

 

「この気配」

 

彼らが感じ取った気配の正体が明らかになるようにその人物は現れる。

 

「よもや、よもや、儂が一から育て上げた最強の弟子を倒してしまう……予言にあるフォースにバランスをもたらす者は恐ろしい」

 

「……議長」

 

「やぁ、アナキン。早速だが、ジェダイは死んでもらう」

 

パルティーンの言葉にアナキン達は身構える。

 

「だが、その前に邪魔な女から始末をするとしよう」

 

「やめろぉぉぉ!」

 

シディアスの狙いに気付いたアナキンが地面を蹴る。

 

フォースライトニングを受けたアナキンが地面に倒れた。

 

「アニー!」

 

のび太は駆け寄ると、起き上がったアナキンが無事だと手で伝えた事で安心する。

 

「マスター!パドメを連れて早く逃げて!」

 

「お前達を置いて逃げることはできない!」

 

「いいえ、マスター。貴方なら任せられる」

 

起き上がったアナキンがライトセーバーを握りしめる。

 

「僕達でコイツを抑えます。マスター。パドメを安全なところに、僕の大事な人を、貴方なら信じて任せられる!」

 

「大丈夫、僕とアニーは選ばれし者なんだから、すぐに追いつきます!」

 

アナキンの横に立ったのび太。

 

オビ=ワンはしばらく悩みながらも二人に頷いた。

 

「先に行っている。すぐにくるんだぞ!」

 

「信じてください!」

 

「僕とアニーなら大丈夫です!」

 

二人に背を向けてオビ=ワンは船に乗り込む。

 

操縦席に向かうと船をムスタファーから脱出させる進路をとる。

 

外を見るとフォースライトニングを放つシディアスにアナキンとのび太が立ち向かっていく。

 

彼らを置いていく事に後ろ髪をひかれながらもオビ=ワンはムスタファーを脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムスタファーを脱出したオビ=ワンはベイル・オーガナのタンティヴⅣと合流する。

 

パドメは容態が悪化した為、医療ドロイドがみていた。

 

 オビ=ワン、ヨーダ、ベイル、ファイヴスの四人は今後について話をしている。

 

「ノビとスカイウォーカーは」

 

「わかりません。現れた皇帝を足止めするために……」

 

「そうか」

 

「これからどうします?」

 

「皇帝の暗殺に失敗した以上、我らは命を狙われる。身を隠さなければなるまい」

 

ヨーダは自分が隠れるために適した場所があるという。

 

オーガナに乗組員が駆け寄ってくる。

 

パドメの状態がよくないという。

 

四人が向かうと医療ドロイドが赤ん坊を取り出しているところだった。

 

「生まれました。双子です」

 

「双子?!」

 

「男の子と女の子です」

 

医療ドロイドの言葉にオビ=ワンは驚く。

 

「パドメ、子どもだ。キミとアナキンの子どもだ」

 

オビ=ワンは意識が朦朧としているパドメへ告げる。

 

パドメは息が途絶えながら二人の子どもへ手を伸ばす。

 

「ルーク、レイア……私と、アニーの子ども」

 

涙を零しながら震える手が二人の赤ん坊を撫でる。

 

警報が鳴り出す。

 

「生命力が落ちています」

 

医療ドロイドが手を施そうとするもパドメはそのまま目を閉じてしまう。

 

「パドメ!パドメ、そんな……アナキンに私はなんといえばいいんだ!」

 

ショックを受けるオビ=ワン。

 

ファイヴスは何も言わずに拳を壁に叩きつけた。

 

ヨーダは赤子をみる。

 

「とてつもないフォースを宿しておる。この子達も隠さなければ、男の子をタトゥイーンへ、女の子をオーガナ議員、そなたが」

 

「待ってください。引きはがすのですか!?家族なのに」

 

「そんな!この子達はスカイウォーカー将軍とアミダラ議員の子だと知らせないつもりですか!?」

 

 

「ケノービ、この子達を皇帝の目につけられるわけにいかん。ファイヴスよ。この赤子の身元がバレるということは、この子達の危機へ繋がるのじゃ……今は隠すしかない」

 

うなだれている彼らにヨーダは言う。

 

「いずれ、希望が芽吹く。それまで我らは姿を隠す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い部屋。

 

パルパティーンは目の前の存在へ語りかける。

 

「ベイダー卿、余がわかるか?」

 

「はい、マスター……私は……私は」

 

「お前はダース・ベイダー。我が作ったカイロ・レンと並ぶ素晴らしい弟子だ」

 

「そうだ、レン。マスター……彼は?」

 

「カイロ・レンは……死んだ。残念なことだが、お前達のオリジナルと相打ちになったのだ」

 

「あぁ、そんなぁ、嘘だぁあああああああああ」

 

叫びと共にフォースの激流が走り、医療ドロイドや機材を全て破壊する。

 

平然としているパルパティーンはゆっくりと動き出すベイダーへ告げた。

 

「オリジナルは死んだ。お前は自分を得たのだ。ベイダー卿よ。その力を余の為に振るうのだ」

 

「はい、マスター」

 

頷くベイダー。

 

邪魔者はすべて消えた。

 

後はパルパティーンが銀河を支配するのみ。

 

医療施設からシャトルで彼らはある場所へ移動する。

 

目の前に広がるのは建造中の巨大宇宙ステーション。

 

これが完成すれば銀河帝国に敵などいなくなる。

 

そう、すべてがパルパティーンのものになるのだ。

 

彼の後ろで腕を組むベイダー。

 

こうして、銀河帝国を脅かすものはいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

否、一時、彼らに対抗する者がいなくなったに過ぎない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オビ=ワンは砂の惑星タトゥイーンへ訪れる。

 

彼の姿に気付いたオーウェン・ラーズ、シミは驚いた表情でルークを受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オルデランの一室。

 

ベイルの妻は自分の腕の中で眠るレイアを優しく抱きしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、遠く離れた第三惑星、地球。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のび太君、何をしているの?」

 

体を揺さぶられてのび太は目を覚ます。

 

「あれ、僕は」

 

「もう~、僕が特売のどら焼きを買って戻ったら昼寝しているんだから」

 

呆れるドラえもん。

 

のび太は周りを見る。

 

毎日のようにみている自分の部屋。

 

だが、違和感を覚える。

 

まるでずっとその場にいないような感じがした。

 

のび太が首を傾げているとドラえもんがどら焼きを差し出してくる。

 

「ん?」

 

「ほら、映画がみれないからって拗ねないでこれをあげるから」

 

ドラえもんなりにのび太を気遣ってくれている。

 

それが嬉しくてどら焼きを手に取った。

 

ぱくりと食べる。

 

「うーん、特売のどら焼き、おいしいなぁって、どうしたの!?のび太君!」

 

驚いた顔をしているドラえもんにのび太は首を傾げる。

 

「どうしたのさ?」

 

「キミ、泣いているよ?」

 

「え?」

 

ドラえもんに指摘されて頬を触るのび太。

 

ぺたぺたと触ると指先に冷たいものが当たる。

 

のび太はどら焼きを食べて泣いていたのだ。

 

「もしかして、泣くほど嬉しかったの?」

 

「そう、なのかな?」

 

戸惑いながらのび太はどら焼きを見る。

 

何かを感じながらどら焼きを食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀河帝国樹立から数年後。

 

 

 

 

ムスタファーの大地へモールが降り立つ。

 

「凄まじい戦いだったようだな」

 

降り立った彼はパルパティーン、アナキン、のび太が戦ったであろう場所へ辿り着いた。

 

そこはミサイルの爆心地というくらい巨大なクレーターやライトセーバーの斬り跡が残っている。

 

「……」

 

ふと、モールは足元に落ちている二つの道具に気付く。

 

「これは」

 

地面の中から掘り出したもの、それはアナキン・スカイウォーカーとノビタ・ノビのライトセーバーだった。

 

「……」

 

モールは二つを握りしめるとその足でムスタファーを去る。

 

ジェダイ・スターフタァイターで彼が進路をとったのはブラッカ。

 

ある情報からそこにジェダイの生き残りがいるという。

 

先に救助へ向かった彼らに追い付くべく、モールはハイパースペースに入った。

 




シスの復讐はこれにて終了です。

お付き合いいただいてありがとうございます。

アナキンとのび太がどうなったかについての話は帝国の逆襲で明らかにする予定です。

次はフォールンオーダーを前編後編で書く予定です。

ゲームのネタバレを含みますので、嫌な人はスルーしても一応、大丈夫にしておきます。

その後は新たなる希望です。

以下、新たなる希望の予告(嘘ありきかつダイジェイスト)で行います。




















遠い昔、遥か彼方の銀河系で、

太陽系、第三番惑星、地球。小さな空地へ落ちてきたもの、それが彼らの大冒険のはじまりだった。

「こんなのが落ちてきたんだよ!」

「空から、いきなり!」

「うーん、これは地球よりも高度な文明のものだ」

「これより、この星は我ら銀河帝国の属領となる!逆らう者は容赦しない!」

「なんかないかなんかないか!」

「キミのお父さんはジェダイの騎士だった。そして、キミも」

「僕はジェダイの騎士になります」

「俺はハン・ソロ、こいつはチューバッカ」

「これはお祈りよ」


「無理だよ!勝てっこないよぉ!」

「バカ野郎!やる前から諦めるんじゃねぇ!」

「みんな、気を付けて……」


「お前を殺せば、ジェダイは滅びる!」

「そう、うまくいくかな?この悪魔め」


「ドラえもん!銀河系の危機だよ!僕達も戦おう!」


「フォースを使うんだ。フォースを使え」





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JEDI FALLEN ORDER(前編)

ゲームのネタバレもあるので、それが嫌な方はみなくても大丈夫なように一応はなっています。



「(まずいことになった)」

 

カル・ケスティスは貨物列車の中でこれからの事を考えていた。

 

彼はブラッカで帝国が輸送してくる宇宙船の解体作業をしている。

 

賃金は安く、危険も多い。

 

今回の仕事も一歩間違えていたら相棒のブラウフと一緒に死んでいたかもしれない。

 

いや、死んでいた。

 

あの時、巨大クリーチャーへ真っ逆さまに落ちていくブラウフをフォースで一時的に動きを止めるなんてことをしなければ、確実にブラウフは死んでいただろう。

 

「(あの時、咄嗟とはいえ、フォースを使ったのは間違いだった。早くブラッカから立ち去らないと帝国に気付かれる)」

 

自分の宿している力。

 

フォースを操る者であることがバレたら命の危険に繋がる。

 

今の時代、フォースを操れる者は帝国にとって粛清の対象だ。

 

カルの脳裏に黒焦げになって潰れていたジェダイ・スターファイターが脳裏を過る。

 

使わなければ良かった。

 

今になって後悔するカル、しかし、脳裏にある人物の事が過る。

 

「(あの人は……褒めてくれたかな?)」

 

ふと、カルは隣にいたブラウフがいないことに気付く。

 

「ブラウフ?」

 

視線を動かすと先頭車両へ歩いていくブラウフ。

 

どこへいくのか?

 

立ち上がって追いかけるカル。

 

しかし、後を追っても、追ってもブラウフに近付けない。

 

それどころか、周囲の景色も変わっていく。

 

薄汚れた貨物車両からあの日、あの日の艦内へ。

 

前も後ろもシャッターで閉ざされた時、シャッターが開いて自分の目の前で死んだマスターが現れる。

 

「マスター!」

 

驚いて動けないカルをフォースで持ち上げるマスター。

 

「カル」

 

マスターは表情を変えずに真っすぐカルをみる。

 

「フォースだけを信じるんだ」

 

「ま、マスター!?」

 

「フォースだけを信じるんだ」

 

貨物列車が止まった衝撃でカルは目を覚ます。

 

「なんだ?止まったな」

 

ブラウフは戸惑った声をあげる。

 

カルは嫌な予感がした。

 

「全員、降りろ!」

 

貨物列車の入口が開いて帝国の兵士、ストーム・トルーパーが呼びかける。

 

「これはまずいことになった」

 

雨が降る中、貨物列車を降ろされるカル達。

 

外には武装したトルーパー。

 

そして、普通のストーム・トルーパーと異なる存在感を放つパージ・トルーパー。

 

一機のTIEファイターが着陸すると漆黒の帝国軍服に仮面をかぶった人物が降り立つ。

 

「これで全部か?」

 

「イエス、セカンドシスター」

 

トルーパーの答えにセカンドシスターは静かに頷いた。

 

「この中に帝国に反抗しようとする勢力がいる。ジェダイオーダーの信奉者だ」

 

カルは懐から細長い道具を取り出して隠す。

 

「速やかに名乗り出れば、命は保障しよう。しかし、名乗りでなければ、全員を殺す」

 

身構えるトルーパー達。

 

怯える作業員たちを前に、カルはどうするか考える。

 

「もう、我慢できない」

 

カルの横にいたブラウフが前に出る。

 

「ブラウフ!よせ!」

 

止めようとするがブラウフはカルを一瞥してセカンドシスターの前に立つ。

 

拙い口でブラウフは間違っているとセカンドシスターの前に告げる。

 

帝国を非難することは命の危険に繋がる。

 

それをわかっていて、ブラウフは叫ぶ。

 

これは間違っていると。

 

「その通りだ」

 

ブラウフの指摘をセカンドシスターは認めると同時にライトセーバーで彼の心臓を貫いた。

 

「がはっ!?」

 

「やめろぉぉぉおお!」

 

カルはブラウフが殺される瞬間を見て隠していたライトセーバーを抜いてセカンドシスターへ振り下ろす。

 

動きを読んでいたセカンドシスターはカルのセーバーの一撃を受け止める。

 

「みろ、ライトセーバーだ!こいつはジェダイだ!」

 

笑いながらフォースプッシュでカルを突き飛ばす。

 

突き飛ばされた彼をナインスシスターが受け止める。

 

「さて、どうしてやろうか?ジェダイ」

 

嗤うナインスシスターだが、カルが暴れた為にその手を放してしまう。

 

崖から落下したカルは運よく走行中の貨物列車へ落下。

 

逃走劇がはじまる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その構えは知っている。師は誰だ?ジェダイ。私が殺した奴か?それとも、私がこれから殺す奴か?」

 

帝国の攻撃は激しく、カルは追い詰められていた。

 

「生憎、世俗から切り離されていてね。アンタが殺した奴かどうか知らないし、知りたいとも思えない」

 

「軽口を叩けるとは余裕があるようだ。果たして、これからも軽口を叩けるかな?」

 

赤いライトセーバーを展開して襲い掛かるセカンドシスター。

 

カルは冷静に動きを見極めて戦おうとするもフォースに心を開かなくなって数年、経過しており、思っている以上に動きが悪かった。

 

それに対して、相手はジェダイ殺しの尋問官。

 

カルのような相手を倒すことなど造作もない。

 

鍔迫り合いで押し負けたカルへ剣先を突き付けるセカンドシスター。

 

「殺す前に一つ、貴様に聞いておこう」

 

じりじりと近づいてくるセカンドシスターは問いかける。

 

「ノビタ・ノビはどこにいる?」

 

「は?」

 

セカンドシスターが告げた名前にカルは戸惑う。

 

「知らないか?知らないなら――」

 

上空から感じた気配にセカンドシスターは後退する。

 

彼女がいた場所に振り下ろされるライトセーバー。

 

「アンタは!」

 

「また、貴様か」

 

乱入してきた人物をカルは知っていた。

 

粛清の日に死んだと思っていた存在との遭遇にカルは驚きを隠せない。

 

セカンドシスターは面倒そうな声を漏らす。

 

「そうだ。俺だ」

 

ライトセーバーを構えるモールにセカンドシスターも身構える。

 

「後ろの船へ乗り込め」

 

「え?」

 

「早くしろ」

 

モールに言われて振り返るといつの間にか帆船を模したような船が接近している。

 

「こっちよ!早く!」

 

ハッチが開いて先ほど、自分を助けてくれた女性が手を伸ばしていた。

 

カルはライトセーバーを握りしめたまま、走り出す。

 

「させんぞ」

 

追いかけようとするセカンドシスターの前にモールが立ちはだかる。

 

「何度、我々の邪魔をすれば気が済む」

 

「何度でも俺は貴様らの邪魔をする」

 

「かつては同じアナノムジナだったくせに」

 

「否定はせん。俺はあの人と出会ったからこそ、変われた。ただ、それだけだ」

 

先ほどのカルと戦った時と別人のような動きを行うセカンドシスターだが、モールは的確にその動きを読んで刃を躱す。

 

彼らが戦っている間に帆船は帝国の追跡を躱してハイパースペースへ飛び込む。

 

「貴様は逃がさん!」

 

「無駄だ」

 

モールを守るようにジェダイ・スターファイターのレーザーがセカンドシスターへ降り注ぐ。

 

その場を離れるセカンドシスター。

 

モールはやってきたスターファイターに乗り込むと後を追う様にブラッカを抜け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の中。

 

カルの脳裏にセーバーで殺されるブラウフの姿が。

 

死に絶えるマスターの姿。

 

そして、自分に笑みを浮かべる“彼”の姿。

 

「!!」

 

目を覚ますカル。

 

そんな彼を覗き込むように四本腕のグリーズがみていた。

 

「魘されていたぞ。誰かの名前を呼んでいたな、そいつは知り合いか?」

 

「……そんなところだ」

 

グリーズの視線から逃げるようにカルは立ち上がる。

 

「シアが呼んでいる。準備ができたら来いってさ」

 

「わかった」

 

グリーズが去った後にカルは腰に下げていたライトセーバーをみる。

 

「マスター……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方の力が必用なの。オーダー再建のために」

 

自分を助けてくれた元ジェダイのシア・ジュンダがカルを助けたのは当然のことながら理由があった。

 

クローン戦争、粛清の後、宇宙は何か理由がなければ誰かを助けない世界になっている。

 

そんなことをわかりきっているカルだったが、シアの傍で腕を組んだまま沈黙している人物へ視線を向けた。

 

「アンタに聞きたいことがある」

 

「なんだ」

 

目を閉じたままモールが尋ねる。

 

「俺を襲撃した尋問官はマスターノビを狙っていた。粛清を、マスターノビは生き延びたのか?」

 

尋問官はノビタ・ノビの行方を問いかけてきた。

 

その事から粛清を彼は生き延びたのだろう。

 

ならば、彼は今もどこかで?

 

「わからん」

 

「え?」

 

だが、期待していた言葉はモールの口から出なかった。

 

呆然としているカルへモールは告げる。

 

「粛清の時、何があったのか俺は知らん。知りたければ、シア・ジュンダの依頼とやらを受けてみることだな」

 

「……そんなこと」

 

「カル・ケスティス」

 

モールは瞳をあけてカルを見据える。

 

出会った時と変わらない力強い瞳にカルは後ろへ下がった。

 

「お前の目でこの銀河をみてみろ。フォースとの繋がりを閉じていたお前の目で」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帆船型の宇宙船、マンティスが降り立った惑星はボガーノ。

 

帝国の支配を受けておらず、限られた者しか知らない惑星。

 

その奥にある神殿があり、カルを待つ者はそこにいるという。

 

シアからのクエストを受けたカルは危険性物を撃退しながら進んでいく。

 

道中、フォースと繋がるべく瞑想を試みるが、過去の出来事がフラッシュバックして長く繋がることができなかった。

 

「はぁ……はぁ……、やはり、ダメか」

 

カルがため息をついていると、自分を見上げているドロイドがいた。

 

BDユニットと言われるドロイドで自らをBD-1と名乗る。

 

「あぁ、悪いけど、俺はあそこへ行くんだ」

 

「!!」

 

BD-1は自分もそこへ行くという、しかも、道を知っているという。

 

カルは驚きながらもBD-1と共に行動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『報告を聞こう、セカンドシスター』

 

セカンドシスターは膝をついている。

 

「はい、ベイダー卿。ブラッカにて潜伏していたジェダイオーダーの信奉者を発見。逮捕しようと試みましたが抵抗勢力の妨害を受けて逃がしてしまいました」

 

『抵抗勢力だと?』

 

「はい、元ジェダイのシア・ジュンダ。そして、モール」

 

バチン!

 

派手な音が響く。

 

しかし、音はセカンドシスターのいる場所ではない。

 

ダース・ベイダーのいる方向からだろう。

 

彼の側近である将校が怯えた表情をしている。

 

『モールだと?そこに要注意人物は存在していたか?』

 

「いいえ」

 

『逃した事は不問にする。必ずや連中の足取りを掴むのだ』

 

「わかりました」

 

通信が終えて、セカンドシスターは仮面の中で息を吐く。

 

尋問官を束ねるトップである大尋問官を超えた力を持つダース・ベイダー。

 

粛清の日から皇帝に忠誠を誓い、多くのジェダイや危険分子を始末している。

 

そんな彼が執着する存在。

 

既にいくつかを始末しているとはいえ、関わっている可能性を聞くとベイダー卿は酷く荒ぶる。

 

その時は近づかない方がいい事を尋問官含め帝国の将校達は知っていた。

 

「(ノビタ・ノビが生きているかもしれない?)」

 

ブラッカで発見した元ジェダイ、否、パダワンだったカル・ケスティスのデータを帝国は保管している。

 

その中のデータで気になる項目があった。

 

「カル・ケスティス、必ず見つけ出す」

 

仮面の向こうで激しい嫉妬や憎悪の炎を抱いた目でセカンドシスターは銀河の海を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惑星ボガーノの宝物庫。

 

多くの危険なクリーチャーを退け、フォースとの繋がりを取り戻したカルがたどり着くと、BD-1から情報が告げられる。

 

ジェダイ、イーノ・コルドヴァが残したフォース感応者を記録したホロクロンが宝物庫に収められているという。

 

ホロクロンを手に入れる為にはイーノ・コルドヴァが辿った道を進まなければならない。

 

「フォース感応者のリスト」

 

それがあれば、ジェダイオーダーを再建することもできる。

 

もしかしたら、彼の行方もわかるかもしれない。

 

マンティスへ戻ったカルはシアやグリーズと共にコルドヴァの足跡を追いかけていく。

 

足跡を追いかけていくカルだったが、行く先は帝国に占領されている惑星、帝国と戦う者達がいる惑星、そして、世間から隔離された惑星等。

 

多くのクエストをカルは相棒となったBD-1と潜り抜けていく。

 

 



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JEDI FALLEN ORDER(後編)

 

 惑星ダソミアの試練においてライトセーバーを壊してしまったカルは新たなライトセーバーを作るべくジェダイの寺院がある惑星へ来ていた。

 

 吹雪で視界が悪い惑星をカルはBD-1と共に進んでいく。

 

 いくつかの装置を解除して、カルはカイバー・クリスタルの呼ぶ声の方を目指していた。

 

「わっ!」

 

 大きな音と共に足元で亀裂が起こり、冷たい水の中へ落ちるカル。

 

 BD-1へ先に行けと言いながら冷たい水の中を泳ぐカル。

 

 ようやく光がみえるも、寒さによって体力を奪われて意識が朦朧としていく。

 

 必死に抜け出そうと足掻くカルへ懐かしい声が響いた。

 

『諦めちゃだめだよ』

 

 水底へ沈もうとしているカルへ伸ばされる手。

 

 その手をみて、カルは必死に泳ぎ、氷水から脱出する。

 

「今の……」

 

 意識が朦朧としている中でみた幻覚なのか、自分の願いなのかはわからないが。

 

「(幼い自分……そして、マスターノビ)」

 

 クローン戦時中、短い期間ながら自分のマスターとして色々な事を教えてくれた二人目のマスター。

 

 ダソミアの遺跡における幻影に彼は現れなかった。

 

 フォースが導いてくれたのかはわからないも、カルは立ち上がる。

 

 彼は懐へ手を入れて、取り出す。

 

 ライトセーバーを作るために託されたもの。

 

 シア・ジュンダのライトセーバー。

 

 そして、ノビタ・ノビのライトセーバー。

 

 新たなセーバーを作るためにシア、そして、モールから託されたものだ。

 

 二つともカイバー・クリスタルはない。

 

 だが、セーバーのパーツとしての利用はできるのだ。

 

 新たな一歩を踏み出す為、カルはカイバー・クリスタルの声へ意識を集中させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、私の手を取れ!カル・ケスティス。私と手を組もう!そうすれば、私が手にする力を、お前にも、分けてあげられる!」

 

 ダソミアの遺跡の試練を再び受けたカル。

 

 今度は幻影に囚われる事無く突破した彼の前に現れた試練、否、敵というべき相手。

 

 待ち構えていた元ジェダイのタロン・マリコスの誘いをカルは断る。

 

「愚か者め、オーダーなど、意味はない!目先の力を欲しないものは、ここで処分する!」

 

 マリコスは二本の赤い刃を放つライトセーバーを取り出して構える。

 

 彼は元ジェダイでありながらダソミアの闇と狂気に染まっており、もはや、ジェダイと別の存在になっていた。

 

 ダソミアと深いかかわりのあるモールはかつてのナイトシスターと交わした契約により、今回の件に関わることはできない。

 

 

――お前が代わりに救ってほしい。我が故郷を。

 

 

 再び、ダソミアへ降り立つ時に言われたモールの言葉を思い出しながらカルは新たに作ったライトセーバーを握りしめる。

 

 振るわれる二本のライトセーバーを受け止めて押し戻すカル。

 

 マリコスが再び攻撃を仕掛けようとした時、ダソミアの魔術による攻撃が彼を狙う。

 

「貴様、邪魔をするのか!」

 

「お前は、ダソミアに必要ない」

 

 カルを助け、マリコスを妨害するのはダソミアの魔女、ナイトシスター。

 

 彼女は家族をジェダイ達によって殺されたと思い込み、マリコスの言葉に騙されて、ダソミアの秘術を教えてしまった。

 

 それから人を信じていなかったが、滅ぼされた教義の生き残りという共通点を持つカルと接しているうちに協力してくれるようになる。

 

 彼女の放つ魔術に翻弄されるマリコスへライトセーバーで戦うカル。

 

 フォースの暗黒面の力と類似した技を放つマリコスに苦戦しつつも、カルの振り下ろした一撃がマリコスの持つライトセーバーの一本を破壊する。

 

 追撃を仕掛けるカルをマリコスはフォースで宙に持ち上げる。

 

「愚か者め!弟子にならぬというのなら、このまま」

 

 マリコスがフォースでカルの首の骨をへし折ろうとした時。

 

 強力な力によって彼の動きが封じ込められる。

 

「な、なんだぁ!?」

 

 体の自由を奪われたマリコスの前にナイトシスター、否、メリンが現れる。

 

「ダソミアはお前を必要としない。貴様はここで生き埋めとなれ!」

 

「や、やめろぉぉぉおおおおおおおおお!?」

 

 叫びながら抗おうとするマリコスはメリンの秘術によって地面の中へ埋められていく。

 

 悲惨な断末魔をあげて、地面の中にマリコスは消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カルはすべての試練をクリアした事でボガーノの宝物庫へ来ていた。

 

 宝物庫の中でカルはある未来をみる。

 

 フォース感応者リストが記録されているホロクロンで多くの子ども達をジェダイにするために集めていく。

 

 しかし、帝国の攻撃で次々と命を落とす者達。

 

 帝国に捕まり、拷問を受ける者達。

 

 多くの命が失われていく未来。

 

 カルは絶望して、セカンドシスター、否、トリラの前に屈した。

 

 そして、カルが尋問官となった未来。

 

「これは一つの可能性。キミがジェダイオーダーを再建しようとした中で起きた一つ未来だ」

 

「マスター……ノビ?」

 

 カルの前に現れたのは野比のび太。

 

 ジェダイローブのフードで素顔が隠れているが、声は彼のものだ。

 

「マスター、ノビ、俺はどうすれば?こんな未来が待っているならホロクロンを手にすべきではないというんですか!?」

 

「これは一つの可能性。フォースは表裏一体。ライトサイドがあればダークサイドもある。たったちょっと傾いただけで人は簡単に表や裏になってしまう」

 

「そんな」

 

「でもね?」

 

 先ほどまでの固い言葉から一転して、暖かい気持ちがフォースを通してカルへ伝わってくる。

 

「自分を、フォースを信じるんだ。カル。今は暗黒の時代かもしれない。でも、ずっと、暗黒が続くことはない。フォースを信じて、前に進むんだ」

 

「ま、待って!」

 

 急に遠ざかるのび太を追いかけようとするカル。

 

 しかし、どれだけ走っても、壁をよじ登ってもどんどん彼との距離は遠ざかっていく。

 

「フォースと、そして、自分を信じて、カル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスターノビ!」

 

 ハッとカルが周りを見るとボガーノの宝物庫の中。

 

 みると宝物庫の中心にホロクロンが浮いている。

 

 カルは浮いているホロクロンを掴む。

 

「フォースと自分を、信じろ」

 

 ぽつりと彼が告げた言葉を思い出しながらカルはライトセーバーを取り出して後ろへ振るう。

 

「おや、気付いたのか」

 

 不意打ちが失敗しながらも表情を崩さないセカンドシスター、否、シアの元パダワンであるトリラだ。

 

「トリラ……」

 

「ホロクロンを渡してもらおうか?」

 

「それはできない。これを渡せば多くのフォース感応者が危険にさらされる」

 

「ジェダイにすると愚かな行為をするからだ」

 

 トリラの言葉にカルは少し間を置きながら。

 

「彼らの未来はフォースに委ねる」

 

「その結果、多くの命が失われる」

 

「そうならない為に、俺は………いや、俺がジェダイになって止める。最悪の未来、あんなことにならないために!戦争中、大勢の為に戦っていたノビタ・ノビのように」

 

「気安くあの人の名前を呼ぶな!」

 

 叫びと共に振るわれるライトセーバーを受け流してカルは問いかける。

 

「アンタはどうして、あの人に執着する!アンタの憎悪はシアだけじゃない。マスターノビにも向けられている!」

 

「理解できないだろうね。お前みたいな奴に!」

 

 激昂したセカンドシスターの猛攻をカルは冷静にいなす。

 

 最初の頃ならば、彼女の攻撃に敗れていただろう。

 

 試練を潜り抜けて成長したカル・ケスティスならば、冷静さを欠いているセカンドシスターの攻撃をいなすことは苦ではない。

 

 フォースプッシュでセカンドシスターを突き飛ばすと同時に彼女のライトセーバーを奪う。

 

 瞬間、フォースを通してカルはセカンドシスターの記憶が浮き上がる。

 

 まだ、シアがジェダイだった時、粛清から逃れた彼女達を帝国は執行に追跡していた。

 

 追跡から逃れる為にシアは単身、囮になろうとする。

 

 トリラはそれを必死に止めようとするが彼女は飛び出してしまう。

 

 シアが戻ってくるまでの間、トリラは不安がる子供達を励ましていた。

 

 けれど、彼女達は帝国に捕まってしまう。

 

 帝国に捕まったトリラは拷問を受けた。

 

――助けて、マスター!助けて!マスターノビ!

 

 それは想像を絶するものだった。

 

 いつしか、トリラはシアが裏切った。自分を見捨てたと思うようになる。

 

 その憎しみや怒りによってシアはダークサイドに堕ちた。

 

 シアの目の前でトリラは尋問官……セカンドシスターの証となる仮面を装着する。

 

 その際、シアはショックで一時的にダークサイドの力を使ってしまい、拘束を壊して逃走した。

 

「これは頂いていく」

 

 動きが止まったカルの隙をついてトリラはホロクロンを奪って逃走する。

 

 カルは荒い息を吐きながら深呼吸した。

 

「あんな過去……」

 

 シアと話をした時、カルは信じられなかった。

 

 だが、セカンドシスターのライトセーバーを通してトリラの過去を見て、カルは後悔した。

 

「……ホロクロンを奪われた、取り戻さないと」

 

 カルは遺跡を抜け出す。

 

 外は周囲を警戒しているトルーパーで溢れていた。

 

「ここも帝国に見つかった!」

 

 カルは妨害するトルーパー達を撃退しながらマンティスへ急ぐ。

 

 マンティスの前にモールが立っていた。

 

「戻ってきたな」

 

「……ホロクロンを奪われた」

 

「取り戻さないといけないな」

 

「マンティスを守ってくれたんだな。ありがとう」

 

 モールの周りに多くのストーム・トルーパーが倒れている。

 

 マンティスへ攻撃を仕掛けようとした連中だろう。

 

「これくらいなら造作もない」

 

 モールと共にマンティスに戻り、シアへ謝罪をして、ホロクロンが奪われた事を伝える。

 

 ホロクロンを取り戻すため、マンティスは尋問官の本拠地を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カルとシアの二人は尋問官の本拠地へ攻め込む。

 

 多くのパージ・トルーパーやストーム・トルーパーの攻撃にさらされながら、カルはトリラのいる場所へ辿り着いた。

 

「お前を殺せば、私の失点はなくなる。いや、このホロクロンを届ければ、大尋問官になることもできるだろう」

 

「トリラ、そんなことをすれば多くのフォース感応者達が危険にさらされる。お前のような子が増えるんだぞ!」

 

「もっと増えればいい!」

 

「憎しみに囚われすぎている。トリラ、そんな姿を見たらマスターノビはきっと」

 

「その人の名前をだすなぁああああああ!」

 

 叫びと共にライトセーバーを振るうトリラ。

 

 フォースを操り、ライトセーバーを投擲してきたり、高速で移動して、カルの背後を取ろうとする。

 

 そんな彼女に、カルは攻撃をいなし、時に反撃、フォースプッシュで動きを阻害して、追い詰めていく。

 

 やがて、カルの一撃がトリラのライトセーバーを破壊する。

 

 破壊した隙をついて、トリラからホロクロンを取り戻す。

 

 そのタイミングでシアが部屋に入ってきた。

 

「こっちは終わった」

 

「トリラ……どれだけ後悔しても過去は消せない。私が貴方を見捨てたという事実は、決して」

 

「……シア、私は貴方を憎んだわ。そして、マスターノビも……あの時みたいに彼が助けてくれるのではないかと思っていた。でも、彼は来なかった。シア……貴方の事を恨んではいる。でも……」

 

 トリラは言葉を止める。

 

 先ほどまで感じなかった冷たい空気のようなものが部屋を包み込んでいく。

 

 ゆっくりとトリラの近くに漆黒の存在が降り立つ。

 

 彼をみて、カルとシアは嫌なものを感じ取った。

 

 カルは嘗てタトゥイーンで感じたものと似ていると感じた。だが、それよりも恐ろしく強いもの。

 

 震えているトリラの傍に大尋問官は降り立つ。

 

「失敗したな?尋問官」

 

「……」

 

「失敗したものはどうなるか、わかっているな」

 

 震えているトリラの前で起動するダブル=ブレードライトセーバー。

 

 赤い刃をみて、トリラはシアをみる。

 

「シア、私は貴方を」

 

 トリラ目掛けて迫るライトセーバー。

 

 だが、その刃は現れたモールのライトセーバーによる斬撃で阻まれる。

 

「貴様か」

 

「……」

 

 大尋問官は怒りに顔を歪めながらモールを激しい剣激を繰り広げる。

 

「お前達は逃げろ」

 

 モールはカルとシアを一瞥する。

 

 二人は頷くと脱出経路を目指そうとした。

 

「逃がすと思うか?」

 

 新たに現れた存在にカルとシアは呼吸を忘れそうになった。

 

 大尋問官と比べ物にならないフォースの力。

 

 暗黒面を極めたといっても過言ではない存在を前に二人は息を飲む。

 

「ホロクロンを渡せば、命は助けてやろう」

 

 シアはライトセーバーを起動して、ダース・ベイダーへ斬りかかる。

 

 しかし、ベイダーはシアを軽々と投げ飛ばす。

 

 シアはマグマの中へ落ちていく。

 

「シア!」

 

 カルはライトセーバーを起動するもすべての攻撃をベイダーに無効かされてしまう。

 

 咄嗟に天井に設置されている機材を落下させてベイダーの気をそらせることに成功したカルは必死に逃走する。

 

 道中、トルーパーが立ちはだかろうとするが、邪魔者をベイダーに見なされて奈落の底へ堕とされていく。

 

 ターボリフトでベイダーから逃走するカル。

 

「もう、大丈夫だ」

 

 カルは火口に落ちたシアや大尋問官と戦うモールを残した事に後悔しながら目の前の隔壁を開けようとした瞬間。

 

「儂からは逃げられんぞ」

 

 ベイダーが現れてライトセーバーを振るう。

 

 逆手に持ちながらカルは攻撃を防ぐ。

 

 しかし、バランスを崩して倒れるカル。

 

 落としたライトセーバーをフォースで引き寄せようとするもベイダーの力が強くライトセーバーを手元へ引き寄せられない。

 

「ホロクロンを渡せ。渡さなければ死が待っているぞ」

 

「断る!」

 

「ならば、死だ」

 

 ベイダーがカルのライトセーバーをフォースで操り、彼の体を貫く。

 

 BD-1がカルを心配して不安声を上げる。

 

 ゆっくりとベイダーがカルへとどめを刺そうとした瞬間。

 

 火口に落ちていた筈のシアがライトセーバーでベイダーに不意打ちを仕掛ける。

 

 ベイダーはその不意打ちを読んでおり、攻撃を受け流してシアを地面に叩きつけた。

 

 シアは暗黒面の力を引き出す。

 

 その力を見て、感嘆の声をあげるベイダー。

 

「素晴らしい。力だ。お前なら立派な尋問官になれるぞ」

 

「よせ、シア!暗黒面に取り込まれてしまう!」

 

 カルが痛む体を抑えながらシアへ呼びかける。

 

 呼びかけにシアは暗黒面の力を止めてしまう。

 

 ベイダーはため息を零す。

 

「愚か者め、お前達に待つのは死だ」

 

 近付いてくるベイダーを前にシアはフォースを操って通路のガラスを破壊する。

 

 彼らがいるのは海の底。

 

 窓ガラスが割れれば、浸水してくる。

 

 浸水を防ぐために意識を集中するベイダーの隙をついて、カルは気絶したシアを抱きかかえて外へ飛び出す。

 

 痛みで意識が朦朧とする中、必死に海上を目指していた。

 

 意識が沈みかけていた時、誰かが自分の手を掴んでくれる。

 

 そこでカルの意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「坊主!気が付いたか!」

 

「グリーズ、シアは?」

 

「大丈夫だ!モールもいるぞ。あぁ、後。新入りも」

 

 グリーズの顔を見て、安心感を覚えるのはそれだけ心を許している事だろうか?

 

 そんなことを思いながらカルが起き上がるとメリンが安心して抱きしめてくる。

 

「あぁ、ごめんなさい」

 

「いや、大丈夫だから」

 

 メリンはカルがケガしていたことを思い出して謝罪する。

 

 カルは大丈夫といって腰かけた。

 

 シア、モール、そして、トリラ。

 

「無事だったんだな」

 

「……そこのお節介な奴に助けられたのよ」

 

「そういうことだ」

 

 顔を顰めているトリラの前でいつも通り座禅を組んでいるモール。

 

「私も帝国に追われることになった。貴方達についていく」

 

「そうか」

 

「それで、ホロクロンをどうする?」

 

 モールの問いかけにカルはホロクロンを握りしめる。

 

 少し考えて。

 

「フォース感応者の未来はフォースに委ねよう」

 

 そういってシアをみる。

 

 シアも頷く。

 

 カルはライトセーバーでホロクロンを破壊する。

 

「それで?これからどうする?」

 

「そうだな。次は」

 

 




次回から新たなる希望に入ります。




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EP.4 新たなる希望
砕け散る宇宙救命ボート


今回からEP4へ突入します。
お待たせしてすいません。

諸事情によりパソコンが全く触れておりませんでした。

タイトルバレですが、彼ら参戦です。





 

スカリフの戦いと後に呼ばれる争いが目の前で行われている。

 

帝国の秘密兵器の情報を求めて侵入したローグ・ワンと彼らを助けようとする反乱軍の攻撃。

 

ある戦いでローグ・ワンのメンバーは一人、また一人と命を落として、現れた秘密兵器によって星事散るという。

 

そんな未来は彼らの介入によって起こらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!なんなんだ、あいつら!」

 

戦闘隊長として指揮をとるトルーパーは悪態をつきながらブラスターを構える。

 

目の前のトルーパー達が次々と一人の男によって倒されていく。

 

「何なんだ。お前は!」

 

悪態をつきながら近づいてくる男へブラスターを構えようとするが見えない何かに殴られたように壁へ叩きつけられた。

 

「ジェダイだ」

 

カル・ケスティスは相棒のBD-1と共にトルーパーを一掃させていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイパースペースから現れたデス・スター。

 

惑星を破壊することなく最低出力で攻撃せよとターキンが指示を出す。

 

デス・スターの光線がこと切れたクレニックを吹き飛ばし、次々と大地を焼き尽くしていく。

 

そんな光景を海岸の近くで足を負傷したジンと満身創痍のキャシアンがみている。

 

「届いた、かな?」

 

「届いたさ、きっと」

 

デス・スターの設計図が保管されていたタワーは破壊されてしまったがデータは反乱軍のところへ届いたはず。

 

彼女達が安心した表情を浮かべていた時。

 

目の前に帆船タイプの宇宙船、マンティスがハッチをあけながら接近する。

 

「乗り込んで!時間がないわ!」

 

ハッチを開けて手を伸ばすシア・ジュンダ。

 

 

戸惑っていたジン達を乗り込ませてグリーズに指示を出す。

 

「急いで!」

 

「わかっている!しっかり掴まっていろ!」

 

グリーズの運転によって急上昇するマンティス。

 

炎が唸り声をあげて迫りくる中でマンティスは無事に大気圏を突破する。

 

「間一髪、だったな」

 

歓声をあげるグリーズの傍のシートでカルが安堵の息を吐く。

 

同じようにダソミアのナイトシスターのメリン、そして元尋問官のトリラも同じような表情をしている。

 

「ローグ・ワンのメンバーね?他の人達も私達の仲間が保護しているわ」

 

「アンタたちは一体……」

 

シアの言葉に頷きながら警戒するキャシアン。

 

戦いで武器を失っているため、彼らを相手するとなると厳しいだろう。

 

「帝国に反旗を翻す者達っていったところかしら」

 

シアの言葉にカルやメリンは苦笑するも、トリラは興味ないという風に視線をそらす。

 

そんな彼らの姿に二人は呆然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。

 

帝国軍のスター・デストロイヤー〈デバステーター〉がスカリフの宙域から逃げ去った一隻の船、タンティヴⅣを追跡していた。

 

逃走するタンティヴⅣへデバステーターの容赦ない砲撃が降り注ぐ。

 

やがて、エンジン部を損傷したタンティヴⅣをデバステーターが鹵獲する。

 

タンティヴⅣの内部でC-3POとR2-D2が逃げ惑っていた。

 

「速く逃げるんだ!R2!帝国に敵対勢力として捕まったドロイドはひどい目にあうんだぞ!」

 

振り返った3POだがR2がいないことに気付く。

 

探している間に怪しい音が船に近付いていた。

 

タンティヴⅣの乗組員達は武装して入口前に待機する。

 

武装して構える船員達の前で爆発する隔壁。

 

隔壁の向こうからストーム・トルーパーが一人、また一人現れる。

 

タンティヴⅣの乗組員が迎撃する。

 

ストーム・トルーパーの反撃によって一人、また一人と乗組員達が倒されていく。

 

壊れた隔壁からダース・ベイダーが現れる。

 

ベイダーに気付いた乗組員の一人がブラスターを撃つ。

 

迫る光線をベイダーは掌で受け止めた。

 

驚いている乗組員をフォースで引き寄せる。

 

「帝国から盗んだ設計図はどこにある?」

 

乗組員を持ち上げてベイダーは冷たい声で尋ねる。

 

船内で激しいブラスター戦が行われている中、ある人物から任務を託されたR2は3POと共に脱出ポッドへ乗り込む。

 

タンティヴⅣから射出される脱出ポッド。

 

当然のことながらデバステーターは脱出ポッドに生命反応がないかチェックを入れていた。

 

「また脱出ポッドか」

 

「生命反応はない……問題ないだろう」

 

スキャンを任された者は問題ないと判断する。

 

事前にタンティヴⅣの船長がポッドをいくつか射出しておいた事が功をなしたらしい。

 

R2と3POを乗せた脱出ポッドはそのまま砂の惑星タトゥイーンへ落ちていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽系第三番惑星【地球】

 

「みつかった!?」

 

「いないよぉ」

 

「くそっ!どこいきやがったんだ!?」

 

ススキガハラの空き地。

 

そこで源静香、骨川スネ夫、剛田武ことジャイアンの三人が集まっている。

 

彼らは少し前から消息がわからなくなっている野比のび太を探していた。

 

のび太のパパとママも心配して警察に依頼しているが消息はわかっていない。

 

子どもである彼らも裏山や街を調べていた。

 

「もしかしたら、ドラえもんが何か知っているかもしれないよ?」

 

「そうね。ドラちゃんのところへ行きましょう」

 

しずかの提案に二人は頷いてのび太の家へ向かう。

 

のび太の家に彼らが向かうと部屋でドラえもんがあるものを調べていた。

 

「ドラちゃん?」

 

「おい!何やってんだよ!のび太を探しにいかないのか!」

 

「そうだよ!そんな変なものを調べてさぁ!」

 

ドラえもんは正方形の青い物体を調べている。

 

宇宙完全大百科を真剣に見ていたドラえもんは「やっぱり」と呟く。

 

「のび太君の居場所の手がかりをみつけた」

 

「本当!?」

 

「のび太はどこにいるの?」

 

「早く教えろよ!ドラえもん!」

 

「これだよ」

 

ドラえもんは宇宙大百科で調べていた立方体を指す。

 

「のび太君がいなくなった日。机の上にこれがあったんだ。宇宙大百科で調べてみたけど。これは地球上で作られたものじゃないということだけしかわからなかった」

 

「どういうことだよ?」

 

「もしかして、のび太は宇宙にいるってこと!?」

 

「その可能性がある」

 

「でも、宇宙は広いのよ?どうやって探すの?」

 

「それなら方法はある」

 

ドラえもんは三人を連れて空地へきていた。

 

「方法ってなんなのさ!」

 

スネ夫は嫌な予感を覚えながら渋々ついてきて尋ねる。

 

「これだよ。宇宙救命ボート!」

 

ドンと四次元ポケットから取り出した円筒形の宇宙船。

 

「これのシステムにこの立方体を入れることでのび太君がいる場所へ向かうことができる!」

 

そこでドラえもんは周りを見る。

 

「そんな方法があるなら早く言えよな!俺様も行くぜ!」

 

「私も!」

 

「宇宙は危険がいっぱいだ。何が起こるかわからない」

 

「危険がなんだよ!のび太の手がかりがあるかもしれないんだろ!だったら俺は行くぜ!」

 

「私も!」

 

「僕は、遠慮」

 

「お前も、行くよな!?」

 

危険があるかもしれないっていうことで断ろうとしたスネ夫だったが、がしりと肩に手を叩くジャイアン。

 

ジャイアンの威圧を感じながら渋々という形でスネ夫も参加する。

 

救命ボートへ乗り込む四人。

 

ドラえもんは立方体をシステムの中へ入れる。

 

「じゃあ、行くよ!」

 

最終確認を含めたドラえもんの問いに全員が頷いた。

 

ドラえもんは救命ボートのスイッチを押す。

 

エンジンが起動して一気に宇宙に向かって飛び立つ救命ボート。

 

宇宙に出るとワープを開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タンティヴⅣの船内。

 

トルーパーに連行されて一人の女性が連れてこられる。

 

「やりましたね!ベイダー卿!特使の船を攻撃するなど、元老院が黙っておりませんよ!」

 

「見え透いた嘘はやめていただこうか、レイア・オーガナ。この船は外交船ではない。我々から盗んだ設計図はどこにある?」

 

「何を言っているの?この船は外交の一環としてオルデランへ向かっているのよ」

 

「違うな。お前は反乱軍と繋がっている。帝国から盗んだ設計図をどこに隠した?話は我々のステーションで聞かせてもらおう。連れていけ!」

 

ベイダーの指示によって連行されるトルーパー。

 

隣に控えていた部下がベイダーに意見する。

 

「彼女を拘束することは危険では?元老院が反乱軍支持に傾きかねません」

 

「姫が反乱軍に関わっていることは明白だ。この船の遭難信号を送信後、船は沈没したと元老院へ報告すればいい。姫についてはステーションに連行して尋問する。設計図は必ず取り戻さなければならない」

 

「ベイダー卿、この船に設計図はありません。データを送信した痕跡もなく……ただ、船からいくつか脱出ポッドが射出されたそうです」

 

「分隊を送り込んで脱出ポッドを捜索しろ。失敗は許されんぞ」

 

「失礼します。ベイダー卿。宙域に小型の宇宙船が出現。撃墜したと報告が」

 

「反乱軍かもしれん。乗組員は死亡したか?」

 

「いえ、三人ほど、捕縛したという事です」

 

「よし、そいつらと姫をステーションへ連れていく」

 

ダース・ベイダーは踵を返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何度もワープを繰り返している」

 

「のび太の奴。どこにいったんだよ」

 

「ね、ねぇ、大丈夫かな?その……ワープした先に凶悪な宇宙人がいるとか、そんなこと」

 

「安心しろよ。こっちにはドラえもんがついているんだぜ!」

 

不安の表情を浮かべるスネ夫に大丈夫だとジャイアンは言う。

 

「そうだ。念の為、船外に出ても大丈夫なように」

 

四次元ポケットからひみつ道具を取り出す。

 

「宇宙クリームスプレータイプ」

 

「それ、銀河漂流船団の時に使ったものね?」

 

「うん。宇宙は危険がいっぱいだからね」

 

三人へ宇宙クリームスプレータイプを振りかける。

 

これで三人は宇宙服をつけた状態になり、万が一、宇宙に放り出されることになっても問題はない。

 

「お、ワープを抜けるみたいだぞ」

 

ドラえもんが告げた直後、目の前に見たことのない巨大な宇宙船が現れる。

 

「あれは何かしら!?」

 

驚いているしずか。

 

同じように覗き込んだスネ夫が信じられないものをみたと目を見開く。

 

「そんな、あれって、スターデストロイヤーだよ!?」

 

「スネ夫、あれのこと知っているのかよ!」

 

「みんなで行く約束をしていた映画にでてくる宇宙船だよ。あれは」

 

スネ夫が最後まで言い切る前にボートが大きく揺れる。

 

「どうしたの!?」

 

「攻撃を受けているんだ!前の船から」

 

「僕達を敵だと思っているんだよ!!すぐに逃げよう!地球に戻ろうよ!」

 

スネ夫が叫ぶ。

 

「のび太を見つけていないのに戻れるかよ!」

 

ジャイアンがドラえもんへ叫ぶ。

 

「なんかないのかよ!」

 

「とにかく、この場所から離れ――」

 

ドラえもんが最後まで言い切る前にスターデストロイヤーから撃たれた砲弾が宇宙救命ボートへ直撃。

 

ボートは爆発を起こして四散した。

 

 




亀更新ですが、お付き合いしていただけると助かります。


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三体のドロイド……?

「何だ。これ?」

 

砂の惑星タトゥイーンに暮らすルーク・スカイウォーカーは調子の悪い機械をみるために外へでて変なものをみつける。

 

砂の中に半分ほど上半身を沈めた青いドロイドらしきもの。

 

足をバタバタさせていることから壊れてはいないのだろう。

 

だが、なぜ、逆さまに砂に沈んでいるのだろうか。

 

「アストロメク・ドロイド……にしてはずんぐりむっくりしているな……砂狸型ドロイドか?」

 

「僕はタヌキじゃなぁああああああああああああああい!」

 

ズボォォォォン!と砂から脱出したドロイドらしきものが叫ぶ。

 

「誰だ!僕をタヌキといったのはぁ!」

 

顔を真っ赤にして怒るドロイドをみてぽかんとしているルーク。

 

言葉を発しているようだが、知らない言葉の為、ルークは理解できないのだ。

 

「あのぉ?あ、言葉が通じてないのか」

 

ドロイドは半円のポケットへアーム?をいれるとぐにゃぐにゃしているものを取り出して口に含む。

 

「食べた?」

 

驚いているルークの前でドロイドは挨拶をする。

 

「はじめまして、僕、ドラえもんです」

 

「言葉がわかるのか?」

 

「えへへへ、ところで、ここはどこですか?」

 

「僕はルーク・スカイウォーカー。ここはタトゥイーンだ」

 

「タトゥイーン……知らないなぁ。あれ!?」

 

ドラえもんと名乗ったドロイドはルークの前で周りを見ると尋ねる。

 

「あの!僕以外に、人がいませんでした!?」

 

「いや、この場にいたのはキミだけだ」

 

「そんな!?どこか別の場所に!?落ちたんだろうか!?」

 

「ルーク!」

 

困惑しているドラえもんというドロイドの前で呆然としているルークを呼ぶ声。

 

「おじさんから呼ばれている。いかないと!」

 

「あ、待って!」

 

走り出したルークの後を追いかけるドラえもん。

 

ルーク・スカイウォーカーはオーウェン・ラーズと共にジャワ族が運んできたドロイドをみる。

 

通訳ドロイドや赤いR2ユニットを購入しようとするが、赤いR2ユニットは爆発。

代わりに青いR2ユニットを購入。

 

通訳ドロイドの推薦がありながらも不思議とルークは役立ちそうだと感じた。

 

拾ったドラえもんというドロイド、R2、C-3POの面倒をルークはおじさんに言われてみることになる。

 

「オイル風呂なんて久しぶりです。ありがとうございます。ルーク様」

 

「様なんていらないよ」

 

「わかりました。ルーク様」

 

ルークは苦笑しながらR2の汚れを落としていく。

 

「しかし、なんだ、この汚れ、まるで戦争に行ってきたみたいな感じだな」

 

「戦争?戦争なんてあるんですか?」

 

今まで傍観していたドラえもんが尋ねる。

 

「えぇ、我々は反乱軍に属しておりまして」

 

「あの人たちと一緒だったの!?戦闘に参加した!?」

 

「いえいえ、私はご存知の通り通訳ドロイドでして、戦闘なんて、そんな」

 

「そうだよね」

 

3POと話をしていたルークは落胆しながらR2の掃除をしていた時だ。

 

「しかし、なんだ、これ?何かが引っかかって」

 

バチンと汚れが取れたと同時にR2が映像を表示する。

 

『―――オビ=ワン・ケノービ!』

 

「なんだ、この映像?」

 

首を傾げるルークの前で3POがR2へ尋ねる。

 

「コイツが仰るに古いデータが表示されたという事で」

 

「古いデータとはいえ、助けを求めているみたいだ。続きを見るには?」

 

「は?ふざけんじゃないよ。この人が私達のご主人様なんだ!」

 

3POがR2と揉めている中、しばらくして、3POが説明する。

 

「コイツが言うには電磁ボルトがデータの妨害をしているみたいで。それを外せばなんとかできるかと」

 

「外せって?仕方ないな。外した途端、逃げ出すなんてなしにしてくれよ?」

 

ルークが工具を使ってボルトを引き抜く。

 

表示していた映像が消えてしまう。

 

「あれ、消えた」

 

「え?どういうことだ。消えちゃったじゃないか!」

 

「おい、惚けるんじゃないよ!さっきの映像を出せって言っているんだ!」

 

3POがR2の頭を叩く。

 

しばらくドロイド同士で会話をしていた3POがルークをみる。

 

「どうやら電磁ボルトの影響で調子が悪いらしくて」

 

「それなら修理をしてくれ」

 

ルークは3POへ工具を渡す。

 

「むしゃくしゃしてはダメよ。ルーク」

 

「おばあちゃん」

 

車椅子に乗ってルークの祖母で、オーウェン達の義母である、シミ・スカイウォーカーがやってくる。

 

「外に出て大丈夫なの?」

 

「今日は調子が良いの……それより、新しいドロイド、三体も?」

 

「あぁ、買ったのはこの二体だよ。こっちは……空から落ちてきた」

 

「あら?そうなの」

 

「はじめまして、僕、ドラえもんです」

 

「…………え?」

 

シミは目を見開く。

 

ドラえもんはシミの反応に戸惑う。

 

「僕が、何か?」

 

「いえ、ごめんなさい。息子同然だった彼が言っていた友達と同じ名前だったものだから」

 

「そうなんですか。僕と同じような名前がいるんですね」

 

「宇宙は広いわ。いろいろな人がいるもの」

 

「僕もこの星から出ていきたいよ」

 

ルークはそういいながら外へ出ていく。

 

ドラえもんは首を傾げる。

 

「あの子は私の息子と同じ……いつかは外へ出ていくのかもしれない」

 

「息子さんって、オーウェンさんの事?」

 

シミは首を振る。

 

「一人、いいえ、二人いるの。大事な息子達……でも、彼らは遠いところへいってしまった」

 

懐からシミはあるものを取り出す。

 

ドラえもんからは見えないがかなり年季の入っている紙と一枚の写真だ。

 

「ドラえもんさん」

 

「はい」

 

「行く宛がないなら、うちにいなさい。困った時は助け合うものだから」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのドロイド達、盗品じゃないかな?」

 

夕食でルークはオーウェンへ尋ねる。

 

「どうして?」

 

「あの青いドロイド、自分はオビ=ワン・ケノービのものだっていうんだ……もしかして、外れにいるベン・ケノービかな?」

 

「そんなことはない。あの人はただの変人だ。明日、ドロイドの記憶を消しに行け」

 

「いいのかな?オビ=ワンとかいう人が取りに現れるかも」

 

「そんなことはない」

 

オーウェンは首を振る。

 

「その人は昔に死んでいる。お前の親父さんと同じように」

 

「そうなの!?」

 

ルークは驚く。

 

「いいな、消しに行くんだ」

 

「わかった……………それでなんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルークは消沈して外に出ていた。

 

二つの夕焼けを見上げているルークの表情はどこか暗い。

 

「ルークさん?」

 

「やぁ……」

 

「どうしたんですか?なんか元気なさそうだけど」

 

「叔父さん達にアカデミーの入学を断られたんだ」

 

「アカデミー?」

 

「帝国の兵士を育成する施設なんだ……僕はパイロットになる事が夢なんだけど、農場の人出が足りなくて、また一年手伝ってくれって」

 

ルークはため息を零す。

 

「他のみんなはこの星から出て行った。いつかは僕も………って、思っているけど、本当に出られるのか」

 

「ルークさんが宇宙へ出たいと思っているのなら出られるよ」

 

「え」

 

ドラえもんは座り込んだルークの肩を叩く。

 

「未来は決まっているわけじゃない。変えられるんだ。ルークさんがこの星から出たいと思っているならその気持ちを忘れずに挑み続ければきっと……きっと、出られるよ」

 

優しく話をしてくれるドラえもんの言葉に不思議と安心感を覚えたルーク。

 

「ありがとう、ドラえもん」

 

「いえいえ、僕は子守りロボットですから」

 

「そうだな。頑張るよ。僕は諦めない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「血は争えないわね」

 

食堂でオーウェン、ベル、シミの三人は話をしていた。

 

「だから、外へ行かせたくないんだ。アイツのようにあんな最期を迎えてほしくない……できれば、静かで、安全なところにいてほしいと願っている」

 

オーウェンの言葉にシミも首を振る。

 

「願うことはいいけど、縛り付けることが正しいとは限らないわ……」

 

「お義母さん……」

 

「血は争えないかもしれない。けど、最後はあの子の……ルークの決断になる。私やオーウェンはこの農場を継いでほしいと思っているけれど、気持ちを押し付けるなんてことはしたくない」

 

「お義母さん……」

 

「できれば、あの子が戦火へ巻き込まれないことを祈るわ……貴方も同じ気持ちでしょ?」

 

シミが懐から取り出す一枚の写真。

 

彼女の大事にしている息子の結婚式の写真。

 

楽しそうに笑う息子と嫁、そして、隣で微笑んでいるもう一人の男の子。

 

孫であるルークに幸せになって欲しい。

 

シミは心から思う。

 

彼女達は知る由もない。

 

ルーク・スカイウォーカーの運命はすぐ近くまで足音を鳴らしている。

 

その事を誰も知らない。

 

 



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オビ=ワン・ケノービを探して

タイトルの通り、彼が登場します。




「おやおや、レイア姫」

 

「ターキン総督。貴方の仕業ですか。嫌な臭いがプンプンしていましたわ」

 

ストーム・トル-パーに拘束されているレイアとジャイアン達。

 

彼らを出迎えるのは帝国のグランド・モフと呼ばれる階級に属しているターキン総督。

 

ターキンは表情を変えずに捕まえたレイアと対峙する。

 

レイアから他に捕らえた三人をみる。

 

怯えているしずか、周りを睨んでいるジャイアン、無関係だと泣き叫んでいるスネ夫。

 

「使節団の船を捕まえるなど!元老院が黙っておりませんわ!」

 

「貴方が反乱軍と繋がっていることは明白だ。我々から盗んだものの在処を吐いて頂こう」

 

「そんなものは知りません。それよりも、彼らは無関係よ!すぐに解放を」

 

「白か黒かはっきりと調べてからです。それに彼らは我々の戦艦の眼前にハイパースペースしたのです。怪しいところがある」

 

「知らないよぉ!僕達は無関係ですぅ!」

 

泣き叫ぶスネ夫にターキンは顎で指示を出す。

 

トルーパーの一人がスネ夫の口を大根で拘束する。

 

「おい、何するんだよ!」

 

「会話の邪魔だ。連れていけ」

 

ターキンの指示を受けてトルーパー達はレイア達を連れていく。

 

控えていたベイダーがゆっくりとターキンの傍にやってくる。

 

「設計図の在処は?」

 

「襲撃した周辺の惑星へ調査団を送り込んでおります」

 

「時間がかかるな。姫の拷問も同時に進行しろ」

 

「わかりました」

 

去っていくベイダーの後姿を見ながらターキンは考える。

 

「拷問で効果がないのであれば、この兵器の性能を試す良い機会になる」

 

表情を変えずターキンはスクリーンへ視線を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惑星タトゥイーン。

 

早朝の砂漠を一機のスピーダーが走っていた。

 

運転席にいるのはルーク・スカイウォーカー、助手席にドラえもんとC-3POが乗っている。

 

事の始まりは深夜。

 

ルークが周囲の見回りをしていた時にR2が脱走した事を察知。

 

オーウェン叔父さん達にばれないように連れ戻すべく行動を起こしていた。

 

「困ったドロイドだな」

 

「本当に、アイツは無茶ばかりやらかすので」

 

「でも、R2はどうして出て行ったのかな?」

 

「アイツ曰く、使命があるってことらしくて」

 

「使命?」

 

「オビ=ワン・ケノービは既にいないって聞いているのに……」

 

「反応が近いです!」

 

3POの言葉と共にスピーダーの速度をあげるルーク。

 

そんな彼らを遠くから“眺めている者達”がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あそこだ!」

 

しばらくして渓谷に差し掛かった所でよちよちと歩いているR2-D2を発見する。

 

「こんなところにいたのか!探したぞ!」

 

「一体、何をやっているんだ!お前の新しいご主人様はルーク様だぞ!オビなんとかの事は忘れるんだ!」

 

「ま、まぁまぁ」

 

R2を叱る3POを見たことで少しばかり冷静さを取り戻したルークとドラえもんが止めに入る。

 

「とにかく、見つけたんだ。戻ろう」

 

ルークが言うと警告音のような音を鳴らして左右に激しく動くR2。

 

R2の突然の行動に戸惑うルークに対して3POが説明する。

 

「どうやらR2のレーダーが接近する集団に気付いたようです」

 

「集団?この前のジャワ族みたいな?」

 

「いいえ、違うようです」

 

「もしかしたらタスケンレイダーかもしれない」

 

ルークの言うタスケンレイダーとは、野盗種族と呼ばれており、盗みの為なら殺しすら行う危険な種族だ。

 

自分達のいる場所は彼らのテリトリーかもしれない。

 

「隠れよう」

 

ルーク達は隠れて様子をうかがう。

 

しばらくして、タスケン達が乗り物として利用している生き物をみつける。

 

「タスケン達がいない?どういう」

 

その時、ドラえもんはゆっくりとルークを狙っているタスケンレイダーに気付く。

 

「危ない!」

 

四次元ポケットから毎度おなじみの空気砲を取り出す。

 

「どかん!」

 

ドラえもんの放った空気砲の砲撃によって崖から落ちるタスケンの一体。

 

それを皮切りに次々とタスケン達がルークやドラえもんを狙いはじめる。

 

ルークが一体を相手にしている間にドラえもんが空気砲で彼らを牽制する。

 

牽制するもタスケンレイダーは自身にダメージを与えるものではないとわかるとじりじりと包囲網を縮めていく。

 

「キリがない!何か、他の道具を」

 

四次元ポケットへ片手を入れようとした時、タスケンレイダー達が急に雄叫びをあげて逃げ出し始める。

 

「逃げていく?」

 

「何か、くるのでしょうか?」

 

怯える3PO。

 

ルークが身構えていると崖の方からゆっくりとローブを羽織った人物が現れる。

 

彼はフードを外すと笑顔を浮かべた。

 

「ルーク、一人でこんなところへくるもんじゃないな」

 

「ベン」

 

白髪の男性をみたルークは安心の表情を浮かべる。

 

「ルークさんの知っている人?」

 

「そのようですね」

 

嬉しそうに話しかけるルークをみて、ひとまず警戒を解くドラえもん達。

 

「あのチビですよ」

 

ルークはゆっくりとスピーダーの方へ近づいているR2を指さす。

 

「自分はオビ=ワン・ケノービのものだっていって……主人思いみたいなんですけど。オビ=ワン・ケノービって、知っています?」

 

ベンと呼ばれた彼は感慨深い表情を浮かべる。

 

「懐かしいな。長らくその名前で呼ばれることがなかった」

 

「じゃあ、貴方が?」

 

「そうだ。私は嘗てオビ=ワン・ケノービと呼ばれていた」

 

「じゃあ、あれは貴方のものですね」

 

「いいや。私はあのドロイドを持っていない。そうか」

 

何かを察したオビ=ワンは立ち上がる。

 

「ここから離れよう。タスケンは一度、引き下がったがすぐに大勢を連れて戻ってくる……私の家へ行こう」

 

オビ=ワンの提案に従ってルーク達は彼の家へ向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キミへ渡すものがある」

 

オビ=ワンの家へやってきたルーク。

 

彼はケースの中を漁ってあるものを取り出す。

 

「ラーズへ託そうとしたのだが、彼に断られてしまってね」

 

「なんです?」

 

ルークは差し出された細長い筒を受け取る。

 

「これは?」

 

「ライトセーバー。ブラスターみたいな野蛮なものではなく、頼りになる武器だ」

 

「どうして、これを僕へ?」

 

「キミのお父さんが使っていたものだ。それを私の古い友が見つけて届けてくれたのさ」

 

ライトセーバーのスイッチを押すと青い刃が飛び出す。

 

驚きながらもルークはライトセーバーを右へ左に動かした。

 

「父さんが?でも、こんなものを使って父さんは何を」

 

「そうか、彼らは話さなかったのだな。きっと、キミに危ない事へ関わってほしくなかったのだろう」

 

「どういうことです?」

 

気になってドラえもんが尋ねる。

 

「ルーク、キミのお父さん。アナキン・スカイウォーカーは私と同じジェダイの騎士だった。共に戦争を潜り抜け、銀河の平和を守るために戦った」

 

「戦争って、クローン戦争?まさか」

 

「本当の事だとも……キミのお父さんは素晴らしいジェダイの騎士だった。私とキミのお父さん、そして、もう一人で多くの人達を救ってきた」

 

「……ジェダイの騎士?」

 

「共和国の、いいや、銀河の平和を守る騎士の事だ。今や生き残っているジェダイは僅かだがね」

 

「何があったんです?」

 

ルークの問いかけにオビ=ワンはゆっくりと椅子へ腰かける。

 

「クローン戦争の最中、ダース・ベイダー、カイロ・レンという者が現れた。彼らの手によって多くのジェダイが命を落とした。キミのお父さんともう一人の騎士が戦った……」

 

「父は、死んだのですか?」

 

「わからない。オーウェン・ラーズ達は死んだと思っているが」

 

そこでオビ=ワンはドラえもんをみる。

 

見られた事に首を傾げるドラえもん。

 

ルークはR2のメッセージの事を思い出す。

 

「そうだった。貴方宛にメッセージが」

 

「みてみよう」

 

オビ=ワンの前にR2が出てメッセージを表示する。

 

メッセージはジェダイの騎士であるオビ=ワン・ケノービへ助けを求めるものだった。

 

「ルーク、私と一緒に来てくれないか?」

 

「え?」

 

「私一人では荷が重い。キミの手助けが欲しいんだ」

 

「そんな……僕にできる事なんてないですよ。僕は、農家の子だし、父や母の事を何も知らないんです」

 

ルークは首を振りながら立ち上がる。

 

「宇宙へ出るならモス・アイズリー港へ案内します。あそこならパイロットがいます」

 

「そうか、キミが決めた事なら仕方ない」

 

オビ=ワンは小さく頷いた。

 

 

 

 

 

 



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ルークの決意

次の話の展開上、短いです。

後、タイトルを変更しました。


 

「タスケンレイダーの襲撃も考えられるけれど、これはやりすぎだ」

 

オビ=ワンをモス・アイズリー宇宙港へ連れていく道中。

 

空にもくもくとあがっていく黒煙に気付いたルーク達が向かうと、こと切れているジャワ達と破損して停止していたサンドクローラーがあった。

 

「じゃあ、誰がこんなひどいことを」

 

「盗賊の襲撃にみせかけて偽装しているが、この正確な射撃からして帝国のストーム・トルーパーの仕業だろう」

 

「でも、なぜ、帝国の兵士がそんなことを?」

 

「何かを探していると考えるべきだろう」

 

オビ=ワンの言葉にドラえもんはジャワ族、そして、離れた所にいるC-3POとR2-D2をみる。

 

「もしかして」

 

ドラえもんの呟きにルークも同じ考えに気付く。

 

そして、ある予感に至る。

 

「帝国はもしかして、あのドロイド達を探していたのかもしれない。もし」

 

震える声でルークはその先を紡ぐ。

 

「もし、ジャワ族から売り先を聞き出していたら!」

 

「ルーク、待ちなさい!」

 

「叔父さん、叔母さん、おばあちゃんが危ない!」

 

オビ=ワンの止める声を聞かずにルークはスピーダーに飛び乗ってしまう。

 

「追いかけないと!」

 

「しかし唯一の乗り物をルーク様が」

 

「彼が冷静さを戻すまで……彼らを埋葬しよう」

 

「僕は追いかけます!」

 

ドラえもんは四次元ポケットからタケコプターを取り出して装着する。

 

「!!」

 

「彼、変わったドロイドですね」

 

電子音を鳴らして3POの言葉に同意するR2。

 

「間違いない……彼はノビタの言っていた」

 

その中でオビ=ワンの呟きに気付いた者は誰もいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達が何をしたというんだ!?」

 

早朝に農作業をしようとしたオーウェンだったが、彼らをストーム・トルーパーが襲撃してきた。

 

抵抗しようとしたラーズは利き腕を撃たれて地面に倒れている。

 

ベルはシミを守ろうと気丈にふるまうも足が震えていた。

 

「ドロイドをどこにやった?」

 

部隊長がブラスターの銃口を突きつけながら静かに尋ねる。

 

「な、何のことだ!?」

 

「隠し事をするなら命の保障はしない」

 

「だから、何の」

 

トルーパーはため息を吐きながら離れた所にいるベルの足を撃ち抜いた。

 

「あぁああああああああああああああ!」

 

「なんてことを!」

 

叫ぶオーウェン。

 

立ち上がろうとした彼の顔をトルーパーの一人が殴り飛ばす。

 

「質問に答えろ」

 

「お前達の言おうとしていることはわからん!ドロイドなど何も」

 

部隊長はため息を零して部下へ発砲の指示を出そうとした。

 

「オーウェン叔父さん!」

 

「ルーク!来るな!」

 

その時、スピーダーに乗ったルークが駆け付ける。

 

「捕まえろ!」

 

「やめろ!」

 

オーウェンが痛みに顔を歪めながら部隊長へしがみつく。

 

「邪魔をするな!」

 

叫びと共にブラスターでオーウェンを殴り飛ばす。

 

「叔父さんに乱暴するな!」

 

ルークが近くにいたトルーパーを突き飛ばす。

 

「こいつめ!」

 

一人のトルーパーがブラスターでルークを殴った。

 

「ルーク!」

 

 シミが悲鳴を上げる。

 

「どっかーん!」

 

「うわっ!?」

 

衝撃を受けてのけ反るトルーパー。

彼らが見上げると空気砲を装着したドラえもんがゆっくりと降りてくる。

 

「ドラえもん!?」

 

「大丈夫!?こいつらは一体」

 

「なんだ、この青いタヌキ型ドロイドは」

 

「僕はタヌキじゃなぁあああああああい!」

 

トルーパーの一人がタヌキと漏らした言葉に怒るドラえもん。

 

ドラえもんはネコ型ロボットであり、タヌキと間違えると怒るのである。

 

「ぐっ、今の、なんだ?」

 

「帝国に歯向かう者はここで死ね!」

 

「あれ!?効いていない!?」

 

空気砲は相手を怯ませるくらいの威力しかなかったらしい。

 

ドラえもんが続けて攻撃を試みようとしたが接近していた別のトルーパーの一撃でドラえもんは地面に叩きつけられる。

 

「ドラえもん!」

 

「この!」

 

ルークを殴り飛ばすトルーパーはブラスターを構えた。

 

倒れたルークは向けられた銃口に驚きながらゆっくりと後ろへ下がろうとする。

 

彼を始末しようとするトルーパーがブラスターのトリガーへ指にかけた瞬間。

 

ルークの腰にぶら下がっていたライトセーバーが勝手に動き出す。

 

「え?」

 

「な、なんだ!?」

 

突然の事に戸惑うトルーパー達。

 

ライトセーバーを包むように小さな粒子が集まっていく。

 

「あれは……!?」

 

シミは車椅子から体を起こす。

 

瞳に涙を浮かべながらライトセーバーを“握りしめる人物”をみる。

 

ライトセーバーから青い刃が伸びた。

 

「な、なんだ。貴様は!」

 

戸惑うトルーパー達はブラスターを発砲する。

 

フードで素顔を隠した人物はライトセーバーを操り、一人、また一人とトルーパー達を倒す。

 

「き、貴様は一体。帝国に逆らった奴はこの銀河で生きては」

 

最後まで言い切る前に刃を振るってトルーパーの首を斬り落とす。

 

ライトセーバーの刃を収納すると、その人物はゆっくりとシミの前に膝をつく。

 

「貴方は……貴方は、アナキンなの?」

 

震えるシミの問いかけに彼は答えない。

 

「アナキンなら、素顔を」

 

彼は答えずに立ち上がるとシミに背を向ける。

 

「ルークを育ててくれてありがとう。母さん」

 

感謝の言葉をシミに告げると呆然としているルークの前に立つ。

 

「強くなれ」

 

ルークを見下ろしている彼の目に言葉がでない。

 

「今のままじゃ誰も救えない。守る事すらできない」

 

「……誰も」

 

繰り返すルークは何か思うところがあるのか表情が沈む。

 

「世界を知るんだ。お前の目で銀河を見て回れ」

 

厳しい雰囲気から優しい感じに変わり、ごつごつした手がルークの頭にのせられる。

 

「お前の未来に幸せがあらんことを、そして」

 

 

――フォースと共にあらんことを。

 

 

「もしかして、貴方は」

 

強い風が吹いてルークは瞬きをしてしまう。

 

しばらくして目を開けると、そこに誰もいなかった。

 

「今の」

 

――時を待て、いずれ、アイツがやってくる。

 

頭上に響いた声にルークは戸惑うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オビ=ワンとR2、C-3POはジャワ族の亡骸を集めて火葬の準備をしていた。

 

そんな彼らのところへスピーダーに乗ってルークとドラえもんが戻ってくる。

 

二人が戻ってきた事でオビ=ワンは安心した表情を浮かべた。

 

「無事でよかった。もし、キミに何かあればと思うと」

 

「……あの、信じてもらえないかもしれないのですが……父に助けてもらいました」

 

「そうか」

 

戸惑っているルークだが、オビ=ワンは笑みを浮かべて肩を叩く。

 

「驚かない、んですね」

 

「強いフォースの集中を感じた。そして」

 

オビ=ワンは遠くを見た。

 

「懐かしいものだった」

 

そんな彼へルークは強い意志を宿した瞳を向ける。

 

「僕はジェダイになります。父のようなジェダイに……」

 

「そうか」

 

「おじさん達も許してくれています。僕はジェダイになります。貴方についていきます」

 

「よし、行こう」

 

ルークへオビ=ワンが微笑む。

 

離れた所でドラえもん、R2、3POが温かい目を向けていた。

 

 

 




ドラえもんの温かい目は最近、みることのなかったあの温かい目です。

次回、モス・アイズリー宇宙港。




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ならず者達

次回、ようやく宇宙空間へ?


「モス・アイズリー宇宙港……この惑星で腕に自信のあるならず者達が集まる場所。あそこなら腕の良いパイロットと出会えるだろう」

 

「ならず者かぁ、大丈夫かな?」

 

不安の声を漏らすドラえもんにオビ=ワンは微笑む。

 

「わからないなら飛び込むものさ」

 

ウィンクしながら彼らはスピーダーで宇宙港へ入る。

 

モス・アイズリー宇宙港は様々な異星人たちがおり、ジャワ族もいれば、ドロイドやスピーダーバイクで飛び回っている者もいた。

 

スピーダーで周囲をみていたルーク達は検問で止められてしまう。

 

「そのドロイドは?」

 

「数年前に購入したものです」

 

「身分証を」

 

「身分証は必要ないだろ?」

 

手をかざしながらオビ=ワンがトルーパーへ言う。

 

「必要ない」

 

すると、トルーパーは同じ言葉を繰り返す。

 

「異常はなかった」

 

「異常はなかった」

 

「通ってよいかな?」

 

「構わん、さっさといけ」

 

先に行くように促されてスピーダーを走らせるルーク。

 

「今の、何ですか?」

 

「同じ言葉を繰り返していたような?」

 

「フォースを用いた術だよ。意志が弱いものほど、かかりやすい」

 

「へぇ~、じゃあ、意志が強いとかかりにくいってこと?」

 

「そうだ。あのトルーパーは術にかかりやすかった男だということだ」

 

しばらくしてスピーダーを近くの酒場へ停める。

 

「ここが良いかもしれん」

 

オビ=ワンの後に続くルーク達。

 

店内は薄暗く、軽快なリズムの音楽が鳴り響いている。

 

楽しそうに多くの者達が酒や会話を楽しんでいた。

 

ドラえもんやR2が入ろうとすると音が響く。

 

「おい!そいつらはお断りだ」

 

「え?」

 

店主がドラえもん達を指さす。

 

「そいつらは店の中に入れるんじゃない!外へだせ」

 

「わかった……わるいけど」

 

「そうします。ここはよくなさそうです」

 

気弱な3POは店の空気に臆していた。

 

ドラえもんはR2を連れて、店の外へ出ていく。

 

オビ=ワンの後を追いかけてルークは店内へ入る。

 

カウンター席へ腰かけてオビ=ワンは隣のウーキー族と話を始めた。

 

ルークは店主に頼んで飲み物を依頼する。

 

しばらく店内を見渡していると、隣の席で異星人に肩を掴まれた。

 

タトゥイーンから出たことのないルークは目の前の彼?が話している言葉の内容が理解できない。

 

「そうかい」

 

適当に相槌をうって視線を逸らすと肩を叩かれる。

 

振り返ると別の異星人がルークへ話しかけた。

 

「アンタが気に入らないんだと」

 

「そう、悪いね」

 

「俺もお前が気に入らねぇ!」

 

ルークの肩を掴んだ異星人は叫ぶ。

 

「わかってんのか!?俺達はいくつもの星で賞金を懸けられているんだよ!」

 

「そうかい、怖いね」

 

異星人の顔はブラスターか何かの火傷の後がある。

 

この店内のならず者達は賞金をかけられている。

 

そして、自分達のテリトリーに新顔が入ることを気に入らない。

 

何より、嘗められる事が気に入らない。

 

「ぶっころされてぇのか!?」

 

ルークのような若者に嘗められたような態度が気に入らないのだろう。

 

怒り始めた彼へオビ=ワンが止めに入る。

 

「そのくらいにしてくれ、儂が奢るから勘弁してやってほしい」

 

「けぇっ!」

 

オビ=ワンの態度に落ち着いたとみせかけてルークを突き飛ばしてブラスターを手に取る。

 

ブラスターでオビ=ワンを脅すつもりだったのか、殺すつもりなのか、それはわからず終いになる。

 

「おい、店内で争いはやめてくれ!」

 

店主の叫びはより大きな悲鳴でかき消される。

 

腰に下げていたライトセーバーを取り出して刃を展開すると同時に男の腕を斬り落とす。

 

斬り落とした事を確認してライトセーバーを収納する。

 

腕を斬り落とされた男は悲鳴を上げて地面にうずくまる。

 

店内の客達は一瞬だけ静まり返るも、すぐにいつもの喧騒を取り戻す。

 

「大丈夫か?」

 

オビ=ワンは倒れたルークへ手を差し伸べる。

 

「このウーキーが副操縦士を務めている船がよさそうだ。行こう」

 

店主へ謝罪の言葉を入れながらウーキーと一緒についていくオビ=ワンの後をルークは追いかける。

 

「俺の名前はハン・ソロ。ミレニアム・ファルコン号のキャプテンだ。こいつはチューバッカ、副操縦士だ」

 

カウンター席からテーブル席へ移ったルークとオビ=ワンの前にハン・ソロと名乗る男が座る。

 

「アンタら、速い船を探しているんだって?」

 

「あぁ、急いでいてね。オルデランへ向かいたい。キミの船が速いのであれば」

 

「ミレニアム・ファルコン号の事を知らないようだな。ケッセル・ランを12パーセクで駆け抜けた船だ。帝国の宇宙船を出し抜いたことだってある。言っておくが田舎の大型クルーザーじゃない。コレリアの大型船、スターデストロイヤーの事だからな」

 

ニヤリと笑みを浮かべて話すハン・ソロ。

 

腕に自信があるようだが、少しばかり誇張しているのではないかとルークは思う。

 

「スピードについては自信がある。爺さん、積み荷は?」

 

「儂とこの青年、後、ドロイドが三体。質問は一切なしで頼む」

 

「訳アリってことか」

 

「その分、料金は弾むとも」

 

ならず者として活動しているハン・ソロは瞬時に目の前の彼らが厄介ごとを抱えている事を瞬時に見抜いた。

 

「成程、なら前金として10,000クレジット。目的地へついたら残りの10,000クレジットをいただく」

 

「合計で20,000だって!?新しい宇宙船が買える値段じゃないか!他の人を探しましょう!」

 

ルークがソロのふっかけた値段に目を丸くしながら他を探そうと提案する。

 

憤慨しているルークを一瞥しながらソロはオビ=ワンをみる。

 

「とりあえず、前金で20,000払おう。オルデランへついたら追加で15,000払う」

 

オビ=ワンの提案にルークとソロは同時に目を丸くする。

 

ルークは提示した金を用意できるのかと?

 

ソロは自分の提示した金よりもさらに上を用意するといわれて耳を疑ってしまう。

 

「交渉成立のようだな」

 

ちらりとソロは店の入口を見る。

 

「どうやら奴さんらはアンタ達に興味があるようだ。店を出た方がいい」

 

店主と話をしているストーム・トルーパーの一団を指さすハン。

 

「アンタ達が準備出来次第、すぐに飛び立てる。ドッキング・ベイ94だ」

 

トルーパー達と遭遇しないように抜け出していくルークとオビ=ワン。

 

彼らを探すトルーパーが去っていった後、ハンは笑顔でチューバッカへ話しかける。

 

「やったぜ、チューイ!合計で35,000クレジット。借金も返せる!風向きが変わるぜ!すぐに準備しよう!」

 

チューバッカを先に行かせてソロも店を出ようとした時、銃口を突き付けられる。

 

「どこへ行くんだ?ソロ」

 

「やぁ、グリード」

 

ブラスターを突き付けるのはジャバ・ザ・ハットの腰巾着のグリードだ。

 

笑顔を浮かべながらテーブル席へ腰かける二人。

 

ブラスターを突き付けるグリードに対して、ソロは余裕を隠さず、席へ深く腰掛ける。

 

「ジャバは怒っている。お前が帝国を前にして積み荷を放り出して逃げた事にな」

 

「あの時は仕方なかったんだ。帝国に捕まると色々と面倒なことになるからな」

 

「同じ言い訳をジャバの前でできるかな?」

 

「金については目途がついた。すぐに用意できる」

 

「なら、俺に渡せ。俺がジャバへ届けてやる」

 

嘘だ。

 

ジャバの腰巾着たちはどれもが曲者ぞろいだ。

 

信用なんてできるわけがない。

 

目の前のグリードだってそうだ。

 

金を渡せば、そのままとんずらこくか懐へ仕舞いこむ可能性がある。

 

ソロは目の前の相手をどうするか考えて、ゆっくりと腰に下げているブラスターのホルダーを外して、ゆっくりと握りしめる。

 

「悪いが手元にない」

 

「ジャバは怒っている。ジャバに逆らうと賞金をかけられて追いかけられるぜ?」

 

「なら、まずは俺を倒してみるんだな。そうすれば、金の在処がわかるかもしれないぜ」

 

「それは面白い、一度でいいからお前をやってみたかったんだ」

 

「やれるものならやってみな?」

 

挑発した直後、発砲するグリード。

 

ソロは首をわずかに逸らして躱し、隠し持っていたブラスターで頭部を撃ち抜く。

 

爆発して机に突っ伏すグリード。

 

ハンはブラスターをホルダーへ納めると店主へ金を渡す。

 

「迷惑代だ」

 

そういってハン・ソロは店を後にした。

 

 



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宇宙へ旅立つ

「まさか、僕のポケットの中のガラクタが大金になるなんて」

 

「これなら彼らへ払う代金の心配はしなくて済んだな」

 

当初、ルークはタトゥイーンへ戻らぬ覚悟を抱いていた。

 

その為、乗ってきたスピーダーを売り払うも、安く叩かれてしまう。

 

安く叩かれながらもスピーダーを売り払う。

 

その後、躓いた四次元ポケットから出てきたガラクタをみた商人が大興奮して大金を払うと騒ぎ、たくさんのクレジットを入手できた。

 

「しかし、ドラえもんさんのポケットは色々と入っているのですね」

 

「まぁね、僕のポケットは」

 

「四次元空間に繋がっているから無尽蔵に取り出せるのだ」

 

「え?」

C-3POの質問に答えようとしたドラえもんに代わって答えたオビ=ワンに驚く。

 

「どうして、それを」

 

「ルークへ伝えた事と同じで、キミへ伝えないといけない事がある。まぁ、それは船に乗ってからだ」

 

そういって歩いていく彼らを帝国のスパイが静かに尾行していることに誰も気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッキング・ベイ94

 

ミレニアム・ファルコン号の前にジャバ・ザ・ハットと彼を守る為に雇われた者達がいる。

 

「ソロ!出てこい!ソロ!」

 

「ジャバ、俺はここだ」

 

入口にチューバッカと共に現れるハン・ソロ。

 

チューバッカに船の準備を伝えてジャバの隣に立つソロ。

 

「ソロ、お前にはがっかりした。何故、積み荷を捨てた?グリードをなぜ殺した?」

 

流石はタトゥイーンを支配しているハット族。

 

既に彼がグリードを始末している事が伝わっていた。

 

「ジャバ、帝国に睨まれるとマズイことになるのはわかるだろ?隠す手段もなくて、あれしか方法がなかったんだ。グリードは先に攻撃してきた。正当防衛だ」

 

実際は嗾けた感はあるも、言ったもの勝ち。

 

「今回の仕事で大量の金が入る。借金も返せるんだ」

 

「ソロ、俺はお前の腕を高く買っている。借金の残りも返せないようじゃ、賞金をかけることになるぞ」

 

「安心してくれ。必ず返す」

 

そういいながらソロはジャバの尻尾を踏んで回り込む。

 

「返せなければ、銀河にお前の居場所はなくなるからな!」

 

「ジャバ、お前は良い男だよ!」

 

行くぞ!と言ってならず者たちを伴ってベイを後にするジャバ。

 

「その場凌ぎの口八丁、果たして、どこまで通じるかね?」

 

ソロがファルコン号の準備をしようとしたところで声をかける者がいた。

 

振り返るとマンダロリアンのアーマーを纏った男が立っている。

 

「見ていなかったか?うまくいっただろう?」

 

「口先だけの誤魔化しだ。いずれボロが出る」

 

「お節介、どうも」

 

「一応、警告はしておいてやる」

 

肩に愛用しているブラスターをこつこつとぶつける。

 

「ジャバ・ザ・ハットの借金は早急に返すことだ。奴がお前に賞金を懸けたら俺は迷わず、お前を狩りに行くからな」

 

「やれるもんならやってみな」

 

「フン」

 

もう会話は不要という風に彼は去っていく。

 

「大丈夫だ。金さえ手に入ればなんとかなる」

 

心配して小さく唸るチューバッカ。

 

「さぁ、準備だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、これ、ボロ船じゃないか!」

 

ルーク達がドッキング・ベイ94に到着して最初に抱いた感想がそれだった。

 

「見た目よりも中身で勝負だ!準備は出来ている。さぁ、入りな」

 

「よろしく頼む」

 

「うわー、大きな船」

 

「私、宇宙は苦手です」

 

ぞろぞろとミレニアム・ファルコンへ乗り込む。

 

最後のチェックを終えたソロは入口からブラスターを手にして現れるストーム・トルーパーに気付く。

 

「撃てぇ!」

 

部隊長の合図と共に撃たれるブラスター。

 

ソロは躱しながらブラスターで反撃して、ファルコンへ乗り込む。

 

「チューイ!発進準備だ!」

 

慌ただしく操縦席へ向かうソロをみながら3PO達は用意されているシートへ深く腰掛ける。

 

操縦席に入り込んだソロはファルコン号を飛行態勢にした。

 

猛スピードでタトゥイーンの大気圏を突破する。

 

ルークとオビ=ワンが操縦席の方へ向かい、残っていた3POがドラえもんへ話しかける。

 

「そういえば、ドラえもんさん宇宙旅行は何度か?」

 

「まぁ、何度か経験しているけど、こういった船に乗っては少ないかな」

 

激しく船が揺れる。

 

「何か起こっているのかな?」

 

「さぁ、私、宇宙旅行は好きでないのです。戦闘などもってのほか、私、通訳ドロイドなので」

 

他愛のない話をしていた頃、ミレニアム・ファルコンは帝国の戦艦の目の前でハイパースペースに入った。

 

 

 

「総督、オルデランへ到着しました」

 

将校の一人がターキンへ報告する。

 

デス・スターの展望室へストーム・トルーパーと共に連行されてくるレイア、そして、しずか。

 

スネ夫とジャイアンの二人は拷問に疲弊しており、連れてくることが出来なかった。

 

「ターキン総督、こんなところへ連れてきて何の用かしら?」

 

「最後まで気丈ですな、レイア姫、そちらのお嬢さんも」

 

びくぅと怯えるしずかを守るように立つレイア。

 

同じ独房へ入れられていることもあり、友好関係を築いていた。

 

「レイア姫、このバトルステーションのオープンセレモニーへご招待したかったのですよ。そちらのお嬢さんも運が良い。帝国の栄光が続く瞬間を見られる。このステーションがある限り、皇帝の栄光は続くのです」

 

舞台の役者の様に両手を広げてステーションの事を話すターキン。

 

惑星クラスの大きさのステーションは強力な攻撃力、そして、防御力と機動性を兼ね備えていることは明白だった。

 

「それは間違っておりますわ。総督、拳を強く握りしめれば締めるほど、零れ落ちる星系が増えるのよ」

 

「このステーションの力を知れば、逃げよう、逆らうと考える者達もいなくなるでしょう。さて、レイア姫!反乱軍の拠点はどちらか?」

 

「知りませんわ」

 

「そうか、照準をオルデランへ」

 

「やめて!あそこは平和な惑星よ!」

 

「では、反乱軍の基地はどこか?」

 

「知らないわ」

 

ターキンはさらに詰め寄る。

 

「この問答をするのも疲れてきたので最後にしましょう。反乱軍の基地はどこか?答えなければオルデランを標的とする!」

 

「………………ダントゥインよ。基地はダントゥインにあるわ」

 

「みたか?姫は反乱軍と繋がりがあると白状したぞ!さぁ、オルデランへ標的を設定だ」

 

「何ですって!?」

 

「そんな、酷いわ!」

 

安心していたレイアは目を見開いて詰め寄ろうとするがベイダーに阻まれてしまう。

 

しずかも非難の声を上げる。

 

「ダントゥインは遠すぎる。このステーションの力を魅せる為にここまできたのです。ご安心を反乱軍のご友人もすぐに後を追います」

 

暴れるレイアをストーム・トルーパー達が抑えながら二人を連行する。

 

デス・スターのレーザー砲へエネルギーが装填されていく。

 

眩い光がオルデランへ放たれた瞬間。

 

オルデランは大爆発を起こして消滅する。

 

「進路をダントゥインへとれ、姫と三人は処刑する」

 

 

 

 

 

タトゥイーンからハイパースペースで帝国の追跡を振り切ったミレニアム・ファルコン号の中でルークはオビ=ワンからジェダイの騎士としての指導を受けていた。

 

自立駆動するポッドから放たれるレーザーをライトセーバーで防ぐというものだが、オビ=ワンの得意とする防御の型に設定されている為、発射されるレーザーの速度はとても速い。

 

ルークは動きを見極めながらレーザーをライトセーバーで弾こうと右へ左に刃を動かす。

 

「帝国の追手を振り切ったぜ……感謝してくれてもいいんだぜ?」

 

「ありがとうございます。ハン・ソロさん」

 

皆が思い思いの事をしている中で唯一、ドラえもんだけがソロに感謝した。

 

「つっう!」

 

レーザーがルークの腰に直撃して苦悶の声を漏らす。

 

「目でみるのではない。フォースを感じて、力に変えるのだ」

 

オビ=ワンは目隠しがセットされているヘルメットをルークにかぶせる。

 

「困ったな。これじゃあ、何も見えないよ」

 

「見るのではない。フォースを感じるのだ。フォースに身を委ね、力を借りる。そうすればみえなくても防ぐことはできる」

 

「宇宙の色んなものをみてきたが、そんな魔法みたいなことは信じられないな」

 

話を聞いていたソロがフォースを信じられないという。

 

「さぁ、やってみるんだ」

 

オビ=ワンに促されてヘルメットを被って身構えるルーク。

 

言われた通り、フォースを感じる為に意識を研ぎ澄ます。

 

ポッドからレーザーが発射される。

 

瞬間、ルークがライトセーバーで防ぐ。

 

二発目、三発目と次々と発射されるレーザーをライトセーバーで弾き飛ばす。

 

目の前で行われた事に流石のソロも言葉を失う。

 

ニヤリとオビ=ワンは笑みを浮かべた。

 

「今の感覚が……」

 

「まずは第一歩というところだな」

 

「はい!」

 

やれやれと肩を竦めてソロはテーブルの方をみる。

 

そちらでは3POとR2がチューバッカとゲームをしていた。

 

R2の操作する盤上のモンスターがチューバッカのモンスターを倒す。

 

モンスターが倒されるとチューバッカが非難の声をあげる。

 

「ゲームなんだから、そんな声をあげるなよぉ」

 

「ウーキーを怒らせるのは賢明とはいえないな?」

 

「ドロイドを怒らせるのも賢明ではないかと」

 

「……どうして、ウーキーを怒らせてはいけないんですか?」

 

気になったドラえもんがソロに尋ねる。

 

ソロはニヤリと笑って説明する。

 

「ドロイドは怒っても腕を引きちぎらないだろうが、ウーキーは怒ったらやるぜ?」

 

とある酒場でチューバッカを怒らせた賞金稼ぎがあり、哀れ、その男の片腕は本体とさよならをしたらしい。

 

その話を聞いてドラえもんは青ざめ、話を聞いていた3POはR2へ新たな作戦を指示する。

 

そう、チューバッカを勝たせる作戦だ。

 

話を聞いてチューバッカは満足したように小さく鳴く。

 

ドラえもんは頃合いを見計らってオビ=ワンへ話しかける。

 

「あの、オビ=ワンさん」

 

「何かな?」

 

「あの、どうして……四次元ポケットの事を?」

 

「……もう昔の話だ。クローン戦争中、キミの持つポケットと同じものを使っていたジェダイの騎士がいた。彼は騎士でありながらブラスターを使うガンマンでもあった。多くの命を救ったジェダイであり、私やルークの父にとって大事な親友だった」

 

「それって」

 

「そうだ。ノビタ・ノビはキミの事も話していたよ。ネコ型ロボットの親友、キミの事を」

 

「……のび太君の事を知っているんですね!?のび太君は今、どこに?」

 

「すまない。ムスタファーという所の最後の戦い以来、会っていないんだ。生きているのか、死んでいるのかも」

 

「そんな……」

 

「力になれず申し訳ない。だが、彼といずれ会える。そう思えるのだ」

 

急にオビ=ワンの表情が曇る。

 

「オビ=ワンさん?」

 

「どうしたの?」

 

ライトセーバーの刃を仕舞ってルークが尋ねる。

 

「フォースの乱れを感じた」

 

「乱れ?」

 

「突然、無数の悲鳴が起き、一瞬に掻き消えたような……何かが起きた」

 

オビ=ワンは額の汗をぬぐいながらルークへ訓練を続けるように促した。

 

 

 

 

 



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デス・スター

今回から、ドラえもんの見せ場も少々。

個人的な見解を一つ。

世代によって大山さん、水田さん、どちらの声が~っていうのがあるかと思いますが、自分は両方の世代が好きなので、話の内容において、どちらでもイメージできるようにしつつ、書いています。

偶にどちらかへ傾いているかもしれませんが……。

ちなみに、今回は大山版要素が多めかもしれません。




「おい、こりゃ、どういうことだ!?」

 

ミレニアム・ファルコン号がハイパースペースを抜けた所、大量の隕石群の中に突入してしまう。

 

「オルデランについたんじゃないのか?」

 

「その、オルデランがなくなったんだよ!?」

 

「計算を間違えたんじゃないのか!」

 

叫ぶルークにソロは首を振る。

 

「座標に間違いはない!」

 

叫ぶチューバッカ。

 

「帝国が吹き飛ばしたんだ」

 

「丸ごと吹き飛ばすなんてできっこないぜ」

 

オビ=ワンの言葉をソロは否定する。

 

「船がくる!」

 

「交信を試みる?」

 

「帝国の戦闘機だ」

 

ファルコン号の傍をTIE・ファイターが通過する。

 

「追ってきたんだ!」

 

「あれは短距離戦闘機だ。近くに基地はないぜ」

 

「報告されたらまずいよ」

 

「チューイ、通信妨害」

 

「無駄だ、追い付けない」

 

追いかけようとするファルコン号の動きを止めようとするオビ=ワンだが、ソロは速度を上げる。

 

「もうすぐだ」

 

「おかしい、一機だけが飛んでいるなんて」

 

「はぐれたのかもしれない」

 

「すぐに片づけてやる」

 

ルークはTIE・ファイターがある方向へ進んでいることに気付く。

 

「あの衛星に向かっている」

 

「あそこに帝国の基地が?」

 

「衛星ではない、宇宙ステーションだ」

 

「デカすぎるぜ!」

 

運び屋として帝国と遭遇することのあるソロも惑星規模のステーションをみるのは初めてで、最初は信じられなかった。

 

「嫌な予感がする」

 

「引き返そう」

 

「その方がよさそうだ」

 

ソロがミレニアム・ファルコンを反転させようとするが牽引ビームによってどんどん宇宙ステーションに引き寄せられてしまう。

 

「戦う準備だ」

 

「勝てはしない。別の方法を考えよう」

 

ミレニアム・ファルコン号はデス・スターの牽引ビームによってベイ327に強制的に着陸させられてしまう。

 

ベイ327の前に待機するストーム・トルーパー達。

 

報告を受けたベイダーは部下を伴ってベイ327へやってきた。

 

「船に誰も乗っていません」

 

先に調査をしていた将校が報告をする。

 

「ドロイドは?」

 

「いいえ、脱出ポッドがありませんでした。既に逃げたのかも」

 

「探査機を入れて徹底的に調べろ」

 

「イェッサー」

 

「…………何かを感じる。昔感じたような……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーク達はファルコン号の二重底の中にいた。

 

「密輸品を隠すための二重底だ。こういう時の為に用意しているのさ」

 

「それで、これからどうするのさ?」

 

「よくある手だが」

 

 

オビ=ワンの提案でトルーパーのアーマーと装備を奪い、施設の一部を占拠する。

 

「ハデに撃ちすぎだよ!騒ぎに気付かれたら見つかってしまう」

 

「コソコソするのは苦手でね」

 

ルークの非難の声にソロは肩を竦めながらトルーパーのヘルメットを脱ぐ。

 

R2が外部端子に接続して情報を調べ始める。

 

牽引ビームのシステムを調べたところ、設備の一角をオフにすれば牽引ビームは機能しなくなるという。

 

「私が行く」

 

「僕も」

 

「キミはここでドロイドを守れ、あれを奪われたら多くの星が滅びる羽目になる……」

 

オビ=ワンはルークの肩を優しく触れる。

 

「キミは私と違う運命を歩むのだ。フォースはいつもキミと共にある」

 

そういうとオビ=ワンは外に出ていく。

 

「化石みたいな爺さんだぜ」

 

「偉大な人だ!」

 

「まぁまぁ、ここで僕達がもめても」

 

ドラえもんが止めようとしたところでR2が大きな音を鳴らす。

 

「どうしたんだ?」

 

「それが、しきりにみつけた、みつけたと叫んでいます。どうやら彼女がここにいるようです」

 

「彼女……まさか、レイア姫か!」

 

3POの報告に驚くルーク。

 

「待て、待った!何の話だ!」

 

事情を知らないソロは困惑する。

 

「それと、他に三人、宇宙狐みたいな奴、ウーキーみたいな奴、女の子がいるそうです」

 

「まさか、その三人は!」

 

ドラえもんはこのステーション内に宇宙でちりぢりになったスネ夫、ジャイアン、しずかの三人ではないかと考える。

 

「レベル5 監房AA-23…………もうすぐ処刑されます」

 

「助けなくちゃ!」

 

「バカをいうな」

 

「ドロイドの持ち主だよ!」

 

「爺さんはここにいろといったぜ」

 

「どうやっていけば」

 

「俺はここにいるぜ」

 

「何だって?さっきまでここにいたくないっていっていたじゃないか!」

 

シートへ腰かけるソロへルークが詰め寄る。

 

「監房へ突っ込むよりマシだ」

 

「姫が殺される!」

 

「知るか!」

 

ルークは少し考えてあることをソロへ告げる。

 

「金持ちだよ」

 

「金持ち?」

 

「助ければ、報奨金がでる」

 

「……どのくらい?」

 

「腰を抜かすほどだよ」

 

「ウソついたら承知しないぞ」

 

「話がまとまったみたいだし、いよいよ、僕の道具の出番だ!」

 

ソロがやる気を見せたところでドラえもんは四次元ポケットへ手を入れる。

 

「片づけラッカー!これを吹きかけると目にみえなくなる。これで独房まで一気にいけます」

 

「本当かよ?」

 

疑うソロの前でドラえもんが試しにと自分にかける。

 

するとドラえもんの姿がみえなくなった。

 

「凄い、本当にみえないや」

 

「ドラえもんさんは、凄い能力をお持ちなのですね」

 

「これで監房まで問題なく進める」

 

片づけラッカーを使ってルーク、ソロ、チューバッカ、ドラえもんの四人は監房までの道を進む。

 

何かあれば、連絡できるように3POに通信機を預ける。

 

「しかし、みえないのは良いが、こっちの姿がみえないから迷わずにぶつかってこられるのは面倒だな」

 

エレベーターまでの間に何度か帝国の将校とぶつかりそうになったのでソロが悪態をつく。

 

「ここまで問題なくこれたけど、次は……」

 

どうするかというところで後ろのドアが開かれる。

 

開かれると同時に姿の見えないソロがブラスターを撃つ。

 

突然の敵襲に看守達は驚き、手あたり次第、ブラスターを撃つも、次々とソロとチューバッカの二人によって迎撃システム含めて破壊されてしまう。

 

「いきなり、ドンパチなんだもんなぁ」

 

ドラえもんは驚きながらルークと共に独房へ向かう。

 

独房を開けてルークが中に入ると、怯えた様子のスネ夫、ジャイアン、しずか、そして、横になっているレイア姫がいる。

 

「トルーパーにしては小柄ね」

 

「え?あ、この格好か」

 

ルークはヘルメットを脱ぐ。

 

「僕はルーク・スカイウォーカー、貴方を助けに来ました!ベン・ケノービも一緒です」

 

「どこに!」

 

「みんな!無事だったんだね!」

 

「「ドラえもん!」」

 

「ドラちゃん、無事だったのね!」

 

ルークの後ろにいたドラえもんをみて、怯えていた三人も喜びの表情を浮かべる。

 

「いやいや、無事でよかった」

 

「仲良しこよしは後にしろ!敵がくるぞ!」

 

ブラスターを撃ちながらソロが後退してくる。

 

「ドラえもんに出会ったと思ったらどうゆうことだよ!」

 

「悪いけど、詳しい話はあと!今は逃げないと」

 

「3PO!出口は!」

 

『警戒態勢が敷かれており、中央口以外ありません。情報も遮断されていて』

 

「出口はないみたいだ!」

 

「ドラえもん!何とかしろよ!」

 

「何とかって……どこに繋がるかわからないけど、通りぬけフープ!」

 

通りぬけフープを地面にセットする。

 

「どこに繋がるんだよ!?」

 

「わかるわけないでしょ!少なくとも、宇宙空間に放り出されるなんてことはない!」

 

「何ボーッとしているの、さっさと行くわよ!シズカ、行くわよ」

 

「はい!レイアさん」

 

ルークからブラスターを奪ったレイアが撃ちながらフープの中へしずかと共に入る。

 

「元気のある姫さんだ」

 

殿をしていたソロがフープへ飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奴がきています」

 

「オビ=ワン・ケノービが生きているだと?バカな。奴は死んだ。すべてのジェダイが死んで、キミだけが生き残った」

 

帝国樹立後、ジェダイは反乱者として処理された。

 

稀にジェダイを名乗る者達もいるが、それらはベイダーと彼の配下によって粛清されている。

 

それが帝国にとっての事実だった。

 

「フォースの力を侮ってはなりません」

 

「この騒動も彼の仕業だと?」

 

「間違いありません。奴は私が始末します」

 

「ならば、任せる。姫を奪われたとしても、このステーションから逃れることはできない」

 

ターキンと会話を終えた所でベイダーは外に出る。

 

彼はフォースを通して、オビ=ワン・ケノービが生きていることを察した。

 

――奴は必ず儂の手で始末する。

 

フォースを操り、ベイダーは目的地へ向かう。

 

決着をつける為の場所へ。

 

 

 

 



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希望を託して

ようやくここまできました。

賛否両論あるでしょうが、このまま行きます。





 通りぬけフープを使って監房から脱出したルーク達は幸運にも別のフロアにたどり着いていた。

 

 トルーパーを警戒しながらアーマーを脱ぐルークとソロ。

 

 装備を確認しているレイア。

 

 ドラえもんはしずか達と情報の共有をしていた。

 

「そうか、三人は帝国に捕まっていたんだね」

 

「レイアさんに聞いたけど、帝国は銀河を支配しているって」

 

「武力で支配しているんだ。それに反抗している人達もいる。僕とルークさんはここにいないオビ=ワンさんと一緒にオルデランへ向かう途中で、このステーションに引き寄せられたんだ」

 

「どうやって脱出するんだよ」

 

「オビ=ワンさんがこの基地の牽引ビームを解除してくれるから、僕達がのってきた船で逃げるんだ」

 

「よし!ドラえもん、何か道具をだしてくれ」

 

「毎度おなじみ、空気砲、ショックガン、ひらりマント……でも、みんな、気を付けて、これは遊びなんかじゃない。一歩間違えたら命の危険に繋がるから」

 

 彼らのやり取りを見てレイアは不思議そうに傍にいたソロへ尋ねる。

 

「ねぇ、あの青いドロイドはなに?見たことのないものを出しているけど」

 

「さぁね?俺も出会ったばかりで知らない。あっちへ聞いてくれ」

 

 話をしていると警報が鳴り出して怯えるチューバッカ。

 

「全く」

 

「気付かれる!」

 

 レイアが止めるのも聞かずにブラスターで警報装置を破壊する。

 

「貴方がどこの誰か知らないけれど、これからは私の命令に従ってもらうわ!」

 

「冗談じゃない!俺は俺の好きなようになる!あんたの指図は受けない!」

 

 もめ始める二人。

 

 ルークは呆れながら通信機で3POへ連絡を取る。

 

「自己紹介は後にして、まずはファルコン号へ戻るんだ!」

 

 ひみつ道具を手にとり通路を歩いていたところでトルーパーの集団と装具する。

 

「ドカン!」

 

 咄嗟にドラえもんが空気砲を使う。

 

 空気砲を受けて倒れるトルーパー達。

 

「先に行け!ここは俺とチューイに」

 

「俺も手伝うぜ!」

 

 ソロの後にひらりマントを手に続くジャイアン。

 

「三人で引き受ける!」

 

「行くわよ!」

 

 レイアがしずかに手を引いて、ルークの後をドラえもん、スネ夫が追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牽引ビームのシステムをオフにしたオビ=ワンはルーク達と合流するためにファルコン号があるベイ327へ向かっていた。

 

 彼は強いフォースを感じて腰に下げていたライトセーバーを手に取る。

 

 通路の真ん中にライトセーバーを抜いて立っているダース・ベイダーの姿があった。

 

 ベイダーの姿を見て、静かにライトセーバーを構えるオビ=ワン。

 

「待っていたぞ、オビ=ワン、ついに再会したな。宿命の環が閉じる。儂はさらなる力を手にした」

 

「悪の力を、か」

 

 二人は同時にライトセーバーを振るう。

 

「力が衰えたな」

 

 数回のセーバーで斬りあい、ベイダーは察する。

 

 オビ=ワンは歳をとった。

 

 技術は衰え、昔ほどの力はない。

 

「お前は勝てん、打ちのめしても私はさらに強くなる」

 

 だというのに、オビ=ワンは余裕の表情を崩さない。

 

「殺されに戻ったか?」

 

 振るった一撃が躱されて、青い刃がベイダーの肩を掠める。

 

「お前に負ける私ではないぞ。この悪魔め」

 

 再びライトセーバーの剣激がぶつかりあう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、無事に合流した彼らはファルコン号のある場所の近くまで来ていた。

 

「ドラえもん」

 

「ジャイアン、無事だったんだね?」

 

「俺様があの程度で負けるわけないぜ?でも、ひらりマントがボロボロだ」

 

 多くのブラスターをかわしたひらりマントだが、流石に数が多かった事もありところどころ破けている。

 

「あれがドラちゃん達の乗っていた船?」

 

「ソロさん達のミレニアム・ファルコン号だよ」

 

「うわぁ、カッコイイ」

 

「良いデザインだぜ」

 

 ファルコン号をみて感嘆の声を漏らすスネ夫とジャイアン。

 

 しかし、レイアは目を丸くしている。

 

「あんなボロ、良く飛べたわね」

 

 トルーパー達の意識が向いていない隙をついて、全員でファルコンへ向かう。

 

「ベン?」

 

 途中、ダース・ベイダーと戦うオビ=ワン・ケノービの姿を見つける。

 

 オビ=ワンはルークをみると、笑みを浮かべて上空へ掲げるようにライトセーバーを構えた。

 

 好機とみたベイダーの一撃がオビ=ワンを捉える。

 

 瞬間、オビ=ワンの体が消えて、ジェダイローブとライトセーバーが床へ落ちた。

 

「ベン!」

 

「ルーク!急いで!」

 

 ブラスターを構えて叫ぶルーク。

 

 気付いたトルーパー達へ撃つルーク。

 

 レイアとしずかがルークをファルコンへ連れて行こうとした時、反対側の通路から一人の男が現れる。

 

 赤い瞳をランランと燃やした男は腰に下げていたダブル=ブレードライトセーバーを起動した。

 

「くそっ!」

 

 最初に気付いたソロがブラスターを撃つがライトセーバーに弾かれてしまう。

 

「尋問官よ!ベイダー卿直属、帝国で最強の実力を持っているわ」

 

「情報ありがとよ!」

 

「この!」

 

「ドカン!」

 

 ドラえもんが空気砲、スネ夫がショックガン、チューバッカやレイアもブラスターで応戦する。

 

 しかし、それらすべてを弾かれたばかりか、フォースプッシュで皆がなぎ倒されてしまう。

 

「これはまずい、すぐに逃げよう!」

 

 ソロは分が悪いと判断して急ぎ足でファルコン号へ乗り込む。

 

 ルークはオビ=ワンが殺された事に怒りを感じながらブラスターを撃つ。

 

 しずかがルークの腕を掴む。

 

「ルークさん!逃げましょう!レイアさん達を連れてここから逃げないと!」

 

 ちらりとしずかを見て、ルークは冷静さを取り戻したのか、ファルコンへ向かおうとする。

 

「逃がすか」

 

 尋問官が笑いながら地面を蹴り、しずかの眼前に降り立つ。

 

 しずかがショックガンを構えるもダブル=ブレードライトセーバーによって先端を斬り落とされる。

 

「シズカ!」

 

「しずかちゃん!」

 

 レイアがファルコン号のハッチからブラスターを構えるが間に合わない。

 

「帝国に歯向かうものは死ね!」

 

 尋問官がセーバーの刃を振り下ろす瞬間。

 

「む」

 

 オビ=ワンの亡骸を探していたベイダーは強いフォースを感じ取る。

 

「強いフォースの集中……何だ、これは、この感覚は」

 

 ベイダーが慄いていた瞬間。

 

 オビ=ワンのライトセーバーが回転して飛んでいく。

 

 ライトセーバーを手が掴んだ。

 

 手から徐々に光が集まっていき、まるでその場に元からいたようにフードで素顔を隠した人物がゆっくりと現れる。

 

 その光景にレイアやドラえもん、セーバーを振り下ろそうとしていた尋問官すら動きを止めた。

 

「貴様、何者だ」

 

 赤い刃を向けながら問いかける尋問官。

 

「ジェダイの騎士」

 

 フードを被った人物を脅威と判断した尋問官が標的をしずかから切り替える。

 

 ダブル=ブレードライトセーバーを振り上げる。

 

 オビ=ワンのライトセーバーを起動して攻撃を防ぐと地面に落ちているトルーパーのブラスターを片手に取り、振り返らずに発砲する。

 

 ブラスターの光弾が操作パネルを壊してベイに侵入しようとしたダース・ベイダーを隔壁が阻む。

 

「愚かな、ジェダイは滅びた。生きていたとしても我々、尋問官がすべて始末する」

 

「……僕がキミ達を倒して、これから殺されるかもしれない多くの命を救う!」

 

 尋問官の前でライトセーバーを振り上げると共にダブル=ブレードライトセーバーの片側の刃を破壊する。

 

 驚く尋問官の顔へフォースプッシュを放つ。

 

 多くのトルーパーを巻き込んで倒れる尋問官。

 

「だけど、まずはここから脱出する」

 

 ジェダイの騎士と名乗った彼は呆然としているしずかとルークの手を引いてファルコン号の中へ入る。

 

「発進するぞ!牽引ビームが解除されていることを祈っている」

 

 チューバッカと共にソロはファルコン号を操作してデス・スターから高速で脱出する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オビ=ワンは死んだ」

 

 足元のジェダイローブを足蹴にしながらベイダーは閉ざされている隔壁をみる。

 

 最後のジェダイマスターである彼が死ねば、後は取るに足らない存在、尋問官によってジェダイ残党は根絶やしにされるだろう。

 

 そう、考えていた。

 

「だが、余計な者が現れた」

 

 グググとセーバーを握る手に力が入る。

 

「間違いない、あのフォース……奴だ!」

 

 黒い仮面に覆われている中でベイダーの瞳は激しい憎悪の炎を灯す。

 

「オビ=ワン・ケノービ、奴に希望を託したのだろう、だが、すべては無駄な事、儂が、すべてを葬ってやろう。このように!!」

 

 怒りを吐き出すようにライトセーバーを目の前の隔壁に乱雑に叩きつけるベイダー。

 

 様子を伺おうとしていた将校とトルーパー数名は彼の怒りが発散されるまで、しばらく近づかないようにした。

 

「ノビタ・ノビ……貴様は必ず殺す!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベンが……」

 

 シートに腰掛けているルークはオビ=ワンが死んだことにショックを受けていた。

 

 レイアはルークへ何と声をかけていいかわからず困惑している。

 

「彼はキミに希望を託したんだ」

 

「希望を?」

 

 落ち込んでいるルークへ声をかける。

 

「そうだ。彼はキミがジェダイの騎士になって銀河の平和を取り戻すと信じて、後を託したんだ……」

 

「助けてくれたことに感謝はしているわ。でも、貴方は誰なの?」

 

 レイアは警戒を抱きながら目の前の人物へ尋ねる。

 

 ジャイアンは気づかれないようにブラスターを手に取って、身構えていた。

 

「……僕はマスターケノービと同じ、ジェダイの騎士」

 

 彼はフードをとる。

 

 フードの中から覗く素顔にドラえもんは目を丸くする。

 

 成長しているがかつての面影が残っている。

 

 見間違えるわけがない。

 

 彼は。

 

「僕はノビタ・ノビ……久しぶり、ドラえもん、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫」

 

「「のび太!?」」

 

「のび太さん!?」

 

「の、のび太君!?」

 

 フードを脱いだのび太は小さく微笑みながら再会を喜ぶ。

 

「え、でも、のび太君がジェダイ!?どういう」

 

「積もる話もあるけど、まずは」

 

 ちらりとのび太が近づいてくる足音の方へ視線を向ける。

 

「追手が来る。手伝ってくれ」

 

 レイアが行こうとしたがルークがファルコン号に設置されている砲台の場所まで走る。

 

「この騒動が終わってからかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無事に敵を撃退したよ」

 

「お疲れ様です。ルークさん」

 

 ハン・ソロとルーク・スカイウォーカーの手によって追手を撃退して一息をつけることになった。

 

 皆が喜んでいた時、グゥゥゥゥゥゥと大きな音が鳴る。

 

「何の音だ?」

 

「悪い、俺だ。閉じ込められてから碌に飯食ってなくて」

 

 苦笑しながら答えるのはジャイアン。

 

 ジャイアンのお腹の音に全員が笑みを浮かべる。

 

 先ほどまでオビ=ワンが死んだことでショックを受けていたルークも笑顔だ。

 

「じゃあ、ご飯にしようか」

 

 ドラえもんが四次元ポケットに手を入れてグルメテーブルかけを取り出す。

 

「待ってましたぁ!」

 

「いやぁ、まともなご飯が食べられる」

 

「そんな布切れを食べるのか?」

 

 ソロの言葉にドラえもんは苦笑しながらメニューを告げる。

 

 カツ丼、ステーキ、大盛ナポリタン。

 

 次々と現れた料理にソロだけでなくレイアとルークも目を丸くしていた。

 

「これは素晴らしいですね」

 

 3POとR2が感嘆の声を上げる。

 

「いやぁ、久しぶりだね。この料理も」

 

 のび太は笑みを浮かべながら座って料理を手に取る。

 

 皆も料理を手に取って食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のび太君、今までどこで何をやっていたの?」

 

 ドラえもん、しずか、スネ夫、ジャイアンの四人は食事を終えるとのび太へ尋ねる。

 

 のび太は閉じていた瞳を開ける。

 

「スネ夫に映画の自慢をされて悔しかった僕はタイムマシンに乗って未来へ向かおうとしたんだ。そこで、時空乱流に巻き込まれて、気付いたらこの銀河へ来ていた」

 

「映画の自慢?あぁ、あれか」

 

「ね、ねぇ、その映画の事でみんなに伝えないといけないことがあるんだ」

 

 おずおずとスネ夫が告げたのは宇宙救命ボートを襲撃した船の事、それらを公開予定だった映画と似ているという。

 

「STARWARSっていう映画なんだけど」

 

「……もしかしたら」

 

 スネ夫の言葉にドラえもんはある可能性を考える。

 

「前にアラビアンナイトの世界へ入るためにバグダットへ行った事があったよね?物語に登場した人物たちと繋がりがある場所、そこへ向かったことで物語の世界へ入り込んだ。もしかしたら、その時と同じような――」

 

「これが映画の世界であったとしても、ここで生きている人達は皆、本物だよ」

 

 ドラえもんの言葉を遮ってのび太が真剣な言葉で告げる。

 

「当たり前のように生きて、死んでいく。ここが映画とか、そういうことは関係ないよ」

 

「のび太さんの言う通りだと思うわ」

 

「だな」

 

 同意するしずかとジャイアンにのび太は感謝する。

 

「それより、のび太君。キミは今までどこにいたの?オビ=ワンさんに聞いたらクローン戦争に参加したって、それにジェダイの騎士って」

 

「……僕とアニーはシスの暗黒卿と戦った。けど、敵が強くて、僕達は命を捨てる覚悟で戦いを挑んだ結果、フォースの爆発で僕はフォースの中に飲み込まれてしまったんだ」

 

「どういうことだ?」

 

 ぽかんとするジャイアンに「こことは違う世界に飲み込まれちゃったんだ」と説明する。

 

「じ、じゃあ、どうやって、ここに戻ってこられたんだ?」

 

「マスターケノービのおかげだよ」

 

 のび太はオビ=ワンのライトセーバーを手に取る。

 

「マスターケノービがフォースと一体化する瞬間、彼の強い思いが僕に届いた。そして、僕はフォースの中から戻ってこられた」

 

「どんな、世界だったの?」

 

「皆が笑顔で幸せの世界だった。リルルやピッポ、ルリやフー子、いなくなったみんなが笑顔で幸せな日々……僕は徐々に、この世界の事を忘れていたんだ。でも」

 

 ドラえもんに触れる。

 

「ドラえもんやしずかちゃん、ジャイアンやスネ夫にまた出会えて僕は嬉しい」

 

「僕も」

 

「心の友、助けに来たつもりが、助けられちまったな」

 

「ま、まぁ、のび太のくせに元気そうでよかったよ」

 

「ありがとう、のび太さん」

 

 再会を喜ぶ一同。

 

「なぁ、のび太、俺達もフォースって奴は使えるのか?」

 

 落ち着いたところでジャイアンがのび太へ尋ねる。

 

「え?」

 

「いやよう、ジェダイの騎士っていうのはフォースを操るんだろ?俺達もできたら役に立つのかってな!」

 

「そうそう!ぼくちゃんだって」

 

「それは、厳しいかな?フォースを操るってことはフォースの流れを理解しないといけないから、ジャイアンとスネ夫はその術をわかっていないし、長い年月を経てマスターしているから、そうやすやすとはいかないよ」

 

「なんだ~」

 

「ちぇっ」

 

「しかし、驚きだ。ドジで飽きっぽいのび太君から特訓って言葉が出るなんて」

 

「まぁ、僕も三十歳くらいになれば、色々と思うよ」

 

「「「「三十歳!?」」」」

 

「フォースの中にいた時間は老化していないんだけど、もし、普通に生きていたら四十歳か五十歳くらいになっていたかもね」

 

「……マジかよ」

 

「驚き」

 

「再会したと思ったらまさか」

 

「そういえば、みんなはどうやってこの銀河へ?」

 

 ファルコン号が目的地へ着くまでの間、情報を交換し続けた。

 

 




すべてはフォースで片付ける。

フォース万能説でいきます。




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再会と出撃

 

 ミレニアム・ファルコン号はレイアの指示を受けてヤヴィン第四衛星へ来ていた。

 

 この衛星に反乱軍の秘密基地があるのだ。

 

 ファルコン号は誘導に従って基地へ着陸する。

 

 基地内は多くの兵士がおり、整備士が格納庫に置かれているXウイングやYウイングが置かれていた。

 

「うへぇ、戦闘機がいっぱい」

 

「カッコイイデザインだなぁ」

 

「……随分と小型機が多いな」

 

 ジャイアンとスネ夫が感嘆とした声を漏らす横でのび太はずれた事を呟いていた。

 

 司令官と合流したレイアはR2に隠したデス・スターの設計図解析を依頼する。

 

 手持無沙汰になったのび太達。

 

 ソロとチューバッカは礼金を受け取るために離れている。

 

「反乱軍ってことは帝国と戦っているってことだよね?」

 

「帝国は多くの惑星に圧制を強いているからそれに抗う為に結成しているんだ」

 

「……これも、僕達が負けたから、か」

 

 ぽつりとのび太が呟いた直後。

 

 大きな音を鳴らしながら一体のアストロメク・ドロイドが近づいてくる。

 

「なんだ?このちっさいの」

 

「R2ちゃんにそっくりだわ」

 

「同じタイプのドロイドじゃないかな?」

 

「いたぁ!」

 

 近付いてきたドロイドはドラえもんを突き飛ばすと嬉しそうにのび太へ駆け寄ってくる。

 

「もしかして、R3……R3なの!?」

 

 喜びの声を上げるドロイドR3。

 

「おい、R3、どこへ……!?」

 

 どこかトルーパーのアーマーと似たようなものを纏った男性がのび太をみて目を見開く。

 

「まさか、ノビ将軍、将軍ですか!?」

 

「……え?」

 

「「「将軍!?」」」

 

 驚くドラえもん達をおいて、彼は涙を零して駆け寄ってくる。

 

「ノビ将軍!あぁ、またお会いできるなんて」

 

「キミ、もしかして、ファイヴス!?」

 

「はい!貴方に命を救われた、元ARCトルーパー、ファイヴスです!」

 

 敬礼をとるファイヴス。

 

 笑顔を浮かべる彼の姿がかつての戦友の面影があることにのび太は気づく。

 

「いやぁ、老けたね?」

 

「あれから長い年月が過ぎました。でも、嬉しいです!再び将軍と会えるなんて!」

 

「あのぉ、ちょっとすいません」

 

「のび太さんが将軍って、どういうこと?」

 

「将軍、彼らは?」

 

「あぁ、えっと、僕が別の銀河から来たってことは話したよね?そこからきた、僕の親友だよ」

 

「あぁ、これは失礼。自分はかつて共和国で戦っていたクローン・トルーパーのファイヴス。こちらの将軍と共に多くの戦場を駆け抜けたのです」

 

「もしかして、クローン戦争?」

 

 ルークの言葉にのび太は頷く。

 

「共和国と分離主義勢力の戦いでジェダイはクローン・トルーパーを率いて多くの戦場を駆け抜けたから、ね」

 

 昔を懐かしむのび太とファイヴス。

 

 二人を見て、ドラえもんとしずかは長い時間の差というものを嫌でも理解してしまう。

 

「じゃあ、ベンも?」

 

「ベン?」

 

「ファイヴス、実は」

 

 のび太はオビ=ワンが死んだことを伝える。

 

 ファイヴスはオビ=ワンが死んだことに涙を零す。

 

「そうですか、ケノービ将軍は先に逝ってしまわれたのですか、お会いしたかったです」

 

「僕も、直接会ったわけじゃないけど、そうだね」

 

 のび太とファイヴスはしばらく沈黙する。

 

 沈んだ表情ののび太へドラえもんが声をかけようとした瞬間、押しのけてR3が音を鳴らしながらすり寄った。

 

「大丈夫だよ。R3。別れは辛いけれど……」

 

 のび太はそういいながらR3を撫でる。

 

「そうですな。別れは辛いですが、まずはこの戦いに生き残ることを考えないといけませんね!」

 

 両拳をぶつけながらやる気を見せるファイヴスにのび太は苦笑する。

 

「クローン戦争の時みたいにとはいえないけれど、僕も協力する」

 

「最高ですね!将軍がいれば百人力だ」

 

「僕だけじゃない。ルークだって」

 

 そこでのび太はルークをみる。

 

 見られたルークは何かを感じながらも言葉にできないもどかしさを覚えた。

 

 そうしていると、ブリーフィングの呼び出しが入る。

 

「将軍もぜひ」

 

「うん。ルーク、ドラえもん達も」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反乱軍のブリーフィング。

 

 デス・スターの設計図から弱点を調べたところ、反応炉へプロトン魚雷を撃ち込むことによる連鎖反応によってデス・スターを破壊可能というもの。

 

 大型戦闘機は入れない事からXウイングとYウイングによる奇襲作戦になる。

 

 デス・スターもヤヴィン第四衛星へ接近してきている。時間は限られている。

 

「諸君らの健闘を祈る。フォースと共にあらんことを」

 

 司令官の言葉を合図に全員が出撃の準備に入る。

 

 今回、ルークもパイロットの一人としてXウイングに搭乗することが決まった。

そして。

 

「ドラえもん!俺達もやろうぜ!このまま見るだけなんて我慢できねぇぜ!」

 

「で、でも、これは戦争なんだよ!?気を付けないと死ぬかも」

 

「だからといって、放っておくことはできないわ!あんな風に星を破壊されるなんて、酷すぎる」

 

 怯えるスネ夫に対してジャイアンとしずかは戦う覚悟を抱いている。

 

「わかっている……だから、これを使おう!」

 

 ドラえもんが取り出したのはかつて銀河漂流船団の戦いで使用したスタークラッシュゲームの箱。

 

「この中に三機の戦闘機が残っている。僕達はこれで戦おう!」

 

「おうって、三機だけかよ?」

 

「前の戦いで二機、失っているからね。僕とジャイアン、後は」

 

「私――」

 

「ぼ、僕が行くよ!」

 

 戦闘機に乗ることを志願しようとしたしずかを遮ってスネ夫が大きな声を上げる。

 

「ぼ、僕も怖いけど、しずかちゃんを戦いに行かせることなんて、できないよ!だ、だったら僕が」

 

「覚悟あるじゃねぇか、スネ夫!」

 

 ジャイアンがバシンとスネ夫の背中を叩く。

 

 せき込みながら笑顔を浮かべるスネ夫。

 

「ありがとう、みんな」

 

 ドラえもんへ声をかけたのはスターファイターのパイロットスーツを纏ったのび太だ。

 

「のび太君」

 

「お前も行くのか?」

 

「うん。ファイヴスのXウイングを借りてね。だから、この格好」

 

「のび太なんかに操縦できるのか?」

 

「おいおい、小僧達、将軍はクローン戦争時に優秀なパイロットでもあったんだ」

 

 ファイヴスに同意するように威嚇音を鳴らすR3。

 

「お前達が将軍の言っていた通りの小僧なら問題ないと思うが、無茶はするなよ」

 

 くぎを刺してきたファイヴスにジャイアンは歯向かう様に「ジャイアン様に任せな!」と力強く答える。

 

 ふと、のび太は礼金を受け取り、この基地から出ようとしているソロと怒鳴っているルークの姿がみえた。

 

「R3、発進の準備を」

 

 敬礼するように音を鳴らすR3と別れて、のび太は礼金を積み込んでいるソロへ声をかける。

 

「行くんだね?」

 

「アンタも俺に小言か?」

 

「そういうつもりはないよ。人それぞれにやらなければならないことがある。キミは借金を返さないといけないんでしょ?それで命が危うくなるなら優先しないと」

 

「アンタは話がわかるみたいだな。どうだ?俺とついてくるか?」

 

 のび太は首を横に振る。

 

「僕は僕のやることがあるから……でも」

 

 ソロはのび太をみる。

 

「キミは根っからの悪人じゃない。もし、戻ってこようと少しでも思ったらその気持ちに蓋をしないことをお勧めするよ」

 

「まぁ、一応、頭の片隅にとどめておくよ。あんなものをみたら少しは信じないとな」

 

 肩を竦めながらファルコンへ向かうソロ。

 

 チューバッカは小さく唸って後を追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、気を付けて」

 

 作戦室でしずか一人、皆の無事を祈る。

 

「大丈夫よ……シズカ」

 

 不安に揺れるしずかの肩をレイアが優しく抱きしめる。

 

 ヤヴィン第四衛星の秘密基地から次々と発進するYウイングとXウイングの編隊。

 

 その少し後ろにのび太の操縦するXウイング、そしてスタークラッシュゲームの三機の戦闘機が続く。

 

『みんな、聞こえるかい?』

 

 ドラえもんが通信機を通して四人へ呼びかける。

 

『聞こえているぜ!』

 

『も、もちろん!』

 

『大丈夫』

 

『これはゲームじゃない!』

 

『わかっているぜ!』

 

『こ、怖いけど、でも、あんなの放って置いたら地球がとんでもないことになる!』

 

『よくいったぜ!スネ夫!』

 

『さぁ、行こう!』

 

 反乱軍に続く堅いでドラえもん、のび太、スネ夫、ジャイアンの四人は戦闘区域へ突入する。

 

 

 



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新たなる希望

遅くなってしまい、非常に申し訳ない。

色々と用事とかが重なってしまい、更新が遅くなってしまいまして。


「よし、行くぞ!」

 

反乱軍と帝国軍の激しい戦いは続く。

 

のび太は操縦桿を握って開いてを繰り返して、Xウイングを加速する。

 

R3が小さな悲鳴を上げる中、のび太は小さな笑みを浮かべて砲撃で固定砲台の一つを破壊。

 

「危ないって?昔と比べたらそこまででしょ?」

 

パネルに非難を表示するR3にのび太は平然とした表情でウェッジを狙おうとしていたTIE・ファイターが爆発する。

 

「うひゃあ」

 

「すげぇ、あれがのび太かよ」

 

戦闘機で何とかTIE・ファイターを相手していたジャイアンとスネ夫は驚きの声を漏らす。

 

ひらりと回転しながらのび太のXウイングが敵機を落としていた。

 

『のび太君、凄い!』

 

「ありがとう、ドラえもん。でも、このくらいは簡単だよ」

 

ヘルメットの中で微笑みながらのび太は減速する。

 

TIE・ファイターはそのままのび太のXウイングを通過してしまう。

 

抜いた瞬間、Xウイングの攻撃が直撃してTIE・ファイターが爆発する。

 

「そろそろ、第一陣が攻撃を開始……っ!」

 

のび太は強いフォースの存在を感じ取る。

 

「この感覚……」

 

『のび太君、どうしたの!?』

 

「大丈夫……今の……」

 

『おい!増援だぞ!』

 

『い、いっぱい、出てきたよぉ!』

 

ジャイアンとスネ夫の声にのび太は強いフォースを放つ存在から意識を外す。

 

気になるものの、今ののび太がやることは多くの敵を引き付けて、デス・スター破壊チームへ近寄らせない為、多くの敵を撃墜する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デス・スターがゆっくりとヤヴィン第四衛星に近付いていく中、反乱軍のYウイングの編成がデス・スター破壊を試みるも、ダース・ベイダーのTIE・ファイターアドバンスによって次々と撃墜されていく。

 

レッドリーダー率いるXウイングが反応炉破壊を試みるも失敗。

 

残されたルーク、ウェッジ、ビッグスの編成でデス・スターの反応炉へ接近していく。

 

しかし、阻むべくダース・ベイダーのTIE・ファイターの編隊が迫る。

 

『ルーク!奴らが近づいてくるぞ!』

 

「スピードをあげるんだ!今は破壊に専念するんだ!」

 

焦るビッグスに対してルークは逃げることを選択。

 

三機のXウイングが速度を上げる。

 

同じように追いかけるべく速度を上げたベイダーのTIE・ファイターアドバンスがウェッジのXウイングを撃った。

 

『やられた!だ、ダメだ!ついていけない!』

 

「離脱するんだ!」

 

『すまん!』

 

ウェッジのXウイングがコースから離脱する。

 

離脱した所を待機していたTIE・ファイターが狙おうとするものび太のXウイングに阻まれてしまう。

 

『た、助かりました!ノビ将軍』

 

「まぁね」

 

ちらりとのび太はコースを進むルークをみる。

 

「ルーク、オビ=ワンの声を、彼の声を聞くんだ」

 

ぽつりと呟きながらのび太は迫るTIE・ファイターを撃ち落とす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ターキンの傍に一人の将校がやってくる。

 

「敵は反応炉を目指しているようです。撤退すべきでは」

 

「撤退?勝利を目前として?」

 

将校へターキンは信じられないという顔をする。

 

「あんな小型機で何ができる?デス・スターの力の前に全て滅び去るのみだ!今日、反乱軍は滅び、帝国の支配が完全となるのだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ルーク…………フォースを………使うんだ』

 

ビッグスが落とされ、R2が撃墜された中、ルークは照準を調整しながら反応炉を目指す。

 

聞こえる声を幻聴だと思い、首を振る。

 

出撃時から聞こえるベンの声。

 

ルークは幻聴だと切り捨てていた。

 

しかし、何度も聞こえる声にルークはシステムをオフにする。

 

『ルーク、どうした?システムの故障か?』

 

「大丈夫だ!僕を信じてくれ」

 

ウェッジからの通信にルークは自信満々に答える。

 

『えぇ!?大丈夫なの!?』

 

『的はちっせぇんだろ!ドラえもん、俺達もルークさんの助けに』

 

『うん』

 

『待って、大丈夫だ』

 

『大丈夫って、何を言ってんだよ!?』

 

スネ夫の叫びにのび太は冷静に返す。

 

『強いフォースを感じる……ルーク、キミならできる』

 

そして、強いフォースをベイダーも感じ取っていた。

 

『強いフォースを感じる!……前の奴が放っているのか!?だが、これで終わりだ』

 

ベイダーの照準がルークのXウイングを捉えた瞬間。

 

横にいたTIE・ファイターが爆発する。

 

『なんだ!?』

 

『いやっほう!』

 

真上からミレニアム・ファルコン号の攻撃が降り注ぐ。

 

『危ない!』

 

TIE・ファイターのパイロットがベイダーを庇うも爆発によってベイダーのTIE・ファイターアドバンスがコースから外れていく。

 

『邪魔者は消えた。とっととやっちまいな!』

 

ソロからの言葉を聞きながらルークはプロトン魚雷を放つ。

 

発射されたプロトン魚雷が反応炉の中に入る。

 

「命中した!脱出するんだ!」

 

ルークの指示で残存兵力がデス・スターから脱出していく。

 

直後、デス・スターは大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残った数機のXウイングと戦闘機がヤヴィン第四衛星の秘密基地へ帰還する。

 

帰ってきたルーク達を仲間は出迎えた。

 

「戻ってきてくれると信じていたよ!」

 

「まぁな!」

 

「二人とも!」

 

ルークとソロをレイアは抱きしめる。

 

「のび太さん!ドラちゃん!たけしさん、スネ夫さん!」

 

「「「「しずかちゃん!」」」」

 

駆け寄ってくるしずかにのび太、ドラえもん、ジャイアン、スネ夫の四人は笑顔で出迎える。

 

喜ぶ彼らだが、

 

「あぁ、R2」

 

ベイダーの直撃を受けて被弾したR2がXウイングから降ろされる。

 

「治りますか?」

 

「なんとかしてみよう」

 

「お願いします。こいつがいないと寂しいですから」

 

「ドラえもん」

 

のび太に促されてドラえもんは四次元ポケットからタイムふろしきを取り出す。

 

「タイムふろしき!」

 

タイムふろしきにR2を包み込む。

 

しばらくして、撃墜される前の時間までR2を戻した。

 

「お前!無事なのか?」

 

不思議そうな音を鳴らすR2に3POは喜びの声を上げる。

 

「あぁ、良かった!ドラえもんさん!ありがとうございます」

 

「いやぁ、それほどでも」

 

皆が喜びの表情に包まれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いかなくていいのかな?』

 

「マスター、ルークを見守っていたんですね」

 

ヤヴィン第四衛星の基地。

 

外にいるのび太へ声をかける者がいた。

 

彼以外の仲間、ドラえもんやルーク達はデス・スター破壊の功績を称えられ、勲章を受け取ることになっている。

 

勿論、その中にのび太も含まれているのだが。

 

「表彰を受けるって、昔から、慣れていないんですよ」

 

のび太が振り返るとオビ=ワン・ケノービの姿がそこにあった。

 

「霊体ですね?」

 

『そうだ。マスターヨーダから教わった術だ』

 

「こんな形の再会になってしまって、残念です」

 

『だが、私としては再びキミと会えた事を嬉しく思う。あの時、何度、後悔したか……』

 

「マスターはそうだとしても、僕とアニーは後悔していませんよ。託せたんですから」

 

オビ=ワンはのび太の隣に立つ。

 

『アナキンは、まだ、フォースの中に?』

 

のび太は無言でうなずく。

 

「でも、いつか、アニーも戻ってきます」

 

『やれやれ、デンジャラスコンビ再結成も近いわけか』

 

「懐かしい言い方だ」

 

のび太は少し間を置いてからオビ=ワンへ問いかける。

 

「マスター、あの漆黒のシス卿は」

 

『わからない。だが、その答えを知っているかもしれない者が惑星ナブーにいる』

 

「ナブーに?」

 

『あの方はキミを待っている。もしかしたら、アナキンを連れ戻す手がかりを知っているだろう。そして、ルークを鍛えてやってほしい』

 

「彼は……アニーの」

 

『そうだ』

 

オビ=ワンの言葉にのび太は尋ねる。

 

「アニーの事については」

 

『はっきりと伝えていない……だが、いずれルークは知ることになるだろう』

 

「そうですね。もしかしたら、あの時の事も」

 

のび太の脳裏に蘇るムスタファーの戦い。

 

マグマが降り注ぐ中でライトセーバーを構えるのび太とアナキンの二人。

 

拳を握りしめる。

 

「過去の因縁は僕が決着をつけます」

 

『一人で背負い込むことはない。キミの事を支えてくれる仲間がいる』

 

「マスター」

 

『私は霊体だ。できることは限られているが、キミ達を見守っている』

 

そういってオビ=ワンは去っていく。

 

「マスター!」

 

『フォースと共にあらんことを。ノビタ、私は見守っているぞ。キミの事を』

 

「のび太君!」

 

ドラえもんがのび太のところへやってくる。

 

「何をしていたの?」

 

「別に」

 

首を振りながらのび太はドラえもんの方へ向かう。

 

「急がないと授与式が始まるよ」

 

「えぇ、僕、面倒だよぉ」

 

「そんなこと言わないの!もう、いい大人になっているのに」

 

「勘弁してよぉ~」

 

ドラえもんに背中を押されながら反乱軍の基地の中へ入るのび太。

 

その後、二人のやり取りを見て、R3がドラえもんへ激突することがありながらのび太は仲間と共に勲章を受け取った。

 



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ヤヴィン第4衛星からの脱出

遅くなって申し訳ありません。

執筆はしているのですが、何分、リアルでドタバタありまして。


今回はゲームであったシナリオです。
あれはシューティングゲームだったから話としては短いけれど今回は多少、オリジナル展開を追加しております。




「急いで!帝国の艦隊が迫っているわ!」

 

 デス・スターを破壊して勝利の美酒に酔い潰れる。

 

 そんな日は長く続かず、帝国にこの拠点がバレた反乱軍は脱出の準備をしていた。

 

 デス・スターでターキンが死亡した事により、我先に手柄を得ようと、帝国軍の様々な連中が行動を起こす。

 

 その中で一番早くに行動を起こした者はダース・ベイダー。

 

 彼は大尋問官へ艦隊を与えてヤヴィン第4衛星の基地を襲撃。

 

 脱出を始めていた反乱軍は逃走を第一と考えて貨物船へ人員を乗せていく。

 

 その中でルーク、ウェッジ、サークリィの三人はXウイングの編隊を組んで攻撃してくるTIEファイターを撃ち落としていく。

 

 別の場所でのび太の操るXウイング、ジャイアンとスネ夫が操る戦闘機と共に敵の降下船を撃墜する。

 

『数が多すぎる!』

 

『だからってここで逃げられるかよ!』

 

 通信機からスネ夫の悲鳴とジャイアンの怒鳴り声が響く。

 

「反乱軍の船が脱出をはじめている。僕達は航路を切り開くんだ」

 

 背後から不意打ちを仕掛けようとしているTIEファイターに気付いたのび太は旋回しながら撃ち落とす。

 

「輸送船は発進していくね」

 

 くるくるとXウイングを回転させながら地表の様子を確認していたのび太。

 

 その時、通信機に連絡が入る。

 

『ノビタ将軍、通信を聞きましたか?』

 

「うん、レイア姫としずかちゃんたちが司令室に閉じ込められているみたいだね」

 

 ルークからの言葉にのび太は頷く。

 

 先ほど、通信が入り、最後の輸送船で脱出する予定だったレイアと司令官達が閉じ込められてしまった。

 

『レイアを助けに行きます』

 

「わかった、僕も行くよ」

 

『え、でも、将軍が輸送船にいれば』

 

「暗黒面の力を感じる。おそらく、尋問官がきている。姫を助けるなら急いで行動しないと」

 

『のび太とルークさんだけじゃ心配だ。俺達も行くぜ!』

 

『ぼ、僕も怖いけど』

 

「いや、ジャイアンとスネ夫、ウェッジとサークリィは輸送船の護衛をお願い」

 

『けどよぉ』

 

『アンタ達二人だけでなんとかできるっていうのか?』

 

 心配の声を漏らすジャイアンと非難の声をあげるサークリィ。

 

「危険なのは輸送船の護衛が少ないことだよ。輸送船が一隻でも落とされると僕達が不利になる。だから、お願い。しずかちゃん達は必ず僕とルークが助けるから」

 

 譲らないのび太の言葉にジャイアンが頷いた。

 

『わかった。輸送船は俺達に任されよ!』

 

『のび太!無茶するなよ!』

 

『ルーク、気を付けて!』

 

 仲間達の応援を受けてのび太とルークのXウイングは司令室があるゲート前に着陸する。

 

 既に敵の揚陸艦が着陸してトルーパー達が基地に侵入をしていた。

 

 二人のXウイングに気付いたトル―パーがブラスターで攻撃するもコックピットから飛び出したのび太が腰に下げていたライトセーバーを起動。

 

 空中で回転しながら着地すると傍にいたトルーパー達をセーバーで切り裂く。

 

「えぇ!?」

 

 のび太の動きに驚きながらコックピットから降りたルークはブラスターでトルーパーを攻撃する。

 

「あぁ、そっか……ライトセーバーの型とか教わっていないんだね」

 

 ルークはフォースを多少操れるようになったとはいえ、ライトセーバーを振るう為の型を知らない。

 

 縦横無尽に動き回るのび太によってR2とR3がウイングから降りたタイミングですべての敵を蹴散らした。

 

「その動きもジェダイだからですか?」

 

「ジェダイというよりフォースと一体化しているから出来ることだよ。ルークもフォースについて学べばできるようになる」

 

「えぇ」

 

 奇天烈な動きを見せたのび太みたいに自分が動く姿をイメージできず困惑した表情を浮かべるルーク。

 

 二人は増援が来ないことを確認して基地の中に入る。

 

 帝国軍の攻撃で動力を破壊されている為、一部の施設を壊しながら二人は司令室を目指す。

 

 司令室に近付くと先行しているトルーパーから攻撃が激しくなっていく。

 

「この先にレイアが」

 

「うん……止まって!」

 

 ルークに呼びかけてのび太は正面を睨む。

 

 反乱軍の兵士の首を掴んで漆黒のアーマーに身を包んだトルーパーが現れる。

 

 只のトルーパーじゃない。

 

 のび太は経験から相手を警戒する。

 

「ジェダイか。貴様はここで殺す」

 

 ジェダイを抹殺することを目的として育成された尋問官配下パージ・トルーパーがエレクトロ・スタッフを構える。

 

「ルーク、ライトセーバーの型を教えるよ」

 

「ここで!?相手は強いんじゃ」

 

「そうだけど、ブラスターだけだと、キミも危ない。僕がこれからみせるものは第一の型、基礎的なものだ」

 

「何を話し込んでいる。死ね」

 

 パージ・トルーパーがエレクトロ・スタッフを繰り出す。

 

 のび太は第一の型を使って相手と戦い始める。

 

 もし、並のジェダイが一の型でパージ・トルーパーに挑んだ場合、すぐに殺されはしないが苦戦するだろう。

 

 だが、フォースの空間に長く居た事で感覚などが研ぎ澄まされたのび太にとってパージ・トルーパー相手に第一の型で挑んでも問題なかった。

 

「続けて、これが第二の型、ジェダイがシスと戦う時に生み出したとされる攻撃的スタイルだよ」

 

 基礎的な動きから攻撃的な型に切り替わった事で防戦一方になるパージ・トルーパー。

 

「そこか!」

 

 エレクトロ・スタッフで隙をついたと思った途端、ライトセーバーで防御される。

 

「次が第三の型、防御に重きを置いているんだ」

 

「貴様、ふざけているのか!?」

 

 距離をとったパージ・トルーパーはヘルメットの中で怒りに表情を歪める。

 

 のび太は平然としながらライトセーバーをくるりと回転させた。

 

「ふざけていないよ。キミはこれから倒すし」

 

「ほざけ!ジェダイ!」

 

 激昂と共に迫るパージ・トルーパー。

 

 しかし、のび太は冷静にエレクトロ・スタッフを持っている両手を斬り落として背後に回り込む刃を突きさす。

 

 アーマーを貫いて伸びる青い刃。

 

 苦悶の声を漏らしながら地面に崩れ落ちるトルーパー。

 

 同時にR2によって解除された隔壁が音を立てて開いていく。

 

「凄い」

 

「簡単な動きを見せたから、後は型を体に覚えるまで使うんだ。さて、先を急ごうか」

 

「僕も、できるでしょうか?ベンや貴方の様に」

 

「なれるかじゃないよ。キミはなるんだろ?ジェダイに」

 

 のび太の力のこもった言葉に驚きながらもルークは頷いた。

 

 二人は通路を進んで司令室にたどり着く。

 

 司令室を爆破しようとしたトルーパーを撃退して中に入るとブラスターを構えたレイアがいる。

 

「うわ、待った!撃たないで!」

 

 レイアは二人に気付くとブラスターを放り投げてルークに抱き着いた。

 

「信じていたわ!」

 

「キミが無事でよかったよ」

 

 話し合うルークとレイアの横でしずかが瞳に涙を浮かべながらのび太に駆け寄る。

 

「のび太さん!」

 

「しずかちゃん、大丈夫?」

 

「えぇ、でも、司令官さんが腕を」

 

「儂は大丈夫だ。それより脱出を」

 

「敵は蹴散らしています。すぐに行動しましょう」

 

 のび太の言葉にルークから離れたレイアも頷いてXウイングを止めているゲートの前まで向かう。

 

 二人のXウイングが見えてきたところで爆発が起こる。

 

「あれは……」

 

「ウォーカー!」

 

 二機のXウイングを破壊したのはAT-ST。

 

 砲撃をしながらゲートを壊そうとしていた。

 

 のび太が駆け出そうとした時、ウォーカーが爆発する。

 

「あれはサークリィ!」

 

 サークリィの操るXウイング、ミレニアム・ファルコンが下りてくる。

 

『隊長、助けに来たぞ』

 

『ルーク!姫さん、迎えに来たぞ!さ、乗り込みな!』

 

『のび太君!しずかちゃん!無事でよかったよ!』

 

 ミレニアム・ファルコンの下部の砲撃でウォーカーを撃退して緊急着陸する。

 

「さぁ、急いで!」

 

 ルーク達がファルコンへ乗り込もうとした時。

 

 のび太は振り返る。

 

 基地の奥からダブル=ブレードライトセーバーを起動して近づいてくる者がいた。

 

「あれは尋問官よ!」

 

「ノビタ!急いで!」

 

 ルーク達が叫ぶ中、尋問官が地面を蹴って急接近する。

 

 のび太はオビ=ワンのライトセーバーで攻撃を防ぐ。

 

「貴様が生き残りのジェダイか……始末してやる!」

 

「どこかで見た顔だね?」

 

 冷静なのび太に尋問官は顔を歪めながら赤い刃を繰り出す。

 

 次々と繰り出される刃をのび太はフォースとより一体化しながら防ぐ。

 

 ルークやレイア達が捉える事すらできない怒涛の攻撃。

 

『おい!そろそろ脱出しないとヤバイぞ!』

 

 ソロが周りを見ながら叫ぶ中、のび太が視線を逸らした瞬間をチャンスをみた尋問官が刃を繰り出す。

 

 瞬間、尋問官の眼前へ掌を突き出す。

 

 フォースプッシュが繰り出されて吹き飛ぶ尋問官。

 

 のび太はライトセーバーの刃を収納すると急ぎ足でミレニアム・ファルコン号へ駆け寄る。

 

「ごめんごめん、急いで脱出しよう」

 

 全員が乗り込んだ事を確認してミレニアム・ファルコン号と輸送船が大空へ飛翔する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のび太君!」

 

「将軍、御無事でよかったです」

 

「ドラえもん、ファイヴス、助かったよ」

 

 ファルコンの砲撃を担当してくれたドラえもんとファイヴスへ感謝の言葉を告げながらのび太はシートへ腰かける。

 

「びっくりしたよ。あんな危ないことするんだから」

 

「あの程度、いつものことだよ」

 

 心配だというドラえもんに対して、のび太は肩を竦める。

 

「将軍が変わりなく懐かしく思いますよ」

 

「ファイヴス、反乱軍の行動が落ち着いたらだけど」

 

「はい?」

 

「行きたいところがあるんだ」

 

「どこへ?」

 

 ファイヴスへのび太は短く告げる。

 

「ナブーだよ」

 

 




次回でEP.4は終了して、前から話をしていた映画版の話を入れる予定です。

その後は帝国の逆襲になります。


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友の行方

 

ヤヴィン第4衛星から脱出した反乱軍は帝国の追跡を避けながら氷の惑星ホスへ基地を設立することにした。

 

年中、雪と氷に閉ざされたこの惑星は夜になると氷点下を超えて、生き物が住めない惑星となる。

 

本来ならかなりの日数を要する基地の設営だが、ドラえもんのひみつ道具の手助けによって予定より早く完了しそうだった。

 

「本当に行くんですか?」

 

Xウイングの調整をしているのび太へルークが声をかける。

 

「うん」

 

「貴方がいなくなることは反乱軍にとって」

 

「別に反乱軍から抜けるわけじゃないよ。やらなければならないことを……果たさなければならないことをするんだ。それが終わったら必ず戻るよ」

 

のび太は反乱軍が一応の落ち着きをみせたタイミングで将軍達に別行動をとることを伝えた。

 

偉大なジェダイの騎士でありクローン戦争の英雄が抜けることに誰もが反対するも、最終的にのび太の一時的な離脱を認める。

 

「何をするのですか?その、果たさなければならないことって?」

 

ルークの問いかけにのび太は作業を止めて振り返る。

 

「ルーク、キミは自分の父親について、その、どのくらい聞いている?」

 

「父さんの?ベンは偉大なジェダイな騎士だって、オーウェン叔父さんやシミお祖母ちゃんはあまり教えてくれなくて」

 

「そっか……キミのお父さんはマスターケノービが言う様に偉大なジェダイの騎士だった。誰よりも前に出て多くの人を守るために戦い、勝利を勝ち取った。そして、パイロットとして優秀だった。何度も助けられた」

 

「……」

 

「僕にとってアニー、アナキン・スカイウォーカーは大事な親友」

 

「……父は死んだのですか?」

 

「その答えを僕は見つけに行きたいんだ」

 

「答え?どういうことです?その答えはどこに?」

 

「一つだけ、アナキンの行方の答えを教えてくれる人のところへ、あそこへ行けばわかるかもしれない。だから、ナブーへ僕は行く」

 

「そこへ父の手がかりが?」

 

のび太は頷く。

 

「それなら、僕も、いや、でも」

 

大事な家族の手がかりがあると知って動揺するルーク。

 

だが、彼は既に反乱軍のローグ中隊を率いる隊長。

 

そう簡単に反乱軍を離れるわけにいかない。

 

「その、僕は」

 

「ルーク、キミはお父さんと同じでとてもやさしい子だ」

 

ルークの肩へ手を置きながらのび太は微笑む。

 

「僕に任せて」

 

短い言葉けれども、力強いものを感じる。

 

ルークは頷く。

 

「前に教えた型を続けるんだよ。キミに合う型、鍛錬を続けるんだ。そうして、フォースを感じて」

 

「はい」

 

立ち上がったのび太はXウイングへ乗り込む。

 

「マスター!」

 

のび太へ声をかけるルーク。

 

「フォースと共にあらんことを」

 

「あぁ、フォースと共にあらんことを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホスから飛び立ったXウイングはハイパースペースに入り、惑星ナブーへ辿り着く。

 

惑星ナブーをみて、のび太は昔を思い出す。

 

タトゥイーンでアナキンと共に彼に見いだされ、惑星ナブーでライトセーバーを握りモールと戦ったあの日の出来事。

 

いつでも鮮明に思い出せる。

 

「帝国の船はいないみたいだね。とりあえず船は街から離れたところへ着陸させよう」

 

R3と話し合いながらのび太はXウイングを首都から少し離れた森林に隠す。

 

フードを被り、のび太は森の中を歩く。

 

帝国による蹂躙を受けながらもナブーはまだ嘗ての面影が残っている。

 

ストーム・トルーパーがいないか警戒している時、懐かしい感覚をのび太は掴む。

 

「懐かしい顔だな」

 

聞こえた声にのび太はフードを脱ぐ。

 

「お久しぶりです。マスタークワイ=ガン」

 

「久しぶりだな。ノビタ。古き友よ」

 

森の中、切り株に腰掛けるジェダイマスタークワイ=ガン・ジンは小さく微笑む。

 

膝をついたのび太は腰に下げていたライトセーバーを地面へ置いた。

 

「オビ=ワンのものだな?」

 

「はい」

 

「そうか、彼は逝ったか」

 

「はい。僕は彼のおかげで戻ってくることが出来ました」

 

クワイ=ガンはオビ=ワンのライトセーバーを手に取ると涙を零す。

 

「私よりも先に逝ってしまったか……」

 

クワイ=ガンは涙を零しきった後、のび太をみる。

 

「ノビタよ。キミは最後の戦いでアナキンと共にフォースの中に飲み込まれたのだな?」

 

「……そうだと思います。僕とアナキンはパルパティーンと戦い、フォースの爆発の中に飲み込まれました」

 

「だが、オビ=ワンによってキミは戻れた」

 

「はい」

 

のび太は少し間を置いてから本題を切り出す。

 

「マスター、教えてください。僕はどうすれば、どうやれば、アニーをフォースの中から連れ戻すことができるんでしょうか?どうすれば、僕は彼と会えるんでしょう!」

 

「嘗てのジェダイならば、執着と捉えたかもしれないだろう。だが、今の私からみれば、キミ達の友情は素晴らしいものだと思う」

 

クワイ=ガンは立ち上がる。

 

「絶対とは言えないが、一つ、可能性がある。ついてきなさい……後ろにいるキミも」

 

「え!?」

 

驚いて後ろをみるのび太。

 

そこにいたのはドラえもんだった。

 

「どうして」

 

「ごめん、どうして、のび太君が心配で……」

 

「ここにいるとトルーパーがやってくる。私の家へ行こう」

 

 先を行くクワイ=ガンの後を二人は追いかける。

 

 

 

 クワイ=ガンの家でのび太とドラえもんは用意された椅子に腰かける。

 

 奥の方で何かを探しているクワイ=ガンをみながらドラえもんがぽつりと話しか

ける。

 

「ごめんね。のび太君」

 

「いいよ、反乱軍のみんなは……?」

 

 

「ファイヴスさんが古い伝手を頼ってくれるって事で戦力の補充はなんとかなるって」

 

 

「そっか、なら、大丈夫だね」

 

「怒っていないのかい?」

 

「怒っていないよ。まぁ、その、びっくりはしたけどさ。ドラえもんが僕の事を心配してくれていたっていうのが嬉しいんだ」

 

「のび太君」

 

 嬉しそうに笑みを浮かべるドラえもん。

 

 

「それは?」

 

「古い時代、シスの暗黒卿が作成したと思われる書物……フォースについて記されたものだ」

 

「そんなものが?」

 

「古いシスの遺跡で見つけたものだ。このナブーに」

 

 クワイ=ガンはパルパティーンの出生を調べる為にナブーに身を隠した。

 

 勿論、帝国の尋問官に見つかる危険性もあった。

 

「どうやら皇帝はここへ不用意に近づけさせたくはないらしい。色々と調査することができた」

 

 クワイ=ガンはため息を零す。

 

「この書物を読むと、どれだけ我々ジェダイの思考が停止していたのかよくわかったよ」

 

 書物のあるページを開く。

 

「お前とアナキンは同じフォースを宿している。二人は一つというべき、本によれば同じ存在が嘗て存在したことがあるという、同一の存在、その者達はフォースによってどれだけ遠く離れていても繋がることができた」

 

 だからこそ、とクワイ=ガンは伝える。

 

「ノビタ、キミがアナキンを呼び戻す鍵である」

 

「僕が?」

 

「試してみよう。フォースに繋がりながらアナキンの事を思うんだ。過去の事、彼と過ごした事、色々な事を思い出しながら」

 

「わかりました」

 

 のび太は修業の時と同じように座禅をして意識をフォースの中に委ねる。

 

「のび太君は何を?」

 

「フォースと繋がろうとしているのだ。ジェダイはフォースを操れる。その術を学んだ者はあぁやって意識を集中させる」

 

 フォースに身を委ねながらのび太は思い出す。

 

 アナキン・スカイウォーカーと出会った事。

 

 彼と共に修業した日々、

 

 任務で訪れた先で起こった冒険の事。

 

 その中でのび太はあることを思い出す。

 

 

 

 それは――。

 

 




次回からスピンオフならぬ番外編です。

数話で終わらせたいところですが、まだ書き終わっていないのでなんともえいないところです。

オビ=ワン・ケノービのドラマをみました。

個人的に良かったと思います。

その調子でバッドバッジやマンダロリアンをみております。

本編に絡むかどうかはおいておいて。



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夢幻三剣士Ⅰ

遅くなり申し訳ありません。

オビ=ワン・ケノービのドラマをみていたり、ゆっくり休んでいたりしたらこうなりました。


夢幻三剣士のエピソードに入ります。

話数的に3~4で終わらせる予定です。

次のエピソードについては、七割書きあがっているので、余裕があれば、今月中に投稿できるはず。



クローン戦争中期。

 

 激しかった戦争が膠着状態になりつつあり、のび太とアナキンはジェダイ聖堂へ呼び出されていた。

 

「子供たちが?」

 

「そうじゃ、戦争の影響かわからんが、イニシエイトの者達が悪夢に魘され眠れなくなる者達がでておる」

 

「そんなことが」

 

「戦争によって子供たちの心が乱れておる。これでは修業以前の問題で心を病んでしまう」

 

「失礼、マスターヨーダ、それと僕達が呼び出された事に何の関係が?まさか、子供たちの治療をしろというわけではない、ですよね?」

 

「お前達は特別な力を持っておるじゃろ?その中に悪夢をなんとかするものはないのかの?」

 

「……それは」

 

「戦争をしているから、その力を使えというわけではない。苦しんでいる子供たちを助ける為にその力を使ってほしいのじゃ、できんかの?うん?」

 

「……少し考えさせてください」

 

「僕も」

 

 ヨーダのいる部屋を後にしたのび太とアナキンは自室へ戻る。

 

「マスターヨーダに言われたけれど、どうする?そもそも、そういうものがあるのか?」

 

「一つだけ、あるにはあるんだ。なぜか」

 

 言葉を濁すのび太にアナキンが首を傾げる。

 

「そんなものあったか?」

 

「これなんだけど」

 

 のび太は四次元ポケットから一つの道具を取り出す。

 

「気ままに夢見る機っていう道具なんだ。でも、これ……前にドラえもんが回収してもらった筈で」

 

「それはどういう道具なんだ?」

 

「この機械に専用のカセットを入れる事で好きな夢がみれる道具だよ」

 

「使えるじゃないか、これがあれば悪夢を解決できるじゃないか」

 

「そうだね。でも、危険なカセットもあって」

 

「だったら危険なカセットを使わなければいいんじゃないか?どのカセットがいいかって……これは、ノビタの世界の言葉か」

 

「うん」

 

 カセットの一つを手に取って困ったという表情を浮かべるアナキン。

 

「言葉を勉強しているとはいえ、使用者は僕かノビタ……後はアソーカくらいか?」

 

「そうだね」

 

 適当なカセットを手に取ってアナキンは尋ねる。

 

「このジュラシック・プラネットって、なんだ?」

 

「恐竜が住む惑星の夢がみられるんだ。予告編があるからみてみる?」

 

「よくわからないが、頼む」

 

 のび太はカセットを入れて予告編を開始する。

 

「待った、顔がないんだが?」

 

「このスイッチに顔をイメージしながら押すと変更できるよ」

 

「それなら」

 

 アナキンがスイッチを押して選んだのはオビ=ワン・ケノービ、メイス・ウィンドウ、クワイ=ガン・ジンの三人。

 

 のび太は爆笑しそうになることを堪える。

 

「これ、狙ってやったでしょ?」

 

「誰かをイメージするんだろう?そうしたらこうなった」

 

 苦笑するのび太へ笑いながら答えるアナキン。

 

 しばらくして予告編を終えてアナキンは唸る。

 

「確かに夢として楽しめるものだが、女の子の反応がダメかもな?」

 

「じゃあ、こういうのもあるけれど?」

 

 バームクーヘンマンのカセットをみせる。

 

 それから一時間ほど、カセット談義が続き。

 

 女性の意見を聞こうという事でアナキンのパダワン、アソーカを呼ぶことに決まった。

 

「マスター、そのチョイスはないよ。それって、イニシエイトより幼い子達向けだと思う」

 

 呼ばれてきたアソーカはアナキンがチョイスしたカセットの内容を聞いて顔を顰める。

 

「悪夢を見ている子供たちはイニシエイト以外にもいる。こういうものの方が無難の筈だ」

 

「そうかもしれないけど、うーん、この言葉がわからないからなんともいえないけれど、こういう場合、見る子供たちに選んでもらう方がいいんじゃない?」

 

「それは一理あるな……フエルミラーで機械は増やせる。アソーカ、お前にも手伝ってもらうぞ」

 

「子供たちが悪夢を見て苦しんでいると聞いたら放っておけないよ。でも、カセット選びは私もするから」

 

 アナキンとアソーカがカセット選びをする横でのび太は機械を増やす作業を開始する。

 

「ん?」

 

 ふと、カセットを見ていたアナキンは気になるものがあって、動きを止める。

 

 一つ、そう並んでいるカセットの中で一つだけ目立つものがあった。

 

 赤いカセット。

 

 他にも似たようなカセットはあるのだが、何故かアナキンはそれがひどく気になった。

 

 まるで、そのカセットを手に取れとフォースが囁いているように。

 

 手を伸ばしたアナキンはカセットを手に取る。

 

 赤いデザインで表面はドラゴンらしき生き物が描かれていた。

 

「ノビタ、これは」

 

 のび太を呼ぼうと振り返るが、彼の姿がない。

 

 マスターヨーダへ報告しに行っているのだろうか?

 

 いないのならば仕方ない。

 

 タイミングを見計らってこのカセットの事は聞いてみるとしようと懐へ仕舞う。

 

「夢幻三剣士か……時間があれば、僕はこの夢をみてみるかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、マスター!」

 

 気ままに夢見る機を使用してから二日目。

 

 アナキンがカセットを持っていることに気付いてアソーカが声をかける。

 

「それ、夢見る機のカセットよね?何かみるの?」

 

「あぁ、イニシエイトの子達は落ち着いているようだし、機械が余っている。このカセットが少し気になっている」

 

「なんて読むの?」

 

「夢幻三剣士だ……ノビタのところの言葉を学んでなんとか読めた」

 

「へー、どんな話?」

 

「さぁな、ノビタが任務で一時的にコルサントを離れているからな。聞きそびれた」

 

「今日の夜に試すの?」

 

「そのつもりだ」

 

「いいよ!私が機械の操作をしてあげる」

 

「ほう、珍しいな。何を企んでいる?」

 

「企んでいるなんてひどい!マスターがチャレンジして面白そうなら私もやりたいだけだよ!」

 

――そういうのを企みというんだとアナキンは心の中で思いながら外から操作してもらえるなら助かると気づく。

 

「そうだな。やらせるかどうかは置いておくとして操作してもらえるのは助かるな」

 

「そうでしょ?」

 

 アナキンは肩を竦める。

 

「どんな夢か楽しみだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜。

 

 皆が寝始める時間にアナキンは気ままに夢見る機を部屋の中に置く。

 

「部屋の中、掃除したらどう?」

 

「前にやったさ」

 

「スピーダーのパーツとか、いっぱいだね?」

 

「道具を改造したりしているからな。必要なパーツだ。まぁ、また片付けないといけないけど」

 

 夢見る機を起動してアナキンは夢幻三剣士のカセットをセットする。

 

「それじゃあ、僕は眠る。ナビゲートを頼むぞ」

 

「任せて!っていっても、ヤバいと感じたらオフにするくらいしかできないけれど」

 

「それだけで十分だ。夢の内容については入って楽しむ」

 

「オッケー、楽しんでね」

 

 アソーカに操作を任せてアナキンは眠りについた。

 

 アナキンが眠りについたことで気ままに夢見る機のシステムが起動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 薄暗い闇の中、アナキンは立っていた。

 

「はじまりはこんな感じなのか?」

 

 闇の中を見渡しながらアナキンが呟いていると景色が明るくなってくる。

 

「お、いよいよはじまるようだな!」

 

 アナキンが笑みを浮かべた瞬間、目の前に砲弾が迫ってくる。

 

「は?」

 

 突然の事に呆然としながらもアナキンは咄嗟に砲撃を躱す。

 

 気付けばドロイドとクローンの戦場の真ん中に立っていた。

 

「嘘だろ!?」

 

 目を白黒させながらアナキンは飛来する砲弾を回避していく。

 

「いつものような光景が起こる夢なのか!?」

 

『あー、マスター?』

 

 空間にぽっかりと穴が開いてアソーカの顔が現れる。

 

「アソーカ!?お前、何かしたのか!?」

 

『違うわよ。普通にマシンを操作してカセット入れただけ!この夢、もしかして、いつもの日常からはじまるとか、そんなのじゃないの?』

 

「僕は毎日こんなドンパチやっていないぞ!?」

 

 飛来する砲弾を躱して走っていた直後、急に時が止まったように動きが止まる。

 

「なんだ、皆、固まったぞ?」

 

「貴方は夢の世界へ飛び込んだのです」

 

 桃色の光がアナキンの周りを浮遊する。

 

「ようこそ、白銀の剣士、ノビタニャン。私は貴方が来るのを待っておりました」

目の前に現れた光はやがて人の形となって、羽を生やした少女へ姿を変える。

 

「パドメ!?」

 

 現れた人物はアナキンの愛する人であり妻であるパドメ。

 

「違います。私はシズク。貴方をユミルメの国へ案内するためにやってきました」

 

「ユミルメ?」

 

 シズクと名乗る妖精の話によれば、ユミルメの世界は妖霊大帝オドロームと彼の率いる軍隊によって侵略を受けている。

 

 侵略に対抗するため、大勢の者達の中から強い心を持つ白銀の剣士をユミルメへ派遣する役目をシズクは請け負っている。

 

「なんとも壮大な夢だな」

 

 ぽつりと呟くアナキン。

 

 彼女の話の通りなら自分は白銀の剣士ノビタニャンとしてユミルメを救わねばならない。

 

「(夢の中でジェダイの真似事か……)」

 

「さぁ、この靄を抜けた先がユミルメよ」

 

 シズクの言葉で前を見るアナキン。

 

 桃色の靄を抜けた先。

 

 夜空の真ん中だった。

 

「は?」

 

 まさかの事態にアナキンは間抜けな声を漏らす。

 

「あら、困ったわ」

 

「困ったわじゃないだろ!?スピーダーとか、そういうものぐぅ!?」

 

 落下していく事に慌てるアナキンだったが、何かに激突する。

 

「良かったわ。月が出ていて」

 

「キミはいい加減だな。パドメと顔が似ているだけだと理解したよ」

 

 彼女は勇敢だが、ここまで無責任な女性でない。

 

 少し落ち着きを取り戻したアナキンはすぐ近くであがってくる煙に気付く。

 

「これは?」

 

「大変、街が燃えているわ!妖霊軍の仕業よ!」

 

 シズクの指さす方向を見る。

 

 城が燃えており、その先に弓矢や剣を携えた人ならぬ者が多くの人間を倒している。

 

「これは酷い……すぐ助けに」

 

「無茶よ!貴方は生身の人間なの!白銀の剣と兜がないと」

 

「じゃあ、それのある場所を教えて……あれは何だ!?」

 

 城から翼を生やしたクリーチャーが迫ってくる。

 

 アナキンは知らないがのび太がみれば、翼を生やした像だと騒いだことだろう。

 

「って、こら、逃げるな!ここから移動する方法は!?」

 

「もう、人間って不便ね!」

 

「自分だけ逃げようとして言う事か!?」

 

 アナキンを置いて逃げようとするシズクだったが、呼び止められて渋々、戻ってきたかと思うと月の先端を引きちぎった。

 

「なぁあああああああ!?」

 

 千切れた先端から猛烈な空気が噴き出して月ごとアナキンは吹き飛ばされていく。

 

「くそ、逃げられたか」

 

 妖霊大帝の幹部が一人、ジャンボスは逃がした事に悪意をつきながら占領した城へ戻っていった。

 

 

 



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夢幻三剣士Ⅱ

おそらく、終わるのに後二話追加になる可能性がでてきた。




 

「おーい、シズク、どこへいったんだ?」

 

 月ごと川へ落ちたアナキン。

 

 ざぶざぶと泳いで陸地へ辿り着いた彼はシズクを呼びかけるも反応はない。

 

 どうやらどこかへ行ってしまったらしい。

 

「困ったガイドだ……さて、ここからどうすればいいか」

 

 濡れた服はあっという間に乾いていた。

 

 夢の中だからだろうか?

 

 そんなこと思いながらアナキンは服をチェックする。

 

 ジェダイの服装だが、腰にライトセーバーはない。

 

 コムリンクや道具の類もなし。

 

 ここで危険な生き物に遭遇したら命はないだろう。

 

 そんなことを考えていると肉の焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。

 

「行ってみるか」

 

 このまま立っていても変わらない。

 

 アナキンは臭いの方へ向かうことにした。

 

 臭いの方へ向かうと焚火をして丸太に腰掛けている小柄でキツネのような顔をした人がいる。

 

「誰だ!」

 

 キツネ顔の男はアナキンに気付くと警戒した様子で叫ぶ。

 

「驚かすつもりはないんだ。僕の名前はアナ……ノビタニャン。道に迷ってしまって」

 

「旅人か?それにしては何もないじゃないか」

 

「まぁね。僕自身、白銀の剣士とやらになる為の旅を」

 

「アッハッハッ!」

 

 アナキンの会話を遮るようにして大声で笑うキツネ顔の男。

 

「剣も兜もなくて白銀の剣士だって?図々しいにも程がある。第一、どこにあるか知ってんの?」

 

「残念ながらそれを知る前に連れとはぐれたんだ」

 

 キツネ顔の男の態度に少しの苛立ちをみせながらアナキンは情報を求める。

 

「この先の森の奥にあるヨラバ大樹の頂上に剣と兜は置いてある!その様子だと場所も知らないようだな」

 

「まぁね」

 

「どうだろう、取引しないか?」

 

「取引?」

 

「この僕も白銀の剣と兜を求めている。キミも求めているんだろう?でも場所を知らない。じゃあ、僕がそこまで案内してやろう。その道中、僕の荷物持ちをしてもらう」

 

「荷物持ちはヨラバ大樹とやらのところまでだな?」

 

「そうだ!丁度、召使いに逃げられて困っていたんだ」

 

 少し考えて、このまま一人で森をさ迷ってしまうよりはマシかと思う。

 

 召使いという言葉に嘗ての奴隷という考えが過ったが、夢の中だ、我慢我慢と成長した精神で耐えて見せるアナキン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、キツネ顔の男ことスネミス(一応、貴族で子爵らしい)の話を聞きながら荷物を抱えていた。

 

 ジェダイとして過酷な修業を受けていたアナキンにとってこの程度、造作もない。

 

 彼としては情報を得るべく話を聞いていた。

 

 話を聞いて自慢話ばかりで後悔している。

 

「白銀の剣と兜を手に入れてそのまま妖霊軍と戦えるわけじゃないんだな」

 

「当然だ。命は一つ。伝承によると過去に妖霊軍と似たような存在が過去に現れた時も白銀の剣士が現れ、竜の血を浴びて不死身となりユミルメを救ったという。剣と兜を手に入れたら竜の血を浴びて不死身になる。そうして、妖霊軍と戦うのだ!オドロームを倒しユミルメを救えば、王様は王女様を妻として迎えるといっている。王女様~、待っていてくださぁい」

 

「鼻の下が伸びているって、聞いていないな」

 

 アナキンの指摘を聞かずにるんるん気分で歩いていくスネミスだが、茂みの中に入った途端、大慌てで戻ってくる。

 

「どうしたんだ?」

 

「あの先に何かいる!お前、行ってみてこい!」

 

「偉そうに……だが、先に行けないのは困るな」

 

 スネミスの態度に思うところがありながらも目的地へ行けないのは困ると考えてアナキンは茂みの中に入る。

 

 茂みの中には一匹の子熊がいた。

 

 子熊が悲鳴を上げながら暴れている。

 

 よくみると子熊の足元に罠がついていた。

 

「罠にかかったんだな」

 

 周りに誰もいないことを確認したアナキンは子熊のトラップを解除する。

 

 トラップから解放された子熊は逃げ去っていく。

 

「こらぁ、お前ぇええええ!」

 

 スネミスのところへ戻ろうとしたアナキンのところへ巨漢の男が駆け寄ってくる。

 

「なんだ?」

 

「俺の獲物をなんで逃がしたぁああああああああ!」

 

 飛び掛かってくる巨漢の男の突進を躱しつつ、足をひっかける。

 

 派手な音を立てながら地面を転がる大男。

 

「罠を外した事ならすまないな。だが、あれだけ泣かれていたら流石に放っておけないじゃないか」

 

「このぉ、白銀の剣士たるジャイトス様になんて態度だぁ!」

 

「なんだって、お前が白銀の剣士?」

 

「こらぁ!なんて図々しい奴め!白銀の剣と兜は僕のものだ!」

 

 話を聞いていたのだろう茂みをかき分けて怒り心頭というスネミスが現れる。

 

「何を?このチビめ!」

 

「ち、チビだと!無礼な奴め!」

 

 侮辱されて我慢できなかったスネミスは腰の剣を抜いた。

 

「面白い、決闘だぁああああ!」

 

 巨漢の男は獰猛な笑みと共に腰の剣を抜いた。

 

 決闘ということで構えるスネミスだったが男の一撃を受けてぶるぶると震えている。

 

「乱暴な一撃だな……だが、受けたら大ダメージ必須か」

 

 アナキンの指摘通り、何度も受け続けていたスネミスは剣を奪われ頭に一撃。

 

 敗北してしまう。

 

「参りました!貴方は強い!貴方の子分になります!召使いも好きに使ってください!」

 

 アナキンは否定していたのだが、どうやらスネミスの中で召使い認定されていたらしい。

 

 丸腰のまま意見しても先の一撃を受けてしまうだろう。

 

 ヨラバ大樹までと言い聞かせながらアナキンは二人分の荷物を抱える羽目になる。

 

 巨漢の男、ジャイトスにへりくだるスネミスの姿にアナキンはあの取引は間違いだったと後悔していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、随分と過酷な夢をみているわね」

 

 気ままに夢見る機でアナキンの様子を見ていたアソーカは驚いた表情をしている。

 

「最初は面白そうかな?とか思っていたけど、マスターがこき使われているのを見ると少し心配になるかも」

 

 夢幻三剣士は英雄譚のようだが、英雄になるまでが過酷な話だ。

 

 情報によるとヨラバ大樹で剣と兜を手に入れてようやく一人前という事らしいが、競争者は多い。

 

 果たしてアナキンは白銀の剣士になれるのだろうか?

 

 そんなことを考えていたアソーカは欠伸を漏らす。

 

「あぁ、遅い時間になっちゃった……アラームをセットして、私も寝ようっと」

 

 気ままに夢見る機のアラームをセットして就寝の準備に入る。

 

「この後の内容によるけど、私もこの夢、入ってみようかな?」

 

 横になりながら夢の中で頑張っているアナキンの身を案じながらアソーカは眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何百年もその場に存在している巨大な樹木。

 

 噂によれば、天まで届いているといわれる樹木の天辺。

 

 光り輝くその場所に白銀の剣と兜が存在しているという。

 

「うわぁ~凄い」

 

「天辺がみえないぞ?」

 

「これがヨラバ大樹か」

 

 どこまでも伸びている大樹を見上げる三人。

 

「この頂上に白銀の剣と兜があるんだ!」

 

「よーし、行くぞ!」

 

 やる気を見せて樹木を登り始める二人。

 

 アナキンも続こうと思ったが頂上が見えない以上、無策で挑むわけにいかない。

水と食料を準備しようとアナキンは近くの川に向かう。

 

「あれ?」

 

 川辺に着いたアナキンは異変に気付く。

 

 川の中がきらきらと輝いている。

 

 沈んで光っている形にアナキンはどこか見覚えがあり、川の中に入る。

 

「これは、あの時の月か!?」

 

 アナキンが川から引っ張り出したのは妖霊軍から逃げる為に先端が千切れた月だ。

 

 ふと、アナキンは突拍子もないことを考える。

 

 これが夢の中ならば膨らませればあの大樹の天辺へ辿り着けるのではないか?

 

 夢物語みたいなものだが、実際に、彼がいるのは夢。

 

「試してみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スネミスはジャイトスを追い抜いてぐんぐん大樹を登っていく。

 

「いやぁ、これだけ登ってもまだ天辺がみえない。食料とか用意しておいてよかった」

 

 腰に下げているポーチから水を一口、含みながら上を目指そうと考えるスネミス。

 

 その時、スネミスの目の前の浮遊する物体が通過していく。

 

「あれは、なんだ?」

 

 ぽかんとしているスネミスの前を過ぎ去っていく月。

 

 その月の上でひらひらと手を振っているノビタニャンこと、アナキンの姿に気付くことを一瞬、遅れた。

 

 

 月を膨らませて天辺まで辿りついたアナキン。

 

 大樹の天辺は驚くことに澄んだ空気が広がり、中央に豪華な宝箱が置かれている。

 

「定番といえば、定番だが」

 

『ようこそ、知恵と勇気を持つ者よ。貴方に白銀の剣と兜を授けましょう』

 

 パカッと音を立てて開く宝箱。

 

 その中から現れる兜と剣。

 

 アナキンはそれをしげしげと眺めながら装着する。

 

 不思議と体が身軽になったような気分だった。

 

「さて、ここから地上へ戻るにはどうするかな?」

 

 ここから飛び降りたらミンチのようにはじけ飛ぶだろう。

 

 月は空へ帰ってしまっている。

 

 ゆっくりと降りていくしかないか?

 

 そんなことを思案していたアナキンへ宝箱から声が響く。

 

『ご心配なく。帰りはこの箱の中』

 

「箱の中?大丈夫なのか?」

 

『そなたは白銀の剣士、ノビタニャン』

 

 アナキンは箱の中に飛び込んだ。

 

 箱の中は滑り台のようになっており、アナキンは一気に大樹の根っこを抜けて地上にたどり着いた。

 

「ふぅ、楽しかったな」

 

「待てぇ~~~~」

 

「待て待て~~~!」

 

 このまま大樹を離れようとしたところでロープを使って降りてくるスネミスとジャイトスの二人。

 

「その剣と兜を寄越せ!」

 

「ノビタニャンの癖に生意気だ!」

 

「滅茶苦茶な。僕は別にお前達の奴隷でも何でもないんだ。渡す道理はない」

 

「生意気な!俺達に勝てると思うのか?」

 

 剣を抜いたジャイトス。

 

 アナキンはため息を吐きつつ、下げている剣を抜いた。

 

「決闘だ!俺達が勝ったらその剣と兜をいただく!」

 

「寄越せぇええええ!」

 

 叫びと共に剣を振り上げる二人。

 

 アナキンはライトセーバーの型を使おうとした。

 

 瞬間、剣が生き物のように動き、アナキンはそれに引き寄せられる形で次々とジャイトスとスネミスを倒してしまう。

 

「ま、参った!」

 

「参りました!子分にしてください!」

 

 土下座をする二人にアナキンは剣を仕舞う。

 

「僕は別に子分を求めていない。それに、キミ達の理由はどうあれ妖霊軍と戦うんだろ?だったら僕に協力してほしい」

 

「強力、子分じゃなくて?」

 

「参った!お前の心の深さもそうだが、その強さに参った!」

 

 土下座をするジャイトスの肩に手を置くアナキン。

 

「手伝ってくれるか?」

 

「勿論だ!」

 

「そ、そうだ!あの夕日の下で誓いを立てようよ!」

 

 スネミスの提案にジャイトスとアナキンは頷いて夕日の下で掲げるように剣と重ねあう。

 

――アラームが鳴り響いてアナキンは目を覚ます。

 

「あぁ、そうか、夢を見ていたんだったな」

 

 不思議と満足した気持ちになりながら体を起こすアナキン。

 

「あ、おはよう。マスター」

 

 アラームで目を覚ますアソーカ。

 

「おいおい、寝ていたのか?」

 

「だって、一日起きているわけにもいかないでしょ?それより、どうなったの?」

 

「ようやく、第一関門突破というところだな。アラームで目を覚ましたが白銀の剣と兜を手に入れて仲間を手にしたというところだ」

 

「すごいじゃん!じゃあ、次から妖霊軍と戦うってことなのね?」

 

「そんな感じだろう」

 

「最初はどうなるかと思ったけど、マスターがみている夢、面白そう。私も参加しようかな」

 

「おいおい、途中から参加して楽しめるのか?」

 

 アナキンの揶揄う言葉にアソーカはムッという表情になる。

 

「マスターの活躍見ているばかりじゃつまらないもん。マスターができるなら、私もできるよ!」

 

「そうか、楽しみだな」

 

「何の話かな?」

 

 第三者の言葉にアナキンとアソーカが振り返る。

 

 入口にオビ=ワンが立っていた。

 

「騒がしいようだが、何をしているのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

 

「マスターケノービも参加するんですか?」

 

「お前達が無茶をしないか、保護者が必要だ」

 

 二人の話を聞いて夢幻三剣士の夢に参加することになったオビ=ワン。

 

「このアンテナをつけてね」

 

 アソーカに言われて二人は赤いアンテナをつける。

 

 アンテナを着ける事でより気ままに夢見る機の夢へ繋げる事がスムーズに行える。

 

「じゃあ、始めるよ」

 

 アソーカの操作のもと、アナキンとオビ=ワンは夢の中に入った。

 

 その時、アソーカは“気付かぬうちに”夢見る機の隠しボタンを押した事に気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが竜の谷だ」

 

 魔法使いドラモン(オビ=ワン)の説明を聞きながらノビタニャン(アナキン)、ジャイトス、スネミスは谷の入口へ足を踏み入れる。

 

 三剣士が旅をしている途中に助言者として仲間になった魔法使いドラモンは竜を倒して返り血を浴びれば不死身になれるという情報を伝える。

 

 竜の血を得る為に三剣士とドラモンは竜の谷へ向かうことにした。

 

「色々疲れた」

 

「本当……」

 

「ドラモンは箒をなくすし」

 

 道中、ドラモンが持っていた魔法のバッグをうっかりジャイトスが空へ放り投げてしまい、慌てて取り戻そうとした箒は持ち主であるドラモンを置いて飛び立つ……というアクシデントがあった。

 

 何も悪いことばかりではない。

 

 ノビタニャンが助けた子熊の親の協力を得て、短期間で竜の谷へ辿り着くことができた。

 

「ありがとう、熊さん。子熊君のところへ帰ってあげてください」

 

「やはり、行かれるんでガンスか?竜の谷へ行って帰ってきたものは誰もおらんでガンスよ?」

 

「だが、妖霊軍と戦う為に必要な事なら行かなければならない」

 

「それが俺達夢幻三剣士の使命なのです!」

 

「怖いけど、やるしかない!」

 

「魔法使いドラモンもいる。我々の事を信じてほしい」

 

「そうでガンスか、お達者で!」

 

 熊はそういうと去っていく。

 

 彼の姿が見えなくなるまでノビタニャン達は手を振り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜の谷にきたはいいけど、竜はどこにいるんだろう?」

 

「この谷の奥にいるのだろう」

 

 彼らは警戒しつつ、谷の中を進む。

 

 谷の中は硫黄の香りが漂い、岩が多い。

 

「竜の息吹は気を付けるんだ。当たれば石にされてしまう」

 

 皆へ竜について、説明するドラモン。

 

「弱点は髭、髭を斬られると力が抜けてふにゃふにゃになる」

 

「へぇ、流石はドラモン」

 

「詳しいね」

 

「魔法使いだからな」

 

 魔法使いとして様々な修業の際に知識として様々な書籍に目を通した。その中で竜についての情報があったのだ。

 

 周りを見ながらゆっくりとノビタニャンが一歩を踏み出した時。

 

「なっ!?」

 

 いきなり地面が吹き飛んでノビタニャンの姿がみえなくなる。

 

 突然の事に近くの岩場へ隠れるドラモン、ジャイトス、スネミスの三人。

 

「これは、間欠泉だ」

 

「間欠泉?」

 

「一定の期間に水蒸気や熱湯を吹き出すことだよ」

 

「竜が漏らしたのかと思ったぞ?」

 

「あれ、ノビタニャンは?」

 

 スネミスが周りを見る。

 

 一緒にいた筈のノビタニャンの姿がどこにもない。

 

「もしかして、ノビタニャン、さっきの間欠泉でどこかに飛ばされたのか!?」

 

「何だってぇ!?すぐに探さねぇと」

 

「手分けして探そう。竜に気を付けて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドラモン、ジャイトスと別れたスネミスはノビタニャンの名前を呼びながら谷の中を進む。

 

 硫黄の臭いが鼻につくし、岩しかない。

 

 スネミスはため息を零す。

 

「ノビタニャン、どこいったんだよ?いきなりバーは嫌だよぉ?」

 

 若干の怯えをみせながら歩いていると前の岩にぶつかりそうになる。

 

 驚いたスネミス。

 

「なんだ、人の顔をした岩か」

 

 人の形をした岩をみて笑うスネミス。

 

 しかし、すぐにある可能性に気付く。

 

「人の顔!?これ、まさか」

 

 

――竜にやられたんだじゃ?

 

 

 怯えて、下がるスネミス。

 

 後ろにあった岩にぶつかり悲鳴を上げる。

 

 悲鳴をあげながら坂道をあがるスネミス。

 

 竜にやられて石にされたのだろう。

 

 多くの剣士達の岩が転がっている。

 

「あ、あ、ぁぁ」

 

「大声出すなっての」

 

 スネミスの悲鳴を聞いて駆けつけてきたのだろう。

 

 怯えた様子のスネミスに注意するジャイトス。

 

「り、竜」

 

「りゅう?」

 

 スネミスの指さす方向をみるジャイトス。

 

 崖の向こうの大きな平地でこちらをみている緑色の竜。

 

「臆するな!髭を斬ってしまえば!」

 

 ジャイトスが剣を抜いて駆け出そうとした瞬間、竜の息吹が二人を襲う。

 

 悲鳴を上げる暇もないまま、二人は息吹に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?ノビタニャン」

 

「ドラモン、僕は」

 

 その頃、ノビタニャンとドラモンの二人は無事に合流をしていた。

 

 間欠泉で吹き飛ばされたノビタニャンだが、幸運にも大きな怪我はなく、意識を失っていただけ。

 

「間欠泉で吹き飛ばされたんだ。大きな怪我がなくてよかった」

 

「そうか……他の二人は?」

 

「キミを探している。竜もいることだ、すぐに合流しよう……ん?」

 

 ジャイトス達と合流しようと考えていると、謎の声が響く。

 

 兜をかぶり、ノビタニャンとドラモンが声の方へ向かうと大きな翼を動かして飛行する巨大な竜が現れる。

 

「竜だ!」

 

 竜は二人の姿を見つけると息吹を吐く。

 

 二人は慌ててその場から逃げる。

 

「石になる!?」

 

「いくら私達でも何の対策もなしにあれへ挑むわけにいかん!逃げるぞ!」

 

 逃げる二人を竜は追いかけてくる。

 

 後ろを確認しながら走っていた二人は前方をみていなかった。

 

「あぁ!?」

 

「しまった!?」

 

 崖から真っ逆さまに落ちる二人。

 

 底は温泉になっており、二人はドボンと落ちる。

 

「ノビタニャン、大丈夫か!?」

 

 慌ててノビタニャンを抱えて浮上しようとした。

 

 しかし、待ち構えていた竜の口から息吹が放たれる。

 

「わっ!?」

 

 二人は慌ててお湯の中に戻る。

 

 息吹はお湯に当たると弾かれてしまうらしい。

 

 ドラモンは底に裂け目があることに気付くとそのまま奥へ進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ノビタニャンやアソーカと同じように夢幻三剣士の世界へ入ったアソーカはというと。

 

「散々な目にあった」

 

 夢幻三剣士の世界に入ったアソーカこと、シズカリアンはどういうわけかユメミル王国の王女様という役割を与えられていた。

 

 王女様の生活という堅苦しい生活に加えて、妖霊大帝を倒した者に妃として与えるという話。

 

 我慢の限界であった。

 

 シズカリアンは王国の兵士が所有している装備一色を奪うと王国から逃走。

 

 シズカールという旅の剣士に身を隠したのは良かったのだが、何の拍子かウマに乗ってしまい、三日三晩走るという事態。

 

 最後はウマに放り出されて草原の上で倒れこんでいる。

 

 夢の中で空腹で死にそうというのも変な話だが、シズカールは疲労を感じて限界だった。

 

「ダメ、もう腹ペコで動けない……」

 

 夕焼け空を見上げながら涙を零すシズカール。

 

 その時、流れ星の一つが大きな音を立ててシズカールの近くに落下した。

 

「いたい……」

 

 コツンとシズカールの頭に落下したものがある。

 

 手に取るとバッグだった。

 

「何か食べ物……」

 

 震える手でバッグの中を漁る。

 

 すると、パンや飲み物など、次々と現れてくる。

 

「フォースの、じゃない。神の恵みかな?」

 

 シズカールはパンを手に取ると空腹を満たすために食べる。

 

 ミルクを飲み終えた所でクレーターから音が聞こえることに気付く。

 

「音?」

 

 シズカールはクレーターの中心へ向かう。

 

 クレーターの中心地で地面から抜け出そうともがいている動く箒があった。

 

「抜けないの?」

 

 シズカールは箒を掴んで引っ張る。

 

 その瞬間、自由になった箒は大空へ舞い上がった。

 

 掴んでいるシズカールと共に。

 

 シズカールは悲鳴を上げて箒に跨って空へ飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目が覚めたようだな。ノビタニャン」

 

「ドラモン、僕はどうして」

 

「竜から逃げる為に温泉の中に飛び込んだのさ。その後に裂け目から一度、竜の谷から離れたのさ」

 

「そういうことか」

 

 体を起こすノビタニャン。

 

「あの竜の息吹は厄介だな」

 

「今の我々にアレをどうにかする手段がない。不意を突いて髭を斬ればなんとかできるかもしれないが」

 

「髭を斬るというのは言うのは簡単だけど、あの息吹を防ぐ手段がなければ、僕達は全滅だ。魔法使いの力でなんとかできないのか?」

 

「方法はあるのだが、箒がなければ、なんとも……おや?」

 

 目を凝らすドラモン。

 

 夕焼け空に何かが飛行しているモノがある。

 

「あれは、箒だ!」

 

 ドラモンは歓喜の声を上げる。

 

「ドラモン、箒の上に何か乗っているぞ?」

 

 ノビタニャンの言葉通り箒の上に誰かが乗っている。

 

 箒は持ち主であるドラモンを見つけると乗っている人物を振り落とし、そのままドラモンへ抱き着いてくる。

 

「よしよし、再会できて嬉しいぞ」

 

「まるで犬みたいだな……キミは大丈夫か?」

 

「えぇ、一日、箒に乗っていたから」

 

 ノビタニャンに助けられながら立ち上がる剣士。

 

「貴方は?」

 

「僕はノビタニャン、白銀の剣士だ」

 

「白銀の剣士?貴方が」

 

 シズカールは驚きながら目の前の剣士をみる。

 

 父である国王が言っていた剣士が目の前にいる。彼が変な剣士でないか確かめるチャンスだ。

 

「私はシズカール、旅の剣士」

 

「よければ、キミも我々の竜退治に協力してくれないか?」

 

「構わないわ」

 

 シズカールという仲間も得られた事でドラモンは考えていた案を伝える。

 

 箒の手助けを借りて石像に偽装して竜に接近。

 

 隙をついて髭を斬るという作戦。

 

 箒によって全身を煤塗れになった三人は再び竜の谷へ挑む。

 

 空を飛ぶドラモンとゆっくりと岩場を進む二人。

 

 しばらくして、寝息が聞こえてくる。

 

 寝床で規則正しい吐息で眠っている竜がいた。

 

 ドラモンの指示でノビタニャンとシズカールは二手に別れる。

 

 箒からゆっくりと降り立つドラモン。

 

 その際に足元の岩が崩れて崖へ落ちていく。

 

 岩の音が谷の中に響く。

 

 むくりと身を起こす竜。

 

 目を逸らすノビタニャン。

 

 動きを止めるシズカール。

 

 ドラモンは目を閉じる。

 

 周囲を調べて敵がいないことを確認した竜は再び眠りにつく。

 

 竜が眠りについた事を確認して安堵の息を吐くドラモン。

 

 再び歩き出すシズカール。

 

 ノビタニャンはゆっくりと歩き出そうとした。

 

 その眼前で石にされた者の姿が目に入った。

 

「ジャイトス!スネミス!?」

 

 仲間が石にされた事で驚きの声を上げるノビタニャン。

 

 その声に竜は目を覚ます。

 

「しまった!」

 

 目を覚ました竜はノビタニャンへ標的を定める。

 

 慌ててその場から離れて岩の影に隠れるノビタニャン。

 

 竜の息吹から身を隠しているノビタニャン。

 

 その足元がぶくぶくと揺れだす。

 

「なっ!?」

 

 間欠泉によって空へ舞い上がるノビタニャン。

 

 石にせず、飲み込もうと口を開けて近づいてくる竜。

 

 竜をみてノビタニャンは白銀の剣を抜く。

 

 抜くと同時に伸びている髭の左右を斬り落とす。

 

 髭を斬り落とされた竜は力が抜けて地面へ倒れこむ。

 

 落下していくノビタニャンを間一髪、ドラモンが箒に乗ってキャッチする。

 

「流石だ、ノビタニャン」

 

「間欠泉に助けられるなんてな」

 

「凄いわね!」

 

 シズカールは駆け寄ってきてノビタニャンを褒める。

 

「これでも白銀の剣士だからな」

 

 剣を構えるノビタニャン。

 

 竜へ刃を突き立てる。

 

 返り血を浴びれば不死身になり、妖霊軍と戦うことができる。

 

 その為に竜を犠牲にしなければならない。

 

「竜を……できない」

 

 ノビタニャンは剣を鞘に納める。

 

「「何だって!?」」

 

 驚きの声を上げるドラモンとシズカール。

 

「不死身にならなければ妖霊軍と戦うことができないんだぞ」

 

「そうかもしれない。でも、竜はここに住んでいるだけだ。村を襲ったわけでも国を滅ぼしたわけでもない。悪意を持って何かしたわけでもない竜を斬るなんてことは僕に、できない」

 

「貴方。優しいのね」

 

「仕方ない。不死身になる以外の方法を考えるしかないな」

 

 ノビタニャンの言葉にシズカールとドラモンは彼の考えを尊重する事にした。

 

 その時、シズカールは竜の髭が再び生えていることに気付く。

 

「髭が生えている!?」

 

「いかん、竜の髭は再生するんだ」

 

「えぇ!?なんでそんな大事な事を忘れているの!?」

 

「とにかく、隠れ」

 

「その必要はない。勇敢なる剣士よ」

 

 逃げようとした三人へ起き上がった竜が呼びかける。

 

「私の血を狙って多くの剣士達が襲い掛かってきた。身を守るために襲い掛かってきた者達を石にしてきた。だが、キミのように心が清らかな剣士は初めてだ」

 

「竜、僕は貴方の命を狙わない。他の方法を考えます」

 

「待ちたまえ」

 

 去ろうとしたノビタニャン達を呼び止める竜。

 

 竜は近くの温泉へ身を沈める。

 

「キミ達の為に血を流すという事はできないが……私の汗をこの湯に流そう。

不死身になるわけではないが、一度、命を落とした時に再生する力がある」

 

「まるでだし汁だな」

 

「その考えって、違うと思うんだが」

 

 二人はそういいながら服を脱いで竜の湯の中へ入っていく。

 

 シズカールはそのまま入ろうとする様子がない。

 

「どうしたんだ?」

 

「僕は後で良い」

 

「そうなのか」

 

 ドラモンは不思議に思いながら湯に顔をつける。

 

 二人は煤を落としたところでノビタニャンは立ち上がった。

 

「すまない。石にされた仲間を元に戻したいんだ。方法はないのか!」

 

 着替え終わったノビタニャンとドラモンは兜と帽子に竜の湯を淹れて走っていく。

 

 竜はノビタニャンの仲間という事で特別に方法を教えてくれた。

 

 お湯をかける事で石の呪いは解けるという。

 

 言われたとおりにお湯をかけた途端、眩い輝きと共に二人は元に戻った。

 

 バランスを崩した二人はそのままぺたんと座り込む。

 

「元に戻ったんだ。よかった!」

 

「俺達はどうして」

 

「竜のおかげなんだ。それに仲間もできた」

 

 ノビタニャンの言葉に呆然としているジャイトスとスネミス。

 

 しばらくして落ち着いた彼らは竜の前に立つ。

 

「これからどうするのかね?」

 

「妖霊軍と戦う為に街へ向かいます!」

 

「それならば谷から少し離れた所に川がある。川を下ればアンデル市と呼ばれる人の住処がある」

 

「ありがとう、竜さん」

 

 全員が身構える。

 

 これから本当に妖霊軍と戦うことになる。

 

「いよいよね!」

 

「怖いけど、やるんだ!」

 

「腕が鳴るぜ」

 

「妖霊軍との戦いが本格的に始まるんだ」

 

「さぁ、行こう!」

 

 

 竜に言われて谷から少し離れた所にある川。

 

 

「この川を下るの!?」

 

「なんて流れだ」

 

 驚くシズカールとジャイトス。

 

 目の前の川は勢いが強く、油断すればあっという間に川の中へ落ちてしまうだろう。

 

「船をつくるしかないな」

 

「作るって!?」

 

 ドラモンの言葉に戸惑っている彼らの前でノビタニャンが剣を抜いた。

 

 一撃で一つの分厚い木を斬り落とす。

 

 音を立てて崩れ落ちる木。

 

 驚く皆の前でノビタニャンは剣一本で船をつくる。

 

「凄い剣だね」

 

 出来上がった船に乗り込む。

 

 川の揺れはすさまじく少しでも気が抜けば振り落とされてしまうだろう。

 

「気を抜くな!油断すれば川の中に落ちるぞ!」

 

 ジャイトスの叫びを聞きながらノビタニャンの意識は落ちる。

 

 




結構な長さになってしまった。

次はどうなるか?

ほぼほぼ、映画と同じ流れになっていますが、後半から変更も入る予定です。


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Ep.5 帝国の逆襲
運び屋


映画の話が全く筆が進まず、このままだと永遠に話が進みそうにないので、ひとまず打ち切りにして、帝国の逆襲に進みます。

あまりストックがないので、変わらず亀更新ですが、付き合っていただけると助かります。

今回、ニンテンドー64の帝国の影から出てくるキャラクターがいます。

これだけで察する人達はいるでしょうけど。




ヤヴィンの戦いから三年が経過した。

帝国軍の攻撃を受けた反乱軍はヤヴィン第四衛星の基地を放棄。

追撃してくる帝国から逃げながら反乱軍は氷の惑星ホスにエコー基地を設立に成功する。

 

極寒に閉ざされたこの惑星に訪れようとする者はおらず帝国軍の追跡から逃れる為にうってつけであると判断した。

 

そんなエコー基地のある惑星ホスへ一隻の船が近づいていた。

 

ミレニアム・ファルコン号とどこか似た面影を持つ宇宙船【アウトライダー】の船長へ相棒ドロイド、リーボが声をかける。

 

「船長、惑星ホスがみえてきました」

 

「よし、専用コードを送信しろ」

 

「わかりました」

 

リーボが操作をしている横で船長のダッシュ・レンダーは速度を保ちながら惑星ホスに着陸の態勢をとる。

 

『こちらエコー基地、第3ベイへ着艦を』

 

「了解だ」

 

通信を終えた所でダッシュはため息を零す。

 

「やれやれ、これでようやく連中とおさらばできるな」

 

「そうですね。今回は中々にハードでした」

 

相棒のリーボの言葉に同意するダッシュ。

 

今回の“積み荷”はとても大変だった。

 

運び屋として危険な仕事を何度もこなしたことがあるベテランのダッシュですら何度、地獄を感じたか。

 

「しかし、あんな連中がまだ生きていた事に驚いたね」

 

「記録に残っている限り、今は僻地の監視を任されているようです」

 

「それを放棄して集まるんだからどれだけ帝国に人望がないのか、ま、俺も帝国嫌いだが」

 

相棒と話をしている間にアウトライダーはエコー基地に入る。

 

ゆっくりと着陸するアウトライダー。

 

アウトライダーのハッチが下りて船長のダッシュが姿を見せる。

 

第三ベイの入口から見覚えのある人物が現れてダッシュは破顔した。

 

「ハン!ハン・ソロじゃないか!」

 

「ダッシュ!久しぶりだな!」

 

「チューイも!」

 

現れたのは同じ運び屋のハン・ソロと彼の相棒チューバッカ。

 

今は反乱軍のメンバー。

 

再会を喜ぶ三人。

 

「そろそろいいか?」

 

そんな再会の三人へ声をかける者達。

 

「おい、ダッシュ、その後ろは?」

 

「今回の積み荷の一部だ」

 

ぞろぞろとアウトライダーから降りてきた連中は皆、同じ顔をしていた。

 

どこか帝国軍のトルーパーと似たアーマーを纏っているも違いがあるとすれば、肩や胴体のアーマーに赤や青、黄色等のペイントがされていることだろう。

 

その姿に帝国軍の士官だったソロは目を見開く。

 

「クローン・トルーパーか」

 

「ほぉ、俺達の事を知っているのか、坊主」

 

ニコリと一人が笑う。

 

「アンタら、帝国に反旗を翻して俺達に味方するのか?」

 

「違うな」

 

別のクローンが首を振る。

 

「俺達は帝国を赦せない、だが、反乱軍に味方するわけじゃない」

 

「じゃあ、何のために」

 

戸惑うソロの傍へ一体のドロイドが喜びの音を上げながらやってくる。

 

「おぉ!久しぶりだな!R3」

 

アストロメク・ドロイドR3は喜びの声を上げながらクローン達の周りを走る。

 

クローンの一体、ハードケースが笑顔でR3を撫でた。

 

「お前がいるって、ことは」

 

「兄弟!」

 

通路の入口から一人のクローンがやってくる。

 

ファイヴスだ。

 

「会いたかったぜ!」

 

「元気そうだな!」

 

「また、再会できて嬉しいぜ!」

 

クローン達は嬉しそうに再会を喜ぶ。

 

彼らの再会を邪魔するわけにもいかないと考えたソロはダッシュを連れて別エリアに移動する。

 

再会を喜んでいたハードケースはファイヴスへ尋ねた。

 

「なぁ、メッセージに書いてあった内容、あれは本当か!?」

 

「間違いない!彼がいるぞ!」

 

ファイヴスの言葉に彼らは破顔して続く。

 

 

 

クローン・トルーパー。

銀河帝国樹立の際、ターキン総督が効率等の点から製造を中止、平和をもたらした兵士である彼らは今や年老いて辺境の惑星の監視や窓際と呼べるような場所に追いやられていた。

そんな彼らが反乱軍に参加することを決めたのは帝国の知らない秘密回線にあるメッセージが届いたからだ。

 

――ノビタ・ノビが帰ってきた。

 

その知らせを受け、彼とと共に戦場を駆け抜けたクローン達は今の帝国に従わず、彼の下へ向かう事を決意。

密かに帝国を裏切り、反乱軍の拠点へ集まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドラえもん、スパナを」

 

「はい」

 

エコー基地の格納庫の一角。

 

のび太とドラえもん、そしてスネ夫はスノースピーダーを極寒の中で耐えられるように改造していた。

 

「のび太、スピーダーに外付けでもいいから耐寒仕様のパーツを付けた方がいいんじゃないかな?被弾を避ける為にコンパクトとはいえ、この機体で極寒仕様は厳しいと思う」

 

「うーん、そうすると速度が落ちるからあまりとりたくないんだよ。敵が攻めてくるならおそらくウォーカーで来る。ウォーカーの一発の砲撃は危険、対峙するなら速度が命なんだ」

 

「のび太君が考えている。なんか、感動、温かい目」

 

「本当に驚いたな。のび太がそんなこというなんて」

 

「まぁ、これでも戦争を潜り抜けているからね。それより、ドラえもん、その目、怖いからやめてよ」

 

作業を続けながらのび太は気配を感じて作業を止める。

 

「のび太、どうした?」

 

「のび太君?」

 

「……」

 

スピーダーの下から出て、のび太は立ち上がる。

 

そして、入口へ視線を向けた。

 

スネ夫とドラえもんも入口をみる。

 

「なに、あの人たち?」

 

「ファイヴスさんと似ている?」

 

戸惑っている二人を置いて、のび太は嬉しそうに目を細める。

 

「みんな、久しぶりだね」

 

「将軍!」

 

のび太の言葉と共に彼らが一斉に敬礼をとる。

 

「生きていると信じておりました!」

 

「俺達、将軍と再び戦うべくきました!」

 

涙を零しながらカタップ、ハードケースが気持ちを伝える。

 

「ありがとう、カタップ、ハードケース」

 

のび太は二人へ感謝の気持ちを伝える。

 

「久しぶりだね、ドグマ」

 

「……お久しぶりです。将軍と共に戦えることがとても嬉しいです」

 

前は堅物だったドグマだが、様々な経験を得たのだろう。

 

どことなくレックスと似た雰囲気がある。

 

そして、一人。

 

「久しぶりだね、ウォルフ」

 

俯いているウォルフは震えている。

 

「自分は、ジェダイに恨まれています。しかし、死にたくは」

 

「落ち着いて」

 

震えているウォルフの肩へ手を置く。

 

彼にフォースを通して、恐怖に震えている心を癒す。

 

「キミはバイオチップでオーダー66によって強制的に従わされていたにすぎない、ジェダイを……彼らを殺した事で苦しんでいるなら、それ以上に多くの人を苦しみから救おう……それが償いになる筈だから」

 

「将軍、自分は、自分はぁああああ」

 

涙を零すウォルフをのび太は優しく抱きしめる。

 

「大丈夫だ。キミの事を僕は恨んでいない。恨んでいないよ。ウォルフ」

 

数分後、落ち着いたウォルフは泣いて真っ赤になりながらも綺麗な敬礼をする。

 

「来たのはこれだけか?」

 

「他の兄弟達に連絡をしているが遠方過ぎてすぐにこられない連中もいる。残念ながらすぐに集まることは厳しいでしょう」

 

「でも、仲間が一人でも来てくれることは嬉しいよ」

 

ウォルフの言葉にのび太は嬉しそうに答える。

 

「あぁ、紹介するよ。彼はドラえもん、そして、僕の故郷の友達のスネ夫」

 

「ドラえもんです。はじめまして」

 

挨拶をするドラえもんにハードケースがぽつりと呟く。

 

「すげぇ、タヌキ型ドロイドだ」

 

「僕はタヌキじゃなぁああああああああい!」

 

「あ、スネ夫です。よろしくお願いします」

 

叫ぶドラえもんをのび太が宥めている横でスネ夫が挨拶をする。

 

ハードケース達は興味津々という様子でスネ夫を囲む。

 

「あ、あの何か?」

 

「普通だな」

 

「変な髪形しているぞ?」

 

「見た目は普通の人間だな」

 

ハードケース、カタップ、ドグマがそれぞれに感想を告げる。

 

「お前達、落ち着け、すまないな。あのノビ将軍と同じ故郷という事で皆が興味津々なのだ」

 

ファイヴスが謝罪する。

 

「大丈夫です。のび太、作業を中断しよう」

 

スネ夫は首を振りながら作業を中断することにした。

 

「そうだね、この基地の事も案内したいし、あ!」

 

ポンとのび太は手を叩く。

 

「キミ達にルークの事を紹介しないと」

 

「ルーク?」

 

「誰です?」

 

戸惑うクローン達。

 

唯一、誰の事か知っているファイヴスは笑みを浮かべる。

 

彼らの驚く表情が楽しみだ。

 

その頃、偵察に出ていたルーク・スカイウォーカーが戻っていないという事態になっていることを彼らは知らなかった。

 

 

 




戦争で本来なら死んでいるクローンや反乱者達に出てくるクローンの一部を登場させました。

彼らは年老いていますが、腕は衰えていません。

それはつまり?


次回の更新も頑張ります。


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