憑依沖田さんの行く!イナズマイレブン1・2・3!! (音佳霰里)
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プロローグ
まだ他のも残ってるのに…
それでは本編第1話、どうぞ!
「いやー、福袋楽しみだなー」
そんな独り言と共に、プリペイドカードを手にコンビニを出てきたこの男は、この小説の主人公である(名前は特になし。というか考えてない)。
「ようやく推しの沖田さんをお迎えできるのかー。魔人さん(沖田オルタ)の方もすこだけど、やっぱ本家には勝てねえわ(凛ルートの士郎から目を逸らしつつ)」
などと頭の悪い事をボヤきながら歩いていると、頭上から鉄骨が降ってきて______
(あれ……? 何処だここ……?)
主人公は知らない場所で目を覚ます。
一応様式美として周りを見渡して見るが、やはり自分の記憶にある場所では無い。
するといきなり目の前に神々しい程の美しさを持った女が現れ、
「ようやく起きましたか、(主人公の名前)。ここは転生の間。早速で悪いのですが、貴方にはあなたのいた世界ではない、別の世界へと転生してもらうことになりました」
と言ってきた。男はとりあえず、
(はえー、喋れないしこれはもう信じるしかないね)
と能天気に考え、信じることにした。そんな主人公に目の前の女は、
「えぇ....(困惑) 一応聞いておくけどマジ? 信じる方も少ないけど……」
と困惑している。
(まーしゃーないしゃーない。少なくとも俺は信じるぞい。あ、でもあの後ガチャを引いた場合の結果だけ教えて)
どこまでも
「分かりました。めぼしい物としては沖田総司とカレイドスコープですかね」
(うおおおお!!! 神引きやんけ!!!)
「アッ、ソウデスネ」
少し引き気味な女であった。
少し時間を置いて、主人公は、
(んで、俺はどこの世界に転生すんの?)
「ええ、
(おおう、メタイルビが見えたぞ……)
少し失礼な主人公の考えが聞こえたのか、女は少しムッとした顔になりながら、
「そんなことはありません」
(いやでも)
「 そ ん な こ と は あ り ま せ ん 」
(アッハイ)
この返事には女もにっこり。
「それでは、転生の特典を決めてもらいたいと思います。何がいいですか?」
(じゃあここは……Fateシリーズの沖田総司の容姿と身体能力で!)
主人公の答えは限界オタクのような回答であったが、女は慣れているのか気にする素振りも見せず、
「かしこまりました。それだけで良いのですか?」
(もち! 推しになれるんだからこれ以上のことは無いだろ!!!)
「なるほど、あなたの願いは届けられました。良い転生ライフをーー」
そんな女の言葉と共に、主人公は意識を闇にへと落として行った。
主人公は聞いていなかったが、こんな余分な言葉を添えて______
「あっやば孤児スタートにしちゃった…………ヨシ! (現場猫)」
目の前に、純粋な目でこちらを見つめる赤い髪のショタがいる。
「僕、基山ヒロト! 君の名前は?」
「あっ……私の名前は沖田総司です。よろしくお願いします……?」
「そーじ……? かっこいい名前だね! よろしくね、そーじちゃん!」
そんなやり取りをしている中、主人公こと我らが沖田さんは思っていた。
(いや口調が変わるのは良いとして、お日様園スタートなのかよおおおおおおおおおおおお!!!!!!)
本当はこの話は憑イキリトをオリ主として出して、スターバースト・ストリームを打たせて俺TUEEEEさせるつもりでしたが、最後の方のようにお日様園スタートにした場合、技構成が世界編と侵略者編で変わんなさそうなので沖田さんに変えました。
後次の話でルート分岐します。
シナリオはどのルートも一応考えてはいるので、頑張ってみます。
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選択
パソコン使える時だけ更新してみるかね…
後今話から三人称視点ではなく一人称(憑依沖田さん)視点に変わりますのでご注意を。
それでは第2話、どうぞ!
「僕、基山ヒロト! よろしくね!」
______どうして……(現場猫)
でも、いつまでも呆けている訳には行かないので、無難に挨拶を返しながら思考を続ける。
(あぁーまじかー……お日様園スタート来ちゃったかー……いやでも今からでもワンチャン逃げられるかも……? ただ作中だと吉良財閥ってかなり権力あるしなー……どうしよっかなー……)
「…………やろ! ね!」
「えっ? あっ、はい……」
「じゃあこっちね! 着いてきて!」
と、思考に脳のリソースをほぼ費やしていたから
(やっべー……何言ってたんだろ……? ま、どーせ挨拶とか顔合わせとかでしょ。一般的に考えて)
なんて呑気にも私はそう考えていたが、もうここはイナズマイレブンの世界。
『見ない顔だな? 君、名前は?』
という当たり障りのない(前世では)という会話よりも、
『見ない顔だな? 君も一緒にサッカーやろうぜ!』
という頭サッカーな脳筋の会話の方が普及してしまっている。私は悲しい。(ポロロン)
そんなこんなで私が連れてこられたのはサッカーコート。
そう、サッカーコートである。(大事なことなので2回言いました)
「えっとー……ヒロト君……? 一体ここで何を……?」
私の至極真っ当な問に、ヒロト君は理解出来ないというような顔をして、
「……? 何するのって、サッカーでしょ?」
と頭サッカーな答えを返してきた。
(あぁ、そうだよね分かってましたよ! ここイナイレの世界だもんね! そうなるよねなっちゃうよね!! いいよわかったよやってやるよ! 必殺技でもなんでもかかってこいや!)
ヒロトは、百面相をしている私を見て、少し引いていたが、私に
「分かりました! サッカーやりましょう!」
と言われるとその顔は満面の笑みに変わり、
「うん、やろ!」
________私がお日様園に来て8年程が経った。
私は中学二年生になり、他の子達――例えばヒロト君やリュウジ君、治君など――は中学一年生になり、とうとう原作開始1年前、ハイソルジャー計画の開始の時期を迎えた。
この世界線の
ちなみに、このルールが制定されたのは5年前だそうだ。いやー誰のせいなんだろなー沖田さんわかんないなー(棒読み)
と、
私たちの言うお父さんとは、このお日様園の園長で、吉良財閥のトップでもある、吉良星二郎さんである。とても温厚そうな人で、こちらに来る度に皆の遊び相手になって頂いている。私? お姉さんポジですよもちろん。精神年齢が違くて一人だけ馴染めなくて瞳子さん(吉良星二郎の実の娘さん)と同じようになってしまったとも言う。まぁこんな私でもちゃんと皆慕ってくれてるのでいい子なんですが。
いい子なんですが! (大事なことなので(ry
いい子なんですが!! (大事なことなので(ry
おっと、誤解しないで欲しいのだが、私はロリコンショタコンの類いでは無い。あの子供たちに純新無垢な笑顔を向けられてしまうと、鼻から愛が溢れ出てしまったりするだけだ。決して彼らを性的な目では見ていないし、見ていたら今頃はこの小説にR18タグがつけられていることだろう。
そんなくだらないことを考えていると(実際は外見だけ見ると、目を閉じて瞑想しながら歩いているように見える不思議。なお実際は当時の子供たちのことを思い出してしまい、鼻から愛が溢れるのを我慢していただけである)、お父さんの待っている園長室に辿り着いた。ヒロト君がドアを開けると、椅子に座っているお父さんが、挨拶もそこそこに、手に持っていた4枚の資料をそれぞれ1枚ずつ私たちに手渡してくる。
そこには、『ハイソルジャー計画』と題された、まるで論文かのような内容が書いてある。
「父さん……これは……?」
と、困惑した様子でお父さんに聞いている。そのお父さんは、さも当然かのように、
「ハイソルジャー計画ですよ、ヒロト。宇宙からやってきた強化石である、エイリア石を用いて強化人間を作り、この国を私のものにするのです」
と、とんでもないことを話し出した。
「「「なっ……」」」
これには、さすがの3人も言葉を失ってしまっている。
「この計画では、セカンドランクの1チーム、ファーストランクの1チーム、そして最高級の子供たちで固められた、マスターランクの3チームを使います。あなた達にはマスターランクのチームのキャプテンを務めてもらいたいのです」
マスターチームのキャプテン……だが、ここには4人いる。これはどう言ったことなのかと私が聞くよりも先に、いち早く立ち直った風助君が、
「ですが父さん、ここには4人居ます。チームのキャプテンで3人が決まったとしても、残りの1人はどうなるのですか?」
と疑問を口にした。
お父さんは、その質問を待っていたと言わんばかりに、姿勢を正して、こちらに向き直って力強く聞いてきた。
「そこで総司に質問です。
あなたは、この計画に参加したいですか?
もちろん、断ってもらっても構いません。あなたはお日様園の中で1番判断力があり、そして賢い。子供の頃から、あなたと話しているとまるで大学の教授と話しているような感覚に陥ることがしばしばありました。また、この中で1番サッカーが上手いということもあります。そのことを踏まえた上で、もう一度聞きます。…あなたはどうしたいですか?」
驚いた。私は大学の教授などしたことがないので、大学の~~はお世辞だろうが、それを抜きにしても私の精神年齢の高さについて触れ、さらにそれを利用して私をお父さんの右腕にしたいと、スカウトしているのだ。しかも、そのことについて突っかかって来そうな晴也君も、珍しく何も言ってこない。
私は、お父さんからのスカウトについて、考え込む。
______確かに、これは喜ばしいことだ。だが、一サッカープレイヤーとして、このようなことにサッカーを使うなど許せないと、心のどこかで叫ぶ声が聞こえる。
やってしまえ、という心の声と、それをしたら戻れない、という心の声がせめぎ合って、プレッシャーに押し潰されそうで、上手く言葉が纏まらない。
お父さんとヒロト君が何か言っている。
なんだろう、私の耳はその言葉を捉えてくれない。
お父さんが私に手を差し出してきた。
でも、最後の言葉は、私の耳に届いてくれた。
「私の夢のために…一緒に来てくれますか?」
疲れた(挨拶)
アンケートを作るので、ルート分岐の中身についてについて、お話します(邪淫糞土方)
⒈雷門ルート
…イナイレの1・2・3の全てを、雷門の一員として体験するルート。めっちゃ長め。
⒉地上最強イレブンルート
…イナイレ2・3を、雷門の追加メンバーとして体験するルート。雷門のキャラとの交流もあるので少し長め。なお、3の内容は憑依沖田さんの心情が変わるだけで雷門ルートと余り変わらない。
⒊エイリアルート
…イナイレ2・3を、エイリア学園の宇宙人として体験するルート。交流よりストーリー重視のため、2からしたら短め。3の内容は憑依沖田さんの心情が変わるだけで雷門ルートと余り変わらない。
⒋???ルート
…???のプレイヤーとしてストーリーを体験するルート。登場人物などもガラッと変わったおかげで、とても短め。
の4つです!
一応希望があれば全部描きます(大嘘)
全部書くのは、ルートを1つ書き終わったらまた別でアンケート作ります。
ストーリーを決めるためにも、アンケートの投票お願いします!
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雷門ルート
サッカーやろうぜ!
みんなが雷門ルートを書かせようとしてくるので書きます。めっちゃ長くなるけど気にしないで…
あとこのままだと一部のタグ詐欺になる可能性があるので、沖田さんにはDE堕ちしてもらいます(ぐう畜)
あとTwitterもやってるから見に来て。あとフォローして。
→https://twitter.com/Sanri118_writer
宣伝もしたところで、第三話、どうぞ!
「私の夢のために……一緒に来てくれますか?」
そういって、お父さんが私に手を差し出してくる。でも、
「ごめんなさい……私にはそんなことはできません。私の……いえ、私たちの大好きなサッカーを汚すのならば……その野望、この手で打ち砕いて見せます!!!」
そう私が啖呵を切って見せると、お父さんは悲しげな表情に変わり、
「そうですか……残念です、あなたならばわかってくれると思っていましたが……」
「いいえ。確かに、私はお父さんのことを理解し、一緒に歩んでいこうと思いました。でも、こんなことは間違っている。世界中で愛されているサッカーは、そんな野望のために使うものではないんです」
そうだ。原作でもあったが、この人の願いは、元はといえば間違ったものじゃなかったんだ。でも、エイリア石のせいで人格がゆがんでしまい、こんな計画を立てるようになってしまったんだ。そして、お父さんが私に、とてもつらそうに命令する。
「………………出て行きなさい。家とお金は用意してあります。もう二度と、
「父さん!?」
脈絡もなく、意味の分からない父親の命令に驚き、思わず声を上げるヒロト君。確かに、第三者からしたら意味の分からないものかもしれない。でも、私にはわかる。
___私の計画を、あなたが止めてくれることを願っています。
「……分かりました。…………さようなら、そしてごめん」
「総司…………っ!」
ごめんヒロト君、そしてありがとう。
__________そしてその日、運命に出会った。
そんなこんなでとあるエロゲっぽい一文をはさみながらも、私が勘当(仮)されてから一週間。ようやくやってきました雷門町!!!
いやー、かなり面倒だったなー、この旅。一応瞳子姉さんと同じ拠点を使わせてもらってる(本人は打倒お父さんのメンバーを探しに行っているため、なかなかいない)けど……
「よぉ、姉ちゃん。俺たちとイイ事しない?」
「一応言っとくけど……断ったらどうなるか分かってるよな?」
えー、ただいま例の円堂守と豪炎寺修也を引き合わせたと話題の(なってない)ヤンキー二人組に絡まれております。これマジ? 家から出て十分でこれやぞ……(困惑)今時こんな誘い方する人なんて見たこともないぞ……ここはやんわりとお引き取りしてもらわねば……そうと決まれば早速……
「あn……」
「おい! やめろよお前ら! その子が怖がってるだろ!」
無表情です(即答)
「ハァ? お前、目腐ってんのか? どっからどーみても嬉しがってるだろ?」
「流石っす! 兄貴!」
無表情です(断固拒否)
「と、とにかく、やめてあげろよ!」
「部外者は引っ込んでろ!!!」
「そーだそーだ!!!」
なんか勝手に割り込んできた挙句、勝手に私のことを助けようとする教祖様、もとい円堂守。ジャージ姿だね……部活終わりかな? いい加減、被害者の私が介入しないと終わらなさそうなので、助けに入ってあげようと思う(謎の上から目線)。
「あのー……」
「少しだけ……お兄ちゃんを許してくれないか、夕香……」
なんなの!? さっきからエンカウント率何なのアイツら!?
そう私が心の中で嘆いていると、背後からものすごいスピードで飛んでくる炎。そのボールは、チンピラ(大)の顔に当たり、ボールをけった人の元へと戻ってゆく。
「…………なっ、なんだお前!?」
呆然とした様子のチンピラ(小)が、ハッと我に返ってそう叫ぶ。ボールを足で止めている、
「お、覚えてろー!」
とこれまた今時使わないようで使い古されたテンプレを吐き捨て、大きいほうを抱えて逃げ去っていった。
「あ、ありがとう……」
とぼうぜんとした様子でつぶやく私に、
「…………いや、無事なら良かった」
とだけつぶやくと、足元のボールを回収してこの場を去ろうとする。すると円堂君は、
「待ってくれ! 君もサッカーやるのか? ならさ、聞いてくれよ! 今度、帝国学園とサッカーするんだ! だからさ、サッカー部に入ってくれないか?」
と、先ほどまでとは一転して、目をキラキラとさせて勧誘に励んでいる。しかし、豪炎寺君のほうは苦虫を嚙み潰したような顔になると、小さく一言、
「……俺はもう、サッカーはやめたんだ」
とだけつぶやき、去っていった。これはナイスタイミング。カモがネギをしょってやってきたかのようだ。私は、ダメだったか……と肩を落としている円堂君に近づき、声をかける。
「ねぇ……あなた、雷門中ですよね?」
「えっ? ……うん、そうだけど?」
声をかけられるのが意外だとでもいうような顔をしている円堂君に、私は提案する。
「私も明日からそっちに転校するんです。それはそうと、さっきのことのお礼……と言ったらなんですが、その練習試合の話、詳しく聞かせてください。これでも私、サッカー選手なので!」
「ってことは……」
「えぇ! サッカー部に入れさせてください、ということです!」
「えぇぇぇっ!? 本当に!? ありがとう! すごくうれしいよ!」
そういうと、私の手を取って上下に激しく振り回す円堂君。めっちゃ痛いんですけど……
「と、取り合えず自己紹介でもしときませんか!? あと離してください(切実)」
「あ、そっか。悪い……」
そういうと、私の手を離し、ばつが悪そうに笑う円堂君。そしていったん場を仕切り直してから、自己紹介に移る。
「俺、円堂守! ポジションはGKだ! よろしくな! えっと……」
「沖田、沖田総司です。ポジションはFWです。こちらこそよろしくお願いしますね、円堂君」
「おうっ! よろしくな、沖田!」
彼はニッカリ、そういう擬音が似合いそうなほど笑って、私と握手する。私が何か言おうと口を開きかけると……
「それでですね……」
「円堂くーん? どこにいるのー?」
あ゛あ゛っ゛! ゛! ゛! ゛(鳴き声)
「あっ……秋のこと忘れてた……悪い沖田、また明日な!」
「えぇ、また明日……」
円堂君が走り去っていってから、私はしみじみと思う。
___あぁ、嵐のような奴だったな……、と。
どこかから、『お前が言うな』という声も、聞こえた気がした。
一日明けて次の日、俺は雷門中の職員室に来ていた。
「あなたの他に、もう一人転校生が来ますが、仲良くしてあげてくださいね」
そんな台詞を、くたびれたスーツを雑に着込んで、いかにも『面倒くさい』という顔で話しているのは、FF編ではおなじみ、冬海先生だ。
「着きました。もう一人はすでに中で待っています。あなたも早く入ってください」
と告げられ、顔を上げてみると、俺たちはいつの間にか教室の扉の前に立っていた。流石に同じクラスに二人も転校生はいないだろ…そう思いながら、渋々教室の中に入っていくと、(一方的に)見知った顔がちらほら。その中にはなぜか豪炎寺君や円堂君の顔もあり…
「あーっ!沖田まで!?」
といきなり尾刈斗戦並みので音量叫ばれる羽目になってしまった。耳が…
「さ、先ほどもご紹介がありましたが、沖田総司です。よろしくお願いします。」
耳の痛みに耐えながらも、何とか自己紹介をする。まともなものにはなったんじゃなかろうか。
「おや、これまた円堂君の知り合いでしたか。安心ですね。席は…豪炎寺君の後ろが空いてますね」
「分かりました」
冬海先生の言葉にそれだけ返すと、俺は豪炎寺の近くに寄って行って、小さい声で
「この間はどうも、豪炎寺君」
と伝えて自分の席に着く。
何故名前を…と驚いている豪炎寺君を視界に入れつつ、
___こうして、俺の物語は始まったのであった。
なんて感じにプロローグを締め切ってみたり…
「沖田さん?聞いていますか?」
「!?ひゃ、ひゃい!」
締め切ってみたり。
タイトルのわりにサッカー要素が中盤の原作崩壊してるとこしかない件。
あと書き終わったらの話だけど、他のルート(前回参照)もいる?アンケ取りますね。
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帝国が来た!
1回全部消えたので2回書く羽目になりました(全ギレ)
というか少し放置(ほかの人の作品を読んでた)してたらUA4000超えてておったまげた…
それでは第4話、どうぞ!
「着いたぜ! ここがサッカー部だ!」
そう言って得意気になっている円堂君に連れてこられたのは、サッカー部の部室。
「えぇ……」
部室の余りの汚さに、私は声が出なくなる。
汚い……というか汚いで済ませていいレベルじゃないでしょコレ!?
私がそんなことを考えているとは全く知らない円堂君と木野さんの二人は、久しぶりのサッカー部員、それも経験者とあってか、キラキラとした目でこの雷門中サッカー部について説明している。
「ふむふむ……なかなか大変なんですねー、ここは。沖田さんはこれまで訳あっていろんな学校を見て回る機会があったんですけど、ここほどひどい学校は見たことありませんよ」
「な!? お、俺たちだって分かってるけど、そんなこと言わないでくれよー!」
「あはは……!!! ごめんなさいごめんなさい……!」
二人からの説明を受けて、私が冗談を言ってふざけていると、木野さんから声がかかる。
「もう! 二人共! 皆待ってるから、グラウンド行くよ!」
「「アッハイ」」
何故か返事が一致してしまった、私達であった。
「えー、この度サッカー部に入部させていただきます、沖田総司と申します。ポジションは
そんなこんなで少しお怒りな木野さんに連れられてやってきたのはグラウンド。
人の先導で連れてこられるのは本日二回目ですね……。
そんなどうでもいい感想を抱きながら、私はこれから一緒に切磋琢磨しあう(予定の)サッカー部員に自己紹介をする。
どうやら、『男子部員しかいない』というのは本当のようだ。
また、円堂君達元々のサッカー部員が、何やら久々のグラウンド練習だということで騒いでいた。
「グラウンドも使えないって……どういう環境だったんですかね、ここは……」
「ウチのサッカー部は半休眠状態みたいなもんだったからな、しょうがないさ」
私の何気ない
「あなたは……?」
「あぁ、悪い、自己紹介がまだだったな」
そういって目の前の男の娘はいったん言葉を区切ると、こちらへ向き直り、自己紹介をしてきた。
「俺は風丸一郎太。元陸上部でさ、今は
「えぇ、よろしくお願いします」
そういって、私と男の娘──風丸君は、握手を交わす。
そんな感じ(ふわっとした表現)でお互いが挨拶をし終えたころ、このチームのキャプテンである円堂君が、大きな声で私たちの注目を集めた。
「よーし、みんな! 明日は帝国との練習試合だ! 帝国に勝つためにも、いっぱい練習して、明日に備えるぞ!!」
「「「「おう! /はい!」」」」
「それじゃあ、練習について説明するね。今回は2チームに分かれて何回か紅白戦をするの。円堂くんがキャプテンのチームと、壁山君がキャプテンのチームが良いかな。ポジションや作戦なんかは、キャプテンを中心にみんなで話し合って決めてね。準備が出来たら、私に話しかけてね」
これから紅白戦をするということで、初めてサッカーをやる様な人にも分かりやすいように説明をする木野さん。
木野さんの言葉が終わると、皆は一斉に話し始める。
どうしようか……なんて迷っている私に、円堂君が話しかけて来た。
「沖田、一緒のチームにならないか? お前のシュートを見ておきたいんだ!」
「え? えぇ、はい、分かりました……でもいいんですか? 私のシュートを止めたそうに見えますが……」
「うーん……でもさ、そういうのはもっと後、俺もキーパーが上手くなってからにしたいんだ」
そんな私たちの会話を聞いていた、円堂君をよく知るチームのメンバーは、酷く驚いた様子で叫ぶ。
「「「「円堂が勝負を断った……!? 誰だお前!!!???」」」」
「なっ……! お前らな……!!!」
「「「「円堂が怒った! 逃げろ〜!」」」」
「待てー!!!」
怒りで顔を真っ赤にした円堂君が染岡君達を追いかけていると、とても体の大きい、緑色の髪を丸刈り……丸刈り? にした男の子が話しかけて来た。
「あ、あのー、沖田先輩……」
「ん、はい? どうしましたか? 壁山君」
「はい、自分のチームに入るんすよね?」
「えぇ、よろしくお願いします」
「は、はいっす!」
そして、チームメンバーを選び終わったらしい円堂君が、私を含む壁山君のチームに声を掛ける。
「よし、壁山もメンバーを集めたな! それじゃあ、サッカーやろうぜ!」
「「「「おーっ!!!」」」」
―――そして、試合当日。
帝国との試合が行われる雷門中グラウンドは、先程までの雲一つ無い晴れ空から一転して、青空が一欠片も見えない程の分厚い曇雲に覆われていた。
黄色い中に青いラインが入ったシャツの、雷門のユニフォームに身を包み、念入りにストレッチをしている私に、何やら焦って見える円堂君が話しかけて来た。
「沖田! 壁山見てないか!? 『トイレに行って来るッス』って言ったっきり、戻って来ないんだ!」
「え……!? 申し訳ありませんが、見てないですね……こちらでも一応探しておきますね。……私は体育館の方を見て来ますが、試合も始まりますので、2、3分したら戻りますね」
「あぁ、頼んだ!」
そう言うと円堂君は、壁山君を探しに校舎の中に入っていった。
……確かここは原作だと2階のロッカーの中に詰まってるんでしたっけ……円堂君がそっちに向かっていったみたいなので、私の方は適当に探した振りをして戻りますか……
正門から東方向にある体育館の周辺で軽く時間を潰した私は、グラウンドへと戻った。
グラウンド横にある、雷門側のベンチでは何故か人だかりができていて、私はそれを疑問に思いつつ、壁山君を見つけたのかどうかと聞く。
「みなさーん、壁山君は見つかりましたか?」
「あぁ、見つかったには見つかったんだが……」
「ん?」
何故か歯切れの悪い半田君の言葉を聞いて、どういうことだろうかと思った私は、人だかりの中心に入って行き、
「だ、誰か〜……助けて欲しいっす……」
「えぇ……(困惑)」
そこには、
「壁山君……何やってるんですか……」
「あっ! 沖田先輩っすか? 自分、帝国と戦うのが怖くなっちゃって、ロッカーに逃げ込んでたんすけど、見ての通りはまっちゃいまして……」
「ほんとに何やってるんですか!?
……仕方ないですね、ちょっとだけ耐えていてください」
私はそこで言葉を区切ると、壁山君の詰まっているロッカーの後ろに立ち、右足を軽く下げて、力を込める。
「あのー、沖田先輩? なんか自分、嫌な予感がするんすけど……」
「それじゃあ逝きますね……」
「逝くってなんすか!? なんか字が違う気がするんすけど!? それよりなんかその
なんだかガタガタと揺れているが、私はそれを無視して、
「えっあの沖田先輩? 後ろで何かを蹴ろうとしてるんすか? 自分痛いのは嫌なんすけど……いやそのそういうことじゃなくt『問答っ……無用っ! チェストぉぉぉぉっっっ!!! 』ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ゙ッ゙ッ゙ッ゙ッ゙ッ゙ッ゙! ゙! ゙! ゙! ゙! ゙! ゙ 」
「「「「ヒェッ……」」」」
グダグダと言い訳を続けていた壁山君をロッカーから引きずり出す為に、しっかりとためを作った右足の蹴りをロッカーに向かって直撃させた。
雷門の皆と、いつの間にか居た帝国のチームメンバーの皆さんは引いていたようだが、時間が押しているのでこれくらいなら
帝国との練習試合が始まる。
本来ならこのような弱小校に、FFで40年間無敗である帝国学園が試合の申し込みをするようなことは無いのだが、今回は豪炎寺君のステータスを計りに雷門にやって来た、という事情がある。
もちろん、これは選手達には知らされていないことであり、私がこのことを知っているのも、原作知識があるからだ。
大まかな流れだけでも覚えていられるこの頭に感謝しながら、事前に教えられていたポジションに着く。
今回の雷門のフォーメーションは4-4-2の『ザ・ベーシック』。このフォーメーションは攻守ともに優れており、使い勝手が良く、他のチームでもよく使用されている物である。
対する帝国のフォーメーションは5-3-2の『デスゾーン』。このフォーメーションは、
味方のボールでスタート→帝国フォワードがボールを取る→そこからシュート→ゴール
という悪循環が繰り返され、今まで帝国を相手にしてきたチームはその強みを発揮することが無く、帝国の持つバス(校舎粉砕用)の前に散ってきた。
審判のホイッスルで試合が始まり、私からボールを受け取った、ピンク髪の丸刈りヤンキー――染岡君というのだが――が、帝国サイドへと走り込んで行く。
そこから、雷門の攻撃陣は、練習によって鍛えられたパスワークを駆使して、攻め上がっていく。
ゴール前、帝国のキーパー――皆(2の方が)大好きな源田――と一対一になった染岡君が、手の届きにくそうなゴールの角に向かってシュートをする。
――と見せかけて、私にヒール(
染岡君からのパスを受け取った私は、ダイレクトで必殺技を打つ体制に入る。
縮地と呼ばれる歩法を使い、ボールとキーパーとの距離を詰める。そして、空間を切り裂くかのようにボールに右足で突きのように蹴りを入れると、
「我が秘剣の煌めき、受けるが良い!
『無明三段突き』!!! 」
突然の、それもデータに無いような強力な必殺技を繰り出して来た私に、いくら帝国のキーパーと言えど反応出来るはずもなく、無情にも私の放った必殺技はゴールへと突き刺さって行った。
「やった〜! 沖田さん大勝利〜!」
「「「「……うぉぉぉぉおお!!!!」」」」
私が
「やったな! 沖田!」
私に声を掛ける円堂君も、どことなく嬉しそうだ。
ちらりと帝国の方を見てみると、ノーマークの、それもサッカー部の無かった学校の選手から、全国レベルの必殺技が出てきて、しかも点を取られたと言う驚きからか、口をぽかんと開けて声の出ない者が大半であった。
「よぉっし! あの帝国から一点を取れたんだ! このまま行こうぜ!」
「「「「おうっ! /はい!」」」」
そして帝国ボールで試合再開。
帝国のフォワード――
「デスゾーン、開始」
―――そして、蹂躙が始まった。
しょうせつ って むずかしい さんり
久々に更新できた…!
それとオリ田さん(『オリ主沖田さん』の略)は次の話(伏線回収と一時離脱)以降の試合は、全カットします。具体的には戦国伊賀島の所辺りまで。
そら(周りがレベル2~3の中で1人だけ世界レベルに近かったら)そう(皆潰しにかかる)よ。
オリ田さんのステや必殺技なんかは次話が終わったら番外編的なステータスとしてまとめときますね。
それでは次回までお待ちください。
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帝国が来た! 02
というかむしろ、もう前の書き方すらも覚えているかが怪しい…
特殊タグの使い方よ…
あ、今話めちゃシリアスです。
―――雷門中のグラウンドに、一筋の闇が駆け抜ける。
否、それはただの闇ではなかった。
帝国が誇る究極の必殺技、『デスゾーン』の持つ力と、その余波である。
それはただの必殺技と言うにはあまりにも凶悪で、そして禍々しい。されどそれは、たった一つの弱小サッカーチームの、たった1人のストライカーへ向けて、放たれたものであった。
それこそが、数奇な運命の元によってこの『イナズマイレブン』の世界へと
―――沖田総司であった。
「……っ、痛っ……」
訳が分からなかった。
試合がリスタートしたと思ったら、気づいたら私は地に伏せていたのだ。
私が必殺技の『無明三段突き』で帝国からゴールを奪ったあと、試合がリスタートするため、自陣へと戻る時。
すれ違いざまに、鬼道くんが何かを呟いたのは聞こえていた。
しかし、既にこの後の試合の展開のことで頭の中がいっぱいになっていた私は、彼が何を言っていたのを聴き逃してしまったのだ。
―――いや、これもまた、言い訳のひとつだったのかもしれない。
私の身に何が起きたのか、鬼道くんが何を呟いていたのかなんて、
―――『デスゾーン』
初代ゲームではTP55を消費し、予め決めておいた2人のパートナーと共に放つ、林属性の3人技。
そのシュートを覚えるキャラクター自体はあまり多くないのだが、その分シュートの威力も非常に高いものとなっている。
生前の私はあまりゲームでの
「―――まさかその威力を、私自身で体験するとか、普通思わないじゃないですか……」
周りの皆さんに聞こえないように、そっと呟く。
帝国の桁外れな威力の必殺シュートを目の当たりにした、雷門中の観客やサッカー部のマネージャー、そしてグラウンド上の選手達は、まるでお通夜のように静かになっていて、たった一つの物音でも大きく響く。
フン、こんなものか―――そんな表情で鬼道くんは鼻を鳴らすと、デスゾーンを打った
その足音にハッとなったチームメイト達が、一気に私の所へと駆け寄ってくる。
「大丈夫か、沖田!?」
そう悲痛な声で叫ぶ風丸君に対し、『大丈夫ですよ』なんて笑いかけてやろうなんて思うが、そもそも思うように立ち上がれない。
そう、先程のシュートによって私は、帝国にとって脅威のある選手だと判定されたのか、豪炎寺君のようにただ力量を図るのではなく、その必殺技をもって私を『潰しに』かかったのであった。
さっきだってそうだ―――『デスゾーン』を、右足に向けて直で打つなんて。
雷門は4-4-2のフォーメーションを使う―――しれっと加入していた目金君はベンチスタートである―――のだが、試合前に私と円堂君、そして情報収集をしてくれていた木野さんの3人で打ち合わせをしていて、そこである作戦を決めていたのだ。
『帝国にボールが回るか、帝国ボールからスタートする時は、沖田がフィールドの中央へと立ち、相手の攻撃をある程度抑制する』
というものだった。
もちろんこんな作戦、お粗末な付け焼き刃にも程があるのかもしれない。
しかしそれでも、たとえ天下の帝国が相手であったとしても、数分は持ちこたえることが出来たのではないだろうか。
そんな希望を胸に抱いていた。
……それが現実はどうだ?
サーヴァントと同じ肉体などというチートにうつつを抜かし、FFを40年間も優勝し続けているチームに対し『私がある程度相手の攻撃を抑えます』だって?
情けなさすぎて、もはや涙を通り越して笑いが溢れてくる。
『さっさと点を取り返しちゃいましょう』
そんな言葉すらも、痛みに歯を食いしばる今の自分は、かけられない。
「……君、プレイはできるかい?」
この試合を仕切っている審判が、不安そうな表情でこちらを見ている。フィールドの奥には既に担架が運び込まれていて、いつでも私を連れ出そうとしている。
だが、私はそれを是としない。
私だって、曲がりなりにも転生者なんだ。
帝国がなんだ、デスゾーンがなんだ!!!
「こんな程度でっ……! 負けてっ、たまるか……ッ!」
痛みで目尻に涙が浮かぶのを無視して、私は何とか立ち上がる。その立ち姿はまるで幽霊のようにゆらゆらと揺蕩っていて、とても元気があるようには見えないのだろう。
―――あ、これ足折れてるかもですね。
どこか冷静な
……うるさい。そんなのとっくに分かってる。
そう切って捨てる、
『止めておけ』
そう囁く声は無視して、無理やり体をセンターサークルへと移動させる。
たとえ足が折れたって、千切れたって!!
―――この世界に
審判から気合いで試合続行の許可をもぎ取り、試合が再開する。
センターサークルに置いてあるボールを、染岡君に軽く押してもらい、右足のインサイドで受け取ろうとする。
「―――ッ!?」
がその瞬間、右足から響く壮絶な痛みに思わずボールを取りこぼし、その場に蹲ってしまう。
「―――なッ!? おい沖田、お前―――!」
取りこぼしたボールは、驚く染岡くんの足元をすり抜け、帝国選手の元へ。
そして、その選手はその場で足を振り上げる。
コートの半分を示すハーフラインよりも奥であると言うのに。
彼は振り上げた足を、もはや残像すらも残らないレベルで蹴り抜く。
その動きにきちんとボールは応え、蹴った選手の、そのイメージ通りの動きをするのだろう。
―――そう、
「―――ガッ―――!?」
その挙動は、現実では有り得なかっただろう。
90度に近しい角度を描くシュートなど、海外のどこを探しても見つからないに違いない。
だが、ここはアニメの世界、それも超次元サッカーのある世界なのだ。
この程度のシュートを、中学生が打ったっておかしくない。
しかし私は、すっかりとそのことを失念してしまっていた。
そして―――。
「……え?」
呆然とする円堂君のすぐ横を、ボールに腹部を押され続けている私が通過してゆき、そのままゴールへと叩き込まれたのであった。
―――それから……。
「うわあぁあああああ!?!?」
相手のブロック技『キラースライド』を受けた栗松くんが、足首を負傷しその場に倒れ込み。
「っ―――ガハッ!?」
どうみたってファール(反則)なドリブル技の『ジャッジスルー』を受けた風丸くんは、呼吸困難に陥りながらフィールドの奥へと吹き飛ばされる。
雷門の選手が様々な手法でいたぶられる中、特に大きな被害を受けたのは、やはりと言うべきか私ともう1人、円堂君であった。
私が特にダメージを受けている理由は先程語った通りだが、円堂君までもが被害を受けている理由、それは―――。
「まだ、まだ
それは、帝国がこの弱小中である雷門中へとやってきた主な理由であった。
ある理由でサッカーから離れた、『炎のストライカー』と呼ばれる『豪炎寺修也』君。
そんな彼が、実家から近いこの学校へと転校してきたのだが、帝国の狙いはそこにあったのだ。
彼らは―――と言うより、その総帥(!?)である『影山零治』は、豪炎寺君を帝国学園のサッカー部へと引き込む事で、日本の少年サッカー界における更なる地位の獲得を、また、さらにサッカーを帝国一強へ仕上げることを目指そうとしていたのだ。
その為彼らは、私たちに直ぐにとどめを刺すのではなく、少しづつ、じわじわ、じわじわと心を痛めつけ続け、豪炎寺君が参加してくることを狙っているのだ。
しかし、彼らのそんな思惑に反し、前半は終わりを迎える。
現在スコアは20-1だ。
早くからあの猛攻を受けていた割には、思ったよりも得点を取られていないようにも見える。
だが、それはスコアボードの上での話だ。
雷門中サッカー部の間に流れているムードは、非常に険悪なものとなっていた。
「どうなってんだ、あいつら。誰一人として息が乱れてないぜ」
「そりゃそうさ。奴ら、全然走ってないからね」
ボヤく染岡君に、助っ人として入部したマックス君が同意する。
その奥で私は倒れており、そんな声に反応すらできない。
デスゾーンを受けるなど酷使した右足は、酷く発熱していて、もう動かさなくたって痛みを発する域に突入してしまっている。
またそれは他の部分もそうで、お腹も、肩も、首も指先も。どこか1箇所を動かそうとすると、その部位、いや全身から痛みが生じてくる。
これまで動くことが出来たのは、もはや奇跡としか言いようがないのかもしれない。
マネージャーの木野さんは、心配そうに私を見るが、それは他の部員たちも同様なようで、どうしたらいいか分からないとオロオロしている。
一応、一応サッカー部の顧問である冬海先生は、いつの間に居なくなったのか、ベンチからは姿が消えていた。
ハーフタイム時にはもう居なくなっていたので、私がボコボコにされ始めた時には既にいなかったのかもしれない、ちくせう。
「なんだなんだ! 勝利の女神がどちらに微笑むかなんて最後までやってみなくちゃ分からないだろ! そうだろ! なぁ? 皆!」
暗い顔をしているチームに対し、そんな言葉で励まそうとする円堂君だったが、それすらも今の彼らにとっては逆効果。
私に至っては、何かを言うどころか体を動かす体力すら残っていないと言うのに。
「後半を開始します。集まってください」
そこに無情にも響く、審判の声。
私はその声に反応し、ノロノロと緩慢にコートへ向かって歩き出す。
が、誰かに肩を掴まれ、その歩みは止められる。
―――染岡君だ。
「……お前、それで試合を続けるつもりなのか?」
彼の目線は私の右足へと向けられている。
やっぱり、近くにいた彼には、お見通しみたいだ。
「っ、だ、大丈夫ですよ。私を誰だと思ってるんですか? ハイパームテキなストライカー、沖田さんですよ?」
「お前! その足で大丈夫なわけないだろうが、あぁ!?」
ふにゃりと力無く笑いながら彼に言うも、逆に激高され大声で怒鳴られる。
が。
「……でも、ここで私が引いたら、もっと点を取られる。……違いますか?」
「……チッ」
一瞬彼は、ずっとベンチを温めていた目金君へと目を向けるが、直ぐに私へと向き直ると。
「……もう無茶な真似、すんなよ」
そう言い残して、スタスタと歩き去っていった。
「……ふふっ。心配してくれてるんですね」
―――今はその気遣いが、無性に有難かった。
後半開始のホイッスルが鳴り響く。
後半は帝国ボールのスタートの為、直ぐに帝国陣内では、華麗で洗練されたパス回しが始まる。
前半は手を抜いていたのか、その速度と力強さは、前半のものとはまるで別物だ。
当然、前半で疲弊した私たちには手が出せるようなものではなく。
「グッ……!!」「ガアアッ……!!」「ぎゃああっす!!」
まるで前半の焼き直しの様に、雷門メンバーは痛めつけられてゆく。
よりいっそう苛烈に、よりいっそう残酷に。
そしてキレを増したシュート紛いのパスは、当然私にも飛んでくるわけであって。
「っ、きゃあああああっ!!!」
しつこく、しかも的確に私の患部を狙い撃つそのボールが、四方八方から飛んでくる。
たまにどこか別の誰かを撃ち抜いていると思ったら、すぐには私の所へ戻ってきて、再びこの虐めのような時間が再開する。
「―――続けろ。奴を炙り出すまで―――!!」
その瞬間、佐久間君、寺門君、洞面君の3人が、鬼道君の前へと走り込む。
―――まさか。
忘れもしない、その光景に、全身が凍り付く。
ほとんど反射的にゴールへと駆け出す。
ゴールには、私よりは疲弊していないものの、それでも十分ボロボロの円堂君が。
―――このままじゃ、マズイっ!!
そう直感した私は、彼らのシュートが来るであろう射線上へと立ち塞がる。
『デスゾーン』っ!!!
その一瞬の隙を縫って完成させられた究極のシュートは、周りの地面を巻き込み、荒れ果てさせるほどの力を持って襲い来る。
私はそのシュートに対し、半ばヤケになりながらも、利き足である右足を無理やり叩きつける。
「あああぁ゛ああああ゛ぁぁあぁぁ゛ぁ゛ぁ゛あぁっっっっっっっっっ!!!!!」
このままでは、彼はこのシュートを止められない、そう思ってしまったから。
ゴッドハンドが使えるのなら良い。
でも、彼がゴッドハンドを初めて成功させたのは、豪炎寺君加入後に飛んできたノーマルシュートに対してだったはずだ。
こんな凶悪なシュートを、生身で。それも足だけで受け止めるなんて、イカロスが太陽を目指すようなことだなんて、わかっているのに―――。
「ごんっ、な、ところ、でぇっ―――」
右足から、ブチブチと嫌な音が鳴り響く。
もはや全身の痛みは、感覚とともに等に消え失せていた。
地面に突き立てられ、体を支える左足は、ズルズルと少しづつ後退していく。
外野からは悲鳴。きっと私の足が、かなり悲惨なものになっているんでしょうか。
でも。
たとえどれだけ私が傲慢だったとしても。
「―――負げ、たくぅっ…な゛いっ!!!」
この思いが、帝国の面々に負けることなんてないんだと、そう信じているから―――!
とうとう体がシュートの力に負け、ゴールへ向かって吹き飛ばされる。
だが、それでも消してボールからは足を離さない。少しでも力を与え続け、デスゾーンをなんとかして弱めるのだ。
が、踏ん張った状態でも体が投げ出されるようなシュートを、空中の無茶な姿勢で止められるわけがなく。無常にも、私のすぐ後ろにはゴールネットが迫っていた。
「―――沖田っ!!!」
私の
―――させるものか。
ほとんど無意識に、私はその行動を選択していた。
背中はゴールのクロスバーへ、ほとんど使い物にならない右足は、ボールを逸らすために右側のクロスバーへ。
めきゃりと、ゴールポストか私の骨か、どちらともつかないような音がした。
「―――っ!!!」
それでも、絶対にこのボールは止めるんだ。なんとしてでも、止めるっ!!!
そんな私の思いが通じたのか、デスゾーンだったシュートは、ほんの少しだけその力を弱めながら、私の右足の上を滑っていく。
ボールはゴールを超え、試合を観戦していた外野へと突き進む。
ボールという押さえがなくなった私は、それこそボロ雑巾のようになりながら、グラウンドへと墜ちてゆく。
最後に私が、意識が無くなる前に見た光景。
それは、とっくに逃げ出していた目金君の後ろ姿と、涼しい顔でそのボールをトラップする、豪炎寺君の姿だった―――。
「…………………あれ?」
知らない天井です。
思わずそう呟こうとして、体に残るとてつもない痛みに、噎せ返ってしまう。
それでもどうにかして腕を使って起き上がると、なんとかナースコールを押す。
飛ぶようにしてやってきた医師に話を聞くと、どうやら私はあの帝国戦で、デスゾーンを受け止めたあとに眠るように意識を失ってしまったらしい、です。
そしてまた、三ヶ月の間、サッカーのような運動ができないことも告げられた。
「―――正直、これは奇跡に近いよ」
医師は私に、レントゲンの写真を見せながら語った。
「右のレントゲン写真、これね、君が搬送された直後のやつ。…で左ね。こっちが、入院一週間目のさっき撮ったやつ。わかる?これね、もう既にちょっとずつ治癒が始まってるの。これだけならわかるんだけど、君はその速度が異常に早いんだよ。これはもはや、特異体質とかそんなんで片付けられるレベルじゃないから。…それで君は―――」
くどくどと話す医師の言葉を、何処かふわふわ夢見心地で聞いている。
さすがサーヴァントの体、回復速度も違う、なんて考えられるくらいには、余裕があったのかもしれない。
―――でも、正直この現実は、まだしばらく受け入れられそうになかった。
ガラリ。
「…沖田?起きてたのか!?」
扉を開いて入ってきたのは、キャプテンの円堂君と、マネージャーの木野さん。
こちらを見る目は驚きにあふれている。
「…なんですか。私が死んだとでも思ってたんですか?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだけどさ。あんなぼろぼろで、声かけても全然起きなかったからさ」
まぁそれはそれとして。
「試合…勝ったんですか?」
今一番聞きたかったことを、直球勝負で円堂君にぶつける。
「―――勝ったよ。豪炎寺が入ってくれてさ、すっげーシュートを決めてくれたんだ!…それに、沖田のおかげで、あのあと点を取られずに済んだんだぜ?」
「…良かった」
「?沖田、泣いて…?」
「―――良かっ、たぁ…!」
私がしたことは間違いではなかったんだ、無駄じゃなかったんだとわかって、安堵からか、目からは涙が溢れ落ちてくる。
「うううぅうぅっ…!」
ベッドの上で、私は体を丸めて泣き続ける。
暖かな瞳で見つめる円堂君とのこの時間が、今は何よりも心地よかった。
「―――あ、そうだ沖田」
「なんです?」
円堂君が病室を出ていく直前。
こちらに顔を向けて聞いてくる。
「容態はどうなんだ?大丈夫そうか?」
「…本人にそういうの聞きます?」
「あ、あはは…」
「大丈夫みたいですよ。あと三ヶ月で治りそうです」
「????????(Xファイルのbgm)」
どうせみんな(文章)長くなる。
てか今回の乙女ゲー風味よ…。
今回の怪我により、オリ主沖田さんはFF全国大会より参加予定。
まぁオリ主の掘り下げなんて、脅威の侵略者編でやるから、ま、多少はね?誤差だよ誤差。
大胆なカットは迷作者の特権ってそれ一。
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