ロリっ子と狼おじさん (俺のシェービングクリームどこ?)
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ロリっ子とおじさん( 前 )

この駄文は趣味で構成されている。
閲覧の場合は注意されたし。


ㅤ太陽の光がさんさんと降り注ぎ、石造りの街を美しく照らす。

ㅤここは駆け出し冒険者の街、アクセル。多くの新米冒険者たちが腕を磨き、そして旅立っていく小さな街だ。

 

ㅤ時刻はお昼を少し過ぎた頃。腹を空かせているであろう相手の顔が頭にぽやぽや浮かび、すぐさま消える。

ㅤたぶん待てなくなったらその場で他の物、食べてるだろうなと思ったからだ。……俺のツケで。

ㅤ腕の中にある紙袋を抱え直しながら、道を急ぐ。また自分の知らないうちに作られた山積みの皿を見るのは勘弁願いたい。あれはちょっとした恐怖体験だ。

 

ㅤそれに俺も腹が減ってる。特にこの、鼻腔をくすぐる匂いがたまらん。紙袋の中から漂ってきてるやつが。

ㅤ野菜たっぷりのクラムチャウダーに魚とチーズのフライ、しかも揚げたてほやほや。焼いたばかりのバゲットもある。

ㅤ手に入ったのは非常に幸運だったと言えるだろう。行列ができるくらい人気だし、いつもなら昼前には完売してるからな。あいつもきっと喜ぶぞ。

 

ㅤ人に紛れ、歩みを進める。右に曲がって、大通りに出たからか、人の流れが一気に多くなってきた。

ㅤほどなくして辿り着いたのは、アクセルの冒険者ギルド。酒場と併設された、この街でも特に大きな建物だ。

 

「いらっしゃいませ。お仕事案内なら奥のカウンターへ、お食事なら空いているお席にどうぞ!」

 

ㅤ扉を開け中に入って進むと、ウェイトレスのひとりが愛想良く出迎えた。

ㅤこれに軽い会釈で応えて、多種多様な冒険者が行き交う店内を見渡す。

ㅤギルドは建物が大きいだけに中もかなり広い。さてさて、自称成長期の腹ぺこ娘はどこにいるのやら……。

 

ㅤ右か、左か。……いや、斜め後ろか。目より鼻に頼った方が早かったな。

ㅤ目的の少女、めぐみんは店の端にあるテーブル席にいた。紅魔族的格好いいポーズをとり、マントをたなびかせている。

ㅤあと、見知らぬ少年少女と一緒だ。新しいお友達だといいんだが。

 

「我が名はめぐみん!ㅤアークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者……!」

「……冷やかしに来たのか?」

「ち、違わい!」

 

ㅤ反射的に片手で自分の目を覆ってしまう。ああ、めぐみん。お前ってやつは本当に。

ㅤあれほど初対面の相手に紅魔族的格好いい自己紹介はよくないって、ほどほどに言い含めておいたのに。思わずため息をついてしまいそうになる。

 

「……その赤い瞳。あなたもしかして紅魔族?」

 

ㅤ目ざとい少女がめぐみんの正体を見抜き、めぐみんは頷いて自分の冒険者カードを少女に手渡した。

 

ㅤやれやれと首を振り、こっちに背を向けているめぐみんに歩み寄る。わざとらしく足音をたてながら。

「いかにも!ㅤ私は紅魔族随一の魔法の使い手、めぐみん!ㅤ我が必殺の魔法は山をも崩し、岩をも砕く!」

 

ㅤあーあ、駄目だ。聞こえてねーなこりゃ。

 

「……と、いうわけで、優秀な魔法使いはいりませんか?ㅤ……あー、えっと。今なら最高の弓使いもついてきますよ?」

「人をオマケ扱いするんじゃない」

 

ㅤ俺の売り込みをする時だけ、なぜか自信なさげなめぐみんの頬を引っ張る。

 

「あ痛ぁっ──わ、バーゲストじゃないですか。ね、ね、見てくださいよ、新しくパーティーに入れてくれそうな人たちですよ!」

 

ㅤ振り向き、そう言ってめぐみんは胸を張る。

 

「ね、カズマ、あの人すっごく怪しい感じなんですけど……」

「しっ、聞こえるだろ!」

 

ㅤ見てくださいよ、と紹介された少年少女たちは、俺の目の前でひそひそ話をしはじめた。

 

「見た感じあの子の保護者か。なら弓使い?」

「怪しすぎて最高の弓使いって感じじゃないんですけど?」

「いやでも弓装備してるぞ?」

 

ㅤあの、なあ。もう少し見えない場所でやるとかそういう努力を……まあいいか。

ㅤ怪しい男って印象は仕方ない。あっちは俺の素性を欠片も知らないわけだし。

 

ㅤおまけにこっちは革製のガントレットやブーツで徹底的に肌を隠し、首元には厚手のスカーフ。目元まで隠れるフード姿だ。

ㅤ見える部分も狼を模した立体的な仮面を着けて隠してる。それもこれも事情があるんだが、そんなのは子どもを怖がらせる言い訳にならないだろう。

 

ㅤ軽く咳払いをする。めぐみんのためにも、まず簡単な自己紹介をした方がよさそうだな。

 

「俺はバーゲスト。レンジャー、紹介の通りちょいとした器用さが売りの弓使いだ。今は両親に代わって、この子の面倒を見ている」

「え、あーっと。どうも」

「うちの子がすまないね。……ほら、昼飯だ」

「わ、わ!ㅤ待ってました、いただきます!」

 

ㅤ紙袋を小さな両手で受け取り、めぐみんは嬉嬉として中身を取り出しはじめた。ちょっと待たせすぎたか。

ㅤ俺の分も残しておいてくれればいいんだが。……この様子じゃ食われかねないな。

 

「ああ、上級職を応募してるって話らしいが、うちのめぐみんを試してみてはどうだろう?」

 

ㅤ少年に自分の冒険者カードを渡して、めぐみんの代わりに売り込みを続ける。

 

「む……バーゲストもですよ、お忘れなく!」

「俺はいいんだよ。お前がパーティーに入って、立派にやっていけると判断したら里に帰る」

 

ㅤつまりずっと一緒にいるわけじゃない。「そういう約束だ、お前の親父さんとの」と続けた俺に、めぐみんは不満そうに口を尖らせる。

 

「それ毎回言ってますけど、結局一緒にお試ししてくれますよね?」

「……心配なんだ。俺はお前がこんな時から見てるんだぞ?」

 

ㅤそれこそ赤ん坊の頃からだという気持ちを込めて、親指と人差し指で僅かな隙間を作ってみせると、めぐみんは鼻を鳴らした。

 

「どんだけ小さいんですか。言っておきますけど、まだ成長期ですから。せ、い、ちょ、う、き!」

「……この通り伸び代は十二分にある。どうだろうか?」

「ぅおい、なにか言いたいことがあるなら聞こうじゃないか。め、目を逸らすなぁ!」

 

ㅤ俺の視線がどうにも彼女の癪に触ったのか、「うおおおおお!」と弱っちいハンマーパンチを胴に何発か食らわされるものの、文字通り痛くも痒くもない。

ㅤこれはそもそもめぐみんのパンチが弱々しいというのもあるし、俺がローブの下に革防具を着込んでいるからでもある。

 

「……その眼帯はどうしたんだ?ㅤ怪我でもしてるのなら、こいつに治してもらったらどうだ?」

「この、この、このっ──ハッ。……フフ。これは、我が強大なる魔力を抑えるマジックアイテムであり……。もし、これが外されることがあれば……。その時は。この世に大いなる厄災がもたらされるだろう……!」

 

ㅤ殴り掛かる体勢から取り繕うようにポーズをとり、なにやら壮大なホラを吹くめぐみんの頬を、顎の下から片手でぷにぷにと掴む。咄嗟に。

 

「お前はまたそうやって……。嘘を言うな嘘を」

「あうえええ……」

「こいつの眼帯は紅魔族特有の……まあなんだ、ラッキーアイテム的な?ㅤオシャレアイテム的なやつだ、気にするな」

 

ㅤほらさっさと食えとめぐみんに促し、自分もバゲットに手を伸ばす。

ㅤサクッと軽い塩気と素晴らしい香りが口の中に広がる。ああ、たしかにこいつはうまい。人気が出るわけだ。

 

「……ええと。カズマに説明すると、彼女たち紅魔族は、生まれつき高い知力と強い魔力を持ち、大抵は魔法使いのエキスパートになる素質を秘めているわ──」

「ああ……それなんだが──」

「ば、バーゲスト、バーゲスト!ㅤこれすっごく美味しいですよ、ひと口あげます!ㅤほら!」

「おいやめ──」

 

ㅤ無理やり魚とチーズのフライをねじ込まれ、口のまわりを油まみれにされる。

ㅤ今しがた、少女がめぐみんたち紅魔族の説明をしてたんで、とっても大事なことを補足しようとしたんだが。

「紅魔族は、名前の由来となっている特徴的な赤い瞳と……。そして、それぞれが変な名前をしてるの」

「ふぇ……んな名前とは失礼な。私から言わせれば、街の人たちの方が変な名前をしていると思うのです」

「……ちなみに、両親の名前を聞いてもいいか?」

 

ㅤ少年に訊ねられためぐみんが、マントをひるがえす。

 

「母はゆいゆい。父はひょいざぶろー!」

「「…………」」

 

ㅤまあ、そうなるとは思ったが。

ㅤ旧友の名前を聞かされた二人は、なんとも言えない表情で絶句する。

 

「……とりあえず、この子の種族は質のいい魔法使いが多いんだよな?ㅤ仲間にしてもいいか?」

「んー?ㅤ私の両親の名前についてなにか言いたいことでも?ㅤんー?」

 

ㅤ少年と少女から俺たちの冒険者カードを返してもらい、憤慨しためぐみんをなだめる。

ㅤ相変わらず俺を見る目は訝しげだが、少女は「いいんじゃない?」と口を開いた。

 

「冒険者カードは偽造できないし、彼女は上級職の、強力な攻撃魔法を自在に使うアークウィザードで間違いないわ。カードにも、高い魔力値が記されてるし、これは期待できそう」

「おい」

「それにもし彼女の言う通り本当に爆裂魔法が使えるのなら、これは凄いことよ?ㅤ爆裂魔法は、習得が極めて難しいと言われる爆発系の、最上級クラスの魔法だもの」

「ちょっと、おい。彼女ではなく、私のことはちゃんと名前で呼んでほしい」

 

ㅤ抗議するめぐみんの口元を拭ってやりながら、自分のフライとバゲットを口の中に放り込み、咀嚼してスープと具を流し込む。

ㅤよくそんなので本当に食事を楽しめてるのかと訊かれるが、昔からゆっくり食べてる時間を確保できなかったもんで、これで慣れてしまった。もうすっかり。

 

「レンジャーは……正直よくわからないわね。それくらいレアな上級職なの。わかってるのはアーチャーと、あといくつかの職のごった煮ってことくらいよ」

「ははは、せめて器用貧乏と言ってくれないか。ごちそうさま、美味かった。これなら倍払ってもいいな」

 

ㅤ初歩的な着火魔法を使い、ゴミを片付ける。

 

「俺は付き添い程度に考えてくれ。メインはあくまでめぐみんだ」

「あー、わかった。俺はカズマ。で、こっちはアクアだ。よろしくアークウィザード……と、レンジャーのバーゲスト……さん?」

「バーゲストで構わない」

「じゃ、バーゲストだな。よろしく」

「ああ、よろしく」

 

ㅤめぐみんはスープの匙を咥えながら、カズマをじろっと見た。




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ロリっ子とおじさん( 後 )

ㅤめぐみんが食事を終えるのを待ち、俺たちはカズマ一行と共に街のすぐ外──広大な平原地帯へとやってきた。

ㅤパーティーのお試しということで、カズマが選んだのはジャイアントトードの討伐。アクセルでも特に簡単といわれている、初心者向けのクエストだ。

 

「爆裂魔法は最強魔法。そのぶん、魔法を使うのに準備時間が結構かかります。いつもならぽちま──バーゲストに頼んでいるところなのですが──」

 

ㅤめぐみんがでっかいカエルを指でさし示しながら、ジトっとした目でこちらを見る。

ㅤなあ頼むからその杖をこっちに向けないでくれ。あと、バーゲスト以外の名前で呼んだら許さないからな。

 

「俺は付き添い」

 

ㅤいつもなら四の五の言わずに頼まれてやるところなんだけどな。

ㅤ万一に備えて中距離用の弓に矢はつがえているが弦は引かず、あくまでめぐみんの付き添いという形でこの場にいる。

 

「……らしいので、あのカエルの足止めをお願いします。準備が整うまで、少しでいいです」

 

ㅤそうカズマたちに頼み、めぐみんの頼みに頷いたカズマは、もう少し遠く離れた場所にいるカエルを見た。

 

ㅤジャイアントトードは家畜や農家、子どもをその長い舌でぺろっと丸呑みにするカエル型モンスターなのだが、打撃系の攻撃に強く金属を嫌うという特性がある。

 

ㅤだが見た感じ、このパーティーに捕食を回避できそうな、金属製の装備を身につけているメンバーはいない。武器以外は全身革と布防具の俺も含めて……。おおう。こいつはちと危ういな。

 

「遠い方のカエルを魔法の標的にしてくれ。寄ってきてる方は……。おい、行くぞアクア。今度こそリベンジだ。お前、一応は元なんたらなんだろ?ㅤたまには元なんたらの実力を見せてみろ」

「元ってなに!?ㅤちゃんと現在進行形で女神よ私は!ㅤアークプリーストは仮の姿よぉ!」

 

ㅤそう叫びながら必死の形相で、カズマの首を絞めようと襲いかかるアクア。なんだかおかしな女の子だ。

 

ㅤ……少しだけ、彼らにめぐみんを任せるのが不安になってきた。あー、ところでその──

 

「「……女神(って)?」」

「……そう自称してる可哀想な子なんだ。たまーにこういったことを口走ることもあるんだけど、できるだけそっとしておいてやって欲しい」

 

ㅤあー、なるほど。頭がちょっと弱いんだな。納得。

ㅤめぐみんも同じように思ったのか、俺よりも直接的に、同情を込めた目でアクアを見る。

ㅤただそれでとどめを刺されたのか、異変に気づいた俺が引き止める暇もなくアクアが動いた。

ㅤ泣きべそをかきながら、ヤケクソ気味に拳を振り上げて、手前のカエルに向かって駆け出し、

 

「なによ。打撃が効きづらいカエルだけど、今度こそ女神の力を見せてやるわよ!ㅤ見てなさいよカズマ!ㅤ今のところ見せ場のない私だけど、今日こそは!」

 

ㅤそう叫びながら、カエルに食われた。……また女神って言ってたな。

ㅤ仲間が食われたのに、カズマは焦る素振りを見せない。これっぽっちも。

ㅤ正直驚いたよ、肝が据わってるな、と。冷静に弦を引き絞り、カエルの脳天に狙いを定め矢を放った。

 

ㅤジャイアントトードは捕食中動かなくなる。これは種として致命的な隙だが、そのぶんこいつらは大きく育つことで天敵を減らし、あっという間にウンザリするほど増えるのだ……バイ、どっかで読んだ専門書。

 

ㅤ今こうしてアクアが食われたことで、カエルの動が止まったのはたしかだが……。いや、まさかこれが足止めなのか?

 

ㅤいよいよもってこの環境にめぐみんを任せるのが不安になってきた俺だったが、自分の人生において一日一回の爆裂魔法をなによりも楽しみにしている彼女の頭に不安の文字はなく……。

 

「見ていてください。これが、人類が行える中で最も派手でかつ威力のある攻撃手段。……これこそが、究極の攻撃魔法です」

 

ㅤ魔法を詠唱するめぐみんだったが、俺はあのカエルのことが既に気の毒に思えてきている。

ㅤなぜなら、今から彼女が唱えようとしている魔法は、正しく究極の攻撃魔法であり、たかがデカ牛サイズ──もっとあるがそれくらい──のカエルにぶち込むような攻撃ではないからだ。

 

ㅤ詠唱の声が大きく、周囲に反響するにつれ、めぐみんのひとつ所に魔力が集まり、大気が震えはじめる。

ㅤ全身の毛が逆立ち本能が逃げろとガンガン警鐘を鳴らしまくるが、あくまでもいつものことだと理性でねじ伏せる。……一日一回だからな。

 

ㅤ余波で飛ばされちゃ可哀想だから、一応カズマの肩に腕を回してその場に固定してやる。ちと硬くて痛いかもしれんが。

 

「な、なんすか?」

「はは、ぶっ飛ばされないように気をつけとけ」

 

ㅤ杖の先に眩い魔力の光が灯り、めぐみんが可愛らしい目をいっぱいに開く。

ㅤあれを至近距離で耳にするのは鼓膜に悪いからな。こっそり自分にだけ、耳栓スキルを使っておこう。

ㅤこれ本来は相手の耳を潰すスキル。けど、こういう時も便利。ね。

 

「エクスプロージョン──ッ!!!」

 

ㅤ杖からカエルへと放たれた光があっという間に膨れ上がり、瞬間、空気が勢いよく爆ぜた。目と鼻の先で可哀想なカエルだったものが飛び散ったそばから蒸発するのが見える。

 

ㅤ突風に煽られて仰向けにすっ転びそうになっているカズマを支えてやりながら、俺は名もなきジャイアントトードにひっそりと冥福をお祈りしておいた。次はもうちょいマシなカエル生だといいな。

ㅤ少なくとも爆裂魔法をぶち込まれるような生涯じゃなければ幾分かマシだ。それこそ、唐揚げにされる方がずっと。

 

「どーだー、すげーだろー!ㅤははは、は!」

「なに?ㅤよく、聞こえない!」

 

ㅤそりゃ、こっちもだ。口をパクパクさせているカズマをよそに、光と爆風は段々と落ち着いてくる。

ㅤしばらくして爆煙が晴れると、カエルのいた場所を中心に、バカでかいクレーターができていた。相変わらずすげーわこりゃ。

 

「……す、すっげー。これが魔法かぁ……」

 

ㅤあ、なに言ってるかわからん。……耳栓スキル解除しとかにゃ。

 

ㅤ感動しているカズマの隣で、めぐみんがふらつくのが見えた。うー、やっぱりそうなるよな。知ってたよ。

 

「……ダメそうか」

「ええ、ガス欠です……。ちょ、バーゲスト。ですからその、もう少し私を女の子らしく扱ってくださいよ……」

「……扱ってるよ」

 

ㅤ彼女が倒れる前に寄って、小さくて細っこい体を小脇に抱えるようにして支えてやると、次の瞬間。

 

ㅤゴソゴソ……ボコッ──!

 

ㅤ俺たちのすぐそば、足元から一匹のカエルが姿を現した。ぬめぬめした頭半分と前脚が見える。

ㅤ最悪なのが、それを皮切りに次々と地中からカエルが這い出ようとしてるってこと。今の俺の攻撃じゃないんだけどな……。ちょっとヤバいかも。

 

「めぐみん!ㅤ一旦離れて、距離を取ってから攻撃を……」

「すまない、それは無理なんだ。あー、理由は本人から聞いた方がいいだろう」

「え?ㅤちょっ」

 

ㅤ端的に説明すると、爆裂魔法をこの世界の誰よりも愛するめぐみんは爆裂魔法をぶっ放すと魔力が枯渇しぶっ倒れるのだ。よってどんなに好きでも一日に一回の楽しみというわけ。

 

ㅤしかし今はそれを説明している時間も惜しい。カエルは鈍いが、出てくればその巨体でひとっ跳び。あっという間に距離を詰めるだろう。

ㅤよって諸々の説明は省略し、めぐみんをカズマに受け渡す。落とすなよ、そいつは旧友の生きた家宝だ。

 

ㅤそれからいつの間にやらカエルの口から逃げ果せ、そばで膝を抱えて座っていたアクアに走れるかどうか確認し、俺は腰の矢筒から矢を数本抜いた。

 

「バーゲストー、がーんばぁってくださーい……」

「おう。とにかく二人を連れてこの場から離れてくれ。ああ、なんなら帰ってくれても構わんよぉ」

 

ㅤ向かってくるカエルを眺めながら、どいつから狙うか考える。

 

「大丈夫ですよカズマ。置いてってもぽち──バーゲストはきっちり私のとこに帰ってきますから。同じ数のアークグリフォンやシルバーバジリスクに囲まれても、日が暮れる前にお土産まで用意してくれます」

「な、なんだかよくわからないけど……いいんだな?ㅤあとから人でなしとか言うなよ?!」

「まさか。むしろめぐみんに傷のひとつでもつけてみろ、カエルにぺろっと丸呑みされるより怖いぞ?」

 

ㅤすぐ目前まで迫ってきているカエルを見て、カズマは黙って首を縦に振り振りめぐみんを抱え、アクアの手を引き街の方へ戦線離脱した。ちとケレン味、利かせすぎたか……。

 

 

 

 

「──と、いうわけで、正式にカズマのパーティーに入れてもらうことになりました」

 

ㅤカエル共の脳天に一発ずつ食らわせて悠々と街に帰還を果たした俺に、風呂上がりらしいめぐみんがさらっとそう報告したのは、実に夕飯時前のこと。

ㅤめぐみんへのお土産に、状態のよいカエル十五匹分──ざっと七万五千エリスの売却手続きを済ませたあとのことだ。ついでにほいほい釣られて出てきたカモネギを生け捕りにして持ち帰った。

 

ㅤケージ片手にうきうき気分だったものの、パーティー加入の報せを聞かされた俺は、残念なことに『よかったな』とは言えなかった。

ㅤ本来なら強く抱きしめてやって、お祝いだと飯をたらふく食わせてやるくらいはするんだろうが、素直に喜べないのにはワケがある。

 

ㅤまずひとつは、その条件に俺の加入が含まれているってこと。

ㅤそしてもうひとつは、めぐみんが駄々をこねたらしいということ。

ㅤ最後に、俺がパーティー入りしなきゃならないってこと。

 

「これから私とバーゲストは同じパーティーの仲間です。一緒に頑張りましょう!」

 

ㅤいや、頑張りましょうじゃない。どうなってんだ?

 

「……カズマ、くん?」

「い、いやぁ……その──」

 

ㅤぎぎ、ぎ……。

ㅤ錆びたブリキの人形のように俺が首を動かすと、カズマは気まずそうに笑った。まるで諦めろとでも言わんばかりの表情だ。

 

ㅤカズマから事情を聞くに、まずめぐみんは自らの爆裂魔法しか使えないという実情を明かし、また今後も爆裂魔法以外の道に進む気はないと話したらしい。

ㅤ相変わらずの爆裂魔法ジャンキーっぷりには頭が痛いが、それでも自分で全部話せたのは偉かった。あとでちゃんと褒める。

 

ㅤ褒めるのはいい。しかし悲しいかな、当然そんなアークウィザードを受け入れてくれるパーティーがあるはずもなく。

ㅤ俺がなっかなか里に帰れなかったことからわかるように、カズマパーティーもまた最初はめぐみんの加入を拒否しようとした。……したのだが。

 

ㅤところが、今回は珍しくめぐみんがごねた。今までのパーティーは断られたらすっぱり諦めていたのに。

ㅤ理由はわからないが、とにかくカズマのパーティーが気に入ったとのことだった。男女比が素晴らしいとか、アクアはライバルになり得ないだとか……。

ㅤあろうことか、今なら俺も正式に加入させると勝手に宣言までしてしまったらしい。曰く紅魔の里随一──俺は紅魔族ではないので、紅魔族随一の〜とはならない──狩人(ハンター)だと。

 

ㅤ当初はそれでも俺の事情を考え断ろうとしてくれたカズマだったが、なぜかそこでアクアが食いつき、

ㅤ──曰く、ひと狩りいこうぜ!ㅤと無駄にハイテンションだったそうな。俺に骨付き肉を焼いてもらいたいらしい──

ㅤそれに飽き足らずいくつか質問をし、そののちめぐみんと一緒になって駄々をこねはじめたんだとか。

 

ㅤなんなんだ、高いところから飛び降りても平気かだの、道草食って回復したり持久力が増えたりするかだの、草食動物から肉を剥ぎ取ってその場で焼いて食うかだの……。

 

「それってパーティーの加入に関係あるのか?ㅤタフネスも薬草学もサバイバルも、狩人に限らず冒険者なら大抵が似たようなことやってるもんだぞ?」

「あ、いや。あいつの場合、その狩人ってやつの意味がちょっと違うんだ。……ちなみにクエストで街から出る時、ホルンの音がしたりしないか?」

「ああ、お前もか。……そんな幻聴が聞こえたことは生まれてこの方、一度もないな」

「そ、そうか。いやなんかすまん……」

 

ㅤ狩人はともかく。往来で駄々をこねるめぐみんとアクアは人々の目を引き、カズマはひどく赤っ恥をかいたらしい。

ㅤおまけにカズマが俺を見捨てたのだと言い、めぐみんがパーティーに入れてくれるならなんでもすると大声で口走ってしまったがために、カズマは街人からあらぬ疑いをかけられ、屈強な男性冒険者が様子を見に来てしまう始末だったという。

ㅤこれでカズマがめぐみんたちの要求を飲み頷いてしまったことを、責められる人間がこの世のどこにいるだろう。……いないな。

 

「こればっかりは俺たちが悪いな。迷惑と不名誉な疑いをかけさせてすまなかった。疑いは俺が晴らしておくし、めぐみんも叱っておく。それで……」

 

ㅤ結局俺たちはパーティーに入るべきかどうか、最終確認をしようとすると、カズマはすっと右手をこちらに出した。

 

「ああ、パーティーには入ってくれると助かる。改めて俺はカズマ。よろしくな、バーゲスト」

「……きみは俺が思っていた以上に大人だな。よろしく、カズマ。猟犬並みの働きを期待してくれ!」




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スキル教え〼(前)

「なんだお前たち、ここにいたのか。……どうした?」

 

ㅤ俺たちのカズマパーティー正式加入が決まった、その翌日のこと。

 

ㅤ湯浴みを済ませた俺が冒険者ギルドに足を運ぶと、めぐみんとアクアがテーブル席で落ち込んでいた。

ㅤ二人とも心ここに有らずといった様子で、めぐみんはボソボソと独り言を呟いてるし、すぐ隣のアクアにしても、なぜか頭の上になみなみと水が注がれたコップを載せている。

 

ㅤ可愛らしい女性冒険者が男も連れずにいるということもあり目立っているが、整った容姿よりも奇っ怪さが勝り、ちょっかいを掛けられるなんてことにはなっていないようだ。

ㅤ……なんだか嫌な予感がするのは気の所為だろうか。

 

ㅤ俺に気づくとめぐみんは顔を上げ、ガタンッ──と勢いよく立ち上がった。

ㅤそれはもう、椅子の上に立つ勢いで。

 

「こらめぐみん、行儀が悪い──」

「私はロリっ子ですか?」

「……なんだと?」

 

ㅤ聞き慣れない言葉に首を傾げる。

ㅤろり……なんだって?

ㅤ俺の反応が気に入らなかったのか、めぐみんはそのままローブの襟に両手をかけ、力強く引っ張った。

 

「違いますよね、違うって言ってください、違うって、早く、言え!」

「ああ、まあ……。お前がそこまで必死になって否定するんなら、違うんだろうよ。その、なんとかってのは」

 

ㅤ宥めるように背中を叩きながら、わからないなりの答えを返す。

ㅤめぐみんは興奮して気づいていない様子だったが、俺たちは今、互いの鼻先が触れるほどに顔が近い。

ㅤそれが人の目にどう映るかはさておき、年頃の女の子が気安くしていいことじゃないはずだ。

 

「当然です。私は、紅魔族随一の魔法の使い手。もう立派な大人なんですから」

 

ㅤ立派な大人ね。……大人に成長期はないぞ。

ㅤそれに立派な大人は人の胸ぐらを掴んだりもしない。

 

「それで、アクアはどうしたんだ?」

「アクアですか?ㅤえっと、最初にカズマがスキルのことを話しはじめて……」

 

ㅤ俺から離れためぐみんが、事の顛末を話してくれた。

ㅤどうやらカズマがスキルを覚えたいと言い、なんやかんやあったらしい。

ㅤ爆裂魔法はさておき、アクアが教えようとしたスキルも嫌だとばっさり切り捨てたのだと。

ㅤめぐみんから話を聞いているうちに、知らぬ間に元気を取り戻していたアクアが相槌を入れ、

 

「酷いと思わない!!?」

「いや、そこで俺に同意を求められても困るんだが……。ちなみにどんなスキルを教えようとしたんだ?」

「なによ、気になるの?」

 

ㅤ思えば、これがアクアとした初めての会話らしい会話だったか。

ㅤ俺の素朴な疑問に、小さく鼻を鳴らし立ち上がる。

 

「しょーがないわね。いーい、このコップをよーく見てなさいよ。私のスキルはね、本来なら人に請われてやるようなものじゃないんだから」

 

ㅤそう言って、アクアはテーブルの上に散らかっていた花の種を一粒手に取り、自分の頭の上にあるコップを指差した。

 

「さあご覧あれ、この種を指で弾いてコップに一発で入れるわよ。すると、あら不思議!ㅤコップの水を吸い上げた種はにょきにょきと……」

 

ㅤ興味深げに眺めている俺の目の前で、アクアが指で種を弾き、頭の上のコップに入れる。

ㅤ沈む種をじっと見ていると、あっという間に芽が出て成長し、瞬きをする暇もなく花をつけた。

 

「おお、大したものだ」

「でしょでしょ?ㅤ頭でっかちなカズマにはわからない良さなんだから!」

 

ㅤ素直に感心していると、ニマニマと笑いながらアクアが腰に手を当てる。

ㅤたしかに凄いと思うが……。

ㅤスキルポイントに余裕のない駆け出し冒険者に勧めるようなスキルじゃないな、もっと利便性に長けたものじゃないと。

ㅤだが、凄いのはたしかだ。うん。

 

「そのスキルはどんな種でも育つのか」

「ええ、もちろん。けどなんでそんなこと聞くの?」

「そりゃますます大したものだ。試しに……ほら、こいつなんかどうだろう?」

 

ㅤ胸元のポケットから小瓶を抜き取り、細長い小瓶から種を幾らか出してアクアに渡す。

 

「これは?」

「あー、綺麗な花の種だな。青く透き通った花弁の──」

「あら、この水の女神たる私に相応しい花ってわけね!ㅤ気が利くじゃない!」

「いや別にそこまで言っちゃないが……」

 

ㅤ怪訝そうな顔で種を見ていたアクアだったが、俺の話を聞いて目の色を変えた。

ㅤ図らずもその気にさせてしまったようだ。

 

ㅤしかしまたそれ、女神か。

ㅤそういえば例の悪名高いアクシズ教の女神も、名前はアクアといったか……。

ㅤ可哀想に、それで自分を本気で女神だと思い込んでしまってるんだな。

 

「さあさあ、ほら!ㅤどんどん咲かせるわよ!」

 

ㅤ調子づいたアクアが、初級水魔法と先のスキルを織り交ぜながら、次々と青い花を咲かせる。

ㅤそれはそれは見事な手際で、次第に動きが大きくなりはじめ、他の冒険者が足を止めて見ていくほどだ。

 

ㅤちなみに俺が渡したのは花弁が薬の原料になる花の種で、育てるのが難しい上に美しい花を咲かせるということもあり、種はもちろん花そのものもかなり値が張る。

 

ㅤなるべく倹約をしたい俺は、これで材料の足しになれば、と思っただけなんだが。

ㅤああしてずらりと並べると圧巻だな……。

 

「どう?ㅤ凄いでしょ!ㅤこれが私のとっておき、『花鳥風月よ!』」

「「「わ──っ!」」」

「うぴっ!?」

 

ㅤ足を止めていた冒険者が一様に沸き、声にアクアが驚く。

 

「アクア様、もう一度!ㅤ金なら払うので、どうかもう一度『花鳥風月』を!」

「ばっか野郎、アクアさんには金より食い物だ!ㅤですよね、アクアさん?!ㅤ奢りますから、是非もう一度『花鳥風月』を!」

 

ㅤいや、見事だったとは思うが、そこまでするか?

ㅤここには暇人しか居ないのか、口々に今のをもう一度見たいと言って押し寄せてくる。

 

ㅤ最初は冒険者たちの圧に押され気味だったアクアも、彼らの目的がはっきりするにつれ、その表情は怯えよりもはっきり迷惑そうなものに変化していった。

 

「なんだか大変なことになってきましたね」

「ああ、そうだな。……昼過ぎの軽食にするか?」

「食べます」

 

ㅤ近くにいた店員を呼び止め、手頃な軽食を頼む。

ㅤあとで花の回収もしておかないとな……。

 

「──あっ!ㅤちょっとカズマ、やっと戻ってきたわね、元はと言えばあんたが……。って、その人どうしたの?」

 

ㅤアクアの声に興味を引かれてそちらを向くと、カズマとその隣に二人の女性冒険者が立っていた。

 

ㅤ銀髪の少女と、金髪の少女。

ㅤそのうち銀髪の娘はなぜか目に涙を浮かべ、酷く落ち込んだ様子でいる。

ㅤなんだかデジャブ……。

 

「うむ。クリスはカズマにぱんつを剥がれた上に有り金を毟られて、それで落ち込んでいるだけだ」

「あんたなんてこと口走ってんだ!ㅤ待てよ、おい待て。間違ってないけど、ほんと。……いやいや、バーゲストもめぐみんの手を離して、座ってくれ頼むから」

 

ㅤ弁解しようとするカズマを、俺とめぐみんは白い目で見つめる。

ㅤなにが違うって言うんだ。

 

ㅤ見損なったぞ、リーダー。

 

ㅤあまりにも必死に引き止めるもんだから、つい言われた通りに座ってしまったが……。

ㅤ少女から下着を剥いだ?ㅤ有り金を毟り取った?

 

「公の場でいきなりぱんつ脱がされたからって、いつまでもめそめそしてちゃいけないよね!ㅤよし、ダクネス。あたし、悪いけど臨時で稼ぎのいいダンジョン探索に参加してくるよ!ㅤ下着を人質にされて有り金失っちゃったしね!」

 

ㅤクリスという少女の証言に目眩がして、俺は思わず頭を抱えた。

 

ㅤ今の話が真実なのだとしたら、仮にも俺が参加しているパーティーのリーダーがだ、よもや下着泥棒を働いた上にゆすりにまで手を出すとは。

ㅤこのバーゲスト、一生の不覚だ……。

 

「おい、待てよ。なんかすでに、アクアたち以外の冒険者──特に女性冒険者達の目が厳しい物になってるからほんとに待って」

 

ㅤよしわかった。

ㅤこのパーティーに居続けるのは、めぐみんの道徳教育によくない。

 

ㅤそう判断し、俺が再び彼女の手を取り席を立とうとした瞬間、クリスがくすくすと笑いはじめた。

 

「このくらいの逆襲はさせてね。それじゃあ、ちょっと稼いでくるから適当に遊んでいてねダクネス!ㅤじゃ、いってみようかな!」

 

ㅤ最初の印象とは打って変わって、クリスは冒険仲間募集の掲示板へと、清々しい笑顔を浮かべて行ってしまった。

ㅤあー、つまり今までの話は彼女が大袈裟に言ってただけなのか、そうか。

 

ㅤ苦々しい顔をしているカズマに向き直り、俺は頭を深く下げる。

 

「先日から重ね重ね、非礼を詫びる。うちのリーダーはゲスなんじゃないかと疑ってすまなかった」

「いや……まあ、いいんだそれは。えっと、それよりもダクネスさんは行かないの?」

 

ㅤなんだか歯に物が挟まったような物言いで謝罪を流されてしまった……。

 

ㅤなるほど、カズマは心が広い。

ㅤ俺がした無礼を、すっかり水に流してくれるのか。

ㅤいや、しかしだな。

ㅤ昨日の今日だぞ、本当にそれでいいのか?

 

「……うむ。私は前衛職だからな。前衛職なんて、どこにでも有り余っている。だが、盗賊はダンジョン探索に必須な割に、地味だから成り手があまり多くない職業だ。私と違い、クリスの需要なら幾らでもある」

 

ㅤ我々のテーブルに同席した金髪の少女、ダクネスの話を聞きながら、俺は静かに思案を続ける。

 

ㅤちなみに、レンジャーも一部盗賊のスキルを習得することができる。

ㅤ他にも初級魔法や片手剣スキル、細々とした職人スキルがいくらか……。

 

「もうすぐ夕方なのに、クリスたちはこれからダンジョン探索に向かうのか?」

「ダンジョン探索は、できることなら朝一で突入するのが望ましいのです。なので、ああやって前の日にダンジョンに出発して、朝までダンジョン前でキャンプするのが定石なのですよ」

 

ㅤ臨時のパーティーが成立し、ギルドを出ていく面々をテーブルから見送り、カズマたちがそんな話をする。

 

「ダンジョン前には、そういった冒険者を相手にしている商売すら成り立っていますしね。……それで? カズマは、無事にスキルを覚えられたのですか?」

 

ㅤめぐみんの何気ないひと言で、俺は閃いた。

 

「そうだ、スキルだ。よしカズマ、今から君にスキルを教えよう!」




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