ようこそ 裏野パークへ! (NiOさん)
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ようこそ 裏野パークへ!
ようこそ 裏野パークへ!
君は初めてここに来たのかな?
じゃあ、ちょっとだけ説明してあげるね。
ここは裏野パーク。
わたしは裏野ラビットのニッケルさん。
そして、このポーズが『スシザ○マイ』のポーズだよ!
あれ、面白くなかった?
まあ、私のことは、気軽に、『ニッケルさん』って、呼んでね。
……ところで君は、何の
あ、待って待って。
私、当ててみるから。
……もしかしてもしかして、『いじめられっ子を自殺させた
当たり?
当たり?
……へへへ、なーんてね。
この裏野パークに来れるのは、『いじめられっ子を自殺させた
……え?
『家に帰して』だって?
泣いたって無駄さ、ここからは出られないよ……って言いたいところだけど。
それは、君次第かなあ。
この裏野パークには、ちゃあんと『
うん、ニッケルさん、こういうことではウソ吐かないからね。
ん、やる気になったみたいだね。
じゃあ、これ、上げる。
《廃園になった遊園地のウワサ》……まあ、裏野ドリームランドの施設紹介ってトコロかなあ。
それぞれの施設ではニッケルさんからの問題が用意されているから、がんばって正解を見つけてみてね。
せっかくだから、楽しんで『
さて、説明は以上だけど、何か質問はあるかな?
え?
私が手に持っている斧は、何かって?
これはね。
さっさと施設に入らないで園内をウロウロしている
それじゃあ、準備はいいね?
はじめるよ?
よーい。
どん!
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廃園になった遊園地のウワサ
##################################################
裏野ドリームランドのウワサ、知ってる?
##################################################
ウワサ1 廃園になった理由
あの遊園地には
度々”子どもがいなくなる”って
噂があったな。
閉園した理由は知らないけどさ、
そんな噂があるようじゃねぇ。
##################################################
ウワサ2 ジェットコースターで謎の事故
ジェットコースターで起こった
事故のこと知ってるか?
「事故があった」とは聞くのに、
どんな事故だったのか誰に聞いても
答えが違うんだ。
##################################################
ウワサ3 アクアツアーの不気味な生き物
遊園地が営業していたころにも、
アクアツアーで
「謎の生き物の影が見えた」なんて
話が何度かありましたね。
それ、今でも見えるらしいですよ。
##################################################
ウワサ4 ミラーハウスでの入れ替わり
ミラーハウスから出てきたあと
「別人みたいに人が変わった」って人が
何人かいるらしいよ。
なんというか、まるで中身だけが
違うみたいだって……。
##################################################
ウワサ5 ドリームキャッスルの拷問部屋
ドリームキャッスルには
隠された地下室があって、
しかも拷問部屋になってるんだとさ。
遊園地にあるわけないのに。
だから今度確かめに行ってくるよ。
##################################################
ウワサ6 廻るメリーゴーラウンド
メリーゴーラウンドが勝手に
廻っていることがあるらしいよ。
誰も乗っていないのに。
明かりが灯っているのは
とても綺麗らしいんだけど、ね。
###################################################
ウワサ7 観覧車から聴こえる声
廃園になった遊園地、
人なんか誰もいないはずなのに……
観覧車の近くを廻ると声がするらしい。
小さい声で、
『出して……』って。
~夏のホラー2017 悪夢の遊園地へようこそ! より抜粋 ~
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UDL(Urano Dream Land)
「わ、わっけわかんねー!」
あなたは大声を上げると、裏野ラビットのニッケルさんから逃げ出しました。
よーいどん!で振りかぶられた斧は、先ほどまであなたがいた地面に、深々と突き刺さっています。
大急ぎで、その建物を抜け出して。
ふと上を見上げると、いつの間にか空は真っ黒になっています。
そのまま辺りへ目を移すと、眩いばかりの電飾が満ち満ちていました。
あなたは、その風景に少しだけ見覚えがありました。
その昔、一度だけいった遊園地。
裏野ドリームランドにそっくりだったのです!
「ぎゃあああああ!」
「ぐええええええ!」
突然、周りから悲鳴が聞こえました。
よくよく見ると、自分の他にも少年や少女が遊園地内を走り回っていたのです。
彼ら、彼女らも、いわゆる
そして、そんな彼ら、彼女らに向かって。
「待て待て~」
「捕まえた~」
ゆる~い掛け声とともに、複数いる裏野ラビットのニッケルさんが、次々と凶器を振り下ろしていきます。
「ぎゃあああああ!」
「ぐええええええ!」
おや?
彼ら、彼女らは真っ二つになったにもかかわらず、未だに苦痛を伴う悲鳴を上げていました。
あなたは思わずその光景から目を逸らすと。
「安いよ安いよ~」
「活きがいいよ~」
辺りには、煌々とランプに照らされた露店が広がっていました。
露天商はもちろん、裏野ラビットのニッケルさんです。
「ppppppppppppppppppppppppppppppppppppppp」
「@;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::」
店先に吊るされた首たちが、声にならない声を上げて泣いています。
「裏野パーク内で
振り返ると、いつの間にか。
先ほどあなたに説明した裏野ラビットのニッケルさんが立っていました。
「ほらほら、急いで施設を選ばないと、君も店先に並ぶことになるよ~」
そして振りかぶった斧を、躊躇することなく叩き付けます。
あなたはそれを辛うじて躱すと、大急ぎであさっての方向に駆け出しました。
「こ、こんな茶番に付き合ってられっか!」
わざわざ、施設に飛び込む必要はない、出口を見つけてここから脱出しよう、と考えたのでしょうか。
20分ほど走り回ったあなたは、やっと気がつきました。
「なんだここ……
息を切らして前を見ると、遊園地で一番大きい建物である観覧車が……
鏡と鏡を向かい合わせた様な風景に、あなたは言葉を失います。
「し……施設の中に入るしか、ない、のか……」
体力も限界になったあなたは、他に方法が無いと判断し、配布された資料……『廃園になった遊園地のウワサ』に目を通します。
「待て待て~」
遠くから、裏野ラビットのニッケルさんの声が聞こえました。
もう、あまり時間はありません!
あなたは。
ジェットコースターへ行く→
アクアツアーへ行く→
ミラーハウスへ行く→
ドリームキャッスルへ行く→
メリーゴーラウンドへ行く→
観覧車へ行く→
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ジェットコースターへ行く→
カンカンカン、とあなたが金属の階段を走って上ると、そこにはジェットコースター乗り場の入り口がありました。
「ひっ!」
突然目の前に裏野ラビットのニッケルさんが現れ、驚いたあなたですが。
よくよく見ると、それはただの看板、でした。
おどけたポーズで
『僕より身長が高い子は、進んでね!』
と
身長制限は100cm、くらいでしょうか。
「……っざっけんなよ!!」
あなたは看板を派手に蹴飛ばすと、更に上へと向かいます。
ジェットコースターがあるのは階段を4つ上った先です。
その手前に現れる裏野ラビットのニッケルさんの看板に、あなたは再度蹴りを入れようとして、思いとどまります。
なぜなら、その看板には……
『死なない席が、一個だけあるよ。
ど~こだ?』
裏野ラビットのニッケルさんは、先ほどと全く同じおどけたポーズでそんな台詞を
「……死なない、席?」
ふと、横を見ると。
ジェットコースターが、しゅんしゅんと音を立てて出発を待っていました。
席の数は全部で12。
3人横並びで4列設定の、少し珍しいタイプです。
恐る恐るジェットコースターに近づくあなた。
こんこん、とジェットコースターを数箇所叩いて見ますが。
もちろん部位によって材料が違うということは無いみたいです。
……ということは、問題に、何か意味があるのでしょう。
「しなない……
ジェットコースターは
いろいろな可能性を考えますが、コレといった結論は出ません。
……やがて。
plllllllllllllllllllll!!
ジェットコースター出発前のベルが鳴り響き。
『ジェットコースター、まもなく発車します。
お乗りの方は、お急ぎご乗車ください』
放送室から、裏野ラビットのニッケルさんの声が響き渡ります。
もう、あまり時間がありません!
「わからん……わからんけど……もう、ここぐらいしか考えられん!」
あなたは、覚悟を決めて、その席へと飛び込みます。
しばらくして、落下防止用……いえ、
……ちなみに、問題の答えは、『
まあ、そこには、
そして同時に。
「う、うお!?」
思わず、胸元のバーを両手で掴んで、ぶら下がった状態になるあなた。
危ない、危ない。
あと少し気づくのが遅れたら、5階の高さから地面に真っ逆さま、でした。
「た、助かった……。
……え?」
そして。
ここであなたは、
『ウワサ2 ジェットコースターで謎の事故
ジェットコースターで起こった
事故のこと知ってるか?
「事故があった」とは聞くのに、
どんな事故だったのか誰に聞いても
答えが違うんだ』
……理由は、簡単。
……
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アクアツアーへ行く→
木の柵でぐにゃぐにゃと区切られた順路を、無視して突っ切って行くあなた。
はあはあと息を切らせていると、つん、と、塩素の匂いがしました。
横を振り向くと、アクアツアーのボートがあります。
そう、ここはアクアツアーの入り口。
あなたは悩んだ末、アクアツアーを選んだのです。
あなたは、その昔、裏野ドリームランドへ行った時に乗ったアクアツアーを、思い出していました。
なんということはありません。
アクアツアーとは名ばかりで、出てくるのは全部、機械の魚やカラクリ系のみ。
ボートに乗っているとそれらがタイミングよくスローモーションで飛び上がるので、幼いあなたの記憶にも残っていたようでした。
……『茶番だ』という意味で。
ふと、横を見ると。
『アクアツアーに現れる、謎の生き物。
その謎の生き物の、嫌いな食べ物、な~んだ?』
裏野ラビットのニッケルさんが、おどけたポーズでそんな台詞を
看板になっても、憎たらしい格好ですね。
看板の前には、いくつかの食材が、おいてありました。
『
……ここにあるもののどれかを持って、ボートに乗り込め、ということでしょうか。
そして、そのどれかを持っていれば、『謎の生き物』に襲われない、ということでしょうか。
「……はっ。
だったら、答えは簡単だな」
あなたは、ハン、と鼻を鳴らすと。
それらの食材……
「
笑いながら、ボートに乗り込むあなた。
しばらくして、落下防止用……いえ、
……ちなみに、問題の答えは、『
そうです。
『謎の生き物』は、『
だけど、思い出してください。
アクアツアーの、ウワサを。
『ウワサ3 アクアツアーの不気味な生き物
遊園地が営業していたころにも、
アクアツアーで
「謎の生き物の影が見えた」なんて
話が何度かありましたね。
それ、今でも見えるらしいですよ』
……
塩素いっぱいで、まともに生き物の住めないこの世界に住む『謎の生き物』は。
……
……
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ミラーハウスへ行く→
「く……ここ、か!」
苦々しい声を上げて、ミラーハウスへと飛び込んだあなた。 そのまま、ずるずると座り込んで。
はあ、はあ、と、息を整えています。
……長い時間走っていたから、当然といえば、当然でしょう。
呼吸が整ってくると、次第に周囲が気になってきたあなた。
……奥の部屋から、何やら軽快な音楽が鳴り響いてます。
「……ミラーハウス、か。
……ていうか、このまま、ここに、ずっといればいいんじゃないか?」
そんなことを呟いたあなたですが、すぐに自分の考えを否定します。
何しろ、食べ物もなにも無い状態。
ここで座り込んでいても、餓死の未来しかありません。
そういえば、昔、ミラーハウスに入ったことがあったなあ、とあなたは思い出しました。
当時の自分にとっては、まさに迷宮。
難攻不落の、大迷路だったことを思い出したのでした。
よたよたと、ミラーハウスの入り口へ向かっていると。
看板を、見つけました。
『本物の自分は、ど~れだ?』
看板に描かれた裏野ラビットのニッケルさんは、おどけたポーズでそんな台詞を
本物の、自分?
何を、言っているのでしょう。
問題を横目に、ミラーハウスへ足を踏み入れると。
「ああ……なんというか……懐かしいなあ」
いつか来た、難攻不落の迷路が、そこにあったのでした。
「……まあ、今なら、クリアも余裕でしょ」
そういうとあなたは、右手を伸ばして、右手の鏡に手を付けました。
「こうやって、壁に手を付けて進んでいけば……って、うお!?」
まるで、泥沼のように、沈み込む鏡。
驚いて、思わず手を引っ込めたあなたですが。
「……これが、怪異、ってやつか」
意外と物分り良く、現状を把握しています。
「……っち。
っつっても、こうやって進むしか、ないからな……」
そして、観念したかのように、再度右隣の壁に手を突っ込むと、鏡の迷宮へ、足を踏み入れるのでした。
###############
「はあ、はあ……な、なんだ、ここは!?」
あなたは、耐え切れずに声を上げます。
それもそのはず。
「別の、ゴールが、あるってこと、か?」
なんとなく鏡に向かいながら、そんなことを呟くあなたは、あることに気がつきました。
「……なん……だ?
この鏡の私……
ひょい、と横を見るあなた。
「……なんだ……この鏡の私は……眼帯を付けている。
……うわ、何で気がつかなかったんだ」
あなたは周りを見渡します。
鏡に映るあなたは、全く同じようで……
そこで、思い出す、入り口の、問題。
『本物の自分は、ど~れだ?』
「……つまり、本物と全く同じ鏡を見つければ、良いってこと……なのか?」
あなたは、やっと、理解したかのように、再度ミラーハウスの中へと足を進めるのでした。
########################
「……右13の鏡か、左42の鏡……どっちか……だな」
鏡を覗き込みながら、あなたは呟きます。
あれからすべての鏡をチェックして。
自分と同じ格好をしている鏡を2つ、見つけたのでした。
しかし、見つけた2つは、本当に全く同じで。
違いを見つけることが、できなかったのです。
「……もう、これ以上は、仕方ないわな。
勘で選ぼう」
そう呟くと、あなたは、
ちなみに。
『本物の自分は、ど~れだ?』
答えは、『
因みに、
「ぎ、ぎ、ぎいいいいい!?」
突然、ばきばきばき、という音が、あなたの手の先から……鏡に突っ込んだ手の先から、聞こえてきます。
……
激痛とともに、鏡に飲み込まれていく右腕。
そのまま、抵抗していた両足が飲み込まれて行き。
……
静かに、あなたは思いました。
『ウワサ4 ミラーハウスでの入れ替わり
ミラーハウスから出てきたあと
「別人みたいに人が変わった」って人が
何人かいるらしいよ。
なんというか、まるで中身だけが
違う見たいだって……』
入れ替わりなのか、何なのか知りませんが。
全身をシュレッダーにかけられて。
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ドリームキャッスルへ行く→
「さ、さすがにここは、大丈夫だろう……!」
息を整えながら、あなたは一人ごちます。
場所は、ドリームキャッスル。
裏野ドリームランドの中央に位置する、重要なお城です。
夜になると、エレクトリカルなパレードが、お城から出発します。
……そんな城の地下に、拷問部屋?
あるわけ、ないと、思うのですが。
「……まあ、調べなきゃ、いけないんだろう、なあ……」
調子を戻したあなたは、一度深呼吸をすると。
……ドリームキャッスルの奥へと、足を運ぶのでした。
##########################
ドリームキャッスルの奥には。
ウワサ通り、
「おいおい……マジか……よ……」
あなたは、裏野ドリームランドのウワサを、思い出します。
『ウワサ5 ドリームキャッスルの拷問部屋
ドリームキャッスルには
隠された地下室があって、
しかも拷問部屋になってるんだとさ。
遊園地にあるわけないのに。
だから今度確かめに行ってくるよ』
ひょい、と横を見ると、裏野ラビットのニッケルさんの看板が、ありました。
『拷問器具の中で、ニセモノが一つあります。
どれでしょう?』
ニッケルさんは、おどけたポーズでそんな台詞を
「に……ニセモノ?」
あなたは、ゆっくりと拷問部屋を眺めます。
拷問器具の横には、丁寧に、名前まで書いてありました。
『
『
『
『
『
……正直、使い道がわからないものも、あります。
しばらく、呆然とそれらを眺めていると。
「さあ、どれにする?」
後ろから、そんな、声が聞こえてきました。
振り向くと、そこにいるのは、
……ニセモノを、選ぶ。
……正直、遠目では、どれが正解かわかりません。
どれもこれも、禍々しい光沢を放っています。
放っています……が。
「……じゃあ、これに、するよ」
あなたは、観念して、答えます。
理由はありません、なんとなく、です。
その答えに対して。
「おお、すごい!
正解、だよ~!!」
裏野ラビットのニッケルさんは、うれしそうに手を叩きました。
答えがあたっていると思っていなかったあなたは、驚いた顔をして、その後、笑みを浮かべます。
「そうそう、そうなんだよ。
実は、君の答えた拷問器具は、『歴史的な遺産』とか何とか言われて、ホンモノを、貸し出して貰えなかったんだよね~」
裏野ラビットのニッケルさんは、解説を加えていきます。
「だから、君の答えた拷問器具は、
顔を引き攣らせたあなたに、裏野ラビットのニッケルさんは、言葉を続けます。
「ああ、大丈夫だよ。
レプリカには違いないけど。
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メリーゴーラウンドへ行く→
「と、とりあえず、ここなら!」
あなたが飛び込んだ先は、メリーゴーラウンド、でした。
ぶっ倒れた状態で、あなたは、思い出します。
『ウワサ6 廻るメリーゴーラウンド
メリーゴーラウンドが勝手に
廻っていることがあるらしいよ。
誰も乗っていないのに。
明かりが灯っているのは
とても綺麗らしいんだけど、ね』
裏野ドリームランドの七不思議の中でも、なんとなく、緩そうなその怪異。
要は、光って綺麗なだけ……。
……だよ、ね?
あなたは、呼吸を整えると、メリーゴーラウンドに近づいていきます。
そして、その途中で、看板を見つけたのでした。
『にじの色の中で、無いものは、ど~れだ?』
裏野ラビットのニッケルさんの看板が、おどけたポーズでそんな台詞を
辺りを見渡すと、メリーゴーラウンドの馬には、多くの色が付けられています。
その色は、
「……いや、待てよ」
あなたは、考えます。
虹の色は、実は、世界で違います。
5色で表される国もあれば、20色を超える国もあります。
もちろん、それら全てを覚えているわけではありませんが。
「……
……どちらがより無いか、と言われたら……多分、黒、だよ、なあ……」
あなたはそう呟くと。
黒い馬のメリーゴーラウンドに、跨るのでした。
静かに、鳴り出す軽快な音。
メリーゴーラウンドが、廻り出したのでした。
そのスピードは、次第に速度を増し。
「……!?」
ぎゅんぎゅん、と、どこまでも加速していくメリーゴーラウンド。
もはや、その時速は300kmを超えていました。
なぜか両手、両足がベタリとメリーゴーラウンドに付いているせいで、動くことすら出来ません。
(い、息が出来ない……!?)
首が、逆側に、のけぞるように跳ね上げられます。
胴体が、べこんと、風圧でへこみます。
「がばばあばばばばばばばb」
視界が、赤くにじみます。
両目から、出血を始めたのです。
更に腹部からは、遠心力に負けた
『にじの色の中で、無いものは、ど~れだ?』
それは、
つまり、そんなものは無いので。
正解は、
そうすれば、例えメリーゴーラウンドは廻りだしたとしても、あなたは投げ出される形でその状態から逃れることが、出来たでしょう。
……
コンティニューへ→
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観覧車へ行く→
「ど、ど、どういうこと、なんだよおおお!!」
声を上げながら、あなたが入った施設は……観覧車、でした。
一生懸命現状を整理しようとしますが、当然、出来ません。
頭の中がぐちゃぐちゃのまま、ふと見上げると、どこまでも高く、その観覧車は見えました。
目の前には、観覧車に乗るように、裏野ラビットのニッケルさんが、手招きをしています。
「……これに、乗れば、良いんだね?」
あなたの言葉に、ニッケルさんは、答えます。
「これに乗れば助かるって言う訳じゃあ無いけど。
「……充分」
そう呟くと、あなたは、観覧車に、乗り込むのでした。
#########################
観覧車は、どんどんと、その高度を上げていきます。
窓を眺めると、驚くことに。
どこまでも広がる、裏野ドリームランドを眺めることが、出来たのでした。
それは、冗談でもなく、
走って出口を目指すことは無理だろう、と、あなたは思いました。
ふと、目の前の窓を見ると。
そこには、小さな看板がありました。
『いま、何時?』
裏野ラビットのニッケルさんが、おどけたポーズでそんな台詞を
看板の右側には、アナログ時計を思わせる、かわいらしい絵が。
左側には、同じ縮尺で観覧車が描かれていました。
何を言っているのか。
少し考えて、あなたは気づきます。
観覧車の数は、12。
時計の示す数も、12。
観覧車の示す数字が、時計の示す数字の、答え、では、ないか?
バタン!!
観覧車の、扉が開きました。
扉から外をのぞくと、頂上に近い位置……時計で言うと、3時くらいの位置に、観覧車が、います。
……もはや、疑う必要も、ありません。
出されたなぞなぞである……つまり。
『いま、何時?』の、答えである、観覧車の問題は。
真っ暗な空を眺めて、予想をつけるあなた。
「北極星と、月の位置。
あと、夏の星座の配置からして……」
そして。
12時半過ぎで、13時の前。
なんとなくではありますが、そう、予想したあなたは。
観覧車の、一番高い位置の、近く。
そこに観覧車が移動すると。
扉の向こうへ。
……ゆっくりと、飛び降りたの、でした。
###########################
「うん、凄いや!
12時で正解だね」
遠くから観覧車を眺めながら、裏野ラビットのニッケルさんは、独り言を言っています。
「……それで……
……思い出されるのは、この遊園地の、ウワサ。
『ウワサ7 観覧車から聴こえる声
廃園になった遊園地、
人なんか誰もいないはずなのに……
観覧車の近くを廻ると声がするらしい。
小さい声で、
『出して……』って』
「全く、言い掛かりも良いところだよ。
裏野ドリームランドは、
気味の悪い笑顔で、裏野ラビットのニッケルさんは、声を上げました。
そして、地上高くから落下してくる人たちを見ながら。
「でも、なんだか最近、落ちてくる人が多いんだよね~。
と、他人事のように笑いました。
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コンティニュー→
「はっ!?」
ふと気がつくと、あなたは、自分の部屋の、ベッドから飛び起きていました。
……ふう、ふう、と声をあげるあなた。
先程の、あまりにもリアルすぎる夢に、未だ意識を奪われているようです。
死ぬ間際の激痛は、とても夢だからといって説明できるものではありませんでした。
「……ッ痛……?」
ふと、左手に痛みを覚えたあなた。
そこには。
「……なんだ、この入れ墨……入れた覚え、ないぞ?」
左手小指の付け根に、長方形の入れ墨が、ありました。
入れ墨には、《浦野ドリームランド優待券》という文字も一緒に刻まれています。
それはまるで、遊園地のチケット。
しかし。
結局は、ただの夢、です。
「ち。
なんだ。
な~~んだよ!
夢かい、ふざけやがって~!」
あなたは、喜びにも似た叫び声をあげると。
安心したかのように、再度、ばふ、と、ベッドの中に、体を埋めるのでした。
###########################################################################################################################################################################################################################################################################################################################################################
君は初めてここに来たのかな?
あれ、2回目?
じゃあ、ちょっとだけ説明してあげるね。
ここは裏野パーク。
わたしは裏野ラビットのニッケルさん。
そして、このポーズが『スシザ○マイ』のポーズだよ!
あれ、2回目も、面白くなかった?
まあ、私のことは、気軽に、『ニッケルさん』って、呼んでね。
……え?
……ははは、あれで終わりだと、思っていたの?
浦野パークは、夢の世界!
それじゃあ、準備はいいかな?
はじめるよ?
よーい。
どん!
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その建物へ行く→
「もう、無理、だろ……」
あなたは、弱音をはいています。
無理もありません。
あれから数か月、
「ジェットコースターへ行った!
アクアツアーへも行った!
ミラーハウスへも行った!
ドリームキャッスルへも行った!
メリーゴーラウンドへも行った!
観覧車へも行った!
どこにも、ゴールなんて、ないじゃないか!」
フラフラの頭で、大声を上げたあなたは、ふと、思い付きます。
「……まてよ?
……
思い出すのは、裏野ドリームランド初日。
チュートリアルの様な説明が裏野ラビットのニッケルさんからあった、あの建物。
今まで気にしていませんでしたが。
裏野ラビットのニッケルさんは、
そこがゴールとは限りませんが。
試す価値は、ありそうです。
あなたは、一人うなずくと、その建物を、探すのでした。
###############
「……ん?
どうしたの?
忘れ物?」
建物の中には、いつかのように、裏野ラビットのニッケルさんがいました。
ふと、回りを見渡すと。
夥しい数の遺影が、飾られています。
「……これは、いじめで自殺した子供達の写真だよ。
この子は、中学生。
こっちは、まだ小学生だ」
悲しそうに、裏野ラビットのニッケルさんは指を指して説明します。
呆然と写真を眺めているあなたは。
……1つの写真に、気が付きました。
それは、見慣れた、顔。
何度も馬鹿にして、罵倒して、殴り付けた、顔。
はにかんだそのモノクロ写真に、あなたは、土下座します。
「ごごご、ごめんなさい!
わ、私が、悪かったです!!」
それは、自然に行われた行為でした。
裏野ドリームランドで何度も死ぬ目にあって。
やっと、相手がどれ程傷ついていたのか気付いたのでしょう。
「……忘れ物、見つかったみたい、だね」
そばにいた裏野ラビットのニッケルさんは、そう言って。
パチン、と切符の様なものを切りました。
「そう、それがゴール。
そして、スタートでもある。
君は、その気持ちを、一生持ち続けなくちゃならない」
そう言いながら、裏野ラビットのニッケルさんが手渡したのは。
……『裏野ドリームランド優待券』に『来園済』の刻印が押された、チケット、でした。
呆気に取られるあなたに。
裏野ラビットのニッケルさんは、こう、言いました。
「裏野ドリームランド攻略、おめでとう。
……
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→
「はっ!?」
ふと気がつくと、あなたは、自分の部屋の、ベッドから飛び起きていました。
……ふう、ふう、と声をあげるあなた。
先程の、あまりにもリアルすぎる夢に、未だ意識を奪われているようです。
「……ッ痛……?」
ふと、左手に痛みを覚えたあなた。
そこには。
左手小指の付け根に刻まれた、《浦野ドリームランド優待券》という文字のことも一緒に考えあわせれば。
《来園済》の切符を切られたのだろう、と、予想がつきました。
「ゴール、か……」
自分の指が無くなったにも拘らず、あなたは静かに声を出します。
このくらいの罰は、当たり前、と、思ったのかもしれません。
裏野ドリームランドに来る前とは、偉い違いですね。
「私が、悪かった。
ちゃんと、贖罪、しよう。
怒られても、罵倒されても、もう一度、お線香をあげに行こう」
ぽつり、ぽつりと呟いたあなたですが。
「でも、その前に……これだけは、許して、もらおう……」
そう言葉を続けて。
数ヵ月ぶりの、安眠を、貪ることにしたのでした。
###############
やあ、
ここは裏野パーク。
わたしは裏野ラビットのニッケルさん。
そして、このポーズが『スシザ○マイ』のポーズだよ!
あれ、やっぱり面白くなかった?
まあ、私のことは、気軽に、『ニッケルさん』って、呼んでね。
ん?
良く解らないって顔してるね。
じゃあ、ちょっとだけ説明してあげる。
ほら、自分の両手両足、ちゃんと確認してみて?
さあて。
ここは、裏野パークの施設の1つ、裏野レゴ⚪ンド。
ここにも楽しいアトラクションがあるから、楽しんでいってね。
……え?
ゴールじゃなかったのか、って?
あはは。
だから、言ったじゃん。
『
うわ、良い顔!
その顔を見るために、私は裏野ラビットのニッケルさんをやっていると言っても過言ではないね。
……ん?
ああ、それは、もちろんだよ。
この裏野パークには、ちゃあんと『
うん、ニッケルさん、こういうことではウソ吐かないからね。
……うふふ、流石に気付いたかな?
裏野パークから脱出する方法は、ただ1つ。
……あのねえ。
贖罪の気持ちを持つなんて、当ッたり前なの。
その上で、君が、ちゃあんと、死んでくれたら、きっと亡くなった子のご家族も、多少溜飲が下がるってものなんだよ。
だから君も、
……
……それじゃあ、準備はいいかな?
はじめるよ?
よーい。
どん!
くぅ疲これ完ファサ。
さて。
意外と皆様、すしざ⚪まいのポーズ、知らないんですね。
気になった方は『サーバル』『すしざん⚪い』を画像でググッて見てください。
廃園された娯楽施設……マスコットキャラは動物がモチーフ……スシザンマ⚪のポーズ……うっ頭が……。
「面白かったな」と思ってくださった方は、他にもなぞなぞ系デスゲーム書いてますので、お時間がありましたら、是非。
ブレーメンの屠殺場
http://ncode.syosetu.com/n9431ct/
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