古い時刻表をみほまほが読み漁る話 (乗り鉄あさかぜ)
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古い時刻表をみほまほが読み漁る話

ある日のこと、実家でみほがくつろいでいると、まほがやたら分厚い本を持ってきた。

みほ「お姉ちゃん、その本、どうしたの?」

まほ「さっき押し入れを整理してたら奥から出てきてな、珍しいからみほにも見せたくてな。」

そう言うまほの手元にある本のタイトルは

『JTB時刻表1990年5月号』であった。

みほ「1990年って30年前だよね、そんな古いのがあったなんて。」

まほ「見つけた時は私も驚いたよ。今じゃ存在しない列車がいろいろありそうだが、みほ、どうだろう?一緒に見てみないか?」

みほ「うん、興味湧いてきた、見ようよ。」

そうして2人は時刻表をめくりだした。

 

 

 

みほ「九州へ行く夜行列車がいっぱい走ってるね」

まほ「そうだな、東京や新大阪から各方面に走ってて、しかもGWには増発もしていたなんて、今じゃ想像もつかないぞ」

みほ「九州内にも夜行列車があるんだね、それも急行で。かいもんと日南って地名で行先がピンとくるからわかりやすくて良いんだけど、そういったのって列車名ではあまり見られなくなっちゃった」

まほ「今走ってる特急にも地名を愛称に使ってるのはあるが、ざっと見て全体の半数くらいか。かなり昔(60〜70年代)、普通の人々にとって特急や新幹線は高嶺の花で、急ぐ場合は急行を使ったという。急行が大衆向けだったからこそ、イメージしやすい地名を愛称にしていたのだろう。

ところでこれはなんだ?久大本線なんだが、列車番号の後ろにDが付いてるのと付いてないのがあるんだ。これって印刷ミスか何かだろうか?」

みほ「Dが付いてないのって機関車牽引の客車列車を表すんだよね。う〜んっと、…お姉ちゃん、これはミスじゃなさそう。調べたら99年まで客車を使う普通列車があったみたい。」

まほ「普通客車列車!夜行列車しか客車のイメージがつかなかった、ってそれは失礼な話だな。」

みほ「あはは…。見てお姉ちゃん、東北なんてまるで客車王国みたいだよ。」

まほ「つばさとかはつかりとか特急がこんなに走ってたんだな。しかしこれらはみんな電車、って普通に快速みんな客車か!どうしてこうなった」

みほ「それは私にもわからない(´-ο-`;)」

まほ「それはそうだな(´-ω-`;)さてパラパラ見てきて最後は北海道だ。」

みほ「やっぱり北斗星やトワイライトエクスプレスがひときわ存在感があるよね。」

まほ「このページに上野とか大阪とか出てきたらやっぱり別格に見えるだろう。ん?千歳空港だと?これ今南千歳じゃないか?まだ新千歳空港駅なかったんだな。」

みほ「『SLC62ニセコ号』だって。どんな列車だったんだろう。あとは…今はもう廃線になってる路線がいくつか存在するんだね。」

まほ「それらも沿線の人々にとっては欠かせない乗り物だっただろうに。特に冬は路面が凍って危険だ、鉄道が一番安心して利用できる乗り物なのにね。」

みほ「もし残ってたならどんな景色が広がってたんだろう、気になるなあ。あと、夜行急行も走ってたんだ。朝から行動できるから今でも便利に思えるんだけど。」

まほ「ふふ、体力があればの話だろう。」

みほ「北海道って見てみたいところがいっぱいあるの。食べ物も美味しいと聞くし、行ってみたいなぁ。叶わないことだけど、(時刻表を指差して)この年に北海道旅行できたらどんな旅行ができるんだろ。」

まほ「あはは、確かに叶わないことではある、でも想像する分にはいくらでもできるだろうな。

って、どうしたんだ、みほ。まぶたが重たそうだぞ。」

みほ「う〜ん、数字をずっと追っていたらなんだか眠くなってきちゃった。」

まほ「ずっと見続けてきたからな、疲れもあるだろう。まあ昼寝してていいさ。」

みほ「うん、ごめん、お姉ちゃん( -.-)zzz…」

 

 

まほ「寝顔もかわいいな、みほは。

 

 

 

 

その願い、叶えてあげよう。

 

 

 

 

もしもしまほなんだが。すまない、1つ頼めるだろうか。」

 

 

 

みほ「( -.-)zzz…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ほ、みほ、そろそろ起きろ」

みほ「ん、ん〜、ん?ふえ!?お、お姉ちゃん?ど、どうしたの?って、ここはどこ!?」

まほ「何言ってるんだ、これから北海道行くんじゃないか。全線乗るんだって意気込んでこの時刻表めくり続けたのにいつの間にか寝てしまってたぞ。」

みほ「えっ?えっ?えっ?え〜っと確か私が実家に帰省してのんびりしてたらお姉ちゃんが古い時刻表を持ってきて二人でずっと眺めてて」

まほ「みほ、疲れてるのか?ほら、コーヒー飲め」

みほ「それどころじゃないって!今って令和2年だよね?」

まほ「なんだ令和って?今は平成2年6月3日だぞ」

みほ「ふえ〜っ!?何がいったいどうなってるの〜?(頭抱えながら目がぐるぐる〜)」

 

 

まほ ギュッ

みほ「えっ?」

 

 

まほ「落ち着いたか、みほ」

みほ「え〜っと、まだよくわかってないんだけど、ひとまず」

まほ「あー、みほ、済まない。」

みほ「えっ、何、どういうこと?」

まほ「みほの言う通りだ。みほが実家に帰ってきてて、私がこれを見つけて2人で眺めてたんだ。ほら、北海道行ってみたいと言ってただろ。」

みほ「うんうん、確かに言った。」

まほ「そこである方法で30年前のこの年に2人一緒にやってきたんだ。私はみほが知ってる姉のまほで間違っていないから安心してくれ」

みほ「はぁ〜っ、なんかいろいろぶっ飛んでるけど、私の知らないお姉ちゃんじゃなくてよかった〜。

 

(ムス~ッ)

お願いだからからかうのやめて!」ポカポカポカ

まほ「悪かった、悪かった。ほら、きっぷ渡すぞ。そろそろ行かないと乗り遅れるからな」

みほ「えっ、あっ、ちょっと、待ってよ〜お姉ちゃ〜ん」

 

改札へ向かう2人が持つきっぷには

「北海道ワイド周遊券(A)(B)」

「寝台券 上野(21:24) → 札幌(14:15) エルム号」

と書かれていた。

 

 

 

 

みほ「ところでお姉ちゃん、私たちどうやって30年前にタイムスリップしたの?」

まほ「ああ、ドラえもんくんに頼んでもしもボックス借りた。無くさないようにモンスターボールに入れてベルトに紐で括り付けてあるぞ、ほら。」

みほ「…これって現実?夢?世界観がわけわからないよ。」

まほ「気にしたら負けだぞ、みほ。」




このあと北海道旅行を連載する予定です。(但し、うp主も物心つかない年代なので、半ば想像物になりますことご承知おきください。)


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