青薔薇の姫君と蒼き竜騎士 (ka-主)
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序章
season0 出会い別れ…そして再会


どうも!ka-主です!「青薔薇の姫君と蒼き竜騎士」の記念すべき最初のストーリーです!どんなストーリーになるかはお楽しみ!
それでは…「青薔薇の姫君と蒼き竜騎士」スタートです!


……

…………

………………

 

「姫ー!!何処におられるのです!姫……!姫ーー!!」

灼熱の業火に包まれた城内を走り回る蒼き鎧を身につけた1人の竜騎士がいた。

「姫君よ、私の命に変えても救い出して見せる……姫ーー!!」

「ここです!誰か!誰か助けてー!!」

大広間から聞き覚えのある声が聞こえた。…そこにいるのか!

 

「姫君!ご無事でしたか!」

大広間にたどり着いたその先に逃げ場を失ったとばかりに5人の姫君がその場で立ち往生していた。

「あぁ、私達を助けに来てくださったのですね竜騎士様!」

「逃げる先々に瓦礫や炎に行く手を塞がれてしまい、お父様達とはぐれてしまって…」

「大広間まできたまで良かったんですが…」

「炎がたちまち激しくなって私達5人ここに取り残されてしまったのです!」

「アコ達全員、ここで焼け死んじゃうの!?そんなの嫌だよぉ!」

すっかりパニック状態に陥ってしまったようだ。

 

「落ち着いて下さい。私の命に変えても、姫達をお助けします!」

「あ、ありがとうございます、竜騎士様……」

ガラガラガラガラ!!

更に炎が激しく燃え盛り、竜騎士がきた道までもが瓦礫で塞がれてしまった。

「くっ!ここまで来たと言うのに…誰も救えないというのか!?」

「竜騎士様……」

くっ……!こうなったら…

 

「竜騎士様……?」

立ち上がった竜騎士を期待と訝しげさが混ざった表情で彼女達は見た。

「私は、そなたたちと過ごした時間…決して忘れない。」

「それって……!」

「いけません!竜騎士様!」

「竜騎士様!」

竜騎士の言葉を察した彼女達は必死にそれを止めようとする。

 

「顕現せよ!大切な者を守るため在るべき姿に!!」

そう叫ぶと竜騎士の身体が蒼白く輝き始めた。

「おやめください!竜騎士様!」

「やめて!竜騎士様!」

陛下…王姫…どうかご無事で……

「同志よ……今向かう………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

姫君……今までありがとう……

「やめてーーーーー!!」

彼女がそう叫ぶと同時に辺り一面に蒼白い光が放たれたーーーーー

 

…………………………

……………………

………………

 

「起きろーー!!騎龍!!」

バシィ!!

「うぎゃぁ!?」

教科書で叩かれた俺は余りの激痛で謎の奇声をあげた。

 

「竜騎士…私の授業で居眠りするとはいい度胸してるな。」

え?へ?俺……寝てたの?

「その顔は自分の罪を認めない気だな。ますます気に入った!放課後生徒指導室に来い!」

そう告げられた俺を見て、クラスメイト全員笑い転げた。

 

キーン、コーン、カーン、コーン……

 

「失礼しました〜。」

「おつかれ蒼司〜!どうだった?はじめて居眠りでお縄についた気分はよォ!」

やっと解放されたのを待ってましたと言わんばかりに同じクラスメイトであり幼なじみの優馬が煽り地味た口調で話しかけてきた。

 

「優馬……生徒指導常習犯でもあるお前にそんな事言われるとわな…」

「ハハッ…寝る子は育つって言うからな!」

「ほ〜、じゃあなんでテスト全部赤点なんだ?」

「あぁぁぁ!!それを言わないでくれよぉ〜」

ハハハハハハッ……

俺と優馬とは小学校からの付き合いで何時も同じようなくだりで互いに笑い合う。そんな当たり前の日常が今日で終わるなんて知る由もなかった。……

 

…………………………

………………

…………

 

「CIRCLE」というライヴハウスの横にあるカフェテラスで俺は一休みしてから帰宅する。今日もいつも通りCIRCLEのカフェテラスへと足を運んだ。

「ガトーショコラ1つとブラックのアイス1杯」

「ありがとうございます。……ごゆっくりどうぞ〜」

ガトーショコラとアイスコーヒーを手に取り俺はカウンターから見て右奥の席に座った。

 

「それにしても……」

授業中に見た夢……一体何だったんだ?

口の中に残ったガトーショコラの甘さをコーヒーで洗い流し俺は今日の授業中に見た夢について考えた。

 

まず気になるのはあの後どうなったがだ。全ての真相はあの蒼白い光の中にきえてったから……正直続きを見たいくらいだ。そしてもうひとつ、青い薔薇のドレスを着ていた5人の姫達だ。あの5人だけは妙に見慣れた感じがあると言うより、既視感があるというか……

 

「考えれば考える程謎が深まるばかりだな……てかもう無くなっちまったや…。」

いつの間にかガトーショコラを完食し、コーヒーを飲み干していた。

ほんと時間って進むのがはやいのな……

そうしみじみ思いながらCIRCLEを後にしようとした瞬間ーー

 

ドンッ!!

 

「うあっ!?」

「きゃぁ!?」

 

余程急いでいたのだろう。蒼司は体を仰け反らせ体勢を崩しかけた。一方ぶつかった方は尻餅をついていた。

「す、すみません!怪我とかありませんか!?」

怪我をさせるつもりなどなかったが尻餅をついていた程だ。蒼司自身軽傷1つくらい出来ていてもいい程だ思ってきいたのである。

 

「だ、大丈夫よ…ごめんなさい、急いでたもので。」

外見からみて歳は同い年くらいだろう。髪型は白のロング。多少小柄寄りな体型だが、黄色い瞳から宿る光が彼女がどんな人物なのかを物語っていた。

 

「……っ」

「……?どうかしたの?」

 

「あっ!?いえ、何でも……」

……この感じ、あの夢と同じだ。

「ごめんなさい、私急いでるの。」

 

タッタッタッ……

 

そういうなり、彼女はCIRCLEの中へと姿を消した。

「彼女、バンドやるんだ……ん?これって…」

青い薔薇の髪飾り…彼女のだろうか?もしライヴに必要な物なら今頃探してるはずだ。

「渡しに行くか……」

そう呟き、蒼司もCIRCLEへと入って行くのだった。ーーーーー

 

……………………

…………

 

「あぁ、友希那ちゃんならあそこの通路行って右側の一番奥の控え室に居るよ。」

「ありがとうございます。」

スタッフの方が言うには、彼女の名前は湊友希那。Roseliaというガールズバンドのボーカルをやってるとの事だ。

 

「確か…ここ…だよな?」

道中視線が多少痛かった。それもそのはず、ここはガールズバンドの聖地。男性がいる事自体不思議なことだ。

「うう…いざってなると抵抗あるな。」

「けど、ただ髪飾りを渡すだけだ!何時までもこのままじゃらちがあかない!さっさと済ませよう。」

そう言い聞かせたはずだった。

 

コンコンコンコンッ

 

「どうぞ〜」

なんの疑いもなく明るい入室許可の変事がかえってきた。

「すみません、湊友希那さんに用があってきたんですが……っ!?」

「あっ……貴方、さっきの」

 

そこには、あの夢に出てきた青薔薇の姫達と姿、服装共によく似た彼女ら5人が蒼司の目の前に立っていたのだった。ーーーーー

 

〜to be continuous〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも!記念すべきseason0 出会い別れ…そして再会はどうでしたか!「青薔薇の姫君と蒼き竜騎士」の最初のストーリーを無事に投稿出来て嬉しい限りです!
感想、質問、リクエスト等ございましたら是非宜しくお願いします!
またTwitterもやっています!Twitterにコメントしたい方は@IBIDLtUaJob0IRSをフォローし、コメントお願いします。(DM解放忘れず)
それではまた次回お会いしましょう!


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season0 Roselia

どうも!ka-主です!
ストーリーの進行についてですが、今投稿してるseason0が終わり次第、season1を投稿します。投稿するにあたって、各キャラのルート型のストーリーにしようとおもっています(とりあえず)差し当ってはseason1以降の投稿の仕方についてアンケートを取りたいとおもってます!皆さんの意見お待ちしてます!
それではseason0 Roselia……どうぞ!



〜CIRCLE・控え室〜

「……どうなってるんだ?」

唐突に出た言葉がそれだったのか目の前の5人は全員訝しげに俺を見ている。

「あ、あの……私達…どこか変ですか?」

 

「あ!?いやっ!別に変な感じはしないですよ?むしろ薔薇の国の姫君って感じでいいと思い……は!?」

オイオイオイオイ!!何言ってるんだ俺!?初対面の人に!普通に用済まして帰るんじゃなかったのかよ!蒼司!

 

「薔薇の国の姫君……ですか?」

「あわわ……!す、すみません!そんな事言うつもりなんてなかったんですけど……っ!」

「アハハッ!凄い慌ててる♪」

 

あぁぁぁ……!あんな事言うんじゃなかった……っ!

「……でも、薔薇の国の姫君…なんだか私達らしくていいですね。」

「へ?」

「あこも!それ思いました!なんだか、Roseliaって感じがします!」

 

……あれ?何かうけてる?

「そうね、燐子の作る衣装はどれも私達らしくてとてもいいと思うわ」

「あ、ありがとうございます。……あの貴方の感想のおかげ……です」

「あ…いや、こちらこそ……っじゃなくて!俺、湊さんにこれを渡したくて来たんです!」

 

「これは…私の髪飾り!」

「さっきぶつかった際に落としていっちゃって……間に合ってよかったです。」

「ありがとう。」

ふう、何はともあれ結果オーライかな?湊さんに髪飾り返して早く帰ろう……そう思い彼女に髪飾りを渡そうと手が触れた瞬間……

 

ドクンッ!

 

「っ!?」

「っ!?」

 

なんだ……今の?

「……どうしたの?」

「え?い、いえ!何でも……っ」

「……そう。」

 

湊さんも同じ表情をしていた。気付いてないはずが無い。

「Roseliaさん、そろそろ本番です!準備お願いします!」

「はーい!」

「行きましょうRoselia。私達の音楽をかなでに。」

 

「ハイ!」

「貴方も是非見に来て頂戴。髪飾りのお礼がしたいわ。」

「いいんですか?」

「ええ……。」

 

こうして俺は湊さんに言われるがままに舞台袖まで同行する事になった。……

 

…………………………

………………

…………

〜友希那side〜

……あれは一体何だったのかしら?

移動中、さっきの出来事を思い出した。あの光の如く通り過ぎたビジョン……あれは一体?それに……

 

「?どうしたの?友希那。」

 

彼……何故かしら……?さっきぶつかった時もそうだったけど妙な既視感を感じさせる。……初めてあったはずなのにどうして?

「彼は一体……」

 

「友希那ってば!」

「……ッ!リサ?」

「どーしたの?さっきからぼーっとして、友希那らしくないじゃん。さっいつもの円陣やるよ♪」

 

気がつけばもう舞台袖まで来ていた。彼の事はこのライヴが終わった後でも大丈夫そうね。

「ごめんなさい、何でもないわ。」

「よーし、円陣やるよ!あっ…君はどうする?円陣まざる?」

 

「えぇっ!?俺何かが…いいんですか?」

「ええ、大勢でなるほど円陣はより良いものになります。」

「はい……私もぜひ、混ざって欲しいです。」

「お兄ちゃんが混ざってくれたら絶対盛り上がるよ!」

 

「そうゆう事だから貴方、円陣一緒にやりましょ。」

「は、はぁ……」

彼は仕方なしにと私とリサの間に入り円陣に混ざった。

 

ドクンッ!!

 

「ッ!?」

「ッ!?」

「ッ!?」

「ッ!?」

「ッ!?」

「ッ!?」

 

この反応……皆同じ現象が!でも、今はライヴに集中しないと……!

「皆……今日は何時もよりも頂点へと輝けそうね。」

「湊さん……?」

「行きましょうRoselia。頂点を目指しに。」

 

「……はい!」

 

…………………………

………………

…………

〜蒼司side〜

 

「Roseliaよ。早速だけど、メンバー紹介…いくわよ。」

……流石って言うべきだな。

確かにあの時皆に同じ現象がおきた。何が起きたかことの際棚に上げて置いても、湊さんのあの柔軟な対応…伊達にバンドをまとめるリーダーを務めてる訳じゃないんだな……。

 

「ギター、氷川紗夜。」

「……宜しくお願いします。」

 

「ベース、今井リサ。」

「宜しくね〜♪」

 

「ドラム、宇田川あこ。」

「Roseliaのライヴ、とくとご覧あれ!」

 

「キーボード、白金燐子。」

「よ、宜しくお願いします。」

 

彼女達の名前も…何となく聞き覚えがあるな……。会ったのは初めてなのに……。

「そして我らがボーカル、湊友希那!!」

「……宜しく。」

 

「……凄いな。」

さっき起きたことが何故かこの瞬間だけ、どうでも良くなるような……そんな感じだった。

「いくわよ。……BLACKSHOUT」

 

………………

…………

 

「どうもありがとう。」

湊さんが、そういうまで俺は彼女達Roseliaのライヴの迫力に酔っていた。…これが彼女達の今の姿。

そう感じた後、あの夢のことと謎の現象について思い返した。

 

……もしかしたら…何か分かるかもしれない。

そして俺はある事を決心した。

「あら……最後まで聴いててくれたのね?」

「はい!と、とても迫力が凄くて……貴方達についていきたいな……って!?」

バカバカバカバカ!!また自然と心の中で思ったことを!これじゃストーカー……下手すりゃ変態じゃないか!

 

「ご、ごめんなさい!さっきの言葉忘れて……ん!?」

忘れて下さいと言い終わる前に、湊さんの人差し指が俺の口をとざした。

「そう言って貰えるなんて……嬉しいわ。それに……好都合かもしれない。」

 

「え?今なんて……」

好都合……確かにそう言った。なんの事だ?

「貴方、名前は?」

「蒼司……騎龍蒼司です。」

 

「そう……蒼司貴方は今からRoseliaの一員よ。」

 

結果オーライなのだろうか……。彼女たちとなら俺と彼女達に起きた現象、俺が見た夢について何かわかるかもと確かに思った。しかし……

 

俺から頼むべきだろ!?……そう思いながらも

「……俺で良ければ」

 

俺、騎龍蒼司は遥々Roseliaの一員となった。ーーーーー

 

〜to be continuous〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも!season0 Roseliaいかがでしたか?次回からseason1が始まります!
ここから先は彼女達のルートストーリーとなります。誰のストーリーを先に投稿するかはアンケート次第です。
感想、質問、リクエスト等ございましたら是非宜しくお願いします。
それではまた次回お会いしましょう!


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オリキャラ紹介

現在登場している、または登場予定のオリキャラを紹介したいと思います!各ストーリで重要な役割?をもつキャラもいるので確認お願いします!詳しくかける所は極力書きます!

 

・騎龍蒼司《主人公》

誕生日:2001年1月28日

血液型:A型

在籍校:花羽学園高等部(3年)

好きな物:鯖の味噌煮

嫌いな物:アボガド

趣味:音楽鑑賞、ゲーム、読書

特技:ギター演奏、機械弄り

特殊な能力等:蒼き竜騎士の記憶を持ってる・超人並の洞察力&観察力(小説の読み過ぎ)・特化したカリスマ性・押しに弱い(どうしても!とか上目遣いで頼まれると断り切れなくなる)・怒りが頂点に達すると目の前が赤くなり目に映るもの全てを壊そうとする。また運動能力関連の能力がその時のみ格段に跳ね上がる

 

・伊達優馬《オリキャラ・全ストーリー登場します》

在籍校:花羽学園高等部(3年)

趣味:ゲーム、ナンパ?、昼寝

特技な能力等:女性の気持ちが誰よりもわかる(ナンパのし過ぎ)可愛い子がいるとケダモノ化する(それがなければ普通にカッコイイとか)

・蒼司とは親友である

 

騎龍武・真琴《オリキャラ・リサ編で登場》

特殊な能力等:蒼司の両親・蒼司を『欠陥品』『出来損ない』呼ばわりする・芸能人事務所NEOの社長(父親)秘書(母親)

 

・白金愛子《オリキャラヒロイン・燐子編で登場》

特殊な能力等:燐子の双子の姉・氷川姉妹でいうと日菜的な存在・ある時何者かにより命を落とす・燐子編の蒼司にとって『忘れることの出来ない大切な人』

 

・小山ユキ《オリキャラ・紗夜編で登場》

特殊な能力等:政府から紗夜編の蒼司の監視役を任される・紗夜編の蒼司を『危険人物』として警戒している・氷川姉妹にとっては『命の恩人』

 

・九童百合香《オリキャラ・紗夜編で登場》

特技な能力等:過去に数百人を『実験』によって皆殺しにした犯罪者・表舞台には現れることの無い、とにかく謎が多い・紗夜編の蒼司に興味をもつ

 

・郷田猛《オリキャラ・紗夜編がで登場》

特殊な能力等:元ヤクザ・『郷田の龍』と呼ばれている・今はカタギの人間として九童由利香とともに行動をしている・無口(本人曰く余り多くを語りたくないとの事)

 

・斉藤三玖《オリキャラ・あこ編で登場》

特殊な能力等:プロゲーマー・あこ編の蒼司のライバル・ゲーマー内では『狂犬乙女』と呼ばれている・共通ハンドルネームは『39(三玖)

 

以上が本作品で登場するオリキャラです!

機会があったら異世界のキャラ達の紹介もする予定ですのでよろしくお願いいたします!



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友希那編
season1 友希那編:1話 歌姫の歌声は小動物と共に


今回からseason1始まります!はじめは友希那編!え?
アンケート?ソンナモノハナカッタ()
次回のアンケートこそ……宜しくお願いします!
それでは……どうぞ!


…………………………

「♪〜」

……綺麗な歌声、この娘…私によく似てるわね…。

 

パタパタパタ……カササッ……

 

あら……?

「ピィピィッ…」

「チチッチチッ…」

小鳥やリス……ネズミもいるわね……

 

「♪〜♪〜」

!……あの娘の周りに集まってる……あの娘の歌声を聞きにしたのかしら?

 

ガサガサッ!

 

「!?……ッだ、誰?」

「驚かせてしまい申し訳ございません。とても美しい歌声が聞こえたものでして。」

青い鎧……あの人、あの時見たヴィジョンに出てきた竜騎士?

「あ、貴方がお父様が雇ったと言われる新しい竜騎士団の団長さんですね。わたくし、ユキナと言います。宜しくお願い致します。」

 

「ユキナ……良い名前ですね。私の名前は……ーーーー」

 

…………………………

………………

…………

 

「……夢?」

あの竜騎士の名前聞きそびれてしまったわ……

「友希那〜!起きてる〜?」

リサの声……どうしたのかしら?

 

ガラララララ…

 

「あっ!友希那!やっと起きた!」

「おはようリサ。何かあったの?」

「何かあったの?じゃないよ友希那!このままだと私達遅刻しちゃうわよ!?」

 

遅刻?リサわ何を言ってるのかしら?まだ6時を過ぎたばかりというのに……あら?時計……止まってる?

 

「……ねえリサ。今……何時なの?」

「何時って……もうすぐ7時過ぎちゃうよ!早くしないと2便の電車も乗り遅れちゃうんだってば!」

 

……嘘…ーーーーこの時やっと自分が寝坊したのだと悟ったのだった。

 

…………………………

………………

…………

 

キーンコーンカーンコーン……

 

「ふぅ〜……電車乗り遅れた時はどうなるかと思った〜!」

「ごめんなさいリサ貴方を巻き込んでしまって……」

「大丈夫だって!…それにしても、珍しいね?友希那が寝坊するなんて。もしかして……また新曲作りで夜更かししてた?」

 

リサは私がまた無茶してないか…と心配していた。

 

「いいえ、……ちょっと変な夢をみたの。」

「夢?当然っちゃ当然だけど…友希那も夢見るんだね〜。…それで?どんな夢みたの?」

「ええ。それは……」

 

私はリサに今日みた夢について話した……。

 

「……へぇ〜。ユキナってお姫様と青い鎧を身につけた竜騎士の夢ねぇ…何だかロマンチックな夢だね!」

「そうかしら?私はあの竜騎士の名前を聞きそびれてすごくモヤモヤしてるわ……。」

 

「へぇ〜…友希那、まさかその竜騎士さんに一目惚れだったり?」

「そ、そんな訳ないでしょ!私はあの竜騎士の姿が誰かに似てるように思ったから確かめたかっただけで……」

「誰か…ねぇ〜。もしかして蒼司のこと?」

 

……言い返せない。でもここで何か言い返したら墓穴を掘る羽目に…

 

「はーい、HR始めるよ〜。席ついて〜。」

タイミングがいいとしか言えない。私はこころの中で先生に感謝した。

「あっ席に戻らなきゃ!」

「……ふぅ…何とかなったわね。」

 

リサや他のRoseliaの皆には内緒にしてるけど私は蒼司とは気が会うんじゃないかとおもっている。リサが言うように好き…なのかもしれないが、多分気が合うの方があっている。あの時、彼をRoseliaの一員として迎えて昨日彼を交えてライブの反省会を開いた時だ。皆の意見は確かに今後の私達に相応しい意見が交わされた。けど、彼の意見だけ違った。彼の意見は他の意見とは異なり私達一人一人の改善点、更には今後のRoseliaに向けてのアドバイス等を的確に言ったのだ。それだけで気が合うなんて言うのは私の見る目がないと思わるかもしれないけれど、私がホントに驚いたのは彼の意見が私の思うRoseliaの目指す姿に全て理がかなっていたからだ。

 

……考え過ぎなのかもしれないけれど、もしも彼と付き合えたら私もこれまで以上に変われるのかしら……って

「ち、違うわ。彼はRoseliaの一員、そして私が知る中で他の皆以上に私の事を理解してくれる人。それだけよ……」

 

この時の私はホントにそう思っていた。そう、「この時」までは……

 

「え〜と、皆はもう『地域交換留学』については知ってるわよね?うちの学校からはうちのクラスの〇〇さんが指名されたわ。そして〇〇さんの行った花羽高等学校からも1人今日からこのクラスの一員として皆と過ごすことになったわ。……入ってきて。」

 

入ってきた人物を見てクラスのみんなは一斉に騒がしくなった。まず目に入ったのは無地の鼠色のブレザーと学生ズボン。白のカッターシャツ栗色のネクタイ、ジャケットの上にブレザーを羽織ってる感じだ。ブレザーの胸ポケットに花羽高等学校の校章がついてるあたりこれが花羽高等学校の身なりなのだろう。

 

そしてクラス全員が騒がしくなったのは入ってきた人物が男子生徒だということ。そして更にこれは私とリサが一番驚いた。その生徒に見覚えがあったからだ。いいえ、見覚えのあるも何も……

 

「花羽高等学校から来ました。騎龍蒼司です。宜しくお願いします。」

 

留学生徒がまさかの彼だったからだったーーーー。

 

…………………………

………………

…………

〜蒼司side〜

 

〜時は遡って1日前……

 

「失礼します。3ーAの騎龍蒼司です。」

「どうぞ。」

Roseliaの反省会が終わった後…。学校から特に用がなければこれから来て欲しいと言う連絡を受けた。俺自身特に用はないし何やら急を要する感じだったため、私服のまま学校へむかったのだ。(ちなみに私服で来る許可はおりている。)

 

「急で済まないね。適当にかけてくれ。」

呼ばれた先は応接室。中には既に4人席についていた。真ん中に校長先生。両サイドに教頭先生。そして学年主任の先生がすわっていた。

 

そしてもう1人…クラスメイトではないが女子生徒が1人先生達と向かい合う形で座っていた。そして俺は彼女の隣に腰を掛けた。

 

「さて、突然だが…2人は『地域交換留学』について何処まで知っていますか?」

この質問に対して

 

「花咲川、羽丘、花羽の3校が交流と」

「学力向上を目的としてやるんですよね?」

そう互いに答えると

 

「その通りです。今回〇〇さんには花咲川女子学園へ、蒼司君には…」

中々留学先を話さない校長先生を見て俺はさとってしまった。

「羽丘に行くんですよね?いいですよ。」

予想外の答えだったのだろう。ここにいる俺以外全員が驚いていた。

 

「いいのかい?君は男子生徒。分かっていると思うが羽丘は女子学園。女子生徒しか居ないのですよ?」

「心配に及びません校長先生。俺は花羽の生徒として恥ずかしくないよう羽丘の生徒と関わるつもりです。」

 

「校長先生、ここは蒼司君に任せて見てはどうでしょう。」

「〇〇先生……。」

「確かに蒼司君は女子生徒とあまり接したことが無いと言えるでしょう。しかし、それを補うカリスマ性が彼にはあります。私はそのカリスマ性にかけてもよいかと思います。」

 

うえぇ…先生良く俺のこと待てるねぇ。なんか怖い。

 

「……分かりました。では2人の留学先は先程述べた通りで宜しいですね?」

「はい。」

「あ、あと……留学期間ですが、2学期いっぱいとさせて貰います。よろしいですね?」

 

二学期いっぱい?地味に長いぞ……でも、覚悟はできてる。

「はい。」

「それでは本校の留学生徒はこの2人にきまりました。宜しくお願いしますよ。」ーーーー

 

…………………………

………………

…………

 

「ーーーって事があったんだよ。」

「……何だか、とんでもない回想を聞かされたわ……」

「そうだよね……普通男子生徒ならやらないよ?」

 

いつの間にかお昼で俺と友希那、リサは屋上でご飯を食べながら今回について話していた。

「べ、別に変な事する為にあんな事校長先生にいったわけじゃないからな!」

 

「どぉ〜だかねぇ〜……まだあって日が経ってないからわからないなあぁ〜……。」

「ぐぬぬ……じゃあ友希那はどうおもうんだよ?」

「え?わ、私は……」

「友希那?ハッキリ言っちゃってもいいのよ?」

 

全く……俺が何をしたってんだよ。

 

「私は別に…Roseliaについてとか音楽についてとか私は彼とこうして身近で話せていいと思うわ。」

「友希那……」

「まあリサの意見には賛成かしら?」

 

なんでそうなるんだよ!

 

「んまあ、何はともあれだ。今日から二学期修了まで……宜しくな!」

「ええ、宜しく。」

「よろしくねー!」

ーーーーこうして、俺の地味に長い羽丘女子学園の学校生活がはじまったのだった。ーーーー

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 




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それではまた次回お会いしましょう!


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season1 友希那編:2話 今日から彼は風紀委員長

どうも!ka-主です!
友希那編第2話……女子校または男子校に1人だけ異性ってある意味修羅場な気がするのは気のせい?皆さんはどう思いますか?主は半々……なんとも言えないです。だって色々楽しい一時を送れるに対して、修羅場な一時を送るんですから……


当然のことだが、女子生徒からの視線が心地悪い。花羽に通ってた時はそんな事微塵も感じなかったが、昨日からここ羽丘女子学園に通うようになってからは女子生徒からの様々な視線が凄かった。

まず好奇心からなる視線、もうひとつは不快な視線、そして腫れ物を触るような警戒的な視線……他にも様々な視線を感じるがこの3つの視線が多い。恐らく校長先生はこれを心配してたのかもしれないな……

 

「はぁ……今こうして歩いてると普通校がどれほどいいものかわかる気がするな……。」

羽女の指定された下駄箱(交換留学した生徒の下駄箱は使えず、来賓専用の)に靴を入れ教室を目指す俺は今日もこの心地悪い視線を感じながら歩いていた。

 

ピーンポーンパーンポーン……

『皆おはよぉー!生徒会長の日菜ちゃんだよー!』

アナウンスのチャイムがなったかと思うとこの学校の生徒会長氷川日菜の声が響き渡った。

 

『校内はお・は・し・もだよ!』

「氷川日菜……もしかして紗夜さんの妹…さんかな?」

『突然だけど、校内に騎龍蒼司君がいたら至急生徒会室に来てね!繰り返すよ!騎龍蒼司君は至急生徒会室に来てね!待ってるよ〜!』

 

ピーンポーンパーンポーン……

 

「生徒会長が俺に何の用だろ?」

特に何かした覚えはないが、とりあえず生徒会室にむかうことにした。

 

………………

…………

 

コンコンコン……

 

「はーい!」

「3ーAの騎龍蒼司です。」

「あ!来たきた!どーぞ!」

扉の前でそう言うと先程聞いた明るい声が聞こえた。……明るい生徒会長だな。紗夜さんと偉く違う……

 

「失礼します。」

「君が蒼司君だね!初めまして!生徒会長の氷川日菜だよ!」

「副会長の羽沢つぐみです。」

 

生徒会室に入ると2人の女子生徒が俺を待っていた。まず1人背丈は俺と同じくらい、水色のショートヘアが印象的な生徒が生徒会長の氷川日菜だ。そしてもう1人。茶色のショートボブの女子生徒が羽沢つぐみ。

 

「ごめんなさい!急に呼び出して!あの……何か用とかありました?」

最初に口を開いたのはつぐみだ。どうやら急な呼び出しが不快に感じてないか心配だったらしい。

「大丈夫ですよ。ちょうど教室に向かう最中だったので、それ以外特に用は無かったので。」

 

そう言うと彼女はホッと息をついた。……きっと彼女の急な行動は今日だけじゃ無いんだな。

「じゃあ早速だけど本題に入ってもいいかな?HRもあるし!」

「は、はい。手短に終わるのであれば。」

 

「うん!早速だけど今回の交換留学で君のクラスの〇〇ちゃんが花羽に行ったのはしってるよね?」

「はい」

「実は彼女風紀委員長だったんだけど?誰かに聞かされた?」

それは初耳だった。

 

「いえ、初めて聞きました。」

「そっかー、じゃあ戸惑うかもしれないね……」

「?何にです?」

「あ!ううん!何でもない!……実は彼女が花羽にいったことで風紀委員長がいなくなっちゃったの。」

 

「…………だから俺に期間中風紀委員長をやって欲しい……ですよね?」

言いたい事を言われ日菜は驚いていた。

「すごぉい!どおしてわかったの?」

……本気で言ってるのか?もしかして天然?

 

「えと……話の流れからしてそうかなって」

「あはは!そうだったんだ!それじゃあ話は早いね!蒼司君、二学期いっぱいまで風紀委員長になってくれませんか?」

「ゔっ……」

 

まるで今までの無邪気な(能天気な)性格とは別人のまるで小動物が何かを欲しがる(訴える)様な表情で聞いてきた。こうやって頼まれると俺は絶対に断れない

 

「私からもお願いします!羽女の風紀を二学期まででいいのでまもって下さい!」

「うぐっ……」

さらに追い討ちをかけるようにつぐみが頼んできた。

 

「分かりました……。風紀委員長の仕事、ひきうけます。」

「「ありがとう!!(ございます!!)」」

 

こうして俺は今日の朝風紀委員長になりました。

 

…………………………

………………

…………

HRまで少し時間があったため既に教室に着いていた友希那とリサ(駅前で偶然落ち合い一緒に登校していた。)にさっきの一幕を話した。

「風紀委員長!?」

「ちょっ!?声が大きい!」

「あっごめん……。」

「凄いわね蒼司。」

 

「どうやら今回俺と交換で花羽に行った生徒が風紀委員長だったらしくてな。その補充だって生徒会長と副会長がいってた。」

「ふぅ〜私はてっきり蒼司が校内で何かしたのかと思ったよ〜」

「リサ……なんで俺をそんなに罪人扱いにしたいんだ?俺がそんな事する訳……」

 

「蒼司がそんな事する訳無いわ!」

 

「「え??」」

以外だった……てっきりスルーかリサ見たいなこと言うのかと思った。リサも友希那のとった行動に驚きを隠せずにいた。

「え、えっと……その……」

 

どうやら当の本人が一番驚いたらしい。

「私……私……」

 

ガタッ……タッタッタッ……

 

「ちょっ!?友希那!?」

いきなり席を立ち教室を出た友希那をリサは追いかけた。

 

キーンコーンカーンコーン……

 

教室に取り残された俺……彼女達はとうとうHRが終わるでもどって来なかった……ーーーー。

 

…………………………

………………

…………

〜友希那side〜

 

バシャバシャバシャバシャ……

 

私は走った。ただひたすら……そしていつの間にか女子トイレの手洗い場で顔を洗っていた。

「はぁ…はぁ…はぁ……」

 

自分の胸に手を置いてみる。……ものすごくバクバク言ってる……。

 

「どうしちゃったのかしら……私」

 

『蒼司がそんな事する訳無いわ!』

 

「……ッ!」

 

頭が痛い……何故あんな事をいったのかしら……普通にリサに加担するかそのままスルーすればよかったものをどうして……

 

「……だって、私にとって彼は私をRoseliaを誰よりも理解してくれる人のはず。なのに……なのになぜ……」

再び鏡を見ると今の自分は今にも泣きそうな顔だった。…… 何なら今ここで思い切り泣こうかしら?……そう思った瞬間だ。

 

「友希那!!」

ハァ…ハァ……

「!?り、リサ……ッ!」

気づかなかった……リサが追いかけてることなどお構い無しに走り続けてた証拠だ。

 

「ごめん友希那……私が……蒼司に向かってあんなこといっちゃって……」

「い、いいのよリサ。顔を上げて頂戴。私は別に気にしてなどいないわよ。」

「……じゃあ何であんな事言ったの?」

「……え?」

 

いつもならこの話は終わり…ってなるはず……

 

「あ、あれは唯ぶっきらぼうに言っただけで……」

「嘘」

ギュッ……

えっり、リサ……どうしてハグなんか……

 

「友希那、私……友希那があの言葉を言ったあとパニックになってる姿見て分かっちゃったの……友希那。蒼司の事好きなんだよね?」

「!?」

「じゃなかったらああやって言わないもん……」

 

「そ、そんな事……ッ!?」

 

ドクンッ!!

 

『竜騎士様……私、竜騎士様に伝えたい事がございますの。私……竜騎士様のことが……ーーーー』

 

「友希那……大丈夫?」

「ひゃ!?……り、リサ…大丈夫よ。」

……今のってあの時のヴィジョンや夢?どうして今……!あぁ…そういう事なのね。

 

「リサ…私こそごめんなさい。私……気づかなかったみたい。」

「友希那……?」

もう一度自分の胸に手を置いてみる。……さっき程じゃないけれど、まだバクバクいってる……

 

「……私、蒼司の事が好き……みたい。」

「……フフッやっぱり!」

それを聞いたリサは今までの無邪気な表情にもどった。その顔を見ていると、自然と私も落ち着いてきた。

 

「ありがとうリサ。貴方がいなかったら私は彼を…蒼司のことをただの理解者としかとれなかったわ。」

「どういたしまして!……理解者かぁ、そうやってとってるなら大丈夫かな!」

「リサ……?」

 

リサは何を言ってるのかしら?そう思っているとリサがいきなり私の手を握り……

 

「友希那。今日から蒼司にアタックしちゃいなよ!友希那が蒼司に自分の気持ちをアピールするの!私がサポートする!応援するから!」

 

……理解するのに時間が掛かったが、時間差で私はリサの提案に力ずよく頷くのだった。ーーーー

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 




どうも!感想、質問、アンケート等ございましたら是非宜しくお願いします!
アンケートのご協力引き続きお願いします!Twitterのフォローもお願いします!
それではまた次回お会いしましょう!


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season1 友希那編:3話 にゃ〜んちゃん♡( ^・ω・^ )

どうも!ka-主です!
……猫ってホント可愛いよね()そう思う日が耐えない今日この頃。



「さよならー。」

「んーー…やっと終わったぁ〜……。」

挨拶しやっと堅苦しい1日が終わったと言わんばかりに伸びをした。しかしまだ彼ー騎龍蒼司にはまだやる事があった。

 

「蒼司!今日こそ私と一緒にCIRCLEにいくわよ!」

 

グイッ!!……ガン!!

 

「うがぁ!?」

急に伸ばしていた腕を左側に引っ張られ身体が引っ張られた側に倒れ……

「俺は人形じゃないぞ!いきなり引っ張るなよ友希那!」

おもいきり隣の机ー湊友希那の机に頭を強打した俺は引っ張った本人である友希那を睨めそういった。

 

「ちょっと友希那!?何やってるの!?」

ちょうど帰り支度をした彼女ー今井リサが俺達の所にやってきた。

「リサ。今日こそ蒼司と一緒にCIRCLEにいこうとおもって誘ってたのよ。」

「それが誘う人のやる事か!」

俺は思わず突っ込んだ。その様子を見ていたリサは……

 

「友希那……蒼司はこれから風紀委員長の仕事があるのよ?昨日だってそう言ったじゃん。」

「あっ……」

「あって……忘れてたのかよ……」

もしかして友希那って天然?

 

「ごめんなさい蒼司……貴方と今度こそはと思って……」

「いいんだよ。終わったら必ずCIRCLEにダッシュで向かうからさ」

「本当に?」

「ああ、約束するよ。」

「もし破ったら友希那のパシリになるって」

 

「んな事言ってねーー!!」

 

…………………………

………………

…………

「会長、お疲れ様です。」

俺は生徒会室に入るなり、中にいた日菜に挨拶した。

「あっ!蒼司君!お疲れ様!風紀委員長の仕事どう?もうなれた?」

「まあ…やってる事とかは花羽と同じだと思ったんで自分なりにぼちぼちやってますよ。」

 

「そーなんだ!今日も風紀委員の仕事終わったらCIRCLEにいくの?」

「どうして俺がCIRCLEにいくことを?」

驚いた。彼女とは生徒会で期間付きだが間接的にサポートする事になっている。つまり彼女には悪いがそこまでの関係であり、俺がCIRCLEにいくこと知るはずがない。知ることができるとすれば……

 

「お姉ちゃんから聞いたよー!お姉ちゃんRoseliaにアドバイスしてくれる人が入ってくれて、とてもいいアドバイスの仕方で勉強になるって!で、私がその人についてきいたら花羽から羽丘に交換留学した男子生徒だって言ってたから蒼司君のことだって分かったよ!」

やっぱり、紗夜さんからか。それにしても俺なんかをそんな風に評価してくれてたなんて、正直嬉しいな。……っとそろそろ見廻り始めないと

 

「そうだったんですね。それじゃあ俺は見廻りに行くので……」

「あっ蒼司君、ちょっと興味本意で聞きたいんだけど……」

まだ何かあるのか?……時間は…少しくらい大丈夫だな。

「何ですか?」

 

「蒼司君ってさ、何か楽器とか演奏してたりしてたの?お姉ちゃんの話聞いてたらふと思ってさ。そんなすごいアドバイスができるなら楽器一つや二つやってるか音楽に詳しくないのかなーって。」

……今まで学校生活を送ってきた中でこんな質問は初めてだ。しかもよっぽど観察力に優れた人じゃ無い限り……やっぱり天才か。

「さすが会長。察しがいい。」

 

「何かやってるの?」

日菜のゆう通り俺は趣味で楽器を演奏している。ただ……

「教えてもいいですけど、他言無用で。」

「どおして?」

「実は俺、ギター演奏してるんですけど偶に大学の資金稼ぎでギターボーカリストとして路上ライブしてるんです。」

 

「そうなの!?」

さすがに驚いたようだ。

「はい、ただ……学校では認められてなくてバレると停学処分くらうんだ。だから……」

「だから他言無用にして欲しいってことなんだね。」

 

どうやら理解してくれたようだ。

「そう言うことで……そろそろ失礼してもいいです?」

「あっごめん!風紀委員長の仕事頑張ってね!」

 

…………………………

………………

…………

「お先に失礼します。」

「お疲れ様〜!」

「お疲れ様です!」

見廻り等の仕事が一通り片付き、俺は帰り支度を済ませ日菜と副生徒会長……羽沢つぐみに一声をかけ、生徒会室を出た。

 

「見廻り…少し時間かけすぎたな。早くCIRCLEに行かないと。」

職員用玄関を出て校門へと駆け足で向い、門をくぐろうとした瞬間……

「ニャォ……」

「ん?」

 

今……猫の声が聞こえたような……

「あっあそこに……」

俺の目線の先に、ロシアンブルーの猫が常緑樹の下で丸まっていた。

「所々泥だらけだ……もしかして捨てられたのか?」

「……ニャォ…」

 

声がとても弱々しい……どうにかしてあげないと……

「おいで……もう大丈夫だよ。」

「ニャォン……」

何とか起き上がり差し伸べていた右手に歩み寄り……

 

ペロペロペロペロ……

 

「ハハッお腹が空いてるのか?……確か鞄の中に……あった」

お腹を空かしてると思い俺は鞄のなかからこの前リサからもらったクッキーを取り出し…

 

パリポリッパリポリッ…

 

「フッ美味しいか。いっぱいあるからな……ん?」

「ニャァァ♡」

 

スリスリッ……

 

「なついたなついた……それにしても、どうしよっかな」

このままほっておく訳には行かない。

「ニャォォン♡」

 

「うぐっ」

その眼で見られると……ハァ…

「しょうがないなぁ……」

ヒョイッ……

子猫の甘えに負けた俺は子猫を持ち上げCIRCLEの方へ歩きだした。

 

「CIRCLEにいって少しの間だけ預かってもらうか」

 

…………………………

………………

…………

ガチャッ!!

「済まない!遅れた!」

「蒼司!遅かったじゃない!」

CIRCLEに着いた時には日が沈み初めていた。Roseliaの皆は曲合わせをやってる最中だった。

 

「済まない、風紀委員の仕事が立て込んでて中々おわらなかったんだ」

確かに風紀委員の仕事に少し時間がかかってしまったのは事実だが間違っても子猫を拾ってて遅れたなんて言えるはずもなかった。

「風紀委員?蒼司は風紀委員だったのですか?」

 

「ああ、紗夜さんには言ってなかったっけ?実は羽丘の交換留学に行った生徒が風紀委員長でその補充として期間付きで風紀委員長になってるんですよ。」

「そうだったんですね……あの、風紀委員長って事は日菜のサポートとかもされるんですよね?」

「まあ、間接的にですけど……」

 

そう質問するのも無理無いな……

「あの……もし日菜が何か問題起こしたら言ってください。何時でも相談に乗りますので」

「分かりました。」

「それよりも曲合わせの続きをしましょ。やっと蒼司がきたのだし。」

 

練習から脱線してしまったと感じたのだろう。友希那がそう言い出した

「そうだな。時間も余りないし、俺もできる限りのアドバイスをするよ。」

「そうですね。それではさっきの曲、もう一度最初からやってみてはどうでしょう?」

「いいと思います……」

「あこも賛成です!」

 

てな感じでそれぞれの意見が揃い、練習が再開された。

 

…………………………

………………

「皆お疲れ様〜」

「まりなさんお疲れ様〜」

練習が終わり、ステージを出た6人をまりなさんが出迎えてくれた。

そしてもう1匹(・・)……

「ニャォ〜ン♡」

 

「え?」

「あ…あ……///」

「おお、すっかり元気になったな。」

俺を見るなり子猫はカウンターから飛び降り俺の元へ寄ってきた。

 

「蒼司…その猫どうしたの?」

「ああ……実は学校出る時に偶然弱ったこいつをみてさ、どうにかしないとって思ってリサのクッキー試しにやったら懐いちまってさ……」

「ロシアンブルーで黄色の瞳……なんだか、湊さんに似てますね……?湊さん?」

 

燐子が繰り返し友希那を尋ねるのを見て不思議に思った俺は友希那を見ると……

「あ……あ……」

「友希那?」

子猫に歩み寄り、そして……

「にゃ…ニャーんちゃん♡」

 

「んな!?」

「ぶっ…!」

「湊さん!?」

 

ど、どうなってるんだ?友希那…さっきなんて……

 

「あはは……実は友希那猫がものすごく大好きでね、猫見るとあんな風に別人になっちゃうんだ……」

「そ、そうだったのか……」

何そのギャップ!?めっちゃ可愛いやん///

 

「……つまり、さっきまでその子猫はまりなさんに預かられていたってことですね?」

「そうゆこと。」

「もしかして蒼司……その猫飼うつもり?」

 

いざ答えるとなると何故か答えずらくなる……けど決めたことだしな

 

「ああ、俺住むマンション飼い主の自己責任で飼うことは許されてるからな。」

「そんな!?私が飼いたい!」

「友希那はだーめ!親が認めてないでしょ!?」

「あうぅ〜……」

 

なんだろ、さっきから友希那が可愛く思える……

「まあ、そお落ち込むなって。俺の家に来ればいくらでも構わせて上げるって。」

「本当に?」

「ああ、本当に本当だ。」

「もし破ったら友希那のパシリになるって♪」

 

「だからんな事言ってねーー!!」

 

……こうして俺は友希那とリサの3人で必要なものを揃え俺の家へ取り付けた。ちなみに友希那は俺の家に取り付けたはいいものの、リサが無理矢理連れて帰るまで猫を構い続けていたのだった。ーーーー

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 




どうも!友希那編3話どうでしたか?感想、質問、リクエスト当ございましたら是非宜しくお願い致します!
またアンケートのご協力お願い致します!
それでは次回お会いしましょう!


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season1 友希那編 :4話 3人で買い物のはずが…(前編)

どうも!皆さん!ka-主です!
UA数10000突破記念のアンケート御協力ありがとうごさいました。結果の方は活動報告でさせていただきます!
それでは友希那編4話……どうぞ!



………………

…………

……

「ニャォ〜ン…ニャォ〜ン……」

「どうしましょう……」

……またあの夢ね。…ってあれは蒼司の猫!?……ってよく見たら毛並みが白ね?確か蒼司の猫はロシアンブルーのはず。あの娘……あの猫を助けようとしてるのかしら?

 

「どうしました?ユキナ殿。」

あっ……あの竜騎士だわ。相変わらず兜は被ったままね……

「あっ!竜騎士様!ちょうど良かったです!あの木の上にいる子猫を助けて下さいますか?」

「いいですけども……なぜあのような場所に?」

「はい。実はネズミを捕まえようと追いかけてたらあんな高い所に登ってしまって……私も何とかして助けたいとおもったんですが、このドレスじゃ……」

 

確かに……あの格好で助けようとすれば危ないわね。

「分かりました。少し待っていて下さい。」

「あっ……」

そう言うなり、彼は猫のいる木の枝まで軽々登り猫を捕まえると……

「すごい……」

猫を抱えたまま木を降りた。

 

……すごいわね。彼もあの竜騎士くらい運動神経がいいのかしら?

「ありがとうございます!シャルル、竜騎士様にありがとうは?」

「にゃ〜♡」

「あんな高い所まで登るんじゃないぞ……えと、シャルル?」

 

あの猫……シャルルって名前なのね。……て

「あら?シャルルったら…竜騎士様に懐いてるわ」

「ニャォ〜ン♡」

「あはは…参ったな…。」

 

「むー…竜騎士様、シャルルだけじゃなくて私をもっと見て下さい!」

「う、済まない…ユキナ殿。」

「ニャォ〜ン」

「もう!……って冗談ですよ。ごめんなさいからかってしまって。」

 

あの娘もしかして竜騎士の事が好き…なのかしら?

「て……冗談きついですよ…。」

「すみません……アハハハハッ……」

ーーーー

…………………………

………………

…………

 

ピピピピピピ……!!

 

「……またあの夢。」

なんだかココ最近例の夢を見る回数が増えてる気がする……きっかけは何にせよ、何か意味があるのかしら……?

 

♪テテテ♪テテテ♪テテテ♪テテテテレレン♪……

 

「リサ……?どうしたのかしら?」

「もしもし……」

『友希那!?やっと起きたのね!今何時だと思ってるの!?』

「何時って……8時30分過ぎてるけど……」

 

『過ぎてるけどじゃないよ!今日蒼司と3人で買い物する約束でしょ!?9時に駅前集合って約束したじゃん!』

……すっかり忘れてたわ……

「ごめんなさい、直ぐに準備するわ。」

 

そう言って通話を切り私は急いで支度に取り掛かった。ーーーー

 

…………………………

………………

…………

〜蒼司side〜

……早く着きすぎたかな?腕時計を確認すると針は8時30分を刺していた。

「約束の時間よりかなり早く着いちまったな……」

時間前行動は蒼司にとっては十八番並に得意だ。しかしそれ故によく友達やクラスメイトらに「もっと遅くにこい!」と注意されたりされなかったり……

 

「しかし…女の子2人と一緒に買い物か……俺なんかが一緒に行って意味あるのか?」

そう、今日は友希那とリサの3人でショッピングモールで買い物する約束となっている。彼女達言わく、「蒼司にどうしても見てもらってから買いたい物がある」だとか「大人数での買い物の方が楽しい」だそうだ。

 

つまり、彼女達は俺と買い物等を楽しむ為に誘った訳ではなく…付き添いとして誘ったって取っていいよな?

「はぁ…いずれにせよ、今日この1日どう時間を潰そうか……ん?」

「お待たせ〜!!」

 

声が聞こえた方を向くとリサが友希那を引っ張りながら全速力?でこちらに向かって走ってきた。

「ごめんね!待った?ハァハァ……」

「……」

「ハァハァ…蒼司?」

 

「あっ!いや、なんでもないよ…そんなにまってないし時間通りだよ」

「良かったぁ〜…一時はどうなるかと思ったよぉ」

「えと……全速力で来たらしいが…何かあったのか?」

蒼司は若干言葉を詰まらせながら2人が急いで来た理由を聞いた。

 

「それがね聞いてよ!友希那ったら今日の約束忘れて8時30分まで寝てたんだよ!」

「それで急いで来たのか……てか『また』って?」

「蒼司……聞かないで……」

寝坊の常習犯の様には見えないが……リサの言葉から察するに今日に限った事じゃないと言うことだ。

 

「ココ最近寝坊する事が多くて……何回電車に乗り遅れたことか……」

「わ、わざとじゃないわよ……私だって好きで寝坊してるわけじゃ…」

「わざとじゃ無ければいいってわけじゃないでしょ!」

「ま、まあ落ち着けよリサ。友希那だってわざとじゃないって言ってるんだし……」

 

「甘い!蒼司は友希那に甘すぎる!…ってことで友希那、罰として今日はこれ付けて買い物するからね!」

途端リサの顔が小悪魔っぽい微笑みを浮かべた。そしてカバンの中から猫耳のカチューシャを取り出して友希那につけた。

 

「にゃ……り、リサ…流石にこれで買い物は……」

「…………おい」

「フッフッフッ……これで少しは反省した?」

「した……したからこれ……外して…物凄く恥ずかしわ…///」

 

流石に友希那が可哀想……なのだが……

「ねえ蒼司、なんでさっきから黙ってるの?」

「いや、……そのなんだ。友希那の私服がとても綺麗で似合ってるもんだから……」

「にゃぁ…?」

 

余りの恥ずかしさで友希那は猫化?してしまっていて流石にもう黙って見てられなくなった。

「だから……そのカチューシャ…外さなくてもいいんじゃないか?」

「そ、そう?私も実はそうおもってたのよ!」

(流石にチョロすぎだろ……)

リサもそう思ったのか端で声を必死に堪えながら笑っている。

 

「さ、さあ!早くしないと買い物の時間無くなっちゃう!」

「そうだな!友希那、行くぞ。」

「……!え、ええ!」

蒼司に言われたのが余程嬉しかったのだろう。友希那は猫耳カチューシャを着けてるにも関わらず笑顔で蒼司とリサの3人でショッピングモールへとむかった。

 

…………………………

………………

…………

 

ショッピングモールに着いた一行は買い物のスケジュールを立てるついでに1階の『ハッビークレープ』というクレープ屋て休憩した。

「んで、最初はどこ行くんだ?」

「んー私はやっぱり装飾屋かな〜新しいアクセサリー欲しいし。」

「私は服屋かしら。気になってるワンピースがあるの。」

「2人揃って行先違うのか……」

 

この場合……どちらかの意見を尊重すべきなんだよな。

「蒼司はどっち行きたいの?」

「んー俺は別に、付き添いって感じできたからな…。風の向くまま気の向くままって感じだ。」

「そんな事いわないでよぉ!せっかく3人で来たんだし!」

 

「んーそうだな……」

クレープを齧りながら考えた。

 

……装飾屋。確か2つ店があったよな……1つは俺もよく知ってる有名ブランド店で男女共に合うアクセサリーが年齢幅広く揃ってる。もう1つは女性向けのブランド店。選択肢が更に2つ増えるか……

……服屋。服屋だけでも何店舗かこのショッピングモールにある。しかし幸い友希那は気になってるワンピースがあるっていってた。この時期のワンピースを多く取り扱ってる店となると限られる。特にここのショッピングモールとなると1つしかない。となると……。

 

「服屋にしよう。確かワンピース専門に扱ってる。店がモール内にあったはずだ。最初にそこに行って、次に装飾屋に行こう。」

「うん!行き場所決まってた方がいいもんね!私も賛成!」

「いいの?リサ。本当は……」

 

「いいって!私も実はワンピース見てみたいヤツあったし。それに……ね?」

そう言って友希那をウィンクで見つめた。そして何か思い出したのか…

「そうだったわね。じゃあ蒼司。行きましょ?」

「?あ、ああ。行くか。」

 

行先が決まった3人はワンピース屋へ足を運んだのだった。(ちなみにワンピース屋『ALLSEASON』は3階にある。)

…………………………

………………

 

(可愛いわね。あの娘……私でさえ嫉妬してしまうくらいだわ。)

とあるロケで彼女はこのショッピングモールにきていた。彼女は有名なモデル女優だった。……ただし知る人ぞ知るという感じだ。

(彼女なら……私の夢を叶えてくれるかもしれないわね……)

そう思った彼女は正面ですわっていたマネージャーに話しかけた。

 

「ねぇマネージャー?アソコにいる白髪の若い女の子……どう思う?」

「あの娘……ですか?まあ外見とても綺麗でクールそうな見た目ですね。」

「ねぇ……彼女なら私の…いえ、私達の夢を叶えてくれると思わないかしら?」

 

彼女の思いつきからなる提案は何時もいきなりだ。しかしもう何年もの付き合い、慣れっ子だった。そんな彼女は密かに売れない自分の夢を託せる相手を探していた。……だから

「分かりました。話をしてみましょう。」

彼女の思いを瞬時に悟った私はあの白髪の娘を家にスカウトするべく話をしに行ったのだった。……ーーーー

 

 

 

 

〜to be continuous〜




どうも!第4話前編、いかがでしたか?感想、質問、リクエスト等ございましたら是非宜しくお願い致します!
次回後編……友希那達に迫る女優達の魔の手……どうのりきる?
友希那編 5話 3人で買い物のはずが…(後編)……お楽しみに!


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season1 友希那編:5話 3人で買い物のはずが…(後編)

どうも!ka-主です!友希那編5話……そろそろ折り返しかな?どんな展開になるかはお楽しみに!
それでは……どうぞ!


※本ストーリーは後編です。内容を理解したい方は前編をご覧下さい。

 

クレープを食べた俺たちはワンピース屋『ALLSEASON』へとむかった。

「そう言えば…2人の今回の買い物目的ってもしかして夏物の新調か?」

突拍子もない質問だったはずだが、2人は少し動揺していた。

 

「そ、そうそう!なんだか夏にあったアクセサリーとかないかな〜なんておもって!」

「え、ええ。私も新しい夏にあったワンピース買いたいな……て」

……2人揃ってすごい慌てようだな…

 

「そうか……いいのが見つかるといいな。」

「「う、うん……///」」

 

何かあるぞこれ……そう思いながら3人と『ALLSEASON』へと足を運んだ。

 

…………………………

………………

…………

 

「フゥ〜、…やっと着いた!」

「結構歩いたわね…」

「おいおい……これだけで疲れてるようじゃ今日の買い物持たないぞ?」

『ALLSEASON』に着いたと言うものの、2人は息を切らしていた。エスカレーター登って少し歩いただけなんだが……

 

「そんなこと言ったって、遠いものは遠いもん!」

「そうよ、少しはきずかって欲しいものだわ。」

「はぁ…分かったよ。でもこれでやっと気になってるワンピースが買える?そうだろ?」

 

「そ、そうね……申し訳ないけれど2人とも一緒に選んでくれる?」

服選びとかは余り自身がないがこうも頼まれた以上断る訳にもいくまい。

「ああ、微力ながら力になるぜ。」

「うん、喜んで!」

 

………………

 

「友希那、これとかどう?」

リサが選んだのは空色がベースのワンピースでスカート部分が若草色のクールなデザインだ。

「ん〜俺は……」

友希那が喜びそうな…気に入りそうなものを探していると、「店内のおすすめ」と目立つように展示されているワンピースのデザインに目がいった。

 

「これとかどうだ?」

俺は店内のおすすめのワンピース……白色ベースでスカート部分に所々向日葵の絵が描かれているワンピースを選んだ。

 

「2つともすごくいいわね……迷ってしまうわ…。」

中々のチョイスだったらしく、選ぶのに迷っていると……

「友希那友希那♪」

リサがウインクして友希那を呼ぶと友希那が頷いた。

 

「じゃぁ…蒼司の選んだのにしようかしら……///」

「え?」

予想外の指名に驚いてしまった。てっきさっきのやりとりからしてリサのワンピースを選ぶとばかり思っていたからだ。

 

「その…すごく夏っぽくて……可愛いいなって…///」

何故そんなに恥ずかしがりながら言うのか疑問に思ったが否定する理由は無かったので

「そうか。なら早速試着してみるか?」

「ええ。」

 

友希那は蒼司のワンピースを手に取り試着室に足を運んだ。

 

「ウンウン♪いい感じ♪」

「何がだ?」

「ウンウン!な、何でもないよ?」

「何で疑問形?」

 

「あ、あのぉ……」

りさとそうこうやりとりしているとこの店の店員が何か言いたげに話しかけて来た。

「?どうしたんですか?」

「あの…先程のお客様が選んだワンピースなんですけど……」

「何か不備でも?」

 

先に予約している人でもいたのか何か不備があるのかと思い尋ねたがどうやら違う様だ。

「い、いえ!実は本店のキャンペーンであそこに展示してあったワンピースをお買い上げなされたお客様に商品の宣伝として差し支えなければお買い上げになったその場で来て頂いて宣伝してもらう企画をやっていまして……」

 

「別に彼女が良ければいいと思いますが……」

最終的に選んだのは友希那なのでこの企画にのるか否かは友希那次第だが……

「2人とも……どうかしら……?」

「わぁ!すごく似合ってるよ!友希那!」

 

試着室から出てきた友希那に子供見たくはしゃぐリサ。それもそのはずとても友希那の可愛らしさが引き立つ役割をワンピースが果たしていた。

 

「とてもよく似合ってるよ。ところで友希那……」

「あ、ありがとう……///」

褒められて照れている友希那に先程の話をすると……

 

「わ、私で良ければ……是非」

「ありがとうございます!」

「よかったね、友希那♪」

周りを見ると友希那のワンピース姿に周りの客が集まり始めた。

おすすめと言うだけそれ相応の値がしたが俺と友希那で出し合って(店員がさらに対象の品を宣伝目的もあったため半額にしてくれた。)無事友希那の買い物が終わった。

 

…………………………

………………

…………

 

「それにしても友希那のワンピース姿ほんと可愛いね♪」

「リサ…さっきからそればかり言ってるじゃない……」

「だってホントに可愛いんだもん!」

「ああ、ホントによく似合ってるよ友希那。」

 

「蒼司まで……もう…///」

流石の友希那も俺たちの褒め責めにとうとう赤くなった。

(ほんと正直いってとても似合ってて可愛いぞ、友希那)

きずくと俺は心の中でそう褒めていた。

 

グルルるるぅぅ〜

 

「ん?」

「あ、アハハ〜…ごめん、友希那褒めてたらお腹空いちゃった……」

「ああ、そう言えばもう昼だな……ここらで昼飯にするか?」

「そうね。」

 

一行は3階のレストラン『レストランOCEAN』で昼食をとることにした。

 

「メニューが決まり次第お呼び下さいませ。」

この店のウェイターに席まで案内され、メニューを起きながらそう言って立ち去った。

 

「フゥ〜お腹すいたぁ!何にしよっかなー」

リサに習って俺と友希那でメニュー表を開いてメニューを選び始めた。(ちなみに席は俺の正面に友希那友希那の隣にリサが座った)

 

「じゃぁ私はこのシーフードパスタにしよっかな!」

「お、確かこの店のおすすめだよな?俺もそれにしよっかな?友希那はどうする?」

「そうね…私もそれにしようかしら」

3人とも以外に早く決まると

「ごめん、私ちょっとトイレに行ってくるね」

そう言ってリサは席を離れた

 

「あのぉ、ちょっとよろしいですか?」

店員かと思い声の主を見るとスーツを来た外見30代の男がたっていた。

「……なんでしょうか?」

「これは失礼。私こういうものでして……」

 

普通質問した人物に名刺を渡すのがマナーだとおもうが男は友希那に名刺を渡した。名刺を一通り目を通した友希那はその名刺を俺に渡した。

 

『NEO専属マネージャー・大和田正樹』名刺にはそう書かれていた。

(NEO……確か有名な女優タレントらが所属してる事務所の名前だよな?そこの専属マネージャーが何の用だ?)

「実はお嬢さんにお話がありまして。」

 

「……私に?」

どうやらこの男は友希那に用がある様だ。……とうの友希那は既に非友好的な表情をしていた。

「はい、実は私映画で出演予定の女優タレントが諸事情で出演をキャンセルされまして……彼女の役を出来る方を探してるのです。」

「……」

遂に友希那は無言で話を聞くことを選んだ。こういう話は余り歓迎しない様だ。

 

「失礼ながらお嬢さんを見て貴方しか居ないとおもいました!クールな容姿、身体付き……全てに置いて貴方しか居ないと確信しました!」

勝手にエキサイトしてるがとうの本人は相変わらずの無言。当然、俺もだ。ヒートアップしないうちに人を呼ぼうか考えていると……

 

「貴方が映画に出演して頂ければ大ヒット間違いなし!ヒットした暁にはその後の将来を約束しましょう!」

 

ガシッ!

 

「キャッ」

一向に見向きしてくれない友希那に痺れを切らしたか、男は友希那の両手を強く握りしめた。咄嗟の行為に友希那も悲鳴をあげる。

(……もう限界だ)

 

ガシッ…グイッ!

 

「ぐぁぁ!?」

「お引き取り願おうか。常識もマナーもわきまえない底辺マネージャーが。」

席を立ち、男の腕を掴むなり俺は強く捻りあげた。

「そ、蒼司……」

「友希那大丈夫!?」

トイレから帰って来たリサが友希那の元へ駆けつけた。

 

「な、何をするんだお前!失礼だぞ!」

「失礼?彼女の意見もろくに聞かずに勝手に勧誘したのは何処のドイツだ?……もう一度言う。お引き取り願おうか。」

 

ギリギリ……ッ

 

「あがァッ!」

さらに強く捻られ痛みに耐えかねた男は無理矢理に蒼司に掴まれてる腕を振りほどく。端で1人の女性が不機嫌そうに立ち上がり男を睨みつけながら店を出ていった。おそらく彼女はこの男の連れだろう。つまり彼女のマネージャーがこの男と言うわけだ。

 

「このッ…よくも!」

「きゃあ!?」

遂に怒りが頂点に達したのか男は蒼司めがけて殴りかかった。

 

ガシッ!

 

しかし男の拳は蒼司の顔面に届く前に1人の男性に止められた。

「お客様。本店でそのような行為はお控え下さい。周りのお客様に迷惑です。もし辞めないのであれば警備員を呼びますよ?」

男は周りを見た。どうやらこのやりとりを不快に思ってるのは蒼司達だけではなかったようだ。

「くっ!……このぉ!」

 

男は男性の腕を振りほどくとズカズカと店をでていった。

 

「お客様。先程は申し訳ございません。お詫びとしてお客様がお頼みになるメニューは無償で提供させていただきます。」

男性の姿を見ると白のコックの服装だった。どうやらこの人はこの店のオーナーらしい。

 

「顔を上げて下さい。俺は彼女の姿を見て無視できないと判断してやったまでですので……俺こそお店の雰囲気を悪くしてしまい申し訳ございません。ですので普通に食事をしたいと思ってるのですが……」

 

しかしオーナーは譲ろうとせず俺たちは素直に無償で食事をしてこの店を後にした。

 

…………………………

………………

…………

 

レストランでの1幕もあり3人はこれで買い物を終えることにした。

 

「蒼司、さっきはありがとう……」

「いいって、あの男のやった事は許される事じゃなかったしお前の嫌がってる姿を見てられなくなってな。」

「でも…私のせいで2人に迷惑かけちゃったわ……」

「わわ!?友希那!?泣かないでよ!私の買い物なんていつだって出来るから!ね?」

 

友希那は蒼司に迷惑をかけてしまったのと、リサの買い物を中止させてしまったことに責任を感じてるみたいだ。

 

「もう泣くなよ友希那、リサもそう言ってるしさっきもいったろ?俺はお前を助けたくてやったんだってそれに……」

「……蒼司?」

「その……お前のそのワンピースに涙は似合わないだろ?」

 

「も、もう///蒼司たら!」

「……ぷッアハハハハハ!」

「リサ!わ、笑わないでよ!///」

「アハハハハ!!」

「蒼司まで……もう!」

 

なんだかさっきまでの事が可笑しくなって来たのか、俺とリサは吹き出した。

 

「……蒼司。」

「ん?」

「ありがとう。」

 

2人のやりとりを見てリサはとても嬉しそうだった。

(予想外の事があったけど……結果オーライかな?)

 

結局俺は2人の買い物の理由が分からないまま1日を終わらすのだった。ーーーー

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 




どうも!友希那編5話どうでしたか?
ここからさらに友希那と蒼司の関係が加速していきます!お楽しみに!感想、質問、リクエスト等ございましたら是非宜しくお願いします!
それではまた次回お会いしましょう!


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season1 友希那編:6話 テストなんて……

どうも!ka-主です!
友希那編もそろそろ折り返し?編集頑張るぞい!


「嫌です!わたくし勉学だけは苦手ですの!」

「わがままは良くないですぞユキナお嬢様。お嬢様は次期王姫としての知識を身につけて頂かなければ!」

「うう…分かっています。分かってますが……」

……ユキナお嬢様は勉強が大の苦手なんだな…。友希那も苦手なのだろうか?

 

「どうしたのですか?」

「あ!竜騎士様!」

「おお、竜騎士殿。竜騎士殿も言ってあげてください。ユキナお嬢様と来たらこの爺や持ってしても勉学に励んでくれないのです。」

 

「ユキナ殿、爺やに無理を言ってはいけませんよ?爺やもユキナ殿のために頑張っておられるのですから。」

「うう…竜騎士様も同じ事を言うのですか?酷いです…。」

……中々の粘り強さだな…どう出る?竜騎士様。

 

「ではこれはどうでしょう?私はそろそろ遠征に出ます。そこでユキナ殿が誰にも無理を言わず勉学に励んでいたら私が1日だけユキナ殿の思うがままになるというのは?」

「そんな!竜騎士殿、わざわざ遠征でお帰りでお疲れの身でユキナ殿を甘やかせるというのですか!?無理はおやめ下さい!」

「いいのですよ爺や。こうでもしないとユキナ殿もやる気が出ないでしょうに。…出来ますか?ユキナ殿。」

 

……そう来たか。竜騎士もユキナに大変だな。

「はい!それなら頑張れる気がします!約束ですよ?」

「ええ、約束致しましょう。証人は私と爺やです。」

「うむ……申し訳ない竜騎士殿。」

 

「それでは爺や、さっきの続きをお願い致します。」

「はい、喜んで!」

…………………………

………………

…………

 

「……夢か。」

(あの夢に出てくる2人、日に日に仲良くなってる気がするのは…俺だけか?)

 

ピロリン♪

 

ベッドから降り伸びをしていると机に置いて置いたスマホの通知音が鳴った。送信相手は優馬からだ。

 

『おはよ!元気にしてるか?こっちは今日からテスト1週間前だぜ。もしそっちも1週間きったなら一緒にテスト勉しないか?』

 

「そっか、今日からだもんな……」

羽丘も今日からテスト1週間前だ。しかし花羽と羽丘とはテスト範囲が違うのでは?

 

『俺は別にいいけど、そっちとテスト範囲違うかもだぞ?』

『ああー!そうだった……何時もの流れでテスト勉さそっちまったよ……』

 

(ふっ…相変わらずだな優馬は)

 

『まあでも違うって言ってもたかが知れてるだろ。やろうぜ、テスト勉。』

たとえ違くても同じ所をやれば結果オーライだと思った。

 

『ホントか!?ありがとな蒼司!助かるぜ!』

『まあでもお前が赤点回避できないって未来は決まってるだろうがなw』

『な、何をぉ!』

『ハイハイwじゃあ放課後いつもの喫茶店でいいか?』

『おう!楽しみにしてるぜ!』

 

こうして優馬と久しぶり?の会話が終わり俺は部屋の時計を見た。

 

(そろそろ支度しないと不味いな……)

 

そう思い俺は部屋着をぬぎ、クローゼットにかかっている制服に手を伸ばした。ーーーー

 

…………………………

………………

…………

 

「蒼司おはよ!」

「リサ、友希那おはよ。」

「……おはよ。蒼司…」

教室に入るなりいつもの2人がいた。しかし友希那の表情が何やら暗い感じだった。……何かあったのか?

 

「どうしたんだよ友希那。元気なさそうだが……」

「気にしないで、友希那この時期になるといつもこうだから」

「?そうなのか?てかこの時期って……テスト1週間前だろ?」

「ゔっ……」

 

俺がテスト1週間前の事を指摘した瞬間友希那は机に伏せてしまった。

 

「なっ…まさか友希那……」

「アチャ〜…蒼司ご名答。友希那大の勉強嫌いなの。」

「嫌いではないわ。苦手なだけよ。私の肌に合わないだけよ……。」

 

(いや……言ってること同じじゃん…よっぽど嫌いなんだな。)

しかしそうは言っても友希那はRoseliaのメンバーの1人だ。勉強で支障が出てしまってはリサたち他のメンバーに迷惑がかかってしまう。ここは俺が何とかしなきゃか?

 

「なあ友希ー」

「ねえ友希那?蒼司がね、もし今回のテストで1科目でも勝てたらデートしてくれるって!」

 

(おいおいおいおい!このアマ…人の話を遮って何言うかとおもったら!)

 

「おいリサ、何話しを盛り上げようとしてるんー」

「ホントなの?」

「うぉっ!?ちょ友希那、近い…!」

 

リサの冗談?じみた提案を取り消そうと突っ込もうとしたらその提案を真に受けた?友希那が俺に顔を近ずけて聞いてきた。

 

(てか友希那から凄くいい匂いがするんだが!香水?前はこんな匂いさせて来なかったのに!……って違う違う!早く友希那の誤解解いてやらないと!)

 

「ち、違う友希那!デートなんてする訳ー」

「……違うの?( ・᷄-・᷅ )」

「うがっ……!」

 

(そんな顔するなーー!!)

 

断ろうとした瞬間、友希那があたかも捨てられて拾って欲しいと願わんかの様な表情をしていた。こんな表情をされて断れる人間など絶対にいない。そう断言出来るほどよ……。

 

「(リサめ……こうなったら道ずれだ…)ボソッ」

「蒼司……私の事…嫌いなの?( ・᷄-・᷅ )」

「ゴフッ…!!…そ、そんな訳ないだろ友希那。俺はお前の事を嫌いになんてならない。約束だ。」

吐血して倒れてしまうのを何とか耐え(実際吐血はしてないが)嫌いじゃない事を伝える。

 

(……てかこれ、まるで告白みたいだぞ!?大丈夫か?)

「……ホント?」

「ああ。少なくとも友人として、Roseliaのメンバーとして俺はお前を見捨てたりはしないよ。……だけどこれと勉強は別だ。友希那だけ出来てなくて補習なんてなったらリサ達に迷惑かかる?それは友希那も分かるよな?」

「……ええ。」

 

一応友希那が勘違いしないように?弁解&俺が今友希那に伝えたい事は伝えれた。

 

「だから、一緒に頑張ろうぜ!頑張って、皆に勉強だってできる姿見せてやろうぜ!」

「そうね、分かったわ!」

 

何とか友希那を説得は出来た……が、俺は忘れないようにここにいるもう1人(・・・・)に釘を指すことにした。

 

「…そうだリサ。折角だからお前も強制参加な?」

「へ?え?」

「逃げたりしたらもちろん、俺に負けた科目の数だけ罰ゲームな!」

「はぁ!?な、何でわたしもなのよ!意味わからない!」

「お?やっぱり拒否するか?」

「当たり前じゃん!」

 

拒否する事は想定内……だったのだがここで俺が脅して?参加させるのも悪くないがここは彼女(友希那)に任せることにした。

 

「友希那、頼む。」

「リサ……」

「?どうしたの?友希那。」

「リサは……一緒にやらないの?( ・᷄-・᷅ )」

 

ゴフッ……!!バタリ……。

 

さすがのリサも友希那の兵器(( ・᷄-・᷅ ))には敵わなず、吐血(吐いてないが)して、机に伏せてしまった。

 

「あらら…流石にやりすぎたか?そんで、リサ?どうなんだ?」

「うう…分かったわよ……」

「よし、決まりだな!」

 

……かくして友希那とリサにとって負けられない定期テストに向けてのテスト勉強が始まったのだった。ーーーー

 

 

 

 

〜to be continuous〜

 

 

 




『次回予告』
「なんかこうしてテスト勉するの久しぶりだよな!」
「俺も頑張んないとな」
「リサ、やるからには全力でやるわよ!」
「私もまけられないんだから!」

次回、負けられない!お楽しみ!

…………………………

色々忙しすぎて編集に手が着きませんでした……この投稿を気に遅れた分頑張っていきます!


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season1 友希那編:7話 負けないんだから!

どうも!ka主です!
友希那編7話、前回の続き?です。
自分の作品の番外編?ifストーリー(R18予定?)をいつか投稿する予定です。
それでは7話……どうぞ!


「……なあ蒼司〜ここわかんねぇよぉー」

「ここはさっき教えた公式の応用だよ。……ここをこうしてー。」

「アイスコーヒー2つ、お待たせしました!」

 

学校が終わった俺は友人の優馬と羽沢喫茶店でテスト勉強をしている。俺と優馬はテスト1週間前になると放課後よくここでテスト勉強をしている。俺の場合、テスト勉強以外にもちょくちょくこの店に顔を出してるので常連…とまではいかないが、顔を見知りの客として従業員に知られている。

 

「あ、つぐみさん。コーヒーありがとうございます!」

「どういたしまして蒼司さん!テスト勉強、性が出ますね!頑張ってください!」

 

そしてここ、羽沢喫茶店はつぐみこと羽沢つぐみの両親が経営している店だ。時間が空いてる時はこうして店の手伝いをしてるとか。

 

「はい。つぐみさんもお店の手伝い頑張ってくださいね?」

「ありがとうございます!」

 

そういってつぐみは厨房へと姿を消して行った。

 

「なあ蒼司。あのつぐみって人と知り合いなの?」

「知り合いも何も、羽女の副生徒会長だよ。彼女」

「まじで!?後で連絡先聞こおっかなぁ〜グヘヘ」

 

ボカッ!

 

「ってぇ〜!!なにするんだよ!」

「お前のその発言につぐみさんの身の危険を感じたので阻止させて頂きました。」

「な!?じょ、冗談にきまってるだろ!あ、もしかして蒼司そう言っときながらお前も彼女の連絡先欲しいんじゃ……」

 

ボカッ!!

 

「ガァァァァ!!同じ所を殴るな!コブ出来たらどおしてくれるだ!?」

「そんな強く殴ってないから大丈夫だろ?」

「そう言えば済むもんじゃね〜だろォーッ!」

「お客さん。他のお客様の迷惑になりますのでもう少し静かにして頂けないでしょうか?」

「ひっ!…ご、ごめんなさい(ToT)」

「紗夜さん!?どうしてここに?」

「蒼司さん!?」

 

俺たち(主に優馬)を注意しに来た女性はRoseliaのギターリスト、氷川紗夜だった。

 

「バンドの練習がオフの時はこうして羽沢さんのお店でアルバイトさせて貰ってるんです。」

「そ、そうだったんですね。その、すみません、連れが騒がしくさせてしまって」

「いえ……次から気をつけて頂ければ大丈夫ですので。それではごゆっくり。」

 

そう言って紗夜さんも厨房へと姿を消して行った。

 

「おい蒼司。さっきの騒ぎ俺のせいかよ」

「あ?だってそうだろ?お前が余計な事言わなければ静かなテスト勉だったのによ」

「はぁ!?だってあんな可愛い娘いたら連絡先とか聞くでしょ普通」

「お前のそのストーカーじみた癖どうにかならないのかよ……ほら手が止まってるぞ。テスト勉の続きだ続き。」

「うう……お前に好きな人出来たら同じ事絶対言えないからなー」

「…大丈夫だ俺にはできるはずが無いよ。それに出来たとしてもお前みたいなことはしない。」

 

(好きな人……か。正直居ないとは思うけど……)

 

正直俺の事を好きだと思うやつなんていないに等しいはずだ。……ある例外を覗いて。

 

(友希那……俺の事どう思ってるんだろ?あの時友希那がつけてきたの……香水か?こないだまでつけてこなかったはずだが)

 

しかし友希那とは……友希那に限らず他のRoseliaのメンバーとは協力関係だ。友達以前にそれが壁になるだろうと密かに感じていた。

 

「それにしても久しぶりだよな!お前とこうしてテスト勉するなんてさ!」

「そうか?テスト1週間前になるといつもこうしてやってるだろ?」

「そりゃそうだけどさ、今回はお前が花羽に交換留学行ったからなんか久しぶりだなってかんじたんだよ!」

「まあ今回に限ってはそうかもな」

 

……などと世間話?も含め多少賑やかにテスト勉強をやっていたが、それもそろそろ終わりに近ずいてきた……。

 

…………………………

………………

 

「ありがとうございましたー!」

 

一通りテスト勉強が終わり会計を済ませ俺達は店を出た。

 

「ん〜!終わったあ〜!なあ蒼司、この後暇か?もし良ければどこか行かね?」

「ああ、そうだな。ゲーセンとかどうだ?」

「お!イイネ!そうと決まれば早速ーー」

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

優馬が言い終わる前に俺のスマホに電話がかかった。確認すると相手は友希那だった。

 

「すまん、電話だ。……もしもし、どうかしたのか?」

『もしもし蒼司?今からリサとテスト勉強一緒にしようと思ってるのだけれど……蒼司も一緒にどうかしら?』

 

どうやら一緒にテスト勉強をしたいという件らしい。

 

(2人でテスト勉強か…そういえば、今回のテスト勝負するんだったな……)

 

「分かった。今から向かう……と言いたいけど家が分からないんだが。済まないが羽沢駅まで来てくれないか?」

『分かったわ。それじゃあ駅で落ち合いましょ。』

「了解。」

 

ピッ

 

「済まないが聞いての通りだ。ゲーセンはまた今度でいいか?」

「おう。また気が向いたら誘うな、今日はお疲れ様!」

「おう。またな優馬」

 

そう言って俺は待ち合わせの羽沢駅へと歩き始めた。

 

…………………………

…………

……

 

一足先に駅に着いた俺は自販機でコーヒーを買って友希那を待つことにした。

 

(そういえばリサと一緒にっていってたがリサも来るのか?なんだか申し訳ないな……)

 

そう思いながら友希那達?が来るのを待つこと数分後ー。

 

「お待たせ〜!!」

 

声の方を向くと友希那とリサがこちらに向かって走ってくるのが見えた。

 

「友希那…随分早かったな。……リサも来たんだな。」

「うん!友希那……案外方向音痴な所あるし、友希那の家で待ってるのもどうかなって思って一緒にきちゃった♪」

「リサ…そこまで私は方向音痴じゃないわよ。」

 

(方向音痴なのは認めるんだな……)

 

「と、とにかく時間が惜しいから早く行きましょ?」

「そうだな……て言いたいけど少しだけ待ってくれ。まだ昼飯食べてなくてな…何処かで買っていってもいいか?」

「え?蒼司もなの?よかった!私達もお昼まだなんだ。一緒に買ってこ♪」

 

という事で友希那の家へ向かう前に俺達は昼飯を買うことにした……のだがー。

 

「え?リサ…私達財布持ってきて無いわよ?」

「……は?」

「ちょ、ちょっと友希那!何で言っちゃうのさ!」

「別に……言っちゃいけないなんて言われてないから……。」

「おいお前ら……まさか奢って貰おうだなんて思ってないだろうな?」

 

俺は奢らないぞとばかりに2人を(主にリサを)睨めるが……

 

「いいじゃんかー!私と友希那、蒼司の仲でしょ?お願い!」

「ダ・メ・ダ!!特に主犯たるお前は特にな。」

「そんなぁ〜……やっぱり、ダメ?( ・᷄-・᷅ )」

 

(ぐっ……お前までそれを使うか!)

 

「だ、駄目ったらダメだ」

 

(危ない危ない。あやうく了解しそうだったぜ!だけどいくら駄々こねられようと俺の気持ちはそう簡単に揺らぐわけー)

 

「お願い…蒼司。奢って?( ・᷄-・᷅ )」

 

ゴフッ!!

 

(前言撤回……友希那の兵器( ・᷄-・᷅ )で即屈服しました。)

 

「……分かったよ…なるべく軽いものにしてくれよ?」

 

まあ奢るだけだし、と思った俺の考えは直ぐに早計だったと思い知らされるはめになった。

 

「ありがとう♪蒼司!\(❁´∀`❁)/」

 

「………………」

 

バタッ……

 

「蒼司!?大丈夫!?」

「しっかりして!蒼司!」

 

蒼司に何が起きたのか……友希那が尋常じゃない、まるで天使や女神みたいな癒される笑顔を蒼司に見せたことにより、蒼司は一瞬にしてその笑顔に魂を抜かれたのだった。

 

(ありがとう神様……この体験、一生忘れません。……ガクシ)

 

…………………………

………………

…………

 

予想外な?ハプニングが起きたが、俺は予定通り2人に連れられ友希那の家にたどり着いた。

 

「それにしても、2人が幼馴染ってのは聞いてたけどさ、家が隣だとは思わなかったぜ。」

「昔よくお互いの家で遊んだよね〜」

「そうね。蒼司にはいつか私の家に泊まりに来て欲しいものね……」

 

その言葉を聞いた直後、俺とリサの顔はものすごい勢いで赤くなった。

 

「ちょま、友希那!?お前何言ってるのかわかってるのか!?」

「そ、そそそーだよ友希那!蒼司が友希那の家なんか来たら友希那何されるかわからないよ!?」

「おいリサ……俺がそんな事する訳ないだろ?何でお前はいつも俺を罪人扱いしたがるんだ……」

「そうよリサ、蒼司がそんな事する訳ないでしょ?」

 

珍しく?友希那が助け舟をだしてくれた。

 

「友希那!わかってくれるのか!?嬉しいぜ!」

(へ!どうだリサ!何時までもお前の味方ばかりしてるとは思わ……)

「でも……そうね。何かされた時は110番すればいいのかしら?」

「何でそーなるんだよ〜!!」

 

前言撤回。いつかこの2人泣かす。絶対泣かしてやる!

 

…………………………

…………

 

たまに雑談をするもテスト勉強は順調に進んでいた。

 

「蒼司、ここの問題はどう解けばいいのかしら?」

「ん?ここは○○の文についての問だからその文の前辺りを読むんだよ」

「分かったわ……ここね、……こうでいいかしら?」

「そうそう。こういった問題は対象の文の前当たりを読めば答えが見つかるんだ。」

「ありがとう蒼司。参考になったわ。」

 

「ねぇ蒼司、ここの問題どう解けばいいの?」

「ここはだな……先にax+by=x2の形に治してから……」

「えっとー……こうでいいの?」

「そうそう。」

 

とまあこんな感じに主に俺が2人に教える感じでテスト勉強は進んでいる。

 

「フゥ〜、やっと終わったー!」

「私も、一通りさらえれたわ。」

「それにしても蒼司教えるの上手だね!数学苦手だけどこれなら行ける気がする!」

「そうね。私も文章問題はホントに苦手だから助かったわ。」

「はは、そう言って貰えると教えたかいがあったってもんだよ。ありがとな。」

 

この短時間で2人は予想以上に出来るようになった。

 

(……て俺も自分の苦手分野とかやらないとな。2人とも頑張ってるんだから。)

 

「俺も頑張んないとな。」

 

そう思い俺は昼前に優馬とやった所をもう一度さらうことにした。ちょうどその時だった。

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

俺のスマホから覚えの無い番号から着信がきた。

 

「済まない。ちょっと席外すわ。」

「ええ、構わないわよ。」

「どうぞ〜」

 

俺は2人にそう言って友希那の部屋をでた。

 

…………………………

………………

 

ガチャッ

 

「あっ、蒼司おかえり!」

「案外長く話してたみたいね。さ、続きをやりましょ」

「おう、そうだな。」

 

「しかし…こうして教えてると友希那が勉強嫌いってのがなんだか嘘みたいだよな」

「そ、蒼司?いきなりどうしたのよ?」

「そうだよ!蒼司が友希那褒めるなんて……明日は台風?」

 

ドカッ!!

 

「いったァァい!?ちょっと何するの!?」

「アアゴメン、カラダガカッテニウゴイチマッタ。」

 

俺はリサに警告じるしに手刀をリサの頭にお見舞いした。

 

「絶対わざとでしょ!?」

「ナンノコトヤラ」

「リサ、あまり蒼司をからかわないで。私が蒼司に褒められた事がそんなに羨ましいならリサも褒めて貰えばいいのよ。」

 

そこにさっきまで恥ずかしがってた?友希那が追い討ちをかけるようにいった。

 

「そんなぁ!?友希那までぇ〜…ひどいよぉ」

 

とか何とかいっていたが、……

 

「そうか、リサも褒めて欲しかったのか。それならそうと言えばいいのに。」

 

なでなで……

 

「えへへ//あ、ありがとう//」

 

いざ撫でてやるとこのざまだ。……可愛いな。

 

…………………………

………………

…………

 

「……と、そろそろお開きにするか。」

「あら、もうこんな時間」

「いやぁ〜時間が経つのって早いねぇ〜」

 

時計を見ると午後3時を過ぎようとしていた。

 

「確か16時からCIRCLEで練習だよな?」

「そうね。」

「ねぇねぇ!どうせなら3人で一緒にいこーよCIRCLE!」

 

リサが俺たちそう提案した。……実を言うと俺もな同じことを考えてた所だ。

 

「お、いいね。友希那はどうよ?」

「いい考えね。そうと決まれば支度をしていくわよ。」

「了解〜!」

「じゃあおれ先に降りて待ってるわ。」

 

…………………………

 

〜友希那side〜

 

「ねえ、友希那。」

「何かしら?リサ」

「蒼司へのアピール、順調だね♪」

「ちょっ…ッいきなりどうしたのリサ?」

 

リサの唐突な話題で返事がつっかえる感じになってしまったわ……

 

「だって最近の友希那蒼司にすごくアピールするんだもん!もう私の助けなんて要らないくらいに……ね」

「そんな…リサが居なかったら、私の蒼司に対する想いが分からないままだったから……リサには感謝してもしきれないわ。」

 

(そう……あの日、リサが私の中にある気持ちを気づかせてくれたから私はこうしてアピールできる。……でも)

 

「ねぇリサ」

「ん?どーしたの。」

「貴方にはいつも感謝しきれないわ。だからこそ、今回のテスト……負けられない」

「ゆ…友希那?」

 

…………………………

 

〜リサside〜

「貴方にはいつも感謝しきれないわ。だからこそ、今回のテスト……負けられない」

「ゆ…友希那?」

 

友希那は何を言ってるのだろう?……そう考える時間は残念ながら今はなかった。

 

ドンッ!!

 

「キャッ!?」

 

私と友希那の距離がゼロになると同時に友希那が私を押し倒したの。

 

「ちょ、ちょっと友希那!何を!」

「……ゴメンなさいリサ。でも貴方がいけないの…貴方が蒼司をからかい過ぎるから。」

「え!?」

 

(え?友希那?どうしちゃったの!?ダメ、全然話がみえないよぉ!)

 

「私は蒼司の事が好き。誰よりも好き。だから……わからせるの。」

「友希那……」

 

いつの間にか友希那の目のハイライトが消えていた。

 

「今回のテストで貴方に勝ってこれ以上蒼司の事をからかわせないようにする。」

「必ず蒼司に私の想いを伝えて恋人になって……」

「他の女から蒼司を守るの」

「……ひっ」

 

(今会話してるの……ホントに友希那……なの?…怖い、怖いよ……)

 

「蒼司に相応しい歌姫(ディーヴァ)になる。そのためにはどんな手段もいとわない。」

「私の思いを邪魔する女は許さない。たとえそれがRoseliaでも……」

「……リサ、貴方でも容赦しないわ

 

コクコク……!

 

友希那の今までに感じたことの無い謎の脅しに、私はただ、頷くことしか出来なかった……

 

…………………………

………………

 

〜蒼司side〜

「お待たせ、蒼司」

「おう、遅かったな。待ちくたびれたぞ。」

 

しばらくして(多分感覚からして10分以上たって)友希那とリサが降りてきた。

 

「ゴメンなさい蒼司。今回練習に使うスコアを探してて」

「そっか、……じゃあ行こうか、リサは特に忘れ物とかないか?」

「……え?あ、ああ!忘れ物?大丈夫だよ!」

「?……そうか」

 

(リサのやつ、なにぼーっとしてたんだろ?)

 

その場に居なかったら俺はこれ以上考えることは無いと思い3玄関へ向かった。

 

「蒼司!友希那!」

「ん?」

「どうしたのリサ?」

 

「私……私、負けないから!今回のテスト、沢山勉強して、2人に勝っちゃうんだからね!」

「……そうね。私も、やるからには全力でやるわよ。」

「2人とも……そうか、俺も頑張んないとな!」

 

こうして今日のテスト勉強は終わり、3人はCIRCLEへ向かうのであった……ーーーー。

 

ーーーーそしてこの瞬間から、彼の、彼女たちの日常が少しづつ崩れて行こうとしていた。……ーーーー

 

 

 

 

〜END〜




『次回予告』
「2人とも、互いに頑張ろうな!」
「ええ、絶対に……勝ってみせる!」
「私も負けないよ!2人とも!」

「……まあ、ざっとこんなもんかな?」

次回、『2人の姫君の思い』お楽しみ!
……緊急告知あり!情報またれよ!


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season1 友希那編:8話 2人の歌姫の想い

※この作品はハッピーエンド前提でストーリーをすすめていきます!それ以外は全て「MEMORIAL if STORY」にて投稿予定です!


〜友希那side〜

 

「……ここは……どこかしら?」

 

辺り一面青薔薇……それ以外何も無い……。

 

カッカッカッ……

 

「!?……誰?……っ!?」

「ふふふっ……『あの時』以来ね?『私』」

 

そこにはRoseliaの衣装を身に付けているもう一人の『私』がいた。しかし彼女の目は輝いていなかった。

 

「……何度話しかけても無駄よ。私は貴方のものなんかにならない」

「ふふふっ……そんなに彼が大事?」

「ええ、彼は私達Roseliaにとっては無くてはならない存在よ。彼が居ればRoseliaは……私達は更なる高みへ羽ばたける。」

 

そんな事を言っても『私』は怯まなかった。

 

「……それだけ?」

「え?」

「貴方……嘘ついてるわね」

「!?……そんな事ないわ!」

「いいえあるわ。貴方は彼に対する想いに嘘をついてる。……確かに彼の力があればRoseliaは遥か高みへ羽ばたける……だけど、貴方の抱いてるそれはRoseliaのためなんてものじゃない。」

「……何がいいたいわけ?」

 

『私』は自分自身ですら知らないことを知ってるとでもいうの?

 

「その通りよ」

「!?」

「言ったでしょ?私は貴方自身。貴方の考えてる事くらい造作もなく分かるわ」

「話を戻すわ。確かに貴方はRoseliaの為に彼の力が必要といってる。それは確かに正しい。でも私……もう一人の貴方はそうは思ってない」

「……どういう…事?」

「教えてあげる貴方は彼の事を好いてる」

「!……そうよ。でもその気持ちはリサが教えてくれた事。リサがいなかったら気づかなかった感情よ」

「そう。リサ……彼女のおかげで私は生まれた。そして貴方は彼を想うに連れてどんどん私は強くなった。そして貴方は次第にこう思うようになった」

 

彼を自分だけのものにしたい

「!?」

彼に相応しい歌姫(ディーヴァ)になりたい

私の想いを邪魔する者は許さない

「……やめて」

例えそれがリサであろうと

やめて!!

 

…………………………

………………

…………

 

「はぁ…はぁ…はぁ……」

 

(……夢?)

 

気がついたら私の周りは青薔薇ではなく、自分の部屋の風景に変わっていた。そして自分は身体中汗だくであった。

 

(私は……『彼女』じゃない。私は私……)

 

「その事を『彼女』に解らせてやらないと……」

 

私はベッドから降り、クローゼットにかけてある制服に手を伸ばし着替え始めた。……

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

今日はテスト当日。クラスの皆は最終確認のためか机に教科書やノートを広げ必死に勉強していた。

 

「おはよう蒼司」

「おはよう友希那……あれ?リサはどおしたんだ?一緒に登校してくるとばかり思ったがー」

 

「おはよう〜!もう友希那酷いよ!!私を置いてくなんて!」

「ごめんなさいリサ……そんなつもりはなかったのよ」

 

遅れてリサが教室にはいってきた。

 

「まあ、友希那もあれだろ?テスト勉強の仕上げとかしたくて早めに投稿したんだろ?」

 

周りの様子を見て俺はそう尋ねた。

 

「え、ええ……」

「!……そうだったんだ!だったらそう言ってくれればいいのに!……あっ!私日直だから職員室いってくるね!」

 

そう言ってリサは教室を出た。

 

「そう言えば……蒼司は勉強しないの?」

 

教科書を広げテスト範囲の所を確認していた友希那は俺が何もせずに小説を読んでる姿をみてそう尋ねた。

 

「ん?ああ、やるべき事はやったからな。それ以上はやる必要も無いかなって……」

「お待たせ〜……て蒼司勉強してないじゃん!どぉしたの?もしかして……忘れたの?」

「んなわけないだろ?当日まできて自分のやってきた事を疑う様なことなんてするわけないだろ?」

「うわ〜凄い余裕だね……こうなったら私もがんばんないと!」

 

そう言ってリサは自分の席から教科書とノートを取り出し俺の席に持ってきて友希那と同じ様に勉強し始めた。

 

「おい……なんで自分の席でやらないんだよ……」

「いいじゃん別に!まだテストまで時間あるんだし、蒼司小説読んでるだけでしょ!?」

「いいじゃない蒼司。リサのやりたい様にさせましょ」

「友希那が言うなら……俺の読書の邪魔だけはするなよ?」

「分かってるって〜!」

 

そう言って2人はテスト勉強を再開した。

 

…………………………

………………

…………

 

SHRが終わりテストの1科目が始まろうとしていた。

 

「そろそろ始まるな」

「ええ、やるべき事はやったわ」

「うん!私も何時でも大丈夫!」

 

「はーい皆!席につけー!テスト配るぞ!」

 

テスト開始前のチャイムがなると同時にテスト監督の先生が入ってきてそう告げる。

 

「2人とも、互いに頑張ろうな!」

「ええ、絶対に勝ってみせるわ!」

 

(結構やる気だな友希那……はめ外さなきゃいいが)

 

「私も負けないからね!2人とも!……ゼッタイマケナイカラ」

「そうだな、俺もがんばるか!」

 

なんだかんだで俺もその気だった。

……そして定期テストが幕をあけまた。

 

…………………………

………………

…………

 

テストは無事終わり俺達は結果をまつだけとなった。ちなみに順位は各教室に学年、クラスの2つが掲示されるらしい。

 

そして、時は少々たちテスト返却日。

 

俺達は珍しく3人で登校した。理由は一緒に順位を知るためだ。

 

「私は……学年が85位、クラスが15位……上々ね」

「私は〜っと!学年が80位、クラスが13位かだね〜♪……え!?」

「2人共凄いな!テスト勉強の甲斐があったな!……リサ?どうかしたのか?」

「リサ……どうかしたの?」

 

リサは順位表を見て唖然としていた。……確か2人との差は殆ど無かったと思うが……

 

「ね、ねぇ友希那……あれ」

 

リサが順位表の左端……つまり学年1位を指さしてそういった。

 

「……嘘」

 

そこには『1位 騎龍蒼司』と載っていた。当然クラスの方もダントツの1位だ。

 

「……まあざっとこんなものかな」

「蒼司……貴方って一体……」

「凄い凄い!凄いよ蒼司!1位だよ!?なんで!?」

「リサ……少し落ち着けよ」

「……コンナハズシャ……コンナハズシャナイノニ……」

「友希那?」

「ひゃ!?ど、どうしたの蒼司?」

 

いくら呼んでも返事のない友希那に不信感をいだいた俺は肩を叩いて呼んだ。

 

「どうしたのって、大丈夫か?いくら呼んでも返事なかったから」

「!……友希那、そんなに落ち込まないで!たかがテストだよ!次頑張ろ!」

「…………」

 

(友希那……相当落ち込んでるな。今回のテスト多分友希那が1番頑張ったハズだ。それなりのことしても罰はあたらんか)

 

「おーい!テスト返すぞ!席につけー!」

 

担任が入ってきて黒板の前に集まっていたせいとは全員席についた。

 

「……………」

「友希那……」

 

落ち込んでる友希那をよそにテストが返却され始めた。

 

…………………………

………………

…………

 

放課後、俺達3人はRoseliaの練習の為CIRCLEへとむかっていた。

 

「イヤーそれにしても今回は頑張ったよ〜」

「そうだな……2人共よくがんばったな」

「………………」

 

友希那はテストを返却されてからというもののずっとこの調子だ。それよしか返却された時よりもかなり落ち込んでいる。

 

(……何だか、可哀想だな。あんだけ頑張ったのに)

 

「……なあ、友希那」

「…………何?」

「今度……2人でどこか出掛けないか?」

 

「「え!?」」

 

いきなりの提案に2人は驚いている。

 

「リサ……なんでお前まで驚いてるんだ?」

「え!?いや、何でもないよ?」

「そして何故疑問形……」

「……どうして?」

「ん?」

「私……2人に負けたのよ?あれだけ頑張ってもリサには勝てなかった……蒼司に至っては次元の違うように感じたわ!あれだけ頑張っても……私なんて……ワタシナンテ」

 

「友希那」

「!?」

 

これ以上自分を責めて欲しくないと思い名前を呼び制止させる。

 

「今回のテスト……1番頑張ったのは俺でもリサでもない。お前だって事を俺はよくしってる。」

「でも……」

「俺は……頑張った者の努力を貶す事はしたくない。だからな……」

 

「俺にお前の頑張った所、褒めさせてくれよ」

「!?///」

 

これが俺に出来る慰めだと……そう思い更に続ける

 

「だから友希那。今度の夏休み……2人でデートしようぜ」

「!?……分かったわ///」

「よかったね、友希那……さ〜てテストも終わったことだししばらくのんびり出来るね〜♪」

 

そう言って平和ボケ?しているリサを見て俺はとある事を思い出した。

 

「何いってるんだリサ?お前忘れたわけじゃないよな?」

「へ!?な、ナンノコトカナー」

「言ったよな?俺に負けた科目の数だけ俺の言う事聞くって」

「そ、ソンナコトイッタッケナーワタシシラナーイ……」

「リサ……嘘はよくないわよ?私も確かにこの耳で聞いたわ」

「ゆ、友希那ぁ〜……( ・᷄-・᷅ )」

 

(リサめ……あの空気でそのままズラ狩ろうとしてたな)

 

「テストは全部で5科目そのうち全て負けてるわけだ……さ〜てリサさんや」

「は、はひ!?」

「このままズラ狩ろうとした事も含め……どんな言う事…キイテモラオウカナ〜?」

「お、お願い……お手柔らかに……友希那助けてぇ〜(ToT)」

「……ぷッアハハハハ!」

「ちょっと!笑ってる場合〜!?」

 

なんやかんやで友希那の機嫌も元にもどり、無事……俺たちのテストは幕を降ろしたのだった。

 

…………………………

………………

…………

 

『ふふふっ……どうやら貴方のいいたい事……正しいのかもしれないわね』

『それなら……貴方のやり方……見せてもらおうかしら?』

『ふふふっ……アハハハハ!』

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 




『次回予告』
「お願いします蒼司様……どうかお手柔らかに……」
「蒼司とデート……とても楽しみだわ///」
「さ〜て……今日はどぉしてくれよっかな〜?」

「今度のデートで……必ず……!」

次回、『デートに向けての一時?』お楽しみに!

※アンケートとります。御協力お願いします。


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season1 友希那編:9話 デートに向けての一時?

どうも!ka-主です!
友希那編もそろそろクライマックス?にさしかかります!



〜リサside〜

 

カタカタカタカタカタ……

 

カキカキカキカキ……

 

テストも終わり夏休みに入った初日。私は蒼司の家にいた。

 

カタカタカタカタカタ……

 

カキカキカキカキ……

 

「…………」

「…………」

 

(蒼司に呼ばれて家に上がって多分何時間かずっとこのまま……空気が重すぎるよぉ〜)

 

カタカタカタカタカタ……カチッ

 

「……さて、リサさん。原稿の方は完成しましたか?」

「……後少しです……」

 

私が何の原稿を書いてるかって?……それは今から少し遡るわ

 

…………………………

………………

 

〜数時間前〜

 

ピーンポーン♪

 

……ガチャッ

 

「蒼司、来たよ〜♪」

「……上がって」

 

私は蒼司について行く形に自室まで案内された。

 

「蒼司の家に来るのいつぶりだろ〜?ねぇねぇ!あの猫今も元気?」

「……シロナの事か?元気だぞ」

「シロナって名前なんだ!蒼司にしてはいい名前つけるじゃん♪」

 

そう言ってる私をよそに蒼司は折り畳みの机を組み立て私の前に置く。

 

「リサ、その机の前に正座しろ」

「……え?」

 

最初は聞き間違いかなって思って思わず聞きなおしてしまった。

 

「……聞こえなかったか?……今井リサさん。そこに正座しなさい」

 

ビクッ!

 

「は、はい!」

 

蒼司の謎の圧に押され私は折り畳み机の前に正座させられた。そして蒼司は自分のPCのある椅子に座りこう言った。

 

「……さて、リサさんや。今日どおして呼ばれたか……わかりますか?」

「え?ど、どおしてでしょうか?」

「……そうか。あくまでも白を切るつもりだな」

「!?」

「まずはこれを見てもらおうか」

 

そう言って蒼司は机の前に何枚かスマホから転送した画像などを私の前に置いた。

……そこには蒼司のLINEの友希那や紗夜、燐子、あこのトーク画面に蒼司のカバンの中の画像が画かれている。

 

「この画像に関して……なにか心当たりはありますか?」

 

蒼司はさっきから丁寧な口調でさぞかし穏やかな表情で私に問いかける。しかしその目のハイライトはoffになっていた。

 

(……それどころか蒼司から負のオーラが見えるのは私だけ?)

 

「え、え〜と……どうだったかな〜?アハハハハ……」

 

ドンッ!!

 

「ひぃ!?」

 

蒼司は明らかに怒っていた。……それも相当ご立腹だ!

 

「言いたくないなら思い出させてやるよ。俺がどんな理不尽な濡れ衣を着せられ尋常じゃない屈辱を味わったか!」

 

そして蒼司の会話が始まると同時に私が侵した?罪の回想が始まったのだった……

 

…………………………

………………

…………

 

〜回想・蒼司side〜

 

「ん〜!もうすぐ夏休みかー!テストが終わってからここまで平和になるとは思わなかったな〜」

 

テストが終わってからの俺はこの様にはよこい夏休み気分で浮かれていた(本人にどれだけ自覚があるかはさておき)

 

「ね〜蒼司〜!」

「ん?リサじゃないか?どうした?」

「さっき日菜が蒼司の事探してたよ!生徒会室でまってるって!」

「了解」

 

俺はそう言い席をたち教室をでていった。

 

〜リサside〜

 

「……よ〜し、蒼司のやつ行ったな〜♪しかもちゃんとスマホ忘れて行ったよ♪チャンスチャンス♪」

 

電源を入れると案の定ロックが掛かっていた。

 

「『〇〇〇〇〇〇』……よし!開いた♪」

「さすが友希那だな〜♪何時も蒼司の事見ててくれてアリガト♪今度クッキー作ってお礼しなきゃ♪」

 

私はそう言いながら蒼司のLINEを開いた。……そして

 

「『〇〇〇〇』……ここもクリア♪さてと……」

 

友希那から聞き出した番号を全て入力して蒼司のトーク欄を見る

 

「あったあった♪……私のスマホにある画像をこうして……そしてこれをこうしてああして……よし!で〜来た♪」

 

(蒼司め……私がこのまま黙ってると思ったら大間違いなんだら!)

 

「そろそろ戻って来るかな……あっ!そうだ!」

 

そして私はある事をしに蒼司のスマホを元の場所に置き、教室を出た。

 

…………………………

………………

〜蒼司side〜

 

キーンコーンカーンコーン……

 

「おいリサ〜!日菜お呼びじゃ無かったって言ってたぞー!どういう事……」

「蒼司!!」

 

ガシィッ!!

 

友希那がいきなり俺の胸倉を掴んできた!

 

「ゆ、友希那!?ちょっぐるじぃ……」

「あ、貴方があんな事をする変態だとは思いもしなかったわ!!」

「は!?へ、変態?ちょっとまてなんの事だ!?」

 

パシィ!!

 

「ヘブッ!!」

「蒼司なんて……もう知らない!!

 

友希那は怒ってそっぽ向いたまま席についた。

 

(な、なな……何が起こってるんだ!?)

 

あれから友希那は口を聞いてなんてくれなかった。それどころかずっと俺の事を『変態』呼ばわりだ。

 

(俺変態ちゃうって……(ToT))

 

そして事件は更に加速して行った……

 

…………………………

………………

…………

 

放課後……俺は委員会の仕事を終わらせた後、駆け足でCIRCLEへと向かった。そして妙に俺のカバンが重かったがそんな事は今はどうでもいいくらい急いでいた。

 

「……友希那にちゃんと謝らないとな」

 

そう呟き俺はスタジオの扉を開き……

 

「ごめん!遅くなっ……」

 

「「「「「蒼司!!(騎龍さん!!・蒼兄!!・さん!!)」」」」」

 

……彼女達5人に怒鳴られ……そして

 

「この変態!!///」

「蒼司最低……!!」

「騎龍さん……そこになおりなさい!!」

「ウグッ……蒼兄……ひどいよォ!!」

「蒼司さん……!何であんな事……!」

 

俺はどうやらこの5人に知らないうちに何かしたらしい……

 

(てか待て待て待て!!身に覚えがないのだが!?)

 

「ちょっとみんな!お、落ち着けって……」

「「「「「いいからそこに正座(なおり)ナサイ!!」」」」」

「ひぃぃぃぃ!?」

 

そして俺はこの5人にこれから説教&尋問&裁判?をされるのだった……

 

…………………………

………………

…………

 

……今俺が何をされてるかありのままをはなすぜ。まず俺は彼女ら5人に理不尽にも尋問責めを正座でさせられている。俺の言い分?そんなの今の彼女らの状態からして聞いてもらえるわけがない。友希那に至っては俺が何か反論する度に「黙りなさいこの変態」ですよ?泣くよ流石にそこまで言われると。

 

(何度もいうけどさぁ……俺変態ちゃうってぇ(ToT))

 

「もう一度聞きます。騎龍さん、貴方は8時30分から9時頃まで何をしていましたか?」

「だーかーらー!何度も言わせるなよ!俺は日菜の所に行って生徒会の仕事手伝ってたんだっての!何なら日菜やつぐにきいてみろ!その時一緒にいたからな!」

「嘘言わないで!変態!!」

「だから変態じゃねー!!」

 

……さっきからこのやり取りだ。もういい加減精神ともに疲れたんだが

 

「あの…氷川さん。時間だけじゃ蒼司さんが犯人だなんて分からないと思います。……なので、その……今回私達にしたことについて詳しく話させてはいかがでしょう……」

 

(そーだそーだ!ろくに人の話聞かずに変態呼ばわりしやがって!燐子のゆー通りだぜ!)

 

「……白金さんの話も一理ありますね。……それでは今から被害者1人1人騎龍さんになにをされたのか話してみましょう。そして騎龍さん、貴方はそれについての弁解がありましたらお願いします。」

「了解だ」

 

燐子の案により今度は被害者1人と俺との事情聴取がはじまった。

 

〜燐子side〜

 

「わ、私は蒼司さんにLINEでセクハラ的なコメントを……されましたその時に……その、私が更衣室で着替えてる写真も一緒で……」

「セクハラ的なコメントをされただけでなく盗撮もされたのですか!?」

「い、いえ……た、確かにコメントはされましたけど……」

 

私はそこでセリフを詰まらせてしまった……

(あの部屋……花咲川というより何処かの温泉?……だよね?蒼司さんと温泉なんて行ったことない……)

 

「おいちょっとまて、俺はそんなコメント打った覚えないぞ!そもそもあの時間帯でどうやって盗撮なんてできるんだよ!」

「うるさいわよ!この変態!!燐子のトーク画面に貴方が打ったコメントと盗撮の画像があるのが何よりも証拠よ!!」

「てかほんとに打った覚えないし、撮った覚えもねーよ!」

「2人とも、少し静かにしてください。……それで白金さん。騎龍さんにはなんてコメントされたんですか?」

「は、はい……『燐子のおっぱいまじデカすぎるだろ!?何カップだ!?今度揉ませてくれよ!』……って言われました……」

「白金さん。ありがとうございます……騎龍さん?それについて何か弁解は?」

「だからホントに知らないって!てか俺がそんな欲望丸出しな事言うわけないだろ!?」

 

蒼司さんの言う通り……だと私は思った。彼の性格上、そんな事言わない気が……

 

「分かりました……次に宇田川さん、お願いします」

 

(何か引っかかるような……気の所為かな?)

 

〜あこside〜

 

「あこは蒼兄にすっごいひどいこと言われたの!」

「実際にはなんて言われたのですか?」

「『ちっこいのにドラムとかスゴーイ』とか『高校生で厨二病とかまじ無いわ……』って……あこ、蒼兄の事すっごい尊敬してたのに!どうしてあんな事言ったんですか!?」

「ごめんあこ……ホントに言ってないって……」

「じゃああこのLINEのトーク画面のセリフは誰がうったんです!?それにりんりんとポッキーゲームしてるとこだって撮って!!……ウウッヒック」

「う、宇田川さん泣かないで下さい!し、白金さん宇田川さんをお願いします!……騎龍さん、もしあれがホントなら私本気で怒りますよ?」

「ほんとに知らないですよぉ……それにポッキーゲームも撮ってませんからね!?」

「ウウッ……蒼兄……ホントに違うの?」

「ああ!ほんとに違う!約束する!誓って俺はお前にひどいことなんて言ったこと無い!」

 

(なんだろ……ほんとに蒼兄がやったのかな?それにアノポッキーゲーム……何処かで……)

 

「次は私です」

 

〜紗夜side〜

 

「私は『紗夜にお仕置きプレイしたい』とか『ポテトあんなに食べて太らないか』って言われまた。……騎龍さん、貴方にはデリカシーという言葉がわからないのですか?酷いです……」

「……ほんとに知らないんです。紗夜さんにそんな事言ったらなんて想像すらしたくない……!」

「!……随分な言い様ですね!なら私が大量のポテトを食べてる画像はどぉ説明するんです!?」

 

(……?そう言えば……あのポテトを食べてる画像……たしか今井さんと一緒に出かけた時に……今井さんが撮ったものでは?)

 

「その画像も知らないですよ……信じて下さい。ホントにおれじゃ…」

 

「……ありがとうございます。次は今井さん、お願いします」

 

今井さんの事情聴取を行う時、私は変な違和感を覚えました。

 

〜リサside〜

 

「今井さんは何をされたんですか?」

「私は蒼司に脅されたんだ……『俺に変な事されたくなかったら下着の1つや2つ、俺に寄越せ!』って…私そんなにひどい事した?蒼司?」

「お前に散々な事されてもこんな事に言わない……って言っても信じて貰えないもんな?」

「当たり前じゃん!蒼司に酷い事言われただけならまだしも!……私のあんなに恥ずかしい画像まで……!酷いよぉ( ・᷄-・᷅ )」

 

(ぷぷぷッ♪蒼司めっちゃ焦ってる!いい気分だなぁ〜♪)

 

「蒼司……貴方何処まで変態なの……」

「……変態じゃねえって……」

 

(でも……友希那に対して仕掛けたあれは……流石の蒼司も弁解できないはず!)

 

「最後は私ね……蒼司、覚悟しなさい!」

 

〜友希那side〜

 

「蒼司……貴方『友希那とエッチしたい』『友希那と子作りしたい』……って言ったことになんて弁解するつもり?」

「あのさ友希那さん、俺がその気は無いくらい知ってるよね?1番の理解者だと思ったのに……」

「寝言は寝て言いなさい!貴方が私の体操着と変えの下着を盗んだ事を許す訳ないじゃない!!さっさとお縄につきなさいこの変態!!」

「「「「!!!???」」」」

「……もういいです。湊さん、ありがとうございます」

 

「………………」

 

(ねえ蒼司……貴方がホントにやったの?どうしてもそう思えない……いえ、そう思いなたくないのに……どおしてそんな顔をするの?)

 

私の言い分を聞いた蒼司の顔は何処か悲しげで抜け殻みたいだった……

 

「……騎龍さん……」

 

…………………………

………………

…………

 

その後俺は身に覚えの無い濡れ衣を着せられしばらく5人と会話、接触を控えさせられた。……まあそうだよな?みんなあんなに怒ってたんだから。

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

「紗夜さんか……今話したくないんだけど……」

『今からCIRCLEのカフェテラスに来て下さい。』

「聞こえなかった?話たくない……」

『何も言わず来てください。貴方の無実が証明出来そうなんです』

「!?……分かったすぐ行く」

 

そう言って俺はCIRCLEのカフェテラスへ足を運んだ。

 

…………………………

………………

…………

 

「来ましたね、騎龍さん」

「どうも……」

「その……話をする前に……ごめんなさい。私貴方の話ろくに聞かずに……」

 

紗夜さんが俺に謝った?どおして?明らかに俺が悪いのに?

 

「その話はもういいんです。もう……諦めてるので」

「ほんとにごめんなさい……でも、話だけでも聞いて下さい。あの後、私は自分自身が感じた違和感を確かめるべく白金さん達と話をしました」

「……」

「話を聞いた時私の感じた違和感は間違ってなかった。あれは貴方の撮ったものじゃない……そうですよね?」

「……はい」

「そして……」

 

一言置くと紗夜さんは俺にとあるアプリの画面を見せた

 

「!?」

「このアプリ……同じアプリをもつ端末同士で画像などを転送出来るんです」

 

俺は咄嗟に自分のスマホを見た……

 

「……あった。いつの間に……」

「私の推測はこうです。……騎龍さんが日菜の手伝いをしてる30分感に犯人はこのアプリを使って貴方の端末に画像を転送した。そしてLINEを開きいかにも貴方が打ち込んだかのようにセリフを画像とともに送信した。」

「……流石ですよ紗夜さん」

「私もあの時あの画像に違和感を感じたんです。あそこにいたのは私と今井さんだけ。それに私の間違いでなければ例の画像は貴方と会う前のもの……」

 

紗夜さん……ホントに貴方は凄いよ……

 

「……まあでも分かってましたけどね」

「!?」

「俺も黙って今日この日まで1人でいた訳じゃない……てかあの事件の犯人くらいもうあの時点で目星が、ついてます」

「それが分かって……罪を認めたのですか?」

「勘違いしないで欲しいのはあの時皆さんの状態を察したまでです」

 

そう言って俺は席を立ちお代を置いて歩き出した。

 

「待って下さい。何処に行くのです?」

「俺は俺のやり方で犯人にケジメ取らせます。ちょうど似たような『約束』をしたので」

 

そうして俺は一学期が終わった後、犯人に夏休み初日家に来るよう呼び出した。

 

…………………………

………………

…………

 

「……そして今に至るわけだ」

「ごめんなさい蒼司!!つい蒼司にかっとなっちゃって!!ホントにごめんなさい!!」

「ごめんで済めば警察入らねえよ。……それよりもだ……」

 

そして俺はリサにこの事件のケジメ、及びテストで約束したことについて責任を取って貰うべくとある用紙をリサに渡す。

 

「こ、コレは?」

「俺は何日かしたら友希那とデートする約束がある。俺のプラン内で考えでは泊まりのデートだ」

「え!?」

「そこでだ。家を開けてる間リサにはこの紙に書かれてる事を全てこなして貰う。これが例の事件に対するケジメだ」

 

〜リサside〜

 

「これが例の事件に対するケジメだ。」

(え?これだけ?見た感じほとんど家事全般……どおにかなるっちゃあなるかな?)

「ああ、後この紙にサインと指印をしてくれ。その後これを撮って紗夜さんとこに送る。証人は紗夜さんに任せる」

「分かった……こうでいい?」

 

私は蒼司が作った契約書?にサインと指印をした。

 

パシャッ!

 

「ありがとうな……これで紗夜におくったからもう『逃げる』事はできない訳だ……なあリサさんや」

「な、なんでしょう?」

 

え?何この展開……まさか……

 

「この間の『約束』……忘れたとはいわさねえぞ?」

「は、はい……」

「さぁ〜て、今井さんや、この休みの間……ドオシテクレヨッカナー」

 

やばいやばい!蒼司の顔が笑ってないよぉ……!

 

「お願いします蒼司様……お手柔らかにお願いします……(ToT)」

 

こうして私の夏休みは蒼司に対して侵した罪の償いから幕を開けた……

 

…………………………

………………

…………

 

〜友希那side〜

 

ピロリン♪

 

……?誰かしら……!?

 

『この間の事件はリサが犯人だった。怖い思いをさせて済まない』

『そうだったのね。私こそごめんなさい!貴方には酷いことをしてしまったわ』

『気にするなって!それより今度のデートなんだがな……』

 

!?……蒼司、これは本気なの?

 

『今度のデート……1泊泊まる予定だが大丈夫か?』

 

蒼司が送ったセリフにはそう書いてあった。

 

『大丈夫よ!楽しみにしてるわ!』

 

そう返事を返して私はベッドに飛び込んだ。

 

「蒼司と何処かで泊まれるなんて……夢みたいだわ///」

「今度のデート……何着ていこうかしら?」

 

そして私はベッドから降りクローゼットを開ける。目の前にはあの時買ったワンピースがぶら下げてあった。

 

「今度のデートで……私は必ず……!」

 

今度のデートに向けて密かにケツイをみなぎらせる私だった……ーー。

 

 

 

 

〜END〜




『次回予告』
「そのワンピース……」
「さぁ、行きましょ。蒼司♪」
「蒼司……私、貴方のこと……!?」

「友希那!!何処にいったんだ!?」

次回、『歌姫(ディーヴァ)と竜騎士のデート(前編)』お楽しみに!

高評価、感想、アンケートよろしくお願いいたします!


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season1 友希那編:10話 歌姫(ディーヴァ)と龍騎士のデート(前編)

どうも!ka-主です!
蒼司と友希那のデート回です。
それでは……どうぞ!


〜リサside〜

 

「にゃお〜ん♪」

「ふふ♪シロナ〜♪よしよし♪」

 

私は今蒼司の家でシロナの世話をしていた。……え?蒼司?蒼司は多分今頃友希那と2人きりで遠出の1泊デートにいってるよ♪

 

「2人とも羨ましいなぁ〜」

 

(……だけど友希那もついにここまで来れたんだね。応援してるよ、友希那♪)

 

「……といけない、蒼司に言われた事やらないと……多分そろそろ紗夜も来るはず……」

 

ピーンポーン♪

 

「!来た来た♪」

 

私はシロナを置いて玄関へ向かう。

 

「早かったね紗夜、上がって上がって!」

「お邪魔します……ここが騎龍さんの家ですか……思ってたより広いです」

 

そう言って紗夜は蒼司の家へ上がった。

 

「それはそうと今井さん、騎龍さんに託されたやる事はやってますか?」

「まあ家事は一通り終わったかな〜後は買い出しと……『課題』かな」

 

『紗夜の監督の元夏休みの課題をできる範囲でいいので俺達が帰ってきてもいい状態にして下さい』

 

「これみた時蒼司と友希那の分をやるのかと思ったけど私のだけで良いみたい」

「それなら時間的にも買い出しに行きませんか?課題はお昼の後でも大丈夫でしょう」

「そーだね♪そうと決まれば行こっか♪」

 

そう言って私と紗夜は机に置いてある買い出しのお金を持って蒼司の家を出てった。

 

…………………………

………………

…………

 

時間は早朝に遡り……

 

〜蒼司side〜

 

「ふぁ〜あ……」

 

友希那の家に着くなり俺は大きなアクビをした。朝は別に弱くは無いが、今日に向けての最終準備や紗夜とリサとLINEで家を会えている間の打ち合わせの確認等……当日に備えてのんびり休むつもりが、これらのおかげで休む暇もなかったのだ。

 

ガチャッ……

 

「おはよう蒼司」

 

(だぁー!しっかりろ蒼司!しゃきっとせい!)

 

「今回のデートで友希那に俺の気持ちを……って友希那!?」

「驚くことないでしょ?ここは私の家なんだから……それよりも蒼司?さっき『俺の気持ちを』どうとか…って言ってたけど、なんの事かしら?」

「!?」

 

(しまった!思っていた事を声にだしちまった!しかも友希那に聞かれちまった!?)

 

〜友希那side〜

 

(『俺の気持ちを』どうとかっていっていたけど……もしかして蒼司も私の事がすきなの!?それってリサが言ってた両想い!?)

 

蒼司も自分の事を好いている?と思った私は私らしからぬ事を口にしてしまった。

 

「そ、蒼司。きょ、今日は折角のデートなのだから……その、恋人らしく…て、手を繋いで行かない///?」

「ゆ、友希那!?」

 

(な!?わ、私ったら!蒼司に向かって何言ってるのよ!?私達付き合ってすらいないのに!バカバカバカ!!)

 

「ご、ごめんなさい!い、今のは忘れて……!」

 

そう言って私は赤面した顔を隠すように俯いた。すると蒼司は私に手を差し伸べて少し恥ずかしそうにこう言った。

 

「そ、その…なんだ?俺も友希那と同じでさ、折角のデートだから…その…友希那が良ければ……つ、繋いで行こっか?」

「……コクコク///」

 

私は赤面のまま蒼司の案に頷き手を差し伸べる。

 

ギュッ…

 

(蒼司の手……意外と大きい。私のこのドキドキ……聞かれて無いわよね?いざこうして手を繋いでみると……恥ずかしいわ…///)

 

「じゃ、じゃあ行こっか…」

「ハイ……プシュウ……///」

 

……私の頭はこの瞬間から完全に茹で上がってしまったわ。

……この調子で大丈夫かしら?そう思いながら私達は駅へと向かった。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

「……ねぇ蒼司?」

「ん?どうした友希那」

 

駅に着くと俺達は駅内にある弁当屋で駅弁を買い『新幹線のホーム』へ向かった。俺達がのる新幹線は余り時間を掛けずにホームについた。

 

「ホントに新幹線(アレ)にのるの?」

「そうだが……友希那は初めてか?」

「い、いえ…家族の旅行でだけれども……」

 

友希那は新幹線に乗った事が余りなく不安がっていた。

 

「大丈夫だ、俺がついてるから」

 

ギュッ…

 

「蒼司……///」

 

不安がってる友希那の手を俺はそっとにぎった。

 

キキィィィィ!!……プシュゥーー……

 

「さっ、行こっか」

「ええ」

 

俺達はてを握ったまま新幹線に乗車した。そして間もなく新幹線は動き出した。

 

…………………………

………………

…………

 

新幹線を降り、駅から数十分歩いて目的地のホテル「DREAM AQUA HOTEL」にたどり着いた。

 

「凄いわね蒼司!」

「ほんとだな、ネットとかで見るよりも凄い豪華だ」

 

……一応読者の皆さんに俺達の泊まるホテルがどのような全貌なのか教えよう。

 

『DREAM AQUA HOTEL』

・広さはやく東京ドームよりやや広め

・敷地内の外壁は海の青系統の色がメイン。アスファルトは白(恐らく沖縄の砂浜をモチーフ)がメインで所々貝殻などが埋め込まれてる。

・ホテルの外装は下の階から中層階は青がメインそれから上は空色、白がメインとなっており、最上階にはクジラを型どった屋上プールがある。

・ホテルは2棟に別れてる(最上階のプールに耐えるようにする為の作りだろう)1階にロビーを初めとする基本的な売店、レストラン、浴場などがある。階は100階まであるらしい。

・ホテルの外にはテーマパークも充実、テーマパークの反対側は海に面している。屋台なども充実してるとの事だ。

 

……これが高校生2人のカップル?が泊まろうとしているホテルの全貌だ。普通じゃ絶対泊まることの出来ないいわばスウィートホテルだ。

 

「それにしても……高かったんじゃない?」

「ん?あー、まあ何とかなったよ。まったく、友希那は心配性だな〜」

 

(このホテルの宿泊代で大学進学の為の費用が何割か飛んだってのは絶対言えないな……)

 

「だって…貴方は何時も私の為…いえ、Roseliaの為に何時も頑張ってるし、偶に無茶しないか心配だったから……」

 

友希那のその一言に俺は密かに涙した。

 

(友希那が俺の事をそこまで心配してくれるなんて……!)

 

「今回のデート……必ず成功させるばい!」

「!……そうね、忘れられない思い出にしましょ」

「!?」

 

(しまったぁ!また心の声が口から出ちまったぁ!……でもいい感じに受け止めてくれたから結果オーライか!?)

 

「じゃ、じゃあおれはチェックインして来るからそこで待っててくれ」

 

俺はそう言って受け付けに行った。

 

…………………………

………………

…………

 

チェックインを済ませ、部屋に荷物を置いた俺達は海に来ていた。

……もう一度言おう。『海』に来ていた。(どうして2回言ったか…分かるよなぁ!?)

 

「さすが…夏休みってのもあって結構人居るな……」

 

俺はそう言いながら周りを見渡し、サンパラソルをセットした。(ちなみに珍しい折り畳み式。自腹です)シートを敷き、荷物を置いていると……

 

「そ、蒼司……お待たせ……」

「友希那……その格好……」

 

友希那の声が聞こえた方へ体を向けると……

……そこには1人の天使がいた。真っ白な素肌に、黒の生地に薔薇の絵が書かれたビキニ…天使と言うより堕天使だと思うやつ、異論は認めよう。

 

「ど、どうかしら///この前リサと一緒に選んで買ったの」

 

(リサ……感謝するぜ)

 

「凄く似合ってるよ……正直その格好俺だけが見てたい…なんてな」

「蒼司ったら///下心丸出しよ///恥ずかしいわ///」

「嘘じゃないさ。心の底からそう思えるくらい可愛いよ、とても綺麗だ友希那」

「蒼司……プシュウ///」

 

……その後俺は友希那と海で泳いだ。……ただし友希那は泳ぐのが苦手らしく海にいる間持参してた浮き輪の上で漂っていたのは内緒だ。

 

…………………………

………………

…………

 

あれから俺達は屋台で昼食をとりまた一通り泳いで上がった。

そして俺達は部屋で少し寛いでいた。

……そして俺のスマホから着信が来た。

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪……ピッ

 

「モシモシ……どうも世話になります。今日についてですが……」

 

俺は電話の相手と話しながら部屋を出た。

 

…………………………

………………

 

〜友希那side〜

 

「ん……よく眠れたわ」

「起きたか友希那」

 

私はあの後部屋のベッドで休んでいた。時計を見ると16時を刺していた。

 

「……ごめんなさい、寝すぎてしまったかしら?」

 

私は蒼司に謝罪を述べたが……

 

「いや大丈夫だ。寧ろ丁度いい……これからライブハウスに行くぞ」

「ライブハウス?このホテルにあるの?」

「ああ、B棟の50階にあるんだ。そこでやるライブを友希那と一緒に見に行きたいんだが……どうする?」

 

蒼司にライブを見に行く約束をされた。蒼司の誘いなら喜んで。

 

「私で良ければ……行きましょう」

 

そして私は蒼司と一緒にライブを見に行くことになった。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

ライブルーム(大ホール)と書かれた所に付に付き受け付けを済ませ、俺は友希那をとある観客席へと連れていった。

 

「ねぇ蒼司、ここ『関係者席』じゃない。私達がこんな所でライブを見て大丈夫なの?」

「大丈夫だ。友希那はライブが始まるまでここで見ててくれ」

 

そう言って俺は『ある場所』へ向かうべくステージを後にする。

 

「!待って蒼司!それってどういう……!」

 

友希那がなにかを言い切るより先に俺はステージから姿をくらませた。

 

「どういう事なの……」

 

友希那は蒼司の言っていた事が理解出来ないままその場でライブが始まるのを待っていたのだった。

 

…………………………

………………

…………

 

〜友希那side〜

 

「どういう事なの……」

 

蒼司の言ってた事の意味……

 

『大丈夫だ。友希那はライブが始まるまでここで観ててくれ』

 

(どうして『待ってて』ではなく『観てて』……なのかしら?)

 

それに……普通に観客席で見ればいいのに……どうして関係者席なの…

?それも気になる……

 

『皆さん!!長らくお待たせしました!!これより!D.D.Ds(トリプル・ドライブ・ドラゴンズ)によるスペシャルライブが始まるze!!皆ァ!準備は出来てるかぁ!?』

 

わぁぁぁぁぁ……!!

 

いつの間にか観客席は満席状態だった。

 

『OKOK!!それではいってみよう!!D.D.Dsのスペシャルライブ……開演だぁー!!』

 

(D.D.Ds……確かお父さんのバンドと同じくらいの人気があったバンドよね……個性的かつ迫力もあってお父さんのバンドの次に好きだったわ……)

 

そう思って彼らのライブを聞いていると1曲目が終わりMCが入る。

 

「どうもー!!vocalのダイゴだze!皆!!1曲目『DRAGON's』はどーだったぁ!?」

 

わぁぁぁぁぁ……!!

 

「楽しんで聞いてくれたら嬉しいze!keyboardのドマダァ!」

 

わぁぁぁぁぁ……!!

 

「Drumのダイスケda!皆!!一緒に燃え上がろうze!」

 

わぁぁぁぁぁ……!!

 

(ダイゴ、ドマ、ダイスケ……確か名前の頭文字が皆『D』だから

『D.D.Ds』なのよね?……まあちゃんとした理由はしってるけど)

 

私はそれよりも次の曲を早く聞きたい……そう思っていたが……

 

「蒼司……何処に行ったのかしら……」

 

彼は何処かへ行ったきり帰ってこない余計に心配になってきた。

 

(でも……)

「蒼司は大丈夫だって言ってた……それをしんじる」

 

そう思っていると……ダイゴが話始めた。

 

「そしてェ!今回のライブはスペシャルライブ!!スペシャルなゲストを迎えてるぜェ!」

 

わぁぁぁぁぁ……!!

 

「ゲスト……一体誰かしら……」

 

「それでは紹介しよう!つい最近まで野良のギターボーカリストだった彼は!最近事務所入りを果たし!今はソロギターボーカリストとして活躍し始めたこの男ォ!!人々は彼の事を『閃烈なる蒼光』、『蒼き狼』

……そう言っている!カモン!!」

 

そうダイゴが紹介をしてゲストを呼び出した。黒のロングジャケットに黒のジーンズ、所々青い鎖や銀色の装飾がされているそして彼は青のフレームのサングラスをかけていた。彼の姿をみた友希那は驚いていた。

 

(似たような服装をしてる人物をしってるけど……いえ、間違いないわ!)

 

「紹介しよう!蒼きギターボーカリスト!『SOUGA』だー!!」

「皆ァ!!満足していってくれよォ!!」

 

わぁぁぁぁぁ……!!きゃぁぁぁぁ……!!

 

名前は違うが間違いない……

 

「蒼司……貴方の腕前……見せてもらうわ!」

 

私はD.D.Dsと蒼司……いいえ、SOUGAのライブを楽しんだ。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

「皆ー!!今日はありがとー!!」

 

わぁぁぁぁぁ……!!きゃぁぁぁぁ……!!

 

「お疲れ様!どうだった蒼司!デビュー初めてのコラボライブは!」

「ダイゴさん!今日はホントにありがとうございます!とてもいい経験をさせて頂きました!」

 

ライブ終了後D.D.Dsのメンバーと俺は控え室で互いを労っていた。

 

(友希那……最後まで楽しそうにライブを観てくれてたな。こんな形で俺のギターテクを見せる事になったけど……結果オーライ?かな?)

 

「けど……折角のデートなのに一緒にいてやれなかったな。後で落ち合ったら謝るか」

 

そう思い俺はギターを片付け私服に着替え、D.D.Dsのメンバーに感謝の言葉を述べ控え室を出た。

 

…………………………

………………

…………

 

〜友希那side〜

 

「……まだ心臓がバクバク言ってる……」

 

彼らのライブが終わった後……私は自分が座っていた場所から動かず、感動の余韻に浸っていた。

 

「……蒼司、とてもカッコよかった……いえ、それ以上に彼のギターテク……中々なものだったわ。いつかRoseliaのライブで一緒に演奏したいものだわ」

 

そう呟きながら辺りを見渡す。他の客は既にステージを出ていった後だった。

……そう、私『1人』だった。

 

(そろそろ蒼司と落ち合った方がいいわね)

 

そう思い席を立ち上がった瞬間……ー。

 

バチバチバチッ!!

 

「きゃぁ!?…………」

 

首筋に電流を流されそのまま私は意識を手放した……ー。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

「友希那ー!!……何処にいったんだ!?」

 

友希那の事だからまだステージで余韻に浸っていると思いステージへ向かったがいなかった。次にトイレ(中には入れるわけない)で出てきた人に友希那がいたかどうか聞くがハズレ。もしかしたらと思い控え室、部屋と探したがどちらにも居なかった。

 

プルルルルル♪プルルルルル♪……ッーッーッー

 

「クソッ!連絡も繋がらない!」

 

これで何度目か分からないコールも虚しく途切れる。俺は今完全に焦っていた。

 

(友希那にもしもの事があったら……俺は……!)

 

「……くっ!何処に行ったんだよ!友希那!」

 

遂に苛立ちを隠せなくなった俺。そこに……ー。

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

……友希那から着信が来た。ーーーー。

 

 

 

 

〜to be continuous〜

 

 

 

 




《次回予告》
「彼女を助けたければ1人でライブルームの中ホールにこい」
「友希那にこれ以上触れるな……」
「蒼司!?嫌!蒼司ーー!!」

「お前ら……最悪な目に逢う覚悟はできてるだろうな?」

次回『歌姫(ディーヴァ)と龍騎士のデート(後編)』!
お楽しみに!

好評価、感想等まってます!


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season1 友希那編:11話 歌姫(ディーヴァ)と龍騎士のデート(後編)

立て続けに投稿します。
友希那のデート回の後編です!クライマックス見えてきた!?


〜蒼司side〜

 

プルルルルルル♪プルルルルル♪……ピッ

 

「友希那か!?今何処にいる!」

「久しぶりだな小僧」

「……誰だ、友希那は何処だ」

 

電話に出たのは友希那……ではなく中年男性だった。

 

「おいおい…私を忘れるとはNEOのマネージャーの大和田だよ」

「!?あの時の!!友希那を何処にやった!!」

 

声の主はあの時買い物で出会ったあの底辺マネージャーの大和田正樹だった。

 

「まあ落ち着け、湊友希那を返して欲しければお前1人でライブルームの中ホールにこい早く来ないと彼女がどうなっても知らんぞ……ふっふっふ」

「くっ!……このクソが!!待ってろ今すぐに行く!」

 

俺はそう言って通話を切り中ホールへ走った。

 

(友希那……無事でいてくれ!)

 

…………………………

………………

…………

 

〜友希那side〜

 

「……ん」

 

(ここは……どこ?)

 

「目が覚めたようだな。湊友希那」

「!?ムー!ンムー!!」

 

思い出した。私はステージを出ようとしたらスタンガンで気絶させられたのだ。

 

(この男……あの時のマネージャーね!猿轡をされて喋れない!)

 

私は男を睨みつけた。

 

「ムー!ムー!ムー!!」

「ふっ何言ってるかわかんねーなこのガキ!」

 

ガッ!!

 

「ングッ……ンム!?」

 

誰かにお腹を蹴られ私は転がった。よく見るとあの男以外にスーツを来たガラの悪い男が何人か周りにいた。

 

「おいお嬢ちゃん、変に暴れない方が身のためだぜ?」

 

近くにいた取り巻きの男がそういった。

 

「大人しくしてりゃあ悪いようにはしないからよ……ひっひっひっ」

 

ガシッ…グイッ

 

「ンム!?ムー!ンムー!!」

「それにしても旦那、可愛い娘手に入りましたねぇ。ズラかって犯してやりましょうよ」

「!?」

「おい、人聞き悪いことを言うな薬キメすぎて使えなくなったらウチが困る」

 

(こいつら……何を言ってるの?犯す?薬?……ヤダ…怖い怖いよぉ)

 

「ムー!ムー!ムー!!」

 

私は逃げようと必死に暴れる。

 

「おい!大人しくしてろって言ってるだろ!」

 

ガッ!!

 

「ンー!!ンムー!!」

 

しかし取り巻きの男に頭を床に叩きつけられ押さえられてしまう。

 

(助けて……蒼司……怖い、怖い、怖い……助けて……蒼司……)

 

バァァン!!

 

友希那!!

 

ステージの出入口には彼……騎龍蒼司がいた……。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

友希那!!

 

ステージには大和田と他に彼が雇ったと思われしガラの悪い男共が数人(ざっと5人程)……そして中央には友希那が手足を手錠で拘束され、猿轡をはめられていた。

 

「ムー!ムー!ムー!!」

「友希那!無事だったか!?今そっちに向かう!」

 

特に何もされてない所を見て安堵しかけたが時は一刻を争うことに変わりわないと思った俺は友希那の元へ駆けよろうとしたが……

 

「動くな!!」

 

ビクッ!

 

「ンムー!?ンムー!!」

「あんちゃんよぉ、これ以上動くと友希那ちゃんどーなっても知らないよぉ〜ひゃーはっはー!」

 

友希那が取り巻きの男に掴まれナイフをつけられた。その光景を見て俺は怒りが爆破しそうだった。

 

「おいクズ野郎共……これ以上友希那に触るな」

「おいおい聞こえ無かったのかな〜?俺達は本気だぜ?」

「……くっ!」

「それ以上動くな小僧。湊友希那を解放して欲しくば我々の要件に従え」

 

大和田達は友希那を解放する為に条件を突きつけてきた。こんなの正直呑んだらろくな事無いが……

 

「……分かった。要件を聞こう。ただし友希那につけてる猿轡を外してくれ。友希那と話をしたい。要件はそれからだ」

 

俺は友希那が咥えてる猿轡を外させるよう要求すると共に大和田達の要件を飲むことにした……。

 

〜友希那side〜

 

「おいおい何勝手な事言ってるのあんちゃん」

「いいだろう……小僧。聞き分けが良くて助かるよ。おい、外せ」

「分かったぜ旦那……」

 

そう大和田は取り巻きの男に指示をし猿轡を外してくれた。

 

「ぷはぁ…!蒼司!!何を考えてるの!?こんな奴らの口に乗ったら…蒼司が!……きゃぁ!?」

「おい!余計な事を口にするな!」

「友希那!!」

「ぐっ……駄目よ蒼司!こいつら私達を痛ぶってこの前の復讐をするつもりよ!私の事はどうなっても構わないわ!だから蒼司!考え直して!!」

 

私はこの男達の要件を呑んでは行けない……そう思わずには居られなかった。

 

「友希那……!」

「お願い蒼司!彼らの挑発に乗っては行けないわ!」

「おい!だから少しは大人しくしろって!死にてえのか!?」

「おいよせ。蒼司といったな?彼女は勘違いしてるようだが約束しよう。我々の要件を飲んでさえくれれば彼女の自由は必ず約束する。飲まなければ……彼女のゆう通りの結果になる。私は本気だ」

 

(お願い蒼司!貴方のその苦しんでる顔はもう見たくないの!)

 

〜蒼司side〜

 

(ろくな結果にしかならないのは分かってる……だからって友希那を放って置いていい理由にならない)

 

「要件を飲むことは変わらないだから……そこのお前、いい加減友希那を押さえつけるのを辞めろ。これ以上友希那を苦しめるのなら互にただじゃ済まされないぞ」

「てめぇ勝手な事ばっか言いやがって!?」

「もういい、彼女を押さえつけるのはよせ仮にも人質だ」

「くっ!……オラよ!首の皮繋がってよかったな!」

 

そう言って男は友希那を起こした。(ナイフはそのままだが)

 

「よし……では蒼司、ステージに来てもらおう。要件はその後伝えよう」

「……分かった」

「蒼司……」

 

俺は大和田に言われるがままにステージへと歩みはじめた。

 

〜友希那side〜

 

私はまた再びナイフを突きつけられたため猿轡をしていた時と何ら変わらなかった。

 

「ふっ来たか蒼司……ではこちらの要件を伝えよう」

「……」

「要件は至ってシンプルだ。俺に誠意をみせてくれ」

「「!!」」

 

内容は確かにシンプル……しかしこの意味を譜面上に捉えるという事は……

 

「駄目!蒼司!!そんな要求のんじゃダメ!!あの時は明らかにアイツが悪かったじゃない!」

 

誠意を見せる……つまりあの事に対しての謝罪をしろということだ。しかも最近見る誠意の見せ方は……『あれ』しか無かった。

 

「するかしないかは自由だ。……しかし忘れるなよ。この要件を蹴った瞬間……」

 

大和田は一旦言葉を区切り、私を見ながら、

 

「彼女の血は高らかに噴き出すだろう」

「!!」

 

……私の顔は一瞬にして青ざめた。

 

〜蒼司side〜

 

「……謝ればいいんだな?誠意を込めてお前に」

 

気に入らない要件だが……友希那を助けるためなら仕方ないことだ。

 

「ふっふっふ……ホントに聞き分けがいいな……そこまでいいなら分かるよなぁ?普通の謝罪じゃ駄目だってことくらいよぉ?」

「!……勿論だ。正直、お前みたいなクズ野郎共に『土下座』なんてクソ喰らえだが……友希那を助ける為……それだけだ」

「ひゃ〜はっは〜!聞いたかよ友希那ちゃん♪アイツはお前を助ける為に今から旦那に『土下座』するってよ!可哀想なもんだなぁ!全くよぉ!!」

 

……そう、俺は今から大和田にあの時の謝罪をする。

それも……誠意を込めての土下座(謝罪)だ。

 

〜友希那side〜

 

「それじゃあ蒼司、『この間は失礼な態度を取ってしまい申し訳ごさいませんでした』……コレを言うんだぞ?」

「……分かった。けど約束しろよ?この謝罪が終わったら速やかに友希那を解放するんだ」

「分かってるよ。俺はそんなアンフェアな男じゃない。約束は必ず守るよ」

 

(嘘ね……そんな約束を守るような顔をさっきから全然してない。)

 

そう思っている私をよそに、遂に蒼司は膝をおり腰を下げ始めた。

 

「蒼司!!やめてェ!」

 

私はそう叫ぶも蒼司は止まらない。そして……

……蒼司は大和田(クソ男)に頭を垂れて蹲い……

 

「……この間は失礼な態度を取ってしまい申し訳ごさいませんでした」

 

〜友希那side〜

 

「蒼司!!……どぉして……蒼司ぃ……!」

 

私は涙が止まらなかった。私の好きな人が……大切な人が……

……私の竜騎士様が……私の為に見せたくもない姿を見せたのだ。

 

「はっはっはっはっ!!いい土下座(謝罪)だったじゃねえかよ!約束通りだ。おい!湊友希那を解放するんだ」

「ひっひっひっ、よかったな!友希那ちゃん♪蒼司君が誠意見せてくれたらおかげやで?感謝しとき」

「蒼司……蒼司……蒼司ぃ……」

 

『ありがとう』……なんて言えるはずも無い。

 

「友希那!!大丈夫だったか!?」

「蒼司……怖かった……とても怖かったわ!」

「済まない……俺が傍に居れば……もっと早くお前と合流出来てれば!!」

「いいの、蒼司は悪くないわ……でも……」

 

私はその時、何かが爆破した。

 

「どうしてあんな事をするの!?私は大丈夫だっていったのに!!どうして!!どうしてよぉ……!!」

 

私は蒼司を打ちながらそう嘆いた。そう言わずには居られなかった。

 

「本当にごめん……でもお前を救う為にやらざるを得なかった……」

「だからって!!……!?」

 

ギュッ!!

 

私の次に言う言葉は蒼司が抱きしめて来たことにより掻き消された。

 

「辛かっただろ……とても怖かっただろ……でももう大丈夫だ」

「蒼司…蒼司ぃ……!ウグッ……ぅぅぅ」

 

(辛かったのは……本当に辛かったのは蒼司なのに……私……どうして泣いてるの?蒼司はあんなに苦しんでたのに!)

 

「蒼司……ホントに怖かったのよ……アイツらに『犯される』とか『薬キメさせる』とか言われた時は私じゃ無くなるんじゃないかって……本当に怖かった……」

「……何?友希那……それは本当か?」

「ええ……アイツら蒼司が来なかったらこのまま別の所へ連れてって私をあの手この手で汚そうと企ててたの……ガタガタ」

「……」

 

〜蒼司side〜

 

友希那の言ってる事が未だに信じられなかった。そんな事をアイツらはしようとしてたのか?

 

「なあ旦那ホントに離していいのかよ、やっと手に入れた上玉だぜ?」

「そうっすよアイツを締めたらあのアマを『好き放題ヤレる』って言ったのは旦那だぜ?」

「まあそう言うな。俺は満足してるんだ。犯すこと自体事務所の女共でもできるだろ?」

 

こいつらの会話を聞いてやっと友希那の言っていることが本当だと分かった。

 

「蒼司……?」

「……友希那、ホントに何もされてないんだな?」

 

確認の為にもう一度友希那に問いかける。

 

「ええ、……アイツらにあんなこと言われた時は正直どうなるかと思ったわ……ガタガタ」

 

(この震えよう……ホントにやろうとたんだな)

 

「友希那……もうこれ以上喋るな」

「……え?」

「おいお前ら、今の会話……本当か?」

 

そう問い詰めた瞬間大和田は「しまった」という表情をしていたが……

 

「ああそうだよ!俺達はお前をボコせたらあの女を好き放題していいって言われたから従ったんだ!」

「そーだそーだ!お前の土下座(謝罪)のおかげであの娘を犯す事が出来なくなったんだぞ!どうしてくれるんだ!!」

 

どうやら取り巻きの方は大和田にそう付け込まれてたらしい……

 

「そうか……もうそれ以上喋るな」

 

俺は立ち上がり話続けた。

 

「お前ら……最悪な目に逢う覚悟は……デキテルンダロウナ?

 

……そう言って俺は近くにいた取り巻きを思い切り殴り飛ばした。

 

〜友希那side〜

 

「ギャァァァァ!?」

「蒼司!?」

 

殴られた取り巻きの男は派手に飛ばされステージに転がった。

 

(何が……起きてるの?)

 

「おいてめぇ!何しやが……ふがァ!?」

 

次に蒼司は殴りかかろうとしたもう1人の取り巻きの溝を殴り……

 

おい起きろ、こんなもんでへたばんな

 

バキャッ!!

 

「ギャァァァ!?」

 

胸倉を掴んだ状態で顔面を思い切り殴りそして……

 

バキッ!!

 

「ガァァァ!!」

 

思い切り蹴り飛ばした。

 

(蒼司……一体どうしちゃったの……!?)

 

蒼司の顔を見た瞬間私は悲鳴を上げそうになった。何故なら……

 

お前ら……生きて帰れると思うなよ

 

……蒼司()の目は怒り燃え狂う『紅蓮の目』をしていた……

 

〜蒼司side〜

 

俺は怒り狂っていた。……今目の前にいるもの全てを殺したい……そんな気分に侵されていた。

 

「ぐはぁ!?」

 

もう1人の取り巻きの溝に思い切り膝蹴りを食らわせ……

 

「アガァ!?」

 

思い切りステージの床に叩きつける。……そして

 

「うぎゃッ!?」

 

顔面を思い切り蹴り飛ばした。

 

「こ、ここコノヤロー!!」

 

そしてもう1人……殴りかかって来たところを躱し……

 

「ヘブっ!?」

 

顔面を殴り体勢が崩れた所を……

 

「ハグァ!?」

 

思い切り蹴り飛ばした。……残るは取り巻きのリーダー、そして……

 

お前ら……お前らだけはゼッテー許さねえ

「よ、よくも俺の子分どもをぉ!!」

 

リーダーの男はナイフを取り出し切りかかってきた。

 

「きゃぁぁぁ!?」

そんなものが効くとでもおもったか

 

ゴキッ!!

 

「ギャァァァァァ!?」

「!?」

結構呆気なく折れるもんだ…な!

 

バキャッ!!

 

「ガフッ!?」

 

ナイフを持っていた腕を思い切りへし折り殴り飛ばす。

 

「ひ、ひぃぃ!?」

 

残るは自分だけだと自覚した大和田は喚きながら項垂れている。

 

(……こいつさえ居なければ……こいつのせいで……友希那は!!)

 

バキャッ!!ドカッ!!

 

「ギャァァ!!」

 

殴った勢いでそのまま大和田をステージの床に叩きつける。

 

おい…こんなんじゃ…俺は満足出来ねぇぞ

 

大和田の上に跨り胸倉を掴みながらそう言う。

 

「た、頼む!?許してくれ!?この通りダァ!?……はぎゃぁ!?」

 

バキッバキャ!!

 

誰が許すかよクソが

 

ドカッバキャバキッバキャ!!

 

俺が満足するまで…持つといいな…オラ!

「ゴフッ……ヒューヒュー……」

 

大和田の顔面は真っ赤に染まっていた。

 

おいおい……随分呆気ないな……しょうがない……召されな

 

そう言って最後の一発を放とうとした瞬間……

 

もうやめてぇー!!

 

……友希那(彼女)の叫び声によって遮られた。

 

〜友希那side〜

 

「もうやめて蒼司!!これ以上やったら死んじゃうわ!死んじゃったら蒼司……捕まっちゃうわよ!?」

 

さっきまで……見てることしか出来なかった。蒼司のあの目を見て……あの怒り燃え狂う姿を見て……

 

「もう十分よ!これ以上は……貴方まで苦しんでしまう!!」

 

……怖かった……このままだと……私の大切な人は何処か遠くへいってしまうんじゃないかっ……て思った。

 

「もうこれ以上……貴方の苦しむ姿を見たくない……だから……」

 

何時の間にか私は蒼司を抱きしめていた。

 

「お願い……『元の』蒼司に戻って……お願い……」

「…………俺も、怖かった」

「!?」

 

大和田から離れ蒼司は私を抱きしめた。

 

「……お前を探してる時……『もしものことがあったら』…って…考えたくないのにそればかり頭の中を過ぎって……最悪な事も考えてしまった時もあった」

「……蒼司」

「だけど今……お前が無事だって実感できて……ホントによかった…心配かけてごめんな」

「……私こそ……ホントにごめんなさい……ホントに……ホントにごめんなさい……」

 

私は何度も謝った。泣いて泣いて……泣きながら謝った……

その時の蒼司の温もりは……とても優しく…暖かった……。

 

…………………………

………………

…………

 

あの後……ホテルの警備員と従業員の人達が来て私達は事情を説明したんだけど……監視カメラに1連の動作が記録されてたらいし。

大和田とその取り巻きらは警察病院に搬送されそのまま逮捕された。蒼司は正当防衛とはいえ、「流石にやり過ぎだ」と警察に注意されるだけに留まった。……

 

「何だか惨々な1日だったな……」

「ホントにそうね……でも私のせいで……」

「もうよせって、過ぎたことだしそれ以上自分を責めるな」

「……ごめんなさい」

 

あの後私達はシャワーで汚れを落とし浴場で疲れを落としたあと……レストランで夕食を楽しんでいた。

 

「それにしてもここの料理美味しいな友希那」

「そうね…蒼司と2人きりでこんな一時を送れるなんて……夢みたいだわ」

「夢で終わらせない」

「蒼司?」

 

料理を食べてる私に蒼司はそう言った。

 

「俺は友希那とずっと傍にいたい。それは同じRoseliaのメンバーとして……ではなく1人の男として友希那と一緒の一時を過ごしたい」

「蒼司……あのね、私蒼司に言いたい事があるの……」

 

(多分……ここで言わなきゃよね……覚悟はもう…出来てる)

 

「私……蒼司の事が好きです。蒼司が羽丘に来た時から……こんな頼りない私だけど……付き合って頂戴」

 

蒼司は驚いていた。私も自分で分かるくらい顔が真っ赤になっていた。

 

(けど……言えた!私、蒼司に告白出来た!!後悔なんてしない!どんな結果になろうとも)

 

「……友希那」

「……何かしら」

「俺も実はお前に言いたい事がある」

 

〜蒼司side〜

 

(まさか……友希那が俺の事が好きだったなんてな……少し悔しいが先をこされた)

 

友希那に告白された瞬間驚きはしたが、同時にある覚悟ができた。

その覚悟ができるまで俺は自分が怖かった。

……もし告白して振られたら……そう思っただけで震えが止まらなかった。友希那と……Roseliaの皆と何時も通り接することができないんじゃないかと思ったからだ。

 

(けど……もう後悔はしない、友希那の想いに応えないと!)

 

そして俺は覚悟を決め

 

「俺も……友希那の事が好きだ。友希那と接し始めてそう思うようになった。……俺こそ……頼りない所があると思うけど……」

 

さらに言葉を続ける

 

「俺と付き合ってくれ」

 

こうして俺達は互の想いを伝えるのに時間は掛かりはしたが、Roseliaのメンバーとしてではなく、恋人同士として付き合うことになった。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回で友希那編season1はラストになります!最後までお付き合いお願いします!次回作投稿と同時にアンケートは締め切らせていただきます!

高評価、感想等待ってます!


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season1 友希那編:12話 頂点へ狂い咲く2人

season1友希那最終回!本編の投稿完了したら平常運転致します。



夏休みも終わり二学期に入った。

 

「おはよう友希那、二学期もよろしくな」

「おはよう蒼司。今日ライブをするんだけど…ちょっといいかしら?」

「ああ、じゃあ屋上いこうか」

「ええ……蒼司、手…繋いで( ・᷄-・᷅ )」

「ウグッ…分かったよ……ほら」

 

ギュッ…♡

 

友希那の久しぶりの兵器(( ・᷄-・᷅ ))に失神しそうになった俺は友希那と屋上へ向かった。……え?誰か忘れてる?はて?誰やら……

 

「……もう2人とも、私が居ることガン無視ですかそうですか…」

「2人お似合いだよね〜リサち〜♪」

「日菜!?何時からいたの!?」

「むー!さっきからいたじゃん!……それより今日ライブするの!?見に行ってもいい?」

「ん〜私はいいけど、仕事とか大丈夫?」

「今日はオフだからね〜!楽しみだなー!」

「そう言って、私達のライブより紗夜のギター見に行くのが目的なんでしょ?」

「それもあるけど、2人のイチャイチャぶりもっとみたいな〜って!」

「も〜日菜ったら、小悪魔だな〜♪」

 

アハハハハ♪

 

2人が行ってからこの様な会話がされていた事は内緒だ……

 

(蒼司、これからも友希那の事頼んだよ♪友希那を幸せにしなかったら許さないんだから!)

 

『あの日』から幼なじみを応援していた彼女はそう心で呟いた。

 

…………………………

…………

 

……一方、屋上では……

 

「んちゅっ♡ちゅぱちゅぱ♡レロレロ♡」

「んちゅっ♡んちゅっ♡……友希那、そろそろ本題に入らないか?誰かに見られたら不味い」

 

誰もいない屋上でライブの相談をよそにこんな事をしてました……

 

「んちゅ♡…そうね、ごめんなさい♡学校に来てから我慢出来なくて」

「いいってこうして友希那と過ごすのも悪くないからな」

「もう…///蒼司ったら!」

 

……誰かこの2人を爆破して下さいお願いします。ハイ

 

「そうそう、今回のライブだけれども……蒼司、SOUGAとしてライブに一緒に出てくれないかしら?」

「いきなりな提案だな……事務所に許可取れば何とかなるが……」

 

そう言って俺は事務所に連絡をする。

 

「……ありがとうございます。…事務所からの許可が降りた。大丈夫だよ」

「ありがとう蒼司!\(❁´∀`❁)/」

「……ホントに最近明るくなったな友希那」

「いきなりどうしたの蒼司?」

 

友希那の天使笑顔(\(❁´∀`❁)/)を見て俺はそう感じた。

 

「いや、付き合う前よりか笑うようになったなーって、リサもLINEで言ってたぞ?」

「そ、そうかしら?……多分、蒼司のおかげかもしれないわ」

「そうなのか?」

「ええ♡私がそう言うのよ?間違いないわ!」

「そんな自信満々に言われてもな……」

 

正直友希那の笑顔を見てると俺も自然と明るくなれる。今までこんな事は無かったから……嬉しい限りだ。

 

「そろそろ戻りましょ?リサが心配してるわ」

「そうだな……その前に」

「んむ!?…んちゅ♡レロレロ♡」

「……友希那、今日家に来ないか?」

「もう、反則よ蒼司…でも、いいわ。今日はお父さんも居ないし」

「分かった……それじゃあいこうか」

 

密かに2人で泊まる約束をする蒼司とそれを了解する友希那であった。

 

…………………………

………………

…………

 

学校は始業式というのもあり早く終わった。俺はいつものように委員会活動を片付け、CIRCLEへ……は向かわず家に1度帰った。理由はギターと衣装を取りいくためだ。(友希那にはそう伝えてある)

 

「思えば俺のギターテクをRoseliaの皆に見せるのは始めてか?」

 

これまでに何回かライブをしたがあのデート以来、つまり友希那以外の皆に俺のギターテクを見せた事は無かった。唯一紗夜だけが日菜経由で俺がギターをやってる事を知っているくらいだ。

 

「よし、行くか!」

 

ギターと衣装を持った俺はCIRCLEへと向かった。

 

…………………………

………………

…………

 

「済まない!遅くなった!」

 

いつものように控え室に入る俺。しかし皆の反応が(友希那以外)今までと違かった。

 

「あれ?そのギターどうしたの?蒼司」

「日菜から聞いてはいましたが……今日はライブの日ですよ?」

「蒼兄どうしたの?」

「氷川さんの言う通りです……蒼司さん、今日はどうしたんです?」

 

まあ予想通りの反応だ。この事を知ってる友希那が蒼司を見て4人に説明する。

 

「皆、今日のライブでゲストを迎えてるのは知ってるわよね?」

「はい……そういえば、ゲストの方……SOUGAさん遅いですね」

「あっ(察し)」

「そうそう!SOUGAさんどうしたんだろ?」

「もしかして……都合が悪くなったのでしょうか…?」

「えっと……その事に着いては俺が説明するよ」

 

そう言った俺を訝しげに見るメンバー(リサはどうやら察しがついたのかニヤけてる)

 

「そのSOUGAって人物……俺なんだ」

 

「「「えぇぇぇ〜!?」」」

 

この光景を見ていた俺と友希那は吹き出し笑った。

 

「私は薄々築いてたかな〜?今思うとSOUGAのSNSの画像…何処か蒼司に似てるって思ったもん♪」

「言われて見れば……ですが正直驚きました。だからギターを持ってきたのですね?」

「我に不意打ちを決めるとは……蒼兄凄いよ!」

「私も…驚きました。蒼司さんがソロギターボーカリストのSOUGAさんだったなんて…」

「じゃあ……そう言う事だから、俺準備してくるわ」

 

そう言って俺は控え室を出た。

 

…………………………

………………

 

「Roseliaの皆さん!本番お願いします!」

 

スタッフの人が呼びにきた。

 

「いよいよね」

「そうだな。打ち合わせどうりで大丈夫だよな?」

「はい。…それにしても、よく似合ってますよ騎龍さん。今はSOUGAさんと呼ぶべきでしょうか?」

「流石に本番は蒼司って呼べないな〜♪でも何だか何時もより楽しめそう!」

「大魔王アコ!ソナタとの夢の共演……楽しみである!」

「き、今日はよろしくお願いします……」

「行きましょうRoselia。今日はよろしく、蒼司(SOUGA)

「……ああ!こちらこそよろしくな!(Roselia)!!」

 

そう言ってRoseliaと俺はステージへと向かった。

 

…………………………

………………

…………

 

「Roseliaよ。自己紹介行くわよ……」

 

(思えば友希那や彼女達とはここから始まったよな)

 

自己紹介の様子を見ながら俺は彼女達と出会った日を思い出す。

 

(友希那とはCIRCLEのカフェテラスでぶつかったのが最初の出会いだったな)

 

もしかしたらその時から俺は友希那の事を想っていたのかもしれない……と思い頭を振った。

 

(いや、あの時は俺に起きた『夢』がどういう類のものか知る為に接触したまでだった筈だ……)

 

それが今になっては友希那を1人の女性として、1人の恋人として見るようになっていた。

 

(……結局、あの『夢』はどういうものか分からずじまいだし、今も見ることがある)

 

「そして今日はゲストを迎えているわ。紹介するわ、ギターボーカリストのSOUGAよ!」

 

SOUGAの名前を呼ばれ、現実に引き戻される。

 

(けど、今はそんな事がどうでもいいくらい友希那(彼女)との一時が楽しく感じる)

 

「皆ー!今日も満足していってくれよォ!!」

 

わぁぁぁぁ……!!きゃぁぁぁぁ……!!

 

何時か必ず『夢』について解き明かしてみせる。そのためにはまず……

 

「それでは行くわよ。『LOUDER』!」

 

友希那(彼女)と一緒にこの日常を楽しむ。そして……)

 

「No more need cry きっと……Feel alive〜♪」

 

(いつか2人で幸せの頂点に狂い咲くんだ!!)

 

 

 

 

〜season1友希那編 END〜




season1友希那編、これにて完結です!次回からは誰のストーリーが描かれるのか……お楽しみに!


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another 友希那編:13話 夢見た舞台……

Roselia3章ストーリー開催記念です。時間軸的には『ノーブル・ローズ〜歌、至りて〜』終盤からのストーリーとなります。
それでは……どうぞ!


F.W.F『フューチャー・ワールド・フェス』……世界の名のある有名バンド達が集う音楽の祭典。

この物語は5人の青薔薇の姫君ことRoseliaと蒼き竜騎士騎龍蒼司が共に頂点へ目指す為に歩んできた物語の終幕……そしてそれからの未来の『もしも』の物語ーー。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

コンコンッ……

 

「どうぞ」

 

各F.W.F出演バンドのRoseliaの控え室の扉の前に来た俺は、扉をノックした。控え室の奥から聞き馴染みのある友希那(彼女)の入室を許可する声が聞こえ中に入った。

 

「よっ。応援にきたぞ」

「蒼司!来てくれたのね?」

「ああ……その衣装……とても良く似合ってるよ」

「ふふっ♡もっと褒めてくれてもいいのよ?」

「ホントに良く似合ってるよ。その衣装……全て終わったらうちにショーケース作ってそこに飾ってずっと眺めてたいくらいだ」

「そ、そんなに褒められると……照れてしまうわ///」

「もっと褒めて欲しいって言ったの……友希那だろ?」

 

「もしかして嫌だった?」と俺が聞くと友希那は頭を横に振った。

 

「そんな事ないわ。ただ……リハの時貴方の事が頭から離れなくて……集中出来なかったから……///」

「そうか?観客席から見てたがそんな風にはみえなかったけど?何ならリハをしてる友希那の姿も可愛いかったぞ?」

「茶化さ無いでよ……///」

「本心だから」

 

2人でこうして会話を弾ませていると……

 

「は〜いそこ?そんなにイチャつかないの〜」

「そうですよ……私達がいる事忘れないで下さい!」

「我が闇の力が儚き愛の力に浄化され……りんりんお水ちょうだ〜い!」

「あ、あこちゃん……アワワッ!」

「べ、別にイチャついて何か……///」

「騎龍さんも……あれ程本番前は弁えて下さいっと言ったのに……」

「済まないな……でもこっちだって色々忙しかったんだ。たまには良いだろ?」

 

「それに……」と俺はそれぞれ顔を赤くしてる皆を見て言葉を続けた。

 

「こうして笑い合えるんだ。俺が心配して来る必要もなかったかもな」

「あながちそーでもないよ?蒼司が来るまで『蒼司が来ない!蒼司は何処なの!?』って半泣きで凄かったんだよ〜♪」

「り、リサ!?余計な事言わないで頂戴///」

 

「お返しだよッ♪」と言わんばかりの顔で友希那の恥ずかしい出来事をカミングアウトしたリサ。そしてその光景を笑い合うメンバー……

 

「友希那」

「もう……な、何かしら?蒼司?」

「お前は1人なんかじゃない……幼なじみのリサ、クールな紗夜。おっとりとした燐子、元気なあこ。そして……」

 

俺は咄嗟に左膝を床につき、友希那の両手を握りながらしゃがみ込んだ。ーー何かこうした方が説得力とかあるかも……しれないと思ったからだ。

 

「『青薔薇の歌姫』……友希那がいる。それぞれ個性は違えどこの5人でRoseliaなんだ。それを忘れちゃー」

「5人じゃないわ。6人(・・)よ」

「え?」

 

言い終える前に友希那が訂正した。

 

「貴方と出会ってなければ……きっと、私達はここまで来れなかった。貴方が私の彼氏で居てくれたから……私は湊友希那としてここまで来れた。だから……」

 

そう言葉をとぎり、俺を立たせると……握っていた俺の手をそっと離し俺とメンバーを見た。

 

「今日のライブを持って……『LOUDER』を演奏するのを終わりにしたい」

 

「「「「!!??」」」」

 

「…………」

 

友希那の口から出た言葉は……Roseliaの象徴とも言える『LOUDER』を演奏するのを終わりにすると言った決別の言葉だった。

 

「ど、どうしてですか!?だって『LOUDER』は友希那さんにとっての……うんん、あこ達にとっての大切な曲の筈なのに……!?」

「勿論あの曲は大切な曲よ。だけど……これからの未来(・・)を歩む私達にとって、これからも歌い続けていくかは……また別の話よ。

これは……私として……Roseliaとして『選択』したい」

「なるほど……な」

「蒼司?」

 

友希那と付き合って何ヶ月……とは行かないが友希那の言いたい事が理解出来た。

 

「LOUDERは元は友希那のお父さんの曲……友希那のお父さんの想いを5人が受け継いだ曲。そしてこの曲は次第に俺たちの象徴とも言える曲となった、いわば当時未熟だった5人を、俺たちを成長させてくれた曲……F.W.F(夢の舞台)へと、頂点へと導いてくれた。そして今、俺たちは此処にいる」

「!……つまりLOUDERはアタシ達がこの舞台に……アタシ達の目標とも言える場所にたどり着いた時点で……」

「私達を成長させる役割を果たした……だから湊さんはこの曲に感謝を込めて……今日のライブでこの曲を演奏するのを最後にしたい……そう言うことですね?」

「そうよ。この曲があったからこそ……今の私達が居る。だけどこのフェスが終わりじゃない。未来へと羽ばたくためにも……LOUDERとは此処で別れを告げなければいけない」

「!!……LOUDERは今まで私達を支えてきてくれた曲……だから湊さんはこの曲……『Song I am.』にこれからを託す……そう言いたいんですよね?」

「その通りよ燐子。これからはこの曲が私達の象徴となるわ」

 

LOUDERが今までの俺たちの象徴。そしてSong I am.……これが俺たちのこれからの曲……

 

「それを見越して友希那はこの曲を作ったのか?」

「ええ。これが私の……Roseliaとしての『選択』だから」

「……な、ならあこはもし……万が一皆がまたちりじりになったらもう一度……LOUDERを演奏したいです!」

「あこ……」

「私も……その意見に賛成です……あの時は『Neo-Aspect』が私達を再び引き合わせてくれました……今度私達が……道を違えた時……LOUDERを演奏すべき……だと思います」

「燐子……2人はホントにRoselia想いね。あの時も……私達が道を違えた時もどうすべきか2人が真っ先に考えて実行してくれたわよね」

「そうですね。今思えば宇田川さんと白金さんが誰よりもRoseliaの事を大切に想っているかもしれません」

 

確かに、あこはいつもRoseliaの事を「カッコイイバンド」と言ってるし、燐子はライブの衣装に何時も想いを込めて作っている。誰よりもRoseliaの事を想い、メンバーの事を大切に思っている証拠だ。

 

「Roseliaの皆さん!そろそろ出番です!準備お願いします!」

「……いよいよだな」

 

係員が出番を知らせにきた。彼女達が頂点へと羽ばたく時がいよいよ来たようだ。

 

「俺はそろそろ観客席に戻るよ……。友希那。リサ、紗夜、燐子、あこ……。俺達は1人じゃない。皆の想いをひとつにして……」

 

友希那……リサ……紗夜……燐子……あこ……これから未来へと羽ばたく彼女達の顔を見て……

 

「思いっきり、狂い咲いてこい!」

「OK!」

「ええ!」

「はい……!」

「大魔王あこ……押して参る!!」

 

俺の言葉に答えるかのように4人が応え、そして……

 

「蒼司……見てて頂戴。私達のステージを!」

「ああ!見せてくれよ!そして……満足させてくれ!!」

「行くわよRoselia。夢の舞台へ……頂点のその先の未来へと……羽ばたきに!」

 

 

 

 

「「「「ハイ!!!!」」」」

 

 

 

 

ーー彼女達のF.W.Fが今……幕をあける!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ーー…………彼女達の演奏は……他のどのバンドよりも激しく、高みへと狂い咲いていた。一人一人が1音1音取りこぼすことなく聞いて合わせ合い……誰もが感動する彼女達の演奏がオーディエンスに響き渡った。そして……

 

「これが……最後の曲です。聞いて下さい……『Song I am.』」

 

そして……この瞬間、彼女達は今、『過去のRoselia(自分達)』と別れを告げ、『未来へと羽ばたく自分達(Roselia)』となった。

 

「…………ありがとうございました」

 

友希那がそう発した瞬間……拍手と歓声の轟音が会場に響き渡った…………ーー。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 




高評価、感想等宜しくお願いします。
次回から第3章のストーリーと、本作品の主旨でもある異世界のストーリー同時進行でお送りします。お楽しみに!


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another 友希那編:14話 変わらない日常

F.W.Fが終わり更なる高みへと羽ばたく彼女達と蒼司の日常……です。
それでは……どうぞ!


(……何回見ても大広間は広いな……)

 

俺は今例の夢の中……異世界のブルーローズ城の大広間にいる。そこには使用人や騎士団……メイドと言った場内の使用人から国民らが大勢いる。どうやら何か大事な式を執り行う様だ。

 

「これより、4代目ブルーローズ国王……ブルーローズⅣ世(Quarto)から初代ブルーローズ女王……ブルーローズ女王Ⅰ世(Primo regina)への王位継承式、及び戴冠式を執り行います」

 

「ブルーローズ女王Ⅰ世……ブルーローズ家長女、ユキナ殿。此方へ」

「はい」

 

端に控えていたユキナは、この国の紋章が描かれた蒼いマントを蒼いドレスの上に纏っていた。

 

(ユキナ……女王になれたんだな。……美しいな……まるでF.W.Fの友希那の姿が脳裏に浮かぶ)

 

「神に……太陽に、月に……国民に……そして青薔薇に。女王としての使命を全うする事を誓いますか?」

「誓います」

「それではブルーローズ女王陛下、頭をお下げください……ブルーローズ・ティアラ、授与」

 

教会の神父の言われるがままに、ユキナは国王……父親の目の前で頭を下げた。そして……ユキナの頭の上には青薔薇をかたどったティアラ……ブルーローズ・ティアラが彼女の頭にのせられた。

 

「今この瞬間……この国を治める女王が誕生致しました」

 

その言葉に呼応するかのように、周りから拍手の雨が降り注いだ。

 

「それでは最後に、王剣授与」

 

(王剣……授与?)

 

「青薔薇の竜騎士団団長、ソウジ。前へ」

 

(!?……い、今……ソウジ……って……!?)

 

語られる事のなかった彼の名前に俺は驚いた。そして……

 

(マジか……)

 

ユキナに呼ばれたソウジは兜をとっていた。初めて見る彼の素顔だが……

 

(俺と全く同じ……)

 

青髪、蒼眼……瓜二つと言っていいくらいだ。

そんな彼がユキナの元へ歩み寄り目の前でしゃがみ伏せた。

そして大臣が1本のとある剣を両手に持ち、ユキナに渡した。

 

(!……綺麗な刃……)

 

鞘から現れた刃はこの日の為に鍛えられたと言わんばかりの鋼色をしており、白銀に煌めいていた。

 

「神に……太陽に、月に……国民に……そして青薔薇に。汝の魂をこの剣に宿し、我の刃となりて悪を切り、盾となりて我をまもり……汝、我の聖騎士としてその使命を全うする事を誓いますか?」

「神に……太陽に、月に……国民に。我が同士に……そして青薔薇、己のプライド、魂に掛けて……貴女を全身全霊でお守りする事を誓います」

 

そう答えると同時に、ユキナは剣を鞘に収め、ソウジにその剣を渡した。直後……教会中に拍手、歓声が響き渡ったのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……ん?」

 

どうやら……夢から覚めた様だ。目を開くとそこは自宅の自分の部屋だった。

 

(ソウジ……か。今日も驚かされるような夢だったけど、何はともあれ2人とも、おめでとう)

 

なんだか、F.W.F(あの時)の俺達見たいだなとそう思った。あのフェスの後……Roseliaはフェスを気に未来へと羽ばたき、更なる高みへと飛び立つ事が出来、俺も、ずっと傍で彼女達を……友希那を支えたいと思い、事務所の人達に活動時間等を増やせないか交渉してみた。

1ヶ月たってもいまだ返事は帰ってこないが、所属したての時よりもやり甲斐のある事務所だとそう感じたのだ。

 

そして……

 

「すぅ……すぅ……」

 

俺の隣にはもう1人(・・・・)、俺の彼女の友希那が小さい寝息をたてて、さぞ可愛い寝顔で寝ていらっしゃるじゃないですか。

 

「……ホントに可愛くなったよな、友希那って……」

 

クイクイッ……

 

「……ゴロゴロゴロゴロ」

「…………」

 

ああ……これ、猫です。ウチの新しい猫!世にも珍しい人に化けれる猫なんですよ!

 

「にゃお〜ん」

「お、シロナおはよ。すまない、友希那のやつを起こしてくれないか?」

「にゃ〜んペロペロッ」

 

言葉が通じたかどうかは知らないが、友希那の顔をペロペロと舐め始めた。

 

「んにゃッ♡く、くすぐったいわ……ッ!し、シロナちゃん、止め……ンンッ♡」

「…………」

 

えっと……猫に舐められるだけでそんな反応する物なのか?そう思いながら俺はもうそろそろ起きるであろう彼女を眺めていた。

 

「蒼司……起きてたのね?」

「おはよう友希那。グッスリ眠れた?」

「ええ……お陰様で……あっ!シロナちゃん……」

 

友希那が起きたと同時にシロナはベットから降りて部屋を出ていった。シロナと少し戯れていたかったのだろう、出ていったシロナを見て友希那は少し残念そうな顔をした。

 

「多分お腹が空いたから来たんだろうな。俺達もご飯食べよ?」

「そうね……私も手伝うわ」

「ありがとう。助かるよ」

 

俺達もベットから降りて朝食にした。

 

「今日は午前中からスタジオ借りてたんだよな?これ食べて準備出来次第CIRCLEに向かうか」

「そうね……でも蒼司?」

「ん?」

 

朝食を済ませ、食器を片付けていると友希那が何やらモジモジし始めた。

 

「まだ……CIRCLEに行くまでに時間はあるわ」

 

顔を赤くしながら友希那はそう言った。……時間はある。つまりは、そう言う事……なのか?

 

「全く……友希那をこんなダメな娘に育てた覚えはないんだけどな」

「ダメ……かしら?( ・᷄-・᷅ )」

「……しょうが無いな、1回だけだぞ?」

「ええ……ありがとう、蒼司\(❁´∀`❁)/」

 

……友希那と付き合いはじめてからというものの、友希那のその顔に対して全く耐性が付かない。まあそれでもいいと思うが……

 

「それじゃあ……ベットの方へ行こっか?」

「ええ♡」

 

そう言って俺は友希那と手を繋ぎながら自室へと向かった。

……それから先の出来事はご想像にお任せを。尚、時間に遅れ紗夜に説教されたのは内緒の話だ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

CIRCLEで練習を初めて暫くすると、不思議な事が起きた。

 

「……今のところ、凄くいい感じじゃない?」

「俺も……リサと同意見だ」

「何か今日……凄いよね?まだ2、3回しか合わせてないのに」

 

そう……これまでなら、何回か互いに意見を出し合って、それを元に何回か合わせ直していた。しかし今日はたった2、3回程度で納得のいく……少なくとも俺とリサはそう思うくらいに仕上がっていた。

 

「ええ、今度のライブはこのアレンジで良さそうね。湊さん、気になるところとかありましたか?」

「リサや蒼司と同じ意見よ。この曲はこれでいいと思うわ。少し休憩したら次の曲に取り掛かりましょう?」

「次の曲……ですか?」

「ん?どうかしたのか?燐子」

 

いつも通りの会話……の筈なのに燐子は何故そんな事を言ったのか?……疑問に思ったが、その答えはあこが出してくれた。

 

「あのー友希那さん。今日練習する予定の曲全部終わっちゃいましたよ?」

「マジか……」

「……まだスタジオの時間は1時間残ってるのに、思ったより早く終わったわね」

 

全く気づかなかった。実際に時計を見てみるが、あこの言う通り1時間余ってしまった。

 

「あっはは〜、今日はいつにも増してスムーズに練習進んだからね〜♪」

 

「もしかして日頃の行いがいいからかな?」とリサが冗談っぽく呟いた。それに対して俺は「そうかもしれないな」と相づちをうった。

 

「あっ!そう言えばあこ、さっきカウンターで色んなバンドのイベントのフライヤーを集めたんですよ!良ければ次のライブの参考にしませんか!?」

「いいね〜!みんなで見よーよ♪ほら、蒼司も!」

「……」

 

(このバンド……F.W.Fにいたよな……)

 

俺はあこが持ってきたフライヤーの中の1番上にあったそれに映っていたバンドを知っていた。F.W.FでエントリーNo.10で出演し、審査員賞を受賞したバンドだ。

 

「蒼司?」

「……」

 

(確か……フェスが終わって直ぐだったと思う。ウチの事務所経由でメジャーデビューをしたっけな?)

 

そしてこのフライヤーには、メジャーデビューを記念としたウチの事務所主催のライブイベントの告知であった。メジャーデビューするとここまで優遇されるんだなと俺は思った。

 

「蒼司ってば!」

「うおっ!?ゆ、友希那……?どうかしたか?」

「「どうかしたか?」……じゃないわよ……さっきから呼んでたのよ?何か気になるイベントでもあったのかしら?」

「ああ……実はこのフライヤーに載ってるバンドーー」

 

ピロピロリンッ♪ピロピロリン♪

 

このバンドについて説明しようとした矢先、着信がきた。相手は事務所のマネージャーからだ。

 

「済まない、少し席を外す……もしもし?……はい……今からですか?……分かりました。至急そちらにおうかがいします」

「蒼司……さっきの電話は……?」

「事務所からだ。済まないが先に上がるよ」

 

そう言って俺は友希那の頭を撫でて、スタジオを出ていった。

 

〜友希那side〜

 

「蒼司……」

 

今日も(・・・)最後まで蒼司の傍に居てあげられなかった。理由は……分かってる。フェスの後……彼は私にこう言ったわ。

 

『いつか自分の翼で未来へと羽ばたいて……友希那達が今見てる景色を一緒にみたい……』

 

とどのつまり……蒼司のアーティストとしての魂に火がついたのだ。未来へ……更なる高みへ続く景色を見たくなったのだ。

 

『蒼司な……きっと出来るわ。諦めず前を……高みだけを見ていれば』

 

そして私はそれを止めなかった。私もまた1人のアーティストとして、蒼司に私達が今見てるこの景色と同じものを見てほしかったから……。

 

ーーけど、彼女(・・)としての私はそう思っていなかった。

 

ー私の前から居なくなるかもしれない。

ーそんなの嫌だ。

ー私だけを見て欲しい。

 

「……どうすれば、私の元から離れられなくなるのかしら……」

「ゆ〜きな♪」

「リサ……?」

「気になるフライヤーいっぱい見つけたんだ!友希那も見よーよ!」

 

そしてその答えは……今日1日が終わるまで出る事はなかった……。

ーーそして、蒼司が見ていたこの1枚のフライヤーが私達にまた1つ大きな出会いをもたらすとは思いもしなかった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜蒼司side〜

 

「会長……今の話……本当ですか?」

 

俺は今、事務所の会長室にてこれまでにない……この時の(・・・・)俺にとってはこれほどにも無い話をされていた。

 

「……俺が……メジャーデビュー……?」

 

 

 

〜END〜




次回も日常回かな……?頑張ります!
高評価、感想等よろしくお願いします!


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another 友希那編:15話 強欲な歌姫?

今回友希那が暴走(?)します?
余談ですが第3章のガチャ20連して全て通り抜けました!
それでは……どうぞ!


〜友希那side〜

 

(ここは……あの夢の中ね?)

 

周りの景色を見て私は悟った。最近……よく見るようになったわね。何かの予兆手なのかしら?

 

(竜騎士……ソウジって言ったかしら?彼の姿が見当たらないわね)

 

今私がいる所は彼女……ユキナの部屋のベランダだ。まあ時間的にも万一彼がいた方が逆に不審よね……?

 

「はあ……以前よりも竜騎士さまと一緒になれる時間が減ってしまったわ……」

 

どうやら彼女はソウジと一緒になれる時間が減っていることに不満を覚えているようだ。何とかしてあげたい……そう思っていると……。

 

「姉様」

「!……リサ、どうかしたの?ノックもせずに」

 

ユキナの部屋にリサによく似た彼女……名前も一緒だとなんだか紛らわしいわね……姉様って言ってるあたり彼女はユキナの妹よね?

 

「ごめんなさい。姉様が思い詰めてる顔をしてたから、いても立っても居られ無くなって……ちょっとしたことしか助けられないかもだけど……姉様のお力にアタシはなりたいの」

「そうね……この時間くらいしか……貴女達と話せないから、いい機会……かもしれないわ」

 

確かに……今この一時はリサ、恐らく他の3人の姫達の姉であるユキナだが、日が登れば……またこの一時が来るまで彼女は女王としていなければいけないのだ。

 

「お言葉に甘えて……リサ、もし……もし、貴女に好きな人が出来たとするわ。だけど相手側は外せない用で互いに会えない状態……もし貴女ならそんな状態を「仕方のない、いつか必ず会える日まで我慢する」と割り切れるかしら?」

「え!?……姉様もしかして……好きな人ができたの!?」

「こ、声が大きいわ!」

 

顔を赤くしながらも妹に注意をした。ユキナ……誰かに恋してるのね?

 

(もしかして……)

 

「…………」

「ご、めんなさい……もしかしてお姉様、お相手はあの聖騎士ソウジ様ですか?」

「……どうして分かったのかしら?」

「妹たちや使用人皆噂してたよ?あ、もちろんいい意味合いでの噂ね!」

「そう……それで、質問の答えなのだけれど……」

 

そう言ってリサに答えを求めた。

 

「アタシ……交際の話とかになると、結構重く考えちゃうの……それでもいい?」

「ええ……構わないわ」

「うん……アタシだったらね……ーー」

 

(!!……なるほどね)

 

リサの言った言葉に私は妖しく微笑み感心したのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

偶然なのか……必然(・・)なのか……目が覚め周りを見渡した。外がまだ暗い事からまだ夜は開けてない事がわかる。時計をみると時間はまだ午前3時を刺していた。

 

「恐らく……必然かしら……」

 

そう呟いくと私はベッドから降りてクローゼットにかけてある制服に着替えた。

……寝ぼけてなんかないわ。これは意図的(・・・)にやってるの。

 

「うふふ……♡まっていてね、蒼司♡」

 

制服に着替え終えた私は、鏡の前でリサがよくやるような悪戯っぽい微笑みをして未だ暗い夜道へと姿を消した……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜蒼司side〜

 

「ん〜〜……」

 

まだ眠い……そう思いながら身体を起こし、伸びをした。

ーーそして

 

「ーングっ!?……けほっけほっ……な、なんだっ!?」

 

突如にして俺の嗅覚に襲いかかってきた何かが焦げた匂い、この世のものとは思えないほどの悪臭に完全に目が覚めた。

 

(誰が一体こんな事を……)

 

俺は急いでベッドから降り、台所に居るであろう不審者(?)の正体を確かめにいった。

そしてそこにはーー

 

「おはようダーリン(・・・・)♡朝ごはんの準備出来てるわよ♡」

「ゆ、友希那!?どうしてここに!?」

 

そこには土日、祝日にしか居ないはずの友希那が猫の絵が書かれたエプロンを身につけ朝ごはんという名の危険兵器と一見コーヒーに見えたそれは紫色の湯気を出していた。

 

「どうしてって……合鍵渡してくれたのはダーリンじゃない!なのに合鍵あってもダーリン私の事拒否するんだもの!酷いわ……!」

 

そう言うと友希那は両手で自分の顔を覆い泣き始めた。

 

「す、済まない友希那!?大丈夫か?……って違う違う!つい聴き逃したがダーリンってどういう事だよ!?どうしちまったんだ友希那!」

 

危ない危ない……。友希那のキャラ崩壊と言う名の暴走っぷりに危うくペース持ってかれる所だった!

 

「友希那のお父さんも言ってただろ!?お泊まり込みで一日中一緒にいていいのは土日、祝日だって!俺はそれを守ってるだけでお前を愛さない日なんて1日たりともなかったはずだぞ!?」

「ほんとに……?」

「ああ、ほんとだ。だからな友希那……一旦落ち着こ?な?」

「……わかったわダーリン。じゃあ……席に着いてくれる?」

「ああ……ありがとう友希那」

 

呼び方は変わらなかったが、少し落ち着いたと見た俺は友希那に誘われるがままに席に着いた。そして俺はテーブルにある料理(危険兵器)が

俺の座ろうとしてる席に配膳されてるのを見てこれが罠だと気づいたー

 

「ーんな!?友希那っ!何するんだ!」

 

ー頃には既に俺は友希那に縛られてしまった。

 

「ごめんねダーリン♡これからは通い妻として毎日ダーリンの家に上がってご飯作ってあげるからね♡これもダーリンを毎日愛する為に必要な事だからね♪」

「いぃっ!?」

 

俺は咄嗟に友希那の作った朝ごはん(という名の危険兵器)をみた。肉野菜炒め……のように見える。豚肉は半端な火加減で所々焦げてたり生焼けだったり、そして野菜も火が中途半端に通ってほとんど生に近いものに焦げてるもの……挙句の果てに皮やら芯やら種やらと……下処理すら終わってないまま乱雑に切って炒めたのが丸わかりだ。そして何を入れたらそうなるのか聞きたいくらいだが……紫色の湯気が(恐らく煙)がシュゴオオと音を立てながら出ていた。

 

(これ……たべるの?)

 

てか飲み物って紫色の湯気とか出たりするか?普通。

何とかして逃げ出さないとやばい……そう俺の脳内で警告サイレンが鳴り止まなかった。

 

「そう言えば友希那……俺、昨晩余分に食べすぎて……余りお腹空いてないんだ……だから朝ごはんいいーー」

「そう言って、ダーリンは1人で食べられないから私に食べさせて欲しいのね?心配要らないわ!最初からそのつもりよ!だからダーリン♡あ〜ん……して頂戴♡」

「い、いやだから友希那……俺はお腹空いてーーんむぐっ!?……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!??」

「いっぱいあるからね♡沢山食べるのよ?」

「んんんん〜〜〜〜!!!!」

 

次々に俺の口に容赦なくねじ込まれる友希那の料理(兵器)。その光景はまるでほあぐらのダチョウのようだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「おはー……」

「おはよ〜蒼司……ってどうしたのその顔!?すんごいやつれてんじゃん!?」

 

挨拶を交わして早々、おれはリサに自分の状態に思いっきり突っ込まれた。周りのメンツも同じ感じだ。そりゃそうだ……なんせ今の俺は死にかけた虫よりも酷くやつれた顔をしている。

 

「おはようリサ。そんなに驚いてどうかしたの?」

「友希那!?どうしたの?……じゃないよ!アタシが友希那んち来た時お父さんに「友希那ならとっくに学校行ったよ」って言われた時はものすごく焦ったんだからね!?」

「仕方がないじゃない。ダーリンに朝食食べてもらうために通い妻として当然のことをしたまでよ?」

「お、おい友希那!リサの前でその呼び方はーー」

「ーー蒼司?友希那に何したのかな〜?お姉さんに是非教えてよ〜?……ギリギリ」

 

咄嗟に友希那を制止しようとした俺だったが……遅かった。言い終わる前にいち早くリサに胸ぐらを掴まれたからだ。

 

「ご、誤解だリサ!俺が起きた時には既に友希那はウチに上がり込んでて、朝ごはんを無理やり食わされたんだ!」

「え!?ーー友希那が……朝ごはんを……!?あ、あの友希那の料理を……!?」

 

あのリサでさえ驚いてるあたり、リサも経験したのだなと察した。だがしかし……

 

「ああ。食べさせられた……だから今もこうしてやつれてるんだよ……」

「あ、あはは……さいなんだったね」

「全くだ……」

 

2人でこうして共感し合ってると……

 

「リサ?私のダーリンと何話してるのかしら?しかも……ダーリンの胸ぐらををさっき思いっきり掴んでたわよね?……いい度胸してるじゃない……ボキボキ」

 

や、やば〜い……ウチの強欲な歌姫さんがお怒りだ〜……

 

「お、落ち着いて友希那!友希那が蒼司のためにそこまでするとは思わなかったからさ〜、それで友希那?蒼司にご飯作るんだったらちゃんと作らないとダメだよ?」

 

流石幼馴染み。友希那の説得はお手の物か……

 

「いーい?蒼司の通い妻になるんだったらまず、色々学ばないと!蒼司の事から(規制音)のことまで♪大丈夫!友希那飲み込み早いからアタシの言ったこと通りにこなせば友希那は立派な蒼司の通い妻になれるよ♪」

 

……前言撤回。馬鹿(幼馴染み)が揃うとなんちゃらってやつだ。……もしかして俺詰んだ?

 

「ホントに?」

「うん!だからね友希那?友希那が蒼司のこともっとよく知って、通い妻の何たるかを知り尽くすまで蒼司とのイチャイチャは控える事?友希那なら出来るよね?大丈夫!アタシ信じてるから!」

 

そこで俺は閃いた。この方法なら、今朝から暴走し始めた強欲の歌姫を俺のよく知る青薔薇の歌姫に戻してやれるかもしれない。

 

(もしかしたら……それを気付かせるためにリサはあんな事を?)

 

もしそうだとすれば……今度リサに何か奢らないとな。俺はそう思ったのだった……。

 

 




遅くなり大変申し訳ございません。少しどころか……かなり暴走したかも?(汗)
感想、高評価お待ちしております!
あとオリジナルのストーリー絡ませながら編集難しい……以上


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another 友希那編:16話 青薔薇の歌姫のトリセツ?

夏……部屋にクーラー着いたはいいものの、諸事情で使えるの夜と言う……暑すぎる……


「聖騎士蒼司、ただいま戻りました」

「無事で何よりです。これでひとまずは魔物らの動きも抑制出来たはずです。ここまでの激務、ご苦労さまでした……どうか明日にかけてその疲れたお身体を癒してください。他の団員の皆さんにも、そうお伝えくださいな」

「ありがたきお言葉感謝いたします」

 

最近ソウジの姿を見ないと思えば、どうやら遠征へ出ていたらしい。そしてユキナは、下がろうとしていた彼を引き止めた。

 

「時に聖騎士ソウジ。今晩……私の部屋にいらっしゃい。竜騎士様(・・・・)///」

「!は……それではこれにて失礼する」

 

そう言ってソウジは玉座の間をさって行った。

 

(はて……?今晩、か……)

 

俺は夜まで場内で時間をら潰すことにした。

 

…………………………

………………

…………

 

コンコンッ……

 

「陛下、言いつけ通り参りましたぞ」

「!……どうぞ」

 

ソウジについて行く形で中へ入ろうとしたがーー

 

(……っ!?なんだこれ?)

 

結界……だろうか?何者かが俺の侵入を阻む何かを部屋の内側からかけてると俺はそう捉えた。それだけでなくーー

 

(……防音効果もあるのか?さっきから物音1つすら聞こえて来ない。……こうなってしまうとーー)

 

今日はここにいる理由はもう無いな……そう思った俺は目が覚めるまで何処かで暇を潰すことにしたのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……朝か」

 

カーテンから微かに刺す陽の光によって目覚めた俺はポツリとそう呟いた。

 

(あの時のユキナ……きっと今の友希那と同じ心境なんだろうな)

 

「にゃ〜ん」

 

さっき見た夢の事で考え事をしている俺の元にシャルルが歩み寄ってきた。

 

「なあシャルル。お前がもし恋人が出来たら、お前はどうしたい?」

「にゃ〜?」

「俺は友希那と付き合うと決めたあの日から……できる限りの事をしてやろうと頑張ってきた。だけど……今思えばそれは友希那の為になってるのか……分からないんだよ」

「にゃお〜ん」

 

シャルルはそう鳴いて俺から離れ、部屋を出ていった。

 

(……友希那……お前はどうしたいんだ?)

 

俺は学校に行くまでもう暫くその事について考える事にした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

いつも通り教室へ入るとリサと目が合った。しかし友希那の姿が見当たらなかった。確か今日は日直だっけか?

 

「あっ!おはよぉー蒼司!元気そうで何よりだよ〜♪」

「おはようリサ。……友希那は日直の仕事?いつもリサついて行ってなかったか?」

「うん、今日はちょ〜っと訳ありでね……蒼司で釣ったら1人で行ったよ〜♪」

「おい……」

 

リサさんや。俺はいつからあたかも魚とかをおびき寄せる餌になったんだ?まあ相手が友希那なら文句はいわないけどよ……

 

「所でリサ。昨日は済まないな……友希那の事で迷惑かけちまって」

 

昨日ーー突如として暴走しだした友希那の面倒という名の更生をリサが請負ってくれた。一晩でどれだけ更生出来たかはさておき、その時精神共々疲れ切っていた俺にとってリサの行動は感謝そのものだった。

 

「いいって!幼馴染みのお節介焼きはアタシの十八番何だから!……でもさ、どうして友希那があんな風になってたの?」

「それが……俺にもさっぱり……」

「そっか〜……」

 

俺とリサで友希那が暴走した理由を考えていると……

 

「何をそんなに考え込んでるの?」

 

友希那が日直の仕事を済ませ戻ってきた。

 

「あっ!」

「お、おはよう友希那……その、昨日はごめーー」

 

友希那を暴走させたのは俺のせいでは?と思った俺は友希那に謝罪をしようとしたが……

 

「会いたかったわ!ダーリ〜ン……!!!」

「んなぁっ!?」

 

なんということでしょう!青薔薇の歌姫さんは相も変わらず俺に向かってまっしぐらにダイブしてくるじゃありませんか!

おいおいおいおい!?全く更生されてないじゃねえかよ!俺はそう思ってリサの方を向いた。

 

「おいリサ!なんだよこれ、友希那全然ーー」

「まって蒼司。アタシに任せて♪」

 

そう言うと友希那の前に立ち塞がったリサ。そして大きく息を吸い込み……

 

 

「友希那っ!!!」

 

 

「「!!??」」

 

友希那に怒鳴った。初めて見た……友希那に怒鳴るリサ。子供を叱りつけるような声は幾度か聞いた事はあるがリサが今発した声はそれとは圧倒的に違かった。まるで……脅しかかってるような……

 

「友希那〜?昨日あれ程教えたのに守れないのかな〜?「蒼司は『ダーリン』って呼ばれるのが嫌だから呼んじゃダメ」……って、言ったよね?……ボキボキ」

「ご……ごめんなさい!……やっぱり本物(・・)を見てしまうと……情景反射で……ガタガタ」

「それも蒼司の生写真とかで克服したじゃん……その時友希那自分で「これでもう大丈夫よ!」……って言ってたのに……まだ教育が必要なんだね♪(蒼司、今の内に屋上にいって♪)」

「……!」

 

友希那の視界が遮られてる間に、俺は静かに屋上へむかった。

 

「いゃぁああああああああぁぁぁ……!!!」

 

しばらくして……友希那の悲鳴声が響きわたったのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……」

 

屋上に来た俺は1人思い悩んでいた。

 

(友希那……彼女と付き合ってからは俺の出来る限りの範囲で彼女を愛し、尽くしてきた……)

 

バンドの練習以外で彼女の練習に付きっきりで付き合ったり、彼女の好きな物を今月生活していける範囲で買ってあげたり、偶に好きな所で羽を伸ばさせたりもした。時には晩方2人きりの空間で身体をまじ合わせたりした。個人的な偏見だが、故に彼女に何不自由ないよう最善な恋愛をして来たつもりだ。しかし……

 

(友希那の中でまだ……俺に求めるものがあるということ……なのか?)

 

しかしそれが何か、今の俺には分からなかった。恐らくそれが友希那を暴走させた理由……なんだろうな。

 

(リサがどうにかしてくれたにせよ、俺が何とかしなきゃ意味が無い)

 

「だが一体……どうすれば……」

 

考えても考えても……答えは見つからなかった。どうしたらいいか悩んでると、屋上の扉が開いた音がした。

 

「友希那……」

「蒼司……隣、いいかしら?」

「ああ……」

 

そう言うと友希那は俺の隣へ歩み寄ってきた。

 

「「…………」」

 

長く続く沈黙……会話仕様にも友希那に何を話せばいいか分からない。そう思っているとーー

 

「ねえ……蒼司?」

「ん?」

「私……貴方の彼女失格かしら?」

「!そ、それは……」

 

友希那の唐突な問に、おれは答えられなかった。

 

「私……蒼司にいつも迷惑かけてばかりで、貴方に何も返せてないわ。いつか返そうと試みても……いつもタイミングが悪くて返せなくて……貴方の愛に身を委ねる形で1日1日がおわってしまう……」

「友希那……」

「このままだと何時しか蒼司は私の事を愛してくれなくなるんじゃないかって……そう思うようになったの」

 

悲しい顔をしながら……友希那はそう言った。

 

「だ、だからね……そんな自分を変えたくて……蒼司にいっぱい甘えて……沢山愛する……私の愛をいっぱい主張して独り占めすれば……」

「……友希那」

「……っ!?」

 

無意識に、俺は友希那を抱きしめていた。

 

「えっ!?そ、蒼司?」

「……なあ友希那」

「蒼司?恥ずかしい……だ、誰か来たら……」

「……っと、済まない」

 

恐らく友希那に指摘されていなければ俺はずっとこのまま人目構わず抱きしめていただろう。そして俺は友希那から離れ、今度は此方から話しかけた。

 

「友希那。お前は……俺の彼女としてどうして欲しいんだ?」

「え?……そ、うね……蒼司と、もっと一緒に居たいわ……」

「それだけ?」

「後は……蒼司の事をもっといっぱい愛したいわ……」

「愛したいだけでいいのか?」

「そ、それは……ってもう!焦らさないでよ!それは蒼司が一番よく知ってるんじゃないの!?」

 

どうしてそう思うのかはさて置き、どうやら少しからかいすぎたと俺は思った。

 

「あはは……!済まない友希那、少しふざけすぎた」

「も、もう!蒼司ったら……!///」

 

そして今度は友希那が俺の胸元へ飛び込み、俺の胸をポコスカポコスカと叩き始めた。

 

「ごめんって友希那……だから……これ」

「……携帯?」

 

俺が取り出したのは自分の携帯。しかし今さら何故に携帯?と友希那はおもったんだろうな。

 

「さっきのやり取りで気づいたんだ。俺達はまだ、互いの事をしれてないんだなって……だから、携帯にあるメモ機能使ってトリセツを作るんだよ!」

「『トリセツ』……ふふ、蒼司らしいわね」

「そうでもないよ……こうして考えが纏まったのはリサのおかげなんだ」

「……そうね、いつか2人でお礼をしましょう」

 

キーンコーンカーンコーン……♪

 

「「…………」」

 

「授業……はじまったな」

「ええ……ねえ、蒼司?」

「ん?」

 

この後どうしようかと思っていたら友希那が顔を赤くして尋ねてきた。

 

(おい、まさか……)

 

「このまま……屋上で……しましょ?」

「!!……全く、悪い娘になったな……友希那」

「良くも悪くも……蒼司のお陰よ?♡」

「そうかもな……」

 

……こうして俺は友希那の暴走(?)を止めることができ、2人で授業をサボったのであった。

……その後、リサに色々と言及&説教をされたのはまた別の話だ……。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 




次回から本編に移ります。お楽しみに!
感想、高評価等宜しくお願いします!


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another 友希那編:17話 もしも……

友希那の暴走(?)が収まった所で……停滞していたライブイベントの話が進みます?
それでは……どうぞ!


〜友希那side〜

 

(今日は城中……いや、国中が賑わってるわね……祭りか何かかしら?)

 

「これが青薔薇祭りか……凄い賑わってるな」

「毎年この日はこの国が建国された記念日として、そして初代ブルーローズ国王が即位された日として近隣の町村から加盟国と幅広く招待してこの様に盛大にお祭りを致しますの」

 

ユキナからの説明を聞いて、私は大いに納得した。これ程の賑わい……当然だけど今年の文化祭以上ね。

 

「そういえば……ユキナ殿、そなたは何故国王になりたいと?決して家系的な理由……ではあるまい?」

 

(そういえば……彼女はどうして国王になったのかしら?)

 

国内が賑わっている中、私はソウジと一緒に彼女が即位した理由を聞くことにした。

 

「それはですね……ーー」

 

彼女の即位した理由に……私とソウジは深く感心し、彼女に対する見方が変わったのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……もう朝なのね……」

「おはよう友希那。よく眠れた?」

「ええ、お陰様で……蒼司が隣で添い寝してくれたから」

 

朝目を覚ますと隣で添い寝をしてくれた蒼司が挨拶してくれたわ。

 

(こらそこ、「朝からイチャつくな」ですって?いいじゃないの!私と蒼司は付き合ってるのだから!)

 

昨日、蒼司と互いにトリセツを共有し……放課後。蒼司が私のトリセツの中から1つを聞いてあげると言って、今にいたる。

 

(え?「なんかはしょりすぎ?」それには色々訳があるのよ!)

 

「はは……トリセツ、共有して正解だったな」

「ええ、蒼司には感謝しきれないわ」

 

「そうだな」と相づちを打った蒼司は、ベットからおり……私に手を差し出した。

 

「朝ごはん……食べに行こ」

「ええ……///」

 

手を取り、私もベットからおり、朝ごはんを食べに部屋を出ていった。

……ちなみに、私達の『トリセツ』は詰まるところ互いの我儘や欲とかをスマホのメモ機能で1面埋まるくらいにリストアップしたものだ。つまりそれを共有することで互いの事をもっと知ろうという蒼司の計らいから生まれたのが『トリセツ』だった。

ほんとに……これを考えた蒼司……ステキよ♡

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜蒼司side〜

 

今日も今日とて、いつも通り平和な学校生活を送っていた。そして今日の放課後も、次のライブ(・・・・・)に向けて俺と彼女らは練習に励んでいた。

 

「…………」

 

……はずだった。

 

「ฅ(^・ω・^)ฅニャオン……」

「(^p^)」

「...(lll-ω-)チーン」

「(。-_-。)……」

「0(:3 _ )~……」

「……なんだよこれ……」

 

CIRCLEに向かう途中、事務所に呼ばれた俺は友希那に遅れて参加すると旨を伝え待ち合わせ場所へと向かった……そして今にいたるのだ。

 

「皆どうしたんだよ?そんなあたかも魂抜かれたみたいな感で……」

「……決まらないの」

「え?」

「次のライブイベントが決まらないのよ……」

「次のライブイベント……ああ、そういう事か」

 

長机の中心に置かれてるフライヤーを見て、おれは大方の状況を把握した。

 

「そういえばこないだ……練習早く終わって余った時間でこうしてフライヤーみてどのイベントを見に行きたいかこんが得てたな……」

「この間見たくまた早く練習終わったから、この間見たフライヤーの中から皆でどのイベントを見に行きたいか意見をだしあってなのですが……」

「中々決まらなくて……」

「どのイベントも……いい感じのばかりで……」

「決まらないんだよ〜!」

「そうだったんだな……」

 

(よっぽど悩んだんだな……あの状態も納得だ)

 

そう思いながら俺は改めてフライヤーを1枚1枚見て行った。

 

「確かに……どれもいいイベントライブだな……ん?これはたしか……ー!」

 

俺が注目したフライヤーは、以前見たものと同じウチの事務所主催する例のメジャーデビューしたバンドのフライヤーだった。

 

(メジャーデビュー……か)

 

「……全く、こういう話題ばっかだな……」

「?……どう言う話題なの?」

「ゆ、友希那?……い、いや……このフライヤーみて最近、メジャーデビューの話色んな所で聞くな〜って」

「そう……」

「あはは……」

「…………」

 

何とか話を逸らせれた?と思った俺はホッと胸を撫で下ろした。

 

「少し……気になった事があるのだけど……もし、もしも……Roseliaがメジャーデビューしたとしたら皆はどう思うかしら?」

 

俺の見ていたフライヤーを横から見ていた友希那が俺達にそう問いかけた。

 

「メジャーデビューですか?……あこはメジャーデビューいいと思います。たくさんの人に注目してもらう世界だし、あこ達のかっこ良さを色んな人に知ってもらえそうです!」

「なるほど……あこらしいな」

 

あこの意見に共感し、友希那も「ふむ」と頷いた。

 

「燐子はどう思うかしら?」

「わ、私は……想像がつかないです……ただ……今はただRoseliaの皆とバンドをするのが頼もしいので……」

「燐子……」

「でももし……プロとして活躍している人達の世界に行けたなら……もっと上手に演奏出来るかもと……思う事はあります……」

「ミラさんの影響……だな?」

「はい……!」

 

ミラさん……彼女もまた全国誰もがしるミュージシャンであり、俺達に掛けがえのない出来事を残してくれた人だ。

 

「私も白金さんと、同じです。日菜との約束の為にも……私のギターの腕が更に上がる良い機会だと思っています」

「そうか……リサは、どう思う?」

「アタシ?……アタシは……メジャーデビューした人達にしか見れない景色を見てみたい……かな?」

「景色……?」

「うん!F.W.Fで演奏したアタシ達のステージは小さいけれど……スポットライトで照らされた場所から見た景色……とても言葉では言い表せれない程凄かった。だから……その先にどんな景色が、プロの人達にしか見れない景色がどんなものなのか……この目で見られたらいいなって思ったんだ」

「……!!」

 

リサの話が終わった時……俺はいつの間にか目を見開いて聞いていた。それは……友希那も同じだった。

 

「ん?どうしたの友希那?」

「ごめんなさい……。リサがそんなふうに自分のしたいこと言うなんてあまりないから……」

「アハハ……♪前よりも自分もバンドの一員って気持ちが強くなったからかな?自分のバンドの未来がどうなるのか、時々想像したりするよ」

「そうだったんですね……」

「友希那ならどう思うの?」

 

リサがそう言うと俺達5人も友希那に視線を向けた。

 

「私も……メジャーにかんして、どう思っているのかは……それほど深く話したことなかったから、燐子の言う通り……想像もつかないわ。でも……皆の言う通り、プロの人達でしか見れない景色が見れたり……自分の演奏技術を高めれる……いい機会が生まれるって、私もおもうわ」

「友希那……なんか皆がメジャーデビューして活躍してる姿が想像出来るよ……」

「ねえ蒼兄?蒼兄はどう思うの?メジャーデビュー」

「俺?」

「そうね……蒼司だっていつかSOUGAとしてメジャーデビューを果たす日が来るかもしれないのだから、貴方の意見も是非聞きたいわ」

「俺は……」

 

友希那に言われ俺も自分の意見を言おうとしたーーのだが、謎のつっかかりを覚え言葉を詰まらせてしまった。

 

「……蒼司?」

 

(正直に言うべきなのか?俺がメジャーデビューした話……だけど)

 

『デビュー後は国内は勿論、世界ライブもかんがえている。活動が本格化したら……場合によっては学校を中退する事を承知しておいてくれ』

 

(中退……考えたくはないが……友希那達と……)

 

「蒼司?……蒼司ってば!」

「はっ!……す、済まないリサ……」

 

リサに呼ばれ我に返った俺……友希那達との会話が途切れてしまった……。今、この事を考えるのは辞めよう。

 

「何か考え事……?」

「だ、大丈夫だ……なんの話だっけ……?」

「何の話って……」

「メジャーデビューの話だよ〜蒼兄!」

「そうだったな……」

 

とりあえず……いまは何とかしてでもこの会話を終わらせよう。

 

「そうだな……俺がもし……デビューしたら、もっと自分の気持ちを演奏に出して歌いたい……そして、デビューしたRoselia()と満足する演奏をしたい」

「蒼司……!」

「俺はいつも自分の気持ちを出して演奏してきた。楽しい時も、嬉しい時も……怒ってる時も……全てを演奏にぶつけてきた。ならそれを……デビューした(・・・・・)皆に、世界中にめいいっぱいぶつけて満足させてやりたい!」

「蒼司……ふふ♪楽しみね、貴方のメジャーデビュー」

「私達も応援しますよ、騎龍さん」

「皆……ありがとうな」

 

心が痛い……誤魔化しては無いにせよ、ここまで期待されるとここまで居ずらくなるものなんだなと俺は痛感した。

 

「それじゃあイベントの方はこれでいいんじゃないですか?」

「そうだね……私も賛成です……」

「ようやく決まりましたね」

「そうだね〜♪決まらなかったらどうなるかと思ったけどね!」

「そろそろ時間になるわ。そろそろ片付けましょ」

「そうだな。確か明日ライブだよな?楽しみにしてるぞ!」

 

俺はそう言って俺は何を思ったのかスタジオを出ようとした。

 

「蒼司?何処へいくの?」

「!!……済まない!事務所の人と次のライブの打ち合わせがあるのすっかり忘れちまって……先上がるな!」

「そう……打ち合わせ頑張るのよ」

「ああ……」

 

友希那にそう言われた瞬間……罪悪感で押し潰されそうだった。俺はそれから逃げるように早足で出ていった。

 

「……ごめん、アタシも急用で先に上がるね」

 

スタジオを出て直ぐにそのような声が聞こえたような気がした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…………」

 

CIRCLEを出て直ぐに俺は立ち止まり、夕暮れぞらを見上げた。

 

(俺は……どうすればいいんだよ……)

 

何故あの場であんな行動を取ったのか……自分にも分からなかった。メジャーデビュー……自分にとって正直、あの話を会長に言われた時は嬉しかった。しかし、彼女達……Roseliaの事を……友希那の事を思ったら自分はホントにメジャーデビューを果たしていいのか分からなくなったのだ。

 

「……蒼司?」

「!……リサ?」

 

途方に暮れていると、リサが話しかけてきた。

 

「どうしたの?ライブの打ち合わせ……行くんじゃないの?」

「そう言うリサこそ……どうしたんだ?」

「……ちょっと蒼司と話したくて……ねえ、蒼司アタシ達に何か隠してない?」

「!?……どうしてそう思った?」

 

どうやらリサは俺が何か隠してることに勘づいたらしい。

 

「蒼司……さっきのメジャーデビューの話から態度が余所余所しかったもん。さっきの行動も……それを隠すためなんじゃないの?」

「…………」

 

リサにそう言われても俺は……直ぐに答えられなかった。

 

「隠すのは悪いことじゃないと思うけど……アタシ達はRoseliaなの。隠し事は無しって皆で決めてるから……ねえ?アタシに出来ることならなんだってするよ?」

「……分かった。だけど他言無用だ。それだけは譲れない」

「……そんなに大事な話なら……」

「頼む。いつか話そうとは思ってるんだ……だけど中々自分の中で話せる状態じゃなくてな……」

 

出来ればそんな日は来ないで欲しい……そう俺は密かに願った。

 

「分かった……誰にも言わない」

「……感謝するよ、リサ」

 

そして俺は覚悟を決め、リサにメジャーデビューの話を打ち明けたのだった……。

 

 

 

 

〜END〜




次回、物語を左右するあのキャラが登場します!?
お楽しみに!
高評価、感想等宜しくお願いします!


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another 友希那編:18話 こういうものです!

予告、題名にもありますが……あの人が登場します!
お楽しみに!


「聖騎士ソウジ、参りました」

「入りなさい」

 

元国王、ブルーローズIV世の寝室であろう部屋の前にソウジはいた。入室の許可がおり、彼が寝室へ入室すると……そこには元国王とその妻がいた。

 

(こんなの夜更けに何の様だろうか?)

 

「こんな夜更けに……どうなさいましたか?陛下」

「そんなにかしこまらなくても良いぞ。なに、ちとお主に聞きたい事があって呼び出したのだ」

「私に?」

 

ソウジがそう聞くとIV世は「ふむ」と頷き、妻と顔を見合わせ話し始めた。

 

「そなたは我が最愛の長女……ユキナをどう思いますか?」

「女王陛下……ユキナ殿……ですか?」

「ユキナを初め、子供達の面倒を……竜騎士団の団長としての責務を果たしながらも見てくれていたと聞きます」

「それが当事の……竜騎士団長としての私に与えられた責務だと思っていましたので」

 

(流石は騎士の鏡……と言った所か)

 

俺はそう思いながら3人の話を聞いていた。

 

「時に……ユキナに関しては他の4人よりも手厚く面倒を見て下さったそうで……何か、彼女になんらかの感情を抱いていまして?」

「!!……それは……」

 

ソウジが言葉を詰まらせたのをみて、俺はあることを思い出した。

 

(似てる……俺が皆にもしもメジャーデビューしたらどう思うかって聞かれた時と……)

 

「私は……あの日からユキナ殿の剣であり、盾で居ようと……ユキナ殿と出会った日から我が身に、この剣に誓いました」

「そうだったんですね……」

「そうであったか……」

 

2人がそう言うと、顔を見合わせ何やら決意した表情でソウジに向き直った。

 

「ならば包み隠さず言おう。ソウジ殿……元国王と王姫以前に、ユキナの両親としての頼みを聞いてくれ」

「ソウジさん……ユキナと結婚してユキナを頂いてはくれないでしょうか?」

「!!??」

 

2人の頼み事に俺とソウジは目を見開くほど驚いたのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……今回は色々と驚かされたな……」

 

夢から目覚めた俺は、先程見た夢に対してぽつりと呟いた。

 

「何に驚かされたのかしら?」

「友希那?何時からそこに?」

 

そしてベットの横に友希那がいた事に対して俺は更に驚いた。

 

「昨日貴方にLINEで言ったじゃない。『ライブハウスに行く前によって行く』って」

「……あっ」

「……忘れていたのね?」

 

忘れてたと言わんばかりの俺の顔をみて友希那は頬を膨らませながら半目で此方を睨めてきた。

 

(……可愛いな)

「ごめんって友希那、ほら……よしよし」

「!……もう、蒼司ったら///」

「朝ごはん……どうせまだだろ?今から作るから待ってーー」

 

ピーンポーン♪

 

朝ごはんを作ろうと台所へ向かおうとしたら、インターホンがなった。

友希那といい、今日はやけに朝の知人による訪問が多い。俺は渋々とドアホンの画面を見たそしてそこには……

 

「……イタズラならお引き取り願おうか?何なら110番もセットでーー」

「ちょ、ちょっと!!別にアタシ蒼司になんもしてないじゃんか!?」

「どうだか……待ってろ、扉開けるから」

 

そして俺はしゃあなしと早朝の来訪者(リサ)を招き入れ3人で朝食をとることにした。

 

「わぁ〜!美味しそうなサンドイッチ♪これ……全部蒼司が作ったの?」

「本当は少し凝った物でも良かったんだけどな……時間が時間だったからな」

 

今日はライブ当日。いつもより起きるのが遅くなったのと、予想外の来客が来た為……自分の中で手早くできるものにしたのだ。

 

「これなら……今日のライブでとても良いパフォーマンスが出来るわ」

「そうだね〜♪……って、イケナイ!友希那、アタシ達のリハそろそろ始まっちゃう!」

「!!……そうだったわ。行きましょう……リサ!蒼司、私達のライブ……絶対間に来るのよ」

「ああ……行ってこい!」

 

そう言って俺は2人を送り出した。するとリサが「ちょっと待ってて」と友希那にいい、戻ってきた。そして……

 

「アタシ達4人ならともかく……友希那に何も言わずに何処か行ったら殺すから」

「……!!」

「……行ってくるね」

 

そう言ってリサは今度こそ友希那と共にライブハウスへと向かったのだった。

 

「……今はまだ……自分でどうすればいいか分からないんだよ……その状態で、言えるわけないだろ?」

 

俺は1人……そう呟くのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「Roseliaです……早速だけど……1曲目、いくわよ!」

 

ワアアアアアアアアアアア……ッ!!!

 

数組出る今回のライブで、Roseliaはとり……F.W.Fが終わっても尚、キャバの熱、歓声諸共は勢いを増すばかりだった。

 

「やっぱすげーよ……皆」

 

何時も彼女達には驚かされる演奏を見せられる。今回もまた彼女達の演奏に俺は満足させられたのだった。

 

「!……ニコッありがとう」

「!!」

 

ワアアアアアアアアアアア……ッ!!!

 

友希那と目があい、俺に向かって微笑んだ……ように見えた。いや、きっと気の所為じゃない……今回も俺が自分達のライブを見に来てくれた事に喜びを隠せなかったのだろう。

 

「……今回も……満足させて貰ったぜ、友希那……!」

 

舞台袖へとひいていく彼女達を見届けた俺は控え室へと向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「お疲れ様、皆ーー」

「蒼司!私達のライブ、見ていてくれたかしら?」

「うぉっ友希那……!ああ、今回も可愛いかったぞ。そして……満足させて貰った」

「ふふッ♪そう言って貰えると嬉しいわ♡」

 

控え室では各自一息着いている友希那達の姿があった。俺の姿を見るなり抱きついてきた友希那の笑顔を見て、俺は一瞬表情が緩んだ。

 

「それにしても、いいライブだったね〜♪」

「そうですね。今までCIRCLEでしかライブをしてきませんでしたので多少不安でしたが、皆さんベストな演奏が出来たようで良かったです」

「そうね、何時も以上に徹底した練習をして正解だったわ。思った以上の成果があったと思うわ」

「あこもそう思います!」

 

確かに、今まで彼女達はCIRCLEでしかライブをして来なかったため今回みたいな別のライブハウスでの演奏は多少なりとも不安があったたと言えるだろう。しかし俺からみたらそんな不安要素などものともしないベストなライブだったと俺は思った。

 

「今日のライブは何と言うか……そう、まるで暗黒の絢爛祭!古の力に目覚めし5人によって、闇の舞台に絶大なる究極を……!」

「受付の方に挨拶をして、早く撤収しましょう」

「ええっ、最後まで言わせて下さいよ〜!今日は珍しく最後まで言えそうだったのに〜!」

 

友希那の素っ気ない反応にあこは悔しげに答えた。

 

「あこちゃん……ファイトだよ……!」

「あはは……」

「でも……そうですね、早く着替えてスタッフの人に挨拶しないと行けませんね」

「そうだな……じゃあ俺は廊下でまってるよ」

「紗夜さん!蒼兄まで〜!!」

 

そう言って俺は5人が着替え終え出てくるまで廊下で待つことにした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

着替え終わって出てきた友希那達と合流した俺は挨拶しに行くためにロビーへと向かった。流石にこの5人と一緒に居る所を見られると怪しまれると思った俺は、「近くの待合所で待ってる」と伝えロビーの角にある待合所で待つことにした。そしてーー

 

「……Roseliaさん、ですよね?ライブ、お疲れ様でした!」

「?……お客さん、かな?」

「そうみたい……だね」

「……あの人、なんでこんな所に?」

 

スラッとした体型で、肩あたりまで伸ばした黒髪、活気に満ちた赤い瞳の彼女。今日はオフの日(・・・・・・・)なのか、普段(・・)は余り見ることの無い私服姿(黒のジーンズ、赤と黒のチェック柄の半袖の上着)だった。

 

「ん?あの人……」

「ありがとうございます♪ライブ、楽しんでもらえました?」

「勿論です!最後の『Song I am.』……もうホントにサイコーでした!いつにも増して迫力があって、私ちょっと泣きそうになって……も〜あの曲大好きです!」

「え、ええ、ありがとうございます……」

 

そして俺は、彼女の事を良くしっていた。

 

「……挨拶でもしてくるか」

 

俺はそう思い友希那達の方へ歩いて行った。

 

「す、凄いテンションですね……もしかして、ファンの方でしょうか?」

「あんまり見たことない人だけど、この感じからすると多分そうなんじゃない?」

「楽しんで貰えたみたいで良かった〜!次のライブはまだ決まってないけど、また観に来てね〜!」

「もちろん、絶対行きます!……わぁ、次のライブ楽しみだな〜って……ちがうんですよ!」

「……はい?」

「私……こういう者です!」

 

そう言って彼女は友希那に名刺をわたした。それによって、とれは彼女に対しての説明などをしなくてすんだ……ように思えた。

 

「名刺……?」

「お疲れ様です、晴海さん。今日はオフなんですか?」

「んひゃあ!?そ、蒼司君!?」

「蒼司……知り合いなの?」

「ああ、晴海さんは俺のマネージャーで活動中何時もお世話になってるんだ」

 

案の定、友希那初めとする他のメンバーも晴海との関係に驚いていた。……といっても、彼女達は以前二学期初め頃に行ったライブで俺が音楽事務所所属のソロギターリストSOUGAだと言うことは知ってるため皆さほど驚いていなかった。

 

「晴海さんと言ったかしら?それで……音楽事務所の人が、私達に何か話でも?」

「はい!Roseliaの皆さんとは是非一緒にお仕事をしたいと思っています!うちの事務所に所属するきはありませんか?」

 

「「「「「……………!!!!!」」」」」

 

「晴海さん……」

 

晴海の持ちかけてきた話は、ウチの音楽事務所へのスカウトの話だった。その話は今まで自分達が更なる高みへと向かう為にはどうするばいいか結論をら出すまで断ってきたものだ。

 

「実は皆さんの事を知ったのはF.W.Fがきっかけなんでどあのステージ、本当に素晴らしかったです!高校生のバンドとは思えない音と楽曲の世界観……私、すっかりファンになってしまったんです!」

「は、はあ……?それで私達をスカウトしたいと?」

「あ、えっと、スカウトというか、まず皆さんの意思を確認したく……」

「えっ?」

 

しかし紗夜の質問の答えに対して彼女からでた言葉は彼女達の予想より斜め上の答えだった。

 

「私、大きな権限は持っていないので……所属の話を前向きに考えて頂けるなら、全力で上司に皆さんの事をアピールしようか、と……」

「確かに、そういえば……」

 

晴海はあくまでも俺のマネージャー。幾ら音楽事務所の関係者でも、そこまでの権限はもっていないはずだと俺は思った。

 

「つまり、正式な所属のお話ではないと言うことですか……」

「事務所の人も勢い余って来ちゃうこともあるんだね……」

「今まで誘ってくれた事務所の中で大きな事務所だけど……一番ふわふわしたお誘いかも……」

「こういうお誘いもあるんだ……」

 

晴海の話を聞いてリサ達は納得したような……呆気に取られたような反応をした。

 

「ど、どうでしょうか!?ウチの事務所からメジャーデビューして見るというのは?」

「…………」

「友希那……?」

 

「メジャーデビュー」と言うワードを聞いて友希那は何か考てる表情をした。

 

「え、ええと、アタシ達、まだ事務所に入るとかは考えていなくて……」

「……待って」

「友希那?」

「?湊さん?」

 

しかし、リサがその話を断る方面へ持ちかけた瞬間、友希那がまったをかけた。その行動に俺とリサ、紗夜が疑問に感じた。そして友希那からでた言葉はーー

 

「晴海さん、その話、もう少し詳しく聞かせて貰えるかしら?」

 

「「「「「え……………!!!!!」」」」」

 

「友希那……!?」

 

彼女らしからぬもう少しその話を詳しく聞きたいと言う言葉だった。

 

「もちろんです!……とはいえ、今日は皆さんお疲れだと思うので詳しい話はまた後日にしましょう。あ、そうだ。詳しくその話するなら……事務所へ来ていただいた方が良さそうですよね。日取りについては……蒼司君を通してまた改めてご連絡致します」

 

(え?俺なの?)

 

まさかの俺経由で連絡する事になった。なんだか腑に落ちない……そう思った。

 

「ええ、宜しくお願いするわ」

「ありがとうございます!それでは……また後日!蒼司君も、また事務所でね?」

「は、はあ……」

 

そう言って晴海はライブハウスを出ていった。

 

「……そう言う事だから、皆、今日はこれで解散しましょ」

「そ、そうだな……」

「うん……」

「そうですね……」

「はい……」

「そう……ですね……」

 

そう言って今回のライブはお開きとなった。

 

「「…………」」

 

そして約2名……先の友希那の行動に対して未だに疑問視しているものがいたのは、また別の話……。

そして……晴海が持ちかけてきた話が、Roseliaに、そして俺に試練を与えるのだった……。

 

 

 

 

〜END〜

 




次回はほんの少しの息抜き回?です!お楽しみに!最近仕事で投稿ペースがガタ落ちですが……決めたからには最後まで完結させます!宜しくお願い致します!
感想、高評価等宜しくお願い致します!


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another 友希那編:19話 ゆきにゃん(=^・ェ・^=)

「にゃ〜ん!にゃ〜にゃ〜ん!(どうも皆さん!私はご主人様の所の猫、シロナだよ〜!)」
「にゃ〜ん(今回は私達の会話を、()の中で翻訳してるんだ!)」
「にゃ?にゃ〜ん!(え、なんで私達?それは見てからのお楽しみ!)」
「にゃっにゃお〜ん!(それでは……どうぞ!)」



〜友希那編side〜

 

ライブが終わった日の晩……私は蒼司の家で新曲の作詞に励んでいたわ。

 

「今日は……これくらいでいいかしら?」

 

私が今作詞してる曲は……次のイベントライブで演奏する予定の曲。あの日……皆のメジャーデビューについての思いを元に作り上げた……何時か私達Roseliaが更なる高みへと羽ばたく為にどう有るべきかがわかった時、この曲はきっと意味をなす……そう思って作っている所よ。

 

「友希那?」

「……蒼司」

「作詞は……順調か?」

「……まずまず、てとこかしら?今回は何故か……文が思い浮かばないの」

「余り……無茶するなよ?最近は無茶しなくなったのに、また自分をおいつめて体調でも崩されたらたまったもんじゃない」

「分かってるわよ……蒼司ったら、心配症なんだから」

 

私がRoseliaとして皆とバンドをするようになってから、私は自分に余り無茶をしたくなった。だけど蒼司と付き合ってある日新曲を作る際に少しばかり羽目を外してしまい、体調を崩してしまったの。その時、蒼司が私に付きっきりで看病してくれたまでは良かったの……だけどその際にこっぴどく説教されて1週間位口を聞いて来れなったことがあったの。

 

「あんな思いは……もうこりごりよ」

「そうか……それならいいんだ。まあ、友希那の看病じたいは大歓迎だけどな」

「ちょっと……からかわないで頂戴///」

 

蒼司に撫でられて、私は少しばかりムッとした。何時までもからかわれてるばかりの私だって思わないことよ!

 

「おい友希那……それ……新発売のエナジードリンク!」

「ふふっ!そうよ!この『NYANKOENERGY』で……今晩は寝かせないんだから!」

 

そう言って私はそれを一気に飲み干し、身体中熱くなる感覚を覚えながら部屋着を脱ぎ始めた。そして蒼司をベッドへ押し倒した。

 

「本当に……友希那をそんな娘にした覚えはないんだが……?」

「ふふふっ♡沢山楽しみましょ?蒼司♡」

 

こうして私と蒼司は互いに満足するまで楽しんだのだった。(ここから先は想像に任せるわ!)

……そして私は……あの時あのエナジードリンクを飲んだことを後悔する事になったわ……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ん……」

 

日曜日の朝なのに……やけに日差しが暑く感じるわね。そう思った私はベッドの中で伸びをした。

 

ぐにぃ(・・・)〜〜〜っ!

 

「んにぃ……!」

 

私ったら……余程身体が訛ってたのかしら?()みたく凄く身体が伸びるし、その反動で()みたいな声が出てしまったわ。

 

「にゃ〜……んにゃ!?(全く、日曜日だからってだらけすぎ……ってえ!?)」

 

私は自分の発しようとした言葉と実際にでた鳴き声(・・・)に驚いた。

 

(今……私、にゃ〜んちゃんの鳴き声を発していた!?それに……)

 

私はその場で立ち上がった(・・・・・・)。視線が余り変わらない……それどころか私……

私の手足、身体中には銀色のさらっとした毛並み……ぴょこぴょこ動く細長い尻尾……

 

「にゃ……にゃにゃ〜〜!?(私……にゃ〜んちゃんになってる!?)」

 

そんなはずはないと思った私は……真実を確かめるべくベッドからスタッと飛び降り、蒼司の部屋にある鏡の前に立って目を見開いた。

そこには、Roseliaのボーカリスト湊友希那……ではなく、1匹の子猫……にゃ〜んちゃんが立っていた。

 

「にゃ、にゃぁ……(そ、そんなどうして……!?)」

 

私はその場で昨日の出来事を思い返した。昨日は蒼司と夜の営み……ゲフンゲフンッ、身体を交えた以外何もしていない。強いて言うならする前にあのエナジードリンク…… 『NYANKOENERGY』を1缶飲み干したくらいだ……

 

(もしかして……)

 

もしやと思った私は昨日飲み干したエナジードリンクを見た。そこにはとある注意書きが書かれていた……

 

『女性の方が本商品を口にし、かつ性行為をした場合……子猫になってしまいますので、本商品を口にした後、絶対に異性との性行為に及ばないでください』

 

「にゃ〜、にゃおん……(迂闊だったわ、にゃ〜んちゃんのイラストにつられて買ってしまったのが裏目に出てしまったなんて……)」

 

私は既に起きてしまったことに後悔していると……

 

「にゃおん?にゃ〜ん(そこの君?見ない顔だね)」

「!!」

 

振り返るとそこには蒼司の所のにゃ〜んちゃん……じゃなかったわ、シロナちゃんがいた。シロナちゃんって……人の言葉喋れたかしら?

 

「にゃぁ?にゃ〜?(シロナちゃん?貴女、人の言葉が喋れるの?)」

「にゃお〜?にゃ〜ん?(私は猫語しか喋れないよ?てゆうかもしかして……友希那ちゃん?)」

「にゃ!?(私だって分かるの!?)」

「にゃ〜ん、にゃお〜ん(その毛の色、頭の毛だけやけにながいしその瞳で君だって分かったよ)」

 

よく戯れてるからかしら?シロナちゃんには私だって分かったみたい。

 

「ん……」

 

「「!!」」

 

そうこうしていると蒼司が目覚めた。それに気づいたシロナちゃんは蒼司の方へ歩み寄っていった。私はそれに続く様にシロナちゃんについて行った。

 

「にゃ〜♪(ご主人様おはよう♪)」

「おはようシロナ、今日も可愛いな〜ナデナデ」

「にゃお〜♪(蒼司おはよう♪)」

「ん?キミ……みない子だな?シロナの友達かい?」

 

私を見て蒼司はそう尋ねた。

 

(どうにかして私だって分かって貰えないかしら……あら?蒼司の隣にあるのは……私の下着?)

 

「そうだわ!」……と閃いた私は一か八かでベッドに飛び乗り、私の下着を咥えた。

 

「ん〜〜〜!(蒼司気付いて頂戴!)」

「ん?この猫についてるの……友希那の髪飾り?」

 

私の髪飾りに気付いてくれたわ!

 

(このチャンス……逃さない!)

 

蒼司の反応を見ていた私は咥えていた下着を離し

 

「にゃお〜ん♡スリスリ(蒼司〜♡スリスリ)」

「!」

 

自分の頬を蒼司の頬にスリスリした。

 

「シロナのほっぺスリスリを真似てやった……ってことは、お前もしかして友希那!?」

「にゃ〜コクコク(そうよ)」

「なんたってそんな姿に……」

 

蒼司は私が猫になった事に気付いて驚いていた。

 

「にゃお〜(それが……カクカクシカジカなのよ)」

 

私はあのエナジードリンクを飲んだことで猫になったことを伝えようと例のエナジードリンクの空き缶の方を見て蒼司に訴えかけた。

 

「それにしても……今日の練習、どうしたものか」

「にゃ〜……(そうよね……)」

 

皆に……なんて説明したらいいのかしら?でも、今猫の姿である私がそんな事を考えてもどうする事もできないのよね……。

 

「皆なら……分かってくれる……よな?」

「にゃ〜、にゃお〜(そうである事を願いたいわね、それよりも時間が惜しいから早く支度して練習に行きましょ)」

 

そんなこんなで私は猫の姿でCIRCLEに行く事になった。

……どうしてかは知らないけどシロナちゃんもついて行くことになったわ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「蒼兄〜!こっちだよ〜!」

「お疲れ様です……蒼司さん」

 

CIRCLEには既に皆が集まっていたわ。練習……と言っても昨日のライブの反省会がメインの今日は個人練習が主になるわ。

 

「済まない、遅くなったか?」

「私達も今し方来たばかりなので……それより騎龍さん?」

「友希那の姿が見えないんだけど……」

「にゃ〜ん!(私はここにいるわ!)」

 

「「「「!!!!」」」」

 

皆に気付いて貰うために、蒼司の腕の中で鳴いてみた。するとどうだろう。4人はあたかも産まれたての小動物をみるような目で私をみてきた。(ちなみに、シロナちゃんはまりなさんと戯れているわ)

 

「わ〜!可愛い〜〜!」

「そうだね……!///」

「でも……初めて見るはず……なのに何故でしょう?この猫に凄い既視感を感じるのですが……」

「てか……その髪飾り……あとその長いたてがみ……もしかして…!」

「そのまさかだ……」

 

「「「「え〜〜〜〜!!??」」」」

 

そんなに大きな声を出さないで頂戴、耳がキーンとするわ。

 

「友希那さん、どうして猫の姿に!?」

「何があったんですか!?」

「み、湊さん……!どうしたんですか!?」

「お、俺にもどうしてかは……てリサ?」

 

私が人の言葉を話せたら……そう思っているとリサが顔を赤くさせながら手をワナワナさせてこちらに歩み寄って来た。

 

「ゆきにゃ〜!!(=^・ω・^=)ガシィッ!」

「にゃぁ〜!?(きゃぁ!?)」

「ゆきにゃゆきにゃゆきにゃゆきにゃ〜♡スリスリん〜♡ゆきにゃ可愛いゆきにゃ可愛い〜♡!ハァハァ」

「にゃ!?にゃぁ〜!にゃ〜!ジダバタ(り、リサ!?やめて!離して頂戴〜!ジダバタ)」

 

蒼司から私をひったくった(?)リサが息を荒くさせながら私の頬をスリスリしてきたわ……!それよりもリサの抱きしめる力が強すぎるわ……!

 

「さ〜ゆきにゃ〜?今からアタシの家に行ってアタシとあ〜んなことやこ〜んなこと……い〜っぱいしよおね〜♡ハァハァ」

「にゃ〜!にゃ〜〜〜〜!!ジダバタ(嫌、助けて!蒼司〜〜〜〜!!ジダバタ)」

 

ドカッ!!

 

「んいった〜〜〜〜っ!?ちょっと蒼司!?なんで打つの!?しかもグーで!グーで!?……あっ!ゆきにゃ〜!?」

 

そ、蒼司がリサをぶってくれたおかげで……な、何とかリサから解放されたわ……そしてその隙に私は蒼司の腕に飛び乗ったわ……。

 

「全く……友希那が可哀想だろ?元に戻るまで俺が友希那を預かる」

「い、今井さん……そこは、蒼司さんに……任せましょう?」

「そうですね……騎龍さんの家にはシロナちゃんもいます。そこは扱いが慣れてる騎龍さんに任せた方が妥当かも知れません」

「リサ姉……友希那さんの為にも、我慢しよ?」

「み、皆〜……!酷いよ〜〜!( ・᷄-・᷅ )」

 

何とか蒼司が私の面倒を見てくれると言う形で、この場は収まったわ……

 

「にゃ〜♪にゃお〜ん♡(ありがとう皆♪それにしてもやっぱり蒼司のうでの中が1番安心するわね♡)」

「はは……凄い安心した顔してら……よしよし」

「にゃ〜ん♡(蒼司〜♡)」

 

蒼司に撫でられてる私はさらに顔が緩やかになった……その時だ。

 

ポロッ……

 

「あ、友希那の髪飾りが落ちーー」

 

ボムッ……!!

 

「うぉあ!?」

「にゃ!?(きゃっ!?)」

 

「「「「!!??」」」」

 

直後、私の身体からピンク色の煙が吹き出した。そして……

 

「けほっけほっ……な、何が起きーーっ!?」

「ん〜一体、何が起きたーーってえ……!?」

 

煙が晴れ、何が起きたのか確認しようとした私。蒼司は何かこの世の終わりでも見てる様な顔を……いいえ、蒼司だけじゃないわ。他の皆も同じ様な顔をしていた。

自分の腕や、足を見てみる……にゃーん……猫のような短く、毛の生えた手足ではなく……人の手に素足(・・・・・・)。間違いなく人の身体に戻れたんだと実感した。しかし、驚くべきはそこじゃなかった。

 

(やけに……肌寒い(・・・)わね…………って……)

 

「な、……なな……!?あぁぁぁ……っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああああああぁあああ〜〜〜〜ッ!!??///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煙が晴れた私の姿は、確かに人の姿に戻っていた……ただし、服すら、下着すら着ていない……所謂……全裸(・・)だった。

 

(も、もう二度と……あのエナジードリンク飲まないわ!! ///)

 

 

 

 

〜END〜



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another 友希那編:20話 音楽事務所へ

久しぶりのanother執筆です。最後後書きに重大発表がありますので確認お願いします。
それでは……どうぞ!


〜友希那side〜

 

「ソウジ殿、今回もお勤めご苦労様です」

 

「ありがとうございます陛下。今日も城下町は国民達の活気で賑わっておりました」

 

玉座にて、ユキナとソウジの2人の会話が聞こえた。どうやらソウジは今日も聖騎士としての勤めを果たしていたのね。

彼……蒼司も毎日私達Roseliaの為に頑張っていると思うと……何か感謝をしなきゃ行けないんじゃないかと思わずには居られないわ。

 

私がそう思っていると、ソウジはこんな会話を持ち出した。

 

「そう言えば陛下。1つご提案があるのですが、よろしいでしょうか?」

 

「構いませんよ。それで……どうなさいましたか?」

 

「はい。実は、我が国でお世話になっている商人が更なる国の発展の為に貿易の範囲を広めたいとの要望を受けました。つきましては西の港町『ウエストローズ』と貿易をしたいとの事ですが……如何なさいましょう?」

 

 

ウエストローズ……ここに来て聞いたことの無い町の名前が出てきたわね……どんな港町なのかしら?

 

 

「ウエストローズ……確か様々な町や国と貿易をしている港町でしたね。彼処は一昔前……魔物や盗賊らの襲撃によって治安が芳しくなかったと聞きますが……ソウジ殿達竜騎士団の活躍によって治安は回復しているのでしたよね?」

 

「その説は……ありがとうございます。にして、どうなさいますか?私も、この国の発展の為ならウエストローズとの貿易の話は受けても良いと考えております」

 

「そうですね……私もそれに関しては同意見です。ではソウジ殿、後日その商人の方に貿易の承諾の知らせをお願いします。つきましては私も同行します。下がってよいですよ」

 

「御意」

 

 

そう言ってソウジは、玉座の間を後にした。

ほんとに……ソウジもユキナも成長したわね。私も、何時か……ーー

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ピピピピッ!ピピピピッ!ピピピピッ!ピピピピッ!……

 

 

「ん……」

 

 

形態に設定しておいたアラームの音で、私は目を覚ました。

え?何時もはリサに起こされるまで寝てるだろ……ですって?失礼ね。まあ、確かに何時もはそうかもしれないけど……今日に限っては寝坊なんて真似は出来ないの。

 

 

「今日は晴海さんのお誘いで、蒼司が所属してる音楽事務所に行く日……それも、蒼司も同行してくれる……あぁ、蒼司と1日一緒に居られるし、事務所で活動する蒼司の姿も見れる……嬉しすぎて舞い上がってしまいそうだわ///♡」

 

 

いけない……蒼司の事を想っていたらつい浮かれてしまったわ……気を取り直して、私は出かける支度を始めた。

 

 

「蒼司と一緒♡蒼司と一緒♡……あぁ♡楽しみだわ……♡///」

 

 

だけど、支度をしてる最中でも蒼司の事を考えてしまい……皆と待ち合わせ場所で落ち合うまでそれを止めなかったわたは、リサと紗夜にこっぴどく説教されたのは……内緒の話だ。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜蒼司side〜

 

「此処が……」

 

「蒼司の所属してる事務所……」

 

「とってもおっきい〜!!」

 

「あぁ、此処が俺の所属してる事務所……『Craft LORD』だ」

 

 

羽丘駅から乗り換え込みで数十分、そこから徒歩で……大体合わせて1時間移動した先に、音楽事務所『Craft LORD』がある。50階建ての高層ビルで、音楽関連だけでなく、今はYouTubeやVTubeにも力を入れてる。故に音楽事務所でもあり芸能事務所でもある。

 

 

「あ……彼処にいるのは、晴海さん……ですね?」

「わざわざ入り口で私達が来るのを待っていてくれるなんて……申し訳無いですね」

「晴海さんは普段俺のマネージャーだけじゃなくて、事務関連の仕事もやってるから、ああやってお客さんをお出迎えする仕事も請け負ってるらしい」

 

 

皆にそう説明した俺は、晴海さんの元へ5人を連れていき、晴海さんに挨拶をした。友希那達も後に続く形で会釈をする。

 

 

「よぉ、今日も頑張ってるじゃないか」

 

「あ、オーナー(・・・・)!お疲れ様です!」

 

 

そんな中、晴海さんに『オーナー』と呼ばれた紺色のスーツを来た若い男が入り口から軽く手を振りながら出てきた。

 

 

「お疲れ様です蒼咬(あおがみ)さん。どうかなされたんですか?」

 

「お、蒼司も来てたのか。そろそろ彼女が今日の客人を連れて来るだろうと思ってな。俺も一緒に出迎えてやろうって思った所だ」

 

「ありがとうございます」

 

「えっと……蒼司?そちらの人は?」

 

 

蒼咬さんと何気ない会話をしていると、友希那がーー否、友希那達5人が困惑した表情で此方の様子を伺っていた。

 

 

「あぁ、この人は此処の事務所のオーナーであり、日本最大勢力のヤクザ(・・・・・・・・・・)『月華』の若頭蒼咬龍一(りゅういち)さんだ」

 

「この人が、この事務所のオーナーなのね……てえ??」

 

「そ、蒼司?今、最後辺り何て……」

 

「日本最大勢力のヤクザ月華って……」

 

「そ、蒼兄……も、もしかして……」

 

「この人……」

 

 

『ヤクザなのぉぉぉぉぉぉーーーーー!!??』

 

俺が蒼咬さんの自己紹介をし終えた瞬間、この人がヤクザの若頭だと知った友希那達5人は、とても驚いていた。

まぁ……当然の反応……だな。

 

 

「大丈夫ですよ皆さん!オーナーはこう見えて、とても優しいお方で、職員やこの事務所に所属しているアーティストら一人一人の事をとても気にかけてくれているんです!」

 

「あぁ、俺がこの事務所に入る前の頃……蒼咬さんがスカウトの話をしに来たんだが、その時も優しく出迎えてくれたんだ」

 

「まあ、俺の経営してる職場は全て激務だからな。そういった従業員らとのコミュニケーションは大事って事だ」

 

『成程……』

 

 

どうやら各々納得がいったのか、揃えて同じ言葉を述べて頷いていた。

 

 

「そういえば蒼咬さん。今日は確か俺、次のライブの打ち合わせだったはずなんですけど……晴海さんも同席するはずなんですが、他のスタッフと進めても大丈夫なんですか?」

 

「その点は大丈夫ですよ!ここに来る前に今日の打ち合わせの流れを伝えておいたので!」

 

「は、相変わらず仕事が早い事だ。てなわけで蒼司はそのままミーティングルームへ向かってくれ。俺は他の店の様子見に行かなきゃ行けないからな。これで失礼する」

 

「お疲れ様です」

 

「お気を付けて!オーナー!」

 

 

そう言って蒼咬さんは事務所を離れた。

 

 

「それじゃあ、私達もそろそろ行きますか!蒼司君も、後で落ち合いましょう!」

 

「はい。……それじゃあ皆、今日1日楽しんでくれ」

 

「えぇ、蒼司も……打ち合わせ頑張るのよ」

 

 

5人にそう言って、俺は一足先に事務所の中へ入っていった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜友希那side〜

 

 

「わぁ〜!!凄い衣装の数〜!!」

 

「此処はタレントさん達がライブの日に着る衣装を作ったり、手直し等をする所です!」

 

「凄い……私の知らない生地や装飾がいっぱい……あと、凄い人……あうぅ……(ŏ﹏ŏ。)」

 

 

私達は今、『衣装製作課』という所にきている。多くのスタッフさんを見て、燐子がクラクラしてるけど……大丈夫かしら?

 

 

「あわわ!?白金さん、大丈夫ですか!?でも……驚くのも無理ないです。タレントの人数が人数なので、此処の務所にいる総勢50人のスタッフが分担してタレントさんの衣装を考案、製作、手直しをしているんです」

 

「50人……それほど依頼される衣装が多い……という訳ですね……」

 

 

紗夜の言う通りね。これだけの人数で、作業をするという事は……それだけ依頼の数が多いということ。それは故に、ライブ等のイベントに参加する回数が多いということを裏付けてる様にも捉えれた。

 

 

「そういえば……Roseliaさんのあのカッコイイ衣装は、誰が作ってるんですか?」

 

「えっと……わ、私です」

 

「りんりんの作る衣装すっごくカッコイイんだよ!」

 

「それに、私達に合わせて1人1人気にかけて作ってくれるんです!」

 

 

そんな中、晴海さんが私達の衣装は誰が作ってるのか聞いてきた。それに対して燐子が答えると。リサとあこが燐子の作る衣装について話し始めた。

2人の意見に、私は同感だった。デザインもいいセンスをしているし、ライブのパフォーマンスに支障が出ないように一人一人よく考えて作っているのを、私含め、他の3人もよく知っていた。

 

 

「そんな……今井さんとあこちゃんまで……買い被りですよ……」

 

「そうなんですか!?あのカッコイイRoseliaさんの衣装を貴女が……!!……っとすみません、取り乱しました!えっと、それを見込んで白金さんに1つ提案があるのですが……?」

 

「提案……ですか?」

 

 

提案……一体何かしら?まさか燐子をヘッドハンティング……は考えすぎね……。

 

 

「もし白金が良ければ、ウチの事務所の衣装製作課のスタッフ何名かを白金さんの専属製作スタッフとして雇われてみては如何でしょうか?」

 

「せ、せせ……専属スタッフ!?むむむむむ無理です……!!わ、私……人と接するのがものすごく苦手で……あわわわ……(⁎×﹏×⁎)՞」

 

 

どうやら本当に考えすぎだったみたいね……それにしても、燐子、ものすごい拒否の仕方ね……あんな燐子、初めて見たわ……後で蒼司に話そうかしら?

 

 

「でも……以前晴海さんはその手の話に権限はないのでは……?」

 

「あ、確かそんなこと前にいってたね?」

 

「……ハッ!?す、すみません!そう言えばそうでした……ごめんなさい白金さん!変な事を言ってしまって……!!」

 

 

そう言えば……そうだったわね……って、もしかして晴海さんは天然……なのかしら?

 

 

「い、いえ……顔をあげてください。でも……せっかくですので、体験とか……してみたいんですが……」

 

「りんりん!?」

 

「燐子……ホントに変わったね♪今までならそういった話も直ぐに断ってたのに……」

 

「これも……自分を変える為なら……それに、滅多にない……経験だと思うので……」

 

リサの言う通りね。私達の知る今までの燐子なら……人と接すること自体よく避けてたから……そう考えると、ホントに燐子は変わったと思う。

これが……もしも仮にRoseliaが音楽事務所に所属することになった時の燐子のしたい事なら……尚の事、なのかもしれないわね。

 

 

「ホントですか!?でしたら、直ぐに此処の責任者と話をつけてきます!白金さんもどうですか?」

 

「は、はい……よろしくお願いします!」

 

 

そう言って晴海さんと燐子は衣装製作課の中へと入って行った……。

 

 

「私達も……仮に事務所に所属することになったら……普段経験し得ない事を経験できるのかもしれなせんね、湊さん」

 

「…………」

 

「湊さん?」

 

「!……ごめんなさい、燐子の行動を見ていて感心していたわ……」

 

「?そうですか……」

 

 

紗夜にはああ言ったけど……本当は違う。燐子のあの変わりようを見て……私はある事を考えていた。

でも……それを実行するかどうかは……まだ決めるには早いのかも……しれないわね。

 

 

「友希那……」

 

「お待たせしました!白金さんとはまたロビーで落ち合う手筈になりましたので……次は蒼司君の参加してる打ち合わせを見学しに行きましょう!」

 

「待ってました!!」

 

「蒼司……どんな風に此処で活動してるのかな……?楽しみだね、友希那!」

 

「ええ、そうね。行きましょう」

 

 

次はいよいよ蒼司の活動してる姿を見るべく、ミーティングルームへ行く事になったわ。

ここでしか見れない蒼司の姿……想像しただけdーー

 

 

「!?み、湊さん!?大丈夫ですか!?」

 

「ゆ、友希那さん!は、鼻血がーー!?」

 

「ご、ごめんなさい……!?蒼司の事を想っていたらつい……」

 

「友希那……蒼司のことになると相変わらずだね……」

 

『アハハ……』

 

 

うぅ……蒼司がいけないのよ?蒼司がカッコよすぎるから……私が想像しただけでそうなってしまうのは……

後で、お仕置きシナイトイケナイワネ……♡

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜蒼司side〜

 

 

「ヘクシッ!」

 

 

俺は今、次に行われるライブの打ち合わせを此処、ミーティングルームでスタッフの方と一緒に行っていたのだが……なんだ?得体の知れぬ悪寒に思わずくしゃみをしてしまった。

もしかして……友希那か?いやあいつに限って場を巻きまえてるからそんな事は……気のせいかな?

そんな事を考えていると、ミーティングルームの扉が開き、晴海さんと友希那達4人(・・)が入ってきた。

 

 

「お疲れ様です晴海さん……ところで、燐子はどうしたんですか?」

 

「皆さんお疲れ様です!えっとですね、彼女自身の希望で、先程衣装製作課の見学の際に少し職場体験をしてみたいと言ってまして。彼女とはまた後でロビーで落ち合う手筈になってます!」

 

「燐子が……?」

 

 

意外だった。燐子がそんな事を言い出すなんて……余程事務所の環境に興味を抱いたのか、それとも……

いや、考えすぎだな。それよりも晴海さんも来たんだ。今はライブの打ち合わせに集中しないとだな。

 

 

「せっかくなので、晴海さんも打ち合わせに参加してください。丁度今、それなりにまとまりそうだったので」

 

「分かりました!それではここから先は私が仕切らせていただきますね!」

 

 

そう言って、晴海さんも打ち合わせに参加した。友希那達は壁際で打ち合わせの様子を見学する様だ。

 

 

「えっと、打ち合わせは何処まで進みましたか?」

 

「はい。順に言いますと、チケットに関しては一般も会員限定の方も間もなく全て完売。このまま行けば締め切り待たずとも大勢のギャラリーの方が見に来ることが予想できます。次に当時の流れですがーー」

 

 

〜友希那side〜

 

 

「凄いですね……」

 

「そうだね……蒼司ってすごく頭の回転早いから、何時もああやっていち早く状況を理解してそれを共有、発信してるんだね……」

 

「あこの知ってる蒼兄もカッコイイけど……此処で活動してる蒼兄、ものすごくカッコイイよ!!」

 

 

皆がそう言っている中……私は平常心保っているようにしているが……心の中では今にでも舞い上がりそうなくらい嬉しかった。

だって……私の蒼司が、これまでに無いくらいカッコよく見えるのだもの!あのカッコ良さは罪……有罪、そう、無期懲役クラスのカッコ良さよ!!

 

 

「ああ……カッコイイわ♡蒼司……フフフ♡」

 

『……(汗)』

 

 

そんなこんなで私はリサ達に突っ込まれるまで……恰も1人の堕ちた牝みたいな顔を晒していたわ……。

 

 

「それで晴海さん、1つ提案があるのですが……」

 

「はい、どうしたんですか、蒼司君?」

 

 

それはさて置き、蒼司が晴海さんにある話を持ちかけた。

 

 

「先程も話したのですが、今回のライブのゲストバンド……まだひと枠空いているのですが、Roseliaをゲストバンドとしてお迎えしたいのですが、如何でしょうか?」

 

「いいですね!」

 

「僕、Roseliaのファンなんです!」

 

「やりましょう!晴海さん!」

 

 

そして持ちかけてきた話は、私達Roseliaを蒼司が行うライブのゲストバンドとして参加させるという提案だった。過去に蒼司をSOUGAとして私達のライブのゲストとして誘った事はあるけど、まさか誘われる日が来るなんて……流石だわ、蒼司♡

 

 

「私も、その意見に賛成です。Roseliaの皆さんは、どうなさいますか?」

 

「彼とは1度、私達の主催ライブでゲストとして招き入れました。何より彼が事務所に所属する前から互いに彼とは親しい仲なので……是非参加させて頂きたいです」

 

 

勿論私は、その誘いに対して二つ返事でOKをした。それに続く形でリサ達も頷いた。

 

 

「それでは決まりですね、今回のライブのゲストバンドの最後のひと枠として、Roseliaの皆さんを迎え入れます賛成の方は挙手を!」

 

 

晴海さんの問いかけにここに居る皆、満場一致で賛成して……今回の打ち合わせは無事終了した。

お疲れ様、蒼司。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「それにしても……燐子が職場体験するとは……思いもしなかったな」

 

「そうね、余程燐子の中で刺激されたものがあったのだと思うわ」

 

 

事務所の見学が無事に終わり、私は蒼司の家に泊まりに来ていた。蒼司の部屋のベットの上にて、私が今日の事務所の見学での話を蒼司に打ち明けていると、蒼司もそれに相槌を交わしながら聞いてくれた。そんな中、蒼司もやはり燐子の取った行動に意外さを覚えたらしかった。

 

 

「それを言うなら私からも……今日はとてもいい体験をしたわ。そして、いい知らせも……」

 

「友希那……」

 

 

そして私は、今日の見学がとても良い経験だったこと、蒼司のライブのゲストバンドとして蒼司が誘ってくれた事に、私はキス……と言う形で蒼司に御礼をした。

 

 

「それもこれも、晴海さんのお掛けだな」

 

「ふふ、そうかもしれないわね……」

 

 

晴海さんには今日は感謝の気持ちでいっぱいだった。なんたって、蒼司の普段見れない姿を見る事が出来たのだから……♡

私がそう思っている時、蒼司が「そう言えば」と話し始めた。

 

 

「友希那、リサからLINEで聞いたんだが……事務所で鼻血を出したのか?」

 

「!?そ、それは……///」

 

 

蒼司に……聞かれてしまった……あれは……あの醜態は私だけの秘密にしたかったのに……リサ、恨むわよ……。

 

 

「打ち合わせの時もお前の姿が見えたが……なんか1人だけ、淫らな顔してたぞ……1人の淑女、それも有名バンドのボーカルなんだから少し場をわきまえないとだnーー」

 

「蒼司が……から……じゃない……」

 

言わせて置けば、蒼司……元はと言えば貴方がイケナイのに……

私は心の中で何かが渦巻いて、それを行動に表した。

 

 

「ん?どうした友希nーー」

 

 

ドンッ!!

 

 

「うぉ……!?い、いきなり何をするんだよ友希那!?」

 

 

私は、蒼司をベットに押し倒して、無理やり蒼司の唇を奪い……私の舌で蒼司の口の中を蹂躙した。

 

 

「はぁ……はぁ……♡……蒼司が、いけないのよ?蒼司がカッコよすぎるから……普段見せない姿で私をいけない娘にしたから……♡」

 

「も、もしもし友希那さん?……1度落ち着いtーー」

 

「ダメよ?今日と言う今日は……蒼司に分からせてやるんだから♡私を怒らせると……どうなるかを……ね?♡」

 

「え、えっと友希那さん……!?自分らまだご飯を食べてないから流石にそれはちょっtーー」

 

「関係ないわ♡私だってお腹空いてるけど、今から蒼司って言うとっても美味しそうなご飯を頂くのだから……ジュルリ♡」

 

 

蒼司は何とかして私から逃げようとしてるのだろうけど……そうは行かないわ♡それに……遅かれ早かれ、そうなることは私でもあらかた予想はできたから、今更よ♡

 

 

「フフフ♡……今晩はさぞいいディナーを……フルコースにありつけるのね♡……」

 

「友希那さんお願いします。流石にお腹空いてて今からそれヤッたら……」

 

「この世の全ての蒼司(食材)に、感謝を込めて……イ♡タ♡ダ♡キ♡マ♡ス♡」

 

「嫌だァァァーーーーー……!!」

 

 

部屋中に蒼司の断末魔が響く中……私は蒼司という名のフルコースをめいいっぱい堪能した。勿論……蒼司の方も……ね?

兎にも角にも……晴海さん、蒼司?今日はありがとう。

 

 

 

〜END〜




大変お待たせしました。先ずは1ヶ月以上更新が空いてしまい申し訳ありませんでした。とある諸事情により青薔薇の姫君のモチベが急降下してしまい、更新日になっても執筆する指が動かなかった次第です……。
さて、重大発表ですが……しばらく青薔薇の姫君と蒼き竜騎士の更新及び執筆を休止します。理由としては、自分の不甲斐なさと言うか、この物語のチャートたるものを作成しておらず、中々ネタが思いつかなかった為円滑に執筆更新をする為の準備期間が欲しいからです。まことに身勝手ですが、ご了承の方よろしくお願いします。一通り準備が整い次第、再開しますので、それまでお待ちください。
最後に、高評価、感想等お待ちしておりす!!


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燐子編
season1燐子編:0話 プロローグ〜始まりの音色〜


どうも!ka-主です!アンケートの結果、燐子編になりました!次のアンケートも開催予定ですのでしばらくお待ちください!
それではseason1燐子編……どうぞ!


…………………………

………………

…………

 

♪〜♪〜♪〜

 

(またあの夢……この音はハープ?誰が弾いてるんだ?)

 

俺はそう思い周りを見渡す。すると廊下のおくからあの竜騎士が歩いて来た。

 

「このハープの音色…いつ聞いても美しい。誰が演奏しているんだ?」

 

そう言いながら竜騎士は歩いていきとある横の扉の前で立ち止まる……

どうやらここから聞こえて来るらしい。

 

トントントン

 

「オホン…失礼致します」

 

そう言って竜騎士はノックをして中に入る。

 

「ひゃっ!?だ、誰ですか!?」

「驚かせて済まない。私はこの度この城の竜騎士団の団長になった……と申します。場内の見回りをしていたら美しいハープの音色が聞こえたもので」

 

(彼女がハープを演奏していた娘か……何処と無く白金さんに似てる)

 

「あ、……貴方がお父様に……雇われたっていう竜騎士様……ですね……私はリンコっていいます」

「リンコ殿ですね……何かございましたら遠慮なさらずお声掛け下さい」

 

(リンコ……かホントに白金さんそっくりだ)

 

俺がそう思っていると……

 

「あ、あの……!ももし良ければ……私のハープ……聞いて貰っても……よろしい……でしょうか?」

「いいですよ」

 

〜♪〜♪〜♪〜♪……

 

そう言って竜騎士はリンコのハープの演奏を鑑賞した。

 

…………………………

………………

…………

 

「……ん?」

 

目が覚めると見慣れない所に俺はいた。

 

「あ……目が……覚めたみたい……ですね」

 

今にも消えそうな……それでいて優しい声が聞こえた。振り向くとそこには体育着姿の白金さんと氷川さんがいた。

 

「白金さん……氷川さん……えっと……ここは?」

「ここは保健室です。その、すみません。体育の授業で私がスマッシュしたバレーボールが騎龍さんの顔面に直撃してしまい……」

「ああ……それで俺は保健室にいるんですね?2人が運んでくれたんですか?」

「は、はい……ち、近くに……私もいたので……」

「ありがとうございます……俺はもう大丈夫ですよ」

「そうですか……それでは私達は先に教室に戻りますね。教室は分かりますか?」

「大丈夫ですよ」

「そ、それでは……蒼司さん失礼しました……」

 

そう言って2人は保健室を出ていった……おそらく誰もが気になっているだろう。俺がここ……『花咲川女子学園』にいるのか……

……時はそう、1週間程前に遡る。

 

 

 

 

……俺は不意に首に掛けてた首飾り(ペンダント)を取り出し開く。

そこには2人の写真……俺ともう1人……歳は20半ば程の女性とのツーショットの写真がはいっていた。

 

「『愛子さん』…。絶対に忘れる事の出来ない俺の『大切な人』……」

 

そう言って俺はペンダントを閉じ、静かに涙を流した……。

 

 

 

 

〜END〜




《次回予告》
「君には『交換留学』で花咲川女子学園に行って貰う」
「は、初め……まして……生徒会長の……白金…燐子です……」
「風紀委員長の氷川紗夜です」

「……!?ぐあぁ!?」

次回、『内気な生徒会長とクーデレ風紀委員長』!お楽しみに!

高評価、感想等お待ちしております!


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season1 燐子編:1話 内気な生徒会長とクーデレ風紀委員長

今回は蒼司の回想回です。


…………………………

………………

…………

 

あれは遡ること一週間前のこと……

 

「失礼します。3ーAの騎龍蒼司です。」

「どうぞ。」

 

Roseliaの反省会が終わった後…。学校から特に用がなければこれから来て欲しいと言う連絡を受けた。俺自身特に用はないし何やら急を要する感じだったため、私服のまま学校へむかったのだ。(ちなみに私服で来る許可はおりている。)

 

「急で済まないね。適当にかけてくれ。」

 

呼ばれた先は応接室。中には既に4人席についていた。真ん中に校長先生。両サイドに教頭先生。そして学年主任の先生がすわっていた。

 

そしてもう1人…クラスメイトではないが女子生徒が1人先生達と向かい合う形で座っていた。そして俺は彼女の隣に腰を掛けた。

 

「さて、突然だが…2人は『地域交換留学』について何処まで知っていますか?」

 

この質問に対して

 

「花咲川、羽丘、花羽の3校が交流と」

「学力向上を目的としてやるんですよね?」

 

そう互いに答えると

 

「その通りです。今回〇〇さんには羽丘女子学園へ、蒼司君には…」

 

中々留学先を話さない校長先生を見て俺はさとってしまった。

 

「花咲川に行くんですよね?いいですよ。」

 

予想外の答えだったのだろう。ここにいる俺以外全員が驚いていた。

 

「いいのかい?君は男子生徒。分かっていると思うが花咲川は女子学園。女子生徒しか居ないのですよ?」

「心配に及びません校長先生。俺は花羽の生徒として恥ずかしくないよう花咲川の生徒と関わるつもりです。」

 

「校長先生、ここは蒼司君に任せて見てはどうでしょう。」

「〇〇先生……。」

「確かに蒼司君は女子生徒とあまり接したことが無いと言えるでしょう。しかし、それを補うカリスマ性が彼にはあります。私はそのカリスマ性にかけてもよいかと思います。」

 

うえぇ…先生俺のこと盛るねぇ。なんか怖い。

 

「……分かりました。では2人の留学先は先程述べた通りで宜しいですね?」

「はい。」

「あ、あと……留学期間ですが、2学期いっぱいとさせて貰います。よろしいですね?」

 

二学期いっぱい?地味に長いぞ……でも、覚悟はできてる。

 

「はい。」

「それでは本校の留学生徒はこの2人にきまりました。宜しくお願いしますよ。」

 

こうして俺は花咲川へ交換留学することになった。……

 

…………………………

………………

…………

 

「皆さんご存知かと思いますが交換留学により私達のクラスの○○さんが花羽へ二学期いっぱい留学することになりました。それと同時に花羽からも1人今日からウチのクラスで過ごして貰う生徒が来ました。紹介します……入って来なさい」

 

交換留学当日。俺は花咲川の3ーAの担任にそういわれ教室に入る。

 

「初めまして。花羽から来ました、騎龍蒼司です。よろしくお願いします」

 

そう言って俺は辺りを見渡す。分かってはいたが、女子ばっかだ。そして俺はとある『女子生徒2人』をみて驚いた。

 

「騎龍君はあそこの白金さんの隣に座って貰います。あと、白金さんと氷川さんは騎龍君に我が校について色々教えてやって下さい」

「は、はい……」

「分かりました……」

 

そう、Roseliaの白金燐子と氷川紗夜がいたのだった……

 

…………………………

…………………

……………

 

授業中、周りの女子生徒からの視線がすごかったが……何とか昼休みまで頑張る事が出来た。

 

……さて、俺は今遭遇した事の無い事態にまきこまれとーてーも困っている。……それは一体何かと言うと……

 

「ねーね〜騎龍君!私達と一緒にご飯食べない?」

「私達とご飯食べよ〜騎龍君!」

「えー!私達と食べよ〜!ね?騎龍君!」

「私達と食べなさいよ騎龍君!」

 

四時限目が終わった瞬間にこれだ……クラスのとある女子グループや他クラスの女子グループそれらが総出で俺れに押しかけて昼飯相手の取り合いをしている。そう……困っている事と言うのは今まさに執り行われてるこの状況。花羽なら優馬や他の友人、クラスメイトらで飯を食えてたが……いくら交換留学で男子生徒1人女子学園で飯を食うっていってもそんな困らない……そう思ってたが、早計だった。

 

(羨ましい?モテるな〜?そう思った奴ら……今すぐ変わるか?)

 

「皆さん!静かに!!騎龍蒼司さん!私達と一緒に今すぐ生徒会室に来て下さい!!」

 

何かとどう乗り切るか考えていたら彼女……氷川紗夜が俺の周りにいる女子グループ共にそう一喝した。

……そして彼女の謎の威圧?によって彼女らはサイドにどかされる。そして出来た道を氷川さんは歩いて俺に近くと……

 

「話があるのでお弁当を持って何も言わずに来て下さい」

「は、はぁ……」

 

……俺は今日、初めて自由にメシを食えない悲しさを体験した……。

 

…………………………

………………

…………

 

「失礼します……」

 

氷川さんに生徒会室に連れてこられた俺は一言掛け氷川さんの後に続く形で入室した。

 

「ごめんなさい……蒼司さん。留学初日に……大変な目に合わせてしまって……」

「白金さん……いえ、氷川さんが助けてくれた(?)のでどうと言うことは無いんですけど……それよりもどうして白金さんがここに?」

 

生徒会室には白金さんがいて、顔を見るなり俺に謝ってきた。それに対して俺は大丈夫だと答えた。そして俺はどうして白金さんがここに居るのかが気になり質問した。

 

「あ……言ってなかったですね……ならこの場を借りて……自己紹介をさせて下さい……」

「そうですね、『今後の事』にも関わりますのでそうするべきですね」

 

そう言って氷川さんは白金さんの隣に来て俺の方を向く。

 

「それでは……改めて……花咲川の生徒会長の白金燐子です」

「風紀委員長の氷川紗夜です。騎龍さんにお願いがあります」

「お、お願いですか?」

 

一応学校案内のパンフ等をみたことがあるため白金さんの事は知っていた……しかし氷川さんに関しては初耳だった。そしてそう驚いてる間もなく氷川さんが俺に話しかける。

 

「は、はい……私達のクラスの○○さん……彼女は副会長だったんです」

「そうらしいですね」

「副会長と言えど生徒会のメンバーが1人不在になる事は余り我が校に関しては芳しくない事態です」

 

(大袈裟だろうが……花羽の彼女も生徒会のメンバーだったからわかる気がするな)

 

「そ、そこで……騎龍さんには……代理として副会長に今日から……なっていただきます」

 

(まあ話の内容からしてそうなるわな……)

 

「話は先生方に既に通してあります。……了承も得ているので後は騎龍さんの返答次第です」

「……こんな短時間に……周到ですね」

 

つまり今の俺にこの話を蹴ることは出来ない……そういうことらしい。

 

「……まあ答えは既にきまってますが」

 

俺はそう言って彼女……白金さんの方を見る。彼女は見てわかるように内気な性格だ。他の人物なら断ってた……そういう訳では無いが……俺は首にぶら下げていたペンダントを制服越しに握り締める。

 

『……妹を、燐子の事をお願いね蒼司君。君にしか出来ない事だから』

 

(そう……俺は『彼女と約束』したんだ。この話……断る訳にはいかない)

 

「……分かりました。微力ながらも白金さんのサポートに務めましょう」

「!あ、……ありがとう…ございます……!ではお弁当を食べながら…説明しますね……」

 

こうして俺は二学期いっぱいまでの代理副会長となった。

 

…………………………

………………

…………

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

白金さんと氷川さんから説明を受けながら昼飯を食べてる内に5限目の予鈴がなった。

 

「い、以上が花咲川生徒会の活動内容です……」

「ありがとうございます、指摘とかあったら遠慮なく言ってください」

「分かりました。……そろそろ5限目が始まりますね…そういえば騎龍さん、応接室は分かりますか?」

「?分かりますけど……どうかしましたか?」

 

(これはまた唐突な質問だな……)

 

「えっと……つ、次の授業……体育なんです……」

「あっ……(察し)」

 

道理で弁当の他に体操着のカバンまで持ってきたわけだ。

 

「しまった……体育着教室だ……」

 

おそらく今頃皆教室で着替えてるはずだ。このまま戻るのはまずすぎる。(色んな意味で)

 

「時間割見てなかったんですね……分かりました。私が持ってきますので、先に応接室に行ってて下さい」

「あ、ありがとうございます……」

 

5限目の体育の授業は……氷川さんのおかげで何とかギリギリ間に合った……

 

…………………………

………………

 

今日はバレーボールらしい。何チームかに別れて試合をする事になった。(ちなみに俺は白金さんと同じチームだ)

 

そして俺達のチームは氷川さんのチームに当たった。

 

「えっと……騎龍さんはバレーボールの経験は?」

「未経験っていったら嘘になるけど……一般レベルかな?自分で言うのもなんだけど運動はそれなりにできるよ?」

 

それを聞いた白金さん初めとする周りの女子が安堵した。

 

「じゃあいざと言う時は頼りにしてるよ騎龍君!」

「い、一緒に頑張りましょう……騎龍さん」

 

(まあ頑張ってやってみますか)

 

ピーーーーッ!!

 

そう思ってると試合開始の笛がなった。先行は俺達のチームでサーブは俺だ。

 

(……周りの視線が相変わらずすごい…)

 

やれやれとため息を着いて俺は氷川さんチームに向かってサーブを放つ。

 

「「!?」」

 

きゃぁぁぁぁぁ……!!

 

気づいたら周りは歓声が上がっていた。……

 

〜紗夜&燐子side〜

 

「「!?」」

 

(え!?何?今の……サーブ)

(は、早すぎじゃないですか!?)

 

気づいたらボールは壁にあたりバウンドしながら転がっていた……

コートを見てみるとアウトラインより少し内側にボールの擦れた跡が微かに見える『白い煙』と共に残っていた……

 

「騎龍君すご〜い!」

「これならコールド勝ちもあるんじゃない!?」

「す……凄かったです……騎龍さん……!」

 

当然だけど…驚きを隠せずには居られなかった……。

 

「ヒィ!?」

「きゃぁぁ!?」

「……」

 

私達のチームからはさっきから悲鳴が飛び交っていた……。

 

「そ、そろそろ私にサーブ権譲って貰ってもいいんじゃないんですか!?」

「そ、そーだよ!あんな球……絶対返せないよ!」

「せ、せめてサーブする人変えてよ!」

 

私らしからぬ発言を気に騎龍さんへのクレームが殺到した。

 

(少し加減するべきだったのか……?)

 

「まあそうなるわな……確か次は白金さんだっけ?ほらっ」

「ひゃ!?あ、ありがとうございます……」

 

騎龍さんは彼女達(紗夜チーム)のクレームに応えました……。

 

〜蒼司side〜

 

「そ、それじゃあ……行きます!」

 

ポーン!

 

白金さんの下打ちサーブによって後半戦が始まった。

 

「○○さん!レシーブ!」

「OK!」

 

さっきまでの悲鳴が嘘のような連携の取り方だった。

 

「白金さん!行ったよ!」

「は、はい!」

 

俺達のチームも負けずと連携でボールを返す。

……そして

 

「○○さん!上げてください!!」

「はい!氷川さん!今です!」

 

○○さんの上げたボールを見るなり氷川さんは助走を付け高くジャンプをして……

 

「はぁ!!」

 

氷川さんのスマッシュが『炸裂』した。そしてその先には……

 

「白金さん危ない!?」

「避けて!白金さん!?」

「まずい!?」

「きゃぁぁぁ!?」

 

このままでは当たって怪我をしてしまう!

 

「!?うぐっ……うわぁぁぁ!?」

「騎龍さん!?」

 

……俺は氷川さんのスマッシュボールをレシーブで返そうとしたが……

 

ドッターん!!

 

きゃぁぁぁぁぁ……!!!?

 

氷川さんの剛速球を捉えきれず……顔面に直撃して派手に飛ばされ気絶してしまったのだった……

 

…………これが俺が保健室へ運ばれた理由の回想だ。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 




《次回予告》
「りんりん!サポートお願い!」
「ブルーアイズさん!今です!」
「防御は任せてください!」

「よし!いっちょやってやるか!」

次回、『青薔薇の騎士団始動!』!お楽しみに!

次回はNFO回です!お楽しみに!高評価、感想等お待ちしております!


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season1 燐子編:2話 青薔薇の騎士団指導!!

どうも!ka-主ですNFO回です……しっかりまとめられるか不安です…
気張ってこ〜!!


今日は学校は休み。Roseliaの練習も今日は午前中に終わる。

 

「白金さん、さっきのフレーズとても良かったです」

「あ、ありがとう…ございます……」

「今井さんは気持ち重めに弾きましょう。少し軽くて全体的にハッキリ聞こえないです」

「OK音」

「あこのさっきのリズムの刻み方よかったよ。後は白金さんと今井さんの音を意識してみて」

「了解です!」

「氷川さんはサビの部分をもう少し意識して弾いて下さい。サビの部分はあくまでも友希那さんのメインです。それを忘れず弾けば完璧です」

「分かりました」

「友希那さんは氷川さんにも言いましたがサビは友希那さんのメインです。前に出すぎないように気持ち自分を主張する感じで歌って見ましょう」

「分かったわ蒼司」

 

今日も俺はRoseliaのマネージャーとしてメンバー1人1人にアドバイスをしていた。

 

「そろそろ時間になりますね……それでは最後にさっきの曲を始めから通してやりましょう」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

…………………………

………………

…………

 

「フゥ〜、今日も頑張った頑張った〜♪」

「そうね、これも蒼司…貴方のお陰よ」

「そんな……謙遜です。俺はただ皆さんのアドバイスをしただけです」

「しかし今までここまで充実した練習ができたのは事実です。……こ、これでも皆さん騎龍さんに感謝してるんですよ?」

「そうなんですね……」

 

練習が終わるとこのようにメンバーから感謝される。

 

(……当たり前の事をしたまでなんだがな……)

 

ピロリン♪

 

「ん?なんだ?」

 

不意に通知音がなりスマホを取り確認する。

 

『NFO公式:14時より期間限定4人マルチ限定クエスト《古城に降り注ぎ紅煌流星》開催!!』

 

「おっ今日からだったか。イベクエ楽しみだな」

 

NFO……『ネオファンタジーオンライン』は今流行りのPCオンラインゲームだ。好きなキャラ(アバター)を自分で作り数種類の職業で1人から最大16人ものプレイヤーとマルチプレイが出来る。スマホに公式アプリを入れていたため、イベクエの通知がきたのだ。

 

「皆、今日やったところは明日までに復習しておいて」

「了解〜♪」

「分かりました」

「了解です!」

「分かり…ました」

「それじゃあ俺こっちだから、皆お疲れ様!」

 

そう言って俺はRoseliaの皆と別れた。

 

「よし、帰って早速ログインだ!」

 

俺はそう呟き家え向かった。

 

…………………………

………………

…………

 

家に着き軽く昼食を済ませた俺は自室のPCの電源を入れNFOにログインする。ちなみにNFOサービス開始時から俺は毎日プレイしている為通算ログイン日数が1000日を超えていた。そしてNFO内でのプロフィールはこんな感じだ……

 

N.N(ニックネーム):ブルーアイズ(男)

rank:229

称号:魔界の英雄

職業:魔族《Lv.100》

 

ニックネームがこれなのは自分の目が蒼だからと言う簡易的な理由だがNFOに限らず全てのゲームはこれに統一してる。そして職業の『魔族』は、状態異常のスキルをメインとしており、他にも一部の黒魔法(攻撃系統の魔法)や白魔法(補助、支援系統の魔法)も使える為状況に応じて様々な行動が出来る個人的に気に入ってる職業だ。当然やり込んでいるためLv.はMAXの100。そして魔族の職業Lv.や魔族が解放可能なスキル全て解放する事により獲得出来る称号『魔界の英雄』を所持している。

 

ピロリン♪

 

りんりん『ブルーアイズさん、今回のイベクエ一緒に周回しませんか?』

 

個人チャットにりんりんがコメントして来た。今回のイベクエを一緒に周回したいとのことだ。ちなみにりんりんはウィザードの女性プレイヤーで俺とは長くフレンドとして偶に色んなクエストを周回している。

 

ブルーアイズ『俺は別に大丈夫!今回のイベクエ4人限定だけどあと2人はどうする?』

りんりん『あとの2人はフレンドの大魔王さんとサヨさんが参加します』

ブルーアイズ『了解です!VCの準備するので時間になったら招待してください!』

りんりん『了解(*^^*ゞ』

 

(りんりんが偶に打つ絵文字可愛いよな……)

 

俺はそう思いながらVCの準備をし、今回のイベクエ用に準備した装備に変える。今回のイベクエで出現するボス『スカーレットファルク』はこの間のアップデートで実装したドラゴン系統のレイドボスだ。簡単に紹介するとこのボスはレイドボスと言うだけありHP、攻撃力、防御力等何を差し置いてもトップクラス。しかし状態異常に対する耐性が極端に低く魔族やアサシン、ネクロマンサー等といった状態異常攻撃等を得意とする職業が表情に有利である。

 

そうこうしてう内にVCの準備が終え、イベクエ開始の時間となった。

 

ピロリン♪

 

りんりん『時間になりましたよ!招待ID送って起きますね!』

ブルーアイズ『サンキュ!りんりん!』

りんりん『ありがとうございます\(❁´∀`❁)/』

 

(……もう一度言おう…りんりんの絵文字可愛い……)

 

そう思い俺は招待IDを入力し、マルチルームへ飛んだ。

 

…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

ピロリン♪

 

『マルチルームにブルーアイズさんが入室しました』

 

私はそれを確認してVCをONにした。

 

「ブルーアイズさん…ようこそ!待ってましたよ」

『お待たせりんりん!他の2人は……』

『お待たせりんりん!イベクエ頑張ろうね!ブルーアイズさんも宜しく!』

『お待たせしました。りんりんさん、ブルーアイズさん、大魔王さん今日は宜しくお願い致します』

「ブルーアイズさん何時もと装備が違いますね……もしかしてスカーレットファルク対策ですか?」

 

私はブルーアイズさんが身につけてる装備が違うことに気づいた。

 

『そうだよ!あのボスは極端に状態異常の耐性が低いからね、僕の武器『ガスロ=サイズ』と相性のいい毒属性強化と状態異常持続時間UP…あとコンボ増加スキルで何時でも状態異常に出来るようにしたよ!』

『凄いブルーアイズさん!私も前衛でがんばる!』

『確か……スカーレットファルクは一定時間経過で行う高威力広範囲のメテオと防御力無視の特攻攻撃が厄介ですよね…ですのでもしもの時はタンクである私に任せて下さい』

『よーし!いっちょやってやるか!』

「時間も惜しいのでそろそろ行きましょう!……皆さんのサポートは私に任せて下さい!」

 

そう言って私はクエスト開始のボタンをクリックした。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

『ブルーアイズさん、大魔王さん!お願いします!』

「任された!」

『任せてりんりん!』

『守備は私に任せて下さい!りんりんさんはサポートお願いします!』

『はい!』

 

VCで作戦を決めた俺たちは互いに役割を果たして行った。

……バーサーカーの大魔王さんと魔族の俺は前衛でスカーレットファルクに攻撃。偶に隙をみてスカーレットファルクにデバフや怯ませ攻撃をしたり大魔王さんをサポートしたりした。

……サヨさんはタンクとして回避が間に合わない時や回避が困難な攻撃をガードして見せた。

……りんりんは俺達のサポートを主に補助魔法や支援魔法を俺達にかけてくれた。そして俺同様余裕が出来たら後衛で黒魔法をでスカーレットファルクに攻撃したりVCで俺達に指示を出したりしてくれた。

 

《目標を達成しました》

 

……長き攻防の末(差程時間はかからなかったが)、スカーレットファルクを討伐した。

 

…………………………

………………

 

しばらく周回した後、俺達はマルチルームでトークしていた。

 

りんりん『皆さんお疲れ様です!レイドボスなのに1回で討伐出来ましたね!』

大魔王『りんりんのサポートが上手かったからだね!』

サヨ『りんりんさんのサポートも中々でしたが、大魔王さんとブルーアイズさんがスカーレットファルクに積極的に攻撃してくれたお陰です』

ブルーアイズ『多分この4人じゃなきゃなしえなかったことだと思うな〜3人とも今回はありがとう!』

りんりん『いえ、こちらこそ……(*'▽'*)♪あの、1つ提案があるんですけど……』

大魔王『ん?どうしたの?りんりん』

りんりん『私達、ギルドに加入してないじゃないですか?調べて見たんですけど加入すれば今回のイベクエだけじゃなくてギルド内でマルチクエストを行った場所ギルド報酬が貰えるんです!』

サヨ『なるほど。つまりりんりんさんは私達専用のギルドを作りたい……そういうことですね?』

ブルーアイズ『いいねそれ!ナイスアイディアだよりんりん!』

りんりん『あ、ありがとうございます(*'▽'*)♪』

大魔王『いいね!作ろうよりんりん!』

りんりん『そうだね大魔王さん……あのギルド名は《青薔薇の騎士団》……なんてどうでしょうか?』

サヨ『《青薔薇の騎士団》…私達らしいですね』

大魔王『ウンウン!ちょーカッコイイじゃん!』

ブルーアイズ『俺もそれでいいと思うよ!』

りんりん『ありがとうございます……!早速ギルド作って招待しますね!皆さんお疲れ様でした(^O^)』

 

そんなこんなでりんりんの提案で青薔薇の騎士団が作られ俺達はそのギルドに加入した。

 

ピロリン♪

 

「ん?りんりんからの個チャだ。どうしたんだろ?」

 

りんりん『加入ありがとうございます(*゚▽゚)ノブルーアイズさんに相談があるんですけど……』

ブルーアイズ『どういたしまして!いきなりだね?どうしたの?』

りんりん『あの…大魔王さんとサヨさんとも話したんですけど、明日もし時間空いてたら私と大魔王さんとサヨの4人でオフ会しませんか?』

 

そう個チャに書き込みがあり、俺は脳内で明日のスケジュールを確認する。

 

(確か明日は午後からRoseliaの練習……そして夕方は……)

 

確認の結果午前中なら空いてることがわかった。

 

ブルーアイズ『午前中なら空いてるよ。場所とかどうする?』

りんりん『場所は……羽丘駅の近くのファストフード店はどうでしょう?』

 

(羽丘駅のファストフード店……もしかしてりんりんはそこら近辺の人なのか?)

 

ブルーアイズ『大丈夫だよ!俺羽丘駅の近くに住んでるから!』

りんりん『そうなんですね!では10時頃ファストフード店に集合でいいてましょうか?』

ブルーアイズ『了解!オフ会なんて初めてだから楽しみだなー!』

りんりん『私もです!ブルーアイズさんと会えるの楽しみにしてますね!今日はマルチありがとうございます!\(❁´∀`❁)/』

ブルーアイズ『こちらこそありがとうございます!時間も遅いのでこれで失礼しますね!』

りんりん『はい、お疲れ様でした!\(❁´∀`❁)/』

 

(……絵文字可愛いわ……)

 

そう思いながら俺はNFOを閉じた。

 

「明日……楽しみだな!」

 

明日のオフ会を楽しみにしながら俺は夕食の準備をするのだった。

 

……この時俺は明日のオフ会で会うメンバー達を見て驚くことになるのを予期すらしなかったのだった……。

 

 

 

 

〜END〜

 




《次回予告》
「3人とも……NFOプレイしてたの!?」
「嘘……騎龍さんがブルーアイズさん!?」
「騎龍さんにこんな1面があったなんて……」
「凄いよ蒼兄!」

「(ღ♡‿♡ღ)」

次回、『オフ会だよね!?』!お楽しみに!

高評価、感想等お待ちしております!


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season1 燐子編:3話 オフ会だよね!?

どうも!ka-主です!ヤンデレ作品描きたいけど……どうしようかねぇ
……?今回はオフ会です?(オフ会ですよ!)
それでは……どうそ!!


…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

(ここは…あの時の夢……?凄い人……)

 

お城の大広間と思われる場所には大勢の人がいた。そこには私によく似たお姫様……リンコがいた。そして、もう1人……

 

「あっ……竜騎士様……いらしてたのですね……」

「はい。陛下の指示で我々城の警備に当たっています」

「そうなの…ですね……私…パーティー見たいな大勢の来賓が集まる行事は……とても苦手で……」

 

(私と同じだ……あの娘も…人混みは苦手……なのね)

 

「大丈夫です。いざと言う時は我々がリンコ殿姫君を御守りいたします」

「ふふ……お優しいんですね……竜騎士様」

「その程度の事……当然でございます」

 

(あの竜騎士……顔は兜で見えないけど……何処か『彼』に似ている……気がする……)

 

「おお、リンコ殿。ここにおられましたか。それに竜騎士殿も……お務めご苦労さまです」

「爺やさん……どうされたんですか?」

「お父様……陛下がそろそろ準備をする様にと。ユキナ殿達もお待ちです」

 

(ユキナ殿…?湊さんに似た人もいるのね……)

 

「分かりました……それでは竜騎士様…警備、頑張ってください……」

 

そう言って彼女は爺や……大臣に連れられ広間の奥へと向かって行った

 

(あそこにいる人達……湊さん…Roseliaのメンバーによく似てる…)

 

「ご来賓の皆様。今日は我が国のパーティーにお越し頂き、誠にありがとうございます。今から私達姉妹の歌とダンス…ハープの演奏をご覧くださいませ」

 

湊さんに似た姫……ユキナさんがそう言うと今井さんとあこちゃんによく似たお姫様が前に出てリンコはユキナさんと氷川さんに似たお姫様と間をとった。……そして

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

リンコのハープの演奏と同時に前に出た2人は踊りだして…

 

「〜♪〜♪〜♪〜♪」

「〜♪〜♪〜♪〜♪」

 

残りの2人が歌い出した。

 

(とても……いい歌声…踊りも凄く綺麗……ハープもとても上手……)

 

私は思わず5人の姫君の見せる芸に見とれていた。……そして広間の端で竜騎士様もその様子を見ていた……ーーーー

 

…………………………

………………

…………

 

「ん……夢……?」

 

目を覚ますとそこはお城の大広間……ではなく、自分の部屋だ。

 

「ココ最近……似たような夢を見る……気がする…なんでだろう?」

 

そして私はピアノの方を見て、夢で聞いたハープの音色を思い出す。

 

(あの娘のハープの音色……とても綺麗だった……)

 

きずくと私はピアノを開け、椅子に座り、あの音色を弾き始めた。

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

…………………………

………………

 

しばらく弾いた後、私は朝食を食べにリビングへ向かった。今日はピザトーストとサラダ。飲み物は私の好きなホットミルク。朝の飲み物はこれに限ると私は思っている。

 

(今日は羽丘駅の最寄りのフード店でオフ会……なんだか……夢で見たパーティー見たい…)

 

私はそう思いながらトーストを噛じる。

 

(……美味しい♡)

 

サラダも食べながら、たまにホットミルクで口直しをしながら私はある事が気になった。

 

(ブルーアイズさん……羽丘の近くに住んでるのかな?この間のチャットでそう言ってたけど……)

 

ブルーアイズさん……NFOで知り合ったフレンドの1人でよくマルチ周回を手伝ってくれる。腕前の方は多分私より上かも……しれない。

 

(もしかしてブルーアイズさんって……いや、考え過ぎかもしれない)

 

私は朝食を食べ終えホットミルクを飲み干し今思った事に対して頭を振った。時計を見ると8時30分を刺していた。

 

「……そろそろ準備…しないと」

 

私はそう思って食器を洗って片付けたあと自室に戻って着替えをした。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

「ん〜いい天気だ。今日はいいオフ会になりそうだ」

 

雲ひとつ無い快晴の中、俺は待ち合わせのファストフード店へと向かっていた。

 

(オフ会の参加メンバー……どんな人達なんだろ?)

 

そう思いながら俺は街中を歩いていた。昨日のチャットから察するにりんりん、大魔王、サヨの3人は互いの顔を知ってる様に思えた。

そして……

 

(3人とも同じ地元なのかもな……そしてりんりん……リアルの方でも誰かそう言ってた様な……)

 

そう思いながら歩く事数分後……俺は待ち合わせのファストフード店にたどり着いた。

 

「まあ何はともあれ、今日のオフ会楽しんでいくか!」

 

俺はそう呟き店の中へ入って行った……

 

…………………………

………………

 

(昼前ってだけあってそれなりに人がいるな……)

 

俺はそう思いながら空いてる席に座って残りの3人を待った。……そして待つこと数分後…よく知る3人がファストフード店に入店してきた。

 

「あっ、白金さんに氷川さん。それにあこちゃんまで……3人でお昼かい?」

「騎龍さん?こんな所で会うなんて……奇遇ですね」

「お、おはようございます……騎龍さん……」

「蒼兄おはよぉー!蒼兄もここでお昼なの?」

 

そう言って3人は俺の席に来た。

 

「あー……実はこの時間にNFOのオフ会の約束してていまそのフレンドたる人を待ってるとこなんだ」

「「「え!?」」」

 

俺がそう言うと3人揃って驚いていた。

 

(ん?なんで驚いてるんだろ?俺がNFOプレイしてる事言ってなかったからかな?きっと以外に思えたんだろうな)

 

そんな鈍感じみた考えは3人が口にした言葉によって一蹴された。

 

「騎龍さん……今…NFOのオフ会……って」

「もしかして騎龍さん貴女……」

「蒼兄……もしかして……」

 

「「「あの……ブルーアイズさん!?」」」

 

「…………へ?」

 

(……待て、全然状況が理解出来ねえ……てか俺のニックネーム知ってるって事は……)

 

今度は俺が驚く番だった。

 

「も、もしかしてりんりんと大魔王…あとサヨさんって……」

 

「3人の事だったのか!?」

 

恐らく今までの日常の中で1番驚いた瞬間……出会いだった……そう俺は思った……。

 

…………………………

………………

 

俺たち4人揃った所で受付に行きそれぞれ好きなものを注文した。俺はダブルバーガーセットを白金さんとあこはパンケーキ+飲み物、そして氷川さんは……

 

「ぽ、ポテトL2つとコーラをお願いします……///」

 

……恥ずかしそうにポテトL2つとコーラを注文した

 

(……何故恥ずかしそうに注文したんだ?…もしかして……)

 

「……氷川さんポテト好きなんですか?」

「べっべべ別にそう言う訳では!こ、ここのポテトはとても美味しいと評判なので……///」

 

俺がそう言うと氷川さんは動揺しながらそう言った。

 

(図星だな……今度何か詫びるとき買って渡そう。うんそうしよう…てか恥ずかしそうしてる氷川さん……可愛いな)

 

「お待たせしました〜」

「ありがとうございます」

 

注文したものを持ち、俺達は席に戻りオフ会が始まった。

 

「……それにしても驚きました。3人がNFOプレイしてたなんて」

「それを言うなら騎龍さん……貴方もプレイしていたとは思いませんでした……」

「しかも蒼兄がブルーアイズさんだったなんて!あこビックリだよ!」

「うん……騎龍さんがブルーアイズさんだったなんて…驚きました」

 

……察しの人もいるだろうが、俺がブルーアイズ、あこが大魔王、氷川さんがサヨ、そして白金さんがりんりんだ。

 

(こうして見ると3人ともニックネームらしい面影持ってるよな……てか氷川さんそのまんまやんけ……)

 

そう思いながら俺はバーガーをかじった……うん、美味い。

 

「今こうして誰がどんなプレイヤーなのか把握出来たので言えますが…騎龍さん相当やり込んでますね」

「それあこもおもいました!りんりんと同じくらい操作上手だし!」

「ううん…私以上だよ……。騎龍さん魔族以外にもガンナーや龍換士のステもMAXだもん…私…ウィザードだけで精一杯です」

 

白金さんの言っていたガンナーはその名の通り、銃や弓といった遠距離攻撃を得意とした武器を装備して後方から攻撃サポートをする職業で、龍換士はドラゴン系統が使う技を覚え、時にはランダムでドラゴンモンスターを召喚して一緒に戦う職業だ。白金さんの言う通り、これら2つの職業レベルはMAX、解放出来るスキル全て極めている。

 

「でも白金さんも正直凄いですよ。モンスターの行動パターンや状況に合わせて様々な魔法を唱えてくれるから何時もマルチでたすかってます。オールマイティ…万能ウィザードだなって何時も思ってます」

「そ、そんな事……ないです…よ(//∇//)」

「…………」

「……?騎龍さん、どうかしたんですか?」

「うぇ!?べ、別に…なんでもないですよ?」

「どうして疑問形なのです?」

 

(いやだってさ……白金さんが顔赤くして照れてるんですよ?言葉失うくらい可愛い…じゃないですか)

 

俺はそう思いつつ、気を紛らわすためコーラを飲む……

 

「もしかして蒼兄、りんりんの照れ顔みて惚れちゃったり?」

「ンブッ!?……はぁ…はぁ……いきなりなに言い出すんだよ!?」

 

あこのさり気ない一言で動揺し、危うくコーラを吹きかけた……

 

「騎龍さん……貴方、白金さんをどの様な目でみてらっしゃるんです?」

「なっ!?ち、違います!ご、誤解です誤解!!」

 

(やばいやばいやばい!!氷川さんから怒りのオーラが!?)

 

こんな時白金さんが助け舟を出してくれれば……!と俺は白金さんを見た……

 

「……プシュー(/ω\)」

 

当の白金さんは更に顔が赤くなり湯気まで上がっていた……

 

「りんりん大丈夫!?」

「だ、大丈夫……プシュー(/ω\)」

「騎龍さん……この後の練習……覚えていてくださいね?」

「本当に誤解だってー!!」

 

そんなこんなでオフ会はお開きとなり、4人は午後の練習に備え一旦解散となった……

 

…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

家に戻った私はいつの間にかベッドに飛び込んでいた。

 

「私……どうしちゃったんだろう……」

 

私は落ち着こうと胸に手を当てて深呼吸しようとするも、心臓の鼓動が激し過ぎて中々落ち着かなかった……

 

(騎龍さんに言われた一言……)

 

『オールマイティ……万能ウィザード』

 

「……プシュー(/ω\)」

 

あの時恥ずかしくなったのは……偶然では無い。騎龍さんの言葉を聞いた瞬間……胸がきゅうっとなって全身が熱くなったのだ。『偶然では無い』……というのは彼が何時もRoseliaの練習で私のよかった所を指摘してくれる度にこう言った現象が起きる。

 

「私はこれが何なのか分からない……」

 

(あこちゃんや…他の皆に聞いてみよう……かな)

 

私はそう思ってRoseliaのグループチャット……ではなく個人1人1人に聞いて見る事にした。

 

…………………………

 

〜あこside〜

 

ピロリン♪

 

「あっ!りんりんからLINE来てる!なになに……えぇ!?」

 

〜リサ&友希那side〜

 

ピロリン♪ピロリン♪

 

「?何かしら」

「ん?燐子からLINEだ。どうしたんだろ?」

「リサも燐子から来たの?」

「もしかして友希那からも?どうしたんだろ?……えっ!?」

「これって……」

 

〜紗夜side〜

 

「ふぅ…」

 

(まったく……騎龍さん、貴方がそんな人だったなんて思いもしませんでしたよ……正直ショックです)

 

「……コーヒーでも飲みましょう」

 

…………………………

 

「……さて、まだ集合までに時間がありますし…少し練習でも……」

 

ピロリン♪

 

「?白金さんから……どうしたんでしょう……!?」

 

『氷川さん……突然ごめんなさい……。あの…騎龍さんと接していると…なんだか胸が少し苦しくなって…身体も……少し火照ってしまうんです……私は、これがどういうものか知らないです……教えて頂けないでしょうか?』

 

「白金さん……これは一体……」

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

練習時間より1時間早めに俺はCIRCLEに来ていた。

 

「…………」

「…騎龍さん。どうして正座をさせられているか分かりますか?」

「……白金さんを如何わしい目で見ていた……からでしょうか?」

 

そして俺は目の前の女性……氷川さんに正座をさせられている。対する彼女は仁王立ちで俺を睨めてる。

 

「その通りです。何故白金さんをそのような目でみたのですか?」

「ホントに誤解なんです……白金さんの……その……」

「なんですか?罪を認めておいて免罪だと言い張るつもりですか?大条際が悪いですよ」

「いやだって…白金さんのあんな照れて恥ずかしがってる姿見たら誰だってまじまじと見てしまいますよ!?」

 

事の発端は俺が今日行われたオフ会で不可抗力で白金をまじまじと見てしまったのが始まりだ。それを見たあこが事態を悪化させて今に至る…

 

「いくら不可抗力でも白金さんをそのような目で見ていた事に変わりはありません。その事については今日必ずケジメをつけて頂きます」

「け、ケジメ?」

 

ここに来て物騒なワードが出てきた。ケジメって……

 

(俺……何されるんだ?)

 

そう思っていると氷川さんは少し言いずらそうに口を開いた。

 

「……騎龍さんは、白金さんのことをどう思っているのですか?」

「へ?」

 

(いきなり何をいいだすんだ?白金さんをどう思ってるかって……)

 

とりあえず正直に言わないとまずい。そう思ったので俺は

 

「……キーボード…ピアノがとても上手で、学園内では静かな性格にも関わらず生徒会長で…」

「加えてNFOでは普段見られない彼女の姿が見られて……」

 

続けざまに言って、一呼吸おく。

 

「まるで……『大切だった人』が目の前に現れて…思わず……っ!?」

 

……自分でも無意識だった……迂闊だった……

 

「騎龍さん……」

「……ごめんなさい。さっきのは…忘れてください」

 

そう言って俺は立ち上がりスタジオを出ようとした……

 

待ってください!

「!?」

 

…………………………

 

〜紗夜side〜

 

「待ってください!」

 

私は思わずそう言って彼に抱きついていた。

 

「!?さ、氷川さん!?」

「っ!?……ご、ごめんなさい!私……」

 

そう言って抱きついていた手を離し……今度は手を握っていた。

 

「……ごめんなさい、私が変な事を聞いたが為に……我儘なのは分かっています……ですが、居なくならないでください……」

「……氷川さん…」

「私の前から、居なくならないでください!私、貴方が心の支えなんです!日菜以外に……Roselia以外で私のギターを理解してくれる人なんていなかった……だから!」

 

もう一度私は彼に抱きつく。……そして…

 

「騎龍さん……私、貴方のことが好きです!私のギターを理解してくれたあの日から!私、自分のこの想いが抑えられなかった……私より白金さんのことが『恐らく』好いている事はわかってます!思い出したくない過去を思い出させてしまい……ほんとに申し訳なく思ってます」

 

更に抱きしめてる力を強め

 

「……ですが、貴方しか居ないんです……だから…居なくならないでください…お願いします……」

 

…………………………

 

〜蒼司side〜

 

「お願いします……私の前から…居なくならないでください……」

 

この時……俺は自分が何をされているのか分からなかったが氷川さんの想いを聞いて自分は今氷川さんに告白されている事を悟った。

 

「氷川さん……少し、痛いです」

「ご、ごめんなさい!」

 

そう言われ離れる彼女の顔を見ると目に涙を浮かべていた。

 

(不可抗力とはいえ、彼女を泣かせてしまったな……)

 

「俺は大丈夫です……その、氷川さん」

「はい……」

 

しかし今……彼女を選ぶ事は出来ない

 

「…………」

「……返事は今ここでしないで下さい」

「……え?」

 

唐突すぎる言葉にどう反応したらいいか困ってしまう。

 

「騎龍さん……『今は』まだ返事を私に伝えないでください。必ず貴方は『選ぶ』事になります。できることなら私を選んで欲しい……いえ、これは流石に我儘がすぎますね」

「……どういうことです?」

「いずれ分かります……ですから今は私の『支え』として居させてください」

 

彼女の言ってる事が未だに理解出来なかったが、多分これ以上悲しませる訳には行かない……そう感じた。

 

「分かりました」

 

「おはよう〜!あれ2人とも早いじゃん!準備までしてくれて……どうしたの?」

「蒼司、紗夜まで……2人とも早いわね?どうかしたの?」

 

ステージの入り口からリサと友希那が入ってきた。時計を見ると練習時間になるくらいだった。

 

「今井さん、湊さんまで……実は今日騎龍さんが白金さんを如何わしい目で見ていたので、そのお灸を据えようと……」

「ちょ!?氷川さん!それは誤解だって!」

 

「「最低ね、蒼司」」

 

「だから誤解ですってー!!」

 

揃って同じセリフを……俺泣くよ?誤解やってんのに……

 

「あっ!もう来てる!」

「お、お疲れ様です…」

 

続いて白金さんとあこが入ってきた。

 

「燐子!蒼司に近づいちゃだめだよ!」

「今井さん!?」

「そうよ燐子。蒼司?燐子に何かしたら許さないわよ」

「だ か ら 誤解やってーー!!」

 

俺はそう泣き叫んだ……ホントに誤解やのに……(ToT)

 

端では氷川さんが笑いを堪えてる姿が見えた。

 

…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

練習も終わり私は家に帰り部屋にいた。

 

「……今日も、あの気持ちになった……騎龍さんが指摘する度にそう感じる……一体なんなんだろ?」

 

私はそう呟き胸に手を添える。

 

(また、バクバクいってる……どうしたんだろう私……)

 

ピロリン♪ピロリン♪ピロリン♪ピロリン♪

 

「!あこちゃん達から……え!?」

 

『りんりん、多分蒼兄のことが好きなんだよ!恋だよ!りんりん!!』

『燐子、多分蒼司に恋してるねぇ〜♪』

『燐子…多分蒼司に恋してるんじゃないかしら?』

『白金さん…恐らく騎龍さんのことが好きなのではないでしょうか?』

 

「そ、そんな!?だだだって私騎龍さんとはまだあって日がないのに!どうして?」

 

私は4人の返事を見て混乱しそうだった……

 

「お、落ち着いて私。……そうだ」

 

そう言って私はPCを立ち上げとある動画を検索する。その動画には『SOUGA』という野良のソロギターリストの路上ライブの様子が映っていた。

 

(彼のギター……とても上手……それに、心が落ち着くし、夢中になって見てられる……)

 

「……っ!?」

 

私は思わず立ち上がってしまった……気づいてしまったのだ

 

「これ……いや、この人…もしかして……」

 

多分……これが恋…なのだろうと私は実感た。その瞬間だった。そして私は『SOUGA』さんの動画コメント欄に

 

『(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)』

『とても素敵な演奏ですね♡』

 

そう書き込んでいた……。

 

 

 

 

〜END〜

 




《次回予告》
「白金さん……少しお話が……」
「りんりんなら大丈夫!頑張って!!」
「あこちゃん…私頑張るね!」
「…ねえ友希那。もしかして……」
「リサ…そうね。恐らく……」

「ほ、ホントにいいんですか!?」

次回、『内気な生徒会長は変わりたい』!お楽しみに!

ルートエンド考えたんですが……多分燐子編ではやりません……と思います。
好評価、感想等お待ちしております!


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season1燐子編:4話 内気な生徒会長は変わりたい

『俺の彼女は武士道アイドル』にて本作の関連ストーリーの連載をする事が決まりました!詳しいことは『俺の彼女は武士道アイドル』#番外
メタ回&今後についてをご覧ください!
それでは……どうぞ!


「ただいま〜」

「にゃあ〜」

 

家に帰った俺を1匹の子猫が出迎えてくれたコイツの名前はシロナ。体毛が白いことからそう名ずけた。CIRCLEに向かう最中、道端で弱っているところを見つけ拾ったのだ。

 

「シロナただいま〜、ほれ、今日も何時もの買ってきたぞ!今日はリサのクッキーもあるからな!」

「にゃっにゃお〜ん♡」

 

そう言って俺は猫用の器を持ってきて買ってきた猫缶を器にあけ、その上にリサのクッキーを2個食べやすいように砕いてまぶした。

 

「ふっ、がっついてるがっついてるw」

「ガッガッガッ……にゃ〜♡」

「そうか美味いか!残さず食べろよ」

 

そう言って俺はもうひとつ器を持ってきて牛乳を半分注ぎ、シロナの横に置いて部屋へとむかった。

背中にはギターをせおっていた……

 

「ふぅ……」

 

ギター、荷物を置き俺は一息ついた。

 

『私……騎龍さんが好きです!』

『まだ……返事はしないでください……いずれ分かりますよ』

 

「紗夜さん……」

 

俺は今日のRoseliaの練習(練習前)、紗夜さんに告白された。正直…訳が分からない。

 

「なんたって俺に告白なんか……ん〜、考えるだけ無駄……かな」

 

そう思い俺は夕食の支度をしにキッチンへむかった。

 

…………………………

 

夕食を済ませ、風呂から上がった俺は自室のPCを立ち上げ、鞄からビデオカメラを取り出し繋げる。

 

「……自分で言うのもあれだが、今日もいいかんじだな」

 

画面の先には1人の俺も同い年位の男がギターを手に路上ライブをやってる様子が映っていた。その男こと俺は数々のカバー曲を19時から20時位まで演奏していた。

……何故そんなことをしているのか……大学進学のための費用稼ぎの為だ。俺は1人暮しだが、生活費は特に問題はない。定期的に振り込まれるからだ。誰に……かは伏せておこう。

 

『動画のアップロードが完了しました』

 

「これでよしっと!」

 

俺は画面に動画の投稿が済むと伸びをした。……そして画面を見てある事にきずく。

 

「ん?過去の動画にコメントしてる人がいる」

 

路上ライブの様子を投稿する様になってからチャンネル登録者や再生回数などは日に日に上昇している。今では偶に同じ野良でライブするアーティストとコラボするほどだ。その1部の動画に視聴者から新しくコメントがされていた。

 

『(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)』

『とても綺麗な音色ですね♡』

 

コメントにはそう書かれていた。

 

『感想ありがとうございます!今後の励みになるのでこれからもSOUGAをよろしくお願いします!』

 

ちなみに俺は路上ライブをする時はSOUGAとして活動している。本名は、当然だが採用しない。

 

「それにしても可愛い絵文字使うよな……まさか白金さんが感想を書き込んでるわけ……っ!?」

 

感想を書いてくれた人物の名前を見ると『りんりん』……そう書かれていた。

 

「ほ、ほほほホントに白金さんが!?」

 

画面をもう一度見直す。……間違いなく白金さんだ。

 

「しかもチャンネル登録もされてる……」

 

(正直言って……嬉しい、嬉し過ぎる!あの白金さんが俺の動画を見てくれて……感想まで書いてくれて!チャンネル登録までも……!)

 

「って落ち着け俺!……でもでれ嬉しいばい!」

 

そう言って俺はPCの電源を落とし、ベッドへダイブした。

 

(すっげー心臓バクバク言ってる……オフ会の時から……いや、白金さんと会話してる時凄いドキドキするようになってる……)

 

もしかして……

 

「……俺、白金さんに惚れてる?」

 

『今は返事をしないでください……いずれ分かりますよ』

 

俺は首に下げてるペンダントを取り出し蓋を開ける。

 

「……愛子さん。俺なんかが……いいのか?」

 

俺は既に居ない『大切だった人』の名前をつぶやき……そっと眠りについた……。

 

…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

(あっ今日もSOUGAさん……いや、騎龍さん動画上げてる……)

 

あのコメントを書き込んだ後、私は彼が今日撮ったであろうライブ映像を見ていた。

 

「本当に…綺麗な音色……技術的には氷川さんと同じ位……かな?でも氷川みたいな力強い音色じゃなくて…騎龍さんは……なんだろう…所々優しい感じで…そっと抱き締めて励ましてくれるような……聴いてて癒される……」

 

ピコン♪

 

そう呟いていると、動画サイトの通知欄にコメントが書かれた音がなった。私はそのコメントを見るべく通知欄をクリックした。

 

「!!」

 

『感想ありがとうございます!今後の励みになるのでこれからもSOUGAをよろしくお願いします!』

 

(わ、私のコメント……返信してくれた!!)

 

「プシュー(/ω\)」

 

私はそれを見るなり顔が赤くしていた。

 

(は、恥ずかしいけど……な、なんだか…嬉しい♡)

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

「あっ…あこちゃんから電話だ……もしもし?」

 

何時もはNFOでVC機能を使ってでしか話さないけど……どうしたんだろ?

 

『あ!りんりん!今通話大丈夫だった?』

「大丈夫だよあこちゃん……それで…どうしたの?」

『ねぇりんりん、りんりんは蒼兄のことどのくらい好きなの?』

「!!……い、いきなりどうしたの?」

『えーと、りんりん蒼兄のことが気になってるって話してくれて…その時あこ『りんりん蒼兄に恋してるんだよ!』って言った時……りんりんがほんとに蒼兄の事好きだったらどのくらい好きなのかな〜って!』

 

(び、びっくりした……てっきりあこちゃんも騎龍さんの事好きなのかと思った……)

 

「た、多分……好き…だと思う。……どのくらい…かは…まだ自分でも分からない…かな?」

『そーなんだ!でね!あこいい事思いついたの!』

「……いいこと?」

『りんりん、蒼兄と休みの日にデートしちゃいなよ!』

「で、デデ…デート!?」

 

思わず声が裏返ってしまった……騎龍さんとデートだなんて……

 

(も、ものすごく……恥ずかしい……)

 

『実はね、次の週末お姉ちゃんと遊園地に行く約束してたんだけど…お姉ちゃんその日地元のイベントでライブしなきゃ行けなくなっちゃったらしくて……チケット1人分余っちゃったの!』

「い、いいのあこちゃん……お姉さんと遊園地は……?」

『いいのいいの!また空いてる休日に行こうって約束したから!』

 

(……なんだか…申し訳ないな……でもこんな機会…滅多に訪れない……よね?)

 

「ありがとうあこちゃん……それで、その遊園地…場所はどこなの?」

『えっとね……NSJだよ!』

「え、NSJ!?」

 

(そこって確か……有名なアトラクションが沢山ある…日本でもトップに入る位の遊園地!それだけじゃない……あそこは確か……)

 

『NSJなら今NFOのイベントやってるから2人で行ってきてNFOの世界を満喫しちゃいなよ!きっといいデートになると思うよ!』

 

(そう……NFOを初めとしたオンラインゲームや人気映画や漫画…アニメといった物の世界感を味わえる所でもある……)

 

1度は言ってみたい……そう思った回数は数しれない…けど……

 

「人混み……やっぱり凄いんだよね……」

 

そう、私は人混みが苦手故他人と余り接するのが苦手なのだ。……そんな自分を変えるべく、生徒会長になったんだけど……

 

『大丈夫だよ!きっと蒼兄がエスコートしてくれてりんりんの事守ってくれるよ!』

 

そうあこちゃんに言われた私は実際に騎龍さんとNSJにいった自分をイメージする……

 

「白金さん……大丈夫ですか?」

「ごめんなさい……人混み…凄く苦手で……」

「なら余り人混みがない所を行きましょう。……白金さん」

「!?き、騎龍さん?」

「手……繋い出いればはぐれたりしませんよ。大丈夫です。俺の命に変えても白金を守って見せます」

「き、騎龍さん……♡(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)」

 

(…………いいかも…しれない♡)

 

「ありがとうあこちゃん……今度のライブの時に誘ってみるね……」

『そう来なくっちゃ!!あこ、りんりんの事応援してるからね!ファイトだよ!りんりん!!』

「……うん!頑張るね、あこちゃん!」

 

そう言って私は電話を切った……。

私はすぐさまベッドにダイブした。

 

「騎龍さんとデート……楽しみ!♡」

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

「?今度は……氷川さん?」

 

今日はよく通話をする……そう思いながら通話ボタンをタッチした。

 

…………………………

 

〜紗夜side〜

 

『もしもし……』

 

私は白金さんにある事を伝えるべく、彼女に電話していた。

 

「白金さん、夜分にすみません……大丈夫でしたか?」

『は、はい…さっき、あこちゃんと電話していたので……』

「そうですか……あの、白金さん…少し、確認したい事があるのですが……」

『はい……なんでしょう?』

「…………」

 

言葉が咄嗟に出ないのは……恐らく、この後起きるであろう未来を恐れているから……

 

(ですが……たとえ起きることが分かっていても私は…前へ進むしかない)

 

「……白金さんは、騎龍さんに惚れている…そうですよね?」

『!?……は、はい……ど、どのくらい自覚してるかは…まだ分からない……ですけど……』

「そうですか……少し、安心しました……」

『?な、なんの事ですか?』

 

私はその場で2、3回深呼吸をし、話を続ける。

 

「白金さん……貴女に言っておかなくてはいけない事があります」

『……わ、私に…ですか……?』

「はい……私……」

 

「騎龍さんに告白をしました」

 

…………………………

 

〜燐子side〜

 

『私……騎龍さんに告白しました』

 

「…………え?」

 

……何かの間違い…そう、聞き間違いだと……私は思った。

 

『私も……騎龍さんの事が…好き…だったんです。一目惚れでした』

 

「……う、嘘……そんな……」

 

しかし氷川さんの言ったことは……聞き間違いなんかじゃなかった。

 

「返事は……どうだったんですか?」

 

(聞きたくない……でも逃げちゃダメだって……そう思う)

 

『返事は……まだ貰ってません』

「え!?」

「で、ですが今……告白したって……」

『確かに……あの時私は彼に告白しました……しかし……』

 

氷川さんは言葉を一旦区切り……

 

『私は……白金さん、貴女が必ず告白すると思ったからです』

「…………」

『正直……私は白金さんを応援したいです』

 

「……え?」

 

(……分からない…だったら何故…告白なんてしたんだろ?)

 

『ですが自分のギターをRoseliaの皆さんや日菜以外の…それも騎龍さんに認めて貰えるとは思ってもいなくて……凄く嬉しかった……』

「……自分の気持ちが…抑えられなくなった…そうですよね?」

『!……そうです。だから…告白しました』

「……そう…だったんですね……」

『白金さんも……同じではないでしょうか?貴女も騎龍さんに自分のキーボード…ピアノの腕前を評価してもらって……NFOでブルーアイズさんが彼だと分かった時……心のどこかで、彼に対する想いが変わったのではないでしょうか?』

 

氷川さんの言う通りだ。……自分のキーボード…ピアノの技術をRoselia以外の人に認めて貰えて嬉しさが混み上がって来た。事実騎龍さんのお陰…もあって技術面などはが上昇しつつあった。NFOにしてもそうだ。サービス開始当初から一緒にプレイしていたと思っていたら嬉しさが込み上げて堪らなかった……

 

(多分……これが恋…何だよね?きっとそう……)

 

「氷川さんの言う通り…だと思います。……私、騎龍さんと一緒にいる時間が愛おしい…騎龍さんと会話してる時間が私を変えてくれたんだと思います」

『白金さん……』

 

だから……氷川さん見たく、自分の気持ちにこれからは素直になってもいい……そう思うと私は止まれなくなった。自分の…この気持ちを伝えるのを。

 

「私…決めました。私、次の休みの日に想いを伝えます!騎龍さんに対する…私自身のこの気持ちをちゃんと……伝えたい!」

『ふふ…やっと、自分に素直になれましたね白金さん』

「は、はい……!」

『告白した瞬間……私達の運命は騎龍さんに委ねられます。……どんな結果になってもお咎めなしですよ?』

「は、はい!私達はRoselia…騎龍さんも…マネージャーでありながらもRoseliaの一員…私達の絆はそんなもので壊れたりしません!」

 

(そうだ……どんな結果になっても互いの事を嫌いになんかならない……)

 

私はそう確信しながらもそう言った。

 

『そうですね……では、休日は頑張ってください。さっきも言いましたが、私は貴女を応援してますから』

「はい!……お互いに頑張りましょう……氷川さん!」

 

そう言って私は通話を切った。そしてカレンダーを見て私は誓った。

 

「絶対に……伝えて見せる!自分のこの気持ちを……ありのままに!」

 

私はそう心に強く誓い眠りについた。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

今日も俺とRoseliaはCIRCLEで練習をしていた。

 

「……今日はここまでにしましょう。皆さん、お疲れ様でした」

「燐子、紗夜。最後の所……前回より良かったと思うわ」

「そうだな……2人とも、今日は特に良かったですよ。次回もその調子でよろしくお願いします」

「「は、はい!///ありがとうございます!」」

 

友希那の言う通り、今日は2人の技術面、一つ一つの音のだし方等が何時もより良かった。例えるなら……自分の気持ちに素直になってきた…そんな感じに思えた。

 

「……ねぇねぇ友希那」

「何かしらリサ?」

「2人のあの反応……もしかして……」

「リサもそう思ったのね……まさか紗夜も……」

「応援する相手が増えちゃったね♪2人とも頑張って!」

「そうね……」

 

2人がこの様な会話をしている事に俺は気づく事すらなかった。

 

「あ、あの!…騎龍さん!」

「白金さん?どうしたんです?」

 

気づいたら白金さんが何か言いたげにこちらに歩み寄ってきた。

 

(!……白金さん…今日も綺麗…だな。てかなんだかいい匂いがする……香水かな?前回の練習ではつけてなかった気がする……)

 

「え、えっと……私の事は名前…で呼んでください。名前で呼んでくれると……その、う、嬉しいですから……」

「?は、はあ……えっと……り、燐子…?これでいい?」

「!……は、はい///あ、ありがとうございます!え、えっと……騎龍さんは……」

「……俺も名前でいいよ燐子」

 

(燐子……そうやって呼ぶのもあり…かもな。慣らしておこう)

 

「は、はい……えと、蒼司さんは今度の休日は空いてますか?」

「……土曜日は夕方は空いてないけど……日曜日なら1日フリーだよ」

 

俺は燐子の答えに脳内でスケジュールを開いてそう答えた。

 

「え、えっと……も、ももし……蒼司さんが良ければ……日曜日、私と一緒にNSJにいきませんか!?」

「えぇ!?え、NSJって……あのNSJ!?」

「は、はい……こないだ…チケットが抽選で当たったんですけど……1枚……余っちゃって……ダメ…ですか?( ・᷄-・᷅ )」

「!!」

 

俺は燐子の顔(( ・᷄-・᷅ ))を見て失神しかけた……

 

(何今の!?めっちゃ可愛かったばい!)

 

昔からの癖で……それに似た表情で誰かが物事を頼んでくると俺は断れない……

 

「え、えと……本当にいいんですか!?」

 

思わず敬語になってしまった……

 

「はい!蒼司さんが良ければ……是非!!」

「わ、分かった……なら次の日曜日の朝……羽丘駅集合でいい?詳しい時間は追って伝えるから」

「!!…は、はい…!ありがとうございます蒼司さん!!\(❁´∀`❁)/」

「…………」

 

バタンッ……!!

 

「!?蒼司さん!?大丈夫ですか!?」

「えぇ!?蒼兄大丈夫!?」

「騎龍さん!しっかりしてください!」

「アチャ〜……」

「蒼司……大丈夫かしら?」

 

俺は燐子の天使笑顔(\(❁´∀`❁)/)を見た瞬間失神してスタジオで倒れてしまった……

 

(……Thank you verymuch GOD……がくし……)

 

俺は失神間際……燐子(彼女)の天使笑顔(\(❁´∀`❁)/)を見せてくれた神に感謝したのであった……。

 

 

 

〜END〜

 

 




《次回予告》
「それじゃあ行こっか燐子」
「は、はい……!」
「りんりん大丈夫かな……?」
「白金さんなら騎龍さんがついてますので…きっと大丈夫です」

「「燐子…頑張るのよ(頑張って!)」」

次回、『女ウィザードと男魔族のマルチプレイ!(デート回!)(前編)』!お楽しみに!

デート回だけど……まだまだ続きます!高評価、感想等お待ちしております!アンケート絶賛受付中です!


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season1 燐子編:5話 女ウィザードと男魔族のマルチプレイ!(デート回!)(前編)

今回早め?のデート回です。がんばるぞい!



…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

「王都に行きたい?」

「はい……私…子供の頃から人の多い所が苦手で……でもそんな自分をいつか変えようと思っていたのですが……」

「中々機会が伺えなかった……そう言うことですね?」

 

あの娘……やっぱり私と同じ……自分を変えようとあえて大変な道を選ぶ。

 

「しかし……陛下達が了解してくれるかどうか……!そうか!」

「?竜騎士……さま?」

「リンコ殿!私に考えがございます!一緒に着いてきてください!」

 

…………………………

………………

…………

 

「……んっ」

 

目覚めるとそこは何時もの自分の部屋だった。

 

(あの竜騎士……どんな事おもいついたんだろう?)

 

そう思い、私はカレンダーを見る。……今日は蒼司さんとNSJへデートする日だ。

 

「蒼司さん……貴方らな…どうやって私をつれていきますか?」

 

……時計はまだ6時を回ったばかり、しかし今日は新幹線に乗るとの事で早めに羽丘駅に来るよう言われてる。

 

ピロリン♪

 

『おはようございます!急で申し訳ないですが!7時過ぎに羽丘駅に集合しましょう!』

 

(……ホントに…急ですね……)

 

『おはようございます(*´▽`)ノノ!今起きた所ですので問題無いです!準備出来次第向かわせて頂きます!』

 

私はそう返信して少し急ぎめに支度を済ませた。

 

「忘れ物……は大丈夫……だよね?あとは……」

 

昨日……今井さんと服屋で春限定のワンピースとそれに合う帽子等を選んで買ってくれた。そのワンピースと帽子を今私は身につけている。

 

(今井さん……服選びのセンス凄いよね……ホントに…頭が上がらないよ……)

 

「頑張って私…!私には……皆が…ついてるから!」

 

そう言いきかせて、私は家を出たのだった。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

(迂闊だったな……)

 

俺はそう思いながら駅で乗車券を購入していた。迂闊……というのは燐子が集合時間をもしかしたら聞きに来るのでは?等と考えて自分で追って伝えると言質とって置いて集合時間を送るのを渋ってしまったのだった。

 

「落ち合ったら……謝ろう…」

「蒼司さーん!」

「っ!!」

 

声のする方を向くと、遠くから燐子が走ってこちらまで来たのだ。

 

「遅くなって……申し訳ございません!」

「いや……大丈夫だよ…それより俺こそごめん。集合時間追って伝えるって言ったのに伝えるの今日の朝になって……」

「ホント急で…急いできたんですよ?女の子は…その……準備とか時間かかるんですからね!(⑉・̆-・̆⑉)ムー」

 

「ぐふっ……!?」

 

(燐子……ホントに悪いと思ってるから……その顔((⑉・̆-・̆⑉)ムー)を今すぐやめてくれ……色々持たない)

 

「わ、わかった……ホントに悪い…朝食とって無かったら奢ろうと思うけど……」

 

グルルルルゥゥゥ〜……

 

「っ!?……お、お願いします……プシュー(/ω\)」

 

……誤解のないように言っておく。……今のは燐子の腹の音だ。

 

「……それじゃぁ燐子、そろそろ行こっか!」

「は、はい!」

 

乗車時間が迫って来たので俺達は新幹線のホームへと足を運んだ。……その際、駅弁と飲み物を燐子の分まで買ったのだった……。

 

…………………………

………………

…………

 

〜友希那&リサside〜

 

「燐子……今頃どうしてるかしら?」

「ついさっきホームで新幹線を待ってるってLINEで来たよ♪」

「燐子から?」

「うん!あと蒼司から似たような感じで」

「……そう」

 

私達は早朝からリサの部屋でこんな会話をしていた。

……2人のLINEを見る限り今頃新幹線に乗って遠出してるんだろうな…なんてアタシは思った。

 

「ねぇリサ……」

「どーしたの?友希那?」

「私は…紗夜じゃないからどうして蒼司に告白したかは分からない…普通応援するなら告白なんてしない……そうじゃないかしら?」

 

……私は紗夜が蒼司に告白した事に対して未だに訝しさが抜け無かった

 

「んー……アタシが紗夜なら…多分好きだって感情が抑えられなくなって紗夜と同じ行動をとっただろうな〜」

 

多分……紗夜はきっと…自分の感情に抑えが効かなくなったんだろう…そうアタシは思った。

 

「だけど友希那、2人がどんなきっかけがあって好きになって、告白したとしても……アタシ達には応援するしか出来ないよ」

「……そうね」

 

だから……燐子、紗夜。どんな結果になっても私達が支えてあげるからね!

 

「「だから燐子、頑張って!(頑張るのよ!)」」

 

…………………………

………………

…………

 

〜紗夜side〜

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

宇田川さんから……朝早くからどうしたのかしら?

 

「もしもし?」

『あっ!紗夜さん!おはようございます!』

「珍しいですね。宇田川さんがこんな時間にかけて来るなんて」

『実は……りんりんの事が気になっちゃって……』

 

(そういえば……今日白金さんと騎龍さんはNSJに行く日でしたね)

 

「白金さんなら……きっと騎龍さんがしっかりエスコートしてくれるはずですので大丈夫だと思いますよ」

『そーですよね!蒼兄がきっとりんりんを守ってくれるよね!』

「ええ、きっと守ってくれるはずです」

 

(白金さん……恐れる事は何もありません……貴女の思うがままに気持ちを伝えるのです)

 

私はそう思いながら、2人の無事を祈りつつ、宇田川さんと通話を続けました。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

……他のRoseliaのメンバーが燐子を応援してる事に関しては俺は知る由もなかった。

 

「それにしても……燐子はどうしてNSJに行こうとおもったんだ?」

「え!?……そ、それは…蒼司さんと一緒に1度行って見たかったから……」

「んー、そうなんだろうけどさ?燐子って人混みとか苦手じゃ無かったっけ?だから俺と行きたいだけが理由なのかな〜?って」

 

生徒会長にしてもそうだ。注目を浴びることを好まない……彼女はそう言う人物(・・)のはずだ。

 

「……変わりたいんです。……人混みとかが嫌いな自分を変えたくて…本当はNSJの話は辞めて置こうと思ったんです。自分は…きっと……迷惑かけるんじゃ無いかって……」

「そんなこと無いと思うけどな」

 

ホントに優しいよな……燐子って

 

「俺はまだあって日が浅いけど……それでも分かっていることがある…それは燐子が優しいって事。事実自分を変えたくて俺を誘ってくれた…普通……迷惑かけるって思うなら誘わないよ」

「……」

「だからさ、今日は自分に優しく、思う存分おれを頼ってよ!俺も燐子の苦手克服できるように頑張るからさ!」

「あ、ありがとうございます!\(❁´∀`❁)/」

 

「ぐふっ!?」

 

新幹線で俺は本日2度目の吐血をしました。

 

(いやまじで……燐子……可愛い過ぎん?)

 

俺は改めてそう思うのだった。……

 

…………………………

………………

…………

 

新幹線で色々会話してる内に、目的地のある大阪に着いた。分かってはいたが……やはり人が多い……。新幹線を降りた後、電車に乗り継ぎ、バスに乗ったりしてかれこれ10時が過ぎていた。……

 

そして……遂に

 

「んー!!やっとついたー!!NSJ!!」

「はい!……す、凄いです…ネットやテレビで見るのとは全然……スケールとかが違う……」

 

新幹線を降りてから、電車、バスを利用して1時間を有してやっと目的地のNSJ通称『NEO・STUDIO・JAPAN』にたどり着いた。

 

「あと……す、凄い人…です……」

「!……燐子」

 

(そうだ。今日俺は燐子さんの苦手を克服する為に全力尽くさんといかんのだよな!ここで不安そうにさせたらいかんばい!)

 

「なあ、燐子……ほら」

「!?そ、蒼司さん?」

 

俺は自分の左手を燐子に差し出した。

 

「手……繋げは絶対逸れないからさ……大丈夫!繋いだからにはよほどな事がない限り絶対離さない!」

「そ、蒼司さん……プシュー(/ω\)」

 

燐子は恥ずかしがりながらも、俺の手を握ってくれた。

 

「さっ!……そろそろ行こっか!」

「はい!今日はよろしくお願いします!」

 

……隠して女ウィザード(燐子)男魔族(蒼司)マルチプレイ(デート)がNSJにて幕をあげるのであった……。

 

 

 

 

〜to be continuous〜

 

 

 




《次回予告》
「蒼司さん……凄く…似合ってますよ…///」
「か、可愛い……!」
「おいおいねーちゃん!俺達と遊んでかない?」
「……俺の《彼女》になにしてんだ?」

「私……蒼司さんの事が……!」

次回、『女ウィザードと男魔族のマルチプレイ(デート回!)!(後編)』!お楽しみに!

高評価、感想等お待ちしております!アンケートもよろしく!


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season1 燐子編:6話 女ウィザードと男魔族のマルチプレイ!(デート回!)(後編)

投稿遅くなりました……!燐子編デート回後編です!最終回はまだ先なので御付き合い宜しくお願いします!
それでは……どうぞ!


「やっぱ人混みすげぇ……」

 

受付で入場券を2枚購入し、館内パスポートを手に俺と燐子はNSJの大広間に来ていた。ある程度人混みが多い事は予想がついていたが…想像以上だった。

 

「こりゃあ計画建てて行動しないとまずいかもな……なあ燐…子?」

「はぅぅぅ……ひ、人混み…凄すぎ……プシュー(/ω\)」

「だ、大丈夫か!?と、とりあえずベンチへむかおう?」

「は、はい……」

 

当の燐子はパニック寸前で目眩を起こしていた為、俺達はひとまずベンチで今後の計画を建てるついでに少し休む事にした。

 

…………………………

 

「燐子。コーラだけど大丈夫か?」

「あ、ありがとう…ございます。い、いただきます」

 

燐子が落ち着いた所で俺は予定通り今後の計画を考える事にした。

 

(と言っても……これはデートだ。燐子の意見を尊重しつつ人混みとかに極力巻き込まれない風に考えんとな)

 

「燐子。この人混み様だ……俺的にある程度の計画を建てて館内をまわろうと思ってるんだけど……燐子はどう思う?」

「は、はい……そう…ですね……」

 

燐子は一旦言葉を区切り見取り図が載ってるパンフレットを開いて考え始めた。

 

「わ、私……蒼司さんとせっかくのデートなので……その…NFO関連のアトラクション巡りをしたい……です」

 

(確か……今期間限定でNFO関連のアトラクションとかが半額で楽しめるんだっけな?)

 

今回のイベント等は事前に下調べ済みだ。確か半額以外でNFOのコスプレとかも楽しめたはず……

……そこで俺は頭の中である程度の計画が建った。

 

「よし、それじゃあNFO巡りをしよう。そろそろ昼だけど……NFOのコスプレが楽しめる『職業の館』に最初行くってのはどうだ?」

「いい…と思います!」

「よ〜し!そうと決まれば……Let's…っと、その前に」

 

俺はある事を思い出し、燐子の元へと近寄った。

 

「ほらッ!これならはぐれたりしないだろ?」

「!!……はい!」

「よ〜し!気を取り直して……」

 

「「Let'sGoーー!!」」

 

「「!!??」」

 

「そ、それじゃあ行こうか///」

「は、はい……///プシュー(/ω\)」

 

俺と燐子は共に赤くなりながらも、手を繋いで『職業の館』へと向かった……。

 

…………………………

………………

…………

 

「こ、ここが職業の館……」

「NFOの防具屋をモチーフにしてるんだな」

 

大広間から数分程歩いて俺達はNFOエリアの『職業の館』へたどり着いた。外装はNFOの防具屋をモチーフに造られている。ここではNFO内の職業専用装備コスチュームをレンタルできる施設だ。(ちなみにコスチュームが気に入れば購入できると言うファンには嬉しい場所でもある)

 

「じゃあ早速レンタルしに行こーぜ燐子!」

「は、ハイ!」

 

俺はそう言って燐子と一緒に施設の中へ入っていった。

 

「いらっしゃいませ〜!本日はNFOエリア『職業の館』に御来店ありがとうございます!本店ではNFOに登場する職業専用装備コスチュームを時間制でレンタルしています!更に!お客様が選んだコスチュームが気にればレンタル後ご購入も可能です!」

 

中に入るなりNFOの受け付け嬢姿の女職員が出迎えてくれた。ちなみに男性はギルドナイト姿である。

 

「じゃあ俺は魔族の装備で」

「わ、私は…ウィザードで…お願いします」

「かしこまりました!只今衣装の方お持ち致しますね!」

 

そう言って女職員は衣装を持ちに奥の方へと姿を消した。

 

「あ、あの…蒼司さん……」

「ん?どうした?」

「もうすぐお昼…なのにどうして…ここへ?」

 

燐子は恐らくレンタルの衣装を汚したらまずいと思ったのだろう。

 

「大丈夫だよ。俺も考えなしでここに来たわけじゃないからさ。今は衣装が来るのを待と?」

「蒼司さんがそう言うのであれば……」

 

燐子は半信半疑の感じでそう答えた。俺が昼前にここに来たのには確かな理由があった。しかしそれは実際例の衣装を来てみない事には分からない。

 

「お待たせしました!女性用のウィザードの衣装、男性用の魔族の衣装です!あちらの試着室の方でお召かえ下さいませ!」

 

「「ありがとうございます」」

 

女職員に礼を言って俺達は衣装を持って試着室へと向かった。

 

…………………………

………………

 

「凄いな……細かい所まで再現してある……」

 

魔族の衣装に着替えた俺はそう呟きながら試着室を出た。俺の魔族の衣装は初期の頃に入手し易いウィザードによく似た衣装だ。しかしウィザードの衣装とくらべたら恐らく魔族の方が武装感を漂わせるデザインとなっている。

 

「さて……肝心の燐子だが……着替えおえたかい?燐子」

「は、ハイ…い、いま出ますね……///」

 

(ん?燐子の声……少し恥ずかしめに聞こえたけど……)

 

そう感じた俺を他所に燐子が入っていった試着室の扉が開かれた。

そして俺は燐子の衣装を見て思わず釘付け冗談になった。

 

「oh……」

 

予想通り?燐子の衣装も初期の頃に入手可能な物だ。ならどうて釘付けになったのか……それはモチーフになったのは露出度(・・・)の高い装備だったからだ。そう……つまり……

 

「あ、あの……蒼司さん…あ、あまりこちらを見ないで…下さい…は、恥ずかしい…です……」

「す、済まない!その…モチーフの衣装がそれだとは思いもしなかったもので……」

 

例の女ウィザードの衣装は特に胸元が空いている。他の露出度もそれなりだが、胸元の方は特にそうだ。燐子の身体付きでこの衣装……男性諸君にはいい意味で『目の保養』悪い意味で『目に毒』だった……。

 

「そ、その……燐子?もしあれなら他のでも……」

「だ、大丈夫です!その…私、こ、この衣装…か、可愛いと思います!なので、蒼司さんは気にしないで下さい!」

「お、おう……」

 

恥ずかしながらも燐子はそう言った。彼女が良ければ……いいだろう。

 

(いや、いいのか!?)

 

「そうだ燐子!あそこでお昼にしよう!」

 

そう言って俺は燐子と手を繋いで『職業の館』の隣に建ってる『こんがり食堂』を目指した。

 

…………………………

………………

 

〜燐子side〜

私は今、蒼司さんとお昼ご飯を食べにここ『こんがり食堂』来ていた。

 

「ん〜腹減ったな〜!燐子は何食べたい?」

 

蒼司さんはそう言ってカウンターに張り付いてるメニューを私に見せながらそういった。

 

「そうですね……私は…?これは……あの、すみません…。この『カップル限定ドキドキ♡ペアセット』っというのは?」

 

メニューにはNFOで様々な補助効果などを付与してくれる料理やドリンクを採用した和〜洋食の料理、飲み物が書かれていた。その中にNFO内では見たことの無い『カップル限定ドキドキ♡ペアセット』という料理があった。

 

(……確かカップル要素はシーズンイベントのゲリラで出現するクエストくらいしか知らないな……と言うよりそれしか無かったような……)

 

そう思っていると店員の人が説明し始めた。

 

「『カップル限定ドキドキ♡ペアセット』ではNFO内の恋愛イベント要素を是非料理で堪能したいと言うファンのお声から出来たメニューです!男女ペアであればご注文は可能ですよ?」

「そ、そうなんですね…。じゃあこの『カップル限定ドキドキ♡ペアセット』がいい…です///」

「り、燐子!?」

「ご、ごめんなさい!…でも私…蒼司さんと食べて見ないな……っと思いまして…ダメ…ですか?( ・᷄-・᷅ )」

「ぐふっ!?」

 

私が蒼司さんにそう言うと蒼司さんは吐血…した!?

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫…燐子がそれがいいなら…」

「あ、ありがとうございます!それじゃあ…すみません。『カップル限定ドキドキ♡ペアセット』1つお願い…します」

「かしこまりました!会計は2000円です!」

「2000円…これでお願いします」

「2000円丁度お預かりします!」

「い、いいんですか蒼司さん?」

 

支払いをしようとした私より先に蒼司さんが店員に2000円を渡した。

 

「大丈夫大丈夫。これくらい払わせてよ」

「は、はい…///」

 

(なんだか…申し訳ないな……)

 

「それではお客様。奥の10番テーブルでお待ち下さい!」

「それじゃあ行こうか」

「はい」

 

私達は店員に言われた通りに10番テーブルへ移動した。

 

…………………………

 

〜蒼司side〜

 

「すまん燐子。ちょっとトイレ行ってくる」

「大丈夫ですよ…私はここで待ってますね」

「済まないな。行ってくる」

 

席に着くなり、尿意を覚えた俺は燐子に一言断って席を離れた。

 

…………………………

………………

 

「ふ〜…しかし、『カップル限定』……か確かにデートに来た訳だが…少し恥ずかしいな」

 

そう思いながらトイレからでると……

 

「い、いい加減にしてください!」

 

(ん?今の声は燐子?)

 

声がした方を向くとそこにはいかにもチャラそうな男2人に絡まれてる燐子がいた。

 

「燐子…!」

 

俺は急ぎ足で燐子の元へと戻った。

 

…………………………

………………

 

〜燐子side〜

 

「ねぇねぇ、君、可愛いねぇ〜!」

「!!」

 

彼を待っていると、いかつい男の人2人が私に絡んできた。

 

「な、何ですか……」

「君〜?1人ぃ?」

「俺達と遊ばない?」

「ご、ごめんなさい……私連れの人待ってるので……」

「え〜?なんだ連れの子いたのかよ〜」

「でも良いじゃねぇかよ〜!そいつ来るまで俺らと遊ぼうぜ?」

 

(この人達……話聞いて無かったの……?)

 

「そ、その…その人今トイレ言ってるので……直ぐに戻って来るので」

「まあそぉ言わずにさ〜ほら!」

「きゃあ!?」

 

何とかして追い払おうとしたが、無理矢理にでも連れていく気か……私の腕を掴んだ。

 

「待ってる時間退屈だろ?俺達が遊んでやるってんだよ!」

「や、やめて下さい!わ、そ、蒼…彼が来たら貴方達なんてただじゃ済まされ無いんです!他を当たって下さい!」

 

この人達に嫌気が刺し、私は少し強めの口調でそう言った。

 

「っ!言わせて置けばこの女!いいから来い!トイレ如きで女待たせるやつなんてほっとけばいいんだよ!」

「そーだぜ!そんな奴、トイレ口実にお前より可愛い女探しに行ったに決まってらァ!」

「っ!!……いい加減にしてください!!」

 

(この人達……蒼司さんの悪口を!蒼司さんはそんな人じゃない!)

 

「いいから離して下さい!人呼びますよ!?」

「っ!この!大人しくついて来いって!」

「い、痛い!!」

 

(こ、このままじゃっ!?…そ、蒼司さん!助けて!!)

 

ガシィ!!…ボキボキボキボキボキボキッ!!

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!?」

 

私の腕を掴んでいた男の腕から何かに捕まれ異様な音を起て、男は痛みに耐えかねず転がり回った。

 

「あ、ああ……」

「お前ら……俺の『彼女』に何してるんだ?」

 

私を助けてくれたのは……私だけの…王子様…いえ、竜騎士様(・・・・)

「そ、蒼司さん……」

 

…………………………

 

〜蒼司side〜

 

「蒼司さん……」

「燐子……」

 

燐子の顔を見ると燐子の瞳から涙が零れ落ちていた。

 

(燐子燐子ごめん……トイレに行ってたとはいえ、怖い目に合わせちまって……)

 

「おい……俺の燐子に何してくれてんだよお前ら」

 

燐子をこんな目に合わせたこの2人を生かしておく訳にはいかない……

 

「はっ!なんだお前?ナイト気取りか?ええ!?」

「うぐ…っ!よくも俺の腕を!!」

「は?何言ってるんだ?お前らが俺の『彼女』に怖い目合わせたのが悪いんだろ?当然の報いだ」

「このやろぉ!!」

「危ない!!」

 

腕を折られてない男が俺に向かって殴りかかってきた。

 

ガシィ!!

 

「はぁ…このまま尻尾まいて逃げてればいいものを」

「な!?何をォ!!……ぐふっ!?」

 

ドカッ!!

 

殴りかかってきた男の溝落ちに思い切り拳をめり込ませる。そして男はその場にの蹲った。

 

「さて……おいお前。もう片方使い物にされたく無ければそいつ連れてとっとと失せな」

「っ!?……お、覚えてやがれ!!」

 

そう言って男達2人は逃げるように店から出ていった。

 

「燐子!!」

 

俺は燐子の方を振り向いて燐子の無事をもう一度確認する。

 

「大丈夫か!ケガとか……してないか?」

「は、ハイ…け、けど……」

 

「……す、凄く…怖かったです……とても…早く…来て欲しかった…」

 

そう言って燐子は泣き出した。よっぽど怖かったんだろう。

 

「ごめんな燐子。俺が戻るのが遅かったが為に……ほんとにごめん」

 

そう言って俺は燐子にハンカチを渡した。

 

「ほ…ほんとに悪いと思ってるんなら……この後私の乗りたいアトラクション全部付き合って下さい!」

 

涙を拭いながら燐子はそう言った。

 

「そ、それで許してくれるなら……」

「ほんとですね?言質とりましたよ?」

「ああ、ほんとにほんとだ」

「蒼司さん……ありがとうございます」

「どういたしまして」

 

思いもよらぬハプニングから何とか立ち直れた燐子を見て俺は胸を撫で下ろした。

 

「お待たせしました!カップル限定ドキドキ♡ペアセットです!」

 

席に着いたと同時に店員が例の料理を持ってきてくれた……のだが

 

「えっと……」

「こ、これは……///」

 

届いた料理は、2人前並の大きさのチキンオムライス、そしてカクテルドリンク……確かピンクのモーツァルト…だった気がした…それが1つ

 

……そしてオムライス用のスプーンが1本、ストローがハート型に作られたものがドリンクに刺さっていた。まさにカップル限定の料理という訳だ。

 

(こ、これって……もしかして『あ~ん』ってするやつか!?)

 

「そ、蒼司さん……///」

「り、燐子……///」

 

「「いただくか(いただきましょう)」」

 

周りからの視線に顔を赤らめながらも2人は『カップル限定ドキドキ♡ペアセット』を頂いた。

……ちなみにあとから来たフルーツパフェも仕様によりロングスプーン1本だけしか来なかった……。

 

…………………………

………………

…………

 

昼飯を終えた俺達はもう一度『職業の館』へ行き、元の私服に着替えた。そして俺は

 

「すみません。さっきまでレンタルさせて貰ったウィザードと魔族の衣装……彼女も気に入ったみたいなので購入したいです」

「かしこまりました!2着で1万円になります!」

「……これでお願いします」

「ハイ!丁度お僅かり致します!ありがとうございました!」

 

俺は早めに着替えて例の衣装を購入したのだった。

 

…………………………

 

「蒼司さん……」

「ん?」

 

私服に着替えた燐子が俺の両手に持つ衣装を見て驚いていた。

 

「もしかして……買ったんですか?」

「ああ、燐子……凄い喜んでたから」

 

そう言って俺は燐子にウィザードの衣装を渡した。

 

「あ、ありがとうございます!\(❁´∀`❁)/」

「うぐっ…そ、そうだ燐子。次どこ行きたい?」

 

例の約束を思い出した俺はそう問いかける。

 

「ふふっ…そうですね……」

 

……その後俺は燐子の乗りたいというアトラクションの数々に想像以上の疲労を覚えるのだった……

 

…………………………

………………

…………

 

「つ、疲れた〜……」

 

(燐子……容赦無かったな……あんなたくさん乗ることになるなんて)

 

俺は燐子に連れられるがままに数々のアトラクションを乗った。流石にヘトヘトだった……

 

「お、お疲れ様です……蒼司さん」

「あ、ありがとう燐子……」

 

燐子からコーラをもらい感謝をのべた。……そして時間はそろそろ16時を刺す所だった。

 

「……時間的にあと1つ乗れるけど……何に乗りたい?」

「……実は……『最後』に乗ってみたいものがあるんです……」

 

俺は燐子と一緒にその乗り物の場所まで行った……。

 

…………………………

 

燐子が乗りたかったもの……それは観覧車だった…。

 

「蒼司さん、見て下さい!…NSJの敷地…ここから見ると綺麗です」

「そうだな……最後にはいい場所だな」

 

幸い、観覧車は空いていたため早く乗れた。燐子の言う通り、ここから見える景色は絶景だった。

 

「最後……じゃないですよ……」

「燐子?」

 

最後じゃない……確かにそう聞こえた……どういう事だ?

 

〜燐子side〜

 

「最後……じゃないですよ……」

「燐子?」

 

観覧車の中では私と蒼司さんが向かい合うように座っている。そして私はそう言って席を立ち、蒼司さんの隣へ座った。そして私はそっと蒼司さんの右手を握った。今日のデートで、私を先導してくれた右手…お昼の時にいかつい男2人から守ってくれた右手……その手を優しく、握った。

 

「……」

「……」

 

一時の沈黙が流れた。そしてその沈黙が私の背中を押してくれた……ように感じた。

 

「蒼司さん。あの…私……」

「燐子……」

「私……ここで見た景色を…蒼司さんと見たこの景色を忘れません。いえ…ここで見た景色を最後…ではなく始まりの景色にしたいです。蒼司さんと見たこの景色と同じ場所へ蒼司さんと一緒に眺めてたい。蒼司さんとでしか感じられないこのときめきを蒼司さんと共有したい……」

「それって……えっと……つまり…?」

 

私は一息置いて蒼司さんの顔を見た。蒼い髪。蒼い瞳……その瞳に宿る力強くて、優しい光……それを引き立てるようなスっとした顔つき……

 

「私、蒼司さんの事が好きです」

「!!」

「練習の時、蒼司さんからのアドバイスを聞いてた時……自分のキーボード…ピアノの腕をRoseliaの皆以外から認められたと感じた時……心のそこが暑く、締め付けられました…それ以降蒼司さんと会話してる度に同じ感覚に囚われて…それが恋だと初めて気づかされた時……自分が蒼司さんの事が好き…なのだと初めて実感しました……こんな気持ち…経験は…初めてでした」

「燐子……」

 

気づいたら観覧車は天辺まで上がっていた。そして丁度夕日が私と蒼司さんを優しく照らしていた……。

 

「そして……今日、このデートを通して、この景色を見て決心しました!…蒼司さんの傍にいたい!蒼司さんに私のキーボード、ピアノの腕をもっと認めて欲しい、感じて欲しい!この景色をまたどこかで蒼司さんの隣で見てみたいって!…だから!」

 

「こ、…こんな私ですけど……人前で上がりガチな…誰よりも内気な私ですけど……付き合って下さい!」

 

(つ、伝えらた……!私の気持ち!そのまま蒼司さんの心に……届いて!)

 

〜蒼司side〜

 

「…誰よりも内気な私ですけど……付き合って下さい!」

 

直後、俺達の乗ってる観覧車が下へと降り始めた……俺は燐子の瞳を見る……初めてあった時はオドオドしていて…些細な事でも泣き出しそうな彼女瞳……けど今は違う。彼女の今の瞳には明らかにそんな自分を変えたい、俺と共に歩みたいとうったえかけている……そんな目をしていた……。

 

……今度は俺が燐子に想いを伝える番。

 

「燐子……俺もお前が好きだ!」

「!!」

「俺さ……実は、観覧車乗る前まで……ずっと悩んでた」

 

「けど俺……決めたんだ…燐子の時折見せる『笑顔』をみて…この笑顔を守りたい!ずっと傍に居て燐子をもっと笑顔にしてやりたいって!」

 

「だから……この俺で良ければ……付き……んむ!?」

 

気が付くと俺は燐子に唇を奪われていた……

 

「んちゅ♡チュッ♡チュッ♡レロレロ♡……」

「んん♡レロレロ♡チュッ♡チュッ♡……」

 

どれくらい……キスをしていたのだろう……観覧車はそろそろ1周し終える所だった。

 

「燐子……」

「蒼司さん……」

 

燐子の顔はリンゴ見たく赤くなっていた。恐らく……俺も赤くなってるんだろうな。……俺はそっと、首にさげていたペンダントを握った。

 

(これで……良かったんだよな?)

 

あの人(・・・)からは何も返って来なかった……その代わり、答えは別の人物から返ってきた。

 

「蒼司さん……わ、私で良ければ……」

 

燐子は自分を落ち着かせるかのように一呼吸置いて……

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

 

「こちらこそ」

 

今日この瞬間……俺と燐子は恋人同士となった……

 

……だが、何故だろう……

 

 

嬉しい筈なのに……

 

 

 

心の底から……『嬉しい』とは思えなかった……。

 

 

 

 

 

〜END〜




《次回予告》
「紗夜さん……実は」
「!!っ……そうですか……」
「おねーちゃん……」

「蒼司さん……実はですね……」

次回、『内気な生徒会長は変わりたいpart2』!お楽しみに!

投稿遅くなりました!早くも燐子と結ばれましたが今後はどうなるのやら……。
高評価、感想等よろしくお願いします!


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season1 燐子編:7話 内気な生徒会長は変わりたいpart2

投稿おまたせしました!今回は燐子が色々行動する回です!そしてそれを見守る主人公ともう1人……お楽しみに!
それでは……どうぞ!


…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

私はまたあの夢を見ていた。しかしいつも見るお城……じゃなく所々青薔薇が咲く綺麗な城下町だった。

 

「竜騎士様……こ、ここは?」

「ここは王都ブルーローズ。ここならリンコ殿が変われるキッカケが見つかるのではないかと思いまして……」

 

とても綺麗な町……確かリンコは私と同じ人混み嫌いで、それを直そうと竜騎士さんが動いてくれた……んだっけ?

 

「お気ずかいありがとうございます……ですが…お父様に相談されてないので……もし見つかったら……」

「大丈夫ですよ。陛下いわくリンコ殿達にも外の事は知るべきだと仰られておりましたから」

「そ、そうなんですね……そ、それでは…竜騎士様…ご案内お願い致します……」

「はい!僭越ながら竜騎士としてリンコ殿を王都ブルーローズの内部をご案内致します」

 

そう言うと竜騎士さんはリンコの手をとり、王都内へ進んでいった……

 

…………………………

………………

…………

 

「……また…あの夢……」

 

今回見た夢はまるで……この間のデートみたいだった。

 

「デートと言えば……この間、蒼司さんが料理を教えてくれるから……家に泊まりに来るんだっけ?」

 

そう言いながら私はスマホのカレンダーを開く。どうやら今日がその日のようだ。

 

「楽しみ…だな……蒼司さんが……私に料理を教えてくれるなんて……夢見たい(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)」

 

私はそう言って学校の支度をした。

 

…………………………

………………

…………

 

「燐子。次の生徒総会の資料はこんな具合で大丈夫か?」

「そう…ですね……いいと思います。その資料職員室にいる生徒会顧問の先生に提出して貰っても…いいですか?」

「了解、赤羽先生……だったけ?」

「はい…赤羽先生に提出お願いします……」

 

私がそう言うと蒼司さんは生徒会室を後にした。

彼が代理の服生徒会長となってから、生徒会の仕事がスムーズに進んだ。

 

(彼の重荷にならなければいいのだけれど……)

 

「あの〜燐子先輩?」

「!ど、どうしたんですか?市ヶ谷さん」

 

私がそう考えていると生徒会書記の市ヶ谷さんが話しかけて来た。

 

「最近…その騎龍先輩と仲がいいなって思うんですけど……もしかして付き合ってます……あっ!いえ別に…付き合ってるからどうと言う訳ではないんですけど……!」

「え、えっと……蒼司さんと…付き合ってます…よ?」

「そ、そうだったんですね!何か先輩が男子生徒と付き合う何て意外だな〜って」

 

どうやら市ヶ谷さんには私が恋愛関係に関わる事が意外に思えたらしい。

それもそうだ。市ヶ谷さんもバンドをやっている。技術面からしたら私達よりかは劣るが……何処と無くお客さんを引きつける魅力がある……そう私は思っている。

同じバイトをやってる者からすれば私が恋愛関係に関わるのは意外に思えるのも無理はない……そう思った。

 

「彼は……とてもいい人…です。私のピアノ……キーボードの腕前を誰よりも認めてくれて評価してくれます。私だけじゃく……Roseliaの皆の評価も同じように認めて…指摘してくれるんです」

「そうなんですね……もしかしてデートとかも…されたりしたんですか?」

「は、はい……この間の休日NSJで……付き合う前デートに行きました……その時の蒼司さんかっこよかった…ですよ?例えば……」

 

私は市ヶ谷さんにあの日のデートの蒼司さんの魅力を思う存分話し始めた……

その後熱が入りすぎたと感じて顔を赤くしたのは内緒だ。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

「失礼しました……」

 

赤羽先生に書類を提出した俺は職員室を出た。先生に書類を渡すだけのつもりが、ついつい世間話という名の雑談に花を咲かせてしまった。

 

(さて、燐子が待ってる……早く戻るか……)

 

そう思った俺は生徒会室へと歩き出した……

 

「あら?騎龍さん?」

「!…氷川さん」

 

直後、正直言って会うのが気まずい人に声をかけられた。

 

「……奇遇ですね?氷川さんも職員室に?」

「いえ……私は委員会活動でたまたまここを通りかかっただけです……しかし……」

 

氷川さんはそう言って言葉を詰まらせた……

 

「少し……話をしませんか?」

 

……かと思いきや、いきなりの発言に俺は戸惑った。

 

「えっと……まだ生徒会の仕事があるので……」

「直ぐに終わります……着いて来てください」

 

そう言われ俺は氷川さんと共に屋上へ向かった。

 

…………………………

………………

 

「騎龍さん……」

「氷川さん……」

 

「「…………」」

 

なかなか……本題に入れなかった。

 

「……あの時の返事……まだでしたね」

「!!……そうでしたね。……それで、騎龍さんは私を選んでくれるのでしょうか?」

 

痺れを切らした俺はこれが本題であろう言葉を口にした。案の定、氷川さんはあの時の告白の返事を待っていたのだ。

 

「……ごめんなさい。俺は燐子と付き合う事になりました。……氷川さんを選ぶ事は……出来ません」

「!!……そ、そうですか……」

「はい……」

 

「「…………」」

 

再び沈黙が流れる。しかしさっきとは比べ物にならないくらい重い。

 

「その……ごめんなさい…氷川さんを選べ無くて……」

「大丈夫です……こうなる事は……あら方予想が出来てましたので…後悔はしてません」

「……き、嫌いに…ならないんですか?」

「何故です?私は確かに振られましたが……別に私のギターを見て貰えなくなった訳じゃ認められなくなった訳じゃ無いので……それだけで十分です……」

 

(……嘘だな。だって氷川さん……)

 

氷川さんの顔は……氷川さんの瞳からは今にも涙が零れそうだったからだ……

 

「あの……騎龍さん。……一つ…一つだけでいいです。私の我儘を聞いて下さい」

「我儘……?」

「はい……私と……友達になってくれませんか?」

「え……?」

 

友達になって欲しい……それが…氷川さんの我儘……なんと言うか意外すぎた。空いた口が塞がらない。

 

「へ、変でしょうか?振られたからって私は貴方との関係を崩す事はしません。なので……少し親密な関係になっても罰は当たらない……違いますか?」

「い、いえ……少しばかり意外だなって……しかし、それでいいなら……そうだ!」

「どうしたんですか?」

「少し……じっとしていて下さいね」

 

そう言って俺は氷川さんの右手首にある物を付けた。

……それは蒼色と緑色で編まれたミサンガだった。

 

「こ、これは……ミサンガ…?」

「はい。これからはRoseliaの一員として……だけじゃなく、友達としてよろしくお願いしますね?紗夜(・・)さん」

「!!…い、今名前で……!」

「俺と紗夜さんはもう友達です。出来れば俺の事も名前で呼んで下さい」

 

そう言うと俺は紗夜さんに背を向け歩き出した。

 

「そ、蒼司さん!!…大事にしますね!」

 

去り際にそう聞こえ、それに答えるように俺は歩きながら手を振って屋上を去った。

 

…………………………

 

〜紗夜side〜

 

「……行ってしまいましたね……」

 

蒼司さんが屋上から去るのを見届けた私はそういった。

 

「……っ…何ででしょう?涙が……止まらない……」

 

私はいつの間にか、涙を流していた。

 

「……分かっていましたよ……私は彼と結ばれない事くらい……白金さんおあの日電話したあの日から……分かっていました……!」

 

「だから……私は……彼と友達でいようと……そう割り切ったはずなのに……なのに……」

 

遂に私はその場に泣き崩れてしまった。

 

「蒼司さん……必ず……白金さんを幸せにして下さいね?……出ないとホントに……許しませんから……!」

 

私わそう言って涙を拭き、立ち上がり……教室へと戻っていった。

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

「…………」

 

俺は屋上を出て……トイレにいた。

 

(……そろそろいいか……っ!?)

 

「…ッウプ!?…ゴハァァッ!?…ゲホッゲホッゲホッ……!!」

 

びちゃびちゃびちゃぁ……!

 

俺は男子トイレの洗面所で血混じりのゲロを吐いた。

……どうやら身体の方はもう隠しきれないと悲鳴を上げ始めてるらしい。

 

「はぁ…はぁ……」

 

薬を飲んで落ち着いたものの、身体の至る所(主に内蔵部分)が少しづつだが、痛み始めて来たのが分かった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ……」

 

不意に、俺はペンダントを握り締めていた。

 

「こ、こんな所で……終われない」

 

俺はそう言ってトイレをでたのだった。

 

…………………………

………………

…………

 

「ふぅ〜やっと終わった〜!」

「お疲れ様です!蒼司さん」

 

今日の授業も難なく終わり……俺達生徒会メンバーは、次の生徒総会の打ち合わせを赤羽先生と行ってたった今終わった所だ。

 

「皆お疲れ様!次の生徒総会はざっとこんな感じで進めるからよろしくね!…じゃあ遅くなる前に皆気お付けて下校してね!」

 

『お疲れ様でしたー!』

 

そう言って俺達は帰り支度を行い、生徒会室を出た。

 

「蒼司さん!」

「ん?どうした燐子?…ってうぉ!?」

 

燐子が俺の腕に抱きついて来た。……もう一度言おう。燐子が俺の腕に抱きついて来たのだ。

 

「蒼司さん!?」

「燐子先輩!?」

「り、燐子落ち着け!周りに人いるから!」

「はっ!?……プシュー(/ω\)」

 

自分が何をしているのか気付いたのか、赤くなりながら俺から離れた。

 

「す、すみません……!きょ、今日蒼司さんに料理を教えて貰えるからって…私……」

「いいんだよ。俺も燐子に早く教えたいって思っていても経っても居られなかったのは事実だし…ただ、イキナリだったからビックリしたんだ」

「ふふっ…2人とも……お似合いですよ?」

「そうですね紗夜先輩」

 

2人はそう言って俺たちの会話を見ていた。

 

「すみません、私……バンドの練習あるので…これで失礼します」

「私も……日菜と買い物の約束があるのでこれで失礼します」

 

俺達を気遣ったのか、2人は先に帰って行った。

 

「お、俺達もそろそろ行こっか?」

「そ、そうですね……」

「まずは……買い物だな」

 

そう言って俺は今日の夕食の材料を買いに燐子とスーパーへ向かった。

 

…………………………

………………

…………

 

「そう言えば燐子は料理はどれくらいできるんだ?」

「え、えっと……添える程度だったり…トースターとかを使う位だけで……」

「なるほど……となると今日は和食メインだな」

 

スーパーに着くなり俺は燐子の燐子経験を確認した。以外にも未経験に近かった。

 

「どうして……和食なんですか?」

「和食は家庭科の基本が詰まってるからな。料理始めるならまずは和食からだ」

「そ、そうなんですね!」

「ああ、……さて…味噌汁は作るとして……燐子は和食の中で何が好きなんだ?」

「え?えっと……卵焼き…とか…です。基本和食はほとんど(・・・・)食べれます」

「OK…となると即席漬けで……おっ?セロリがあるな……」

 

そう言って俺がセロリに手を伸ばそうとすると……

 

ガシイッ!

 

燐子がそれを膨れた顔で制した。

 

「燐子!?」

「せ、セロリは……ダメ…です!」

「あっ……(察し)」

 

どうやらセロリが苦手らしい。

 

「わ、分かった……セロリ漬けはまた今度として……キュウリの浅漬けにするか」

「はい!」

 

(セロリ漬け……以外と卵焼きとかにあうんだけどな……)

 

俺はセロリから手を引き、その隣のキュウリを手に取りカゴに入れた。

 

「後は大根としらすかな……」

「しらす…私が取ってきますね……」

「ありがとう。お願い」

 

そう言って燐子はしらすを取りにいった。その間に俺は大根……そして近くにあるひじきをカゴに入れ燐子と合流した。

 

「蒼司さん……ひじきは…何につかうんですか?」

「サラダ考えてなくてな。だからひじきサラダでも作ろうかなって」

「い、いいと思います……野菜類があると……全体的に彩りが良く見える…と思います!」

 

と言った話をしながら俺達は会計を済ませ、スーパーをでた。

 

…………………………

………………

…………

 

「ここで…少し寛いでいて…ください」

「了解」

 

燐子の家に招待され、燐子は荷物を降ろしに自室へと向かった。

 

「……懐かしいな…何時ぶりだろう?…ここにきたの……」

 

ちょっとした過去を思い出しながら俺はリビングを見渡した。

 

(あの時はまだ…小学生の頃だったな『あの人』は……中学3年だったっけ?よく受験勉強中だから静かにっていわれてたな)

 

「……悲しいな…。いくら過去を振り返っても……あの人は戻って来やしないのに……っ!?」

 

そう呟いていると俺は1つの写真立てに目がいった。見た感じ……家族写真(・・・・)の様だが……俺は直ぐに自分が感じ取った違和感に気付いた。

 

(どうして……あの人が居ないんだ!?あの人は……燐子の姉(・・・・)に当たる人なのに!)

 

「あの……蒼司さん?」

「!?……燐子?」

 

振り向くとそこには燐子がいた。

 

「どうかしたんですか?」

「あっ!?い、いや!何でもない!…ただ、この写真に写ってる燐子可愛いな…って。いつ頃撮ったんだ?」

「そ、そんな…可愛いなんて……///…えっと、確か中学1年の夏頃…だった気がします……」

「そっか……っと、そろそろ料理始めるか!」

「はい!」

 

俺はそう言って燐子と台所へと向かった。

 

(……中学1年の夏頃……あの日と同じ時期……っていけないな、今は燐子と料理するんだ!暗いこと考えるな!俺!)

 

そう言って俺は気持ちを燐子と料理する方へ集中する事にした。

 

…………………………

………………

…………

 

「蒼司さん。最初は何を作るんですか……?」

「そうだな…まずはひじきサラダのひじきを作ろう。燐子はそこの人参をイチョウ型に切ってくれ」

「分かりました……」

 

燐子に人参を切らせてるうちに俺はひじきを水に晒し、油揚げを湯煎し煮込む準備を始めた。

 

「蒼司さん。…人参はこんな感じに切れば…いいですか?」

「うん、そんな感じ。人参は半分切っとけば大丈夫かな?それ終わったら油揚げを1枚縦に半分切ってから幅1mm位にきってくれる?」

「わ、分かりました……」

 

(とりあえずひじきサラダは大丈夫そうだな……あとは)

 

ひじきサラダの下準備が思ったより早く終わったため、俺は卵焼きの下準備にはいる。

 

「まずは添え置きのしらす大根おろしだな……燐子、おろし器はこれでいい?」

「は、はい……それで大丈夫……イタッ!」

「大丈夫か!?」

「だ、大丈夫です…少し包丁で指を……」

「見せてみろ」

「あっ……///」

 

どうやら切り口は浅いようだ。

 

(これなら絆創膏で十分だな確か……)

 

「待ってて、今絆創膏とってくる」

 

俺はそう言って作業を一次中断し、自分の鞄から絆創膏をとって戻る。

 

「まず水洗いして……ティッシュで軽く止血して……これでよしっと」

「あ、ありがとう…ございます……ごめんなさい。私がよそ見してたから……」

 

燐子の顔は今にも泣き出しそうな悲しい顔をしていた。

 

「大丈夫だよ。料理に怪我は付き物だから……そうだな……」

 

俺は燐子の進み具合を見る。丁度油揚げを切り終える所だった。

 

「それなら燐子小さめの鍋で人参、ひじき、油揚げの順で煮込んでくれ」

「わ、分かり…ました!」

 

そう言って料理を再開した。

 

…………………………

………………

 

「これで盛り付けて……完成だ」

「思ったより…早く出来ましたね……」

「燐子が手際良かったお陰だよ」

「蒼司さんも…料理ホントに得意なんですね」

 

思ったより早く夕飯が出来上がった。燐子がほとんど未経験だと言う割に手際が良く飲み込みが早かったお陰だ。

 

「じゃあ、冷めない内に食べちゃうか」

「そう…ですね……」

 

そう言って俺達は料理をリビングへ運んだ。

 

「それじゃあ……」

 

「「いただきます」」

 

(……美味しい!燐子にほとんどの行程をやらせたけど……ホントに初めてなのか?)

 

「美味しい……!♡さすが蒼司さんですね…!」

「俺はほとんど手伝っただけで実際は全部燐子がつくったんだよ?……うん、この卵焼きもいい具合に焼けてる。美味しいよ」

「そ、そんな…!蒼司さんがいてくれたから出来たんす!教えてくれて…ありがとうございます!\(❁´∀`❁)/」

 

(か、可愛い……)

 

俺はそう思うと同時に、この笑顔を守ってやりたいと思った。

 

「「ご馳走様でした」」

 

「食器片付けるよ」

「私も……」

「燐子はやすんでてよ。その手…早く治って欲しいし」

「わ、分かりました……」

 

燐子は少し落ち込んだ表情で答えた。すると

 

「なら私…お風呂沸かして来ますね……!」

「え?」

「蒼司さん……泊まってくんじゃなかったんですか?( ・᷄-・᷅ )」

「ぐふっ!?」

 

(わ、忘れてた……てか燐子のその顔…反則や……)

 

「そ、そうだった……ならお願い」

「はい……!」

 

2人はそれぞれ行動に移った。

 

…………………………

 

「お風呂……沸きましたよ」

「あっじゃあ燐子先に入りなよ」

「い、いえ!蒼司さん先に入って下さい!私は……蒼司さんの寝間着とか……用意するので」

「あ、ありがとう……それじゃあお言葉に甘えて……あっ寝間着は大丈夫だよ?一応持ってきてるから」

「わ、分かりました……!」

 

そう言って燐子は自室へと姿を消した。

 

「……入るか」

 

俺も燐子に言われた通りに風呂に入ることにした。

 

…………………………

………………

 

コンコンッ

 

「どうぞ……」

「燐子、お風呂空いたよ?」

「分かりました……湯加減はどうでしたか?」

「うん、良かったよ。お陰でゆっくりできた」

「そうですか…なら私入りますね……私の部屋で待ってて下さい」

 

そう言って燐子は扉を開け風呂場へと向かった。

 

「凄いな……これが女子高生の部屋かよ……」

 

改めて出た感想がこれだった。それもそのはず……燐子の部屋は1階のリビングと何ら変わらないほどの広さで、目の前にはデスクトップパソコンが置いてある机とその隣…正確には左側大半をグランドピアノが占めていた。

 

「これで……Roseliaの曲を練習してるのか……」

 

俺は無意識に燐子のピアノの蓋をあけ、椅子に腰掛け……

 

〜♪〜♪〜♪〜

 

気づいたら俺はRoseliaの曲を伴奏していた。

 

…………………………

………………

 

「蒼司さん……」

「!!」

 

我に返り、振り向くと燐子がいた。どうやら燐子が風呂から出るまで伴奏していたらしい。

 

「す、すまん燐子!つい…興味本意で……」

「だ、大丈夫ですよ……それより…ピアノ上手ですね」

「たまたまだよ……燐子のキーボードのパートの部分が耳に残っててさ、それを再現しただけだよ」

「それでも……やっぱり上手です…さすが……Roseliaのマネージャーですね(*'▽'*)♪」

「そ、そうかな……」

 

そう言われると少し…恥ずかしい。

 

「そう言えば燐子……」

「どうしました?」

「その……俺の寝る所って」

「!…………」

「燐子?」

 

何故か燐子は黙り込んでしまった。

 

「そ、蒼司さん」

「どうした?」

「私は前に……自分を変えたいって……そう言いましたよね?」

「うん。それが生徒会長になった理由でもあったんだよね?」

「はい……」

 

それが……寝る場所となんの関係が……

 

「私……もっと自分を変えたくて……」

「燐子?」

 

燐子はそう言いながら俺に近ずいてきた。そして距離がゼロになる直前まで近づくと……

 

「り、りん…!?」

「んちゅ♡……」

 

俺は燐子に…キスをされた。もう一度言おう……キスをされた。

……しばらくこの状態が続き、ようやく唇が離れた。

燐子の顔は……キスをしたからなのか、少し蕩けていた。

 

「私……蒼司さんの彼女として……もっと自分を変えたい…です!」

「燐子……非常に聞づらいんだけど……寝間着の()って……」

「はい……///」

 

つまり……そう言うことだ。

 

「もしかして…料理教えて欲しくて泊まって欲しいって言ったのは…」

「それは…違います…。蒼司さんに料理教えて欲しかったのは本当なんです……今の私のこの状態(・・)は……自分が変わりたいからやってる行動……その1つです……///」

 

恥ずかしながらもそう応えた。

 

「……いいのか?俺で?あまり期待に答えられないと思うけど……」

「それでも……私は変わりたい……ダメ…ですか?」

「……分かった……ただし」

「んむ!?」

「んちゅ♡…レロレロ……♡」

 

俺は覚悟を決めた証拠(?)として燐子にキスをする。それも舌を絡ませる『ディープキス』というやつだ。

 

「……後悔…するなよ?」

「……はい♡」

 

ここから先は想像に任せる事にしよう……。

燐子の方はこの時を機に色々な意味で変われた。対する俺は……

燐子の変わり様に追いつけなくなり…果ててしまったのだった……

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 




《次回予告》
「どうして……俺は正座をさせられてるんでしょうか?」
「うっさいこの変態!」
「蒼司…最低」
「蒼司さん……貴方がそんなことをするなんて……」
「蒼兄酷いよ……!」

「必ず私が……蒼司さんの無罪を証明してみせます!」

次回、『名探偵白金燐子?』!お楽しみに!

大変お待たせしました!もう1話編集完了次第投稿します!
高評価、感想等お待ちしております!


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season1 燐子編:8話 名探偵白金燐子?

どうも!ka-主です!
今回は燐子が名探偵?となります!お楽しみに!
それでは……どうぞ!


「…………」

 

俺は今、CIRCLEのスタジオでRoseliaのメンバーの目の前で正座をさせられていた……

 

「えっと……どうして正座をさせられてるんでしょうか?」

 

「蒼司さん……貴方は今、私達の下着を盗んだ疑いが課せられています」

 

「……はい?」

 

紗夜さんの口から放たれたセリフに俺はそう答える他なかった。

 

(下着泥棒?俺が?)

 

「……何かの間違いでは……?」

「とぼけんじゃないわよ!この変態!」

「へ、変態!?」

「貴方が私達の下着を盗んだにきまってる!」

「ちょっ、ちょっと待て!本当に何かの間違いだ!俺は盗んでなんかない!」

「そ、そうだよ友希那。早く(・・)蒼司を懲らしめたい(・・・・・・)気持ちは分かるけど…まだ蒼司が犯人だって決まった訳じゃ無いから……ね?」

 

(そうだそうだ!…てか俺は変態じゃねーよ!(ToT))

 

「うぐっ…エグっ…蒼兄……ホントに…違うよね?」

「あこちゃん……蒼司さんはそんな事しないよ……きっと…何かの間違いだよ……」

 

燐子がそう言ってあこを慰めた。

 

「えっと…紗夜さん?どうして俺が疑われる身になったのか……教えてくれませんか?……本当にやってないんですが」

「分かりました。話は……1週間程遡ります」

 

…………………………

 

「下着が盗まれた?」

「そ〜なんだよ!一昨日…確かにタンスに入れたアタシの下着が昨日お風呂上がったら着ようと思ったのに……なくなってたの!」

「私も…その話を聞いたわ。私の所に紛れ込んでないかってリサが探しに来たの」

「そう…なんですね…それで、見つかった…んですか?」

「それが……見つからなくって……それで友希那が盗まれたんじゃ無いかって……お気に入りだったのに……」

「わわ!リサ姉泣かないで!きっと見つかるよ!」

 

………………………

 

「私も……盗まれたわ」

 

「「え!?」」

 

「私のお気に入りの……青薔薇の刺繍と薔薇の模様が入った黒い下着……ふふっ…盗まれたわ……ははは」

「ゆ、友希那さん!?どうしようりんりん!紗夜さんリサ姉!」

「大丈夫だよ友希那……私も…盗まれたから……ふっ…ふふふふ」

「今井さん!?」

「……一体全体…何がどうなってるんですか……?」

 

…………………………

 

「りんりん〜!!」

「ど、どうしたのあこちゃん!?」

「あこも……下着盗まれぢゃっだよ〜!!ピンクと紫のゼブラ柄の下着〜!!」

「あこ〜…おいでおいで〜、あこも盗まれたんだね〜よしよし♪」

「ふふふふ♪…これで私達『下着盗まれた同盟』の一員ね、あこ」

「ゆ〜ぎ〜な〜ざ〜ん!!」

「宇田川さんまで……白金さんは大丈夫ですか?」

「私は…大丈夫です……蒼司さん…がいますので」

 

「「「!!!」」」

 

(もしかして……下着泥棒の犯人って……)

 

…………………………

 

「…………」

「い、氷川さん?大丈夫ですか?」

「は、はは……私も…盗まれました……はは、はははは」

 

「紗夜さんまで!?てか紗夜さんしっかりして下さい!」

「ああ…これで私も……仲間入りですね……ははは」

「クールな紗夜がここまで壊れるなんて……」

「ねぇ…もしかしてアタシ達の下着を盗んだのって……蒼司なんじゃない?」

 

「!!そ、蒼司さんはそんな事…しません!」

「そ、そうだよリサ姉!蒼兄はそんな事しないよ!」

「だけど……彼に聞いてみないと行けないわね……」

「そう……ですね……はは」

 

…………………………

 

「……以上が貴方を疑うきっかけとなった全てです」

 

まず俺が言いたいのは、俺が居ない間にそんな事になってるとは思いもしなかったという事。それと……

 

「俺じゃないな……そもそもこの1週間サポートギターで放課後駆り出されたりしてたから犯行は不可能だな」

「そうだったの?」

「ああ、その話は一応燐子(・・)にもしたはず……って燐子?」

 

俺はこの1週間、放課後はとあるバンドのサポートギターをしに行ってたため、Roseliaの練習に参加出来なかった。帰りが遅くなる事は除いてその事は燐子に伝えてある筈……と彼女に確認をとろうと彼女の方を見た……なんだか様子が変だ。

 

「蒼司さん……わ、私も…下着…盗まれたんです……」

「なんだって!?」

「そんな……」

「燐子まで……」

「蒼司さん…ホントに覚えは無いのですね?」

「待て待て!さっきの話きいてただろ!?その事に関してもホントに無関係だ!」

 

(たく誰だ!?俺の燐子の下着を盗んだやつ!燐子のだけでなくRoselia皆のも盗むとは……相当肝が据わってる野郎だぜ!)

 

「これじゃらちがあかないわね……変態、貴方の鞄の中を見せなさい!貴方が盗んでないのなら貴方の鞄の中から私達の下着が出てくるなんて有り得ない……そうでしょ?変態!」

「ああ、そこまで疑われるのは癪に障るが……」

 

(俺は変態じゃねーよ!(ToT))

 

そう心の中で呟く。そして俺の荷物検査が始まった。めんのためにとギターケースや、制服までも……ボディチェックもされた。

 

(結構入念に調べても無いものはない!)

 

「これで分かったろ?俺はやってな……」

「あら?何かしら……これ」

 

俺の言葉を遮るかのように友希那が俺の鞄から見つけたであろうある小袋を取り出した。ピンク色の布で黒い紐で閉じれる様になってる。

 

「なんだよそれ……俺のじゃない……」

「……な、な、なな……」

「どーしたの?ゆき……な?…な!?」

「2人とも……どう……し……え!?」

「何が入ってるんです……!?あ、ああ……」

「皆さんどうしたんで……す?……え!?」

 

皆、あの謎の袋の中身をみて……絶句している様だが……

 

(何が入ってるんだ……っ!?ま、まさか……いや、そんな筈ない……だって…さっき言ったろ?犯行(・・)は不可能だって!)

 

「「蒼司……」」

 

「「蒼司さん……」」

 

「蒼兄……」

 

皆の恥じらってる顔が……身体から出てる怒りのオーラが、中身を物語っていた……

 

「お、おい……嘘…だろ?」

 

 

 

 

『やっぱり蒼司(蒼兄)が犯人じゃんか!!!!!』

 

 

 

 

「違う!!本当にやってない!!嵌められたんだよ!俺は……」

 

何かの間違い……そうに決まってる。そう訴えた瞬間……

 

 

 

バチィンッ!!

 

 

「へぶっ!?」

 

 

燐子に…思い切り平手打ちされた。

 

 

「蒼司さん……最低です!!」

 

 

「!!……そう……だよな……っ」

 

 

「ああそうさ!俺は最低だ!皆の下着を仕事終わりに盗んだ最低野郎だよ!……っ何言っても信じて貰えないなら……俺は…最低最悪なクズ野郎にでもなってやるよ!!

 

 

「!!……蒼司さん……」

 

 

「!!……貴方って人は……開き直ったかと思えば……!」

「変態以上に……クズ野郎ね!」

「蒼兄……ひ、酷いよ……!」

「蒼司……最低」

 

 

「ああ開き直ってやったよ!クズ野郎だよ!酷い奴だよ最低な奴だよ!……もう二度と…顔すら見たくないね!!

 

 

「!!ま、待って下さい!……蒼司さ……」

 

 

バタンッ!!

 

 

俺は……CIRCLEを飛び出した……

 

 

「……蒼司……さん……」

 

…………………………

 

〜燐子side〜

 

……どうして?蒼司さん。貴方は…貴方はそんな事しない……なのに…どうして……

 

「う、うう…っ蒼兄……!なんで…こんなこと……エグっ」

「全くあの変態……居なくなって清々したわ!」

「!……ちょっと友希那…!言い過ぎだよ」

「何?リサ貴女……あの変態に着くつもり?」

「蒼司さん……どうやら私は彼の事を過大評価し過ぎたようです!」

 

(……違う……)

 

「…う……じゃない……」

 

「?燐子どうしたの……」

 

「蒼司さんは…そんな人じゃない!!」

 

 

「「「「!!??」」」」

 

 

「!?ちょっと燐子!!」

 

私は心の中の何かが爆発し、そう叫ぶと、蒼司さんがしたように……私もCIRCLEを飛び出した……

 

(蒼司さん……貴方の無実……必ず証明してみせます!)

 

…………………………

………………

…………

 

「勢い良く出てっ行ったはいいけど……」

 

(この後……どうしよう……)

 

私はしばらく走った後、立ち止まって考えた。何も考えずに外を飛び出したため、中々考えが纏まらない……

 

「こんな時……蒼司さんなら…どうするんだろう?」

 

蒼司さんの事だから……きっと、何処かである程度の情報収集に回る筈……いや、多分宛がある所を全て探るが正解だろう。

 

(となると……まずは……)

 

私はスマホを取り出し、蒼司さんを呼び出した。

 

『もしもし……』

「も、もしもし…蒼司…さん……」

『今話したく無いんだけど……後にしてくれ』

 

そう言って蒼司さんは通話を切ろうとしていた。

 

「ま、待って下さい!」

『……なんで?俺が待つ理由なんて……燐子達の話聞く理由なんて……もう無い筈だ』

「っ!?……そ、それでも少し…私の話を聞いて下さい!」

 

「お願い……ですから……」

 

今にも私は泣きそうだった。……こんなんじゃ……蒼司さんの無罪証明出来ない……

 

『はぁ……分かった。分かったからもう泣くな。燐子に泣いてる姿は似合わない』

「?ご、ごめんな……」

『謝らなくていいよ。俺も皆に酷いこと言った』

「蒼司さん……あ、あの…私…蒼司さんの無実を証明…したいです!」

 

私は蒼司さんの無実を証明したい……その思いを蒼司さんに伝えた。

 

『そうか……』

「だから…待っていて下さい!私の力で…無実を証明してみせます!」

『ありがとう……無茶するなよ?』

 

蒼司さんがそう言うと電話が切れた。

 

「……待っていて下さい!…蒼司さん!」

 

(後は……思い当たる所を当たる……この場合…所と言うより人と話す……出会ってるかな?)

 

私はそう思い、今回の事件に関わる人物4人(・・)に聞き込みをする事にした。

 

…………………………

〜1人目〜

 

『りんりんどうしたの?』

「あこちゃん、下着を盗まれた日……あこちゃんは何…してた?」

『えっと……その日は普通に学校に行って、Roseliaの皆と練習して…そうそう!夕方リサ姉とお姉ちゃんとでテレビゲームして遊んだ!』

「そう…なんだ…。えっと……今井さんは何時位に帰って行ったの?」

「う〜んと……確か19時頃だったとおもう!」

「下着が無いって気づいたのは?」

「お風呂入る前だよ……次の日明日香と六花とで遊ぶ約束してたから……ショックだったよ……」

「そう…だったんだ。……ありがとうあこちゃん…時間とってごめんね?」

 

…………………………

〜2人目〜

 

「氷川さん……今…お時間大丈夫ですか?」

『白金さん……大丈夫ですよ?…どうしたんですか?』

「えっと……氷川さんが下着を盗まれた日の1日を聞きたくて……」

『そうですね……私はいつも通り学校に通って、バンドの練習後……湊さんと楽器屋で買い物をした後、そのまま家でテスト勉強をしてました』

「そう…なんですね…ちなみに湊さんとは…何時頃までテスト勉強されてたんですか?」

『……19時位だった気がします。その時今井さんが迎えに来たので帰り際3人でお茶をした後に帰りました』

「……盗まれた事に気が付いたのは?」

『日菜の後にお風呂に入ったので……21時前程だった気がします』

「あ、ありがとう…ございます……」

 

…………………………

〜3人目&4人目〜

 

『もしもし燐子?どうしたの?』

「い、今井さん…少し…お時間よろしいでしょうか?」

『うん♪全然大丈夫!』

「はい…えっと……今井さんが下着を盗まれた日…何をしていたのか聞きたくて……」

『うん……あの時は殆ど友希那と一緒にいたかな〜?練習終わった後はアタシん家でテスト勉強してそのまま友希那と一緒にねたかな!』

「えっと……もしかして下着を盗まれたのって…お風呂に入る前……だったりします?」

『うん……大体友希那(・・・)の後に入ったから…21時頃…だったかな?』

「!……ありがとう…ございます。あ、あの……友希那さんと…今…一緒ですか?」

『一緒だよ?変わる?』

「お、お願いします……」

 

『もしもし燐子?どうしたの?』

「あ、あの……友希那さん…は下着を盗まれた日…何をしていたんですか?」

『私?……横でリサとの会話を聞いていたけど…殆ど同じと考えていいわ。ただ……』

「?ただ……?」

『ただ…あの日は私が(・・)お風呂に入ってる時に盗まれたわ……』

「!!……ありがとう…ございます……!ごめん…なさい、忙しい中…」

『いいのよ……ところで…そんなこと聞いてどうするの?』

「………の……を……からです

『?燐子?』

「な、なんでもないです!……し、失礼します……!」

 

…………………………

………………

…………

 

(……情報は…一通り…そろった)

 

そう思いながら、自分の部屋へともどっていった。

 

「もしもし?……はい。…あの…蒼司さん?お頼みがあるんです……」

 

しらばらく会話をして電話を切る……。間も無くして私のLINEにとある画像が送られた。

 

(これさえあれば……待って下さい蒼司さん……)

 

…………………………

………………

…………

 

……次の日、蒼司さんは学校を休んだ。体調が悪いそうだ。

 

(体調不良らしいけど……きっと…口実……だよね)

 

私は胸が苦しくなった。私達の(・・・)せいで蒼司さんが苦しむはめになるとは思いもしなかったから。

 

(けど……それも今日限りです……!待っていて下さい!必ず……)

 

私は予定通りRoseliaのメンバーに放課後ファミレスに集まる様に連絡した。

 

…………………………

………………

…………

 

放課後……私はなるべく早く生徒会の仕事を終わらせ、集合場所へ早足で向かった。

 

 

「すみません…生徒会の仕事で遅く…なりました」

「大丈夫よ。私達も今集まった所だから」

 

私が来た時には4人ともファミレスに集まっていた。

 

「燐子、何頼む?」

「えっと…チョコバナナパフェと…コーラで……」

「OK♪それじゃあ注文するね」

 

今井さんが皆の分を注文し、さほど時間がかからない内に注文した物が届いた。

 

 

「それじゃあ燐子。今日私達を呼んだ本題に移って貰えるかしら?」

「は、はい…分かりました」

 

皆がパフェなどを食べた後、友希那さんが今日集まった理由を聞いてきた。

 

「皆さんに集まって貰ったのは……蒼司さんの無実の証明と真犯人が分かった事を…伝えるためです」

 

「「「「!!!!」」」」

 

それを聞いた皆の顔が若干暗くなったのは気の所為ではなかった。

 

「まず皆さんには……これを見てもらいます」

 

そう言って私は皆にとある紙を配った。

 

「……これは?」

「はい……これは私達5人の事件日の大体の1日の様子と蒼司さんの大まかなその日のスケジュールを表にしたものです」

「私達に事件の日の事を聞いたのは……この為なんですね」

「は、はい……」

「凄いよりんりん!なんだか探偵さんみたい!」

「か、買いかぶりすぎだよ…あこちゃん……」

 

私はそのプリントの説明をして話を進めた。

 

「この表から言えることは……蒼司さんのスケジュール…殆どの日が有名なバンドのサポートとして他県へ足を運んでいます…。少なくとも都内だったとしてもスケジュールがハードで自宅に戻ってるのは大体22時頃だと推定します……つまり、その日の蒼司さんの疲労から考えて私達の家に出向く事は出来ません」

「そう…だね。蒼司のスケジュールどれもハードすぎ」

「早退したのも納得行きますね」

「確かに……あこが蒼兄だったとしてもこんなスケジュールの中でりんりん達の家になんて行けないよ……」

「燐子の言いたい事は分かったわ。なら…真犯人は一体誰なのかしら?」

 

それぞれが納得する中、友希那さんが真犯人に着いて聞いてきた。

 

(……正直、こんな事は言いたくない…けど、蒼司さんの無実を証明する為!)

 

「……真犯人は……」

 

 

 

 

「「「「…………………………」」」」

 

 

 

 

「……ここにいる全員です」

「「「「!!!!」」」」

 

私は覚悟を決め、そう……4人に打ち明けた。

 

「わ、私達が…!?」

「そ、そんな……」

「どうゆうことです!?」

「どうゆう事なの!?りんりん!」

 

4人とも……信じられない…と言う顔をしていた。

 

「正確には…友希那さんと今井さんが主犯となって…私達3人が知らぬ内に共犯者となって協力…していたんです」

「燐子……私とリサが主犯って根拠は…一体何処にあるのかしら?」

「そ、そうだよ燐子。アタシと友希那が主犯って……意味分かんないよ……」

 

私が2人にそう指摘すると2人は案の定罪を否定した。

 

「根拠…ならあります……その紙に書かれてるスケジュールです」

 

私は紙を見ながら説明し始めた。

 

「この表には……私とあこちゃん、氷川さんのスケジュールには友希那さんと今井さん…そのいずれかが私達と同行しています。時にはテレビゲーム……時にはテスト勉強……また……時には裁縫」

「そう言えば……」

「確かに!あこの時もリサ姉がいた!」

「私はこう推測します……私達に同行して…いずれも友希那さん今井さんが1人になった所で下着を盗んだ……そして目的を達した直後、自分達の家へ帰っていった……そうすれば誰にも疑われることなく盗むことが出来る……違いますか?」

 

私の時もそうだった……あの時、私は夕食のあと、食器を片ずけている時…今井さんは「部屋で待ってる」と言って私の部屋へいった。そして間も無く今井さんは家へと帰っていった。

 

「仮に3人の下着を盗んだとして……私達はどう説明するの?」

「そんなの……ただ見せかけるだけでいいんです……例えば…友希那さんの場合は…自分がお風呂に入ってる間に今井さんに取らせる…そんな具合に……」

 

「「!!」」

 

2人は驚いていた。

 

「2人が言っていた事に……嘘はないと私は思ってます。だから…驚いたんです。あと時…どうして偽らなかった(・・・・・・)のか」

「燐子……いつから…アタシ達のことを?」

「蒼司さんの……事を友希那さんが悪くいった時からですよ?」

「そんな……」

「なら燐子……どうして貴女達が共犯者になるのかしら?さっきまでの会話だけだと貴女達が共犯者になるに足りない気がするわ」

 

友希那さん……貴女は……

 

「私達の下着が入っていた袋……あれは私が作った袋…です」

 

「「「「!!!!」」」」

 

「それに…いくらあこちゃんや氷川さんが無関係に見えても犯行を黙認してれば同じことです……まして、実行前日に2人をそそのかした…なんてすれば尚更……」

 

「ち、違うんです!白金さん!」

 

「「紗夜……」」

 

2人を庇うかの様に氷川さんが話を遮った。

 

「わ、私達は…し、白金さんが前よりも蒼司さんに評価されている事に嫉妬……してしまったんです!それで…どうにかして……」

 

「ふざけるのもいい加減にしてください!!」

 

「っ!?」

 

……私は遂に怒りが爆発してしまった。氷川さんが……蒼司さんと友達(・・)であるはずの氷川さんが……

 

「Roseliaだから庇う気持ちは…よく分かります……!私も氷川さんなら…そうしたかもしれない……けど…氷川さんは蒼司さんの友達ではなかったんですか!?友達で有りながら……」

 

「どうして2人を止めなかったんです!?」

 

「あ、ああ……」

 

「あこちゃんも……!蒼司さんの事を尊敬してたなら……どうして……どうして……!」

 

「りんりん……あこ……あこ……!」

 

「……もういいよ、燐子」

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

「あ、ああ……」

 

振り返ると……そこには私の1番大切な(・・・)……

 

「……蒼司さん」

 

〜蒼司side〜

 

そろそろ頃合いかと思い、席を立ち燐子達の元へ向かった。

 

「偶然……病院帰りにここでご飯食べようと思ってな。んで、食べてたら皆が来て……燐子もきた。そして何か会話をし始めたから不本意ながら聞かせてもらったよ」

「盗み聞きかしら?関心しないわね……」

「そうだな……だがお前らのした事よりかはずっとましなものだと俺は思うんだが……気の所為か?」

 

「「「「!!!!」」」」

 

「……っ!」

 

その言葉に友希那は何も言い返せなかった……。そればかりか燐子達は何故だか青ざめていた。

 

(まあ…今の俺を見ればそうなるわな……)

 

そう……今の俺は本心(・・)では許したいばかりなのだが、会話の内容、彼女達の態度……そして……

 

燐子(大切な人)をここまで悲しめた……

 

 

「……もう…充分だ」

 

 

「そ、蒼司……さん?」

「蒼司?」

「蒼……司?」

「蒼司…さん?」

「蒼……兄?」

 

 

 

 

 

「今日限りで……Roseliaを辞める。

短い間だったが……世話になった」

 

 

 

 

 

そう言って俺は自分の分、彼女らの分の会計を済ませ……ファミレスを去った……。

 

 

 

 

 

 




《次回予告》
「蒼司さん……戻って来て……!」
「あこ達が悪いのに!……なんで蒼兄が……!」
「蒼司さん……ごめんなさい……!」
「蒼司…燐子…皆……ごめんなさい……!」

「蒼司……貴方が居なきゃ……Roseliaは…!」

次回、『戻ってきて』!お楽しみに!
……ラスト…ハッピーで終わる筈が……まさかのメンバーから抜ける事態へ……

高評価、感想等お待ちしております!


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season1 燐子編:9話 戻って来て

どうも!『約束』上映が近ずいてきてる!今の内に予習もありかも?



ザァァァァーー…………

 

「…………」

 

雨が降り始めた……今日は降らない筈……もしかして俺、雨男?

そう思いながら俺はただ宛もなく歩き続けた。

 

「……あの日も……雨降ってたっけ……?」

 

…………………………

 

パパ!……ママ!!誰か!パパとママを助けて!!

……ああああああああ……!!

 

ザァァァァーー……

 

どうして……どうしてこんな事に……

いっその事……死んでやりたー……

 

『ダメ!!』

 

!?

 

『そんな事しても……お父さんとお母さんは喜ばない!』

 

『私が……君の大切な人になるから……』

 

…………………………

 

「…………」

 

……いつの間にか……とある霊園にいた……

 

「…………」

 

ザァァァァーー……

 

気づいたら、『白金愛子 ここに眠る』と書かれた墓石の前に立っていた。

 

ザァァァァーー……

 

「……俺は…………」

 

(愛子さん……)

 

今は亡き、この墓の持ち主の名前を心の中で呟く。

 

俺はいつ買ったか自分でもよく分からない白色とピンク色の胡蝶蘭の花束をその墓に備えた。

 

「花言葉は……『純粋』、『あなたを愛します』……」

 

 

 

 

「愛子さん……俺は……何年経っても貴女を忘れる事はできない……」

 

 

 

 

「……世界は……こんなにも……残酷なんだから…………」

 

俺は墓石の前で膝を降り、そう呟きながら彼女の魂がこれからも安らかに眠る事を祈っていた……

 

 

 

 

「俺は……救いようのない罪人だ……」

 

 

 

 

 

 

ザァァァァーー……

 

…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

 

 

 

 

「…………」

 

……救えなかった……

 

 

 

 

『今日限りでRoseliaを辞める。

……短い間だが世話になった』

 

 

 

 

「……どうして……」

 

……ずっとその言葉が呪いの様に頭から離れなかった。

 

 

 

 

 

『待っていて下さい!私が…必ず…蒼司さんの無実を……証明してみせます……!』

 

 

 

 

 

「……証明出来ても……救えなかったら……意味がない……」

 

後悔という名の見えない傷が、私の心を容赦なく抉る。

 

「蒼司さん……戻って来て…下さい……」

 

救えなかったその人の名前を……私は呟き目を閉じた。

……しかし涙は一向に止まなかった。

 

…………………………

………………

…………

 

〜紗夜side〜

 

ポツッ……ポツッ……ザァァァァーー……

 

「……雨……」

 

1人家に向かって商店街を歩いていると、雨が降り始めた。

次第に強くなる雨……まるで今の私に罰でも与えてるみたいに思えた。

 

「……これで償えでもしたら……どれだけ私は幸せ者なのか……」

 

…………………………

 

「最近蒼司と燐子の距離近すぎじゃない?」

「いきなりどうしたんですか?」

「そうね……このまま私達の事を厳かにするなんて事も……」

「!!…そ、蒼司さんはそんな事しません!」

「でも紗夜もそう思わない?アタシ達だけどうして……って?」

「そ、それは……」

「図星ね……紗夜。貴女も今の燐子見たく自分を見て欲しいって思ってる筈よ」

「確かに……そうですけど……私は信じます。蒼司さんは、そんな事しないです」

 

…………………………

 

『わ、私達は…し、白金さんが前よりも蒼司さんに評価されている事に嫉妬……してしまったんです!それで…どうにかして……』

 

『Roseliaだから庇う気持ちは…よく分かります……!私も氷川さんなら…そうしたかもしれない……けど…氷川さんは蒼司さんの友達ではなかったんですか!?友達で有りながら……どうして2人を止めなかったんですか!?』

 

「……私は……最低だ……」

 

友達を傷つけるだけじゃ飽き足らず……今回の犯行に目を瞑ってしまった……

 

「あの時……蒼司さんをもっと信じていれば……2人を止めていれば……」

 

 

 

 

 

『今日限りでRoseliaを辞める。

……短い間だが世話になった』

 

 

 

 

 

その言葉が……私の心を強く締め付けていた……

 

「蒼司さん……ごめんなさい……」

 

いつの間にか私は……瞳から涙を流していた……

 

…………………………

………………

…………

 

〜友希那、リサ、あこside〜

 

ザァァァァーー……

 

「あっ!友希那さん!リサ姉!」

「あこ!どう?見つかった?」

「ごめんなさい……見つからなかったよ〜……」

「そっか……アタシの方も全然……もしかしたらと思って電話もかけて見たけど繋がらなかったよ」

 

蒼兄がお店を出ていった後……

りんりんは泣きながらお店をでいき、それに続く形で紗夜さんもお店を出ていった……

 

残ったアタシと友希那、あこは蒼司に謝る事にし。お店を出て蒼司を探す事にした。

 

しかし……いくら探しても見つからなかった……きづいたら雨が降り始め、私達は合流する事にした。

 

「私の……せいだわ……」

「友希那……」

「友希那さん……」

 

私は……彼を探してる最中ずっと自分を責め続けた。

 

…………………………

 

『最近蒼司と燐子くっつき過ぎじゃない?』

『リサ……いきなり何を言い出すの?』

『だってさ、いくら付き合ってるからって今はバンドの練習中。そこはちゃんとわきまえないと』

『確かにそうね……でも、燐子のキーボードの腕は落ちて無いわ。寧ろ急上昇中よ?私はバンドの練習に支障が出て無ければそれでいいと思ってるわ?』

『友希那は……それでいいの?このままだと私達……蒼司に見捨てられちゃうよ……』

『!!そ、それは……ダメ!』

『……だからさ、アタシに考えがあるの♪』

 

…………………………

 

「友希那は悪くないよ!アタシが……友希那にあんな事言わなければ……」

「いいえ……あの時……私も怖かった。リサの言ってる事が本当に来るんじゃないのかって……」

 

私は……怖かった。もしも蒼司が私達4人を捨てて、燐子とどこかへ行って消えてしまうという事が……私の歌声を理解してくれる人がいなくなる事が怖かった……。

 

「蒼兄は……蒼兄は全然悪くないのに……悪いのはあこ達なのに……!」

 

 

 

『今日限りでRoseliaを辞める。

……短い間だが世話になった』

 

 

 

蒼兄のこの言葉が……あこ達の心を容赦なく締め付ける。

 

「蒼司……燐子…紗夜……ごめんなさい……!」

「蒼司……貴方がいなければ……Roseliaは……!」

「蒼兄……!戻って来て!」

 

あこ達3人は、そう呟きもう一度探し始めた。

 

…………………………

………………

…………

 

「そろそろ帰るか……」

 

雨も強くなり、これ以上の長居は身体に(・・・)悪い。

 

「愛子さん……俺は……どうしたらいい……?

俺はほんとに……彼女を幸せにできるのか……?」

 

……返事は帰って来ない。激しい雨の音が聞こえるだけだった……。

 

(俺は……どうしたらいいんだ……)

 

そう悩みながら霊園を出ると……

 

ドクンッ!!

 

「ング!?ッ……ガハァッ!!!」

 

びちゃびちゃ……ッ!!……どしゃ!!

 

いきなり身体に激痛が走り、俺はそれに耐えきれず血反吐を吐き倒れた。

 

「や、やばい……薬……ッングハア!?」

 

薬を取り出すよりも早く、更なる激痛が走る。

 

「愛子さん……みんな……ングッ……!!」

 

ドクンッ!!!

 

「!!??……ッハァ!?」

 

「燐……子……」

 

最後に彼女の名前を呟き、俺は意識を手放した……

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 

 




《次回予告》
「蒼司さん!!……ヤダ……死なないで……下さい!!」
「蒼兄!!」
「蒼司さん……死なないで下さい!」
「蒼司!!」
「蒼司……死なないで!」

(……ありがとう、みんな……)

次回『さよならの0(ゼロ)』!お楽しみに!

感想、高評価等よろしくお願いします!


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season1 燐子編:10話 さよならの0(ゼロ)

どうも!燐子編10話!そろそろ燐子編season1もクライマックスです!アンケートもよろしくお願いします!
それでは……どうぞ!


…………………………

………………

…………

 

〜燐子side〜

 

「リンコの容態は?」

「どんどん悪化して行く限りです……このままだと1ヶ月持つかどうか……」

「くそ!流行りの病……治す手立てはないのか!?」

 

(え?リンコ……は今病気……なの?あの時は生き生きとしていたのに……)

 

リンコの周りには王様と医者……みたいな人と……あの竜騎士様がどうにか出来ないかと悩みなやんでいた。

 

「陛下!見つけましたぞ!流行りの病の文献!」

「!!ほんとか大臣!?」

「はい!……どうやら流行りの病の元凶はブルーローズからはるか西の『屍の渓谷』から発生する正気が原因だそうです!」

「屍の渓谷……危険度Sランクの危険区域か……!」

「そうです……そしてその抗体は渓谷の主『疫龍』の角との事……」

 

(疫龍……そんな龍がいるんだ……)

 

「……でしたら私が向かいましょう」

「そ、そんな無茶です!疫龍は渓谷の主と言うだけではありません!疫龍はかの伝説の四大龍王の一角!いくら竜騎士殿でも……危険過ぎる!」

「ではこのままリンコ殿が死に行く姿を指を咥えて見ていろと言うのですか!?……私は誓いました。リンコ殿を幸せにしてみせると!」

「竜騎士殿……」

「わかった……流行りの病の抗体の調達は……ソナタに任せる」

 

「「陛下!!??」」

 

「ただし!無茶だけはするなと約束してくれ……万一の事があれば娘達が悲しむ」

「かしこまりました。……竜騎士団長……押して参る!!」

 

…………………………

………………

…………

 

「……ん」

 

どうやら寝てしまっていたみたいだ。私は起き上がり、身なりを整え鏡の前に立つ。

 

(目尻が赤く腫れてる……私、ずっと泣いていたの?)

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

色々考えていると電話が掛かってきた。相手は……あこちゃんだ。

正直……今は誰とも話したくない気分だ。

 

(でも……あこちゃんなら……いいかな?)

 

そう思って電話に出た。

 

「もしもし?どうしたの?……あこちゃー」

 

『もしもしりんりん!?蒼兄が倒れて病院へ運ばれちゃった!!』

 

「……え!?」

 

直後私はあこちゃんに蒼司さんが運ばれた病院へと全速力で走った。

 

…………………………

………………

…………

 

「皆さん!!」

「りんりん!」

「燐子!」

「燐子!」

「白金さん!」

 

蒼司さんが運ばれた病院……『羽丘中央病院』へ着いた時には他の4人が集まっていた。

 

「蒼司さんは!?」

「たった今中へ運ばれた所よ……!」

「私達も行きましょう!」

「そうですね……!」

「そーだね!……って燐子!?」

「りんりん!?ちょっと待って!」

 

私は皆の制止の声を振り切って病院の中へとかけて行った。

 

…………………………

 

バァンッ!!

 

「ヒィ!?」

「蒼司さんは……さっき運ばれた騎龍蒼司さんは…何処へ運ばれたんですか!?」

「え!?ちょっ……だ、誰なんですか貴女は!?」

「そんな事どうだっていいんです!!早く教えて下さい!!」

 

私は受付の職員を見つけるなり蒼司さんの居場所を詰問した。

 

(早くしないと……蒼司さんが!!)

 

「ちょ、ちょっと燐子!?落ち着いて!?」

「そ〜だよりんりん!?一旦落ち着こ?ね?」

 

私を見つけたあこちゃんと今井さんがそう言って私を止めようとした。

 

「これが……落ち着いてられますか!?早くしないと……蒼司さんが……蒼司さんが死んじゃう!!」

「だ、だから燐子落ち着いて!?アタシ達が急いだってこの状況は……」

 

「離して下さい!!」

 

「きゃぁ!?」

 

私は今井さんを突き飛ばし、辺りを見回した。

 

(ここじゃ蒼司さんの居場所が分からない……!!あれは!)

 

私は遠くから医者が看護婦を連れてこちらへ歩いて来てるのを見つけ、医者の元へ駆け寄った。

 

「すみません!!」

「うお!?な、なんだね君は!危ないじゃー」

「騎龍蒼司さんは……何処へ運ばれたんですか!?知っていたら教えて下さい!」

「騎龍蒼司……?それならさっき私が検査の担当をしたよ。今は病室で休んでいる……ところで君は騎龍君の身内か何かかい?悪いけど…それ以外の人には詳しい事は教えられないんだ」

 

(蒼司さんを知っている!?この人なら……話が通じる!?)

 

私はその事に気づき、更に詰め寄った。……周りの様子なんか気にしてる場合ではなかった。

 

「私は蒼司さんの恋人です!!お願いします先生!!蒼司さんの居場所を教えて下さい……蒼司さんが…蒼司さんが居なくなる前に……!!」

 

「白金さん!!落ち着いて下さい!!」

「氷川さん……離して下さい!!」

「落ち着きなさい燐子!今貴女……ここが何処度か分かってるの!?」

 

「!!!!」

 

「りんりん、少し……落ち着こ?」

「そうだよ燐子……アタシ達だって…蒼司の事は心配なんだよ?燐子だけじゃないんだよ?」

 

「……ご、ごめんなさい……!」

 

ようやく私は我にかえり、周りを見渡した……

ここは病院……さっきみたいな事をすればここで療養してる患者さんとかに悪い影響を与えるに決まっている。

 

「せ、先生もごめんなさい……!いきなり問い詰めてしまって……!」

「大丈夫だよ……余程騎龍君の事が好きなんだね……わかった、話をしよう。付いてきたまえ」

「あ、ありがとうございます……!」

 

私達は先生に連れられ蒼司さんのいるであろう病室へと向かった。

 

…………………………

………………

 

「ここが彼のいる病室だ騎龍君、失礼するよ……」

 

中からは返事が返って来なかった……しかしそれに構うことなく先生は中へと入っていった。

 

「…………」

「白金さん」

「!……氷川さん……」

「今の私が言えた義理かどうか知りませんが……私が付いています。ですから……中へ入りましょう」

 

中へ入るのを躊躇していた私を見て氷川さんが優しく励ましてくれた。

 

「は、はい……ありがとう…ございます」

 

氷川さんに礼をいって私は蒼司さんの居る病室へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

「「「「「…………………………!!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

病室へ入った私達はすぐに絶句する事になった……

 

……私は咄嗟に目を逸らしてしまった

……しかし、これが現実。ちゃんと向き合おうと決めた私は彼をもう一度見た。

 

随分とやつれた顔をしている。しかし苦しんでる様子は見られず、とても落ち着いた寝顔だ。

 

「蒼司さん……」

 

ひとまず、蒼司さんが無事である事を確認出来た私は心を撫で下ろした。そして私はどうして彼が倒れたのか気になった。

 

「せ、先生……。蒼司さんは…どうして倒れたんでしょうか……」

 

それを聞いた先生は少し驚いた顔をしたが……一瞬の事で、「無理もない」とでも言いたげな表情で私の方に体を向けて話し始めた。

 

「燐子ちゃん……でいいかな?今から話す事は全て事実……だがどうにかならない訳じゃないから……気を確かに聞いてくれ」

「は、はい……」

 

そして先生は一呼吸置いて私達にこう言った。

 

 

 

 

「騎龍君は…………まもなく死ぬ」

 

 

 

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

「ど、どう言う事……ですか……?」

 

私は声を震わせながらも、恐る恐る問いかけて見た。

 

(蒼司さんが……死ぬ?……じょ、冗談だよね?)

 

「彼は産まれた頃から内蔵が弱くてね……園児になるまでずっとチューブに繋がれながらの生活だった」

 

 

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

 

 

「そして彼の容態は年月を重ねるに連れて良くなり、遂には小学校へ入学する頃には走れるくらいに回復した」

 

空いた口が塞がらない……私達はずっとその状態だった。

 

「そして偶に通っていた通院生活も終わり、小学校高学年の頃にはもうウチには来なくなったよ」

 

「つ、つまり……蒼司さんは……蒼司さんの身体は……それを克服した……という事ですか?」

 

少しの沈黙の中、私は震えながらも先生に聞いた。

 

「ああ……当時はそれを疑わなかった(・・・・・・)

しかし……早計だった……

人の身体と言うのはそう簡単に変わるものじゃない」

 

「そ、それってもしかして……!」

 

「彼が再びウチに来たのはつい最近の事だ。確か……4月末……だったかな?」

 

「「!!」」

 

それを聞いた私と氷川さんは絶句した……

4月末……つまり私と蒼司さんが付き合い始めた頃から……容態が悪化したと言う事だ。

 

「そして私はこう言った。

……このままだと君の命は長く持たない。移植手術をすればこの先も生きられる……そう言った」

 

「しかし彼はそれを拒んだ。

……自分の身体は自分がよく知ってる。長く持たないなら持たないなりに今を精一杯生きるまでだ……そう答えた」

 

 

 

「「!!……ッ」」

 

 

 

(そんな……そんな事……誰も望んでいない……どうしてそんな……)

 

「そしてそう答えた彼に鎮静剤を処方して別れた……。

そしてまた月日が立って、彼が鎮静剤が終わってしまったと言ってまたここに訪れた。それが今日の昼前の事だ」

 

「…………」

 

「そして彼は去り際に私に頼み事をした。

……恐らくもう長くは持たない……もし俺が倒れて誰かが先生を通してここへ来た時……真実をその人に伝えて下さい。そして……」

 

そう言い終えた先生は私にある物を渡した。

 

「こ、……これは……?」

 

「もしその人が黒髪のロングで自分と同い年位の女性であったなら……これを渡して欲しい……そう彼は伝えて帰って行ったよ」

 

それは小さな写真を収められるペンダントだった。私はペンダントの蓋を開き、中を見た。

 

(蒼司さんと……この人……っ!?)

 

「あくぅ!!」

「りんりん!?」

「燐子!?」

「白金さん!?」

「大丈夫!?燐子!」

 

頭の中に直接何かが流れ混んでくる……

 

(頭が……い、痛い……!こ、これは……っ!?)

 

…………………………

 

「おね〜ちゃん!待ってよ〜!」

「こっちだよ〜燐子♪早くおいで〜」

「も〜!愛子おね〜ちゃん早すぎだよ〜!私追いつけない〜!」

「ごめんごめん♪ほら、ここからは手繋いでいこ!」

「うん!」

 

…………………………

 

「ただいま〜……ってあれ?貴方……だれ?」

「……蒼司」

「あっ!おかえり!燐子!紹介するね!今日から家で暮らす事になった騎龍蒼司君!燐子と同い年だから仲良くしてね?」

「うん!よろしくね!蒼司君!」

「……よろしく」

 

…………………………

 

「お姉ちゃん……遅いな……私のピアノ……見てくれるって……言ってたのに……ってあれ?あれは……蒼司君と……お姉ちゃん?」

 

 

「だからオレ……愛子お姉ちゃんが好きで……付き合いたいんだ」

 

「……私で良ければ……よろしく、蒼司!あっ!これからは私の事愛子って呼んでね!」

 

「……え?」

 

…………………………

 

「や、辞めて燐子!!どうしちゃったの!?」

「私の1番はお姉ちゃんの筈なのに……私だけがお姉ちゃんを愛していいのに……」

「や、辞めて燐子……」

「1番になれないお姉ちゃんなんて……もう要らない!」

 

ドンッ

 

「きゃあああああ……!!」

 

「……さよなら……お姉ちゃん」

 

…………………………

 

「あ、ああ……!」

「りんりん!?どうしたの!?」

 

(私……どうして……忘れていたの……?)

 

「お姉ちゃん……」

「燐子?」

「このペンダントの写真に写ってるのは……

私の姉、白金愛子です」

 

「「「「!!!!」」」」

 

忘れていた……今までずっと……でも……どうして……

 

「これは君のお姉さんからの要望だ」

「え!?」

 

先生がそう言った……

 

(どう言う事?話が全然見えない……)

 

「燐子ちゃん、君は1回都内の大学病院で検査を受けなかったかい?」

「検査……?いえ、覚えてません」

「君のお姉さんは大学病院で私の助手をしていてね……

そこで君のお姉さんが妹には……幸せに暮らして欲しい……そう言って君の記憶の1部を消すよう頼んで来た」

 

「……あっ!?」

 

今……思い出せたから分かる。どうしてお姉ちゃんがそんな事をしたのか……

 

「ここから先は君の想像通りだよ……さて、話は以上だ。蒼司くんに付いて話そう」

 

「さっきも言ったが、移植手術を行わない限り蒼司君は助からない」

 

「……そこで……燐子ちゃん。君にこれを……」

 

そう言って先生は私にある書類を手渡した。そこには臓器提供のドナー登録の書類だった。そして提供者は……

 

「お、お姉ちゃん!?せ、先生……これは……!」

「配属先が決まった時に渡されてね……当時私も驚いたよ。

理由を聞いたんだが……なんて答えたと思う?」

 

「……妹には、私の分までたくさんの事を経験して欲しい。医療の道を進む為に諦めたピアノも、精一杯頑張って欲しい……とにかく私に何かあっても妹だけは幸せに生きて欲しい……そう言っていたんだ」

 

「お、お姉ちゃん……う、うう……っ!」

「白金さん……」

「氷川さん……私…私は……」

 

涙が止まらない……嬉し涙なのか……悲し涙なのか……分からない……

ただ一つ、言えることは……

 

(お姉ちゃんは……蒼司さんの事が好きだった……だけどそれよりも……いえ、誰よりも私を大切にしていた……愛してくれていたんだ)

 

5年前……私の勘違いで姉の人生を私が終わらせてしまった……

その償いを……今、する時だ。

 

「身内の欄だけ、空白でね……ここにサインすればドナー登録は正式に完了する。そして君の……君達の意思次第で……騎龍君の移植手術を開始する」

 

「分かり……ました。

……こ、これで良いでしょうか?」

「りんりん!」

「白金さん!」

「燐子……!」

「燐子!」

 

この後の私の行動は早かった。書類にサインをして先生に渡す。その行動に4人は歓喜の声をあげた。

 

「手術をする前に……蒼司さんと話を……したいです……」

「……わかった、それなら私は準備の為席を外そう。そこのナースコールで終わったら呼びかけてくれ」

 

そう言って先生は病室を出ていった。

 

…………………………

 

「それにしても……驚きました」

「りんりん、お姉ちゃんいたんだね……!」

「うん……とても優しいお姉さんだった……」

「ん〜妹の燐子か〜!想像つかないよ〜♪」

「い、今井さん……///」

「それよりも燐子……蒼司と話をしたいと言っていたけど……」

 

先生が病室を出た後、皆が私のお姉ちゃんについて知りたがって来た。そんな中、湊さんが本題に入るよう話題を変えると皆も私の方を見た。

 

「……私は、お姉ちゃんだけじゃなく……蒼司さんにも優しくされ……ました。……だけど、それを未だに……返せてない」

 

「だから」っと付け加え話を続けた。

 

「……蒼司さん……死なないで……下さい!」

 

それに続く様に

 

「蒼兄……死んじゃヤダよ!」

 

あこちゃんが

 

「蒼司さん……死なないで下さい!」

 

氷川さんが

 

「蒼司……死なないで!」

 

今井さんが、そして……

 

「お願い蒼司……死なないで!」

 

湊さんが……

皆、気持ちは同じだった。この光景を見て私は安心した。

 

(お姉ちゃん……私……お姉ちゃんの分まで頑張って生きるから!)

 

お姉ちゃんとの約束を果たすために……

 

「それでは……押しますね……!」

 

私はナースコールを押した……

 

…………………………

………………

…………

 

〜蒼司side〜

 

「ん……ここは……?」

 

目が覚めるとそこは俺が幼い頃からのお気に入りの公園によく似た場所だった。

 

「久しぶりだね、蒼司♪」

 

「!!」

 

振り向くとそこには……『忘れられない大切な人』……

白金愛子が立っていた。

 

「愛子さん!?……てことは俺……」

「違うよ♪ここは蒼司の夢の中だよ♪」

「そうなの……?」

「うん♪……ねえ、蒼司」

「何?」

 

愛子さんは俺の方に恥ずかしがりながら身体を向け話し始めた。

 

「蒼司……私のお願い……ちゃんと聞いてくれてありがとう♪」

「!!」

「燐子……昔より明るくなって……お姉ちゃんとして嬉しかった……ありがとう♪」

「俺は……駄目な男だよ……愛子さんを忘れらないのに……燐子に尽くす事を選んでしまった……それに……

燐子を悲しませてしまった……約束なんて……何一つ……」

 

「そんな事ないよ!」

「え……!?」

 

俺は驚いた……愛子さんとの約束は何一つ守れなかった筈なのに……

 

「私ね……蒼司のペンダントから見てたんだよ?燐子はとても変わったよ!蒼司のおかげ……蒼司が、私の約束を守って…果たしてくれたから!だから……ほんとに……ありがとう♪」

「!!……愛子さん……俺は……俺は……!」

「蒼司……これからも……燐子の事、よろしく頼める?」

「……勿論だよ!俺は……燐子(・・)の彼女だから!」

 

俺は決めた……もう、愛子さんは居ない……なら、愛子さんの分まで燐子と一緒に生きる……それが俺のやるべき事だと感じた。

 

「そ♪それでいいよ♪ほら、あそこ♪」

 

愛子さんが指を指した先には五人の人影……俺のよく知っている人影が立っていた。

 

「愛子さん……今まで……ありがとう……

そして……見ていてくれ、俺と燐子のこれからを!」

「うん♪燐子の事……これからもよろしくね!」

 

俺は愛子さんにそう言って、五人の影の方へと走って行った……

 

 

 

 

(皆……ありがとう)

 

 

 

 

〜END〜

 




《次回予告》
「蒼司さん……!!」
「燐子さん!」
「蒼兄!!」
「蒼司!」
「蒼司……!!」

「皆……ただいま!」

次回、『始まりの0(ゼロ)』!お楽しみに!

あと2話で燐子編完結です!アンケートまだの方、いそげ!

高評価、感想等よろしくお願いします!


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season1 燐子編:11話 始まりの0(ゼロ)

お待たせしました!
燐子編は次回で最終回です!最後まで宜しくお願いします!



「…………ん?」

 

目を開けるとそこは病室だった。

 

「蒼司……さん?」

 

声のする方に視線を向けると、そこには俺の寝ているベットのすぐ横で座っていた。燐子だけじゃない。Roseliaの皆もそこにいた。

 

「燐子……皆……」

 

「蒼司さん!!」

 

「うおっ!?」

 

直後、燐子が俺の名前を叫び抱き着いた。

 

「蒼司さん!」

「蒼兄!」

「蒼司!」

「蒼司!」

 

燐子に続くように他の4人も俺の周りに駆け寄ってきた。

 

「皆……ただいま」

「!!……蒼司さん。身体……少し起こして……ください」

「え……わ、分かった……」

 

直後燐子は俺から離れてそういった。俺は上半身を起こして燐子の方に身体を向けると……

 

 

 

 

バチィンッ!!!!

 

 

 

 

「ッ!」

「し、白金さん!?」

「りんりん!?」

「り、燐子!?」

「燐子!?」

 

一瞬、何が起こったか分からなかったが、燐子に思い切りビンタされたのだと悟った。

 

「先生から……全て聞きまた。蒼司さんの身体のこと……蒼司さんがまた病院に来た時のこと……全部……」

 

そこまで言うと燐子は泣き出した。

 

「どうして……私達に何も言わなかったんですか?自分の身体は自分がよく知ってるから……長く生きられないなら自分の命尽きるまで精一杯生きるって……そんなの身勝手過ぎます!!」

「!!」

「私……そんなに頼りない彼女ですか?……私に……私達に迷惑を掛けたくないからそう言ったって理解できます……だけど……!」

 

「少しくらい頼ったって……良かったじゃないですか!?」

「私……蒼司さんの力になりたい……蒼司さんが元気な姿をずっと傍で見ていたいのに……どうして……どうして……」

「燐子……」

 

遂に燐子は耐えきれず嗚咽を漏らし泣き始めてしまった。

 

「蒼司さん……」

「紗夜……」

 

今度は紗夜が燐子の背中を擦りながら話し始めた。

 

「私も……白金さんと同じです。このミサンガに誓ったんです。蒼司さんにとって1番の友達になるって……1度はその誓を違えても、変えたりはしてないです。貴方と白金さんに幸せになって欲しいから……」

 

そして紗夜は「だから」と付け加えて話を続けた。

 

「だから……もう1人で悩まないで下さい。1人で乗り越えられなかったら私を……私達を頼ってください。何度も言いますが、貴方と私は友達です。そして……」

 

「それ以前に私達はRoseliaです。挫けそうになったら……どうしようもなくなったら……いつでも仲間を……友達を頼ってください」

「紗夜……」

 

紗夜を見て……燐子を見る。

そして友希那、リサ、あこを見る……。

 

(俺……最低だな。こんなに身近に信頼出来る人達がいたのに……)

「皆……ごめん……心配かけて……」

 

「嫌です!!」

 

「!?……り、燐子……ち、近い……」

 

さっきまで泣いていた燐子が自分の顔をずいっと目の前に寄せた。

 

「ほんとに悪いって……思うなら……あ、謝るだけじゃ……駄目……です!せ、責任を……とって……下さい!!」

「せ、責任!?」

 

えっ?責任って……てか燐子そんなこと言うキャラだったか!?思い当たるとすれば……

俺はもう一度紗夜を見て、あこ、友希那、リサを見渡す。4人とも揃って声を出さずに笑っていた(・・・・・)

 

(う、恨むぜお前らぁ……)

 

俺は深くため息を付き頭を掻きむしった。

責任……つまり、そういう事さ。(いや、どういうことですか?)

 

「えっと〜……燐子さん?詰まるところ俺は何をすればよろしいのでしょうか?」

「そ、それは……ですね……///」

 

燐子は顔を赤くしながら俺の耳元で囁いた。

 

「退院したら……よく熟れた林檎……召し上がりたく無いですか?」

 

「!!??……燐子がそれで満足するなら……喜んで」

 

俺がそう答えると今度は明るくなって「退院……楽しみにしてますから♪」……そう言って病室を出ていった。

それにつられてあこ、友希那も病室を出る。

 

「蒼司さん」

「ん?」

「お大事に。退院……楽しみにして待ってます」

 

そう言って紗夜も出ていったのだった。

 

……1人、リサを残して……

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…………」

「…………」

 

4人が病室を出たが、リサだけがここに残っていた。

 

「リサも病室出なくていいのか?」

「蒼司……少し、話がしたいの」

「俺に?」

 

どうやらリサは俺と話がしたいがためにここに残ったらしい。

 

「その……ごめんなさい蒼司!!」

「リサ?」

 

俺は驚いた。リサがいきなり謝った事に……何か気に触るようなことでもしたのだろうか?

 

「アタシ……蒼司に酷いことした……アタシがあの時友希那や皆に蒼司を下着泥棒に仕立てあげようなんて言わなければ……蒼司は……蒼司は……」

「何言ってるんだよ……その事はもういいって……それに、俺が今病室いるのは自分の身体のせいで……」

 

「違うの!そうじゃなくて……!アタシのせいで蒼司は……Roseliaを辞めるって……アタシがあんな事しようなんて言い出さなければ……こんな事に……ホントにごめんなさい!!」

 

「リサ……」

 

リサは……自分のせいで俺がRoseliaを辞めるって言い出したと言っていた。

 

「蒼司だけじゃない!燐子にまで酷いことして……辞めるのは……アタシの方なのに……アタシ、Roselia失格ーー」

「それは違うぞリサ」

「!!」

 

これ以上自分を責めないようにと俺はリサの言葉を遮った。

 

「お前は何一つ間違っちゃいない。そりゃ……俺を下着泥棒にした手上げたことは今でも少しだけ怒ってるけどさ……それは俺が燐子にだけ依怙贔屓してるのを見てそうしたかっただけだろ?それに関しては俺にも悪い所がある……だから謝るのは俺の方だ」

「で、でもアタシ……蒼司だけじゃなく燐子まで傷つけーー」

 

ペシッ!

 

「ッ!?」

「燐子も言っていた筈だ。自分も共犯だって……だからもうこれ以上責めるのはやめろ」

「アタシ……アタシ……!!」

 

俺は両手を広げた。

 

「……ほら、おいで、リサ」

「ううっ……うあああああんんん……!!」

 

……しばらくりさは俺の胸元で泣いたが、しばらくしてようやく泣きやんでーー

 

「蒼司、……アタシも蒼司の友達としてそばにいてもいい?」

 

そう聞いてきたのでーー

 

「……何時も胸元空いてはないけど……もちのローンで♪」

「!?っ///……もうっ!蒼司ったら!」

 

「「アハハハハ♪」」

 

……いつの間にか、互いに笑いあいリサは「退院、楽しみにしてるよ♪」といって病室を出ていったのだった……。

 

 

 

 

〜END〜

 

 




《次回予告》
「蒼司、実は今度の主催ライブなのだけど……」
「蒼兄!凄い似合ってるよ!」
「似合ってるよ、蒼司♪」
「貴方のギターテク……存分に見せてください!」
「蒼司さん。きょ、今日は……よろしく……お願いします!」

「……満足させてくれよ!!」

次回、『清純な彼女と歩む軌跡』!お楽しみに!

次回で燐子編ラストです!お楽しみに!


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season1 燐子編:12話 清純な彼女と歩む軌跡

どうも!燐子編最終回!
さて、友希那編ではLOUDERを採用しましたが(詳しくは友希那編の12話参照)燐子編はどうしますかね……
最後までお付き合い下さい!
それでは……どうぞ!!


「陛下ー!陛下ーー!!」

 

「何!?リンコが目覚めたと!?」

「はい!竜騎士殿のご活躍によりリンコ殿の流行りの病は綺麗さっぱり無くなりました!!」

 

(竜騎士……やったんだな……って竜騎士の姿が見えないが……?)

 

「たったた……大変です!陛下!!」

「今度はどうした!?」

 

(見た感じリンコの世話係さんに見えるな……てか凄い顔真っ青だ)

 

「先程リンコお嬢様の部屋を訪ねたら部屋はもぬけの殻!そしてベッドにこれが!!」

「な、なんだって!?……その文、見せてみよ!」

 

(おいおい……なんかただ事じゃない雰囲気だな……)

 

『お父様へ

お父様、私リンコは竜騎士様……否、○○様と共に幸せな家庭を築きます。誠に身勝手で我儘な事を言ってごめんなさい。ですが私の命を救ってくれたお方に、恩返しをしたいのです。必ず幸せになって故郷であるこの素晴らしき国に戻って来ます。お父様もお元気で。

:リンコ』

 

「何とリンコが……

……リンコ、そして○○よ!必ず幸せになって戻って来るのだぞ!このブルーローズに!!」

 

(そっか……リンコと竜騎士が……2人とも、幸せにな)

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……ん」

(……もう朝か?)

 

普段だったらこの時点で俺は起きてるはずなのだが……今日の俺はそれを拒み、寝返りを打とうとした。

 

「ん〜……もう少し寝かせーー」

 

ムニュウッ♡

 

「んむっ!?」

「んひゃうッ!?♡」

 

燐子の可愛い声が聞こえ俺は目を開ける……が、目の前は真っ暗で何も見えない。

 

(おかしいな?いくら何でも暗すぎだろ……てか、何か凄い甘い匂い……)

 

そして何故だろう?異様に心臓の鼓動がよく聞こえる。何がどうなってるのだろう……そう考えてる刹那……

 

「蒼司さ〜ん……むにゃむにゃ……」

 

ぎゅうう……ッ♡

 

(ふえ?)

 

え?今俺はどんな状態なんだ?まず分かってるのが……

 

・燐子と一緒に寝ている

・目を開けても真っ暗

・甘い匂いがする

・心臓の鼓動がよくきこえる

・燐子に抱きつかれた

 

……さて、読書の皆様。この5つから察して、俺は一体どんな状態なのか当ててみてくれ。

 

カウントダウン行くぞ〜

 

5

 

4

 

3

 

2

 

1

 

0……

 

タイムアーップ!!

さて……さてさて……さてさてさて……正解は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(燐子に……抱き枕されてる……!?)

 

正解〜!!俺は今燐子に抱き枕されてるんだZE!!

いや〜道理で目の前見えなくて甘い匂いがして心臓の鼓動がよく聞こえると思ったら俺の顔今燐子の大きく育った果実に挟まれていた訳だ!

アハハハハハハハハハハ……

 

 

 

(ん?待てよ……どうして燐子と寝てるんだ?)

 

確か俺は昨日退院したばかりで退院祝いで俺ん家でRoseliaの皆と王様ゲームして……友希那、リサ、紗夜、あこ、燐子を空き部屋で寝かせて……さて俺も寝ようとしたら燐子が来てそのまま所謂営み……ゲフンゲフンッ……一緒に寝た……そして今に至る……

 

……この時俺は何かを察した。時間は見えないが、下手したら誰かしら起きててもおかしくない時間だろう。

もし……もしもだ……誰かが俺の部屋に来たりしたら……

 

(やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!!!早く燐子から離れないと!!)

 

「り、燐子?朝だから起きるーー」

「むぎゅう〜……♡」

 

(あーやばい……可愛いすぎる……って違う違う!!)

 

「燐子、早く起きないとやばーー」

「ん〜……もうちょっとだけ……♡」

 

(あっ……これ終わったな……ならいいや、もうこのままでいよ)

 

俺はとうとう諦めてこのまま燐子の抱き枕になっていようと決めそのままもう一度眠りに着いた……。

 

そして紗夜に叩き起され俺と燐子は高1時間程正座で説教されたのであった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪……

 

「……うん、大分板について来たなこの曲も」

 

今俺達Roseliaは次の主催ライブに向けてある新曲の練習をしていた。

この曲の花はキーボードだ。イントロの部分から間奏とメインになる所が多い。それどころか他のパートよりも技術を要するある意味高難易度な曲でもある。

 

「始める前にも行ったけど、メインになるのは主にキーボードだ友希那は余り前に出すぎない程度に、あことリサは燐子を支える形でリズムを刻めばいい。紗夜は全体的に燐子の音を優先して聞きながら友希那と同じく前に出ない様に」

「分かったわ」

「了解〜♪」

「了解しました」

「了解です!」

「そして燐子。今回の曲のメインはさっきも言ったがキーボードだ。今までの曲よりかは主張多めでも大丈夫だ。但し、前に出過ぎて他のパートのサポートが無になる形で演奏しないよう心がけてくれ」

「わ、分かり……ました……!」

 

……と言った感じで5人にアドバイスをして俺は時計を見る。時間的にも休憩込で次が最後の通しになるなと俺は思った。

 

「よし。少し休憩を取ろう。10分後にセトリ通りに合わせて、今日は終わりだ」

 

「「「「「はい!!!!!」」」」」

 

「蒼司。ちょっと……いいかしら?」

 

スタジオ横で俺は水分をとりつつ、さっきの曲のスコアを見ながら考えをまとめていると友希那に声をかけられた。

 

「分かった」

 

そう答えて俺は立ち上がり友希那の所へ向かう……その前に隣でさっきの復習をしていた燐子に「少し行ってくる」と声をかけキスをした後、友希那の元へ向かった。

 

「〜〜///」

「アハハ……相変わらずアツアツだね燐子♪」

「い、今井さん!?」

「りんりん……顔赤いけど……大丈夫?」

「だ、大丈夫だよ……あこちゃん///」

 

さっきの動作を見ていた3人が、少し胸焼けした表情で燐子に話しかけてる姿が見えた。当の燐子も顔を真っ赤にしていたが大丈夫だろう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「何時も……的確なアドバイスありがとう」

「いきなりだな。別に、それが俺のやるべき事だって割り切ってるから問題ないよ」

「そう……それよりも蒼司、貴方に相談があるの」

「相談?」

 

らしくない感謝を述べられたと思っていたら本題はどうやら別にあったそうだ。察するに次のライブの事だろうか?

 

「この話をする前に……蒼司。貴方ソロギターボーカリスト『SOUGA』で間違い無いかしら?」

「……燐子から聞いたのか?」

「それもある……けど、偶然貴方らしき人物の動画を見て……確信(・・)したの。これは蒼司だって」

 

流石は友希那と言うべきだろう。何回見たかは分からないが見ただけで確信を着く程とは……伊達にRoseliaのボーカリスト名乗ってないなと俺は思った。

 

「それで……本題だけど今回の主催ライブで蒼司……いえ、SOUGAとして出て貰えないかしら?」

「いきなり……でもないか。俺の動画見てそう思ったんだよな?」

「ええ……」

 

俺自身、いつかこの日が来るのではとRoseliaの曲は程全てさらってある。望むところだ。

 

「いいぜ。その話……乗った!」

「!!……ありがとう、蒼司」

 

主催ライブでSOUGAとして出演が決まった俺はそろそろ時間になるなと思い友希那とスタジオへ向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪……

 

「セトリ通りに合わせると、あの曲も味気が違くなるな……当日が楽しみだ」

 

俺は最後まで聞いてこのような感想に至った。

 

「今日はお疲れ様。ライブ当日までさっきやった所、各自攫っておくように」

 

「「「「「はい!!!!!」」」」」

 

そこで蒼司は少し違和感を覚えた。今までならすぐ片付けをしてリサか俺が次のスタジオの予約を取りに行くのだが(ちなみに今回はリサが担当だ)皆に行動しない。

 

「蒼司さん!」

「ん?どうした燐子?」

「す、少しだけ……ほんとに少しだけです。1曲……合わせて欲しい曲があるんです!」

「蒼司が?」

 

時間を見る……ほんとに、1曲だけなら大丈夫だな。

 

「1曲だけだぞ……にして、曲は?」

 

俺はCIRCLEへ向かう前に燐子に持ってくるよう言われて持って来たギター『BlueLightning』を取り出しながら聞いた。

 

「曲は既に決まってるわ。『軌跡』を合わせようと思ってるの」

 

『軌跡』……今回の主催ライブのセトリには中盤辺りからやる曲だ。

恐らく……皆俺がSOUGAだと分かって頼んでるのだろう。

 

「分かった。俺はいいが……紗夜は……」

「私は問題無いです。一緒に弾いてくれるんですか?」

「ああ……但し、余り加減が出来ない。軌跡だからって遅れるなよ?」

 

準備が出来た俺はBlueLightningを持って紗夜の隣にたった。

 

「準備が出来たようね……いくわよ、『軌跡』」

 

〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪……

 

「靴紐が解ければ♪結び直すように♪別れても途切れても♪

また繋がる為に♪出逢うべく♪人は歩んでゆく♪」

 

この曲もさっきの新曲同様、メインがキーボードの曲。但し違うのはなんと言っても落ち着いた……静かな曲だという事だ。

 

「"ありがとう"♪此処で逢えた♪貴方と私の軌跡♪

一つだって忘れないわ♪いつまでも熱いままで♪」

 

そしてもう1つ……この曲を聞いていると俺と燐子の歩む軌跡が見える気がして……いつまでもこうして歩いていたい……そう思わずには居られない曲でもある。

 

「幾千も永遠を重ね♪」

 

〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪……

 

「……本番も、よろしくな。皆」

 

俺は密かにそう呟いたのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

そして時が経ち主催ライブ当日〜……

 

「Roseliaさん!本番よろしくお願いします!」

 

「……いよいよね」

「そうだな」

 

とあるライブハウスの控え室にて……スタッフに本番が来たことを知らされた。

 

「それはそうと……とても似合ってますよ、蒼司さん」

「ウンウン♪カッコイイよ〜蒼司♪」

「蒼兄!凄い似合ってるよー!」

「ありがとう……なんだか少し照れくさいな……」

 

本番当日、俺は何時も着る衣装でライブに出る……はずがRoseliaの……特に燐子の要望にて別の衣装でライブに望む事になった。

デザインは皆と同じ黒メイン、そして薔薇の装飾が所々。そして胸元には黄色い薔薇のブローチがジャケットに付けられている。

 

「黄色の薔薇には『友情』の花言葉がある……俺にピッタリだ」

「き、気に入って貰えて……嬉しいです……」

 

言うまででも無いが、衣装のデザインは燐子だ。聞くにはこれまでのライブの衣装は燐子が担当してるとか。

 

「そ、その……今日はよろしく……お願いします……!」

「ああ!よろしくな燐子!そしてRoselia()!!」

 

こうしてRoseliaと俺……SOUGAの主催ライブが幕を開けたのだった。

 

「満足させてくれよ!!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「Roseliaよ……今回スペシャルゲストを呼んでるわ

紹介するわよ……ソロギターボーカリスト、『閃烈なる蒼き狼』!!

SOUGA!!」

 

(友希那のやつ……何処で俺の2つ名を?てか2つ合わせやがったか)

 

そう愚痴を零しながらも俺はBlueLightningを手にステージに上がった。

 

「皆ァァァ!!満足して言ってくれよォォ!!」

 

ワアアアアアア!!キャアアアアア!!

 

「観客の熱……中々なものね……!主催ライブ……いくわよ!」

 

友希那の掛け声と共に主催ライブが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

次々に曲が進み、そして最終の曲……

 

「次で……最後の曲よ……」

「『Ringing Bloom』」

 

新曲の、Ringing Bloomが始まった。

 

〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪……

 

「私を動かすのは♪この居場所♪

少しずつ♪明ける空に♪

逃げていたことにも♪

今ならば♪向き合える気がしたの♪」

 

(……見てるか?愛子さん……俺と燐子の……これからを歩む姿……軌跡が!)

 

演奏しながら……今は亡き、愛子に問いかけた。

 

(愛子さん……貴女は多分……これを教えたかったんだよな……俺と燐子に……仲間と共に歩んでいけって、1人じゃないって……!)

 

「Faith!取りに帰ろう♪あの日の忘れ物を♪

Faith!一途な願い♪鍵盤に添えて♪Feel it!」

 

「「「「「I will be just myself!!!!!」」」」」

 

「約束を♪」

 

(もう……1人で悩まない……俺には……Roseliaが……仲間がいる

そして何より……燐子がいる)

 

「未来への♪道を照らす♪」

 

(見ていてくれ……俺と燐子が歩むその先……軌跡を!!)

 

 

 

 

 

〜season1 燐子編 END〜




season1燐子編、これにて完結になります!
最終までお付き合いありがとうございました!
感想、高評価等お待ちしております!
次回作をまたれよ!


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紗夜編
season1 紗夜編:0話 プロローグ


お待たせしました!今回から紗夜編スタートです!再びアンケート取りますのでよろしくお願いします!
それでは……どうぞ!


(……ここは……どこだ?)

 

恐らく夢の中……だろう。そこはとある腐敗した街に見えた。

 

「はぁっ!」

 

(!……あそこに居るのは……あの竜騎士……鍛錬でもしてるのか?)

 

そしてその町の端であの日見た竜騎士が1人で素振りをしていた。振り方からして剣技の1つや2つ……覚えてそうな勢いだ。

 

「そこの貴方!」

「……誰だ」

 

(あそこに居るのは……紗夜?いや……似てるけど……雰囲気が違う……ように見える……)

 

「私はロゼリア家3女のサヨです。貴方が先日からお父様に雇われた新しい竜騎士団の団長さんですね?」

「……それがどうした?」

 

(ておいおいまてまて……サヨって娘の腰に携えてるのって……剣!?)

 

「……お手合わせお願いします……やあっ!!」

「……」

 

彼女は剣を構え竜騎士に向かって肉薄した。

 

(どうして剣を抜かない!?)

 

しかし竜騎士はその姿をみて1ミリも動じず……

 

「きゃあっ!?」

 

竜騎士は彼女の一太刀を躱すとすぐさま懐に潜り込み彼女の背負い投げした。

 

「……っ!け、剣が!!」

「……遅い」

「!?……あがっ!?」

 

手放してしまった剣を拾おうと彼女はたちあがったが、竜騎士に後ろを取られ一瞬で地面に叩きつけられた。

 

(な、何をするつもりだ……!?)

 

竜騎士は彼女の頭を抑えてた手を離し、代わりに何かを唱え彼女が先程手放した剣を手に取った。

 

「……終わりだ」

「ーーっ!?」

「…………」

「…………?……どうしてトドメを……?」

 

しかし竜騎士はトドメを刺さず彼女の顔の横に剣を突き刺した。

 

「……相手に剣で手合わせ願うという事は……相手に切られる覚悟で挑むということ……その覚悟無きものが剣を扱うなど身の程を知ることだ」

「な!?か、返して!」

「断る。サヨと言ったな……お前が俺の言葉の意味が分かるまで……これは俺が預かる……さらばだ」

 

そう言って竜騎士は彼女を置いて自分の愛馬にのり城へともどって行った。

━━━━━━━━━━━━━━━

ピピピピピピ……!!

 

「…………」

 

スマホの目覚ましで蒼司は目を覚ました。

 

(……あの日の出来事と言い……なんなんだ?)

 

そう考えながら起き上がり、スマホの時計を見ながら制服に着替える。

 

(確か……今日からだっけな?交換留学)

 

そう……今日から俺は交換留学生として二学期いっぱいまで花咲川女子学園に通う事になっている。しかし通うにしてもまだ朝の5時……恐らくだがまだ学校は閉まっているはずだ。そもそも花咲川の理事長から8時には来るようにと言われているためまだ3時間の猶予がある。

 

「……じゃあシロナ、行ってくるな」

「にゃお〜ん♪」

 

俺は身支度を整え、『あるものが入ったエコバック』を持ち……飼い猫のシロナに挨拶をし家を出た。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜紗夜side〜

 

「おはよ〜お姉ちゃん♪」

「おはよ日菜。朝ご飯あるから食べて行きなさい」

「えー!?お姉ちゃんもお食べちゃったの!?一緒に食べようって何時も言ってるのに〜!」

「しょうがないじゃない……風紀委員の仕事があるんだから……」

 

今日は風紀委員の仕事もあるけれど今日は交換留学生が来る日……誰が来るか私は気になって早く起きてしまった。

 

「ンー!♪美味しぃ!お姉ちゃん今日()あの人の差し入れ?」

「ええ。ユキさんも今日は早番の仕事だからって私達の分を作って行ったわよ」

「そっか〜……ユキさんと話しながらご飯食べるのるんっ♪て来るんだけどな〜」

「しょうがないでしょう……それより今日は交換留学生が来る日でしょ?私はこれで行くから日菜も早く学校行くのよ」

「は〜い♪行ってらっしゃいお姉ちゃん♪」

 

確か……ユキさんも今日ウチの学校に交換留学生が来ること知ってたわね……何故かしら?

ユキさん……本名小山ユキさんは公安の仕事をしている私達にとって「お姉さん」……いえ、「命の恩人(・・・・)」。両親を早くに亡くしてしまった私達の面倒をよく見てくれるお隣さんだ。

そんな彼女が何故交換留学のことを知っているのか疑問に思いながら私は家をでた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

今日は違反者も出ず、遅刻の生徒も居なかった。そういう日が何時も続けばいいのだけれど……割とそうはいかないのが現実。

 

「氷川さん……」

「白金さん。どうしました?」

「今日……交換留学生が来ます……よね?先程生徒会の顧問の先生からその生徒の面倒とある事(・・)を……頼まれたんですけど……」

「ある事?」

 

そういえば……交換留学生……誰だか分からずじまいでしたね……学校に来る時間を事前に伝えられているのでしょうね。

 

「はい……なんでも……花咲川からは副会長の○○さんが……羽丘へ行かれたそうで……」

「なるほど、つまり生徒会のメンバーとして向かい入れて欲しいと?」

「そう……です。ただもう1つ……その留学生……花羽の『男子生徒』だそうです……」

「なんですって……?」

 

花羽……確か地元に3年前出来た普通校……でしたよね?花羽の先生方は一体何を……

 

「は〜い、皆席に着いてー皆にお話あるからね〜」

 

担任の先生にそう言われ私達は席に着いた。

 

「今日から知っての通り……花羽から交換留学生が来ます。花咲川からはウチのクラスの○○さんが羽丘に交換留学生として行きました。二学期いっぱい一緒に過ごすことになるから仲良くしてね〜

……って事で、入ってきていいよ〜」

 

先生の合図と共に教室の扉が開かれ交換留学生が入ってきた。

……白金さんの言う通り男子生徒ね……そこに関しては余り驚かない……事前に知らされてなかったら周りの皆さんと同じ反応を……ーー

 

「「え!?」」

 

入ってきた男子生徒に私と白金さんは同じタイミングで驚き、更には立ち上がっていた。

 

「ど、……どうして……」

「あ、貴方がここに?」

 

私達が驚いた理由……それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日から花咲川でお世話になります。騎龍蒼司です」

 

そう……騎龍さんが交換留学生だったからだーー。

 

 

 

 

〜END〜

 

 




申し訳ないです。本編から予告無しで行きます。期待していた方ごめんなさい!

高評価、感想等お待ちしております!


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season1 紗夜編:1話 惚れてしまいました……

1話目から……(語彙力)
序盤何時もの回想入りますがその後紗夜視点でお送りいたします!


あれは遡ること一週間前のこと……

 

「失礼します。3ーAの騎龍蒼司です。」

「どうぞ。」

 

Roseliaの反省会が終わった後…。学校から特に用がなければこれから来て欲しいと言う連絡を受けた。俺自身特に用はないし何やら急を要する感じだったため、私服のまま学校へむかったのだ。(ちなみに私服で来る許可はおりている。)

 

「急で済まないね。適当にかけてくれ。」

 

呼ばれた先は応接室。中には既に4人席についていた。真ん中に校長先生。両サイドに教頭先生。そして学年主任の先生がすわっていた。

 

そしてもう1人…クラスメイトではないが女子生徒が1人先生達と向かい合う形で座っていた。そして俺は彼女の隣に腰を掛けた。

 

「さて、突然だが…2人は『地域交換留学』について何処まで知っていますか?」

 

この質問に対して

 

「花咲川、羽丘、花羽の3校が交流と」

「学力向上を目的としてやるんですよね?」

 

そう互いに答えると

 

「その通りです。今回〇〇さんには羽丘女子学園へ、蒼司君には…」

 

中々留学先を話さない校長先生を見て俺はさとってしまった。

 

「花咲川に行くんですよね?いいですよ。」

 

予想外の答えだったのだろう。ここにいる俺以外全員が驚いていた。

 

「いいのかい?君は男子生徒。分かっていると思うが花咲川は女子学園。女子生徒しか居ないのですよ?」

「心配に及びません校長先生。俺は花羽の生徒として恥ずかしくないよう花咲川の生徒と関わるつもりです。」

 

「校長先生、ここは蒼司君に任せて見てはどうでしょう。」

「〇〇先生……。」

「確かに蒼司君は女子生徒とあまり接したことが無いと言えるでしょう。しかし、それを補うカリスマ性が彼にはあります。私はそのカリスマ性にかけてもよいかと思います。」

 

うえぇ…先生俺のこと盛るねぇ。なんか怖い。

 

「……分かりました。では2人の留学先は先程述べた通りで宜しいですね?」

「はい。」

「あ、あと……留学期間ですが、2学期いっぱいとさせて貰います。よろしいですね?」

 

二学期いっぱい?地味に長いぞ……でも、覚悟はできてる。

 

「はい。」

「それでは本校の留学生徒はこの2人にきまりました。宜しくお願いしますよ。」

 

こうして俺は花咲川へ交換留学することになった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜紗夜side〜

 

「……と言った感じで話が纏まったんだ」

 

お昼休み、生徒会室で私と白金は騎龍から交換留学についてのいきさつを聞いていました。話から察して騎龍さんは優しい方何だとその時思いました。

 

「その……よく断らずにその話を……受け入れましたね……」

「昔から……頼み事を断れない性質だからな」

 

そう言って騎龍さんは水筒に入ったお茶を口にした。

 

「……それにしても、暑いですね」

「そう……ですね……一応窓は開けてあるんですが……今日は一段と日差しが強いようで……」

「そうですね……あ」

 

「「??」」

 

しまった……私としたことが、教室に水筒を置いてきてしまいました……。生徒会室から距離は無いにせよ、この暑あで取りに行くのは少し面倒ですね……どうしましょう。

 

「そう言えば氷川さん水筒持ってきてないんですか?」

「はい……恥ずかしながら、教室に置いてきてしまい……」

「なら、俺のお茶飲んで下さい」

「いいんですか!?ありがとうございます……」

「え!?ひ、氷川さん……そ、それは……///」

 

白金が何か言いたげでしたが……あまりにも喉が乾いていた私は白金さんの会いたかったことを察せず(・・・)騎龍さんの水筒のお茶を飲みました。

 

「はあ……ありがとうございます。喉が乾いていたので……助かりました」

「あ、ああ……///氷川さん///」

「?どうかしたのですか?白金さん」

「氷川さん……それ……騎龍さんの水筒……」

「そうですね?それが何か……あ!」

 

そこで私は白金さんが言わんとしていた事を理解してしまった。そのため私は顔を一気に赤くさせました……

そう……騎龍さんの水筒のお茶を口にした……つまりそれは……

 

「か、関節キス……///き、騎龍さん。分かってやりましたか?」

「?なんの事だ?」

 

「「……///」」

 

無自覚……ですか。……また(・・)騎龍さんにしてやられました……。そう、騎龍さんのこの無自覚な行動は今に限った話ではなく……

 

ある時は数学の授業で……

 

「え〜教科書p28の問5……今から10分取りますので皆さんといて下さい」

 

(……この問……意外と難しいです。今日習った公式を利用して……ここからどうすれば……)

 

「氷川さん、どこか分からないのか?」

「!騎龍さん……はい……ここの部分で……」

「ちょと見せて……」

「はい……ってちょっ!?///」

 

き、きき騎龍さん!?ち、近すぎますよ!?か、顔が……ああ!

 

「……ここをこうして……って氷川さん?」

「ひゃ、ひゃい!?///」

「大丈夫か?熱でもある?」

 

あああああああああああぁぁぁ……!!///き、騎龍さん!手!手!!み、皆見てます!!……は、恥ずかしい……///

 

「だ、大丈夫です!……あ、ありがとうございます!///」

 

私は何とか自我を保ちつつ問5を終わらせました……///

 

そして、時には体育の授業……

 

今日は球技大会の練習でドッチボールの練習です。チームわけで私は騎龍さんと同じチームです。

 

「はぁっ!」

「きゃあ!」

「流石ですね氷川さん」

「ありがとうございます!ですがまだ1人……これからです!」

 

しかしさっきの事があったせいか……相手チームがボールを投げる体勢をとっている事に気づけなかった私は……

 

「いけー!○○さんの仇ーー!!」

「し、しまったーー!?」

「危ない!!」

「きゃあっ!?」

 

何とか騎龍さんが庇ってキャッチしてくれ……ーーっ!?

 

「きゃっ!?ーー」

「氷川さん!?」

「!!??」

 

咄嗟の事で驚いた私は体勢をくじしてしまいました。

ままままままたですかぁ!?///てか今度は……だ、抱き締められてます……///騎龍さんの身体……まじかで見ると大きく見え……て違う違う違う違う!!///

 

「氷川さん大丈夫か!?」

「だ、大丈夫……ですから……その……は離れて///」

「!……ごめんなさい、なら氷川さん。俺の後ろにいて離れないで下さい。何がなんでも氷川さんをまもるから」

「……!!??///」

 

さ、さっきの授業といい……なんでこの人はこう無自覚なのですかーー!?///

 

そしてついさっき……生徒会室へ向かう途中も……

 

おかしい……今日の私は変です。いつもならあんなヘマしない筈なのに……どうして……///

 

「さ、流石にここでヘマなんて……」

 

そこで私は自分が盛大にフラグを回収している事に気づきませんでした……

 

「っきゃあ!?」

 

ってなんで何もない所で!?てかフラグ回収ですか!?

 

「危ない!!」

「〜〜ッ!!??///」

 

はい……///無事フラグ回収しました氷川紗夜です///

 

(……もー訳わかんないですよ〜……///)

 

……なんて事がありました……今日の私は本当におかしい……そう思えるほどに。私はこの際、あの時から気になったことを彼に聞くことにしました。

 

「その……騎龍さんはどうして……私の事を気にかけるのです?」

「どうしてって……俺は氷川さんが困ってたり危ない目にあってる姿を無視出来ないんで」

「ど、どうしてです?あの日のライブの日を除けば……私と騎龍さんは初対面のはず……?」

 

あれ?……おかしい。初対面……のはずなのに……どうしてでしょう……?彼とは一度(・・)会った事がある様な……?

 

「と、とにかく私は大丈夫ですから……騎龍さんはその……無自覚な行動を直して下さい!///」

「……?氷川さんが言うなら……わかった。善処するよ。ただ……」

「!?///」

「あわわ……っ!?///」

「無茶だけはしないでくれ。俺は氷川さんを守りたい。放っておけないから……それだけだ」

 

だ、だだ……っだからその無自覚を直して下さいー!!どうしてそうやって無自覚に手を握るのです!?///さ、さっきから心臓の鼓動が早すぎて……もう自分が保てないです……///

 

「あっ!き蒼司さん……昼休み終わってしまう前に……伝えたい事があるんです」

「俺に?」

 

それを聞いた騎龍さんは私の手を離してくれた。

……白金さんナイスです!!

 

「はい……実は……」

 

そこで白金さんは今日の朝私にした話をそのまま騎龍さんに伝えた。

 

「……つまり、その彼女の代わりに副会長をして欲しいと?」

「はい。蒼司さんにしか出来ない事です……それに……生徒会に居れば氷川さんを近くで守れます……」

「なっ!?白金さん!?」

 

白金さんまで何いってるんです!?私は白金さんをそんな娘に育てた覚えは無いですよ……

 

「分かりました。副会長の件やってみましょう」

「あ、ありがとう……ございます!」

「ありがとうございます騎龍さん」

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

そうこうしてる内にお昼休みが終わってしまいました……。何だか名残り惜しい感じですね……騎龍さんと(・・・・・)こうして話しながらお昼を過ごす時間……もっと堪能したかったのですが……っ!?

 

「って何考えてるんですか私!」

「大丈夫か?氷川さん」

「大丈夫です……大丈夫ですから……」

 

しばらく私の事を放って置いて下さい!!

 

……その後、かろうじて騎龍さんの無自覚行動も無く何とか何時も通り?の私を取り戻せました……しかし、なんでしょう……騎龍さんといるとやけに心臓の鼓動が早くなったり……顔が赤くなったり……どうしたんでしょうか私……

 

この時私は騎龍さんに惚れてしまっていることに気づくのはしばらくあとの話……ーー。

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 




甘々やな(語彙力)
……高評価、感想等お待ちしております!


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season1 紗夜編:2話 隠し事?

今回も紗夜視点でお送りいたします!


ここは……夢……みたいですね。

不定期に見るこの夢……一体何なのでしょう?

 

「はぁあああッ!!!」

 

あの娘……またあの場所で……1人でひたすら剣の修行に没頭する姿……何だか以前の私に似ています。

 

「……毎日せいがでるな……」

「私がこうして修行していれば……来るだろうと思ってましたから」

 

そういえば……あの竜騎士さん……彼女にこだわり過ぎでは?まるで()見たい……って何を考えてるのです!?

 

「別に……俺の剣術の稽古の邪魔をしなければどこにいようが勝手だが……今日も俺は付き合わなきゃ行けないのか?」

「嫌なら返して貰っても構いませんのよ?」

「断る……今のお前にはまだ(・・)何も見えちゃいない」

「何を根拠にーーッ!?」

 

アッ!?

 

「カハッ!?ーーッ!?」

 

まただ……というよりあの竜騎士さん……お強いです。一太刀に一切の迷いを感じませんでした。

 

「言ったはずだ。何も見えちゃいないお前に……負ける俺じゃない」

「……ッ!!……うう……このままでは私……あの娘の、『ヒナ』と交わした約束を果たせない……ッ!」

 

!!……彼女……いま『ヒナ』って!?

 

「……その話……詳しく聞かせろ」

「え……!?」

 

?……竜騎士さんの態度が……変わった?

……けど、彼女は中々話そうとしない。そう思っていたらーー。

 

「……分かりました。ただし……条件がございます」

「可能な事ーーいや、サヨ殿の願い‎であれば何なりと」

「!?……分かりました実はーー……」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……ちゃん?お姉ちゃん!!」

「……日菜?」

「ノックしたけど……返事がなかったから……ご飯出来てるよ!一緒に食べよ!」

「そうね。すぐ行くわ」

 

そう言って私はベットから降りて制服に着替えた。

 

「これ……日菜が作ったの?」

「うん!……って言いたいけど今日もユキさんが作ってくれたみたい」

「何時も申し訳ないわね……御礼したいくらいだわ」

「そうだね〜♪……うん!この生姜焼きるん♪ってくる!」

「そうね。とても美味しいわ」

 

いつもと変わらない会話をしながら朝食を済ませた私達はそれぞれの学校へ投稿した。

それにしても今日の夢……彼女は何て言ったのかしら?最後まで聞けなかったわ。

 

「続き……気になるわね」

 

私はそう呟いて学校へ向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

学校に来て私はある異変に気づいた。

騎龍さん……そろそろSHRが始まるのにまだ来ない。転校早々に体調でも崩したのでしょうか?

 

「蒼司さん……来ないですね……」

「そうですね。体調不良でしょうか?」

「は〜い、SHR始めるよー。あっそうそうさっき学校から連絡があって騎龍君はお家の都合で午後から来るそうです」

 

『ええええ〜〜〜〜!!』

 

彼はどうやら遅刻の様です……って何ですかこのブーイング!?

 

「騎龍君と色々お話したかったのにな〜」

「騎龍君休みなら私もやすもっかな〜?」

「何だか盛り上がらないな〜」

 

等と言った言葉が飛び交う辺り……どうやら発言者達は彼のファンクラブ見たいですね……聞く所によると昨日のウチに結成されたとか……羨ましい……って何を考えてるのですか!?そこ!紗夜もファンクラブに入りたいんじゃないかって言わない!!

 

「まあでも午前中の辛抱だよ!」

「そうだね!午後に騎龍君くるって分かれば私頑張れそう!」

 

「はあ……全く」

 

しかし……もしかしたらファンクラブに入るのも……悪くないかも……ってそんな事して自ら風紀を乱す事をしては行けないわ!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「結局……来なかった……ですね」

「そうですね……」

 

なんと……彼は今日1日学校に登校しませんでした。彼に限って無断欠席何て……

 

「考え難いです……」

「氷川さん……き、きっと……練習には……来るはず……です」

 

そうだ。彼もRoseliaの一員……まさか練習も来ないなんて……

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「どうしてこの時間になっても来ないんですか!?」

「紗夜……少し落ち着きなさい」

 

夕方……それももうすぐ練習が終わる時間となるのに、彼は……騎龍さんは等々練習にすら来ませんでした。

 

「可笑しいです!学校も無断欠席しましたし……練習すら来ないなんて……!」

「風邪でもひいたんじゃないかしら?良くある事じゃない」

「転校翌日で風邪ひくまではまだしも学校に訳すら伝えない無断欠席の何処が良くあることなんですか!?」

「さ、紗夜落ち着きなって!きっと蒼司だって何か理由とかある筈だよ!」

「氷川さん……余程急を要する事情で……連絡が……できなかったんだと思います……」

 

そうですよね……。私達にも相談できなかったんです。ですが……

 

「ですが……私達はRoseliaです。何か悩み事があれば助け合わ無ければ……」

「紗夜のゆう通りね。ただ……今はもう遅いわ。話を聞くのは明日にしましょう」

 

互いに相づちをうち今日の練習は終わりました。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「紗夜さ〜ん!今日もし時間空いてたらNFOやりませんか!?」

「……そうですね。レベル上げや素材集め……今の私にはやる事がいっぱいなので……白金さんもお手伝いいいですか?」

 

色々考えても仕方がありません。気分転換も兼ねて今夜は宇田川さん達とNFOをプレイすることにします。

 

「そうですね……私も足りない素材とか……多くなって……来たので」

「やはり……上級装備になって来ますと……素材集めとか大変ですね。よく動画でソロプレイの動画とか見ますが……あまり真似とかはしたくありませんね」

 

白金さん達に勧められて始めオンラインゲーム。初めてようやく上級クエをソロプレイでクリアできるまでに至りました。そこまでは良かったのですが……ソロプレイだと素材集め等の効率化が悪すぎて……レイドボスでは何時も白金さん達の足を引っ張ってしまいます……。

 

「はい。マルチプレイなら……互いに助け合って……素材集め等が捗りますので……縛りでない限りは……マルチプレイがいいでしょう」

「そ〜だよね〜!紗夜さんもNFOの楽しさがやっと分かってくれたみたいで……あこもりんりんも感激です!」

「そんな……!大袈裟ですよ……宇田川さん……!」

「アハハ♪紗夜がそこまではハマるなんてね〜♪アタシも頑張ろっかな〜♪」

「ちょっと皆……オンラインゲームもいいけど……練習の復習忘れないでよね」

「大好きだよ〜♪も〜友希那もやりたいんじゃないの〜?」

「べ、別に私は……」

 

何時かこの5人……いいえ、6人でNFOをプレイしてみたいですね。

そう私が思っていた時だったーー。

 

「あれ……?ねぇねぇりんりん。あれって蒼兄だよね?」

「え!?」

 

宇田川さんがゆびを指したその先を見た。そこは『青薔薇孤児院』という名の孤児院だった。そしてそこにはーー

 

「蒼司お兄ちゃん〜!!」

「蒼司お兄ちゃん〜お腹すいた〜!!」

 

「はいよ〜直ぐ作ってやるからな〜♪」

「お兄ちゃん♪今日のご飯は?」

「私手伝う〜♪」

 

「今日はたこ焼きだぞ〜!生地と具材急いで仕込むから待っててくれよな〜♪よし、紗奈(さな)、日向《ひなた》。食器と箸出してくれ。ユキさん」

 

え!?今『ユキさん』って……

 

「大丈夫よ。子供達の宿題は任せて」

「何時もありがとう……!!」

「どうかした?蒼……司」

 

「ユキさん……騎龍さん……」

 

そう……目の前にはお隣さんのユキさんと騎龍さん……その人達が子供達の面倒を見ていたのだった……ーー。

 

 

 

 

〜END〜

 

 




モチベが低かったため投稿遅くなりました……頑張ってまた投稿できるよう努力します!
感想、高評価等お待ちしております!


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season1 紗夜編:3話 放って置けなくて

2話の続きです!


「それで……学校無断欠席したって本当かしら?」

「その説は本当に申し訳ない。壊れた家具とか遊具の修繕にしゃかりきりになっちまって」

「全く……修繕なら私の部下たちがどうにかするって言ったじゃない。貴方の素性(・・)を隠すのに手間かけてるってのに……叔母様や子供達に見せる顔が無いじゃない」

「本当に申し訳ない……反省してる」

 

夕方……Roseliaの皆と出会う何て予想すらして無かった俺は紗夜と白金さんに無断欠席の事を問い詰められ、他の3人には連絡無しで練習をサボった事を問い詰められ精神共々疲れた俺は、今……追い討ちをかけるようにユキに説教されていた。

 

「まあでも……貴方が紗夜ちゃんと知り合いだったなんて……あの娘()とはしばらく接せれて無かったから、元気そうで何よりよ」

「まあ……そりゃどうも」

 

俺は照れ隠しで庭の方に目をやった。

そして夕食の時彼女達に問い詰められた出来事をプレイバックしたーー。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「蒼兄」

「蒼司さん……」

「どうして今日は」

「バンドの練習と……」

「学校を無断で休まれたのでしょうか?」

 

子供達の事はユキに任せて……此処、『青薔薇孤児院』に来た彼女達を別室へ案内し、俺は1対5で彼女達に事情聴取をされている。

 

「本当にごめん……子供達の為にって施設の壊れた箇所の修繕してたら……本当は午前中に終わらすつもりだったんだが……なんせ壊れた箇所全て(・・)に手をつけてたもので……全部終わって時計見たらもう子供達の帰ってくる時間でな……そこから夕食の買い出しやら子供達の面倒やらで……」

「学校に行くのも愚か……バンドの練習にも来れなかったのはそのためね?」

「済まない……お前達と練習できるの……楽しみにしてたんだけどな……子供達が心配で……」

「そうだったんですね」

 

紗夜と友希那が理解してくれて、それに続いて他の3人も理解してくれた。

 

「あの……騎龍さん?1つ気になったんですが……ユキさんとはどのような関係で?」

「……」

「蒼司?言い方は悪いけれど……貴方は私達に隠し事をした……理由はどうあれRoseliaでこれからもいたければ隠し事はタブーよ」

「そう…だよな。わかった……彼女との関係……俺がここで子供達の面倒を見てる理由を話すよ」

 

そして俺は子供の頃(・・・・)からの過去を踏まえて彼女達に訳を話した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

俺は三人兄妹の長男として生まれた……いや、厳密には俺が生まれて直ぐに母親は離婚して、親父は双子の姉妹を連れた女と再婚した。生まれた日が俺の方が早いという事もあり、俺は長男(・・)として妹達を可愛がろう……そう思った。

 

しかし俺は妹達に話しかけたり、可愛がることすら許して貰えなかった。何をされたか?……簡単に言えば母親からの虐待や依怙贔屓……その他諸々不遇な扱いをされた。俺に優しかった親父はいつの日か行方不明となって姿を消した。とうの妹達は……母親に習って俺を罵り貶す事を覚えた。本当は逆(・・・・)なのに何時しか『兄より貴女達2人の方が優秀なのだ』と教育され不遇な扱いは激しさをました。

 

そして俺は遂に……捨てられた。

 

幼稚園年長の頃だっただろうか?母親が何処かの事務所の上層部の男と再婚をし、家族で遊園地に行った時だった。お昼ご飯の後俺は激しい腹痛に襲われトイレへ駆け込んだ。その間に両親と妹達は俺をおいて帰ってしまったのだ。

 

そして俺は捨てられたのだと悟った。……泣かなかった。我慢していた訳じゃない。悟ったから……何時か捨てられると予知していたから。

 

途方に暮れていた俺は警察に保護され……此処の孤児院として暮らすことになった。その時から『此処が俺の新しい居場所』そう思っていた。……思っていたかった。

 

時が流れて小学6年年の頃だ。出会ってしまった……あの姉妹に。そして俺は残りわずかな小学校生活めいいっぱい虐められた。主にあの姉妹にだが……それが悪い形に拡がりクラス全員も俺を虐め出した。先生は見て見ぬふり……。

 

後悔した……もう会わないかと思ったのに……会わないから死んだのかと勝手に思い込んだ自分を悔やんだ。そりゃそうだ。『自分の手で殺さなきゃ意味が無いんだから』

 

どうしてそう思ったかは分からない。ただ……『あんな奴ら……何時か早死するだろう。いやして欲しい』そう思い願っていたのは確かだ。

 

その時……1度も出したことが無かった感情が爆発した。怒り、憎しみ、悲しみ……その他諸々の負の感情が……それらが目の前を真っ赤に染めた時には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両親を殺していた……

 

その時偶然金目当ての強盗が来ていて……そこをたまたま巡回していた警察に見つかり……俺は強盗諸共取り押さえられて少年院送りにされた。まあその時俺は凶器にぎってたから当たり前だったけど。

 

少年院生活を送り始めて3年……俺は釈放された。理由は公安を名乗る人達の調べで俺が両親達から不遇な扱いをされていた過去がわかったかららしい。俺はその人達の監視の元という条件で釈放されたが行く宛がなくまたもや途方に暮れた。

 

そんなな中おれを拾ってくれたのが彼女、小山ユキだった。

 

彼女は俺に当時住んでいたマンション……今の俺の家を提供してくれて勉強とか教えてくれた。彼女と過ごす中で俺は彼女に「自分の罪でまみれた過去を清算したい」と頼んだら彼女に「私がお手伝いしている孤児院の手伝いをして」と提案してくれた。それが……此処だった。

 

まさか戻って来るとは思いもしなかった俺は半分抵抗があった。しかし俺は彼女と、此処の孤児院の院長に暖かく受け入れられた。それから俺は彼女と一緒に過ごしながら歳で身体が思うように動かせれない院長の手伝いをしながら終わることの無い過去の清算をしていたんだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

……余り人前には明かしたくなかった自分の過去……。打ち明けたとたん何かが身体から抜けて軽くなった気分になったと同時に……やはり話すべきでは無かったと後悔した。

 

「「「「「…………………………」」」」」

 

だって……俺の話の途中で彼女達は顔が真っ青になっていた。それもそうだ。あの話をしたのだから……それに、恐らく俺をそんな事をするやつじゃないって思い込んでいたのだろう。

 

「これが……俺の過去……小山さんとの関係とここにいる訳だ」

「…………」

「幻滅……したよな……俺がこんな事をする奴じゃないって思ってたんだから……そんな奴が有名なバンドの一員だなんて……迷惑ーー」

 

「「そんな事無いです(無いわ)」」

 

「!?」

 

……何をされてるのか一瞬分からなかったが、俺は今紗夜と友希那に抱きしめられていると悟った。

 

「紗夜……友希那……何してるんだ?」

「騎龍さん……とても……辛かった……ですよね?ずっとずっと……1人で……ほんとに……ごめんなさい」

「1人で……辛かったわよね?……ごめんなさい……貴方のそばに居てあげられなくて」

 

「2人……とも……ッ!」

 

何だ?……なんで俺は泣いてるんだ?どうして2人が?

いや……そんな事どうでもいいくらい……暖かい。

 

「騎龍さん……私達が着いています……もう何も……背負い込んで生きなくていいんです」

「そうよ蒼司。私達は……Roselia。互いに助け合ってこその仲間よ」

 

「「だから……もう過去と向き合わないで、私達とこれこらを行きましょう(生きて頂戴)」」

 

何だ……なんなんだ……この暖かさ……

俺は……俺は……ッ!

 

「俺は……皆に過去を知られたくなかった……!知られたら……もう俺はRoseliaじゃなくなるんじゃないかって……ッ!」

 

紗夜(大切な人)を……愛せなくなるんじゃないかって……

 

「水臭いな〜蒼司。アタシ達は仲間……もう友達なんだよ?困った時は……何時でも相談に乗っても……助けを求めてもいいんだよ?」

「そうです……だ、誰にだって……知られたくない過去くらいあります……」

「だからあこたちのこと……沢山頼ってよ!蒼兄!」

 

リサに続いて……燐子、あこと俺の周りに近寄り俺に語りかけてくれた。

 

「皆……ありがとう!」

 

「「!!」」

 

何時ぶりだろうか……自分でも自覚有るくらい砕けた笑顔を皆に見せた。すると紗夜を友希那が顔を赤くしてその場を離れた。

 

「で、ですから明日からは学校と練習来てくださいよね!///」

「そ、そうよ!また連絡寄越さずに無断で休んだら……そ、その……承知しないからね!///」

「ああ……善処するよ」

 

「2人とも……可愛いな〜♪ボソッ」

 

「「何か言ったかしら??」」

 

「べっつに〜?ほら、アタシ達そろそろ帰るよ〜……蒼司」

「ん?」

「頑張ってね♪色々と♪ボソッ」

「??」

 

そう言ってリサは孤児院を出ていった。それに続いて紗夜達4人も出ていった。

 

「何を頑張ればいいんだ?」

 

さっきリサに言われた事が理解出来ないまま……おれはユキに任せっきりの子供達の面倒を見る事にした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「それにしても……いいのか?紗夜と話さなくて。彼女も色々聞き出そうな顔をしてたが……」

その時(・・・)が来たらね……今は別の仕事が忙しくてそれどころじゃないのよ」

 

「貴方の監視もあるし」と言葉を付け加えてユキは面倒臭そうにそういった。

 

「その様子だと……何か面倒事か?」

「……『郷田の龍』が彷徨いてると言う情報を耳にしたの」

「なんだって?」

 

郷田の龍……これまた面倒な奴が現れたもんだ……俺はそう思いまた庭の方を見た。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜友希那side〜

 

「……///」

 

……びっくりしたわ……彼、あんな笑顔をみせるのね。

 

「まだ……心臓がバクバクいってるわ///」

 

こうなってしまった以上……私は……ーー

 

「貴女もきっと……そうよね?」

 

〜紗夜side〜

 

「お姉ちゃんおかえり〜♪今日は遅かったねーどうしたの?」

「ただいま……少し練習が長引いてしまったの。あとユキさんと帰りにあったのよ」

「ほんとに!?いいな〜私もユキさんに会いたいな〜……ねぇねぇ!ユキさんと何話したの?」

「ただの世間話よ……あと最近一緒に居てられなくてごめんなさいって」

 

私は家に帰るなり日向に遅かった理由を聞かれた。まあ……ユキさんとあったのは事実だから……いいわよね?

 

「ご飯まだでしょ?直ぐに用意するから……待っていて頂戴」

「うん!あ、でもでも……!私早く帰ってきたから私ご飯作るよ!お姉ちゃん今帰ってきたばっかだし☆」

「ありがとう……なら部屋で休んでるわ」

「は〜い!☆」

 

私はそう言って自室へと向かった。

 

「……」

 

……なんなのかしら……この感じ?騎龍さんのあの笑顔をみてからずっと心臓の鼓動が早くなりっぱなしです///

 

「もしかしたら……」

 

もし、そうであれば私は……

 

「きっと……貴女もそうですよね?」

 

私はそう呟きながら夕食ができるのを待ちました。

 

 

 

 

〜END〜




少し重い回になりました……次回から色々話が展開していきます!お楽しみに!
感想、高評価等お待ちしております!


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season1 紗夜編:4話 心変わり

あけましておめでとうございます!今年も頑張って、無理せず執筆していきたいです!
3話から何時ぶりの投稿から……忘れるくらい間が空いてしまった……(泣)



〜紗夜side〜

 

「ハァッ!」

 

掛け声の聞こえる方へ向かうと、私にそっくりな姫……サヨが今日も竜騎士さんと共に剣の稽古に励んでました。

 

(あの果敢に稽古に励む姿……ホントに私そっくりだわ……)

 

「うむ……日に日に剣の腕(・・)は上達してきていますなサヨ殿」

「ありがとうございます竜騎士様……ですが、剣の腕……という事はまだ何か私に足りない……という事でしょうか?」

「流石鋭いですな……では包み隠さず申し上げます。サヨ殿、貴女はまだ……『剣技』を会得していない」

「剣技……ですか?」

 

(剣技……詰まる話、剣道で言う面や小手……とはまた違うのかしら?)

 

私はそう思いながら2人の話を聞いていた。

 

「はい。剣士たるもの……例え剣さばきが上達していても剣技を会得しているいないで力量の差が天と地程の差が御座います」

「!!……でしたら……是非ともその剣技を私に教えて下さい!私は……妹を……何としてでも救わなければーー!」

「分かっております。ですので今日から私独自で編み出した剣技……『秘剣蒼炎流』をサヨ殿に伝授致します」

「秘剣……蒼炎流……」

 

(一体……どの様な剣技なのでしょう……気になるわ)

 

「……是非、その剣技を教えて下さい!!」

「御意」

 

こうして竜騎士の指導の元、サヨの稽古は次のステップへ進みました……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……もう朝……」

 

カーテンの隙間から差し込む朝日によって夢から覚めた私はベッドから降りて軽く伸びをした。

そして私は先程見た夢について少し考えて見ました。

 

(何度見ても不思議な夢ですが……一体私とどの様な関係が……それに……)

 

「あの竜騎士さん……まるで騎龍さん見たいに優しい人だわ///」

 

(……って、何で私恥ずかしがってるの!?)

 

コホン……と、取り乱してしまったわ///でも、そう思ってしまうのも無理はないわよね。だって私はーー

 

「騎龍さんのあの笑顔に一目惚れしてしまったのだから……」

 

そう。あの日……彼の過去を知った私はとても心を締め付けられました。そして……それと同時に私は彼と共に寄り添い、彼にはもう苦しまないで貰いたいーー

 

「好きになった以上……私は彼に告白をしなければ……想いを伝えなければいけませんね。そしてそれは……ーーさん。貴女も同じ、そうですよね?」

 

あの場で恐らく私と同じ心境になった人物の名前を呟き……私は私服に着替え、朝食を取りにリビングへ向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜蒼司side〜

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

「あこ、全体的に走りすぎてるからテンポキープ心掛けて」

「は、はい!」

「燐子さんは自分がメインになる所はもう少し主張気味でも大丈夫だと思います」

「わ、分かりました……!」

「リサさんはリズム隊とアイコンタクトをとって、もっとリズムを刻めるように心掛けて」

「りょ、了解〜……」

 

俺は今、CIRCLEのスタジオにてRoseliaのメンバー一人一人にアドバイスをしていた。あの日……自分の過去を打ち明けた俺に対してユキさんから「子供達の事は私達に任せて貴方は紗夜ちゃん達Roseliaともっとアイコンタクトをとって関係を深めなさい♪」と言われた俺はRoseliaのマネージャーとして5人の練習に付き合っていた。彼女達と行動を共にしたお陰で俺は変われた。そして俺だけじゃなく彼女達も俺に対する態度がいい意味で変わっていった……。

 

……とある2名を除いて。

 

「蒼司、私はーー」

「騎龍さん、私はーー」

 

『どうだったかしら?(どうでしたか?)』

 

「氷川さんも湊さんも……2人の上達速度が殆ど同じなお陰で、次にどの様な指示を出すべきか自ずと導き出せるので……次は他のパートに対する気遣いを意識して見ると良いと思います」

 

「分かったわ、蒼司!♡」

「御指導ありがとうございます、騎龍さん!♡」

 

その2名……湊さんと氷川さんはやけに俺に対して積極的に接してくる。別に悪くわないのだが……熱が入りすぎてるのもあり、クールな印象を持つ2人だと分かっていても意外過ぎて対応に困りつつあった。

そして、そのやり取りを見ていた3人はーー

 

「アハハ……2人とも、今日も今日とて頑張ってるね〜♪」

「2人とも……青春、ですね……」

「ねぇねぇリサ姉、友希那さんと紗夜さんって蒼兄の事好きnーー」

「わわっ!?あこ!?それは言っちゃダメだって!」

 

遠くで何を言ってるのかさっぱりだったが……少なくともあの3人は氷川さんと友希那さんが俺に話しかけてくる度にその様なやり取りをしてると思う。何でだろうか……?

そう思いながら俺は次の指示を考えていると氷川さんと湊さんが俺に話しかけて来た。

 

「あの、騎龍さん……?前々から気になっていた事があるのですが……」

「どうかしました?」

「リサやあこ、燐子には下の名前で呼んでいるけれど……」

「私と湊さんは苗字で読んでますよね……?」

 

『どうしてなのですか?(どうしてなの?)』

 

「え……?」

 

2人はどうやら自分達だけ苗字で呼ばれている事に対して疑問(?)を抱いているようだ。ーーてか

 

「2人とも、顔がちkーー」

 

『どうしてなのです?(どうしてなの?)ズイッ』

 

「2人とも顔が近い……落ち着いて……?」

「バンド内での贔屓は練習に支障きたすと思うのだけれど……」

「そこの所を騎龍さんはどの様に思っているのですか……?」

 

『答えてください(答えて頂戴)ズイッ!!』

 

「え、えっと……」

(ふ、2人ともホントに顔が近い……あと2人から臭う甘い香水の匂いで理性が……)

 

「ちょ、ちょっと2人とも落ち着いて!」

 

2人から発せらる甘い匂いと多少な威圧的な(?)態度に俺はとう答えれば良いのか悩んでいた。そんな所にリサさんが助け舟を出てきた。

 

「多分蒼司は2人の事を尊敬してるから苗字で読んでるんじゃないのかな〜?」

「そうだと思います……友希那さんと氷川さんの練習姿……私も、2人の練習姿……私達の模範だと……思ってます」

 

更には燐子さんが俺が答えたかった事を代わりに代弁してくれたため俺は「そういう事です」といいながら頷いた。

 

「そ、そう……」

「そういうことなら……仕方ないです……」

 

それを聞いた2人は少し残念そうにそう言った。

何はともあれ何とか理解してくれたと思っていたのだが……あこの一言でそれは早計へと変わってしまった。

 

「え?あこはてっきり2人の事がすき過ぎな余り2人にかしこまってrーー」

「だ、だからあこ!それは言っちゃいけなiーー」

「何言ってるんだよあこ。別に俺は2人のことが好きって訳で改まってるんじゃなくtーーイタッ!?」

 

あこの言葉を否定しようとした瞬間湊さんと氷川さんに右腕を抓られた。……いや、なんで?

 

「蒼司なんて……もう知らないわ」

「騎龍さんなんて……もう知りません!」

「え、ちょ……なんでそんなにおこっtーー」

 

『自分の心に聞いてみて下さい!(頂戴!)』

 

「えぇ……」

「アハハ……2人の心変わりに気づくのはもうちょっとかかるかな〜?

「リサさん……何か知ってるなら教えてくれても……」

「さぁね〜?蒼司も大変そうだけど頑張ってね〜♪」

「えぇ……take2」

 

氷川さんと湊さんは拗ねてどこかへ行ってしまうし、リサさんもリサさんで何か知ってそうなのに教えてくれないし……

 

「wwwクスクス」

「wwwクスクス」

 

……スタジオの端の方で燐子さんとあこは今のやり取りを見ていてクスクス笑ってるし……

 

「なんだってんだ、全く……」

 

結局……練習が終わっても原因を追求出来なかった。

なお氷川さんと湊さんはいつの間にかひょこっと態度を変えてまたしても俺にグイグイと積極的に話しかけて来来ていた。そしてそれをまたしても例の3人はクスクスと笑いながらみまもっていたのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜友希那side〜

 

私は家に帰り自分の部屋に入るなりベッドにダイブし枕に顔を埋めて足をばたつかせた。

 

「私の馬鹿……!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿……!どうして蒼司に向かってあんな事を言ってしまったの!?」

 

私は今日の練習で蒼司に発した言葉に対して独り言の愚痴をこぼした。

 

「蒼司も蒼司よ……彼があそこまで鈍感だったとは思わなかったわ……」

 

しかし……彼の名前を発した瞬間、ただでさえ早かった心臓の鼓動がさらに早くなった。

 

「でも……それもこれも……あの日、彼の笑顔を見てしまったから……」

 

そう……私がこうなったのは、彼……蒼司の過去を知った際にみせたあの笑顔せいに他ない。私は、彼があそこまで苦しんでいたなんて知らなかった。そしてその時彼の苦しむ姿をもう見たくないが為に傍に居てあげようと初めはそう思った。しかし……

 

「仕方ないじゃない……彼のあの笑顔を見れば……誰だって同じ想いになるわ……///」

 

彼のあの笑顔を見て、私は変わってしまったと感じた。そしてそれが恋……なんだと言うことも既に気づいている。

 

「だけど……私だけじゃない。紗夜……きっと貴女もそうなのよね……?」

 

だとしても……私は負けない。この想い……からなず実らせて見せるわ……!

そう心の中で呟いて私はリビングへと向かった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜紗夜side〜

 

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!どうして私はあんな事を……この馬鹿紗夜!!騎龍さんが恋愛に疎いことくらい想定出来たはずです!!」

 

私は家に着き自分の部屋に入るなり、今回自分が犯した失態に愚痴という名の叫び声を上げました。……あ、今日日菜はパスパレのロケで遅くなるとの事ですので近所迷惑と言うのを考慮に入れず叫びました。

 

「しかし……たとえ疎くても少しくらい気づいてくれたっていいじゃないですか……騎龍さん……///」

 

彼の名前を呟いて私はベッドにチョコンとすわりました。胸に手を当てると、心臓の鼓動がまたしても早くなっています。最近……彼の事を想うたびにこうなります……。

 

「理由は……分かってます。私は、騎龍さんに……彼のあの笑顔に一目惚れしてしまった。最初は彼の過去に寄り添って一緒に居てあげようとしか思わなかったのに……あの笑顔が……」

 

そうです……彼があの日みせたあの笑顔が私の考えを一蹴して恋愛と言う形へと変えてしまったんです。あの笑顔は……罪なものです……///

 

「湊さん……貴女も私がそうであるように……彼のあの笑顔に心を鷲掴みされたんですよね……?」

 

ですが、たとえそうだったとしても……私は負けません。

 

「この気持ち、この想い……騎龍さんに伝えるまで折れる訳にも変える訳にも行きません!」

 

私は決めたんです……!彼と付き合って、彼にもっと笑顔になって貰って……辛い過去を忘れて欲しいと!

 

「何時か……何時か必ず実らせて見せます!」

 

そう呟いて私は夕飯の支度に取り掛かるべく……台所へと向かいました……。

 

 

 

〜END〜

 

 




今回は短めですがここまでです!今年も頑張って更新していきますので何卒宜しくお願いします!
感想、高評価等宜しくお願い致します!


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season1 紗夜編:5話 郷田猛

おそらく5話に限った話ではないけど、紗夜編はシリアスが多めになります……多分。


「それじゃあユキさん、後はお願いします」

「任せて。もう遅いから道中は気をつけるのよ」

「分かってます」

 

ある日の晩方……孤児院のやる事をユキさんに任せて俺は帰路に着いた。

春なのにまだ風が冷たく冷え込んでおり、冷たい風が俺の肌を燻った。

 

「今回のライブ……子供達に見せたかったな」

 

今回のライブというのは、今日は氷川さん達Roseliaのライブの日だった。あの日見たライブよりも技術面やその他諸々上達していてこれがRoseliaのライブなんだと再度思い知らされた。それだけ良いライブだった為子供達にも是非……と思ったが時間的な関係もあり、誘うのを断念してしまった。

 

(何時か……孤児院でライブしてくれるか聞いてみるか)

 

1度だけで良い……何としてでも見せてやりたいと思いながら夜道を歩いていた。

 

そして俺の目の前に……アイツは現れた。

 

「よぉ……久しぶりだなぁ、蒼司」

「郷田……務所で知り合って以来だな」

 

目の前に現れた俺よりもガタイがよく大柄で右頬に引っかき傷があるこの男こそ……ユキさんが言っていた男であり、因縁の好敵手……郷田猛(ごうだ たける)その人だった。

 

「俺の目の前に現れたって事は出所出来たのか……で?誰の差し金で出てこれたかは聞かないが俺に何の用だ?生憎決着(・・)の方は今忙しくてそれ所じゃないんだが」

 

そう言いながら俺は郷田を睨めた。

 

「まあ俺も出来ればお前とのケリはつけたいが……生憎依頼主(・・・)がどうしてもお前に会いたいってな。悪いがちっとツラ貸せ」

「依頼主……はぁ、拒否権はないみたいだし丁度暇だから、着いてくぜ」

「話が早くて助かる。こっちだ」

 

どうやら郷田は、依頼主とやらに頼まれ俺を探していたそうだ。多分拒否権なんざないだろうと察した俺は誰にも見られてないことを確認し、郷田の後について行った。

 

 

 

ーー丁度俺の真後ろの電柱に、水色の短い髪が風でなびいたことを見逃した事に気付かずに……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「おい……ここって、下水道じゃねえかよ……」

 

郷田に連れられやってきたのはとある河川のトンネル……つまり、下水道だった。こんな所に依頼主がいるって……どんな趣味だよ……

 

「……っておい……行くしかないのか……」

 

俺の突っ込みなどお構い無しに郷田は下水道のトンネルの中へと入っていった。幸い、人が歩ける場所は確保されてる為下水に足を突っ込むことはせずに済みそうだ。

 

「……此処だ」

「此処は……『制御室』?」

 

少し歩いて壁側に制御室と書かれた看板が貼ってある扉を見つけた。此処の近くに水力発電、ましてやダムなんてなかったはずだが……

 

「もしかして、カモフラージュか?」

「ご名答。ま、本人曰くちゃんと業者やらに許可はとってるとの事らしいがな」

 

そう言って郷田は「戻ったぞ」と言いながら中へ入っていった。それに続く形で俺も中に入った。

中はカモフラージュなだけあって多少こぜまいが1人や2人こもる分には不便無い広さだった。そして一辺の壁側には大きなモニターがビッシリと設置されていて、その下にはキーボードが2、3台程設置されている。そしてモニターには羽丘や花咲の街中の様子が至る所で見れるようになっていた。

 

「お勤めご苦労様♪そしてようこそ、私のアジトへ♪」

 

そして部屋の奥で何やらデスクトップと1対1で作業をしていた白衣姿の若々しい女性がそう言って席をたち振り返った。

 

「!!……あ、あんたは……」

 

そして彼女の事は前にユキさんから教えられていた為知っていた。まさか、こんな所で出くわすとは……

 

「あら?初対面……の筈なのに私の事をしってるようね?でもいいわ♪私の名前は九童百合香(くどうゆりか)。宜しくね、騎龍蒼司君(・・・・・)♪」

「……郷田から聞いたのか?」

「いいえ、貴方の事はずっと前から興味を持って調べてたの♪『血の海事件』のときから」

「!!??」

 

俺の名前を知っていた事もそうだが……まさかあの事件の事も知っていたとはな……

 

「全く、驚いたわ。若干12歳にしてあんな虐殺が出来るなんて。ねぇねぇ、あの時(・・・)どんな気持ちだったの?実の両親をこれまでない以上に無惨にkーー」

 

「黙れ!!!!」

 

俺は聞くに耐えなくなり叫んだ。あの事件は……あの過去は……自分の中に封印しておきたかったのに……

 

「そのくらいにしておけ、百合香。そろそろ本題に入れよ……済まない蒼司。コイツは見た目以上の無神経でな、さっきの事は俺から詫びる」

「いいんだ……俺も、少し取り乱した。それで?本題はなんだ?」

 

代わりに詫びをした郷田に軽く手を振りそう答えた俺は百合香に本題を聞き出した。

 

「そうだったわね♪今回貴方をここに呼んだのは、貴方を『蒼龍』と見込んでの依頼よ」

「それまで知ってんのかよ……」

 

蒼龍……牢獄生活を送っていた際に、あまりの脅威さ故に他の囚人らから……そして警官らからそう呼ばれていた。まああだ名みたいなもの……だな。

 

「話を戻すわ。蒼司君、貴方は『三国会』って聞いたことある?」

「三国会……確か中国の犯罪組織の名前だっけか?そして上層部らが三国志の偉人らの名前であることから三国会って由来だったはず」

 

その他に彼らは密輸、密猟……麻薬取り引き強盗などと色んな犯罪を犯してる。俺の知ってる限りではそんなところだ。

 

「それだけ知ってるのなら話が早いわ。依頼と言うのは彼らが現在日本で犯してる『都内連続女子高生誘拐事件』の黒幕なの。そこで貴方には誘拐された女子高生の救出と彼らの殲滅を依頼いたいの」

「おい、今の話を聞いてるとその以来を俺1人で受けろって言ってるように聞こえるんだが」

「そこは問題ないわ。依頼には彼にも同行させるから」

「郷田と……?」

 

冗談じゃない。なんで因縁のあるやつと一緒にそんな危なっかしい真似をしなきゃ行けないんだ。

そう思った俺は百合香にこの依頼を断ろうとした。しかしーー

 

「断ってもいいけど、そうなれば貴方の最も大切な人(・・・・・・)を私の研究のモルモットにするけど?」

「……ゲス野郎が……ギリッ」

 

百合香は俺の大切な人を人質にとると……否、自身が行ってる研究のモルモットにすると脅してきた。

 

「……わかった、その以来承った。だから約束だ。俺の大切な人に指1本触れるな」

「そう言ってくれるとありがたいわ。依頼する側として、貴方の約束も

必ず守るわ」

「そうと決まれば、直ぐに取り掛かった方がいいのか?」

「いいえ、まず先に彼らの根城を特定してからよそれに関しては私も手を貸すから安心して♪」

「聞いてた話より慎重なんだな」

「そお?私はこう見えて最前の道を進む派なの。何も知らずに突っ込んでおじゃんはごめんだからね♪」

 

「わかった。俺も空いた時間に奴らの居場所を特定してみる」

「ありがとう♪報酬は弾ませておくわね♪」

 

そう言葉を交わして、俺は研究所を後にしたのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜郷田side〜

 

「それで?お目当ての人物と接触出来た感想は?」

「ふふふっ……あぁ、まだゾクゾクが止まらない……私の想像していた以上の人物で……私のモルモットとして過ごしてくれたらって思うと……ウプッ……いけないわ♪興奮し過ぎて鼻血が……」

 

アイツが此処を出てから俺は彼女に感想の方を聞くと、顔を赤くし身体をモジモジさせながら両手で頬をさすって……鼻血出しながら感想を述べた。初めてあった時から思ったが……ホントに気味悪い他にない。あの時も、彼女の口から「騎龍蒼司という男に興味を持ってるんだけど……会えないかしら?」と出た時の状態もこんなんだった。

 

「それで……あんな出来た(・・・)依頼をさせて……しくじったらどうするんだよ」

 

そう……アイツに出した依頼は大方デマに近い。いや、三国会は実際するが『都内連続女子高生誘拐事件』は彼女のでっち上げに近い。何故なら……

 

「心配ないわ♪偶然にも彼らに同じ指示を出していたからそれを利用した迄よ。それに……」

 

そこまで言って彼女は俺に背を向け、自分の作業机でとある画面を見ながら嬉しそうに……否、半ら狂気の笑みを浮かべながらこう言った。

 

「貴方はそれを望んでいる。彼との決着がつけれるのだから」

「……違いねぇ」

 

悔しいが、彼女のゆう通りだ。俺はアイツと決着を付けるために、彼女はアイツに興味を抱いて研究したいが故に今回の計画に出た。

 

「それにしても……可哀想なもんだ。アイツをおびき出すために……なんの罪もない彼女らはお前のモルモットにされて人生を終えるんだからよ……」

 

俺は彼女が見ている映像を見ながら皮肉そうにそう言った。そこに映っているのは別の何処かの施設の一部屋で、その中には監禁された女子高生……みたいな()達がいた。

1人は何かを欲するように頭の毛をみだらに掻きむしりながら喚き散らしたり、またある1人は何かに取り憑かれたかのように怒り狂い自傷行為をしたり、そしてある1人は性的禁断症状に犯され自慰行為やら同じ衝動の者と性的行為に空けていたりと……モニターから映るその光景はまさに地獄絵図。これこそが彼女が昔からしてきた研究その一端だ。

 

「一生を終えてしまったらそれまでよ。でも……何かに縛られて無惨に生きてくよりも……心の底に閉ざした欲求、衝動等を爆発させて狂ったように生きて私の為(・・・)に一生を終える……とても名誉な事じゃない♪」

 

そう言って彼女は研究結果を見せている(?)女子高生らを見て息を荒くしながらまた興奮していた。

 

ホントに……可哀想なもんだ。

 

そう思いながら俺は彼女に「一休みしてくる」と言って用意された別室に行き、寝転びながらさっきのやり取りを振り返りそっと呟いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アイツとの決着の為に……実の妹(・・・)に手をかける真似をしなきゃ行けないなんてな……この世は残酷だ。今も昔も……」

 

そう言って俺は静かに目を閉じた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜百合香side〜

 

「……ふぅ、今日も一通り楽しんだわ♪」

 

私は今日の研究成果を一通り見てPCを閉じた。

 

そしてモニター側に移り、とある画面を呼び出してまた興奮しながらその映像を眺めた。そこにはCIRCLEと呼ばれるライブハウスから出てきた5人の女子高生らが帰路につこうとしているところだった。

 

そして私は、今回のメイン(・・・)ターゲットをみて舌なめずりをしながら呟いた。

 

「私の研究の為に、犠牲になってもらうわよ……♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……氷川紗夜ちゃん♡」

 

そう言って私は狂ったように笑った。

 

その後別室で休んでいた郷田に1発ゲンコツを喰らったのは……また別の話。

 

あぁ……早く会いたいわ……♪

 

 

 

 

〜END〜

 




如何でしたか?次回はあの子が登場します。先に言いますが、『キャラ崩壊』を含んでいるため対象のキャラを推してる読者さんがもつイメージが崩れる恐れがありますが紗夜編のストーリー上そうせざるを得なかったためご了承ください。(要するに、ストーリー上読者の期待に応えるようなキャラ設定なのでご了承ください)
それを理解の上……次回もお楽しみに!
感想、高評価等お待ちしております!


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番外編
番外編:1周年記念(前半)


(蒼司)「今更だけど……1周年記念回を投稿するらしい」
(友希那)「いきなりね」
(燐子)「だから私も……呼ばれたんですね?」
(友希那)「1周年記念という事で色々主が用意してるらしいわ」
(燐子)「場合によっては……前編、後編に……分けるらしいです……」
(蒼司)「まあそれでもいいって人はゆっくりしていってくれ」

(3人)『それでは……どうぞ!!』


(蒼司)「『青薔薇の姫君と蒼き竜騎士』投稿1周年」

 

(Roselia)『おめでと〜〜〜〜〜!!!!!』

 

(蒼司)「今回の1周年記念の司会を務める、本作の主人公こと騎龍蒼司だ」

(友希那)「湊友希那よ」

(燐子)「白金燐子です……」

 

(リサ)「いや〜それにしても、投稿から1周年たったんだ〜♪なんかあっという間だね♪あ、今井リサだよ♪」

(あこ)「親愛で勤勉な我ら青薔薇の姫君と逞しき蒼き竜騎士の活躍から1周年……色々あったよね〜リサ姉!あ、宇田川あこだよ!」

(紗夜)「そうですね。ところで司会……という事は何か企画的なものをやるのでしょうか?……氷川紗夜です」

 

(友希那)「よくぞ聞いてくれたわ紗夜!」

(燐子)「そうなんです……!今回は1周年記念という事で主さんこと……ka-主さんが……楽しい企画を……用意してくれたんです……!」

 

(紗夜)「ど、どうして2人はそんなにニヤけてるのかしら……?」

(蒼司)「まあ司会ってことで俺ら3人はその企画について主から事前に知らされてるからな」

(リサ)「アハハ♪それはともかく、どんな予定になってるの?」

(あこ)「我らがRoseliaの幸福な宴の予定……あこも知りたいな!」

 

(蒼司)「まあもったいぶってもあれだし……今回の1周年記念会の予定はこんな感じ!」

 

1周年記念会の流れ

 

・今までの振り返り

・ゲスト紹介

・1周年記念のレクリエーション(前半)

・1周年記念のレクリエーション(後半)

・今後の流れ

・ka-主氏からの話

 

(蒼司)「……とこんな感じかな?」

(友希那)「レクリエーションの方は都合上前半後半に分けるそうよ」

(燐子)「どんなレクリエーションかは……その時まで……お楽しみ……です」

 

(紗夜)「ふふ、なんだか面白そうですね」

(リサ)「そ〜だね!ゲストの人も誰なのか楽しみだし♪」

(あこ)「早く1周年記念会始めよ!みんな!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

・今までの振り返り

 

(蒼司)「今までの振り返りだけど、パラレルワールドストーリーなだけあって色々あったな」

(友希那)「そうね。私達と蒼司出会ったあの日から……全てが始まったのよね?」

(蒼司)「ああ、あの日……友希那達と会うまではあの夢は自分だけしか見ない特別なものだと思ってたけど……」

(燐子)「円陣を組んだ時……不思議な感覚を覚えました……」

 

(紗夜)「恐らくあの日から、私達全員が騎龍さんと同じ夢を見るようになった……」

(リサ)「うん、アタシもあの時……アタシによく似た女の娘のイメージが見えたんだ」

(あこ)「あこもあこも!皆と触れた時……凄いバリバリってして……そしたらあこそっくりな女の娘が頭の中で連想したの!」

 

(蒼司)「そこから『もしも』の世界線で俺が皆と関わって行ったんだ」

(友希那)「最初は私ね……最初は蒼司の事をRoseliaのマネージャー、協力者としてしか捉えることが出来なかったわ。でも……次第にあの日から見る夢や蒼司と日に日に関わっていくにつれて蒼司を1人の異性として見ていこうと……関わっていこうと思ったの。そうさせてくれたのは……リサ、貴女だったわよね?」

 

(リサ)「そーだね。今でも思い出すんだけど、あの日友希那が蒼司に向かって言った言葉……アレがきっかけで幼馴染みとして友希那の初恋を応援してあげようって思ったんだ」

 

(蒼司)「そう思った割には……俺に散々ちょっかいやら何やらしてくれましたよね〜リサさんや?」

 

(リサ)「あ、アハハ……な、ナンノコトカナ〜?」

 

(友希那)「そうよリサ。蒼司は私だけのものなのよ?貴女が好き勝手していいものではナイノヨ?」

 

(蒼司、リサ)『それもちょっと違う気が……』

 

(友希那)「蒼司、リサ?ナニカイッタカシラ?」

 

(蒼司、リサ)『い、いえ何も……(汗)』

 

(友希那)「でも……時に蒼司、やっぱり私はあの日の事を謝らなければいけないわ……ごめんなさい」

(蒼司)「ん?なんの事だ?」

(友希那)「その……夏休みに起きた騒動……」

(蒼司)「!!……あれか……」

 

(リサ)「アタシ達あの場にいなかったけど……蒼司すごかったんだって?」

(紗夜)「そうらしいですね。あの時の騎龍さん……とても怖かったと聞いてます」

(燐子)「私も……その時の事を聞いた時、震えが止まりませんでした……」

(あこ)「蒼兄って怒ると……ほんとに怖いんだね……」

 

(友希那)「それでも……あの後ようやく私の気持ちを伝えれて、蒼司もそれに応えてくれて……とてもいい一日だったわ。

ありがとう……蒼司\(❁´∀`❁)/」

(蒼司)「う、うん……」

 

(リサ)(蒼司……照れてる)

(紗夜)(湊さんの笑顔……素敵です)

(あこ)(2人ともなんか……可愛い!!)

 

(燐子)「え、えっと……次は私……ですね」

 

(蒼司)「燐子の最初の印象は物静かで大人しい人だ……って思ったけど、NFOをプレイしてるって知って驚いたかな?」

(燐子)「OFF会の日の時……ですよね?私も、蒼司さんがNFOをプレイしてるなんて……思いもしませんでした」

(紗夜)「その意見に……私も同感です」

(あこ)「あこもあこも!それでOFF会を機に蒼兄とあこ達4人で休みの日とかいっぱいマルチしたよね!」

 

(蒼司)「そうだな。その後の燐子とのデートで互いに想いを伝えて付き合うことになったんだけど……」

(燐子)「蒼司さん……あの日から身体の具合が急変……したんですよね……?」

(蒼司)「ああ……その事にかんして、黙ってて……ほんとに済まない。自分1人でどうにかなる問題だとおもってたから……あと、愛子さんの事が……まだ諦められなかったんだ」

 

(リサ)「燐子と付き合うことになったのに?」

(蒼司)「愛子さんはあの日まで俺の唯一の心の支えみたいな人だったから……ロケットペンダントを見る度に……忘れられなくなったんだ」

(燐子)「蒼司さん……その……愛子さんの事、ホントにごめんなさい……私もお姉ちゃんの事……蒼司さんと同じくらい……好きだったから……」

 

(紗夜)「互いにそう想える位……とても優しい方だったんですね」

(蒼司、燐子)『はい……』

 

(燐子)「でも蒼司さん……これからは……もう1人じゃないです……」

(紗夜)「そうです。困った時は、白金さんや友達である私。あと今井さんに何時でも頼ってください」

(リサ)「そーだよ蒼司♪時に燐子の事で何か困った事があったら何時でもアタシに相談してね♪」

(燐子)「い、今井さん……!?///」

(蒼司)「ああ、その時は……宜しく頼むよ」

(燐子)「蒼司さんまで……///」

 

(友希那)「ふふっ……よかったわね、燐子」

(あこ)「あこも相談に乗るからね〜りんりん!」

(燐子)「うぅ〜〜///(/ω\)」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

・ゲスト紹介

 

(蒼司)「次はゲスト紹介!」

(友希那)「誰が来るかは……蒼司しか知らないらしいの」

(燐子)「私も……しらされてないから……楽しみです」

 

(蒼司)「主の『小説』読んだ事ある人なら……多分予想できるんじゃないかな?」

(リサ)「主さんの小説……?」

(紗夜)「それと何の関係が……?」

(あこ)「あこ……全然予想がつかないよ……」

 

(蒼司)「それじゃあ満を持して今回のゲスト紹介の登場だ!」

 

(神楽)「『青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?』主人公の大江神楽だよ」

(遊斗)「『ブラコン歌姫と劣等生決闘者』主人公の湊遊斗だ」

 

(蒼司)「……という訳で、主の作品のオリ主2人に来て持った。今回は宜しくな2人とも」

(神楽)「いや〜まさか蒼司さんの1周年を祝わせて貰える日が来るなんて……かんげきです!」

(遊斗)「自分も、俺みたいなのが招待されるなんて思わなかった」

 

(リサ)「凄……主さんも中々やるね〜♪」

(友希那)「そうね。他の作品の主人公を招待するって凄いことだわ」

 

(神楽)「!!……お、お前……リサ……なのか!?」

(遊斗)「友希那……!?どうしてお前が此処に?」

(リサ)「え?あ、アタシ……!?」

(友希那)「ど、どうして私とリサの名前を?」

 

(蒼司)「2人とも、そこに居る2人は此処の世界『青薔薇の姫君と蒼き竜騎士』の友希那とリサだ。それぞれの所の友希那とリサじゃない」

(神楽)「そう……なのか?」

(遊斗)「確かに……そう言われると……俺の知る友希那と違う気がする」

 

(蒼司)「多分混乱してる人も居るだろうから、それぞれの作品紹介を大まかにできるか?2人とも」

(神楽)「う、うん……『青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?』は俺、大江神楽が約10年振りに東京羽丘へ自分の夢を実現させる為に戻ってくるんだ。そしてそこに俺の幼馴染みのリサと友希那と運命的な再開を果たす……んだけど、リサと引っ越す前に交わした『約束』がきっかけで俺と幼馴染み、そしてRoseliaの皆の日常が……って感じだな」

(遊斗)「次は『ブラコン歌姫と劣等生決闘者』だな……2X21年……の未来。世界は『ガールズバンド』と『遊戯王』が大流行しだした。そんな中、ガールズバンドと決闘者を育成する学園『ガルパアカデミア』に俺と友希那、二人の兄妹は進学する事になる……って感じだな」

 

(リサ)「あ、アタシが……ヤンデレ……」

(友希那)「私が……遊斗さんの……妹……?」

 

(蒼司)「まああくまで2人の住む世界のあらすじだからな……困惑しなくても大丈夫だぞ?」

(リサ)「そ、そうだけどさ……神楽さんの所のアタシってどんなのかなって……」

(友希那)「私も……遊斗さんの妹って設定だからどんな感じなのかって……」

 

(遊斗)「そうだな……」

(神楽)「強いて言うなら……」

 

(遊斗、神楽)『世の中知らなくてもいい事があるとだけいっとく』

 

(友希那、リサ)『は、はい……』

 

(蒼司)「あはは……そういう事だ。まあ1つ言えることは主曰く各々主人公として日々頑張ってるって事だ……そうだろ?」

(神楽)「俺の場合……今は毎日が大変なんだけどな……」

(遊斗)「同じく……」

 

(紗夜)「そうなんですね……」

(燐子)「で、では……2人の自己紹介等終わったところで……皆さんお待ちかねのレクリエーション……しましょう!」

 

(リサ、あこ)『待ってました!!』

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

・レクリエーション(前半)

 

(蒼司)「おっし!レクリエーションやってくぞ!」

 

(全員)『おおおおおおおおおおおおーーーー!!!!』

 

(蒼司)「そして種目は……『王様ゲーム』だ!」

 

(リサ)「おお〜♪王道だね〜♪」

 

(蒼司)「ルールだけど……」

 

(友希那、燐子)『王様の命令は……』

 

(全員)『絶対!!!!』

 

(蒼司)「まあそれさえ守れば大方大丈夫だ!それじゃあ皆!順番にカードを引いてってくれ!」

(友希那)「皆引き終えたかしら?」

(燐子)「それでは……第1回……」

 

(全員)『王様だ〜れだ!!!!』

 

(蒼司)「お?トップバッターは俺か……ふっふっふ」

(友希那)「蒼司……笑い方が……」

(燐子)「蒼司さん……お、お手柔らかに……」

 

(蒼司)「大丈夫大丈夫♪2人(・・)には酷いことしないから……って事で先ず軽めに3番、6番の人は4番の人に『スティール』をする!!」

 

(神楽)「な、ダニィ!?」

(リサ)「スティール……蒼司、スティールって何?」

(紗夜)「私が4番ですね……」

 

(神楽)「スティールって言うのは……某異世界アニメの主人公が盗賊ヒロインから教わった窃盗魔法で、上手く行けば金銭含むレアアイテムが奪えるんだが……ガタガタ」

(リサ)「え……も、もし失敗したら……?」

(神楽)「そ、それはdーー」

 

(蒼司)「レディース&ジェントルマーン!!これより今から青薔薇のベーシスト今井リサと、『青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?』の主人公、大江神楽が青薔薇のギタリスト氷川紗夜の持ち物を1つ自らの手元へとイリュージョンしてみせます!!見事成功致しましたら皆様盛大な拍手御喝采宜しくお願いします♪」

 

(神楽)「ちょっ、待ってくれ蒼司!あの魔法は失敗したrーー」

 

(蒼司)「はーい今回の主役の2人はアシスタント(紗夜)の前に立って右手を突き出してください!」

 

(リサ)「こ、こうでいいの?」

(神楽)「だあーーもう!こうなったら絶対成功させてやる!!」

 

(蒼司)「そーそー♪その意気でございます!」

 

(友希那)「神楽さん……どうしてそんなに失敗を恐れてるのかしら……?」

(燐子)「スティール……何処かで聞いた事ある様な……っ!!あ、あわわわ」

(あこ)「りんりん!?大丈夫!?」

(遊斗)「燐子……思い出しちまったか……」

(あこ)「え?何を思い出したんです?」

(遊斗)「これ以上は……俺も言えない……とりあえず成功を祈ろう」

 

(友希那、あこ)『えぇ……(困惑)』

(燐子)(氷川さん……どうかご無事で……!)

 

(蒼司)「それでは!わたくしの掛け声と共に2人は『スティール』と叫んで突き出した右手を握って下さいね!それでは行きますよ……!スリー、トゥー、ワン!!」

 

(リサ、神楽)『スティール!!』

 

コアアアアアアーーーー……

 

(紗夜)「きゃあああ……!」

 

(友希那)「な、何が……」

(あこ)「起こったの……!?」

(燐子)(2人とも成功しますように成功しますように……)

(遊斗)(成功してくれよ、2人とも……)

 

(蒼司)「さぁ、果たしてイリュージョンは成功したのでしょうか!?先ずはリサから!」

 

(リサ)「これは……あ!ポテトの無料クーポン!これって成功だよね!?ヤッター♪」

 

(友希那、あこ、燐子)『おお〜〜〜!!!』

(遊斗)「リサは成功か……って事は……(汗)」

 

(蒼司)「おお!リサは無事、紗夜の大事にしてるポテトの無料クーポンをイリュージョンさせました!皆様盛大な拍手御喝采を!」

 

わぁぁぁぁーーーー!!!!パチパチパチパチッ

 

(紗夜)「私の無料クーポンが……っ!?あ、ああ……!!」

(リサ)「あれ?紗夜……どうしたの……?」

(燐子)「も、もしかして……(震)」

(遊斗)「そのまさか……だな(汗)」

(友希那)「紗夜……顔を赤くして……どうしたのかしら?」

(あこ)「りんりんも遊斗さんも……様子が変だし……」

 

(神楽)「…………」

 

(蒼司)「さて、気になる神楽の結果はどうなったのでしょうか?結果の方をお願いします!!」

 

(神楽)「お、俺……少しお腹痛くなったから……と、トイレhーー」

 

ガシィっ!!!!

 

(神楽)「イダダダダダダダダッ!?」

 

(友希那、リサ)『紗夜!?』

(燐子、あこ)『氷川さん!?(紗夜さん!?)』

(遊斗)「紗夜の後ろに……阿修羅が……(汗)」

 

(紗夜)「神楽さん……ドコヘイクノデスカ?ギリギリ」

(神楽)「さ、紗夜さん……だ、だから自分はトイrーー」

(紗夜)「ソウデスカ……デシタラワタシモ御一緒サセテイタダキマスネ?ギリギリ!」

(神楽)「イダイイダイイダイ!!さ、紗夜さん違うんだ……!!俺は嵌められtーー」

(紗夜)「人の……シカモ女性の下着を盗ってオイテトンズラシヨウトイウ魂胆デスカ?」

 

(友希那)「嘘……」

(リサ)「神楽さんが……紗夜の……!?」

(あこ)「し、しし……下着を……!?」

(燐子)「あわわわわわわわわ……!!」

(遊斗)「……(汗)」

 

(神楽)「だ、だから違うんだ!!俺は盗りたくて盗った訳じゃ……」

(紗夜)「ソレデハ神楽サン?アチラのトイレデ……イッパイオハナシヲ……キカセテクダサイネ?」

 

(神楽)「い、嫌だ!死にたくない!死にたくない!!HA☆NA☆SE!!HA☆NA☆SE!!」

 

(蒼司)「どうやら失敗したということで……失敗した神楽には……少しの間紗夜さんとご退場願いします♪」

 

(神楽)「嘘だドンドコドーン!!!!」

 

ドカッ!!バキッ!!ゴキャッ!!ドゴッ!!ズガガガガガッ!!

ヴィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン……!!!!

 

(神楽)「ギャアアアアアアアアアアアーー!!!!」

 

ーーピチュン!

 

(遊斗)「ピチュったな……もしかして、狙ってた?」

(蒼司)「まさか?ソンナコトナイゾ?ふっふっふ♪」

 

(リサ)「せ、成功して良かった……」

 

(友希那)「神楽さんの復帰という名の更正が終わるのに時間がかかりそうだから……」

(燐子)「つ、次は……後半で……」

(あこ)「紗夜さん大丈夫かな……?」

(遊斗)「まあ……大丈夫だろ?」

 

(蒼司)「そうだな……それでは後半へ続く!!」

 

 

 

 

〜to be continuous〜




というわけで……1周年記念、後半へ続きます!
感想、高評価等宜しくお願い致します!


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番外編:1周年記念(後半)

1周年記念の後半です!後半も元気に参りましょう!



(神楽)「紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い紗夜さん怖い……ガタガタ」

(紗夜)「全く……不可抗力だったとは言え……騎龍も騎龍さんであれがどんなものかおしえるべきです……!」

(リサ)「そ〜だよ!アタシまで失敗したらどうするつもりだったの!?」

(蒼司)「まあその時はそのときで紗夜から制裁を受けるまでだけどね♪」

(遊斗)「まあ最も命令だした本人凄い乗り気だったしな……」

 

(友希那)「蒼司……その、次蒼司が王様になる時は……」

(燐子)「過激なのは控えて……ください……」

(蒼司)「え?だってそれが王様ゲームのだいごmーー」

 

(友希那、燐子)『い・い・わ・ね?(い・い・で・す・か?)』

 

(蒼司)「き、肝に命じておきます……」

 

(紗夜)「そ、それでは次いきましょう!」

(友希那)「そうね」

(燐子)「では行きます……第2回……」

 

(全員)『王様だ〜れだ!!!!』

 

(遊斗)「お?次は俺か」

(蒼司)「遊斗が王様か……正直分かんないな」

(遊斗)「まぁさっきみたいなドギツイやつじゃないから安心してよ……って事で、2番は7番に甘々に甘える」

 

(蒼司)「ん?7番は俺だな。2番は……」

(あこ)「あこだよ蒼兄!」

 

(友希那)「あこ……羨ましいわ」

(燐子)「あこちゃん……悪い事言わないから……変わって?」

(あこ)「ひぃぃ!?ふ、2人とも怖い!!ガタガタ」

 

(リサ)「まあまあ2人とも〜♪王様の命令は〜?」

 

(全員)『絶対!!!!』

 

(友希那)「……はっ!しまったわ……情景反射で……!」

(燐子)「今井さん……ひどいです……」

(リサ)「まあそう言わずにさ♪これが王様ゲームなんだから、我慢我慢♪」

(蒼司)「そうだな……次の命令に期待って事だ」

 

(遊斗)「って事で……2人ともあっちの部屋へ移動してくれ」

(紗夜)「?……ここでしないんですか?」

(遊斗)「その方が其方の二方のメンタルたもてるかなって」

 

(友希那)「あこ?私の蒼司に変なことしないでよ?」

(燐子)「あこちゃん?変な事したら……分かってるよね?」

(あこ)「ひぃぃ!?そ、蒼兄〜怖いよぉ〜!!」

(蒼司)「わかったわかった、じゃあ早くあっち行こっか」

(あこ)「うん……!」

 

(リサ)「ちょ、友希那落ち着いてって!蒼司ならきっと大丈夫だから!!」

(紗夜)「白金さんも落ち着いてください!今行ってしまったら王様ゲームの意味が無くなってしまいます!」

 

(友希那、燐子)『蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司蒼司(蒼司さん蒼司さん蒼司さん蒼司さん蒼司さん蒼司さん蒼司さん蒼司さん)』

 

(神楽)「た、大変そうだなあの2人……」

(遊斗)「そうだな……」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜別室にて〜

 

(あこ)「蒼兄……ほんとに……いいの?」

(蒼司)「言いも何も……王様の命令は絶対だからな……遠慮なく甘えるんだよ、あこ」

(あこ)「う、うん!それじゃあ……始めるね……!」

 

(あこ)「蒼兄〜♪ギュゥッ!」

(蒼司)「ふっ……ハグとは、大胆だなあこはナデナデ」

(あこ)「だって、蒼兄はあこの彼氏(・・)だもん♪」

(蒼司)「か、彼氏!?」

 

(あこ)「違うの……?ウルウル」

(蒼司)(もしかして……設定……的なやつか?てことは……多分演技……だよな?)

(蒼司)「ごめんなあこ。いきなりハグしてくるからお前の可愛さにドキマギしたんだ」

(あこ)「そ〜だったんだね!ねえねえ蒼兄!あこね、もっと蒼兄に甘えたいんだ!だから……そ、その……」

 

(蒼司)「ん?どうしたんだあこ?」

(あこ)「な、汝の膝に頭を……あ、預けて癒されたいのだ!///」

(蒼司)(す、凄い恥ずかしげに言ってるよ……!てかつまり……)

 

(蒼司)「膝枕だな?いいよあこ。こっちにおいで」

(あこ)「ありがとう蒼兄!(*´∀`*)」

(蒼司)「全く、あこは甘えんぼだな〜♪ヨシヨシ」

 

(あこ)「ねえ蒼兄、あこの事……好き?」

(蒼司)「当たり前だろ?俺はお前の彼女なんだぞ?(設定上)」

(あこ)「じゃ、じゃあ……あこに……好きって、言ってみてよ///」

(蒼司)(恥ずかしがらずに言わないでくれあこ……何か色々持たない)

 

(蒼司)「好きだぞ、あこ(演技です)」

(あこ)「う、うん!」

 

(蒼司)「あこ……好きだ。愛してる(演技です)アゴクイ」

(あこ)「ふぇ!?そ、そそ蒼兄!?///(蒼兄の様子がへんだよ〜)」

 

(蒼司)「俺の目を見ろ(演技……です)」

(あこ)「は、はい……///」

 

(蒼司)「あこ……愛してる(演技?)」

(あこ)「あ、あこも……蒼兄の事……あ、愛してるよ///(あれ?これ演技だよね??)」

 

(蒼司)「あこ……(演技??)」

(あこ)「そ、蒼兄……///(蒼兄顔近い顔近い!こ、このままだと……き、キキ……)」

 

 

バァンッッッッ!!!!

 

(友希那、燐子)『それはダメーーーー!!!!』

 

(蒼司、あこ)『友希那!?(りんりん!?)』

 

(友希那)「蒼司?貴方王様ゲームの命令忘れたの!?」

(燐子)「あこちゃんが……蒼司さんに……甘えると言う命令だった……はずです!」

(蒼司)「あ……済まない、演技に熱心しすぎで忘れた……」

(あこ)「……ホッ(や、やっぱ演技だったんだ……でも何か残nーー)」

 

(友希那)「あこ……?何残念がってるのかしら??ゴゴゴゴ」

(燐子)「もしかして……本当は蒼司さんと……キス……したかったの?あこちゃん??ゴゴゴゴ」

 

(あこ)「ひ、ひぃぃ!?リサ姉助けて〜〜〜〜!!!!」

(リサ)「よしよし……怖かったね〜♪ナデナデ」

(紗夜)「騎龍さん……とても、大変だったんですよ?」

(蒼司)「す、済まない……」

(神楽)「紗夜さんお疲れ様……」

(遊斗)「司会じゃないけど……次いくか……」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

(友希那)「コホン……それじゃあ気を取り直して……」

(燐子)「第3回……」

 

(全員)『王様だ〜れだ!!!!』

 

(リサ)「やった♪アタシが王様だね♪」

(蒼司)「……さて、そろそろ時間だな。これで終わりにするか」

(リサ)「何でよォ!?」

 

(蒼司)「だってリサが王様だもん。絶対あんなことやこんなことをさせて楽しむにきまってる」

(友希那)「確かに、蒼司の言う通りね……でも」

(燐子)「お、王様の命令は……」

 

(全員)『絶対!!!!』

 

(蒼司)「……ッ!?しまった、情景反射で……!」

(友希那)「ふふふっ……逃がさないわよ、蒼司」

(燐子)「さっきの……お返しです……」

(リサ)「アハハ♪ありがとう2人とも♪……でも時間的にもこれで最後なのは変わりないから……(ここでピンポイントで当てないとね♪)」

 

(リサ)「それじゃあ1番、3番、5番の人はあそこの部屋でイチャイチャしてくださ〜い♪」

(蒼司)「ほら来たよ……そういう所だぞリサ……!!??」

(友希那)「!!……私3番ね」

(燐子)「5番……です……(もしかして……ふふふっ♡)」

 

(蒼司)「……サササ」

(遊斗)「ん?蒼司さんどうしたんだ?」

(神楽)「静かに後退りして……」

(蒼司)「ファ!?……い、いや、なんでもないぞ?ただお腹痛くなってトイレnーー」

 

(紗夜)「(もしかして騎龍さん……)騎龍さん?番号は何番ですか?」

(蒼司)「へ?え、えっと〜……あ、2番だ2番!」

(あこ)「え?あこ2番ですよ?」

(蒼司)「ギクッ!?」

 

(遊斗)「因みに俺は4番」

(神楽)「俺は6番」

(紗夜)「私は7番ですね」

 

(リサ)「さ〜蒼司?皆番号言ったんだら蒼司も言わないと〜♪」

(蒼司)「い、いやだから2番だって……サササ」

 

ガシィッ!!

 

(蒼司)「ゆ、友希那に燐子……!」

(友希那)「蒼司、何処へいくの?」

(燐子)「蒼司さん……番号、見せてください……ヒョイッ」

 

(友希那)「ふふふっ♡思った通りね♡1番は蒼司……貴方だったのね♡」

(燐子)「今井さんに……感謝しないと……いけないですね♡」

(蒼司)「!?……その言い方……リサ!お前嵌めやがったな!?」

(リサ)「ひ、人聞きの悪いこと言わないでよ!!アタシはただ指名する人を素数で決めただけだもん!」

(あこ)「蒼兄〜大人気ないよ〜!」

(紗夜)「王様の命令は……?」

 

(全員)『絶対!!!!』

 

(蒼司)「情景反射のバカヤローーーー!!!!」

 

(遊斗)「まあまあ蒼司さんグイグイ」

(神楽)「腹括ってくださいよグイグイ」

 

(蒼司)「ちょ!?2人とも押すなって!やめろォ!!やめろォ!!HA☆NA☆SEHA☆NA☆SEHA☆NA☆SE!!」

 

(友希那、燐子)『さぁ蒼司?(蒼司さん?)一緒に愛し合いましょ♡♡♡♡』

 

(蒼司)「イヤダーーーーーーーー!!!!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

・今後の流れ

 

(蒼司)「ふぅ……手間掛けさせやがって……」

(遊斗)「お、戻ってきた」

(神楽)「あれ?2人は?」

(紗夜)「今井さんもいませんし……」

(あこ)「蒼兄何か知らない?」

 

(蒼司)「2人はあの部屋で……失神(・・)してる。リサは……とりま()になってもらった」

 

(紗夜)「失神って……」

(あこ)「えっ!?ほ、星って……リサ姉は大丈夫なの!?」

(蒼司)「大丈夫だあこ。ただの星になっただけだから」

 

全く……友希那と燐子は『ベホ〇ズン』で再起出来たけどリサに関しては『ザオ〇ク』なのに再起確率50%なんだからさ……しかも女の子に対してそこまでするのはどうかと思うよ蒼司?

 

(蒼司)「あれ?主さんまだ出番じゃないですよ?」

(神楽)「主さん、お疲れ様」

(遊斗)「編集お疲れ様」

 

ありがとう3人とも、一応2人を迎えに来たってのと蒼司にこれを渡しに来たんだ。

 

(神楽)「迎え……?」

(遊斗)「あ、そうか。もうそんな時間か……」

(蒼司)「2人とも今回はありがとうね。互いに主人公として……これからも頑張ってこ」

(遊斗)「ああ。今日は楽しい時間が過ごせた」

(神楽)「感謝してるよ〜。ありがとう蒼司さん」

 

それじゃあ後ほど……2人とも行くよ〜♪

 

(友希那)「あれが……主さんね?」

(燐子)「なんだか優しい……と言うよりふわふわしてました……」

(蒼司)「あ、おはよう2人とも。気分はどぉ?」

(友希那)「そうね……とてもピリピリしてるわ」

(燐子)「何なら……さっきの続kーー」

 

(リサ)「蒼……司……」

 

(4人)『きゃあああああッ!!??』

 

(蒼司)「リサ……随分やつれてるな……大丈夫か?」

(リサ)「や、やった本人が言う言葉!?」

(あこ)「リサ姉〜〜!!無事で良がっだよ〜〜〜〜!!」

(紗夜)「今井さん……何があったんですか?」

(リサ)「聞かないでくれると嬉しいかな……///」

 

(紗夜、あこ)『あ……(察し)』

 

(友希那)「蒼司?時間が惜しいんじゃないのかしら?」

(燐子)「早く本題に……移りましょう」

 

(蒼司)「そうだな。今後の流れってのは今後のこの作品についてを話してく感じだな」

(リサ)「それって……まだ完結してない紗夜の話やアタシ達のストーリーについて?」

(蒼司)「詰まる話……そういう事」

(紗夜)「その手に持ってるものが……そうなんですね?」

(あこ)「それじゃあ早速見よ〜よ!我らの未来が記されし……えっと〜……」

(燐子)「幻影手記……かな?」

(あこ)「そうそれ!」

 

(友希那)「それじゃあ見るわよ」

(燐子)「『青薔薇の姫君と蒼き竜騎士』の……」

(蒼司)「今後の流れだ」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜紗夜編〜

 

「蒼司、私は……」

「騎龍さん、私は……」

 

『どうだったかしら?(どうでしたか?)』

 

ーー自分の過去を打ち明けた蒼司に共感した2人の姫君の熱い?アピール……

 

「久しぶりだなぁ……蒼司」

「貴方に……『蒼龍』として頼みたい事があるの」

「九童百合香……恐ろしい女だよ」

「九童百合香……彼女は昔、数百人の命を『実験』と題して皆殺しにした狂人者……殺人鬼よ」

 

ーー突如として現れたかつての因縁の好敵手、郷田猛。そして彼の背後にいる『狂人者』、『殺人鬼』として恐れられし女性九童百合香が持ちかけた『蒼龍』としての蒼司への頼みたい事とは?……

 

「『人殺し』が……お姉ちゃんに何の用なの?」

「騎龍さんが……人……殺し……?」

「……貴女達に……本当の事を話さなければ行けないわね」

 

ーーそして、氷川姉妹に語られる蒼司の過去の『真実』……

 

「私……騎龍さんの事が、好きです……!」

「俺は……どうしたらーー」

 

ーー想いを伝える彼女。そして悩む蒼司。そして……

 

「お姉ちゃんを……お姉ちゃんを助けて……!!」

「『龍』は1体居れば充分だ」

「ああ……決着をつけようか……郷田ァァ!!!!」

 

ーー助けを求める妹。そして、2体の龍が決着をつけようと拳を交える……

 

『season1:紗夜編』4話〜……乞うご期待!!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサ編〜

 

「『羽丘女子学園』から『交換留学』で来ました……」

「嘘……だろ……」

 

「ーーという訳で、今日からよろしくね?蒼司♪」

 

ーー舞台は『花羽学園高等部』。蒼司の目の前に現れたのは……

 

「俺にはお前が嫌いな理由が3つ存在する」

「蒼司……ひどいよ……」

「アイツはある日を栄に……かわっちまったんだ」

 

ーー蒼司と何とかして仲良くなろうと試みるが難無くあしなわれるリサ。しかし彼は『昔はそんなやつじゃなかった』と親友、伊達優馬は語る……

 

「蒼司!そ、その……アタシと一緒に……料理しようよ!」

「ーーはぁ、分かった。分かったからその顔を辞めてくれ」

 

ーー何とか蒼司との距離を縮める事が出来たリサだが……

 

「お前とはこれで縁を切る……いいな?」

「ああ。これで……アンタらの憎い顔を見ずに済むんだ、願ったり叶ったりだ」

「何……あれ……」

「もう……俺と関わるな」

 

ーーリサが目にした蒼司の両親との絶縁現場。そして突如伝えられる彼からの絶交の言葉……

 

「貴方……1度でもリサの気持ちを考えたことがあるの!?」

「俺……リサに謝ってくる……!」

 

ーーリサの幼馴染みの歌姫が蒼司に対して絶交した事に激怒する。そしてリサの『思い』に気付かされた蒼司はリサの元へ……

 

「蒼司は……もう貴女達の『モノ』なんかじゃない!!」

「うるさい!!ただの女子高生が知った様な口を聞くな!!」

「きゃあああああーーーー……!!!!」

「リサーーーーーーーーッ!!!!」

 

ーー彼は『モノ』何かじゃない。それを彼の両親に伝えるが……。

 

「あぁ……今日はいい日だ……鳥は囀り、花は咲き誇り……人は目まぐるしく活気よく動き回り……こんな素晴らしい日にお前らは……ーー」

 

ーーそして、『蒼き竜騎士』は……憎き相手に『剣』を抜く……

 

『season1:リサ編』……乞うご期待!!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜あこ編〜

 

「花羽学園高等部から来ました騎龍蒼司です」

「今日からよろしく、蒼司」

「よろしくね?蒼司♪」

 

「あ、あこと一緒に帰ろ蒼兄!!」

 

ーー舞台は羽丘女子学園。友希那達のクラスで過ごすことになった蒼司。そして何故か一緒に帰りたがるあこ……

 

「俺達と一緒に遊ぼーぜぇ!」

「や、ヤダ……だ、誰か助けて……!」

「あ、あこちゃん……」

「あ、貴方は……!?」

 

「俺の名前は『ブルーアイズ』!!さぁ、俺とゲームしようぜ!!」

 

ーーとあるゲームセンターにて、羽丘女子の1年生組3人……あこ、六花、明日香にナンパするガラの悪い男達の前に青マスク青ゴーグルの謎の男『ブルーアイズ』が現れる……

 

「でねでね!その『ブルーアイズ』って人がゲームでその男の人達を蹴散らしたの!」

「『ブルーアイズ』……その名前……何処かで……っ、ああ!」

 

「ホントだ……NFOにも……『ブルーアイズ』が居る!!りんりん!これは運命だよ!!」

 

ーーそしてあこと燐子は『ブルーアイズ』がNFOにもログインしている事を知り、あこはそれを『運命』だと悟った……

 

「やっと見つけた!!『ブルーアイズ』、今度こそ決着を付けさせてもらうわ!!そして今回こそアタシが勝ってアンタの正体暴いてやる!!」

「久しぶりだな。狂犬乙女……『39(三玖)』!!」

「う、嘘……」

「『ブルーアイズ』が……蒼兄……!?」

 

ーー突如として現れた少女は、名のあるゲーマーらを速攻勝利、ハイスコア勝利をし蹴散らしていった狂犬乙女と呼ばれるプロゲーマー『39』だった。そして、彼女との再戦に挑んだ彼だが敗れてしまい……

 

「蒼兄……何で黙ってたの?」

 

「あこちゃん……!駄目!!」

 

「分かった……そこまで言うなら……俺はあこの目の前から消える『ブルーアイズ』も……今日限りで辞める」

 

ーー正体を隠していた蒼司に対して悲しみと怒りが抑えられなくなったあこは、蒼司にある一言を発してしまう。そしてその一言によって彼は『ブルーアイズ』である事を辞めることを決意する……

 

「あこ……決めた。蒼兄の……『ブルーアイズ』の意志を受け継ぐ!!」

「へぇ……アタシがプロゲーマー『39』だってわかった上で挑むと言うのね?」

「戦いの舞台は……『全国ACゲーム大会』だよ!」

 

ーー『ブルーアイズ』の意志を受け継ぐと決めたあこ。そして彼女は蒼司に変わって『39』に再戦を『全国ACゲーム大会』にて申し込む。そして……

 

「我が名は『ブルーアイズ・ガール』!!たった1人の師である『ブルーアイズ』の意志を受け継ぎし者!!」

 

ーー彼女は、『ブルーアイズ』の意志を受け継ぎし弟子、『ブルーアイズ・ガール』として立ち上がる……

 

『season1:あこ編』……乞うご期待!!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

(紗夜)「これが……」

(リサ)「アタシ達の……」

(あこ)「あこ達の今後の話の流れ……」

 

そ〜だよ♪まあ正確には次回予告……なるものかな?どおだった?

 

(紗夜)「その……どんな展開になるのか……ヒロインである私でさえ想像がつかなかったです……」

(リサ)「アタシも……なんかアタシのストーリー解禁が、待ち遠しくなってきた……!」

(あこ)「それを考える主さん……超超凄いよ!!」

 

アハハ……ありがとう。因みに友希那編のifストーリーに関してはあえて予告編は出さないことにしたよ。出しても良かったけど……君達Roseliaの第3章のストーリーを採用してるから大体内容は把握出来てるかなって。

 

(友希那)「そうだったのね……」

(燐子)「でも……3人の話の予告を聞いて……私も早く解禁しないか待ち遠しいです……」

(蒼司)「そおだな。まあそれは主次第だから遠目遠目で待っておいてやろうよ」

 

ゔ……編集に関しては無理しない程度に頑張るよ!

 

(蒼司)「そろそろ……時間だな」

(友希那)「1周年記念……とてもいい時間が過ごせたわ」

(燐子)「はい……とても、楽しかったです」

(リサ)「あれ?まだプログラム残ってるよね?」

(紗夜)「あぁ……確か先程主さん……『それはあとがきに回してくれ』っと騎龍さんにいってましたね」

(あこ)「ってことは……これで1周年記念はこれでおしまいって事?」

 

そうだね。それじゃあ蒼司、この作品の主人公として……〆をお願い。

 

(蒼司)「分かった。……この作品がここまで来れたのは読者の皆のお影だ。今後とも『青薔薇の姫君と蒼き竜騎士』をよろしく頼む!!」

 

(Roselia)『よろしくお願いします!!!!』

 

 

 

 

〜END〜

 

 




どうも。ka-主です!編集し始めたのは先週です(汗)……前半から大分間が空いてしまい申し訳ないです。一応仕事の合間(休憩)を縫って編集をしてましたが……疲労に抗えず中々執筆出来ませんでした。一応前々からそれを打破する為の対策(詳しくは活動報告へ)を立てた……までは良かったですが、今現在……果たしてこなせてるか……もうすぐ今年2021年も終わりますが、来年からは無理しない程度にがんばるつもりですので今後ともka-主をよろしくお願い致します!

さてさて……『青薔薇の姫君と蒼き竜騎士』……1周年が経ちました。(経ったのにあんま進んでないやん……なんて言わない!)あっという間でした。評価は兎も角……沢山の読者が更新するたびに読んでるなって思うと自然と執筆が当時は止まりませんでした。友希那編から始まり、燐子編も完結し……今は紗夜編。そして第3章を記念として友希那にifストーリーを更新し始めました。日常、恋愛系(?)だから余り読んでくれる人は正直いないのではと思いましたが。UAを見ながらあながちそうでも無いんだなとしみじみ思いながら仕事をしつつ執筆する今日この頃です。今後の『青薔薇の姫君と蒼き竜騎士』は後半に書いた予告編の内容通り(ただしそれと全く同じシチュエーションになるかはまた別)に投稿する予定です。上記に度々書いてますが仕事し始めてから中々執筆するタイミングが取れませんが……無理しない程度にこの作品を初めとし、その他作品も頑張って投稿する限りです。

最後になりましたが、仕事で忙しい中でもここまで頑張れたのは読者さんのお陰です。これこらもka-主を、『青薔薇の姫君と蒼き竜騎士』をよろしくお願い致します!

感想、高評価とうよろしくお願い致します!!


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番外編:コラボ回 蒼き竜騎士と漆黒の竜王

今年最後の投稿は我が相棒、D・MAKERさんとのコラボです!
初コラボにして2021年最後の投稿……頑張るぞい!!
それでは……どうぞ!!


「…………(仁王立ち)」

「…………(正座)」

 

俺、騎龍蒼司は自分のPCを目の前に1人の……恐らく俺と同じ歳の男を正座させていた。

 

「……今から俺が怒ってる理由を3つ言う。1つ、どうやったかは知らないが俺のPC画面から飛び出てきてくれた貴方のお陰で俺の大事なデータが消し飛んでしまった。

2つ、作業所とも言える俺の編集部屋の周りの機材ら諸共派手に壊れた。

そして3つ、偶然にも底に立て掛けて置いた俺のmyギター『Blue lightning』が真っ二つ……いいか?『真っ二つ』だ」

「ホントに悪かった!!壊したもの、飛んだデータ全て俺が何とかするから……!!」

「何とか……出来るのか?」

 

正直、信じられないと思った。ギターや機材らは兎も角飛んだデータだ。確かにバックアップは幸いしてあるからなんとかなるが……

 

「バックアップのデータでさえ大方飛んでるんだ……不可能だろ」

「ふっふっふ……俺を舐めて貰っちゃ困るぜ!」

「大した自信だな……そう言えば……名前は?」

「竜騎。辰巳竜騎だ!」

「辰巳竜騎……確かプロデュエリストでありながら凄腕の発明家であり……ハッカー(・・・・)でもあるとか?」

 

それを聞いた彼……辰巳竜騎は驚いた表情をしていた。

 

「俺が『ハッカー』だってのは隠してたんだけどな……」

「ハッカー達程じゃないけどプログラミングや情報収集力は自慢じゃないけどそこらの一般人よりかは出来るって自負してる」

「ほぉ……少し、PC見せてよ」

「ん?いいけど……」

 

「壊すなよ」と取り敢えず念を押して俺は竜騎にPCの画面を立ち上げ見せた。そして竜騎は懐からとあるUSBを差し込み何かの画面を立ち上げた。そして間もなくキーボードを叩き始めて数分後……「見つけた」と呟いてとある画面を映し出して指を止めた。

 

「恐らく……君の最も大事にしてるデータは今此処にある」

「なんだって……!?」

 

画面には複数に枝分かれしたコンピューターの回路や様々なデータにアクセスする為の回線……そして竜騎が指さした場所は大きく『Trade data base』と書かれた……恐らくネットワークだった。

 

「あのネットワークは色んな情報屋やハッカー達がそこでしか手に入らない貴重なデータを自分の持ってるデータと交換して手に入れる場所なんだ。そこに……君の恐らく最も大事にしてるデータが保管されてる」

 

「更に……」と言って竜騎はそのネットワークを開いてカーソルを下へ下へと送った。そして画面にの1番下に『new』と書かれた俺のデータファイルがあった。しかも横に『SSS』と書かれている。よく見ると他のデータにもAだのB+とかAAA+などと書かれていた。

 

「これは一体……」

「そのデータの総合的な取り引き価値だよ……まずいな……普通新しく此処に来たデータでもSSSはごく稀。余程貴重なデータなんだろうな、ここのネットワークからしたら」

「そんな……」

 

それを聞いた俺は一気に不安になった。恐らく……そのデータは俺の個人情報を初めとした彼女らRoseliaと過ごした日々など……俺にとって金なんかよりも、自分の命よりも大切な……所謂『俺だけのマザーデータ』だ。そんなのが他の情報屋やハッカーなどにわたったら……考えただけで狂いそうだった。

 

「安心してくれよ。俺は凄腕のハッカーなんだ……所で蒼司」

「なんだ?」

「もう1台……PCはあるかい?」

「自分の部屋にノートPCなら……何をするんだ?」

 

「言ったろ?飛んだデータも俺が何とかするって。……あのデータを回収する為に……君の力をかしてくれ」

 

竜騎は静かに……そして妖しく舌なめずりをしてそう言った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……よし、準備はいいか?」

「ああ。手筈通り……何時でもいいぜ!」

「それじゃあいくぞ……サイバー・ハッキング・ツールON!!」

 

そう言うと竜騎はTrade data baseのネットワークサーバーにハッキングをし始めた。そして俺は予め竜騎に送られたファイルにプログラムを入力し始める。

彼の提案した作戦はこうだ。

・竜騎がTrade data baseのネットワークサーバーにハッキングをすると同時にそこのネットワークサーバーのセキュリティプログラムが作動する時間を稼ぐ。

・その間に俺は予め送られたファイルからTrade data baseのネットワークサーバーへの抜け道のプログラムを最短ルート(・・・・)で作成する。

・抜け道プログラムが完成し次第、ハッキングによって回収した例のデータを持ち出し抜け道プログラムを用いてもう1つのファイルへそのデータを転送し回線を遮断する。

この作戦の要はなんと言っても俺の抜け道プログラムの作成スピードにあると俺は踏んだ。幾ら竜騎のハッキングスキルが優れていたとしても俺がてをこまねていたら全てが水の泡だ。

 

「因みに……データ回収完了と時間稼ぎはどれくらい掛かるんだ?」

「回収自体は5分と掛からない。時間稼ぎだが……何も無かったとしてもせいぜい5分から10分程かかる」

「そうか……」

「ん?怖気付いたのか?」

「まさか。俺の大事なデータ救出の為だ……5分で終わらせる」

「そうこなくっちゃな!」

 

そう言って俺達は作戦を続行した。

 

(あのデータには……俺達6人の大切なデータがある。それだけじゃない。あのデータには……今日のーー)

 

「データ回収完了。これよりセキュリティプログラム開始の時間稼ぎに移る」

「早いな……俺も負けてられない!」

 

流石……凄腕のハッカーなだけあるな。だけど俺も一流と自負していい程のプログラマーだ。その名にかけて……プログラムを完成させる!

 

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「……くっ、思った以上にセキュリティ側の特定速度が早いな……!こっちは持ってあと1分程だ!それ迄に完成させてくれ!」

「大丈夫だ!1分有ればそれで充分!プログラマー舐めるなよ……!」

 

作戦を開始してからもうすぐ5分が経つ。どうやらセキュリティ側のプログラムもそれなりの性能を有してるらしく、こちらの特定も時間の問題だと竜騎は言った。

 

(だが、俺はプログラマーだ。完成させると言ったら完成させ、時間内に完成させると言ったら何がなんでも間に合わせる!)

 

「俺に……出来ないプログラムなんて存在しない!!」

 

そう言って俺はEnterキーを押した。

 

「最短抜け道プログラム、完成だ。何時でもいいぜ!」

「よし、ハッキングツール……及び回収データを保存先のファイルへ転送!!」

「データ転送完了まで50……70……90……100%転送完了!!」

「ふっ……上出来だ!サイバー・ハッキング・ツール、Trade data baseとの回線切断!!切断完了まで60……80……100%!!」

 

そしてーー

 

『ミッション・コンプリート!!』

 

俺と竜騎がそう叫び、竜騎は回線を完全に切断したのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜数時間後〜

 

ピーンポーン♪

 

「待たせたわね、蒼司♪」

「お待たせ……しました、蒼司さん♪」

「友希那、燐子。全然待ってない……むしろ時間通りだよ。ほら、寒いから上がった上がった♪」

 

インターホンが鳴り、扉を開けると友希那と燐子が嬉しそうな表情で家に来た。

 

「友希那ーー!!」

「りんりん〜〜!!」

「はぁ、はぁ、……や、やっと追い付きました……」

「おい3人とも……お隣さんとかいるんだからベランダ走るなよ。危ないだろ?」

 

そしてすぐ奥からリサ、あこ、紗夜と駆け足でこちらに来た。それを見た俺は冗談交じりで彼女らに注意した。

 

「そうよ3人とも。転んだり誰かとぶつかったりしたら危ないじゃない」

「そうです……私達の蒼司さんを……困らせないでください……」

 

『2人が言えたことじゃないよねぇ(ですよ!?)!!??』

 

『ナニカイッタカシラ?(イイマシタカ?)』

 

『ヒィッッッ!!??』

 

「はぁ……いつも通り……なんだろうな」

 

5人のやり取りを見ながら俺はヤレヤレとため息を付きながら中へと入っていった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「あら?蒼司……これって……」

「遊戯王のカード……ですね?どうしたんですか?蒼司さん……」

「ああコレ?実はさっきまで客人が来ててさ、とても気前が良くて……『良ければ友情の印に』……ってな。デッキを貰ったんだ」

 

リビングでくつろいでいると手に持っている遊戯王のデッキをみて友希那と燐子が聞いてきた。

 

数時間前ーー

 

「もう行くのか?これからRoseliaの皆と此処でパーティーしようと思ったんだけど、今回の礼も兼ねてゆっくりしてけば良いのに」

「悪いな……此処へ来るプログラムの仕様上、4時間しか居ることが出来ないからさ……コレでお別れだ」

「そうか……お前とは色々と分かり合えると思ったんだけど、無理強いは出来ないよな」

「俺もだよ。君みたいな凄腕なプログラマーと出会えて……このプログラムを開発した甲斐があったってものだよ。だけど……」

 

「……これは?」

「遊戯王OCGのデッキだ。俺と君の友情の証……って奴だな♪」

「そう言えば……『音楽の王』、『デュエルの王』になるんだっけな?」

「ああ……『真の竜王』になる……それが俺の野望だからな」

 

「そっか……頑張れよ。そして、改めて今日はありがとう竜騎!!」

「ああ、また何処かであおうな!蒼司!!」

 

そう言って竜騎はPCの画面の中へと消えていった……ーー

 

 

 

 

「蒼司〜♪準備出来たよ〜♪」

「湊さん達も、そろそろ席に着いてください」

「りんりん〜早く早く〜!!」

 

気づくと、リサと紗夜、あこがテーブルに料理を並べて俺達3人が来るのを今か今かと待っていた。

 

「分かった。すぐに行くよ」

「ふふっ♡蒼司が準備した出し物……たのしみだわ」

「そうですね……きっと素晴らしいものだと……思います♡」

「あ、そう言えばそうだった……」

 

2人に言われるまで俺は竜騎とあったあの数時間の出来事を振り返っていた。そのためあの出し物の存在を忘れてしまった。だから俺は「準備してくる」と言って、自室へもどった。

 

「お待たせ……準備できたよ」

「お、待ってました〜♪」

「蒼兄!早く〜♪」

 

そう言って俺はとあるUSBを差し込み、PCを起動させ例のデータが入ったファイルを呼び出す。そしてーー

 

「驚くなよ……これがこの日のために用意した俺の皆へのサプライズだ!!サイバー・サプライズ・プレゼント起動!!」

 

俺がそう叫んでEnterキーを押した。するとーー

 

『わぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!!』

 

彼女達5人の目の前に、小さな小人が姿を表した。

 

「皆のデータを元に作ったホログラムAIだ。それぞれの端末にそのデータを送ったから何時でも会話とかできるぞ」

 

「可愛い〜♪アタシにそっくり!」

「そうですね……ホログラムなだけあって、凄いリアリティを感じます」

「凄い凄い!超〜凄いよ蒼兄〜!!」

 

リサ、紗夜、あこの3人は嬉しそうにホログラムAIと会話していた。

 

「流石蒼司♡とっても嬉しいわ///ウットリ♡」

「はい……♡とても……大切にしますね///ウットリ♡」

「ありがとう。喜んでくれて嬉しいよ」

 

そしてこの2人……友希那と燐子も3人以上に喜んでくれた。

 

「それじゃあ蒼司からのプレゼントも貰った事だし!」

「そうだな……年末パーティーを始めるか!」

 

『おーーーーーー!!!!』

 

(ありがとうな竜騎……お前のお陰で、楽しいパーティーにが出来たよ!)

 

俺はワイワイとパーティーを楽しむ5人をみて、そう呟くのだった。

 

 

 

 

〜END〜




以下がでしたか?この場を借りて……相棒の紹介をさせていただきます。
作者名:D・MAKER
代表作は『バンドリ!ー漆黒の竜王ー』。遊戯王とバンドリのクロスオーバー作品であり、デュエルシーン初めとしとても迫力のある作品を投稿してます!
今回登場した辰巳竜騎君は上記の作品の主人公です!都合上キャラ設定を少し施しました。(本人の了解は得てます)

今回のコラボ相手:D・MAKERさんのリンク
→ https://syosetu.org/user/289283/
『バンドリー漆黒の竜王ー』
→ https://syosetu.org/novel/268722/

改めて、D・MAKERさん!否……相棒!コラボありがとう!他の作品でのコラボも予定してますの乞うご期待!!

感想、高評価……そして相棒ことD・MAKERさんの作品の閲覧もよろしくお願い致します!!


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番外編:燐子編 誕生日の日は2人で……

燐子の誕生日回です。……え?紗夜編早く読みたい?スゥーーーー……今しばらくお待ち下さい。プロットは完成してはいるので今しばらく、モチベ諸共元に戻るまでお待ち下さい……。
さて、しめっぽい話?はさておき、それでは……どうぞ!


10月17日……俺の彼女こと白金燐子が産まれた日。誕生日の数週間前から俺は密かに誕生日の日どうするか計画を練っていた。しかしその様子を気にかけてた紗夜さんが「水臭いですよ。こういう時こそ友達を頼るものです」と半ら説教?地味だ口調で2人で誕生日の計画を寝ることにした。

しかし……どうしたものか。紗夜さんが加わったと言うものの進捗の方は滞ったまま。寧ろ燐子の彼氏、俺の友達が揃えば難なく計画が練れる。さらに言えば日々俺と燐子2人きりで過ごしてる日々は多いのだからそれに習って紗夜さんと2人で話し合い案を出せばそれで計画は完成する。そう思っていたのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中々……決まらないものですね……」

 

「互いに理想が高いのでしょう。さっきまで互いに出し合った計画も全てハードルが高過ぎましたね……」

 

「燐子の誕生日なのだから、それくらいは必要経費だと考えて居ましたが……やはり妥協すべき所はすべきなのですかね?」

 

 

そう……滞りの大まかな理由は互いの理想だ。それのハードルが高過ぎる為か成功させるにはリスクやらなんやらが絡み、所謂現実的では無いのだ。

妥協も先程考えて見たが……燐子こと俺の彼女の誕生日にそんな事はしたくない。互いのプライドがそれを許さないのだ。

 

 

「しかし蒼司さん……せっかくの白金さんの、彼女の誕生日なのです。貴方の友人としてもその日は何としても白金さんには至福の一時を過ごして欲しいと私はおもってます」

 

「それは同意見……なのですが、それがこの滞りを作ってる原因なのでそれをどうにかしない限り、完成の兆しすらみえないんです……」

 

「そうですよね……一体、どうすれば……」

 

 

『ん〜〜〜〜…………』

 

 

今日もお手上げ。互いに唸りつつおれはそう言って此処花咲川の公園にて行われていた話し合いをお開きにしようとした時だった。

 

 

「2人とも〜?何そんなに悩んでるの〜?」

 

 

『今井さん……!』

 

 

そんな中……俺のもう1人の友人、今井さんが俺と紗夜さんの飲み物(缶コーヒー)を持ってきながら話しかけてきた。

俺達2人は意図して発した訳ではないだろうに、面白い程タイミングが重なった。所謂意識はしてなかったが考えてた事は一緒だったってやつだ。

 

 

「丁度良かった、今井さん!」

 

「貴女の意見を聞かせて下さい!」

 

「うぇ!?ちょ、ちょっと2人共?話が全然見えないんだけど……?」

 

 

一方今井さんはなんの事かさっぱりと言わんばかり困惑していた。そこで俺達は今井さんが持ってきたコーヒーを飲んで一息ついて、状況を説明し改めて意見……元いアドバイスを貰ったのだった……。

 

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「……って感じで、今に至ると」

 

 

そして迎えた誕生日当日。俺は自宅にてコーヒーを呑みながら燐子の誕生日1週間前までの出来事をプレイバックしていた所だ。

当の本人こと、本日の主役の燐子は……今はRoseliaのメンバーと誕生日パーティーを堪能しているはずだ。

 

 

「燐子……喜んでくれるといいな……」

 

 

コーヒーを飲み終えて、そう呟きながら時計を見る。19時丁度ーーーー今井さんの情報が正しければ、Roselia内での誕生日パーティーはこれにて幕引きのはず。

 

 

計画は大まかにこうだ。

 

 

・17時頃、今井さん宅にて燐子の誕生日パーティーを行う。

 

・19時頃……正確にはそれより早めに誕生日パーティーを切り上げ、同じく今井さん宅にて今井さんが直々に燐子をおめかしするそうだ。

 

・紗夜さんからワン切りの連絡が入り次第、俺は家を出てそれとほぼ同時刻に送られてくるであろう今井さんから所定の位置が記されたメッセージを確認し、その場所でスタンバイ

 

 

「そして……『後のことはアタシと紗夜に任せて蒼司は燐子に上げるプレゼントの事だけ考えててね♪』……か」

 

 

脳内で本日の計画をまとめ終えて、最後今井さんが言ってた言葉を復唱した。その意味深な言葉が、変に俺を不安がらせた。

 

 

「けど……今井さんと紗夜さんを信じよう。今日は燐子の誕生日なんだ。燐子さんの祝福の一時を無にするなんて万死に値する事は絶対にしないはずだ。なんせ……俺の数少ない友達、なのだから」

 

 

「だから2人を信じよう」……そう言い聞かせて俺は携帯の電源を入れたーーーー丁度その時だった。

 

 

ピロリロリンッ♪……ッーーーー。

 

……ピロリンッ♪

 

 

「よし、行くか」

 

 

待っていましたと言わんばかりに、紗夜さんからワン切りコールが入り、今井さんから所定の場所の位置が記されたメッセージを受け取った。

それらを確認してすぐに、俺は椅子にかけて置いた黒のジャケットを羽織り、その所定の場所ーーーー「花咲川噴水広場」へとむかったのだった。

 

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「蒼司さん……///」

 

「…………」

 

 

只今……俺、騎龍蒼司は思考が停止していた。目的地「花咲川噴水広場」に俺が着くよりも早く燐子が今井さんと紗夜さんの2人でスタンバイしていたのだ。しかしそれで思考が停止していた訳ではない。2人と共にスタンバイしていた燐子の姿、状態(・・)に対して思考が停止しているのだ。

まずは服装。10月ーーーー秋に見合った紅葉をイメージした紅のロングスカート。白のワイシャツの上に、夜ということもあり茶色のコートを羽織っている。

髪は団子上に纏めており、薄ピンクのリップによって塗られた唇が広場の街頭によってほんのりと潤さを強調していた。

そして、彼女の頬がーーーーなぜかは知らないが遠目から見ても分かるように紅く火照っていた。

 

 

「ごめんね蒼司?今の(・・)燐子が少し心配だったから、急遽2人で待つことになっちゃった♪」

 

「謝罪の割には悪びれた様子がないんだが……まあそういう事にしとこう」

 

「申し訳ないです蒼司さん。ですが2人の時間を邪魔する事はしませんので……私達はこれにて失礼しますね?」

 

 

そう言って2人はニッコリと妖しい笑み(?)を浮かべ広場を後にした。

時間はもうすぐ20時になるというのもあり、今この場にいるのは俺と燐子……2人のみ。

そう、ここからは2人だけの時間。

 

 

「蒼司さん……!///」

 

「燐子……!?」

 

 

突如、2人切りになったと同時に燐子が俺を抱き締めた。ほんのりと甘い香水の匂いと共に、微かにだが……()の匂いが穴に着いた。

もしかしてーーーー

 

 

「燐子……ここに来る前に何か飲んだのか?」

 

「ふぇ……?何も飲んでませんよ……?///ただ、2人から頂いたチョコレート(・・・・・・)を……余りにも美味しかったので、全て(・・)食べてしまいました……ごめんなさい……///」

 

「な、なるほど……」

 

 

燐子の顔が紅く火照っていた理由ーーーー元い2人が急遽この場にいた理由が分かった。

恐らく酒入りのチョコ……バッカスか何かを2人に良いように言われ俺が此処に来る前に食べたのだろう。

そして予想外にも酔ってしまった燐子をみて、介抱ついでに2人が付き添ったといったかんじかなと、俺はそう思った。

 

 

「それよりも蒼司さん……どうですか?今井さんがコーディネートしてくれた服……似合ってますか?」

 

「あ、ああ。とってもよく似合ってるよ……ッ!?///」

 

「……ふふふ♡蒼司さん……ふふふ♡」

 

 

俺がそう答えるやいなや、未だに俺に抱き着いている燐子が自分の体に実っている大きな果実を俺の体に押し付けてきた。それにより、俺の思考はまたしても停止した。

 

 

「蒼司さん……♡今日この時はいっぱい甘えさせて下さいね……?誕生日の日なのに今日1日蒼司さんに会えないまま……1日が終わってしまうんじゃないかって……心配来たんですからね?……とても……寂しかったんですよ?だから……ふふふ♡いっぱい、いっぱい……甘えさせて下さいね……?♡」

 

「わ、わかった。わかったから……とにかく一旦あそこのベンチにすわろ?甘えるのは、その後でもいいんじゃないkーーーー」

 

「ダメですよ……♡今すぐ、此処で私は蒼司さんに甘えたいんです……♡それとも……こんな可愛い彼女に甘えさせられるのは……嫌、ですか……?」

 

「いや、だからそういう訳じゃなくて、お互いに落ち着く為にも一旦彼処のベンチhーーーーンムッ!?」

 

 

何とかして燐子を落ち着かせようと(自分も含め)説得させようと思ったのだが……俺の言葉を遮るように、燐子が突如として俺の唇を自分の唇で塞いで、ディープキスをしてきた。

 

(り、燐子って酔いが回るとこんな魔性な娘になるのか!?)

 

かれこれ数十分……漸く互いの唇が離れ、少し色っぽい呼吸をしながら燐子が話し始めた。

 

 

「蒼司さん……こうしても……ダメなんですか?///」

 

「……わかった、ごめんな燐子。君の想いに応えれなくて……甘えてもいいから、彼処のベンチに行こ?」

 

「うぅ……分かりました……( ・᷄-・᷅ )///」

 

 

何とか納得はしてくれたが……燐子はしょんぼりしてしまった。

互いの為とは言え、少し申し訳なかったかもしれない。しれないけどその顔は勘弁してくれ、ただでさえ思考停止しかけてるのに持たなくなる、色々と。

 

 

「それじゃあ蒼司さん……///お膝、借りますね……///」

 

「うん……」

 

「蒼司さんの膝枕……とてもいいです……♡」

 

「それはどうも……」

 

 

只今……燐子に膝枕をして上げてるのだが、一言で言おう。

ーーーー何も考えられない。

いやもうね?恐らく燐子だからだな。うん、こんな美人な彼女が自分の膝の上に頭を預け横になられたら誰だって思考のひとつやふたつ停止するに決まってる。

オマケにほのかに甘い香水の匂いを漂わせてるものだからほんとに、色々持たない。

 

 

「此処で子守唄……は確実に風邪引いちゃうだろうから、頭撫でるだけで勘弁ね?」

 

「ふふ……///♡いいですよ?他の所を触っても……///」

 

「色々と引っかかる為却下で」

 

「少しくらい……悪ノリしてもいいのに……( ・᷄-・᷅ )///」

 

 

お願いします。だれかこの魔性な娘と化した彼女をどうにかしてください……

……いや、正直うれしいんだけどね?ほんとに色々持たないのよ!?

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「んッ♡……あんッ♡……ッふぅ〜……ありがとうございます蒼司さん……///とても気持ち良かったです……♡」

 

「それはとても良かったけど……その、引っかかる様な声を控えて欲しかった……」

 

「もぅ……何時からそんなに堅くなったんですか?……///」

 

「めたいけどほんとにもうこれ以上やめてください燐子さん!?ほんとに……此処が公共の場でなきゃ危なかった所なんですよ……!?」

 

「ふふふ♡……冗談です♡……///」

 

 

あれからかれこれ数十分経った後……膝枕から肩のマッサージをしたのだが……いや、体勢(・・)については触れないでおこう。

兎にも角にも、マッサージでも今の燐子さんの魔性っぷりは健在で、さっきも言ったが……色々と持ちそうになかった。

 

 

「でも……自分でやるよりもほんとに……気持ち良かったです。ありがとうございます……///」

 

「そっか。また凝りとかが気になったら声かけてよ」

 

「はい……喜んで⸜(◍ ´꒳` ◍)⸝///」

 

 

ほんと……付き合ってから暫く経つけど、更に良い顔する様になったな燐子は……

そう思いながら、おれは「そろそろか……」と呟き燐子が隣へ座るのと同時に、彼女の名前を呼んだ。

 

 

「どうしたんですか……蒼司さん……?」

 

時間(・・)的にも頃合かなって。両手……出してもらえる?」

 

「はい……?」

 

 

そう言って、燐子が両手を俺の方へ差し出してきた。

それを見た俺は鞄から燐子のプレゼントが入った箱を取り出し、それを燐子の両手の上に載せた。

 

 

「改めて、誕生日おめでとう燐子。これからもRoseliaのキーボード担当として、生徒会長として……そして、俺の彼女としてこれからも胸張って生きてくれよ」

 

 

「開けてみて」っと俺は燐子に言った。燐子は丁寧に包みを外すと、目を見開いて驚いていた。包みからは横長な小箱が顔をだした。箱のサイズ、デザインを見て驚いたのだろう。小箱を開けて、燐子は「これって……」と言いながら俺に問い掛けてきた。

 

 

「……!!ロケット……ペンダント……しかもこれ、地元じゃ結構有名な所のですよね……!?た、高かったんじゃ……」

 

「まぁ、特注で作って貰ったからね。それなりの額はしたけど、燐子の為ならって思って買ったから後悔はしてない」

 

「ありがとうございます……中身は……ッ!!??」

 

 

燐子はお礼を言いながら、今度は中を開けてみた。

直後、さっきよりも目を見開いて、驚いていた。そればかりかーーーー

 

 

「ッ、うぅ……ッ!お姉ちゃん……ッ!」

 

「幼い頃に3人で撮った写真があってね……これで何時でもそばにいれるだろ?」

 

 

そう、ロケットペンダントの中には幼い頃燐子の姉愛子さんと3人で撮った写真が入っていたのだ。その写真をみて燐子は思わず感極まったという訳だ。

 

 

「ありがとうございます……ッ、絶対に、大事にしますね……ッ!そして、蒼司さんに相応しい彼女としてこれからも胸張って生きて行きます……!」

 

「うん、これからもよろしくな燐子……」

 

「はい……蒼司さん……」

 

 

感謝の意を込めて、燐子が自分の唇を俺の唇に重ねた。

それと同時に、中央の噴水が高らかに吹き上がった。

 

まるで、彼女の誕生日を一緒に祝うかのように……。

 

 

「……ん、///お礼を……しなければいけないですね……♡」

 

「?お礼って……さっきのキスじゃ……」

 

「近くに……ホテル(2人気にりなれる場所)があるんです……明日は休みなので……お礼、させて下さい……♡」

 

「……仰せのままに」

 

 

また、その後……明日の休み丸一日まで、近くのホテルで1晩と言わず1泊、2人きりの時間を過ごしたのは……別の話だ。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 




大変長らくおまたせしました。最近家庭の事情で執筆が滞ってしまい、完全がかなり遅くなってしまいました。
兎にも角にも……改めて、燐子、誕生日おめでとう!
これを気に、本編の方の執筆を来月辺りから再開する予定です!お楽しみに!
高評価、感想等お待ちしております!


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番外編:リクエスト 蒼司君奪還劇!?

「ねぇ蒼司君?」

(蒼司)「ん?どうかしたの主?」

「小さくなってくれ」

(蒼司)「ごめん何言ってるか分からない」

「俺の相棒ことD・MAKERさんのリクエストでね、こうするしかなかったんだ。許してくれ」

(蒼司)「いや…許すも何も、良いなんて一言mーーーー」

「¿♪♯ღ✿✤✰♬ღ©☻✆✟♛✄☼★○〜〜〜〜!!」

(蒼司)「うわぁぁぁああああああぁぁぁ〜〜〜〜……ッ!!!!」


「……って事があったんだ」

 

「散々だったわね、蒼司……」

 

 

丁度友希那に先程の出来事を説明した所で、一応軽く事の成り行きを話しておこう。

先ず、昨日は土曜日…ってことで友希那が俺の家へ来て1泊する日だ。その日の晩、休みの日恒例(??)友希那とさぞ楽しく(???)一夜を過ごした。

 

そこまでは良かった……俺が夢を見るまでは。

 

何時も見る謎の夢……ではなく、今回は謎の空間で、そこには俺の産みの親こと主さんがいた。主さんとは途中まで何気ない世間話やらで花を咲かしていたのだが……突然主さんが「小さくなってくれ」頼んできて、有無を言わさず謎の呪文を唱え、俺を小さくさせたのだ。

そして起きたら俺はコ○ン見たく身体が小さくなっていたのだ。しかもコ○ンなんて程じゃない。家庭○師ヒット○ンREB○○N!!のア○コバ○ーノ見たいな赤ん坊並に小さくなっていたのだ。

 

これが、事の成行きーーーー元い友希那に話した説明の全てだ。

 

 

「全く……後で覚えてろよ主さん……」

 

「で、でも…私は小さくなった蒼司も、可愛いと……思うわよ?」

 

 

いや友希那さん…?そう言いたくなるのは分かりますよ?分かりますけどさ……少しは彼氏の事心配してくれても良いのでは?

そう心の中で愚痴りながら、押し入れから着なくなった古着と裁縫セットを取り出し、慣れた手つき(?)でこの身体似合ったサイズへと古着を加工した。

 

 

「とりあえず……こんなもんか……」

 

「とても似合ってるわ、蒼司♡」

 

「そう言ってくれるのは嬉しいんだけどさ、少しは心配してくれてmーーーー」

 

 

ピーンポーン〜……♪

 

 

「宅配で〜す♪」

 

 

「少しは心配してくれてもいいんじゃないか?」っと言おうとした最中、家のインターホンが鳴った。

どうやら宅配らしいが……何か頼んだっけ?そう思いながら、俺はその時自分の状態を忘れ…宅配の人(?)の元へ向かった。

 

 

「さっきの声……何処かで聞き覚えのあったようなーーーーッ!!そ、蒼司!!扉を開けちゃーーーー」

 

「はーい、何時もご苦労さまdーーーーうわぁぁぁああああああああぁぁぁーーーー……ッ!!??」

 

 

友希那が漸く(?)心配してくれたのか、俺を制止しようと呼び止めたがーーーー時既に遅かった。

扉を開けて宅配の人(??)の対応をしようとした瞬間……

目の前がいきなり真っ暗になったかと思いきや、身体が宙に浮きーーーー恐らく逆さになったのか、バク転をしたような感覚に陥り、しばらく逆さの状態で、何がどうなってるか知るよしも無いまま…俺は激しく揺れながら家を離れたのだった。

 

……って、この袋(?)越しからでも分かる甘い匂い……宅配の人じゃない……コイツは……ッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼司が……○○に攫われた……許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない……!!主さんに……トイタダサナイト……」

 

 

そしてーーーー1人蒼司の家に取り残された友希那は、俺を攫った犯人を悟ったであろう人物と主にこれほどにも無いドス黒い感情を抱いていたのだった……。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

気持ち悪い…………

 

逆さの状態でどれくらい経ったのか分からないが、頭に血が上りすぎて、吐き気を覚えた時だった。

俺を連れ去った犯人が漸く立ち止まり、俺を下ろして袋を外した。どうやら公園のトイレ裏にきている。そして俺の目の前にいたのはーーーー

 

 

「リサ!!なんでこんな事したんだ!?一歩間違えたら犯罪だぞ!?」

 

 

そう……宅配を装って俺を連れ去った犯人は、Roseliaのベーシストであり友希那の幼馴染みである今井リサ、その人だった。

……というより、連れ去られている最中、袋越しから微かに臭った甘い香水でこれはリサだと分かったのだがーーーー

 

 

「うふふふふ♪ホントに主さんの言った通り、蒼司が赤ん坊みたいな姿になってる〜♡あぁ、♡赤ん坊の蒼司可愛い♡可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いぃ〜〜〜〜♡♡スリスリ」

 

「ング…ッ!?ち、ちょっ…リサ!?く、苦しい…強く抱きしめるな後スリスリ止めろ……って、どうしちまったんだよリサ!今までそんな事するやつじゃなかったろ!?」

 

 

直後、リサが思い切り俺を抱きしてめ俺の頬と自分の頬を、息を荒くしながらスリスリしてきたのだ。

さっきも言ったが……リサは俺が友希那と付き合っていることを知っている。そのため、こんなことをするはずがない……そう思っていたのだが……。

 

 

「だってぇ〜、ショタ蒼司…とっても、と〜っても可愛いいんだモン♡スリスリ…スリスリスリスリスリスリスリスリ♡♡

さぁ蒼司♡♡今日からアタシが蒼司の彼女として♡アタシ以外考えられないくらい……お姉さんと今から此処であんなことやこーんなこと……♡楽しいこと♡タクサンシヨーネ♡」

 

「いぃ……ッ!?」

 

 

今気づいたのだか、リサの目のハイライトがoffになっていた。しかもさっき、主さんと言ってるあたり……

 

(変なこと吹き込まれやがったなリサめ……!!)

 

十中八九……主さんに変な暗示か何かをされて、ショタ限定のヤンデレに変貌したのか……!!

 

 

「止めろリサ!俺はお前の彼女じゃない!俺には……友希那が居るんだ!お前のことを、彼女だなんて思ったこtーーーー」

 

 

ぎゅ〜〜〜〜……ッッッッ!!♡♡

 

 

「んむぐぅ……ッ!!??」

 

 

「彼女だなんて思ったこと、1度もたりともない」と言いきろうとする前に、リサに思い切りハグされた。

苦しい……それ以前に、甘い香りもするし2つの果実に顔を埋め込まれてるため息が……!?

 

 

「蒼司……酷いよ……アタシって言う可愛い彼女がいるのに、アタシがこんなにも蒼司の事誘惑してるのに……っは!?もしかして、私が居ない時間友希那に変なことふきこまれてるんじゃ……ッ!?そうだよ、絶対にそうだ!だったら尚のこと早くアタシだけの蒼司に、シナイトネ♡」

 

「んんんッ!?んんん〜〜!!んんん〜〜〜〜ッ!!ジダバダ!!」

 

 

顔が埋め込まれてるせいでリサの顔が見えないが、声を聞くからに、所謂ヤンデレ、逆Nーーーゲフンゲフンッ、をガチしそうなな声だった。

『逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ』と脳内のサイレンが鳴り止まないのがその証拠。俺は必死に足をばたつかせて見るも……短い為リサの身体には届かずにいた。

 

 

「さぁ蒼司〜?観念してアタシとイッパイ♡楽しい事……しよ〜ネ?♡♡」

 

「だからやだっつってんだろ!てか、俺は男だ!女子トイレなんかに連れてくなぁーーーー!!!!」

 

 

どんなに抵抗しても、今の俺じゃ今のリサから逃れることが出来ない。それ所か、それをいい事にリサはそんな俺を抱きしめたまま、女子トイレの中へ入ろうとしていた。

やばい……このままじゃーーーー

 

 

「だ、誰か助けてくれーーーー!犯されるーーーー……!!」

 

 

最後の足掻きとして、おれは大声で助けを求めた。

しかし…………偶然にも、俺の声に答えてくれた人物がいた。

 

 

プシューーーーーーーー……ッ!!

 

 

「きゃぁぁぁ……ッ!?」

 

「スモークグレネード!?」

 

 

何処から投下されたかは謎だが、直後スモークグレネードらしき煙が入口付近で噴出された。

そして、咄嗟のことでリサが俺を手放した。

そして俺は、この瞬間を逃さなかった。

 

 

「良し……!今の内nーーーー」

 

 

この瞬間を逃せば、リサにまた捕まって今度こそ逃げれなくなると思った俺は、何とかして逃げおおせようと試みた。ーーーーのだが。

 

 

ガバ……ッ!!

 

 

「うぉッ!?急に前が見えなkーーうぉああああーーーーッ!?」

 

 

急に目の前が暗くなり見えなくなったと思ったら、また逆さになりーーーー

 

 

「またこのパターンかよ〜〜〜〜…………ッ!!」

 

 

俺はまたしても別の人物に連れ去られたのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「けほっごほっ……っもう……一体誰gーーーって蒼司!?蒼司が居ない……!!

スンスン……微かに甘い匂い……この匂いは……スンスン……

○○の匂い……トリカエサナイト……!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ドサッ……ガバッ!

 

 

「うぅ……そろそろ吐きそう……」

 

 

本日2度目の逆さ状態で連れ去られた俺。そろそろ吐きそうでしんどい思いしていた時だった……

 

 

「蒼司さん……!!」

 

 

むぎゅう〜〜〜〜……ッッ!!!!

 

 

「んむぐぅ……!!??」

 

 

またしても誰かに抱きしめられ胸に顔を埋め込まれた。しかも今回はおおkーーーーゲフンゲフン。とにかく頭までつつみこまれた。

しかも、微かに香るこの甘い匂い……

 

 

ひ、ひんほ(り、燐子)……!?ほふひへ(どうして)……ふ、ふるひぃ(く、苦しぃ)…ッ!」

 

「もう……蒼司()ったら…♡ママ(・・)とはぐれちゃ……ダメですよ?…♡フフフ♡」

 

 

俺の顔を埋めた……元い俺を連れ去った人物、燐子が普段(・・)俺に対して言わないワードを発していた。

まさかとは思うが……

 

 

「燐子…まさかお前も主さんに何か変な事吹き込まれたんじゃ……」

 

「フフフ…♡主さんの…言う通り…ですね♡赤ん坊の姿になった蒼司さん…とっても可愛い♡主さんから聞きましたよ…?『今の蒼司さんを母親の様に接せれるのは燐子だけだ』…って♡……今井さんに酷い事されて…怖かったよね…?大丈夫♡…ママと一緒に入れば…もう安心ですからね…ナデナデ♡」

 

 

あんーーーーっの主野郎…ッ!!リサだけじゃなく燐子までおかしくしやがったなぁ…!?

兎にも角にも、俺は早く友希那の元へ帰らないと…!

 

 

パン…ッ!

 

 

「きゃあ…ッ!?」

 

「離してくれ燐子!俺はお前の子供じゃない!こんな姿になっても…俺は友希那一筋なんだよ!だから早く友希那の元hーーーー」

 

 

ベシィッ…ッ!!

 

 

「へぶぅ…ッ!?」

 

 

友希那の元へ帰ろうと、燐子を振りほどいて、燐子の部屋から出て行こうとした瞬間…燐子から強烈な平手打ちが飛んできた。

 

 

「蒼司君……?ドコヘイクノ?此処に…蒼司君の好きな…ママがいるんだよ…?外へ出たらまた怖い人に捕まっちゃうから…もうママの元から…イナクナラナイデ?」

 

「いやいや…!?何時から俺は燐子の子になったんだよ!いいから友希那の元hーーイダダダダッ!?」

 

 

そして、さらに俺の言葉を遮り、恰もこれ以上の我儘?を言わせないかのような強さで俺の頬を摘み自分の方へ引っ張った。

 

 

「どうして…ママにそんな事言うの?そんな悪い子には……お仕置…シナイトネ?」

 

 

そう言いながら今度は俺の服を脱がしに来た…って何をしようとしてるんですか燐子さん!?

 

 

「な、なんで服を脱がそうとしてんだよ!てかお仕置って…誰か助kーーーー」

 

 

またしてもこのパターンか…そう思いながら必死に逃げようと抗うが、今の俺にはどうしようも出来ない。

万事休すかーーーーそう思った瞬間だった。

 

 

パリーーーーン…ッ!!!!

 

 

『!!??』

 

 

燐子の部屋の窓ガラスが勢いよく割れ、何事…と2人揃って見たら、割れた窓からリサが飛んで入ってきた。

てか…ガラスの破片が俺の方へ刺さったんだが…イタイ。

 

 

「やっぱり此処にいた〜!ねぇ燐子?アタシの蒼司にナニ使用としてんの?誘拐、脅迫の罪で訴えるよ?」

 

「それは…こっちのセリフです…。私の部屋の窓を割って侵入してきて、挙句の果てに見て下さい……私の子供(蒼司君)にガラスの破片か刺さって…怪我をしたじゃ…ないですか…?不法侵入、器物破損罪の罪で訴えて…慰謝料と窓ガラス修繕費を…請求します…」

 

「だったら俺は2人を誘拐、脅迫、拉致、殺傷の罪で訴eーーーー」

 

 

『蒼司(君)はダマッテテ(クダサイ)』

 

 

「何でや…」

 

 

いやほんとに……さっきから被害被ってんの俺なんだが!?兎にも角にも、早く友希那の元へ行かせてくれ…

 

 

「こうなったら…どっちが蒼司に相応しい女か、蒼司を使って争うしか…ナイヨネ?」

 

「そう…ですね…。まあ、ママである私が…負ける何て…有り得ないですけど……」

 

「いやナニ言ってるの2人共!?てか何で服脱ごうとしてんだよ!?…てか俺の拒否kーーーー」

 

 

『ダカラ蒼司(君)ハダマッテテ(クダサイ)』

 

 

「な、なんでや〜……」

 

 

俺の拒否権はいつの間にか剥奪され、挙句の果てに2人は服を脱ぎ始めた。さっきの会話が本当なら、これから俺を使って訳の分からない争いを始めるつもりだ。

俺には…友希那っていう大切な彼女がいるってのに……。

誰でもいい…誰か助けてくれ。そう心の中で願っていた瞬間ーーーー

 

 

シュルルルルルーーーードカーーーーーンッッ!!!!

 

 

『きゃぁぁぁ……ッ!!??』

 

「ホゲーーーーー……ッ!!??」

 

 

刹那……割れた窓からグレネードランチャーが1発、入ってきて……とても不幸な事に、俺に被弾した。

てか、なんで俺だけ……こんな……目に……ーーーー

 

 

「けほっごほっ…い、一体何gーーーーきゃぁ…ッーーーー」

 

「も〜!誰がこんなkーーーーあぁ…ッーーーー」

 

「悪いけど……私の蒼司を返して貰うわよ、2人共」

 

 

グレネードランチャーの被弾により、気を失う中ーーーーとても聞き覚えのある声が聞こえたのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?此処は……」

 

「蒼司…目を覚ましたのね…!」

 

 

目を開けるとそこは、俺の部屋のベッドの上だった。そして横で、俺が目覚めるのを今か今かと待っていた俺の彼女…湊友希那が目覚めた俺を見るなり抱きしめてきた。

 

 

「うぉ…って、いつの間にか元に戻ってる……」

 

 

友希那に抱きしめられた際に感じた違和感ーーーーそれは俺が赤ん坊から、元の俺の身体に戻っていた事だ。

…ん?服まで着せられてる……誰がこんなことを?

 

 

「ごめんなさい蒼司…いきなり煙が上がったかと思ったら、目の前に裸の蒼司が寝てたからーーーー風邪をひいては行けないと思って、私が蒼司の服やズボンなどを着せてあげたの」

 

「そうだったのか……済まなかった友希那……所でーーーー」

 

 

そう言った友希那に軽く…そして深々と俺をした。した…のだが、俺はどうしても友希那が手に持っている大きな袋(中で何がモゾモゾと蠢いている)が気になって先程の御礼も、ついつい厳かになってしまった。

 

 

「え?……あぁ、コレの事?『私の大好きな蒼司にとても…とっても酷い目にあわせた』『元凶』が入っているわ!」

 

「元凶……?ま、まさか…!?」

 

 

俺がそういうと、友希那は手に持っていた袋からソレを取り出した。

ソレはーーーー

 

 

「ひ、ヒィ!?…ぬ、ぬぬ主さん!?」

 

 

そう…袋の中には俺を小さくさせた元凶…主さんが入っていた。しかし人としての原型は留めておらず、所謂肉団子状態となって、微かに蠢いていた。

 

 

「蒼司をあんな姿にして、かつ更に散々な目にあわせた罰よ…」

 

「友希那…」

 

 

なんと反応すれば良いか…おれは困っていた。困っていたが……『元凶』と言うワードが頭から離れず、俺は変わり果てた?主さんを手に取って、ダンボールに入れてガムテープをした。そして、ダンボールに『マイページ行き』と書いて家の外へ放り投げた……。

 

 

「ふぅ……これであの人も少しは懲りただろう…さて、友希那?」

 

「何かしら?蒼司?」

 

 

そう言って俺は友希那にキスをした。キスをした瞬間ーーーーさっきまで起きた騒動がどうでも良くなってきた。

 

 

「1人にさせて済まなかった。お詫びとして……今日一日好きに(・・・)すごそう?」

 

「!!……私が言えた事じゃないけど……蒼司をそんな風にした覚えはないのだけれど…///」

 

「違いない…、にして返事は?」

 

 

俺はせめてもの償いとして、ベッドの方を指さしながら友希那にそう言った。

とうの友希那は、顔を赤くしながらーーーー

 

 

「…チュッ♡お言葉に甘えて♡///」

 

 

俺にキスをし返して、そう答え……俺と友希那はベッドへ向かったのだった……。

ーーーーここから先はご想像にお任せします。

兎にも角にも、これにて、俺を巡った奪還劇?は幕を閉じたのだった……。

 

 

 

〜END〜

 




どうも!ka-主です!
今回は我が相棒ことD・MAKERさんのリクエストでした!
本編(紗夜編)ですが……誠に勝手ながら、遅くても年末辺りか、年始辺りに更新出来たらなと思います。それまでは多分こうしてリクエストや、コラボといった形で、執筆していきますので、ご了承ください。
また、この場を借りて『冬期H.S.F(ハーメルン・作家・フェスティバル)』の宣伝をさせて頂きます。テーマは『推し』です。詳しくは後ほど活動報告にて記載させて頂きます。
それではまたお会いしましょう!
感想、高評価等お待ちしております。


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