ゾンビアーミー モダン・ザ・ウォー (ダス・ライヒ)
しおりを挟む

俺はライトン・イェーガー!

読者の皆様が投稿してくださったキャラクターは次回からの登場となります。

簡単なキャラ紹介

ライトン・ブラウナー
ナチゾンビの惨劇で自分のことをヒーローだと思い込み始めた頭が痛い大男。
厨二病を拗らせているのに、戦闘力は馬鹿に高い。
外見のベースは進撃の巨人のライナー・ブラウン。

エルナ・ギルベルト
オーストリア出身で、長髪の金髪で碧眼、それに爆乳と言う179センチと長身な歩く18禁。お色気要員。
経験人数は六百人ほどであり、ネットではブリュンヒルトと名乗って良からぬ動画を投稿しているヤリマン。

クラウス・オットー・ハーマン大佐
煩いドイツ軍人。プロセイン軍人。シュトロハイムの如く煩い奴。


 ドイツ南東部のバイエルン州のある都市の廃墟にて、床にハーケンクロイツをチョークで描き、中央に奇妙な置物を配置し、不気味な儀式を始めようとする集団が居た。

 

「ほ、本当にこの方法であってるのか?」

 

「馬鹿野郎が。ユダ公の殺人集団が血相かいて取り戻そうとしてる物だぞ。成功するにきまってるだろうが」

 

 その集団はネオナチス。かつて二度目の世界大戦でドイツを超大国に発展させ、そして敗戦後の東西冷戦では二つに分断させたナチス政権の遺志を継ぐ反社会的勢力だ。

 東西に分断して本物の元ナチス党員らが参加していたが、今は高齢となって殆どが死に絶え、残っているのは名を騙るだけのチンピラの集まりだ。白人でスキンヘッドとナチス関連の刺青がネオナチスの証である。

 そんな集団が黒魔術の類に頼り、大ドイツ帝国の総統であるアドルフ・ヒトラーを蘇らせようとしている。

 

「これで、総統閣下(マイン・フューラー)が本当に復活するのか? なんだか変だぞ?」

 

「黙ってろい。ユダ公共が言ってたんだ、これで復活するとな」

 

「怪しいもんだ。何もなかったら、銃殺刑にしてやる」

 

 ただ聞きかじった程度で復活するなど、彼らは本当に思っているのだろうか?

 そんな心配の声を上げる仲間のことなど気にせず、大柄のスキンヘッドの男は、ユダヤ人の一団より置物と共に盗んだ書物を読みながら儀式の準備を進める。

 

「うっし。完成だ。後は、この変な呪文を読むだけだな」

 

 数分もすれば、あとは詠唱するだけになり、男は持っている書物を読みながら、記載されている詠唱分を声に出して読み上げ始める。

 全部言い終えたが、床に描かれた魔法陣は何の反応も示さない。

 

「どうなってんだ? 何も起きないぞ?」

 

「ほら、思った通りだ。これで仲間一人の犠牲が…っ!? なんだ!?」

 

 どうせ何も起こらない。

 そう高をくくっていた仲間であったが、部屋中に床に描いた同じハーケンクロイツの魔法陣が浮かび上がり、不気味に光り出した。

 摩訶不思議な超常現象に、ネオナチの男たちはついてこられず、右往左往するばかりだ。

 やがて床に描いた魔法陣より、大戦中のドイツ軍の軍服を着て、象徴であるヘルメットのシュタールヘルムを被った痛々しい傷を残した戦死者が召喚された。その右手には、鋭利な凶器が握られていた。

 ヒトラーが生き返らせる黒魔術なのに、ドイツ兵の死体が召喚されたので、ネオナチの男たちは死体に八つ当たりを始めようとする。

 

「フュ、総統閣下じゃねぇぞ!?」

 

「ちっ、なんで一兵卒の死体が! 死ぬ気で頑張っ、ばっ!?」

 

 自分らが敬愛するヒトラーが蘇ったのではなく、死体が召喚されたので、ネオナチの男たちは八つ当たりの蹴りをかまそうとしたが、その前に持っている鋭利な凶器、斧で頭頂部を振り下ろされて即死した。

 仲間の一人が殺されたことに茫然としていたネオナチたちであったが、惨殺された男が床に崩れるように音を立てて倒れれば、正気に戻り、この部屋から一目散に逃げ出そうとする。

 

「う、うわぁぁぁ!!」

 

 動かないと思っていた死体が動き、それが仲間を殺した。

 あり得ぬ光景だ。でも、それが現実に起こって、今自分を殺そうとしている。

 そう思ったネオナチたちは逃げようとするが、ドイツ兵の死体はあの一体だけでなく、一気に幾体も現れ、男たちに襲い掛かる。

 

「や、止めろ! 止めてぇ!!」

 

 一人、また一人と惨殺されていき、やがて最後の一人となった男は命乞いをするが、ドイツ兵の死体、名付けてナチゾンビは聞こえるはずがなく、ハンマーや割れた瓶、骨などの様々な凶器で惨殺された。

 ナチゾンビたちの殺人はそれに留まらない。今度は都市部に繰り出し、老若男女問わず街を行き交う市民たちに襲い掛かり、手に持っている凶器で次々と惨殺していく。ドイツ人のみならず、移民や外国の旅行者にと無差別だ。

 ナチゾンビの武器は雑多な凶器だけでなく、ルガーP08ピストルやワルサーP38ピストル、MP40サブマシンガンなどの銃火器を持っており、それらを乱射して逃げ惑う市民らを虐殺した。

 この異常な殺人集団に対し、警官隊も出動して対処に当たるが、次から次へとナチゾンビらは現世に現れ、数で警官隊を圧倒して殺していく。

 

 警官隊ですら敵わぬ相手なら、バイエルン州は州に駐屯しているドイツ陸軍の部隊と治安部隊を出動させた。

 先に様子見として治安部隊が市内に入り、ナチゾンビの制圧を試みようとしたが、時間が経ってナチゾンビは更に強力なMG42汎用機関銃を持つエリートゾンビや機関砲を抱えたガンナーゾンビ、狙撃用スコープを付けたG43自動小銃を持つスナイパーゾンビ、全身を鎧で身を固めた鎧ゾンビ、チェーンソーゾンビ、電動丸鋸ゾンビと言う強力な戦力が揃っており、MP5A5短機関銃やG36突撃銃しか装備していない治安部隊はなす術もなく全滅した。

 全滅の報告を聞いてか、州政府は続いてレオパルド2戦車を装備した陸軍の部隊の投入を決定する。だが、とんでもなく恐ろしい敵が待ち受けていたのだ。

 

「う、うろたえるなッ! ドイツ軍人はうろたえない!!」

 

 バイエルン州の命を受けて市内のナチゾンビの制圧に向かった陸軍の部隊の指揮官であるクラウス・オットー・ハーマン大佐は、前人未到な敵の攻撃にうろたえる部下たちにうろたえるなと必死に訴え掛けるが、その本人が一番うろたえている。

 市内制圧部隊の編成はレオパルド2A7戦車四両で編成された戦車小隊を主力に一個歩兵大隊、フクス装甲兵員輸送車で編成された一個装甲擲弾兵中隊、フェネック偵察車で編成された装甲偵察小隊と言う戦闘団(カンプグルッペ)である。

 これほどの戦力を投入したのにも関わらず、ナチゾンビの強力な戦力を前に苦戦を強いられている。既に一個歩兵中隊がやられ、今にも士気が崩れ去りそうだ。

 

「退くんじゃないッ! 相手はゾンビだぞ! 映画じゃないんだッ!! ドイツ軍人、否ッ! プロセイン軍人ならド(たま)を狙ってぶち抜いて行けッ! G36ライフルなら出来るだろォ!?」

 

 指揮車両型のフクスに乗るクラウスは無線機を使って指示を飛ばすが、実戦慣れしてない将兵が多いせいか、徐々に下がる一方だ。幸いにも崩壊はしていない。

 そんな醜態が空を旋回しているUH-1ヘリから見られていたのか、所属している師団本部より撤退命令を出されてしまう。

 

「戦闘団長殿! 師団本部より命令です! 内容は直ぐに撤退せよと!」

 

「なんだとッ!? これほどの戦力の戦闘団で退いた等と諸外国に知られたら、笑い物ではないかッ! 師団本部は何を考えておるッ!?」

 

「ですが、この状況では任務遂行は至難の業! それにその命令は陸軍司令部より都市の包囲命令を出されております! それに戦車らしき物を見たとの報告が…!」

 

「ぬぅ…! 撤収だ! 良いか、一人たりとも残すなよ!? 後で問題になるからなッ!!」

 

「はっ!」

 

 師団本部からの命令を無視して戦闘を継続しようとしたクラウスであったが、それが陸軍司令部からの指令だと分かれば、直ぐに従って配下の戦闘団に撤退命令を出す。

 ゾンビが戦車を持つという報告まで出ていたが、もし本当に居るなら対戦車用の装備と徹甲弾を持っていない自分らは負けるのが確実なので、クラウスは最悪の事態を考え、その命令に従ったのだ。

 この命令には戦闘団の将兵は喜び、先の崩壊寸前から一変、統制の取れた撤退行動を始める。クラウスはプロセイン軍人らしく最後の一兵が脱出するまでそこに居座り、全員の撤退が完了したのを見届ければ、自分も撤退を始めた。

 

「全部隊、撤退完了です!」

 

「よし、ずらかるぞ! ナチゾンビ共に群がって来るぞ! 急げ(シュネル)!」

 

 戦闘団の殿となったクラウスのフクスは、逃げるようにその場を離れた。

 

 

 

「銃声が減った!? まさか撤退したのか!?」

 

 いきなり都市に現れ、無数のナチゾンビによる殺戮劇を生き延びた生存者であるライトン・ブラウナーなる195センチの大柄で金髪の青年は、銃声が減って投入された軍の部隊が撤退したと直ぐに分かった。

 映画ではあるまいし、現実なら直ぐに制圧してくれると思っていたが、予想は大きく外れて軍は撤退してしまった。

 

「おいおい、笑いものじゃねぇか! ゾンビ相手に尻尾を巻いて逃げるだなんて! クソっ(シャイセ)…!」

 

 ライトンはゾンビ相手に逃げる自国軍を恨んだ。この男、元ドイツ連邦陸軍の軍人であるが、恐ろしく仕様もないことをしでかし、軍法会議に掛けられて除隊処分を受けた者である。

 頼りの軍が撤退した今、自分の力でやるしか無いと判断したライトンは、襲い掛かるナチゾンビらを護身用の角材で倒しつつ、近くで死んでいる治安部隊の隊員の惨たらしい死体を見る。

 

「治安部隊の死体! 銃さえあれば!」

 

 直ぐに持っている銃を確保するため、付近のナチゾンビを殴り倒しながら遺体に接近した。

 

「MP5! A5モデルか。使ったことは無いが、所詮はG3ライフルを9ミリパラベラム弾に変えただけだ。操作方法は同じはず!」

 

 治安部隊の隊員よりMP5A5短機関銃を回収したライトンは、軍時代に開発の際にモデルにされたG3ライフルの訓練を受けていたことを思い出し、操作方法は一緒と表してセレクターで安全装置を掛けてから持ち上げる。

 弾倉を抜いて残弾を確認し、予備弾倉を収めてあるポーチベストを取って自分に装着させ、親指でセレクターを操作して手にしている短機関銃の安全装置を解除した。

 

「少々軽いが、命中精度が高いには越したことは無い。それに単発での射撃に持って来いだ」

 

 MP5の原型となったG3ライフルほどの命中精度に惚れつつ、ライトンは付近のナチゾンビの頭部に構え、セレクターを単発に切り替えてから良く狙って発砲する。物の見事にナチゾンビの頭を撃ち抜き、ライトンに命中精度の高さを示した。

 

「最初はパニくってたが、対処法さえ分かれば、こっちのもんだぜ!」

 

 自分はやれる。

 ナチゾンビを仕留めて自信を付けたライトンは、周囲に迫るナチゾンビ全てに単発で頭を撃ち抜いて全滅させた。

 弾倉分を撃ち尽くせば、再装填を行っている途中に女性の悲鳴を聞き付け、ヒーローになった気分のライトンは再装填を急いで済ませて救出に向かう。

 

「待っていろ! ライトン・イェーガー様が助けに行くぜ!」

 

 ヒーローになった気分のライトンは、即席で付けたヒーロー名を名乗りつつ、女性の救出へと向かった。

 一方でナチゾンビに追い掛け回されている女性は、金髪碧眼の美女で179センチのやや高身長、長髪で、それにやや大き過ぎる胸が走る度に揺れている。

 服装はバイエルン州なのか、南部の民族衣装であるディアンドルであり、その豊満なバストを強調するために谷間のラインが大きく開いている。その衣装の所為か、性的差が更に際立っている。

 そんな彼女の容姿を見たライトンは下品な意味で興奮して勃起し、彼女を自分のヒロインにすべく、雄叫びを挙げながら彼女を追い回すナチゾンビの掃討を行う。

 

「うぉぉぉ!! 勃起ッ!!」

 

「えっ!? 何!? 何なの!?」

 

 いきなり雄叫びを挙げながら突っ込んでくる大男に驚き、思わず足を止めた。

 その彼女の名は、エルナ・ギルベルト。ここドイツ出身ではなくオートストリア出身。ライトンと同じくたまたまここに来ていて、惨劇に巻き込まれたのである。

 尚、彼女の経歴はいかがわしい差が半端なく、ここでどう表するか問題になるほど。ライトンがそれを知れば、どうなることやら。

 瞬く間にエルナを追っていたナチゾンビを全滅させたライトンは、直ぐに元兵士らしく残弾を確かめ、それから笑みを浮かべて彼女に接近して無事かどうかを問う。

 

「大丈夫ですか、お嬢さん(フロイライン)?」

 

「えっ? まっ、まぁ…」

 

「そうでしたか。それとここは危険だ。ナチゾンビがまた貴方を襲うかもしれない。安全な場所を探しましょう、こっちへ!」

 

「は、はい…!(なに、こいつ。ヒーローのつもり? 頭おかしいでしょ)」

 

 自分をヒーローだと思い込んでいるライトンに心の中で半ば呆れつつも、エルナはこの男についていけば助かると信じ、最善の方法を選んだ。つまりライトンのヒロインになってやると言うのだ。

 だが、そんなライトンもエルナのことを知っている。知ったのはネットであり、エルナ本人はライトンのことなど知らない。

 探している最中、ライトンは邪魔なナチゾンビを掃討してから、エルナに自分が知っている彼女であるかどうかを問う。

 

「あの、すみません。貴方、ブリュンヒルトちゃんですよね?」

 

「えっ? あ、あの…人違いじゃ…!」

 

「まぁ、こんな状況ですし。安全な場所についてからお話ししましょう」

 

 鼻息を荒くしながら問うてくるライトンに少々の気持ち悪さを感じつつも、エルナは生き延びるためにはついてくる他ないと判断して彼の背中に近付いた。

 ネットで使っている偽名と言うかハンドルネームをライトンが口にしたので、エルナはこれに驚いている。まさかこの男は私がその人物であると見抜いたのだと。

 

「(で、でも…なんかちょろそうだし。後で身体使えば従順になるっしょ)」

 

 生き延びるためには、この自分をヒーローだと思い込んでいる男を、身体を使ってでも利用してやろうと思い、エルナは彼の後をついていった。




必ず登場させるので…!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺の出番なくね?

募集キャラ登場回です。

妄想のKiokuさん。

影騎士さん。

黑鷹商業組合さん。

オリーブドライブさん。

キャラクターの提供、ありがとうございます!


 ドイツのバイエルン州のある都市にてナチゾンビたちが蘇り、大殺戮を繰り広げる中、数少ない生存者であるライトン・ブラウナーは、同じ生存者であるエルナ・ギルベルトを救出した。

 だが、生き残っているのは彼らだけではない。他の生存者たちもナチゾンビを相手に奮闘していた!

 

「とぁーっ!!」

 

 古めかしい両手剣、ツヴァイハンダーを振るってナチゾンビを始末する男の名はカール・フォン・ルーデンドルフ。

 祖先は地主貴族(ユンカー)であるが、東西統一後に政府が領地を返さなかったので、今もバイエルン州の農園で作物を育てている。

 ライトンとエルナ同様、この都市に休みに訪れたところ、ナチゾンビ騒動に巻き込まれたのだ。

 

「ぬぁーっ! 死ねぇやぁぁぁ!!」

 

 雄叫びを上げ、チェーンソーを振るってエリートゾンビの背後から切り掛かり、その巨体を切り裂く東洋人の名は久良島英輔(くらしま・えいすけ)

 フリーのジャーナリストであるが、かなりの怪力を誇っており、近くの民家より拝借したチェーンソーで、こうしてエリートゾンビを切り裂いている。ドイツ語は一応喋れる。

 なぜ逃げずに戦うかは、生きて祖国である日本へ帰り、この惨劇を伝えるためである。

 

「フン! フン!! このナチ公共が!」

 

 この細身で重装備、義足な女性はウクライナ系アメリカ人の女性はオルガ・レウナス。

 世界グルメ旅行最中の飛行機の乗り換えで、ここへはたまたまやって来たのだが、ナチゾンビ騒動に巻き込まれてしまう。

 それを邪魔したナチゾンビを倒すべく、義足に仕込んだパイルバンカーで、ナチゾンビの頭部を粉砕した。更に両手に持った二丁のS&WのM10リボルバー拳銃で、周囲のナチゾンビを一掃する。

 羞恥心が欠けており、破れた服を異性に見られても気にしない大食い娘である。ただし、襲われれば反撃する。職業は特務警察。背中に背負っている二丁のアサルトライフルは、拾ったG3ライフルである。

 

「ナチ公が! なんで地獄から出てきやがったんだ!?」

 

 珍しい東ドイツ製RPK軽機関銃であるヴィーガーK500を乱射し、ナチゾンビの頭にエントリー・ツールも兼ねたバー付きタクティカルトマホークを叩き付けた老人の名はヴォルフガング・ベッカー。

 今の職業は養蜂家であるが、東ドイツ時代に人民警察第9中隊に属し、泣く子も黙るシュタージで汚れ仕事を請け負っていた凄腕の老人である。統一後に嫌気がさし、今の養蜂家に転職した。

 背中には老人らしからぬKS-23ドロースト散弾銃と使い捨ての対戦車火器であるRPG-22が背負われ、腰のホルスターには特殊部隊用のPSMピストルが収まっている。

 尚、自宅には多数の火器を所有している。警察にでも知られたら、即時逮捕であろう。

 

「そんなの、私が知るわけないでしょ!」

 

 数体のナチゾンビを撃ち殺し、動くたびに大き過ぎる胸を揺らしてタンクトップで破れまくっている迷彩ズボンを履き、長い金髪をポニーテールに纏めた女性の名は、ジークリンデ・ケーニッヒ。

 先にナチゾンビを制圧するために投入された治安部隊の隊員であるが、所属部隊は壊滅した。生き残りも何人かいたようだが、恐れをなして後続の連邦軍と合流して共に撤退してしまう。

 彼女も撤退できたようだが、気高さを捨てない鉄の女であり、一人残ってナチゾンビと戦っていた。使用しているのは、G36アサルトライフルである。腰にはP8と言う名で、ドイツ連邦陸軍で採用されているUSP自動拳銃が収まっている。階級は中尉。

 

「クソっ、調子に乗って撃ち過ぎたわい! 全く、こいつ等は何処から湧いてくるんじゃ!?」

 

 弾切れとなった軽機関銃を鎧ゾンビに投げ付け、一気に接近して短いソ連製散弾銃を至近距離で撃って倒したベッカーは、このナチゾンビの大群は何処から出て来るのかと叫びながら戦う。

 

「んなもん、わしは知らんで! どっかに、穴とかあるんじゃちゃいまっか!?」

 

 鎧の隙間に刀身を突き刺し、鎧ゾンビを仕留めたカールは、何処かに湧いて出て来る穴があると言うが、そんな物は無い。

 

「じゃあ、どうするってのよ!? このまま食われる!」

 

「そんなのは御免だ!」

 

 リボルバーを仕舞い、アーミーナイフでナチゾンビの頭を突き刺し、更にG3アサルトライフルで飛び回るスナイパーゾンビを仕留めたオルガは、食われるのかと問う。

 これに英輔はチェーンソーで数体を切り裂いてから反論してから紐を引き、エンジンを吹かして更にナチゾンビを切り裂き続ける。

 

「くっ、もっと装備があれば…!」

 

 数に圧されつつある状況に、ジークリンデはもっと装備があれば切り抜けられると思い、手榴弾を投げて数体纏めてナチゾンビを仕留めた。

 

 

 

「ふむ、あの四名。自衛隊より劣る軍よりはマシだな」

 

 四人の生存者たちがそれぞれの武器を使ってナチゾンビの大群と死闘を繰り広げる中、その様子を電動丸鋸ゾンビとガンナーゾンビを仕留めたイスラエル人の男が眺めていた。

 男の右手には、IMIタボールAR21が握られている。それでナチゾンビを倒したのだ。

 

「仲間にするの?」

 

「無論だ。あれほどの戦力、放っておくわけにはいかん」

 

 ミニミ軽機関銃を持って周囲を警戒する同僚のイスラエル人女性に助けるのかと問われれば、男は助けると答えて現場へと急行した。

 この二人はイスラエルの諜報機関のモサドの工作員であり、オカルト関連を担当する部署に属している。惨劇の原因であるネオナチスに、同僚が殺されたことを知って他の部署の者たちと共に急行したが、時すでに遅く、既にナチゾンビが召喚された後であった。

 奮戦するモサドであったが、数が多すぎて半数以上の工作員が死亡した。生き残った者たちは撤退したが、二人は惨劇を終わらせるために敢えて残ったのだ。

 ドイツ軍よりも頼りになる生存者を見付けた二人は、直ちに現場へと急行する。

 

 

 

「はぁ、ここなら安全ですね」

 

「えぇ。これほど頑丈な扉なら、対物火器でも使われない限り大丈夫です」

 

 安全な場所へと非難したライトンとエルナは一安心する。

 何処の誰の物であるかは知らないが、今の二人にとっては外のナチゾンビ等から守ってくれる要塞だ。おまけにシャワー室まで備えてあった。

 

「それでなんですが、ブリュンヒルトって貴方ですか?」

 

「えーと、は、はい…」

 

「しゃあっ!」

 

 ここへ来る際に聞いてきたことをライトンが再び問えば、エルナはもう隠せないと思って自分がネットでブリュンヒルトと名乗っていたことを認めた。

 自分の読みが当たったことにライトンが喜ぶ中、彼は更にファンであったことを告白する。

 

「自分、ファンだったんですよ! まさかこんな事態で偶然にも会えるだなんて! 神の存在を思わず信じちゃいましたよ! いつも貴方の作品を鑑賞させてもらってます!」

 

「そ、そうですか…それは良かったです。(あんたのことなんて、こっちは知ったこっちゃないんだよ! それに私が同人AVの女王とか知ってるとか、気持ち悪いな、こいつ)」

 

 自分の手を取ってファンだと告白するライトンに、エルナは苦笑いして満面な笑みでこちらを見る彼を心の中で蔑む。

 

「あぁ、シャワーを浴びたいならあちらに! いや、これ本当に驚きですよ!」

 

「えっ、えぇ。もう汗だくでシャワー浴びたかったし。(まぁ、あのゾンビ集団に輪姦されるのを妄想しちゃった私も気持ち悪いんだけどね。しかし、こいつが私の騎士(リッター)かぁ。もう少し細身が良かったな)」

 

「では、確認しに向かいます。使えたら直ぐに報告するので!」

 

 手を離した後、ライトンはシャワーがあると言えば、マゾヒズムであるエルナは先のナチゾンビ集団のことを妄想しつつ、浴びたいと言った。それど同時に、ライトンが大柄であることに落胆する。

 先にライトンが、シャワーが使えるかどうかを確認しに向かう。数秒後、彼は嬉しそうにエルナの元へ戻って来て、お湯が出るから使えるとエルナに告げる。

 

「使えましたよ! しかもお湯も出ます! さぁ、先に浴びてください! 自分は、この銃の整備をして待っていますので!」

 

 自分は銃の整備に入るから、先に浴びてよいと言うライトンに対し、エルナは完全に支配下に置くチャンスだと思い、その場でディアンドルを脱ぎ始めた。

 

「えっ!? まだセックスには早いっすよ!」

 

「ちょっと、そんなこと考えてたの!? でも、時間を節約しなくっちゃダメなんでしょ? なら、一緒に入ろう?」

 

 急にライトンが予想だにしないことを言ってきたので、ツッコミを入れつつ彼を数多の男たちと同様に使ってきた手で誘えば、彼は憧れの女性と共に浴室に入れると思って簡単に承諾した。

 

「マジっすか…!? 入ります! 絶対に入ります!」

 

「じゃあ、いこ?(ちょ、ちょろいんですけどこいつ! 過去になんか騙されてんじゃないの、こいつ?)」

 

 余りのライトンの警戒心の無さに、エルナは少し呆れる。もっとも、憧れの女性を前にして、その誘いはライトンにとっては願ってもないことであるが。

 こうして、二人は共に裸のままシャワー室へと入り、そこで身体を重ねた。

 

 

 

「おっ? なんじゃあいつら?」

 

 自爆ゾンビの強襲の迎撃に生存者四名が追われている頃、迫るイスラエル人の男女にベッカーは気付いた。

 未だにツヴァイハンダーで戦っているカールは、猫の手を借りたいと思って二人を歓迎するように提案する。

 

「生きてる人間なら良い! 俺らの仲間に加えるんや!」

 

「そうね! 是非とも戦線に加えて!」

 

「自分も同じく!」

 

 カールに続き、ライフルの再装填をしているジークリンデは、その二名を自分らの仲間に加えるように告げる。英輔も同様に賛同していた。

 これに応じ、やって来た二名と合流すれば、戦いながら何者かと問う。

 

「あんたら何者? 私オルガ・レウナス!」

 

 オルガはG3ライフルで自爆ゾンビの足を撃って転倒させ、爆発させた後に自己紹介を行う。だが、イスラエル人二名はモサドの工作員。簡単に本名を明かしたりはしない。

 

「シムハだ」

 

「私はナオミ」

 

 偽名を名乗った後、シムハはナオミのミニミの掃射で転倒させた火炎放射ゾンビが背負っている燃料タンクを、手にしているタボールで狙って撃ち込んで爆発させる。

 救援の為に駆け付けた二人は、脱出するように四人に告げる。

 

「ここに留まっては、いずれ奴らに八つ裂きにされる。急いで脱出した方が良い」

 

「そんな物は分かっておる! 何処に行けばいいんじゃ!?」

 

「案内する。ついてこい!」

 

 ベッカーからの問いにシムハはタボールを再装填せず、ジュリコ941と呼ばれるデザートイーグルに似た9ミリパラベラム弾を使用する自動拳銃に切り替え、邪魔なナチゾンビを排除してから自分についてくるように指示を出す。

 殿はミニミ軽機関銃を持つナオミが担当し、一同を安全な場所まで移動させた。

 

 

 

「なんで俺たちのところに来るんだ…?」

 

 シムハとナオミに救出された四名が向かった安全な場所は、ライトンとエルナが避難している頑丈な扉があるビルの一室であった。

 シャワーを浴びて行為をしている最中にやって来た六人と言うか、一人の生存者を追加した七人の生存者たちに向け、ライトンは何でここに来るのかと問う。

 

「仕方ないじゃない。ここしか無かったし」

 

「まぁ、俺もあんた等の立場ならそうするが…」

 

「そう言うことだ。ここで銃の整備を行い、脱出する手を考えよう」

 

 新たに六人が救出した黒人女性が七人を代表して言えば、ライトンも彼女の考えに納得する。ちなみに彼女の名はリビー。ここには旅行で来ていたが、ナチゾンビの虐殺劇に巻き込まれたようだ。

 シムハは銃の整備と脱出手段を考えようと言えば、先客の二名を除いて同意し、部屋に入って銃の整備を始める。

 自分らを無視して向かっていく七人の生存者たちを見たライトンは、心の中で無礼なことを呟く。

 

「(あいつら強過ぎね? つか、俺の出番なくね?)」




主人公は大麻をやっていません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦車じゃねぇか…!

物凄いキャラが募集終了後に投稿されましてな。

特別に最後の方で出しますわ。


 七人の生存者たちを迎えたライトンとエルナであったが、当のヒーロー気取りの彼は、この新たな七人に否定的であった。

 理由は簡単。みんな凄くて、自分の出番が無さそうだからだ。

 最初に英輔を見たライトンは、自分を超えることは無いと思う。なんたって武器がチェーンソーで、銃を扱ったこともない日本人だからである。

 尚、彼らが脱出の手段とそれに必要な装備や弾薬を何処で調達するか話し合っている最中に見ている。

 

「(このフリージャーナリストは大丈夫だ。なんたって日本人だからな。銃に関しては、こっちが上だ。おまけに武器がチェーンソーだからな。問題は…)」

 

 次にオルガを見て、少々自分の立場を危うくすると判断する。

 

「(このウクライナ系のアメリカ人の女は危ないな。G3ライフルを二丁も持ち、おまけにリボルバーも二丁だ。しかも義足にパイルバンカーと来てる。何処の映画から出て来たんだ?)」

 

 義足のパイルバンカーのことを気にしつつ、ベッカーに視線を向ける。

 

「(この東の爺さんは、元特殊部隊出だろう。NVAやシュタージと言うところってことか。素振りを見りゃあ分かる。危険だな。おまけに自宅に旧東ドイツや旧ソ連の武器を保管してるだって? バイエルン警察は何やってんだ? 後で通報しておくか)」

 

 元人民警察の第9中隊と言うことは見抜けなかったが、その手の類の出身であるとライトンは見抜いた。

 それと自宅に自衛と表して旧ソ連や東ドイツの武器を保管していると聞くや否や、バイエルン州の警察は何をやっていたとクレームを入れる。直ぐに脅威認定した。

 カールの方へ視線を向けたが、武器がツヴァイハンダーであるために自分で勝手に作ったリストから外す。

 

「(ユンカーで飲んだくれのバイエルン野郎は、外して構わねぇだろう。ニーダーザクセン州生まれの俺から言わせれば、南部のバイエルンなんぞ甘ちゃんだぜ)」

 

 ユンカーで使用武器、そして出身地で自分の方が上だとライトンは勝手に思う。お前はそれでもヒーローか?

 

「(この治安部隊の生き残りの女は、身体以外は脅威じゃねぇな。中尉だって? ぜってぇ身体で使ってるだろ。つか、隠れてAVとか出てそうだな)」

 

 ジークリンデの身体を舐めるように眺めつつ、ライトンは心の中で無礼なことを思いながら、自分の立場を脅かすものでは無いと判断する。

 生存者四名を勝手に見定めたライトンは、リビーは拳銃以外撃てないと判断して、自分の中で一番の脅威であるシムハとナオミを見た。

 

「(問題はこの二人だ。こいつ等、モサドだな、絶対にそうだ。こいつ等はあの四名を超える化け物だ。おそらく街中のナチゾンビを全滅させるだろう。俺とエルナちゃんのナチゾンビ退治の劇の邪魔はさせねぇぞ)」

 

 もうこの男、駄目かもしれない。

 ライトンは一番頼りになるシムハとナオミを、自分がヒーローの立場を維持するために排除する気でいるのだ。なんと身勝手な男だろうか。

 無論、ライトンの態度で他の者たちは気付いている。ある者は、ライトンが大麻を常習しているのではないかと疑っていた。

 

「では、ベッカーの自宅に行き、そこで装備を調達する。途中、治安部隊の隊員や兵士の遺体を見付ければ、装備を出来る限り回収しろ。彼らには必要もない物だ」

 

 もう話し合いは終わりなのか、シムハは途中で治安部隊の隊員や軍の将兵の遺体を見付ければ、装備を回収しておくように告げれば、エルナを除く一同は同意した。

 

「(私、銃使えないんですけど!)」

 

「まぁ、MP5じゃ役不足だからな。そろそろ、G36かHK416くらいでも調達しねぇと」

 

「そうだな。では、五分後に出発だ。荷造りをしておけ」

 

 シムハが代表して言えば、一同は荷造りを始めた。ちなみに、銃の整備は終わっている。

 

 

 

 生存者たち九名がベッカーの自宅に向かおうとする中、都市ではティーガー戦闘ヘリ二機による掃討戦が行われていた。

 上空からの攻撃に、ナチゾンビ等は成す術もなく一方的に機関砲やミサイルによって薙ぎ倒されていく。

 

「ブワッハッハッ! 良いぞやれェい!! 最強の重戦車の名を継ぐ戦闘ヘリよォ!!」

 

 UH-1に乗るクラウスは、上空から一方的に攻撃を浴びせる二機のティーガーヘリを見て、自分らが圧倒的に有利になったと判断して調子に乗る。

 

「何っ!? 戦車が居るだと!?」

 

「なんだァ!? どうしたァ!?」

 

「戦闘団長殿、戦車であります! 機種はⅢ号戦車! 砲塔の隙間から肉らしき物が見えているそうで!」

 

「せ、戦車だとォ!? うわぁぁぁとッ!」

 

 だが、ここに来て報告にあった戦車の存在が知らされる。この報告を聞いたクラウスは、ヘリから落ちそうになる。それに機関砲を搭載した装甲車の存在も知らせる。

 

「機関砲を搭載した装甲車もあるそうです! あっ! あちらに!」

 

「装甲車もだとォ!? うぉ!? 本当だァ! Sd.Kfz.251の上に、20ミリ機関砲が載っているぞォ!!」

 

 部下の知らせで、その指差した方向を双眼鏡で見れば、残骸と化したはずのSd.Kfz.251が無理に二十ミリ機関砲を搭載し、周囲を走行していた。後部のハッチからはナチゾンビが吐き出されている。

 噂のゾンビ戦車の存在も確認できた。報告通り、残骸と化したⅢ号戦車が走行していた。砲塔は浮かんでおり、そこから肉が見えている。これらの要因が、治安部隊全滅の原因だ。

 しかし、航空機の脅威たる対空砲を持っていないので、それを見たクラウスはまた調子に乗り、ティーガー戦闘ヘリにそれらの撃破を命じる。

 

「ブハハハ! 馬鹿かあいつ等! やっぱりゾンビだなァ!! 対空砲の一門も持っていやがらねぇぜッ! ティーガー戦闘ヘリ隊、蹂躙してしまえ! 対戦車ミサイル発射だァ!!」

 

 この喧しい指揮官の指示通り、ティーガー戦闘ヘリ部隊は使わず仕舞いのはずだった対戦車ミサイルを、ゾンビ戦車やゾンビ装甲車に向けて発射。現代主力戦車ですら一瞬にしてスクラップにするミサイルを受けた双方のゾンビ戦闘車両は、一撃で元の残骸へと戻る。それはクラウスにとって、爽快であった。

 

「スカッとするぜェーッ! 敵戦車を吹っ飛ばすなんてよッ!! さぁ、掃討を再開…」

 

 爽快感に乗り、引き続き上空からナチゾンビの掃討を行おうとしたクラウスであったが、ここで予期せぬ事態が発生する。ゾンビ対空戦車が現れたのだ。

 

『こちらヴィットマン(アイン)! 対空砲があるだなんて聞いてないぞ! これ以上は旋回できん! 退避する!』

 

『ヴィットマン(ツヴァイ)も退避する!』

 

「た、対空機関砲だ! 奴ら、投入してきやがった!!」

 

「なにィーッ!? 対空機関砲だとォ!? 2 cm Flakvierling 38だァーッ!!」

 

 戦闘ヘリが対空砲を浴び、怯んで逃げたので、搭載されているMG3機関銃を持っている機銃手は、四連装対空機関砲である2 cm Flakvierling 38を載せたⅣ号戦車の残骸を見て叫ぶ。

 四門の二十ミリ対空機関砲は、早い戦闘機には全く意味が無いが、空中に留まって地上を支援する戦闘ヘリには脅威である。それを知っているクラウスは大いに叫び、直ぐにこの場から退避するようにまた叫んだ。

 

「退避だ! UH-1なんぞ一瞬でハチの巣だぞォ! 早くせんかァ!!」

 

「言われなくても!」

 

 ヘリの機長に退避するように叫べば、機長は言われなくともクラウスの言う通りにこの場から退避した。

 基地へと撤退の最中、まだ戦っているライトン等の情報を聞かされる。

 

「戦闘団長殿、信じられぬかもしれませんが、未だに戦っている生存者がいるようで…」

 

「生存者だとッ!? みんな死んだと思っていたが…! おっ、良いことを思い付いたぞォ!」

 

 副官よりライトン達の情報を聞かされたクラウスは、あろうことか、彼らにゾンビ対空戦車を排除させようと思い付いたのだ。

 

「空軍に連絡だ! 至急、多数のパンツァーファウストⅢを広場に投下するのだ! その生存者らに対空戦車を撃破させ、制空権を確保させるッ!」

 

「し、しかし…民間人ですぞ! 対戦車訓練など受けていない彼らに、出来るでしょうか…?」

 

「フン、未だに抵抗を続けていると言うことは、退役軍人か除隊した軍人だ。それに我が軍の全歩兵科には、対戦車訓練を施しておる。否が応でも、やってもらわねば困る!」

 

 副官は反対するが、クラウスはライトン等を退役軍人や除隊軍人だと決め付け、対戦車榴弾火器であるパンツァーファウストⅢを使えると言って聞かない。何故なら、連邦陸軍の歩兵全科は、対戦車訓練を受けていると言う理由だからだ。

 確かに間違っていないが、果たして、ライトン等はクラウスの意図を読めるだろうか。

 

 

 

「東側の武器は、訓練を受けたことが無いから使いたくないな…」

 

 一方で道中のナチゾンビ等を倒しながら、ベッカーの自宅までたどり着いたライトン一行は、彼の自宅に保管されている東側の装備類で補給を受けていた。

 だが、ライトンは東側の武器での訓練を受けていないので、道中で拾ったG36ライフルを使用し続ける。なんたって予備弾倉やクリーニングキットは治安部隊の隊員や軍の将兵からの遺体から回収できる。ついでにP8自動拳銃も回収した。

 

「中々揃えた物だな。よく警察に踏み込まれなかったな」

 

「なぁに、善良な市民を演じてれば、気付かんよ」

 

「汚い爺さんね、あんた。本当なら通報して逮捕してるところよ」

 

 シムハはベッカーの揃えた年代物の代物を見て、警察にばれなかったと感心する中、元特殊部隊員である老人は下種な笑みを浮かべながら騙していれば免れていたと答える。

 これに治安部隊の隊員であるジークリンデは汚い爺とベッカーを蔑み、本当なら逮捕している所だが、状況が状況なので、今は見逃して置いておく。

 

「それにしても、こないなもん。良く今日まで持たせたのぅ。壊れたり、故障したりすんとちゃうんか?」

 

「馬鹿言え! ちゃんと整備しておるわ! 新品同然に磨き上げておる! パーツなんぞ、ブラックマーケットでゴロゴロしておるわ!」

 

「銃なんて撃ったこともないな…」

 

「私は拳銃くらいよ」

 

 カールが心配そうに、東ドイツのAK-47であるMPi-K突撃銃を抱えながら、安全に稼働するのかと問えば、ベッカーはちゃんと整備していると怒鳴り散らす。

 英輔も東ドイツ製のAK-74突撃銃を抱えながら、初めて銃を撃つことに抵抗感を覚えつつも、ソ連製のAKM突撃銃を持つリビーは、拳銃しか撃ったことが無いとぼやく。オルガはスチェッキンAPS自動拳銃を取り、気に入ったように構えたり眺めている。

 ライトンを除く各々が東側の銃火器を手に取って眺める中、一人銃を使えないエルナは、右往左往していた。

 

「(この中で私、役立たず…!?)」

 

 銃が使えない英輔も銃を取っているので、エルナはこの中で役立たずだと思い始める。

 そんな彼女にライトンは自分の使っていたMP5A5を進める。軽いし、扱い易いからだが、エルナは民間人で銃なんて取ったことは無い。コスプレイヤーでは取っていたが、それはエアガンである。

 

「あぁ、エルナさん。これ使ってください。こいつ、反動も軽くて本体も軽いですから…」

 

「私、銃なんて一度も使ったこと無いんですけど!」

 

「えっ? アメリカとか、そういう所に行ってるんじゃ…?」

 

「だ・か・ら! 使ったことないって言ってんの!!」

 

 銃を使ったこともないのに、銃を使わせるなと言うエルナに、ライトンは困惑する。その様子を、一同は冷たい目で見ていた。

 

「あいつ等、この状況理解してんの?」

 

「これだから平和ボケは」

 

 オルガが代表して言えば、ナオミは呆れ果てた。

 そんな時に、ライトンは広場に落下傘で落ちていく複数のコンテナを確認する。それと同時に、ドイツ連邦軍で集合場所を知らせる緑の煙を確認する。

 

「おっ!? あれは、集結命令を知らせる緑の煙! 広場から焚かれている!? なんだ、生き残りが居るのか!?」

 

「善は急げだ。行くぞ!」

 

 集合場所を知らせる煙を、付近の広場で確認したとライトンが言えば、シムハは急行すると言ってベッカーの自宅を飛び出した。

 

 

 

 緑の発煙弾が炊かれ、コンテナが投下された広場に一同はナチゾンビを血祭りに上げながら急行する中、PK軽機関銃を手にしたカールは、乱射しながら大いに喜ぶ。

 

「文明の利器ってすげぇぇぇ!!」

 

「乱射してないで行くぞ!」

 

 カールが機関銃を乱射する中、英輔は東ドイツ製のAK-47を撃ちながら頭を叩いて正気に戻す。

 

「いい精度だ! 流石はドイツ版SR-25!」

 

 ライトンは陸軍の歩兵部隊より拝借したHK417狙撃銃で、スナイパーゾンビを狙撃して撃ち落とす。

 ジークリンデは東側装備を持たなかったものの、同じライトンと同じ狙撃銃で狙撃し、フレイムゾンビやフライデーモンを倒していく。

 オルガやベッカーも、新たに補給した突撃銃でナチゾンビを掃討しつつあった。リビーも劣らずに初めて扱う東側の突撃銃を撃ち、ナチゾンビを倒している。シムハとナオミは言わずもかな、敵なしの状態であった。

 

「キャーッ! 来ないで!」

 

 エルナは銃を持っているにも関わらず、戦わずにその爆乳を揺らしているだけであった。だが、彼女には強い味方がいる。ライトンである。直ぐにエルナのピンチに駆け付け、周囲のナチゾンビを一掃した。

 その奮戦する一同に、ゾンビ装甲車が姿を現す。

 

「っ!? 装甲車(APC)!」

 

「こいつの出番じゃな!」

 

 オルガがゾンビ装甲車を見て叫べば、ベッカーは背中の使うことが無さそうだと思っていた使い捨ての対戦車火器であるRPG-22を取り、安全装置を解除してから照準器を覗いて発射する。

 古い対戦車火器であり、西側の同じ使い捨て対戦車火器のM72と同じであるが、威力は古い戦車なら一撃で撃破できる。それを戦車でもない装甲車に向けて発射すれば、一撃でゾンビ装甲車を撃破した。

 

「脅威は去ったな。さて、生き残りが居るかどうか行こう」

 

 ゾンビ装甲車が黒煙を上げながら潰れて行けば、シムハは広場へと先行して急行した。

 

「生き残りは居ない!? あるのは落下傘で落ちてきたコンテナだけか…!」

 

 広場へと急行した一同であったが、そこには軍の兵士は一人たりとも居らず、ただ投下された救援物資と、やや大き過ぎるコンテナだけであった。

 先に救援物資から食料と医療品等を回収する中、ライトンは同封されていたドイツ連邦陸軍の指令書を手に取る。その内容に目を通せば、驚いた表情を見せる。

 

「おいおい、俺たちは民間人だぞ! ホワイトベース隊じゃねぇ!」

 

 ライトンの叫びに一同はそこに集まり、シムハが指令書を取って内容を確認する。

 

「我々に対戦車戦闘をしろと言うのか。あのデカいコンテナは、おそらく対戦車火器が大量に入っているのだろう」

 

「クソっ、ナチゾンビ共に戦車がいるって事じゃなぇか…! 対戦車戦闘の訓練はしているが、まさか実戦でやることになるとはな…!」

 

 シムハはあの大きめのコンテナは、対戦車火器を収めていると睨めば、ライトンは実戦で対戦車戦闘をする羽目になると思って緊張する。

 軍に居た頃には対戦車戦闘の訓練を受けていたが、実戦での経験は無い。それどころかこの惨状が初の実戦である。だが、今の自分はヒーローだ。敵の戦車如き、倒せるはずだと思い、俄然やる気になる。

 

「だが、今の俺はライトン・イェーガー様だ…! 戦車だろうが、ヒットラーであろうがやっつけてやるぜ!!」

 

 このライトンの決意の言葉に、聞いていた一同は凍り付いた。




R18禁版も投稿しようかな…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヒットラーじゃねぇか…!

ゾンビティーガーは、本作オリジナルです。


 クラウスからの選別に、対戦車戦闘を行うことを強制されたライトン一行は、コンテナに入ってある大量のパンツァーファウストⅢ対戦車火器を手に取り、持てない分はリアカーに載せ、ゾンビ対空戦車の撃破に向かう。

 指令書には、ゾンビ対空戦車を全て撃破して制空権を確保すれば、ヘリによる脱出を約束すると記載されていたのだ。

 一同はこの約束を信じ、ゾンビ対空戦車の撃破に向かう。

 道中、ナチゾンビがその行く手を阻んできたが、現代兵装で身を固めた一同の反撃で薙ぎ倒されるばかりで、ゾンビ対空戦車まで接近される。

 

「ゾンビが対空兵装を、持つんじゃねぇ!!」

 

 ゾンビ対空戦車に向け、ライトンはパンツァーファウストⅢを発射する。有効射程距離まで接近する間に安全装置を解除し、照準器を覗いて発射したのだ。

 その威力はRPG-22の比較には及ばず、一撃でゾンビ対空戦車を葬る。ついでに周囲のナチゾンビも爆風に飲み込まれて肉片と化した。

 

「パンツァーファウストの名は伊達じゃねぇぜ!」

 

 一両目のゾンビ対空戦車を撃破した一同は、次の区画に居るゾンビ対空戦車の掃討に移った。

 エリートゾンビやガンナーゾンビ、火炎放射ゾンビ、チェーンソーゾンビ、丸鋸ゾンビと並みいる強敵たちが、ライトン一行の行く手を遮るが、機関銃などの連発式の武器を持つ一行の敵ではない。そればかりかパンツァーファウストⅢを持っているので、一発撃ち込むだけで一瞬にして肉片と化す。

 ゾンビ装甲車やゾンビ戦車も妨害に向かったが、パンツァーファウストⅢの前では単なる移動式射撃目標でしか無かったようだ。

 掃討戦を続けている間に、ゾンビ対空戦車は残り一両となる。

 

「余裕だぜ! これなら小一時間後には街を脱出できるな!」

 

 使えなくなったパンツァーファウストⅢの弾頭部分をナチゾンビに投げ付け、更には這いずりながら近づくナチゾンビの頭を踏み潰して言えば、ライトンは慢心する。

 最後の一両を仕留めようと接近した瞬間、ライトンの慢心を打ち破る思わぬ伏兵が現れた。

 

「まさか…ゾンビティーガーだとっ!?」

 

 最後のゾンビ対空戦車を守る壁は、ゾンビのティーガー重戦車であった。

 

「ティーガーまでゾンビになるのか!?」

 

 ベッカーはティーガー重戦車までゾンビになったことに驚く中、一同は伝説の戦車のゾンビを前にして止まる。

 だが、こちらには最強の対戦車火器であるパンツァーファウストⅢがある。それがあると分かっているライトンは、パンツァーファウストⅢを担いでゾンビティーガーの撃破に向かう。

 

「だからなんたってんだ! 俺はライトン・イェーガーだぞ!? ティーガー如きがなんだ! もう過去の遺物だぜ!!」

 

「おい、待て!」

 

「ちっ、援護しろ!」

 

 単独で重戦車に突っ込むライトンに、英輔は止めるが、大男は止まらずに重火器を持ったゾンビの前に飛び出す。直ぐにシムハ等は援護射撃を行う。

 カール、英輔、オルガ、ベッカー、リビーは各々が持つ銃で援護射撃を始める。ジークリンデはHK417狙撃銃を構え、重火器を持つナチゾンビの始末に回る。ナオミはミニミ軽機関銃の二脚をエルナに持たせ、後方から来るナチゾンビの対処に回っていた。

 銃を持ったナチゾンビが優先的に始末されていく中、ライトンはパンツァーファウストⅢをゾンビティーガーに構えたが、既にティーガーは主砲の88ミリ戦車砲の照準を済ませている頃だった。

 

「まずい!」

 

 撃つ前に気付いたライトンは即座に撃つのを止め、近くの遮蔽物に飛び込んで88ミリ戦車砲の砲撃を交わした。破片が飛んでくるが、ライトンは気にせずに強力な使い捨ての対戦車ロケットランチャーを発射する。

 やはり大戦中は最強だった重戦車とは言え、現代兵器のパンツァーファウストⅢは流石に効いたようだ。だが、致命傷ではなく、まだ砲塔は動いている。流石はティーガーと言ったところだろう。

 

「クソっ、流石はティーガーだな!」

 

 使えない筒部分で近付いてきたナチゾンビを撲殺しつつ、ライトンはティーガーを仕留めるために、パンツァーファウストⅢを満載したリアカーまで走る。

 ベッカーは弾切れのヴィーガーK500軽機関銃からKS-23散弾銃に切り替え、背後から迫るナチゾンビをバラバラにする。英輔は再びチェーンソーを持ち、チェーンソーゾンビとの斬り合いを始めた。オルガは義足のパイルバンカーで、デカい鎧ゾンビであるジャイアントの頭を潰していた。

 ジークリンデはスナイパーゾンビの始末に集中し、リビーはパンツァーファウストⅢを持って、二射目を撃とうと構える。パンツァーファウストⅢは歴代と同じく、発射する際に背後の排出口から高熱の排気ガスを噴出するので、後方確認をしてから撃ち込む。尚、ライトンは後ろを確認せずに撃っている。

 

「火傷するわよ!」

 

 そう言ってから動けないゾンビティーガーに向けて発射すれば、その弾頭は重戦車に命中した。だが、これでも倒せず、未だに砲塔は動き続けている。もう一発ほど撃ち込むか、無視してこちらに四門の対空機関砲を向けるゾンビ対空戦車を仕留めた方が速そうだ。

 

「先に対空戦車を仕留めた方が速そうだな」

 

「でも、機関砲がこっちを向いているよ?」

 

「流石に厄介だな」

 

 シムハはパンツァーファウストⅢを持ち、ゾンビ対空戦車を仕留めようと考えたが、機関砲が向いているので、至難の業と見える。

 

「ぐぁ!?」

 

「援護してくれ!」

 

「分かった!!」

 

 その間にティーガーの砲撃を受け、カールが吹き飛ばされた。幸い、動けなくなるほどの重傷では無さそうだ。チェーンソーゾンビの斬り合いに勝利し、肉を切断した英輔が直ぐに駆け付け、ベッカーの援護を受けながら彼を抱えて安全な場所まで運ぶ。

 

「スナイパーダウン!」

 

 オルガはカールが落としたPK軽機関銃を拾い上げ、周囲のナチゾンビに向けて乱射して数体を血祭りに上げる。ジークリンデはスナイパーゾンビを仕留めた後、P8自動拳銃を抜いて接近してきた自爆ゾンビを全て早撃ちで仕留めた。

 

「ケツにぶち込んでやるぜ!」

 

 一方でパンツァーファウストⅢを補充したライトンは何を考えてか、二本持ちでゾンビティーガーの背後に全速力で駆ける。どうやら戦車の一番脆い部分である背後のエンジンを撃とうとするつもりだ。

 これを見ていたシムハは銃の再装填を素早く済ませ、援護に適しているナオミに彼の援護をやらせた。

 

「代われ! ナオミ、あの馬鹿を援護しろ!」

 

「了解!」

 

 指示に応じ、ナオミは機関銃を抱えながら移動し、ライトンの進路を妨害するナチゾンビに向けて掃射する。無論、エルナは二脚を持って安定させる役を続けている。

 右耳に耳栓をしているにも関わらず、凄まじい銃声で鼓膜が破れそうになる中、ライトンの進路方向に居たナチゾンビは全て一掃された。これでライトンは一気にゾンビティーガーの背後へ回り込み、二発のパンツァーファウストⅢを撃ち込む。

 

「ツヴァイ・ファウスト!」

 

 何故か必殺技を叫びながら両方のパンツァーファウストⅢの引き金を引けば、二発分の対戦車弾頭を受けたゾンビティーガーは砲塔が吹き飛ぶくらいの大爆発を起こして沈黙した。

 後はこちらに対空機関砲を掃射し始めたゾンビ対空戦車の始末である。ライトンは背後から迫る対空機関砲を奇跡的に避け、遮蔽物へと飛び込む中、リビーは注意が大男に向いている間にパンツァーファウストⅢを撃ち込み、見事に対空戦車を仕留めることに成功する。

 

「ふう、これで脱出できる…!」

 

 最後の対空戦車を仕留めたエルナは、これでようやく脱出できると安堵する。

 対空砲と言う脅威が無くなれば、それを知らせるための信号弾を詰め込んであるHK69を、ライトンは空へ向けて発射した。

 空へ放たれた信号弾は青で、その信号弾を確認したのか、ヘリのローター音が聞こえて来る。どうやら聞こえて来る数からして、数十機以上が飛来してきたようだ。数秒後に街中のあちこちから、銃声や砲声が聞こえて来る。一番大きな爆発音も聞こえる。どうやら戦車まで投入したようだ。

 

「これで終わりか…」

 

 聞こえて来るドイツ連邦軍の機甲部隊の到来に、ライトンは安堵して懐から白ソーセージであるヴァイスヴルストを取り出し、法張り始めた。

 

 

 

「プゥッハッハッハッ! 行けぃ! ナチ共を地獄に叩き戻せェーッ!!」

 

 指揮官であるクラウスは、TTH90ヘリに副官と連隊本部要員と共に乗り換え、配下の装甲連隊全部隊に突入するように怒号を飛ばしていた。

 彼はバイエルン州に駐屯する装甲擲弾兵連隊の連隊長であり、予備大隊を含める連隊全戦力を持って、この惨状を終わらせようとしていた。クラウスが指揮下に置くティーガー戦闘ヘリ中隊は一方的に空よりナチゾンビを攻撃し、次々と肉片へと変えていく。対空砲の脅威もないため、数十機のUH-1からドアガンによる掃射も行われ、空からの掃討はスムーズに進んでいる。

 更には戦車中隊を傘下に置いた装甲擲弾兵部隊も進み、周辺に居るナチゾンビを掃討する。その姿はまるで電撃戦だ。先の戦闘団で一個中隊を損失し、撤退したドイツ連邦軍とは思えない。

 地上の掃討戦が進む中、これに気を良くしたクラウスは更に叫び、調子に乗る。その声は、ヘリのローター音に負けぬ程だ。

 

「いいぞォ! もっとやれェ!! 一匹残らず駆逐するのだァーッ!!」

 

「(煩いな、こいつ)」

 

 声はヘリの操縦席まで聞こえたのか、機長らは興奮して叫ぶクラウスを睨んでいた。

 副官はクラウスに、対空戦車を仕留めたライトン等を救出するかどうかを問う。

 

「あの、連隊長殿。対空戦車を仕留めた者たちは、どうされますか?」

 

「おっと、忘れていた。おい、ハノマーク2! 直ちに生存者の回収に迎え! かもめ(エンテ)隊各機は、残りの生存者を地上の装甲擲弾兵隊と装甲偵察中隊と共に捜索しろォ!!」

 

 副官に言われるまで忘れていたのか、クラウスは空いているTTH90一機にライトン等の回収を命じ、UH-1一小隊、地上の装甲擲弾兵大隊と装甲偵察中隊には、まだ生きている生存者の捜索を命じた。

 もうこちらが勝利したと思っているクラウスであったが、その慢心はまたしても、新手によって打ち砕かれた。それは、巨大なゾンビヒトラーであった。

 

「っ!? ヴィットマン4がやられました!!」

 

「なんだとォ!?」

 

 部下からの報告に、直ぐに墜落していくティーガー戦闘ヘリを双眼鏡で確認する。

 そのヘリを撃墜した正体も、双眼鏡で見えており、それを見たクラウスは、驚くあまり機内で尻もちをついてしまう。なんたって、巨大なヒトラーが歩いているからだ。

 

「ひ、ひ、ひひひヒトラーだァァァ!? な、なんでヒトラーがここにィ!? しかもゾンビで巨人ダァァァ!!」

 

 双眼鏡が必要ないくらい見える巨大なゾンビヒトラーに、クラウスを初め、彼の部下たちも驚愕せずにはいられなかった。

 現れたゾンビヒトラーに装甲擲弾兵連隊の将兵らは驚愕する中、クラウスは正気に戻り、ゾンビヒトラーを攻撃するように命じる。

 

「な、何をしておる!? 攻撃だ! 攻撃せんかァ!!」

 

 現れたかつての独裁者の巨人を見て固まっている将兵らに対し、クラウスが通信機で怒号を飛ばせば、配下の将兵らは一斉にゾンビヒトラーに攻撃を始める。

 山一つを消し飛ばす勢いの攻撃であるが、巨大なゾンビヒトラーには通じず、口から邪悪な光線で一個中隊以上が消し飛ばされる。

 

「第三装甲擲弾兵中隊、通信途絶!」

 

「い、一個中隊を消し飛ばす交戦だとォ!? ば、化け物だァ! 化け物その物だァァァ!!」

 

 一個中隊が消し飛んだとの報告を耳にしたクラウスは、自分らではゾンビヒトラーでは勝てないと思い、絶叫する。

 そんな連隊本部を兼ねているTTH90ヘリに、ゾンビヒトラーの巨大な拳が飛んでくる。それを見た機長は回避行動を行うが、間に合わない。

 

「こ、拳が当機に接近!」

 

「キェアアア!? もう駄目だァァァ!!」

 

 クラウスが乗るTTH90はゾンビヒトラーの拳を受け、彼の絶叫と共に街へと墜落していった。

 

 

 

「馬鹿でかいヒットラーじゃねぇか…!」

 

 クラウスが寄越したヘリで、もうじき街から脱出しようとするライトンは、巨大なゾンビヒトラーを視認した。

 そのゾンビヒトラーはドイツ軍の攻撃を物ともせず、ある宣言を行う。

 

『復活した余は今のドイツを見た。見るに堪えない物だ。余とその英霊たちが破壊尽くさねばならない! ドイツのみならヨーロッパ、否ッ! 世界中がそうである! 見るに堪えない物で溢れておるではないか! これ以上は退化の一歩を突き進むだけである! 余はここに、全世界の破壊を宣言する! 余自らと、その英霊たちが世界中を破壊し、生き延びた優良種が世界を再編するのだッ!!』

 

 それは、自分とその配下のナチゾンビ軍団で世界を破壊し、生き延びた人類を選ばれし者と選定して再生を行うと言う物であった。

 無論、自分がヒーローとなり、ヒロインであるエレナと結ばれる人生を破壊せんとするゾンビヒトラーを、許すライトンではない。ヘリから飛び降り、破壊宣言するゾンビヒトラーをラスボスと決め、蛮勇にも巨人ゾンビに挑んだ。

 

「えっ、なんなのっ!?」

 

「見るに堪えないから破壊するだと…!? ふざけやがって、チョビ髭伍長閣下が! このライトン・イェーガー様が、ラスボスのテメェを地獄に叩き返してやるぜッ!!」

 

 エルナが思わぬ行動に混乱する中、ライトンはそう言って巨大なゾンビヒトラーに向かって突っ走った。




ゾンビ総統閣下登場。

次回のゾンビヒトラー戦で、最終回となります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺の最終勝利(エンドジーク)!

これで最終回です。

ここで黒子猫様が提供してくださったキャラクターが登場します。


 ドイツ連邦軍の攻撃を物ともしない巨大ゾンビヒトラーに対し、ライトンは無策に突っ走った。

 そのライトンの行く先には、無数のナチゾンビと数々の強敵たちが待ち受けていたが、そんな障害を気にすることなく、死んでいる兵士より拾ったMG4軽機関銃を乱射しながら突っ込み、数十体を倒しながら進む。

 弾切れになれば手近なナチゾンビに投げ付け、そのナチゾンビが持っていた斧を奪い、それで次々と邪魔になるナチゾンビを切り裂いていく。

 ライトン単独で、百体以上のナチゾンビを掃討していた。それを物語るのか、彼の衣服はボロボロとなり、全身が返り血で赤く染まっている。

 遂に巨大ゾンビヒトラーの前に立てば、倒すと大声で宣言する。

 

「このちょび髭野郎! 何が世界が見るに堪えない物で溢れてるだ!? 地獄にすっこんでやがれ!!」

 

『ほぅ、中々肝の据わった男だ。敬意を表しようではないか。だが、貴様は純潔のゲルマン人ではない! 純潔なら、余に忠誠を誓い、共に世界浄化の旅に同行するはずだ。余に逆らうと言うことは、劣等人種(ウンターメッシュ)の血が混ざっていると見える! よって貴様を踏み潰す!!』

 

 巨大な自分を前にしても、戦意を保つライトンにゾンビヒトラーは敬意を表したが、自分が嫌う劣等人種の血が混じっていると言う理由で踏み潰そうと巨大な右足を上げた。

 自分を踏み潰そうと迫りくる巨人の右足に対し、ライトンは躱して股の下に回り込み、背負っていたパンツァーファウストⅢを、ゾンビヒトラーの股間に向けて発射した。

 

「あっちぃぃぃ!?」

 

 真上に向けて撃ち込んだため、両足に高熱のガスが当たるが、これに合わせて三重にも履いていた靴下のおかげで火傷せずに済んだ。

 

『ぐあぁぁぁ!! ひ、卑劣なッ!? やはり劣等人種だ!!』

 

 現代戦車ですら破壊する対戦車弾頭を股間に受けたゾンビヒトラーは、余りの痛さに倒れ込んでしまい、ライトンに対して怒りを燃やす。

 

『余自らが捻り潰してもいいが、泣き喚いて命乞いをする貴様を殺すことにしよう! 出でよ、余の分身達よ!!』

 

「っ!? ヒトラーの大群だ!」

 

 ただ握り潰すのでは飽き足らないのか、ゾンビヒトラーは自分の分身を大量に召還させ、ライトンに襲わせる。

 このゾンビヒトラーの大群に対し、ライトンは臆することなく道路に落ちているスコップを拾い上げ、それで次々と襲い掛かるゾンビヒトラーを撲殺し始める。

 スコップは鉄製と言うかナチゾンビが持っていた物であり、ゾンビヒトラーことクローンゾンビは次々とライトンに撲殺される。だが、その数は尽きることなく湧いて出て来るので、スコップの柄の部分は折れてしまう。

 それでも別の狂気を拾い上げ、クローンゾンビを殺し続ける。

 そんな孤軍奮闘するライトンを見兼ねてか、脱出しようとするカールはヘリを降りて加勢に入る。

 

「ちっ、見てられへん!」

 

「待てよカール! 何処へ行く!?」

 

「助けに行くんや! あいつを!」

 

「わしもそう思ってたところじゃぜ!」

 

 カールがツヴァイハンダーを持ってヘリを降り、英輔に問われれば、ライトンを助けに行くと答える。ベッカーも見兼ねてか、KS-23散弾銃を持って加勢に向かう。

 

「おい、なんで降りてんだ!?」

 

「ここで乗ってたら、後悔する!」

 

「みんなあいつみたいに、馬鹿になっちまったんだね!」

 

「民間人を放置できないわ!」

 

「私も、馬鹿になっちゃったかしら?」

 

 ヘリのパイロットが降りていくカールとベッカーに問う中、彼らに続いて英輔やオルガも武器を持ってヘリを降りていく。更にジークリンデ、リビーもヘリを降りてライトンの加勢に向かった。

 

「降りないの?」

 

「済まないが、我々は工作員だ。激情に駆られて向かうのは、工作員として愚の骨頂だ」

 

「それもそうね。でっ、あんたは降りないの?」

 

 シムハとナオミは工作員らしく冷静であり、釣られて降りることは無かった。エルナの方は違うようで、ナオミに共に行かないのかと問われた。

 

「わ、私は…私は…!」

 

「降りるなら、これを持っていきなさい。素人は二脚を立て、しっかりと構えていれば大丈夫だわ」

 

「えっ? ありがと。じゃあ私も、行って来る!」

 

 降りてライトンを助けに行く決心を付ければ、ナオミは自分のミニミ軽機関銃を渡した。

 それを抱えたエルナは機関銃を持ってヘリを降り、ライトンの加勢に向かう一団に加わる。自分の武器を素人に渡したナオミに、シムハは注意しようとしたが、ここは敢えて見て見ぬ振りをした。

 

「武器を損失したようだな。まぁ、流石のこの渦中では仕方あるまい」

 

「そうね。こんな状況なら、仕方ないわ」

 

 そうシムハに言ってから、ナオミはヘリのパイロットに離陸するように命じた。

 

「っ!? お前ら!?」

 

「あんたじゃ無理だからやって来たのよ!」

 

 無数のクローンゾンビ相手に孤軍奮闘するライトンに、加勢に向かった一団は間に合い、周辺に居たクローンゾンビを一掃する。

 助けに来るとは思わなかった生存者らにライトンが驚く中、リビーはトンカチを振るいながら襲い掛かるクローンゾンビを撲殺しまくる。カールはツヴァイハンダーで数体纏めて切り裂き、時には突いて殺し、英輔はチェーンソーを振り回して数十体を切り裂いて血の雨を降らせる。

 ベッカーは散弾銃を弾切れまで撃てば、PSMピストルを取り出して手近なクローンゾンビを撃ち、更にはトマホークで暴れ回る。オルガはアーミーナイフで斬り殺し回り、背後から迫るクローンゾンビを義足のパイルバンカーで打ち抜く。

 ジークリンデはG36ライフルの単発で数体を仕留めた後、DM51手榴弾を投げ込んでクローンゾンビを纏めて吹き飛ばした。

 

「これ使って!」

 

「エルナっ!? ダンケだぜ!」

 

 駆け寄ってきたエルナより、ミニミ軽機関銃を受け取ったライトンは安全装置を外し、目に見えるクローンゾンビに向けて掃射して一掃する。

 彼らの救援により、巨人ゾンビヒトラーのクローンゾンビは全滅した。これに立ち上がっていたゾンビヒトラーは怒り、怒りの拳を振り下ろす。

 

『ぬぅ…! ネズミ共が! 余の怒りの拳を受けよッ!!』

 

「みんな離れろ!」

 

 これに気付いたライトンは大声を出して、一団を散会させた。振り下ろされたゾンビヒトラーの巨大な拳は道路のアスファルトを粉砕し、クレーターを作るほどだが、ライトン一行の誰一人潰せていない。

 

『ネズミ共め! 総員直ちに集結せよ! ネズミ共を駆り立てるのだ!』

 

 散会して攻撃してくるライトン一行に業を煮やしたゾンビヒトラーは、配下のナチゾンビ等に彼らの始末を命じる。総統であるゾンビヒトラーの指示にナチゾンビ等は応じ、ライトン一行を殺そうと一斉に殺しに掛かる。

 一人はぐれたエルナはナチゾンビに包囲され、惨殺されようとしていた。

 

「キャッー!!」

 

「危ない!」

 

 周囲のナチゾンビを一掃し、ゾンビヒトラーに挑もうとしたライトンはエルナの危機に気付き、直ぐに彼女の元へ駆け付け、周辺のナチゾンビを機関銃で撃ち殺すか、手にしている鉄パイプで撲殺する。

 助け出されたエルナは礼を言おうとしたが、既にゾンビヒトラーの巨大な右足による蹴りがライトンに迫っていた。

 

「後ろに!!」

 

「なにっ!? うわぁぁぁ!!」

 

『余の民族の蹴りを受け、ただでは済まんぞ!』

 

 エルナが知らせたが、時すでに遅く、ライトンは蹴飛ばされ、近くのビルまで吹き飛ばされた。

 

 

 

「おのれェ! この蛆虫共がァーッ!!」

 

 一方でヘリをゾンビヒトラーに撃墜され、墜落して死んだかに見えたクラウスであったが、全身傷だらけでもまだ生きており、両手にMG4軽機関銃を持って迫りくるナチゾンビを一掃する。

 連隊本部のスタッフの大部分は死傷しており、まだ戦闘が可能な者たちが彼らを守ろうと必死に戦っている。生き残りの連隊の将兵も合流し、ハリネズミの陣を築いて防戦していた。だが、敵の数は多く、数名がナチゾンビによって惨殺される。

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 

「ハンスーッ!」

 

「えぇい! 迎えはまだかァーッ!?」

 

 一名がナチゾンビに惨殺されれば、クラウスは迎えはまだかと問う。

 あの巨人ゾンビヒトラーの出現は師団本部と対策本部に見られており、最悪の場合、彼らはこの街を吹き飛ばす決断をするだろう。そうなっては、残っている者たちは全て死ぬ。

 何とか脱出しようと、車両部隊かヘリ部隊を待っているのだが、まだ来ない。ゾンビヒトラーの攻撃でやられているだろうが。

 そんなクラウスたちの元へ、爆走する特殊救急車がナチゾンビを跳ね飛ばしながら近付いてくる。

 

「れ、連隊長殿! あ、あれを! 特殊救急車がこちらに接近してきます!」

 

「なにィ!? まだ生き残りがいたと言うのかァ!?」

 

 部下からナチゾンビを轢き殺しながら向かってくる特殊救急車の存在を知らされ、クラウスはあのような生存者がいたことに驚きの声を上げる。

 そんな特殊救急車はクラウス達の前で停車し、運転席より一人の若い女性が出て来る。

 

「乗って!」

 

「き、貴様はイギリス人!? なぜここにッ!?」

 

「良いから、置いてちゃうわよ!」

 

「ぬぅ…! 良かろう、総員、救急車に乗り込め! 負傷者が先だァ! 健全な者は、屋上に乗れィ!!」

 

 運転席より出てきた女性、エローナ・ローゼンシュヴァルツの指示に従い、クラウス達は彼女が乗ってきた特殊救急車に乗り込んだ。

 

「全員が乗ったぞ! 早く出せィ! イギリス人!!」

 

「言われなくても!!」

 

 クラウスは全員が乗ったことを確認すれば、それを確認したエローナは特殊救急車を急発進させてその場から脱出した。屋根にドイツ軍の将兵らが必死に振り落とされまいと、しがみ付いている。

 そんな彼らのことを気にすることなく、エローナはハンドルを巧みに動かし、ナチゾンビを跳ね飛ばしながら街を脱出するルートを突き進んだ。

 

 

 

 ゾンビヒトラーに蹴飛ばされ、付近の建物まで吹き飛ばされたライトンは、自分がドイツ連邦陸軍を除隊になった経験の夢を見ていた。

 

「今日はブリュンヒルトちゃんの生配信だ。ファンとしては、見なくちゃならねぇな」

 

 現役時代、ライトンは兵舎を抜け出し、警備兵の目を盗んでパソコンルームに潜入してパソコンを起動させ、そこでブリュンヒルトの生放送を見ようと待っていた。

 尚、出入り口には誰かが入って来るのが分かるように、簡単な警報装置を仕掛けてある。れっきとした軍機違反である。

 時間になると生放送が始まり、自分の身体つきを露わにしている露出度の高い衣装を着た金髪碧眼の美女がカメラに向かって喋り始める。

 

『どうも~、ブリュンヒルトちゃんで~す! 今回は生配信で、このお兄さんと、これから生配信だから、生でハメちゃいま~す!』

 

「おぉ、まさか生とかけて生ハメとは…! ブリュンヒルトちゃんは相変わらず過激だな!」

 

 いかがわしい動画の生配信であり、内容を聞いたライトンは喜んでいたが、物の数分で憲兵たちのお縄となり、後日、軍法会議に掛けられた。

 

「ライトン・ブラウナー伍長、君は就寝時間に関わらず、兵舎を抜け出し、当基地のパソコンルームにて、如何わしい動画を視聴していた。間違いないか?」

 

「や、はい(ヤー)…そうであります…!」

 

 士官に問われたライトンは、正直に恥ずかしそうに答える。

 無論、ライトンのやった行為は処分物であり、軍法会議を取り仕切る将校らは、彼に除隊処分の判決を下す。

 

「ライトン・ブラウナー伍長、君はプロイセン王国軍の伝統を受け継ぐドイツ連邦陸軍の経歴に傷を付ける行為をした。よって、退職金無しの除隊処分を下す! これにて当軍法会議は終了する! 解散!!」

 

 こうしてライトンは陸軍を除隊した訳で、両親から絶縁まで言い渡されたが、めげずにアルバイトで資金を稼ぎ、彼女探しに世界中を渡り歩いた。

 だが、誰も長くは続かず、ドイツに舞い戻り、自棄酒にバイエルン州のこの都市に来た訳だ。そこで、ナチゾンビ騒動に巻き込まれたのだ。

 しかし、これがライトンの人生の転換期であった。最初は自暴自棄であったが、従軍時代に着けた技術が役立ち、更には憧れのブリュンヒルトことエルナと偶然出会い、ライトンはライトン・イェーガーになれた。

 それらの思い出の後、直ぐにライトンは目を覚ます。

 

「こうしちゃいられねぇ! このライトン・イェーガー様が、ヒトラーを再び地獄に叩き返す!」

 

 目を覚ましたライトンはそう叫び、仲間たちを襲うゾンビヒトラーに挑むべく、飛び出そうとしたが、近くに落ちてある物に気付いた。

 

「これは…!? それにこの原形を留めない死体。どうやらここが発生源のようだな」

 

 ライトンは周囲を見て、ここが発生源だと分かった。

 彼が今いる場所は、ネオナチたちがナチゾンビを召還した部屋なのだ。そこに偶然にも、ライトンは蹴飛ばされたようだ。

 

「あいつを倒せるのに使えそうだ…! 役に立てばの話だが…」

 

 ライトンはナチゾンビを召還した置物を拾い上げ、それを取りながらゾンビヒトラーに挑んだ。

 

 

 

『ムハハハ! 余は不死身なのだ!』

 

 ライトンを蹴飛ばした巨人ゾンビヒトラーは、配下のナチゾンビ追い回される生存者たちを嘲笑っていた。

 時よりドイツ連邦軍の攻撃が行われているが、ゾンビヒトラーには一切通じない。そんな現代のドイツ軍に対し、ゾンビヒトラーは無情に口から光線を吐いて粉砕する。

 

『無駄なことを。余のいない敗北したドイツは既に死んだも同然。貴様らが余に勝てる通りは無いのだっ! ドイツを徹底的に破壊した後は、欧州を破壊し、次は憎きスラブ人共の東方を破壊する! そしてその次はアジアとオセアニア、中東、アフリカ全土だ! 最後にアメリカ大陸全土も破壊するぞ!!』

 

 向かってくるドイツ軍部隊を破壊しつつ、ゾンビヒトラーは世界破壊宣言をする。

 縦横無尽に破壊し尽くすゾンビヒトラーであったが、ライトンによって終わりを迎える。

 

「このちょび髭野郎! こっちだ!!」

 

『ん? 貴様は!? まさか生きていたとは…! ゴキブリ並みにしぶとい奴だ! 蹴飛ばしても生きているなど! 余の破壊の咆哮で消し飛ばしてくれるわ!!』

 

「勃起ィーッ!!」

 

 ライトンの大声で、彼が生きていることに驚いたゾンビヒトラーであったが、破壊光線で消し飛ばそうと口を大きく開いて光線を吐こうとした。それと同時に、ライトンはナチゾンビの召還に使われた置物を、ゾンビヒトラーに向けて野球選手のピッチャーの如く豪速球で投げる。

 凄まじい力を込めて投げられた置物は、ゾンビヒトラーの破壊光線を吐く瞬間に命中した。その置物を当てられた巨人ゾンビヒトラーは苦しみ始める。

 

『ぐっ、グアァァァ!? か、身体が!? い、痛い! 痛いぞぉ…!? く、苦しい…!』

 

 地面に倒れ、余りの痛さに悶え苦しむゾンビヒトラーは、暫くしてから体中が膨らみ始める。

 

『うぉぉぉ!? 身体が! 身体が爆発する!? 余の、余の身体が! うわぁぁぁ!!』

 

 全身が膨張したゾンビヒトラーは、断末魔と共に大爆発を起こした。

 爆発の衝撃で、周辺には血の雨が降り注ぐ。儀式に必要な置物を投げ付けて当てるだけで、ゾンビヒトラーを退治したライトンは、呆気に取られて両膝をついて茫然としていた。

 

「や、やったのか…? この俺が…? この、ライトン・イェーガー様が…!?」

 

 自分があの巨人ゾンビヒトラーを倒したことに実感がわかないライトンは、その場で茫然としていた。

 

「いや、まだ終わってないわ! あいつ等、総統が死んだのにまだ生きてる!!」

 

 ゾンビヒトラーはあっさりと破れた物の、まだナチゾンビは活動を続けており、生存者たちに未だに襲い掛かって来る。

 そんな死闘がまだ続く中、エルナの足元にあの儀式の置物が転がってきた。

 

「これは…?」

 

 それを拾ったエルナは何かと思って調べる中、その視線に通常のサイズに戻ったゾンビヒトラーが見えた。この場から逃げようと、右往左往しながら歩いている。

 

「私にも、やれるかも…!」

 

 逃げるゾンビヒトラーに、とどめを刺せると思ったエルナは役に立とうと思い、置物を持って大き過ぎる胸を揺らしながらゾンビ総統を追った。

 

 

 

 置物を持って追って来るエルナに気付かず、ゾンビヒトラーは逆転を狙おうとベルリンの方向へと向かっていた。

 

「余さえ生きていれば、英霊たちは何度でも復活できるのだ! ベルリンにさえ到着すれば、余はフリードリヒ大王の如く大逆転ができる! まだ余は負けておらんぞ!」

 

 ベルリンに行き、そこでナチゾンビ等を召還すれば、ゾンビヒトラーは再び世界破壊侵攻を再開できると思っているようだ。

 だが、背後から自分を殺せる置物を持ったエルナが迫り、ゾンビヒトラーの背中をその置物で殴り付けた。これを受けたゾンビヒトラーは背中に凄まじい激痛を感じ、地面に倒れてのた打ち回り、置物を持って殺そうと迫って来るエルナに振り替えり、ゾンビなのに命乞いを始める。

 

「うわぁぁぁ! や、やめろ! よ、余はドイツ帝国の総統なるぞ!? 無礼である!!」

 

 エルナを自分と同じオーストリア出身だと分かったゾンビヒトラーは、同じ郷土の人間として見逃してもらえるように頼むが、彼女は聞く耳持たず、怒りに任せて置物で顔面を殴り始める。

 

「あんたの所為で! あんたの所為で滅茶苦茶よ! ブロンドに染めた髪は血でベタベタするし! 作った衣装も台無し! オマケに殺されそうになる! 変な奴のヒロインにされる! なんで、なんで私がこんな目に遭わなくちゃならないの!?」

 

 怒りの分だけゾンビヒトラーの顔面を殴り続ければ、顔は原形を留めない程に砕けていた。それでもゾンビヒトラーは生きており、命乞いを続ける。

 

「よ、止すのだ同じ郷土の娘よ…! 余は、余は欧州を統一する希望なのだぞォ…!?」

 

「それが、それがどうだって言うのよぉぉぉ!!」

 

「グァァァ!? き、消える!? 余が消える!? ワァァァ!!」

 

 自分は欧州の希望だと言うゾンビヒトラーに更に怒りを抱いたエルナは、置物を意志あるゾンビの胸に突き刺し、更には踏み付けて更に押し込めば、ゾンビヒトラーは浮かび上がり、爆発して消滅した。

 それと同時に、生存者たちを襲っていたナチゾンビ等の頭が破裂し始める。全てのナチゾンビの頭が破裂しているのだ。

 

「な、なんだッ!? ナチゾンビの頭部が破裂しているッ!?」

 

 エローナが運転する特殊救急車より、追ってくるナチゾンビの頭が破裂しているのを目撃したクラウスは驚きの声を上げる。

 

「ナチゾンビ共の頭は破裂している…!? ゾンビヒトラーを倒せば終わりだったのか…!」

 

 この場に見えないエルナを探していたライトンは、次々と頭が破裂して倒れていくナチゾンビを見て、ゾンビヒトラーを倒せば終わりだったことに気付き、彼女の元へ急ぐ。

 やがて全てのナチゾンビの頭が破裂し、死体も跡形もなく無くなれば、空は晴れて太陽が上がる朝が来た。ドイツのバイエルン州は、否、世界がナチゾンビから救われたのである。

 

「や、やったーッ! やったぞォーッ! ドイツは救われたのだァーッ!!」

 

『おぉぉぉ!!』

 

 全ての脅威が消えた後、クラウスは大声を上げて歓喜した。部下たちや他のドイツ軍の部隊の将兵も続き、空へ向けて祝砲と言わんばかりに銃を空に向けて撃ち始める。

 

「これって…? 私が終わらせちゃったの…?」

 

 ゾンビヒトラーを倒し、全てのナチゾンビの頭を破裂させて惨状を終わらせたエルナは、実感が湧かずにその場で両膝を付く。そんな彼女の元へ、ほぼ全裸状態の血塗れなライトンが姿を現す。

 

「はい…! このライトン・イェーガー様ではなく、貴方が終わらせたんです…!」

 

「とっ、言うことは…私ヒーロー!? って言うかヒロイン!?」

 

「はい! 俺のヒロインです!!」

 

 この惨状を終わらせたのは自分だと問うエルナに対し、ライトンはそうだと答えて彼女の元へ駆け寄った。

 

「ほ、本当にヒロインになっちゃって…私、私はそれで…」

 

 ヒーロー、女性ならヒロインになってしまったエルナは感極まって涙する中、ライトンは雄叫びを上げながら向かってくる。

 自分を抱きしめてくれるかと思っていたが、ライトンの行動は予想を遥かに上回る物であった。

 

「勃起ッ!!」

 

「えっ!? ここで!? ちょっと! 待って! それらめーっ!!」

 

 唯一残っていたパンツを脱ぎ払い、全裸で突っ込んできたのだ。

 これに驚いたエルナは逃げようとしたが、恐ろしい速さで向かってくるライトンから逃れられず、そのまま彼女はこの場で抱かれた。




えぇ、こんな阿保な企画に参加してくださった方々には、感謝の言葉しか思いつきません。
どうも、ありがとうございました!

妄想のKiokuさん
影騎士さん
黒鷹商会組合さん
オリーブドライブさん
黒子猫さん

キャラクターご提供、ありがとうございます!

なんでこの読者参加型のSSを書いて、ナチスでゾンビなゲームであるゾンビアーミーにしたかは、バイオハザードじゃありきたり過ぎましてね。
これにした訳ですよ。でっ、いざ募集を掛けてみれば、最初の期間は全く集まりませんでした。
もう止めて別のにしようかと考えていたら、妄想のKiokuさんがご参加してくださいました。その後は影騎士さん、黒鷹商会組合さん、オリーブドライブさんと続々と来ましてね、連載が決定しました。
募集期間は過ぎましたが、黒子猫さんがとんでもないキャラを提供してくださったので、特別に採用させて頂きました。

でっ、肝心のSSの内容は、ひたすらバカ路線で行きました。
もうツッコミどころ満載です。勢いで書いてました、すいません(笑)。
総統がゾンビになって、口から光線吐くのもネタです。原作のゲームでは光線は吐きません(笑)。

さて、もう語ることが思いつかないので、成人版の方を書いてみようかと思います。
黒子猫さまを初め、オリーブドライブ様も提供したキャラを好きにして良いとの許可が下りましたので、全力で特殊性癖なR18なSSを書こうかと思います。

では、これにて失礼!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

おまけ

思い付いたオマケです。


 1945年ドイツ。

 その時代では、ドイツの敗北を認められないドイツ第三帝国の総統であるヒトラーは、逆転計画プランZを発動し、地上にナチゾンビを召還して欧州を混乱に陥れていた。

 だが、肝心の制御装置を使わずに発動した為にナチゾンビ等は敵味方問わず襲い掛かり、カオスの状況を作り出した。

 

 当のヒトラーもナチゾンビの手により死亡し、完全にナチゾンビの制御が失われたが、そのヒトラーがゾンビとなって復活してナチゾンビを統率した。

 蘇ったヒトラーことゾンビヒトラーは、アーリア人による世界統治が叶わぬと知れば、世界を死者の世界に作り替えんと、電撃戦の如く欧州の殆どをナチゾンビの支配下に置き、アフリカや中東、アジアにまで進出せんとゾンビ進撃を行う。

 

 だが、カール・フェアバーンを初めとするスペシャリストたちを中心とした生存者一行に妨害され、更にはその野望敵わず、ゾンビヒトラーは敗れ去った。

 これによりナチゾンビの殆どは地上から消滅したが、ゾンビヒトラーがナチゾンビや隷下のカルト教団を使って作り出した装置は、カルト教団の手により稼働し続け、ナチゾンビは未だに活動していた!

 

 

 

 ドイツ、何処かの古城の城下町。

 そこも無数のナチゾンビに埋め尽くされており、二階建ての家屋から金髪碧眼の身長173センチの美女が二階の窓を突き破り、長い金髪をなびかせながら外へ飛び出す。降りた際に受け身を取る。

 彼女の服装は、ナチゾンビが着ている衣服と同じであるが、返り血を浴びている以外に変わったことは無い。ナチス親衛隊のフィールドグレー色の士官用M36野戦服である。右手にはMP40短機関銃が握られ、背中には狙撃用スコープを付けたKar98k小銃が銃紐で背負われている。

 右側には短機関銃用弾薬ポーチを腰のベルトに掛け、左側には小銃用ポーチが掛けられている。背中の方にも、もう一つの短機関銃用のポーチが掛けられている。拳銃のホルスターも右腰の方に掛かっていて、重装備である。

 窓から飛び出した彼女は、周辺のナチゾンビにMP40短機関銃を乱射して一掃し、安全な場所まで走り抜ける。胸もウール軍服越しから分かるように大きいため、走る度に揺れていたが、気にせずにナチゾンビを無視しながら走り続ける。

 途中、スナイパーゾンビが現れ、高い建物を飛び交いながら狙撃する。狙撃の際に吹き飛んだ帽子を拾い上げ、深く被った彼女は狙撃銃に切り替え、着地の瞬間に狙いを定めて撃ち込む。

 発射された弾丸は、吸い込まれるように着地しようとするスナイパーゾンビの頭部を撃ち抜き、頭を撃ち抜かれたスナイパーゾンビは地面へと落下していく。それを確認した彼女は、ボルトを引いて空薬莢を排出し、ボルトを押し込んで次弾を薬室に装填する。

 周辺のナチゾンビを無視しながら広場へと辿り着けば、自分と同じような将校用野戦服で、色が違うが腰まで届く銀髪で赤い目と言う美女と遭遇した。武器の方は、二連装ドラムマガジンのMG34汎用機関銃であったが。

 

「何者だ!?」

 

 直ぐに銀髪の美女は、手にしているMG34を、金髪の美女より大きい胸を揺らしながら向ける。

 これに銀髪の美女のスタイルの良さに嫉妬しつつ、金髪の美女は同じく手にしている小銃を構える。互いが銃口を向ける中、更に同じような格好の美女二人が来た。

 一人はまたしても金髪で碧眼の長身。だが、顔立ちは二十代前半だ。最初の童顔の金髪美女より大人っぽさがある。二人目は黒髪ロングの美女で、胸のサイズは銀髪美女並である。

 

「っ!? ベアトリクス・ブレーメ!」

 

「アイリスディーナ・ベルンハルト? なぜ貴方がここに?」

 

 二人は知り合いらしいが、敵対者であるようだ。アイリスディーナと呼ばれる金髪美女はStg44突撃銃を向け、ベアトリクスと呼ばれる黒髪美女はMP40を向ける。

 アイリスディーナはドイツ国防軍の灰色の将校用野戦服で、ベアトリクスは初期親衛隊の黒い制服を身に着けている。新手の二人が現れたことにより、銀髪美女は少々の動揺を覚えたが、直ぐに持ち直して銃口を新手の二人にも向けた。尚、銀髪美女の名はセルベリア・ブレス。

 

「なに? なんで私より大きいのばっかりなの? 背とか胸とか」

 

 初めて口を開いた金髪美女は、自分よりも少し背が高く、胸も大きい美女たちを見て悪態を付く。ちなみに童顔の金髪美女の名はマリ・ヴァセレート。性格は周りの美女たちに比べれば、やや子供っぽい。

 そんな面々が互いに銃口を向ける中、ナチゾンビは容赦なく襲い掛かる。直ぐに彼女らは互いの背中を合わせ、向かってくるナチゾンビの掃討に当たる。

 

「互いに殺し合っている暇はないな! まずはこいつらを殲滅してからに!」

 

「あぁ、私もそのつもりだ! そうだな、ブレーメ?」

 

「えぇ、こんな汚い奴らに触れられるのは嫌よ!」

 

「食われちゃえば良いのに」

 

 セルベリアが代表して言えば、アイリスディーナとベアトリクスはこれに同意する。マリの方は嫉妬していたらしく、自分以外は食われれば良いと口にする。

 迫りくるナチゾンビを排除し続ける中、何処からともなく戦艦クラスの砲声が聞こえ、多数のナチゾンビが吹き飛ばされた。肉片や土片が降って来る。更に砲撃は続き、周辺のナチゾンビは惨たらしい肉片と化していた。

 

『ファイヤー!!』

 

「またデカいの来た」

 

 砲声が聞こえる方を見れば、やや露出度の高い軍帽を被った金髪碧眼の美女が、戦艦のような装備を背負ってナチゾンビを砲撃している。

 一同は周辺に固まり、砲撃が止むまで伏せていた。数分後、周辺のナチゾンビは一掃され、その美女が一同の元へ近付いてくる。

 

「大丈夫? 貴方たち」

 

 平然と自信満々で近付いてくる奇妙な装備をした美女に対し、一同は手にしている銃を向ける。これにその美女は、笑みを浮かべながら銃は自分には効かないと告げる。

 

「助けたお礼が鉛玉? でも、このビスマルク級戦艦一番艦であるビスマルクには通じないわよ。撃つなら、戦艦級の徹甲弾か、航空支援でもするのね」

 

「なに、こいつ?」

 

 子供のように、自分は強いと言ってくるので、一同は呆れ返る。

 そんな戦艦ビスマルクを自称する美女の言葉に、一同は殺し合いをする気分じゃなくなり、ここは互いに協力し合おうと判断した。

 

「あんたの所為で、バカバカしくなってきたわ。それで、私たちはどうする?」

 

「あの古城を目指すのはどうだ? あそこなら、元の世界へ帰れるはず」

 

「…死んだ身なのだがな」

 

 ベアトリクスが最初にどうするか言えば、アイリスディーナは古城を指差しながら、あの古城へ行かないのかと提案する。そこなら元の世界へ帰れるはずだと言ったが、セルベリアは自分は死んだ身だと口にする。

 アイリスディーナ、ベアトリス、セルベリアはの三名は、死んだ時のことを覚えている。マリは死んでいないので、近くの花壇に座り、水筒の水を飲んでいた。

 沈黙している間が嫌いなのか、ビスマルクは古城に行けばどうにかなると言って、代表して行くと決める。

 

「あぁ、もう! とにかく、あの古城に行けば分かることだわ! さぁ、早く行くわよ! 置いていっちゃうから!」

 

 先にビスマルクが古城に向かって行けば、一同は互いを向き合い、彼女の後を追おうと決めた。

 

「どうする?」

 

「行くしかあるまい。ここに居てもどうしようもない」

 

「私も賛成」

 

「そう、あんたみたいな中身が子供な娘が行く古城まで行きましょう」

 

「…ムカつく!」

 

 セルベリアの問いに、アイリスディーナが行くと決めて向かえば、マリも賛成して向かうが、ベアトリクスの言った言葉に腹を立てる。それでも、古城へ行けば何か分かると思い、一同の後を追った。




えぇ、秋のおっぱい祭りですw
特に意味はありませんし、続きもしませんw

それでは、成人版を書いてきますので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。