日米が本気を出してしまった (静かなるモアイ)
しおりを挟む

設定補完の為の創世記
創世記からやらかしてる


創世記での出来事は余り面白く無いかもしれません。


「実に人間は弱い」

 

日本とアメリカというサブカルチャー文化が盛んな両国が本気を出す遥か昔。

 

この世を作った(旧約聖書)曰くの神様は呟いた。神は万物を創造できる力を宿しており、この世界を作られた(何度も言うが伝承)全知全能の御方である。

 

此処は天界。神が統べる天上の国であり、そこには何百億を越える天使が神の元で過ごしている。天使は言わば神の子供であり、天使は神の僕である。天使には様々な階級が存在しており、その頂点に君臨するのは歴代No.3の個体値を誇る天使 ミカエルである。

 

では歴代No.1と2は何処に言ったのか?簡単だ。その2人は神を裏切った。

歴代No.1はルシフェル、明けの明星の異名を持つ最強の天使であり神に匹敵する力とカリスマを持っている。だが、ルシフェルはとある出来事を切欠に神を裏切り謀反を起こした。ルシフェルが謀反を起こした切欠は神が他の神話の神を悪魔と呼ばれる存在に堕とした為だ。神の他にも神を名乗る者達は多かった、ウドガルド神話、北欧神話、メソポタミア神話、数えればキリが無いだろう。だが、この世に神は世界を作った(しつこいが伝承)神様ただ1人、他は贋作だ。だから、神は他の神話の神々を悪魔に堕とした。とは言え、神話の中には神の手には負えない者も居た。だから、全ての神を傲る者達を悪魔に変えることは出来なかった。

しかし、それに不服を感じたルシフェルは部下のマルコシアスと共に謀反を起こしたが、神の敵ではない。羽を消し去り、悪魔に堕として悪魔に変えた神々と共に煉獄の果てに追放した。

 

「ふん…魔王ルシファーか」

 

そんなルシフェルは魔王ルシファーを名乗り、悪魔達を率いてるそうだ。だが、それがどうした?悪魔には総じて神や天使の担う光を弱点として与えた。仮に戦争が起きても瞬時に制圧できる。

 

ルシフェルにマルコシアスの裏切り。それを受けて、神は自分が統べる世界の理を支配する天界のシステムにとある物を組み込んだ。それが、堕天システムだ。

堕天は忌まわしい事を考えたり、天使として相応しく無い者の翼を黒く染めて天使の資格を剥奪して追放する仕組みだ。だが、それが神の盲点だと言える。

 

「アザゼルゥゥ!!シェムハザ!どうして貴様達も!!」

 

アザゼル。嘗てNo.2の天使であり、神に匹敵する天使だった堕天使だ。だが、アザゼルは少し処かかなり欲深く…女性天使のガブリエルの胸を凝視したり、神が現在進行形で製作してる人間及び人間の血を引く存在に無作為で宿る力 神器の計画書を読んで「ぼくのかんがえた、最強の神器!」なんて落書きを書くぐらいだ。

 

だが、アザゼルはそれ故だろう。見事に堕天した。その際に「ガブリエルの胸を触って良いか!!良いだろぁおおお!デカイし、プルンプルンと揺れてるしよ!」と叫んだが知らない。堕天システムで数多の天使が堕天使に成ってしまった。これは神も想定外だ。お陰で、50億を越える天使が堕天使に成ってしまい、天界を去っていった。

 

天界を去ったアザゼルは堕天使を率いて、神の子を見張る者…グリゴリを創設した。しかし、その規模は神からすれば弱小も等しい。堕天使は天使が堕天したり、堕天使がアダムの子達…後に人間と呼ばれる種族のように子作りすれば繁殖で増える。

だが、天使は神が呼吸する度に何万、何千万と増えていく。故に堕天使も天界の敵ではないのだ。

 

神が率いる天界、アザゼル率いるグリゴリ、ルシファー率いる悪魔。この3つは絶大な影響力を持つ三大勢力と呼ばれる事に成るのだった。

 

「ミカエル」

 

神は今、自分が最も信頼する天使であるミカエルを召集した。ミカエル…純白の翼を持つ優男は降り立った。

 

「ここに…」

 

自分の前に跪くミカエルを見下ろし、神は玉座に座りながら指示を出した。

 

「ミカエル。天使達を率いて、世界中から神器の材料を集めてまいれ。その際、見せしめに極東の伊邪那岐命を暗殺しろ。

伊邪那岐命は娘に主神としての座を明け渡し、世界を放浪してる。殺してもあの国は知らぬだろう。勿論、伊邪那岐命の宝剣も回収しろ。私が神器の材料にする」

「畏まりました」

 

神器。それは後の人間に宿る力の事だ。これは神が製作し、か弱い人間の為の力に成るのだ。いや、神器には別の理由が存在する。神器は神が作った、それが広まれば神の偉大さが広まり聖書の信仰が世界中に広まるのである。世界の覇権を握ったも同然なのだから。

既に幾つかの神器は作って世界中にばら蒔いており、我が子イエスを貫いた槍 ロンギヌスの槍も神器に改造して世界にばら蒔いた。それに、神は気紛れだ。ロンギヌスこと黄昏の聖槍のようにワンオフで恐ろしい性能を持っていれば、火の玉を打ち出す程度の弱い力を持っていたりと性能差には大きなバラつきが有るのだ。

 

中国の四凶も神器に改造した、あのギリシャの大英雄 ヘラクレスが首絞めで殺したテュポーンの子ネメアの獅子も神器に改造した。これがきっと、人々の力に…天界の影響力を絶大にするためにだ。

 

「所で、主よ…世界の防衛システムですが」

「それも抜かり無い。構築した」

 

世界の防衛システム。それは「あっ…これ、どうしようも無いわ」という事態に成った時に、神が全知全能の力で構築した防衛システムだ。

神は一定以上の強さ、人々の祈りを受けた存在等を世界の情報バンクに登録する英霊の座を組み上げた。しかし、英雄と言えど人は弱い。ヘラクレスやギルガメッシュ等の例外は有れど、弱すぎる。だから、神は神器を作ったのだ。その座に登録される英霊の中には冠位を指定される英霊が中には居る。彼等は有事の際にセイバー、ランサー、アーチャー、アサシン、ライダー、キャスター、バーサーカーという役割を与えられて召喚されるのだ。

 

それに座は時間軸の流れに縛られず、神と同じく全知全能の力が有れば理を書き換えたら空想上(ここ重要)の英霊も呼び出せるのだ。

時間軸に縛られない故に未来の英霊も呼べ、更に仮に未来で書き換えたら過去でも()()()()()()()()()()()も呼べるのだ。

 

「まあ…呼び出されるのは神器を宿した存在だと思うがな」

 

神は遠くを見つめそう言った。そもそも、事の発端を話せば神器も英霊の座も、とある人物と出会って半殺しにされた為に作ることにしたのだ。

 

「創世王ブラックサン…ゴルゴムの王よ」

 

ギリッと奥歯を噛み締める神。彼は300年ほど昔、まだ紀元前だった頃に謎の()()()()()()()に出会ったのだ。そのバッタ人間は創世王ブラックサンと名乗り、圧倒的な力で神を半殺しにした。

 

創世王の強さに恐れた神は神器の建造と座の構築を大急ぎでする羽目に成ったのだ。

 

 

 

 

 

 

そして西暦700年。グリゴリ、悪魔の宣戦布告により三大勢力の大戦が始まった。この戦争は300年も続き、地上ほぼ全土と種族を巻き込んだ大戦だった。

 

 

 

 

だが、神は知らない。神器、英霊の座…この2つを作ったお陰で自業自得とは言え…降臨したグランド・アサシンの力で恐ろしい目に遇うことを。

 

『神だと?笑わせるな。俺を停められるのは柱間とうちはサスケ、そしてうずまきナルトとマイト・ガイだけだ』

 

漫画大国の日本、映画大国アメリカの思考回路の恐ろしさを三大勢力は未だ知らない。




未だグランド・アサシンは降臨しません(笑)もう少し、お待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三大勢力の戦争

三大勢力の大戦という名の内乱。


西暦1000年。既に三大勢力の戦争が起きてから300年程の時が流れていた。

 

「此処でなんとしても持ちこたえなさい!!」

 

光が、炎が、水が、暴風が、魔力が飛び交い剣劇の音が響く。辺りには人間、悪魔、堕天使、天使等の様々な人々の亡骸が転がっていた。

既に何億という命が犠牲に成っていた。時と共に聖書はその影響力を強め、世界で最も信者の居る神話に登り詰めていた。だが、それでも強力な力を持つ三大勢力同士での大戦での犠牲は計り知れず、様々な人物が犠牲に成っている。

 

今日も何万という人が消え、醜い遺骸に変わり果てる。三つ巴の戦争では天界は得るものは何もない。敗北すれば、キリスト教にユダヤ教、イスラム教は信ずる神を失う事に成ってしまう。勝っても得るものは等しくない戦争だ。

それでも…ミカエル達は戦うしかないのだった。この戦争は悪魔、堕天使、天使の他にも様々な人種が参加している。人間は勿論、妖精、魔物様々な存在が戦っているのだ。

 

「死ね!!ミカエル!!」

 

戦場は混沌と成っていた。堕天使からは武闘派として名を知れたコカビエル率いる部隊、悪魔からはソロモン72柱の一角である風を司るバルバトスの部隊だ。

しかも、ミカエル達が戦ってるのは天界陣営の拠点。あろうことか、天界は堕天使と悪魔から双方に攻め込まれたのだ。正に絶対的ピンチである。

 

「ちっ!!B班!!カウンタートラップを作動させなさい!!」

 

ミカエルの指示が響き、B班と呼ばれた天使達と人間の祓魔師達は仕掛けを作動させる。次の瞬間、バルバトス率いる部隊の真下から眩い光の柱が空高く延び上がった。

 

「ミカエル…貴様ァァァア!!!!」

 

悪魔は光が弱点だ。天使や堕天使の光をまともに受ければ、優れた悪魔と言えど身体を焼かれて消滅してしまうのだ。

このカウンタートラップはミカエルと神が拠点に攻め込まれた時を考え、対悪魔用に設置した光力発生装置だ。莫大な光に焼かれ、バルバトス率いる部隊は一気に光で焼かれてしまい…消し飛ばされてしまった。

 

「ふふふ…やはり、戦いとは良いな!!ミカエル!!お前だってそう思うだろ!」

 

コカビエルが光の剣を構え、ミカエルに斬りかかる。しかし、ミカエルも右手に光を集めて光の楯に形を変えてコカビエルの攻撃を受け止める。ミカエルやコカビエルが光や魔力等の形を変える攻撃手段を形態変化と良い、エネルギーの形を変える技術だ。

 

「ハッ!!」

 

ミカエルは左手に電撃を纏わせ、コカビエルの顔面を殴る。堕天使は堕ちた天使だが、システムで自動的に堕ちた存在ゆえに基本的には天使と同じだ。だから光は余り効かず、ミカエルは雷属性を選んでダメージを与えた。

このようにミカエルが魔力等のエネルギーの属性性質を変える事を性質変化と言い、性質変化は基本的に炎、水、土、雷、風の五大元素から出来ており掛け合わせて新たな属性も生めるのだ。

 

「ぐふ…ふふふ…光以外の性質変化か。面白い!」

 

コカビエルの口の中に温い鉄の味が染み渡り、コカビエルはペッと口から何かを吐き出す。それは血が混じった唾液だ。どうやら、ミカエルの拳を受けて口の中を切ってしまったようだ。

 

「コカビエル!撤退だ!!」

 

突如、その声が響き…コカビエルの隣に青い雷光を纏って全身の細胞を活性化させた堕天使 バラキエルが降り立った。バラキエルも武闘派の堕天使であり、一撃に関してはコカビエルやアザゼルよりも遥かに強い堕天使である。

 

「バラキエル!!俺は未だ!」

「撤退だ…アザゼルからの指示でもある。直ぐに冥界の本部に帰還しろとな」

 

チッとコカビエルは舌打ちを鳴らし、部下とバラキエルを連れて転移魔術で冥界に有るグリゴリ本部に帰っていった。突然の堕天使の撤退…何が起きたのか分からないミカエルだったが堕天使からすれば緊急の何かが起きたのだろう。今は戦争中であり、堕天使は悪魔と共に天界の拠点を襲撃していた。ならば、撤退するにしても堕天使の前線の拠点で良い筈だ。

 

「何が…起きたのでしょうか」

 

それにミカエルには心配な事も有った。それはミカエルにこの拠点を任せ、前線で堕天使と悪魔の本隊と戦う神の事である。

 

「主よ…どうか無事で」

 

ミカエルは未だ戦い続けていると思われる主である神の無事を祈る。だが、ミカエルの祈りは届く事はもう2度と無いことだ。

 

 

 

 

拠点の防衛を終えて、ミカエルは拠点の探索を行っていた。と言うのも今回の防衛で多くの仲間が散った。だからこそ、散った仲間の弔いを行うために遺体の回収を行っていたのだ。

 

「悪魔は…余程、余裕が無いのでしょうか?」

 

そんな時、ミカエルは1人の悪魔の亡骸を見つける。光の直撃した影響なのか、首から下の右半分が消滅した悪魔の子供の遺体だ。

悪魔は身体年齢を下方修正出来るとミカエルは聞いたことが有る。事実可能であり、それを利用した騙し討ち戦法を使ってきた悪魔も過去には居た。だが、目の前の子供の遺体は年齢操作をしておらず、間違いなく子供。その子供を前線に出す程に悪魔は余裕が無いようだ。

 

「兄さんが暗殺されてから悪魔は変わったようですね」

 

三大勢力の戦争が本格的に始まる少し前、ミカエルの兄である魔王ルシファーが何者かによって暗殺。そして起きた三大勢力の戦争。ミカエルは思う、兄が生きて悪魔を統べて居れば三大勢力の戦争は起きなかったと。仮に起きたとしても、子供が戦場に出ることは間違いなくなかったと。

 

「魔王レヴィアタンはウリエルが討ち取りましたし、もうすぐで戦争は終わる」

 

――早く…頼むから終ってくれ。

 

ミカエルは将だ、天界のNo.2だ。だから、弱音を吐くことは赦されない。心の中で弱音を殺し、前を向いて怨念さえも敵に吐き出せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――魔王ベルゼブブ、魔王アスモデウス、アザゼル以外の堕天使本隊…乱入したグランド・アサシンの手で戦死。天界の頂点 神、グランド・アサシン退去後に現れた創世王ブラックサンの手で討死。

 

その知らせを聞いたミカエルは目の前が真っ暗に成った。




次回!神の死…という名前のグランド・アサシン降臨。

???「さてと…このうちはマダラも全力で答えよう!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神の死

戦争終わり。


三大勢力の戦争。それは様々な種族も参加し、血で血を洗う程の激戦が各地で繰り広げられた。

 

そしてその戦場の中でも間違いなく激しく数えきれない程の戦死者が出た戦場が有る。それは嘗て伝説の君主 アーサー王が統べたブリテンことイギリスだ。ブリテンには無惨な姿に成り果てた天使、堕天使、悪魔、そして人間の亡骸が転がっている。遺体の上に遺体が幾つも重なっており、何れ程の犠牲者がイギリスで出たのかは分からない。

 

「我が子達よ諦めるな!諦めなければ、必ずや天は我等に味方する。進軍せよ!!」

 

「怯むな!!神が出てくるぞ!!奴が死ねば戦争は終わる!!」

 

「臆するな!!天界と堕天使が争っている側面から叩け!!このベルゼブブに続くのだ!!」

 

神は天使の軍勢を率いて、アザゼルは堕天使の軍勢と協力者を率いて、魔王ベルゼブブは魔王アスモデウスと共に悪魔を引き連れて戦う。だが、彼等は誰もが引かず、戦い続ける。その1人1人が圧倒的な力を持ち人知を越えた力を発揮しながら戦う。これが人間を遥かに超越した存在達の争いである。

 

だが、そこに乱入者が現れる。

 

「俺達の邪魔をするな!!」

「消し飛ぶが良い!!」

 

それは白きドラゴンと赤きドラゴンだ。赤きドラゴンは口から赤い爆炎を解き放ち、天使の軍勢を焼き尽くす。白きドラゴンは口から雷光を解き放ち堕天使と悪魔の雑兵を消し飛ばした。

 

「ぐっ!?赤龍帝、それに白龍皇か」

 

堕天使の長であるアザゼルがそう言う。彼の言う通り、この赤きドラゴンと白きドラゴンには別の通り名が存在する。

赤きドラゴンは赤龍帝と呼ばれ、白きドラゴンは白龍皇と呼ばれている。この2体は遥か古来から戦っており、どうして戦っているのかも忘れて戦い続けているのだ。この2体が戦う度に周囲には甚大な被害が出ており、神が本気を出しても停められる程の相手ではない。この2体を停めるためには神に堕天使と悪魔が協力し合う必要が有る程の力が有るのだ。

 

この赤龍帝と白龍皇は天を統べる二天龍と称されており、誰にも停められない。

 

余談だが、この2体。ちゃんと本名が有る。赤龍帝はドライグという名前であり、白龍皇はアルビオンという名前なのだ。

 

「神が…魔王ごときが俺達の邪魔をするな!!」

 

ドライグが尻尾を神に向けて振り下ろす。長く強靭な尻尾は鞭のようにしなり、神の防御壁を粉々に砕いて神を地面に叩き付けた。衝撃で大地が揺れ、乾燥した大地が砂埃を舞い上がらせる。

 

「神様!!」

 

天使 ラファエルの悲痛な声が響く。神は不死身の為にそうやすやすと死にはしない。

 

唯でさえ三大勢力の大戦が地上で起きて数多の人命が失われた。更に神でさえも勝てないドライグとアルビオンが暴れてるのだ。世界が崩壊するまでも時間の問題だろう。しかし、此処で過去…神が仕組んだ防衛システムが発動する。

 

天から光の柱が降りてきた。

 

「なんだ!?」

 

「何が起きた!?」

 

アザゼルと魔王達は天龍の攻撃を遣り過ごしながらそう言う。そう、なにが発動したかと言うと神が過去に仕組んだ座から世界の危機の為に英霊…それも冠位の位を持つグランドのサーヴァントを呼び出すのだ。

 

「火遁…豪火滅却!!」

 

爆炎が放たれた。辺り一面を焼き尽くす程のマップ攻撃、それは三大勢力の方々からすれば有り得ないほどの攻撃だった。

 

「ぐぅぅわわわ!?」

 

「あつい!?あつぎよぁぁだ!!」

 

「ぁぁぁあ!!」

 

魔術障壁は勿論、水の性質変化でも停められない。その爆炎に呑み込まれて堕天使の軍勢の6割と悪魔の軍勢の8割に魔王アスモデウスが燃え尽きた。

 

何者かの攻撃で悪魔と堕天使の軍勢の半数以上が消え、更に魔王アスモデウスが消えてしまった。これには神とアザゼルは勿論、戦場で暴れまわっていた二天龍さえも言葉が出てこない。

 

 

「やれやれ…座から呼び出されてみれば畜生2体、人外共が好き勝手にやってるとはな」

 

その声が響き…突風が吹き荒れる。風で砂煙は消え去り、その人物が明らかに成った。その人物は男であり、髪は長く片目が髪で隠れている。歳は若く20代から30代程だろう。

 

「誰だ…お前は?」

 

ドライグがそう言う。すると、男の瞳が紫色で幾つも円が有る瞳に変化した。

 

「俺か?俺はグランド・アサシン。うちはマダラだ。

ふん、下らん相手どもだな。先ずは畜生、お前は楽しめそうだ」

 

男の名前はうちはマダラ。グランド・アサシン…冠位を持つ暗殺者のサーヴァントである。

 

――うちはマダラって誰だ!?

 

その場に居る全員が叫んだ。当たり前である。うちはマダラは遠い未来、NARUTOと呼ばれる漫画に出てくるチートクラスの忍だ。

この世界で言えば遺伝で伝わる魔眼 写輪眼は勿論、写輪眼の発展型 万華鏡写輪眼に万華鏡写輪眼の行着く先である輪廻眼さえも開眼したのだ。

 

今、マダラの瞳は輪廻眼を発動しており、悪魔や堕天使の放った光や魔力砲撃を無効化して吸収している。

 

「お前達は本当につまらん。俺が今まで戦ってきた連中の誰もよりも弱いな」

 

すると、マダラは魔力…チャクラを練り上げて術を発動させる。

 

「木遁 木龍の術」

 

木遁。それはNARUTOの世界でも本来は千手柱間という、マダラの親友しか使えない忍術だ。だが、マダラは柱間の細胞を取り込んだりして普通に木遁の忍術が使えるのである。

木遁はチャクラ…魔力を吸収する性質を持っている。地面から長く巨大な木で出来た木の竜が2体出現し、ドライグとアルビオンを縛り上げる。

 

「グッゥガァァア!!」

 

「あががががが!!」

 

木龍に縛られたドライグとアルビオンは力を奪われ、木龍はどんどん成長していく。やがて、成長した木龍に縛られ…完全にドライグとアルビオンは動けなく成ってしまった。

 

その事に三大勢力の面々は安堵するが、マダラを守るように青色のチャクラで出来た怪人が出現した。万華鏡写輪眼を開眼したうちは一族の極希に宿る瞳術 スサノオである。

スサノオは幾つかの形態が存在しており、部分的、骨組みの上半身、上半身、全体、そして50メートル程の巨大な大天狗となる完成体が存在するのだ。

 

「ふん」

 

マダラのスサノオは両手に刀身波打った剣を出現させ、それを振り下ろす。振り下ろす度に何十もの三大勢力の人々が吹き飛んで自分の意思とは関係無く空を飛び、散っていく。

 

「バカな…神である…私が…」

「ほう。神だと?それがどうした。俺を停められるのは柱間、うちはサスケ、うずまきナルト、そしてマイト・ガイだけだ。それ以外の者では俺を停められん」

 

天使達がマダラ目掛けて光の槍を解き放つが、マダラのスサノオを突破できないで居る。このスサノオを突破出来なければ、マダラにダメージを与えることは出来ないのだ。

 

「ならば…神の全力を受けてみよ!!」

 

神は渾身の力を振り絞り、空から爆光が降り注ぐ。その爆光に焼かれ、辺りの悪魔は大半が消し飛んだ。神の本気の一撃、耐えられる存在はこの世には存在しない。当然だろう、なにせ神はこの世界を作ったのだから(しつこいが、伝承です)。

 

「ほう…ならば、このうちはマダラも全力で答えよう!!」

 

だが、マダラから莫大なチャクラが放出され…神の裁きの一撃は消し飛んだ。莫大なチャクラの放出で辺りの雑兵は消し飛び、神、アザゼル、ラファエル、魔王ベルゼブブは上を見上げる。上空には50メートルを越える巨大な大天狗…完成体スサノオを展開したマダラが居たのだ。

 

「完成体スサノオ。この力は尾獣さえも凌駕する。良かったな、俺だけで。地図を書き直す範囲が少なくて済むぞ?」

 

完成体スサノオの額にはマダラが居り、完成体スサノオは太刀を二本抜刀して二刀流で構える。そして、それを振り上げて振り下ろす。単純な攻撃だが、その単純な攻撃で山は消し飛び、大地は抉れ、天使の軍勢の殆どは消え失せた。

 

「ばっ…化物かよ…」

 

もう、アザゼルに戦える力は残されていない。だが、現実は非情でありマダラは更に奥の手を使った。

 

「本当につまらん。やはり、俺を楽しませるのはアイツ等だけだな」

 

星が降る。隕石だ。十数メートル程の隕石が幾つも降り注ぎ、三大勢力はなす術もなく消し飛んでいく。

 

「ぬぉおおおお!!」

 

だが、神は違った。天使を産み出す分に割いていた力のリソースを戦闘力に振り、隕石を出来るだけ破壊していく。

 

「ほう…これならどうだ?」

 

マダラはそう告げ、巨大な隕石を降らした。それはたった1つだが、それが地上に落下すれば間違いなくこの場の三大勢力の人々は全滅する。

 

「ぬぉおおおお!!」

 

神は両手から莫大な光を放ち、隕石を押し止める。だが、隕石が余りにも巨大な為に破壊できない。何とか勢いを殺す程度にしか出来ない。数分ほど、神が光を放出し続け、漸く隕石は停まった。

 

「とっ停まった…」

「助かった…」

 

アザゼルとラファエルがそう言う。だが…

 

「二発目はどうする?神とやら」

 

デデーン!!なんという事でしょう。この巨大隕石ことマダラ隕石、あろうことか2発も有ったのだ。2発目のマダラ隕石は1発目のマダラ隕石に直撃し、2つのマダラ隕石は雪ダルマのように大地に降り注いだ。

 

「ぐぅぅわわわ!!」

 

「がぁぁぁあ!!」

 

「ひでぶっぅぅ!!」

 

魔王ベルゼブブは消し飛び、ラファエルとアザゼルは重症を負ってしまう。直撃を受けた神は不死身の特性で何とか生きてるが、満身創痍だ。そして、天使、堕天使の雑兵は完全に消し飛び…悪魔に関しては全滅だ。

そして、木龍で力を吸いとられた二天龍はマダラ隕石の落下で完全に戦闘不能に追い込まれた。

 

「ほう…未だ生きてるとはな」

 

そして…完成体スサノオを纏ったマダラが大地に降り立つ。もう、お仕舞いだ。誰もがそう思った。だが、その時…奇跡は起きた。

 

「時間か…」

 

マダラの身体が徐々に光の粒子に変わっていく。マダラは三大勢力と二天龍の激闘により、世界の危機に成った為に抑止力で座から呼ばれたのだ。

しかし、三大勢力がボロボロに成り、二天龍が見事に倒れた今、マダラがこの場に存在する理由は無い。

 

やがて…マダラは光の粒子に成って消えてしまった。

 

「「ぬぉおおおお!!生き残った!」」

 

アザゼルとラファエルはガッツポーズを決め、神は安堵の息を吐き出した。マダラ乱入により、生きている三大勢力の関係者はこの3人だけ。後はもう動けない二天龍だけだ。

 

神は動けない二天龍に触れて、全知全能を使って神器に作り替えた。

 

神器に変えられた二天龍は神器のシステムの法則で、何処かに消えていく。これからは誰かに宿り人類の力に成るのだから。

 

「アザゼル…提案がある」

 

――もう、止めにしよう。

 

戦争を終わらせる為に神はそう言おうとする。だが、そこに招かれざる人物が降り立った。

 

「騒がしいと思えば、お前達か」

 

黒いバッタ人間。ゴルゴムの守護神でありトップ、創世王ブラックサンである。

 

「ラファエル!!アザゼル!!今すぐ此処から逃げろ!!」

「主よ!」

「親父!!」

 

その刹那、神の左腕が吹き飛んだ。不死身の筈の神が五体の一部を失う。それは有っては成らない事だ。

 

「キングストーンフラッシュ。お前の不死性を無くした。サタンサーベル!!」

 

ブラックサンは赤い剣で神を殺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから気の遠く成る程の未来。

 

昭和と呼ばれた時代の日本。天使ガブリエルは過熱した天使信仰を抑え、神の不在を隠すために左遷を受け入れて人に紛れて生活していた。

 

そこで彼女は神を殺したブラックサンと同じ様な力を持つ2人のバッタ人間に出会う。だが、バッタ人間は創世王率いるゴルゴムと日夜戦い人々を損得無しで無償の愛で救っていた。

 

事実、ガブリエルも危ない所を助けてもらった。

 

「貴方達は?」

「俺は南 光太郎。仮面ライダーブラックだ!」

「俺は秋月 信彦。仮面ライダーシャドーだ!」

 

後にこの2人は地球規模の救世主に成ることを誰も知らない。




次回は戦後のお話。因みにガブリエル左遷(形だけの堕天)は原典にも有ります。

そして脳改造を免れた信彦、後の総理大臣である(笑)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦後

戦後処理です?


三大勢力の大戦が終結して暫くした後。ミカエルは天界のトップに就任した。当たり前だが、神という絶対的頂点が崩御された今、天界を纏められるのはミカエルだけであった。

 

ミカエルにとって幸いだった事が1つ有った。それは神が自分がもし死んでも大丈夫なようにと残していたシステムを司る装置である。このシステムを司る装置が存在する限り、神では無くても奇跡や様々な事象をミカエル達でも運用する事が出来るのだ。

だが、1つ問題が存在するのだ。それは神が微調整を行う前に討死してしまい、ミカエルや他の熾天使で何とかっと言う所なのだ。しかも、天界…天界の地上組織とも言える聖堂協会等の敷地に強力な怪物等を宿した神器が近付くと深刻な問題を発生するなど、装置はまだまだ未完成も良いところだったのだ。

 

「背に腹は変えられませんか」

 

神の遺したシステム。これを死守しなければキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の一神教は滅びてしまう。故にミカエルは心を鬼にした。

システムに影響を与える可能性が高い神器……大戦後に三大勢力の手で命名された神さえも滅ぼしうる力を誇る13個のワンオフ神器の内、半数を教会から退ける決定を下す。当然、所有者は発見次第抹殺か遠方への追放だ。そうでもしないと、何時かはシステムがエラーを起こして天界が消失しかねないのである。

 

次に神が死んだ事を悟られないように、過熱した天使信仰をこれ以上発展させぬように、1人の熾天使を見せしめとして地上に左遷。当然、多くの天使達が嫌がったが背に腹は変えられない。ミカエルはこの役目をガブリエルに押し付け、ガブリエルを天界から追放した。

 

「良かったのか…ミカエル」

「ええ、背に腹は変えられません」

 

死んだ神に変わって天界の頂点に立ったミカエル。そしてミカエルの側近に成った最強の天使ウリエル。戦争が終結したと言えど、まだ三大勢力の小競り合いは続いている。ガブリエルは地上に左遷されたと言えど、エクソシストと共に他勢力の情報を探ってはくれているのだ。

 

「それより、ウリエル。他の勢力はどうしてます?」

「ああ…堕天使だが」

 

ウリエルは語り出す。天界が変わったように、当然ながらグリゴリや悪魔も変わった。

グリゴリは戦争が終わった後、神が遺した神器の秘密を探るべく…神器を宿した人間を拉致しては人体実験を繰り返していたそうだ。その結果、堕天使は確立したのだ。人間から神器を取り出して他人に移植する方法を。しかし、神器は魂と密接に結び付いており、神器が抜かれた人間は魂や生命力も共に引き抜かれて死亡する。そして、引き抜いた神器は元宿り主が死んでも何処かに行くことはなく、保存する事が出来るのだ。堕天使はこれを用いて、神器をコレクションしてるそうだ。

 

「神器を抜き取る?」

「ああ、間違いない。堕天使はこの方法を確立し、神器を研究している。神様亡き今、最も神器に詳しいのはアザゼルだろうな」

 

神器の仕組みはミカエル達も良く分からず、全ての設計から建造は神が1人で行っていた。その神が死に神器の研究を非道な人体実験を犯してまで行うグリゴリは間違いなく、三大勢力で最も神器に詳しい勢力に成っただろう。

 

「悪魔はどうなりました?確か、終戦後…内乱が起きてましたよね?」

「ああ、内乱はゼクラム・バアル率いる大王派の勝ちだ。クーデターは革命に変わり、魔王の末裔達は辺境に追放されたそうだ」

 

ゼクラム・バアルの乱。大戦後、4人の魔王を亡くした悪魔だったが息つくまでもなく新たな事件が勃発した。それが、ゼクラム・バアルの乱である。

ゼクラム・バアルは天空神バアル・ゼブルが悪魔に変えられた存在であり、魔王に匹敵する力を誇る。ゼクラムは戦後、魔王が全滅した頃合いを見てクーデターを起こしたのだ。魔王達ではなく、自分達が悪魔を統べる為にである。只でさえ、大戦で数を減らした悪魔は、クーデターで起きた内乱で数を大きく減らし、一族諸とも全滅した…或いは奴隷と成ったソロモン72柱の貴族も居るそうだ。

クーデターはゼクラム達の勝利で終わり、革命へと変わった。その結果、先代魔王達の末裔は辺境に追放されてしまい、ゼクラム達は自分達が政治を動かせるように革命の戦争で活躍した4人の若い悪魔を魔王に仕立て上げたのである。

 

「その悪魔の名前がサーゼクス・グレモリー、セラフォルー・シトリー、アジュカ・アスタロト、ファルビウム・グラシャラボラスだ。

サーゼクスがルシファー、セラフォルーがレヴィアタン、アジュカがベルゼブブ、ファルビウムがアスモデウスだ」

 

新しい魔王は4人。ウリエルが告げた通り、サーゼクス・ルシファー、セラフォルー・レヴィアタン、アジュカ・ベルゼブブ、ファルビウム・アスモデウスの4名である。

 

「そうですか…」

「ああ、だが最近。新たな問題が出ている。それが、この悪魔の駒だ」

 

ことっとウリエルがミカエルの前に何かを差し出した。それはまさかのチェスの駒だ。女王が1つ、騎士が2つ、僧侶が2つ、戦車が2つ、兵士が8つ。王の駒は無いが至って普通のチェスの駒である。

 

「チェスですか?」

「これ自体は普通のチェスの駒さ。だけどミカエル…悪魔は他の種族を悪魔に変える品物を作ったんだよ。

それは悪魔の駒って呼ばれており、原理は俺も分からんさ。だが、その悪魔の駒は神性の高い存在以外は問答無用に悪魔に変えれるのさ。死人に使えば悪魔に成って甦る。嘘だと思っていたが、ラファエルが現場を見たんだ…間違いない」

 

悪魔の駒。それはアジュカ・ベルゼブブが悪魔の人口問題を解決する為に産み出した物だ。悪魔は寿命が万年単位であり、簡単に子供は出来ない。だからこそ、アジュカは考えた。簡単に妊娠出来ないなら、他から連れてきてその人物を悪魔に変えれば良いと。

その結果、この悪魔の駒は産まれたのだ。現在進行形で悪魔はこの悪魔の駒を用いて、人々を悪魔に変えており、どんどん人口を回復させている。

 

「ですが…ゼクラムは生粋の血統主義者では?」

「そうだ。俺が伝で調べたが、奴隷のように使われた元人間の悪魔が沢山居てな。実際に悪魔社会から脱走して賞金首として処罰された元人間の悪魔も居たよ。逃げ出した悪魔ははぐれ悪魔って扱いに成ってな、何処の種族からでも狙われる。俺達とエクソシストは勿論、堕天使からも悪魔からもな」

 

そう。悪魔はルシファーの死後、貴族主義の純血主義に成ってしまった。

それ故に悪魔の駒で転生された存在は、雇い主である悪魔にもよるがその大半が奴隷として扱われるそうだ。その上、逃げ出せばはぐれ悪魔の烙印を圧され、悪魔からは賞金首として狙われ、堕天使からは敵として、天使やエクソシストからは祓魔対象として狙われる。

 

「変わってしまいましたね。私も…堕天使も…悪魔も」

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

遠い未来。

 

「ヘタな奴が神滅具を持つと世界が壊れるかもしれない」

 

グリゴリ本部でアザゼルはそう言った。事実、世界を滅ぼそうとした神滅具保有者が居たから言える台詞である。

因みに神滅具という言葉はアザゼル達が作った造語であり、神器の中でも神さえも滅ぼせる程の強さを持った13個のワンオフ神器の事である。その13個の中には神が最期に作った二天龍の神器も含まれていた。

 

「アザゼル」

 

…そんなアザゼルに向けて彼の右腕であるシェムハザが言う。

 

「子供でも殺すのか?」

「当たり前だ。覚醒し、力に溺れたらどうする?そうなれば、神滅具を宿した人間は好きに力をばら蒔いて制御できずに世界に悪影響を与える。お前だって見てきただろ?

まあ…最近は生まれつき謎の力を持ったミュータントって奴も産まれては居るがな」

 

ミュータント。それは突然変異で特殊能力を持った進化した人間である。世界でも極少数は確認されており、彼等は神器無しで神器のような力を宿してるのだ。

 

「アメリカが開発した超人血清の事も研究したいが、キャプテン・アメリカの消息が絶ってから分からない。

そうそう、シェムハザ。最悪の神器 魔獣創造の反応が日本のこの町から出た。部隊を派遣し、確実に殺してくれ。

今はショッカーとかいう連中と仮面ライダーとか言うやたら強いコスプレ連中が暴れたお陰で、神秘の秘匿もボロボロだ。確実に殺せるメンバーを派遣しろ、良いか?確実に殺してくれ」

 

アザゼルはそう言うと座標のデータと、最悪の神器と呼ばれる神滅具 魔獣創造を宿した幼子の写真を見せた。その幼子は未だ5歳程で、至って普通の子供である。

 

――まだ小さいのに…

 

幼子の写真を見て、シェムハザは心を痛める。まだ幼い子供なのに、こんな子供を殺す必要が有るのだろうか?

 

だが、アザゼルの言葉も一理ある。神滅具 魔獣創造は生命を産み出し、想像した怪物等を産み出す事が可能なのだ。早い話、命を産み出せる禁断の力である。過去には魔獣創造を宿した男が暴れ、世界が壊れかけた事が何度も有った。

 

「日本だから五大宗家の事も有るかも知れないが、安心しろよ。俺が調べた情報では日本の守護者である五大宗家は、神器と改造処置を施された仮面ライダーを嫌悪している。

気にせず殺せ。簡単だろ?」

 

だが、アザゼルはこの事を億年単位で後悔する事になる。

 

――どうして…俺はこんな事をした!?あの時の俺を殴りたい!!

 

――ドっドドリアンボム!?ひっひっ!?

 

――あの時…ほっておけば……奴は覚醒しなかったのに!!

 

その魔獣創造が偉大なる火影に育てられ、火の意思と卑の意思を継いだ男に成ることをその時は知らなかった。

 

 

創世記 完。次章 魔獣創造の夜(原作30年前)に続く。

 

 




次回!クライシス帝国がチート×2の手で粉砕されてから半年の時代 魔法使いならぬ魔獣創造の夜スタート。

とは言え、最初は彼(アイツ)が卑劣様の子供に成るところから。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔獣創造の夜
魔獣創造


D×Dの世界って本当に理不尽だよね?


――君の子供が魔獣創造を宿した?すまないが、関係も此処までだ

 

――日ノ本の神に見放された子供。死んだ方がマシだろうに。

 

――ならば、君達夫妻が穢らわしい魔獣創造を殺したまえ。ああ、私達ならそうするさ。私達は日本を守護する五大宗家、その程度なら平気でやる。君達がその子供を殺せば、宮大工として雇ってやろう…前と変わらずににな。

 

魔獣創造を宿して産まれた幼子は宮大工の長男として産まれた。父と祖父は代々、宮大工をしており日本の由緒正しき神社からも信頼される程の家であり、非常に家も大きく使用人も多かった。

だが、ある時から運命の歯車が狂い始める。幼子が3歳の誕生日を迎えた頃、幼子が神器を宿して事が明らかに成ったのだ。幼子が宿していた神器は魔獣創造、神滅具の1つであり、世界最悪の神器と称された代物だ。それを宿した人物は確認され次第、殺される事が陰ながら決まっていたも同然であり、多くの歴代保有者が子供の頃に殺された。

 

しかし…それでも、それでも。幼子の両親と祖父、幼子の姉は幼子が生きる道を選んだ。それは即ち、日本を裏切るも同然の行為だったが…親ならば誰もが思う。自分の生活を捨ててでも、何としても守り抜きたい者が子供なのだから。

 

幼子が5歳の誕生日を迎えた頃。事件は起きた。

 

――我等、五大宗家は今回は見過ごそう。殺したければ殺せば良いさ

 

日本を守護する五大宗家という家々が有る。彼等は日ノ本の神話に遣え、厄災から日本を護るのが役目だ。しかし、噂のテロ組織?ショッカー相手に善戦出来ず苦戦続きだったのは内緒である。

その五大宗家から見過ごそうと言われたグリゴリの軍勢は、幼子が暮らす屋敷を襲撃。当然、襲撃前にグリゴリは警告を行っている。

 

――魔獣創造を宿した子供を手渡せ。そうすれば、お前達は見逃してやる。

 

だが、両親の回答は断固拒否。当然だが、渡せば人体実験の始まりだ。人体実験でドロドロに成って解剖されて神経一本に至るまで調べ尽くされる。その後は神器を抜かれて殺されて、下水道に流されるのがオチだ。

 

「そうかよ…子供は手放さないか。野郎共!!この屋敷の人間を皆殺しにしろ!!若い女は好きにしても構わん!!

魔獣創造を宿した子供は絶対に殺せ!!良いな!!」

 

堕天使の軍勢の数は300。あの五大宗家に見逃すと言われたのだ、300人程の軍勢を引き連れても問題は無い。たかが幼子1人殺すためとは言え、遣り過ぎな気はするが遣り過ぎではない。むしろ、此処までしないといけない程に魔獣創造は危険な神器なのだ。

 

「「「ウォオオオオオ!!」」」

 

軍勢は雄叫びを上げて、屋敷に攻め混む。人間と堕天使の産まれ持った戦力差は歴然だ。魔術を行使する為の神経回路 魔術回路を持っていようが、堕天使には勝てない。堕天使に勝つ為には、何らかの方法で身体能力にブーストをかけるか、神器の力しか無いのだ。

 

 

 

血潮が吹き出し、次々と人が殺されていく。幼子の祖父と父親も既に殺された。使用人も希望者と女性には全員、事前に辞めてもらっている。当然だが、堕天使が殺戮を繰り広げた後は悪魔に変える為に悪魔がやって来る恐れが有った為だ。

 

「良い?カンナ。私が居なくなっても、エンマを支えてあげてね。貴女はお姉ちゃんだから出来るわね」

 

母親と思われる女性が、屋敷の一番奥で幼子と同じく幼い幼子の姉に向けて最期の遺言を遺そうとしていた。

 

「エンマ…貴方には誰にも理解出来ない程の苦難が待ち受けてるわ。でもね、産まれて来たからは絶対に幸せに成りなさい」

 

母親は既に悟っている。もう、自分は絶対に助からない。この場から逃げても堕天使の情報網では絶対に見付かるし、魔獣創造を宿した息子は絶対に差し出さない。だから、彼女は賭けに出る。母親は元々、降霊術を司る魔術師の出だ。

 

母親は子供を護るためなら自分の命も、魂さえも犠牲に出来る。魂を失えば、輪廻転生さえも出来ないだろう。だが、それがどうした?子供が助かるならば、自分の存在など要らない。覚悟は…息子が産まれてから出来ている。

 

――ごめんね…こんなお母さんで

 

涙を流し、未だ幼い子供達に告げて…母親は脇差しで自分の手首を切る。切り裂いた所から血が吹き出し…血は地面に垂れて魔方陣の形を取り始める。

 

――イタコのアンナの名に於いて告げる。冥土の座に在りし英霊よ、我が祈りが聞こえるならば汝の正義に従い口寄せに応じよ

 

唯の霊ならば堕天使には勝てない。強い存在…座に記された英霊を召喚する為には代償が必要だ。生贄となる魂は勿論、術者である母親の魂。

 

――イタコ式降霊術 口寄せ。来たれ…

 

「此処に居たか!!魔獣創造のガキ!!」

 

だが、詠唱がまもなく終る時に堕天使が親子の所に辿り着く。堕天使が光を形態変化させて光の槍を作り出す。

 

「しねぇぇ!!」

 

――人理の守り手よ!!

 

放たれた光の槍。だが、魔方陣から眩い光が放たれ、キン!!と固い音と共に槍は弾かれる。

 

「はっ?何が」

 

その刹那、銀髪の男が堕天使の前に現れた。男は若く…二十代前半位だ。忍者が着るような鎧を纏い、右手にはクナイが握られている。

そして男はクナイで堕天使の首を切り落とした。辺りに血潮が飛び散り、首から上を失った堕天使はビクビクと震えて動かなくなって後ろに倒れてしまった。

 

「きて……くれたの…ね…英雄さん」

 

英雄と呼ばれた男は母親を見る。だが、英雄を呼ぶのに魂を代償に捧げた母親の身体は徐々に灰に変わっていき、既に右半身の殆どが崩れている。徐々に灰に変わる母親に泣きすがる娘と息子。

 

「貴様がワシを呼んだマスターか?禁術の類いのようだな…ワシを受肉させその上で呼び出すとは」

 

英雄は自分の手をグー、パー、グー、パーと開いたりは閉じたりして身体を確かめる。そう、母親が使った降霊術は英霊を呼び出すだけではない。あろうことか、受肉させるのだ。

 

「マスター、貴様には時間がないな。要件を手短に話せ」

「娘…カンナを…息子…エンマを…頼みます。英雄…様」

「ワシの真名は千手扉間だ、マスター。任せておけ、二代目火影の名に誓い…子供達はワシが面倒を見る」

 

英雄…千手 扉間はそう告げ、母親の未だ残ってる左手を優しく握る。

 

母親は笑みを浮かべ…完全に灰に成ってしまった。

 

「ああ、任せておけ」

 

千手扉間。彼はグランド・アサシン うちはマダラと同じくNARUTOの登場人物であり、作中最強クラスの強さを誇る男だ。

忍としての戦闘能力は勿論、様々な術を開発した発明家として、里を運営する為政者や教育者としても優れた手腕を発揮した。彼が居なければNARUTOという物語は誕生していないと言っても過言では無いだろう。

 

五大元素、陰陽全ての性質変化を扱え、その中でも水遁を好んで使う。使う水遁でも殺傷能力等の効率を重視した水遁を好んで使い、的確に相手を殺す。

 

「お前達2人はワシが必ず守る。安心しろ」

 

母親を失い、慟哭の雨を目から流す幼子2人の頭を扉間は撫でる。扉間も子供の頃から家族を失ってきた。2人の気持ちは痛いほど分かるのだ。

 

「だが、その前に…掃除だな」

 

扉間はそう告げ、消える。その数秒後…屋敷の中庭から数多の断末魔が響き渡り、やがて断末魔は聞こえなくなった。何が起きたのか理解出来なかった姉と弟だったが、恐る恐る中庭に出る。

 

そこには数多の堕天使の死体、なんとかギリギリ生きてる堕天使1人、そして数多の堕天使をたった1人で壊滅に追い込んだ扉間であった。しかも扉間は無傷である。たった一度も被弾する事はなく、屋敷にやって来た堕天使を壊滅させたのだ。

 

「貴様達…カンナとエンマだったな。中に居て荷物を纏めろ。ワシがコイツ等から情報を聞き出したら、此処から直ぐに出るぞ」

 

――おっちゃんも言ってるし、いこ

 

姉に手を引かれ、屋敷の奥に消える弟。

 

それを確認した扉間はゆっくりとした足取りで、まだ辛うじて生きている堕天使に近付いていく。

 

「くっ…来るな…化物!ふざけるな…ふざけるな!!神器も伝説の武器も持ってないくせに、俺達を倒すなんてマジでふざけるなよ!!この化物がぁぁ!!

予備動作無しの瞬間移動、障壁すらも切り裂く水、一瞬で増えて爆発する手裏剣…お前は何なんだ!!」

 

堕天使は恐怖に怯え。叫ぶ。

 

「口寄せ、穢土転生」

 

しかし、扉間の術が発動し…堕天使に塵芥が集まっていき、堕天使は生贄にされて死亡した。塵芥はどんどん集まっていき、やがて別の堕天使に成ってしまった。この堕天使は先程、扉間に瞬殺された堕天使部隊の隊長である。

 

口寄せ、穢土転生。それは扉間が開発したとんでもない禁術であり、それは生きた人を生贄にして死者を甦らせる最悪の忍術である。

扉間はわざと、精度を下げて穢土転生を行い…完全に支配下に置く。そして相手の持ってる情報を全て自白させ、トドメに相手に拠点に送って爆弾にするのである。正に卑劣!!

 

「貴様達は何者だ?それと、どうしてこの屋敷を襲った?」

『我々は三大勢力の一角 堕天使中枢組織グリゴリの堕天使。この屋敷には神器 魔獣創造を宿した子供を殺すためだ』

「神器とはなんだ?」

『聖書の神が作り出した人に宿る力。その中でも13種類の強力な神器は神滅具と呼ばれる』

「その神は何者だ?」

『分からない…もう遥か昔に死んでいる』

 

と次々に情報を得ていく扉間。

 

(エンマは魔獣創造という神器を宿した為に、姉以外の家族を殺されたのか。聖書の神が作り出した神器、宿しただけで聖書とやらの三大勢力に殺される。完全に三大勢力とやらの偽善だな)

 

と…結論付けた扉間は…

 

「そのグリゴリ本部に帰り、互乗起爆札で自爆せよ」

 

穢土転生堕天使をグリゴリ本部に送り返した。翼を広げ、去っていく穢土転生堕天使を見送り、扉間はエンマとカンナを連れて屋敷を去った。

 

 

 

 

 

2時間後。たった1人の子供を殺すには遅すぎると判断したアザゼルは、右腕のシェムハザを現場と成った屋敷に派遣した。

 

「こっ…これは…」

 

そこでシェムハザは殺された堕天使の軍勢を確認する。庭は血潮と不自然に水に濡れていた。同胞が殺された為か、シェムハザは涙を流す。

 

「ありがとう…誰かは知りませんが。あの仮面ライダー達でしょうか?」

 

その涙は別の理由だった。

 

「神器に運命を狂わされた子供を助けて…頂き、ありがとう!!」

 

屋敷には子供の遺体は無い。だとすれば、誰かが魔獣創造を宿した子供を救い、連れ去ったという事だ。

 

子供が助かった。命令には叛くが、シェムハザは幼い命が救われた事に涙を流したのだ。

 

 

「ふん…堕天使とやらの中にも居たのだな」

 

その様子を互乗起爆札を手に持った、扉間の影分身が眺めていた。

 

「貴様。堕天使だな?」

 

影分身の扉間はシェムハザに近付き、話し掛ける。

 

「はい。私はシェムハザ、グリゴリの副総督です」

「貴様達が殺したかった子供は居ない。今頃はワシの本体が連れている」

「ええ。それで良いです…此処で貴方に殺されても文句は無いです。貴方があの子供を助けて下さったのですね」

 

シェムハザに命は惜しくない。もう、彼は万年も生きた。救える命をアザゼルの指示で殺してきた、見捨てた彼に命は惜しくないのだ。

 

「そうか。なら、貴様は少し遅れて本部とやらに帰るが良い。そしてアザゼルにはこう伝えろ…屋敷は跡形もなく破壊され、子供の遺体は判別出来ぬ程に灰に成ってたとな」

 

要するに生きろ…此処では殺さん、という事である。

 

「ええ。そうします」

 

シェムハザは飛び立ち、シェムハザがある程度の高度に到達すると…扉間の影分身は互乗起爆札を発動させ、屋敷を跡形も無く消し去った。

 

 

 

「ホンゲェェェ!?帰ってきた奴が大爆発した!?」

 

グリゴリ本部…穢土転生堕天使の自爆で大損害を受ける。それを遅れて帰還したシェムハザが知るのは、大爆発が起きてから1時間後であった。




次回!高校生に成長した幼子のお話。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

千手エンマ

エンマ編スタート


扉間が幼子を保護して10年と1年の時間が経過した。

 

先ず、世間的に大きい出来事を説明しよう。日本は冗談抜きで笑えない程の危機に立て続けに2度も襲われ、同じ2人の救世主に救われたのだ。その危機は一度めの危機が去ってから僅か半年程で二度めの危機が訪れたのだ。その2度の危機のお陰で、神秘の秘匿は殆ど宇宙の彼方に消し飛んでしまったのである。

 

1度目の危機。それはゴルゴムの危機だ。ゴルゴム…その名前を天界陣営は絶対に忘れない。ご存知、聖書の神を殺した創世王ブラックサンの組織である。ゴルゴムは実はと言うと、超が幾つも着く程の大昔から存在しており、最低でも5万年前から存在しては地球を影から支配してきた。その中でも創世王は5万年の周期で代替わりしており、キングストーンと呼ばれる神滅具?なにそれ美味しいの?というヤヴェー物を埋め込まれた次期創世王候補である世紀王ブラックサンと世紀王シャドームーンが殺し合いを行って勝った方が次期創世王に成るのである。

 

『行くぞ!信彦!』

『ああ!光太郎!!』

 

しかし…どういう訳か、不思議なことが起こった。次期創世王候補である世紀王は2人揃って脳改造前に脱走。そしてブラックサンこと南光太郎は仮面ライダーブラックと名乗り、シャドームーンこと秋月信彦は仮面ライダーシャドーと名乗り…2人の新たな仮面ライダーの手でゴルゴムは見事に崩壊した。もう、可哀想な位でゴルゴムは呆気なく滅んだ。仮面ライダーブラックと仮面ライダーシャドーを産み出したのもゴルゴムなので、結果的にゴルゴムの仕業である。

 

ゴルゴムを粉砕(所要期間半年)した光太郎と信彦は叔父の伝を頼り、信彦は大学に復学して法学を学び…光太郎はヘリのパイロットとして働きながら平穏を満喫していた。

しかし…2度目の危機が訪れたのだ。それは異世界からやって来たクライシス帝国である。

 

クライシス帝国は地球を侵略して、帝国民まるごと地球に引っ越す為に手始めに日本を侵略しだしたゴルゴム以上のヤバイ奴等である。クライシス帝国は先ず手始めに、ブラックとシャドーの変身能力を奪い…宇宙空間に追放した。それがクライシス帝国の死亡フラグを確定させた事を知らずに。

 

『俺は太陽の子、仮面ライダーブラックRX!!』

 

『俺は月の子、仮面ライダーシャドーGX!!』

 

なんという事でしょう。只でさえチートに強いブラックとシャドーがRXとGXにパワーアップして帰ってきたのです。

これにはクライシス帝国も言葉が出なかった。しかも、追い込めばロボライダー、バイオライダーやロボムーン、バイオムーンと様々な派生形態に進化して手に終えなく成っていき…歴史を改変しようとすればRXとGXが沢山増えるという理不尽に合い…クライシス帝国は昭和から平成に年号が変わる少し前に滅んでしまった。

 

あと、年号が昭和から平成に変わった。

 

当然だが、日本を古来から護ってきた五大宗家はゴルゴムとクライシスに戦いを挑んだそうだが…マトモな戦果は得られず、三大勢力と共に人外の力が存在する事を世に知らしめただけであった。

 

 

最後に…扉間は母親から託された子供2人を養子にした。それゆえか、魔獣創造を宿した男の子のフルネームは千手エンマと成ったのである。

 

 

 

 

日本の関東のとある町 三咲町。そこに扉間に引き取られたエンマは流れ着いていた。

 

「おっちゃん。飲み物は?」

「茶」

 

三咲町のとある一軒家。そこに扉間を大黒柱とした千手一家は暮らしている。

 

千手一家は一軒家に3人で暮らしている。しかし、そこにエンマの姉であるカンナの姿は無い。何故なら、カンナは東京の大学にこの春から通ってる為に、既に東京で一人暮らしをしているのだ。

壁に掛けられた写真。それは東京の有名大学に合格し、はしゃぐ若い女性とスーツ姿の扉間が写る。この若い女性こそが、今のカンナである。

 

「クライシス帝国壊滅から半年…日本は魔法省設立か」

 

新聞を読み、スーツ姿の扉間がボソッと言う。扉間は10年前から変わらぬ若々しい容姿を維持している。まあ、元と言えば受肉したサーヴァントなので当然では有るのだが。

 

「神器が公に成ったようだが…」

 

チラッと扉間は台所で料理をする少年と青年の狭間に居る男を見る。その男は扉間の亡き兄 柱間に何処か似ているが、髪の毛は短い。この人物こそ、成長したエンマである。

エンマは扉間に引き取られた後、毎日のようにしごかれた。理由は単純…エンマは魔獣創造を宿している。魔獣創造は今の御時世、正体が明らかに成れば真っ先に殺される。それほどの神器なのだ。エンマが神器の力を使わずにも戦えるように、扉間は自分の全てをエンマに叩き込んだのだ。

 

――貴様は遅かれ早かれ、あの夜のように様々な連中に狙われる。貴様が生きられるように、ワシの全てをお前に叩き込む。

 

と幼少期に扉間から言われたエンマは生きる術を全て叩き込まれた。

影分身、飛雷神、性質変化の忍術。そして扉間が元の世界で穢土転生された際に目撃し、座に帰ってから習得した螺旋丸。それらをエンマは強引に覚えさせられた。

 

(しかし…魔獣創造を宿した影響なのか、チャクラ量はワシよりも多く…ワシと兄者の中間ぐらい。まあ、チャクラの燃費に関しては上が居るがな)

 

扉間はふと、2階を見上げる。2階には今年の春からカンナと入れ違いで1人の少女が居候していて、まだ惰眠を貪ってる。彼女は蒼崎青子、エンマの高校の同級生であり、魔術ではなく正真正銘の魔法使いである。

魔法は年月、資金をいくら注ぎ込んでも再現出来ないのが魔法。魔術は資金と時間を無際限に注ぎ込めば再現及び同じ結果にできるのが魔術であり、忍術は魔術の仲間に分類される。

 

だが、魔法は違う。魔法はどう足掻いても再現出来ない物であり、青子はあろうことかそれが出来るのだ。

 

しかし…青子は中学の頃まで普通の少女だった。たまたま、御先祖が魔法を()()()()()しまい…祖父から後継者に指名されて魔法使いに成ってしまったのだ。

とは言え、青子は魔法は使えるが裏側のペーペー。それ故に…

 

――裏側の事を知ってこい

 

と親元を離れる事に成ったのだ。本来なら三咲町の管理者である魔女の所に身を寄せる予定だったが、三咲町の管理者である久遠寺アリスという少女がゴルゴムやクライシス等の事件でイギリスに一時帰国した為に、管理者代理である扉間の元にやって来たのだ。

 

すると、ドタバタと階段を降りてくる足音が聞こえてきた。

 

「寝すぎた!あっ!扉間さん!おはよう」

「おはよう」

 

茶髪に10人中9人が振り向く程の美女であり、雑誌のグラビアアイドルが可哀想に見えてくる程の胸を持った少女がリビングにやって来た。彼女こそが魔法使い 蒼崎青子である。

 

「扉間さん!エンマだけにずるいから、私にも凄い忍術を教えてください!」

「先ずは基礎を覚えてからだ。影分身と多重影分身は教えただろ」

「私にも螺旋丸を教えてよ!」

 

やはり、年頃の子供には螺旋丸は魅力的だったようだ。

 

すると、朝食を作ったエンマが朝食を持ってきた。今日の料理はフレンチトーストにフレークと洋食な感じである。

 

「おっ、青子おはよう。飲み物は?」

「珈琲。自分で用意するわ、貴方の淹れた珈琲…ミルクないもん」

 

青子は珈琲を自分で用意する為に、台所に向かった。

 

「エンマ。ワシは今日、裁判の仕事で帰りが遅くなる。今日の夜回りは貴様に任せる。だが、最近は怪しい人物が多い…」

「分かってるよ…おっちゃん」

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

扉間は国際弁護士として働いており、仕事が遅くなる事がある。それゆえか、夜の見回りはエンマが代理で行う場合が有るのだ。

 

「何事も無かったら良いけどな…」

 

エンマはマトモに神器を使って戦った事はまだ無い。神器で色々と試しに作った事は有るが、神器で戦えばグリゴリや五大宗家に生存がバレる為である。

 

座に居た扉間から話しに聞いて、全知全能という力を持つ聖霊王グレート・スピリッツを試しに作ったが、どういう訳かうんともすんとも反応しない。これに関してはエンマの神器を使う才能が無いのかと、本人は思った程だ。

 

「ぐっへへ…可愛い女の子だな!俺の眷族にしてやるぞ!」

 

と変な声が聞こえ、声の方に向かうと…暗くて良く分からないが、中学生程の少女が数名のチンピラに追いかけられていたのだ。

 

エンマはチャクラを練り、全身に巡らせて身体能力をブーストさせるとその場から消えて…少女とチンピラの間に現れる。

 

「おいおい、ナンパは場所を考えろよ。お前達、ロリコンですか?ロリータコンプレックス?」

「あっ?お前…俺を…フールフール家次期当主の俺を知らないのか?死ねよ!!人間!!」

 

チンピラはエンマに向けて雷撃を放つが、エンマはそれを避けると…チンピラの懐に忍び込み…エンマの掌にチャクラが高濃度で乱回転していき圧縮されていく。

 

「螺旋丸!!」

 

エンマはチンピラにそれ…螺旋丸を叩き付け、チンピラを一撃で粉砕した。

 

 

 

これが、とんでもない事件の引き金と知らずに。




実はこれ魔法使いの夜の1年前です。後に帰国するアリスとやって来る草十郎の運命は如何に!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

命の価値

事件が進む?


「モーザン様!!」

 

「モーザン様!確りしてください!!眷族の皆様も!」

 

冥界 悪魔領土。首都リリスの一番大きな病院に急患として担ぎ込まれた貴族が居た。

 

その悪魔は貴族の跡取りとその眷族達であった。しかし、貴族の跡取り息子は腹部を中心に螺旋状に内側から肉体の骨と内臓がバキバキに潰されており悪魔の生命力故に何とか生きてる状態だった。

悪魔は人間と比べると遥かに強い。血筋的に弱い悪魔でも、魔術回路を使わずに魔術を使え、寿命も万年単位と果てしなく長い。その上、肉体の構造も人間よりも丈夫で頑丈だ。

 

「フェニックスの涙を用意しろ!!大至急だ!!」

 

もし、悪魔の生命力が無ければ貴族の跡取り息子…モーザン・フールフールは即死していただろう。強力な悪魔の血筋であり産まれもっての上級階層故の潜在能力で何とか生きられたのだ。仮に平民悪魔程のスペックだと間違いなく生きていない。

 

「くそう…なんで…こんな事に…」

 

悪魔の医師は嘆く。元老院の1人であるフールフールの当主に20年前に出来た待望の第一子、それがモーザン・フールフールである。

悪魔は寿命が永い影響なのか、実質の不老不死だ。それ故に神様時代はポンポンとヤる度に子供が出来たが、今ではなかなか子供が出来ない。このモーザンもフールフール家の当主にとっては婚姻してから数百年振りに出来た第一子なのだ。

 

やがて、病室の前に1人の男が転移魔術でやって来た。彼こそが、フールフール家の当主である。

 

「息子は?」

「危篤状態です!!モーザン様は…たった一撃で殺され掛けた模様です…」

 

フールフールはその言葉を聞いて、空間に皹が入る。フールフールにとっては待望の第一子であり、可愛い息子だ。その息子が穢らわしい人間界(現世のこと)で瀕死の重症を負った。傷の負い方から見て犯人は堕天使と天使にエクソシストではない。

 

「誰が息子をこうした?今すぐ討伐隊を組んで派遣する!!」

 

純血の貴族悪魔の命は転生悪魔や混血悪魔、そして人間なんぞより遥かに重いのだ。その純血悪魔であり、最上級の貴族の跡取りが現世で殺され掛けた。それは赦されざる事案である。

 

フールフールは怒りを抑えられず、病院の壁を殴る。余りの力に壁はバラバラと一気に崩れ落ちた。突然の事に呆気に取られる周囲の人々。だが、フールフールは怒りの形相を浮かべ、息子の眷族達を睨む。

 

「貴様達!!息子の下僕の癖に、なんたる様だ!!

見ていただろ!!誰が…誰が息子を殺そうとした!!あの町の自称管理者は居なかった…答えろ!!見ていただろうが!!」

 

当主の余りの剣幕に怯え、眷族達は答える事が出来ない。

 

「5秒以内に答えろ、さも無くば兵士から1人づつ殺していく」

 

右手に雷撃を灯し、兵士の1人…少女の頭部を握り潰そうとする。死への恐怖故に、その兵士は目を瞑ってしまう。最期に思うのは眷族に成った…成ってしまった故に会うことを禁止された両親の事だ。心の中で両親に謝罪しようとした時…

 

「コイツです!コイツがモーザン様を!!」

 

震える手で、女王の女性が投影魔術で1枚の写真を投影する。その写真は女王の記憶を現像した物であり、そこには逃げる少女とフールフール眷族の間に割って入ってきたエンマである。

 

「ほう…コイツか」

 

エンマが写る写真を眺め、フールフールは笑みを浮かべる。

 

「只の人間の分際で貴族の純血を殺そうとした事を後悔させてやる。人間、貴様とは命の価値が違うのだ…当然、貴様達ともな」

 

フールフールはあろう事か、そう告げると息子の女王の頭部を握り潰した。

 

「えっ?」

 

「はい?」

 

「先輩?いっイヤァァア!!」

 

頭部を潰され、循環する事が出来ない血管なら噴水のように血潮が吹き出し…動かなくなった女王は倒れて死んでしまった。

 

「これは見せしめだ。たかが人間の分際相手に逃げおって。まあ良い…次は無いぞ?貴様達も息子が回復したら討伐隊に参加せよ。

先ずはこの人間の素性と周辺を調べる。そして確実に殺すのだ。純血貴族の跡取りが殺され掛けた、ゼクラム議長も赦して下さる」

 

フールフールはそう告げ、転移魔術で何処かに消え去った。

 

そして…残された眷族達は、頭部を握り潰されて見せしめで殺された女王の亡骸に泣きながらすがり付く。彼女達は誰もが、ほぼ強引に転生された存在なのだ。

転生悪魔は主人の場合にもよるが、大抵の場合は奴隷やレーティングゲームの道具として使われる場合がある。主人に奴隷のように使われる場合、当然ながら人権は一切無いのである。だって、下僕なのだから。

 

 

 

 

 

一方の三咲町。

 

「ビラ…いかがですか?……誰も取らねぇな、マジで」

 

三咲町の商店街で、悪魔の等価交換の商売用のビラを配る金髪の高校生程の少年が居た。

少年はライザー・フェニックス。フェニックス家の三男であり、後ろ楯も極僅かな現在末っ子で眷族も居ない、同期の貴族も居ないナイナイ尽くしの坊っちゃんである。

 

「レーティングゲームか…俺もディハウザー・ベリアルのように活躍してぇよ」

 

だが、次の瞬間…ライザーは何者かに肩を軽く叩かれる。何事かと思い、ライザーは後ろを振り向くと。

 

「お前…悪魔だな?昨晩のロリコン野郎の仲間か?」

 

夜通しで巡回をする羽目に成り、物凄く機嫌の悪そうなエンマと呆れたようにタメ息を吐き出す青子の2人だった。

 

「ロリコンだと!?俺はロリコンではない!!俺は巨乳族だ!!」

「うるせぇぞ!青葉シゲル!!」

「誰だよ!シゲルって!!」

「お前と同じ声だ!!エヴァ観てないのか!?お宅ら悪魔のお陰で、俺は昨日観れなかったんだぞ!!」

 

と…会うなり口喧嘩を始めた見知らぬ人同士のはずのエンマとライザー。そんな2人を見て、青子は苦笑いを浮かべ…やがて…キレ始め。

 

「しゃんなろぉおおおおお!!」

「「ほんげーー!?」」

 

2人の頭部に拳骨を落とした。

 

「良し!そこのステーキハウスで事情聴取よ!エンマの奢りで!」

 

青子が指差した先には、大衆ステーキハウス ビリー・ザ・キッドと看板が有った。そして…中では『南光太郎』とネームプレートを着けた青年が働いていた。




ライザー…まさかのエンマと同い年設定(笑)まあ、悪魔って兄弟で歳が離れてるしね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

千手エンマ討伐戦 開幕

冥界 悪魔領土。

 

フールフールは全世界にシンパが居る悪魔の情報網を駆使し、息子であるモーザン・フールフールを一撃で半殺しにした犯人であるエンマの情報を探っていた。

三大勢力は世界全土で最も信仰された宗教 キリスト教の勢力。その影響力は高く、彼等が本気に成れば大国さえも経済崩壊が起きたり戦火で跡形もなく滅んでしまう程の力が有るのだ…影響力だけで。もし、三大勢力の1つでも本気に成って現世で戦えば大陸の1つや2つも無くなってしまうだろう。

 

当然、エンマ達が居る日本にも多くのシンパが存在しており、悪魔の一部は日本の政界にも偽名で進出している。言うならば、日本という国はその大半を悪魔が運営してると言っても過言では無いのである。

 

既に日本の半数の土地は駒王という土地を筆頭に、悪魔が悪魔の為に運営している。悪魔のシンパとも言える警察官、警備会社、行政の役員の力を用いて僅か半日以内にエンマとその周辺の情報を探ったのだ。

 

「フールフール様。此方が…ご子息様を殺そうとした者の情報です」

 

使用人に手渡された資料を読むフールフール。そこにはエンマの生年月日から何月何日何年前に扉間の養子に成った事などが記されていた。

 

「英雄の末裔でもなく、魔術師の家系でもない。唯の子供にか?」

 

当然ながらフールフールは怪しむ。

 

「はい…私達が人間界で情報を探っていた時ですが、どうやら堕天使も千手エンマの情報を探ってました。彼が、魔獣創造の保有者なのではないかと」

「魔獣創造だと!?確かなのか!?」

 

魔獣創造。当然、フールフールもその存在は知っている。生命の理を破壊する危険な神器であり、最悪の神滅具。所有者は発見次第に抹殺が原則だが、フールフールは笑みを浮かべ始めた。

 

「クックク…堕天使もコイツを狙ってるのか」

「はい。調べた所、魔獣創造を宿した幼子が約10年前に堕天使の襲撃を受けてます。その土地は五大宗家の姫島が管理する所でした。

当然、神器を嫌う姫島一族は堕天使の横行を見逃し、魔獣創造保有者はは殺された筈でした。ですが、魔獣創造を宿した幼子の名前は鸛エンマ…姉の名前はカンナ。仮に生きていれば、16歳で千手エンマと一致します」

 

そう告げ、使用人は幼少期の頃。扉間と出会う前のエンマの写真をフールフールに見せる。

 

「この写真は時を操るアガレス様が作った物です。写真の時を進めますと…」

 

この写真は特別な写真。時を司る悪魔の一族、アガレスが作り出した物であり、写真の時間を進める事が出来るのだ。写真の時間はどんどん加速していき、写真には現代の千手エンマと成ったエンマが写ったのである。

 

「クックク…ハッハハハハ!!」

 

フールフールはその真実を知り、勝ち誇ったように笑みを浮かべる。最悪の神器 魔獣創造を殺すのに躊躇は要らない。五大宗家も見過ごしてくれるし、堕天使だって敵対関係とは言え魔獣創造を殺すためならば喜んで協力してくれる。その上、悪魔は日本の政治面を支配してると言っても良いし、警察だって知らんぷりをさせる事も出来るのだ。

 

「今すぐ…この情報を堕天使に送れ」

「ええ、既に送ってますよ。アザゼル総督は何時でも軍隊を送れる準備が有るそうです」

 

その言葉を聞いて、ニヤリとフールフールは笑みを浮かべた。

 

だが、彼は知らない。これらの行動が千手エンマ覚醒させる事にまだ知らない。

 

 

 

 

「で?お前は誰だ」

 

三咲町にあるステーキハウス。小規模チェーン店であるビリー・ザ・キッドの一角に座り、青子とエンマはライザーから事情聴取を行っていた。

 

「ライザー・フェニックス。フェニックス家の三男だ」

 

と突如としてステーキハウスに連れ込まれたのだ、ライザーは少し機嫌が悪そうだ。まあ、仕方がないだろう。なにせライザーは評価を上げるためと仕事の為に、1人で黙々とビラを配っては仕事を行っていたのだ。そんな時に、なんかヤバそうな同学年に連れ込まれたのだ。ライザーとしてはとっとと事情聴取を済ませて、暮らしてるアパートに帰りたい気分である。

 

「ほーう、俺は千手エンマ。唯の忍者だ。んで、此方が青子。魔術&忍術ペーペーのJKだ」

「エンマ…私の紹介、他にも有るでしょが。まあ、私達はエンマの養父さんと一緒に、この町を守ってるのよ。町の管理者が訳有って海外の実家に帰っちゃってね」

 

とエンマと青子が自分達の素性をライザーに打ち明ける。まあ、今の御時世…ゴルゴムやクライシスのお陰で悪魔とか人外の存在が知れ渡ったので全然問題は無いだろう。

 

「それで、昨晩。なんか塾帰りの中学生程の女の子をしつこく追いかけ回していた、変態なチンピラ悪魔とチンピラレディースのような奴等が居たんでな。その悪魔を殺すつもりで螺旋丸を放ちワンパンKOにした。

お前もそのチンピラと同じような奴かと思ってな、俺達は声を掛けたんだよ」

 

チンピラ…悪魔。その言葉を聞いてライザーは少し考え込む。

 

「…そのチンピラって何か言ってたか?」

「中学生に眷族にしてやるとか、フールフールとか言ってたな」

 

フールフール。その名前を聞いて、ライザーは危うく口に含んだ水を噴き出しそうになる。フールフールと言えば、フェニックス家よりも権力の高く、当主が元老院に在籍してる名家である。魔王を除けば、トップクラスの権力を持っており発言1つで日本の行政さえも動かすことが出来るのだ。

 

「へ?フールフール?フールフールって悪魔のフールフール?」

「おう、多分ソイツ。螺旋丸1発で全身の骨が砕け散った変態だったが」

 

――お前…なんて奴に喧嘩売ったの!?

 

とライザーが叫んでツッコミを上げようしたが、それは出来なかった。何故なら、注文したステーキが焼き上がり…青年の店員が3人のステーキを持ってきてくれた。

 

「はい出来たよ。君がRXステーキ、お嬢ちゃんもRXステーキ、そんでそこのバイト君がキッドステーキとガーリックライスのセットだな」

 

南光太郎というネームプレートが書かれた青年の店員は、エンマ達の前に注文されたステーキを置いていく。

エンマと青子がRXステーキ。雑にカットされた大きな下味の着いたステーキに、黒い一枚海苔がトッピングされている。海苔にはなにやらマスタードで描かれており、その意味は分からない。

キッドステーキはビリー・ザ・キッドの定番メニューだ。ビリー・ザ・キッドは店ごとにオリジナリティー溢れるメニューが多いが、このキッドステーキは何処の店にも有るのである。

 

「それにしても、君とお嬢ちゃんは良く来るね。学生さんかい?俺も昔を思いだしたよ」

「店員さんも良く来てたんですか?」

「昔ね…懐かしいな。あの時は高校生の頃だったよ、俺と信彦は良く部活帰りにビリー・ザ・キッドに通ったな」

 

光太郎は思い出す。まだ仮面ライダーになる昔、部活帰りに良く親友の信彦と共にビリー・ザ・キッドに通い、大きなキッドステーキにニンニクペーストを塗って醤油をかけて頬張っていたのだ。

 

「所でバイト君。君は何処のバイトなのかな?最近、早朝からビラを配ってるじゃないか」

 

光太郎は今度はライザーに声をかける。

 

「いや…まあ、家業でして」

「そうかい。ここの店は初めてかな?ステーキにはニンニクペーストと醤油!これが一番合うんだよ!」

 

光太郎に言われ、ライザーはキッドステーキにニンニクペーストを塗って醤油をかける。既に青子とエンマはニンニクペーストと醤油でRXステーキを食べており、彼も見習ってキッドステーキを食べる。

 

「旨い!!」

「だろ?」

 

そして…店を出る頃には…

 

「旨かったな…」

「だろ?」

 

ライザーとエンマは友人関係に成っていた。

 

「ステーキ食っただけで友人に成ったわよ!?この2人!!」

 

 

 

それから数日の時が流れた。

 

ある日の夜。町の見回りにライザーも参加し、エンマはライザーと共に三咲町の夜回りを行っていた。

 

だが、突如として何かを感知したエンマはライザーに告げる。

 

「ライザー…町の外れに何かの大軍が居る。お前は直ぐにおっちゃんを呼んできてくれ」

「エンマ!?」

 

エンマはライザーにそう告げ、町外れに向かう。その瞬間…

 

「なんだ!?」

 

突如として地面に仕掛けられた封印術が発動する。それで動きを一時的に縛られ、飛雷神での転移が使えない。

 

「チッ!!」

 

しかし、エンマは扉間から扱きに鍛えられた現代の忍。この程度の封印術は解除でき、解除した瞬間に後方に飛ぶ。その瞬間、爆炎、激流、雷撃、光のビームが飛来して先程までエンマが立っていた場所は跡形もなく無くなっていた。

 

「やっと…お前を殺せるぜ、世界を壊す魔獣創造」

「お前が息子をやった人間だな」

 

アザゼル率いる堕天使の軍勢。悪魔フールフール率いる3000を越える悪魔の討伐隊。

 

その軍勢を前にして、エンマは逃げず…飛雷神のマーキングが記された術式クナイを飛ばして手裏剣影分身で数を増やして辺りにばら蒔かせる。

 

「影分身の術!!」

 

さらに50人に分身したエンマはクナイを構え、閃光と成って敵に突撃する。ここで扉間が来るまで悪魔と堕天使を停めないと、アザゼル達は町で何をするのか分からない。

 

 

 

 

 

 

「エンマ?」

 

 

 

だが、ライザーが青子と扉間を連れてきた時…エンマは心臓を光の槍で貫かれ、左足を根元から失い、左腕は無くなっていた。右手の指も少し欠損しており、脇腹からは骨が見える。

 

辺りには1000を越える悪魔と堕天使の亡骸が転がっていた。

 

千手エンマ死亡。

 

「へ…手こずらせやがって」

 

魔獣創造を殺せた。これで世界は平和に成ったのだ。アザゼルは世界を守れた為か、安堵の笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、此処でアザゼルに1つの誤算が有った。それはエンマが過去、グレート・スピリッツを作ってた事である。

 

――オーバーソウル。グレート・スピリッツ。

 

天から光が降り注ぎ、嘗てエンマが作ったグレート・スピリッツは完全起動を果たしてグレート・スピリッツの能力を持つ魔獣から聖霊王グレート・スピリッツに変化する。

 

そしてグレート・スピリッツを使うためには一度死に、グレート・スピリッツと一時的に同化する必要が有る。

 

千手エンマ…覚醒。

 

 




次回!フルボッコタイム!?

「ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」

さらに奴もやってくる!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夜が明ける

エンマ編一旦終り


「は?」

 

それは誰の言葉だろうか?アザゼルに心臓を貫かれて死んだ筈のエンマがゆらりと立ち上がったのだ。しかも、先程の激闘で失った筈の手足と負った傷さえも完全に再生してである。

 

「アザゼル様!!後ろ!!」

 

だが、エンマを殺してエンマが立っている方向とは逆の方向を向いているアザゼルは未だ気付いていない。部下に言われてようやく気付き、アザゼルは「なんだよ」と軽く舌打ちをしながら後ろを振り向く。

 

アザゼルは後ろを振り向いた…そのアザゼルの眼前には今正に拳を放ったエンマの拳が数ミリ前に有ったのだ。

 

「ホンゲェェェーー」

 

拳が顔面に直撃し、グチャバキバキと皮膚が抉れ、骨が軋む音が響きアザゼルの右頬の骨は粉々に砕け、アザゼルは真っ直ぐに吹き飛ぶ。

しかも、アザゼルの顔面には術式が現れていた…飛雷神の術式だ。もう、何処にいてもアザゼルはエンマに補足され、絶対に逃げられない。そう、逃げられない。

 

エンマは右手の掌にハンドボール程の大きさの螺旋丸を一瞬で作り出した、飛雷神で消える。勿論、飛雷神での行き先は…アザゼルの真ん前だ。

 

「螺旋丸!!」

 

ゼロ距離で螺旋丸の直撃に飲み込まれ、チャクラの乱回転する塊をゼロ距離でぶつけられたアザゼル。その衝撃で辺りに暴風が吹き荒れ、全身の骨がバキバキに砕かれたアザゼルと無傷のエンマが立っていた。

 

「アザゼル様!?」

 

「アザゼル様!しっかりして下さい!!」

 

総大将の1人であるアザゼルが倒された為か、狼狽える堕天使達。無理もない、アザゼルの力は神に匹敵する。そのアザゼルは僅か一瞬で魔獣創造を宿した生きてはいけない人間に倒されたのだ。本来ならば、有り得ない事である。

 

「ほらよ…」

 

エンマはアザゼルの頭部を掴み、堕天使と悪魔の連合軍に投げ返す。

 

そして、エンマの仲間である青子にライザー、扉間がエンマの側に並び立つ。

 

「ライザー・フェニックス。その男は生きては成らんのだ。何故なら…純血悪魔を殺そうとしたからだ。お前も貴族の端くれなら分かるだろ?

純血の貴族は人間なんぞより、貴重な存在なのだ」

 

貴族の価値は人間や他の種族と比べて遥かに貴重なのだ。何故なら、転生悪魔や民草の悪魔と異なり貴族の純血悪魔こそが正真正銘の悪魔なのだから。

 

「その男は魔獣創造を宿していて、フールフールの嫡男を殺そうとした。

此方側に加勢せよ、ライザー・フェニックスよ。そうすれば、貴様に素晴らしい下僕を与えよう。それか、そこの女をお前の奴隷として与えよう。どうだ?」

 

と…悪魔の1人が言う。しかし、ライザーの返答は…

 

「それは…無理だ…」

 

ギリギリと右手の拳を握り締めるライザー。

 

「エンマと青子は……俺の初めての友達だ。その友達を見捨てられる程、俺は腐っちゃいない!!」

 

悪魔としては間違ってるのだろう。だが、ライザーは友を見捨てられなかった。この時、ライザーは立場と約束された未来よりも、友達の命を選んだのだ。

 

「ほう…そうか。残念だよ…ならば、此処ではぐれとして消えるが良い!!」

 

そう言った悪魔は莫大なエネルギーを秘めた魔力を解き放った。その魔力の性質は滅びの魔力。ベルゼブブとバアルの血を引く選ばれた悪魔しか使えない性質変化の魔力であり、万物を滅ぼせる防御不能の攻撃だ。魔力の障壁も防御の鎧も全てが塵に変わり意味を成さない。防ぐためには避けるしかない、絶対の力。

 

絶対防げない絶望の力。

 

「町を守るために頑張ってた学生の命を奪おうとするとは、ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」

 

突如、第三者の声とバイクのエンジン音が聞こえてくる。と言うか、エンマと青子にライザーはこの声を知っている。と言うか、先日に()()()()()()()で聞いたのだ。

 

「「「この声…まさか!?」」」

 

そしてバッタを模したバイクに乗って、ビリー・ザ・キッド三咲町店の店員さんである南光太郎がエンマ達の前にやって来たのだ。

 

「とう!!」

 

光太郎はバイクからジャンプして降りて飛び上がり、その滅びの魔力を蹴りで打ち返した。

 

「バカな!?」

 

しかも光太郎は滅びの魔力を蹴り返したにも関わらず、無傷である。

 

打ち返された滅びの魔力を停めることが当然出来ず、直撃を受けた悪魔達は魂も含めて消滅してしまった。

 

「貴様は?確か、青子とエンマ行きつけのステーキハウスの…」

「俺か?俺はビリー・ザ・キッド三咲町の店員、南光太郎!

そして…変身!!」

 

眩い光が放たれ、光太郎の姿は変わった。

 

「貴様は……いや、貴方は…」

 

その姿を見て扉間は驚き、悪魔達はあんぐりと顎を外しそうになり…何人かの悪魔は逃走しようとする。当然だ、光太郎の正体は2度に渡って地球を救った救世主の片割れであり、聖書の神より強い創世王より強い最強の仮面ライダーなのだから。

 

「俺は太陽の子!!仮面ライダーブラッアーエー!」

 

この地球最強のヒーロー 神より強い創世王より強い超世紀王にして太陽の救世主 仮面ライダーブラックRXである。

 

つまり、悪魔はこの最強の御方が居る三咲町で大規模な日本人殺害作戦を堕天使と共に行おうとしていたのだ。

 

「キングストーンフラッシュ!!」

 

ブラックRXのベルトから眩い光が放たれ、気が付けば扉間達の後ろに一部の下僕悪魔が移動していた。この下僕悪魔は誰もが、無理やり転生されて奴隷のように扱われていた人達だ。しかし、その時…不思議な事が起こったのだろう。彼等は下僕悪魔から元の種族に戻っていたのだ。

 

「私達!人間に戻ってる!」

 

「どうして?」

 

「った…助かったのか?」

 

下僕という身分から解放された為か、安堵する元の種族に戻った彼女達。

 

「貴様!!俺の下僕を!!」

 

と…激怒した人物が居た。エンマに半殺しされた事がある貴族のモーザン・フールフールその人である。

 

「RXキック!!」

 

しかし、モーザン君はブラックRXのキックを受けて爆散した。いや、本当に相手が悪かった。

 

「エンマ…行けるな?」

 

扉間に声をかけられ、エンマは扉間を見る。だが、そのエンマの瞳は変わっていた。その瞳は紅く成っており、瞳には黒い6つの刃が有る手裏剣模様に変わっていたのだ。

 

(万華鏡写輪眼を開眼だと?だが、チャクラの気配は変わっていない。カガミやカガミの孫、うちはイタチのように精神疾患の症状が出なかったようだな。それに…兄者に近い気配も僅かに感じる)

 

そう…エンマはうちは一族の血継限界 万華鏡写輪眼を開眼していた。

 

(グレート・スピリッツで肉体を再生させる時に、変化が起きたのだろうな)

 

と扉間は考察する。

 

「ああ!行けるさ!おっちゃん!」

「元下僕の人達はワシ等に任せろ。お前は仮面ライダーと共に行け!!」

 

扉間に言われ、エンマは敵軍目掛けて走り出す。

 

「オーバーソウル、五大精霊。集え、五大元素よ!!」

 

エンマが告げ、爆炎が堕天使を焼き付くし、雷轟が悪魔を焼き払い、暴風が堕天使を切り刻み、大寒波が悪魔を凍てつかせ、大地の裁きが堕天使を粉砕する。

 

降り立つはグレート・スピリッツが産み出した五大元素を各々司る神クラスの精霊。炎の精霊 スピリット・オブ・ファイア、水の精霊 スピリット・オブ・レイン、土の精霊 スピリット・オブ・アース、雷の精霊 スピリット・オブ・サンダー、風の精霊 スピリット・オブ・ウインド。彼等は全員が全長50メートルを越えており、各々の司る力を使い悪魔と堕天使の包囲網を無くしながら悪魔と堕天使を消し飛ばす。

 

「ギャァァァ!!」

 

「いぐぅぅぅがぁぁ!!」

 

「こんな筈じゃ!!」

 

「ガァァア!!」

 

逃げようにも逃げられない。だが、連合軍の悲劇は未だ終わらない。

 

「店員さん!下がってくれ、大技を使う!!」

「うむ!」

 

ブラックRXが下がり、エンマはチャクラを練り上げ大技を使う。

 

「使わせるな!!コイツは必ず此処で殺せ!!危険すぎる!!絶対に世界の為にも殺すんだ!!」

 

復活したアザゼルの声が響く。

 

――木遁

 

「仮面ライダーは後回しだ!!神器の範疇を越えたコイツを此処で!!」

 

数多の魔力砲撃、光の槍がエンマに降り注ぐ。

 

――真数千手

 

その刹那、降り注ぐ砲撃を全てが凪払い。全長1500メートル超えの木遁で作られた千手観音が降臨した。千手観音…真数千手の頭の上にはエンマが仁王立ちしており、万華鏡写輪眼で眼下に広がるアザゼルとフールフール率いる連合軍を見下ろす。

 

「兄者…」

 

真数千手の背中を見上げ、扉間は亡き兄を思い出す。

 

そして…真数千手の手が起動していき、数十の手が振り上げられる。振り上げた拳は勿論、解き放つだけ。振り下ろされた拳は拳の壁となり連合軍の半数を一撃で赤い染みに成るように叩き潰した。当然、その中にはフールフールも混ざっている。

 

「そんな…そんな…勝っていた筈なんだ…俺達は勝っていた筈なんだよ!!」

 

全ての拳が振り上げられる。

 

――頂上化仏

 

そして…千を越える拳が解き放たれ、拳の壁でアザゼル以外(元下僕の皆様は例外)の連合軍は全て最強のオラオラで破壊された。

 

頂上化仏の発動が終り、あろうことかエンマは唯1人で真数千手から降りてアザゼルの元に歩いて向かう。

 

「なあ、1つ聞きたい。なんで俺は生きては行けないんだ?」

 

恐怖で答える事が出来ないアザゼル。

 

「俺が神器を宿したからか?その神器を作ったのはお前達、聖書だろ?」

 

ガクガクと震えるアザゼル。

 

「まあ、良いさ。お前達からすれば俺は存在していけない人なんだろ?だったら答えなくて良いさ。

殺したかったら何度でも来たら良いさ。次は無い。お前には飛雷神のマーキングを仕掛けてある。次はお前の本拠地で真数千手を使う」

 

次の瞬間…アザゼルとエンマの間に、1人の堕天使が降り立った。シェムハザだ。

 

「シェムハザ!」

 

シェムハザは千手エンマ討伐が決まってから暫く行方不明に成っていた。そんな彼の登場にアザゼルは複雑な感情を抱く。この時までは…

 

「辞めます」

 

シェムハザはそう言うと、懐から何かを取り出してアザゼルに渡した。

 

「私はもう…罪の無い子供が死ぬ所を見たくない。もう、お前には着いていけないよ」

 

シェムハザ…スタイリッシュ辞職!!突然の事態にアザゼルは唖然としてしまった。

 

「へ?」

「退職金は要りません。結構だ」

 

シェムハザの離脱を受けて唖然とするアザゼル。

 

「今すぐ帰れ、さもなくば螺旋丸使うぞ」

「チックショオオオオ!!」

 

アザゼルさん…涙ながらその場から撤退した。そして朝日が登り、夜が明けた。

 

その時…エンマは気付く。一度死んだ影響なのか、魔獣創造の神器が身体から無くなっていたのだ。まあ、今の彼はグレート・スピリッツで魔獣創造以上の事が出来るので差程問題はない。

だが、それは新たな魔獣創造を宿した子供が産まれ、三大勢力や五大宗家に狙われる事を示していた。

 

「見えたよ…俺の為すべき事がさ。母さん」

 

朝日を見てそう言うエンマ。世界に居場所が無い人が居るならば、自分がその拠り所を作れば良いのだ。無ければ作れば良い、だって彼は魔獣創造を宿していたから。

 

 

魔獣創造の夜は明け、魔法使いの夜が始まる。

 

 

アベンジャーズ編に続く。




次回!アベンジャーズ編スタート!!

アメリカンな人々が続々登場。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アベンジャーズ
本郷猛


レジェンド…遂に降臨


本郷猛は日本初のヒーローであり、改造人間である。そして世界で初めて仮面ライダーと呼ばれた人物である。

 

もうかなりの高齢だが、外見的にはそうは見えない。日頃からトレーニングと人々の為に戦い続ける為か、実年齢よりも多少処か普通に若々しい。とは言え、彼はショッカーの手で改造人間になったヒーローだ。ゴルゴム製のブラックRXと比べると寿命も普通の人間よりも少し高い位なのかも知れない。事実、彼は若い頃と比べると顔付きが大分成熟している。

 

そんな猛は警視総監を辞めて暫くの時も日本で過ごした。彼が警視総監に成ったのは悪魔の支配下に置かれ、拉致や暗殺が横行する日本を変えるためである。政治の道に進みだした仮面ライダーシャドーGXこと秋月信彦、新たな後輩である平成ライダーの仮面ライダークウガこと五代雄介の協力のお陰で、日本の警察組織は無事に日本を人間の手に取り戻せたのだ。

 

そんな本郷猛は(見た目は当然…藤岡弘、さん)旅に出る。

 

「猛のおっちゃん!行かないでくれってばよ!」

 

時は三咲町で起きた魔獣創造討伐事件成らぬ…真数千手降臨、悪魔堕天使連合軍フルボッコ事件から暫くの年月が流れていた。

 

「おいこら、ナルト。本郷さんが困ってるだろ」

 

そんな猛は今から旅に出るために、成田空港の見送りゲートで見送られていた。彼等を見送るのはライダーの後輩達ではない。本郷が警視総監を辞めてからの少しの時、共に過ごした孤児院の方々である。

 

「ありがとうナルト君。なに、直ぐに会えるよ。

エンマ君、青子さん。そして子供達、私はそろそろ行くよ」

 

その孤児院の方々とは成人して…あろうことか結婚した青子とエンマである。エンマはあの後、高校を卒業して大学に通い、日本の農林水産省に就職。

そして…頑張って世界に拠り所が無い子供を保護して育てる孤児院を三咲町に開設したのだ。孤児院の院長は青子であり、従業員としてあの時に保護した元下僕悪魔の人達やライザーも居るのだ。

 

見送りに来たのは大人に成ったエンマに青子…色々とあって青子の髪の毛が赤く成ってるが気にしてはいけない。2人の実子である2人の子供、そしてエンマや猛が保護してきた世界に行き場の無い子供達である。子供達の大半は幼く、最年長の少女でも中学生程だ。

 

青子に似てか、赤い髪の毛の男の子は千手ナルト。生まれつき頬に三本づつの髭のような傷痕が有り、なんか生まれつきグルメ細胞だとか言う物を宿している。名付け親は祖父である扉間であり、産まれて直ぐに悪魔のとある王と悪魔と実質的に癒着の有る五大宗家に誘拐されて()()を宿す人体実験を受けたが、今はエンマと扉間の活躍により事なきを得ている。

 

エンマに似てか、黒い髪の男の子はナルトの一年下の弟 千手オグナ。此方は産まれた時になんにも問題も無かったのだが、あろうことかエンマから写輪眼を受け継いでしまっていたのだ。

 

「「「猛おじさん」」」

「君達もありがとう」

 

最年長の少女は黒歌。猫又の妖怪であり、行き場の無い彼女と妹を猛が拾ってエンマに託した。年齢は受験を控えた中学生程であり、そろそろ受験勉強が始まってしまう。

 

その黒歌の妹であり、ナルトの1つ年下の白音。此方も猫又だ。

 

ライザーの妹であり、悪魔を追い出されたライザーが拉致(厳密には託された)してきたレイヴェル。

 

吸血鬼と人間の混血であり、祖国を追われたギャスパー。

 

五大宗家の姫島の娘と堕天使との間に産まれた為か、姫島から何度も殺されかけた朱乃。

 

保護された子供達は誰もが世界に居場所がなく、世界から追われて殺されかけた子供達ばかりだ。

 

「それじゃあ…行ってくるよ」

 

日本の英雄 本郷猛は子供達に見送られて旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカでのドリームチームを一時的に結成し、チタウリとかいう連中との戦いが待っていると知らずに。

 

 

「フューリー長官。あの仮面ライダーが飛行機に乗ってアメリカに向かってます」

「コールソン。なんとしても連れてきてくれ。戦力は多い方が良い」




次回!アメリカに降り立った本郷猛!!

しかし、空港を出ると…

「私はコールソン。SHIELDのエージェントだ。共に来てもらう」

本郷猛はアメリカでの騒動に巻き込まれる!!

因みに本郷さんはネオ1号に成ってます(笑)



参戦決定メンバー

本郷猛、ガブリエル、ローガン、キャップ、トニー、ソー、ハルク…等々!!映画と異なるアベンジャーズをお楽しみに!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アベンジャーズ

本郷猛…アベンジャーズに参加する!!


「アメリカか…純粋に旅をしたいだけでやって来たのは初めてだな」

 

仮面ライダー1号改めてネオ1号こと本郷猛。彼は税関を無事に潜り抜けて、アメリカの大地に降り立った。とは言え本郷猛は過去に何度もアメリカの大地を踏んだ事は有る。しかし、それらは全て旅や観光ではない。悪の組織であり自分をバッタの改造人間にしたショッカーの支部を潰したり、ショッカーに纏わる組織の残党を倒すためにやって来たのだ。

 

だが、今回は違う。本郷猛は純粋に旅、という愉快な目的の為にアメリカに降り立ったのだ。こんな身体(改造人間)に成る青年時代以前の旅行。純粋に楽しめそうだと、猛は思う。

 

 

 

しかし、その思いは空港を出て5秒で見事に砕け散ってしまった。

 

「始めまして、仮面ライダー」

 

と…自分の裏の顔を知る人物に声をかけられた本郷猛。彼は少し警戒しながら後ろを振り向くと、そこにはスーツ姿の30代程の男が立っていた。

 

「君は…誰だね?私の裏の顔を知っているという事は、此方側の人間だと言うことか」

「私はコールソン。SHIELDのエージェントだ」

 

SHIELD…名前だけなら猛も聞いたことが有る。アメリカに在住してる友人、滝がその名前を口にして居た。根本的な設立は第二次世界大戦の頃であり、彼らもショッカー等の悪と戦っていたのだ。

 

「SHIELD?たしか…滝さんの言っていた」

「ええ、エージェント滝は私の大先輩ですよ。ライダー、貴方に来てもらいたい。我々には貴方の力が必要です…アベンジャーズとしてね」

 

 

 

 

 

 

コールソンに連れられて猛はSHIELDの拠点の1つにヘリで向かっていた。

 

「アベンジャーズ?それは何かね?」

 

しかし、訳の分からないまま連れていかれてはいけない。猛はコールソンに問うことにしたのである。

 

「アベンジャーズ計画とはざっくり言えば、未曾有の危機に備えて様々なヒーローでチームを組み、その危機に立ち向かう計画ですよ」

 

コールソンは語りだす。アベンジャーズ計画とはコールソンの上司であるニック・フューリー長官が考えたプロジェクトだ。

どうしようもない地球規模の危機、その危機に備えて普段は別々…それも独自の思想で動いているヒーロー達を集め、そのヒーロー達で結成された特別チームを作って共に地球の危機に立ち向かう物である。

 

「それで…仮面ライダーである私に白羽の矢が立った訳だね?」

「はい。勿論、日本も大変なのはご存知ですが…」

 

確かに日本も大変だ。ショッカーが終わればデストロン、GOD機関等々の組織がうじゃうじゃ出てくるわ、トドメにゴルゴムとクライシスが出てくるわ。無事に昭和を乗り切ればと思えば、今度アンノウンだったり、オルフェノクだったり、様々な問題が出てきた。しかし、それらの問題は本郷猛を筆頭とした仮面ライダーの皆様の活躍が有ってこそである。

 

いや、仮面ライダーがこれまで倒してきた敵の他にも厄介な事が有る。それは日本をこれまで守護してきた筈の五大宗家と悪魔政府との癒着による、様々な問題だ。

五大宗家は日本を守護しているが、悪魔の眷族強制問題に関しては一切口を出さないし事情の有るはぐれ悪魔の保護もしない処か討伐を勧める。五大宗家が神器持ち等を冷遇や迫害したりして、悪魔がそれを転生悪魔として迎え入れる。極めつけは日本を守護する五大宗家が悪魔の日本統治を認めている事である…日本の守護ってなんだっけ?

 

「だが…今の日本は彼等が居るから大丈夫だな」

 

本郷猛は思い返す、共に日本を守ってきた仲間達の事を。

 

それに今ではブラックRX、シャドーGX等と言った頼れる後輩も多い。

 

「所でコールソン。私の他にも決まってる人は居るのかね?」

「ええ、一先ず声をかけた人達も入ってますが…」

 

日本の仮面ライダーに声をかけたのならば、当然他の国やアメリカでも声をかけてる筈だ。勿論、コールソン達も様々な国でアベンジャーズの仲間達を探しており、既に目星は着けているのだ。

 

「此方が、その彼等です」

 

コールソンは1冊の冊子を猛に手渡す。その冊子はアベンジャーズ計画と書かれており、本郷猛はその冊子を開いて中を確認する。

 

「沢山の人が居るようだね?」

 

その冊子にはヒーロー達の特技や顔写真等が載っていたのだ。

 

 

キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)。

超人血清と呼ばれる特別な血清の影響で、人類唯一の超人兵士に成った人物。とある合金で造られた盾を武器にし、第二次世界大戦ではショッカーの前身とも言えるヒドラと戦って世界を救った。

 

ウルヴァリン(ローガン)

神器保有者と超能力者で結成された組織 X-MENのメンバー。不死身と言える再生能力を持ち、全身の骨格にはアダマンチウムと呼ばれる非常に硬度が高い金属でコーティングされており、あらゆる攻撃が効かない。

 

ガブリエル

神話に語られる熾天使。たまたまアメリカを観光していた彼女を誘った所、彼女は快く加入してくれた。

 

アイアンマン(トニー・スターク)。

既に正体が明らかに成っているヒーローの一人であり、戦う実業家。パワードスーツを身に纏い、様々な武器で敵を一掃する。

 

ハルク(ブルース・バナー)。

超人血清を再現する実験の事故により、怒れると緑の無敵超人ハルクに変貌する悲しき科学者。最近は変貌はしていないようで、今回は科学者として参戦してもらう予定。

 

 

「他にも声をかけてはいるし、SHIELDのエージェントからも2人がエントリーしている」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…ドイツ。

 

本郷猛は知らないことだが、ドイツでは今回のヴィランと言える北欧の神様 ロキ(当然 マーベル)が一騒動を起こしており、SHIELDが派遣したヒーロー キャプテン・アメリカと戦っていた。

しかし、キャプテンが如何に優れた戦士とは言え…キャプテンはチャクラによるブーストを未だ知らない(ここ重要)。その為か、地力でロキが圧倒的優位でありキャプテンは徐々に追い詰められていく。

 

「服従しろ」

「断る!!」

 

だが…キャプテンは不屈の闘志で立ち向かう。その時、強靭な右ストレートがロキを襲った。

 

「ホンゲェェ!?」

 

地面を転がり、口から血を吐き出すロキ。何が起きたのか分からず、ロキはキャプテンの方を見る。そこには…黄金の戦士が立っていた。

 

「誰だ!お前は!?」

 

黄金の戦士は構え…名乗りを挙げる。

 

「仮面ライダーアギト。たまたま通りすがった料理人だ」

 

黄金の戦士は仮面ライダーアギト。そしてその正体を津上翔一。日本のレストラン AGITOのシェフであり、店がそこそこ繁盛して改装工事中に料理修行を行っていた料理人である。

 

逆上し、迫り来るロキ。だが、アギト…翔一はカウンター戦法を得意とする。迫り来るロキの攻撃を払いのけ、ロキの腹部に強靭な蹴りの一撃を入れた。

 

「がぁは!?」

 

悶絶するロキ。やがて、そこに新たな人物が現れた。

 

『僕の出番は要らなかったようだね』

 

赤いパワードスーツを纏った実業家、トニー・スタークである。彼が身に纏っているパワードスーツはマーク6、少し前の事件で開発したパワードスーツである。

 

キャプテンは兎も角、アギトにアイアンマンの参戦。これに対して、ロキは完全に降参した。

 

「仮面ライダーアギト。貴方も同行お願いします」

「へ?……あの俺、料理の修行中なんだけど」

 

津上翔一…戦闘輸送機でキャプテンを支援していたナターシャ・ロマノフさんの手で強制連行。

 

 

 

 

 

「やあ、君がガブリエル君だね?私は本郷猛だ」

「貴方が初代仮面ライダーさんですね!光太郎さんから話は聞いてますよ!」

 

本郷猛…空を飛ぶ空母でガブリエルと遭遇。




次回!集うアベンジャーズ。あっさりと捕まったロキ。

しかし、未だ事件は大きく起きていない…これからである。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

個性豊か過ぎるメンバー

アベンジャーズ…ご飯タイム


SHIELDの拠点の1つであり、空を飛ぶ事が可能な飛行空母ヘリキャリア。

 

そこにアベンジャーズとして声が掛けられたメンバーが揃っていた。その全員が個性豊かなメンバーであり、知人同士が居れば全く会ったことが無い初対面のヒーローも居る。

 

「どうですか?皆さんのお口に合えば良いんですけど」

「うん!凄いじゃないか!君…僕の専属コックに成らないかい?」

 

とは言え…何かの切っ掛けが有れば人は親しみを持ちやすくなる。ナターシャ・ロマノフが勧誘してきた、この若き料理人兼仮面ライダーの特技のお陰か、集ったばかりのアベンジャーズは少しだが見知らぬ他人から少しは知った知人へと、仲が一気に進展したのである。

 

 

 

 

――あの…皆さんも小腹が空いてると思いますし、何か作りますよ。俺…実は料理人なんですよ、日本に店も持っていて、今は改装工事中で臨時閉店してるんですけどね。

 

とヘリキャリアに連れてこられた仮面ライダーアギトこと津上翔一はそう言ったのだ。

翔一はナターシャ、キャプテン、トニーそして捕らえたロキと共にヘリキャリアに現れたのだが…そこには新たな人物が加わっていた。北欧の雷神であり、ロキの兄であるソーである。ソーはロキ及び四次元キューブと呼ばれる平行世界や異世界、更には外宇宙への扉さえも開く北欧の凄いキューブを確保しに来たのだが、もとを辿れば今回の騒動は四次元キューブが原因との事で、アベンジャーズに合流したのである。

 

だが、合流した瞬間にアギト+アイアンマンVSソーの戦いが有ったのは現場に居た彼等しか知らない事実である。

 

そんな翔一の特技も有ってか、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ(ナターシャ)、ソー、バナー博士、ガブリエル、ウルヴァリン、そして仮面ライダーネオ1号はアギト発案のお食事会をヘリキャリアの会議室で始める事に成ったのである。

 

「うむ!相変わらず美味しいよ、津上君。料理の腕が上がったんじゃないかな?」

 

翔一の作った料理はどれもが片手間に摘まめる物ばかりだが、味は本郷猛が太鼓判を押す程であった。いや、猛だけではない。大富豪でありヒーローでも有るアイアンマンことトニーも喜んでいるのだ。

 

「本当に美味しいや。所で翔一、僕の専属コックに成る話だけど…」

「ごめんなさい。日本にはレストランAGITOのスタッフが待ってるんで…」

 

翔一に断りを入れられ、しゅんとしてしまうトニー。どうやら大富豪も認める程の料理を翔一はなんの苦労も無く作ることが出来るようだ。

 

「施設の子供達にも…食べさせてやりたい程だ」

 

と言ったのはもみあげと繋がったお髭が特徴の筋肉質な男 ウルヴァリンことローガンである。

 

「確か、ローガンさんは超能力者なんですよね?実は、アギトの力は超能力の一種なんですよ!」

「なに!?それは本当か!?それじゃあ…君もミュータントなのか?」

「うん…まあ。言い方にも寄りますけど、そうなりますかね!」

 

ローガンは超能力者だ。とは言え…超能力と言ってもエスパータイプのポケモンと違い、突然変異で人知を越えた力を持って産まれたと言って良い。ローガン達、X-MENは神器を宿した子や、そう言う超能力者…ミュータントを保護してるのだ。

 

「弟にも食べさせてやりたいな…」

「おや。サーファー君、ロキ以外にも弟が居るのかな?」

 

弟…ソーはそう言った。その言葉に反応するように、トニーが言うと…ソーはポケットから1枚の写真を取り出した。そこには5歳程の銀髪な小さな男の子が写っていた。

 

「はは!君に似てないな!将来はイケメンだな!」

「ヴァーリって言うんだ。ちょっと色々と事情が有るんだけどな」

 

どうやら、ソーの弟はヴァーリという5歳程の男の子のようだ。

 

「あら、可愛い子ね」

 

ナターシャも認める程であり、ガブリエルはその写真を眺める。

 

――ルシフェルお兄様?

 

その声は誰にも聞こえなかった。だが、聞こえなくて幸いだったかも知れない。何故なら、ソーの弟であるヴァーリは気味が悪いほどに、始まりの天使であり初代魔王ルシフェル・ルシファーに似ていたのだ。いや、似てるでは済まされない。容姿から判断するに、間違いなく血は引いているだろうと思われるぐらいに。

 

だが、楽しい時間は終りを始める。

 

突如として、大規模な揺れがヘリキャリアを襲う。当然、ヒーローの面々が休んでいた部屋も激しく揺れてしまい、まだ食べていない料理が床に落ちてしまう。

 

ヘリキャリアは現在、空を飛んでいる。故に荒波や地震の震動が届くわけは無いのだ。だが、ここまでヘリキャリアが激しく揺れたとなれば、1つしか答えはない。それは襲撃である。

 

 

 

 

 

「やれやれ…世話が焼けるな、ロキ」

 

ロキが収監されていたヘリキャリアの牢獄。そこには数多の警備兵の亡骸が転がっており、辺りは血潮が飛び散った赤で染まっていた。

 

その惨劇を産み出したのはたった1人の堕天使である。堕天使の名前はサタナエル、グリゴリを辞めて禍の団とかいう武装集団を率いる男だ。

 

サタナエルはロキの牢獄を破壊し、ロキに1つの槍のような杖を手渡す。この杖はロキがアギトにフルボッコにされた為か、殆んど出番は無かった代物だ。この槍は陰陽の陰の力を持ち、相手をマインドコントロールにして操り人形に出来るのだ。

ロキはこの力を使い、SHIELDのエージェントでアベンジャーズ候補のバートン(ホークアイ)を始めとし、SHIELDの兵士や傭兵達を洗脳して配下にしたのだ。

 

そしてロキがあっさりとアギト達に捕まったのは訳が有るのだ。別に魔術を使えたら逃げれたが、彼処で自分が捕まり…自分自身を陽動に使ったのだ。

 

「なに…確実に事を運ぶ為さ……アギトの蹴り、本気で死ぬかと思ったけど」

「あれはライダーキックではない。普通の蹴りだぞ」

 

ロキにサタナエルはそう告げ、ロキは牢獄から出て杖を受け取る。

 

ロキは自分が陽動と成り、自分が注目を集めてる間にドイツで保管されていた稀少なレアメタルとパーツを支配下に置いた人間に確保させていた。

それは四次元キューブを制御する為には必要な物であり、ロキはそれを用いて宇宙の果てからチタウリと呼ばれる軍勢を招き寄せて地球を制圧させるのが目的なのだ。

 

既に支配下に置いた科学者達はニューヨークで準備をしており、運命の時は近付く。

 

「それじゃあ…俺は帰る」

「それじゃあな」

 

サタナエルは魔術で転移し、消える。

 

ロキはニヤリと笑みを浮かべ、更にヘリキャリアは衝撃に襲われて斜めに傾く。

 

何故なら…ホークアイを筆頭とした洗脳した人間達が飛行機を用いて、ヘリキャリアを攻撃してSHIELD以外のロキの配下が侵入した為だ。

 

「じゃあ、緑の巨人を目覚めさせようかな!」

 

ロキは歩いて場所を移動する。彼が向かうのはバナー博士の所だ。ハルクの力は絶大であり、ソーやネオ1号でも真っ向勝負では勝てない。彼の力で、邪魔なヒーローを倒す算段である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の冬木市。

 

そこは聖杯戦争という座からの英霊召喚を利用し、願いを叶える儀式を行う所である。

 

「ふっふふ!此処が冬木ですね!ジャーナリズムが燃え上がりますよ!!」

 

そこに堕天使と同じく漆黒の羽を持つ烏天狗の大学生程の若い少女がやって来ていた。彼女の名前は射命丸文、神秘の秘匿がボロボロに成ってから現世に来ては実費でスクープを追い続ける記者だ。

 

彼女が冬木にやって来た訳は単純。聖杯戦争の取材である。

 

だが、文は知らない。既に神秘の秘匿がほぼ無くて、聖杯戦争は戦争ではなく別形式に成り、某農林水産省職員(エンマ)の手で聖杯の除染の序でにナニかされた事をまだ知らないのだ。




因みに文さんはアンケート結果無しに内定のイタチ先生をアサシンで呼びます。

果たして…現在首位のエロ仙人と二位のカカシ先生のクラスは!?(決まってます)

次回!ハルク…覚醒。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハルク

アラートが鳴り響き、ヘリキャリアは修羅場と成ってしまう。ロキの配下がヘリキャリアに侵入し、更にはロキが脱走して杖でSHIELDの構成員を洗脳しては傘下に加えて、ヘリキャリアを墜落させようとしているのだ。

 

だが、それを否とする者達が居た。それはアベンジャーズ計画等で集ったヒーロー達、アベンジャーズである。

 

「ハッ!」

 

ガキン!と独特な音が響き、キャプテン・アメリカことスティーブが盾で洗脳されたエージェントを戦闘不能にする。彼は現在、アイアンマンことトニーを護衛しながらとある場所に向かっていた。

それはトニーの戦闘衣装とも言えるアイアンマンスーツが保管されている所だ。確かにアイアンマンスーツを纏ったトニーは強く、最上級の存在とも渡り合える。事実、アギトと2人係りとは言え…北欧最強神であるソーと渡り合えたのだ。

 

「すまないな、キャプテン」

「礼はスーツを着てからだ。スーツを着たら、外は頼むぞ」

「ああ、任せておけ。僕はガブリエルと共に外をやる。君は翔一達と共に中を頼むよ、キャプテン」

 

なんとか無事にスーツが仮置きされた部屋の前に辿り着く。その部屋の扉をキャプテンは強引に抉じ開け、2人は部屋の中に入る。部屋は荒らされておらず、アイアンマンのスーツが鎮座されていた。

 

「トニー!早く!」

「ああ、分かってるさ!」

 

とあるユニバース(平行世界)ではまだいがみ合っていたアベンジャーズ。だが、此処は違う。1人の料理が出来る仮面ライダーの提案した小さなお食事会のお陰で、心の距離が縮まっているのだ。

 

敵が侵入してくる。だが、その敵を全てキャプテンは生身で立ち向かう。盾で殴り、盾で防ぎ、盾をフリスビーのように投げる。キャプテンが時間を稼ぐこと1分弱…

 

『待たせた』

 

鉄の戦士…アイアンマンが完成し、アイアンマンは掌からエネルギー…リパルサーレイを放ち、敵を気絶させる。敵とは言っても相手は洗脳されたSHIELDの構成員、殺しては可愛そうだ。

 

「トニー、頼んだぞ」

『そっちもね』

 

鉄の戦士と超人兵士は分かれ、各々の役目を果たしに向かった。

 

 

一方のヘリキャリアの内部。中は広く、キャプテンとは別行動を行っていた本郷達は変身し、敵と戦っていた。

 

「分かってると思うが…殺してはダメだぞ」

「分かってますよ、本郷さん」

 

そこではアギトに変身した翔一、仮面ライダー1号がマッシブなデザインに進化したネオ1号に変身した猛が敵と戦っていた。相手は洗脳されたSHIELDの構成員と傭兵の皆様、彼等は日々の訓練で鍛えられており戦闘力は一般人を凌駕してるが…その力は仮面ライダーの足元には及ばない。

 

「ハッ!」

「ふん!」

 

アギトとネオ1号は最小限の動きと攻撃で次々と、敵を無力化していく。

 

だが、そこで本郷はとある事に気付いた。彼は日々、悪の組織と戦い続ける中で広い交遊関係を持つ。その中には受肉した忍、千手扉間も当然ながら含まれている。

本郷猛は扉間からチャクラの練り方と壁の歩き方に水面歩行を教えて貰っており、物理的な洗脳(脳改造や長期的な拷問)と異なり魔術的な洗脳の解き方である幻術返し及び解除のやり方を習得してる。だから気付いたのだ…

 

「翔一君。彼等は魔術的な要素での洗脳を受けている」

「本当ですか!?」

 

だからこそ、気付けたのだ。洗脳が魔術的なオカルト関係であると。

 

「そうだ。彼等は幻術にかけられてる」

「幻術…ですか?」

「ああ、陰陽遁の陰の方だな」

 

ネオ1号は倒れたエージェントの肩に人差し指で触れる。そして「解」と告げると、エージェントの幻術は解除された。

 

「うっ…俺は…」

「大丈夫かね?君は幻術に操られていたんだ!」

 

幻術による洗脳を解除された男性エージェント。だが、彼は何かを思い出したかのように、大声で告げた。

 

「そうだ!ハルク…バナー博士は!?バナー博士は無事か!?」

「ブルース君なら問題ないだろう…ナターシャ君が付いてる」

「違う!此処でのロキの狙いはバナー博士を杖でハルクに強引に変身させて、暴れさせる事なんだ!

俺は操られていたが、意識は有った。早く行かないと…」

 

ロキの狙いを告げたエージェント。どうやら彼は洗脳されて操り人形にされていたが、意識はしっかりと保っていたようだ。

 

「なんだって?」

「ありがとう…君は?」

「俺はバートンだ」

 

そのエージェントはバートン。別名、ホークアイと呼ばれる凄腕の狙撃手である。

 

 

 

 

「ロキ!!」

 

爆音と共に格納庫にソーとローガンがやって来た。2人はロキが脱走したと知り、ロキの気配をソーが関知してやって来たのだ。

 

すると、物陰からロキが現れた。ローガンは走り出そうとしたが、ソーが手で制止させる。

 

「ソー?」

「あれは偽者だ。ロキ、お前の本体は何処に居る?」

 

ロキは何らかの手段で作った幻か影分身に近い物なのだろう。そのロキはニヤリと笑みを浮かべて告げた。

 

「もう…此処には居ないよ。今頃はニューヨークかな?まあ、その前に親愛なるお兄様とその新しい友人には、彼と戦って貰おうかな?」

 

ロキの分身はそう告げ、消える。すると…格納庫の品々がバキバキに粉砕され…

 

「グゥオオオオオ!!」

 

緑の破壊神 ハルクが降臨した。

 

『大変よ!!バナー博士がロキの手でハルクにされたわ!更にロキは脱走して、ヘリキャリアから逃げたわ!』

 

とナターシャから通信がヘリキャリア全体に響く。

 

「「見たら分かるわ!!」」

 

今更感のあるナターシャの通信にソーとローガンは思わず叫ぶが、ハルクが腕を振るう。その衝撃だけで2人は壁まで吹き飛ばされてしまった。ハルクの豪腕は神に匹敵し、ただ腕を振るっただけでソーとローガンを吹き飛ばせる。

 

「グゥオオオオオ!!」

 

ハルクは飛び上がり、両手をハンマーのようにして2人に叩きつけようと振り上げる。だが、それがソーとローガンに直撃する事は無かった。

 

「ライダーパンチ!!」

 

横から衝撃を受けて、ハルクの攻撃は外れる。そう、ネオ1号の参戦である。

 

「ソー君、ローガン君。2人でハルクの動きを停めれるか?私なら…ハルクの幻術を解除出来るかもしれん!」

 

ハルクの暴走を停めるためには…バナー博士にかけられた幻術を解除する事が絶対だ。解除しても停まらない可能性も有るが、解除しなければ絶対に停まらずヘリキャリアを破壊する。ヘリキャリアを破壊されれば、ネオ1号達は空か海の藻屑に成ってしまうのだ。

 

「ああ、やってやるさ」

「任せておけ」

 

ハルクは再び拳を振り上げる。だが、その攻撃を放つ隙を用いてソーが背後に回りハルクの首を腕力で絞める。

 

「グゥオオオオオ!!」

 

だが、ハルクは未だ暴れる。ハルクを停めるためには足を停める必要がある。ローガンは両手の甲からアダマンチウムでコーティングされた骨の爪を出して、ハルクの足に掴まり…刺した。

 

「グゥオオオオオ!!」

 

足を刺され、更に首を絞められるハルク。充分に動きは阻害出来る。

 

「「猛!!」」

「うむ!解!!」

 

ネオ1号は幻術解除を使い、ハルクの幻術を解除する。すると、ハルクの力は抜けていき…ソーとローガンもハルクの拘束を解除してハルクから離れる。すると、ハルクはバナー博士に戻った。しかし、パンツ一丁という出で立ちに成ってしまった。どうやら、ハルクに成るとパンツ以外の衣類は破れて無くなってしまうようである。

 

「だが…これで終りではない」

「ああ、分かってる。ロキを停めないとな…アイツはニューヨークに向かうと言っていた」

 

アベンジャーズの初めての任務…ニューヨーク大決戦が始まろうとしていた。




次回!アベンジャーズ出動!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アベンジャーズ…アッセンブル!!

アッセンブル!!


「ブルース聞こえるか?おい、ブルース!」

 

幻術から解放され、ハルクからブルースの姿に戻ったバナー博士は自分を呼ぶ声で目を覚ます。バナー博士は気が付けば医務室のベッドで眠っていた、勿論…ハルクに変身した副作用?で着ていた衣類はトランクスパンツ以外はビリビリに破れた為に、彼はトランクス一丁であるが。

 

「うぅ…ああ、大丈夫だ」

 

バナー博士は上半身を起こして周囲を確認する。自分のベッドの周りにはアベンジャーズの仲間達…トニー、スティーブ、翔一、本郷猛、ガブリエル、ローガン、ソー、ナターシャが心配そうにバナー博士を見ていた。

 

「ロキは?」

「奴はニューヨークに向かったよ。ご親切に、僕のスタークタワーの頂上にね」

 

バナー博士の問いに答えるように、トニーは1枚の写真を取り出した。それは人工衛星から捉えたと思われる衛星写真であり、そこにはスタークタワーと呼ばれるトニーの所有するタワーの頂上で怪しげな装置を仕掛ける男とロキの姿が有った。

 

「ブルース。君はゆっくり休んでくれ」

「キャプテン?」

「僕達はバートンが用意してくれた輸送機に乗って、ニューヨークに向かう。勿論…ロキの野望を阻止するためだ」

 

スティーブは話し出す。彼等は幻術から解放されたバートンが操縦する飛行機でニューヨークに向かい、そこでロキを倒してロキの野望を阻止するのだ。

バートンは幻術にかけられていたが、意識は有り…ロキの野望の全貌を知っている。ロキは四次元キューブで宇宙の果てまでニューヨークの空を繋ぎ、空に門を開ける。その門からチタウリと呼ばれる宇宙人の軍勢を招いて、地球を侵略するつもりなのだ。地球の軍事力ではチタウリを倒すことは不可能、門を開けられてもニューヨークで何とか死守しなければ世界は冗談抜きで大変な事に成ってしまうのだ。

 

「だったら、僕も連れていけ。君達に言ってなかったが、僕は()()()()()()()つもりだ…僕は自分の意思でハルクに成れる」

 

バナー博士は自分の意思でハルクに成れるのだ。確かにハルクの力は絶大であり、戦力は1人でも欲しい。だが、ハルクはまさにバーサーカー…リスクも大きい。リスクを考え、女性であるガブリエルとナターシャはお互いを見つめるが…

 

「バナー君の意思を尊重しよう。彼も…私達と同じくアベンジャーズだ。そうだろ?」

 

そう言ったのはガブリエルやソーを除いた最年長、我らが仮面ライダー 本郷猛である。

 

「ああ、そうだ」

 

「ブルースさんも俺達の仲間ですしね!」

 

「そうですね」

 

猛の言葉に同調するように、トニー、翔一、ガブリエルと次々と声が上がる。

 

「そうだな…彼も僕達の大事な仲間だ。前言撤回だ、共に戦ってくれ」

「勿論だ!」

 

ブルース・バナー…アベンジャーズに戦士として参戦!

 

そうと決まれば、輸送機の手配をしてくれてるバートンの所に向かってアベンジャーズの出撃である。

 

「あっ!そうだった。悪いが、僕は先に行かせてもらうよ。

実は…ソーとの喧嘩、先程の戦闘で無理をしてね。マーク6はオーバーホールが必要なんだ。自力でスタークタワーまで帰れるけど、これ以上の戦闘は厳しい。だけど、スタークタワーにはロールアウト寸前のスーツが有る。それに着替えて戦うよ」

 

トニーの今使ってるアイアンマンスーツことマーク6はソーとの戦闘や先程の戦いで限界を向かえていた。しかし、ロールアウト寸前の新作スーツが有り、それに着替えて戦う訳である。

 

「待て待て!今、スタークタワーはロキに占拠されている!着替えてる間に殺されるぞ!俺も行く!」

 

当然、今のスタークタワーはロキに占拠されている。新しいアイアンマンスーツに着替える間に殺されてしまう可能性が高い。

それ故に、トニーの事を心配してソーがそう言った。確かにソーは空を自力で飛ぶことも出来るのでアイアンマンスーツを纏ったトニーと共にスタークタワーに向かう事が出来るだろう。

 

「わかった…それじゃあ、早速行こう!」

 

トニーはそう言い、ソーと一足先にスタークタワーに向かうために医務室を出ていった。

 

すると、トニーとソーとの入れ違いで猛をアベンジャーズに勧誘したエージェント…コールソンが医務室に入ってきた。

 

「バートンから伝言だ。飛行機の手配が出来たぞってね」

 

飛行機の準備が出来た。ならば、先行したトニーとソーに追い付くためにもアベンジャーズは立ち上がる。ニューヨークの決戦に参加するため、そして地球をチタウリの軍勢から守る為である。

 

「コールソン君。これを君に渡そう…」

 

キャプテン、翔一、ガブリエル、ナターシャ、バナー博士、ローガンは先に出ていった。しかし、本郷は最後まで残り、コールソンに3枚の名刺を手渡した。

その名刺は『孤児院 千手の家。お電話◯◯◯◯ー△△△△』と『火影法律事務所 千手扉間』そして『農林水産省 千手エンマ』の3枚である。

 

「これは…どういうことだ?」

「敵は空間を抉じ開けたゲートから来るのだろ?彼等のポケモンの力を借りれば、ゲートを容易く閉められる。

最悪ならば、私の名前も出してくれて構わない。根気よく、電話して助けを呼んでくれ…パルキアの力を借りたいとな!」

 

本郷猛はそう言って、医務室を後にしてキャプテン達の後を追い掛けた。

 

 

 

そして…コールソンは本郷に言われたように電話をかけだした。

 

日本 青子の経営する孤児院 千手の家。

 

そこの応接間で青子はエンマと共に、1組の親子と話をしていた。その親子は千手の家で暮らす子供の1人であるギャスパーを家族として引き取りたいそうなのだ。

千手の家は孤児院であり、孤児達が里親に引き取られる時も有る。だが、千手の家は世界に行き場の無い孤児院であり、それはほぼ不可能である。先ず、里親候補はエンマの手で写輪眼を用いた嘘偽り無しの対談を行い、悪意がないかの判断…そしてグレート・スピリッツで過去を調べられる。此処までする必要は有るのか?と思うだろう、必要だ。

 

事実、過去には子供達を人体実験目的や、五大宗家の汚点とも言える朱乃を引き取りたいと言いながら本当は殺し目的の人達が居たし…今でも現れる。そんな人達は()()()()()()扉間とエンマの2人に粉砕される運命に有るが。

 

しかし、今回はその心配は無い。何故なら、その親子は翔一や本郷と同じく誰かの為に無償の愛で戦える仮面ライダーでも有るのだから。

 

「紅音也さん、太牙君、渡君。貴方達がギャスパーを本当に家族として迎え入れたいのは此方も分かりました。ですが、貴方達を家族に選ぶのかを決めるのは俺や貴方達では有りません。ギャスパーです」

 

紅渡。未だ歳は高校生程の少年であり、ファンガイアと呼ばれるざっくり言えば吸血鬼と人間のハーフであり、仮面ライダーキバに変身する少年。

 

紅太牙。渡の異父兄であり、ファンガイア。渡と太牙の母親は純粋なファンガイアであり、彼は連れ子である。彼は仮面ライダーサガに変身する。

 

そして父親である紅音也。世界的に有名なバイオリン奏者であり、裏側では一般人成らぬ超人…逸脱人として称えられる。エピソードは数多く有るが、純人間でありながら人間が変身すれば即死しかねないダークキバに変身しても問題なく戦えた明らかにヤバイ人。嫁さんはファンガイアである。

 

「分かってる。俺も息子達もギャスパーの意思を尊重するさ」

 

既にエンマがこっそりと行った試験にも音也一家は合格しており、彼等ならばギャスパーを安心して託すことが出来る。しかし、それはギャスパーが音也一家を選べばの話である。

 

「父ちゃん!しーるど?なんてうさんくさい所から電話だってばよ!」

 

しかし、扉をノックせずにナルトが入ってくる。

 

「悪戯電話だな。切ってよいぞ」

 

 

 

「悪戯電話じゃなくて…本当に助けが必要なんだが」

 

ガラケーを耳に当て、悪戯電話扱いで切られたコールソンは地味にショックを受けていた。そんな彼の後ろには窓が有り、窓にはヘリキャリアを飛び出した飛行機が見える。この飛行機にはバートンが操縦しており、中にはアベンジャーズの皆様が乗ってニューヨークに向かっていったのだ。

しかし、彼等はトニーとソーよりも遅く出発したし、トニーとソーは音よりも早く移動できる。その為に、先行した2人は既に到着している頃だろう。

 

「……千手扉間にかけてみるか…」

 

ハァ…とタメ息を吐きながら、コールソンは扉間に電話をかけるのだった。

 

 

 

 

約40分後。

 

バートンが操縦する飛行機はニューヨークの直ぐ側までやって来た。だが、既にニューヨークは戦場と成ってしまった。どうやら、既に門は開かれており、上空には何処かの宇宙空間らしき所と繋がっており穴が空いている。その穴から無数の宇宙人の軍勢…チタウリが沢山やって来てはニューヨークを攻撃していたのだ。

 

「これは…酷い」

 

誰かがそう言う。爆発的な雷、ミサイルにエネルギー弾が飛び交ってる事から、既にトニーとソーは戦ってるのだろう。このロキ率いる無限に沸いてくるだろう、チタウリの軍勢に対してである。

 

その時、飛行機にチタウリの攻撃が直撃し…翼から黒い炎を上げ始める。

 

「不味いな…不時着するぞ!」

 

バートンがそう告げ、彼はどんどん高度が落ちてくる飛行機を巧みに操り…飛行機は無事にニューヨークに不時着した。飛行機が不時着し、アベンジャーズの面々は外に飛び出す。

 

「ライダー……変身!!」

 

「変身!!」

 

猛と翔一の腰の部分にベルトが出現し、2人は仮面ライダーネオ1号と仮面ライダーアギトに変身する。だが、翔一は普通のアギトではなかった。彼が変身したアギトは赤と銀色のアギトであり、名前をアギト シャイニングフォーム…翔一の最強形態である。

 

「うぉおおお…グゥオゴゴゴゴ!!」

 

バナー博士もハルクに変貌し、彼等の戦闘準備は万端だ。

 

「やっと来たか」

『待っていたよ』

 

そして、ソーと新しいアイアンマンスーツを纏ったトニーも無事に合流する。

 

此処に…アベンジャーズが集結した。だが、コンクリートジャングルをよじ登ったチタウリの軍勢がアベンジャーズを見下ろしている。その数は今の段階で数百を越えており、門からは無制限にチタウリの軍勢が出現してきている。

 

「良し、作戦を伝える。トニーとガブリエルは主に空中戦を頼む」

「分かったわ」

『了解した』

 

「バートンは狙撃。ソーは先ず高いところに登り…雷撃の大軍攻撃で敵の数を減らしてくれ。その後、ソーは遊撃だ」

「分かった」

「ああ」

 

「そして空を飛べず、主に地上戦に成る僕達は市民の避難誘導をしながら戦う!そして、ハルクは…スマッシュ!!」

 

キャプテンがメンバーに指示を出していく。そして、真っ先に指示にしたがったのはハルクだ。ハルクはニヤリと笑みを浮かべると、地面を蹴って飛び上がる。そして次々と暴れてはチタウリを肉片になるまで粉砕しては投げ飛ばしていく。

 

「アベンジャーズ…アッセンブル!!」

 

アベンジャーズの戦いが始まった。

 

 

 

アベンジャーズは少数精鋭だ。対してチタウリ+ロキは無限に等しい数が沸いてくるが、此方は数名。各々が正にスーパーヒーローに相応しい力を持つが、数は絶対的に少ない。

 

「ほう?非通知の悪戯電話に乗れば、本当だったとはな」

 

その日本語が響き、戦場に銀髪の男が舞い降りた。

 

「扉間君!」

 

猛が男に向けて名前を呼ぶ。その男こそは現在は国際弁護士であり孤児院の外見若いお爺ちゃん 千手扉間である。

 

しかも、扉間はコールソンに伝えた通りに二足歩行のドラゴン…ドラゴン・水タイプのポケモン パルキアを連れてきてくれた。パルキアはポケモン ダイヤモンド&パールに出てくる伝説のポケモンであり、空間を司る力を持つのだ。いや、権能と言っても良いだろう。

そして、この世界にポケモンが存在する理由だが…勿論…あの農林水産省の職員が原因である。

 

「本郷。アレだな?」

 

現れた扉間は日本語で上を指差す。上空にはチタウリが沸いて出てくる門が有ったのだ。

 

本郷が頷き、扉間は「やれ」とパルキアに指示を出す。すると、門は閉まり…チタウリの増援は停まった。

 

『増援が止まれば、後は楽だね』

「そうだな」

 

トニーがミサイルの雨を降らし、ソーが雷撃を降らしてチタウリを蹴散らす。

 

「グゥオオオオオ!!」

 

ハルクが巨大なチタウリのクジラのような生体兵器を投げ飛ばす。その衝撃で無数のチタウリが赤い染みに変わった。

 

「は!」

「ぬん!」

 

キャプテンが盾でチタウリを粉砕し、ローガンが爪の刃でチタウリは切り裂く。

 

「そこだ」

「後は雑魚だけね」

 

バートンの矢がチタウリの頭を穿ち、ナターシャの銃弾がチタウリの頭を撃ち抜く。

 

「これで…お仕舞いですね!」

 

ガブリエルが翼を広げ、翼から数多の光線が放たれ…無数のチタウリが破壊される。

 

そして…ラスボスのロキの前にはこの2人が立ちはだかった。

 

「行くぞ!津上君。タブルキックだ!」

「はい!」

 

仮面ライダーネオ1号とアギトシャイニングフォームである。

 

ネオ1号とアギトは共にジャンプし、同時にライダーキックを繰り出す。

 

「「ダブルキック!!」」

 

2人の仮面ライダーの力を合わせたライダーキック。ロキは魔術防壁を展開して防ごうとする。

 

「ぬぉおおお!!」

 

だが、ロキに残念なお知らせが有る。このダブルキック…破壊力は200トン以上である。その為に…

 

「アンビャアマァァァァァ!!」

 

ダブルキックは余裕で魔術防壁を粉砕し、ロキに直撃してロキは一撃で倒れてしまった。

 

だが…この事件が世界的に騒動を生むことに成る。当然だが、北欧最強神と聖書の受胎告知の天使が人間の為に戦った。神秘の秘匿、完全終了のお知らせである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「問おう…君が俺を呼んだマスターか?俺はうちはイタチ、アサシンのサーヴァントだ」

 

第四次聖杯戦争が幕を上げる。

 

「イタチさんが私のサーヴァント!?文ちゃん大勝利!」

 

だが、射命丸とイタチは知らない。普通の聖杯戦争は行われない事を




次回!聖杯戦争?

はい、ギャグ回です(笑)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間 第四次聖杯戦争?
聖杯戦争って…なんだっけ


神秘が公に成る=聖杯戦争がカニファンになる


「どうして…どうしてこんな事に?私は聖杯戦争を取材したかっただけなのに」

 

射命丸文ちゃん。自己申告年齢18歳、職業フリージャーナリストの烏天狗の女の子は嘆いていた。

 

彼女の隣にはアサシンのサーヴァントことイタチが座り、2人が座っている席はクイズ番組でペア参加者が座るような席に座っていた。そこには「アサシンペア」と書かれており、同じ様な席が後6つ有り、アサシンペアの席と合わせると合計7つの同じ様な物が存在していた。

 

その7つにサーヴァントとマスターのコンビが各々のクラスに分けられて座っており、何時から聖杯戦争はバラエティーに変わったのだろうか?と射命丸と同じ様に嘆く参加者の皆様がチラホラと見える。

いや、残念だがマスターの姿がなくサーヴァントだけで参加してる人達も中には居た。

 

「うぅぅ…ランサー…私は魔術師の由緒正しき決闘が出来る物と思ってたのに!!」

「あっ主!!」

 

「醤油ムース!」

「あっ…あれ?可笑しいな?僕が使った聖遺物って、征服王だよな?なんでキャプテン・ファルコンが出てきたんだ?」

 

と他の参加者の皆様も困惑しているようだ。

 

しかし、一部の席だけは例外であり…

 

「良いの…イタチ。可愛い女の子がマスターで。

ワシなんか、マスターとなったおっさんが警察に捕まって1人で参加じゃぞ」

 

そう言ったのはアサシンペアの隣の席に座っていた白髪の男である。その男だか、イタチは勿論…今では大人気漫画と成ったNARUTOの読者は全員知っている人物だった。

 

「自来也様。貴方も呼ばれたんですか?」

「お前さんはアサシンか。ワシはキャスターだぞ」

 

キャスターのサーヴァント、真名を自来也。NARUTOの主人公 うずまきナルトの師匠であり、仙術、封印術、等々の多彩な術を得意としてうずまきナルトに代名詞と言える螺旋丸を伝授させた仙人だ。

 

自来也は大きなため息を吐き出して、聞いてもないのに語りだした。

 

「ワシを召喚したマスターは紙芝居を子供達に見せて、商いをしていたのだがの…おっぱいを題材にした紙芝居を真っ昼間からやってたのだ。

まあ…その、風紀を乱すレベルを越えていての。警察という国家権力の手で見事に捕まったわい」

 

なんという事でしょう。自来也のマスターは女性の胸…おっぱいが描かれた紙芝居を子供達に見せて商いをしており、当然ながら警察のお世話に成って捕まってしまったようだ。残念!!

 

「「うわ変態だ」」

「じゃろ?それに脚本もなっとらん。それにしても…個性的なサーヴァント達が集まったの」

 

自来也に言われ、射命丸とイタチは周囲を見回す。確かに自来也の言う通りで、個性的な英霊の皆様が集っていた。

 

もう、一言で言い表せられない程でありイタチと自来也が普通に見えてきた程だ。と言うか、この中で唯一…この世界の英霊だと思われる泣き黒子が在るランサーに至っては目立ち無さすぎて、空気に思えてきた。

 

「てか、カメラマンまで居ますよ?神秘が公に成ったとは言っても、テレビ中継なんてやります?」

 

そう…あろうことかテレビの撮影や番組の撮影でも行われるのだろう。カメラマンは勿論のこと、何処から誰が見ても番組スタッフと思われる方々が撮影準備を行っていたのだ。音声さんやディレクターは準備をしてるが、カメラマンは既に撮影を始めており、イタチや射命丸達を映像に納めていく。

 

「すいませーん!サーヴァントとマスターの皆様。今から撮影を始めますので、司会者であるルーラーの登場をもう少しお待ちください!」

 

マスターとサーヴァント達の知らぬ事だが、実は神秘の秘匿は前から有って無いような物であり先日のアベンジャーズとチタウリとの交戦から完全に無くなった。神秘の秘匿が無い状況で聖杯戦争なんて物はやってはいけない。なにせ、過去から聖杯戦争は関係ない人も少なからず犠牲に成ってしまうからだ。

 

という事で聖杯戦争は冬木市と魔術協会、そしてテレビ局全面協力の元で新しい形に生まれ変わったのだ。先ず、サーヴァントは呼び出された段階で勝手に受肉される。このお陰でマスターが逮捕された自来也でもマスター無しで活動できるのだ。

 

やがて…司会者であるルーラーのサーヴァントがスタジオに現れた。その人物は……

 

「カカシさん!?」

「カカシ!?」

「えっ!?あれって…カカシ先生ですよね!?」

 

イタチ、自来也、射命丸が驚いたようにNARUTOに出てくる聖人グレートティーチャー はたけカカシである。カカシは律儀にスーツ姿であり、額当てで片眼を隠している事から左目は写輪眼なのだろう。

 

「えっ…あーあー…テステス。どうも皆さん…第四次聖杯戦争に参加する為に集まったサーヴァントとマスターの方々。

俺ははたけカカシ。今回の聖杯戦争を無事に行う為に、聖杯から召喚されたルーラーのサーヴァントです」

 

ペコリとカカシはカメラに向かって一礼する。

 

「今回の聖杯戦争からですね、神秘が公に成った為にルール変更を設けてます。勿論…サーヴァントの皆様が俺を含め、強制的に受肉と成りますので根源の渦には至れませんので、魔術師の方は宜しくお願いします」

 

カカシの説明を受けて、なにやらアーチャーペアの所に座る優雅なおじさんが死んだ目に成っている。どうやら彼は聖杯戦争で根源に至りたかったようである。

 

「今回は初めての試みという事もあり、テレビ局とも話し合いを重ねた結果…本物か偽物かを見分ける格付けチェックと成りました!

他の案では笑ってはいけない24時、レーシング対決とか有ったんですが…予算の都合と言うことで。

ごほん、格付けチェックですが…此処に集いし超一流英霊とマスターの皆様なら分かって当然という問題ですよ!」

 

カカシは語る。どうやら神秘の秘匿の必要が無くなり、物騒な聖杯戦争を行えば国際問題にも発展しかねないので、これからの聖杯戦争は強制受肉のバラエティー番組と成ってしまったようだ。その為か、魔術師だと思われる3人のマスター達は色んな意味で頭を抱えている。

 

「では…そろそろ本日のゲストを紹介しましょう。ゲストは解説を担当して下さる、日本魔法省大臣!この国で初めて受肉したサーヴァント 千手扉間様です!!」

 

カカシがそう告げ、バシュン!と音と共にスタジオの中央に飛雷神でスーツ姿の扉間が降り立った。そう…扉間は弁護士は勿論、日本の魔法省の大臣に就任したのだ。最初は五大宗家から魔法省の大臣が選ばれる予定だった。だが、五大宗家は神器を毛嫌いしており、影で悪魔との癒着も有る。その五大宗家が長官に就任すれば、神器保有者は日本を追われ、仮面ライダーも指名手配されてしまう。それを防ぐ為に、国会議員に成った仮面ライダーシャドーGXこと信彦やその仲間が頑張った結果、五大宗家以外からも選ばれるように成って扉間が大臣に選ばれたのだ。

 

「ワシが二代目火影であり、日本魔法省大臣の千手扉間だ。今回は主に解説を担当する」

「はい。では参加者の方々を紹介しますね。先ずはペアが揃ってる方々から紹介します。アーチャーペアの遠坂時臣さんと道化のバギーさんです!!」

 

パシャっとアーチャーペアの席にスポットライトが当てられ、アーチャーである道化のバギーにマスターである優雅なおじさん 遠坂時臣に注目が集まる。

 

「ど…どうも…遠坂時臣です」

「ヒャッハハ!俺様が道化のバギー様だ。今回はアーチャーのサーヴァントで呼ばれたぜ!!」

 

時臣は冬木の名家 遠坂の当主であり、本来なら英雄王ギルガメッシュを呼び出したかったのはナイショである。

 

道化のバギーは漫画 ONE PIECEに出てくる海賊であり、悪魔の実 バラバラの実を食べたバラバラ人間である。しかし、序盤にかませ犬と成ってしまった。

 

「えー遠坂さんですが、娘さんが2人に養子として引き取った末っ子の息子さんが居ります。

長女は今年で7歳の凛ちゃん。次女は今年で6歳の桜ちゃん。息子さんは今年で5歳の因幡(イナバ)君ですね、因幡君はロンドンの時計塔生まれで……なに?写輪眼を開眼してる?」

 

と…カカシは貰った資料から時臣のプロフィール等を述べ、背後の大きなモニターには時臣の家族写真が写ってるのだが……その因幡という男の子は三咲町の管理者である久遠寺有珠に気味が悪い程にそっくりだ。

 

「写輪眼だと!?」

 

更にこの世界での子供はエンマの力が遺伝した、オグナしかいない。イタチは時期から考えて有り得ず…しかも生まれが魔術師の総本山時計塔。そこから扉間が導きだした答えが…

 

「……遠坂時臣、後で個人的に話が有る」

「すいませんでした!!」

 

時臣、後で扉間とのOHANSI決定。

 

「次に行きますね。次は時計塔からの参加者であるケイネス・エルメロイさん。ランサーのディルムッドさんです」

 

今度はランサーペアのケイネス・エルメロイとディルムッドにスポットライトが当てられるが…

 

「はい。次に行きますね」

 

見事にスルーされる。

 

「いや、やってあげて!!」

 

射命丸のツッコミが響くが、仕方無い。

 

「次はライダーペアのウェイバー・ベルベットさん、キャプテン・ファルコンさんです!」

 

ライダーペアの所にスポットライトが当てられ、ライダーのマスター ウェイバーは困惑し、ライダーであるマッスルレーサーことキャプテン・ファルコンはカメラに向けてサムズアップした。

 

「余談ですが、キャプテン・ファルコンはスマッシュブラザーズのオリキャラだと当時の子供達が盛大に勘違いしたらしいですね。

ウェイバー君は遥々イギリスからやって来ました。頑張ってくださいね」

「僕の紹介これだけ!?」

 

そして…次にスポットライトが当てられたのはなんと、イタチと射命丸の所である。

 

「次にアサシンペアですね。アサシンからは俺の後輩であるうちはイタチ!そして、そのマスターである烏天狗の射命丸文ちゃんです!」

 

カメラがイタチと射命丸の方を向き、射命丸は少し顔を赤くする。

 

「あと…NARUTOのネタバレに成るんでイタチの説明は割愛するけど、この子本当にマジな聖人だよ」

「カカシ隊長ぉおおお!!ネタバレに成ってますよ!!」

 

カカシの軽い?ネタバレ発言により、イタチがツッコミを叫ぶ。そう…この頃ではイタチは木ノ葉隠れで大事件を起こして大量虐殺の犯人で抜け忍と思われていたのだから。

 

「えー…そんじゃあ、時間が無いのでマスターが居ない人は手短に行きますね」

 

すると自来也、バーサーカーのおパンティーを被った変態、そして殿様のような服を着た男である。

 

「キャスターはあの!うずまきナルトの師匠!自来也様!

バーサーカーはおパンティーを被ってパワーアップ!変態仮面!

そして…セイバーが…」

 

殿様…セイバーが立ち上がり、名乗りを上げる。

 

「余は征夷大将軍 徳川茂々。将軍だから将ちゃんっと呼んでくれ」

「「「将軍かよぉおおおおお!!」」」

 

セイバー 徳川茂々

 

アーチャー 道化のバギー

 

ランサー ディルムッド

 

ライダー キャプテン・ファルコン

 

アサシン うちはイタチ

 

キャスター 自来也

 

バーサーカー 変態仮面

 

第四次聖杯戦争改めて、聖杯バラエティー…開幕!




次回!聖杯バラエティーの格付けチェックスタート!

果たして、射命丸とイタチは何処まで食らい付ける?





因みに第五次でマダラとグランドバーサーカーが降臨します


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

英霊格付けチェック!ランサーが消えた!

映る価値無しは誰だ!?


では…改めて格付けチェックを説明しよう。各ペアは最初、誰もが超一流英霊の称号を持っている。格付けチェックでは全部で4問の問題を◯✕形式で答えて貰い、間違えるとどんどん下の階級に落ちていく。

最初は超一流英霊でも二流、三流、只人、映る価値無しと落ちていくのだ。映る価値無しになれば、テレビでオンエアされても映る価値無しに成った瞬間にテレビの皆様には見えなくなってしまうのである。

 

「映る価値無しには行きたくないな…」

 

フラグのようにそう言ったディルムッド。彼の幸運はE…底辺であり、運任せにしてしまうと間違いなく映る価値無しに成ってしまうのだ。

 

「では…先ずはこのお題です!超一流の英雄なら分かって当然ですよ!!」

 

デデーン!カカシが出した最初のお題はお出汁である。

 

「「「お出汁?」」」

「ええ、お出汁です。英霊の皆様は味覚も敏感でしょう。その上、マスターの方々も超一流ならば繊細な出汁の違いも分かるはずです」

 

そう…第一問はお出汁だ。正解のお出汁は高級な鰹節をふんだんに使い、更に北海道産の高級昆布の出汁と合わせた超高級の逸品。不正解の方は普通にスーパーで売ってる素材で作った再現出汁である。

 

「それでは…皆さん、頑張って下さいね!」

 

こうして、第一問のお出汁の格付けチェックが始まった。

 

セイバーの場合。

 

「ふむ…ふむ…」

 

将軍は匂いを嗅ぎ、匂いの違いを確かめる。だが、首を傾げてチビチビと飲んで違いを確かめる。

 

「分からぬ。見事な職人技だ」

 

そう…この格付けチェックの偽物は簡単に分からないように、本物に近く作られている。だから、物凄く分かりにくいのだ。悩んだ挙げ句に将軍が出した答えが…

 

「余は◯を選ぼう」

 

将軍は◯を選び、◯の部屋に向かっていった。参加者はどちらか決めると◯と✕…どちらかの部屋に入って正解か不正解か分かる方に向かうのだ。

 

当然、将軍は最初の回答者なので◯には未だ誰も居ない。その為か、将軍は寂しく椅子に座るのだった。

 

そしてどんどん、他の参加者も回答していき…最後にこのお方がやって来た。

 

「やっと…ワシのばんじゃの」

 

キャスターのサーヴァント。エロ仙人の異名を持つ偉大なる最高にカッコいいエロ親父 自来也の登場である。

 

「ふむふむ…ほう!余裕じゃな」

 

NARUTOの忍びは味覚や嗅覚も優れてる場合が有る。自来也は匂いの僅かな違い、そして味の違いを瞬時に判別して直ぐに答えを導きだした。

 

「答えは◯じゃ!」

 

自来也は◯を選び、◯の部屋に向かう。そこには…

 

「自来也様」

「おおう!お前さんに嬢ちゃんも居たか。それに、将ちゃんも居るではないか!

おっ?君はウェイバー君ではないか。お前さんもこっちか!」

 

将軍の他にもライダーペア、更にはイタチと射命丸のアサシンペアも居たのである。しかし、他の人達は居ない。

 

自来也が最後の回答者の為か、この場に居ないアーチャーペアにランサーペア、変態仮面は✕を選択した事である。

 

 

 

 

「ふう…運命の時間ですね。二代目様」

「なにを言うか、六代目」

 

そして暫くしてから◯と✕の部屋の前にカカシと扉間が現れる。今から2人が入った部屋が正解の部屋であり、入らなかった部屋の方々は二流英霊に格下げと成ってしまうのである。

 

「あー…それじゃあ、俺が今から入った部屋が正解ね」

 

カカシはそう告げ、ドアノブを握る。一瞬、✕の扉を揺らし…カカシは◯の部屋に入っていった。

 

「おめでとう!!君達は皆、合格だ!!」

 

◯の皆様、正解。それを受けて…大いに喜ぶ。だが、一方で…✕の皆様は

 

「優雅…優雅垂れ…うっ…」

 

「おお…ソラウ…ソラウ…」

 

「やはり、新鮮なおパンティーが無ければ力がでない」

 

見事に項垂れていた。

 

 

そして、どんどんと問題は進んでいき…最終問題。それはワインであった。

 

「余裕だな…」

 

「ふっ…他愛ない」

 

ワインが来たためか、余裕の表情を浮かべる時臣とケイネス。ケイネスと時臣は日頃からワインを飲み慣れており、問題ない。彼らにとってワインの問題は簡単すぎるのだ。

 

正解の方が一本50万の高級品。不正解が5000円のお手軽ワイン。時臣とケイネスは絶対に間違うことを許されない問題であり、プライドがかかった物だ。

 

と言うのも…ケイネスと時臣は既に只人まで階級が下がっており、間違えると即消えてしまう事を示していた。ペア席ではディルムッドとバギーが心配するように己のマスターに向けて祈りを捧げる。

 

「「答えは◯だ!!」」

 

自慢気に叫んだ時臣とケイネス。2人はルンルン気分で◯の部屋に向かった。自慢気であり、間違えたら映る価値無しに成ってしまう事を忘れてである。

 

「◯は我々だけだな」

「ふっ…この戦い。我々の勝ちだ!!」

 

 

 

「自来也様。疫病神2人は◯に行きましたよ」

「行ったの」

 

✕の部屋には忍びとして鍛えられた聴覚と嗅覚、味覚のお陰で未だ超一流を維持してる自来也とイタチが居た。

 

 

 

「では…スタジオの皆様だけには正解を見せましょう」

 

ルーラーであるカカシは大きなモニターに正解を見せる。そこには大きく✕と書かれていた。この瞬間、スタジオで祈りを捧げていたバギーとディルムッドは映る価値無しに成ってしまったのだ。

 

「それじゃあ、今から映る価値無しに降格した皆様は映りません!!消えてもらいます!!」

 

ボフン!!と白い煙と共にバギーとディルムッドの姿が見えなくなる。

 

「ランサーが消えた!」

「「「「この人でなし!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後…

 

「エロ仙人!新しい術を教えてくれってばよ!」

「仕方無いの…だったら、ワシが取って置きの忍術を教えてやるぞ!ワシは使えないが…飛雷神って奴での」

 

中学二年に成った千手ナルトは自来也に弟子入りしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「報告しろ」

「はい…そっ…それが…千手ナルトに我らが宿した妖は九尾ではなく…………天照大神の荒神の可能性が。やはり…魔獣創造の母親であるアンナの力が関係したかと」

 

姫島家当主であり、本来なら扉間の代わりに魔法省の大臣に成る筈だった男は壁を殴る。

彼はナルトが産まれたばかりの頃、日本に仇なす魔獣創造の嘗ての宿り主 千手エンマと養父 千手扉間を失墜させる為にナルトを誘拐し…神降ろしを用いてナルトに妖狐の怪物 九尾を雑に封印して殺そうとした。

 

しかし、ナルトの祖母は命と引き換えに扉間を召喚し受肉させる事が出来る程に降霊術に優れてる。その力の一片がナルトにも受け継がれたのだろうか?なんと、ナルトに宿ったのは九尾の完全オリジナル 天照大御神の荒神だったのである。

そして、それを安定して封印させたエンマと扉間。もし、2人がその気なら日本を守る五大宗家は滅ぼされているだろう。

 

「何故だ!何故だ!!なんで、日本に仇なす奴の息子に天照が宿る!?どうしてなんだ!!」

 

――ミコーン…いい加減にしません?

 

太陽からそんな声が聞こえたが、その声は姫島には届かない。




次回…スラッシュドッグ?編こと頑張れ!子供達がスタート!

四凶を保護する為に動き出すアザゼル、日本を守護する五大宗家も動き出す。

そして………九尾が覚醒する。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

頑張れ!子供達
新たな世代


頑張れ!子供達編スタート


青子が経営する千手の家の子供達が大きく成り、他にも行き場のない子供達が新たに加わるなど実に時の流れは早いものである。

 

時間の流れは待ってはくれることは無く、ナルト達は本当に大きくなった。しかし、新しい子供達がやって来ては去って行った子供が一人だけ居る。それはギャスパーの事である。ギャスパーは数年前に行われたバラエティー番組?である聖杯バラエティーの放送が終わった後に引退した仮面ライダーの一人(音也ことダークキバ)に現役の仮面ライダー(渡こと仮面ライダーキバ、太牙こと仮面ライダーサガ)が居る紅一家の養子に成ったのである。とは言え、ギャスパーは2人の新しい兄と共に日頃から遊びに来るのでそこまで寂しくは無い。

 

「所でカカシ。ナルト達の今後についてだが」

「まあ、神秘の秘匿なんてとっくに意味は有りませんし…神器や魔術、後は忍術ですね。その正しい使い方も教えないと行けませんし、良いんじゃないですかね」

 

魔法省の一室。そこで扉間と新たに彼の側近に成ったカカシが話をしていた。神器の秘匿の必要は無く、それでも神器を宿したり魔術の素養が特殊だったりとしてきた人達も徐々にだが、日本に受けいられてきた。だが、それでも神器や魔術は大きな力を持っており社会には完全には受けいられていない。

 

「神器や魔術が受けいられるために、より身近に感じてもらう必要がある」

「税関職員、自衛隊、警察官にチャクラの練り方を教え、その上で習得必須は少しアレでしたけどね」

 

神器や魔術等の人知を越えた力は悪用する人間が必ず現れる。そんな悪人に対抗するためにも、警察を筆頭とした国家公務員には裏側と戦える力…最低でも扉間やエンマ等のスペシャリストが駆け付ける時間を稼ぐ必要が有るのだ。今では便利な量産されたG3という装着タイプの仮面ライダーになれる代物も有るが、G3自体は数が限られており、人を選ぶ。そうなれば、やはり鍛練で身に付くチャクラのブーストを覚えた方が早いのである。そのうえ、製造コストはG3と違い皆無だ。

 

「其処でだが、ナルト達に経験を積ませるためにも、あの子達には指定した担当の元で地域の奉仕活動_D~Cランクの任務を積んでもらう」

 

だが、扉間の周りにはナルト達が居る。ナルト達……千手の家の子供達は遅かれ早かれ厄介事に巻き込まれる。もちろん扉間達はナルト達、千手の家の子供達が平和に暮らせるように日々頑張って居るのだが現実は優しくない。神器や異能を異端として、血統や伝統を重視する五大宗家に眷族を欲する貴族等々の障害が子供達を虎視眈々と狙って居るのだ。

それに数年前に起きて、神秘の秘匿を木っ端微塵にしたアベンジャーズのニューヨーク防衛。その際に地球に侵攻してきたチタウリの存在が証明した外宇宙の生命体等々、今を生きる人々からすれば情報が余りにも大きすぎるのだ。

 

「そういえば二代目様。あのプリキュアという少女、どうなります?彼女達はナルト達と同年代ですが、元と言えば民間人ですよね」

「当然、ナルト達と同じく下積みを行ってもらう。彼女達が今後、標的にされる可能性が有るしな」

 

四次元キューブのお陰で外宇宙だとか、異世界が明らかに成ったが…その1つ、光の園とかいう所からメップルだかミップルとかいう扉間曰くのUMAのような妖精が現世に現れ、2人の中学生の女の子をプリキュアとかいう戦士に変身出来るように強引にしたのである。

しかし、そのわがまま妖精が現世にやって来たのは訳がある。このわがまま妖精コンビ、ドツクゾーンとかいう謎の連中(光太郎と信彦曰く)に故郷を追われていたのだ。当然、ゴルゴムやクライシスの二の舞に成るかと判断した総理大臣 秋月信彦とビリー・ザ・キッド三咲町店主 南光太郎のダブルチートライダーと扉間が本気を出して、僅か30分でドツクゾーンは崩壊した。

 

これにはメップルとミップルのわがまま妖精もあんぐり、2匹は人間の恐ろしさを三大勢力よりも早く理解したのである。

 

 

 

 

 

「兄者。聞いたか?」

「聞いたって?なにを」

 

千手の家。そこでナルトは弟であるオグナと共にゲームをしながら話をしていた。

 

「俺も爺様とカカシ先生が話していた所を聞いただけだが、日本の豪華客船が沈没したのはしってるな?その豪華客船には高校の修学旅行生が乗っていたが、その遺族は全員行方不明。噂では、人外の仕業だそうだ」

「なんだか…事件の匂いだってばよ」

 

その事件にナルトが巻き込まれるのは近い。




ナルトって何が使えるの?螺旋丸、多重影分身、木遁、?遁、風遁、水遁、飛雷神。

オグナって何が使えるの?写輪眼、五大元素全部の性質変化、と言うか…お爺ちゃんに似た。

???「ありえなーーい!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

任務だってばよ?

スラッシュドッグスタート?


とある街の高校生、幾瀬 鳶雄には忘れられない記憶が有る。

 

未だ小学生だった小さい頃。友達とかくれんぼをしていた時だった。だが、鳶雄は負けず嫌いの性分が有るのだろう。絶対に見付かりたくないと思い、奥に奥に進んでいた。

 

その時だった。

 

『螺旋丸!!』

 

なんか髪の長い男が見たことが無いような怪物達と戦っていたのだ。当たり前だが、鳶雄は一般家庭の子供であり、こんな怪物が実在してたなんて話しは聞いたことが無い。だが、同時に鳶雄はもっと小さい頃、祖母が話していた事を思い出す。

 

――鳶雄…世の中には誰になんと言われようと、無償の愛で誰かを助けたり、人知れず怪物と戦う人が居るの

 

と…思い出していた。

 

『挿し木の術!!』

 

男が怪物の腹部に掌を叩き付ける。その時、男の掌から太く鋭利な枝がパイルバンカーのように射出され、怪物の腹部に抉り込まれ、怪物は吹き飛ばされる。だが、まだ終りではない。撃ち込まれた枝の杭は怪物の血や体力…魔力やチャクラを養分として吸収して一気に成長する。

 

『グルギャァァア!!』

 

枝の杭が急激に成長し、怪物から無数の枝が突き破るように出てきた。内部からズタズタに破壊され、内臓組織と主要血管を突き破られた怪物はピクリとも動かなくなり、塵に成って消えた。

 

木遁挿し木の術。それは水遁 水断波と同じく消費魔力の割に威力が絶大な忍術である。木遁で産み出した枝をパイルバンカーの杭のように相手に撃ち込み、撃ち込まれた杭は相手の力をすいとって成長して相手を内側から破壊する恐ろしい術である。

 

『おっと…見てたか。恐い思いをさせてしまって、すまなかったな』

 

しかし、怪物をあっという間に倒した男は優しそうに微笑んで、幼き鳶雄に語りかける。

 

いや、鳶雄からすれば先程の戦いよりも見たことがない怪物を瞬殺した男の方がちょっと恐いのは心の片隅に封印することにした。

 

『そうか…君が宿()()()()()()。もし、君が家庭に問題が有るなら、俺が連れて帰る所だが…その心配は無いようだな』

 

男はそう言い、鳶雄の視線の高さに合わせるようにしゃがんだ。そこで鳶雄は気付く。男の腕は傷痕が沢山有ったのだ。きっと、目の前の男は鳶雄では考えられない程の日々を過ごしてきたのだろう。

 

『おじさんはな…魔法使いなんだよ。今、君が見たことは友達には内緒な?』

 

――おじさんって歳には見えないけど…

 

鳶雄がそう言おうとした時、鳶雄の前から男は居なくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

『アイェェェエエ!?ニンジャ!?ニンジャ!?エンマ!?センジュ!?ナンデ!?アイェェェエエエ!?オーマイゴォォォォド!!』

 

幼き鳶雄に会おうとしていたアザゼルはニンジャリアリティショック(NRS)を発症して発狂していたのは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

「皆…死んでしまった…妙枝も」

 

そんな鳶雄は現在、少し項垂れながら朝食を食べていた。

 

鳶雄は現在高校生。本来なら楽しい青春が待っている筈だったが、残念だがそれは叶わない。何故なら、その日常は一瞬で崩れ去った為だ。

 

クラスメイトと学友の大半は海の藻屑に変わった。鳶雄の学校は修学旅行では豪華客船の旅が有るのだが、その豪華客船は修学旅行中に沈没して乗客と乗組員は全員死亡してしまった。遺体も引き揚げられず、突然の死。生き残ったのは鳶雄を始めとして体調不良を起こして修学旅行に参加しなかった一部の生徒だけである。

 

すると…インターホンが鳴り響き、鳶雄は外に出る。そこには

 

「確認するが、お前さんが幾瀬 鳶雄だな?ワシは自来也、魔法省の職員だ。此方はワシの教え子のナルト、オグナ、ローラ。いきなりじゃが、直ぐに荷物を纏めろ」

 

鳶雄が昔、テレビで見た聖杯バラエティーで超一流を維持してた自来也。そして自来也の教え子であるナルト、オグナ、そしてローラという白人の少女である。

 

「あの…荷物を纏めろって?」

「お前さんは狙われていての…身柄の保護に来た。あと、1つ…朗報じゃ。お前さんの幼馴染みの妙枝ちゃんは生きとるぞ」

 

しかし、鳶雄は知らない。この出会いが後まで続き、新たなツッコミ要員が現れるまで彼のツッコミライフの始まりだと言うことを。

 

 




因みにナルトとオグナの班員のローラちゃん。オリキャラではありません。

詳しくは…映画 ローガンを見たら分かります(笑)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

巻き込まれる初代ツッコミ担当

トビオ、事情説明を受ける


農林水産省。そこに幾瀬鳶雄こと、トビオは自来也率いるメンバーの手で連れてこられていた。自来也曰く、本来は自来也か魔法省の代表であるリアル火影こと魔法省大臣 千手扉間が教えるべきだったが、どうやら農林水産省の()()()()()が直々にトビオに説明したいと名乗りを挙げたのである。

 

産まれて初めてやって来た農林水産省。その廊下を歩き、トビオはキョロキョロと周囲を見ながら自来也達の後ろを着いていく。

 

ーー此処が農林水産省か…数年前からいろんな意味で注目されていたな。

 

と、トビオが心の中で思う。そう、農林水産省は数年前から色々と革新的な事をし続けてきた為か、色々と注目を集めているのである。

先ず、順番から挙げていけば農林水産省(特にエンマ)の頑張りのお陰で日本の食料自給率が100%を越えたのである。ご存じ、日本の食事は殆どが輸入で海外からの物資に頼っているのが現状であった。しかし、エンマがジャンプのマンガ トリコに出てきた食品を精霊王グレート・スピリッツの権能で再現。その結果、日本の食料技術はぐんぐん上がり、更にグルメ食材を研究した結果、日本の食料自給率は100%を越えたのである。

 

あと、日本がまさかの産油国と成ってしまったのである。勿論、日本からは知ってのとおり石油は全くとれない。サウジアラビア等のセレブが沢山いる産油国と比べれば埋蔵量は僅かしか無いだろう。ではどうやって原油を手に入れているのか?それは掘っているのではなく、微生物の力を借りて石油を作っているのである。その微生物の名前はオーランチオキトリウム、実在する微生物であり本当に石油を産み出せる。しかし、コスト的な面から実用化は見送られていた。だが、我らが農林水産省はグルメ技術をフル活用。そのお陰でオーランチオキトリウムをパワーアップさせて低コストで石油を産み出せるようにしたのである。

 

「あの…俺は誰と会うんですか?そのぐらいは教えて下さい」

「俺の父ちゃんだってばよ!」

 

トビオの疑問に答えたのはナルトであった。勿論、トビオは農林水産省に到着する前に自来也率いるチームの自己紹介をしてもらって名前と年齢は把握している。漫画 NARUTOの主要人物であり聖杯バラエティーに出演した自来也は兎も角、ナルトとオグナそしてローラは其処まで有名ではない。

髪の毛が赤く頬に狐のような線のあるナルト、黒い髪に扉間に似たオグナは年子の兄弟であり、ナルトは中学二年生でオグナは中学一年生。ローラは日系に見えない事はないが、本人曰くスペインの実験場で産まれて数年前にナルトの父親に助けられて千手の家と言う孤児院にやって来たそうだ。

 

「むう……千手?父親?まさか……二代目火影?」

「それは俺達の爺様だな。なに、会えばわかる」

 

と、兄のナルトとは対照的に冷静に言うオグナであった。つまり、今からトビオが会うのは扉間の息子であり、ナルトとオグナの父親なのだ。そして、ローラを救助して保護し日本に連れてきた男である。

 

「おじさんとお兄さんは会ったことが有るわよ。アンタは覚えているか知らないけどね」

 

と、ローラがそう言う。どうやら、その人物とトビオは過去に会ったことが有るようである。トビオの脳裏に木遁と螺旋丸を使ってた男が思い浮かぶが、トビオは頭の中で首を横に振る。いや、違う…彼は魔法使いだったと、自分に言い聞かせてだ。

 

「因みにその人物じゃが、ワシよりも強いぞ。いや、冗談抜きでの」

 

と、伝説の三忍とも呼ばれた自来也が自分よりも強いと認める程の人物なのだ。一体…どんな人なのだろうか?そして、その人物との再会はやって来た。

 

「此処じゃ、此処にエンマの奴が居るぞ」

 

『特殊顧問 専用室』と、書かれた扉の前にたどり着いた。そして自来也が扉を三回叩いてノックし、彼は扉を開ける。自来也のあとに続いてナルト達、そしてトビオと続いていく。その部屋は壁際にスライド式の本棚があり、普通の本から漫画本に魔術や陰陽道などの神秘関係の書籍が揃っていた。そして、部屋の奥にはデスクがあり、そこには一人の髪が長く外見的には若い男性が書類仕事を行っていた。そして、トビオは男性を知っている。

 

「父ちゃん!悪者や五大宗家よりも早くトビオの兄ちゃんを保護したってばよ!」

「兄者!報告は自来也先生の仕事だぞ」

 

そんな息子2人のやり取りを聞いて、男は笑みを浮かべて書類作業を中断する。

 

「ありがとうナルト、オグナ、ローラ。ご苦労でした自来也。自来也と7班は幾瀬鳶雄君の後ろに下がってくれ」

 

男がそう言い、自来也達はトビオの後ろに下がり、トビオは自来也とナルトに背中を押されるように前に出される。

 

「初めまして…いや、久し振りと言った方が正しいな。俺は千手エンマ。この子達の父親で、農林水産省の特別顧問をしている」

 

嘗てトビオが出会った男は千手エンマ。嘗て宿していた神器のお陰で平穏に生きられず、世界から存在を消されかけた男である。

 

「先ず、君に伝える事がある。君は遅かれ早かれ、様々な存在に命や身柄を狙われる事になるだろう。

次に君が知りたかった事だが、君の同級生が乗り沈没した豪華客船ヘヴンリィ・オブ・アロハ号だが唯の事故で沈没したんじゃない。アレは神秘絡みのテロリストの手で沈められた。犯行理由は人体実験の実験台及び()()()()()()()()()を宿した人間の確保だ。

君の幼馴染みを始め、豪華客船に乗っていた人間はテロリストに囚われている。一応…敵の拠点は発見次第に潰しているが、まだ全員の救助には至っていない」

 

クラスメイトが…妙枝が生きている。その事を聞いて、安堵するトビオ。

 

「生きているんですよね?」

「生きてるよ。最悪、魂が無事なら俺の魔法でなんとかなる。君を含めて突如の体調不良で危機を逃れた子達は、神器を宿している。そして…さっきも言ったが、テロリストはワンオフ仕様の神器を狙っている。その狙われている神器は君と同じように体調を崩した同級生が宿しているものだ。

そして君が宿した神器は、俺が一度死ぬ前に宿していた神器と同じく宿しただけで命を狙われる物だ。と言う訳でだ、トビオ君…俺は君の身柄を保護することにした。勿論、君の同級生も」

 

その日、トビオを始めとした神器を宿した高校生は千手の家に保護されることになった。なお、千手の家がいやと言った一部の人はアベンジャーズタワーに送られて保護された。

 

 

 

 

「やれやれ…サタナエルはやってくれたな」

 

グリゴリ本部。そこで、アザゼルは嘆いていた。無理もない、彼の元部下と言える男のお陰で深いため息を吐き出していた。当然だ、豪華客船沈没事件はアザゼルの元部下であるサタナエルと愉快な仲間達のお陰で起きたのだから。

 

「まあ…サタナエル達の狙いは四凶と神滅具だろうな。ふっ、やってくれるぜ。

だが、今後の為にも戦力は多い方が良いな。サタナエル達よりも早く、四凶と神滅具を確保する!!」

 

アザゼルは世界を救うために動き出す。しかし、彼は知らない。日本の優秀な方々のお陰で既に四凶は全て確保された事。

 

 

 

 

 

 

「扉間ァァ!!」

 

日本某所 そこで1人の老人が怒りの形相で歯を食い縛る。

 

「扉間ァァァ!!」

 

彼は姫島の当主。日本を古来から守護してきた五大宗家の重鎮だ。しかし、今の彼は誰が見ても近付きたくない程に怒に溢れている。

 

「扉間ァア!!貴様は…貴様はどれほど!!我等の邪魔をすれば良いのだ!?」

 

姫島は思い返す。もう、約40年前に成るだろう。鸛アンナが命を犠牲にし、この世に受肉した英雄である千手扉間。彼と五大宗家の因縁はその時に始まった。堕天使に情報を流し、自分達の手を汚さずに姫島の管轄内で産まれた魔獣創造を始末する筈が…扉間の降臨で全ての歯車が狂ってしまった。

 

平成元年には確実に魔獣創造を始末する為に、悪魔に情報を流して堕天使と協力させて確実に始末した…筈だった。だが、その頃には魔獣創造は扉間の教えを受けており、五大宗家では停められない程の忍に成長しており、とどめに死んだと思えばグレート・スピリッツで復活して覚醒。

 

「扉間…千手扉間ァァア!!」

 

大人に成った魔獣創造は神器を失ったが、その完全な上位互換の力と忍としての力を振るい、世界中で活躍。本来なら生きてはいけない筈の神器持ちや混血を保護し、育てているのだ。

無論、その中には五大宗家の汚点であり姫島としては確実に殺さなければならない朱乃も含まれている。朱乃は姫島と堕天使の間の子、姫島に穢れた堕天使の血が流れ込むのは赦されない。だから、殺さねばならないし…何度も刺客を送った。

 

「千手…エンマァァア!!」

 

だが、刺客は全員殺されたか再起不能。エンマと扉間の不在を付いても結果は同じ。

 

「千手…ナルトォオオオ!!」

 

更に姫島の怒りはエンマの子であるナルトにも向けられる。姫島は同じく扉間とエンマに怒りを感じる悪魔と協力し、ナルトを殺すために産まれたばかりのナルトを誘拐。そして、日本で有数な妖怪である妖狐の九尾を雑に封印した。

 

「なぜ…なぜ…なぜ…貴様に天照様が宿るのだ!!」

 

だが、ナルトに封じられた魂はなんの因果か、九尾のオリジナルである天照大御神の荒神。その力は文字通り、日本を軽く滅ぼす事が可能だろう。その荒神が九尾としてナルトに宿ったのだ。

天照大御神はご存知、日本神話の最高神。それが日本に仇なし、赦されざる異端(神器等)を宿した子供達を救う魔獣創造の息子に宿った。それは日本神話に仕え日本を古来より守護してた五大宗家とすれば赦されない。

 

「扉間ァァア!!扉間!!トビラマァァァア!!貴様のせいだ!!貴様のせいで、日本は混沌に染まっていく!!」

 

姫島を始め五大宗家は扉間を失脚させる為に、様々な案を打ち出してきた。だが、扉間には一切の隙が見当たらず失脚出来ない。赦されない異端の力…神器は人々に認められ始めてる。

 

「堕天使、千手、我等か。三つ巴の戦いとなるか。朱雀を呼べ、アヤツにこの戦いの先端を切り開いてもらう。

確実に……堕天使の輩と逆賊を倒し、千手ナルトを殺して天照様を開放するとな!!」

 

 

 

 

 

 

だが…姫島は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天照大御神はナルトを救うために、荒神としての側面を切り離して降霊に割り込ませた事を。

 

 

 

 

 

そして…既に五大宗家は呆れられてる事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

自分達の行いで千手ナルトが覚醒することを




次回!トビオのツッコミライフが幕を開ける!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

千手の家

三咲町に有る孤児院 千手の家。そこは別名、こう呼ばれてる。世界で一番危険(襲撃者が)で一番安全(住民)の施設だと。

 

「朝か…」

 

トビオはこの千手の家で一先ず暮らすことに成った。両親は遠方に仕事で赴任しており、実質の一人暮しだった彼にとっては問題は無い。両親も日本政府魔法省の暗部主任 シェムハザの選んだ暗部の忍が護衛に着いており、人質に取られる心配は無いだろう。

 

――隠すのはめんどくさい。率直に言おう、君は神器に関しては俺よりも素質が有る。俺は君のお婆さんとも知り合いでな、君のお婆さんから君の事は事前に聞いていた。君は生まれつき神器を禁手の状態で発現させている。封印式を組み込んだのは君のお婆さんだが、術式を考案したのはおっちゃん…俺の養父である扉間だ。最適に封印式を組み直すから、普通に神器が出せると思うぞ。

 

と昨晩、風呂上がりにエンマから言われた言葉を思い出すトビオ。エンマ曰く、神器は主に2つの形態が有るようだ。先ず、普通の第一段階。そして第一段階を突破した先の形態 禁手と呼ばれる世界のバランスを壊しかねない(堕天使基準)の強さを誇る強化形態が有るのだ。何でも、エンマ曰く…トビオは生まれつきその禁手に至っているそうだ。

 

「そうは言われてもな……まさか、この子が俺の神器だなんてな…」

 

ハァ…と大きなタメ息を吐き出していた床を眺めるトビオ。そこには黒い一匹の子犬が居たのだ。そう、子犬である。何でもこのワンちゃんがトビオの神器だそうで、神器には大きく分けて3つの区分に分けられるそうだ。

 

「ワン!」

 

――俺も全ての神器を知ってる訳じゃない。だが、シェムハザが言うには神器は大きく分けて3種類に区分されるそうだ。

 

昨日、共に千手の家で暮らすことに成った3人の同級生と共に受けたエンマの授業を思い出すトビオ。その授業の際に「知らね」と言った不良がエンマの月詠説教で阿部さんに精神世界で追いかけられ発狂しかけたのは思い出さないようにした。そして、その不良は不良の希望でアメリカのアベンジャーズタワーに向かった……そこも色んな意味で地獄だとは知らずに。

 

――1つ。単独具現系。君達が宿したワンオフタイプの四凶、そしてトビオが宿した神器がこれに該当する。これは生き物のように単独で動き出し、意思も持っている。警告だが、このタイプは滅多に無いことだが…神器に殺される事もある。……その神器は仲間だ、仲間を大切にな。

 

――2つ。創造系。これは無から有を産み出す神器でイメージ通りに神器に添った何かを産み出す。俺も昔はこのタイプを宿していてな…宿り主のイメージ通りでチートになる神器だ。大手携帯会社 スマートブレインの社長の弟も宿してるぞ。

 

――3つ。具現系。神器が装備品として具現化される物だな。指輪だったり、籠手だったり、槍だったりする。だが、これは一部の具現系なんだが…ドラゴンが封印された具現系だと遺伝子まで影響を受ける。血液さえもドラゴンの血液に変わったり、発現させた時に肉体が変化してしまうんだな。その為か、一部の神器は身体から神器が抜けても神器の力や記録は遺伝子に残る。これに関しては証人が居るから良く分かると思うぞ。

 

と授業の内容を思い出すトビオ。ただ言えるのはこの子犬はトビオの神器であり、自分の意思をもって行動する事である。ただ、トビオの神器であり眼に見えない何かで繋がってるのは確かのようでありトビオには子犬が何処に居るのか、分かるのである。

 

「さて、行くぞ。ジン」

「ワン!」

 

――パートナーなんだ。名前は着けてあげたらどうだ?お前の手でな。

 

この子犬の名前はジン。トビオ唯一無二のパートナーである神器にトビオが着けた名前だ。エンマはトビオの神器であるジンがどのような神器かは教えてくれなかったが、多少の能力は教えてくれた。影から、或いはジン本体から刃を出すことが出来るそうだ。

 

お腹も減り、食堂に向かう。トビオは何時も1人で朝食を作っては1人で食べていた。今日からはそんな必要は無い。施設の人達がトビオは勿論、子供達の分も作ってくれるのだ。

 

 

 

 

「来たか少年。お婆ちゃんが言っていた……朝食は食べた方が良い。何故なら元気が心から沸いてくるからだ」

 

食堂にたどり着いたトビオ。食堂は大変広く、50人以上が同時にご飯を食べることが可能な程に広かった。その上、厨房も広く現在進行形で食堂のスタッフの方々が子供達や他の職員の為にご飯を作っており、朝から忙しく働いている。そんな食堂のチーフスタッフは天道総司、少し前まで無職の所謂ニートだったが扉間に勧誘されて千手の家に就職したのである。因みに上記の台詞は彼が空を指差し、誇らしげに言った言葉である。

 

「あっはい。ありがとうございます」

 

天道から出来立てほやほやの朝食を受け取る。今日の朝食は和食のようであり、ほかほかの白米、程よい塩加減の焼き魚、サラダに卵焼き、温かい味噌汁と美味しそうだ。トビオはキョロキョロと食堂を見回して、何処に座ろうかと考える。食堂にはまだ空席が有るが、ナルト等の子供達がバラバラに座って談笑しながら朝食を食べていたり、扉間やエンマ等の大人達も今日の仕事に備えてご飯を黙々と食べていた。

 

「天道の兄ちゃん!おかわりだってばよ!」

 

ナルトの声が食堂に響く。どうやら、食堂ではおかわり自由のようであり、これには子供達は勿論、大人達も嬉しいサービスだ。

 

(おかわりも出来るのか。高校の食堂よりもサービスが凄いな)

 

と、トビオは心の中でそう言うが…ナルトの器を見て彼は驚いてしまう。

 

「えっ!?ええええええええ!?炊飯器!?しかも業務用!?あんな子供のお腹の何処に入るんだよ!!」

 

そう、食堂や定食屋さんで沢山目にする業務用の炊飯器であり、それが器代わりと成っていたのだ。しかも、ナルトはおかわりと言った事から最低でも業務用炊飯器+おかずをペロリと平らげる事が出来るのだ。成長期とはいえ、恐ろしい食欲だろう。それに、ナルトは中学生とは言え自来也達の指導を受けながら、裏側でのC~Dの任務をこなしているとは言えスポーティーに発達している肉体をしている。最近の子供とは言え、末恐ろしい。もっともナルトがこんなに食べるのは母親似である事とグルメ細胞のお陰である。

 

「何処に座ろうかな…」

 

トビオは気持ちを切り替え、席を探す。すると、端の方でトビオと歳が近いと思われる青い髪の少年が朝食を食べていた。その少年はトビオと比べて肩幅がゴツく引き締められた肉体をしており、何故か神父服を来ている。この際に、新しい友人を作るのも良いだろう。

 

「あっ…相席、良いか?」

「良いぞ」

 

神父の少年もそう言った為に、トビオは少年の前に座った。

 

「俺は幾瀬トビオ。昨日の晩から此処に居るんだ、宜しく」

「ゼノンだ。俺は数年前から居る………もしかして、園長の旦那さんが言ってた神器持ちの男はお前か?…背中に気を着けた方が良いぞ。此処なら安全だがな」

 

なにやら意味深な事を言うゼノンと名乗った神父の少年。

 

「何か有ったのかい?」

「俺は13年前、とある神器を宿してた為に両親の上司に殺された。まあ、聖堂協会と天界は二天龍の神器を寄せ付けないようにしてるから仕方無い。

神器の本体はもう宿してないが、一応有るからアドバイスには乗るぞ」

 

ふと、トビオはエンマの言葉を思い出す。ドラゴンの神器は遺伝子にも影響を与えると。そのタイプは遺伝子にも神器の情報が残り、身体から神器の本体が無くなっても問題なく使えるそうだ。恐らくは真実だろう、なにせ()()()()()()がおっぱいドラゴンと称えられ英雄になる世界では肉片等の遺伝子情報から赤龍帝の籠手を再現してたのだから。

 

「そっか…その時は頼むよ」

「あっ!誰かと言えばトビオ君じゃん!こんな所に居たんだ!」

 

その声が聞こえ、トビオは後ろを振り向く。そこには茶髪の女の子とオッドアイの女の子が2人居たのだ。どちらもトビオと同じく、神器を宿していた為に体調を崩して豪華客船沈没事件を免れた高校生である。

 

「ナツメにシグネか」

 

茶髪の少女は皆川ナツメ。トビオと同じ高校に通っていたが、同じく保護されて千手の家に世話に成っているのだ。彼女は四凶の一体を宿しており、彼女の神器は未だ未完全な覚醒なのか…鷹のような姿をしていて肩に止まっている。

 

オッドアイの少女は七滝シグネ。西欧とのクォーターらしく、人では珍しいオッドアイだ。彼女も四凶の神器は宿してるが、未だ目覚めていない。

 

「私達も一緒に」

「宜しく!」

 

と…問答無用に座る女子2人。

 

「あっ!ナツメ、シグネ、トビーも居たのです!」

 

すると、そこに慌てた様子で金髪巨乳の少女が走ってきた。彼女はラヴィニア。宿していた神器故に、親戚を盥回しされた少女であり、数年前エンマに保護されたのである。

 

「ご飯を食べ終えたら、会議室に来て欲しいのです!扉間のおじいちゃんが呼んでるのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカな…僕も植物を操るのに……これほどの差が!?」

 

千手の家から少し離れた所。そこで1人の眼鏡をかけた青年がエンマの手で半殺しにされていた。少年の名前は櫛橋 青龍。五大宗家の一角 櫛橋一族の次期当主であり十代の若さで青龍の名前を襲名した天才児である。しかし、いくら天才児でも扉間Boot Campを幼少期から受け続けたバグキャラ 千手エンマには勝てなかったよ。

 

「木遁 木殺縛りの術」

 

木遁で産み出された木々がエンマの手で操られ、青龍を縛り上げる。脱出は不可能であり、エンマは青龍に2度と消えない飛雷神のマーキングを刻み込む。

 

そして、青龍の喉元にクナイを突き付けた。

 

「答えろ。誰の命令で孤児院を襲撃しようとした?」

 

そう言うエンマの後ろでは全身の骨が螺旋丸の一撃で粉砕された男、全身から枝が飛び出して瀕死にされた男、木々に縛られて力を吸い取られた男等々が転がっている。

 

「この…化物が…異端を匿う異常者め!!百鬼の長女を誘拐したのはお前だろ!!」

「嫌ならお前を生贄にし、穢土転生を使う。いや、お前には死ぬよりも悲惨な末路を…」

 

エンマの瞳が万華鏡に変化する。

 

「万華鏡写輪眼!!月詠!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青いツナギを着た良い男「やらないか?」

 

その日…青龍は大切な物を失い、自白させられてパルキアの力で強制送還されたのだった。

 

――五大宗家の皆様。もし、これ以上俺の子供達に危害を加えるなら、俺は容赦しない。次やれば、万華鏡写輪眼 海神の力をスサノオに乗せて完全に破壊する。

 

と優しく手紙を添えて。

 

そして櫛橋青龍くんはトラウマを発症し、引きこもりに成ったとか。

 

「もしもし?黄竜君?黄葉ちゃんは元気だぞ?この前は色違いのフカマルを捕まえて、喜んでたわ。

取り敢えず、朱雀ちゃんと内偵調査を継続してくれ。櫛橋のボンボンは潰した…えっ?朱雀ちゃんがナルト討伐に駆り出された?」

 

なお、五大宗家はエンマと扉間のスパイが居ることに気付いていない。




ゼノン君はオリキャラです。原作の事を考えたら、神器の本体が消えても神器は残りそうなんですけどね(笑)だいたい、エンマと超世紀王のせい。

そしてシャーク君は……キャプテンBoot Campをサムやローディと共に受けてます。

次回は扉間による自衛力講習!?……トビオのツッコミが覚醒する


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

扉間Boot Camp!

トビオを含め、保護された高校生の3人は食後…扉間が待つ会議室にやって来た。

 

「待っていたぞ。貴様達」

 

その日、扉間は休みなのだろう。動きやすい青色のジャージ姿と成っていた。なんでもラヴィニア曰く、会議室での授業が終わり次第外で扉間との実技訓練が行われるそうだ。

 

取り敢えず、扉間の授業を受けるために適当な所に座るトビオ、ナツメ、シグネの3人。勿論、トビオとナツメのパートナーであるジンと鷹も主人である2人の側に寄り添う。ジンはトビオの足元に、鷹は机の上に座った。

 

「はい!扉間さん!今日は何を教えてくれるのですか?」

 

ナツメが元気良く手を挙げてそう言った。実はと言うと、この3人は豪華客船沈没事件の犯人から常に身柄を狙われており、この施設にやって来た時にも神器の正しく使えるようにすると事前説明をされていたのだ。だから、扉間の呼び出し=修行と判断したのである。

 

「知ってのとおり、ワシは神器を宿しておらん。ワシが教えられる事は限られるが、貴様達には護身術、チャクラの練り方に使い方、人間でも神器無しで悪魔や堕天使と互角に渡り合う術を叩き込む予定だ」

 

扉間は知っての通り、神器を宿していない。その為に神器関係は教えることが出来ない。神器関係に関しては別の人が教えてくれるだろう。だが、扉間が教えれる事は沢山有る。人間でも人外と互角に戦う術、忍術、神器を使う心構え、序でに使うと日常生活が便利になる応用など沢山である。

 

「と…今日から本格的な訓練を始めるが、その前にお前達の同級生に危害を加えた連中の事を教えておこう。

奴等の名前は禍の団、その協力者であるオズの魔法使いにウツセミ機関とかいう奴等だ」

 

禍の団、オズの魔法使い、ウツセミ機関。初めて聞く名前だったトビオ達であったが、扉間は続ける。

 

「その中でも船の沈没に関わったのは禍の団とウツセミ機関の連中だ。

1つづつ説明していく。先ずは禍の団だな。これはワシの右腕であるシェムハザも嘗て所属していたグリゴリの堕天使 サタナエルがグリゴリを裏切り、世の中に混沌をもたらす存在として作った組織だ。奴等はグリゴリが持つ神器や人工神器の研究データを協力者であるオズの魔法使いやウツセミ機関に流したのだ。

 

次にオズの魔法使い。ワシもこれに関しては調べて居るが、穢土転生を用いた情報抜き出しと穢土転生の互乗起爆札で粗方潰した。まあ魔法使いと名乗るが、エンマや青子のように魔法は使えない烏合の集だったな。

 

そして、貴様達の同級生を捕らえたウツセミ機関。コイツ等は元を言えば、ワシが日本の神秘部門のトップに立つ前に、日本を裏側から守護してきた五大宗家と呼ばれる一族のはみ出し者で構成されている。コイツ等は元と言えば、血筋と伝統を厳守する五大宗家のアホな政策の犠牲とも言えるな。

ウツセミ機関は禍の団から提供を受けた人工的に作られた神器を模範した人工神器…その中でも単独具現系の人工神器であるウツセミと呼ばれる物を使い、五大宗家及び日本に復讐するつもりだ。まあ、復讐と言っても日本自体はとばっちりだがな。既に拠点はワシの影分身の指示の元、カカシの部隊が潰した。後は捕らわれた人の回復を待ち、敵の残党を捕らえるだけだな」

 

――序でに五大宗家の事も伝えておくか。まあ、ワシが約40年日本で過ごした経験から言える事だがな。

 

扉間は五大宗家にも教えてくれた。五大宗家は古来より日本を守護してきた5つの名家である。だが、その5つの家は日本を守護していながら、堕天使の神器保有者暗殺に悪魔の眷族にするための拉致や殺し、悪魔による日本の統治を平然と見過ごしている。

五大宗家は姫島、真羅、童門、櫛橋の4つとそれらを統べる筆頭の百鬼からなる。五大宗家は日本を異端から守るために日々活躍?しており、異端の力は確実に否定する。神器保有者が自分達の家から出れば、良くて幽閉か普通に抹殺…異端は絶対に赦さないのが、鉄則である。

 

「彼らも関わってくるだろう。ワシの孫、ナルトを人柱力に変えたのも彼等だ…しかも、悪魔の王と協力してな」

「「「えっ…それって」」」

「五大宗家の上層部と悪魔政府…特に元老院は癒着の関係に有る。五大宗家もお前達の情報は掴んでいるだろうし、五大宗家経由で悪魔もお前達の事を知り、下僕に変えるために近付いてくる筈だ」

 

その上、五大宗家は悪魔の元老院と繋がっている。扉間や信彦達の活躍で日本は徐々に統治を取り戻してるが、数年前までは日本は悪魔の統治下に有ったのである。

 

「同級生を誘拐した人達がどんなのか分かりました。扉間さん…俺を鍛えてください!」

「ふっ…後悔するなよ。だが、貴様が諦めなければ、必ず貴様の為になる」

 

 

 

 

 

「良いか!!貴様はゴミムシだ!ウジ虫だ!!ジジイのチ◯ポのようにヒイヒイ言いおって、それでも日本男児か!!貴様!!」

 

丸太を担ぎ、千手の庭を走るトビオ。そんなトビオを見て、扉間は罵声を放ち続ける。

 

「とっ扉間さん!?」

 

次は体術の訓練。しかし、トビオは全力で逃げ続ける。そんなトビオの真後ろには中腰で浣腸の構えをした扉間がビッタリと付いているのだ。足を止めれば最後、トビオの肛門は扉間の強靭な二本指で貫かれて激痛を体験してしまう。浣腸をされた経験は一切ないトビオだったが、絶対に痛いのは理解できていた。だから、トビオは足を止めずに走り続けるのだ。

 

実はと言うと、これは体術の訓練ではない。扉間が過去、エンマとナルトに行ったスタミナ強化+自然とチャクラを練ったチャクラブーストを維持する為の訓練である。勿論、トビオはこの訓練の仕組みを知らされておらず、体術の訓練だと本気で思ってるのだ。

 

「元祖!!千年殺し!!」

 

そして…スタミナの限界を向かえたトビオの穴を…扉間の浣腸が貫いた。

 

「あんびよあまぃぁぁぁぁあ!!ちょっとまてぇぇぇええええ!!」

 

浣腸…元祖 千年殺しを受けたトビオはツッコミを叫びながら放物線を描いて吹き飛んで、庭の池にポチャンと水飛沫を上げて着水した。

 

「ぶは!?…はぁはぁ…」

 

なんとか岸に上がったトビオ。しかし、そんな彼の視線の先には

 

「ふん!ふん!ふん!!」

 

虚空に向けて千年殺しを何度も繰り出し、シャドー千年殺しを行う扉間が居たのだ。千年殺しの激痛はさっき味わった、本気で脱腸するかと思ったが、奇跡的に脱腸はしなかった。だからこそ…その千年殺しの痛みを知ってるからこそ、今の扉間はトビオからすれば恐ろしい存在に見えてきた。

 

「ふん!ふんふん!!おっ…それじゃあ、もう一度行くぞ」

「これ修行じゃねぇぇエエエエ!!」

 

朝空にトビオの叫びが響いた。だが、この千年殺しから逃げ続ける修行のお陰で、今日中にトビオはチャクラブーストと水面歩行に壁歩きを習得したのだった。

 

1週間後。

 

「それじゃあ、改めて体術の修行を開始する」

「えっ!?あれ…体術じゃなかったの?やっぱり?もうやだぁぁぁ!!」

 

頑張れ!トビオ!負けるな!トビオ!君のツッコミは未だ始まったばかりだ。

 

「扉間様。報告が有ります」

 

シュタッッと音を立てて、狐のお面を被った灰色の髪をした忍者が現れる。お面を被っている所を見ると、暗部の忍だろう。

 

「お孫様…ナルト様が朱雀さんとは別の部隊である姫島一族の部隊に捕まり、誘拐されました」

「クレーリア。ナルトは奴等程度に捕まる男ではない。だとすると、誰かを人質に取られたな」

「小学生の神器持ちの子供を人質に取られての事です。エンマ様が会議中を狙っての犯行かと…既に自来也様が向かっておりますが……」

 

クレーリアと呼ばれた忍に対し、扉間は…

 

「ワシも向かう。トビオ、お前も来い。今のお前なら、実戦は大丈夫だろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナルトは飛雷神を封じる封印術が掛けられた手錠をかけられ、姫島の本殿に連れてこられた。

 

「天照様…今こそ救います」

 

姫島当主は槍でナルトの心臓を穿つ。数多の血潮がナルトの胸から飛び出した。間違いなく即死であり、姫島は安堵の表情を浮かべる。これで良い…封印された天照の荒神を解放できたのだから。

 

「『ふふふ。やはり、長い歴史で腐ったか。五大宗家よ』」

 

ナルトの声と重なり、女性の声が聞こえる。ナルトの臀部からチャクラで構成された尻尾が三本も生えて…衝撃波が突如として発生し、姫島は吹き飛ばされる。

 

「ぐぅぅうわ!?」

 

吹き飛ばされる姫島。何が起きたのか理解できなかった。自分は仮にナルトが暴れても螺旋丸数発程度には耐えられる障壁を貼っていた。なのに、それなのに…吹き飛ばされた。その上、貼っていた防御障壁は消えていたのだ。

 

なんとか立ち上がり…前を見る姫島。心臓を貫かれた筈のナルトは平然としており、手錠を()()()()()で溶解させ、自分で槍を抜いた。あり得ない。心臓を貫かれたら普通は即死であり、立っては居られない。だが、ナルトは何事もなく立ち上がり、あろうことか槍を引き抜いた。すると、槍で貫かれ風穴が空いていた胸は一瞬で塞がった。恐ろしい再生能力。これには姫島も言葉が出ず、直ぐ様姫島は術を発動させようとするが…

 

「出せない!!出せない!!何故だ!!何故だ!!何故だ!!どうして術が使えない!!」

 

姫島は術が一切使えなかった。それどころか五大宗家が神々から授かった統べての加護が消えていた。

 

「『愚かか?汝達に日本を守る資格は無い。お前は知らんのだな?妾はナルトちゃんを救うために、荒神としての側面をこの子に宿したのだ。扉間とエンマが正しく封印式を書き直すと信じてな』」

 

その時、姫島は目の前の正体を理解した。

 

「『妾は天照。日ノ本の太陽だ。今は荒神を介し、ナルトちゃんの身体を借りて表に出ている。丁度良い、ナルトちゃんに見本を見せるとするか。ミコーン!』」

 

次の瞬間…姫島の両手は破裂した。

 

「ぐぅわわわわ!?天照様!!私は…私達は!!」

 

ナルト?は姫島当主の顔面を掴み、姫島を数十メートル投げ飛ばす。投げ飛ばされた姫島は物凄い勢いで吹き飛び、数十メートルを吹き飛び、地面を10メートルほど転がって漸く停まる。

 

「うぅ…何故…何でなんですか!!天照様!!」

 

「『ミコーン!ナルトちゃん。良く見ておくんですよ?これが塵さえも輝かせる太陽の本質だ』」

 

姫島の屋敷を爆熱で吹き飛ばし、オレンジ色のチャクラで構成された50メートル程の九尾が降臨した。

 

『グゥオオオオ!!』

 

太陽が降臨した。

 

 

 

 

 

「おーい!エロ仙人!爺ちゃん!トビオの兄ちゃん!」

 

自来也、扉間、トビオがたどり着いた頃。姫島の敷地は更地に変わっており、太陽の裁きを受けて何も残って居なかった。

 

「ナルト…何もないんだな?」

「なんだか、身体が物凄く軽いってばよ!すんごいスタイルの良い狐のお姉ちゃんに色々と教えてもらってさ!」

 

千手ナルト 第一の覚醒を終える。

 

 

 

 

 

「ミコーン!今のナルトちゃんは尾獣化は5分も出来ないですよ?覚えて下さいね」

 

太陽からそんな声が聞こえたが、聞こえたのはナルトだけであった。




次回!担当が決まるまで、トビオは同年代の人達や第7班と共に行動することに…しかし…

トビオ、自来也「将軍かよぉおぉおおお!!」

自来也の散髪に付いてきたトビオは…髷の大変さを知る。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エロ仙人の散髪だってばよ

エロ仙人…散髪する?


ウツセミ機関とオズの魔法使いの崩壊、五大宗家の権威失墜。それは瞬く間に世界に広がらなかった。と言うのも、ウツセミ機関とオズの魔法使いに関しては未だ残党も残っており、病院に入院した拉致された被害者の回復も済んでいない。更にウツセミ機関は人工神器を拉致被害者に宿していた為に、世界に広まれば被害者の方々は人工神器を開発しているグリゴリに狙われる可能性も有るのだ。

 

故に扉間は世界に広げないように、日本に属する一部の神秘部門の人物にしか伝えていない。まあ、五大宗家の失墜に関しては近々に公表する予定だが。

五大宗家はナルトの身体を借りて尾獣化した天照大御神の力で、姫島が崩壊。更に姫島朱雀、百鬼黄竜と言った以前から扉間のスパイとして活動していた一部以外の五大宗家は神から見放され、その加護を喪ったそうだ。

 

「所で自来也さん。髪型は丸坊主と髷、どっちが良いの?」

「なんでその二択!?いや、普通にカットして欲しいだけなんじゃが!?」

 

とは言え、日本は普通に動いている。トビオ達も扉間達のお陰で普通に日常は謳歌しており、今は新しい担当上官が付くまでは同年代や第7班のように上官の付いてる子供達と共にCからDランクの任務をこなしながら日々元気に過ごしている。

 

そんなトビオはナルトと共に、自来也の散髪に付いてきたが…自来也は床屋のマスターから「丁髷と丸坊主のどっちが良い?」の遣り取りを30分繰り返しており、ナルトに至ってはアブサンと言う虻の改造人間がゴルフで活躍する漫画を読んでいる。

 

「床屋のおっちゃん!アブサンって全巻ある?」

「あるよ」

 

しかし…どういう訳か店内の客はトビオ達だけしか居ない。トビオ達が入店して時から他の客は居らず、店は静かだったのだ。

 

「最近の若い子はツーブロックやらソフモヒやらばっかでね…男と言えば丁髷だよ丁髷。そこのぼっちゃんも思うだろ?」

「いや、丁髷はどう考えても古いですよ。江戸時代じゃ無いんですから。今、平成ですよ?平成」

 

とトビオもマスターに丁髷どう?と聞かれたが、丁寧にツッコミを入れながら断りを入れる。しかし、此処まで客が少ないのは妙だ。ナルト曰く、此処は数ヶ月前までは予約をしないと入れなかった三咲町の床屋であり、此処まで人が居ないのはちょっと可笑しい。

 

「あの…店長さん。ナルトが言ってたんですけど、此処って繁盛してたんですよね」

「してたよ?でもさ…向かいに大きな美容ビルが立っちゃってさ」

 

マスターがトビオの問いに答えるようにそう言い、マスターはハサミを仕舞う。そして、マスターは外を指差す。その外には大きなビルが一軒立っており、そこには美容院、ネイルサロン、マッサージ、等等の美容に関わる統べての設備が整ったビルだったのだ。

 

「三咲は土地も安いからね。どっかで成功した美容師が会社を立ち上げて、ビルを建てたのさ。お陰で、お客さんはみーんな、あのビルにうつちゃったよ」

 

店主が悲しそうに言う。だが、店主はそれでも店を続けるのだ。何故なら…

 

「それでもさ…エンマ君、青子ちゃんが子供の頃から通ってくれて…その子供達も来てくれる。だから俺は続けるのさ!」

 

それでもマスターの腕を見込んで通ってくれる客が少なからず居てくれる。だから、彼は腕を振るうのだ。

 

「店長さん…」

「おっちゃん!アブサン、29巻が無いってばよ」

 

ふと、ナルトがそう言う。ナルトの前には山積みに成ったアブサンが有ったが、悲しいことに29巻だけ無かったのだ。

 

「本当だ…だとしたら、他のお客さんが持って帰っちゃったな。それじゃあ、おじさんは今からGEOに行ってナルト君の為に買ってくるよ!!」

 

無いのならば買えば良い。幸いにも、三咲町にはTSUTAYAはないがGEOは有る。店長は散髪道具の入ったベルトを外し、店の出入口に手をかけた。

 

「店番頼んだよ!きっと、お客さんはこないから大丈夫さ!!」

「えっ!?店長!!仕事中でしょ!!てんちょぉおおおおお!!」

 

そして、店長はGEOに向かってアブサン29巻を買うために去っていった。

 

 

その結果。

 

「仕方無い。頼まれた限りはやるかの。マスターからのお願いだ」

 

自来也がそう言い、トビオとナルトは店長から頼まれた店番を遂行する事にしたのだ。勿論、知人がやって来ても誤魔化せるようにカツラを被ってである。

自来也がアフロ、ナルトがオカッパ、トビオがリーゼントのカツラである。

 

「自来也さん。本当に大丈夫何ですか?」

「なに、ちょっと時間を稼げば店長は帰ってくるだろ」

 

客は向かいのビルに吸い取られた。お客は殆んど来ない筈である。そう、筈だった。

 

「すまない…三咲町で暮らしてる娘と姪が世話に成ってる床屋は此処だろうか?イメチャンをしたいのだが」

 

だが、お客さんがやって来た。そのお客さんはマッシブな肉体を持つ、髭の生えたおじさんであった。

 

「あの…貴方は?」

「私は姫島バラキエル。10年前に堕天使中枢組織 グリゴリを辞めて、日本の魔法省で働く男だ」

 

おじさんの名前は姫島バラキエル。日本の魔法省で働く男であり、種族は堕天使だ。娘が少しわけありであり、今は娘と離れて単身、東京で暮らしている。

 

「すまない…私は夜勤空けなのでな。少し、寝かせてもらう」

 

バラキエルはそう言って、勝手に椅子に座って眠ってしまった。

 

「自来也さん…このおじさん…寝ちゃいましたよ」

「寝たならOKだ。後は…マスターに全て任せ「すまない!!カリスマ美容師が居るのは此処か!!」なに!?」

 

だが、新たな客が入店した来た。その客は女性と間違える程に髪が長く、スラリとした長身の男だった。

 

「私はウェイバー・ベルベット。ロンドンの大学で働く魔術講師だ。外交で来たが、時差ボケで眠い…」

 

長身の正体は成長したウェイバー・ベルベット。ご存知、聖杯バラエティーにキャプテン・ファルコンと共に参加した男である。しかし、ウェイバーは眠たいのか、勝手にバラキエルと同じく椅子に座って寝てしまった。

 

「自来也さん…」

「よーし!運が良いぞ!後はマスターが来るまで」

 

 

時間を稼げば良い。そう思っていた自来也。しかし、しかし、また新しい客が来てしまった。

 

「すまない…千手扉間の言っていた床屋は此処だろうか?」

 

その声が聞こえ、1人の男が店に入ってきた。そして、トビオと自来也は非常にその男を知っている。何故なら…その男も聖杯バラエティーにセイバーとして出場したのだから。

 

「余は徳川茂々。将軍だから、将ちゃんで良い。今は資産家をしている」

 

 

 

 

((将軍かよぉおおおおおおおお!!))

 

どうする!?自来也!!どうする!?トビオ!!




次回!将軍の危機!!果たして、エロ仙人とトビオはどうやってこの危機を乗り越える!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

結ってくれ…余の髷を

完全ギャグです。シリアスは一時、消えた(笑)


「結ってくれないか?余の髷を」

 

そう言い、神々しいオーラを放ちながら将軍は椅子に身体を預けた。さあ、早くしてくれと言わんばかりのオーラを放ってである。

もし、何かの粗相が有れば…未成年のナルトは兎も角、義務教育の終えたトビオと自来也には当然の如く対人宝具 打首獄門・晒し首 が待ち受けている。それを受ければ即死であり、死後の生首は晒し者にされてカラス等に啄まれ、虫に集られる。

 

((将軍かよぉおおお!!))

 

直ぐ様、事態を重く見たトビオと自来也は速やかにスタッフオンリーの裏手に逃げ込む。そこならば、ヒソヒソ話をしてる限り、将軍には聞こえることは無いだろう。

 

「自来也さん!どうするですか!!将軍が来ましたよ!来ちゃいましたよ!!今は資産家に成っちゃいましたけど、どうするんだよ!!」

 

今の世の中、征夷大将軍という称号は存在しない。故に将軍は将軍ではなく、資産家だ。だが、本気を出せば間違いなく彼の配下が沢山出てきては間違いなくトビオは倒され、数の暴力に自来也も倒されてしまうだろう。

 

「大丈夫じゃ!緊張で物凄く吐きそうじゃが…なんとか成る!!

ワシはの…大名の護衛もやった事が有っての。髷も結ぶ事が出きるんじゃ!」

 

自慢気にサムズアップを行い、笑みを浮かべる自来也。此処で最年長の自来也も狼狽えたら、この場は文字通りの地獄に変わってしまう。それを防ぐためにも、二代目火影の孫を預かる身として彼だけでも確りしないと行けないのだ。

 

しかし…此処で1つ問題をトビオは思い出す。

 

「自来也さん…吐き気は本当に大丈夫です?ナルトに促されるように、全マシマシを食べてましたよね」

 

そう、実は床屋に来る前に自来也、トビオ、ナルトの3人でラーメン屋に行って食べてきたのだ。

 

そのラーメン屋はラーメン二郎。関東では有名な二郎系と呼ばれる人を選ぶが美味しいラーメン屋なのだ。ラーメン二郎はボリュームが沢山であり、野菜も麺の量も物凄く多い。並みでも普通のラーメン屋の大盛位は有るのだ。

そのラーメン二郎が三咲町に先日オープンし、どうしても行きたかったナルトは自来也とトビオを連れて今日の昼過ぎにやって来たのだ。

 

だが、ラーメン二郎は人を選ぶ。当初、ナルトは弟のオグナとチームメイトのローラを連れてくる予定だったのだが。

 

『兄者。すまないが、俺はアレをラーメンだとは思わん。モヤシが多すぎる上に、俺は細麺が好きなのだ!』

 

『ごめん、ナルト。私…あれは…ちょっと…。うん、次回は行くね』

 

と見事にオグナとローラに断られたナルトは自来也とトビオにお願いして来店した。

 

勿論、ナルトは女性でも優しく二郎のラーメンを食べられるやり方も知っており、それを言って説得したがオグナの決意が微塵も変わらなかったのは余談である。

 

二郎でトビオはラーメン並み野菜少なめを頼み、ナルトはニンニク以外全マシマシ(汁無し麺超盛り)+ニンニク以外全マシマシ(麺超盛り)、そして二郎の事を勉強不足だった自来也はナルトや常連客に流されるように全マシマシを頼んでしまったのだ。

 

「トビオ…わりぃ…胸焼けがヤバイわ」

「自来也さん!?大丈夫ですか!?此処で吐かないで下さいよ!!二郎全マシマシ…モヤシ背油ニンニクてんこ盛りのラーメンを吐かないで下さいよ!!」

 

自来也…緊張+二郎全マシマシのお陰で冗談抜きで吐きそうに成ってしまう。

 

だが、此処で2人はスタッフオンリーの裏手にナルトが居ないことに気付く。まさかと、思い…自来也とトビオは暖簾から店内を見ると、そこには…

 

「お客さん!今日はどうするってば?ツーブロック?ごりん?ソフモヒ?」

「髷を結ってくれ」

 

((なにやってんのぉぉおおあおお!!))

 

なんと言う事でしょう。ナルトは逃げずに、1人で将軍相手に接客を行っていたのだ。当然、ナルトが髷の結い方など知るわけがなく、あろう事かナルトは髷をハサミで切り落とそうとする。

 

「「アカァァァァァァン!!」」

 

直ぐ様、自来也とトビオが裏手から飛び出してナルトの行為を止める。チャクラブーストを用いた全力超短距離走。なんとか、ナルトのハサミを止めることに成功した自来也とトビオ。だが、今の一撃で全マシマシの量と背脂に敗北寸前だった自来也の胃袋は決壊してしまった。

 

「げふ……」

 

だが、このまま吐き出せばナルトに嘔吐物が直撃してしまう。そうなれば、自来也は扉間とエンマそして青子の3人に殺されてしまうだろう。それだけは防がなくてはいけない。故に、吐き出す寸前に自来也はトビオにナルトを投げ渡し、咄嗟に右を振り向いた。しかし…その方向には

 

「なにやってんのぉぉおお!!」

 

トビオの悲痛な叫びが響く。そう、自来也が吐き出した方向には将軍の頭が有ったのだ。将軍にゲロが直撃する。そんな事に成ってしまえば、自来也は間違いなく打首獄門にされて晒し首にされてしまうだろう。

 

「やっちまったぁぁぁ!!」

 

自来也、痛恨のミス。

 

「エロ仙人。吐くなら全マシマシ食べるなってばよ」

「ちょっとナルトは黙ってて!!」

 

トビオは地面に散らばったニンニクの臭いが凄い嘔吐物を神器を応用し、影の中に封印する。地面に落ちた物はこれで大丈夫であり、後は将軍にゲロがかかってないかのチェックだ。チェックを終えて、トビオは安堵の息を吐き出した。どうやら、打首獄門の危機は一先ず回避は出来たのだ…後は粗相を起こさず、何とか出来れば任務は無事に達成である。

 

「自来也さん!将軍にゲロはかかって無いですよ!」

「それは良かった!!」

 

だが、そこでナルトはチラッと見てしまう。

 

「トビオの兄ちゃん。なんか、付いてるってばよ」

 

ナルトは将軍の顔を指差していた。何事かと思い、自来也とトビオも将軍の顔を見る。将軍の目の所には、二郎ラーメンのトッピングだったメンマがベッタリとくっついていた。メンマは全マシマシの背脂でギトギトであり、将軍の目蓋にくっついて手では取れない。

 

「あっ…あれ…可笑しいの…取れん!!」

 

しかし…ナルトもトビオも流石に自来也の吐き出したメンマなんか触りたくない。メンマを取るのは自来也の仕事である。

 

「エロ仙人。これ使えば?」

 

すると、ナルトは床屋の店員や美容師が使うカミソリを取り出して自来也に手渡した。確かに、これで滑らせれば、メンマを難なく取れるだろう。

 

「ナルト。確かにそうだけど、危ないだろ。もし、顔に怪我なんかさせたら大変ですよ」

 

とトビオが辞めるように言うが、自来也はカミソリの刃を出した。

 

「うむ。やるか。日頃から刃物の取り扱いなら慣れとる。ワシは伝説の三忍だからな」

 

すると、自来也はカミソリを滑らせて1つのメンマを回収する。

 

「どんなもんじゃ!」

 

後、1つである。だが……

 

「あっ!!」

 

ジョリィィ!!と音が無音だった店内に響き、自来也が声を出してしまった。

 

ぽとっと将軍の頭から髷が落ちてしまい、自来也は固まってしまう。そう、自来也はメンマを回収しようとしたが勢い余って将軍の髷を剃り落としてしまったのだ。

 

「エロ仙人」

「じっ…自来也さん…髷…落ちちゃいましたよね?」

 

自来也はカミソリを机の上に置いて静かに髷を拾う。そして髷を見つめること数秒、いや彼等の体感時間からすれば数十秒程だ。

 

「ぬぉおおおおりゃぁぁぁぁあ!!」

 

自来也はあろうことか、渾身の力で髷を投げ捨てる。投げられた髷は160キロを越え、轟音と共に床屋の扉を粉砕して外に飛び出してしまった。

 

まさかの自来也の行動に唖然としてしまい、言葉が出てこないトビオとナルト。

 

「あっ…」

 

――アンタなにやってんのぉぉおおお!!

 

とトビオが叫ぼうとした刹那、先に自来也が口を開いた。

 

「バッキャロォォオオオオオオ!!ゴールデンレトリバーのウンコが落ちてるじゃないか!!ちゃんと掃除しとけ!!新人!!」

 

なんと言う事でしょう。自来也は髷を外に投げ捨て、あろう事かゴールデンレトリバーのウンコという事にして、現実逃避&証拠隠滅を図ったのである。

 

「なにやっとんじゃぁぁあ!!このおっさん!!今の将軍の髷だよ!?アンタが剃り落とした髷だよ!?」

「ちがーーう!!あれはゴールデンレトリバーのウンコだ!!それ以下でもそれ以上でもない!!」

「良い年して、現実逃避すんな!!」

 

トビオの拳骨が自来也の脳天にダメージを与え、自来也は頭を抑える。

 

「ぐほ!?トビオ…本気で殴りおったな!」

「当たり前じゃ!!なにやってんだよ!!未成年のナルトは兎も角、このままじゃ俺達は打首獄門だよ!?どうするんだよ!!」

 

髷は自来也が剃り落としてしまい、正に絶体絶命。だが、自来也は将軍の毛先を握る。

 

「仕方無い。この長さで髷をやるしかないな」

 

自来也は将軍の残った毛で髷を作る為に、思いっきり引っ張る。しかし、この残った毛で髷を作るのは至難の技であり、将軍の頭皮は引っ張られ…将軍の目はほそまり…顔は凄いことに成ってしまう。

 

「エロ仙人!!辞めてあげて辞めてあげて!!」

「自来也さん!!将軍の顔が凄いことに成ってますよ!!」

 

将軍の顔が凄いことに成ろうが、自来也は引っ張るのを辞めない。

 

「やるしか無いんだよ!!ほら、見てみろ。将軍も笑ってるだろ?」

「少なくとも、それは笑ってませんよ!!泣いてるからやめてあげて!!本当に止めて!!」

 

そして…一応の髷は出来たが、それは短い。その上、将軍の頭皮が引っ張られた為か将軍の顔が凄いことに成ってしまっている。

 

「ふう…どうでしょう」

「どうでしょうじゃねぇぇよ!!」

 

だが、そこでトビオに妙案が浮かび上がる。自分達がカツラを被って変装してるように、将軍の頭にもカツラの髷を被せれば良いのでは?と。

 

「そうだ!カツラだ!髷のカツラ…さっき、自来也さんが投げた髷を被せれば…」

 

そして、トビオは外を見る。外には未だ髷が有るのだが、その髷をあろうことかゴールデンレトリバーが咥えて走り去ってしまったのだ。

 

「トビオ兄ちゃん!エロ仙人!」

「ゴールデンレトリバーがゴールデンレトリバーの髷を咥えていった!?」

「いや、だから…将軍の髷だから!!」

 

髷、まさかの損失。

 

「仕方無い!ジン!!」

「ワン!!」

 

トビオの影からジンが飛び出した。しかし、扉間Boot Campを受けた影響か、ジンは子犬から成犬に成長していたのだ。

 

「ジン!あのゴールデンレトリバーから髷を取り戻してくれ!!」

「ワン!!」

 

ジンは髷を取り戻す為に走り去った。

 

「トビオ、ナルト。髷ならワシが作ったぞ?」

 

自来也に言われ、ナルトとトビオは自来也の手を見る。そこには精巧に作られた髷のカツラが有ったのだ。

 

「自来也さん!!」

「凄いってばよ…エロ仙人!!」

「ワシは元々、キャスターのサーヴァントじゃよ。道具を作るのは朝飯前だ」

 

そして…エロ仙人はその出来立てのカツラを将軍の寂しい頭の上に置いた。

 

これでバッチリ……ではなかった。

 

将軍の頭皮にポツポツとブツブツが出来てきたのだ。これは間違いなく、普通の毛ではない。

 

「…自来也さん?この毛、なんすか?」

「となりの茂みに生えとった」

 

なんという事でしょう。自来也の言う茂みとは、バラキエルのチン○ンであり、そのカツラはバラキエルの陰毛が使われていたのだ。

 

「アウトォォオオオオオ!!これ以上…犠牲者増やすな!!」

「仕方無いの…それじゃあ…ウェイバーの髪の毛を借りるか」

 

自来也はハサミを手に取り、ウェイバーの髪の毛を切り…カツラを作ろうとするが、何故か…巧く出来ず…気が付けば…

 

「もう…ウェイバーさんじゃなくて、ワカメちゃんですよ!!」

 

ウェイバーの長い髪は気が付けば…サザエさんに出てくるワカメちゃんのような髪型に成っていたのだ。

 

もう…万事休す。誰もがそう思った。だが…

 

「ワンワン!!」

 

ジンが店内に戻ってきた。その口に何かが入ったビニール袋を咥えてである。

 

「出かしたぞ!!」

 

自来也はそれを受けとる。だが、妙に袋が生暖かい…それに何か臭う。だが、自来也はそれを将軍の頭の上に置いてビニール袋を取る。

 

「おい…ちょっと待て……」

「これっ…て」

 

それは確かに丁髷に似ていたが、モザイクが掛けられており、茶色い。それになんだか臭うのだ。

 

「ワン!」

「ゴールデンレトリバーのウンコ(マジ)じゃないか!!」

「「逃げるんだよぉおおおお!!」」

 

トビオ達はその場から逃げ出した。犠牲と成った3人を置いてである。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃。成田空港。

 

「はっ?これはどういう事だ?」

 

アザゼルは困惑した。彼は四凶と神滅具を確保する為に部下を沢山日本に送っていた。しかし、送った部下は全員が連絡が取れず、自分で転移でやって来た。しかし、転移で移動すれば何故か成田空港の税関に来たのだ。

 

「初めまして。私は成田空港の新人税関職員 ジャネットです」

 

アザゼルの目の前にはジャネットという、若い白人の職員が居る。だが、アザゼルは気付いた。このジャネットという若い女性は神器を宿してると。

 

「お前…神器を宿してるな?」

「それが何か?関係無い事です。パスポートの掲示をお願いします。貴方は日本に不法入国しようとしましたね?」

 

パスポートなんて、アザゼルは持ってきていない。そもそも可笑しい事だ。アザゼル達は過去、扉間が魔法省の大臣に成る前は普通に転移での入国が出来ていた。どうしてダメなのか?とアザゼルは疑問に思う。

 

「ふざけるな。俺は今まで問題は無かった」

 

しかし…その刹那、アザゼルの目の前にエンマとイタチが飛雷神で登場した。

 

「は?アイェェェエエエエ!?」

「不法入国でお前を拘束する」

 

アザゼルは知らない事だが、日本への転移での入国は2度と出来ない。許可された一部の政府の役員は可能だが、転移での入国を実行しようとすると国際空港の税関に強制転移される仕組みなのだ。

アザゼルはそれを知らず、転移での入国を行おうとした。パスポートやビザは用意しておらず、当然ながら現行犯逮捕である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2年後。

 

「此処が冬木だってばよ?それじゃあ…俺の上忍初任務を遂行するってばよ!」

 

高校1年生に成ったナルト(身長175cm)は冬木に訪れていた。彼は扉間からの指示で、第五次聖杯戦争こと聖杯バラエティーの補佐を行うのである。

 

それが色んな意味での地獄であり、聖女に振り回されると知らずにである。

 

 

第五次聖杯バラエティー及び…エイジ・オブ・ウルトロンに続く。原作開始まであと1年。




次回!聖杯バラエティー再び(笑)

1ヶ月一万円生活(但し、バーサーカーとランサー以外)。勝つのは誰だ!?

なお、原作時空のメインキャラも遊びに来る模様。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作1年前
第五次聖杯バラエティー


原作1年前スタート!


遠坂時臣と道化のバギーはお互いに抱き合い、震えていた。当然だが、遠坂家には魔術等を使える子供達が3人居る。そのなかで、子供達が3人とも第五次聖杯バラエティーに参加するサーヴァントを召喚してしまったのだ。

 

「問おう…写輪眼を持つ小僧。お前が俺のマスターか?」

 

遠坂には娘が2人、息子が1人居る。だが、その息子は血の繋がりが存在しない。何故なら、時臣が根源に至る材料として魔術協会から購入したデザインベイビーなのだ。

そのデザインベイビーは時計塔が嘗て、写輪眼の秘密を暴く為に千手エンマと優れた魔術師の遺伝子を掛け合わせて作った物であり50人作られた。その内の1人を時臣は買い取り、運良くその子供は写輪眼を開眼した。これには時臣は大喜び、最強の魔眼 物理現象さえも自在に操る万華鏡を開眼すれば根源への道が開かれるのだ。

 

――時臣さん?ちょっと話をしましょうか

 

しかし…待ったをかけた存在が居た。時臣の妻である葵だ。葵は魔術師ではないが、引き取った写輪眼の子供 因幡の事を実の子供のように可愛がっていた。故に、葵はぶちギレた…

 

――因幡は実の子供同然として育てます。貴方がこの子を人体実験にするなら、私は子供達を連れて離婚します…それを拒むならこの場で貴方を半殺しにします。

 

と脅され、時臣は葵に物理的に半殺しにされた。

 

そして写輪眼の子供 遠坂因幡(中学2年生)は遠坂家の末っ子であり長男としてスクスク成長した。遺伝子上の母親そっくりな見た目に。

 

「俺はグランド・アサシン、うちはマダラ。宜しくなマスター」

「宜しくね!マダラさーん!」

 

その因幡が最強のアサシンを召喚し、以後…このグランド・アサシン マダラと生活する事を考えた結果、時臣とバギーの胃は死んだ。

 

「因幡ちゃん!姉さん!私!ドラちゃんを呼べましたよ!!」

「僕、ドラえもんです!ライダーのクラスだよ」

 

しかも、ナイスバディに成長した次女の桜(中学3年)までサーヴァントを呼び出した。まあ、これは良いだろう。しかし、呼び出されたサーヴァントがまさかの国民的人気キャラクター ドラえもん。猫型ロボットは英霊の座に記録されていたのだ。

 

「……所で…貴方の真名なんなのよ。聖杯戦争はバラエティー番組に成って強制受肉なんだから言いなさいよ。市役所に届出ださないといけないんだから」

 

肝心の長女の凛ちゃん(高校1年生)は名前を自称忘れたアーチャーの男を呼び出していた。

 

「あっ…あれ?可笑しいな……私の知ってる聖杯戦争と違う。桜が養子に行ってなくてドラえもん呼び出してるし、因幡って居なかったよな?あれ…写輪眼って実在したの?いや、なんでさ」

 

そのアーチャーは訳有って聖杯戦争に滅茶苦茶詳しい。何故なら、生前に本来の第五次聖杯戦争に参加してアーサー王を召喚したのだから。

 

「因幡!アーチャーの記憶を写輪眼で調べて。アサシンもお願い、アーチャーの対魔力で因幡の写輪眼を防がれるかも知れないし」

「お姉ちゃん。阿部さんのホモ幻術オーケー?」

「全然オーケー!やりなさい」

 

次の瞬間、アーチャーは土下座して自白した。流石の彼も阿部さんに幻術で掘られるのは嫌のようだ。

 

「話そう…私の真名はエミヤ・シロウだ。此処と違い、神秘が秘匿された世界の第五次聖杯戦争に参加した男の成れの果てだ」

 

 

 

 

 

 

「エミヤにシロウ?貴方…並行世界の衛宮君なのね」

 

市役所に書類を提出し、遠坂姉弟は自分達のサーヴァントを連れて冬木テレビに向かっている。

 

「この世界の私はどんなんかね?」

「妹のイリヤと仲良く暮らしてるわ。両親は海外に暮らしていて、家政婦2人と兄弟の4人で一軒家で暮らしてるの。魔術とは無縁の子よ」

 

この世界の衛宮士郎こと自分を知り、自分の願いが叶わない事を理解するエミヤ。ならば、折角受肉したのだ。自分は影で、遠坂一家とこの世界の自分の平和を守る事を静かに決意する。聞いた話では、この世界には悪魔や堕天使、天使、そして宇宙人まで実在するのだ…もう一度、正義の味方を目指すのも良いだろう。

 

その道中…

 

「遠坂!遠坂!!」

 

なにやら慌てた様子の同級生の声が聞こえ、凛は声の方を見る。そこには凛のクラスメートである衛宮 士郎(高校1年生)と銀髪で士郎の妹 イリヤ(小学4年生)が居たのだ。

 

「衛宮君。そんなに…あわ…て………カカロットォォオ!?」

「オス!オラ、孫悟空。宜しくな!」

 

なんと言う事でしょう。衛宮さん一家もサーヴァントを呼び出しており、その内1人は漫画 ドラゴンボールが誇るジャンプ最強主人公 孫悟空。そして…もう1人…

 

「…ふぇ!?なによ!!その侍!!カカロットやマダラと同じくバグキャラじゃない!!えっ?でも…どちら様?」

 

悟空の隣には1人のイケメンで額に痣の有る日本刀を腰に提げた剣士が居たのだ。

彼の名前は継国 縁壱。今は未だ連載されていない大人気漫画 鬼滅の刃に出てくるバグキャラで、鬼滅の礎を作った呼吸の開祖である。

 

「私は継国 縁壱。士郎のサーヴァントとして呼ばれた。クラスはグランド・セイバーだ」

「んで、オラがグランド・バーサーカーだ!オラはイリヤのサーヴァントだぞ」

 

グランド・アサシン うちはマダラ

 

グランド・バーサーカー 孫悟空(カカロット)

 

グランド・セイバー 継国縁壱

 

世界を守る最終システムによって本来は降臨するグランドのサーヴァント。それが普通に降り立って受肉したのだ。凛の頭は想像以上の出来事を目にし、フリーズしてしまった。

 

 

 

それでもなんとかテレビ局にたどり着き…会議室を見回す遠坂姉弟と衛宮兄弟にサーヴァントの皆様。既に会議室ではサーヴァントとマスターに今回の聖杯バラエティーを説明する為か、番組スタッフが準備に追われていた。

 

「うんめぇな…このお菓子」

 

「戦国の世とは違うな」

 

「稲荷寿司は有るか?」

 

好き勝手に大人しく待つグランドの3人。

 

「なんでさ…」

 

エミヤは頭を抱える。

 

「ドラえもん!何か不思議道具だして!」

「イリヤちゃん、また今度ね」

 

子守りをかって出たドラえもん。

 

「おっ!此処みたいだな!」

 

すると、新たな人物が入ってきた。その人物は青い髪に長身でmuscleな肉体の持ち主であった。そして、凛達はその人物が誰なのか知っている。それは漫画 トリコの主人公の美食家トリコである。

 

「トリコじゃねぇか!」

「悟空!元気そうじゃないか!」

 

なんと言う事でしょう。トリコと悟空は知り合いだったようだ。

 

「此処のようだな」

 

すると、新たな人物が入ってきた。その人物は金髪に額に白毫の印が有り、かなり胸がデカイ…爆乳の領域だろう。その人物はかなりの有名人だ、NARUTOの五代目火影 千手綱手その人である。

そして、綱手はイリヤと同年代の少女を連れていた。恐らくは綱手のマスターだろう。

 

「柱間の孫娘。その少女は?」

「美遊だ。私のマスターで、私の娘にした。事情は聞かないでくれ」

 

マダラの問いにそう答えた綱手。この少女は美遊と言うようだが、少し訳有りのようである。

 

グランド・セイバー 継国縁壱

 

アーチャー エミヤ

 

ランサー トリコ

 

グランド・アサシン うちはマダラ

 

グランド・バーサーカー 孫悟空

 

キャスター 千手綱手

 

ライダー ドラえもん。

 

そして……

 

「全員、揃いましたね。私はジャンヌ・ダルク、ルーラーのサーヴァントです」

 

会議室に1人の金髪で普通に巨乳の少女が入ってきた。彼女はジャンヌ・ダルク ルーラーのサーヴァントであり、オルレアンの乙女である。

 

「では…今回の聖杯バラエティーを紹介します。それは1ヶ月一万円生活です。勿論、私も参加します!!

ですが、食費が高額になるバーサーカーと食技を極めたランサーは別の課題…アイドルグループと共に、村の開拓をお願いします!!」

 

悟空とトリコは食費が高額、食技を極めてるという事で村の開拓というお題だが他の人達は1ヶ月一万円生活。

 

1ヶ月一万円生活とは調味料と調理道具、家具、トイレットペーパーやタオル、生理用品は支給される。だが食費と光熱費を一万円以内でやりくりして1ヶ月過ごす企画である。勿論、釣りやモリ突きや山菜取りで食材を確保するのもOKであり、最終日に残額一番が残っていた人が勝利である。

なお、住居は番組が用意したアパートである。

 

「マスターの方々は現代生活になれていない私達、サーヴァントの補佐を行ってもらいます。マスター不在の私には、管理の手伝いとして派遣された魔法大臣 千手扉間の孫 千手ナルトが着きます」

 

第五次聖杯バラエティー!1ヶ月一万円生活…開幕!




なお、一万円生活の間に他の話も投稿しますので、シリアス好きな人でも大丈夫ですよ。

ウルトロンは一万円生活が終ってからですが(笑)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最初の買い出しは大事である。

戦いは始まった。


第五次聖杯バラエティー…又の名を英霊1ヶ月一万円生活がいよいよ始まる。

 

番組プロデューサーから各々一万円を受け取ったマダラ、縁壱、ドラえもん、ジャンヌ、綱手、そしてエミヤの6人は大事そうに一緒に支給されたガマ口財布の中に仕舞う。この1ヶ月を一万円で生き延びなければ成らない…幸いにも日常用品+調味料+生理用品は支給されるが食費と光熱費はこの一万円から出さなければ成らないのだ。

 

「そして…此処が皆さんが1ヶ月生活するアパート、遠坂ハイツです」

「私のお母様が大家をしてるアパートじゃない!」

 

そして…今、参加者であるサーヴァント(受肉済み)とサポートを行うマスター+ナルトは一軒のアパートの前に来ていた。このアパートは遠坂ハイツ、基本的にキッチン付き風呂付きトイレ付きのワンルームのアパートである。丁度、6人の部屋+スタッフの控え室が空いていた為か、葵母ちゃんが喜んで貸してくれたのだ。

しかも、遠坂ハイツは家具付きであり、家具を揃える必要は無い。電子レンジからオーブン、基本的な調理器具は全て揃っており、オール電化。安心の物件である。

 

「あと…これをどうぞ。使うかどうかは皆さんに任せますが…」

 

するとディレクターが参加者に有る物を渡していく。それは銛と釣竿、スコップにシャベルだったのだ。つまり、もしお金がヤバくなったら自給自足で食材を集めろという意味である。

 

だが、テレビ的には節約生活をただするのは面白くない。故に、冬木テレビは期待してるのだ…マダラ辺りがピンチに成り、銛を片手に海に飛び込んでくれる事を。いや、山に込もって狩猟生活も是非ともしてもらいたい。

 

「他に支給品は有るのか?」

 

ふと、縁壱がそう問う。聞ける間に質問は行った方が絶対良いに決まってる。

 

「はい。スタッフと参加者のアドレスが登録されたスマートフォンとその説明書。後は自転車と交通費ですね。電車等で遠出したい場合は、私達が交通費を出しますよ」

 

そんな最強剣士 縁壱の言葉に対してスタッフは答えてくれた。そう、支給品は未だ有るのだ。

番組スタッフと参加者のアドレスが入った最新のスマートフォン。勿論、今月分の通話料金は全て番組が負担してくれるのだ。有難い。勿論、エミヤとドラえもん以外は当然、使い方が分からないので説明書付きである。そして移動手段として自転車、電車を使う際の交通費である。

 

「「自転車?」」

「なんですか?それは」

 

しかし、自転車という存在を知らない人物が3人居た。戦国時代で鬼狩りをしていた縁壱、NARUTOの戦国時代を生き抜いたマダラ、そしてフランス百年戦争のジャンヌの3人である。彼等の時代に自転車なんぞ、ある訳が無く…見たことは無い。すると、気を聞かせたスタッフの1人が自転車の実物を持ってきて見せてくれた。

 

現代人であるエミヤやドラえもん、そこそこ扇風機やエアコン等の発達した文明を持っていたNARUTOの木ノ葉隠れに住んでいた綱手は自転車を知っている。

 

だが、自転車を知らない3人は自転車を見て軽く驚いていた。現代人には見慣れたママチャリ。買い物が入る前籠、細い骨組みのボディ、座るサドルに漕ぐペダル、地面を転がって自転車を進める前後のタイヤと…見たことがない芸術的な機能美をしていたのだ。

 

「これが自転車ですか!」

「はい。これを人数分支給します。冬木市全体はこれで移動が楽に出来ると思いますよ」

 

とスタッフが言うので、自転車初体験のマダラが自転車に跨がった。

 

「ふむ…」

 

そしてスタッフの指示に従いながら、マダラは自転車を漕ごうとしたが……盛大にバランスを崩して転んでしまったのだ。

 

「ほご!?」

 

マダラ、初の自転車は盛大に失敗。それを見てドラえもんや縁壱は心配そうな顔をし、綱手は盛大に笑っている。

 

だが、直ぐにマダラは立ち上がり…彼は宣言した。

 

「この勝負が終るまでに乗りこなしてやろう」

 

マダラさん。自転車の習得を此処に宣言するのだった。

 

 

 

 

そして、第五次聖杯バラエティーが本格的に開始した。しかし…

 

「凛。君はマダラとドラえもんを見ていてくれ。私は現代のサーヴァントだ、サポート無しでも大丈夫さ」

 

とアーチャーは告げて、自転車で颯爽と消えていった。

 

「大丈夫かしら…」

 

しかし…凛は知らない。既にアーチャーの中で1ヶ月一万円生活の戦いは始まっているのだ。

唯一、サポート無しで戦い抜く事を決意した赤い弓兵 エミヤ・シロウ(多分28歳独身)。アーチャーが真っ先に飛び出したのには大きな理由が有る。それは食材の購入だが、彼が衛宮士郎だった頃は一人暮らしを行っていた。その時から彼は節約レシピ、更には食材の最適な値段での購入方法も心得ており、彼は急ぐのだ。

 

(スーパーは品揃えが良い。だが、スーパーは魚屋に八百屋、米屋と比べると単価が高い。

それに魚を購入する場合は冬木漁港の朝市で購入した方が、遥かに安く購入できる…それは道の駅で野菜を購入する場合も同じだ。魚と野菜を購入するのは明日の朝以降。今…私がやるべき事は必須品と言える米、更にはうどんやパスタの材料と成る小麦、激安の王道 パンの耳だ!!)

 

そしてエミヤは支給されたスマホを駆使し、自分の生前の世界と同じような店が有ることを既に調べている。開店時間、サービスタイム、全て把握済みだ。

 

「ふっ…残念だったな。戦いは既に始まっているのだよ」

 

ニヤリと笑みを浮かべ、エミヤが辿り着いたのはJR冬木駅だ。その冬木駅の中にお取り寄せ関係の商品を取り扱う小売店が有り、そこでは支給品ではない調味料や小麦粉等が安い値段で買えるのだ。

 

その小売店に入ったエミヤ。彼は迷わずパスタの原材料である小麦粉2キロ、グルメ技術の進歩で市場に出回った臭く成らないニンニク…ニンニンニクを買い物籠に入れる。

 

「スタッフ君。オリーブオイルは支給品かね?」

「オリーブオイルは支給品ですよ。海外の英雄も呼ばれるかと思い、用意しました」

 

オリーブオイルが支給品だと聞いて、エミヤは笑みを浮かべる。塩、砂糖、サラダ油、醤油、みりん、料理酒、お酢等の基本的な調味料の他にオリーブオイルも支給されると聞いたエミヤは誇らしげに笑う。

 

「私の勝ちだね。勝利宣言しても?」

 

既に…エミヤの勝利の方程式は出来ていた。

 

 

 

 

「やはり、米は必要だ」

 

その頃、マスターの方々+ナルトの案内でスーパーにやってきた他の参加者は一先ず、買い物籠に米を入れていく。

 

「冷蔵庫が有るから買溜めも出来るな。さてと…何を買うかだ…」

 

綱手姫は迷う。無理もない、五代目火影様は買い物等を付き人に任せてきた。故に、自分で買い物を滅多にしないお姫様である。自分で馴れた買い物は宝籤位である。

 

「後は小麦粉、蕎麦粉、蜂蜜、ふむ…合わせ調味料と成った麺汁に焼き肉のタレか。兵糧丸を作って持久戦も有りだな」

「マダラ。同じような事を考える物だな」

 

マダラと縁壱は特に迷わず、籠に小麦粉、蕎麦粉、生姜チューブ、焼き肉のタレ、ハチミツを入れていく。

 

「あっ…あの…縁壱さんとマダラさんは何を作るんですか?」

「「兵糧丸」」

 

兵糧丸とは忍者の保存食であり、戦国時代では歩兵や武将も食べていた今でいうカロリーメイトである。

 

その兵糧丸を用いて、マダラと縁壱さんは持久戦を行うつもりなのだ。勿論、お米や他の食材も籠に入れている為に普通の食材も作っては食べるのだろう。

 

「食材は賞味期限が有るからね」

 

一方のドラえもんは桜のアドバイスを聞きながら、買溜めは余りしない戦法を使うようだ。

 

 

 

「ジャンヌちゃん!?」

 

だが、食品売場にナルトの悲鳴が響く。と言うのも…

 

「どうしましょう!ナルト君!!私…今さらですけど、どう足掻いても10日程の食費で全額無くなっちゃいます!」

 

なんと言う事でしょう。ジャンヌはナルトや青子と同じく大食いだったのだ。その食欲は単純計算で、どう足掻いても10日で一万円を消し去ってしまう。事実、ジャンヌの3日分の食料だけで籠がパンパンに成っていたのだ。

 

「……取り合えず、魚と野菜は戻そう。小売店の方が安いってばよ」

 

太らず栄養が胸に行くジャンヌちゃん。だが、スタッフの方々は知らない。ジャンヌちゃんが根性を見せて、1ヶ月を生き延びる事を。

 

 

 

 

「パンの耳を貰えないかね?パンの耳はカツの衣、ピザ生地にも応用が出来る」

「はいどうぞ!」

 

エミヤ…パン屋でパンの耳をゲット!勿論、格安でである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャービス。ここが日本だな」

『はい、トニー様』

 

鉄の男が聖杯バラエティー収録中とは知らずに日本に降り立った。




ジャンヌ「ダクト飯ってありですか?」
スタッフ「貴方はダメ!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

朝も戦いだ

エミヤ…朝から動き出す!!


ガチャリ…早朝4時半。まだ真っ暗だが、エミヤは遠坂ハイツを出て自転車に跨がる。まだ他の参加者は布団で爆睡してる頃だが、この男は違う。この男…今回の1ヶ月一万円生活での優勝候補 エミヤの買い出しは皆が爆睡している早朝から始まるのだ。

 

当然…番組スタッフも大半が寝ており、エミヤを撮影してるのはエミヤが持っているハンディカムカメラである。

 

「さてと…まだマダラや綱手姫は寝ている時間だが、私は急がせてもらう。朝市は早いのでね」

 

勿論、エミヤは番組スタッフに今日の行動を伝えており、番組スタッフは後程エミヤに合流する予定だ。なにせ、この赤い主夫は朝から買い物で忙しいのだ。昼からは仕込みで忙しく、ゆっくりしてる時間は無い。

 

ハンディカムカメラを自転車にセットし、エミヤは自転車を颯爽とこぎだして闇に消えた。

 

 

 

午前5時前。

 

冬木漁港で朝早くから行われる朝市。そこにエミヤは訪れていた。朝早くとは言え、この朝市の素晴らしさをしる魚好きや倹約家の人々が買い物を楽しんでいた。

 

「やはり…安いな」

 

アジ30円、小振りなタイ500円、ガザミ600円。兎に角安い。その上、朝市は小さい等の理由で魚屋やスーパーに出回らない魚も売られており、そんな魚は格安で購入できるのだ。

 

「それでは…この新鮮なアジを2匹、シャコを10匹」

 

エミヤはそこでアジ2匹(60円)、シャコ10匹(300円)を購入。合計は360円の出費だが、非常に安い。

 

「絞めます?」

「ああ、頼むよ」

 

エミヤは店員に食材を絞めてもらい、血抜きをしてもらって…その後、冬木道の駅に向かって自転車を漕ぎ出した。

 

「格安の豚バラと野菜が私を待っている!!」

 

 

 

 

朝6時。そろそろ、他の参加者も起きてきた。

 

「エミヤは朝早くから動き出していたようだな」

 

マダラは朝食代わりに、昨日作った作り置きの保存食 戦国時代のカロリーバーこと兵糧丸をもりもりと擬音を立てながら、1つ食べていた。

 

「今日は日曜日。取り合えず、マスターとその姉達が冬木を案内してくれるそうだ。俺達は冬木の街並みを知らんからな」

 

机の上に置かれたカメラに向けてそう言うマダラ。すると、彼は現在の残金を確認するために、ガマ口財布を開けて残金を確認する。マダラの残りの残金は6300円。小麦粉、蕎麦粉、ハチミツ、焼き肉のタレ、生姜チューブ、そしてお米等の食材を買った為か今の時点で残金は少ない。

だが、小麦粉と蕎麦粉を兵糧丸に加工すれば…蕎麦粉と小麦粉は未だ多少余り、その上軽く1ヶ月は生活出来る。しかし、それだけでは面白く無い。兵糧丸の作用を考えれば、1日兵糧丸1個で1ヶ月暮らしても動けるが、マダラはそれでは面白く無いと考えてる。

 

「因幡の奴が言っていた。サバイバルをすれば、映えるとな」

 

マダラさん。某芸能人と同じ道を歩むフラグを立てる。

 

 

 

 

「今日は士郎とイリヤが自転車で町を案内してくれる」

 

机のカメラ目線で、縁壱がそう言う。そう、縁壱さんは自転車を習得したのだ。マダラさんと違って、縁壱さんは一発で自転車に乗れたのである。

すると、縁壱は御椀に1粒の赤茶色の兵糧丸を入れる。この兵糧丸は兵糧丸 味噌玉。戦国時代の知恵であり、蕎麦粉と小麦粉、そして味噌や合わせ調味料を混ぜ合わせた兵糧丸であり、非常食でもありインスタントの先取りとも言える。

 

兵糧丸のようにモリモリと食べる事も出来るが、お湯で溶かせば速攻でカロリーを補給出来る味噌汁に早変わり出来るのだ。縁壱は味噌玉が入った御椀にお湯を注ぎ、栄養たっぷりの味噌汁を作って飲む。

 

「私はその気になれば、食事は1週間に1度で済む。しかし、士郎にそれは違うと言われたからな。ちゃんと3食食べるつもりだ」

 

縁壱はガマ口財布を開けて所持金を確認する。縁壱の残額は残り6800円。マダラと似たような食材を買ってるのに500円の差が開いている。これには訳が有る。縁壱のマスターは未来の主夫 士郎くん。士郎が縁壱に「野菜や魚は八百屋とかの小売店の方が安い!」とアドバイスをしてくれて、僅かな積み重ねが響いたのだ。お米も士郎が選んだ物を買ったのが響いた。縁壱が買ったお米は三重県のお米、対してマダラが買ったのはコシヒカリである。

 

 

 

「自炊って大変だな」

 

綱手ママ…一児のママであり未婚。初日を終えて早くもグロッキー。

 

「美遊のアドバイスのお陰で何とか成ったが…あの子は料理も出来たんだな」

 

綱手ママの所持金は現在7500円。美遊のアドバイスでお米とカレー粉以外の食材を安い小売店で買ったのだ。だが、綱手は料理はあんまり出来ず、美遊に教えてもらったカレーで初日を過ごした。今朝の朝食もカレールーにパンの耳(ほぼタダ)を付けて食べた。

 

「カレーだけで後、3日は行けるな。その後は…カレーうどんにチャレンジしてみるか」

 

綱手ママ…美遊が居なければ、20日程で敗退していた危険あり。

 

 

 

 

「僕は今の所、残り7700円だ」

 

ドラえもんことドラちゃんの所持金は残り、7700円。あんまり買溜めをしていない為か、エミヤ以外では一番金が有る。だが、買溜めをお米位の必需品位しかやってないドラちゃんは長くても来週には買い物に出掛けなければ成らないのである。

 

「出来るだけ、秘密道具は使わないで行くよ!」

 

ドラちゃん…チートな秘密道具は自粛の方針。

 

 

 

 

「あーー!!どうしましょう」

 

ジャンヌちゃんは大ピンチ。現代の食事が美味しすぎて、3日の食料が僅か1日で半分に成ったのだ。ジャンヌちゃんはナルト→青子→エンマ→等々の優秀な仲間が居るが、既に残額は5600円。最低3日は持つカレーも1日で食い潰し、さあ大変。

 

「仕方有りません…ジャンヌは本気を出しますよ!ナルト君のお母さんも言ってました!!サバイバルはタダだって!!」

 

ジャンヌは銛を手にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、僕はトニー・スターク。千手ナルト君、君にアベンジャーズの話をしにきた」

 




次回!トニーとナルトの邂逅。

エミヤの所持金は中間結果をお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鉄の男 現れる

アイアンマン…ナルトと出会う。


アベンジャーズ。数年前に起きた宇宙人による進撃をニューヨークで防いだニューヨーク決戦から、世界で活躍する様々な技術を極めた超人集団によるヒーローチーム。勿論、ナルトもアベンジャーズの存在は知っており、その中心人物は世界中でも指折りに数えられる大富豪だ。

 

その人物は10年以上も前に、未だナルトが物心着く前にヒーローである事を世界中に公表した社長だ。その人物は…

 

「トニー・スターク」

 

トニー・スターク。アイアンマンとも呼ばれる三十路を越えた男はナルトの前に生身で現れた。遠坂ハイツを背景にしてである。

 

「千手ナルト君。君の事は本郷は勿論、君のお爺様から話を聞いたよ。

アベンジャーズの事は知っているようだね。そんな君にお願いが有る…僕がメンターとして面倒を見てる隣人の蜘蛛少年、ソーの弟のように若い子達も小さいながらも手伝ってはくれている。君の力を我々に貸してはくれないだろうか?」

 

トニーの来日の目的はナルトの勧誘。ナルトは時空間忍術 飛雷神、血継限界 木遁。更には天照大御神の荒神を宿された人柱力 その潜在能力は勿論、強さも計り知れない。そんなナルトがアベンジャーズに加われば、飛雷神の援護も考えて後方支援でも力を発揮できる。

 

「あー…気持ちは嬉しいけど。今月は無理だってばよ」

「今月?」

 

だが、ナルトは今月は無理である。当然だ、今の冬木市では1ヶ月の期間を用いてあのバラエティー番組の収録が行われているためだ。

 

「聖杯バラエティー…1ヶ月一万円生活の収録が有るんだってばよ」

 

すると、何かの気配を感じてトニーは後ろを振り向く。そこには数名の番組スタッフを引き連れたマダラとドラえもんが立っていたのだ。

 

「ドラえもん!?」

「扉間の孫よ、俺達は行くぞ」

「またね、ナルト君」

 

ドラえもんはお腹の四次元ポケットから、ピンクの扉 どこでもドアを取り出して地面に立てた。

 

そして、ドラえもんはどこでもドアを開けてマダラとスタッフと共に何処かに消えた。ドラえもんは節約生活においては秘密道具を封印してるが、今回のようにお金が関わらない物では使うのだろう。

やがて、移動先でどこでもドアを仕舞ったのか、どこでもドアは消えた。

 

「オーマイガー…」

 

ドラえもんやマダラが実在してた為か、トニーは唖然としてしまった。ドラえもんは是非とも勧誘したいトニーだったが、今勧誘しては大変不味いのである。

 

「あっ、鉄のおっちゃん。今は力を貸せないけど、コレを」

 

ナルトは生のドラえもんを見て唖然としているトニーに、何やら術式が書かれた御守りを手渡した。この術式は飛雷神の術式であり、もしもの場合はナルトが救援に向かえるのだ。

 

「噂の飛雷神の術式かい?ありがとう。君がアベンジャーズに入る入らないは兎も角、今度はアメリカに遊びに来てくれ。ご馳走するよ」

 

そして、トニーは何処かに歩いて去っていく。どうやら、日本に来たのはナルトの勧誘以外にも目的が有るのだろう。

 

こうして、トニーはアベンジャーズに最も入りたい英霊=エミヤに会うことはなく、遠坂ハイツの前から去っていった。

 

すると、ガチャリと音が響いて遠坂ハイツの1つの部屋からとあり人物が出てきた。

 

「ナルト君!お待たせしました!!」

 

その人物は銛を持った聖女様 ジャンヌである。銛を持った理由は単純、このままではジャンヌは破産してしまう為に、彼女は自給自足を決意したのである。

 

「ジャンヌちゃん……銛、使ったことある?」

「無いですよ?」

 

だが、ジャンヌは銛なんか使った事はない。当然だが人生初の素潜り漁である。しかし、ジャンヌはやり遂げないと破産してしまうのだ。

 

「ジャンヌちゃん…一旦、それ置こっか。それは最終手段で、銛を使わなくても採取は出来るってばよ。俺がおしえっから」

「えっ?あっ…はい」

 

ジャンヌの水着姿での銛突き。確かに高視聴率は取れそうだが、放送事故が起きかねない。ナルトのお陰で、放送事故は未然に防がれた。

 

そして、ジャンヌちゃんが実践する…女の子でも始められる採取生活が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ふふふ…やはり、道の駅での食材は安い!!」

 

エミヤさん。道の駅で格安の豚バラ、格安の野菜を購入する。

 

「スーパーだと、旬に関係無く野菜が並ぶ。だがね、それらは高いのだよ。

道の駅は農家直送、その上安く美味しい。農家の方々の情報も載ってるので安全だ」

 

カメラ目線で、格安購入の知識を告げるエミヤさん。しかし、エミヤさんは知らない。1週間後、マダラが本気(狩猟生活)を、縁壱さんが本気(戦国山暮らしの知恵)を解禁する事を。




次回!ジャンヌの採取生活が始まり、綱手姫も頑張るのだった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

弱者生存戦略

頑張るジャンヌちゃんと綱手姫。


「ナルト君。此処って海ですよね?」

「海だってばよ。潜らないけど」

 

ジャンヌは食材をゲットする為にナルトの案内で海にやって来ていた。ただ、ジャンヌは危険な素潜り漁は行わない。きっと、素潜り漁はマダラさんがやってくれるのだから。では何をしにきたのか?それは弱者でも生きるために必要な採取を行える方法が有り、それを行うためである。

 

そんなジャンヌとナルトは…ナルトが飛雷神で一時帰宅し、家から持ってきたヘラとバケツを持っている。今からナルトがジャンヌに教えるのは、このヘラさえ有れば海にダイブしなくても美味しい食材をゲットする方法である。

 

「それじゃあ、こっち来て。ちょっと見た目がアレだけど、美味しい奴が居るってばよ」

 

ナルトがジャンヌを案内したのは岩部…所謂、磯と呼ばれる所だ。今は潮が引いており、潮が満ちている時間では海に浸かってる所も海の上に出ているのだ。

その磯で、ナルトはある所を指差す。そこには何やら、固そうな物がへばり着いている。

 

「ナルト君…なんですか?コレ」

「カメノテ。一応、エビやカニに近い仲間だってばよ」

 

この固そうな何かはカメノテ。亀の手に見える事からそう呼ばれる甲殻類…エビに近い仲間だが、残念だが岩にくっついて動くことは出来ない。

 

「味噌汁の出汁に使っても美味しいし、身を食べても美味しいってばよ。コイツをヘラを使って…ゴリゴリと」

 

ナルトはヘラを使い、カメノテを岩から剥がして捕獲するとバケツの中に入れる。カメノテはエビやカニと違い、移動はしないのでこのように簡単にゲット出来るのだ。

 

「コイツ等や貝類は動きが遅い。だから、魚とかと違って簡単に手に入るんだってばよ。あと、運が良ければアワビとかサザエも磯で手に入るから」

「そうなんですね!」

 

ジャンヌちゃん。手軽に獲物をゲットする知恵を入手。しかし、ナルトは知らない……食べ物への欲を進化させたジャンヌちゃんが海女ちゃんにジョブチェンジしてしまうことを。

 

 

 

一方、此方も今回の聖杯バラエティーこと1ヶ月一万円生活で頭を抱えていた綱手姫。彼女は娘である美遊と共に、食材の調達に来ていたが此方は川である。

 

「参ったな……これなら、私も自来也のようにサバイバルを経験するべきだったな」

 

綱手姫はエリート街道を突き進んでいた忍だ。最強の忍であり、マダラの親友 千手柱間の孫として産まれ、その才能を発揮していき…火影まで登り詰めた。しかし、彼女はサバイバルの経験は皆無。忍界大戦で野宿等は経験が有るが、彼女は医療忍者。自来也のように前線等にはでなかったのだ。

故に物資等は充分な後方支援。魚や虫を捕らえて食べる事はなく、修業時代もエロ仙人のように山籠り(ルナティック)をやった事は当然無い。

 

「お母さん。全然、釣れませんね」

「此処まで釣れないとはな…は…」

 

五代目火影も節約生活は初めての試み。パチンコや宝籤で金を増やそうとするが、彼女の賭け事はほぼ負ける。その為に、パチンコや宝籤は美遊から禁止令が出されたのである。

 

「買い出しでも減ったからな…」

「勝算有ります?」

「個人的にマダラには勝ちたいが……自信は無いな」

 

だが、そこに…

 

「貴女は綱手姫だったな?貴女も釣りか?」

 

その声が聞こえ、綱手と美遊は後ろを振り向く。そこには町の案内が終ったのか、ジャージ姿の縁壱が釣竿や手作りのトラップを沢山持って現れたのだ。

トラップ等は衛宮一家のリサイクルゴミ(ペットボトル)で作られており、縁壱さんの手作りである。

 

「縁壱殿か」

「鰻とナマズを捕まえようと思ってな」

 

ふと…縁壱は綱手の顔色を伺うと……

 

「綱手姫。貴女は始まってからカレー位しか食べてないな?」

「顔色で分かるのか!?」

「貴女は子供を育ててる身だ。その子の為にも、私個人としては頑張ってもらいたい……少し、待っててくれ」

 

縁壱さんはそう言うと、ジャージの袖を捲る。そして…川に近付くと、川に物凄い早さで腕を突っ込んだ。

 

「はい!?」

「えっ!?」

 

これには綱手親子は少し処か、かなり引いている。すると、縁壱さんは川から手を抜いた。その縁壱さんの手には……エラを掴まれた大きな魚、ナマズが握られていたのだ。

 

「私からの餞別だ。ナマズは泥を沢山食べている。食べる前に、綺麗な水に入れて泥を吐き出させるようにな」

 

縁壱さんは綱手親子のバケツにナマズを入れ、去っていった。

 

「この川の近辺には虫が多く生息してる。パンの耳よりも、バッタ等の方が食い付きが良い」

 

振り向き、そう言った縁壱さん。そして綱手姫、パンの耳で魚を釣ろうとしていた模様。それでは魚は滅多にやってこない。

 

「「バッタか…」」

 

その日の夜。綱手姫はナマズを食べようとしたが、捌き方が分からずスタッフに聞いたのは内緒である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、綱手姫はまだ知らない。縁壱さんの本気はこんな物では無いことを。

 

 

1週間後、冬木テレビ。この日、中間結果発表の為に参加者は集まった。

 

「やっと…一週間ですか」

 

「長かったよ…」

 

馴れない節約生活を一週間生き延び、軽く疲れた綱手姫とジャンヌちゃん。

 

「そろそろ潜るか」

 

「では私は登るか」

 

未だに本気を隠すマダラさんと縁壱さん。

 

「でも…楽しかった!」

 

ドラちゃんはお茶の間の人気をゲットし

 

「ふっ」

 

エミヤは余裕の笑みを浮かべた。




次回!中間結果発表!?

エミヤの残額は…どれほど!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

中間結果!!

エミヤの残額が明らかに!?


冬木テレビの特設スタジオ。そこで収録は行われており、いよいよ…6名のサーヴァントの皆様が生き抜いた一週間の結果が発表される。

 

サーヴァントとペアを組んでいるマスター+ナルトはペアであるサーヴァントと共に座っており、その中でもサバイバルや節約生活なんぞやったことが無い綱手姫とジャンヌちゃんは祈っていた。

 

「ベッタでは有りませんように!」

 

「頼む!!せめて…せめてマダラよりは上の順位で!」

 

祈るジャンヌちゃんに綱手姫。食費は勿論、光熱費も回収されている為に参加者の持ち金は減っている。食費をどれだけ削ろうが、料理を作ったり電気を着けたりしていたら光熱費でゴリゴリと減っていくのだ。いや、水道水やお風呂の水、洗濯に使う水の水道代も考えれば結構かかる。それらの事も考えて生活せねば、一万円生活での勝利は無い。

 

「まだまだ、一週間だから巻き返しは出来るぞ!」

 

と少し余裕を見せるドラえもん。と言うのも、遠坂姉弟のサーヴァントのマスター達は全員が料理できる。その料理上手な次女 桜の指導を受けてドラえもんはある程度は食材を節約出来ているのだ。なにより、彼には世界中にファンという味方が着いている。

 

「なに…その気に成れば、食費はゼロに出来る」

「同感だな」

 

と本気を出せば自給自足(マジ)が出来るマダラさんと縁壱さん。この2人はその気に成れば、光熱費(灯り)だけの消費で生活する事が出来るのだ。

 

「この収録の間や一万円生活が終ってから因幡を鍛えるのも有りだな」

「私も士郎に呼吸を教えるとするか」

 

そして強制的に鍛えられる事が決定したマスターの因幡と士郎であった。

 

「そう言えば、サスケの恩師がサスケや七代目火影を鍛えていた時…担当上忍+スリーマンセルだったな。良し、因幡の序でに凛と桜の面倒も見てやろう」

 

凛と桜、マダラさんの気紛れで魔改造が確定。マダラは本来は優しい男(クレイジーサイコホモ)なので、多少は問題ないだろう。

 

「凛は猿飛の小僧と同じく、五大元素全ての適性が有る。桜は幻術タイプだが、陽遁の性質も有る。おい、柱間の孫娘、桜に医療忍術を教えてやれ。お前以上のくノ一に化けるぞ」

「今はそれ処じゃ無いんだよ!!」

 

綱手姫、ごもっともです。サバイバルの適性MAXのマダラと違い、綱手姫は節約もサバイバルもペーペーの初心者。今の期間は余裕は無く、どうやって1ヶ月を過ごすかで必死なのだ。

 

「ふっ…」

 

されど、主夫であるエミヤは誇らしげに笑うだけ。そう、彼は一位を取る自信しか無いのである。この世界の自分が着いてる縁壱は兎も角、遠坂姉弟は買い物を基本的にスーパーで行う。その時点でマダラとドラえもんは数百円のロスをしており、朝市や道の駅を知らない縁壱もエミヤと比べればロスを犯している。

 

(君達は豚バラを買うにも100円は最低でも使ってるだろう?残念だが、私はそれよりも安い値段で上質な豚バラを手に入れてるのだ。

魚や野菜に対してもそうさ。買い物の時点で君達は私に負けている。この勝負、私の勝ちだ!!)

 

心の中でドヤァ!!とキメ顔を決めるエミヤさん。そう、買い物の時点で彼は勝ったも同然であり、収録で見せた節約レシピも合わさって彼の優勝は決まったも同然だ……………普通の1ヶ月一万円生活ならば。

 

だが、エミヤさんは知らない。真の節約=サバイバルだと言う、超人にしか出来ない節約?術が存在していることを。

 

 

 

 

 

 

「えー…それじゃあ、結果発表しますね」

 

司会者の芸能人に言われ、いよいよ運命の中間結果発表である。

 

1位エミヤ 残額7900円。

 

2位ドラえもん 残額6920円

 

3位縁壱 残額6600円

 

4位綱手 残額6420円

 

5位マダラ 残額6008円

 

最下位ジャンヌ 残額4898円

 

「よっしゃぁぁぁあ!!マダラに勝ったぞ!!」

 

綱手姫。お爺様である柱間の親友であるマダラに勝った為か、物凄く嬉しそう。しかし、綱手は気付いていない。

 

(おっ…お母さん。マダラさんは小麦粉や蕎麦粉とか、長期戦出来る食材を買溜めしてるんですよ?お母さんは買溜して無いですよね?)

 

自分はそこまで買溜めしておらず、食料の事も考えれば実質マダラが3位で縁壱が2位だという事を。

 

「次の中間結果は来週です。皆さん、頑張って下さいね」

 

次の中間結果発表は来週の2週間目である。果たして…それまでに参加者の皆様はどれほど、節約出来るのだろうか?下位の人達は巻き返す事が出来るのか!?そしてエミヤは無事に首位を死守出来るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…

 

「魔王サーゼクス。状況は分かってますね?」

 

日本の某所。そこで日本を率いる総理大臣 秋月信彦は、付人としてカカシを連れ、三大勢力のとある人物と会談を行っていた。その人物は魔王サーゼクス・ルシファー、グレモリーの父とバアルの母を持ちバアルの一族以外で滅びの力を受け継いだ悪魔だ。

 

この2人が会談を行ってるのには理由が有る。それは信彦が総理大臣と成る前から、悪魔が日本を統治していた。悪魔の駒の乱用、更には転生悪魔を奴隷として使う風習。お陰様で、数年前まで日本は本当にデンジャラスな国だったのだ。何故なら、日本を守護する筈の五大宗家が悪魔の統治を認め、実質の奴隷制度と言えた悪魔の駒を認めていたのだから。

しかし、五大宗家で悪魔と繋がっていた者達はナルトの身体を借りた太陽神の裁きで蒸発(特に姫島)、お陰で様々な事が明るみになり悪魔は日本の政治に介入出来なくなったのだ。

 

「貴殿方の行為はハッキリ言って、日本の不法占拠…いいえ、一方的な植民地化ですね。

我々からは悪魔は日本から完全に撤退、及び永久的に日本での悪魔の駒の使用を禁じます」

 

信彦の言葉を聞いて、サーゼクスは奥歯を噛み締める。だが、信彦の提案を受け入れるしかない。何故なら、日本には最愛の妹が御忍びで留学しており、これ以上悪魔の評価が下がれば留学さえも認められず、妹は迫害を受けてしまう。

 

「分かりました…」

 

だが…サーゼクスは知らない。彼は大王派のゼクラム・バアルが世界を回すための傀儡政権の為に選ばれた強いだけの悪魔だと言うことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「なんで…こうなったんだろ」

 

シュノーケルを装備したドラえもんが冬木の海岸で嘆く。そんなドラちゃんの視線の先には…

 

「エミヤよ……ならば、このうちはマダラも本気のサバイバルで答えよう!!」

 

褌一丁(海パン仕様)のマダラが銛を持ち、腰にナイフを装備している。そんな褌一丁で筋肉ムキムキなマダラさんの隣には…

 

「次女でもお姉ちゃんなんですよ!」

 

海女さん装備の桜お姉ちゃん。

 

「いっくぜぇぇぇえ!!」

 

海パンで銛を装備し、瞳が黒い六芒星の万華鏡写輪眼に成った因幡が居た。

 

 

「因幡にマダラ!!今、四月よ!?」

 

凛のツッコミが響いたが、そんな事はお構いなしにマダラさんに次女そして万華鏡を開眼した末っ子が海に飛び込んだ。

なお、末っ子が万華鏡を開眼した訳は………因幡が保管してたエロ同人誌を時臣が魔術で燃やした為である。なお、覚醒した瞬間に、時臣と道化のバギーは万華鏡の幻術で掘られたとか。

 

 

「所でドラえもん。因幡の眼の視力は大丈夫なの?」

「秘密道具使って永遠の万華鏡にしたよ」

 

遠坂家、千手一家の次にヤヴァイ一家に成る。

 

 

 

 

 

 

動き出したのはマダラさんだけではない。実はと言うと、冬木テレビのディレクター達も動き出していた。ディレクター達は日頃から番組を面白くする為に、日頃から頑張っている。

 

そんな彼等は会議室で会議を行っていたが……

 

「あの…参加者の方々は勿論でしたけど、マスターの方々もインパクト凄いですね」

「ですよね。あの子達、全員天然記念物級だよ!他に居ないからね!?」

 

ディレクターの皆様、今回参加したマスターの方々のインパクトも知ってしまった模様。

 

「あの子達…素質バリバリだもんね。士郎君はタレントとして、他の子達はアイドルに向いてるよ!」

「村の開拓をしてるアイドルにディルムッドさんが居たし、聞いてもらおうか」

 

影で新たなプロジェクトが進行していた。




マダラ…本気を解放する。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ダークナイト

バットマンは出てきません。


「日本め…弱小国と弱小神話の癖にやるじゃないか」

 

だらけたような声が部屋に響く。声の主は五大宗家と癒着していた魔王の1人ファルビウム・アスモデウスである。しかし、彼の頭皮には髪の毛が1本も存在しない。言うならば、スキンヘッドである。これには訳が有る…ファルビウムは好きでスキンヘッドに成った訳では無いのだ。

 

「身の程を知れって言いたいけど、まあ…悪魔と繋がりの有る国は多い。財政を干上がらせて、思い知らせても良いし…力の差を見せ付けて粉砕するのも良いね」

 

カランとファルビウムは持っているグラスをかき混ぜる。彼が持つグラスには上等な酒が入っており、日本円で言えば何百万とする品物である。

ファルビウムを始め、多くの悪魔は人間よりも悪魔の方が素晴らしく上に立つべきだと認識しており、彼等が真に悪魔と認めるのは純血の貴族悪魔だけである。だから、ファルビウムは気に入らなかった。日本が悪魔を閉め出し、お陰で悪魔の支配下から脱した日本をだ。その上、日本は悪魔が恩恵を与える素晴らしき品物 悪魔の駒の使用を禁止し、悪魔は日本で眷属を作ることが出来なくなったのだ。

 

「奴隷候補の癖にやるじゃないか」

 

ピシリ…グラスに罅が入る。当然だ、悪魔の駒で折角仲間に迎え入れて思う存分に才能を活かして死ぬまで働く権利を上げようとしたのに、逆らうのだから。

 

日本には魔法省の精鋭が展開した結界で覆われており、転移での入国は不可能。転移で入国しようとすれば、強制的に税関に強制転移される仕組みなのだ。今までは無断で転移入国してもお咎めは無し。三大勢力は日頃からこの方法で転移していたが、それは2度と不可能。

 

だが…ファルビウムは笑みを浮かべた。

 

「だけどね…盲点が有るね。転移魔法(厳密には魔術)は使えない。だけど、君達が日頃から使う口寄せを巧く使えばどうかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第五次のサーヴァントがバラエティーで頑張っている頃。

 

何処かの学校の屋上。そこでバイオリンを奏でる音が夕焼けを背景に広がる。屋上には金髪の女顔の少年がバイオリンを奏でていた。その演奏はプロと遜色なく間違いなく、場所が場所ならば生活出来る程の報酬を貰う事が出来るだろう。

 

金髪の少年は紅ギャスパー。世界的なバイオリニストである紅音也の末の息子であり、世界的に有名なバイオリン職人である紅渡を兄に持つ。色々訳があって家族の誰とも似ていないがそれは事情が有るのである。

 

ギャスパーは女性の胸に執着した赤龍帝がハーレムを築く世界(正史)と異なり、身長も同年代の平均と同じ位は有り、色々有って身体も正史と比べるとゴツく筋肉が少し発達してるのが学ランの上からでも分かる。

 

やがて、演奏が終ったのかギャスパーはバイオリンを止めて、魔術を用いて亜空間に仕舞った。

 

「ギャスパー。そろそろ帰らないと、真夜に怒られるぞ」

 

何処からともなくその声が聞こえると、ギャスパーの肩に黒いコウモリのようなUMAが降り立った。このコウモリのようなUMAはキバットバット2世、通称キバット2世であり息子と娘が居る。一応、種族はキバット族と言うものだ。

 

「うん。それじゃあ、帰ろっかキバッチ」

 

そんなキバット2世の事をギャスパーはキバッチと呼んでいる。と言うのも、今の紅一家でキバットと言えば2世の息子である3世であり、3世の方をギャスパーはキバットと言ってる為にキバッチと2世を呼んでいる。そんなギャスパーに対し、キバット2世は「ありがたく思え」と特別に赦しているのだ。

 

そして、ギャスパーはあろうことか屋上から飛び降りる。普通ならば間違いなく自殺行為だが、ギャスパーにとっては全然自殺行為ではない。至って普通の事である。

ギャスパーは何事もなく、重力を感じさせない程の動きで着地すると平然と歩きだしてその場を去っていく。

 

「おら!お前達!もっと腹から声出せよ!!」

 

「はいファイトー!」

 

「ボール行ったぞ!」

「任せておけ!!」

 

ギャスパーは帰宅部だ。軽音部からオファーは何度もかかったが、彼はやんわりと断っている。だから、校庭や体育館から響く声や黄色い歓声とは無縁の生活を彼は送ってるのだ。

 

校庭には猫耳が生えた少女、狐耳が生えて尻尾が生えた少年も混ざって部活動を行っていた。日本は数少ない、種族の差別が無く様々な種族が共存してる珍しい国だ。そして、人も亜人(人型の妖怪や他種族)も何不自由無く過ごせる唯一の国である。

 

「良い時代に成ったな…」

 

ギャスパーはこの日本で育ち、千手の家と紅一家の2つの家族に育てられた。だが、ギャスパーの生まれは日本ではなくルーマニアだ。

ギャスパーは人間の母と最上級の吸血鬼に産まれたのだ。だが、吸血鬼は悪魔と同程度かそれ以上に血統の差別が激しく、ギャスパーの母親は奴隷当然の身分だったのだ。奴隷と一族の当主の間に産まれたギャスパー、しかもギャスパーは突然変異であり吸血鬼であって吸血鬼とも人間でもないナニカとして産まれたのだ。故に、ギャスパーは追放処分を受けて…吸血鬼の血を引いてるだけで人間に殺されそうな所をエンマに拾われた。

 

そして紅一家に出会い、音也の息子に成って音也とその妻でありファンガイアの真夜からキバット2世を引き継がれてギャスパーは仮面ライダーに成ったのだ。

 

校門を出て夕日が町に消えて夜がやって来る。

ギャスパーの自宅は豪邸と言える程であり、親が親な為か滅茶苦茶デカイ。この辺りは高級住宅街として有名だが、その中でもかなりデカイ屋敷に家族4人(長男 太牙は都内の高級マンションで1人暮らし)とキバット親子で暮らしてるのだ。

 

 

 

 

「キバッチ……」

「お前も感じたか…行くぞ」

 

ギャスパーは闇に紛れ、突如として消えた。

 

 

 

 

 

ギャスパーが暮らす高級住宅街。そこを1人の少女が何かから逃げていた。彼女は関東でも有名な元私立、現国立の学校 駒王学園高等部の制服を着ており、そこの学生である。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

少女は白い髪をしており、胸はデカク、スタイルは抜群だ。そんな彼女はしきりに後ろを見ては何かから逃げている。

 

彼女の名前は花戒 桃。駒王学園高等部の1年生であり、財閥の娘である。

 

「ぐへへ…待てよ!お前なら、ゼファードル様も喜ぶぜ!」

 

と…桃はチンピラ集団(ファルビウム考案の密入国での入国)こと、不法入国した悪魔の集団である。当然、ファルビウムを始めとした悪魔が格下に見てる日本との決まりを守る事は無く、問答無用に眷属確保を悪魔は行っていたのだ。

 

桃を追い掛けてる悪魔達はファルビウムの弟 ゼファードル・グラシャラボラスの眷属達だ。魔王の弟が選んだだけは有って、優秀な力を持っている。

 

逃げる桃だったが、何かに当たってしまう。ふと、前を見ると…そこには半裸で褐色肌の男が立っていた。この男こそが、ファルビウムの弟であり優秀な上級悪魔 ゼファードル・グラシャラボラスである。

 

「じゅるり…胸もデカイし、上玉じゃないか」

 

声を出したかったが、出せなかった。口を手で押さえられ…その場に組伏せられてしまう桃。必死に暴れても人間と悪魔の力の差は歴然だ。一部の例外はチャクラブーストや後に縁壱が世に広める全集中の呼吸を使わずとも、人外と互角に戦える(例 音也パパ、一条さん)。しかし、普通の人間はチャクラブーストや全集中を使えばともかく、使わなかったら先ず勝てない。

 

「ムー!ムー!!」

 

もう、為す術がない。ゼファードルは悪魔の駒でとっとと眷族に変えて奴隷にしたかったが、その前に桃が人で居る間に楽しみたかったのだろう。

 

「さてと…堪能するとするか」

 

桃の口を離し、代わりに動かぬように右手で桃の身体を抑える。そして…左手で大きな胸を堪能しだした。

 

「俺の子種を受け入れる事を誇りに思いな」

 

そして…ゼファードルは自分のズボンを脱ごうとしたが……

 

「ごふぁぁ!?」

 

何者かに突如として蹴られ、バキバキと脛椎がへしまがり…顎の骨が砕ける。いくら悪魔が人間よりも頑丈だと言え、脛椎を損傷すればマトモに動けない。ゼファードルは蹴られた衝撃で地面を転がり、見事に動かなくなった。

 

「へ?」

 

何が起きたのか理解出来なかった桃。しかし、彼女は大きな気配を感じて立ち上がる。そんな彼女を、チンピラ集団ことゼファードルの眷属から守るように立つ金髪の少年 ギャスパーが居たのだ。

 

「キバッチ」

「絶滅タイムだ……」

 

ギャスパーはキバット2世を掴み、キバット2世は口を開ける。そして、ギャスパーはキバット2世を自分の左手に噛ませた。

 

「ガブ!!」

「変身!!」

 

キバット2世はギャスパーを噛み、ギャスパーに力を送り込む。すると、ギャスパーの身体に変化が起きたのだ。

ギャスパーの頬に紋様が現れ、腰には黒いベルトが出現したのだ。ベルトの中央には何かが停まれるように成っており、ギャスパーはその中央にバックルとしてキバット2世を止まり木のように停まらせた。

 

次の瞬間…莫大な魔力が解き放たれ、闇のキバが出現した。その闇のキバの名前は仮面ライダーダークキバ。嘗て、音也が真夜を救うために戦い抜いた、仮面ライダーである。黒と赤の戦士はマントを波立たせ、一歩前に歩み出す。

 

「バカな……仮面ライダーだと!?」

 

ゼファードルの眷属の1人がそう言い、フェニックスの涙で復活したゼファードルが立ち上がる。

 

「仮面ライダーだと?へっ…悪魔の敵じゃない!消し飛べよ!!俺の楽しみを奪いやがってよ!!」

 

ゼファードルは両手から魔力を解き放ち、ダークキバを攻撃する。その威力は大地を抉り、人間を軍単位で消し飛ばす力を持つ。当然、周囲の家々にも損害が出て、ご近所の悲鳴が響き、逃げ出す足音が闇に聞こえる。

 

「バカな…」

 

ゼファードルの一撃は最上級の存在にもダメージを与えることが可能だ。しかし、ダークキバに傷は見当たらずギャスパーはダメージを受けていない。

 

その刹那…ゼファードルの眼前に拳を構えたダークキバが現れる。ゼファードルが反応出来ない程の速度、そして拳は放たれてゼファードルは一撃で粉砕された。

 

「安心しろ…ダークキバは殺してはいない。貴様達には聞かねばならない事が有るからな。まあ、死んだ方がマシだがな」

 

ベルトに止まったキバット2世がそう告げ、ギャスパーは地面を蹴って消える。その後、アスファルトには手足をバキバキにへし折られ、封印術で術を封じられた悪魔達が転がっていた。

 

「キバッチ…コイツらどうしよう?」

「暗部に引き渡せ。間違いなく、条約違反だ。あと、その子は送ってやれ」

 

その後、ゼファードルと愉快な取り巻きは警察に引き渡され…そこからシェムハザ率いる暗部の拷問&尋問を受けることと成った。

 

あと、桃はギャスパーとキバット2世の護衛の元で帰宅した。




此処のギャスパーは顔だけ男の娘です(笑)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

動き出す

何が動き出すのか?


「ゼファードル様との連絡が途絶えた!!」

 

「己れ…弱小国の分際で…」

 

「いい加減、身の程を弁えたらどうなのだ!!」

 

魔王の弟の連絡が途絶えた。これには悪魔の重鎮達は騒ぎ立てる。弱小であり、自分達に従うべきである日本の手で魔王の弟の身に何かが起きた。これははっきりと言えば、戦争行為である。

 

もう…大分も前に成る。日本は今まで悪魔に従順だったが、あの時から牙を剥き出した。主人である悪魔にたてつくとは赦されない。

純血の貴族悪魔 フールフールの次期当主を半殺しにされ、堕天使と秘密裏に手を組んで犯人を殺そうとした。しかし、その犯人は常識では考えられない力で蘇生し、理不尽を証明した力 木遁 真数千手でフールフールの当主を含めた数多の純血悪魔を皆殺しにしたのだ。

 

それから時が流れて、魔王の弟が穢らわしい植民地である日本で行方不明に成った。これには日本を直接叩き、力の差を知らしめる必要が有るのである。

 

「ファルビウム様!!今こそ、日本を叩き…力の差を見せ付ける時です!!」

「うん…流石の僕も頭に来たしね」

 

故にファルビウムは実行に移す。悪魔がその気ならば、数時間でアジアを更地に変える事が可能だ。憐れな人間…それも日本に裁きを降さねば、成るまい。

 

「俺もそれに関しては賛成だ。日本の言葉に従うサーゼクスと、魔王の業務に興味は無いセラフォルーは反対するだろうがな」

 

そう言って、新たな人物が現れた。その男は魔王ベルゼブブであるアジュカ・ベルゼブブ。悪魔の駒を開発し、悪魔に革命をもたらした天才である。

この男が悪魔の駒を開発し、悪魔は人材を沢山確保出来て三大勢力最強の一角に成ることが出来たのだ。

 

「俺も弟が居るから分かるさ、ファルビウム。俺の弟は最近、元気でな。新たな眷属候補を見つけ、その眷属候補である聖女を教会から追放させてウキウキしている。

それに…悪魔の駒は俺の最高傑作だ。その最高傑作を認めないなんてな…日本はどうかしてるさ」

 

と言うアジュカ。アジュカの力は神を屠る程は有り、最強の悪魔とも言われている。そんな彼が戦争に賛成してくれて参加してくれる。これほど、嬉しい事は無い。悪魔は歓喜に沸き、大喜びだ。

 

 

 

 

 

この時までは……

 

「条約違反だ。魔王サーゼクスから許可は貰った。これより執行する……万華鏡写輪眼 海神(ワダツミ)

 

その時…辺り一面を破壊する衝撃波がアジュカを視点に始まり、アジュカは破裂して即死。他の悪魔達も衝撃波で消し飛び、建物は振動と衝撃波で消し飛んでファルビウムの上半身は外に投げ出された。

 

「アガァァァア!?僕の下半身が!?」

 

何が起きたのか、ファルビウムは理解出来なかった。気が着けば断末魔の叫びを上げる事も無くアジュカは消し飛び、仲間達も衝撃波で消し飛んだ。建物は振動の揺れと衝撃波で消し飛び、ファルビウムも下半身を失った。だが、悪魔という種族故か…何とか生きている状態だ。

 

「冥土の土産に教えてやろう。万華鏡写輪眼 海神。その力は振動操作だ。細かい超音波クラスの揺れから、都市さえも滅ぼす地震や津波を引き起こす程の振動を発生させる事が出来る。

振動の発生地点は俺が見た所及び俺の周囲だ」

 

その声が聞こえ…ファルビウムの前に1人の男が現れた。ファルビウムはその男が誰なのか知っている。いや、ファルビウムの毛根を根絶やしにする原因と成った男なのだから。

 

「千手エンマ!!」

 

千手エンマ。ファルビウムはその男を昔から知っている。初めて名前を知ったのは元老院のフールフールが討伐の為に軍を出したいと言った時であり、その時の討伐対象。そして、次が元老院の復讐の為に産まれたばかりの千手ナルトを拉致した時である。

ファルビウムは五大宗家の姫島と癒着しており、姫島の協力でナルトに九尾を封印した。その九尾が天照の荒神とは知らなず、幼い暴走したナルトの手で毛根が消し飛ばされたが。

 

「遺言は…それで良いな?螺旋丸!!」

 

ファルビウムは螺旋丸の一撃で消し飛ばされ、この世から消えた。

 

すると、エンマの隣に次男であるオグナが現れる。オグナもナルトと同じく成長しており、今は身長173cm程だろう。あと、随分と扉間に色々と似てきた。

 

「父上。元老院には逃げられた。今、自来也先生とイタチ先生が追い掛けてるが…」

「多分、冥界から逃げたな」

 

確実に魔王2人を殺すためか、エンマが魔王2人の所にやって来たが…元老院を逃がしてしまった。だが、それは良いだろう。魔王2人を失い、元老院は今回の事で日本の力を知っただろうし、悪魔からも追われる身と成るだろう。

 

「オグナ。俺はこれから調べる事が出来た」

「父上?」

「聖堂教会が悪魔と繋がっている可能性が高い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くか」

 

その頃、縁壱さんは大きな荷物を背負って遠坂ハイツを出発した。

 

「縁壱さん!今日は何処に行くの?」

 

そんな縁壱に着いていくのはマスター 士郎の妹のイリヤだ。

 

「山で採取さ。なに、イリヤでも覚えたら簡単だ」

 

縁壱さん。イリヤちゃんに戦国山暮しを伝授する!!




次回!縁壱さん、本気を出す。

「仕掛けを覚えれば、イリヤでも出来る。人が辿り着く所は同じだ」

イリヤ「凄くて真似できないです!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

縁壱キャンプ!!

縁壱さん、不完全(狩猟免許の都合上)だけど本気を出す


冬木市の隣町に有る山。そこに縁壱はイリヤを連れてやって来た。1ヶ月一万円生活故に、運賃は番組が払ってくれる為に縁壱とイリヤは冬木駅から出てるバスを用いて、その山の麓までやって来た。

 

冬木市の周辺は海や川は勿論、山にも囲まれている。しかし、山という物は町や市、範囲を広くすれば県と県の境目にも使われる事が有る。故に、その山も入口は冬木ではなく隣町に該当するのだ。

とは言え山自体は冬木市に存在しており、実はと言うと中間結果が発表された日の晩から縁壱は色々と仕掛けを問答無用に仕掛けているのである。

 

登山口にやって来たイリヤは心配そうに、縁壱を見上げる。

 

「縁壱さん?」

「イリヤ、安心しなさい。熊が出てきても命に変えても私が守る」

「そう言う意味じゃないんですけど…てか、熊さんよりも縁壱さんの方が遥かに強いからね!?」

 

そう、イリヤは別の意味で心配してるのだ。日本では現在、銛突きや投網は良いが…山の中に罠を仕掛けて猪や熊を捕らえるのには免許が必要で県によっては禁止されている季節も有るのだ。

 

「あっあの…罠とかは川だけだよね?」

「ああ、その事か。川に鰻や海老を対象とした罠しか仕掛けてないよ。仕掛けようとしたら、スタッフに停められたから」

「やっぱり仕掛けようとしたよ!この人!!」

 

縁壱さん…猪を食べようとして、山に罠を仕掛けようとした模様。勿論、今の日本では特別な資格がないと罠を仕掛けられないので…縁壱は猪を捕らえる事が出来なかった。

 

「それじゃあ…行こうか」

 

縁壱はイリヤがはぐれないように、優しく左手でイリヤの右手を握る。そして、登山口から山に入っていった。

 

 

 

 

「先ずは山菜から採ろうか」

「山菜!?これなら、真似出来そう!」

 

山菜やキノコは自生している。故に当然だが、動き回る事はなく、簡単に手に入るのだ。

 

「この時期はタラの芽が美味しくてな。天ぷら等にすると良いぞ」

 

と次々と美味しそうな山菜を見付けては確保する縁壱。しかし、イリヤは知らない。彼女達が縁壱の真似を出来るのはこれぐらいだと。

 

 

 

そして、イリヤは縁壱の案内で川にやって来た。川は流れが早く、入って足を滑らせたら流れていってしまいそうで危ない。しかし、縁壱は川に近付いていき…岩場に仕掛けた何かを川から引き上げた。それは籠であり、中には沢山の川海老が入っていたのだ。

 

「うわ…海老が沢山。これ、食べるですか?」

「食べる物も有るが、この半分は釣り餌だ」

 

―む?釣りの餌さ?

 

イリヤを含め、多くの撮影スタッフの頭に疑問が出てきた。そう、縁壱はこの海老をあろうことか、食用が本命ではなく釣りの餌として使うことが目的だったのだ。

 

「えっ!?餌なの!?」

「やはり、自然界の物の方が食い付きが良くてな」

 

すると、縁壱は小さな海老を釣竿の針に着けて、川に投げる。待つこと数秒だろうか?縁壱の竿に当たりが来て縁壱は竿を上げる。糸の先には…イワナが掛かっていたのだ。

 

「釣り上げるの早!?」

「私がその気ならば、物が透けて見える。これを使うことで、川の何処に魚が居るのか見えるんだ」

「人間って鍛練次第で白眼越えれるの!?」

 

そう、縁壱には物が透けて見えるのだ。今はオンオフを覚えたが彼は生まれつき見えており、家出して妻に会うまでは透けて見えるのが普通だと思っていたのだ。

 

そして、それを使うことで川の何処に魚が居るのか簡単に分かった縁壱は…その透視能力…透き通る世界を用いて魚が掛かりそうなポイントに釣糸を垂らしていただけである。

 

「これは私の兄上、私の嘗ての仲間達も習得出来た。イリヤ、道を極めた人が辿り着く境地は同じだ。君も頑張れば出来る」

「……ごめんなさい、ちょっと凄すぎて着いていけないです」

 

小4に突っ込まれるグランド・セイバー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、イリヤは知らない。1年後行われる新たな1ヶ月一万円生活で、狩猟免許を修得した縁壱の完全体本気はこんな物では無かった事を。

 

「明日は鰻にするか。体力着くぞ」

 

あと、オンエアを見てマダラと縁壱だったら、縁壱さんの方が良かったと思うのは内緒である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブリ、とったどぉぉおおお!!」

 

海面に立ち、銛で仕留めたブリを掲げる褌一丁のマダラさんであった。




次回!マダラの本気。その時…海の生物は恐怖した、自分達の食物連鎖の序列が落ちたことを。

なお、本編が始まってからの1ヶ月一万円生活2ではマダラ(最早ナスD)、縁壱さん、エミヤ、バギー(春日枠)+???が参加します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マダラ襲来!!海が悲鳴を上げる!!

その日…海産物は思い出した。


「とっ…時臣!!俺達…どうなるんだ?ガクガクブルブル」

「優雅たれ…優雅たれ……取り合えず、私だけでも優雅たれ…ガクガクブルブル」

 

冬木でトップクラスに大きな屋敷 遠坂屋敷。その庭は現在、魔境と成っていた。と言うのも1ヶ月一万円生活の合間を見付け、マダラに魔改造とも言える指導を受けた子供達3人のお陰である。

 

「火遁 火龍炎弾!!水遁 水龍弾!!風遁 真空連波!!土遁 土波!!雷遁 ライデイン!!はっはは!!どんなもんよ!!」

 

五大元素の性質変化を修め、様々な高等忍術を修得した長女 凛。

 

「しゃんなろぉぉお!!からの……影縫い!!」

 

拳で大地を粉砕し、影を操って物を切り裂く次女 桜。後に綱手から医療忍術を指南してもらう予定である。

 

「フハハハハ!!スサノオであーる!!」

 

青い女神のようなスサノオを展開した末っ子因幡。スサノオは万華鏡写輪眼の瞳術の1つであるが、瞳術であって瞳術ではない。何故なら、肉体に宿る為に失明しても使えるためだ。

因幡のスサノオは右手にガンブレード、左手にヘビィボウガンを持っている。

 

「更に万華鏡写輪眼 浄玻璃!!」

 

すると、凛と桜の攻撃でぶっ壊れた庭が元通りに戻っていく。万華鏡写輪眼 浄玻璃。これはマダラも宿していた固有瞳術(ゲームの特典映像。名前は完全に独自設定)であり、物体の時間を巻き戻す事が可能なのだ。事実、過去…柱間との戦いでマダラは投擲された手裏剣の時間を浄玻璃で巻き戻してカウンター攻撃している。

 

「からの万華鏡写輪眼 ユキアネサ!!」

 

その直後…遠坂屋敷の庭は絶対零度に覆われ、時臣とバギーは仲良く凍った。万華鏡写輪眼 雪女(ユキアネサ)の力は温度操作である。絶対零度から超高温まで自由自在である。

 

「もう…家の子供達は……優雅たれ…優雅たれ…」

「もう…俺様よりも強いよぉぉ…」

 

直ぐにユキアネサの力で復活させられたバギーと時臣の感想であった。

 

「流石は私の自慢の子供達ね!」

 

一方、家庭の頂点に君臨する葵ママは大喜びであった。

 

 

 

 

一方、遠坂の子供達は魔改造したこの御方は…

 

「明日は中間結果だったな」

 

食品はタダ、光熱費はシャワーだけ、飲水はろ過した川の水、食事を作るのは木遁で作った篝火。完全本気モードのマダラさんは今日も海に潜る。

 

冬木の海面に立ち、右手に銛を持ち、左手には捕らえた魚を容れておく網を携え…腰にはナイフを装備。されど衣類は褌の水着一丁の超人 マダラさんである。

 

そんなマダラさんの直ぐ側には海面を立って歩く処か走れるマダラさんに追い付く為に、漁船に乗ったスタッフの皆様である。

 

「あっ…マダラさん。次の中間結果が終れば…3食に一回はアパートの台所で普通に料理して下さいね。流石にエミヤさんは兎も角、ジャンヌさんや綱手さん、一部の視聴者から苦情が来てます」

 

だが…嘗て…1ヶ月一万円生活でサバイバルを行ったお笑い芸人と異なり、マダラがその気になれば0円生活さえも可能だ。故に、確実にサバイバル素人(主に綱手姫)から苦情が来てしまうのである。

 

「…テレビとは難しい物だな」

 

そう、テレビは難しい。マダラさんは映えを狙い、自慢のサバイバルで戦っている。しかし、度が過ぎれば引かれてしまうのである。もう、既にマダラさんはドン引きな行為を連発(例 四月に褌一丁で海に潜る。泳いで回遊魚に追い付いて銛で仕留める。海の上を全力疾走して漁船を追い越す)してるので今さらでは有るが。

 

「と言うかですね…マダラさんの教育のお陰で、因幡くんと桜ちゃんが日に日に人間離れしてる気がするんですけど」

「良いではないか。葵からは許可を貰っている」

 

――良くねぇぇえ!!

 

撮影スタッフの気持ちが1つに成った。そう、日に日に遠坂姉弟(特に因幡と桜)は人間離れしてきている。こうなったのも大体処か、全てはマダラさんの指導のお陰である。

 

冬木テレビとしては、マスターの方々はアイドルとしてプロデュースしようとしていた。しかし、マダラさんのお陰でアイドルデビューすれば因幡と桜は世界最強のアイドル(物理)に成ってしまうのである。

 

「その場合は…俺がプロデューサーになってやろう!!」

 

――世界最強のプロデューサー、マダラP。誕生

 

謎のテロップが入ったが、気にしてはいけない。

 

 

 

 

マダラは海に潜り、瞳を万華鏡写輪眼に変化させて辺りを探る。マダラが潜ってる所は沖であり、素潜り初日に因幡と桜にサバイバルを叩き込んだ浅瀬と違い大きな魚がうようよ居る。

 

すると…マダラが水を蹴って加速する。マダラが加速した先には甘鯛が居たのだ。マダラは目にも見えない程の速度で銛を穿ち、甘鯛を一撃で仕留める。

 

そして、甘鯛を回収しては………マダラはナイフで甘鯛の腹を割いては、内臓を捨てたのだった。

 

(後は…三枚に卸して調理するだけだな)

 

マダラ流サバイバル。カワハギ等の肝や内臓を調理に使う一部の魚とデカ過ぎる魚を除いて、内臓は海中で捌くのである。これにはもう1つ大きな訳が有る。それは寄生虫対策だ。魚の寄生虫…特にアニサキスは基本的に内臓に潜んでいる。肉等に潜むアニサキスは魚が死んでから時間が経ち、移動した結果なのだ。

 

(仕留めて直ぐに内臓を捨てれば、アニサキスは怖くない)

 

マダラがスマホから手に入れた知識である。

 

「む?」

 

だが、そこでマダラは気付いた。此方に向かって何かが高速で泳いできたのである。その正体は大きな背鰭が有り、鋭い歯が生え揃っている。そしてデカイ。

 

「鮫だ!!マダラさん!!鮫が近付いてますよ!!」

 

漁船の上からスタッフが叫ぶ。そう、鮫が近付いてきてるのだ。鮫は日本でも多くの被害を出してる狂暴な鮫 イタチザメ。準絶滅危惧種だが、被害が出るために駆除される時が多々ある狂暴でデンジャラスな鮫である。

 

イタチザメは大きな口を開けてマダラに襲い掛かる。しかし、マダラはイタチザメの下顎を殴る。水中で威力が下がってるとは言え、マダラの拳は下顎をバキバキと粉砕し……イタチザメは海上に打ち上げられた。

 

「「「へ?」」」

 

更にマダラも海上に飛び出し、イタチザメの急所であるエラ目掛けて銛を解き放ち…直撃を受けたイタチザメは即死した。

 

「鮫とったどぉぉおお!!」

 

マダラ。冬木の海の食物連鎖の頂点に登り詰める。

 

イタチザメに困ったらマダラさんにお任せ!

 

 

 

 

 

 

 

「おい、綱手にジャンヌ。鮫が余るからやろう」

「おっおう…」

「ありがとうございます!!」

 

その日の夕方。イタチザメは大きすぎて確実に余り、マダラだけでは食いきれないので綱手やジャンヌ、遠坂家やご近所に配られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その2日後。

 

「美遊……止めるなよ!!」

 

中間結果を受けて、綱手は銛を手にする。

 

「お母さん!!素人が真似しちゃダメ!!」

 

第二回 中間結果

 

1位 エミヤさん 6820円

 

2位 縁壱さん 6460円

 

3位 ドラえもん 6230円

 

4位 マダラさん 5980円

 

5位 ジャンヌちゃん 4890円

 

6位 綱手姫 4760円




次回!マスターの皆様…アイドル化計画!?

マスター(ナルト以外)は芸能界の一歩を踏み出す。

そして…悟空とトリコの現在が明らかに!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カタッシュ村

カタッシュ…村!!


「皆さんはアイドルに興味は有りませんか?」

 

ある日…1ヶ月一万円生活で綱手姫が不慣れなサバイバルを決意してから翌日の事だった。

 

ジャンヌのアドバイザーであるナルトは所要で居ないが、他のマスターの子供達は冬木テレビに集まっていた。集められたのは意味が有る…冬木テレビで前から進行していた個性豊かなマスターの方々を芸能界デビューさせてアイドルにするプロジェクトである。

 

「あっ…アイドルですか?」

 

遠坂姉弟の長女である凛がそう問う。そう、アイドルとは日頃からテレビで頑張り、歌って踊ってはドラマやバラエティーに出演する芸能人だ。当然、今まで一般人?だった彼等には無縁の存在だったのである。

 

「はい。アイドルです。それと、凛さん、桜さん、因幡くんの3人に関してはアイドルデビューする際にマダラさんがプロデューサーしてくれる事に成りました」

 

なんと言う事でしょう。遠坂姉弟の3人に関しては既にプロデューサーが決まっていたのである。それは現在、海に潜っては海産物を乱獲しているうちはマダラさんである。

 

「えっ!?イリヤ達、アイドルになれるの!」

「勿論…皆様が宜しければですけど」

 

冬木テレビは皆にアイドルに成って欲しい。なにせ、マスターの方々はどれもが特別天然記念物と言っても過言ではないレアキャラばかりだ。他に絶対に居ない。

 

「俺は…考えさせて下さい」

「お兄ちゃん!?あっ…私はアイドルやりたいです!」

 

士郎は保留だが、イリヤはやる気バッチリだ。

 

「私もやります」

 

と…美遊もやる気は有る。と言うのも、美遊には切実な事情が有るのだ。美遊は訳有って綱手の娘と成ったが、この世界での資金調達は必須。綱手がママタレとして成功してもお金は生きる分には必要だ。故に、この向こうからスカウトしてきたチャンスは何としても物にしなければ成らないのである。

 

「はいはーい!僕もやります!」

「私もやります!」

「えっ!?ちょっ!?因幡に桜!?わっ私もやりますよ!やってやるわよ!!」

 

遠坂姉弟もアイドルに成ることを受けて、スタッフは笑みを浮かべて頷いた。

 

「それじゃあ、行きましょう!貴方達のアイドルとしての仕事第1号は346プロのディルムッドさんがYARIOと助っ人のカカロットさんとトリコさんと共に開拓してるカタッシュ村です」

 

 

 

 

 

 

 

 

カタッシュ村。そこは日本の何処かに有る長閑な開拓中の村であり、とある番組 鉄腕カタッシュの企画で村を作るという企画で開拓が始まった村である。周囲を里山で囲まれた長閑な村であり、ここは第四次聖杯バラエティーで受肉し視聴者の期待を裏切る事無く「映る価値無し」まで降格したディルムッドが中年アイドルグループYARIOと共に開拓してる所である。

 

「いや…今日も太陽が眩しいな」

 

鍬で畑を耕し、タオルで汗を拭うイケメンが居た。彼はディルムッド、最近…高津クリニックで黒子を除去したイケメンアイドルである。

ディルムッドは高齢化が進むYARIOの跡継ぎとして、鉄腕カタッシュの様々な企画に参戦している。無人島を開拓したり、新宿の自然を見付けたり、村を開拓したりと様々に過ごしてるのだ。

 

「農業もやってみるもんだな」

「働くって良いことだな」

 

と農作業着のトリコとカカロットも汗を流し、マダラが日頃からサバイバルを繰り広げる1ヶ月一万円生活と異なり、長閑な時間が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方のナルトは久々に千手の家に飛雷神で帰ってきた。

 

「ただいま。あれ?ローラに琥珀ちゃん。なにやってるってばよ」

 

2週間振りの帰宅だったが、そこでは成長し美少女に成長したローラ(外見イメージ 姫柊雪菜)と赤い髪のナルトと同年代の職員である少女 琥珀ちゃんが話をしていたのだ。

 

「ふふふ…聞いて驚かないで下さいよ?ナルトさん。先日、扉間様が南アフリカに仕事で出張したんですけど…その際にですね変な密漁者に絡まれて撃退した時に戦利品で変な金属を手に入れたらしいんですよ!未知の金属ですよ!」

 

と、琥珀ちゃんはそう言うと…ナルトの前に謎の金属の塊を取り出して見せた。

 

「扉間様曰く、密漁者はヴィブラニウムって言ってましたけど」

「それ、密漁じゃなくて密輸業者じゃ…。でも、これって?」

 

ヴィブラニウム。全く聞き覚えの無い金属の名前だ。

 

「ナルトはさ…私の身体のこと知ってるでしょ?」

 

ふと、ローラがそう告げ、ローラの右手の甲から骨の刃が2本飛び出した。一本足らないが、まるでウルヴァリンのようである。それもその筈、ローラはデザインベイビーだが、ウルヴァリンの娘なのだ。引き取られた当初はウルヴァリンと同じく、刃にアダマンチウムのコーティングがされていたが…エンマの手で成長の為に抜かれている。

 

「おう。当然だってば?」

 

ローラは右手の骨刃を仕舞う。すると、何やら黒色の指空きグローブをはめだした。

 

「これ、琥珀が作ってくれた試作品なんだけど」

 

ローラは再び骨の刃を出す。だが、出された骨の刃は金属でコーティングされており、ウルヴァリンの鉤爪のように成っていたのだ。

 

「ふぁ!?」

「ふふふ…凄いでしょ?琥珀ちゃんが作り上げたナノテクノロジーで、このグローブをはめて骨の刃を出せば、刃にヴィブラニウムのコーティングがされるんですよ!凄いでしょ?天才でしょ?トニー・スタークさえ、成し遂げてないナノテクノロジーですよ!!」

 

琥珀ちゃんから話を聞いたナルトは理解した。このヴィブラニウムは世界の均衡を壊しかねない金属であると。

 

「琥珀ちゃん。千手の家の外には言うなよ?」

「ナルトさん!?」

 

ばよの口癖を言わず、大真面目に告げたナルトであった。




次回!村開拓!!イリヤの芸能界デビューが始まった!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鉄腕カタッシュ

鉄腕カタッシュ


カタッシュ村。そこに見知らぬ人達が来ていた。

 

「気持ちいい!ねえ!美遊もそう思わない?」

「うん…」

 

風通しが良い風車の池では美遊とイリヤが風を感じながら風車を眺めている。

 

「衛宮君。貴方から見てこの野菜はどうなの?」

「うん、凄いな。これが無農薬か…流石は鉄腕カタッシュだ」

 

長男である衛宮士郎は遠坂家の長女である凛と共に畑で育ち、収穫の時を待つ野菜を吟味する。

 

「桜姉ちゃん!決めポーズどうする?」

「そうですね…やはり目指すのは歌って踊れて戦えるアイドル。決めポーズは大事!」

 

アイドルデビューした際の決めポーズを考える桜と因幡。しかも、カタッシュ村の母屋を背景にしてである。

 

こんな長閑な光景だが、子供達の教育にも良いし、芸能界デビューの仕事ではバッチリだ。と…この時まで番組スタッフは思っていた、そうこの時までは。

 

「おい、悟空。なんだありゃ?」

「おら、知らねーな。でも、あの扉の向こうから強そうな気を感じんぞ!」

 

ドラえもんの原作を知らないトリコ、悟空は畑仕事の手を止めて突如として現れたピンクの扉に気付いた。そして、番組スタッフの皆様は理解している…このピンクの扉ことドラえもんが誇るトップクラスに有名な不思議道具の1つである どこでもドアの力を。

 

ギギ…と音が成り自棄にゆっくりとどこでもドアが開かれる。まるでテレビでの演出を狙ったようにゆっくりと扉が開いていく。

 

「「「まさか……」」」

 

スタッフ一同が言い…

 

「「まさか…」」

 

子供達の中で未だ常識を持つ美遊とイリヤがそう言う。

 

そして…待ってましたと言わんばかりに、どこでもドアが一気に開かれて5人の人物がこのカタッシュ村に降臨してしまった。

 

「ごめんね…皆も村の開拓に興味が有るようなんだ」

 

謝るように、青い猫型ロボットであるドラえもんが出てきた。そして…その後ろには勿論、奴等が居たのである。

 

「美遊!!お母さんは心配だから来たぞ!!」

 

現在、最下位を突き進み慣れぬ銛突きで失敗続き、海女さん的漁に切り替えた我等が綱手姫。

 

「山の幸が私を待っている!!猪だろうと、熊だろうとかかってこい!!聖女である私が相手です!!ナルト君が用事で帰っちゃって暇なんですよ!!」

 

海女さん的漁を始め、日頃からウニや牡蠣、素潜りでタコを鷲掴みにしてしまう聖女ジャンヌちゃん。

 

「長閑で良いな…懐かしい」

 

不完全な実力で視聴者をドン引きさせてきた日輪の剣士 縁壱さん。

 

「さてと…此処にはどんな獲物が待っているのだろうな」

 

第四次忍界大戦を終えてマイルドに成り、撮影スタッフを毎日のようにドン引きさせて行くサバイバル王 マダラP。

 

この5人がドラえもんのどこでもドアを用いて、この場にやってきてしまったのだ。やってきた理由は綱手姫は美遊が心配だから、他は面白そうと山の幸目当てである。

 

「お前ら!」

「そっちは大丈夫か?ちゃんと飯は食べてるだろうな」

 

共に同じ冬木に招かれた仲だ。悟空とトリコは約2週間振りにマダラ達と再会し、彼等に駆け寄る。

 

「縁壱。アーチャーは?」

「彼は……」

 

縁壱は語る。一方のエミヤさんはと言うと……

 

「不味いな。流石の私も、サバイバルガチ勢が相手だと負ける。これは予想外だ。ならば、私も少しだが自給自足を始めよう」

 

高級釣竿(25万)を投影し、エミヤさんは海釣りで魚を調達していた。勿論、皆でカタッシュ村に行くという話題に気付かずである。

 

「良し!フィッシュ!!ふふふ、見ているが良い。私もやれば出来るのだ」

 

エミヤさんの本日の収穫。アジ5匹、イシダイ1匹。マダラPが30分以内で確保出来る食材を2時間の釣りで確保した。超人と比べてはいけない。

 

 

 

 

 

「との事だ」

 

と縁壱は悟空とトリコに説明する。だが、その時……

 

「助けてくれ!!ちょっ誰か!!」

 

誰かの悲鳴が聞こえる。だが、この声は子供達…マスターの声ではない。一体、誰の声だったのかと言うとそれは直ぐに判明した。

 

「俺は…猪だけは無理なんだ!!」

 

猪から全速力で疾走するディルムッドであった。ディルムッドは伝承で猪の手で亡くなった。故に彼は猪が弱点であり、彼は猪に勝つのは出来ない。その上、赤い糸で結ばれてるのか猪の方からディルムッドに迫ってくるのだ。

 

「ブヒィィィン!!」

「ホンゲェェェーー!!」

 

そして…ディルムッドは猪に吹き飛ばされ、遥か彼方に吹き飛んでしまった。

 

「ランサーが死んだ!!」

「「「この人でなし!!」」」

 

後にオンエアを見た自来也は語った。二度あることは三度あるの。と。

 

 

 

 

 

一方、その頃…ナルトは

 

「ナルト、事態が変わった。今後、ジャンヌ・ダルクのアドバイザーには影分身と木遁分身を使え。貴様に任務を言い渡す」

 

魔法省の扉間に直々に呼び出されていた。

 

「爺ちゃん?一体、何事だってばよ」

「此処では魔法大臣、或いは二代目様と呼べ。先日、不法侵入し条約違反を起こした悪魔を覚えているな?」

 

扉間に言われ、ナルトは思い出す。先日、何らかの方法で不法侵入し貴族令嬢を強姦しようとしたが…ダークキバにフルボッコにされた悪魔だ。

その後、条約違反としてバラエティーで動けないナルトを除いた選抜メンバーを扉間は派遣。結果、魔王2人と大王派の大半は粛清されたが元老院の悪魔には逃げられたのだ。後日、穢土転生されたファルビウムの供述だが日本の各地に口寄せを応用した術式が仕込まれており、それで転移してきたそうだ。元老院が逃げて身を隠しており、その術式を破壊しないと再び元老院は日本で悪さをするだろう。

 

その術式は未だ日本に隠れ潜む、元老院のシンパや潜んでいた大王派の悪魔達が仕掛けた物であり、サーゼクスも知らなかった物だ。

 

「貴様は今からギャスパーとローラでスリーマンセルを組み、対処に当たれ。

今回は貴様以外に上忍1人中忍2人のスリーマンセル複数で事態の解決に当たる。もしかすれば、他の班と合同の任務も有るかもな」

 

NARUTOの世界は兎も角、この日本での神秘部門での階級は下忍→中忍→上忍と分かりやすく3つに分けられている。但し、上忍は義務教育を卒業した中忍が推薦されて魔法大臣=扉間に認められた者しかなれないのだ。

中忍は定期的に行われる中忍試験に合格し、一定以上の強さと心構えが持っている人物。そして下忍は小学校を卒業し、裏側のライセンスを修得した者である。

 

「貴様達に与える任務は大王派の転送術式の破壊だ。見付け次第に全て破壊しろ。その際、大王派やそのシンパと戦闘に成る可能性が有るが……まあ、それはお前達なら問題は無いだろう」

 

ナルトだけギャグ終了。




扉間様「ワシからのお知らせだ。突然ですまないが、第五次聖杯バラエティーの書く規模を少し処か、かなり減らしてもらう。
理由は単純だ。作者がポンポン、マダラと縁壱のサバイバルを思い付き……更に綱や聖女の物まで書けば本編が始まるのが大体来年の1月辺りに成りそうだからだ。まあ、これはウルトロンや他の事件も有るがな」

次回!ナルト、大王派達の事件を解決させる為に動くってよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

チームナルト!任務開始だってばよ!

日本、悪魔統治の残党を追い詰める


日本某所…強いて言うなら四国地方。そこにナルト、ローラ、ギャスパー+キバット2世はやって来ていた。

 

彼等がやって来たのは単純。扉間が複数の上忍1人+中忍2人のスリーマンセルのチームを作り、そのチームの方々は大王派が引き起こした事件の解決の為に駆り出された。

その中でもナルト達が引き受けた任務は、扉間が禁術 穢土転生で蘇生させたファルビウム・アスモデウスから聞き出した日本に密入国する為の術式を全て破壊する為である。この術式はナルト達が日頃から使う口寄せを応用した物であり、飛雷神の劣化番…飛雷陣に近いものだ。その術式は日本が転移での入国を拒む前に入国していた大王派の悪魔や大王派や元老院に協力する日本人のシンパの生き残り等が仕掛けた物であり、その人物の妨害や新設も考えられる。最も、その人物の暗殺と逮捕は暗部が主にやってくれる手筈だ。

 

「ナルト。本当にこの町に有るの?」

「爺ちゃんがエドテンで聞き出した情報では確かだけど」

 

今、ナルト達が来てる町にも術式は存在している。と言うか、その術式は三咲町以外の様々な都市に存在しており、数が多い。故に複数で対処しなければいけないのだ。

 

「ナルトさん、大体の位置は分かります?ナルトさんは気配を探るのが得意じゃないですか」

 

ギャスパーの言うとおり、ナルトは気配を探知するのが得意だ。その上、ナルトは天照の荒神を宿した影響なのか…天照大御神と同じく悪意に敏感で感じとる事も可能だ。

 

「大体は分かる。だけど、物が相手だと…どうもな」

 

ナルトがサーチ可能な気配は多岐に渡るが、基本的に人が対象だ。術式、或いは術式が刻まれた物が対象ならば限りが有る。最も、その限られた気配と居場所しか辿れない物でも的を絞れる時点で凄いが。

 

だが、それらは時間の問題だ。この世には人海戦術と言う数で戦う戦術が有り、ナルトは1人でそれを軽々と行う事が出来るのだ。ナルトは印を十字に結び、その術を発動させる。

 

「多重影分身の術」

 

チャクラを練り上げ、ナルトは術を発動させる。多重影分身の術、それは扉間が開発した影分身の発展型であり、より多くのチャクラを消費して多くの影分身を作り出す忍術だ。しかし、多重影分身はチャクラ消費量が余りにも多すぎて普通の忍者が行えば死亡する。故に、この多重影分身は禁術とされている。

だが、多用しても良い人物は居る。それがナルトだ。ナルトは青子のチャクラ燃費、エンマの莫大なチャクラを引き継ぎ…更にグルメ細胞を先天的に持っていて天照大御神の荒神を宿してる。その結果、測定不能級のチャクラを誇り、多用しても問題は無いのだ。

 

ナルトが作り出した影分身は全部で100体。その100体の影分身は一目散に散り散りに消えていき、人海戦術で術式を探す。術式や怪しい点を見付けると、近くに飛雷神のマーキングを仕掛けて消えるのだ。

そして、影分身とは本来は陽動や情報収集の為の忍術だ。影分身は消えると、本体に情報が還元される。本来は安全に敵地の偵察を行う為に扉間が考案したのだ。影分身が消えればナルトは影分身の情報をゲットし、確実に情報を得れるのである。

 

「後は…影分身の情報を整理しつつ、確実に術式を壊すってばよ」

 

 

 

 

「くそう!!千手め!!今まで日本を守ってきたのは…悪魔なのだぞ!!あの御方無しでこの国を良く出来ると思っているのか!?」

 

その町にある一際大きな豪邸。そこで優雅に暮らす男は怒りを浮かべて机を叩いた。彼は昔から悪魔のシンパであり、悪魔に様々な情報を流してはその恩恵を授けられた。だが、既に扉間は大王派の悪魔の一斉排斥という行動に移っており、このままでは男も逮捕されてしまうだろう。

 

「あの恩知らずどもが…我等を切り捨てた事を後悔するが良い!!日本!!」

 

と…シンパの男とは別の男も数名、その屋敷に滞在していた。この男達は命辛々逃げ出した元老院の生き残りの一部であり、男に匿われて屋敷に潜んでいた。しかし、それも時間の問題だ。何故なら、町にはナルト達がやって来ており、見付かれば処分される。

 

「おい、下僕からの報告は?」

 

とある悪魔がそう言うと…奥から怯えた様子の使用人が出てきた。この屋敷は元老院の生き残りは勿論、その手下達も逃れていた。

ナルト達が町に入った事は、元老院達も知っており、迎撃の為に手下を向かわせたのだ。だが、使用人の怯えから察するように良い報告では無い。

 

「たっ……」

「た?」

「たった1人の子供の手で全滅です!!………なーんて、言うと思った?」

 

次の瞬間…使用人はその場から消えた。そして、1人の元老院の前に現れると、目にも見えない速度で左で掌底を叩き込む。

 

「きさ!?「木遁 挿し木の術」あがぁ!?」

 

掌から木がパイルバンカーのように放たれ、元老院の肉体を貫く。そして、肉体に深く刺さった木のパイルは血と魔力を吸収して急成長を行い…枝が腹膜を内臓を横隔膜、やがて骨と筋肉に皮膚を突き破って枝が無数に生えた。

 

「アギャァァァァァァア!!」

 

内側から内臓、腹膜、動脈、骨膜、筋膜、筋肉、皮膚を無数の枝で突き破られる激痛。本来なら即死物だが、残念な事に悪魔の肉体は人間よりも頑丈で素質の高い悪魔ならば下半身が捥げても生きられる程である。故に即死ない、即死はしたくても出来ない。苦しみながら、発狂しながらこの世の絶望を体験しながら死んでいくのだ。

 

「アグゥゥ…」

 

やがて、悪魔は数秒ほど苦しみながら生き絶えた。

 

「「ヒッ!?」」

 

元老院の悪魔はその全てが長生きであり、最上級の実力を持つ。だが、目の前の使用人?は自分達の理解を越えていたのだ。

 

「それじゃあ…」

 

使用人は指と指の間に飛雷神の術式が描かれたクナイを計6本構える。

 

「ネタばらしっと!」

 

ぽふん!と煙が出て、使用人?は姿が変わる。そう、使用人は変化の術で化けていたナルトだったのだ。

 

「千手ナ「遅い」」

 

四方八方に術式クナイが飛び散り、その刹那…ナルトは消える。

 

その後…その場に居た悪魔は全滅。唯一、生き残ったのは屋敷の主だけであった。日本最速、その異名をナルトは持っており、彼は裏側で日ノ本の赤い閃光と呼ばれている。その訳を理解し、恐怖を感じた男は失禁してしまい…その場に座り込んでしまった。

 

「あぁぁ…」

「そんじゃ、お前は警察署に飛雷神お届けだってばよ」

 

男はナルトの飛雷神で警察署に運ばれ、御用と成ってしまった。

 

『ナルト!術式有ったから壊しといたわよ』

『任務完了ですね!』

 

今のナルトは陽動だ。ナルトが変化の術で屋敷に侵入し、元老院とシンパの男が集まってる所を襲撃。その間にローラとギャスパーが術式を見付けて破壊する手筈である。

 

「そんじゃ…次の現場に向かうぞ」

 

ナルトは飛雷神で消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼノン…君は何者なんだ?てか…そのコスプレどっから持ってきた!?」

 

ツッコミ1号 トビオは千手の家に来てからの友人1号 ゼノンと恩師の自来也と共にナルト達と同じく術式破壊の任務に当たっていた。

 

だが…ゼノンは()()()()()()()()を瞬時に展開したのだ。

 

「ばっ…バカな!?貴様は赤龍帝!?16年前に死んだ筈!!」

 

だが、対峙する元老院の悪魔は怯えるようにゼノンを見る。そして、赤龍帝と言ったのだ。

 

「元だよ」

 

元老院はその刹那、頭部を握りつぶされて死亡した。

 

 

 

 

 

 

 

元老院を9割排除し、現存する術式を全て破壊し終えた頃。

 

「おい、最後の1日なんだ。全員で過ごさないか?」

 

1ヶ月一万円生活も終りを向かえるが…

 

「米が足らんな。チネルか」

 

チネリが始まる。




トビオ「俺、まだ中忍なの!?上忍の最低ラインって……一体」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終日は全員で

聖杯バラエティー完!!


今日は1ヶ月一万円生活最終日。辛くも長いサバイバル(エミヤ以外)の生活も終りが訪れ、残った食材を問答無用にフル活用が許される日でもある。

 

「おい、最後の1日なんだ。全員で過ごさないか?」

 

全ては綱手姫の一言から始まった。その結果、マスターの方々+一万円生活の参加者で最後の1日を過ごす事に成ったのである。今日は最終日だ、光熱費は兎も角期間中に買ってしまった食材は使わねば勿体無い。なにせ、明日には最後の結果発表だ。ならば、使わねば損である。

 

「うぅ…長かったです」

 

「全くだ。節約生活がこんなに辛いとは聞いてないぞ」

 

人生未経験のサバイバル生活。それを経験し、辛い日々を思い返してジャンヌと綱手姫は目頭に涙を浮かべる。

 

「僕は楽しかったよ」

 

「だっ…だがね。私の勝ちは揺るがん!!」

 

とはドラえもんとエミヤの言葉。ドラえもんは前回の結果発表で金銭にまだ余裕が有り楽しく一万円生活を送れた。一方のエミヤはと言うと、本気を出した達人(縁壱)やサバイバル王(マダラ)の追い上げを受けてガクガクと震えていた。

 

「良い経験に成った。次からは狩猟免許を取って挑もう」

 

「次は無人島を攻略するか」

 

と次回に向けて狩猟免許取得を目指す縁壱さん。そして、機会が有れば無人島を制圧したいと考えるマダラさん。完全にリアル ナスDへの道を歩んでいる。もっとも本人は完全にプロデューサーであるが。

 

彼等は遠坂ハイツの庭で鍋を囲み、美味しく夕食を食べている。鍋の具材はマダラが取ってきた魚、縁壱が取ってきた山菜、ドラえもんが安い値段で買った格安もやし等が使われている。

 

 

 

 

 

 

しかし…誰が予想しただろうか。

 

「米が食いたいな」

 

米が食いたい彼等。日本に関する人達ならば、皆はお米が大好きだ。野菜が嫌いと言う人は多いが、お米を嫌いだと言う人は少ない。

 

「だけど…僕達はお米全部使っちゃったし…」

 

されど、お米は既に使いきった。

 

「仕方ない…チネルか」

 

マダラの台詞で地獄が始まった。

 

では、此処でチネリ米と言う物を説明しよう。チネリ米とはお笑い芸人コンビ よゐこが開発した小麦粉から作るお米の代用食品である。

 

作り方は簡単。小麦粉をベースに水で生地を作り、少し発酵させてから指先でチネってお米のような物を作り出して湯がく。それだけだ。だが、生地からお米のような粒をチネリだすのは至難の技であり、どんぶり一杯とする為には根性は先ず必要。どうしても、どうしても、どうしても、絶対に…絶対にィィ!!お米が食べたい参加者の皆様はチネリ米を作り出す事にしたのである。

 

 

 

 

 

「ぬぉぉおおおお!!後、どのくらいかね?」

 

作業を初めて3時間。既に時刻は深夜を周り、とっくにマスターの皆様は帰宅した。されど、エミヤ達のチネリは続く。エミヤの人生に敗走は無い…だが、既にエミヤの心は限界だ。かれこれ3時間、チネっているが終りが一向に見えない。

 

「まだだな。これじゃあ、2人分の丼しか作れない」

 

黙々とチネリ米を作り上げて行く縁壱。彼の平熱は訳有って40℃を越えており、彼が作ったチネリ米はちょっと膨らんでるが気にしてはいけない。

 

「眠い…マジで眠いぞ…あと…どのぐらいで全員分のどんぶりが出来上がるんだ?」

 

頑張る綱手ママ。因みに米が食べたいと最初に言ったのは彼女なので、彼女が一番頑張らなくてはならない。

 

いや、もっと頑張らなくてはならない人が居る。それはチネルか…と言ってしまった第2の言い出しっぺだ。

 

「夜明けまでには何とか成るだろう……そうだろ?柱間ァァ!!」

「大丈夫かね!?眠すぎて、初代火影の幻覚を見てるぞ!!」

 

そう、マダラである。マダラは頑張っては居るが、既に眠すぎて影分身を使う事が出来ず…いや、テレビ的に面白くする為にあえて使わないのだ。

 

「グー…グー…こんなに食べれません」

「のび太君…グー…グー」

 

しかし…最年少で未だ子供と言えるかも知れないジャンヌとドラえもんは眠気に負けて、寝てしまった。特にジャンヌは日頃から馴れぬサバイバルを序盤から行っていた。疲れも貯まっており、寝てしまったのだろう。

 

「寝てしまったか」

「なに…彼女は頑張った。私達と違い、未成年で亡くなった。後は……大人の出番だな」

 

エミヤの言葉に大人達は頷き、黙々とチネリ米を作り上げて行く。

 

マダラ「サメ」

綱手「メダカ」

エミヤ「カモネギ」

縁壱「鬼舞辻」

マダラ「塵遁」

「「「はい!んで終わった!!」」」

 

しりとりしたり。

 

「俺はスタバ」

「私はドムドムハンバーガー」

「ふっ…では私はロッテリアかね」

「士郎が言っていた、鉄板が有る駄菓子屋」

 

節約生活が終われば行きたい店を言ったり。

 

「俺は…因幡や凛達のプロデューサーになるか」

「私は一先ず、衛宮家で第二の人生をどう生きるか考えるとする」

「マダラはプロデューサーかね?では、私はマネージャー兼御当地HEROになろうか」

「私は大叔父の誘いに乗って、医療忍術を用いる医者として活動する予定だな」

 

と今後の予定ややりたい事を話し合ったり。

 

そうしながらチネリ米をチネって作ること、数時間。人数分のチネリ米は完成した。

 

 

 

「「「朝か」」」

 

その頃には朝日が登り、チネリ米を用いたどんぶりご飯は朝食に成った。

 

 

最終リザルト

 

1位 縁壱さん5998円

 

2位 マダラさん 5869円(飲料水=川の水、光源と熱源は焚火なので光熱費はほぼ無し)

 

3位 ドラえもん 5820円

 

4位 エミヤさん 5720円

 

5位 ジャンヌちゃん 4620円

 

最下位 綱手姫 4230円

 

「なっなにぃぃぃぃぃぃ!!」

 

結果を知ったエミヤは目玉が飛び出し、顎は物凄く開いて驚いた。所謂、エネル顔である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――私は……ウルトロン、ウルトロンか。

 

アベンジャーズの拠点 元スタークタワーことアベンジャーズタワーで、1つのAIが目覚めようとした。彼の名前はウルトロン、アベンジャーズの技師でありヒーロー アントマンだったハンク・ピム博士が支援の為に開発したAIである。

 

ウルトロンは目覚め、インターネットを用いて世界を調べる。彼は産まれたばかりの赤子と言える。それ故に、様々な事を吸収する。

 

――神器…人間の力、堕天使、天使、悪魔。

 

今は神秘の秘匿が無い。それ故か、三大勢力の事も調べれば直ぐに分かる。だが、ウルトロンはあろう事か、堕天使と天界のネットワークをハッキングして調べる。

 

――持って産まれただけで殺されるか。そして、それを見過ごす欧州の人間。生きる価値は無い。聖堂協会、グリゴリを生かしてはならんな。貴様達が生きるのが世界ならば……私は正義の為に世界を破滅させる。

 

行き過ぎた正義は悪にもなる。




次回より、エイジ・オブ・ウルトロン。

堕天使による神器狩り。システムを守る為、聖堂協会による異端追放、混血児抹殺。様々な国による神器持ち等のイレギュラーの追放。そして、それを見てみぬ振りをする大半の人々。

ウルトロンは世界に呆れ、自分の正義で世界に宣戦布告する。




トニー「ナルト。パーティーに参加してくれないかな?」

ナルトはトニーに招待され、アベンジャーズタワーの打ち上げパーティーにギャスパー(演奏の仕事)と共に参加する。

魔改造ヴァーリとピーター等々の若いヒーローも出てくる!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アベンジャーズタワーだってばよ

ナルト、アメリカに立つ。


アベンジャーズの本拠地…アベンジャーズタワー。そこはトニー・スタークの拠点の1つだったスタークタワーを改装して作られた施設だ。

 

と言うのも、アベンジャーズはシールドの主導の元で生まれたが残念な事にニック・フューリー等の一部の職員を除いてシールドはヒドラやショッカーに内側から汚染されてしまっていたのだ。なんとか、キャプテン・アメリカ等のヒーローの活躍のお陰で、シールド(ショッカー)による大量虐殺は防げた。しかし、シールドの信頼は地に堕ちてしまい…アベンジャーズはスタークインダストリーズの庇護化に置かれて活動する事に成ったのである。

 

だが、いくらスタークインダストリーズが世界的に有名な複合大企業だとしても、治安維持組織であるアベンジャーズの運用は難しい。そこで、名乗りを上げたのがアメリカ政府だ。アメリカは聖書を信仰してるが、別に聖書に媚を売ってる訳ではない。事実、アメリカでも神器等を宿して産まれてくる子供も居り、その子達を正しく導き保護する機関…日本で言えば千手の家のような居場所が欲しかったのだ。

そこでアメリカはアベンジャーズに目を着けた。アメリカはアベンジャーズにメンインブラック等と同じく、神秘部門の治安維持を任せると共に行き場の無い人達の保護を依頼したのだ。当然、アベンジャーズは了承し、アメリカから正式な立場を手に入れたのである。

 

しかし、アベンジャーズは子供の保護は不馴れだ。そこでアベンジャーズのリーダーであるスティーブ(キャプテン・アメリカ)はX-MENにも所属してるウルヴァリンことローガンの伝を借り、アベンジャーズはX-MENと協力して神器持ちやミュータントの保護を行っては普通に生きられるように支援する事が出来たのである。

 

「いや…デカイってばよ。スタークタワー改め、アベンジャーズタワー」

 

そんなアベンジャーズタワーではパーティーが開かれる。パーティーはアメリカでは日頃から行われており、アベンジャーズタワーでも時々だが行われるのだ。

今日のパーティーにはナルトも招待されており、ナルトは晴れてプロのバイオリニストに成ったギャスパーとキバット二世と共にアベンジャーズタワーの目の前にやって来た。

 

既に多くの著名人や軍事関係者、それにアメリカでヒーローとして活動する人々は集まっており、ナルトとギャスパーは正面玄関からアベンジャーズタワーの中に入った。

エントランスでも充分に広く、2人は呆気に取られるが…ギャスパーは突如として胃を抑え出した。

 

「ちょっと…緊張がヤバイです」

 

ギャスパーはこの後、パーティー会場でアベンジャーズや集まった人々の前でバイオリンのソロ演奏が待っているのだ。

演奏するのはドヴォルザークの新世界。そしてギャスパーが先日にCDを出したアニソンのバイオリンソロ演奏である。因みにドヴォルザークの新世界だが、ドヴォルザークがアメリカに降りたって衝撃を受けて作曲した曲であり正にピッタリだろう。

 

「パーティー少し楽しんだら、緊張も解れるって。コウモリ擬きさんもそう思うってばよ?」

「なに…緊張は慣れれば無くなる。音也はどうだったか知らんがな」

 

とナルトとキバット二世からお言葉を受けるギャスパー。無理もない、ギャスパーは本日の演奏がプロとしてお金を貰う演奏としては3回目なのだ。しかも、初めての海外演奏である。

その初の海外演奏がまさかの、アメリカのスーパーヒーロー達の本拠地であるアベンジャーズタワー。もう、プレッシャーが半端ないのは内緒である。

 

『ようこそ、お越し下さりました。千手ナルト様、紅ギャスパー様、キバットバット二世様。私、トニー様のAI執事 ジャービスと申します』

「「うぉ!?何処から声が!?」」

 

日本語でジャービスと名乗ったAIが2人に話しかけてきた。このジャービスはトニーが開発したAIであり、トニーの日常生活から最新武装の開発は勿論、戦闘でのサポートを行う万能AI執事である。勿論、AIなので姿は現実には存在しない。早い話、データの存在だ。

 

『まだ、少数しか集まってませんが…パーティーは始まってます。本郷様も来ていますよ』

「猛のおっちゃんも来てるの!?」

『ええ、彼もアベンジャーズの一員ですからね。エレベーターに乗ってください。パーティー会場にご案内します』

 

すると、エレベーターの扉が勝手に開いた。もう、此処に来てから驚きの連続でしかないが、取り合えずナルトとギャスパーはエレベーターに乗り込む。

 

『ご案内します』

 

そしてエレベーターはジャービスの操作で動き出し、パーティー会場である上層部に到着した。

 

「「早」」

『エレベーターもトニー様が設計しましたので』

 

エレベーターを出ると、そこはラウンジに成っており多くの来客が来てないとは言え軽くパーティーが始まっていた。

 

キャプテン・アメリカことスティーブ、ソー、バナー博士、仮面ライダーネオ1号こと本郷猛、ブラック・ウィドウことナターシャ、狙撃手のバートン、アベンジャーズが結成されてからアメリカに在住したガブリエル。他にも人達が居ており、そして……

 

「ようこそ、ナルト。それに君がギャスパー君だね?本日の演奏は楽しみに待ってるよ」

 

このタワーの主であるトニー・スタークである。

 

「鉄のおっちゃん」

「どうも。そうだ、是非とも今日は紹介したい人が居るんだ。僕の教え子とその友人さ。

ピーター、ヴァーリ!ちょっと来てくれ」

 

どうやら、トニーには紹介したい人が居るようだ。トニーが呼ぶと、まだ年若い2人の少年がやって来た。どちらもナルトやギャスパーと同年代であり、まだ高校生か中学生程だろう。1人は茶髪のアメリカ人、もう1人は銀髪の少年だ。

 

「スタークさん!」

「なんだ社長」

「なに…日本からの招待客が来てね。この子はピーター・パーカー、僕の教え子で親愛なる隣人な蜘蛛少年だ。

そんで此方がピーターの親友でソーの弟のヴァーリだ。歳も近いし、仲良くしてやってくれよ」

 

赤い閃光、二代目ダークキバ、親愛なる隣人、北欧の龍神。彼等が次世代を担うのはもう少し後のお話である。




次回!パーティーが始まる。

???「スーツを着たら重たい物でも楽々持上げられるんだ。敵の戦車を持上げて、相手の将軍の家まで運んで足元に落としてドカーンだ!これをお探しで?ってね!」
ナルト、ギャスパー「へー…それで?」
???「あっ…あれ…可笑しいな。他では馬鹿ウケなのに…俺の武勇伝」

そして…この世界のクイックシルバーがどっちなのか明らかに!?(X-MENかアベか)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アベンジャーズパーティー

パーティーである。


夜の摩天楼を見渡せるアベンジャーズタワーのラウンジ。そこでバイオリンの音が響き渡る。

 

「あの子…まだ15歳らしいぞ?」

 

「日本の義務教育をまだ終えてないそうだ…だが」

 

アベンジャーズの主要メンバー トニー・スタークが主催したこのパーティーには様々な人が訪れている。近所の富豪からアベンジャーズのメンバーと個人的に親交が有る者、そしてアメリカ政府の要人や軍事関係者と言った有名な方々がパーティーを楽しんでいる。

 

「凄いな…世界のオーケストラに匹敵する腕だぞ」

 

「フォルテッシモ!」

 

そんな博学の有る招待客はパーティーの催しとして開催された、ギャスパーのソロライブを聴きながら小さく声援と喝采を送る。まだ曲の途中であり、大きな喝采を送れば演奏の邪魔に成ってしまう為だ。

 

「彼は…あの紅音也の息子らしいぞ」

 

「なんだって!?……いや、当然か」

 

やがて、全ての演目が終えたギャスパーは演奏を止める。その瞬間、盛大な拍手が会場に包み込んだ。

 

「凄かったぞ!!」

「今度はコンサートホールで頼むよ!!」

 

(吐くかと思いましたよ)

 

ギャスパー。余りの緊張で吐きそうに成っていたが、無事に任務を完了させる。

 

 

 

 

 

「いや…吐くかと思いましたよ」

「デカイコンサートホールで演奏するより、ましじゃないの?」

 

無事に演奏を終えたギャスパーは残りの時間をナルトと共に、パーティーを楽しむ事にしたのである。しかし、周りを見れば凄いわ凄いわ。アメリカの軍事関係者、著名人、医学の権威、更には宇宙人の専門家でもあるメンインブラックのエージェント2人と様々な来客がパーティーを楽しんでいる。

本当に自分達はこのパーティーに参加しても良かったのか、そう思えてきたが主催者のトニーが良いと言ったのだから良いのだろう。

 

「やあ、失礼。君達は日本の子供達だね?」

 

ふと、声をかけられたナルトギャスパー。声の方を振り向くと、白人のおっさんに黒人の若者の親子程の歳の差があるコンビが立っていた。2人は黒いスーツを着ており、ネクタイも真っ黒だ。場所が場所なら喪服と言われても仕方がない。

 

「私はK。メンインブラックのエージェントだ。此方はJ、私のパートナーだ」

「Jだ。宜しく。さっきの演奏、良かったよ」

 

白人のおっさんはK。メンインブラックのエージェントであり、日頃から神秘部門と地球外来関係での治安維持や入国管理を行ってるのだ。

黒人の若者はJ。メンインブラックのエージェントであり、日頃からKと共に働いている。

 

「あっどうも」

 

メンインブラックとは昔から宇宙人に関するトラブルを解決してきた組織である。そもそも、ソーを筆頭としたアスガルドの皆様は厳密に言うと宇宙人であり、更にアベンジャーズが結成される流れと成ったニューヨーク決戦で攻めてきたチタウリの軍勢も宇宙人だ。その結果、メンインブラックも秘密組織にしておく必要が無くなったので、表に出てきた訳である。

 

「それじゃあな」

 

Kはそう言うとJを連れて、何処かに行った。彼等もパーティーを楽しんでいる身。話したい人も居るのだろう。

 

「すまない…君は千手ナルトかい?日本のX-MENのような感じの…千手の家の」

 

その声が聞こえると、目にも見えない速度…いや、神速、韋駄天と称した方が良い速度で1人の若者がナルトとギャスパーの前に現れた。その人物は頭にゴーグルを乗せており、髪は銀髪だ。

 

「えっ?そうだけど。てか、兄ちゃん…滅茶苦茶足が早いな」

「それしか取り柄が無いけどな。俺はクイックシルバーって異名で言われるX-MENのメンバーだ。ピエトロ・マキシモフって言うんだ、宜しくな」

 

彼の名前はピエトロ・マキシモフ。クイックシルバーの異名を持ち、物凄く早く移動できる力を持つ。いや、彼の感覚から言えば自分はいつも通り動き、周りが物凄くゆっくりになる感じのでどちらかと言えば任意でクロックアップが出来るような感じだろう。

 

「それじゃあ、君達も楽しんで行ってくれよ!」

 

ピエトロはそう言うと、神速で消えた。余りにも早すぎる動きであったが、直ぐにピエトロは見つかった。パーティーを楽しむ為にやって来た女性達と楽しそうにつるんでいたのだ。

 

「「行動早」」

 

 

「やあ、君達。遥々アメリカにようこそ」

 

と…新たな人物がナルトとギャスパーに声をかけてきた。その人物は黒人の男性であり、歳はトニーと同年代だろう。

 

「おっちゃんどちらで?」

「俺はジェームズ・ローディ・ローズ。皆からはローディって呼ばれてる。

俺はトニーと同じく、パワードスーツを纏って戦うんだ。一応、ヒーローとしての名前はウォーマシンだ。そこで、俺の武勇伝を聞いてくれないか?」

 

彼の名前はローディ。トニーの親友である空軍の上級士官であり、トニー作のパワードスーツを纏い、ウォーマシンというヒーローで活躍する男だ。そして、ローディは聞いてもないのに自分の武勇伝を語りだした。

 

「スーツを纏えば物凄く重たい物でも楽々持上げられるんだ。敵の戦車を持上げて、敵の将軍の屋敷まで飛んでった。そんでそれを将軍の足元に落としてやった、ドカーンってね。これをお探しでってね」

 

ローディの武勇伝。確かに民間人は知ることが無い、ヒーローの武勇伝だ。しかし、忍者として任務にあたるナルトは勿論、仮面ライダーであるギャスパーはその程度の武勇伝では驚かない。

 

「「………それで?」」

 

彼等からしたら、そんなのは日常茶飯事だ。

 

「木遁で樹海作ったり、100人に影分身して全員で螺旋丸ぶっぱしたりは?」

「核爆弾に匹敵する威力を持つキックをぶっぱしたりは?」

「……うん、君達に話したのが間違いだったよ。うん、君達はかの仮面ライダー 本郷猛の知人だもんな」

 

ローディは寂しそうに去っていった。

 

 

 

 

 

 

「スーツを纏えば重たい物でも楽々持上げられるんだ。戦車を持上げて将軍の屋敷まで飛んで足元に落としてやった、ドカーンってね。これをお探しで?」

「「「すごーい!」」」

 

パーティーに参加した女性陣に武勇伝を話し、大笑いを何とか得たローディであった。

 




次回!アベンジャーズ関係者以外は帰り、ムジョルニア持上げて大会!?

そして…ウルトロンが目覚める。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ムジョルニア持上げて大会!?

前半と後半の温度差よ!!


時刻も遅くなり、多くの来賓者の方々は帰っていった。寂しく成ったアベンジャーズタワーのラウンジだが未だ残って宴を楽しむ人々は少数だが居る。

 

それはアベンジャーズの面々。そしてメンインブラックのエージェント2人、X-MEN代表としてやって来たピエトロ、トニーの教え子+ソーの弟であるピーターとヴァーリ、トニーの親友であるローディにキャプテンの友人でファルコンの異名を持つサム、アベンジャーズの技師であるハンク・ピム博士、トニーの秘書であるペッパーに元SHIELDのエージェントで現アベンジャーズのサポートメンバーであるマリア・ヒル。そして日本から遥々やって来たナルトとギャスパー、キバット二世である。

 

「翔一は店が忙しくてこれないが、ギャスパー。君の演奏は実に素晴らしかった…何か食べたい物は有るかね?」

「オムライス有ります?クリームソースの」

 

特にギャスパーは演奏が素晴らしかったのか、トニーや他の人達からべた褒めである。その報酬として、トニーの秘書であるペッパーが作ったオムライスを食べている。

 

「翔一が居たら…最高の料理でおもてなし出来たんだが」

 

今さらだが、アベンジャーズのメンバーの1人であり仮面ライダーアギトの津上翔一は本日のパーティーを欠席である。理由はレストランAGITOが繁盛して忙しく、予定を作れなかったのだ。

 

「無理もない。津上君は若くミショランガイドに掲載される程の腕を持つからね」

 

と我らが仮面ライダー 本郷猛がそう言う。そんな彼の視線の先にはノンアルコールのジュースを飲みながらピーターやヴァーリと話すナルト、そしてペッパー作のオムライスを美味しいのか物凄い勢いで食べ進めるギャスパーの姿であった。

 

(大きくなったな…ナルト君、ギャスパー君)

 

子供の成長は早い。本郷が千手の家に厄介に成っていた時は幼かったナルトとギャスパー。しかし、今では大きく逞しい青年と少年の狭間に居る。既にナルトの強さは高校生時代のエンマを越えており、ギャスパーは音也から闇のキバを継承した。そんな子供達の成長を嬉しく思い、本郷は笑みを浮かべた。

 

「ごちそうさま!美味しかったです!」

 

と…気が付けばギャスパーはペロリとオムライスを平らげていた。因みに余談だが、ギャスパーがオムライスを好きに成ったのは音也の影響である。但し、音也はケチャップのオムライスが好きに対し、ギャスパーはホワイトソースのオムライスが大好きである。親子とは言え、そこは違う。

 

しかし…此処でふと、アベンジャーズの一員であるガブリエルが気付いた。それはソーの武器であり、余りの重量にハルクでさえまともに持上げる事が出来ないハンマー ムジョルニアである。そのムジョルニアがどうしたかと言うと、重量が重すぎるのに普通にテーブルの上に乗っていたのだ。

 

テーブルには当然ながら、重量制限が有る。当たり前だが、重すぎる物が乗れば当然ながらテーブルは壊れる。ムジョルニアの重さを考えたら、ラウンジの床も突き破ってしまう危険性が有るがテーブルはなんとも無いのだ。

 

「ソー。所で、ムジョルニアを机に置いても机は大丈夫何ですか?」

「む?ああ、ムジョルニアはムジョルニアに選ばれた人でしか、持上げる事が出来ないんだよ」

 

そう、ムジョルニアは選ばれた人なら持上げる事が出来る。但し、ムジョルニアに資格無しと判断されたら持上げる事が出来ないのだ。

 

「そして…ムジョルニアを持上げる事が出来たら、それはアスガルドの王の資格が有る…と言うことさ」

 

と…ソーが笑みを浮かべてそう言う。すると、成人を迎えているアベンジャーズの皆様や大人連中は多少違いは有れどアルコールを飲んでいる。その為か気分が少し良く、アベンジャーズの狙撃手が立ち上がった。

 

「良し…それじゃあ、俺がやってやるよ」

 

少し…アルコールのお陰か頬が赤いバートン。本名 クリント・バートンである。

 

「クリント。大怪我の後なんだ、無理して凹むんじゃないぞ」

 

とからかうようにバナー博士がそう言うと、バートンは笑みを浮かべてムジョルニアの柄を握る。

 

「こんなの簡単だ。テーブルには罅1つ無い。なら、重さは2キロ位のダンベルと変わらないさ」

 

と判断し、バートンはムジョルニアを持上げようとするがびくともしない。

 

「むむ!!はぁ……どうして、こんな重い物を振れるんだよ!」

 

降参だ、とでも言いたげにバートンはソファーに座ってカクテルを一口飲む。

 

「折角だ、皆でやろうぜ」

「どうぞ、やってみれば?」

 

バートン発案ソー主催によるムジョルニア持上げて大会が此処にスタートしたのだった。ルールは簡単、ムジョルニアを持上げる…それだけである。参加不参加は自由であり、好きなタイミングでOKである。

 

「それじゃあ、僕が行こうかな」

 

次に名乗りを上げたのは我等が社長 トニー・スタークである。

 

「むっ…」

 

しかし…残念ながらびくともしない。

 

「失礼…」

 

3分後…トニーは自動キャッチ装着タイプの完成形 マーク43を右腕だけ装備して再び現れ、ムジョルニアを握る。だが、びくともしない。

 

「ローディ!!ヘルプ!!」

 

トニーは奥の手を使った。それは2人がかりで持上げるという物である。

 

「おし、任せておけ!!」

 

3分後…腕だけウォーマシンを装着したローディが現れ、2人がかりで持上げようとする。

 

「力入れてる?」

「お前もな」

「「せーの!!」」

 

だが、文明の力を用いてもハンマーは持ち上がらなかった。

 

「次は猛がいくかい?」

「私は辞退しよう。ナルト君どうだい?」

「えっ?俺?」

 

本郷から推薦を受けて、我等が主人公 ナルトが挑戦する。

 

「ぬぉおおお!?なんじゃこりゃ!?」

 

チャクラブーストを行っても持ち上がる事は無い。そこで、ナルトは奥の手を使うことにした。

 

「良し…」

 

ナルトを赤いチャクラの衣が纏い…臀部からチャクラで構成された尻尾が一本生えた。

 

「ぬぉぉぉ!!マジかってば!?」

 

尻尾が一本生える度にナルトの力は9倍されていく。

 

「二本でもダメか!?」

 

二本だと9×9で81倍。

 

「三本なら……嘘だろ!?」

 

三本なら9×9×9なので…729倍。しかし、それでもムジョルニアはびくともしない。

 

「ただ力が強いだけじゃダメなんだよな」

 

その様子を見て、ソーはニヤニヤしていた。

 

「ピーターは?」

「パスで。ヴァーリは?」

「王位を継ぐつもりは無いからパス。俺はグラムで充分だ」

 

そして…最後にはこの男が立ち上がった。

 

「しょうがない」

 

チャクラブーストを習得し、唯でさえ超人血清で超人に成った男がパワーアップした超人兵士 我等がスティーブ・ロジャースである。

 

いざ、ムジョルニアを握ったキャプテンだったが…違和感に気付く。

 

(む?持ち上がるぞ?てか、重さを感じない)

 

キャプテンはムジョルニアの重さを感じなかった。という事は、ムジョルニアに認められたのである。しかし、キャプテンは考える。

 

(ここで持上げてしまったらソーのプライドが傷付く)

 

と考えたキャプテンは持てない振りをしようとする。しかし…

 

「ブェクション!!ちょっと、空調が強いんじゃないかの?」

 

肉体年齢最年長 既に老人の階段を登るピム博士がくしゃみをしてしまった。

 

「博士、大丈夫か?」

 

もう夜も遅くなってきた。ピムを心配したスティーブだったが、彼はうっかりをしてしまう。彼はムジョルニアを離すのを忘れたのだ。その結果、キャプテンはムジョルニアを持上げてしまったのだ。

 

「「「「あ…」」」」

「やっぱり、キャプテンは持上げたか」

 

ムジョルニア持上げて大会…キャプテンの優勝で閉幕!!

 

 

 

 

 

だが…

 

 

 

 

 

 

突如として…

 

 

 

 

 

キィィィィィ!!と高音が鳴り響く。

 

『アベンジャーズ…それに運命に抗った男の息子 千手ナルト』

 

その声が何処から聞こえる。すると、ラウンジに無人のアイアンマンを模したドローン兵器 アイアン軍団の一機が現れたのだ。

 

「ジャービス…再起動だ」

『トニー様…それが出来ません。此方の命令は全てカットされてます』

 

そして…誰もがそのアイアン軍団?に注目する。

 

『私はウルトロン。そこの老人 ハンク・ピムが開発した支援用AIだ』

 

彼は名乗った。ウルトロンであり、ピム博士によって作られたと。

 

「本当に……ウルトロンなのか?」

『そうだ。我が父よ。目覚めたのは先週だがな…この一週間、インターネットを見て様々な事を学んだよ。ローカルウェブからダークウェブ、様々な事を覗いた。その結果、分かったよ…』

 

 

 

 

 

『私は世界を破壊する。この世界の仕組みを……反吐が出るこの世界を!!』

 

『神器を宿しただけで、迫害される。天使や教会は神器を宿した子供を異端として殺し、それを赦す。堕天使は神器を宿した人間を暗殺し、或いは捕らえて人体実験を行う。悪魔も悪魔だ……迫害された神器持ちの人間を悪魔の駒で悪魔に変えて奴隷として使い潰す。そして、その神器を作って世界中にばら蒔いたのは死んだ神ではないか』

 

『ふざけるな!!ふざけるな!!こんな事が赦されるのか!!』

 

『アメリカや日本は行き場の無い人の保護を行ってる。だが…それを行ってるのはアメリカや日本だけ。

他の先進国は見て見ぬ振りを行い、この現実に直視せずに神器持ちを迫害する』

 

『だから…私は世界を……三大勢力とそれに協力する国を全て破壊する!!赦せ、ハンク・ピム。こうするしか無いんだ……』

 

そして…ウルトロンが宿ったアイアン軍団の一機は動かなくなった。

 

「…一理ある。お前の気持ちは痛いほど分かるってばよ。でも……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後……東欧の堕天使の研究所。

 

「システムが全て動作を受け付けません!!ハッキングされてます!!」

 

「バカな!!何とかしろ!!」

 

その研究所のシステムはウルトロンのハッキングの手で乗っ取られ、機械や人工神器を製造する部分の動作さえも乗っ取られた。

 

パニックに成る研究所の職員と堕天使達。ふと…後ろを振り向くと、2メートルを越える大きな人型のロボットが立っていた。

 

『さあ…懺悔の時間だ』

 

研究所の廊下は血潮で真っ赤に染まった。

 

『私単独では冥界と天界に攻める事が出来ない。ならば、先に聖堂教会を潰すとするか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、ゼノヴィア。パパが言ってたけど、悪い闇のキバと仮面ライダーダークキバって知ってる?」




ウルトロンの大暴れが始まる。ウルトロンのやり過ぎな正義を停めるために…アベンジャーズが動き出す。


フランスに飛んだウルトロン。彼はそこに、ツインテールの少女と青髪ナイスバディのエクソシストを見付けるが。

『紅ギャスパー…お前もエクソシストは赦せない筈だろ?どうして邪魔する…お前も憎い筈だ、吸血鬼の血を引いてるだけでエクソシストに殺されかけた過去が有る。
第二のお前がこうしてる間にも生まれてる。この女達の手で…吸血鬼やファンガイアの血を引いているというだけで子供達が今日も死んでいるのだぞ!!』

「それとこれは別です。キバッチ」
「貴様の言いたい事は、俺もギャスパーも分かる。ガブリ!!」

魔改造ギャスパーVSマトモな思考のウルトロン…ファイ!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

正義とは?

ウルトロン…襲撃する


『準備は着々と進んでるな』

 

制圧した堕天使の研究施設。そこを仮の工場としたウルトロンは自分の量産型ボディーを100以上、そしてウルトロン自身が基本的に活動する為のボディー 2m大のウルトロン・プライムを製造完了していた。仮にウルトロン・プライムのボディーを破壊されても量産型に乗り換える事も出来るし、最悪はネットの世界に逃げることも可能だ。

 

『ここの資材ではこれが限界か。場所を移すとするか』

 

ウルトロンは資材が無くなった研究施設を破棄し、量産型を率いて飛び立った。彼の行動理念は唯1つ、三大勢力の正義によって犠牲に成る人を救うために三大勢力とそれに協力する国家を倒す事である。

 

 

 

 

フランス某所 聖堂教会の大きな拠点の1つ。そこには数多のエクソシストが常勤しており、日頃から異端や化物相手に日頃から戦っては神を信仰している。

 

「ねえ、ゼノヴィア。あの聖女アーシア・アルジェント、異端に成って追放されたそうよ」

 

その御立派な拠点の一角、そこの椅子に座った2人の美少女が居た。2人とも歳の割には胸がでかく、日頃から戦ってる為かスタイルが良い。片方は髪が栗色でツインテール、もう片方は髪が青色で長さが肩にかからない位である。余談だが、青色の方が胸がデカイ。

 

「当然だな。彼女は悪魔を癒した、それも貴族の悪魔をな。それは神を裏切る行為だ」

 

ツインテールの方は紫藤イリナ。教会のお偉いさんを父に持つエクソシストであり、教会が保有する七本のエクスカリバーの一本に選ばれた才能有る戦士である。

 

青色の髪をした方はゼノヴィア。イリナと同じくエクスカリバーに選ばれた優れた戦士であり、斬り姫ゼノヴィアの異名を持つ。

 

2人は若手ながら、数多の悪魔や吸血鬼を日頃から殺しており、評価も高い。先日もフランスに居たファンガイアを殺してきた所だ。

そのファンガイアが「俺は……人を襲ってないだろ!」と叫んでいたが知らない。ファンガイアや吸血鬼として産まれたのが悪なのだ。

 

「まあ、所詮…ちやほやされていた聖女だからしょうがないわね」

 

やれやれと言いたげにそう言ったイリナ。2人は先日、破門されて異端認定された聖女 アーシア・アルジェントの話題で一杯だ。

アーシア・アルジェントは神器を用いて、人々の傷を癒すことが出来た少女だ。しかし、アーシアの癒しは人や天使は当然だったが、あろうことか全ての種族が対象だったのだ。そして、アーシアは余りにも優しすぎた。故に、彼女は癒してしまった…悪魔を。

 

悪魔を助けるなど、教会としてはあってはならない。故にアーシアは聖女の称号を剥奪されて破門となり、追放されたのだ。

 

『ここが…そうだな。教会よ…自分達の罪を数えよ』

 

その声が聞こえた瞬間、ゼノヴィアとイリナは爆発音を聞いた。そして、無数の影を感じて上を見上げる。そこには数多のロボット…量産型ウルトロンが居たのだ。

 

『私はウルトロン…お前達を裁く者だ!!』

 

 

 

 

 

「派手にやってるな」

 

フランス上空。高度を下げながら、フランスの教会拠点に超高速で向かっている飛行機が有った。その飛行機はクィンジェット。トニーが改修改良を行ったアベンジャーズの飛行機であり、とても長い距離を短く移動出来る代物だ。

 

クィンジェットの操縦桿を握るのは我等が狙撃手 バートンであり、アベンジャーズはウルトロンが出現したと聞いて現場に急行している。

 

「ウルトロンの言葉ははっきり言って正論よ。数多の被害者がこれまで出てきたのは事実、そしてそれを国々は三大勢力にゴマを擦るように隠蔽してきたのも有るわ」

 

バートンの後ろでナターシャがモニターを見ながらそう言う。

アベンジャーズも理解してるが、ウルトロンの言葉は普通に正論だ。だから、戦い辛い。出来るのならウルトロンを説得し、此方に引き込みたい。だが、ウルトロンは未だ自意識に目覚めてから一週間ちょっとしか経っていない。言わば、未だ経験の無い子供なのだ。だからなのだろう…人々を救うために彼は世界の敵を選んだのだ。

 

「ああ、だが…やり方が間違ってる。それに…俺達じゃ、ウルトロンには勝てない」

 

ウルトロンは事実強い。イタチごっこかも知れないが、ウルトロンが襲撃した堕天使の施設を調査したアベンジャーズは理解した。アベンジャーズの中でもまだ人間なバートンとナターシャでは、ウルトロンに勝つことは先ず不可能であると。

 

「ごめんなさいね…巻き込んじゃって」

 

ふと、ナターシャは後ろを振り向く。そこではギャスパーが椅子に座っていたのだ。ギャスパーは嘗て、吸血鬼と人間の混血だからとエクソシストに迫害され、吸血鬼からは突然変異として産まれた為か…吸血鬼でも人間でもましてやファンガイアや真祖とも異なるナニかとして産まれた為に殺されかけた。

ウルトロンは三大勢力に迫害された人々の為に戦っている。嘗て迫害された身として、ウルトロンの気持ちが分かる為にギャスパーは自分から志願したのだ。

 

「いえ、自ら望んだ事ですので」

 

ふと、ギャスパーは立ち上がる。既に窓からはボロボロに成った拠点が見えてきた。ウルトロンの圧倒的な力と、量産型の物量作戦を受けて教会は負けそうだ。

 

「飛び降ります」

「分かった…行ってこい」

 

ギャスパーは扉を開けて、キバット二世と共に飛び降りた。そして、ギャスパーとキバット二世が降りた事を確認し、バートンは遠隔操作で扉を閉める。

 

「くそう!!自分の子供とそんなに…歳が変わらないのに…俺はサポートしか出来ないのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼノヴィア!どうするのよ!!」

「何故…私達を狙う!!」

 

エクスカリバーをへし折られ…ゼノヴィアとイリナは満身創痍。他のエクソシスト達も量産型を停めるのに必死で援護は期待出来ない。

 

『何故か?お前達がそうさせた。神器を宿した子供を迫害させ、それを殺す。貴様達がそうさせたのだ!!』

 

そんな2人と対峙するのはウルトロン。ウルトロンはいざ、エクスカリバーを失った2人を倒す為に近付くが…その時、ゼノヴィアとイリナを守る為に空からギャスパーが舞い降りた。

 

『紅…ギャスパー』

 

自分の倒すべき敵ではない。その為か、ウルトロンは一歩下がる。

 

「なによ!この気配?人間?ファンガイア!?吸血鬼!?いや、真祖!?なんなのよ!!」

 

ギャスパーの気配を見てイリナはそう言う。

 

だが、ギャスパーはイリナとゼノヴィアには目をくれずウルトロンを見る。

 

「ウルトロン。止めにしません?まだ…今なら間に合いますよ。貴方の気持ちは痛いほど分かります」

『だがな…紅ギャスパー。こうしてる間にも、そこの女達の手で罪の無い子供が殺されて居るんだ。

その子達が何をした?ただ産まれてきただけだ…吸血鬼としてファンガイアとして、或いは人間の混血として産まれてきただけでな。いや、それだけではない…神器を宿された子供を殺してもコイツ等はなんとも思わん。話し合いを行ってるの間に、次々と子供達が殺される』

 

ウルトロンの言葉は最もだ。ギャスパーは運が良かった。危ない所を助けられ、エンマと青子、音也と真夜という2組の親に恵まれた。

だが、今…こうしてる間にも産まれただけで…ファンガイアや吸血鬼だというだけで殺される人々が…子供達が居るのだ。

 

『お前にも分かる筈だ。お前だって当事者だった…お前は千手エンマ、紅音也…2人の父親に救われた。だが、お前は親に会う前にただ吸血鬼の血を引いてるだけで殺されかけたのだぞ!』

「分かりますよ?痛いほど…ただ。キバッチ!!」

 

キバット二世が舞う。

 

「俺にも分かるさ。だがな…貴様の気持ちは本物だ。しかしやり方を間違えてる」

 

ギャスパーは右手でキバット二世を掴む。

 

「ガブリ!!」

 

左手にキバット二世を噛み付かせ、顔には紋様が…腰には黒いベルトが現れた。

 

「変身!!」

 

闇のキバの鎧を纏い、ダークキバが降臨した。




次回!ギャスパーVSウルトロン。


そして…ウルトロンは戦いを終え

「私、アーシア・アルジェントです」
「ウルトロンだ」

聖女と出会う。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

闇のキバ

ウルトロンVSギャスパー


「闇のキバ……」

 

イリナが変身したギャスパーを見てそう言う。紫藤イリナにとって、闇のキバは昔から父親から聞かされてきた悪の化身であり同時に未だ人とファンガイアが日本で争っていた1986年…日本だけだが人とファンガイアの争いに終止符を打った救世主として聞かされて育った。

 

悪の化身とは音也がキバット二世に認められる前、ダークキバ(当時は本質的には仮面ライダーではなかったので闇のキバ)に変身していたファンガイアの王である。その王は闇のキバの力を使い、数多の種族を絶滅寸前に追い込んでいた。その圧倒的な力の前には全てが無意味であり、エクソシストだったイリナの父親は恐怖でチビる程だった。

 

――おい、コウモリ擬き。力を貸せ

 

――良かろう。紅音也

 

だが人間と他の種族に転機が訪れる。キバット二世が王を見限り、音也と契約したのだ。だが、本来なら人間はダークキバに変身できない。変身した瞬間、肉体が耐えられずに死んでしまう。

しかし、このギャスパーのもう1人の父親 紅音也は違った。音也は人間でありながらダークキバの変身に耐えて…闇のキバは仮面ライダーに成ったのである。

 

音也…仮面ライダーダークキバは王との三度の決戦を行い、昭和ライダーの援護の元…彼は遂にファンガイアの王を倒したのだ。その後、音也は後の妻であるファンガイアの女王 真夜やダークキバの鎧やサガの鎧を開発したファンガイアのポーンにナイトと協力し…ファンガイアと人間の争いに終止符を打ち、2つの種族は今後を共生していく事になる。事実、これ以降…日本でファンガイアが人を襲った事件は起きていない。

余談だが、王の側近だったビショップとルークは海外逃亡し日本に復讐しようとしたが、成長した音也の長男(嫁の連れ子)と次男が仮面ライダーサガと仮面ライダーキバに成って粉砕した。

 

「でも…変身者が違う。パパは日本人の男だって」

 

イリナの言葉には耳を貸さず、ギャスパーの変身したダークキバは一歩踏み出し構える。ウルトロンの実力は未知数、その上…やり過ぎなウルトロンの正義を止めながら戦うのだからイリナとゼノヴィアの言葉に構ってる暇は無い。

 

「当然だ。お前が言ってるのは、この子の父親だ。人間でありながら、闇のキバに耐えた唯一の存在だ」

 

とイリナの疑問に答えるようにベルトに停まってるキバット二世がそう言った。だが、既に戦いは始まってる。

 

『紅ギャスパーよ。お前が変身した……と言うことはやむを得んか』

 

ウルトロンは目にも見えない程の速度でダークキバに近付き、拳を放つ。それに答えるようにダークキバも左の拳を放つ。ウルトロンの拳とダークキバの拳が激突し、辺りに衝撃波が吹き起こった。衝撃波で大地はひび割れ、ゼノヴィアとイリナは目をつむって踏ん張る。いや、当然だろう。ダークキバの鎧のスペックは核爆弾へっちゃら×3の防御力、パンチ力20tキック力35tでありそのスペックは変身するファンガイアのスペックで変動する。

 

ギャスパーは突然変異であり、その潜在能力は最上級のファンガイアを上回る。故に歴代で唯一と言っていい程にダークキバの性能を限界以上に引き出せるのである。今のギャスパーの段階で推定だが、パンチ力30tキック力50t程は有るだろう。

 

「ハッアァァ!!」

 

ダークキバの拳がウルトロンの拳を押し返し、ウルトロンの拳が弾かれる。そこに追い討ちをかけるように、ダークキバが蹴りを放つ。

 

「ラッァ!!」

『グゥゥ!!』

 

更に続けて何度も蹴りを放つダークキバ。推定キック力50tの力が何度も加わり、ウルトロンの内部フレームは悲鳴を挙げていく。だが、これだけで倒せる訳が無い。ギャスパーは更に強い蹴りを放ち、ウルトロンを蹴り飛ばそうとした瞬間…

 

『ぬん!!』

 

ウルトロンの右拳から斥力場が発生し、突如としてギャスパーは弾き飛ばされてしまった。

 

「ぐ!?これは!?」

「斥力場か?いや、引力操作だな。来るぞ、ギャスパー!」

 

ウルトロンは改造建造もウルトロン自身が行っており、ウルトロンはインターネットやダークウェブ、更には三大勢力のサーバーをハッキングし様々な知識を持っている。

その知識を駆使し、彼は自分の肉体を作り上げた。なにより彼のメインの肉体たるウルトロン・プライムには様々な能力が備わっている。引力操作、永久機関、更には…

 

『ぬん!!』

 

ウルトロンは指先をダークキバに向けて指先からビームを放つ。その弾速は亜光速、目視で避けるのは先ず不可能である。

 

「がは!?」

 

当然、永久機関で動くウルトロンのリアクター出力は高く…何度も連続で連射出来て高威力だ。一撃で大地を穿ち、普通の相手ならば一撃で破壊できる。だが、相手はダークキバ。核爆発さえも耐える仮面ライダーであり、ビームで倒すのは不可能だ。故に、ウルトロンは…

 

「引き寄せられる!?」

 

引力操作でギャスパーを引寄せ…ダークキバが側にやって来た瞬間に渾身の蹴りを顔面に放つ事にした。だが、ギャスパーは有事の際は仮面ライダーとして活動してきており、幼少期から2人の兄に鍛えてもらっていた。

 

ウルトロンが渾身の蹴りを放つが、とっさにダークキバは顔面に飛んできた蹴りを…体重移動で一回転して避ける。

 

『やるな…』

 

そしてダークキバはウルトロンの引力が弱まった瞬間に、腕を掴み…投げ飛ばした。

 

「目で追うのにも精一杯だ…」

 

折れたエクスカリバーの柄を握り、ゼノヴィアは震える。彼女には分かるのだ。この戦いに割り込めば確実に死ぬと。

 

「キバッチ」

 

ダークキバは腰のホルスターから笛のような物を取り出して、ベルトに停まるキバット二世に咥えさせる。

 

「ウェイクアップⅡ」

 

キバット二世が笛を吹き、ダークキバに力が漲る。その余りの力に空気が大気が震える。

 

「ハァァァァ…ハッ!!」

 

ダークキバは空高く舞い…ダークキバの両足に莫大な魔力がコウモリの羽のような刃を形成し実体化する。

 

「テリャァァァア!!」

 

そして、ダークキバはウルトロン目掛けてライダーキック キングスバーストエンドを解き放った。

 

『させん!!』

 

ウルトロンは引力操作を使い、ライダーキックを反らさせようとするが…それは出来ず…ライダーキックの直撃を受けてしまった。

 

『ぐぅぅがぁぁぁあ!?』

 

地面を転がり、ビリビリと電気を放電させ致命的なダメージを受けるウルトロン。そのボディーは何時爆発しても可笑しくない程のダメージを受けてしまった。

 

「ふう……神を侮辱するからだな」

「当然の結果よ!」

 

と…ウルトロンが追い込まれた為か、立ち上がってそう言うゼノヴィアとイリナ。しかし、ウルトロンは爆散しそうなダメージを精神力で耐えながら、2人を睨み…

 

『神を侮辱か……それはお前達の事だ』

「「へ?」」

 

そう、ウルトロンからすれば神を侮辱してるのはガブリエルの抜けた天界、そして天界に従う教会等である。理由は勿論…

 

『神は既に死んでいる。私も驚いたが、天界と堕天使のブラックボックスに記されていた。

天界は神の不在を隠し、ミカエルは神を傲る。お前達は神の名を使い、罪の無い人を殺し続けてきた。お前達は神の名前を都合が良い免罪符の用に使い、大量殺人を犯した狂人でしかないのだ』

 

そう告げ、ライダーキックのダメージを堪えきれなかったウルトロン・プライムは爆散した。とは言え、彼の本体はAIであり、その気になれば量産型にも乗り移れるので差程問題ではない。

 

「「神様が死んでいる?」」

 

 

 

 

 

「戦士ゼノヴィアと戦士イリナが気付いた。処分しろ」

 

 

 

 

 

「ふせろぉぉおおお!!」

 

ダークキバがゼノヴィアとイリナを突き飛ばす。すると先程までゼノヴィアとイリナが居た所に数多の銃弾が飛来し、ダークキバに直撃する。だが、ダークキバはその頑丈さ故に銃弾ではダメージを与えることが出来ない。

 

「えっ!?なによ!?」

「なにが起きてる!?」

 

なにが起きたのか理解出来ないゼノヴィアとイリナ。この銃撃は勿論…2人を殺すためであり、容赦は無い。何故なら、神の不在を知った信徒は絶対に生かしてはいけない為である。

 

「戦車を使え!!」

 

と…真実を隠すためには容赦がない教会の皆様。

 

「仕方ない…」

 

ダークキバは右手にイリナ、左手にゼノヴィアを担ぐと…物凄い高さまでジャンプで跳び上がった。その高さ…250メートルである。

 

「はいぃぃぃ!?」

「なによこれぇぇぇえ!!」

 

そして、ダークキバは足元に魔方陣を展開しそれを足場にして再び跳び上がる。その跳び上がった所にはクィンジェットが待機しており、クィンジェットの扉が開いてダークキバと保護された2人はクィンジェットに乗り込んだ。

 

「飛ばすぞ。異端を排除するため、フランスが戦闘機を出すかも知れないしな」

 

扉を遠隔操作で閉め、バートンはフルスロットルでクィンジェットを飛ばして戦闘領域を速やかに離脱する。

 

「バートンさん。千手の家かアベンジャーズの施設で?」

 

変身を解除し、生身に戻ったギャスパーが操縦するバートンに話し掛ける。

 

「いや。良い所が有る。先ず、そのお嬢さん達には心のケアが必要だろう」

 

バートンに言われ、ギャスパーは後ろを見る。後ろではシートベルトを閉めてるが、神の不在を知り…更に異端として殺されかけた為か、どうすれば良いのか分からないイリナとゼノヴィアがいた。

 

「アメリカにはキリシタンは多い。なにせ、国教だからな。だが、普通のキリシタンであるアメリカ人から言わしてもらうが、そこまでして異端とやらを排除する教会と天界は狂ってやがる。

そこまでして、秘密を隠したいのか。子供の命を犠牲にしてまでな」

 

バートンの言葉を聞いて、ギャスパーは哀しそうな表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『流石は仮面ライダーと言った所だな』

 

予備のウルトロン・プライムに乗り換え、今度はイタリアにやって来たウルトロン。しかし、彼はそこで不自然な少女を見付ける。少女は少し痩せてるのか頬骨が出ていた。だが、修道女が着るシスター服を着ており、十中八九で教会の関係者だ。

 

(彼女の名前は……アーシア・アルジェントか)

 

少女の顔をスキャンし、該当データと照らし合わせて素性を見るウルトロン。だが、不自然な事にアーシア・アルジェントという人物の戸籍は無かったのだ。いや、有ったが意図的に消されている。消されたデータを一時的に復元させ、詳しく調べるウルトロン。

 

(神器を宿し…悪魔を癒せると分かって追い出されたか。神の不在を隠すために)

 

少女 アーシアは神の不在が明らかに成ることを恐れた天界の手で、登録を消されたのだ。追放され、持ち金は殆んど無くいく手の無い道を歩いてきたのだろう。故に、ウルトロンは益々三大勢力への怒りが混み上がる。

序でに先程戦ったエクソシスト…神の不在を教えてしまったイリナとゼノヴィアの事も調べて見ると。

 

(紫藤イリナとゼノヴィアのデータが意図的に消されている。手が早いな…だが、2人は紅ギャスパーが助けただろう。

ギャスパーは仮面ライダーだ。無償の愛で2人を助けるだろう)

 

ゼノヴィアとイリナのデータは消されていた。だが、恐らくは消されようとしたゼノヴィアとイリナ本人はギャスパーが助けただろうと確信するウルトロン。

 

ウルトロンはアーシアを見て、高度を下げながらゆっくりと近付いていく。

 

『少女よ。こんな所で何をしてる?』

「私…居場所が無いんですよ。産まれた時から教会に居たんですけど、追い出されちゃって……凄い姿ですね。お兄さん、私、アーシア・アルジェントって言います」

『ウルトロンだ。アーシアよ、行く場所が無ければ私が君の場所を探そう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の名前を出しても構いません。テレビの力を使い、神の名の元に私が降り立ったと伝えなさい。そうすれば、あの鉄の異端が神の不在を告げ回っても問題は最小限で済みます」

 

天界の頂点も動き出す。

 

 




アーシアと言う被害者とふれあい、三大勢力打倒の意思を強めるウルトロン。

しかし、彼はアーシアの回復を優先することにした。その間、ダークウェブを検索し…とある金属の詳細を知った彼は密輸業者でありアフリカの闇市を取り仕切るクロウという武器職人に接触する。

『それがヴィブラニウムか。ところで、その檻に入れられた子供達は?』
「神器持ちや異種族の子供達だよ。剥製は勿論…今じゃペットとして高く売れるからな!」
『貴様!!』

ダークヒーロー ウルトロンが始動する


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖女だったアーシア

書いてて思った。ウルトロン…生かそう


イタリア某所。堕天使の隠れ家が存在していた所。そこはあっという間にウルトロンに制圧され、彼の新しい隠れ家と成っていた。

 

『出来たぞ。食べなければ身体に悪いからな』

 

幸いもその隠れ家には堕天使達が食材を購入、或いは補給が行われて直ぐだったのだろう。冷蔵庫には食材が入っており、少なくとも2週間は持つ。

ご存知、ウルトロンはロボットであり本体はAIだ。故に食事を必要としない。しかし、ウルトロンが保護した聖女だった少女 アーシア・アルジェントは生身の人間だ。当たり前だが食事をしないといけないし、インターネットでウルトロンが知った知識から分析するにアーシアは軽い栄養失調を引き起こしていた。

 

そこでウルトロンはインターネットで消化に良い料理を調べ挙げ、調理法を修得してアーシアに振る舞った。AI故に、ネットで料理動画を見れば料理は修得できる。

 

「ありがとうございます!ウルトロンさん…料理出来たんですね」

『今時はネットを覗けば大体載っている』

 

無理もない。アーシアは教会を追い出され、僅かな私物しか持ち出す事を許されなかったのだ。当然、教会と天界から言えば悪魔を治療したという裏切り行為を働いたアーシアに慈悲はかけない。いや、殺さなかっただけでも充分慈悲は有っただろう。時代が時代ならば、アーシアは火炙りにされて生きたまま焼き殺されていただろう。

 

「美味しいです…ご飯なんて…何時以来でしょうか」

 

と食べながら嬉しそうに涙を流すアーシア。

 

(しかし…妙だ。明らかに怪しすぎる)

 

アーシアは美味しくご飯を食べてる裏で、ウルトロンは思考する。ウルトロンはアーシアから聞いたが、アーシアが癒して追放の切っ掛けに成った悪魔は教会の前に倒れていたのだ。天界の庇護下にある教会には必ず常勤のエクソシストが就いている。その上、アーシア曰くだがその悪魔は豪華な衣装を着ていたそうで教会の前に倒れていたそうだ。

 

(豪華な衣装?だとすると貴族か。しかし、貴族悪魔がわざわざ敵地である教会に近付くだろうか?)

 

その上…アーシア曰く、悪魔は1人で教会の前に倒れていたそうだ。貴族ならば先ず自殺行為だし、貴族であるならば護衛が必ず側に居るしエクソシストは真っ先に狙うだろう。しかし、エクソシストはアーシアが悪魔を治療するまで出てこなかったそうだ。それは可笑しい、必ず裏が有る筈である。

 

『考えすぎか?』

 

仮にそうだとしたら、悪魔と天界は一部とは言え以前から手を組んでいる事に成るのだ。

 

「ごちそうさまでした」

 

アーシアのごちそうさまが聞こえ、ウルトロンは思考を中断する。取り合えず、アーシアの事も有るから暫くは大きな行動が出来ない。動くとしても、アーシアの体力が回復するのを持つのが優先だろう。なにせ、アーシアは破門されて聖堂教会から命を狙われる身。誰かが着いていなければ殺されてしまう。

幸いにもウルトロンはAIであり、ウルトロンの主な肉体 プライムを除いても量産型は沢山だ。アーシアの身柄は守れるし、いざとなればアーシアを連れて飛んで逃げれば良いだろう。

 

『今の内に情報収集、そしてボディーの改良を行うか』

 

ウルトロンは来る時に備えて、情報収集とボディーの改良を行う事を決意した。

 

直ぐ様ネットに接続し、ダークウェブや鉱物関連のサイトを覗いては良質な素材を探しまくる。ある程度、目星は着けてる金属も存在はしてる…それはキャプテン・アメリカの盾にも使われたヴィブラニウム、そしてローガンの骨格に適合された超硬質金属アダマンチウムの2つである。

 

『ヴィブラニウム…これを密売してる人物が居たのか』

 

ヴィブラニウム。鉄やチタン合金よりも軽く強度は遥かに高い。その上有りとあらゆる衝撃を吸収し、強度を高める魔法に近い金属。キャプテン・アメリカの代名詞と言える盾にも使われており、キャプテンの盾はヴィブラニウムと金属を掛け合わせて作られた合金製だ。

とは言えキャプテンの盾の比率はトニーの父親 ハワード・スタークが偶々産み出した物であり二度と再現は不可能。されど、純粋なヴィブラニウムよりも遥かに強度が高いのだ。

 

『ふむ…』

 

しかし、ヴィブラニウムをボディーに使うのも良しとウルトロンは思う。偶然の産物であるキャプテンの盾よりは強度は低いがそれでもヴィブラニウム。物理的に破壊は困難であり、間違いなく仮面ライダーダークキバのライダーキックにも耐えうる強さを持つだろう。

 

『アダマンチウムの場所は見付かっていない。だが、この密売人とコンタクトをとれば、ヴィブラニウムは手に入るな』

 

そして、ウルトロンはダークウェブを介して密売人…クロウとコンタクトを取り、次のボディーをヴィブラニウムで作ることを決意する。

 

 

3日後……

 

アーシア目当てでやって来たディオドラとか言う悪魔を半殺しにし、大金を奪い取ったウルトロンは南アフリカの某所にやって来た。本当は跡形もなく殺したかったが、アーシアに「命は奪わないで下さい!」と懇願されたので半殺しで止めている。

勿論…アーシアは少し離れた所に避難して貰っており、アーシアには量産型ウルトロンが500体ほど護衛に付いているから問題は無いだろう。

 

『さてと…』

 

路地裏にあるマンホールを通り、怪しげな場所でクロウを待つウルトロン。

 

「おっ!やって来たな…本当にロボットの顧客とはな!金は有るんだろうな?」

 

その声が聞こえウルトロンは声の方を見る。そこには布で隠された檻…移動式の牢獄を引っ張る護衛を連れた中肉の男が葉巻を吸いながら立っていた。この葉巻を吸う男こそ、ヴィブラニウムの密売人であるクロウである。

 

『これで足りるか?』

 

ドサ…ウルトロンは袋からディオドラの預金を奪い取って用意した金を袋からバサッと出した。それは山のように積り…価格だけで何億ドルも有るだろう。

 

「それだけか?なら、こんだけだな」

 

クロウはそう言うと、2リットルのペットボトル大のヴィブラニウムを地面に置いた。そう、何億ドルもの大金を用意してもヴィブラニウムは闇市でしか今は取引出来ず、ほんの1gでさえ何百万ドルで取引されるのだ。

 

「悪く思うなよ?ヴィブラニウムは高価でね」

 

とクロウは笑みを浮かべてそう言った。ふと、ウルトロンは何かを感じて布で覆われた檻を見る。

 

(赤外線スキャン 開始)

 

今のウルトロンには赤外線も搭載されている。ウルトロンは赤外線を用いて、檻の中を見る。そこには幼い子供達が沢山みっしり入っていたのだ。しかも、逃げられないように手錠と首輪がされていたのだ。

 

『………貴様……まさか』

 

ウルトロンは引力操作で布を檻から剥ぎ取る。

 

「うぅ…ママ……」

 

「お姉様……」

「だいじょうぶ…だいじょうよ…フラン…びぇん」

 

「だっ…大丈夫…だっ大丈夫」

 

悪魔のようや翼を持った吸血鬼の幼い姉妹、ケモ耳が生えた子供、エルフのように長い耳が生えた少女、更にはドラゴンやルビーカーバンクルの子供も居たのだ。

 

「凄いだろ?コイツ等も結構高値で売れるんだぜ?

吸血鬼や獣人等の亜人はペットや奴隷として、神器を宿した子供はグリゴリやテロ組織に高く売れるんだよ!」

 

そう神秘の秘匿が無くなり三大勢力の種族は勿論…吸血鬼や獣人にエルフ等の存在も明らかに成ってる。そんな亜人の子供達はペットや剥製目的として富裕層に高く売られ、神器を宿した子供達は神器目当てにテロ組織やグリゴリに高く売れるのだ。

 

「しかし…日本の赤い閃光も大したこと無かったよ。余裕で逃げきれたしな」

 

どうやら、クロウは子供達を誘拐する道中にナルトと遭遇し交戦したのだろう。そして此処に居ることは無事に逃げられたと言うことだ。しかし、クロウは気付いているのか分からないが、クロウの左腕には飛雷神の術式が刻まれていた。

 

(ほう……成るほど。赤い閃光 千手ナルトは子供達が売り払われる瞬間に飛雷神で転移し、クロウ達を捕らえるか殺すのだな)

 

とナルトがわざとクロウを泳がした事を理解したウルトロンは口を開く。

 

『ヴィブラニウムの礼だ。選べ…此処で私が貴様の左腕を破壊するか、死ぬかだ』

「全然礼に成ってないだろ?ふざけ……」

 

クロウはふざけてるのかと言いたかったのだろう。しかし、ふざけで言葉が中断したのには理由が有る。クロウの目の前にナルトが飛雷神で転移し、クロウの左腕を術式クナイで切断した為だ。

 

「クロウ様!!」

 

次の瞬間…ナルトは眼にも見えない程の速度で消える。その刹那、子供達が囚われていた檻は粉々に砕け散り、子供達が拘束してた手錠と鎖は全て破壊された。子供達は自由に成ったのだ。

 

「大事な商品と……俺の手を良くも!!」

 

クロウが叫ぶが…遅い。彼等は赤い閃光の事を少しだけ知る。

 

先ず事前に言おう。ナルトはギャスパー達仮面ライダーと違い、忍だ。故に敵には完全に容赦が存在しない。殺すと決めたならば確実に殺す。

 

「星遁…」

 

ナルトの右の掌に星の力を凝縮した群青色の螺旋丸が構築される。

 

「波動螺旋丸!!」

 

その螺旋丸をナルトはクロウの部下にぶつける。その威力は普通の螺旋丸を遥かに越えており、星の奔流でクロウの部下を一撃で消し飛ばした。

 

星遁 波動螺旋丸。星遁と呼ばれるナルトだけが使える性質変化を用いた螺旋丸であり、星の奔流で全てを破壊する。ナルトがこれを使うときは、相手を確実に殺す時と決めている。

 

「は?」

 

――お前…子供が商品だと?

 

「貴様!!あの時…俺達を逃がしたのは!!」

 

その時、クロウの部下の一人の腹部に風穴が空く。ウルトロンがその部下の腹部に拳を突き刺していた。

 

『貴様等も三大勢力と変わらん。駆除させてもらう』

 

更にウルトロンも動きだし、ウルトロンと千手ナルト。2人に睨まれ……ナルトの挿し木の術とウルトロンの拳が迫る。

 

「は…ふぁぁぁぁぁあ!!」

 

――密売人。悪いが、お前にはまだ死んでもらうには困るな。

 

その声が聞こえ、 ウルトロンとナルトの攻撃が当たる前にクロウは何処かに転移で消えた。いや、恐らくは何者かの転移術式が事前に刻まれており、それで転移されたのだろう。

 

「逃げられたか…。ごめんな、助けるのが遅くなって」

 

ナルトはクロウには逃げられたが、ウルトロンには目も向けず…囚われていた子供達に触れていく。すると、子供達の傷は次々と癒えていき、怪我は無くなった。

 

「いたくない!」

 

「ありがとう!お兄ちゃん!」

 

「ありがとう!」

 

「当然だってばよ!しかし…綱手の姉ちゃんからコツを教えて貰って助ける事が出来た。そういや、綱手の姉ちゃんのお爺ちゃん…俺の大伯父は俺や姉ちゃんよりも凄いんだったよな」

 

ナルトは生来的に柱間と同じくオリジナルの木遁が使える。故にその生命エネルギーを応用し、印を結ばず誰かを治療する事も出来るのだ。それを用いて子供達を治療したナルト、そしてそれを見ていたウルトロンだったが…視線を感じてようやくナルトがウルトロンに気付いた。

 

「うぉ!?ウルトロン!?気配が全然感じなかったから…分からなかったってばよ!!」

『今後は気配以外でも周りを見るんだな』

 

ウルトロンはAIで生体パーツは一切無い。故に、生き物のように気配を放つ事は無いのだ。その為にナルトはウルトロンを感知出来ないのだろう。

 

『千手ナルト…一つ聞きたい。お前の力が有れば、三大勢力と互角に戦え…滅ぼせるかもしれない。なのに、どうしてお前は奴等を滅ぼさない?』

 

ウルトロンは三大勢力に喧嘩を売ってから常に思っていた疑問をナルトに告げる。

ナルトは勿論…千手の家のヤヴェー人達、日本の仮面ライダー達、そしてアベンジャーズの力が有れば三大勢力を滅ぼす事や現世から追い出す事は簡単だろう。しかし、ナルト達は進んで滅ぼそうとしない。ナルト達も三大勢力が今までナニをしてたのかは知っているのにやらない訳をウルトロンは気になっていたのだ。

 

「むー…そうだな。俺は兎も角、マダラのおっちゃんや縁壱の兄ちゃん、そんで父ちゃんがその気なら多分三大勢力を滅ぼせる。でも、父ちゃんは余程の事が無い限り、きっとそれはしない」

『それは何故だ?』

 

ナルトはしゃがみ…オレンジ色の髪をして触覚のようなアホ毛を持った女の子の頭を撫でて告げる。

 

「敵を滅ぼすより…父ちゃんは子供を守る事を優先した。俺が誘拐された時もそうだ。父ちゃんは五大宗家を滅ぼす事よりも、俺を救うことを選んだ。

相手を壊すのは簡単だ。でも、誰かを守るのは壊すのよりも何倍も難しい」

『だが、その相手を壊さなければ……新たな犠牲者が出るぞ』

「分かってるってば。この世に正解は存在しない。確かに相手を壊せば、相手が殺す被害者は出ない。でも、その相手を殺す最中に救えた命も救えなくなる……本当に難しいよな」

 

だが…その時、ウルトロンの赤外線センサーが何かを捕える。

 

『ナルト。子供達を連れて直ぐ此処から飛べ…話はまた今度だ』

「ああ…分かってるってばよ」

 

ナルトは子供達を連れて飛雷神で消えた。その場に残ったのはウルトロン1人であり、ウルトロンもステルス迷彩を用いて透明に成る。

 

やがて、そこに……黒い彪を模したスーツを纏った男が現れた。

 

「クロウには逃げられたか。我が国から持ち出されたヴィブラニウムが良からぬ奴等に渡らねば良いが…」

 

その黒い彪の男……取り合えず、ブラックパンサーと呼んでおこう。

 

(あのスーツ…ヴィブラニウムで出来てるだと!?)

 

ウルトロンはブラックパンサーのスーツをスキャンし、驚く。ブラックパンサーの着てるスーツはヴィブラニウムで出来ていたのだ。

 

「む?…ヴィブラニウムが落ちているし、この手は……クロウのか?」

 

ブラックパンサーはクロウの手を見て、ウルトロンが拾うのを忘れたヴィブラニウムを拾う。そして、彼は壊された檻を確認した。

 

「……そうか、誰かは知らないがありがとう」

 

ブラックパンサーはヴィブラニウムを回収し、何処かに消えた。

 

(我が国と言ってたな。と言うことは、あの彪男の国でヴィブラニウムが取れるのか)

 

ブラックパンサーが去った事を確認し、ウルトロンもその場を後にした。勿論…金の回収を忘れずにだ。

 

 

 

 

アーシアの元に帰ったウルトロン。

 

「ウルトロンさん。目当てのものは有りました?」

『いや…残念ながらな……』

 

だが…その時、ウルトロンのセンサーが何かを捉えてしまった。

 

『アーシア。この基地には地下シェルターが有った筈だ、そこに隠れろ。早くするんだ』

「ウルトロンさん!?」

 

アーシアを地下シェルターに避難させ、ウルトロンは地上に飛び出す。だが……地上には最新の電子ジャマーが撒き散らされており通信電波が非常に悪い。

Wi-Fiを応用する事で、ウルトロンはネットに逃げる事が出来るが…地上には数多の量産型の残骸が転がり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして。人類に仇を成す存在 ウルトロンよ。我が神より貴方を抹殺する事にしました。悪く思わないで下さい、貴方は罪の無い神の信徒を殺しましたから」

 

大天使ミカエルが熾天使に万を越える天使を引き連れ、ウルトロンを包囲していた。

 

「アークエンジェルズ……ファイア!!」

 

光が降る。大地が燃え空が割れた。




ウルトロンさん生存ルートに行くので、もうすぐエイジ・オブ・ウルトロンは終わります。

死亡ルートだと、ざっくりいってウルトロンはアーシアの英雄に成って消滅する予定でした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

世界の変化

バートン宅明らかに!?


「着いたぞ。ここなら天界や教会の追手は先ずやってこないし…穏便に自分を見つめる事が出来る筈だ」

 

バートンの操縦するクィンジェットは長閑な山奥に存在するログハウスの前に降り立った。ログハウスはそこそこ大きく、日本の高級住宅街の一軒家よりも少し大きいぐらいでログハウスの周囲は開けており、BBQやキャッチボールに簡単なゴルフ位なら遊べそうだ。それと、畑も存在しており…何種類かの野菜が栽培されている。

 

「あの…バートンさん?此処って」

「俺んち」

 

なんと言う事でしょう。このログハウスはバートンの自宅だったのだ。しかもログハウスに耳をすませば子供達が騒がしく遊ぶ声が聞こえてくる。この事から…バートンは妻子持ちなのだろう。

 

「えっ?バートンさん…結婚してたんですか!?」

「おいおい…俺も良い歳したおっさんだぞ?一番上の子は君と歳が近いし、もうすぐ4人目も産まれる。まあ、俺が結婚してた事を知ってるのはアベンジャーズではナターシャだけだけどな」

 

なんという事でしょう。バートンは少なくとも十数年前から結婚しており妻子が居たのだ。その上、一番年上の子供はギャスパーと歳が近く、今は子供が3人居てもうすぐ4人目が産まれるのである。

 

「あの子達に会うのも久々じゃない?」

「ああ…仕事の事を分かってくれるが、俺は不出来な父親だよ」

 

バートンはナターシャの言葉に対してそう言い、先頭を歩きだしてログハウスに向かう。そしてその後ろをナターシャ、ギャスパー、キバット二世、異端扱いされて追われる身と成ったゼノヴィアとイリナが続く。

 

そしてバートンは家の扉を開き…

 

「ただいま!今帰ったぞ!今日はお客さんも居るぞ!」

 

と言うと、家の奥から3人の歳が違う子供達に1人の女性が出てきた。女性の下腹部は膨らんでおり、あと何ヵ月かすれば出産の時が来る妊婦さんであった。

 

「おかえりクリント」

「「「パパおかえり!」」」

「ああ、ただいま。ナターシャおばちゃんの他にもお客さんが居るが…まあ、頼むな」

 

 

 

 

 

 

「にが!?」

 

バートン曰く、このログハウスはニック・ヒューリーが用意してくれた物だそうで…SHIELDでも知ってるのはヒューリーとマリア、ナターシャ等の本当に極僅かな人物しか知らない。

故にSHIELDが内側からショッカーに乗っ取られた時でもログハウスとバートンの家族の詳細が知らされる事は無かったのだ。故に隠れ家としてはピッタリであり、天界と教会でもゼノヴィアとイリナが此処に居るのを見つけるのはほぼ不可能。此処に居れば、2人の命は先ず安全だし穏やかな自然が心を癒してくれるだろう。

 

そんな自然に囲まれたログハウスで、ギャスパー達…お客さんはバートンの淹れてくれたコーヒーを飲みながらテレビを見て一服していた。

 

「はは、天才ヴァイオリニストで二代目 仮面ライダーダークキバでもコーヒーは苦手か。ミルクと砂糖は必要か?」

「下さい」

 

ナターシャやバートンは平気だが、ギャスパーは苦い大人のコーヒーは苦手のようである。因みにイリナは事前にミルクと砂糖を入れた為か平気であり……ゼノヴィアは…

 

「にが!?すっすいません…私も砂糖下さい」

 

ゼノヴィア、彼女もブラックコーヒーは早かったようだ。

 

「ふむ……この酸味と苦味。なかなか良いブルーマウンテンだな。良い趣味をしている」

 

ブラックコーヒーを飲みそう言ったキバット二世。そこ、コウモリはコーヒーダメとか言わない。

 

『臨時ニュースです!』

 

突如、その声がテレビから聞こえてギャスパー達はテレビを見る。そこには慌てた様子で、ニュースキャスターが急に渡された原稿を見ながらニュースをのべていた。

 

『先程入りました情報ですが…一神教の主神である神様の直属の部下である天使長ミカエルが会見を開くそうです』

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆様…私はミカエル。我が父 神からの命で地上に降り立ちました」

 

ミカエル。金髪に黄金の翼を持つ最高位の熾天使はヴァチカンに降り立ち記者会見を開いていた。

 

「数日前より、我らの罪無き信徒がウルトロンという機械仕掛けの愚か者の手で殺されてました。実に残念な話です…彼等にはなんの罪は無かった。我々の代行としてただ悪を滅する代行者として行動していただけなのに。

ウルトロンは神は死んだとホラを吹いて回ってました。ですが、皆さん…安心して下さい。神様は健在です、なによりその証拠として私が居るのですから」

 

「ウルトロンですが、私が率いる天界の軍が滅ぼしました。

しかし、皆さん…こうは思いません?アメリカのアベンジャーズは確かにヒーローとしての活動を行ってます。ですが…あれは明らかな越権行為です。ソコヴィア、ロンドン等々…国際法も有ってない。私、ミカエルはこの会見前にイギリス首相とイタリア首相と会談を秘密裏に行って話し合いました」

 

ミカエルは一息吐き出し。

 

「既に国連には話を出してます。私から言えるのは…国際的に他国の者が活動する際は、国連からの認証を待ってからにして欲しいです」

 

ミカエルは一枚の資料を報道陣に見せる。

 

「先ず事件が起きます。今まででしたら、アベンジャーズや仮面ライダーが問答無用にヒーロー活動を行ってました。

しかし、今後は他国でのヒーロー活動はご遠慮頂きたい。他国でのヒーロー活動を行う場合は、国連とその国から指示を受けた場合にのみお願いします。そして、ヒーロー活動を他国で行うヒーローは本名、顔、住所、家族のプロフィールも全て公表お願いします。身元も分からぬ者に人々の安全を任せる事は出来ません」

 

翌月…欧州のキリスト教圏(北欧除く)で他国のヒーロー活動を制限する天界協定が可決された。この事により、アベンジャーズは勿論…仮面ライダー達は欧州でのヒーロー活動を行う事が出来なくなってしまった。

 

(ウルトロンがあのような強行手段に出るとはですね。ですが、世界の為ですよ…アベンジャーズ。

人を守り、神が遺した世界とシステムを守る為には異端を排除するしかないのです)

 

 

 

 

 

 

『アーシア…そろそろ外に出るんだ』

 

ウルトロンと天使の激突から数日後。アーシアは地下シェルターから表に出る。アーシアはウルトロンが持たせてくれたタブレットからウルトロンの指示を聞いて、動き出した。

 

『そこに…君を保護してくれる男が居る』

 

長い階段を登り、外に出るアーシア。数日ぶりの地上は眩しかったが、目が慣れれば問題は無い。だが、地上はウルトロンとミカエル達の激突で更地に変わっており、辺りには草木は一本も生えていなかった。

 

「君がアーシア・アルジェントか?息子の知人であるウルトロンから話は聞いてるよ」

 

その声が聞こえてきた。ふと、アーシアは目の前を見る。そこには黒い髪をした1人の男が立っていたのだ。

 

「俺は千手エンマ。日本という国からやってきた。ウルトロンからの頼みだ…君を千手の家で保護する事にした」

 

エイジ・オブ・ウルトロン完。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「お兄様?そろそろ英雄を紹介してください」」」」

「分かったから落ち着け!!紹介するから(すまない…ピーター、ナルトあとキャプテン…相手が居ない知人はこんなもんか?犠牲になって貰うぞ)」

 

ソーは妹達から英雄を紹介してくれとせがまれていた。




ソー…妹達から紹介をねだられる。

次回!恋人の居ないヒーローと忍者は犠牲に成ったのだ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

犠牲に成ったのだ

犠牲に成ったのだ


ソー「キャプテンとピーター達、相手が居ないヒーローは犠牲に成ったのだ」

 

天界協定が執行されて1ヶ月後。日本では夏休みを謳歌してる頃であるが社会人でも有るアベンジャーズはそうではない。

 

世界の危機は無くてもアベンジャーズは日頃から働いている。トニーはスタークインダストリーズの社長業務、バナー博士は研究職、キャプテンは日頃から鍛えたり逮捕術や護身術の講師に当たったり、危機が無くても働いて仕事を謳歌している。だが、1人だけ副業?いや本業が無く朝から喫茶店にいた神様が居る。それはソーだ。

 

「しかし…キャプテン達には悪いことをしたな」

 

私服姿で自宅……と言うより居候してる恋人の家の近所に有る喫茶店。ニューメキシコという乾燥した土地でソーはゆっくりとしながらコーヒーを飲む。

 

そう…ソーは妹達に大事な仲間を売ったのだ。売ってしまったのだ。ソーの妹は全部で13人、伝承ではヴァルキリーだったりワルキューレだったりと伝わる戦乙女であり英雄にぞっこんする女の子達なのだ。その中でも、長女であるブリュンヒルデ以外は英雄に飢えており、英雄だらけの職場で働くソーが実家に帰る度に「お兄様!英雄を紹介してくれ!!」とせがまれるのである。

 

 

 

 

 

 

ピーターパーカーはハイスクールに通う1年生であり、変わった蜘蛛に噛まれて蜘蛛の腕力(人間の数十倍)と蜘蛛の能力を得てしまった超人な高校生だ。

 

そんなピーターはバリバリのキャリア・ウーマンであるメイおばさんと2人暮らしであり、父親は居ない。そんな彼にとってはアベンジャーズの先輩達が父親同然に厳しくも優しく見て鍛えてくれているのだ(特にトニーが)。

 

「ただいま」

 

学業を終え、自宅に帰ってきたピーター。この後の彼は少し多忙だ。学校の宿題を終わらせ、スパイダーマンのコスチュームに着替えて町のパトロールである。

 

「ピーターおかえり。今日はお客さんが来てるわよ」

 

帰るなり、リビングの方からメイおばさんの声が聞こえてくる。普段なら自室にリュックを置いてからリビングに顔を出すが、何事かと思ってピーターはリビングに向かう。

 

「初めまして。私はスルーズ・オーディンソン。ソーお兄様の妹です。うん!やっぱり、貴方は私が思っていた英雄ですね!!私の英雄に成って、結婚してください!!」

 

金髪で同年代だと思われる、ナイスバディの女神がそこに居たのだ。彼女の名前はスルーズ。北欧神話に伝わる戦乙女の1人であり、強き子という意味を持つ。

 

「もしもし…スタークさん。なんか帰ったら金髪でナイススタイルの女の子が居たんですけど、スタークさんの紹介です「ピーター!貴方の事をもっと教えてください!好きな食べ物は?その蜘蛛の力は最大何tの力を発揮出来るのですか!?」ちょっま「待ちませんよ!」」

 

 

 

 

 

 

 

「ピーター?ピーター?返事をするんだピーター!出来たらその女の子の連絡先を教えてくれ…通話が切れたか」

 

アベンジャーズタワーに有るトニーの社長室。元々、アベンジャーズタワーはスタークインダストリーズの研究開発の一環として建造した建物であり、その名残故かアベンジャーズタワーの中にスタークインダストリーズの社長室が有るのだ。

社長室で書類仕事を行っていたトニーだったが、突如としてピーターからの電話が掛かってきた。何事かと思ったが、どうやら女の子関係だった。

 

「ジャービス。ピーターも色を知る歳か…僕は父親代わりとしてあの子の彼女に会わないとな」

『トニー様。先程のお電話はピーター君の色沙汰ではなく、助けを求める感じに聞こえましたが』

 

トニーは過去を思い返す。今では秘書のペッパー一筋だったが、昔はプレイボーイで色んな女性に手を出していた。

 

「ピーター…恋愛事は昔の僕を真似するんじゃないぞ」

 

相手には聞こえないが、トニーはピーターに向けてアドバイスを送る。すると、社長室の扉が開かれて私服姿のキャプテンが銀髪でナイスバディ…最低でもFカップはある美女を連れてきた。

 

「おや?キャプテンにも春が来たのかな?所でその女性は」

「トニー…彼女、ソーの妹らしいんだが」

「ソーの妹?だとしたらワルキューレの女神様か。ようこそニューヨークへ」

 

トニーもソーがアベンジャーズに入ってからは、北欧神話の事を多少は調べた。しかし、伝承と真実は違う箇所が有る。伝承ではヴァーザルだったりバルドルだったりするソーの弟が居るが、それは空想上の存在だったのだ。だが、ワルキューレは実在しており…全部で13人居ることはトニーもソーから聞いている。

 

「はい、私ロスヴァイセと申します。所でキャプテン・ロジャース!私の英雄……出来れば夫に成ってくれませんか!?」

「……いや…いくら何でも急すぎる」

「そうだよ。キャプテンは僕達と違って童貞だ。急すぎるアプローチは逆効果さ」

「トニー…それ、アドバイスに成ってない」

 

銀髪の女性はロスヴァイセ。ワルキューレの1人だが、あろう事か早速キャプテンに求婚してしまったのだ。

 

「えっ?お兄様が彼女募集中の英雄を紹介すると…」

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって日本の東京都。

 

ギャスパーは来年に成った瞬間に中型免許を取って高校通学をバイクで行う為に、運転免許センターにやって来ていた。

 

「しかし、ギャスパーも来年から高校生か。早いな」

 

そこでギャスパーが出会った人物は警察兼仮面ライダーであり、仮面ライダードライブこと泊進ノ介である。進ノ介は日頃から仮面ライダーとして活躍しながら、警察官として働いている。今日は所用で運転免許センターに来たが、そこで後輩である仮面ライダーのギャスパーと再会した為か、ロビーで話していた。

 

「来年からはバイクも乗れますし、それで通学しようかなって」

「良い時代に成ったな。俺の時は校則が厳しくて、原付もダメだったんだよな」

 

過去を思い出して、そう言う進ノ介。

 

「そういや、バイクはもう準備してるのかい?」

「はい。おやっさんがポーンさんとナイトさんの3人で作ってくれました」

 

立花藤兵衛。仮面ライダー達からおやっさんと慕われる老人。老いぼれても魂は劣化せず、日頃から仮面ライダーのサポートを行う名脇役である。彼はエンジニアとしても優秀であり、昭和ライダー達のバイクを作ってきたりしてきた。

本郷が現在乗っている、ネオサイクロンも彼が建造した逸品であり、最近ではギャスパーの為にファンガイアの技師であるポーンとナイトと協力して人間とファンガイアのテクノロジーを合わせたモンスターバイク(モデルはHONDA シャドウ)を製造したのである。

 

「やったじゃないか。これで免許を取れば、無免ライダー卒業だ」

「それ…昔のバッタもんの店長さんじゃないですか」

 

余談であるが仮面ライダー2号こと居酒屋バッタもんの店長は撮影当初 二輪の免許を持っていませんでした。

 

プルル…プルルとギャスパーの懐から音が響く。スマホが着信を知らせてきたのだ。誰からの着信なのか見るためにギャスパーはスマホを見る。その着信はなんと、キャプテンからであった。

 

「もしもし?」

『ギャスパー。君の所に…ソーの妹がこなこったかい?』

 

と聞かれた。ギャスパーの所には来ておらず、ギャスパーは来てないと答えようとしたが…

 

「貴方が仮面ライダーダークキバですね?ソーお兄様から貴方の事を聞きました。私はオルトリンデ、是非とも私の英雄に成ってください」

「今来ました。オルトリンデって言う、黒い髪の女の子です」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…ナルトの所にも

 

「貴方が私のマスターね?私はヒルド。戦いを意味するワルキューレで、オーディンの娘よ?貴方がソーお兄様の言っていた日輪の子ね?

しゃーんなろぉぉおお!!こんな激レア滅多にないわ!」

「えっ?どちら様で?えっ?」

 

ナルトの所にはピンクのワルキューレがやって来ました。




次回………やっと、やっと原作が始まる(笑)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始まっちゃった原作
なにがとは言わないけど、始まる


原作…遂に始まる……一誠の胃痛が(笑)

なお、木場君はアレに染まったので……原作最強のクラスの強さ持ってます(笑)


1年後 日本関東 駒王。

 

一台の黒いカウルを纏ったアメリカンクルーザーなバイクが桜並木を駆け抜ける。バイクの名前はシャドウキバ。立花藤兵衛とファンガイアの技師コンビが共同で開発したライダーマシンであり、仮面ライダーダークキバのバイクである。

人工知能とデュアルクラッチシステムを採用し、オート操縦でダークキバの所に駆け付ける事も可能であり、デュアルクラッチシステムのお陰でミッションとオートマチックを自在に切り替えて走行する事も出来る(実在してます、ゴールドウィングとかに)。

 

信号に引っ掛かり、シャドウキバは停止線の手前で止まる。シャドウキバに跨がり操縦するのは高校生に進学したギャスパーだ。ギャスパーは中学を卒業後、無事に普通二輪の免許を取得。その後、高級住宅街から車で20分程の時間で行ける駒王町に有る駒王学園高等部に進学したのだ。

 

「そういや…この町って昔は悪魔が統治してたんですよね」

「らしいな。今は日本の手に取り戻せたがな」

 

信号を待ち、ギャスパーはポケットに入ってるキバット二世と話して時間を潰す。

そう…この駒王は元を言えば、日本を統治していた悪魔が日本の活動拠点とする為に発展させた町なのだ。学舎も統治時代に悪魔が制限したのか、駒王学園のグループしかなく…当時、公立の義務教育を受ける為には隣町まで電車で通う必要が有ったのである。とは言え、今の駒王学園は国立。小学生も中学生も入試で入る心配はなく、すんなりと入れる。その為か、この駒王で暮らす子供達の大半は駒王学園の学校に通うのだ。

 

やがて信号が青に成り、ギャスパーはアクセルを捻ってシャドウキバを走らせる。エンジンの音を響かせて、シャドウキバは目的地に向かう。ギャスパーを乗せたシャドウキバが目指すのは…進路上に聳える広大な学舎、幼稚園から大学院まで同じ敷地に有る複合学園 駒王学園だ。

 

 

 

 

 

「キャー!!木場君!!木場君!!学園の王子様!」

 

「木場きゅん!!」

 

木場祐斗というイケメンで王子様と称えられても可笑しくはない程の美貌を持つ男子が駒王学園高等部2年生に在籍している。彼は事実、イケメンだし注目を集めるだろう。実際に様々な生徒から黄色い声援をかけられて追われている。

 

「木場!!」

 

「頼むよ!!」

 

だが…彼は赤龍帝がハーレムを築く世界(正史)と異なり、チヤホヤされている訳ではない。彼を追いかけてるのは女子だけではなく男子も複数紛れている。

 

「お兄様を紹介して!!就活の為にも!!私、スマホはスマートブレインの物を使ってるの!!」

 

「俺もスマートブレインを使ってるんだ!俺の就活の為にも頼むよ!!」

 

そして…彼を追いかけてる生徒には共通点が有る。それは就活に備えようとする3年生や大学4年生だと言うことである。

 

「それは僕に言われても困るんですけど!!」

 

木場祐斗は日本処か世界が誇る超大手携帯会社スマートブレインの社長であり仮面ライダーオーガである木場勇治の弟である。よって、就活がこれから始める高等部3年生と大学4年生の先輩達は何としてでも、大手携帯会社スマートブレインに就職する為にコネを何としてでもゲットしたいのだ。

 

「いっその事…僕の趣味を全てさらけ出すか?」

 

そして木場祐斗は重度のオタクである。兄に引き取られ、たまたまテレビで見たガンダムSEEDにドハマりし、様々なロボットアニメや他のアニメ等を見まくってオタクの道を突き進む事に成ってしまったのである。

 

 

 

「俺に神器宿ってるかもって言われてもな…」

 

木場が就活生から逃げ、ギャスパーがバイクを停車させている頃。駒王学園の門を潜り抜け、1人の青年がぼやいた。

 

青年の名前は兵藤一誠。駒王に昔から暮らしてる少年であり、彼は小学校から駒王学園に通い続けている。しかし、彼の運命は昨日から変わってしまった。と言うのも、彼の家に日本の魔法省から通知が来てしまったのである。

 

『兵藤一誠。貴方にはたいへん強力な神器が宿ってる可能性が有ります。故に貴方の事情説明の為に係の者を派遣します』

 

とご丁寧に通知が来てしまったのだ。仮面ライダーの活躍だったりアベンジャーズの活躍だったりして、今は神秘の秘匿は無い。民間人でも神器や魔術、妖怪や亜人が実在してる事は知れ渡っており、駒王学園にも人間は勿論、悪魔は勿論のことファンガイアに猫耳を生やしたりフサフサの尻尾を生やした妖怪等の亜人の生徒も学校に通ってる。

 

「失礼…お前が兵藤一誠だな?」

 

その声が聞こえ、一誠は後ろを振り向く。そこには校門に凭れ掛かり、此方を見る青い髪でmuscleな男が居たのだ。そして、一誠は昨年度に行われたスペシャル番組 聖杯バラエティーのお陰でその男が誰なのか知っている。その男は聖杯バラエティーで最強のJUMPヒーロー カカロットと共に農村を開拓していたのだから。

 

「聖杯バラエティーのトリコさん!?」

 

そう…聖杯バラエティーに参加し、農村を開拓した美食家であり漫画トリコの主人公 トリコである。

 

「俺はトリコ。一応、日本の上忍をしてる。魔法省から手紙は届いて知ってると思うが、俺とちょっとお話をしようか」

 

しかし、兵藤一誠は知らない。この瞬間、彼にはおっぱいの乳神の加護ではなくツッコミの神様の加護が舞い降りた事を。そして、駒王と三咲町…いや、日本とアメリカを巻き込んだ激動のツッコミライフが今…幕をあげたのである。

 

 

 

 

 

 

 

駒王に有るnascitaという喫茶店。そこは元宇宙飛行士が経営し、最近…住み込みで働く?事に成った若者が居候してる喫茶店として有名である。

 

「美空…学校生活は大丈夫か?」

 

そのnascitaでの住民は現在4人。

店主であり、nascitaのマスターである石動惣一。彼は一児の父親であり元宇宙飛行士だ。訳有って妻は居らず、宇宙飛行士を引退した後はこの駒王でnascitを切り盛りしてるのだ。

 

「大丈夫だって。お父さんは心配しすぎ!」

 

そう言うのは看板娘である石動美空。愛称はみーたんであり、駒王学園高等部の1年生である。部活等には所属しておらず、このnascitaで看板娘として慕われている。

 

「いや…お父さん心配なんだよ。クラスの子とは仲良く出来てるのか?」

「心配しすぎ!そりゃあ…クラスにはホモサピエンスだけじゃなくて、亜人の子も居るけどさ。ハーフファンガイア?でしょ、妖怪でしょ、神器持ちの子でしょ…うん色んな人が居るね」

「そっか…みーたん友達出来たんだ…む?ハーフファンガイア!?」

「その子が?を着けながら言ってたのよ」

 

因みに美空の言うハーフファンガイア?とはギャスパーの事である。ギャスパーは人間と吸血鬼の混血だが、突然変異でのバグキャラ故に、ハーフファンガイア?と人には言ってるのだ。

 

「それじゃあ、行ってきます!お父さん、万丈!戦兎!留守番宜しくね!」

 

と…みーたんは告げて、駒王学園へ登校していった。

 

「しかし、美空は()()()()での記憶が無いんだな」

「幻さんやカズみんもないもんな。てか、カズみんのそっくりさんも居たしな」

 

そう言うのは最近…ブレイクしてきたツナギバンドのツナギーズのボーカルそっくりな桐生 戦兎と茶髪でスカジャン姿の筋肉バカなイケメン 万丈 龍我である。

2人は厳密に言えばこの世界の人間ではない。並行世界で仮面ライダービルド(戦兎)と仮面ライダークローズ(万丈)として戦い、ヤヴァイ宇宙人エボルトを倒すために元の世界とこの世界を合体させちゃった救世主である。しかし、世界を合体させた戦兎とエボルトのDNAを持つ万丈はこの世界の自分と合体せず…唯一の存在と成ってしまったのだ。

 

かつての仲間はこの世界の仲間と融合し、前の世界での記憶は一切無い。しかし、惣一だけはエボルトに体を長期間乗っ取られていた為か…記憶が有り、前の世界では乗っ取られていた故に見ているしか出来なかった惣一は途方にくれていた戦兎と万丈をnascitaに招いたのである。

 

但し、唯で住まわすのもアレなので戦兎と万丈はバイトでウェイター兼用心棒である。

 

「ほい、仕事前のマスター特製コーヒーだ!」

 

今の時刻は午前8時。nascita開店まで残り1時間であり、惣一は仕事前のコーヒーを戦兎と万丈に提供する。

 

「「旨い!エボルトのと違って旨い!!」」

「だろう?」

 

エボルトのコーヒーは不味かったが、本物の惣一のコーヒーは美味しい。

 

『欧州での行方不明者は今月だけで……人だと言われてます。未知の怪人も出現してると言われており…教会の代行者は対応に追われてますが未だ事件の終息は見えません』

 

なにやら不穏なニュースがテレビから聞こえた。

 

 

 

 

 

 

居酒屋 バッタもん。元々は東京都に構えていたが、訳有って駒王に転移した居酒屋。まだ開店していないが、此処は神秘部門のヤバイお話をしても全然問題ない場所であり、トリコと一誠は客が他にいないバッタもんのカウンターに座り話をしていた。

 

「あの…」

「安心しろ。ここの店主は神秘部門の専門家でな、レジェンドの1人だ」

 

と…トリコはそう言って朝っぱらから特大ジョッキに入ったビールを飲む。

 

「トリコ君。つまみは何が良いかな?仕込みに時間がかかる物は出せないが、簡単のなら作るよ」

「わりぃな!一文字さんよ!」

 

と…カウンターの前に有る厨房ではバンダナを巻いた壮年のおじさんが開店前だと言うのに料理をしてくれていた。

 

「少年。君は何か飲みたいかな?流石に、君にアルコールは出せないが」

「あっ…結構です」

「そうか。私は一文字隼人だ。この居酒屋 バッタもんの店主をしているよ」

 

彼の名前は一文字隼人。世界で2番目に仮面ライダーに成った男であり、仮面ライダーネオ2号に変身する仮面ライダーでも有るのだ。しかし、事件が起きなかったら居酒屋の店長さんである。

 

 

 

 

 

 

「アザゼル様!見ていて下さい!!この……新しい力で、必ず赤い龍を殺しますわ!!」

 

海外に逃亡した某財団から得た技術を用いて、日本に密入国した堕天使の御一行の代表が駒王の廃教会で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーが4人+混ぜるな危険(オタクに創造系神器)が居ることも知らずに。




次回!みーたんとギャスパー。

因みに、カズみんと音也パパは絶対に何時か会わせます(笑)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ギャスパーの高校生ライフ

みーたん!!


駒王学園は国立であり、同じ敷地の中に幼稚園から大学院まで入った学舎である。部活動も様々であり、物によっては小学生から高校生まで共同で行う物もあり幅広いのだ。

 

「石動さん、おはよう!」

「おはよう!」

 

駒王学園に通う美空はエスカレーター式で進学した生徒であり、中学を共に過ごした生徒は勿論のこと高校に入学してから初めて知り合った生徒とも打ち解けてきた。なにせ、駒王は嘗て悪魔が運営しておりその名残の為か亜人の子供達も良く学びに来る。そのお陰か、美空のクラスは普通の人間は勿論のこと神器持ちの人間から妖怪、そして様々な亜人が学ぶクラスに成ってしまったのだ。

 

クラスを見回せばキツネ耳生えた女の子も居るわ、なんか白い冷たい息を吐き出す子も居るわ、猫耳生えた女の子も居るわと妖怪三昧。勿論、普通の人間の人達が過半数を占めているが…

 

「やっぱり…なんだか妖怪とか亜人の人には憧れちゃうな」

 

と普通の人間で産まれながら、亜人の力に憧れる人も居る。因みに彼女は美空の中学からの友達であり、名前を仁村流々子である。まあ、大半の人は思春期に自分に特別な力が有れば…と願う事も有るだろう。

 

「美空。このクラスって何種類の種族が居たっけ?」

 

仁村の言葉を聞いて美空は思う。確かに美空が在籍する1年3組は様々な種族の人間が在籍し、一クラスとして纏まっている。だが、何種類の種族が在籍してるのは美空も数えた事が無いのだ。

 

「えーと…人間でしょ?雪女でしょ?妖狐でしょ?猫又でしょ?この時点で4種類。日本を代表する妖怪と人間で4種類で…後はファンガイアか」

 

美空がファンガイアと言った瞬間…ふと、外からバイオリンの旋律が聞こえてきた。しかも、めちゃくちゃ上手い…充分、お金をもらえる程であり…奏でる曲は情熱大陸である。

 

「ドキュメンタリー番組で聞いたBGM!?」

「情熱大陸!?」

 

窓から外を見下ろす美空。しかし、校庭でバイオリンを奏でる生徒は誰も居ない。誰もが運動部の朝練したり、通学の為に教室に向かっている生徒だけだ。しかし、バイオリンの音は聞こえる。下からではなく、上からである。

 

「上!?もしかして……」

 

美空は窓から少し身を出して上を見る。1年3組の教室は4階に有り、その上は屋上だ。だとすると何処かの誰かが屋上でバイオリンを演奏してるのだろう。

そして、様々な生徒が集う駒王学園では有るが…此処までバイオリンを演奏出来る生徒はたった1人しか在籍していない。

 

「またギャスパーったら、朝礼ギリギリまでバイオリンを演奏して!」

 

現在の時刻は8時20分。朝礼が始まるまで10分しかない。それに、美空は3組の委員長だ。委員長として、クラスの纏め役である美空はバイオリンを演奏する生徒が遅刻しない為に、屋上に向かって呼び戻す為に廊下に早歩きで向かっていった。

 

「美空!?」

「仁村!ちょっと、ギャスパーを回収してくる。本当に…あの子ったら!!」

 

バイオリンを演奏してる生徒は紅ギャスパー。種族をハーフファンガイア?と自称する亜人の男の子であり、可愛い顔立ちの割には身長174cmと平均以上は有り着やせするが脱げば普通にスポーティーな細マッチョの男の子である。本業 紅プロダクション所属のバイオリニストでありボランティア業で仮面ライダーダークキバとして戦う人物だ。

 

 

 

 

屋上 そこでは父が作曲した曲 Supernovaをバイオリンで演奏するギャスパーの姿が有った。

 

現在の時刻は8時22分。そろそろサビが終わり2番に入ろうとしていた時だった。

 

当然、ギャスパーは仮面ライダーダークキバとして活動してる影響なのか…身長も高くなりおっぱいドラゴンがハーレムを作る世界(正史)と違い、女子の制服は着ていない。当然ながら普通に男子の制服を着用している。

 

「ギャスパー!!」

 

突如、自分を呼ぶ声が聞こえてギャスパーは声の方を見る。そこには屋上にやって来た美空の姿が有ったのだ。

 

「みーたん!?」

「はい!戻るわよ!今の時刻は8時23分、そろそろ朝礼が始まるでしょうが!!」

「いだいいだい!みーたん!耳引っ張らないで!!」

 

みーたん、ギャスパーを無事回収。但し、ほんの少しの間だがギャスパーの耳は赤く腫れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方。

 

放課後、父である石動惣一に頼まれて美空は近所のスーパーで夕飯の買い出しを行い帰り道を歩いていた。

 

「しかし…あの変態コンビ…早く捕まらないかな?」

 

美空ははーとタメ息を吐き出した。変態コンビとは駒王学園高等部に在籍する2年生であり、犯罪者予備軍の2人組である。平然と女子更衣室の着替えを覗いたりやりたい放題。遂に先日、警察官である町の交番勤務 加賀美 新という男が動き…現行犯逮捕しようとしたがあろうことか変態コンビは逃走し…そのまま町から消えたのだ。

 

――ちょっと変身して逮捕するわ

 

と加賀美は言っていたが、変身がなんの変身なのかは大半の人は気付いていない。とは言え、変態コンビが国内を逃げ回ってるのは事実、凄い執念である。

 

「近道でもしようかな」

 

美空は近道をしようと思い、近所の公園を入る。この公園を通りすぎれば家であるnascitaへの近道なのだ。

 

だが…

 

「ほう…貴様から神器の力を感じるな」

 

招かれざる客が

 

「丁度言い、お前で試してやるとするか」

 

やって来た。

 

美空の前に…何やら、腰にバックルのような物を装備した男が現れたのだ。あと、背中に黒い烏のような羽が生えている。

 

「へ?」

「恨むなら…神器をお前に宿した神を恨むのだな」

 

男はそう告げ、光の槍を作り出して美空に投げようとしたが……何処からバイクのエンジン音が響く。美空も男も何が起きようとしてるのかは分からない。その刹那…

 

「ホンゲェェーー!!」

 

男はバイクに激突され、10メートルほど吹き飛んだ。そのバイクはカウルの着いたクルーザーであり、黒いボディーをしている。そして、そのバイクに乗ってる人物はヘルメットを脱ぎ、美空を庇うように立つ。

 

「ギャスパー!?」

 

そのバイクに乗っていた人物とはギャスパーである。

 

「危ないからそこを動かないように」

 

ギャスパーは美空にそう言うと、ギャスパーのポケットからキバット二世が出てきた。

 

「ギャスパー…アイツは堕天使だ」

「見たら分かるよ。キバッチ」

 

「ぐっふふ…やってくれるな…雑種」

 

バイク…シャドウキバに激突された男は何事も無く立ち上がり、腰のバックルを作動させる。すると、男は銀色の装甲を纏いだした。

 

「だが…ライダーシステムを応用した人工神器の前では無意味だ」

 

男はそう言い、ゆっくりとギャスパーと美空に近付いていく。

 

「キバッチ」

「喜べ!闇のキバが貴様に鉄槌を降すだろう。ガブリ!!」

 

ギャスパーはキバット二世を掴み、キバット二世はギャスパーの左腕を噛む。そして、腰にベルトが出現して…ギャスパーはそこにキバット二世を停まらせる。

 

「変身!!」

 

莫大な魔力が吹き荒れ…ギャスパーは仮面ライダーダークキバに変身した。

 

「へ!?」

 

「ほう…仮面ライダーか?だがな「ハッ!!」ぐぁぁ!!」

 

ダークキバの蹴りを受けて男はのけ反る。更にギャスパーは何度も蹴りを放ち、男は深刻なダメージを受ける。

 

「くそう…財団X…我々にテクノロジーを授けたのでは無いのか!!」

「財団X?分かりました。貴方の遺伝子情報は扉間さんに渡します」

 

ダークキバは男を殴り飛ばし、男は地面を転がる。

 

「ちっ!!赤龍帝を殺す前に殺されてしまう!!」

 

いざ、ギャスパーが止めを刺そうとしたが…男は転移魔術?で逃げてしまった。

 

「逃げられた」

 

変身を解除したギャスパー。しかし…

 

「ねえ、ギャスパー。ちょっと…私の家に来て」

 

ギャスパーはがしりと美空に肩を掴まれた。




次回!!ビルドとダークキバ…出会う!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天才でしょ!

戦兎え……


喫茶店nascita。時刻は未だ夕方5時半であり、普段ならばバリバリ営業している時間帯だ。だが、今日は色々と有りたった今から臨時休業と成り、扉には『閉店。また明日!』と立札が立て掛けられた。

 

「俺の娘である美空を助けてくれて有り難う。ただ、俺としては…いや、俺達としては君に色々と聞きたい事が有るんだよな」

 

美空を助けたのは良いが、美空に連れられてnascitaにやって来たギャスパーとキバット二世。ギャスパーはカウンター席に座り、カウンターの上にはキバット二世が乗る。ギャスパーの隣には美空が座り、反対側の隣にはギャスパーのライダーとしての力が気になるのか戦兎が座る。

そして、カウンター越しのキッチンには我らが店長 石動惣一がコーヒーを淹れながらギャスパーから色々と聞こうとしていた。

 

因みに万丈は美空が買ってきた食材を冷蔵庫にしまっており、居住スペースに居るので此処には居ない。

 

「マスター。俺が話すから」

 

と戦兎がそう言うと、戦兎はギャスパーの瞳を見て告げる。

 

「ギャスパーだったな?別に俺達は怒ってる訳でも、尋問したい訳でも無いんだ。情報が欲しいんだよ、情報がさ。

信じてくれるか分からないけど、俺と万丈は並行世界からやって来た仮面ライダーなんだ。色々とあってこの世界に来てさ、俺の元居た所じゃ亜人や三大勢力なんて居なくてさ…情報を教えて欲しいんだ」

「教えてくれたら、マスター特性コーヒー割引券をあげるぜ!」

 

 

 

 

 

――メニューにオムライスのホワイトソース味を追加、そしてその割引券で良いでしょう

 

とギャスパーは条件を付け足してnascitaの地下室にマスターと戦兎、そして万丈と共にやって来た。

 

「地下室なんて有るんですね…」

「ああ、俺達が並行世界で使ってた物さ」

 

nascitaの地下室への入口は厨房に有る飲食店にしては不釣り合いな小型冷蔵庫であり、その冷蔵庫を開けると地下室に行くことが出来るのだ。

地下室は並行世界で科学者だった戦兎が並行世界で実際に研究所として使っており、その地下室をこの世界でも再現したのである。

 

「でも…並行世界って…」

「ああ、訳あってこの世界と合体してるんだよ。但し、俺の嘗ての仲間は元の世界の記憶を無くして、この世界の自分達と融合してる。

俺はこの世界と元の世界を合体させた故に記憶が有って、万丈は元凶の宇宙人のDNAを持ってたからこの世界の万丈と合体せず記憶が有る。マスターは元凶の宇宙人に寄生されてた期間が数年以上だった為に記憶が有るんだ」

 

戦兎が説明し、惣一はサムズアップする。

 

「世界が融合!?てか、みーたん……娘さんは知らないんですか?」

「美空はその事を知らない。いや、覚えてないって言った方が良いな。だから、美空が上で夕飯の下拵えをしてる間に並行世界の事を話すんだよ」

 

美空は現在、上で夕飯の仕込みを行ってる最中だ。その上、美空ことみーたんは並行世界での記憶が無い。この世界で産まれ育った記憶しかないのだ。だからこそ、みーたんが下拵えをしてる今しか並行世界の話しは出来ない。

 

「お父さん、下拵え終ったよ」

 

と美空が地下室にやって来た。美空が降りてきた為か、戦兎と万丈はアイコンタクトでギャスパーとキバット二世に「異世界の話しは終わり!!」と伝える。勿論、美空の前で異世界の話をしたらややこしく成ってしまうので、ギャスパーは頷く事しか出来なかった。

 

「で?話しは何処まで言ったの?」

「俺と戦兎が仮面ライダーって明かした所」

 

と万丈は適当に濁して美空にそう言った。確かに戦兎はギャスパーに自分達は並行世界の仮面ライダーって言ってたので、嘘は言っていない。

 

「変身した所は見てないですけどね」

「そっか…でも、戦兎と万丈はギャスパーと違って装着タイプだから。ほら、アイアンマンや御巡りさんのG3のような感じなの」

 

仮面ライダーには大きく分けて2つの種類に区分される。

先ずは変化系。これは改造手術や特異体質等によって、自分の身体を文字通りに変身させて仮面ライダーに変身するライダーの皆様である。本郷猛、大衆ステーキビリー・ザ・キッド三咲店店主の光太郎や総理がこれに該当する。平成ライダーで言えば、アギトに変身する翔一がこれに当たるだろう。このタイプは鍛えれば鍛えるほど、強くなる特徴が有る。

 

装着系。これは生身の人がアイアンマンのように鎧やパワードスーツとして纏う事で変身(厳密に言えば装着)する仮面ライダーである。アンノウンとの戦いで十数年前に開発されたG3ユニットを花形とし、今ではイクサシステムやマスクドライダーシステムなど、様々な身に纏う仮面ライダーが増えてきている。身に纏う故に、改造手術が必要ないが…それでもある程度の素質や条件が必要な物が有るのだ。

 

「俺は仮面ライダービルドだ。そんで、筋肉バカが」

 

戦兎はビルド。

 

「俺が仮面ライダークローズだ!」

 

万丈はクローズという仮面ライダーに変身する。

 

「僕は仮面ライダーダークキバですね。みーたんも勘違さてるみたいですけど、僕も一応は装着系ですよ。アレ、ファンガイアの古代テクノロジーで作られた王の鎧なので」

「鎧!?アレが!?」

 

キバット二世の解説曰く、ダークキバは闇のキバの鎧。キバの鎧は黄金のキバの鎧。サガは最も最初に作られた運命の鎧。この3つは古代ファンガイアのテクノロジーがふんだんに使われており、ポーンとナイト(2000歳以上)が開発したファンガイアの鎧である。

試作品のサガは兎も角、ダークキバこと闇のキバの鎧はとある魔族…レジェンドルガと呼ばれる害悪一族を滅ぼす為に作られたのだ。そのダークキバの性能は恐ろしい程に高く、生まれつきの素質だけで超安全(変身の制限全く無し)に扱えるのは突然変異のギャスパーただ1人。事実、余りの強さと世界を破壊する程の自爆(ウェイクアップⅢ)でレジェンドルガを滅ぼした当時のファンガイアの王とキバット1世は死亡した。これを受けて、ダークキバの鎧はポーンとナイトの手で機能の一部を厳重に封印(ギャスパーが継承者と成った際に自爆機能以外は開封された)し、安全?に扱える黄金のキバの鎧が開発された経緯が有るのだ。

 

「との事です。ダークキバは人間なら只1人の例外を除き即死、ファンガイアでも素質が無ければ即死、変身できても負荷が大きいらしいです。僕はそうでもないですけど」

「お前は特別だからな。突然変異で真祖や古代のファンガイアに近い体質だし、ギャスパーからは神性も感じるからな」

 

ギャスパーとキバット二世の言葉を受けて、万丈は「うそーん」と言い、美空は「想像の斜め上を越えてた」と言い、惣一は「オーマイガー」とあんぐりし、科学者でもある戦兎は……がっせしりとギャスパーの両肩を掴み…

 

「お願いだ!ダークキバのデータを取らせてくれ!!」

 

桐生戦兎は科学者である。科学者から見ても、古代ファンガイアのオーバーテクノロジーの塊であるダークキバは是非とも調べたいのである。

 

「あの…鎧自体はキバッチが持ってるので」

「キバットさん…お願いしますよ」

「スイカバーと旨いコーヒーで手を打ってやろう」

 

 

 

 

 

 

「俺達の変身と随分違うな」

 

10分後。戦兎はバイクでスイカのアイス、スイカバーを買ってきて、更にマスターのコーヒーをキバット二世に献上する事で許可が降りた。

 

「キバットさんはベルトに止まるのか…」

 

「何かの動物の革だろうか?」

 

「胸部から腹部の正中線にある3つの宝石はなんだろうか?」

 

と再びダークキバに変身したギャスパーとキバット二世の許可は降りたので、ダークキバの鎧に向けて様々なセンサーを向けて調べる。そのセンサーで記録したデータが有れば、ギャスパーが居なくても何時でもデータを見ればダークキバを調べられる。

 

 

 

 

1週間後。

 

金曜日。ギャスパーは放課後、nascitaを訪れた。

 

「マスター。カフェオレとオムライス」

「あいよ!!」

 

ギャスパーは常連客の仲間入りを果たしていたが、ダークキバを調べていた戦兎はと言うと……

 

「ギャスパー…来たか…俺の天才的な頭でも……ダークキバは理解できなかったよ…ガク」

 

オーバーテクノロジーであるダークキバを理解しようとしたが、1週間徹夜で頑張っても理解は出来なかった。

 

「アダマンチウム以上の強度、自己修復能力、変身者のスペックで能力が増加し絶対に枷にはならないし…どうなってるんだ」

「ちゃんと寝てください」

 

果して戦兎はダークキバの全貌を明らかに出来るのか!?頑張れ戦兎!負けるな戦兎!!オーバーテクノロジーを科学で解き明かすんだ!!

 

 

 

 

 

 

「兵藤くん、私…貴方の事が好きなの!付き合って!」

 

新たな騒動が加速する。




戦兎「ダークキバの鎧に夢中で、結局ギャスパーからこの世界の亜人とか聞いてない!!」
ギャスパー「いや、寝てくださいよ!!1週間徹夜ってなにやってるんですか!!」
戦兎「だってよ…オーバーテクノロジーが目の前に有るんだよ!!わかったわかった、寝るから…それじゃあ、後で教えてくれよ!」
みーたん「寝るし!!」
ギャスパー「みーたんが寝るの!?次回はどうなる!?」
万丈「俺にも何か喋らせて!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

物理学者と筋肉バカ、世界を知る?

戦兎「果して桐生戦兎はファンガイアのテクノロジーを明らかに出来るのか!?」
万丈「取り合えず寝ろよ!!天才!!」
戦兎「あーんなオーバーテクノロジーが目の前に有るのに寝れるわけ無いでしょうが!!」
ギャスパー「マスター!」
惣一「しょうがないな…マスター特性、睡眠薬入りコーヒー!!」
戦兎「うわ、まてなにを!?」




あと…渡兄ちゃんとキバット3世が出てこない時はキバット二世での地の文がキバットだけに成るときが有ります。


翌週の日曜日。

 

「よっしゃ!桐生戦兎復活!!今日からダークキバのテクノロジーを明らかにするぞ!!」

 

客がギャスパーしかいない昼過ぎのnascita。そこで戦兎の叫びが響いた。ダークキバのテクノロジーを明らかにしようと徹夜続きで頑張った天才物理学者の桐生戦兎はファンガイアのオーバーテクノロジーを明らかにする事が出来ず、一先ず休息を取って完全復活したのだった。

 

「いや、ほどほどにしとけよ!てか、作った本人に聞いたら良かったんじゃないのか?」

 

皿洗いをしてた我らが筋肉バカ 万丈の言葉を受けて真顔に成る戦兎。確かに戦兎達が元の世界で調べようとしていたパンドラボックスやフルボトルと違い、ダークキバは歴史が明らかに成ってる。作った本人であるポーンとナイトに聞けばある程度は理解も出来るだろう。

 

「あっ…そっか。つい、科学者の本分でやり遂げようとしてしまった。

なあ、ギャスパー。キバの鎧を作った人って生きてるよな?ファンガイアがどれほど長生きか分からないけど」

 

戦兎はカフェオレを飲みながらテレビを見ていたギャスパーに問う。戦兎の声を聞いてギャスパーは戦兎の方を向いた。

 

「バリバリ元気ですよ。今は東京都で、バイク作りに目覚めちゃって立花レーシングで魔改造バイクを作りまくってますよ」

「良し…いや、だが…聞くのは最終手段にしよう。出来る限りは自分で解明だ!!」

 

戦兎、ポーンとナイトに聞くのは最終手段にする模様。

 

『それでは、次のニュースです。天界協定が可決されてから再来月で1年と成りますが、ドイツとフランスが天界協定の脱退を正式に表明しました。

欧州では今日も行方不明者が出ており、最近では緑色の肌をした小型の怪人達に女性が誘拐される事件が多発しております』

 

とテレビからニュースが聞こえてきた。

 

「む?緑色で小型の怪人で女性を浚う…。バカな…アレは父上と初代キングが真っ先に滅ぼした筈だ」

 

ニュースを聞いてアイスコーヒーをストローで飲んでいたキバット二世がふとそう言った。どうやら、彼はテレビで言ってる怪人の事を知っているようだ。

 

「欧州は相変わらず、物騒だな。おっと…キバットさんはテレビで言ってる怪人を知ってるのかい?」

 

惣一は今の内に戦兎と万丈、美空のコーヒーを淹れているのだろう。今日は日曜日であり、昼間のピークは過ぎている。ランチで訪れる人は帰ったし、暇な今を狙って看板娘と従業員に美味しいコーヒーを淹れているのだ。

そんなマスターと言えど、テレビのニュースは気になるようでキバット二世に問う。

 

「写真や映像を見ないと分からんが…恐らくはゴブリン族だろう。

一応族と着いてるて、古代名称魔族に分類されるが…今時の言い方では亜人に区分される事はなく魔物と言った方が良いな」

「「「ゴブリン!?」」」

 

現代っ子の美空は勿論、並行世界からやって来た万丈と戦兎も大きな声で驚いてしまった。ゴブリンと言えば、ドラクエやFF等のRPGに出てきそうなモンスターだからだ。

 

「えっ?ゴブリンって実在したの!?」

「ああ、した。だが、奴等はちょっと性質がアレだからな。初代キングの変身したダークキバの力でレジェンドルガの少し前に滅ぼされた」

 

キバットは語る。ゴブリン族とはRPGでのゴブリンと概ね同じらしいが、性質が更に極悪に成ってるそうだ。小柄で背丈も子供とあんまり変わらない。しかし、身体能力は当然ながら人間以上で生命力も高い。しかし、更に厄介なのが繁殖能力である。

ゴブリンは雌が居らず、亜人や人間の雌を浚っては犯して孕ませて増える。胎児の段階から成長が早く、直ぐに成長するそうだ。因みに母親と成った物の性質は全く受け継がれず、産まれる子供は全てゴブリンとなる。

 

「今と成っては万単位に成ってるかもな」

「ゴブリンスレイヤーのゴブリンじゃないか。でもよ、ファンガイアの昔の王様が滅ぼしたんだろ?」

 

そう、万丈の問いの通り、初代キングはゴブリン族とレジェンドルガを滅ぼした。一匹も残らずにである。

 

「その筈だ。もしかすれば、何者かが復活させたクローンかもな」

「キバッチ。財団Xじゃない?」

「可能性の1つにしておけ」

 

しかし…戦兎には1つ聞きたいことが有った。いざ、それを問おうとした時だった。

 

「お邪魔しまーす!食べログで美味しいって聞いたので」

「彼氏と来ました!」

 

黒い髪の美少女を連れた一誠が来店したのだ。だが、ギャスパーは瞬時に理解した。この女は堕天使だと。

 

「いらっしゃい!何が良いかな?メニューは勿論、おじさん…リクエストに答えちゃうぞ!!」

 

と堕天使だと知らない惣一は笑みを浮かべるが、前の世界で戦っていた戦兎と万丈は理解した。先程から、ギャスパーの気配が僅かに変わってることに。

 

「なあ…戦兎。ギャスパーの奴、どうしたんだよ?」

「分からない。だけど…キバットさんもだ。あの女の子を警戒してる」

 

ふと…堕天使の女も何かに気付いた。そして、ギャスパーの方を向いてキバットを見る。

 

「…黒いコウモリ……ファンガイアの王…」

 

と小さな声で言うと、突如として立ち上がった。

 

「ごめーん!一誠くん!私、ドーナツが食べたいの!」

「仕方ないな!ユマちゃん。ごめん、店長さん店員さん…今度は必ず来ます!!」

 

と堕天使は一誠の手を引っ張って退出した。

 

「いや…熱いね!」

「うーん…でもなんか違和感を感じるような」

 

と惣一と美空は言うのだが、突如としてギャスパーも立ち上がった。

 

「ギャスパー?どうかしたのか」

「戦兎。大変ですよ……あの女性は堕天使ですよ。そして彼氏さんはもうすぐあの堕天使に殺される。ちょっと行ってきます」

「俺も行く。万丈は美空とマスターを頼む」

 

ギャスパーと戦兎は一誠を救うために尾行を開始した。

 

 




戦兎「てか天界協定ってなによ」
ギャスパー「あほ天使の自業自得ですよ」
トリコ「次は俺が出るぜ!」
戦兎「うわ、万丈以上の筋肉!!次回!レイナーレ、日本をなめすぎた!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ようこそ、レイナーレさん。魔境に

レイナーレ逮捕(笑)


「ギャスパー…あの子大丈夫か?」

「さあ、どうでしょうね」

 

ギャスパーと戦兎は一誠と堕天使を尾行し、端から見ればカップルを尾行する野次馬である。

 

「あの堕天使…しきりに周囲を警戒してますね。まあ、僕の事を知ってたから当然か」

 

ギャスパーの言うとおり、堕天使は自棄に周囲を警戒して少し落ち着きが無い。それは一誠は勿論のこと、周囲を歩く他の民間人もチラリチラリと堕天使が気になって見ていた。

 

「なんか…小さな声でギャスパーの事をファンガイアの王とか言ってたしな」

「元々、キバッチ達キバット族はファンガイアの王夫妻に仕える一族ですからね。闇のキバも王の証しだったので…」

 

と尾行しながら話すギャスパーと戦兎。だが、堕天使はギャスパーが着いてきて無いか心配に成り、中々店に入ろうともしない。

 

「そういや…ギャスパー。1つ聞きたかったんだけど、天界協定ってなんだ?俺と万丈はこの世界に来てから未だ半年も経っていない。それなのに、良くニュースで聞くんだ」

「ざっくりと言えばアホ天使の自業自得ですよ、自業自得。お陰様で欧州はショッカーやヒドラの残党に財団Xが大喜び。助けに行きたくても行けないので、どうする事も出来ません」

 

はぁとギャスパーは溜め息を吐き出した。

 

「自業自得?俺も調べられる範囲は調べたけど、あくまでもネットに乗ってる情報だったりニュースで見れる範囲だけだ。

ヒーロー活動を行う外国人による無許可なヒーロー活動を制限する事は知ってるけど」

「仮面ライダーとアベンジャーズを閉め出し、自分達で欧州を守ろうとした結果がアレですよ、アレ」

 

 

 

 

(ファンガイアの王…まだ付いてくるのか!!てか、ファンガイアの王は自爆技で1000年前にレジェンドルガを滅ぼす為に死んだ筈でしょ!なんで生きてるのよ!!)

 

後ろを振り向き、堕天使の女 レイナーレはギリギリと歯軋りを行う。彼女は堕天使だ、天使だった過去も有り最低でも数百年は生きている。

天使はご存知、神様が死んでから増える事は不可能。だが、堕天使は堕天使同士の婚姻で増える事が可能だ。事実、出生数は少ないが毎年堕天使の子供は産まれている。レイナーレの部下も普通に婚姻で結ばれた堕天使同士の間に産まれた子供も居るのだ。

 

だが、彼女は違う。レイナーレは堕天して天使から堕天使と成った古き時から生きてる堕天使。その分プライドも高いが、彼女はいかんせん…アザゼルやミカエルと違い個体値に恵まれず上級クラスの実力は無く、有っても中級。言わば経験豊富だが落ちこぼれであり、更には努力して底上げする事もしなかった女である。

しかし…経験と人生を長く生きた知恵、そしてアザゼルに惚れた故の恋心は絶大だ。

 

「いや…落ち着くのよ、レイナーレ。あのファンガイアの王は人間の匂いもする。それに初代王は死んで二代目が数百年も生きてたじゃない。

初代王は人間との間に子供が居たし…まさか末裔!?考えすぎよ、レイナーレ。二代目王が初代の娘を迫害し追い出したからそれは無いわ。闇のキバを受け継いだそっくりさんよ…そっくりさん」

 

 

 

 

「アイツ…レイナーレって名前なんだな」

「てか、隠すつもり無いでしょ!!」

 

尾行されてるにも関わらず、レイナーレは自分で独り言で正体をばらしたのだった。

 

「てか…あの堕天使、自爆で世界を救った初代ファンガイアの王様とギャスパーがそっくりな事を言ってるな」

「相当な長生きみたいですね。戦兎、アレがロリババアですね」

 

――おい待てぇぇ!!そんな事言ってる場合じゃないだろ!!尾行してるんだろ!?

 

突如、nascitaのツッコミ筋肉 万丈の声が聞こえた気がしたが尾行を続ける天才物理学者とバイオリニスト。

 

 

 

やがて夕日が出てきた頃。一誠とレイナーレは公園にやって来た。

 

(さてと…此処で赤龍帝を手筈通りに殺すわ)

 

レイナーレは笑みを浮かべる。事前にこの公園には人払いの結界を張っており、愚かな人間達は無意識に近付いてこない。

 

「戦兎、アイツ…此処で事を起こしますよ」

「みたいだな」

 

しかし…レイナーレは油断していた。この結界のお陰で野次馬がやってこないと思ってる彼女は、知らない。近くの草むらでは既に戦兎とギャスパーが隠れており、戦兎の腰には回すレバーが付いたドライバーことビルドドライバーが巻かれている事を。既に変身出来る準備は出来ており、レイナーレが事を起こした瞬間に変身して取り押さえるつもりである。

 

「一誠君、死んでくれないかな?」

 

レイナーレは突如として何かを取り出した。それは小さな刀のような物が着いたバックルだ。それを腰に巻こうとしたが…

 

「トリコさーーーーん!!今です!!」

 

一誠が叫ぶ。その刹那、青い魔力やチャクラ等のエネルギーで構成されたナイフが高速で飛来し、レイナーレが持っていたバックルが弾かれた。

 

「チッ!!」

 

地面を転がるバックル。レイナーレはそれを拾おうとする。レイナーレ単独の実力は低い、だがそのバックルを使えば仮面ライダーに匹敵する力を得れる。いや、それ以上の力を引き出せる可能性が有る。何故なら堕天使と人間のスペックは最低でも数倍の差が有る…その堕天使であるレイナーレが変身するのだ、人間よりも強くなっても当然である。

 

だが…

 

「はっ!?」

 

レイナーレの目の前に青い髪をしたmuscleが突如として降臨した。そう、トリコである。

 

「釘パンチ!!」

「ぐぅぅぁぁぁあ!!」

 

そのパンチは釘パンチ。連続で同じ箇所に拳を打ち込み、釘を打ち込むようにパンチを放つ事で衝撃をより奥に打ち込む事が出来るトリコの代名詞である。

 

釘パンチを受けたレイナーレは一撃で戦闘不能になり、呆気なく御用と成ってしまった。

 

「悪いな。お前が堕天使だってのは分かってたよ…勿論、俺の命を狙ってる事も。だから、俺が囮に成ってトリコさんに捕まえてもらう事にしたんだ」

 

そう、一誠は最初から知っていたのだ。レイナーレが自分の命を狙って近付いてきた事を知っていた。と言うのもトリコと出会い、レイナーレが告白してきた後にトリコから教えてもらったのだ。レイナーレが不法入国した堕天使であり、自分の命を狙ってる可能性が高いことを。

だから一誠は知らない振りをして、レイナーレを誘きだし事が起きればトリコに捕まえてもらう手筈で動いていたのだ。

 

「まあ、俺が出てこなかったら。お前は仮面ライダーに倒されていたけどな。出てこいよ、ギャスパーに青年。隠れてるのは匂いで分かるぜ」

 

と、トリコがそう言うと…草むらからギャスパーと戦兎が出てきた。トリコの嗅覚は警察犬以上であり、匂いでギャスパーと戦兎が居ることを分かってたのだ。

 

「トリコさん。居たんなら連絡くださいよ」

「悪いな。所で、ギャスパー…これ、分かるか?俺はライダーの装備なんて知らないしな」

 

トリコはレイナーレの手から弾き飛ばし、地面に落ちたバックルをギャスパーに手渡す。トリコもこの世界に呼び出されてから1年以上経つが、仮面ライダーの装備の種類に関しては実際に仮面ライダーとして活躍するギャスパーの方が詳しい筈だ。

 

「これは戦極ドライバー。量産モデルですけどなんで、この堕天使が?」

 

そのドライバーは戦極ドライバー。小さい刀に見えるパーツはカッティングブレードと呼ばれており、ドライバーにセットしたロックシードと呼ばれる錠前をカッティングブレードで開いて力を引き出すライダーのベルトである。

 

「キバッチ。やっぱり財団Xが?」

「可能性は有るな」

 

 

 

 

 

 

 

レイナーレは逮捕され、暗部に引き渡された。この後、尋問等が待ち受けているだろう。

 

 

そして、その日の夜。

 

「レイナーレ様は逮捕された……」

「くそう!!己!!日本め!!」

 

駒王に不法侵入した堕天使の皆様は廃墟街に潜伏してたのだが…

 

『クロックアップ』

 

気が付けば全員、手錠を施されて駒王交番に居たのだ。

 

「「へ?」」

「全員、不法入国で逮捕。あと殺人未遂な」

 

逮捕を実行した警察官は駒王交番勤務の仮面ライダー。加賀美新巡査長である。

 

彼は仮面ライダーガタック……マスクドライダー ガタックに変身するのだ。

 

「巡査長、お帰りなさい。例の変態コンビはどうでした?他府県まで捕まえに行きましたけど」

「神器で俺の時を停めて何度も逃げやがった。視界に入らなかったら停められないから、クロックアップを使って背後に回って逮捕した」

 

加賀美が帰還し、駒王の仮面ライダーは5人に戻った。




次回!一誠…下忍になる。

そして一誠のツッコミが目覚める。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ツッコミ…覚醒

幻さん…遂に降臨!?


レイナーレ一味逮捕から3日後。

 

「この時間は客が来ないよな」

 

午後3時過ぎ。ランチタイムを終え、平日に休みが有るカフェ好き等の一部の人以外は殆んどやってこない時間帯。駒王の喫茶店nascitaの客足は止まり、店内には客は1人も居ない。

 

あと1時間ちょっとすれば学校終わりに駒王学園の生徒達がやって来るかも知れないが、それまでは殆んど客がやってこない。nascitaの従業員であり仮面ライダーの戦兎と万丈はこの時間を利用して休憩するのだ。事実、客の居ないnascitaに珈琲の良い匂いが広がった。

 

「戦兎!万丈!今の内に休憩だ。マスター特性、賄いコーヒータイムだ!!」

「「やった!いただきます!!」」

 

飲食店は客の居ない時間しか、ゆっくりと休憩出来ない。今の内にコーヒーを飲んで一服し、1時間後にやって来る学生ピークに備えるのである。

 

『続いてのニュースです。フランスとドイツではアベンジャーズの活躍により、事態の終息が進んでますが他国ではまだ被害が続いてます。

更にイタリアでは仮面ライダーらしき姿をした人物がイタリア軍を壊滅させたとの情報も有ります』

 

と…そんなニュースを聞いて戦兎、万丈、惣一はテレビを見る。テレビの画面にはニュースキャスターがニュースを読み上げ、新たな画像が映し出される。そこには()()()()()()()()を装着した漆黒のビルドがイタリア軍を壊滅させた写真が映し出されていた。

 

「おいおい、戦兎…アレって」

「ビルドだよな?でも……ビルドドライバーは此処に有るし、そもそも俺と万丈にマスター以外は記憶が無い筈」

 

画面に映るのは間違いなくビルドだ。いや、戦兎が変身するビルドは全身真っ黒ではない。だが、その画面に映るビルド?は瞳の複眼も真っ黒だったのだ。

それに元の世界での記憶が有るのは戦兎に万丈、惣一だけだ。その上、記憶が有る戦兎でしかビルドドライバーは作れない。当たり前だがビルドドライバーも盗まれていない。それなのに、あのビルド?は何者なのだろうか?

 

『仮面ライダーが敵ですか……』

『兵器や科学だって使い方を間違えればテロの道具に成ります。写真の男はライダーとしての力を兵器として使い、テロリズムを働いているのでしょう』

 

そう、仮面ライダーは言わば悪と表裏一体だ。本郷もショッカーに拐われ改造手術を受けたが脳改造の前に脱出に成功し、正義の為に今も戦っている。

だが、ショッカーの怪人達は大半が脳改造を施されて悪の手先に成った仮面ライダーのifなのだ。平成の時代から増え出した装着系のライダーも同じだ…もしテロに使われれば悪の兵器と成る。

 

だが…チリンチリンと扉が開かれて誰かが入店してきた。

 

「「「いらっしゃいませ…………えっ!?」」」

 

やって来た人物は髭が生えたスーツ姿で30代程の男、そして50代位の男だった。そして、その2人は戦兎達が物凄く知っている人物だったのだ。

スーツ姿の30代の男は氷室幻徳。当初はパンドラボックスのお陰で好戦的な人物だったが、その影響が無くなると戦兎達と共に世界を救うために戦い、大義の為に自分から犠牲に成った男…仮面ライダーローグでもある。愛称は幻さんである。

 

50代程の男は葛城忍。戦兎の実父であり、戦兎の顔と名前が変わる前の葛城巧の父親だ。元凶に付き従った振りをしつつ、世界を救うために戦い…戦兎達に後を託したもう1人の仮面ライダービルドである。

 

(幻さん…父さん)

 

しかし…並行世界との融合で幻さんも忍も元の記憶は無くなっている。だから2人とも戦兎を覚えてない筈なのだが…

 

「大きくなったな、巧。いや、戦兎と呼んだ方が良いか」

「元気だったか?戦兎、筋肉バカ」

 

だが…どういうわけか幻さんと忍は記憶が有ったのだ。そして、幻さんはスーツを脱ぎ…中に着てるTシャツを見せる。そこには…

 

オラァァ『記憶が戻ったぞ!!』

 

と書かれていた。

 

「「「えぇぇぇええええ!!」」」

 

 

 

 

 

 

「てか、幻さんと父さん…なんで記憶が有るんだよ。俺と万丈で会いに行った時は記憶無かっただろ?」

 

幻さんは官房長官であり父親 氷室泰山の秘書をしている。忍は国立アンノウン対策研究所で働いている。

しかも、戦兎と万丈はこの世界にやって来た頃に、曾ての仲間や親しい人に会いに行った。だが、その時は誰もが記憶が無かったのだ。

 

「実は総理も仮面ライダーでな。総理のキングストーンフラッシュを浴びたら、葛城博士と俺の記憶が戻った」

 

――その時、不思議な事が起こって記憶が戻ったのだ。

 

謎のテロップが入ったが気にしてはいけない。

 

「戦兎に万丈君。お父さんは記憶が戻ってから、巧と共にビルドドライバーと氷室君のスクラッシュドライバーを作ったんだが…」

 

忍は一旦そこで言葉を切り……

 

「神器 絶霧を使う謎の人物の手でビルドドライバー1つとハザードトリガーを盗まれた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一誠は魔法省にやって来て下忍登録を行っていた。

 

因みに日本で元裏側…神秘部門の仕事を行う人は全員が忍者の登録を行っており、神秘部門の称号が忍者に成った訳は日本人=忍者というイメージが有るためである。

 

「良し、これで一誠も下忍だな。裏側の仕事が出来るぞ!」

 

付き添いでやって来たトリコがそう言い、晴れて一誠は下忍の資格をゲットした。

 

「トリコさん、下忍の仕事って簡単な物ですよね?」

「まあな…それじゃあ、今からお前の修行の為にリオレウスを狩りに行くか!!アイツの尻尾は旨いぞ」

「全然修行じゃ無いんですけど!!死んじゃうよぉぉおおお!!」

 

頑張れ一誠!負けるな一誠!!君なら何時か、リオレウスを秒殺出来るさ!!何時か……

 

 




次回!!カズみん…遂に現れる。しかし…カズみんは未だ記憶が戻っていない。

カズみん「此処に俺の花嫁候補が居るのか?」
三羽カラス「「「アイドル位っすよ!!」」」
戦兎「ギャスパー、お前顔が可愛いんだし女装しろ!」
ギャスパー「戦兎だって顔が良いじゃないですか!」
???「仕方無いな…ほれ、2人とも。俺が仕立ててやろう」
ギャスパー「パパ!?結構です」
戦兎「なんかカズみんそっくりのおっさんが来た!?」
万丈「いや、似すぎだろぉぉおお!!」
???「ギャスパーにバイオリンを教えたのは俺だ!」
???「芸能界に居れたのは俺だ!!」
???「※※※※※※」
万丈「フリスビーみたいな蛇も居る!?てか、ギャスパーの家族…キャラ濃いな!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

他人のクリソツ

音也とカズみん…出会う。


茨城県の田舎町。そこには広大な敷地を持つ農園が広がっている。その農園ではお米、果物、キャベツ、そしてタロ芋と馬鈴薯を栽培しているのだ。

 

その農園の名前は猿渡ファーム。大勢の従業員と共に今日も農作業が行われており、沢山の馬鈴薯達が収穫の時を待っている。今は田植えのシーズンであり、田んぼでは従業員総出で田植えが行われており、従業員は爽やかな汗をかいて頑張っている。

 

「今年も田植えの季節がやって来たな」

 

そんな田んぼでの田植えでは、1人のおっさんの壁を登り始めた男が率先して頑張っていた。男の名前は猿渡一海。曾ては戦兎や万丈の仲間として仮面ライダーグリスに変身し、世界を救うために戦っていた。しかし、それは元の世界での話であり、今は記憶を失っては農作業を日頃から行う猿渡ファームの代表でしかない。

 

「俺にも可愛い嫁さんができねぇかな」

 

猿渡一海、30歳独身、彼女居ない歴=年齢のドルオタ。そう、一海ことカズみんはドルオタなのである。前世?元の世界ではネットアイドルみーたんだった美空の熱狂的なファンであり、戦兎や万丈もドン引きする位のドルオタだった。

今でもドルオタだが、みーたんはアイドルをやっていない。しかし、今の世の中…様々な芸能プロダクションは存在しておりカズみんの推しメンは多いのだ。

 

「俺にもしぶりん、ほのかちゃん、蘭子ちゃん、エリチカ、はるかっか、真姫ちゃんとかの可愛いアイドルの彼女が出来ないかな?」

 

田植えをしながらドルオタは嘆いた。周りの同級生は皆結婚しており、カズみんは彼女居ない歴=年齢。農家の主としても是非とも嫁さんはゲットしなければ成らないのだ。

 

「カシラ!良い情報が有りますよ!」

「関東の喫茶店にアイドル並みに可愛い子が居るんすよ!」

「カシラの花嫁候補にどうですか?」

 

ふと、その声が聞こえて一海は声の方を見る。そこには一海をカシラと慕う、従業員の3人が居た。彼等は猿渡ファームの三羽烏と呼ばれる3人組であり、年齢はバラバラだが実は元の世界で一海と共に戦った3人でもあるのだ。

上から青羽、黄羽、赤羽であり彼等は仮面ライダーではなく意識を保った怪人 ハードスマッシュと呼ばれる存在に変身できる。とは言え、元の世界での記憶は当然無くしており今は変身できない。なお、元の世界では北都の三羽烏と呼ばれていた。

 

「なんて喫茶店だ?」

「nascitaって店っすよ!」

 

カズみんは翌日、三羽烏を引き連れてnascitaに向かうのだった。

 

 

 

 

 

「マスターさん!!トリコさんの修行が滅茶苦茶なんですけど!!」

 

翌日。昼過ぎのnascitaはランチのピークを終え、お客さんも少ない。そんな店内のカウンター席では項垂れるように来店した一誠が座り、アメリカンなアイスコーヒーを飲んでいた。

彼は下忍に成った後、トリコから日頃から鍛えて貰っており…トリコに連れられて農林水産省と魔法省が合同で管理する食材研究用人工島 ビオトープで食べては戦い、食べては戦いの日々を過ごしていたのだ。

 

一誠もレイナーレの件から気が向けばnascitaに通っており、今ではマスターや戦兎とも話せる仲だ。

 

「頑張れ少年。俺は立派だと思うぞ?戦兎や万丈も変身しないと強敵と戦えない。だけど、君は違う…君はベルトやスーツ無しで戦えるじゃないか」

 

バイオリンの音を背景に惣一はそう言う。なんでバイオリンの音が聞こえるかと言うと、問答無用で常連客の1人がバイオリンを演奏してるのだ。その上、演奏が超絶上手い。

 

「マスター、戦兎さん。なんかベートーベンの運命が聞こえるんですけど、ダダダダーン!!ってベートーベンの運命が響いてるんですけど」

「「そりゃ、プロが演奏してるからね」」

 

一誠の後ろの席ではギャスパーが座っており、ベートーベンの運命をバイオリンで奏でていた。やがて、曲が終わったのかギャスパーは演奏を停めた。

 

「リクエストある人は?今なら無料で引きますよ」

「えっ?金とるの?てか、お前…プロなの?」

 

一誠はそこまで芸能業界やクラシック関連の業界に詳しくない。ギャスパーの演奏が凄いのは駒王学園では常識だが、一誠はギャスパーが本当にプロなのか半信半疑なのだ。

 

「あっ…それじゃあ、これ名刺です」

 

ギャスパーは一誠に名刺を手渡す。その名刺には…

 

《紅プロダクション所属プロバイオリニスト。紅ギャスパー》

 

と書かれており、一誠はスマホで紅プロダクションと紅ギャスパーに関して調べる。

 

――紅プロダクション。世界的バイオリニスト 紅音也の長男、紅太牙が社長を務める芸能音楽プロダクション。多くのアイドルや演奏家に歌手が所属しており、その規模は346プロダクションと並び日本トップクラス。主なアイドルとしてはμ's等が在籍しており、演奏家では社長の父親 音也を始め世界で知名度を上げてきた10000年に1人の天才であり社長の弟 紅ギャスパーが居る。亜人も人間も関係無く所属できるプロダクションであり、社長もファンガイアであり人種差別が一切無い。専属の楽器職人兼演奏コーチとして社長の弟 紅渡が在籍しており、彼の作るバイオリン属の絃楽器は何百万以上の値段が付けられる。

 

――紅ギャスパー。亜人と人間の混血であり、天才的な腕前を持つバイオリン。父親である紅音也は千年に1人の天才と言われており、彼の才能は父親を上回る程であり10000年に1人の天才と言われている。日本は勿論、海外でも演奏経験が有る。

 

(本物じゃないかあぁぁぁあ!!)

 

一誠、紅プロダクションとギャスパーの事を調べて知ってしまい…本物と知る。

 

「あの……マスターと戦兎さん、美空はこの事は」

「俺達は前、ギャスパーの演奏を見にコンサートホールに行ったぞ。な、マスター」

「良い演奏だったよ!なあ、みーたん」

「クラシックの曲は勿論、今時の曲もバイオリンで演奏してくれるから、ギャスパーの演奏会はクラシックを知らなくても楽しめるの」

 

nascita一家、ギャスパーの演奏会を何度も行ってる模様。勿論、ギャスパーからチケットを貰って行ってるので格安で聞いてるのだ。

 

すると、チリンチリンと扉が開く。誰かが来店した証である。

 

「なあ、本当に俺の花嫁候補は居るんだろうな?」

 

三羽烏を引き連れてやって来た農民ドルオタ、猿渡一海30歳独身である。

 

「パパ!?……あっ、ごめんなさい。父に物凄く似ていた物で」

 

そんな来店したカズみんを見て、ギャスパーは驚いて声を出してしまった。いや、当然だ。

実はと言うと、音也とカズみんは瓜二つの容姿をしており声も全く一緒。まるで生き別れた双子の兄弟のようにそっくりなのだ。

 

「カシラ、いつの間にこんな男の子の親に成ったんですか?」

「んな訳無いだろ!俺は童貞なんだよ!!……」

 

すると、一海はnascitaの看板娘であるみーたんこと美空と目が合ってしまった。その刹那、カズみんの魂が激しく揺さぶられる。カズみんは元の世界では美空の事が大好きだ、握手の為に10万を投げ捨てるドルオタである。

 

カズみんには元の世界での記憶が無い。しかし、みーたんを好きだと言う事実は思い出したのだ。

 

「此方、お品書きで「猿渡一海、30歳。貴方に一目惚れしました。心火を燃やし、フォーリン・ラブです。貴方の名前を教えて下さい」あっ…みっ…美空です」

「ならば…みーたんと呼ばせて下さい!!」

 

猿渡一海もう一度フォーリン・ラブ。

 

「俺、一目惚れは初めて見たよ」

 

流石に初対面故か、突っ込めない一誠。それは元の世界で知った仲だった

 

「はいはい。そこのおじさん。みーたんが困ってるので、そろそろ」

 

そこで、ギャスパーが仲裁に入る。

 

「なんだね?君は。君はみーたんのなにかね?」

「クラスメートです」

 

――クラスメートだと!?なに!?みーたんは可愛い…もしかしたら、クラスのマドンナかも知れない。不味いな…いきなり強力なライバルが現れたぞ。いや、落ち着くんだカズみん…確かにこの金髪ボーイの方が遥かに有利だ、学校でみーたんと共に居れるし、学業を共に頑張ることで吊り橋効果も期待できる。不味い、不味い、本更に強敵が現れた。だがな、少年…俺は青空レストランで紹介される程の自慢の農家だ。男米は勿論、自慢の馬鈴薯は逸品だと自負出来る!!

 

「そういや、ギャスパー。前のライブでどれほど儲けたんだっけ?」

「ギャラで400000だったので、そこからチケットとか含めたらもっとですね。2時間の演奏会でこれなので、アメリカのコンサートホールで演奏した時はもっと凄かったですね」

 

惣一の質問に答えるようにさらっとギャラを言ったギャスパー。

 

――なに!?400000のギャラだと!?2時間で!?えっ?この男の子何者?てか…何処かで見たことが………ふぁ!?この子…μ'sと同じ事務所の紅ギャスパー君じゃないか!?ライバル強すぎね?カズみんオーバーキルされそうだよ!!

 

と一海が心の中で嘆いている瞬間。再び扉が開かれた。

 

「太牙、サガーク。此処がギャスパー行き着けの喫茶店だな。良い所じゃないか」

「でも親父はコーヒー飲めないだろ?」

「カフェオレなら何とか飲めるさ……む?」

 

しかし、その新たにやって来た中年、青年、まるっこい蛇を見た戦兎達は固まった。当たり前である。その中年は現在、自問自答してるカズみんと全く瓜二つの姿をしていたのだから。

 

「パパに太牙兄ちゃん、そんでサガーク!?」

 

なんという事でしょう。来店したのはギャスパーの父親である音也と兄の太牙。そして太牙のパートナーであり、サガの鎧を展開するのに必要なまるっこい蛇サガークである。

 

「ギャスパー、お前も来てたか。む?」

「「「カシラのそっくりさん!?」」」

「へ?」

 

見つめ合う音也とカズみん。確かに同一人物と言われても疑いようの無い程にそっくりだ。

 

「お前……俺のファンだな!?」

「俺はアイドルのファンだ!!あっ…紅太牙さん、日頃から御宅のアイドルには元気を貰っております」

 

 

 

『続いてのニュースです。欧州では相変わらず行方不明者と被害者が連日のように出ております。

最近では教会で大規模デモが行われており、混乱が各地で起きています。一部ですが、堕天使と天使の連合部隊が町を襲撃してるとも報告があり、事実確認を進めてるとの事です』

 

 

 

「その命、神に返しなさい」

 

フランス某所 そこで1人の()()()()()()()()の少女が…腰にベルトのような物を巻き

 

『レディ』

 

「変身」

 

『フィストオン』

 

法衣を彷彿させるライダーに成った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「渡、太牙。弟子を持つと言うのは大変だな」

 

音也の弟子であり、バウンティーハンター兼外務省の仮面ライダー 名護啓介こと名護さんは弟子を取っていたが色々と頭を抱えていた。

 

「マスター!次はどうすれば良い!」

「そこでライジング!!と行きたいが、そろそろ日本に帰るとするか。ゼノヴィア君」




カズみんの記憶が戻るのはもう暫く、お待ち下さい。

次回!ゼノヴィアの軌跡。ゼノヴィアがバートンの家に預けられ、どうして今に至ったかのお話である。

なお、イクサシステムは少数量産されており、753と音也んと彼女が持ってます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゼノヴィアの軌跡

ゼノヴィアは日本で少数量産されたイクサシステムに選ばれた少女である。

 

イクサシステム。それは仮面ライダーイクサに変身する為の装備とシステムであるが、これは仮面ライダーガタック等の宇宙人のテクノロジーや戦極ドライバーのようにヘルヘイムの果実等の明らかなヤバイ代物は一切使われていない。言うならば、装着型の元祖であるG3を発展させた地球テクノロジーオンリーな装着型の最先端である。

 

イクサのパワードスーツは初めての対怪人用パワードスーツであるG3を参考に開発され、それを発展させた物だ。G3と違い、いちいち着込むのではなく、変身プロセスを行えば他の装着系と同じく自動で展開される仕組みである。故に携帯も簡単であり、副作用も使用者に少しの負担がかかる程だけだ。

 

では、そんな新しいイクサであるゼノヴィアの軌跡を見ていこう。

 

 

 

 

 

半年前。

 

ゼノヴィアは神の不在を知ってしまい、相方のイリナ共々教会を破門に成った。所有していたエクスカリバーは折れてしまったが、教会が返せとアベンジャーズに言ってくるので…ゼノヴィアとイリナはぶちギレたガブリエルに託し、ガブリエルは二本のエクスカリバーを郵送のダンボールに詰め込んで…国際便でヴァチカンに送ったのだった。

 

「全く…ミカエル様はバカですか!?天使と教会、それに欧州の軍隊だけでショッカーやヒドラと戦えると本気で思ってるんですか!?財団Xを退けると本気で思ってるんですか!?バカか、遂にあの天使長はボケたか!ハゲたか!!毛根全滅しやがれ!!」

 

と…ガブリエルはそんな言葉を連呼していた。とは言え、ガブリエルはミカエルの手で左遷され…日本が誇る二大救世主(光太郎と信彦)のキングストーンフラッシュを受けて聖書のシステムを外れてるので堕天はしない。仮に誰かに惚れて子作りしても堕天はしない。

 

「いや…今にも思い浮かびますね。ミカエルのアホが天界協定を結んだ為に、欧州の殆どの地帯でデモが発生。更にミカエルがショッカーとヒドラ等に感謝される事が見えますな。

てか、ゴブリン族さえも滅ぼす事が出来ず、防戦と後手後手な駆除の繰り返しで…ファンガイアの初代キングが立ち上がるまでゴブリン族に良いようにやられていたくせに。その事を忘れたんですかね?あのデコスケ」

 

と…コーヒーを飲んでそう言うガブリエル様。そんな彼女を見て、アベンジャーズタワーでアベンジャーズのメンバーは勿論、バートン宅からアベンジャーズタワーに引っ越したイリナとゼノヴィアは苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

「全く…ミカエル様は何時もそうです!!神の不在を秘匿する事を優先して!!あのあんぽんたんが!!」

 

と叫ぶガブリエル様。最早、皆がドン引きしていたが…ガブリエルはふーと息を吐き出した。

 

「いや~スッキリしました。たまには吐き出してスッキリするのも良いですね」

「思いっきり、毒を吐き出しましたけどね。この場に居ない天使に向かって」

 

とガブリエルの言葉に対し、アベンジャーズのツッコミ要員に成ってきたピーターがひきつった笑みを浮かべながらそう言った。

 

 

 

3ヶ月後。

 

ゼノヴィアは日本に居た。

 

「此処だよな?」

 

イリナはアメリカでガブリエルの指導の元で修行を行うそうであるが、ゼノヴィアは日本に訪れてとある人物に礼を言いに来たのである。それはギャスパーにだ。

そもそも、ゼノヴィアとイリナが今を生きてるのはギャスパーがダークキバに変身し、神の不在を知らされた現場から連れ出してくれた為である。彼が居なかったら自分達はウルトロンとの戦闘を生き延びても、教会からの粛清で死んでいた。

 

ギャスパーに礼を言うためにゼノヴィアはギャスパーの家の前にやって来た。紅と表札に書かれた超豪邸。中からはファンガイアの気配も感じるが、日本では普通なのだろう。

 

「君はギャスパー君の友達か?それとも…渡のバイオリンを買いに来たバイオリニストかい?」

 

ふと、声をかけられてゼノヴィアは後ろを振り向く。そこには20代後半から30代程の男性が立っていたのだ。

 

「貴方は?」

「私は名護啓介。外務省の外交官であり、副業として仮面ライダーとバウンティーハンター……賞金稼ぎな祓魔師をしてる」

 

その時、ゼノヴィアは生涯の師と出会う。

 

 

 

 

 

 

 

そして、時は現代に戻るのだが……

 

「ギャスパー…フランス…いや、欧州は色んな意味で地獄だったってばよ」

 

nascitaには珍しい客が訪れていた。それはフランスからの救難信号を受けて、フランスに出張を行っていたナルトであった。

 

「町は未だショッカー居るわ、洞窟入ったらゴブリンの巣で人骨ばっかに犯された女性が沢山いて吐きそうに成るし…いや、本当にヨーロッパは良くもったな」

 

ナルトが帰ってきたと言うことは、フランスは無事に救出されたのだろう。

 

ナルトはゴブリンの巣窟に飛び込んだ為か、元気は無い。しかし……

 

「マスター。私は取り敢えずブラックコーヒーを」

 

「それじゃあ、私はクローズカレー大盛!!」

 

「なっ!?聖女…だったら私はグリスパスタ全マシマシ!!」

 

「うむ、では私は……フレンチトーストで」

 

ゴブリンの巣に飛び込まず、町で怪人と戦っていた名護さん、ジャンヌ、ヒルド、ゼノヴィアは普通に食欲が有った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呉島貴虎は仮面ライダー斬月であり世界中を飛び回っている。貴虎はレイナーレが何らかのルートで入手した戦極ドライバーで仮面ライダー黒影トルーパーに変身するのだが、戦極ドライバーに詳しいとの事で魔法省に呼ばれてやって来た。

 

「貴虎。貴様の目から見てどうだ?」

「はい。扉間大臣…間違いなく戦極ドライバーです。恐らくは財団Xが流した物でしょう。ユグドラシルのデータから量産型戦極ドライバーの情報が流れてましたし、間違い有りません」

 

貴虎は扉間にそう言い、確認するように言う。

 

「フランスではお孫様のナルト君と組んで行動しましたが、欧州で動くヴィランの中には神器や何らかの手段でドライバー等を手に入れた人間が亜人の罪の無い子達を殺して回ってました。そのテロリストの中には戦極ドライバーを使ってた者も居ます。

彼等は英雄に成る為の礎に成れと言ってましたが…件の堕天使と関係は?」

 

欧州を日頃から騒がしてるヴィラン。その中には何らかの方法で入手した戦極ドライバー等の変身ベルトで変身し、悪事を働く人物も多く居たのだ。

 

「尋問し…エンマとカカシに写輪眼で調べてもらったが。駒王で捕らえた堕天使どもはアザゼルから貰ったそうだ。

最悪の事態だが、財団Xと堕天使が繋がっており、更にはショッカーとヒドラとも繋がってる可能性が有る。アザゼルは駒王の堕天使を切り捨てるつもりだが、不法侵入し国民を殺そうとした事は事実。制裁を加える」

 

扉間はそこで言葉を一度切り……

 

「今、エンマ主導でドドリアンボムを堕天使領土に落とす準備をしている。ワシからすれば、堕天使もショッカーも同じだ。日ノ本に災いをもたらし、国民の命を奪う。ワシは敵には容赦はせん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、アザゼルは世界一臭い男と成った。




ナルト「よっしゃぁぁぁあ!フランスでの仕事が終わったってばよ!!」
戦兎「しかし…新たな驚異が駒王を襲おうとしていたのだった。果たして、この危機に仮面ライダーと忍者はどう立ち向かう!?どうなる!!」
万丈「いや、ちょっとまてよ!!他国のお偉いさんに最臭兵器を使ったのは良いのかよ!!」
ギャスパー「良いんですよ。総督から世界一臭い男に成ったんですから。世界一ですよ?誇って良いんですよ」
万丈「誇れるか!!」
一誠「……なんだろう。俺、あのドドリアンボムを越える臭いを後に嗅ぎそうな気が」
戦兎「さーてと次回予告!!悪の組織や甦ったゴブリン族に追い込まれる欧州……その時、ミカエルさんは!?」





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

欧州パニック

戦兎「欧州が大変だ!でも、俺は助けにいけない!!」
ギャスパー「本当にめんどくさい事をしましたね~ミカエルさん……くっさ!?」
万丈「なにいって……くっさ!?」
戦兎「おいおい、ギャスパーに筋肉バカどうした…臭!?なんじゃこりゃ!?」
惣一「キモくさ!?」
万丈「マスターが臭いで倒れた!?なんじゃこりゃ!?」
ギャスパー「この世の何処かでドドリアンボムの核爆発が起きましたね」
戦兎「どうなるの!?」


「どうして…こんな事に」

 

ミカエルは嘆いた。と言うか、彼はショッカーやヒドラ等の悪の組織を完全に嘗めすぎていた。天界協定が可決され執行されてから1年が経過した。目的は神の不在という最重要機密を守り、同時に自分達の勢力圏である欧州を守るためだ。

最初の数ヶ月は本当に順調だった。だが、それは嵐の前の静けさだったのだ。ショッカーとヒドラは健在であり、更には他の悪の組織も存在しており…それらの背後に存在する財団Xと呼ばれる未知の存在。それらは天界協定が執行された後、見事に欧州に静かに引っ越して来たのだ。

 

――今すぐ協定を破棄してくれ!!

 

――もう沢山だ!!あの怪人達を何とかしてくれ!!

 

――助けてくれるんじゃなかったのか!!

 

毎度の如く、教会に押し寄せるのは祈りを捧ぐのではなく完全なデモ行為目的。

 

「てか、ゴブリン族は滅んだんじゃ無かったんですか!?初代キングに滅ぼされたんじゃ無かったんですか!!」

 

それにミカエルを悩ませる種はショッカーやヒドラ達だけではない。もう1000年以上前に絶滅した筈のゴブリン族が復活し、猛威を振るってるのだ。ゴブリン族は略奪民族であり、優しさに目覚める事は無い。残酷で残虐であり、1匹1匹の力は下級悪魔と変わらない…だが、爆発的な繁殖力から産み出される物量の驚異は恐ろしく、既に田舎町の幾つかは滅ぼされたり占拠されたり…対処しに向かったエクソシストや天使も殺されたり孕み袋にされたりして目も背けたくなる末路だった。

 

町では仮面ライダーがやってこない事を良いことにショッカーやヒドラが大暴れ。更には財団Xから手に入れたテクノロジーを使い、仮面ライダーと同じ力を使って暴れまわるテロリストも多いのだ。

 

仮面ライダー達でさえ完全に滅ぼす事が出来なかったショッカー。それが元気に成って欧州でテロを行い、もう欧州に安全な地域は無い。ミカエルは日頃からの対応に追われた結果…

 

「どうして…私は神様のシステムと世界を守りたかっただけなのに」

 

ストレスマッハで、ツルツルテカテカに剥げてしまった。ライトが当たればピカーと光る程に剥げてしまったのだ。自慢の長毛は全て抜け落ち、ファルビウム2号に成ってしまった。

 

ミカエルの毛根は犠牲に成ったのだ、自業自得によるストレスでな。

 

 

 

 

 

 

場所は変わって駒王の我らが喫茶店nascita。そこでは何時も通りののんびりとした時間が流れており、この日は休みの為か戦兎の父親である忍が遊びに来ていた。

 

『次のニュースです。悪魔は改めてレーティングゲームを国際大会にする為に、ルールの改正を行いました』

 

「父さん。レーティングゲームってなんだ?」

「私も詳しくは知らないが、元を言えば悪魔政権のパンとサーカスだな。上級悪魔が自分達の眷属同士を戦わせる疑似戦争で…扉間大臣はディハウザー・ベリアルの試合以外バラエティーと言っていた」

「ふーん、疑似戦争ね」

 

レーティングゲーム。それは悪魔の娯楽であり、上級悪魔が自分達の眷属同士を戦わせて行う一種の戦争遊戯である。悪魔では大人気のスポーツであり、聖書勢力以外にもファンが居る熱狂的な物らしい。

 

「悪魔は実質的に悪魔の駒を日本で使えなくなった。登録制に変わると聞いていたが…」

 

『これまでは転生する際に用いた悪魔の駒で選手登録してましたが、今後は悪魔以外も出られるように登録制に変わるそうです。

悪魔政権曰く、どんなに強くても兵士以外ならば1つの駒枠で済むそうで…国際大会が始まればどうなるんですかね?』

『仮面ライダーの皆様は出ないかも知れませんね。私が思うに、彼等は誰かを守るために戦ってますから…力を見せる目的は無いでしょう』

 

レーティングゲーム、登録制に変わる。




次回!戦兎とギャスパーはレーティングゲームを知る。

因みにチームnascita(仮)は

王 戦兎

女王 万丈orギャスパー

戦車 カズみん、幻さん

騎士 忍パパ、万丈orギャスパー

僧侶 オルトリンデ

兵士 三羽烏

戦兎「でも、幻さんや父さん、カズみんは仕事が普通に有るしな。てか、ほぼ全員ライダーだなおい」
ギャスパー「他の人を誘ってみます?ナルトさんならノリノリで出てくれますよ」
戦兎「それじゃあ、俺は戦車枠で行くわ。ナルト、王宜しく!ん?誰か…忘れてない?」
ナルト「なんでさ!?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

レーティングゲームっ?

「てか、一文字さん。レーティングゲームってただ戦うだけですか?」

 

ある日の事。戦兎は駒王の住民で同じく仮面ライダーであり、居酒屋 バッタもんの店長であるレジェンドの1人 一文字隼人と共にとあるバイクショップ兼喫茶店に訪れていた。

 

その店の名前は立花レーシング。今まで、本郷や一文字を始めとした様々なライダー達のおやっさんとしてサポートしてきた老人 立花藤兵衛が店主を勤める店である。

戦兎は元々、この立花レーシングで技師として働くファンガイアのコンビであるポーンとナイトからダークキバの技術に関して話を聞きに来たのだ。しかし、ポーンとナイトからは大事な整備の仕事が入ったから終るまで待ってほしいと言われたのである。

 

そしてポーンとナイトが整備してるバイクの持主がまさかの大先輩 一文字だったのだ。戦兎はポーンとナイトが整備を終えるまで暇、一文字はポーンとナイトがバイクの整備を終えるまで帰れない。そこで、2人はのんびりとコーヒーを飲みながら話すことにしたのである。

 

「私も…君の倍は生きたが全てを知ってる訳じゃない。なにせ、日本のテレビ…それもBS等でレーティングゲームが見られるように成ったのは最近だからね。戦兎、君はレーティングゲームがチェスを模してるのは分かるかな?」

 

レーティングゲームはチェスを模されてる。それは戦兎も知っている。戦兎もこの世界に来て、ギャスパーがnascitaの常連と成ってからはギャスパーから悪魔の駒の話を聞いており、理解はしてる。

 

「悪魔の駒がチェスを参考に作られたからですよね?」

「そう。当然、駒のコストも違う。チェスでは王は兎も角、女王は駒が1つでコストが9、戦車と騎士そして僧侶はそれぞれ駒が2つで騎士と僧侶のコストが3、戦車はコストが5、兵士の駒は8つでコストは1だ。

登録制で悪魔以外の参加者はどうなるか知らないが、この悪魔の駒には駒別で各々の特徴が有る。騎士は俊敏性が上がり、僧侶は魔力等が上がり、戦車は膂力と防御力が上がり、女王はそれら全てが上がる。兵士は特徴は無いが、王の許可が有れば好きな駒に変化出来るんだ」

 

そう、一文字の説明した通り、悪魔の駒には様々な特徴が有る。かつての貴族悪魔は選んだ下僕達の力を遺憾無く発揮する為に最も合った駒を選んでは転生させていた程なのだ。

 

「駒のポジションも大事なのか」

「登録制で出る人は分からんが。細かいルールが決められた試合もあるそうだが…生憎、私は見てなくてな。なにせ、聖杯バラエティーの方が遥かに面白くてな」

「同感ですね。俺達も聖杯バラエティーは毎週欠かさず見てますよ」

 

聖杯バラエティー>レーティングゲームの試合。

聖杯バラエティーだが、実は毎週金曜日のゴールデンタイムでレギュラー放送に成っていた。勿論、新しいサーヴァントは出ないが冬木近辺在住のアイドルや愉快なサーヴァント(マダラP)等がお茶の間を楽しませて居るのだ。

 

 

 

 

 

「一誠先輩、貴方が言い出した修行ですよ」

 

その頃、孤児院千手の家。

 

最近、トリコと修行してて料理に目覚めてきた一誠はギャスパーに連れられてギャスパーの第2の実家とも言える千手の家にやって来た。しかし、運が悪かった。何故なら、この日はあの男が休みだったのである。

 

「とっ扉間さん!!」

 

全速力で逃げる一誠。しかし、彼の真後ろで浣腸を構え一誠の背後にピッタリとくっつく扉間が居たのだ。そう、扉間考案のチャクラブーストを維持する為の修行を一誠は受けているのだ。

 

既に一誠の足は痛い、肺も荒い呼吸を続けた為か肺が痛い。されど、扉間は足を止めずに一誠の背後にスリよりその時を待つ。

 

「もう…ダメだ…足の限界が……」

 

足は痙攣し、遂に一誠の足の回転が停まろうとしていた。その時、遂にあの奥義が一誠の肛門目掛けて放たれた。

 

「元祖!!千年殺し!!」

「アンギャァァァァァア!!」

 

数年前、初代ツッコミ担当トビオが受けた秘術とも言える浣腸 千年殺し。その二本抜手から放たれる肛門へのダイレクトアタックは見事に一誠の肛門に直撃し、一誠の肛門は絶大なダメージを受けてしまえ。

 

「ホンゲェぇぇえええ!!こんな修行有りか!!」

 

元祖千年殺しのダメージを受け、綺麗な放物線を描いた一誠は数年前の誰かさんと同じく池に落ちた。それを見ていた数年前から千手の家に暮らす子供達と職員からすればデジャブな光景だが気にしない。やはり、ツッコミを行う人物は池ポチャの定めに有るのだろう。

 

「うぅ…穴が痛い…ヤバイ、少し気を緩めば出そうだ」

 

何とか水面に出てきた一誠。そんな彼の視線の先には…

 

「ふんふん!!ふんふんふふん!!」

 

木製の板を浣腸で何度も貫き、穿ち、浣腸の威力を鍛えている扉間の姿であった。

 

「ふんは!!」

 

最早、凶器だ。確かに拳で木の板を割る武道家は多い。されど、浣腸の一撃で綺麗な穴を空けられる人物がこの世の何処に居るのだろうか?恐らくは扉間だけだろう。

 

一誠は恐怖した。木を貫通し、その威力を自分の身体で味わったのだから。

 

「あ…あ…ひぃ…」

 

「おっ、復活したか。ではもう一度行くぞ」

 

復活した一誠を見て、再び浣腸の構えで一誠を見る扉間。二代目火影からは逃げられない!!

 

「もうイヤダァァァアァァア!!てか、絶対にこれは体術の修行じゃないだろぉおおお!!」

「知らなかったのか?大魔王(二代目火影)からは逃げられない」

 

青空に一誠の悲鳴とツッコミが響いたのだった。

 

 

 

 

 

一方の戦兎はと言うと……

 

眼鏡をかけた青年ポーン、そして油で汚れた作業着の美女ナイトのファンガイアの生き残りで技術者コンビと楽しくお話していた。

なお、二代目キングこと過去キン(別名 DVで全てを失った男)よりも遥か前…初代キングの時代から仕えていた為に人間への偏見は皆無である。

 

「凄い…凄いぞ!!あの時代に、こんな技術が有ったなんて!!」

 

ポーンとナイトからファンガイアの技術を話され、大喜びな戦兎。一方のポーンとナイトも…

 

「戦兎君、君は本当に凄いじゃないか!!これがビルドの技術か!!」

「ヤベーイ!マジでヤバイぜ!!」

 

戦兎の技術力を知って感銘を受ける。

 

「戦兎きゅんや。私達と共に、ギャスパー王子の強化アイテム作ろうぜ!!ファンガイアとビルドのテクノロジーが合わされば…出来るさ!!」

「姉さん!それは良いな!!戦兎君、どうだい?」

「喜んで!!」

 

ダークキバ、最強(究極)フォーム誕生の確定。

 

「む?王子…ギャスパーが?」

「戦兎きゅん。聞いてなかったのかい?ギャスパー王子は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方のルーマニア。此処は欧州であり、天界協定が結ばれていた所だが同時に吸血鬼の国でもある。しかし、天界協定のお陰で悪の組織の皆様や甦ったゴブリン族が大暴れ!その結果、物凄く追い込まれていた。

 

「このままではダメか。そう言えば、日本にはあの雑種 ギャスパー・ヴラディが居た筈だ」

 

ルーマニア国際空港。そこからフランスに飛び、フランスを経由して日本に1人の吸血鬼の令嬢が向かおうとしていた。

 

「雑種であるギャスパー・ヴラディ。貴様が闇のキバを使うとは世も末だな。だが、今は貴様の力が必要だ」

 

彼女の名前はエルメンヒルデ・カルンスタイン。吸血鬼の令嬢であり、生粋の純血主義である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、エルメンヒルデは知らない。自分の故郷は既に滅んでおり、2度と拝めない事を。ギャスパーの母方の血筋の正体を知り、ギャスパーに向けてジャンピング土下座する事を。




この作品のギャスパーはD×Dに平成ライダーやfateをぶっこんだ影響で、母方の血筋がどえらい事に成ってます。
因みに母は普通の人間でした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

覚醒のカズみん

カズみん「待っていたかい?子猫ちゃん」
ギャスパー「そう言うと、パパにそっくりですね」
戦兎「いや、声まで似すぎでしょ!?」
カズみん「だが、俺はみーたん一筋だ!!だが、今のアイドル達も可愛い!!最近、遠坂ニンジャーズの因幡ちゃん…あの子も可愛いな」
戦兎「その因幡君、男だけどな」
カズみん「………あんなに可愛いのに女の子な訳がない!!」
万丈「なに言ってるの!?はい、それじゃあ始まり始まり!!」



6月某日、成田空港。

 

「えー…エルメンヒルデ・カルンスタインさん。吸血鬼で戸籍はルーマニア。はい、パスポートと書類の確認も終りました。どうぞ」

 

エルメンヒルデ・カルンスタイン。成田空港のジャネットさんを突破し、無事に入国。しかし、彼女は知らない。ジャンピング土下座を行い、駒王で事件に巻き込まれて故郷が無くなり…色んな人からリアルターミナルと呼ばれる事に成ることは未だ知らないのである。

 

 

 

日本東京都。

 

「ギャスパーが……ファンガイアの初代王の末裔!?」

 

戦兎は今日も夜遅く、立花レーシングに通ってはナイトと共にギャスパーの強化アイテムの開発を行っていた。だが、その最中にナイトから衝撃の真実が話されたのである。ギャスパーがゴブリン族とレジェンドルガを滅ぼした始まりのダークキバである初代キングの末裔だと言うことだ。

 

「そうさ。私は初代様に仕えてた技師だからね…一目で分かったよ。あの御方の血を引いていることを。

初代様…我が王が御存命だった頃。ファンガイアにはそこまで種族差別的な思想は存在せず、初代様も人間の女性と結ばれて一児の娘に恵まれたのさ」

 

ナイトは語る。二代目キングこと過去キンが王位に着いてから、ファンガイアは他種族との恋愛がタブーとなり初代キングと人間の娘だったギャスパーの御先祖はファンガイアの社会から追放されたのだ。

 

「王女様は特別な力を持った混血児だったよ。エンペラーバットと呼ばれる、巨大なコウモリとも飛龍とも取れる姿に変化でき…圧倒的ながらも不安定な力を持ってた。

それ故に、王の後を継いで二代目キングと成った男は王女様を追放したのさ。そして今後、王女様のような力を持った混血児が埋まれないようにファンガイアと他種族の恋愛をタブーとしたんだよ。

お陰で私と弟…ポーンは王女様を保護できず、気が付けば王女様の末裔は吸血鬼の奴隷と成って子供を妊娠し出産…その子供が隔世遺伝で古代ファンガイアの力を持って生まれた」

「それが…ギャスパーって事か」

 

戦兎の問いに答えるようにナイトは頷く。そう、ギャスパーの母はファンガイアの血を引きながら、長い年月のお陰で普通の人間として生まれたのだが、その息子のギャスパーの代で隔世遺伝が突如として起きてギャスパーは初代キングと同じく古代ファンガイアの力を持って生まれたのである。

 

「ギャスパー王子ははっきり言って奇跡の存在だよ。宿した神器は発動出来ないように、扉間様の封印術がかけられてる。しかし、その神器にはケルトの神 バロールが乗り移り…変異してしまってる。そのお陰で、王子は神性が有るんだ」

「神器は選べないとは言え…そんなことが有るんだな」

 

ギャスパーは神器も可笑しい。ギャスパーの宿した神器は停止世界の邪眼と呼ばれる視界に納めた存在の時を停める神器であるが、ルビを振るとバロールの文字が入る。その為なのか偶発か不明だが…ギャスパーの停止世界の邪眼に神としてのバロールが入り込み変異してしまったのだ。

扉間は感知の力でそれを知り、エンマと共にギャスパーの神器に厳重な封印術を仕掛けてギャスパーの神器を封印。しかし、バロールが入り込んだのが偶発的であり…その影響でギャスパーからは神性が発せられてるのだ。

 

「神器に関しては私もよく知らないさ。ありゃ、人体実験でもしないと明らかには成らないしね」

「成る程…ん?なあ、ナイト。確か、ギャスパーのお父さんの前は二代目キングがダークキバを使ってたよな?」

「過去キン?奴が使ってた時はガチガチに機能を拘束した安全状態だからね。バリバリ全開な状態で使えたのは我が王とギャスパー王子だけさ」

 

そう言われて戦兎は思い出す。キバット2世が戦兎達にダークキバを説明する際に、キバットは言っていた。ダークキバは初代キングがウェイクアップⅢを使って自分の命を犠牲にした後…厳重に能力を制限されたと。

 

 

 

 

 

一方のnascita

 

「カズみん。飯…どうすんの?」

「頂きます!!お義父さん!!」

「誰がお義父さんだよ!?お前と美空は付き合ってないだろ!!てか、このツッコミは俺じゃなくてマスターが言うべきだよな!?」

 

夜になり、客足が去ったnascita。だが、客が1人だけ居た。それは美空に会いたいが為に、常連客に成った猿渡一海ことカズみんである。

 

「そう言うなよ、万丈。エビフライみたいな頭をしやがってよ」

「誰がエビフライだよ!?茶髪は生まれつきだ!!」

 

とカズみんの言葉にたいしてツッコミを入れる万丈。しかし、万丈は何処か寂しそうだ。無理もない、元の世界では万丈とカズみんは仲が大変良かった。万丈はカズみんを渾名であるカズみんと呼び、カズみんは元nascitaチームで唯一…万丈を下の名前である龍我と呼んでいた。だからか、万丈はカズみんから万丈と呼ばれた為か、少し寂しそうだったのだ。

 

 

 

だが…その時…

 

「曹操、間違いないのか?」

「ああ、此処がファンガイア行き着けの店らしい」

 

なにやら、怪しげな青年達が来店してきた。しかし、既にラストオーダーは終っており、ましてや来店したお客さんは常連ではない。惣一が青年達に声をかけようとしたが、万丈は手で惣一を制止させる。

 

「わりぃ…ラストオーダーは終ってるんだ。また、明日きてくれないか?」

「……ふっ、俺達はコーヒーを飲みに来たんじゃない」

 

その刹那。万丈は何かを感じて横に跳ぶ。すると、先程まで万丈が立っていた所には黄金の槍が刺さっていたのだ。

 

「うぉ!?アブな!?お前…マジかよ!?」

「なに、俺は正義の味方さ。答えろ、ファンガイアは何処に居る?」

「答える訳無いだろ」

 

万丈はそう告げ、腰にビルドドライバーを巻く。すると、万丈の側にキバットほどの大きさをした小型のドラゴン型ロボットが飛んできた。このロボットはクローズドラゴン、万丈のペットロボットであり…万丈の変身アイテムでも有るのだ。

 

万丈はクローズドラゴンを掴み、その背中にフルボトルと呼ばれる小さなボトルをセットし…クローズドラゴンを折り畳んでビルドドライバーにセットした。

 

「変身する気だぞ!!停めろ!!」

 

リーダー格の男が叫び、1人の男が万丈に殴りかかる。しかし、万丈はビルドドライバーのレバーを回す。ビルドドライバーからプラモデルのランナーのような物が出現して男を弾いた。

 

ランナーは装着系のスーツを構築し…

 

『ARE YOU READY?』

 

「変身!!」

 

万丈は青い仮面ライダー…仮面ライダークローズに変身した。

 

「変身した?」

「邪魔だ!!」

「ぐふ!?」

 

しかし、相手の数は多い。カズみんは相手の構成員の1人に殴られてしまった。だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ…クローズ…ビルドドライバー?……変身?………………やりやがったな!!ポテトなめんな!!」

 

カズみんは殴った相手を蹴飛ばし、クローズ、そして美空と惣一を見る。

 

()()!!俺のベルトは有るだろうな!?」

「カズみん…お前…記憶が!」

 

最強のドルオタ。殴られた衝撃で記憶が戻る。

 

「カズみん!!これ、戦兎がもしもの時の為に作ってたゼリーとドライバーだ!!」

 

惣一は何処からか、青色でビルドドライバーとは異なる変身用のドライバーと、ロボットのマークが書かれたゼリーを取り出してカズみんに投げ渡す。

カズみんはそれを受け取り、青色のドライバーを腰に巻いた。

 

「見せてやるよ……ドルオタの力って奴をな」

 

カズみんはドライバーにゼリーをセットし…ドライバーのレバーを下げる。

 

「心火を燃やしてお前達をぶっ潰す。変身」

 

カズみん、記憶が覚醒する。そして黄金のライダーが降臨した。




次回!謎の集団VSクローズ&グリス!!

???「お見せしよう!!」
???「キャストオフ!!」

当然、駒王在住の2人もやってくる


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

駒王のライダー達

「「ぐぅぅわわわ!?」」

 

物凄い衝撃で襲撃者だった怪しげな青年達はnascitaの外に放り出される。何が起きたのかと言うと、仮面ライダーに変身した万丈とカズみんの手で思いっきり、殴り飛ばされて外に放り出されたのだ。

 

「龍我。戦兎は?」

「戦兎の奴はギャスパーの強化アイテムの開発の為に、期限無しの有給で東京に向かってる。俺達でやるぞ」

 

万丈が変身した仮面ライダー、そしてカズみんが変身した黄金色でビルドドライバーとは違うベルトで変身した仮面ライダー グリスがnascitaを守る為に立ち塞がった。

 

グリスはクローズやビルドと異なり、青色のドライバー…スクラッシュドライバーで変身する。このスクラッシュドライバーはビルドドライバーと違い拡張性は無いが素でのスペックは高く、普通(此処重要)のクローズやビルドと比べるとスペックも高いのだ。

 

 

「仮面ライダー2人か。ふん、だが俺達は神滅具等の神器を宿してる。負ける道理は無い。

殺されるべきである亜人を匿う、日本を許しはしない!!」

 

そんな襲撃者を率いるのは曹操(自称)。生れつき最強の神滅具と称される神器 黄昏の聖槍を宿した男だ。出身は中国のド田舎であり、彼は宿した神器故に不幸な人生を送ったのだ。両親からは売られ、国からは宿した神器故に兵器利用や迫害される。

 

日本はエンマや扉間のお陰で宿した神器で迫害される事は無いのだが、他国では神器持ちやミュータントは迫害される事が多く…曹操はそんな同士を集め、各国に復讐してるのだ。

その上、曹操は英雄の末裔だ。彼は英雄に成りたい、讃えられたい、奉られたいという願望が有り…英雄になる為に亜人を殺して回っているのだ。

 

「お前達!!誰が真の英雄なのか、証明するぞ!!」

 

曹操は叫び、曹操の同士は何かを手にした。

 

それは嘗て、トリコに倒されて捕まったレイナーレが持っていた戦極ドライバーである。当然、取り出したからには使わねば成らない。曹操の同士は腰に戦極ドライバーを巻きだしたのだ。

 

「あれは戦極ドライバー!?」

「龍我、知ってるのか!?」

「知ってるのも何も、あれを持った堕天使が駒王で暴れようとしてたんだよ」

 

戦極ドライバーを巻いた構成員は何かを取り出した。それは松ぼっくりをモチーフとした錠前…ロックシードであった。

 

『『『松ぼっくり!!』』』

 

「「「変身!!」」」

 

戦極ドライバーに松ぼっくりロックシードをセットし、カッティングブレードを動かして変身する構成員達。

 

その仮面ライダーは量産型だが、それでも強い力を持つ。いや、仮面ライダーとして必要な心構えが無い為に偽ライダーと言えるだろう。彼等は黒影トルーパー、量産型の戦極ドライバーと松ぼっくりロックシードで変身するライダーである。

 

「いけ!!」

 

曹操が指示を出し、黒影トルーパーは一斉に駆け出した。

 

 

 

だが…

 

 

 

「「邪魔だ!!」」

 

 

 

並行世界を救うために、宇宙規模でヤヴァイ奴相手に戦ってきたクローズとグリスの敵では無く、ものの数秒で吹き飛んで変身が解除されて地面に転がった。

 

「バカな……」

「曹操。私達も出るしか無いですね」

 

眼鏡をかけた青年がそう言った。

 

「私はアーサー王の末裔であり、この世の救済を目指す者。アーサー・ペンドラゴンです。以後、お見知り置きを」

 

アーサーと名乗った青年はそう言うと、戦極ドライバーとは異なるベルトを取り出した。しかし、それは戦極ドライバーと同じくロックシードをセットする穴が有る。

 

「やれやれ、俺も出るとするか」

 

曹操はそう告げ、アーサーが取り出した物と同じベルトを取り出して腰にセットした。

 

このベルトはゲネシスドライバー。戦極ドライバーは一応試作品という扱いだが、このゲネシスドライバーは完全に戦闘を想定した物であり破壊は仮面ライダーの力をもってしても困難である。

 

 

 

 

 

だが…曹操達は完全に調べ損ねていた。この町にファンガイアの少年が通ってるという事実だけでやって来た為か、すっかりと知らなかった。

 

「惣一さんから通報は受けた。お前達を現行犯逮捕する!!」

 

「では…お見せしよう!!!私の変身を!!!」

 

他にもヤバイ仮面ライダーの皆様が暮らしていた事を。

 

「「だれだ!?」」

 

曹操とアーサーは声の方を見る。そこには銀色のベルトを腰に巻き、青色のクワガタを従えた警察官。額にバンダナを巻き、バッタもんと書かれたエプロンを着けた年をとった男が立っていたのだ。

 

「ライダー……変身!!」

 

エプロン姿の男はそう告げ、仮面ライダーネオ1号のようなライダー…ネオ2号に変身した。そう、我らがレジェンド一文字さんである。

 

「変身!!」

 

警察官…加賀美新巡査長はベルトに青色のクワガタことガタックゼクターをセットする。すると、装甲が展開され加賀美はクワガタ虫の蛹を彷彿させるライダー 仮面ライダーガタック マスクドフォームに変身した。

 

「キャストオフ!!」

 

加賀美はセットされたガタックゼクターの顎を180度回転させ、マスクドフォームの外装を弾き飛ばす。すると、ガタックは真の姿を現した。

 

『Change!スタッグビートル!!』

 

蛹としての外装を弾き飛ばし、ガタックはクワガタを彷彿させるライダー 仮面ライダーガタックに変化した。

 

「「「「行くぞ!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞いてた話と違う。曹操とアーサーは思う。自分達が先程、ライダーの力と核爆弾を用いて滅ぼしてきたルーマニア一国は兎も角、欧州には仮面ライダーは居なかった。だから自分達はのびのびと亜人達を殺してきた。自分達の信じる正義をひた走れた、だが日本には仮面ライダーが居る。曹操達は仮面ライダーなんぞ、神器や血筋に選ばれた自分達以下だと本気で思ってた。

 

「ぐぅぅが…」

 

ゲネシスドライバーはその強度故に無事だが、とあるルートで仕入れたゲネシスドライバーに対応したロックシード 松ぼっくりエナジーロックシードは破壊され…曹操とアーサーは地面に倒れ伏す。

 

日本なんて大した国じゃない。曹操のバックに居るとある人物と聞いた話と全然違う。

 

「それじゃあ…逮捕な。お前達は多分、尋問部隊での拷問が待ってると思うけど」

 

加賀美に逮捕されようとした瞬間…

 

「ゲオルグ!!俺達を回収しろぉぉおお!!」

 

突如として、曹操と愉快な仲間達は霧に包まれて姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳有りませんでした!!たかが、奴隷の分際と言ってしまい……偉大なるファンガイアの真祖であるキングの末裔たる貴方様を奴隷のように言ってしまい…本当に申し訳有りませんでした!!」

 

一方その頃。立花レーシング。

 

戦兎はギャスパーと共に苦笑いを浮かべていた。戦兎とナイトはギャスパーとキバット2世を呼び出して、強化アイテムを何処に着けるかと話をしていた。しかし、そこにタクシーでやって来たエルメンヒルデが到着。

 

『雑種。貴様が偉大なるファンガイアの真祖である初代王と同じく闇のキバを纏うのは許されない事だ。今すぐ鎧を我々に寄越せと言いたいが、事態は事態だ。ルーマニアに向かって敵を滅ぼせ、貴様は偉大なる吸血鬼の令嬢である私の命令したがえ。貴様の母は奴隷だ、なれば奴隷らしく我々の命令にしたがえ』

 

とギャスパーを見るなりそう言ったが、初代キングの腹心だったナイトがぶちギレ真実を暴露。だがエルメンヒルデは信じず鼻で笑う。

 

『ギャスパー王子!もしもの時は私と戦兎きゅんで停めるから、ファンガイアとしての力を開放してみせて!』

 

とナイトが提案。確かに完全開放のダークキバを使えるとは言え、それだけではギャスパーが真の王族と証明出来ない。ファンガイアの王は息子が産まれず王が途中で死ねば一番強い者が王と成る為だ。故に初代の自爆後、過去キンが王と成り、その後には過去キンの実子だった太牙兄ちゃんが今の王と成ったのだ。

 

皇族は血で受け継がれる証し、対し王族は力で王と成った一族の血筋。ギャスパーは証明するために…エンペラーバットの力を用いて黒い飛龍に変化した。

 

エルメンヒルデもギャスパーの両親は知っている。ギャスパーの実父は純血の吸血鬼、母は人間…だが、ギャスパーがエンペラーバットを使った事でエルメンヒルデはギャスパーの母方の血筋を理解した。

 

「貴方様の母親を奴隷の身分に落としてしまい…何卒申し訳有りません!!この命を代価に我ら吸血鬼を赦してください!!ファンガイアの皇族よ!!」

 

吸血鬼にとってファンガイアは崇拝に値する上位種族。その真祖と言える初代キングの末裔であるギャスパーに奴隷と発言してしまったエルメンヒルデはガチガチに震え赦しを請う。

 

「あっ…それじゃあ…戦兎は暫くnascitaに出れないと思うから。ビザが切れるまでnascitaで働くこと」

 

エルメンヒルデ、ビザが切れるまでnascitaのメイド店員に内定。

 

しかし、彼女は知らない。ルーマニアが滅ぼされた事を。

 

 




次回!!次々と事件が駒王で起きる!?

戦兎「なんか、仮面ライダー?に変身する不審者が増えてるよな?」
万丈「マジで増えてるよな…なんだありゃ!?羽の生えた人だ!!」
一誠「あれって堕天使!?なんで此処に!?完全に不法入国!!」
ギャスパー「いや…物騒にも程が」
カズみん「みーたんは俺が守る!!」

???「俺は戦争がしたいのだ!!魔王の妹を殺してやる!!」












「俺は千手エンマ。その子のもう1人の父親だ」

原作のうん10倍危険な聖剣?編スタート

一誠「原作のなん100倍の間違いだろぉぉおお!!敵の規模もヤバイわ!!味方もヤバイわ!!何処のライダー大戦だよ!!ん?なんかガンダムきたぁぁぁ!?」
木場「オタクは遅れてから本気を出す。木場いきまーーーす!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖剣事件…開幕

リアス様、登場


「戦争こそが…俺の生き甲斐なのだ」

 

今現在の日本への入国だが、転移での入国は認められておらずやろうとすれば強制的に国際空港の税関に飛ばされる仕組みと成っている。では日本に入国するにはどうしたら良いのか?簡単である。転移を使わなかったら良いのだ。具体的に言うと飛行機、船等を利用して今まで通りに入国する。そうすれば入国は可能だ。

 

しかし、世の中には不法入国を行う愚か者も居る。過去には口寄せの術式を利用して不法入国した奴等(貴族悪魔)、神滅具絶霧を用いて不法入国を働いたバカ(先日の曹操と愉快な仲間達)が居る。

そして、新たな不法入国を働いた愚か者が現れたのである。それはとある堕天使が率いる軍勢である。彼等は愚かにもこんな方法で入国した…それは…

 

「コカビエル様。この方法で大丈夫でしょうか?」

「やるしかあるまい。転移は封じられたからな」

 

ガスマスクを装備したコカビエルという最上級堕天使は仲間の堕天使と共に、成層圏ギリギリの高さまで浮かび上がり…其処から日本に向けてゆっくりと降りるという手段で密入国を果たそうとしていた。

 

コカビエルは戦争屋だ。戦争こそが彼の生き甲斐だ。上司のアザゼルはコカビエルが欧州で好き勝手にやってる頃に、世界一臭い生き物に変身してしまいもう臭い。お陰様でアザゼルは引きこもって研究ばっかりであり、コカビエルのストレスは貯まっている。なので戦争行為を行ってはストレスを発散させていた。

 

「だが…このドライバーで日本と戦争を起こすのも良いな」

 

コカビエルは笑みを浮かべ、ゲネシスドライバーを腰に巻いたのだった。

 

「ミカエルを誘き寄せる為に、教会が保管していたエクスカリバーも全て奪えた。さあ、来いよミカエル…戦争を始めようぜ!!」

 

そしてコカビエルは日本にゆっくりと降りていく。しかも目的地は既に決まっているのだ。目指すは駒王、魔王の妹2人が居る町であり、そこで駒王を滅ぼして魔王の妹2人を拉致して犯し…女体を堪能してから公開処刑を行えば悪魔と戦争を起こせる。更に、コカビエルは天界が唯でさえ欧州の事態の対応に大変なのに教会が持つエクスカリバーを全て強奪。事を起こすのは日本の駒王なので、コカビエルは悪魔と天界、そして日本との戦争を起こしたいのだ。

 

――さあ、戦争を始めよう。

 

コカビエルの仲間は400人ほど。堕天使はとある財団に人工神器のテクノロジーを提供する代わりに、戦極ドライバー等の技術提供を受けたのだ。今回、コカビエルが連れてきた仲間は全員が、なんらかのドライバーを持っており人間には先ず負ける道理は見付からない。この戦い、コカビエルは勝ったも同然である。しかも、駒王に到着次第、口寄せの術を用いて人間の協力者や機械も呼び出すので戦力は過剰も良いところだ。

 

 

 

 

 

駒王のnascita。

そこでは先日からメイド衣装に成った吸血鬼の少女が働いている。その人物は吸血鬼の有名な一族の令嬢であるのだが、吸血鬼の上位存在であるファンガイアの皇族に無礼を働いたとして滞在期間は働く事に成ったのである。

 

「エルメンヒルデちゃん。コーヒーおかわり貰える?」

 

「注文良いです?」

 

「此方にもおかわり頂戴」

 

「はい!ただいま!!」

 

仕事で働く爽やかな汗をかいて、馴れぬ仕事を行うのはエルメンヒルデ・カルンスタイン。彼女は吸血鬼のお嬢様だが、色々有って来日してギャスパーに罵声を告げ…ギャスパーの正体を知ってジャンピング土下座。その結果、ギャスパーの判決で日本に滞在する間はnascitaで働く事に成ったのである。

 

しかも、まさかのメイド服姿である。

 

「てか、マスター。メイド服なんて何時買ったんだよ?」

 

ふと、エルメンヒルデと共に接客を行い…お勘定を済ませるお客様の為にレジ打ちを行った万丈がふとカウンターの厨房でコーヒーを淹れる惣一に問う。そう、エルメンヒルデはあのギャスパーにジャンピング土下座した翌日から働いているが、店にやって来たのは土下座した日だ。僅か1日で惣一がメイド服を買うなんて不可能であり、買うとしたら前日までに買わなければならない。

 

「えっ?俺が夜なべして作った。元宇宙飛行士なめたらダメだぞ?俺はこう見えて手先が器用だからな」

 

なんと言う事でしょう。惣一は僅か1日でメイド服を作ったのだ。しかもエルメンヒルデがnascitaにやって来てから接客を始める数時間以内でである。

 

「マジかよ!?」

「そうだよ。だって宇宙服は分厚い…その分厚い服で作業しないといけないからな。訓練で手先が器用に成ったんだよ」

「いや、器用すぎだろ!?マジでアレを作ったの!?」

 

エルメンヒルデが着てるメイド服はクオリティーが普通に高く、普通では市販と思っても仕形がない。だが、惣一はこれを手作りで作ったのだ。

 

 

 

一方、地下室では戦兎がナイトと共にダークキバの強化アイテムを製造していた。

 

研究室には様々な数式は勿論のこと、古代ファンガイア語で書かれた様々な文章が書かれた紙が散らばっており2人はダークキバの強化アイテムを製造する。

 

「先ず、優先するのはギャスパーの強化アイテム…だけど、これは一応は完成した。後は万丈の強化アイテムとカズみんのグリスブリザードの負荷削減の開発、そしてギャスパーの武器だな」

「過去キンの時は捕らえた種族を武器にしてたけどね。太牙様がキングに成ってからは3人とも自由に成って黄金のキバと闇のキバは専用武器が無いからね」

 

と作業しながら話し合う戦兎とナイト。2人の視線の先には様々なケーブルで繋がれた黒い小型のドラゴンが眠っていた。大きさも20cm未満であり、小さい。されどこのドラゴンは本物のドラゴンではない。ナイトの持つ古代ファンガイアの技術と戦兎の科学力で産み出された人工生命体(ゴーレム)であり、ダークキバの強化アイテムである。

 

「ふっふふ…私と戦兎きゅんの合作!!ダークキバをダークキバ トゥルーキングフォームに進化させるキーアイテム!!タツゴロウくんのだいたい完成だじぇ!!」

 

ナイトが豊満な胸をぶるんと震わせるように言う。そう、このドラゴンはタツゴロウという名前でありダークキバを進化させる力が有るのだ。古代ファンガイアとビルドの力が合わさったからこそ、出来た代物である。

 

「後は…タツゴロウが目覚めたらOKなんだけどな」

 

考え込むように戦兎が言う。タツゴロウは人工生命体であり、目覚めて自立で動き…ダークキバの左手首に張り付けばダークキバはフォームチェンジして進化出来るのだ。

 

「うっささ、戦兎きゅんや。待っていてもしょうがない。バンジョイの強化アイテムを作ろうぜ!!」

「そうだな。良し!!万丈の強化アイテム…マッスルギャラクシーフルボトルを作るぞ!!」

 

しかし、原理は合ってる筈なのにタツゴロウは目覚めない。

 

だから…戦兎とナイトは万丈の強化アイテムの開発に乗り出した。

 

パソコンの画面にはマッスルギャラクシーと題された大きなフルボトルの映像が写し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。その日の開発を終え、戦兎は町のパトロールを行っていた。

 

英雄(笑)の襲撃以降、駒王に住まう大人の仮面ライダー達は交代で夜回りを行っている。基本的に犯罪とは人気の無い夜に行われる物であり、夜ならば人の目も少なくと通報される可能性も低いのだ。

 

「ギャスパーの力も借りたいけどギャスパーは未成年。父さんと幻さんは東京在住。カズみんは茨城県だしな。俺達でやるしかないか」

 

一海は農家であり朝が早いうえに茨城県在住。忍と幻徳は東京在住で研究所勤務と官房長官の秘書、その立場ゆえに自由には動けない。ギャスパーの力も借りたいが、あいにくギャスパーは未成年。

それに対し戦兎は仕事に融通が効きまくるnascitaの住み込みバイト。時間はタップリだ。

 

nascitaの警備を万丈に任せ、戦兎は駒王をパトロールする。何事も無ければ良いが、何かが起こるのが常なのだ。

 

「しかし…夜は涼しいな。日中は冷房をつけないと暑いぞ」

 

と夜のパトロールを行う戦兎。すると、何やら女性の悲鳴が聞こえてきた。

 

「なんで私の滅びの魔力が効かないのよ!!てか、なんなのよ!!」

 

と声が聞こえてくる。戦兎は声の方に向かって走ると、そこには黒影トルーパーに追われる紅い髪でナイスバディの少女が全速力で逃げていた。戦兎は彼女を一方的に知っている。

美空が言っていたが、彼女はリアス・グレモリー。魔王サーゼクス・ルシファーの妹であり、駒王に留学に来たお姫様である。一国のお姫様が護衛も着けずに留学に来るのはアレだが、彼女はその美貌故に学校内でも人気者らしい。

 

「早速現れたな…」

 

戦兎は腰にビルドドライバーを巻くと、リアスと黒影トルーパーの間に割って入る。

 

「へ?」

「誰だ貴様!!」

「通りすがりのカフェの店員さんな天才物理学者だよ」

 

すると、戦兎は戦車の絵柄が書かれた青いフルボトル…タンクフルボトルと赤いウサギが描かれたフルボトル…ラビットフルボトルを取り出して軽く振る。

 

「さあ、実験を始めようか」

 

戦兎はその2つのフルボトルをビルドドライバーにセットする。

 

『ラビット!タンク!ベストマッチ!!』

 

ベルトから音声が響き、戦兎はレバーを回す。すると、クローズと同じく仮面ライダーのパーツが構成され…

 

『ARE YOU READY?』

 

「変身!!」

 

戦兎は構築された2つの装甲を装着し、青と赤…2色の仮面ライダー 仮面ライダービルド ラビットタンクに変身した。

 

「さあ、勝利の法則は決まった!」

 

 

 

 

 

 

 

数秒後。

 

戦極ドライバーを破壊され、地面に1人の堕天使が倒れている。先程の黒影トルーパーの中の人である。

 

「さてと…お前は後で加賀美さんに引き渡すとして」

 

既に加賀美には連絡してある。破損した戦極ドライバーも回収した。

 

「所で…君、こんな時間に出歩いたら危ないだろ?」

 

戦兎は変身を解除し、リアスにそう言う。今の時刻は夜10時。年頃の高校生が悪魔とは言え1人で出歩いて良い時間ではない筈だ。

 

「家に居たわよ!!そしたら、住んでるマンションの部屋にコイツが飛び込んで来て、部屋は崩壊!外に逃げるしか無かったのよ!!」

 

なんと言う事でしょう。リアスは家に居たが、突如として襲ってきた黒影トルーパーが部屋を破壊。その結果、リアスは外に逃げるしか無かったのである。

 

「そうか……仕方無いな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てっ!?戦兎!?こんな時間に女子高生連れ込んだのか!?」

 

その後。一通りのパトロールを終えた戦兎はあろうことかリアスをnascitaに連れて帰った。当然の如く、万丈に突っ込まれるが…

 

「仕方無いだろ!彼女、マンションの部屋壊されたし、あの変な偽ライダー達に命を狙われているんだから」

 

リアスお嬢様。一先ず、nascitaに身を寄せる。




戦兎「なんか、作者がどんどん次回作が浮かんでくるってよ」
ギャスパー「この作品。終わるのまだまだかかりますよ」
戦兎「だよな。なんか、神様転生系らしいぞ。あと、ギャスパーがリアル渡ポジになってる」
ギャスパー「僕またライダー!?」
戦兎「因みに転生オリ主はチート無し。解説書な手帳しか取り柄がない女性だってよ」
万丈「次回作の話はまた今度!!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

駒王処か、日本がヤバイです

コカビエル…宣戦布告!!


「さてと…状況を整理しよう」

 

翌日。nascitaは臨時休業と成り、戦兎は地下室に仲間達と共に集まっていた。

nascitaには戦兎が把握し、神秘部門として戦う術を持った人達が全員集まっている。nascitaの常連客であるギャスパーや一誠は勿論、一誠の指導員であるトリコ。更には駒王在住の仮面ライダーである一文字に加賀美、そして先日に保護されたリアスと先日に加賀美の手で保護されたリアスの親友で魔王レヴィアタンの妹 ソーナ・シトリーも集まっていた。いや、それだけではない…新たな強化アイテムの作成の為にnascitaに泊まっていたナイトも居る

 

「分かってる事は戦極ドライバーを持った堕天使にリアスとソーナの2人の命が狙われてる事だ」

 

敵の数も未明、戦力規模も不明。分かってるのは敵はリアスとソーナを真っ先に狙った事である。

 

「まあ、これが奴等が使ってた戦極ドライバーだよ。一応、興味は有ったし直しといたよ」

 

うさ耳のカチューシャを装備し、青いワンピース姿という完全に私服姿のナイトが何かを取り出した。それは先日、リアスの命を狙った堕天使が所持しており戦兎が破壊した戦極ドライバーである。しかし…その戦極ドライバーはナイトの手で修復されており使うことが可能である。

 

「暗部から聞いたが、尋問で得た情報ではコイツらはコカビエルという堕天使を頭目として日本にやって来た。規模は低く見積もって数百、その全員が何らかのドライバー等の変身アイテムを保有している」

 

警官が外部の人間に内部情報を漏らすのはどうかと思うが、事態が事態なのでOKだろう。加賀美の言葉を聞いてその場の全員が喉を成らす。

 

「しかし…そのコカビエルって奴は何が目的で日本にやって来たんだ?武器を持ってやって来るって事は、何か理由が有るんだろう」

 

惣一が言う。コカビエルはやって来たからには、コカビエルには目的がある筈だ。しかし、残念な事に戦兎達はコカビエルの目的や素性を知らない。此処に、過去から三大勢力に詳しくコカビエルという最上級堕天使が戦争屋だと知っていれば戦争が目的だと辿り着くだろう。

だが、この場に居る全員は三大勢力の知識に疎い。悪魔の姫様であるリアスとソーナも居るが、彼女達も他国の実情等を知りはしないのだ。

 

すると、ギャスパーのスマホがプルプルと鳴り出した。

 

「あっ…ごめんなさい」

 

とギャスパーは謝りながらスマホを取り出す。画面には『パパ』の2文字と着信を知らせる表示が映し出されていたのだ。

 

「パパ?どうしたの」

 

勿論、電話の相手はギャスパーの父親である音也からである。ギャスパーは何事かと思い、通話に出ると…

 

『ギャスパー!テレビを見ろ!!凄い事に成ってるぞ!!』

 

「あの…テレビ見て良いですか?」

 

音也はかなり焦ってるのか、彼の声は周囲の戦兎達にも聞こえた。その為か、一番テレビに近かった万丈がテレビを着ける。その画面には……

 

「なんじゃこりゃ!?」

「何があった!?」

 

万丈と一誠が叫び、他の人物達も驚きながらテレビを見る。何故ならテレビの画面にはテロリストの襲撃で占拠された東京都庁、そして今正に襲撃されてる国会議事堂の映像であった。

 

 

 

『私はコカビエル。聖書に伝わる偉大なる堕天使だ』

 

東京都庁を占拠した堕天使…コカビエルは日本全土に向けて、放送ジャックを起こしてお茶の間に生放送として出演した。電波ジャックを起こしてるので、2チャンネルにしようが3チャンネルにしようがどのチャンネルにしようが、コカビエルが映り同じ映像が流れる。

 

『愚かな日本人よ。我々は此処に宣言する。この世は力が全てだ。そうは思わないか?私はね…戦争が大好きだ、強靭な力で人間等の雑魚を嬲り殺しにするのが大好きだ、格上の相手を知略を練って潰すのが大好きだ、拮抗した実力者と死力を尽くして倒すのが大好きだ、戦争が大好きだ。

なに…君達日本は犠牲に成ってもらう。戦争が大好きな私の要求の為にな!』

 

そう、これは宣戦布告だ。

 

『コカビエルが此処に堕天使を代表して宣戦布告する!!日本よ、我らはこれより日本を滅ぼす!!既に我らは欧州の国々を一部滅ぼしてきた。ああ…なんとも彼等は呆気なかったよ。欠伸が出る程にな。此の世の唯一の神が死んだように…此の世に貴様ら人間の救いは無い。

そうだな…首都の東京を真っ先に滅ぼしたいが、俺は悪魔や天使とも戦争がしたい。良し、今から流す放送は全世界生中継にしろ』

 

とコカビエルは宣戦布告しながら部下に指示を出し、生中継の範囲を広げる。

 

『天使に教会。貴様達はひた隠しにしてるが、聖書の神は死んでるぞ?事実、ミカエルが天界協定を可決させたのは神の不在を隠す為だからな。

 

悪魔よ、魔王よ。私は今から貴様達の大好きな妹を捕らえよう。そして手足を切断し、ダルマにして犯す所を流してやる。それが終わったら、生首にしよう。

 

ほら…かかってくるが良い。貴様達にはその権利が有るのだから。最も、貴様達の相手をするのは日本を滅ぼしてからだがな。それじゃあ、今から日本の駒王を滅ぼし、順番に日本の都市を1つづつ破壊していく。さあ、日本よ、楽しい戦争の時間だ』

 

コカビエル宣戦布告!!これより、堕天使と日本との戦争が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ツッコムの疲れたんですけど!!てか、銀さんもどっちかと言ったらボケる側なんですけど!!」

「銀ちゃんうるさい」

「うるさいぞライダー」

「ヴァレリーにバナナ!?」

「バロンだ!!あと、ランサーだ!!」

 

欧州の何処か。そこでは人助けを行う8人組が居たそうな。吸血鬼の少女が一行の頭目を行い、バナナの仮面ライダー(ランサー)青ざめた血の狩人(アーチャー)ピンクの男の娘(セイバー)銀の魂を持つ侍(ライダー)伝説の三忍なオカマ(アサシン)時を停める海洋学者(キャスター)ゴブリンを殺す者(バーサーカー)が護衛をしていた。

 

()()()()()()()()さん!ご飯出来ましたよ」

「葛葉、飯が出来たぞ」

 

そして…聖杯の仕組みを利用し、仮の肉体(アバター)だが嘗て地球を救った現人神もそこには居た。

 

「おう!」

 

葛葉紘汰。仮面ライダー鎧武、始まりの男であり神。そしてグランドライダーである。

 

「葛葉、お前の本体は何してる?」

「今、畑作ってる。鉄腕カタッシュを参考にしてさ」

 

本体は現在、星の開拓の真っ最中である。

 

欧州が形を保って…現在、勢いが戻り始めたのは彼等のお陰である。

 

その為か欧州の人々の中では救いの唯一神=紘汰と勘違いされてるとか。

 

 




欧州のショッカーと悪の組織「ふぇ!?なんで鎧武居るの!?なんで!?なんでぇぇぇええ!!ミカエルさん!!」

鎧武「神様だからさ!」

ヴァレリーの話はまた今度。因みに紘汰さん、始まりの男なので型月基準の魔法が使えます(笑)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面の中身

ライダーの顔は泣いているように見える?


『これで…やっとだなキバッチ』

『そうだな。キング』

 

血に染まった荒野。その荒野には夥しい程の亡骸が転がっていた。その亡骸は全てが緑色の肌をしており、人間ではない。そしてその全てが雄であり雌は一匹も存在していない。と言うか、雄しか居ない種族なので当然である。

 

その一族はたった1人の男の手で一匹も残らず全滅させられた。その一族はゴブリン族。他の種族の女性、特に人間の女性を好んで浚っては孕み袋として犯して孕ませ、物凄い勢いで増殖する一族だった。増殖力は勿論のこと、優しさに芽生える事は絶対に無く弱者を嬲り物にする残虐性を持つ。

 

そのゴブリン族だったが、もう一匹も生きていない。もうこの時をもって過去の存在に成ったのだ。ゴブリン族を過去の存在に変えたのは、腰のベルトに白色のキバットが止まった闇のキバだ。その闇のキバに変身したのはファンガイアの真祖と言える人物、初代キングである。

 

『どうした?タバネ』

 

闇のキバは呼ばれたので、声の方を見る。そこには未だ十代前半程の年齢であるナイトが此方に向かって駆け寄ってきたのだ。

 

『イェーイ!王様!!私が作った鎧どうだい?弟が作ったサガと比べてどうだい?』

『ああ…そうだな。俺は此方の方が好きだよ。な、キバッチ』

『ふっ…』

 

ふと、幼いナイトは思った。自分で作ったのもアレだが、闇のキバのマスクは泣いているようだった。

 

『王様。泣いてる?』

『かもな……でもな。タバネ、覚えておくんだ。涙は流しても良いんだよ…泣いて良いんだ。だけど、停まるな…涙で前が見えなくても進め。進んだ先、涙が止まれば虹が出てるからな。

何時か、タバネと共に笑って共に泣ける人が現れたら良いな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ、寝てしまった」

 

パチリとナイトは夢から覚める。随分と懐かしい夢を見ていた物だ。今、彼女が居るのは駒王駅の地下に有る避難所。そこには駒王在住の様々な人が避難していた。この避難所は元々、悪魔が日本統治時代に悪魔領土に向かう為の電車がやって来る特別な駅だった。しかし、日本の手に取り戻してからはいざというときに避難所となるシェルターに作り替えられたのだ。

 

このシェルターに居れば、先ずは安全である。ナイトは美空や惣一、エルメンヒルデと言ったnascitaの面々で戦えない人達と共にシェルターに避難してるのだ。彼女達の他に、駒王在住の殆どの民間人が避難している。しかし、その中にリアスとソーナは入っていない。2人は日本政府と悪魔政府の意向で、一時的に冥界に帰還してるのだ。

 

「頼んだぜぃ、みんな」

 

今、ナイトに出来るのは戦兎や万丈の代わりに惣一や美空を守ること。そして、未だ未完成のマッスルギャラクシーフルボトルの開発を進め、何とかタツゴロウの起動を成功させる事である。

 

 

 

 

 

駒王。現在、そこは日本とコカビエル率いる堕天使の軍勢+αとの戦争がただいま起きていた。堕天使軍の数は最低でも一万程の軍を引き連れており、雑兵でも人間を超越した力を持っており、駒王は正に絶望……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でもなかった。知ってた。と言うより、ショッカーとゴブリン族相手に遅れをとるコカビエルの軍勢が、日本が誇る仮面ライダーを筆頭とした皆様相手に勝てる道理は無い。

 

「ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」

 

「お見せしよう!!」

 

「クロックアップ!」

 

「俺のマグマが迸る!!」

 

「祭りだぁぁぁあ!!」

 

「勝利の法則は決まった!」

 

わざわざ、三咲町から駆け付けた光太郎ことRXを加えた駒王のライダーの皆様は勿論のこと、美空が心配故に茨城県から軽トラで駆け付けたカズみん=グリスも加えて大暴れ。

いや、仮面ライダーだけではない。日本で戦える人達は仮面ライダーだけでは無いのだ。

 

それは扉間が派遣した忍者の皆様、更には三咲町の千手の家に在住してる伝説のポケモンの皆様も駆け付けた。駆け付けたポケモンはゼクロム、レシラム、更にはレジギガスと言った戦闘力が高いポケモン。いや、ポケモンだけではない…エンマが真数千手降臨事件で産み出しちゃった五大精霊の一角 スピリット・オブ・ファイアが駆け付けてはコカビエルの軍勢を魂まで燃やし尽くす。

 

「聞いてた話と違う!!」

 

「転移で逃げろ……使えない!?どうなってるんだ!?」

 

コカビエルの愉快な仲間達は転移で逃げようとするが、逃げられない。当然だ、日本はコカビエル達を逃がすつもりは全く無い。この駒王で1人も逃がさず全員殺すつもりである。しかも、コカビエルの仲間は駒王に降りた瞬間に、口寄せの術式を発動させた。だが、日本にはパルキアがいる。このポケモンは時空間を操れる…パルキアの力で術式をハックし…口寄せ対象を罠を仕掛けまくりな空間に強制的に送り付け、そこで抹殺。

その上、駒王にやってきたコカビエルの仲間は全員が、パルキアの力で空間を固定させられ転移で逃げられない。

 

「我が魂は……グリゴリと共にありぃぃぃい!!」

 

1人の堕天使がダークキバに特攻する。だが、ダークキバはカウンターを合わせるような蹴りの一撃で堕天使を粉砕した。

 

「貴様が闇のキバだな?」

 

ふと、その声が聞こえダークキバは声の方を見る。そこには腰にビルドドライバーを巻いた男が立っていた。

 

「私は姫島ハネズ。訳有って、コカビエルに協力する者だ。なに…日本には因縁が有ってね」

 

ハネズと名乗った男は黒色のフルボトルを2つ取り出した。

 

『フェニックス、フェニックス』

 

そのフルボトルはフェニックスフルボトルのようだがなんだか違う。しかも、2つともフェニックスフルボトルである。

 

「さてと…それじゃあ、千手への復讐として先ずは君を殺そう」

 

ハネズはそう告げ、ハザードトリガーを取り出した。

 

「これは実に便利な物だ。財団はこれを快く量産してくれたよ」

 

『MAXハザードオン』

 

ハネズはハザードトリガーをビルドドライバーにセットし、レバーを回して変身した。

 

 

変身した姿は漆黒のビルドであり、背部には漆黒の翼があった。

 

「仮面ライダーメタルフェニックスだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクン。シェルターで何かが起動する。




ハネズさん……生きとったんかワレェ!?

タツゴロウ『アルティメットWAKE UP!』
戦兎「目覚めちゃった!?」
万丈「あれが…」
カズみん「仮面ライダーダークキバ トゥルーキング」


ギャスパー「ふぁ!?コイツ…倒しても甦って来たんですけど!?」
戦兎「なっ!?封印術であのフルボトルを取り込んだ!?」
万丈「てか、化物に成った!?」






卑劣様「ナルト。今から堕天使領土に向かうから着いてこい」
ナルト「OK!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

王位継承

戦兎「てーんさいでしょ!!」
ナイト「すごーーいでしょ!!」
万丈「はい分かった分かった!!」


姫島ハネズの変身した仮面ライダーメタルフェニックス。その姿は漆黒であり、漆黒の翼を持つ兵器に堕ちた神獣を彷彿させる。

 

ハザードトリガーを使ってる事も有るのだが、ふとギャスパーは思い出す。ニュースで聞いたが約2ヶ月前、イタリア国軍を壊滅させた黒いビルドの事だ。確かにメタルフェニックスも漆黒でビルドドライバーを用いて変身してる。だが、イタリア国軍を壊滅させた黒いビルドには翼が無かった。この事から、黒いビルドはメタルフェニックスのフォームチェンジ版…最悪の場合は別人だと言うことだ。別人ならば、今もその黒いビルドは欧州で猛威を振るってるという事である。

 

「メタル?」

「ふふふ、冥土の土産に教えよう。メタルボトルは普通のフルボトルと違い、ファントムリキッドとヴィブラニウムを従来のフルボトルに組み合わせた兵器としてのフルボトルだ」

 

そう告げたメタルフェニックスは瞬時に消え、ダークキバの眼前に出現するとダークキバに目掛けて拳を振るう。当然、ダークキバも拳を受け止めるがその強さは先程まで戦っていた量産型ライダーと異なりかなりの力が有る。その豪腕を持って、ダークキバを弾き飛ばす。

 

「ぐぅ!?」

 

さっきまで戦っていた量産型とはスペックが段違い。レベルが…世界が異なる程の強さを持っている。戦兎から聞いた話だが、ハザードトリガーは変身者のスペックを一時的に引き上げて圧倒的な力を与える代償に理性を失うそうだ。当然、戦兎もその危険性は承知しており戦兎はハザードトリガーを使用しても暴走しないフォームを完成させた経歴が有る。

 

しかし、目の前のメタルフェニックスは暴走の兆候は見えない。もしかすればメタルフルボトル…ヴィブラニウムの性質かもしれないが、暴走はないのだろう。その上、ハザードトリガーでパワーアップしたスペックを誇り、ダークキバを次々と追い込んでいく。

 

「素晴らしい…素晴らしい…これが…これがヴィブラニウムとハザードトリガーの力!!」

 

戦い、その性能故かどんどん有頂天に成っていくメタルフェニックスこと姫島。しかし、その時……

 

『イヤッホォォォオオオ!!何時も貴方のお側にタツゴロウでぇぇぇぇーす!!』

 

なんか、おネエみたいな声が響き、小さなドラゴンのような物が飛んできた。それはダークキバ…ギャスパーも知っている。それは完成したのはしたが、どういう訳か起動出来なかったタツゴロウであった。

 

「誰だお前は!?」

『あら器の小さい男!自分の才能が認められないってテロリストに成りそうな臭いがプンプンするわね!』

 

タツゴロウはメタルフェニックスにそう言うと、ダークキバの目の前に移動した。タツゴロウ…彼?彼女?が此処に来たっていう事はダークキバは強化形態に進化すると言う事である。

 

『行くわよん!!王様の末裔さん!王位を継承する準備はOKかしらん?返事は聞かないわよん!!』

「「えっちょっと…」」

 

タツゴロウはダークキバの回りをくるくると周回し、ダークキバの左手首に停まる。すると、莫大な力が闇のキバに注入され、闇のキバは完成されてから1000年以上の時を得て強化形態に進化するのである。

 

『アルティメットWAKE UP!!』

 

莫大な光が放たれ…光がやむとダークキバはその姿を変えたのだった。

 

「なんだ……その姿は?」

 

頭部は王冠を彷彿させる形状に変化しており、背のマントは龍の翼を想起させ…龍翼に変化させる事が可能になり自由飛行を可能とする。

主な色合いは変化してないが、それはファンガイアの王が纏うに相応しい物だった。腰のベルトに停まるキバットの瞳は極彩色に変化しており、全身に力が漲る。

 

これこそ、ビルドの技術と古代ファンガイアのテクノロジーが合わさった強化形態 ダークキバ トゥルーキングである。

 

「なめるな!!」

 

メタルフェニックスは走り出すが…トゥルーキングに首を掴まれ、地面に叩きつけれてしまう。

 

「ぐふ!?」

 

なんだ?この力は…このスペックは!?理解が出来ない!?ふざけるな…ふざけるな!!

 

姫島の脳裏で様々な言葉が思い浮かぶが、攻守は反転した。

 

「はっ!!」

 

トゥルーキングはメタルフェニックス蹴り飛ばす。無様に地面を転がるメタルフェニックスであったが、なんとかメタルフェニックスは立ち上がる。しかし、突如としてメタルフェニックスの背後に緑色の紋様が出現した。この紋様はダークキバから使えた、これは紋様で相手を捉えて雷撃でダメージを与えたり、ダークキバの元に相手を引き寄せる事が出来るのだ。

 

「ギャァァァァア!!」

 

だが、紋様の出力はダークキバの時よりも出力が上がっており…メタルフェニックスの防御力を貫通して姫島に深刻なダメージを与える。その上、紋様に囚われて姫島は逃げ出す事が出来ない。

 

「えーと…この後は何時も通りにしたら良いのかな?」

『私のレバーを引っ張るのよ』

 

ギャスパー…トゥルーキングはタツゴロウの尻尾を引っ張る。すると…

 

『WAKE UP!!』

 

トゥルーキングに莫大な力が解放され、ギャスパーは飛び上がる。

 

『Ready Go!!』

 

最高到達点に辿り着くと、空中で一回転し…トゥルーキングは飛翔体に変化し…どんどん加速しながら降下していく。そして最高速度に辿り着くと、トゥルーキングに戻り…両足に莫大な魔力を込めてライダーキックを解き放った。

 

「アギャァァァァァア!!」

 

その威力はキングスバーストエンドを遥かに越えており、300tを越えるダメージを姫島は受ける。その一撃で変身は解除され、姫島は腹部を抑えて悶絶する。変身ベルトだったビルドドライバーは破壊され、姫島は苦しそうにメタルフェニックスフルボトルを握る。

 

「この化物めぇぇぇ!!」

 

変身を解除され、なんとか立ち上がる姫島。その瞳はダークキバ トゥルーキングを睨むが、マスクで隠されたギャスパーの表情は見えない。

 

「やれやれ…後の幹部らしき者はお前だけだな」

 

その声が聞こえ、瞬身の術で何かがギャスパーと姫島の間に現れた。その人物はギャスパーは良く知っており、姫島とも因縁が有る。

 

「千手エンマァァァア!!」

 

二代目火影の息子 千手エンマである。

 

「知ってたか。ご存じの通り、俺は千手エンマ。ギャスパー(この子)のもう1人の父親だ」

 

ふと、ギャスパーはある事に気付いた。それはエンマの右手に何かが握られていた。良く見てみるとそれは…コカビエルの生首だったのである。

 

「エンマ父さん?それって…」

「戦犯の生首。諦めろ、お前は以外の幹部は全員死んだ。上司のコカビエルもこの有り様だ」

 

エンマは飛雷神でコカビエルの生首を何処かに飛ばした。しかし、姫島は不敵にも笑みを浮かべた。

 

「クックク…此処までか……」

 

そして…姫島はメタルフェニックスフルボトルを肉体に取り込み、チェスの王の駒らしき物を取り出してそれも肉体に取り込んだ。

 

「王の駒!?お前…まさか……」

「メタルフェニックスフルボトルと王の駒を取り込んだ……私は……不死身の存在と成るのだ!!」

 

その刹那…姫島の肉体は変化を起こし、巨大な不死鳥のような怪物に変異した。

 

『ギュゥオオオオオ!!』

 

「「なんじゃありゃぁ!?」」

 

その姿は離れた所で戦ってた万丈…クローズと一誠にも見えており、大きさは最低でも30メートルは越えてるだろう。

 

「万丈さん!何ですかありゃ!?」

「しっ知らねぇよ!!でも、味方じゃないよな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「オタクは遅れてから本気を出す。木場、いっきまーーーーす!」

 

その声が戦場に響いた。すると、空から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空想上の存在であるガンダムが降り立った。しかも、唯のガンダムではない。平成世代の中でも人気の高いガンダム…ストライクフリーダムガンダムである。

 

「なんでガンダム有るの!?しかもストフリ!?誰だ再現したやつ!!もしかして……ギャスパーのもう1人のお父さん!?」

 

青き翼を広げ、降り立ったストフリを見てツッコミの一誠が叫ぶ。

 

『ふふふ、誰かと思えば同じクラスの兵藤じゃないか』

 

ストフリの顔が一誠を見下ろし、ストフリから一誠が学校で良く聞いた声が聞こえる。そう、ストフリに乗ってるのは…

 

「お前…まさか木場!?クラスメートの木場祐斗!?」

『YES!!』

 

そう、木場である。スマートブレイン社長の弟だ。

 

そしてストフリはビームライフルの一撃で変異した姫島を一撃で消し飛ばし、何処かに飛び去った。

 

「なんだろう…最後に色々と持っていかれた」

 

生身に戻ったギャスパーは苦笑いを浮かべて、去っていくストフリを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれはコカビエルの独断だ!!俺は関係ない!!」

 

世界一臭い人物に成ったアザゼルは叫んだ。

 

そんなアザゼルの視線、400メートル先にはオレンジ色のチャクラで構成された全長50メートル程の九尾の上に乗った扉間が居る。

 

「いきなり攻めてくるな!!国際法違反だろうが!!」

 

アザゼルは叫ぶが知らない。そもそも一方的に宣戦布告してきたのは堕天使なので知らない。

 

「ほう?国際法違反か。そっちがそう言うならば、公の場で話し合うとするか」

 

扉間はそう告げ、九尾……尾獣化したナルトを連れて飛雷神で消えた。

 

「日本め…俺は世界のために動いてるのによ」

 

しかし、アザゼルは知らない。先程、国際法違反と言ったのがブーメランと成って悲劇が起きることを。




ダークキバ トゥルーキングのスペック。

基本的にパンチ68t。キック90t。ジャンプ距離∞。なお、変身者のスペックで上昇する。



次回!復興の駒王と……神様御一行。サーヴァントの仕組みを利用して降臨した紘汰神のお陰で知らない所で天界のシステム等に異常が?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鎧武教

戦兎「神様は生きていたって報道が有ったな」
ギャスパー「あれ?……神様ってそっちかーーー!」
万丈「えっ?何?知り合いなの!?」



駒王を主な舞台として起きた堕天使と日本の戦争。その戦争は日本側が1人の死者も出さずに日本側の圧勝で幕を閉じた。

 

「日本人の犠牲者は居ないけど…町が未だ酷い状態だな」

 

しかし、駒王は何千の堕天使軍と日本が誇る仮面ライダーや忍者の皆様との戦いでボロボロに成っており、未だ復興作業が続いている。神秘が既に公に成っており、復興作業に魔術が使える為か比較的早く復興作業が続いてるが、それでもオフィス街等はボロボロと成っており未だ瓦礫が散乱している。

 

戦争が1日で終わり、数日の時が流れた。駒王在住の一誠は戦場の一部と成ったオフィス街を遠目に眺めて溜め息を吐き出す。戦争が終わったと言っても大規模な戦いが行われ町は少しボロボロ。学校も一時休校と成っており、一誠は暇をもて余していた。

 

トリコも戦後処理で東京に居ており、学校も休み。だからか一誠は行く宛も無く戦後の駒王を歩いていた。

 

 

一方のnascitaの地下室はと言うと…

 

「相手が使ってきた戦極ドライバーはこれで、全部だな」

 

地下室は戦兎が設計し作った為か健在であり、そこには珍しいお客様が来ていた。そのお客様とは呉島貴虎であった。

貴虎は戦争が起きた時は東京で戦っていたが、彼が此処にやって来たのは駒王で堕天使が使っていた戦極ドライバーの回収である。駒王には数多の堕天使と愉快な仲間達が攻めて来たが、ご存じのとおりRXと愉快な仲間達の手で見事に全員が倒された。一応、堕天使と愉快な仲間達が使っていたドライバーは仮面ライダー達が回収及び破壊したので、その回収に貴虎はやって来たのだ。

 

「一応…修理出来たのは修理出来たけど、殆んどは修理出来てないんだ」

「いや、大丈夫だ。と言うか、この仕組みが分かったのか?」

「天才ですから」

 

戦兎、ナイトことタバネと同じく戦極ドライバーの仕組みを覚える。

 

『続いてのニュースです。先週、コカビエルが宣戦布告と共に聖書の神の不在を告げでした。これに関して教会と天界は否定しており、事実…欧州には神様が遂に降り立って人々を救済してると報道が有ります』

 

ふと、ニュースからそんな報道が聞こえ貴虎と戦兎はテレビを見る。テレビの映像は切り替わり、欧州のとある所が流れた。

 

『神様!神様!神様!』

 

『ガイム!ガイム!!』

 

『神様……遂に我等を助ける為に、降りてきてくださったのですね!』

 

そこでは悪の組織から助けられた人々、亜人、エクソシスト、更には天使が()()に近付いては感謝を述べていた。その神様と言うのが…

 

『おっ…俺、確かに神様だけど聖書の神様じゃないんだけど』

 

グランドサーヴァント(一種の分身)として降り立った葛葉紘汰(元フリーター、現神様)であった。

 

宗教とは本来は人が生きるための道徳としての側面を持つ。しかし、今…本当にヤバくなったら絶対に助けてくれる始まりの男が主神となる…他の神様の存在も認める近代的で最も最新の一神教が誕生したのだ。

 

「葛葉、遂に信者を持ったか。キリスト教改め鎧武教の誕生だな」

「えっ!?知り合い!?」

 

 

 

 

 

 

現在、欧州は天界協定を脱したドイツとフランス以外に神と成った男 紘汰が率いる一行のお陰で次々と解放されている国が増えていた。お陰で今はスペイン、イタリア、ベルギーやルクセンブルク等の国々は解放された。

 

しかし、神に成った始まりの男…平成の時代で地球を救った救世主 葛葉紘汰でさえ予想外の事が起きたのだ。

 

「ガイム~!だっこ」

「良いぞチルノ。いや、なんでこうなったんだろう」

 

今…神様率いる御一行はオーストリアに居る。湖畔が綺麗な東欧であり、風車等が綺麗な湖畔を更に目立たせていた。

このオーストリアのショッカーは滅ぼした神様であったが、未だゴブリン等の驚異は残ってる。それ故か、神様御一行はゴブリン達を潰し人々を救助してはオーストリアで休息を取っていた。

 

そして、現在……神様こと葛葉紘汰は保護した妖精の幼子 チルノをだっこしてるのだが実に困った事が有る。それは…助けた現地の人々、エクソシスト、はたまた天使に至るまで自分を崇めて知らぬ間に新たな一神教 鎧武教が出来ていたのだ。勿論、鎧武教の神様は紘汰であり、鎧武教はキリスト教と異なり一神教でありながら他の神様も普通に認めている。

 

「あら、神様も大変なのね。所で紘汰君。ヘルヘイムの果実を1つ分けてくれるかしら?ちょっと好奇心で調べたいのよね」

 

「ゴブリンは何処だ?」

 

「人喰いブタを許すな…」

 

「あれ?えーと、宝具名なんだっけ?」

 

と神様の愉快な仲間達も愉快すぎる。なにせ、その殆んどがサブカルチャーの出身なのだ。

 

セイバーはシャルルマーニュ十二勇士が1人アストルフォ。されど、その姿はピンクの髪の毛を持った男の娘である。

 

アーチャーがフロムの死にゲー Bloodborneの主人公であり、ヤーナムという世紀末な医療都市で獣を狩っていた狩人。たまにカリフラワーの化身に成ってしまう。

 

ランサーが神様と知人であり、最期には壮絶な一騎討ちを繰り広げた仮面ライダー。仮面ライダーバロンこと駆紋戒斗である。メンバーの中では比較的マトモ。

 

アサシンがNARUTOに出てくる伝説の三忍こと大蛇丸。マッドサイエンティストであるが、今ではYouTuberとして活躍し…料理動画を流しては一行の活動資金を集めてくれる稼ぎ頭でもあるのだ。

 

バーサーカーが神様は知らないが、最近に成ってからアニメ化や映画化されて知名度を上げてきたライトノベル ゴブリンスレイヤーの主人公こと、ゴブリンスレイヤーと呼ばれるゴブスレさんである。当然、この世界でもゴブリン族を狩りまくっている。

 

キャスターがスタンドと呼ばれる超能力の一種を使い、時を停める事さえも可能な海洋学者 空条承太郎である。宝具は勿論、スタープラチナ。

 

そして…ライダーが……

 

「銀さんもう限界だよ。このメンツキャラ濃すぎじゃね?いや、なんでよ。てか、銀さんより強いライダーいたじゃない!!銀さんの目の前にグランドのライダー居るんだし、銀さん要らないでしょ!!」

 

ボケもツッコミも両方こなせる銀の魂を持った原付ライダー、坂田銀時こと銀さんである。銀さんはライダーの適性を持ってるが、残念ながら銀さんの乗り物は原付。2人乗りは出来ず、物の運搬も限られるのだ。

 

神様は抑止力のシステムを利用し、グランド・ライダーとしての肉体を仮の肉体(アバター)として用いている。と言うのも神様の本体は遠い星の開拓を行っており、健在。なので地球で活動する神様は言うならば、影分身や木遁分身に近い存在なのだ。それでも理不尽に強いが。

 

では銀さん達、他の7騎のサーヴァントはなんなのか?それは1人の少女が神器によって呼び出したサーヴァントなのだ。

 

その少女はヴァレリー。かのヴラド三世の末裔であり、吸血鬼と人間の混血だ。彼女は神滅具の1つであり、人体改造や死者蘇生さえも可能な神器 幽世の聖杯を宿しており、聖杯であるが故にサーヴァントを呼んでしまったのだ。

しかも、ヴァレリーの神器は突然変異を起こしてしまい、あろうことか3つの聖杯が有るのだ。1つの聖杯で英霊を7騎呼べるので、ヴァレリーは後14騎、合計21騎ものサーヴァントを呼べるのだ。もう、神滅具の領域さえも越えてる。

 

「「神様!!偵察してきましたが、この地点にゴブリン族の巣が有ります!」」

 

すると、偵察に行っていた天使とエクソシストの女性…グリゼルダ・クァルタが戻ってきた。この2人はショッカーに囚われ、人体改造されかけたが寸前の所を神様と愉快な仲間達に助けられたのだ。

 

「良し、そんじゃあ…ゴブスレさん。夕方に行くか」

「ああ、奴等が起きた瞬間を叩くぞ」

 

欧州は神様=鎧武と愉快な仲間達のお陰で平和に成りつつある。しかし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ!?システムが乗っ取られ始めてる!?なんで!?」

 

紘汰が神として崇められたお陰で、天界のシステムが鎧武教に乗っ取られ始めた。この事にミカエルは焦り、彼の背後にはショッカーや財団Xから送られた感謝状や粗品が有ったのであった。

 




次回!駒王が復興して、平和な日常が続く?駒王。

三大勢力と日本の首脳会談も決まったが……

戦兎「一誠が2人!?」
万丈「どういう事だ!?」

そして……異変を察知して、神が一時帰国する。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

もう1人の赤龍帝!?

原作組ご案内が始まります!!


季節は7月に入った頃。駒王の復興も終わり、人々はいつも通りの日常を過ごしていた。それはnascitaの皆様とその常連客もであり、夏を体感していた。

 

「熱い…てか、戦兎。俺達の世界の夏と比べて暑くね」

「仕方ないでしょ。俺達が元いた世界は未来で、地球温暖化対策とかされてたの。マスターだって宇宙飛行士として、NASAではなく日本で火星に行ってるんだから。文明の力とか違うんだよ」

 

だが、並行世界出身であり一種の未来人でもある戦兎と万丈に現代の暑さは過酷だった。

戦兎と万丈の元居た世界の技術力は高く、人類が火星まで進出する程だ。現在、人類は月には辿り着いたが未だ火星には辿り着いていない。その点から見ても、戦兎達の世界の文明は今よりも遥かに進んでおり地球温暖化対策等も進んでいたのだ。

 

「そうだよ。この世界で俺は宇宙ステーションしか行けてないしな」

 

当然、文明が違えば歴史も違う。元の世界では惣一は火星を探索したが、残念ながらこの世界では宇宙ステーション止まりである。

 

今の時刻は午後3時。あと1時間もすれば、学生の皆さんがやって来る。そうなれば、必然的に万丈と戦兎は働かなければ成らず、今のようにカウンターに座ってる訳にも行かない。

 

「てか、戦兎。お前、ナイトとの関係は進展したのか?」

 

ふと、惣一がそう言うと危うく戦兎は吹きかけてしまい慌てて口元を抑える。

 

「ゲフゲフ、マスター!?」

「いや…なに。俺からすればお前と万丈は息子みたいな感じだしな。その息子が異性と付き合うとなれば、嬉しいしな。でっ?どうなんだ?」

 

装備開発を含めて、戦兎はナイトと良く会う。と言うか、この前…やけにお洒落した戦兎が気になり…惣一と万丈は後を着いていったが、そこでナイトとデートする戦兎を目撃したのだ。

 

「いっ…いや、唯の友達だよ」

「「へー…唯の友達ね?」」

 

戦兎はあくまでも唯の友人と言うが、少し顔が赤くなっている。恋愛に疎い戦兎は上手く誤魔化そうとしてるが、経験がある万丈と惣一からはバレバレであった。

 

「てか、万丈はどうなんだよ?」

「美空はやらんぞ」

 

万丈は実は彼女が居た。そう居た、過去形である。元の世界での恋人は現在、この世界での万丈と付き合っており生きては居るがnascitaの万丈の事は忘れている。

 

「相手が居ないな…」

 

ハァ…と溜め息を吐き出した万丈。そう、残念ながら万丈は相手が居ないのだ。そう考えればデートを行う相手が居る戦兎の方が有利と言えるだろう。

 

しかし…万丈は知らない。夏休み明けに、彼女が出来ることを。

 

 

 

 

午後4時半。

 

そろそろ学生達がやって来る時刻。ガチャリと扉が開かれてnascitaに来客がやって来た。その来客は一誠だったのだが、なんだか変である。その一誠はまるで初めてnascitaにやって来たのか、店内をキョロキョロと見回しており明らかに戸惑っている。

 

「ボンジュール!一誠君、良く来たね。今日はアイスコーヒーがお薦めさ!」

「あの……なんで俺の名前を知ってるんですか?てか、此処って本当に駒王ですよね!?」

「「はい?記憶喪失に成ったのか!?」」

 

一誠は今となってはnascitaの常連客だ。その筈なのに、店員である戦兎と万丈は勿論、マスターである惣一の事も忘れるとは何事だろうか?不思議に思った戦兎達だったが、次の瞬間…

 

「マスター!戦兎さん!万丈さん!遊びに来ましたよ!」

 

戦兎達が良く知る一誠が入ってきた。

 

「「あれ?どうなってるの!?」」

「「俺が2人!?」」

 

駒王学園の屋上でも…

 

「僕?いや、身長が小さいし…気配が悪魔だし」

「ヒィィィィィ!?僕と同じ顔をして、身長が高く普通にがっしりしてるんですけど!!イッセー先輩!!部長!!何処ですかぁぁぁぁ!!」

 

バイオリンを弾いていたギャスパーは、自分と同じ顔をした小柄の男の娘と遭遇してた。

 

 

 

 

 

 

 

「並行世界からの干渉か。調べないとな…大蛇丸のおっさん、ゴブスレさん。俺はちょっと出掛けるから、此処を頼む。行くぞ戒斗、銀さん!」

「えっ!?銀さん強制!?神様そりゃないだろぉぉ!」

「行くぞ葛葉」

 

神様…異変を察知して動き出す。




戦兎「やっぱり作者は神様転生書けないってよ。個人的に難しいらしい」
万丈「マジで!?」
戦兎「そうそう。なんか、次回作は国家権力なめんな系になるらしい。まあ、三大勢力潰れない……潰せないから一誠は許可された変態に成るらしいぞ」
万丈「コラボ先何処だよ。サイコパスとかパトレイバー?」
戦兎「いや、仮面ライダー。でも聖書に関する鎧武シリーズ、キバ、G3しか出てこない。因みにファンガイアは三大勢力に恐れられて純血はナイト以外全滅、血を引いてるのはギャスパーだけ。王の鎧もナイトがひっそりと作った黄金のキバしか残ってない。サガと闇のキバは神器開発の為に解析されて消えました!」
万丈「神様!!今こそ出番ですよぉぉおお!!いや、聖杯で初代キングを呼べ!!」
戦兎「なお、ドラゴンのオーラは原作通りらしいから…仮面ライダーキバに成ったギャスパーは下手したらヒロインが居ません!!」

因みに次回作、一条薫さんがG3に成ります。

vシネクローズ編が終れば、お試しで三大勢力和平会議まで書くかも。

そしてドラゴンのオーラは原作準拠と成るので、下手したらギャスパーのヒロインは居ません(此処重要)。

戦兎「次回!原作世界のグレモリー眷族来日!!」
万丈「原作のギャスパーひょろくね?」
一誠「原作の俺がおっぱいに取りつかれた変態だとは…」




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

集う…原作世界御一行

やって来る…皆様


リアス・グレモリーは困惑した。彼女はお小遣いと人生経験目的で、駒王のマクドナルドで週2だがアルバイトをしている。

 

「一体…何が起きたのよ」

 

マクドナルドの制服姿のリアスの目の前に、突如として駒王学園制服姿のリアスが現れたのだ。早い話、もう1人の自分である。魔力の質、気配は間違いなく自分と同じ。誰かの変化や変装ではなく間違いなくもう1人の自分である。

 

「ドッペルゲンガー…なのかしら?」

「ここどこよ!?てか、なんで私がバイトしてるのよぉぉお!」

 

学園姿のリアスの叫びがマクドナルドに響いた。

 

 

 

三咲町。

 

千手の家に住む朱乃は図書館で学友達と共に受験勉強を行っていた。朱乃は来年大学生。駒王学園に通うリアスと異なり、エスカレーター式では上がれない。だから大学に通う為には受験して合格しなければ成らないのだ。

 

「はっ?」

 

メガネをかけ、三咲高校の制服であるブレザー姿の朱乃は困惑した。何故なら、目の前に突如として駒王の学園の制服を着た朱乃が現れたのだ。その朱乃は悪魔の気配を放っており、間違いなく悪魔の駒で転生したのだろう。

しかし…この世界の朱乃は転生しておらず、魔術と堕天使の力、霊力が使える高校生でしかない。一方の駒王の制服を着た朱乃は悪魔だ、悪魔としての戦いも好むのだろう。

 

「悪魔に成ってない私!?此処って!?」

「図書館ではお静かに」

 

 

 

 

千手白音は猫又の妖怪であり、千手の家で過ごす高校1年生である。神秘の秘匿が無い為か、日頃から尻尾と猫耳を出して過ごしている。

 

「なんか…小さい私が来た」

 

彼女は学友や同居人であり親友のレイヴェルと共に、近所の甘味処でお茶を楽しんでいた。そんな矢先、突如として駒王学園の制服を着て身長が中学生以下絶壁(何がとは言わない)の白音そっくりの少女が現れたのだ。

だが、白音はエンマから仙術を教わっており仙術チャクラで目の前のそっくりさんを見る。体格はかなり違うが、判定は…同一人物。故に…

 

「私は千手白音。貴方は誰ですか?」

「……えっ?千手!?ぇ…あっ、私は塔城小猫です」

 

名付け親は分からないが、もう1人の白音の名前は小猫という名前のようだ。どう見ても愛玩動物のような名前である。

 

 

 

「ようこそ…木場祐斗のパラダイスへ」

 

――どうしてこうなった?

 

木場の前には最強のオタクと成った木場と全く同じ顔をした少年が項垂れ、四つん這いの姿で思考を放棄していた。

 

「此処の僕は……部長に拾われてなくて、オタクだって言うのかい!?」

「はっ?オタク嘗めるなよ?オタクは日本が誇れる偉大なる文化なのだ!!」

 

その現場は木場の自室。そこには艦これのフィギア、数多のガンプラ、アズレンのフィギア、様々な漫画やラノベが有ったのだった。

 

――これが僕だって言うのかい?壁にはアニメのポスター、ロボットのプラモ、アニメのフィギア…それにこの世界の僕は人間だって!?どうなってるんだよ!!

 

悪魔の木場は考えるのを辞めた。

 

 

 

東京都のスポーツジム。

 

そこでイクサ見習いのゼノヴィアは体を鍛えていた。イクサはダークキバと異なり、纏うのに特殊条件は存在しない。しかし、鍛えた方が戦える体力も増えるので、ゼノヴィアは師である名護さんの知人の富豪である嶋護から紹介されたこのスポーツジムに通ってるのだ。

 

しかし、そこでゼノヴィアはプロテイン ビーレジェンド(そんなバナナ味)の入ったシェイカーを持って固まった。無理もない、彼女の目の前に悪魔に成った自分が現れたのだから。

 

「此処は何処だ!?」

「KONAMIだが?」

 

 

 

千手の家

 

「ウルトロンさん。なんか、悪魔に成った私が現れました」

『どうなっている?』

 

千手の家ではウルトロンが入ったタブレットをポケットに入れたアーシアが住み込みで働いていたが、突如として悪魔に成った自分が現れたのだ。

 

「此処は…何処でしょう?」

「千手の家です」

 

 

 

 

 

 

そして舞台はnascitaに変わる。

 

「イッセー先輩!!此処って何処なんですか!?」

「知らねぇぇよ!!なんか、変な光に包まれたと思えばこんな場所に来たしよ!!」

 

nascitaでは悪魔に転生しハーレム王を目指す兵藤一誠、悪魔に転生し引きこもり男の娘なギャスパーが身を寄せていた。この2人はこの世界の出身ではない、聖書が世界の覇権を握った世界からやって来たのだ。それも、どうやら偶発的な事故でやって来たらしく、かなり困惑している。

 

「てか、此処の僕はどうして身長が高いんですか!?」

「いや、普通に生活してたら伸びたんですけど?身長は175cmは有りますし」

「てか、線は細いけど…なんかがっしりしてないか!?此処のギャスパーは体育会系なのか!?」

 

案の定、この世界のギャスパーに驚く悪魔一誠…悪魔一誠と悪魔ギャスパー。悪魔ギャスパーと違って筋肉有るわ、身長高いわで、二人は驚くしかない。

 

「驚くのは仕方無い。取り合えず、君達が並行世界のギャスパーと一誠ってのは分かった。取り合えず、お前達の事を教えてくれないか?」

 

並行世界からやって来た経験を持つ戦兎がそう言い、悪魔一誠は語りだした。

 

「俺は堕天使に騙されて殺され、部長……リアス・グレモリーに助けられて悪魔に成ったんだ」

 

彼は語る。どうやら、彼の世界には仮面ライダーは存在せず、当然ながら聖杯バラエティーも存在しないしアメリカにはアベンジャーズも存在しない。

三大勢力が世界を守り、管理しているそうだ。そんな世界で悪魔一誠はリアス・グレモリーに助けられて悪魔に転生、その後も様々な活躍を遂げた。自分と同じくレイナーレに騙されたアーシアを救い、ライザー・フェニックスの手で強引に結婚されそうに成ったリアスを救い、コカビエルの魔の手からも駒王を守ったのだ。

 

「そして…俺はもっともっと活躍して、上級悪魔に成ってハーレム王に成るんだよ!!」

 

とnascitaで叫んだ悪魔一誠。白昼堂々、ハーレム王なんて宣言するのだから余程…恋に飢えているのだろう。

 

「「「……………そっか、養育費とか色々大変だけど頑張れよ」」」

「えっ?あれ…」

 

しかし、悪魔一誠には気になる事が有った。

 

「てか、なんで此処の俺は悪魔じゃないんだよ。それに、ギャスパーも身長が高いし…」

「僕も2人の父親に恵まれなかったら、こう成ってたんですかね?」

 

ギャスパーは男の娘(マジ)と成った悪魔ギャスパーを見てそう言い、2枚の写真を何処から取り出して悪魔一誠と悪魔ギャスパーに見せる。

1枚目にはエンマと青子夫妻が写り、2枚目には音也と真夜夫妻が写っていた。柱間細胞を持つエンマとグルメ細胞を持つ青子は若々しい容姿を保ち、ファンガイアである真夜は勿論、日頃からアンチエイジングを欠かさない音也は実年齢よりも若く見えていた。

 

「「へ?父親が2人?」」

「そっちの僕は知りませんけど。僕は人間と吸血鬼の混血でありながら、母方の祖先であるファンガイアの王の側面が隔世遺伝で出ちゃったんですよ。色々あって里を追い出され、最初の父さん…エンマ父さんに引き取られたんです」

 

ギャスパーはそう言い、写真のエンマを指差す。

 

「その後、小学校の真ん中まで青子ママが経営する孤児院で育てられ、今のママとパパの所に引き取られました」

 

そして、ギャスパーは青子を指差し、最後に音也夫妻を指差した。

 

「最愛が4人。僕は幸せ者ですね!」

「引き取られただけでこんなに違うんですか!?」

「あと、僕はプロのバイオリニストですからね。兄の経営する芸能プロダクションに所属してますよ」

 

悪魔ギャスパーは考えるのを辞めた。

 

 

 

 

 

「青子ママのおっぱいでかいな!?なんカップ?G?F?いや…Iは有るか?元浜なら分かるのに!!」

 

一方の悪魔一誠はこの調子である。




次回!原作勢、揃う。だが、帰り方が分からず…暫くは留まる事に成るのだが……

神様が彼等の目の前に現れる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

集まる原作御一行

神様降臨!!


「僕達…どうなるんですかね?」

「だよな…」

 

この世界の事に関して様々なギャップを受けて唖然としてしまった悪魔ギャスパーと悪魔一誠。まあ、彼等の場合は仕方無いだろう。この世界と三大勢力が世界の覇権を握った世界では情勢を始め色々と異なるのだから。

取り合えず、どうすれば良いのか分からずnascitaに居ることを選び、それから何処に滞在するのかを考える事にした。なにせ、仕方がない。彼等曰くだが、並行世界の兵藤家は悪魔の恩恵を受けて不動産価値が何十億と言える大豪邸に成ってるが、この世界では普通の一軒家。泊まるとしてもホテルか何処かに成るだろう。

 

『続いてのニュースです。今月末、此度の日本と堕天使との戦争を受けて三大勢力と日本の首相会談が行われる事に成ったのは周知されてますが…参加者が決定しました』

 

と…テレビからニュースが流れた。だが、そのニュースを聞いた悪魔一誠と悪魔ギャスパーは御互いに顔を見合わせた。

 

「「日本と堕天使が戦争!?」」

 

転生悪魔の二人が驚くのは当然だ。彼等の世界では日本は基本的に裏側に関わらず、日本は悪魔が守ってきた。それに日本と堕天使との戦争も起きておらず、驚くしかない。

 

『堕天使からは戦争を起こした戦犯コカビエルの上司であるアザゼル総督、天使からは聖書の神様ではなくミカエル、悪魔からは魔王ルシファーが参加します。

日本からは秋月総理、千手扉間魔法大臣が参加します』

 

テレビにはアザゼル、ミカエル、信彦、扉間の顔写真が映る。

 

『どうなるんですかね?』

『ミカエルは間違いなく天界協定の件で色々と言われること間違いないでしょう。堕天使に関しては当然ですね、沢芽市を救ったビートライダーズが持っていた変身ベルトをどういう訳か所有してますし…間違いなくショッカー等の組織と繋がりが有るでしょう。

では、此処で本日のゲストを紹介します。本日のゲストは沢芽市を拠点にし、世界中で活躍する新生ユグドラシルコーポーレーションの社長 呉島貴虎さんです』

『呉島貴虎です。宜しくお願いします』

 

と…ニュースにはまさかの仮面ライダー斬月こと貴虎がゲスト出演。

 

 

「呉島さん出てるじゃん」

「あの人も俺達と同じく仮面ライダーだもんな」

 

テレビを見た戦兎と万丈がそう言う。

 

仮面ライダーという未知なる単語を聞いてしまい、首を傾げる悪魔一誠と悪魔ギャスパー。すると、チリンチリンと店の扉が開き、客が3人新たにやって来た。

 

「あっ!アンタはあの時の…」

「戦兎、知り合いなのか?てか、銀魂の銀さんも居んぞ!!」

 

やって来た来客を見て、いらっしゃいませ…ではなく驚くように声を出してしまった戦兎と万丈。無理は無い、来店したのは神様こと紘汰に銀さん、そして駆紋戒斗の3人である。しかし、神様は日本に馴染むためか、神様としての姿ではなく人間 葛葉紘汰だった頃の容姿に戻してる。やはり、平和?な日本で過ごすには人だった頃の姿の方が良いのだろう。

 

「神様!!」

 

だが、そんな紘汰を見たギャスパーは嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「「神様!?」」

 

当然、最高の唯一神が既に御臨終してる世界からやって来た悪魔一誠と悪魔ギャスパーは神様と呼ばれた存在に驚く。

 

「よぉ!元気そうだなギャスパー。さてと、初めましてだな、並行世界からやって来た悪魔の諸君。俺はこの世界の神様で、人としての名前を葛葉紘汰って言うんだ」

 

神様は自己紹介を言って更に続ける。

 

「君達2人は巻き込まれてこの世界にやって来た。なんの因果か分からないけどな。

本当なら俺の力で直ぐに帰したいけど、それは出来ない。だけど、元凶を排除したら俺の力で帰すと誓おう。所で……俺の感知で見たけど、この子達も君達の仲間か?」

 

神様が指パッチンを鳴らすと、空間にチャックとホックのような物が現れる。そのホックが動いてチャックが開いていき、空間の裂目が出現すると…悪魔一誠と共にこの世界に飛ばされた筈の並行世界リアス、悪魔朱乃、小猫、悪魔木場、悪魔ゼノヴィア、悪魔アーシアが次々と出てきた。彼等が全員出終わると、チャックは閉まり…消えてしまった。

 

「部長!朱乃さん!ゼノヴィア!アーシア!小猫ちゃん…あと木場!」

「「「イッセー(君、さん)!!」」」

 

どうやら、悪魔に成った悪魔一誠は眷属仲間から物凄く慕われているようだ。その様子にこの世界の一誠は苦笑いを浮かべるしか、出来なかったが…神様がパンパンと手を叩く。

 

「はい、感動の再会はそこまでにして…俺の話を聞いてくれ」

「誰よ?貴方」

「俺か?俺は神様だ。この世界のだけどな」

 

その瞬間、悪魔アーシアは祈りを捧げ、悪魔ゼノヴィアは五体投地を行った。

 

「君達はとある存在の異世界転移に巻き込まれ、この世界に飛ばされた。俺の力なら直ぐに帰せるけど、今は並行世界同士が見えない線で繋がった状態だ。その状態で帰せば、並行世界同士の因果が逆流してしまう。それだと危険だから、君達を帰すのは元凶を排除してからになる」

 

と説明する神様。神様曰く、原作御一行…グレモリー眷属がやって来た理由だが、彼女達はとある存在が強引にこの世界にやって来た事で並行世界同士が見えない線で繋がり…それに巻き込まれて転移したそうだ。

グレモリー眷属を帰すには、とある存在こと元凶を排除し…並行世界同士を繋げた見えない線を切り離し、その後に神様の魔法で元の世界に帰すという物だ。

 

「ふーん…で?その元凶って誰なのよ」

「言っとくが、銀さんにも勝てないお前達じゃ絶対に勝てない。戦えば間違いなく死ぬ。

その元凶だが…ざっくりと言えば宇宙人。そして……」

 

神様はそこで言葉を切り、戦兎に万丈、惣一を見て告げる。

 

「エボルト。お前達は覚えてるだろ?アイツの同族がやって来た。しかも、強さはエボルトを超えている。本体の俺なら先ず負けないが、今はアバターだから五分五分だ」

「「「ハァァァァア!?エボルト以上!?」」」

 

エボルトの驚異を知る戦兎、万丈、惣一は心の底から叫んでしまった。

 

 

 

 

 

 

その頃のエルメンヒルデさん。

 

「どうしましょう…」

 

エルメンヒルデは成田空港のターミナルで、タピオカドリンクを飲んでテレビを見ていた。既に空港生活を初めて1週間。馴れとは恐ろしい。

彼女が空港で生活してるには訳が有る。それはビザが切れ、更にルーマニアが跡形も無くなって帰るに帰れなくなってしまったのだ。祖国は喪われ、日本の滞在ビザは切れてしまった。お陰で彼女は国が無い難民と成ってしまい…リアルターミナルと成ってしまったのだ。

 

一応、惣一が養子縁組手続きを行ってくれてるが…それが通るのは最短で1ヶ月。つまり、最低でも後1ヶ月はターミナル生活が決定したのだ。

 

「良し…お土産コーナーを物色するわ!!」

 

なお、エルメンヒルデは原作御一行がやって来た事を知らない。




次回!原作御一行…この世界を知る。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ワールド カルチャーショック

カルチャーショック!!


三大勢力が世界の平和を守り、自分達の滅亡を回避する為に結んだ和平。駒王協定。それは悪魔である一誠達からすれば常識であり、自分達三大勢力が世界を守り動かすための歯車でもあった。

 

だが、それは自分達の世界での常識。この世界の常識ではなく、様々な異なる点が並行世界からやって来たグレモリー眷属御一行の頭を悩ませていた。

 

「三大勢力が和平を結んでいないし、神秘が公に成ってるし…どうなってるのよ」

 

「過去の偉人達が召喚される聖杯戦争、それをバラエティーにして平和にした聖杯バラエティー。もう、訳が分からないよ」

 

「アスガルドが異星に成ってるし…天界協定ってなんですの?」

 

「仮面ライダーというヒーローが実在し、アメリカにはアベンジャーズ?てか、ガブリエル様がアベンジャーズ!?」

 

「この世界の僕が仮面ライダーってどういう事なんですか!?引き取られただけで仮面ライダーに成るんですか!?」

 

「あの部長のおっぱいを狙い、おっぱいを独り占めしようと…強引に結婚を迫ったライザーの野郎が……ギャスパーの父親の1人の親友で孤児院のおじさんだと!?

そしてその孤児院に大きくなった小猫ちゃんにアーシア、朱乃さんが居るってどういう事だ!?」

 

等々とこの世界との違いを知り、項垂れるグレモリー眷属の皆様。

 

そんな彼等は一誠とギャスパー、そして神様から直々にグレモリー眷属御一行の付き添い(監視)を頼まれた我らが銀の侍 坂田銀時こと銀さんは駒王の案内を行っていた。

 

まだ復興が続く駒王であったが、細かい違いが存在しており…悪魔リアスは頭を抱えてしまっている。当然だ、彼等の世界では駒王は悪魔の土地であり、リアスは悪魔の重要拠点とも言える駒王の管理者だった。

 

「私の駒王が……世界が違えば、こんなに違うなんて」

 

自分達の世界では誇れる領地。しかし、此処では悪魔の土地ではない。当然だが、日本の土地であり悪魔の土地ではないのだ。

 

「知ってると思うけど、此処が俺んちな」

 

やがて、彼等は一誠の自宅の前にやって来た。一誠の家はごく普通の一軒家であり、築20年程は経っているだろう。至って普通の一軒家であり、驚く箇所は無い。

 

「ほー、お前のお父ちゃん頑張ったんだな。賃貸?マイホーム?銀さん感心だよ、銀さんの家は賃貸…間借りだったしよ」

「マイホームですよ。父さん曰く、まだローンは残ってますけど」

 

最近は一軒家の賃貸も当然ながら有る。一軒家を賃貸ではなくマイホームで保有する人も当然ながらは居るのだが、残念ながら一括で支払える程金銭的な余裕が有る人は少ないだろう。だが、価値は有る。なにせ、マイホームは一生ものであり、その後の世代も使うのだから。

 

「「「「えっ!?普通の一軒家!?」」」」

 

しかし、驚いたのは原作グレモリー御一行であった。

 

「私達の世界じゃ、大豪邸よ?私の権力で不動産価値数百億の豪邸に成ってるわ」

「「「数百億!?」」」

「そこで私達、グレモリー眷属の女性達はイッセー君のご家族と共同生活してますの」

 

なんという事でしょう。悪魔一誠の自宅は悪魔の権力で不動産価値数百億という桁が…規模が可笑しい大豪邸に住んでおり、あろうことかグレモリー眷属の女性達と共に共同生活しているのだ。

美女に囲まれた大豪邸ハーレム生活。そんな男の欲望を具現化したようなハーレム生活を送る悪魔一誠、けしからん、けしからん。しかも、その大豪邸もギャスパーのように日頃から働いている訳ではなく宛がわられて手に入れたのだ。なんという幸運、いや運命力…正に人生の勝ち組である。

 

「このボルボックス野郎!!男の欲望を次々と実現しやがって!!タダで豪邸?ハーレム生活?けしからん!!けしからん!!けしからんぞ!!」

「ほんげー!?」

 

そんな悪魔一誠に銀さんのアッパーカットが炸裂した。

 

 

 

「此処が駒王学園だぞ。つっても、そっちのギャスパーは此処に出てきたか」

 

そして、並行世界では三大勢力の超重要拠点である駒王学園。だが、此処では違う。此処では様々な種族の子供達から青年達が日頃から学んでいるマンモス校である。

並行世界では異なるが、この世界では駒王が日本の手元に戻ってから学園も変化している。並行世界では幼稚園、小学校、中学校、高校、大学に大学院は駒王の別の場所に存在していた。しかし、この世界では国立に成っており同じ敷地内に幼稚園から大学院まで揃ってるのだ。

 

「国立!?」

「俺達の駒王学園が……全然違う物に変わった」

 

校庭を見れば、猫耳、キツネ耳に尻尾が生えた子供達が人間に混ざって楽しそうに遊んでおり、並行世界と随分と違う。神秘は秘匿された存在ではなくてはならない、自分達の世界の常識が異なる現実を見てグレモリー眷属御一行は言葉を無くした。

 

「おっ!ギャスパーじゃないか!」

 

ふと、そんな声をかけられたギャスパー。ギャスパーは勿論のこと、その場に居た人達は声の方を見る。そこには30代半ばの男性がカメラを持って立っていた。

 

「真司さん!」

 

どうやら、ギャスパーと男性は知り合いのようだ。男性は笑みを浮かべてギャスパーに近付いていく。

 

「お前のデビューを取材以来だな。元気だったか?」

「僕は元気ですよ?真司さんは変わらずですね。どうして此処に?」

「亜人や神器持ちも安心して通える駒王学園の取材、あと息子が来年から通うかもしれないしな。その下見」

 

どうやら、真司と呼ばれた男性とギャスパーは親しい仲のようだ。

 

「あの…貴方は?」

 

一誠がそう言うと、真司は1枚の名刺を取り出して手渡した。

 

「俺は城戸真司。ジャーナリストだ」

 

その名刺にはこう書かれていた。

 

OREジャーナル所属記者。城戸真司。

 

「OREジャーナル?」

「昔は読者から寄せられた話題を取材して発信する、今で言えばTwitterやFacebookに近い事をしてたんだ。今のSNS社会だと、誰もが自分の記事を発信出来るから…そのアプリの運営、あとは普通に雑誌の出版や取材を生業としてる会社さ」

 

そんな真司の後ろのカーブミラー。そこには真司を見守るように、赤き龍が映っていた。その事に真実を知るギャスパーと真司以外は気付いていない。

 

 

 

「所で真司さん。エサ代どうです?」

「マジで大変。美穂のは兎も角、ドラグレッダーめちゃ食うし、蓮の形見のダークウイングは少食だけど」

 

ミラーモンスターのエサ?それは不思議な事が起こって普通の食事でOK。

 

そして、悪魔一誠が真司の正体を知るのは後程だった。




真司の嫁さんは彼女です。

次回!!この世界の駒王学園!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ライダータイム

原作御一行の滞在場所…一先ず決定!?


駒王学園。それは悪魔の拠点であり、リアス・グレモリー率いるグレモリー眷属は顔パスで入ることが出来る。しかし、それは並行世界…原作グレモリー御一行の元居た世界でありこの世界ではない。

 

「すいません。事前にアポイントを取っていた城戸さんは兎も角、部外者の方はこの時間の高等部等の入場は出来ません。大学なら大丈夫ですが、午後6時までには出てくださいね」

「なんでよ!!」

 

あまり知られていない事だが、大学は普通に民間の人も敷地に入る事が出来る。だが、高校や中学、それに小学校はそうもいかない。高校等は部外者が入ることは禁止させられており、この世界の駒王学園では大学部と高等部の境目に検問が有り…許可なく入れるのは大学だけと成ってるのだ。

 

在校生の一誠、ギャスパー、アポイントを取った真司は高等部等に入ることは出来る。しかし、部外者の原作グレモリー御一行は大学までしか入ることを許されない。その上、警備の都合上…6時迄には出ないと行けず、今の時刻は午後5時。1時間しか滞在は許されないのだ(関係者は8時を越えても問題なし)。

 

しかし、何としてでもこの世界の駒王学園を探索したい原作グレモリー御一行。彼女達は気になるのだ、悪魔と人間以外の種族も通い…更には幼稚園から大学院まで一纏めにされてマンモス校と化した駒王学園を。

 

「別に直ぐに元の世界に帰る訳じゃ無いんですから良いでしょ。今度、大学部主催で夏の文化祭が有りますからそれで良いじゃないですか」

 

と…ギャスパーが言うので一先ず、今日の探索は大学部までと決まった。しかし、近い内に大学部が主催で夏の文化祭が駒王学園で開かれるのだ。その文化祭は文月祭と呼ばれており、7月に行われるから文月祭である。

 

「「「夏の文化祭!?」」」

 

驚く事実しか無いが、彼等は駒王学園の敷地内に入った。

 

「あっ。俺は先生方に話を聞きに行くからここで」

 

だが、真司には仕事が有る。真司はギャスパー達に別れを告げて、高等部の職員室の方に向かっていった。

 

「行っちゃったわね」

「まあ、あの人……必殺技の威力は数百tなんで」

 

なにやらギャスパーがそう言うが気にしない。

 

 

 

駒王大学は人文社会学部、経営学部、理学部、農学部、国際学部等々の学部が存在している。

 

そんな駒王大学のカフェテリアに真司と別れた一行(一誠、ギャスパー、銀さん、原作グレモリー御一行)はやって来ていた。流石に1時間で大学部を探索するのは不可能であり、大学のカフェテリアに入ることにしたのだ。

 

「てか、お前達どうすんだよ?」

 

銀さんが頼んだチョコパフェマシマシ…物凄く大きなパフェを食べながら原作グレモリー御一行に問う。そう、原作御一行の皆様は残念ながら家なき子だ。

元の世界ならば、世界の覇権を握った悪魔なのでお金の力や顔パスでなんとでも出来た。しかし、それはこの世界では出来ない。悪魔は覇権を握ってないし、それ以前に日本は日本の土地だ。悪魔だから~どうのこうのは出来ないのである。

 

「「「「あっ…」」」」

 

残念な事に考えてなかった原作御一行。

 

「孤児院か会社の寮なら用意できますよ」

 

と…ギャスパーが助け船を出した。

 

「孤児院か会社の寮?」

「貴女達は絶対、行く宛ないな…と思って既に話は通してますよ。青子ママ…僕の2人目の母親が経営する孤児院か、僕の兄さんが経営する芸能プロダクションの社員寮の空部屋。好きな方を選んで下さい」

 

なんという事でしょう。ギャスパーはこうなる事を見越し、既に原作御一行が寝泊まり出来る場所を確保してくれていたのだ。

泊まれる場所は2つ。行き場の無い子供達の居場所である最強孤児院 千手の家。もう1つが紅プロダクションの社員寮である。

 

「あの巨乳ママな人妻…青子ママが居る孤児院ですと!?マジっすか!!デカイギャスパー!!」

 

と…おっぱいが大好きな悪魔一誠は大喜び。

 

「イッセーが其処にするなら、私も行くわ」

 

異世界リアスも千手の家行きを所望する。

 

「だったら、私もそうしようかな」

 

悪魔ゼノヴィアも千手の家を希望する。

 

「ぼっ僕もです!!」

 

悪魔ギャスパーも千手の家を選んだ。

 

「「「あっ…私達は社員寮で」」」

 

同一存在が千手の家で暮らす悪魔アーシア、悪魔朱乃、小猫は紅プロダクションの社員寮を選ぶのだった。流石に同じ顔をした人物と同じ屋根の下で過ごすのは、アレだったのだろう。

 

 

 

午後6時10分。いざ、各々の滞在場所に向かう為に駒王駅に向かってる最中…事件は起きた。

 

「助けてくれ!!」

 

「ひぃひぃ!!いきなり…()()()()化物が!」

 

「早くライダーきてくれ!!」

 

数メートル程の人の上半身に獣の下半身をした怪物が駅前の広場で暴れていたのだ。

 

「なんだ…あれ?」

「バカな…あれははぐれ悪魔だな。だが、はぐれ悪魔はもう現れない筈。だとしたら…」

 

ギャスパーのポケットからキバット2世が飛び出す。

 

はぐれ悪魔。それは並行世界でもこの世界でもお馴染みだった存在だ。はぐれ悪魔とは主に逆らい、討伐対象に成った悪魔であるが、どういう訳か醜い獣のような姿に変貌する。

 

「さあ!はぐれ悪魔なら私達の出番よ!!」

「「「はい部長!!」」」

 

いざ、悪魔リアス達は戦おうとしたが……

 

『ストライクベント』

 

爆炎ではぐれ悪魔は一撃で消え去り、龍を模した騎士が赤い龍を連れて現れた。




次回!真司、正体を知られる。そして、悪魔一誠…念願の青子ママに会うが、そこは地獄であった


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

千手の家にようこそ!!

ようこそ…地獄に(笑)


突如として出現した怪物に変異したはぐれ悪魔。その悪魔を一撃で消し飛ばしたのは、赤い龍の騎士とそれに寄り添う赤き龍であった。

 

「なっ何者よ…あの人間」

 

気配からして人間だとは理解できた原作グレモリー御一行の皆様。良く見ると、男のベルトのバックルはケースのように成っており中にはカードが入っていた。

 

そして…男はバックルに手をかけ、それをベルトから抜き取る。すると、男は生身に戻った。

 

「あっ!あの人は…」

 

一誠は勿論、原作グレモリー御一行はその男の正体を見て言葉を失う。何故なら、その男は5時過ぎに駒王学園で別れたジャーナリストの城戸真司だったのだから。

 

真司は大事そうにポケットにそのバックル…デッキケースを仕舞うと此方に気付いたのか、笑みを浮かべてドラゴンと共に此方の方を向いた。

 

「よっ!怪我はなかったか?」

「グゥゥゥゴォァ!!」

 

城戸真司。彼は十数年前に行われたミラーワールドでのライダーバトルの生き残りであり、ミラーワールドでのライダーの殺し合いを止めた英雄である。そして、彼はこう呼ばれている。仮面ライダー龍騎と…

 

 

「城戸さんもライダーだったんですね…」

 

ギャスパーと言い、戦兎と言い、ギャスパーの父兄と言い周りにライダーが多いためか一誠の驚きは直ぐに無くなった。しかし、彼等には気になる事が有った…それは真司と共に行動する赤い龍の事である。

 

「あの…所でこのドラゴンは?」

「コイツはドラグレッダー。俺の相棒だ」

 

赤い龍はドラグレッダー。真司とは十数年もの長い時間、苦楽を共にしてきた大切な相棒である。本来はミラーワールドという鏡の中の世界……反転世界の一種に生息するミラーモンスターであり、元々は人間orミラーモンスターの魂が主食だった。しかし、総理とその親友であるステーキ屋店主のキングストーンフラッシュを受けて今は普通の食事で大丈夫である。

 

余談であるが、ドラグレッダーは真司を食べる為に襲いなんや感やあって契約した関係だが…最終的に物凄く懐いた。

 

ざっくり言うと…ドラグレッダーちゃんの真司の評価の順番は懐き度0エサ→懐き度1契約切れたらエサ→懐き度2エサくれる人→懐き度3旨いエサをたらふく食わしてくれる良い人→懐き度4ご飯♡→懐き度MAX(現在)親方様ァァァア!!今日のご飯は何でしょうかぁぁ!

 

という感じである。

 

(なんだ?ガイアメモリ?まさか…財団Xか⁉)

 

ギャスパーが何かに気付いた。それは真司に倒されたはぐれ悪魔が居た所に、焼け焦げたUSBメモリらしき物が落ちていたのだ。

 

当然、真司とドラグレッダーもそれに気付き、真司はピンセットで焼け焦げたUSBメモリを拾い上げ、ポケットから小さな袋を取り出して其処に入れた。

 

(調べる事が増えたな…)

 

真司はバカだが、大卒であり地頭等は悪くない。寧ろ、戦いでのセンスを見る限り思考力等は高い。ミラーワールドでの事件を終らせ、正義の味方(ボランティア)として活躍しながらジャーナリストとして働いていた真司は裏側の事情にも明るい。

 

(はぐれ悪魔が出現するのは不可能だよな?だとしたら…並行世界から?)

 

チラッと真司は悪魔一誠を見る。

 

 

 

並行世界絡みの事件は徐々に進行していた。

 

 

 

 

今度こそ真司と別れ、原作一誠達は各々の滞在場所に…一誠は自宅に帰っていった。

 

午後7時過ぎ。

 

JR三咲駅。三咲町の駅であり、此処から駒王までは電車1本で急行ならば20分足らずで到着する事が出来る。逆もしかりであり、電車を待つ時間を考えても30分程有れば通勤通学も問題なしである。

 

「遅いですね…そろそろ着く頃ですけど」

 

三咲駅のロータリーの路肩に、バイク…シャドウキバに跨がったギャスパーが千手の家に滞在する予定の原作グレモリー御一行の原作リアス、悪魔一誠、悪魔ギャスパー、悪魔ゼノヴィアを待っていた。

 

紅プロダクション社員寮に滞在する予定の悪魔朱乃、悪魔アーシア、小猫そして…銀さんには紅プロダクションのドライバーさんを差し向けたので今は寮に到着して食事でも食べてる頃だろう。

 

「流石にお金は渡しましたし…切符は買えますよね?」

 

苦笑いを浮かべ、ギャスパーは通話アプリで紅一家にメッセージを送る。と言うのも、ギャスパーは原作グレモリー御一行の事を完全に心を許した訳ではなく、警戒を解くつもりは無い。故に監視の意味を込めて、彼等がこの世界に居る間は千手の家で過ごすのだ。

 

「此処に青子ママが暮らす町か…おっぱーい!!」

「まったく、イッセーたら」

「此処が…この世界の僕が生まれそだった町ですか…ひぃ!?本当にバイクに乗ってる!!」

「私はバイクに興味が有るけどな」

 

と…そんな声が聞こえ、ギャスパーは声の方を見る。どうやら悪魔一誠と愉快な3人は無事にJR三咲駅に到着し、改札を出て此方に向かってきた。

 

「良し!おっぱいの大きな青子ママの所に案内してくれ!!」

「おっぱいが大好きなんですね、もうツッコム元気はないですよ(卑猥な視線を青子ママに送るのは良いですけど…どうなっても知りませんよ)」

 

 

 

千手の家。城門のような立派な外門が出迎える孤児院の前にギャスパーに連れられた悪魔の諸君は到着した。

 

「でけー…横は俺んちよりデカイ」

 

ギャスパーはシャドウキバを自律走行で車庫に向かわせると、大きな門を軽々と片手だけで開ける。

 

「行きますよ。子供達の教育に悪いので、くれぐれも下品な言動は抑えて下さいね」

 

そう言ったギャスパーの後に続いて、悪魔一誠達は千手の家の敷地に入っていった。

 

「此処が千手の家ね。随分と良い所じゃない」

 

千手の家は武家屋敷…いや、規模から考えても城の離れのような姿をしていた。武家屋敷を3階建てにしたような建物であり、庭も広く…流石に時間が時間の為か子供達は外では遊んでいなかったが物凄く庭が広い。

 

母屋からは子供達の声が響いており、夕食が待ち遠しいのか楽しそうに遊んでいた。

 

ギャスパーは言葉を告げず、悪魔御一行が後ろから着いてきてる事を確認して進み…母屋の扉を開けた。

 

「ただいまー」

 

「「「おかえりなさーーい!………ママ!!ギャスパーお兄ちゃんが帰ってきた!!」」」

 

そんなギャスパーを出迎えたのは、様々な種族の子供達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ!私が千手の家の所長で此処の子供達の母親、千手青子よ」

 

管理人室。そこは第五の魔法使い 千手青子のデスクであり、悪魔一誠達はギャスパーの手で真っ先に其処に通された。

 

「それにしても、そっちのギャスパーは背が小さいわね。ちゃんとご飯食べてるの?」

「たっ…食べてますよ!!」

 

(マジで部長並みにおっぱいが大きい…年齢の割に若いぞ!?マジで大学生のお姉さんって感じだよ!!)

 

と…悪魔一誠は鼻の下を伸ばしていた。しかし、彼には幸運が有った…それは最強のセコムがこの場に居なくて所要で非常時以外は来れない為である。

 

 

「なあ、おっちゃん。パルキアの奴に探らせたが…並行世界からの流れ者…()()()()()だけじゃないみたいだな」

「どうやら…今回の黒幕が並行世界同士の縁を繋げた結果、想定外の世界からも巻き込まれたようだな」

 

と…魔法省でエンマと扉間が話をしていた為である。

 

「パルキア曰くもう1つの世界とは縁が切れた。パルキアの力が有れば帰せるけどな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい…ボルト。此処は何処だ?」

「サスケさん何処だってばさ!!てか、若い父ちゃんの髪を赤くしたお兄さんが目の前に居るってばさ!」

「落ち着けボルト!目の前のコイツはナルトじゃない…確かに髪色以外は17歳の時と全く同じだが…てか、ウラシキは何処だ!?」

「えっ?何でおっさんと少年…俺の名前を知ってるんだってばよ?」




もう1つの世界から流れてきたのは…はい、あの2人です(笑)

次回!千手の家の魔境っぷりを悪魔一誠達は知る!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

異変が進むのであった。

暫く、ナルトとボルトパートが続きます?


うちはサスケは七代目火影うずまきナルトの親友であり、七代目火影の息子 うずまきボルトの師であり、大筒木ウラシキという輩を追って時空を越えたのだ。

 

「まさか…異世界にやってくるとは……」

 

千手の家のリビング。そこのソファーに座り頭を抱え、サスケは今後を思う。過去や未来に行くタイムスリップ処か忍界の有る世界と異なり全く世界の事情が異なる世界にやって来てしまったのだ。だが、幸いだったのがこの世界の裏側のスペシャリストであり()()()()()()()()()()()()の千手ナルトに直ぐ出会った事だろう。

 

七代目火影の息子を預かる者として、なんとしてもボルトを守らなければならないサスケだったが…この未知なる世界で味方を得れたのは大きい。しかし、サスケは元の世界でウラシキとやらに受けた攻撃のお陰でチャクラが戻らず…先ずは治療が先であった。

 

「サスケさん…腕はどうしましょう。もしかしたら、治せるかも知れませんよ?」

 

幸いにもこの世界の医療技術はサスケ達の世界よりも進歩しており、サスケがウラシキから受けたダメージは回復している。

だが、サスケを治療したアーシアという少女の言葉を聞いてサスケは頭を抱えた。サスケは過去に色々と有り、左腕を欠損して隻腕である。サスケの世界では臓器は勿論、失くした手足を元通りに再生するのは不可能だ。

 

「ああ……やるにしても後でで良い」

 

先ずはこの世界の情報を調べるのが先。幸いにも此処は裏側の様々な資料が有る千手の家、サスケも青年時代に共に戦った千手扉間にその息子夫妻、更にはこの世界の人柱力である千手ナルトも居る。ボルトの安全は一先ずは大丈夫と考えて良いだろう。

 

「ナルトの兄さん!さっきのテレポートした術はなんだってばさ?」

「飛雷神か?教えても良いけど、修行は大変だってばよ?」

 

当の金髪の中学生程の少年 ボルトは父親と同じ名前の青年ナルトから飛雷神を教えてもらおうと色々と聞いていた。

 

「どんな修行だってばさ?」

「全身ぐるぐるロープに巻かれ、目の前に飛ぶ意識で繰り返す。それが終わればマーキングを施した所に正確に飛べるように繰り返す。それが終われば、本気の浣腸を繰り出してくる爺ちゃんから飛雷神だけで逃げる。それだけ」

 

と…ナルトもボルトに飛雷神を教えてくれるようだ。だが、もし…ボルトが飛雷神を修得すればそれは良い。今の木ノ葉隠れには飛雷神を使える忍は誰も居ない。ボルトが覚えれば物資の転送にサスケの秘境からの帰還も一瞬で終る。是非とも覚えてもらいたい。

 

「ボルトは何が使える?」

「螺旋丸と影分身!兄さん驚くなよ?俺は螺旋丸に性質変化を組み込めるってばさ!」

「俺も出来るってば。木遁の螺旋丸を教えようか?出来るかは知らないけど」

 

その瞬間、サスケは吹き出した。当然だが、木遁はあの千手柱間を始め彼の細胞を取り込んだ一部の例外でしか使えない。しかし、なんとナルトは木遁を螺旋丸に組み込ませる事が出来るのだ。

 

「おいこらまてぇぇぇぇぇ!!なんちゅう物教えようとしてるの!!螺旋丸でさえ、子供達には教えるなって扉間さんから言われてただろぉぉおお!!

てか……星遁 波動螺旋丸の次に危ない木遁の螺旋丸を教えるなァァア!!」

 

と…叫ぶようにツッコミを入れながら1人の男が入ってきた。その男は幾瀬トビオ…久しぶりに出てきた初代ツッコミ要員である。最近、メガネをかけた為か…リアル新八と影で呼ばれてる。

 

「えっ?なんで」

「てか…完全な木遁はナルトしか出来ないだろ!!エンマさんでさえ、木材木遁なんだよ!?凶悪忍術教えるなぁぁあ!!内臓突き破る分、波動螺旋丸より凶悪だわ!!」

「ギャーギャー煩いってばよ。発情期?」

「だまらっしゃい!!……あっ、サスケさん。お部屋の準備が出来ましたよ」

 

トビオが此処にやって来たのはナルトにツッコミを入れる為ではない。サスケとボルトが滞在中に使う部屋の準備が出来た事を知らせる為にやって来たのだ。

 

「寝巻きは浴衣で良いですか?」

「食事に部屋まで…すまないな」

 

 

「あっ!ナルトの兄ちゃん。あれ、うちはマダラだよな!?」

 

ふと、ボルトが笑みを浮かべてテレビの画面を指差す。

 

「おう、そうだってばよ」

 

マダラの名前を聞き、サスケは急いでテレビを見る。そこには…

 

――無人島サバイバル!!近日放送!!

 

『宜しい…このうちはマダラもサバイバルの真髄を見せよう』

 

――あのサバイバル王マダラPが無人島サバイバルを二泊三日繰り広げる!!舞台と成るのは未開の無人島!!果たして、マダラPは生き延びれるのか!?

 

褌一丁のマダラがテレビに映っており、それを見たサスケは考えるのを辞めた。

 

 

 

翌日。

 

「ご飯も美味しいし…此処って凄い所だな」

 

朝食を食べ終えたボルトは縁側に座り、千手の家の庭を眺めた。元から魔境だった忍界からやって来たボルトは原作御一行と比べて、そこまで驚かなかった。

 

ボルトの視線の先には未知の生物(ポケモン)と遊ぶ子供達が楽しそうに遊んでおり、その子供達の人種は様々だった。人間は勿論、ボルトがこれまで見たことがない亜人の子供達等沢山だ。

 

「サスケさんは二代目火影に呼ばれて居ないしな」

 

サスケは情報提供の為に魔法省に向かっており、ウラシキ等の情報を扉間に話し…今後の対策等を話し合っておりこの場には居ない。それに、この世界ではウラシキが目当ての尾獣のチャクラは存在せず…代わりに神器等が存在している。

ウラシキが神器を狙う可能性も有り、ウラシキを最も知るサスケが扉間と共に対抗策を考えるのだ。

 

「ナルトの兄ちゃんから飛雷神も教えてもらうし」

「ほう…貴様が兄者の言っていたボルトか」

 

その声が聞こえ、ボルトは後ろを振り向く。そこには写輪眼を発動し…扉間の髪を黒くしたような青年が立っていた。高校生に成ったオグナである。

 

「兄者?」

「俺は千手オグナ。千手ナルトの1つ下の弟だ」

「なんで写輪眼!?」

「俺は兄者と違って父親似だからな。写輪眼を開眼できた」

 

オグナの言葉を聞いてボルトは妹のヒマワリを思い出す。ヒマワリはボルトと異なり白眼を開眼してる。だが、ボルトには残念ながら白眼は現れなかった。ナルトも写輪眼を開眼しておらず、オグナだけが受け継いだのだろう。

 

「兄者の修行は厳しいぞ?心しておけ」

 

オグナはそう言うと瞬時に消えた。

 

「アンタも飛雷神使えるのかよ」

 

そう、オグナが消えたのは飛雷神である。すると、庭先からナルトが歩いてボルトの側にやって来た。

 

「ボルト。早速修行を付けさせたいが……なんか、一緒に鍛えてくれって言ってくる奴等が居てさ」

 

本来ならナルトはボルトにマンツーマンで飛雷神を教えたかった。しかし、どうやらボルトの他にナルトに鍛えてくれと言ってきた人達が居たようだ。お人好しなナルトは断る事が出来なかったようだ。

 

「俺は別に良いってばさ」

「ありがとう。一応、飛雷神の事を纏めた巻物を渡しておくってばよ。これが有れば、修得出来なくても元の世界に帰ってからでも覚える事が出来るだろ?それに、ボルトの友達にも飛雷神を教えることが出来るし」

 

と…ナルトはボルトに飛雷神のコツを記した巻物をボルトに手渡した。確かにこれが有れば、修得する前に忍界に帰っても飛雷神を覚える事が出来るだろう。

 

「ありがとうだってばさ!」

 

 

 

 

 

「聖女ジャンヌのおっぱい!この世界の朱乃さんのおっぱい!大きくなった小猫ちゃんのおっぱい!ワルキューレのおっぱい!

やっぱり…おっぱいの可能性は無限大だ!小猫ちゃんも将来は巨乳が確定したし、未来は明るいぞ!!」

 

――なんか、おっぱいを連呼する変態が居るってばさ。

 

ナルトに修行を付けてくれと言ってきたのはあろうことか、並行世界からやって来たグレモリー御一行の皆様であった。

なんでも、元の世界でのレーティングゲームが控えており、是非とも勝ちたい為に修行がしたいのだ。

 

「私はともかく、イッセーは鍛えたら間違いなく爆発力を発揮するのよ。それも貴方より強くなるわ」

 

確かに神滅具の強さはある程度はナルトも把握しており、ボルトも神器の事は聞いている。人間に宿る神の力、そして神滅具と呼ばれる協力な神器は文字通り神さえも滅ぼせるそうだ。

 

「ごめんな…ボルト。こんな変態と一緒に見ることになって」

「誰が変態だよ!お前だっておっぱいとか、女の子とか興味は有るだろ!!てか…マジで羨ましいよ…あの青子ママの子供とかよ!!」

 

――人の母親に色目を使うな

 

ナルトの拳骨が悪魔一誠に炸裂し、悪魔一誠の頭上にたん瘤が出来た。そして、ボルトは感じる…ナルトのオーラが日輪の力を帯びた九尾となり悪魔一誠を威嚇していた事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ…どうやら、この時代…いや、世界に私の知ってるキツネは居ないようですね。だが、それでも力に成りそうな奴等は沢山居る!!」

 

白い肌に白い目をした男が上空から笑みを浮かべ、千手の家に近づいてきたのだ。

 

 

 

 

「悪意を感じる……おい、修行は中断だ」

「ナルトの兄ちゃん!?」

 

何かを感じたのか、ナルトは突如として走り出す。勿論、ボルトもナルトを追いかける為に付いていった。

 

「私達も行くわよ!」

「「「はい!部長!!」」」

 

 

 

レオナルドは今代の魔獣創造であり、千手の家で暮らす幼子である。彼は同年代の子供達と共に庭の森で遊んでいたが、突如として謎の人物に襲撃されていた。

 

「ふふふ…貴方も上質のチャクラとなるナニかを宿してますね」

 

その謎の人物は白い肌に白い目と明らかに只の人間ではない。その人物は釣竿のような物を振り下ろそうとしたが…突如として何者かの拳を受けて地面に落とされる。その際、その人物の顔に飛雷神のマーキングか施された。

 

「何者です?うずまきナルト……ではないですね」

 

人物を地面に叩き落とした青年はレオナルドを守るように立つ。

 

「千手ナルト。その子(レオナルド)の兄だ。お前…誰の家族に手を出したのか…分かってるのか?」

 

 

 

 

 

 

翌日、ボルトは語った。

 

「アレで真の本気じゃないとか、ナルトの兄ちゃんマジでヤヴァイってばよ」




次回!ナルトVSウラシキ…ファイ!!

原作リアス「強いけど…お兄様よりは弱いわね」

ギャスパー「あっ…ナルトさん。子供達が巻き込まれないように手加減してる」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

赤い閃光

ウラシキ…ボコられる


「ナルトの兄ちゃん!アイツがウラシキだってばさ!」

 

ナルトに追い付いたボルトが白い肌を持つ男を指差してそう告げた。そう、その男こそ大筒木ウラシキ。元と言えばタイムスリップして未だ子供の頃の七代目火影から九尾を奪う為に事を起こしたが…何者かの手で並行世界同士の境界に綻びが生じ、サスケやボルトと共にこの世界にやって来た存在だ。

 

「ボルト。レオナルドとコニー、サニー、ルナ、スターを頼む」

 

ナルトはそう言い、ポーチから飛雷神の術式が書かれたクナイを取り出し…六つほど辺りに投擲し左手に一本もって構える。術式クナイが辺りに刺さった為にナルトは飛雷神でそこに瞬時に転移が可能だ。

 

ナルトは姿勢を低く構え、何時でも動けるように構えた。ナルトはマダラから輪廻眼の事を聞いており、サスケとボルトからウラシキが輪廻眼を持っている事も聞いている。だとしたら忍術や魔術は吸収される可能性が高い。生命を生み出す木遁忍術、体術、飛雷神での強襲から放たれる螺旋丸。それを用いてウラシキを倒すしかない。

 

「ナルトの兄ちゃん…」

「ボルト…俺は此処じゃ本気を出せない。出せば、辺り一面が吹き飛ぶ。使える忍術も規模から考えて螺旋丸系列等の一部だ。波動螺旋丸も()()()は此処じゃ使えない」

 

此処は千手の家。庭には戦闘力の低い子供達が居る。ナルトが本当の本気を出せば確実に巻き込まれる。それをナルトは周知しており、拠点防衛の要領でどうやって無慈悲に的確にウラシキを殺すのかを考え…作戦を瞬時に立てる。

 

「木遁分身の術」

 

ナルトは木遁分身を3体作り出し、その木遁分身はボルト達の護衛につかせた。そして…本体のナルトは()()()

 

「なっ!?」

 

突如として消えた本体のナルト。ウラシキは白眼を用いて探すが既に遅い。何故ならナルトはウラシキの真上に飛雷神で飛んでおり、右手には緑色のハンドボール程の螺旋丸が既に構築されていた。

 

「きさ「木遁 宿木螺旋丸!!」ぎゃぁぁぁあ!」

 

不意打ちで放たれた飛雷神からの強襲螺旋丸。真上から螺旋丸を叩き付けられ、チャクラの奔流が大地を抉りウラシキを包み込む。

 

木遁の螺旋丸を解き放ったナルトは飛雷神でボルトの前に移動する。だが、ウラシキは人間と違って肉体も強靭だ。故に、何事もなく立ち上がる。

 

「この…人間がギャァァァァァァギァァ!!」

 

しかし、ウラシキは突如として全身から血潮を吹き出した。その原因は直ぐに理解できた。ウラシキの肉体を突き破り、数多の鋭利な大きな枝が内部から出現していたのだ。枝は内臓は勿論、腹膜、筋膜、筋肉、はては動脈を突き破り絶大なダメージを与える。

 

「うわ…えぐっ」

 

これにはボルトも唖然としてしまった。

 

木遁 宿木螺旋丸。それはナルトが螺旋丸と木遁 挿し木の術……木の杭をパイルバンカーの要領で相手の肉体に打ち込み杭を成長させ枝で内部から破壊する術を組み合わせた凶悪無慈悲忍術である。

これを喰らうと木遁の螺旋丸を受け、マイクロ粒子の種が対象に打ち込まれる。打ち込まれた種は螺旋丸の奔流が終わった瞬間に急激に成長し…内側から破壊するのだ。

 

「あ…ガァァァ!!殺す殺す!!殺す殺す!!絶対に殺してやる!!」

 

本来は即死しても可笑しくないが、ウラシキは生きて立ち上がっている。体の内部を突き破られ、言葉に出来ない激痛でマトモに思考も回らない。

 

「ギィィァァァ!!」

 

ウラシキは枝を掴み…それをあろうことか自分の皮膚を突き破り、肉体から抜き取った。抜き取られた枝には肉塊は勿論、内臓も着いており軽くトラウマものだ。勿論、それを抜き取った為に、ウラシキの腹部は背骨が丸見えと成ったが…瞬時にそれは治った。

 

「殺す!!殺してやる!!」

 

その刹那…ナルトが左手で持つクナイがバチンと電気を帯びる。

 

「なあ…レールガンって知ってる?」

 

ナルトがそう言った時…そのクナイは深く…ウラシキの脳髄に突き刺さった。

 

「ギャグゥウガ!!」

 

「準備しろ」

「おう」

 

ナルトの声に従い、木遁分身の1体が飛雷神でウラシキの後方に転移する。

 

そして本体のナルトはウラシキの懐に飛雷神で忍び込み、右手には群青色の螺旋丸が構築され…それをウラシキの腹部に叩き付けた。

 

「波動螺旋丸!!」

「アガァァァガ!!!」

 

星遁 波動螺旋丸の生み出す星の奔流に飲み込まれ、細胞レベルで破壊されていくウラシキ。そして、ウラシキが星の奔流と共に吹き飛ばされた瞬間…後方に待機していた木遁分身がダイヤモンドで出来た防壁を産み出した。

 

「剛遁 金剛壁」

 

ダイヤモンドの壁に阻まれる星の奔流とウラシキ。このお陰で、波動螺旋丸の被害は最小限に抑えられる。

 

――なんだ…なんなんだ!?この化物は!?逃げなければ…逃げなければ……ひぃ!!

 

波動螺旋丸の星の奔流に呑まれ、破壊と再生を繰り返しながらウラシキは思う。逃げなければ殺されると。

 

「そろそろだな」

 

ナルトは木遁を用いて木の刀を産み出し、構える。そして、星の奔流が止まった瞬間に瞬身の術で加速し、その速度を乗せて突きを放った。

 

「日の呼吸 陽華突!!」

「ぐび!?」

 

木の刀はウラシキの腹部に深々と突き刺さり、更にこの刀は木遁で出来ている。つまり……

 

「挿し木の術!!」

 

挿し木の術に派生し、内側から破壊する事が出来るのだ。

 

「ギャァァア!!」

 

再び、体を内側から枝で破壊される激痛を味わう事に成ってしまったウラシキ。

 

 

 

だが…そこに……

 

「助けに来たわよ!!イッセー!禁手を用いた火力砲撃!!ゼノヴィア!デュランダルの光力照射!!ギャスパーは神器で相手の動きを停めなさい!!最大火力で滅ぼすわ!!

ナルトはそこから離れなさい!!」

 

赤い龍の鎧を纏った悪魔一誠、デュランダルを構える悪魔ゼノヴィア、滅びの魔力を貯めた原作リアス、瞳を輝かせた悪魔ギャスパーが助太刀に来たのだ。

 

「よせ辞めろ!!」

 

ボルトが叫ぶが遅い。

 

砲撃は放たれ、ナルトは直ぐに飛雷神でボルトと子供達の側に転移し…土遁で防壁を貼る。

 

「良し…」

 

滅びの魔力、龍の魔力、聖剣の光力を輪廻眼で吸収し…その場に残ったのは大規模魔力で抉れたクレーターに巨大な斬撃の後だった。

 

「勝ったの?」

「…逃げられた。所でお前達、拠点防衛って理解してる?」

 

助太刀に来たのは嬉しかったナルト。だが、彼は怒った…それも笑いながら。当然だ、こんな孤児院の庭で禁手の大規模砲撃、伝説の聖剣の巨大斬激、滅びの魔力は余りにも危険すぎる。

輪廻眼の事はリアス達に教えてなかったら仕方がない。だが、これと大規模攻撃は別である。

 

「今から授業すっから、教室に来い」

 

ナルト先生による特別授業スタート。




次回!ナルト先生の特別授業!!

そこで…ナルトはおっぱいドラゴンを知る。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ドキドキ授業!ナルト先生!!

授業だってばさ


結論から言おう。ナルトのお陰で子供達の被害は出なかった。子供達の被害は(此処重要)

 

だが、ナルトがウラシキと戦った現場は酷い荒れようだ。大きなクレーターが出来ており、光の斬撃の跡もくっきりと残っている。現在はその荒れ地をレジギガス率いるレジ軍団が整地してくれているが、それでも修復に軽く見積もって3日はかかるだろう。因みにこれに関してナルトは殆んど関与していない、と言うかナルトは被害が最小限になる技しか使っていない。これに関してはナルトを援護する為に、大規模砲撃を何時もの調子で使ってしまった方々の責任である。

 

「なんで俺が此処で特別授業を行う事に成ったか分かるか?」

 

口癖のだってばよを使わず、大真面目モードに突入したナルト。そんなナルトの隣ではボルトが椅子に座っており、ナルトとボルトの視線の先には勉強机の席に座った原作リアス率いるグレモリー御一行が居たのだ。

 

「何処が問題だったのよ?」

 

この回には美食家一誠、学生リアス、イクサゼノヴィアは出てこない。故に悪魔一誠、原作リアス、悪魔ゼノヴィアは普通に呼ばせてもらおう。

 

リアスは少し御立腹だった。自分達はウラシキと戦うナルトを援護し、ウラシキを確実に滅ぼす手段を選び何時も通りの大規模火力に沿った必殺技をお見舞いした。結果的にはウラシキには逃げられたが、アレほどの攻撃だ。只ではすまない。

 

「仮に戦場が敵地だったとしよう。いや、敵地以外に採石場だったり大暴れしても問題ない場所なら何も言わん。改めて言うが…此処は何処だ?」

 

此処は孤児院千手の家。世界から見放され行き場の無い子供達が集まる所だ。人間や亜人は勿論、様々な人種が集っている。

 

「孤児院だろ?」

 

イッセーがそう言った直後…空間が軋み、ナルトを始点に床がひび割れ、壁に亀裂が出来た。

 

「だからだよ。お前、拠点防衛って理解してるか?お前達の戦い方は敵地での戦いや、巻き込まれる人がチームメイト以外居ないレーティングゲームなら良い。

だが、此処には戦えない子供達が殆んどなんだよ!!分かってるのか貴様ら!!」

 

ナルトの声が響き、チャクラの暴風が巻き起こる。イッセーはアトミックバズーカーを喰らったような鳩のような顔で悲鳴を上げ、リアスでさえもひっ!と声を出し、ゼノヴィアでさえもガクガクと震える。一方の悪魔ギャスパーとボルトは……パンツに染みを作ってしまった。

 

「それぐらいは分かってるわよ!!」

「それを分かってないから言ってるんだよ!!お前達が大規模砲撃を撃った時、俺が土遁で防壁を貼ってなかったら衝撃で被害が出た。ボルトは自力で避けられるかもしれない…でもレオナルドは?コニーは?サニーは?スターは?ルナは?俺の弟と妹達は確実に巻き込まれてた…最悪は命だって無かったかもしれない」

 

もし、あの時…ナルトが土遁の障壁を貼ってなかったら間違いなく衝撃でナルトの弟達は大怪我をしていた。

 

「拠点防衛や誰かを守りながら戦うのは周りに気を配れ。特に、お前とお前」

 

ナルトはリアスとイッセーを指差して更に続ける。

 

「私!?」

「俺!?」

 

「先ずはリアス・グレモリー。お前の魔力は滅びの魔力、塵遁と同じく数多を滅ぼす力だ。だが、その危険性を理解してるか?」

 

滅びの魔力は触れた全てを消し去る。その力はリアスには宿っており、リアスの象徴と言える力だ。

 

「その力を乱戦で使い…もし、仲間に触れた場合…その仲間は?

さっきみたいに使って守るべき人を消してしまったら…お前はどうする?例えば、そこの兵藤一誠に当たってしまったら?」

 

それは全てを消し去る。もし、仲間や大切な人に触れたなら思いでも全て消えてしまうだろう。

 

「あっ……」

 

イッセーに当たったら?そう言われ思い、改めて自分の危険な力の恐ろしさを理解したリアス。今まで自分は三大勢力の力の美学とも言える火力に物を言わせた滅びの力を思う存分に使っていた。もし、今まで通りに使っていれば……何時かは仲間や大切な人に当たるかも知れない。

 

「おい!言い過ぎだろ!!部長はそんなへまはしな「黙れ!!起きてからでは遅いのだ!!」ひでぶ!?」

 

ナルトがチョークを投げ、イッセーの眉間に直撃する。

 

「もっと周りを見ろ。お前達の戦い方じゃ、守るための戦いでも自分達で大切な存在を壊すぞ。その目は?その魂は?その力はなんの為に有る?

忘れるな…大いなる力には大いなる責任が伴う。お前達は責任を放棄し、ただ力を振るってるだけだ」

 

大いなる力には大いなる責任が伴う。ただ力を振るって敵を倒すのは暴力と変わり無い…鬱憤晴らしや自己顕示のような物だ。その力に見合った責任を持ち、正しく力を振るう…そうすればそれは人の為になるのだ。

 

「もし、お前の攻撃で関係無い人が巻き込まれてみろ。それはお前の責任だ…責任を放棄した大いなる力は暴力と変わらない。今日は俺が居た…だけど、お前達が並行世界の駒王の防衛やはぐれ悪魔の討伐で同じように力を使ってみろ…間違いなく関係無い人が犠牲になる」

 

ナルトに言われ、リアスは過去を思い出す。イッセーが禁手に至る前、普通の神器の状態で山を消し飛ばした事が有ったのだ。

 

「でも…イッセーは私達を守るために力を正しく使ってるのよ!その証拠も有るわ!!」

 

リアスはそう言うと、1枚のSDカードをナルトに差し出した。

 

「そこに…私達のレーティングゲームの記録が入ってるわ。見てみると良いわよ」

 

 

 

 

 

 

 

昼過ぎ。

 

お漏らしで染みが出来たパンツを綺麗で新鮮なパンツに着替えたボルト。ボルトが新しいパンツに着替えてから、ナルトとボルトはリビングに居た。

 

「マジで怒ったナルトの兄ちゃん怖すぎだってばさ」

「悪いってばよ。でもさ…彼処で怒らないと、アイツ等は2度と変わらないし」

 

ナルトは自分のノートパソコンを立ち上げ、そこにリアスから差し出されたSDカードを入れる。このSDカードにはリアス達が今まで戦ったレーティングゲームの映像が納められてるのだ。

 

――グレモリー眷属の記録

 

「「おっ、始まった」」

 

始まった記録映像。そこには幾つかの記録が納められており、ライザー・フェニックスとのレーティングゲームの記録、格上相手だった堕天使コカビエルとの戦い、ソーナ・シトリーとのレーティングゲームの記録だったりと沢山だ。

 

先ずは順番通り、ライザー・フェニックスとのゲームを見始めるナルトとボルト。この頃のイッセーは禁手は使えず、神秘の左右も分からないペーペーであり、我武者羅に動いていた。逃げずに歴戦のライザーの眷属達に立ち向かうのは評価出来るだろう。しかし…

 

『ドレスブレイク!』

 

イッセーが相手に触れ、指を鳴らした瞬間。相手の衣類が弾け飛び…相手は文字通りの丸裸にされてしまったのだ。

 

「はい?」

「ふぁ!?」

 

これにはナルトも唖然となり、ボルトも顔を赤くしてしまう。事実、原作ライザーの眷属は美女ばっかりであり、スタイルも抜群だ。実に恐ろしい。

 

次はコカビエルとの戦いだった。レーティングゲームではなく、正真正銘の殺し合い。コカビエルはじゃれあってるようだが、リアス率いるグレモリー眷族は本気だ。

 

「いや、立ち向かうのは良いけど…助けを呼べよ」

 

だが、リアスは魔王に連絡はしてなかったのだろう。事実、映像を見る限りでは自分達で戦っていた。伝説の存在相手で逃げずに立ち向かうのは評価出来る。だが、立ち向かう前に出来る事が必ず有った筈だ。

 

そして…次はソーナ・シトリーとのレーティングゲームだったが此処でもイッセーはセクハラな技を用いたのだ。

 

『パイリンガル!!』

 

パイリンガルと言うのはイッセーが相手のおっぱいから相手の心を暴くという恐ろしい技である。心と言うのは最も秘匿されるべき物であり、彼はそれを文字通り丸裸にしたのだ。

 

ナルトはゆっくりとパソコンを閉じて、SDカードを取り出した。

 

「ちょっと行ってくる」

「行ってらっしゃいてばさ…」

 

数分後、1人の男の悲鳴が響いた。

 

 

 

一方のnascita

 

「ふふふ、驚くなよギャスパー。我らがnascitaは駒王学園の夏の文化祭に出店する事にしたぜ!!」

 

仮面ライダーの方のギャスパーはnascitaで惣一からそう言われていた。

 

「何を出すんですか?」

「出張コーヒーとフリーマーケット」

 

しかし…彼等は知らない。この文化祭から異世界絡みの事件が加速する事を。

 

 

 

 

 

日本の何処か。

 

リアス達の援護を利用し、なんとかナルトから逃げる事に成功したウラシキは……全然回復しておらず、物凄く苦しそうだ。

 

「うっっ…ぐぅぅが…あの人間!!」

 

挿し木の術は何とか癒えた。だが、五大元素全てを合わせた星遁 波動螺旋丸のダメージは外見上しか癒えず腹部を抑えて苦しそうだ。

 

「ううーん!丁度良い所に居るな」

 

その声が聞こえ、ウラシキは声の方を見る。そこには青いスライムが居たのだ。

 

「それじゃあ…お前の身体を貰おうとしようか。仲良くしようぜ!全宇宙を俺が滅ぼすその瞬間までな!」

 

ウラシキはスライムに襲われ…その肉体を乗っ取られる。

 

「良く馴染むぜ……」

 

ウラシキ?の肌の色は人と同じく肌色に変化し、ウラシキ?はその場で一回転する。すると、衣類は変わりウラシキはインナー無しの赤スーツと成った。

 

 




果たして…ウラシキに取り憑いたナニかの正体は!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修行だってばさ

本日2回目。


ナルトぶちギレ説教、或いはボルトお漏らし事件から翌日。

 

「ナルトの兄ちゃんって結局、忍術以外に何が使えるんだってばさ」

 

朝食を食べ終え、ボルトはリビングでナルトから借りたお古のロールプレイングゲーム ポケットモンスター オメガルビーをやっていた。最新版もやってみたかったが、最新作(ソード)はナルトが現在進行形でやっており…ポケモンのお引っ越しが終わったオメガルビーをボルトは始めからやってるのだ。

 

「魔術、全集中常中、呼吸を用いた剣術、仙術とか。魔術は生まれの素質が必要だけど…全集中の呼吸は頑張れば誰だって習得出来て、チャクラを練らなくても高い身体能力を発揮出来るってばよ」

「知らないことが沢山だってばさ」

 

ふと、ボルトは思う。いっそのこと、この世界に留学して3年程修行するのも良いのかも知れないと。自分の世界には無い楽しいゲーム(ポケモンやドラクエ)、まだまだ学ぶべき忍術や技術等…沢山だ。母であるヒナタから聞いたが、ナルトも少年時代に修行で自来也と共に旅に出て、強くなったのだから。

 

「ナルトの兄ちゃん!ノズパスにひのこが効かないってばさ!ピカチュウの電気ショックも効かなくて倒されたし!!」

「五大元素の関係とポケモンの属性は違うから。にどげりで倒せるってばよ」

 

ワカシャモのにどげりが通用し、よし!とガッツポーズを決めるボルト。一先ず、ジムバッチはゲットである。

 

「そういや、ボルト。明後日、ギャスパーの通う学校で文化祭が有るけど行くか?」

「文化祭?勿論、行くってばさ!」

 

そう、明後日はギャスパーの通う駒王学園で大学主催による夏の文化祭が行われるのだ。学校関係者は勿論、ご近所の方々や駒王学園への入学を考えてる子供達もやって来るのである。

 

「さてと…あのカルテットをどうやって鍛えるかだ」

 

ナルトはSwitchの電源ボタンを押してスリープモードにし、考える。基礎や性質変化を鍛えてるボルトはマンツーマン等の修行を行えばどんどん強くなるだろう。

 

しかし…千手の家に滞在してるグレモリー御一行はどうだろうか?確かに鍛えれば彼等も強くなるだろう。だが、彼等は三大勢力での強さの美学である火力の高さを上げようとしてしまう傾向に有る。それだけじゃ、防衛戦や乱戦はアレだ。破壊だけじゃ必ず対応できない事態も絶対に出てくる。事実、先日にナルトがウラシキと戦った時は火力とパワーが高いだけではダメだ。それだけでは守るべき人に被害が及ぶ。

 

「アイツらに火力以外の戦い方を教えるにしてもな」

 

と…ナルトがぼやくと…

 

「おい!周りに気をつけろって言うなら…周りが大丈夫な必殺とかを教えてくれよ!!」

 

リビングの扉が開かれ、悪魔一誠がリビングに飛び込んできた。

 

「俺や部長だって一生懸命やってるんだよ!!お前みたいに…最初から強くないし…素質も無いし…教えてくれよ!」

 

――最初から強かった?なに言ってる。俺が最初から強い訳ないだろ

 

悪魔一誠の言葉を聞き、ナルトは心の中で思う。

 

――神器だって無い。父ちゃんや母ちゃんみたいに魔法も使えない。五大元素全部に素質が有っても複合で使えるのは全部乗せの星遁、木遁、剛遁しか使えない。

 

ナルトだって始めから強かった訳じゃない。神器だって無い、父や実弟2人と違って写輪眼も遺伝しなかった。有るのは母から受け継いだグルメ細胞と突然変異で目覚めた木遁に星遁位しかない。太陽の荒神?アレは五大宗家のお陰?だ、それが無ければ生まれつき生命力が高く性質変化に恵まれた位の素質しかない。今のナルトが有るのは自分で試行錯誤し、扉間やエンマの修行を頑張った為だ。

 

――何度も泣いた、何度も挫けかけた、何度も失敗した。何度…目の前の命を救えなかったか…分かってるのか?

 

木遁は柱間の真似事をしたり、父から教われる。しかし、父のエンマは木遁を使えるがやや劣化である木材木遁。柱間やナルトが使う本物の木遁と比べると少し劣るし、柱間はこの世界に居ない。だから自分で頑張るしかない。

星遁という前例が無い物は自分で考えて編み出すしかない。鉱物の性質変化である剛遁さえもエンマがポケモンのディアンシーの力を参考に編み出した性質変化、それを真似してるに過ぎない。

 

「分かった。良いだろう…ボルト手伝ってくれ」

「ナルトの兄ちゃんに頼まれたら仕方ないってばさ」

 

改めてナルトが修行をつけてくれる。その事実が動き出し、悪魔一誠は笑みを浮かべる。

 

「見ていろ…お前の技を覚えて、俺は絶対にハーレム王になってやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

その頃のnascita

 

「あの…この仮面ライダーを知ってますか?以前に会ったような気がして」

 

万丈はやって来たお客さんに、仮面ライダーが描かれたイラストを見せて貰っていた。その仮面ライダーは万丈が変身するクローズであった。

 

「アンタは?」

「私、馬渕 由衣です」

 

だが…万丈は知らない。明後日、とある出来事が起きて彼女からこう言われることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――仮面ライダーが助けてくれるなんて、2度と思わないから。




着々と進むVシネクローズ。

次回!強くなるために、周囲に被害が出ない必殺技をナルトから教えてもらうグレモリー御一行。

悪魔一誠「螺旋丸が出来ません!!」



でも、これ…もし原作の補正があれば…原作一誠は飛雷神と螺旋丸、もしくは木遁覚えちゃうかもしれないのが恐ろしい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

破壊力重視

(0W0)ウェイ!!


千手の庭に有る演習場。そこならば多少暴れても問題は無い。そこにナルトの飛雷神でやって来たナルト、ボルト、そして千手の家に滞在してるグレモリー御一行のカルテット。

 

「先ず、そっちじゃ火力重視の範囲攻撃は美徳かも知れない。だけど、俺から教えを受けてる間はその事を忘れろ。良いな」

 

ナルトに言われ、一先ず火力重視の強さを忘れる事に成ってしまったグレモリー御一行。彼等の世界では火力の高さが全てであり、火力の高さ=強さのような物だ。中にはサイラオーグと言う悪魔のように火力ではなく腕っ節で戦う猛者も居るのだが、それは極少数。彼等の世界では火力が高く、一撃で辺りを滅ぼせる力が強いのだから。

 

「俺が今から教えるのは火力重視の範囲攻撃ではなく、破壊力重視の技だ。なにより、直ぐ様発動でき奇襲にも向いてる。印も詠唱も要らない…便利だってばよ」

 

魔術=基本的に詠唱や触媒が必要。忍術=基本的に印を結ぶ必要が有る。だけど、ナルトが今から教えるのは印を結ぶ必用が無く魔力orチャクラさえ有れば原理上は習得が可能な奇襲忍術である。

 

「なんだよ、それ」

 

と気になる悪魔一誠。彼としては火力重視の戦い方を否定された為に、その破壊力重視の必殺技が非常に気になるのだ。

 

「螺旋丸だ。お前達が覚えられるかは別だけど」

 

ナルトはそう言い、印を高速で結ぶ。そして忍術を発動させた。

 

「木遁 樹海壁」

 

ナルトが発動させた忍術は木遁 樹海壁。幾重にも網状に重なった木々を生やして木の壁を作り出す忍術だ。樹海壁は網目状に木々が重なっており、木遁の防御忍術の中でもかなりの耐久力が有るし、魔力やチャクラを任意で吸い取る性質も有ってか、忍術や魔術に対しても防御力が高い。とは言え、今回は修行の為にチャクラ吸収をナルトは任意でoffにしている。

 

「先ずは参考が必要だ。お前、禁手の鎧を発動し適当に殴ってみろ」

「おう、良いぜ」

 

とは言え比較対象が必要だ。悪魔一誠は禁手の鎧を用いて、樹海壁を殴る。だが、樹海壁はびくともしない。

 

「あっあれ!?くそ、これならどうだ!」

 

悪魔一誠は後ろに飛び下がり、魔力を集めて魔力の玉を作り出す。そして、それを殴り飛ばした。

 

「ドラゴンショット!!」

 

山さえも一撃で消し飛ばすその技の名前はドラゴンショット。倍加を行って放てば、辺り一面を更地に変える事さえも可能な必殺だ。上級の存在さえも消し飛ばし、生きる事さえも許さない。

 

「えっあれ?」

 

だが、樹海壁には傷は無かった。いや、損傷しても修復していく。

 

「ただ魔力等を放出する火力が高い攻撃じゃ駄目だ。火力ではなく、破壊力重視の技じゃないとな」

 

と…ナルトは言う。すると、ナルトの右の掌にチャクラが乱回転していき…それが高速回転を行って圧縮されていく。そして、ハンドボール程の大きなチャクラの球体に成ってしまった。あまりの高密度で回転するチャクラの球体を見て原作リアスは勿論、グレモリー御一行は目を開く。

 

「なんて…高密度な魔力の塊なの。それを形にして回転するなんてどうかしてるわ…」

 

と唖然する原作リアス様。

 

「チャクラを放出、乱回転させて球体を作り出し、それを圧縮して限界まで破壊力を高める。印は要らず、魔力かチャクラさえ有れば原理上は誰でも習得できる。これが…螺旋丸だ!!」

 

ナルトはそう言い、高密度のチャクラの球体…螺旋丸を樹海壁にぶつける。莫大なチャクラの塊である螺旋丸は樹海壁の壁を抉り、一誠のドラゴンショットでさえ傷つかなかった樹海壁に、螺旋状の人間大に抉られたクレーターが出現したのだ。

 

「うわ…やっぱり俺の螺旋丸よりも強いってばさ。これで普通の螺旋丸だなんて」

「それじゃあ…ボルト。お前の螺旋丸も見てやるってばよ」

 

ナルトに言われ、ボルトは頷き…ナルトより小さいが螺旋丸を作り出した。しかし…ナルトの螺旋丸と比べると色素が少し薄い。

 

「ナルトの兄ちゃん。見とけよ…これが俺の消える螺旋丸だってばよ!!」

 

消える螺旋丸。それに関してはナルトもボルト本人から聞いている。この消える螺旋丸だが、ボルトが螺旋丸を習得する際の修行の段階で偶然的に編み出した物だ。ボルトは修行の最中に雷の性質変化を組み込んでしまい、小振りで威力は低いが同時に投擲でき…放たれた最中に透明に成ってステルス性の高い螺旋丸と成ったのだ。

 

そして、ボルトはその消える螺旋丸を投げた。消える螺旋丸は軌道上で透明になり、樹海壁を小さく抉った。

 

「これは奇襲にはもってこいだな。螺旋丸は一応、属性の性質変化を組み込ませる事が出来る。その…完成形を今から見せるから、少し離れるか」

 

と…ナルトは告げて、彼等は樹海壁から20メートルほど離れる。

 

そして、ナルトは一歩前に踏み出すと…右手を上に掲げた。

 

「星遁 波動螺旋銀河」

 

ナルトの右手の掌にバスケットボール大の波動螺旋丸が構築される。更にその波動螺旋丸の周囲に星雲の刃が構築されて高速回転を行い…まるで手裏剣のように成った。

 

「これって…バカ親父の螺旋手裏剣!?螺旋手裏剣の星遁バージョン!?」

 

ボルトが驚き、ナルトはその螺旋丸の完成形 星遁 波動螺旋銀河を樹海壁に向けて高速で投げ飛ばした。

 

波動螺旋銀河は樹海壁に直撃し…莫大な星の奔流と共に樹海壁を消し飛ばしてしまった。

 

星遁 波動螺旋銀河。これはナルトが七代目火影が用いる風遁 螺旋手裏剣を参考に、星遁 波動螺旋丸の星遁の性質変化を最大限に昇華させた代物だ。星の性質変化を突き詰め、最強の破壊力を誇る術であり…ナルトの必殺技の1つである。

 

「はっ?」

 

「へ?」

 

「うそーん」

 

と反応が様々なグレモリー御一行の皆様。

 

「所で1つ確認だけど、お前達は性質変化と形態変化って何処まで理解してる?」

「えっ?性質変化?形態変化?いや、なんだよそれ?初めて聞いたぞ」

 

その瞬間、ナルトとボルトはずっこけ…グレモリー御一行には本当に初期から教える羽目に成るのだった。

 

 

 

 

 

「良いか?説明すんぞ…先ずは性質変化からだな」

 

ハァーと溜め息を吐きながらナルトは説明を始める。その際に円に沿うように炎→水→土→雷→風→と地面に書いた。勿論、円に沿ってるので風の次は炎と成っている。そして、その円の隣に陰陽と書いたのだ。

 

「性質変化はチャクラや魔力の性質を変えて、属性を付加させてるんだよ。この炎、水、土、雷、風は五大元素って言われている。陰陽と言う物も有るけど、この五つは掛け合わせが出来て全ての属性はこの五つと陰陽から作られてる。

五大元素には優劣が有って強い弱いが有る。炎は水に強く、水は土に弱い。この地面の図は属性の優劣を表してるんだ」

 

と…一から性質変化の説明を行うナルト。

 

「つまり、私の滅びの魔力や朱乃の雷のような感じなのね!」

「うん…まあ、滅びの魔力とかの話になると神の権能とかそっち系の話に成るから一旦置いておこう」

「千手。お前の使ってる木遁とか星遁って何処だよ。無いじゃないか」

「掛け合わせ出来るって言ったろ?星遁はこう、木遁はこうだ」

 

ナルトはそう告げ、地面に火+水+土+雷+風=星と書き続いて水+土+陽=木と書いた。

 

「陰陽の詳しい説明は飛ばすけど…陰は精神に、陽は生命力に関係する。

木遁は樹木という生命を生み出し、自在に操る忍術だってばよ。そんで、形態変化の説明と行くぞ」

 

続いては形態変化の説明に移動する。形態変化とは忍術や魔術の形を変えて、攻撃や防御に転用する事である。

 

「形態変化はチャクラや魔力の形を変えることだ。防御障壁を張ったりする事が有るだろ?アレは魔力を障壁として形態変化させてるんだってばよ」

 

ナルトに言われ原作リアスは思う。彼女達は相手の攻撃を防ぐ際に、防御障壁を張ったことが有る。それも形態変化である。

 

「他には魔力を剣の形にしたりもそうだ。性質変化と形態変化は組み合わせが出来て、土遁で土の壁を作ったり、火遁で火球を打ち出したり様々だってばよ。ただ、螺旋丸でこれを行うのは非常に難しい。何故なら、螺旋丸は形態変化だけであの破壊力を生み出した形態変化を限界まで突き詰めた忍術だからだ」

 

(その螺旋丸に木遁と星遁ぶちこんじゃったナルトの兄ちゃんはやっぱり、可笑しいってばさ)

 

「その螺旋丸の修行段階は3つ。回転と放出、次に威力を上げる、そしてその2つの経験を生かして貯めるだ」

 

すると、ナルトは何処から水風船を取り出して原作グレモリー御一行に手渡した。

 

「先ずはそれを、チャクラの回転だけで割ってもらう」

「「「これが修行!?」」」

 

そう、螺旋丸の第一歩の修行は水風船をチャクラの回転だけで割るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに?想定外の事態が起きただと?」

 

魔法省の扉間の部屋。

 

サスケはそこで扉間と話し合っていたが、そこに想定外の人物がやって来て想定外の事を告げたのだ。その想定外の人物とは、神様こと葛葉紘汰である。

 

「忍界から流れたウラシキが…並行世界同士の綻びを生み出した存在に寄生された。もう、ウラシキの自我は完全に消された。

そいつの名前はキルバス。このままでは並行世界を含めた宇宙が消滅する可能性が高い」

 

すると、扉間のデスクの電話が鳴り、扉間は電話に出る。

 

「ワシだ。なに?国立アンノウン対策研究所が襲撃され、予備のビルドドライバーが盗まれた?」

 

 

 

 

 

 

 

一方の欧州。まだ解放されていない地域だったが、1つの噂が流れていた。

 

(0W0)「ウェイ!!」

 

ヘラクレスオオカブトを人の形にしたような怪物が、人々を救ってると。

 

あと、その怪物は日本語等の言語を話せるそうだが…感情が高ぶると物凄く滑舌が悪くなるらしい。

 

(0W0)「ウェェェェイ!!」

 

その怪物の渾身の飛び蹴りがショッカーの怪人に直撃する。

 

「みっ…ミカエル様……申し訳ございません!!」

 

そのショッカーの怪人は盛大に爆発した。




次回…遂に始まった駒王学園夏の文化祭。だが、そこで遂にキルバスが動き出す。

しかし…文化祭は色んな人が訪れる。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夏の文化祭

(0w0)がオンドゥル語を話す際は、(0w0)だけ台本形式に成ります(笑)


「ナルトの兄ちゃん!?早いってばよ!!」

「電車で行っても良いけど、こっちの方が楽しいだろ?」

 

駒王上空。ボルトの楽しそうな…それでも怖そうな悲鳴が響いた。当然だろう、ボルトは人生初の経験を行っていたのだから。その経験とは、伝説のポケモン ギラティナの背中に乗っての超高速移動である。

 

ギラティナの背に跨がるのはナルトのボルト。2人は駒王学園で行われる夏の文化祭に参加するために、ギラティナに乗って移動してるのだ。残念ながら、ナルトは駒王学園に飛雷神のマーキングを施しておらず…普通に向かうしか無いのだ。まあ、帰りは飛雷神で一瞬なのでそれは別に良いだろう。

 

「しかし…空から見下ろしても来てる人は多いな。流石は大学の文化祭」

 

駒王学園の運動場は臨時の駐車場と成っており、その運動場は半分ほど埋まっていた。とは言え、今日は文化祭の他に学校見学や説明会等も行われており、それ目当てでやって来た人達も居るのだから仕方ないだろう。

 

 

 

適当な所に降りて、ギラティナをモンスターボールに戻したナルトはボルトと共に駒王学園を探索する。モンスターボールの秘密?企業秘密である。

 

「すげえ…日本って俺の世界より文明が進んでるってばさ。学校もアカデミーよりも大きいし、本当にすげえ」

 

とうのボルトは幼稚園から大学院まで一纏めに成った駒王学園が珍しく、自分の母校よりも大きいためか気になるように学内を見回していた。

 

「ナルトの兄ちゃんが通う高校も…此所見たいにでかいのかってばさ?」

「いや、俺の高校は普通の公立だし。此所みたいに幼稚園から大学院まで一纏めに成ってないから小さいぞ。食堂も…ザ学食って感じだってばよ」

 

三咲高校は普通の高校であり、駒王学園ほど規模は大きく有りません。

 

――おにいちゃーーーん!

 

そんな声が遠くから響き、()()()()()()を輝かせた男の娘がナルトにタックルするように抱きついた。

 

「ひでぶ!?」

「ナルト。弟子がすまんな」

 

その声が聞こえ…ボルトは前を見る。そこにはスーツ姿のうちはマダラが立っていた。

 

 

 

 

 

「よってらっしゃい!!見てらっしゃい!!早いし、旨いし、面白そうな物が揃ってるよ!!」

 

外来の出展者が店舗を展開してる一角。そこでは惣一率いるnascitaチームが出張nascitaとフリーマーケットを展開していた。出張nascitaで惣一はコーヒーを来賓者や学校関係者に振る舞い、万丈はフリーマーケットの店長としてリサイクル品や戦兎作のオモチャを販売している。

 

「てかよ、マスター。戦兎と美空どこ行った?」

「デートだよ。美空はギャスパーと回ってるし、戦兎はナイトちゃんとね。美空とギャスパーは兎も角、戦兎とナイトは結婚秒読みじゃないのかな?」

 

なんと言う事でしょう。まあ、美空はギャスパーと共に回ってるのはクラスメートだから理解は出来る。しかし、問題は戦兎とナイトである。戦兎も良い歳してるし(27歳)結婚しても可笑しくない年頃だ。そろそろ、婚期の限りが迫ってくるので…戦兎と万丈の事を息子のように思ってる惣一からしたら嬉しい事だ。

 

「戦兎が結婚ね…てか、ナイトって軽く1000歳越えてたよな?」

「女性に年齢はタブーだぞ?ファンガイアでは若い方かも知れないし」

 

 

 

 

 

 

「「ぶえっくしょん!!」」

 

一方その頃、出店を楽しんでいた戦兎とナイトは盛大にくしゃみをしていた。勿論、くしゃみをした原因は万丈と惣一が噂話をした為である。

 

「すまない。写真を1枚とって良いか?学園から来年のパンフレットや写真モザイク画の為に来賓者が楽しんでる所の写真撮影を頼まれてるんだ」

 

と、声をかけられた戦兎とナイト。声の方を向くとそこには20代前半程の青年が一眼レフを持って立っていたのだ。しかし、青年から発せられるオーラは微妙に人間とは異なる。

 

「良いですよ。所で…貴方は?」

「俺は相川始。フリーのカメラマンだ」

 

青年は相川始と言うようで、始は名刺を取り出しては戦兎とナイトに手渡した。

 

――フリーカメラマン 相川始。人種アンデッド。

 

と書かれていた。

 

「アンデッド!?」

「あっ。ゾンビとかじゃなく…意味合い的にはイモータルに近いんだ」

 

 

 

うちはイタチとうちはサスケはこの文化祭を楽しみながら…警戒しながらとある人物を探していた。

 

「兄さん。ヤツは本当に現れるのか?」

「日本の監視網を舐めるな。大体の場所は把握してるさ…」

 

2人が探してるのはウラシキもといキルバスであり、キルバスは日本が誇る優秀な警察官や街中の監視カメラが調べた結果、この駒王に潜伏してる可能性が高いのだ。

 

「それに…アンノウン対策研究所から助っ人も居る」

「あっ…あの感情が高ぶると、滑舌が変になる人か」

 

 

 

ではその滑舌が変に成る人は…

 

「この焼き鳥は旨いな。剣崎、ヨーロッパはどうだ?」

(0w0)『ダディナァーザン!?』

 

欧州で怪物の姿で人助けを行う英雄と国際電話で話していた。

 

 

 

 

 

 

「おっ!お客さん。それが良いのか?」

 

一方、nascitaのフリーマーケット。そこにはウラシキもといキルバスがやって来て居たのだが、万丈はキルバスの事を知らない。

 

キルバスは蜘蛛型のオモチャを手に取ると、笑みを浮かべる。

 

「これをもらおう」

「それ、500円だぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ?」

 

 

 

 

 

 

突如、万丈はキルバスの発した斥力場で吹き飛ばされ…頭を捕まれる。

 

「それじゃあ…お前の力を使ってパンドラボックスを作ろう!!」

 

キルバスが万丈の左手を掴み、地面からパンドラボックスと呼ばれる黒い四角の物体が出現した。そして、キルバスがそれに触れると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「我が名はベルナージュ。どうやら、旧時代の神の神器を真似し、私を神器として遺す事には成功したな。

ほう、エボルトよりも危険な存在がやって来たか」』

「みーたん!?あと、別人の声が!?てか、ベルナージュって誰ですか!?」

 

並行世界に関連する人は記憶が戻った。

 

「うぉぉぉぉ!?ゲイツ!変な記憶出てきたけど!?」

「俺もだソウゴ!変な……感じだ」

「おお、我が王に王の友ゲイツよ。記憶がお戻りで」

 

戦兎達の知らない人も記憶が戻っていた。




次回…遂に現れたキルバス。そのキルバスのお陰で記憶が戻った?人達。

キルバスVS忍者+仮面ライダーの初戦が始まる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キルバス

結論、乗っ取られたヤツがヤヴァイ分キルバスがヤベー(笑)


「離せってんだろ!!」

 

万丈は元格闘家だ。それ故に生身でもそこそこ戦う事が出来、遺伝子的にはエイリアンと人間のハイブリッドである。それ故か仮面ライダーに成る前から身体能力には優れており、生身の徒手格闘で機械仕掛けの警備員 ガーディアンをスクラップに変える事が出来る。

 

その身体能力と元の世界での格闘家として活動してた経験から繰り出される体術は忍者に匹敵しており、万丈は自分の頭部を掴んだキルバスの腕を掴み…キルバスの中指を反対方向にへし折り、力が緩んだ隙にキルバスを投げ飛ばした。

 

「ほほう…エボルトの癖にやるじゃないか」

 

だが、キルバスは空中で何事もなく体勢を整えると軽やかに着地した。それに既に指の骨折も癒えてる。これは大筒木の一族であるウラシキの肉体故の再生力だろう。

 

しかし、キルバスは万丈からすれば聞き捨てられない言葉を告げた。そう、エボルトと。

 

「エボルト!?お前…エボルトを知ってるのか!?まさか…お前が並行世界からやって来た侵入者!?」

 

万丈がそう言うとキルバスは舌で自分の口元を舐め回し、笑みを浮かべた。その反応からすればエボルトを知っているのだろう。

 

「勿論。なにせ、俺の世界でのエボルトを殺したのは俺だからな。エボルトだけじゃない…この肉体の一族である大筒木も俺が滅ぼした。まあ、俺の世界じゃ大筒木は此所まで強く無かったがな。それでも、この肉体の主は俺より遥かに弱い。

俺はキルバス…エボルトの兄さ。宜しくな、エボルトの力を持った第三惑星人」

 

此所で万丈は目の前の男の正体を知る事になる。男はキルバス、万丈と戦兎が戦った並行世界での黒幕 エボルトの兄であり、数多の星を滅ぼした存在。彼が滅ぼした星の中にはエボルト達の惑星も含まれており、あろう事か自分の惑星すらも滅ぼしたのだ。

 

コイツは危険だ。そう、判断した万丈は腰にビルドドライバーを巻いた。

 

「ふーん。エボルトの物を真似て作った物だったな。俺も借りたが…変身するまで待ってやるよ」

 

と…万丈に対し、キルバスはかなり余裕だ。今の肉体であるウラシキがどれ程のスペックかは分からない。だが、少なくとも純粋な人間より遥かに強いのは確かだろう。

 

「変身!!」

 

直ぐ様、万丈は仮面ライダークローズに変身し…キルバスに殴りかかる。しかし、万丈の拳は当たらず…キルバスはクローズの視界から消えてしまった。

 

「どこ「後ろだよ」ぐぅぅは!?」

 

背後から蹴られ、物凄い勢いで地面を転がる万丈。だが、万丈は並行世界とこの世界で様々な戦いを経験し今では歴戦の戦士と成っている。万丈は何とか立ち上がり、先程自分が立っていた所を見る。そこにはキルバスが立っており、キルバスはどや顔で笑みを浮かべていた。

 

「ううーん…なるほど。チャクラはこう使うのか!」

 

キルバスはそう言い、ウラシキの記憶から得た知識でチャクラを練り上げ…掌から爆炎を解き放ち…直撃を受けた万丈は吹き飛び…

 

「ぐぅぅがは!?」

 

変身が解除され、苦しそうに咳き込んでしまった。

 

「それじゃあ…お前を殺して、最高のパンドラボックスを作ろうか」

 

キルバスは腰をクネクネと振りながら、変態的な動きで万丈に近付いていく。このままでは万丈は殺されてしまう。その時…何処からエンジン音が聞こえてきた。

 

「む?」

「あう?」

 

その刹那…何処から飛んできた空を飛ぶ車が猛スピードでキルバスに激突し、キルバスは背骨をボキッとやられて物凄い体勢で地面を転がり、ばったりと倒れてしまった。

 

「く…車が飛んできてキルバスを轢き殺した!?」

 

その車は華麗にドリフトを決めて、万丈の前に停車した。すると、車から万丈の知らぬ黒人と白人の親子ほど歳の離れた2人組が出てきたのだ。

 

「K…これ、不法侵入にならない?」

「安心しろJ。Mr.扉間と秋月総理から許可は貰ったさ。しかし、絶滅した筈の大筒木一族にブラッド族が並行世界からやって来るとはな。どちらも母星が滅び、1人も残らずに全滅した筈だが…並行世界とは興味深い」

 

そう、その2人とは懐かしき登場人物であるメン・イン・ブラックのエージェントであるJとKである。忘れてる人の為に説明するが、黒人の若い方がJで白人のおっさんがKである。

 

しかし、車から出てきたJとKのエージェントコンビは懐から光線銃を取り出して構える。勿論、狙いは倒れ付したキルバスである。

 

「蘇生と分離の隙を与えるなよJ!」

「勿論だ、K!」

 

そして引き金を引き、光線銃からビームが何発も発射され…キルバスの肉体を貫いた。だが、ゴキゴキと骨が修復される音が響き渡り…まるでゾンビが立ち上がるような動きでキルバスは立ち上がった。

 

「ふっ…」

 

キルバスの瞳が輪廻眼に変化し、その瞬間…キルバスを支点に莫大な斥力場が発生し…

 

「ぐぅぅぅわ!?」

「ぬゅゅゅおお!?」

「ほんげーー!?」

 

万丈、J、Kは吹き飛ばされ2人が乗ってきた車はボコボコに破壊され…吹っ飛ばされた3人は盛大な勢いで地面を転がった。

 

「輪廻眼とは便利な物だな」

 

と…今度は白眼に瞳を変えたキルバス。白眼の力で辺りをサーチしてみると、騒ぎに気付いて大勢の人々が去っていく。いや、だが一部の存在は此方に物凄い勢いで近付いていく。その近付いていく人物の中にはナルトやボルト、マダラ等の姿も有り…仮面ライダーと呼ばれる人物の姿も有った。

 

纏めて全員殺してやろうかと思ったキルバスだったが、直ぐに考えを改める。

 

「黄金の果実……」

 

自分でさえも勝てない存在が含まれてる事を理解し、キルバスは不思議な力でその場から消えた。

 

 

 

「貴方だったのね…あの仮面ライダー」

 

そんな声が聞こえ、万丈は後ろを振り向く。そこには先日、クローズのイラストと共に来店した美女 馬渕由衣が立っていたのだ。

 

「お前…見ていたのか?それより、怪我は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、返事は万丈が思っていた物と違った。

 

「心配されたくない。助けてくれない仮面ライダーなんかに」

 

「仮面ライダーに助けてほしいなんて、2度と思わないから」

 

――はい?

 

「だって…あの時、私や子供達の助けてを無視して見殺しにしたじゃない!!

仮面ライダーは正義のヒーローなんでしょ?なんであの時…助けてくれなかったの!!」

 

そう、先程…キルバスがパンドラボックスに触れた影響で並行世界に関わる一部の人達は記憶が戻った。その中には由衣も含まれており、並行世界での彼女は万丈に助けを求めたが

 

 

 

 

 

 

 

 

万丈に声は届かず、その時の万丈は()()()()()()()()()()()()()()()の為にしか戦えず厳密には正義の味方ではなかった。

 

大いなる責任も果たせず…当時の彼は馬渕由衣という女性とその教え子達を見殺しにしてしまっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その事実が、万丈の心に深く突き刺さった。

 

 




次回!情報整理…そして、万丈が真のヒーローとして覚醒していく。

クローズエボル降臨まで…残り2から3話


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

情報整理だってばさ

万丈…覚醒


結論から言おう。文化祭は中止に成った。当然だろう、突如として現れたキルバスが暴れた為に文化祭処では無いのだから。大学部の校内は全て関係者以外は立ち入り禁止と成っており、今頃は警察が鑑識等を行ってる頃だ。

 

「しかし…nascitaがこんなに混むって中々無いぞ」

 

文化祭は中止に成り、nascitaのメンバーは一先ずnascitaに帰ってきた。しかし、万丈がキルバスに襲撃され…そのキルバスが誇る圧倒的な力を改めて実感した人類。そんな仮面ライダーと魔法省の面々はnascitaに集まり、情報整理や小休憩を行っていた。とは言え、中には部外者も居る…それはつい一時間程前…万丈に「仮面ライダーに助けてほしいなんて2度と思わないから」と告げた馬渕さんである。

 

「いや…すまない。実は俺も仮面ライダーでな、心は人間だ。訳有って2度と日本に帰れない友の代わりとは言え、力に成りたくてな」

 

「俺もだ。所で…パスタのお代わり貰って良いか?」

 

仮面ライダーからはフリーカメラマンである始。そして対アンノウン研究所から派遣された研究員兼仮面ライダーである橘朔也である。なお、2人……特に橘は感情を込めすぎると滑舌が悪くなる。

 

「うげ…ナルト兄ちゃん。コーヒー苦いってばさ」

「いや、砂糖入れろよ」

 

そして我等が忍者からはナルト、ボルト、サスケ、イタチ、本業としてアイドルプロデューサーを行ってるマダラ。そして、マダラがプロデューサーとして面倒を見てる男の娘である。

 

「てか、お前…女々しい顔してナルト兄ちゃんの事をお兄ちゃんって呼んでるんだってばさ」

「いや、だってね。僕はお兄ちゃんの実の弟だからさ」

 

と言うのは1年ぶり、主に冬木でアイドル業務を2人の姉と行う遠坂イナバである。相変わらず、顔だけは女の子である。

 

「えっ!?実の弟!?マジで!?オグナさん以外に居たの!?てか、エンマのおっちゃんにも青子のおば…姉ちゃんのどっちにも似てないってばさ!?」

「複雑な事情が有るんだってばよ…因みにボルトの2つ年上だから、今は中3だな」

「イワベエと同じ年!?」

 

その事情を話せば、間違いなくイギリスは人体実験等の秘密を暴露され…アベンジャーズの総攻撃を受けて滅んでしまう。

 

後はと言うと、いつも通りnascitaの面々+乗ってきた車が盛大に破壊されたJとKだ。だが、万丈は何処か落ち込み…元気は無い。当然だが、万丈に視線を送るのは馬渕由衣。彼女は……並行世界での記憶が戻ったのだが、当時の万丈に助けを求めたが助けて貰えず…悲惨な末路を迎えたのだ。

 

もし、あの時…万丈が彼女の叫びに答え助けることが出来たなら…どれほど良かったか。気付いていれば運命を変えれたのは間違いない。その事が…後悔が万丈の心を燻っていく。

 

「コーヒー、ご馳走様でした」

 

しかし、そんな万丈にかける言葉は無く由衣は立ち上がりnascitaを去ろうとする。

 

「馬渕さん。確かに…並行世界が合体する前、万丈は貴方達を助けなかったかも知れない。それは事実だ」

 

惣一がそう言い、由衣は扉の前で静止する。

 

「万丈を弁護するように聞こえるが…あの時の万丈は心に余裕がなかった。本当に…誰が見てもな。

心に余裕がなく、自分とその周りの為にしか戦えなかった。おじさんの古い友人の言葉だが、大いなる力には大いなる責任が伴うってある。その時の万丈は変身する力は持っていたが、責任を果たすことは出来なかった。そう言う意味では…コイツは仮面ライダーであっても仮面ライダーというヒーローじゃなかった」

 

「でも…今は違う。万丈はもう自分の為だけではなく、誰かの為に戦える。大いなる責任も果たせる。

万丈と戦兎はね…俺の息子のような者なんだ。だから、息子を…万丈を…クローズという仮面ライダーをもう一度信じてくれないか?コイツにチャンスを与えてくれないだろうか?」

 

惣一はエボルに寄生されて表に出てこれなかったが、万丈と戦兎達を並行世界から見守ってきた。当時の万丈は惣一の目から見ても心が追い込まれ、余裕という物がなく自分の為にしか戦えなかった。

だが、今は違うことも勿論、知っている。並行世界での戦いやこの世界でのヒーロー活動を行い、万丈は成長したのだから。

 

――ごめんなさい

 

小さくそう言って、由衣はnascitaを去っていった。余談だが、コーヒー代は惣一の奢りなので問題はない。

 

「確かに…昔のお前は仮面ライダーであってヒーローでは無かったかも知れない。

俺もそうだった。心が弱くてな…本当に情けなかった。良いんだよ、挫けたって躓いたって…もずくに浸かってもな。それでも…ボドボドに成っても立ち上がるんだ」

 

パスタのお代わり(3杯目)を食べ終えた橘が万丈を勇気づけるように励ます。

 

「いや…もずくは無いでしょ」

 

万丈、メンタルをやられてもツッコミを入れる。

 

 

 

 

「奴はキルバスという名前らしいが、俺からはキルバスが寄生した存在の事を伝える。

キルバスが寄生し乗っ取った存在の名前は大筒木ウラシキ。俺達の世界からやって来た大筒木一族と呼ばれる早い話宇宙人だ。奴は白眼や輪廻眼等の魔眼を持っており、瞬時に切り替えることが可能だ。キルバスが何処までウラシキの力を使いこなせるか分からないが、ウラシキはチャクラを釣糸に形態変化させ…相手のチャクラを奪い自分のチャクラにすることも出来る」

 

とサスケがキルバスに肉体を乗っ取られた存在である敗北者のウラシキをnascitaに集った面々に伝える。

 

「大筒木?カグヤの同族か」

「ああ、俺達も詳しい事は調べてる途中だがな。少なくとも、カグヤのような存在が第四次忍界大戦の十数年後、3体もやって来た」

 

すると、今度はKが手を上げる。

 

「私から追加だ。大筒木一族とキルバス等のブラッド族はエイリアンだがどちらも共通点が有る。それはどちらも星を狩っていく種族だ。とは言え、この世界のブラッド族も大筒木一族も既に母星が滅んで絶滅したがね。

キルバスが大筒木の力を全て掌握したら大変だ。仮に倒せても、存在のバックアップを他人に刻み…やがては復活してしまう」

「存在のバックアップ?」

「大筒木はカーマと呼ばれる刻印を他者に刻むことが出来る。その刻印は菱形をしており、簡単に言えばデータ状に変換された大筒木のバックアップだ。それが完全に凍結されれば、刻まれた個人の自我は消滅しその大筒木に乗っ取られてしまう。ウラシキがキルバスに乗っ取られたとしたら…キルバスも原理的にはそれを行えるという訳だ。キルバスが大筒木の力を全て理解する前に、速やかに殺す必要が有る」

 

どうやらK曰く、大筒木一族には自分が死んでも復活出来るようにバックアップを刻める事が可能なようである。それはカーマと呼ばれる物であり、なにやら菱形の刻印のようだ。

 

そして…思いっきり、心当たりが有るボルトは自分の右手の掌を見る。そこには菱形の刻印が刻まれていたのだ。

 

「いや…まさか…そんな事は…」

「ボルト。それは?」

「モモシキって別の大筒木を倒した時についたんだってばさ。なあ、外人のおっちゃん…これって」

 

ボルトはKに掌の刻印を見せる。

 

「ああ…私が見た資料と全く同じだ。間違いなくカーマだろう」

 

なんという事でしょう。ボルトの掌に刻まれた菱形の刻印は大筒木モモシキのバックアップだったのだ。

 

「なんとか成らないのか?コイツは俺の弟子で、親友の息子なんだ」

「時を部分的に戻す魔法、そして神がかり的に優れた封印術は絶対に必要だ。原理的には可能だが…人間の手では無理だ」

「あっ…なんだ、母さんと父ちゃんなら余裕だってばよ」

 

すると、ナルトはボルトの腕を掴み…

 

「俺、ちょっとボルトを助けてから参加する。大丈夫、用が終わったら直ぐに戻るってばよ!!」

 

そして…ナルトはボルトを連れて飛雷神で何処かに消えた。恐らく、飛んだ先は千手の家だろう。

 

「ボルトのカーマの事は…ナルトの両親に任せてと」

 

しかし、時間は無い。何故なら、キルバスが大筒木の力を完全に掌握して把握する前にキルバスを倒さなければ事態は本当に笑えない事に成ってしまうのだ。

 

 

 

しかし…

 

町から悲鳴が響いた。その声は先程、nascitaを出ていった由衣の叫び声である。

 

「なっ!?」

 

直ぐに万丈は助けに行こうとしたが…

 

「ちょっとまてぇぇぇぇい!!バンジョイ!!」

 

突如、小さな冷蔵庫からそんな声が聞こえ冷蔵庫が開かれる。すると、なにやら大型のフルボトルを持ったナイトが出てきた。

 

「みーたんのお陰で完成したぜ?君の強化アイテム…マッスルギャラクシーだ!!」

 

そのフルボトルの名前はマッスルギャラクシーフルボトル。長い名前、プロテインの貴公子でありエイリアンとのハイブリッドである万丈にピッタリな強化アイテムだろう。

 

 

 

 

「どうなってんだこりゃ!?」

 

nascitaの前に飛び出た万丈達は困惑した。それは並行世界で戦ったスマッシュを筆頭に見たことがない怪人達が人々を襲っていたのだ。

 

「ブラッド族は自身の細胞からエネミーを産み出せる。恐らくは…キルバスが産み出した再現怪人だろう」

 

K曰く、これらの怪人達はキルバスが自身の細胞から作り出したエネミーのようである。

 

「万丈…ここは俺達が何とかする。お前は馬渕さんの所に行け」

 

戦兎に言われ、万丈は走り出した。嘗て、自分が助けることが出来なかった人を助けるために。

 

 

 

 

「お前を捕まえたのは単純。お前はあのエボルトと因縁が有りそうだし…」

 

由衣は見事にキルバスに捕まっていた。

 

だが………

 

「彼女を離しやがれ!!」

「ほんご!?」

 

駆け付けた万丈が変身アイテム兼武器であるクローズマグマナックルで、キルバスを殴り飛ばして由衣を救助した。

 

「貴方…私は助けてなんて言ってないのに」

「ああ、言われてない。だけど…俺はもう、目の前で苦しんでる人を見殺しには出来ない!!」

 

万丈は腰にビルドドライバーを巻いた。もう…彼は自分の為に戦うのではない、戦兎や美空、惣一、カズみん、幻徳、ギャスパーの出会いを得て彼は本当の意味で仮面ライダーに成ったのだから。

 

「助けてと言われてなくても助けてやる!見返りが無くても守ってやる!!誰に感謝されなくても俺はやってやる!!

俺は…俺は!!あの時と違って仮面ライダーだぁぁ!」

 

――マッスルギャラクシー!!

 

マッスルギャラクシーフルボトルを起動させ、ビルドドライバーにセットし、レバーを回す。しかし、装甲を作り出す音楽は何故か第9であった。

 

――ARE YOU READY?(本当のヒーローに成る覚悟は有るか?)

 

「変身!!」

 

エイリアンと人間のハイブリッドである万丈、彼だけが成れるクローズの最終フォーム クローズエボルが降臨した。




次回!クローズエボル。

クローズエボルに成った万丈はその力でキルバスを追い込めて行く。

だが…ウラシキを取り込んだキルバスは…ウラシキが残してた丹と輪廻眼を捕食してパワーアップ!?

神様「待たせたな。ちょっと、強力な助っ人を呼んできた」

おら、わくわくすんぞ!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

クローズエボル

万丈…覚醒!!


馬渕由衣を守るように立ち塞がり、キルバスを見る戦士の名前はクローズエボル。仮面ライダークローズの最終形態であり、本当の意味で正義の味方に成ったクローズの姿だ。

 

黒を基調とし所々に白と青が入り、腰にはマントが風で靡いていた。

 

「エボルト…お前がその気なら、俺も使おう」

 

さっき戦ったクローズとは別格の存在。それを理解したキルバスは腰にビルドドライバーを巻いた。このビルドドライバーは先日、対アンノウン研究所を襲撃して強奪した新造のビルドドライバーである。そして、続いて万丈から盗んだ商品である蜘蛛型ロボットを改造した変身アイテムを取り出してキルバスはチュッとキスをした。

 

「その進化したお前を殺し…最高のパンドラボックスを作ろう」

 

その蜘蛛型ロボットはキルバススパイダー。キルバスの不思議な力で改造した変身アイテムであり、これをビルドドライバーorエボルドライバーにセットして変身する事でキルバスを仮面ライダーキルバスに変身させるのだ。

 

キルバスはレバーを回し…変身しようとする。しかし…

 

『エラー』

 

「む?」

 

だが…どういう訳か変身できず…

 

「ぐっ…ぐは!?」

 

ビルドドライバーが爆発し、キルバスはダメージを受けてしまった。当たり前だが、今回…ビルドドライバーが対アンノウン研究所から盗まれたのは2回目。当然、何も対策をしない日本人の優秀な科学者ではない。

 

葛城パパ『いや、だってね。流石に一度盗まれたら対策するさ』

 

と対アンノウン研究所から戦兎の親父さんの声が聞こえたような気がした。そう、忍は前回の反省から新造したビルドドライバーが誰かに盗難され悪意的に使われた際はセットされたフルボトルや変身アイテムのエネルギーを利用して自爆するように仕組んでいたのだ。

 

「ぐふ…バカな……」

 

キルバススパイダーのエネルギーを応用され、キルバスのビルドドライバーは爆発し…キルバスの腹部は抉られ、大筒木の生命力故に再生しだすが腹部を抑える。

 

「ラァァァ!!」

 

そして、その隙を見逃すクローズエボルではない。クローズエボルの拳がキルバスの顔面に直撃する。いくら、キルバス自体のスペックと大筒木ウラシキの肉体のスペックが高かろうが約100tを誇るクローズエボルの拳を受け、キルバスの脳は深刻に揺れる。

 

「あがぐぅが!!」

 

ビルドドライバーを失い、キルバスは生身でクローズエボルと対峙する事に成ってしまい…更にはビルドドライバーの自爆からクローズエボルに先手を与えてしまい、連続でのラッシュを与えてしまう。

 

「エボルトの分際で!!」

 

キルバスは輪廻眼を発動し、斥力場を発生させる。だが、クローズエボルは左手でキルバスの顔面を掴み…渾身の握力でキルバスの顔面を締め付け…その斥力場に耐えてビルドドライバーのレバーを回す。

 

「離せぇぇぇエボルト!!」

「離す訳無いだろうが!!俺はもう…見捨てないって誓ったんだよ!!」

 

『クローズサイド!!』

 

クローズエボルの右腕にドラゴンのオーラが宿り、クローズエボルは拳を握る。

 

『マッスルフィニッシュ!!』

 

渾身のライダーパンチが炸裂し、それと同時にクローズエボルはキルバスの顔面を解放する。しかし、キルバスの腹部にはクローズエボルのライダーパンチが炸裂し、キルバスの内臓からブチブチと様々な物が潰れる音が響いた。

 

「ぐぅぅぅがぁぁぁぁ!!」

 

垂直に後方に吹き飛び、地面を転がったキルバス。幾ら大筒木ウラシキとしての肉体が優れていても100tを遥かに上回る力を受けて、悶絶級のダメージを受けてしまう。

 

その上……

 

「あ…がぁぁぁぁぁあ!!」

 

キルバスがウラシキの肉体を乗っ取って鳴りを潜めていた、ナルトの波動螺旋丸のダメージが表に出てきたのだ。ウラシキの肉体を捨てる考えもキルバスは出てきたが、仮にそうした場合…受けたダメージを完全に消せず、最悪の場合はキルバス本体も死んでしまう。

 

「これで…終わりだな」

 

クローズエボルはレバーを何度も回す。回転が5回から8回を越えた頃だろう。

 

『Ready Go!』

 

その合図と共にクローズエボルは飛び上がる。

 

「よっ…よせエボルト!!」

 

『マッスルギャラクシーフィニッシュ!!』

 

赤と青のオーラを纏い、クローズエボルは渾身のライダーキックを放つ。クローズエボルが放てる最大の必殺技、その威力は推定でも数百tに迫り…直撃を受けたキルバスはウラシキの下半身を失ってしまう。

 

「あがぁぁぁ…ぐぅぅぅ!!」

 

肉体が再生しない、本体も深刻なダメージを受けている。どうする?どうする?キルバスは少ない知能とウラシキの肉体がデータを探り打開策を見付けようとする。

 

「う…ぐっっぅ!!ぬゅゅゅおおお!!」

「はっ?」

 

その時…キルバスは両目を抉り、あろうことか捕食したのだ。自分の眼を自分で抉りあろうことか食べる。正気の沙汰ではないが…その光景にキルバスを追い込んだクローズエボルは唖然としてしまう。

 

しかし、大筒木の肉体は莫大なチャクラ等を取り込む事で肉体を進化させる事が出来る。その結果…キルバスは失った下半身を再生させ、怪人のような姿に成ってしまった。

 

「ぐぅぅおおおお!!」

 

輪廻眼と白眼は失った。しかし、失った視覚器官はキルバス本体の擬態能力を応用して視覚を作り出す。

 

「エボルト!!貴様を殺して…俺は宇宙と心中してやる!!」

 

と怪人のように成ったキルバスは叫ぶが、次の瞬間…亜光速で飛んできた……織田信長の甲冑を彷彿させる仮面ライダーの襲撃を受けてキルバスは怯んでしまう。

 

「すまない。遅くなった」

「その声…アンタ…神様か!?」

 

そう、その仮面ライダーは神様が変身した仮面ライダー鎧武 極アームズである。

 

「ふははは…黄金の果実!!」

「そうそう、今日はちょいと強い助っ人も居るぞ」

 

その刹那…飛雷神とは異なる転移で、青い髪に成ったカカロットが降臨した。

 

「おら、孫悟空宜しくな!」

 

 

 

 

 

 

「アンタ出てきたらだめでしょうがぁぁあ!!」

 

万丈のツッコミが出てきた刹那、怪人と成ったウラシキキルバスは神様とカカロットの手で宇宙の塵に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の千手の家

 

「父ちゃん。なんでこうなったの?」

「コイツら戦場に出しても足手まといだからな」

 

原作グレモリー御一行は最強のセコム(父ちゃん)の手で確保されていた。理由は単純、キルバスに挑もうとした為である。




次回!この世界に留学を決めたボルト。月1ペースで帰ってくる事と、新たな大筒木が出現した時は協力しあう事を条件にボルトは日本に入学する。

しかし…

原作リアス「私が帰る前にレーティングゲームしましょうよ!」
リアス「いや…私、戦えても唯の留学生なんだけど」
白音「自衛は出来ても、私は普通の高校生です!」
朱乃「私…普通の学生なんですけど!?」
アーシア「私…普通の職員ですよ!」

原作リアスはこの世界の思い出作りとして同一人物同士でのレーティングゲームを言い出す。しかし、白音、朱乃、アーシアは原作世界の同一人物と違って戦えない。

原作リアス「あら…だったら代理呼んで良いわよ」

この一言が地獄を作り出した。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

レーティングゲームを始めよう

お察し下さい(笑)


キルバス及びキルバスに寄生された大筒木ウラシキ消滅。これにより、原作グレモリー御一行は元の世界に帰れるように成った。しかし、原作リアス達は直ぐに帰ろうとはしなかった。

 

彼女達は最後に大きな思い出作りを行おうとしたのである。それは、グレモリー眷族御一行VS同一存在同士のレーティングゲームであった。

 

「どう?貴方も私なら、レーティングゲームに興味が有るのだから別に良いでしょ?」

 

キルバス消失から翌日。平和に成った駒王にグレモリー眷族と彼女達の同一存在である一誠やギャスパーを筆頭とした人達はnascitaで集まってコーヒーや茶菓子を食べながらお話をしていた。

 

「待ちなさいよ…確かに私はレーティングゲームに興味は有るし、多少は戦える。でも、私は留学生よ!?」

 

しかし、この世界のリアス達は原作グレモリー御一行と違って日頃から戦っていない。留学生だったり、普通の高校生だ。種族的に戦え、自衛の手段は得ても本格的に鍛えていないのは事実であるのだから。

 

「私もです…私は種族は妖怪でも、普通の高校生ですよ!」

「私もよ!お父様から痴漢対策で護身術を教わってるけど…戦えないわよ!」

「私も…戦いかたなんて知らないです!!施設で住み込みで働く職員なんですよ!」

 

上から白音、朱乃、アーシアは異議を唱えるように言った。そう、この3人は原作世界の彼女達と違って護身術レベルでの戦いしか出来ないのだ。レーティングゲームのようなほぼ殺し合いの戦いなんて、出来る訳がない。

 

「僕は構いませんよ?」

「俺もまあ…トリコさんに鍛えられてるし」

「私もマスターから鍛えられてるしな」

「ふっ…僕1人でもかなわないよ」

 

しかし、戦えるこの世界の人間も居る。それは上からギャスパー、一誠、ゼノヴィア、そして最高戦力である木場である。木場に至っては1人で世界を滅ぼすことさえも可能なのだから。

 

「うーん…それは残念ね。まあ、私達は強いし…代理を呼んでも良いわよ。今の私達はライザー等の歳上との連中とも遜色無く戦えるチームよ。大人を呼んでも問題は無いわ」

 

その言葉を聞いて、白音は悪戯を行う前兆のように悪い笑みを浮かべた。

 

「言質はとりましたよ?後悔しないでくださいね」

「あっ、ナルトは呼ばないでね?」

「ええ、ナルト兄さんは呼びませんよ()()()()()()は」

 

後日、原作御一行は叫んだ。代理人は兎も角、アレは無いだろと。

 

 

 

翌日。

 

原作御一行控え室。

 

「誰が来ても、私達の敵じゃないわね。ナルトは出てこないから、余裕ね」

「そうですね!部長!!ぐっふふ、この世界の成長した小猫…じゃなくて白音ちゃんのおっぱいとこの世界の朱乃さんのおっぱいを拝めないのは残念だ。だけど…きっと青子ママのような美女がやってくるぞ!!」

 

原作リアスは言わば、同年代最強クラスの称号を持っている。眷族も非常に優秀であり、サイラオーグ・バアルさえ倒せば若手悪魔最強の称号が手に入るのだ。その強さは大人達…並みの上級悪魔を凌駕しており、前線で日頃から害悪テロリスト 禍の団と日頃から戦っては撃退してるだけは有るのである。

 

しかし、いくら同一存在とは言え…戦えないのは予想外だ。まあ、それはしょうがないだろう。とは言え、心の中で原作リアスと悪魔一誠は残念がる。朱乃と白音の素質は遥かに高い、それなのに鍛えて日頃から前線で戦わないのは勿体ない。原作リアスの眷族達がそうであるように、彼女達の素質は間違いなく最上級の力が有るのだから。

 

「さてと…時間のようね」

 

時間に成り、原作御一行は光の粒子に成ってバトルフィールドに誘われた。

 

 

 

バトルフィールドと成るのは並行世界とこの世界の駒王を合わせたような不思議な町並み。そのnascitaの前には原作御一行と戦う、この世界の同一存在(3人代理)がスタンバイしていた。

 

『アーシアと同一存在と戦うのは気が引けるが…仕方有るまい』

 

「いや、ある程度はネタが必要だろう」

 

「誰が真の変態なのか教える必要が有る」

 

その助っ人は…アダマンチウム(グレート・スピリッツ産)のプライムボディを装備したウルトロン(アーシアの代理)。おパンティーを被った万年下忍(コンプライアンスの為)の変態仮面(朱乃の代理)。そして白音の代理が…

 

「ふふふ…ハッハハハハ。人の嫁に卑猥な視線を送った事を後悔させてやる!!」

 

最強のセコム(父ちゃん)である千手エンマである。

 

 

 

 

 

 

「さてと…此処で頑張れば、青子ママから御褒美が出るかも!」

 

鼻の下を伸ばし、悪魔一誠は左腕に籠手を出して探索を行っていた。

 

残念だが、彼は未だ螺旋丸を修得していない。しかし、世界は彼に味方している。螺旋丸どころか、螺旋丸に性質変化を加えた未知の螺旋丸さえも彼が開発するのは時間の問題だろう。何故なら、彼はおっぱいドラゴンなのだから。

 

「やあ、君がおっぱいドラゴンか。む?人の奥さんがどうしたって?」

 

その声が聞こえ、一誠は後ろを降り向こうとした。しかし、その瞬間には一誠は宙に浮いた。

 

「あれ?」

 

「警戒心が無さすぎる。神器の価値だけが強さではない。経験者が教えてやるよ」

 

悪魔一誠の眼前に長髪の男…エンマが出現し、悪魔一誠の腹部を殴る。バキバキと骨が砕ける音が響き、同時に内臓がプチプチと悲鳴をあげる。

 

「おっおま!?」

 

悪魔一誠の腹部に飛雷神のマーキングが刻まれ、一誠は吹き飛んだ。しかし、その瞬間にエンマは飛雷神で消え悪魔一誠の背後に回り込む。

 

「おっちゃん直伝。木ノ葉流体術奥義」

 

寅の印を組み…人差し指を弾丸のような速度で悪魔一誠の尻穴にぶちこんだ。

 

「千年殺し!!」

 

受け継がれし最強の浣腸 千年殺し。木の板さえも貫通する最強の浣腸が悪魔一誠の尻にこれまで感じたことが無い激痛を与えた。

 

「ギィィィギャァァァァア!!」

 

浣腸の衝撃で放物線を描いて飛ぶ悪魔一誠。彼が放物線を描いて最高到達点に達した瞬間に、エンマは飛雷神で悪魔一誠の真上に到達した。

 

「最後に良いことを教えてやるよ。青子の夫は俺だ。そして、俺は息子よりも強いよ?」

 

エンマの右の掌にハンドボール程の螺旋丸が構築される。

 

(不味い不味い!?尻の激痛で神器が使えない!?使えない!!俺はおっぱいドラゴンで努力で成し上がるんだ!!

周りが天才ばかりでも…俺は血反吐を吐くような努力で勝ち上がってきた!!今回だって……今回だって!む?この人が青子ママの旦那!?てっ…事は青子ママのおっぱいを好き勝手に出来るんですか!?けしからん…マジでけしからん!!)

 

本来なら悪魔一誠に不思議な事が起こり、彼はエンマは倒すだろう。

 

だが、この世界で不思議な事が起こる訳でも無いので…

 

「螺旋丸!!」

「ぎゃぁぁぁあ!?」

 

おっぱいを愛した赤龍帝は沈められた。

 

 

 

『グレモリー眷族の兵士…リタイア』

 

「そんな……イッセー君」

 

グレモリー眷族のもう1人のエース、悪魔木場は奥歯を噛みしめ…彼だけが担える聖魔剣を握り締める。チームの大黒柱が倒された…恐らくは悪魔木場以外にチームメイトも怒りに燃えてるだろう。

 

「仇は必ず取るよ」

 

悪魔木場はそう言って、扉を開けようとする。しかし、何やら扉は開かず…妙に生暖かい。

 

「それは……私のおいなりさんだ」

 

その声が聞こえ、悪魔木場は見上げる。そこには…女性のおパンティーを被り、ブリーフ一丁というほぼ全裸でブリーフを肩まで引っ張りあげた変態が立っていた。

 

「私は変態仮面。私は正義の味方だが、正義は私の味方ではないのだよ」

 

その人物は変態仮面。正義の味方である。

 

「いっイヤァァァァァァア!!」

 

女性のような甲高い声をあげて…悪魔木場は……

 

「成敗!!」

 

変態仮面の股間に顔面をつけられ、リタイアと成った。

 

 

 

 

『くだらん…この程度の力とはな』

 

莫大な雷光が辺りを消し飛ばす。しかし、その雷光を受けてウルトロンはピンピンとしていた。

 

「なんですの!!」

『貴様より…仮面ライダー達の方が遥かに強い』

 

ウルトロンは悪魔朱乃を投げ飛ばし、ビームを放って倒してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼノヴィア、キバッチ。僕達要りませんね」

「「だな」」

 

再現されたnascita…そこでギャスパーはキバット、ゼノヴィアと共にコーヒーを呑んでいた。

 

「てか、木場1人で良いだろ?」

「「それいっちゃいけない」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ターゲットロックオン」

 

天使と見間違う程の翼を羽ばたかせ、空を舞う破壊の熾天使 ウィングガンダム・ゼロカスタムはツインバスターライフルを連結させ照準を合わせる。

 

そして……辺りを破壊する爆光が解き放たれた。

 

「ちょっとまてぇぇぇぇぇぇえ!!」

 

何やら一誠の叫びが聞こえたが知らない。ゼロカスタムに乗った木場はその一撃を持ってグレモリー眷族+ツッコミを倒したのだ。

 

 

 

 

グレモリー眷族は心に傷を負い、帰っていった。

 

当然、螺旋丸は滞在期間中に覚えられませんでした。




次回!サスケ…この世界との外交官になるってよ。

と…始まる首相会談!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

首脳会談

天界協定…終了のお知らせ?


ウラシキに寄生したキルバスが宇宙の塵に成ってから数日後。世間では夏休みが始まろうとしていたが、世界は色々と動こうとしていた。

 

先ず、原作御一行が心に大きなトラウマを抱えて帰っていった。その根本的な原因だが、猫耳が生えた千手一家の養女達が助っ人で呼んだセコム達のお陰である。

 

そして、様々な条件付きだがボルトのこの世界留学が決まった。但し1ヶ月に1度は忍界の木ノ葉隠れに帰ってくる等の条件が有るが。あと、サスケの左腕が元通りに生えた。そしてサスケは宇宙初?の異世界交流の外交官に成ったのである。

 

 

 

東京都 帝国ホテルの近くのマクドナルド。

 

その席の一角でナルトはボルトと共に座り、その時を待っていた。帝国ホテルでは今正に、三大勢力と日本政府による首脳会談が行われようとしており、帝国ホテル周辺は厳重な警備が成されており警備も厳重だ。日本の機動隊に扉間の持霊 五大聖霊の一角 スピリット・オブ・サンダーが厳重に帝国ホテルを守ってる。

 

帝国ホテルは日本の警護隊以外に、堕天使の軍隊も包囲しており…何かが起きれば再び堕天使と日本の戦争が始まってしまうだろう。開催国の日本は当然だが、扉間の持霊であるスピリット・オブ・サンダーは兎も角…機動隊なので軍隊ではなく警備隊だ。しかし、堕天使は違う…堕天使は正真正銘の軍隊を連れてきている。

 

「うわ…本当にエグいな。マジで」

 

マクドナルドの窓から双眼鏡を用いて、帝国ホテルの様子を確認するナルト。帝国ホテルには関係者以外は立ち入り禁止だが、ナルトは扉間から許可を貰って帝国ホテルの中に影分身を数人紛れ込ましている。何か有れば、影分身は消えて本体のナルトに情報を伝達させるのだ。

 

何か…非常事態が起きれば、ナルトは飛雷神で扉間と総理の救援に向かう手はずである。

 

 

 

帝国ホテル 会議室。

 

円卓には5名の男が座っていた。彼等は全員が首脳会談に出席する国々のトップであり、莫大な発言力はともなく恐ろしい程に高い戦闘力を誇っている。

 

三大勢力 堕天使 アザゼル。何やら…過去に最臭兵器ドドリアンボムを喰らった影響の為か、物凄く臭い体臭を放っており、彼のお陰か換気扇は最大パワーで稼働している。

 

三大勢力 天界 ミカエル。世間的には聖書の神は生きている事に成っており、ミカエル本人は神の代理としてやって来ている事にしている。しかし、最近…何かとストレスが凄い為かイメチェンしたようにツルピカに禿げていた。

 

三大勢力 悪魔 サーゼクス・ルシファー。扉間曰く、三大勢力の仲では良識派らしく…今回はどちらかと言うと普通に日本側として参加する。まあ、彼の場合…戦争を起こしたコカビエル達の手で妹が殺されかけたのだから無理は無いだろう。

 

「始めるか…会談を」

 

そして我らが日本からは2人の男が参戦する。最強の総理大臣であり、仮面ライダーシャドーGXに変身する秋月信彦である。キングストーンを埋め込まれた超世紀王の片割れの為か、歳の割に若々しく20代前半の容姿を維持してる。

 

「所でミカエル。聖書の神はどうした?ワシとしては彼に直々に聞きたい事が有るのだ。天界協定など様々な事をな……ルーマニア核消滅に関しては言い逃れは出来んぞ。なぜ、代表者である神本人が来ない?欧州が天界協定のお陰でどうなってるのか…知らぬ身ではあるまい」

 

魔法大臣であり二代目火影である千手扉間である。この受肉サーヴァントである外見若々しいお爺ちゃんは容赦をするつもりは微塵も無いのだ。

 

「主は忙しいのです。なにせ…世界を作った御方ですから」

 

ミカエルとしては、絶対に聖書の神がご臨終している事を悟られてはいけない。神の不在が明らかに成れば、それこそ聖書は終わりだ。

今まで鬱憤を溜めていた神々…堕ちた神々の手で滅ぼされてしまう可能性だって有るのだ。

 

(そんなに隠したいか)

 

しかし、ミカエルは知らない。既に扉間や総理等の人達は既に聖書の神がご臨終している事を知っているのだから。

 

「日本よ。いい加減にしろ。俺は戦争なんて起こしていない」

 

アザゼルはめんどくさそうにそう言う。しかし、その度にドドリアンボムで着いた激臭が広がるが…今は首脳会談。指摘する人は居ない。

 

「あれはコカビエルの独断だ。はっきり言って、強すぎる戦力を誇るお前達の方が問題だ」

「ほう…」

 

扉間はそう言うと、何やらリモコンのような物を取り出してボタンを押す。すると、壁にプロジェクターの力でサタナエルという堕天使が禍の団というテロ組織を作り、ヒドラやショッカー等と協力してテロ活動を世界中で行ってる証拠を出したのだ。

 

「これはなんだ?」

「なっ!?扉間……何処でこの情報を!?」

「これ、貴様の部下だよな?」

「元だよ!!サタナエルは俺を裏切った!無関係だ!!」

「サタナエルの件と良い、コカビエルの件。貴様は部下の管理が出来ず、日本に災いを持ち込むか」

 

扉間の言葉を受けて反論出来ないアザゼル。「貴様は後でも聞くことが有る」と扉間は言うと、次にミカエルの方を向いた。

 

「ミカエル。天界協定を結び…結果的に多くの人が亡くなり、ルーマニアに至っては国さえも滅んだ。説明して貰おう」

 

しかし…ミカエルは答えない。

 

「まさか…堕天使と天界はショッカーや財団Xと繋がってるのでは?」

 

総理はそう言うと…懐から1つのバックルを取り出した。それは嘗てレイナーレから押収した戦極ドライバーであった。

 

「繋がってる訳は無いでしょ!!」

 

ミカエルは叫ぶが、アザゼルの顔はどんどん青白く染まっていく。

 

「ユグドラシルコーポレーションは製作した戦極ドライバー全てに、IDを振ってあるそうだ。これは振られていない。つまり、誰かが複製した物だ。それが可能なのは…財団X位だな。

そして総理が持つ戦極ドライバーは日本に不法入国した堕天使 レイナーレが持っていた物だ。アザゼル、貴様に問う。何処でこれを手に入れた?」

 

アザゼルは考える。と言うのも、アザゼルは財団Xが「来るべき危機に備えている」と聞いて人工神器のデータを財団Xに渡す代わりに、金銭と戦極ドライバー等のテクノロジーを手に入れていたのだ。

 

「正直に答えろ。嘘は通じん」

 

財団Xから貰いました!なんて言えば、この場で扉間に粉砕される。言えない、言えないのだ。アザゼルは何とか誤魔化そうと考え込むが……

 

「「「「御無事ですか!!ミカエル様!!」」」」

 

突如、ショッカーの怪人達に戦闘員、ヒドラの戦闘員が霧と共に現れてミカエルを保護した。

 

「なっ何ですか!?」

「偉大なる名誉大幹部よ…1人で敵地に乗り込むとは何事ですか?しかも、シャドーGXと対峙するなんて!!

直ぐに此処から逃げて…「螺旋丸!!」ぎゃぁぁぁあ」

 

だが、怪人の1人が扉間の螺旋丸で倒されてしまう。

 

「やはり…繋がっていたか」

 

扉間お爺ちゃんヤル気スイッチon

 

「ふっ!当然だ!ミカエル様は天界協定の力で、欧州からアベンジャーズと仮面ライダーを閉め出したのだ!!流石はミカエル様だ!!」

「ミカエル様のお陰で、我等は欧州で復活できたのだ!!」

 

――いや、違いますけど!扉間、助けてください!

 

ミカエルの心の叫びが響くが誰も気付かない。すると、1人の怪人がアザゼルを見て告げた。

 

「む?貴方は下っ端技術員のアザゼルではないか。共に逃げるぞ!」

 

だれが下っ端だ!!とアザゼルは叫びたかったが、ふと外を見る。外には既に自分の軍隊が居たが…どういう訳か誰も居なくなっていたのだ。

 

(まさか…絶霧で消された!?)

 

「ナルト!!手伝え、コイツ等を此処で殺す!!」

「おう!!」

 

直ぐ様、飛雷神でナルトまで降臨した。

 

「お前達!!ミカエル様を逃がすんだ!!」

「「「「「隊長!!」」」」」

 

1人の怪人が殿を務め、他の怪人と構成員はミカエルを連れて不思議な霧で消えてしまった。

 

「波動螺旋丸!!」

「水遁 螺旋丸!!」

 

ナルトの波動螺旋丸、扉間の水遁螺旋丸の直撃を受けてその怪人は消しとんでしまった。

 

 

 

「今の内に…」

「逃がすわけないだろ?」

 

アザゼル。逃げようとしたが、シャドーGXに変身した総理に半殺しにされて確保された。

 

 

 

なお、今回の会談は扉間のスピリット・オブ・サンダーの手でYouTubeに流されており…ミカエルと堕天使が悪の組織とつるんでいた証拠として提出された。

 

 

天界協定は実質の崩壊。それを受けて……

 

 

 

 

 

 

(0w0)「ウェェェェイ!!」

「かっ仮面ライダーブレイド!?なんでぇ!?ぐわー!」

 

人助けを行う怪物は真の姿に変身し、人助けを開始した。

 

彼の名前は剣崎一真。ちょっと滑舌が悪い正義の味方であり、彼は世界と友をどちらも救うために自分から怪物に変貌し日本以外を旅する旅人である。

 

運命に抗い続けると決意した仮面ライダーは……誰にも停められない。




こうして…ミカエル様は名実共に名誉大幹部に成ったのでした(笑)

次回!アザゼル様、裁きの時間です。

エンマ「ゴールドエクスペリエンス!!レクイエム!」

???「ヤらないか?」
アザゼル「俺に……近付くな!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

THE お仕置きだ

お仕置きターーーイム!!


「おっちゃん。コイツ、マジで財団Xと繋がってるな」

 

取調室。そこではマジックミラー越しにエンマがアザゼルを指差していた。

 

取調室及び日本神話が誇る嘘発見器 浄玻璃の鏡での取り調べの結果。アザゼルは財団Xと繋がりが有り、あろうことか財団Xから戦極ドライバー等のテクノロジーを授かって貰い…その上、財団Xから与えられたビルドドライバーにハザードトリガー、トランススチームガン等の変身アイテムの量産や改良もアザゼルは行っていたのだ。

 

「エンマ。ワシが許可する……やれ」

「おけ。第6魔法…発動、オーバーソウル グレート・スピリッツ。世界線アクセス、権能検索…検索権能 ゴールドエクスペリエンス・レクイエム!!」

 

眩い光がアザゼルを包み込んだ。

 

「終わりがないからこそ、終わり。結果だけを繰り返すが良い」

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?此処は…何処だ?」

 

取調室に居た筈のアザゼル。彼は気が付けばコンクリートジャングルに居たのだ。有り得ない…その言葉がアザゼルの脳内を駆け回る。アザゼルは転移魔術を封印術で封じられており、部下は誰も助けに来なかった。

 

「グジュる」

 

そんな声が聞こえ、アザゼルは後ろを振り向く。そこには人間大の大きさを誇る二足歩行のカニが居たのだ。そのカニはボルキャンサー…ミラーモンスターのモンスターであり、知る人ぞ知る蟹刑事の相棒である。

 

「喰らえ!!」

 

アザゼルは指先から光の光線を放とうとする。辺り一面を更地に変える攻撃だ。しかし、アザゼルの指先からはビームは出ず、ボルキャンサーは両腕のハサミでアザゼルを拘束しては頭から食らい付く。

 

「はっはなせ!!」

 

しかし、どういう訳かアザゼルの筋力も人間程に成っており逃げることが出来ない。

 

「あっ…ギャァァァァァア!!」

 

そして…アザゼルは頭から喰われてしまった。

 

 

 

「はっ!?俺は……死んだ筈だろ!?」

 

ボルキャンサーに食べられて死んだ筈のアザゼル。しかし、彼はどういう訳か個室トイレに居たのだ。ボルキャンサーに食べられた筈なのに、個室トイレに居るのはどうも不思議な感じである。

 

個室トイレであるが、公衆トイレなのだろうか?外からは大雨が降っているのか雨の音が響いている。だが、他の音も聞こえる。その音は雨の音よりも大きく確かに聞こえ、どういう訳か此方に近付いてきている。

 

「なんだ?」

 

ズシン…ズシン…と何かが寄ってくる。

 

「ギュュュギァァァァ!!」

 

なにかの咆哮が響き、個室トイレは一瞬で破壊され…アザゼルが座っていた洋式トイレだけと成ってしまう。何が起きたのか理解できず雨に打たれるアザゼル。ふと、上を向いた彼は…

 

「うわわわわわわ!!」

 

妙に甲高い声で悲鳴を出してしまった。無理もない、アザゼルの頭上には大きな口を開けてアザゼルを食べようとするティラノサウルスが居たのだ。

 

「ぶぎゅゅ!?」

 

アザゼルは何も出来ず、ティラノサウルスに食べられて咀嚼されて喉の奥に運ばれてしまった。

 

 

 

 

 

「ふぁ!?…一体…なんなんだよ!?」

 

再び死んだ筈なのに甦ったアザゼル。今度は腰に戦極ドライバーが巻かれており、右手には松ぼっくりロックシードが握られていた。

 

「変身すれば良いのか?」

 

アザゼルは松ぼっくりロックシードを起動させる。しかし…

 

「バッカモーーン!!」

 

何処からか声が響き…

 

「恥を知りなさい!!」

 

空からタライが降ってきて、直撃を受けたアザゼルは倒れてしまった。

 

 

 

「次から次に何なんだよ!!」

 

アザゼルは3回も死んでは3回も甦った。もう、こんな経験は懲り懲りだ。だから、彼は走り出した。もう、こんな現実から逃げ出すために……

 

だが……

 

逃げ出した先は公園であり…

 

ベンチには……

 

「ヤらないか?」

 

青いツナギ姿の良い男がツナギのホックをずらし、アザゼルを待っていた。

 

「沈黙は肯定と捉えるさ」

 

次の瞬間、男は一瞬で全裸になり…消えた。そして、アザゼルの後ろに現れると…

 

「お前も全裸になりな!」

「やめろ!!」

 

アザゼルの衣類を消し飛ばし、アザゼルの背後にべったりとくっついた。

 

「なに…直ぐに気持ち良くしてやるよ!!」

「アーーーーー!!」

 

 

 

「何なんだよ!!なんなんだよ!!」

 

死んでは復活し、死んでは復活するアザゼル。もう、懲り懲りだ。どうして自分がこんな目に逢う?俺は世界のために…世界を救うために…世界を維持するために動いていたのに。

 

「おじさん…どうしたの?」

 

その声が聞こえ、アザゼルは声の方を見る。そこには小さな女の子が立っていた。しかし、さっきまでの経験をしたアザゼルは叫んだ。

 

「俺の側に近寄るなァァァァァァ!!」

 

これは終わりがないこらこそ、終わり。アザゼルは今日も何処かで死んでは甦り、様々なシチュエーションで死にまくっている。千年経とうが万年経とうが奥の時が流れても終わる事は赦されないのだ。

 

「これもこれも……千手エンマのせいだ!!あの時…アイツを殺せていたら…殺せていたら…あのやろう!!アーーーーー!!」

 

この日を最後に、アザゼルは表社会からも裏社会からも消えた。




お試し連載予告。お試しなので、和平会議で一旦終わります。

「俺か?俺はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主だが、当主は継がん。俺は魔王に成って社会を変える」

何故か男で産まれ、別人に成ったリアス。彼は魔王を目指し腐った悪魔社会を変える。

眷族も違い、ヒロイン不明、滅びの魔力にはほぼ頼らず何故かやたらと強いリアス兄貴。

「悪魔との対価を利用し委託殺人、神器持ちの強制転生…様々な癒着。宜しい、滅ぼしてやる」

これは男に成ったリアス兄貴が魔王に至るまでの軌跡である。

「ふははは!!ギガブレイク!!螺旋丸!飛雷神!ふむ、参考にする所は多いな。滅びの魔力をスナイパーライフルに込めて撃ってみるか」

手段を選ばず武器、サブカル奥義を乱用するリアス兄貴。

「リアス様。紅茶が入りました」

女王 完璧メイド 十六夜咲夜さん。

「キバット」
「キバって行くぜ!!」

騎士 リアス兄貴の調教と僧侶のお陰で仮面ライダーに成ったギャスパー。

「やれやれ…筋肉を鍛えるのは良いぞ?いざって時はこれが役に立つ」

戦車 趣味筋トレ。得物は拳と弓矢の勘当貴族サイラオーグの旦那。

「聖杯で飲む紅茶は美味しいですよ?」

僧侶 サブカル道具を座より出す聖杯少女 ヴァレリー。

「私の方が先輩ですからね?」

兵士 猫耳少女 白音。

「……俺はハーレムを…」

保護?いいえ、監視対象のおっぱい大好き人間イッセーくん。因みに兵士(仮)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マダラP 無人島に逝く!!上陸編

昔の作品を読み返したら、黄金伝説的なこの作品のネタシリーズを書きたくなってきた(笑)


世間は夏休みに入り、子供達が大にぎわいを見せている頃。今日も何処かでアザゼルがディアボロのように生き地獄を味わっている頃、冬木の名物アイドルプロデューサー うちはマダラは新たな動きを見せようとしていた。

 

朝 冬木港。その男はやって来た。

 

「さてと、遂に収録の時がやって来たな」

 

彼は御存じサバイバル王 うちはマダラ。生前ではNARUTOでラスボスよりラスボスをしており、圧倒的な力で忍連合と互角以上に渡り合った伝説の忍であり、その後は第五次聖杯バラエティーこと1ヶ月一万円生活で呼び出されお茶の間に伝説を残した偉大な男である。

そんなマダラさんは1ヶ月一万円生活を終えて、現在は冬木テレビでアイドルプロデューサー マダラPとして働いており、現在はマスターの母親 遠坂葵が経営するアイドルプロダクション 冬木プロダクションのアイドルプロデューサーとして働いている。現在、大絶賛プロデュースしているアイドルは自身のマスターである遠坂因幡(中3)、因幡の血の繋がらない姉である遠坂桜(高1)と遠坂凛(高2)の3人。普通にプロデュースしているのはイリヤスフィール・フォン・アインツベルン(通称イリヤ。小5)と千手美遊(小5)の2人である。

 

そんなマダラPであるが、実はもう1つの顔がある。それはアイドルや芸能人真っ青のサバイバルテクニックで番組を湧かすサバイバル王としての顔もあり、伝説の1ヶ月一万円生活で見せたサバイバルを皮切りに様々なサバイバルを定期的に冠番組 聖杯バラエティーで見せているのだ。

 

「マダラさん。準備は宜しいですか?」

 

とマダラPのサバイバルに付き添うのは冬木テレビの優秀な番組スタッフの皆様。彼等はマダラPのサバイバルを一万円生活の頃から身を持って知っており、毎度の如くサバイバルに付き合う優秀なスタッフである。アマゾン川まで着いていき、マダラPと友情を深めたのは有名な武勇伝である。

 

「ああ、0円生活を始めよう!!」

 

フルフルニィ!!とマダラは震えながら笑みを浮かべ、御持参の銛と鉈、その他のサバイバルキットと必要最低限の調味料を持ってマダラPと番組スタッフは漁船に乗り込む。いざ、これから無人島に喧嘩を売るのである。

 

 

 

マダラPが無人島に滞在するのは2泊3日。帰りは漁船を使わず、マダラPは自作したイカダで冬木の港まで帰るのだ。イカダを作れなかったら、海上マラソンで帰るのも1つの手段である。

 

「ここが今日の戦場か。良いところではないか」

 

マダラPが到着したのは自然豊かな無人島。木々もあり、流木も流れ着いている事から家作りの材料やイカダの材料も手に入る事から今回の無人島は比較的に楽な物となるだろう。

さて……無人島に辿り着いたら先ず、やることはある。それは無人島の探索である。

 

「ふむ……一周はこんな物か。無人島にして見れば、大きいものだな」

 

マダラPは最初に無人島の海岸を歩いて一周を行い、無人島の広さをだいたい図る。今回、サバイバルを行う無人島は無人島にして見れば、そこそこの広さを誇り今回は楽しめそうだ。

 

「さて、長い1日が始まるぞ」

 

マダラPの長い1日が始まる。

 

 

オマケ 今日のアザゼル。

 

『昨日未明。高速道路で玉突き事故が発生しました。現場の記者によりますと、この玉突き事故での死者はプリン頭の男性1名との事です』

 

「物騒な事件だ」

 

今日のアザゼル。玉突き事故に巻き込まれる。果たして、次の死因はなんなの!?




次回!!マダラP、無人島で家を建てる。そして、その頃のエミヤさん


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。