VSK-94って言う巨乳美少女になったけど質問ある? (FMX)
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第1話 デケェ!

ネットでVSK-94を見て一目惚れしたのでその場の勢いで書きました。大体平均5000字で書いて行こうと思っています。新米の書く下手な小説ですがよろしくお願いしますm(_ _)m

捕捉として、主人公は最初からドルフロの世界に住人なので転生系では無いです。


目が覚めると俺は知らない部屋に居た。いや、マジで何処だよここ。って言うか俺いつの間に寝た?う〜ん何か頭がぼーっとしてるせいで寝る前の記憶が曖昧だ。まぁそれは良いんだ。問題は今俺が全く知らない部屋に居るって言うことだ。取り敢えず状況確認の為に起き上がる。

 

「ん?」

 

体を起こした時に胸にずっしりとした重みを感じた。何だ?と思い自分の胸元へと視線を落とすとそこには立派な膨らみが2つあった。それを見た瞬間俺は思考が停止してしまった。ど、どう言うことだ⁉︎これは間違い無くおっぱいだよな?何で男の俺におっぱいがあるんだよ⁉︎しかもデカイなおい⁉︎両手でその膨らみを服越しに掴んでみるとむにゅむにゅとした柔らかな感触が手に伝わって来た。更にそれと同時に服越しに胸を揉まれている感触も伝わって来た。自分の胸を揉まれると言う未知の感触に俺は思わず手を離した。

 

「ど、どう言うk・・・・ん?」

 

今、確かに俺が喋った筈なんだが発せられた声音は男らしく無い高い声だった。喉に手を当てて何度か咳払いをしたりしてもう一度声を出してみるがやはり高い声のままだ。この胸と言いこの声と言い、これじゃぁまるで女じゃないか!

 

「いやいやいや、それはないって!」

 

小説や漫画とかでよく男の子が女の子になっちゃいましたって言うのは見るけどそれは創作だろ⁉︎ありえないって!と思いつつ俺はベッドから出る。

 

「おっとと⁉︎」

 

ベッドから出て立ち上がろうとした俺は前によろけてしまった。くそっ、この無駄にデカくて重い胸のせいでバランスが取れなかった。て言うか胸の重さでよろけるって何だよ。初めて聞いたぞそんなの。

 

「はははは・・・・」

 

自分でもよく分からないのだが胸の重さでよろけてしまった自分がとてもおかしく思えた。その時、ガシャと言う音が後ろから聞こえて来た。振り返ってみるとドアが開いておりそこに銀髪三つ編みツインテの少女が立っていた。少女は俺の姿を見るととても驚いた様な顔をした。

 

「あ、起きた」

 

そう言うと少女の後ろから別の少女が現れた。三つ編みツインテの娘と同じ綺麗な銀色の長い髪をポニーテールの様に後ろで結んだ少女。その少女も俺を見ると驚いた表情をして俺の方にかけやって来た。

 

「大丈夫ですか?何処か具合の悪い所とかありますか?」

 

と心配そうに少女が聞いてくる。可愛い美少女に心配されるのは悪い気はしないが何がどうなっているのか全く分からない。これ今どう言う状況なんだ?

 

「ティス、指揮官に連絡して!」

 

「分かった」

 

ティスと呼ばれた三つ編みツインテの娘は返事をすると突然独り言を言い始めた。

 

「あ、指揮官。起きたよ。分かった」

 

独り言を言っていると思ったが会話内容的にその指揮官と言う人と会話をしているみたいだ。でもティスは携帯電話などを使わずに通話をしている?一体どうやって・・・・まさか!

 

「間違っていたら申し訳ないんだけど・・・・そこの娘は人形?」

 

自律人形。数を大きく減らした人間の代わりとして開発されたロボットで生体素材を使っているから人間とほぼ同じ外見をしている。見ただけでは人間との区別はつかないと聞いたことあるけどもしかしてこのティスって言う娘はその人形なのか?

 

「あ、はいそうです。ティスも私も戦術人形です」

 

恐る恐る聞いた俺に対してポニーテールの娘が答えた。って言うか2人とも人形かよ⁉︎しかも戦術人形ってことは戦闘用の人形か!

 

「へぇー。戦術人形は初めて見た」

 

普通の民間用の人形なら何度も見たことあるが戦術人形は初めて見たな。やっぱり普通の女の子にしか見えないな。などと考えているとポニーテールの娘が俺をいたたまれない目で見ていることに気がついた。どうしたんだろうか?

 

「えっと・・・・貴方は、起きる前の記憶はありますか?」

 

とても申し訳なさそうに目を伏せながらポニーテールの娘が聞いて来た。さーて、どう答えようか。正直に「俺は男だった筈なんですけど何故か起きたら女になってました」なんて答えたら確実に頭がおかしい奴と思われる。なら今はこの娘の話に合わせた方が都合が良いか。

 

「えぇ〜っと・・・・・ごめんなさい。よく覚えて無いですね」

 

「そうですか・・・」

 

ポニーテールの娘はとても落ち込んだ様子。おいおいそんな顔しないでくれよ。心が痛む。そんなやりとりをしているとドアが横にスライドして開いた。あれ自動ドアだったのか。そのドアの向こうに赤色の服を着た若い男性が立っていた。この人が指揮官か?良かった。指揮官って言うから髭面の鬼軍曹みたいな人かと思ったけど普通に優しそうな人だ。

 

「指揮官、やっぱり覚えていないみたいです」

 

ポニーテールの娘がその男に近寄ってそう言った。男は頷いて見せると俺の方を優しい目で見て来た。

 

「色々説明しなきゃいけないことがあるから2人は外で待ってて」

 

「分かった」

 

「分かりました」

 

2人は返事をすると部屋から出て行った。2人っきりになり部屋が静寂に包まれた。

 

「さてと、どっから説明しようか・・・・あぁ。座って良いよ」

 

俺は言われた通りベッドに腰掛けた。男の方はベッドの横に置いてあった丸椅子に座った。

 

「まず自己紹介だね。私はここR25地区の指揮官をやっているジャクソンだ」

 

落ち着いた様子で自己紹介をするジャクソンさん。今更だがこの人の着ている服ってグリフィンの制服じゃないか?と言うことはここはグリフィンの基地か。

 

「そしてキミは戦術人形のVSK-94だ」

 

「・・・え?」

 

予想外の言葉に再び俺の思考は停止した。俺が戦術人形だって?何を言ってるんだこの人は。俺は人間だぞ?

 

「キミは1週間前にウチの部隊が任務中に大破している状態で発見されたんだ。酷い状態でね、ぶっちゃけて言うともう助からないと思ってたんだ」

 

「その写真ってありますか?」

 

「・・・キミが発見された時のかい?」

 

「はい」

 

「・・・・・ショックを受けない様にね」

 

ジャクソンさんは手に持っていますタブレットを操作するとタブレットの画面を俺に見せて来た。それを見た俺は言葉を失った。画面には見るも無残な姿になった少女の写真が写されていた。モザイクでヤバそうな所は加工されているがそれでもその酷さは分かる。左足と左腕は完全に無くなっているし、腹はモザイクでよく見えないが真っ赤になっている。右腕も肘から先が無くなっていて、右足もボロボロになっていた。そして顔の部分は1番濃くモザイク処理されていてどうなっているのか分からない。

 

「・・・大丈夫かい?」

 

「あ、はい。大丈夫です」

 

未だにこれが自分だと言う実感も無いからかそんなにショックは受けなかった。

 

「ヘリに乗せて直ぐに修理をしてボディーの方は何とか治ったんだけど破損が酷くてメンタルモデルの一部も破損していて、その際に記憶が無くなっているんだ」

 

成る程。そう言うことだったのか。それはこちらとしては都合が良いな。自分が戦術人形だってことを知らない人形なんて普通はあり得ない話だが記憶が無いってことを言い訳に出来る。まだ自分が戦術人形になったって事には信じられていないけどな。

 

「ログも消えちゃってるからキミが何処の所属の人形だったのかも分からなくてね。結局ここで引き取ることになったんだけどいつまで経っても目が覚めなかったから電脳のダメージが酷かったからその影響でもう目覚めないんじゃないかと思ってだんだけど目が覚めて良かったよ」

 

「えっと・・・助けてくださってありがとうございます」

 

「そんなに畏まらなくて良いよ」

 

優しい笑顔でそう言うジャクソンさん。何か優し過ぎて逆に怪しく見えてしまうな。

 

「あの、鏡ってあります?」

 

未だに今の自分の姿を確認出来ていないから聞いてみるとジャクソンさんはポケットに手を入れたりして探した後、手に持っていたタブレットを操作してから差し出して来た。

 

「えぇ〜っと・・・・・鏡は無いけどこのタブレットのカメラで見れるよ」

 

俺はタブレットを受け取ると呼吸を整えてからタブレットの画面を見た。

 

「これが・・・俺?」

 

ジャクソンさんに聞こえないくらいの小声で俺は呟いた。画面には驚いた表情の金髪碧眼の美少女が写っていた。さっき見せてもらった写真は顔がモザイクのせいで見えなかったから分からなかったが文句なしの美少女だと思う。俺のボサボサの黒色だった髪は今では綺麗な金髪になっていた。その髪を触ってみるとサラサラしていた。更に画面に映る少女も同じ様に髪を触った。とても信じられないが本当に俺は戦術人形になってしまったようだ。

 

「ウチの技術班が全力をもって治したから体は元通りだから安心して大丈夫だよ」

 

「本当にありがとうございます」

 

「良いってことよ。それで、このままキミはここに配属させようど思っているけどそれで良いかな?」

 

「はい。大丈夫です」

 

と言うか他に行く当ても無いしな。立ち上がったジャクソンさんは俺に手を差し伸べて来た。

 

「それじゃぁよろしく、VKS-94」

 

俺はその手を取ってしっかりと握った。

 

「こちらこそ。よろしくお願いします」

 

ジャクソンさん・・・いや、もう俺はここの所属何だし指揮官か。との話を終えた俺は指揮官から「取り敢えず着替えて来たら?」と言われて自分が患者衣を着ていたことに気がついた。色々とテンパっていたから指揮官に言われるまで服も変わっていることに気がつかなかった。

 

指揮官が部屋から出て行ってから直ぐに銀髪ポニーテールの娘が服を、そしてティスとか呼ばれてた三つ編みツインテの娘が姿見を持って来てくれた。

 

「ここに配属になったんですよね。これからよろしくお願いします」

 

さっきはテンパっていたから気づかなかったのだが、このポニーテール娘の格好かなり露出度高くない?脇見えてるしパンツも透けて見えちゃってるし。

 

「こちらこそよろしく」

 

何でそうな格好なのかとても気になったが聞く勇気は無かったので普通に挨拶をした。

 

「あ、そう言えば自己紹介がまだでしたね。私は9A-91って言います。同じロシア銃同士仲良くしましょう」

 

ニッコリと笑いかけてくる9A-91。にしても可愛いな。何か抱き締めてあげたくなる可愛さだ。

 

「私は秘密兵器ティス。よろしく」

 

次に三つ編みツインテの娘が自己紹介をしてくれたのだが・・・秘密兵器ってどう言うことだ?

 

「秘密兵器?」

 

「彼女は自分のことをよく秘密兵器って言うんです。正式名はOts-12って言います」

 

「ティスって言う名前はどこから?」

 

「Ots-12の愛称がティスって言うんです」

 

「成る程」

 

「お・・・私はVSK-94」

 

いつもの感じで俺と言いそうになったが今の俺は女になっている訳だし、一人称が「俺」って言うのはおかしいからこれからは「私」って言う様にしないとな。

 

「それじゃ私は外で待ってるので着替え終わったら呼んでください」

 

と言って91は部屋から出て行った。

 

「鏡はここに置いておくから」

 

ティスちゃんも姿見を置いてから部屋から出て行ってしまった。他の女性から見られながら着替えることにならなくて良かった。姿見の前に立った俺は自分の全身を見てみた。男の俺の面影は何処にも無く巨乳金髪美少女がそこには写っていた。

 

そして俺の視線は自然と自己主張の激しい胸の方に吸い寄せられて行った。胸に注目してしまうのは男の悲しい性だ。そしてこれも男の悲しい性なのだが俺はその好奇心を抑えきれずに再び胸を両手で揉んだ。女性の胸、それも巨乳を揉んだのは人生初なのだが想像以上に柔らかい。鷲掴みにしてみると男の時よりも細くなった指先が胸に沈み込んだ。

 

「凄い・・・」

 

思わずそんな感想を俺は呟いた。こんなに大きな胸が本当に存在していたのかと思うと同時にその巨乳が自分の胸だと言うことに何とも言えない気持ちになった。暫くの間無言で自分の胸を揉んでいたがふと我に返り揉むのを辞めた。落ち着け俺、側から見たら自分の胸を揉んで興奮しているおかしな奴だぞ。

 

両手で両頬を叩いて気を取り直し着替えを始める。しかしこの着替えも一筋縄では行かない。当たり前のことだが着替えると言うことは今着ているこの患者衣を脱ぐことになる。と言うことは俺は裸になるって言うことなんだがそれが問題なんだ。女の裸を見ることになるんだぞ⁉︎青年の俺には刺激が強過ぎる。

 

「・・・よし」

 

覚悟を決めた俺は先ず上着に手を掛けると一気に脱ぐ。

 

「っ!」

 

勢い良く上着を脱ぎ去ったせいで胸が上下にぶるんぶるんと大きく揺れ動いた。羞恥心やらなんやらが込み上げて来て、それと同時に何か男として何か大事な物を失ってしまった様な気がした。顔が赤くなっているのが見なくても分かる。気を取り直し姿見に背を向けなるべく自分の裸姿を見ないようにしながら俺はブラジャーを着けようとしたが。

 

「・・・・・あれ?」

 

91ちゃんが持って来てくれた着替えにブラジャーが無い。どっかに落としたのかと思って探してみたがやっぱり無かった。これはどう言うことなんだろうか?もしかしてこの大きな胸に合うブラジャーが用意出来なかったとか?それとも9A-91が持って来るのを忘れただけなのか?

 

「ま、まぁブラ着けなくてもなんとかなるでしょ」

 

それにブラジャーみたいな女物の下着を着たら男としての威厳が無くなってしまう気もするしな・・・。無い物は仕方ないと言うことで俺はブラジャーを着けないことにした。次に俺はパンツを手に取った。男の時に着ていたパンツとは違う女性用のパンツを穿くことに抵抗を覚えるが流石にパンツを穿かないとただの痴女になってしまうので意を決して穿いた。次にシャツを着てボタンを留めて行く。

 

「うわぁ」

 

シャツを着たのは良かったのだがシャツが胸に押し上げられて胸から下に垂れ下がり、お腹の部分に隙間が出来てしまっている。あぁこれが俗に言う乳カーテンって呼ばれるやつか。一度は見てみたいと思っていたがまさか自分自身の体で見ることになるとは思わなかったな。本当に俺女になってしまったんだなと実感させられて何か悲しくなって来た。青色のスカートを履きシャツの裾をスカートにたくし込みベルトで縛った。これで乳カーテンにはならなくなったが、それでもシャツが胸に押し上げられて胸から腹部にかけて真っ直ぐ張ってお腹との間に空間が出来ている。これは俗に言う乳テントってやつだな。うん。

 

シャツが胸に押し上げられていることで余計に胸が強調されている気がするがこれは仕方ない。だって乳カーテン状態のままだと下から腹も下乳も見えてしまうからな。それは流石に恥ずかしい。

 

お次は黒色のストッキングだ。一瞬これもブラと同じように穿かなくても良いんじゃ無いかと余ったが今の姿を姿見で見てみて素足を他人に見られるところを想像してみたら何か恥ずかしくなったので穿くことにした。人生初のタイツに少し苦労しながらも俺は何とかストッキングを穿くことが出来た。改めて姿見で自分の姿を見てみる。

 

「・・・何か艶かしいな」

 

胸もそうだが足も足でむっちりとした肉感のある足でストッキングによってそれが更に強調されている様な気がする。しかしこんなことに一々気にしていたら埒が明かないので気にしない様にした方が良いな。うん。最後に黒色のロシアの国旗が刺繍されたジャケットを羽織って着替えは終わった。姿見で確認してみるがうんまぁ悪くないんじゃないかな?

 

取り敢えず9A-91達をいつまでも待たせる訳にはいかないし俺は部屋から出た。ドアの横に9A-91とティスは立って待っていた。

 

「どうかな?」

 

「よく似合ってます」

 

「良い感じ」

 

笑顔で褒めてくれる9A-91とサムズアップするティス。2人の反応を見る感じ似合っていないってことは無さそうで安心した。

 

「指揮官が着替え終わったら来る様に言ってましたので執務室に案内しますね」

 

「色々ありがとうね」

 

「もう94さんは仲間なんですしこれくらい当たり前ですよ」

 

服装はアレだが9A-91ちゃんは良い子だなぁ。9A-91について行くとプレートに「OFFICE」と書かれたドアの前に来た。ドアの前に立った9A-91はドアを4回ノックした。

 

「9A-91です。VSK-94さんを連れて来ました」

 

「どうぞ」

 

部屋の奥から指揮官の声が聞こえ、返事を聞いた9A-91は「失礼します」と言いながらドアを開けた。部屋の内装はいかにも基地の指揮官の使う執務室執務室って感じでこう言う雰囲気に慣れていない俺は何だか落ち着かない。指揮官は書類仕事をしていた様でペンを置くと俺の方を向いた。

 

「うん。よく似合っているよ」

 

そう落ち着いた声で指揮官は褒めてくれたがその視線は服ではなく胸の方に向いているのに俺は気がついた。いくら指揮官と言えどもやっぱり男は男なんだな。

 

「指揮官?」

 

指揮官の隣に立っていた茶髪の紺色のジャケットをを着た少女が静かに威嚇するように言うと指揮官は視線を俺の胸から逸らしごほん!と咳払いをしてから話始めた。

 

「えっと、キミのことについてはさっき話した通りキミは今日から正式にR25地区基地の所属になる。それでこれからのことなんだけど明日からは他の戦術人形達と一緒に訓練を受けて貰う」

 

訓練かぁ・・・射撃とか俺自信無いな。エアガンなら撃ったことあるが実銃なんて触ったことも無い。まぁその為の訓練なんだろうけど。

 

「了解です」

 

「訓練を終えた後は実戦に参加して貰うことになるけど、最初のうちは危険度の低い任務に就かせるつもりだから安心して」

 

「お気遣いありがとうございます」

 

ここの職場はホワイトみたいで安心したよ。もし人形を捨て駒として扱う様な人だったらヤバかった。

 

「あぁそれと、キミの身分証とかを作る為に明日の昼頃に証明写真を撮るから。後これを」

 

と言って指揮官が俺に渡して来たのは長方形のデータ端末。受け取って首を傾げていると指揮官が説明してくれた。

 

「それに必要な情報は全部あるから後の情報はそれで確認してくれ。本当だったらそれを渡せば私が私がこうやって説明する必要は無いんだけど最低限のコミュニケーションは取っておきたかったからね。私からの話は以上だが、何か質問はあるか?」

 

少しの間考えるが特に思いつかなかった。

 

「いえ、特にありません」

 

「それじゃぁ今日は部屋に戻ってゆっくりしといてくれ」

 

「了解です」

 

指揮官に敬礼をしてから俺はは9A-91達と一緒に執務室を後にした。執務室から出た瞬間俺は。ああ言う雰囲気の所は苦手だし、よく知らない他人と喋るのもなんだか緊張した。

 

「緊張しました?」

 

俺の右側を歩いていた9A-91が聞いて来たので俺は苦笑いしながら答えた。

 

「ああ言う所がちょっと苦手で」

 

「大丈夫ですよ。指揮官はとても優しい方なので」

 

「みたいだね」

 

まだ出会って間もないがあの人が優しい人だと言うことは分かった。

 

「そう言えば、指揮官の横に立っていた人は誰?」

 

恐らく戦術人形なんだろうけどあの感じだと秘書とかをやっているんだろうか?それとも指揮官の護衛?

 

「あの人はグリズリーです。副官も務めているベテランなんですよ」

 

「へぇ〜」

 

グリズリーかぁ。名前からしてショットガンみたいなゴツい強力な銃を扱ってそうだな。そして彼女結構俺のタイプだ。ああ言うかっこいい女性好きなんだよなぁ。

 

「折角だしここの施設の案内しない?」

 

9A-91に俺の部屋まで案内して貰っているとティスがそんな提案をして来た。

 

「それは良い案ですね!」

 

「先ずは射撃場?」

 

「その前にここから近いブリーフィングルームからにしましょう」

 

と言って9A-91はいきなり廊下を右に曲がった。歩いて1分もかからない内にプロジェクターとスクリーンが設置され、プロジェクターの後ろに大量のパイプ椅子が並んだ少し広めの部屋の前に到着した。

 

「ここがブリーフィングルームです。何もない時は今みたいに滅多に使いませんね」

 

「秘密のお話する時はここオススメ」

 

オススメってことはティスはここで誰かと秘密のお話をしているってことなんだろうか?特にブリーフィングルームは見る物は無かったので直ぐに別の所に向かった。

 

「ここがデータルームですね。主にパソコンで報告書を書いたりしますね。後は指揮官が調べ物をする時とかにも使います」

 

「許可を貰えばパソコンを自由に使えるよ」

 

「成る程」

 

俺も何か調べ物をする時とかは利用するかもな。データルームを後にして次の場所に移動していると9A-91が窓の向こうの方を指差した。

 

「あそこにある建物に工廠と修理室があります。工廠は銃の整備や私達人形の体などの調整、バックアップを新しい素体に入れたりなど色々する所です。修理室は大破状態などの重度の破損を受けた人形を修理する所です。貴方を治す時もあそこで修理したんですよ?」

 

治療、ではなく修理と言うのを聞いてやっぱり俺は人形になってしまったんだなぁと思い知らされる。

 

「それと、修理室と似た様な所で軽度の破損を治す医務室と言うのが向こうにあります」

 

そう言って9A-91は左の廊下の方を指差した。それから少し歩いているとパン!パパパンッ!と言う破裂音が聞こえて来た。warning!と赤色の文字で書かれたドアを9A-91が開けると裂音が鼓膜が破れそうな程煩い破裂音、もとい発砲音が聞こえて来た。ドアを開ける前まではそんなにうるさくないくぐもった音だったから油断した。このドア防音性が良いな。

 

コンクリートで囲われた奥行きのある広い無機質な部屋に数名の少女達が銃を構えて向こうにある人形の的に向かって撃っている。

 

「ここが射撃場です!指揮官の許可を貰えばいつでも使うことが出来ます!」

 

銃声に負けない様に大声で説明してくれる9A-91。初めて本物の銃を撃っているところを見たがやっぱり迫力あるな。そして滅茶苦茶うるさい。

 

「ここ以外にも野外演習場と言う長距離射撃練習などに使うもっと広い屋外の射撃場もあります!」

 

9A-91の話を聞きながら射撃練習の様子を見ていると1人の少女が目に留まった。頭にゴーグルを付けた若緑色の長い髪が特徴的な少女。

 

その珍しい髪色も目を引く要因の1つだが、俺が気になったのはその格好だ。下半身はミニスカートに黒タイツとまぁ普通格好なのどが上半身がビキニっぽい灰色のトップだけと言う露出度の高さ。腹もへそも脇も谷間も全部見てしまっている。何だ?9A-91と言いこの娘と言い戦術人形ってのは露出癖でもあるのか?それとも指揮官の趣味なのか?

 

そんなことを考えながら見ていると俺の視線に気がついたのか射撃をやめて銃を置くと俺の方を向いた。俺の姿を確認すると駆け寄って来た。

 

「良かった!起きたんだ!」

 

もしかして俺は結構色んな人達に心配されていたんだろうか?取り敢えず自己紹介をしとこう。

 

「今日からここに配属になりましたVSK-94です。よろしくお願いします」

 

「私はCZ-805。ブレンって呼んで!」

 

「ブレンが貴方を見つけたんですよ」

 

「そうなんですか。ありがとうございます」

 

「当然のことをしただけだだよ。にしても元気そうで良かった。あ、記憶の方はどうなの?」

 

「やっぱり無いみたいです」

 

「そう・・・」

 

9A-91が答えるとブレンは肩を落とした。が、直ぐに笑顔になった。

 

「でも起きて良かった。これからよろしくね!」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

ブレンと軽く話した俺はブレンと別れ射撃場を後にした。来た道を戻り更に進むと色んな物が置かれた部屋があった。部屋の入り口には娯楽室と書いてある。

 

「ここは娯楽室です。暇な時などはここに集まってお喋りしたり、読書やゲームをして時間を過ごしたりします」

 

部屋の中を覗いてみるとあぐらをかいてテレビゲームをしている少女がいた。コントローラーのボタンを押したりスティックを動かす速度が尋常じゃ無いくらい早い。プロゲーマー並みなんじゃないか?

 

「あの娘は?」

 

「RFBです。ゲームが凄く上手いんですよ」

 

やっているゲームはFPSゲームの様だがさっきから敵を次々と倒しまくっている。

 

「よっしゃぁぁ‼︎チーター撃破ァ!ざまみろー!」

 

突然ガッツポーズをしながら叫ぶRFB。どうやらチーターを倒した様だ。

 

「そして、こっちが食堂です」

 

娯楽室の横が食堂だった。長机と椅子がずらりと並んでいる。見た感じここの食堂はバイキング形式みたいだな。

 

「朝食が6時から8時、昼食が12時から13時、夜食が18時から20時までの間に利用出来ます」

 

「覚えとく」

 

朝食は6時か・・・・早起きは苦手なんだけどなぁ。まぁ仕方ないか。更に廊下を進むとホテルの様に等間隔に部屋のある所に来た。

 

「ここが宿舎です。94さんは私達と同じ5号室です。ここですね」

 

と言って9A-91は5と書かれたドアを開けた。部屋の両側に簡素な2段ベッドとロッカーが置いてあり部屋の中央にはテーブルがある。

 

「ベッドはこっちを使ってください。ロッカーはあっちを」

 

と9A-91は左側にある2段ベッドの下と同じく左側にあるロッカーを指差した。

 

「私達は今から訓練があるのでこれで失礼します。部屋の物は基本的に好きに使って良いのでゆっくりしていてください。それでは」

 

「また後で」

 

2人が部屋から出て行き静寂に包まれる。俺はジャケットのポケットからさっき指揮官から渡されたデータ端末を取り出しベッドに置いた。ロッカーを開けてジャケットを脱ぎハンガーに掛けるとベッドに腰掛けてデータ端末を手に取る。

 

「ん?」

 

今更だがこれどうやって使うんだ?パソコンに接続すれば良いんだろうか?と思ったがデータ端末の横に「戦術人形用データ端末」と書いてあった。戦術人形用ってことはこれもしかしてこれこの体のどっかに接続するってことか⁉︎体のあちこちをみてみるがコードを挿せそうな所は無い。何か書いてないかと余ってデータ端末の裏を見てみるとご丁寧に「戦術人形のうなじにUSBコードを挿してください」と書いてあった。そっとうなじに手を添えてみると確かに穴の様な物がある感触があった。

 

「改めて人間やめたって実感するよ」

 

データ端末のコードをそのうなじの穴と思われる所に挿してみた。特に痛みも何も無いが確かに挿さった。

 

「っ⁉︎」

 

挿したと同時にグリフィンやここの基地に関する大量の情報が頭の中に流れ込んで来た。頭がパンクするんじゃ無いかと思ったがそんなことは無かった。コードを抜いて俺は仰向けに倒れた。起きてから息つく暇も無く色んなことが起きた。未だに俺が戦術人形になったことやグリフィンの所属になったことなどが信じられない。いや、信じられないって言うより実感が無い。発生した事態に頭の処理が追いついていないのだろう。

 

しかし、このこれからどうなるか分からない状況をどこか楽しんでいる自分も居る。何はともあれ、今日が俺の人生のターニングポイントになったのは間違いない。




巨乳って良いと思うんですよね。なんたって夢がある。VSK-94がブラを付けなかったのは本家のVSK-94も付けていないのでそれを再現しようとしたからですね。次回は9A-91達との訓練を書こうと思っています。次回もお楽しみに!

・10月1日に書き忘れていたシーンを書き足しました。

ご感想お待ちしています!


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第2話 その弾は狙撃用として使うには余りにも遅過ぎた。

お待たせしました第2話です。今回はただの射撃練習回なのでそんなに面白くないかもしれません。すいません。


朝の6時に9A-91に起こされ目が覚めた。一瞬俺の部屋じゃないことや知らない少女に起こされたことに驚いたが直ぐに昨日のことを思い出して落ち着いた。もっと寝たいと言う欲望を何とか抑え込み起きた俺は身支度をして9A-91とティスと一緒に朝食を朝食を食べた。昨日夜食を食べた時も思ったが食料を巡った争いが絶えない今のご時世にこうやってまとまった食事をとることが出来るのは流石グリフィンと言うべきだろう。しかもどの料理も美味しかった。

 

食事を終えた俺は今日から訓練を受けることになっているので9A-91とティス2人に連れられて野外射撃場にやって来た。室内射撃場の様にレーンがあるわけでは無くだだっ広い野原に等間隔に的が置いてある場所だ。何故室内射撃場では無いのかと言うと俺がこれから使うことにあるVSK-94と言う銃が狙撃銃だからだ。

 

「貴方の銃はそこに置いてあります」

 

9A-91が指したガンケースを開けて見てみると見たことのない形の銃とマガジンが入れてあった。これがこの体の名前の元になったVSK-94か。初めて見る銃だな。俺はゲームとかでよく見るM4A1みたいな銃をイメージいていたんだけどそれとは全然違う。ゴテゴテしたアタッチメントも何も付いていない質素な見た目の銃だ。スナイパーライフらしい大きなスコープが載っているのだが想像していたよりも銃が小さかった。それにボルトアクション方式では無いようで恐らくセミオートだ。そして銃身が異様に太い。って言うかこれサプレッサーじゃね?MP5SDみたいに最初から付いているタイプのヤツだ。マガジンに入っている弾を見ているととても大きい。なんて言うか俺の知っている弾と比べて太い気がする。

 

「んん?」

 

銃を手に持った瞬間変な感覚がした。何と言うか凄いしっくり来る。それに何故かこの銃の使い方が分かる。まるで昔から使っていて体が覚えているみたいに意識せずとも無駄の無い慣れた手つきで弾の入ったマガジンを銃に入れてコッキングレバーを引きチャンバー(薬室)に初弾を装填した。これは俺が戦術人形になったからって言うことなんだろう。

 

悪い気はしない。むしろ映画の主人公みたいにカッコ良く銃を扱えるから気分が良い。

 

「撃ってみて良いかな?」

 

「ちょっと待ってください。準備しているので」

 

と言いながら9A-91はコンパクトスポッティングスコープを三脚で立てて色々と調整をする。どうやらスポッターをやってくれるみたいだ。

 

「今日の風は東南東に秒速1.23メートルだよ」

 

ティスが風向きと風速を教えてくれたが俺自身はこの風が弾道にどう影響するのか全く分からない。

 

「お待たせしました。始めましょう」

 

俺は銃のセーフティーレバーを後ろに倒してセミオートに変更する。このセーフティーレバーの配置は結構独特で1番上が安全、前に倒せば連射、後ろに倒せば単射になる様になっている。って言うかこの銃狙撃銃の癖にフルオートで撃てるのかよ!よく分かんない銃だな。

 

1番近い的までの距離は100メートル。流石に立射でこの距離を当てれる自信は無いので伏射で撃つか。俺はうつ伏せになって銃を構えた。本当だったら二脚で銃を安定させた方が良いんだがこの銃には二脚は付いて無かったので近くにあった土嚢を1つ持って来てそれに銃を置いて安定させた。しかしうつ伏せになったことで別の問題も発生した。

 

この大きな胸がうつ伏せになった時に邪魔になる。いやまぁこの体勢の方が胸の重さを感じ無いから楽ちゃ楽だし射撃自体の邪魔には殆どならないのだが胸が圧迫される感じが気になって気が散ってしまう。いや、待てよ?もしかしたらこの胸射撃時の反動を吸収してくれるんじゃないか⁉︎伏射は射撃の反動を体全体で受け止めるから1番射撃が安定する撃ち方だと昔聞いたことがある。ならこんなにデカくて柔らかいクッションが2つもあれば結構反動を吸収出来るんじゃね?

 

「どうしました?」

 

「あ、いや、何でもない」

 

真顔で下らないことを考えていたら9A-91に声をかけられて我に帰った。深呼吸をして気を取り直し銃を構えてスコープを覗き、100メートル先にあるマンターゲットを狙う。人形になったお陰だろうが視力が前より格段に良くなったのとスコープのお陰で的がよく見える。山の様な三角形の照準線をマンターゲットの頭に合わせてトリガーを引くとバシュッ!と言う抑制された発砲音と共に思ったよりは強くなかった反動が来た。発射された弾丸はマンターゲットの頭に見事当たりカンッ!と言う金属音が聞こえて来た。

 

「当たった!」

 

まさかこの距離を1発でヘッドショットを決めれるとは思っていなかったから凄い嬉しい。これが戦術人形の力なのか⁉︎

 

「命中。次、150 メートルをお願いします」

 

「了解」

 

次に少し遠くなった150メートル先の的を狙う。トリガーをゆっくりと引き慎重に撃った。これも見事頭に命中。何だか楽しくなって来たな。こうもバシバシ当たると気持ち良い。

 

その後も200、250、300、350と撃ち続けどれもマンターゲットの胴体部分に命中した。頭を狙おうかとも思ったんだが距離が離れて行くに連れて狙い難くなって行くので当て易い胴体を狙うことにした。そして次は400メートル。どうやらこのスコープはそんなに遠くを狙う様には作られていないのか倍率が低めなので400メートル先の的は殆ど見えない。と言うか照準線と重なって見え辛い。 

 

それに撃ってて分かったがこの弾どうも弾速が遅い。250メートルの時点で撃ってから弾が当たるまでに少しタイムラグが発生していた。それに的が遠くなる程弾が落ちる。気持ち結構上めに狙って撃った。撃ってから約1秒後的が動いた様に見えた。

 

「命中。お見事です。これ以上は撃たなくて良いですよ」

 

俺は銃のセーフティーレバーを上に上げて単射から安全に切り替えるとふぅ〜っと息を吐いた。こんなに集中したのは久しぶりかもしれない。

 

「1キロ狙撃とか出来るかなと思ったけど難しそうだね」

 

「そもそも私達の使ってる弾じゃぁ届きませんよ」

 

「そうなの?」

 

「私とティス、そして貴方の銃は9×39mm亜音速弾と言うのを使っています。名前の通りこの弾は初速が時速1000キロ前後の音速を突破しない速度で飛翔します。なのでソニックブームによる音が発生せずサプレッサーと合わせることで驚異的な消音効果が発揮出来ます。しかし亜音速なので通常のライフル弾よりどうしても射程距離が短くなってしまうんです。なのでこの弾丸の有効射程は最大で400メートルと短いんです。狙撃銃である貴方からすると短く感じるかもしれませんね」

 

射撃を400メートルで止めたのはそう言うことだったのか。納得。そしてこの銃の使う弾が普通とは違う特殊な弾だと言うことも分かった。

 

「こう言ったことは調べておいた方が良いですよ。実戦などで役に立つので」

 

「勉強します」

 

戦術人形になったお陰で軍人の様に銃を扱える様になったが仲間はそのままなので銃の知識はゲームで得た物しか無い。9A-91の言う通り自分の使う銃のことくらいは知ってないといけないな。

 

「それでは次は動いてるターゲットドローンを撃ってもらいます」

 

9A-91が大きな箱から的に4本の足が付いた様な見た目のロボットを数体取り出すとタブレットを操作した。するとターゲットドローンが足についた小型のタイヤで勢い良く発進した。

 

「100から400メートル地点で動き回るあのターゲットドローンを先程と同じ様に順に撃って行って下さい。ターゲットドローンが配置に着くまで少し待ってて下さい」

 

「分かった」

 

マガジンを抜いて残弾の確認。さっき7発撃って残りは13発なのでまだ余裕がある。銃のスコープでターゲットドローンを見てみると結構な速度で爆走していた。

 

「結構速いね」

 

「最高で60キロで走れますから」

 

「そんなに早くする意味ある?」

 

「車などに乗っている標的を狙う訓練などに使いますね」

 

「成る程。じゃぁ今から撃つのも60キロで動くの?」

 

「いえ、10キロ程の人間の走るくらいの速度ですよ。それと、さっきも言った通り貴方の銃の使用する弾は亜音速弾なので400メートル地点の動くターゲットに狙うのは凄く難しいので気をつけてくださいね」

 

弾が遅く弾道も落下からその分偏差が大きくなって狙うのか大変ってことか。

 

「準備が出来ました。いつでも撃って良いですよ」

 

「了解」

 

俺は再び銃を構えると100メートル先で右に向かって動くターゲットドローンを追う。この距離ならそんなに偏差は必要無いだろうと判断しターゲットドローンから少し前を狙って撃った。弾は見事的に当たった。

 

「命中。次150メートル」

 

さっきより偏差を大きめに取って発砲。見事走行中の的に当たった。150メートルまでは特に苦もなく当てられたんだが200 メートルからはそうも行かなかった。弾速の遅さと弾道の落下の影響が顕著に出始めたからだ。距離が離れて行くに連れて弾を外してしまう回数が増えて行った。途中弾切れになってしまったのでリロードをして撃ち続けた。最後の400メートル地点では偏差がかなり難しく12発も外してしまった。

 

「お疲れ様です」

 

「お疲れ」

 

射撃を終えた俺に9A-91とティスが声を掛けて来た。俺は2人に返事をしつつ遠くの的を見た。当てれなかったことが結構悔しい。こんなに悔しいと思ったのも久しぶりだ。

 

「気にしないで良いですよ。寧ろ400メートル先の動いているターゲットドローンに当てるとは思っていなかったので驚きましたよ」

 

9A-91の言葉にティスもうんうんと頷く。もしかして気を使わせちゃってる?

 

「ありがとうね。次は1発で当てれるように訓練頑張るよ」

 

「はい。一緒に頑張りましょう!」

 

それから小休憩を挟んでから射撃訓練を続けた。100から150までは特に問題無く1発で当てれるのでまずは200メートル地点で動くターゲットドローンを確実に当てれる様に何度も何度も撃った。休憩も挟みながら1時間続けた結果250メートル先を不規則に動くターゲットドローンに3発に1発の割合で当てれる様になった。

 

「頑張っているようね」

 

リロードをしていると突然声をかけられた。声のした方を向いてみると美人な女性が立っていた。って何か肩に動物が乗ってるな。

 

「あ、FALさんお疲れ様です」

 

「FALさんも訓練?」

 

「噂の新人の顔を見に来たのよ。貴方が噂の新人ね?」

 

2人がさん付けしているところから察するにこのFALと言う人は先輩にあたる人みたいだな。俺は銃を置いて立ち上がり服に付いた汚れを叩いてからFALさんに向き合った。

 

「VSK-94です。よろしくお願いします」

 

「私はFAL。これから一緒に任務に出ることも多いと思うからよろしく」

 

と言ってFALさんは右手を差し出して来たので俺はその手を握って握手をした。にしても・・・この人もこの人で際どい服着てるなぁ。服が大きくはだけているせいで胸元が思いっきり見えてしまっている。無意識の内に視線がその胸元に向いてしまいそうになるが視線を無理やり上に向けてFALさんの目を見る。水色の瞳が綺麗だな。

 

「FALさんはとても強くてとても頼りになる人なんです」

 

9A-91の解説を聞いてふふん♪と得意げな顔になるFALさん。多分この人は自分のプライドとかを大事にするタイプの人だな。

 

「私、中距離狙撃も得意だから教えてあげましょうか?」

 

 

「あ、お願いします」

 

同じ様な役職の先輩からなら色々と有益な情報とか狙撃のコツとかを教えて貰えるかもしれないしここぇ聞いておくのはありだろう。9A-91は使っていたスポッティングスコープをFALさんに渡した。

 

「それで今は何処で行き詰まっているの?」

 

「250メートル先で動いている的を当てれないんです」

 

「分かった。じゃぁ先ず1発撃ってみて」

 

「分かりました」

 

俺は再び地面に伏せて銃を構える。呼吸を整えてスコープを覗き左に向かって動くターゲットドローンを捉えると弾道の落下と偏差を考えてターゲットドローンから更に左上を狙う。今まで撃った経験を元に狙いをすましてトリガーを引いた。抑制された発砲音と共に飛んで行った弾はターゲットドローンから右に逸れた地面に着弾した。

 

「・・・ん?弾速遅くない?」

 

その様子を見ていたFALさんは疑問の声を上げる。

 

「えっとこの銃は亜音速弾?って言うのを使っているらしいですよ」

 

「亜音速弾?もしかしてティスや9A-91の使っているのと同じ弾?」

 

「はい。そうです」

 

俺の代わりに9A-91が答える。それを聞いたFALさんは「えぇ・・・」と言った感じの困惑したような顔をした。

 

「ごめん。私の使っているのは初速が秒速823メートルもあるフルサイズの弾だから貴方のとは色々と違って上手く説明出来ない・・・・」

 

「私も中距離狙撃は専門外なので少し困っているんですよね・・・」

 

マジですか。9A-91も説明出来なくて困っていたのか。やっぱりこの銃の使っている弾はなかなか特殊な弾みたいだな。

 

「代わりに構え方とか撃ち方とかを説明するわ」

 

「すいません。お願いします」

 

それからは俺はFALさんに銃の正しい構え方やプローン、ニーリング、スタンディング、シッティングと言った基本的な射撃姿勢、トリガーの引き方などを教えて貰った。トリガーの引き方に関してはただ引くのではなくて遊びの部分を引いてからゆっくりと引くと言うのは知らなかったからとても勉強になった。射撃練習もFALさんと9A-91とティスが協力して教えてくれた。

 

それから更に時間が過ぎ俺の周りが大量の薬莢によって埋め尽くされた頃。遂に250メートルの壁を越えて300メートル先を動くターゲットドローンを1発で当てることが出来た!

 

「よっしゃぁぁぁッ‼︎」

 

俺はティスと手を取り合ってぴょんぴょんと跳ね回った。ジャンプする度に胸も上下に大きく揺れ動くがそれが気にならないくらい当たったことが嬉しい。

 

「やりましたね!」

 

「まさかこんなに手こずるとは思わなかったわ・・・・」

 

笑顔で俺に拍手をしてくれる9A-91と少し疲れた様子のFALさん。彼女には結構お世話になったな。

 

「皆さん。本当にありがとうございます!」

 

「この調子で午後からの訓練も頑張りましょう!」

 

「え?午後からの訓練?」

 

「はい。午後からはCQBメインにした訓練があります」

 

あーそう言えばまだ午前中だったわ。完全に忘れてた。何かもう今までの射撃練習で疲れた。いやまぁ戦術人形になっているから肉体的にはまだまだ疲れていないけど精神的に疲れた。

 

「その前にご飯食べに行こ〜」

 

「あら、もうそんな時間なのね」

 

「色々しましたからね」

 

後ろのテントに置いてある時計を見てみるともう昼時だった。腹が減っては戦は出来ぬとも言うし、先ずは食べに行くとするか。




主人公のVSK-94が使用する弾9×39ミリ弾はAK-47などが使う7.62×39ミリ弾を元に作っているそうです。似ても似つきませんねwにしても消音スナイパーライフルってロマンありますよね。この小説の主人公に選んだ理由の1つでもあります。胸のデカさだけで選んだ訳ではないんですよ?

銃器などのデータや資料は主にネットと雑誌から集めています。もし何か間違ったことを書いていましたら教えて下さい。直ぐに修正しますので。次回はVSK-94が9A-91とティスことOts-12相手に模擬戦をします!お楽しみに!

ご感想お待ちしております!


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第3話 狙撃銃の癖にフルオートで撃てるってこれもう訳分かんないな。

お待たせしました!第3話です!気がつくとお気に入り登録者数が24人になっていて凄いビックリしました。これからも皆さんのご期待に応えれるように頑張ります!


昼飯のサンドイッチを食べ終えた俺は午後からの訓練を始めようとしていると黒色のジャケットを着てサングラスを頭にかけた少女、グリズリーさんがやって来て俺に声をかけて来た。

 

「どうしました?」

 

「証明写真を撮りたいんだけど今良い?」

 

そう言えば身分証とかを作る為の証明写真を昼頃に撮るって指揮官が昨日言ってたな。忘れてた。

 

「はい」

 

「じゃぁついて来て」

 

「私達は先に行ってますね」

 

次の関連は9A-91とティスも参加するので一緒に行こうと言っていたんだけど仕方ないな。

 

「分かった。終わったら直ぐに行く」

 

2人と分かれて俺はグリズリーさんの後をついて行く。無言のまま廊下を歩いているとグリズリーの方から話しかけて来た。

 

「調子はどう?」

 

「まぁまぁ・・・ですかね。狙撃は思っていたより難しかったです」

 

「みたいだね。FALが愚痴ってたわよ」

 

「え、何か怒らせるような事をしてしまいました?」

 

「あーいや、貴方じゃなくて弾の愚痴を言ってたの。亜音速弾で狙撃出来る訳ないでしょ!って。貴方自身のことは真面目な娘だって言ってた」

 

俺が愚痴られている訳ではなかったか。安心した。それに向こうには好印象を与えることが出来たようで良かった。

 

「訓練以外の私生活はどう?まだ2日と半日しか経っていないけど何か困ってることとかある?」

 

「いえ、特に何も。とても良い場所だと思ってますよ」

 

「それは良かった」

 

それから少し歩いているとカメラなどの機材が置かれた真っ白な部屋に案内された。

 

「じゃあそこに立って。ただ写真を何枚か撮るだけだからリラックスして自然体で。あ、でも変なポーズとかはしないでね?」

 

グリズリーさんが指差した壁には目盛りが書かれてあった。それが何の目盛りなのかは直ぐに分かった。これは身長を測る為の目盛りだ。そしてその壁の前に立って初めて知ったが俺の今の身長は167センチだった。何か身長が低くなっている様な気がしていたがやっぱり低くなっていたか。男の頃の俺の身長が176だったからな。

 

カメラマンがカメラを持って僕に近づいて来た。何か学校で証明写真を撮った時を思い出すな。あの時も今みたいに少し緊張してたっけな。

 

「はい。撮りまーす」

 

パシャッ!と眩い光と共にシャッター音が鳴った。眩しい光に思わず目をつぶってしまったが大丈夫だっただろうか?

 

「もう一枚撮りまーす」

 

再びフラッシュ。撮った写真を確認したカメラマンは人差し指と親指で輪を作って「OKです。次は全身を取りますね」と言ってカメラを構えて少し後ろに引いた。ピシッと気をつけの姿勢を維持して撮られるのを待つ。

 

これも先程と同じ様に2回写真を撮った。これで終わりかと思っていると更に横と後ろも撮られた。全身を撮り終えるとグリズリーさんが俺の銃を持ってやって来た。

 

「じゃぁ最後に銃を持った姿を撮るから」

 

「え、これって何かポーズをとった方が良いんですか?」

 

「別に。ただ持っているだけで良いから」

 

「分かりました」

 

最後に俺が銃を持った姿を撮って写真撮影は終わった。

 

「横や背中まで撮る必要ってあったんですか?」

 

「あの写真は貴方のプロフィールを作る時に必要なの。ぶっちゃけて言うと横や背中まで撮る必要は無いんだけどまぁ昔からの伝統ってヤツだね」

 

何か犯罪者が刑務所に入れられる時に撮られる写真みたいだな。アレも後ろの壁に身長を測る目盛りがあるし。

 

「これからCQB訓練でしょ?私も参加する予定だから一緒に行こっか」

 

そしてグリズリーさんと俺は野外演習場にやって来た。でも午前中に使っていた射撃場では無くそこから少し離れた所にある「キルハウス」と呼ばれるプレハブ小屋に俺は案内された。プレハブ小屋と言ってもなかなか広く平家の家程の大きさはあるかもしれない。キルハウスの隣にある長方形の小屋に入ると9A-91やティス、午前中の射撃練習でお世話になったFALさん(相変わらず肩に動物が乗っている)昨日室内射撃場で知り合ったブレン、そして知らない少女達が3人居た。

 

「貴方が噂の新人?」

 

そう聞いて来たのは淡い緑色の髪をツインテールにした少女。小柄ながらも俺に負けず劣らずの大きさの胸を持っている。しかもこの娘もこの娘で露出度の高い服装なので谷間どころか上半分が全部見えてしまっている。もう見せつけているとしか思えないな。

 

「VSK-94です。よろしくお願いします」

 

「私はMicro Uziよ。よろしく」

 

このロリ巨乳の娘の名前はMicro Uziって言うのか。いや、その胸のどこがマイクロなんだよ。

 

「KS-23だ。まぁよろしく」

 

次にオレンジ色のボサボサとした髪とサメの様なギザギザとした歯が特徴的な少女が挨拶して来た。見た目は手に持っているゴツいショットガンと合わさり凄く怖そうな感じだ。彼女は怒らせたらいけないタイプの女だ。

 

「RFBだよ!よろしく!」

 

あ、今思い出した。この娘昨日娯楽室でゲームをしていた娘だ。想像通りの元気いっぱいな娘だな。

 

「自己紹介はまた後でね。それじゃぁ、今から室内戦の訓練を始めるわよ」

 

皆の前に立ったグリズリーさんがそう言うと後ろに用意されていたホワイトボードを指差した。ホワイトボードには恐らく隣にあるシュートハウスの簡単な見取り図が貼られてある。

 

「もう何度かやったことある人もいるけどもう一度簡単に説明するわね。ここの正面玄関から突入して部屋を1つづつクリアリングして行ってこの家をなるべく早く制圧するのが今回の訓練内容よ。建物の中には敵と民間人が居るから間違って民間人を殺さない様に。咄嗟の判断が必要になるわよ」

 

「一昔前は正確な射撃に重きが置かれていたけど今は違う。正確さとスピードが求められるわ。敏速かつ正確に撃って行って。そして決して止まらないで動き続けて。動きながら狙って、撃って、制圧して。分かった?」

 

俺も含めて全員頷いて見せた。頭で理解しているんだけどそれを実際に実行するのはかなり難しそうだ。動きながら敵か民間人かを判断して瞬時に撃たなきゃいけない。

 

「それじゃぁ早速始めましょう。突入する順番は好きにして良いわよ。誰が先に行く?」

 

俺は先に行く勇気は無いので他の誰かが行ってくれるのを待つ。ブレン、9A-91、ティスの3人が同時に手を上げた。

 

「先良いよ」

 

「私も後で良いです」

 

「じゃぁお先に〜」

 

と言ってOts-12を持ったティスは小屋から出て行った。

 

「それじゃ、私が見ておくから」

 

FALさんはグリズリーさんにそう言って隣の部屋に入って行った。

 

「向こうの部屋には何があるんですか?」

 

「あそこの部屋でプレハブ小屋に設置してある監視カメラの映像を見るの」

 

部屋の戦闘の様子は監視カメラでバッチリ見られるのか。失敗するところを見られないように気をつけて無いとだな。

 

「あ、そうだそうだ。ごめん。これ渡し忘れていた」

 

グリズリーさんはそう言って黒色のマガジンベルトを俺に渡して来た。あーそう言えば予備のマガジンを入れるのを持ってなかったな。これは有難い。早速マガジンベルトを付けると4つあるマガジンポーチに8個予備マガジンを入れた。1つのマガジンポーチに2個マガジンを入れれるのは良いな。いや〜こう言うの付けると何だかテンション上がるな。初めてエアガンを手に入れた時の感じに似ている。

 

「94はAR(アサルトライフル)なの?」

 

「いや、おr・・私はRF(スナイパー)

 

Uziが聞いて来たので答えたが俺もこの銃を見た時はアサルトライフルかと思った。

 

「え⁉︎それスナイパーライフルなの?」

 

うん。その反応になる気持ちは凄く分かる。

 

「俺の銃の方がデケェじゃねーか」

 

確かにKS-23の持っているショットガンの方が大きいし銃身の長さも長い。

 

「VSK-94はちょっと特殊な狙撃銃だからね。亜音速弾を使う消音狙撃銃なの」

 

「へぇ〜。って言うかSRの94が何で私達と一緒にCQB訓練受けてるの?」

 

言われてみれば確かに。狙撃専門の俺はCQB訓練は余り必要では無いんじゃね?

 

「スナイパーもCQB訓練はするわよ。狙撃だけがスナイパーの仕事では無いからね。敵に接近された時とかも有るし。それに彼女の場合は銃が色々と特殊だしね」

 

「色々って?」

 

「彼女の銃、狙撃銃なのにフルオートでも撃てるの」

 

「えー⁉︎何それ⁉︎」

 

俺もそれは不思議に思っている。セミオートの狙撃銃はまだ分かるがフルオートの狙撃銃って何だよ。

 

「もともとVSK-94は400m以内から敵の防弾チョッキを貫通する完全消音狙撃銃って言うコンセプトで作られた銃だから中、短距離の狙撃と近距離での銃撃戦が得意な銃になってるの」

 

何か使っている本人よりも色々と知ってるな。もしかしてグリズリーさんは皆んなの銃のことを把握しているんだろうか?

 

「よく知ってますね」

 

「新人のことは色々知っておきたいからね」

 

皆んなと話しているとドアが開いてティスが帰って来た。意外に早かったな。

 

「ただいまー」

 

「どうでした?」

 

「バッチリ」

 

9A-91の問いにティスは人差し指と親指で丸を作って答えた。

 

「先に行かせて貰って良い?」

 

「良いですよ」

 

次にブレンがシュートハウスに向かった。それから次々と皆突入訓練をして行きKS-23が撃ったスラグ弾が余りにも高い貫通力で壁を貫通してシュートハウスに穴を開けてしまうと言うハプニングがあったが何とか無事に終わり、遂に残るは俺だけとなった。

 

「・・・・よし」

 

覚悟を決めた俺は小屋から出るとキルハウスの正面玄関の前に立つと手に持っている銃、VSK-94のセーフティレバーをセーフからセミオートに変更した。

 

《それじゃぁ始めて》

 

FALさんからのGOサインを聞いた俺は目の前のドアを蹴って開けると建物の中に入った。木製の壁で囲われた廊下を進んでいると突然壁の隙間からありきたりなテロリストの絵が描かれたマンターゲットが飛び出して来た。瞬時にVSK-94を構えて2発撃ち込む。胴体部分に当てることが出来た。やっぱり戦術人形なったお陰なのだろう。自分でもビックリするくらい早い反応速度で正確に狙って撃つことが出来る。

 

廊下を数メートル進むと左に部屋があったので部屋に入ると素早く周囲を見渡す。前と左の隅にAK-47を構えたテロリストが描かれたマンターゲットを見つけたので瞬時に発砲。どっちも胴体に弾を2発づつ食らわせた。

 

部屋から出て廊下に戻るとまた壁の隙間からマンターゲットが現れた。俺はスコープを除いて撃とうとしたが描かれているのが銃を持っていない民間人だと気づき寸前のところで止めることが出来た。しかしその瞬間壁から別のマンターゲットが現れた。そのマンターゲットには拳銃を持ったテロリストの絵が描かれている。民間人の後にいきなり現れたので少し混乱して撃つのが遅れてしまったが正確に胴体に2発食らわせた。

 

右にあるドアを蹴破って突入。右側の壁に敵を見つけたのをすかさず発砲。続いて左にもいたので撃った。

 

「あ、やっべ」

 

よく見ずに撃ったのは不味かった。マンターゲットには民間人を人質にしたテロリストの絵が描いてあり、俺の撃った弾は民間人に当たっている。気を取り直して左側の壁にドアがあったので同じように蹴破って突入しクリアリング。敵3人を見つけて倒した。

 

クローゼットがあったのでそれに近づき右手でVSK-94を構えながら左手でクローゼットのドアを勢い良く開けた。クローゼットの中には民間人の絵が描かれたマンターゲットが隠してあった。

 

部屋から出て廊下に戻ると廊下を進み左にある最後の部屋のドアを蹴破って突入。正面に居たテロリストの胸に2発食らわせて右側にも居たテロリストに狙いを定めてトリガーを引く。

 

「あれ?」

 

しかし弾は発射されなかった。何度かトリガーを引いてみるがやっぱり撃てない。

 

「弾切れか!」

 

俺は一度廊下に戻り壁に隠れて空になったマガジンを捨てて新しいマガジンをマガジンポーチから引き抜ーーこうとしたが抜けなかった。

 

「乳邪魔ァ!」

 

マガジンをポーチから出すには上に引っ張り出さないといけないんだがそのポーチの上には大きな大きな脂肪の塊がありそれが邪魔でマガジンが抜けない!

 

「ふんッ!」

 

左手で胸を押さえつつ上に持ち上げて隙間を作り、マガジンを思いっきり引き抜いた。胸にマガジンが擦れて思ったより痛かったが今は気にしている暇は無い。さっさとVSK-94に新しいマガジンを入れてコッキングレバーを引き再び部屋に入ると右側のテロリストに怨みも込めて4発食らわせてから左の壁から現れた人質を取ったテロリストのマンターゲットに狙いを定めて発砲。

 

今度はテロリストの頭だけを綺麗に撃ち抜くことが出来た。ビーッ!と言うサイレンがなり天井から《お疲れ様。戻って来て》と言うFALさんからの声が聞こえたのでセーフティレバーをSAFEにしてからシュートハウスを出た。

 

小屋に戻ると何故かKS-23とグリズリーさんとブレンが爆笑していた。何で笑っているのか近くに居たFALさんに聞いてみたら俺の「乳邪魔ァ!」がツボにハマったそうだ。よく見ると9A-91とティスも笑っていて何とか笑いを堪えている様だった。

 

確かに今思うとなかなか恥ずかしい発言をしてしまったな。でも俺だってあの時は必死だったんだ。勢い良くマガジン引き抜いたせいで胸がまだ地味に痛いし・・・。

 

皆の笑いが収まった後、皆の動きを見ていたFALさんからそれぞれの評価を始めた。

 

「Ots-12、9A-91、CZ-805は良い感じね。特にミスやタイムロスも無くスピーディーに制圧させることが出来てる。でもまだ足りないわ。確かに今の貴方達の叩き出したタイムは対テロ特殊部隊の隊員にも引けを取らないくらいの早さだったけどまだ足りない。貴方達はまだやれるわ。何故なら貴方達は戦術人形だから。人間より高い戦闘能力を有する貴方達が人間の特殊部隊隊員と同じくらいのタイムしか出せない筈は無い。もっと早く動くことが出来る筈よ」

 

「分かりました」

 

「了解です」

 

「分かった」

 

「Uzi、貴方はランボーじゃないんだから乱射しないでちゃんと狙って撃って。確かに動きは俊敏だったけどそれ以外はダメね。銃を乱射するくらいなら素人でも出来るわ」

 

「・・・善処します」

 

「KS-23は動き自体は悪くなかったけど撃とうとして弾切れだったって言うのが多かったから弾の管理を大切にして。貴方の使う銃は装弾数が少ないから残弾数を意識しながら行動して」

 

「あいよ」

 

「RFB、貴方の射撃の正確さは素晴らしいわね。でも狙う時間が長すぎね。実戦だったら貴方撃つ前に撃たれてるわ。先ずは1秒以内で撃つようにして。貴方ならもっと早く撃っても正確に撃てる筈よ」

 

「了解。ノーコンティニューで、クリアしてやる!」

 

「VSK-94は反応速度と動きは基本的には悪くなかったけど、まだ無駄な動きが多いわね。それに民間人を撃ってしまっていたわよね?反応速度だけ早くても意味は無いわ。ちゃんと標的を見てそれが敵なのか味方なのかもしくは民間人なのか。それを瞬時に判別して。それと、壁に隠れている時とかに銃が外に出てしまっているから気をつけて。体を隠していても銃が見えていたら意味は無いわ。そしてKS-23にも言ったけど残弾を数に気をつけて。相手が多い場合時とかは残り数発だったとしても使い切らずにマグチェンジして。それと・・・そのマガジンポーチについては対策案を考えといて」

 

「分かりました」

 

やっぱりまだまだだなぁ。録画映像の9A-91とかの動きを見ていると素早く動き正確に敵を撃ち抜いている。俺も訓練すればあんな感じに動けるようになるんだろうか?全く想像出来ないな。

 

 

「それじゃ9A-91、Ots-12、CZ-805の3人は私が直接教えるわ。残りの4人はグリズリーから教えて貰って」

 

「よーし、それじゃぁ皆んな。ビシバシ行くわよ!」

 

それからグリズリーさんの厳しい訓練が始まった。普段の優しい口調は何処へやら。想像以上にグリズリーさんは厳しかった。動きが遅いとか銃を構えるのが遅いとか後ろの注意が疎かになっているとか首を動かすだけじゃなくて目も動かして索敵しろとか色々注意されまくった。そしてやっぱりリロードをする時に胸が邪魔になり頭を悩ませていると巨乳仲間のUziから名案を頂いた。それはマガジンポーチを逆さに付けると言う案だ。マガジンポーチを逆さに付けることによってマガジンを出す時は上では無く下から引き出すことになるので胸に当たることもなく抜けるんじゃないのかと言う考えだったのだが実際にやってみるとスムーズにマガジンを抜いてリロードをすることが出来た。

 

そんなこんなで午後1時から始まった訓練は5時30分過ぎまで続いた。

 

流石に疲れを感じ始めていた頃、やっとグリズリーさんから「今日の訓練はお終い。皆んなお疲れ様」と言われて訓練が終了した。こんなにも体を動かしまくったのは人生で初めてかもしれない。野原の上に座ってぼーっと景色を見ながら休憩しているとKS-23がやって来た。

 

「お疲れー」

 

「それを言うのはまだ早いかも知れないぜ。FALとグリズリーが何か話してる」

 

KS-23が顎で指した方を見てみると確かに小屋の前でFALさんとグリズリーさんが何か話していた。

 

「今日の訓練の結果とか今後の予定とかを話しているだけじゃ?」

 

「RFBが言うには今から模擬戦をやるとか言ってるそうだ」

 

「マジで?」

 

「ちょっと皆んな集まってー!」

 

噂をすると何とやら、グリズリーさんが俺達を招集した。全員が集まるとグリズリーは「動かない的ばっかりに撃っても面白く無いし今日の締めに模擬戦をやります!」と言って来た。KS-23と目を見合わせて同時にため息を吐いた。やっと終わったと思ったのに・・・。

 

「チームは9A-91、Ots-12、CZ-805のアルファチームとUzi、RFB、VSK-94、KS-23のブラボーチームでアルファチームが攻撃、ブラボーチームが防衛に分かれて戦って貰う。制限時間は無し。どちらかのチームが全滅するまでの模擬戦よ。弾は演習用模擬弾。当たっても死にはしないけど死ぬほど痛いから食らわないように気をつけて。それじゃぁ5分後に始めるからそれまで作戦会議をしといて」

 

と言うことで俺達ブラボーチームは圧倒的な実力差のあるアルファチームからの攻撃やどう凌ぎ勝つかの作戦会議を始めた。

 

「どうする?」

 

「向こうの方が強いから普通に戦ったら負けるよな」

 

「シュートハウスに入られる前に私とKS-23が撃ちまくってアルファチームを釘付けにしていふ間に94とRFBが狙撃するって言うのはどう?」

 

「良いねー動いていない標的を撃つのはEASYゲームだよ!」

 

「頑張ります」

 

午前の狙撃訓練は散々な結果だったが200 メートル以内の標的には確実に当てれる自信がある。それに今回の模擬戦では交戦距離は最大でも10メートル程だ。多分大丈夫だろう。

 

「でももし入られた時はどうするの?」

 

RFBの質問に全員が考え込んだ。あの室内戦を俺達だけで9A-91達に勝てる自信が全くないしどうすれば勝てるかも思い浮かばない。

 

「Uziが廊下で迎え撃って、Uziに気が向いている先に部屋に隠れていた皆んなが一斉射出て攻撃するとか?」

 

「あの狭い廊下に皆んなが一斉に出たらお互いが邪魔になって撃ち難くなるんじゃない?」

 

あー言われてみれば確かに。じゃぁこの案は無しかな。

 

「あ!それじゃぁUziと私が廊下で撃ちまくっている間に94とKS-23がシュートハウスの窓から外に出てアルファチームの裏に回り込んで倒すって言うのはどう?」

 

「それ良いな」

 

「自分も良いと思う」

 

KS-23と俺はRFBが提案した作戦に賛成する。俺の考えた作戦より上手く行きそうな気がする。

 

「それじゃぁRFBの案で行くってことで良いわね?」

 

「おう」

 

「それでOK」

 

「もしこの作戦も失敗しちゃったら最後の抵抗として敵を引きつけてから自爆する」

 

そう言ってRFBは突入訓練の時に使っていた低威力のスタングレネードを俺達に見せながら言った。

 

「なんかもう本当に立て篭もったテロリストみたいな考えね。まぁ嫌いじゃ無いけど」

 

「それじゃ、皆でこのゲーム勝つぞー!」

 

「「「おー!」」」

 

模擬戦が始まる前に俺達はシュートハウスの廊下に下半身が隠れるくらいの大きさの板を設置した。アルファチームが入り込んで来た時はここに隠れながらUziとRFBが撃ちまくる。そして全ての窓に中の様子が見えないようにスモークガラスを付けた。これならこっちからは敵の様子を見れるが敵の方からは見えない。ダメ元でグリズリーさんにスモークガラスは無いかと聞いてみたら用意して貰ったのでビックリだ。でもとてもありがたい。

 

「模擬戦開始まで30秒!」

 

グリズリーさんの声が聞こえて来た。

 

「それじゃ、予定通りに」

 

俺達は頷き合うと静かに移動して所定の位置に付いた。因みに俺は何処にいるからと言うと屋根裏だ。屋根に小さな穴を開けてのでそこから狙撃する予定だ。模擬弾の入ったマガジンをVSK-94に入れてセーフティーレバーをSEMIに切り替え深呼吸をする。初めての実戦的な模擬戦に心を踊るが無理矢理落ち着かせる。落ち着いて撃たないと当てれるものも当たらないとFALさんも言っていたしな。

 

ビーッ!と言う開始を知らせるアラームが鳴った。俺はスコープを覗きアルファチームが来るのを待つ。

 

《北側から来やがった!》

 

俺の頭の中にKS-23の声が響く。この人形用無線を使った通信にはまだ慣れないな。頭の中に他人の声が聞こえるって言うのは変な感じだ。とても違和感がある。

 

「了解」

 

返事をしながら俺は匍匐前進をして移動する。俺は窓の少ない東側から来るかと思って待っていたんだが裏口のある北側から来た様だ。しかしこんなこともあろうかと穴は東西南北方向全部に用意してある。急いで北側の射撃位置に移動しようとするがここでも無駄にデカい胸が邪魔をする。匍匐前進をしようとしても胸が邪魔をして素早く動けない。無理に早く動こうとすると床に胸が擦れて痛い。

 

「クソ、やっぱり邪魔だな」

 

悪態を吐きながらも何とか射撃位置に付いた。それと同時にしたからバラララララッ!と言うとんでもなく早い連射音が聞こえて来た。Uziが撃ち始めたんだ。更にUziの発砲音とは別にズガンッ‼︎と言う強烈な発砲音も混じる。この音はKS-23のショットガンだろう。

 

《良し!敵の動きが止まった!2人とも頼んだわよ!》

 

「了解」

 

《了解!94、ブレンは私が狙うから9A-91かティスをよろしく!》

 

「分かった」

 

スコープを覗き積み上げられた土嚢の裏に隠れて反撃しつつ様子を伺っている9A-91に狙いを定める。距離は10メートル以下。こんなに近かったら偏差も弾道落下も弾速も考えなくて良い。スコープに9A-91の顔が大きく映る。でも死ぬほど痛いらしい模擬弾を少女の顔面に当てるのは気が引けたので照準を少し下に向けて胸辺りを狙う。そしてゆっくりと引き金を引いた。アルファチームとブラボーチームの激しい銃撃音に紛れて抑制された発砲音が紛れ込み他の銃声に掻き消される。音も無く飛来した模擬弾は9A-91の肩を掠めた。チッ!焦ったか!

 

急いで次を撃とうとするが9A-91は俺の位置を特定した様でフルオートで撃って来た。

 

「お返しだ!」

 

俺はセーフティーレバーをフルオートに変更して反撃。狙撃銃

 

 

胸元に命中し9A-91は「ぎゃっ!」と言う短い悲鳴を上げて後ろに倒れた。何かヤバそうな声出したけど大丈夫だっただろうか?

 

続けてRFBがブレンに向かって撃ったが9A-91が撃たれたことで警戒されていた様で物陰に隠れられてしまい弾は当たらなかった。逆に場所がバレたRFBはブレンに集中砲火を浴びる。RFBの代わりに俺がブレンを狙おうとしたがブレンとティスは同時にシュートハウスの近くにスモークグレネードを投げて来た。直ぐに真っ白な煙が噴出し視界が遮られてしまった。

 

《第2プラン発動!》

 

Uziからの通信を聞いた俺は匍匐前進で急いで移動すると屋根裏から部屋に戻った。

 

「VSK-94準備良し」

 

《KS-23、同じく準備良し。いつでも行けるぜ》

 

《こっちも位置に付いた。残り2人もやっつけるよ!》

 

裏口のドアを蹴破る音がした直後激しい銃撃音が聞こえて来た。更に2度の爆発音も聞こえて来た。多分ブレンとティスが投げたスタングレネードだろう。俺は窓ガラスをストックで叩き割ると急いで外に出て裏口の方に向かった。が、家の角から突然ティスが現れた!クソッ!動きが読まれていたのか⁉︎急いでVSK-94を構えるがティスはVSK-94の銃口を掴むと自分の方に引いた。強い力で引っ張られた俺は姿勢を崩し前のめりになる。その瞬間ティスは足を俺の足に引っ掛けた。完全にバランスを崩した俺をティスは軽々と投げ飛ばして俺は受け身も何も出来ないまま背中から地面に叩きつけられた。

 

「ぐはッ⁉︎」

 

背中からの強い衝撃に俺は息を詰まらせた。そして気がつくと倒れた俺にティスはOts-12の銃口を俺に向けていた。

 

「ちょ、まっ!」

 

待った!と言おうとしたがそれよりも前に俺は撃たれた。弾は俺の腹に命中し、とてつもない激痛が襲って来た。

 

「ゴホッ!ガハッ!ゲホッゲホッ!」

 

とてつもない痛みにませている俺を置いてティスは俺が出て来た窓から室内に侵入した。それから約10秒後、突然爆発音がしたかと思ったらあれだけ煩かった銃撃音がピタリと止んだ。それと同時に訓練の終了を知らせるブザーも鳴った。

 

「立てるか?」

 

地面に寝そべっているとKS-23がやって来て手を差し伸べて来た。ある程度腹部の痛みも引いた俺はKS-23の手を掴んで引っ張って貰いながら立ち上がった。

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫。そっちはどうなった?」

 

「ブレンにしてやられた。あの反応速度はおかしい。凄げぇ早さで振り返って撃って来やがった」

 

「やっぱり強いなぁ」

 

KS-23と共にシュートハウスの中に入ってみるとUziが胸を押さえて廊下に蹲っていた。更に1番奥の部屋の入り口にRFBとティスが倒れていた。RFBの傍らには使用済みのスタングレネードが落ちていた。どうやら本当に自爆したらしい。

 

「お疲れ〜」

 

この戦いの唯一の生き残りであるブレンが俺達に手を振りながらやって来た。

 

「お疲れ様です。やっぱり強いですね」

 

「いや〜まだまだだよ。私以外皆やられちゃったし」

 

「いやめっちゃ強かったじゃん」

 

「後ろから来られた時は内心焦ったんだよ?」

 

「めっちゃ冷徹な目で見ていた気がするだけど・・・」

 

「はいはーい!皆おつかれ〜。うわ、死屍累々」

 

玄関から入って来たグリズリーさんが中の惨状を見てそう言った。

 

「今日はこれでお終いだからこのまま帰って良いよ。明日も訓練があるから疲れを引きずらない様にね」

 

「了解です」

 

グリズリーさん達と一緒に撃たれたりスタングレネードの爆発を食らったりして伸びていた皆を起こしてから俺達は宿舎に帰った。疲れた俺はさっさと夜食を食べて風呂に入るとベッドに飛び込み直ぐに眠りに付いた。

 

因みに、風呂に入った際に色々とあったがそれはまた別の話。




うーんやっぱり戦闘シーンを書くのは難しいですねぇ。戦闘シーンを書くのにグダってしまい文字数も1万字になってしまいました。もっと上手く書けるように頑張らないとだなと思っています。

VSK-94のマガジンが抜けない話は初めてイラストを見た時からずっと書いてみたいなと思っていたシーンですので書けて満足です。
KS-23は大口径ショットガンと言うロマンたっぷりの銃なので私は好きです。キャラも男口調なのが個人的に好きなんですよね。

・それと、リアルの事情で次の投稿までに時間がかかると思います。本当にすいません。

次回は番外編の「初めてのお風呂」です!お楽しみに!

ご感想お待ちしております!


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番外編 女になって初めての風呂は色々と気になることが多い

皆さんお久しぶりです!今回は番外編です!女体化、TS系ではこのシーンはやっぱり外せないでしょ!と言うことでノリと勢いと深夜テンションで書き上げました。


厳しい訓練を終えて夜食を食べ終えた俺はタオルや着替えを持って廊下を歩いていた。向かう先は風呂場だ。激しい訓練で汚れた体のまま寝るのは嫌なので入ることにしたがその足取りはとても重い。理由はいくつかある。まだ自分の女の体に慣れていないから自分の裸を見てしまうだけでドギマギしてしまうからと言うのもあるが、それ以上に俺の理性を削りに来ているのが俺と一緒に風呂場に向かっている9A-91やティスなどの一緒に訓練を終えた面々だ。

 

誰が言い出したのか知らないがどうせなら皆んなで一緒に風呂に行こう!と言う話になってしまい今に至っている。風呂と言っても浴槽がある訳ではなくシャワー室があるだけで、シャワー室はお互いの姿が見えない様に壁で仕切ってある。なので彼女達の裸体は極力見ずに済む。美少女揃いの彼女達の裸を見てみたいと思う欲望も有るが恐らく実際に見てみると余りの衝撃に耐え切れない自信がある。特にブレンとFALさんとグリズリーさんはスタイルが良いのでその裸姿の破壊力は相当高いだろう。

 

色々考えていたら風呂場に来てしまった。シャワー室は分けてあるが脱衣所は仕切りも何も無い。さぁここからが正念場だ。深呼吸をしたりして心を落ち着かせようとしている間に他の人達はどんどん服を脱いで行く。何か覗きをしているみたいでドキドキするな・・・やっちゃ行けないことをしてしまっている感じが凄い。

 

うだうだしているとUziから「早く着替えれば?」と言われてしまったので俺は皆んなに背を向けてさっさと服を脱いだ。さて、ここからが第2関門だ。なるべく自分の体を見ない様にするのは良いが後ろを振り向けば嫌でも彼女達の裸を見ることになる。しかしこのままずっと壁を見ている訳にもいかない。俺は意を決して皆の方を向いた。

 

「っ!」

 

想像通りと言うか何と言うか、目の前にはエデンが広がっていた。男なら誰もがこの様な光景を一度は想像したもんだろう。予想通りブレン、FALさん、グリズリーさんはグラビアアイドルとしても生きていけるんじゃないかと思う程のナイスバディーだ。

 

「どうしたの?驚いたような顔して」

 

「あ、い、いやぁ〜皆んな綺麗な体してるなぁと思って」

 

「感想が男っぽいし、アンタだって馬鹿みたいにでっかい乳持ってるじゃない」

 

そうUziが言ってくるがアンタの乳も充分デケェだろうが。身長と乳の大きさが比例してねぇんだよ。栄養全部胸の方に吸われてんじゃねぇのか?

 

「そ、そう言う貴方もね」

 

「まぁね」

 

言い返してみたが当の本人は恥ずかしがったりする訳でもなく逆に誇らしげな表情だ。

 

「ほぼ同じ銃なのにこの差は一体・・・・」

 

俺の胸を見ながら自分の胸を触って絶望したような顔になる9A-91。あれ、今まで普通に接して来てくれたからそんなことないと思ったけどもしかして自分が貧n・・スレンダーってことを気にしているタイプだった?って言うかそんなマジマジと見ないでくれ。何か恥ずかしい。

 

「わっ⁉︎」

 

突然背後から胸を揉まれた。振り返ってみるとRFBだった。もにゅもにゅと何か嫌らしい手つきで胸を揉んでくる。俺は男ではあるが胸を揉まれるのは良い気はしないし、それに凄い恥ずかしい。揉んでいた手を掴んで強引に引き剥がした。

 

「いや〜Uziのもなかなか良かったけど94の方が揉み心地は良かったね。なんて言うか・・・こう、ふにふにしてて」

 

まるで揉み心地を思い出すかのようにワキワキと手を動かしながら感想を言うRFB。何か・・・スカートやタイツを履いた時に続いて男としてのプライドをまた一つ失った気がする。

 

「乳比べしてないでさっさと行くわよ」

 

今までのやり取りを見ていたFALさんが呆れた様子でそう言うと先に脱衣所から出てシャワー室に向かって行った。それに続いて皆もシャワー室に向かって行く。俺もなるべく皆んなの姿を見ない様に下を見つつシャワー室に入った。シャワー室は特に変わった所は無く普通のシャワー室だった。シャンプーやリンス、ボディーソープなどが横に置いてあり目の前には鏡があった。そして俺はその鏡で自分の裸姿を初めて見た。

 

服を着た状態でも充分その大きさは分かっていたが裸の状態で改めてみるとやっぱり大きいな・・・この胸。それに大きな胸ばかりに視線が向きがちだがこの太もももムチムチとしておりとても魅惑的だ。全体的に肉付きの良いグラマラスな身体。その体の持ち主が自分なのだと今だに信じられないし信じたく無い。男の俺がこんな男の要望を詰め込んだかの様な身体だと言うことにまたまた男としてのプライドと言うか大切な何かを失った気がする・・・もう俺の男としてのプライドとか残って無いんじゃないだろうか?

 

「はぁ・・・さっさと洗おう」

 

ここで悩んだり悔やんだりしてもこの状況、と言うか状態が変わる訳では無いのでさっさと身体を洗うことにした。髪や身体を先にシャワーで簡単に洗い流した後、他の人達はどうか知らないが俺は髪から先に洗うタイプなのでシャンプーで綺麗な金色のショートカットの髪を洗い始める。

 

「そう言えば、貴方まだサブウェポンは持って無かったよね?」

 

隣のシャワー室からグリズリーさんの声が聞こえて来た。これは俺に対して聞いているんだろうか?俺は髪を洗いながら聞き返した。

 

「自分ですか?」

 

「貴方のことよ。まだ拳銃は持ってなかったでしょ?」

 

そう言えばそうだ。サブウェポンとなる拳銃などは俺は持っていない。

 

「そうですね」

 

「今貴方用の拳銃を用意しようと思っているんだけどどんなのが良いとか要望はある?」

 

「要望ですか・・・」

 

うーんどうな拳銃が良いかって言われてもパッとは思いつかないな。ゲームとかだったら迷わずマグナム弾を使用するリボルバーを選ぶが実際に使う拳銃となるともっと使い易い銃にしたいし。

 

「装弾数が多くて使い易いオートマチックだったら何でも良いですよ」

 

「装弾数が多くて使い易いオートマチックね。了解。こっちでその要望に合う拳銃を選ぶけどそれで良い?」

 

「はい。大丈夫です」

 

「分かった。ちょっと時間はかかると思うけどちゃんと用意するわ」

 

「よろしくお願いします」

 

グリズリーさんにそう言ってからシャンプーで洗い終わった髪をシャワーで洗い流した。今更だけど男の時と同じ様な感じで洗ったがこれで良かったんだろうか?まぁ良いや。次は身体だ。ボディタオルにボディソープを垂らして上半身から洗って行く。だがここでも問題発生。身体を洗うと言うことは当たり前だがこの眼下にある大きな胸も洗わなければいけない。いくら自分の胸とは言え女性の胸を触ると言うのは勇気がいるし変に興奮してしまう。自分の胸と鏡に映る自分の姿を見ない様にしながら胸を洗って行く。大きく柔らかい胸の感触と触られている感触を感じながらも、慌てず・急いで・迅速に洗い残りの腹や腕の部分も洗った。下半身の方もアレが有るので変に意識しそうになったので洗う時は同じ様に見ず意識せずを強く意識して洗った。

 

精神的にとても疲労したがなんとか全身を洗い終えることが出来た。良くやった俺!今日はぐっすり眠よう!体に付いていた泡をシャワーで流した俺は持って来ていたタオルで身体を拭いてからシャワー室を出た。身体を洗うのに苦戦していた内に9A-91やティスは先に上がっていた様で俺が脱衣所に入ると下着姿だった。その姿を見た俺は反射的に「すまん」と謝ってて顔を晒した。

 

「どうして謝るんですか?」

 

「い、いや、下着姿は見られたくなかったかなと思って」

 

「別に見られても大丈夫ですよ。同じ女性同士なんですし」

 

不思議そうに首を傾げる9A-91とティス。

 

「そ、そうだね。ははは・・・」

 

彼女達は俺が本当は男だと知ったらどの様な反応をするのだろうか?ティスは余りリアクションをしないかも知れないが9A-91は顔を真っ赤にして引っ叩いて来そうだな。罪悪感を抱きながらも俺はそそくさと着替えを始めた。因みに着替えの服は支給されたグリフィンのマークが刺繍された赤色のジャージだ。相変わらず上着は大きな胸によって押し上げられてぱっつんぱっつんになっているがこれはもう仕方ない。にしてもこの服装は落ち着くな。女っぽい服装って訳でも無いし俺が男だった頃も着たことがあるからだろうな。着替え終わった俺は同じく着替え終わった9A-91とティスと一緒に部屋に戻った。厳しい訓練による肉体的な疲労とシャワーでの精神的な疲労で俺はベッドに入ると秒で眠りについた。

 

 

 




そろそろVSK-94を何か任務に出したいなと思っているので次回か次次回でVSK-94の初めての任務を書くと思います。

次回も楽しみに!

ご感想まっています。


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第4話 初任務は突然に

お待たせしました。第4話です。最近リアルが忙しくて全然小説の書く暇がありませんでした。本当は1万字程の作品にする予定だったんですが時間がかかりそうだったので途中で区切って投稿することにしました。


俺がグリフィンに入ってから1週間が経った。1週間が経てばこの体にもなれるだろうと思っていたがそんなことは無かった。鏡を見れば知らない女の顔が映り、口を開けば発せられる声は聞き慣れない女の声。これには1週間経っても辟易することはあっても違和感はまだ拭えなかった。特に慣れないのは歩くたびに揺れる大きな胸。この胸には色々と悩まされている。さっき言った通り運動をしていると胸が揺れてしまって集中出来ないし激しい運動になるとブルンブルンと揺れて痛い。ブラを付けろよとも言われそうだがそれは男としてもプライドが許さない。俺は夜寝る時はうつ伏せで寝るタイプの人間だったんだが今のこの体でうつ伏せで寝ようとすると胸が圧迫されて寝苦しくて眠れないので仕方なく仰向けで寝る様にしている。他にも自分の足元が見えないなどの地味に困ることも色々ある。とまぁこの体の不満を言い出したらキリが無いが別に悪いことばかりじゃない。

 

戦術人形になって良かったと思えることの1つに物覚えの良さがある。戦闘技術や専門用語なども直ぐに覚えることが出来るのはとても良い。ここに配属することになって1週間、毎日毎日厳しい訓練を受けて来たが最初と比べると色々な戦闘技術をマスターしてある程度は戦える様になったんじゃないかなと思う。訓練だけで無く銃や兵器関連の情報も色々と調べた。勿論、俺が使うVSK-94のことについても色々と調べた。調べた結果なかなか興味深い銃だってことが分かった。

 

そして訓練やそれ以外の時間でこの基地に所属している戦術人形達とも交流して何人かとは仲良くなった。その中の1人が今俺の隣にいる9A-91だ。まぁ何かと彼女は俺の心配をしてくれていたし、部屋も同室なので仲良くなるのにそんなに時間はかからなかった。

 

《VSK-94、9A-91、エントリー!》

 

人形用無線を使ってFALさんがそう言うと同時に俺と9A-91はドアにそっと近づくとドアを少しだけ開けてスタングレネードを部屋の中に投げ込んだ。ダンッ!と言う爆発音が聞こえたと同時に俺と9A-91はドアを開けて勢い良く部屋の中に突入する。

 

目と体を動かしながら瞬時に周囲を索敵して敵を探す。目の前にマンターゲットな3つあり2人同時に撃った。さらにマンターゲットの1つが左から右にスライドするが俺はそれに狙いを定めてセミオートで撃ち胴体部分に9×39ミリ弾を3発食らわせた。9A-91の方も左側にあったマンターゲット2つを撃っていた。

 

ビーッ!とサイレンが鳴った。ふぅ。何とか今回は特に大きなミスもせずに終わらせることが出来た。銃からマガジンを抜いてコッキングレバーを引いて銃の中に弾が無いのを確認してから俺達はシュートハウスを出て隣にある小屋に入った。

 

「お疲れー。なかなか良かったぜ」

 

KS-23が俺に向かってそう褒めて来た。自分も今回の動きは上手く出来たんじゃないかと思ってたが他の人から褒められると何だか照れくさいな。

 

「ありがとう」

 

多分ここで知り合った人形の中で1番仲が良いのはKS-23だ。男口調で話すからなのか分からないが彼女とは結構話し易い。

 

「そう言うKS-23も絶好調だったじゃん。カッコ良かったよ」

 

「へへっまぁな」

 

彼女の使うショットガンはどうやらそこら辺にあるショットガンよりも大口径の物らしくその威力も結構高い。そんな物騒な物を振り回しながら戦う彼女の姿はカッコ良かった。

 

「VSK-94は居る?」

 

小屋のドアが開いてグリズリーさんが入って来た。グリズリーさんは今日は秘書の仕事とかで執務室に居た筈なんだけど何だろうか?

 

「ここに」

 

「指揮官が訓練が終わったら来る様にって」

 

「了解しました」

 

指揮官からの呼び出しか何だろう?俺なんかやっちゃったけ?今日までのことを思い返してみるが特に怒られそうなことはしていない・・・筈だ。

 

「何だ?お前何かやらかしたのか?」

 

「何もやってない筈だけど・・・え、何か怒られる様なことしたっけ?」

 

「知らねーよ」

 

それから午前の訓練を終えた俺は言われた辺り指揮官の居る執務室に向かった。小屋を出る時にKS-23が「幸運を祈るよ」とか言って来たんだがえ、マジで俺何かしらのことで怒られるの?執務室のドアを3回ノックして「VSK-94です」と言うと直ぐに「どうぞ」と言う指揮官の声が聞こえて来た。恐る恐るドアを開けて執務室に入る。執務室には指揮官とグリズリーさんが椅子に座っていた。書類仕事をしていた様だ。

 

「ご用件は何ですか?」

 

指揮官の表情を見る感じ怒っては無さそうだが油断は出来ない。指揮官の様な普段優しい人が怒ると結構ヤバイからな。

 

「VSK-94には今日治安任務に就いて貰う」

 

「治安任務?」

 

治安任務ってどんなことをするんだ?ここの基地の見張りとかだろうか?

 

「私達が担当しているR25地区のパトロールをすることだよ。2人1組や3人1組で車に乗って街をパトロールする仕事だ」

 

成る程、街のパトロールか。指揮官に怒られる訳では無さそうで安心したよ。そう言えば、俺はまだこの基地から出たことが無いから街も見たことが無かったな。

 

「残念ながらR25地区の治安はそんなに良くなくてね。私達も警察と連携したりして色々と対策はしているんだけどなかなか犯罪は減らないんだ」

 

だから俺の様な戦術人形達がパトロールに出る必要があるのね。でもまぁ初の任務がパトロールで良かった。いきなり鉄血との戦場に送り込まれるのは嫌だからな。

 

「君はまだ実戦経験もないから先ずは肩慣らしとしてこのパトロールに出て貰う。ペアはAK-47とM1895だ。2人とは面識はあるのかな?」

 

「M1895とは少し話したことがあります。AK-47とは全く」

M1895は古そうな見た目のリボルバーを使う戦術人形なのだがちっちゃくて可愛い。喋り方は古そうな銃を使っているからなのか「〜なのじゃ」みたいな感じで何故か年寄りの人みたいな喋り方だがそれが可愛い。俺もあんな可愛い妹とかが欲しかったなぁと彼女と話してて思ったよ。

 

「それじゃぁ良い機会だから今日の任務で仲良くなると良いよ。同じロシアの銃だしこれから任務で一緒になることもあると思うからね」

 

「分かりました」

 

「それと、銃はVSK-94じゃなくて拳銃を使ってくれ」

 

そう言って指揮官は机の上に俺の顔の写真が貼られたカードと黒色の拳銃と予備のマガジン、そしてホルスターを置いた。拳銃を手に取ってみると拳銃の左側面にはMP-446と書いてあり右側面には"VIKING"と書いてあった。

 

「遅れてしまったけど君の身分証明書と拳銃を渡しておくね。拳銃の方もこっちで勝手に選ばせてもらったけどそれで良かったかな?一応ロシア製の拳銃にしてみたんだけど」

 

「はい大丈夫です。ありがとうございます。それと・・・いくつか質問をして良いですか?」

 

「良いよ」

 

「拳銃しか持っちゃいけないのは何故ですか?」

 

戦術人形はスティグマとリンクした銃を使うことによってその力を発揮する。スティグマ適応外の銃だと銃の命中精度はガクンと下がる。これは俺の実体験だ。スティグマ対応外の銃を使って撃つ訓練があって俺はM92FSを使って15メートル先の的に向かって撃った。VSK-94を使って撃っている時なら絶対に外さない距離だったが3発連続で撃った結果1発はそもそも的に当たらず、残りの2発も的の端に当たった。スティグマがリンクしていないと銃の腕前は素人同然だった。その後も何度も何度も訓練してスティグマ適応外の銃でも20メートル先の的にはある程度は当たる様になった。

 

「あんまりこれは話したくないんだけど、この街には人形のことを良く思って居ない人達が多くてね。M1895の様な拳銃を使っている戦術人形は銃を隠し持つことが出来るからまだ良いんだけど君の様なライフルやアサルトライフルとかの大きな銃を使う戦術人形は隠すことが出来ない。アサルトライフルとかを持つなり背負うなりして街中を歩いていれば戦術人形だと言うのは直ぐに分かる。そうなると人形嫌いの人達がその見つけた戦術人形を襲ったりする事例があってね」

 

なんなこの任務に行くのが凄く怖くなって来たんですけど⁉︎大丈夫か?今の俺こんな巨乳美少女だし路地裏に攫われてレイプされたり戦術人形だからってことで暴漢に遭ったりしなよな?

 

「でもまぁ普通にしていれば戦術人形とバレることは無いと思うよ。銃を持っていなければただの美人な女性なんだから」

 

「え〜っと・・・ありがとうございます?」

 

普通の女性や戦術人形だったから今の様に美人だと言われれば喜んだりするんだろうが中身が男の俺の場合素直に喜べない。こう言う時ってどう言う反応をすれば良いのかな?笑えば良いんだろうか?

 

「あ、それと、そのパトロールは具体的にはどんなことをすれば?」

 

俺が今まで受けて来たのは武装した敵を無力化する戦闘訓練。街のパトロールとかの訓練なんて受けてないから何をどうすれば良いのか全く分からん。

 

「さっきも言った通り町中を車に乗ってパトロールするのが主な任務内容だね。もしなんらかの事件に遭遇した場合はその事件をなるべく穏便に解決させるか、警察が来るまでの事態の収集。そしてもし銃乱射事件などの市民に危険を及ぼす凶悪犯罪が起こった場合は犯人の速やかな無力化などだね。もし銃火器を使用する時は一刻を争う緊急時以外は私に使用許可を得てから撃ってくれ」

 

「分かりました」

 

そんな重大事件などに巻き込まれないことを祈るよ。

 

「他に何か聞きたいことはあるかい?」

 

少し考えてみるが特に何か聞きたいことは思いつかなかったので俺は首を横に振った。

 

「それじゃぁ宿舎に行ってAK-47にパトロールの時間だと伝えて来てくれ。多分まだ彼女は部屋で寝ているだろうからね」

 

「了解しました」

 


 

宿舎に来た俺は指揮官に教えてもらったAK-47の部屋の前に来た。現在の時刻は午前11時46分。俺もまだ男だった頃は昼まで寝ていたがこの体になってからは一度もそう言うことしてないな。まぁもし二度寝をしようとしても同じ部屋の9A-91かティスが起こしてくるからな。それに朝からある訓練をサボる訳にもいかないし。などと考えながら俺はドアをノックした。

 

「VSK-94です。パトロールの時間です」

 

と声をかけて数秒間待つが返事は無し。まだ寝ているんだろうか?もう一度ノックをして同じ様に「パトロールの時間ですよ」と言うと次はドア越しに何か物音が聞こえて来た。そして足音がこっちに近づいて来るとドアが開いた。

 

ドアから出て来たのはOD色のスポーツブラにホットパンツと言う露出度が極めて高い服装の女性。右肩には何やらタトゥーが入っている。ぼさぼさの金髪をぼりぼりと掻きながら俺の方を見て来た。

 

「アンタが今日のバディか?」

 

「自分とM1895です」

 

「りょーかい。ちょっと待っててくれ。準備するから」

 

そう言い残してAK-47はドアを閉めて部屋の中に戻って行った。言われた通りドアの前で待っていると1分もしないでAK-47は部屋から出て来た。着替えでもしていたのかと思ったが服装は相変わらず。腹部と腰とかに色々なポーチを装着しただけだ。

 

「行こうか」

 

「はい」

 

俺はAK-47の後をついて行き基地の色々な車が止めてある地下駐車場に来た。ドアにグリフィンのマークが描かれた黒色のセダンの前にM1895が立っていた。

 

「よ」

 

AK-47はM1895に向かって右手を上げて気さくに挨拶をする。M1895も同じ様に右手を上げて「よぅ」と言った。2人が仲が良さそうなのは意外だな。と言うか2人が面識があるのが意外だ。

 

「ルートは前と一緒か?」

 

「あぁ。一緒じゃな。指揮官からは特にここを厳重にパトロールしてくれと聞いておる」

 

AK-47とM1895は今日のパトロールのルートなどを確認する。にしても不思議な光景だな。こうして身長差の激しい2人が真面目に仕事の話をしているのは。

 

「よし、それじゃぁ行くか」

 

そう言うとAK-47はセダンのドアを開けて運転席に座った。M1895

も迷わず助手席に座ったので俺は後部座席に座った。AK-47はキーを回してセダンのエンジンを掛けた。ブオォン!とセダンのエンジンが動き始める。普通の車とは違う力強くも軽快なエンジン音。もしかしてこの車はただのセダンとかじゃなくてスポーツセダンなんだろうか。まぁ俺は車のことはあんまり知らないから正確には分からないんだけどな。セダンが動き出し地下駐車場からスロープを登って外に出た。

 

 

 

 

 

 




中途半端なところで終わってしまい申し訳ありません。次回はなるべく早く投稿する様にしますが今回の様に投稿が遅くなると思います。

因みに今回ナガンおばあちゃんを登場させたのは自分が拳銃を使う戦術人形の中で1番好きだったかはですw。それでは次回もお楽しみに!

ご感想お待ちしております。


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第5話 面倒事に巻き込まれるのは主人公の特権

遅れてしまいましたがあけましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします。そしてお待たせしました第5話です。どんな内容なのかはタイトルで察していると思いますw

そして、色々なご感想を下さった皆様、本当にありがとうございます。モチベーション上がりまくりです。そしてお気に入り登録者数も増えていてとても嬉しいです。これからもこの小説を読みに来てくださると嬉しいです。


基地から出たセダンは予め決めていたルートに沿って街中を走行する。想像していたより都会で活気に満ちている所だ。パッと見は普通に良い街の様に見えるがよく見てみると路地にいかにも悪そうな奴らがたむろしていたり街のあちこちに落書きがあったり道にゴミが散乱していたりとちょっと治安の悪そうな印象がある。

 

セダンを降りた俺とナガンは商業施設などが立ち並び大勢の人で賑わっている繁華街を歩いて巡回していた。因みにAK-47の方はセダンに乗ったまま巡回中だ。見慣れぬ街に俺はキョロキョロと繁華街の様子を見ていたがさっきから気になっていることが一つある。

 

「なんか・・注目浴びてません?」

 

行き交う人達の殆どが俺の方をチラチラと見て来る。流石にこんなに注目されると落ち着かない。

 

「そりゃぁそんなに大きな胸を持った若い美人な娘が居たら注目されるじゃろうな」

 

薄々そうじゃないかと思っていたがやっぱりか。確かによくよくこっちを見てくる人達の視線の先を見てみると俺の胸の方に集中しているように見える。うぅ・・色んな人に胸をジロジロと見られるのは恥ずかしいな。何処かで女は男とかの視線には敏感だと言う話を聞いたことがあったけどそれは本当なのかもな。

 

「お主の気持ちは分かる。わしもこんななりじゃからお主の様に注目を浴びてしまうのでな」

 

確かに俺でも街中でこんな可愛らしい金髪の女の子を見つけたら反射的に見ちゃうな。と言うかこう言う繁華街とかで1人で居る所を見たらもしかして親と逸れて迷子なんじゃ?と思ってしまうかもしれない。

 

「何よりムカつくのが子供扱いしてくることじゃ!」

 

ナガン自身は自分を「お年寄り」と言っていて子供扱いされるのを嫌っているが見た目はただの可愛らしい幼い女の子だ。しかし本人にそのことは言えないから俺は愛想笑いをする。

 

「そう言えば、お主はこの街に来るのは初めてだったか?」

 

「そうですね。初めてです」

 

「じゃぁこの街の基本的なルールを教える。ガラの悪そうな奴らとは目を合わせないことだ。目を合わせたらメンチを切ったと思われてそのまま集団リンチされることになるからのう」

 

「えっと・・・メンチを切るってどう言う意味なんですか?」

 

「あー・・・睨みつけるみたいな意味じゃ」

 

「成る程」

 

目を合わせただけで集団リンチされるとかここに居る奴らはどんだけ好戦的なんだよ。

 

「まぁ、普通にしていれば大丈夫じゃよ」

 

「にしても、結構人が多いですね」

 

ここが繁華街だからと言うか理由もあるだろうが今のご時世でこんなに人が居るのも珍しいんじゃないだろうか?

 

「まぁグリフィンが統治している地区は他と比べると住みやすいからのう」

 

「成る程」

 

今のご時世、政府が直接管理している最重要都市以外はPMCが都市を運営している。が、政府もPMCも管轄していない無法地帯となった都市や街などもいくつもある。寧ろ無法地帯となった場所の方が多いとも言われている。それに比べてここはグリフィンが管理しているここは割と平和な方なのかもしれないな。

 

生前・・と言うか前世と言うか。まぁとにかくまだ俺が人間の男だったら頃は運が良いことにグリフィンが管理している地区で生まれ育ったので特に危険な目にあったりすることもなく平和に過ごせていた。その平和は目の前ナガンやAK-47の様な戦術人形やグリフィンに所属する色んな人達のお蔭だったんだなと今身に染みて実感している。

 

《ナガン!VSK!急いで車に戻って来い!》

 

暫く繁華街をパトロールしていると突然AK-47が人形用無線機を使って話しかけて来た。この直接頭の中に響くよな感じにも結構慣れて来た。

 

「どうした?」

 

「怪しい車を見つけて今尾行しているところだ。繁華街の入り口の方に車を止めるから直ぐに乗ってくれ!」

 

「分かった。行くぞ!」

 

「了解!」

 

おいおい、初任務で早速事件か?運が良いのか悪いのか分かんねぇな。とにかく俺とナガンは繁華街の入り口に向かって人混み避けながら走った。相変わらず大きく揺れ動く胸を邪魔に思いつつ走り続け、俺とナガンは繁華街の入り口に着いた。それから数秒後、曲がり角からAK-47の運転するセダンが現れ目の前で止まり俺達は急いでセダンに乗り込んだ。

 

「どの車なんじゃ?」

 

助手席に座ったナガンがAK-47に聞く。するとAK-47は前を走っている普通乗用車の更に前を走っている薄汚れた白色のバンを指差した。

 

「後ろから数えて3台目のバンだ。荷台に銃らしき物を載せて行っているところを見た」

 

バンの荷台を確認しようとするが全部の窓ガラスがスモークガラスになっていて車内が確認出来ない。

 

「銃?ってことはあのバンは武器商人が?」

 

「まぁその可能性はあるね。密輸された非正規の銃器をギャングとかに売るつもりかも知れない」

 

「指揮官に報告はしたのか?」

 

「した。許可も降りた。バレない様に尾行対象からは一定の距離を置いて慎重に尾行しろって言われた」

 

「だが尾行するにはこの車では少し目立ち過ぎるんじゃないかのう?」

 

それは俺も思っていた。この車の両側にはグリフィンのロゴマークがガッツリ描かれている。それにこの車自体グリフィンの車として知られている可能性が高い。距離を置いてもこの目立つ黒色の車では直ぐに見つかってしまうかもしれない。

 

「そこで提案なんだけどアタシが囮になるから2人であのバンを追ってくれない?」

 

「囮?」

 

AK-47は一体何をするつもりなんだ?

 

「奴らもバカじゃない。この車がグリフィンの車だって言うのは直ぐに気づく筈だ。もしかしたらもう気づいている可能性もある。だがらアタシはある程度付け回した後に見失った様に見せかける。そしたら奴らはアタシ達を撒いたと思って油断するだろ?その油断している隙に別行動していたナガンとVSKが奴らを追いかける」

 

「追いかけるって言ってもまさか徒歩で追いかけろって言うんですか?」

 

AK-47とは別行動をするって言うことは俺達はこのセダンから降りると言うことだ。

 

「そんなのそこら辺でタクシーでも捕まえれば良い話じゃよ。と言うか別行動するならわしらはわざわざこの車に乗る必要は無かったのではないか?」

 

「今考えた作戦だからな!」

 

「お主はもう少し計画的に動いた方が良いと思うぞ?」

 

自信満々に答えるAK-47に対してナガンは呆れ半分にそう言った。でもこの行き当たりばったりで作戦を考えるって言うのは俺の想像していたAK-47だな。

 

「次の交差点で止まるからそこで降りて」

 

「分かった」

 

「了解です」

 

何だか緊張して来たな。でも同時にちょっとワクワクもする。今の俺映画やドラマの主人公みたいなことしてるからな。バンが交差点を通った後に信号が赤にたり俺達の乗ったセダンは停車した。その瞬間ナガンと俺はセダンから降りて横の歩道まで急いで移動した。

 

「よし、タクシーを探すぞ」

 

俺とナガンは追跡する為のタクシーを探して歩道を走った。

 


 

「おい、付けられてるぞ」

 

バンの助手席に座っていた男が運転手の男に報告する。運転手の男は目だけを動かしてバックミラーとサイドミラーで後ろを確認する。すると一台の黒色のセダンが真後ろに居た。

 

「チッ、グリフィンか」

 

「このまま行くのは不味いぞ」

 

「分かってる」

 

そう答えると運転手は右折した。バックミラーで確認するとセダンも同じ様に右折して後を追って来た。運転手は慌てたりせずに速度を保ったまま真っ直ぐバンを走らせる。助手席に座る男はポケットからグロック19を取り出すとスライドを引きチャンバー(薬室)に初弾を装填した。

 

「おい、こんな所で撃つなよ?」

 

「分かってる。念の為だ」

 

運転手は予定のルートから外れて街中を適当に走り回るがグリフィンの車は後ろにぴったりと付いて来ていた。5分ほどこの追いかけっこを続けていたが遂に仕掛けることにした。交差点に差し掛かった瞬間に目の前の信号が赤になった。しかし運転手は止まらず逆にアクセルを踏み込んだ。

 

エンジンの回転数が上がりバンが加速する。信号を無視したバンは左に180度カーブすると反対車線に入った。追いかけて来ていたグリフィンの車もその後を追おうとするが他の車が邪魔になり追うことが出来なくなった。運転手と助手席の男はグリフィンの車に向かって中指を立てながら走り去って行った。

 

グリフィンの車を無事に撒いたバンはまた尾行が居ないか警戒しながら街の郊外まで走った。完全に尾行や監視の目が無いことを確認した運転手は人の姿が全く無い工場跡地に来た。そしてバンをボロボロになった倉庫の中に入れた。倉庫の中には既に別の車が2台止まっておりその前には人が6人立っている。

 

その人達の目の前にバンを止めた運転手はエンジンを止めるとバンから降りた。そして近づいて来た大柄の黒人とお互い笑顔で握手をする。

 

「よぉ元気そうで何よりだ」

 

「そっちもな。どうだ?繁盛してんのか?」

 

「ぼちぼちってところだ」

 

肩を含めながら運転手は言う。2人が話している間に助手席に座っていた男はバンの後ろのドアを開けて荷台に乗せてあったバッグを運んで来ると黒人の男の前に置いた。黒人の男がそのバッグを開けて中を確認してみると大量のAR-15が入っていた。

 

「AR系の方なんだが頼まれていた数を揃えることが出来なかった。だから代わりと言っちゃぁなんだが足りない分としてAKを持って来た。弾も安くしとくよ」

 

黒人の男の前に別のバッグが置かれた。黒人の男が2つ目のバッグを開けるとAK-47に良く似たアサルトライフルが入っていた。黒人の男はその中の1つを手に取りコッキングレバーを引いたりトリガーを引いてみたりして動作を確認する。

 

「そのAKは実を言うと殆どが紛争地域から流れて来た中古のヤツなんだが全部ちゃんと整備しているからジャムったり動作不良を起こしたりすることはまず無いから安心してくれ。それに元々紛争地域でゲリラ兵なんかが使っていた非正規品だから足が付くこともない」

 

「今のご時世正規品の方が少ないけどな」

 

「それもそうだな。で、こっちがイングラムM10、またの名をMAC-10だな。9ミリ使用だ。こっちは簡単に集めることが出来たな。知っているとは思うが連射速度がバカみたいに早いから撃つ時は気をつけろよ」

 

先程と同じ様に黒人の男の前に助手席に座っていた男がバッグを持って来ると目の前に置いた。

 

「にしてもお前、戦争でもおっ始める気か?」

 

運転手の男は大量の銃火器を見て黒人の男に冗談混じりに聞いた。

 

「まぁ戦争とまでは行かないがな」

 

「相手は?」

 

「自分の立場を分かっていない三下どもだよ」

 


 

AK-47がわざと撒かれた後タクシーに乗った俺とナガンはバレない様にかなり距離を置きながら更に時々わざと寄り道をしたりしてバンを尾行した結果郊外にある工場跡地にまで来た。そして倉庫に入るとそこで待っていた奴らと武器の売買を始めた。すこし離れた所から物陰に隠れながら途中から合流したAK-47と共に双眼鏡でその様子を見ていた。距離があるので話し声はギリギリ聞こえるが何と言っているのかは分からない。

 

「アレってAK-47ですよね」

 

黒人の男が持つ銃は余り銃に詳しく無い俺でも知っているアサルトライフル。AK-47だ。あの銃反政府軍とかテロリストとかが持っているイメージが強いよな。

 

「いや、アレはAK-47じゃないね。アレは中国製の56式自動歩槍って名前のAKの派生型だ。ほら、銃口部分に折り畳み式の銃剣が付いてるだろ?アレが特徴だ」

 

流石AK-47。一眼見ただけであのアサルトライフルがAK-47ではなくて中国で作られた派生型だと見抜いた。俺には同じ物にしか見えないがな。

 

「へぇ〜。やっぱりAKの派生は多過ぎて分かりませんね」

 

「ロシアで作られた派生型はそんなに多くは無いんだけどな。海外製の派生型なんかを合わせると星の数だ」

 

「で、わしらはどうするんじゃ?このまま監視し続けるだけで良いのか?」

 

「さっき指揮官にはここの場所は教えたからもう少ししたら応援が来る筈だ。それまであたし達は待機だな」

 

その応援が来てくれるまでは暇なので俺は引き続き武器の売買している様子を見る。銃だけでなく手榴弾まで持って来ていた様で緑色の箱の中から手榴弾を出していた。

 

「ん?アイツら何してんだ?」

 

黒人の男が後ろに居た部下に何が指示するとその部下は後ろに止めていたSUVの後部座席に向かうと後部座席から両手が縛られた男を無理矢理下ろすと黒人の目の前に立たせた。縛られている男の姿をよく見てみると体や顔のあちこちに痣が出来ており酷い状態だ。

 

「・・・・嫌な予感がするのかあたしだけかな?」

 

「わしもじゃよ」

 

黒人の男は武器商人からAK-47・・じゃなくて、56式のマガジンを受け取ると手に持っていた56式に嵌めてコッキングレバーを引いた。そして右側面にあるセーフティーレバーを1番下にまで下げると縛られた男に銃口を向けた。

 

「まさかッ⁉︎」

 

奴らあの男を試し撃ちの的代わりにするつもりか⁉︎そう俺が驚いていると横にいたナガンがホルスターに仕舞っていたM1895を素早く取り出し両手でしっかりとM1895を構えて黒人の男に狙いを定め撃った!こちらから向かうまでの距離は40メートル程はあったが撃ち出された弾は56式を持っていた黒人の男の右手を撃ち抜いた。右手を撃たれた黒人の男は56式を地面に落とし撃たれた手を「ぐあぁ!」と声を上げながら押さえる。他の奴らは突然の発砲音に驚いている様子だ。

 

「・・・すまぬ。つい撃ってしもうた」

 

「謝んな。ナガンが撃たなかったらあたしが撃ってた。っと、伏せろ!」

 

突然AK-47が俺の頭を押さえて無理矢理その場に伏せさせた。すると連続した発砲音と共にこちらに向かって何発もの弾丸が飛んで来た。AK-47はホルスターからGSh-18を取り出し撃ち返す。

 

「指揮官、聞こえるか?こちらAK-47。無抵抗の人間を撃とうとした為止むを得ず武器売買中のチンピラどもに発砲し銃撃戦になった!」

 

俺もAK-47に続きホルスターからMP-446を取り出して56式やらAR-15で撃って来る奴に向かって撃つ!しかしやっぱりスティグマ適応外の銃で撃つと命中精度はクソ雑魚だ。それに対してナガンは既に2人に弾を当てて無力化している。ナガンは今使っているM1895と言う名前のリボルバーがスティグマに適応した銃なのでビシバシ敵に当てている。

 

「あ!あの人撃たれています!」

 

ナガンが助けた縛られた男はどうやら逃げようとしたところを撃たれてしまったらしく地面に倒れていた。

 

「チィ!詰めるぞ!」

 

「ちょ、今前に出たら撃たれません⁉︎」

 

現在進行形でフルオートで撃たれまくっているんだが⁉︎これ今隠れている物陰から出た瞬間撃たれてしまうんじゃないか?

 

「見た感じアイツらは素人だ。素人がフルオートでこの距離を当てるのは難しい。それにあたしが援護してやるから安心しな!よし行け!」

 

「ちょ!まっ⁉︎」

 

AK-47から背中を押され俺はそのまま隠れていた壁から出てしまった。ここで止まったら撃たれるのは確実だ。こうなったら弾が当たらない様に走るしかないッ!

 

「うわあぁぁぁ⁉︎」

 

一心不乱に1番近い所にある遮蔽物へと走る。前を走るナガンは走るのに必死な俺とは違い走りながら敵に向かって撃っている。AK-47は後ろで撃ちまくり俺達を援護してくれている様だ。何とか被弾せずに俺とナガンは放置された廃車に身を隠した。

 

「食らえっ!」

 

AR-15を乱射している男に狙いを定めて3発連続で撃つ。流石にこの距離なら当たるじゃないかと思ったんだが男は元気よく撃ち続けている。嫌になっちまうよ。ナガンが2発連続で発砲し俺が仕留めれなかった男の胴体に2発とも命中させた。可愛い見た目で忘れかけていたが彼女も戦術人形なのだと思い知らされる。今は彼女の背中がとても頼りに見えるよ。

 

「弾切れだ。援護してくれ」

 

「了解です」

 

ナガンの使っている拳銃はリボルバーなので俺が使っているようなオートマチックの拳銃よりリロードに時間がかかる。それにナガンの使っているリボルバーは普通のリボルバーよりも古いタイプだそうで普通のリボルバーよりも時間がかかるそうだ。なのでナガンがリロードしている間は俺が敵に向かって撃ちまくる。だけどアサルトライフルやサブマシンガン相手に拳銃一丁って言うのはなかなかに部が悪い。こっちが1発撃つ間に向こうは10発は撃って来る。更に最悪なのが今俺達が遮蔽物にしている車は防弾性能なんかこれっぽっちもない普通乗用車なので普通に弾が貫通して来るってことだ。一応俺はエンジン部分に隠れているから貫通して来た弾が背中に当たると言うことは起きていないが横を貫通した弾丸が飛んで行くのが凄い怖い。

 

敵が弾切れになったのを見計らって隠れていた車から出てMP-446を両手でしっかりと構えて3発連続で撃った。運良く2発が56式を持っていた敵の腹に命中した。腹を撃たれた男は撃たれた所を押さえながらその場に倒れた。

 

「当たった!」

 

残りは3人!このまま全員無力化してやる!そう思って別の敵を狙って撃つが倉庫の壁に隠れられてしまい弾は当たらなかった。と言うか、俺達に向かっていた3人は倉庫の中へ逃げて行った。何でだ?と疑問に思ったが直ぐに分かった。車のエンジン音が聞こえて来たかと思うと倉庫の中から猛スピードでバンがバックして来た。

 

「逃がすか!」

 

リロードを終えたナガンがM1895を構えてバンの運転席に3発撃ち込み運転手を撃ち殺した。たが助手席に座っていた男が死んだ男を運転席から降ろすと運転を代わりバンを走らせる。バンはバックを止めると前に急発進させる。バンの後ろのドアが開き男がこっちに向かって56式を向けて来た。

 

「やばっ⁉︎」

 

撃とうとしていた俺は咄嗟に伏せた。直後ダダダダダッ!っと連射音を響かせて数十発の弾が飛んで来た。7.62×39ミリ弾が車の車体やドアを普通に貫通して来る。再び俺が顔を出した時にはバンは急発進して走り去ろうとしていた。俺はバンに向かって拳銃を乱射する。弾は何発かが車体に当たったがバンを止めることは出来なかった。

 

「47!お前はこの男の応急処置を頼む!」

 

ナガンは倉庫の中に向かって走って行きながら大声でAK-47に指示を出した。俺もナガンの後を追って走る。AK-47は縛られた男に近づき傷の具合を確認する。

 

倉庫の中に入ったナガンは奴らが乗って来たと思われる赤色のピックアップトラックの運転席に乗り込むとエンジンを掛けた。俺が助手席に乗ると俺がドアを閉めるよりも早くナガンはピックアップトラックを急発進させた。

 

地面の土を巻き上げながらピックアップトラックは走り出して逃げるバンの後を追う。バンはフェンスを突き破って工場跡地から出ると道なりに走って逃げた。ナガンはアクセル全開でその後を追う。向こうのバンよりこっちのピックアップトラックの方が速いようで彼我の距離はどんどん縮んで行く。突然バンの後ろのドアが開き56式を構えた男がこっちに向かって撃って来た!

 

「くっ!」

 

「のわっ⁉︎」

 

ナガンは銃撃を避けようと咄嗟にピックアップトラックを右にカーブさせた。が、完全に銃撃を避けることは出来ず銃弾がボンネットやらフロントガラスやらに次々と命中して行く。恐怖の余りその場に屈む俺の横でナガンはM1895を左手で構えて撃ち返す。運転しながらの片手撃ちだと言うのにナガンは正確な射撃で荷台から撃っていた奴に弾を2発当てた。撃たれた男はその場に倒れた。これで残りは運転手の男だけだ。

 

「ビビっている暇は無いぞ94!撃て!」

 

ナガンに諭された俺は窓から顔を出すとMP-446を構えバンに向かって撃ちまくる。バンの後ろのドアは開きっぱなしだから運転席に座る男に当たることが出来るんじゃないかと思って何発か連続で撃ってみるがガタガタと揺れる車内から正確に運転席に座る男を撃ち抜くなんて無理だった。

 

「殺すなよ?生きた証人が必要なんだからのう」

 

「この状態で殺さないように正確に撃つなんて無理だっての!」

 

ナガンからの無茶な注文に俺は敬語で話すのも忘れて言い返した。と言うか殺さずに撃てって逆に何処に当てれば良いんだよ⁉︎向こうの運転手の方も黙って撃たれている訳ではなく拳銃を片手で構えてこっちに向かって撃ち返して来た!サイドミラーを見ながらの射撃なので正確な射撃では無いが何処に飛んで来るか分からない弾丸が逆に恐ろしい。

 

すかさずナガンが撃ち返すが弾はバンの車体に当たっただけだった。するとナガンは銃口を下の方、バンの後輪に向け撃った。左右の後輪が撃ち抜かれてタイヤがパンクした。それによって目に見えてバンのスピードが落ちて行く。

 

ナガンはピックアップトラックを急加速させてバンの前に出ると突然急ブレーキで減速しバンにぶつけた。進行方向をピックアップに邪魔され、更に後ろのタイヤがパンクしているバンは急激に速度を落として停車した。

 

ナガンはピックアップトラックを止めると降りてM1895を構えながら運転席の方に向かう。俺もMP-446を構えながらナガンの後に続く。ナガンが運転席側のドアを開けようとした瞬間、運転席からバララララッ‼︎っと言うとてもなく早い連射速度の発砲音が聞こえ、何十発もの弾丸がドアを貫通して飛んで来た。ナガンは慎重にドアを開けようとしていたのが幸いしてドアノブに手を掛ける前に撃たれたので被弾することは無かった。

 

「このっ!」

 

すぐさまナガンはM1895を構えて撃ち返した。ナガンはドアを開けてM1895を構えつつ車内を確認する。俺も車内を覗いてみると血まみれの右手を押さえてうめき声を上げている男が居た。そのしたにはMAC-10が落ちている。俺はMAC-10を取り上げると安全の為にマガジンを外してコッキングレバーを前後に動かしてチャンバー(薬室)内にある弾も排莢した。ナガンは運転手から男を引きずり降ろすと撃った右手を応急処置した後に拘束した。

 

その後、基地から応援部隊が駆けつけて来て後の処理はその部隊に任せることになった。捕まえた男を連れて俺達は基地へ帰還したんだが、その後が面倒臭かった。指揮官から大量の非正規品の武器などの売買を阻止したのを褒められるかなと思っていたがそんな事はなく逆に派手な銃撃戦になってしまった事を怒られた。因みに、銃撃戦になったきっかけの殺されそうになっていた男はちゃんと保護された。銃撃戦に巻き込まれて腹に7.62×39ミリ弾を食らっていたが当たりどころが良かったらしく命には別状は無いそうだ。聞いた話だと男は組織を裏切ろうとして捕まってしまったそうだ。その後は無駄に量のある報告書や始末書を書かされることになり全ての作業が終わる頃には深夜になっていた。

 

「はははは!それは災難だったな!」

 

指揮官に始末書と報告書を提出した俺は娯楽室でKS-23に今日の出来事を話していた。

 

「でもその男を助けたお陰でギャングの親玉の居場所が分かったんだろ?なら結果オーライなんじゃね?」

 

KS-23の言う通り俺達が助けた男からの情報でグリフィンと警察で前から追っていたギャングのボスの居場所が分かった。近い内にそのボスを捕まえに行くそうだ。

 

「まぁそうだね」

 

「俺も早く実戦に行きてぇなぁ」

 

「心配しなくても直ぐに行くことになると思うよ」

 

「そりゃ楽しみだ。明日もパトロールに出るのか?」

 

「いや、明日は今まで通り訓練だけだね」

 

「そうなのか。それじゃぁ明日も頑張ろうぜ」

 

「おう」

 

そう言って俺とKS-23は拳同士を軽くぶつけた。初の任務はまさかあんな銃撃戦になるなんて想像だにしていなかったがまぁなんとか無事に終わって良かった。だが今回の戦闘では俺がまだ訓練不足だと言うことが痛感した。これからはあれ以上の戦闘に巻き込まれる可能性は充分にあるんだし死なない為にも訓練をもっと頑張らないとだなぁ。




元の計画だとあんな銃撃戦やらカーチェイスやらする予定はなく、VSK-94が男にウザ絡みされるだけの話にする予定だったんですが最近見たとある洋画の影響で戦闘シーンを書くことにしちゃいました。後悔はない。にしてもまともな戦闘シーンを書いたのは今回が初でしたがやっぱり難しいですね。もっと上手く書けるように精進して行きます。

ご感想お待ちしております。


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第6話 9A-91は貧乳なのか?

どうも。いつもこの小説を読みに来て下りありがとうございます。そして、感想も下り本当にありがとうございます。作者のモチベーション向上と作品作りの参考になっています!と言うことで第6話です。今回は短めに書くことが出来ました。


初のパトロール任務を終えてから2日、俺はいつもの様に訓練を受けていた。前回のパトロールでの銃撃戦の時に俺は殆ど役に立つことが出来なかった。それを反省して次、銃撃戦になった時はちゃんと活躍して皆の役に立てる様になりたいと思い9A-91とティス、そしてパトロール任務で知り合ったナガンなどに助けて貰いながら訓練を受けていた。

 

特に余り命中率の良くない拳銃に関してはナガンやグリズリーさんから色々とレクチャーを受けた。拳銃の射撃訓練をしてスティグマの力って凄いんだなと身を持って実感した。そして俺は銃火器や兵器などについての知識が殆ど無いので銃訓練と同時進行で色々調べているんだが俺が想像してきたより兵器は奥が深いことを知った。だが、自分で調べてもよく分からないこともあった。

 

「拳銃弾とアサルトライフルの弾の違いですか?」

 

午後の訓練が終わり恒例となった9A-91とティスの2人と一緒に食堂で昼ご飯を食べている時に俺は9A-91に気になったことを質問していた。

 

「ほら、アサルトライフルの弾の直径は5.56ミリだったり7.62ミリなのに拳銃の弾は9ミリとか45口径とかみたいにアサルトライフルより口径が大きいのにアサルトライフルの方が威力が高いのは何でなのかなーと思って」

 

9A-91は「そうですね〜」と言いつつパンを一口サイズにむしってから食べた。そして食べたパンを飲み込んでから説明を始めてくれた。

 

「口径と威力の話は色々と難しいんですが、簡単に言えばライフル弾は、口径が小さい方が空気抵抗が減って弾速が上がり、長距離の命中精度が良くなるので細長い弾丸へと変化して、拳銃弾は片手で撃てるよう反動を小さくした代わりにある程度の威力を保つためライフル弾より口径が大きい弾薬が定番化した。と言った感じですかね」

 

パンを齧って食べながら9A-91の話を聞いていると一つ引っかかった。

 

「・・・ん?でも自分や9A-91やティスの銃の弾の口径は9ミリだけど?」

 

ティスも9A-91も俺も全員使っている銃の弾は9×39ミリと言う弾だ。つまり弾の直径が拳銃と同じなんだ。さっき9A-91が説明してくれたのだとアサルトライフルなどの弾は口径を小さくして空気抵抗を減らして弾速を上げて長距離でも当たるようにしたと言っていたがこの弾はそれに当てはまらなくないか?

 

「私達の使っている弾は特殊な亜音速弾ですからね。通常の弾丸とは少し違うんです」

 

「具体的には?」

 

「もともと9×39ミリ弾はAS ValやVSSで使用する亜音速弾として開発された弾丸なんです。この弾丸がどの様な弾丸なのかは前説明した通りです」

 

確か音速を突破しない速度で飛ぶ弾丸だからソニックブームとか言う衝撃波的なのが発生しないから消音性が高いんだっけ?と、俺はスープを飲みながら前の訓練の時に9A-91に教えてもらったことを思い出す。

 

「7.62×51ミリ弾や5.56ミリ弾などにも亜音速にしたのはあるのですが、速度が遅くなった分威力が落ちたり風や雨などによって弾道が変化し易くなってしまうんです。それらの問題を克服する為に7.62×39ミリ弾を元に設計したのが9×39ミリ弾なんです。9×39ミリ弾は弾丸を9ミリと大口径にし、さらに弾頭重量を重くしたことで威力を確保し、そして風などにも影響を受け難くしてあるんです。最初に言った拳銃弾が大口径化した理由に近いですね」

 

「へぇ〜」

 

特に何も考えずにぶっ放していたこの弾丸は色々試行錯誤をした結果生まれた弾だったんだなぁ。

 

「因みにわしの使っている弾は7.62x38ミリRと言う弾なのじゃが、今の若い娘らの使っている9ミリパラペラム弾とかと比べるとやはり火力不足なんじゃよな」

 

横で昼飯を食べながら俺達の話を黙って聞いていたナガンが話に入って来た。にしてもナガンの使っているリボルバーの口径は7.62ミリなのか。と言うか7.62ミリ口径の拳銃があることを今知った。

 

「そうなんですか」

 

「だから鉄血の連中や防弾チョッキを来た奴らとかが相手となるとキツくなるんじゃよなぁ」

 

とナガンは肩をすくめながら話した。でも前回の戦いを見た感じ銃の威力不足を補えるだけの力をナガンは持っていると思う。立ち回りや圧倒的な命中率の高さなどを使って上手く戦っている。

 

「因みに、今の説明で分かると思いますが9×39ミリ弾は特殊な弾薬です。なので弾丸より高価だったんです。そこでこの弾丸を普及させてコストを抑えてようと考えて作られたのが(9A-91)やSR-3なんですよ。まぁ正確に言うと開発理由は他にもあるんですが気にしないでください」

 

「へぇ〜。そうだったんだ」

 

9A-91の開発理由が弾薬のコストを下げる為だったのは知らなかった。そう言えばSR-3にはまだ合って居ないんだよな。今任務で基地には居ないらしい。どんな娘なのか気になるな。

 

「そして、SR-3を元に設計された非消音型のアサルトカービンが(9A-91)で、私をベースに消音狙撃銃型として開発したのが貴方(VSK-94)です。つまり私は貴方のお姉さんと言うことですね」

 

9A-91が姉的な存在だと言うことは前に調べたから知ってた。可愛い姉が出来て嬉しいよ。出来れば俺が男だった頃に欲しかったけど。

 

「じゃぁ今度から姉さんって呼んだ方が良い?」

 

「今まで通りの呼び方で良いですよ。にしても・・・・・姉妹なのにどうしてこんなにも差が・・・」

 

俺の胸の方を恨めしそうに見ながら9A-91は小声でそんなことを言った。そう言えば前に一種に風呂に行った時も同じような反応をしていたな。俺と比べて自分の胸が小さいことに嘆いている様だが9A-91は決して貧乳と言う訳ではない。胸は割とある方だと俺は思う。

 

「ちょっとくらい分けてくれませんか?」

 

真剣な表情で言われているんだがこれはどう反応したら良いいんだ?

 

「そんなはいどうぞって分けれる訳無いって。それにこんなに胸が大きいと邪魔なだけだよ?」

 

男の頃は巨乳の女最高!としか思っていなかったがいざ自分が巨乳になってみるとその大変さが身に染みて良く分かった。動く度に揺れ動いて邪魔だし、デカい胸が邪魔で足元見えないし、重いし、街にパトロールしに行った時とか色んな人に胸をちらちらと見られて恥ずかしかったし。この胸には悩まされてばかりだ。

 

「何ですか、胸の無い私への皮肉のつもりですか?」

 

「金持ちが「金なんかあっても邪魔なだけだ」って言うのと似た様な感じなのかも知れんなぁ」

 

「いや、そう言う意味じゃぁ・・・・」

 

「これが持つ者と持たざる者の差」

 

今まで一言も話していなかったティスがそうボソリと呟いた。まぁ手にして初めてその不便さに気づくことは良くあるからな。俺も自分が巨乳になって巨乳の不便さを知ったし。胸が余り無い9A-91にとっては巨乳は憧れなんだろう。そもそも俺は男だから貧乳の女性が胸の大きさを気にする気持ちが余り分からないが。

 

「と言うか、そう言うティスも胸は結構大きいですよね」

 

「あげないよー」

 

まるで見せつけるかの様に自慢げな顔で胸を張るティス。確かにティスの胸は9A-91よりも大きい。と言うがあの大きさは巨乳の部類に入ると思う。それに前に一緒に風呂に入った時に思ったのだが彼女、普通にスタイルが良い。まだ俺が男でティスを街中で見かけたらその美貌に魅了されてナンパしていたことだろう。

 

「身長は殆ど変わらない筈なのになんでこうも大きさに違いが・・・I.O.P社にお願いしたら大きくして貰えないかな?」

 

「それは無理だと思うのう・・・」

 

その後落ち込んでしまった9A-91を何とか元気付けて俺達は昼からの訓練へ向かった。今日のR25基地はいつも通りの平和な日だなと俺は思った。

 


 

R25地区の基地内にあるブリーフィングルーム。この部屋は普段、指揮官から戦術人形達に作戦内容を説明する時などに使用されるこの部屋のドアには現在「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた紙が貼られてあり、そのブリーフィングルーム内にはジャクソン指揮官と副官のグリズリー、そしてFALとFMG-9とJS9の5人が集まっていた。

 

「それで、フィリップ・リオスについて何か他に分かったかい?」

 

ジャクソン指揮官の問いかけにFMG-9が答えた。

 

「はい。バッチリです。先日、ナガンさん達が保護した男からの情報によるとリオスは1週間後にR25地区の都心部エリアにある高級ホテルで密会をすることが分かっています」

 

FMG-9は手に持っていた説明しながらタブレットを操作する。するとブリーフィングルームの壁に用意されていた巨大スクリーンにR25地区の地図が表示され、都心部の方がアップされると次に一つの高級ホテルの写真が出て来た。

 

「男の情報が正しければこのホテルの27階で密会は行われるそうです」

 

スクリーンにホテルの27階の部屋とその周辺の図面が表示させた。

 

「しかし情報が漏れたことはリオス側も知っていると思われるので部屋を変えたりまたは密会場所を変更する可能性も充分ありえます」

 

「その密会の内容はどんなのか分かるかい?」

 

「男も詳しい話までは分からないそうですが別の組織のボスと会って話をするのだとか」

 

「なら上手く行けばその別のボスもろとも捕まえることが出来るかも知れないってことか」

 

「一つ質問良いかしら?」

 

今まで黙って話を聞いていたFALがそう言いながらジャクソン指揮官に手を挙げると指揮官はFALに「良いよ」と言った。

 

「今回の作戦の目標はリオスの殺害?それとも確保?」

 

「出来れば確保。やむ終えない場合は殺害も致し方なしって感じかな」

 

「確保優先ってことね。了解したわ。敵の規模とかは分かる?」

 

FALはFMG-9に聞くがFMG-9は首を横に振った。

 

「その当日の警備の数や配置などは一切不明です。ただ,今までの記録を見るにAK系統の自動小銃やサブマシンガンなどの銃火器で武装している可能性は高いです」

 

「それで、具体的にはどうするか決めているのかい?」

 

「まず、FALが率いる部隊が屋上からラペリングで27階まで降下し護衛を排除した後部屋に突入。それと同時に非常階段で待機していたJS9が率いる突入部隊が部屋に突入し標的を確保。大まかに言うとこんな感じです」

 

FMG-9の解説に合わせてスクリーンに突入時の簡単なアニメーションが表示された。

 

「それぞれの部隊には誰を?」

 

「私の部隊はVSK-94とOTs-14とRFBの3人にするつもりよ」

 

「VSK-94の方はもう実戦に出して大丈夫なのかい?」

 

FALの説明に合わせてスクリーンに表示された3人の写真を見てジャクソン指揮官はFALに尋ねた。この作戦が立てられるきっかけとなった先日のパトロール任務に出たVSK-94は銃撃戦になり戦闘を経験しているがジャクソン指揮官はVSK-94を本格的な戦闘に出して良いのかどうか気にしていた。

 

「ゆっくりとだけど彼女は確実に成長しているわ。指揮官の心配する気持ちも分かるけどだからと言っていつまでも訓練だけさせる訳にはいかないわ」

 

「私の部隊の方は9A-91、OTs-12、79式、KS-23、Micro Uziの5人で行きます」

 

「KS-23とMicro Uziの方も大丈夫なのか?」

 

「だから指揮官は心配し過ぎよ。部下のこともちょっとは信じてあげないと」

 

心配ばかりするジャクソン指揮官に対して副官であるグリズリーが半分呆れた様子でそう言った。

 

「信じていない訳ではないんだ。だけどこの作戦に参加する10人の内、新人が3人も居るのは大丈夫なのかなと思ってね」

 

「大丈夫よ。3人とも訓練では充分に良い成績を残しているから。でしょ?」

 

グリズリーの問いかけ対してFALも「そうね」と言った。2人は教官として3人が必死に訓練を受けていることを知っているので3人の実力を信じていた。

 

「それに私やJS9とかがついているから、もし何かあっても直ぐに対処できるわ。それとも、私達のことは信用出来ない?」

 

「いや、君達は頼りにしてるよ。昔から色々とお世話になっているからね」

 

「それじゃぁ今回の作戦、承認してくれる?」

 

「元より断る理由も無いからね。許可するよ。でも、慢心はダメだからね。慎重に調査と準備をして」

 

「分かっているわ。グリズリーと一緒に今回の作戦に合わせた訓練の準備も用意しているから」

 

「FMG-9が持って来てくれたこの図面を元にこの部屋の間取りとかを忠実に再現したキルハウスを作って貰っているから早速明日から訓練を始めるわ。私は作戦の最終調整とかをしなきゃだから訓練の方はFAL達に任せるわ」

 

「任せて」

 

と言いFALはグリズリーに対して頷いて見せた。

 

「それじゃ後のことは君達に任せるよ。何かあったらいつでも呼んでくれ。ここでリオスを確実に仕留める」

 

VSK-94達の知らない所で新たな作戦が進み始めていた。

 

 

 

 




基地内の日常シーン的なのを書こうとした結果弾のうんちく話と胸の話がメインの話になってしまいましたwそして裏で進む新たな作戦。VSK-94の今後はどうなるんでしょか?

ご感想大募集中です!



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第7話 新たな任務。準備は入念に。

大変長らくお待たせしました!リアルの生活が忙しくなったり、シン・エヴァ見たりうまぴょったり親戚の引っ越しの手伝いをしたりと色々していたら投稿が遅れたしまいました。申し訳ありません。

今回の小説ですが全体を10とすると6〜7割程は胸とかの話になってしまったいます。これもVSK-94の胸が大きいのが悪いんや。

気がつくとお気に入り登録者が増え、評価バーも赤色になっていて最近で1番驚きました。これからも皆様が面白いと思える小説を書いて行こうと思うのでどうかこれからもこの小説を宜しくお願いします!


珍しく目覚ましのアラームが鳴る前に俺は目が覚めた。時間を確認しようと寝ぼけ眼のまま壁にかけてある時計を見ようとするが目線を下に向けるが目の前に見えるのは黒色の山・・・ん?なんだこれ?寝ぼけていたせいで思考回路が追い付かず少しの間頭の上で?のマークを浮かべていたが直ぐに意識がハッキリとしてそれが山ではなく自分の大きな胸によって押し上げられたタンクトップであることに気が付いた。この身体になってから1週間と少し経ち少しはこの体にも慣れて来たんじゃないかと思っていたがそうでも無さそうだな。でもそれで良いんじゃ無いかと俺は思っている。完全にこの体に慣れてしまったら俺が完全に男じゃなくなってしまう気がするからだ。体はこんなだがまだ心は、精神は男のままだ。身体だけじゃなく心まで女にはなりたく無いしなる気もない。誰がなんと言うと俺は男だ。

 

右腕で2つの山を押さえて視界を確保し現在時刻を確認する。5時55分だった。後5分後にはまぁまぁ大きな音量でアラームが鳴りこの秒針の動く音しか聞こえない静かな時間は消えいつもの騒がしくて忙しい1日が始まる。因みに胸が邪魔で時計が見えないのなら寝る向きを180度変えれば良いじゃないかと思う人もいるだろう。俺もそう思って向きを変えてみたんだが二段式ベッドの壁が邪魔で時計が見えなくなってしまう。なのでこの方向で寝ている。後5分寝ようかとも思ったが今から寝たところでたった5分しか寝れないなら意味はないなと思いそのまま起きることにした。

 

体を起こし横の二段式ベッドの一段目を見てみる。一段目が9A-91のベッドでその上の二段目がティスのベッドなのだが9A-91の姿は無く布団がが綺麗に畳まれてべっどの上に置かれていた。いつも彼女はティスや俺が起きるよりも早く起きているが一体何時に起きているんだろうな。ティスの方はまだ寝ている様で耳を覚ますと微かにティスの呼吸音が聞こえる。

 

欠伸をしながら俺はベッドから降り両手を大きく上に伸ばし背伸びをする。そして俺の寝ていたベッドの布団をなるべく綺麗に折り畳む。それが終わるとベッドの隣にある小さなロッカーを開けて中からシャツ、ジャケット、タイトスカート、タイツなどいつもの服装を取り出す。そして俺は着替える為に着ていたジャージを脱いで行く。今だに着替えは自分の女体を見てドキドキしてしまうが前よりは手間取らずに着替えれる様になった。

 

因みに俺の寝巻き姿、と言うか普段着は下はジャージで上はタンクトップだけと言うラフな格好をしている。なんでそんな格好なのかと言うと俺が男の時からズボラな私生活をしていたからその名残言うのもあるがこの格好が1番楽だからと言う理由もある。胸が大きいせいで伸縮性の無い服を着ると服に胸が圧迫されてキツイ。俺がいつも着ているシャツもそうだが他の部分は余裕があるのに胸だけボタンがはち切れそうな程にぱっつんぱっつんになる。前はタンクトップの上にジャージを着ていたんだがジャージも大き過ぎる胸が邪魔で閉めにくいし無理矢理ファスナーを閉め切るとこれまた胸が圧迫されて苦しいのでファスナーを閉めずに着ていたがなら上はジャージ着なくてもよくね?と言う結論に至り今の服装に落ち着いた。巨乳美少女が上着がタンクトップ一枚だけと言うのは我ながらなかなか刺激の強い格好だなと思うが仕方ない。

 

あ、でも部屋の外に出る時とかは上もジャージとかを着たり着替えたりからな?流石にこの格好のまま外を歩こうなんて思わない。余り同室のティスや9A-91に着替えているところを見られたくないので俺はそそくさと着替える。ジャージのズボンを脱ぎタイトスカートを穿き、次に胸と同じく無駄に肉付きの良い足とお尻にタイツを通す。悲しいことにこうしてタイトスカートを穿いたりするのにはある程度慣れてしまった。最初の頃は苦戦していたタイツも今では問題なく履けてしまっているし。だがまだ慣れないのもある。それはシャツのボタンを留めることだ。先程も言った通り伸縮性の無いシャツは胸のせいでぱっつんぱっつんになる訳で、ボタンを留めるのも一苦労だ。

 

そんなこんなで着替えが終わって最後にシャツの襟の下にリボンネクタイを通し喉の前で結んだ。それから少ししてセットしてあった目覚ましのアラームが鳴った。隣の二段式ベッドの上からごそごそと物音がする。ティスがまだ眠たそうに目を擦りながら体を起こすと「ふわぁ〜」と大きな欠伸をした。

 

「おはよ・・・」

 

「おはよう」

 

寝ぼけながらも俺に挨拶をしてくれるティス。寝ぼけてぼーっとしているティスの姿は可愛い。それに今のティスは普段とは違い髪を結んでいない。だから何だと言う人もいるかも知れないがティスの三つ編み解いたロングヘヤー姿は「え、誰ですか?」と成る程印象が変わる。初めてこの姿を見た時は朝日がバックになっていたこともありまるで天使に見えた。いやマジで。そしてこのロング姿を見て改めて分かったが彼女の髪は結構長い。彼女のお尻辺りまである。俺の髪は男の時よりは長くなったがそれでもショートなので特に問題は無かったがティスのこの長い髪は洗ったり手入れしたりするのが大変そうだなぁと思う。

 

ゆっくりとした動作でベッドから降りて来ると上下ジャージ姿のティスはこれまたゆっくりとした動作で着替えを始めた。だが何の前触れもなくシームレスに俺の目の前で着替え始めたので心の準備も何もしていなかった俺は驚いた。割と胸の大きい戦術人形達が周りに多いせいで余り目立っていないがティスの胸は巨乳・・とまでは行かないかも知れないがなかなかに大きい。

 

そしてティスは上着を脱ぎその形の良い乳を大胆にも曝け出した。ノーブラだったので勿論上着を脱いだと言うことはその生乳が俺の目の前に出現する訳だ。動揺する俺とは対照的に無表情のまま着替えを続けからティス。まぁ向こうからすれば女同士だし胸を出してもいっか。みたいな感じなんだろうな。

 

だが童貞である俺はその生の胸を直視なんて出来る訳がなく自然を装って視線を別の方向に逸らした。女の子が着替えている部屋に一緒に居ると言う状況に耐えれそうになかった俺は先に部屋から出ようとシャツの上から黒色のジャケットを着る。最近知ったがこのジャケットは警察のジャケットをモデルにしているらしい。何故かと言うとこのVSK-94の元となった人形が警察で使われていたからだとか。ジャケットを着た俺はティスに「先に行ってるね」と言ってから部屋から出ようとドアノブを掴んだ瞬間、「待って」と言われた。流石にこのまま無視して出て行く訳にも行かないので俺はドアノブを掴んで前を向いたまま「何?」と聞いた。後ろに振り向く勇気は俺には無い。

 

「一緒に行こう?」

 

「・・・・分かった」

 

俺は少し悩んだがティスが着替えを終わるまで待つことにした。美少女に「一緒に行こう」と言われてそれを断れる男なんて居ないだろ?俺は自分のベッドに座り気を紛らわす為に前に暇潰しの為に買って読み終わっていた雑誌を読む。服の脱ぐ音や逆に着る音が妙に大きく聞こえて来る。その音を聞いてうわぁマジで俺の目の前で美少女が着替えをしているんだぁと思う。

 

少し気になってしまし読んでいた雑誌から少し視線を上にずらして9A-91の姿を見てみた。既に上も下も着替え終わった様でいつもの服装になっていた。そして今はニーソを履こうとしているところだった。その光景を俺はじっと見てしまう。ティスの程良い肉付きの足にニーソを履く姿はただニーソを履いていると言うだけなのにとてもセクシーに見える。暫く見てみるとティスが俺の視線に気が付いた様でこっちの方に見て来た。

 

「何?」

 

「い、いや、何でもないよ!」

 

ティスは特に怪しんだりする様子も無く着替えを続けた。ニーソを履き終えたティスは最後にその長い銀髪の癖っ毛を慣れた手つきでテキパキと三つ編みに結んで行く。難しそうな結び方なのによく1人で出来るなぁと感心してしまう。だがやはりあの長さの髪を結ぶのは時間がかかってしまうらしく全部結び終えるまでに数分掛かった。

 

「行こ」

 

準備を終えたティスが俺の方にやって来てそう笑顔で行って来た。その少しだけ微笑みながら言う姿はとても可愛い。こんな彼女か幼馴染が欲しかったなぁ。

 

ティスと一緒に食堂に向かっていると廊下で9A-91と出会って一緒に食堂に行くことになった。9A-91に何処に行っていたのか聞いてみるといつも5時頃に起きて基地の周りをランニングしていたらしい。俺はそんな早朝に起きてランニングする気にはなれないな。そんなこんなでいつものメンバーで朝食を食べていると放送で俺達の名前が呼ばれた。新しい訓練をするらしい。

 


 

「と言うことで、30階建ての高級ホテルで何者かと密会するギャングのボスのフィリップ・リオスを捕まえる為に、今日から密会のある一週間後までこの後ろにある専用キルハウスで訓練を行って貰うわ」

 

今日もいつもと同じ様に訓練をするのかと思っていた俺達にFALさんざらそんな説明をした。前回のパトロール任務の時に俺達が助けた男の証言からそのリオスとか言う男の密会のことを知ることが出来たらしい。少しでも俺が役にたつことが出来て嬉しいよ。そして、FALさんに呼び出された俺達が居るのは野外演習場。俺達に説明しているFALさんの後ろには簡易的な5階建ての少し大きめのキルハウスらしき建物がある。にしてもいつの間にこんなの作ったんだ?

 

「後ろのキルハウスはその密会に使われるホテルの間取りを忠実に再現した物よ。外見まで似せて作る暇は無かったけどね」

 

確かに外見は窓のある長方形の白い手抜きの建物にしか見えないな。粗方FALさんから説明を受けた俺達はFALさん率いるアルファ部隊とJS9率いるブラボー部隊の2つに分かれてからから詳しい説明を受けた。アルファ部隊に振り分けられた俺はFALさんから行動内容を聞いてびっくり。屋上からラぺリング降下して外から護衛を狙撃して排除してブラボー部隊を援護するのごアルファ部隊の仕事らしい。ラぺリングは関連の時に少しだけやったんだがあれ怖いんだよな・・・いや、別に俺は高所恐怖とかではないだけどな。ロープ1本に身を任せて高所から降下するなんて普通に怖いだろ?

 

「貴方がVSK-94ね?」

 

「はい。よろしくお願いします。OTs-14さん」

 

同じアルファ部隊に振り分けられたOTs-14に初めて会った俺は彼女に挨拶をしようかとしているとそれよりも先に彼女の方から声をかけて来た。彼女の第一印象はカッコ良くて綺麗な女性。身長も高くてスタイルも良く、キリッとした表情は元男の俺でもカッコいいと思ってしまう。

 

「えぇ。よろしく。それと、私のことはグローザで良いわ」

 

「分かりました」

 

正直一々OTs-14って言うのは呼び難くかったからグローザって言う方が呼び易くて良い。

 

「グローザさんは夜戦の女王って呼ばれるくらい夜戦が強いんですよ」

 

「へぇ〜そうなんですか」

 

9A-91が説明してくれたが夜戦の女王って言う呼び名までなんだかカッコいいな。そして綺麗でカッコいい彼女にピッタリな呼び名だと思った。そう言えば今回の任務の実行時間も夜だったな。

 

「まぁ今回の任務はブラボーチームがメインだから私の活躍する暇は殆ど無いだろうけどね」

 

「撤退時は私達がブラボーチームの援護に回ることになるから貴方達の出番はしっかりあるわ」

 

さっきのFALさんの説明だと俺達アルファチームは屋上からラペリングで目標の居る27階まで降下し、外から迅速に護衛を撃ち無力化させる。それと同時に非常階段から上がって来て部屋の前で待機していたブラボー部隊も突入し迅速に護衛を排除して目標を確保。この時俺達アルファ部隊も室内に突入する。そして目標を確保したブラボー部隊を俺達アルファ部隊が援護しつつ屋上に登り迎えに来たヘリで逃げる。と言うのがこの作戦の大まかな流れ。

 

「それは楽しみね」

 

グローザと簡単な挨拶も済ませた俺は早速訓練を始めることとなった。先ず俺は他の皆とは違いラペリングは基礎しか知らない状態だったのでグローザからラペリングの方法に付いて説明を受けつつ練習をした。ハーネスを付けたりカラビナとか言うヤツを付けたりと色々と装備を付けた。ラぺリングに必要な装備の付け方やそれらの使い方を改めて教えて貰いちゃんとそれを改めて理解した俺はラぺリングの練習をグローザにアシストしてもらいながら始めた。簡単そうに見えるラペリングだが実際にやってみて思っていたより難しい。俺が今苦戦している拳銃の射撃練習より難しいんじゃないかと思う程だ。それに分かってはいたがやっぱりロープ(ザイル)一本に身を任せるってのは怖い。今は5メートルの高さで練習しているんだがたかが5メートルと侮るなかれ。これは実際に体験してみないと分からないと思うが5メートルでも結構高く感じて怖い。しかし怖いからと言ってそう簡単に練習を中断出来ない。そもそもFALさんも言っていたがそんなに休んでいる暇もない。俺が今回の任務を遂行する部隊の隊員の一人として選ばれたってことはある程度俺は指揮官やFALさん、グリズリーさんなどから機体されているということだ。悲しいことにまだ普通の男だった頃の俺は誰かに期待されるなどといったことは経験したことがない。もしかしたらあったのかもかも知れないが俺の記憶にはない。だからなのか今俺は不思議と頑張ろう!と言う気持ちになっている。最初の時は|この体≪戦術人形≫になったことを恨めしく思っていたが今は少しだけ、戦術人形になって良かったかもな。と思っている。

 

「あっ・・ぎゃッ!」

 

そんなことを考えていたらロープを掴んでいた右手の力が抜けてしまい5メートル下のマットの敷かれた地面に落下してしまった。落ちた衝撃で胸が大きく上下左右に揺れ動く。

 

「だから言ったでしょう?右手は絶対に離さない様にって。時間が無いの。集中して」

 

マットの上に倒れろ俺を見下ろす様にしてグローザは俺に注意した。こうしてグローザと一緒に練習して分かったが彼女はその見た目通りのクールで厳しい人だ。さっきから俺は要領が良くないせいでグローザに怒られまくっている訳だが今回は自分のミスに感謝した。なぜかと言うとさっきも言った通り今俺は上から落ちて仰向けで倒れていてグローザはその俺に近づいて俺を見下ろしている。つまり今の俺はグローザのスカートの中が思いっきり見えてしまっているのだ。ふむ・・・黒か。まぁクールな彼女らしい色だな。よく似合っていると俺は思う。しかしいつまでもソレを見ていたら本人にバレてしまうので見たい気持ちを抑えて俺は立ち上がった。

 

「すいません。次から注意します」

 

煩悩を捨てて俺は再びラペリング練習に集中する。

 

ある程度出来る様になるとグローザのアシスト無しの1人で俺はラペリングをすることになった。ぎこちない動きで慌てず、慎重に降りて行く。にしてもラペリングは降りる際にジャンプする様にして降りるんだがその度に胸が揺れ動くのが気になってしまうし邪魔だ。逆さになりながら銃を構える練習をやった時は胸が口の近くにまで垂れて来た時は自分でも驚いた。それを見ていたグローザも驚きと呆れが混じったような表情をしていた。クールなイメージのグローザの珍しい表情が見れたのは良かったがそれ以上に恥ずかしかった。気を取り直して次は横になった状態で銃を構える練習をしたがこの時も胸が邪魔をした。左側を下にした状態では特に問題は無かったのだがその反対、右側を下にした時に問題が発生した。俺は右利きなので銃を構える時は右の肩にストックを当てるのだが、右側を下にして横になった時、重力にやって胸も右に垂れて来る。普通にしている状態でも胸が大き過ぎてストックを肩に当て難いって言うのにこうして右側に乳が垂れて来ると完全に右肩は胸に邪魔されてストックを肩に当てることが出来なくなってしまった。つまり銃を構えることが出来なくなるのだ。これには流石のグローザも苦笑い。俺も改めてこの体の胸の大きさを思い知り苦笑い。

 

「まぁ横や逆さまになって撃ったり降下することはあまり無いから気にしないで良いわよ」

 

グローザは恥ずかしがる俺に気を使ってくれた様でそう言ってフォローしてくれた。まさかこんなところにまで胸の邪魔が入るとは・・・。

 


 

朝の7時から始まっていた午前中の訓練は予定より少し伸びたものの無事に終わり待ちに待った昼休み。午後からも訓練の続きがあるから頑張らないとだなーと思いつつ食堂に向かった俺は9A-91とティスの2人と一緒に昼飯を食べる。何だかんだでこの2人と飯を食べるのがお決まりのパターンになっている。9A-91はとても面倒見が良く俺のことを気にかけてくれていて、色々助けてくれるから有り難い限りだ。本当に姉みたいだなと思ったりすることもしばしばある。

 

「ラペリング訓練の調子はどうです?」

 

「やり方はある程度覚えたけどまだまだ思い通りには動けないね」

 

前にも言ったが直ぐに色々なことを覚えることが出来るのは戦術人形の良いところだ。専門用語や銃の扱い方などなど色々なことをここでは教えられるがそれを全部覚えるのは人間の頃の俺だったらかなり苦労していただろう。

 

「それにちょっと怖いんだよなぁ・・・」

 

「高い所が苦手?」

 

俺の呟きが聞こえていたらしくティスが聞いて来た。でもここで高い所からラペリング降下するのが怖かったって言ったら格好がつかないな。

 

「いや、そう言う訳じゃないんたけどね。何て言うか・・・」

 

「別に強がらなくても良いですよ。人形にだって得意不得意は有りますから」

 

優しくフォローしてくれる9A-91。マジ天使。でも彼女の優しさに甘えてしまうのも良くない。こんななりをしているが俺は元男だ。美少女相手に意地だって張りたい。

 

「いや、本当に大丈夫だから。ちょっとラペリングに慣れていないせいでてんやわんやしちゃってるだけ。直ぐにマスターして見せるよ」

 

「無理はしないで下さいよ」

 

「分かってる。心配してくれてありがとう」

 

「一応私は貴方のお姉ちゃんですから」

 

そう言って9A-91はニコッと可愛らしい笑顔をこちらに向けた。その笑顔だけで俺は午後の厳しい訓練をやってのける元気を貰った気がするよ。チクショー。カメラとか持って来れば良かった。この彼女の笑顔を撮って俺の一生の宝にしたいくらいだ。そう思うくらい彼女の笑顔は可愛らしくそして優しさに満ち溢れている。

 

「よぉ。隣良いか?」

 

9A-91の笑顔に見惚れていると隣から声をかけられた。その方を見てみるとトレーを持ったKS-23が立っていた。俺は「良いよ」と言うとKS-23は空いていた俺の右隣の席に座った。

 

「そっちのチームの調子はどうな感じだ?」

 

「今の所は特に大きな問題も無く順調です」

 

「そりゃ良かった。そう言えば、さっきチラッと見たんだが苦労しているみたいだな。お前。どうだった?」

 

どうやら俺がラペリング練習をしていた所をKS-23は見ていたらしく俺に聞いて来た。

 

「ラペリング練習にちょっと苦戦中」

 

「みたいだな。何なら俺が教えてやろうか?」

 

「KS-23はラペリング出来るんだっけ?」

 

「おう。出来るぜ。まぁと言ってもそこの2人やグローザみたいに素早く正確に動き回ることは出来ないけどな」

 

真面目で優秀な9A-91はラペリングも上手いのは勿論のことティスも意外に成績優秀だったりする。いや、意外に言って言うのはティスに失礼か。普段こうして喋ったりする時はちょっとダウナーチックな感じなんだが訓練の時とかになるとその印象とは裏腹に冷静に素早く確実に相手を倒し任務をこなす。

 

「そのグローザに教えてもらっているからね。KS-23の出る幕は無いよ」

 

「そりゃ残念」

 

「そう言うそっちの調子はどんな感じ?」

 

「まぁいつもやっているCQB訓練と余り変わらないな。俺は他の奴らと違ってショットガンだから特別にM500が教官として来てくれてるんだ」

 

「M500?それってリボルバーの?」

 

M500と言えばあの世界最強と謳われる50口径と言う大口径の弾を使用する大型リボルバーが思い浮かぶがソレを使う戦術人形なんだろうか?と思ったがKS-23は首を横に振った。

 

「いや、S&WのM500じゃなくてモスバーグのM500だ。俺と同じショットガンだよ。知らねえのか?」

 

成る程。ショットガンか。だが俺はショットガンのことは良く知らないからM500って言うのがどんなショットガンなのかは分からない。

 

「知らない。どんな人?」

 

KS-23は「う~ん」と顎に手を当てて考える様な仕草をする。

 

「イケイケアメリカンな感じの奴だな」

 

「いやどう言う感じ?」

 

イケイケアメリカンな感じと言われてもどう言う感じなのかいまいちよく分からん。

 

「M500さんはとても元気で金髪の髪と頭の上に生えている獣耳と尻尾が生えているのが特徴の娘ですね」

 

「なるほど」

 

9A-91が分かり易く説明してくれたがなるほど、獣耳娘か。ここの基地に所属する戦術人形の中には獣耳を生やした娘が何人か居ると聞いていたがまだ実際に見れてはいないからそれは是非とも見てみたいな。

 

「あ、そうだ。お前IDWは見たことあるか?」

 

「実際に会ったことはないけど写真で見たことがある」

 

「それなら話は早い。IDWが成長した感じだ」

 

「なるほど。ある程度想像出来た」

 

IDWは皆と話している時に時々話に聞く娘だ。元気いっぱいに走り回り大きな声で騒ぐネコの様な娘だと聞いている。前に見た写真でもそんな感じの娘だろうなと言うのは分かる。恐らくM500はIDWと同じく元気のある人なんだろうな。

 

「多分今ここに居ると思うぞ?」

 

そう言ってKS-23は辺りをキョロキョロと見渡す。俺も同じように辺りを見渡してみるがそれらしき人は見当たらない。

 

「あ、いたいた。おーい!」

 

でもKS-23がM500を見つけた様で食堂の返却口の方に向かって手を振った。その方向を見てみると茶色のジャンパーを着た金髪の女性が居た。後ろ姿しか見えてないが多分彼女で間違いないだろう。そう確信できたのは彼女の特徴的な見た目のお陰だ。彼女の頭の上には耳が生えている。綺麗で長い金髪と同じ金色の耳。人間の耳とは生えている位置も形も違うその耳はどう見ても獣耳だ。更に彼女の履いているホットパンツの上からは同じく髪と同じ金色の尻尾が飛び出していた。飛び出した尻尾によってホットパンツが押し下げられてお尻と言うか尻尾が出ているであろう尾骶骨辺りが見えそうになっているのがなんだかエロい。獣耳に尻尾、そして金色の髪。さっき9A-91の言っていた特徴と一致するし間違いないだろう。

 

KS-23の呼ぶ声に彼女は反応したようで頭の上に生えている獣耳がピクリと動くとこっちの方に振り向きそのままこっちに歩いて来た。どうやら彼女がM500で間違い無い様だな。後ろ姿では分からなかったがジャンパーの下は白色のシャツを着ていたのだがM500はそのシャツの下を縛っているせいでおへそがまる見えなのが少しエッチだ。確かに9A-91やKS-23の言っていた通りIDWを大きくしたような見た目だ。IDWの姉だと言われても違和感は無いな。だがIDWと決定的に違うのはそのスタイルの良さだ。すらりと伸びた生足はとても魅力的で丈の短いホットパンツのお陰でその肉付きの良いムチムチな太ももがほぼ全部見えているのがとても良い。男達の視線を集めること間違い無しだろう。実際俺の視線はその太ももに向いてしまっている訳だし。

 

太ももだけでなくそのシャツを押し上げている胸も充分に大きく巨乳の部類に入るだろう。しかし自分で言うのも変な感じだが自分の胸の方が大きい様に見える。ここに来て1週間と少し経ち分かったがこの体の胸の大きさはここに所属する戦術人形の中でも上位に入る様だ。俺以外にも俺と仲の良いKS-23やMicro Uziなど巨乳と言える大きな胸を持つ戦術人形達を何人か居るがその人達でも俺の胸程の大きさは無い。このVSK-94と言う戦術人形を設計した奴には何でこんなに胸を大きくしたのか問い詰めたいよ。

 

あぁそれと、彼女の太ももが良いと言ったが太ももの悩みもある。この体、この大きな胸ばかりに注目されがちだが太ももやお尻などの肉付きが良い豊満な体型なのだが胸ばかりを気にしていた俺は太ももやお尻の肉付きの良さが今になって気になり始めていた。ムチムチなナイスバディーの女性は俺も好きだが自分がなりたかった訳では無い。このデカパイの様に生活に支障をきたしていると言うことでは無いが歩いている時に太ももの肉同士が擦れたり、座り込んだ椅子の上でお尻の肉がむにゅっとたわんだりした時とかに嫌でも意識してしまい自分で恥ずかしくなることがある。この胸といい太ももやお尻の肉付きと言い絶対この体を作った奴は自分の性癖をそのままぶち込んだだろ。

 

「呼んだ?」

 

そんな尽きる事のないこの体の悩みを思い出しているM500が俺達の目の前に来ていた。KS-23が今までの経緯を説明するとM500は俺の方を向いた。

 

「ハロー!貴方が最近入った新人の娘ね。私はモスバーグのM500よ。これから宜しく!」

 

そう言ってM500はVサインを作ってニコッと屈託の無い明るい笑顔を俺に向けて来た。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「VSK-94です。宜しくお願いします」

 

俺もM500に軽く挨拶するとM500は俺をじっと見て来た。いや、正確には俺の胸の方をマジマジと興味深しげに至近距離で見て来ている。

 

「にしても貴方胸が大きいわね〜。私も胸の大きさにはある程度自信があったんだけど、上には上が居たわね。触っても良い?」

 

「え⁉︎え〜っと・・・」

 

まさか初対面で胸を触っても良いかと聞かれるとは思っていなかった俺はどう答えれば良いか分からず混乱してしまう。え、これってどう言う反応をすれば良いんだ?触らせるのか?

 

「おいおい、いきなりそんな事を言うからVSKが反応に困ってるぞ」

 

「アッハハハ!良い反応するわね。今のはジョークよジョーク。本当に触ったりはしないから安心して」

 

「は、はぁ・・・」

 

何というかテンションの高い人だな。俗に言う陽キャな人だ。別に陽キャが嫌いな訳では無いがどっちかと言うと陰の方である俺はちょっとそのテンションの高さに付いて行けない。

 

「私はショットガン使いだから正確な射撃の方法とか遠距離狙撃の仕方とかは分からないけどCQBとかCQCなら色々と教えれるから困った時は頼ってよ」

 

「分かりました」

 

M500と会話しながら彼女の頭の上にある獣耳を見る。こうやって本物の獣耳が生えている戦術人形を見た訳だがちょっと感動している。カチューシャなどの装飾品ではなくちゃんと頭から生えているのが見て分かる。尻尾の方も同じ様に付け物とかじゃなくてちゃんと生えていて触ったらモフモフしているんだろうなぁと言うのが見て分かる。

 

「・・ん?何?もしかしてこの耳と尻尾が気になるの?」

 

「あ、すいません。マジマジと見てしまって」

 

「謝らなくて良いよ。別に気にしていないから。珍がる気持ちも良く分かるしね。何なら触ってみる?」

 

そう言ってM500は自身の頭の上に生えている獣耳を指差した。本人の了承があるとは言え初対面の人の耳をいきなり触るのはどうなんだ?だが、獣耳美少女の獣耳を触れる大チャンスでもある。もしかしたらこの気を逃したら2度と触れる機会が無くなるかもしれない・・・。だが、ここで「触らせて下さい」とか言うのはやっぱり変な奴と思われるかもしれない。9A-91とかからジト目で見られてドン引かれた日には立ち直れないかも知れない。くそ・・・どうする⁉︎実際の時間で数秒足らずの間に俺は頭の中で色々と考えそして散々考え遂に答えを決めた。

 

「じゃぁ・・・ちょっとだけ・・」

 

結局俺は欲望に負けてしまった。だって目の前に本物の獣耳が合ってそれを触って良いって言われているんだぜ?そりゃ触るだろ。M500は特に嫌な顔もせずに「良いよ」と笑顔で言うと俺の目の前でしゃがんで座っている俺が触り易いように高さを合わせてくれた。

 

「失礼します・・・」

 

唾を飲み込み恐る恐るゆっくりと彼女の獣耳を触る。俺の若干震える右手が耳に当たるとそれに反応したのか耳がピクリと動いた。それに驚き一度手を離してしまったが俺は意を決して彼女の獣耳を優しく触った。想像通り・・いや、想像以上にその耳はもふもふしていてとてめ触り心地が良かった。

 

耳の内側を触ってみるとここももふもふしており触り心地が良い。いつまでも触っていたくなるな。耳自体はふにふにとした感触でそれを覆っている髪と同じ綺麗な金色の毛はふさふさしている。俺は夢中になって触りまくっていたが突然M500が「ん・・・んんっ・・・」と少し色っぽく聞こえる小さな声を上げたので俺は我に帰り触るのをやめた。

 

「す、すいません。大丈夫ですか?」

 

「ごめんね。耳の内側はちょっと敏感なの」

 

と、申し訳なさそうにM500は謝って来た。怒ったりはしていない様だが悪いことをしてしまった。しまったな。つい夢中になってしまった。

 

「それじゃぁ、耳を触らせた代わりに貴方の胸もちょっとだけ触らせてよ」

 

「え⁉︎」

 

驚く俺に対してM500は悪戯っぽく笑う。おいおいそんなの聞いてないぞ⁉︎

 

「まさかタダで私の耳を触れる何て思ってないでしょうね?」

 

「それは・・・えっと・・・・その・・・・・」

 

「あ、一応言っておくけど本気で嫌なら私も無理には触らないわ」

 

別に嫌と言うわけではないのだが・・・普通に恥ずかしい。赤の他人に自分の体の一部を触られるんだから誰だって恥ずかしいだろう?それに俺自身、さっきM500の耳を触りまくったから断り辛い。昔、義母が言っていた「良いことも悪いことも。自分がやったことはいつか自分に返って来る」と言う言葉を思い出す。今の状況が正にそれだ。やっぱり母さんの言うことは正しかったな。断る理由も見つからず俺は恥ずかしさから顔を伏せながら小さな声で「良いですよ」と言ってしまった。

 

「やった♪じゃぁ失礼して」

 

M500は両手で優しくシャツ越しに俺の胸に触れ、そして「おぉ〜」っと感激したかの様な声を出した。続いてM500は胸をもにゅもにゅとゆっくりと優しく揉んで来る。優しく触れてくれているお陰か揉まれても特に痛くも痒くも無いが揉まれている俺は恥ずかしくて堪らない。9A-91やティス、KS-23などから揉まれている姿を見られてしまっているしこのままだと恥ずか死ぬ。多分今俺の顔は真っ赤になっているだろうな。顔が熱い。

 

「触り心地良いわね〜マシュマロみたい」

 

「そ、そうですかね?」

 

胸の触り心地が良いって言うのは褒め言葉なんだろうか?いやこれどう言う反応すれば良いんだよ。教えて!エロい人!恥ずかしさで顔を真っ赤にしつつ耐えること約20秒弱。その間ずっと俺はM500から胸を揉まれ続けた。

 

「ありがとね!とても良かったわ!」

 

と笑顔でお礼を言って来たM500に対し俺は未だに赤い顔のまま「そ、それは良かったです」と言った。ちゃんとした受け答えになっていなかったかもしれないが今の俺にそんなことを気にする余裕は無かった。

 

「へぇ〜そんなに良いのか?じゃぁ俺も」

 

「ちょ⁉︎」

 

やっと終わったと胸を撫で下ろそうとしたのも束の間、KS-23が興味津々と言った様子で俺の制止も聞かずに乱暴に胸を鷲掴みにして来た。乱暴にと言っても揉む力はそんなに痛くはなかったがM500と違って遠慮が無い。

 

「はぇ〜こりゃすげぇ。これを枕にしたらよく眠れそうだ」

 

「KS-23さん。表現がおじさん臭いですよ」

 

KS-23の感想に9A-91が突っ込んだ。と言うかさっきから9A-91が恨めしそうな視線をこっちに向けながら昼飯を黙々と食べているのがちょっと怖い。

 

「わたしも触る」

 

「ちょ⁉︎ティスまで⁉︎」

 

何故かティスまで加わりティスが左乳、KS-23が右乳を触って来ると言う状況になる。

 

「いや、ちょ!ちょっと⁉︎触らないでもらえます⁉︎」

 

「別に良いじゃねーか。俺とお前の仲だろ?それに減るもんじゃねーし」

 

「こっちのSAN値が減る!」

 

「柔らかい。ふにふにしてる」

 

「ティスもやめて⁉︎」

 

2人は俺の抗議の声を無視して胸を揉み続ける。ティスの方は揉むだけでは飽き足らず人差し指で突っついたりし始め、それを見たKS-23は胸にどれだけ指が沈むのかとか言うよく分からん実験を始める。

 

「すっげ!第二関節まで余裕で沈んだぞ!」

 

「私だって第二関節まで沈みますけど?」

 

と、自分の胸に自分の人差し指を突き刺す様にして何故か対抗する9A-91。いやいや、それ絶対無理してるよね?そんなに無理矢理胸に指突き刺したら痛いんじゃない?そんなこんなでわちゃわちゃしていたが流石にこの状態は恥ずかし過ぎて限界に達した。

 

「はい、終了!もう終わり!」

 

そう言って俺は2人を少し強引に振り払うと昼飯の残りを口の中に掻き込み、勢い良く立ち上がる。勢い良く席から立ったことにより胸がぶるんと上下に揺れた。それを見たKS-23やM500は「やっぱり大きいな(わね)」と呟いた。

 

「っ、次の訓練の準備をして来ます!」

 

そう言って俺は逃げる様にそそくさと食堂を後にした。全く・・酷い目に遭った。まだこれから午後の訓練があるって言うのに今のやり取りでなんだか疲れた。まだ次の訓練まで時間があるし、部屋でゆっくりするか。だんだんと皆と仲良くなって気兼ね無く話したりすることが出来る様になって来たのは良いが今みたいなボディータッチが増えて来るのは堪えるなぁ。俺の理性が耐えられなくなるかもしれない。まぁ大切な仲間である彼女達に手を出したりするつもりは一切無いがな。

 

何はともあれ、これからも俺の苦悩は続きそうだ。




VSK-94が出て行った後の食堂。

M500「ねぇ気がついた?」

KS-23「あぁ。逆に気が付かない訳がないだろ」

M500&KS-23「アイツ(彼女)ノーブラだったな(わね」」

と言うことでいかがでしたでしょうか?本編でも書きましたがOTs-12ことティスちゃんは意外と胸が大きいんですよね。私はティスちゃんの夏衣装を見てその胸の大きさに気付かされました。

そして何故今回M500が登場し挿絵も登場したかというと私の推しの1人だからです。特に太ももが好きですね(隙あらぼ自分語り)

そして!pixivでイラストを投稿している「小作人 小鬼のブリ」さんがこの小説のファンアートを描いてくださいました。本当ありがとうございます!


【挿絵表示】


こちらが小鬼のブリさんのページです。興味のある方は是非見に行ってください!https://www.pixiv.net/users/65814169


次回は室内戦闘、CQB訓練の話がメインになる予定です。次回も楽しみに!

そしていつもご感想や誤字報告をしてくださる皆様、本当にありがとうございます!いつも感想を読んでモチベ向上に繋がっています。

ご感想お待ちしております!


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第8話 CQBとたわわチャレンジ

お待たせしました!第8話です!今回は時間があったので早めに書き上げることが出来ました。

気がつくと評価バーが赤色になっていてビックリしました。そしてお気に入り登録者も100人を突破!皆さん本当にありがとうございます!今後も皆様のご期待に応えれる様に頑張ります!

そしてコロナにお気をつけて!


R25地区の基地内にあるブリーフィングルーム。ドアには「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた紙が貼られ室内には前と同じ様にジャクソン指揮官と副官のグリズリー、そしてFALとFMG-9とJS9の5人が集まっていた。

 

「最近のフィリップ・リオス動向は?」

 

ジャクソン指揮官の問い掛けにタブレットを持っていたFMG-9が答える。

 

「特にこっちの動きに感づかれた様な様子はありませんねー。密会の方も予定日や場所に変更は無いみたいです」

 

「悟られていないなら良かった。グリズリーの方は警察とのコンタクトはどうなった?」

 

「それはもうバッチリ。作戦実行日にはリオスにバレない様にしつつ周辺を封鎖する手筈になってる。もし逃げられたとしてもヘリを使わない限りは逃げられないわ。他にも作戦実行日はこっちに情報を流してくれるそうだしバッチリよ」

 

「分かった。リオス関連で新たに分かった情報はある?」

 

「護衛の数は最大20人になりそうかも。状況によってはもっと数が増える可能性もあるね。武器の方も最近撮られた映像とかネットで書かれていた目撃証言とかを調べた結構色々な装備を持ってるってことが分かった」

 

「どんな武器を持ってたんだ?」

 

「まず作戦実行日にも使用される可能性が高い物の1つがPP-91ケダールって言うサブマシンガン。ロシア製の古いサブマシンガンなんだけどコンパクトで毎分1000以上のレートでを撃てる火力があるから重宝しているみただねー。でも弾があんまり貫通力の無い9ミリマカロフ弾だからちゃんと防弾チョッキとかを着とけば大丈夫かな」

 

FMG-9が説明に合わせてタブレットを操作して巨大スクリーンに実際にpp-91を装備しているリオスの部下の写真やpp-91と言う銃とその銃に使われる9×18mmマカロフ弾ついての情報などが書かれた画像などが表示された。

 

「他に使用率が高い武器でグロック系統の拳銃があるけど人によってはベレッタ92とかP220シリーズを使っているみたい。そしてもしかしたら使われるかも知れない武器にACE-21やAR-15系のカービンライフルがあるね」

 

スクリーンに実際に過去の事件などで使用された際の映像とその映像から切り取った高解像度の写真などが出て来た。サイト類やレーザーサイト、フォアグリップなどのアタッチメントは一切付けられていないスッピンの状態だが5.56ミリ弾をフルオートで撃てれるというのは下手な防弾チョッキなどは貫通する威力がありかなりの脅威になる。

 

「他にもM820みたいなショットガンとかM79グレネードランチャーとかのゲテモノも持っているみたいだけど流石に作戦日に持って来ることは無いだろうね~」

 

「あ、それと手榴弾を持って来るかも知れないから気を付けた方が良いかも」

 

「少なくとも拳銃やサブマシンガンで武装している可能性が高いんだね。じゃぁ訓練は相手がアサルトライフルやサブマシンガンで武装していることを前提としたものにしておいてくれるかな?」

 

「分かったわ」

 

「訓練の方の進捗状況はどう?」

 

「私が担当しているアルファ部隊の方は特に大きな問題点も無く順調に進んでいるわ。貴方が心配していたVSK-94も訓練を頑張っているわ。他の戦術人形よりは成長速度が遅いけど問題ないレベルね」

 

アルファ部隊の隊長を勤めているFALがジャクソン指揮官に説明をした。VSK-94はFALの言う通り他の戦術人形と比べて訓練での成長速度は遅かったが戦術人形ごとに差異はあるのでFALは特に問題は無いと考えていた。

 

「私の方も特に問題は無く訓練は順調に進んでいます。KS-23はM500の指導もあってなかなか良い動きをしていますね」

 

ブラボー部隊の隊長を勤めるJS9の方も同じ様にジャクソン指揮官に報告する。アルファ部隊もブラボー部隊も特に大きな問題も無く訓練は滞りなく順調に進んでいた。

 

「問題が無いのは何より。残り3日だから出来るだけ完璧に近い状態にまで持って行ってくれ。問題点はなるべく潰して、万全の状態で挑むぞ。皆んな残りの日も頼む」

 

「「「了解」」」

 


 

訓練が始まってから4日が経った。ラペリングはある程度出来る様になって来た。だがラペリングだけが上手くなっても意味は無い。室内戦の訓練も同時に進めていた。更に実戦では夜間での作戦活動になるからと言うことで訓練は昼と夜に行うようになっていた。そう言うことで今俺達が訓練を行なっている時間は午後8時。日もすっかり落ちた夜だ。俺達アルファ部隊はラペリング降下して窓の外から部屋の中に突入し入り口から突入したブラボー部隊と挟み撃ちにして目標の護衛を撃って無力化するのが俺達のアルファ部隊の仕事だ。そしてこの訓練は俺達アルファ部隊が窓ガラスを割って室内に入って目標の護衛を倒した後目標を確保し、そして敵の増援を倒しつつ屋上まで撤退すると言う状況を想定した訓練だ。

 

俺達はラペリングしている状態からスパイ映画とかでよく見る様な感じで窓ガラスを割ってハーネスに付けているロープを外して銃を構え敵を排除すると言うこの面倒くさく複雑な動作を慌てず、急いで、正確にやらないといけない。俺は他の皆と一緒に多少もたつきながらもラペリング降下する。ふと無意識に下の地面を見ようとしてしまうが胸が視界を塞ぎ地面は殆ど見えなかった。だがもしこれで地面を見てしまっていたらビビってしまっていたかもしれないからこの時ばかりは胸に感謝した。右手でロープを落ちないようにしっかりと握りながら俺は所定の位置、目標のいる部屋の所まで何とか降下することが出来た。右手でロープを握りつつ俺はVSK-94を構える。狙撃のタイミングは階段から目標の部屋の目の前まで登って来ているブラボー部隊に合わせる。

 

「こちらアルファ6(シックス)。突入準備良し」

 

俺も含めた全員の準備が整ったことを確認したアルファ部隊の隊長であるFALさんがブラボー部隊に連絡する。

 

《こちらブラボー6。ブリーチング準備良し。3カウントで行く》

 

「了解。ブリーチングと同時に突入する。全員準備!誤射に注意して!」

 

FALさんも言っていたが俺達アルファ部隊はブラボー部隊がドアを破壊するのと同時にこっちも突入する。ただし高層ビルなどの建物の窓ガラスは強化ガラスなので多少撃ったり蹴ったりしても完全に割ることは出来ない。なので俺達は直径5センチ程の小型の爆弾を窓ガラスに仕掛けた。ブラボー部隊のブリーチングと同時にこの爆弾も起爆させて窓ガラスを全て割る。

 

《3・・2》

 

俺達は窓を蹴って後ろに下がる。

 

《・・1、ブリーチング!》

 

バンッ!と言う破裂音に近い爆発音が鳴り木製のドアが吹き飛ぶ。同時に俺達も爆弾を起爆させる。パンッ!と言う小さな爆発と共に窓ガラスが粉々に割れた。窓を蹴って後ろに下がっていた俺達はブランコと同じ様に振り子の原理を利用して窓ガラスの割れた窓から部屋の中に突入。素早くVSK-94を構えて狙いを定め()の胴体に2発弾を撃ち込んだ。距離は1メートルも無いので問題なく弾は狙い通りの場所に当たった。続けてその横に居た敵に狙いを直ぐに付けて再び胴体に2発撃つ。FALさん、グローザ、RFBの3人も素早く敵を撃って倒して行く。普段娯楽室でテレビゲームをしている姿しか見ていなかったから余り想像出来なかったのだがRFBはやる時はやるってタイプの奴みたいだ。こうして訓練をしている時は他の皆んなと動きを合わせて的確に敵に弾を食らわせている。それからドアの吹っ飛んだ入り口からブラボー部隊が室内に突入し残りの敵を排除し目標を確保した。部屋の制圧を確認した俺は付けっぱなしだったラペリング用のロープを外した。ここまでは問題なく出来ていると思う。

 

VSK-94のセレクターレバーを手前の方に180度回してセミオートからフルオートに変更した。狙撃銃のクセにこの銃は何故かフルオートでも撃ててしまう。しかも発射速度は毎分700発と割と早め。参考までにAK-27の連射速度が毎分600でM4カービンが毎分700発前後だ。ぶっちゃけアサルトライフル、又はカービンライフルとして使った方が強いのでは?と思う。って言うかVSK-94の元がアサルトカービンの9A-91で、しかもこのVSK-94は9A-91と殆ど同じ銃なんだからもう実質アサルトライフルだ。まぁフルオートで撃てるのは普通に有り難いから良いんだけどな。両手両足を拘束して頭に袋を被せた目標をKS-23が背負う。ただのダミーなんだけど重さとかは中に重りをいれているから実際のフィリップ・リオスと同じ97キロの重さがある。それを背負って何も問題無さそうに動いているKS-23は結構力持ちなんだな。

 

「後ろは任せたぜ」

 

俺の耳元ででKS-23がそう言って来たので俺は「任せろ」と言ってサムズアップして見せた。ブラボー部隊が最初に部屋を出てその後に俺達アルファ部隊が部屋を出た。ブラボー部隊は目の前に次々と現れ行手を敵を瞬時に倒して行く。ブラボー部隊の9A-91やティスはあいも変わらず無駄の無い素早い動きで移動しながら敵を倒して行く。2人は言葉を交わさずともお互いが次に何をしようとするのか分かる様でアイコンタクトさえもせずに完璧な連携が取れている。

 

そしてブラボー部隊の隊長を務めているJS9って言う戦術人形はまだ直接話したことはないがこうして一緒に訓練をして戦っている所を見ていてとても強いって言うことが分かる。9A-91の話によるととても真面目で優秀な戦術人形らしくCQBは勿論、CQC近接格闘も結構強くて絞め技をなどを得意とするらしい。それを聞いて俺はちょっとその絞め技を食らってみたいなと思った。いや、別に俺は首を絞められて喜ぶドMって訳じゃ無いんだが彼女の肉付きの良い肉体を直で味わうことが出来るんじゃ?と思ったからだ。だがJS9の締め技はガチでヤバいと一緒にCQCの訓練をしたことがあるKS-23から聞いたので実際に締め技を食らったらその肉体を悠長に堪能する余裕は無さそうだ。

 

俺達は主に後ろを警戒しながらブラボー部隊の後を追う。ブラボー部隊の方ばかりに敵は出て来ていたが突然俺の目の前に敵が飛び出して来た。来るだろうと思っていたので俺は体を開きっぱなしになっていたドアに隠しつつ慌てず狙いを定めて4発撃ち込んだ。俺の横に居たグローザは流れる様に右から左へ撃ち瞬時に複数の敵を倒していた。しかも凄いのは敵1人に対してキッチリ3発ずつ当てている所だ。俺なんてフルオートで取り敢えず敵に弾を何発か撃ち込んでいるってのに。その後も俺は4人の敵を倒してそれと同時に弾切れになった。この銃、フルオートで撃てるのは良いんだが元々近、中距離用の消音狙撃ってことで作られているからマガジンには20発しか入っていない。狙撃銃として考えれば20発は充分過ぎるくらい多いんだがフルオートで撃つ分だと少なく感じる。

 

「リロード!」

 

他の仲間に知らせる為にそう言ってから俺はリロードをする。俺が撃たない間グローザが援護射撃をしてくれる。そう言えば、マガジンポーチからマガジンを取り出す際に胸が邪魔になってしまう問題だが色々試行錯誤した結果最初にMicro Uziが提案したマガジンポーチを逆さまにして下に引き抜くと言う方法で落ち着いた。ポーチの蓋を開ければポーチの中からマガジンが自重で落下して来るから取り出しも楽で良いしな。だが問題が全て解決したと言う訳では無い。

 

目線を下に向けても大きな胸が邪魔で足元が見えない訳だが、腰に付けているマガジンポーチでも同じ事態が発生している。腰辺りも胸で見えないから時々マガジンを取り出すのをミスって床にマガジンを落としてしまったりすることがある。この問題に関しては良い対処法も思いつかなかったから慣れるしかない。そう言えばKS-23から1つ余分にマガジンを持つ良い方法を思い付いたと言われて何だろうと思い聞いてみたら胸と胸の間にマガジンを挟んだらどうだと言うものだった。確かにこのクソでかい乳房ならマガジンの1つくらい簡単に挟むことが出来るだろうが絶対にやりたくない技だ。

 

リロードを終わらせた俺は再び出て来る敵を倒して行く。だが次から次へと出て来る敵に俺の処理が追いつかなかなって行く。

 

「カバーするから下がって」

 

するとそれを気づいたグローザが直ぐに援護しに来てくれた。膝撃ちの姿勢でタップ撃ちで確実に素早く敵を倒して行く。俺はその間に後ろに下がって体勢を整えると気を取り直して撃つ。

 

「来てください!」

 

次は俺がグローザを援護する番だ。フルオートはさっきも言った通り弾を沢山消費してしまうのでセレクターレバーをセミオートに切り替えて1発づつ撃って行く。その間にグローザは後ろを警戒しつつ俺の後ろの方にまで下がって来た。

 

「すいません。ありがとうございます」

 

「謝るのは後にして。今は目の前の敵に集中して」

 

「はい!」

 

グローザと共に俺は敵に攻撃を加えつつブラボー部隊が前進するのに合わせて動く。エレベーターが使える状況ならば目標を持っているKS-23と数名の護衛がエレベーターで先に屋上に行くことになっているが今回はエレベーターが使えない状況を想定して階段を登って行く。階段は一方通行だし下又は上から攻撃される恐れもあるのでななかなかに厄介な場所だ。俺達は駆け足で階段を駆け上って行く。時々色々な方向から現れる敵を倒しつつ屋上についた。演習で使っているこのキルハウスは5階建てなので俺達は3階から駆け上って行くだけなのでそんなに階段は長く無いのだが現実だとかなりの長さの階段を駆け上がる必要がある。幾ら今は戦術人形になっているとは言え屋上に着いた時には疲れ果てていること間違い無しだ。屋上で全方向を警戒していると演習終了を知らせるブザーが鳴った。本当なら俺達を迎えに輸送用のヘリコプターが飛んで来る手筈になっている。

 

俺はふーっと息を吐いた。残り時間が少ないと言うこともあり緊張感が凄い。別に不真面目にやっている訳じゃないんだけど周りの人達が凄い真剣な感じで訓練をしているからこっちも失敗しない様にと緊張してしまう。だがこうして演習が終わるとその緊張感もある程度無くなるので肩の力を緩めることが出来る。VSK-94からまだ弾の入っているマガジンを抜きコッキングレバーを引いてチャンバー(薬室)に入っていた弾も外に出す。そして最後に念の為に何も無い方向に銃口を向けて引き金を引く。勿論弾は出ない。これは完全に銃が安全なことを確認する為の動作だ。もし何らかのミスで銃の中に弾が入りっぱなしになっていたら何かの拍子に暴発してしまう危険があるからとFALさんに教えてもらった。

 

「お疲れ〜。突入して来る時のお前カッコよかったぜ?」

 

KS-23が俺の方に来てそう言って来る。あの時は失敗しない様に集中していたから自分がどんな風に見えているのか気にしていなかったがカッコ良かったなら良かった。

 

「ありがとう。そっちもそのドデカいショットガンを振り回して撃っているのはカッコ良かったよ」

 

「へへ。そうだろ?」

 

KS-23の使うショットガンはショットガンの中でも大口径の6.27ゲージ。mmで表すと23ミリ。その大きな銃口から放たれる散弾などの威力も相当なもので専用のスラグ弾を使えば数発で車のエンジンを破壊する事が出来る程。だが弾が大きいせいか装弾数は最大でも4発。しかしKS-23は素早いリロードでその装弾数の少なさをカバーしている。

 

「グローザさんもさっきのカバーありがとうございます」

 

「あれくらい普通よ。それにしても貴方がそれなりにラペリングが出来る様になって良かったわ」

 

「グローザさんの丁寧なご指導のお陰です」

 

これはお世辞とかではなく本当のことだ。グローザの訓練は厳しいが説明は丁寧で分り易い。

 

「それで満足せずに精進することね」

 

「はい」

 

「でも射撃がまだまだね。また明日教えてあげるわ」

 

「宜しくお願いします」

 

ラペリングの訓練以外にも射撃の訓練もグローザから教えてもらっている。彼女の使っている銃、OTs-14は俺が使っている銃、VSK-94と同じ亜音速弾の9×39ミリ弾を使う。なのでFALさんなどの他の戦術人形が教えるよりも上手く説明してくれる。同じ弾を使うと言うことはもしかして9A-91みたいな姉妹関係なのか?と思い調べてみたがそんなことは無かった。だが全くの無関係と言うことではなくグローザの開発コンセプトや培った技術は9A-91や俺の使っているVSK-94にら受け継がれている様だ。

 

一階に降りてキルハウスから出るとFALさんから今の訓練の評価を1人1人言われる。皆んなの様子をよく見てるよなぁといつも感心していると俺の評価が言い渡された。

 

「貴方はリロードをする時にマガジンの方に視線が向いてしまっているわ。リロードしている間もなるべく敵の動きを見ていなさい。リロードもそうだけど銃の操作は全部見らずに出来るよにして。そしてリロードはもっと早く終わらせて」

 

「了解です」

 

銃の操作を一切見ずにやれって言うのはそこまで難しい注文じゃない。この身体(戦術人形)の力なんだろうけどVSK-94はまるで自分の体の一部の様に扱える。これは実際に体験してみないと余り分からないが感覚で分かる。右腕を動かしたり指を曲げたりするのに一々その腕を見たり指を見たりしないだろ?それと一緒だ。だが人間だった頃の癖か銃を操作する際に見ながらリロードなどの操作をしてしまう。

 

そしてFALさんに言われたリロードをもう少し早くやれって言う話だがコレはさっきも言った胸が邪魔でマガジンをマガジンポーチから取り出す時に見えないってのが原因だ。コレは慣れるした対処法は無いだろうな。

 

「他は可もなく不可もないらまぁまぁって言った感じね。悪くはないんだけどもうちょっと伸びしろがある筈よ。大体の動きは良くなったんだけど細々とした動作の無駄とかがまだあるからそこを治して行って」

 

「分かりました」

 

「今日の訓練はこれで終わるわ。明日は午前8時から、私達アルファ部隊は突入訓練。午後1時からは制圧訓練。午後8時からはブラボー部隊と合同で今日と同じ様に突入から撤退までの一連の訓練を行います。何か質問は?」

 

FALさんが周囲を見回したが特に手を上げたり声を出す人は居なかった。

 

「それじゃぁ、各員装備を確認して解散。お疲れ様」

 

長かった訓練がやっと終わった。昼飯の時間意外ほぼ一日中訓練漬けだから大変だよ全く。使っていた装備を外し破損や紛失などが無いことを確認した俺は銃と装備を片付けて基地内にある娯楽室でソファーに座りゆっくりしていた。そう言えば昨日、このいつも邪魔されている胸の有効的な使い方を発見した。それはこんだけ大きな胸だと胸の上にちょっとした物なら置けるってことだ。どうやってこのことを発見したのかと言うと昨日椅子に座ったMicro Uziが胸の上にメロンジュースの入った容器を置いてストローでそれを飲みつつタブレットを操作している姿を目撃したからだ。両手を使わず飲めるのは便利なんじゃね?と思い俺も真似してみたら普通に出来てしまった。なので今もソファーに座っている俺は胸の上にグレープジュースの容器を置いてずぞぞーと飲んでいる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

飲み物を飲みながらも両手が使えるのでこれは結構良いかもしれない。だけどこの技を使うことはあんまり無いだろうな。行儀が悪い飲み方だから人前でやるもんじゃ無いし幾ら物が乗せれると言っても限度がありあんまり汎用性が無い。今のところこうして飲み物の容器を胸の上に置いて飲むって言う方法しか思いつかないし。

 

「よぉ。面白いことやってんな」

 

グレープジュースを飲みながらぼーっとしているとKS-23がやって来た。

 

「両手を使わずに飲めて楽なんだよね。コレ」

 

「成る程。俺もやってみるか」

 

「ちょ!」

 

KS-23は俺の飲んでいたグレープジュースをひったくると立ったまま自分の胸に載せると残っていたグレープジュースを全部飲み干した。飲むにしても全部飲むかよ普通。何だかんだでKS-23も充分に胸は大きいから俺と同じ様に胸の上に乗せることは簡単に出来たな。

 

「どーよ」

 

「いや、どーよって言われてもねぇ。と言うか飲み干さないでもらえるかな?」

 

「あはは。わりーわりー」

 

と全然謝る気無さそうな軽い感じで謝ったKS-23はからになった容器を俺の胸に置いた。俺はそれを手に取ると前にあったゴミ箱に投げ入れた。

 

「なぁ、その胸にどんな物が載るのかのチャレンジしてみようぜ?」

 

「いやなんだよそのチャレンジ。と言うか自分の胸でやれ」

 

「お前のデカい胸でやるから面白いんだろ。ほれ、先ずはコントローラーだ」

 

そう言ってKS-23はいつもRFBがよくしているテレビゲーム機のコントローラーを取って来ると俺の胸の上に置いた。さっき乗っけていたグレープジュースの容器よりも大きかったが特に問題も無くコントローラーは置けた。

 

「流石にこれは載せれるか。じゃぁこれはどうだ?」

 

次にKS-23が持って来たのは同じく娯楽室に置いてあった共用のタブレットを持って来た。横の長さが大体25センチ程の長さがあるから一気に難易度が上がった。平べったくてつるつるしているから滑り落ちるんじゃないか?KS-23はタブレットを水平に持つと慎重に胸の上に置いた。ちょっとでも俺が身じろぎすればずり落ちてしまいそうなバランスだが載せることは出来た。

 

「おぉー!載った!載った!」

 

見事タブレットが載ったのを見て喜ぶKS-23。こんなに面積のある物でも載るんだなぁと自分でも驚いた。この胸の凄さを実感させられる。

 

「それじゃぁこれはどうだ!」

 

と興奮気味なKS-23が持って来たのはノートパソコン。横の長さはさっきのタブレットよりも大きくなっているし重くなっている。ここまで来ると俺もどこまで載せれるのか気になって来るな。行けるのか?これ。KS-23はさっきと同じ様にノートパソコンを水平にしつつゆっくりと慎重に胸の上に置いた。が、胸の上に置かれたノートパソコンはそのまま足の上にずり落ちた。まぁ胸は平行じゃないし落ちるよな。

 

「あー流石にパソコンは無理か。いや、でもお前が後ろに体を傾ければ良い感じのバランスになるんじゃないか?」

 

「こう?」

 

俺はソファーに寄っかかり体を後ろに倒した。KS-23は「そうそうそのままー」と言ってもう一度ノートパソコンを俺の胸に載せる。ノートパソコンを落とさない様に俺も体を動かしてバランスを取ると見事ノートパソコンは胸の上に落ちることなく載った。

 

「おぉー!」

 

それを見て大喜びするKS-23。この光景を他の人達が見たら何やってんだコイツらって思われるんだろうなぁ。

 

「・・・何しているんですか?」

 

そんなことを思っているとマジで見られた。しかも声のした娯楽室の出入り口の方を見てみるとドアを開けた状態で固まってジト目でこっちを見ている9A-91だった。急いで俺は胸に置いていたノートパソコンを取ってソファーに置いた。

 

「はぁ。本当に何やっているんですか?自分はは胸が大きいんだって言う自慢ですか?・・・блядь(クソが)

 

最後にロシア語で何か言われたが生憎俺はロシアはさっぱり分からないので何て言ったのか分からないが良い意味の言葉ではないだろうな。

 

「いや、別にそう言う訳じゃ無くて。Micro Uziが胸に飲み物を置いて飲んでいるのを見て自分もやってたらKS-23が悪ノリして色々載せて・・・すいません」

 

早口でこうなっな経緯を説明しようとしたが9A-91の俺を蔑む様な目を見て下手な言い訳はせずに素直に謝ることにした。

 

「はぁ・・・・いつまでも貴方の胸を妬んでも意味はないですね。私はもう寝るので」

 

「あ、うん。おやすみ」

 

9A-91は「おやすみなさい」と言ってから娯楽室から静かに出て行った。

 

「お前って9A-91に嫌われてんの?」

 

「いや、嫌われているって言う訳じゃないと思うんだけどね・・・自分の胸が小さいのを気にしているみたいで」

 

「あー成る程ね。何か悪いことをしちまったな」

 

「まぁ本気で怒ったり気にしている訳ではないと思うから」

 

「一応俺の分も謝っといてくれ」

 

「分かった。それじゃ自分ももう寝るよ」

 

「うん。おやすみ」

 

次の日、俺が胸に色々な物を載せている写真が何故かグリフィンタレコミ掲示板とか言う裏サイトで「噂の新人戦術人形は超巨乳!?」と言う題名と共に投稿されていて話題になっていたのはまた別の話。




実際VSK-94程の胸の大きさの人はどれ程の大きさの物までを載せることが出来るんでしょうかね?自分、気になります!

さてさて次回の話ですが今回の最後に書いていたグリフィンタレコミ掲示板に書かれたVSK-94に関してのスレに関しての騒動を書こうと思っています。なので次回は訓練シーンなどは無いです。

一体誰がVSK-94の写真を盗撮し、そして誰がスレを作ったのか?

次回も楽しみに!

ご感想お待ちしております!


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第9話 ネット絡みの騒動ってのは大体面倒なことになる

長らくお待たせしました!すいません。もう少し早めに投稿するつもりだったんですが投稿するのが遅れてしまいました。申し訳ありません。そう言えば最近VSK-94の新衣装が出ましたね!相変わらずエッチな見た目してやがりましたねw更にVSK-94のことが好きになりましたよ。


こんだけ胸が大きいと同性である戦術人形(女性)にも結構注目される。例えば話している時にチラ見されたり廊下ですれ違う時にチラ見されたりなどだ。胸を見られるのは恥ずかしいが思わず見てしまう気持ちは俺も痛い程分かるので仕方ないなと思っている。だがそれを差し引いても今日は見られ過ぎている気がする。朝、午前の訓練、そして昼休みの今までずっと視線を感じている。最初は自分の意識のし過ぎかとも思っていたんだが周りの様子を伺ってみるとやっぱり見られていた。それだけじゃなく俺を見ながら何か話をしている人達も居る。どんな話をしているのか気になるが大方「あの胸大きくない⁉︎」や「どのくらいのサイズなんだろう?」などと言ったこの胸の話だろう。もしくはこの肉付きの良い太ももやお尻の話かもしれない。何にしろこうして本人の陰に隠れてこっちを見てきたり噂話とかをされるのは凄い気になる。

 

そんなことは無いとは思うんだがもしかしたら俺の陰口とかを言っているんじゃないかと思ってしまう。女同士の喧嘩は男同士の喧嘩とは違って陰湿な嫌がらせが凄いと聞いたこともあるし少し怖いな。だが今までの俺の行いを簡単に振り返ってみるが特に嫌われる様なことはしていない筈だ。だがもしかしたら自分が気が付いていないだけで何かやっちまったのかも知れない。昨日まではいつも通りだったから昨日なにかやっちまった可能性があるが何も思い当たらない。一人で色々と考えていても埒が明かないから誰かに聞いてみることにした。

 

「はぁ・・・また胸の話ですか・・・」

 

「いや、”胸とかを”だから」

 

場所は食堂。昼食を食べ終えた後におれは先ず9A-91に聞いてみた。聞きやすい相手だったと言うのもあるが結構前からここに所属している人形だからそれなりに顔も広い筈だしそう言った噂話なども聞いているかも知れないと思ったからだ。だが胸とかを見られていると言う話をしたらため息を吐いてまたジト目で見られてしまった。

 

「特に貴方の噂話とかは聞いてませんね。それに貴方は今まで真面目に訓練も受けてますし嫌われたりしている可能性は低いと思いますが」

 

「それなら良いんだけど・・・」

 

「心配しなくて良いですよ。貴方は良く頑張っています」

 

そう言って優しく微笑んでくれた9A-91の表情は妹を励ます姉の様に見えた。まぁ実際銃の関係で言うと俺は彼女の妹だし間違いではないか。前も言ったが男の時にこう言う姉が欲しかったと思うよ。

 

「ありがとう。でもそうなったら何で今日はあんなに見られているんだろう?わっ!本当に胸大きい!って言われたりもしたし、いきなり後ろからシスター服を着た娘に胸を鷲掴みにされたりもしたし」

 

まぁ実を言うと胸大きいですね!は普段から時々言われることがあるんだけどね。KS-23と出会ったばかりの時も「お前もなかなかデカい乳してんな!」とオッサンみたいなこと言われたし。でも今回は俺に直接言う訳ではなく独り言がたまたま俺に聞こえた感じだ。もしかして新人の戦術人形は胸がデカいんだってよ!みたいな噂が広まっているんじゃないだろうか?有り得そうだから困る。

 

「シスター服の娘?その娘、身長が低くて猫耳が生えてませんでした?」

 

「あーそうだね。アレ猫耳だったのか」

 

廊下を歩いていたら突然後ろから「おりゃ!」って言って胸を鷲掴みにされた時は驚いたよ。振り返った時にはもう逃げて行ってしまったし。凄い逃げ足の速さだったな。

 

「その娘は知っているので後で注意しておきますね」

 

「別に良いよ。そんなに気にしていないし」

 

「気にしてください。自分の体をもっと大切にして下さいよ。胸を揉まれたのならもっと怒ったりしてもいいんですよ?」

 

「いやまぁ揉みたくなる気持ちは分からなくもないし・・・」

 

「はぁ・・・やっぱり胸なんですかね・・・・・?この世は胸の大きさなんですかね?」

 

顔にに手を当てて項垂れた9A-91は落ち込んだ様子でそう言った。俺が思っていた以上に自身の胸の大きさを気にしていたみたいだ。これはどうにかしてフォローした方が良いだろう。

 

「胸の大きさだけが全部って訳じゃないって。それに9A-91はとても強いしカッコいいし可愛いしそれに充分魅力的だから!」

 

今言ったことは全て本心だ。9A-91は射撃やCQCがとても強いし訓練中の銃を構えている凛とした表情はとてもカッコいい。だが普段はその逆でデザートを嬉しそうに食べり野良猫相手ににゃーにゃー言いながら撫でたりしたりと結構可愛い所がある。そして俺は9A-91は魅力的だと言ったが本当は少し違う。本当は9A-91はエロいと思っている。

 

姉をそんな目で見てたのかよと言われるかも知れないがコレばっかりは仕方ないと思う。まず服装の時点でなかなかヤバい。上はベビードールとワンピースを掛け合わせたような青色の服を着ているのだがこの服は丁度おへそ辺りから左右に向かって緩やかに広がっている。つまりおへそやお腹、更にはその下の黒色のパンツまでもが丸見えの状態なのだ。一応下にはネグリジェみたいなのを着てはいるがシースルーになっており透け透けの状態なので思いっきり黒色のパンツが見えている。確かに彼女の胸は小さいが初めて彼女と会った男は間違いなくその透けているネグリジェ越しに見える黒パンを見るだろう。

 

更に彼女の着ている服自体なかなかにおかしな構造をしている。驚く事に背中の部分は肌が丸見えの状態なのだ。初めて9A-91の背中を見た時の驚きは忘れないよ。さらにさらに背中どころか脇や横乳まで丸見えの状態という痴女ですか?と聞きたくなる様な格好だ。彼女のことを知らない人がこの服装を見たら痴女にしか見えないだろう。I.O.P社は変態の集まりなのかも知れないな。

 

「それに大き過ぎる胸は邪魔にしかならないし。あげれるならあげたいくらいだよ」

 

「まぁ激しく動く戦闘では邪魔にしかならないでしょうね」

 

「そうそう」

 

「でもそうと分かっていても羨んでしまうんですよ。巨乳に。それに少な過ぎるより多過ぎる方が良いですよ。大は小を兼ねるとも言いますし」

 

「言葉を使うところ違くない?」

 

大は小を兼ねるって言う言葉自体は聞いたことがあるが胸の大きさではそうでも無いと思う。

 

「同じ様な物です」

 

「でもさっき言ったのは本当だから。9A-91はカッコいいし強いし可愛いし魅力的だよ」

 

「ありがとうございます。貴方もカッコよくて可愛くて魅力的だと思いますよ」

 

「そ、そうかな?ありがとう」

 

カッコいいと言われるのは普通に嬉しいんだが可愛くて魅力的だよと言われてもなぁ・・・まぁ確かにこの体は可愛いし体は肉付きが良くムチムチで魅力的だが俺自身は男だからとても複雑な心境だ。 

 

「あれ?一つ抜けてない?」

 

彼女はカッコよくて可愛くて魅力的と言ったが俺はカッコいいし強いし可愛いし魅力的と言った。強いが抜けているってことはまだまだ俺は強くはないってことか。

 

「戦闘面では貴方はまだまだですからね」

 

「精進します。それで、話を戻すんだけど結果9A-91は特に噂とかは知らないし注目を浴びる理由も知らないと?」

 

「ですね。と言うか本人に直接聞いた方が早いんじゃないんですか?」

 

「本人?」

 

「見て来たり陰口を言っている人を捕まえて聞くんですよ」

 

まぁそれが一番手っ取り早い方法なんだけど聞く勇気は無いなぁ。それに噂の本人が目の前に居たら「そんなことないですよ~」とか言ってはぐらかされそうだしな。

 

「自分が聞いてもはぐらかされるだけじゃ?」

 

「なら私が聞いて来ますよ」

 

「それじゃぁ聞いて来て貰って良いかな?」

 

「良いですよ分かり次第報告するので」

 

「ごめんね。お願い」

 

「良いですよこれくらい。それではまた後で」

 

そう言って9A-91は席から立ち上がると椅子を元の位置に戻してから食べ終えた食器の載ったトレーを持って食器を返却口に置いてから食堂を出て行った。さて、俺は娯楽室にでも行くかな。あそこにあるTVゲームのカセットはどんなのがあるのが気になっていたんだよな。

 


 

VSK-94と別れた9A-91は食堂から出るとそのまま立ち去らずにドアの隅に隠れた。そのまま暫く待っているとP7とM1911が話しながら出て来た。

 

「本当に大きかったね」

 

「だねー。今度隙を突いて後ろから胸を揉んだりしてイタズラしてみたいな」

 

「でも怒ったら怖そうじゃない?」

 

「怒んないでしょ。多分」

 

「多分って・・・やめといて方が良いと思うよー?指揮官からも悪戯はほどほどにしろって言われてでしょ?」

 

「大丈夫だって」

 

そんなことを話している隙に9A-91は2人の後ろから静かに近づくとP7の肩を掴んだ。

 

「・・やば」

 

P7は反射的に逃げようとしたが9A-91の掴む力は強く直ぐにP7は逃げることが出来ないと悟り諦めた。

 

「何で逃げようとしたんですか?私はただ肩を掴んだだけですよ?何か後ろ暗いことがあるんですか?」

 

「いや、条件反射的な感じでつい・・・」

 

「貴方達はさっき私達を・・いや、VSK-94を見てましたよね?」

 

9A-91の有無を言わせない無言の圧力に負けたP7とM1911は言い訳などをしたりせずに正直に答えた。

 

「まぁ・・・うん。見てたね」

 

「ごめんなさい」

 

「別に怒ってるわけじゃないので安心してください。でもVSK-94が今日は色んな人から見られて困っているんですが何で注目されているのか知ってますよね?」

 

「グリフィンタレコミ掲示板でちょっと話題になっててそれで・・・」

 

「あー成る程。全部分かりました」

 

グリフィンタレコミ展示板と言う単語を聞いた瞬間9A-91は誰が犯人なのか分かりそしてまたかと溜息を吐いた。

 

「まさか貴方も一枚噛んでいたりしませんよね?」

 

「今回は何もしてないわよ⁉︎」

 

9A-91はP7に少し睨み付ける様にしながら聞いたがP7は首を横に振って否定した。

 

「本当ですか?」

 

「本当に何もしていないって!」

 

そうP7は必死に言うが日々指揮官含め色んな人達に色々な悪戯をしているのでP7のやってない発言を9A-91に信じて貰えず逆に疑われてしまっているこは仕方がないことだった。正にオオカミ少年効果である。

 

「もし貴方も何か関わっていたらロシア流のお仕置きをしますから覚悟しておいてくださいね」

 

「だから何もしていないって」

 

「いつも悪戯ばかりしているから疑われるんですよ。指揮官も言ってましたけど悪戯もほどほどにした方が良いですよ」

 

「はーい」

 

と適当に返事をするP7を見た9A-91は「絶対悪戯をやめるつもりはないんだろうなぁ」と思いつつP7とM1911の2人と別れた。それから9A-91は犯人が居るであろう場所、彼女の自室へと向かった。

 

「・・あ、やば」

 

ドアを開けて部屋の中に入って来た9A-91の姿を見た少女、MDRはベッドの上でうつ伏せの状態でガラケーをいじっていたが直ぐに立ち上がり逃げようとしたがドアの前には9A-91が立っているので逃げることは出来なかった。

 

「これを書いたのは貴方ですね?」

 

MDRの前にスマホの画面を見せる9A-91。画面には「噂の新人戦術人形は超巨乳!?」や「VSK-94は淫乱人形!」などと言った書き込みがされていた。しかも問題なのはこの書き込みがグリフィンタレコミ掲示板以外のブログなどにも似たような書き込みをしていることだ。仮にも戦闘用の人形である戦術人形の情報を民間のネットに流すのはこちらの戦力を敵対組織などに教えてしまうことになる可能性があり容姿を覚えられて反人形主義の人達に襲われたり敵対組織のブラックリストに登録されたり賞金首にされる可能性など様々な問題が発生する危険もある。

 

「いや~あはははは・・・・どうだったかな?」

 

「今正直に言ってくれれば指揮官には言わずに私からの注意だけにしときますけど?指揮官に知られたらまた一ヵ月ネット利用禁止にされちゃったりするんじゃないんですか?」

 

「・・・・・ごめんなさい。ネタが欲しくて・・・・」

 

「はぁ・・・指揮官にも何度も言われているでしょう?変な書き込みをしたりするなって」

 

「いやぁ分かってはいるんだけどついね・・・」

 

「今日の所は約束通り指揮官には言いませんが次また同じ様なことをやったら問答無用で指揮官に言いますからね?」

 

「うぃーっす」

 

「本気で謝る気はないですよね?それ」

 

「いやいつもの癖であんな返事をしちゃったけど本気で悪かったなって思っているよ?マジで」

 

とMDRは言うもののMDRがネット上で色々な荒らし行為や今回のような釣りスレなどを書いたりして他の戦術人形やジャクソン指揮官などに迷惑をかけたのは今回が初めてと言う訳でもないので9A-91はMDRの言っていることを全く信じていなかった。

 

「はぁ・・・貴方が反省していないのは良く分かりました」

 

「いや本当に反省してるって~」

 

「本当に反省している人はそんなにヘラヘラしていませんしそんな軽い感じで返事もしませんよ。前にも行ったと思いますが自撮りの写真ならネットに投稿するのは構いません。それにどんな書き込みをしようが貴方の勝手ですし被害を被るのも貴方だけで済みます。ですが今回の様に赤の他人を盗撮し、しかも人の身体的特徴をネタにしたりありもしないことを書き込んだりするのはやめてください。貴方はネットの反応を見て楽しむだけかもしれませんが本人は周りの人達から変な勘違いをされ最悪誹謗中傷を受けることになります。それにグリフィンの関係者以外も見てるネットに新人戦術人形のことを投稿してしまっては敵にこちらの戦力情報を渡してしまう恐れもあります。もし貴方が軽い気持ちでネットに投稿した際でVSK-94本人が何かトラブルに巻き込まれたりしたらどう責任を取るつもりなんですか?」

 

「ご、ごめんなさい・・・」

 

「私にではなくVSK-94に謝ってください」

 


 

娯楽室に来た俺はRFBとKS-23と一緒にFPSゲームをしていた。正確にはゲームをやっているのは俺でRFBとKS-23は俺の後ろから応援したり指摘して来たりしている。

 

「あ、そう言う時はジャンプしながら向きたい方向に向けば普通より早い速度で向くことが出来るよ」

 

とまぁこんな感じでRFBが色々と指示したり裏技を教えたからたりしている。9A-91とかからRFBはゲーマーだとは聞いていたが彼女は本当にゲームが上手い。KS-23は「いやぁ〜今のは惜しかったなぁ」とか「そこだ!行け!」とか言って一緒に盛り上がってくれる。俺もまだ男だった時に友達と今やっている様なFPSゲームとかをしてたから何だか懐かしい感じがする。昔に戻ったみたいな。昔も今みたいに俺がゲームをやっていると友達が後ろからあーだこーだと指示して来たり一緒にびっくりしたりはしゃいだりしていたなぁ。今アイツら元気にしてるかなぁ。

 

この体(戦術人形)になってから色々あり過ぎてそれどころじゃ無かったんだが今久し振りにゲームをしてまだ俺が男でまだ子供だった時に一緒に遊んだ日々のことを思い出した。俺が別の所に引っ越すことになってまた一緒に馬鹿をやろうと約束したきり結局会うことはなくてそうこうしていたら戦術人形になっちまったからなぁ。また一緒に遊びたいな。だの姿を見たらアイツら凄い驚くだろうなw・・・まぁ例え会えたとしても俺だとは信じては貰えないだろうけど。赤の他人としてでも良いからアイツらに会いに行きたいな。今回の任務が終わって暇が出来たら探してみるのも良いかもな。

 

「あ!今右に居たぞ!」

 

「え⁉︎どk・・あーっ!やられたぁ・・・」

 

ゲームをしながら昔のことを思い出していると敵が右に居たことに気付けずに隙を突かれてやられてしまった。

 

「今のは注意不足だったね」

 

「あはは・・目の前に集中し過ぎたよ」

 

「目の前だけじゃなくて右下のマップに発砲した敵とかはスポットされるからマップを見ながら行動した方が良いね」

 

「了解」

 

再び自分のキャラクターをスポーンさせて拠点へ向かって走らせる。RFBに言われた通りマップを見つつ動かしていると右前に赤い点が表示された。その方にエイムを向けると敵キャラが居た。すかさず俺はトリガーボタンを押した。相手も撃って来たがこっちの方が先に撃ち始めたこととこっちの使っているアサルトライルの方が連射速度が早いことが合わさりこっちは3分の1程HPを削られただけで済み逆に敵はHPがゼロになって死亡判定になった。

 

「ナイス!良い感じだねぇ」

 

「現実だったら今のどっちも死んでいたな」

 

「どっちも5.56ミリだから防弾チョッキを着ていたら大丈夫なんじゃない?」

 

RFBの言う通り軍用の防弾チョッキなら5.56ミリ弾の普通弾なら絶対とは言い切れないが防ぐことが出来るから死なないかも知れない。

 

「でも今の至近距離じゃぁ流石に貫通するんじゃ?」

 

だが今の撃ち合いはお互いの距離が10メートル程しかない至近距離での撃ち合いだった。貫通力の高い小口径高速弾である5.56ミリ弾をあの至近距離で食らえば貫通するんじゃないかな?

 

「あー確かに」

 

「レベルIIIのヤツを着てたら大丈夫なんじゃないか?」

 

「あー確かに」

 

「いや、流石に厳しんじゃ?」

 

レベルIIIの防弾チョッキと言えば1メートル距離から撃たれた7.62×51ミリのFMJ(フルメタンジャケット弾)を防ぐ程の防弾性能が有ると言われているその防弾チョッキなら至近距離で放たれた5.56ミリ弾を防ぐことが出来るとKS-23と俺は思ったがRFBはそうでもない様だ。

 

「リロードする時に見える弾を見た感じグリーンチップとかブラウンチップじゃなさそうだし防げるだろ」

 

「グリーンチップ?」

 

KS-23は当たり前の様に話していたが俺は初めて聞く単語だ。話の流れ的に多分弾の名前なんだろうけど。

 

「まぁ簡単に説明すると軍用の5.56ミリ弾の愛称だ。識別の為に弾頭の先端が緑色に塗られていいるからグリーンチップって呼ばれてんだ。ブラウンチップはグリーンチップの改良型だ」

 

「成る程ねぇ」

 

なるほどな。5.56ミリ弾にそんな名前がついているんは知らなかった。弾丸は星の数に近い種類があるから覚えきれないな。ゲーム談義をしているとふと本日何度目か分からない視線を感じた。キョロキョロと辺りを見渡し入り口の方を見てみると胴が緑色で袖が青色と言う不思議な配色のジャケットを着た戦術人形が居た。確か名前はXM8だっけな。何度か見かけたことはあったけどこうして直接話すたことはない。何の用なんだ?

 

「・・何か自分に用でも?」

 

「いや、別に用はないんだけど少し意外でね。私の勝手なイメージだとゲームみたいなのはしなさそうな感じだったから」

 

俺を初めて会った奴は大体同じことを言う。まぁ仲間が俺なんで仕方ないことなんだが見た目と中身(性格)にギャップがあるとよく言われる。

 

「それは私も思ってたんだよね。ゲームとか余りしなさそうな感じだったからちょっと意外」

 

「まぁ気持ちは分かるぜ。見た目は真面目そうだもんな」

 

最近新たに出来たこの身体の悩みの一つに今KS-23が言ったのがある。俺自身はそのつもりではないんだがどうしても表情が強張ってしまったり目つきが悪くなってしまったりしている様で初めて俺をみた人達から真面目そうだとか怖そうとか色々と勘違いされている様で一部の人から近寄りがたい人と思われている状況だ。どうしても表情や目つきが悪くなったりしてしまうのはどう考えてもこの身体のせいだろう。この身体の元の性格とかに引っ張られている可能性があるんじゃないかと俺は思っている。

 

「こう見えてもゲームは好きだよ。まぁそんなに上手くはないけどね」

 

「ならチェスは?」

 

「興味は無いわけではないけど基本的なルールを知ってるくらいの初心者だね」

 

「手は抜いてあげるから一緒にやらない?」

 

「良いよ」

 

戦術人形達と交流を深めて行きたいなと思っていたし良い機会だ。そう思って俺は良いよと答えたが俺の答えを聞いたXM8は何やら不敵な笑みを浮かべていた。するとKS-23が俺に近づいて来ると耳元で小声で忠告して来た。

 

「アイツ、チェスはクソ強いから気をつけてた方がいいぜ」

 

気を付けろって言われても俺はマジで初心者だからどうしようもないぞ?それに手加減はしてくれるみたいだし大丈夫だろう。XM8は娯楽室に置いてあったチェス板と駒を集めると俺達の目の前に置くとあぐらをかいた。

 

「先に良いよ」

 

と言うことで俺が先行になった。先ず適当に前に並んでいたポーンを前に出した。XM8の方もポーンを前に出す。今のところは特に問題もなく試合は進んで行っている。

 

「そう言えば、貴方グリフィンタレコミ掲示板に色々書かれていたよ」

 

「そのグリフィンタレコミ掲示板ってのは?」

 

まぁ名前から察するにグリフィンのことについてのタレコミを書く掲示板のウェブサイトだろう。だがそれに俺が書かれていたってのが気になるな。

 

「名前の通りグリフィンのことに付いての色々なタレコミを書く裏サイトのことだね。割と有名なやつだよ」

 

ん?待てよ?もしかして今日色んな人から見られていたのってそのサイトに書かれていたのが原因なのか?

 

「それに自分のことが書かれていたって言ってたけどどんなことが書かれていたの?」

 

「それは・・・自分で見た方が良いかも」

 

何故か俺から目を逸らすXM8。何だその反応?凄い気になるし嫌な予感がするんだが?

 

「・・・・あーこりゃ酷いね」

 

「見せて」

 

RFBが自身ののスマホでその書き込みを見たらしく気になったので俺はスマホの画面を見せてもらうとそこには衝撃的なことが書かれてあった。「噂の新人戦術人形は超巨乳!?」「VSK-94は淫乱人形!」「VsK-94、指揮官と脈ありか⁉︎」などと根も葉も無いことが書かれていた。その中でも「噂の新人戦術人形は超巨乳!?」と言う書き込みにはグリフィン内外の色々な人達から反応されているみたいだ。コメントを見てみると

 

657:名無しグリフィン職員

 

でかくね?

 

 

660:名無しグリフィン職員

 

おっぱい!( ゚∀゚)o彡° おっぱい!( ゚∀゚)o彡°

 

 

661:名無しグリフィン職員

 

コイツを見てどう思う?

 

 

661:名無しグリフィン職員

 

>611凄く・・・大きいです

 

 

663:名無しグリフィン職員

 

これがこれがグリフィンの新人人形かぁ良いねぇ

 

 

665:名無しグリフィン職員

 

その胸で戦術人形は無理でしょ

 

 

665:名無しグリフィン職員

 

こりゃ巨乳じゃなくて爆乳だな

 

668:名無しグリフィン職員

 

太ももがシコい

 

 

669:名無しグリフィン職員

 

>668分かる(分かる)

 

 

701:名無しグリフィン職員

 

エチチチチチチッ!\勃/

 

 

703:名無しグリフィン職員

 

このおっぱいに顔を埋めたい

 

 

705:名無しグリフィン職員

 

胸にノーパソが載ってやがる・・・すげぇ

 

 

710:名無しグリフィン職員

 

何カップくらいあるんだろう?

 

 

711:名無しグリフィン職員

 

>710Gカップはありそう

 

 

712:名無しグリフィン職員

 

>俺は欲望も合わせてH〜Iカップくらい有ると思う

 

 

713:名無しグリフィン職員

 

こんなに大きいのに垂れてないのは流石人形だよな

 

 

713:名無しグリフィン職員

 

セクサロイドが増える訳だよ

 

 

714:名無しグリフィン職員

 

そう言えばグリフィンの戦術人形に元々はセクサロイドだった奴が居たよな。

 

 

715:名無しグリフィン職員

 

あー確かThunderとか言う名前の戦術人形だった筈。

 

 

716:名無しグリフィン職員

 

俺はこの娘よりあの娘が好きだな。名前が思い出せないんだけど南半球が素晴らしい娘。PTSDみたいな名前だった筈。

 

 

717:名無しグリフィン職員

 

>716PTRDだ勝手に精神病患者にするな

 

 

とまぁこんな感じで結構盛り上がっていた。まぁその内容の殆どは案の定。胸だの太ももだの尻だのと言った身体的な特徴についてだが。にしてもいつ撮られたのか分からない俺の戦闘訓練中の(激しい運動で胸が揺れている)写真や昨日の胸に色々な物を載せている写真などが投稿されているのが恐怖でしかないんだが。

 

「一体誰が・・・」

 

「「「MDRだろう()」」」

 

「MDR?」

 

戦術人形だということは分かるが知らない名前だ。と言うかこの基地に所属している戦術人形が多過ぎて把握しきれないんだよな。

 

「MDRはネット掲示板とかに釣りスレを書いたり荒らしたりして楽しんでいる奴だね」

 

「えぇ・・・」

 

何か話を聞いた感じ結構ヤバそうな奴だな。あんまり関わんない方が良さそうだ。だがこの書き込みは消してもらわないと困るな。また変な誤解をする奴らが出て来そうだし。

 

「後で見つけ出して消して貰わないとだなぁ」

 

「って言うかお前チェスの方に集中した方が良いかもだぞ」

 

「え?」

 

KS-23に言われてチェスの戦況を改めて見てみると俺がネットの掲示板の事に気が向いている間に戦況はガラリと変わりほぼ俺が詰みかけている状態になっていた。チェスを初めてまだ5分程しか経っていないってのに。XM8が置いたナイトの位置が絶妙でこっちの動きが制限されてしまっている。だがクイーンが狙えたのでそのままクイーンを取った。

 

「チェック」

 

「あ゛⁉︎」

 

しかしそのクイーンは囮だった様で他の駒がこっちのキングを捉えた。すかさずキングを逃すが負けを先延ばしにしているだけだ。XM8は容赦無く追撃して来るとそのままキングを討ち取った。

 

「ほい。チェックメイト。弱いね」

 

「いやぁ〜本当強いね」

 

「こんなのまだまだ序の口だよ」

 

手加減はした様だが俺が下手過ぎるのか一方的に負けてしまった。時計を見てみるとそろそろ午後の訓練が始まる時間だった。XM8には悪いがそろそろ準備しないとだな。

 

「っと、そろそろ時間だから自分はこれで。ありがとう。自分で良ければまたやろう」

 

「良いよ。いつでも受けて立つから」

 

「それじゃ、俺達も行こうぜ」

 

「よし!ノーコンテニューで終わらせてやる!」

 

「いつもそう言うけどお前結構な頻度でFALにダメ出しされたりしているよな?」

 

「それは言わないお約束」

 

XM8と分かれて娯楽室から出てKS-23達と一緒に廊下を歩いていると9A-91と一緒に全体的に黒色の服を着た戦術人形が居た。銀髪の髪の一房だけがピンクになっているのが特徴的な娘だ。その娘はバツが悪そうにしながら俺の方に歩いて来る目の前で止まった。

 

「ネットに写真を投稿したりありもしないことを書いてすいませんでした」

 

すると突然謝って来た。何でこの人は突然謝って来たんだ?と不思議に思ったが謝罪内容を聞いて直ぐに察した。成る程この娘がMDRか。俺に謝ったMDRは後ろに立っていた9A-91に「これで良いでしょ?」とでも言いたそうな感じで見た。

 

「はぁ。とにかく、今後はこんなことはしないで下さいよ?」

 

「はーい」

 

そう軽い返事をするMDRは反省している様子は全くない。こりゃ近いうちにまた同じ様なことをやらかしそうだな。

 

「すいません。今回の騒動の発端はこの人でした」

 

「あーうん。さっきKS-23達に聞いた」

 

「MDRが投稿していたスレなどはさっき全部消させました。と言ってもデジタルタトゥーという言葉がある様に完全に消す事はほぼ不可能ですが可能な限り消しました」

 

「ありがとうね。わざわざ自分の為に」

 

「いえ、可愛い妹の為に姉が頑張るのは当たり前のことですよ」

 

「ありがとう。お姉さん」

 

俺は本当の姉に対する様に微笑みながらお礼を言った。ちゃんと笑えているかは分からないけど感謝の気持ちは伝わっている筈だ。

 

「どういたしまして」

 

俺の意思は伝わった様で9A-91もそう言って微笑み返してくれた。俺と9A-91のやり取りを見ていたMDRは驚いた様子で俺と9A-91の姿を交互に見ていた。

 

「え⁉︎え⁉︎もしかして9A-91とVSK-94って姉妹なの⁉︎」

 

「そうですけど、ネットに書き込まないで下さいよ」

 

「しかも9A-91がお姉ちゃんなの?面白いんだけどww」

 

「何がおかしいんですか?」

 

「だって、妹の方が胸とか身長とか大きいし普通逆でしょwいっだッ⁉︎」

 

わざとなのかどうなのか知らないがMDRは笑いながら思いっきり地雷を踏み抜いてしまった。9A-91は目にも止まらぬ速さでMDRの脇腹に鋭い回し蹴りを食らわせた。不意打ちで9A-91の強烈な回し蹴りを食らったMDRは横に倒れると苦しそうに咳き込んだ。

 

「ちょっとお話ししましょうか・・・」

 

いつもより少し低い声でそう言う9A-91の背後に黒いオーラが出ている様に見えたが多分気のせいだろう。

 

「え⁉︎えーっと・・・あ、ほら!もう訓練も始まるんでしょ?遅れちゃうよ?」

 

「ご心配なく。訓練が始まるまでにまだ20分はあります」

 

「いやほら、準備時間とかもあるじゃん?」

 

Шумный(うるさい)

 

「いや、ごめん。ロシア語はマジで分かんないんだよね。いやちょ、だからって無言で連れて行こうとしないで⁉︎きゅ、94さん!助けて!この姉さん怖いよ!ちょ!服が伸びちゃうし首が絞まってるらからそんなに強い力で引っ張らないでーッ!誰かー!助けてー⁉︎」

 

MDRは9A-91に襟の後ろを掴まれるとそのまま何処かへ連れて行かれてしまいMDRの助けを呼ぶ声も遠ざかって行った。後で聞いた話だと9A-91から”お仕置き”され完全に疲弊状態になったMDRはそのまま執務室へ連行されて9A-91が今回の事件のことを指揮官に全て話し指揮官は罰として約1ヶ月のネット利用禁止を言い渡されトドメを刺されたMDRは膝から崩れ落ちたそう。




MDR「良い子の皆んなは他人の身体的特徴をネタにしたり、他人をネタにしてありもしないことを書いたりしないようにしょう!そして誹謗中傷したりするのは絶対にダメだからね?MDRお姉さんとの約束だぞ♪」

さてさてと言うことでいかがでしたでしょうか?VSK-94の平和?な日常を書きたいなと思い書いたこの回。自分はもう少し話を盛り上げたり面白く出来たかも知れないなと反省しております。やっぱり小説は難しいです。

今回9A-91とVSK-94の姉妹らしい会話が少し有りましたがここで豆知識。ドルフロ本編ではそう言う設定は無いのですが実銃の方で言うと9A-91は長女では無く実は四女なんです。では誰が長女なのかと言うとドルフロではまだ実装されていないVSSになります。実装されている中で1番上なのは二女のAS Valだったりします。

簡単に表すとこんな感じです。長女VSS、二女AS Val、三女SR-3MP、四女9A-91、五女VSK-94。

因みに同じ9×39ミリ弾を使うティスとグローザはVSK-94達とは姉妹関係にはありません。ティス達は長女AKS-74U、二女OTs-12(ティス)、三女OTs-14(グローザ)となります。

9A-91がSR-3MPのことを姉さんと呼んだらグローザがティスのことをティス姉さんと呼んだりするのは余りイメージできませんよねw

さてさて、次回はいよいよ任務開始となります。VSK-94達の活躍をお楽しみに!

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第10話 Commence operation

皆さん!お久しぶりです!そして遅くなってしまい申し訳ございません。ちょっとスランプになっていましたがなんとか復活しました。


MDRの騒動から2日が経った。訓練を開始して今日で丁度1週間になる。そう、今日が作戦の実行日だ。やっぱり任務直前と言うことでピリピリとした雰囲気だ。まだ作戦開始時間までは時間があるのだが既に俺は少し緊張していた。初の本格的な実戦だ。今回は前の任務の時と違って大勢の敵と銃撃戦になるのが前提だ。この戦闘で撃たれて死んでしまうんじゃないかって不安になる。残りの時間を持て余していた俺は皆んなの様子を見に行ってみることにした。そして誰の所に行ってみようかと考えながら廊下を適当に歩いていると娯楽室から音が聞こえて来た。テレビゲームの音の様だ。娯楽室を覗いてみると今回の任務で同じ部隊に配属になっているRFBがあぐらをかいた状態でいつもの様にゲームをしていた。

 

「あれ?VSKじゃん。一緒にやる?」

 

後ろから近づくと気配を感じたのか振り返ってたRFBがゲームを進めて来たが俺は首を横に振った。

 

「いや、今はやらないかな。作戦前だし」

 

「流石9A-91の妹。同じ様なことを言うね」

 

「まぁ9A-91だったら言いそうだね。でも自分の場合は緊張でゲームどころじゃないってだけなんだけど」

 

「意外だね。94はあんまり任務とかは緊張しないタイプだと思ってたんだけどな」

 

「そんなことないよ。今の自分は実戦経験のない新米戦術人形だからね」

 

「大丈夫だよ。今回の相手はただのギャングだし私達の相手じゃないって」

 

自信満々にRFBが話すがそれはフラグじゃないだろうか?映画とかだと思ったより敵が強かったって言うパターンだぞそれは?

 

「それフラグじゃない?」

 

「大丈夫。私フラグクラッシャーだから」

 

「それは初めて聞いたよ。そう言えばRFBって結構実戦経験があったりするの?」

 

「コイツは俺が来る前からいたし実戦にも何度も出てるベテランだ」

 

いつの間に来たのか娯楽室に来ていたKS-23が代わりに説明してくれた。やっぱりベテラン勢だったか。なんか一緒に訓練している時に彼女は戦い慣れている感じがしたんだよな。

 

「じゃぁRFBさんって呼んだ方が良かったりする?」

 

「いいよいいよ。そんな私はさん付けで呼ばれる様な人じゃないし呼ばれ慣れてもいないし」

 

「分かった。なら今まで通り話すことにする。そう言えばKS-23は今まで何処に?」

 

「あぁ。Micro Uziと話してたんだよ」

 

「そう言えばまだ彼女とまともに話していないなぁ」

 

ちょくちょく基地内や訓練の時にで見かけることはあってお互いに挨拶することはあるんだが2人で話したりはまだちゃんとしていなかった。だが胸が邪魔でマガジンポーチからマガジンを取り出し難くくて不便に思っていた時に彼女がマガジンポーチを逆さまにしたら良いって言う助言をしてくれた人だ。

 

今の俺よりも身長が低い割にそれに反比例する様に大きな胸を持っている。Micro Uziと言う名前なのに全然マイクロじゃないなと彼女を見る度に思っている。それに露出度の多い刺激的な服装だから目のやり場に困るって言うのも彼女と話し難い理由の一つだな。彼女より俺の方が身長が高いから近くで話す時は自然と俺は彼女を見下ろす形になる訳だが彼女の服は胸の下部分しか隠していないので自然に彼女の立派な胸の北半球とその谷間が目に入ってしまう。

 

「俗に言うツンデレな奴だがまぁ悪い奴じゃねぇからこの任務が終わったら話してみな」

 

「そうだね。話してみるよ」

 

だが9A-91のシースルーの様に透けているインナー越しに黒色のパンツが見えている服装である程度刺激のある格好にも慣れて来たから今なら大丈夫かもしれない。

 

「あ、そうそう。そう言えば9A-91がお前のこと心配してたぞ」

 

「9A-91が?」

 

心配してだって言うのは何に対して心配していたんだろうか?俺がこの任務をちゃんとこなせるかどうかとかかな?

 

「あぁ。向こうの廊下でOts-12と話しているのを聞いたんだ」

 

「私がちゃんと任務をこなせるかとか話してたのかな?」

 

「そう言うのもあるかも知れないけどただ純粋に初の実戦に行く妹を心配してるんじゃないかな?」

 

RFBに言われてハッとした。そう言えばVSK-94と9A-91は姉妹関係だった。あんまり普段はそんなこと意識したりしていなかったからその認識が薄れていたな。確かに姉からすると初めての実戦任務に行く妹を心配だよな。

 

「でもやっぱり9A-91がVSKの姉だなんて思えないよなぁ」

 

と言いながら俺の胸を見てくるKS-23の後ろに何者かの影が現れた。

 

「どこを見て言っているんですか?」

 

「ヒェッ⁉︎」

 

KS-23はらしくない悲鳴を上げて後ろにいた9A-91から飛び退き距離を取った。KS-23を見る9A-91の目はとても冷たい様に見える。KS-23は慌てた様子で早口で弁解する。

 

「い、いや、別に深い意味はないんだぜ?ほ、ほら、9A-91よりVSKの方が身長は高いから姉っぽくないな〜って思っただけで。あ、でも別にお前がチビだとか馬鹿にしてる訳じゃないぞ⁉︎」

 

「・・・私とVSKは身長は殆ど一緒なんですけどね」

 

「え、マジで?」

 

「私が165でVSKが167です」

 

「マジかよ。もっと差があるもんだと思ってたわ」

 

「で?貴方は私がチビだとか思っていたんですか?何ですか?胸が小さい奴は身長も小さいとでも言いたいんですか?」

 

「いや、そんなこと思ってねーて!お前の被害妄想だよ!」

 

「・・・・まぁ良いです。次私の胸に関する話をしたら声帯装置を引き抜きますから」

 

「い、Yes ma'am(イエス マム)

 

「それでVSKは調子はどう?」

 

KS-23と話していた時とは打って変わって優しい表情で9A-91は話しかけて来た。ギャップが凄いんよ。

 

「大丈夫。そう言う9A-91の方は?」

 

「バッチリ。もう準備も終わってる」

 

もう準備を終わらせていたのか。流石真面目な9A-91。仕事が早いな。

 

「あんまり無茶はしない様にね。危ないと思ったら無茶はしないで直ぐに仲間に頼って」

 

「分かった」

 

「忘れ物とかしない様に。それと戦闘の時は焦らず落ち着いて」

 

「本当にお姉ちゃんみたい」

 

俺と9A-91のやりとりを後ろから見ていたティスがそう呟いた。ボソッとKS-23が「いや、どっちかと言うとお袋じゃね?」と言っていたがそれは俺も思った、遠足に行く子供を心配する母親みたいだなと思った。まぁ本人には言わないけど。

 

「みたいじゃなくてお姉ちゃんです」

 

「そう言えばVSKは9A-91のことお姉ちゃんとか呼んだりはしていないよな」

 

「そうなんですよ。一度は言ってくれたことあるんですけどそれ以降全く読んで貰えなくて私少し悲しいです」

 

って言われてもなぁ。何かいい歳した男が自分より身長低い女の子にお姉ちゃん!とか呼ぶのはどうにもはばかれるって言うか恥ずかしいって言うか・・・。

 

「いや、なんて言うかちょっと恥ずかしいって言うか自分のキャラじゃないって言うか・・・」

 

「確かにVSKがお姉ちゃんとか呼ぶのは想像出来ないね。その逆なら想像し易いんだけと・・ってやっべ〜」

 

さっきと同じ様に冷たい目でRFBを睨む9A-91。RFBはその視線から逃げる様にゲームを続ける。

 

「はぁ・・・やっぱり胸なんですかね?」

 

「い、いや、別に胸の大きさは関係ないよ」

 

落ち込む9A-91を慰めようと俺は「胸の大きさが全てじゃないよ!」などと色々言うが今の俺に言われてもあんまり意味はないようだ。と言うか巨乳の人に言われてもそれはただの勝者の余裕にしか見えないな。

 

そんなこんなで皆んなで雑談をしていると放送で俺達に招集がかけられた。いよいよだ。俺達がブリーフィングルームに入ると既に指揮官達が居た。俺達が用意されていたパイプ椅子に座り待っていると指揮官は全員集まったのを確認して話し始めた。

 

「予定通り今夜の9時30分に作戦を実行する。今回の作戦の目標はフィリップ・リオスとその密談相手の2名の確保だ。特にモリスは確実に捕まえること。最悪殺害しても構わない。彼は闇市などで戦術人形の部品や武器、麻薬などを売買している組織のトップ。以前から警察と合同で捜査にあたっていたがなかなか居場所を掴めずにいたから今回が最大のチャンスだ。彼はこのホテルの27階で密会を行う。このチャンスを逃したら次はいつチャンスが来るか分からない。確実にここで捕まえて欲しい」

 

失敗が許されない任務って訳か。初の実戦任務にしては責任重大過ぎない?

 

「FAL率いるアルファ部隊はホテルへ向かって業務用のエレベーターで屋上まで向かいJS9率いるブラボー部隊は地下駐車場で待機してアルファ部隊の現着が確認出来次第非常階段から登ってラペリング降下したアルファ部隊と同時に突入。速やかに部屋を制圧して目標2名を確保して屋上に行き迎えのヘリに乗って撤収。これが今回の作戦の大まかな流れだ。部屋の周りには多数の護衛が居ると思われるからなるべく迅速に用を済ませて撤退してくれ。この作戦について何か質問は?」

 

指揮官は俺達の方を見るが俺も含めて手を上げたりする人は居なかった。

 

「話は以上。出撃準備を始めてくれ」

 

話を聞いていた全員が一斉に席を立ちブリーフィングルームを後にする。俺も9A-91達と一緒にブリーフィングルームを出て武器や装備品を置いている武器庫に向かった。

 

武器庫に来た俺はロッカーのドアを開けて中に収納していたマガジンベルトやホルスターなどの装備品を次々と取り出し装着して行く。 そして次にメインウェポンのVSK-94を取り出しマガジンを入れてコッキングレバーを引いて初弾を装填する。念の為一度コッキングレバーを半分くらい引いてちゃんと装填されていることを確認する。安全装置はまだ外さない。サイドアームのMP-446も取り出しマガジンを入れてコッキングをしてホルスターに入れる。VSK-94はスリングベルトで肩に掛ける。スリングベルトが谷間の間に入っていわゆるパイスラの状態になるがこれは仕方ない。準備を整えた俺達アルファ部隊は怪しまれない様にと言うことで中古で買ったらしい白色のバンの2台に乗り込んで行く。何だか今から銀行強盗にでも行くみたいな感じだな。

 

先ず俺達アルファ部隊を乗せたバンが先に発進する。車内には窓なんて無いから外の様子が見れないのがちょっと残念だ。車に揺られること十数分。バンは予定通りホテルの地下駐車場に来て止まった。

 

「よし、出ろ」

 

運転手から合図が出されて俺達はバンのドアを開けて荷台から降りて行く。待っていたホテルの警備の人と合流すると業務用エレベーターのある所まで案内してもらった。業務用と言うことだけはあってエレベーター内部は広く一度でアルファ部隊の6人全員が余裕で乗ることが出来た。そうして俺達は特に問題無く屋上に来ることが出来た。

 

「こちらアルファ6。現着」

 

≪了解。移動を開始する≫

 

ブラボー部隊も移動を開始し今の所順調に物事が進んでいる。このまま何事もなく任務が終わってくれれば良いんだけどそう言う訳にも行かないだろうなぁ。ブラボー部隊が移動している間に俺達はラぺリング降下の用意をしておく。そうして準備を進めて行く内に作戦開始時間が近づいて来た。俺は固唾を呑んでデジタル式の腕時計に表示される数字を見る。やがて秒針は一周し下のデジタル画面には21:30と表示された。いよいよだ。

 

「時間ね。始めるわよ。降下開始」

 

FALさんの命令と同時に俺達アルファ部隊は屋上からラペリング降下を始める。なるべく音を立てずに素早く下まで降下して行く。この人為に夜遅くまでラペリングの訓練をして来たし実際俺はラペリングが上手くなったと実感しているがこのビルの高さに俺はビビっていた。

 

訓練で登り降りしていた高さによりも圧倒的に高い。下を向けばごまつぶの様な大きさの人と道路を走る車が見える。夜闇の都市を照らすビルや建物、車が作り出す夜景はとても綺麗だがそんなことを気にしていられる余裕は無い。紐をしっかりを掴んで周りの仲間に置いて行かれない様に降下して行く。ヒューっと言う音と共に吹き付ける風が恐怖心を煽って来る。そして俺達は目標の居る27階の一つ上の26階に到着した。

 

「こちらアルファ6。用意良し」

 

《こちらブラボー6。同じく準備よし》

 

《ビルの監視カメラの現在の部屋の映像を送ります》

 

FMG-9から端末に部屋の映像が送られて来た。第一目標のフィリップ・リオスは高そうな椅子に座っており机を挟んだ反対側の椅子には第二目標の密会相手と思われる高そうなスーツを来た男が座っていた。その周りにはAR-15系の銃を持った護衛が8人。

 

《さっきも話したけど出来るだけ第一と第二目標は生かしたまま捕まえてくれ》

 

「《了解》」

 

《こちらブラボー6。3カウントで行く。スタンも投げるから食らわない様に注意》

 

「了解」

 

俺達は27階まで降りると窓ガラスに小型の爆薬を設置しタイマーをセットする。

 

《3》

 

銃を持つ手に力が入る。

 

《2》

 

少しだけ開けられたドアからスタングレネードが室内に投げ込まれる。護衛の奴らもそれに気がつくがもう遅い。

 

《1》

 

スタングレネードが炸裂しとんでもない音と眩い閃光が室内を支配する。同時に窓ガラスに仕掛けていた爆薬が爆発し窓ガラスが割れる。俺達は室内に向かって突入しながらスタングレネードを食らって目と耳が完全にやられている護衛の人間に狙いを定めて発砲する。

 

 

【挿絵表示】

 

 

パシッ!と言うサイレンサーと亜音速弾により極限まで抑制された発砲音が鳴り動けずにいた護衛の胸に命中。一応念の為にもう2発撃ち込んで各実に仕留める。もっとよく映画である様に撃たれた人間は血を飛び散らせるかと思ったがそんなことは無かった。俺の撃った護衛はそのまま床に倒れて動かなくなった。室内に無事入って着地すると更に俺は左側に居た護衛も同じ様に胸に3発撃ち込んで倒した。その間に他の仲間達も次々と護衛を倒し護衛全員を倒すまでには3秒程しかかからなかった。ラペリング用のロープを外し室内のクリアリングをするが今倒した護衛以外に敵は居ない様だ。何事も無く突入が上手く行ったことに俺は胸を撫で下ろした。

 

「な、何だ!何が起きた⁉︎」

 

目標のリオスは突然のスタングレネードでまだ視覚と聴覚が回復していない様で何が起きているのか分かっていない様子だ。俺達が増援が来ないか入り口を見張っている間にKS-23がリオスを取り押さえて武器などを隠し持っていないかを確認し、79式がリオス本人かどうか写真を撮ってその写真を基地のデータと照合する。リオスと密談としていた謎のスーツを着た男の方も同様に取り押さえる。

 

「えっ⁉︎」

 

「なっ⁉︎」

 

突然、端末で照合結果を見ていた79式と身体検査をしていたKS-23が同時に驚きの声を上げた。俺達が何事かと2人の方を見るとKS-23がリオスの襟を掴んで投げ飛ばしていた。次の瞬間リオスが爆発した!耳をつんざく爆殺音が部屋の中を支配し爆風で俺は前のめりに転倒した。

 

直ぐに俺は起き上がり爆発の起きた場所を確認すると爆風により窓ガラスは全て割れリオスの居た所には穴が空いておりリオスの姿はどこにも無かった。あれだけの爆破だし体はバラバラになったんだろうな。それよりもリオスの近くに居たKS-23と79式は大丈夫なのか⁉︎そう思い2人の姿を探すと爆心地から少し離れた所に2人は倒れていた。

 

「2人とも大丈夫⁉︎」

 

直ぐに2人の元に駆け寄る。79式の方は見た感じ酷い怪我などは無いようだけどKS-23の方は酷い状態だった。身体中がボロボロで左腕が爆弾で吹き飛んだみたいで膝から先が無くなっている。

 

「KS-23重傷!」

 

「こちらアルファ6。リオスの自爆によりKS-23左腕を失う負傷、79式が軽症」

 

「待ってください。あの男はリオスではありませんでした」

 

JS9が指揮官に報告をしていると79式がそれを遮りそう言った。リオスでは無かったってとはどう言うことだ?

 

「・・・あぁ、そう言うこと。指揮官、訂正します。リオスと思われていた男は影武者でした。恐らく第二目標の方も同じく偽物だと思います。何処からか今回の作戦が漏れていたと思われます。なお、第二目標は爆発に巻き込まれ負傷してはいるものの生きています》

 

運が良いのか悪いのか。リオスの密談相手の謎の男はKS-23が前に立っていたお陰で爆発した時に破片などを殆ど食らわず死なずに済んだ様だ。

 

《作戦実行中の全部隊に次ぐ。作戦中止。捕まえた男を連れて直ちに屋上に撤収。予定通りヘリを向かわせる》

 

「「了解」」

 

部屋に居た全員が一斉に動き始める。重傷のKS-23と捕まえた男を守るようにして先頭はアルファ部隊。後方は俺達がブラボー部隊が警戒しながら部屋を出て廊下を進んで行く。

 

《多数の敵が上階と下階から接近中!気をつけて下さい!》

 

「了解。エレベーターは待ち伏せされているだろうし階段を登って行くわよ」

 

「「了解!」」

 

急いで廊下へ向かい階段を登ろうとすると上の階の踊り場から銃弾が飛んで来た。先頭を歩いていたティスが危うくその銃撃を食らう所だったがどうやら撃たれることは無かった様だ。怯むことなくティスはすかさず撃ち返し上から撃っていた敵を撃ち殺した。撃たれた敵が手すりから落ちて1番下まで落ちて行くのが見えた。しかし別の敵が直ぐに姿を表して返しとばかりに手榴弾を投げ返して来た。

 

「手榴弾!」

 

とティスは叫びながらも冷静に落ちて来た手榴弾を蹴って下の階に落とした。直後爆発音が鳴り響き破片が飛び散る音がした。

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫」

 

「食らえっ!」

 

9A-91がティスに聞くと頷きながらティスは答えた。その間Micro Uziが両手にサブマシンガンを2丁持ち敵に向かって乱射する。戦術人形のの能力をフルに使ったリコイル制御で毎分1400発もの早さで撃ち出された9ミリパラペラム弾によって敵は蜂の巣にされた。

 

「私達が先に行くから付いて来て。RFBは上の警戒をお願い」

 

「了解」

 

RFBが上の階を警戒しつつ俺達が上の階を警戒しながら俺達ブラボー部隊は階段を登って行く。途中また敵が上の階から俺達を撃ってこようとしたが敵が撃つよりも早く敵の胸を撃ち抜き倒した。

 

「話は聞いていたけど上手いのはゲームだけじゃないんだね」

 

「まぁね〜♪」

 

と言ってRFBはニッコリと笑いながら左手でVサインを作って見せた。敵に襲われている緊急事態だってのに彼女はいつもの変わらない様子だ。屋上までは後3階分登らなきゃいけないがそんなに距離は無いから直ぐに着くことが出来るだろう。敵の邪魔が入らなければだか。上からやって来る敵を向かい撃ちながら少しずつ登っていると下から爆発音が聞こえて来た後に激しい銃声が聞こえて来た。

 

「大丈夫⁉︎」

 

《下から来た敵と接敵したわ。数は多いけど大丈夫》

 

FALが心配して聞くがアルファ部隊の隊長のJS9は冷静な声でそう答えた。訓練の時から思っていたが彼女はとても冷静沈着な人だ。

 

「急ぐわよ」

 

FALさんを先頭に俺達はなるべく急いで階段を登って行く。それに合わせてアルファ部隊が敵と交戦しつつ階段を登って行く。俺は上から下の階に居る敵に向かってアルファ部隊を支援する為に撃つ。フルオートで敵集団に向けて乱射すると数人がバタバタと倒れて行く。だが敵も馬鹿じゃ無い。俺の方へ撃ち返して来る奴が居たがそれはアルファ部隊の人達が倒してくれた。

 

「こちらブラボー6。そろそろ屋上に着くけど迎えのヘリは?」

 

《1分もしない内に来るはずだから来たら直ぐに飛び乗って!》

 

「了解」

 

上に居た敵はそんなに居なかったのか上からの攻撃が来ることが無くなった。逆にアルファ部隊が相手している下の階からやって来る奴らの数は増えている様で銃撃戦の激しさが増していた。俺とグローザとRFBもアルファ部隊を援護しつつ階段を登って行く。幸い階段と言う遮蔽物も何もない一方通行の場所のお陰で迎撃はし易く敵はこちらの激しい銃撃でなかなか前に出れない状態の様だ。後ろから来る敵と戦いつつ階段を登って行き終に屋上に到着した。迎えのブラックホークヘリはもう到着していてヘリポートに着陸していた。

 

「負傷者と捕まえた男を先に乗せて!早く!」

 

負傷したKS-23と捕まえた男をヘリに乗せる。その間手の空いている人達は階段を登って屋上に来ようとする敵を押さえ込む。俺もフルオートで撃ちまくる。当たらなくてもこんだけ撃たれまくっていたら容易には近づくことは出来ない筈だ。

 

「こっち来んな!」

 

出し惜しみはせず残っていた手榴弾を全部投げる。階段の方へ転がって行った手榴弾は次々と連続で爆発し中から人の断末魔の様な声が聞こえて来た。中は手榴弾の爆発に巻き込まれた人達でとんでもないことになっているだろうが気にしている暇は無し気にしない方が良いだろう。見たらトラウマになること間違い無しだ。残りの人達と共にヘリに飛び乗った。

 

「全員搭乗確認!出して!」

 

FALさんがそう叫びながらヘリのパイロットの肩を叩いた。パイロットは直ぐ様ヘリを上昇させビルから速やかに退避した。




この小説ではVSK-94の身長は167センチ、9A-91は165センチ、秘密兵器ちゃんは168センチと言う設定です。つまりこの3人の中ではOTs-12って訳ですね。私のイメージだとティスはそれなりに身長は高いイメージですが皆さんはどうですかね?

そして、今回VSK-94のカッコいい挿絵を描いてくれたマーラントさん。本当にありがとうございます。




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第11話 おっぱいと言っても色々ある訳でそれぞれに良さがある。

どうも皆さんお久しぶりです。別のドルフロ小説を投稿したらうまぴょいしたりしていたら投稿が遅くなってしまいました。申し訳ないです。今回は平和なおふざけ回となっております。


フィリップ・リオスの捕縛作戦から4日。結局捕まえたリオスの密会相手の男も爆発したリオス同様唯の囮だったそうで本当は彼も自爆する予定だったが不発に終わった様だ。もし彼が爆発していたら至近距離にいた79式は確実に巻き込まれて吹き飛んでいただろうから運が良かったなと思うよ。だが、リオスもその密会相手も捕まえることは出来ず作戦は失敗に終わってしまった。何故かは知らないがリオスは俺達の襲撃を知っていた様だ。何処から情報が漏れたのか、リオス本人は何処に居るのかなど指揮官達は色々と調べている様だが俺達の出る幕ではない。

 

結果はどうであれ実行部隊の俺達の任務は一応終わったと言うことで俺達はいつも通りの日常に戻っていた。爆発に巻き込まれて左腕を失う程の大怪我をしたKS-23だったが2日程で修理し終えて完全復活した。どんなに酷い怪我でも一部例外を除き元通りに修理出来るのは人形の良いところだよな。

 

「それで、もう体は大丈夫なの?」

 

そして今俺は娯楽室でKS-23とRFBと一緒に雑談をしていた。RFBの方はいつもの様にFPSゲームをあぐらをかいた状態でやっている。

 

「あぁ。前も言ったがこの通り元通りだ」

 

と言って復活した左腕で力こぶを作って見せるKS-23。左腕は傷一つない綺麗な状態で爆弾で吹っ飛んだ後とは思えない。左腕以外も爆弾の破片が身体中に突き刺さっていたりしていたがその傷跡も見受けられない。

 

「でも酷い目に遭ったよ。あの時は死んだと思ったね」

 

「偽リオスを投げて盾を出したのが良かったらしいね。良く咄嗟に出来たね」

 

「いや本当にだよ。自分でも良くやったと思うよ。にしても影武者を爆発させて俺達を殺そうとするなんてとんでもねぇ奴だな」

 

「あわよくば私達全員を纏めて吹き飛ばそうと考えていたんだろうね」

 

「それにしては爆弾の火力は低かったな」

 

確かに。近くに居たKS-23と79式を負傷させるだけの威力しか無かったからどんなに上手くいってもあの部屋に居た俺達全員を纏めて爆殺する事は出来なかっただろう。

 

「あの捕まえた密会相手の男も一緒に爆発する予定だったからじゃない?」

 

成る程ね。RFBの言う通りだ。2人が同時に爆発していたらヤバかったかも知れないな。

 

「そう言えばRFBもありがとうね。階段で戦っていた時は助かったよ」

 

「いいってことよ。それにVSKもヘリに乗る時に最後まで敵と戦っていたじゃん」

 

「あれはただ乗り遅れていただけだよ」

 

あの時は目の前の敵と撃ち合うのに夢中になった結果ヘリに乗るのが遅れてしまっただけで仲間の為に最後まで戦っていたって言う訳じゃない。

 

「まぁ経過はどうであれ結果的には皆んなを守ることになったんだしそんな卑下しなくて良いよ」

 

「別に卑下している訳じゃないんだけどね」

 

「もっと自分に自信を持てってことだな」

 

「まだあんまり自信は持てないかな」

 

まだ俺は9A-91やティスの様に戦える訳じゃないしRFBの様な精密射撃が出来る訳でもない新米だからな。

 

「もっと自信持てって。お前は爆弾でやられちまった俺と違って活躍したんだ」

 

「そうそう。全くダメダメだった訳じゃないんだからね」

 

何か2人とも凄い俺を褒めるって言うか持ち上げてくれるな。まぁ悪い気はしないけどさ。

 

「あ、おひさー!」

 

聞き覚えのある声が後ろから聞こえて来た。振り返るとCZ-805が立っていた。相変わらず上半身はヘソも胸のI字の谷間も脇も色々と見えてしまっている上半身の露出度の高い服装をしていて目のやり場に困るな。

 

「お久しぶりです。ブレンさん」

 

「そんな敬語なんて使わなくて良いよ〜。今回の任務大変だったみたいだね」

 

「そうなんだよ。俺なんか爆弾で吹っ飛ばされて左腕持っていかれたんだからな?」

 

「そりゃ大変だったね。私の方はただの警備任務だったから暇で仕方なかったよ〜」

 

最近ずっと姿が見えなかったのはその警備任務に行っていたからか。にしてもこんな格好で警備任務か・・・注目浴びそうだな。

 

「ん?何?私をじっと見て」

 

「いや、なんでも」

 

ん?でも待てよ、最近毎日会うせいで感覚がバグっていたがKS-23もなかなか露出度の高い服装じゃないか?上半身の露出度はCZ-805に負けているがミニスカートと黒タイツと言うCZ-805と違ってKS-23はめちゃ短いホットパンツだけでそのムチムチな太ももなやふくらはぎは全部見えている。なので総合的な露出度で言うとCZ-805よりKS-23の方が高いと思う。後、これは関係ない話だが胸もKS-23の方が大きい様に見える。

 

「ところでリベンジはする予定なの?」

 

ソファーに座りパックに入ったリンゴ味のジュースをストローで飲んだCZ-805は俺に聞いて来た。

 

「リベンジ?」

 

「そのフィリップ・リオスって言う奴はまんまと逃げ果せたんでしょ?」

 

「まぁ・・・そうだけど」

 

「このまま逃がしちゃう訳じゃないんでしょ?」

 

なるほどそう言う訳でリベンジか。まぁ確かにこのまま奴を逃がす訳はないと思うし俺個人もKS-23や79式をひどい目に合わせたアイツを許せないと思っているしな。

 

「まぁその筈だけど指揮官からは特に命令は来ていないね」

 

「ああ見えて指揮官は諦めの悪い人だから多分そう遠くない内にまた任務が来ると思うから楽しみにしとくと良いよ」

 

「俺の左腕の例もしたいからな。楽しみだ」

 

KS-23は結構やる気みたいでふんすと意気込んでいる。だが俺は戦闘はそこまで得意じゃないし好きな訳でもないから楽しみでは無いかな。まぁその新たに来る任務に備えとかないとだな。

 

「あ、そうそう。VSKに聞きたいことがあったんだった。MCXって娘知ってる?」

 

突然CZ-805から聞かれたが初めて聞いた名前だった。その人がどうかしたんだろうか?

 

「いや、知らないけどその娘がどうかした?」

 

「いや、服装とかがVSKに似ていたからさー。もしかしたら知り合いかなって思って」

 

「いや、もし知り合いだったとしてもVSKは拾われる来る前の記憶は無いから分かんねーだろ」

 

「あ、そっか。ゴメンね」

 

両手を合わせて謝って来るCZ-805に俺は「別に大丈夫ですよ」と言って笑って見せる。

 

「で、そのMCXってのは誰だ?」

 

「あれ、KS-23は知ってると思ったんだけどな。まぁ別の部隊で行動していることが多いし知らないのも仕方ないのかな?」

 

「私は知ってたし実を言うとそれ私も気になってたんだよね」

 

「何だ、RFBは知ってたのか?」

 

「まぁね。確かブレンと同期だったよね?」

 

「だね。同じ時期にここに来た」

 

「確かに服装はVSKに似ているよね。それに胸も」

 

と言ってゲームをしていたRFBをチラリと振り返り俺の胸の方を見て来た。そのMCXって言う娘も胸が大きいってことなんだろうか?

 

「そうなんだよ!VSKも大きいけどMCXもなかなかなんだよね」

 

「どっちが大きいと思う?私はMCXの方が大きいんじゃないかなと思ってるんだけど」

 

「う〜ん・・・・どっちだろ?」

 

「なら実物を見比べて確かめてみない?」

 

おっと?関わらない様に黙って聞いていたらなんだか話が面倒なことになって来たぞ?KS-23もノリノリで「それは面白そうだな!」とか言っているし。RFBもゲームをやめて話に加わっているし。

 

「いや、わざわざ比べなくてもよくない?って言うか何で皆さんそんなにノリノリな訳?」

 

「そりゃおっぱいの大きさは皆気になるだろ。それも巨乳となると尚更」

 

と言うKS-23だが年頃の男子学生みたいなノリだなこりゃ。って言うかこの状況を9A-91が見たらまたキレたりするんじゃないか?それは不味いな・・・・。

 

「それじゃぁ私はMCX探して来るね」

 

「え、本当に呼ぶの⁉︎」

 

俺の声を無視してCZ-805は手を振って部屋から出て行ってしまった。

 

「で、MCXってどんな奴なんだ?」

 

「うーんなんて言うかイタズラ好き・・・いや、人を煽ったりしてその反応を楽しんだりする人だね。それとトランプとかを使ったマジックが得意」

 

「良い性格してるなそりゃ」

 

「でも普通に優秀だし以外に仲間思いな所もある良い人だよ。元々警察に所属していた人形だったらしいし」

 

「そうなのか。そう言えばVSKの服装も警察のだよな。上に来ているジャケットとか」

 

今は上はシャツしか着ていないが確かにジャケットには警察のバッチらしき物が付いているし胸辺りには白文字のロシア語でполиция(警察)とガッツリ書いてある。因みにロシア語は読めないから調べた。

 

「そうだね」

 

「服装も似てるし案外知り合いだったりするんじゃない?」

 

「もしそうだったとしても自分はここに来る前の記憶を失っているから」

 

「でもMCXから何か聞けるかもしれないじゃん」

 

「あー・・・確かに」

 

3人で雑談をしながら待つこと約10分。外の廊下から2人分の足音が聞こえて来た。どうやら本当に連れてきてしまった様だ。と言うかわざわざ胸の大きさを比べる為だけに呼び出されたMCXが可哀想だ。後で謝った方が良いかもな。

 

「連れて来たよー」

 

「やっほー♪」

 

CZ-805の後ろから姿を表したのはピンク色の長い髪と赤色の特徴的な瞳を持つ女性。彼女が噂のMCXか。確かにデカイな・・・。POLICEと書かれた紺色のジャケットの下、俺が今着ているのと同じ様な白シャツをはち切れんばかりに押し広げている大きな胸。確かに俺と同等くらいの大きさだ。

 

「あ、キミがVSKだね?ブレンがおっぱいが大きいから直ぐに分かるって言ってたのも納得だ」

 

おっぱいで誰か判断するのってどうなんだそれ?にしても俺の俺の想像していたキャラとは随分違うな。元々警察に所属していたとか言っていたから真面目なお姉さんかなと思っていたんだが今こうして喋っているのを見ているとおちゃらけた先輩って感じの印象だ。

 

「まぁ取り敢えず。自己紹介。私はMCX。よろしくね♪」

 

と言ってMCXは笑顔で俺に右手を差し出して来た。俺はその手を握り返し握手をした。

 

「あ、は、はい。よろしくお願いしま・・・す?」

 

だが挨拶をしながら俺は違和感を覚えた。今俺が握っている彼女の右手に生気を感じられない。と言うか体温を感じられず少し冷たくも感じる。

 

「お、これに気づくなんてやるねぇ〜」

 

俺が不思議がっているとMCXはそう言って右手を引いた。するとまるでトカゲの尻尾の様に彼女の右腕が外れた。・・・・ん?腕が取れた?

 

「なっ⁉︎」

 

なんか腕が取れたんだけど⁉︎俺の手を握ったままの彼女の左腕は膝から上が無くMCXの方を見ると確かに右腕が無くなっている。え、おれ何かやっちゃいました?

 

「あっはははは♪良いね〜そのリアクション」

 

俺が突然のことにわたわたしているとMCXがまるで小悪魔の様な笑い方で笑った。そこで俺はようやく気が付いた。さっきRFBが言ってたじゃないか。イタズラ好きだって。MCXは「本物はこっちでしたー」と言いながら裾の中から腕を出した。さっきこんなことに読んだことを謝った方がいいんじゃないかと言ったが謝んなくても良いんじゃねこれ。

 

「それじゃ、改めて」

 

と言って彼女は再び右手を差し出して来る。また偽物だったり何か別の仕掛けがあるんじゃないかと俺は警戒する。

 

「大丈夫。この手は本物だから」

 

そう言いながらMCXは右手をひらひらを動かして見せた。俺は慎重に恐る恐る彼女の差し出して来ている右手を掴んだ。すると突然「わっ!」と言って俺の両肩を両手で勢い良く掴んで来た。いきなり音をだして驚かすと言うありきたりな方法だったが何か来るんじゃないかと警戒していた俺は声こそ出さなかったが驚いてしまった。

 

「そんな目で見ないでよ〜」

 

俺はジト目でMCXを見る。今お前は俺のあんまり関わりたくない奴リストに入ったからな。

 

「まぁこんな感じの人だよ」

 

「成る程な」

 

「あ、キミも初めて会うよね?よろしく〜」

 

「おう。KS-23だ。よろしく」

 

KS-23も俺と同じ様にMCXと握手をする二度あることは三度ある。また何か来るだろうと思っていたが普通に握手して終わって。

 

「って俺には何もせんのかい!」

 

「何度もやってたらマンネリ化しちゃって良い反応が貰えないからね。こう言うのは忘れた頃に突発的にやるのが良いんだよ」

 

「成る程。それは確かに」

 

いや、感心している場合か。と言うことはつまり忘れた頃にまた何かされるってことじゃんか。今度からMCXと会う時は警戒しないとだな。

 

「で、乳比べするんでしょ?」

 

もう彼女のキャラ的にそうじゃないかと思っていたがやっぱりMCXもノリノリの様だ。

 

「よし、それじゃぁ2人は横に並んで!」

 

CZ-805に誘導され俺はMCXの真横に立たされる。一体どうやって大きさを比べるのかと思っていたら3人は横や下から俺とMCXの胸を見比べ始めた。と言うか目測なのかい。いやまぁ服とか脱がされてわざわざ胸の大きさを測ったらするよりはマシだけどさ。こうもジロジロと間近で胸を見られるとやっぱり恥ずかしい。それに対してMCXは恥じる様子はなく逆に何でか誇らしげだ。

 

「うーーーーん・・・・どっちだ?」

 

「ほぼほぼ大きさは同じに見えるし・・・引き分け?」

 

「だね」

 

勝負はまさかの引き分けか。いやまぁ俺的には勝とうが負けようがどっちでもいいんだけどさ。胸の大きさなんて気にしてないし。と言うか寧ろ小さくなってくれないかなとも思っているし。

 

「そんじゃぁ揉み心地で比べてみるか」

 

「え?」

 

いや揉み心地とか何言ってんだ?と言うか何でKS-23とかは直ぐに人の胸を揉もうとするんだよ。俺が抗議の声を上げるより前にKS-23は俺とMCXの前に立つと右手で俺の片乳を、左手でMCXの片乳を鷲掴みにすると本当に揉んで来た。コイツには躊躇とか遠慮とか揉まれる本人のことを思う気持ちとか色々と足りていない気がするんだが。

 

「・・・・・・」

 

目を閉じて訓練の時とは少し違う真剣な表情で胸を揉むKS-23。こんな真剣に胸を揉んでいるやって初めて見たよ。と言うかそんな真剣に揉まれても揉まれると俺がリアクションに困るんだが?ごめんなさい。こんな時、どんな顔をすればいいか分らないの。え?笑えば良いって?笑えるかっての!ただ恥ずかしいだけだわ!想像してみろよ、自分の胸を揉まれているのを。どう言う反応すれば良いか分かんねぇだろ⁉︎もう多分今俺顔赤くなっているよ。

 

「どう?」

 

「ふむ・・・VSKの方はむにゅむにゅとした感触でまるでマシュマロの様に柔らかくて揉む度に指が深くまで沈み込むからそのボリュームを味わうことが出来る。だが程良い反発性があってもっと揉みたくなる独特な感触だな。それに対してMCXの胸はハリがあってムチムチとした感触で大きさと合わせて揉み甲斐があるな。それに胸のずっしりとした確かな重さが感じられて巨乳を揉んでいるんだって言う実感がある。分かりやすく言うと低反発のVSKに高反発のMCXだな。それと自身ありげにしているMCXと違って揉まれている時に恥じているVSKが可愛いくてもっと困らせてやりたいって言う加虐心が刺激されるな。どちらのおっぱいも甲乙つけ難い素晴らしいおっぱいだ。優劣なんてつけられない」

 

いや何コイツ真面目な口調ですらすらと胸を揉んだ感想を言ってるんだよ。と言うか結局これも引き分けかよ。揉んだ意味よ。

 

「ほほぉKS-23が熱弁する程のおっばい・・・私も堪能してみたいものですなぁ。ふへへへへ」

 

気持ち悪い笑い方をしながら両手をワキワキと動かしながら近づいて来るRFB。KS-23なら揉まれて充分過ぎる程恥ずかしめを受けた俺は胸をガードしながら距離を取る。

 

「これ以上は禁止!」

 

「良いではないか〜良いではないか〜」

 

「いや良くないから!」

 

その後俺は俺の胸を揉んで来ようとするRFBとCZ-805から逃げ回ることとなり更に面白がってMCXもその追いかけっこに参戦し大騒ぎとなった。

 

「VSK居る〜?って、何やってんの?」

 

やんややんやと騒いでいるとグリズリーさんが娯楽室に入って来て俺達の姿を見て呆れた。そりゃそうだ。俺がMXCに警察仕込みの腕十字固めを食らっている横でKS-23がプロレスの様に3カウントし、俺が動けなくなっている隙に胸を揉んで来ようとして来たRFBの頭を俺が足で挟んで首を絞めているところなんて見たら呆れるわな。

 

「えっと・・・CQC?」

 

自分で答えときながら何だが良く分かんない答えだな。

 

「まぁあんた達が何しようが勝手だから良いんだけどさ。それよりVSK、指揮官が呼んでいるから執務室に来て」

 

「了解しました」

 

そう俺が返事をするとグリズリーさんは出て行った。俺は腕十字固めから解放してもらうと立ち上がった。地味にMCXに腕十字固めされている時に掴まれていた右腕がMCXの胸に当たっていた。確かにKS-23の言う通りハリのある感触だった。そして足からはなんか良い匂いがした。暴れ回ったせいで着崩れていたシャツを直す。指揮官の元に行くんだから最低限服装はちゃんとしないとだからな。

 

「そう言うことだからまた後で」

 

「じゃぁね〜。楽しかったよ」

 

ニコニコと笑いながら手を振って来るMCXに「また」と言って俺は娯楽室から出た。またとは言ったがまた会った時はイタズラとかをされたりするんだろうか?それは対応が面倒だな。

 

グリズリーさんは急ぎの様とは言ってなかったがわざわざ俺が呼ばれたってことはなんかある筈だと考え俺は早歩きで執務室へ向かった。ドアを3回ノックする。

 

「VSK-94です」

 

「あぁ。入ってくれ」

 

「失礼します」

 

指揮官の許可を得てから部屋に入る。俺は座って何やら書類仕事をしていた指揮官の前まで行く。そこで俺は指揮官の視線が俺の胸の方に行ったのに気が付いた。まぁ今までも指揮官と何度か話す機会があってその度に胸を見られることはあった。巨乳の少女か目の前にいたら胸に目線が行ってしまうのは俺も男だから気持ちは痛い程分かるし指揮官も見てはいけないと思っているのかチラチラと見たりするが直ぐに視線を逸らす。だが今回は違う。ガッツリ見て来るんだ。何だ?

 

「・・・話をする前にちょっと良いかな?」

 

「はい。何ですか?」

 

「いや、何と言うか・・・」

 

何だが分からないが言い難くそうにする指揮官。俺は何が何だが分からず頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。逡巡した後指揮官は意を決した様な表情になった。

 

「その、別にセクハラとか言う意味じゃないんだがその・・・胸の上のシャツから飛び出しているカードみたいなのは何だ?」

 

「ん?」

 

指揮官に言われて俺は視線を下に向ける。するとシャツの間から何かカードの様な物が少しだけ飛び出していた。と言うかコレ胸の谷間に挟まってるよな?成る程。だから指揮官は聞き難くそうにしていたのか。一度指揮官に背を向けて谷間に挟まっていたカードを抜き取る。と言うか言われるまで気づかなかった俺もヤバいな。挟まっていたのはトランプカードのハートのクイーンだった。しかも誰かのキスマーク付きで更に黒ペンでSee you soonと筆記体で書いてあった。直ぐに誰の仕業かは分かった。

 

「すいません。MCXのイタズラでした」

 

「と言ってトランプカードを指揮官に見せる」

 

「成る程。彼女らしいな。私もよくイタズラされたりするよ」

 

指揮官相手にもやってたのかよ。会社の上司相手にイタズラをするのって普通に考えてヤバいよな。

 

「まぁそれは置いておいて。君に来て貰ったのはとあるパーティー会場に潜入してもらいたいからだ」

 

「・・・え?」




って言うかまた胸の話しかしてませんでしたね。と言うか書いてて思ったんですけどあのムチムチとしたVSKの足で首を絞めてもらえるのって普通にご褒美じゃね?いやまぁ戦術人形の力で締められたら確実に死ねますけどね。と言うことで次回もお楽しみに!

いつもご感想をくださる皆様ありがとうございます!いつも感想を貰ってモチベーション回復しています。と言うことで皆さんご感想お待ちしております!


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第12話 うわっ・・・私の格好、エロくね・・・?

大変長らくお待たせしました。最近私生活が忙しくて書く暇がないんですよね。すいません。なので今回の話も急ピッチで書いたものなので話は短めとなっております。


「パーティー会場への潜入・・・ですか?」

 

「あぁ。4日前の作戦で我々はフィリップ・リオスをまんまと逃してしまったが我々は決して諦めない。調査によると奴は我々に狙われていると言うのに余裕をこいて3日後に開かれるパーティーに参加するそうだ。よって我々はそのパーティーに潜入し今度こそフィリップ・リオスを捕まえる。最悪殺害しても構わない」

 

CZ-805の言う通り指揮官は諦めて居なかった様だ。にしても俺がパーティー会場に潜入だって?それはちょっと荷が重いな。

 

「でも民間人も多いパーティー会場でどうやってリオスを?」

 

「そこで君達の出番って訳だよ。実はそのパーティーにリオスが本当に参加するのかどうかは正直言うと分からない。情報が不確かで偽の情報の可能性も充分にある。そこで君達にパーティー会場に潜入してリオス本人からどうか確認した後確保して欲しい」

 

「それで何で自分なんですか?」

 

それを聞くと何故か指揮官は少し言い難そうに言い淀んだ。ん?何か言い難い理由なんだろうか?

 

「その・・・・情報によるとリオスは巨乳好きらしくてね」

 

「あー・・・成る程」

 

それなら俺は適切だな。なんと言っても今の自分は結構な巨乳だからな。

 

「しかし自分がパーティー会場に潜入してリオスを捕まえるのはちょっと自信がないと言うか力不足の様な気が・・・」

 

射撃や格闘などの戦闘訓練は今までにして来たがパーティー会場に潜入したりする訓練なんて勿論やったことは無い。

 

「それに関しては大丈夫。君以外にもパーティーに潜入して貰うつもりだから安心してくれ」

 

「自分以外には誰が?」

 

「グリズリー、スプリングフィールド、95式、DSR-50の4人だ。他にももしもの時のアシスタントを用意しておくつもりだね」

 

グリズリー以外の人達はまだ知らないからどうなのか知らないけど確かにグリズリーさんは巨乳だ。それに性格もスタイルも良い。彼女の誰とでも優しくからフランクな性格もあり個人的に男の子に勘違いさせちゃう人形の有力候補だと思う。

 

「皆んな優秀な人形達だからもし任務中に何か困ったことがあったら彼女達に助けて貰うと良いよ。それで、今回の作戦に参加して貰って良いかな?」

 

やっぱり自信は無いがわざわざこうやって指揮官から指名されたってことは別に俺が巨乳だからと言う訳でなく僕が任務をきちんとこなしてくれると信頼してくれているのだろう。その信頼に俺は応えたいと思う。

 

「分かりました。自分で良ければ」

 

「ありがとう。実は既に今回の作戦に参加する戦術人形達様にドレスは用意させていてね。丁度今日届いたから試着してサイズとかの問題が無いか確認しておいてくれ」

 

と言っていつの間に持って来たのかグリズリーさんがドレスを俺に渡して来た。見るからに高そうな感じの黒色のドレスだ。しかしドレス見た俺はそのデザインに抵抗を感じた。なんでかと言うと明らかに露出度の高いデザインだったからだ。こんなの絶対注目を集めるに決まってる。こんなに露出度の高い服を着るのもそれを色んな人に見られるのも想像しただけで恥ずかしい。だけど指揮官にはもう任務に参加するって言っちゃったしわざわざ高そうなドレスを用意してもらったんだから他のドレスにお願いしますとも言い難いしここは我慢するしか無いか。

 

「具体的な作戦は後日皆んなを集めて話すから今日の所は帰って良いよ」

 

「分かりました。失礼します」

 

指揮官に向かって敬礼をしてから俺は執務室を出た。さて何処で試着しようかと思っていると執務室からグリズリーさんが出て来て俺の方にやって来た。

 

「私もドレス試着したかったから一緒に試着しようよ」

 

一緒に試着と言われて一瞬グリズリーさんの下着姿を見ることになるんじゃないかとドキリとしたがまぁそんな訳はないか。別に断る理由も無いし引き受けるか。

 

「良いですけど・・・何処で試着を?」

 

「実は皆んなで試着しようって話をしててね。宿舎にある空き部屋で試着しようって話になってたんだよ」

 

「そうだったんですか」

 

と言うことで俺はグリズリーさんに案内されて宿舎にある空き部屋に案内された。そこに居たのは揃いも揃って大きな胸を持っているドレスを着た綺麗なお姉さん達。まるでファッションショーのモデルさん達が集まっているみたいだった。

 

「噂の新人を連れて来たよ」

 

グリズリーさんがそう言うと3人の視線が俺に集まったので直ぐに挨拶をした。

 

「えっと、VSK-94です。宜しくお願いします」

 

「スプリングフィールドです。宜しくね」

 

先ず1番近くに居た青色のドレスを着た茶髪の優しそうな女性が柔和な笑顔を僕に向けて来た。俺よりも身長が高いので俺を見下ろして話して来ているんだがその優しそうな雰囲気も相まってまるで優しい姉さんみたいだ。巨乳で優しいお姉さんとか最高だろオイ。ネイビーブルーのドレスはとても似合っていて誰もが見惚れてしまうんじゃないかと思う美しさを持っている。

 

「アサルトの95式です。宜しくお願いします」

 

次に挨拶して着たのは白色のチャイナドレスを着て頭の右上に青色の花をあしらった女性が礼儀正しく挨拶して来た。スプリングフィールドはお姉さんって言う感じの女性だったが95式はお姉ちゃんって感じの人形だ。チャイナドレスと言うこともありスリットから見える太ももがとてもエッチだ。清楚そうな雰囲気と相まって結構俺好みの女性だ。

 

「DSR-50よ。よろしくね」

 

最後に挨拶して来たのは先の2人とは違って大人な女性って感じがする長身の女性。そして目を引くのは他の人形達にも負けない大きさを持った胸。更に彼女の着ている黒色ドレスは他の2人と違ってエロ度が高い。アメリカンスリーブタイプのドレスは脇どころかそのたわわな生の横乳まで見えてしまっておりとてもエロい。更にドレスの胸部分は生地が薄くなっているせいでそのI字型の大きな谷間が透けて見えていてエッチだ。とにかく自身の肉体美をフルに生かした色気全開の服だ。

 

「それじゃ、私達も着替えよっか」

 

「あの〜自分ドレスなんて着たことがないんですけど・・・・」

 

3人の姿に見惚れているとグリズリーさんが個室の方を指差しながら着替えるように言って来たが俺はドレスなんて着たことがない。

 

「大丈夫。普通の服と着方はそんなに変わらないから」

 

親指を立てたグリズリーさんはそう答えた。まぁ確かに服なんて基本的な着方はどれも一緒なんだし何とかなるか・・・な?取り敢えず試着室に入り俺は着ていた服を脱ぐと持って来たドレスを慣れない手つきで着て行く。手間取りながらもなんとかドレスを着ることは出来た。鏡で自分の姿を見てみる。

 

「うわぁ・・・めっちゃ露出度高いじゃん」

 

分かってはいたが改めて自分の姿を見てみるとこの服の露出度の高さを思い知らされる。多分露出度で言うとさっきの3人よりも俺のドレスの方が高いだろう。ヘソの部分は何故かV字に開いていてヘソが丸見えになっている。それどころか胸は必要最低限の所しか隠せておらず乳も谷間も丸見えだ。さっきのDSR-50のドレスはまだ薄い布があったがこのドレスはそんなのも無い。足の方もチャイナドレスの様にスリットがありその隙間から生足がチラ見えしている。と言うかこの服上半身は殆ど肌が見えているな。いやこの格好で皆の前に出るのは滅茶苦茶恥ずかしいぞ。

 

「どう?もう着替え終わった?」

 

そんなことを考えていると外からグリズリーさんの声が聞こえて来た。どうやらグリズリーさんはもう着替え終わった様だ。俺もいつまでも試着室に籠っている訳にもいかないから出るしか無い。しかし恥ずかしいのは恥ずかしいので意味はないと分かってはいたが胸を腕で隠しながら試着室から出た。グリズリーさんは俺とは違って露出度の高く無い黄色のドレスを着ていた。髪型が変わっていることもありまるで別人の様に見える。

 

「おぉ〜似合ってるじゃん!」

 

「あの・・・・このドレス露出度高過ぎません?」

 

「その方がリオスも食いつくでしょ。恥ずかしがらなくても良いよ。よく似合ってるから」

 

確かに金髪の巨乳美少女がこんな露出度の高いエチチな服を着ていたらどんな男でも食いつくだろうな。と言うかこんな格好じゃ似合ってるよと言われても素直に喜べないっての。

 

「それでサイズとかは問題なかった?」

 

「あ、はい。それは問題ないです」

 

「なら良かった。じゃぁ作戦当日もそのドレスを着てね」

 

「了解です」

 

こんな恥ずかしい格好でそのが沢山集まるであろうパーティー会場に行くなんて想像するだけで恥ずかしくなって来るけど・・・まぁこれも任務達成には必要な事なんだし頑張るか。




皆さんはドルフロキャラのドレス姿だと誰が好きですか?私はやっぱりBSK-94のドレス姿が好きですね!

ご感想お待ちしております。


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第13話 私を襲う気でしょ!エロ同人誌みたいに!

おーひーさーしー振りです。リアルが忙しかったりスランプになったり創作意欲が湧かなかったりリコリス・リコイル見てたらと色々なことがあり気付けば8月。長い間投稿出来ておらずすいませんでした。


前回リオスを捕まえる為に突入したのとはまた別の高級ホテルのパーティー会場。第三次世界大戦などにより荒廃したこんなご世界でもこんな豪華な所がまだあったのかと感心してしまう程、パーティー会場は贅沢を尽くした正に豪華絢爛と言う言葉が合う空間だった。友人同士でのパーティー程度なら俺もやったことはあったがこう言う所は初めて来たから何だが緊張するな。

 

「うわ、シャンデリアとか初めて生で見た」

 

天井の方を見てみると煌びやかなシャンデリアが吊るされている。金とかその他色々な宝石類を使っていそうだし多分あれだけでとんでもない金額になるんだろうな。

 

「シャンデリアが気になるのは分かるけどあんまり見ない方がいいよ。怪しまれるから」

 

隣を歩いていた黄色のフォーマットなドレスを着ているグリズリーさんが小声でそう俺に言って来た。確かに天井のシャンデリアをじっと見ている奴がいたら怪しく見られるかもな。にしてもいつものカジュアルな格好とは全く違うドレス姿のグリズリーさんはいつもの快活な女の子と言う感じではなく何処かの貴族の令嬢の様に見えるな。服装が変わるだけでこうも人の印象は変わるものなんだな。

 

「それとあんまりキョロキョロしない様に。自分は金持ちの娘だと思って自信ありげに歩いて。他の人と話す時は笑顔を忘れずに」

 

「すいません。こう言う所に来るのは初めてなので慣れてなくて・・・」

 

「まぁ慣れてる雰囲気じゃ無いよね」

 

それにこの露出度の高いドレスを着ているせいもありいつもよりも周りの人達から向けられる視線が多い気がする。そりゃ巨乳の美人な女性が露出度の高いドレスを着てたら見てしまうだろう。何か俺の方を見て噂話をされている様にも見えてしまって落ち着かない。

 

《こちら指揮官。マイクテスト》

 

「感度良好」

 

「同じく感度良好です」

 

耳に付けているイヤリング型の通信機から指揮官の声が聞こえて来た。これは今回の潜入任務様にと用意して貰った物なんだがまるで映画とかで登場するスパイが使うアイテムみたいでテンションが上がる。見た目はただのイヤリングにしか見えないし詳しく調べられない限り通信機だとバレることはないだろう。指揮官の問いかけに俺とグリズリーさん以外にもこの作戦に参加している皆が答える。

 

《よし、全員問題は無いね。改めて説明するけど今回の作戦の内容はリオスの捕獲もしくは殺害。でも奴には色々と聞きたいことがあるから出来れば生きたまま確保して欲しい。作戦内容はハニートラップ。リオスは好みの女性を見つけると金などをチラつかせて自分の部屋に連れ込むと言う情報を元にハニートラップを仕掛けてリオスが自室に連れ込んだ時にリオスを確保する。確保する前に他のチームは障害となる護衛を排除して安全を確保しててくれ。リオスを奪還しようと護衛とかが増援で来る可能性があるけどそう言う場合に備えてこっちも増援も用意しているから最悪敵と銃撃戦になっても対応出来る様になっているから安心して。前回の影武者自爆の件もあるから全員注意して動く様に。それと、何か問題が発生したら直ぐに報告する様に。以上》

 

指揮官からの通信を聞き終えた俺は小さく溜め息をついた。まさかこの俺が中年のおっさん相手にハニートラップを仕掛ける事になるなんて思ってもいなかったよ。と言うかハニートラップってどう言う風にやれば良いんだよ。前にグリズリーさんに聞いた時は男が喜ぶ女を演じれば良いって言われて、簡単な練習もしたけどぶっちゃけて言うとよく分かっていない。男が喜ぶ女ってどんな感じなのかが余り想像出来ない。

 

「それで・・・これからどうするんです?リオスを探して話しかけたりするんですか?」

 

「いや、最初の内は他の客みたいにパーティーを楽しんどきながらリオスの目に着く様に近くを通ったりする。そしてしばらくしたらリオスが私達の誰かに声を掛けて来ると思うから後は作戦通りリオスとお話ししたりしてリオスが自室に案内するのを待つって感じかな。はいシャンパン」

 

グリズリーさんは俺に説明してからスタッフがトレイに載せて運んでいたシャンパンの入ったグラスを2つ取り1つを俺に渡して来た。

 

「ガツガツ飲まずに少しずつお上品に飲むのがコツだよ」

 

「了解」

 

取り敢えずリオスに動きがあるまで俺はグリズリーさんと一緒にパーティー会場を適当に歩いたり軽食を摘んだりして他のお客と同じ様にパーティーを楽しんでる風に動く。

 

会場の中央では肌の露出が多い扇情的な衣装を身に纏った踊り子達が華麗で優雅に踊っていた。その魅力的な姿と華麗な踊りに思わず見惚れてしまう。別に格好が扇情的だから見惚れていると言う訳じゃない。いや、全く違うかと言うとそうじゃないけど。その踊るっている姿は純粋に綺麗だなと思う。

 

その踊り子達の中に俺は顔見知りを見つけた。何で踊り子なら中に顔見知りが居るのかって言うとそいつが今回もし潜入が何らかの原因で失敗して派手な銃撃戦になった時の為にと送られたグリフィンの仲間だからだ。踊り子に混ざって踊っているのはトカレフとPA15。2人とも踊るのが上手い。多分前から練習していたんだろうな。俺とかと違って2人は拳銃をメインに使う戦術人形だからメインウエポンが拳銃なので隠し待つことが出来るのでもし銃撃戦になった時に有利に戦うことが出来ると言うことらしい。因みに俺は流石にスナイパーライフルのVSK-94を隠し持つことは不可能なのでサイドアームのMP-446を服の下に隠してある。一応練習してある程度は当たる様になったから前よりは良くなっている筈だが不安だ。

 

パーティー会場を歩いていると一緒に潜入しているスプリングフィールドとDSR-50の姿を見つけた。スプリングフィールドは胸も大きくて綺麗だし優しい性格だと言うこともあって男性からの人気が凄い様で多数の男性から話しかけられていた。一方DSR-50は話しかける男性の数は少ないがその豊満な肉体を曝け出している露出度の高い服装でかなり注目を集めている。本人もそれは分かっている様でわざと足を噛んでスリットから太ももが見える様にしたりしている。彼女は標的はリオスだと言うことを忘れてないか?

 

もう1人一緒に潜入している95式の姿が見えなかったので探してみるとどうやら中年の男性にしつこくナンパされている様だった。やっぱり戦術人形は皆美人しかいないから人気だな。笑えることに今の俺もそのお仲間な訳だが。

 

そんな感じでリオスが誰かに食いつくのを待っているとグリズリーが周囲には聞かれない程度の声量で話しかけて来た。

 

「アイツ、君に興味があるみたいだよ」

 

「え、マジですか?」

 

アイツとは勿論リオスのことだ。なーんでよりにもよってこっちに興味を持つかなぁ?お淑やかそうな感じのスプリングフィールドとか雰囲気と見た目がエロいDSR-50とか他にも居るだろ?お前の目は節穴か?

 

「これ、どうすれば良いんですか?」

 

やばいどうしよう。いざ本番となると緊張して来たぞ。怪しまれない様にグリズリーさんと話しているふりをしながらチラッと横のリオスの方を見てみるとガッツリこっちを見ていた。あーこれは完全にこっちを狙ってますね畜生。

 

「落ち着いて。私も出来る限りアシストするから練習通りにやって」

 

そうこうしている内にリオスは最初に話していた女性と別れるとこっちに接近して来た。何度か俺は小さく深呼吸を繰り返して覚悟を決める。

 

「やぁ。お嬢さん方」

 

「こんにちは」

 

「こ、こんにちは」

 

グリズリーは慣れた様子でにっこりと笑いながら優雅にお辞儀をした。俺もなるべく自然に見える様に俺は笑ってリオスに挨拶をしようとしたがちょっと上ずってしまった。

 

「ははは。そっちのお嬢さんはパーティーは初めてなのかな?そんなに緊張しないで良いよ。ところでお名前は?」

 

だがリオスは特に俺を怪しんだりしている様子は無くとても楽しそうに話している。

 

「私はオリビアです。こちらは友人のミア。すいません。彼女人見知りで」

 

グリズリーが自己紹介をしつつしどろもどろになっていた俺のフォローをしてくれた。有り難い。因みにこの偽名は特に意味はなくそれぞれ適当に考えた名前だ。

 

「オリビアにミアか。良い名前だ。どうだ、贅沢なパーティーだろう?今のご時世ここまで豪華なパーティーもなかなか無い」

 

「そうですね。私もこんなに豪華で晴れやかなパーティーは初めてです」

 

「そうだろう。このパーティーの為にかなりの金を使ったからね。あぁすまない。私の自己紹介がまだだったな。私はフィリップ・リオス。私のパーティーにようこそ」

 

フィリップ・リオス!同姓同名の赤の他人でしたって訳も無いだろうしコイツが俺達の狙っている目標こ男で間違い無い筈だ。

 

「やっぱり!貴方がリオスさんだったんですね。噂は聞いています」

 

「ほぅ?噂と言うと?」

 

そう聞かれたグリズリーはフフッと怪しげに笑って見せた。

 

「凄くやり手の武器商人さんだと聞いてます」

 

普通ただの女性からそんなこと言われたらリオスも警戒するだろうがこのパーティーは表向きは金持ちのパーティーだけど、実際はリオスの様な裏で色々と黒いことをやっている人達が主に集まっているパーティーだ。

 

「ははは。私も有名になったもんだ。もし何か欲しい物が有れば言ってくれ。何でも用意してあげるよ」

 

「本当に何でも用意出来るの?」

 

「あぁ。なんたって私は凄くやり手の武器商人だからね。あちこちにコネがあったり友人が居たりするからどんな物でも用意出来るよ」

 

「それは凄いですね!流石です!」

 

「50カラットの大きなダイヤの付いたネックレスとかシャネルやブルガリみたいな香水とかだって用意できるよ?」

 

優しそうな笑顔で話しかけて来ているがリオスの視線は俺やグリズリーを品定めするかの様に上から下まで嘗め回すように見て来る。更に俺の胸の方をチラチラと見て来たりしていて下心丸出しだ。

 

「ネックレスも魅力的ですけど香水も良いですね。最近は純正品の高級香水も手に入り難くなっていますし」

 

グリズリーから凄い凄いとリオスを称賛しまくりそれに気分を良くしたリオスは自分が趣味で今まで収集して来た珍しい物の話しや今までして来た仕事の自慢話などをし始めた。俺達はその自慢話を聞きながら適当に相槌をついたり、驚いたり、笑ったりして見せる。

 

「そうだ。ここには私の私室があるんだが色んなコレクションがあるんだ。さっき話した物とかもある。見に来ないかい?」

 

キター!そのお誘いを待ってました。だがこっからが1番難易度が高い任務内容とも言える。だがこの流れはグリズリーも一緒に誘われるパターンだ。俺1人だったらどうしようかと思っていたがグリズリーと一緒なら心強い。

 

「特に君に来てもらいたい」

 

「え、わ、私ですか⁉︎」

 

俺に向かって言われたその一言で俺は窮地に立たされた気分になった。何でグリズリーをハブって俺だけ誘おうとしてんのこのオッサン⁉︎

 

「良かったわね!リオスさんの私室にお誘い出来るなんてそうそう無いわよ?」

 

「え?う、うん。うん?」

 

待ってくれグリズリーさん。その言い方は完全に俺を1人でリオスの部屋に行かせるつもりだよな?やめてくれよ。1人にしないでくれよ。

 

「それじゃぁちょっとお友達を借りるよ」

 

「人見知りな娘なので優しくしてあげて下さいね」

 

「君は友達思いの良い娘だね。心配しなくても綺麗な女性を傷つける様な真似はしないよ。さぁ、行こうか」

 

「は、はい・・・」

 

もうここまで来たら諦めて行くしかない。

 

「行ってらっしゃい。後で感想を聞かせてね」

 

そう言って笑顔で俺に手を振って見届けるグリズリー。俺も手を振り返してそれに応える。

 

《こっちは周りの警備とかを無力化しとくからそれまで待ってて》

 

グリズリーさんは人形用の無線で俺にそう話しかけて来た。俺は真横にリオスがいるので返事はしない。そうしてリオスの私室に連れて来られてしまった訳だが俺はこれまで以上に緊張してしまっている。多分人生で1番緊張している。

 

部屋はザ・金持ちの部屋と言った感じで壁にはよく分からないデザインの絵が飾られていたりする。ただの落書きにしから見えないんだがこれも凄い値段の物なんだろう。他にも無駄にデカいダイヤモンドが付いているネックレスや大量の宝石があしらわれたブローチみたいな物などアクセサリーや宝石などが色々置いてある。

 

リオスは部下に外で待っている様にと指示を出し部下をドアの前に待たせるとドアを閉め、鍵も掛けた。ガチャっと鍵を閉める音が静かな部屋に響く。部屋の物を見せる為ならなーんでわざわざ部下を外にやってドアを閉めて鍵もかけているんですかね?これ完全に同人誌的な展開に持ち込もうとしているよなこのおじさん。

 

「どうだい?豪華な部屋だろう?」

 

そう言って優しい笑顔を浮かべてはいるが視線は俺では無く俺の身体に向けている。特に胸へと。

 

「この部屋に飾られている物はさっきも話した通り私が世界中から集めた物だ。凄いだろう?」

 

そう話しながらリオスは俺にさり気なく近づいて来て胸をさり気なく触って来ようとしたから俺はやんわりとそれを回避。さっさとこのエロ親父から逃げたいと言う気持ちで一杯だがまだグリズリーから連絡が来ない。もう少しコイツに付き合う必要がある。

 

「そして君はこの部屋に飾られている宝石に負けない程綺麗だ」

 

「ありがとう・・ございます」

 

「照れている姿も可愛いよ。そうだ、実はこの奥にも部屋があるんだよ。そこの壁にあるボタンを押してごらん」

 

言われた通り部屋の隅の壁にあったボタンを押す。すると静かに壁が横に動き始めた。隠し部屋かよ。そして現れたのは淡いオレンジ色の照明で照らされた小さな部屋。さっきの部屋みたいに何か高級そうな物が置いてあったりする訳では無いが薄暗いその部屋の中央には大きなベッドが鎮座していた。ベッド自体はとても柔らかそうな感じだか部屋の雰囲気からしてリオスの寝室と言う感じではないな。

 

そんなことを考えていると俺の後ろにいるリオスが静かな事に違和感を覚えた。さっきまであんなにペラペラと色んなことを喋っていたってのに。不思議に思った俺が後ろを振り向くと、何かリオスが注射器的なのを手に持っていてそれを俺に刺そうとしていた。

 

「え?」

 

予想外の展開に困惑している間にもリオスは俺の首筋辺りに注射針を指して来て痛みを感じる。そしてリオスは注射器の中に入っていたよく分からない液体を俺に流し込んで来た。俺は全部流し込まれる前にリオスを突き飛ばした。一緒に注射器も抜けて床に転がる。

 

「いたたた。酷いじゃないか。突き飛ばすなんて」

 

「な、何を注射した⁉︎」

 

想定外の事態に俺は刺された場所を手で押さえながら敬語で話すのも忘れてリオスに聞いた。もしかして毒を入れられたのか⁉︎俺死ぬのか⁉︎

 

「変な物じゃないから安心してくれ。今君に注射したのは私が部下に頼んで作られた薬でまぁ麻薬みたいな物だよ」

 

「ま、麻薬⁉︎」

 

何が変な物じゃないだよ!思いっきりヤバいお薬じゃないか!って言うか戦術人形に麻薬って効くのか?今のところ刺された所が痛い以外身体に異常は無いが。

 

「本物の麻薬ではないよ。似た様な物だがね。まぁ昔は使っていたんだけどやり過ぎると死んでしまったり、錯乱状態になって暴れ始めたりすることがあったりして落ち着いて出来ないことが多々あった。この薬はそんな麻薬より使い勝手が良いんだ。まぁ投与し過ぎると死んでしまうこともあるがちゃんと量は調整してあるから安心してくれ。薬の症状は身体の麻痺や強い陶酔感がある。効き目は数時間だ。その間君は身体が麻痺して上手く動けなくなり意識が混濁して夢見心地な状態になる。副作用として酷い頭痛や吐き気、眩暈などに後から襲われるそうだががまぁそこら辺は気にしないでくれ。もう一定の量は入れたからそろそろ効き目が出て立たなくなって来る頃だよ」

 

大体分かったぞ。コイツの自分の好みの女を見つけてこの部屋に誘ってはあの薬を今みたいに不意を突いて注射して薬の作用でラリらせてその間に襲っているんだ。とんだクソ野郎だな。

 

《お待たせ。こっちは準備出来たからリオスを捕まえて。援護が必要なら言って》

 

待ってました。もうこれ以上この男に付き合う必要も無い。薬は打たれたが特に意識の混濁や身体の麻痺なんかも無くて異常は全くない。俺は服の下に隠し持っていたMP-446を取り出しリオスに銃口を向ける。

 

「動くな。グリフィンだ」

 

「なっ⁉︎お前戦術人形か‼︎」

 

「そう言うこと。だから貴方ご自慢の薬も効かないから。それと助けを呼んだり逃げようとしても無駄。周囲は完全に包囲している。上官からは生死は問わないって言われているから死にたくなかったら大人しくして」

 

リオスは何が起きているのか察したのか凄い悔しそうに固く唇を噛みしめた。余りにも強く噛み締めたせいで唇から血が流れ出る。

 

「人間もどきが舐めるなぁ‼︎」

 

俺は完全に油断していた。相手は武器も持っておらず対してこっちは拳銃を持っていていつでも撃てる状態だからと。訓練の時に散々どんなに有利な状況でも油断するなと言われていたのに。その結果がこれだ。叫びながら俺に飛び付いて来たリオスは隠し持っていたのだろう。いつの間にか持っていて小型のナイフで拳銃を持っていた俺の右手の甲を突き刺した。あまりの痛みに俺は持っていた拳銃を落としてしまった。リオスはその落としたMP-446を取ろうとする。このままじゃ殺させる!そう思った俺は床に落ちていたまだ中身が入っている注射器を拾い上げるとリオスの首筋に目がけて刺す。同時にリオスは拾ったMP-446を俺に向けて来ようとするが注射器を持っていない左手でリオスの拳銃を持っている右腕の手首を掴んで別の方向に向ける。そして俺は勢い良くリオスの首に注射器を刺して中に残っていた薬を全部注射してやった。

 

そしてグリズリーさんに教えてもらった近接格闘術でリオスを床に全力で押さえ付けて拳銃も取り返す。今度は絶対に反撃されない様に気を抜かず力も抜かない。

 

「あぁ、あ、あ・・あ・・・あ・・・・あ・・・・ぁ・・・・・」

 

注射器の中に入っていた分全てを入れたからなのか、思ったよりも早く薬の効果が出て来た。最初は何とか逃げ出そうと抵抗していたが直ぐに動かなくなった。試しに拘束を解いてみるがリオスは立ち上がることもなく時々痙攣したみたいに身体がピクピクと動くだけだ。

 

「えっと、こちらVSK-94。目標を確保」

 

《了解。今から部屋に入るから撃たないでね》

 

俺の報告を聞いたグリズリーさん達が入って来た。グリズリーさんは床で倒れているリオスを見て困惑している様子だ。

 

「死んではないみたいだけど・・・何したの?」

 

「コイツ薬で女性をラリらせて襲ってたんですよ。それを本人に注射しました」

 

俺は床に落としてた注射器を指差しながら説明した。

 

「成る程ね」

 

「あーそれと自分もちょっと注射されちゃったんですけど人形ってこう言う薬は効いちゃったりするんですかね?」

 

「いや、専用の薬とかじゃない限り問題はない筈だけど一応帰ったら見てもらった方が良いかもね。その手も治療して貰らいな」

 

「了解です」

 

薬でぶっ倒れたリオスをスプリングフィールドが慣れた手つきで素早く身体を縛って専用の黒い袋に入れる。そして部屋の外で待機していた清掃員に扮したウェルロッドがスプリングフィールドから袋に入ったリオスを受け取るとゴミ箱に入れてそのままパーティー会場の裏側にあるゴミ捨て場まで持って行く。役目を終えた俺達は他の人達にリオスやその部下が居なくなっている事が気づかれる前に速やかに全員撤収した。




初期案ですとVSK-94が注射されるのは媚薬になる予定でしたがもうちょっと現実的な物の方が良いかな?とか色々考えた結果よく分からない麻薬的な薬が爆誕しました。因みに、初期案ですと戦術人形にも薬の効果はあって発情してしまい、更にリオスに服を脱がされて胸を揉まれたり舐められたりしていよいよヤバいと言う時にグリズリーが助けると言う展開にしようかと画策していましたが私にそれを書く文才がなく下手するとR-18になりかねないと言うことでやめましたw

ご感想などお待ちしてます!


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