遊戯王GXの世界を拾ったカードで戦い抜く! (kajoker)
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プロローグ

前から考えていた遊戯王GXの小説です。

なんやかんやで結局書かずにいたのですが、思い切って書いてみました!

それでは、本編をどうぞ!

※小説のタイトルが間違っていたので訂正しました。


突然だが、皆さんは『カードは拾った』というセリフをご存知だろうか?

 

遊戯王5Dsの主人公、不動遊星が言い放ったこのセリフはデュエリストの中では有名であり、某シーホースの人の動画等で知った人は多いのではないだろうか。

 

何故、急にそんなことを言い出したのかというと―――――

 

「これで、40枚目!」

 

拾ったカード シーホース

 

「シーホース…これで3枚目なんだけど…俺ってば、某シーホースの人じゃないんですが…」

 

現在、俺はそれと類似した事態に陥っているからだ。

 

////////////

 

「…なぁにこれ…いやいや、まだ諦めるな!割と良いカードも拾えたし、いけるいける!」

 

そう独り言を口にしつつ、さきほど組み上がったデッキを確認する。

 

デッキ内容

 

モンスター 27枚

 

ブラックマジシャン×1

 

暗黒騎士ガイア×1

 

カースオブドラゴン×1

 

光をもたらすものルシファー×1

 

モリンフェン×3

 

シーホース×3

 

雲魔物−スモークボール×3

 

海月−ジェリーフィッシュ×3

 

シルバーフォング×1

 

岩石の巨兵×1

 

水霊使いエリア×1

 

憑依装着エリア×1

 

隼の騎士×1

 

ゴブリンドバーグ×1

 

コマンダー×2

 

クリボー×1

 

レベルウォーリアー×1

 

シールドウィング×1

 

 

 

魔法カード 5枚

 

黒・魔・導×1

 

千本ナイフ×1

 

ワン・フォー・ワン×1

 

財宝への隠し通路×1

 

緊急テレポート×1

 

 

 

罠カード 8枚

 

リビングデッドの呼び声×1

 

強欲な瓶×2

 

砂塵の大竜巻×1

 

城壁×1

 

ホワイトホール×1

 

避雷針×1

 

攻撃の無力化×1

 

 

「う、うーん…これは…いける?まぁ、勝ち筋はあるし…いや、でもキツイな」

 

俺の名は紡軌希望(つむきのぞみ)、どこにでも居るような遊戯王好きなごく普通の高校生だったのだが、気づけば遊戯王GXの世界へと来てしまっていた。

 

死んだ覚えはないから、おそらく転移させられたってことなんだとは思うけど……そして、カードを拾えるという謎の能力と生活に必要なものが与えられた。

 

意味がわからないだろ?だが、現実だ。

 

本当にマジでなんなんだよー!なんか筆記試験は受けたことになってて、明日実技試験を受けることになったし…何の目的で俺をこの世界に飛ばしたのかもわからないし。

 

…もう帰りたいよ…ガチで泣きそうだよ。

 

「って…しっかりしろ!いつまでも俯いてばかりもいられないだろ!やるしかないんだ!」

 

ともかくまずは明日の試験だ…すべてはそれからだ。

 

一応、カードを拾いながら海馬ランドまでの道のりは確認したし、大丈夫なはずだ。

 

「今日はご飯を食べて、風呂入って寝よう…明日、遅刻しないようにしないといけないし」

 

そうして、俺の異世界での初めての1日は過ぎていった。

 

//////////////

 

―――翌日、海馬ランドにて

 

「受験番号51番、紡軌希望です!よろしくお願いします!」

 

「うむ。ではさっそく始めよう。」

 

「はい!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

希望 LP4000

 

VS

 

試験官 LP4000

 

 

 

「先攻は受験生からと決まっている。さぁ、全力で来なさい」

 

「はい!では、俺のターン、ドロー!」

 

手札5→6

 

さて、どうしようかな…このデッキはできることがそこまで多くないしな…とりあえず、まずは様子見といこう。

 

「俺は、モンスターを1体セット…カードを2枚伏せてターンエンドです」

 

 

 

希望 LP4000

 

手札3

 

場 セットモンスター

 

伏せ2

 

 

試験官 LP4000

 

手札5

 

場なし

 

伏せなし

 

 

「私のターン、ドロー…まずは、手札から魔法カード、《シールドクラッシュ》を発動!このカードの効果により、君のセットモンスターを破壊する!」

 

「ぐっ…《岩石の巨兵》が」

 

「《岩石の巨兵》か…まずは、守備力の高いモンスターを召喚し、私の出方を見たということか…先攻の基本的な動きは抑えているようだな。この調子で君の実力を見せてくれ」

 

「もちろんです!」

 

「うむ、元気の良い返事だ…では、私のターンを続ける。さらに、私は手札から《ブラッド・ヴォルス》を召喚!」

 

ブラッド・ヴォルス レベル4 攻撃表示(ATK1900)

 

「そして、装備魔法、《デーモンの斧》を装備!」

 

ブラッド・ヴォルス(ATK1900→2900)

 

「バトル!ブラッド・ヴォルスでダイレクトアタック!」

 

「ぐぅぅ…!!」

 

希望 LP4000→1100

 

「カードを1枚伏せ、私はこれでターンエンドだ」

 

「この瞬間、罠発動!《強欲な瓶》!!このカードの効果で俺はデッキからカードを1枚ドロー!」

 

 

 

希望 LP1100

 

手札3→4

 

場なし

 

伏せ1

 

 

 

試験官 LP4000

 

手札2

 

場 ブラッド・ヴォルス 攻撃表示(ATK1900→2900)

 

伏せ2(内1枚 デーモンの斧)

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

手札4→5

 

ライフが大分削られたな……それにしても、ソリッドビジョンってこんなにリアルなんだな、なんかテンション上がってきた!

 

「俺は手札から魔法カード、《ワン・フォー・ワン》を発動!手札からモンスター1体を墓地へ送り、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚!来い!《雲魔物−スモークボール》!」

 

雲魔物−スモークボール レベル1 攻撃表示(ATK200)

 

スモークボールがフィールドに出た瞬間、デュエルを見ていた周りの人間から嘲笑が聞こえてくる。

 

そういえば、GXの世界は攻撃力重視みたいな考え方が多かったっけ…まぁ、言いたいやつには言わせておこう…俺は俺のデュエルをするだけだ。

 

「さらに、リバースカードオープン!《リビングデッドの呼び声》!!このカードの効果により、俺は墓地に眠る伝説のモンスターを呼び出す!」

 

「伝説のモンスターだと…?」

 

「現れろ!《ブラック・マジシャン》!!」

 

俺のフィールドに、伝説の黒魔術師が現れる…画面越しでしか見たことのないモンスターが目の前に現れたことに感動を覚えながら、俺はその光景を見ていた。

 

ブラック・マジシャン レベル7 攻撃表示(ATK2500)

 

「《ブラック・マジシャン》!?キングオブデュエリスト、武藤遊戯のエースモンスターか!!」

 

試験官の人がそんな驚きの声を上げる。それに、周りの人も騒々しい声を上げている。

 

さすがは、ブラック・マジシャン…皆から大人気だな。

 

かくいう俺もテンションが上がっている…カッコよすぎでしょ!ブラック・マジシャン!

 

「まだまだ!手札から魔法カード、《黒・魔・導》!!このカードは《ブラック・マジシャン》が存在する時に発動できる!相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

「くっ…!デーモンの斧とミラーフォースが…!」

 

「さらに、魔法カード!《千本ナイフ》!!このカードの効果で、相手フィールド上のモンスター1体を選んで破壊する!俺はブラッド・ヴォルスを破壊!」

 

「これが、ブラック・マジシャンの力か!」

 

「そして、俺は手札から《水霊使いエリア》を召喚!そして、《水霊使いエリア》と《雲魔物−スモークボール》を墓地に送り、デッキから《憑依装着−エリア》を特殊召喚!」

 

憑依装着−エリア レベル4 攻撃表示(ATK1850)

 

「憑依装着エリアは自分フィールドの水霊使いエリアと水属性モンスターを墓地に送ることで手札・デッキから特殊召喚できるのさ!さぁ、これで決める!!エリアとブラック・マジシャンでダイレクトアタック!!」

 

試験官 LP4000→−350

 

エリアと、ブラック・マジシャンの攻撃が直撃し、試験官のライフは0になった。

 

「ありがとうございました!」

 

「こちらこそ、良いものを見させてもらったよ。ありがとう!結果な後日郵送する。楽しみにしていてくれ」

 

そう口にする試験官の人に一礼をして、俺はデュエルエリアを後にした。

 

 

その後、他の受験生のデュエルを見ていき、最後に十代とクロノス先生のデュエルを見届けてから俺は試験場を後にした。

 

///////////////

 

「はぁ〜…今日は疲れたな…」

 

まだ結果はわからないけど、合格したらいよいよデュエルアカデミアでの生活が始まるのか…ちょっと楽しみだな。

 

正直、いまいち状況はわからないけど、希望を持ってこの世界を生き抜こう!

 

今の俺にはそれしかできないんだから。

 

「さーて、そろそろ寝るか…お休み…」

 

そうして、俺は眠りについた。

 




といった感じの本編でした!

拾ったカードのデッキを考えるのは難しいですね…あまりにも都合の良すぎるカードを拾いすぎてもダメですし、かといってある程度戦えるカードでなければデュエルにならないという…

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!


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オベリスクブルーの洗礼

久しぶりの投稿です。

小説を書くのは久しぶりなので、どこかおかしな所があるかもしれませんが楽しんで頂ければ幸いです。

それでは本編をどうぞ!




「ついに来たぜ!デュエルアカデミア!」

 

船に揺られて、ついにやってきたデュエルアカデミア。

 

俺はラーイエローの制服を身に纏い、少しばかりテンションを上げて大声で叫んだ。

 

いやはや、自分でも驚くほどにテンションが高いな、まったく。

 

そうこうしていると、俺と同じく船でやってきた生徒達やヘリでやってきた生徒達が続々とやってくる。

 

それを見ながら、さきほど強化したデッキを確認する。

 

一応、デュエルアカデミアに来るまでの期間にカードを何枚か拾えたから船内で少々デッキを強化しておいた。

 

ちなみに、今回拾えたカードはこんな感じだ。

 

モンスターカード×8

 

 

風霊使いウィン×1

 

憑依装着ウィン×1

 

マンモスの墓場×2

 

砦を守る翼竜×2

 

ルイーズ×1

 

聖杯を戴く巫女×1

 

 

魔法カード×5

 

 

魔法効果の矢×1

 

スターブラスト×1

 

下剋上の首飾り×1

 

城壁壊しの大槍×1

 

折れ竹光×1

 

 

 

罠カード×2

 

砂塵の大嵐×1

 

ホーリーエルフの祝福×1

 

 

本来、俺がカードを拾えるのは3日に1度だけで、拾える枚数は最大5枚まで、ただ一番最初は40枚デッキを組むまで拾えたから試験にはなんとか間に合った。

 

どうやら、俺に与えられたカードを拾う能力はタッグフォースのゲームと似たようなもので、シンクロやエクシーズ、ペンデュラムやリンクといった未来の召喚法以外のカードをランダムに拾える能力のようだ。

 

何でそんなこと知ってるかって?紙にご丁寧に書いてあったんだよ…本当、一体誰が何の為にこんなことを…

 

「君は確か、ブラック・マジシャンを使って試験官に勝った受験生…」

 

そう声を掛けてきたのは、俺と同じラーイエローの制服を身に纏っている男子生徒、三沢大地だった。

 

「そうだけど…ちなみに、俺の名前は紡軌希望。君は確か、受験番号1番の…」

 

「三沢大地だ、よろしく。君もラーイエローなんだな…まぁ、君の実力なら当然か」

 

「いやいや、あれは運が良かっただけだよ…」

 

実際、あの時勝てたのは、ほとんど運によるものが大きい…運良く勝ち筋の1つを引き込めていなかったらどうなっていたか…まぁ、デッキを編成したから、あの時よりは上手く戦えるはずだ。

 

「まぁ、それはさておき、あのクロノスっていう実技担当の先生に勝った受験生がいたよな、HEROデッキ使いの…あの人のデュエルには心が踊ったよ…確か、名前は…」

 

そんな風に三沢と遊戯王GXの主人公である遊城十代の話をしようとすると、元気な声を上げながら本人がやってきた。

 

おぉー!マジで十代だ!なんか本人を間近にすると本当に遊戯王GXの世界にやってきたんだと実感するな…!

 

「あれ?こっちの奴とは初めて会うな…誰だ?」

 

「あぁ、彼が昨日言っていたブラック・マジシャン使いの受験生だよ」

 

「アレは本当にテンションが上がったッス…!まさか、ブラック・マジシャンが戦う姿をこの目で見られるなんて…」

 

「おぉ!お前がそうだったのか!俺も見たかったなぁ〜…そうだ!今からデュエルしようぜ!見せてくれよ!ブラック・マジシャン!」

 

「えっ…!?いや、その…」

 

どうやら、俺が感激している間に話が進んでいたらしい…どゆこと?何故にデュエルすることに…?

 

「アニキ、自己紹介もせずに失礼だよ…この人も困ってるッスよ」

 

「それもそうか。悪い…えっと俺、遊城十代!よろしくな!…んで、こっちが…」

 

「僕は、丸藤翔!よろしくね!」

 

「俺は紡軌希望、よろしく!」

 

そうして、2人と握手を交わし、雑談しながら島の中心へと歩を進めた。

 

///////////////

 

「どうすりゃ良いんだ…まさか、この年で迷子になってしまうとは…」

 

鮫島校長の話をデッキ編成を考えながらスルーし、その話が終わった後、寮にある自分の部屋へ荷物を置いていき、校舎内を見て回ることにしたのだが……気づけば自分がどこにいるかわからない状態、要するに迷子になってしまった。

 

「いや、本当にどうしよう…」

 

そんな風に途方に暮れていると、オベリスクブルーの制服を着た見覚えのある金髪の女性が目に入る。

 

あの人、天上院明日香さんだよな…アニメで何度も見た…というか、めっちゃキレイな人だな。

 

…って、見惚れてる場合じゃなかった!……よし!声を掛けてみよう!このままじゃ、無事に寮に帰れる気がしないし。

 

「あの、すみません…ちょっと良いですか?」

 

「はい…?って、あなた、ブラック・マジシャンを使ってた受験生…!」

 

「えっと、俺は紡軌希望…君は?」

 

「ごめんなさい。まずは自己紹介よね…私は天上院明日香。明日香で良いわ」

 

「じゃあ、明日香さんで…俺のことは希望で良いよ」

 

「わかったわ。よろしくね、希望。ところで何か私に用があったの?声を掛けてくれたみたいだけど」

 

「いや、実は…恥ずかしながら迷子になってしまって…できれば、明日香さんに道案内してもらえないかと…このままじゃ、永遠に抜け出せる気がしなくて」

 

あははと苦笑しながら、明日香さんにそう告げる。

 

いきなりこんなことを頼むのは申し訳ないが、無事に帰れるのか不安すぎるからな…ここは明日香さんを頼るしかない。

 

「あなた、迷子だったの?」

 

「あちこち回っている内に道がわからなくなって…自分でもこの年で迷子になるとは思ってなかった…」

 

「そうだったのね…わかったわ。案内してあげる」

 

「ありがとう!本当に助かる!」

 

感極まって、思わず明日香さんの手を握る。

 

マジで明日香さんに会えて良かった!さすがに永遠に出られないってことはないだろうけど、長い時間彷徨うことになったのは間違いないだろうからな…本当に感謝以外の言葉が見当たらないぜ。

 

「ちょ、ちょっと!?どうしたの?」

 

「ご、ごめん!」

 

そう言いつつ、慌てて明日香さんと距離を取る。

 

「構わないわよ……それにしても、よほど不安だったのね」

 

「いやはや、本当に申し訳ない…それじゃあ――「何だよ!お前達!」――なんだ?騒がしいな」

 

「誰かが言い争ってる?…行ってみましょう!」

 

「あぁ!」

 

――――――

 

――――

 

――

 

言い争う声がする方へと向かうと、そこには十代と翔、そして、オベリスクブルーの生徒が3人居るのが目に入った。

 

「あなた達!何してるの!?」

 

「その通りだよ…何やってんだ?トラブルにでも巻き込まれたのか?十代、翔」

 

「貴様は…試験の時にブラック・マジシャンを使っていた51番!…何故、天上院君と一緒に…?」

 

そう反応したのはオベリスクブルーの生徒の1人、ツンツンヘアーが特徴的な、皆大好き万丈目サンダーである。

 

あ、まだこの時はサンダーじゃないんだっけ…アニメを見たのは結構前だから、内容をあんまり覚えてないな。

 

まぁ、ともかく軽く自己紹介といこう。

 

「俺の名前は紡軌希望だ。51番じゃないって…まぁ、話せば長くなるんだけど、色々あってさ」

 

「ゆっくり話してるところ悪いけど、もうすぐ寮での歓迎会の時間よ。そろそろ戻った方が良いんじゃない?」

 

明日香さんのその言葉に万丈目と取り巻きの2人が渋々といった様子でその場を後にした。

 

そして、十代と翔も寮での歓迎会のことを聞き、慌てて走って行ってしまった。

 

まぁ、慌てても自己紹介を忘れずにしてから帰る辺り、十代達も真面目だな、なんて思ったりもしたが。

 

「あなたも気をつけてね。特にブラック・マジシャンという、伝説のデュエリストのエースモンスターを使っていることで注目も集めてるだろうから」

 

「…そうなんだよなぁ。みんな、俺というデュエリストよりもブラック・マジシャンの方に目が行ってて、俺を見てくれてない気がする…」

 

会った人がみんな、ブラック・マジシャンを使っているデュエリストだって印象を持ってる…そりゃあ、この世界でブラック・マジシャンが有名なのは知ってるけどさ。

 

なんか、それはちょっと寂しいな。

 

「希望…その、ごめんなさい。私はそんなつもりで言ったわけじゃなくて…」

 

「あっ…あはは…!いや、大丈夫。明日香さんがそんなつもりで言ったわけじゃないってことはわかってるから!じゃあ、俺達もそろそろ行こう!」

 

「えぇ…」

 

そうして、俺は明日香さんの案内の元、無事に寮へと帰ることができた。

 

ただ、心の中ではこの時の出来事がずっと引っ掛かったままだった。

 

///////////////

 

「ふぅ〜…良い湯だった。ん?PDAに何か届いてるな」

 

そうして、PDAを手に取ると万丈目からメッセージが届いていた。

 

内容としては互いのベストカードを賭けたアンティデュエルをしろということだ。

 

アンティデュエルは禁止されてるし、こんな時間にデュエルしたらダメなんだけどな。

 

でも、このデュエルを受けなかったら、あることないこと周りの人達に吹き込まれるかもしれないな…それはちょっと面倒だ。

 

「しょうがない…行ってやるか。学校側にバレたら万丈目達のせいにすれば良いし」

 

俺はそう考えて、万丈目達の待つ場所に向かって歩を進めた。

 

______

 

_____

 

___

 

 

「「デュエル!!」」

 

なんやかんやで、万丈目の取巻きの1人、眼鏡を掛けた方とデュエル開始の合図をする。

 

デュエルするまでの経緯は割愛する。特にこれといった出来事はなかったし。

 

「何、ボサッとしてる!もしかして、怖じ気づいたのか?アーハッハハ!ブラックマジシャン使いとはいえ、所詮イエローだな!!」

 

「あっ、ごめん。聞いてなかった…何笑ってるんだ?良い事でもあった?まぁ、良いか。それじゃあ俺のターン!ドロー!」

 

手札5→6

 

「俺はモンスターをセット、カードを2枚伏せてターンを終了する。さぁ、そっちのターンだよ」

 

「舐めやがって…!俺のターン、ドロー!《サファイア・ドラゴン》を召喚!」

 

サファイア・ドラゴン レベル4 攻撃表示(ATK1900)

 

「さらに、魔法カード《二重召喚》を発動!これにより、俺はもう1度通常召喚を行える!俺はもう1体《サファイア・ドラゴン》を召喚!」

 

2体目のサファイア・ドラゴンが現れ、眼鏡の取巻きは高笑いをあげる。

 

なるほど…確かに、サファイア・ドラゴンは割と協力なカードだ。

 

俺のデッキにはレベル4で素の1900打点なんていないから色々と工夫しなければ倒せない。

 

…ま、方法がないわけじゃないし、なんとかなるかな。

 

「どうだ!これがオベリスクブルーのデュエルだ!」

 

「え…みんな、同じデッキ構築なの?全員ドラゴン族使いなの?随分と偏った学生達だなぁ」

 

「いや、今のはそういう意味じゃ…えぇい!バトルだ!サファイア・ドラゴンでセットモンスターに攻撃!」

 

半ばヤケクソ気味に攻撃を仕掛けるブルー生。

 

だけど、冷静さを失くした攻撃はそうそう通らないよ。

 

「セットモンスターは《風霊使い−ウィン》守備力は1500だから、本来ならそのまま破壊されるところだけど…罠発動!《城壁》!このカードの効果で、ウィンの守備力を500ポイントアップだ!」

 

ウィンを守るように城壁が展開され、サファイア・ドラゴンの攻撃を跳ね返した。

 

「くっ…」

 

取巻き LP4000→3900

 

「そして、この瞬間にウィンのリバース効果発動!相手フィールドの風属性モンスターのコントロールを得る!俺はまだ攻撃をしていないサファイア・ドラゴンのコントロールをもらう!」

 

「チッ…俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

「なら、その瞬間に罠発動!《砂塵の大竜巻》!お前の伏せカードを破壊する!砂塵の効果で一応俺は手札から魔法・罠カードを1枚伏せることができるけど、特に伏せるカードもないからこのままで良いよ」

 

「わかった…これでターンエンドだ」

 

 

希望 LP4000

 

手札3

 

場 《風霊使い−ウィン》レベル3 守備表示(DEF1500)

 

 《サファイア・ドラゴン》レベル4 攻撃表示(ATK1900)

 

伏せなし

 

 

取巻き LP3900

 

手札2

 

場 《サファイア・ドラゴン》レベル4 攻撃表示(ATK1900

 

伏せなし

 

 

「俺のターン、ドロー!まずは、ウィンとサファイア・ドラゴンを墓地に送り、デッキから《憑依装着−ウィン》を特殊召喚!」

 

憑依装着−ウィン レベル4 攻撃表示(ATK1850)

 

「そして、俺は手札から魔法カード、《スター・ブラスト》を発動!このカードは500の倍数のライフを払うことで、払った500ポイントにつき、手札・フィールドのモンスター1体のレベルを下げるカード!俺は2500ポイントのライフを支払い、手札の《光をもたらす者 ルシファー》のレベルを6から5レベル下げる!」

 

LP4000→1500

 

「そして、レベルの下がったルシファーを通常召喚!」

 

姿を現したのは、神々しい雰囲気を纏う長いブロンドの髪の美女。

 

俺はそんな彼女の姿に思わず目を奪われる。

 

ルシファーはそんな俺を見つめて微笑んだような気がした。

 

光をもたらす者 ルシファー レベル6→1 攻撃表示(ATK2600)

 

「とんだプレイングミスだぜ!普通に召喚するなら、わざわざ2500もライフを払う必要はないのによ!」

 

「あぁ、そうだね…確かにただ召喚するだけなら、ここまでライフを払う必要はないよ。俺の狙いはこれだ…俺はルシファーに《下剋上の首飾り》を装備する!」

 

「下剋上の首飾り?そんなカードで何ができる!」

 

「効果を知らないのか…まぁ、俺にとっては好都合だけど。それじゃあいくぞ!バトル!ルシファーでサファイア・ドラゴンに攻撃!この瞬間、下剋上の首飾りの効果発動!装備モンスターが自身よりレベルの高いモンスターと戦闘を行う場合、相手モンスターとのレベル差×500ポイント攻撃力をアップするサファイア・ドラゴンとのレベルの差は3…よって、攻撃力は1500ポイントアップする!」

 

光をもたらす者 ルシファー(ATK2600→4100)

 

「いくぞ!ルシファーの攻撃!ダブルエナジーサークル!!」

 

ルシファーの攻撃により、サファイア・ドラゴンは破壊され、相手のライフを削り取る。

 

取巻き LP3900→1700

 

「これで終わらせる!憑依装着−ウィンでダイレクトアタック!!」

 

「嘘だ!俺がイエローのやつなんかに負けるはずが…!」

 

そんな絶叫と共に眼鏡の取巻きのライフは0になった。

 

取巻き LP1700→−150

 

////////////////

 

「俺の勝ちだな…十代!こっちは終わったぞ。そっちも頑張れ!」

 

「へへっ!やるなぁ!希望!俺も負けてらんないぜ!」

 

そう言って、十代は気合いを入れ直し万丈目に向き直る。

 

デュエルの結果は気になるところだけど、まずは…

 

「確か、互いのベストカードを賭けたデュエルだったよね…じゃあ、俺は君のベストカードを貰うことができるわけだ」

 

「や、やめろ…!俺のカードは渡さないぞ!」

 

「あぁ、わかってるって…デュエリストにとって自分のカードはかげがえのない大切なものだ。それを貰うことなんてできないって…だから、これに懲りたら二度とアンティデュエルなんてするなよ?」

 

「………」

 

眼鏡の取巻きは黙って頷いた。

 

「今度は普通にデュエルしよう!ブルーだから上とか、それ以外は下だとか、そんな凝り固まった考えは抜きにしてさ!心が踊るデュエルをしよう!」

 

俺はそう声を掛けて、寮に向かって歩を進める。

 

「紡軌君!アニキのデュエル、最後まで見ていかないんッスか?」

 

「うん。さっきから眠くてさ…十代なら、多分大丈夫だろう」

 

そう翔に告げて、俺はその場を後にした。

 




気づけばもう今年も終わりですね…最近、忙しくてバタバタしていたのでいまいち実感が湧きませんが。

これからも不定期更新になりますが、楽しんで頂ければ幸いです。

それでは今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます。



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