断罪兄弟のヒーローアカデミア  (加治屋まるい)
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~断罪兄弟、断罪する側へ~

ということで書いていきます。
別に十二大戦を知らない人でも読めるようにしてありますので気楽に読んでください。
ただ断罪兄弟の活躍を書きたかっただけです。
因みに断罪で(たつみ)と読みます。
あと、兄の方が俺様って言います。
それではどうぞ。


『十二大戦』それは十二年に一度行われる、十二支の名を冠した戦士達の戦い。その死闘を制した者はどんな願いでもたったひとつだけ叶えることができる。殺し殺される戦士達の物語。

 

『断罪兄弟』とは十二大戦第十二大会に出場した二人一組の兄弟で、『辰』と『巳』の戦士である。

 

通常、強い戦士同士であるため、チームプレーはとても難しい。しかし、伝統的に『辰』と『巳』の兄弟は二人一組で戦う。中でも断罪兄弟は歴代ナンバーワンという息の合いかたであった。そんな二人だが結局は負けてしまった。

 

「『辰』の戦士ー『遊ぶ金欲しさに殺す』断罪兄弟・兄!」

 

「『巳』の戦士ー『遊ぶ金欲しさに殺す』断罪兄弟・弟!」

 

そんな風に二人揃ってポーズを取りながら勇ましく名乗ることは二度と無かった。

 

 

 

 

 

 

...筈だった。

 

 

 

 

 

 

断罪兄弟の兄が目を開けると全く知らない場所で眠っていた。

 

(何処だここは!俺様は十二大戦で死んだ筈じゃ?)

 

次々と疑問が出てくるが、取り敢えず情報を得るために起き上がり探索しようと立ち上がろうとするが、力が入らず倒れてしまった。

 

(何だ、この腕は?体は?)

 

よくよく体を見ると、肉が多く付き、殆ど全てが短く、とても今まで慣れ親しんで来た体とはいえないものだった。

 

(赤ん坊?この俺様が?転生ってやつか?ありえねーよ)

 

次から次へと衝撃が襲ってくるが、後に彼はこれが一番の驚きと語った。何となく視線を感じ、その方向を見ると自分の横で眠っていた赤ん坊だろう。恐らく転んだ衝撃で目が覚めたのだろう。目をじっーとこっちに向けていた。目が合った瞬間理解した。

 

(弟!?)

 

兄弟の縁とは不思議で、なんと一緒に転生をしてしまったようだ。

 

 

 

 

 

 

~十二年と六ヶ月後~

 

 

 

 

 

 

断罪兄弟は中学生になっていた。彼らは至って彼ららしくなく普通に過ごしていた。(まあ、ちょくちょく悪事にてを染めていたが)

 

最初の数年間は本当に激動の毎日だった。赤ん坊だから上手く喋れないわ、動けないわ、すぐ眠くなるわで大変だった。

 

更にコミュニケーションが取れるまで成長した彼らはある問題に直面した。それがこの世界観だ。個性と呼ばれる特殊能力がごく一般的に浸透した世界、個性を悪用するビィランとそれを取り締まるヒーロー、まるで王道少年漫画みたいな世界観だった。

 

そこで彼らは考えた。これからの身の振り方を。彼らは戦士であったが、戦士の中でも戦士らしからぬ行為で危うく犯罪者になりかけたこともあった。だから彼ら兄弟はヒーローに心の底からなることは出来ないし、ヒーローなんて性格的にも進まない。でも彼らは普通に暮らすことなど出来ない。しかし、ヴィランになるなんてことはもっとナンセンスだ。犯罪者になるなんてことは彼らにとっては世間様のお笑い種になり、それは御免だ。

 

そこで兄弟は決めた。ヒーローになるかは置いといて自由に行動しやすいようにヒーロー免許を取ることを。そしてヒーロー免許を取るならとことん上へ、雄英高校に通うことを!

 

中学校に入学してから少し経ち、断罪兄弟は慣れた通学路を雑談しながら下校していた。

 

「なあ、俺達の武器の開発は順調に進んでるのか?兄君」

 

「ああ、俺様達のカッコいいお父様にお願いして、もう少しで完成しそうだぜ、弟君」

 

「それは良かったぜ、あの武器がないとあんまり落ち着かなくてよ」

 

「ハハハ、うずうずしすぎて放火魔になっちまうって?」

 

「ハハハ、流石にそこまでじゃあねえって」

 

と、どこまで本気か分からない会話をしていると

 

「んっ?兄ちゃん、この先の路地裏で何か起こってるぜ。感覚的にカツアゲってところかな?」

 

「なるほど、で、人数は?弟」

 

「二人と一人だ」

 

「オーケー、ならストレス発散も兼ねて行くか」

 

決まるな否や路地裏に向かう二人。其処には兄弟と同じ制服を着ている弟の言っていた通り、三人がいた。

 

「なあ、いいだろ、俺達の仲じゃねえか」

 

「そうだぜ、水臭いこというなよ」

 

「いや、でも今回は本当に金が無くて...」

 

「あん!?俺達が頼んでんのに嫌って言うのか?」

 

「また前みたいにぼこされたいのか?」

 

「ひっ?!」

 

そこに一つの会話が横入りした。

 

「おいおい、聞いてくれよリトルブラザー、まるで漫画みたいなカツアゲする奴らがいるんだぜ」

 

「おいおい、まじかよビックブラザー、そんな馬鹿みたいなことがあんのかよ」

 

流石に不良と思わしき二人も気づいた。そこには頭から足の先までしっくりな二人がいた。

 

「何だ?お前ら、俺達は忙しいんだよ!殴られたくなければさっさとどっか行け!」

 

「それとも代わりに金でもくれるのか?あーん!」

 

「ここまで雑魚っぽいと流石に俺様達でも笑うしかないぜ。」

 

不良たちは兄弟の挑発に頭に血が昇ったがよくよく二人を見ると鼻で笑った

 

「ふっ、なんだ、てめぇーらよく見れば一年じゃねえか」

 

「ハハッ、ヒーローごっこできて嬉しいのか?一年は?」

 

「まあ取り敢えず先輩との接し方を教えてやるか」

 

そう言いながら、不良の一人が近づいてくる。そして一回殴ろうとして、

 

ガシッ!!

 

グギッ!!

 

「なっ?!離せ!痛っ! うぅぅぅぅぅぅ」

 

弟が手首を掴んだ。それだけだった。それだけの行為で不良を戦闘不能に落とした。腐っても戦士だった兄弟だ、中学生の体だろうがそうそう負けない。

 

「なっ?!」

 

傍観していたもう一人の不良の首を兄が掴んでいた。

 

「どうした?俺様達に先輩との接し方を教えてくれるんじゃないのか?」

 

「参った、離してくれ、いや、下さい」

 

「へぇ、意外と物分かりいいじゃん。弟?離してやれ」

 

「あいよ」

 

「クソッ!覚えとけよ!」

 

なんともなセリフを吐いて逃げようとしたが、兄弟は逃がさなかった。

 

「何逃げようとしてんの?財布置いてけよ」

 

「「なっ?!」」

 

「何?自分たちだけが一方的に出来ると思ってんの?俺様達にやられたくなかったらさっさっと置いてけ」

 

悔しそうな顔をした二人の不良だが、流石にそこまで馬鹿ではなかった。素直に財布を置いて今度こそ逃げてった。どっちが悪者か分かったもんじゃない

 

「ラッキー、意外な臨時収入が入ったぜ、長兄」

 

「俺様達の普段の行いが良いからだな、末弟」

 

「あの~?」

 

「おっとそうだ、忘れてた。怪我はないか地味男君?」

 

「お陰さまで、ありがとうございます」

 

「まあ、気にすんなって俺達が助けてやったんだから」

 

先輩とか関係なく、二人はズカズカ来た。普通の中学生は一つ上だけでもとても上に感じるのに二人は全然そんな雰囲気は無かった。(まあ、前の世界のことを考えると圧倒的に断罪兄弟の方が年上だが、仮に前の世界を考慮して年上の場合でも二人は変わらないが)

 

取り敢えず、歩きながら話をすることにした。

 

「なるほど、つまり、去年からカモにされてたのか」

 

「そうなんです。中々断れなくて」

 

「どんぐらい、今まで取られたんだ?」

 

「合計五万位です」

 

「ヒュー、それはそれは、じゃあはい」

 

さっきの二人の不良の財布から十万を抜き出し渡す。

 

「えっ?でも」

 

「いいんだよ、受け取っときな。五万はサービスしてやんよ」

 

「ありがとうございます!」

 

((狙い通りだぜ、だな))

 

狙いとは、こうゆう風に恩を売り、あたかも善人のように見せてヒーローとして接する。(一人では意味無くても続けていけばいつか実になる)そして何よりこちらの方が本命。それは、慈善行為に散財し、『遊び』で、ストレスを解消し、楽しむこと。これは前の世界でもやっていたことだ。別に彼らが義賊だからでも善人だからでも別にいい奴だからでもツンデレだからでもなく、ただ、本当に『遊び』としてやっている。前の世界より自由ではないので、溜まったストレスをこうして解消していた。

 

「二人ってさ、双子なの?」

 

「そうなんだぜ!俺が弟で」

 

「俺様が兄だ!こう見えて俺様達、積田建設会社の社長息子なんだぜ!」

 

ほぼ分からなくて苦笑いしていたがそれよりも驚いていた。

 

「えっ?!そうなの?あの大手の?凄いね、お父さんってどんな人なの?」

 

「おう、父さんは俺達の言うことはだいたい聞いてくれるぜ!」

 

「へぇーそうなんだもっと厳しいと思ってた」

 

「ナイナイ、あの人俺達に激甘だから。実はな、ここだけの話、俺様達実は雄英目指してるんだぜ!」

 

「えっ?!凄い!!なるほど二人の強さを見たから雄英を目指してるのも納得だ!二人なら行けるかもね」

 

「おう、もっと誉めてくれたっていいんだぜ?」

 

「調子乗りすぎだ、弟よ」

 

「「ハハハハハハ」」

 

こんな調子で、ストレス解消しつつ、断罪兄弟は中学校生活を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょう。 

上手く書けたと自負します。

取り敢えず二人の設定です。

「『巳』の戦士ー『遊ぶ金欲しさに殺す』断罪兄弟・弟」

本名・積田剛保(つみたたけやす)。

十月十日生まれ(戸籍上)。

身長164センチ、体重58キロ。

個性?(十二大戦でも使用していた能力):『地の善導』(ちのぜんどう)これは『巳』の属性である彼が地面の振動を足の裏から敏感に感じ取り、周囲の状況を把握できる。驚異的な広さで感知できる。一つの都市なら丸ごと地下だろうが把握できる。戦士としてアドバンテージを大きく作れる能力。

武器:背負って装備する火炎放射器『人影』(ひとかげ)。これは『影も残さず人を焼く』という含意で、当然ながら『人蜥蜴』(ひとかげ)とのダブルネーミングなのだ。勿論普通の火炎放射器と威力は桁違いだ。(因みに格闘術もでき、蛇拳を使う)

その他:双子の兄と共に戦う若武者。自宅では様々な種類の爬虫類をペットとして飼っていて、彼が密かに運営するブログは、その道のマニアから非常に人気が高い。

「『辰』の戦士ー『遊ぶ金欲しさに殺す』断罪兄弟・兄」

本名・積田長幸(つみたながゆき)。

十一月十一日生まれ(戸籍上)。

身長164センチ、体重58キロ。

個性?(十二大戦でも使用していた能力):『天の抑留』(てんのよくりゅう)簡単に言うと空を飛ぶ。これは十二支唯一の空想上の生物である『辰』の属性である断罪兄弟・兄の独自の技、戦士としての切り札にして通常技である。何時間も余裕で飛ぶことができ、高度も自由自在で人を抱えながらでも飛べる。単純にして強く、生存確率の高い能力。

武器:弟の火炎放射器『人影』と対になる背負って装備する氷冷放射器『逝女』(ゆきおんな)を使う。勿論こっちも、普通の氷冷放射器より威力は桁違いだ。彼は正直、弟の『人影』に比べて使い勝手が悪いと思っている。(こちらも格闘術を使用できると思われる。原作では登場していないため、勝手に天の抑留を応用した格闘術にする)

その他:双子の弟と共に戦う戦士だが、一応、兄である彼が指揮官に当たる。「俺様」という方が兄である。意外と知ってる人にはバレバレだが、本人達的には入れ替わりトリックではないので構わない。断罪兄弟には戦士としてのポリシーがなく、金の折り合いさえつけばどんな国のどんな規模の戦争にも参加する。戦士としてあるまじきその姿勢は干支十二家の中でもたびたび処罰の対象とされていたけれど、彼らは態度を改めることはなかった。

取り敢えずこんなところです。
感想を書いてくれるとモチベーションが上がります。
ではまた次回が合ったらお会いしましょう。


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雄英高校に向け

はいどうも、作者です。まあ何とか書けました。

意外と十二大戦を知ってる人が多くて、驚きました。まあそれもそうか、あの西尾維新様の作品ですもんね、一応アニメ化もしてましたし。

感想も書いてくれて、期待もしていただき、本当に嬉しい限りです。

そんなことは置いといてさっさと始めますね。

今回はまだ入試に行きません。


入試の前に一つの兄弟の会話を聞こう。

 

これはまだ、断罪兄弟が中学校一年生の時の下校の時のことだ。兄がおもむろにスマホを取り出し、弟の方に見せると、

 

「リトルブラザー、俺様達の偉大なおとーさまからだ、俺様達の相棒が完成したってよ。」

 

とメールを見せながら説明した。

 

「おっ、早いね、まあ設計図渡してたから当たり前か、同じ精度だったら嬉しいんだけどな、じゃあ早速、いつものところで試そうぜ!ビックブラザー」

 

「ああ、だがその前に言っておくことがある。結構大事な事だからよく聞けよ、弟」

 

兄の方を向くと、結構真面目な顔をしていた。

 

「何だよ、兄ちゃん真面目って珍しく」

 

「何言ってんだ、俺様はいつでも真面目だぜ、でだな、恐らく暫くの間、公の場では俺様達の相棒、『人影』と『逝女』は使えない。これは分かるな?」

 

「ああ、だから、公共の場で使うことが許可されるヒーロー免許を取得するまで俺達の偉大なおとーさまの私有地で使うんだろ?」

 

「そうだな、確かにそれなら問題がない。だが、一つ問題があってな、雄英高校に入ってら高校では殆ど使えない可能性が高いんだ。俺様達の相棒、殺傷能力高すぎるから」

 

「あっ、そうか」

 

意外な所を忘れてた、そんな顔をしている弟を確認し、話を続ける。

 

「でも、完全に使えないとは限らない。例えば、雄英体育祭、この時使える可能性がある。もしくは『人影』と『逝女』は使えなくても、もう少し殺傷能力を落とした火炎放射器と氷冷放射器なら使える可能性もあるしな。だが、俺様達にとってあまり良くない結果になるだろう」

 

「そうだな、俺達は相棒が合ってこその戦士だし、一番実力も出しやすいしな。で、その問題はどうするんだ?」

 

「ああ、そこでだな、高校で武器を使えない間は俺様達の身体能力でやっていくことにしようと思う。勿論俺様達の最大の戦闘の要である相棒の練習はするがな」

 

「なるほど、俺達は相棒がないと、他の戦士達に劣るが、格闘術と戦士としての技だけでも、そこら辺のヒーローにも勝てるし、応用性があるしな」

 

「そう言うことだ。理解が早くて助かるぜ、弟」

 

「当たり前だぜ、兄ちゃんのことは他の誰よりも理解してるつもりだぜ。でもさ、一つ疑問があるんだ兄ちゃん。俺の『人影』よりも恐ろしく殺傷能力のある個性があるのに個性は雄英でオーケーで、武器はダメなんだ?例えば、俺の『人影』に似たエンディヴァーは火力では多分そんな変わらないけど、範囲はあっちの方が圧倒的に上だぜ?」

 

すると兄は、呆気なく答えた。

 

「ん?そんなことか?簡単さ、武器だからだよ。個性てのはあくまでもその人のオンリーワン、でも武器は他人でも作ったり使えるからさ。俺様達からすれば違いがなくても一般的には大きく違うんだよ。この世界でも元の世界でもな、他には何かあるか?」

 

「あーなるほどね。他には特にないかな」

 

「なら話を続けるぜ、そこで俺様達はこの世界で逞しく生きるために最低でも三つの戦闘パターンが欲しい」

 

「なるほどな、一つは俺達の相棒、二つ目は格闘術、主にこの二つで俺達は元の世界を乗りきったな?兄ちゃん」

 

「そうだな、でもな弟、俺様達は相棒をむやみやたらに使えないこの世界じゃもう一つ何か欲しいんだ。分かるな弟?」

 

「あー、それが大事な話か、兄ちゃん」

 

「そうだ、だからこの中学三年間の間に、高校でも、ヒーロー免許を取得してからも使えるものを作ろうぜ、てことだ」

 

「了解だ、兄ちゃん。流石頭切れるねー、でも取り敢えず今日は相棒達の錬度を確かめようぜ」

 

「そうだな、じゃあ相棒受け取って早速、訓練所に行くか」

 

「おうよ、楽しみだぜ」

 

こんな危ない会話をしながら、兄弟は帰路をさっきより足を速めて帰った




はい、今日はひとまずこんな感じでしょうか、次回は入試回を考えてます。次回が合ったら楽しみにしといてください。

疑問がありましたら是非とも言って下さい。無い知恵を絞りながら答えますので。

あと、もう一つの戦闘パターンは考えてる最中ですので、アイデアが合ったら教えて下さると嬉しいです。(高校で使えそうなやつ)

あと、今さらですが、僕ヒロの世界は多少知ってる程度ですのでアドバイスを頂けると嬉しいです。

今回も見ていただき誠にありがとうございます。次回が合ったら是非ともまた読んで頂けると嬉しい限りです。

ではまた次回があったらお会いしましょう。


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いざ、雄英へ

つい先日からtwitterなるものを始めてみました。興味があったら見てみて下さい。何をすれば良いのか分からないので、投稿に関する報告位しかできません。

こんな話は置いといて、本編、実技試験始まります。


雄英高校の実技試験当日、いよいよ今日が運命の入試の日。これからどんな物語が始まるのだろうか、それはまだ誰も想像がつかない。早速物語を進めていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その前に断罪兄弟のこの世界で考えている立ち回りについて説明しよう。

 

実はこの二人既に人を殺めている。元の世界では勿論のこと、この世界でもだ。

 

勿論一般人を殺したのではない。そんなハイリスクなこと早々には出来ない。ヴィランを殺したのだ。

 

この世界の兄弟の父親の私有地である、訓練所に逃げ込んで来たのだった。追っ手を振り切って安心したところを断罪兄弟に見つかったのだ。死因は弟の『人影』だった。

 

別に二人は殺すことに躊躇は全くない。だから、どっちかと言うと二人はヴィランよりなのだ。ここまでこの世界で殺しをしなかったのも、元の世界より少し平和で、個性のある世界は何が起きるかわからないし、殺しをするとヒーロー免許を取れなくなり、なおかつ犯罪者になると思ったからだ。

 

しかし、今回は特別だった。相手はヴィランだったから、最悪ばれても正当防衛で逃れられるし、私有地に逃げ込んで、追っ手を撒いていた様子だったので見つかる可能性が低いと踏んで『人影』の人体実験に利用した。

 

しっかり死体は影も無くなるぐらいキレイに消したからばれることはほぼ無いだろう。二人はストレスも解消でき、『人影』の精度も確認でき、満足していた。流石にこれ以外は人を殺してない。

 

二人のヒーロー免許を取得したあとの算段はこうだ。まず、二人組のヒーローになる。理由は、意外とヒーローという職業は自由が効くし、戦闘もできる。

 

勿論殺しはしないつもりでいる。ヒーローにとっては例え殺したのがヴィランでも負けに等しいからだ。

 

しかし、二人にとっては違う、一番の負けは死ぬことだ。てか、死ぬのは前だけで十分だと思っている。だから、もし、自分達が絶体絶命のピンチに陥ったら遠慮なく『人影』と『逝女』を手加減せずぶっぱなすつもりだ。仮にその時、殺してもヒーローとしては負けで、活動ができなくても、命があり、犯罪者にもならなければ二人的にはオーケーなのだ。

 

活動が出来なくなったら、親にヒーロー活動が出来なくなったから海外で慈善活動をすると言って、海外に行き、前の世界のような金の折り目次第の生活に戻るつもりだ。

 

しかしこれは最後の手段だ。前の世界のような生活はしにくい世界だからヒーローを目指しているのだ。

 

取り敢えずはこんなところだろう。

 

 

 

 

 

 

 

さてそれでは実技試験編に戻ろう。

 

二人の兄弟は入試会場に向け会話をしながら、徒歩で移動していた。

 

「たく、俺様はお前が落ちないか、心配だぜ、末弟」

 

「そんなこと言って、俺だけ受かってそっちが落ちても知らないぜ、長兄」

 

「言ってくれるね、まあ俺様達にとっては簡単さリトルブラザー」

 

「まあ、そうだな、筆記試験なんて問題にもならないし、実技では流石に武器の使用は許可はされなかったけど、余程のことがなければ大丈夫さビックブラザー」

 

そんな感じに他愛なく喋っているといつの間にか、会場に着いた。

 

「ちっ、思ったより早く来ちまったな。少し中で待つか、兄上」

 

「そうだな、俺様達、意外と目立つからな」

 

今は人通りが少ないからあまり騒がれてないが、兄弟二人は頭のてっぺんから足のつま先までそっくりで、まるで同じものが二つ存在しているかのような感じなので、目立つのだ。

 

物珍しげな目線は鬱陶しいのでさっさと試験会場に入ることにした。彼らの顔には緊張の色など露一つほども見えない。

 

会場に入り、指定された席で兄弟は静かに資料に目を通していた。一通り読み終わる頃には会場に多くの生徒が入場していた。

 

そして、会場の雰囲気が落ち着くと、雄英の先生と思わしきヒーローが一通り実技について説明をしてくれた。

説明が終盤に差し掛かった時には兄弟は、

 

((楽勝だな、イージーゲームだ) )

 

と二人して思っていた。

 

一つの町を見立てたステージで、ステージに散らばっているロボットを倒す数に応じてポイントが手に入る。こんな試験、二人の能力の前では圧倒的なアドバンテージ過ぎる。まるで二人は絶対落としませんよと言われているようなものだ。少し危惧していたロボットの方も説明を聞く限り、殺傷能力のないポンコツだから大丈夫そうだった。

 

いよいよ、実技試験のステージ前に受験生が集められた。受験生は各々受験に向けて集中していた。そんな中、兄弟は最前列でいつものように、だるそうに立っていた。いつもと違うのは、二人は何も武器を持っていないことだろう。流石に個性と関係のない、道具の使用許可が出なかったようだ。

 

「おい、確認は出来たか?弟」

 

「ああ、もう全部把握した」

 

そんな会話をしていると

 

「はい、スタート」

 

と試験官から突然スタートの合図が出された。

 

その時、兄弟がとった行動とは、出来る奴のようにスタートダッシュを取ったわけでもなく、その他大勢の奴のように意表を突かれた訳でもなく、取った行動とは、

そう、

 

「『辰』の戦士ー『遊ぶ金欲しさに倒す』断罪兄弟・兄!」

 

「『巳』の戦士ー『遊ぶ金欲しさに倒す』断罪兄弟・弟!」

 

勇ましくポーズを取りながら、名乗りを上げた!

(ここで、殺すではなく、倒すと言ったのはヒーローを目指している者として相応しくないと思われるからという理由で二人は決めた)

 

そしてすぐに、兄が弟を抱え、ステージに向かって飛んでいった。

 

その名乗りは試験官に向けたものなのか、はたまたこれから戦うロボットに向けて言ったのか、それとも周りの受験生に向けて言ったのか分からなかった。だが、少なくとも周りの受験生には効果てきめんだった。突然のスタートの合図と謎の名乗り、情報が混乱して理解するのに時間がかかってしまった。受験生達は慌ててスタートするものの兄弟は既に町に入っていった。

 

「で、どこに行けば穴場なんだ?弟よ?」

 

「少し先の北東の方向に降りて、そっから展開が一番稼げるぜ、兄ちゃん」

 

「オーケー、早速始めるか」

 

弟を地面に降ろすや否や、すぐさま戦闘を開始した。

 

周りで戦闘音が聞こえる頃には兄弟は既に多くのロボットを破壊していた。

 

断罪兄弟の基本的な戦術はこうだ、まず兄が囮となり、空中で攻撃をかわしているうちに弟が近づき、攻撃、そして、次は弟が囮となり、攻撃をいなしている間に兄が空中から近づき攻撃をする。相手はロボットだから、一つしか、ロックオンが出来なく、殺傷能力も低いので、次々と倒していける。

 

そして、試験が終盤に差し掛かっている時、それに弟が一番早く気付いた。そして直ぐに兄に報告した。

 

「兄ちゃん、凄く大きい振動がするぜ、丁度真ん中辺りからだ。デッカイロボットみたいだ。」

 

「なるほど、それが説明で言ってた、お邪魔のゼロポイントじゃあねぇの?ここまで見てねぇし、それにしても巨大ロボか、くぅーそそるねぇ、少し見てみたいぜ」

 

「で?どうするんだ?兄ちゃん、巨大ロボを見学しに行くのか?」

 

「いや、ここは十分足りてると思うが、もう少しポイントを稼ぎたい。だから、ロボットから離れた所に行くぞ、それに遠くからでも巨大ロボなら見えるだろ?」

 

「了解、ビックブラザー」

 

そして、遂に現れた。デカイ、それぐらいしか感想がでないほどに。恐らく、武器を持たないと兄弟では手間が掛かるだろう。

 

「フュー!イカしてるね!流石に想像以上だぜ」

 

「ああ、これはヤベー、俺様達でも元の世界でお目にかからなかったぜ」

 

「やっぱ、ちょっと近くで見ねーか?兄ちゃん?」

 

「オーケー、これは是非とも近くで見たいからな」

 

さっきの会話はどうなったのか、元の世界でも見れなかったものを見て、興味が湧いき、近づて行った二人だった。

 

「おー、近くで見ると、迫力あるな、これ壊せそう?兄ちゃん」

 

「壊せると思うが、時間が掛かるし、もう少し構造を見ておきたいからまだてを出すなよ?弟」

 

暫く、二人がロボットを十分に観察し、満足して攻略をしようかという時、

 

「試験、終了!」

 

なんとも、後味のよくない感じで、実技試験が終わってしまった。

 

二人の結果は実技は弟が二位で、兄が三位だった。最後の最後にふざけなければ、実技で、一位、二位で、筆記と合わせて二人のどつちかがトップを取っていただろう。まあ、これも運命だろう。

 

雄英高校の先生方を呆れさせたのはまた別の話。

 




何とか、書き上げました。ちょっと急ピッチで作ったので、変なところがあったら是非とも教えて下さい。次回は体力テスト編ですね。すみません、まだマトモな戦闘シーンを見せられなくて、あと、もう少し進んだら、濃い、戦闘シーンを書くので何卒、よろしくお願いいたします。
それでは次が合ったらまた、お会いしましょう。
ご視聴ありがとうございました。


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個性把握テスト

少し、更新が遅くなりました。すみません。

その間に大体、二人の新しい戦略を考え固めることが出来ました。まー結構納得は行ってます。それは少し先まで楽しみにしといて下さい。
今回も戦闘描写はありません。楽しみにしていた方すみません。しかし!次回は内容濃く、戦闘描写たっぷりでお届けします。

とりあえずどうぞ


四月八日、雄英高校入学式当日、朝。

 

「おい、もうそろそろ出発するぞ、弟」

 

「少し早くねーか?兄ちゃん」

 

「良いんだよ、俺様達、新入生は地図は貰ってるけど実際の地形も調べたいし、情報を集めておきたいんだよ」

 

「まあ、そうだな、いざって時の逃走経路は確保してーもんな」

 

 

 

そんな会話をしながら二人はつい先週から住み始めた新しい部屋を出て雄英高校へ登校して行った。勿論、なんの武器も携帯していない。

 

 

 

二人が住み始めたところは、入学祝いとして、この世界の父親にお願いして雄英高校に近い、高級タワーマンションの1フロアを買った。

 

 

 

兄弟が、新しい通学路をよく観察しながら登校していると、正門に着いた。

 

 

 

「よし、結構時間あるから、余裕を持って探索するか、まずこっちから行くぞ。弟、誰か近ずいてきたら教えてくれ」

 

「了解、兄ちゃんの能力は目立っちまって、使えないから、徒歩だな?」

 

「ああ、その通りだ、今回は下見だから余裕を持って探索を終わらせるぞ」

 

 

 

心配は杞憂に終わり、特に誰とも出会わずに探索は終了した。

 

「まあ、とりあえずこんなもんでいいだろう。めぼしい所は一通り見れたし、時間には余裕あるけどもう行くか」

 

 

 

校舎に入り、指定されていた。教室まで向かって行った。

 

 

 

「なあ、弟、俺様達の新しいクラスメートはもうどの位来てるんだ?」

 

「そうだな、教室には十人位かな、兄ちゃん」

 

「フュー、真面目だね、俺様達だって時間を潰したとはいえこの時間はまだまだ早いんだぜ」

 

とそんな会話をしていると教室の前に着いた。そして、兄が躊躇なく扉を開けて入る。

 

 

 

中を見渡すと視線が向くが、特に話しかけてこないので二人は自分の席に腰を下ろして雑談をしようとすると一人の生徒が近づいて話しかけてきた。

 

「お前ら、双子なのか?スゲェーそっくりだよな!

あっ、俺、切島鋭児郎ていうんだ!よろしくな」

 

「そうなんだよ、俺様達は双子なんだぜ。俺様が兄で!」

 

「俺が弟だ!」

 

「「よろしくな!切島!」」

 

 

 

切島は苦笑いしていた。こんな自己紹介ではどっちがどっちなのか、判断がつかないからだ。

 

 

 

そんな切島と相対的に二人はいい笑顔をしていた。多方、切島の反応を見て楽しんでいるのだろう。

 

「ってのは冗談で、兄である俺様の名前が、積田長幸で」

 

「弟である俺の名前が、積田剛保だ。よろしくな」

 

 

と冗談を程々にして、しっかり自己紹介をして、握手を交わした。そして、他の生徒も加わり、雑談に花を咲かせた。

 

「へー、兄弟二人で一緒にヒーロー活動しようとしてるんだな」

 

「仲良いんだな」

 

「まあな、俺様は末弟と組むのが一番息が合うからな」

 

「俺も長兄と二人ペアが一番楽だしな」

 

「ところで、二人の『個性』ってどんな能力なんだ? 」

 

「おっ、それか、俺様達の...

 

と話している途中に弟が肩を叩いてきた。

 

「なんだ?別に何時かバレるから話しても良いだろ?」

 

「違う、兄ちゃん、あっち見てみ」

 

 

 

雑談をしていた生徒達が弟の指している方を向くと、一人の男がいた。

 

「お友達ごっこなら他所でしろ」

 

男は更にセリフを続けた。

 

「ここはヒーロー科だぞ」

 

 

 

寝袋を持った謎の男のセリフに教室は段々、静けさを取り戻す。

 

「はい、静かになるまで9秒かかりました。君達は『合理性』に欠くね」

 

 

 

誰も完全に言葉を発せなくなっていた。そんなことを他所に男は続けて喋り始めた

 

「君達の担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

「教師…?てことは、ヒーローって事だよな……?」

 

「でも、あんな人知らないぞ」

 

 

 

雄英高校の教師は、校長を除いた全員がプロとして名の知られているヒーローばかりである

 

 

 

しかし、目の前の相澤と名乗った教師の容姿はヒーローとしてまるで心当たりがなかった。この教室一のヒーローオタクも思い出せないレベルである

 

 

 

「早速だが、全員これ着てグラウンドに出ろ」

 

 

 

そう言って相澤が用意したのは、クラス全員分、21着の体操服だった

 

 

 

「男子は隣の空き教室で着替えろ。10分以内に来るように」

 

 

 

それだけ言うと相澤は寝袋を抱えたまま教室から出ていった。急な指示に、殆どが唖然としている。しかし、一人が指示に従って行くと周りの生徒も次々と動き始めた。

 

 

 

「兄ちゃん、どう思う。俺達の担任は?」

 

「まあ、最悪では無いな、合理主義ぽいし、それなら何をして欲しいのか分かりやすいからな」

 

 

 

長話は出来ないから、二人は話を切り上げ、グランドへ向かって行った。

 

 

 

体操服に着替えてグラウンドに出れば、先に出た相澤が待っていた。

 

 

 

「これから個性把握テストを行う」

 

「個性把握……テストォ!??」

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

 

 

入学式やガイダンスをすっ飛ばしてテストを行うという相澤に、麗日が問いかける。

 

 

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る時間はないよ。雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り」

 

 

 

 

 

相澤の話は個性なしでの体力テストが無駄であるという話に移っていた。

 

 

 

「爆豪、個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい」

 

 

 

相澤に指名された爆豪は、相澤からボールを受け取ると、投球の姿勢を取る。

 

個性の使い方をしっかりと理解しているのか、あるいは思考速度が速いのか、投球に一切の迷いがない。

 

 

 

「死ねえ!!!」

 

 

 

ボールが爆風に乗って飛ぶ。

 

数km四方はありそうな広大なグラウンドに、拳ほどのボールが落ちる。

 

ここまで距離があると、落ちるところを目にするのも一苦労だ。

 

実際計測にはメジャーなどのアナログ機器は使わず、ボールが落ちた時点で相澤の手元の機器に飛距離が表示される仕組みになっていた。

 

 

 

「なんだこれ!すげー面白そう!!」

 

 

 

誰かがそうワクワクした声で言えば、周囲も浮き足立ってくる。

 

今まで能力の使用を抑制されて生きてきた思春期の若者が、全力を出せる機会に喜び勇むのは仕方がない事だ。

 

兄弟の中では他人の個性を把握できるというのは嬉しいところだった。二人は出来るだけ記憶に残そうと頭に刻む。

 

クラスメイトが、どういう個性なのか、どういう使い方ができるのか、弱点は何か、そう考えていると

 

 

 

「面白そう……か……。ヒーローになるための3年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」

 

 

相澤の除籍宣言に反論する声はもちろん出てくるが、それを無視し、相澤は続ける。

 

 

 

「生徒の如何は先生の“自由”。ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ。自然災害...大事故...身勝手な敵たち...いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎、これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける...“Plus Ultra”さ。全力で乗り越えて来い」

 

 

(なるほど、こういうタイプの人か。あーあ余計なこと言っちゃって。これは結構マジでやんねーとな。生憎俺様の弟の能力は体力テストで生かせるものないからな)

 

「おい、弟」

 

「分かってるよ、兄ちゃん。ガチでやればいいんでしょ」

 

心配するなと言わんばかりの即答だった。

 

 

そして、体力テストが始まった。しかし、別段危機に陥った事は無かった。

 

 

 

いくら優秀な人材集まる雄英高校とはいえ、全ての種目に対応出来る個性など少ない。一個しか対応出来ない奴らもいた。

 

 

 

 

兄の方は持久走と立ち幅跳び、ボール投げで個性を利用した。持久走と立ち幅跳びは言うまでもなく宙を飛んで高得点を叩きだし、ボール投げでは円の中で浮いた状態で高速で回り、遠心力を使ってハンマー投げの様に飛ばし、高得点を出した。他の競技は普通にこなした。

 

一方、弟の方は個性を使わず全競技をこなしていった。しかし、意外にも兄弟揃って上位に食い込むことが出来た。

 

 

 

理由は明白で、彼等が戦士だったからだ。戦士の中で体格は良くなく、圧倒的に身体能力が高かった訳では無かったが、一般的な軍人と比べると身体能力では圧倒的に差が出ている。それが入学したばっかりの高校生ともなれば、天と地ほどの差が出る。他の生徒達が個性を発揮出来ない種目でその生徒と差を付けることで平均点数が高く、兄より下だが、上位に食い込めた。

 

 

 

 

 

(あれが、実技試験でふざけてた二人か、確かに持ってる物は本物だな。意外と真面目に体力テストを受けてる様子だな。はあ、問題起こさなきゃ良いんだかな)

 

と断罪兄弟見ていた相澤は思った。

 

 

 

 

 

「なあ、兄ちゃん。アイツどう思う」

 

一通り、体力テストをこなし比較的余裕を持てた弟が、自分の兄に話しかけた。兄が弟の指してる方を見ると、弟と同じ様に体力テストを個性を使わずにこなしていたが、絶賛最下位中の緑髪の少年がボール投げを行なおうとしていた。弟の質問に対し、兄は

 

「入学出来たから何かしらあるんだろうけど、お前と同じような探索系かもな、アイツの様子を見てみてもオドオドしてるし、足引っ張るタイプだったら、一緒に過ごしていくよりも、ここで落ちてくれた方が楽だなって感じ」

 

と答えた。

 

 

 

少年は意を決したように投球体勢に入った。

 

個性使うか?と兄は思ったが特に何も起こらずそのまま投げた。気のせいかと思ったが、少年の様子を見るに何か起こったらしい。

 

会話を聞くとどうやら担任の仕業らしい。

 

(なるほど、個性を打ち消す感じの人か。見れて良かったな)

 

と関心していると緑髪の少年が覚悟を決めてもう一度投げた。そこから凄い衝撃が起き、ボールが投げられた。

 

 

周りに衝撃が走った。それは断罪兄弟も例外無かった。そして、同時に兄は疑問に思う。

 

 

 

(何でだ?この個性なら他の競技でも高得点が取れるはず、制限が有るのか?)

 

 

緑髪の少年を見て、理解した。体が耐えられないのだと。しかし、更なる疑問が湧く

 

(おかしい、個性は生まれつきの物で強力な物だろうが、身体が適応するか、力がセーブされるはずだ。)

 

 

 

 

 

とそんな疑問が解決するより早くテストが終わった。

 

 

 

「んじゃあパパッと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明するのは時間の無駄なんで、一括開示する。」

 

 

 

 相澤はそう言って端末のボタンを押した。すると全員の結果が順位順に映し出された。予想通り、1位とは行かなかったが断罪兄弟は見事上位にランクインした。一方、肝心の最下位はと言うと、そこには"緑谷"と書かれた文字が浮かんでいた。自分が最下位だということを知り、落胆する緑谷。だが、

 

 

 

 「ちなみに除籍は嘘な。」

 

 「「・・・・・・???」」

 

 「君らの個性を最大限引き出すための合理的虚偽。」

 

 「「はぁぁぁぁぁ!!??」」

 

 

とこの日1番の衝撃がクラスに流れた。

 

 

(あの先生の性格からして、嘘じゃなくて見込みが無かったら退学にするつもりだったな。あの緑髪の少年も思っていた以上に根性持ってたな。ククク、これは楽しい三年間が過ごせそうだ。精々俺様達を楽しませてくれよ)

 

兄は一人静かに思いを馳せる。

 

 

 

そして、弟はコソコソしてる英雄のことを珍しく、ものふけっている兄に伝えるべきか、悩んでいた。

 

 




どうだったでしょうか、楽しんで頂けたのなら良かったです。

ちょっと最近味気ない内容ですみません。次回は戦闘濃く書いていきます。
あっ、流石に兄弟ペアではないですよ。そこまで偶然は行かないと思いますからね。

疑問、アドバイス、矛盾、質問があったら是非書いてください。



とりあえず今回はこの辺で、また次回があったらお会いしましょう。


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ヒーロー基礎学、戦闘訓練 断罪兄弟、弟編

この場をお借りしまして、一言。
ムッシーさん、何時も感想ありがとうございます。とても励みになってます。皆さんもどんな事でも感想を書いてくれると、とても嬉しいです。


この話はその辺にしといて今回は弟目線で行きます。
結構自信作ですね。まだ、新しい戦法はお披露目しません。そして、兄弟はペアではありません。


次回は兄の戦闘訓練編ですね。

とりあえず、本編どうぞ!


個性把握テストの次の日、オールマイトによるヒーロー基礎学戦闘訓練で、『個性届け』と『要望』によって、作られたコスチュームに着替え、グランドβに集められた。

 

肝心の断罪兄弟のコスチューム、それは、

 

 

 

タンクトップと黒いリストバンド、そして、下に向いてる矢印の傘の部分のような黒い模様が幾つもある茶色の長いズボンと長いブーツ。それ等のオシャレなファションより目がいってしまう、背中に背負った火炎放射器、『人影』を身につける弟。

 

弟とは反対に肌の露出が顔しかなく、全体が白い服装、白い手袋に白い作業着の様な腕に弟のズボンにある白い模様があるジャケットと長く白いズボン、そして、白く長いブーツ。それ等の格好ははまるで背中に背負った氷冷放射機『逝女』の冷気に襲われないようにするための服装をした兄。

 

 

 

この兄弟のコスチュームはクラスメイトの中でも結構凝っていた。そして何より目立つ背中の武器。『人影』と『逝女』

 

 

 

それについてオールマイトから忠告を受けていた。一つ目ははその武器はコスチュームを着る許可を得た時にしか装備してはいけないこと、そして、二つ目もしその武器で危ない怪我を負わせたら、特別な許可があるまで装備することを禁止する。主にこの2つだ。

 

 

 

「良いじゃないか皆!カッコイイぜ!」

 

「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」

 

 

 

全員集合した事を確認したオールマイトは皆のコスチューム姿を褒める。そしていつも通り真面目な飯田が質問を出す。

 

 

 

「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!敵退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内のほうが凶悪敵出現率は高いんだ。監禁・軟禁・裏商売...このヒーロー飽和社会、真に賢しい敵は屋内(やみ)にひそむ!」

 

 

 

オールマイトの説明が始まった。

 

 

 

「敵組」と「ヒーロー組」に分かれた2対2の屋内戦。

 

状況設定は「敵」がアジトに「核兵器」を隠していて「ヒーロー」はそれを処理しようとしているところ。

 

細かなルールは「ヒーロー」は制限時間内に「敵」を捕まえるか「核兵器」を回収する事、「敵」は制限時間まで「核兵器」を守るか「ヒーロー」を捕まえる事。

 

チームはくじで決めるという事。

 

 

 

Aチーム、緑谷・麗日ペア

 

Bチーム、轟・障子ペア

 

Cチーム、八百万・峰田ペア

 

Dチーム、爆豪・飯田ペア

 

Eチーム、上鳴・耳朗ペア

 

Fチーム、長幸・口田ペア

 

Gチーム、尾白・芦戸ペア

 

Hチーム、常闇・蛙吹ペア

 

Iチーム、剛保・葉隠ペア

 

Jチーム、切島・瀬呂ペア

 

くじの結果このようなチーム分けになった。

 

 

 

 

「アチャー、兄貴と違うチームになっちまった」

 

 

「まあ、しょうがないだろくじだからな。とりあえず、戦わないみたいだし頑張れよ弟。二回戦だろ?期待してるぜ」

 

「おう、兄ちゃんは最終戦だったよな?しっかり観察しとけよ。とりあえず、挨拶行ってくるわ」

 

 

とペアになった葉隠に話しかけに行った。

 

 

 

「よろしくね!剛保くん!お兄さんと被るから下の名前で呼せて貰うね?一緒に頑張ろうね!」

 

「ああ、よろしくな!二回戦だから結構すぐだな、まあ仲良く行こーぜ」

 

 

第一回戦はAチームとDチームの戦闘なので、飯田は爆豪とともに指定された訓練用のビルに向かっていった。

 

 

 

 

〜 一回戦終了 〜

 

 

 

 

結果を言うと、勝ったのはAチームの緑谷・麗日ペアだ。緑谷と爆豪がタイマンをしている間に麗日と飯田が核の攻防戦を繰り広げていた。

 

 

 

その内容は酷いものだった。爆豪は私怨丸出しの特攻。緑谷は屋内戦ではタブーの大規模攻撃に、麗日は訓練中での気の緩み。ハリボテを「核兵器」として認識していたのは飯田のみ、それ故いろいろと対応に遅れてはしまったが、負けたDチームの飯田が一番高評価をうけていた。

 

 

 

見ていた弟の反応は、

 

 

 

「ははは!イカレてるねぇー見た目よりもクレジーだな緑谷ってのは!俺達より狂ってるね!」

 

 

 

と一人盛り上がっていた。

 

 

 

 

そして、二回戦のヴィランチームとして演習用ビルBに向かった。この道中に作戦を考えることにした。

 

 

 

「確か、「核兵器」の場所は4階北広場だったよね?どんな作戦で行く?ていうか、私の個性は見てわかるけど剛保くんの個性って何?個性把握テストでも使ってなかったよね?あと、背中のそれなーに?」

 

「ん?ああ俺の個性は『地の善導』ってので、簡単に言えば高性能レーダーみたいなモンで地面からの振動で、探知できて、都市一個分位の範囲まで探れるぜ。あと、背中のこれは火炎放射器で『人影』って名前だ」

 

「うわぁー、凄いねぇー!個性といい武器といいカッコイイね!」

 

「はは!そう言って貰えると嬉しいね〜、おっと着いたみたいだぜ、多分あと数分で始まるな、よし、作戦はこうしよう!俺の個性を活かして、二人で遊撃をする。とりあえず、最初は一緒に行動して敵の動きによって臨機応変に行こうぜ!」

 

「オーケー、了解!イェッサ!!そうだ!剛保くん!私、ちょっと本気出すわ!手袋もブーツも脱ぐわ!」

 

「ああ、 うん、そうか、分かった、頑張ろうな、」

 

流石にこれは弟も苦笑いしかできなかった。

 

 

 

 

「それでは、屋内対人戦闘訓練、第二戦スタート!」

オールマイトの開始の合図で、ブザーが響いた。

 

 

 

 

Bチーム側

 

「フンっ!!」

 

障子の「個性」によって二人を探知し、轟に伝える。

 

「4階の階段付近に二人いる、一人は素足だな」

 

「二人で遊撃って感じだな」

 

「外に出てろ、危ねぇから、向こうが何をするつもりか分からないが、俺には関係ない」

 

瞬間、氷がビル全体に広がってく、慌てて障子は外に出た。ビル全体が凍ったら、轟は4階に向かってゆっくり歩を進めた。

 

 

 

 

Iチーム側

 

弟は瞬時に気づいた!

 

「ん?この振動は、兄貴の『逝女』?!いや!もっと範囲が広い!これが、相手の『個性』か!?クソ!!おい、葉隠!こっち来い!」

 

「どうしたの!剛保くん?!」

 

弟のとった行動は、

近くの床を『人影』で数秒炙り、そこに自分と、葉隠を移動させた。

 

数秒後、二人のいる付近意外全て、凍っていた。

 

 

 

「何これ?!」

 

「敵の個性での攻撃だ!作戦変更!俺が氷野郎を倒す!葉隠は俺の無線の指示に従ってくれ!」

 

 

 

有無を言わさず、弟は床を溶かしながら、下へと、最短で降りてった。

 

 

 

 

 

 

〜モニタールーム〜

 

「スゲェー、轟の先手も凄かったし、剛保も気付いて機転を回して、対処するなんてよ、どっちに勝負が行くか分かんね〜」

 

「うむ!そうだな、このバトルは思った以上にハイレベルになりそうだな。皆、よく見ておくように!」

 

「てか、火炎放射器とかありかよ」

 

 

 

 

 

轟視点

 

 

カツカツと1階の階段をゆっくり登っている。轟は確信していた。勝っていると、だからだろう発見が遅れてしまった。踊り場を曲がりふと2階を見ると、それは居た。

 

「なっ?!」

 

轟が咄嗟に行動するより、早く、そいつは動いた。

 

「Hello, How are you? And goodbye」

 

瞬間、火炎放射器が火を吹いた。意外と綺麗な発音な弟の英語を聞く暇などなく、轟は咄嗟のことに対応出来ず、転がるように1階へと逃げ、距離をとった。完全に待ち伏せされてたと理解した。そして、火力が落とされていたから、軽い軽傷で助かったとも理解した。

 

「少し、弱くしすぎちまったか?悪ぃ悪ぃ、俺、手加減下手でよー、まあ、とりあえず名乗っておこうか」

 

「『巳』の戦士ー『遊ぶ金欲しさに倒す』断罪兄弟・弟!」

 

そう名乗り、轟の前に飛び降りた。

 

 

 

 

 

 

障子視点

 

 

 

轟の能力に半ば、放心状態となっていて、外に居たままで、轟の移動にもついていけてなかったが、異変に気づいた。

 

「なっ?!」

 

通信機から聞こえてきたこの声は轟のものであり、驚いているということは、敵が轟の攻撃を回避したと理解し、すぐさま個性で音を拾おうとした。

 

「4階の階段付近に一人と1階の階段付近に2人だな」

 

すぐさま状況を理解し、轟の手助けに向かおうとする。

 

(距離からして、俺が全力を出せば、1階の戦いには4階に居るやつより早く着く。ならば)

 

彼はすぐさま個性をしまい、1階の階段へ全力で向かった。

 

 

 

 

 

轟視点

 

(クソっ!完全に油断して攻撃を食らっちまった!相手が威力を加減してくれたお陰でまだ戦えるが、ダメージを負っちまった。俺の攻撃は奴の火炎放射器で回避されてたか!クソっ!直ぐに思いつくことなのに!いや、それよりも、不味い、奴の火炎放射器とは相性が悪い、このままだと、能力の限界まで行っちまう)

 

「おいおい、どうした?さっきから黙ったままで、クールだねぇ、てか兄ちゃん可哀想〜個性で『逝女』と同じような奴がすぐ近くにいたなんてな、範囲は『逝女』より上みたいだな、でも威力は『逝女』が勝ってそうかな?」

 

とまさか自分とも被ってるとも思ってない弟は兄を心配していた。

 

(障子の個性で俺のことは気付くはずだ!なら、1回振り切ってから合流して仕切り直しが一番いいな)

 

そう思うや否や直ぐ逃げたした。

 

「おい!なんだよ、鬼ごっこか?付き合ってやんよ!」

 

弟はすぐさま後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

(さっきからずっと張り付いてきやがる!氷で壁を作っても直ぐに溶かされるか、回り道されちまう!そのおかげで障子と連絡する暇がねぇ!こうなったら)

 

轟は角を曲がり、音を立てずに、止まり待ち構えた。角を曲がった瞬間に攻撃を喰らわそうと、

 

(来た!喰らえ!)

 

直接攻撃し、個性を使って戦闘不能にしようと手を伸ばす轟だか、目の前にあったのは足だ!蹴りをしながら曲がったのだ!まるで、そこに居るのかが分かっているのかのように、咄嗟に腕をクロスして防いだのは流石で、更に個性を発動するのも流石だった。

 

しかし、ダメージを負ったし、相手はブーツだから個性を使っても相手に余りダメージが無かった。

 

(クソっ!こいつ探知系の個性か?!不味い!早く合流しないとこのままだと押し切られる!)

 

氷の壁を作るが、直ぐに溶かされた。

 

「きゃはは!もっと強く、いくぜ!」

 

弟は更にギアを上げた。

 

 

 

 

 

障子視点

(あの角を曲がれば、階段だ!)

 

角を曲がり、周りを見渡す。

 

(チッ!もう移動したか、個性を使って追うか)

 

個性を使って、探知をしようとたら、

 

「捕まえたっ!!」

 

「なっ?!」

 

障子は葉隠に拘束テープを巻き付けられ、捕まってしまった。

 

「障子君、リタイア!」

 

「なぜ!?俺の方が距離的に早く着いたはずだ!身体能力だって、俺の方が高いはず!何故だ!?」

 

「フッフッフッ、それはね剛保くんの指示でねこう言ったの!」

 

「おい、葉隠!俺は今、轟を追いながら連絡してるから、一方的に言うからな!もう1人の障子って奴が真っ直ぐ1階の階段に向かってきてる!恐らく音での探知系だろう。こっちに向かってこないってことは1回止まって使う必要があるんだろう!だから、お前は俺が作った下への最短ルートで2階まで行って、1階の付近で待機して、障子が立ち止まったら確保しろ!ってね」

 

「なっ?!」

 

「そう、私は、剛保くんが床を溶かして作った、最短ルートで2階まで来て、少し移動しただけ。そして、連絡が来なかったから作戦を続行してたら障子くんが来たってだけ」

 

「なるほど、してやられたって訳か」

 

「そゆこと、じゃあ、私剛保くんのカバー行ってくるから、またね〜」

 

 

 

 

 

〜モニタールーム〜

 

「なっ?!どういうことなんだ?葉隠は障子が来ること分かってたのか!?教えてくれ!オールマイト?」

 

「ふむ、音が聞こえないから、私も分からなんな」

 

「多分、弟の個性だな」

 

「ん?どういうことだね長幸少年」

 

「簡単だぜ、俺様の弟の個性は『地の善導』床からの振動で都市一個分位の探知レーダーが出来るみたいなもんだ。それで、障子の迷いなき行動から個性を当て、葉隠に障子の向かった先を教え、個性を使おうとした瞬間を狙わしたんだ、轟を1回も見失うことが無かったのも、轟の角の待ち伏せを気づいたのも、弟の個性ってこと」

 

「はへー、なるほど、この訓練にはすげぇ役に立つ個性だな」

 

 

 

 

 

弟視点

 

障子の確保を受けて轟は逃げるのを止め、弟と真正面から勝負をしていた。

 

「喰らえ!」

 

地面を這うように氷の波が弟に向かってく、それに対し、弟は最低限の火力で溶かして行った。屋内で火炎放射器を使い過ぎると酸素が無くなってしたまうからだ。そして、近づき、ローキックを喰らわせる

 

「ははー、すげぇ慌ててるな。もう少しゆっくり行こうぜ!クールボーイ!」

 

弟は容赦なく近づいて攻撃をする。最初のダメージ、追い詰められ方、このような事により、戦況は弟が押している。しかし、弟は油断しない。言動はおちゃらけた若者を装っているが、心の中は疑い深く観察し、慢心など万に1つもしていない。彼等、兄弟は普段は過剰におちゃらけた若者を装って、『演技』をしているが、真面目にやったことも多くあった。そして、死んだ経験から相手から目を離さず、周りも警戒している。そして、その結果1つの結論にたどり着いた

 

「お前?まだ本気を出てないな?」

 

轟の顔が少し歪む

 

「ハハーン、図星だな!俺も隠し事好きだから気付いたぜ!類は友を呼ぶってか?ったくここまで追い詰められてまだ使ってないのかよ!油断するところだったぜ!」

 

「うるせぇ、そんなことをお前に関係ないだろ」

 

「まあ、そうかもしれねぇわな、でもな、本気出さなくても俺に勝てるなんて思わない方がいいぜ!まあ、ここまで使わなかった時点でもうお前の負けだけどな」

 

「なんだと?どういうことだ?」

 

「もうお前は本気出しても勝てないってこと」

 

「何?もう1回言ってみ

 

「確保ー!」

 

「何っ?!」

 

轟が気づいた時には後ろから接近した葉隠に捕獲テープで捕まってしまった。

 

「こういうことだ。俺からのアドバイスは、常に周りは警戒した方がいいぜ、例え、対話中でもな」

 

またも、周りを警戒せず攻撃を食らってしまった轟だった。

 

「敵チームwin!」

 

「やった!ナイス引き付け!剛保くん」

 

「ったく、美味しいところ全部取られちまったぜ、完全に引き立て役だな」

 

「いやいや剛保くんのお陰でだよ!」

 

と剛保は葉隠と戦闘訓練を通し、意外と仲良くなれた。

 

 

 

 

 

「さあ、モニタールームに戻って好評に移ろう」

 

オールマイトの呼び掛けによってモニタールームへと戻ってった。

 

 

 

 

 

 

〜モニタールーム〜

 

「さあ、好評だ!今回のMVPは剛保少年だな!」

 

「あら、葉隠さんじゃないの?」

 

「確かに葉隠少女は二人とも確保したのはとても素晴らしかった。でも葉隠少女は最初の攻撃の後、剛保君からの連絡が合ってから動き始めたし、轟少年も良く戦ったけど最初の攻撃の後の油断と最後の油断があって、障子少年は轟の攻撃で少し放心状態になってて、もし、攻撃の後にもう一度、しっかり個性を発動してたら展開は変わっただろうからな!剛保少年はしっかり冷静に個性を利用し、相手の行動を予測して指示を出したり、対処してたからね」

 

「なるほど、良くわかったわ。ありがとうございます先生」

 

こうして、断罪兄弟、弟の戦闘訓練は終わりを告げた。

 

 

 




どうでしたか?自分ではまあまあ良かったと思います。

無理して二本立てはキツイですね。

ということでコスチュームを来てる時は『人影』と『逝女』は特別に使用許可になりました。だから、新しい戦術は雄英祭ですかね。

ということで矛盾、質問、疑問に感想そして、アドバイスお待ちしてます。

今回はこの辺で、また次回が合ったらお会いしましょう。


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ヒーロー基礎学、戦闘訓練 断罪兄弟、兄編

ということで今回が戦闘訓練編の兄視点です。

何か問題点あったら教えてください


ヒーロー基礎学、戦闘訓練も進んでいき、いよいよ、ラスト試合まで進んだ。

 

ラストの組は断罪兄弟、兄と口田の敵チームと尾白と芦戸のヒーローチームだ。

 

 

 

 

兄は「核兵器」の配置場所で静かに宙に浮き、佇んでいた。彼は第二戦の弟の戦闘訓練を見てから、少し言葉数が少なかった。喋ったのも口田との情報交換と作戦の伝達位だった。体力テストの時もそうだが、普段彼が静かなのは結構珍しい。

 

幾ら普段『演技』でおちゃらけていているとは言え、黙る時は仕事で、忍耐強さが必要だった時などの仕事関係がほとんどだった。だから、弟もこういう兄が黙ってる時は話しかけず、『演技』を辞めることが多い。

 

 

 

 

 

そんな兄の心境とは

 

(フフ、俺様ってば結構ワクワクしてるな。弟の戦いを観ちまったから、俺様もカッコイイところ見せたくなっちまったからか?。それとも、こういう対人戦が弟意外とやるのが久しぶりだからか?まあ、どっちでもいい。精々俺様を楽しませてくれよ)

 

 

 

ふと、横を見ると口田がオロオロとしていた。意外とこういう沈黙が苦手なのか?と疑問に思ったが、兄は自分が黙っていても相手が喋ってこないと考え自分から話しかけた。

 

「なあ、口田、もう一回作戦の概要を説明するぜ、これが最後の確認だ、いいな?」

 

頷いたのを見て、兄は話を続ける。

 

「まず、ここは二階。恐らく簡単に来られるだろう。だから、俺様達は二人で籠る。扉は俺様の『逝女』でコーティングして入れないようにする。もし、敵が部屋に入ってきた時は俺様から先制攻撃をして、そこから戦闘開始する。お前の役割は隙を見てテープを巻くのと、『核兵器』の護衛だ。わかったか?」

 

また頷いたのを確認し、兄は氷冷放射器のチェックを始めた。暫くすると、

 

 

 

 

 

「それでは、屋内対人戦闘訓練、最終戦スタート!」

 

スタートの合図が響いた。

 

 

 

 

 

 

尾白、芦戸視点

 

「ねえ、尾白くん、相手はどんな作戦で来るのかな?」

 

「んーそうだな、確証は無いけど考えられるのは2パターンかな。まず、1つ目は長幸君が遊撃してくるパターンだね。長幸君は宙を自由自在に動く個性みたいだから、機動力が高いからだ。でもこのパターンになったら二対一の数的優位が取れるから、そこまで心配は無い。怖いのは遊撃に来て、その機動力で時間一杯粘られることだから、もし、遊撃に来たらスピード勝負になる。2つ目は二人で守りを固めるだと思う。この場合は真正面でのバトルだから単純に強い方が勝つか、核兵器に触れるかだね」

 

「なるほど、でも遊撃に来る気配がないから二つ目かな?私は単純な戦闘の方が楽だからこのままだといいんだけどなー」

 

 

 

 

キリのいいところで、二人が会話をやめて、黙々と探索をすると二階の広場の扉が凍ってるのを発見した。

 

「なるほど、どうやら長幸君の背中の武器は弟君とは反対の氷冷放射機みたいだね。ということは此処に核兵器があるってことかな。僕の尻尾で壊す?」

 

「ここは私に任せて、触って壊そうとすると余計なダメージを負っちゃうからね。私なら酸で溶かせるから、周りの警戒よろしく」

 

そう言うや否や、扉を溶かし始めた。彼女の酸の威力は凄まじかった。原型もなく扉を完全に溶かしてしまったのだ。一緒に居た尾白は少し背筋が凍る思いをした。

 

(恐ろしい個性だな、いや、この場面では頼もしいと言えるかな?とりあえず相手にはしたくないな、今後気を付けよう)

 

と一人決心してる間に芦戸は既に突撃しようとしているので尾白は急いで彼女の後ろに控える。

 

芦戸は警戒していた。何故なら、扉を溶かし、中を見ても口田しか、確認出来なかったからだ。

 

(長幸君は、柱の後ろで待機してるのかな?それとも入口の死角になってる入口左右の壁で構えてるのかな?)

 

と芦戸は仮説を立てた。そして、同時に対処方を考えた。

 

(突撃と同時に左右に酸を飛ばして、確認するって感じで行こう)

 

考えが纏まったら、早速行動に移し、部屋に突撃した。

 

(声に出したら、バレるから尾白くんには言わなかったけど、多分合わせてくれるから大丈夫!たぶん!)

 

と、可哀想な尾白君であった。

 

(あれ、左右に居ないな。口田君は奥に居るしな、じゃあ柱に隠れてるのかな?)

 

部屋に入って、入口から二メートル辺りにいた芦戸は一旦尾白に来てもいいとサインを送り、それを確認した尾白が入ってきた時

 

「なあ?体の芯まで凍る体験した事あるか?」

 

そう投げられた言葉の主を確認するよりも早く、二人は真上からの攻撃を浴びた。

 

しかし、流石はヒーローの卵と言うべきか、二人して部屋の外に転がるように避難した。芦戸が目の前に尾白が居るのに部屋の中ではなく、外に逃げたのはただ、近くに隠れるとしたら部屋の外が1番近いという理由だけだった。しかし、今回はそれが功を制した。もし部屋の奥に逃げたらもっと長く攻撃を浴びただろう。まあ、どちらに転んでも彼女が戦闘不能になったのは変わらなかっただろう。

 

(ヤバイ、ちょっと甘く見てたかも、満足に体が動かせない。まさか入口の真上に試験開始からずっと張り付いてたなんて、こんな根気強いとは想定外だった。人間の視界は上下には弱いってやつだっけ)

 

「おい、芦戸!大丈夫か?」

 

声をする方を見ると尾白は軽く浴びた程度だった。芦戸の上半身が全体的に凍傷してるのに比べ、頭の先端と左腕に軽く凍傷していた程度だった。入口のすぐ側に立っていたから一緒に避けても浴びた時間が違うからだろう。

 

「ダメージを食らってるところ悪いが名乗らせて貰うぜ!」

 

「『辰』の戦士ー『遊ぶ金欲しさに倒す』断罪兄弟・兄!」

 

「そっちの兄ちゃんは戦えそうだけど、嬢ちゃんは止めた方がいいぜ、無理に動くと怪我が悪くなるからな。動かないで、暖かく今日を過ごせば傷は残らないと思うぜ。で?そっちの兄ちゃんはどうするの?」

 

尾白は既に答えを出していた。

 

ジャンプと同時に尻尾を使い体を上に持ち上げ、兄に襲いかかる。俗に飛び蹴りと言われる攻撃だ。

 

(インファイトだ!)

 

「そう来なきゃな!お前、意外と熱いハートを持ってるじやねえか!」

 

予想していたのか、避けずに氷冷放射器の発射する筒の部分で器用にガードをした。

 

「口田!大丈夫だと思うが、外に居る芦戸を念の為にテープで拘束しろ!」

 

いや、ガードでは無かった。何故なら長幸は飛び蹴りの衝撃を殺せず、後ろに飛んでったからだ。近接戦闘が苦手なのか?と思ったが、すぐさま理解した。

 

(わざと勢いを殺さず、個性を使いながら後ろに飛び、俺から距離を取ったのか?!俺の狙いをすぐさま理解して更に対策も立てたというのか?くっ、天才的だな。だが)

 

「逃がさない!」

 

尾白はすぐさま離された距離を詰め、更にインファイトを仕掛ける。

 

インファイトでの戦いでは意外と尾白は押していた。それは、後がない彼の決死のインファイトということと、『逝女』を背負っていると両手が塞がり、インファイトでは『逝女』はぶっぱなすと手加減出来ないということが原因で、足と筒を上手く使っても余り、攻められないのだ。

 

(思ったより、近接戦闘が上手いな、このまま長期戦だと俺様が有利になっていくけど、目標を「核兵器」に変えられると少し面倒臭いな、ここは一気に行きますか)

 

蹴るように無理矢理距離を取り、兄の取った行動は、天井に背中が着くくらい上に上がった。それだけだが、尾白に対して脅威的な策だった。

 

「なっ?!攻撃が届かない?」

 

(いやそれよりも、隠れないと!)

 

容赦なく、兄は『逝女』の攻撃を浴びせてきた。

 

「くっ!?」

 

近くの柱に隠れたが軽くダメージを腕に負った。

 

(やはり、長期戦は俺に不利になる。口田も戻って来たし、長幸は待ち構えるだけで圧倒的有利だ!こうなったら、作戦を変更して核兵器への1回限りの突撃に変えるか?)

 

そう考えているときだった。滑り込むように長幸が尾白のすぐ横に空中スライディングを決めて接近してきた。

 

「なっ?!」

 

流石に尾白は衝撃を隠せなかった。そのまま距離を取った方が有利だったというのに逆に兄は接近した。兄はそのまま身を翻し、尾白に個性を使って、タックルをするように突撃し、

 

「グハッ?!」

 

そのまま、壁までタックルされた。そして、兄はすかさず尾白が伸びてる間に拘束テープを巻いていく。

 

「聞こえてるか分からないが、とりあえず喋っとくぜ、なぜ、俺様が接近してきたかって?それは、お前さんは俺様の立場では距離を取った方が有利だと思ったんだろ?だから、俺様が詰めてこないと考えた。だから、俺様はあえて接近した。何か考え事をして、俺様が突っ込んで来ないと思っていたお前に、そこが敗因だな」

 

「敵チームwin!」

 

 

 

 

 

〜モニタールーム〜

 

「さあ、好評だ!今回のMVPは長幸少年だな!」

 

「敵の一人を素早く戦闘不能にし、もう一人を相手にして、自慢の機転とセンスで勝利したからな」

 

「芦戸少女は少し、相手を侮りすぎてたな。相手の能力をしっかり考慮してあらゆることを想像すること。でも、扉の破壊と部屋への突撃する時のアイデアは悪くなかったな次に活かしていこう!」

 

「尾白少年はしっかり自分の得意なとこに相手を引きづり込めたことは良かったけど、もう少し考えてから行動しても良かったかもな。近接戦闘にこだわらず、口田少年も巻き込んで「核兵器」に触れることを第一にしたりというパターンもあったからな」

 

「口田少年は少し、積極性に欠けるかな?しっかり指示に従うことも大事だが、しっかり自分で考えて、自分で行動することも大事だから次はもっと積極的に行こうぜ!」

 

 

 

 

 

そして、一通り授業が終わり、集合場所に集まった。

 

「おつかれさん!軽い怪我人は居たけど緑谷少年以外は大きな怪我もなし!しかし真剣に取り組んだ!初めての訓練にしちゃ、皆、上出来だったぜ!」

 

と、無事にヒーロー基礎学戦闘訓練も無事終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんとか書けました。

次回は今週中に投稿できるかな?

では次があったらお会いしましょう。またね!


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