執事指揮官の日常 (雪刀)
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第一話

 コンコンと自室のドアがノックされる。

 

「おはようございます。ベルファストでございます。入ってもよろしいでしょうか。」

 

「良いですよ。」

 

 ガチャ

 

ドアが開くと、美しく銀髪に見事にメイド服を着こなした、ベルファストが部屋へと入ってきた。

 

「おはようございますベルファスト姉さん。」

 

「フフッ もう指揮官になるのですから姉さんは控えてくださいね。」

 

「あっ」

 

「まぁ 今は二人ですからいいですけど、気を付けてくださいね。葵指揮官になるのですから。」

 

「すみません姉さん。いつもの癖で。」

 

「まだ執事のときの癖が抜けませんね。まったくしっかりとしてくださいね。」

 

ベルファストは「はぁ」とため息をこぼした。

 

「はい、気をつけます。」

 

コンコンとまたドアがノックされる。

 

「私が出て参ります。葵はベットから早く出てくださいね。」

 

「ベットから出たくないです。」

 

そう言って僕はシーツにくるまる。

 

「はぁ〜」

 

「ちょっと、そんなため息出さなくても…。」

 

「やはり私ではなく、シェフィールドの方が良かった様ですね。」

 

「今出ます、出ますから!姉さんが良いです!」

 

僕はベットから出る。

 

あの人苦手。すぐに銃砲向けてくる。いい人だけど苦手。

 

「ちょっと〜。葵〜!なんでノックしたのに出てくれないの〜!」

 

ガチャとドアを開けて入ってきたのはエディンバラ姉さん。

 

ベルファスト姉さんとは姉妹艦でベルファストの姉。

 

だが、ベルファスト姉さんの方が姉っぽい。

 

「ゲッ ベルまで居るじゃない。」

 

「あら 私が居ると何か不都合でも?」

 

「いやぁ あはは〜 じゃあまた後で!」

 

そう言ってエディンバラ姉さんは勢いよくドアから出ていった。

 

(出た後にコケたような大きな音がなったのは多分気のせい。)

 

「エディンバラ姉さんどうして来たんだろう?」

 

僕が考えようとした時、ベルファスト姉さんがパンッと手を叩いた。

 

「分からない問題を考えても仕方ありません朝食が冷めてしまいますよ。」

 

そう言われて時計を見ると、08:00を指していた。

 

「もうこんな時間!今日は陛下に呼ばれてるんだった!急がないと…!」

 

そう言って僕は急いでドアから出ようとした。

 

「その前に着替えもしなければなりませんね。」

 

フフッと笑いながらベルファスト姉さんは言う。

 

「朝食はダイニングルームに置いてあります。必ず食べてくださいね。」

 

「はい」

 

「では、失礼致します。」

 

ベルファスト姉さんは静かに出て行った。

 

「よし、着替えよう。」

 

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          提督着替え中

 

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「よし!これでいいかな。」

 

鏡の前に立ち、自分の姿を眺める。

 

黒く光沢のある、高そうな燕尾服。

 

 

数年前に貰った物だが、しっかりと使っている為、

 

新品同様とまではいかないがかなり綺麗な状態だ。

 

「早く食堂に行って、女王陛下に会う準備をしなきゃ。」

 

背筋を伸ばし、顔は正面をしっかり向き、歩幅は一定にして歩き始める。

 

最初は難しいかったが、ベルファスト姉さんの教えもあってか、

今では苦労しなくなった。

 

(そういえば、陛下はなんの為に僕を呼んだんだろう。提督についてのことかな。)

 

うーんと考えていたらダイニングルームの前までついていた。

 

ドアを開けてダイニングルームに入る。

 

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すると、カメラを片手にとても見せられない表情をしている空母がいた。

 

「……またかぁ〜」

 

と僕は小声で呟く。

 

「葵!少し来てくれ!!この駆逐艦達を見てくれ!!とても……とても可愛いと思わないか!!」

 

そう言いながら写真を見せてくるのはアークロイヤル様。

 

アークロイヤル様はとても駆逐艦が好きなロリ○ンです。

 

僕にやたら駆逐艦の良さを語ってくるKAN−SENだ。

 

「おはようございます。アークロイヤル様。」

 

「どうだ葵!今日も駆逐艦達は可愛いと思わないか!」

 

「はい、そう思いますよ。」

 

普通に、KAN−SENの人達は皆綺麗で可愛いと思う。

 

そう答えると、ヒートアップし、

 

「そうだろう、そうだろう!葵も駆逐艦の良さが分かって来たようだな!」

 

「すみません。アークロイヤル様、僕はこの後陛下に呼ばれていまして、これで失礼させていただきます。」

 

「そうか。また今度いい写真を見せてあげよう!」

 

「いえ 遠慮しておきます。」

 

そう言って素早くその場を離れ、食事を取りにいく。

 

今日の朝食は、イングリッシュ・ブレックファーストとコーヒーだ。

 

やはりベルファスト姉さんの朝食は美味しい。

 

だが、のんびりとはしていられないので、急いで食べる。

 

「ふぅやっぱり美味しいな。」

 

そして時間確認の為に懐中時計を取り出し、時間を確認する。

 

この懐中時計はロイヤルから貰ったお守りの様なもの。

 

外側はテカリの無い銀色で内側には金色でロイヤルの刺繍がしてあり、大切にしている。

 

その懐中時計は、08:35を指していた。

 

(女王陛下と会うのは確か09:00だったからまだ間に合うな。)

 

そう思い、僕は好きな紅茶を入れる為に、キッチンへ向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「今日はどうしようかな?」

 

ロイヤルでは紅茶がよく飲まれるため、たくさんの茶葉がある。

 

「朝は絶対コーヒーだけど、食後はやっぱり紅茶だな。」

 

ダージリンに、アッサム、アップルティーなんかもあるけど、

 

「アールグレイにしよう。」

 

アールグレイは柑橘系の爽やかな香りの紅茶だ。

 

お湯を沸かして、ポットに茶葉を入れ、沸騰したお湯を手早く入れて、蒸らす。こうするととても美味しい紅茶が出来る。

 

カップに注いで香りを確かめる。

 

「うん。十分いい香りだけど、ベルファスト姉さんには及ばないや。」

 

僕はベルファスト姉さんの入れる紅茶がとても大好きだ。

 

姉さんの入れる紅茶は香りから味までがほぼ完璧だ。

 

そう紅茶を僕が楽しんでいると、突如

 

パリンッ

 

「ああっ!またやってしまいました…。やはりシリアスには無理なのでしょうか……。」

 

音のした方に駆けつけると、割れた皿の前でシリアスが縮こまっていた。

 

「どうしたのシリアス?」

 

シリアスが顔を上げる。

 

シリアスは僕が執事として働き始めた同時期にメイド隊に入った。まぁ同級生みたいなものかな。

 

シリアスは戦闘に関してはとても頼りになるんだけど、

給仕に関してはお世辞にも上手いとは言えない。

 

でも、それでも諦めず一生懸命と給仕に取り組む彼女を見ると

自分も頑張らなくちゃって思えるんだよね。

 

「朝食用の食器を落として、割ってしまいました……。」

 

「あー。まぁ割ってしまったものは仕方ない。手伝うからすぐに片付けよう。」

 

「…はい。」

 

「次は気を付けてね。」

 

と僕は食器の破片を集めながら言う。

 

「葵はやっぱり優しいですね。この給仕もまともに出来ないシリアスに…。」

 

「同期の仲間じゃないか。助け合うのは当たり前だ。それにシリアスだって僕のことを助けてくれたじゃないか。」

 

「…そうですね。」

 

よしっとシリアスは立ち上がった。

 

「食器の破片をすぐに片付けます。後はこのシリアスにおまかせください!」

 

 

「ああ」

 

そして、シリアスはテキパキとはいかないが片付けをし始めた。

 

僕も手伝って、片付けが終わった。

 

「ありがとうございました。葵。」

 

「ああ。大丈夫だよシリアス。」

 

「でも、せっかく葵の入れた紅茶が冷めてしまいました。」

 

「また入れ直せばいいから大丈夫だよ。」

 

なんだろう少し嫌な予感が…。

 

「このシリアスに紅茶を淹れさせてください!手伝って頂いたお礼として。」

 

「…エッ。」

 

これは断りづらいが、

 

このシリアスはまともな紅茶を淹れられた事が無いと思う。

 

あのベルファスト姉さんすら顔色を変えて、自室に戻るほどの紅茶を僕は飲む気にはなれない。

 

「ダメ……でしょうか…?」

 

とシリアスは涙目上目遣いで聞いてきた。

 

これは、断ったら良心に響く…!

 

「あ、ああ。じゃあいただきます。」

 

そう言った瞬間にパァーと笑顔になったシリアス。

 

「はい!美味しい紅茶を淹れてきますね!」

 

シリアスは笑顔でキッチンに向かって行ったが、

 

葵の顔は諦観の笑みを浮かべた。

 

果たして僕は無事に女王陛下に会うことが出来るのだろうか。

 

葵がそんな事を考えてるなど知らずに、

 

シリアスは紅茶の用意を続けるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 人物紹介

 

 葵  男  推定19歳

 

幼い頃に、重桜近くの島国で暮らしていた所、セイレーンによる襲撃を受けた。突発的な襲撃だったため対応が遅れ、甚大な被害をもたらした。すべての陣営が協力して撃退したものの、その襲撃の生存者は3人。その内の一人

年齢は分からず、記憶も所々欠如していた。ロイヤルメイド隊のベルファストにより助けられ、そのままロイヤルへ。

そして、ロイヤル初の執事としてロイヤルで働いている。

 

執事から指揮官へなる様にと陛下から言われるのだか、葵は指揮官よりも執事の方が好きなようだ。




アズールレーン3周年おめでとうございます!
こういったものを前々から書いてみたかった。
こんな駄文ですか、良かったら見てってください。


あっ!感想お待ちしています。

何でもいいです。


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第ニ話

「葵!出来ました!」

 

シリアスによって淹れられた紅茶が運ばれてきた。

 

何の茶葉を使ったかは分からないが、見た目は普通だ。

 

白く湯気がたち、普通に美味しそうだ。

 

だからって油断は出来ない。

 

あのベルファスト姉さんが顔色を変える様な紅茶を出したことのあるシリアスだ。

 

「どうしたのですか?紅茶が冷めてしまいますよ?」

 

頭上に?を浮かべたシリアスが聞いてくる。

 

「あ、ああ」

 

少し変な返事になってしまったが、

 

 

僕はティーカップに指をかけた。

 

(よし。)

 

そのまま、ティーカップを口に近づけ、少し口に入れた。

 

「……ウッ」

 

まぁ何ということでしょう。

 

紅茶の味わいはほとんどなく、砂糖の甘さが口全体に広がる。

 

いくつ角砂糖を入れたら、こんなに甘くなるのでしょう。

 

糖の取り過ぎで、少し吐きそうになったが、

 

なんとか堪えた。

 

「シ、シリアス?」

 

「はい?」

 

「この紅茶を自分で飲んだ事がある?」

 

「いえ、ベルファスト様やニューカッスル様には飲んでいただきましたが、皆様顔色を変えて何処かに行ってしまうものですから、でも、絶対に陛下には淹れるなと言われました。」

 

シリアスはまた?マークを浮かべた。

 

「少し自分で淹れたのを飲んでみて。」

 

僕が持っていたティーカップをシリアスに差し出す。

 

「……いただきます。」

 

シリアスは少し赤面し、うつむきながら受け取った。

 

(自分の淹れた紅茶が恥ずかしくて顔が赤くなってるな。)

 

僕はそう思った。

 

「あっやばいもうこんな時間!」

 

ふと見た壁掛け時計の示す時刻は08:50。

 

「シリアスごめん!僕、これから女王陛下の所に行かなきゃいけないんだ。それ、自分で味見して何が悪いか考えといてね!」

 

「あっ…!」

 

僕はキッチンを後にし、身なりを整えながら女王陛下が居る茶会の会場へと着いた。

 

 

一方、その頃、シリアスは……。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うぅどうしましょう。自分の淹れた紅茶を飲むのはいいのですが……。」

 

シリアスは葵から渡された、ティーカップに目を向ける。

 

(葵の飲みかけ…。つまりか、間接キスになるのでは…!?)

 

あわわわ、と慌てるシリアス。

 

(落ち着くのよシリアス。これはただの紅茶よ。葵が飲んでいたとしても、葵が味見をしろと言っていましたし、何も恥ずかしがることはないわ!)

 

ゴクッとつばを飲むシリアス。

 

手に持ったティーカップが、

徐々にシリアスの口元に近づいていき……。

 

ガチャ

 

「ひゃあ!」

 

ガチャンとティーカップを落としてしまった。

 

「シリアス!大丈夫ですか?」

 

ドアから入ってきたのは、姉のダイドー。

 

「怪我をしていませんか?あぁティーカップが!」

 

「も、申し訳ありません。姉さん。」

 

「シリアス、顔が赤いじゃない?」

 

「!!」ドキドキ

 

「熱があるんじゃない?片付けはダイドーにまかせて、シリアスは休んでて。」

 

「で、ですが…。」

 

「大丈夫だから、ね?」

 

「……わかりました。ありがとうございます姉さん。」

 

「このダイドーにまかせて。休んでいなさい。」

 

「はい…。」

 

ドキドキ

 

シリアスはキッチンを後にした。

 

結局味見は出来なかった。

 

ドキドキ

 

動機が収まらない。

 

(シリアスは一体どうしてしまったのでしょう。)

 

落ち着かせる為に、深呼吸を一度して、自室へと戻って行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そんなシリアスの事など知らない葵は、

女王陛下の居る茶会会場へとついていた。

 

懐中時計を取り出し、時間を確認する。

 

「よし。」

 

時間はちょうど09:00をまわったところだった。

 

「失礼いたします。葵でございます。」

 

「よく来たわね!葵!」

 

「御機嫌よう。」

 

「葵。御機嫌よう。」

 

女王陛下ことクイーンエリザベス様。

 

陛下の妹ぎみ、ウォースパイト様。

 

そして、フッド様。

 

それぞれの挨拶を交わした。

 

「おはようございます。女王陛下、ウォースパイト様、フッド様。」

 

「とりあえず座りなさい葵。ベル、紅茶と茶菓子の用意を。」

 

「かしこまりました。」

 

いつの間にか背後に控えていた、ベルファストが茶会の準備を始める。

 

「それでは陛下、ご用件はなんでしょうか?」

 

「よく聞いてくれたわね。葵、貴方は各陣営から出される指揮官のロイヤル代表になったわ。」

 

ここでの指揮官とは、毎年一人から二人ほど各陣営から、指揮官としてふさわしいと判断された者たちが、アズールレーンの指揮官となって、指揮をする人のこと。

 

ロイヤルには、もともと候補が、4人ほどいた。

 

もちろん葵もその中に入っていた。

 

ロイヤルの決め方としては女王陛下がふさわしい人を指名する形をとっている。

 

その代表として僕が選ばれたのだ。

 

「僕が、代表?」

 

「そうよ!これは厳密なる審査の結果よ。」

 

ない胸を少しそらして陛下は言う。

 

「私は、陛下に賛同します。」

 

「私も同意見ですわ。」

 

「ロイヤルに執事として数年仕えてきた貴方はロイヤルの代表として優雅さは合格点、女性の扱いに関しても、貴方は問題を起こさないと判断したわ。」

 

「確かに真面目で紳士的な方と存じておりますわ。」

 

「さすがは陛下でございます。」

 

僕への評価結構高いな。

 

頑張った結果かなぁ。

 

僕をここまで育ててくれたロイヤルに対しての恩返しだ。

 

「分かりました、謹んでお受けいたします。」

 

「貴方ならそう言ってくれると信じていたわ!」

 

「陛下、紅茶が入りました。」

 

「ありがとうベル。」

 

「今回はダージリンを淹れさせていただきました。」

 

ダージリン

 

それは特に香りの強い紅茶で、芳醇な味わいが特徴。

 

僕の結構好きな紅茶だ。

 

(やっぱり、ベルファスト姉さんが淹れた紅茶は美味しいな。)

 

「それで貴方の配属先だけど、マドラスに配属してもらうわ。」

 

マドラス?聞いたことのない所だな。

 

「力を強めたセイレーンに対抗する為に、新しく新設された所よ。色々な陣営のKAN−SENが集まってセイレーンにから海を取り戻す為に戦うのよ。」

 

そう言って、女王陛下は紅茶を飲む。

 

「やっぱりベルが淹れる紅茶は美味しいわね。」

 

「我々ロイヤル、ユニオン、重桜、そして、鉄血。他にも様々な陣営からKAN−SEN達がくるわ。」

 

とウォースパイト様が、言う。

 

「ロイヤルからは誰が来るのですか?」

 

「我々、ロイヤルからは、葵と同期のシリアス、ネルソン、そして、ベルにも行ってもらうわ。」

 

「お待ちください。私もですか?」

 

「ベル、貴方は最近働き過ぎよ。しばらく休みなさい。ベルの代わりに、ニューカッスルが一時的にメイド長に就任してくれるらしいわ。だから、安心して行ってきなさい。」

 

「…御意に。」

 

「そして、葵。」

 

「はい。」

 

「マドラスに私が興味本位に行くわけにはいかないわ。だから、ヴァリアントを私の代わりに、マドラスに行ってもらうわ。」

 

「ヴァリアント様…ですか?」

 

あのカリスマを持った、チェス好きのヴァリアント様か。

 

「ヴァリアントを私だと思って、仕えなさい!」

 

「ヴァリアントも楽しみにしていたわ。」

 

「はい。分かりました。」

 

「出発は2日後よ。それまでにここを離れる準備としばしの別れを告げてきなさい。」

 

「仰せのままに。」

 

「要件は終わりよ。戻っていいわ。」

 

「失礼します。」

 

そうして僕は、茶会会場を後にしようとした。

 

「待ちなさい、葵。」

 

「はい?」

 

「頑張りなさい葵。期待しているわ。」

 

そう陛下は言った。

 

「ご期待にそえるか分かりませんが、頑張ります。」

 

(陛下からの期待に答えたい。)

 

そう思いながら、僕は自室へと戻った。




こんにちは、無事に第ニ話を投稿出来ました。
思ってたよりもたくさんの方々に見ていただきました。
こんな駄文ですが、これからもよろしくお願いします。

何故マドラスなのかというと、自分のサーバーだからです。


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第三話

まさか自分の作品が
2000UA以上見られるとは思いませんでした。
ありがとうございます。
では、本編へどうぞ。


自室に戻ると、僕はコーヒーを淹れ始めた。 

 

シリアスが淹れた紅茶のせいで、ベルファスト姉さんの紅茶を飲んだけれど、口の中が甘ったるいままだ。

 

(コーヒーでも飲んで、それから準備を始めるか。)

 

ユニオンから取り寄せたというこのコーヒー。

 

紅茶ほどではないにしろとても美味しい。 

 

コンコン

 

コーヒーを飲んでいると、ドアがノックされる。

 

「はい」

 

ノックに対しての返事を返す。

 

そして、コーヒーを置いて、ドアを開けに行く。

 

「葵!この私自ら来てあげたわよ。」

 

「御機嫌よう。葵さん。」

 

来ていたのは、ヴァリアント様とハーマイオニーさんだ。

 

「いらっしゃいませヴァリアント様。こんにちはハーマイオニーさん。」

 

そう言って、僕は二人を自室に案内する。

 

「お二人とも紅茶でよろしいですか?」

 

「構わないわ。」 

 

「はい。ありがとうございます。」

 

「では、淹れてきますね。」

 

キッチンに向かう。

 

今回は、アップルティーを淹れようと思う。 

 

アップルティーは本来少し時間がかかるのだが、

 

後で飲もうと思い、温めていたアップルティーを出すことにする。

 

ヴァリアント様は、甘い紅茶が好きだ。

 

ハーマイオニーさんはちょっと分からないけど。

 

「ねぇ葵?何か甘い匂いがするのだけど?」

 

「この匂い……アップルティーですね?」

 

「はい、正解です。ハーマイオニーさん。」

 

「やっぱり!私アップルティー好きなんですよ。」

 

ニコッと笑うハーマイオニーさん。

 

「そうですか!お口に合うといいのですが…。」

 

「フフッ大丈夫ですよ。葵さんの淹れる紅茶に不味いものはありませんよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「ちょっと葵!まだなの?」

 

「はい。もう少々お待ちください。」

 

(ここで隠し味を入れて、よし。)

 

「出来ました。熱いのでお気をつけてお飲みください。」

 

僕は、ティーカップを二人の前に置く。

 

このティーカップは特注で作ってもらった僕のお気に入りだ。

 

白い陶器で出来ており、銀でロイヤルの紋章をあしらった物だ。

 

いつもきれいに磨いているため、茶渋も見えない。

 

「ありがとう葵。いただくわ。」

 

「わぁいい香りですね〜。」

 

二人はほぼ同時に口をつける。

 

「……熱い!けど、美味しい。」

 

ヴァリアント様には熱かったようだ。 

 

「甘くて美味しいですね。林檎の他になにか入れてますね?」

 

「はい。なにか分かります?」

 

むむむと考え始めるハーマイオニーさん。

 

紅茶を冷ましながら飲んでいるヴァリアント様。

 

「甘過ぎず上品な味わい……。」

 

「砂糖ではないのは確かね!」

 

「正解です。ヴァリアント様。」 

 

「やっぱりね!」

 

自慢げに胸を張るヴァリアント様。

 

「まぁ私にかかれば簡単よ!」

 

「答えは……蜂蜜でしょうか?」

 

今まで考えていたハーマイオニーさん、答えがでたようだ。

 

「流石です。ハーマイオニーさん。」

 

「やはりそうですか。あたっていて良かったです。」

 

そういえばなんでヴァリアント様達は僕の部屋に来たんだろう?

 

「そういえば、ヴァリアント様、何故僕の部屋に?」

 

「ハッ!忘れる所だった…。」

 

と、ヴァリアント様はティーカップを置いた。

 

「葵。」 

 

「はい。」

 

「貴方はこれから私に仕えるわけだから、私に忠誠を誓いなさい。」

 

「分かりました。」

 

これは、僕が執事をしていた頃、忠誠を陛下に誓ったため、

 

まだヴァリアント様ではなく、陛下に仕えている事になっている。

 

だから、ヴァリアント様は、僕に忠誠を誓わせ、正式にヴァリアント様に仕えられる様にするため、わざわざ出向いてくれたようだ。 

 

僕は、片膝をつき、ヴァリアント様の片手を取って

 

頭を下げる。

 

「僕は、ヴァリアント様に忠誠を誓い、仕えることをここに宣言します。」

 

「その忠誠を受け入れ、葵が私に仕えることを許す。」

 

「有難き幸せ。」

 

そして、僕はスッと立ち上がる。

 

「ヴァリアント様、これでよろしいですか?」

 

「うん、大丈夫よ。」

 

「葵さん、かっこよかったですよ。」

 

ニコッと笑顔で言われると、思わずドキッとしてしまう。

 

「エッアッ…どうも。」 

 

少しキョドってしまった。

 

「フフフッ葵さん顔が赤いですよ。」

 

(不覚だ。)

 

そんな事を思っていると、

 

ヴァリアント様が立ち上がり、

 

「それじゃ葵。私達は失礼するわ。2日後に向けてしっかりと用意しなさい。」

 

「葵さん、御機嫌よう。」

 

「はい。それでは出口までエスコートいたします。」

 

「気が利くわね。」 

 

「ありがとうございます。こちらです。」 

 

ドアまでエスコートした。

 

「それじゃ改めて、さようなら葵。」

 

「頑張ってくださいね、葵さん。」

 

「ええ頑張ります。」

 

ガチャリとドアを開けて、

 

ヴァリアント様とハーマイオニーさんは退室していった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

それからの二日間は大変だった。

 

マドラス基地に行く準備は半日で済んだのだか、

 

挨拶をするのに時間がかかった。

 

特にダイドーさんは僕がマドラス基地に行くことを知らなかったようで、

 

「葵さん、マドラス基地に行くのですか?」 

 

と、少し驚いていました。

 

その時、僕は寒気を感じました。

 

 

 

 

後は、ネプチューンさんに女性に喜ばれるお菓子の作り方のレシピをいただきました。

 

クッキーや、ドーナツ。

 

そして、マカロンやケーキのレシピなどがありました。

 

紅茶と合わせると、美味しそうです。

 

どうしてレシピをくれたのか聞くと、

 

「餞別ですよ。」

 

と、ほほえみながら渡してくれた。

 

本当に感謝している。

 

レシピを試してみたくて作ったクッキーは、

 

駆逐艦のみんなに喜ばれた。

 

本当に、感謝している。

 

ハウ様にも好評だった。

 

 

 

そして、二日目の朝。

 

僕の自室にネルソンさんとロドニーさんが訪ねてきた。

 

「おはよう、葵。」

 

「おはようございます。葵さん。」

 

「おはようございます。」

 

一通り挨拶をかわす。

 

「立ち話もなんですので、中へどうぞ。」

 

そう言って、席に案内する。

 

「失礼するわ。」

 

「失礼します。」

 

「飲み物をお持ちしますね。」

 

キッチンに行こうとすると、

 

「結構よ。手短に終わるわ。」

 

そう言われたので席に座る。

 

「要件は簡単よ。私がマドラス基地に行くのは、あんたのためじゃないわ。私は陛下から貴方を監視する様に言われているの。

葵。あんたが間違いをおかさないためにね。」

 

そうだったのか。

 

「あんたがそんな事をするとは思えないけど、念の為ね。」

 

「何故そのことを僕に?」

 

監視するとわざわざ言う必要はないはず。

 

「……私はあんたを信頼しているから、話すのよ。」

 

「信頼しているし、これから一緒の基地で暮らす。だから、隠し事はあまりしたくないのよ。」

 

少しそっぽを向きながら、ネルソンさんは言う。

 

驚いた正直ネルソンさんは僕の事を信じてくれていたなんて思ってなかった。

 

ネルソンさんは自他共に厳しい人だ。

 

だからこそ驚いた。

 

「葵さん、驚きが顔に出ていますよ。」

 

「エッ!」

 

「姉さんが他人を信頼してるなんて、中々言いませんからね。驚くのも無理ないです。」

 

ね〜、とネルソンさんの方を見るロドニーさん。

 

相変わらずネルソンさんはそっぽを向いている。

 

ネルソンさんの方を向いているといきなりネルソンさんが僕の方を向いて、

 

「何見てるのよ!それ以上見ると目をえぐるわよ!」

 

「す、すみません…。」

 

「まったく……。」

 

「それじゃ、要件は終わったから帰るわ。」

 

と、立って出口へと歩き始めた。

 

「送りま「結構よ。」…分かりました。」

 

ガチャ

 

ドアが開いて行ってしまった。

 

「フフッ姉さんを怖がらないであげてね。姉さん不器用なだけだから。」

 

じゃあね、とロドニーさんも僕の自室から出て行った。

 

(そんな事を言われなくても怖がりませんよ。ネルソンさんが優しいのは知ってますから。)

 

そう思った。

 

 

 

 

そして二日間の準備を経て、僕がマドラス基地に移動する日となった。

 

「それでは陛下、行ってまいります。」

 

「頑張って来なさい。期待しているわ。」

 

「はい。」

 

「他陣営の方に迷惑をかけないようにしなさい。」

 

「分かりました。ウォースパイト様。」

 

「では、……ありがとうございました!」

 

そうして僕は、マドラス基地へと向かう、車へと乗り込んだ。




これでロイヤル陣営編が終わりました。
次の話からはマドラス基地にてストーリーが進んで行きますよ。

ロイヤル陣営から来るKAN−SEN

ベルファスト
シリアス
ヴァリアント
ネルソン

こんな感じで決まりました。


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第四話

ちょっと期間が空いてしまいました。
すみません。

【 】は饅頭語の日本語訳です。
饅頭語は葵には分かりません。
KAN−SEN達にはある程度は分かります。


「ここがマドラス基地か…。」

 

ロイヤルから出発し、数時間かけてマドラス基地に到着した。

 

もうロイヤルのKAN−SEN達は、すでに到着済みで母港にはロイヤルの艦艇が並んでいた。

 

ベルファスト姉さんの艦や、ヴァリアント様の艦が綺麗に並んでいる姿は、いつ見てもかっこいい。

 

そう艦艇を眺めていると、饅頭達が物資を持って僕の前を通過しようとしていた。

 

自分の身長の倍もある物資を運ぶ饅頭達を見て、

 

(何処にそんな力があるんだろうか?)

 

自分の細腕と饅頭達のちいさな手?を見ながら思う。

 

「あら、葵指揮官。マドラス基地へようこそ。」

 

そんな事を思いながら歩いていると、後ろからか聞き覚えのある凛とした声が聞こえてきた。

 

振り返らなくても分かる。

 

「ベルファスト姉さん。どうしたの?」

 

「いえ、葵が歩いていたものですから、声をかけただけです。」

 

「そうなんだ。所で、ベルファスト姉さんは何をしていたの?」

 

「饅頭達に指示をだしていました。ロイヤルのメイド長たる者、部下の扱いはなれております。」

 

「あぁ確かにシリアスじゃ、饅頭達に指示できなさそうだし。」

 

ベルファスト姉さんはクスッと笑って、

 

「あの子は、戦闘の方が得意ですから。」

 

「確かにね。」

 

シリアスは給仕に関しては絶望的だが、戦闘に関しては天才的だと言われている。一度彼女の演習を見たことがあるけど、ユニオンが相手でも引けを取らない戦いぶりだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とある一室にて

 

「…クシュン!」

 

「シリアス、風邪でもひいたの?」

 

「いえ、ネルソン様。今朝は風邪の兆候は見られませんでしたが。」

 

「じゃあ、貴方の事を噂している人がいるんじゃない?」

 

「そんな…。きっとこの卑しいシリアスを悪く言っているのです…。」

 

「はぁ…。なんで貴方はすぐに悪い方向にもってくのよ。」

 

「だって、シリアスが褒められる事は少ないですもの。」

 

「まぁ確かにそうね。」

 

「…そこは否定して下さらないのですね。」

 

「事実でしょう。」

 

「うぐっ…。」

 

「まったくアンタって子は本当に…。ってシリアス?何縮こまってんのよ。返事しなさいよ。おーい。」

 

「…シリアスハダメナメイドシリアスハダメナメイドシリアスハダメナメイドシリアスハダメナメイドシリアスハダメナメイドシリアスハダメナメイドシリアスハダメナメイドシリアスハダメナメイド……。」

 

「何なのよこの子は…。」

 

ネルソンはシリアスを無理矢理立たせ、

 

「ほら、そんなんで葵に顔見せられるの?これで顔を拭きなさい。」

 

ピクッと反応したシリアス。

 

それを見て、ネルソンはハンカチを取り出してシリアスに手渡した。

 

「………ありがとうございます。」

 

しばらく黙っていたシリアスも渋々受け取った。

 

「シャキッとしなさいよ。まったく…。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

饅頭達が物資を運ぶのを見ながらベルファスト姉さんと話をしていたら、一匹の饅頭がベルファスト姉さんに話しかけてきた。

 

「ピヨッピヨッピヨヨ。」

【ベルファストさんこのキューブはどうしますか?】

 

「それは造船所にお願いしますね。」

 

「ピヨッ!」

【了解しました!】

 

饅頭は素早くキューブの入ったコンテナを運んでいく。

 

(どう考えても一匹で持てる重さじゃなさそうなのに…。)

 

やっぱりそんな考えが浮かんでしまう。

 

その時、近くにあった物資が見えた。

 

(よし、ちょっと運んでみよう。)

 

そう思って物資の箱に手をかけた。

 

近くにいた饅頭が、

 

「ピヨッピヨッ!」

【指揮官!】

 

 

「ピヨッピヨッピヨヨッヨ」

【指揮官!我々饅頭におまかせください。】

 

「いいよ。なんとかなるよ。」

 

「ピッピヨッ!」

【やばい!指揮官が…!】

 

「ピヨッピヨヨヨヨ。」

【あれは見た目よりも重い物資なのに…。】

 

「ピヨー!」

【やめてください。指揮官ー!】

 

饅頭はあわてて首を振ったり、手?でバツをつくったりしたが、

葵には伝わらなかった。

 

「よいっしょー。……あれ?」

 

物資はピクリともしない。

 

「よしもう一度。よいしょ!」

 

やっぱりピクリともしない。

 

「葵、少々よろしいですか?」

 

「何?ベルファスト姉さん。」

 

そう言われ、手を離したらすぐに饅頭が物資を持っていってしまった。

 

すごく慌てていたけどどうしたんたんだろう。

 

「葵、ユニオン本部から連絡がありました。」

 

「要件は何だった?」

 

「はい、ユニオンからは駆逐艦が一艦、軽巡が二艦、戦艦が一艦がこちらのマドラス基地にいらっしゃるそうです。」

 

「そうなんだ。いつ頃来るか言ってた?」

 

「本日中には着く予定だそうです。」

 

「ありがとうベルファスト姉さん。」

 

「当然の勤めでございます。」

 

誇ることなく告げるベルファスト姉さん。

 

「敵わないなベルファスト姉さんには。」

 

「フフッそれはありがとうございます。」

 

「僕にはとても出来ないな。」

 

「いえ、葵ももう少し頑張れば出来ると思いますよ。」

 

「そうかな。」

 

「はい。そうです。」

 

「……ありがとう。」

 

その時、僕のお腹がちいさな音をたてた。

 

「……フフフッ」

 

恥ずかしくなって、少しうつむいた。

 

「葵のお腹は時間に正確ですね。ちょうど正午を回ったところです。お昼に致しましょうか。」

 

「…ハイ。」

 

「では、食堂に参りましょう。紅茶を淹れて差し上げますね」

 

そして僕とベルファスト姉さんは食堂向かった。




UAが3,000超えていました。
大変嬉しいです。また次回もよろしくお願いします。
さてさて、ユニオンからは誰が来るんでしょうか。
貴方の思っているKAN−SENが当たると良いですね。


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第五話

お久しぶりです


食堂に向かって僕とベルファスト姉さんは歩き始めた。

 

「ベルファスト姉さん。今日の昼食は何?」

 

「今日はハンバーガーでございます。」

 

「ハンバーガー?」

 

「ユニオンのソウルフードと聞いております。ユニオンのKAN−SEN達はハンバーガーが大好きだとか。」

 

「へぇ〜。早く食べてみたいな。」

 

「はい。では少し急ぎましょうか?」

 

「あぁそうだね。」

 

少し早足で食堂に向かう。

 

途中、ネルソンさんとシリアスにすれ違った。

 

お互いに挨拶を交わして通り過ぎた。

 

シリアスから少し黒いモヤみたいなのが見えたけど気のせいだよね。

 

そんな事を思いながら歩いていたらすぐに食堂に着いた。

 

「案外近かったね。」

 

「近道しましたから。」

 

当然といった表情でベルファスト姉さんは答える。

 

「葵もマドラス基地の構造は覚えたほうが良いですよ。」

 

「…はい」

 

来てそんなに時間は経っていないはずなのにもう基に基地の構造を覚えたみたい。

 

…正直こんな事は何回もあったので、驚きはしない。

 

「では入りましょうか。」

 

ベルファスト姉さんが両開きのドアを開ける。

 

中はシンプルな食堂で、長机と椅子が複数置いてあるだけだった。

 

ドリンクバーも完備されており、空調設備も完璧だ。

 

壁は海が見えるようにオーシャンビューになっていて、テラスがあり、外で食事を取ることも可能なようだ。

 

おー紅茶の茶葉やコーヒー豆も置いてあるんだ。

 

食堂を見回した後にKAN−SEN達が居るかどうか見てみたが、KAN−SEN達は誰もいなかった。

 

まだ各陣営のKAN−SEN達が到着していないから、静かだ。

 

これから騒がしくなるのかな?

 

「この食堂では饅頭達に注文すれば、大体の食事は作ってくれます。なので、早速頼みに行きましょう。」

 

厨房では饅頭がせっせと働いていた。

 

コックの姿の饅頭達が食材を切ったり、身の丈ほどあるフライパンを使っていたり、少し大変そうだったが饅頭達はとても楽しそうだった。

 

「すみません、ハンバーガーを2つください。」

 

「ピヨッ!」ビシッ

【かしこまりました。】

 

注文を聞いた饅頭は振り返り、コック饅頭に声をかけた。

 

「ピヨヨッ!」

【ハンバーガー2つー!】

 

「ピヨ!」

【了解!】

 

そんな会話を見ていると、ベルファスト姉さんが、

 

「出来るまで座って待っていましょうか。」

 

「いや、僕は少し作る所を見ていたいな。ハンバーガー、自分でも作ってみたいし。」

 

「分かりました。先に席を取っておきますね。」

 

それでは、とお辞儀をして、ベルファスト姉さんは席を取りに行った。

 

そして、僕の興味はハンバーガーに釘付けになった。

 

パテを焼ける匂いやバンスの小麦の匂いが漂ってくる。

 

(うわっ見ただけで美味しそう。)

 

お腹が早く食べさせろと抗議している。

 

僕がハンバーガーに夢中になっていると、

 

「指揮官さんはっけ〜ん〜!」

 

不意に声をかけられた。

 

聞き覚えの無い声だ。

 

少なくともロイヤルにいたときには聞いていない。

 

「誰ですか?」

 

そう言って、僕は振り返る。

 

そこには150センチ位で、髪の先端が少し赤みがかっている銀髪の少女がいた。

 

頭には丸い耳のような物がついており、脇と太ももを多いに露出した白いセーラー服を着ていた。

 

「こんにちは!指揮官さん。私はフレッチャー級17番艦ハウゼー・パウエル。ユニオンから派遣されて来たの。パウエルって呼んでね!」

 

と自己紹介をしてくれた。

 

そしてこちらも、

 

「こんにちは。このマドラス基地の指揮官の葵と言います。よろしくね。」

 

「所でもう全員着いたの?」

 

「いいえ。私は駆逐艦だから早く行くように言われたの。他のみんなはもう少しかかるみたい。」

 

「そうなんだ。報告ありがとうね。」

 

そう言うとニコッと笑って、

 

「うん!」

 

と元気よく返事をしてくれた。

 

「もうお昼だしお腹空いてない?」

 

「うーん確かにお腹空いた〜。」

 

そう言って、お腹を擦るハウゼー・パウエル。

 

「良かったら一緒に食べない?」

 

「えっ良いの!?」

 

目を輝かせこちらを見てくる。

 

よほどお腹が空いていたようだ。

 

「大丈夫だよ。ハンバーガーで良い?」

 

「お願いしまーす。」

 

饅頭達におねがいし、ベルファスト姉さんが待つ席へと向かった。

 

席に着くとベルファスト姉さんは、紅茶を飲んでいた。

 

「あら、葵。見慣れぬKAN−SENがいらっしゃいますが……。」

 

そう言ってベルファスト姉さんは立ち上がった。

 

「あぁ彼女はハウゼー・パウエル。ユニオンから派遣されて来た駆逐艦だって。」

 

「こんにちは〜。」

 

「こんにちは。私はベルファスト。葵の姉です。」

 

パウエルへ優雅にカーテシーをする。

 

「ええッ〜!指揮官ってお姉ちゃんいたの?」

 

パウエルは(全然似てないな〜)という表情でベルファスト姉さんと僕を見比べる。

 

「義理だけどね。」

 

「あっ、やっぱりそうなんだ。」

 

パウエルは納得したような表情を浮かべる。

 

「葵、他の皆様は?」

 

「まだもう少しかかるって。」

 

「そうですか。なら昼食を取る時間がございますね。」

 

「せっかくだから、ハウゼー・パウエルも一緒に食べても良いよね?」

 

「私は構いませんよ。」

 

「じゃあ席について待っていようか。」

 

ガタッ

 

椅子を引いて席に座る。

 

そしてタイミングよくハンバーガーが運ばれてきた。

 

「ピヨピヨ〜」

【お待たせしました。ハンバーガーです。】

 

ユニオンサイズのハンバーガーは少し大きめで、野菜の間に挟まったパテから肉特有の食欲をそそられるいい匂いがした。

 

「ん〜〜!とっても美味しそう!」

 

パウエルは目を輝かせ、涎が垂れそうになっていた。

 

「これがハンバーガーですか、美味しそうですね。」

 

ベルファスト姉さんは微笑んだ。

 

「でも、これどうやって食べるの?」

 

「こ〜やって食べるんだよ!」

 

そう言うとパウエルはハンバーガーを両手で持って美味しそうに食べ始めた。

 

それを真似して僕もハンバーガーを頬張る。

 

うっ、うまい……!

 

バンズの食感、そして新鮮な野菜とジューシーなパテがとても良く合う!

 

「ベルファスト姉さん…。これとっても美味しいよ!」

 

「では、私も…。ハムッ 確かに美味しいですね。」

 

「でしょ〜!ハンバーガーはユニオンのソウルフードなんだから!」

 

とドヤるパウエル。

 

パウエルがドヤッている間にふと、ベルファスト姉さんの方を向くとベルファスト姉さんのハンバーガーはお盆から消えていた。

 

「ベルファスト姉さん食べるの早くない!?」

 

ふふっと笑ったベルファスト姉さんは

 

「これもメイドの嗜みですよ。」

 

「そんな嗜み聞いたことないよ!」

 

僕はおもわずツッコミを入れてしまった

 

「あら、そうしている間にユニオンの他のKAN-SENたちが到着すると思われる時間ですよ。」

 

「もうそんな時間か……。早く食べないと!」

 

「私も急がなくちゃ〜!」

 

僕とパウエルは急いでハンバーガーを頬張る。

 

確か、後来るKAN-SENは軽巡二人と戦艦が一人だったかな?

 

どんな人が来るかとても楽しみだ。




アッアッど、どうも主です。
生きてます。

どう考えてもサボり過ぎですね、本当にありがとうございました。
じ、次回は早くあげられるように頑張ります。


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