自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた (みどり色)
しおりを挟む

プロローグ
第1話 取り敢えず落ち着いてみる


投稿、書き物系初めてで、右も左も上も下もわかりませんが頑張って続けていければと思います!
クローントルーパーらぶ(真顔)




現在進行形、何なら今いる当直室で・・・

テーン、テテテーン♪

 

 

 

眠い・・・

 

佐竹 澪(サタケ レイ)は、楽しさのカケラもない当直勤務に就いていた。

週末のため、駐屯地に残っているのは残留者などの勤務に就いている者や、一部のもの好きくらいで静かなものだ。

 

 

金曜日って外出者戻って来ないから差し入れも無いんだよなー

 

勤務に就いていて、唯一の楽しみといっても過言ではない差し入れが無い金曜日…

まさに地獄である。

 

「喉乾いたな…佐竹、ジューじゃんするか?」

 

この人は佐藤 陸曹長、当直幹部として一緒に勤務に就いている。

同じ中隊なので、普段から何かとお世話になっている。

 

「え、佐藤曹長奢ってくださいよ!」

 

ジューじゃんとは、ジュースじゃんけんの略で自衛隊内で行われる魔の儀式。

勝ったものor負けたものが参加人数分の飲み物を奢るというもので、小隊全体でこの儀式を行えば、目も当てられなくなるのは言うまでもない。

(ちなみに、駐屯地ごとで呼び名が変わる)

 

 

「えー?佐藤曹長は家族を養わないといけないから、独り身の佐竹3曹に出すお金は無いのよ」

 

こんのクソじじぃ・・・良いだろう。

絶対に奢らせてやる

 

「良いですよ!じゃあ勝った方が奢るということで」

 

「おーけーおーけー。んじゃ、じゃんけん・・・」

 

ふふふ、バカめ!

自慢じゃないが、俺はじゃんけんがすこぶる弱い!

ほぼ負けるといっても、過言ではないほど弱いのだ!

 

「「ぽい!」」

 

 

・・・・・・・

 

 

「はい、佐竹の勝ち~」

 

なんで!どうして!

こういうときばっかり勝つんだから!佐竹3曹のバカ!

いや、ある意味負けたのか…

 

 

「・・・何が良いですか?」

 

「コーヒーで頼むわ」

 

ん?コーヒー?

 

「喉乾いているのに、コーヒーで良いんですか?」

 

「良いの良いの!そんなに喉乾いてないし。それに、佐竹じゃんけん弱いからやっただけだし」

 

うわぁー出たー

暇だからジューじゃんするヤツーたち悪いー

しかも俺がじゃんけん弱いこともバレてるし・・・

 

「・・・了解っす。じゃあちょっと自販機まで行ってきますね」

 

まあ、100円位で文句も言うまい。金額というよりは負けたというのがスッキリしないだけだ。

そうなのだ!絶対!

 

 

「えーと、まあブラックで良いよな」

 

当直室のすぐ近くにある自販機で、特に種類も聞かなかったので適当に買っていく。

 

ピロピロピロピロ…『4444』

 

「お!当たりだ。100円浮いたぜ」

 

やっぱり金額も気にしていた佐竹であったが、その時・・・

 

「っ!?」

 

突然、自動販売機眩い光が発せられ、夜であったこともあり反射的に目を瞑る。

そして光が収まると・・・

 

「え、ここどこ?」

 

 

目に入るのは見知らぬ景色となっていた。

 

 

「よし、取り合えず落ち着こう」

 

 

落ち着くために、その場で腕立て伏せを始める佐竹であった…

 

 




取り合えずスターウォーズの世界に行くところまで!
全く落ち着いてないですね佐竹3曹…
テンパって腕立てしてますもん

自販機が光って転移って安過ぎ
だって100円分ですからね…。

いやホントに自分じゃんけん弱いんですよ

小隊に二日連続で奢ったときは、マジで脱柵してやろうかと思いました。

自衛隊の自販機には恨みしかないですが、恩を売るために転移へのきっかけになってもらいました。
あれ?
真犯人は佐藤曹長…?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 取り敢えず話を合わせてみた

いやータイピングが遅くて全然進みません
機械音痴なので腕立て伏せしてる方が楽かもです・・・

でも始めたことは最後までやりますよ!(フラグ)



落ち着くために始めた腕立て伏せであったが、続けていると段々と気持ちよくなってきて、完全に辞め時を失っていた。

そこに

 

「おい、ARCS-6363何やっている!分隊はもう集合しているぞ!」

 

「81、82、83、レンジャー!・・・え?」

 

そこには何と、映画に登場するそのままのクローントルーパーが立っているではないか

 

「えっ!?クローントルーパー!?」

 

「何をバカ言ってる兄弟・・・良いから早く来い!教官殿がもうすぐ来られる!」

 

「お、おう!すまない、すぐに行く!」

 

取り合えず、話しを合わせておいた。

しかし、どういうことだ?

俺は自販機で、じじいのコーヒーを買っていて・・・

ここで今、俺にとって一番重要なことを思い出した。

 

「おい、俺の当たりはどうなった?」

 

「はあ?当りも何も、今日は俺たちの卒業式典だぞ?ようやく本格的に、ブリキ野郎をスクラップにできるんだ」

 

「そんな事はどうでも良い!俺の当たりはどうなるんだ!俺のリアルゴールド!」

 

そうなのだ。何を隠そう、俺はリアルゴールドが大好きだ。

日頃の訓練も、あのシュワシュワがあったから乗り越えられたといっても過言ではない。

それがなかったら、俺は何を糧に生きていけばいいんだ・・・

そう本気で考えていると

 

バチコーン!!!

 

「さっきから、本当にどうしたんだ!ポンコツドロイドみたいなこと言いやがって!しっかりしろ!」

 

そう言われて、思いっきり頭を叩かれた

その時・・・

 

この身体が今までしてきた経験や、吸収してきた知識が一気に俺に流れ込んできた。

 

 

認識番号ARCS-6363、製造初期の個体でARC“S”トルーパーになるべく製造された4個体の内の1体。

ARCSトルーパー(アークス・トルーパー)はアドバンスド・レコン・コマンドー・スペシャル・トルーパーの略で、特殊上級偵察コマンドー、通称“S”と呼ばれている。

特殊作戦に対応しているARCトルーパーより、さらに専門性が増しており、初期のARCトルーパーと同様に、オリジナルであるジャンゴ・フェットから直接訓練を受けている。

あまりの優秀さ故、『実行不可能な作戦は無い』とまで言われている。

遺伝子操作がほとんどされておらず、試験的に成長加速も通常のクローンに比べて緩やかに設定されており、非常にレベルの高い訓練や、教育が施されている。

高度な訓練を長期に行ってきたのは勿論、成長過程の早い段階から実戦経験を積んでおり、歴戦のトルーパーを凌ぐ戦闘能力を獲得している。

 

 

「ああ、すまない。早くチームに合流しよう」

 

 

 

 

 

「おい、あいつらだぜ」

 

「ああ、“S”だ。俺たち一般的なクローンとは、生活空間から分けられていたからな。初めて見たぜ」

 

「噂にはなっていたが本当に実在したんだな」

 

 

今日は卒業試験を終えた一般的なクローンと共に、卒業式典に参列している。

 

「ARCSトルーパーは前へ!」

 

呼ばれた俺たち4人は臨時の監督官であるコマンダー・コルトの前へ整列した。

 

「お前たちはこれより、独自の指揮系統からなる、X(エックスレイ)チームとなる。加えて、それぞれ固有の名前が最高議長から贈られる!ARCS-6363“レイ”お前がチームリーダーだ。ARCS-7272“アディス”、ARCS-8181“ヒュメル”、ARCS-9090“オーリー”以上だ。代理になってしまったが、本当であればオリジナルであるジャンゴ・フェットから、お前たちに贈られるはずだった名前だが・・・。この役目を任されたことを光栄に思う。貴官らの活躍を期待する」

 

「敬礼!」

 

コマンダー・コルトに対して、俺の号令で一糸乱れぬ敬礼で答える。

チーム名から取った名誉ある名前だ。図らずも自衛官時代と同じ名前だが・・・

 

っていうか、しれっと式典に参列しちゃって、リーダーになったり、名前貰ったりしちゃってるけど、中身は100円すらケチケチしちゃう日本人なんですけど・・・

 

 

 

・・・当直勤務はお任せしました佐藤曹長

あとコーヒーごめんなさい。

 




思い付きで独自設定入れちゃいました。
ARCS・・・いやーダサいですね(笑)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 取り敢えず整理してみた

今日は仕事が休みだったので、思い切って初投稿からの3本投稿・・・
頑張りました。
もう終わりにして良いですかね?
良いですよね?
ありがとうございます。


色々と整理しようと思う。

 

まず俺はクローントルーパーとなったのは間違いないようだ。

大好きなスターウォーズの世界に来て、手放しで喜びたい気持ちもあるが、そうも言ってられない。

 

まず一つとしてクローンの頭の中には、行動抑制チップが埋め込まれており、某パルパティーン議長の一声で、やりたくもないジェダイの粛清とやらの片棒を担ぐことになる。

そもそも長年生死を共にしてきた奴に、急に殺されるってどんなヤンデレだよ・・・

怖すぎだよ、誰も信用できないよ、引きこもろうよ(願望)

 

不幸中の幸いだが、俺たちARCSトルーパーは殆ど遺伝子操作をされていないようだから、仮に某オーダー66が発令されても抗える可能性がある。

だが念のために医療ドロイドに調べさせて、埋め込まれているなら取り除こう。

話しはそれからだ

 

「という訳なので、Xの初の任務を言い渡す。健康診断だ!」

 

「「「は?」」」

 

 

 

 

 

 

メンバーからすると何がという訳なのか理解不能だろうが、

結論を言うと抑制チップは埋め込まれていなかった。

そもそも抑制チップはクローンが裏切った時の為の保険として、マスター・サイフォディアスが埋め込むように指示を出していたものを、某パルパティーン議長が

 

『あ、これ使えるじゃんラッキー』

 

と利用したものなのだ。

 

試験的に成長速度が緩やかに設定されている事以外、調整がされていない俺たちに、仮に抑制チップが組み込まれていたとしても、繰り返しになるが抗えていた可能性が高い。

 

『ちょっとジェダイ殺してくれない?』

 

『ちょっと嫌ですね』

 

『え?』

 

『え?』

 

うん

ちょっと見てみたい構図ではある・・・

 

さらに言うならマスター・サイフォディアスとしては、4人程度のクローンが命令違反をしたところで、どうにでもなると考えていたんだろう。

当時のジェダイの傲慢ったら中々のものだったからね。

 

とはいってもアナキンがダークサイドに落ちなかったIFも非常に気になる俺からすると、粛清からジェダイを救いたいというのが正直な気持ちだ。

エピソード3を観るたびに

 

「アナキンだめー!大人しくその手に持っているゲームで遊んでて!」

 

と思っているのだ。

アナキンの人間臭くて、不器用なところが嫌いになれないんです。

アナキンとパドメと愉快な双子ちゃんの幸せな生活をみたいんです。

 

 

 

ということで、俺がこの世界でやるべきことは決まった。

アナキンやクローンによる、ジェダイの粛清という悲劇を回避するのだ。

ジェダイが滅ぶにしても、滅び方ってあると思うんだよ。

なんでもそうだけど、仕事の辞め方とか、部活、プロ選手の引退とかさ。

 

よし!

そうと決まればやることが山積みだ!

 

という訳で、まずは完全に置いてけぼりなXチームの紹介から行きましょう。

 

まずチームリーダーの俺、ARCS-6363“レイ”軍曹

陸自時代の経験と、こっちの憑依前までのトルーパーの経験を併せて頑張ります!

基本的にはチームリーダーとして指示を出していくが、全てのポジションをカバーして行く事になる。

 

次が俺の頭を叩いてくださりやがった、

部隊のナンバー2でもあるARCS-7272“アディス”上級伍長

彼は狙撃が得意だ。判断能力も高く、物事に冷静に対処してくれる。情に厚い。

 

次にARCS-8181“ヒュメル”伍長

彼は破壊工作など工兵的なポジションも就きながら、敵地潜入、偵察も行う。

格闘、ナイフ戦も得意で、模擬戦では気が付かないうちに死亡判定を食らっていることも少なくない。物静かであまり口数は多くない。

 

最後にARCS-9090“オーリー”伍長

チームのポイントマン。早撃ちや近接射撃は得意だが、遠距離になると途端に当たらなくなる。突入時にはその能力が遺憾なく発揮される。口数が多くおしゃべりでうるさい。そしてうるさい。加えてうるさい。大事なので3回言いました。

 

 

以上がこれからXチームとしてやって行く訳だが、生まれた時から一緒にいるし、そもそも遺伝子レベルで同じなのにそれそれ個性が強いのは何故なんだろう?

 

ARCS-6363なら上手くまとめるのかもしれないが、佐竹澪としては全く自信がない・・・

まあ、彼の意識は俺が吸収したから本人っちゃ本人なんだけどね。

ピッコ〇ロ+ネイ〇ル+神〇様的な感じかな?

 

ちなみに表面上は新兵ではあるが、今までの実戦経験や部隊の特性上、所属隊員が下士官以上となっている。

加えて、独立した指揮系統になっている為、例え上官であるキャプテンやコマンダーでも、命令を強制させることができない事になっている。

 

いやー、今の立場で良かったよ。

普通の一兵卒じゃ、目標達成なんて夢のまた夢だろうからね。

ホント自販機様様ですわ。本当にありがとうございます。助かります。

 

 

 

ちなみに今がどれくらいの時期なのかと言う事だが、情報収集した結果、概ねアニメ映画クローンウォーズの1年ほど前と言う事で結論づいた。

 

「そうなると本格的な歴史介入は、惑星クリストフシスか・・・」

 

 

 

 

裏切り者のレッテルを貼られたジェダイ、戦友であるジェダイ粛清の立役者となってしまったクローントルーパーの未来を変えるために、サージェント・レイの戦いが始まる・・・

 




ちょこちょこ読んでくださる方が増えてきて嬉しいです。
誰も読んでいなかったら完全に独り言の痛いやつみたいなので助かります。
痛いやつの代名詞になるのは是非とも回避したいので、末永くお付き合いください。

勘のいい方はお気づきかもしれないですが、チームメンバーの名前3人は、スポーツメーカーから持ってきました。
アディス→アディダス
ヒュメル→ヒュンメル
オーリー→オークリー

ちなみに自分の「某」や「〇〇」は飾りなのでそれも含めてお付き合い下さい。
ありがとうございます。
画面の向こうで皆さんが了承してくれたのが見えました。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 取り敢えずごみ捨てから始めよう

実は昨晩3話を投稿した後、身体に鞭打って夜の変なテンションで書きました。ありがとうございます。

投稿していなかったので、半端な時間ですがどうぞお楽しみください。


あれから1年が経った。

俺たちX(エックスレイ)チームは、銀河系の各地で激しさを増す戦争に身を投じていた。

 

時には先陣を切り、時には主力の作戦行動のために誰にも気づかれず、サポートや破壊工作、潜入を行う。

従来の指揮系統から完全に独立したXチームは、確実に戦果を挙げていった。

 

チームの損害を出さず、誰にも気づかれず作戦を遂行、完遂する俺たちは暗い灰色の装甲服を装備していることも相まってこう呼ばれるようになっていた。

 

 

【ゴースト】と・・・

 

 

 

 

 

惑星コルサントなどの主要な惑星が集中する、コア・ワールドへ続く各航路に機雷を設置され、外縁部で戦う共和国は補給が満足にされず、非常に苦しい戦いを強いられていた。

そんな時、航路の中継地になっているある地域で、ドロイド軍の前哨基地が建造されているという情報を掴んだXチームは偵察のために、単身その海域に潜伏しているのだった。

 

[ニュー級アタック・シャトル船内]

 

「なあヒュメル、レーション余ってないか?腹減っちまった」

 

「・・・」

 

「なあ、おいって!無視すんなよ!」

 

「・・・レイ、雑音がするが計器の故障か?」

 

「誰が壊れた機械だ!こちとら現役バリバリのARCSトルーパー様だぞ!おい聞いてんのか!」

 

はあ、潜伏中だというのに大人しくできないのかオーリーは・・・

 

「そのようだ、今日は確か廃品回収の日だったな。ヒュメル、悪いが船外に出しておいてくれ。そのうち誰か回収に来るだろ」

 

「了解」

 

「かはっ!こんな小惑星帯に誰が回収しに来るってんだよ!っていうかレイまでなんだ!俺の味方はアディスだけか!?」

 

「・・・(スススゥ)」

 

「しれっとフェードアウトすんなよ!っていうか俺が腹減ってるの知ってて、飯食ってんのか!?撃つか?撃つよ?撃っちゃうかんね!?・・・おいヒュメル!何どさくさに紛れて後部ハッチ開けようとしてんだ!ホントやめて!死ぬ!死んじゃうから!」

 

 

・・・こんなチームでジェダイの粛清を回避できるのか本気で不安になってきた。

まあ、あれだけ騒がしいオーリーも全共和国軍兵士の中でも10本の指に入るほど優秀な兵士なんだから、世も末だよな・・・

どうして優秀な奴っていうのは変わり者が多いんだ。

まともなのは僕だけか!!!(段ボールゲーム5参照)

そういえば佐藤曹長元気かな・・・

 

 

そんな時、船に通信が入った。

 

『サージェント・レイ、聞こえるかの?』

 

マスター・ヨーダからの通信だった。

 

「感明良好であります。何か問題が?」

 

こちらは敵地に潜伏している状態だ。そんな中で無線封止を破ってまで通信してくるとなると、何かあったに違いない。

 

『うむ、流石じゃの。実は問題が起きたのじゃ。急ぎ惑星クリストフシスに向かってくれるかの、うん?』

 

「イエッサー、直ちに。レイ、アウト」

 

危険を回避するため、早々に無線を切り上げる。

いよいよだな。この時期に惑星クリストフシスと言う事は十中八九、独立星系連合のウォーム・ロースサム将軍とアナキン達がドンパチしているのだろう。

俺たちがこの戦いに介入すれば、ジェダイやクローンの主要なメンバーと繋がりができる。

俺の目標達成の為にも、この戦いがある意味分岐点となるはずだ。

よし!

 

「航路設定!目標、惑星クリスト・・・」

 

「いい加減堪忍袋の緒が切れたぜ!食べ物の恨みは恐ろしいという事を思い知らせてやる!おい!だからハッチを開けようとするな!バカやめろ!」

 

・・・の前にまずはごみ捨てと行こうか

 

「オーリー伍長」

 

「ん?そんな怖い顔してどうした、レイ?」

 

「・・・俺は綺麗好きなんだ。ごみを放置しておくなんてことはしない」

 

「え、なに、やめて、ああああああああああああああああああ!!!!!」

 




いやーオーリー伍長うるさいですねぇ。
書いてて面白いんですが、話し出すと止まらないので困っちゃいますよホント・・・ぽいっ


何故かギャグ要素が多めになっちゃいますが、シリアスなところもしっかりと書いていくつもりなので、気長にお付き合いください。

それではまた近いうちに。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章(クローン・ウォーズ:映画)
第5話 取り敢えず参戦してみた


皆さんお疲れ様です。

今回はギャグ要素は皆無です。
今までとはテイストが違います。
グロい表現があるので、苦手な方はご注意を!

※変更バージョンを投稿したつもりが、予約していたのを忘れていてグロ強めの方を投稿していました。
申し訳ありません。
読んでない方は一読お願いします!


ハイパースペースを抜け、ヴェネター級スター・デストロイヤーが見える。

 

「相変わらず大きい・・・ここに自衛隊がいても赤子ほどの役にも立たないだろうな」

 

あれは共和国宇宙軍の提督、ウルフ・ユラーレンのレゾリュートだな。

何故かアナキンと組むことが多い人物だ。彼とも交流を深めていたほうが良いだろう。

 

 

「こちら共和国軍中央即応部隊、Xチームのサージェント・レイだ。着艦許可を求む」

 

『(!?噂のゴーストか)・・・コード確認、着艦を許可する』

 

 

 

船から降りるとユラーレン提督、第501大隊のトルーパー数名が出迎えてくれる。

 

「おお、君たちがあの“S”か!噂はかねがね聞いている。私は共和国宇宙軍提督のウルフ・ユラーレンだ」

 

「共和国中央即応部隊、サージェント・レイです。自分も恐れ知らずのエリート部隊で名高い、第501大隊と共に戦えることを光栄に思います」

 

ユラーレン提督に対して、敬礼で応える。

 

「うむ。ゆっくり話をしていたいところだが、時間がない。君たちにはクリストフシスに降りてもらう。詳しくは彼女に聞いてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

「敵が戻ってきた!」

 

「勝利宣言は早いと言っただろう。補給のため、船を帰したのは間違いだ」

 

「帰せと言ったのはあなたですよ、マスター!」

 

そう話すのは2人のジェダイの騎士

ジェダイナイトのアナキン・スカイウォーカー、

ジェダイマスターのオビ=ワン・ケノービだ。

加えて、キャプテン・レックスとコマンダー・コーディーもいる。

 

「レックス、部下を連れて続け!」

 

「コーディー、戦闘配置につけ」

 

「野郎ども続け!」

 

 

 

両陣営が真っ向からぶつかり、青と赤の光弾が無数に行き交う。

加えて重砲の砲弾が着弾し、地面を抉り、ドロイドを爆散させる。

そんな中でも赤い目を光らせながら、進軍を続けるドロイドは妙な不気味さがある。

 

『撃てー!』

『行くぜ!』

『ゴーゴーゴー!』

『怯むな!』

 

 

 

「パイロット!どこか降りられそうな所はないのか!?」

 

地上では激しい戦闘が行われている。

加えて、援軍が来られないようにだろう、ドロイド軍からの激しい対空砲火を浴びており、レイ達は本隊に近づけないでいた。

 

「無理言わないで!これ以上近づいたら対空砲の餌食になっちゃう!今は撃墜されないようにするのが精一杯なんだから!」

 

眼下で繰り広げられている戦闘を、指を加えて見ていることしかできない事にレイは苛立ちを隠せないでいた。

 

「っていうかレイレイって本当に普通のクローンと違うのね。中々いないよね?感情を素直に出すクローンって」

 

「レイ…レイ?」

 

そうか、アソーカってこういうキャラだったよな。

色々変わったニックネームを付けて、場を和ませるムードメーカーだったりする。

 

そうだ、落ち着け

目の前しか見ていない奴は直ぐに死ぬ

大局を見るんだ。

どこかに突破口があるはず…

 

 

 

 

果敢に応戦する共和国であったが、オクトゥプタラ・コンバット・トライ=ドロイド、通称マグナ・トライ=ドロイドが厄介だった。

このドロイドは全高が約15mで丸形の頭部に、節足動物のような3脚で身体を支えている。大型のレーザー砲を3門備えており、頭部を回転させながら、あらゆる方向に砲撃を加えることが可能だ。

 

このドロイドによる損害は増える一方だった。

大型のレーザー砲の爆発に巻き込まれ、ある者は頭部や両足を吹き飛ばされ、ある者は身体の半分を抉り取られている。

そんな中、まだ息のある兵士もいたがドロイドが迫ってくる。

救助しようにも応戦しなければ、さらに損害が大きくなってしまう。

そうやって次々と、厳しい訓練を耐え抜いてきた優秀な兵士達が簡単に命を落としていく。

最後に彼らの目に映っていたのは、血の海や死んだ兄弟達、自らの吹き飛ばされた手足だった…

 

 

 

「スカイウォーカー将軍は何をしているのでしょう?」

 

「心配ない。あいつに任せておけ!」

 

ジェダイはいつもそうだ。

多くを語らず、口を開いても、その意図を理解するのは難しい。

 

しかしコーディーは、その身をもって知っている。

彼らなら絶望的な状況でも、なんとかしてしまうと言う事を・・・

そう思えるほど、ジェダイとクローンの間には信頼関係が結ばれていた。

 

 

 

 

マグナ・トライ=ドロイドより、遥か高所にアナキン達はいた。

 

「作戦指示、願います」

 

「・・・付いてこい」

 

不敵な笑みを浮かべながら、そう言うアナキンはマグナ・トライ=ドロイドに向かって高く跳躍し、

 

「ゴーゴーゴー!」

 

レックス達、第501大隊の兵士たちも命令通り、信頼する将軍の後を追うようにジェットパックを起動させ、マグナ・トライ=ドロイドの真下に降りることに成功する。

 

 

 

 

よし、ここだ!

 

「パイロット!C地点に向かえ!」

 

アナキン達が作った僅かな綻びをレイは見逃さなかった。

 

「Xチーム、ジェットパックの用意だ。ジェダイが道を開いたぞ!」

 

「「「イエッサー」」」

 

そして、素早くハッチから次々に降下していく。

向かう先は、アナキン達よりさらに前線だ。

と言うのも、アナキン達は敵のど真ん中で戦っている。

前から次々にドロイドが押し寄せてくる。

俺たちはあそこで敵の進軍を抑えるのだ。

 

ジェットパックで上空を飛びながら進軍してくるドロイドに向けて、試作のグレネードランチャーを撃ち込む。

装填されているのはEMPグレネードだ。

すると電磁パルスが発生し、ドロイド達は機能を停止していく。

 

前列のドロイドが次々に機能を停止していくため、後列のドロイドが上手く前進することができない。

そこに炸裂弾に切り替えたグレネードランチャーで、ドロイドをスクラップにしていく。

 

「うおー!すげー威力だな!気に入ったぜ」

 

どうやらオーリーのお気に召したようだ。

というのも、装填されているのはサーマル・デトネーターをグレネードランチャー用に改良した物で、内包できる火薬量が増加した事で、威力そのものも向上している。

 

 

 

ここからの展開は一方的だった

共和国側の前線が上がったことにより、敵本陣への重砲での弾幕を張る事が可能となり、ドロイド軍は後退せざるを得なくなった。

 

 

本隊から距離が離れていた為、シャトルに回収してもらう

 

 

 

 

 

 

『味方だ!』

 

上空からニュー級アタック・シャトルが降りてくる。

 

「援軍が来たようだな」

 

「ええ、今度は帰さないで下さいよ、マスター?」

 

「そうだな、気が済むまでいてもらうことにしよう」




ご意見にもよりますが、今後はあまり直接的なグロは入れないで話を展開していければと思います。
そもそもスターウォーズの世界観に合わないですからね(笑)
グロ乱用は「ダメ。絶対。」

仕事中も、話をどんな展開にしようか考えちゃって、集中できなかったです。
これはイケませんねぇ・・・
私は公私を分けられる人間です!
と言う事は皆さんが悪いと言う事ですね?
そうですよね?本当にありがとうございます。助かります。
あと話の展開が遅いので、もう少しテンポ良く行ければと!

ということでまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 取り敢えず進言してみた

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

※5話がかなり修正入ってるので、もし読んでいない方は一読ください。

今回からまたギャグ要素が戻ってまいりました。
こっちの方が読んでて面白いですか?




「なに!?おいおい冗談だろ、何かの間違いだ。パダワンが必要なのはこの人だ」

 

この幼すぎるパダワン見習いアソーカは、自分のマスターはアナキンだというのだ。

しかし、弟子など取りたくないアナキンは、その事実を全く受け入れようとしない。

 

まずいな・・・

時間を掛ければ掛けるほど、重砲陣地の裏に回られることになる。

 

「失礼します。取り合えずその話は置いておいた方がよろしいかと」

 

「・・・重砲の裏を取られると我が軍に勝ち目はありません」

 

おっ、ナイスだ!

自衛官時代の経験から、将軍という雲の上の存在の話の腰を折っていいものかと、内心オドオドしていた全く使えない某軍曹とは違い、アディスとヒュメルはしっかりと状況判断を行っていた。うん、優秀だ。見習わなきゃね!(フラグ)

こんな時、いつもおしゃべりな某ARCS-9090オーリー伍長はというと、スクラップになっているB1-バトルドロイドの頭で遊んでいる。

 

「レイレイ、見てくれよ!『ラージャ、ラージャ』ぷぷぷwww」

 

・・・こいつには行動抑制チップが必要なようだ。

ここでの任務が終わったら、急ぎカミーノに向かう必要があるな。

 

「その通りだトルーパー、ありがとう。まずはやる事があるのではないかな?」

 

「・・・レックスと一緒に戦況を確認します。君たちも一緒に来てくれ」

 

将軍様からお呼びが掛ったぜ。

身体に染み込んだ下っ端魂が即座に反応して、ピタッと後ろから追従する。

 

 

 

 

「状況は?」

 

第501大隊の士官の兵装に、誰がとは言わないが、筋肉もりもり大御所芸人のような金色の坊主頭をしている彼がキャプテン・レックスだろう。

 

「動きありません。攻撃に備えているのかと。(?)このトルーパー達は?」

 

明らかに一般のクローンとは違い、特殊な兵装を身に纏っている見慣れない4人組がいれば気になるだろう。

さらに言うなら、その中の1人は大事そうにB1-ドロイドの頭部を持っているのだから。

って言うかまだ持っていたのかよ・・・

ヒュメルに関しては関係者だと思われたくないのか、一定の距離を保っている。

うん、気持ちはわかるぞヒュメル!

この作戦が終わったら直ぐにカミーノへ向かうからね!

 

「ARCSトルーパーのサージェント・レイだ。キャプテン・レックスだろ?歴戦の兵士に会えて光栄だ」

 

「なるほど。お前たちが・・・。歓迎する。お前たちがいれば心強い」

 

ちなみに俺たちは上官のトルーパーに敬語は使わない。

これは実際に特殊部隊でも行われている事で、普段から敬語や必要以上に上下関係を意識させ過ぎていると、ちょっとした気づきも共有しにくくなるからだ。

このちょっとした気づきが、部隊の命運を左右することもある。

 

 

この後、忘れられているアソーカが不機嫌になったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

「敵、重砲陣地まで一気に突っ走れ!」

 

独立星系連合のウォーム・ロースサム将軍は戦車部隊を引き連れ、エネルギー・シールドを展開しながら進軍することで、重砲の強力な砲撃を無力化することに成功していた。

 

 

 

 

 

「シールド・ジェネレーターの位置はこの辺り。部隊の進軍より少し先んじて、有効範囲を拡大している」

 

「重砲ではシールドを破れません」

 

シールド・ジェネレーターは、当たり前だがシールド内にある。

しかもドロイド部隊の大群に戦車部隊、それらがシールドに守られながら進軍しているのだ。

時間を掛ければ掛ける程、こちらが不利になる。

そのまま重砲を破壊されれば、部隊は全滅するだろう。

 

「ビルの中に敵を誘い込むしかないな。それでようやく対等に戦える」

 

いや、それではダメだ。

ビルごと破壊される可能性があるし、回り込んでくる敵がいないとも限らない。そうなると挟み撃ちに遭う。

ドロイド軍による一斉射撃を食らえば、ひとたまりもないだろう。

向こうは機械だが、こちらは生身の人間、死んだらそれで終わりだ。

 

「シールドが邪魔なら、無くしちゃえば良いじゃない」

 

「言うだけなら簡単だ」

 

「いや、自分も賛成です。この戦いは時間との勝負になる。時間を掛ければこちらが不利になる。それに重砲がやられれば、我が軍に勝ち目はありません」

 

よし、言ってやったぞ!フラグ回避だ!

やっぱり言いたいことは言わなきゃ身体に悪いよね!

 

「僕も賛成だ。部隊を2つに分けよう。僕とアソーカがジェネレーターを破壊する。レイ、君たちも力を貸してくれ」

 

「もちろんです。自分とヒュメルがスカイウォーカー将軍、アソーカと共にジェネレーターを破壊、アディスは高台から狙撃、オーリーはケノービ将軍、キャプテン・レックスと共に前線で敵の進軍を食い止めてくれ」

 

「「「イエッサー」」」

 

「良いだろう。君たちにこの問題を解決してもらおう。敵は固まって行動している。成功すれば、一気に重砲で殲滅することが出来るはずだ」

 

 

 

 

 

「それで、どうすんの?」

 

「お前に考えがあると思ったが?」

 

特に考えもなく、アソーカはジェネレーターの破壊を進言したらしい。

しかし、ジェダイというのはこういう状況でも何とかしてしまうから恐ろしい。

って言うかどうせならクローンじゃなくて、ジェダイになりたかったなぁ・・・

まあ正直、フォースとかライトセーバーとかセンスなさそうだからなぁ

普通に自分の身体とか、味方を切る自信しかないもん。

うん。やっぱり慣れている銃が良いよな、うん。

やっぱりクローンでOK。ありがとうございます自販機さん!

 

「自分に考えがあります。敵は真っすぐ橋の上を通って重砲陣地に進軍しております。その下を通っていけば、最短でシールド・ジェネレーターに辿り着けます」

 

そんな事を心の中で思いながら、元々考えていた作戦を進言する

 

「それはそうだけど、どうやって橋の下を通って行く気?」

 

「これを使います」

 

そう言うと、俺をサポートするかのようにヒュメルが自らの背中を指さす。

 

「なるほど・・・ジェットパックか」

 

「はい、我々のジェットパックは特殊作戦用に出力が向上され、加えて静穏性に優れています。問題なく辿り着けるはずです」

 

俺たちが使っているジェットパックは通常のものと違い、特殊作戦用に作られた試作品だ。大人2人分の体重など、全く問題なく支えられる。

加えて任務の特殊性故、静穏性にも優れている。

今回のような少数での潜入ミッションには非常に相性がいい。

 

「よし、時間がない。その案で行こう」

 

 

 

 

 

その頃、シールドの範囲に入るであろう高台で狙撃銃を構えているのはアディスだ。

 

「オーリー聞こえるか?こちらアディス、狙撃位置についた」

 

『感明良好、了解だアディス。こっちはブリキ野郎共が近づいて来ないと攻撃できないんだ。ノンビリ待たせてもらうさ』

 

「どちらにせよ、長距離の射撃は苦手だろ。そもそも当たらないんだ。お前が心配することじゃない」

 

『なんだと!?俺はな、当たらないんじゃなくて当てな・・・』

 

話しが長くなりそうなので、一方的に通信を終わらせるアディス

オーリーからの無線が入ってくるが無視し、我らが隊長に無線を繋ぐ。

 

 

 

 

 

そろそろアディスから連絡が来るはずだが・・・

 

『レイ、聞こえるか?アディスだ。こっちは準備できた。ケノービ将軍は無駄とはわかっているが、重砲でシールドに攻撃を加えるようだ』

 

良いタイミングだ

やはりオビワンは攻撃を加えるのか・・・映画通りだな

この機会を逃す手はない。

 

「ばっちり聞こえている。こちらは将軍の砲撃が始まった段階で作戦を開始する」

 

『了解した。早くしてくれよ?遅れるとまたオーリーが腹減ったやら、何やらで騒ぐからな』

 

「そうだな。さっさと終わらせよう。レイ、アウト」

 

通信を終わらせて、ふと思う。

この作戦が終わってもリアルゴールド飲めないんだよなぁ

マジで俺が頑張る糧って何なんだろう・・・ぴえん

 

まあ良いさ、憧れの世界にいるんだ。多くは望むまい。

 

「スカイウォーカー将軍、砲撃が始まり次第前進します。このままでも問題ないと思いますが、念の為です。我々の気配も消してくれるでしょう」

 

「了解だ。お前の判断に任せる」

 

優秀だな。もはやクローンでは無く、普通の人間のようだ。

確かレックスが言っていたが、調整を加えられていない特殊なクローンだったか?

是非、我が第501大隊に欲しい人材だ。

 

「イエッサー。ん?オーリーから無線が・・・こちらレイ、どうした?」

 

何か重大な問題が起きたのか?

素早く応答すると・・・

 

『聞いてくれよレイレイ!アディスの奴、全く無線に出やがらないんだ!俺は遠距離射撃は当たらないんじゃ無くて、わざと当てないんだって説明してるのによ!ホント困っちまうよなぁ。あいつ、きっと俺の華麗なガンスピンに妬いてるんだぜ?早撃ちに関しちゃ、俺の右に出る者は・・・』

 

・・・なんだ。計器の故障か。

ヒュメルに捨てておいてくれと頼んでいたのに。

 

「おいヒュメル」

 

「?」

 

「後でちゃんと捨てておけよ」

 

何かを察したのかヒュメルは了解と答えた。

そして何を思ったのか、自分のナイフに刃こぼれが無いかを確認しだした。

・・・オーリー今までありがとう。生まれた時からだから、長過ぎる付き合いだったな。

全く寂しくないぜ。あの世でも元気に暮らすなよな。お前うるさいから・・・

 

そんな事を考えていると砲撃が始まった。

 

よし、行くか!

 




いやー、オーリーご愁傷様です。
いつかヒュメルに後ろからブスリとやられそうですね。

今回でクリストフシス終わりにしようかと思ったのですが、ギャグ要素入れていったら全然終わりませんでした。
これもオーリーに原因がありますね。
やっぱりアイツには楽になってもらいましょう!
頼んだぞヒュメル!

次でクリストフシス終わりにするつもりです。
あくまで「つもり」なので、終わらなくても苦情は一切受け付けません。
よろしいですか?ありがとうございます。助かります。
皆さんが画面の向こうで頷いてくれたのが見えました。

私はこんな感じなので、気長にお付き合いください。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 取り敢えず壊してみた

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

今日寒いですね。



俺たちは特にこれといった問題もなく、シールド・ジェネレーターの直ぐ傍まで来ていた。

安全の為、少し離れた物陰に隠れる。

 

「あれだな、予定よりかなり早く辿り着けた。君たちのお陰だ」

 

「この後、何事も無ければ良いのですが・・・」

 

「そうだな。用心していかないと」

 

映画ではジェネレーターを破壊する時に、何か問題が起きたような記憶があるのだが、それが何だったか思い出せない。

正直、実写と比べてアニメ映画はそこまで観込んでいなかったからなぁ・・・

どうせならこっちの世界に来る前に、しっかりと復習をしてから来たかった。

もう!自販機さんったら意地悪なんだから!

 

そもそも敵からすればシールド・ジェネレーターは作戦の要だ。

何らかの防衛策を取っていると考えて間違いない。

 

 

よし!

そうと決まれば偵察を・・・

 

「お先!」

 

!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 

「!?待て!!」

 

「なんでー?直ぐそこじゃーん!」

 

アソーカが走り抜けようとした地面からは、アンテナのような物がいくつも張り巡らされていた。

 

「だから待てと・・・!」

 

すると、地面の中で待機状態になっていたドロイドが起動する。

 

LR-57コンバット・ドロイド

通称リティール・ドロイドと呼ばれ、主に歩哨としての役割を持つこのドロイドは、両腕それぞれに2門、計4門のブラスター・キャノンを装備している。

その特徴は一種の地雷のように地面の中に待機し、周囲に敵が近づくと、その敏感なセンサーで起動、敵を殲滅するようにプログラムされている。

 

「ドロイドに構うな!爆薬を仕掛けろ!」

 

そういうとアナキンは洗練されたセイバーテクニックで、次々にドロイド達をスクラップにしていく。

 

瞬時にヒュメルも反応し、自らの両腕に備えられた高周波ブレードを起動する。

この装備は近接戦を得意とするヒュメル専用に試験的に開発された物で、ライトセーバー程とはいかないが、特殊な合金に高周波を流すことでドロイド程度の装甲であれば両断することができる。加えて、エレクトロスタッフと同系統の電磁パルス発生装置も組み込まれている為、ライトセーバーによる攻撃に対しても耐性も持ち合わせている。

 

アナキンは一撃で、ヒュメルは手数で、次々にドロイドを破壊していく。

 

「自分はアソーカをカバーします」

 

こっちはアナキンとヒュメルに任せておけば大丈夫だな。

そう判断し、ブラスターでドロイドに攻撃を加えながら、ジェットパックを起動してアソーカのカバーに向かう。

しかし既にシールド・ジェネレーターに辿り着いていたアソーカの背後には、ドロイドが忍び寄っていた。

それに気が付いたアソーカは、ライトセーバーを起動してドロイドの背後に回り込み、上下に両断する。

 

そう、上下に両断したのだ。

そこまでは良かった。

もう一度言う。上下に両断しているのだ。

間違いなく、このドロイドは機能を停止している。

しかしアソーカは何をとち狂ったのか、その残骸をフォースで吹き飛ばした。

それもドロイドの地雷原の中に・・・

 

良い子に眠っていたドロイドちゃん達は眠気を妨げられたことによって、それはもうお怒りでした。

あーーー、カオスとはこの事だ・・・

もう、どうにでもなれー

 

「お前どっちの味方だ!」

 

「・・・あいつ嫌い」

 

「ごめーん・・・爆薬セットする」

 

 

 

 

 

トラブルはあったが(主にアソーカ)、無事にシールド・ジェネレーターを破壊することに成功した。

 

『シールドハ、ドウナッタ?』

 

『コッチノホウガ、ソラガ、キレイニ、ミエマスヨ?』

 

 

「砲撃開始!!」

 

シールドが消失したことにより、重砲での砲撃が可能となった。

加えて、オビ=ワンが敵将を捕虜にすることに成功。

その後、ユラーレン提督が封鎖線を突破、敵艦隊は退却を余儀なくされた。

 

 

 

 

 

「お前は無鉄砲すぎる。とてもオビ=ワンのパダワンは務まらない」

 

「・・・」

 

「でも、僕のなら別だ。・・・来いよ」

 

 

 

 

 

その後、マスター・ヨーダからジャバの息子が攫われたと聞いた。

外縁部で戦う共和国軍に物資や増援を届けるのに、ジャバが支配する海域の通行許可が必要だというのだ。

そこでジャバを味方に付けるため、オビ=ワンが交渉役、アナキンには息子を攫ったならず者を見つける役目が与えられた。

 

「人手が足りておらん。お主らにも手伝ってほしいのじゃ」

 




前回クリストフシス終わりにするつもりって話しちゃったので、取り合えずぱぱっと書いちゃいました。
もうこれからは終わりにするとか言わない…

今後の流れは全く考えていませんが、いつものことなので書きながら考えます。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 取り敢えず救出してみた

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

今回はぷにぷにちゃんだか、ぽよぽよちゃんだかを救出する所までです。


共和国宇宙軍旗艦レゾリュート艦内

 

「ジェダイでもキツイですぜ?」

 

「ドロイドに囲まれていたんですよね?どうやってシールドを?」

 

共にクリストフシスで戦ったトルーパー達に囲まれて、シールド・ジェネレーターを破壊する時の作戦について質問攻めにあっていた。

作戦について知りたいというのもそうだが、ARCSトルーパーが珍しいという好奇心の方が大きいようだ。

ARCトルーパーでも、一般兵士の憧れのような存在だ。

特に新兵などは無条件で、尊敬の眼を向けてくる。

 

「すぐ目の前にはシールド・ジェネレーターがあった。だが、俺の鋭い勘がこう言っていた。『ここには何かある。間違いなく罠だ』ってな!だが重砲が潰されるのも時間の問題。本隊も限界が近かった・・・。そこで俺はあえて罠に飛び込むことを決断した!」

 

「そこで私はフォースを使ってドロイドを吹き飛ばした。残りのドロイドも、ライトセーバーを使ってバッサバッサと切り刻んで行ったの!そして将軍は無事」

 

「「「「「はっはっはっはっ」」」」」

 

「本当ですか、将軍?」

 

「ああ、大体はな。そうだろレイ?」

 

「そうですね。『大体は』そうだったような気がします」

 

「よし諸君、任務はこれからだ!」

 

「イエッサー!皆聞いたな、解散!」

 

そうして集まっていたトルーパー達は自分の持ち場に戻っていった。

隣ではオーリーとアソーカはハイタッチをしている。

どうやらお調子者同士、気が合うようだった。

 

「お前はいつジェネレーター破壊組に加わっていたんだ?」

 

「細かいことは気にするなよアディス!これで皆の士気が上がったろ?」

 

「確かにな。だがあれはオーリーじゃなかったのか・・・」

 

「何のことだ?」

 

「大事そうにB1-ドロイドの頭を背負っているトルーパーがいたんだ。敵のブラスターに当たったときは大騒ぎしていたんだがな・・・」

 

「バ、バカ言っちゃいけねーよ!誰だ、そんな事していた奴は!全く、戦場を何だと思っていやがるんだ!それに戦場での戦利品は固く禁じられている!そうだろう、ヒュメル?」

 

「・・・後で捨てておかないと」

 

「な、何言ってるんだ?どうして高周波ブレードの点検をしている?」

 

ヒュメルはごみ捨てにナイフから、高周波ブレードへランクアップさせたようだ。

うむ、その意見には俺も賛成だ。

 

「後は頼んだぞ、ヒュメル」

 

そう言って、俺はヒュメルとアイコンタクトを取るのであった。

 

「なんだ?俺の鋭い感が最大級の警報を鳴らしている・・・ぜ?」

 

 

 

 

 

攫われたジャバの息子が、惑星テスの修道院に囚われているとの情報を掴んだ。

その修道院は要塞化され、ドロイド軍2個大隊に守られているという。

 

 

惑星テス、LAAT/iガンシップ機内

 

「アナキン、話し合いがついた。ジャバは息子を無事タトゥイーンまで連れ戻すのに、星が一回りする余裕しかくれなかった」

 

ジャバに交渉を行うため、タトゥイーンにいるオビ=ワンから通信が入った。

 

「十分ですよマスター」

 

「油断するんじゃないぞ。誘拐犯の正体がまだわからないんだ。交渉を終えたら私もそちらへ飛ぶ」

 

星ってどの星なんだろう・・・

その星によって一回りする時間ってかなり違うよね?

まあ、傲慢で自分勝手なジャバのことだ、自分がいる星に決まっている。

 

・・・タトゥイーンってどれくらいで一周するんだろう。

ねえーアナキン、タトゥイーンって何時間で一回りするんだい?

って気軽に聞ければ良いんだけど、全くそんな雰囲気じゃないし、そんな関係でもない。

こういう時はおしゃべりなオーリーに聞いてもらいたいんだが、あいつはと言うと・・・

 

立ちながら寝てやがる。

確かにクリストフシスから連戦だし、休む時間と言ったら移動の間だけだったしな。

自衛隊では、行軍中に歩きながら寝ると言う特殊スキルを、ほぼ全員の隊員が習得している。

どこでも寝られるというのは兵士にとって必須スキルなのだ。

 

そんなくだらない事を考えていると敵拠点からの迎撃が始まった。

パイロットから、敵の弾幕が激しいとの報告を受けるアナキンは、ガンシップのブラストシールドを閉めさせる。

各トルーパーが武器・装備の点検を行い、戦闘準備を行う。

 

「ヒュメル、オーリーは着陸次第、本隊から離れて修道院に潜入しろ。誰にも見つかるなよ。

今回の誘拐事件の関係者がいるはず。そいつを見つけ出すんだ」

 

「「イエッサー」」

 

俺の記憶が正しければアサージ・ヴェントレスがいるはずだ。

そしてジャバの息子誘拐の罪をジェダイに被せようとするはず・・・

そう簡単に思い通りにさせて堪るか。

逆に、一泡吹かせてやる。

 

 

そうしてガンシップは敵の弾幕を掻い潜り、無事に着陸することに成功する。

 

「グリーンライト、ゴーゴーゴー!!」

 

要塞と化した修道院からは嵐のような激しい銃撃が襲ってくる。

しかし、こちらも森の中を進軍している為、敵もしっかりとは狙いが定まらない。

 

「セクター11374265ニ、ホウカヲ、シュウチュウシロ!」

 

「11、3、7・・・モウイチド、ネガイマス!」

 

「イイカラ、アソコヲ、ネラエ!!」

 

共和国側の全地形用戦術歩行兵器、AT-TEが修道院のある崖の上に向かって砲撃を加えると、複数のドロイドが爆散する。

そうやって、共和国側も弾幕を張りつつ進軍することで崖下まで到達することに成功する。

 

「さあ、お楽しみはこれからだよ?」

 

「競争と行くか?」

 

「先に行って良いよ?」

 

「後悔するぞ!」

 

そうやってアナキンやアソーカ、クローン達がアセンション・ケーブルを用いて、崖をのぼりを始める。

AT-TEもしっかりと登っている!

おちおち登っている感じがとても愛らしい。

え?俺だけ?あっそう・・・

 

しかし、これじゃあ良い的だな・・・

そう思い、アディスに合図を送り、ジェットパックを起動して一気に崖の上まで上昇する。

いやホントにジェットパック様様だな。

俺はこれが無いと生きていけない身体になってしまったのだ。

恐らく、もうお嫁には行けないだろう。

 

「あ、レイレイずるい!!」

 

どうやらアソーカは俺が抜け駆けしたと思っているようだ。

心外だな。ちょっと傷ついたぞ。

 

「このままだと良い的だ!俺とアディスで少しでも敵の数を減らしながら、併せて注意を引く。悔しかったら早く登って来いよ、お嬢ちゃん?」

 

「お嬢ちゃんはやめてってば!」

 

 

 

 

 

その後無事に修道院まで辿り着き、敵の制圧を完了した。

まあ本当はヴェントレスが潜んでいるはずなので、アナキンに忠告しなくてはな。

 

「スカイウォーカー将軍、本当にジャバの息子がいるなら守りがドロイドだけとは考えにくい。まだ建物内に大物が潜んでいると考えて、対処した方がよろしいかと」

 

「ああ、海賊にしてはドロイドが多すぎる。背後にドゥークーの匂いがする。早くジャバの息子を探そう」

 

修道院の中に入ると中は薄暗く、気味の悪い雰囲気だった。

トルーパーはそれぞれヘッドライトを点灯させる。

俺たちは?

全く問題ない。ヘルメットには自動調節機能が付いた暗視装置が内蔵されているからな。

非常に暗い空間でも、本人にとって最適な明るさに自動調整される。

ホント便利な時代だよね。まあその分重量が増加してるんだけどね。

 

今のクローン達は、フェーズⅠという初期型のアーマーを装備している。

訓練生時代に着ていたことがあるが、重くて着心地が悪く、加えてしゃがみにくいと色々問題があったモデルだ。

ちなみに俺たちは、試験的に新型のフェーズⅡというモデルの装甲服を着ている。

こちらはより人間工学にマッチした設計になっており、着心地の良さもかなり向上している。他にもヘルメットに味方情報が投影されたり、高性能な空気フィルターや酸素供給システムが内蔵されたりと様々な機能がアップデートされている。

まあ何が良いたいかと言うと、旧型より大分良くなってるよってこと(語彙力)

 

「何者だ?」

 

そんな事を考えていると、奥からこの建物の管理人だと名乗るドロイドが来た。

コイツは確か、ヴェントレスと一緒に居た奴だな。

このドロイドが言うには囚人は地下牢に閉じ込められているという。

囚人とやらはジャバの息子だな。

誰が見ても罠だよな、うん。

 

「ハットを連れてくる。君らはここで見張りを頼む」

 

「お任せを、将軍」

 

よし、ここからが勝負だな。

この後、アナキン達がジャバの息子を救出し、バックパックに詰め込もうとする。その時の映像と併せて、『ハットは嫌いだ』というアナキンの言動がドゥークーによってジャバに伝わってしまう。これにより、息子誘拐の真犯人がジェダイだと信じ込ませたのだった。

 

これを回避するのは実にシンプル。

映像をドロイドに録画させなければ良い。

そう考えていると通信が入った。

 

『・・・レイ、敵を見つけた。スーパー・バトルドロイドが十数体と、女が一人』

 

「了解した。俺が合図したらEMPグレネードを投げ込んで制圧しろ。くれぐれも女には気を付けて、深追いはするな。ドロイドだけ片付けて俺たちと合流するんだ」

 

『了解。ヒュメル、アウト』

 

よし、第一段階はクリアだ。

 

そうこうしているうちに、アナキン達がハットを連れて戻ってきた。

兵士からバックパックを受け取ろうとしている。

 

「ヒュメル、今だ!」

 

俺の合図を聞いたヒュメルはEMPグレネードを投擲、オーリーが即座に突入する。

殆どのドロイドが電磁パルスの影響で機能を停止し、残りのドロイドもオーリーの得意な近接射撃と、少し遅れて突入してきたヒュメルの高周波ブレードによって両断される。

 

ヴェントレスに変わった雰囲気を気取られないように、あえて味方にも作戦を伝えていなかった為、何事かと騒ぎ立てるアナキンやクローン達だが勝負は一瞬でついた。

 

「何だ!?何があった?」

 

「自分の作戦です将軍。残りは女一人です」

 

そう伝えると、命令通りヒュメルとオーリーが合流してきた。

 

「あいつやばいぜ。相当な実力者だ!しかもライトセーバーを使ってやがる!」

 

オーリーがそういうと、上階に赤い閃光を携え、怒り狂った顔を向ける女の姿があった。

 

「ヴェントレスか!!」

 

ヴェントレスは修道院の広間を大きく越え、崖の所まで跳躍した。

すると上空からドロイドの大軍が現れるのだった。

 

「マスター、また問題です」

 




いやー頑張って書き切りました。
途中から何書いてるんだっけと意識が飛んでいました。

主人公は全体の流れは知っているけど、細かいところまでは覚えてないっていう感じで、これからも書いて行くつもりです。

あくまで「つもり」なだけなので、あまり気にしないで下さい。
何かあっても苦情は一切受け付けません。
よろしいですね?
いつもありがとうございます。本当に助かります。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 取り敢えず水虫の匂いが気になってみた

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

もし自衛隊駐屯地の浴場に入る機会がありましたら、気を付けて頂きたいことがあります。
バスマットは絶対に踏まないことです。

地雷が埋まっているが如く、慎重に出入りした方が賢明です。


惑星タトゥーイン<ジャバの宮殿>

 

「偉大なるジャバは、誘拐の犯人がジェダイである証拠を見せろと仰っております」

 

傍に仕えるプロトコル・ドロイドがそう通訳する。

 

「偉大なるジャバ・ザ・ハット、その証拠、すぐにご覧に入れましょう」

 

しかし、ドゥークーは内心焦っていた。

おかしい。ヴェントレスが録画した映像を送信してくるはずだが・・・

通信を投げかけてはいるが、ヴェントレスから応答がない。

何か問題が起きたようだ

・・・あの女の処遇を考えねばなるまいな。

 

「偉大なるジャバ、少し問題が起きたようです。しかしご安心を。必ずや、私のドロイド軍がご子息を無事に連れ戻すと約束しましょう」

 

「偉大なるジャバは、お前が証拠を提示できないのであれば、共和国が無事に息子を連れ帰った暁には、その願いを聞き入れることになると仰っています」

 

 

 

 

 

空からはバトルドロイド部隊を乗せたC-9979上陸艇が2隻に加え、ドロイド・スターファイターが多数、修道院に向かって来ている。

 

「迎撃配置に付け!」

 

 

 

地上からB1-ドロイドやスーパー・バトルドロイド、蜘蛛のような形状のスパイダー・ドロイドが隊列を成してやってくるのに加えて、空からはドロイド・スターファイターが地上部隊に対して計4門のブラスター・キャノンで攻撃を加えてくる。

 

まずいな。

こっちの部隊は先の戦闘で少なくない損害を受けているし、兵士たちの疲労も蓄積している。ここは一旦引いて、態勢を立て直した方が良い。

 

「スカイウォーカー将軍、どちらにせよ、あの数では我が軍に勝ち目はありません!一旦修道院まで後退しましょう!」

 

そう進言しているとスパイダー・ドロイドの一斉射撃がAT-TEのコックピットに集中する。

ああああああ!!!!

俺の愛しのAT-TEちゃんがあぁぁぁぁぁぁ!!!

・・・絶対に許さない。

リアルゴールドが存在しないこの世界で見つけた、俺の癒し成分をよくも破壊してくれたな!!

俺は怒ったぞー!!フリーz(自主規制)

自らの髪の毛が逆立った黄金色に染まるような錯覚を覚えながら、俺は舞空zy・・・ジェットパックで空に浮かび上がった。

そしてXチームにも合図を送り、4人で部隊の退却を支援する。

 

「俺たちが援護する!今のうちに退却しろ!」

 

 

 

 

 

俺の戦闘力が50倍に跳ね上がった話は置いておいて、無事に修道院に中まで退却することに成功する。

この怒りと悲しみはどこにぶつければ良いのか・・・

あ、なんだ。オーリーがいるじゃないか。

水面下で着々と準備が進められている、『ごみ捨て』に全ての執念を注ぎ込もうと決意した時、アナキンとアソーカが揉めている声がした。

どうやらオビ=ワンが来るまで立て籠ろうとするアナキンと、出来るだけ早く息子ちゃんをタトゥーインまで送り届けるべきだという所で意見が割れているようだ。

 

この状況だとアソーカに賛成だ。

今、達成すべき任務の最重要事項はハットの息子を無事に送り届けることだ。

無駄に時間を掛ける意味は無いし、立て籠っても根本的な解決にはならない。

 

「自分もアソーカに賛成です。出来るだけ早くタトゥイーンに向かった方が良いでしょう」

 

「レイ、君がそう言うなら何か考えがあるんだろう。聞かせてくれ」

 

はい!ご指名に預かりましたレイレイと申します。

自分は過去に日本国防衛省陸上自衛隊ピー駐屯地、以下略

 

「イエッサー、先ほどヒュメル達にこの建物を探らせていたところ、裏手の離れにG9リガー貨物船を発見しました。偵察したところドロイド達が荷物の運搬等を行っていた為、問題なく稼働すると判断します」

 

「なるほど、さすがだな。この状況も読んでいたのか?その船を使ってタトゥイーンに向かえば、無駄なリスクを避けることができるか・・・」

 

「まさか、自分にそんな力はありませんよ将軍(キリッ)。この作戦に伴い部隊を二つに分けることを進言します」

 

「よし、それで行こう。アソーカ、R2は僕と共に船に向かう。レックス達はここに残って奴らの足止めを頼む。上手くいけば、奴らが気づく頃には僕らは遥か遠くに去っている。レイ、君たちに命令を下す権限は無いのでお願いする形になってしまうが、力を貸してくれるか?」

 

何を今更・・・

水虫臭いじゃないかこの野郎!

・・・ちなみに水虫臭いって、どんなオイニーがするんだろうか。

水虫の人の足の匂いを嗅げば早いんだろうが、残念ながら俺にはそんな特殊な性癖は無い。

今度、オーリー辺りに水虫のある兵士の足を嗅がせてみよう。軍隊にとって水虫は職業病みたいなモノだしな。すぐに見つかるだろう。

心の中で日本では絶賛パワハラになるであろう、くだらない事を考えているが勿論そんな所を表情に出す俺ではない。なんて言ったってレイレイはポーカーフェイスで有名だからな!

ギャンブルをやれば隠れた才能が開花するに違いない。

まあ、じゃんけん弱い奴が何言ってんだって話だが・・・

 

「もちろんです。ヒュメルとオーリーはレックス達とここに残り、時間稼ぎを頼む。必ずケノービ将軍が応援に駆け付けてくれるはずだ。アディスは俺と来い。良いか?」

 

「「「イエッサー」」」

 

今回の戦闘では敵との交戦距離が近くなる。ヒュメルとオーリーの、近接戦闘能力が必要になるだろう。

それにアディスの狙撃能力は広大な砂漠が広がっているタトゥイーンでは相性が非常に良い。この組み合わせがベストだと判断した。

 

「じゃあ、やることは決まったことだし、早速取り掛かろっか!」

 




今のところ毎日更新が出来ているので、このペースを保っていきたい・・・
まあ、例のごとくあくまで「いきたい」なので以下略
苦情は一切受け付けません。いつもありがとうございます。本当に助かります。

ちなみに連載話数の隣にあるライトセーバーみたいな赤とか黄色のゲージってどうやったら増えるんですかね?
お前はふさわしくない的な・・・?

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 取り敢えずオーリーがカッコイイ

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

誤字修正ご協力頂きありがとうございます。
非常に助かります。

そして評価も賛否両論ありがとうございます。
出来るだけたくさんの方に楽しんでもらえるように引き続き頑張るので、応援よろしくお願いします。

今回は貨物船でハイパースペースに入るまでです。
珍しくオーリーが活躍します。


2体のB1-ドロイドは、共和国軍が逃げ込んだ修道院の扉のロックを解除しようとしていた。

 

「アカイノカ?」

 

「チガウ」

 

「アオイノカ?」

 

「チガウ、ソレジャナイ!」

 

痺れを切らしたヴェントレスが赤い閃光を一振りし、制御装置を焼き切った。

 

「・・・コウダッテ」

 

 

 

 

 

ドロイド軍によって、修道院の扉が開かれる。

 

「ロックが解かれた!」

 

「第一分隊、EMPグレネードだ!」

 

共和国側は生き残っている人員を各分隊に分けることにした。

ロックが解かれる事は想定済み、ドロイド軍は扉からしか入って来られない為、作戦は実にシンプルであった。

 

第一陣が扉から侵入してくる前に、屋外に向かってEMPグレネードを投げ込む。その強力な電磁パルスで機能を停止していき、取りこぼしたドロイドは第二分隊の一斉射撃でスクラップに変えていく。

その後からもドロイドが進軍してくるが、さらに第一分隊がサーマル・デトネーターを投擲する。

このグレネードの強力な爆発に巻き込まれ、多くのドロイドが爆散していった。

 

「新手だ!気をつけろ!」

 

しかし、ドロイド軍は怯むことなく確実に歩みを進めてくる。

さらにスパイダー・ドロイドが後続から侵入してきた。

 

「このままじゃマズいな・・・奥の手を出すか。ヒュメル!俺は『あれ』を使う!お前も切り替えろ!」

 

そういうとオーリーは背中のジェットパックに併設されている装備を起動した。

 

ARCS-9090専用兵器【ラース】

これはオーリー専用に開発された戦闘用マニュピレーターであり、『捕らえる物』を意味する。

2機の独立したアームには、それぞれ高度なAIが搭載されており、自動で敵を索敵、射撃を行う事が出来る。

さらにオーリーの癖や経験を共に学習していくことで、より最適な判断を行うようになる。

現在ラースにはDC-17ハンド・ブラスターが装備されており、オーリーが持っている物とで計4つブラスターが装備されたことになる。

 

「ナンダ、アレハ」

 

「カッコイイ、オレモ、ホシイ!」

 

「ナニイッテルンダ、アレハ、オレノモノダ!」

 

このラースとオーリーが持つ高度な近接戦闘射撃能力が合わさることによって、まさに『捕らえる者』が如く、無類の強さを見せた。

オーリーの正確な早撃ちと、その死角を補うようにラースが正確無比な射撃を行う事によって、瞬く間に多くのドロイドは機能を停止していく。

 

さらにヒュメルも高周波ブレードを起動し、ドロイドの装甲を両断していく。

 

「すげえ」

 

「これが“S”か・・・」

 

「野郎ども!負けてられねーぞ!501大隊の底力を見せてやれ!!」

 

レックスも負けじと部下たちを鼓舞する。

下がりかかっていた士気が再び上がり、クローン達は普段よりもさらに高いレベルの動きを見せていた。

 

「調子に乗るなクローン共!!」

 

ついにヴェントレスが動き出す。

 

 

 

 

 

その頃、既にオビ=ワンは増援を連れてすぐ近くまで来ていた。

しかしドロイド・スターファイターの激しい迎撃を受けており、中々修道院に近づけないでいた。

 

「アナキン、聞こえるかアナキン!・・・くっ、通信を妨害されている。こっちよりもアナキン達の方が楽だといいが」

 

 

 

 

 

オビ=ワンからの心配を他所に、既にアナキン達は貨物船まで辿り着いていた。

 

「このポンコツで逃げようっての?」

 

・・・確かに、映画で見るより100倍ポンコツに見える。

ちょっと予定と違いますね!

やっぱり辞めます?

 

「エンジンが掛かるかやってみろ。エンジンがあればだが・・・」

 

おいアナキン!

そういうこと言うなよ!

この船を使おうって自分で言った手前、なんか傷つくんですけど!?

 

「報告ではドロイドがいたはずです。念のため、注意していきましょう」

 

アディスはいつも冷静だね。

レイレイはメンタルお豆腐だから、ちょっとした事で傷ついちゃうの。

だって男の子だもん。

 

「あんた!管理ドロイドじゃない!そんな所で何してるの?」

 

最初に修道院で接触した管理ドロイドだ。

何か言い訳しているが、こいつはヴェントレスの仲間だからな。

そしてとどめの一撃と言わんばかりに、船からB1-ドロイドが3体降りてくる。

 

「ヨーシ、ツミコミ、カンリョウダ!ハヤク、ココカラ、ズラカ・・・ロウゼ(?)」

 

「卑怯者・・・!許せない!」

 

どうやらアソーカの逆鱗に触れたようだ。

次々にドロイド達をスクラップにしていく。

 

「まーた、始めた」

 

「お若いですからね。元気があって何よりです」

 

うん、若い子は元気が一番!

実年齢がどうこうじゃなくて、俺はもう心が枯れてきているからね。

その若さがスタングレネードのように眩しいわ。

 

 

 

「よし、お家に帰ろう」

 

そういってアナキンが船のスタートボタンを押すが、エンジンが掛からない。

 

「ああ、ダメか」

 

そして狂ったかのようにスイッチを連打する。

この掛かりそうで掛からない感じがムズムズするなあ

例えるなら、そう!・・・下ネタになりそうなのでやめておこう。

おじさんの下ネタなんて誰にも需要がないだろうし、俺はイケおじを目指しているんだ!

 

「R2、燃料系統を全開にしてみろ」

 

アナキンがそう言うと、ついにエンジンが点火された。

アナキンかっこいいなー、こういう人が年取るとイケおじになるんだろうなあ。

どうやら俺にイケおじは無理なようだ。

こうしてまた一つ、誰にも知られず、佐竹澪の夢が消えるのだった・・・

 

 

 

 

 

レックス達がドロイドの相手をしているうちに、ヒュメルとオーリーがヴェントレスと相対する。

 

「クローンごときが、私に勝てると思うのかい!」

 

そういうとヴェントレスは一気に跳躍し、ライトセーバーを起動してオーリーに切りかかる。しかし、ギリギリの所でジェットパックで空中に逃げ延びる。

そして間髪入れずにヒュメルが高周波ブレードで切りかかるが、ヴェントレスは軽く受け流す。

その隙をつきオーリーがラースを起動して、援護射撃をする。

この一進一退の攻防を演じられるのも、ARCSトルーパーとしての経験とセンスがあってこそだろう。

だが、この女はライトセーバーとフォースの使い手。

徐々にヒュメル達は押され出している。

今何とか戦い続けられているのもヒット&アウェイを原則とし、無理に攻めないようにしているからだ。

 

「ちょこまかと・・・」

 

その時、外にいるドロイド達が大きな音と共に突然爆散した。

そして一人のジェダイ・マスターが光る剣を携えて、修道院の中に飛び込んできた。

 

「ケノービ将軍だ!応援が来たぞ!」

 

外ではLAAT/iが強襲、コマンダー・コーディー率いる第212アタック・バタリオンの兵士たちが次々に降下し、ドロイドをスクラップに変えていく。

 

「マスター・ケノービ、いつもスカイウォーカーの後追いか?」

 

「アナキンが大暴れした後には、何故かお前がいるな?トルーパー、よくあのヴェントレス相手に時間を稼いでくれた。コーディーと共に外のドロイドを頼む。こいつは私がやる」

 

 

 

 

 

「マスター、今日は良い子に頑張ったけどやってみると意外とチョロくて拍子抜け~」

 

おいアソーカ何を言っている!

どうしてお調子者のっていうのは盛大にフラグを立てるのが好きなんだ!!

そうして突然船が大きく揺れる。

雲が晴れると共和国側のヴェネター級スター・デストロイヤーと独立星系連合のミューニフィセント級スター・フリゲート、そしてそれぞれのファイターが空中戦を繰り広げていた。

 

「あのクルーザーに着艦したいんだがな」

 

「将軍、クルーザーは現在戦闘中です。下手にシールドを下げさせれば艦を危険に晒します。今すぐタトゥイーンに向かうべきです」

 

確か、映画ではクルーザーに着艦しようとして艦に重大な損害を与えてしまい、挙句の果てには着艦できずに結局この船でタトゥイーンに向かうことになったはずだ。

結局乗れないなら、このまま向かった方が良いはずだ。

うん、そのはずだ。

そうだよね?

 

「そうは言ってもこの子、早く医者に見せないと今にも死にそうだよ!」

 

「レイの意見も一理あるな。後ろを調べろ、救急医療キットがあるかも・・・R2、座標をロック出来次第、ジャンプする」

 

 

 

そうして俺たちはハイパースペースに入るのだった。

 




オーリー頑張っていましたね。
書きながら思い付きで専用装備とか入れちゃったので、今後も考えないといけないとなると憂鬱です。
書くの辞めようかと思います。
今まで本当にありがとうございました。

また近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 取り敢えず無事に地面に降り立った

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

皆さん朝は、ご飯派ですか?パン派ですか?
私は周りから豚の餌と比喩されるオートミール派です(解せぬ・・・)




ハイパースペース<G9リガー貨物船内>

 

「薬が効いてきた。熱が下がってる。これで死ぬ心配は無さそう」

 

船内に備え付けられていた医療ドロイドの診断によって決められた薬を、ハットの息子に与えた事で体調が良くなってきたようだった。

 

「良かった。子供の世話は楽じゃないって事がわかったろ?」

 

「と言う事はスカイウォーカー将軍は、『最近』苦労されているってことですね?」

 

「さすがARCSトルーパーだなアディス、僕も『最近』その大変さがわかったんだ」

 

「ちょっと2人とも!そうやって子供扱いして!私が言いたかったのは、マスターの傍にいると楽はできないってこと」

 

さらにアソーカは、レックスとオビ=ワンの事が心配だと語るが、アナキンは自分のマスターなのだからと全く心配していないようだ。

 

こんなにも信頼し合っているアナキンとオビ=ワンが、殺し合う未来など悲しすぎる。

俺は改めて、悲しい未来を回避するために力を尽くす事を心に決めた。

 

 

 

 

 

タトゥイーン<ジャバの宮殿>

 

オビ=ワンとの対決から辛くも逃げ延びたヴェントレスから、ドゥークーに通信が入っていた。

 

『共和国はクローンの大軍を動員。ジャバのご子息を見つけた時には、既にスカイウォーカーに殺された後でした』

 

「可哀相なことを・・・そこまでやるとは予想できなかった。せめてジェダイを倒し、仇はとったか?」

 

『いえマスター、ジェダイは今タトゥイーンに向かっています』

 

その報告を聞いたドゥークーの瞳の奥では、静かに怒りの炎が煌めいたが、それに気づく者はいなかった。

 

「重ね重ね残念だのう。後ほどじっくり事情を聴こう」

 

そう言ってドゥークーは通信を切るが、ジャバの怒りは凄まじかった。

 

「偉大なるジャバは、何故ジェダイがタトゥイーンに来るのかと、お尋ねです」

 

側近の通訳ドロイドがそう訳す。

 

「陛下を殺めるためです。これでジェダイの企みは明らか、ご子息の救出を請け負ったのは信頼を得んがため。今スカイウォーカーは真の目的を果たしに参ります。もし、陛下のお許しさえあれば、私自らスカイウォーカーの相手を致しましょう」

 

そう言うドゥークーの背後からは、護衛である2体のIG-100マグナガードが静かに歩み寄るのだった。

 

 

 

 

 

その頃、アナキン達は無事にタトゥイーンが目の前という所まで来ていた。

 

「この砂の塊、二度と見たくはなかった・・・」

 

アナキンからすれば苦しい奴隷時代を送った場所であり、自らの母であるシミ・スカイウォーカーを救えなかった場所だ。

良い思い出もあるにはあるだろうが、楽しい故郷への凱旋とはいかないだろう。

 

すると突然レーダーが機影を探知した。

 

「攻撃機、接近してきます!」

 

2機のローグ級ポラックス38・スターファイターが後方から接近してくる。

さらに敵ファイターからの砲火で船が被弾する。

 

「ちび助の帰宅を望まない奴がいるようだな」

 

反撃したいところだが、備え付けられた回転式のレーザー・キャノンは前方にロックされてしまっている為、後方への迎撃ができない。

 

うーん、相変わらずファイターとの戦闘は嫌だなぁ

自衛官時代もあたし陸だったからヘリとかに乗ることはあっても、航空機での直接の戦闘は無かったし。

それに墜落したら恐いじゃん?

痛いじゃん?

っていうか死ぬじゃん?

 

「R2、攻撃システムのロックを解除しろ!全員、しっかりつかまってろ・・・!」

 

そうしてアナキンが操る貨物船は急旋回する。

 

ひいぃぃ!!これは死んだかもな・・・

 

そして敵のファイターが正面に来たタイミングで、備え付けられているレーザー・キャノンのトリガーを引くと敵ファイターが爆散する。

 

「1機やっつけた!」

 

「さすがです将軍!」

 

まあ、恐くて目開けてなかったから見てないんだけど。

ゴメンねスカピョン。

それにしてもヘルメット着けてて良かったー

クローントルーパーの憧れとして、保たなければいけない威厳というものがあるのだよ、うん。

 

しかし、残りの1機からの攻撃が船に被弾する。

 

「船尾のシールドが欲しかったな・・・!」

 

アソーカは最初からシールドを直すべきだと言っていたが、アナキンが『攻撃は最大の防御だ(ドヤ)』とかで後回しにされていたのだ。

あーこれ死んだわ、皆さん今までありがとう!

また来世でお会いしましょう!

 

その時R2が回転式レーザー・キャノンを後方に向けることに成功し、見事敵ファイターを撃墜したのだ。

 

「お見事相棒、腕を隠していたな?」

 

「今回はこのオチビさんに感謝しなくちゃな」

 

「見事だR2、うちのオーリーに代わってXチームに加わらないか?」

 

どさくさに紛れてアディスがR2を勧誘している。

なるほどその手があったか・・・

オーリーの代わりとして新メンバーの勧誘を本気で考え始めた俺だが、どうやらそんな余裕は無いようだ。

船の損害が激しく、急激に高度が下がっている。

 

「全員ベルトを締めろ。荒っぽい着陸になるかも!」

 

「それって着陸じゃなくて墜落でしょ!」

 

「不時着とも言います!」

 

え?そういうことじゃない?

そっか、すまん・・・

 

「降りてしまえば同じだっ!」

 

 

 

 

そして船体を激しく打ち付けながらも、どうやら無事(?)に着陸だか、墜落だか、不時着だかわからないが成功する。

 

「お家に着いたよ?」

 

「ジャバの宮殿は砂漠を越えた向こうだ。朝までに着くには急がないと」

 

暑っ!!

もちろん砂漠だから暑いとは思ってたけど・・・

まあ俺の事だからどうせ寒くても文句言うんだ、さっさと任務を終わりにして、ゆっくり酒でも飲みますか

 

「将軍、先ほどの襲撃といい、この先間違いなく敵の妨害工作があると考えます。アディスを先行させて情報収集を命じます。アディス頼んだぞ」

 

「イエッサー」

 

そう言うとアディスはジェットパックを起動して、空高く舞い上がるのだった。

 




ようやくタトゥーインまで辿り着きました。
次くらいで終わりにできればと思います。

正直毎回話とか考えないで、その場のノリで書いちゃってるので今後の展開の構想は全くありません。
え?
そんな無責任なら書くな?
皆さんならわかってくれますよね?
そうですよね、ありがとうございます。
本当に助かります。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 取り敢えず届けてみた

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

皆さんは暑い派ですか?
寒い派ですか?
自分は秋派です。


時を同じくしてコルサントでは、元老院議員のパドメ・アミダラが自身の愛する夫であるアナキンが危険な任務に就いていると知った。

正義感の強い彼女が大切な人を放っておける訳もなく、ジャバの叔父であるズィロ・ザ・ハットと交渉するために、コルサントの暗黒街に来ていた。

ズィロと接触することに成功したパドメだが、ズィロは全く話を聞こうとしない。

パドメはすぐにその理由を知ることになる。

 

「あんたの企みがバレそうよ伯爵、さっき元老院議員が来たわ。甥っ子の誘拐にあたしが噛んでいると知れたらどうするの?」

 

『心配ない。ジャバはジェダイがガキを殺した上、奴も狙っていると信じている』

 

「ならジェダイを見た途端殺すわね」

 

『そうなればジェダイ騎士団はジャバに正義の鉄槌を下す。その結果、ハット族の全領土はお前の手に落ちる』

 

「では甥っ子誘拐作戦は大成功と言う事ね」

 

その時、ズィロが所有しているIG-86歩哨ドロイドの1体にパドメは見つかってしまった。

咄嗟にブラスターで反撃するが、背後から近づいてきたもう1体のIG-86歩哨ドロイドによって捕まってしまう。

 

「ドゥークー伯爵・・・!汚らわしい裏切り者、またお前が背後にいたのですね」

 

『またまたご尊顔を拝し奉り恐悦至極、アミダラ議員閣下』

 

「帰るところです」

 

そう言って踵を返すが、ドロイドに道を塞がれてしまう。

 

『すまぬが帰すわけにはいかん。ズィロ、この元老院議員は分離主義派の友人たちに取り分け人気でな。高く売れること間違いない』

 

「それは良いことを聞いたわ。地下牢に放り込んで!」

 

「後悔することになりますよ、ズィロ!」

 

その後にはズィロの笑い声が響き渡っていた。

 

 

 

「ドゥークーハクシャク、サバクヲ、オウダンスル、セイメイタイ、4タイヲ、ハッケン。1タイハ、マダ、コドモノ、ハットデス」

 

ズィロとの通信を終えたドゥークーが、コマンダーの役割を担うOOMコマンド・バトル・ドロイドからの報告を受ける。

 

「スカイウォーカーか・・・」

 

 

 

 

 

その頃、日も暮れ始めているタトゥイーンの砂漠を歩いているのはアナキン達だ。

 

「・・・何かいるよ?」

 

「僕も感じる、フォースの暗黒面だ。この子を狙っている・・・ここからは二手に分かれよう」

 

「嫌だよ!一緒に戦おう?」

 

「今度ばかりはダメだ。お前は大事な任務を果たしてくれ。レイ、弟子を頼んだ」

 

「はい、この命に代えても」

 

アナキンはこの時、何か嫌な予感がしていたのかもしれない。

・・・任せてくれ。

映画どうこうじゃなく、この戦いを通じて俺はみんなを大切に思うようになった。

それに俺だって、こんな所で死ぬつもりも無いしな。

 

「レイまで!皆で一緒に居た方が安全だよ!」

 

「アソーカ、将軍には考えがあるんだ。それに君のマスターはそんな簡単にくたばるような玉じゃないだろう?」

 

アソーカは俯きながらも、静かにうなずくのだった。

 

 

 

 

 

アナキンは辺りが暗くなった道を、バックパックを背負いながら静かに歩みを進めていた。

そこにスピーダー・バイクに乗ったものが近づいてくる。

ドゥークー伯爵だ。

アナキンはライトセーバーを取り出し、起動する。

 

「ハットのガキを渡すか、それとも死を選ぶか・・・!」

 

そういうとドゥークーは、フォース・ライトニングをアナキン目掛けて繰り出すが、冷静にライトセーバーで防ぎきる。

以前のアナキンとは違うとわかるや否や、ドゥークーもその洗練されたライトセーバーを取り出し、起動する。

一人のジェダイ・ナイトと、一人のシス卿の激しい戦いが始まる。

 

「あれから腕を上げたようだな、坊主!」

 

そして何度も、何度も、ライトセーバーを交差させる。

暗い砂漠の中で、青と赤の光がお互いを求め合うように、ダンスをしているかのようなその光景は、まさに幻想的だと言える。

 

「あぁ、思い出したわ。この星はそなたの故郷であったな。心の強い揺れを感じる・・・喪失の悲しみ、苦痛!」

 

そして永遠に続くかと思われた戦いは、突如として終わりを迎える。

ドゥークーがアナキンの一瞬の隙を見逃さず、バックパックに強力な一撃を加えたのだ。

 

「お前の負けだ。ジャバの息子は今死んだ」

 

「まんまと引っかかったなドゥークー、中身はただの石だ!」

 

バックパックの中身を放り出しながら、子供は今頃自らのパダワンと共にジャバの宮殿にいるはずだとアナキンは言う。

 

「ジェダイの考えなどお見通しよ。今頃そのパダワンは私の張った網に掛かり、身動きもできないはずだ」

 

「あいつはそれほどドジじゃない、それに心強い味方もいる!」

 

そうして、再び青と赤の光が交差する。

 

 

 

 

 

レイとアソーカはジャバの宮殿がすぐそこという所まで来ていた。

その時、3体のIG-100マグナガードが地面から這い出してきた。

 

すぐさまアソーカはライトセーバーを起動し、俺もジェットパックを起動して距離を取る。

上空からブラスターでマグナガードに攻撃を加えるが、破壊不可能なエレクトロスタッフによって防がれてしまう。

アソーカも果敢に戦うが、突破口を見つけることができないでいた。

 

そして強力なマグナガードの攻撃を防いでいたアソーカは不意を突かれ、1体の攻撃が加わりそうになる。

 

「アソーカ!!」

 

その時、遥か遠くから一発の光弾がドロイドの動力源を貫いた。

アディスか!

こんな時にもったいぶりやがって!

ありがとう、後で一杯奢っちゃう。

 

そして、どこから狙撃されているかわからない状況に一瞬の隙が生まれ、アソーカが1体を上下に両断する。

続いてもう1体がアディスからの狙撃で頭部が吹き飛び、俺が胴体にブラスターを撃ち込むことで最後のマグナガードを破壊した。

 

「遅いぞアディス、何してた?」

 

『ばっちり、ナイスタイミングだっただろう?』

 

「っていうかお前、ずっと見てただろ?」

 

『・・・何のことだ?冗談言ってないでさっさと息子ちゃんを届けちまおうぜ?』

 

間違いなく様子見してたな。

一番良いタイミングを見計らって、狙撃してやるって魂胆だったんだろう。

まあ、本当に危ない状況だったら援護してただろうし、取り合えず良しとするか。

だが一杯奢るのは無し!

俺は守銭奴なんだ。

 

その後、隙を見て奪ったスピーダー・バイクに乗ったアナキンと、援護してくれたアディスと合流し、ジャバの宮殿に向かうのだった。

 

 

 

 

 

そして無事にジャバに息子ちゃんを届けることに成功する。

はあー良かった。

これで任務完了だな。

原作みたいに殺せとかも言われないだろう・・・

 

「偉大なるジャバは、直ちに4人を処刑せよとの仰せです」

 

!?!?!?!?

 

何それ意味わかんない、え、どゆこと?

あーもうジェダイの運命とか、どうでも良いから日本に帰りたい・・・

 

その時、ジャバに通信が入った。

それはコマンダー・フォックスと、その部隊に救出されたパドメからのものであった。

どうやら原作通りに助け出されたみたいだな、よかった。

今回の一件で、ズィロに売り飛ばされたとか、その後殺されたとかってなったら、それこそアナキンがダークサイドに落ちちゃうかもだし。

俺が来たことによって、『早めにダークサイド落ちました⭐︎てへぺろ』なんて事になったらシャレにもならないもんな。

うん、良かった。

 

何かジャバとフリーzが言い争っている。

ちょっと何言ってるか、わからないですねぇ。

取り合えず話しは終わったようだ。

 

『これで敵対行為は辞め、共和国の交易路通過を認めて下さいますね?』

 

「ジャバ様は、協定締結に同意いたしました」

 

『決して後悔はさせません』

 

こうして、クリストフシスからの長い戦いに幕が下りたのだった。

 




取り合えずクローン・ウォーズ(映画)編はこれで終わりです。
お付き合い頂きありがとうございました。

今後はクローン・ウォーズのドラマ編をやって行きながら、ちょこちょこジェダイ粛清回避のために動いて行ければと考えています。

終わりが全く見えませんが、生暖かい目で見守って下さると嬉しいです。
今後とも応援よろしくお願いします!

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章(クローン・ウォーズ:ドラマ前編)
第13話 取り敢えず視察してみた(トルーパーへの道:前編)


皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

今回はみんな大好きドミノ分隊のお話です。



俺たちはあれから多くの任務を成功に導き、今は生まれ故郷であるカミーノへ向かっている最中だった。

何故かって?

勿論オーリーの頭に行動抑制チップを埋め込むためさ!

 

「それにしても俺たちが候補生の視察だなんて面倒だよな。それはジェダイと、コマンダー・コルトの役目だろ?」

 

「まあそう言うなオーリー、新しい世代のトルーパーを育てるのも俺たちの大切な役割なんだ。それにもう好き勝手やれていた下士官時代とはもう違うだろ?」

 

「まあそうなんだけどよ、真面目だよなアディスは。それに俺は士官ってガラじゃあねーんだよ。自由にできればそれで良いんだけどなあ」

 

実はあれから俺たちは出世も出世、怒涛のスピード出世をしていた。

普段の任務の成果もあるんだろうが、ジャバの息子誘拐事件の一件で、ヨーダやオビ=ワン、アナキンなどの将軍クラスの根回しがあったようだ。

 

そもそも独立した指揮系統に分類され、時には大隊への命令権を保有しているのに全員が下士官クラスでは意味が分からないだろうというのが、将軍たちの言い分らしい。

まあ確かにそうなんだけどさ。軍曹が大隊クラスに命令するって謎すぎるもんな。

・・・っていうか使いやすいように立場を利用されているような気がしてならない。

これってパワハラですね!?

え?パワハラというのが、もはやパワハラ?

結構人使い荒いんだよなジェダイって。

 

と言う事(?)で正規に大隊への指揮権が認められているコマンダーに俺が任命され、副官のアディスは中隊長クラスのキャプテン、ヒュメルとオーリーはそれぞれ中隊長若しくは小隊長クラスに該当するルテナントの階級を与えられたのだった。

 

「そもそも未来のARCトルーパー候補生を見つけるのは良いけど、それって俺たちが行く必要ってあるのか?コマンダー・コルトがやってるんだろ?」

 

「まあ確かにお前の言いたいこともわかるがな、どちらかと言うと候補生たちの士気向上の役割が多いんじゃないかと思っている。それに視察の目は多いほうが良い、少ない人数では見逃してしまうこともあるだろう」

 

それにコルトは試験の結果ばかり重要視する傾向にあるしな。

事実、後にARCトルーパーに昇格したトルーパーが2名も在籍している、ドミノ分隊に対するコルトの評価も最悪だった。

結果を見て、良い奴を採用することなんて子供でもできる。

本質はそこじゃない。

 

「まあなんでも良いけどよ。それより腹減ったな。おいヒュメル・・・」

 

「・・・」

 

ヒュメルがおもむろに高周波ブレードの整備を始めたことにより、オーリーはその口を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

<惑星カミーノ>

 

カミーノではドミノ分隊が最終試験に向けて、最後の実戦訓練を行っていた。

 

『こちら司令部、敵の防衛ラインを突破、タワーを占拠せよ』

 

「命令だ、敵の防衛ラインを・・・」

 

「聞こえてらー、エコー!」

 

「エコーと呼ぶな!」

 

「じゃあ命令を繰り返すな!」

 

 

 

こ、これは予想以上に酷いな・・・

さっきはコマンダー・コルトの事を何だかんだと心の中で思ってしまったが、実際に見るのと、スクリーンで観るのとではやはり違うな。

・・・ごめんなさい、コルト教官

教官も色々と苦労が絶えないんですね・・・

 

「この分隊は問題ありのようね、貴方はどう思う?」

 

「そうさなー、俺はジェダイじゃねーんでズバリ言わせてもらうが、これは落第だ。こいつらを前線にやったら即送り返されらーな」

 

「決めつけるのはまだ早い。まだ実戦テストの段階です。何よりこの砦攻略コースは難関中の難関」

 

「あなたの言う事もわかるけどエル=レス、ブリックに賛成よ。兵士には程遠いわ」

 

そう話すのはジェダイ・マスターのシャク・ティと、共和国に雇われている傭兵のブリック、エル=レスであった。

 

「貴方はどう思いますかコマンダー?」

 

えぇー、俺に振らないで欲しいんですけど・・・・

 

「そうですね。確かに今のまま身勝手な利己主義に囚われている限り、兵士とは呼べないでしょう」

 

「その通りね、勝利は団結がもたらす。コンピュータードミノ分隊のテスト終了。99号、清掃クルーを寄越して頂戴」

 

こうしてドミノ分隊の訓練は大失敗に終わるのだった。

さて、どうしたもんかねー。

 

 

 

 

 

最終訓練が思ったようにいかなかったドミノ分隊は、荒れに荒れていた。

 

「だから命令通り動けばよかったんだよ!」

 

「偉そうな口を叩くなら、まともに戦ってみろ!俺はARCトルーパーを目指しているんだ!」

 

「ARCトルーパーなら命令に従う」

 

「もう一度言ってみろ・・・エコー」

 

そして兄弟同士で殴り合いの喧嘩を始めてしまう。

挙句の果てには面白がって誰も止める気配はないようだ。

 

「辞めんか!その闘争心を訓練場でドロイドに有効にぶつけていたら、砦を攻略できていた!」

 

そこにドミノ分隊の担当教官であるブリック軍曹が仲裁に入る。

 

「すみません、ブリック教官」

 

「お言葉ですが教官殿、問題は訓練法にあるのでは?ジェダイから訓練を受けたいね。得体のしれない傭兵でなく!」

 

「ジェダイにはお前らボンクラを鍛えている時間は無い。だから俺がいるんだ!」

 

「へー!ここが一般候補生の部屋か、結構広いんだな。それに兄弟もたくさんいて楽しそうじゃないか!羨ましいぜ。なあ、レイ?俺らなんてずっと4人でやってきたもんな?たまにはこういう一般の奴らと一緒ってのもよさそうだ!」

 

「ああ、そうだな・・・オーリー、良いこと考えたぞ。こいつらと一緒に候補生からやり直せよ?そうすれば、お前のそのおしゃべりな口も大人しくなるだろう。俺がティ将軍に言っておいてやる」

 

「!?やめてくれよ、冗談だって!な?俺はレイレイのこと大好きだぜ?」

 

「やめろ気持ち悪い」

 

そうやって軽口を叩きながら部屋に入って行く。

 

「全員気を付け!」

 

さすがはクローンだ。候補生とはいえ軍隊生活が身体に染み込んでいる。

その一糸乱れぬ直立不動の姿勢は、候補生としての練度の高さが感じられる。

やはり正しく導いてやれば、必ず優秀な兵士になるだろう。

 

それにしても懐かしいな、自衛官時代の教育隊の頃を思い出す。

まあ、あの頃とは立場も環境も全く違うけどね。

 

「休んでくれ、急に邪魔して悪いな。それにしても何の騒ぎだこれは?」

 

「はい!候補生たちが今の訓練方法に不満があるというので・・・」

 

「おい、あれって・・・」

 

「コマンダー・レイ、ARCSトルーパーだ。すげえ!」

 

「なるほどな、訓練ばかりで飽き飽きしているんだろう。だが君たちが受けている訓練は、今まさに戦地で武勲を挙げている先輩トルーパーも通ってきた道だ!その中から優秀な者はARCトルーパーに抜擢されることもある。明日の卒業試験は私たちARCSトルーパーも視察することになっている。君たちが今まで積み上げてきた訓練の成果を発揮することを期待する。以上だ」

 

慣れない事をすると肩が凝る。

今、俺が多くを語っても仕方がないだろう。

取り合えず明日の試験を視察して、問題があればその時にどうにかしよう。

 

「今、コマンダー・レイ殿からのありがたい言葉を頂いた。お前たちには勿体ない程にな。明日は卒業試験だ、俺を失望させるなよ、解散!」

 

「痺れたぜ。なあエコー、俺は絶対ARCトルーパーになるぜ?」

 

「その為には、命令に従って上手くやらないとな」

 

 

 

 

 

「お前たち!ARCトルーパーになりたい者は?」

 

「「「「「なりたいです!」」」」」

 

その場に集合しているトルーパー全員がそう答えた。

 

「では最終テストに通ることだ。紹介するランコア大隊、コマンダー・コルト殿だ」

 

そう紹介されて前に出てきたのは、俺たちの臨時教官も務めたコマンダー・コルトだ。

まあ、文字通り臨時だったのでほとんど戦闘面での教えを受けたことは無いんだけどな。

 

「これだけは覚えておけ!前線では団結が最優先だ!兄弟たち!時に対立しても、心は常に一つであれ!ルールその1、一緒に戦う事、さあ誰からやりたい?実戦訓練でレコードタイムを叩き出したチームから行くか?」

 

そう言って、最終訓練を優秀なタイムでクリアしたブラボー分隊の前に進む。

 

「ARCトルーパータイムだ!ブラボー分隊前へ」

 

「ブラボー分隊だってよ・・・ブラボーなこって」

 

「訓練の成果を見せてくれ」

 

そうして一番手に指名されたブラボー分隊から卒業試験に臨むのだった。

 

 

 

 

 

「砦攻略コース、バージョンTHX1138開始」

 

そうコマンダー・コルトが指示を出すと、ブラボー分隊の最終試験が始まるのだった。

 

なるほど。

優秀だな。

分隊の中でしっかりと指揮を執るものがいるし、分隊員はその命令に従っている。

お互いに死角となる部分をカバーし、声も掛け合っている。

協調性も素晴らしいな。

そして各個人が自分の役割を忠実にこなし、そして誰も自分が英雄になろうとはしていない。

 

軍隊に英雄はいらない。

チームで勝ち、チームで負ける。

自分だけ勝つというのはあり得ない。

いつも個人とチームは一つなのだ。

このブラボー分隊は、それをしっかりと理解しているようだな。

 

そして瞬く間に難関と言われる砦攻略コースをクリアするのだった。

 

「見事だった、良く鍛えたな。よし次は?」

 

 

 

「軽く行けるって」

 

「命令通りやろうな」

 

最終試験を受けるためにドミノ分隊がコースに入ると、先ほど素晴らしい結果で合格したブラボー分隊が向かってくる。

 

「ご注目、ドミノ倒しが楽しめるぜ?」

 

「レベルの差、感じるよな・・・」

 

「言うなっての!」

 

そうしてドミノ分隊の最終試験が始まる。

 

うん、やっぱり動き自体は悪くない。

悪くは無いのだが、動きに雑さが目立つ。

加えてそれ以上に問題なのは協調性の無さだな。

 

ああ、言ってる傍から・・・

味方がやられたのがわかっていながら、砦の攻略を優先した。

確かに仲間より任務が優先されることもあるだろう。

だが俺たちは使い捨ての駒じゃない。

負傷したら見捨てられるチームなんて、恐ろしくて命を預けられない。

重要なのが信頼関係、チームワークなのだ。

 

そして試験は中断されるのだった。

 

 

「これは根本的な所からだな・・・」

 

ん?

 

「なんだアディス、あいつらが気になるのか?」

 

「ああ、ちょっとな。動き自体は悪くない。しっかりと訓練と実戦を積めば伸びる気がしてな」

 

意外・・・でもないか。

こいつは情に厚い所があるしな。

それに俺もこのままアイツらを後方で燻ぶらせておくつもりもない。

よし、一肌脱ぎますかね!

 




個性が薄いクローントルーパーの中でもドミノ分隊は異質の存在ですよね。

今後ドラマ1話分を2回の投稿に分けていければと思います。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 取り敢えずお話ししてみた(トルーパーへの道:後編)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

ドミノ分隊編、今回で終わりです。
ヒュメルが珍しく結構(?)しゃべります。



「極々控えめに言っても陣形の乱れ、命令違反、負傷兵の置き去り、まるで話にならん」

 

「残念だがドミノ分隊、諸君は不合格だ」

 

コマンダー・コルトとエル=レスによってドミノ分隊への不合格が言い渡された。

これは、ドミノ分隊の整備部門への配置がほぼ決まったようなものであった。

 

 

 

 

 

 

「将軍、よろしいでしょうか?」

 

「・・・分隊の仲間の事で、相談ですか?」

 

マスター・シャク・ティへ相談に来たのは、ドミノ分隊のファイヴスとエコーであった。

 

「何故それを?」

 

「おい、ジェダイだぞ?」

 

「ジェダイでなくても、あなた方のストレスはわかります」

 

「実は、他の分隊への転出をお願いしたいのであります」

 

なるほど。

このジェダイ将軍にはお見通しのようだ。

そう思ったエコーは前置き無く、ストレートにそう言った。

 

「ああ、できればブラボー分隊へ・・・」

 

「私はジェダイ、個人も集団も私の中では同じ。クローンと似ています」

 

「自分とファイヴスは常に互いを気遣っております」

 

「個人単位でね、分隊単位ではない。貴方達は戦友なのです。問題を解決したければ、全員で解決しなさい。追試を認めます。明日分隊全員で再挑戦すること」

 

そう言われたファイヴスとエコーは互いに顔を見合わせ、外にでると一人のARCSトルーパーが待っていた。

 

「よう、遅かったな。少し時間をもらえるか?俺はアディスだ。キャプテン・アディス」

 

「サー!自分はCT-5555であります!」

 

「通称ファイヴス、自分はエコーです」

 

「よろしくな、ファイヴスにエコー。ちょっと話があるんだ、悪いが少し良いか?」

 

そうして再び、ファイヴスとエコーは互いに顔を見合わせるのだった。

 

 

 

 

一方、ドミノ分隊のCT-4040はブリックにハンガーへ呼び出しを受けていた。

そして俺も物陰からその様子を伺っている。

 

「お呼びでしょうか?」

 

「俺の見る限りドミノ分隊の失敗は貴様のせいだ」

 

「ああー、ですか・・・誉め言葉と受け取りましょう」

 

くっくっくっww

どう聞いたら誉め言葉になるんだw

こいつは将来大物になるぞw

 

「貴様にはジョークに聞こえたか?クローン同士が内輪で呼び合っている、あだ名と同じか?」

 

「ははは、教官にも良いのを思いつきました」

 

「そりゃあ、面白い。だが貴様の笑いは上っ面だ!本音は俺を憎んでいる」

 

・・・それだけ威圧的に接していれば嫌いにもあるだろう。

これで好意を持たれたら逆にドン引きませんか?

考えただけでも恐ろしい・・・あたしヤンデレに良い思い出がないのよ。

 

「まさか、とんでもない。教官は義務を果たされただけです。煽らないでください」

 

「いーや?煽るっていうのはこうするんだ!」

 

そういうとブリックは候補生の胸を強く押す。

 

「こい、クローン!かかってこい!俺を殴ってみろ!」

 

さらに候補生はブリックのボディーブローをまともに受ける。

 

「なんでもおふざけで済ませる気か?お前みたいな奴をカタップっていうんだ!」

 

「っ!・・・あ、ありがとうございます。そのあだ名、気に入りました。これからカタップにします」

 

もう見ていられないな・・・

それにやり返さないで良く耐えている

素晴らしい忍耐力だ。

 

「そこまでだ、ブリック軍曹」

 

俺は物陰から姿を現す。

ふふふ、全く気配を感じなかったのだろう、二人とも驚いている。

しかし昔から、誰かから隠れていると尿意を催すんだが、同じ経験をした人はいないだろうか?

例えばかくれんぼとか・・・

 

「コマンダー・レイ殿!どうしてここに?」

 

「なあに、ちょっと野暮用でな。候補生、お前は少し廊下で待っていてくれ、すぐに行く」

 

「サ、サー・イエッサー!!」

 

直立不動でそう答えたカタップは敬礼をして、廊下に向かっていった。

さーてと、教官殿にも少し言っておかないとな。

 

「軍曹、お前はドミノ分隊を切り捨てる為にあの候補生を利用しようとしたな?」

 

「い、いえ、そんな事は・・・」

 

ブリックはドミノ分隊に追試の機会を与えず、このまま不合格にするためにカタップを挑発し、自分に殴りかかるように仕向けようとしたのだ。

 

「まあ、別にお前を責めているわけじゃない。しかし、今後はこういう事がないよう全ての候補生を公平に扱ってほしい。わかったな?」

 

ヘルメットを外し、しっかりとブリックの目を見てそういった。

 

「はっ!仰せのままに!」

 

「よし、それでは下がっていいぞ。引き止めて悪かったな」

 

失礼しますと言い残して、ブリックは下がって行った。

そうして、カタップのもとに向かう。

 

「待たせて悪かったな、カタップと言ったか?」

 

「サー!とんでもありません、それにありがとうございました・・・」

 

「なあに気にするな。それにブリック軍曹も職務に向き合ったが故だ。今回は俺の顔に免じて許してやってくれ。そんな事よりお前に話があるんだ。重ね重ね悪いが少し時間をくれるか?」

 

 

 

 

 

消灯時間が差し迫ったころ、訓練生たちはそれぞれに与えられた寝床に入り始めていた。

その時、一人の候補生が寝床から出るのを99号は見ていた。

 

「・・・」

 

「ヘヴィー、どこへ行く気だ?脱走する気か?そうじゃろう?」

 

「部屋に戻って寝ていろ99号、あんたには関係ない」

 

そう言って荷造りを再開するヘヴィー

 

「じゃが、分隊の仲間はどうなる?」

 

「分隊だと?ただのクズの集まりだ。落ちこぼれさ・・・あんたと同じ」

 

「ああ、しかしワシにはミスを取り戻すチャンスすら与えられなかった。お前にはまだチャンスがある。お前は最強の軍人になりたいんじゃろう?だが一人ではなれん。お前には分隊の仲間がいるって言う事を忘れるな、ヘヴィー」

 

99号はヘヴィーや他のクローンと同じく、ジャンゴ・フェットの遺伝子から作られたクローンだったが、奇形児として生を受け、兵士として必要な身体機能を有していなかった。

その為、クローンの生まれ故郷であるこのカミーノで雑務を請け負いながら生活していたのだった。

 

「ヘヴィー!?そんな名で俺を呼ぶな!俺たちはただの番号だ。番号なんだ!」

 

「・・・それは違うぞ、候補生」

 

そういうと暗がりから二人のトルーパーが姿を現した。

 

「あんた達は・・・」

 

「俺はオーリー、そしてさっき声をかけたこいつはヒュメルだ。ARCSトルーパーの中尉をやっている。お前、こんな時間にどこ行こうってんだ?試験を受けるにはまだ少し早いぜ?」

 

「いえ、これは」

 

「・・・そんな事はどうでも良い。候補生、俺たちはただの番号なんかじゃない」

 

「そうだぞ?俺たちにも名前はあるし、個性だってある。カミーノアン達は認めようとしないがな。あいつらは俺たちを製品や所有物としか考えていない。だがジェダイや、戦争の被害に遭っている奴らはそうは考えない。俺たちに感謝してくれる。戦友だと言って必要としてくれる」

 

「・・・それに俺とコイツを一緒にするな。ただの番号だって言うなら、コイツと同じになってしまう」

 

「おい、ヒュメル!今はそう言う事を言ってる場合じゃないだろう!全くいつもいつも根暗な態度取りやがって・・・おいやめろ!だから高周波ブレードを出すなって!あぶねーだろ!死ぬ、死ぬから!!」

 

「ふっ」

 

急にヘヴィーが吹き出す

 

「「?」」

 

「ヒュメル中尉、自分も貴方のような特殊装備が支給されますかね?」

 

「・・・候補生、お前がARCトルーパーになれればあるいは、な」

 

「いいえ中尉、自分は・・・ヘヴィーです」

 

 

 

 

 

そうして翌日の追試の卒業試験では、アセンションケーブルが装備から外されているというアクシデントが起きるが、砦に設置されたタレットを足場に使うという機転を利かせて、ただのクローンではなく非常にユニークな個体であると教官一同を唸らせたのであった。

シャク・ティに関しては「歴代最高の分隊かもしれない」とまで言う程だった。

 

「おめでとう、無事卒業だ」

 

担当教官のエル=レスと、ブリックから卒業メダルを授与されたドミノ分隊は休むように言われる。

 

「よし次はARCトルーパーだ!」

 

「その前に実戦だろう?それに俺はその上のARCSトルーパーを目指すぜ?」

 

 

「あんたの言った通りだった、ありがとう爺さん」

 

「立派なリーダーぶりだったとか?」

 

「そんな者はいない。俺たちはチームだ、皆で一つだよ99号」

 

「お前が加わって共和国軍もラッキーだ」

 

「ラッキーなのはこの俺さ。あんたっていう兄弟に出会えた」

 

「さて、これでお別れじゃの。ヘヴィーは戦場へ、わしはここに留まる」

 

「なーに、すぐにまた会えるさ。じゃないとこれを取り戻せないからな」

 

そう言って自らの卒業メダルを99号に渡すのだった。

 




はい、取り合えず終わりました。
時間の都合上、レイとアディスのお話はカットしました。
(その場のノリで書いてるから、何も思い浮かばなかったなんて口が裂けても言えない)

例の如く、苦情は一切受け付けません。
ありがとうございます。本当に助かります。
おかげ様で未だに苦情が来たことはありません。
フリではないので苦情はやめてください。
お願い致します。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 取り敢えず無い頭で考えてみた

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

今回は目的達成の為、無い頭を捻る回です。
ご興味なければ飛ばしてくれても・・・良いです。
別に構いませんよ?
ただ、みどり色が悲しむだけで済みます
心が痛まなければ飛ばしてください…

嘘です。是非お読みください。



<ニュー級アタック・シャトル>

 

ドミノ分隊が無事に卒業試験に合格してからしばらく経った。

まあ、俺たちは別件で行くところがあったから、試験は見ていないんだけどね。

あの後、シャク・ティがわざわざドミノ分隊の結果を知らせてくれたのだ。

そして『このまま訓練教官として残りませんか?』なんて言われてしまったが、丁重にお断りした。

教官としてのんびり過ごすのは、ジェダイを破滅の道から救い、もっと爺さんになってからで良いだろう。

 

しかし俺の本来の目的、ジェダイ粛清を回避するために色々と考えてはいるが『これだ!』という名案が浮かばない。

 

1つ目として

クローンの行動抑制チップを取り除くという方法

 

しかし俺だけでは銀河中に散らばっているクローン全員から取り除くというのは、正直現実的では無い。

それに取り除いたファイヴスは感情をコントロール出来ていなかったしな。

何があるかわからないのに、俺だけで取り除くわけにもいかないだろう。

 

加えて、取り除いたことによって、しばらく戦闘に支障をきたすというのもマズい。戦争中だしね。

 

それに取り除き漏れがあったなんて言ったら、オーダー66が発令された段階で各部隊の中から、次々にクローンが反乱を起こしたとなれば、冗談抜きで大変なことになりそうだ。

 

まだこの世界では起きていないが、第501大隊タップの行動制御チップが誤作動を起こした時は、ジェダイを撃ち殺して大変な騒ぎだったからな。

一人だけでも大騒ぎなのに、それが各地で起こるなんて考えただけでも恐ろしい。

 

最悪、クローンの使用を全面的に中止するような方向になるだろう。

そのまま静かに引退できれば良いが、殺処分とかになったら嫌だしなぁ

 

 

2つ目として

某パルパティーン議長の暗殺

 

スカピョンが余計(?)なことをしなければ、メイス・ウィンドゥが暗殺に成功していた可能性は高い。

けど一説には、パルパィーンがアナキンをダークサイドに落とすために演技していたと言う話があるくらいだから、本当の所はわからない。

でもヨーダと良い勝負していたし、サミ○エルに任せておけば何とかあるかな?

 

うーん・・・何とも言えない。

 

そもそも民意で選ばれている議長を暗殺するって、いくらジェダイが

『違うんです!あいつが黒幕だったんです!お願い信じて!』

なんて言っても誰も信じないだろう・・・可愛くないし。

 

そもそも暗殺って、ジェダイの道うんたらかんたら的にNG・・・ですよね?

まあ、あの状況では、なりふり構っていられなかったんでしょうけど。

 

この方法で恐いのが、時間経過によるバイオチップの劣化だ。

さっきのタップの件もそうだが、仮にパルパティーンの暗殺が成功して問題すべてが丸く収まったとしても今後、行動抑制チップの誤作動が起こらないとも限らない。

 

 

3つ目は

カミーノアンを味方に付けるという方法

 

そもそもカミーノアンは、この行動抑制チップは裏切り者のジェダイにのみ使われると信じていた。

まさか、ジェダイ全員を抹殺するために利用されるとは思ってもいなかっただろう。

 

仮に味方に付けられれば、健康診断だ、なんだかんだと理由をつけて戦場に穴が開かないよう一定の部隊ごとに行動抑制チップを取り除いていけば良い。

カミーノ側でしっかりと管理できれば、取り除き漏れというのも起こりにくいだろうし、取り除いたことによる問題が起きたとしても対応できるはずだ。

 

だがそもそもの問題として、カミーノアンの依頼主は共和国=パルパティーンなのだ。

加えて、製品、自らの所有物だと考えているクローン(俺)にあーだこーだ言われても耳を貸さないだろう。

 

 

・・・うーん頭が痛くなってきた。

俺一人の頭じゃ考えるのも限界がある

だって高卒だし。

運動ばかりで勉強なんてしてこなかったし。

 

協力者って言ってもなぁ

頭のおかしい奴認定されるのが関の山だよな・・・

 

さーて、どうしたもんかねー

 

取り合えず、主要なメンバーの信頼を勝ち得ていくしかないか?

けどのんびりしていられる時間も無いしなぁ

 

 

「・・イ・・・レ・・・お・・・レ・・・おい、レイ!大丈夫か?」

 

「え?」

 

「さっきから呼んでるんだぞ?どうした、ボーっとして?」

 

ああ、呼ばれていたのか

全く気が付かなかった。

 

「すまん、アディス。ちょっと考え事をな・・・」

 

「何か問題か?」

 

「いや、そういう訳・・・じゃない訳でもないか」

 

「?」

 

「なあアディス、急に俺がおかしなことを言ったとしたらどうする?」

 

『変なのはいつものことだろー?』

 

遠くからオーリーの声がする

あの野郎・・・こっちが本気で悩んでいるっていうのに

 

「まあ、お前の事だ。何か理由があっての事だと俺は思うけどな」

 

『俺は取り合えず病院に行けって言うぞー?』

 

・・・

 

「それが全く信じられないような事だとしても、俺の事を信じてくれるか?」

 

「なにバカなこと言ってるんだレイ、当たり前だろ?俺たちは生まれた時から一緒に居るし、何なら遺伝子レベルで俺たちは家族だ。世界で一番信用できるって言ったら、兄弟以外にはいないだろう?」

 

「アディス・・・」

 

ウルっと来てなんかいない。

俺は目から鼻水が出せる特殊能力があるのだ。

目にティッシュを当ててチーンって出来るのだ。

 

『安心しろー、病院に行っても原因がわからなかったら、俺が一発ぶん殴ってやるよー』

 

・・・あいつは絶対に、必ず、何があっても、この船から放り出してやる

それが今現在の最優先事項だ。

 

「おい、ヒュメル!頼んでもいいか!?」

 

『え、何をだよ、飯か!?確かに腹減ったな。おいヒュメル俺にも頼むぜ!・・・なんでこっちに来たんだ?キッチンは向こうだぜ?どうして高周波ブレードを起動するの?ねえ、恐いんだけど・・・何、え、やめて・・・あああああああ!!!!』

 

 

一名を除いて、こいつらなら話しても良いよな・・・

やはり協力者は必要だし、何より家族に秘密にしておくのは気持ちが悪い。

 




はい、お疲れさまでした。
例の如く何も考えずに書いて行ったので、意味不明になっているかもしれませんがお許しください。

何か良い方法ないですかねー
全く思い浮かびません(無責任)

まあ、大丈夫です。
何とか形にしてみせます!(フラグ)

また近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 取り敢えずカミングアウト

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

評価や感想、メッセージ下さる方ありがとうございます。
とても励みになっています。

実は昨日初めてクローン・ウォーズのシーズン7を観ました。
いやー、観ながら辛い気持ちになりました。
お陰で膝が痛いです(?)

ご覧になっていない方はぜひ!



俺は前世の記憶を持っていると言う事を皆に話した。

さらにそこでは、この世界がフィクションで扱われていると言う事も。

っていうか死んでないから前世じゃないのか?

まあ、なんでもいいや。

 

「っていう夢を見たっていう話か?中々面白い話だな・・・マジ?」

 

「ああ、マジだ。だが細かいところまで知っているという訳じゃないんだ。作品として描かれている主要な部分はわかるんだが、それがいつ起きるかなどの正確な時期まではわからない」

 

正直、オーダー66が発令される「シスの復讐」についてはしっかりと覚えているが、クローン・ウォーズに関しては全く自信がない。

大事なことなのでもう一度言います、全く自信がありません。

 

「なるほどな。まあ、お前がこんな嘘をつくメリットなんてないだろうし」

 

「・・・俺たちはレイを信じている」

 

俺を無条件で信じてくれる兄弟たちにまた鼻水が出そうになるが、なんとか堪える。

ホントに良い奴らだよお前ら・・・

 

「それで?お前が今まで黙っていた事を急にカミングアウトするんだ。何か理由があるんだろう?」

 

「まあ、こんな俺たちだが何かあるなら言ってくれよ!飯を分けてやること以外なら力になるぜ?」

 

「・・・俺たちはレイの味方だ」

 

「ありがとう。お前たちが兄弟で本当に良かった」

 

 

その後、俺はジェダイが裏切り者に仕立て上げられ抹殺される運命にあること、さらにその虐殺は他でもない、俺たちクローン・トルーパーの手で実行されることになる事実を伝える。

 

「・・・」

 

「いやでも待ってくれよ!いくら一般のクローン達が自我を抑えられているからって、俺たちはプログラムされたドロイドじゃない!今まで一緒に戦ってきたジェダイを命令されたからって、はいそうですかって殺す奴なんていないぜ!?」

 

「ああ、珍しくオーリーの言う通りだ。そんな命令されたからって従う奴なんて俺たちの兄弟にはいない」

 

「え、珍しく?珍しくって言った?ねー?」

 

まあ、とてもじゃないが信じられないよな。

無理もない。

俺だって逆の立場だったら、そんな命令された所で鼻で笑ってやると思うだろう。

しかし、レックスやコーディーだって抗えなかったんだ。

この命令の強制力はほぼ100%だと考えて良い。

 

「そう思うのも当然だ。だがクローンがこの命令に抗えない理由があるんだ」

 

「何だって言うんだ、それは?」

 

「クローンの頭には行動抑制チップが埋め込まれているんだ。これはカミーノアンや最高議長クラスしか知りえないことだがな。勿論ジェダイはこの事を知らない」

 

「行動抑制チップ・・・なんだってそんな物が俺たちの頭の中に?」

 

「この行動抑制チップは本来、ジェダイが共和国を裏切った時の安全装置として内密に埋め込まれているものだ。それを敵さんが逆手に取り、自分にとって邪魔者であるジェダイを抹殺するのに利用したんだ」

 

「そしたら何か?ジェダイからすると、さっきまで背中を預け合っていたクローンから突然裏切られたって事になるのか!?そんなことに俺たちを利用するなんて許せねぇ!」

 

「おいちょっと待て、と言う事は俺たちの頭にもその行動抑制チップが入っているってことか?」

 

「いや、俺たちの頭に行動抑制チップは無かった。覚えているか?正式にXチームとして任官した時に、まず俺が身体検査をやらせただろう?その時に確認している」

 

「なるほど、あの時か」

 

「・・・それで?レイ、そのジェダイ抹殺を命じたのは誰なんだ?」

 

さて、ここからが本題だ。

まさか自分たちが忠誠を誓っている存在自体が黒幕なんて思いもしないだろう。

 

「裏で全てを操っているのはシスの暗黒卿ダース・シディアス」

 

「シディアス?」

 

「またの名をシーヴ・パルパティーン、銀河共和国元老院議会の最高議長だ」

 

「なるほど。最高議長か」

 

・・・あれ?

 

「まあそうだよな。こんな盛大な計画を進められるんだ。共和国のトップが絡んでいても何ら不思議じゃないよな。っていうか議長は知りませんでしたっていう方が違和感あるわ」

 

「・・・あいつが全ての元凶、ヤルか」

 

あのー、皆さんどうしてそんなに冷静なのでしょうか?

ヒュメルに関しては急に高周波ブレードの点検を始めましたけれども、何をなさるおつもりで?

どうも穏やかじゃないですねー

 

「お、おいちょっと待てお前ら!なんか納得するの早くない?っていうか自分で言うのも何だけど、とんでもないこと言ってるじゃん俺?どうしてそんなに冷静なわけ?」

 

おかしいな

もっと驚かれて、なんとか俺が説得していくような流れになると思っていたのに・・・

 

「まあ、なんだ。正直な話、俺はそもそも議長が好きじゃない」

 

え、アディスさん?

 

「俺もあんまり好きじゃないんだよなーパルパルって。あいつが言う事って何か信用できないし、真の黒幕はパルパルですって言われても『あー、確かにぽいわ』って納得しちゃう自分がいるわ」

 

オーリー?

 

「・・・嫌い」

 

ヒュメルはドストレート過ぎ、世間体っていうのがあるからもう少しオブラートに包もうね?

おじさん戸惑っちゃうから。

 

「そうなると、やはり暗殺が一番簡単で確実か?」

 

「でも相手はシスの暗黒卿だろ?ヴェントレスでも相当の腕前だった。俺達だけでヤレるものか?」

 

「・・・切ればそれで終わり」

 

「いやまあ、切れればそれで良いんだろうけどよ。それが難しいって話だろ?」

 

「・・・まずはお前で試し切り」

 

「おいやめろって!どうしてそんなに俺を切りたがるんだよ!?俺は砥石か!?砥石なのか!?切れば切るほど切れ味増しますよってか!?」

 

・・・ずっと一人で悩んでいた俺は何だったんだ

こんなことならもっと早く話しておけば良かったよ。

はあ・・・なんか疲れちゃったあたし

温泉にでもゆっくり浸かりたい

そして綺麗な巨・・・んんんお姉さんと・・・etc

んっんん!!

心の奥の欲望が・・・大変、失礼いたしました。

 

「用はその計画をぶち壊すためには、何の方法が一番いいのかって話だろ?」

 

「まあ簡単に言うと、そうだな」

 

「その計画っていうのは実行されるまでは全く知られなかったのか?」

 

「ああ、それに生き残ったジェダイたちも何故急にクローンが裏切ったのか見当もつかなかったようだしな」

 

「なるほどな。ちなみにその計画が実行されるのはいつ頃なんだ?」

 

「概ねクローンウォーズ開戦から三年後だ。分離主義者たちがコルサントを襲撃して最高議長が攫われる事件があるんだが、そこからがある意味運命のカウントダウンだな」

 

「意外と早いんだな、そうなると残された時間はあまりないか・・・」

 

「難しい事ないだろ?結局、行動抑制チップを取り除くか、パルパルに死んでもらうかのどちらかなんだ。っていうか根本的な解決にはどっちもやらなきゃか?」

 

「・・・だから、そのためにはどうすれば良いかを考えてるんだ。このバカが」

 

「何だとヒュメル!?『シャキーン』・・・そうだぞアディス!その為にはどうすれば良いかを考えているんだ!」

 

「俺は何も言ってないだろう全く・・・」

 

・・・段々とヒュメルがオーリーを手懐けて来ているような気がするな

良い事だ、うん。

 

「まずはこのままでは死んでしまう未来にある奴を助けようと思う。どちらにせよ今すぐ動こうにも無理な話なんだ。少しずつでも信頼できる同志を増やして行くのが良いと思うんだが、どうだろうか?」

 

「良いんじゃないか?今の所、何が最善なのかはハッキリしていないんだ。考えているばかりでも仕方ないしな。まずは出来ることから始めよう」

 

「よし、そうと決まれば辺境のリシ・ムーンに視察に行くぞ」

 

まずはドミノ分隊のメンバーを助けたいと思っている。

アイツらは優秀だし、個人的にも気に入っているしな。

 




はい、お疲れさまでした。
チームの皆さん強かで助かります。

ちなみにクローンウォーズシーズン7はご覧になりましたか?

そういえばマンダロリアンのシーズン2も始まりますね。
楽しみです。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話 取り敢えず小さな一歩から(ルーキーたち:前編)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

また月曜日が始まりましたね。
私は仕事がカレンダー通りなので月曜日は非常につらたんです。

え?
つらたんは死語?
嘘でしょ・・・
ショックなので今日は休みます。
それではお休みなさい。



<惑星リシ リシ・ステーション前哨基地>

 

『歩哨より定時連絡、異常なし』

 

基地内ではラジオ放送が流れていて、兵士たちの気が緩んでいるのは明白だった。

加えて、腕相撲までしている始末だ。

 

「はっはっはっ!よおし!次は誰だ?ファイヴス!」

 

「見張りの方は大丈夫か、ヘヴィー?」

 

そう問いかけるのは服務規程を読み込んでいるエコーだった。

 

「ああ、見てみろよ!何も無し、何も無さすぎだ。100回覗いて、100回同じだぜ」

 

「正直、自分としては嬉しいね。服務規程を学べる」

 

「やれやれ、ファイヴスお前気が付いているか?俺たちは外縁部一、退屈な基地に配属された」

 

「外縁部一、重要な基地だ」

 

そこに責任者の軍曹が現れ、一同は不動の姿勢を取る。

 

「気を付け!軍曹、お見えです!」

 

「休め。貴様たちは新入りだが、ここの重要性は言わずともわかっているはず。敵の通過を見逃せば俺たちの生まれた星、カミーノは奇襲攻撃に晒される事になる。まもなく士官がお見えになる。万事抜かりの無いよう視察に備えておけ。わかったな?」

 

「「「「サー・イエッサー」」」」

 

 

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル>

 

「それで?なんだってリシの前哨基地に行くんだ?」

 

「あそこにはドミノ分隊の連中が配属されているんだ。しかもはっきりした時期はわからないんだが、ドロイドのコマンドー部隊に制圧されてしまう」

 

「なるほど。リシの前哨基地はカミーノへの玄関口、あそこが押さえられたらカミーノは奇襲攻撃を受けることになるな」

 

「その通りだ。加えてヘヴィーやカタップ、ドロイドベイトが責任者の軍曹と一緒に戦死してしまうんだ。生き残りはファイヴスとエコーのみだ」

 

「それにしても、その二人はよく生き残ったな。卒業試験の結果が良かったとはいえ、まだ配属されたばかりの新兵だろう?」

 

「まあな。だが幸運なことに同時期にレックスやコーディーが前哨基地へ視察に行っていたんだ」

 

「なるほど、そういうことか」

 

あの時レックス達が視察に行っていなかったら、前哨基地の連中は全滅して、無防備になったカミーノは奇襲攻撃を受けていただろう。

下手をしたら誰も気づかないうちに、施設その物が破壊されていたかもな。

 

「念の為にレックス達に連絡を取ってみてくれ。タイミングが良ければ繋がるはずだ」

 

 

 

 

 

「軍曹、流星群接近!」

 

レーダーが流星群を探知し、警告音を響かせる。

 

「シールドを張れ」

 

「お待ちかねの事件だぜ?」

 

「ああ。流星のシャワーかよ・・・」

 

 

流星群の一部がシールドによって爆散するが、残りの流星は地面に落ちる。

その正体はドロック級ボーディング・シップであり、搭載されていたのは新型のバトルドロイドであるコマンドー・ドロイドだった。

そして前哨基地の歩哨はコマンドー・ドロイドによって静かに制圧されてしまうのだった。

 

「コノトビラヲ、アケロ(この扉を開けろ)」

 

「ラジャー、ラジャー」

 

 

 

「CT-327異常は?歩哨、応答せよ!」

 

「電波障害でしょうか?」

 

「歩哨の姿が見えません」

 

「お前たち、様子を見てこい」

 

軍曹はそう言って、ドロイドベイトともう一人の新兵に様子を見に向かわせた。

その時、施設の扉が開きコマンドー・ドロイドが突入してくる。

武器を持っていなかった二人は瞬く間に殺害され、コマンドー・ドロイドは確実にコントロールセンターに近づいてくる。

そして敵の襲撃に気が付いた軍曹はブラスターを片手に応戦する。

 

「警報を鳴らせ!」

 

「回線を切られています!」

 

「艦隊に知らせないと!何とか警告を!」

 

「軍曹・・・!」

 

そしてコマンドー・ドロイドの一斉射撃を受けて、この勇敢な軍曹は殺害されてしまうのだった。

 

 

 

 

 

<プロヴィデンス級キャリアー・デストロイヤー インヴィジブル・ハンド>

 

『ゼンショウキチヲ、センキョ、シマシタ。ケイホウヲ、カット。イジョウナシノ、

シンゴウヲ、ハッシン、シテオリマス(前哨基地を占拠しました。警報をカット。異常なしの信号を発信しております)』

 

そう報告を受けるのはドロイド軍のリーダー、グリーヴァス将軍だ。

 

「上出来だ。信号を出し続けよ!共和国軍に我らの接近を知られてはならん」

 

「カミーノ、センニュウチュウノ、スパイカラノ、レンラクデス(カミーノ潜入中のスパイからの連絡です)」

 

『侵攻受け入れの準備、全て整っております』

 

カミーノに潜入しているヴェントレスからの通信だ。

 

「よしよし、我が艦隊も順調に進んでおる。間もなくランデブーポイントに着く」

 

『安心致しました閣下、御出でをお待ちしております』

 

「カミーノさえ破壊すれば、クローンの生産を半永久的に止められるわ!」

 

 

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル レックス・コーディーSide>

 

「リシ基地、こちらコマンダー・コーディーどうぞ。リシ基地、応答せよ」

 

『すみませんコマンダー、通信システムに技術的なトラブルが発生しまして』

 

「基地の視察に来た」

 

『視察に?無用です!冗談じゃ、ああそのー、視察の必要はありません。基地は平和そのものです、どうも』

 

「決めるのは我々だ。受け入れに備えろ」

 

『ラジャー、ラジャー』

 

「・・・何やら匂うぞコマンダー?」

 

「油断するなよ、キャプテン」

 

「ん?コマンダー・レイからの通信だ。こちらレックス、コマンダー・レイお久しぶりです」

 

『ああレックス、ジャバの一件以来だな。というか俺がコマンダーになったからって敬語で話すのはやめろ。背中が痒くなる』

 

「ははは、了解コマンダー。それで一体どうしたんだ?」

 

『ちょっと野暮用でな。ちなみにシャトルの中にいるようだがコーディーとも一緒か?』

 

「ああ、共にリシの前哨基地に向かっている」

 

『・・・なるほど、了解した。実はある情報が入ってな。俺たちもリシ基地に降りるところだ。油断するなよ?向こうで落ち合おう、レイ、アウト』

 

「レイたちが向かう必要のある理由とは一体何なんだ?」

 

「これまた何か匂うなコマンダー?」

 

「そうだな、今回の任務、指揮権を譲ろうキャプテン」

 

 

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル レイSide>

 

「なあ、どうしてコマンドー・ドロイドの襲撃の件を言わなかったんだ?」

 

「お前の言いたいこともわかるがなオーリー、その情報をどこで手に入れたと言えば良いんだ?」

 

「まあ確かにな」

 

「それに俺はちゃんと伝えたぞ?『油断するな』ってな。それにアイツらなら大丈夫だ」

 

残念だが今の段階で、もう既にリシ基地は占拠されているだろう。

ドロイドベイトや軍曹は救えなかったな・・・

仕方がない。正確な時期までは知りようがないんだ。

焦らず、残りの奴らを救う事を考えよう。

 

「よし、着いたな。少し離れたところに降りよう」

 

 

「すぐにレックス達が来るはずだ。アディスはプラットホームが見える高台へ、ヒュメルはプラットホームの近くで待機、あいつ等を援護してやってくれ」

 

「「イエッサー」」

 

「オーリーは俺と来い。もう少しで生き残りの新米共が来るはずだ。出迎えて驚かせてやろう」

 

 

 

 

 

「軍曹抜きでどうすれば良いんだ」

 

「服務規定によれば次の階級の・・・」

 

「静かに!今の聞こえたか?」

 

「ああ、何だろう」

 

「ドロイドの音じゃなさそうだ・・・そういえば巨大ウナギに注意しろと言われたよな?」

 

「でも見たことない・・・」

 

その時、今まさにカタップに襲い掛かろうとしていた巨大ウナギに一発の光弾が向かっていく。

その光弾は巨大ウナギの眼に直撃し、そのまま脳まで達して、この巨大ウナギを絶命させた。

 

「なんだ!敵襲か?」

 

「おいおい、俺たちはいつから敵になったんだ?」

 

「危なかったなカタップ、間一髪だったぞ?」

 

「「「「!?」」」」

 

「コマンダー!?それに中尉まで!もしや視察にお越しになるというのは・・・?」

 

「いや、それは俺たちじゃない。ほら上を見ろ」

 

そういうとちょうどニュー級アタック・シャトルが上空を飛んでいた。

 

「コマンダー・コーディーとキャプテン・レックス、あいつらが視察チームだ」

 

「ゴーストに、コマンダー・コーディーとキャプテン・レックス!もう俺たちに恐いものはないぜ!」

 

「コマンダー、実はドロイドの襲撃を受けました。指揮官の軍曹を始めドロイドベイト、CT-327は殉職しました」

 

「それは残念だ・・・しかし、落ち込むのは後だ。彼らの犠牲を無駄にしないように、そしてカミーノの兄弟たちの為にも、まずはこのリシ基地を奪還するぞ」

 

「「「「サー・イエッサー」」」」

 




はい、お疲れさまでした。

ドロイドベイトは残念でしたが、カタップは助けられてよかったです。

あと、思ったより進みが遅くなってしまったので、もしかしたら3話構成になってしまうかもしれません・・・
例の如く苦情は一切受け付けません。
ありがとうございます。本当に助かります。
毎回、画面の向こうで皆さんが生暖かい目で見守ってくれているので続けられます。
これからもよろしくお願いします。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話 取り敢えずドロイドはマスコット(ルーキーたち:中編)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

怒涛の誤字修正を送って下さったYさんを始め、皆さんありがとうございます。
こんな性格なので助かります。

加えて評価やお気に入り、メッセージを送って下さる方々には本当に感謝しています。
正直モチベーションは送って下さる方に支えられています。
お暇だったら絡んでいきましょう?(意味深)


リシ前哨基地のプラットホームに、一機のニュー級アタック・シャトルが降りてくる。

コーディーとレックスが乗っているシャトルだ。

 

「どうなっているんだ?歩哨の影も形もない」

 

「それにレイ達のシャトルもない。あいつらの方が早く着いているはずだが・・・」

 

「ああ、何か嫌な予感がするぜ」

 

そして正面扉が開き、中から一人のクローンが現れた。

 

「リシにようこそコマンダー、ご覧の通り基地は何の支障もなく維持されております。遠路はるばるどうも!お気をつけてお帰り下さい」

 

「その前に、基地の中を見せろ」

 

「ああ・・・その必要はありません。何も異常なし、全て絶好調ですので!」

 

 

 

 

 

「襲撃を知らせないと!」

 

「コムリンクで呼び出してみろ!」

 

「いや、使用している周波数帯が違っているから通じないだろう」

 

「アディスの言う通りだ。知らせるならドロイド襲撃の信号弾を上げてみろ」

 

「了解ですコマンダー」

 

「それと戦闘が始まった段階で、俺とアディスはジェットパックを使って上へ援護に向かう」

 

「お前たちはこれを使ってゆっくり上がってこい」

 

そういうと俺たちはアセンションケーブルを渡す。

 

 

 

 

 

「指揮官の軍曹を呼んで来い」

 

「ラジャー、ラジャー」

 

顔を見合わせる二人、そして後方ではドロイド奇襲の意味を示す赤い信号弾が打ち上がる。

 

「ドロイド奇襲の信号だ!」

 

そして突然、レックスはRR・トルーパー(ラジャーラジャー・トルーパー)の頭部に向かって発砲する。

 

「おいレックス!何てことするんだ!!」

 

そしてレックスはトルーパーのヘルメットを外すと、現れたのはバトルドロイドの頭部だった。

 

「心配ない、思った通りだ。新型のコマンドー・ドロイドだな

 

「あの照明弾は生存者か?」

 

そして正体がバレたとわかると敵からの攻撃を受ける。

 

「くそ!待ち伏せだ!」

 

2人はブラスターで応戦するが、対弾性能が向上した装甲を持つコマンドー・ドロイドに手を焼いてしまう。

 

「ああ!ブリキ野郎もタフになったもんだ!」

 

その時、2人を援護するかのように一筋の光弾がコマンドー・ドロイドを貫く。

そして同じタイミングでヒュメルがプラットホームに現れる。

 

「お前は、ヒュメルか?助かる!」

 

コマンドー・ドロイドがバイブロブレードを取り出すと、俊敏な動きで襲い掛かってきた。

しかし、ヒュメルは得意の近接戦闘を挑んできたコマンドー・ドロイドに対して、高周波ブレードを起動する。

 

特殊な合金によって生成されたブレードに高周波が流されているのに加えて、電磁パルス発生装置が内蔵され、ライトセーバーとの戦闘にも耐えうる性能を誇るヒュメルの高周波ブレードの攻撃は、バイブロブレードと共にコマンドー・ドロイドの装甲も切断してしまう。

 

「グレネードだ!」

 

敵がサーマル・デトネーターを今まさに投擲しようとしているのにレックスが気付き、仲間へ注意を呼び掛ける。

その時、コマンドー・ドロイドがグレネードを投擲したと同時に、周りにいたドロイドを巻き込んだ大きな爆発が起こった。

 

アディスが遠距離からグレネードに向けてピンポイントの射撃を成功させたのだ。

 

「なんて腕だ・・・」

 

そして爆発の混乱に乗じて、二人のトルーパーがジェットパックを使って現れる。

 

「レックス、コーディー!こんな奴らに手こずっているなんて、お前らもまだまだだな!候補生からやり直した方が良いんじゃないか?」

 

「レイか?ぬかせ!」

 

俺たちが加わったことで、コマンドー・ドロイドは総崩れだった。

地上からはブラスターを使った攻撃をオーリー、レックス、コーディーが行い、

コマンドー・ドロイドが得意とするバイブロブレードによる近接戦闘は、高周波ブレードを使ったヒュメルが完全に圧倒している。

加えて空からの、俺とアディスによる4次元的な機動に全く対応できていない。

さらに、少しでも隙を見せればアディスによる探知不能の距離からの狙撃が来る。

 

俺たちの布陣は完璧だった。

程なくして、プラットホームにいるコマンドー・ドロイドは全滅したのだった。

 

「みんな、ご苦労だった。アディスは後でちょっとした頼みがある。悪いがそのまま待機していてくれ」

 

『イエッサー』

 

この後、確かドロイド軍の援軍が来るはずだからな。

アディスには悪いが見張っててもらおう。

 

戦闘が終わって少し経った頃、ヘヴィー達がアセンションケーブルを使ってプラットホームまで上がってきた。

 

「すげぇ、この人数でこれだけのドロイドを倒しちまったのか?」

 

「それもただのドロイドじゃない、新型のコマンドー・ドロイドだ」

 

「やっぱりARCSトルーパーの名前は伊達じゃないな」

 

 

「・・・なあレックス、こいつらがいると俺たちの影が薄くなるような気がするんだが?」

 

「ああ、兄弟。それは俺も感じていた」

 

「なら、俺たちもARCSトルーパーを目指すか?」

 

「冗談だろ?こいつらに付いていったら、命がいくつあっても足りそうにない。それに一般のトルーパーがARCSになれるのか?」

 

「知るかそんな事、空席が出来ればあるいは・・・」

 

「・・・期待しない方が良さそうだな」

 

 

何か凄い失礼な事を言われている気が・・・

空席がうんたらかんたら的な話が聞こえた気がするけど気のせいか?

ヤルならオーリーに一票入れます。

皆さん、どうかオーリーに清き一票をお願い致します!

 

「・・・ん?レイレイ、何か言ったか?」

 

「うん?何も言っていないが?」

 

「そうか、何か寒気がしたんだが気のせいか・・・」

 

「風邪か?季節の変わり目は体調を崩しやすくなると言うし、体調管理には気をつけろよ?兵士は身体が資本だからな」

 

怖っっっっっ!!!

怖い、怖い!

何!?

超能力者なの?

フォース感応者なの!?

え、なに、クローンからジェダイにジョブチェンジしたの!?

兵士は身体資本だからとか、それっぽいこと言ってごまかしたけど怖いわぁぁぁぁ

もうなるべく余計なことは考えないようにしよ・・・

 

「それで?どうやってあの分厚い扉を破る気だ?」

 

「俺に良い考えがある」

 

はい!

「雪だるま作ろう、ドアを開けて」ってノックすれば良いと思います!

え、ダメ?

それは1番開かないやつ?

そっか・・・

 

 

 

 

 

外から接近する物体があることをセンサーが知らせる。

 

「ナンダ、アレハ?(なんだ、あれは?)」

 

「ユニット26オマエナノカ?(ユニット26お前なのか?)」

 

『ラジャー、ラジャー』

 

「コエガ、オカシイゾ?ボキャブレーターガ、コショウシタカ?(声がおかしいぞ?ボキャブレーターが故障したか?)」

 

『ラジャー、ラジャー』

 

「ヘルメットヲ、トレ、キチント、カオヲ、ミセロ(ヘルメットを取れ、きちんと顔を見せろ)」

 

『ラジャー、ラジャー』

 

 

 

 

 

「まるで子供だましだな・・・」

 

そうあきれるのはコーディーだ。

でも、こういうので騙されちゃうバトルドロイド可愛いなー

戦闘用じゃなくてマスコットとして取り扱えば、日本のギャルたちにも人気でそうなのに。

そうか、女の子人気ならクローンよりもドロイドか・・・

でもドロイドだとナニがとは言わないが、色々出来ないし非常に困ったことになる。

まあ、あえてナニがとは言わないけどね。

俺は紳士なドロイドになるのだ!(?)

 

方向性を完全に見失っている俺を差し置いて、話はどんどん進んでいる。

そしてレックスに手玉に取られる形になったコマンドー・ドロイドは扉を開けてしまい、程なくして施設は俺たちに制圧されるのだった。

 

 

「窓を見てみろ、新たなお客さんだ」

 

「分離主義者の大艦隊です」

 

「この基地を占拠した気でいる。大規模な奇襲を掛けるつもりだ。司令部に警報を出せ」

 

「通信機に異常無しの信号しか出ないように細工がしてあります。修復には時間が・・・」

 

「時間はない、それに見ろ。ブリキ野郎の増援だ」

 

空からは大量のバトルドロイドを載せたC-9979上陸艇がやってくる。

 

「おいエコー、通信機はゆっくり直していいぞ」

 

「何を言っているレイ!あの増援からだって、この基地を守り切れるかわからないんだぞ?」

 

コーディーがそう言うが心配ない。

もう既に手は打ってある。

 

「心配するなコーディー、まあ見てろって」

 




はい、お疲れさまでした。

予想通り2話で終わりませんでした。
かたじけない。

それにしても最近はめっりき寒くなってきましたね。
私は何を思ったのかズボンを脱いで、腹を出して寝ていたので体調が優れません。
どうしてですかね?
皆さんの呪いでしょうか・・・?
え?違う?
大変失礼致しました。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話 取り敢えずお茶会(ルーキーたち:後編)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

アンケートにご協力頂いた皆様、ありがとうございました。
ぶっちぎりで「知らんわ。お前がしたい時で良いよ(ツンデレ)」となりました。
もはや桁が違いました。ありがとうございます。

多くの皆様がツンデレと言う事が判明した、実りあるアンケートになりました。
本来の目的は置いておいて、ツンデレな皆様が大好きです。

え、気持ち悪い?
このツンデレさんめっ!(愛情表現)



「見てろって言われてもな・・・」

 

そうしているうちに、C-9979上陸艇がプラットホームに近づき、搭載したバトルドロイドを展開しようとしている。

 

「戦闘準備だルーキー共!あいつらが出てきたところを・・・」

 

すると突然、C-9979上陸艇が轟音と共に爆散した。

後に残っている残骸も遥か下へと落下していく。

 

「!?」

 

「どうした!?突然爆発したぞ!?」

 

実は別行動をしているアディスに指示を出し、レックス達が乗ってきたニュー級アタック・シャトルに爆薬を仕掛けさせたのだ。

あの輸送艇を破壊して余りある威力になったな。

ふへへへ、シャトル一機安い物だろう。

 

ふん、汚ねー花火だ!

by М字ハゲの王子様

 

 

「・・・レイ」

 

ん?

ヒュメルが不満そうな顔をしているな

何かあったのか?

別にハゲってヒュメルのこと言ったわけじゃないよ?

 

「・・・ああいうのは俺の専門だ」

 

・・・なるほど

自分がやりたかったって事ね

 

「すまんすまん、次からはお前に任せるからさ」

 

「・・・なら良い」

 

『こちらアディス、敵さんは全滅したようだ、ちょっとオーバーキルだったか?』

 

「いや、上々だ。こっちに戻ってきていいぞ?温かい茶でも飲もう」

 

『了解だ。アディス、アウト』

 

 

 

「それで?どういう事なんだコマンダー?」

 

皆でテーブルを囲いながら茶をすすり、雑談がてらレックスが聞いてきた。

 

ちなみに通信システムは工学が得意なヒュメルとエコーが、思ったよりも早く直してくれたので、オビワン達には既に連絡を取ってある。

大規模な共和国艦隊が応援に駆け付けたため、グリーヴァス将軍は尻尾を巻いて逃げ出したあとだ。

 

そして今は迎えが来るまでの時間つぶしに皆でお茶会を開いていると言う訳だ。

基本的に俺たちは戦いっぱなしだからな。

こういう時間を使って、リラックスしてもバチは当たらないだろう。

 

「ああ、敵さんからすると俺たちがこの基地を奪還したことによって、そこに転がっているドロイド達からの応答が無くなるだろ?カミーノ奇襲作戦を成功させたい奴らは、念の為にここへ増援を寄越すと思ったんだ。だから外にいたアディスに爆薬を仕掛けさせたって訳だ」

 

「なるほどな。敵の増援が来なければ、後でその爆薬を回収すれば良いし、出る損害としてもシャトル一機分で済むという訳か」

 

「そんなところだ」

 

まあ、この後起きることがわかっているからチートみたいなモノなんだけどな。

救えなかった命もあるが、損害を最小限に抑えることができて良かった。

 

「あのーコマンダー・レイ、少しよろしいでしょうか?」

 

「おい、やめろヘヴィー!失礼だぞ!」

 

「ん?構わないぞ、どうしたんだヘヴィー?」

 

何か技術的なアドバイスでも欲しいのか?

なんでも聞いてくれ!

レイレイなんでも答えちゃう!

 

「イエッサー、俺達をコマンダーのチームに入れてくれないでしょうか?」

 

「へ?」

 

考えていた事と全く違う事を言われて変な声出ちゃった・・・恥ずかしい

 

「候補生の時からお世話になっていて失礼な事を言っているとは自覚しています!でも俺は本気でARCトルーパーを目指しているんです!それに可能ならARCSトルーパーにだって・・・」

 

うーん、困ったな

正直こいつらは全く経験が足りていない。

それに俺たちの所に来たら、ジェダイとの戦術や戦略を学ぶ機会を奪ってしまうことになる。

 

「お前の気持ちはわかったヘヴィー」

 

「(!)なら・・・!」

 

「お前らは優秀だ、これからも共和国の為に尽くしてくれるだろう。だがチームには加えない。お前らには兵士としての経験が全く足りていないからな、今すぐ俺たちの所に来るよりも、まずはスカイウォーカー将軍の元で経験を積むと良い。それでも良いか、レックス?」

 

「もちろんだ。それにもうピカピカじゃないぞ?お前らがいなければ、共和国は敵の奇襲に気づかずに手遅れとなっていた。素晴らしい働きだった、まさに我が501大隊に相応しい」

 

「「「「サー・イエッサー!」」」」

 

 

結果的にはヘヴィーとカタップを救う事が出来たが、救えなかった命もある。

俺一人の力では所詮この程度なのだ。

だから、一人でも信頼できる仲間を増やして行くしかない。

それが来たるオーダー66を回避することに繋がると信じて・・・

 

 

 

 

 

「それで?これはどういう事か説明してくれるかな?」

 

そういうのは応援に駆け付けてくれたオビ=ワンだ。

急に

『カミーノが危ないんです。応援に来てください。あ、リシ基地は取り返したのでこちらにはゆっくりいらして下さい」

なんて通信が入ればそりゃあ、詳細を報告してほしいだろう。

しかもお茶会まで開いている始末だ。

新兵や俺たちはまだしも、真面目でお堅いコーディーまでリラックスしている姿に、オビ=ワンも驚いたようだ。

 

「随分と楽しそうじゃないか?僕も仲間に入れてくれるか?」

 

「もちろんですスカイウォーカー将軍、どうぞこちらにお座りください」

 

「ありがとうレックス、マスターもこっちに来て座って下さい。時に将兵との懇談も長としての役目ですよ?」

 

「・・・まあ、たまには良いだろう。ああ、コーディー少し詰めてくれ、ありがとう。私は少々お茶にはうるさいぞ?」

 

「これは自分のお気に入りのお茶です。きっと将軍のお口にも合うと思います」

 

ふふふ

実は俺もお茶系にはうるさいのだ。

こっちの世界に来て緑茶が飲みたいとずっと思っていたのだが、遂にある星で見つけたのだ!

名前はよくわからないものが付いていたので、わかりやすく勝手に緑茶と呼んでいる。

 

「どれ、頂くとしよう・・・ん!?これはまた、心が落ち着くような奥深い味わいだ。この渋みが何とも言えない。少々分けてくれるかな?自室でゆっくり堪能したい」

 

「もちろんです将軍。また必要になりましたらその時は皆でお茶会を開きましょう」

 

「楽しみだ。今度はこのお茶に合う菓子でも用意しよう」

 

「・・・結局マスターが一番楽しんでいるな」

 

これでオビ=ワンの舌と心をガッチリ掴んだな。

好きな男性の胃袋を掴むのは女性の十八番と言っても過言ではない!

まあ、俺は女性でもなければ料理が上手い訳でもないんだけどね。

 

また皆でお茶会が開けるように早く戦争を終わらせて、ジェダイを破滅の道から救わなきゃな。

頑張ろう!

 

 

この後、中々戻ってこない俺たちを呼びに来たアソーカが

『自分らだけずるい!』

とお怒りになられて、なだめるのにそれはもう大変だったとさ(他人事)

 




はい、お疲れさまでした。

そして重ねてアンケートご協力ありがとうございました。
一応、2番目に多かった朝方の投稿を続けられればと思います。
基本的に朝0600の投稿になると思います。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話 取り敢えず某オーダーが発令された

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

私事ですが、最近体調がよろしくないです
えっ?
あたしがパン一、腹出しで寝ていたからでしょって?
もー、それは誰にも言わない約束でしょ!?

この事実は皆さんの心に閉まっておいて下さい。
皆さんも体調にはお気をつけて・・・チーン


あれから、またしばらく経った。

レックス達の元で、ドミノ分隊の連中も頑張っているようだ。

 

そういう俺はと言うと、自分たちの拠点となる星を見つけるのに時間を割いていた。

 

そしてようやく見つけた・・・

アウター・リム・テリトリーに属する星

<惑星ボガーノ>

(ちなみにボガーノはジェダイ・フォールン・オーダーに出てくる星だヨ)

え、そんな事は知っている?

・・・そっか。

 

 

というのも俺が直接見つけたわけではない。

それは本当に偶然だったのだが、あるジェダイ・マスターと知り合う機会を得た。

 

君の名は。

違う違う、彼の名はイーノ・コルドヴァ

この時代に、神殿や遺跡を調べる役目を任されているジェダイ・マスターだ。

 

彼がボガーノに存在する宝物庫で瞑想を行った際、ジェダイ・オーダー滅亡のビジョンを見たそうだ。

しかし、ジェダイ最高評議会にその事を報告したが、聞き入れてもらえなかった。

 

マスターという立場にいる者が報告しても受け入れられないんだ。

たかがクローンである俺が言っても信じてもらえないだろうな。

 

ジェダイ・オーダー滅亡の未来が、避けられないものと考えたコルドヴァは独自に動く事にした。

このボガーノの宝物庫に、フォース感応者のリストが載ったホロクロンを隠したのだ。

 

しかし、それでは根本的な解決にはならない。

そう考えた俺は、自分の身の上を話した。

最初は驚いたようだが、俺の話を聞いていくうちに信じてくれたようだ。

良かった、良かった。

これで信じてもらえなかったら、今度こそ変な奴認定されるところだった。

 

「友よ、もっと話を聞かせてくれないか?君の話は非常に興味深い」

 

・・・ここまでは良かったんだが、コルドヴァは俺自身の話や、元いた世界の話を聞きたがる駄々っ子爺さんになり下がってしまった。

 

爺さんの話って、なんでこう長いのかしら?

それに探求心が小さい子供並みに高いから、

『なんで?ねーなんで??どうしてそうなるの???教えて教えて!』

状態である。

子供に言われるならまだ可愛げがあるのだが、某国民的アニメの波平さんクラスの禿げ頭に言われても、全く嬉しくない。

 

しつこくされるなら、やっぱり綺麗な巨・・・んんんっ!

 

また俺の欲望が漏れ出してしまいました。

大変失礼致しました。

 

と、とにかくあまりにしつこいから、これは一発ドカンと言っておかなきゃダメだな。

 

「マスター・コルドヴァ、今はそれどころでは無いのでは?まずはどうやってジェダイを破滅の未来から救えば良いのかを考えるべきかと・・・」

 

「友には名前で呼んでもらいたい。だがその通りだ。確かクローンの頭の中に行動抑制チップが埋め込まれているのだったね?」

 

ん?

あー

名前で呼んでほしいって言ってくれるのは、可愛い人か綺麗な人か美しい人だけで十分です、はい。

え、そういう事じゃない?

 

その後、俺が知り得る情報をコルドヴァに伝えた。

まあ、全てじゃないけどね。

最悪の展開も考えて、必要な情報だけを渡すに留めておいた。

 

「一番確実なのは、埋め込まれている行動抑制チップを摘出することか・・・しかし、全ての兵士となると時間も掛かるし、そもそもカミーノアンの協力を得なければなるまいな」

 

「はい、ですので自分は一度カミーノへ向かおうと思います」

 

とにかく、論じてばかりでは仕方がないしな。

一度カミーノへ向かい、協力が取り付けられる可能性も視野に入れて情報収集をする必要があるだろう。

 

「友よ、私も微力ながら出来ることをしようと思う。そしてこの件が解決した暁には、君の話を思う存分聞かせてくれ」

 

・・・コルドヴァさんはいつでもブレないのですね。

 

 

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル>

 

俺たちはその後、情報収集も兼ねて惑星カミーノへ進路を取っていた。

 

「いやー、しかしあの爺さんは良くしゃべるよなー!次から次へとよく口が疲れねーよな?俺なんて無口な方だからある意味尊敬しちまうぜ!なあ、ヒュメル?」

 

「・・・レイ、カミーノへ向かうのは良いが、どうするんだ?カミーノアンは一筋縄ではいかないぞ?」

 

「まあ、確かにな。あいつらに俺の身の上を話したところで意味はないだろう」

 

正直、全く良い案が浮かばない(無責任)

 

「真面目な話、そろそろ本格的にどうするのか決めないとな。仮に議長を暗殺するにしても、それは世間的に見ればクーデターだ。『殺して終わり』、そう単純な話ではない」

 

「真面目な話、ナチュラルにスルーするのは良いんですかね?『無視して終わり』、そう単純な話ではない」

 

・・・。

アディスの言う事はもっともだ。

 

俺たちは傭兵でもなければ、賞金稼ぎでもない。

本気で共和国の未来を思って戦っている。

それだけの信念が無ければ戦争なんて出来ないんだ。

 

そのトップを殺して、はい終わりという程簡単な話ではないのだ。

 

「・・・念の為確認したいんだが、本当に良いんだな?俺たちがやろうとしていることは間違いなく反逆行為に値する。それでもお前たちは俺に付いてきてくれるのか?」

 

・・・!

 

「わかった、これ以上は何も言わない・・・ありがとう」

 

こいつらの眼が全てを物語っていた。

ジェダイもそうだが、こいつらは何があっても俺が守ってみせる。

そう心に固く誓うのだった。

 

「・・・念の為確認したいんだが、本当に良いんだな?お前たちがやろうとしているのは間違いなくASD(急性ストレス障害)に値する。それでもお前たちは俺を無視し続けるのか?」

 

はいはい、わかったから。

コイツはコイツでこの状況を楽しんでいるんだから、メンタルお化けだよ本当に・・・

 

「・・・レイ、そろそろ限界。たった今から例の計画を実行する。オーダー9090」

 

あのーヒュメルさん?

取り敢えず落ち着いて・・・

っていうか例の計画ってそんな名前だったんだ。

うん、分かりやすくて良いと思うよ!

 

「おいなんだよその計画、詳細知らないけど凄く怖いんだけど!絶対俺の話じゃん!?だって9090って俺の認識番号だからね?どうしてそれでバレないと思ったの?バカなの?バカなんでしょヒュメルちゃん!?」

 

「・・・そういうところだぞ、オーリー?」

 

「なんだよアディスまで!?俺が悪いの?最近思い始めてたけど俺が悪いの?自覚し始めたタイミングで永遠に葬られちゃうの?」

 

 

お父様、お母様、お姉様、ポチ様、お元気にお過ごしでしょうか?

こちらは元気にやっています。

実は最近、家族が出来ました。

元気な男の子たちです。

機会があれば会ってやってください。

それではまた・・・

 

 

 

そんなこんなでレイと愉快な仲間たちは無事にカミーノへ着きましたとさ。

 




はい、お疲れさまでした。

こんなふざけた投稿続けていて、今まで読んで下さっている皆様があきれ返って転がりまわっているんじゃないかと、心配で心配で朝が起きられません。

え?

それではまた近いうちに・・・

・・・え?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話 取り敢えずヒュメルがカッコイイ(誇り高き兵士たち:前編)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

今回は常連のおギャグ様はいらっしゃいません。
え、それなら読む価値無いって?
・・・まじ?



<ニュー級アタック・シャトル>

 

ハイパースペースを抜けると、惑星カミーノに共和国艦隊が集結していた。

 

「ん?あれはレゾリュートだな・・・レイ、この時期にカミーノで何かあるのか?」

 

そういえば分離主義者がティポカ・シティーを襲撃する事件があったな・・・

タイミングが良いのか、悪いのか、丁度その時期と重なってしまったようだ。

 

「グリーヴァス将軍とヴェントレスの共同戦線でティポカ・シティーが襲われる事件があったから、もしかするとそれかもしれないな。急ぎカミーノへ降りてくれ」

 

「なるほどな、了解した」

 

 

 

 

 

<惑星カミーノ ティポカ・シティー>

 

「マスター・ケノービにスカイウォーカー、カミーノにようこそ」

 

「ようこそ、将軍」

 

そう話すのはシャク・ティとカミーノアンのラマ・スー首相だ。

 

「できればこんな状況でなくお会いしたかったのですが、グリーヴァスがこのカミーノを襲うという情報を得ました」

 

「しかし、共和国軍の防衛は強固、何をまた敢えて?」

 

その時、上空から一機のニュー級アタック・シャトルが舞い降りる。

 

「あれは・・・コマンダー・レイのシャトルだ」

 

「そのようだな。彼らもわざわざ危険に飛び込む悪い癖でもあるのかな?」

 

そう言いながらも、アナキンもオビワンも嬉しそうにしている。

 

「皆さん、お久しぶりです。ちょうどカミーノへ用があったので来てみれば・・・またトラブルですか?」

 

「コマンダー、お久しぶりね。実はグリーヴァス将軍の部隊がこのカミーノを襲うという情報があったようで、ケノービ将軍が応援に来てくれたのよ」

 

「なるほど。前回のリシ基地襲撃の件といい、中々に諦めが悪いですね」

 

「それで?レイ、君たちはどうしてカミーノへ?」

 

「ちょっと野暮用でして・・・調べたいことがあって来たのですが、どうやらそれどころでは無いようです」

 

「残念ながらその通りだ。相手はグリーヴァス将軍の部隊、君たちもカミーノ防衛に力を貸してほしい」

 

「もちろんです、ケノービ将軍」

 

取り合えずこの騒動を納めないと、情報収集どころではないな。

 

 

 

 

 

その頃、エコーとファイヴスが懐かしむように施設の通路を歩いていた。

 

「ああ・・・まるで昨日までここに居た気がするぜ。そう思わないかファイヴス?」

 

そして通路には、まだ幼いトルーパー候補生達がしっかりと隊列を組み、教官に先導されながら射撃訓練に向かう所であった。

 

「これから射撃訓練か?ははは、あの頃のこと覚えているか?」

 

「忘れるわけないだろう?」

 

すると大量のブラスターを一人で運んでいる99号を見つける。

 

「やあ、99号!」

 

「ああ!エコー、ファイヴス!」

 

「しっかり俺たちの事覚えているんだ?」

 

「ああ、兄弟は全員覚えている。ヘヴィーも一緒じゃろう?どこにおる?」

 

「ああ、カタップと一緒にいる。だがドロイドベイトはリシ前哨基地を巡る激しい戦闘で・・・」

 

「俺たちは生き残ることができたが、奴は・・・」

 

「そうか、悲しいの・・・だがお前たちが無事で安心したわい」

 

 

 

 

 

<ティポカ・シティー 指揮所>

 

カミーノ上空では共和国艦隊とグリーヴァス艦隊が戦闘を始めていた。

 

「防衛ラインを強化します」

 

「敵艦隊の規模が予想以下ですね。迎撃開始です」

 

「おかしい、あのグリーヴァスがこのカミーノを攻めるにしては規模が小さすぎる」

 

上空からはアナキン率いる共和国艦隊の攻撃により、敵艦の破壊されたパーツが大量にカミーノ海域へと落下してきていた。

 

『警報、落下物に注意』

 

「グリーヴァスは周囲の輸送船を盾に、自分の旗艦を守っているようです」

 

「・・・嫌な予感がするな」

 

流石だな・・・

オビ=ワンは何かを感じ取っているようだ。

 

「ケノービ将軍、敵の攻撃の意図が全く読めません。あの規模の戦力ではこのカミーノを落とせないことはわかっているはず・・・加えて、敵艦からの落下物が多すぎます。何か別の作戦があると考えて動くべきかと」

 

「確かに、いくらグリーヴァスとは言え攻撃が雑だ・・・簡単すぎる。それにレイの言う通り、海に落ちてきた破片が気になるな」

 

「・・・どういうことです?」

 

「ちょっと、ひと泳ぎしてきます」

 

 

<ティポカ・シティー 近海>

 

「アクア・ドロイドだ!予感が当たったぞ。やつら強襲揚陸艦を組み立てている」

 

潜水艇に乗って海中へ偵察に出たオビ=ワンは、落下物を組み立てる大量のアクア・ドロイドを見つけた。

 

『既に部隊を展開済みです。将軍も早くお戻りに』

 

「了解した・・・アナキン!シティーが襲われる!早く降りてこい」

 

『今向かっています!』

 

 

 

トライデント級アサルト・シップがティポカ・シティーを襲う少し前、俺はオビ=ワンからの連絡を待たずに、部隊を展開していた。

 

「“S”の権限で全トルーパーの指揮は俺が執る。アディスの指揮の元、ドミノ分隊はルーフに登り、橋を渡ってくる敵を狙撃、ヒュメルとオーリーには個別で指示を出す」

 

「「「「「イエッサー」」」」」

 

「そこのARCトルーパー!ゲート付近に部隊を展開しろ、そこの指揮は任せる」

 

「イエッサー、聞いたな野郎共!各自、持ち場に付け!」

 

 

 

 

 

それからの戦闘は熾烈を極めた。

分離主義者の猛攻は激しく、多くの将兵が命を落としていった。

 

施設の通路内に敵の侵入を許してしまい、コマンダー・コルト率いる部隊は全滅寸前だった。

最後の部下が被弾したのを見て、コマンダー・コルトは覚悟を決めた。

戦うためだけの人生だったが、最後に生まれ故郷を守るために死ぬのだから本望だと・・・

 

そしてカバーポジションから身を乗り出し、ブラスターを構えたその時、目には見えない力で首を締め上げられ、その鍛え上げられた身体が宙に浮く。

 

ドゥークー伯爵の殺し屋、アサージ・ヴェントレスだ。

コルトは成す術もなく、無意味に自らの首を抑えながら、もがき苦しんでいる。

 

ヴェントレスはコルトを壁に叩きつけ、無慈悲にも赤い閃光を起動する。

 

『ここまでか・・・』

 

そう思った瞬間、ヴェントレスとコルトの間に一つの影が滑り込んできた。

そこには稲妻を纏った様な、光輝く二振りの剣を携えた一人のクローン・トルーパーが立っていた。

 

「・・・コマンダー、まだ死ぬ時ではない。死ぬならここを守り切ってからにしろ」

 

「お前は相変わらず口下手だな!ただ、無事でよかったって言えば良いだけだろ?コマンダー、俺たちも加勢するぜ」

 

そう言うのは既に専用兵器【ラース】を起動したオーリーだ。

 

「ゴホッゴホッ・・・お前たちか、すまない」

 

「お前はあの時のクローン・・・!今度こそ八つ裂きにしてやる!」

 

ヴェントレスの眼には怒りの焔が燃え上がっていた。

 

「・・・オーリー、コルトと一緒にグリーヴァスを頼む。俺はこの女を」

 

「わかった、だが無理はするなよ?やばいと思ったらお前を引きずってでも逃げるからな」

 

「・・・了解」 

 

そういうとヒュメルはある装置を起動した。

ARCS-8181専用兵器【ベルセルク】

これはヒュメル専用に開発された高速戦闘用の加速装置であり、『狂戦士』を意味する。

身体に装着している各アーマーの随所に高速域に達する為の加速装置が設置されており、任意で自分自身を加速させることができる。

さらに、この【ベルセルク】を起動中、装着者の身体全体が電磁パルスによる磁場で覆われるため、他の電子機器は使用できなくなる代わりに、対人用ブラスター程度であれば攻撃を無効化する事ができる。

 

「なんだ・・・それは!」

 

すると突然ヒュメルがその場から“消えた”

いや、人間が消えるわけはない。

静止状態から次の瞬間にはとてつもないスピードで加速したのだ。

そしてヒュメルは敢えて『切る』事はせずにグリーヴァス目掛けて、ヴェントレスを『蹴り』飛ばした。

 

「くぅー、何をしておる殺し屋!その程度でドゥークー伯爵に技を教わっているとは情けない!」

 

「ヒュー!相変わらずやるな。俺も負けてられねー!」

 

そういうとオーリーは自らの専用装備である【ラース】を戦闘状態にシフトした。

今回【ラース】に取り付けられているのは、専用に改良されたロータリー・ブラスター・キャノンだ。

この回転式のバレルを備えたブラスター・キャノンは強力な火力を維持することができる重歩兵支援火器である。

 

「オラオラ、どうしたブリキ野郎!そんなもんかよ!」

 

単純だがそれゆえ強力。

オーリー自身が装備している物と併せて、三門にもなる強力な兵器は、この狭い通路で使う事によって最大級の効果を発揮している。

 

フォースによる先読みが使えないグリーヴァスは2本のライトセーバーを装備してはいるが、オーリーによる弾幕で手も足も出ず、味方のバトルドロイドを盾にしている状況だ。

 

そして体勢を整えたヴェントレスを迎え撃つのは【ベルセルク】を起動したヒュメルだ。

 

「なんだその余裕は・・・!既に終わっている勝負だとでも言いたいのか!?」

 

先ほどの攻撃で、ヒュメルが打撃ではなく、斬撃を選択していたとしたら勝負は始まりもせずに終わっていただろう。

その変えようもない現実を突きつけられたヴェントレスは怒りに燃えていた。

 

それも、所詮一人の人間のコピー品でしかない出来損ないの存在、自分と比べるまでもない程、遥かに劣る存在だと考えていたクローンによってもたらされたのだ。

 

これまでに無いほど、ヴェントレスの腸は煮えくり返っていた。

 




はい、お疲れさまでした。

取り合えず思い付きでヒュメルの専用装備入れちゃいましたけど、少し強すぎますかね・・・?
まあ、カッコいいし良いよね?

ちなみにヒュメルがヴェントレスを切らなかったのは、戦闘を楽しみたいという気持ちが強くなってしまっているという背景で描きました。
これがどこかで裏目に出なければ良いのですが・・・

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第22話 取り敢えず昇格おめでとう(誇り高き兵士たち:後編)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

・・・すみません、特に何もありません。
何か言えって?
うーん
う○ち!

皆さんがブラウザバックしている姿が目に浮かびました。


ヒュメル達がヴェントレスとの戦闘を始めた頃、各地でも激しい戦闘が続いていた。

 

アディス率いるドミノ分隊は橋を渡るドロイド軍を狙撃していたのだが、教官である軍曹とはぐれた幼いトルーパー候補生と99号を保護、ファイヴスとエコーが彼らを安全な場所へ移す事となった。

 

「99号、無事でいろよ?」

 

「お前もなヘヴィー、わしも共和国の為に出来るだけの事をする。これも返さないといけないしの」

 

そう言って99号はヘヴィーから預かった卒業メダルを取り出す。

 

「それはとっくにアンタの物だぜ、99号」

 

 

 

そうして何とか、兵舎まで無事に辿り着いたファイヴス達は今後の事を話していた。

 

「これからどうします?」

 

そう問いかけるのは幼い候補生だ。

 

「分離主義者の勝利は、わしら全員の死を意味する。この子の言う通りだ、これからどうする?」

 

「戦うんだ」

 

そう言って近づいてきたのはコマンダー・コーディーとキャプテン・レックスだ。

あと、俺。

え、なんでお前が居るのかって?

ここに来ないと、今回の話に出られないと思って・・・

 

「コマンダー・コーディーにキャプテン・レックス、それにコマンダー・レイ!」

 

「でも、僕たちは訓練の途中です!」

 

・・・ん?

そこの一人だけ険しい顔している僕ちゃんは、もしかしてボバ・フェットか?

既に候補生に紛れ込んでいたんだな。

まあ、周りの子たちと比べても倍の年月生きているんだし、切り抜けてきている修羅場の数も違うだろう。

それに父、正確には自らのオリジナルであるジャンゴ・フェットをジェダイに殺されたことが、彼に暗い影を落としているようだ。

 

取り合えず彼の事は置いておいて、この状況を切り抜けるのが先だな。

 

「周りを見ろ、俺たちは一つだ!皆、同じ血が流れている!誇り高い、兵士の血が!俺の血は戦いを求めてたぎっている!」

 

「ここは故郷だ、故郷の為に戦おう」

 

うんうん、ファイヴスもエコーも立派になっちゃって

それでこそ、将来のARCトルーパーだな!(何様)

 

「でも武器がありません」

 

「それなら問題ない。俺たちでここに来る前に武器庫から調達してきた」

 

そう言って傍に積み上げておいた大量の武器を見せる。

この後わざわざ取りに行くのも面倒だし、先に持ってきた。

・・・オモカッタ

 

「これだけあれば十分じゃ、皆でブリキ野郎をぶっ潰そうや!」

 

 

 

 

 

「ヒュメル!こっちの砲身が焼き付く!足止めはそろそろ限界だぜ!?」

 

専用装備である【ベルセルク】を起動して、人間が生み出せる限界を超えたスピードでヴェントレスと互角の戦いを繰り広げていたヒュメルだったが、異常な加速をし続けていた結果、身体が悲鳴を上げていた。

 

加えて、この通路からの進軍をあきらめたグリーヴァスは別動隊を連れ、既にこの場からは姿を消していた。

オーリーが相手にしているのは、波のように次々と押し寄せるB1-バトルドロイドであったが、弾幕を張り続けた結果、砲身が焼きつきかけている。

 

「諦めの悪いクローンだよ、いい加減にしな!」

 

限界を迎えた身体の痛みで、一瞬の隙を見せてしまったヒュメルはヴェントレスのライトセーバーによる斬撃を受けてしまう。

 

「っ!」

 

「ヒュメル!?」

 

 

 

 

 

その頃、別動隊を連れたグリーヴァスは施設制圧の為に進軍を続けていた。

 

「アケロ(開けろ)」

 

B1-バトルドロイドが扉にノックする。(可愛い)

 

「ドアを吹き飛ばせ!クローン共は驚いて飛び出すわ!」

 

「ラジャー、ラジャー」

 

そういうとB1-バトルドロイドは扉にブラスターを向けたが、突然扉が開き、待ち伏せていたレックス達から銃撃を浴びた。

 

「こっちだブリキ野郎」

 

「ヤッツケロ!(やっつけろ!)」

 

そうして次々とバトルドロイドが部屋の中へと侵入する。

 

「チョロいものだ」

 

「そいつはどうかな将軍?」

 

「ケノービ・・・!」

 

応援に駆け付けたオビ=ワンはライトセーバーを起動し、グリーヴァスとの対決を始めるのだった。

 

 

 

 

 

「大丈夫か、ヒュメル!?」

 

「・・・ああ」

 

「貴様・・・なぜ死んでいない。間違いなく攻撃は当たったはず」

 

【ベルセルク】を起動している間、ヒュメルの身体を電磁パルスが覆っている為、ライトセーバーによるダメージも軽減することができた。

しかし、全くの無傷とはいかず、加えて【ベルセルク】の使用リスクからヒュメルの身体はボロボロだった。

 

「どうやらその装置のお陰のようだね。だが今度はそうはいかない。間違いなく殺してやるよ!」

 

そう言ってヴェントレスがライトセーバーを振り上げた瞬間、見えない力によってヴェントレスは吹き飛ばされた。

 

「無事かヒュメル、オーリー!?」

 

「・・・スカイウォーカー将軍?助かりました」

 

「君たちだけで良く抑えてくれた。ここからは僕に任せてくれ」

 

「っ!スカイウォーカー!・・・私が来たことに気付いてくれないのかと思ってた」

 

「挨拶無しで、帰るのかと思ったよ」

 

こうして、アナキンとヴェントレスの戦いも始まるのだった。

 

 

 

 

 

グリーヴァスの相手はオビ=ワンがしてくれている。

後は誘い込んだバトルドロイドを倒せば俺たちの勝ちだ。

 

そうして俺たちはバトルドロイドに向かってサーマル・デトネーターを投擲する。

多くのバトルドロイドが爆散するが、その後から次々と押し寄せてくる。

 

「よし、今だ坊や達!」

 

そうレックスが指示を出すと、収納型のベットに潜んでいたトルーパー候補生達が一斉に攻撃を開始した。

逆に挟まれた形となったバトルドロイドは統率を失い、格好の的となった。

 

「候補生、本物のバトルドロイドを破壊する機会は滅多にないぞ?好きなだけ撃ちまくれ」

 

「「「「イエッサー!」」」」

 

 

「最後の一発だ、慎重にな」

 

レックスがそういうと、99号から受け取ったグレネードをコーディーに渡す。

 

「もっと取ってくる!」

 

ん?

嫌な予感・・・

 

「必要ない99号、グレネードは十分だ!」

 

言っても聞かないと思った俺は99号を抑え込む。

 

「やめろと言っている!これは命令だ!」

 

「ワシも兵士だ!兄弟!」

 

頼むから大人しくしてくれ!

もう必要ないから!

見てよほら、バトルドロイドさん達は、もう数えるほどしか残ってないから!

明らかにオーバーキルになっちゃうから!

行くだけ無駄になっちゃうから!

心なしか、バトルドロイドさんも困ったような顔してるから!

 

「その為に生まれた・・・!」

 

ダメだ、この爺さん完全にスイッチ入っちゃっている・・・

まあいいや

もう制圧したみたいだし。

 

「クリア!」

 

報告を受けた俺は99号を開放(?)し、周囲を確認して敵がいないことを確認する。

 

「オールクリア。みんな良くやった、少し休んでくれ」

 

あー疲れた。

コルドヴァ爺さんといい、99号爺さんといい、爺さんの相手は疲れるな。

まあ何はともあれ、99号を救えてよかったよ、うん。

 

 

 

 

 

その後、グリーヴァスとヴェントレスには逃げられてしまったが、残党も制圧することができ、辺りには波の音だけの静けさが戻った。

 

「君たちのお陰で被害は少なくて済んだ」

 

「その通りだ。君たちがいなければ被害はもっと増えていただろう。共和国を代表して感謝の意を表する」

 

「光栄です将軍、しかし今更改まるような関係でもないと思いますが?」

 

結構な数の任務を、彼らとこなしているからな。

改めて言われると、身体が痒くなる。

 

「はっはっはっ、確かにその通りだなレイ。だが周りへの示しがつかなくなってしまうからね。たまには良いだろう?」

 

「イエッサー、『そういえば将軍、また良い緑茶が手に入ったのですが?(小声)』」

 

「『なに!?それは本当か?(小声)』・・・んっんん!アナキン、私は少し彼に個人的な用事がある。しばらく部隊の指揮を頼んだ」

 

「ふっ、了解ですマスター、ごゆっくり」

 

 

 

「ドミノ分隊、揃っているか?」

 

「「「「サー・イエッサー」」」」

 

アディス、レックス、コーディーの三人に呼び出されたドミノ分隊が整列している。

 

「エコー、ファイヴス、2人とも目覚ましい活躍だったな」

 

「やるべきことをやっただけであります」

 

「貴様らの見せた勇気は称賛に値する。まるで自分を見ているようだった」

 

「それにヘヴィー、カタップは俺と共に分離主義者の進行を、1体のドロイドにも突破されることなく食い止めた。本当に素晴らしい活躍だった」

 

「光栄であります」

 

「クローンならば当然の事をしたまでです」

 

「ARCSトルーパーであるキャプテン・アディスとの協議の結果、今までの活躍を踏まえ、お前たちを正式にARCトルーパーとする」

 

「敵がカミーノを襲う事は当分ないだろう。だがそうなっても、貴様らのような勇士がいる限り、カミーノは安泰だ」

 

「君たちも兵の見本となる立場になったことを肝に銘じて、これまで以上の活躍を期待する。以上だ」

 

 

 

 

 

「んー、これまた美味い!この非常に趣のある深い味わい・・・たまらん!」

 

ふふふ、これでオビ=ワンは落としたも同然・・・

俺の計画が着々と進んでいるな!

はーっはっはっはっはーっ!

 




はい、お疲れさまでした。
一応ヒュメルの専用装備は身体への負担が大きいという設定にしました。

ドミノ分隊の皆さん、ARCトルーパー昇格おめでとうございます。
各部隊にARCトルーパーの枠みたいなのがあった気がしますが、取り合えず縛りが出てきてしまうので今回は無視します。

クレームは受け付けませんからね!?
お願いしますよ皆さん!

あれ?
そういえばコマンダー・コルトどこ行ったんだろう・・・

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第23話 取り敢えず確認しよう

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

今回は主人公たちの真面目な想いが語られますので、おギャグ様はチラ見程度に収まっています。


あれからアナキン達はまた別の戦場へ向かった。

一緒に来ないかと誘われたが、やることがあると丁重にお断りした。

 

っていうか仕事終わりの飲み会に誘われるようなテンションで言われたけど、行くところ戦場だもんな。

ふと冷静になると、つくづく感覚が麻痺していると感じる。

 

コルドヴァ爺さんから逃げたいがあまり、勢いでカミーノへ来てしまったが結果的にカミーノ防衛戦に参加できたし、救えた命があったのは結果オーライだったな。

 

問題はこれからだ。

まずは何をすれば良いか・・・

 

「それで?まずは何から始める?」

 

「そうだな、出来ることから始めようとは思うんだが・・・」

 

うーん、ダメだ。

今カミーノアンを味方に付けるために動くことや、行動抑制チップの存在を明るみにしても効果が薄いだろうし、闇に葬られる可能性がある。

 

しかし、意気揚々とカミーノに来て、

『何も収穫ありませんでした!』

なんて口が裂けても言えない・・・

 

「・・・まずは行動抑制チップが、本当にクローンの頭に埋め込まれているのかを確認しようと思う」

 

まあ確実にあるだろうが、俺も実際にこの目で見た訳じゃないしな。

一度、確認しておいた方が良いだろう。

 

 

 

<カミーノ クローン保育カプセル集積所>

 

確か抑制チップが埋め込まれていたのは、クローン育成のかなり早い段階だった記憶がある。

 

「ヒュメル、まずは成長の初期段階から調べてくれ」

 

「・・・了解」

 

「ん?無いようだな。次は第二段階だ」

 

第一段階では無かったな。

まあ、想定内だ。

取り敢えず次に行こう。

 

「・・・無い」

 

「無いな」

 

「無いみたいだな!」

 

あれ?

ホントだ、無いんだけど・・・

やばい急に不安になってきた。

これで行動抑制チップなんて無かったら俺バカみたいじゃん・・・

 

「つ、次だ!第三段階を試してみてくれ」

 

「・・・」

 

おいヒュメル!

そんな目で俺を見るなよ!

無いならそれが一番でしょ!?

どうして俺が責めらるの!?

確かに俺が言い出したことだけどさ・・・

 

「・・・?何かある」

 

え!?

本当ですか!?

ありましたかヒュメルさん!?

良かったーあったか!!

・・・ん?

良くないのか、大変失礼いたしました。

取り乱しました。

 

「他の胎児も確認してくれ、一定のデータがあればどれくらいの胎児に埋め込まれているか推測できるからな」

 

さすがアディスさん!

あたしもそれが言いたかったんです!

 

「その通りだ。ヒュメル、頼めるか?」

 

「・・・了解」

 

ヒュメルが手際よく、次々に検査を進めると直ぐに結果が出た。

 

「信じられない、全員にチップが埋め込まれているのか・・・」

 

やはりな。

このまま何も手を打たなければ、そう遠くない未来でオーダー66が実行され、ジェダイ粛清のためにクローンが利用されるんだな。

 

「データは十分だ。ヒュメル、記録が残らないように全ての痕跡を消してくれ」

 

「・・・了解、10秒で終わる」

 

 

 

 

 

とにかく必要なデータは手に入った。

後はこれを有効に使わないとな・・・

 

「三人にはまだ話していなかった事だが、実はオーダー66が発令される以前に、第501大隊所属のタップに埋め込まれた行動抑制チップが誤作動を起こした事があったんだ」

 

「そ、それって大丈夫だったのかよ!?行動抑制チップにはジェダイを殺すようにプログラムされているんだろ?」

 

「その通りだ。実際に戦闘中、タップは一人のジェダイ将軍を射殺してしまったんだ。その後、友人でもあったファイヴスによって行動抑制チップの存在は明るみになったんだが、結局はチップが原因ではないという判断になってしまい、ファイヴスも殺されてしまった」

 

「俺たちを何だと思っていやがる・・・しかし、クローンはもちろんだが、ジェダイもこのチップの存在は知らなかったんだよな?」

 

「ああ、だがそもそもこのチップを埋め込むように指示をしたのは、ジェダイマスターのサイフォディアスなんだ」

 

この後、なぜサイフォディアスは行動抑制チップを埋め込むように指示を出したのか、そしてパルパティーンがこのチップを利用した事、カミーノアンはこの命令は裏切り者のジェダイのみに使われると思わせられていることを話した。

 

「腐ってやがる・・・結局は皆んな、議長の手のひらで踊らされていたって事じゃねーか!許せねえ!」

 

「オーリーの言う通りだな・・・正直、『俺たちは何のために戦っているんだろう』と、考えたくもない事ばかり頭に浮かんでしまう」

 

アディスとオーリーの言いたいこともわかる。

俺も当事者としてこのクローンウォーズに参加し、実際に感じて来ている事だ。

 

共和国の為だと、それが人々の為になる事だと信じて戦ってきたが、実際は各地を治めている官僚、銀河元老院中枢の官僚制度を含めて腐敗や汚職が蔓延している。

 

さらに現状の共和国に不満を持つ勢力に対して、パルパティーン議長がお得意の演説で焚きつけている事により、社会情勢の悪化や、社会不安はますます拡大していく一方だ。

 

自分勝手の利己主義的な輩のせいで、多くの兄弟たちが犠牲になっている。

しかも奴らはその事に対して何も思っていないし、気にも留めない。

そして多くの若いクローン達はそれを疑問にも思わず、共和国の為になると信じて命を擲《なげう》っている。

 

見かけじゃわからないが、クローン・トルーパーの年齢は10歳そこそこだ。

そんな幼いクローンが犠牲にならなくては成り立たない国など滅んでしまえば良い。

そう考えてしまうのは飛躍しているだろうか・・・?

 

だが現実的な話をすると、国が本当に滅んでしまっては、罪も無い、関係の無い人々も犠牲になってしまう。

これは時間の掛かる事だが、少しずつでも変えていかなくてはならない問題なんだろうな。

 

 

「・・・レイ?平気か?」

 

「ああ、大丈夫だヒュメル・・・とにかく、考えたくもない事が多く浮かんで来てしまうだろうが、それがジェダイを滅ぼして良い理由にはならない。俺たちは俺たちで出来ることをして行こう」

 

「そうだな、戦友を見す見す殺させはしない」

 

「難しい事を考えるのは得意じゃないが、パルパティーンがやろうとしている事は許せないし、ジェダイを殺させはしない。共和国の為だとか関係なく、俺は自分が大切だと思う物(者)の為に戦う、それだけはハッキリしたぜ」

 

「・・・俺も戦う。議長の思い通りにさせるのはシャクだからな」

 

それぞれが自分の想いを確認できた良い機会だった。

厳しい道のりだろうが、俺たちなら乗り越えられると信じている。

 

今までと同じになってしまうが、出来ることをやって行こう。

 




はい、お疲れさまでした。

珍しく主人公たちが、今までため込んできた想いを吐き出す回になってしまいました。
皆さんは旧共和国時代をどう思いますか?

それぞれお考えはあるでしょうが、これからも主人公たちは自分が大切だと思う物(者)の為に戦っていくのだと思います。
引き続き、応援お願い致します。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第24話 取り敢えず戻ってみた

皆さんお疲れ様です。
おやつの時間に失礼します。
みどり色です。

朝0600に更新できなくて、すみませんでした。
朝仕上げたような形なので、誤字チェックとか出来ていないです。
申し訳ありませんが、後で確認して修正します。
え?
確認してから更新しろ?

確 か に 



<ニュー級アタック・シャトル>

 

カミーノ防衛戦や、行動抑制チップの一件からまたしばらく経ち、俺たちは各地で発生している戦闘に参加していたが、ある日コルドヴァから連絡が入った。

 

『友よ、見てほしいものがあるから一度ボガーノに戻ってきてほしい』

という内容のものだった。

 

見てほしい物って何だろう?

コルドヴァは、自分に出来ることをするって言ってたけど・・・

 

・・・新しい育毛剤見つけたんだよ、とか言われたら間違えて引き金引いてしまうかもしれない。

 

 

 

<惑星ボガーノ>

 

・・・え?

なんか、割と立派な施設が出来ているんだけど。

正確には作っている最中か・・・

 

「おい、バトルドロイドがいるぞ!この星が見つかったのか!?」

 

確かに結構な数の、B1-バトルドロイドがいるようだ。

しかし、共和国軍のシャトルが接近してきているというのに、さも当たり前かのように整列している。

というか、コルドヴァが先頭で俺たちを待っている。

 

・・・どゆこと?

 

 

 

「友よ、良く戻った」

 

「・・・マスター・コルドヴァ、これはどういう事でしょうか?」

 

どうしてあなたは、バトルドロイドを従えているの?

ジェダイ辞めたの?

暗黒面やっほいなの?

 

「詳細は省くが、このボガーノをより良い拠点にするために、私が一肌脱いだような形じゃの」

 

「ゴメイレイヲ、コマンダー(ご命令を、コマンダー)」

 

「「「「リョウカイ、リョウカイ、リョウカイ」」」」

 

・・・な、なるほど?

よくわかりませんでしたが、コルドヴァの愉快な仲間たちが増えたって事ね。

もう考えるの辞めた。

あたち、直ぐ疲れちゃうからさ。

 

 

 

結論として、B1-バトルドロイドが一個中隊分と、スーパー戦術ドロイドが仲間に加わった。

ちなみにバトルドロイドは、いちいち区別できないので固有の名称は無く、スーパー戦術ドロイドだけは別に名前を付けることになった。

略さないと、名前長いしね。

 

スーパー・タクティクス・ドロイドだから頭文字取るとSTDか・・・

ん?

STDって性病じゃね・・・?

ダメだダメだ、DQNネームどころの騒ぎじゃない。

 

どうしようかな、俺ネーミングセンス皆無なんだよね。

なんたって飼い犬にポチって付けるくらいだからさ・・・

 

スーパー・タクティクス・ドロイド、日本語に直すと超戦術人造人間とかそんな感じ?

なんか昔の仮〇ライダーとかに出てきそう。

 

・・・どうしよう、全く決まらない。

 

もういいや、タティスでいいや、ハイ決定、もう知りません。(投げ遣り)

 

「スーパー戦術ドロイドって言い難いから、今日からお前はタティスだ。確認したか?

 

「了解、固有名ヲ、『タティス』ト確認」

 

「俺たちが居ない時は、お前に指揮を任せる。それと、ここの生物をむやみに殺すなよ?攻撃するのは、身に危険が迫った時のみだ。基本的には友好的に接してくれ」

 

「命令ヲ確認」

 

「なんかコイツらと一緒って、落ち着かないんだけど・・・」

 

まあ、そりゃあそうだよな。

戦場で戦っている相手が、自分の拠点に居るんだから落ち着くわけない。

 

「マスター・コルドヴァ、なぜ彼らを?」

 

「友よ、拠点となる場所が野晒しでは、色々と不都合も出てくるだろう?それにクローンを使う訳にもいかないし、傭兵を雇うなど論外だ。施設の建設や警備も含めて、ドロイドが一番良いと判断したのだよ」

 

なるほどね。

確かにそうだな。

 

しかし、見た目だと敵かどうかわからないな。

味方だと思ったら敵でした、なんて冗談じゃない。

 

「タティス、急ぎ全員のボディーペントを変更しろ。色は何でも良いが、派手じゃなくて他のバトルドロイドと区別できるようにな。それと敵味方識別信号の更新や、搭載AIのアップグレードを頼む」

 

「了解デス、コマンダー」

 

取り合えずは、そんな所か?

いくらB1-バトルドロイドが仲間になったからって、使えないんじゃあ居るだけ邪魔だからな。

AIのアップグレードくらいは、やっておいた方が良いだろう。

 

「友よ、私はまたジェダイの任務に戻る。それと並行して引き続き、ジェダイ粛清を回避するために出来ることをするつもりだ」

 

「了解です、それと・・・」

 

俺は、実際にカミーノで調べた結果を伝えた。

コルドヴァも協力してくれているんだ。

共有できる情報は、しっかりと話すべきだろう。

 

「やはりそうなのか、だが事実確認ができてよかった。また何かわかったら教えてくれ」

 

 

 

大きい置き土産を残して旅立って行ったコルドヴァ

中々にパワフルな爺さんだよな。

さて、俺たちも行くか。

そんなに、ノンビリもしていられないしな。

 

「タティス、俺たちも行くがさっきも言ったように、ここの指揮は任せる。何かあった時は連絡してくれ」

 

「了解デスコマンダー、オ気ヲ付ケテ」

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル>

 

『コマンダー・レイ・・・レイ、聞こえるか?』

 

「レイ、スカイウォーカー将軍からの通信だ」

 

ん?

アナキンからの?

まさか、ボガーノのドロイドがバレたとか・・・?

ちょっと耳が早すぎませんかね?

違うんです将軍!

全てコルドヴァが悪いんです!

あたちは何も悪くない!!

 

「つ、繋いでくれ・・・お久しぶりです、スカイウォーカー将軍」

 

『レイ、突然すまない。実は頼みたいことがあってな』

 

「・・・と言いますと?」

 

どうやら、ドロイドの事ではないらしい。

ふん、命拾いしたなコルドヴァ爺さん!

・・・ふぅ~

 

『現在、オビ=ワンやマスター・ティン、マスター・クレルとの共同戦線で、惑星アンバラの首都攻略の為の作戦が遂行されている』

 

惑星アンバラ?

確か、ゴースト・ピープルと呼ばれる人種が住んでいる場所だな。

分離主義者と手を組み、そこから流れる物資で、戦力も豊富にあると聞いたことがある。

 

『僕も先ほどまで任務についていたんだが、議長に呼び出されて急ぎ、コルサントに戻っている所だ』

 

「作戦行動中に?異例ですね」

 

『ああ、僕もそう思う。だがマスター・クレルが言うには評議会が許可したそうだ。その時に501大隊の指揮権をマスター・クレルに引き継いだんだが・・・』

 

「お任せ下さい、あそこなら数時間で到着します」

 

『ありがとうレイ、思い過ごしなら良いんだが、何か嫌な予感がするんだ』

 

「ご心配なく将軍、私をご信用下さい」

 

『いつもすまない、よろしく頼む』

 

さて、アナキンの頼みとあれば聞かないわけにはいかないな。

それにしても惑星アンバラか・・・

確か霧が濃い惑星だったか?

湿度が高くて、喉に優しそう。

あたち、乾燥肌なのよね。

 

それにクレルってどこかで聞いたことあるんだけど、誰だったかな?

まあ、直接見れば思い出すだろう。

 

「よし、アンバラへ進路を取ってくれ。急ぎ向かおう」

 

そうして、俺たちは惑星アンバラに向けてハイパースペースに入った。

 




はい、お疲れさまでした。


なんかコルドヴァが暴走している気がしますが・・・
まあ、ボガーノならバレないでしょうし、大丈夫でしょう!

誰かに見られたら、反逆者ってことで捕まりそう・・・
そしたら全部、コルドヴァのせいにしちゃおうっと(ゲス)

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第25話 取り敢えずコイツ嫌い(アンバラの暗雲)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

メッセージや評価、感想など皆さんいつもありがとうございます。
皆様から反応があると、サボれないので助かっています。
放っておくと、直ぐにサボるのでコイツ・・・

・・・一週間くらいサボっても良いですか?



<惑星アンバラ>

 

クレル将軍率いる第501大隊は、アンバラ首都攻略の為、強行軍を続けていた。

地形も悪く、いつ襲われるかもわからない状況に加え、非常に速いペースでの行軍によって、兵士は疲労が蓄積していた。

 

「キャプテン、このペースで12時間も歩きっぱなしで、皆疲れ切っています」

 

「ああ、休まないとな」

 

 

「クレル将軍、あの山の頂上でなら休憩できます」

 

レックスが先にある山頂を指しながら、クレルへ進言する。

 

「休む必要はない。兵士には任務を遂行する意思があれば良い」

 

「ですが・・・」

 

「CT-7567、私が言った事がわからないのか?」

 

「はあ、そういわれましても・・・」

 

「ではお前に質問しようCT-7567、私の戦略に従うのに必要なことは?」

 

「将軍、ここは歩きにくい地形です。こういった悪条件にも関わらず、予定よりも早く進んでいます。少し休ませてやってください」

 

「キャプテン、お前は忘れたのか?この大隊の任務はアンバラを奪還することだ!後ろを見ろ、大勢の兵士がいる」

 

レックスが振り返って目に入るのは、疲れ切った大切な部下たちだ。

この男にはクローンは、ドロイドと同じ価値しか無いように見えているのだろうか?

それに、こんな状況で戦闘にでもなったら大変なことになるだろう。

 

「彼らの任務は首都を早急に制圧する事、休憩などという贅沢を共和国は認めない。さあ、行くぞ!」

 

 

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル>

 

「レックス達はどこに・・・」

 

「レイ、南の方角に戦闘と思しき反応がある」

 

「よし、援護に向かうぞ」

 

 

 

俺たちが着いた時には、戦闘は終わっていた。

どうやら敵が退却したようだった。

 

「それにしても妙だな。首都に続く主要の道で、戦闘が起きたようだ」

 

「ああ、あのルートを使えば敵に見つけて下さいと言っているようなものだ」

 

どうも、レックス達らしくない。

首都の状況がわからない事から、別動隊で偵察、場合によっては防衛網に対する破壊工作がベストだろう。

しかしあれを見る限り、首都に向かうのにメインルートを通り、挙句の果てには全部隊で総攻撃を仕掛けたようだな。

あれでは待ち伏せしてください、今殺されに行きますと言っているようなものだ。

 

誰だ?

そんな、バカみたいな作戦を実行させた奴は?

子供のクローンでも、もっとマシな作戦を立てるだろう。

 

確かアナキンが、クレルっていうジェダイ・マスターに引き継いだって言ってたな。

そいつが無能なんだろうが、どんな奴だったか思い出せない・・・

 

 

 

「CT-7567、お前の機能は故障しているのか?首都を攻略せずに、退却を命じるとは!もはやこのルートは敵に支配された、作戦全体が台無しではないか!お前の判断ミスで!!」

 

見かねたファイヴスが、レックスのフォローに入る。

 

「クレル将軍、差し出がましいようですが、キャプテンは大隊を救いました。まさかその事に、お気付きでは無いのですか?」

 

「ああ5555、下がっていろ・・・!」

 

そう言うと、クレルはライトセーバーを起動し、仲間であるファイヴスの首元に突きつけた。

 

「・・・い、イエッサー」

 

思いもよらぬ将軍の対応に、ファイヴスは下がるしかない。

 

「将軍、あなたは私のせいだと仰いますが、自分は命令に従いました。例えその作戦が、個人的には最悪だと思っていたとしても・・・犠牲になったのは機械では無く、人間です!!」

 

兵士は、上官の命令に従う。

従うが、その結果によってもたらされた『部下の死』という事実は変わらない。

それにレックスは、己を責めていた。

自分が命令に従ったことによって、多くの部下を、兄弟を亡くしたのだと・・・

 

その時、クレルの背後から一人の影が忍び寄る。

 

「・・・剣を収めろ」

 

そういうのは、一振りの高周波ブレードを起動したヒュメルだ。

 

「!?」

 

どうやら間に合ったようだな。

というか、コイツは何故味方に向かって、ライトセーバーを起動しているんだ?

 

それとヒュメルさん?

仮にも将軍に、そんな態度取っちゃいけませんよ?

良い子だからそのビリビリ、ブルブルする剣をしまいなさい。

怒られるのは、上官の俺なんだから・・・

 

『コマンダー・レイ!?ゴーストが応援に来てくれたぞ!』

 

『本当だ、ゴーストだ!』

 

『助かったぞ!』

 

『コマンダーの指揮下に移れるのか?』

 

ん?

なーんか、様子がおかしいな・・・

それと最後の奴~

小声で言ってたんだろうけど、多分将軍に聞こえているぞ~

 

「レイ・・・?どうしてお前たちが?」

 

「レックス、久しぶりだな。いやなに、スカイウォーカー将軍にちょっとな。自分がコルサントに帰らないといけないからと、頼まれたんだ」

 

「ほう、お前らがあの噂の“S”か・・・確かに普通のクローンとは違うようだな」

 

そういうと、クレルはライトセーバーを収める。

 

「・・・もちろん、上官であるあなたの指示に従うのは自分の仕事ですが、もう一つの仕事は部下を守ることです」

 

クレルに向き直って、レックスが自分の意思を伝える。

 

「・・・君は頑固なところが魅力らしいな。君の言う通り、確かに今までのジェダイと私の言う事は違うだろう、特にスカイウォーカー将軍とは。しかし、私は私、難しい事を命じるが、困難な時には仕方がない。お前の部下に対する誠実さは見上げたものだ、部下も付いてくるだろう。優秀な隊長には必要な事だ。それではキャプテン・レックス、君の意見は了解した・・・退散だ」

 

長いわ!

いつまで喋ってんだよ、コイツ!

オーリーでも、ここまでマシンガントークじゃないぞ・・・

 

「あの将軍が誉めていましたね?」

 

「いや、本心かどうか・・・すまないレイ、助かったよ」

 

「気にするな、それにしてもあの将軍、普通のジェダイとは違うようだな」

 

って言うか、やっと思い出した・・・

あいつあれだ、裏切り者だ。

 

細かい事は忘れたけど、確かシスに寝返ろうとしている奴だったな。

首都制圧作戦を、失敗させようとしている。

だからレックス達に、滅茶苦茶な作戦を強行させたんだ。

 

許せないな。

俺たちの命を、何だと思っているんだ。

こういう輩には遠慮はいらない、後でたっぷりと礼をしてやる。

 

「コマンダー、それに皆さんもお久しぶりです」

 

「ああ、ファイヴス、それにヘヴィーにカタップ、久しぶりだな。あのヒヨッコ共が、今じゃ立派なARCトルーパーか?」

 

あれ?

そういえば、エコーがいないな?

 

「久しぶりだな、そういえばエコーはどうした?」

 

アディスさん!

いつもレイレイが気になっている事を聞いて下さり、ありがとうございます!

それが言いたかったんです!

 

「ああ、エコーは・・・」

 

そう言って顔を見合わせる三人

 

「実は惑星ローラ・セイユーにて、ジェダイのイーヴン・ピール将軍を救出する作戦があったんだが、エコーはその時に・・・」

 

レックスがそう切り出した。

 

「脱出用のシャトルが敵に狙われていて、それに気が付いたエコーが犠牲に・・・」

 

・・・そんな事になっているとは知らなかった。

いや、歴史としてはそういう出来事があったのはもちろん知っていた。

しかし、正確な時期がわからないと言うのもあるが、ヘヴィーとカタップが加わっているから大丈夫だろうと、安心していた自分が居たのだ。

まさか、歴史通りになるとは思ってもいなかった。

 

完全に、俺の希望的観測による結果だ。

俺がもっと気を配っていれば、無駄な犠牲を出さずに済んだかもしれないというのに。

 

・・・いや、本当に歴史通りならエコーは生きている可能性がある。

どうやら歴史と同じような場面で、MIA(作戦行動中行方不明)認定されたようだしな。

その可能性は十分にある、あきらめずに探し出そう。

 

「いや、エコーは生きている」

 

「(?)レイ、それはどういう・・・」

 

『敵襲だ!奴ら戻ってきやがった!』

 

『撃ち返せ!』

 

『ゴーゴーゴー!』

 

 

「話は後だ」

 




はい、お疲れさまでした。

クレル将軍、一度見れば忘れなさそうなインパクトありますが、レイはド忘れしていましたね。

正直、ダブル=ブレード・ライトセーバーの二刀流ってかなりエグいですよね?
恐ろしや~


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第26話 取り敢えず撃っていいですか?(クレル将軍)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

今回少し長めです。
2回に分けようと思ったんですが、皆さんの鋭いプレッシャーを感じたので、一話にまとめました。
(2回に分ければ、一話分サボれると思ったとは口が裂けても言えない)

今回もクレル将軍が大活躍します。



俺たちは、現地民の激しい抵抗にあっていた。

 

「ヘヴィー、右をカバーしろ!ファイヴスは左だ!」

 

周りは負傷兵で溢れている。

 

「アドレナリンを打ってやる、痛みはすぐに治まる」

 

そう言って、俺は負傷兵にアドレナリンを打ち込む。

しかし、傷が治せる訳ではない。

設備の整った施設で、治療をしなければ死んでしまうだろう。

 

「オーリー、ヘヴィー、ハードケースは2時の方向に砲火を集中しろ!カタップは俺と側面のカバーだ!」

 

完全に囲まれているな・・・

これも先の戦闘で、無謀な指示をしたクレルのせいだ。

しかし、個人の戦闘能力は高い為、余計にタチが悪い。

 

その時、オビ=ワンからクレルに通信が入った。

首都の守りが固く、オビ=ワンが攻めきれないでいるようだ。

その要因が空軍基地からの補給によるものらしく、俺たちに空軍基地の制圧を頼みたいという内容だ。

 

「キャプテン・レックス、空軍基地の座標を確認し、全部隊を即刻向かわせろ」

 

 

 

何とか敵の包囲網から抜け出し、敵の空軍基地に辿り着いた俺たちだが、正直良くない状況だ。

負傷者も多数出しているし、皆疲れ切っている。

 

「空軍基地はあそこか」

 

「重武装ですね、機甲科部隊に重砲まである」

 

まあ当然だろうな。

首都補給への要となる施設だ。

簡単な訳がない。

 

空軍基地へ続く道は、峡谷となっている。

それに、かなり狭いな・・・

この場合、迂回して別の道から行く方が良いだろう。

時間が掛かるように見えるが、このまま進むよりも戦闘が避けられる分、結果的には早く着く。

 

「中央の峡谷を進むとしよう、そして正面から総攻撃を仕掛ける!」

 

「・・・チッ」

 

・・・は?

コイツは何を言ってるんだ?

 

何なの?

正面からの総攻撃しかできないの?

そうしないと死んじゃう身体なの?

 

それとヒュメルさん?

仮にも将軍に対して、舌打ちはやめなさい。

それも周りが静かだから、滅茶苦茶良く聞こえましたよ?

何なら辺りに響きまくっていましたよ?

峡谷に山彦する勢いですよ?

 

「将軍、あの峡谷は狭すぎます。小隊がようやく進める幅しかありません。もっと安全に進めるルートがあるかどうか、偵察するべきかと」

 

良く言ったアディス!

さすが僕の副官!

え?

お前が言わないから、俺が言っているんだって?

はい、すみません。

 

「キャプテン、私にお前らゴーストに命令する権限は無い。助言には感謝するがね、だが今この大隊を率いているのは私だ。最終決定を下すのも私と言う事だ」

 

「クレル将軍、自分もキャプテンに賛成です。偵察を出して、別のルートを探す方が良いかと」

 

レックスがアディスの作戦に賛同するが、クレルは正面突破を強行する考えを曲げない。

 

「オビ=ワンや他の大隊は、この瞬間も戦っているんだぞ?我々が基地を叩くのを待っている。安全なルートを探す時間などない」

 

「・・・イエッサー」

 

 

 

レックス達は総攻撃の命令を受けた為、峡谷まで降りている。

まあ、俺は命令通りの総攻撃などやるつもりは無いし、彼らにやらせるつもりも毛頭ない。

 

「なあレイ、わかっているだろう?このまま行けば間違いなく、多数の死傷者が出るぞ?」

 

「わかっているよアディス、だがクレルの言う事も確かだ。ケノービ将軍や、他の大隊が苦しい戦いをしているんだからな」

 

「それはそうだが、彼らが犬死しても良いという理由にはならないぞ?」

 

「それもわかっているさ、取り合えずクレルの言う通りにしようじゃないか?最短で渓谷を抜けてやるさ」

 

「何か考えがあるんだな?」

 

「ああ、お前とオーリーに頼みたいことがあるんだ」

 

 

 

総攻撃に任命された人員が、峡谷に集合した。

 

「よし、皆聞いてくれ。全部隊を二つに分けてこの峡谷を進み、向こうの空軍基地に向かう」

 

レックスが部下に命令を下すが、ほとんどの兵が、この作戦が無謀だと考えていた。

 

『かなりの犠牲者が出ますよ?将軍は俺たちを殺す気か!?』

 

『くそ!いくら何でも、イカレてはいないと思っていたが確信した!イカレてやがる!』

 

『この前も滅茶苦茶な作戦で、首都に近づくことさえ出来なかったのに、今度はこれか!?』

 

『偵察もせず、空からの援護もない!敵の事もわからないのに!奴らは見たことも無い武器を使っているんだぞ!』

 

「スカイウォーカー将軍も、無謀な作戦を実行してきたが、全て成功した」

 

「ええ、でもスカイウォーカー将軍は自分が先頭に立って戦うでしょう?クレルみたいに、後ろでふんぞり返ってなどいない!この作戦のままだと、こちらは敵から丸見えです!」

 

ファイヴス達、ARCトルーパーもこの作戦には賛成していなかった。

珍しくレックスに対して、反対の意見を述べている。

 

「・・・レイ、ちょっと良いか?」

 

このままでは収集が付かないと考えたレックスは、俺に声を掛けてきた。

 

 

 

「俺の部下たちを静めてくれると助かる。ARCSトルーパーの言葉なら、奴らもきっと耳を傾けるだろう」

 

「どうしたレックス?いつものお前らしくないな?」

 

「俺もクレルの作戦には反対だ。だが、俺たちは上官の命令に従わなくてはいけない。それが個人的に、最悪な命令だと思っていたとしても・・・」

 

「ならお前は、上官の命令だったら部下に死ねと命じるのか?」

 

「・・・」

 

「しっかりしろレックス!お前はいつから、そんな弱腰になったんだ?俺たちはプログラムされたドロイドとは違う、クローンだが一人の人間だ。カミーノアンは俺たちから個性を徹底的に排除しようとしたが、様々な経験をして、自分の考えを持ち、一般的なクローンでさえ、それそれが個性を持ち始めている。死んで良い奴なんて、一人も居ないんだ」

 

「・・・」

 

「お前だって、本当はわかっているはずだ、レックス」

 

「・・・すまない、将軍からの無謀な命令と、それでも部下を守らなければいけない状況で、少し冷静さを欠いていたようだ」

 

つい熱くなってしまったな。

レックスも、上と下からの板挟みになるような立場で大変だろうしな。

だが、さっき言った言葉は本心だ。

俺たちの中に、使い捨てになったり、死んで良い奴なんて一人も居ないんだ。

俺たちは、それぞれが一人の人間なのだから・・・

 

「いや、お前の立場なら仕方ない。俺もすまなかった」

 

「いや良いんだ。それで何か良いプランでもあるのか?」

 

「ああ勿論だ。実は既にアディスと、オーリーが動き出している。すまないが、部下を少し貸してくれるか?」

 

 

 

「ヒュメル、首尾はどうだ?」

 

『・・・あと一分で終わる』

 

よし、ヒュメルの方は問題ないな。

後はアディス達の方だが・・・

 

『こちらアディス、レイ聞こえるか?』

 

あ、来た来た。

いつもタイミング良いですね、アディスさん!

 

「良好だ、ヒュメルの方はもう準備出来ている。そっちはどうだ?」

 

『俺たちの方も良いぞ、タイミングはそっちで頼む』

 

よし、これで準備完了だな。

 

作戦はこうだ。

ヒュメルには501大隊の兵士にも力を借りて、峡谷の広い範囲に爆薬を仕掛けてもらった。

それを爆破すれば、機甲科部隊を誘い出すことが出来るはずだ。

 

そして、爆破の混乱に乗じてアディスとオーリーには単身、空軍基地に潜入してもらい、敵の戦闘機を奪取、他の戦闘機を破壊した後、こちらに展開している機甲科部隊を潰してもらうという算段だ。

 

「ATM(対戦車ミサイル)を装備しているトルーパーは前に出ろ。爆破に驚いて奴らが出てきたところで、ぶっ放してやれ」

 

「「「「サー・イエッサー!」」」」

 

「アディス達からの情報では、大型のジャガーノートが後方に控えているようだが、すぐに敵さんの戦闘機を奪って援護に来るはずだ。各自、時間を稼いでくれ。だが自分の命が最優先だ、わかったな?」

 

「「「「サー・イエッサー!」」」」

 

「よしヒュメル、起爆しろ」

 

「・・・了解」

 

そして轟音と共に、峡谷の各地に仕掛けられた爆薬が起爆する。

突然の爆発に驚いた現地民が操るアンバラン・クローラー・タンクが、地面から這い出してきた。

このタンクはアンバラの地上戦闘用の戦車で、ムカデのような形状をしている。

事前の情報収集と、俺が歴史を知っているのが幸いした。

 

・・・アディスが何か潜んでいる様子があると、教えてくれたから思い出したとは口が裂けても言えない。

 

だって、そんなに細かく覚えていないんだもん・・・

 

 

 

「第一分隊、撃て!」

 

混乱しているタンク群に向かって、ATMを撃ち込み爆散させる。

 

『よぉーし!』

 

『やったぞ!』

 

『いえーい!』

 

「喜ぶのはまだ早いぞ、ジャガーノートが来る!各自、散開しろ!」

 

この状況だと、纏まっていれば良い的だからな。

散らばっていれば、敵さんも的を絞りにくいはずだ。

 

向かってくるのは、アンバラン・モービル・ヘヴィ・キャノンと呼ばれる、アンバラ軍で使用されている6本脚の大型ジャガーノートだ。

このジャガーノートは高性能のシールドで守られている為、個人携行用火器程度では、シールドを破れない。

 

しかし、その為の戦闘機だ。

ジャガーノートが俺たちに接近してくる前に、アディスとオーリーが操る戦闘機が飛来する。

 

『よっしゃ、ぶっ壊してやろうぜアディス!』

 

『ああ、だが味方に当てるなよ?』

 

『わかってるって!くらいやがれ!!』

 

 

 

 

 

結果的に、一人の犠牲者も出さず、俺たちはアンバラ空軍基地を速やかに制圧した。

 

「なあレイレイ、俺の腕前を見たか!?あれは爽快だったぜ!気に入っちまった!」

 

「本当かオーリー?戦闘機から降りてきた時のお前の顔を見たが、真っ青だったぜ?」

 

「それに、お前の操縦は酷い物だった。99号爺さんの方がお前より、よっぽど上手くやるだろうぜ?」

 

「「「「はっはっはっはっはっ」」」」

 

俺達の周りには、共に戦ったクローンが集まっている。

まさか無傷で、この基地を制圧できるとは思ってもいなかったようで、彼らの士気は最高に高まっていた。

 

「オーリーの腕前はともかく、またお前たちに救われたな。今回の戦いで、レイ達が居なかったら危なかったかもしれない」

 

「そんなことないさレックス、俺達がやらなかったとしても、きっとお前らがやっていた」

 

その時、クレルが俺たちに近づいてきた。

あいつ、どの面下げて来たんだ?

後ろで見ていただけで、何もしていないぞ?

 

まあ、本来の将軍というのはそうなんだろうけどな。

自衛隊でも、将官クラスが先頭に立つなどありえない。

 

だが、ジェダイ将軍というのは自ら前線に立ち、先導していくものばかりだ。

しかも、彼らの指揮官はアナキンだからな。

クレルとは真逆のタイプだろう。

 

ほら見ろよ?

今まで高かった士気が、-273.15℃まで急降下だ。

ある意味、こいつの特殊能力と言っても過言ではない。

どうしてくれるんだ、この空気・・・

 

「さすがは『実行不可能な任務は無い』とまで言われているARCSトルーパーだな。君たちのお陰で大隊は損害を出すことなく、速やかにこの空軍基地を抑えることが出来た。感服したよ。共和国を代表して、感謝申し上げる」

 

そりゃあどうも。

っていうか、お前が共和国を代表するとか言うなよ

それに口ではそんなこと言ってるが、目が笑っていませんよ?

親の仇みたいな眼光で言われても、全く嬉しくないんですけど・・・

 

「・・・光栄です」

 

「うむ。キャプテン、現状はどうなっている?報告をしろ」

 

「基地を制圧、首都への補給ラインを遮断しました」

 

「今日は運が味方したようだな?感謝することだ、幸運に」

 

「幸運だったとは思いません。彼らが来てくれなかったとしたら、自分らは空軍基地制圧に多大な犠牲を払っていたでしょう。これはコマンダー・レイの作戦によってもたらされた結果です」

 

「勝利に代償は付き物だ。お前もいずれ、その事を悟るだろう」

 

レックスは表情にこそ出さないが、怒りによって拳を強く握りしめている。

 

「・・・解散だ」

 

将兵に対するねぎらいの言葉も無く、そう一言だけ残して、クレルは背を向けて去って行った。

 

ホントむかつく!

何なのあいつ!?

後ろから間違えて撃っちゃいそうだわ!

行けオーリー!

お前の出番だ!

 

「・・・」

 

「レックス、気にするな。あいつは死んでも悟れないだろう。仲間の大切さや、結果を得るまでの過程の重要性に」

 

それにクレルは、俺たちと一緒になった事を後悔することになるだろう。

絶対にアイツの本性を、白日の下に晒してやる。




はい、お疲れさまでした。

今回もクレル将軍大活躍でしたね。
本当に頼りになる将軍です。
一生ついていきます。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第27話 取り敢えず口を滑らせました(作戦への反抗)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

クレルって凄いですよね。
いえ、煽りではなく・・・

ジェダイの滅亡と、帝国の時代を予見していたのは単純に凄いなと思います。



空軍基地を制圧したことで、首都への補給を止められると考えていたオビ=ワンだが、彼が言うには首都防衛を担う敵からの攻撃が増しているという。

敵は惑星の軌道上にいる補給艦から、直接武器弾薬の補給を受けているそうだ。

 

加えて敵からの長距離ミサイルによって、首都攻略部隊が押し戻されている。

仮に首都へ向かう事になれば、ミサイルの雨の中を進むことになるだろう。

 

 

 

「大隊の出発は12時間後だ。全員で首都攻略のため、集合地点へ向かう」

 

「敵も首都防衛に必死なようですね。ケノービ将軍に協力して攻撃したいと、メッセージを送ってもよろしいでしょうか?」

 

「彼は手一杯だろう、それは我々もだ。だから全力で首都へ総攻撃を仕掛ける、良いな?」

 

「砲弾やミサイルの雨の中を、進むことになりますよ?」

 

「キャプテン、君が私の戦略に反対なのはわかっている。だが君は賢いし、忠誠心もあるから従うはずだ。早く準備しろ!」

 

 

 

<アンバラ空軍基地 格納庫>

 

「どうだヒュメル、調整の方は進んでいるか?」

 

この基地を制圧した後、ヒュメルを中心に、アディス、オーリーの三人に鹵獲した敵戦闘機の調整を頼んでいた。

 

「・・・あと30分も調整すれば、手足のように動かせるはずだ」

 

流石だな。

ヒュメルは単独潜入や、破壊工作を専門としている事から、機械工学や電子工学に精通している。

状況によっては、敵の武器・兵器を鹵獲して使う事もあるからな。

こういう場面でも、非常に頼りになる。

 

え?

そういうお前は、何をしているんだって?

 

お、俺はあれだ、応援しているんだ!

別に工学分野が苦手とか、そういう理由では決してない。

ただちょっと・・・配線とか見ると、何が何だかわからなくなるだけだ。

 

何故、戦闘機の調整をしているかというと、惑星軌道上にいる敵補給艦を叩くためだ。

先ほどレックスが、クレルと共に指令センターに向かったからな。

オビ=ワンからの通信で、首都は敵補給艦からの支援を受けているという情報を受け取っているはずだ。

 

今回もクレル将軍お得意の、全軍での総攻撃大作戦を強行するつもりだろうからな。

兄弟を無駄死にさせるわけにはいかない。

みんなを巻き込まずに、勝手に俺らで補給艦を叩きに行くという訳だ。

 

お、噂をすれば・・・

テンション低めのキャプテン・レックスの登場だ。

疲れていて可哀相・・・

 

「みんな聞いてくれ、将軍からの命令が出た。12時間後に、全軍で首都への総攻撃を仕掛ける」

 

『また自爆作戦か・・・首都の防備は完璧だ』

 

『これじゃあ、クローン浪費作戦だな』

 

『こんなに、犠牲を出した将軍は見たことがない。アイツは俺たちをドロイドか、何かだと思っているんだ!』

 

おうおう、荒れていますね。

まあ、当たり前だろう。

俺も正式な部下であったなら、どさくさに紛れて撃ち殺しちゃうかもしれない。

 

「心配するな。お前たちをミサイルの雨の中、首都へ向かわせるような事はしないさ」

 

「どういう事だ、レイ?」

 

「もう少しで戦闘機の調整が終わる。その後、敵補給艦を破壊するんだ」

 

首都へ向かうのは、12時間後だったな?

余裕で終わるだろう。

まあ、俺は行かないんだけどね。

え?

それでは、クレルと一緒だなって?

 

・・・確 か に

 

え、なに?

みんなもしかして、俺の事をそんな風に思っていたの?

まずいな、直ぐに誤解を解かなければ・・・

 

「おいレックス、俺はクレルとは違うぞ?確かに後ろで指揮をしている事もあるかもしれないが、別にやましい気持ちがあったわけじゃなくて・・・」

 

「・・・何を言っているんだ、コマンダー?誰もそんな事思っていないぞ?それより、クレルがその作戦を許可するとは思えないんだが・・・」

 

「こいつの事は放っておいて良い、たまにある勘違いだろう。それにクレルが、この作戦にどうこう言う事は出来ない。そもそもアイツは、俺たちに命令する権限なんて持ち合わせていないんだからな。勝手に俺たちがやっただけ、失敗しようが成功しようが、誰の責任にもならない」

 

「おいアディス、違うんだ。俺はみんなの事を思って・・・」

 

「わかった、わかった。後で聞いてやるからな。今は大人しくしていてくれ」

 

・・・はーい

 

「なるほどな。確かにそれなら、クレルも文句は言えないだろう。しかし、補給艦をたった三機の戦闘機で破壊など出来るのか?」

 

「問題ない。補給艦の内側から、メイン・リアクターを破壊する。簡単だろ?」

 

飛んで、入って、撃って、出る、実にシンプルだね!

 

「それが難しいというんだが・・・任せても良いのか?」

 

「兄弟のためなら、何でもないさ」

 

それとこの戦闘機は、コクピットが丸見えだからな。

潜入するのは良いが、クローンだとバレては元も子もない。

念のため、敵さんの装具を着込んで飛んでもらう事にする。

さすがに動いている戦闘機の中にいる人の顔までは、バトルドロイドも判別できないだろう。

 

 

 

<アンバラ空軍基地 指令センター>

 

「ん?あの戦闘機は何をしている!誰が発進を許可した!?」

 

「将軍、コマンダー・レイの命令で、X(エックスレイ)チームの三名が、敵補給艦を破壊しに向かったようです」

 

「キャプテン、私は何の報告も受けていないが?」

 

「完全に、コマンダー独自の作戦のようでして・・・」

 

「それは問題だなキャプテン、現在この空軍基地は、私が指揮する501大隊の管理下にある。貴様はその作戦を知っていたようだな?貴様はいかなる事も私に報告する義務があるが、それを怠ったと言う事だ!この問題は貴様の管理不足による失態だ!これは反逆だな・・・クローン?」

 

扉の向こうから無茶苦茶な独自理論を展開している、耳障りな声が聞こえる。

何が反逆だよ・・・

コイツからすれば、全軍による総攻撃以外はすべて反逆になりそうだな。

それに俺の作戦を問題とかいうなよ・・・

 

「失礼します、将軍」

 

「チッ」

 

なんか舌打ちされたんですけど!?

部屋に入っただけで、舌打ちされたの初めてなんですけど!?

 

傷つくわぁ~

作戦を問題呼ばわりされたばかりか、舌打ちまでされて、レイレイのMP(メンタル・ポイント)はレットゾーンまで急降下だ。

 

あたち、お豆腐メンタルだから、ちょっとした事で傷つくんだよね・・・

 

「・・・現在、“S”に与えられた権限により、独自の作戦を遂行中です。作戦内容は、戦闘機による敵補給艦の破壊。本任務に直接の関係はありませんが、将軍にもお伝えしておこうと思いまして。それでは失礼いたします。付いて来いレックス、確認したいことがある」

 

「サー・イエッサー」

 

退出するために、背を向けたが物凄い殺気だ。

俺にフォースは感じられないが、この場にジェダイが居れば『フォースの暗黒面を感じる』とかなんとか言っていたに違いない。

 

まあ、これも作戦の内だ。

お前が何かする毎に、自分の状況を悪くしているんだぞ、クレル将軍殿?

 

 

 

その後すぐに惑星アンバラの空が、敵補給艦の爆発で赤く染まる。

どうやら、成功したみたいだな。

 

「レイ、さっきは助かった」

 

「何でもないさ兄弟。それに、お前も裏切り者の言う事なんて気にするなよ?」

 

「裏切り者?それはクレル将軍の事を言っているのか?」

 

しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 




はい、お疲れさまでした。

今回もクレル将軍、大活躍でしたね。
本当に頼りになります。

いつかはやらかすとは思っていましたが、口を滑らせてしまいましたね。
まあ、どうにかなるでしょう(他人事)

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第28話 取り敢えず動き出す時かも

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

今回は皆さん大好き、クレル先生は登場しません。
大変申し訳ございません。
ちなみに、本編も進みません。
メンバーの語らいとなります。

え?
それなら読む価値無い?

じゃあ、先生登場すると言う事にしておきます。



「裏切り者?それはクレル将軍の事を言っているのか?」

 

やってしまった。

自分でもいつかはやらかすと思っていたが、こんな所で口を滑らせてしまうとは・・・

 

「お前は以前、エコーがMIA認定されたと知らされた時に、こう言っていたな?『エコーは生きている』と・・・そして今回は、クレル将軍が裏切り者だという。お前は一体、何を知ってるんだ?」

 

この程度であれば、誤魔化す事もできるが・・・

 

「・・・アディス達が戻ってきたら話す。それにどうせ話すなら、他の奴にも聞いてもらった方が良いだろう」

 

・・・まあ遅かれ早かれ、レックスにも話さなければならない事だしな。

自分が思っていたよりも、それが早く来たというだけの事だ。

 

 

 

この場にいるのは、事情を知っている俺を含めた“S”のメンバー4人、第501大隊のレックス、ファイヴス、ヘヴィー、カタップの4人の、合計8人だ。

 

「それで?こいつらも集めて、何を話してくれるんだ?」

 

「まずは、最後まで口を挟まずに聞いて欲しい。聞きたいことがあれば、その後に答える」

 

俺は以前に、アディス達にした内容と同じ話を皆に伝えた。

皆信じられないような顔や、驚いた顔をしながらも、約束通り最後まで話を聞いてくれた。

 

「・・・っていう冗談・・・という訳でも無さそうですね・・・」

 

最後まで話を聞いて、ファイヴスがそう言ったが俺達“S”の顔を見渡して、それが冗談ではないと悟ったようだ。

 

「ですが、俺たちの頭の中に行動抑制チップがあって、その目的がジェダイ抹殺の為であるなんて信じられません!彼らとは長い間、共に戦ってきました。それを命令されたからと言って、殺すなんてことは絶対にしない!それに最高議長が全てを裏で操っていたなんて・・・」

 

確かに、ヘヴィーの言いたいことはわかる。

しかし、これは紛れもない事実だし、受け入れてもらうしかないんだ。

 

「これを見てくれ。先日のカミーノ防衛戦を覚えているか?あの時、何故俺たちがカミーノに訪れたかと言うと、ジェダイ粛清の未来を回避する情報収集の為だったんだ」

 

そういうとアディスは、カミーノで手に入れたデータを見せる。

 

「このデータからわかる通り、成長第三段階を迎えたクローンの頭部には、全員に行動抑制チップが埋め込まれている。このままでは銀河系の各地に散らばっている全トルーパーが、戦友であるジェダイ抹殺の片棒を担ぐ運命にあるんだ」

 

「俺たちは何のために戦っていたんだ・・・俺たちが生まれた意味って・・・」

 

全員、ショックを隠し切れないようだ。

無理もない。自分の生まれた理由が、共和国の為ではなく、戦友だと思っていた相手を抹殺する為だったんだからな。

 

「皆ショックだろうが、俺達はその未来を回避するために動いている。何故お前らに、この話をしたと思う?信用しているからだ!お前たちなら、力になってくれると思ったからだ!このまま、議長の思い通りにさせて良いのか?アイツは自分が利用したいだけクローンを利用して、最後には欠陥品だと切り捨てたんだ!許せるはずがない・・・」

 

スクリーンで観ていた時とは全く違う、当事者になったからこそ感じる本物の怒りが溢れ出してくる。

これも、この身体が今まで経験してきた事や、感じてきた事を俺が吸収したからなんだろうな・・・

だがそれだけじゃない。

俺がこの世界で経験した事や、感じてきた事は他の誰でもない、俺自身のものだ。

 

「今の共和国は守る価値など無いのかも知れない。だが本気で国や民の事を想い、身を犠牲にしている人々が居るのも確かだ。はじめは『ジェダイを破滅の道から救いたい』という、漠然とした考えしかなかったが今は違う。俺は共和国の為だとか、ジェダイの為だとか、そんな大それたことは考えていないし、出来るとも思っていない。だから俺は、自分が大切だと思う物や人の為に戦うと決めたんだ。だが、それは俺一人では無理だろう。だからおまえたち兄弟、家族の力を貸してほしい・・・!」

 

口下手な俺だが、今思っている事を素直に伝えた。

皆それぞれ感じることや、思う事もあるだろう。

だが、コイツ等が信じてくれないようなら、他の人なんてもっと無理だろうな。

 

ある意味、俺の中間試験と言っても良いかもな。

・・・まあ俺、勉強苦手なんだけど。

 

「・・・レイ、言いたいことはそれだけか?」

 

「コマンダー、自分らは共和国に忠誠を誓った身です」

 

「それは銀河元老院最高議長にも忠誠を誓ったと言うこと・・・」

 

そう言われた事で、俺はすぐ動けるように身構える。

・・・まあ元々、俺一人でもやろうとしていた事だ。

別に皆が悪い訳じゃない。

この3人が協力してくれるだけで、既に儲けものだしな。

 

まずは、この状況を切り抜けないとな。

殺さずに無力化して、自分たちのシャトルまで・・・

 

「俺はクローン・トルーパーとして、共和国に忠誠を誓った。もちろん議長にもだ。だが、その議長自体が共和国の敵であったなら、彼を倒すことは裏切りにはならない。それが共和国に忠誠を尽くす事になる」

 

「自分らも同じ意見です。それに今回のクレルの一件で、命令にただ従っていれば良い訳ではないと学びました。大隊の奴らもです。俺たちは人間なんだ!ドロイドじゃない!」

 

「ファイヴスの言う通りです。それに自分らは候補生時代から、皆さんの事知っていますし、憧れてきました。皆さんの為なら、この命だって掛けられる!」

 

「良く言ったカタップ!それに自分はまだ、目標のARCSトルーパーになれていませんからね!俺たちを利用するだけ利用して、切り捨てるなんて許せませんよ!」

 

「・・・どうやらお前が心配しているだけだったようだな、レイ?」

 

アディスがそう言うと、ヒュメルとオーリーも頷く。

え、何?

他の三人は大丈夫だと思っていたの?

慌てて、次の行動をシミュレーションしていた俺がバカみたいじゃんか・・・

 

「ありがとう、俺を信じてくれて・・・」

 

そうして俺は、再び目を鼻水で濡らすのだった。

 

 

 

俺が一人で感動しているのは置いておいて、まだやることがある。

クレルは共和国を裏切っていて、この惑星アンバラでの戦いを敗北に追い込むことを皮切りに、ドゥークー伯爵の弟子となろうとしている。

 

アイツはクローンの事を消耗品のように扱い、今まで多すぎる犠牲を出してきた。

報いを受けさせる時だ。

 

その事を皆に伝え、クレル逮捕に協力してもらう。

 

「それで?その裏切り者をどう捕まえる?」

 

ちなみに、クレルが裏切り者だと言う事をみんなに伝えたが、さほど驚きもしなかったようだ。

だが今までの無茶な命令も、彼なりに共和国の事を思っての行動だと思っていたレックス達は、クレルに対して強い怒りの感情を沸き上がらせていた。

 

「しかし、どうして捕縛なんですか?生かしておいたら、何を仕出かすかわかりませんよ!?」

 

ヘヴィーの言いたいこともわかる。

だが俺は、奴を捕らえてジェダイ評議会に引き渡し、彼らの尋問を受けさせたいと考えている。

その時に、ジェダイ滅亡と共和国に変わる新しい秩序が生まれる事について、しっかりと語ってもらうとしよう。

 

以前コルドヴァも、ジェダイ滅亡のビジョンについて、評議会に訴えることがあったからな。

仮に俺たちが、アナキンやオビ=ワンの協力を得ようとした時に、少しでもやくに立てばと言うあわよくばの期待だ。

 

他のジェダイたち?

まあ確かに今回の一件で、ジェダイが少しでも聞く耳を持ってくれれば良いとは思うが、正直、全く期待していない。

 

それよりも、信用できるジェダイの協力を得るときの為に、せいぜい利用させてもらう事にしよう。

 




はい、お疲れさまでした。

いやー、さすがクレル先生!
今回も大活躍(?)でしたね!
次回にも期待しましょう!


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第29話 取り敢えず捕まえる(クレルの正体)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

先日から体調が終わっていたので、更新できませんでした。
かたじけない・・・

この後、体力が続けば明日の0600更新分を書きます・・・



<惑星アンバラ 指令センター>

 

「全兵力を使って、先制攻撃を仕掛ける。そして最終的に首都を奪う!キャプテン、兵士たちに伝えろ。敵はクローン・トルーパーに変装している可能性が高い、騙されるなと!」

 

「・・・はい将軍、そう伝えます」

 

レイの言った通りだったな。

『クレルは、クローン・トルーパーの武器・装備を敵が鹵獲し、騙し討ちを狙っていると言うはずだ。しかし、これはクレルの作戦で俺たちの同士討ちを狙っている。アンバラ人だと思っていた相手は本物のクローン・トルーパーだ。取り合えずクレルには、作戦を了承したと思わせてくれ』

 

 

 

「この大隊の指揮は俺とキャプテン・アディスが執る。良いか、もう一度言うぞ?『敵は本物のクローン・トルーパー』だ!何があっても攻撃することは許さん!命令を確認したか?」

 

「「「「サー・イエッサー!!」」」」

 

 

「レイ、本当に敵はクローン・トルーパーなんだろうな?もし違っていたら、俺たちは一方的な暴力に晒されることになる」

 

各部隊が武器装備の点検のために解散した後、アディスが周りに聞こえないように疑問を投げかけてきた。

 

「心配するなアディス、相手は間違いなくクローン・トルーパーだ。それよりも重要なのは、クレル逮捕を確実に遂行することだ」

 

味方同士で殺し合う事なんてさせない。

それに相手は第501大隊とも馴染みの深い、第212アタック・バタリオンに所属する部隊だ。

 

「俺が単身、相手の部隊にコンタクトを取る。クレルには命令に従ったように見せるため、お前は大隊を指揮して指定された座標に向かうんだ」

 

「了解した。それで、クレル逮捕はどうする?正面からの逮捕を実行すれば、甚大な被害が出るだろう」

 

その通りだ。

クレルは元々の戦闘能力が高いうえ、今は暗黒面に落ちていることから、さらに力が上がっているだろう。

正攻法では出る被害が大きすぎる。

 

「ヒュメルとオーリーをこの基地に残していく。そして向こうの部隊との話が付いた段階で、2人にはクレル逮捕を実行してもらう」

 

「たった二人で?」

 

「お前が言ったんだろ?正面からは難しいってな。何も馬鹿正直に『あんたは裏切り者だ』って宣言してから逮捕に臨む必要はないんだ」

 

「・・・確かにその通りだな」

 

クレルは自分の裏切りはバレていないと思っている。

というか、クローン程度が気づくとは微塵も思っていないだろう。

その油断と傲慢が命取りだぞ、クレル。

 

しかし俺は心の奥底では、クレルに対する評価と同じことを、ジェダイ全体にも感じていたのだった。

 

 

 

俺は部隊の指揮をアディスに任せて、第212アタック・バタリオンのトルーパー小隊とコンタクトを取るために、単身森の中を進んでいた。

その時、先の方に黄色いボディーペイントを施したアーマーを装備するクローンを二名確認する。

アイツらだな。

確か小隊を率いているのはワクサーだったな。

共同戦で何度か一緒になっている、気のいい奴だった。

 

「それにしても俺たちのアーマーを鹵獲して、騙し討ちをするなんてアンバラ人の奴ら、セコイ真似しやがるよな?」

 

「ああ、クレル将軍からの連絡が無かったら危ない所だったぜ」

 

やはり向こうにも、こちらと同じ情報が渡っているようだな。

俺はヘルメットを外して、2人のトルーパーに木の裏から声を掛ける。

急に姿を現して、撃たれたらバカみたいだからな。

 

「おい、そこのトルーパー、そのまま聞いてくれ。俺はARCSトルーパーのコマンダー・レイだ。訳があってキャプテン・レックスの部隊と共にいる。話があって来た」

 

全く気配を感じていなかったんだろう。

突然声を掛けられて、驚いている。

 

「コマンダー!?・・・手を挙げたまま、こちらに出て来てください」

 

「ああ、これで良いか?」

 

俺は指示通りに手を挙げたまま姿を現す。

 

「コマンダー!失礼致しました!」

 

そうして二人は直立不動で敬礼をする。

 

「ご苦労、正しい判断だったぞ。実は話があってな、指揮官の所まで案内を頼む」

 

「「サー・イエッサー!」」

 

 

 

「・・・それでは待ち構えているのは、キャプテン・レックスの部隊なのですか?」

 

俺は指定の座標に向かっている途中だったワクサーに、一連の話を伝えた。

 

「その通りだ。敵がクローン・トルーパーに装っていると伝えてきたのは、クレル将軍なんだろう?俺たちも全く同じことを言われた」

 

「そんな事が・・・自分らは危うく兄弟の命を奪う所でした」

 

「そうならなくて俺も安心した。ワクサー、空軍基地に向かうために、部隊を集結させてくれるか?」

 

「サー・イエッサー」

 

よし、一先ず同士討ちは回避できたな。

後はクレルの逮捕でチェックメイトだ。

 

「ヒュメル、聞こえるか?こっちは片付いた。後はお前らに掛かっているぞ?」

 

『・・・聞こえている。問題ない、すぐに終わらせる。ヒュメル、アウト』

 

まあ、アイツらに任せておけば問題ないだろう。

 

「ワクサー、空軍基地まで前進するぞ?着く頃には全て終わっているはずだ」

 

 

 

後で聞いた話だが、スタンモードにしたブラスターでオーリーが一撃で終わりにしたそうだ。

余りに突然で、オーリーの早撃ちに対応できなかったんだろうな。

警戒していれば話は別だろうが、完全に油断していた要因も大きかったようだ。

 

あまりにも呆気なく終わってしまい、やることが皆無だったヒュメルは高周波ブレードを起動して、『足の一本くらい・・・』と呟いていたそうだ。

それを聞いたオーリーが全力で止めてくれたそうだが、今後一切、ヒュメルを怒らせないと心に誓ったそうだ。

 

まあ、オーリーの事だからすぐに忘れて、またちょっかいを出すんだろうけどな。

 

 

 

<惑星アンバラ空軍基地 地下牢>

 

「これは反逆行為だ!暴動だ!共和国を裏切り、許されると思っているのかキャプテン!?」

 

・・・コイツはこの期に及んで何を言っているんだ。

自分の置かれている状況から察しがつくだろうに。

 

「貴方の指揮官としての任を解きます。何故あんな事を?」

 

「あー、あれか・・・気が付いたとは大したものだ。そこのARCSトルーパーも一枚噛んでいると言う事か?私に気づかれずに、気絶させるとは評判通りと言う事か?」

 

「彼らが優秀なのは認めるが、ジェダイには及ばないのも事実だ。今回の一件は、お前の油断と、傲慢さが招いたことだ」

 

「貴様に何がわかるというのだクローン!遥かに劣る存在が!それに、いつまでもジェダイでいるほど甘くはない。私が予感した通り、新たな力が台頭する!そしてジェダイはこの戦争に負け、共和国は内部から分裂するだろう。そこには新しい秩序が生まれる。私はその支配者となるのだ!」

 

・・・コイツはある意味で正しいのかもしれない。 

ジェダイは古い教えから、自らの存在を縛り付け、既に形骸化している教えに固執している。

平和の守護者、戦士ではないと謳っておきながら、自らを受け入れない相手を否定し、排除する。

このままでは、仮にシディアスを排除したところで、遠くない未来にジェダイは滅んでしまうだろう。

 

「・・・お前の言いたいこともわかる」

 

「おい、レイ!?」

 

「ほう、クローンの割には話が分かるようだな?さすがはARCSトルーパーなだけの事はある。貴様だけは殺さずに、私の部下として使ってやっても良い。ドゥークー伯爵にも私から頼んでやるぞ?」

 

コイツのお陰で、俺の目指す先が少しだけ見えた気がする。

それだけは感謝しなきゃな。

 

「本当か?だが先が見えても、今が見えていない奴なんかお断りだな」

 

「・・・なに?」

 

「ベラベラとお喋りな奴だ。お前なんか、ドゥークーの方からお断りだろうよ」

 

「・・・マスター・クレル」

 

そう言うと、オビ=ワンが姿を現す。

 

「マスター・ケノービ!何故ここに!?首都への攻略で手一杯のはず・・・」

 

「彼らが力を貸してくれてね。敵を挟み撃ちにすることで、一気に制圧することが出来た。そしてレイに用があると言われて来てみれば・・・」

 

「待ってくれ、実は・・・」

 

「その話はコルサントに戻ってから、ゆっくりと聞くことにしよう。君をジェダイ評議会に引き渡す・・・君たちのお陰でクレルの裏切りが判明し、無事にこのアンバラを落とすことが出来た。本当に感謝する」

 




はい、お疲れさまでした。

クレルの一件で、レイの目指す先が少しだけ見えたようですね。
さすがはクレル先生、頼りになりますね!

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第30話 取り敢えず一旦帰る

<ニュー級アタック・シャトル>

 

クレルの一件が片付き、俺たちは再びボガーノへと進路を取っていた。

今回の評議会が行う尋問で、少しでもジェダイが危機感を感じてくれれば良いんだが・・・

 

「・・・ん?」

 

<惑星ボガーノ>

 

あれ?

また何か増えている・・・

 

「・・・随分と大規模な基地になっているな」

 

うん、そうだね。

前回はB1-バトルドロイドが一個中隊とスーパー戦術ドロイドのタティスが一体だったもんね。

今は基地と言えるほどに施設が拡充されていて、スーパー・バトルドロイドやデストロイヤー・ドロイドなど、種類が充実(?)している。

 

どこから湧いてきたの?

怖いんだけど・・・

 

 

 

「マスター、お帰りなさいませ」

 

なんか、タティスがめっちゃ流暢にしゃべってるんだけど・・・

それにいつの間にか、マスターとか呼ばれているんだけど・・・

 

「あ、ああ今帰った。俺たちがいなかった間の報告を頼む」

 

「はいマスター、ご指示通りに各ドロイドのAIアップグレードを実施、加えて識別のためのカラーリングの変更を行いました。皆様と合わせた方がより統制が取れると思いまして、色は暗いグレーと致しました。さらに、AIがアップグレードされたことにより、作業効率が向上、予定の300%以上の速さで施設拡充が進んでおります」

 

「そ、そうか・・・ご苦労だったな。ちなみに、ドロイドの数が増えているような気が・・・?」

 

「はいマスター、コルドヴァ氏が追加のバトルドロイドを提供くださいました。内容といたしましてはB1-バトルドロイド×一個中隊、B2スーパー・バトル・ドロイド×一個中隊、Qシリーズ・ドロイディカ×3個小隊、以上が追加で提供された内容です」

 

まとめると今の戦力が、

・B1-バトルドロイドが二個中隊

・B2スーパー・バトル・ドロイドが一個中隊

・Qシリーズ・ドロイディカが3個小隊

と言う事か?

 

下手な大隊クラスの規模だな。

これ本当に大丈夫なのかな?

っていうか、あの爺さんはどこから調達してくるんだよ・・・

 

「・・・コルドヴァは何か言っていたか?」

 

「はいマスター、『友よ、これからも私に出来る事をするつもりだ』と仰っていました」

 

間違いない、またやるつもりだな。

何なんだよ、あいつに出来ることってバトルドロイド集めなの!?

もっと出来ることあるでしょ!?

どうしてそう、斜め上の事ばかりしてくるの!?

 

「・・・わかった、ありがとう。コルドヴァには同じようなバトルドロイドはいらないと伝えてくれるか?」

 

「はいマスター、お伝えします」

 

よし、これで今以上の規模にはならないだろう。

マジで見つかったら反逆罪どころの騒ぎじゃないぞ、これ。

見つかったら、全部コルドヴァのせいにしてやるからな・・・

 

「マスター、コルドヴァ氏からもう一つメッセージを預かっております」

 

ん?

まだ何かあるのか?

 

「聞かせてくれ」

 

「はいマスター、『友よ、君に話しておかなければならない事がある。私は再びこのボガーノにある宝物庫で瞑想していたのだが、奇妙なビジョンが見えたのだ。はっきり見えた訳ではないのだが、共和国、分離主義者とは違う、何か別の組織が見えたような気がする。今すぐどうこうと言う話では無いとは思うが、念の為に君に伝えておく』以上になります」

 

共和国、分離主義者とは別の組織?

反乱軍の事か?

それとも帝国?

いや、モールの組織と言う線もあるか。

考えればいくらでも出てくるな・・・

 

いずれにせよ、今考えても答えは出ないだろう。

取り合えず、この話は置いておこう。

 

「タティス、俺たちはまたここから離れる。その後の指揮はお前に任せる」

 

「はいマスター、お気を付けて行ってらっしゃいませ」

 

そういえばコイツって、女性型のプログラムだったんだな。

前は無機質でわからなかった。

もう驚きっぱなしで、疲れちゃった。

ゆっくり温泉にでも入りたい・・・

 

 

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル>

 

俺たちは、あれからいくつかの戦場を転戦し、惑星コルサントへと進路を取っていた。

どうやらアナキンと、オビ=ワンもコルサントに呼び戻されているらしいからな。

彼らとも一度会っておきたいな。

 

「それにしても、本当にジェダイが裏切るなんてな。別にレイレイの事を疑っていたわけじゃないが、実際に見ると驚いたぜ」

 

「別におかしな話でもないさ。実際今までだってオーダーを去ったジェダイが居るのは確かだし、あのドゥークーだって昔は高名なジェダイマスターだったんだからな」

 

「確かにそうなんだけどよ。正義の為だとか、平和の守護者だとか言っているジェダイが、結果的には破壊や殺しに手を染めているんだから世話ないわな」

 

別に今までのドゥークーがしてきた事を肯定するわけではないが、ジェダイの在り方や、共和国の現状に不信感を募らせた結果、オーダーを離れたドゥークーの気持ちも、今ではわからんでもない。

 

「確かにな、だが分離主義者が人々を苦しめて良い理由にはならないだろう?」

 

「まあ、アディスの言う事もわかるんだけどよ。向こうから見れば、今の共和国に不満を持った奴らだろ?やり方は間違えちまったかもしれないが、奴らだけが一方的に悪いっていう風には思えなくなってるんだよな」

 

俺たちは、余りにも多くの戦場を経験した。

多過ぎるほどだ。

このクローン戦争を通して、皆それぞれ思う事があるのだ。

それほど長く、激しい戦いが続いている。

双方ともこれ以上ないほど傷つけ合い、それでもまだ足りないと言わんばかりに相手を傷つけようとしている・・・

 

 

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂 瞑想室>

 

ジェダイ聖堂に設置されている瞑想室で目を瞑り、静かに心を落ち着かせている一人のグランド・マスターがいた。

彼は何百年も瞑想し、フォースとの繋がりを深めてきたのだ。

 

その時、一人のジェダイが部屋に踏み込んできた。

 

「マスター・ヨーダ」

 

「・・・フォースに強い乱れを感じる、どうじゃ?」

 

「はい、私も感じます」

 

フォースの暗黒面を感じたオビ=ワンは、ヨーダの元を訪れたのだった。

 

「お前に危険が迫っておる。昔の敵が死の国から蘇り、復讐を求めておる」

 

「昔の敵とは?」

 

何か不穏な乱れは感じたオビ=ワンだったが、ヨーダのように答えには辿り着けてはいない。

彼もザ・マスターと呼ばれるほどのジェダイであるが、まだまだ修行の身であると自らの力不足を感じるのであった。

 

「お前のマスターを葬り去った強敵・・・」

 

「まさか、そんな事が!奴はこの手で倒しました」

 

「だが間違いない、奴が復活したのじゃ」

 

「ダース・モールが生きている・・・?」

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂 ブリーフィングルーム>

 

目の前には罪のない善良な人々が、モールの人質になっているホログラムが映し出されていた。

 

『女、子供、罪なき者の血をこれ以上流したくなければ、俺と戦えケノービ!もし来なければ、この星は・・・』

 

そういうとモールはライトセーバーを起動して、人質に向かって赤い閃光を振り下ろす。

 

『・・・死の星となる』

 

そこでホログラムは終わっていた。

 

「・・・すぐに参ります」

 

「一人では危険だ。特殊部隊を一緒に行かせる」

 

「いえメイス、今ご覧になったでしょ?彼は心を病んだ怪物です。特殊部隊といえども、まともに戦っては生き残れないでしょう。前にも彼を倒せた、今度もやれます」

 

オビ=ワンとしては、これ以上無駄な血が流れる事を懸念しての言葉であった。

 

「私は賛成できない。それにただの特殊部隊でなければ良いのだろう?幸運な事に、あのクレル逮捕を成功させたコマンダー・レイの部隊がコルサントに戻っている」

 

強力なジェダイ・マスターの逮捕を、部隊の損害を出さずに成功させたレイ達は、今まで以上に噂になっているのだった。

当事者である彼らは、そんな事を知る由もないのだが・・・

 

「コマンダー・レイの部隊が?珍しいですね、彼らがこのコルサントに戻っているなんて」

 

「これもフォースの導きかもしれんの。マスター・ケノービ、コマンダー・レイを同行させる。過去の亡霊との決着をつけるのじゃ」

 

ヨーダがウィンドゥの意見に同調するように言う。

 

「はいマスター、レイドニアへ向かいます」

 

こうしてまた、歴史が大きく動き出そうとしていた。

 




はい、お疲れ様でした。
昨日は結局体調が悪化して、そのまま朝まで死んでいました。

何とか回復してきたので、悪化しなければ今まで通り更新します。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第31話 取り敢えずアディスがカッコイイ(復讐の狼煙)

<惑星レイドニア イータ級シャトル>

 

俺たちはオビ=ワンに付き添い、惑星レイドニアを訪れていた。

目的は復活を果たしたモールだ。

 

「ケノービ将軍、自分らはモールが見つかるまで別行動を取ります」

 

「ああ、わかった。奴は私に用があるようだしね。君たちは周囲を偵察してくれ」

 

「イエッサー」

 

ここレイドニアにはモールに加えて、サヴァージ・オプレスがいるはずだ。

奴は俺たちが足止めしなくてはな。

 

 

 

レイドニアに降り立つと、妙な静けさが辺りを覆っている。

俺たちは回り込んで村を見渡せる所に来ていた。

 

「皆、聞いてくれ。ここにはモールに加えてその弟のサヴァージ・オプレスというライトセーバー使いもいる。凶暴で、非常に危険な相手だ。サヴァージの方は何とか俺たちで足止めするんだ」

 

「「「イエッサー」」」

 

そして、少し進んだ先でモールを発見する。

 

「止まれ、あそこにモールがいる」

 

燃え盛る建物をバックに、モールが一人佇んでいた。

 

「ケノービ将軍、警戒を。そこから12時に進んだ所にモールがいます」

 

『ああ、私も感じている』

 

俺はオビ=ワンへ注意を呼びかけ、サヴァージ・オプレス発見に全力を注ぐのだった。

 

 

 

「ジェダイ!」

 

オビ=ワンの前に姿を現したのは、足を機械化させたモールだ。

 

「この日を、そして貴様を待ちわびていた」

 

「悪いが、会った覚えが無いんだがね?」

 

「この俺を忘れるとは信じられんな、ナブーで貴様のマスターを倒した男だぞ?危うく貴様にやられる所だった・・・」

 

「ああ、お前だったのか」

 

「貴様は忘れたかもしれんが、俺は決して忘れなかった・・・命を繋ぐため俺が経験してきた深い闇を、貴様には理解できまい!俺の生きる糧は貴様への憎しみだけだ」

 

そう言ってモールは暗黒面の力を静かに、強くたぎらせる。

 

「だがあの時、私はお前に勝っている。今回も結果は同じだ」

 

そう言ってオビ=ワンはライトセーバーを起動する。

 

「さて、今回はそう言い切れるかな?」

 

すると突然、オビ=ワンの後ろにサヴァージ・オプレスが現れる。

そしてライトセーバーが振り下ろされる瞬間、一発の光弾がオプレスを襲う。

 

「!?」

 

その光弾を跳ね返した後に、撃ってきたと思われる方向を確認するが狙撃者を見つけることが出来ない。

そして次々に光弾がオプレスを襲うが、彼は狙撃者を見つけることができず、怒りに囚われる事となる。

 

「誰だぁぁぁ!?姿を見せろぉぉぉ!!」

 

ARCS“7272”専用兵器【アイギス】

これはアディス専用に開発された全方位&集中攻撃型の狙撃装置であり、『神の楯』を意味する。この兵器はアディスが用いる狙撃能力を最大限発揮するために開発されたもので、非常に小さい、球体状の兵器がアディスの専用バックパックに無数に搭載されており、この球体一つ一つからブラスターによる攻撃が可能となっている。

この球体状の【アイギス】が一度起動されれば、空中に散らばり、攻撃対象を全方位から囲むように展開されるため、逃れる事は不可能になる。

 

オプレスからすれば、周囲を複数の狙撃手に囲まれているように錯覚するが、相手は一人のクローン・トルーパーであり、これは敵を撹乱するという戦術的なメリットもある。

 

「・・・俺たちの出る幕がないな」

 

オーリーの言う通りだな。

下手に出れば、アディスからのフレンドリー・ファイアで蜂の巣になるだろう。

オプレスも全てが捌けないとわかると、建物の影に身を潜めている。

 

「なんだあれは・・・貴様、仲間を連れて来ていたのか?」

 

「人のこと言えないだろう、あの黄色いツンツン頭は君のボーイフレンドかな?」

 

「ケノービ!!」

 

そうして二人は激しく切り結ぶ。

 

「俺は貴様に復讐する為だけに生きながらえてきた!あの時貴様にやられなければ、計画の遂行にも俺が関わり、あの男に成り代わり銀河を支配していただろう!!」

 

「あの男?誰の事を言っているんだ?」

 

「貴様には永久に辿り着けまい!」

 

そう言うと一瞬の隙をつき、機械化した足でオビ=ワンを蹴り飛ばした。

さらにフォースを使って、燃え上がる建物の残骸を俺達に吹き飛ばす。

 

まずい!

残骸の迎撃のためにアディスが【アイギス】を再展開、オーリーも専用装備の【ラース】を起動し、俺とヒュメルも装備しているブラスターで瓦礫に向かって集中砲火を行う。

 

そして、ギリギリの所で瓦礫を退けることに成功する。

 

「・・・たかがクローンと侮っていたが、中々良いお友達を連れているようだなケノービ?」

 

その問いかけに立ち上がりながら、オビ=ワンが答える。

 

「彼らは優秀でね。それに個人的な趣味(お茶)仲間でもある」

 

「ふん、その余裕が命取りだ!!」

 

すると突然、オプレスがオビ=ワンを背後から襲う。

アディスが専用装備を展開しようとするが、間に合わない。

 

強力な分、この【アイギス】は、一つ一つの燃費が悪いという弱点があり、内包されているエネルギーを使い果たしてしまうと、再びアディスの専用バックパックに格納され、再チャージが完了まで使用不可能となってしまう。

加えて、無数にある【アイギス】を展開中には、神経をすり減らすような集中力を要し、使用後にはとてつもない疲労感が使用者を襲う。

 

「将軍!!」

 

二人の強力なコンビネーションにより、オビ=ワンは一瞬のうちに拘束されてしまう。

 

「この男の命が惜しかったら、ここでじっとしているんだな。追ってくればこの男を殺す!」

 

モールがそういうと、オプレスと共にタートル・タンカー貨物船に乗り込み、空へと舞い上がる。

 

「ヒュメル付いて来い!!オーリーはアディスを頼む!」

 

「任せとけ、シャトルで後を追う!」

 

そういうと、俺とヒュメルはジェットパックを用いて貨物船に飛び移る。

アディスはしばらく休まなければいけない。

俺とヒュメルでオビ=ワンを救うしかないな・・・

 

その時、一つの影が貨物船に侵入したのを二人は気が付かなった。

 

 

 

<タートル・タンカー 船内>

 

オビ=ワンはモールとオプレスに痛めつけられていた。

 

「その脚気に入った、背が高く見えるな」

 

「ほう、そんなに気に入ったか?」

 

そう言うとモールはフォースでオビ=ワンを宙に浮かせ、ライトセーバーを起動する。

 

「これからお前の身体を切り刻むが、気絶しないでしっかりと起きていろ。そうすればお前が気に入ったというこの脚を、特別にプレゼントしてやる。だが覚悟しろ、拷問など及びもつかぬ苦痛を味合わせてやる。俺の苦痛を知ってからあの世に行くが良い!」

 

その時、貨物の影からヴェントレスが姿を現す。

 

「こいつは驚いたねぇ、かつての我が僕(しもべ)は今も野獣かい?お友達が出来たようだねぇ?」

 

「兄弟だ」

 

「兄弟?あんたの半分の力も無さそうじゃないか?」

 

「侮るなヴェントレス、奴の名前はダース・モール、元シスの暗黒卿だ」

 

「・・・お前らはあの時のクローン」

 

つい声を掛けてしまったが、妙なことになっているな。

っていうか歴史でもヴェントレスってここ居たんだっけ?

 

「お前はオプレスを狙っているんだろ?俺たちは将軍を助けられればそれで良い。今は力を合わせるべきだと思うが?」

 

「ふん、クローンごときが生意気な口を利くじゃないか?まあいいさ、あたしは賞金さえ手に入ればそれで良い」

 

「・・・なんだあの女は?」

 

「俺を騙していたダソミアの魔女だ」

 

「多くを知られ過ぎた、あの女を始末しろ。俺はそこの二人をやる」

 

いえ、お二人でヴェントレスをどうぞ。

わたくし達は早々に退散いたしますので・・・

よしヒュメル、フェードアウトの準備だよ!

 

そして扉の向こうに姿を消したヴェントレスを追って、オプレスも貨物室から姿を消す。

 

「クローンごときが、このモール様に敵うと思うのか?」

 

そういうと、モールはライトセーバーを起動する。

 

結構モール好きだったんだけど、あれはスクリーンの中だから言えていたことだな。

本物は中々に恐ろしい・・・

 

「ヒュメル、時間稼ぎを頼む。俺は将軍を!」

 

「・・・了解」

 

そう言うと、ヒュメルは専用装備【ベルセルク】を起動する。

 

「・・・なんだそれは?クローンがジェダイの真似事か?」

 

「・・・お喋りな奴だ」

 

そういうとヒュメルは、静止状態からトップスピードへと加速した。

そして、二振りの高周波ブレードによる強力な斬撃をモールに加える。

長く実戦から離れ、本調子には程遠いモールは反応するので精一杯であった。

 

【ベルセルク】が生み出す加速力をプラスした斬撃の勢いを抑えきれず、モールは吹き飛ばされ、積み上げられていたコンテナの山に埋もれる。

 

「ケノービ将軍、大丈夫ですか?」

 

まあ、大丈夫ではないだろう。

あの二人にボコボコにされたんだ。

このタフさも、フォースの恩恵があるからこそなんだろうな。

良いなあフォース、俺もフォース感じたいな!

 

え?

フォースを使って何をするのかって?

例えばベッドに横になってから、起き上がって電気を消すのは面倒だからその時に使ったり、休みの日にソファーでノンビリしている時に立ち上がるのが面倒だから、冷蔵庫の飲み物を引き寄せたり・・・

 

・・・こんなんじゃ、一生使えなさそう。

 

「・・・大丈夫だ、また助けられたなレイ」

 

「将軍、これが必要でしょ?」

 

そう言って俺は、オビ=ワンにライトセーバーを渡す。

彼が惑星レイドニアで捕まった時に回収していた物だ。

 

「ありがとうレイ、一気に片を付けよう」

 

どこかで聞いたような言葉を交わし、俺たちは立ち上がったモールと向き合う。

 

「将軍、モールの時間稼ぎをお願いします。自分はヒュメルとコクピットへ行き、脱出の為の準備をします」

 

「了解だコマンダー、手早く頼むよ?彼は随分とお怒りのようだからね」

 

「はい、将軍」

 

「哀れだなケノービ、ジェダイ・マスターともあろう者が、たかがクローンに守られているとはな」

 

「そのクローンに押されていたのは、どこのどなたかな?」

 

「ほざけ・・・!」

 

そうして長い年月を経て、二人は剣を交える。

モールが攻め、オビ=ワンがその攻撃を防ぎ、受け流す。

わずかな隙を狙って、オビ=ワンもその研ぎ澄まされた剣技を発揮する。

 

「クワイ=ガン・ジンを殺した時、貴様は何もできず、ただ見ている事しかできなかった。その時の気分はどうだった、オビ=ワン?」

 

その言葉でわずかに動揺し、当時を思い出すことでオビ=ワンは冷静さを失った。

激しくモールに切りかかるも、モールの洗練されたセイバーテクニックで態勢を崩され、機械の脚で蹴り飛ばされる。

そこに、オプレスと戦っていたヴェントレスも吹き飛ばされてきた。

 

「くっ、レイ?そろそろ良い頃だろ?」

 

「なんだいオビ=ワン、逃げる気なのかい?」

 

「お前から学んだんだよ」

 

「準備完了です、こちらへ!」

 

その後、コックピットへ続く扉を閉鎖し、本体と分離することに成功する。

ふう、なんとかなったな。

敵がライトセーバー使いだと、飛び回れる場所でならともかく、狭い空間でまともに戦えるのはヒュメルくらいだからな。

完全に戦力外だ、ベンチ温め要因だ。

ヒュメルに負担を掛けてしまうのが申し訳ないな・・・

 

「それで?このまま逃げるのかい?」

 

「俺のチームがシャトルでこちらに向かっている。お前はこのコクピットで惑星レイドニアに戻るか、もしくはどこかの星に送ってやる」

 

「冗談じゃないよ、レドニアに戻ったりなんかしたらアイツらに殺される。折角の申し出だからね。送ってもらおうじゃないか?」

 

「今回は助かったからな、それくらいの事はしてやる」

 

今回モールを捕らえる事は出来なかったが、歴史が大きく動き出している事は確かだ。

俺たちも遊んでいる暇が無くなってきたな・・・

まあ、世の中が平和になればいくらでもゆっくりできる。

それまでは無理を続けるしかないだろうな。

 

「それではレイ、しばらく時間がありそうだから・・・」

 

ん?

あ、そういうことね!

 

「もちろんです将軍、あのシャトルには常に備えてあります」

 

「素晴らしい・・・君は最高のトルーパーだよ」

 

「いえいえ、最高のジェダイから、お褒めに預かり光栄です」

 

「「ふっふっふっふっふっ」」

 

これは幻の、お主も悪よのう、いえいえ、御代官様ほどではってヤツだな!

 

何故か、ヒュメルとヴェントレスから冷たい目で見られている気がする。

お前ら、いつからそんなに息がピッタリになったんだよ・・・

なんか文句ありますか!?

良いじゃないお茶くらい飲んだって!!

 

アディス達が合流した時に、カオスな状況だったことは言うまでもない。

 




はい、お疲れさまでした。

やはりモールとオプレスのコンビは強かったですね。
この二人を相手に、余裕があるパルパルはやはり化け物・・・

こういう時は先生にお願いするしかありませんね!
お願いします、クレル先生!!


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章(クローン・ウォーズ:ドラマ中編)
登場人物紹介


色んなキャラクターが出てきて、主人公たちの顔(?)と名前、能力が一致しないという方も少なくないと思いますので、一度ARCSも含めて整理したいと思います。

特に物語とは関係ないので、「別にわかってるから良いや」って方は飛ばしてもらっても・・・構いません。
でも、一応見てくれると嬉しいかなー

ツンデレな皆さんなら結局見てくれるんですよね!?
私は知っていますよ!!(うるさい)



■ARCSトルーパー

 

ARCSトルーパー(アークス・トルーパー)はアドバンスド・レコン・コマンドー・スペシャル・トルーパーの略で、特殊上級偵察コマンドー、通称“S”と呼ばれている。

 

特殊作戦に対応しているARCトルーパーより、さらに専門性が増しており、初期のARCトルーパーと同様に、オリジナルであるジャンゴ・フェットから直接訓練を受けている。

あまりの優秀さ故、『実行不可能な作戦は無い』とまで言われている。

 

遺伝子操作がほとんどされておらず、試験的に成長加速も通常のクローンに比べて緩やかに設定されており、長期に渡ってレベルの高い訓練、教育が施されている。

加えて、成長過程の早い段階から実戦経験を積んでいる事から、歴戦のトルーパー以上の経験値を誇る。

 

通常のARCトルーパーとは異なり、大隊に所属しているわけではなく、試験的にクローン・コマンドーのように四人一組の分隊で行動しており、少数での特殊作戦から、大隊を指揮しての大規模作戦まで対応している。

無理やり一般部隊に組み込まない試みや、独立した指揮系統に分類される事は、ARCSトルーパーが遂行した、多数の任務結果から正しい判断だったと言えた。

 

それぞれに専用の特殊兵器が採用されており、その兵器を駆使することによって場合によっては、バトルドロイドの大軍とも渡り合える可能性を秘めている。

 

元々は共和国軍中央即応部隊X(エックスレイ)チームという名称で発足したが、呼びにくいのと、“ARCS”や“S”という肩書の方が浸透している事や、数々の作戦での功績から“ゴースト”という愛称まで付いている事から、今ではXチームと言う名称は殆ど使われなくなっている。

 

ちなみに名前の“X”の由来は『未知』である。

 

 

 

■メンバー

 

①ARCS-6363“レイ”中佐

陸上自衛隊の普通科隊員で、レンジャー資格を保持している3等陸曹 佐竹 澪がARCS-6363に憑依して、結果的にはお互いの経験や知識、精神的な融合を果たした姿(精神的な融合をしてはいるが、どちらかと言うと知識としての吸収と言う方が近く、中身は佐竹澪である)。

ARCSトルーパーのリーダーを務める。

陸自時代の経験と、憑依前までのトルーパーの経験が足されているような状態の為、全トルーパーの中で一番の経験値を誇る。

基本的にはチームリーダーとして指示を出していくが、全てのポジションをカバーする器用さも併せ持つ。

しかし、全ての能力値が高い代わりに、他のメンバーと比べて突出した能力が無く、器用貧乏的な状態になってしまっている。

中身はただの、お茶と温泉をこよなく愛する日本人

 

専用兵器【不明】

 

 

②ARCS-7272“アディス”大尉

レイがこの世界に来た時に初めて会った人物で、部隊の№2。

専門技能は狙撃で、基本的にスコープで確認できる距離であれば外すことは無い。

冷静で判断能力も高く、若干抜けている所があるレイを上手くサポートしている、頼れるお兄ちゃん的存在。

情にも厚く、涙もろいが本人は認めようとしない。

 

専用兵器【アイギス】

アディス専用に開発された全方位&集中攻撃型の狙撃装置であり、『神の楯』を意味する。この兵器はアディスが用いる狙撃能力を最大限発揮するために開発されたもので、非常に小さい、球体状の兵器がアディスの専用バックパックに無数に搭載されており、この球体一つ一つからブラスターによる攻撃が可能となっている。

この球体状の【アイギス】が一度起動されれば、空中に散らばり、攻撃対象を全方位から囲むように展開されるため、逃れる事は不可能になる。

 

しかし強力な分、この【アイギス】は、一つ一つの燃費が悪いという弱点があり、内包されているエネルギーを使い果たしてしまうと、再びアディスの専用バックパックに格納され、再チャージが完了まで使用不可能となってしまう。

加えて、無数にある【アイギス】を展開中には、神経をすり減らすような集中力を要し、使用後にはとてつもない疲労感が使用者を襲う。

 

 

③ARCS-8181“ヒュメル”中尉

専門技能は破壊工作や敵地潜入、偵察。

両腕には特殊な合金によって生成されたブレードが装備されており、高周波が流されているのに加えて、電磁パルス発生装置が内蔵されており、ライトセーバーとの戦闘にも耐えうる性能を誇る。

格闘や、ナイフ戦が得意な事からメンバーの中で唯一、ライトセーバーを用いる相手と直接渡り合うことが出来る。

非常に無口で、感情を表に出すことは余り無く、話したとしても一言、二言で終わってしまう。

密か(?)にオーリー抹殺計画“オーダー9090”の準備を進めているらしい。

 

専用兵器【ベルセルク】

ヒュメル専用に開発された高速戦闘用の加速装置であり、『狂戦士』を意味する。

身体に装着している各アーマーの随所に高速域に達する為の加速装置が設置されており、任意で自らを加速させることを可能にする。

さらに、この【ベルセルク】を起動中は身体全体を電磁パルスによる磁場が覆っている為、他の電子機器は使用できなくなるが、ブラスターやライトセーバーへの耐性を備えている。

 

しかし、人間が生み出せる限界を超えた異常な急加速を続ける事から、使用者への負担が大きく、使用時間によっては大きな苦痛を伴う事になる。

 

 

④ARCS-9090“オーリー”中尉

専門技能は近・中距離射撃でチームのポイントマン。

早撃ち、近・中距離射撃に関しては、チームの中で右に出る者は居ないほど、正確で素早い射撃能力を持っており、本人曰く『ジャンゴ・フェットに迫るほど』だという。

しかし、遠距離になると途端に当たらなくなるが、これまた本人曰く『当たらないんじゃなくて、当てないだけ。バカにしてくる奴は俺の華麗な早撃ちや、ガンスピンに妬いているんだ』と豪語している。

上記から伝わってくる通り、口数が無駄に多く、うるさい。

そしてうるさい。結果うるさい。

 

専用兵器【ラース】

オーリー専用に開発された戦闘用マニュピレーターであり、『捕らえる物』を意味する。

2機の独立したアームには、それぞれ高度なAIが搭載されており、自動で敵を索敵、射撃を行う事が出来る。

さらにオーリーの癖や経験を共に学習していくことで、より最適な判断を行うようになる。

 

この【ラース】の特徴は、その完成度の高さにある。

最も後期に開発された兵器で、他の専用兵器に存在する重大な欠陥と言える使用上のリスクが無く、状況によって装備を変更することが可能なため、作戦内容に合わせて最適な装備で任務にあたることが出来る。

しかし、兵器としての完成度を求めた結果、他の専用兵器に比べると性能面ではあきらかに劣るものとなってしまった。

 




はい、お疲れさまでした。

自分が読者だとしたら、誰が誰で専用兵器は何だっけと、
混乱しそうだったので、物語がまた大きく動き出す前に整理しました。

何故かオーリーの紹介だけ、悪口みたいになってしまった・・・
ごめんね、オーリー

ちなみに、こんなの書いて欲しいとか何か要望があれば言って下さい。
まあ、書くかはわかりませんけどね(え?)

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第32話 取り敢えず虜にした(復活のシス)

モールの一件以来、基本的にアナキンやオビ=ワンと行動を共にしている。

残された時間はあまりないからな。

ずっと別行動もしてられない。

 

あれから各地で、モールとオプレスによる犯罪行為が相次いでいる。

俺達はサーター・セクターにあるフローラムへ進路を取っていた。

モールたちが、そこに向かったという情報を掴んだからだ。

 

 

 

<サーター・セクター ニュー級アタック・シャトル船内>

 

「ケノービ将軍、前方に探していたと思われる船を確認。海賊たちのお出迎えを受けているようです」

 

「ああ、そのようだな」

 

「盗んだ品の受け渡しをしているのかも」

 

そう言うのは、ジェダイ評議会メンバーのアディ・ガリアだ。

彼女は卓越したパイロットであり、交渉術に長けたジェダイ・マスターだ。

 

「ホンドーが、モールやオプレスといったシスと手を組むとは考えられません」

 

「(?)ホンドーを個人的に知っているのですか?」

 

「不本意ですがその通りです。彼に連絡を取ってみましょう。ヒュメル、繋いでくれるかな?」

 

彼は頷くと、直ぐに回線を開きホンドーとの通信を試みる。

 

「・・・どうぞ」

 

「ありがとうヒュメル・・・ホンドー、ご機嫌は如何かな?」

 

『ご機嫌だぁ?俺の星に今度はどんな災いをもたらしに来た?まず、テメーらの脱出劇に始まり、次はグリーヴァス将軍による基地の完全破壊と来た!ボロボロになった後、瓦礫を集めてようやく基地を再建したんだ。挙句の果てには、角を生やした二人組が現れて、俺を殺すと脅しやがった。ジェダイとも思えねーが・・・』

 

相変わらず、よく口が回る奴だな。

ウチのオーリーと良い勝負かもしれないな。

 

『ん?そこにいるのはレイじゃねーか!?久しぶりだな、居るなら声を掛けてくれれば良いのによ!』

 

・・・見つかってしまったか。

コイツとはオビ=ワンらと同じように、『多少』の関係がある。

何故か気に入られてしまって、仲間になってくれと勧誘を受けているのだ。

 

オビ=ワンの方を向き、アイコンタクトを取って許しを得てから応答する。

別に指揮系統の問題ではなく、常識的な礼儀として許しを得た。

親しき中にも礼儀ありだ。

 

・・・わかったか、オーリー?

さっきから、レーションを食べている音がうるさいよー。

ほら見ろよ、オビ=ワンはいつもの事だと気にしていないが、アディ・ガリアが妙な目でお前を見ているぞ?

ああ、ヒュメルさん落ち着いて、その光るブルブルのヤツをしまって下さい。

いよいよアディ・ガリアが、やばい奴らを見る目になってますから。

 

「・・・ああ、久しぶりだなホンドー。ちなみにお前を脅している二人組は、ジェダイじゃない、シスだ。我々は奴らを追ってここまで来たんだ。別にお前に迷惑を掛けるつもりはない」

 

『奴らは俺様の手下と組んで、この基地を狙うとぬかしやがった!俺も協力させてもらうぜ、それに水臭せーじゃねぇかよレイ?未来の仲間の為に、一肌脱がしてもらうぜ!』

 

誰が仲間になるか!!

俺は一方的に通信を遮断する。

 

「・・・将軍?初めから貴方の策略だった気がしてならないんですが?」

 

「ん?何の事かな?それより急ぎ、この件を片付けてお茶会の続きをしよう。実は良い菓子が手に入ったんだ」

 

絶対に狙って俺たちを連れて来ただろう・・・

まあ、良いけどさ。

それよりも誰か、後ろで騒いでいる某ARCS-9090を外に放り出してくれませんかね?

 

 

 

<惑星フローラム>

 

地上では既にホンドー側と、モール側とで激しい戦闘が起きていた。

 

「アディスとオーリーはホンドーのところへ!ヒュメルは俺と一緒に将軍の援護だ!」

 

「「「イエッサー」」」

 

すると直ぐに、モールとオプレスが俺たちの所にやってくる。

 

「海賊と手を組むとはシスも落ちたものだな?」

 

そう言うと、オビ=ワンとガリアは青い閃光を起動して、二人のシスと対決する。

 

「ヒュメルは、ガリア将軍の援護を頼む!」

 

そして俺はジェットパックを起動して、オビ=ワンの援護に入る。

 

「また貴様らか!ちょこまかと邪魔な奴らだ!!」

 

空中から、オビ=ワンの邪魔にならないように援護する。

オビ=ワンとの攻防に集中したいモールだったが、俺が放つブラスターからの光弾により、思うように戦えないでいた。

しかし、復活して間もない前回と違い、今は本来の力を取り戻しつつあるようだ。

隙を突いて攻撃しているつもりだが、直接当てることは叶わない。

 

その時、ガリアがモールのフォース・プッシュで壁に叩き付けられる。

肺から全ての空気が押し出されて、ガリアは命取りとなる一瞬の隙を見せてしまう。

 

ガリアへ鋭い角を向けて、突進するオプレス。

今まさにその角が突き刺さる瞬間、【ベルセルク】を起動したヒュメルが間に入り、オプレスを蹴り飛ばす。

 

「・・・トルーパー?」

 

一瞬何が起きたかわからなかったガリアだが、オプレスが吹き飛ばされた状況から、命を救われた事を理解する。

 

「くそぉぉぉぉ!!クローンごときが!!」

 

「・・・それはもう聞き飽きた」

 

そして【ベルセルク】を起動したヒュメルと、態勢を立て直したガリアがオプレスに襲い掛かる。

先ほどまで押されていたガリアだが、ヒュメルのサポートもあり、オプレスを徐々に押し始める。

そして一瞬の隙をついて、急加速したヒュメルがオプレスの左腕を切り落とすことに成功する。

 

「サヴァージ!!」

 

弟の腕が吹き飛ばされた瞬間を目の当たりにし、普段では見せる事のない隙を生じさせる。その瞬間を見逃さず、俺はモールの機械化された脚の関節部分を打ち抜く。

 

「くそっ!この複製がぁぁぁ!!」

 

「これまでだモール、降伏しろ」

 

「貴方もですオプレス、勝ち目はありません」

 

勝利を確信した二人は、愚かにも油断してしまう。

その瞬間、暗黒面の力が乗った二人の強力なフォース・プッシュで、オビ=ワンとガリアは吹き飛ばされてしまう。

 

何やってんのぉぉぉぉぉ!?

チャンスだったじゃん!!

何で油断しちゃうのかな!?

ジェダイっていつもそうだよね!?

 

既に合流した二人は、オプレスがモールに肩を貸し、自分たちが乗ってきた貨物船へと向かっていく。

 

させるか!

俺は空中から後を追おうとするが、モールの強力なフォースによってニュー級アタック・シャトルが持ち上げられ、吹き飛ばされたオビ=ワン達を押しつぶそうとする。

 

それに気が付き、俺は空中で展開してオビ=ワンに向かって急加速する。

ヒュメルも同じくガリアに向かって飛び、なんとか二人を助け出すことに成功した。

 

「すまないレイ、助かった」

 

「いえ将軍、人命救助が第一ですから」

 

「貴方もありがとう、トルーパー」

 

「・・・いえ」

 

オビ=ワンとガリアが無事で良かったが、モール達には逃げられてしまったな。

結果論で言えば、何も進展していない。

いや、一先ずはモールの勢力拡大を防げたか・・・

 

でもなー

あと一歩で捕らえられたのに・・・

そうしたら、パルパルの正体にも違和感なく辿り着けたのに・・・

まあ、そう上手くは行かないって事ね。

 

「それよりもあれは無事か!?」

 

オビ=ワンが慌ててシャトルに近寄る。

そうだな、シャトルが壊れていては修理に時間が掛かる。

直ぐに点検するのが良いだろう。

 

ちなみに海賊は、モールとオプレスが逃げた段階で早々に降伏した。

と言うかアディスとオーリーがいたから、最初から防戦一方だったようだ。

 

『良かった、無事だ!』

 

オビ=ワンの声がする。

どうやらシャトルは無事だったようだな。

これですぐコルサントに戻れる。

 

『おーい、レイ!無事だったぞー!!』

 

そういうオビ=ワンの手には見覚えのある物が・・・

まさかだけど・・・そういう事?

 

 

 

結局、シャトルは修理が必要でその間、無事であった例の物が大活躍した。

何故ならガリアまで、これの虜になってしまったんだからな。

 

意外な所で、ジェダイを我が物にする方法を見つけたな。

俺が銀河を支配する日も、そう遠くは無いだろう・・・

 




はい、お疲れさまでした。

取り合えず、ガリアを救えて良かったです。
皆さん、お茶の話が出てくると飲みたくなりませんか?

私はなります!!


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第33話 取り敢えずタティスありがとう(オンダロン支援作戦:前編)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

今回は9割おギャグ様です。
苦情は例の如く受け付けませんので、宜しくお願い致します。
ありがとうございます。本当に助かります。


現在、分離主義者の支配下にある惑星オンダロン。

しかし、現状に納得できない一部の住民が反乱軍を組織し、現政権に対して抵抗を続けていた。

 

そんなある時、反乱軍のメンバーからジェダイ評議会に援助を求めたいと連絡が入った。

援助の方法について慎重な姿勢を見せる評議会だったが、アナキン・スカイウォーカーは彼らに戦闘訓練を受けさせ、分離主義者の勢力を二分しようと考えた。

 

この提案に評議会は、君主制を敷いているオンダロンがクローン戦争勃発時に独立星系連合との同盟を選んだことから、共和国の介入がテロへと繋がる可能性がある事を危惧していた。

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ評議会室>

 

「多くの星に、援助を求める反乱グループが点在しています。彼らに武器と訓練を施せば、分離主義勢力を内部から撹乱し、共和国にも利益が生まれます」

 

「確かに上手くいけば敵を分断し、二つの戦線に分けることが出来るな」

 

アナキンの提案に、メイスがある程度の同意を示す。

 

「お前の提案は多くの危険がある。テロリストの支援など出来ない」

 

「テロリストではなく、反乱軍です」

 

「・・・軍事介入は慎重な姿勢が求められる。政府転覆の為に反乱軍を援助すれば、罪も無い人々が大勢死ぬことになる」

 

オビ=ワンはこの軍事介入に慎重な姿勢を崩さない。

しかし、このまま彼らを放っておけば見殺しにするのと同じこと。

評議会は、この件をどうすべきか決めかねていた。

 

「何もしない訳にもいかないか・・・身を守る術を教えるくらいは良いでしょう」

 

メイスがヨーダに意見を求める。

 

「うむ・・・訓練と様子見じゃな、アドバイザーを送ろう」

 

「はいマスター、チームを集めます」

 

 

 

 

 

<惑星オンダロン 反乱軍秘密基地>

 

反乱軍に軍事訓練を施すために、俺達は既に現地入りしていた。

 

「オーラーイ、オーラーイ、こっちだ気をつけろー!」

 

俺は反乱軍の為に武器を調達して、この星に届けえるように手配した。

まあ、正確にはボガーノにいるタティスに頼んで、手配してもらったんだけどな。

ちなみにここまで運んできたのも、ウチのバトルドロイドだ。

なにせ分離主義者が支配している星だからな、その方が何かと都合が良い。

 

「よーし、ここで良い!ご苦労だったな!」

 

「・・・レイ?あれは誰だったんだ?」

 

「はい?あー、ちょっとした知り合いでして・・・」

 

「(?)なるほど、まあ銀河中飛び回っていた君達なら、変わった知り合いの1人や2人くらい居るだろう」

 

アナキンが至極当然な疑問を投げかけて来たが、どうやら都合よく納得してくれたようだ。

仲良しで良かった・・・

 

「ん?これは分離主義者のブラスターじゃないか!」

 

「はいケノービ将軍、共和国はこの戦いには介入しないというお話だったので、敵の武器を使用していれば問題になりにくいと思いまして」

 

敵の武器なら鹵獲して使ったとかなんとか言えば、いくらでも誤魔化しが効くだろうしね。

 

「うーむ・・・しかし、この武器や装備はどこから調達したんだ?」

 

うっ、何て言おう・・・

軽い気持ちでボガーノにいるタティスに連絡したら、大喜びで手配してくれたんだよな。

どうやら、いつも置いてけぼりであまり役に立ててないと、内心落ち込んでいたようだ。

AIのアップグレーで少し高性能になり過ぎたかな?

落ち込むドロイドって・・・

折角張り切ってくれてるから、いらないとも言えなかった・・・

ダメな主人でゴメンね。

 

「・・・」

 

アナキンの方を向いて、助けを求める。

 

「・・・まあ良いじゃないですかマスター、これで反乱軍の訓練も捗るというものです。それに自分はレイのこういう所も買っています」

 

ありがとう、大好きアナキン!!

 

「まあ、詳しい話は個人的(お茶会)に聞くとしよう。それよりも、今は彼らの訓練が先だ。どう見ても素人集団だからな」

 

 

 

俺は反乱軍に対ドロイド戦闘の訓練を施していた。

今は素人に毛が生えた程度だが、コイツ等は中々筋が良い。

お互いにライバル意識を燃やしているから、その分成長が早いようだ。

 

「ドロイドも人間も、基本的には頭が弱点だ、だが頭を狙うのは言うほど簡単ではない。そういう時には胴体を狙え。勘違いしている奴が多いから注意しておくが、例え心臓を撃ち抜いても即死はしない、胴体には必ず二発撃ち込め!ダブルタップだ!」

 

「・・・おい、いつの間にか対人の話になっているぞ?」

 

小声でアディスが注意してくれる。

あれ?

あ、すまんすまん。

自衛隊時代の癖で・・・

以後気を付けます。

 

「(!?)おい、お前!仲間に銃口を向けるな!罰として腕立て伏せだ!!・・・お前はさっきからトリガーに指が掛かりっぱなしだ、撃つとき以外はトリガーから指を離せと言っていただろうが!罰として腕立て伏せだ!!」

 

「「「「・・・」」」」

 

 

ん?

皆してどうしたんだ?

なんでそんな顔で俺の事を見てくるの?

何かあったのかな?

 

「(!?)おい貴様、何度言えばわかる!目標を狙うときに片眼を閉じるな!罰として腕立て伏せだ!!・・・貴様に耳は付いていないのか!?ブローンポジション(伏せ撃ち)の時に踵を起こすなと言っているだろう!撃たれて踵が消し飛ぶぞ!?罰として腕立て伏せだ!!おい貴様は・・・なぜ腕立て伏せをしている!?罰として俺が良いと言うまで腕立て伏せだ!!」

 

「それは理不尽だろ!?」

 

アディスが、それはさすがにと言わんばかりに止めてくる。

え?

何が?

何か変なこと言った?

 

気が付くと、反乱軍全員がその場で腕立て伏せをしている。

うん、やっと新兵らしくなってきたな!

良い感じだ!

 

「レイ、皆プルプル震えているぞ?腕立て伏せはそれくらいに・・・」

 

新兵たちがプルプルしている事を、アナキンが教えてくれる。

 

「(!?)おい貴様ら!将軍の前でなぜ震えている!?・・・お前、どうして震えている?」

 

「さ、サー・イエッサー!」

 

「ふむ・・・そっちのお前は?」

 

「さ、さ、さ、さ、サー・イエッサー!」

 

「なんだ、全員寒いのか・・・なら温めてやる。後50回!」

 

全員が余計なことを言うなとばかりに、親の仇を見るような恐ろしい目でアナキンを睨めつけている。

 

ちなみに、新兵には俺が何を言おうと『サー・イエッサー』で答えろと言ってある。

ふっふっふっふっ、レンジャー時代の血が騒ぐぜ・・・

 

「ダメだ、あいつ完全に妙なスイッチが入っちまっている。おいレックス!レイを止めてくれ!」

 

このままでは、彼らが壊れると心配したアディスがレックスに助けを求める。

 

「・・・しい」

 

「え?」

 

「素晴らしい!それでこそ本物の兵士だ!本物の兄弟だ!俺も久々に血が騒ぐぜ・・・!」

 

もうダメかもしれない・・・

そうアディスは本気で思ったのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

皆さん、誰かが襲ってきた時は冷静に、その手に持っているブラスターの引き金をゆっくりと二回引いてください。
そうすれば、全てが解決です。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第34話 取り敢えず、みんな兄弟(オンダロン支援作戦:後編)

あれから反乱軍の訓練を行い、彼らは当初とは見違える程に成長していた。

 

「ねえラックス、大丈夫?」

 

「はっ!問題ありませんコマンダー!」

 

「うえー・・・」

 

アソーカが分離主義者の友人に声を掛けるが、完全に目がイッてしまっている事から既に手遅れだと悟った。

 

「ねー、レイ?ちょっとやり過ぎじゃない?みんなキャラが変わっちゃってるわよ?」

 

「コマンダー、失礼ながらこの訓練プログラムは最高です。それに彼は自分のやるべきことを果たしただけの事、もっと正当な評価をされてもよろしいのでは?そうだろ、貴様ら!?」

 

そう言うのは、同じく完全に変なスイッチの入ったレックスだ。

 

『『『『殺せ!殺せ!殺せ!』』』』

 

ちなみにこの一連の訓練法に感銘を受けたレックスは、第501大隊のプログラムに採用しようと本気で考えているそうだ。

 

「これこそ本物の兵士だ・・・」

 

「え、なに?私がおかしいの?みんなが普通なの?もう訳わかんないだけど・・・」

 

「落ち着けアソーカ、今はこんな感じだが時間が経てば洗脳も解けてくる。今は妙なテンションになっているが、ふとした時に自分を取り戻すはずだ。恐らく、まともな精神状態では耐えられないと判断した身体の、一種の防衛反応のような物なんだろうな・・・人の身体とはよく出来ている」

 

「・・・冷静に分析している所悪いんだけど、全て貴方に原因があるのよね?それにシレっと洗脳とか言ってるけど、レイはマインド・トリックが使えるの?フォース=センシティブなの?」

 

アソーカは何を言っているんだ?

俺はごく普通(?)のクローンだぞ?

フォースが使えるからって、視野が狭くなっているんじゃないのか?

 

「ま、まあ結果的には訓練は上手くいったんだ。この後どうするかは彼ら次第だ」

 

「そ、そうですね。マスターの言う通り、『訓練自体』は上手くいったんだ。ある意味僕たちの目的は達成したとも言える。これで、分離主義勢力を二分することも出来るはずだ」

 

オビ=ワンとアナキンがそう話していると、反乱軍の自称リーダー、ソウ・ゲレラが前に進み出る。

 

「将軍、失礼ながら申し上げます。自分らはコマンダーのお陰で生まれ変わりました。我らにとって父も同じこと・・・この身が朽ち果てるまで、我々はコマンダーに付き従います!」

 

『うおぉぉぉー!!』

 

『その通りだ!!』

 

『コマンダー万歳!!』

 

『結婚してくれー!!』

 

「「・・・」」

 

「・・・素晴らしい、この訓練法はまさに究極だ。兄弟、お前は最高のクローン・トルーパーだ」

 

兄弟でもあり、親友でもあるレックスに言われると嬉しさが段違いだぜ。

ん?

最後に変なセリフが聞こえたような?

気のせいか・・・

 

「お前には敵わないぜ、親友」

 

そういって俺たちは手を固く結ぶのだった。

ちなみにその後ろでは、俺たちの熱い友情(?)に感動して反乱軍が涙を流している。

 

『こんなにも美しい光景が他にあるだろうか?いや、無い』

 

『俺にもこんな兄弟が欲しかったぜ・・・』

 

『何言っているんだ?俺たちはコマンダーの下で生まれ変わったんだ。俺たちはみんな兄弟さ!』

 

『兄弟!!』

 

うんうん。

素晴らしいな。

俺も訓練した甲斐があったってもんだよ!

 

「レイ、センサーに反応があった。恐らく奴らの偵察ドロイドだ」

 

・・・訓練を嗅ぎつかれたか?

しかし、まだ直接は見つかってないだろう。

俺はソウの妹で、反乱軍一の狙撃手、スティーラ・ゲレラに声を掛ける。

 

「スティーラ、いけるな?」

 

「サー・イエッサー!」

 

そう言って彼女はまだ距離のある偵察ドロイドに照準を合わせて、ゆっくりと引き金を絞る。

すると一発の弾丸が撃ち出され、吸い込まれるように偵察ドロイドの中枢を破壊する。

 

「命中、良い腕だ。教官が良かったか?」

 

彼女の指導を行ったアディスの方を見ながらそう言った。

 

「俺はコツを教えただけ、彼女には元々センスがあっただけの事だ」

 

 

 

その後、俺たちは首都イジズに駐留するドロイド部隊への奇襲攻撃を行うため、ハンターや食糧調達者に偽装し、正門でB1-バトルドロイドの検問を受けていた。

 

「トマレ、オマエタチ、マチノソトデ、ナニヲシテイタ?(止まれ、お前たち町の外で何をしていた?)」

 

「狩りであちこち回っていた。俺たちは普段森の中で生活しているんだ。仕掛けた罠を回りながらね。この街に来るのは獲物を売りに来るだけさ」

 

「早く通してよ!今日の夕食に間に合うように届けなくちゃ!」

 

ラックスとスティーラが、それらしいことを言って検問を潜り抜けようとする。

 

「ウーン、フシンブツノ、ハンノウハ、ナイカ?(うーん、不審物の反応は無いか?)」

 

「ムズカシイッス、ユウキブツノ、ハンノウガ、オオスギテ・・・(難しいっす、有機物の反応が多すぎて)」

 

スキャナーを持ったB1-バトルドロイドが荷台を調べるが、簡易的なスキャナーでは調べきることが出来ないようだ。

 

「なあ、もしこの商品がお前たちのせいで売れなかったら、お前たちのボスに賠償金を要求するがそれでも良いのか?困るんじゃないのか?そうなったらお前らは役立たずの不用品として、ドロドロに溶かされ新しい製品に早変わりだぞ?」

 

オーリーがドロイドに脅しを掛ける。

いやー、流石にそんなこと言ってもドロイドに通じるとは・・・

 

「ソレハ、マズイ!ナニヲ、ヤッテイル、ハヤクトオセ!(それはまずい!何をやっている、早く通せ!)」

 

「ラジャー、ラジャー」

 

思えない・・・?

あれー、通じちゃったよ。

大丈夫なのコイツら?

だって反乱グループは、森に潜んでいるって知っているんだよね?

それに偵察に出したドロイドも帰ってこないんだよね?

 

ガンレイや、グリーヴァスに少しだけ同情する。

よくコイツ等使って戦えているよ・・・

あんたらも苦労しているんだね・・・。

 

「成功ね?」

 

「噂以上のウスノロだな」

 

アソーカとラックスがそう言う。

この二人お似合いだよね。

恋する若者を応援したくなってしまうのは、おじさんになってきた証拠だろうな。

あれ?

なぜか胸の奥が痛い・・・?

 

俺が一人で勝手に落ち込んでいる姿を見て、ヒュメルが痛い奴を見るような絶対零度の冷たい目を向けてくる。

やめてよ!

余計に傷つくじゃん!

 

「取り合えず成功だな、だが大変なのはこれからだ」

 

「新兵の補充と、攻撃目標の選定が必要だな」

 

「ここで別れましょう、仲間を集めて日没後に集合と言う事で」

 

 

 

「どう思います?新戦略は成功だったのでしょうか」

 

アナキンが、オビ=ワンに問いかける。

 

「そう願っているよアナキン、それに今回の作戦だって上手く行くさ。はじめは反乱グループへの援助に反対だったが、彼らを鍛えた事で結果救える命があり、何もしなかったよりも間違いなく良い方向に行っている。私は少々、頭が固いのかもしれないな・・・我々ジェダイは平和の守護者だ。共和国だ、分離主義者だと区分けするのが、そもそもの間違いなのかもしれない・・・」

 

ん?

こんな会話、歴史の中にあったっけ?

どうやら今まで経験してきた出来事から、オビ=ワンの考え方にも変化が表れているようだ。

 

「マスターも修行の身と言う事ですね?」

 

「そうかもしれないな、お前が私の弟子で良かったよ」

 

「僕のマスターが貴方で良かったです」

 




はい、お疲れさまでした。

前回に引き続き少し短いですが、キリが良かったのでここまでにさせて頂きます。
オビ=ワンの考え方にも変化が出て来たようです。
これを機に、さらに頭の固い評議会メンバークラスも良い方向に行ってくれれば良いのですが・・・


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第35話 取り敢えず相談に乗る(戦場を駆ける者たち)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

昨日のマンダロリアン激アツでしたね。
ビックリし過ぎて心臓が動きました。
観ていない方は心臓が動き出す覚悟でご覧下さい。


無事に首都イジズに潜入を果たした反乱グループは、ドロイド軍に対して小規模ながらもゲリラ攻撃を続けていた。

 

俺達?

当初の予定通りアナキン達に関しては、アドバイスはするが直接的な戦闘介入はいていない。

まあ、元からそういう約束だったしね。

 

その代わり俺の部隊や、レックスと協力して反乱グループのサポートをしている。

メインは彼らだ。

俺たちが出しゃばったら、今後の彼らの為にならないからな。

 

 

 

<首都イジズ 反乱グループ:アジト>

 

一通りの襲撃を成功させて、一旦この首都に構えるアジトへ戻ってきていた。

全グループが戻ってきたタイミングで、アナキンが口を開く。

 

「上出来だ、みんな良くやった」

 

『やったぜー!』

 

『ざまーみろだ!』

 

「良くやったが、問題は一般市民の反応だな。町の様子はどうだ、パダワン?」

 

「はいマスター・ケノービ、市民の多くは怯えています」

 

まあ無理もない。

彼らからすれば、この反乱グループの行動は現政権に対するテロとして映るだろう。

反乱グループの意図していることが伝わっていないんだ。

 

「まだ手ぬるいです。いくらドロイドを破壊したところで、俺たちは自由を取り戻せない!」

 

「私たちなら勝てると市民に信じさせ、協力が得られなければこの努力が無駄になる!」

 

「怯えさせていてはそれもできない。僕らの意図をきちんと伝えなくては・・・そうだ!彼らの不安を吹き飛ばすようなターゲットを狙えば良い!」

 

ゲレラ兄妹の言葉に、ラックス・ボンテリが自分の考えを述べる。

 

「何か考えがあるの?」

 

「理想的なターゲットがある」

 

 

 

俺達は話し合いを終えて、外に出ていた。

どうやらオビ=ワンとアナキンは協議の為、一度コルサントに戻るようだ。

 

「アソーカはアドバイザーとしてここに残れ、彼らの行動を逐一報告して欲しい」

 

アソーカは口を開かず、オビ=ワンへ静かに頭を下げる。

 

「大丈夫かアソーカ?お前もコルサントへ戻りたいんじゃないのか?」

 

弟子の雰囲気がいつもと違う事を感じ取ったアナキンは、心配そうに声を掛ける。

 

「・・・いいえマスター、ここに残りたいです」

 

「結構、物資は引き続き運ばせる。だが運用に関しては彼ら自身に学ばせろ。でないと自立は遠い夢だ」

 

「はい、マスター・ケノービ」

 

うーむ・・・

どうやらアソーカは悩みがあるようだな。

ここは年上(合計)として相談に乗ってやるか!

 

「なあアソーカ、悩みがあるんだろう?」

 

「・・・何の事?」

 

これは梅干しだな。

違う違う、図星だな。

 

「お前を見ていればわかるさ、ジェダイやクローンはこういう事に疎いからな」

 

「レイだってクローンでしょ?それに私は悩んでなんか無いわ。それとも貴方は、ジェダイみたいに相手の心が読めるっていうの?」

 

「言ったろ?ジェダイは『こういう事』には疎いって」

 

「・・・それじゃあ、私が何を気にしているのか当てられたら全部話すわ。まあ、無理でしょうけど」

 

「良いのか?そんなこと言って全部話すことになるぞ?」

 

「ならないわ。それとも適当に言ったのかしら?ARCSトルーパーさん?」

 

どうしてジェダイってこう、何にでも自信満々なんだろうか・・・

自分が全て知っていたり、わかっていないと死んでしまう奴らなのか?

 

「・・・そんなに気になるなら、どうして声を掛けない?」

 

「!?」

 

ほーら、図星だ。

まあ、理由は大方見当がつくけどな。

 

「彼の事が気になるんだろ?友人として終わっても良いなら、話は別だがな」

 

「私はジェダイよ?ジェダイは個に対する執着を禁じている」

 

要因の一つではあるだろうが、これは建前だな。

 

「そんな事で身を引くっていうのか?まだ始まってもない戦いから逃げるのか?」

 

俺は敢えて、挑発するような事を言った。

負けん気の強い彼女の事だ。

この方が本音を聞き出しやすい。

 

「・・・彼にはスティーラがいる、私の入る余地なんて無いわ」

 

うーん・・・

まあ、今まで恋のライバルなんて居なかっただろうしな。

彼女にしては弱気な発言だ。

 

「じゃあ仮の話だが、アソーカがジェダイじゃなければ諦めなかったのか?彼を自分の物にする為に、出来る事を尽くしたと思うか?」

 

「・・・そんな事わからないわよ、こんな気持ち初めてなんだもの」

 

くうぅぅぅぅ!

身体が痒くなってくる!

俺にもこんな、レモンレモネードみたいな恋をしていた時があったな。

あ、レモンレモネードっていうのは甘酸っぱいってことね。

 

それに俺としては、個人への愛情が暗黒面に直接繋がるとは思っていない。

ジェダイは様々な欲を禁止している。

しかし全ての命が尊いものだと考え、それを守るためにジェダイは存在しているとも言っている。

 

だけどそれって矛盾していないか?

なぜ愛を知らない奴が、無償の愛である『思いやり』を相手に持つことが出来るんだ?

 

今のジェダイは、相手を大切に思う気持ちは禁止していない。

例えばだが、その相手が死んだことに対する悲しみの気持ちを禁止しているんだ。

その悲しみは個への執着、暗黒面へと繋がると考えているからだ。

 

その悲しみを癒せるのは時間と、他者からの愛情だ。

しかしジェダイは、大切な者を失った相手に対して『悲しむな、それは執着だ。暗黒面に繋がる』と言う。

そんなの皆さん、暗黒面に落ちますわ。

だってその出来事を乗り越えてなんですもの。

ただ心の奥底にしまっているだけなんですもの。

 

まあちょっとゴチャゴチャしちゃっているが、俺が言いたいのは他者への愛情、執着をただ禁止するんじゃなくて、愛した相手を失った時にどう乗り越えていくかが重要なんじゃないかと言う事だ。

細かい事はわからないけどな、だって俺ジェダイじゃないもん(投げ遣り)

 

「ジェダイが恋愛を禁止している事は知っている。だけどそれによって、お前が彼を諦める理由になるとは思えない。ケノービ将軍だって愛した相手がいるし、スカ・・・」

 

おっと、危ない!

流れでアナキンの事を口が滑りそうになってしまった・・・

バレてないよね?

大丈夫だよね?

まあ、バレても知らない。

・・・俺は悪くない。

 

「んんんっ!とにかく俺が言いたいのは、何でも馬鹿正直になるんじゃなくて上手くやれってことだ。それに俺はアソーカを全力で応援するぞ?お前は俺にとって、妹みたいなものだしな」

 

「・・・ありがとうレイ、少し気分が晴れた気がする!相談する相手がいるって良い事だよね!」

 

うんうん。

アソーカはこうじゃなきゃな!

 

 

 

 

 

<反乱グループ:アジト>

 

ちなみにこの後、無事に理想的なターゲット、イジズ全体の電力を賄っている発電所を破壊することに成功した。

市民の賛同も得られ、これ以上ないほど彼らは盛り上がっていた。

 

「お祝いしなくちゃ」

 

「ああ、喜んで」

 

ゲレラはスティーラを抱き上げる。

 

「ほら、貴方も議員さん」

 

スティーラがラックスに声を掛け、二人は抱きしめ合う。

・・・アソーカが複雑そうな顔をしているな。

そりゃあ好きな男が他の女と抱き合っていたら、心中穏やかじゃないだろう。

それに俺は中身が日本人だから、付き合ってもいない相手と抱きしめ合うなんて信じられない。

好きな女性とそんな事になったら、押し倒・・・んんんっ!

 

と、とにかく彼女に助け舟を出さなきゃな。

俺はアソーカに合図を送って、近くに呼ぶ。

そして彼らに声を掛けた。

 

「本当に良くやった。貴様らを訓練した甲斐があったというものだ」

 

俺が声を掛けると、反射的に不動の姿勢を取る三人。

 

「貴様らは、もうどこに出しても恥ずかしくない立派な兵士だ。これで俺の下からは卒業だな」

 

「コマンダー!自分らはこれからもコマンダーの下で・・・」

 

「お前たちのやることは、俺の下に居る事では無いはずだ。俺の下から離れると言う事は、もう教官と訓練生という関係ではなくなったと言う事だ。これからは一兵士として接していく事になる。良くやった、おめでとう」

 

そう言って俺は三人と握手をする。

三人だけでなく、周りにいるメンバーも涙を流して感動している。

おいアディス-?

お前、もらい泣きしてるぞー?

 

「コマンダー・タノ、貴女にも本当に感謝している」

 

そう言って、ソウがアソーカに握手を求める。

違う!

お前じゃない!

コイツは後で腕立て伏せだな。

 

「アソーカ、君には助けられてばかりだな。今度は僕が君を助ける」

 

そういってラックスがアソーカを抱きしめる。

おっと、結果オーライだったか?

ちょっとー?

アソーカさん?

お顔が真っ赤ですよー?

 

その時、ホログラムで参加していたアナキンがアソーカに声を掛ける。

 

『・・・アソーカ、注意したはずだろ?集中しろと』

 

「はいマスター、でもそれが難しくて・・・」

 

『ああ、わかる』

 

「え、本当に?レイがさっき・・・」

 

『(?)本当だ、だが感情に溺れて目的を忘れるな・・・それとレイ?』

 

え、俺?

 

「はい、将軍」

 

「・・・後で話がある」

 

「・・・イエッサー」

 

あああぁぁぁぁアソーカー余計な事をぉぉぉぉぉ!!

まあ口を滑らした俺が悪いんだけどね。

アナキンに何て言おう・・・

 




はい、お疲れさまでした。
慣れない恋愛模様なんて書くものじゃないですね。
疲れが尋常じゃないです。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第36話 取り敢えず彼女が暴走してます(王の奪還)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

明日の0600時更新分が書けていないです。
恐らく間に合わないと思うので、時間を見つけて当日中に更新します。
申し訳ない・・・

あと下記のアンケートに、ご協力をお願いします。
今後、即応予備自衛官の訓練が土日に入ってくるので、休日の更新が難しくなります。
定休日を、定休日を恵んで下さい・・・(土下寝)



現在、惑星オンダロンの王の座に就いているサンジェイ・ラッシュは反乱軍の攻撃に手を焼いており、ドゥークー伯爵へ支援を要請した。

それを了承したドゥークーは、スーパー戦術ドロイドと追加のドロイド軍団を応援に送ったのだった。

 

そして反乱軍は前国王であるラムシス・デンダップの救出を計画、市民の前で行われる公開処刑のタイミングで実行する事となった。

ちなみに助け出すのは、前国王であるデンダップとソウ・ゲレラだ。

 

え?

ゲレラはなぜ捕まっているのかって?

意気揚々と単独で救出しに行って、見事に捕縛されたのだ。

罰として助け出した後に、腕立て伏せを思う存分やらせてやる。

 

 

 

<首都イジズ 城前広場>

 

城の前では、前国王であるラムシス・デンダップの公開処刑が行われようとしていた。

俺達は群衆に紛れて、救出の機会を伺っている。

まあ、実際の救出は彼らにやらせるんだけどね。

ピンチじゃなければ、助けるつもりはない。

 

「オンダロンの民よ!汝らの前にいるこの男は、元王デンダップでは無く民衆の敵だ!テロリスト共を裏で操る卑劣な犯罪者だ!だが恐れる事は無い・・・諸君の指導者にして保護者である予が、この非道を正す!この男には、自らの命で罪を償ってもらう」

 

そうして傍に控えているIG-100マグナ・ガードが、デンダップを処刑台の前へと運んでいく。

そして今まさにデンダップが処刑されるタイミングで、反乱グループが動き出す。

スティーラがマグナ・ガードを狙撃し、ラックスがスモークグレネードを投擲する。

 

グレネードに内包された煙幕が辺りを覆い、反乱グループのメンバーはデンダップとソウを救うために行動を起こす。

 

「国王、ご一緒に来てください!」

 

「こっちです!」

 

無事に二人を助け出した彼らだったが、突然スーパー・バトルドロイドが現れて、周囲を囲まれてしまう。

 

・・・あれ?

今気が付いたけど、あそこにいるスーパー戦術ドロイドってタティスじゃね・・・?

俺からの視線に気が付いたタティスが、少しだけ頭を下げる。

やっぱりそうじゃん!

あんな所で何してんの!?

 

「おいレイ、今こんなこと言っている場合じゃないんだろうが、あそこにいるのって?」

 

あー、はい。

恐らく・・・というか100%ウチの子です。

 

「・・・ああ、アイツ何してるんだろうな」

 

うーん、寂しくなって会いに来ちゃったとか?

まあそんな理由だったら可愛いんだけど、取り合えずそこは危ないからこっちに降りてきなさーい。

 

そんな事を言っている暇に、反乱グループのメンバーが捕縛されてしまう。

その行為に市民は反抗の意思を示し、現国王に対して非難の声を挙げている。

 

「落ち着け、脅威は去った!反逆者に相応しい罰は等しく死罪、じっくり見学せよ!危険分子はこれで消える・・・」

 

今度こそダメか?

仕方ない、手を貸すか。

俺はアディス達とアイコンタクトを取り、彼らを救出しに動き出そうとしたその時、城から近衛兵とみられる部隊が現れる。

 

「やめよ!危険分子とは他ならぬ貴様のこと!」

 

そういって指揮官である将軍が、現国王を捕縛する。

周りの兵士たちもドロイドが手出しできないように、槍を突きつける。

 

ああ!

やめてください!

そこにいるのはウチの子なんです!

何かの手違いでそこにいるんです!

 

こうして前国王であるデンダップと反乱グループは、近衛兵の部隊によって無事に逃げ出すことに成功するのであった。

 

 

 

前国王を助け出し、彼の協力を得られたことにより殆どの市民は反乱グループを支持していた。

各地で住民による抗議活動が相次ぎ、ドロイド軍はその対応に追われていた。

 

そして前国王の命によりスティーラ・ゲレラが総司令官に命じられ、反乱グループと近衛兵への指揮権が与えられた。

 

「おめでとう、スティーラ」

 

そう声を掛けるのはラックス・ボンテリだ。

 

「ありがとう、ラックス」

 

すると突然、スティーラがラックスに口づけをした。

ああ、こんなシーンあったんだ。

申し訳ないが全く覚えていない。

 

「念のためにね?」

 

何が念のためなのか全くわからない。

誰か説明してください。

 

「すまないスティーラ、僕は・・・」

 

そういうとラックスは、惑星オンダロン原産の強大な翼を持つ生物、ルーピングに乗っているアソーカを見上げる。

 

「・・・そっか、良いのよ。お似合いの二人だわ」

 

うんうん。

青春だね。

アソーカもあれから、少しずつだけどアピールしていた甲斐があったね。

 

「おいレイ、アイツ等っていつからあんな雰囲気だったんだ?俺は全く気が付かなかったぜ?」

 

お前は少し空気を読んでくれ。

それに気づいていなかったのは、恐らくお前だけだと思うぞオーリーさん。

 

 

 

 

 

 

<首都イジズ 城内>

 

「民心が離れていっている・・・暴動が広がれば収集がつかなくなる」

 

城からは、町全体に暴動による煙が見える。

現王のサンジェイ・ラッシュは、この騒動を収められる策が思いつかなかった。

加えて、反乱グループが軍備を整えているが、市民による暴動の鎮圧で手一杯で兵を割く余裕は無かった。

 

「このままでは・・・もっと増援を寄越してくれ!」

 

『増援?カラーニ将軍、そなたの状況判断は?』

 

そう言うのは、ホログラムで映し出されているドゥークーだ。

あらかじめ、このスーパー戦術ドロイドが呼び出していたのだ。

 

「情報ニヨレバ、敵ハ、ガンシップノ、シールドヲ貫通スル兵器ヲ装備シテイマス。加エテ、敵ハ地ノ利ヲ生カシタ戦術ヲ用イテクルハズ、奴ラヲ打チ破ルニハ、カナリノ時間ガ掛カリマス」

 

戦うまでも無く、既にこの戦いは分離主義勢力にとって利益をもたらさないと結論付ける。

 

「うーむ、戦いの長期化は望ましくない。小さな戦い、勝利こそが奴らを勢いづかせる」

 

「デハ、負ケト決マリマシタ」

 

「残った兵を集めて軍を引き上げさせろ」

 

「では余は・・・」

 

「悪いな、バトルドロイドも安くは無い。それに其方には心底がっかりさせられた」

 

「ふざけるな!予が・・・」

 

サンジェイ・ラッシュが、そのセリフを最後まで言い終えることは無かった。

傍に待機していたコマンドー・ドロイドが、彼に向かってブラスターを発砲したのだ。

 

 

 

 

 

<山岳地帯 反乱グループ:アジト>

 

反乱グループは、分離主義勢力との戦闘に備えて準備を進めていた。

その時、俺のコムリンクに通信が入る。

 

あ、これはタティスからだな。

やっと連絡してきやがった。

敵の情報でも流してくれるのか?

 

俺は人気のない所に行き、回線を開いた。

 

「こちらレイ、タティスか?」

 

『はいマスター、ご連絡が遅れてしまい申し訳ありません』

 

「いや、良い。それと何故お前がここに居る?ボガーノを任せていただろう?」

 

『それについては、代わりの者を就かせております。性能も私と同レベルのスペックを兼ね備えているので、全く問題ないかと』

 

「ん?お前レベルと言うのはまさか・・・」

 

『はい、同じスーパー戦術ドロイドです。分離主義勢力ではカラーニ将軍と呼ばれていました。本来であれば彼がこの惑星オンダロンに部隊を引き連れてくるはずでしたが、彼の部隊を制圧後、私が代わりに来たと言う訳です』

 

えぇー?

そんな事になっているとは・・・

って言うか、以前にこれ以上ドロイドはいらないって言っておいたよな?

 

「タティス、俺は以前ドロイドは必要ないと・・・」

 

『いいえ、あの時マスターは『同じようなバトルドロイドはいらない』と仰っていました。それにあれはコルドヴァ氏へと向けた言葉で、私には一言も』

 

あれー?

俺そんな風に言ったっけ・・・?

全く覚えていない。

俺は都合が悪い事は忘れてしまう、素晴らしい能力の持ち主なのだ。

何故か自分で言っていて、悲しくなってきたな・・・

 

それにしてもおかしいな。

コイツくらい高性能なら俺が言いたいこともわかるはずだが・・・

 

「お前ほどの奴が、俺が言いたかったことがわからいとも思えない。何か理由があったのか?」

 

『・・・イエ、特ニハ』

 

コイツ急に片言になったぞ!

どういう事だ!

俺も悪いけどコイツにも原因があるだろう!

 

「・・・タティス?」

 

本当の事を言えと促す。

 

『・・・マスターは将来、この世界を統べるお方です』

 

・・・は?

 

『そのための戦力は戦艦の一つや二つでは足りません』

 

・・・え、ちょタティスさん?

 

『そう私は、マスターをこの世界の支配者にしたい!』

 

『したい!』じゃねーよ!

なに宣言しちゃってるの、このドロイドは!?

しかも俺の意見じゃなくて、ただ単にコイツの願望じゃねーか!

 

『でも安心してくださいマスター・・・』

 

お?

さすがに考え直してくれたのか?

良かった、真面目に言ってたらどうし・・・

 

『貴方にお仕えする副官は私だけ!新たに加えたスーパー戦術ドロイドは、基地内の清掃係にでも任命いたします!そう、マスターは私だけの物です!!』

 

『物です!!』じゃねーんだよ!

何だよそれ、スーパー戦術ドロイドが掃除係って基地内どんだけ綺麗になっちまう・・・じゃなくて、完全にオーバースペックだろ。

軍事的に高度な判断ができるドロイドに掃除任せるって、どんだけ危険なんだよウチの清掃は・・・

それに何故か、タティスに自分の物認定されてるんですけど。

 

もうツッコミどころ多すぎて疲れちゃった。

って言うかあれ?

軍艦の一つや二つって言った・・・?

聞き間違いだよね?

いよいよ言い訳が難しくなって来てない?

嘘だと言って・・・?

 

「と、とにかくその話は後にしよう。それで、何か重要な情報でも掴んだのか?」

 

敵の中枢に味方が入り込んでいるとはありがたい。

それに、彼女はスーパー戦術ドロイドだ。

彼女の中で最適な判断をして、情報を流してくれるはずだ。

 

『ドロイド軍は撤退の準備を始めました』

 

そうそう、撤退の準備についての情報とかね!

・・・イマ、ナント?

 

『加えて、国王の座に就いていたサンジェイ・ラッシュは死亡しました。ここでの反乱は成就したと言う訳ですね』

 

もう訳がわからん。

ツッコむのやめた。

これ、みんなになんて言えば良いんだよ・・・

 

 

 

その後偵察によって、ドロイド軍は撤退、サンジェイ・ラッシュが死亡したことが伝えられた。

しかし、何故敵は仲間割れをして、分離主義者が撤退したかは謎に包まれたままとなり、ジェダイオーダーも何かの罠ではないかと暫く疑っていたそうだ。

 

後から聞いた話だが、タティスが上手く言ってドロイド軍を撤退させるように誘導したそうだ。

 

他人事だねって?

だって何も知らないもん。

知らない事にしたし、聞かなかったことにしたんだもん。

俺は何も悪くない。

 




はい、お疲れさまでした。

タティスが暴走を始めていますが、気にしないでください。
というか作者も戸惑っています(どうしてこうなった)

あとアンケートの件お願い致します・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第37話 取り敢えず、友に・・・

俺は今ピンチに陥っている。

惑星オンダロンの一件が片付きコルサントに戻ってきたが、アソーカの恋愛相談に乗った結果、アナキンに呼び出しを食らっているのだ。

 

うーん・・・

どうしたものかね。

 

そう言えば正確な時期まではわからないが、アソーカがオーダーから去る発端になった事件がもうすぐだよな?

アナキンが暗黒面に落ちてしまう、一つの要因になったと言っても過言ではないだろう。

彼女がいれば、また違う未来があったかもしれないしな。

 

俺もそろそろ、覚悟を決めるときなのかもしれない。

だがアナキンは、議長の事を父のように慕っている。

議長が黒幕ですよって、言うだけではダメだよなぁ・・・。

 

結果論だが、パドメが出産中に死んでしまう夢を見て、その未来を変えるためにアナキンは議長の力が必要だという答えに辿り着いたんだよな?

 

それであれば、やはり俺はこの先の未来を知っていて、このままではパドメどころか、共和国を滅亡に導くことになる事を上手く伝えた方が良いのか?

 

そんな事を考えていると、アナキンに与えられているジェダイテンプル内の自室に辿り着く。

ここまでくる間に、場違い感が凄くて何度引き返そうとした事か・・・

俺はアナキンの部屋の扉をノックし、少し待つとゆっくりと扉が開かれる。

 

「レイか、時間通りだな。入ってくれ」

 

「失礼します」

 

中はそんなに広くなく、禁欲を美徳としているジェダイらしい部屋が広がって・・・いなかった。

アナキンの趣味であろう、スピーダーやファイターの雑誌や、何やら作りかけの機械やら部品やらが無造作に散らばっていた。

 

「・・・良いお部屋ですね?」

 

「どうして疑問形なんだ・・・散らかっているが、好きにくつろいでくれ。何か飲むか?」

 

「はい、頂きます」

 

特に断る理由も無いし、おもてなしを断るような無粋な真似はしない。

 

「・・・僕はあの緑茶と言うものが、あまり得意ではないんだ。知っていたか?オビ=ワンやマスター・ガリアだけでなく、マスター・ヨーダや、マスター・ムンディも、あのお茶の虜になっているらしいぞ?噂ではあのマスター・ウィンドゥまでもが・・・」

 

ええー!?

いつの間にそんな事になっていたんだ・・・

 

まあ、差し詰めオビ=ワンやアディ・ガリア辺りが広めたんだろうが・・・

って言うか虜になっているって、さらっと言っていたけどそれってジェダイ的に良いんですか?

完全に個への執着ですよね?

禁欲がうんたらに該当しませんかね?

自分の良いように解釈を捻じ曲げられる、都合の良い教えだったんですかね?

 

「自分はジェダイの本質まではわかりませんが、それはジェダイの教えから見ると、どうなんですか?」

 

「・・・僕の口からは何も言えない」

 

何も言えないって、認めたようなものじゃないですか・・・

まあ良いけどさ。

これを機にジェダイの固い頭をほぐしてください、緑茶様。

 

「そんな事を言いに、君を自室まで呼んだわけじゃない。もっと個人的な話だ」

 

まあ、そうだろうな。

わざわざ自室に呼び出すくらいだ。

個人的な話や、他の人には聞かれたくない事だろう。

 

「・・・と言いますと?」

 

「君は何を知っているんだ?」

 

これは難しい質問だ。

パドメとの関係の事を言っているのか、それとも、もっと深い話の事を言っているのか・・・

 

「将軍はどう思われているのですか?」

 

「初めてクリストフシスで君に会ってから、本当に驚かされてきた。始めはただ優秀なクローンなのかと思っていたが、君の事を知って行くにつれて、どうもそれだけじゃないような気がしてならない」

 

「将軍は、自分の事を信じてくれていますか?」

 

「当たり前だろう?僕は君の事を友だと思っている」

 

「自分もです、将軍」

 

アナキンは今では、レックスと同じくらいの信頼を向けてくれる。

そんな彼だからこそ、俺が普通のクローンとは違うという事を感じているようだ。

 

「・・・将軍はこの戦争の先に、何が待っていると思われますか?」

 

俺からの質問を受けて、そのままの言葉の意味でない事はアナキンも感じ取っているだろう。

静かに目を閉じて考え込んでいる。

 

「・・・小さい頃に夢見たジェダイと、現実のジェダイは全くと言っていいほど違うものだった」

 

アナキンはそう語りだす。

 

「困っている人がいれば颯爽と現れ、悪い奴を倒して市民を守ってくれる。そんなジェダイの偏ったイメージを持ち、いつか自分もジェダイとなって、力無き者の為に戦うんだと夢見ていた。しかし、現実は違った。古い掟に縛られ、苦しんでいる人がいるのに助けることが出来ない事も数多くあった。評議会の命令が無ければ、勝手なことが許されないからだ・・・・」

 

俺は静かにアナキンからの言葉を待つ。

 

「・・・そして僕は、最愛の母を救うことが出来なかった。救えるだけの力があったのに・・・大切は人を救えないこの力は、一体何の役に立つんだろうかと思い悩む日々だったよ。いや、今でも悩んでいる。それに僕がしてしまった事も・・・」

 

彼の母であるシミ・スカイウォーカーと、タスケンレイダーの事を言っているんだな。

彼女を失ってしまった悲しみと憎しみから、その場にいるタスケンレイダーを皆殺しにしてしまったんだ。

武器も持たず、戦うことの出来ない女、子供を含めて・・・

 

加えてパドメとの秘密の結婚も、彼に後ろめたさを感じさせている要因の一つだ。

彼には本当の意味での友人、何でも言い合える信頼した相手がいなかったことから、シディアスの甘く、正しいように聞こえる言葉に縛られてしまったんだ。

いや、正しいと聞こえるというのは間違いだな。

シディアスも、ある意味では正しい側面を持っていた。

 

彼に必要なのは、傍にいてくれて、何でも相談できる信頼に足る友人だ。

アナキンの求める友となれるかはわからないが、彼が必要としている存在になる事が俺の役割なのかもしれない。

これは、ずっと前から考えていたことだ。

今がその時なのかもしれない・・・。

 

「・・・辛かったな、アナキン」

 

急に話し方を変えた俺に驚いていた彼だったが、静かに次の言葉を待つ。

 

「何でも自分だけで抱え、それを愛する人にも相談できず、一人だけ違う世界に取り残されている、ずっとそんな感覚だったんだろう?安心して良い、俺はシミ・スカイウォーカーのこと、タスケンのこと、パドメの事も知っている。俺には何も隠さなくて良い。よく今まで一人で耐え忍んできたな、俺が傍にいてやる。もう安心して良いんだ・・・」

 

俺は話しているうちに、自然と涙を流していた。

そして徐に立ち上がり、アナキンの事を静かに抱きしめる。

ずっと驚いていたような顔をしていたアナキンだったが、もう一人じゃない、信頼できる相手がいるということを少しずつ認識してきたのか、10年以上、一人でため込んできた感情を少しずつ開放するかのように涙を流すのだった。

 




はい、お疲れさまでした。
レイは本当の意味で、アナキンの友となる道を選んだようですね。
本当はもっと気持ちの面や、語らいを書きたかったのですが変に長くなってしまうのも良くないと思い、敢えて短くしました。

大の男二人が泣きながら抱きしめ合う、酷い絵面と思う方も中にはいるかもしれませんが、そこはツッコまずに温かい目で見守ってあげてください。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第38話 取り敢えずやっと話せた

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

お待たせしてしまって申し訳ない。
今日の分の更新です。



アナキンが落ち着いた所で話を進める。

正直、滅茶苦茶動揺している。

だが、俺が知る由もない事を言い当てていくと、さすがにアナキンも信じてくれた。

 

「・・・それではこの共和国は、そのシスの暗黒卿の手中にあると言うのか?」

 

「その通りだ。クローン戦争勃発も、ここまで戦争が激化しているのも、そのシスの暗黒卿が裏で全てを操っているからだ」

 

「・・・その黒幕とは一体誰なんだ?」

 

ここまで言ってパルパティーン議長に辿り着けないとは、アナキンの彼に対する信頼は本物だな。

だが、パドメの命を救うという目的がない以上、この状況でパルパティーンを失うデメリットは特に無いはずだ。

強いて言えば、父のように慕っている相手を失うという事くらいだろう。

それもアナキンを暗黒面に落とし、自らの弟子とする目的の為なのだから、アナキンの彼に対する信頼は地に落ちるはずだ。

 

「こんな事が可能な人物は、共和国内にもそう多くない。お前ならその答えに辿り着けるはず・・・考えてみるんだ」

 

「ジェダイ評議会ではない・・・分離主義者のスパイ?・・・いや、元老院の誰か・・・?」

 

俺は敢えて自分の口からは言わずに、アナキンが自分で答えに辿り着けるようにしたい。

ただ答えるのと、自分で考えるのではアナキンの腹落ち感も変わるだろう。

 

「・・・レイ、今僕はある人物に辿り着いた。だが、そんな事があって欲しくないし、僕は彼の事を信頼している。それに彼はこの共和国の・・・」

 

「トップだ」

 

自分の考えと、俺の言葉が一致したことでアナキンは戸惑っている。

 

「議長が・・・議長がシスの暗黒卿だと言うのか?」

 

「お前がジェダイになってから、彼はとても親切にしてくれただろう。だがそれもアナキンを暗黒面に落とし、自らの弟子にする為だ。決してお前の事を思っての事じゃない。彼はシスが銀河を支配することを夢見ているし、実際にこのままだとそれは現実になってしまう」

 

「僕が・・・暗黒面に?」

 

あり得ないと思っているんだろう。

実際に、パドメを失う予知夢を見なければ実現しなかったかもしれない。

 

「アナキン、以前に母が死ぬ夢を見たことがあるだろう?」

 

「あ、ああ。その通りだ」

 

これも本来であれば、クローンが知りようもない事だけどね。

歴史を知っていると言うのは本当にずるいよな。

 

「これを伝えて良いかわからないが、この先パドメは妊娠をする。そしてお前は、彼女が出産中に死んでしまうという予知夢を見るんだ」

 

「パドメが死ぬ!?それに妊娠だって!?・・・彼女が死ぬことが原因で暗黒面に?」

 

そりゃあ、驚くよな。

 

「いや、彼女を死ぬ運命から救うための行動から、結果的に暗黒面に落ちてしまう」

 

「どういう事なんだ?」

 

近いうちに議長がグリーヴァスによって誘拐される事件が起きる事、その出来事から急速に戦争が収束に向かう事を話す。

 

「その頃に議長は自分がシス卿である事、そして自らの師はミディクロリアンに働きかけ、死を超越することが出来たとお前に明かすんだ」

 

アナキンは自分の中で、全てが繋がったようだ。

パドメを失うくらいなら、自分がその未来を変える為にどんなことでもすると・・・

 

だが、パドメは死んだ。

結果的にアナキンは全てを失ったんだ。

 

「アナキン、お前が暗黒面に落ちた事が原因でパドメは死んでしまう。結果的に全てを失ってしまうんだ」

 

「・・・しっかりとは思い出せないが、僕はそのビジョンをどこかで見た気がする」

 

そのビジョンをどこかで見た・・・?

そんな場面あったか?

 

・・・あ

あったわ。

惑星モーティスの一件で、アナキンはそのビジョンを見たんだ。

その記憶は消されているが、俺の話を聞いて少しだがその記憶が呼び起こされたのかもしれない。

 

「安心してくれ、アナキンが暗黒面に落ちなければパドメは死なないし、共和国も存続する。彼を止める事ができれば・・・な」

 

「だが、わからないんだ。いくら強力なシス卿と言っても、一人でジェダイを滅ぼせるとは思えない。それにクローンの部隊だっている」

 

あ、忘れてた。

その事を言ってなかったな。

ちゃっかりしてた。

違う、違う。

うっかりしてた。

 

俺はレックス達に話した内容と、同じことをアナキンに伝えた。

クローンが一斉に裏切ったことに驚きを隠せないようだが、同時に納得もしたようだった。

 

「レックスやファイヴス達も知っていたとはな、僕に教えてくれないなんて水臭いじゃないか?」

 

アナキンもある程度落ち着いたようで、いつもの調子を取り戻してきたようだ。

加えて、相談できる相手が出来たことによって、心にゆとりが生まれたようだ。

俺にフォースはわからないが、どことなく前より洗練された雰囲気を感じる。

 

「結果的に話したから良いだろう?それにちゃんと話すつもりだったが、タイミングが合わなかったんだ」

 

「僕が君を呼び出さなかったら、しばらく教えてくれなかっただろう?」

 

う、痛い所を突いてくるな・・・

おっしゃる通りです。

いつ言えば良いのかと、内心オドオドしていました。

 

「そ、そんなことないよ?」

 

「・・・声が裏返っているぞ?それにキャラもおかしい」

 

「これが素なんですよ、将軍」

 

「将軍なんて今更やめてくれ、もうそんな間柄じゃないだろう?」

 

「そうは言っても世間体って言うものがあります・・・まあ、二人の時は砕けた感じで良いか」

 

「ふっ、君と言う人間がわかってきた気がするよ、レイ」

 




はい、お疲れさまでした。
少し短いですが、一先ずアナキンとの話は終わりです。

明日からは今まで通り更新します。(あくまで予定)

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第39話 取り敢えず救いに行く(生きていた兵士)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

今日からまた0600時投稿が帰ってきました。
朝だからって流し読みしちゃダメなんだから!


アナキンとの一件から少し経過した現在、俺たちは単独でアウター・リム・テリトリーに存在する惑星アバファーへと向かっていた。

 

何故かって?

D分隊と、キャプテン・グレガーを救出するためです。

 

選別されたドロイドで構成されるD分隊は、共和国グランド・アーミーで優秀な戦術家と名高いミーバー・ガスコン大佐が率いており、分離主義勢力のドレッドノートから暗号解読モジュールを盗み出すという秘密任務についた。

 

この分隊は、無事に敵艦隊の保管室から暗号解読モジュールを奪取したが、撤退の際に船が損傷を負い、辺境の惑星アバファーに不時着しているはずだ。

 

歴史通りならね。

 

 

 

<スプリズン宙域 ニュー級アタックシャトル:船内>

 

「それにしても、惑星サーリッシュの生き残りがアバファーにいるなんてな。レイレイが歴史を知っていなきゃ、永遠に見つかってなかっただろうな」

 

「ああ、俺たちは参加していないが、あの戦いは共和国の歴史に残る大敗だったからな。そんな状況でも生き延びたんだ、きっと優秀な奴なんだろう」

 

「ちなみにその生き残りって誰なのよ、将軍殿?」

 

「・・・」

 

「おーい、聞いてんのか将軍?」

 

「・・・」

 

「え、なに新手のイジメなの?目の前にいるのに無視されちゃうの?将官クラスになるとそうなっちゃうの?え、わかんない怖い・・・」

 

「おいレイ、さっきからオーリーが呼んでいるぞ?」

 

ヒュメルは相変わらず元気だねー

 

・・・え、俺?

あ、そっか。

昇進したんだもんな。

将軍なんていないだろバカかって思ってたけど、バカなのは俺でした。

 

「あー、すまない。自分が将官クラスと言うのに違和感があってな。慣れるのにはまだ暫く掛かりそうだ。それで何だっけ?」

 

「今から助けに行く奴は誰なんだ、って話だ」

 

「ああ、救出するのは第212アタック・バタリオン所属のクローン・コマンドーのキャプテンだ。グレガーって名前で呼ばれていたはずだ」

 

「なるほどな、クローン・コマンドーなら生き延びても不思議じゃないな」

 

ちなみに俺はクローン・マーシャル・コマンダーに昇進した。

大体、少将くらいの階級になるかな?

 

それと同時に他の三人も漏れなく昇進し、

アディスはキャプテン(大尉)からコマンダー(中佐)へ、

ヒュメルとオーリーはレトナント(中尉)からキャプテン(大尉)になった。

みんな随分と出世しましたね。

 

俺に関しては、クローンとしては最高階級になってしまったからな。

今後、階級が上がることは無いだろう。

・・・無いよね?

 

「・・・そろそろ着くぞ」

 

お、ありがとうございますヒュメルさん。

貴方はいつもクールですね。

 

 

 

<惑星アバファー 荒野>

 

よし、無事に着いたな。

確かここにも、分離主義勢力がいるはずだ。

邪魔されても面倒だし、情報収集も含めて偵察を出した方が良いだろうな。

 

「ヒュメルとオーリーは、先に町に行って情報収集を頼む。この星にも分離主義勢力がいるはずだ、お前らなら心配ないだろうが一応気を付けてな」

 

「イエッサー」

 

「・・・」

 

ん?

何だかヒュメルが不満そうだな?

どしたの?

 

「どうしたヒュメルちゃん?早く行こうぜ♪」

 

「・・・最近コレと組むことが多い」

 

えぇー・・・

まさかの好き嫌いの問題ですか?

 

「おいヒュメル!コレって何だよ、コレって!俺は物か!?人間ですらないのか!?俺の単位は人だぞ!?・・・人だよね?」

 

どうして最後不安になっているんだよ・・・

あーもう、この期に及んでワガママ言わないでくれ・・・

お父さん疲れちゃうよ。

 

「まあ、別に俺が行っても良いぞ?俺はスナイパーだからな、偵察はお手の物だ」

 

あ、本当ですか?

助かりますアディスさん!

二人とも、ちゃんとお兄ちゃんを見習いなさいね!?

 

「よし、ならアディスとヒュメルに偵察を頼む」

 

「「イエッサー」」

 

返事をすると、すぐにジェットパックを起動して飛び去る二人。

特殊部隊らしく、行動は早いわね。

 

「じゃあ行くか、オーリー?頼むから大人しくしていてくれよ?」

 

「任せておけって、レイレイ♪」

 

・・・不安しかない。

 

 

 

<惑星アバファー ポンズ・オーラ>

 

『ボス、一つお聞きしたいことが・・・クローンって何です?』

 

あれだな。

俺達は店から出てくるグレガーと、店の店主を確認する。

 

『今日俺をクローンだと言い張る奴がいて・・・』

 

『ふん!クローンだ?クローンってのは、銀河を股にかけて戦っている勇敢な兵隊の事だ!お前がそんな風に見えるか?』

 

『・・・見えません。でも俺はどこでボスに拾われたんです?俺はどこから来たんですか?』

 

『質問はもういい!家に帰って寝ろ!』

 

あの店主は別に悪人って言う訳ではないが、グレガーが記憶を失っているのを良い事に、安月給で彼をこき使っているんだ。

 

「よし、彼の後を追うぞ・・・ん?」

 

あれ?

さっきまでオーリーがそこに居たはずなんだけど、何処に行った?

 

店の脇にある細い路地を見ると・・・見つけた。

嘘だろ、店の残飯漁ってやがる・・・

 

「・・・これはまだ食えそうだな♪」

 

「おい」

 

「!?」

 

「そうか、わかった。そんなに気に入ったなら、ここで暮らせば良い・・・達者でな」

 

「ふぉい、わってぐでお!(おい、待ってくれよ!)」

 

もう本当に手の掛かる子なんだからっ!

・・・グレガーどこ行った?

 

 

 

・・・やっと見つけた。

まあ、そんなに広い町じゃないからな。

コレと組みたがらなかった、ヒュメルの気持ちがわかったよ・・・

逆に今までよく我慢していたな。

次からは全部アディスに任せよっと(人任せ)

 

どうやら、既にD分隊がグレガーに接触しているらしいな。

丁度いい、彼らともコンタクトが取れて一石二鳥だな。

 

「クローンは手首にIDコードを埋め込まれている。それで軍歴が確認できるはずだ。R2、スキャンしろ」

 

電子音を鳴らしながら、R2がグレガーのIDをスキャンする。

 

「・・・素晴らしい。グレガー、貴様の認識番号はCC-5576-39、クローン・コマンドーと呼ばれるエリート部隊のキャプテンだ!」

 

「その通りだ、そしてお前は俺たちの兄弟だ」

 

そう言って部屋に入る俺たちを、全員が驚いた眼で見る。

全員って言っても、ドロイドに関しては良くわからんけどね。

 

「(!?)気を付け!!」

 

俺の存在に気が付いたガスコン大佐が号令を掛けるが、R2が嬉しそうに電子音を鳴らしながら寄ってくる。

 

「休め、突然邪魔して悪いな。それにR2も久しぶりだな、元気だったか?」

 

そう言いながら、俺はR2を撫でる。

埃と砂だらけだな。

もう少し我慢してくれな、後で磨いてやるから。

 

「コマンダー・レイ殿!?どうして貴方のようなお方が!?」

 

「お前たちを救出しに来た、そこのキャプテンもだ」

 

そう言って俺たちはヘルメットを取る。

 

「俺と・・・同じ顔?」

 

「バカ者!この方は何百万人といるクローンの中で、足った4人しかいない最も特別なクローン、ARCSトルーパーの隊長だ!それに階級は少将、中将クラスに相当するクローン・マーシャル・コマンダーなのだ!」

 

・・・どうしてお前が偉そうに自慢するんだ?

そんなに大した者じゃないです。

中身はただの日本人です・・・。

 

「大佐、もういい。グレガー、お前は記憶を失っているんだな?サーリッシュの戦いと聞いて何か思い出さないか?」

 

「サーリッシュ?サーリッシュ・・・そうだ、思い出したぞ!大勢の兵士が死んだんだ・・・」

 

「思い出したか?」

 

「はいコマンダー、先ほどは失礼いたしました」

 

そう言ってグレガーは立ち上がって、不動の姿勢を取る。

 

 

 

その後、俺たちは店主からグレガーの装備品を取り返し、シャトルの発着場に来ていた。

分離主義勢力はというと、上空のジェダイ・クルーザーを破壊するために、ニュー級アタックシャトルに爆発物を積み込んでいる最中だ。

実はそのクルーザーも分離主義側の手の内で、共和国艦隊に突っ込ませて自爆する気なんだけどね。

 

「アディス、準備は出来ているか?」

 

『いつでも行けるぜ、将軍殿?』

 

「将軍はやめろ」

 

先んじて偵察に出していたアディス達に、併せて破壊工作も頼んでおいたのだ。

スイッチをひと押しするだけで、綺麗な花火が見られることだろう。

だが、まずはグレガーの肩慣らしに、ここのバトルドロイドの相手をさせる。

 

「キャプテン、行けるな?」

 

「サー!もちろんです、いつでも行けます」

 

そう答えるのは、カターン級コマンドー・アーマーを装備したグレガーだ。

前から思っていたけど、この装甲服カッコイイ・・・

俺たちが装備しているのは、どちらかと言うとフェーズⅡに近いからな。

このカターン級はロマンの塊だ。

今度、グレガーに貸してもらおっと。

 

グレガーは単独で発着場に向かい、バトルドロイドと戦闘を開始する。

起伏がある地形を上手く使い、ヒット&アウェイを原則として、敵に的を絞らせないように絶えず動き回っている。

重量が20キロを超えるカターン級を装備していて、あの動きとはかなりの練度を誇っている。

 

加えて、徐々に戦闘の勘が戻ってきたのか、時間が経つにつれて動きに無駄が無くなってきている。

よく訓練されたコマンドーだな。

積込みされる爆発物も上手く使い、デストロイヤーにも対応しているのはさすがだ。

 

よし、十分だろう。

既に数十体のドロイドをスクラップにしている。

俺はグレガーに無線を入れて呼び戻す。

 

『イエッサー、直ちに戻ります』

 

 

 

その後、無事にサボタージュ(破壊工作)も成功し、俺たちはクルーザーに向かっている。

ちなみに始めは不機嫌だったヒュメルだが、盛大な花火(爆破)ができたことで、とても機嫌が良さそうです。

良かったね、ヒュメルさん。

でも、オーリーとも仲良くしてあげてね。




はい、お疲れさまでした。

無事にグレガーも助けられて良かったです。
クローン・コマンドー、カッコいいですよね。
個人的にARCよりも好みです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第40話 取り敢えず緑茶は麻薬(惨劇へのカウントダウン)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

更新できていなくて申し訳ない。
今回は緑茶回(?)です


俺達は惑星アバファーから脱出し、上空のジェダイ・クルーザーに向かっていた。

前にも少し触れたが、このヴェネター級スター・デストロイヤーは分離主義勢力の手に落ちており、中には大量のライドニウム(爆薬)が積み込まれている。

 

え?

何故かって?

奴らの目的は、カリーダ星系に位置するヴァーラー宇宙ステーションを破壊することだ。

そこでは共和国軍による戦略会議が開かれており、ジェダイ評議会のメンバーや、軍の高官が集まっている為、格好のターゲットとなっている。

 

だけど心配ご無用、もう手を打ってあるから大丈夫よ。

暇なタティスちゃんに頼んで、クルーザーを制圧しておくように言っておいたからね。

既に制圧しちゃっているかもしれないな。

 

「ん?おいレイ、前方のクルーザーがハイパースペースに入ろうとしているぞ?」

 

・・・エ?

イマ、ナント?

 

そうアディスから報告を受けた直後、例のクルーザーがハイパースペースにジャンプして、目の前から跡形も無く消えた。

 

「なんと!?ジェダイ・クルーザーが飛び去ってしまったぞ!」

 

なんかガスコン大佐が騒いでいるけど、俺も内心焦っている。

・・・どゆこと?

 

その時、コムリンクに通信が入る。

まあ、わかってはいたがタティスからだ。

俺は周りに聞こえないように回線を開く。

 

「・・・どういう事だ、タティス?何か問題が起きたのか?」

 

『いえマスター、問題なくジェダイ・クルーザーを制圧しました』

 

 

「それでは何故、ハイパースペースに入ったんだ?どこに向かっている?」

 

『・・・(ブチッ)』

 

あ!

あの野郎切りやがった!?

都合が悪くなると通信切っちゃうなんて、どんな教育受けて来たんですかね!?

親の顔が見てみたいわ!

 

恐らく・・・と言うか十中八九、いやいや十中十、ボガーノへ向かったんだろう。

もうどうしてコルドヴァといい、タティスといい俺を困らせるの?

 

誰が戦力を増強しろって頼んだんだよ・・・

普通に制圧して脱出しておけよ・・・

 

「・・・取り合えず、このままステーションに向かおう。大佐たちが取り戻した暗号解読モジュールを届けなくてはな」

 

 

 

その後俺たちはこれと言った問題も無く、宇宙ステーションへと辿り着いた。

もう一隻のクルーザーが来るはずなのに、代わりに俺たちがニュー級アタックシャトルで現れたことも驚かれたが、ガスコン大佐が自ら詳細な報告と、クルーザーが飛び立った持論を展開してくれている。

 

「・・・という訳で、ヴェネター級スター・デストロイヤーは敵の手に落ち、勝算が薄いと見るやハイパースペースに逃げ込んだという訳ですな!」

 

「・・・レイ、ガスコン大佐の報告で間違いは無いのか?」

 

「まあ、概ねは・・・恐らく・・・」

 

俺達の武勇伝が大げさに語られている事以外は、大体合っている・・・よね?

本来であれば、大量のライドニウムが積まれたクルーザーが玉砕しに来るんだからな。

知らぬが仏と言うのもです。

 

と言うか今回の一件もそうだが、アナキンって割と一歩間違えば死ぬかもしれなかった出来事って結構多いよね?

パルパル的にその辺はどう思っているんだろうか?

『まあ、大丈夫でしょ』的な感じなのかな?

だとしたら割と適当ですよね・・・

意外と抜けている所があるのかしら?

 

「マスター、彼が言うんです。間違いは無いでしょう」

 

アナキンがウィンクをしながら、助け船を出してくれる。

親友よ!!

君は本当にイケメンですね!!

 

「まあ確かにな。しかしアナキン、お前はこの戦略会議に対して不満を言うと思っていたが、随分と落ち着いているな。何かあったのか?」

 

「いえ?これも日ごろの不満を訴えられる良い機会だと思っています。いくら嘆いたところで、この戦略会議は無くならないでしょう?」

 

「・・・お前、本当にアナキンか?」

 

オビ=ワンは今更、自分の弟子の変化に気が付いたようだ。

前回の事がきっかけで、精神的にもかなり安定しているみたいだね。

今のアナキン強そう(小並感)

 

「まあ少し良い事があったのは否定しませんが・・・」

 

そう言うと意味深な瞳を俺に向けてくる。

惚れてまうやろぉぉぉぉぉ

 

「ほう?また良いお茶が手に入ったのかな?」

 

アナキンの視線の先に、俺がいる事に気が付いたオビ=ワンがそう言いう。

・・・この人は世界が緑茶を中心に回っていると思っているのかな?

 

「はい将軍、折角の機会ですし、皆さんで召し上がりながら会議するのもよろしいのでは?何か良い案が出るかもしれませんよ?」

 

「レイ、それはさすがに・・・」

 

「良い案だ、早速マスター達にも聞いてこよう」

 

さすがに評議会のメンバーから反対されると思ったアナキンだったが、二つ返事でオビ=ワンが他のジェダイに聞いてくると言ったことに驚いていた。

かなり食い気味だったな・・・

 

その後、会議に参加する評議会のメンバーが満場一致で許可を出し、緑茶を待っていられなくなったマスター・ヨーダが催促に来るという珍事案が発生した。

しかも誰もそのことを批判せず、緑茶なら仕方ないだろと、さぞ当たり前かのように受け入れていた為、アナキンは違う意味でジェダイの将来を不安に思ったらしい。

 

 

 

「うむ、実に有意義な会議であったな」

 

「ええ、コマンダー・レイが発見したこの緑茶と言う物・・・我々ジェダイとの相性が良いようです。心が落ち着き、フォースと深く繋がることが出来る」

 

ムンディとウィンドゥがそんな事を言っているけど、緑茶にそんな効果あるの?

発見したと言うか、ただ単に俺が飲みたかっただけなんだけど・・・

 

「おいレイ、あの飲み物に何を入れた?」

 

「ああ、いつもはお堅い将軍らがあんなにも穏やかな顔をしていると・・・」

 

「気味が悪いってか?まあ、ネーオの気持ちもわからんでもないがな」

 

そう小声で話しかけてくるのは、クローン・コマンダーのウォルフ、ネーオ、バカーラの三人だ。

戦力会議に参加していた為、いつもと違う将軍の姿を見ていたのだ。

 

ちなみに、コイツ等とも多くの戦場で共に戦っている。

著名なクローンで面識のない奴はもう殆どいないかもな。

 

「ああ、お前らか・・・そうは言ってもな、本当に何も入れてないんだぞ?あれは『ただのお茶』だ。ウィンドゥ将軍が言うように、ジェダイの身体と相性が良いんじゃないか?」

 

俺の言葉にどうも納得がいってないようだ。

解せぬ・・・

 

知らねーよ!

勝手に飲んで、勝手にハマったのはあの人たちだからね!?

だって本当にただのお茶なんだもん・・・

 

・・・本当にただのお茶なんだよね?

急に不安になってきた。

 

あれ?

そう言えばグレガーが放置されている気がするけど・・・

まあ良いか。

 




はい、お疲れさまでした。

緑茶パワー大活躍でしたね。
え?
緑茶ネタしつこい?
・・・自重します。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第41話 取り敢えずその服を寄越せ(歪みゆく惑星:前半)

前回の一件で俺たちにコクピットを切り離され、宇宙空間を漂流して瀕死の状態に陥っていたモールとオプレスは、デスウォッチに救出され、犯罪者集団を巻き込む形で同盟を結び、勢力を拡大して行った。

 

そして、サティーン侯爵の新マンダロリアン政権に不満を持つデスウォッチの首領、プレ・ヴィズラはモール達の協力もあり、マンダロアを手中に収める事に成功した。

 

同時にプレ・ヴィズラは目的を果たしたことにより、用済みとなったモール達を投獄、惑星マンダロアを我が物にすることに成功する。

だがその栄光も長くは続かなった。

 

難なく脱獄に成功したモールはマンダロアの元首相アルメクを従え、プレ・ヴィズラに一騎打ちの決闘を申し込み、見事彼を打ち破ってデスウォッチの新しい首領の座に就いた。

 

しかし、よそ者が首領の座に就く事を良しとしないボ=カターン・クライズ率いるナイト・アウルが反旗を翻し、逃亡、サティーン侯爵を助け出し、ジェダイ評議会へと救援を求めたのだった。

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂:通信室>

 

マスター・ヨーダとマスター・ムンディから、オビ=ワンは呼び出しを受けていた。

 

「お呼びですか?」

 

『オビ=ワン・ケノービへ、緊急。マンダロアが侵略を受けました。アルメクが首相に復帰し、多くの犠牲が出ております。詳しい説明はできませんが、アルメクの背後には犯罪者集団がいて、その援助を受けています。オビ=ワン、助けてください・・・』

 

ホログラムにはサティーン侯爵が映し出されており、最後にはデスウォッチに捕らえられる所で通信が終わっていた。

 

「どう思う、マスター・ケノービ?考えを聞かせてくれるかの?」

 

「サティーンとデスウォッチの確執は何年も前から・・・しかし、アソーカからの報告によれば、デスウォッチと分離主義者の関係は既に切れています。もしマンダロアが侵略を受けたとなれば、デスウォッチ単独での犯行とみて良いかと・・・」

 

オビ=ワンがサティーンとデスウォッチとの関係性、そして信頼しているパダワンからの報告から導き出せる考えを二人のマスターに伝える。

 

「分離主義者が関与していないとすると、これはマンダロア人同士の内戦と言う事になる。本来であれば助ける事はできない」

 

「マンダロアを犯罪者集団の手に委ね、サティーンを見殺しにしろと仰るのですか?」

 

「そうは言わないが、彼女が中立を宣言している事が事態を悪くしているのだ」

 

「・・・気持ちは良くわかるぞ、オビ=ワン。だが行動する前には元老院からの承認が必要なのじゃ」

 

現在、共和国と分離主義者は戦争状態にあり、中立を宣言している国に対しては援助が出来ないと言うのだ。

勿論、他国の内戦に関与するなど元老院が許可を出すはずがない。

 

「元老院の答えはわかっております。中立星系の援軍は認められません」

 

「その通りだ。だが、本来我々ジェダイは平和の守護者・・・罪も無い人々が傷つくのを黙って見ている事も出来ない」

 

そう言うのはムンディだ。

 

「うーむ、難しい問題じゃ・・・本当であれば、ワシらには何もできる事が無いのが現状じゃが・・・」

 

「良いのか悪いのか、今の共和国軍には制約無く独自に行動できる部隊がある」

 

「その部隊が『偶然』ある星の内乱に『巻き込まれた』となれば、良い訳も出来よう。その部隊と一緒に行動しているジェダイの騎士がいたとしてもな、うん?」

 

二人のジェダイ・マスターは記録に残すことは出来ないが、実質マンダロアの救援を承認したのだ。

最悪、一人でもサティーンを助けに行こうと考えていたオビ=ワンは内心驚いていた。

まさか、表向きでは無いにしろ評議会が内戦に介入することを認めたのだ。

 

「・・・私は少々用事を思い出しました。しばらくこのコルサントから離れます」

 

「うむ、それは大変じゃ。急ぎ向かうが良い」

 

「はいマスター」

 

 

 

 

 

<惑星マンダロア トワイライト船内>

 

俺はオビ=ワンに同行して、現在マンダロアに降り立とうとしている。

他のメンバーはどうしたのかって?

この任務は出来るだけ少数の方が良いと判断されて、今回は俺だけだ。

 

たまにはこう言うのも悪くない。

四六時中アイツらと一緒だからな。

普段のありがたみも薄れてきてしまうから、時々距離を開けるのも良いのさ。

夫婦仲と一緒だ。

まあ、結婚した事無いんですけど・・・。

 

「ケノービ将軍、着陸態勢に入ります」

 

現在、オビ=ワンはラコ・ハーディーンの服を身に纏っている。

俺もさすがにARCSトルーパー・アーマーを着込んでくるわけにはいかなった為、賞金稼ぎ風の服装をしている。

オビ=ワン曰く、『顔はジャンゴ・フェットだから違和感がない』だそうだ。

ワイルドだろうぉ~?

 

船を着陸させると、一人のスーパー・コマンドーが近づいてくる。

 

「着陸許可証は?」

 

「ああ、船の中だ。一緒に来てくれ」

 

オビ=ワンがそう言うと、船に入ったタイミングで俺が背後から気絶させる。

 

『おーい、誰か来てくれ』

 

船内から外にいるもう一人のスーパー・コマンドーを呼び出して、先ほどと同じように気絶させる。

どこかで見たな、この絵・・・

 

こうして、二人分のアーマーを手に入れた俺たちは意気揚々とサティーンを救出に向かうのだった。

 

 

 

<惑星マンダロア 刑務所:監獄エリア>

 

その後、特に問題も無くサティーンが捕らえられている独房まで辿り着きロックを解除する。

 

「・・・今度は何を命じられてきたのです?」

 

「自分の意思で来たんだ」

 

「オビ=ワン!?」

 

サティーンはヘルメットを外したオビ=ワンの顔を見るや、強く彼を抱きしめる。

おお~、情熱的ですね。

オビ=ワンもまんざらでもないんですよね?

 

俺からのニヤニヤ顔の視線に気が付いたオビ=ワンが慌てて言い訳する。

 

「違うんだレイ、これは決してそういう訳では・・・」

 

「自分は何も言っていませんよ?随分と仲が良さそうだなぁ~と思っただけです」

 

「いやだから・・・」

 

「この方はどなたですか、オビ=ワン?」

 

「あ、ああ。彼はコマンダー・レイ、共和国軍でもっとも優秀な兵士の1人で、私が信頼しているクローン・トルーパーだ。今回、君の救出に力を貸してくれる」

 

「お初にお目にかかります。共和国軍中央即応部隊のコマンダー・レイと申します」

 

時間も無いので、簡単に自己紹介をする。

 

「貴方が信頼しているだけあって、真摯な方みたいね?それに貴方とコマンダー・レイが来てくださったと言う事は、ジェダイ評議会が救援要請を受け入れてくれたと言う事ですか?」

 

「いや、表向きにはジェダイ評議会も元老院も救援要請は承認していない。だが彼は少し変わった権限を持っていてね。派手に動くことは出来ないが、今回のようなイレギュラーな事案にも対応することが出来たんだ」

 

「将軍、時間がありません。積もる話はこの後にでも・・・」

 

「ああ、そうだな。まずはこの辛気臭い所から脱出しよう」

 




はい、お疲れさまでした。

オビ=ワン髭があるのもカッコいいですけど、
やっぱり綺麗に剃っている方が良いですよね?

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第42話 取り敢えずヒロイン候補登場?(歪みゆく惑星:後編)

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

アンケートご協力ありがとうございました。
一位
『ええよん、身体に気を付けて!(神)』
二位
『知らんわ、勝手にすれば?(ツンデレ)』
三位
『は?寝言は寝てから言えよ(興奮)』
という結果でした。

前回に引き続きツンデレな方が多いですね~(誉め言葉)
優しい方々ばかりで本当にありがたいです。
既に忙しい時などは投稿できていませんが、気長にお付き合いください。

三位に投稿した方は、作者を興奮させようとしているエッチな方々ですよね?
わかります。



「・・・将軍、見回りが来たようです」

 

「ああ、そのようだ。頼めるか?」

 

「お安い御用です」

 

ARCSの他のメンバーがそれぞれ特技を持っているため普段はあまり目立たないが、トータルで見れば基礎的な能力は俺が一番高い。

目立たない事を気にしてるわけではない、決して!!

 

俺は見張りに後ろから近づき、膝の裏を軽く蹴ってバランスを崩させて、アーマーの隙間がある首を一気に締め上げる。

脳へ渡るはずの血液が止まったことで、彼は意識を失った。

ちなみに首を絞めた気絶のさせ方も色んな方法がある。

数秒間だけ意識を飛ばさせたりね。

まあ、専門的な話は置いておいて・・・

 

コイツの背格好ならサティーンもアーマーを着られるはずだ。

わざわざ姿を見せながら、敵の中を歩き回るのはおバカさんのやる事だからな。

・・・別に原作のオビ=ワンを卑下しているわけじゃないよ?

 

「制圧完了です将軍、これなら侯爵も問題なく着られるはずです」

 

「致し方ありませんね、緊急事態です」

 

良かった、駄々こねられたらどうしようかと心配しましたよ。

 

 

 

あれから何人かのスーパー・コマンドーとすれ違ったが、いちいち話しかけられることも無く、スピーダーに乗って船まで移動していた。

その時、俺は誰かに付けられている事に気が付き、不安要素を排除することに決めた。

 

「将軍、どうやら我々のファンがいるようです。先ほどから付けられています」

 

「ああ、どうやらそのようだな」

 

「将軍は侯爵を、奴らは自分が対処します」

 

俺は建物の影に入ってスピーダーから下車し、ストーカーが過ぎ去るのを待ってから、背面のジェットパックを起動させる。

どうやら俺が背後にいる事は気づかれていないようだ。

 

だがアイツら俺たちを尾行してはくるが、特に妨害をしてくるというのは無いんだよな・・・

何が目的なんだ?

正直、ここら辺の歴史はサティーンが殺される事くらいしか覚えていない。

それ位覚えておけって?

 

すまぬ・・・

 

戦闘を想定していないのか、人数は二人だ。

簡単に片が付くだろう。

 

俺はアーマーに備えられているウィップコード発射装置を起動して、相手の身体に巻き付けて建物と連結する。

特に何をしてくるわけでもないからな。

取り合えず殺さずに無力化だ。

 

仲間が急に消えたことで周りを確認するもう一人だが、既に俺は姿を消している。

そして背後から近づき、相手を拘束する。

 

ん?

女・・・か?

 

「何者だ?何故後を付ける?」

 

目的を探るためには気絶させる訳にはいかないからな。

 

「(!?)いつの間に・・・もう一人いたのか?」

 

「いや俺だけだぞ?そんな事より質問に答えろ」

 

そう言って少し、拘束を強める。

どうやら、動きについて来られなかったようで、俺の他にもう一人敵がいたと勘違いしたようだ。

 

「ひ、一人だと?・・・私はボ=カターン、アルメク達の敵さ」

 

ん?

ボ=カターンって、確かデスウォッチの一員でサティーン侯爵の妹だったか?

 

「あんたらはサティーン侯爵を助けに来たんでしょ?私は味方だ」

 

「ふざけるな、お前デスウォッチの一員だろ?」

 

「違う!今まではそうだったが、このままではマンダロアはよそ者のモールに支配されてしまう!私とナイト・アウルはそんな事は許さない!頼む、力を貸してほしい」

 

モール?

・・・思い出してきたぞ。

確かサティーンを殺したのはモールだったな。

奴が今この星にいて、実権を握ったと言う事か。

 

そう言えば彼女は、ジェダイ・オーダーから去ったアソーカと協力して、モールからこの星を取り戻そうとしていたな。

なら彼女の言葉には嘘はないだろう。

 

「・・・わかった、信じよう。君にも信念があり、信じる物の為に戦っているようだからな」

 

「・・・腕は立つのに、随分と簡単に人を信じるんだな?」

 

そう言って俺は拘束を解き、解放された彼女はヘルメットを外す。

 

「綺麗・・・んっんん!!お、思ったより女性みたいな顔ですね?」

 

「えっ?・・・と言うか私は『みたい』じゃなくて女性ですけど?」

 

まずいまずい、想像していたよりずっと綺麗だったから素が出てしまった。

彼女も心なしか戸惑っているような・・・

・・・変な空気になっちゃったな。

 

「・・・と、取り合えず彼を助けよう、建物に拘束して来てしまったからな」

 

「・・・わかったわ」

 

 

 

その後オビ=ワン達と合流し、久しぶりの姉妹の再会シーンとなっていた。

 

「随分久しぶりだこと。どうしてこちらの側に?」

 

「敵の敵は味方ってこと、良くある話よ」

 

「お互いが敵ではない時代があった。今はその頃に戻れたのかしら?」

 

理由はどうあれ、姉妹が仲直り出来たのなら良かった。

さあ、問題はここからだ。

恐らく、侯爵の脱獄は既に知れ渡っているだろう。

そんな状況で、不審な船をチェックしないはずがない。

今回のケースで言うと、俺たちが乗ってきたトワイライトがそれに該当する。

 

まあ、間違いなく撃ち落とされるだろうな。

正攻法では逃げられない。

どうするのが最善か・・・

 

「将軍、侯爵の脱獄は知れ渡り、恐らく港も警戒されているでしょう」

 

「そうだな、このまま行っては捕まえてくださいと言っているようなものだ」

 

「それなら心配ない。我々の一派が大規模な襲撃を計画している。その混乱に紛れれば、貴方達は逃げられるはずよ」

 

なるほど、それなら何とかなりそうだ。

しかし、味方の被害もかなり出るだろう。

 

「ボ=カターン、これからの戦いに備えて、今は戦力を温存したいはずだ。出来るだけ損害が出ないように守りに徹し、我々が脱出したら君たちもすぐに退却した方が良い」

 

「随分とお優しいわね?でも確かにそうね。共和国に戻り、ここの現状をして」

 

「だがそれでは、共和国軍がマンダロアに進駐することになるぞ?」

 

「ええ、だけどそれでモールは死に、マンダロアが生き残ることが出来る。姉が中立を撤回して共和国に加われば、まだ道は残されている!」

 

ボ=カターンの話を聞いて、サティーン侯爵は複雑な表情をしている。

今まで彼女が唱えてきた、目指してきた国が崩壊に向かっているのだ。

無理もないだろう。

 

だが、状況が状況だ。

そうも言ってられないし、国民があっての国なのだ。

今このマンダロアには、共和国の援助が必要な状況なのは間違いない。

 

それに正直な所、このマンダロアが共和国に加わってもすぐに軍が進駐するとは考えにくい。

冷たい言い方になってしまうが、分離主義者の関与が認められない以上、この星に軍を置くこと対する軍事的なメリットは無いし、正直そんな余裕も無い。

 

軍を維持すると言うのは、想像よりも莫大な資金が必要になる。

置いてください、はいわかりましたと言うほど簡単な話では無いのだ。

 

「ボ=カターン、時間が掛かってしまうかもしれないが、必ず援軍に駆け付ける。だからしばらくは、来たるべき戦いに備えて準備を進めていて欲しい。それまでは生き残ることが最優先だ」

 

「わかったわ、そう言えば貴方の名前を聞いていなかったわね?」

 

「レイだ」

 

「レイ・・・安心して、貴方にリベンジするまでは死ぬつもりはないわ」

 

何故か、オビ=ワンとサティーンがニヤニヤ顔でこちらを見てくる。

何ですか!?

別にそんなんじゃないですからね!?

 

 

 

 

 

<コムルク級ファイター 船内>

 

ボ=カターンらの陽動作戦のお陰で、オビ=ワン、サティーンと共に惑星マンダロアを脱出し、現在コルサントに向かっている。

 

「君も隅に置けないな?」

 

徐にオビ=ワンが話しかけてきた。

 

「何がです将軍?彼女はリベンジすると物騒な事を言っているんですよ?」

 

「私は別に彼女の事を言ったつもりはなかったんだが・・・そうか、君はあのボ=カターンという娘が気になるのか?」

 

この野郎・・・

何なんだよ、おやじみたいな事言いやがって・・・

 

「オビ=ワン、下品ですよ?それに若い方々の恋路を邪魔するのは年長者の役目ではありません」

 

あのー

侯爵も俺をサポートするような事を言っておきながら、全く出来ていないですからね?

 

別にそんなつもりは無いんですけど・・・

俺の好みはもっとお淑やかで、旦那の帰りを楽しみに待っていてくれるような人なんだ!!

 

・・・そうだよね?

 




はい、お疲れさまでした。

ちょっとレイが不憫に感じてしまい、思い付きでヒロイン候補の登場です。
決して、どこかのメンヘラドロイドがヒロインではないので悪しからず・・・

しかし、いまいちボ=カターンのキャラが定まっていないので、おかしな所があったら言って下さい。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第43話 取り敢えず何とかする(爆破犯を追え&真実の行方)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

いよいよ聖堂爆破事件に入ります。
今回は長めなので、お時間ある時にゆっくりとご覧ください。



分離主義勢力によってケイト・ニモイディアが侵略を受けたことで、俺たちはジェダイ評議会の命令で援軍に向かった。

しかしその最中、再びジェダイ評議会から連絡を受け、アナキンとアソーカは急ぎコルサントに戻るようにと命令が下った。

 

ジェダイ聖堂で爆発が起き、その犯人を見つけ出して欲しいという内容だった。

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ評議会>

 

「分離主義勢力はどうやって聖堂内に入り込んだのですか?」

 

そう聞くのはアナキンだ。

しかし、評議員らは顔を見合わせるばかりで中々答えようとしない。

何か裏があるようだと、アナキンは感じていた。

 

「・・・もっと事態は深刻なのじゃ」

 

「マスター・ヨーダ、それはどういう事です?」

 

アソーカも何か感じ取ったようで、グランド・マスターに疑問を投げかけるが、代わりにマスター・ウィンドゥが答える。

 

「外からではなく、聖堂内に犯人がいる可能性を視野に入れて捜査する。犯人はジェダイかもしれない・・・」

 

「ジェダイであれば、その者は暗黒面に落ちたと言う事じゃ」

 

「お前たちがメインで捜査に当たれ、ここにいた者は信用できない・・・ジェダイでもな。お前たちなら、公正な立場から捜査ができる」

 

爆破事件が起きた頃にコルサントから遠く離れていたアナキンとアソーカなら、公正な立場から捜査に当たれるという理由からの選出だった。

 

「全力を尽くします」

 

「くれぐれも慎重にな、スカイウォーカー。聖堂の破壊を企む輩じゃ、捕まらない為に手を尽くすはずじゃ」

 

「こちらも犯人を捕まえるために、あらゆる手を尽くします」

 

 

 

その後の調査で、ナノ・ドロイドを使った爆破だと言う事が判明、爆破の犯人がジェダイだと言う噂が流れ、ジェダイに対する市民や世論の反発が激しくなっていた。

多くの市民や整備士、クローンが犠牲になった事がジェダイに対する反発に拍車を掛けていたのだ。

 

さらなる調査が進められ、ジャッカー・ボウマーニという整備士が犯人候補に挙がり、彼を中心とした捜査が行われた。

ジャッカー・ボウマーニの妻、レッタ・ターモンドにも任意で事情聴取を行ったが、「夫はジェダイ聖堂で仕事を得るためにとてつもない苦労をした。彼はジェダイの為に働けることを誇りに思っていた」と話すだけで、有力な情報は得られなかった。

 

そんな矢先、分析ドロイドのルソーISCからジャッカー・ボウマーニが見つかったという報告を受けたアナキンとアソーカは、分析ドロイドが指定した場所に向かった。

 

「彼はどこだ?ここは死体安置所じゃないか!」

 

「はい、彼の一部ならここに」

 

「冗談を言っている場合ではないんだぞ?」

 

「冗談ではありませんマスター・ジェダイ、これが残されたジャッカーの一部です」

 

そう言う分析ドロイドが示す先には、ジャッカーの物と思われる『手』が置かれていた。

 

「・・・奴の『手』か?」

 

「残りの肉体は爆発が原因で吹き飛びました。」

 

「それって爆弾の直ぐ近くにいたから?」

 

「いえ、近くではなく彼自身が爆弾だったからです」

 

アソーカの疑問に感情無く事実を述べる分析ドロイドだったが、その事実は簡単に話せるような生易しいものではなかった。

 

「我々が探し求めていた爆発の正体、ナノ・ドロイドが彼の血液中から発見されました」

 

「謎は深まるばかりだな。問題はこのナノ・ドロイドをジャッカー自らが体内に入れたのか、それとも別の誰かに仕込まれたのか・・・この爆破事件、簡単にはいきそうもないな」

 

 

 

アナキンとアソーカはジャッカーの自宅を捜索し、そこで彼の食事に大量のナノ・ドロイドが含まれている事を突き止めた。

その事実から、何者かがジャッカーに食事を通してナノ・ドロイドを摂取させたのだと推測した。

 

その時、帰宅したジャッカーの妻、レッタ・ターモンドが現れたが逃走、最終的に彼女を追い詰める事に成功し、爆破事件に関わっている事を自供した為、ジェダイ聖堂に連行したのだった。

 

 

 

 

 

<惑星コルサント上空 ニュー級アタックシャトル船内>

 

俺達はケイト・ニモイディアの一件が一段落した為、アナキンの捜査に協力するためにコルサントへ戻ってきていた。

 

「思ったより時間が掛かってしまったな。スカイウォーカー将軍は聖堂爆破事件を解決しただろうか?」

 

「いやアディス、この件はもっと根が深い。そう簡単には解決しない」

 

「レイレイ、今回の犯人って誰なんだ?まさか本当にジェダイが犯人とは言わないよな?」

 

「そのまさかだ。犯人はアソーカの友人でもあるパダワン・バリス・オフィーだ。彼女はこの戦争にジェダイが深く関わり、戦士としての役割を担っている事にずっと疑問を感じていたようだ。そしてジェダイ・オーダーが有るべき姿を見失っていると考えた彼女は、結果的にダークサイドに堕ちたんだ」

 

ある意味では、彼女もこの戦争の被害者だと言っても良い。

だがそれが、罪も無い人々の命を奪っても良いと言う理由にはならない。

 

しかもオフィーは、友人であるアソーカに協力するフリをして、彼女を真犯人に仕立て上げた。

そしてこの事件がきっかけで、アソーカはジェダイ・オーダーを信頼することが出来なくなり、結果的にオーダーから去って行ったんだ。

 

アナキンの為にも、アソーカ自身の為にも、この事件を速やかに解決しなくてはならない。

 

「ほへー、あのお嬢ちゃんがなー。確かに平和を愛する女の子って感じがしてたけど、結果的に大勢の命を奪っているんだから世話ないわな」

 

「ああ、その通りだ。仮にジェダイが本来の道を逸れてしまったからと言って、今回の事件が正当化される訳ではない」

 

二人の言う通りだな。

とにかく、アソーカを真犯人候補にするわけにはいかない。

 

「・・・降りるぞ」

 

あ、了解ですヒュメルさん。

 

 

 

 

 

事件の容疑者であるレッタ・ターモンドが、ジェダイ評議会から共和国軍の管轄に移ったことで、その身柄はコルサントの共和国軍基地に移送された。

共和国軍管轄となった理由としては、クローンが犠牲になった事や、犯人候補がジェダイでなく民間人であるという理由からだった。

平和の守護者であるジェダイには、民間人を裁く権限は無いのだ。

 

時を同じくして、アソーカもこの軍基地を訪れていた。

容疑者のレッタ・ターモンドが、アソーカと話したがっていると言うのだ。

 

<惑星コルサント 共和国軍基地>

 

「あ、レイー!みんなー!ケイト・ニモイディアは片付いたんだ?」

 

あれはアソーカだな。

どうやらレッタ・ターモンドから話を聞くために、この基地を訪れたようだ。

本当はアナキンと先に話をしたかったのだが、時間的に間に合わず、この軍基地に直行したのだ。

 

「ああ、一段落したからな。俺たちの力は必要ない。君は爆破事件関連でここに?」

 

知っていますけどね。

一応聞いただけです。

 

「うんそうなの。レイ達はどうしてここに?」

 

「俺たちも爆破事件絡みだ。良ければ同行しても?」

 

「もちろん良いわよ!ゴーストが一緒なら心強いわ♪」

 

 

 

<共和国軍基地 刑務所>

 

『何か御用ですか?』

 

刑務所の区画に入ると、管理者のコマンダー・フォックスが問いかけてくる。

 

「コマンダー・タノよ、レッタ・ターモンドの面会に来たの」

 

「それとARCSトルーパーのコマンダー・レイだ」

 

「これはコマンダー、お久しぶりです。先日の爆破事件では多くの仲間が亡くなりました・・・よしスキャンしろ」

 

そう言ってフォックスは俺たちに対してスキャンを開始する。

 

「お手間を取らせて申し訳ありませんが、武器と通信機器はこちらで預からせて頂きます」

 

俺は指示通りにDC-17ハンド・ブラスター二丁、DC-15Sブラスターとコムリンクを、アソーカは二振りのライトセーバーとコムリンクを預けた。

 

個人的な話だが、俺は大型の武器よりも取り回しや信頼性に優れた武器が好みです。

そう言えば、初めの頃はこの世界の個人携行用火器の装弾数に驚いたものだ。

DC-17ハンド・ブラスターで50発、DC-15Sブラスターに関しては500発の装弾数を誇るからな。

 

自衛隊の主力小銃、89式小銃の装弾数は30発、弾倉(マガジン)によっては20発だから、6~7つの弾倉を持ち歩いたって、合計で200発程度だ。

しかも一つの弾倉で重さが約500gになるから、まあまあの重量になる。

 

今は本当に恵まれているよ・・・

殆ど、弾倉交換(マグチェンジ)しなくても良いんだもん。

タクティカルリロードとか、コンバットリロードとか頑張って訓練してたのになぁ。

あ、ゴメンなさい。

どうでもよかったですね。

興味ある方は調べてみてね?

・・・俺は誰に話しているんだ。

 

そう言えば最近グレガーが使っている所を見て、クローン・コマンドーのDC-17mブラスター・ライフルが気になっている。

大きくないし、連射性能も高くて中々良さそうなんだよなぁ。

今度借りてみよっと!

 

「ご協力感謝します、それではこちらにどうぞ」

 

そうして俺とアソーカは、フォックスとその部下数人に連れられてレッタ・ターモンドの下まで案内された。

 

「私に何の用なの?」

 

「万が一助けが必要になったら、アンタを呼べと言われてたの」

 

そう言ってレッタ・ターモンドはアソーカの背後に目を移す。

どうらや二人で話をしたいようだな。

 

「コマンダー、三人にしてくれる?」

 

「・・・そっちのクローンも出て行ってくれる?」

 

なんだその言い方、傷つくな。

 

「悪いが、アソーカを一人にはさせない。俺がここに残るのが嫌だと言うなら、俺たちはこのまま帰らせてもらう。勿論貴様は死ぬまで檻の中だ」

 

「ちょっとレイ、私は大丈夫よ?民間人一人にどうこうされると思うの?」

 

そう言って胸を張るアソーカ。

しかし、そういう問題では無いのだ。

歴史では、二人になったところでバリス・オフィーがレッタ・ターモンドの首をフォースで絞めて殺害してしまう。

その実行犯として、アソーカは拘束されてしまうからな。

 

「ダメだ」

 

普段、割と穏やかな俺が強めに言ったことでアソーカが折れてくれる。

彼女なりに、何かを感じ取ったのかもしれない。

 

「・・・わかったわ。という訳で私と話したかったら彼もここに残るわ」

 

「・・・」

 

不満げながらも彼女は頷いて了承する。

 

「時間がないのよレッタ、胸に何かを秘めているなら洗いざらい全部話して頂戴」

 

「・・・ナノ・ドロイドを夫に食べさせたのは、私のアイディアじゃない」

 

「どうして今更そんな事を言うの?最初から全部話せばいいじゃない!」

 

「命が危なくなったからよ!アンタに真実を話しておかないと、黒幕に殺される・・・」

 

「黒幕って?」

 

「ジェダイさ・・・ジェダイがナノ・ドロイド爆弾の作り方を教えてくれた」

 

どうしてジェダイがそんな事をするのかとアソーカが尋ねると、ジェダイ・オーダーが以前と変わってしまったと考える市民が多いのだとレッタは答える。

平和の守護者であるジェダイは戦争好きになり、殺戮兵器に成り下がったと・・・。

そして現状のオーダーに不満を持ったジェダイが、警告を発するためにこの爆破事件を仕組んだのだという。

 

馬鹿馬鹿しい。

当の本人が人殺しや破壊を辞さないのであれば、そいつが言う殺戮兵器とやらと同じじゃないか。

ただ自分の行動を正当化しているだけだ。

 

「・・・それは誰なの?そのジェダイって?」

 

「私を守ってくれるなら話す・・・私はハメられたんだ!」

 

「レッタ、事件の背後にいるのは誰なの?」

 

「それは、バ・・・」

 

彼女がそれを言い終わることは無かった。

彼女はフォース・チョークによって気道が締め上げられ、話すことはおろか呼吸することさえ儘(まま)ならない。

 

始まったな。

俺はあらかじめ、通気口や床下、天井裏にそれぞれアディス、ヒュメル、オーリーを潜ませていたのだ。

犯人(バリス・オフィー)が動き出すのを待って・・・

 

『レイレイ、当たりだ!』

 

そう言うのは天井裏に潜んでいたオーリーだな。

そして異常を確認したフォックスが、部下を引き連れてこちらに向かってくる。

 

『っ!こうも狭いと・・・うわぁっ!』

 

ライトセーバーの起動音と共に、オーリの悲鳴が響き渡る。

 

「オーリー!?おいフォックス、天井裏だ!トルーパーを回せ!!」

 

「イエッサー!野郎共、続け!!」

 

犯人は逃走したようだが、レッタ・ターモンドはその場に倒れている。

くそ!死んだか?

 

俺は急ぎ、天井裏に向かう。

そして見つけたのは、左腕を肩から切断されて気絶しているオーリーの変わり果てた姿だった・・・。

 




はい、お疲れ様です。

バリスは中々の戦略家ですよね。
共和国やオーダーが腐ってなければ、良いマスターになったはずですが・・・

でもみんなのアイドル、アソーカ嬢をハメたのは許せないですよね!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第44話 取り敢えず追跡する(真実の行方&逃亡者アソーカ)

最悪だ。

 

オーリーは片腕を丸ごと失う重傷を負い、結局犯人には逃げられてしまった。

レッタ・ターモンドは何とか命を失わずに済んだが、昏睡状態に陥ってしまっていつ目を覚ますかわからない状態だ。

 

極めつけはレッタ・ターモンドがフォース・チョークによって昏睡状態になった事で、その場にいたジェダイ、アソーカが重要参考人として一時的に拘留されてしまった。

不幸中の幸いだが、オーリーがライトセーバーによって重傷を負ったことで、その場にジェダイと思われる真犯人が居た証拠となり、アソーカの拘留は任意の事情聴取という意味合いが強かった。

 

<惑星コルサント 共和国軍基地:刑務所区画>

 

「それで、オーリーの容体はどうなんだ?」

 

「損傷部が熱で塞がっていたから死ぬことは無いだろうが、重傷なのは変わりないな。急ぎカミーノに搬送された」

 

「僕もその場にいれば、犯人を捕まえる事が出来たかもしれないのに・・・」

 

「別にお前のせいじゃないさアナキン、それにこれは俺の失態だ。オーリーには本当に悪い事をしてしまった」

 

「そう言えば、今回の黒幕は一体誰なんだ?君なら知っているんだろう?」

 

「ああ、もちろんだ。だけどその話はアソーカの件が片付いてからの方が良いだろう」

 

俺とアナキンはアソーカに面会する為、再び軍基地の刑務所区画を訪れていた。

 

「コマンダー・フォックス、アソーカの面会に来た。通してくれ」

 

「スカイウォーカー将軍、申し訳ありませんがターキン提督から誰も通すなとの命令です」

 

「彼女は犯人ではないとわかっているだろう?良いから早く通すんだ・・・」

 

「申し訳ありませんが、管轄が軍に移った事で提督の命令が優先されます」

 

アナキンは静かに、怒りの感情を沸き上がらせていた。

こういう時は俺の出番だな。

 

「アナキン、大丈夫だ。俺に任せてくれ」

 

小声でアナキンにそう言って、落ち着けと伝えるため彼の肩に手を置く。

アナキンは俺と目を合わせると、静かに頷いてくれる。

 

「コマンダー、俺は階級で言うと提督と同クラスだ。加えてARCSに与えられている権限によって俺の命令が優先される。命令を確認したか?」

 

フォックスは少し考える素振りを見せる。

 

「イエッサー、現在ターキン提督がコマンダー・タノに事情聴取をされています。終わるまでお待ちになりますか?」

 

そう話していると、ターキンに連れられてアソーカがこちらに向かってくる。

 

「あ、マスター!レイー!」

 

「これは、これはスカイウォーカー将軍にコマンダー・レイ、お揃いでどうされましたかな?」

 

ターキンがいつもの調子で声を掛けてくる。

優秀なのは認めているが、俺はコイツが苦手だ。

 

「・・・ターキン提督、僕のパダワンへの面会を禁じたのはどういう理由からだ?」

 

「特に深い意味はありませんよ将軍?たまには若い娘とゆっくりと話をしたかっただけです。軍属という立場から、中々そう言う機会にも恵まれない」

 

「大丈夫か、アソーカ?」

 

「全然平気よ、任意の事情聴取だって知っているでしょ?それよりも、オーリーの容体は?」

 

「ああ、重傷だが命に別状はない。今は治療のためにカミーノへ向かっている」

 

アソーカは問題なく解放されたことだし、後は奴を捕まえるだけだな。

既にアディスとヒュメルには、いつでも動けるように命じてある。

 

「マスター、犯人はライトセーバーを・・・」

 

「その話は後だ。取り合えず、落ち着ける場所へ移動しよう」

 

「フォックス、少し落ち着いた場所で話をしたいんだが、空いている部屋はあるか?」

 

「はいコマンダー、ご案内します」

 

 

 

 

 

コマンダー・フォックスに連れられた三人は、長い時間部屋で話し合いをしていた。

そしてしばらく経った後、揉み合うような音と、叫び声によってその静寂は破られた。

 

アソーカが逃亡したのだ。

 

「アソーカ待て!!」

 

アナキンの静止を聞かずに、突き進むアソーカ。

特徴的な赤い装甲服を身に纏ったコルサント・ガードがアソーカの前に立ち塞がるが、彼女の攻撃によって次々に倒されてしまう。

 

「こちらレイ、コマンダー・タノが逃亡した。繰り返す、コマンダー・タノが逃亡した。武器をスタンモードに切り替えて拘束しろ。絶対に殺すなよ」

 

俺はコムリンクを起動させ、オープンチャンネルで周囲の兵士に呼びかける。

 

「コマンダー、どうして彼女は逃亡を?」

 

この騒ぎの原因が知りたいのか、フォックスが俺に状況を問いかけてくる。

 

「スカイウォーカー将軍と一緒に状況確認を行っていたんだが・・・何か理由があるはずだ。絶対に捕まえろ」

 

「イエッサー」

 

 

 

 

 

<ジェダイ評議会室>

 

アソーカがコルサントの暗黒街へ逃亡したことで、今回の爆破事件に彼女が何らかの形で関わっていると考えた評議会は、アナキンから詳しい話を聞くために会議を開いていた。

 

「スカイウォーカー、パダワン・タノに逃げられる前に逃走を防ぐ方法は無かったのか?」

 

「いえマスター・ムンディ、とにかく突然の事だったので自分も驚いています」

 

「今回の逃亡によって、評議会はアソーカ有罪説に傾いておる。もちろんお主は違うんじゃろ?」

 

「アソーカは爆破事件も、レッタ・ターモンド殺害未遂についても関係はないと考えております」

 

その頃、評議会のすぐ外ではフードを深くかぶった人影が聞き耳を立てていた。

 

「パダワンの逃亡先は暗黒街です。見つけるのは困難を極めるでしょう」

 

「うむ、マスター・ウィンドゥの言う事はもっともじゃ。アソーカ逮捕は精鋭部隊が行うべきじゃの。スカイウォーカーとコマンダー・レイの部隊が協力して逮捕に向かうのじゃ」

 

そして、必要な情報が手に入った人影は、周りに悟られないように静かにその姿をくらますのだった。

 

 

 

 

 

<惑星コルサント 暗黒街>

 

アソーカは一人、暗黒街を彷徨っていた。

そして、親友であるバリス・オフィーに連絡を取るのだった。

 

「バリス聞こえる?アソーカよ?」

 

『アソーカ、無事で良かったです。今はどこに?』

 

「場所は言えないけど、敵の罠に嵌ったみたい」

 

『ジェダイのコムリンクを使うのは危険です。何か別の通信手段を確保してください。こちらでも、貴女の力になれる方法を探しておきます』

 

「了解、また連絡するね」

 

そしてアソーカは一人、通信手段を求めて再び暗黒街を彷徨うのであった。

 

 

 

 

 

<暗黒街上空 LAAT/iガンシップ船内>

 

俺達はアソーカ逮捕の為、コルサントの暗黒街に来ていた。

こんなにも文明が発達しているのに、市民への福利厚生や生活環境の確保、治安維持など最低限の暮らしに必要な事が疎かになっているのが驚きだ。

元老院も上ばかり見ていないで、下に目を向けるべきだな。

これでは、共和国を脱退する国が増えても仕方のないように感じる。

 

「キャプテン、本当にコマンダー・タノがあの爆破テロを起こしたんですか?自分には信じられません」

 

そうレックスに問いかけるのはARCトルーパーのヘヴィーだ。

長い間、戦場を共に戦ってきた彼女がそんな事をするとは到底思えなかった。

 

「もちろん何かの間違いさヘヴィー、俺たちが疑っていたら誰がコマンダーを信じるんだ?」

 

「ファイヴスの言う通り、コマンダーがそんな事するはずがない。それを証明するためにも早く彼女を見つけるんだ」

 

その時、下方のデッキに二人の人影を確認する。

アソーカとヴェントレスだろうな。

ここまでは歴史通りに行っているって事だな。

 

「プローブを出せ、二人を見つけるんだ」

 

二人を発見、追跡させるために、球体型の無人偵察ドローンを展開する。

ここまでは予定通りだな。

俺はアナキンと目を合わせて、頷き合うのだった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第45話 取り敢えず許さない(逃亡者アソーカ&ジェダイの過ち)

<惑星コルサント 暗黒街レベル1312>

 

「素敵な所に住んでいるんだね。本当、アンタにお似合いの場所」

 

「コルサントの誰もが、地表の贅沢なお寺に住めるわけじゃないのさ」

 

「・・・私もここに慣れなきゃね」

 

そう話すのは逃亡中のアソーカと、現在彼女に協力しているヴェントレスだ。

ヴェントレスがアソーカの無実の訴えを弁護し、代わりにアソーカが元老院にヴェントレスの恩赦を嘆願するという理由で、一時的に協力関係を築いている。

 

その時、アソーカは道端に公衆用の通信端末を見つける。

 

「バリス、私よ」

 

『アソーカ、大丈夫?心配してたのよ?』

 

バリス・オフィーは本当に心配している様子で彼女に問い掛ける。

 

「ええ、何とかね・・・アナキンとクローン達に捕まりそうになったけど」

 

『無事で安心したわ。実は手掛かりを見つけたの』

 

「手掛かり?それって何なの?」

 

バリスが言うのは、アソーカの現在地から三階上に兵器工場の跡地があるそうだ。

その跡地には、レッタ・ターモンドがナノ・ドロイドの受け渡しなどに使っていた倉庫があるそうで、そこに向かえとの内容だった。

 

「どうやってそんな事を知ったの?」

 

『言ったでしょ、調べてみるって。気を付けてねアソーカ』

 

 

 

 

 

プローブからの通信が入り、アソーカの現在地と目的地が判明した。

どうやら歴史通り、兵器工場跡地に向かうようだな。

 

「アナキン、彼女は兵器工場跡地に向かうようだ」

 

「よし、なら僕たちもすぐに向かおう」

 

ちなみに今回のチームメンバーは、俺の身の上を知っている奴らだけだからアナキンに気軽に話しかけている。

 

一応メンバーを言っておくと、

ゴーストのアディス、ヒュメル

第501大隊所属のレックス、ファイヴス、ヘヴィー、カタップ

加えて、先日救出したクローン・コマンドーのグレガーだ。

 

グレガーに関しては、オーリーが抜けた穴を埋めてもらうために臨時で来てもらった。

彼が率いた分隊はサーリッシュの戦いで全滅している為、現在は配置換えとなって第501大隊所属となっている。

 

グレガーにも俺の身の上を話してあるし、それに対して非常に強力的だ。

加えて命の恩人だと言って、俺の事を慕ってくれるし本当に良い奴だ。

 

ちなみにここにいる連中は全員、頭の中にある行動抑制チップは取り除いてある。

何かあってからじゃ遅いからな。

タップの一件もあるし、念の為だ。

 

 

 

 

 

<暗黒街 兵器工場跡地>

 

「ここがそうだよ。こっちの役割は果たしたし、ここから先は一人でやりな。目的の物が見つかると良いね・・・それと私の弁護を忘れんじゃないよ?」

 

「わかってる。ここまで本当にありがとう」

 

「一時(いっとき)でもお前と手を組むことになるなんてね。本当、最近はおかしな事ばかりだよ」

 

そう言ってヴェントレスは去って行った。

共和国に出頭する前にやることがあるようだ。

アソーカがその姿を見送ると、バリスが言う手掛かりを探し始める。

 

 

 

工場跡地を回っていたその時、アソーカの背後からヴェントレスと思われる人影が突然襲い掛かってくる。

咄嗟にライトセーバーで防ぐアソーカだったが、相手は暗黒面の力も使っており防戦一方となってしまう。

 

その時、周囲に隠れていたアナキン率いるクローンの特殊部隊が現れる。

 

「動くな!もう逃げられないぞ!」

 

「アソーカ、大丈夫だったか?」

 

「うん、マスター。それにしてもアイツ・・・」

 

突然俺たちが現れたことで驚いている暗殺者だったが、周囲を特殊部隊に囲まれている為、逃亡の方法を考えているようだった。

 

捕まるわけにはいかないと考えた暗殺者は、正面突破を決めたようだ。

だが向かった先が悪かった。

速やかに【ベルセルク】を起動したヒュメルが暗殺者を蹴り飛ばす。

ヒュメルの急加速に反応できなかった暗殺者は、まともに攻撃を受けて勢いよく壁に叩き付けられた。

 

さらにヒュメルは一瞬で暗殺者の下に急加速し、その加速が付与された拳を腹部に捻じ込む。

フォースで強化した身体でも耐えられないほどの攻撃に、暗殺者は地面をのたうち回っている。

 

「・・・もういいヒュメル、そいつを拘束しろ」

 

俺は暗殺者に冷たい眼を向けながら、命令を下す。

オーリーがやられた事で、俺たちは腸が煮えくり返る思いを抑えて捜索していたんだ。

殺してしまう訳にはいかない。

 

ヒュメルが暗殺者の身に着けている仮面を強引に剥がすと、そこにはアソーカの親友であるバリス・オフィーの顔が現れる。

 

「バリス・・・」

 

「なぜ!?どうして彼らは貴女を捕まえないの!?皆さん!このアソーカは聖堂爆破事件の犯人ですよ!?それに重要参考人のレッタ・ターモンドも殺害しています!」

 

バリス・オフィーはこの期に及んでアソーカが犯人だと言う。

この状況は俺たちが仕組んだ茶番だと言う事も知らずに・・・

 

「どうして君が、レッタ・ターモンドが死亡したと知っている?あの事件が起きた段階で速やかに箝口令を敷いた。君が知る由もない事だ」

 

「マスター・スカイウォーカー・・・」

 

「それに貴様は勘違いをしている。レッタ・ターモンドは死んでいない。それに先ほど、彼女が意識を取り戻したと報告があった」

 

この女は既に詰んでいる。

レッタ・ターモンドの証言と、この状況からではもはや言い逃れは出来ない。

 

ジェダイ評議会に引き渡せば、この事件は解決だ。

亡くなってしまった人は戻ってこないが、犯人の逮捕で少しは遺族の無念を晴らせたなら良いのだが・・・

 

 

 

 

 

<ジェダイ聖堂 評議会室>

 

犯人がジェダイであった為、バリス・オフィーはジェダイ評議会に引き渡された。

 

「本当に犯人が現れるとはな・・・アナキン、アソーカ、君たちのお陰で、次の被害が出る前に彼女を捕らえることが出来た。礼を言う」

 

「「ありがとうございます、マスター・ウィンドゥ」」

 

「どういう事なの!?アソーカが刑務所から脱獄したことで、貴方達評議会はアソーカ犯人説に傾いていたはずでしょ!?」

 

「正確には違うの、あの段階では既にアソーカは囚人では無かった。ターキン提督が事情聴取の為に送り込まれたと勘違いしたようじゃが、あれは釈放の手続きをする為じゃ」

 

「それに、貴様が評議会の外で聞き耳を立てている事もわかっていた。その場で捕らえても、『たまたまその場にいただけ』と言い逃れが出来たことから、わざと泳がすことにしたのだ」

 

そう話すのは、マスター・ヨーダとマスター・ムンディだ。

 

「・・・それではアソーカが騒ぎを起こして逃げ出したように見せたのは、貴方たちが真犯人を誘き出す作戦だったって事ね」

 

「お前は我々の仕組んだ罠にまんまと引っかかったと言う訳だ」

 

「それじゃあ、ヴェントレスが接触してくることも想定していたと言うの?」

 

「ヴェントレスが現れたのは想定外だったが、自分の逃亡がさらに説得力のある物へと肉付けができると考えたアソーカの機転によるものだ」

 

マスター・ウィンドゥがバリスの疑問に答え、それを引き継ぐ形でアナキンが今回の作戦の内容を話し始める。

 

アソーカが軍刑務所でレッタ・ターモンドと接触していた時に、ライトセーバーを使う第三者がその場にいた段階で、評議会はアソーカが犯人だとは考えていなかった。

しかし、犯人がアソーカに罪を擦り付けようとしていたことは明白で、それを利用し、評議会は大きな芝居を打つことにした。

アソーカが評議会や、軍関係者に疑われていると言う事を犯人に思わせるために、ターキン提督を刑務所に向かわせ、その後脱走したように見せたのだ。

そして、バリスが事態の詳細を知るために評議会の外で聞き耳を立てている事も利用した。

 

「後は君が知っている通りだ」

 

「ねえバリス!どうしてこんな事を?私たち、親友だったじゃない!」

 

「・・・戦争の責任の一端が、ジェダイにある事を国民に広く知らしめる為よ。長い戦いの中で、私たちジェダイは本来の姿を失いました。裁かれるべきはジェダイ・オーダーに所属する全員なのです!私が聖堂を爆破したのは、堕落した貴方達ジェダイへの警告です!」

 

「理由はどうあれ君は暗黒面に堕ち、本来守るべき民と仲間を殺した。許される事では無い。バリス・オフィーの共和国反乱容疑を認め、ジェダイ・オーダーからの除名、追放と決する」

 

「パダワンとしての任を解き、共和国軍における階級、その他特権を剥奪する。身柄は共和国法廷に引き渡される」

 

マスター・ウィンドゥと、マスター・ムンディがジェダイ評議会としての判決を言い渡す。

その後、バリス・オフィーはジェダイ・テンプル・ガードに連れられて、共和国法廷に身柄を引き渡されるのだった。

 

 

「マスター・スカイウォーカー、パダワン・タノ、暫し待て」

 

一礼をして評議会から下がろうとするアナキンとアソーカを、マスター・ヨーダが引き止める。

そして、マスター・ティンとマスター・ムンディがアソーカに話し始める。

 

「バリス・オフィーを逮捕する過程で、君が見せた強さと反発心は類まれなものだ」

 

「まさにジェダイ・ナイトに相応しい資質を見せたのだ。今までの実績を含めて、君はより高位のジェダイであることを証明した」

 

「パダワン・タノ、これよりお主はパダワン見習いを卒業し、評議会に与えられた権限により『ナイト』の称号を与える」

 

「加えて弟子を優れた騎士に育て上げたことや、マスターに相応しい活躍や類まれな能力、さらに最近のお前の洗練されたジェダイとしての資質を考慮し、スカイウォーカーには「マスター」の称号を与えると共に、ジェダイ評議会の一員と認める」

 

アナキンはジェダイ・マスターの称号と同時に、評議会のメンバーに、アソーカは一人前のジェダイであるジェダイ・ナイトの称号を獲得したのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

アナキンはマスターへ、アソーカはナイトへの昇格おめでとうございます。
今後の活躍が楽しみです!

バリス大活躍でしたね。
アナキン達の成長の糧となりました。
本当にありがとうございました。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章(クローン・ウォーズ:ドラマ後編)
第46話 取り敢えずお見舞い


皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

久しぶりの投稿になっちゃって、すんません。
あと、今回少し短いですが、すんません。

え?
謝罪に誠意が足りない?
・・・すんません。



<ニュー級アタックシャトル船内>

 

「何はともあれ、聖堂爆破事件が解決して本当に良かったな。歴史だと彼女はオーダーから去ってしまうんだろう?」

 

「ああ・・・」

 

歴史でも犯人はバリスだと判明したが、それまではアソーカが犯人だと決めつけられた事、元老院との関係に配慮した評議会に見限られ、今まで自分の家族だと思っていた連中に見捨てられた事を話した。

 

「結局、バリス・オフィーが犯人と判明した後も、正式な謝罪をしたのはアナキンと、プロ将軍だけだった・・・他のマスター連中はアソーカが乗り越えるべき試練だったと言ってな。その過程で彼女はジェダイを信用できなくなってしまって、自分の意思でオーダーから去ったんだ」

 

アソーカがオーダーに残っていれば、アナキンの悲しい未来を回避できていたかもしれない。

彼女の脱退により、アナキンが精神的に不安定になったのは言うまでもないだろう。

 

「なるほどな・・・今のジェダイはともかく、歴史通りのジェダイは相当な頑固者だったんだな。だが、どうして今のジェダイは多少なりとも柔軟な考えや、対応が出来るんだろうな?何か心当たりはあるのか?」

 

「・・・いや、悪いが全く身に覚えが無い」

 

そう言えばオビ=ワンを始め、どうして評議会の連中は柔らかくなったんだ?

全く心当たりがない。

まさか、緑茶の効果って訳でも無いだろうし・・・

 

・・・まさかね?

 

「・・・着いたぞ」

 

あ、いつもありがとうございます。

最近は今までに増して、口数が少ないですね?

何かあったのでしょうか?

クールでモテそうですね!

 

「・・・」

 

何故かヒュメルに睨まれた。

解せぬ・・・

 

 

 

<惑星カミーノ メディカルセンター>

 

「コマンダー・レイ、お久しぶりですね。カミーノで候補生の教官をする気になったのかしら?」

 

「ご冗談を、自分に隠遁生活は早すぎます。本日はオーリーの容体を見に来たんです」

 

そう話すのは、マスター・シャク・ティだ。

教官の件は冗談じゃなかったのか?

前はそのうち良いかもと思っていたが、今の段階では正直やる気はしないな。

だって永遠に新兵の教育なんてつまらないじゃないか。

俺はボガーノで温泉を掘り当てて、悠々自適な生活を送るのが夢なんだ。

 

え?

初めて聞いた?

だって今思いついたんだもん。

 

「そう、残念ね。貴方ならきっと良い指導者になるのに・・・後進の育成も長としての役割ですよ?」

 

「教官ならコマンダー・アディスの方が向いています。彼は非常に面倒見が良いですから」

 

「おい、どさくさに紛れて俺に押し付けるなよ」

 

そう言ってアディスが小突いてくる。

この中で言ったら、間違いなくアディスが一番向いているだろう。

ねえ皆さん?

 

「ふふふ、相変わらず仲が良いのね。大丈夫よ、もしその時が来たら皆さんにはそれぞれの特技を担当してもらうから」

 

えぇー?

引退してからもコイツ等と一緒は勘弁してくれ・・・

俺はボ=カ・・・んんっん!!

な、何でもないよ?

 

ん?

俺のコムリンクが反応している。

・・・これはボガーノにいるタティスからだな。

ちょっと待って、怖いんですけど。

取り合えず無視しておこう。

うん、それが良い。

 

 

 

<ティポカシティー メディカルセンター>

 

「おーい、オーリー?見舞いに来てやったぞー?」

 

「あ、どうした皆揃って?寂しくなって俺に会いに来たのか?やっぱり俺が居ないとダメかぁ~。そうだよな、俺がいなかったらこのチームの実力は半分も発揮できないよな。待ってろ、早く元気になって部隊に復帰・・・」

 

左腕を生体移植されたオーリーが、思いのほか元気そうに答えてくれる。

俺たちは一般的な生命体と違って、同一人物(ジャンゴ・フェット)の遺伝子情報から作られている事から、生体移植による拒絶反応が存在しない。

医学的な面からも、非常に優れた生命体であると言っても良い。

 

「いや、グレガーがお前の代わりを務めてくれているからな。別にこのまま引退しても良いんだぜ?」

 

「アディスの言う通りだ。丁度ついさっき、ティ将軍から『残って教官をしてくれないか?』とお誘いがあってな。俺の方からオーリーを推薦しておくぞ?達者でやれよな」

 

「・・・あばよ」

 

そう言って俺たちは洗練された動作で、回れ右をしてその場から立ち去ろうとする。

水面下で計画していたオーダー・9090とは違う形になってしまったが、ようやくゴミ捨てをすることが出来た。

長年の詰まりが解消できて、非常に清々しい気分だ。

やはり、ストレスは元から断ち切るのが一番だな、うん。

 

「ちょ、何言ってるの?痛い思いして、リハビリを頑張っている兄弟に言うセリフですかね!?ねー、冗談だよね?オーリー捨てられたりしないよね?痛い、心が痛い・・・おーい、ヒュメルちゃーん?俺が居なくて寂しいでしょ?話し相手が居なくなっちゃうでしょ?お前、ただでさえ口数少ないのに・・・」

 

「・・・(シャキーン)」

 

「(!?)何する気!?やめて!折角腕付いたのに、また切断されちゃうの?やだ、この腕気に入ってるの!お願いだから・・・ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

何はともあれオーリーが元気そうで良かったです。

クローンの特性から、アナキンのように機械の腕にすることもなく済んだしね。

ただ、その代わりリハビリに時間が掛かるようだな。

まあ、しばらくは療養してもらう事にしましょうか。

 

後から聞いた話だが、オーリーは代わりに機械の腕を付けてくれと懇願したらしい。

主治医が何故かと聞くと『カッコいいし、あの三人に自慢できるから♪』と答えたそうだ。

それを聞いた主治医は強めの麻酔を撃ち込み、問答無用でクローンの腕を生体移植したらしい。

 

生身の腕を移植できるのに、わざわざ機械の腕を欲しがるなんてドМ具合がインフレ起こしているな・・・

見方によってはデフレ・・・?

誰か教えてください。

 

「・・・まあとにかく、暫くは安静にしていろ。元通り動かせるには時間が掛かるんだろう?」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!・・・え?ああ、そうだな。リハビリは時間が掛かりそうだ。でもかなり痛いからな。それだけが唯一の救いだぜ」

 

「そうだな、痛いだろうが頑張って・・・あれ?」

 

コイツは救いようのないマゾっ子ちゃんですわ・・・。

 




はい、お疲れさまでした。
とにかくオーリーさん元気そうで良かったです。

こんな話を書いて欲しいとかご要望がありましたら、感想かメッセージで送って下さい。
検討させて頂きます。
(書くとは言ってない)

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第47話 取り敢えずタイミングが大切(未知の症状)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

久々の更新で申し訳ない・・・
いよいよ、タップの行動抑制チップ誤作動事件に入ります。

そんな名前だったかって?
今初めて言いました…


惑星カミーノへ来たのは、何もオーリーの様子を見に来ただけではない。

惑星リンゴ・ヴィンダの軌道を囲む、分離主義者に制圧されたリング型宇宙ステーションを奪還する為の招集が掛かり、現在戦闘状態なのだ。

 

どういう事かと言うと、この任務で第501大隊所属のタップがジェダイ・マスターのティプラーを殺害してしまう。

これは何度か話題に出ているが、タップの頭の中にある行動抑制チップが誤作動を起こし、オーダー66が発令される事なくジェダイ抹殺を始めてしまった事件だ。

 

この事件が原因でタップは死亡、真相を明らかにしようとしたファイヴスも謀殺されてしまう。

だがこの事件を利用し、上手く立ち回ればパルパティーンの企みを防ぐことが出来るかもしれない。

 

いよいよ戦争も最終局面に入ってきた。

これからの行動が、この先の運命を左右することは間違いないだろう。

 

 

 

 

 

<惑星リンゴ・ヴィンダ軌道 リング型宇宙ステーション内部>

 

この宇宙ステーションは本来共和国に属しているが、現在はトレンチ提督率いる独立星系連合軍によって制圧されている。

 

「安心するのは早い、まだ勝ったわけじゃないからな」

 

「マスター、トレンチ提督が応援を呼んでいるみたいだから、到着前に指令センターを抑えないとだよ?」

 

「ああ、すぐに第二段階に移ろう」

 

そう話すのはジェダイ・マスターのアナキン・スカイウォーカーと、ジェダイ・ナイトのアソーカ・タノだ。

皆、疲弊しているが時間との勝負だ。

休んでいる訳にはいかなかった。

 

「あ、レイー!ヒュメルー!こっち、こっち!」

 

「スカイウォーカー将軍、遅くなって申し訳ありません」

 

ステーション外での戦闘が激しくて、やっとの思いで合流できた。

そう言えば、騎士になったからアソーカの事を将軍って呼ばなきゃいけないのか?

妹のような存在だから複雑な気分・・・

 

「レイ、ヒュメル、よく来てくれた。君たちが居てくれれば心強い」

 

「兄弟、久しぶりだな」

 

「ありがとうございますスカイウォーカー将軍、それにレックスも・・・現在の戦況をお聞きしても?」

 

「もちろんだ。残すところ指令センターを抑える事が出来れば良いんだが、相手はトレンチ提督だから気が抜けない。それにトレンチが援軍を呼んでいるから時間との勝負になる」

 

タップの行動抑制チップが、誤作動を起こす前に合流出来て良かった。

後は上手くやるだけだな。

 

「繰り返しになるが作戦は第二段階に移る。ティプラーは左側の通路から、ティプリーは右側からだ。ドロイド軍が二手に分かれたら、僕とアソーカが中央の通路を突破する」

 

「タイミングを合わせれば、同時に合流して一気に敵を叩けるって訳ね。やるじゃんマスター♪」

 

騎士になってもアソーカは相変わらずのようだな。

まあ急に大人になった訳でも無いし、そんなすぐに変わるものでもないか。

 

「通路を行くなら援護が必要です。部下たちは消耗しています」

 

そう進言するのはコマンダー・ドゥームだ。

彼は双子のジェダイ・マスターに仕えているクローン・コマンダーだ。

部下が疲弊している事をしっかりと把握し、臆することなく上官に進言した所を見ても優秀な士官なんだろうな。

 

え?

知り合いじゃないのかって?

いえ、初めて会いました。

どうも初めまして。

よろしくね?

 

僕はレイレイ!

ギューって抱きしめて?

 

んっんん!

同じディズニーだからセーフだよね?

 

「将軍、ヒュメルを援護に就かせます。併せて少数の精鋭を同行させるのは如何でしょう?」

 

俺は心の中でふざけていた事は顔に出さずに進言する。

ポーカーフェイス!

レディー・ガ○風

 

え?

これはアウト?

・・・聞かなかった事にして下さい。

 

「よし、ファイヴス以下ARCトルーパーとタップ、グレガーはコマンダー・ドゥームの援護に回ってくれ」

 

「「「「「イエッサー」」」」」

 

こうして作戦会議は終わり、各自それぞれの持ち場に就いて行った。

 

「アナキン、アソーカ、少し良いか?」

 

俺は彼らにしか聞こえないように声を掛ける。

素の俺を出している事から、パルパティーン絡みだと理解してくれたようだ。

 

「どうしたんだ、レイ?何か問題か?」

 

「この作戦は上手く行き、無事に指令センターで合流できるんだが・・・」

 

「その後に問題?」

 

「ああ。タップの頭にある行動抑制チップが誤作動を起こして、ティプラー将軍を射殺してしまうんだ。混乱した我が方は撤退を余儀なくされる」

 

それに伴い、ファイヴスが死んでしまう事など一連の歴史を簡潔に話した。

 

「彼の様子がおかしかったのは、その事が原因か・・・」

 

アナキンは彼の変化に気が付いていたようだ。

さすがはマスターの称号を授けられただけの事はあるな、うん。

はい、すみません。

何様だよって話ですよね。

 

「それじゃあ、今のうちに彼の事を拘束しておくの?」

 

「いや、危険だが彼がティプラー将軍を殺そうとする所を確保したい」

 

事を起こす前に捕まえてしまうよりも、言い方は悪いがその場で捕まえた方が後々に有利に働くだろう。

加えて、この出来事をトレンチに悟られる前に拘束しないとな・・・

 

「混乱に乗じて俺がトレンチを捕まえる。二人には邪魔が入らないように、出来るだけ多くのドロイドを引き付けてもらいたい」

 

二人とも頷いて了承してくれる。

ファイヴス達には、取り合えず言わないでいた方が良いかもしれない。

彼らがタップの事を気にしてしまって、戦闘に集中出来ないと言うのも問題だからな。

申し訳ないが、事後報告で許してもらおう。

 

 

 

そうして俺たちは三つのルートからの進撃を開始、無事に他のグループと合流することに成功する。

 

うわぁ・・・

凄い数のバトルドロイドだな。

こんな時、アディスの【アイギス】があれば便利なのに・・・

 

まあ、無いものを言っても仕方ない。

それに歴史にはいなかったアソーカを始め、俺やヒュメル、ARCトルーパーではヘヴィーとカタップ、クローン・コマンドーのグレガーまでいるんだ。

 

こちらの快進撃は止まらない。

明らかに共和国側が優勢だな。

 

「ヒュメル、さっき言った通りだ。タップが妙な動きをしたらすぐに止めてくれ」

 

「・・・わかった」

 

俺は周りに聞こえないよう、ヒュメルに指示を出す。

彼に任せておけば万が一にも間違いは無いだろう。

 

「おいレイ、腕は落ちていないだろうな?」

 

「抜かせ!お前こそ、スカイウォーカー将軍に任せっきりで鈍っているんじゃないのか?」

 

レックスと軽口を叩き合う。

それにしても元々精鋭ぞろいだった501大隊だが、ARCトルーパー四人に加えてコマンドーのグレガーまでいるんだからな。

トルーパーだけの戦力で言ったら、銀河で最強の大隊かもしれない。

末恐ろしい・・・。

 

「退くな!前進しろ!」

 

「こりゃあ、ハードなケースだぜ!」

 

「おいハードケース、前に出過ぎるな!」

 

「今のアイツに言っても耳を貸すもんか、来いカタップ!二人でヤツを援護するぞ!」

 

元ドミノ分隊の連中も、今では一流の兵士だな。

ファイヴスは一般のトルーパーを鼓舞し、カタップは周りを気遣う余裕があって、ヘヴィーは皆をまとめるのが非常に上手い。

俺もうかうかしていると、アイツらに抜かれてしまうな。

 

そして俺たちの快進撃は続き、もう少しで敵軍を突破できるという所まで来ていた。

その時、ヘルメットを外しゆらゆらとティプラーに近づくタップの姿を確認する。

 

タップがブラスターを発砲しようとする姿に、周りのクローンが気づくまで拘束は控えろとヒュメルにはあらかじめ伝えてある。

 

「ジェダイ・・・優秀な兵士は命令に従う」

 

「おいタップ!」

 

「何しているんだ!」

 

「ティプラー、危ない!!」

 

双子の姉妹であるティプリーが叫び、タップが引き金を引く直前、専用兵器である【ベルセルク】を起動したヒュメルがタップのブラスターを蹴り飛ばした。

その銃口から遅れて撃ち出された光弾は、ステーションの壁に弾痕を残し、混乱しているタップをヒュメルが気絶させる。

 

「攻撃の手を緩めるな、前進しろ!」

 

その後アナキンからの指示により共和国側は進軍を続け、俺はジェットパックを起動して指令センターに突入する。

 

数体のバトルドロイドとスーパー戦術ドロイドが居たが、俺は突入と同時に試作型の対ドロイド用スタングレネードを投げ込み、DC-17ハンド・ブラスター二丁で素早く指令センターを制圧することに成功する。

 

この試作型のグレネードは、ドロイドの視覚センサーを一時的に麻痺させる効果が期待でき、今のような限定された空間に突入する際に重宝する。

 

「トレンチ提督、お前には聞きたいことがある。大人しく捕まるんだな」

 

しかし大人しく捕まるトレンチではないようで、義手に備え付けられたアームランチャーを起動する。

俺はすぐさま高周波ダガーを取り出してトレンチの義手を切断、拘束する。

 

「くそっ、クローン一人に制圧されるとは・・・」

 

「良いから大人しくしていろ、これ以上痛い思いをしたくなかったらな」

 

コイツには先の戦闘で行方不明になった、エコーの事をいろいろと聞かなければならない。

この騒動が落ち着いたら助けに行くからな。

もう少し辛抱してくれ・・・。

 




はい、お疲れさまでした。
更新が遅れている事を重ねてお詫び申し上げます。

でも本当に忙しいんだよ?
え?
甘えるな?
優しくしてぇぇぇぇぇぇ


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第48話 取り敢えずカミーノへ(未知の症状&陰謀)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

遅れてしまって申し訳ない。

2020年12月4日1745時に投稿してから、表現を少し修正しました。
物語に影響はないので、気になる方だけご覧下さい。


<ヴェネター級スター・デストロイヤー 船内>

 

リング型宇宙ステーションを奪還し、トレンチ提督逮捕に成功した俺たちはクルーザーに戻ってきていた。

 

「どういう事なんです?何故クローンが私を殺そうと?」

 

「・・・詳しい検査が必要だな。彼をカミーノへ送る必要がある」

 

「はい将軍、加えてこの情報を分離主義者が手に入れでもしたら、共和国は計り知れない損害を被ります。知らせるのは最低限に留めた方が良いかと・・・」

 

下手に情報が拡散して、万が一パルパティーンやドゥークーの耳に入りでもしたら今までのこと全てが水の泡になってしまう可能性だってある。

慎重に事を運ばなくてはならない。

 

「レイの言う通りだ。ステーションは無事に制圧できたことだし、僕もカミーノへ同行する。ティプリー、ティプラー、君達はジェダイ評議会にステーション制圧の報告を頼む。だがくれぐれもタップの件は内密に頼む」

 

「はい、マスター・スカイウォーカー」

 

 

 

<ニュー級アタックシャトル船内>

 

俺たちは最低限の人員でカミーノへ向かっている。

途中で分離主義者からの妨害を受ける可能性は限りなく0に近いだろうが、備えておくに越したことは無いだろう。

 

今回のメンバーはアナキンとレックス、ファイヴスが付き添いをしてくれている。

アナキンとレックスが抜けてしまう事から、大隊の指揮の為にアソーカはお留守番だ。

 

「タップがティプラー将軍を襲ったのは行動抑制チップが原因なのか?」

 

「その通りだ。今回は行動抑制チップが誤作動を起こしたことによって、命令が出ていないのにジェダイ抹殺のプロトコルが発動してしまったケースだ」

 

俺がレックスからの質問に答えると、クローンであるレックスとファイヴスはショックを隠せないようだった。

 

「レイ、今回のようなケースは、これからも起きるのか?」

 

「いや、俺が知る限りタップの件だけだったはずだ・・・と言っても、プロトコル実行まであまり時間が残されていない」

 

全員分の行動抑制チップを取り除くにしても、パルパティーンをどうにかするにしても、早く手を打たなければ手遅れになってしまうだろう。

 

「コマンダー、何か考えがあるのですか?」

 

「一応考えているぞファイヴス。今回はジェダイ・マスターであるアナキンに、一肌脱いでもらいたいと思っている」

 

「僕に?」

 

アナキンには、カミーノアンを味方に付けるのに協力してもらおうと考えている。

パルパティーンを倒せたとしても、その後もクローンは残るからな。

彼らが居ないと何かと支障をきたす事も多いだろう。

だったら最初から、仲間に引き込んでしまえば良いという考えだ。

 

まあ、言うほど簡単ではないだろうけど・・・

 

 

 

<惑星カミーノ ティポカシティー>

 

「マスター・ティ、お久しぶりです」

 

「マスター・スカイウォーカー、カミーノへ遠路はるばるようこそ。それで今回はどんな用件でいらしたのかしら?」

 

「はい、それが非常にデリケートな問題でして・・・」

 

俺たちの後ろから担架に乗せられた一体のクローンが現れるのを確認し、シャク・ティは眉を顰(ひそ)める。

 

「何か事情があるようね。皆さん、こちらへどうぞ。まずは話を聞かせて頂戴」

 

 

 

<ティポカシティー 作戦会議室>

 

俺たちは防音対策を施された会議室に通された。

念のために、ヒュメルとファイヴスには部屋の前で見張りを頼んでいる。

 

「知らせも無く、突然やってきたと言う事は何か事情があるんでしょう?」

 

「はい、マスター・ティ。実は・・・」

 

アナキンが今回のジェダイ・マスター殺害未遂について、加えてクローンの頭の中には行動抑制チップが埋め込まれていて、その抑制チップが誤作動を起こした故に引き起こされたものだと言う事を話した。

 

「失礼いたします」

 

話しの途中だったが、このカミーノに残っていたアディスが入室してくる。

彼にもこのカミーノに残って色々とやってもらっていた事があるのだ。

 

「アディス、将軍に例の物を」

 

「将軍、これが我々の頭の中に埋め込まれている行動抑制チップと、そのデータです」

 

そう言いながら、以前レックス達から取り除いたサンプルと、保育カプセルで入手したデータを見せる。

 

「ご覧の通り、第三段階以上の成長過程に入ったクローン全員の頭の中に、このチップが埋め込まれています」

 

「我々のDNAとは一致しない、全く別の有機物です」

 

俺たちの話を聞いて、彼女は驚きを隠せないようだった。

しかし、さすがはジェダイ・マスターだ。

慌てずに、物事の本質を見ようとしている。

 

「お話は分かりました。しかし、カミーノ人は何の目的でこの抑制チップをクローンに埋め込んでいるのかしら?」

 

「マスター・サイフォディアスが、クローン・トルーパーを発注したのは御存じですよね?」

 

「もちろんです、マスター・スカイウォーカー」

 

「彼は万が一、クローン・トルーパーが共和国を裏切った時の安全策として、この行動抑制チップを埋め込むようにカミーノアンへ依頼しました。しかし彼が亡くなってからは、敵に真逆の目的で利用される事になったのです」

 

その時、眠っていたタップが目を覚ます。

 

「・・・ここはどこだ?」

 

「意識が戻ったかしら?」

 

そう声を掛けるシャク・ティを確認すると、タップは自らの任務を遂行しようとする。

 

「命令通り、ジェダイを殺す・・・ジェダイを殺す!!」

 

興奮しているタップに、アディスはあらかじめ用意していた鎮静剤を投与する。

これは直ぐにでも、行動抑制チップを取り除いた方が良いな。

俺は外にいるヒュメルを呼び出す。

 

「ヒュメル、ファイヴスと一緒にタップの護衛を頼む。併せて、彼の頭の中にある行動抑制チップを取り除いておいてくれ。誰にも見つかるなよ、特にドクター・ナラ・セにはな」

 

彼は静かに頷くと、ファイヴスとタップを連れて一角の治療室に向かっていった。

 

「・・・状況はわかりました。それではカミーノアンもこの計画に関わっていると言う事かしら?」

 

「それを今からハッキリさせましょう」

 

本当は、彼らがこの計画の一部に関わっている事はわかっている。

ティラナスと呼ばれる人物から提供される、この行動抑制チップを実際に埋め込んでいるのは彼らだ。

 

だが、カミーノアンはティラナスと呼ばれる人物がシスの暗黒卿だと言う事を知らない。

彼らにとってティラナスはサイフォディアスのパートナーであると共に、クローンの発注をしてきた人物で資金提供者という認識だ。

 

依頼通りに行動抑制チップをクローンに埋め込んでいるのも、ジェダイが共和国を裏切った時の安全装置だと思い込んでいる。

これも共和国の為になると信じて・・・

 

彼らを味方に付けるためにも、黒幕をハッキリさせなければいけない。

今回の事が上手くいけば、パルパティーンの企みを防ぐと言う目的が大きく前進する。

 

 

 

<ティポカシティー 首相執務室>

 

俺とアナキンはドクター・ナラ・セを通して、この国の首相であるラマ・スーに謁見する機会を得た。

謁見までタップの事を知られなくてよかった。

ドゥークーに連絡を取られたら、全てが水の泡だからな。

 

 

「これは、これはマスター・ジェダイ、私に何かお話があるとか?」

 

「お時間を取らせて申し訳ない、ジェダイ評議会のマスター・スカイウォーカーです。実は部下のクローンの一人に問題が発生しまして・・・」

 

「それはいけませんな、すぐに改善策を見つけなくては・・・それで一体どんな不具合が?」

 

不具合・・・か。

コイツ等にとって俺たちは所有物であり、製品なんだな。

何か問題があれば修正、改善する。

クライアントである共和国の為に。

 

「上官であるジェダイ・マスターを撃ち殺そうとしました。それも激しい戦闘の最中に」

 

ラマ・スーとナラ・セは顔を見合わせる。

 

「・・・その問題のクローンは今どこに?カミーノの主任医療科学者で、クローンの主要エンジニアでもある彼女に検査を受けさせましょう」

 

「いえ、その必要はありません。原因はわかっております」

 

「・・・と言うと?」

 

「アンタ達が、クローンの頭の中に埋め込んでいる行動抑制チップが誤作動を起こしたんだ。突発的な症例だが、ジェダイ抹殺のプロトコルが実行されたんだ」

 

俺がアナキンの代わりにそう答える。

彼は、アナキンに向ける物とは違う目で俺を見てくる。

 

「君はARCSトルーパーか?非常に良く出来たクローンだが、クローンと呼ぶにはあまりにもオリジナルとかけ離れている。ある意味では、君も失敗作かもしれないな。ユニークな個体であるが故、我らが求めている製品には程遠い・・・だから調整の入っていないARCS、ARCトルーパーの製造を中断し、クローン・コマンドーを作ったのだ。彼らこそ、我らが求めた完成系のクローンなのだよ」

 

話しがずれてきているな・・・

俺の話はどうでも良いんだけど・・・

 

「彼は私の友人です。いや彼だけではなく、共に戦っているクローン全員が戦友なのです。彼らを侮辱する事は、共和国を侮辱するのと同じ事・・・」

 

おいおい、アナキン怒ってないか?

拳がプルプルしていますよ・・・?

俺たちの為に怒ってくれるのは嬉しいけど、ここは我慢よアニー!

 

「ラマ・スー首相、アンタらがクローンの事をどう考えているかなんて、この際どうでも良い。問題はクローンに行動抑制チップを埋め込んでいる事だ。それも本来の目的も知らずに・・・」

 

「あの行動抑制チップはクローンの独立性や、攻撃性を抑える為に埋め込まれたものよ。オリジナルがあのジャンゴ・フェットだから・・・この抑制チップもジェダイ・マスターのサイフォディアスの命令なのよ」

 

ラマ・スーの代わりに、ドクター・ナラ・セがそう答える。

彼女は一般的なカミーノアンとは違い、俺たちに愛情を持って接してくれる。

まあ、『カミーノアンの中では』だけどな。

 

「そんな事は知っている、だが本来の目的とは違うだろ?当初はクローンが共和国を裏切った時の安全策として取り入れられたものだが、今ではジェダイ抹殺の為に埋め込まれている」

 

「・・・」

 

「お前たちはサイフォディアスのパートナーである、ティラナスと言う男の命令でこの行動抑制チップを埋め込んでいるんだろうが、その正体を知っているのか?奴はただのクライアントなんかじゃない、その正体は独立星系連合のリーダー、ドゥークー伯爵だ」

 

コイツ等は騙され、利用されている。

どうにかして、味方に付けなければ・・・

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第49話 取り敢えずカミーノアンは適当(陰謀)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

えー、そうですとも。
この土日は執筆完全にサボりました。
ゴメンなさい。


っていうか、投稿始めてからまだ2か月経っていないことに驚いております。
これからも細々とやって行ければと思います。



俺たちは、ラマ・スー首相とクローンの主要エンジニアであるナラ・セに、タップの行動抑制チップの誤作動、その真の目的について話していた。

 

「そんなはずは・・・」

 

「アンタらはドゥークーに利用されているんだ。彼らが寄越しているチップは、裏切り者のジェダイをターゲットにするものではない。ジェダイを共和国の裏切り者と認識させる物だ」

 

カミーノアンは自分のクローン技術に関係のない物事には、全くと言って関心を示さない。

だが、ジェダイ抹殺の片棒を担ぐことになるとなれば話は別だ。

彼らも馬鹿ではない。

今後の共和国へのクローン供給が滞ってしまう可能性や、その後の自分たちの立場について考え始めたようだ。

 

「・・・どうやってティラナス卿の事や行動抑制チップの事を突き止めたのかは知らないが、ここまで裏が取れていながら何もしないと言う事は、それなりの理由があると言う事かな?」

 

やはり頭は悪くないようだな。

しっかりとクローン以外の事も考えられるじゃないか。

 

「あなた方には引き続き、クローンの製造やメンテナンスを行ってもらいたい。勿論、共和国からはその対価に見合った支払いを同じようにさせて頂きます。ですが今まで通り、共和国にクローンを卸したいのであればクライアントに関してはドゥークーから僕たちに移ってもらう」

 

俺から話を引き継いだアナキンがそう話す。

彼は今後の利益やクローン製造の事を考えているようで、短い時間ではあるがラマ・スー首相が黙り込む。

 

「・・・良いでしょうマスター・ジェダイ、貴方の提案を受け入れます。どちらにせよクライアントが分離主義者だと聞いて、今まで通り関わっていくつもりはありません。分離主義者からはこのカミーノも多大な損害を被りました」

 

そして彼は速やかに銀河中に散らばったクローンを、部隊ごとにメンテナンス(行動抑制チップの除去)を行うと約束してくれた。

しかし、全てのクローンの行動抑制チップを除去するのにこのカミーノだけで行うには現実的では無い為、カミーノアンを派遣して各クルーザーでも処置を行う事にすると言う。

もちろん、内密に。

 

閉鎖的なカミーノ人が同胞を派遣すると言う言葉からも、彼らなりの誠意を感じるような気がする。

気づいているかはわからないが、元々彼らには選択肢はないのだ。

だが、この提案を受け入れるかどうかはまた別の話だし、ある意味では賭けだった。

 

今回も俺が歴史を知っている事が功を奏したな。

SWファンで良かった・・・

 

まあそもそも、彼らはかなりいい加減だからな。

ジェダイだったからと言って、サイフォディアスに軍隊を作ってくれと頼まれれば共和国正規の注文だと決めつけたし、オビ=ワンが訪れた際には何の疑いも無く、自らの最高傑作の見学ツアーまで開いたんだ。

 

クローンが作れて、それに対して正当な報酬が得られれば良いのかもしれない。

 

・・・裏切られた時怖えぇぇぇぇぇ

掌返しされたら堪ったものじゃないな。

 

まあ、彼らは彼らでクローン作りにプライドを持っているから心配はないか。

自分達の作ったクローンが、本来作った目的とは真逆の事に利用されるなんて許さないだろうし、それが原因で受注が来なくなる事なんて望んでいないだろう。

 

「ありがとうございます。念のためにお伝えしておきますが、これは我々だけの約束事、決して他の者には漏らさないように・・・誰にもです、良いですね?加えて、ドゥークーから連絡があった場合は、今まで通りの対応をしているように見せて下さい。共和国の為、そしてあなた方の為にも・・・」

 

「承知しました、マスター・ジェダイ」

 

よし、100点かはわからないが取り合えずカミーノアンを引き込むことには成功したな。

だが油断せずに、これからも丁寧に物事を進めていかなくてはな。

最後の最後で失敗しましたは笑えない。

 

俺たちが一礼をして退出すると、後ろからドクター・ナラ・セが俺に声を掛けてくる。

 

「コマンダー・レイ、首相はあのように仰っていましたが私個人としては貴方達ARCSトルーパーが失敗作だとは思っていません。他のクローンと同じように、愛情を持って接しているつもりです」

 

うーむ。

さっき首相が言っていたあれか?

まあ正直、『おっさんが何か言ってるよ』くらいにしか思っていなかったから、改めてそんな事を言われると戸惑うな。

 

「それに知らなかったとはいえ、クローンにジェダイを殺させる事になっていたかもしれないのだから、改めてお礼が言いたかったの。ありがとうレイ」

 

やめてくれ

調子が狂う・・・。

 

「それにマスター・ジェダイ、貴方が以前(カリーダ・ショールズ攻撃計画)クローン達を救ってくれた事も忘れはしません。それに先ほど、レイの為に憤ってくれたことも」

 

「い、いえ、お気になさらず・・・」

 

ほら!

アニーも戸惑っているから!

助けを求めるかのように、こっちを見てるから!

助けて欲しいのはむしろこっちだよ・・・

急に母性発揮しないでくれよ、焦るわ。

 

「それではマスター・ジェダイ、コマンダー・レイ」

 

そう言って俺たちに一礼して、ドクター・ナラ・セは自らの職務に戻って行った。

 

「・・・母を思い出したよ、レイ」

 

「・・・お、俺もだ」

 

良くわからないが、彼女の母性を刺激してしまったようだ。

カミーノアンの母性のポイントがわからん・・・

 

他のクローンはイエスマンな連中が多いから、俺みたいに自発的に反発や、意見を述べるクローンが珍しいのかもしれないな。

うん、そう言う事にしておこう。

 

「母親とは全然似ていないんだな?」

 

「良く言われる、俺は父親似なんだ」

 

そう冗談を言い合いながら、他の連中に合流するために指令センターに足を運ぶのだった。

 

 

 

 

 

<ティポカシティー 指令センター>

 

アナキンと共に指令センターを訪れた俺達だったが、タイミング良く(?)マスター・ヨーダから通信が入っていた。

 

「ああ、戻ってきました。マスター・スカイウォーカー、コマンダー・レイ、マスター・ヨーダが貴方達に用があると、ちょうど先ほど連絡してきましたのよ」

 

それを聞いて、俺とアナキンが顔を見合わす。

ステーション制圧の報告を双子に丸投げしたからな。

もしかして、その事か?

 

おい、アニー。

ここは上官であるお前が行くべきだ。

 

そう言わんばかりの瞳とニヤけ顔でアナキンの方を向くと、恨めしそうに睨んできた。

悪いな、俺は怒られるのが嫌いなんだ。

・・・怒られるのが好きな人っているのか?

そんなのオーリーくらいだろう。

 

「遅くなってしまい申し訳ありませんマスター。実はカミーノで急ぎやることがあり、ステーション制圧に関する報告の事でしたら・・・」

 

『マスター・スカイウォーカー、ある重要な任務についてもらいたいのじゃ』

 

「・・・ティプラーとティプリーに・・・と言いますと?」

 

くっくっくっくっw

アニーの奴、言い訳して遮られてやんのw

 

俺のよこしまな感情に気づいているかどうかは知らないが、ヨーダは俺にも話題を振ってくる。

 

『お主もじゃよ、コマンダー・レイ』

 

えっ?

嘘でしょ?

久々にゆっくりしようと思っていたのに・・・

しかもアナキンの奴、仕返しと言わんばかりのニヤけ顔をわざわざ振り返って見せてきやがる・・・解せぬ。

 

「それで、任務と言うのは?」

 

『うむ。実はパダワンが数人行方不明になっておる・・・それもコルサントにいた者じゃ』

 

・・・え?

この時期にそんな事件があった記憶はない。

どういう事だ?

俺が歴史に介入したことによって、本来起きるはずのない事件が起こった・・・?

 

「コルサントにいる者も?内部からの犯行と言う事ですか?」

 

アナキンがヨーダにそう言ってからこちらを向くが、俺は知らないという意思表示の為に首を横に振る。

 

『聖堂爆破事件の時と同じじゃ。この時期に聖堂にいた者は信用できぬ、アナキン、レイ、君達に犯人の捜索を頼みたいのじゃ』

 

これは大変なことになったぞ。

どうやらノンビリしている暇は無さそうだ。

 




はい、お疲れさまでした。

少しあっさりしていたかもしれませんが、タップの行動抑制チップ誤作動編については終わりです。
まあ正直、分離主義者側にバレておらず、カミーノアンを懐柔するだけならこんな物かなーって・・・
レイ君がティラナスとの関係を知っている&カミーノアンの人間性を知っているのも大きかったかな?

次回はオリジナルになりますが、パダワンの行方不明事件です。
どうなるかわかりませんが、楽しみにしていて下さい!
(盛大なフラグ)

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第50話 取り敢えずコルサント戻りましょう

俺とアナキンが行方不明のパダワンを捜索するにあたって、アディス達にはそれぞれ行動抑制チップの除去をするカミーノアンに同行してもらう事になった。

オーリーに関しても、リハビリがてらカミーノアンに同行してもらっている。

 

という訳で、今回の任務は援軍無し。

正真正銘の二人での任務だ。

 

「それで、レイはこの事件については本当に知らないんだな?」

 

「マジで全くわからないです・・・取り合えずコルサントに戻って、パダワンのマスター達に会うんだろ?」

 

「話を聞いてみないと探しようがないからな。急ぎコルサントに戻ろう」

 

 

 

<ニュー級アタックシャトル船内>

 

うーん、頑張って思い出そうとしているがこんな事件は記憶にない。

やはり、俺が本来の歴史をいじってしまった事で生じたケースなんだろうな。

・・・まあ、気にしても仕方がない。

俺は俺の大切だと思う人の為に戦うと決めたんだ。

今更、生き方を変えるつもりはない。

 

「アナキン、そう言えばあっちの方はどうなんだ?」

 

「ん?あっちと言うのは?」

 

「いやだから、お前たちの子作・・・」

 

「(!?)おいレイ!急に何てこと言うんだ!?」

 

「なんだ、その〇貞みたいなリアクションは・・・」

 

「・・・まあ、それなりに(小声)」

 

ピュアなティーンでもあるまいし・・・

イケメンで奥さん一筋なアナキンも、下ネタで盛り上がれる友人はいなかったか。

・・・ジェダイだから、そんな相手いるわけないか。

 

下品ですんません。

軍人は皆こんなものよ。

 

「別にふざけてるわけじゃないぞ?幼いパダワンが行方不明と聞いて思い出しただけだ。アナキンは、生まれてくる子供にはジェダイになって欲しいとかって考えはあるのか?」

 

「突然だからビックリしたんじゃないか・・・子供か・・・レイは前の世界では子供はいたのか?」

 

「あん?なんだそれは、俺の傷口を抉ろうっていうのか?」

 

子供どころか、彼女すらいなかったわ!

バーに入っただけ女性から注目されたり、どこかの国のお姫様をメロメロにさせる、ジェダイ・マスターとは違うんだよ。

史上初のクローン・トルーパーver.ダークサイドになるぞ、この野郎。

 

「い、いや別に他意はないんだ・・・自分が父親になるという実感がわかないだけだ。それにレイからの質問に応えるなら、答えはNOだな」

 

まあ、何となくそんな気はしていたけどな。

ジェダイは本当に大変だ。

責任の大きさに対して、そのリターンが全くない。

自己犠牲の塊のような存在だし、前の世界では少し憧れていたような部分もあったが、今じゃ頼まれてもなりたくない。

フォースは使えるようになりたいけどね?

 

俺はもっと自由な生活が良い。

・・・賞金稼ぎとかも良いかもな。

 

「子供には、僕が歩めなかった自由な人生を送って欲しいって言うのが素直な気持ちかな」

 

「別に遅くはないんじゃないか?」

 

「え?」

 

「アナキンだって、まだまだ若いだろう?自分の生き方は自分で選べるはずだ」

 

何かを始めるのに遅いなんてことはない。

これからだって好きなように生きていけば良いんだ。

そういう思いで言ったが、伝わったかどうかはアナキンだけが知っている。

 

まあ、顔を見れば大体わかるけどな。

素直な奴め!

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂>

 

俺達は既にコルサントに到着し、行方不明になっているパダワンのマスター達と会っていた。

・・・全員知ってる人だな。

いや、面識はないんだけどね?

 

今回行方不明になっているのはケイレブ・デューム、トリラ・スドゥリ、カル・ケスティスの三人だ。

この狙ったかのような人選は何なんだ・・・。

どうやら三人とも、師匠である彼、彼女らの下に居ないタイミングで行方不明になったようだ。

 

「・・・と言う事は、全員に共通している事は貴方達の目の届かないタイミングで、行方不明になったと言う事ですね?」

 

「そう言う事になるな」

 

そう答えるのはジェダイ・マスターのジャロ・タパルだ。

彼はラサットの男性で、厳格な人物として知られている。

 

「コルサントだからと油断していたわ、先日聖堂の爆破事件があったばかりだと言うのに・・・」

 

「戦況は共和国が有利です。内部を混乱させる目的・・・分離主義者たちの犯行であるという可能性も視野に入れて捜査すべきですね」

 

そう話すのはジェダイ・ナイトのシア・ジュンダと、ジェダイ・マスターで評議会のメンバーでもあるデパ・ビラバだ。

 

「ポング・クレルやバリス・オフィーの件もあります。この時期に聖堂にいた者はマスターと言えども捜査から外れてもらうと、マスターヨーダからの要請です」

 

「仕方あるまい、だが我々も独自に調べるつもりだ。弟子が行方不明になった時にはフォースの暗黒面を感じた。フォース感応者の犯行だと考えて事に臨むべきだ」

 

フォースの暗黒面か・・・

と言う事はジェダイ、もしくはシスが何らかの形で関わっていると考えて捜査した方が良いだろう。

厄介な事になってきたな。

 

 

 

俺達は彼らと別れて、今後の事を話し会っていた。

 

「それでどうする?」

 

「そうだな・・・取り合えずクレルに会うのはどうだろう?何か知っているかも」

 

クレル先生か・・・

確かに彼は未来を予見する力も強いし、共和国崩壊のビジョンを見ているくらいだ。

加えて、暗黒面に堕ちているから今回のようなケースでは参考になるかもしれないな。

 

 

 

 

 

<ギャラクティック・シティー 共和国司法局中央拘留センター>

 

ここはコルサントの最高レベルの刑務所で、重犯罪を犯した犯罪者が拘留されており、クローン・ショック・トルーパーが警備を任されている。

 

「トルーパー、元ジェダイ・マスターのポング・クレルに面会に来た」

 

「スカイウォーカー将軍、少々お待ちを」

 

そう言ってトルーパーは必要な手続きに入り、程なくして特別な監獄ブロックに案内された。

 

「これは、これはスカイウォーカー将軍に変わり者のクローン・コマンダーじゃないか?今日はどういったご用件で?」

 

当時と変わらないクレルがそこにいた。

相変わらずいやらしい笑みを浮かべる奴だな。

 

「クレル、お前に聞きたいことがある」

 

「ほう、惑星アンバラでの事じゃないだろう?今回は別件か?」

 

「最近このコルサントでパダワンが行方不明になる事件が起きた。お前は何か知っているんじゃないかと思ってな」

 

「はっはっはっはっはっ!先日のあの予知夢はそういう事か?言っただろう、このままでは共和国は崩壊し、新しい秩序が生まれると!まあ、私が以前に見た予知夢とは変わっていたようだが、共和国崩壊の未来が待っている事に変わりはない!私はその時が来るまでここでのんびりと待たせてもらう。そして新世界で私は支配者となるのだ!!」

 

・・・相変わらず話が長いな。

喋り出すと気持ち良くなって止まらないパターンのヤツだな。

 

「戯言は良い、何を見たか早く教えろ」

 

「複製の使い捨て如きが、随分と生意気な口を叩くじゃないか?まあいい、お前らクローンにはどうすることもできないだろう、少し教えてやる。パダワンの行方不明になったと言う時期、フォースの暗黒面の力をハッキリと感じた・・・素晴らしい力だ!間違いなくシスの暗黒卿が絡んでいるだろう!そして私はその力を学び、銀河の支配者になるのだ!はーっははははははっ!!」

 

俺とアナキンは二人で顔を見合わす。

またそれか?

クレル先生の頭の中は、銀河の支配者になる事で一杯のようだな。

 

だが、今回の件でハッキリしたな。

マスター・タパルも言っていたがフォースの暗黒面、シスの暗黒卿絡みなのは間違いないようだ。

 

しかし、これ以上の事はクレルからは聞き出せないな。

ブツブツ独り言を呟き始めている。

 

これ以上は時間の無駄だと判断して、俺達は共和国司法局中央拘留センターを後にした。

 




はい、お疲れさまでした。
久しぶりの登場だったクレル先生ですが、最後には時間の無駄認定されていましたね。

クレル「解せぬ・・・」

次回も何かとお世話になっている方が登場します。
お楽しみに。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第51話 取り敢えず誘拐する?

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

調子に乗って本日二回目の投稿です。
オリジナルの方が執筆進む・・・

話は変わりますが、この場をお借りして誤字修正を送って下さる方にお礼申し上げます。
一応確認はしているのですが、どうしても抜けが出てしまうので助かります。
自分でも気を付けます。

重ねてお礼申し上げます。



俺達は共和国司法局中央拘留センターを後にし、店で軽い食事を取りながら今後の事を反し合っていた。

 

「マスター・タパルとクレルの言っていたことが一致するとなると、今回のパダワン行方不明事件には何らかの形でシスが絡んでいるとみて間違いないな」

 

「ああ、だが誰が何の目的で彼らを攫ったのかがハッキリしない。どうしたものか・・・」

 

その時、仮面を被った人物が俺達のテーブルにやって来る。

ん?

コイツは・・・

 

「これは、これはスカイウォーカーに、いつかのクローンじゃないか?アンタ達はいつも一緒に居るね?もしかして、そういう仲なのかい?」

 

うわぁ、ヴェントレスじゃん

それにしても今日は色んな奴と会うな。

 

まあ、クレル先生には俺たちから会いに行ったんだけどね。

それなのに役立たず認定している俺たちって・・・

ゴメンね、クレル先生。

後で緑茶でも差し入れするね?

 

「ヴェントレス?・・・何故お前みたいな奴がこんな所にいる?」

 

「その前にアソーカの事で、私に言う事があるんじゃないのかい?まあ、良いけどね。それよりもアンタ達が欲しがりそうな情報があるんだけど?」

 

俺とアナキンは顔を見合わせる。

 

「・・・一杯奢らせてもらおう」

 

 

 

ジェダイ・マスター(選ばれし者、最年少ジェダイ評議員、ジェダイ高位将軍)、クローン・トルーパー(元陸上自衛隊、ARCSトルーパー、クローン・マーシャル・コマンダー)、賞金稼ぎ(元ジェダイ・パダワン、元シスの暗殺者、元独立星系連合司令官、元ナイトシスター)

 

中々・・・と言うか、かなり濃い三人だな。

よもやこのメンツでテーブルを囲って仲良く(?)食事をするとは思いもしなかった。

俺達の事を知っている誰かに見られたら、もしかしなくても通報されそうだな。

 

まあ大丈夫でしょ、知らんけど。

 

 

「モグモグ、ゴックン・・・それで僕たちが欲しがりそうな情報と言うのは?」

 

「モグモグ、ゴックゴックゴック、ゴックン・・・アンタ達、コルサントをうろうろしていたシスの暗黒卿に興味があるんじゃないかと思ってね」

 

モグモグ・・・

コルサントを徘徊していた、シスの暗黒卿?

モグモグ、ゴックン。

 

「アナキン、そこの飲み物取ってくれるか?」

 

「ん?ああ、ほら」

 

「ん、ありがと・・・ゴクゴクゴク」

 

「・・・私が言えたことじゃないけどアンタ達、全く緊張感が無いね?過去の話だけど、私たちは殺し合った仲だよ?」

 

「ゴックン・・・なんだ、俺達と殺し合いたいのか?」

 

そんな風には見えなかったし、過去には理由があったとはいえ協力した仲だからな。

問題ないと思ったが、間違いだったか?

 

「勘弁しておくれよ、今更アンタ達と事を構えるつもりは無いね。っていうか、クローンの癖にジェダイにタメ口かい?どうなっているんだよ全く・・・」

 

あ、ヤベ

平和な(?)雰囲気でつい素で喋っちゃった。

そう思いアナキンの方を向くが、気にするなと微笑んでくる。

惚れてまうやろーーー!!

 

「そんな事より、シスがこのコルサントに?」

 

「そこのクローンなら知っている奴だよ、以前一緒に戦ったことがあるからね。私と同じダソミア出身の暗黒兄弟だよ」

 

「モールか・・・」

 

「まあ、弟の方はいなかったみたいだけどね。だけどあの力・・・暗黒面の力をビシビシ感じたよ」

 

と言う事は、今回のパダワン行方不明事件にはモールが関係している?

なら、恐らくデス・ウォッチも絡んでいるはずだな。

 

「なら向かう場所は決まったな、惑星マンダロアだ」

 

「ああ、早速向かおう」

 

「おい、情報を渡したんだから見返りがあっても良いんじゃないのかい?」

 

俺とアナキンは、『コイツは頭でも狂ったのか?』という目でヴェントレスを見る。

 

「何言っているんだ?」

 

「お前も来るに決まっているだろう?」

 

こうしてヴェントレスも巻き込み、愛しの・・・違う違う、彼女に会えるのが嬉しいわけじゃない、決して。

 

俺達はヴェントレスを誘拐し、惑星マンダロアに向けて飛び立つのだった。

 

 

 

 

 

<ニュー級アタックシャトル船内>

 

「アナキン、アナキン~」

 

「ん?どうしたレイ?」

 

「緑茶飲まない?」

 

「い、いや・・・僕は遠慮しておくよ、ありがとう・・・」

 

アナキンって緑茶苦手みたいなんだよなぁ。

親友には、日本人の魂といっても過言ではない緑茶を受け入れてもらいたいんだが・・・。

 

「・・・そっか、じゃあもう汲んでしまったしヴェントレスいる?」

 

そう言って俺は熱々の緑茶をヴェントレスに差し出す。

 

「ん?なんだいこれは?」

 

「俺の魂だ」

 

おい。

なんだよ、その危ない奴を見るような目は・・・

これでも真面目に生きてきましたけど!?

文句があるなら聞きますよ!?

 

「・・・ゴクッ、美味い」

 

怪しむように匂いを嗅いだヴェントレスだが、お口にあったようだ。

 

「お、なんだヴェントレス、お前イケる口か?」

 

「ふん、悪くはないね。仕方がないから貰っておいてやるよ」

 

「・・・あの渋みがどうも合わない」

 

アナキンが独り言を言っているのが聞こえてきた。

うーん

この渋みが良いんだけどな・・・

ねー、皆さん?

 

仕方ないから、アナキンの為に甘い飲み物を探してやるか。

 

寒い時や、疲れた時に飲みたくなる飲み物・・・

そう、ココア!!

最近あれが飲みたくて仕方がない。

正直、ココアが嫌いと言う人間には未だに会ったことがない。

あれなら渋みが苦手なアナキンでも満足させられるだろう。

 

よし、早速ボガーノにいるタティスに連絡してココアを探させよう!

ふんふんふん♪

楽しみだなーココア♪

 

・・・良い事思いついちゃった。

この戦争が落ち着いたら、嗜好品を取り扱う店を開くのも良いな。

 

商品開発に関しては、地球にあった物を参考にすれば無駄な労力やお金を無駄にしなくて済む。

緑茶は定期的にジェダイ・オーダーに卸せばいいし、専属契約を結ぶことも難しくないだろう。

やばい、良い案かもしれない。

ぐへへへ、これでガッポガッポ稼いで、悠々自適な人生を送れるかもしれない。

 

ある程度の金銭力が無ければ、奥さんも貰えないだろう。

うっ・・・

何処からか『その前に相手を見つけろ』と言う謎のプレッシャーを感じる。

 

俺には心に決めた相手が・・・やめておこう。

何か悲しくなってきた。

 

って言うか、この世界にはブルーミルクというこの世の終わりみたいな色の牛乳があったよな?

あれでミルクココア作ったらどんな見た目に・・・やめておこう(二回目)

気分が悪くなってきた。

 

「・・・ねえスカイウォーカー、あのクローンはさっきからどうしたんだい?何か思いついて嬉しそうな顔をしたと思ったら、今度はこの世の終わりみたいな顔をしているよ?」

 

「あー・・・気にしないでくれ。あれが彼の良い所でもあるんだ。どうせまた何か思いついたんだろう。あとクローンじゃない、彼の名前はレイだ」

 

「私はあんな奴に手こずっていたんだね・・・なんだか拍子抜けだよ」

 

おい、隣から凄く失礼な発言や視線を感じるぞ?

・・・解せぬ。

 

 

 

 

 

<惑星マンダロア>

 

俺達は秘密裏にマンダロアに潜入することに成功していた。

どうやら既に内戦は落ち着いているようで、表面だけ見れば平和な風景が広がっている。

まあ、戦闘の爪痕は色濃く残っているんだけどね。

 

まずは情報収集も兼ねて、ボ=カターンの一派と接触したいのだが如何せんどこにいるかがわからない。

戦術・戦略的にみても、間違いなくここに潜入していると思うんだが・・・

 

「三人で固まっているよりも、別れて探した方が良いかもな。ヴェントレス、コムリンクの周波数を教えてくれ」

 

こうして俺たちはバラバラにボ=カターンの一派を探すことにしたのだった。

 

 

 

うーん

マンダロア人って結構特徴的な顔してるよな。

今はフード被っているから問題ないだろうけど、素顔晒したら一瞬で部外者だってバレるわ。

 

おーい、ボ=カターン

何処にいるんだー?

って見つかるわけないか・・・

 

「随分と遅かったわね、レ、イぃぃぃ!?」

 

うわっ、ビックリした。

急に肩に手を置かれたから、咄嗟に拘束してしまった。

 

「・・・ボ=カターンか?」

 

「そ、そうよ。急に話しかけて悪かったけど、拘束するなんてあんまりじゃないかしら?」

 

「わ、悪かった。痛かったか?」

 

そう言って、すぐに拘束を解く。

一瞬、良い香・・・んんっん!!

 

「大丈夫、それにしてもどうしてここに?応援ってわけじゃなさそうだけど?」

 

どうも彼女相手だと調子が狂う。

『痛かったか?』なんてアディス達に聞かれていたら、死ぬまでネタにされていただろう。

 

「ああ、申し訳ないが今回は別件だ。コルサントでパダワンが攫われる事件が起きてな、その犯人がモールの可能性があるんだ」

 

「・・・詳しく聞かせて頂戴」

 

 

 




はい、お疲れさまでした。

今日は執筆、捗る捗る。
仕事も捗ったので、とても良い日でした。
加えて仕事部屋用に買った輻射熱ヒーター?が最高・・・

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第52話 取り敢えず調べましょう

俺は今までの事をボ=カターンに伝え、彼女の協力を取り付ける事に成功する。

ここの事も詳しいし、ボ=カターンがいれば心強い。

 

そ、それだけだよ!?

別に彼女と一緒に居られるのが嬉しいわけじゃないんだから!

・・・ふぅ。

 

「それじゃあ、モールが犯人という線が濃厚なのね?」

 

「ああ、その可能性は高いだろうな」

 

彼女が協力してくれるのは、何も善意からだけではないだろう。

実質、この星を支配しているモールが共和国の人間を拉致、しかもそれがジェダイのパダワンだとしたら、共和国、ジェダイ評議会は動くしかない。

彼女はこの星を取り戻すために戦っている。

今回の事件は、彼女にとっては追い風になる出来事であるのは間違いないだろう。

 

「それで最近のモールの動向は掴めているのか?」

 

「それが全くと言って良い程、奴は表舞台には出てこないわ。コルサントに現れたと聞いて驚いたくらいだもの」

 

うーん

モールはどんな目的でパダワンを攫ったんだ?

組織の戦力にする為?

歴史通りなら、サヴァージ・オプレスはパルパティーンに殺されているだろうからな。

その線も十分に考えられるだろう。

 

「取り敢えず仲間と合流したい。その後、落ち着いて話せる場所に案内してくれるか?」

 

「わかったわ、私も仲間に連絡を取っておく」

 

 

 

 

 

<首都サンダーリ ナイト・アウル隠れ家>

 

俺はアナキン、ヴェントレスと合流し、ボ=カターンの案内でナイト・アウルの隠れ家に来ていた。

どうやらモールはコルサントから戻ってきており、最近ドームの外に建造された新しい施設に引きこもっているようだった。

この惑星は砂漠に覆われており、首都であるサンダーリは強大なドームの中に建造されている。

その外に新たな施設を作ったとなると、かなり臭うな。

 

「となると、その施設にパダワン達が居る可能性が高いな」

 

「アナキンの言う通りだろう。ボ=カターン、その施設に気づかれずに潜入することは可能か?」

 

「物資運搬用のゲートがある。タイミング次第ではあるけど、そこからなら可能性はあるわね」

 

最悪正面突破になるかと思ったが、静かにやれる可能性もあるか・・・

憶測だけでは仕方ないし、まずは偵察からだな。

 

 

 

 

 

<惑星マンダロア 新施設>

 

・・・あれだな。

ナイト・アウルを警戒してか、施設の外にもデス・ウォッチの見張りが数人いる。

あ、ちなみに装備はいつも通りの物に換えてある。

ブラスター一丁では心もとないからな。

 

「ここから見える範囲では・・・敵は三人のようだねぇ」

 

「ああ、だがもっといるだろうな。物資運搬用のゲートは反対側のようだし、そっちを確認してくる」

 

「私も行くわ」

 

そう言ってボ=カターンが俺に同行してくれる。

ちなみに今回は潜入任務の為、人員は最低限。

ジェダイ、クローン、賞金稼ぎの愉快な仲間たちとボ=カターンというメンバー構成になっている。

と言うのも、他のナイト・アウルのメンバーも人員に余裕があるわけではないようで、今回はボ=カターンのみの参戦だ。

 

ARCSのメンバーがいればかなり楽になるんだろうが、今回は仕方ない。

アナキンとヴェントレスもいるし、何とかなるだろう。

 

 

 

「あれよ、あそこが物資運搬用のゲートだわ」

 

「見張りは・・・二人か。思ったよりかなり手薄だな」

 

もっと見張りがいると思ったが・・・

まあ、内部にはもっといるだろうな。

潜入するにあたって概ねの見取り図が欲しいところだが、そんな贅沢は言っていられないよね。

 

「よし、奴らを片付けてからアナキン達を呼ぼう。やれるだろ、ボ=カターン?」

 

「もちろんよ、それとも私の事をか弱い女性だと思っていたのかしら?」

 

「まさかそんな訳ないだろ?・・・やるぞ」

 

レディーに向かって、まさかって言うのも失礼な気もするが・・・

まあ、そんな事を言う方がボ=カターンは怒るだろうな。

 

彼女と一緒に音を立てないよう見張り二人に近づき、それぞれ一人ずつ担当する。

相手はヴェスカー製のアーマーを装備しているからな。

遠距離からやるよりも確実だ。

 

俺は高周波ダガーを取り出して、アーマーの隙間から素早く相手の喉を切りつけて動脈を切断する。

即死はしないが声を出すことも出来ず、一定量の血を失えばコイツはすぐに冷たくなるだろう。

ボ=カターンも問題なく片付けたようで、俺はアナキンに連絡を取った。

 

 

 

 

 

<マンダロア新施設内部>

 

その後俺たちは無事に合流し、既に施設内への侵入を果たしていた。

デス・ウォッチのメンバーもいるが思ったよりも多くない。

大部分は別の任務でいないのか?

だが、ボ=カターンに聞いてもこの惑星マンダロアから出た様子はないと言う。

 

「思ったよりも敵の数は多くないね。本当にモールはここにいるのかい?」

 

「ヴェントレス、君の方が暗黒面の力には敏感なんじゃないのか?」

 

「今は特に何も感じないね・・・」

 

うーん

施設はそこまで広くないし、パダワンがいればすぐに見つけられそうだがモールの気配がしないと言うのは気になるな。

 

「・・・ん?これはエレベーターか?」

 

その時、たまたま地下に続くだろうエレベーターの入り口を見つけた。

なぜ地下だとわかるのかって?

上には建物がないのだよ・・・。

 

 

 

 

 

<新施設 地下>

 

うわぁ・・・

何か軍事基地みたいになっとるがな。

 

地下には、上の施設の数倍の規模になるであろう基地が建造されていた。

デス・ウォッチだけでなく、一個大隊クラスのバトルドロイドが確認できる。

 

「これは・・・」

 

さすがのボ=カターンも驚いたようで、言葉が出ないようだ。

しかし、何故この規模のバトルドロイドが?

やはり歴史に差異が出てきたのは間違いないな。

 

「ここからは二組に分かれよう。固まって動いていてはすぐに見つかってしまうからな」

 

「いや、ボ=カターンはすぐに地上に戻って仲間に知らせた方が良い。これほどの戦力に対応するにはそれなりの時間が必要だろ?」

 

「わかったわ・・・無事でいてね、レイ」

 

「「(ニヤニヤ)」」

 

おい、そこの二人!?

何ですか、その視線と笑みは!?

 

「・・・お前もな、ボ=カターン」

 

 

 

ボ=カターンと別れた俺たちは、ゆっくりだが確実に基地内を進んでいた。

やはり少数だと見つかる確率が下がって良いな。

別にボ=カターンの悪口じゃないですからね?

 

ん?

休憩しているデス・ウォッチが四人いるな。

丁度ヘルメットを外しているし、ヘッドショットなら何とかなるだろう。

・・・やるか?

 

俺はスタン・モードにした二丁のハンド・ブラスターで二人を気絶させ、残りの二人はアナキンのフォース・プッシュで壁に叩き付ける。

 

「・・・なんだい、アタシの出番がないじゃないか。レイはクローンだろ?あの剣使いと言い、どうなっているんだよ全く」

 

剣使いと言うのは、ヒュメルの事を言っているんだろうな。

まあ、言い方は悪いが俺たちは一般のクローンとはレベルが違う。

そもそも訓練水準が段違いなのだから、比べるのもおかしいだろう。

って言うか、いつから俺の事を名前で呼ぶようになったんだよ・・・。

 

俺達は小さい物置に彼らを拘束して、アーマーを頂くことにした。

これでおかしな行動をしなければ、敵にバレる事は無い・・・はず!

 

ん?

アナキンがデス・ウォッチの一人を目覚めさせている。

何する気ですか?

拷問ですか?

アニー、怖い・・・。

 

「“お前はパダワンの居場所を言う”」

 

そう言いながらアナキンは、兵士に向かって手をヒラヒラさせている。

ジェダイみたいに、手をヒラヒラさせて無駄な事はよしな!

 

「・・・K68区画にジェダイを捕らえている」

 

そう言い残し、彼は気を失った。

やはりここにいたか。

 

「急いで向かおう」

 

俺達は急ぎK68区画に向うのだった。

・・・K68区画ってどこやねん。

 

俺達は物置まで戻り、先ほどの兵士を起こして区画の位置を聞き出すのだった。

お休みの所、申し訳ありません・・・。




はい、お疲れさまでした。
ちなみにK68区画は、K(監獄)68(牢屋)です。
え?
何でもダジャレにするなって?
だって考えるの大変なんだもん!!

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第53話 取り敢えず助けましょう

俺達は順調にK68区画に辿り着き、パダワン二人を発見した。

 

「一人足りない・・・カル・ケスティスはどこだ?」

 

ケイレブ・デュームとトリラ・スドゥリーは保護することに成功したが、意識がハッキリせず、カルの居場所を聞くことは難しそうだ。

 

「アナキン、俺はこの辺りをもう少し探してくるから、彼らに話を聞けないか試してみてくれ」

 

そう告げて部屋から出ようとした時、妙な気配を感じる。

 

「フォースの乱れを感じて来てみれば侵入者がこんなところに・・・何者だ?」

 

うわ、最悪だ。

振り返ると入り口にはモールが佇んでいた。

 

俺は素早くブラスターを向けて発砲するが、モールのライトセーバーに弾かれてしまう。

そのタイミングでアナキンがライトセーバーを起動して、モールに切りかかる。

 

「くっ、貴様ジェダイか!?」

 

俺達はデス・ウォッチのアーマーを着込んでいる為、まさかジェダイだとは思わなかったようでモールは対応が遅れる。

 

だがそこはシスの暗黒卿だ。

直ぐに態勢を立て直し、アナキンとモールは互いの攻撃的なフォームを洗練されたテクニックで操り、目にもとまらぬ速さで光剣を交えていた。

 

「貴様、ただのジェダイじゃないな!何者だ!?」

 

モールからの疑問に答える代わりに、以前にも増した力でアナキンがモールを押し始める。

心と精神が安定してきたアナキンは、その持って生まれた才能とミディクロリアンが相まってより強力なジェダイとなっていた。

 

「ヴェントレス、アナキンが抑えてくれているうちに彼らを連れ出そう」

 

「ああ、面倒な奴はスカイウォーカーに任せておけば良いさ」

 

トリラはヴェントレスに任せて、俺はケイレブに手を貸す。

だがここは敵基地のど真ん中、しかも俺たちの侵入はバレてしまったと考えて良い。

脱出するのには骨が折れそうだ。

 

その時、遠くの方から爆発音と人の叫び声が聞こえた。

どうやら戦闘が起きているようだ。

 

同時にアナキンに押されているモールは、態勢を立て直すために一旦引くことを選んだらしい。

暗黒面の力が乗ったフォース・プッシュを繰り出してアナキンを吹き飛ばそうとしたが、逆にアナキンの強力なフォースで押し返され、積み上げられていたコンテナの山に吹き飛んでいった。

 

「どうやらボ=カターンが応援に来てくれたようだな」

 

K68区画外ではナイト・アウルのメンバーと、デス・ウォッチ、バトルドロイド側とで激しい戦闘が起きていた。

 

ん?

・・・アイツらこんな所まで来やがって。

久しぶりに四人揃ったな。

 

ナイト・アウルに協力しながら戦うアディス、ヒュメル、オーリーの三人が見える。

俺は近くのナイト・アウルにパダワンを任せて、兄弟達と合流する。

 

「おうレイレイ♪ 仕方ないから応援に来てやったぜ!」

 

オーリーは周りのバトルドロイドをスクラップにしながら、余裕そうな態度で俺に声を掛けてきた。

 

「オーリー、腕はもう大丈夫なのか?」

 

「全然余裕よ?あ、でも本調子じゃないって言ったら優しくしてくれる?痛たたたた、オーリーもう戦えない・・・」

 

「そうか、元気そうで何よりだ」

 

「レイレイ、俺の話聞いてた!?」

 

相変わらずの軽いノリに、少しだけ懐かしさを感じてしまった。

だが、本調子には程遠いようだ。

なるべく左腕に負担が掛からないように、庇いながら戦っているのがわかる。

 

「レイ、随分と似合っているな?」

 

そう言うのは他のメンバーをカバーしているアディスだ。

 

「ん?ああ、このアーマーか。潜入任務だからな、親切な奴から借りたんだ」

 

ブラスターに当たるつもりはないが、撃たれても弾いてくれると言うのはかなりの安心感がある。

こんな良いアーマーを着られるんだ。

マンダロリアンが羨ましい限りだ。

 

「アディス、どうしてお前たちが?」

 

「ウィンドゥ将軍から連絡があってな、ちょうど外縁部にいたから応援に来たって訳だ」

 

「なるほどな、だがパダワンを守りながら戦うのは少々キツイ。敵の応援が来る前に早く脱出しよう」

 

「了解した。とにかくこの包囲網を突破しなければな」

 

さっきからモールの姿が見えない事が気掛かりだ。

それにカル・ケスティスもまだ見つかっていない。

 

・・・選択肢は無いな。

何か目的があって攫われたんだ。

すぐに殺されると言う事は無いだろう。

今は脱出するのが最優先だ。

 

 

俺はデス・ウォッチの兵士に向かってブラスターを発砲する。

狙うのはアーマーに守られていない関節部分や、露出している部分だ。

 

動きながらだとこの作業でも至難の業なのに、オーリーに関しては右腕に持ったハンド・ブラスターでマンダロリアン・アーマーのヘルメットのバイザー部分にピンポイント射撃を行っている。

しかも射撃の合間にガンスピンをする余裕まで見せているんだから、近距離戦に関しては本当に恐ろしい腕だな。

黙っていれば良い兵士なのに勿体ない・・・。

 

「何か失礼な視線を感じたよ!?」

 

何か聞こえたような気もするが、俺の勘違いだろうな。

きっと疲れが溜まっているんだろう。

早く温泉に入りたい。

 

「・・・無事で良かった」

 

「ああ、来てくれて助かったぞヒュメル」

 

彼は得意の格闘戦に持ち込んでおり、二振りの高周波ブレードを巧みに操って次々にデス・ウォッチの兵士を戦闘不能に追い込んでいる。

さらにアディスは、ヒュメルの隙をカバーするように的確な状況判断でドロイドやデス・ウォッチの進行を防ぎ、他のメンバーが戦いやすいような状況を作り出している。

 

久しぶりの共闘だが、みんな腕は鈍っていないようだな。

 

「・・・恐ろしい程の連携ね?」

 

そう声を掛けてくるのは、先ほど地上に戻ったボ=カターンだ。

 

「俺たちは文字通り、生まれた時から一緒だからな。これくらい朝飯前さ」

 

俺とボ=カターンは背中を預け合いながら、向かってくる敵兵士の相手をして行く。

彼女もかなりの練度を誇る兵士だ。

伊達にナイト・アウルを率いていないな。

 

 

 

それから程なく俺達の連携と、アナキン、ヴェントレスの突破力のお陰で相手の陣形に綻びが生まれた。

そこに向かって脱出を図る。

 

しかし、もうすぐでエレベーターに辿り着くと言うときに問題が起きた。

ケイレブを運んでいたナイト・アウルのメンバーが、敵からの銃撃に倒れたのだ。

足を撃たれているようで自力では動けないのに加えて、周りには遮蔽物も無く、ケイレブもいるため身動きが取れなくなっている。

 

俺達は彼らを守るために先頭を走っていた事から、その事態に気づくのに遅れてしまった。

彼らを助けるためにエレベーターを飛び出そうとした瞬間、【ベルセルク】を起動したヒュメルに押しのけられて俺はエレベーターの壁に叩き付けられた。

 

気が付くとヒュメルは二人の下に辿り着いており、まずはケイレブを抱えてこちらに運ぼうとする。

その瞬間、激しい戦いの音をかき消すほどの爆音が鳴り響いた。

 

『下のティバナが爆発したぞ!』

 

『何故このタイミングで・・・』

 

デス・ウォッチのメンバーがそう叫び、運悪く爆発に巻き込まれた者はその言葉を言い終わる前に姿を消した。

爆発は連鎖的に起こっており、その効果はエレベーターの所までやって来る。

 

「ヒュメル! 早っ・・・!」

 

爆風に乗って、ケイレブと彼を運んできたナイト・アウルがエレベーターに飛び込んできた。

間に合わないと判断したヒュメルが、【ベルセルク】を使って彼らを放り投げたのだ。

 

これらは本当に一瞬の出来事だった。

そしてエレベーターの緊急プロトコルが発動し、速やかに地上へと上昇した。

俺が最後に見たのは、爆発が起きている中でもなお向かってくるデス・ウォッチのメンバーと、エレベーターに寄せ付けまいと戦うヒュメルの後ろ姿だった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第54話 取り敢えず何も考えたくない

俺達は地上に戻ってきたがデス・ウォッチの増援が向かってきていた事から、速やかな退却を余儀なくされた。

生き残ったナイト・アウルのメンバーはそのままマンダロアに残ったが、俺達はシャトルに乗り込んでマンダロアを脱出した。

 

その時、眼下には崩れ落ちる施設が見える。

建物は崩壊し、地下に建造されていた基地が無事だとは思えなかった。

 

「レイ・・・」

 

俺を心配したアナキンが声を掛けてくれるが、次の言葉が出ないようだ。

先ほどの戦闘で、『生まれた時から一緒にいる』というボ=カターンに言った俺の言葉を傍で聞いていた為、どんな言葉を掛けても意味がないような気がしているんだろう。

 

他の二人(アディス、オーリー)も同じ気持ちのはずだが今は任務中だ。

優先順位は理解している為、他の仲間を危険に晒してまで戻ろうとは言わなかった。

 

それに戦争の被害に遭っている国民には、家族を失った人々もたくさんいる。

小さい子供を亡くした親や、反対に両親を一度に無くして戦争孤児になってしまった年端も行かない子供が数えきれない程いるのだ。

 

兵士の俺たちだけが辛い想いをしている訳じゃない。

俺達はまだマシだ。

いつ死んでもおかしくない立場に身を置いているし、死ぬ覚悟だって出来ているんだからな。

 

とにかく、今は無事に脱出することが優先だ。

ヒュメルだって同じ立場だったら任務を優先するだろう。

 

「・・・大丈夫だアナキン、今は任務を優先しよう」

 

・・・だが理解しているのと、納得しているのは別問題だ。

本当だったら、俺だけでもあそこに飛んでいきたい。

あの時ヒュメルは何か嫌な予感がしていたのかもしれない・・・

俺は彼に救われたんだ。

 

 

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ評議会>

 

あれからナイト・アウルのメンバーと別れて、レイ達は報告の為にコルサントへ戻ってきていた。

そしてアナキンは惑星マンダロアで起きた出来事を、ジェダイ評議会に報告していた。

 

「・・・そしてケイレブ・デュームとトリラ・スドゥリーを保護することに成功しましたが、マスター・タパルのパダワン、カル・ケスティスは発見することが出来ず、加えて脱出の際にはARCSトルーパーのキャプテン・ヒュメルが爆発に巻き込まれ、現在行方不明となっております」

 

「ご苦労だったアナキン、それにしても前回の報告でもあったが、惑星マンダロアがシスの暗黒卿に支配されているとはな・・・」

 

「パダワンが攫われ、クローンが被害に遭った事で評議会や軍が動く必要が出てきたのは間違いない。それにサティーン侯爵もこちら側にいる」

 

そう話すのは、マスター・ウィンドゥとマスター・ムンディだ。

 

「サティーン侯爵の話ではアルメクが首相の座に就き、それを裏で操っているのがモールだと言う事です。ですが今回の誘拐に関しても人民に示す証拠がない。共和国軍が惑星マンダロアに侵攻すれば、明らかな平和条約の違反と映るでしょう」

 

「オビ=ワンの言う通りだな。それに元老院の承認が得られるまで、今しばらく時間が掛かるだろう」

 

そう話すメイスはマスター・ヨーダの方に視線を向け、彼の言葉を待つ。

 

「うーむ、今はマンダロアの内戦よりもこの戦争を終わらせる事が優先じゃの。それに戦争が終われば、彼らの星を救う事も出来るはずじゃ」

 

 

 

<惑星コルサント 共和国軍基地>

 

俺達はアナキンが評議会へ報告に向かった為、一先ず基地で時間を潰していた。

オーリーはリハビリだと言って射撃訓練場に引き籠っており、アディスに関しては散歩だと言って基地内を歩き回っているようだった。

その為、俺は一人で士官用にあてがわれている部屋のベッドで横になっていた。

 

何のことは無い。

それぞれが戦友を亡くした事を乗り越えようとしているんだ。

 

「ふっ、戦友か・・・アイツは家族だ」

 

俺達は文字通り、身体の一部を失ったような気分になっていた。

これまでだって兄弟であるクローンを大勢亡くし、この手の中で看取ってきた回数も、もはや覚えていない程だ。

 

・・・だがアイツらは特別だ。

生まれた時から一緒で、これからも戦場を共に戦い、そして戦争が終わってからも何だかんだ一緒にいるものだと思っていた。

 

その一部が急に消えたんだ。

それも、俺を守るために・・・

 

「俺はどこで間違えてしまったんだろうな、ヒュメル・・・」

 

その時、この部屋の扉をノックする音が聞こえる。

俺は力が抜けきってしまった気怠い身体を起こし、扉を開けるために歩みを進める。

 

「・・・アナキン」

 

「レイ、こんな時にすまないが君に会いたいと言う人がいるんだ」

 

そこには心配そうな目を向けたアナキンが立っていた。

そして彼と入れ替わるように現れたのは、意外な人物だった。

 

「お久しぶりですね、コマンダー・レイ」

 

「貴女は・・・」

 

姿を現したのは惑星マンダロアの重要人物で、ボ=カターンの姉に当たるサティーン侯爵だった。

 

 

 

俺は二人を部屋に招き入れ、護衛のトルーパーは外で待たせていた。

まあ護衛と言うのは建前で、本当は彼女を見張っているんだろうけどな。

 

「それで話と言うのは?」

 

「ええ、実は改めてお礼が言いたかったの。以前オビ=ワンと貴方に助けて頂いた時に、きちんとお礼が言えなかったから」

 

「いえ、任務でしたので・・・」

 

そんな事を言いに来たのか?

本音を言えば後にして欲しかった。

酷い言い方になってしまうが、彼女の礼など受け取ったところで今の俺の気持ちが晴れるわけじゃない。

 

「それと、惑星マンダロアに残っているボ=カターンから連絡が入ったの」

 

「ボ=カターンから?」

 

「ええ、デス・ウォッチが例の施設の残骸処理や、爆発に巻き込まれた人々の救助をしていたようなのだけれど、彼女が偵察したところでは“彼”は確認できなかったそうよ。良いニュースを持ってこられたら良かったのだけれど・・・本当にゴメンなさい」

 

「・・・そうですか、お伝え頂きありがとうございます」

 

そんな事か。

一瞬もしかしたらと期待を持ってしまったが、やはりヒュメルは見つかっていないんだな。

爆発の近くにいたから、跡形も無く吹き飛んでしまっている可能性だってある。

死体が見つかっていないのは、何も捜索が捗っていない事ばかりが理由ではないだろう。

 

「・・・」

 

「レイ、そのアーマーをまだ着ていたのか?」

 

沈黙を破ったのはアナキンだった。

彼は暗い雰囲気を変えるために、俺が先の任務から着続けているマンダロリアン・アーマーに話題を振った。

 

「ああ・・・帰還してすぐにこの部屋に来たからな。それに俺のアーマーもあの爆発で吹き飛んでしまった」

 

そういえば着替える事すら忘れていた。

帰還してすぐにこの部屋に引き籠っていた為、全く気にも留めなかった。

俺のアーマーもあの爆発で吹き飛んでしまったんだな。

次の任務までに新しい装備を揃えなくては・・・。

 

「もしよければそのアーマーを使って下さい。貴方は私の恩人ですし、せめてものお礼です」

 

「そんな・・・いただけません」

 

そ、そんなに簡単に貰っていい物じゃないだろう?

これはマンダロリアンの伝統その物と言っても良い。

部外者が着て良い物じゃないだろう。

 

・・・既に何回か着ているけどな。

以前にサティーン侯爵を助けた時にデス・ウォッチから奪った物は、既に彼女へ還している。

オビ=ワン、アナキン、ヴェントレス、俺が着ていた物をあわせると計四着分のアーマーがサティーンの手元にあると言う事になる。

 

正確には、今も俺が着ている物もあるから計五着だな。

まあ、とにかくこのアーマーは貰えないって事だ。

 

「マンダロリアン・アーマーとしての伝統を気にされているようでしたら、クローン・トルーパー・アーマー用に再精錬すれば問題ありません。それに元々デス・ウォッチが着ていた物ですから・・・。それに私の手元には貴方が着ているものとで、合計五着分のヴェスカーがあります。クローン用のアーマーを作るには普通のマンダロリアン・アーマーに比べて大量のヴェスカーを使う事になるでしょうが、足りないと言う事はないでしょう。私の知人に腕の良い職人がいるので、すぐに出来上がると思いますよ」

 

そういうものなのか?

正直、今はヒュメルの事で頭が一杯で他のことを考えていたくない。

深く考えず、流れに身を任せよう。

 

 

こうして俺は大切な家族を失った代わりに、世界最強のクローン・トルーパー・アーマーを手にするのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

レイ達は今までの様々な経験から、ヒュメルの事はある程度受け入れられている状態です。
しかし100%正常な精神状態ではなく、乗り越えるためにはある程度の時間が必要なようです。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第55話 取り敢えず時間は流れる(クローヴィスの台頭:前編)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

0600時に予約投稿していたはずなんですが、何故か投稿されていませんでした。
(どうせ投稿ボタンの押し忘れですよ・・・)

7時過ぎちゃいましたが、お時間ある時にご覧ください。


あれからまた少し経ち、俺達はヒュメルがいない現実を徐々に受け入れ始めていた。

心に空いた穴は未だ大きいが、その悲しみを心の奥底にしまい込むことで、俺達は前を向いていくことが出来ている。

 

正確には新たな問題が起きたために、前を向かざるを得ない状況になったと言うのが正しいな。

分離主義派のラッシュ・クローヴィスがパドメに協力を仰ぎ、銀行グループの腐敗を明らかにするために行動を起こしたのだ。

 

 

 

<惑星コルサント 最高議長室>

 

「信じられる訳がないだろう?君は元老院議員でありながら、独立星系連合のドロイド工場へ出資していた」

 

そう話すのは、惑星オルデランの元老院議員を務めるベイル・オーガナだ。

彼は過去に共和国を裏切った事のあるラッシュ・クローヴィスを、信用できないようだった。

まあ、当然の反応だろうな。

 

「貴方が私を信用できないのは当然ですが銀行の不正は明らか、銀行全体が崩壊する前に“コア5”を失脚させます。私は公正な取引をする本来の姿に戻したいだけ、その為には不正を働いている者たちを一掃し、真相を暴かなくては」

 

「まあ待て、重要な情報を持って来てくれたことには感謝しているが、君は何を証明したいのかね?」

 

そう話すのは最高権力者であり、全ての黒幕であるパルパティーン最高議長だ。

コイツは今回の一件で、銀行すらも自らの手中に収めてしまう。

 

そうはさせるか。

俺が『これでもか!』ってくらい邪魔してやる。

 

その後クローヴィスが提示したデータにより、銀行から多額の預金が動かされている事が判明した。

彼が言うには、移動先は恐らく個人の隠し口座だというのだ。

 

うん、当たってるよ。

確か目の前にいる人の隠し口座に流れているはずだから。

いつも思うんだけど、パルパティーンって通信相手によって服装を替えるのって面倒じゃないのかな?

いちいちマント羽織るのって・・・

 

そして議長からの指示もあり、パドメがこの件の捜査責任者に任命され、クローヴィスと組んで動くことになった。

 

妻がクローヴィスと捜査することについて異議を唱えるかと思っていたが、アナキンは面白くなさそうな顔も見せずにその事実を受け入れていた。

 

「おいアナキン、あのクローヴィスって奴は以前アミダラ議員と恋仲だったんだろ? 心配じゃないのか?」

 

周りに聞こえないように、小さな声でアナキンに話しかける。

俺だったら発狂して、相手を撃ち殺す自信さえある。

男は獣よ?

 

「以前あの男が原因でパドメが死にかけた事はあったが、その時だって自分の身を犠牲にする覚悟で助けようとしていた。それにクローヴィスが銀行グループの不正を暴きたいと言うのは本心だろうし、彼のパドメに対する気持ちも理解しているつもりだ。だからこそ、彼女が嫌がることはしないだろう。僕は夫として、彼女を陰から支えるつもりだ。それに僕は妻を信じている」

 

何この夫の鑑みたいな人・・・

『パドメは僕の物だ!!』って共和国を崩壊させた人物とは思えない落ち着きようだな。

 

「信頼してるんだな、それでこそ夫婦だよな」

 

「褒めてくれているのに、どうして親の仇に向けるような目で僕を睨むのかな?」

 

俺は相手を褒めながら、それでいて威圧すると言う高度な技術を遺憾なく発揮している。

あれ?

眼から滴り落ちるこの赤い液体はなんだろう?

急ぎ、ドクター・ナラ・セに診てもらわないと・・・。

 

 

仲良く(?)冗談を言い合っている俺たちに、ある人物が声を掛けてくる。

そうです、あの人です。

その微笑みやめてもらえますかね?

 

「アナキン、少し良いかな?」

 

パルパティーン・・・

まあ正確には、声を掛けられたのはアナキンだ。

コイツは彼に任せて、レイ君はフェードアウトさせてもらいます。

 

「・・・それでは自分は失礼します」

 

「まあ待ちたまえ、君はコマンダー・レイだね? 実際には初めて会うが、君の噂は良く耳にしている」

 

巻き込まれた。

 

「非常に優秀な士官だと聞いている。どうだね、私の個人的なボディーガードになる気はないか? 最近は何かと物騒だ。数々の試練を乗り越えてきた兵士が守ってくれるなら、非常に心強いのだが?」

 

いやいやいや

アンタ、俺なんかとは比べ物にならないくらい強いでしょ?

何言っちゃってんの?

貴様に身辺警護なんて必要ないがな。

 

「ご冗談を・・・自分はただの一兵士に過ぎません。最高議長を御守り出来るほどの能力も実力もありません。自分は戦場に立ち、一刻も早くこの戦争を終わらせる為に尽くします。それが結果的に、議長や共和国を守ることに繋がると信じております」

 

「うーむ、そこまでの覚悟があるなら仕方がない。私もこの戦争を早く終わりにする為に、出来る限りの事をすると約束しよう。君に会えて良かったよ、レイ」

 

「身に余る光栄です」

 

体裁を保つためとはいえ、虫唾が走るな。

何だかんだ初めて会ったが、もう一生会いたくない。

次に会うときはコイツを殺すか捕まえるときにしよう、うん。

・・・まあ、一対一だったら間違いなく返り討ちにされるだろうな。

 

「アナキン、今回の事で何か不満があるんじゃないのか?」

 

「クローヴィスの事でしょうか? その事でしたら問題ありません。彼の事を信用している訳ではありませんが、銀行の中に不正が蔓延しているとしたら事は重大です。すぐに手を打たなければ、共和国はたちまち崩壊へ向かう事になるでしょう」

 

アナキンからの答えが意外だったのか、パルパティーンは一瞬面白くないような顔をする。

だがすぐに善人の仮面を被り直し、優しい様子でアナキンに話しかける。

 

「しばらく会わないうちに、随分と成長したようだな。さすがはこれからの未来を担うジェダイだ。マスターへの承認も、君の才能を見れば極々自然な事だろう。それに・・・」

 

その後もアナキンが喜びそうな甘い言葉を続け、時折ジェダイに不満を持つように誘導するような言葉選びをしていたが、今のアナキンには響かないようだ。

しかも若干面倒くさいのか、彼の言葉を上手く躱しているようにも見える。

 

「ありがとうございます。ですが議長の貴重なお時間を取らせるのは忍びない・・・それに私たちはアミダラ議員に微力ながら手助けを出来ればと思いますので、これで失礼いたします」

 

「“私たち”? ・・・そうか、時間を取らせてすまなかったな。またいずれゆっくり話そう」

 

そう言い残して、パルパティーンは自分の職務に戻って行った。

なんか最後睨まれたような気がするんですけど、気のせいでしょうか?

 

シスの暗黒卿に睨まれたら時間差で石化しちゃうとか、そんな恐ろしいイベントは起きないよね?

なんか目を付けられた気がしてならない。

こうなるのが嫌だったから今までパルパティーンに出会わないようにしていたのに、ここに来て・・・

 

やだなー

夜道には気を付けよう。

 

 

 

 

 

・・・どうして銀行グループの不正を暴くのに、オペラを観る必要があるんだ?

これって、国の経費で賄われているんですかね?

元国家公務員として非常に気になるところです。

え?

そこじゃないだろうって?

 

まあ遊んでばかりではなかったようで、銀行からの借入に対して分離主義勢力が利息を全く支払っていない事がクローヴィスの調べによって判明する。

それに加えて、銀行は共和国に対しても融資を約束している。

あ、貸す金は無いらしいですよ?

 

では預金は何処に行ったかと言うと、少ない額を何度も何度も引き出すことによって、普段であれば見過ごすような額だが、合計すれば多額の横領になると言う話らしい。

 

うん

まあ、よくある話よね。

こんなにも科学技術が高く、多種多様な種族が共存しているのに、根本的な所は地球と変わらないんだな。

どうしてパルパティーンが、優秀な指導者として支持されているのか理解できない。

美味い蜜を吸っているのは、いつの時代、どこの国でも一部の上流階級の者たちだ。

 

・・・話が逸れたな。

とにかく、銀行が不正を働いていて分離主義勢力に加担しているのは明白だ。

今後の為にも、銀行グループをパルパティーンの手に渡ることは何としても阻止しなくてはな。

 




はい、お疲れさまでした。
会いたくない奴と出会ってしまった・・・。

ちなみにヒュメルを失った悲しみを忘れているような表現をしている所もありますが、落ち込んでいる所ばかりフォーカスしても、話が進まないのでいつも通りの様子にしました。

本当の所では彼らの悲しみは続いていますが、今は気持ちを切り替えて職務を全うしようとしています。
温かく見守ってやってください。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第56話 取り敢えず利息は払ってね?(クローヴィスの台頭&はずれた思惑)

はい、皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

この小説も初投稿から、早くも二か月が経ちました。
初めての執筆で、何もわからない中で始めた作品でしたが、ここまで続けてこられたのも、ひとえに皆様の応援があったからこそだと思います。
本当にありがとうございます。

拙い作品ではありますが、引き続き温かい目で見守って下さると嬉しいです。
加えて読者様とも、どんどん絡んでいきたいと思いますので、気軽な関係を築いていきましょう!
感想やメッセージもお待ちしております!

あ、それと勢いでSW用のTwitterを開設したので、気になる方は探してみてください。
恐らく一瞬で見つかりますw
そちらの方でも遠慮なく絡んで下さい。



銀行の多額な資金が横領されている事実を突き止めたクローヴィスだったが、パドメとの平和な夕食会を楽しんだ後、未練がましく彼女に手を出そうとしていた。

だが身の危険を感じたパドメが、彼の頬を思いっきりぶん殴ったので思わず笑ってしまった。

 

実は彼女たちが居る部屋に、小型の監視カメラを仕掛けていたのだ。

俺達は、そこから送られてくる映像を別室で確認していたという訳だ。

 

「おっと、良い右フックだな! 死角からの攻撃にクローヴィスも驚いているぞ?」

 

「ふんっ、僕の妻に手を出そうとした報いだな」

 

クローヴィスの整った顔が赤く腫れあがっているのを見て、また笑いが込み上げてくる。

アイツ何が起きたか一瞬わからなかったようだな。

くっくっくっくっw

 

「なんだアナキン、自分の奥さんに格闘技を仕込んだのか?」

 

「自衛が出来る程度の護身術なら教えたが、あのパンチには僕も驚いたよ」

 

俺達は何故か面白くなって、一緒に笑ってしまう。

何となく、子供の頃にお泊り会をした時のようなテンションだな。

 

俺は念のため、彼の自室に医療ドロイドを手配する。

忘れちゃいけないが、この医療ドロイドはドゥークー伯爵の持ち物だ。

クローヴィスにコンタクトを取るために、彼が送り込んだものだな。

 

・・・って言うか、医療ドロイドってかなりピンポイントですよね。

怪我しなかったら、会う機会無いやん。

 

 

<クローヴィス 寝室>

 

「顎ノ骨ハ折レテイナイヨウデス」

 

医療ドロイドの診察を受けるクローヴィスは、想い人にノックアウトされた事に意気消沈していた。

 

「・・・」

 

「私ノ主人ガ貴方ニ話ガアリマス」

 

「・・・何の事を言っているんだ?」

 

そう言った医療ドロイドがホログラムを映し出すと、そこにはドゥークー伯爵が現れる。

 

『やあ、クローヴィス』

 

「・・・何の用だ、ドゥークー」

 

ドゥークー伯爵はクローヴィスに対して、お互いには解決すべき問題があり、その過程で協力し合えると話す。

しかしクローヴィスは、分離主義者たちが銀行に対して利息を返してない事を指摘する。

 

『我々が銀行の不正に加担していると?』

 

「この期に及んで、分離主義派はコア5と結託していないとでも言うのか? 銀行は利息無しでアンタ達に融資している」

 

『確かにそうだが、その情報が公になればスキピオは戦場と化し、銀行は消滅するだろう。それでは誰も特はしない・・・だから皆が得をするように段取りをつけて、全てを上手く収めたいのだ』

 

「・・・何を言っている?」

 

ドゥークーは、現在銀行を取りまとめているコア5を失脚させ、クローヴィスをそのトップに据えたいと言ってきたのだ。

加えて、今まで銀行から受けてきた融資に対する利息も全額支払うそうだ。

 

「アンタがそこまでして、僕を銀行のトップに据える事に何の得がある?」

 

「慎重に事を運んでいるだけだ。これは非常にデリケートな問題・・・共和国同様、我々も戦争をするには資金が必要なのだ。隠し口座がどこにあるかを教えよう、それを使って元老院にコア5を告発すれば良い」

 

まあ結論を言うと、ドゥークー達は自分の思い通りに動く銀行のトップを手に入れようとしている訳だ。

銀行を自分の思い通りに動かせるようになれば、銀河中の流通等もコントロールすることが可能になるからな。

 

え?

なんでお前が解説しているのかって?

勿論、別室でアナキンとモニターしています。

 

馬鹿だねー

どうして盗撮には気が付かないんだろうか?

ジェダイもシスも、こういう所は抜けているよね。

 

ちなみに日本では地方の安いラブホテルに行くと、その中での行為を盗撮されているとか何とかって噂がありますよね・・・

 

いやぁぁぁぁぁぁぁ

末代までの恥だわ。

怖い、怖い。

 

・・・そんな相手いないから心配しなくもいいんだ。

良かった、モテなくて!!

 

「・・・レイ、どうして落ち込んでいるんだ?」

 

「やめろぉぉ、俺の心の傷をこれ以上広げるな!」

 

その優しさが俺を傷つけるのよ。

イケメンに慰められたって・・・。

 

この怒りは奴らにぶつけよう。

うん、そうしよう。

 

待ってろよ、シディアス卿ぉぉぉぉぉ

 

 

 

そんなこんなで、クローヴィスとドゥークーの通信は終わっていた。

後はクローヴィスをこっちに引き込むだけだ。

今後の事も考えて、銀行には公正な運営を行ってほしいからな。

 

医療ドロイドが退出したのを確認してから、俺はアナキンと一緒にクローヴィスがいる寝室に向かい、扉をノックする。

 

「・・・どうぞ」

 

彼からの許可が下りたので、遠慮なく入らせてもらう。

うわ、やっぱり頬が腫れとる。

・・・パドメと話すときは、彼女の逆鱗に触れないように気をつけよう。

 

「二人揃ってどうしたのかな?」

 

「クローヴィス、君は僕たちに話すことがあるんじゃないのかな?」

 

「な、何のことかな?」

 

「今ならまだ間に合う、俺達に協力した方が利口だと思うが?」

 

「・・・」

 

あくまでシラを切るつもりか?

ここまで言われれば、さすがに勘づくと思うが・・・

 

「お前がドゥークー伯爵と取引したことはわかっている。仮にお前が銀行のトップの座を手に入れたとして、あのドゥークーが素直に滞納している利息を支払うと思うか? それどころか分離主義派と裏取引した事を利用されて、奴の駒になるのがオチだろう」

 

「クローヴィス、僕たちは何も君を吊し上げようとしている訳じゃない。銀行グループの不正を暴き、本来あるべき公正な組織に戻って欲しいんだ」

 

「僕だって同じ気持ちだ! でもだからって、どうすれば良いんだ・・・」

 

別に難しい事でも何でも無いと思うが・・・

俺はこれだけ証拠があれば、コア5と分離主義派の裏取引や不正に関しては公にすることが可能だと説明する。

さらに隠し口座の件に関しても、先ほどの医療ドロイドから情報を得ているから問題ない。

止めの一撃には、先ほどのドゥークーとの通信を録音したものがあるからな。

まあ、問題はないだろう。

 

「君はクローンだろう? どうして・・・」

 

どうしてクローンがそんな事まで首を突っ込んでいるのかって事か?

・・・確かに。

はたから見れば変なのかな?

・・・変だよな、普通に考えて。

 

俺はアナキンの方を向いて、助けを求める。

 

「別に君が普通じゃないのは、今に始まった事じゃないだろう?」

 

ねー?

その心を読んだのか、仲が良いからわかったのか知らないけど、何も言ってないのに普通じゃないとか言うのやめてくれない?

普通に傷つくんですけど・・・

 

「・・・わかった、君達に協力をお願いしよう。だが、僕が銀行の代表になっても共和国を優遇したりはしない。あくまで公正な立場を貫くだろう」

 

「そっちの方が信用できる。仮に共和国を特別扱いしようものなら、俺はお前を元老院に突き出していたぞ」

 

そう言った俺に対して、クローヴィスは笑みを見せてくる。

隣を見ると、同じようにアナキンも口元を上げている。

 

どうやら、上手く言ったようだな。

 

 

 

その後、最高議長の執務室でムーン政府とクローヴィス達の話し合いの場が設けられた。

ムーン政府は銀行の隠し口座を押さえることに成功し、コア5を既に逮捕しているという。

 

さらに今回のクローヴィスの活躍を高く評価し、分離主義勢力は彼が銀行の新しい代表に就くことを承認したのだった。

それに付随して、共和国の代表であるパルパティーン議長もクローヴィスの銀行グループ代表就任を支持することを約束した。

 

そして元老院の決議により、クローヴィスは正式に銀行グループの代表と認められたのだった。

 

 

 

 

 

<惑星スキピオ インターギャラクティック銀行グループ本部>

 

俺とアナキンは、クローヴィスの就任を見届ける役目を任されたパドメの護衛として、共にスキピオを訪れていた。

そして代表の引継ぎが無事に終わり、俺達は彼の執務室を訪れていた。

 

「クローヴィス、銀行グループ代表への就任おめでとう」

 

「ありがとう、君達の協力が無ければここまで事は上手く運んでいなかっただろう」

 

今回の件でドゥークーがコア5と裏取引していたことが明るみになり、分離主義元老院の中からも彼を批判するものが現れ始めた。

そして分離主義派のやり方に付いていけず、共和国側に寝返ってきた国もあるほどだった。

 

「アンタが公正な運営をしたいと思っているからこそ協力したんだ。その期待を裏切るなよ?」

 

「もちろんだよレイ、銀行は本来あるべき姿に戻りつつある。今回のドゥークーの不正が明るみに出たことで、分離主義派は未払いの利息に関して全額支払う事に同意した。これでまた、銀行として公正な運営を行っていける」

 

それは何よりだ。

そして一番喜ばしいのは、パルパティーンやドゥークーの企みを正面から潰してやれた事だ。

いつまでも、思い通りに出来ると思ったら大間違いだぞ。

 

結果的に、銀行グループはパルパティーンの物にならずに済んだし、これからも公正な運営を行っていくはずだ。

 

べ、別に嗜好品店の開業に伴う融資を受けようと何てしていないんだからね!?

人聞きの悪い事言わないでよ・・・

まあ借りることがあっても、しっかりと利息は返しますよ?

も、もちろん・・・。

 




はい、お疲れさまでした。

議長もドゥークーも形無しですね。
でもレイ君は、彼らに目を付けられたような気がするから気を付けてね?

いよいよクローン・ウォーズも終わりが見えてきましたね。
最後までお付き合い頂ければ嬉しいです!

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第57話 取り敢えず敵陣へ(不良分隊:前編)

あれからまた、しばらく経った・・・

 

銀河外縁部は共和国が抑え、独立星系連合が押されているのは誰が見ても明らかだった。

ドゥークー伯爵と、銀行グループの裏取引が明るみに出たことも尾を引いており、分離主義派は足並みが揃わない状況が続いている。

 

さらに分離主義者達は、銀行グループに対する今までの借入分の利息の支払いに加えて、共和国との戦争を続けるための融資を追加で受けており、いつまで誤魔化しが利くか怪しいものだ。

 

だがこちらも喜んでばかりはいられない。

アナキンとオビ=ワンの活躍により、ティラナスと言う人物がドゥークー伯爵と同一人物と言う事が明らかにされた。

まあ、アナキンは元々俺から話を聞いていたので驚きもしていなかったけどね。

 

それに付随して、敵の策略によってクローン・トルーパーが製造された事実が判明し、ジェダイ評議会の中ではシスの脅威がより濃厚なものとなっていた。

評議会の判断で、この事実は議長含め外部の者には知らされない事が決定した。

 

 

 

 

 

<惑星アナクシス 共和国造船場>

 

そしてさらに数か月が経過し、俺達は現在、共和国最大の造船場であるアナクシスにおいて分離主義者達の攻撃を受けていた。

 

「主要施設はドロイド軍に占拠された。このままではアナクシスが敵の手に落ちるのも時間の問題だ。そうなれば、我が軍は艦隊の維持が難しくなる」

 

そう話すのはメイス・ウィンドゥだ。

共和国艦隊の要であるこのアナクシス防衛の為、アナキンと共にジェダイ評議会から派遣されたのだ。

 

「失礼します将軍」

 

そう断りを入れながらやってきたのはコマンダー・コーディーと、キャプテン・レックスだ。

彼らはここ最近の戦況を分析し、その結果、負け続ける原因が判明したと言うのだ。

 

「敵は我が軍の、ある特定の戦術を読んでいる節があります。破られているのは自分の立案した戦術ばかりです・・・正確には先の戦闘で行方不明となっているARCSトルーパーのヒュメル大尉と、ARCトルーパーのエコー伍長と共同で作成した戦術です」

 

この三人が立案した作戦によって、共和国軍の損害率は大幅に低下した。

だがその戦術が読まれていると言う事は、常に後出しじゃんけんをされているのと同じ状況だ。

これでは勝てる戦いも勝てない。

 

・・・じゃんけんとか暫くやってないけど、滅茶苦茶弱いのを思い出した。

佐藤曹長元気かな・・・。

 

「レックスは我が軍でも最高の士官の一人です。彼の作戦が破られると言う事は、我が軍全体に及ぼす影響は計り知れません」

 

「それで、何か打開策があるのか?」

 

コーディーの言葉にメイスは解決案を求める。

『少しは自分で考えろよ』って俺が思ったのは秘密だよ?

 

「はい将軍、レックスと自分が小部隊を率いて敵地に潜入します。可能であれば、コマンダー・レイにも協力して頂きたい」

 

「もちろんだ、コーディー」

 

俺が了承したのを確認してから、コーディーは話を進める。

 

「最前線のドロイド軍に情報を伝えるサイバーセンターが、敵陣の後方にあります。何かあるとすれば、そこに答えがあるかと」

 

メイスは、戦局が変わる可能性があるなら許可を出すと言う。

俺はレックス、コーディーと作戦を練るため、指令室を後にした。

 

 

 

 

 

歴史通りなら、戦術が読まれているのはエコーを使って情報を引き出しているはずだよな?

しかし、彼がどこの星に囚われているのかが思い出せない。

 

捕縛に成功したトレンチ提督からも、その情報までは引き出せなかった。

もっと時間が経過してからであれば、トレンチにもエコーの情報が入ってきたはずだ。

彼を捕らえるのが、早すぎたんだ。

 

その為エコーを助け出すには歴史通り、敵の指令センターから情報を手に入れるしかない。

取り敢えず作戦会議だな。

 

「それで? 率いる分隊はどうする?」

 

「クローン・フォース99だ」

 

レックスからの質問に、コーディーが答える。

そうだった・・・

この作戦に同行するのはアイツらだったな。

どうも苦手なんだよなぁ。

 

「? レイ達は彼らと何かあったのか?」

 

オーリーを除いて、俺とアディスがあまり良い反応をしなかったのが気になったのかレックスが質問してくる。

 

「ま、まあ色々とな・・・」

 

そんな話をしていると、基地のプラットホームへ急速に接近するシャトルが見える。

あぶねー!?

周りの物資を蹴散らしながら、地上に降り立つ一機のシャトル

クローン・フォース99のお出ましだ。

 

「騎兵隊のお出ましだぜ!!」

 

あれはレッカーだな。

遠くからでも良く見える。

 

全員ヘルメットを外し、ジャンゴ・フェットとは似ても似つかない顔を晒している。

彼らを初めてみるトルーパーは、本当にクローンなのかと疑問を抱いている。

 

「軍曹、また会えて嬉しい」

 

「自分もです」

 

そう言ってコーディーと、この分隊を指揮しているハンター軍曹が挨拶を交わす。

 

「遅くなり申し訳ありません。ヤルベク・プライムでの暴動鎮圧中に連絡を受けましたが、現地で想定外の事態に巻き込まれまして」

 

「ふはははははっ!! 雄のヤルベクと戦ったことは!?」

 

・・・相変わらず声がデカい奴だな。

そんなんだから、ヒュメルに嫌がられるんだ。

 

「ようレッカー、お前は相変わらずだな」

 

そう言いながらアディスとオーリーを引き連れて、彼らの前に姿を現す。

まさか俺たちが居るとは思いもしなかったようで、四人とも驚いている。

 

あ、紹介がまだでしたね。

・チームリーダーのハンター軍曹

・巨漢で馬鹿力、おまけに騒がしい性格のレッカー

・身体機能は平凡だが、頭脳に優れたテック

・無口で辛辣な物言いをする狙撃手、クロスヘア

 

以上で構成されるのがクローン・フォース99だ。

彼らは意図的に遺伝子を突然変異させて生まれたクローンであり、姿や声なども一般的なクローンとは異なった特徴を有している。

ちなみに、彼らはクローン・コマンドーに分類されている。

 

「レイの兄貴!?それに皆さんもお揃いで!?」

 

デカい声でそう言いながら、レッカーが勢いよく頭を下げる。

それに続くように、テックとクロスヘアも頭を下げてくる。

 

こんな感じだから会いたくなかったんだ。

何だよ兄貴って・・・生まれた順番か?

 

「コマンダー・レイ、お久しぶりです。またお会いできて光栄です」

 

「ありがとう軍曹、お前たちも相変わらずのようだな?」

 

俺達は握手をしながら、挨拶を交わす。

 

「不良品の集まりですから・・・そういえばキャプテン・ヒュメルの姿が見えないようですが、何か別の任務ですか?」

 

「アイツは・・・」

 

俺は今まであった事を簡潔に伝える。

彼は『そうですか・・・』と一言で口にしただけだったが、悲しそうな顔をしている。

それだけ慕ってくれていたと考えると、俺も込み上げてくるものがあるが今は任務が優先だ。

 

「取り敢えず、任務については道中話そう」

 

そう言ってLAAT/iガンシップに乗り込む。

他の連中は、俺達とクローン・フォース99に面識があるのが気になるようで、レックスが代表して聞いてくる。

 

「なあレイ、クローン・フォース99なんて初めて聞いたが、どこかで会っているのか?」

 

「ん? ああ、彼らとは以前任務で一緒になったんだ。その時にどうも気に入られてしまったようでな。それ以降、さっき見たような感じさ」

 

細かい話はまた別の機会にしましょう。

今はエコーの情報を得るのが先だ。

 

 

 

 

 

<敵陣地 峡谷>

 

その後俺たちは敵陣地に向かっていたが、敵からの攻撃を受けてガンシップが墜落してしまった。

いえ、違うんです。

パイロットに危険を知らせようとしたら、レッカーがヒュメルの殉職を聞き、機内で大暴れしたんです。

それが原因でパイロットへの指示が遅れてしまい、墜落する羽目になった。

 

まあ、危険を知らせていたところで回避できなかった可能性が高いからな。

どちらにせよってヤツだ。

 

だがこの墜落でコーディーが内臓を損傷する重傷を負い、パイロットも命は助かったが下手に動かせない状態だった。

 

「痛みは誤魔化せますが、出来るだけ早く設備が整った場所に移す必要があります」

 

そう話すのは、第501大隊所属の衛生兵であるキックスだ。

 

「コマンダー、バトルドロイドの部隊です」

 

ん?

さっきの爆発で位置を悟られたな。

まあ、そもそも撃墜されている時点で居場所はバレているんだ。

今更だろうな。

 

「全員この場所で迎え撃つぞ、遮蔽物に身を隠せ」

 

「自分は反対ですキャプテン、ウチらのスタイルじゃない」

 

レックスからの指示に反対意見を述べるのはハンターだ。

彼はこんな状況でも“守り”ではなく“攻撃”を選んだ。

 

「仕方ない・・・軍曹、お前たちは好きにやれ。オーリーは俺と来い、アディスは負傷者を守りながら援護を頼む」

 

「「イエッサー」」

 

「了解ですコマンダー。不良分隊、プラン82“衝撃波”だ」

 




はい、お疲れさまでした。
長くなりそうだったので、一旦ここで区切ります。

不良分隊との出会いに関しては、皆さんの希望があれば別の機会に投稿しようと考えています。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第58話 取り敢えずこのアーマー便利(不良分隊:後編)

「仕方ない・・・軍曹、お前たちは好きにやれ。オーリーは俺と来い、アディスは負傷者を守りながら援護を頼む」

 

「「イエッサー」」

 

「了解ですコマンダー。不良分隊、プラン82“衝撃波”だ」

 

ハンターがそう指示を出すと、レッカーがガンシップの残骸から遮蔽物になりそうな装甲を選び、お得意の怪力で持ち上げる。

不良分隊は、この遮蔽物に隠れながら前進するようだ。

 

良い作戦だが、コイツ等の能力があって初めて出来る芸当だな。

・・・俺達も見習ってみるか?

 

「なあオーリー?」

 

「ん? そうしたんだ、レイレイ?」

 

「お前も“あれ”やって見ろよ」

 

「急な無茶ぶり!? 何言っちゃってんの!? オーリーの腰が終わるよ? 一歩も動けないよ? どうして急に無茶振りしてきたの? レイレイったらイヤらしいんだから♪」

 

取り敢えず、今のどこにイヤらしい要素があったのか説明してくれませんかね?

ムカつくから撃っとこうかな。

 

「ねえちょっとレイレイ!? 『味方に銃口を向けるな』って、初めて銃を取り扱うときに習わなかった!? 思いっきりこっち向いてるんですけど!? っていうかトリガーに指が掛かっているよ!? 撃つとき以外はトリガーに触っちゃいけないんだよ!?」

 

「なら問題ないな。俺は間違えちゃいないって事だ」

 

「この人撃つ気だ!?!?」

 

冗談は置いておいて、不良分隊だけに任せるわけにはいかない。

俺達も行くか。

 

「オーリー、お前は後ろから付いて来い。俺が壁になってやる」

 

「了解だぜ、レイレイ♪」

 

そう言うと俺たちはジェットパックを起動して、戦いやすい距離まで一気に詰める。

地上に降り立つと、俺の後ろに隠れているオーリーが専用兵器の【ラース】を起動する。

 

今回【ラース】に装備されているのはDC-17M リピーティング・ブラスター・ライフル

 

これはクローン・コマンドーが好んで使っている、近距離用のブラスター・ライフルだ。

『ライフルなのにどうして近距離用なのか?』というマニアックな疑問は置いておいて、このブラスターの弾薬はエネルギーパック式で供給され、普通のブラスターに比べると弾切れを起こすまでの時間が短いと言う弱点がある。

しかし威力、連射性にも非常に優れた性能を誇っており、近距離戦では絶大な威力を発揮する。

 

「クローンダ、ヤッチマエ!(クローンだ、やっちまえ!)」

 

そう言いながらB1-バトルドロイドがブラスターを発砲してくるが、元々の命中精度の悪さもあって普通に立っていても意外と当たらない。

 

これは新しい発見だな。

今度オーリーを敵陣に一人で突っ込ませてみよう。

彼一人の犠牲で、他の兵士達の死傷率が下がるかもしれない。

 

その間にこちらからの攻撃で、次々にバトルドロイドは数を減らして行く。

 

「ナンダアレ? ピカピカヒカッテテ、カッコイイ!(なんだあれ? ピカピカ光っててカッコいい!)」

 

「ウッテモ、キカナイゾ? オイラモ、アレホシイ!(撃っても効かないぞ? オイラもあれ欲しい!)」

 

交戦中にも関わらずB1-バトルドロイドの羨ましそうな視線を受けながら、俺達は次々にドロイドをスクラップに変えていく。

 

ボガーノにも仲間のバトルドロイドがいるから、どうも最近は複雑な気持ちになる。

彼らにも、もっと有効な活用方法があると思うんだけどな・・・。

戦争が終結した時の事も考えておこうかな。

 

「ブラスターを弾いてやがる・・・なんだあのアーマーは? 普通の物とは違うな?」

 

ハンターからの疑問に答えるには、この分隊の頭脳担当であるテックだ。

 

「あのクローン・トルーパー・アーマーは、一般的なプラストイドを使用したアーマーではないようですね。解析の結果、ベスカーを使用されたアーマーだと言う事がわかりました」

 

「お前、いつ兄貴のアーマーを解析したんだよ?」

 

「見た時から気になっていたから、ガンシップ機内で解析したんだ。でも何故クローンであるコマンダーが、ベスカー製のアーマーを装備しているんだ? しかもクローン・トルーパー・アーマーの形をしている物を・・・」

 

レッカーからの疑問にテックがさも当然の事かのように答えるが、どちらかと言うとレイがそのアーマーを着ている事の方が気になるようだ。

 

「まあ兄貴たちだったら何でもアリだろうぜ!! それよりも今はブリキ野郎共だ!! はーっはっはっはっ!!」

 

ちなみに、彼らはかなり独特な戦いをしている。

レックが遮蔽物になるガンシップの装甲を運搬、テックが敵の情報を解析、その解析に基づいてハンターがEMPグレネードを投擲し、まだ空中を飛んでいるグレネードをクロスヘアが狙撃する。

 

地面で炸裂するよりも空中でグレネードが起動することによって、より高い効果を発揮しているようだな。

 

「ヒュー、やるね~。レイレイ、俺達も負けてられないぜ?」

 

「これはゲームじゃないんだぞ?」

 

「わかってるけどさ、負けるのは悔しいじゃん?」

 

「それは同感だな」

 

俺は意外と負けず嫌いなんだ。

それは兄弟であるオーリー達も一緒だな。

 

俺はこのアーマーの両腕に装備された、ベスカー製の高周波ダガーを起動する。

ヒュメルほどじゃないが、実は近接格闘も得意なんですよね。

日本男児ですから。

 

【ラース】に装備されている二丁を含めて、計三丁のDC-17M リピーティング・ブラスター・ライフルで、オーリーは次々にバトルドロイドをスクラップに変えていく。

そして、格闘の方が有利な間合いに入ったドロイドに対しては、俺の高周波ダガーで両断していく。

 

「レイ、スパイダー・ドロイドだ!」

 

オーリーが弾倉交換をしている時に、三体のスパイダー・ドロイドが姿を現す。

良いタイミングだと思い、俺は肩に設置されているスポウダー・ミサイルを起動する。

 

このミサイルはサイズこそ小さいが、スポウダー(肩当て)付近に大量に内蔵されている。

加えて、ヘルメットのセンサーと連動しており、俺の眼で焦点を合わせたターゲットに対して自動的にロックオンされる優れモノだ。

 

このスポウダー・ミサイルは起爆のタイミングを任意で変更することができ、標準設定では敵の身体に食い込んでから爆発する仕様となっている。

 

視認する以外は無動作で発射できるこの兵器にドロイドが対応できるわけもなく、三体のスパイダー・ドロイドの身体に無数のスポウダー・ミサイルが食い込み、内部で炸裂することで一瞬のうちに爆散した。

 

「ナンダアレ、スゲー!(なんだあれ、スゲー!)」

 

「オイラモ、ピカピカニ、ナリタイ!(オイラもピカピカになりたい!)」

 

「バカ! コンドハ、コッチガヤラレルゾ!(馬鹿! 今度はこっちがやられるぞ!)」

 

そう話していたB1-バトルドロイドは、素早く弾倉交換を終えたオーリーによって破壊された。

 

「お前、遠慮知らずだな? アイツらまだ話している途中だったぞ?」

 

かわいそうなB1-バトルドロイドちゃん

どうせ破壊されるなら、最後まで話してからの方が良いだろうに・・・

 

「いやいやいや、出てきたと思ったら何もせず、一瞬のうちに破壊されたスパイダー・ドロイドの方が不憫に感じるよ!?」

 

ん?

そうかな?

まあ、人生いろいろだよね!

 

ちなみにこのアーマーには、他にも色んな機能が搭載されている。

正直、まだ全部は把握していないけど・・・。

 

それと確かにピカピカでカッコいいんだけど、実用的じゃないんだよな。

光を滅茶苦茶反射するから、自衛隊出身の俺からすると炭なんか塗りたくなってしまう。

偽装効果ゼロなんですよね。

後で色を変えようかな・・・。

 

こうして不良分隊の活躍もあり、敵バトルドロイドの部隊は全滅したのだった。

 

 

 

 

 

<ドロイド軍 前哨基地>

 

俺達はその後、指令センターの手前にある前哨基地を制圧、そのまま小休止を取っていた。

 

「オーリーの兄貴! 腕をぶった切られたって聞きましたけど、その腕はどうしたんですか?」

 

「よくぞ聞いてくれましたレッカー君! 先の作戦で俺は仲間を守るために、ジェダイの裏切り者からの攻撃をこの身に引き受けた! だが神様は俺の事を見放さなかった・・・カミーノで目を覚ますと、この腕が生えていたって訳だ!」

 

「おお!! すげえ、さすがオーリーの兄貴ですぜ!?」

 

うるさい二人が何か言っているぞ。

人間の腕が生えてくる訳ないだろうに・・・。

その腕はドクター・ナラ・セによって、普通に移植されたんだぞ?

 

 

「キャプテン、レックにしてはやりますね?」

 

「これでもかなりの修羅場を潜り抜けてきた。それに、レイ達との作戦も多かったからな。それこそ色んな経験をしてきたんだ。それはお前も良くわかっているんじゃないのか?」

 

「確かに」

 

ハンターが、レックスの動きを見た感想を言っている。

ちなみにレックとは、レギュラー・クローンの事を指しており、遺伝子操作されたクローンである彼らなりのジョークなのかもしれない。

 

そう言う俺は先ほどからテックにこのアーマーの事をしつこく聞かれている為、彼からの追及を躱すのに忙しい。

もはや尋問だな、これは・・・。

 

 

 

 

 

<ドロイド軍 指令センター>

 

休憩もほどほどに、俺達は敵指令センターの攻略を行っていた。

敵の本隊は出払っており、メインサーバーにアクセスするのはそう難しくなかった。

 

「・・・よし、入れました。それで何を探せばよろしいでしょうか?」

 

「これがアルゴリズムだ。このシーケンスを使っているプログラムを見つけてくれ」

 

テックは速やかに敵のメインコンピューターにアクセスし、レックスの指示で目的の物を探し始める。

ここにエコーの情報があるはずだ。

 

「・・・見つけました。でも変だな、これはプログラムじゃない。他の星から送られているライブ信号です。場所は・・・スカコ・マイナー」

 

「そこだ!!!」

 

俺が急に大声を出すので、二人は驚いてこっちを見てくる。

・・・すんません。

ずっと喉に引っかかっていたのもが、ようやく取れた物ですから・・・

 

「んっんん!! テックもう良いぞ、目的は達成した」

 

「・・・ですが」

 

「良いんだ。それよりも、敵の本隊が戻ってくる前にここから撤収するぞ」

 

「イエッサー」

 

これでようやくエコーを助けられる。

その後、俺たちは敵の増援が来る前に撤収を完了し、速やかに造船基地に戻るのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

ようやくベスカー・アーマーを登場させられました。
今後もきっと大活躍してくれるでしょう!

そう言えば今更ですが、レイ君の専用兵器を登場させる前にアーマーが塵になってしまいましたね・・・
完全にやらかした。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第59話 取り敢えず逃げるの優先(エコーを呼ぶ声)

俺達はエコーの物と思われるライブ信号の発信源が、惑星スカコ・マイナーから出ている物だと突き止めた。

今回エコーの救出任務に同行しているのは、アナキン、レックス、不良分隊の4人に加えて、ARCSのアディスとオーリーだ。

 

ちなみに、今回もアソーカはお留守番だった。

既に彼女はアナキンの弟子では無いし、常に行動が一緒という訳でないんだよな。

 

だが戦力は十分、後はエコーを救出るだけの簡単な任務だった。

 

 

 

<惑星スカコ・マイナー テクノ・ユニオン秘密基地>

 

簡単な任務のはずだったのだが、俺達は問題に直面している。

エコーを助け出したところまでは良かったのだが、基地から脱出しようとした時に見慣れない兵装をした特殊部隊に囲まれてしまったのだ。

 

「・・・どうしてクローンがこんな所に?」

 

「応援って訳では無さそうだ」

 

レックスの疑問に、警戒しろと言う意味も込めてそう答える。

見慣れない兵装と言ったが、確かにあれはクローン・トルーパーだ。

 

しかも、ジェダイを効率よく殺害する為だけに特別に訓練されたクローン・アサシンと呼ばれる者達だ。

昔やったスターウォーズのゲーム(PS2:シスの復讐)に出てきた記憶がある。

 

このクローン・アサシンはパルパティーンの命令で秘密裏に創設、訓練された特殊部隊で、テラス・カシと呼ばれる武術を体得しており、ジェダイによるマインド・トリック等にも耐性を持っている。

 

彼らはバイブロ・ソードを主装備として扱い、テラス・カシから繰り出される予測困難な動きで相手を翻弄し、効率的に相手の命を奪っていく。

ジェダイを想定した訓練を受けている為、彼らの近接戦闘技術の前では並みの人間では太刀打ち出来ない。

 

「警戒しろ、全員武器を構えるんだ」

 

アナキンも危険だと判断したのか、全員に注意を呼び掛ける。

奴らがここにいると言う事は、パルパティーンは俺たちを消したいらしい。

いや、正確には俺か?

アナキンを手に入れるために、俺の存在が邪魔だと判断されたのかもな・・・。

 

「おいテク、奴らは何者だ?」

 

テクとはテックの事だな。

不良分隊のハンター軍曹が、部隊の頭脳であるテックに敵の詳細を求める。

 

「情報なしです。恐らく秘密裏に創設された部隊だと思われます」

 

「それが何でまた俺たちの前に・・・」

 

どうやら、本当に俺たちを生きて帰すつもりはないらしい。

彼らはブレードを起動して、じりじりと距離を詰めてくる。

 

こちらには弱り切ったエコーもいる。

ここは隙を見つけて撤退すしかないだろうな。

 

「不良分隊、お前たちはエコーを連れて先にシャトルに向かえ。ここは俺たちが時間を稼ぐ」

 

「・・・了解です、コマンダー」

 

レッカー辺りがゴネると思ったが、さすがにそんな事を言っている場合ではないと考えたのか、大人しくハンターの命令に従って撤退して行く。

 

残っているのは俺も合わせるとアナキン、レックス、アディス、オーリーの5人だな。

オーリーはともかく、アディスとレックスに関しては長時間奴らと近接戦をするのは難しいだろう。

今は時間を稼いで逃げる事が先決だ。

 

現在確認できるクローン・アサシンは12人

撤退する不良分隊を、4人のアサシンが追って行く。

残りは8人か・・・大部分はこちらに残るようだ。

 

これで、奴らの目的がエコーを取り戻す事ではないとわかったな。

やはり狙いは俺か・・・?

 

次の瞬間、クローン・アサシンの一人がバイブロ・ソードを使って切りかかってきた。

俺は両腕に装備されたベスカー製の高周波ダガーで、アサシンからの斬撃を受け止める。

互いの高周波が干渉し合い、激しい火花を辺りに散らす。

 

くねくね変な動きしやがって・・・

こういうトリッキー相手は苦手なんだよな。

 

アナキンは同時に4人の相手をしており、アサシンはヒット&アウェイを原則としている。

攻め切らず、じわじわと追い込む戦い方にアナキンは非常に戦い難いようだ。

 

レックス、アディス、オーリーの3人はというと、ブラスターでアサシンを牽制しながら間合いに入られないように戦っている。

 

「こ、コイツ等かなり手ごわくないか!? 助けてアディスちゃん!?」

 

「馬鹿言え!? ARCSの中で俺が一番、格闘が苦手だと知っているだろ!?」

 

狭い通路で戦っている為、奴らの用いている近接用武器の方が有利な間合いだ。

その時、アサシンの攻撃によってアディスがバランスを崩してしまう。

 

マズい!

俺は瞬間的にジェットパックを起動して、アディスの所まで移動する。

避けている余裕はないので、俺は自らの左腕でバイブロ・ソードを受け止める。

 

「!?」

 

俺の腕を切断できない事に驚き、一瞬の隙を見せたクローン・アサシンに向けてアディスがブラスターを発砲する。

 

「助かったぞ、レイ」

 

「お前は、もう少し格闘訓練を真面目にやれ」

 

「はいはい、わかりましたよパパ」

 

誰がパパだ!?

歳一緒やろ!?

・・・正確には俺の方(トータル)が年上か。

 

そのままの流れで、アナキンに襲い掛かっている一人に向かってヴァンブレイス(腕甲)に内蔵されたウィップ・コードを撃ち出す。

フックは敵の脚に巻き付き、バランスを崩したところにアナキンがライトセーバーで切りつけ、さらにもう一人もバイブロ・ソードごと両断した。

 

ここまでやって、ようやく3人か・・・

中々・・・というか、かなり手ごわいな。

ちょっと強すぎませんかね?

 

「はあ、はあ、はあ・・・レイ、アイツらは何者なんだ?」

 

息を切らしながら、レックスが疑問を投げかけてくる。

 

「俺も多くは知らないんだが・・・」

 

俺は先ほど、頭の中で考えていた事を簡潔に伝える。

ちなみにアナキンもこちらに合流し、双方は隙を伺いながら睨み合いをしている。

 

「・・・そんな奴らがいたとは初耳だ」

 

正直、俺も実際に見るまでは忘れていたからな。

・・・さて、これで残りは5人か。

時間は十分に稼いだが、不良分隊が心配だな。

 

その時、俺のコムリンクに通信が入る。

 

『コマンダー、こちらはシャトルに辿り着きましたが追手がすぐそこまで迫っています。今どこです?』

 

「軍曹、悪いが俺たちは間に合いそうもない。先に脱出してくれ」

 

『アンタ達を置いてはいけない。すぐ助けに行きます』

 

そういうと、ハンターは一方的に通信を遮断する。

ふっ、勝手な奴だな。

 

「アナキン、軍曹がシャトルで拾ってくれるそうだ。最終便だが乗って行くか?」

 

「僕は砂嵐が多いこの星が、どうも好きになれない。折角だし乗せてもらう事にしよう」

 

そう軽口を叩いていると、奥からクローン・アサシンの増援がやって来る。

・・・ちょっと多くないですかね?

 

俺はスポウダー・ミサイルを起動し、前衛の5人にロックする。

さっき使えよ、というツッコミは無しでお願いします。

アサシンの相手をしていて、それどころじゃ無かったんです。

 

無動作で撃ち出されたスポウダー・ミサイルにはさすがの彼らも反応できず、ロックした5人は一瞬で事切れる。

 

「・・・それ便利だな」

 

「俺もそう思う」

 

アディスの反応が普通過ぎて、『つまらないなー』と思ったのは秘密ですよ?

だが奴らに対する牽制にも一役買ってくれたようで、双方睨み合いの状態が続く。

その時、向こうから指揮官だと思われる人間が静かに歩いてくる。

 

クローン・アサシンが白いアーマーを着用しているのに対して、その人物は漆黒のアーマーを身に纏っていた。

その佇まいからも、ただ者ではないと言うのが伝わってくる。

 

「・・・お前もクローンか?」

 

その問いに答える事なく、指揮官は両腕に備え付けられたバイブロ・ソードを起動する。

どうやら引いてくれる気はないらしい。

俺はスポウダー・ミサイルを起動し、奴に狙いを付けようとした瞬間、指揮官級が目の前から姿を“消した”

 

そして俺が認識すると同時に、バイブロ・ソードで切りつけてきた。

しかし、ベスカー製のアーマーを身に着けている俺にダメージを与える事は出来ない。

だが指揮官級は驚きもせず、ダメージが入らない事実を確認するかのように、何度も何度も俺を切りつける。

 

それに素早く反応したアナキンがライトセーバーを繰り出すが、指揮官級はその攻撃をバイブロ・ソードで受け止めた。

見るとそのバイブロ・ソードには、稲妻のような電流が流れており、エレクトロスタッフと同系統の技術が使われている事がわかる。

 

だが気になるのはそこじゃない。

奴は間違いなく“加速”した。

そうとしか思えないスピードだった。

 

「・・・ヒュメル・・・なのか?」

 




はい、お疲れさまでした。
ずっと出そうと考えていた、クローン・アサシンを登場させられて良かったです。
漆黒のアーマーを身に着けた指揮官級は、一体誰なのでしょうか?
ヒュメル君のアーマーを盗んで使っているとしたら・・・許すまじ。

ここから大きく物語が動き出します。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五章 シスの復讐
第60話 取り敢えず動き出した


皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

お待たせして申し訳ありませんでした。
スランプを脱したかはわかりませんが、取り敢えずピークは過ぎたような気がします(笑)



「・・・ヒュメル・・・なのか?」

 

いやそんなはずはない。

彼は死んだ。

俺を守るために・・・。

 

「それは俺の家族の物だ・・・貴様が使っていい物じゃない!」

 

俺は奴が目の前に現れた瞬間にロックを完了していた為、スポウダー・ミサイルを起動する。

複数の小型ミサイルが指揮官級に向かっていくが、奴は微動だにせずその爆発をまともに受けた。

 

しかし爆発の煙が晴れたその先には、無傷の状態で佇む指揮官級の姿が現れる。

その身体の周りには薄い靄(もや)のような物が見える。

 

「・・・レイ・シールドか?」

 

「まさか、個人単位の防御策としてレイ・シールドを?」

 

俺の呟きに、レックスが反応する。

仮にレイ・シールドだとしたら、かなり厄介な事になりそうだ。

こちらからの攻撃は全て無効化されてしまうだろう。

 

だがそれよりも、もっと重要なことがある。

 

「・・・貴様、それをどこで手に入れた?」

 

だが奴は俺からの質問に答えるつもりは無いらしい。

無言のまま、その両腕に装備されているバイブロ・ソードを構え直している。

 

「レイ、奴を捕まえればハッキリすることだろう?」

 

「・・・ああ、アナキンの言う通りだ。協力してくれるか、みんな?」

 

全員が俺からの言葉に頷いてくれる。

なら、やるべきことは決まったな。

指揮官級を捕縛し、その面を引っぺがしてやる。

 

だがその時、指揮官級に通信が入ったようで奴はホロ・プロジェクターを起動する。

ここからだと良く見えないが、恐らくはパルパティーンの可能性が高いだろう。

 

すぐに通信が終わり、指揮官級は俺たちに背を向けて反対方向に歩き出す。

 

「!? おい待て!」

 

勿論俺からの静止を聞くはずもなく、残ったクローン・アサシンが目の前に立ちはだかる。

 

「邪魔をするなぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

<ハボック・マローダー船内>

 

俺達は不良分隊が来るまでにクローン・アサシンの守りを突破することが出来ず、結局指揮官級を取り逃がしてしまった。

 

「なあアディスちゃん、あれってヒュメルの【ベルセルク】と・・・」

 

「・・・ああ、全く同じ物かどうかまではわからないが、似たような技術が使われているのは間違いないな」

 

「・・・って言う事は、アイツがヒュメルだっていう可能性も?」

 

「いや、あの爆発を逃げ延びたとはとても・・・それに生きていたのなら、俺達の元に戻ってくるはずだろう? レイはどう思う?」

 

そうだ。

仮にヒュメルが生きていたとしたら、何故敵側に付いているんだ?

 

「・・・とにかく、奴を捕まえればハッキリするさ」

 

「そう・・・だな」

 

その時、ハンターたちのガンシップであるこのハボック・マローダーに通信が入る。

どうやらオビ=ワンからのようだ。

 

『ア・・・アナ・・・アナキン、聞こえるか?』

 

若干、通信状況が怪しいがホログラムにオビ=ワンの姿が投影させる。

 

「はいマスター、聞こえています」

 

『アナキン、すぐに旗艦に戻るんだ。グリーヴァスによってコルサントが襲撃を受けた。最高議長の警護にはマスター・シャク・ティとアソーカが付いたが、今は連絡が途絶えている』

 

俺とアナキンは、互いに顔を見合わせる。

グリーヴァスによる首都襲撃?

予定よりかなり早いな・・・?

 

歴史よりも分離主義者達の状況が悪い事もあってか、作戦が前倒しになったのか?

しかもシャク・ティに加えて、アソーカまでもが連絡が取れないとなると・・・

 

「アナキン、状況が悪い方向に行っているように思えてならない。急ぎ、レゾリュートと合流しよう」

 

 

 

 

 

俺達がレゾリュートでコルサントに戻ってきた時には、既に分離主義者達との激しい戦闘が繰り広げられていた。

オビ=ワンの旗艦であるネゴシエーターも見える。

惑星アナクシスから同乗しているウィンドゥも、恐らくは一緒だろうな。

 

「コーディー、状況は?」

 

『はいスカイウォーカー将軍、グリーヴァスがコルサントを襲撃すると同時に最高議長を拉致、その後旗艦であるインヴィジブル・ハンドへと逃走したとみられます』

 

アナキンがネゴシエーターで指揮を執っているコーディーへと通信を繋げた。

議長がインヴィジブル・ハンドへと攫われたのは歴史通りのようだな。

 

「オビ=ワンとアソーカはどうしている?」

 

『ケノービ将軍は、ウィンドゥ将軍と共にファイターで議長救出に向かいました。タノ将軍は未だ連絡が取れません。死体などが見つかっていない事からも、議長と共に捕らえられた可能性が高いかと』

 

「・・・わかった。僕らもオビ=ワンの援護に向かう」

 

「イエッサー。コーディー、アウト」

 

やはりアソーカの消息は掴めていないんだな・・・

 

「大丈夫だ、アナキン。彼女がそう簡単にくたばったりしないのは、お前自身が良くわかっているだろう?」

 

「・・・勿論だレイ、僕は彼女を信じている。それにグリーヴァスの旗艦に行けば、オビ=ワンやアソーカの事もわかるはずだ」

 

「ああ、それなら早く向かおう」

 

 

 

<インヴィジブル・ハンド船内>

 

俺達は、既にグリーヴァスの旗艦であるインヴィジブル・ハンドに潜入していた。

メンバーはアナキンと俺、オーリーにR2も一緒だ。

 

アディスに関しては、ファイターで出撃してもらっている。

意外とパイロットとしての腕も悪くないんだよな。

羨ましい限りです・・・。

 

同じハンガーには二機のジェダイ・ファイターが不時着しており、その周りにはライトセーバーで破壊されたと思われるB1-バトルドロイドの残骸が散らばっている。

そこから火花や煙が立っている様子からも、オビ=ワンとウィンドゥが到着してからそれほど時間は経っていない事がわかる。

 

「議長はこの船の先端、観測用プラットフォームに囚われている。まあ、囚われているフリだがな」

 

この戦争の黒幕がパルパティーンだと知らないオビ=ワン達が、既に議長の救出に向かっているのは誤算だった。

この出来事が、歴史にどのような変化を持たせる事になるのか・・・。

 

「オーリーはR2と一緒にシャトルを守ってくれ。脱出の時に必要になるかもしれない」

 

「了解だぜ、レイレイ! R2とノンビリ待たせてもらうさ♪」

 

「~~~♪」

 

R2も電子音を鳴らしながら返事をしているようだった。

喜怒哀楽については何となく雰囲気でわかるが、さすがに言っている事まではわからない。

 

アナキンもそうだが、ドロイドと深い絆で結ばれている人たちって、彼らが言っている事を正確に理解しているようなんだよな・・・。

自慢じゃないが、俺には一生掛かっても理解できる気がしない。

 

「・・・」

 

「どうしたアナキン?」

 

俺がくだらない事を考えている中で、アナキンは何かを感じ取っているようだった。

 

「暗黒面の力を感じる・・・ドゥークーがいるのは間違いないが、他にも誰かがいるようだ」

 

他にも?

この場面だとドゥークーがいるのは確かだが、他の奴なんて居なかったはずだ。

・・・やはり細心の注意が必要だな。

 

 

 

 

 

<インヴィジブル・ハンド船内 観測用プラットフォーム>

 

それから特に問題が起きることも無く、俺達は順調に観測用プラットフォームの目の前まで辿り着くことが出来た。

この部屋では先に着いているオビ=ワン達がいるはずだ。

 

扉を開くと、壁がガラス張りになっている広い空間に出る。

その奥には一国の統治者が腰を据えるような玉座があり、そこにはライトセーバーを向けられたパルパティーンがいた。

 

「ア、 アナキン! 助けてくれ! 奴らが私の命を狙っている!」

 

ライトセーバーを向けているのはメイス・ウィンドゥだ。

その近くにはオビ=ワンとドゥークーが倒れている。

しかし、二人とも死んでいるわけではないようだ。

恐らくは気を失っているのだろう。

 

俺はアナキンと共に彼らの下に歩み寄った。

 

「・・・マスター、これは一体どういう状況なのですか?」

 

「アナキン、何をしている! こ奴は反逆者だ! 今すぐ私を助けろ!」

 

アナキンの問いかけを遮るようにパルパティーンが騒いでいる。

確かに何も知らいな者からすると、善良なパルパティーン最高議長をジェダイ・マスターが殺そうとしている場面に見えるだろう。

 

「アナキン? ・・・奴はシスの暗黒卿だ」

 

え?

どういった経緯で、パルパティーンがシスだとわかったんだ?

話が全く掴めないぞ・・・

 

「・・・マスター、下がってください」

 

そう言ってアナキンは、自らのライトセーバーを取り出す。

もはや芸術的ともいえるその美しいヒルトから、青い光剣が立ちのぼる。

 

 

ライトセーバーを起動するアナキンを見て、パルパティーンは一人口元を緩めるのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

黒装束の指揮官級も気になるし、最後にアナキンがライトセーバー起動するしどうなってんのよぉぉぉぉ!!
まあ、作者あたしなんですけどね・・・。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第61話 取り敢えず“選ばれし者”

「・・・マスター、下がってください」

 

アナキンが自らのライトセーバーを起動した事で、パルパティーンはその口元を緩めて笑みを浮かべている。

 

「彼には聞きたいことがあります」

 

そう言うとアナキンは、静かにライトセーバーをパルパティーンに向ける。

まさか自分がライトセーバーを向けられるとは思ってもいなかったのか、パルパティーンは呆気にとられたような顔をするが、すぐに平静を取り戻す。

 

「・・・どういうつもりだ、アナキン?」

 

先ほどまで、ジェダイに殺されると騒ぎ立てていた者とは思えないほど冷静に、そして冷たく言葉を口にする。

その眼は黄色く、不気味に輝いているように見える。

 

「・・・議長、貴方は本当に親切にしてくれました。父親のいない僕からすると『父とはこのような存在なのかもしれない』と思うほどでした。ジェダイの中でも異質の存在である僕は、他者との違いに苦しみ、本当の意味で自分を理解してくれる人は居ないとまで思っていました」

 

アナキンは一度起動したライトセーバーを収め、静かに話し始める。

 

「・・・」

 

パルパティーンはアナキンの話を静かに聞いている。

アナキンは自分なりに、彼との関係に区切りを付けようとしているのかもしれない。

理由はどうあれ、孤独であった自分を温かく見守り、そして寄り添ってくれていた存在なのは間違いないのだから。

 

「貴方がシスの暗黒卿だと言う事はわかっています。どうして滅ぼすべき存在である僕に良くしてくれたのですか?」

 

「・・・余の存在に気が付いていたとは、予想よりも飛躍的な成長を遂げたようだな、選ばれし者よ」

 

目の前にいるのは、既にシーヴ・パルパティーンでは無かった。

銀河元老院最高議長と言う仮面を取り払い、当代最強の暗黒卿、ダース・シディアスとなっていた。

 

「其方は強いフォースの使い手・・・いずれ余すらも打ち倒し、必ずや無敵のシスとなるだろう。こうしてシスは長きに渡って力を蓄え、もはや死さえも超越した存在となったのだ・・・。アナキン、今一度問う。奴らを倒し、我が弟子となるのだ。そうすれば、愛する者を死の淵から救う術すらも我が物に出来るのだ!」

 

シディアスは、アナキンからの問いに答える事は無かった。

彼からの信頼を、己自ら永遠に手放したのだ。

 

「アナキン・・・!」

 

ウィンドゥがライトセーバーを構え直してアナキンに注意を促すが、彼は至極冷静であった。

一歩踏み出そうとするウィンドゥにアナキンは手を出して、彼の行く先を遮った。

 

歴戦のジェダイ・マスターであり、ライトセーバー戦では右に出る者はいないとまで称されるウィンドゥが、彼の発するオーラに一瞬尻込んでしまう。

 

「・・・予言にある“選ばれし者”か」

 

そう呟くのはダース・シディアスだ。

先ほど口にした“選ばれし者”と同じ単語だが、意味合いは全く異なっていた。

 

フォースを感じ取れない俺でもわかるほどの圧力(プレッシャー)・・・

アナキンはとうとう覚醒したようだ。

“選ばれし者”に・・・。

 

 

その姿を確認し、シディアスは既に彼を手に入れる事は不可能であると考えたようだ。

身体の自由を縛っていた拘束を、自らのフォースで外してその場に立ち上がる。

 

 

シディアスの最大の目的は、ジェダイをこの銀河から排除することだ。

アナキンはその過程で手に入れば良いという認識のため、手に入らなくても彼のやるべきことは変わらない。

 

シディアスは、服の袖からライトセーバーを取り出して起動する。

そこから発せられる光剣は、今まで手にかけてきた人間の血で塗り固められているような赤い色をしていた。

 

「・・・残念です、議長」

 

そう一言発すると、アナキンも自らのライトセーバーを起動する。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!」

 

アナキンからの言葉に答える代わりに、ダース・シディアスは不気味な叫び声を上げた。

これはフォース・スクリーム(フォースの叫び)と呼ばれるシスの秘儀で、怒りなどの負の感情を利用して一時的に己の力を強化する技だ。

さらに負の感情を辺りに解き放つ事で、自分以外の人物のフォースを掻き乱し、一時的に能力を弱体化させる効果もある。

 

劇中で議長逮捕に向かった錚々(そうそう)たるメンバーが、一瞬のうちに撃破されたのはこの秘儀が一役買っているのだろう。

 

シディアスの強力なライトセーバーによる攻撃を、洗練されたテクニックで防いでいくアナキンとウィンドゥ。

一瞬の隙を突き、アナキンが攻撃を仕掛けるがもう一方の腕から二本目のライトセーバーを取り出すことで、その攻撃を防いでしまう。

 

正直、俺がどうこう出来るレベルじゃない。

アナキン達がシディアスの相手をしている間に、俺はオビ=ワンとドゥークーを安全な所まで運ぶ。

コイツ(ドゥークー)には、パルパティーンの悪事を証言してもらわなければいけないからな。

死なせる訳にはいかない。

 

その時、俺達が入ってきた入り口が突然開き、二人の人影が部屋に飛び込んでくる。

 

「あれは・・・!」

 

入って来た一人は黒装束の兵士で、惑星スカコマイナーで対峙したあの指揮官級だった。

加えて、もう一人の方はモールだ。

奴らが共にやってきたと言う事は、指揮官級はやはりシディアスの手の者だったようだ。

 

モールはフォースで肉体を強化することで一瞬のうちにシディアスの下まで跳躍し、その勢いの乗った斬撃をアナキンに繰り出す。

突然の乱入者からの攻撃だったが冷静に対処するアナキンは、シディアスをウィンドゥに任せて、モールを引き受けることにする。

 

ジェダイ・マスターとシスの暗黒卿、それぞれが一騎打ちを始めるのだった。

 

 

 

「・・・会いたかったぞ。その仮面を引っぺがして面を拝んでやる」

 

俺からの言葉に反応することなく、黒装束の指揮官級は両腕に備えられているバイブロ・ソードを起動する。

それに対抗するために、俺も両腕に装備しているベスカー製の高周波ダガーを起動する。

 

俺は集中することで、自分が認識する世界の時間が非常にゆっくりと流れるようになった。

これにより、奴の息遣いやアナキン達のライトセーバーが発する独特な音、外の宇宙空間で行われている激しい戦闘までもが認識できているように感じる。

 

それは一瞬だった。

奴の加速装置から発せられる音を認識した瞬間、俺はジェットパックを起動するのと同時に自らの脚でも後方にジャンプした。

上空に逃れた俺は、ヴァンブレイス(腕甲)に内蔵されたウィップ・コードを撃ち出して奴の身体を拘束することに成功する。

 

しかし、奴はすぐさま自らの身体に高負荷の電流を流すことでウィップ・コードを焼き切ってしまった。

 

その電流を纏った身体のまま奴は急加速して、バイブロ・ソードを振り下ろす。

電流と高周波が流れているバイブロ・ソードの攻撃をまともに食らってしまい、俺は後方の壁まで吹き飛ばされてしまった。

 

ベスカー製のアーマーによって傷は負わなくても、衝撃まで0に出来る訳じゃない。

肺に溜まっていた酸素が衝撃によって体外に吐き出され、俺は一瞬身動きが取れなくなってしまう。

 

その隙を指揮官級が見逃すはずはなく、倒れている俺に向かって急加速し、その勢いのまま連続で斬撃を加えてくる。

 

だが俺もただやられている訳じゃない。

攻撃されている間に呼吸を整えて、ヘルメットに内蔵されているロックオンシステムを使って奴に狙いを定めると、スポウダー・ミサイルを発射する。

 

まさか俺が至近距離でミサイルを発射するとは思わなかったのか、指揮官級は俺の攻撃をまともに食らう。

その隙に俺はジェットパックを起動して奴の後ろに回り込み、背面から高周波ダガーによる斬撃を繰り出す。

 

堪らず指揮官級は俺から距離を取り、態勢を立て直そうとする。

 

「逃がすか!」

 

俺は再びスポウダー・ミサイルを起動して、奴に向かって発射する。

指揮官級はミサイルをそこまでの脅威だとは思っていないようで、ミサイルを避ける事よりも俺から距離を取ることを優先する。

 

「それは悪手だぞ?」

 

指揮官級の身体を覆っているレイ・シールドにミサイルが直撃すると、ミサイルに内包されたEMP(電磁パルス)が炸裂する。

最初のスポウダー・ミサイル(通常弾頭)と高周波ダガーによる攻撃を防ぎ切った奴のレイ・シールドだったが、続くスポウダー・ミサイル(EMP弾頭)による攻撃で、許容負荷を越えたようだ。

 

元々、奴のレイ・シールドは個人単位の装備の為、耐えられる攻撃の許容は船や戦車の比ではない。

ある意味賭けだったが、EMPによる攻撃が功を奏したな。

 

電子パルスによる効果で、指揮官級のレイ・シールドはシステムがダウンした。

これでシステムを再充電するまでは、レイ・シールドは使えないはずだ。

 

「・・・」

 

「どうした? 随分と焦った顔が見えるぞ?」

 

まあ、奴は仮面をしているから焦った顔なんて見えないんだけどな。

雰囲気的にね?

焦ってそうじゃん?

 

だが、このアーマーが無かったら俺はとっくに殺されていただろう。

装備に救われたと言うのは、何となく癪だがそれは奴も同じ事だからな。

どっちもどっちですよ。

 

 

『ぐわぁぁぁ!』

 

叫び声が聞こえたので目を向けると、ちょうどアナキンがモールの義足を両断した所だった。

さらにその切断した脚をアナキンがフォースで浮かせて、ウィンドゥと戦っているシディアスに向かって投げつける。

 

別に何でもない攻撃だったが、達人の戦いではその一瞬が命取りになる。

隙を見せてしまったシディアスに向かって、ウィンドゥがヴァーパットから成る強力な斬撃を繰り出す。

 

その光景を見た指揮官級が加速装置を起動して、一瞬のうちにシディアスとウィンドゥの間に滑り込む。

指揮官級はシディアスを突き飛ばすと、ウィンドゥの斬撃をまともに受ける。

 

 

俺にはその光景が、惑星マンダロアでのヒュメルの一件と重なった。

 

「・・・ヒュ・・・メル?」

 




はい、お疲れ様でした。

シディアスってどこまでが計算なのか、わからない所が怖いですよね。
指揮官級が助けに飛び込んでくることも、計算の内だったのでしょうか?

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第62話 取り敢えず脱出する

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

ちなみに、
「新年あけましておめでとうございます」
と言うのは、正しい使い方では無いと知っていましたか?

わかりやすく言うと、
「頭痛が痛い」
と言っているのと、似たようなニュアンスになるそうです。

え?
そんな事知ってるよって?
そっか・・・。



「・・・ヒュ・・・メル?」

 

ダース・シディアスを守るために彼を突き飛ばした指揮官級の姿と、ヒュメルが惑星マンダロアで取った行動が重なった。

 

「ジェダイの攻撃から庇う為とはいえ、余を突き飛ばすとは・・・」

 

立ち上がったシディアスが、倒れこんでいる指揮官級に向かって手を伸ばす。

 

「決して、許される事ではない」

 

シディアスはそう言うと、指揮官級に向けた手からフォース・ライトニングを放った。

 

「・・・っ!」

 

指揮官級はウィンドゥから受けた傷のせいか、強力すぎるフォース・ライトニングのせいか定かではないが、声を上げる事なく主人からの攻撃をその身に受けている。

 

その時、共和国クルーザーの砲撃によりインヴィジブル・ハンドは激しい振動に包まれる。

 

「レイ!」

 

ジェットパックを起動して指揮官級の下に向かおうとしたが、アナキンに呼び止められ踏み止まった。

今は指揮官級の正体を確かめるよりも、気を失っているオビ=ワンとドゥークーを連れて脱出することが最優先だ。

 

だが、「指揮官級はヒュメルなのでは?」という俺の希望的観測が判断を鈍らせる。

加えてインヴィジブル・ハンドは推力を失い、コルサントの重力に引き寄せられて行く。

 

「レイ!!!」

 

俺はアナキンの悲鳴にも聞こえる呼び声に覚悟を決め、近くにいるドゥークーを背負う。

オビ=ワンの事はウィンドゥが既に背負っている。

 

『ご主人様、どうかお慈悲を!!』

 

徐々に傾いてきた船内で、下肢を失ったモールがシディアスに助けを求める声が聞こえる。

しかし無様な姿を晒しているモールには目もくれず、脱出を図っている俺達をシディアスは見逃すつもりは無いらしい。

 

「逃がすと思うかジェダイ・・・!」

 

俺達よりもかなり下に流れてしまったシディアスは、フォースの力を借りて大きく跳躍しようと身構える。

そこに向かって、二人のジェダイ・マスターは強力な力の乗ったフォース・プッシュでシディアスの跳躍を妨げる。

 

加えて俺は、シディアスに向けてスモーク(煙幕)に切り替えたスポウダー・ミサイルを放つ。

設定の変更によって、着弾する前にミサイルは起爆し、内包された濃い煙が辺りに充満する。

 

 

こうして俺たちは、待機していたオーリーとR2の助けを借りて、インヴィジブル・ハンドから脱出することに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

[インヴィジブル・ハンド脱出から少し、遡る・・・]

 

オビ=ワン・ケノービとメイス・ウィンドゥは、グリーヴァスによって攫われたパルパティーン最高議長を救うため、彼の旗艦であるインヴィジブル・ハンドに潜入していた。

 

<インヴィジブル・ハンド船内 観測用プラットフォーム>

 

「議長閣下」

 

「ご無事なお姿を見て、安心致しました」

 

無事に議長の下に辿り着いたオビ=ワンとメイスだったが、後方からはシスの暗黒卿であるドゥークーが四体のIG-100マグナガードを引き連れてやって来る。

 

「二人では勝てん、彼奴(あやつ)はシスだ」

 

「ご心配なく、シスの相手なら慣れていますので」

 

パルパティーンからの言葉にそう答えたオビ=ワンは、メイスと共にローブを床に脱ぎ捨てる。

 

「マスター・ウィンドゥ・・・友よ、其方が来るとは予測できなかった」

 

「パーティーは終わりだ」

 

「いいや、友よ。これは始まりだ」

 

そう言うとドゥークーは自らのライトセーバーを起動し、メイスとオビ=ワン、二人のジェダイ・マスターと対決を始める。

 

さらに、後方に控えていたマグナガードがエレクトロスタッフを起動し、ドゥークーのフォースで吹き飛ばされたオビ=ワンに襲い掛かる。

オビ=ワンは得意の【ソレス】のフォームを用い、四体のマグナガードから繰り出される殺人的な攻撃を受け流し、反撃の機会を伺っている。

 

メイスはそのジェダイらしからぬ攻撃的なフォーム、【ジュヨー】で、ドゥークーと互角以上の戦いを繰り広げている。

ドゥークー自身も短期的な戦いでは勝ち目がないと考えたのか、フォースを身に纏い、入り口がある二階部分まで大きく跳躍する。

 

「流石だな友よ、ライトセーバー戦では其方の右に出る者はいないだろう」

 

そう言いながらドゥークーは徐(おもむろ)に手を上げて、フォース・ライトニングを繰り出した。

メイスは突然の攻撃にも冷静に対応し、自らのライトセーバーで防いでいる。

 

そこに、いつの間にか四体のマグナガードをスクラップにしたオビ=ワンが現れ、隙を晒しているドゥークーに向かってライトセーバーを振り下ろす。

 

対応が少し遅れたが、流石はシスの暗黒卿だ。

その攻撃を一階部分の広間に飛び降りる事で回避し、それと同時にフォース・プッシュでオビ=ワンを後退させた。

 

そしてメイスは、彼が着地する瞬間に生まれる隙を見逃さなかった。

先程と同様の構えをしているメイスを見て、同じラインからの攻撃が来ると考えたドゥークーは、彼の攻撃を受け流すためにライトセーバーを構える。

 

だが、ドゥークーの思い通りにはいかなかった。

メイスは一瞬の間に構えを修正し、超攻撃型の型【ヴァーパッド】に切り替えたのだ。

着地の隙を突かれた目にも止まらぬ連続攻撃に対して、ドゥークーは次第に対応出来なくなっていった。

そして防御の姿勢を崩されたドゥークーは、メイスの強力な斬撃にライトセーバーを持っていた右手首ごと切断された。

 

「・・・そのスピードと正確な連撃、素晴らしいの一言です」

 

「これは私の闇・・・弱さの象徴でもある。ザ・マスター(ソレスを極めし者)であるお前とは対となる力だ」

 

ドゥークーは、メイスから受けたダメージで床に座り込んでしまっている。

その時、今まで傍観していたパルパティーンが口を開く。

 

「流石はジェダイ評議会を代表するマスターだな。見事な働きであった。さあ今がその時、彼を倒してこの戦争に終止符を打つのだ!」

 

パルパティーンは用済みであるドゥークーを、ジェダイの力を使って処分するつもりのようだ。

 

「わ、私は死にたくない・・・ジェダイは武器を持たぬものは殺せないはずだ!」

 

しかし、パルパティーンにとって大きな誤算が生じた。

何とドゥークー伯爵が命乞いを始めたのだ。

これは銀行グループを手に入れる一件で、ドゥークーがしくじった事が関係している。

 

銀行グループを我が物にする計画を台無しにしたドゥークーに対する、シディアスの怒りは本物だった。

計画が失敗した後、シディアスはフォース・ライトニングで彼を限界まで痛めつけた。

この出来事がきっかけで、ドゥークーの生存本能を刺激してしまったのだ。

 

「「・・・」」

 

「頼む! 私の知っている事を全て話す!」

 

「早く殺すのだ、マスター・ジェダイ!」

 

「そこに座っている男こそ・・・」

 

ドゥークーがその言葉を言い終わることは無かった。

パルパティーンは縛られたまま、フォース・ライトニングをドゥークー目掛けて放ったのだ。

その攻撃をまともに受けたドゥークーは意識を手放し、咄嗟にライトセーバーを向けたオビ=ワンも、正体を現したダース・シディアスによってその意識を刈り取られた。

 

「シスの暗黒卿・・・!」

 

メイスはそう呟きながら、探していたシスの暗黒卿にライトセーバーを向ける。

しかし、この状況すらもシディアスは利用することにしたのだ。

 

彼は感じていたのだ。

自らの弟子となり、共に銀河を支配する若者の存在を・・・。

 

 

そこに、遅れて駆け付けたアナキンとレイが姿を現す。

 

「ア、 アナキン! 助けてくれ! 奴らが私の命を狙っている!」

 

「・・・マスター、これは一体どういう状況なのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

[時は戻り、インヴィジブル・ハンド脱出後]

 

俺達はインヴィジブル・ハンドから脱出、形勢が不利だった独立星系連合はコルサント海域から離脱していた。

 

さらにダース・シディアスが乗ったインヴィジブル・ハンドを撃破することは叶わず、残存勢力と共にハイパースペースへとジャンプしてしまった。

 

<惑星コルサント 共和国軍基地>

 

コルサント襲撃に加えて最高議長誘拐というショッキングな事件が起こり、民衆は混乱していたが俺達が捕らえたドゥークー伯爵の証言もあり、共和国のトップがシスの暗黒卿と言う事実が彼らの知る所となった。

 

国民には公表すべきでは無いと言う意見もあったが、下手に隠しておけば、この状況すらシディアスに利用される可能性がある事を考慮した結果の対応であった。

 

加えて汚職にまみれた政治家たちは、身の危険を敏感に感じ取り、速やかにコルサントからの脱出を図っていた。

所謂“小物”の逮捕は概ね成功していたが、“大物”達は独自のルートを使い、既に大部分が国外逃亡を成功させていた。

 

「なあ、アディスちゃん。これからどうなるんだろうな」

 

「・・・俺たちは知っていたからまだ良いが、自分達のトップが敵の親玉だったなんて他の連中にはショックが大きすぎる」

 

そう話すのは、オーリーとアディスだ。

この二人はまだ良いが、他の国民や兵士は浮足立った状況が続いている。

 

その時、突然大きな爆発音と共に、遠くの方で銃声が鳴り響いた。

 

「おい軍曹、何があった!?」

 

俺は近くにいたクローン・サージェントに声を掛ける。

 

「サー! 自分にもわかりません! 現在状況を確認中です!」

 

そう言うと軍曹は、軍の中央指令センターに向かって走って行った。

 

敵襲か?

今共和国は混乱している。

こんな状況で襲われたとなったら、我が方の被害は計り知れない物になるだろう。

 

その時、騒ぎが起きた瞬間にジェットパックを起動して、高台に上っていたオーリーから通信が入る。

 

『大変だ、レイレイ! ジェダイ聖堂が襲われている!』

 

「敵の種類や規模は!?」

 

一体どこから潜入した?

インヴィジブル・ハンドはハイパースペースにジャンプした為、襲撃があったとしてもしばらくは先だと思っていたが・・・

 

『一個大隊はいる。それに襲っているのは・・・』

 

「?」

 

『・・・クローンだ』

 




はい、お疲れさまでした。
いよいよ最終局面に入ってきました。
更新は、また不定期になってしまうかもしれませんが、気長にお付き合い頂けると助かります。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第63話 取り敢えず被害を最小限に

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

金、土、日、月と予定があるので、その間は更新が出来ません。
お待たせして申し訳ありませんが、暫くお待ちいただければ幸いです。



『・・・クローンだ』

 

クローンだって?

何故クローンが聖堂を・・・まさか

 

シディアスが、オーダー66を発令したのか?

だが、抑制チップは内密に除去する運びになっていたはず・・・

それに奴は既に議長ではない。

詳しくはわからないが、議長としての権限が失われた今、シディアスがクローンに命令を下すことなど出来るのか・・・?

 

とにかく状況を確認しなくては・・・

 

「アディス、オーリー! 先に俺たちで聖堂まで飛ぶぞ! 実際に見なくては状況もわからない!」

 

「了解した」 「あいよ!」

 

こうして俺たちはジェットパックを起動して、聖堂まで向かうのだった。

間に合えば良いんだが・・・。

 

 

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂>

 

近づいていくと聖堂からは大きな煙が立ちのぼっており、入り口部分は破壊されているのが確認できる。

さらに、入り口付近に居合わせたであろうジェダイや、クローンの死体が転がっている。

 

「・・・第13大隊の連中だな」

 

そうアディスが呟いた。

第13大隊はジェダイ・マスター、ジャロ・タパルが率いる部隊だ。

アイアン大隊と呼ばれるこの部隊は、本来の歴史であれば惑星ブラッカで独立星系連合との戦闘を行うはずだったが、まだ派遣されていなかったんだな。

そもそもコルサント襲撃自体、歴史から見ればかなり前倒しなのだから何でもあり得るって訳か。

 

「・・・うぅっ」

 

「ん? そこのトルーパー、まだ息があるぞ!」

 

自らが放ったブラスターをジェダイに偏向させられたんだろう。

アーマーが光弾を受け止めてはいるが、致命傷なのは誰が見ても明らかだった。

 

「おい、何があったんだ!?」

 

「・・・命令・・・ジェダイ、裏切り・・・・・・」

 

ハッキリしない意識の中で、彼はそう言い残して事切れた。

 

「・・・レイ、これは?」

 

「・・・ああ、間違いない。ジェダイ抹殺の命令が下っている」

 

どういう事だ?

繰り返しになるが既に共和国の最高権力者ではないシディアスが、クローンに命令を強制させることなど出来るのか?

 

・・・可能性としては十分に考えられる。

狡猾な奴の事だ。

もしもの時の為のプランを用意していたとしても、何ら不思議ではない。

 

「考えていても仕方ない。とにかく今はジェダイを救うんだ」

 

 

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂内>

 

『ジェダイだ! 逃がすな!』

 

『接近を許すな! 回り込んで仕留めろ!』

 

聖堂内は酷い有様だった。

歴史的な建物は破壊され、ティバナガスと人の身体が焼ける匂いが充満している。

 

「アディス、オーリー、武器はスタンモードに設定しろ。クローンは出来る限り生け捕りにしたい」

 

「ああ、了解だ」 「俺も兄弟は殺したくねーしな!」

 

俺達は三人で固まり、お互いをカバーし合いながら前進した。

オーリーは専用兵器【ラース】を起動しており、スタンモードに設定したハンドブラスターを装備している。

 

アディスも久しぶりに専用兵器の【アイギス】を使おうと考えたようだが、今回のような混戦では非常に使い勝手が悪いので、仕方なく手持ちのブラスターを使って行動する。

 

『うわぁ!?』

 

『・・・なんだ!?』

 

『後方から敵だ!』

 

『コンタクト! 油断するな!』

 

俺達は隙を突くことに成功し、後ろから次々に第13大隊の兵士たちを気絶させていく。

 

『仲間割れか?』

 

『いや、あれはコマンダー・レイだ』

 

『彼らは味方のようだな』

 

ジェダイも俺たちが敵では無いと認識したようで、彼らとクローンを挟み撃ちにすることが出来た。

 

「コマンダー、これは一体どういう事なんだ? 突然クローンが聖堂を襲撃したのだ」

 

そう声を掛けてきたのはシン・ドローリグ、ソード・マスターと呼ばれるほどの実力の持ち主で、現在はジェダイ訓練生を鍛えるために、聖堂にいる事が多い人物だ。

 

「恐らくダース・シディアスの陰謀です。彼らはシスの暗黒卿の命令で、ジェダイ抹殺の指令を遂行しています。決して彼らの意思ではありません。出来る限り、彼らを傷つけずに拘束したいのです」

 

「わかった。努力はするが、もしもの時はこちらの命を最優先にさせてもらう」

 

「もちろんです」

 

シン・ドローリグに状況を伝えたことで、すぐさま周りのジェダイに情報が伝達された。

しかし本気で殺しに掛かってくるクローン相手に、ジェダイも余裕があるわけではなく、双方の被害が大きくなりつつあった。

 

「レックス、部隊を率いて事態の収拾に当たれ! 出来る限り生きて捕らえるんだ!」

 

「イエッサー! 野郎共続け!」

 

『うおー!』

 

『ゴーゴーゴー!』

 

『回り込め!』

 

そこに異変を感じ取った第501大隊のクローン達が、アナキンに連れられて駆け付けてくれたようだ。

アナキンやレックス達は行動抑制チップの事を知っている為、初めから彼らを生け捕りにするつもりらしい。

 

「レイ、大丈夫か? 彼らのチップは取り除かれたんじゃなかったのか?」

 

「ああ、問題ない。どうやら全ての個体からチップが取り除かれた訳じゃないようなんだ。詳しくはわからない」

 

「それなら尚更、彼らを生きたまま捕らえないと」

 

アナキンの言う通りだ。

今は完全な憶測で話をしているに過ぎない。

彼らの頭の中を調べれば、どのみちハッキリするだろう。

 

 

 

 

 

アナキン率いる第501大隊や、時間経過と共にマスター・クラスのジェダイも応援に駆け付けてくれた為、程なくして第13大隊を制圧することに成功した。

しかしジェダイ、クローン双方には決して小さくない被害が出たことは言うまでもない。

一個大隊の裏切りですらこの混乱なのだ。

歴史通り、全てのクローンがジェダイ抹殺のプロトコルを遂行する事態になったら・・・

考えたくも無いな。

 

 

 

さらに第13大隊による聖堂襲撃事件と同時刻、共和国司法局中央拘留センターでもクローンによる襲撃事件が起きていた。

どうやら本命はこちらだったようで、あらゆる犯罪者が脱獄に成功していた。

 

いや、正確には襲撃ではないな。

警備の任務に就いていたクローン・ショック・トルーパーが囚人の脱獄に手を貸したのだ。さらに聖堂襲撃の混乱に乗じて、既に遥か彼方に飛び去ってしまった。

 

「・・・やられたな」

 

「ああ、聖堂襲撃は囮で、本命が司法局中央拘留センターだったとはな」

 

ん?

そう言えばクレル先生もあそこに収監されていたよな?

・・・やめておこう

考えるだけで疲れてくる。

 

予想外だったのが少なくない囚人が、自らの意思で監獄に残っていたと言うことだ。

どうやら、これ以上面倒ごとに巻き込まれたくないと考えたようだ。

利口な連中もいるのね。

 

さらに驚いた事が、ドゥークー伯爵も脱獄せずにその場に残っていたというのだ。

まあ、何となく理由は想像できるけどね。

心中お察し致します・・・。

 

「コマンダー・レイ」

 

アディスと話をしている所に、突然声を掛けられた。

相手はカル・ケスティスの師匠で、ジェダイ・マスターのジャロ・タパルだった。

 

「タパル将軍?」

 

「先の戦闘では、私の部隊が迷惑を掛けたな。マスター・ドローリグから話は聞いた・・・貴官が出来るだけ生きたまま捕まえるようにと、進言してくれたそうだな」

 

そんな事を言いに、わざわざ俺に会いに来たのか?

思っていたよりも、律儀な人なんだな。

 

「自分の使命を遂行したまでです」

 

「貴官には弟子の件でも世話になったからな・・・本当に感謝している」

 

そうだ。

彼の弟子、カル・ケスティスはまだ見つかっていないのだ。

生きている事を願っているが、今のところ彼の情報は全くない。

 

・・・待てよ?

一人知ってそうな奴がいるじゃないか!

 

「将軍、カル・ケスティスの事ですが、ドゥークーが何か知っているかもしれません」

 

「確かに・・・可能性は高いな。礼を言うコマンダー」

 

そう言って一礼すると、彼は背を向けて去って行った。

何か目的があって攫われたはずだからな。

生きていれば良いのだが・・・

 

「ん、そうだコマンダー」

 

何かを思い出したかのように、ジャロ・タパルが立ち止まる。

 

「はい将軍」

 

「あの緑茶という飲み物だが、あれは素晴らしい。良い物が手に入ったら教えてくれ」

 

そう言い残し、ラサットのジェダイ・マスターは去って行った。

 

・・・貴方も緑茶の虜なのね。

 




はい、お疲れさまでした。

ドゥークーは絶賛病み期突入中なので、そっとしておいて上げてください。
そしてみんな大好き(?)クレル先生も、異状なく逃げ出しましたね。
彼の登場が楽しみです()


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第64話 取り敢えずお仕置き

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

数日間、雪山に籠っておりました。
雪が無い生活って良いですよね。



あれから少し経ち、裏切り者のクローンには行動抑制チップが埋め込まれているままだった事が判明した。

 

ジェダイ評議会は元々ドゥークーらがクローンを発注していた事を知っていたのもあり、それほど驚きはしていなかったが、すぐさま全トルーパーの脳内スキャンが行われる運びとなった。

 

さらにこれは仕方のない事だが、ジェダイの一部や民衆の中で、クローン・トルーパーに対する不信感が募っていた。

しかし、幸いなことに多くのジェダイはクローンに対する信頼は依然高いままで、反感を抱いているジェダイというのは、元々反クローン感情を持っていた者が殆どだった。

 

民衆の反発についてもジェダイ評議会が事の顛末(てんまつ)を説明した事で、次第に沈静化して行った。

 

これは蛇足になるが、銀河元老院議会最高議長のポストが空席なのに加えて、汚職をしていた者やシディアス陣営だった者の多くが国外へ逃亡した事により、暫定的な対応として現在はジェダイ評議会が共和国を取り纏めている。

勿論独裁的な対応ではなく、残っている元老院議員と協力しながら事態の収束を図っている状況だ。

 

ジェダイ聖堂を襲撃した第13大隊の兵士たちは優先して頭部スキャンが行われ、埋め込まれていた行動抑制チップは除去された。

しかし自らの意思では無かったとはいえ、正気に戻ったクローンの多くは自分のしてしまった事実を受け入れられない者が多く、この大隊は事実上解体された。

 

「本部の報告では共和国軍全体の30%がシディアスの傘下に加わったらしい」

 

「30%・・・」

 

アディスから、決して少なくない数のクローン・トルーパーが敵側に寝返った事を聞く。

独立星系連合に、約三割のクローンが合流するとなると・・・

考えたくも無いな。

 

だが幸いなことに、カミーノアンの協力もあってクローンの頭部スキャンについては比較的スムーズに終わった。

 

「レイ、今この共和国は色んな意味で不安定な状況だ。かなり厳しい戦いになるぞ?」

 

「ああ、わかっている。それでも俺たちが戦わなきゃいけないだろう?」

 

戦いはまだ続く。

気合を入れ直さなくてはな。

 

しかし約三割のクローン・トルーパーが分離主義派に寝返ったと言うのは共和国軍にとって大きな損失であり、軍の指揮系統から大幅な再編を余儀なくされたのだった。

 

 

 

 

 

<アークワイテンズ級軽クルーザー 惑星カミーノ近海>

 

あれから軍の再編制や、ジェダイ評議会が元老院議員と共に共和国を取り纏めたりと色々ゴタゴタがあったが、今はある程度落ち着いてきていた。

 

そんな中、俺はアークワイテンズ級軽クルーザーで惑星カミーノへ向かっていた。

何故かって?

共和国全体の三割が敵に寝返ってしまったからな。

新兵教育の視察って訳ですよ。

 

因みにこの軽クルーザーを運用する人員に加えて、俺の傍には二人の護衛がいる。

 

「“参謀総長”、間もなく惑星カミーノに到着します」

 

そう話すのは元クローン・コマンドーで、現在はARCトルーパーとなったキャプテン・グレガーだ。

ちなみにもう一人の護衛は、同じくARCトルーパーのファイヴス、今はこの二人が俺の護衛を務めてくれている。

 

え?

どうしてお前が参謀総長と呼ばれているのかって?

 

それは、憎き共和国軍の大規模な再編成が原因だ。

クローン以外の軍の高官に関しても少なくない人数が国外逃亡した事により、現在共和国軍は士官、下士官、兵に至るまであきらかに人員が不足している。

 

そんな中で、元から抑制チップが埋め込まれていなかった俺達ARCSトルーパーに矢面が立ったという訳だ。

 

軍の再編した内容を簡単にまとめると、まず共和国軍に統合作戦本部が新設された。

この統合作戦本部が、軍の実質的な最上位組織になる。

 

この中に陸軍参謀本部と宇宙軍作戦本部が組織され、俺は陸軍参謀総長に任命されたという訳だ。

簡単に言うと、クソったれな事に共和国グランドアーミー(陸軍)のトップになりましたよって話ですわ。

俺の快適ライフを返せこの野郎・・・

シディアス許すまじ。

 

因みに宇宙軍作戦本部のトップには、ウルフ・ユラーレンが作戦本部長(宇宙軍のトップ)の座に就いた。

ユラーレンは共和国に蔓延っていた汚職について常々思う所があったようだし、彼に任せておけば問題ないだろう。

 

共和国の最高責任者である元老院議長の座が空席の為、暫定的な措置としてジェダイ評議会のグランド・マスターであるヨーダが実質的なトップになっている。

それに伴い、軍の最上位職である統合作戦本部長にはジェダイ評議会からメイス・ウィンドゥがその任に就くことになった。

しかし、ジェダイであるウィンドゥは軍人ではない為、適任者が任命され次第その席を譲ることになっている。

 

「やめてくれグレガー、俺は参謀総長ってガラじゃない。そもそもマーシャル・コマンダーですら俺には過ぎた階級だったんだ」

 

当時ですら少将、中将クラスだったのに、今では大将クラスになってしまった。

考えただけでも頭痛がしてくる。

 

「ですがジェダイ評議会の中で、貴方が参謀総長候補にと話が上がった時には、満場一致の可決だったと聞いております」

 

「はい、それに自分もクローンの中から参謀総長になるのなら貴方以外にはいないと考えています。それは他のクローンも同様です」

 

グレガーに続いてファイヴスまで・・・

皆さん、忘れているかもしれませんが私の中身はただの地球人なんです。

陸自出身ですが3等陸曹(軍曹)なんて下っ端も良い所なんですよ?

それが陸軍のトップって・・・

この世の終わりだ・・・。

 

「・・・頼むからやめてくれ」

 

「「くっくっくっくっ」」

 

コイツ等・・・

上司をからかって遊んでやがる・・・

そんな事するなら首ですよ!?

良いんですか!?

 

・・・やめておこう。

ただでさえ人手不足なのに、これ以上人員が減ったら『その分お前が働け』とかどこぞのブラック企業みたいな事を言われそうだ。

ジェダイなら笑顔でやりかねない・・・。

 

 

 

無駄話をしている間に着いたようだな。

さて、新兵の様子を見て、ちゃちゃっと帰りますかね。

 

 

 

 

 

<惑星カミーノ ティポカシティ>

 

「お久しぶりですねレイ、あなた方に命を救われたあの日の事は忘れもしません。ようこそカミーノへ」

 

そう出迎えてくれたのは行方不明のシャク・ティに代わって、このカミーノでクローンの訓練教官を務めているアディ・ガリアだ。

 

「お久しぶりですガリア将軍、突然の訪問で申し訳ありません」

 

「謝ることではありません・・・今は混乱の時代です」

 

 

 

彼女の案内で、俺達はトルーパー候補生、及び新兵の視察を行う。

勿論、ここにいるクローンの脳内には行動抑制チップは埋め込まれていない。

視察中に突然襲われるなんて事になったら堪ったものではないからな。

 

『おい、見ろよ』

 

『ああ、グランドアーミーの参謀総長だ』

 

『あの方が俺らと同じクローンだって信じられるか?』

 

『バカ、俺らと同じなもんか! 参謀総長はあのARCSトルーパーの隊長だ。噂ではARCSトルーパー一人で、クローン大隊に匹敵するって話だぞ?』

 

『本当かよ!? それこそ化け物並みの強さじゃねーか!』

 

・・・どうやら、とんでもない噂が独り歩きしているようですね。

それに化け物呼ばわりされているのも納得できない。

 

「おい候補生、参謀総長に失礼だぞ!!」

 

その時見かねたファイヴスが、訓練生をたしなめてくれる。

良かった、これで少しは誤解が解け・・・

 

「参謀総長はお一人で、大隊どころか一個連隊にも匹敵する! いや、それ以上だ!!」

 

『うおぉぉぉぉ!!』

 

『噂は本当だったんだ!!』

 

『いや、それ以上だぜ!?』

 

『さすがは参謀総長殿だ!!』

 

『参謀総長万歳!!』

 

『『『『万歳!!万歳!!万歳!!』』』』

 

ねえ、やめて!?

どう考えても、一人で一個連隊に匹敵するわけないでしょ!?

普通に死ねるからね!?

 

「ふふふっ・・・さすがは参謀総長ですね。そこまでの実力があるとは恐れ入りました」

 

「将軍まで・・・からかわないで下さい」

 

この立場になってから、こんな事ばかりだよ・・・

こうなったのもシディアスのせいだ。

絶対に許さない・・・

 

取り敢えず、事態をややこしくしたファイヴスにはお仕置きだ。

 




はい、お疲れさまでした。

いつの間にかレイ君、グランドアーミーのトップになってしまいましたね。
どうしてこうなってしまったのか・・・解せぬ。

再編制後の指揮系統に関してですが、わかりにくいと思うのでExcelのベタ打ちを貼っておこうと思ったのですが、上手く貼り付けられなかったので簡易的に示しておきます。

■銀河元老院議長 空席(暫定:ヨーダ)

■統合作戦本部 空席(暫定:メイス・ウィンドゥ)

■陸軍参謀本部 参謀総長:レイ
■宇宙軍作戦本部 作戦本部長:ウルフ・ユラーレン

上記はあくまで軍の中だけの話です。
ヨーダが議長の立場にあるわけではないのであしからず。

レイとユラーレンは、同格の立場で双方に権限の差異はありません。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第65話 取り敢えず戦争は続く

視察は特に問題などは起きず、順調に終わった。

まあ、ハプニングと言えば候補生に技術的なアドバイスをしたらその候補生が張り切り過ぎて、派手に転んで軽い脳震盪になったくらいだな。

 

しかも転んで頭に付いた傷を自分の初めての勲章だと言い、他の奴らに自慢している始末だ。

そんなことを自慢しても誰も羨ましがらないと思ったので、その候補生にやめておけと言おうとした時には既に手遅れだった。

 

他の候補生はどういう訳か非常に羨ましがり、自分で同じような傷をつけようとしている奴が出る始末だ。

それならまだ良い(?)が、ある候補生が自分の事を殴ってくれと言いだし、それを聞いた他の候補生達が俺に殴ってもらうために日本人も驚く程、綺麗に一列に並んだのだから救いようのない奴らだ。

 

俺がこの出来事をきっかけに、共和国軍の将来を本気で心配したのは言うまでも無いだろう。

 

 

 

 

 

「くっくっくっ、災難でしたね、参謀総長」

 

「自分がドミノ分隊で候補生をしていた時に、ARCSが視察に訪れた時の事を思い出しました」

 

そう話すのは護衛のグレガーと、ファイヴスだ。

あれから奴等の包囲網を掻い潜るのに偉く苦労した。

共和国軍の将来を心配するなんてとんでもない。

訂正する。

彼らは共和国の将来を担う、優秀な兵士になるだろう。

 

 

 

 

 

<ティポカシティ 中央指令センター>

 

俺達は視察を終え、ガリアが待っている指令センターを訪れていた。

彼女はやることがあるとかで、視察の途中で抜けていたのだ。

 

「レイ、候補生の様子は如何でしたか?」

 

「はい、粗削りな奴が多いですが経験さえ積めば、軍の将来を担う優秀な兵士に育つでしょう」

 

「それを聞いて安心しました。貴方が言うのだから間違いないでしょう」

 

まあ、若い頃は多少血の気が多いくらいが丁度良い。

彼らは共和国の将来を担う貴重な人材だ。

 

本当であれば成長加速など施さないで、様々な経験をさせたいがそうも言っていられない。

彼らの力が無ければ、分離主義派に敗れるのは火を見るよりも明らかだ。

 

「それで将軍、先に戻られましたが何か問題でも?」

 

「ええ、リシの前哨基地から不審な艦影を確認したと連絡があったので先に戻ってきたのですが・・・」

 

その時、カミーノ及び、リシの前哨基地と連動した防衛システムからエマージェンシーを知らせる警報がけたたましく鳴り響く。

先のカミーノ防衛戦とリシ基地での戦いの経験から、どちらかに問題が起きた時には異常を知らせるような態勢が組まれていた。

 

「通信士官! 異常の報告をしろ!」

 

「これはリシ基地からのエマージェンシーです! 恐らく敵の攻撃を受けています」

 

俺から状況の報告を求められた通信士官の中尉が、リシ基地が敵の攻撃に晒されていると言う。

 

なるほど

共和国軍の元を叩こうって訳か。

 

「全軍を戦闘配置につかせろ! 加えて近海にいる部隊に応援を要請するんだ!」

 

「イエッサー!」

 

マズいな。

こちらはカミーノに駐留している以外の正規部隊と言ったら、俺が乗ってきたアークワイテンズ級の乗組員くらいのものだ。

 

元々ティポカシティに駐留しているのはランコア大隊のコマンダー・コルトと、その部下のARCトルーパーが数人、後はこのカミーノ防衛の任を受けているクローン部隊だ。

 

敵の規模はハッキリしないが、前回のカミーノ防衛戦と同程度の戦力で攻められれば、苦しい戦いになるだろう。

前回はアナキンやオビ=ワン、第501大隊の連中もいたからな。

 

「コマンダー・ライズ、聞こえるか?」

 

俺はアークワイテンズ級にいる副官に連絡を取る。

彼はクローンの中では後期の個体で、クローン・コマンダーになるべく訓練された士官だ。

階級はコーディーらと同じマーシャル・コマンダー、まあ少将とか中将当たりに該当するな。

若いのに中々やり手なんですよ。

 

『はい参謀総長、聞こえています。トラブルですね? 既に部隊の展開を始めています。近海にいるコマンダー・アディスにも連絡済みです』

 

・・・ね?

優秀でしょ?

俺の存在する意味がないくらい優秀でしょ?

 

「・・・優秀な部下を持つと助かるよ」

 

『ご冗談を・・・敵の規模は確認できませんが恐らく大部隊、応援が来るまで時間を稼ぎます』

 

「それで良い。俺たちは前線で敵の進行を食い止める」

 

『・・・参謀総長自らですか?』

 

なんだ?

俺が前線に出ちゃマズいのか?

ええやん、後ろに控えていたって意味無いし。

 

「何か問題か?」

 

『・・・いえ、貴方はそういうお人だ。自分も参謀総長と共に、前線で敵を迎え撃ちます。ライズ、アウト』

 

因みに俺はグランドアーミーのトップであると同時に、第10星系軍を指揮する立場にある。

大きく分けると共和国グランドアーミーは、10個の星系軍から構成されており、それぞれの星系軍をジェダイ評議会のマスター達が指揮している。

 

今回俺と共にカミーノを訪れているのは、第10星系軍に所属する第1空挺兵団の第117コマンド大隊だ。

まあ、わかりやすく言うと俺の直轄部隊で、コマンダー・ライズの指揮している一個大隊が一緒にいるよって話だ。

 

カミーノ訪問程度で、この規模の部隊は不要だと考えていたが、今考えればもっと連れて来れば良かったと後悔している・・・。

皆さん、希望的観測は危険なので、最悪の状況を想定して行動しましょう。

 

・・・だって、堅苦しいのは嫌なんだもん。

 

「失礼します」

 

無駄話をしている間に、副官のライズが指令センターまで来たようだな。

走ってきたのかな?

めっちゃ早くね?

 

「ライズ、部隊の状況は?」

 

「はい参謀総長。既に武器・装備の点検を終えており、部隊は展開済みです」

 

「ご苦労。話は変わるが、その新しいアーマー似合っているじゃないか?」

 

「はっ、参謀総長が優先的に配備して下さったお陰です」

 

俺の直轄部隊であるこの第117コマンド大隊は、試験的にフェーズⅢのクローン・トルーパー・アーマーを装備している。

 

更新の理由としては、フェーズⅡの対弾性能が思ったほど高くなかったのに加えて、敵勢力にクローントルーパーがいる事から、混乱を防ぐ目的もある。

既に量産体制は整えられており、後は実戦データを一定数取って、問題なければ直ぐにでも各部隊に配備される。

 

「中々良いアーマーだと評判らしいじゃないか?」

 

「はい、殆どの点で旧型のアーマーより優れた性能を誇っております。勿論、貴方のアーマーには及びませんが・・・」

 

「ん? ああ、まあこれは特別だからな・・・欲しいのか?」

 

「いえ、自分には派手過ぎます」

 

コイツ・・・

上官の事をサラッと貶(けな)しながったぞ・・・

まあ、確かにギンギラギンにさり気なくのままだけどさ・・・。

どの色に塗装するか迷っていたら、変えるタイミングを完全に見失ったんです。

 

 

 

 

 

『ブリキ野郎が御出でなすったぜ!!』

 

『俺たちの生まれ故郷を守るんだ!!』

 

上空からはバルチャードロイドと、C-9979上陸艇がティポカシティに接近してきている。

こちらもアークワイテンズ級に搭載してきたファイターで迎え撃つが、軽クルーザーに搭載されているファイターの数などたかが知れている。

制空権を取られるのは時間の問題だろう。

 

「艦長、接近する上陸艇に砲火を集中しろ」

 

『イエッサー』

 

副官のライズが、アークワイテンズ級の艦長に命令する。

敵もまさかティポカシティに小型とはいえクルーザーがいるとは思わなかったようで、回避行動が遅れる。

 

第一波の上陸艇は、上空を明るく照らしながら荒れ狂う海の中に消えていく。

 

「さすがだコマンダー、良い判断だったぞ」

 

「随分と汚い花火でした・・・第2陣が来ます。艦長、そこでは狙い撃ちされる。離陸して安全圏まで移動しろ」

 

『しかし・・・』

 

「艦長、俺からちょっとした頼みがある。もしもの時の為だ」

 

俺はライズに引き継いで、軽クルーザーの艦長にある命令を下す。

アディスの増援が遅れる可能性もあるからな。

もしもの時の予備プランだ。

 

 

『イエッサー、お安い御用です。まずは敵の封鎖線を突破します』

 

艦長は俺からの命令を聞き入れ、カミーノを封鎖しているだろう艦隊を突破する為に離陸する。

軽クルーザー一隻で、敵の封鎖線を突破することを『お安い御用』で済ませる艦長も、中々のやり手だな。

 

あ、ちなみにこのアークワイテンズ級軽クルーザーの艦名は<スカイホーク>だ。

旗艦ではないが小型で小回りが利くため、俺は割と気に入っている。

 

スカイホークとすれ違い様に、敵の上陸艇がカミーノに降り立つ。

さあ、久しぶりに暴れますかね!

 




はい、お疲れさまでした。

コマンダー・ライズは今回初登場のオリキャラです。
一応軽く調べた限りでは、原作や他の方の物語では使われていない・・・と思います。
もし使われていたら、その時に変更します。
知っている方が居たら、「そのキャラ名、既に存在するよ!」って教えてください。

名前の由来は、スタバで執筆していた時に目の前の道路をトヨタのライズが通り過ぎたからです。
いつも適当ですみません。

フェーズⅢアーマーずっと出したかったんですよね。
見た目は特に考えていないのですが、若干旧型のアーマーよりもゴツ目をイメージしています。
フェーズⅡとカターン級を足して二で割った感じ?(適当)


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第66話 取り敢えずクローン相手はやりにくい

「回り込ませるな! 通路で食い止めるんだ!」

 

上陸艇に搭載されていたバトルドロイドの部隊が押し寄せてくる。

辺りにはブラスターから発せられるティバナガスの匂いが充満し、戦闘の激しさを物語っていた。

 

「参謀総長、敵は思っていたほどの規模じゃありません」

 

「ああ、別動隊がいると考えるべきだろうな」

 

フェーズⅢのアーマーを装備している副官のライズも、敵の規模が想定していたよりも小さい事を不審に思ったようだ。

 

「ライズ、ここの指揮を任せる。コマンダー・コルトと協力して敵の進撃を防いでくれ」

 

「了解です。全員聞いたな! これ以上進ませるな!」

 

『うおぉぉ!!』 『ブリキ野郎をスクラップにしてやる!!』

 

いやな予感がした俺はライズに指揮を任せ、別行動を取ることにする。

カミーノ制圧に、少数のバトルドロイドだけを送り込むとは思えない。

どこかのタイミングで、分離主義側のクローンが出てくると考えてしかるべきだろう。

 

「ケベック大尉、分隊を率いて俺に付いて来い。グレガー、ファイヴス、お前らもだ」

 

「「「イエッサー」」」

 

「お前ら聞いたな。シエラ分隊、整列しろ!」

 

第117コマンド大隊には作戦の特殊性を考慮して、クローン・コマンドーだけで構成される小隊が存在する。

この小隊は五つの分隊で構成されており、その中の一つであるシエラ分隊を俺の指揮下に加える。

 

ちなみに第117コマンド大隊所属のクローン・コマンドーのアーマーも、新しい物が配備されている。

 

彼らが装備しているのはマークX(テン)・カターン・アーマーと呼ばれている。

カターン級として10番目のアーマーという訳では無いのだが、カターン級は様々なバリエーションが存在し、もはや統制することが困難なことから、俺が指揮している第10星系軍の名称を由来に名付けられた。

 

従来のカターン級の重量が20キロ前後と非常に重いのに比べて、新型のマークXは重量が10キロ前後と約半分の重さの軽量化に成功している。

しかもただ軽量化されているだけでなく、従来のアーマーよりも防弾性能が向上されているので至れり尽くせりなアーマーだ。

 

その時、中央指令センターで指揮を執っているアディ・ガリアから通信が入る。

 

『レイ、聞こえるかしら? 北東の方角から接近する飛行物体を確認しました』

 

「了解、直ぐに向かいます」

 

恐らく敵の別動隊だろう。

これからが本番だな。

 

 

 

 

 

俺達はガリアの連絡通り、ティポカシティの北東側に来ていた。

そろそろ確認できると思うのだが・・・

 

「参謀総長、二時の方角から接近する熱源を感知しました」

 

シエラ分隊のケベックが、ヘルメットに内蔵されたセンサーで敵を確認したようだ。

 

「ガンシップ! クローン部隊か!」

 

ファイヴスが叫びながら指を指した方向から、共和国軍の低飛行強襲型兵員輸送艇であるLAAT/iガンシップが飛来している。

その機体はダーク・グレーに再塗装されており、もはや共和国軍の所属ではない事を強く物語っていた。

 

まだかなりの高度にあるそのガンシップから、クローンの一団だと思われる部隊が次々に降下してくる。

 

「気を引き締めろ! 敵は高度な訓練を積んだクローンだ!」

 

俺は全員に注意を促す。

彼らはドロイドとは比べ物にならない程、高度な戦術を用いてくるはずだ。

 

そして降下してくるクローン部隊を見て、俺は一瞬言葉を失った。

見慣れたオレンジ色のマーキングが施された指揮官用のアーマー・・・

 

「・・・コマンダー・コーディー?」

 

そう呟くのは、同じく付き合いの長いファイヴスだ。

新兵の頃、リシの前哨基地で出会ってから生死を共にしてきた元上官の姿を見て、彼は隙を晒してしまう。

 

「ファイヴス!!」

 

その隙を見逃すコーディーではない。

各国の軍隊でも精鋭と呼ばれる空挺部隊、その名に恥じぬ高い技術で難なく高高度からの降下を遂行する。

さらに彼は、その状態のままブラスターを正確に発砲するという離れ業をやってのける。

 

俺はファイヴスの前に飛び出し、コーディーから放たれた光弾をその身に受ける。

ベスカー製のアーマーが難なくその光弾を跳ね返すが、問題はそこじゃない。

俺達は長きに渡って共に戦ってきたコーディーと、一戦交えなくてはならなくなった。

 

「大丈夫か、ファイヴス」

 

「も、申し訳ありません参謀総長」

 

「良いから、レイと呼べ」

 

俺はファイヴスに手を貸しながら、その場に立ち上がる。

敵の数はコーディーを入れて12人、こちらはシエラ分隊が4人に俺とグレガー、ファイヴスの7人だ。

単純に倍近い戦力差だな。

 

「・・・久しぶりだなコーディー、コルサントの戦いで戦死したものとばかり思っていたぞ?」

 

俺達が議長救出の任務に就いていた時、惑星アナクシスの戦いで重傷を負ったコーディーは前線から離れ、クルーザーの中で部隊の指揮を執っていたのだ。

そのクルーザーは、独立星系連合の攻撃に合い轟沈した。

 

「俺は部下の数人と脱出ポッドで難を逃れ、分離主義者達に回収された」

 

「それで敵に寝返ったって訳か?」

 

だがおかしい。

コーディーの行動抑制チップは、随分前に摘出しているはずだ。

また埋め込まれたのか?

 

「裏切り者はお前たちだレイ! 最高議長に反旗を翻し、ジェダイと結託して共和国を乗っ取ったんだからな!」

 

「違う! それは議長の陰謀だ! いや違うな、奴は既に議長ですらない・・・お前たちは騙されているんだ!」

 

「参謀総長、何を言っても無駄です。発砲の許可を」

 

そう話すのは、シエラ分隊のケベックだ。

時間も惜しいし、これ以上話しても無駄だと思ったんだろう。

 

「・・・参謀総長? クローンがグランドアーミーのトップか? お前が裏切ったのはその地位の為か? ジェダイにその地位を与えられる代わりに議長を裏切り、真新しいアーマーを着込んだ部下を従えて権力者気どりか・・・見損なったぞレイ!!」

 

「・・・もう何を言っても無駄なようだな、コーディー」

 

「それはこちらのセリフだ・・・レイ、武器を渡して投降しろ。命だけは助けられる」

 

今のコーディーに何を言っても無駄なようだ。

出来れば生かして捕らえたいが・・・

 

「俺たちは共和国の為に戦う。ようやく国が良い方向に変わってきているんだ」

 

「それが反逆だと言うんだ!!」

 

コーディーの叫びを皮切りに、クローン同士の戦いが始まった。

それぞれが近場の遮蔽物に身を隠し、かつての仲間に向かってブラスターを発砲する。

 

やはりドロイドとは違う。

正確な射撃で、こちらが嫌なタイミングでブラスターを放ってくる。

 

「グレガー、ファイヴス、援護しろ。俺が前に出て注意を引く。ケベック、部下を連れて橋の下から回り込むんだ、出来るな?」

 

「お安い御用です。シエラ分隊!」

 

「「「イエッサー!」」」

 

俺は12丁のブラスターから発射される、光弾の雨の中に身体を晒す。

いくらベスカー製のアーマーに全身を守られているとはいえ、光弾が生み出す運動エネルギーを0にはできない。

無数の光弾をその身に受け、俺は少し歩みを進めた先で堪らず膝を着いてしまう。

そこに数発の光弾が頭部を襲い、その衝撃から俺は仰向けに倒れこむ。

 

『油断するな、グレネードだ!』

 

コーディーがそう叫ぶと、部下の一人が俺に目掛けてサーマル・デトネーターを投擲する。

このままだと、グレガー達を巻き込んでしまう。

そう考えた俺は、自らの身体でグレネードに覆いかぶさった。

内包された火薬が大きな爆発を起こし、その衝撃で俺は上空に吹き飛ばされてしまう。

 

「レイ!」

 

ファイヴスの叫びで、全員の目がグレネードの衝撃で吹き飛んだ俺に集中する。

・・・シエラ分隊を除いて。

 

敵の注意が逸れたタイミングで、橋の下からシエラ分隊がジェットパックを使って現れる。

コーディーらの後ろに回り込んだ形となったシエラ分隊は、洗練された射撃技術で瞬く間に8人のクローンを制圧する。

 

残された4人との距離が近い為、必然的に格闘戦になる。

シエラ分隊はアーマーに装備された高周波ダガーを起動して、敵のクローン部隊に切りかかる。

従来は小型のナイフを装備していたが、マークX・カターン・アーマーに更新されたタイミングで、リーチの長いダガーが装備されている。

 

敵クローンの三人は直ぐに制圧されたが、ケベックの相手は格闘戦に優れたコーディーだ。

ダガーを用いてくる相手に、コーディーは戦いを優位に進めている。

 

コーディーは上段蹴りを繰り出し、ケベックはその蹴りをまともに食らってしまう。

その隙にコーディーは自らのハンドブラスターを取り出し、ケベックに対して発砲する。

放たれた弾丸はケベックに命中したが、マークX・カターン・アーマーの優れた対弾性能によって弾かれる。

さらに発砲しようとするが、近くにいた三人のクローン・コマンドーにブラスターを向けられたことで、その動きを止める。

 

「コマンダー、投降してください」

 

「貴方を撃ちたくはありません」

 

良く見れば、コーディーの部下であるクローン・トルーパーも誰一人死んではいなかった。

重傷には変わりないが、命にかかわるような傷を負っている者はいなかった。

 

「・・・今ならまだ間に合う。投降しろ、コーディー」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第67話 取り敢えず耳障りな声

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

前回まさかのコーディー登場。
こんな予定じゃなかった・・・

クローン・コマンドーのシエラ分隊とケベック大尉もオリキャラです。
誰が誰だっけ状態の方がいるかもしれないので、以前のように登場人物の整理を出来ればと考えております。
・・・気が向いたらで良いですかね?



「・・・今なら間に合う。投降しろ、コーディー」

 

俺はブラスターとグレネードの攻撃により頭がクラクラする中、コーディーに近づきながら声を掛ける。

・・・もう二度とグレネードに覆いかぶさらないと心に決めた。

もう絶対にやらない。

振りじゃないからね?

 

「レイ・・・だからお前は甘いと言うんだ」

 

そうコーディーが呟くと、何処からともなくジェットパックを装備したスーパー・バトルドロイドの部隊が現れる。

 

「ロケット・ドロイドだ!」

 

ジェットパックを装備したこのドロイドはB2-PRロケット・ドロイドと呼ばれ、三次元的な機動能力を獲得したスーパー・バトルドロイドの派生型だ。

 

ロケット・ドロイドは腕部に装備された二連装のブラスターから、無数の光弾を発射する。

突然の攻撃に何人かは被弾してしまうが、新型のアーマーのお陰で戦闘は問題なく継続できる。

 

敵からの攻撃を受けながらも俺たちは応戦し、通常のスーパー・バトルドロイドよりも装甲が薄いロケット・ドロイドをスクラップにして行く。

空飛ぶからね。

軽量化されていますよ。

 

その時、突然頭の中に薄気味悪い声が響いてくる。

 

『所詮はドロイドと同じ消耗品だな。敵の数を減らすことも出来ないのか? そんな事では大量生産できるドロイドの方がまだマシだな』

 

「この声・・・思い出したくもないですね」

 

「ああファイヴス、どうやら大先生のお出ましだ」

 

上空に再びガンシップが現れ、そこから一つの影が跳躍する。

着地したそいつは黒い装甲服を身に纏い、腰に携えた大型のライトセーバーを起動する。

 

「邪魔だ!!」

 

奴の足元に倒れているクローン目掛けて赤い光剣を振り下ろし、首と胴体を真っ二つに両断してしまった。

・・・相変わらずのクソ野郎だ。

 

「ふんっ! お前とは何かと縁があるなコマンダー・レイ? 行方不明のパダワンは見つかったか? そこのARCトルーパーにも見覚えがある。私に何かと逆らうクズの複製だ。部下想いのキャプテンがいないのは残念だ。奴がいれば真っ先に切り刻んでやるものを・・・」

 

そこにいたのは金色に輝く瞳でこちらを睨む、元ジェダイ・マスターのクレルだった。

先の襲撃で刑務所から脱獄した折、分離主義派に付いたようだな。

まあ、予想通り過ぎて面白くもなんともない。

 

「・・・お前に言う事は何も無い。今まで犠牲になったクローンの為にも、お前をここで始末する」

 

「ほう、複製如きが大きく出たな。この私を始末するだと? 出来るものならやってみるがいい! 私は暗黒面の力を我が物とすることで、もはや無敵の存在となったのだ! クローンが何人いようと物の数ではない」

 

そういうと、クレルは二つのダブル=ブレード・ライトセーバーを起動して戦闘態勢を取る。

 

悔しいがクレルの持つ実力は本物だ。

正面からの正攻法では、どう転んでも勝てないだろう。

 

だが、このまま奴を施設に入れる訳にはいかない。

そんな事になれば、こちら側の被害は恐ろしい事になるだろう。

 

ジェダイの応援も無い。

厳しい戦いになるな。

 

俺はクレルに狙いを定め、アーマーに装備されたスポウダーミサイルを起動する。

無数の小型ミサイルがクレルに向かって飛来し、着弾前に爆発する。

 

「散開しろ!」

 

俺の掛け声で全員がジェットパックを起動して、激しい雨が降り注ぐ中空高く舞い上がる。

爆発の影響で周りが見えないクレルに、全員でブラスターを発砲する。

 

だがフォース感応者のクレルにとって、目が見えない程度の障害は障害に足り得ないようだ。

四つの腕を器用に使って、四振りの赤い光剣を振り回している。

一見乱雑に扱っているようだが無駄な動きは無く、奴の実力の高さが伺える。

 

俺はさらにスポウダーミサイルを起動し、クレルに向かって発射する。

クレルはライトセーバーで、全てのミサイルを叩き落とすべく振り回す。

しかし、ミサイルが起爆すると内包されていた燃焼性の高い物質に引火し、クレルの周りを激しい炎が包み込む。

 

「くそっ、焼夷弾か!! この複製如きがぁぁぁ!!」

 

「お前はそれしか言えないのか?」

 

俺はヴァンブレイス(腕甲)に内蔵されているウィップ・コードを放ち、クレルを拘束する。

そこに向かって、全員で一斉射撃を食らわせようとすると突然クレルが大きく跳躍する。

俺とクレルはウィップ・コードで繋がっている為、宙づりになる形で引き寄せられる。

 

俺は即座にジェットパックのスラスターの出力を上げるが、クレルの馬鹿力で引き寄せられる。

体勢を立て直すためにウィップ・コードを切り離そうとするが、着地したクレルが勢いよくウィップ・コードを引き寄せる。

 

「捕まえたぞコマンダー、先ほどは良くもやってくれたな?」

 

「くっ・・・少しは男前になったじゃないか?」

 

「ふんっ、この状況でそんな口が叩けるのだから大したものだ」

 

俺はクレルの巨大な腕で首元を押さえられており、呼吸が苦しくなってくる。

この馬鹿力が・・・

 

「レイ!」 「参謀総長!」

 

ファイヴスとケベックの声だ。

俺が捕まった事で、下手に攻撃できなくなってしまったのだろう。

 

「参謀総長? それは貴様の事かコマンダー? いつから複製如きがグランドアーミーのトップになったんだ? これは面白い、共和国軍は余程人手不足と見える」

 

「うぅっ・・・言葉に、注意しろ・・・将軍、貴様の前にいるのは・・・上官だぞ」

 

気道を絞められて呼吸が満足に出来ない中、俺はせめてもの抵抗とばかりに軽口を叩く。

 

「ふんっ、形だけの地位に何の意味がある? それに私はもはや共和国の人間ではない。シス卿に成り代わり、この銀河を支配するのだ! あのシディアス卿ですらいずれ越える存在・・・スカイウォーカーなどではない、この私が選ばれし者だ!!」

 

そうクレルは高らかに宣言した。

コイツが選ばれし者?

冗談はやめてくれ。

どう考えてもそんなキャラじゃないだろ?

 

「残念だが、貴様はそれを見届ける前に死ぬのだ」

 

そう言って、空いている方の手で操るライトセーバーを俺に向けると真っすぐ胴体に突き刺した。

 

「・・・?」

 

しかし、ベスカー製のアーマーが着用者への侵入を許さない。

奴は知らなかったようだな。

俺がベスカー製のアーマーを装備していると言う事を。

 

「ほう、これはマンダロリアンと同じ類の物か? なら良い事を考えた。貴様が許しを請うまで、永遠に切り刻んでやる!」

 

そういうと奴は俺を地面に放り投げ、将来尋問官が用いるであろうダブル=ブレード回転式ライトセーバーのプロトタイプを起動する。

セーバー自体が回転するのに加えて、奴は四本の腕を器用に使う事でさらなる回転力を生み出す。

 

呼吸が満足に行えなかった時間が長く続いた障害か、俺の脳には十分な量の酸素が行き届いていなかった。

ハッキリしない意識の中、セーバーから発せられる独特な作動音と、赤い光剣が発する眩い程の光だけが今の俺の感覚全てを支配する。

 

 

その衝撃は突然訪れた。

クレルは俺の身体を切り刻めない事を知っている中、何度も、何度も、何度も、その感覚を楽しむかのようにセーバーを様々な角度から、俺の身体に向かって振り下ろす。

 

一種のクローン・トルーパー・アーマーの形状で精錬されたこのアーマーは、一般的なマンダロリアン・アーマーと違って身体のほとんどの部分を覆っている。

 

人体を構成する全ての部位を、漏れの無いようにその荒々しい剣技で切り刻む。

何処を切るのが楽しいか、何処を攻撃すれば効果的か・・・

それを確認、修正すること自体が生きがいかのように、クレルは攻撃の手を緩めない。

 

「やめろぉぉぉ!!」 「このクズがぁぁぁ!!」

 

その光景を見かねた二人のクローン・コマンドーが、装備したブラスターを発砲しながらクレルに向かって突撃する。

 

その攻撃をいともたやすく偏光させ、射撃した本人らにはじき返す。

しかし、新型のマークX・カターン・アーマーが偏光された光弾を受け止め、絶妙に計算された装甲が受け流す。

 

それは予想外だったようで、クレルは一瞬驚いたような顔を見せるがすぐに新しい玩具を見つけたように下品な笑みを浮かべる。

 

「やめろ! 下がれトルーパー!」

 

そうグレガーが叫ぶが時すでに遅し。

クレルは俺をフォースで吹き飛ばすと、二人のコマンドーに向かって素早く跳躍し、一人目のコマンドーの左肩から右脇腹に向かってライトセーバーを振り下ろす。

続いてもう一人には、身体を回転させながら背中を向けた状態で、相手の腹部目掛けてライトセーバーを突きさす。

 

厳しい訓練と実戦を積み重ね、共和国軍を代表する精鋭の一角であるクローン・コマンドーの隊員が、文字通り一瞬のうちに、それも簡単に命を落とした瞬間だった。

 

「やはりクローン殺しは格別だ・・・!」

 

恍惚とした表情で、そう呟くクレル。

そして次の瞬間、ファイヴスらに向き直るとその巨大な四本の腕をそれぞれに向ける。

背面のジェットパックを起動して、空中に逃れようとするが一人のクローン・コマンドーが反応に遅れる。

クレルの構えるライトセーバーに引き寄せられ、隊長のケベックを残しシエラ分隊は全滅した。

 

突きさしたコマンドーを荒れ狂う海に投げ捨て、上空に逃れた三人のトルーパーを強力なフォース・プッシュで吹き飛ばし、建物の壁に叩き付ける。

その衝撃でファイヴスとグレガーは意識を手放しだが、ケベック大尉は当たり所が良かったのか何とか意識を繋ぎとめる。

 

「苦しんで死ぬがいい、トルーパー」

 

しかし、情け容赦のないクレルはケベックを暗黒面の力の乗ったフォースで持ち上げ、彼の部下と同じようにカミーノの荒れ狂う海へと投げ捨てるのだった。

 

「さあ、続きを始めようか? 参謀総長殿?」

 

クレルは興奮を抑えられないような顔を向けながらそう呟くのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

惑星アンバラではクレルとの戦闘シーンが描かれなかった(一瞬で捕まえた)ので、初めての戦闘シーンになりました。
性格云々は置いておいて、彼はかなりの実力者ですよね。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第68話 取り敢えず自分がわからない

はい、お疲れ様です。
みどり色です。

土日は恐らく更新できないので、本日2話目の更新です。




彼の視界に映る世界は、全てが灰色と化していた。

赤く光る剣と、銀色に輝く装甲服を除いて・・・。

 

彼は共和国軍の士官になる事を運命づけられ、戦う為だけに生み出された。

しかし、それ自体にはなんら疑問を抱かなかった。

共和国の為、立ちはだかる敵を排除する。

それが自分の全てであり、人生だった。

 

生まれた時から軍事的な訓練・教育を受け、周囲の期待以上の結果を常に残してきた。

それ以外にやるべき事も無いし、それが当たり前だと思っていた。

そもそも戦い以外の事は、誰も教えてくれなかった。

 

この世に生を受けてから約10年、分離主義派との戦争が勃発し、不思議な力を使い、独自の感性、理念を持ったジェダイという一団の指揮下に入った。

始めは『これも命令だから』と、特に疑問も無く付き従ってきたが、それだけでは済まされない程、彼らとは共に様々な経験をしてきた。

 

次第に友人も出来た。

同じホスト(ジャンゴ・フェット)から生み出され、遺伝的には全く同じ個体だったが、クローン・トルーパーの多くはそれぞれが自分だけの資質、感性を持っていた。

 

第501大隊のキャプテン・レックスを始め、ドミノ分隊のメンバーや惑星クリストフシスの戦いにおいて出会ったARCSの四人組、彼らは兄弟であり、戦友であり、親友でもある。

 

中にはクローンを毛嫌いしているジェダイも一定数存在したが、殆どの者とは部下と上官と言う垣根を越えた関係を築き、互いに信頼し合っていた。

そして共和国の為、銀河の平和の為に、激しい戦場に身を置いたのだ。

 

 

それが何故、俺は敵である分離主義派側として、共和国に武器を向けている?

 

いや違う・・・

ジェダイと一部のクローンが議長を裏切り、共和国転覆を図ったんだ。

俺は正しい側にいるはずだ・・・

 

『議長の正体はシスの暗黒卿、ダース・シディアス―――――』

 

『クローンの頭の中には、行動抑制チップが埋め込まれている―――――』

 

『このままではクローンは、ジェダイ抹殺の片棒を担ぐことになる―――――』

 

『俺は自分が守りたい者(物)の為に戦う、お前たちはどうだ?―――――』

 

 

「はっはっはっはっ!! デカい口を叩いた割には大した事はないなクローン!! そのアーマーのお陰で耐えてはいるが、いつまで持つかな?」

 

彼の目の前では赤く光る剣を持った男が、雨に濡れながら銀色に輝く装甲服を着ている人物に向かって、数えきれない程の攻撃を加えていた。

その人物は次から次へと繰り出される攻撃のせいで地面に倒れ込む事も許されず、光る剣による嵐のような攻撃をその身に受け続けていた。

 

そして次の瞬間、装甲服の人物のヘルメットが吹き飛ばされ、自分の下へと転がってきた。

 

『エコーは生きている―――――』

 

『随分と派手な出来前だろ? これじゃあ、敵に狙い撃ちしてくれと言っているようなものだ―――――』

 

『〇〇〇!! 内臓をやられている・・・早く設備の整った所へ―――――』

 

俺は誰だ?

何故ここに座っている?

ここはどこだ?

寒い、冷たい。

これは・・・雨?

 

彼は自分の身体を打ち付ける雨を見るために、顔を上げ、空を見上げる。

その時、視界の隅に赤く光る剣を構える者と、自分と同じ顔をした男が目に入る。

彼にはその光景が酷くゆっくりに感じる。

その永遠にも感じられる光景が、少しずつ、ゆっくりとだが確実に進んでいく。

 

その赤い光剣が、装甲服の男の顔に迫る。

 

『それで敵に寝返ったって訳か―――――』

 

『違う! それは議長の陰謀だ―――――』

 

『もう何を言っても無駄なようだな、〇〇〇―――――』

 

『俺たちは共和国の為に戦う―――――』

 

『おい〇〇〇、こっちに来て座れよ! お茶会もたまには良いだろ―――――』

 

 

 

「(!) “レイ”!!」

 

彼の目に映る物は全て本来の色を取り戻し、同時に自らの意識も本来あるべき場所に戻ってきた。

彼は背面に装備されたジェットパックを起動して、激しい雨が降り注ぐ空へと舞い上がる。

 

上空に吹き飛ばされた友人を抱き止め、そのまま衝撃が加わらないようにゆっくりと地面に着地する。

 

「レイ! レイ!! 大丈夫か!?」

 

言葉ではそう言うが、どう見ても無事では無かった。

身体を覆うアーマーの隙間からは、雨に流されて全身から血が流れているのがわかる。

さらに先ほどライトセーバーで切りつけられた顔は、左の額から顎にかけて大きな傷になっていた。

 

「・・・ああ、“コーディー”・・・悪いが緑茶は切らしているんだ・・・」

 

「そうか・・・なら一緒に採りに行けば良いさ。そうだろう、“レイ”?」

 

この状況で冗談が言える事に驚きつつも、同時にレイらしいとも思い不思議と笑みが浮かぶ。

 

「ふんっ、意識が半分飛びながらも反射的に後ろへ飛ぶとは大したものだ・・・クローンにしてはな。それよりもコマンダー、“それ”は一体どういう事だ?」

 

「・・・自分が正しいと思ったことをしたまでです」

 

しかし、コーディーだけでどうにかなるものでも無い。

クローンと元ジェダイ・マスターとの一騎打ち、勝負にすらならないだろう。

 

その時、惑星カミーノの軌道上にハイパースペースからジャンプしてきた複数の艦影が現れる。

プロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーとミュニファスント級スター・フリゲートが数隻現れたようだ。

 

「敵の増援か・・・」

 

「ふんっ、今の戦力でも十分だが絶望を与えるのも一興か」

 

それを見たコーディーは絶望した。

ただでさえ共和国側が不利なのは、先ほどまで分離主義勢力として戦っていたコーディーが一番よくわかっている。

 

ここまでか・・・

そう考えたコーディーだが、何やら様子がおかしい事に気が付く。

 

ハイパースペースからジャンプしてきたプロヴィデンス級と数隻のミュニファスント級スター・フリゲートは、味方のはずの独立星系連合に艦隊に向けて、砲火を集中している。

突然味方だと思っていた相手からの集中砲火に、独立星系連合の艦隊はかなりの損害を受けていた。

 

遠目からでは詳しくはわからないが、ジャンプしてきた艦隊は従来の物よりもかなり高性能のようだ。

それとも指揮官が優秀なのか?

 

その艦からファイター等が次々に発艦したようで、ティポカシティに向かって大軍が押し寄せる。

 

その光景は異様なものだった。

グレーに塗装されたバトルドロイド達は、独立星系連合のドロイド軍を次々にスクラップに変えていく。

一般的なB1バトルドロイドでさえ、従来の物から逸脱した性能を誇っているのがわかる。

 

『B1-268、北東側の通路にいるマスターを保護するのが最優先です』

 

「イエッサー。全軍マスターの保護を優先し、事後、分離主義派のドロイドを一掃しろ」

 

上空からはHMPドロイド・ガンシップが三機、クレルに向かって接近し、その火力を遺憾なく発揮している。

ガンシップからの攻撃により、レイ達から距離を取らざるを得なくなったクレルは強力なフォースを身に纏い、大きく跳躍することで上空を飛んでいたLAAT/iガンシップに飛び移った。

 

「コマンダー・コーディー、ご無事ですか?」

 

流暢にそう話すB1バトルドロイドに面食らったコーディーだったが、彼らが味方だとわかると的確に指示を出し、分離主義派のドロイド軍を一掃する作戦に打って出たのだった。

 

 

 

 

 

アディス率いる第903大隊が援軍に駆け付けた時には、カミーノ防衛戦は一段落ついていた。

急にバトルドロイドの大軍が味方に付き、分離主義勢力と戦いを始めたことに驚きを隠せない兵士が大勢いたが、アディスが速やかに箝口令を敷き、独自に進められている特殊作戦の一環と言う事で事態を収めた。

クローン兵士の数が足りていない事もあって、咄嗟についた嘘としては悪くない印象だった。

 

ファイヴスとグレガー、海に放り出されたケベック大尉は幸いな事に大きな怪我も無く済んだ。

ケベックが冷たい海に長時間浸かっていた事で、軽い低体温症になった位だな。

コーディーの部下は重傷を負っており、今はICU(集中治療室)に入っている。

鎮静剤も打っているから突然暴れ出すことも無いだろう。

 

 

「それではマスター・アディス、部隊を集結後、速やかに撤退します」

 

「ご苦労だった。レイの事は俺に任せろ」

 

そう言うスーパー戦術ドロイドのタティスは、傷の処置を受けてベッドで眠りについているレイを心配そう(?)に見つめてから、名残惜しそうに去って行った。

 

「ふう・・・俺たちが間に合わなそうだからと言って、随分と危ない橋を渡ったようだな、レイ?」

 

「まさかドロイドが味方に付くとは・・・」

 

そう話すのは、正気を取り戻したコーディーだ。

 

「話すと長くなるんだが・・・まあ、色々あったんだよ」

 

「・・・お前たちのする事で、いちいち驚くのはやめたよ、アディス」

 

あきれ顔のコーディーだが、突然激しい頭痛に襲われ立っていられなくなる。

その場に崩れ落ちた彼は、そのまま苦しみだして意識を手放した。

 

「コーディー!!」

 




はい、お疲れさまでした。

冒頭ではコーディーを通して、命令を強制させられたクローンの苦悩を描きました。
大切な人達を強制的に殺させるなんて本当に許せないですね。
本当はもっと色々描きたかったんですが、くどくなりそうなのと、長くなりそうなので意図的に短くしました。

次回は、『何故コーディー達が分離主義勢力に付いたのか』について触れていく予定です。

B1-268バトルドロイドはマニアックでしたかね?w
反乱者達に出てくるバトルドロイドで、中々可愛いんですよ!


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第69話 取り敢えずチップの正体

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

遅くなってしまい、申し訳ありません。
まだまだ寒い日が続いておりますが、お体に気を付けてお過ごしください。



「うっ・・・」

 

身体を動かそうとすると、凝り固まった筋肉が悲鳴を上げる。

前世でも経験した事のある身体の状態から、数日間眠っていた事をまだ覚醒しきっていない頭でも理解できる。

 

薄目を開けると、清潔感のある白い天井が目に入る。

まあ、どこかの病室だよな。

 

あれから何日経過した?

コーディーは?

クレルは?

 

ダメだ。

頭が働かないし、気分が悪い。

低血糖のせいだな。

誰かチョコレートをくれぇ・・・。

 

って言うか目が覚めても、誰も傍にいないってどういう事?

巨〇のパツ金セクシー美女がリンゴを剥いていてくれなんて贅沢な事は言わないから、誰か知り合いがお見舞いに来てくれていてもバチは当たらないですよね?

まあ、本当にそんな人(美女)が居たら焦るけどね。

 

おーい誰かー

参謀総長殿のお目覚めですよー。

 

「・・・ん? 何だレイ、目が覚めたのか? 全然起きないから永遠の眠りにつく事にしたのかと思ったぞ?」

 

そう言いながらも、嬉しそうな笑みを浮かべて部屋に入って来たのはアディスだ。

増援として来てくれたんだな。

 

「ああ、夢の中の美女たちが中々離してくれなくてな。起きるのに手間取った」

 

それなら起きられなくても仕方がないと、アディスは冗談交じりに笑う。

 

「それよりも、あの後はどうなった? コーディーが俺を助けてくれた所までは何となく覚えているんだが・・・」

 

先の戦闘の事を考えるとクレルに顔を切り裂かれたのを思い出し、俺は顔の左側に手を伸ばす。

目の開閉、指で遠近感の確認を簡易的に行うが、問題なく視えるようだ。

 

良かった。

片目が見えなくなるだけでも、戦闘に相当な支障をきたす。

片目になってしまったら遠近感がわからなくなるし、視野が狭くなるから至近距離での戦闘など目も当てられなくなるだろうな。

 

「中々男前だぞ?」

 

「煽るなよ、変わり映えのしない顔さ」

 

俺の様子に気が付いたアディスが鏡を差し出してくれる。

鏡で確認すると、傷は左側の額から目を通って顎先まで続いていた。

 

ライトセーバーによる傷の為か、表面が熱で硬化し、カーボンのような見た目になっている。

そう言えば、カイロ・レンの傷跡も縫い付ける前はこんな感じだったな。

あの頃から考えると、まさか自分が同じような傷を負うとは夢にも思わなかった。

 

とにかく咄嗟に後方へ飛んだ事で、目を失わずに済んだのは不幸中の幸いだった。

まあ殆ど無意識で、記憶はおぼろげなんだけどね。

 

「それで、他の連中はどうなったんだ?」

 

「ファイヴスとグレガーに関しては大きな怪我も無い。ケベックは低体温症の症状が出ていたが今では回復している。だが、他のシエラ分隊員三名は残念だが・・・」

 

「・・・コーディーは?」

 

「その事なんだが・・・」

 

コーディーはあの後に謎の頭痛で意識を失い、すぐに頭部の精密スキャンが行われた。

そこには取り除かれたはずの、有機チップが埋め込まれていたそうだ。

 

「それじゃあ、裏切った連中の頭部には行動抑制チップが埋め込まれているって言う事か?」

 

「いや、どうやらそれだけでは無いようなんだ」

 

「?」

 

「ドクター・ナラ・セを中心にカミーノアンが調べてくれているんだが、この抑制チップは命令された事を“真実”だと認識させる効果があるようだ」

 

「“真実”だと認識させる?」

 

「簡単に言うと、命令された事が全てにおいて正しいと認識させられる。行動抑制チップなんて生易しい物じゃない。これは行動を強制させることが出来るチップらしい」

 

なるほど。

コーディーの異常なまでの忠誠心はこのチップが原因だったのか。

確かに従来の行動抑制チップでは、ここまでの強制力はあり得なかったかもしれない。

 

「行動を強制・・・差し詰め、行動強制チップか」

 

「行動強制チップか・・・そうなるとこのチップは、分離主義派に寝返ったクローン全員に埋め込まれていると考えて良いだろうな」

 

 

 

 

 

<ティポカシティ軍事複合施設>

 

俺は訛った身体を慣らすために、軍事複合施設に設置された訓練場を利用することにした。

今回の内容はシタデル・チャレンジ、ドミノ分隊が卒業試験で行っていた砦攻略コースだな。

ちなみにこの砦攻略コースの名前は独立星系連合の鉄壁の要塞、シタデルから取ったものらしい。

 

準備を整えた後、俺は訓練場へと足を運ぶ。

目の前には数種類のバトルドロイドと、要塞を模した高い壁がそびえ立っている。

その壁には等間隔に迎撃用の砲台が設置されており、攻略者の行く手を阻んでいる。

 

『レイ、本当にスタンモードでは無く、殺傷モードで良いのか?』

 

「新兵じゃないんだ。病み上がりとはいえ、今更非殺傷で訓練しても勘は取り戻せないからな」

 

『わかった。砦攻略コース、バージョンTHX1138開始』

 

アディスの掛け声と共に、砦の守護者達が起動していく。

さーて、暴れますかね。

 

俺は身近な遮蔽物に身を隠し、周囲の様子を確認する。

そしてカバーポジションから飛び出すと同時に、セーフティーを外したDC-15Aを近くのコマンドー・ドロイドに向けて発砲する。

 

次のカバーポジションまでの移動に掛かる時間は三秒、その間に三体のコマンドー・ドロイドの頭部目掛けて二発ずつ光弾を撃ち込む。

 

いくら強化された装甲を持つコマンドー・ドロイドでも、頭部に連続で二発も食らうと機能を停止する。

さらに敵の攻撃のパターンを読み、カバーポジションから射撃に必要な最低限の身体を晒し、矢継ぎ早にトリガーを引く。

 

向かって中央部分に綻びが生まれる。

俺は左右にEMPグレネードを投擲し、ドロイドの機能を停止させる。

 

その時デストロイヤー・ドロイドが二体、シールドを展開させて射撃姿勢に入る。

その砲火から逃れるように遮蔽物に身を隠す。

 

デストロイヤーはこちらに反撃の隙を与えないように、攻撃の手を緩めない。

ちなみに今の俺はベスカー製のアーマーを装備していない。

あれは兵士をダメにする。

当たっても死なないと言うのは、どうしても戦術や戦略を雑にしてしまう。

訓練の時くらい、一般的なアーマーでやらないとな。

 

数秒間考えた結果、俺は二つのグレネードを取り出す。

それを固まって射撃しているデストロイヤーに向かって、正確に投擲する。

 

普通のグレネードでは効果が薄い。

加えて、ドロイドホッパーはシールドに干渉されない絶妙な速度で転がさなければならない。

 

作戦中に、毎回そんな事が可能な状況ばかりではないからな。

技術班に依頼して、新型のグレネードを開発してもらったのだ。

 

新型のグレネードはデストロイヤーを有効射程に捉えると、内包されたエネルギーを周囲に拡散する。

そのエネルギーの影響を受けて、デストロイヤーはシールドごと機能を停止する。

 

おお!

便利だな、イオン・グレネード!

独立星系連合のイオン砲を参考に作らせたが、思いのほか上手くいったな。

まあ内包できるエネルギーの関係で有効範囲はあまり広くないが、正確に投げさえすれば機能を停止できるからドロイドホッパーよりも利便性は格段に向上している。

 

その後は簡単、グラップリング・フックを使って壁をよじ登り、フラッグを回収して訓練終了だ。

 

やはり実戦とは違うな・・・

訓練方法を見直して、候補生にもより実践に近い感覚で訓練を行えるように改善する必要がある。

 

 

 

 

 

「お疲れさん、と言ってもリハビリにもならなかったんじゃないのか?」

 

「まあ、実弾が飛び交う状況に身を置けたから良しとするさ。思ったよりも足も動いたしな。それよりも、あのコース簡単すぎるんじゃないのか? 訓練内容を改善するべきだと思うんだが・・・」

 

「ああ、俺も見ていてそれは感じた。練度や生存率向上の為にも、実戦的な訓練をもっと導入すべきだな」

 

その後、俺達は訓練担当のアディ・ガリアやコマンダー・コルトに訓練内容の改善について相談した。

細かい調整は置いておいて、大雑把な訓練内容を伝えたんだが、何故か渋られてしまった。

 

曰く、

 

『そんな内容にしたら、候補生はいつ卒業できるかわからない』

 

『全員を特殊部隊にするつもりか? ARCやコマンドーがいる意味がなくなる』

 

など、これ以外にもその他もろもろ『お前ら馬鹿なんじゃねーの?』的な事を遠回しに言われた。

 

解せぬ・・・。

 




はい、お疲れさまでした。

行動強制チップは、固定の命令(オーダー66等)でなくても、命令を強制させられるという所が厄介かなと思います。

パルパル「共和国のクローンはジェダイと共謀してクーデター起こしたよ!」
クローン「え、そんな! アイツら裏切ったのか! 俺たちだけでも議長を守る!」

的な感じですかね?(お前の設定だろ)

しかし、命令を強制させるにあたって人体にどんな影響があるかはわかりません。
本来の意識とは関係なく人を縛るんですから、何かしらの副作用がありそうですよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第70話 取り敢えず―――

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

本当にお久しぶりです。
お待たせして申し訳ない・・・
活動報告にも書きましたが、全てはクレル先生が悪いんです!
(責任転嫁)



・・・何か夢を見ていた気がするが、どんな夢か思い出せない。

俺の一番古い記憶は、激しい爆発に巻き込まれているという漠然としたものだけだ。

しかし、その記憶すら定かではない。

 

記憶が鮮明になり始めたのは病院だった。

爆発に巻き込まれたのだから当然かもしれないが、その時から俺の中で何かが変わった。

 

だが何が変わった?

それを考えようとすると、鈍い痛みが頭を襲う。

痛みが強くなる方向へ意識を深く沈めていくと、答えに近づけるような気がした。

 

痛みが次第に激しくなっていく・・・

彼の額には、痛みからなのか脂汗が滲んでいる。

 

もう少しで何か見える気がする・・・

そう思った瞬間、彼の思考は突然の来訪者によって終わりを迎える。

 

「コマンダー、お休みの所申し訳ございません。次の任務が決まりました」

 

「・・・わかった」

 

与えられた役割を忠実にこなす。

そうする事で、俺は自分を感じられる。

生きていると実感できる。

 

準備の為、非戦闘時の服を脱ぎ捨てる。

部屋に備え付けられている鏡に、ライトセーバーや爆発物、フォース・ライトニングによってできた傷跡が痛々しく映っている。

 

特殊作戦用に作られた漆黒の装甲服を着込み、点検の意味も含めて両腕に装備されたバイブロ・ソードを起動する。

耳を澄ますとブレードが振動している事がわかる。

 

『なあ―――――ヒュ―――――』

 

何か思い出せそうな気がするが、それが何なのかわからない。

だがそれは胸をざわつかせる。

それに何故かイライラもする。

 

この感情を胸の奥にしまい込み、任務の為に準備を整える。

今の俺にはこれしかないのだ。

 

 

 

俺は任務の為の準備を整え、艦のブリッジを訪れた。

ブリッジに入るとクローン・トルーパーが慌ただしく、しかし正確な動作で次の作戦の為の準備を行っていた。

 

「コマンダー、シディアス卿より通信が入っております」

 

声を掛けてきたのは、このヴェネター級スターデストロイヤー<イーター>の艦長だ。

この船は俺の旗艦であり、外観は灰色の塗装が施されている。

 

タイミングよく、陛下から通信が入っていたようだ。

恐らく先ほどの部下が、上手く根回しをしてくれていたのだろう。

 

俺は膝を地面につけ、絶対権力者に服従の意思を示す。

 

「・・・シディアス卿」

 

『コマンダー・ネイラー(仕留める者)、捕らえていた囚人が逃げ出した。其方には部隊を率いて、囚人の捜索に当たってもらう・・・抵抗するようであれば殺しても構わん、情けは無用だ』

 

彼からは、「今度こそしくじるな」という意思が込められた瞳を向けられる。

その瞳は黄金色に、そして不気味に輝いている。

 

「・・・仰せのままに」

 

囚人と言うのは、拘束していたジェダイだろう。

女、子供もいたはずだが侮れない。

 

「・・・艦長」

 

「はっ!」

 

「・・・進路設定、逃亡者を追う」

 

「イエッサー」

 

ブリッジから外の宇宙空間を見ると艦隊が集結している。

その中心には、一つの惑星のような宇宙ステーションが建造されている。

 

「コードネーム“スターダスト”、一年前には建造が始まっていたと聞いた時はさすがに驚きました」

 

そう言うのは艦への指示を終えた艦長だ。

 

「予定では星を丸ごと一つ破壊できる性能を有するとか・・・そうなれば、従来の戦術や戦略が意味を成さなくなる。そのような力を我々が扱え切れるのでしょうか?」

 

「・・・所詮は人が造ったものだ」

 

この人は多くを語らない。

だが、それ以上に考えを巡らせている事を艦長は知っていた。

 

 

 

 

 

「コマンダー、前方に逃亡者のシャトルを確認しました」

 

ジェダイはニュー級アタックシャトルを盗み、逃亡を続けている。

ハイパースペースに入られると面倒だ。

 

「・・・艦長、ここの指揮を任せる」

 

「イエッサー」

 

俺は逃亡者を追う為、艦の指揮を任せてクローンZ-95ヘッドハンターで出撃する。

追従するのは同じくクローンZ-95ヘッドハンターに乗り込んだ、2人のクローン・アサシンだ。

 

多目的輸送船であるニュー級アタックシャトルは、基本的な武装を備えているが戦闘機のような機動性は発揮できない。

ジェダイが相手とは言え、難しい仕事ではない。

 

「・・・各機、戦闘ポジションに移行。可能であれば捕らえる」

 

『『イエッサー』』

 

俺を含めて三機のファイターが散開し、多方向からシャトルに襲い掛かる。

多くの大気圏内専用船よりも強固な装甲とシールドを備えているのに加え、ジェダイの先読み能力を使った操縦で、こちらとの機動性の差を埋めていた。

 

つくづく厄介な連中だな、ジェダイと言うのは。

 

変則的な機動を続け、こちらの追撃を躱すシャトルだったが、三機のファイターの攻撃に苦しんでいる様子が見て取れる。

その時、ファイターにオープンチャンネルで通信が入る。

 

『くっ、攻撃をやめなさいトルーパー! 自分たちがしている事がわかっているの?』

 

「・・・諦めて投降しろ」

 

言葉で説得する気などさらさら無い。

俺はジェダイの注意を引いている間に部下へ指示を出す。

 

自機に備え付けられているレーザー砲を発射し、シャトルをある方向へ誘導する。

その先には部下のファイターが待ち受けており、二機のファイターによる挟み撃ちを成功させる。

 

間違いなく獲ったと思った。

しかし、ジェダイには常識が通用しないようだ。

驚異的な反射能力で正面のファイターからの射線から外れ、同時に備え付けられているレーザー砲でファイターを被弾させる。

 

さらに後方から接近していたもう一機のファイターに向かって急速旋回し、反応できなかったファイターは大破した。

 

これらが行われている間に、俺はシャトルを照準に捉え、プロトン魚雷を発射する。

発行するエネルギーに包まれた誘導兵器が、回避行動を取るシャトルに接近していく。

 

俺はレーザー砲を発砲し、シャトルの行く先を限定する。

 

『ここだ』

 

そう感じた俺はシャトルの動きを先読みし、ファイターのトリガーを引く。

放たれた光弾は吸い寄せられるようにシャトルへ向かい、片翼を破損させる。

そして次の瞬間プロトン魚雷が起爆し、ジェダイが乗るシャトルは爆発のエネルギーをまともに食らい、火を噴きながら失速する。

どうやら駆動系とハイパードライブ装置が破損したようだ。

 

「・・・艦長、シャトルの収容を」

 

『イエッサー、直ちに』

 

俺は艦長に連絡を取ると、被弾した部下のファイターを牽引し、旗艦である<イーター>に向かうのだった。

 

 

 

 

 

<ヴェネター級スターデストロイヤー“イーター” 格納庫>

 

トラクタービームによって引き寄せられるシャトルが旗艦に収容されるのを確認後、自らも格納庫に降り立つ。

 

逃亡したジェダイは既にシャトルから降ろされ、クローン・アサシンの部隊に拘束されていた。

 

トグルータの女が二人に、子供が一人

コイツ等が拘束していたジェダイか。

 

「貴方が指揮官かしら? あの操縦技術からしてクローンだとは思わなかったわ・・・一体どこの所属だったのかしら?」

 

そう話しかけてきたのはトグルータの内の一人、ジェダイ評議会に席を置くマスター・シャアク・ティだな。

データでは知っているが、それ以上の事はわからない。

以前の記憶が無い弊害だ。

 

「・・・伍長、彼を医務室へ」

 

「サー・イエッサー!」

 

俺は牽引してきたファイターに残されているトルーパーを、医務室へ運ぶように伍長へ指示を出す。

 

「マスターの質問を無視するなんて、良い御身分ねトルーパー」

 

そう話すのはもう一人のトグルータ、ジェダイナイトのアソーカ・タノだ。

彼女を見た瞬間、鋭い痛みが頭を襲う。

 

『ねえ、ヒュ―――――も何か言――よ―――リーが―――――』

 

「・・・っ」

 

反射的に頭を押さえるが徐々に痛みは引いていき、同時に思い出されそうになった記憶も闇の中へと消えていった。

 

その時、他の二人と同じように捕えていた子供のジェダイが地面に倒れこむ。

 

「カル!」

 

アソーカ・タノが子供に駆け寄ろうとするが、周りに控えていたクローン・アサシン行く手を遮る。

 

代わりに俺が子供に近づいて様子を確認する。

 

「・・・」

 

子供の状態の確認を終えた俺は、二人のジェダイを牢に連れていくように指示を出し、両腕に装備されたバイブロ・ソードを起動する。

 

「ねえ、ちょっと何をする気!?」

 

連行されていく二人を尻目に、俺はバイブロ・ソードを子供目掛けて振り下ろす。

 




はい、お疲れさまでした。
クローン・アサシンを従えるコマンダー・ネイラー、一体何者なんでしょうか!?
(皆さんならわかりますよね?)

ちなみに彼はマーシャル・コマンダーなので、普通のコマンダー(中佐)よりも全然上の階級になります。

今後もご期待ください!
(誤字チェックしていないので、変な所があれば後で直します!)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第71話 取り敢えず救出

バイブロ・ソードを振り下ろし、俺は子供の拘束具を破壊する。

そのまま彼を担ぎ上げ、医務室に向かう。

かなりの高熱だ。

放っておいたら死んでしまうだろう。

 

・・・この子供が死のうが、俺には何の関係も無い。

シディアス卿も死んでも構わないと仰っていた。

だが何故か見殺しにする気にはならなかった。

 

 

 

 

 

医務室で医療ドロイドに診断をさせている間、俺は再び思考の海に沈んでいく。

ジェダイマスターのシャアク・ティにジェダイナイトのアソーカ・タノ・・・

俺の記憶が無いだけで、以前は面識があったのだろうか?

特にアソーカ・タノの方は、先ほど見た時から懐かしいような不思議な感覚に陥った。

 

シャアク・ティも言っていたが、俺はどこかの部隊に所属していたのか?

記録には、一般のクローンとは異なり、クローン・アサシンの指揮官となるべく議長の命令で秘密裏に製造された個体だと記されていた。

 

最初の記憶である爆発の渦中に居たのは、訓練の最終段階の事故だと報告書に記載されていた。

秘密裏に製造、訓練された個体がジェダイと面識があると言うのはあり得るのだろうか?

 

さらに深く、思考の海に沈みこもうとすると激しい頭痛が襲ってきた。

思考を止め、痛みを排除する方に意識を傾けると痛みは徐々に薄れていき、先ほどまでの痛みが嘘かのようにクリアな視界になった。

 

「コマンダー・ネイラー、子供の診察が終了しました。薬物投与や拷問、疲労による衰弱が激しい事に引き起こされた熱発と断定」

 

医療ドロイドが子供の診察を終え、発熱の原因を簡潔にまとめる。

薬物投与や拷問?

何の為に?

 

そして突然、艦の警報がけたたましく鳴り響く。

何やら問題が起きたようだな。

俺は速やかにブリッジへと向かった。

 

 

 

 

 

<ヴェネター級スターデストロイヤー“レゾリュート”>

 

「スカイウォーカー将軍、タノ将軍から連絡があった座標まで間もなくです」

 

「ありがとう提督。アソーカ、無事でいろよ」

 

レゾリュートの艦長であるウルフ・ユラーレンから報告を受けたアナキンは、愛弟子の無事を祈るようにそう呟く。

議長誘拐事件(笑)の騒動で行方不明になっていたアソーカを、アナキンはずっと心配していたのだ。

 

「アナキン、報告ではシャアク・ティ将軍と行方不明のパダワンも居たはずだ。アソーカだけの心配か?」

 

「まさか・・・僕は全員の無事を祈っています。そうだろレイ?」

 

オビ=ワンからのたしなめる様なセリフを躱すように、話題を俺に振ってくるアナキン。

・・・やめてくれない?

 

「もちろんです将軍、それにアソーカの事です。必ず無事でいます」

 

『間もなくハイパースペースを抜けます』

 

艦のオペレーターがそう報告すると、直ぐに報告のあった宙域に到達する。

その正面には共和国所属を示す塗装から、灰色一色に塗りなおされたヴェネター級スターデストロイヤーが航行していた。

 

こちらのファイターは既に出撃準備を終えており、ハイパースペースから出た段階で次々に出撃して行く。

 

「単独航行とは運が良い・・・直ぐに救出チームを送る。アナキン、行けるな?」

 

「はいマスター、時間稼ぎをお願いします」

 

俺はアナキンとアイコンタクトを取り、ブリッジからハンガーへと歩みを進める。

ヴェネター級対ヴェネター級、まさか自軍同士の戦いになるとは少し前までは考えもしなかったな・・・。

 

 

 

既にオッド・ボールが部下を取り纏め、出撃準備を終えていた。

 

「スカイウォーカー将軍、いつでも出撃可能です」

 

「ありがとうオッド・ボール、君達には救出チームの護衛を頼みたい。囚われているアソーカ達を助け出すためにも、敵艦に乗り込む必要がある」

 

「厳しい戦いになりそうですね」

 

そう話すのは、もう随分と長い付き合いになるレックスだ。

彼も救出チームに加わる。

俺はレックスの言葉を引き継いで、話を進める。

 

「レックスの言う通り、こちらは敵艦を沈めることはできない。だが、敵さんは別だ。俺達を殺すために全力で向かってくるはず・・・時間との勝負だ。俺達救出チームがモタモタしていれば、帰る場所(レゾリュート)を失うことになる」

 

俺たちは速やかにそれぞれのファイターに乗り込む。

トルーパー組はARC-170に、アナキンは議長誘拐事件(笑)の時に自らのファイターを失ったが、新しいイータ2アクティス級軽インターセプターを用意していたので、早速それに乗り込む。

 

「楽しくなってきたぞ」

 

全然楽しくない。

宇宙は嫌いです。

 

 

 

 

 

<ヴェネター級スターデストロイヤー“イーター”船内>

 

その後、俺たちは味方の援護もあって無事に敵船に侵入することに成功する。

まあ、ド派手な歓迎を受けたけどね。

 

辺りには硝煙の匂いが漂っている。

ドロイドと違って、人を撃つのは気持ちの良いものではない。

それが同じクローンならなおさらだ。

 

「参謀総長、内部構造は同じです」

 

俺の副官のライズが、アソーカが囚われていると思われる場所をホログラムで映し出す。

ちなみに今回の作戦に参加しているのはアナキン率いる第501大隊と、俺が率いる第177コマンド大隊の混成部隊だ。

 

「アナキン、ここからだと監房ブロックまではかなりある」

 

俺はオビ=ワンがいない為、砕けた口調で話しかける。

最初、ライズは驚いた様子だったが『まあ、貴方のことですからね・・・』と、あきれられたのは未だに納得がいってない。

解せぬ・・・

 

「ああ、先を急ごう」

 

 

 

 

 

レイ達が監房ブロックに向かっているのと同時刻、一人のジェダイマスターがハンガーに降り立っていた。

彼はある目的の為に、単身で敵艦に乗り込んできたのだ。

 

『ジェダイだ! 撃ち殺せ!』

 

その姿を確認した数人のクローン・トルーパーが、ラサットのジェダイマスターにブラスターを発砲する。

しかし、このジェダイマスターは銀色に輝くヒルト(筒)から二本の光剣を出現させて、いとも簡単に弾き返す。

 

放った光弾が自らに弾き返されても、クローン・トルーパーは引き金を引くことを躊躇わない。

瞬く間にクローン・トルーパーは全滅し、辺りにはライトセーバーから発せられる独特な起動音だけが静寂を破っている。

 

「パダワン、今行くぞ」

 

彼はパダワンを失い、自らが指揮する部隊(第13大隊)も失った。

ジェダイらしく個に執着せず、フォースとの繋がりをより強固なものにする為に彼は今まで以上に瞑想に耽った。

 

そこで“視えた”のは、失ったはずのパダワンだった。

まさかとは思ったが、彼はフォースを信じていた。

 

そしてここに来た。

パダワンもここにいる。

彼は確信していた。

 

フォースに導かれるまま、彼は歩みを進める。

決して走らず、一歩一歩踏み占めるように進む。

目の前に障害(クローン・トルーパー)が現れれば、迷わず光剣を振りかざし、強力なフォースでねじ伏せる。

 

そして彼は辿り着いた。

この扉の向こうに・・・

 

一度扉の前で立ち止まったが、次の瞬間には迷わず一歩を踏み出す。

 

「カル!」

 

そこには、まだ幼い少年がベッドに横たわっていた。

フォースを感じる。

カル・ケスティスは生きていた。

 

「カル・・・我がパダワンよ、遅れてすまなかった」

 

彼は自らのパダワンを大切に、傷など付かせないように慎重に抱き上げる。

意識は無く、熱発しているが治療を受けたためか、命に別状はないように見えた。

彼は急ぎ、ファイターまで戻るため歩みを進める。

 

片手にパダワンを抱き、もう片方の手には片刃のみ起動したライトセーバーを持ち、倒すよりも逃げることを優先した立ち回りで障害を躱していく。

 

もう少しでハンガーに辿り着くというところで、別動隊に合流した。

マスター・スカイウォーカー率いる、救出部隊だった。

無事にマスター・ティとアソーカ・タノを救出したようだ。

 

「マスター・タパル、その腕にいるのは・・・行方不明だったパダワンですか?」

 

「ああ、カル! 良かった、無事だったのね。てっきり“奴”に殺されたかと・・・」

 

アソーカ・タノが、安心したような表情でこちらに駆け寄ってくる。

 

「タノ将軍、パダワンが世話になった。礼を言わせてもらう」

 

俺はアソーカの言葉に、何か嫌な予感がした。

この胸騒ぎはなんだ?

 

「アソーカ、その“奴”というのは・・・」

 

その時、ハンガーの至る所から完全武装したクローン・トルーパーが現れ、部隊が速やかに展開を始める。

軽量化されたアーマーを装備し、両腕には折り畳み式のバイブロ・ソードを装備したトルーパー、クローン・アサシンだった。

 

・・・ということは

 

「・・・やはり生きていたか、指揮官級」

 

周りのクローン・アサシンとは比べ物にならない程、洗練された動きで現れたのは、何度も俺たちの前に姿を現した指揮官級だった。

奴は俺からの言葉に答える代わりに、両腕に装備されたバイブロ・ソードを起動する。

 

「レイ、さっき私が言ったのは奴のことよ。パイロットとしての腕も一流で、最後に見た時はカルにブレードを振り下ろすところだった。だからてっきりカルは奴に殺されたかと・・・」

 

「・・・どうやら違ったようだな。奴のことは奴自身に聞くことにしよう」

 

詳しい話を聞かなければわからないが、状況から察するに指揮官級はカルを助けたらしい。

・・・俺には奴がヒュメルの姿と重なってならない。

 

「・・・マスター・・・?」

 

その時、気を失っていたはずのカルが目を覚ます。

 

「安心しろパダワンよ、助けに来たのだ」

 

「助けに・・・? 嘘だ。貴方は僕を見捨てたんだ」

 

「何を言っているパダワン?」

 

「・・・許せない」

 

その時、カルは師匠のライトセーバーをフォースで引き寄せ、そのままジャロ・タパルに突き刺した。

 

こちらに動揺が広がった瞬間、クローン・アサシンが一気に距離を詰め、攻撃を開始した。

 

最悪な状況だ。

 




はい、お疲れさまでした。
暖かくなったり寒くなったりと、コロナ関係なく体調を崩しやすいと思うので、皆さん健康管理には十分お気を付けください。

カル君まさかの反抗期・・・
次回更新をお楽しみに!


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第72話 取り敢えず置いていかない

ジャロ・タパルが自らのパダワンに刺され、この混乱に乗じて敵クローン・トルーパー、クローン・アサシンの部隊がこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 

「タパル将軍を囲うように陣形を取れ!」

 

俺は部下のトルーパーらに命令を与え、カル・ケスティスに向かって、スタンモードに切り替えたブラスターを撃ちこむ。

時間が無いからな。

小言は後でいくらでも受け付ける。

 

アソーカとシャアク・ティ用に持ってきたライトセーバーを既に渡してある。

敵の増援が来る前に脱出出来なければ、こちらの身が危ない。

ジャロ・タパルも早く治療を受けさせなければ・・・

 

「キックス! マスター・タパルの容態を! 僕らで敵の相手をする! ・・・オビ=ワン、聞こえますか!?」

 

アナキンは第501大隊の衛生兵であるキックスにジャロ・タパルの事を任せ、応援を要請するためオビ=ワンに通信を繋ぐ。

 

「何よこいつら! クネクネ動いて戦いにくいわね!」

 

そう言うのはアソーカだ。

対ジェダイを想定して訓練されたクローン・アサシンは、独特な動きを用いてくる。

以前、俺たちは惑星スカコマイナーで戦っている為、奴らの実力は嫌というほど身に染みている。

 

「トルーパーは奴らを近づけるな! 接近戦に持ち込まれたら終わりだぞ!」

 

『『『サー・イエッサー!!』』』

 

アナキンは既に少なくない数のアサシンを倒している。

アソーカとシャアク・ティも、互いをカバーし合いながら何とか対応している。

単体であれば問題ないのだろうが、如何せん敵の数が多い。

 

俺は激しい戦いの中で、指揮官級の姿を探す。

・・・見つけた。

戦闘には参加せず、後方で戦況を見守っている。

 

俺はブラスターをしっかりと握り直し、背面のジェット・パックを起動する。

広いハンガーだ。

動きは制限されない。

 

前衛のアサシンを飛び越え、後方にいる指揮官級の下まで移動する。

俺の姿を視認した指揮官級は、両腕のバイブロ・ソードを起動する。

 

「やめろ! お前と戦いたいわけじゃない! 話し合いたいだけなんだ!」

 

上空に留まったまま指揮官級に話しかけるが、話に応じる気はないようだ。

奴もジェット・パックを起動して、バイブロ・ソードで切りかかってくる。

 

俺はウィップ・コードで動きを封じようと試みるが、指揮官級は驚異的な反応速度でそれを避けると、ブラスター・ピストルで反撃してくる。

被弾する事も構わず、俺は真っすぐ指揮官級に突進する。

 

予想外の動きに反応が遅れた指揮官級の腰の辺りを抑えると、そのまま地上まで一気に降下する。

 

「・・・くっ」

 

ベスカー製のアーマーを装備しているのと、指揮官級を下敷きにしたおかげで、ダメージは殆どない。

代わりに奴に襲い掛かった衝撃は相当なものだったようで動きが止まる。

 

その隙に奴のヘルメットを強引に剥がすと、多くの傷が刻まれた顔が現れる。

生まれた時から一緒なのだ。

クローンだからと見間違えるはずがない、それは紛れもなくヒュメルの姿だった。

 

俺はすぐさまヒュメルのバイブロ・ソードと、[ベルセルク]の制御を担っている中枢系を破壊しようと試みる。

 

[ベルセルク]の中枢系を破壊した所で、敵のクローン・アサシンがこちらに向かってくる。

自分たちの指揮官が窮地に陥っていると分かると、剣を構えて俺に襲い掛かってきたのだ。

 

「邪魔をするな!」

 

俺は素早く二丁のハンドブラスターに持ち替え、迫りくる二人のアサシンに発砲する。

しかし、奴らは独特な動きで俺の構えた銃の射線上から外れる。

だが、躱されることは想定済み。

 

奴らを視認したということは、スポウダー・ミサイルのロックが完了したという事だ。

無挙動で発射可能な小型のミサイルが、アサシン目掛けて飛来する。

小さな爆発が連鎖的に発生し、クローン・アサシンの命を刈り取る。

 

アサシンを排除し、速やかにヒュメルに向き直る。

だが既にヒュメルは態勢を整えており、こちらに向かってバイブロ・ソードを振り下ろすところだった。

 

高周波が流れるブレードがベスカー製のアーマーに接触し、甲高い音を辺りに響かせる。

 

「・・・硬いな」

 

ヒュメルはそう呟くと、切れないことを確認するかのように連続で攻撃を加えてくる。

だが黙ってやられているほど俺はお人好しじゃない。

ベスカー製の高周波ダガーを起動し、ヒュメルに向かって斬撃を加える。

 

殺してしまう心配などしなくて大丈夫だ。

奴は俺の斬撃を全て受け止め、受け流し、躱している。

ムカつくほど腕が良い。

俺など足元にも及ばない。

 

だがその出来事すら俺には嬉しかった。

何年も共に訓練してきたからわかる。

彼はヒュメルだ。

彼の動きの一つ一つがそれを物語っている。

 

「くっ、ヒュメル! やめろ、俺がわからないのか!?」

 

彼が俺のことを認識していないことなど、百も承知だ。

だが、声を掛けることに意味がある。

そう信じて、俺は声を掛け続ける。

 

「ヒュメル! お前はヒュメルだ! 共和国グランドアーミーの士官、ARCSトルーパーの一人で俺の・・・俺たちの家族だ!」

 

 

 

 

 

・・・奴は何を言っている?

この兵士は以前、惑星スカコマイナアーで初めて対峙した

そしてグリーヴァス将軍の旗艦、<インヴィジブル・ハンド>でも・・・

 

だが、こいつに見覚えはない。

素顔を見たわけじゃないが、こんなアーマーは記憶には無い。

アソーカ・タノを見た時のような不思議な感覚はなかった。

その時点で、この兵士に興味はない。

 

排除するのみだ。

俺に与えられた名前、「ネイラー(仕留める者)」としての存在意義を示す。

 

 

 

 

 

「・・・俺はネイラー、貴様を仕留める者だ」

 

「ネイラー? それがお前に与えられた新しい名前か!?」

 

ヒュメルは俺からの質問に答える代わりに、繰り出す攻撃の激しさを増す。

専用装備である加速装置、[ベルセルク]がなくてもスピードでは奴の方が上だ。

いや、スピードだけじゃない。

刃物を用いた戦いで、俺が奴より優れている点など一つもない。

 

それにヒュメルは俺の動きを先読みしている節がある。

以前にも増してより洗練された動きを見せるヒュメルに、俺は防戦一方だ。

 

「レイ!」

 

そう俺の名を呼ぶのはアソーカだ。

どうやら敵の包囲を突破して、援護に来てくれたようだ。

 

「・・・レイ?」

 

奴が俺の名を聞いた時、一瞬だが動きが止まる。

その隙に奴の頭部掛けて上段蹴りを繰り出し、怯んだところにアソーカがライトセーバーで、奴のバイブロ・ソードを破壊する。

 

「アソーカ、助かったぞ!」

 

彼女に礼を言いながら奴を地面に押し倒し、関節を決めて拘束する。

 

「ヒュメル、ここまでだ」

 

「ヒュメル!? そのトルーパーはヒュメルなの!?」

 

俺の言葉に驚きを隠せないアソーカ。

騎士になってからは共に行動する事も少なくなり、ヒュメルの事も話でしか聞いていなかったのだ。

 

その時、増援のクローン・アサシンがこちらに向かってやってくる。

ヒュメルを捕まえたら今度はこれだ。

もう、嫌になっちゃう。

クネクネしないでもらえますかね?

 

『レイ、脱出だ! これ以上時間を掛ければ旗艦が危ない!』

 

アナキンからの通信が入る。

それにジャロ・タパルの治療も急がなくてはならない。

 

「立てヒュメル! 一緒に来るんだ!」

 

そう言ってヒュメルを立たせるが、奴はどこかに隠し持っていた高周波ナイフを取り出し、アーマーの隙間である肘関節を切り付けてきた。

咄嗟に腕を離さなければ、腕が使い物にならなくなる所だった。

 

「くっ、ヒュメル!!」

 

奴は俺からの拘束から解放され、一定の距離を取る。

また振り出しか・・・

 

「レイ、もう行かないと! これ以上時間は掛けられない!」

 

アソーカがそう言うのと同じタイミングで、一機のシャトルがハンガーに飛び込んで来る。

オビ=ワン自らが、救出に来てくれたようだ。

 

「アナキン! 随分と時間が掛かるから、もう帰る気がないのかと思ったぞ?」

 

「マスター! 良いタイミングです! 全員、シャトルに乗り込め!」

 

味方がシャトルに乗り込む間、アナキンとオビ=ワンが敵を食い止めている。

 

「レイ!! もう行かないと!!」

 

アソーカが叫びにも似た声で俺の名を呼ぶ。

 

「・・・ヒュメル、今度こそ置いていきはしない」

 

「・・・貴様など知らない。それに逃がすつもりもない」

 

奴の周りには、部下のクローン・アサシンが集まっている。

今度こそ死ぬかもな。

 

そう思った瞬間、予想だにしなかっことが起きた。

クローン・アサシンが、ヒュメルに向かって攻撃を加えたのだ。

 




はい、お疲れさまでした。
更新の間隔が空いてしまって申し訳ない。

が、がんばります・・・


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第73話 取り敢えず男泣き

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

更新頻度が落ちていますが、合間合間で執筆しているので気長にお待ち頂けると助かります。
(あれ? 以前は毎日更新していたような・・・)

誤字確認していないで、気が付いたら後で直します!
さーせん!!
(土下寝)


咄嗟に反応したヒュメルだが、腕に切り傷を受ける。

 

「!?」

 

一番驚いているのはヒュメルだろう。

さっきまで仲間だった奴らに攻撃されたんだ。

 

「・・・貴様ら、どういうつもりだ」

 

「陛下のご命令です。次に貴方がしくじった時には、『処分せよ』とのこと・・・」

 

処分だと?

クローンの事を何とも思っていないパルパティーンらしい命令だ。

 

「ヒュメル、こっちに来い! お前がそちら側にいる事に何の意味がある!?」

 

俺はヒュメルに向かって手を伸ばす。

だが、その手がヒュメルに触れることはなかった。

彼は周りに味方がいないと分かると、鍛え上げられた身体能力を最大限発揮して、包囲網を突破する。

 

「ヒュメル、待て!! くっ、邪魔をするな!!」

 

ヒュメルを追っていく者のほかに、俺を仕留めるためにクローン・アサシンが数名残る。

だがそこに、閃光と見間違う程のスピードで乱入者が現れる。

 

青色のライトセーバーを起動したアナキンだった。

強力なフォースを身に纏い、流れるように、そして力強くライトセーバーを振るう。

 

瞬く間に、俺を包囲していたクローン・アサシンはその場に倒れこむ。

まさに選ばれし者と呼ばれるに相応しい実力だと感じた。

 

「レイ、時間切れだ」

 

静かだったが、有無を言わせないような迫力があった。

俺は熱くなった頭を冷やし、アナキンの指示に従う。

 

俺を残して先に行けとは言えない。

そんなことを言っても、彼らは俺を置いて行ったりしないだろう。

そうなれば、落とさなくていい命まで失うことになる。

 

アナキンはこちらに向かってくるクローン・アサシンに向かって、強力なフォース・プッシュを繰り出すと、敵トルーパーらは壁や物資に叩きつける。

 

そのタイミングで、味方全員を乗せたシャトルが俺たちの下までやってくる。

後部ハッチを開けて、俺たちを向かい入れるのはレックスだ。

 

「将軍、レイ、これが最後の便です。乗って行かれますか?」

 

俺はまたもや、ヒュメルを救うことができなかった。

それに奴は部下にも、パルパティーンにも裏切られ、今も一人で戦っている。

 

・・・必ずお前を助け出し、元のお前に戻してやるからな。

もう少しだけ待っていてくれ、ヒュメル。

 

 

 

 

 

<惑星コルサント 共和国軍中央司令部>

 

コルサントにある共和国軍の中央司令部において、ジェダイ評議会と通信が繋げられ、報告会が開かれていた。

 

「―――――報告は以上です」

 

俺は先の作戦における報告を済ませた。

ジェダイは正規の軍人ではないが、以前と同様、軍を率いる立場にあるのだ。

何があったのか、しっかりと報告する義務がある。

 

『まずはマスター・シャアク・ティとアソーカが無事だったことを喜ぶべきじゃの』

 

『はい、加えて行方不明だったパダワン・ケスティスも保護されました。しかし、マスター・タパルはライトセーバーによる傷で重傷です』

 

『うーむ・・・そこが問題じゃ。マスター・タパルはパダワンによって刺されておる。身近にフォースの暗黒面を感じる・・・』

 

ヨーダとメイスの会話だ。

・・・という事は、カル・ケスティスが暗黒面に落ちたという事なのか?

何があったかを知るには、カル本人に聞くのが間違いないんだろうが、当の本人は治療を受けている。

念のため、彼は眠らされているから話を聞けるのはもう少し後になるだろう。

 

『マスター・ティ、アソーカ、何があったか話してくれるか?』

 

ムンディに促され、二人は拘束されている間に何があったかを話し出した。

 

彼女たちは先の最高議長誘拐事件(笑)の時に、パルパティーンの護衛任務に就いていた。

そこにグリーヴァス将軍とドゥークー伯爵が暗躍、二人は捕らえられえたという。

 

すぐに殺されないことに疑問を持っていたが、答えはすぐに分かった。

彼女たちは、カル・ケスティスが拷問されている姿を見せられた。

光線シールドに阻まれ、助け出すことも、自由に動くこともできない中、パダワンが拷問される姿を見せられる日々・・・

 

その時間は永遠にも感じるほど長く、そして苦痛だったという。

それが正にパルパティーンの目的だった。

 

『あの時の私たちは恐れ、そして苦痛を感じていました。ジェダイにはあってはならない事です』

 

『どうしてこんな事をするのか、最初は分離主義者達の目的が分かりませんでした』

 

しかし、次第に理解していったのだという。

『これは自分たちを暗黒面に堕とす罠なんだ』と・・・

 

『・・・よくぞ耐え抜いてくれた。いかに経験豊富なジェダイマスターであっても、暗黒面の誘惑に打ち勝つことは容易くはない。それはワシを含めてじゃ・・・うん?』

 

『はい、とにかく君たちが無事でよかった。マスター・ティには引き続き、ジェダイ評議会のメンバーとして務めてもらいたい』

 

『はい、マスター・ウィンドゥ』

 

お?

という事は、俺は星系軍を率いなくて良いという事になりませんかね?

ついでに参謀総長という厄介な立場からもドロンしたいんですけど・・・

 

『事後の事は追って指示を出す。君たち(俺たちを見て)もゆっくり休んでくれ。フォースが共にありますように・・・』

 

メイスがそう言い残し、ホログラムが終了する。

取り敢えず作戦続きだったし、少しゆっくりさせてもらいましょうかね?

 

 

 

 

 

<惑星コルサント 79‘s>

 

俺は久しぶりにアディス、オーリーと三人で会っていた。

ここは79‘s、クローン御用達の酒場だ。

 

普通に飲んでいては大騒ぎになるし、トルーパーもゆっくりできないだろう。

三人で士官用の特別室を用意してもらった。

 

「三人揃うのも久しぶりな気がするな」

 

「ああ、アディスもオーリーも今では部隊を率いているからな。少し前とは環境も立場も大違いだ」

 

「俺は何も変わってないぜ、レイレイ! それに俺は部隊を率いるなんて柄じゃないんだ。誰かの下で、自由気ままに過ごせればそれでよかったのに・・・グスッ」

 

「そうは言ってもな。どこも人手不足なんだ。前みたいに士官が一つのチームに固まっていられるほど、今の共和国軍に余裕はないんだ」

 

アディスの言う通りだ。

軍の三割が敵に寝返っただけでなく、銀河中のあちこちで小競り合いが続いている。

それに分離主義者たちのドロイド軍はそのままに、クローン部隊が合流したような形なのだ。

 

軍の規模だけで言ったら、向こうの方が上だろう。

まあ、分離主義派は分離主義派で足並みの揃わない状況が続いているようだがな。

まさか、最高議長であるパルパティーンがダース・シディアスだなんて、驚いたなんてものじゃないだろうしな。

不信感や不安が募っているのだろう、分離主義派から脱退する勢力も少なくないと聞く。

 

「ああ、今のうちに英気を養っておこう」

 

そう言って俺は、テーブルに置かれたグラスを傾ける。

傍に控えていたドロイドが、俺のグラスが空になったのを確認すると、次の酒を注いでくれる。

 

「・・・ヒュメルに会った」

 

俺はどう切り出して良いかわからず、唐突に、そして前置きなしで言葉を発する。

 

「今なんて言った?」

 

「最近耳の調子が悪いんだ。戦闘ばかりだと、どうも難聴になりやすい。レイレイさん? もう一度言って下さる?」

 

「・・・ヒュメルに会ったんだ。覚えているだろう? 漆黒のアーマーに身を包んだ指揮官級の事を。奴がヒュメルだった」

 

「奴がそう言ったのか?」

 

そうアディスが言う。

 

「いや、直接奴が言ったわけじゃない。それにどうやら記憶を失っているようだった」

 

「それじゃあ、どうやってヒュメルだと―――――」

 

顔を見たんだ、俺はそう言った。

他の奴にそんな事を言っても、鼻で笑われるだけだろう。

『全員同じ顔なのに何言ってるんだ』ってな。

 

だが俺たちは、同じ顔だろうが何だろうがわかってしまう。

それは他のクローンでも付き合いの長い奴は同様だ。

 

DNAが同じでも、一人一人がそれぞれ違う経験をし、異なった考えを持ち、“自分”という一人の人間になっていくんだ。

 

「―――――そうか。ヒュメルの奴、生きていたか・・・・」

 

アディスは微笑みながらそう言うと、自分のグラスを傾ける。

アルコールのせいなのか、彼の瞳には涙が滲んできているように見える。

 

ん?

オーリーはさっきから静かだな。

少し震えているようだが、寒いのか?

 

俺は奴の顔を覗き込むと、数滴の雫が落ち、テーブルを濡らしていた。

なんだ・・・今日は雨か。

雨漏りしているようだから、後で店主に言っておかなくてはな。

 

俺は静かにオーリーの肩を抱いた。

そしてドロイドに、店内で流れている音楽を盛り上がるような曲に変更し、音量を上げるように頼む。

 

ドロイドは注文通りに音楽の音量を上げ、広間で飲んでいる兄弟たちは大盛り上がりだ。

これで多少声を上げても聞こえまい。

 

俺に肩を抱かれたオーリーは顔を伏せるのをやめ、天を仰ぐようにして大粒の涙を流すのだった。

 




はい、お疲れ様でした。

ヒュメル君生きていたのは嬉しいのですが、記憶は無いし、味方には裏切られるし、無事でいますかね?

オーリーは感情を隠すようなタイプではないので、彼が代表して涙を流してくれましたが、レイレイやアディスちゃんも同じ気持ちです。
いつの日か、また四人で過ごせる日が来ると良いですね!


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第74話 取り敢えず新政権の樹立

あれから、またしばらく時間が経過した。

パルパティーンは、分離主義派を中心とした銀河帝国樹立を宣言した。

帝国樹立が宣言されたと同時に独立星系連合は解体、帝国軍に再編された。

 

そんな中、初代皇帝に就任したジーヴ・パルパティーンの独裁的な政策に賛同できない分離主義派の一部が共和国に合流した。

 

非常に力の強い分離主義派の勢力、それも少なくない規模が合流したことで、共和国も大きな変化を迎える。

意外な事に、この変化は悪いことばかりではなかった。

 

分離主義派が得意としていた金融や通商部分が大幅に改善され、国民の生活レベルも劇的に向上した。

インフラの整備や福利厚生、ドロイド軍の製造に大きく割かれていた資金が国民の為に使われ始めたのだ。

 

だが、戦時中だという事実は変わらない。

やはり優先的に資金が回されるのは、軍事関係の分野だった。

それも今は仕方ない。

守る国がなくなれば、インフラの整備どころの話では無くなるからな。

 

分離主義派が合流したことに伴って、銀河共和国は新たな組織として生まれ変わった。

 

 

“銀河連合国”

 

 

これが銀河共和国の新しい形だった。

 

銀河連合国が誕生したことにより、過去に戦争犯罪者と呼ばれた者達に恩赦が与えられた。

逆に分離主義派から見たら、共和国に言いたいことは一つや二つでは済まないだろう。

こちら(共和国側)だけが、我が儘を言っていられない。

 

まあ、当然といえば当然の対応だな。

・・・すぐに信用できるかは置いておいて。

 

皆に緑茶飲ませれば何とかなるんじゃね?

さすがに無理か(笑)

 

・・・無理だよね?

 

 

 

 

 

<第10星系軍旗艦 ヴェネター級スターデストロイヤー“レゾリュート”>

 

帝国との戦いは主要な宙域ではなく、外縁部での戦闘が大部分を占めていた。

と言うのも主要な部分は連合国が駐留しており、帝国は外縁部で戦力を蓄えているようなのだ。

引きこもりやがって・・・

俺も休みたい(切実)

 

連合国が攻めきれないのは、外縁部まで戦線を伸ばすと、どうしても部隊の規模が小さくなってしまうからだ。

 

 

「なあアナキン、お前が司令の立場を変わってくれて俺は嬉しいよ」

 

ふっふっふっ

実は第10星系軍の指揮官という立場から、俺は退いている。

現在、全ての星系軍をジェダイ評議会のメンバーが指揮しているのだ。

 

「評議会の決定だから仕方がないが、別に僕はいつでもこの席を君に譲る用意がある。どうする?」

 

「い や だ」

 

絶対に代わるもんか。

ちなみに俺は陸軍参謀総長という立場からも退いている。

身も蓋もない言い方をすると、合流した分離主義派の連中に忖度したって訳だ。

たかが“クローン”を、陸軍のトップの座に座らせて置く訳にはいかなくなりましたってことですな。

 

「君はその立場に納得しているのか? これは事実上降格だ。何なら僕が上に掛け合って・・・」

 

「やめろ! そんな事をしたらもっとややこしくなるわ! 別に降格って言ったって、以前の立場に戻ったようなものなんだ。特に不便も感じてはいない」

 

現在はアナキンが指揮する第10星系軍の所属という事になっているが、アナキンの計らいで割と自由にさせてもらっている。

一応、第117コマンド大隊を指揮下に置いているが、そこは副官のライズに丸投げしている。

うん、優秀な部下を持つと楽ができて助かるなぁ。

 

「ホント、貴方たちって仲が良いわね。男の人って成長しているように見えて、中身は意外と子供のままよね」

 

そう言うのは同じく第10星系軍所属のアソーカだ。

彼女もジェダイ将軍として、自らの部隊を率いている。

 

「タノ将軍、スカイウォーカー将軍とレイは子供の心を持った大人として非常に稀有な存在です。それが時に大きな戦果をもたらします」

 

「・・・なあアナキン、俺たちってバカにされているのか?」

 

「・・・まさか、そんな訳ないだろう。君の考えすぎ・・・だ」

 

『『『『『はっはっはっはっはっはっ』』』』』

 

アソーカとレックスの絶妙な連携に、二人してオドオドしている姿は大部隊を率いている士官には到底見えなかった。

そのやり取りを見て、ブリッジにいる他のトルーパー達も声を出して笑っている。

 

解せぬ・・・

 

 

 

 

 

「間もなくハイパースペースを抜けます」

 

ブリッジの担当官がそう言うと、艦はハイパースペースから脱した。

ここは銀河外縁部の一つ、マンダロア宙域と呼ばれる場所だ。

 

元々モールによって侵略を受けていた惑星マンダロアは現在、モールがパルパティーン陣営に加わったこともあり、帝国の支配下にある。

その状況を重く見た銀河連合国はサティーン公爵の一声もあって、現地の協力者と共にマンダロアを解放するためにやって来たのだ。

 

「・・・レイ、大丈夫か?」

 

「え?」

 

「辛そうな顔をしているぞ?」

 

俺は今、ヒュメルの事を考えていた。

それが原因で、無意識のうちに顔に出ていたのだろう。

 

あの時の事を後悔していないと言えば嘘になる。

俺を守るためにヒュメルは自らを犠牲にし、記憶を失い、今では帝国にも追われる身となっている。

 

「・・・ああ、問題ない。今は任務に集中する」

 

 

 

 

 

<惑星マンダロア 首都サンダリ>

 

現在、惑星マンダロアを支配しているデス・ウォッチに対して、惑星コルサントからサティーン公爵が宣戦を布告した。

戦いを何よりも嫌うサティーンであったが、対話だけではどうしようもない状況だというのを理解しての事だった。

 

俺たちはデス・ウォッチからご丁寧な御持て成しを受けたが、何とか首都のサンダリに降り立つことに成功する。

 

「各部隊はそれぞれの担当区域を制圧しろ! 市民の安全が最優先だ!」

 

『『『サー・イエッサー!!』』』

 

辺りにはモールに忠実なデス・ウォッチの一派、マンダロリアン・スーパー・コマンドーが溢れかえっている。

加えて、帝国に属するクローン・トルーパー部隊も一定数存在し、激しい戦闘が繰り広げられていた。

 

『帝国に組み伏すなど、マンダロアの誇りを忘れたか!!』

 

『貴様らこそ、共和国に助けを求めるなど誇りが聞いて呆れるわ!!』

 

惑星マンダロア上空では帝国のクルーザーと、銀河連合のクルーザーが激しい戦闘を行っている。

空と陸、どちらかが優勢になれば、この戦いも終わりが見えてくるはずだ。

 

「レイ、正面に穴が空いた! 予定通り、宮殿に向かう!」

 

「了解だ! 一個小隊、俺に続け! 宮殿を制圧するぞ!」

 

『『『サー・イエッサー!!』』』

 

アナキンからの指示の通り、レックス、ライズと共に、俺は一個小隊を率いて宮殿に向かう。

あ、大丈夫

アナキンもいるよ?

モールがいたら大変だからね☆

 

 

 

 

 

 

<惑星マンダロア 宮殿>

 

俺たちは帝国の激しい抵抗に合いながらも、何とか宮殿に辿り着くことに成功する。

敵はドロイドとは違い、高度な訓練を受けた精鋭だ。

思ったよりも厳しい戦いになっている。

 

「中々、敵さんも手強いよな」

 

「ああ、こんな事ならトルーパーの訓練をもっと優し目にすれば良かったよ」

 

俺はレックスと冗談を言い合いながら歩みを進める。

レックスは『違いない』と冗談で返してくるが、俺は割と真面目に言っている。

 

生まれた時から軍事訓練を施され、成熟した個体が長い者で三年間も戦争を続けているんだ。

遠い過去や未来の事はわからないが、クローン・トルーパーは歴史上で最強の軍隊であることは自信を持って言える。

 

『裏切り者だ! 殺せ!!』 『ゴーゴーゴー!』

『回り込ませるな! ジェダイを集中的に狙うんだ!』

 

帝国のクローン・トルーパーから向けられる本物の殺意。

以前は背中を預け合った兄弟から向けられる銃口に、俺たちも銃を構えるしかない。

『こんな状況でよく冗談が言えるな』

そう思うかもしれないが、それは違う。

 

寧ろその逆だ。

俺たちは冗談を言うことで、精神的苦痛から逃れているのだ。

平気な訳がない。

 

現にストレスに耐性があるはずのクローンの中から、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と思われる症状が出ている者も少なくない。

俺たちはそれだけ、ギリギリの状況を戦っているのだ。

 

 

宮殿を守る部隊を倒しながら、俺たちは建物の内部まで侵入する。

 

「・・・モール」

 

「ふんっ、スカイウォーカー・・・ケノービはいないようだな。お前のようなヒヨッ子がマスターの称号をぶら下げているとは、ジェダイも余程人手不足と見える」

 

護衛のマンダロリアン・スーパー・コマンドーを従えたモールが、玉座に深くもたれ掛かっている。

思ったよりも、護衛の数が少ない。

これは何かあると考えて良いな。

 




はい、お疲れさまでした。
またまた更新が遅くなってしまって申し訳ない。

銀河共和国と分離主義派の新しい共同体。
銀河連合国と名付けましたが、マジで適当に考えたのでツッコミは無しでお願い致しまあす。

細かい設定などは、気が向いたら投稿します・・・多分・・・・・・
(小声)


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第75話 取り敢えず未来の為に

モールの護衛が明らかに少ない。

何かあるな。

俺は部下のトルーパーに手信号で警戒を促す。

 

「ふんっ、中々優秀な部下を連れているようだなスカイウォーカー。だがここまでだ・・・ケノービの下に貴様らの首を送ってやる!!」

 

モールは言葉を言い終えると同時に大きく跳躍し、アナキンに向かって赤いライトセーバー起動して切りかかる。

しかし、アナキンは至極冷静だった。

モールの斬撃を難なく受け流し、激しいライトセーバー戦を始めるのだった。

 

アナキンとモールが対決を始めえると、護衛のマンダロリアン・スーパー・コマンドーが攻撃を仕掛けてきた。

ブラスターや火炎放射器、背面に装備されたロケットによる攻撃が襲い掛かってくる。

 

だが、明らかにこちらが優勢だ。

銀河連合軍の中でも、第10星系軍は精鋭中の精鋭、一般の部隊よりも遥かにレベルの高い技術を備えている。

そして一人、また一人と敵は数を減らしていった。

 

全滅させられると考えたその時、宮殿の壁や地面が突然動き出し、中からバトルドロイドの大部隊が現れる。

 

そ、そんなのアリですか?

退路もしっかりと確保した状態で戦っていたのに、これでは全てが水の泡だ。

俺たちは戦力で一気に逆転され、防御陣形を取る。

 

「レックス、ライズ! 新手だ! 防御陣形を取って、まずは態勢を整えろ!」

 

フェーズⅢアーマーの対弾性能がなければ、被害はもっと出ていただろう。

新型アーマー様様だ。

 

「コマンダー、デストロイヤーです!」

 

副官のライズが、デストロイヤー・ドロイドの接近を知らせてくれる。

やはりコマンダーと言われる方が、しっくりくるな。

参謀総長って言いにくいやん・・・。

 

さて、ここは新兵器の出番だろう。

 

「ライズ、イオン・グレネードだ!」

 

ライズに声を掛け、カミーノで試したイオン・グレネードを取り出す。

特にシールドを展開している相手に有効で、システムごとダメージを与えられる優れモノだ。

 

四体のデストロイヤー・ドロイドがシールドを展開して、今まさに攻撃を開始しようとしたタイミングで、俺たちは両手に持ったイオン・グレネードを投擲する。

 

小規模のイオン・フィールドが展開され、その効果範囲にいたデストロイヤーは、シールドごと機能を停止する。

やっぱり便利だぜ、イオン・グレネード!!

 

態勢を立て直した俺たちだが、攻撃に転じようにも敵の数が多すぎる。

敵はデス・ウォッチ、バトルドロイドの愉快な合同チームだ。

 

その時、宮殿の窓ガラスを突き破って黄色のマーキングが施されたアーマーを着込んだクローン部隊が突入してくる。

 

「空挺部隊! コーディーの所の奴らか!」

 

以前、コーディーが指揮をしていた第7空挺兵団。

俺やレックスの所属する第501大隊とも、共に戦う機会が多かった連中だ。

やり難いこの上ない。

 

「アナキン!」

 

俺は状況の悪化を知らせるように、モールと対決しているアナキンに声を掛ける。

こちら側の兵、特に第501大隊所属の奴らは明らかに先ほどよりも動きが悪くなっている。

馴染み深いイエローカラーの兵装に、戦意が低下しているのだ。

 

その状況を感じ取ったアナキンは、自らの力を解放する。

先程まで拮抗していたと思われた戦いだったが、一気にアナキンが優勢になる。

 

ど、どう言うこと・・・?

アナキン強い(小並感)

 

「っく! なんだその力はぁぁぁ!!!」

 

モールの悲鳴にも似た叫び声が、辺りに響き渡る。

アナキンに自身のライトセーバーを破壊され、強力なフォース・プッシュで宮殿の壁に叩きつけられた。

その衝撃で、モールは意識を手放すのだった。

 

何あれ?

やばくね?

アナキン強い(確信)

 

「待たせたかな? 何かあると思って様子を見ていたが、増援が来ただけだったな」

 

アナキンはモールとの対決に微塵の疲れも感じていないようだった。

汗一つない綺麗な顔のままゆっくりと歩みを進め、俺たちを守るように先頭に立つ。

 

その姿を見た第501大隊の連中は、下がりかかっていた戦意を持ち直し、全体の士気が上がる。

彼が来ただけでこの変わり様・・・

何か不思議な力が働いたように感じる。

アナキン強い(三度目)

 

「君たち、やめるんだ! 僕たちは味方だろう?」

 

アナキンが空挺兵団のトルーパーに声を掛ける。

俺はそんな事をしても無駄だと思ったが、アナキンはそういう奴だ。

彼は優しすぎるんだ。

それが原因で、歴史では暗黒面に堕ちてしまったんだからな。

 

『う、裏切り者のジェダイめ!』

 

『貴様らこそ議長を裏切り、共和国転覆を図ったではないか!』

 

彼らも言い返しては来るものの、言葉にイマイチ覇気が足りない。

アナキンの不思議な力が、彼らにも作用しているのか・・・?

 

その時、アソーカ率いるクローン部隊が宮殿に流れ込んできた。

 

「マスター達を囲むように展開して! 一気に方を付けるわよ!」

 

入り口付近に展開していたバトルドロイドは、アソーカ達によって次々にスクラップにされていく。

 

その混乱に乗じて、ハッと我に返った様子の第7空挺兵団の連中はブラスターを発砲しながらジェット・パックを起動して飛び去って行った。

モールと宮殿は確保した。

残りはアルメクを抑えれば、俺たちの勝ちだな。

 

・・・その前に、残りのドロイドをちゃっちゃと片付けちゃいますかね。

 

 

 

 

 

別動隊が市民の安全の確保するのと同時に、アルメクの捜索隊が組まれていた。

そしてアルメクを発見、確保しようと動いていたが敵からの反撃も厳しく、アルメクは流れ弾により命を落とした。

まあ、出来れば生きたまま捕らえられれば良かったんだろうが、正直どっちでも良いでしょ。

知らんけど(適当)

 

デス・ウォッチの残党は早々に撤退、残党の対処に関しては不良分隊に頼むことになった。

 

「いつも面倒ごとを押し付けて悪いな、軍曹」

 

『お気になさらず。コマンダーの頼みとあればいつでも歓迎です』

 

相手はクローン・フォース99の分隊であるハンター軍曹だ。

通信機の向こうからは、レッカーのバカでかい声が聞こえてくる。

 

『軍曹、レイの兄貴ですか!? 俺にも変わってくださいよ!!』

 

「・・・相変わらずのようだな、軍曹」

 

『ええ、毎度の事ですが喧しい連中です・・・そういえばコマンダー、参謀総長から降格されたと聞きましたが、何かやらかしたのですか?』

 

「ああ、そのうちクビになるかもしれないな」

 

二人で冗談を言い合う。

彼らは特殊な個体故、それに応じてイレギュラーな任務を多くこなしてきた。

今回の様な追跡任務もお手の物だろう。

 

「それじゃあな、頼んだぞ軍曹」

 

『了解です、コマンダー』

 

さてと、こちらも問題が山積みだ。

町には戦闘によってできた傷跡が多く残されているし、市民にも少なくない被害が出ている。

 

「ライズ、物資の手配はどうなっている?」

 

「はいコマンダー、クルーザーに積み込んできた食料品や医薬品、生活出需品等は既に運び込む準備が整っております。逐次、市民に配布することができるかと」

 

「さすがだな、早く皆を安心させてやろう」

 

「イエッサー」

 

元々、この惑星マンダロアは食糧問題などを抱えていた。

それに国のトップがコロコロ変わるのでは、民もお落ち着かないだろう。

 

この国もそうだが、「戦争には関わらない」「中立を貫く」と公言している国は理念だけは立派だが、結局は直面する困難から逃げ、責任転嫁しているだけだ。

現に国は攻撃され、民は苦しんでいる。

 

「久しぶりね、レイ」

 

そう声を掛けてきたのは、現地に留まり、今回の戦いにも参加していたサティーン公爵の妹、ボ=カターン・クライズだ。

直接会うのは、この国であったヒュメルの行方不明事件以来だ。

 

「・・・ああ、久しぶりだな」

 

俺は身に着けていたヘルメットを脱ぎ、小脇に抱える。

熱で籠っていたヘルメットから解放され、頭がスッキリする。

 

「少し瘦せたかしら? それに随分と難しそうな顔をしているわね」

 

ん?

そうだったか?

全く気が付かなかった。

まあ、考え事をしていたからな。

 

「・・・ボ=カターン」

 

「何かしら?」

 

「・・・この戦い、本当に良かったのか? 戦争中に共和・・・連合国が本格的に介入したという事は、軍がこの星に駐留する事になるんだぞ?」

 

「久しぶりに会って、一番に言う事がそれなの?」

 

「・・・」

 

「・・・まあ良いわ。いずれにせよ、この国は帝国の支配下にあったし、私たちだけではこの国を取り戻せなかった。それにこの戦いは、国のトップである彼女の賛同も得られているはずよ?」

 

彼女というのは、サティーン公爵の事だな。

そもそもボ=カターンは、この国を以前のような強いマンダロアに戻したかったのだ。

この戦いはその道への先駆けという事なのかもしれない。

 

「確かに・・・だが100年守られて来た条約が破られたのも事実だ。俺は今後の新たな火種に繋がらないか不安なんだ」

 

俺は彼女の身を案じている。

それが伝わるように、彼女の瞳を見つめる。

 

「・・・大丈夫よ、マンダロアは貴方たちに対する恩を消して忘れない。過去より今、これからの未来の為に私たちは戦うわ」

 

それでこそボ=カターンだな。

とても強い女性だ。

 

「我々連合国も、マンダロアと共に歩もう。未来の為に」

 

「ええ、未来の為に」

 

そう言葉を交わし、俺たちは互いの手を握り合う。

国のトップ同士が交わした約束ではないが、公爵の妹、軍の将軍、それなりの地位にいる二人が同じ考えで、未来の為に、共に歩むことを確認する。

 

 

互いを理解するというのは、そう難しいことでは無いのかもしれない。

 




はい、お疲れさまでした。

この惑星マンダロアをきっかけに、帝国との戦いも激しさを増していく事になります。
当初は80話くらいで完結できれば良いな、なんて考えていましたが、まだまだ終わらなさそうですね・・・。
どうします?
一気に時間飛ばしちゃいます?(震え声)


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第76話 取り敢えずひと時の静寂

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

最近は随分と暖かくなってきましたね。
花粉症の方は毎日が戦争だと思いますが、ご武運をお祈りしております。

今回、少し短いですがお楽しみください。


惑星マンダロアの一件から2年が経過した。

ジオノーシスで開戦したクローン戦争だが、既に6年以上・・・

共和国も分離主義者達も、当時は互いに自らの正義の為に戦ってきたが、今ではそのどちらも存在しない。

 

共和国と一部の分離主義派が合流して銀河連合国が誕生、独立星系連合は今や帝国となった。

帝国は皇帝パルパティーンの独裁的な政策を推し進め、帝国の支配下にある星々はその圧政に苦しんでいる。

加えて発足当時は不安定だった帝国も、現在は国力も安定し、日に日に勢力を拡大している。

 

銀河連合国と銀河帝国、今や銀河はこの二つの勢力によって完全に二分されているのだった。

 

 

 

 

 

<惑星ナブー 湖水地方>

 

この湖水地方は美しい自然が広がる惑星ナブーの辺境地だ。

自然豊かな山々に囲まれた峡谷に、滝、美しい湖が点在している。

 

その中に存在するヴァリキーノ島、この島には秘密の別荘があった。

クローン戦争開戦の少し前、まだジェダイ見習いであったアナキン・スカイウォーカーと、銀河元老院議員のパドメ・アミダラが静かに愛を育んだ場所だ。

 

そんな所に俺は何をしに来たかというと・・・

 

「パドメ、帰ったよ」

 

「アナキン! ほらルーク、レイア、お父様のお出迎えを」

 

・・・まあこういう事ですよ。

双子の出産に伴い、パドメは議員を引退、今はこの屋敷で子育てに奔走している。

 

「パパ、おかえりなさい!」

 

「おとうさま!」

 

ルークとレイア、二つの太陽は3歳になる。

そうか・・・もう3年か。

子供の成長を見ていると、時が経つのが本当に早く感じる。

まあ、俺の子じゃないんだけどね?

 

「ルーク、レイア、ただいま。ちゃんとママの言う事を聞いていたかい?」

 

「「うん!」」

 

可愛いいぃぃぃぃ

完全に親戚の子供を可愛がるオジサンの気分だ。

 

その様子をパドメは微笑ましいように見つめている。

そしてその光景を少し眺めた後、最愛の夫に近づいて行き、家族4人で抱きしめ合っている。

 

何この絵に描いたような家族。

見ているコッチまで幸せな気持ちになってくる。

 

この光景を見られただけで、俺はこの世界に来られて良かったと思っている。

始めは、「え、ジェダイじゃないの・・・?」何て思ったりもしたし、クローンごときに何が出来るのか・・・とも思ったが、結果的には良かったのかもしれない。

 

「アナキン、俺は少しこの辺りを見てくる。お前はゆっくりしていてくれ」

 

「君も一緒にどうだレイ? 子供たちも喜ぶ」

 

「久しぶりの家族団らんを邪魔する趣味はない」

 

「レイおじちゃんも早く~!」

 

ルークに呼ばれるが、「また後でな」と断りを入れて俺は一人、周囲の警戒(ただの散歩)に勤しむのだった。

 

 

 

 

 

適当に時間を潰し、俺はある湖の畔で座り込んでいた。

この世界に来てから、ずっと戦いの毎日だったからな。

ナブーの湖水地方に来る時だけ、俺は一人になれるし、この時間を楽しんでいる。

まあ、あの家族を見ると多少寂しさを感じるのも事実ですけどね・・・。

 

俺は身に着けているアーマーを脱ぎ、小脇に整頓しながら置いていく。

全てを脱ぎ終わり、下に着ていたアンダースーツ姿となって水面に反射する自分の姿を確認する。

 

この姿も見慣れたな。

始めは自分がクローン姿だという事に驚いたし、他のクローン・トルーパー全員の顔が同じというのにも違和感満載だった。

300万ユニットが同じ顔ですよ?

正直、キモくね?(怒られる)

 

ジャンゴもよく耐えられるよな。

自分の生きた軌跡を残したいとかなんとか言っていたけど、残し過ぎでしょ。

自分(オリジナル)と全く同じ姿・形の連中がたくさんいるのを見たら、俺だったら耐えなれそうもないわ。

 

太陽から発せられる身を包むような優しい光、凪いだ美しい湖を見ていると眠くなってくる。

・・・暗くなる前に野営の準備でもしますかね。

 

元々、野営するつもりで来たため、バックパックには必要なものが揃っている。

前世?でも、アウトドアが好きでオフの時も定期的にキャンプをしていた。

危険も無いし、久しぶりにワクワクするな。

 

 

 

 

 

 

簡易的な天幕(テント)を設営し、薪を集めて火を起こす。

ちなみに針葉樹は油分が多く、火が付きやすいが燃え尽きるのが早い。

広葉樹は燃えにくいが、一度火が付いてしまえば長い時間燃えてくれるので状況に合わせて使い分けてほしい。

 

因みに、火を起こすには、火口、焚き付け・・・

え?

どうでも良い?

すみません。

 

と、とにかく、メインの燃料になる太い薪は自発的に燃え出したし、焚火は安定したな。

飯どうしようかなー

その辺にいるシャク(ナブー原産の草食動物)って食べて良いのかな?

脂が乗っていて、めちゃくちゃ美味しいらしいじゃん?

 

多分家畜ですよね。

しゃーない

魚でも食べますか。

 

 

 

 

 

夜も更けた時間、眠れない俺は無意味に焚火を眺めていた。

こうしていると、元の世界に戻ったかのような錯覚さえ覚える。

その時、人の気配を感じ、無意識のうちに身構える。

 

「レイ、僕だ」

 

なんだ、ただのイケメンか。

 

「愛する家族を放っておいて、何しているんだアナキン?」

 

「パドメも子供たちもぐっすり眠っている」

 

久しぶりに会えたんだから、ずっと一緒に居れば良いのにな。

まあ、彼も眠れないのかもしれない。

戦場とここの静けさは正反対だ。

 

この湖水地方にいると、世界は平和で戦争なんて無縁に感じてしまう。

それほどこの場所は穏やかで、居心地が良い。

 

「・・・アナキン、お前ジェダイ辞めたらどうだ?」

 

「え?」

 

「ジェダイは去る者を引き止めたりしないんだろう? お前には守るべきものもある。戦争になんて関わらず、家族の為に生きたらどうだ?」

 

これは俺の本音だ。

もちろんアナキンが抜ければ、連合国にとって計り知れない損失になるだろう。

今は戦争中だし、勝てる戦も勝てなくなるかもしれない。

 

だが俺は、まだ心のどこかで不安に思っているのかもしれない。

歴史通りにはならなかったが、何かのきっかけでアナキンが暗黒面に堕ちてしまう事を・・・

 

だからなのか、アナキンには戦争から離れ、家族を守る為に傍にいて欲しいという気持ちが強い。

 

「・・・僕には、君たちだけを残して戦争から逃げ出す事なんて出来ない」

 

顔を見ればわかる。

アナキンだって、本当はこのまま家族と残りたいのだ。

 

だが彼の優しさが、その道を選ぶことを否定してしまう。

目の前で仲間が危機に晒されているなら、自らの危険を顧みず助けに行く。

一人戦争から離れ、家族と平穏に暮らすことなど、今のアナキンには到底できる選択ではないのだろう。

 

「アナキン、一軍人としてこんな事を言ってはいけないのだろうが、俺は連合国の未来よりもお前たち家族の幸せのほうが大事だ。 それに・・・お前はもう一生分の苦労をしたじゃないか? もう幸せになって良いんだ」

 

俺は今回のナブー訪問で、この事を伝えるつもりだった。

アナキンには幸せになって欲しいし、その権利を持っている。

 

「・・・ありがとう、レイ」

 




はい、お疲れさまでした。
久しぶりに、戦闘シーンが無い模様をお伝えしました。
たまにはのんびりしているのも良いですよね?

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第77話 取り敢えず決意を新たに

皆さん、お疲れさまです。
みどり色です。

今回短いので、一緒に次話も投稿しちゃいます。
それではお楽しみ下さい。



<惑星ナブー 首都シード>

 

この町は本当に美しいな。

何処となく地球の建造物に近いものを感じる。

 

俺は湖水地方でスカイウォーカー家とのひと時を楽しんだ後、軍が駐留している首都のシードを訪れていた。

 

『『お疲れ様です』』

 

「ああ、ご苦労」

 

巡回中のトルーパーによる敬礼に、答礼で応える。

勢力を拡大する帝国に対する策として、主要な惑星には現在軍が駐留している。

全ての星に駐留させることは出来ないが、多く存在する星々に等間隔で軍を配置している為、何かあった時には近隣の惑星へ速やかな初動対応が行えるようになっている。

 

そんな俺は街並みを楽しみながら、首都の外れにある駐屯地へ向かっている。

時々市民と挨拶を交わすが、再び自分たちの星が戦場になることを心配しているようだ。

 

『すげー! 女王のシャトルにそっくりだぜ!?』

 

『普通のクローンと全然違う!』

 

俺の姿を見た10歳そこそこ位の子供が、俺の姿を見てはしゃいでいる。

・・・確かにロイヤル・スターシップに似ているかもな。

結局このアーマー(ベスカー製のクローン・トルーパー・アーマー)は銀色のままだし。

暇なときに塗装しよう、うん。

 

俺は子供たちに手を振って応えると、また歩みを進める。

駐屯地の正門に辿り着き、表門歩哨に身分の照会をしてもらう。

 

『服務中異常なし!』

 

表門歩哨に就いている彼は、恐らく新兵なのだろう。

卸したてのフェーズⅢ・アーマーが白く輝いている。

 

「ご苦労」

 

彼の仕事を邪魔しちゃ悪い。

俺は本部まで速足で向かうのだった。

 

 

 

 

 

「戻ったかレイ、もう少し長居すると思ったが?」

 

俺に声を掛けてきたのは、最近コマンダーに昇進したレックスだ。

彼は嫌がったのだが、軍としては新兵が続々と増える中で、古参で実力もあるレックスをキャプテンのままにしておく訳にもいかなかったのだ。

 

「ああ、だが久しぶりにゆっくりとできた。話は変わるが、最近若い連中をよく見かけるな」

 

俺は歩哨で見かけた新兵の話をする。

 

「この2年で兵の充足率は大幅に改善したからな。その分、経験の浅いピカピカ組が増えたのも事実だ」

 

クローン大戦開戦から6年以上・・・

開戦当初から生き残っている兵の方が珍しいからな。

最近では対ドロイド戦だけでなく、対人戦にも特に力を入れて訓練が行われている。

理由は言うまでもないだろう。

胸糞悪い。

 

「・・・戦争も様変わりしたな」

 

勿論、色んな意味でな。

俺はそう付け加える。

 

「それで、スカイウォーカー将軍は?」

 

「・・・アナキンは自分の人生を取り戻すんだ。俺たちが口出し出来る問題ではない」

 

レックスは、「そうか」とだけ言った。

彼はずっとアナキンの傍で戦ってきた。

思う事を多いだろう。

アナキンも、レックスの事を心底信頼している。

パドメとの関係を打ち明けるほどに・・・。

 

「レックス、部下を調整させてくれ。準備が出来次第撤収だ」

 

「了解した」

 

 

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル船内>

 

レックスと小数のトルーパーが乗船し、すぐに惑星の軌道上にいるクルーザーまで飛び立つ予定だ。

 

「パイロット、クルーザーまで一瞬だが何があるかわからない。チェックは念入りにな」

 

俺は報告書等に目を通しながら、パイロットに声を掛ける。

無いとは思うが、急に帝国が攻めてくるとも限らない。

備え過ぎという事も無いだろう。

 

「了解ですコマンダー、お任せください」

 

「ああ、宜しく頼・・・む?」

 

あれ?

この声知っているぞ。

どこぞのイケメンにそっくりだ。

 

「—————おい伍長」

 

「イエッサー」

 

俺は近くで作業をしていたトルーパーを呼び寄せる。

 

「忙しいところ悪いな、この操縦席にいるのは誰だ?」

 

「・・・誰・・・とおっしゃいますと?」

 

「そのままの意味だ」

 

「イ、イエッサー・・・この方はジェダイ・マスターであり、ジェダイ評議会の一員。そして銀河連合国軍最高位将軍であり、第10星系軍の最高司令官、アナキン・スカイウォーカー将軍であります」

 

伍長は簡潔に、事実のみを淡々と述べた。

「コイツ、頭おかしいのか?」と言う雰囲気を醸し出していたが、それに関しては今はどうでも良い。

何より重要なのは、俺の目が正常に機能しているって事だ。

 

「・・・ありがとう伍長、作業に戻ってくれ」

 

彼が俺と距離を取りたがっていたのは気のせいではないだろう。

未だにこちらをチラチラと様子を伺っている。

おかしいのは俺じゃないからね?

 

「——————アナキン、どうやら俺の目は正常なようだ。頭の良いお前なら、俺の言いたいことは聞かなくてもわかるよな?」

 

「もちろんだレイ、機の状態は完璧だ。問題なくクルーザーまでたどり着くどころか、このまま戦闘にだって入れるぞ」

 

コイツ・・・ワザとだな。

 

「家族はいいのか? パドメは? 子供たちは? 納得しているのか?」

 

「君が家から出て行った後、ルークが『パパもいってらっしゃい! はやくかえってきてね』と言ったんだ。あんなに小さい子が、自分の事ではなく、他者を優先することができるんだ・・・僕だけが自分のしたいようにはできない。それに本当の意味で家族の安全を願うなら、僕は自分のすべき事をする」

 

そうか。

ルークがそんな事を・・・

なら、やるべき事は一つだな。

 

「・・・ならこんな戦争早く終わらせて、家族の下に帰らなきゃな。ルークにそう言われたんだろう?」

 

「ああ、早く帰らないとパドメとレイアに詰められる」

 

「あの二人を相手にしては、お前でも太刀打ちできないだろうな」

 

俺たちは互いに笑い合い、戦争終結の為、決意を新たにするのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第78話 取り敢えずサバイバル

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

2話目です
どうぞ召し上がれ(恍惚)



「一斉射撃、目標敵クルーザー!!」

 

艦長の命令により、クルーザーからターボレーザー砲による一斉射撃が行われる。

その先にいるのは、ヴェネター級スターデストロイヤーをベースに新造されたと思われるなんちゃってインペリアル級スターデストロイヤーだ。

 

なんちゃってと言うのは、正規のインペリアル級に比べて遥かに小型だからだ。

大きさ的には、ヴェネター級とほとんど差はない。

それを知っているのは俺くらいだろうから、正規もクソも無いのかもしれないが・・・

 

俺は今、惑星カミーノから新兵を乗せてコルサントへ向かっている。

次世代のクローンを乗せたこの艦は、アクラメイター級汎銀河軍事用アサルト・シップだ。

一応軍艦ではあるものの、どちらかと言うと兵員輸送に特化している。

 

「コマンダー、このままでは撃沈されるのも時間の問題かと・・・」

 

先程、攻撃を命じた艦長がそう報告をしてくる。

護衛を務めていた艦は、敵艦と相打ちになり、既に轟沈している。

戦闘能力では、ヴェネター級をベースに作られたインペリアル級にはどう転んでも勝ち目はない。

 

「・・・大至急近くに避難できそうな星があるか調べろ。総員退艦準備、船に残るとぬかす奴は俺が引きずってでも連れていく」

 

「サー・イエッサー!!」

 

そう言い残し、艦長は部下に指示を出しに向かった。

時間との勝負だ、のんびりはしていられない。

 

「コマンダー、この艦に搭乗しているのは、候補生を卒業したばかりの新兵がほとんどです」

 

「何が言いたいんだ、ライズ」

 

今回俺に同行し、アクラメイター級に搭乗している副官のライズに続きを促す。

 

「地上戦になっても援軍や補給もありません。完全に孤立するのが確実な以上、貴方だけでも—————」

 

「逃げ出せというのか? 部下を置いて? そんな提案、俺が了承するとでも—————」

 

「思いません。しかし新兵とあなたの命、比べるまでもありません。ARCSトルーパーであり、開戦当初から数々の戦果を挙げてきた貴方を失うのは、連合国軍によって計り知れない痛手です・・・貴方が思っている以上に」

 

いや、どう考えても買い被りでしょ?

この子、前々から思っていたけどメンヘラ疑惑があるんですよね・・・

 

え、なに?

俺って、メンヘラを吸い寄せる特殊能力でもあるの?

そんな能力いらないから、もっと別なのをお願い出来ませんかね?

 

「ライズ、俺がこの世からいなくなったって世界は回り続けるさ」

 

「?」

 

その時、敵艦からの攻撃でアクラメイター級が激しい揺れに包まれる。

どうやらシールドの限界が近いようだ。

 

「急げライズ、そろそろ限界だ」

 

俺はブリッジの端末をイジりながら、副官に脱出を促す。

こうして俺たちは脱出ポッドに乗り込み、装備もままならない状態で名もなき星へと吸い寄せられていくのだった。

帝国の無慈悲な攻撃に合い、火に包まれていくアクラメイター級を見ながら・・・

 

 

 

 

 

<名もなき惑星>

 

ファッ〇ンなんちゃってインペリアル級の攻撃に合い、俺達は名もなき惑星で遭難していた。

同じ脱出ポッドに搭乗していた副官のライズ、艦長、通信士官でまだ青さの残る中尉と共にいる。

 

かなり流された為、他の連中がどうなったかは定かではない。

無事でいれば良いんだが・・・

 

「新兵や他の奴らが心配だ・・・ライズ、現在地を確認できるか?」

 

「お待ちを」

 

ライズは腕に装着されたデバイスを操作し、俺たちの現在地を導き出そうとしている。

俺もああいうの欲しいなぁ

かっこいいよね、ウェアラブルコンピューターって。

 

「—————入力していた着陸地点から、かなり流されています。予定ではここから50キロ東に行ったところです」

 

ライズが指す方向には高い山がそびえ立っている。

不幸中の幸いか、森林が続いている為、身を隠しながら進むことが出来そうだ。

 

「それなら足を進めるとしよう。他の連中もそこに向かうはずだ」

 

ぶっちゃけ言っちゃうと、第117コマンド大隊所属である俺とライズはジェット・パックを装備している。

だが二人を置いていく訳にもいかないし、一人で先行するにも距離があり過ぎるし、状況が全くつかめないから危険だ。

今は歩みを進めるしかないだろう。

 

俺達は武器・装備の確認をして、高くそびえ立つ山に向かって進むのだった。

はぁ、嫌だなぁ行軍・・・

一番嫌い。

 

 

 

 

 

1時間ごとに10分の小休止を取りながら、俺たちは歩き続けた。

士官用の制服に身を包んだ艦長を羨ましそうになんて見ていない。

ただ、『ずるいなぁ、良いなぁ、装備を交換してくれないかなぁ』と思って見ているだけだ。

 

某24時間耐久番組の絶賛パワハラ100キロ走のせいで、日本人からすると『50キロ歩くの? そんなに大変じゃないんじゃね?』と、思う方もいるかもしれないがトンデモナイ。

身体に負担の掛からない服装と歩きやすい運動靴で行えば、多少は楽かもしれないが軍用装備で歩いてみ?

ねえお願い、一度歩いてみ?

もう一度言います。

歩いてくださいお願いします。

 

まあ何が言いたいかというと、ただ歩き続けるというのは肉体的にも精神的にもしんどいって事だ。

行軍はあくまで手段であって、目的ではない。

歩き切った後から戦闘は始まるのだ。

歩いて終わりならどれだけ良いか・・・

 

俺は誰が聞いている訳でもないのに、現実逃避の為に無駄な事を考えながら歩いていると、気が付いたら遠くにそびえていた山が直ぐそこまで来ていた。

 

「・・・ふう、辺りも暗くなってきた。体力を温存する為にも、今日はここでビバーク(緊急野営)しよう」

 

「しかしコマンダー、他の連中が心配です。今は一刻も早く目的地を目指すのが最善では?」

 

そう進言するのは通信士官の中尉だ。

確かにコイツの言いたいこともわかる。

 

「中尉、俺たちの目的は?」

 

「それは・・・目的地にたどり着くことであります」

 

「まあ、それも間違えてはいない。だが、俺たちは着陸ポイントに向かってはいるが、誰もそこにいない可能性もあるし、既に他の連中は全滅している可能性だってある—————」

 

事実、脱出ポッドでこの惑星に向かう途中、敵艦に撃ち落されたのは1つや2つじゃない。

俺達は何もできず、ただそれを見ている事しかできなかった。

今こうして生きているのは、ただ運が良かっただけだ。

 

オビ=ワンに聞かれたら、『経験上、運など存在しない』とか何とか言われそうだが・・・

 

「—————俺たちは常に最悪の状況を想定して行動しなくてはならない。満身創痍で目的地に着いたとして、敵が待ち構えていたら? 敵がいなくても次の行動は? 今の俺たちには増援も、補給も無い。あるのは目の前の仲間と自分の身体だけだ。無理をするのが成功への近道とは限らない」

 

柄にもなく語ってしまった。

恥ずかしい、誰か面白いことでも言って?

おーい、ライズ?

 

周りでは、

『流石だ・・・』『これがあのARCSトルーパーか』

とか聞こえてくる。

まあ、言っているのは艦長と中尉なんだけどね。

4人しかいないしね。

 

取り敢えず、わかってもらえた様なので野営の準備でもしますか。

 




はい、お疲れさまでした。

珍しくレイ君語っていましたね。
自衛官現役の頃、最も嫌いだったのは行軍と警衛勤務でした。
陸自経験者の方ならわかってもらえると思うのですが、殆どの陸上自衛官は『歩きながら寝る』という特殊技能を会得しております。(前も言った気がする)

「それ冗談でしょ?」と言って、信じてもらえないこともありますが、これはマジでガチです。(マジでガチってなに?)

皆さん、自衛隊への入隊をお待ちしております。
タノシイコトシカナイデスヨ。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第79話 取り敢えずここって地k(ry)

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。


息抜きに新しい作品を始めたので、良ければこちらもご覧ください。


題「凶悪な生物兵器が蔓延る世界で俺だけが成長(レベルアップ)する」

モンスター(ポケモン)が蔓延る世界で絶滅の危機に瀕してる人類が、頑張ってどうにか生きて行こうというお話です。(語彙力)
イメージ的にはモンスターハンターのような形で依頼をこなしていき、ポケモンを狩り、時には狩られるというイメージです。 

https://syosetu.org/novel/254273/






俺達は本格的に山に入る前に、麓で野営をしていた。

交代で見張りをする事になるが、4人もいるから負担はかなり軽減できる。

 

「俺が最初に見張りにつくから、お前たちは先に休め」

 

終わった後の時間を全て寝る事が出来るから、最初に見張りをしたいとは口が裂けても言えない。

 

「コマンダーはお休みください。見張りは自分たちだけでやりますので」

 

中尉が気を使ってくれる。

その純粋な瞳で見られると、俺の邪な考えが恥ずべきものだと思い知らされる。

 

「良いから休め。こんな状況で階級云々言っている場合ではないからな」

 

・・・その感動したような視線を、こちらに向けるのはやめて頂けますか?

寝ている途中で起こされたくないが為に、先に見張りをやりたいという自分勝手な考えをした自分が恥ずかしくなるから。

 

そんなこんなで特に問題も無く艦長と見張りを交代し、俺は浅い眠りについた。

問題が起こったのは三番目の見張りである中尉の時であった。

 

 

 

 

 

夜も深くなり、星々や月が輝いている美しい空の海が一面に広がっている。

その空を見ていると、妙に懐かしい気持ちになるのは何故なのか?

 

え?

寝てないのかって?

・・・尿意を催して起きちゃいました。

 

寝る前に行っておけば良かったんだろうけどさ

面倒くさい時ってあるじゃん?

 

その時、何か嫌な気配を感じた。

気のせいなら良いのだろうが、確認せずにあの世行きなんて事になったら笑えないからな。

 

俺は傍に置いてあったブラスターを持ち、寝そべった状態で周囲を確認する。

周りでは虫の鳴き声や、優しい風によって揺れる木々や葉の擦れる音が聞こえる。

やはり気のせいか?

 

そう思った瞬間、事態が急変する。

見張りについていた中尉の叫び声が辺りに響き渡ったのだ。

 

「くそっ!」

 

俺はすぐさま飛び起き、中尉の姿を探す。

月明かりがあるとはいえ、昼間の様にはいかない。

ヘルメットに内蔵されている暗視装置を起動し、視界を確保する。

 

・・・中尉の姿はどこにもなかったが、彼が見張りをしていたであろう場所には血痕が残されていた。

 

「コマンダー! ・・・これは中尉の?」

 

駆けつけてきたライズが血痕を見つける。

 

「ああ、恐らくな。周囲を確認したが、彼の姿はどこにもない」

 

直ぐ近くに中尉のものと思われるヘルメットと、森の奥へと血の跡が続いている。

 

ん?

よく見ると、周囲には複数の大型の足跡が残されていた。

・・・これは寝ている場合ではなくなったな。

 

 

 

 

 

俺達は警戒を厳に、中尉の跡を追跡していた。

追跡しているのはこちらのはずだが、俺たちの行動を監視されているような気がしてならない。

 

そして、とうとう見つけてしまった。

無残に身体を引き裂かれた中尉の亡骸だ。

 

「・・・コマンダー、この森は危険です。直ぐに山を越え、目的地に急ぐべきです」

 

副官のライズがそう具申してくる。

彼を弔っている暇もないか・・・

俺は近くにあった枝や葉を中尉の上に被せ、先を急いだ。

 

 

 

 

 

ここは豊かな自然に覆われた美しい星だが、未開で、危険な生き物が存在している。

そして山に入った段階で、俺たちは獰猛な肉食獣に囲まれていた。

 

あれ・・・どう見ても恐竜だよな。

奴らは群れを成してこちらを観察している。

直ぐに襲ってこない辺りを見ても、かなり知能が高いことを伺える。

 

ラプトル・・・だっけか?

クローン技術を使って、恐竜の動物園を作ろうとした某大作映画でもお馴染みの奴だ。

本当はディノニクスという恐竜がモデルだと聞いたことがあるが、そんなことはどうでも良い。

 

今問題なのは、あの厄介なチームプレーをしてくるラプトルが、群れを成して俺たちに迫って来ているという事だ。

 

「・・・完全に囲まれましたね。奴らの様子から、それなりの知能を備えているようです」

 

君(ライズ)はいつでも冷静だね。

っていうかここって地球なの?

やべぇ、気になって来た。

ピンチな事よりも、そっちの方が気になる。

 

「ああ、中尉を襲ってからあえて様子を見ていたことも考えて間違いないだろう。ライズ、艦長、用意しろ」

 

「イエッサー」「は・・・?」

 

即座に理解するライズと、イマイチ理解が追い付いていない艦長。

まあ艦長にやってもらうことは無い為、彼の疑問を解決することは後回しだ。

 

俺はヘルメットと連動しているスポウダー・ミサイルを起動する。

これで全部ではないだろうが、確認できるラプトルにミサイルをロックすると、肩部に内蔵された小型ミサイルが複数飛来する。

 

その瞬間にライズはジェット・パックを起動し、状況がイマイチ掴めていない艦長を抱えて大空に飛び上がる。

 

俺もライズに追随し、大空に舞い上がる。

自衛隊だったら、こんな戦法取れないだろうからな。

テクノロジー様様だ。

 

だが、ずっと空を飛んでいく訳にもいかない。

燃料の問題もあるし、帝国に見つかるのは回避したい。

俺達は十分に安全を確認した後、地上に降り立つのだった。

 

 

 

 

 

どさくさに紛れて(決して行軍が嫌だった訳じゃない)山の反対側に降り立った俺たちが目にしたのは悲惨な光景だった。

 

「・・・脱出ポッドを拠点にしていた所を狙われたようだな」

 

そこには鋭利なもので切り裂かれたことがわかる、新兵らの亡骸が散らばっていた。

俺達のように上空に逃げることも叶わず、突然の来訪者によって・・・

 

「先を急ぎましょう、この場に留まるのは危険です」

 

「ああ、他にも無事に降り立った連中がいるかもしれない」

 

ただでさえ十分な休息が取れていない上、帝国や恐竜たちの脅威にも警戒しなくてはならないというのは想像以上に疲弊する。

 

ああ・・・くそ

どうして悪いことって、こう続くのかね。

俺達の目に映るのは、クルーザーから来たと思われる帝国軍の大部隊だった。

 

不幸中の幸いか、奴らとは距離がある。

この隙に、着陸地点まで急ぐべきだな。

 

「状況が変わった。強行軍になるが行けるか?」

 

これは艦長に向けた言葉だ。

日頃から前線で戦っていない彼にとって、俺たちのペースに合わせるのは大変だろう。

 

「問題ありませんコマンダー、足手まといにはなりません」

 

「よし、先を急ぐぞ」

 

 

 

 

 

俺達は休息も取らずに強行軍を続けたおかげで、着陸予定地点の直ぐそこまで来ていた。

帝国はこの星の生物(恐竜)と戦っているのか、ブラスターや爆発音、叫び声などが風に乗って聞こえてくる。

 

現在いるのは岩と砂ばかりの荒野のような場所だ。

先程までは自然が豊かだったのに、山を越えると景色が変わるのは面白い。

おかげで、身を隠すところも少ない。

くそったれ。

 

「よし、あそこまで行けば着陸地点を確認できるだろう」

 

俺達の場所は高台となっていて、ポイントを見下ろすような形で確認できる。

近くに行かなくても良いのはラッキーだったな。

ヘルメットに内蔵されているスコープ機能を使うと、複数の脱出ポッドが確認できる。

 

「敵影は確認できないな・・・俺が降りて、状況を確認してくる」

 

「コマンダーお一人では危険です、自分も同行します。艦長、ここに残り見張りを頼む。何か変化があれば逐次連絡を」

 

「イエッサー」

 

「別に俺だけでも—————」

 

「危険です」

 

「—————わ、わかった」

 

怖いよ、ライズ君。

これではどっちが上官かわかりませんよ・・・

 

 

 

 

 

ライズと共に脱出ポッドまで来たが、他の連中の姿は見えなかった。

こんな見晴らしの良いところでは、敵に見つけてくださいと言っているようなものだからな。

避難したんだろう。

 

「周りには怪物、それに加えて帝国まで・・・生き残った奴らが心配だ」

 

「はい、ですがここでは狙い撃ちにされます。まずは安全を確保して今後の事を—————」

 

ライズが言い終わらないうちに、辺りに銃声が鳴り響いた。

考える前に身体が反応し、脱出ポッドを遮蔽物に身を隠す。

銃声は艦長がいる高台からだな。

 

「艦長、応答しろ・・・ダメです。通信不能です」

 

ライズが艦長と通信を試みるが、応答がない。

恐竜か、帝国か・・・

その時、高台に現れたのは赤いアーマーを着込んだ部隊だった。

 

「フォックスの部隊か」

 

フォックスの部下が、艦長を拘束している。

大きなケガは無いようだが、人質とは穏やかじゃないな。

 

『コマンダー・レイ、大人しく投降して下さい』

 

投降だと?

今までは問答無用で攻撃してきたくせに、どういった風の吹き回しだ?

 

「悪いなフォックス、生憎俺はこの星が気に入っていてね。お前たちについて行く気はさらさら無い」

 

『・・・』

 

フォックスは無言のまま手信号で指示を出す。

部下たちは彼の指示に従い、俺たちの周囲を囲んでいく。

さしずめ、ジオノーシスで包囲されていたジェダイだな。

 

「ライズ、何か良い案はないか?」

 

「残念ながら。貴方はどうです?」

 

「今度ばかりはお手上げだ」

 

まあ、故郷で死ねるならこれ以上の死に場所は無いかもな。

上空には帝国のクルーザーの増援が現れ、そこから帝国仕様に改造された複数のLAAT/iガンシップまでやってくる始末だ。

 

ガンシップはそのまま俺たちの周囲を囲い、搭載された兵器を起動する。

ここまでか・・・

 

そう思った瞬間、ガンシップはフォックスの部下に向かって発砲を始めた。

味方だと思っていたガンシップからの突然の攻撃に、反撃もままならず身体を撃ち抜かれていく兵士たち。

 

高台にいるフォックス達も、状況が掴めていない様だ。

そこにガンシップから降下する部隊が現れる。

 

『コマンドー・ドロイド!? 応戦しろ!』

 

通常のコマンドー・ドロイドよりも、さらに俊敏な動きでフォックス達を翻弄するコマンドー・ドロイド達、よく見るとカラーリングが灰色だ。

 

っていう事は—————

 

『マスター、ご無事ですか? すぐに殲滅しますので、その場でおくつろぎ下さい』

 

俺のコムリンクに通信が入る。

スーパー戦術ドロイドのタティスからだった。

皆さん、覚えていますか!?

ボガーノにいるはずのドロイド部隊ですよ!?

 

彼らは通常のドロイドにはありえない程、高度な戦術を用いて次々に制圧していく。

その動きはドロイドと言うよりも、クローン・トルーパーに近いものを感じる。

 

「こ、コマンダー、これは一体?」

 

ライズは状況がイマイチ掴めていないようだった。

あれ?

ライズって、コイツらのこと知らないんだっけ?

 

「大丈夫だ、彼らは味方だ。艦から脱出する前に、彼らに救難信号を送ったんだ。届くかどうかは賭けだったがな」

 

ブリッジから脱出する直前に、俺が端末を操作していた事を思い出したようで、取り敢えずは納得したようだ。

 

 

 

 

 

彼らの手際の良さには舌を巻いてしまう。

俺たちの艦を轟沈させ、そのままこの星を封鎖していたなんちゃってインペリアル級も破壊していた。

帝国のなんちゃってインペリアル級に偽装したクルーザーが合計で三隻、それらからの集中砲火を食らえばひとたまりもないだろう。

 

「マスター、敵部隊の制圧を完了しました」

 

「ご苦労タティス、被害の確認を行い待機していてくれ」

 

「仰せのままに」

 

タティスは命令通り、部隊の損害を確認している。

だが見る限り損害は軽微、完勝と言っていいだろうな。

 

「さて・・・フォックス、立場が逆転したな」

 

「卑怯な手を・・・それが貴方のやり方ですか?」

 

その時、一発の銃声が鳴り響きフォックスの頬を掠める。

撃ったのはタティスだ。

 

「立場をわきまえろ」

 

えぇ・・・

怖いよタティスさん・・・

急に撃たないでよ、ビックリするから。

 

「・・・タティス、部隊を編成してクローンの捜索に当たってくれ。新兵の生き残りがいるはずだからな」

 

「はいマスター」

 

さて、この星で余生を送ることは回避されたが違う問題が出てきたな。

 




はい、お疲れさまでした。

まさかの地球?の登場です。
恐竜の種類や時代、その他諸々は細かく考慮していないので適当に流しておいて下さい、お願いします。

コマンダー・フォックスは、どうしてレイ達を殺さないで捕虜にしようとしていたのか?
さらに問題が出てきそうな予感ですね。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第80話 取り敢えず清掃係りにはオーバースペック

<インペリアル級スターデストロイヤー(偽装)>

 

「大変だったな。一先ずゆっくり休んでくれ」

 

『『『サー・イエッサー!』』』

 

無事に救出された新兵を解散させ、俺はフォックスを捕えている監房ブロックまで移動する。

 

「マスター、お疲れ様です!」

 

警備についているB1バトルドロイドが敬礼してくる。

随分と流暢に話すなぁ。

ちょっとゴツくなっているから、対弾性能なんかも上がっているんだろうな。

 

「ありがとう、捕虜の取り調べに来た」

 

「イエッサー! こちらです」

 

B1に導かれるまま進んでいくと、フォックスが捕らえられている監房までたどり着く。

内部構造などはヴェネター級と同じだから、バトルドロイドが巡回していると変な気分になる。

 

例えるなら・・・

うーん

学校に来たら、何故か男女の制服が入れ替わっている感じ?

アカン、例えが下手過ぎて落ち込んできた。

そして男子のスカート姿を想像したら気分が悪くなってきた。

 

「マスター、この監房です。捕虜は拘束していますが、念のためお気を付け下さい」

 

俺がそんな事を想像しているとはつゆ知らず、B1によって監房の扉が開かれる。

そこには拘束具を付けられ、アーマーをはぎ取られたフォックスの姿があった。

 

「調子はどうだ、フォックス」

 

「・・・」

 

だんまりか

まあ、そう来るだろうとは思ったけどな。

 

「どうして直ぐに俺を殺さなかった? 何故捕虜にしようと?」

 

「・・・・・・・」

 

うーん

埒が明かない。

少し試してみるか。

 

「ふん、さすがは離反者だ。忠誠を誓ったはずの共和国を裏切り、あまつさえ守ると誓ったはずの国と民に銃を向けている」

 

フォックスは口を開きはしないが、怒りに満ちた瞳で俺を睨めつけている。

もう少しか?

 

「お前の忠誠心はその程度だったって事だ。コマンダーの階級が聞いて呆れる・・・そんなお前が仕えている帝国や皇帝などは、たかが知れているな?」

 

怒りを抑えられなくなったフォックスは俺に殴りかかろうと立ち上がるが、拘束具のせいで地面に激しく倒れこむ。

 

騒ぎを聞きつけて、外で見張りをしていたコマンドー・ドロイドが二体、監房に入ってくる。

俺は、『何でもない』と言うように手でサインを送り、それを確認したドロイドは下がっていった。

 

「大丈夫か?」

 

俺はフォックスに手を貸そうとするが、身体を使って振り払われる。

 

「貴方こそ裏切り者だ! ARCSトルーパーとして全兵士の憧れだった貴方たちは、陛下を裏切り、ジェダイ、分離主義派と手を組んで共和国転覆を図った!」

 

「今や共和国は銀河連合に生まれ変わった。貴官らの帝国こそまやかしだ」

 

「連合こそまやかし! 貴方たちはジェダイに操られているんだ!」

 

「・・・それはどういう意味だ?」

 

「・・・」

 

「皇帝がそう言ったのか?」

 

なるほどな。

何となくわかって来たぞ。

 

パルパティーンは全てをジェダイのせいにするつもりだ。

クローンも国民も、ジェダイに騙されている。

フォースを使って、自分達の都合の良いように事実を捻じ曲げているのだと・・・。

 

「陛下は、クローンや国民に恩赦を与えるとおっしゃった。貴方も騙されているんです」

 

フォックスは本気で信じている。

全てはジェダイが悪い、諸悪の根源だと・・・

これも行動強制チップの影響なのだろうな。

 

だがここまで真実を捻じ曲げ、行動を強制するチップが脳に入っているというのは、どんな悪影響があるかわかったものではない。

何かしらの問題が出てきてもおかしくないはずだ。

 

「安心しろ、フォックス。俺が元に戻してやる」

 

俺はそう言い残し、フォックスに背を向けて監房ブロックを後にする。

取り敢えずフォックス達に埋め込まれているチップを取り出さなきゃな。

 

「B1、この艦の基本的な処置室はそのままか?」

 

「はいマスター、人間の処置が行えるように医療ドロイドが配置されています」

 

ドロイドばかりの艦だからな。

医務室が無くなっていたらと心配したが、杞憂だったようだな。

 

「それでは捕虜の帝国軍兵士を医務室に連れていけ。詳細はタティスに伝えておく」

 

「イエッサー、お任せください!」

 

B1は張り切った様子で、指示の伝達に向かった。

バトルドロイドって可愛いよね。

 

 

 

 

 

<インペリアル級スターデストロイヤー(偽装) ブリッジ>

 

俺はB1に指示を出したその足で、艦のブリッジまで来ていた。

さっきも言ったが、艦の内部構造はヴェネター級と何ら変わりない。

この世界に来た頃は、その広さに面食らったものだが今では我が家同然だ。

 

『マスター、入られます』

 

あるB1が俺の入室に気が付き、他の乗員に知らせる。

別に言わなくても良いのだが、軍隊とはそういうものだ。

どんな時でも、厳格な規律の遵守が求められる。

 

「なんだライズ、お前も来ていたのか?」

 

「・・・コマンダー、この艦は一体どういうことですか?」

 

「どういう事と言われてもな・・・見たままだが?」

 

「貴方は本当に・・・」

 

まあ、彼の言いたいことは分かるが俺にはどうしようもない事だ。

だって俺が始めたことじゃないし、全部コルドヴァ爺さんが悪いんだもん。

俺は悪くない、決して。

 

「この事は後でゆっくりとな」

 

そう言って俺はスーパー・戦術・ドロイドの後ろ姿に声を掛ける。

 

「タティス、捕虜について話があるんだが—————」

 

「光栄ですが、私はタティス様ではございません。基地や艦の清掃に関して一任されているカラーニと申します。現在タティス様が席を外されているので、代理で艦の指揮を執っております」

 

「—————お、お疲れ様です」

 

「光栄ですマスター」

 

えぇー・・・

カラーニって独立星系連合の将軍をしていたスーパー・戦術・ドロイドだよな?

あー、そういえばかなり前にタティスがコイツを捕縛して、清掃係りに任命したとか何とか言っていた気がするな・・・

(参照:第36話 取り敢えず彼女が暴走してます(王の奪還)https://syosetu.org/novel/238784/37.html)

 

「貴様程度の分際で、この方をマスターと呼ぶことが許されると思っているのか?」

 

そう言うのは、今度こそ本当のタティスさんだ。

 

「!?!? め、滅相もありません!! 自分はただ事実を—————」

 

「私に口答えするというのか?」

 

えぇ・・・(2回目)

急にどうした・・・

 

同型ドロイドの間には、明らかな主従関係が出来上がっていた。

っていうかタティスさん、どうしてカラーニにはそんなに当たりが強いんだ?

その他大勢に分類されるB1ですら俺の事をマスターと呼んでいるのに、スーパー・戦術・ドロイドであり、本来であれば軍における将官クラスに該当する彼にはそれが許されないなんて・・・

 

「・・・コマンダー、これは一体どういう事ですか?(2回目)」

 

「いや知らん」

 

ああだ、こうだと揉めている(一方的な暴力)二人を放って置いても埒が明かない。

俺は意を決して、2体の間に入ることにする。

 

「タティス、いい加減にしろ。激落ちくんもだ」

 

「はいマスター」「げ、激落ちくん・・・?」

 

「君にはやってもらいたい事がある」

 

俺は帝国兵であるフォックス達の事をタティスに伝えた。

彼女は高度な知能で俺の意図をしっかりと理解してくれたようだ。

 

「はいマスター、仰せのままに」

 

タティスは『キッ』とカラーニの事をひと睨み(?)し、速足でブリッジから出て行った。

え?

どうして疑問形なのかって?

だってドロイドが睨んでいるかなんて、雰囲気でしかわからないやん。

まあ、彼女に睨まれたカラーニは『ヒィッ』と怯えていたから十中八九間違いない。

 

「・・・さて、激落ちくんは引き続き部隊の指揮を頼んだ。ライズは俺と来い、色々と報告する必要があるしな」

 




はい、お疲れさまでした。

正直、カラーニの存在は完璧に忘れていました。
書き進めていく中で、本当にたまたま思い出したので登場して頂きました。
今後は激落ちくんとしてお世話になりますので、皆さま宜しくお願い致します。

物語の進むペースが明らかに遅いので、そろそろ本格的に完結へと進めて行ければと考えています。
最期までお付き合い頂ければ幸いです。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第81話 取り敢えず新装備

「ネイラー、例のターゲットはどうなった?」

 

「・・・既にこの世にはいない」

 

「そうか! 伊達にネイラー(仕留める者)と呼ばれてはいないな!」

 

ネイラーに声を掛けてきたのは、青年に近づきつつあるボバ・フェットだ。

16歳になったボバは、年若いジャンゴそのものだ。

※現在16BBY

 

スレーヴⅠの船内では、賞金稼ぎのシンジケートであるクレイツ・クローがネイラーの依頼達成を喜んでいた。

 

「帝国に追われているお前を助けた時は、厄介なお荷物を抱え込んだと思ったが・・・取り敢えずは合格だな」

 

そう言うのはトランドーシャンのボスクだ。

チームとしての仕事は何度かしたが、クレイツ・クローは本当にネイラーが使い物になるか試験をする為に、単独での依頼達成を命じたのだ。

 

クローンを兄弟ではないと否定するジャンゴだが、何故かネイラーには気を許している。

多くを語らず、その落ち着いた雰囲気が亡き父親を思い出させるのかもしれない。

 

そんなネイラーだからこそ、ボスク自身も彼を受け入れる事に否定的ではなかった。

本当の意味で信用しているかは別問題だが・・・

 

「お前はどうして帝国に追われていたんだ? それも単独で」

 

クローンがチームではなく、単独で任務を行うなど聞いたことがない。

それに今は混乱の時代だ。

 

共和国のトップであるシーヴ・パルパティーンが独立星系連合側に付き、クローン・トルーパーは共和国と独立星系連合に二分された。

何故命令に忠実なはずのクローンが敵味方に分かれたかは定かではないが、裏の世界の情報ではジェダイを抹殺するために、シスが仕組んだ事だとも言われている。

 

彼らを兄弟だと思ったことは無いが、父が残したいと言った足跡・・・

その形であるクローン・トルーパーはボバにとって、ただの他人と割り切る事は出来なかった。

 

「・・・俺は一人だ、生まれた時からな」

 

一瞬、レイと呼ばれたクローンが頭をよぎるが関係ない。

俺は自らを自覚した時から一人だった。

部下はいても、仲間はいなかった。

 

 

 

 

 

<惑星カミーノ ティポカシティ>

 

「味方を撃つなよ! IVASで見分けを付けろ!」

 

帝国軍はクローンの生まれ故郷であるカミーノへ進軍してきていた。

何度目になるのか、現在ティポカシティの防衛戦が繰り広げられていた。

 

「これが軍で開発されている新装備か! これなら敵味方の判別も容易だな」

 

「うひょー! レイレイ、レイレイ! これ凄いな!?」

 

そう言うのは、久しぶりの登場になるアディスとオーリーだ。

オーリーの目には、俺が4人いるように見えているようだ。

一度に4回も名前を呼ばれる人は相当珍しいと思うぞ。

 

先程から話題に出ている新装備というのは、ヘルメットに追加で実装された統合視覚増強システム(Integrated Visual Augmentation System)、通称IVASだ。

 

これはヘルメットのディスプレイを通して、複合現実(MR)や拡張現実(AR)等を装着者に提供するシステムとなっている。

 

暗視、赤外線装置に加え、戦術情報の確認や武器の照準補正を行えるなど選り取り見取りの装備となっている。

 

細かい話をすると、GPSとネットワークを使った相互リンクが可能で、現在地や敵味方の位置、方位をマップに投影する事も可能だ。

 

まあ簡単に言うと、SFのゲームプレイ画面が視界に広がるというのが一番分かりやすいかもしれない。

 

「だが所詮は機械だ。過信し過ぎないようにな」

 

「わかってるって♪」

 

お前が一番心配だよ、オーリー君・・・

 

前回の戦いではバトルドロイドが主体の部隊だったが、今回はクローン・トルーパーを全面に押し出してきている。

色んな意味で、やり難いことこの上ない。

 

惑星カミーノの軌道上では、クルーザーやファイターの激しい攻防が繰り広げられている。

宇宙からの落下物も多いが、カミーノに新しく設置されたシールド発生装置のおかげで、今のところは被害が皆無だ。

 

「レイ、新しい装備も調子良さそうね!」

 

「アソーカか。今のところは問題無さそうだ」

 

俺たちは進軍してくる帝国軍と戦いながら、無駄口を叩いている。

戦場での生活が長引くと、まともな精神状態ではないんだろうな。

死と隣り合わせの状況で、何でもない日常会話が行えるというのは・・・

 

「どこかのジェダイ・マスターが、率先して開発を手伝ったって聞いたけど?」

 

「ああ、それはもう水を得た魚のように—————」

 

「それは誰の事かな? ぜひ詳しく話を聞かせてもらいたい」

 

そう言って、会話に入って来たのはオビ=ワンだ。

そこそこ良い歳になって来て、髪には少しだが白い線が確認できる。

 

「これはケノービ将軍、恐らく見当はついておられるのでは?」

 

「アナキン、最近会議を欠席する事が多かったのはその為か?」

 

オビ=ワンは溜息を吐きながら、後ろから歩いてきた若きジェダイ・マスターに声を掛ける。

長引く戦争に身を置き、議長誘拐事件(笑)の時にも既に長かった髪は3年の時間経過でさらに伸びていた。

 

「これも大切な仕事です。戦場での死傷者数減少は、軍にとって最重要課題の一つですから」

 

アナキンはさらに洗練された“口”を使い、かつてのマスターに反論する。

もっともらしい事を言われて、オビ=ワンは上手い返しが見つからない様だ。

 

「そんな事より敵が気合を入れ直したようです。レックス、部隊を率いて敵を足止めするんだ」

 

「イエッサー。野郎ども続け!!」

 

「おいアナキン、話はまだ・・・全く、せっかちなのはマスターになっても変わらんか。コーディー、我々も行くぞ。アナキンに負けられないからな」

 

「イエッサー」

 

因みに行動強制チップが埋め込まれ帝国に付いていたコーディーだが、今では以前と同様にオビ=ワンの副官を務めている。

カミーノアンで、クローン製造の責任者をしているドクター・ナラセにもお墨付きをもらって軍務に復帰したのだ。

 

「ああズルい!! グレガー、私たちも行くわよ!」

 

「はい、タノ将軍」

 

クローン・コマンドーのキャプテンだったグレガーは、今ではコマンダーに昇進し、ジェダイ・ナイトであるアソーカの副官を務めているのだ。

 

「おいファイヴス、俺たちも競争といこうや。エコーもやるだろう?」

 

「仕方ないな。カタップはどうする?」

 

「俺は遠慮しておく。一人は審判が必要だろ?」

 

元ドミノ分隊の面々も相変わらずだ。

ヘヴィーを筆頭に、非常に良い雰囲気が出来ている。

彼らを見るとかつての俺たち(ARCS)を見ているような気持になる。

 

「大丈夫かレイ?」

 

「・・・ああアディス、問題ない。さっさと故郷を救ってしまおう」

 




はい、お疲れ様でした。

少し短いですが、キリが良かったので今回はここまでで許して下さい。
ありがとうございます。
本当に助かります。

ここから完結に向けてどんどん進めて行きたいと思っておりますが、あくまで私の願望なので気長にお付き合い下さい。

一応、今のところはハッピーエンドを目指していますが、完結後にパラレルワールド的な感覚で『バッドエンドパターンを投稿するのも面白いかなー』なんて思っていますが、ここはアンケートなどを使って考える事にします。
ご協力頂ければ幸いです。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第82話 取り敢えず最後にして欲しい防衛戦

帝国はカミーノを落とす事に全力を注ぐことに決めたようだ。

今までとは明らかに敵の規模が違う。

さらに今回はクローンを全面に押し出してきている為、ドロイドのチンケな戦略とは訳が違う。

 

だがこちらの戦力も中々だ。

アナキンをはじめ、オビ=ワン、アソーカというジェダイの中でも屈指の実力者が参加しているのに加え、歴戦の第501大隊やARCSの面々や俺の部隊である第117コマンド大隊もいる。

こちらの守りを突破するのは容易なことじゃないぞ?

 

「レックス、部隊を率いて僕に続け!」

 

「将軍、どちらに?」

 

「守りはマスターに任せて、僕たちは攻めに転じる」

 

「はい将軍、聞いたな野郎ども!?」

 

『『『サー・イエッサー!!』』』

 

・・・某将軍は守るよりも攻めが好きなのは昔から変わらないな。

 

「レイレイ、俺も向こうに行きたいんだけど?」

 

「・・・はぁ、わかった。ライズ! 部隊の指揮を任せる。俺はアディスとオーリーと共にスカイウォーカー将軍を援護する」

 

「イエッサー、お気をつけて」

 

 

 

 

 

現在敵はティポカシティ東側からの攻撃を主としており、こちらの軍も殆どは東側に集結している。

膠着状態が続く戦況を打開する為にアナキンを指揮官とした第501大隊と、俺たちARCSトルーパーの3名が敵を側面から叩く作戦に打って出た。

 

その時、まさかの事態が起きた。

敵さんも同じことを考えていたようで、相手の別動隊とぶつかったのだ。

 

「ゴホッゴホッ・・・連合も同じことを考えていたようだな」

 

「グリーヴァス! 相変わらず風邪気味か?」

 

「アナキン・スカイウォーカー・・・ゴホッゴホッ、ジェダイの馬鹿めが!!」

 

グリーヴァスがそう言うと彼の護衛であるマグナガードと、帝国のクローンが襲い掛かってきた。

今や彼らはストームトルーパーと呼ばれ、部隊を示したカラーリングも廃止し、純白のアーマーに身を包んでいる。

 

「散開しろ! 敵を通すわけにはいかない」

 

アナキンはそう言うと自らの光剣を起動して、向かってくるマグナガードと対峙する。

俺たちはストームトルーパーを相手に、グリーヴァスをけん制する。

 

「奴を逃がすなよ。 逃がせばこちらの作戦が敵に知られてしまう」

 

俺は周りに注意を促し、オーリーと敵に向かって突撃する。

オーリーは既に専用装備の【ラース】を起動している。

 

「へへへ、こうやって戦うのも久しぶりな気がするな、レイレイ!」

 

「腕は落ちていないだろうなオーリー?」

 

「余裕、余裕♪」

 

オーリーはそう言いながら【ラース】を巧みに使い、洗練された射撃能力で敵を次々に葬っていく。

この長引く戦争の経験から、生き残っているトルーパー達の戦闘技術は飛躍的に向上している。

それは敵さんも同じだが、皇帝の為に服従している彼らは命を軽んじており、戦術を雑にしている。

 

アナキンは既に2体のマグナガードをスクラップにしており、フォースジャンプで一気にグリーヴァスの下まで跳躍する。

落下の重力加速度も加えた強力な斬撃を繰り出し、堪らずグリーヴァスは交代する。

 

「グリーヴァス、今まで殺されたジェダイやクローンの為にも、今日ここでお前を倒す」

 

「ゴホッゴホッ、評判は伊達じゃない様だなアナキン・スカイウォーカー。貴様を倒せばシディアス卿もさぞお喜びになるだろう・・・ゴホッゴホッ」

 

グリーヴァスはそう言うと両腕を上下に分割し、四本のライトセーバーを起動する。

それらを機械の身体の特性を活かし、激しく回転させる。

 

「さあ来い、スカイウォーカー!」

 

アナキンはその激しい回転に少しも怯まず、逆にグリーヴァスに向かって攻撃を仕掛ける。

今までこの攻撃を見せると殆どのジェダイは距離を取り、様子を伺っていた。

 

それが彼はどうだろう?

怯むどころか、逆に向かってくるではないか?

 

この男は今までのジェダイとは全く違う。

彼は喜びにも似た感情を覚えた。

 

それは彼が機械の身体になる前、まだ生身の肉体であった頃に味わっていた懐かしい感情だった。

グリーヴァスはこの戦いを楽しんでいた。

 

だがそんな感情もつかの間、アナキンの洗練された攻撃にグリーヴァスは次々に腕を切断されていく。

数秒の間に3本の腕を切り落とされ、残る1本もアナキンの強力なフォースによって潰され、引きちぎられた。

 

「ぐはぁぁぁぁぁ!! そんな馬鹿な、ワシはドゥークー伯爵からジェダイの技を学んでおるのだ! ゴホッゴホッ」

 

「僕はドゥークーよりも強い。そんな彼に技を教わったところで、お前が僕に勝てるわけはない」

 

圧倒的な敗北感、それをグリーヴァスは生まれて初めて感じていた。

プライドのせいで負けを認められないが、心の奥底でははっきりとわかってしまった。

“彼には勝てない”と・・・

 

「ゴホッゴホッ、ワシは認めない。死ぬなら貴様らも道ずれだ!!」

 

そう言うと、自らの身体に仕込んでいた自爆装置を起動する。

 

 

 

 

 

アナキンとグリーヴァスの部隊が戦闘を始めた頃、オビ=ワンらの前にも馴染みの顔が現れていた。

 

「ケノービ・・・!」

 

「これはこれはモールじゃないか? マンダロアで捕まったお前が何故ここにいる?」

 

「白々しい! 我が弟のおかげで、こうして再び貴様を殺す機会を得たのだからダース・シディアスには感謝しなくてはな」

 

そう言うと、彼の傍に弟のサヴァージ・オプレスが現れる。

 

「君も生きていたとはな。つくづくしぶとい兄弟だよ君たちは」

 

「ケノービ!! 今日を貴様の命日にしてやる!!」

 

モールがそう叫び声を上げると、サヴァージと共に深紅の光剣を起動してオビ=ワンに向かって攻撃を仕掛けてきた。

 

「おっと、マスターはやらせない」

 

そこにアソーカが助太刀に入る。

彼女も今ではジェダイの中でもトップクラスの実力を誇る騎士へと成長している。

後れを取ることは無いだろう。

 

「どけ小娘!!」

 

サヴァージの荒々しい攻撃をしなやかな動きで避け、隙を伺うアソーカ。

彼女の洗練されたテクニックと反射神経の前に、思うような戦いができないサヴァージは怒りに震える。

 

「があぁぁぁ!!」

 

怒りの雄叫びを上げ、暗黒面の力を増大させる。

さらに荒々しくなる攻撃も、アソーカは紙一重の所で避け、受け流していく。

パワーや体格では勝っている小娘に、良いように弄ばれているサヴァージは、その怒りを放出するかのように暗黒面の力が乗ったフォースで敵味方関係なく吹き飛ばしてしまう。

 

「おい、君の弟に少しは自重してくれるように頼んでくれないか?」

 

「ケノービィィィ!!」

 

モールはオビ=ワンからの言葉に答える事なく、攻撃的なフォームであるジュヨ―を用いて洗練さと激しさを合わせた斬撃を繰り出す。

 

その攻撃をオビ=ワンは受け止め、受け流す。

メイス・ウィンドゥから“ザ・マスター(ソレスを極めし者)”と言わしめる程の実力を持つオビ=ワンの完璧な防御を、モールは思うように崩せないでいた。

 

彼らがシスを抑えている間にカミーノを防衛しているクローン部隊が、敵のストームトルーパーを次々に撃破していく。

コーディーをはじめ、ライズやグレガー、ドミノ分隊の面々が参加していることで、銀河連合側の防御は今までにない程強固なものになっていた。

 




はい、お疲れさまでした。
いやぁ、本当に久しぶりになってしまって申し訳ございませんでした。

久しぶり過ぎて、話がどこまで進んでいたのか思い出しながら書いていたので、過去の話から矛盾が出て来てしまうかもしれないので、その時は教えてくれると助かります。(人任せ)

出来るだけ更新の感覚を開けないように頑張りますが、気長に待って頂けると助かります。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第83話 取り敢えず追いかける

その時、町の北側から激しい爆発音が響いた。

 

「マスター、あの方向って・・・」

 

「ああ、またアイツが何か仕出かしたに違いない」

 

そう思ったのも束の間、施設のあちこちから激しい爆発音が鳴り響く。

 

「嫌な予感がするな・・・」

 

 

 

 

 

何よりも自分の身を大事にするグリーヴァスが、自爆と言う選択をするとはここにいる誰にも予測する事が出来なかった。

激しい爆発により、辺りは煙や瓦礫によって視界が効かない状況だった。

 

「・・・無事か、アディス、オーリー?」

 

「痛てててて、あのゴキブリちゃんが自爆するなんて、そんなのアリか?」

 

「くっ・・・ここは戦場だ、何でもあり得るさ」

 

近距離での爆発だったが、俺たちは衝撃による軽い脳震盪程度で済んでいる。

明らかに被害が少ない。

 

少しずつ視界が晴れてきたため、周囲を確認するとアディスの専用装備である【アイギス※】がスクラップになって散らばっていた。

※(非常に小さい、球体状の兵器でアディスの専用バックパックに無数に搭載されている。この球体一つ一つからブラスターによる攻撃が可能)

 

・・・なるほど。

アディスが専用装備を展開したことにより、爆発のエネルギーを【アイギス】が吸収、分散してくれたのか。

 

俺は即座に新装備のIVAS(統合視覚増強システム)を使い、ヘルメットのディスプレイに表示される情報を確認する。

 

この場から離れる赤い点が表示されている。

恐らく・・・というか十中八九グリーヴァスの野郎だろうな。

奴が自爆するなんておかしいと思ったんだ。

 

「レイ、無事か!?」

 

そう言いながら駆けつけてくれたのはアナキンだ。

彼も埃などで汚れてはいるが、大きなケガなどは無いようだ。

 

「ああ、アディスのおかげだ。部隊の奴らは?」

 

「アディスの? ・・・なるほど、そういう事か。 他の皆も無事だ。だがまさかグリーヴァスが自爆するとは・・・」

 

アナキンは周囲に散らばっている無数の【アイギス】の残骸を見て納得したようだ。

アディスの機転がなかったら被害は甚大なものになっていたのは言うまでもないだろう。

 

「いや、ここから離れる敵性反応が確認できる。おそらくあのゴキブリ野郎だろうな」

 

その時、IVASの警告音がヘルメット内部に鳴り響く。

敵の大部隊だ。

 

「くそ、こんな時に・・・レックス、部隊を防御陣形に! 体勢を立て直す!」

 

「イエッサー!」

 

大量の瓦礫と粉塵の中から、スーパー・バトルドロイドとストーム・トルーパーの混成部隊が姿を現してきた。

ドロイドを盾に、ストーム・トルーパーの正確な射撃がこちらを狙う。

 

「くそっ! ブリキ野郎を盾にするとは考えたな」

 

そう言うのは、敵に応戦するレックスだ。

こちらは生身の人間しかいないが、向こうは機械と人間の混成部隊。

敵さんは取れる戦術の幅が広いのだ。

 

「アナキン、俺たちはグリーヴァスを追う、ここを任せても良いか?」

 

「わかった! 手負いとはいえ、何をしてくるかわからない。気を付けるんだぞ?」

 

「ああ、わかっている。アディス、オーリー、付いてこい!」

 

 

 

 

 

まずいな。

奴が向かっているのは、ジャンゴ・フェットの遺伝子コードや成長の初期段階のクローンが格納されているティポカシティの中枢だ。

加えて帝国を迎え撃つために、大半の戦力が“外”側に集結している。

 

あの中枢をやられれば、俺たちは新しい世代のクローンを全て失うことになる。

クローンを失った銀河連合の未来がどうなるかは言うまでもないだろう。

 

「レイ、あの方角は—————」

 

「ああ、俺たちの“兄弟”に危険が迫っている。オーリー、応援を呼べるか?」

 

「・・・ぜーんぜんダメだ、さっきから本部に呼び掛けているけど、誰からも応答がない」

 

ジャマーか?

応援を呼べないとなると、俺たちだけでどうにかするしかなさそうだ。

この胸をざわつかせる感覚が、俺の気のせいだと良いんだけどな・・・

 

「レイ? 何か気になることが?」

 

俺の様子を見て、アディスが声を掛けてくれる。

 

「・・・問題ない。先を急—————」

 

その時、ティポカシティのあちこちから激しい爆発が起こる。

建物全体が揺れる程の激しい連鎖爆発だ。

 

同時に天井の上を通るダクトから、大量の“何か”が動き回っている音が聞こえる。

ジャマーの影響でIVASが正常に作動していなかったのか?

 

「ダクトに何かいるぞ!」

 

俺の声に反応して、2人はそれぞれのブラスターを天井に向かって構える。

 

「!! レイレイ! 上だけじゃない! “壁”にもいる!!」

 

オーリーの警告と同時に、壁の中やダクトに潜んでいた“何か”が高温になっていくのを何とかIVASが捉える。

 

3人は今までの経験から、反射的に同じ行動をとった。

それぞれが装備していた、新型のEMPグレネードを四方八方に投擲する。

グレネードに内包されていた電磁パルスが放出さ、爆発寸前だった“何か”の機能を停止させる。

 

しかし、EMPの範囲外にいた“何か”の機能を停止させることは叶わず、決して小さくない爆発が連鎖的に発生する。

俺たちは爆発を完全に抑え込めないとみると、直ぐさま身の安全を優先する。

 

アディスとオーリーは、新型のARCSトルーパー・アーマーに装備された高周波ブレードを、俺は元々装備していたベスカー製の高周波ダガーをそれぞれ用いて、真下の床の切断に掛かる。

 

何とか連鎖爆発が襲い掛かってくる前に床下へと避難する事に成功するが、爆発による圧倒的な熱量と瓦礫の山が3人を襲う。

 

俺はベスカー製のアーマーを着込んでいる為、2人の上に覆い被さる。

少しでも彼らに被害が及ばないようにする事くらいしか今できる事はない。

 

永遠にも感じられる爆発は、突然終わりを迎える。

どんなに耐久性に優れているベスカーとはいえ、装着者への衝撃をゼロに出来る訳ではない。

全身に襲い掛かって来た衝撃、特に頭部へのダメージが大きく俺は軽い脳震盪に陥っていた。

 

「—————!!」

 

「—————!?」

 

物事を正常に認識する事が出来ない。

仲間の声を“音”として聞くことはできるが、意味のある“声”として認識する事ができない。

そのまま俺は意識を手放した―――――

 

 

 

―――――数秒だったのか、数分だったのか・・・

ブラックアウトした状態から、徐々に意識がハッキリとしてくる。

 

周囲を確認すると、辺りは爆発によって瓦礫の山となっている。

壁は崩れ、天井や床の一部は崩壊している。

 

瓦礫の山の中には、機械の部品のような物が混ざっており、その中でも損傷の少ない個体が確認できる。

“バズ・ドロイド”だ。

 

「・・・なるほどな。バズ・ドロイドか」

 

「レイ、気が付いたか」

 

「レイレイが上に乗ってきた時は重くて死ぬかと思ったぜ! もうしないでね?」

 

どうやら2人には大きな怪我等も無いようだ。

・・・良かった。

これ以上、仲間を失う事に耐えられそうもない。

「・・・オーリーの上には武器・装備、弾薬などもこれ以上ない程の量を身に着けてから覆い被さる事にしよう」

 

「どして!?」

 

「そんな事よりも身体は大丈夫か?」

 

オーリーの話などどうでもいいと言うように、アディスが声を掛けてくれる。

そんなオーリーは言うと、

『重くて死んじゃうよ?』

とか、

『レイレイの事を思って言ったのに・・・オーリー泣いちゃう』

など、耳障りなセリフを吐き続けている。

 

「・・・ああ、問題ない。ベスカー様様だな。そんな事よりも早くグリーヴァスを追おう」

 

「了解した」

 

素早く床下から抜け出した俺とアディスは、グリーヴァスを捕まえるためにティポカシティの中心へと歩みを進める。

 

「―――――俺はレイレイが気を使わないようにあえて・・・ってあれ? 2人はどこ行った? おーい、待ってくれよー!」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・嘘だろ?」

 

俺にはオーリーの呟きが耳に入ってこなかった。

視界に入ってくる惨状によって、思考が正常に機能していないようだった。

 

「未来が・・・俺たちの“兄弟”が・・・」

 

目の前にはバズ・ドロイドの連鎖爆発によって破壊された成長カプセルの残骸が広がっていた。

 

彼らは生きたまま、抵抗もできない状態で焼かれたのだった。

 




はい、お疲れ様でした。

久しぶりになってしまって申し訳ない・・・
少しずつ執筆はしているので、気長にお付き合いください。

メッセージや感想を下さった方には、時間見つけて返信します!
執筆のモチベーションは送ってくださる方々に支えられています。
本当にありがとうございます。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第84話 取り敢えず応援を呼ぼう

こちら側の生命線でもある惑星カミーノ、ティポカシティの攻防戦は今までも幾度となく繰り広げられてきた。

その度に軍が守りやすいようにと、アウターリムの遥か彼方にある施設の移動を具申して来たが全て却下されたのだ。

その理由は、カミーノアンという気難しい種族の特性故だ。

 

その結果がこれだ。

言葉にならない程悲惨なものだ。

 

目的を達成した帝国軍は撤退、追撃をしようと試みた銀河連合国は足止めに残されたバトル・ドロイドに行く手を阻まれ、それすらも失敗に終わった。

 

その帝国の目的というのは、次世代のクローン・トルーパーやジャンゴ・フェットの遺伝子コードの破壊だ。

 

後で聞いた話だが、バズ・ドロイドによる連鎖爆発が起こった際、各方面に散らばっていたジェダイはたくさんの命が一度に失われたのを感じ取ったのだという。

便利なのか、そうでないのか・・・

 

失ったことに気が付いたって、それを止められないなら意味がないだろう。

クソったれ・・・

 

 

 

 

 

「議長閣下、以上がカミーノでの事の顛末です」

 

オビ=ワンが話しているのは、遥か遠くの惑星コルサントにいる連合元老院議会最高議長であるモン・モスマだ。

 

銀河連合国の誕生により混乱していた内政を鑑み、一時的にジェダイ評議会が元老院議員と協力して事態の収拾に勤めていた。

努力の甲斐あって今ではある程度の安定を取り戻し、銀河元老院議会と分離主義元老院議会は、連合元老院議会へと形を変えた。

 

かつては若く、理想主義的な考えを持っていたモン・モスマだったが、パルパティーンへの権力の集中や、元老院の政治的な影響力が急速に失われていくのを目の当たりにし、これを是とせず、パドメ・アミダラやベイル・オーガナらと協力して反対運動を行っていた。

 

パルパティーンが銀河帝国樹立を宣言したことが決定打となり、道義心の強いモスマの重要性が世論にも浸透していったのだ。

 

生まれながらに持ち合わせているカリスマ性に加え、“運命の預言者”と評されるほどの手腕により、モスマは絶大な支持を得ている。

それでいて権力に堕落しない姿勢は目を見張るものがある。

 

『状況は分かりました。とにかく今は、彼らへの哀悼の意を捧げましょう』

 

今まで多すぎる数の戦友を亡くしてきた。

だがその状況に慣れてしまっていたのも事実だ。

 

そんな精神状態でも、今回の出来事はかなり来るものがあった。

別に『大人だから』『子供だから』と言うつもりは無いが、やはり未来ある子供たちの死には色々と考えてしまうのも仕方のない事だろう。

 

「・・・閣下、今は戦争中です。これからの事を考えなければ・・・」

 

「戦争に次ぐ戦争・・・私たちはこの国を守らねばなりません。次の世代、これから生まれてくる子供たちの為にも・・・犠牲になったもの達の為にも」

 

 

 

 

 

惑星カミーノの混乱を収める為、ジェダイ評議会から派遣されたのはシャアク・ティだった。

彼女に現場の指揮を任せ、俺たちはコルサントへと帰還した。

 

<惑星コルサント ジェダイ評議会>

 

「クローンの生産がストップしたとなると、状況は一気にこちらが不利になります。施設の復旧は可能でしょうが、オリジナルであるジャンゴ・フェットの遺伝子コードも失われました。こちらに残された時間は少ないかと・・・」

 

そう話すのはオビ=ワンだ。

長期戦になると連合国側が不利になるというのは、火を見るよりも明らかだった。

その為か評議会の面々の表情は暗い。

 

グランドマスターであるヨーダは傍らに置いてあった緑茶を一口飲むと、その香りと渋みを堪能し、穏やかな表情を見せながら口を開いた。

 

「・・・うーむ、今までワシらはクローンに頼り過ぎていたのかもしれんの」

 

「クローン・トルーパーがいなければこの戦争に勝つのは難しいのも事実、こちら側の戦略を見直す必要があります」

 

「はい、それも急がなくては・・・」

 

ムンディに続いたのはオビ=ワンだ。

だがその場にいたアナキンは、もっと別の考えを持っていた。

 

「・・・私に考えがあります」

 

「考え? マスター・スカイウォーカー、その考えというのは?」

 

「はいマスター・ウィンドゥ、目には目を・・・・彼をお借りできます?」

 

アナキンは自分の考えを伝え、評議員らは驚きながらもそれを承認した。

矢面に立ったのはレイ、彼を引き連れて向かった先は辺境の惑星ボガーノだった。

 

 

 

 

 

<ヴェネター級スターデストロイヤー リナウン船内>

 

「こちらスカイウォーカー将軍、コードを送信する」

 

『お待ちを・・・コード確認しました』

 

俺は久方ぶりの休息の時間を堪能しようとしていた所、アナキンに呼び出しを受けた。

士官用に用意されている区画になんちゃって銭湯を作らせたのは良かったものの、忙し過ぎて入る機会に恵まれなかった。

 

今回ようやく入れると思っていたのに・・・

人生そう上手くいかないようです(泣)

 

ちなみにこのヴェネター級は、過去に分離主義派が鹵獲していたものだ。

ほらほら、惑星アバファーの一件で、大量のライドニウムが運び込まれていたヤツですよ。

 

え?

そんなのあったっけって?

グレガーが記憶を無くしていた一件って言えば分かりやすいかな?

あの時、ウチのタティスさん(スーパー・戦術・ドロイド)がそのまま頂戴していました、はいすみません。

 

そんなヴェネター級の後ろには数隻の元独立星系連合のクルーザーが追従している。

ここまで言えば分かりますよね?

クローンの供給がストップした今、相手と同じ土俵に乗る事にしたのだ。

 

あ、因みに久しぶりにボガーノに帰ったら、ドロイド軍の規模がエライ事になっていました。

数隻のクルーザーなんてその中のほんの一部ですよ?

 

おーい、某“友よ”爺さ~ん?

あんたのドロイド集めの趣味が銀河に平和をもたらすかもしれませんよ~?

選ばれし者って隣にいるイケメンじゃなかったっけ?

禿散らかっている孤高の爺さんだったけ?

 

「アナキン、それにしても評議会がよく了承したな。 ・・・と言うか元老院の方は大丈夫なのか?」

 

「ジェダイ評議会も随分と柔軟になったという事だろ? 元老院の方には既にマスター・ウィンドゥが話を通したから問題ない」

 

「ほーん・・・まあ、戦時だからな。背に腹は代えられないか」

 

それにしても柔軟過ぎないか?

柔軟過ぎて怖いんだよなぁ・・・

やっぱり緑茶?

緑茶なの??

 

後でまとめてトンデモナイ副作用とか出ないよね?

レイ君不安しかありません。

まあここまで来たら流れに身を任せますよ。

どうなっても知らないからな・・・。

 

 

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂某所>

 

「マスター・スカイウォーカーからの報告をまとめると、かつての独立星系連合の規模に肉薄する戦力が味方に付いたことになります」

 

その場にいるのはヨーダ、メイス、オビ=ワンの三名だ。

聖堂の廊下を歩きながら、今後の事を話し合っている。

 

「規模だけで見ればそれに遠く及ばないようですが、個々の能力は比較にならない程優れているようです。あれ程の軍をどうやって・・・」

 

「過去に戦闘に介入してきた第三の勢力がいたが、その正体がどこの管理下にも置かれていなかったとは驚きです」

 

メイスが言っているのは以前、惑星カミーノでの攻防戦にタティスが介入してきた時の事だ。

その出来事がきっかけで判明した第三勢力をアンノウンと呼んでいた。

 

「うーむ・・・暗黒面の力が強まっておる。細心の注意が必要じゃの」

 




はい、お疲れ様でした。

ようやく温めてきたドロイド軍が出せますw
今後は完結に向けて一気に進んでいきたい!(願望)

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第85話 取り敢えず最終局面に入った

ボガーノのドロイド軍が合流し、銀河連合国の軍は新たな体制へと変化した。

元々分離主義派だった者たちはバトル・ドロイドがいることに違和感はないようだったが、元々共和国だった俺たちは違和感満載だ。

 

コルサントをバトル・ドロイドが闊歩(かっぽ)しているんだぞ?

頭がおかしくなりそうだ。

どうしてこんな事になってしまったんだ・・・

 

ああそうか。

あの爺さん(コルドヴァ)のせいか・・・

俺は何も知らないぞ。

 

この隙に銭湯へ—————

 

「ア! マスター、お疲れ様でス!」

 

「本当ダ! マスター、お久しぶりでス!」

 

現実逃・・・身体と心のケアの為に銭湯へと向かおうとしていた俺に声を掛けて来たのは、グレーに塗装されたゴツめのB-1バトル・ドロイドだった。

通常のバトル・ドロイドとは違い、タティス(女性型のスーパー・戦術・ドロイド)によって大幅なアップグレードされている彼らは、大量生産のB-1でありながらスーパー・バトル・ドロイドに匹敵する体躯を備えている。

 

随分とマッチョになられましたね・・・

本来だと骨しかないからな。

っていうか、ドロイドってマッチョになれるんだね(迷走)

 

「ま、マスター? なんの事かな? 私にバトル・ドロイドの知り合いはいないはずだが・・・マスターと言う名称からジェダイの誰かと勘違いしているのかな?」

 

彼らは2人で顔を見合わせている。

いや、ドロイドだから2体か?

 

そ、そんな事はどうでも良いんだ!

とにかくこの状況を何とかしたい・・・

軍の高官がバトル・ドロイドに“マスター”と親しげに話し掛けられているこのカオスな状況に、周りのクローンたちが俺を変な目で見ているのです・・・

 

俺の威厳が地に落ちてしまう。

え?

そんなものは元々無いって?

やかましいわっ!!!

 

2人・・・2体のドロイドは俺を不思議そうな顔で見てくる。

いや、そもそも表情なんて無いんだけど、なんかこう・・・雰囲気的な?

と、とにかく可哀想な奴を見るような目をしている気がする。

 

なんで、どうして?

っていうか俺ってこんなキャラだったっけ?

 

「マスター、メモリーに異常があるようでス」

 

「安心してくださイ。 オイラ達が責任を持って姉御の所にお連れしまス!!」

 

えぇぇ??

何その扱い・・・

っていうか姉御って、十中八九タティスの事だよな?

それだけはやめて?

アイツ、ドロイドのくせにメンヘラ気質っていう質の悪い特性を持っているから。

 

 

 

 

 

<アウター・リム・テリトリー某所>

 

「この艦を中心に編隊を組んで後に続け!!」

 

アナキンの声がブリッジに響き渡る。

 

帝国軍との戦いが最終局面を迎えている俺たちは、アウターリムに存在する名も無き惑星を抑えるために部隊を率いている。

 

先頭に立つのは共和国時代から第501軍団と共に数々の功績を挙げて来たヴェネター級スターデストロイヤー<レゾリュート>だ。

不沈艦と呼ばれ、今では生ける伝説となっている。

 

その艦が先陣を切っている事で、兵たちの士気は非常に高い。

新たな世代のクローン・トルーパーはもう存在しないが、タティス率いるバトル・ドロイドの部隊が戦力に加わったことで、銀河連合国の軍事力は大幅に向上している。

 

「この星を抑えれば、帝国への足掛かりになる」

 

そう呟くのはアナキンだ。

コルサントの戦い(EP3)から数年が経過した現在、彼は若さと経験を積んだ素晴らしいジェダイへと成長した。

今ではジェダイ評議会の中心人物として、ヨーダやウィンドゥからの信頼も厚い。

 

そんなアナキンの成長した姿を見て、オビ=ワンが少し寂しがっていたのは秘密だ。

 

「はい、将軍。加えて諜報部隊からは、帝国が新型の宇宙ステーションを開発しているとの情報がありました」

 

「デス・スター・・・」

 

レックスの言葉に、俺はそう呟いた。

やはりあの兵器が出てくるのか・・・

 

「以前レイが言っていた、惑星を丸ごと破壊できるという帝国の最終兵器か?」

 

「ああ、コードネーム“スターダスト”・・・兵器と呼ぶにはあまりにも巨大だけどな」

 

直径で言うと120㎞程の大きさを誇っていたはずだ。

勿論、他の惑星と比べると小さいかもしれないが、人工物として考えるとその規格外な大きさが分かるはずだ。

 

「将軍、敵クルーザーとコンタクト、多数の熱源を探知しました」

 

「お客さんがやって来たようだな、こちらもファイターを発進させろ」

 

「イエッサー」

 

ブリッジにいるオフィサーが、各艦へと命令を伝達する。

こちらにもバトル・ドロイドによる無人機がいる為、戦略の幅が広がっている。

やはりクローンとドロイドの組み合わせは強い。(小並感)

 

「さあ、パーティーの始まりだ」

 

 

 

 

 

帝国はグレーに塗装されたクルーザーで、こちらに攻撃を仕掛けてくる。

帝国の質実剛健さが現れており、威圧感もあるな。

だがまだこちらとの距離があり、クルーザー同士では効果的な攻撃が行えないでいた。

 

帝国もトルーパーとバトル・ドロイドの混成部隊で対抗してくる。

だが、どうにも帝国側のクローン達の練度が低いように感じる。

加えて敵のバトル・ドロイドよりも、こちらのバトル・ドロイドの方が性能が良いこともあり、戦況は誰が見てもこちらが有利だ。

 

「タティス将軍、そちらのファイターを前面に押し出してくれ! 敵の守りを一気に突破する」

 

『はい、スカイウォーカー将軍。ヴァルチャー・ドロイド・スターファイターとドロイド・トライ=ファイターを中心に編隊を組め』

 

アナキンの指示を受け、タティスはドロイド達に命令を出した。

不思議な画だが、最近は少しずつ慣れて来た。

クローン達も初めは違和感満載だっただろうに・・・。

 

だが、バトル・ドロイド達のおかげでクローンの殉職率は大幅に低下した。

もう既に次世代への道は閉ざされたが、クローン大戦から生き残っているクローン達は非常に練度の高い、精強な部隊へと成長している。

本当に頼もしい限りだ。

 

「よし、守りを突破した! ファイターで敵艦の砲を潰すんだ!」

 

こちらが敵ファイターの守りを突破したことにより、直接敵艦を狙う事が可能になった。

重武装大型戦闘機であるARC-170スターファイターの強力なレーザー砲とプロトン魚雷によって、敵艦へダメージを与えていく。

 

「オッド・ボール、相変わらず良い腕だ」

 

『ありがとうございます将軍』

 

クローン・コマンダーであるダヴィジャン、通称オッド・ボールをはじめ、彼が率いるスクワッド・セブンもこの戦いに参加している。

彼らの活躍のおかげで、敵艦のほとんどが主砲や対空砲にダメージを負い、文字通り丸裸の状態となっていた。

 

 

 

だが敵艦は投降する気は無いらしい。

スラスターの出力を上げ、こちらに向かってくる。

それもファイターや、ヴェネター級からの攻撃をその身に受けながら・・・

 

それから程なくして、この戦闘は銀河連合国の勝利に終わった。

気持ちの良い物じゃないな。

帝国のやり方には反吐が出る。




はい、お疲れさまでした。

お久しぶりです!
お待たせしてしまって申し訳ない・・・

リアルが忙しいので更新が遅くなってしまいますが、気長に待って頂けると幸いです。
(いつも同じこと言っている気がする)

暑い日が続いておりますので、皆さんお身体に気を付けてお過ごしください。



それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第86話 取り敢えず俺ってバカらしい

<銀河外縁部:名も無き惑星 銀河連合国前哨基地>

 

先の戦闘で、銀河外縁部の名も無き惑星を抑える事に成功した銀河連合国は、帝国との戦いの前哨基地とし利用するという当初の目的を達成した。

 

バトル・ドロイドの労働力もあって、短い時間だが前哨基地としては立派な基地が完成しつつあった。

寝る事も、食べる事も必要ないとは本当に便利な身体だよな。

ケガ(損傷)しても、部品を取り換えるだけで済むと言うのは、もしかしたら兵士の究極系かもしれないぞ?

 

・・・いや、それは褒め過ぎか。

人間には、機械には分からない“直観”というものが存在する。

いくら高性能な機械でもこれを真似する事は不可能だろう。

 

「コマンダー、お疲れ様です」

 

そう声を掛けて来たのはファイヴスだ。

エコーもいるな。

 

「ああ、ご苦労。お前たち二人がカミーノで候補生をしていた頃が懐かしいよ。今では立派なARCトルーパーだな」

 

ドミノ分隊の面々は今までの活躍を評価され、曹長という階級を与えられている。

下士官ではトップに近い階級だな。

 

「自分らの人生は貴方たちに出会ってから大きく変わりました。本当に感謝しています」

 

「自分をスカコ・マイナーから救い出してくれた事も忘れはしません」

 

何だよお前ら、水虫臭いじゃねーかよ!?

違う、水臭いじゃねーかよ!?

そんな事を改めて言われるとレイ君身体が痒くなります。

 

「いや、ARCトルーパーになれたのはお前たちが元々優秀だったからだ。それにエコーの事はもっと早くに助け出せれば良かったんだが・・・本当にすまない」

 

何故か2人は顔を見合わせて笑い出した。

な、なんだよ?

何か変なことでも言いましたか!?

 

「いえ、すみません。お礼を言われているのに逆に謝るなんて、貴方らしいなと思いまして」

 

「・・・それは馬鹿にされているのか?」

 

「いえ、とんでもない。信頼の証です」

 

何が信頼の証なのか分からないが、まあ馬鹿にされている訳じゃないようで安心した。

・・・あれ?

俺って単純?

 

「レイレイはおバカだよ~♪」

 

そう言うのは、いつの間にか傍にいたアソーカだ。

アソーカの副官で、クローン・コマンドーのグレガーも一緒だ。

今では立派なジェダイの騎士だが、根本的な所(性格)は変わっていない様だな。

それにしても・・・

 

「おいアソーカ! 誰がおバカだ!?」

 

「? レイの事だよ~? 普通じゃ考えられないような事を今まで散々してきたじゃん? そんな人はバカか天才かのどちらかだよ」

 

俺は間違いなく天才ではないから・・・バカって事か?

え、俺ってバカだったの?

そうなの?

 

「・・・俺ってバカだったのか」

 

俺たちの掛け合いを近くで見ていたトルーパー達は、声を上げて笑い出した。

上官をバカにしやがって・・・

許しません。

 

「気を付け!! その場に腕立て伏せの姿勢を取れ!!」

 

身体に染み込んだ訓練生時代の経験がそうさせるのか、辺りにいたトルーパー達は一糸乱れぬ動きで腕立て伏せの姿勢を取る。

 

「よーし、良い動きだ。いーち! にー!」

 

俺の号令と共に、候補生・・・じゃなくてトルーパー達はその場で腕立て伏せを始める。

しばらく腕立て伏せを続けていると、割と手前にいた新兵が目に留まる。

 

「どうした二等兵? プルプル震えて寒いのか?」

 

この惑星は温暖な気候で、とても過ごしやすい環境だ。

寒いはずはない。

単純に筋肉疲労によって、腕が痙攣しているのだ。

だが軍隊でそんな事は関係ない。

 

「い、いえ決して寒くは—————」

 

「よぉぉぉし、寒いなら温めてやる!! 俺は優しいからな!! いーち!! にー!!」

 

周りにいた先輩兵士達から熱い視線を受けて余程嬉しいのか、二等兵君は涙を流している。

うんうん、青春だね、楽しいね!!

 

 

 

 

 

俺はおバカ呼ばわりされた恨みを・・・・んっんん!!

部下たちとの青春を謳歌し、軽い足取りで前哨基地の司令部へと向かう。

それにしてもARCトルーパーの2人よりも、コマンドーであるグレガーの方が善戦していたな。

さすがの基礎体力と言ったところだな。

 

<名も無き惑星 前哨基地司令部>

 

「レイ、さっきはお楽しみだったようだな」

 

そう声を掛けて来たのは、頭髪に少しだが白髪が混じり始めたオビ=ワンだ。

相変わらずイケメンだが、髭が無い方が素敵ですよ?

・・・って、どこぞの女性公爵みたいだな。

 

「いえ将軍、部下との親睦を深めていただけですよ」

 

「原因は誰かさんな気もするが・・・」

 

そう言いながら、ある人物の方に目を向けるのはアナキンだ。

その目線の先には、ちゃっかりあの場から逃走していたアソーカがいるではないか。

おい、どの面下げて俺の前に姿を現しやがったんですかね???

 

俺が少し眼を細めて睨みつけると、アソーカは舌を出してアッカンベーをして来た。

こ、このガキ・・・

 

そんな俺たちの様子に気が付いているオビ=ワンは溜息を一つ吐き、口を開いた。

 

「・・・とにかく本題に入ろう。諜報班からの情報では、帝国は新型の兵器を建造中という事だ。それも銀河外縁部の奥深く、強固に守られている事は言うまでもないだろう」

 

以前も出たが、デス・スターの話だな。

正史とは違ってクローン・トルーパーの諜報部隊が手に入れた情報だ。

 

「信頼できる筋からの情報ですが、この新兵器は惑星を丸ごと消滅させられる攻撃手段を備えているようです」

 

「アナキン、お前の事だから適当なことは言わないだろうがどこからの情報だ? 間違った情報は大きな犠牲を生む可能性がある」

 

オビ=ワンからの言葉にアナキンは少し困ったような、悪戯っ子のような表情を浮かべて首を竦める。

 

その様子を見て、オビ=ワンは本日二回目の溜息を吐く。

くっくっくっ

苦労が絶えないな、オビ=ワン?

 

「・・・まあ良い、その情報も考慮しよう。悩みの種を増やしてくれて感謝するよ、我がかつての弟子よ」

 

アナキンからの言葉を真っ向から突き返すような事をする関係ではない。

オビ=ワンはこの情報を評議会に上手く伝える事だろう。

本当に苦労が多い立場だよな。

そのお陰でアナキンは自由にできている部分もあるんだろう。

つくづく素敵な関係だと思うよ。

 

こらーアナキン、さりげなくこっちにウィンクしないの~

ストレスでオビ=ワンの白髪が増えちゃうでしょうが。

 

「とにかく、この星を抑えられたのは良かった。有効な前哨基地として利用できるし、ここから勢力を拡大することが出来るだろう」

 

ここを抑えた段階で、連合国には報告が行っている。

時機に物資や兵士の増援が来るはずだ。

 

「増援が来るまではしばらく時間が掛かります。その間、星の偵察と新兵を中心とした戦闘訓練を実施したいのですが、許可を頂けますか?」

 

ただ待っているというのは暇だしな。

新兵たちも、『訓練不足で殉職しました!』なんて事にはなりたくないだろう。

 

「もちろんだレイ、そう言ったことは君に一任する。それにARCSトルーパーとは元々、他の制約を受けない部隊だったはずだ」

 

「ええ、ですが既にARCSトルーパーとしての部隊は存在しません。今では名ばかりのARCSですよ」

 

実際のところ、今では正式では無いにしろ第501軍団の一員として動いているしな。

正直、所属が曖昧だからハッキリさせたいというのはあるが、まあ俺にはこう言った立場が合っているのかもしれない。

 

「そんな事はない、ARCSは今でも兵士たちの憧れであり目標だ。君たちが共に戦っていると言うだけで、兵士たちの士気は格段に高いのだ」

 

「・・・光栄です、将軍」

 

俺はオビ=ワンの言葉に敬礼で応える。

ありがたい言葉だが、英雄だの憧れだの言われる度に失った仲間の事を・・・救えなかった人達の事を考えてしまう。

 

・・・ヒュメル、お前は今どうしているんだ?

 




はい、お疲れさまでした。

珍しく時間が取れたので、一気に書き上げちゃいました。
(書き終わっていたのに投稿し忘れていたのは秘密です)

話を進めようと思ったのに無駄話ばかり・・・すんまそん。
次回は物語を進めるか、今回の最後に合った戦闘訓練の話を入れるかは未定です。


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第87話 取り敢えずそう上手くはいかない

<アウター・リム・テリトリー 岩の惑星>

 

ここは前哨基地よりもさらに奥にある岩に覆われた惑星だ。

アウター・リム・テリトリーには無数の星々が存在しているが、この惑星もそのうちの一つだ。

 

俺たちは大規模な銀河連合国艦隊を率いてアウター・リム・テリトリーの既存のハイパースペースを使って航行していた。

最終決戦は近い・・・兵器(デス・スター)が完成する前に何としても帝国を叩かなければならない。

 

そんな俺たちが、どうしてこんな惑星で道草を食っているかというと、それにはちゃんとした理由がある。

この星には大型の重力井戸発生装置が設置されていたのだ。

この装置が生み出すインターディクション・フィールドによって、俺たちはハイパースペースから引きずり出されたって訳だ。

帝国もただ指を加えて見ているだけじゃないって事だよね。

 

ここの装置を破壊しなければ帝国との戦争に勝利する事など不可能だ。

そもそも、皇帝を視界に入れることすら無理だろうな。

 

普通にリアルスペースを進んだら、どれだけの時間が掛かるか見当もつかない。

恐らく俺の寿命が尽きる方が比べられないレベルで早いだろう・・・知らんけど。

 

『なら違うルートで行けば良いんじゃね?』という意見もあるかもしれないが、話はそう単純じゃない。

 

今更説明するまでも無いかもしれないが、ハイパースペースというのは本当に危険な場所だからな。

綿密で正確な計算を行わなければ、恒星やその他の天体にドッカーン☆

そういった危険を回避する為に、既に開拓されたルートを使用するのがセオリーだ。

 

今は戦時下の為、可能であれば新しいハイパースペースの開拓ができれば帝国に気づかれずに移動も出来るのだが・・・

まあそんな簡単にいけば誰も苦労はしない。

 

映画版のクローン・ウォーズでも、ジャバザハットが管理しているハイパースペース航路を利用したいがために、あそこまでの大掛かりなミッションが行われたのだ。

それだけでも、ハイパースペースの重要性が痛いほど分かるはずだ。

 

少し前置きが長くなったが話をまとめると、新規のハイパースペース航路を開拓している暇は無いし、既に開拓済みの航路を使っていたら、ハイパースペースから引きずり出されたので仕方なく原因になっている装置を破壊しましょうっていう訳だ。

 

降りるのは面倒だし、できれば空から破壊したいのだが強固なシールドに守られているわ、強力なイオン砲が設置されていて艦は近づけないわで、結局アタシ達お得意の地上戦って訳です。

 

地球での現代戦では正面から大軍同士がドンパチっていうのは殆どありえない状況だが、遥かに文明の進んだこの世界では、逆にこういった状況が生起するというのは面白い現象だよな。

 

<岩の惑星 LAAT/i船内>

 

「良いか、目標は2つ! シールド発生装置と重力井戸発生装置だ!」

 

現在俺たちは激しい対空砲火を浴びながら、地上に向けて進んでいる。

アナキンが作戦の概要を話しているが、まあ先ほど俺が話していたような内容です。

取り敢えず、『このままじゃ埒が明かないので、重力井戸発生装置を壊しちゃおう♪』っていう訳だ。

 

「作戦部隊を2班に分ける。アソーカの班がシールド発生装置を、僕の班が重力井戸発生装置を破壊する」

 

『それと同時にケノービ将軍が敵を正面から引き付けてくれるわ。どこも激しい抵抗が予想されるけど、この戦いに勝利しなければ私たちに未来は無い・・・皆、気を引き締めていきましょう』

 

近くを飛んでいるもう一機のガンシップから、アソーカのホログラムが映し出されている。

彼女は相変わらずお茶目な部分もあるが、基本的には大人らしい落ち着いた雰囲気を兼ね備えてきている。

 

「レイ、もうおチビちゃんとは呼べないな?」

 

そう声を掛けてきたのは、応援で駆けつけてくれたアディスだ。

ちなみにオーリーもいる。

難しい作戦になるだろうから、2人がいてくれるのは非常に心強い。

 

それにしても、“おチビちゃんとは呼べない?”

いや、とんでもない。

先日、彼女が原因で部下を巻き込んだ盛大な腕立て伏せ大会が実施されたばかりだ。

次こそは絶対にアソーカも参加させてやる・・・

 

「・・・なあアディス、アソーカをどうにか腕立てやらせる方法ってないかな?」

 

「いやそれはちょっと難しくないか!? アソーカはジェダイの騎士で将軍だぞ?」

 

そうなんだよな・・・

そもそもパダワンだとしても、クローンがジェダイを腕立てさせるなんてどう考えても無理だろう。

 

「レイレイってバカなんだな♪」

 

・・・こいつ(オーリー)にだけは絶対に言われたくない。

 

「おい伍長、ちょっとドアを開けてくれないか? 一人分通れるだけで構わない」

 

「イエッサー」

 

俺は第501軍団の伍長に声を掛ける。

巻き込んで申し訳ないが、一番ドアに近いからな。

だが彼も少し面白がっているような様子だ。

 

「ねえレイレイ!? 何故か物凄く嫌な予感がするんだけど!? まだかなりの高度だよ!? しかも対空砲火やばいよ!? 100%お陀仏だよ!?」

 

「それなら良かった。せっかく行動に移すのに結果が伴わないというのは悲しいからな」

 

「この人やる(殺)気だ!?!?」

 

周りのトルーパーも俺たちのやり取りを見て笑っている。

対空砲火を受けながら戦場に向かっているというのに、随分と呑気だよな。

それだけ戦場という環境に身を置き続けたと言う事だろう。

慣れって怖いな。

 

だがこんなやり取りも久しぶりだな。

少し懐かしさを感じると同時に・・・いや、やめておこう。

今は作戦に集中しなければ。

 

『まもなく着陸地点です』

 

パイロットからの報告を聞いて、俺たちは気を引き締める。

 

『『『ゴーゴーゴー!!』』』

 

周辺に降り立った別動隊のクローン達も、次々にガンシップから飛び出していく。

それに加え、今回ももちろんバトル・ドロイド達も一緒だ。

恐怖を感じない彼らは、激しい銃弾の嵐でも隊列を乱さずに敵に向かって突き進んでいく。

 

「アソーカ達は既にシールド発生装置へと向かっている! 僕たちも急ぐぞ!」

 

『『『サー・イエッサー!!』』』

 

 

 

 

 

<岩の惑星 帝国軍基地>

 

オビ=ワン達が敵の大部分を引き付けてくれていたおかげで、俺たちは多少の戦闘はあったものの敵基地の近くまで来ていた。

 

重力井戸発生装置を破壊するこの班はアナキンを筆頭に、レックス、ファイヴス、エコーの3人に加え、俺を合わせたARCSの3人、コマンド―・ドロイドが4体だ。

 

他の大部分の兵士達は、オビ=ワンとアソーカの部隊に人員が割かれている。

こちらは少数精鋭だ、それに潜入及び破壊工作だからな。

大所帯で行動も出来ないというのが正しい。

 

「かなり大掛かりな設備ですね、即席で建造された訳ではないようです」

 

「ハイパースペースから引きずり出すような兵器を配置しているくらいだ。敵さんも必死って事だな」

 

そう話すのはエコーとレックスだ。

外側から偵察しようかと思ったが・・・無理か。

基地自体が一つの巨大な建造物になっていて、内部に潜入して情報を引き出すしかないようだ。

 

「基地自体が強力なエネルギー・シールドで守られていまス」

 

「内部に潜入するにはシールドを生み出しているジェネレーターを破壊するしかありませン」

※味方のバトル・ドロイドは差別化のために、語尾だけカタカナ表記

 

そう話すのは一緒に来ているコマンドー・ドロイドだ。

内蔵されているセンサー群で確認したのだろう。

 

「そのジェネレーターはどこにある?」

 

「恐らくあそこでス」

 

コマンドー・ドロイドが指さす先は俺たちの目的地そのものだった。

 

「これは簡単にはいきそうもないな」

 




はい、お疲れ様でした。
割と良いペースで更新できているんじゃないですかね!?
どなたか、みどり色の事を褒めてください☆

ハイパースペースから引きずり出されるって単純に恐怖ですよね。
例えるならば、安全地帯であるバ〇オハザードのセーブポイントで、敵が平気で入ってくるような・・・
え?
例えが下手?
スマヌ・・・


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第88話 取り敢えず面倒だよ

さて、面倒な事になったな。

敵基地は強力なシールドによって、外部からの侵入を一切排除している。

そのシールドを生み出している大元を叩こうにも、肝心のシールド・ジェネレーターは基地の“内部”にある。

どうしたものかね・・・

 

「ん? 将軍、輸送車が1台、敵基地に向かっていきます」

 

レックスが示した方向に、帝国軍の輸送車が何台か確認できる。

しばらく観察していると、この輸送車群は定期的に基地を出入りしているようだ。

・・・となると付け入る隙はゼロではないかもしれないな。

 

「調べる価値ありだな。ファイヴスとエコーはコマンドー・ドロイド1体を連れて、敵車両の偵察に向かってくれ」

 

「帝国は僕たちの目的が重力井戸発生装置だという事は分かっているはず・・・十分に気を付けるんだぞ」

 

『『イエッサー』』

 

俺とアナキンの指示で、ARCトルーパーである2人はコマンドー・ドロイドを連れて偵察任務に向かって行った。

大人数では目立つからな、偵察は少人数が原則だ。

 

「レイ、俺はあそこに見える高台でファイヴス達のサポートをする」

 

狙撃手でもあるアディスがここから離れた高台を示す。

彼がサポートに回れば心強いだろう。

 

「アナキン、構わないか?」

 

「勿論だ、君たちの判断を信じる」

 

因みにだがここには俺の素性を知っている者しかいない為、俺はアナキンに敬語を使っていない。

さすがに公の場では難しいが、この方がアナキンとは話しやすいからな。

 

アナキンの同意を得たアディスは、背面に装備している特殊作戦用のジェットパックを起動して空中に舞い上がる。

元々このジェットパックはARCS専用に調整された優れ物で、作動音が最小限に抑えられているにも関わらず、出力は従来の物よりも向上している。

以前も何度か紹介していたが、今回は久しぶりの登場なので改めて・・・って俺は誰に説明しているんだ・・・

 

と、とにかくほとんど音もなく空中を移動できる為、特殊作戦には非常に重宝する。

共和国軍から銀河連合国軍に再編されたのを皮切りに、ARCトルーパーや一部の精鋭には優先的に配備されている。

 

因みにだが、俺の直属の部隊であった第117コマンド大隊は後続の部隊として遅れてやってくる予定だ。

新装備の新設などの理由だが、彼らがいればこの星での作戦も楽になったはずだが、無いものねだりをしても仕方ない。

 

『レイ、配置に就いた』

 

「了解だ。ちゃんと見張っておけよ」

 

『ああ、任せてくれ』

 

アディスからの通信だ。

さて、彼らからの報告があるまでは待機だな。

下手に動いて帝国に見つかりでもしたら、作戦そのものが「終了☆」なんて事になり兼ねない。

 

「そういえばアナキン、ナブーの家族たちはどうだ? 元気にしているのか?」

 

パドメは議員を引退し、秘密裏にナブーの湖水地方へと身を移した。

そこで元気な双子を出産し、一時期はアナキンもオーダーを去ろうとも考えていたが、今はこうして共に戦ってくれている。

 

「ああ、銀河外縁部への作戦が決行される前に一度様子を見に帰った。二人とも、レイおじさんに会いたがっていたよ」

 

子供たち、特にルークの方は俺に非常に懐いてくれている。

おじさんと言われるのは複雑だが、地球の頃から考えれば俺は十分におじさんだ。

だけど、肉体年齢的にはまだまだ若いぞ?

一般的なクローンに比べて成長速度が緩やかに設定されているからな。

 

と言うか肉体的な成長がピークに達した時点で、普通の人間と同じペースで老化するようになったような気がする。

肉体が一定の水準まで成長した後は、さらに老化を緩やかにする遺伝子が組み込まれているのかもしれない。

今度カミーノアン達に聞いてみるのも良いかもしれないな。

 

「そうか・・・この戦いを早く終わりにして、おじさんも顔を見せてやらなきゃな」

 

「みんな喜ぶよ。それに僕もパドメばかりに子供たちを押し付ける訳にはいない。後で色々と小言を言われてしまうからな」

 

「はっはっはっはっ、選ばれし者を尻に敷いているとは恐れ入った。もしかしたら彼女がこの銀河で最強の存在かもな」

 

「よしてくれ、冗談に聞こえない」

 

そんな冗談を2人で言い合っているとアディスから通信が入る。

 

『レイ、ファイヴス達が戻るぞ。俺はここで引き続き監視を続ける』

 

「了解だ・・・アナキン、ファイヴス達がこっちに戻ってくるぞ」

 

 

 

 

 

「やはり基地への侵入はあの輸送車を利用する他ないようです。どこも警備が厳重、それにゲートでは生体認証を用いたコードの確認を行っているようです」

 

「許可のない者がセンサーにかかれば、基地中に警報が鳴り響くでしょうね」

 

俺たちは偵察に出ていたファイヴスらの報告を受けていた。

ここを突破できなければ、帝国への道は開けない。

逆に言うと、それだけ力を入れて守っているという事だ。

そう簡単にはいかないだろう。

 

「あまり悠長にもしていられない。オビ=ワン達から各部隊に少なくない被害が出始めているとの情報があった。僕たちが時間を掛ければ掛けるほど、こちらの被害が大きくなる」

 

アナキンの言うとおりだ。

俺たちが重力井戸発生装置を破壊しなければ、この戦いは終わらない。

 

「将軍、発言宜しいでしょうカ?」

 

声を上げたのは、ファイヴス達と共に偵察に出ていたコマンドー・ドロイドだ。

何か気が付いたことがあるのかもしれない。

 

「スキャンを行った結果、輸送車にはストーム・トルーパーと帝国のドロイドが混在した部隊が任務にあたっている事を確認しましタ」

 

彼が言うには、輸送車のバトル・ドロイドと入れ替わることで内部に潜入し、基地のシールドをオフにするというものだった。

 

「だが敵に悟られることなく入れ替わる事なんて可能なのか?」

 

レックスの疑問はもっともだ。

輸送車にはストーム・トルーパーが乗り込んでいる。

それをバレずにとなると・・・そういう事か。

 

「僕の出番って訳だな」

 

彼がアナキンに意見具申したのはもちろん階級が一番高いという事もあるが、彼のジェダイとしての能力を使いたかったからだ。

 

“マインドトリック”

 

フォースの力を借りることで相手の意識に干渉し、対象の行動などをある程度コントロールするまさに魔法のような技だ。

コマンドー・ドロイドはアナキンのジェダイとしての能力を織り込んだ作戦を立案したという訳だ。

 

「レイレイよりも頭良いかもね、あのドロイドおぉぉぉぉぐはぁぁぁ!?」

 

誰かが何かを言った気がするが、気のせいだよな?

たまたま腕を振り回したい衝動に駆られて、その結果何かに当たったような・・・

まあ気のせいだな、うん。

気のせい、気のせい。

 

 

 

 

 

 

ある程度作戦を打ち合わせ、すぐさま行動に移す。

俺たちは基地から少し離れた所まで移動していた。

 

輸送車が通るこの道は谷になっており、左右を強大な岩に囲まれている。

待ち伏せるにはいい場所だ。

道は輸送車が通れる道幅に加えて多少のゆとりがある程度、囲めば逃げ場はないだろう。

 

「アディス、周囲に敵は?」

 

『敵影なし。今ならいけるぞ』

 

この輸送車が谷を通過する際は、他の車両が来るまでに5分間の猶予がある。

時間が多いとは言わないが、こちらも最高のチームが揃っている。

さあ、作戦開始だ。

 

ますはこちらのコマンドー・ドロイド2体が道の真ん中に立つ。

間もなく輸送車は彼らを目視で確認するだろう。

 

予想通り、道幅が狭いこの谷では停車する他ない。

車両はどんどん減速していき、ついにドロイドの手前で停止した。

 

「ちっ、ドロイドめ・・・こんな所で何をやっている? お前たちは銀河帝国軍の規約に・・・うわぁぁ!?」

 

輸送車の運転席から顔を出した2人のトルーパー目掛けてコマンドー・ドロイドはその俊敏な動きで近づき、首元を掴むと一気に車外へ引きずり出した。

 

車両が停止した事を不審に思ったのか、後部のハッチが開いて中からコマンドー・ドロイドの部隊が降りてくる。

しかし外には俺たちが控えている。

スタンモードにしたブラスターで瞬く間に敵ドロイドは機能を停止した。

 

「いっちょ上がりだな♪ 張り合いのない奴らだぜ!!」

 

ヘルメットを外しながらオーリーがそう言う。

赤く腫れている頬を擦りながら言ってもカッコつかないぞ?

ダレニヤラレタノ? カワイソウダネ。

 

アナキンは2人のストーム・トルーパーにフォースを使い、エコーとコマンドー・ドロイド4体は、機能を停止した敵コマンドー・ドロイドのメモリーに細工している。

 

『将軍、別の輸送車を確認。残り2分です』

 

「ありがとうアディス・・・エコー、そっちはどうだ?」

 

「お待ちを・・・完了です将軍」

 

「よし! 移動するぞ!」

 

アナキンはフォースで敵コマンドー・ドロイド4体を持ち上げ、そのまま谷を形成している巨大岩の上まで一気に跳躍する。

それに習い、俺たちもジェットパックを使ってアナキンの下まで移動する。

 

あとは“彼ら”が上手くやってくれる事を願うばかりだ。

 




はい、お疲れさまでした。
アナキン一家には幸せになってほしいものです。

コマンドー・ドロイドと言えば、レックスの「ブリキ野郎もタフになったもんだぜ」というセリフがお気に入りのみどり色です。
初見の時はB1とは違い、複雑で洗練された動きをする彼らに驚いたものです。
EP3でもその雄姿を拝見したかった・・・

コマンドー・ドロイドはコストがバカ高いなどのデメリットもあるようですが、クローン・コマンドーやARCトルーパーなどと一緒で特殊部隊みたいなのは憧れますよね!


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第89話 取り敢えず地下に向かう

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

本当にお待たせ致しました・・・
お待たせしすぎて存在を忘れ去られていますよね。
このままドロンしてもバレないですかね・・・?()

冗談はアウターリムにぶん投げて、ようやく時間が作れるようになってきたので少しずつ執筆を再開しようと思った矢先に新型Cウィルスに感染しまして、先日までチーン状態でした。
というかいつまで新型って呼ぶんですかね?


という事で、久しぶり過ぎる更新なので、軽く前回までのおさらいから入りたいと思います。


【前回までのおさらい】

 

レイ達は大規模な銀河連合国艦隊を率いてアウター・リム・テリトリーの既存のハイパースペースを使って航行していたが、突如、大型の重力井戸発生装置によってハイパースペースから引きずり出された。

アウター・リム・テリトリーに存在する前哨基地よりも、さらに奥にあるこの岩に覆われた惑星では、敵基地を守るシールド発生装置と重力井戸発生装置を破壊するために、激しい戦いが繰り広げられていた。

 

その中で、アナキン率いる少数精鋭の特殊部隊は重力井戸発生装置を破壊するべく、厳重に守られている敵基地に侵入を果たしたところであった。

 

□重力井戸発生装置破壊組

・アナキン

・レックス

・ファイヴス

・エコー

・レイ

・アディス

・オーリー

・コマンドー・ドロイド4体

 

________________________________________

 

<岩の惑星 帝国軍基地>

 

こちら側のコマンドー・ドロイドが敵部隊のドロイドと入れ替わったことにより、俺たちは帝国軍の基地に潜入する事に成功していた。

 

「ねえレイレイ、このアーマー動きにくいし、前がよく見えないんだけど・・・オーリー泣いちゃう♪」

 

そう言うのはストーム・トルーパーの兵装を身に纏ったオーリーだ。

 

そういえばEP Ⅳ劇中のルークが「このヘルメットは前がよく見えない」とぼやいていたな。

装備する事で視界が悪くなるとは・・・

確かに銀河連合国で採用されているフェーズⅢ・クローン・トルーパー・アーマーと比べると、もはや粗悪品と言っても差し支えないような品質だ。

視界は悪くなるし、ブラスターに対する耐弾性能もお察しの通り・・・

 

見た目ばかりのお飾りと言われてもフォロー出来ないです。

個人的には“見た目は”好きです。

はい、これが精一杯です。

ありがとうございました。

 

まあ、何はともあれ間違いなく帝国兵の殉職率向上のために一役買っている。

向こうに寝返ったクローン達には同情します。

 

「それだけじゃない。どうやら帝国は、クローンを主戦力として使うのをやめたようだな。クローンの割合よりも普通の人間の方が多いくらいだ」

 

そう言うのは同じくストーム・トルーパーの兵装を身に着けたレックスだ。

ここに潜入している俺たちは全員帝国軍の装備を拝借している。

 

レックスの言う通り、ここの兵士たちはクローンよりも普通の人間の割合が多い。

そもそも一番初めに帝国へ寝返っていたクローン以外は追加補充する手が無いんだ。

クローンに置き換わる戦力が必要になるのはむしろ必然といえる。

 

え?

アーマーを着込んでいるのに、どうして普通の人間の方が多いのかが分かるのかって?

身長と体格です。

 

「そのようだ。最近の帝国軍の練度が明らかに低く感じたのはこれが原因だったんだな」

 

クローンと違って一から育てる必要がない分トータルコストは下がるだろうが、その代わりに兵士としての能力が劣ってしまうのは火を見るよりも明らかだ。

恐らく帝国のクローン達が教官を務めているんだろうが、勝手が違い過ぎて苦労している様子が目に浮かぶようだ。

 

「エコー、基地の端末を使って重力井戸発生装置の位置を確認してくれ」

 

帝国軍士官の制服に身を包んだアナキンが指示を出す。

っていうか貴方、その服装めちゃくちゃ似合うな。

帝国軍ミスターコンテストなんてものがあったらブッチギリのグランプリだろうな、知らんけど。

 

「お待ちを・・・」

 

エコーは右腕の義手を変形させて端末にアクセスする。

惑星スカコマイナーで改造されたエコーだが、その身体は劇中のような痛々しいものではない。

高度な医療技術と最先端のサイバネティクス技術により、見た目は一般的なクローンと遜色ないレベルまでには回復した。

併せて、右腕は普通の義手のように5本指が使えるモードと、今のように端末にアクセスするためのモードなどがある。

 

ロケット・パーンチ!!!!

んっんん!!

失礼。

 

劇中のように片腕しか使えないのは不便だからな。

今のように用途に応じて使い分け出来る方が良いだろう。

 

因みに彼の義手の開発にはアナキンも“率先”して携わっている。

イケメンって人種はなんでも出来るの?

モテ要素のチャートがはみ出しているの?

世の中、不平等が過ぎますね。

退職してニートしようかな(願望)

 

「将軍、どうやらこの施設は我々が考えていたよりもずっと大規模なようです」

 

「・・・と言うと?」

 

エコーが言うには、この巨大な施設の本質は地下にあるそうだ。

地下は何階層にも渡って広がっており、地上の基地は氷山の一角だという。

これは装置を探し出すのは骨だぞ・・・

 

「エコー、装置の位置は確認できたのか?」

 

「地下にある事は確認できたのですが、この端末では正確な位置までは・・・」

 

「ならどちらにせよ、地下に行くしかないって事だな」

 

ここからじゃ重力井戸発生装置の位置は分からないし、どの道装置を破壊するには地下に行く必要があるんだ。

時間が惜しい、今すぐ取り掛かろう。

 

 

 

 

 

<岩の惑星 シールド・ジェネレーター破壊組>

 

「グレガー、マスター達にはまだ繋がらないの!?」

 

アソーカが二振りのライトセーバーを使って、帝国からの攻撃を防ぎながら自らの副官に声を掛ける。

元々第212突撃大隊のコマンド―だったグレガーは、今ではアソーカの副官を務めており、階級もキャプテンからコマンダーに昇進している。

 

「通信状況がよくありません。加えて敵基地に潜入するとの連絡を受けて以降、通信が途絶えています」

 

この惑星の大気や岩、砂などにはかなりの量の鉄が含まれていた。

それが風によって巻き上がり、通信状況の悪化を招く事となったのだ。

 

 

「風が出てきたわ。時機に嵐になる・・・マスター、無事でいて」

 

アソーカの読み通りこの後は激しい風が吹き荒れ、その嵐には鉄も多く含まれていた。

それは磁気嵐となり、さらなる通信悪化と兵士達のアーマーや装備、身体を引き裂き、ビークルの装甲を傷つけたのだった。

 

この殺人的な嵐を避けるため、自然と両軍の戦闘は沈静化していった。

 

 

 

 

 

「この嵐じゃドロイドも近づけない。しばらく休憩ね」

 

以前までのアソーカであれば間違いなくイライラしていた場面だろうが、冷静に戦況を見極めているようだ。

 

「しかし悠長にもしていられません。例の新兵器が完成してしまえば、我が軍の被害は甚大なものになります」

 

「ええそうねグレガー、分かっているわ。とにかく今は休息を・・・みんなに食事をとらせて」

 

「はい将軍」

 

グレガーが部下たちへの指示に向かうと同時に、オビ=ワンが疲れた表情を浮かべながらアソーカの下にやって来た。

その顔はさらに深くなったシワや髭、磁気嵐の影響で細かい傷もあり、より疲れを感じさせるようだった。

 

「アソーカ、この嵐では軍を動かせない。今のうちに―――――」

 

「ええ、分かっていますマスター。先ほどグレガーに指示を出した所です」

 

「そうか・・・すまない、年を取ると口煩くなると言うのは本当だな。そんなつもりは無いのだが、ついつい余計な事にまで口を出してしまうようだ」

 

アナキンにも最近小言を言われる事が増えたよ、とオビ=ワンは笑っている。

小言を言われるのは今に始まった事では無いと心の中で思いつつも、彼女はそれを表に出す事なく労りの言葉を掛ける。

 

「マスターもお若くは無いのですから、お身体を大事になさって下さい」

 

「マスター・ヨーダと比べれば、私はまだ赤子同然だよ」

 

面白くも無いジョークを言うようになったのも、年を重ねている所以だという事に気が付かない所を見ると、オビ=ワンも“そういう”年齢になったという事だろう。

アソーカは柔らかい微笑みを浮かべるのみだった。

 

そんな彼らに忍び寄る影・・・

嵐の中で輝く何本もの光剣の毒牙にかかる兵士がいること、その存在に気が付くまで、今しばらくかかるのだった。

 

 

 

 

 

<岩の惑星 帝国軍基地>

 

「スカイウォーカー将軍、依然外との連絡が取れません」

 

そう報告するのはエコーだ。

俺たちは重力井戸発生装置を破壊するために、エレベーターを使って地下を潜っているところだ。

 

「仕方ない、この基地にある通信装置を使う方が早いかもしれないな。それにオビ=ワンとアソーカがいるんだ。彼らを信じて僕たちはこちらに集中しよう」

 

それにしても随分と潜ったような気がするが、まだ最下層に辿り着かない。

エコーの言った通り、思っていたよりもかなり大規模な施設なようだな。

ここまで巨大だと他にも何かあるんじゃないかと勘繰ってしまう。

口に出すと現実になりそうだから、心の中にしまっておくけどね。

所謂フラg—————

 

「いやー、それにしてもデッカイ基地だよな~。重力井戸発生装置だけ置くにしてはヤリ過ぎだと思わないレイレイ? ここまで大きいと他にも何かあるんじゃないかって・・・痛ぁぁぁぁぁい!?!?どうして殴られたの・・・? オーリー今回は何もしてないよね!?」

 

「・・・お前は本当に間違いない事をするよな毎回毎回。って言うか“今回は”って、いつもは自覚あるのかお前は」

 

「えへっ♪」

 

意外と侮れない奴だ。

実は全てを裏で操っていましたとかやめてね?

・・・無いよね?まさかね?

 

そんなやり取りをしていると、エレベーターがその動きを止める。

端末が指し示す数字から見て、まだ最下層には辿り着いていないことが分かる。

 

「エコー、ここから操作できるか?」

 

「・・・ダメです。端末がロックされていて、ここからは操作できません」

 

そう話していると、エレベーターの扉が突然開いた。

その先にいたのは――――

 

「—————グリーヴァス」

 

かつてのドロイド軍の最高司令官がその場に立ちはだかっていたのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

久々すぎて、設定を忘れていたりでシンドかった・・・
(自分が悪い)

自分の作品を読み返せば良いのですが・・・
後で読みます()

近いうちにまた更新できればと思いますので、お楽しみに!


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第90話 取り敢えずゴキブリ大量発生

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

途中からですが自分の作品を読み返し、「あぁ、そんな事あったな~」と他人事状態でしたw
その時の気分で決めた設定や、話の流れを後悔したりしなかったりしたりの三段活y(ry)

しっかりと流れを固めている方は本当に尊敬します。


あわせて活動報告でも書きましたが、新しくTwitterアカウントを作りましたのでタイムリーな執筆状況等はこちらをご覧頂ければと思います。
前のアカウントは殆ど使わなくなっていたので・・・
新しいアカウントは、下記になります。

@green_colour0

良ければ時々覗いてみて下さい(恍惚)



<岩の惑星 シールド・ジェネレーター破壊組>

 

激しい磁気嵐によって退避を余儀なくされていたアソーカ達は混乱の渦中にいた。

正体不明の敵からの攻撃に晒されており、既に少なくない死傷者が出ていた。

 

辺りからはブラスターの発砲音や叫び声が響き渡っている。

岩に囲まれている洞窟のような場所に避難をしていた為、磁気嵐によって身体や装備を傷つけられる事は無かったが、通信状態や電子機器に影響が出ている状況が続いていた。

 

「コーディー! 状況は!?」

 

「どうやら洞窟の入り口付近を警戒していたトルーパーとバトル・ドロイドが先にやられたようです。 それが原因で敵の発見が遅れ—————」

 

オビ=ワンへの報告をしていたコーディーだったが、激しい爆発音によってその声がかき消される。

爆発により発生した煙の向こうから現れたのは、オビ=ワン達と非常に因縁深い人物だった。

 

「グリーヴァス!」

 

 

 

 

 

<岩の惑星 帝国軍基地>

 

「—————グリーヴァス」

 

エレベーターの扉が開いた先にいたのは、ゴキブr・・・グリーヴァスだった。

コイツは本当ぉぉぉにしつこい奴だ。

ウータパウでオビ=ワンに倒される件が無かった事で、随分と長生きできているじゃないか?

良かったね、将軍(棒)

まさにゴキブリ並みのしぶとさだね()

 

そのグリーヴァスだったが、俺たちを確認するといつものように憎まれ口を叩く訳でもなく、その2本の腕に持つライトセーバーを起動して突然切りかかって来た。

その攻撃に先頭にいた1体のコマンドー・ドロイドが機能を停止してしまう。

 

俺たちはそれぞれの武器を構え、すぐさま状況に対応できるように準備する。

その間に、残り3体のコマンドー・ドロイドがグリーヴァスの護衛であるフードを深くかぶったIG-100マグナガードに攻撃を仕掛ける。

 

だが驚いたことに護衛のマグナガード達はエレクトロスタッフではなく、その2本の手それぞれにライトセーバーを持っていた。

そのライトセーバーを起動して、襲い掛かってくる銀河連合国側のコマンドー・ドロイドに向かって光剣を振り下ろす。

 

防御を試みたコマンドー・ドロイドであったが、彼らが装備しているバイブロソードでは敵のライトセーバーを防ぐことは出来ず、瞬く間に2体のコマンドー・ドロイドが破壊されてしまう。

 

その一連の行動でマグナガードのフードが外れ、隠れていた顔が現れる。

その顔を見た瞬間、俺たちは驚きを隠せなかった。

 

「ど、どういう事よ! ゴキブリ将軍が2人!?」

 

そう口にするのはオーリーだ。

俺も同じ気持ちだよ、1体でも虫唾が走るのにグリーヴァスのクソッタレな顔がたくさん・・・

そして、その言葉を皮切りに後ろに控えていたマグナガード達は次々にフードを外していく。

 

その光景は異様だった。

合計で4体ものグリーヴァスが現れたのだ。

 

「・・・これは骨が折れそうだな」

 

そう呟くのはレックスだ。

骨が折れるだけならまだ良いが、あのライトセーバーで切り刻まれたくはないです。

・・・誰かゴキブリホイ〇イ持ってきてくれませんかね?

 

 

 

 

 

<岩の惑星 シールド・ジェネレーター破壊組>

 

時を同じくして、シールド・ジェネレーター破壊組も複数のグリーヴァスとストーム・トルーパー、バトル・ドロイドの襲撃を受けていた。

 

「どういう事よ! どうしてグリーヴァスが何体も出てくるの!」

 

そう文句を口にしながら、アソーカは1体のグリーヴァスから繰り出される斬撃を防いでいる。

 

「私の方が聞きたいね。 コーディー! グレガーと共に部隊を集結させて距離を取るんだ」

 

同じくグリーヴァスから繰り出される斬撃を防ぎながらオビ=ワンは自らの副官へと指示を出す。

特にグリーヴァスと因縁深い彼にとっては楽しい同窓会と言う気分にはなれないだろう。

 

「イエッサー! 野郎ども続け!」

 

運が悪いことに、現在磁気嵐から身を隠していた場所は洞窟のような形状になっており、奥に進むにつれて幅が狭くなっている。

これでは袋のネズミだ。

追いつめられるのも時間の問題だろう。

 

だが銀河連合国軍の徹底的に訓練された兵士たちは思い掛けない状況にも素早く対応し、指揮官の命令通りに陣形を立て直し、反撃の体制を整えていた。

 

「バトル・ドロイドを前面に押し出して少しずつ後退する! 人的被害を最小限に留めるんだ!」

 

オビ=ワンの指示により、素早く隊の陣形が再構成される。

 

『早くオイラ達の後ろへ!』 『オイラが壁になル!』

 

『この前の賭け、忘れてないからナ! 最高級オイル楽しみにしているゼ?』

 

仲間のクローンへ声を掛け、次々に敵から放たれる光弾の壁になる銀河連合のB1ドロイド達。

いくらタティス(レイ君LOVEのメンヘラ・スーパー・戦術・ドロイド)からのバージョンアップを受けているとは言え、何度もブラスターを被弾すればその機能を次々に停止してしまう。

 

「将軍! 洞窟の奥に抜け道があります!」

 

トルーパーからの報告を受けたオビ=ワン達は、急ぎ退路を確保するのだった。

 

 

 

 

 

<岩の惑星 帝国軍基地>

 

「ファイヴス!? くそっ!!」

 

俺たちはアナキンの尽力もあって、最後のグリーヴァスを倒したところだった。

しかし激しい戦闘であった事もあり、ファイヴスがグリーヴァスの斬撃の前に倒れてしまった。

 

エコーの叫び声でファイヴスがやられた事は分かったが、辺りはまだストーム・トルーパーで溢れている。

戦闘を継続しつつ、俺たちは安全な場所まで後退するのだった。

 

 

 

 

 

「容体は?」

 

「良くありません。 一命は取り止めましたがすぐに治療をしなければ・・・」

 

アナキンの問いに、ファイヴスへの応急処置を施していたエコーが答える。

ライトセーバーで切られたんだ。

すぐに設備の整った施設で治療を行わなければ手遅れになってしまう。

 

「アナキン、ここは大規模な施設だし、当然医療設備も備えられているはずだ。部隊を2つに分けるしかないだろうな」

 

「ああ、ファイヴスを見殺しには出来ない。2個組に分かれよう」

 

グリーヴァスが4体も出て来た事を考えると、戦力の配分が重要になる。

これ以上出てこないと考える頭の中がハッピーセットな奴はここにはいない。

ゴキブリが家に1匹出たら100匹は潜んでいるというのは日本では相場が決まっており、常識であり、法則であり、真理なのだ。

 

現在、重力井戸発生装置破壊組にいる人員は、

 

・アナキン

・レックス

・ファイヴス(負傷中)

・エコー

・俺(レイ)

・オーリー

・アディス(基地外で見張り中)

・コマンドー・ドロイド1体

 

となっている。

そして現在の最優先目標は重力井戸発生装置の破壊だ。

ファイヴスの命を最優先にしたい気持ちがあるのはやまやまだが、そんな個人的感情で作戦全体を危険に晒す訳にはいかない。

だが、仲間を見殺しにするつもりもない。

俺達はワガママなんだ。

 

迅速な行動が求められる。

急がなければ・・・

 




はい、お疲れ様でした。

まさかのグリーヴァス大量発生・・・
ゴキブリホイ〇イ不可避

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第91話 取り敢えず手をヒラヒラさせてみる

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

「キャシアン・アンド―」面白いですよね。
「ボバ・フェット」と「オビ=ワン・ケノービ」が期待していた程じゃなかったのでどうなるかと思いましたが・・・
ド派手なシーンがある訳じゃないのに、引き込まれる面白さがあります。

「ボバ・フェット」に関しては、もはやマンドー絡みの話じゃないと面白みがないという悲しい現実()
ボバ様という最高級の素材を生かせない駄s・・・んっんん!!
今後ボバ・フェットを題材にするなら、如何にして凄腕のバウンティーハンターへと成りあがったのか(EP3~)を観たいな~、なんて思ったり。

「オビ=ワン・ケノービ」は戦闘中のカメラワークが酷かったですね・・・
揺れ揺れで見にくいのなんのって・・・
揺れるのは女性のむn・・・何でもありません()

と、とにかくマンダロリアン新シーズンや、テイルズオブも非常に楽しみですしウキウキが止まりませんね!(恍惚)



<岩の惑星 帝国軍基地>

 

ファイヴスが負傷した事により、俺たちは部隊を2つに分ける事となった。

作戦の最優先事項は重力井戸発生装置の破壊。

軍人として優先順位を決定する事は絶対だが、仲間を見捨てるつもりも毛頭ない。

 

まだ大量のゴキブリがカサカサしている可能性が高いからな。

戦力の配分が重要になって来るだろう

あのGG(ジェネラル・グリーヴァス)が大量発生とか誰得なんだよマジで・・・

※General(ジェネラル)とは将軍という意味

 

動けない負傷者を搬送するというのはそれだけ戦力が削がれるという事になる。

パーフェクトヒューマンであるアナキンが重力井戸発生装置へと向かうのは決定事項だろう。

そして彼の組は必然的に少数にならざるを得ない。

・・・仕方ない、帝国軍ミスターコンテスト圧倒的グランプリであるイケメン君と一緒に行きますかね。

 

あ、帝国軍所属って意味じゃないからね?

今は帝国軍士官の制服を身に着けているから・・・って俺は誰に説明しているんだ()

 

と、とにかく!

俺とアナキンで重力井戸発生装置を破壊、その間にファイヴスの治療を同時進行で行う必要がある。

さらに言えば、治療が完了次第ファイヴス達はこの基地から先んじて脱出した方が良いだろう。

 

「俺とアナキンで重力井戸発生装置を破壊する。お前たちは、その間に医務室に向かってくれ」

 

「危険ではありませんか? ただでさえ少ない人員を2つに分けるというのは・・・」

 

「エコーのいう事は最もだが、ファイヴスの治療も重力井戸発生装置の破壊も時間を掛けてはいられない。今はそうする他ないだろうな」

 

組を2つに分ける事に不安を露にするエコーだったが、レックスの言葉に納得したのかそれ以上意見を述べることはなった。

エコーの言う通り、戦力の分散は避けたい所ではあるが仕方ない。

今できる事をするだけだ。

 

「では事後の指揮はレックス、君が執ってくれ。僕たちは装置の破壊に向かう」

 

「治療完了後、お前たちには退路を確保してもらいたい。いいな?」

 

「「「イエッサー!」」」

 

 

 

 

 

<岩の惑星 シールド・ジェネレーター破壊組>

 

連合国バトル・ドロイドの尽力もあり、オビ=ワン達は洞窟奥の細道を進んでいく事で、帝国軍の追撃から逃れていた。

 

しかし部隊の損害は甚大であり、兵たちは度重なる戦闘や岩の惑星の厳しい自然環境もあって疲労が蓄積していた。

さらに進み難い地形も相まって、彼らに追い打ちをかけていたのだ。

 

「コマンダー、兵たちが疲弊しています」

 

「分かっているグレガー、特にピカピカ組(新兵)の疲労が顕著だ」

 

2人とも兵たちが疲弊している事は百も承知だった。

だが、帝国軍から追われている現状ではのんびりと休んでもいられない。

今でさえ、明かりの届かない狭い洞窟を何とか進んでいる状況なのだ。

少しでも距離を稼がなければ、たちまち追いつかれ狭い洞窟内で蜂の巣になるだろう。

 

「・・・? マスター!」

 

部隊から先行していたアソーカが何かを発見したようだ。

オビ=ワンは疲れと汚れによって、本来よりも年老いて見える顔をトグルータのジェダイナイトへと向ける。

 

「何か見つけたのか?」

 

「風・・・この壁の隙間から風の流れを感じます」

 

そう言うとアソーカは慎重にフォースを使い、壁の隙間へと圧力を掛けていく。

すると、パズルのピースのように繋ぎ目から岩がバラバラと崩れ始め、その先に地下へと続く道が開かれた。

 

「新鮮な空気が流れているな」

 

その先の様子を確認したオビ=ワンがそう呟く。

このまま今まで通りの続く道を進むべきか、新しく表れた道を進むべきか考えているようだ。

 

「マスター?」

 

アソーカがオビ=ワンへと声を掛ける。

彼はアソーカの言いたいことが分かったようで、無言で頷く。

そして彼らは新しく開かれた道、地下へと続く道へと進むのだった。

 

 

 

 

 

<岩の惑星 帝国軍基地>

 

レックスらと別れた俺たちは、基地の最深部へと向かって進んでいた。

ん?

何故最深部へと向かっているのかって?

大事なものは一番奥にしまっているって言うのは相場が決まっているでしょ?

まあエレベーターで移動しているから、大した時間は掛からないんだけどね。

 

既に侵入者が入り込んでいることが帝国側にバレてしまっている為、基地内は厳戒態勢へと移行している。

そして奥へと進むにつれて、警備の数が多くなっている。

・・・という事は

 

「当たりのようだな」

 

そうアナキンが呟く。

ね!ね! 言ったでしょ?

いやー、そうだと思ったんだよね。

俺の勘は正直当てにならないんだけど、今回ばかりは違ったようだな。

ざまーみやがれ。

・・・最近独り言が多いんだけど歳かな?

 

絶賛自己完結によって勝手に落ち込んでいる俺を、知ってか知らずか距離を開けているミスターコンテストグランプリのイケメン君

ねえ、僕たち友達だよね?

待ってよ、アニ~

 

「お待ちください」

 

俺が若干妙なテンションで独り芝居をしていると、ある扉の前で警備に止められる。

なんだなんだ、イケメンを止めるとはいい度胸だな、このトルーパー。

 

「これより先は許可された者しかお進み頂けません。 申し訳ありませんが・・・」

 

そう警備のトルーパーが行く手を遮る。

という事は、この先に重要なものがあるって事だよね。

俺は彼に追いつき、そしてアナキンがどんなにイケメンかをこの世間知らずに教えてやる。

 

「この方は銀河帝国軍少佐だ。そして我々は機密情報を取り扱っており、極秘任務に就いている。我々の邪魔をすれば帝国への損害は計り知れないものとなる。貴様はその責任が取れるというのか軍曹?」

 

「い、イエッサー! しかし—————」

 

『君は僕たちを通す』

 

「——————じ、自分は貴方方を通す」

 

『これより何人も立ち入れさせてはならない』

 

「誰も通してはならない」

 

アナキンが手をヒラヒラと無駄じゃない事をして、問題を一瞬のうちに解決する。

いーなー、俺も都合よくフォースの力に目覚めねーかな。

・・・無理みたいだわ()

ジェダイみたいに手をヒラヒラさせて無駄なことはよしな!!

 

「やっぱり反則だよな、その力」

 

「万能って訳じゃないさ、ほら先を急ぐぞ」

 

 

 

 

 

<岩の惑星 シールド・ジェネレーター破壊組>

 

地下へと進んだアソーカ達は、非常に広い空間に出ていた。

地下水が流れ込んでいる場所で、大きな湖のようになっている。

その湖の中にある鉱物が発光していることにより、この広い空間は優しい光に包まれていた。

 

「神秘的な場所ね」

 

「はい、こんな状況でなければ観光にでも来たいくらいです」

 

アソーカが副官のグレガーに声を掛ける。

この場所は地表とは打って変わって穏やかな雰囲気に包まれており、空気も澄んで気温も若干だが肌寒さを感じる程だ。

その肌寒さが、傷つき疲労が溜まった彼らには心地よいものだった。

 

「コーディー、人員を掌握した後、交代で休息を取ってくれ」

 

「はい、ケノービ将軍」

 

上官からの指示を受けたコーディーは、人員の掌握と休息を部下に命じるため足早に向かって行った。

 

「壁は元通り以上に修復したから帝国には気づかれないはず・・・少しは休めるわ。 皆にも休息を命じて」

 

「イエッサー」

 

グレガーもまた、コーディーと同様に部下を休ませるため、自分の身体に鞭を打って動き出すのだった。

 

「マスター、この地下は惑星全体に広がっているように感じます。もしやシールド・ジェネレーターまで辿り着くことが出来るのでは?」

 

「うむ、私もそれを考えていた。しかし、この惑星の磁気嵐に加えて地下に入った分、機器の機能制限が顕著に表れている」

 

彼らは休息を取りつつ、本来の目的であるシールド・ジェネレーター破壊の為に、最短のルートを割り出そうとしていた。

 

「現在地が概ねこの辺り・・・ジェネレーターの方向はここから真北になる」

 

オビ=ワンがホログラムに映し出されている地図を指さしながら現状を確認する。

 

「問題は我々がいるこの地下の詳細が不明な点です」

 

「はい、闇雲に進めばジェネレーターに辿り着くどころかこのまま抜け出すことが出来ない可能性もあります」

 

コーディーとグレガーの言う事はもっともだった。

しかし、現在地と向かうべき方向が分かっている為、全く動けないという訳でもなかった。

 

「このままこの場に残っても事態は好転しない。それにマスター達(アナキン組)の為にも時間を掛けてはいられないわ」

 

「アソーカの言う通りだ。とにかくジェネレーターの方向に進むことにしよう」

 

なあに、もしもの時は天井を破壊して地上に戻れば良いさ、とオビ=ワンは笑いながら言うのだった。

コーディーとグレガーがお互い顔を見合わせ、『スカイウォーカー将軍に似てきたな』と思ったのは2人だけの秘密である。

 

 

 

 

 

<岩の惑星 帝国軍基地>

 

「これは・・・」

 

俺たちが辿り着いた空間は、生産工場のような場所だった。

機械によって次々に作られていくグリーヴァスを見て気分が悪くなる。

 

「レイ、あそこを見ろ」

 

アナキンが指す場所に視線を移すと、そこにはグリーヴァスが拘束されていた。

恐らく本物(?)のグリーヴァス将軍だろう。

 

「ゴホッゴホッ、虫けらがノコノコとやって来たわ」

 

・・・なんか色々なコードに繋がれているし、痛々しい様子だな。

恐らく量産型を作るのにデータ取りになっているんだろう。

 

「連合のバカめが! ここがお前らの墓場となるのだ!」

 

正史のウータパウで聞いたようなセリフをグリーヴァスが吐き捨てると、周りの量産型が次々に起動する。

うわっ、マジで勘弁してくれ!

 

グリーヴァスの量産型と言っても、当たり前だが生身の肉体部分がある訳ではなく、全身を強固な装甲で覆われている。

そして今の俺はベスカー・アーマーではなく、帝国の粗悪品アーマーを着ている為、正直装備が心もとない。

まあ不幸中の幸いか、量産型はライトセーバーを装備している訳ではなく、殆どが素手なのでうまく立ち回れば・・・何とかなる感じがしないんですけどぉおおお!?

 

大量のグリーヴァスが四つん這いになりながら向かってくる光景とか悪夢以外の何ものでもない。

俺は身近の遮蔽物に身を隠し、装備していたDC-15Aブラスター・カービンを発砲する。

しかし、一発や二発被弾した所で量産型は止まらない。

俺は遮蔽物から飛び出して絶えず動き回り、奴らに囲まれないようにする。

 

アナキンはと言うとライトセーバーを起動し、次々と量産型に斬撃を加えている。

だが、腕を斬られようが、胴体を真っ二つにされようが構わず向かってくる量産型に戦いにくさを感じている様子だった。

 

ヤバい、マジでキリがない。

ブラスターは連射のし過ぎで、銃身が焼き付きそうだ。

その時、一瞬の隙をつかれて量産型の一体に腕を掴まれ、凄まじい力で放り投げられてしまった。

 

「がはっ!」

 

運悪く壁に叩きつけられた事により肺の空気が無理やり押し出され、正常に息が吸えなくなる。

クソッ、馬鹿力のゴキブリ野郎・・・!

そこに、どこから持ち出して来たのかエレクトロスタッフを装備した量産型が、倒れこむ俺に向かってその凶悪な杖? ・・・うーん、棒?を振り上げる。

いや、杖でも棒でもどっちでも良い!

 

「くっ!」

 

少しでもダメージを減らせればと両腕を身体の前でクロスし、身構える俺だったがその衝撃が訪れる事は永遠になかった。

遠くからアナキンが量産型に向かってフォース・プッシュを繰り出した事により、俺に向かってエレクトロスタッフを振り下ろそうとしていた量産型を周りの奴らごと吹き飛ばしたのだった。

 

「大好きだ、アナキン!!」

 

「良いから早く加勢してくれ!」

 

俺からの愛の告白を受け流し、それと同時に量産型の首を両断するアナキン・・・

さすがは選ばれし者だな、うん。

俺はすぐに起き上がり、痛む身体を無視して走りながら弾倉(ティバナ・ガスが充填されているカートリッジ)交換を行う。

因みに、弾倉内の弾が無くなってから行うリロード(弾倉交換)をエマージェンシー・リロード、弾倉内の弾が無くなる前にリロードを行う事をタクティカル・リロードと言う。

みんな、次のテストで出るから覚えておけよな!!

・・・どうやら先程、頭を強く打ったようだな()

 

俺はタクティカル・リロードを終えると、近くに落ちていたエレクトロスタッフを拾い上げて起動する。

囲まれている状況ではこちらの方が都合が良い。

弾がいくらあっても足りないし、そもそも撃ち過ぎて銃身がイカレそうだからな。

一、 二発でスクラップに出来ない以上、効率が悪い。

・・・多分な、知らんけど。

 

アナキンはと言うと、優れた洞察力で量産型の弱所を早くも看破しているようだった。

初めよりもスムーズにスクラップの山を築いていく。

今日は廃品回収業者が大忙しだな。

 

俺はと言うと、自慢じゃないがアナキンのように器用でも無ければ的確に相手の弱所を狙える技量なども持ち合わせていない。

そう褒めるなよ、照れるじゃないか。

 

俺はエレクトロスタッフの出力を最大まで上げ、量産型へとその殺人的なエネルギーをお見舞いしてやる。

ちょっと待って、このスタッフめちゃめちゃ重い。

長時間は使えないぞ。

 

強靭な装甲に守られているとはいえ、1から10まで機械で作られている量産型に対してエレクトロスタッフの最大出力の電磁エネルギーは相当応えるようで、直撃を受けた個体は機能を停止するか、地面でのたうち回っている。

 

「くそー! ゴホッゴホッ・・・何をしている役立たず共が!」

 

「子は親に似るって言うからな、役立たずは親に似ちまったんだろうよ!」

 

GGは拘束されて動けないから好き勝手に言える。

・・・イジメみたいだからこれくらいにしておこう。

カワイソウダカラネ。

 

それにしても結構な数を倒している(アナキンが)気がするが、量産型はその数を減らしたようには思えない。

それどころか、1体倒せば2体増えるような気もしてくる。

 

その時、突如地震のような大きな揺れが俺たちを襲う。

ここは地下深くだぞ?

それほど大きな爆発っていう事は・・・

 

「アソーカ達が成功したようだな」

 

アナキンはフォースで何かを感じ取ったようで、俺の考えが間違えていないことを裏付けてくれる。

アソーカ達がシールド・ジェネレーターを破壊したのだ。

その時、辺りの警報装置が一斉にけたたましく警告音を鳴り響かせる。

 

「・・・ゴホッゴホッ、どうやらお前たちの仲間がこの星のシールド・ジェネレーターを破壊したようだな」

 

「そのようだな、これでお前もおしまいだグリーヴァス」

 

「ふんっ、ジェダイの馬鹿めが! おしまいなのはゴホッゴホッ・・・お前たちの方だと言うのに」

 

ん?

どういう事だ?

 

「この警報はシールド・ジェネレーターが破壊されたことを報せるものではない。この基地に仕掛けられた自爆装置が起動した事を報せるものだ。ワシは死ぬが、お前たちも道ずれにしてやる!!」

 

そう言うと、グリーヴァスは量産型への再攻撃命令を下す。

このくそったれのゴキブリ野郎!!

 

「レイ!!」

 

俺の名前を叫んだアナキンは、強い力の乗ったフォースを敵全体に向かって繰り出す。

その強力なフォースによって敵が吹き飛ばされている隙に、俺たちはエレベーターまで全速力で走り出す。

 

「ガァーッハッハッハッハッ!!」

 

最後に俺たちの耳に届いたのは、悲鳴にも似たグリーヴァスの笑い声であった。

 




はい、お疲れさまでした。

調子に乗っていつもの倍くらいの文字数になってしまいました。
話数ばかり増えてしまうので、更新頻度が落ちてもこっちの方が良いですかね?

グリーヴァスらしからぬ最期でしたね。
良い奴かどうかは置いておいて、生身の肉体の時は誇り高い戦士であったろうに、最後までパルパティーンの手の内で踊らされていたように感じます。

いよいよクライマックスに突入していく・・・様な気がします!
もう少しお付き合いくださいませ。

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第92話 取り敢えず脱出だ

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

Twitterの方でも簡単に呟きましたが、ジェダイを主人公にした作品を新たに始めました。
本当であれば、この作品が完結して少し落ち着いてから執筆しようか決めるつもりだったのですが、ふとアイディアが浮かんだので、忘れないうちにメモ書きをしていたのですが、いつの間にか執筆している自分がいました・・・(ホラー)

https://syosetu.org/novel/300873/
URLはコチラになります。



この作品はかなりギャグ要素が強めでしたが、新しい方は割と真面目な作風なので、その違いも楽しんで頂ければと思います。

ま、まさか読んで下さいますよね!?
あえて読まないという放置プレイも嫌いじゃない()ですが、素直なヤンデレもみどり色は甘んじて受け入れますありがとうございます助かります好き。



<岩の惑星 帝国軍基地>

 

俺達は地上への最終便であるエレベーターに飛び込み、急いでスイッチを押す。

エレベーターの扉が閉まっても、グリーヴァスの笑い声が耳に残って離れない。

それにしても、奴らしからぬ最期だったな。

 

「レックス達は無事に脱出できただろうか?」

 

俺からの問い掛けに、アナキンはコムリンクを起動することで応える。

 

「レックス、こちらスカイウォーカー将軍、聞こえるかレックス!」

 

『—————す—————きこ—————』

 

ダメか・・・

一応繋がってはいるようだが、相変わらずのくそったれ通信状態に怒りを覚える。

 

「とにかく今は彼らを信じて脱出する他ない。医務室の場所も分からないし、そもそも爆発まで時間が残されていないだろう」

 

それに治療が完了次第、先に脱出しているように伝えてある。

俺達は最深部までの移動、そして量産型との戦闘まであったんだ。

レックス達の方が、時間に余裕があったと信じたい。

そもそも俺たちが無事に脱出できる保障すらない。

この基地と運命を共にする可能性も十分に考えられるのだ。

 

 

だがおかしい・・・

シールド・ジェネレーターが破壊されたからと言って、重力井戸発生装置が設置されている基地を爆破する理由が分からない。

それにグリーヴァスの量産型が生産されているのに加えて、グリーヴァス本人もその場にいた。

確かにドロイド将軍や量産型だけで勝てる程、この戦争は甘くない。

しかし、重要な戦力になったのは間違いないだろう。

それを捨て駒同然の扱いで・・・

 

謎は深まるばかりだ。

まさか俺たちの足止めだけが理由ではないだろう。

 

 

思考の海に沈んでいると時間が経つのが早い。

気が付くと地上に到着し、エレベーターの扉が開く。

俺はクリアリングしながら脅威の索敵を行うが、既に基地内のトルーパーやドロイドはその殆どが脱出したようだ。

俺はメインゲートから基地外に出て、少しでも通信状態を良くしようとアディスの方へと移動しながら無線を繋ぐ。

 

「アディス、レックス達は脱出したか?」

 

『レイか! いや、レックス達は確認していない。それにしても帝国軍の奴らが大慌てで基地外に飛び出してきたが何か—————』

 

それを聞いた俺とアナキンは踵を返し基地へと走りだそうとした瞬間、とてつもない爆発が起こる。

基地全体に仕掛けられた爆発物が連鎖的に起動したようで、尋常じゃない衝撃が俺とアナキンを襲う。

その衝撃をもろに身体に受けたことで、俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

<銀河連合国 ヴェネター級スターデストロイヤー艦内>

 

俺が目覚めたのは応援で駆けつけてくれたデストロイヤーの艦内だった。

どうやらまた死に損なったらしい。

周りを見回すと負傷兵が溢れており、その対応に医療ドロイドが追われている。

 

「いっ・・・・」

 

どうやらダメージは抜けきっていない様で、身体のあちこちが激しく痛む。

バクタ・タンクで冬眠したい気分だ。

しかし、後遺障害が残るような怪我は負っていないようで安心した。

 

それに激しい身体の痛みによって、フワフワしていた頭の中がクリアになっていく。

岩の惑星での任務、帝国軍基地内でのグリーヴァス量産型との度重なる戦闘、そして基地の激しい爆発・・・!

俺は身体に繋がっていたコード類を強引に引き剥がし、状況を確認するためにブリッジへと向かう。

 

そんな行動を見た医療ドロイドやナースドロイドが止めに入るが、そんなのはお構いなしに突き進む。

周りの迷惑を考えないような俺の行動を見かねたメディックのトルーパーが、部屋の出口で俺の行く手を遮る。

 

「・・・退け、トルーパー」

 

「退けません」

 

「・・・もう一度言うぞ曹長、そこを退くんだ」

 

俺は威厳を示すために痛む身体を押し殺し、無理やり姿勢を正す。

頼む、退いてくれ。

 

「自分は医療担当です。怪我人や病人に対して階級の優劣に関係なく命令を強制させられます。それに貴方は酷い傷を負っている、早くベッドへ戻ってください」

 

・・・言葉で分からないなら、身体で示すしかない。

俺は彼の腕を掴み、捻り上げる。

さらに相手の膝裏の関節部に、自らの足を添える事で地面に引き倒す。

別に拘束が目的ではない、目の前から障害が無くなればそれで目的は達せられたのだ。

 

彼を地面に倒したまま、構わずブリッジへと歩みを進める。

しかし曹長は立ち上がり、俺を後ろから羽交い絞めにして来た。

 

「行かせられません!」

 

くっ・・・

優しくしていては、一生分からない様だな。

骨の2,3本は覚悟してもらうぞ。

しかし、彼の拘束を振りほどいた瞬間、到底抗えない力に身体の自由を奪われる。

 

「何をしているの、トルーパー!」

 

その場に現れたのは、ジェダイナイトであるアソーカ・タノだ。

手を身体の前へ突き出し、フォースを用いて俺を拘束しているのだ。

彼女もこの艦に乗っていたんだな。

騒ぎを聞きつけてこの場にやって来たのだろう。

 

 

 

 

 

今は彼女のフォースから解放され、2人揃ってブリッジへと向かっている最中だ。

俺の性格をよく知っている彼女が、『彼の事は私が責任を持って見守る』とメディックの曹長に言った事で、その場を収めたのだ。

・・・彼には悪い事をした。

後程、正式に謝罪をしなければな。

 

「・・・すまなかったアソーカ」

 

「良いのよ、気持ちは痛い程分かるもの。でも貴方だけが彼らの身を案じている訳じゃない」

 

「ああ、分かっている」

 

彼女の言葉から、オーリーらを発見できなかったという事実を突きつけられる。

俺はまたしても、仲間を置き去りにしてしまったのだ。

 

「彼らの捜索は?」

 

「今地上は酷い嵐よ。捜索は嵐が治まってからからになる。それに、少しだけどレイに良い話があるの」

 

「良い話?」

 

ブリッジへの扉に辿り着いたタイミングで、彼女はそう言った。

その扉が開くと、思いもよらない人物が現れたのだ。

 

 

 

 

 

「レックス!」

 

その場には基地の爆発に巻き込まれ、行方不明になっているとばかり思っていた人物がいるではないか。

 

「レイ、思ったよりも元気そうだな」

 

そういう彼も、特段大きなケガを負っている様子はない。

あれだけの爆発を生き延びるとは、彼もまた人外への道を順調に歩んでいるなと、くだらない事を考える余裕が生まれる。

 

「他の皆は?」

 

「ちょっとした傷を負ったがエコーも無事だ。今は医務室で治療を受けている」

 

先程はエコーの姿が見当たらなかった為、恐らく俺とは違う所で治療を受けていたのだろう。

俺がいた部屋は、どちらかと言うと重傷者が集められていたようだからな。

・・・そんな所で暴れてしまい、大変申し訳ございませんでした()

 

「オーリーとファイヴスは? 彼の治療は上手くいったのか?」

 

レックスとエコーが無事であったこともあり、オーリーは・・・まあ特段心配する必要はないだろう。

それよりもファイヴスだ。

彼はGG量産型のライトセーバーによる攻撃を受けて重傷だった。

手遅れになっていなければ良いのだが。

 

「・・・・・」

 

「? レックス?」

 

どうした?

何故俯き、そんな悲しい表情を浮かべるんだ?

 

その時、俺はアソーカの言葉を思い出す。

『良いのよ、気持ちは痛い程分かるもの。でも貴方だけが“彼ら”の身を案じている訳じゃない』

そう、アソーカは“彼ら”と言ったんだ。

それは無事ではない人物が少なくても2人以上いるということ・・・

 

 

あの場で別れ、ファイヴスの治療に回ったのは、

・レックス

・ファイヴス(負傷中)

・エコー

・オーリー

・コマンドー・ドロイド1体

 

の4人と1体だ。

という事は、オーリーとファイヴスの安否が分かっていないという事になる。

 

「俺たちは医務室の場所を見つけ出し、ファイヴスの治療を開始した。だが、ライトセーバーによる傷は思ったよりも大きく、早急に手術が必要だった」

 

彼は事の顛末を話し出す。

 

「だが思ったよりも手術に時間が掛かりそうだった事もあり、オーリーの提案で俺とエコーは脱出路の確保の為に動くことになった。オーリーは『ファイヴスの護衛は俺とドロイドで十分。お前たちは地上までのルートを確保してくれ』と。今思えば、彼は何か嫌な予感がしていたのかもしれない。間に合わない場合や不測の事態が起こったとしても、俺達だけは逃げられるようにと考えたんだ・・・すまない、また生き恥を晒すことになってしまった」

 

レックスは俺と同じ思いを抱えている。

何もできず、自分だけ生き残ってしまったと・・・仲間の代わりに自分が死ぬ事ができればよかったと。

そんな事を考えても、何も変わらないことは理解している。

理解しているが・・・そう都合よく設計されている訳じゃないんだ。

俺達クローンでも。

 




はい、お疲れさまでした。

映画では上映時間の兼ね合いもあり、クローンの人間性や一人一人の個性まで描写される事が無かったので、どこかドロイドのような印象を持っていましたが、「クローンウォーズ」を通して、一人一人個性があり持っているフォースも異なっている事が語られたのは当時は非常に新鮮でした。

大量生産、個性を無くすよう調整されたクローンではありますが、人間が本来持つ特徴を完全に抑え込むというのは無理があるのでしょうね。



それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第93話 取り敢えず強襲する

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

最近めっきり寒くなってきましたね。
私は暑いよりは寒い方が好きです。
・・・え?
誰も聞いてないし、誰も興味ない?
はい、すみません。

と、とにかく皆さん健康には留意されてお過ごしください。



またしばらく時が経ち、銀河連合国は遂にアウター・リム・テリトリーに存在するデススターを発見する。

銀河連合国軍の偵察隊によってもたらされた情報では、その兵器は未完成であるという。

これを好機だと考えた銀河連合国は、大規模な強襲部隊を編成、これの完全破壊を第一目標としたのだ。

しかし、あまりに巨大な兵器を前にただ闇雲に攻撃を仕掛けても効果が薄いと考えたジェダイ評議会と軍上層部は、まだ建設途中のデススター内部へとスターファイターで侵入し、メインリアクターを破壊するという作戦を立案した。

デススターの細かい構造が分からない現状を踏まえ、現場での柔軟な対応力が求められる可能性を考慮した結果、ジェダイ評議会の高位将軍を中心に部隊が編成されると事となった。

 

 

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂>

 

「マスター、何か嫌な予感がします」

 

「私もだよアナキン、しかし現状我々がとれる選択肢が少ないのも確かだ」

 

ジェダイ最高評議会での会議を終えたアナキンとオビ=ワンは、その神秘的な建造物内でゆっくりと歩みを進めていた。

かつてのパダワンから今回の作戦を不安視する言葉を聞き、オビ=ワンもまたそれに同調する。

評議会の決定に理解は示したが、納得はしていないのだ。

しかし、クローン戦争から始まった長きに渡る戦争によって、国や民は疲弊していた。

かつての銀河共和国と分離主義派の一部が1つになった事によって、はじめはインフラの整備や福利厚生等に向けられ始めていた資金も、主戦場がアウター・リム・テリトリーという事もあり戦線が引き延ばされた結果、戦争に掛かるコストは増大する一方であった。

銀河連合国にのんびりと戦争をしている余裕は無いのだ。

 

「僕も強襲部隊に参加する方が良いのでは? 戦力を温存している余裕など今の連合国にはありません」

 

「ああ、その通りだろう。 だが今回の作戦は事前の情報が少なすぎる・・・お前が言ったように私も悪い予感がするのだ」

 

今回の強襲部隊には多くの最高評議会のメンバーも参加するが、その多くが所謂“経験を積んだ”マスター達であった。

特に年若いマスターやナイト、パダワン達は不測事態対処部隊と言う名目で後方待機という決定に至ったのだ。

この配置は戦略的に見て特段おかしいという訳では無い。

寧ろ戦力を一か所に集中すると一気に殲滅される恐れもあるし、不測事態に素早く対応する事も難しくなるためだ。

しかし、この決定を理解はしていても納得が出来ない若きジェダイ・マスターがいるのは言うまでもないだろう。

 

「マスターお一人にするのはやはり心配です。僕も強襲部隊に—————」

 

「大丈夫だ、アナキン」

 

心配するな、任せておけとオビ=ワンは柔らかい笑みを浮かべながらかつての弟子の肩に手を置くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

<アウター・リム・テリトリー “アブリオン宙域”  ヴェネター級スター・デストロイヤー “エンデュランス”>

 

「よし、隙を突いた。 コマンダー・ポンズ、艦隊の間隔を離すよう各クルーザーに連絡しろ」

 

「はい、ウィンドゥ将軍」

 

現在、銀河連合国艦隊は大規模な部隊を編成してアウター・リム・テリトリーに存在するデススターを捉えていた。

ジェダイ評議会のメイス・ウィンドゥはデススターの強力なスーパーレーザー砲からの被害を最小限とするために各クルーザーの距離を離すように命令を出した。

時を同じくして連合国艦隊を捉えた帝国軍は速やかに迎撃態勢を整え、無数のファイターを発艦させるのだった。

 

 

 

 

 

<ヴェネター級スター・デストロイヤー “アルテミス”>

 

「ライズ、あまり突っ込みすぎるなよ」

 

「コマンダーと一緒にされるとは光栄ですね」

 

おい、それはどういう意味だ。

コマンダーは心外ですよ!?

 

「コマンダー・ライズ、マスターへの侮辱は許しません。この方には凡人では計り知れないケッセル・ランよりも深い考えがあるのです」

 

俺に対する軽口が勘に触ったようで、女性型スーパー・戦術・ドロイドのタティスがライズに向かって鋭い眼光(?)で睨みを利かせる。

いや、私の中身はスターウォーズ好きの下っ端自衛官なのでそれ以上でもそれ以下でもありません。

ましてやケッセル・ランよりも深い考えなんてありません。

変に期待してくださりやがるのはやめてくださいお願いします。

 

因みに、久しぶりの登場のライズ君は俺の副官のコマンダーだ。

若いのに優秀な奴です。

確か以前も同じような紹介をしたような記憶が、自慢の小さい脳みその片隅にあります。

気になる方は探してみて下さい(投げやり)

 

タティスはコルドヴァ爺さんが、かき集めてきたドロイド軍のトップに君臨するスーパー・メンヘラ・ドロイドだ。

Fu〇kingシーヴ・パルパルによる帝国樹立の宣言に伴い、銀河共和国が銀河連合国に再編されたときにボガーノのドロイド軍が正式に軍部に組み込まれた。

それからと言うもの、合法的に(?)俺の傍にいられるからと事あるごとに同じ船に乗艦しているのだ。

 

そしてこの艦は俺が率いる第117コマンド大隊の旗艦であるヴェネター級スター・デストロイヤーの“アルテミス”だ。

前はもっと小型のアークワイテンズ級軽クルーザーに乗っていたが、流石にあれで激戦を潜り抜けろと言われるのには無理があるからな。

まあ気に入っているので、今は軍のドックでお休み中だ。

 

「コマンダー・レイ、エンデュランスからの通信です。 各クルーザーは距離を取るようにと」

 

「了解した、周りと距離を取りながら前進するぞ。 だが離れすぎるなよ」

 

陣形が崩れる程距離を取ってしまうと連携が取れなくなるからな。

程ほどが大切ですよ、程ほどが。

というか、建造中だというのに護衛のスター・デストロイヤーなんかが居ないのは気になるな。

そんなこんなしている間に帝国軍ファイターが続々と出撃してきている。

 

「ライズ、こちらもファイターを発進させろ。 練度の違いを見せてやれ」

 

「イエッサー」

 

接敵していき、先頭にいたスターファイターがお互いを射程に収めると強力なレーザー砲を発射する。

瞬く間に辺りは両軍の光弾で埋め尽くされる。

その一つ一つが人間を容易く事切れさせる威力を誇っていた。

 

我が軍のARC-170スターファイターやクローンZ-95スターファイターと対峙するのは帝国軍のH型のフォルムをしているファイターだ。

あれどう見てもタイ・ファイターだよな・・・。

 

タイ・ファイターは高速のドッグファイトを想定されて設計されており、高い機動性が特徴だ。

その設計思想は徹底されており、ハイパードライブどころか偏光シールドすら備えていない。

さらに生命維持装置も最低限で、コックピットの居住性の悪さは筋金入りだそうだ。

人を消耗品としか見ていない帝国軍らしいスターファイターだ。

敵ながら同情する。

 

しかし、その徹底された軽量化によって、他には類を見ない程の機動性を獲得している。

Z-95は兎も角、大型のARC-170の機動性ではどう見ても勝ち目がない。

こちらのファイターが次々に大破若しくは、被弾してクルーザーに緊急着艦している。

 

他の艦も同じような状況だな。

だが我が軍の戦力は圧倒的だ。

ジェダイ評議会のメンバーをはじめ、各宙域に広く散らばっていたジェダイ達の多くが自分の部隊を率いて参戦しているんだ。

 

うーん、だがどうも帝国の抵抗が小さいように思える。

いや、“帝国の抵抗”は草

アカン、変なツボに入ったw

レイ君のポーカーフェイスは限界よww

・・・ちょっとライズ君、変な目で上官を見るんじゃない。

アタシ自慢のお豆腐メンタルが崩れ落ちるぞ。

 

 

 

暫く戦闘が続き、銀河連合国のクルーザーがデススターを完全に包囲していた。

スーパーレーザー砲から逃れるためかなりの近距離だ。

あれなら、そう易々と反則級の強力な兵器は撃てないだろう。

まあ、戦闘が始まってから一度も撃ってきていないけどね。

外見だけじゃなく、兵器の完成もまだなのかもな。

イメージ的にはEP6のデススターをもう少しスカスカにした感じだ。

 

そうこうしている内に、連合国のスターファイターが続々とデススターに侵入していく。

因みに俺の部隊は最前線から少し後ろの配置だ。

まあ、ジェダイが中心の作戦だからな。

アルテミスにはジェダイが乗っていないから、邪魔するなとばかりの配置になるのも仕方がない。

 

「右舷後方よりレゾリュートが接近してきます」

 

ん?

レゾリュートは後方待機だったよな?

・・・まあ、アイツ(アナキン)が後ろで大人しくしている訳ないか。

 

「お留守番の言いつけが守れないとパパ(オビ=ワン)に怒られるぞ?」

 

『僕は言われた事を“はいそうですか”と守れる程デキが良くないんだ。 それに、その“パパ”が一番心配だ。 レックス、こちらもファイター出撃だ』

 

アナキンからの命令が下達され、レゾリュートからも次々とスターファイターが発艦する。

そのファイター群は俺たちを追い抜いていき、タイ・ファイターとの戦闘を開始する。

 

オビ=ワンは他のジェダイ・マスター達と一緒で最前線だからな。

彼が心配だったんだろう。

優しい弟子を持ってオビ=ワンは幸せ者だ。

 

その時、ブリッジの警報がけたたましく鳴り響く。

 

「アンノウンがハイパースペースから出現!」

 

ブリッジのトルーパーがそう言い放つと同時に帝国のスター・デストロイヤーの大艦隊が出現してきた。

そして最後に信じられない物体が現れる。

 

「デススター!?」

 

新たに出現したデススターはハイパースペースでエネルギーの充填を終了していたようだ。

出現してすぐに連合国艦隊がひしめいている未完成デススターに向かって、スーパーレーザー砲を発射する。

 

 

一瞬、時が止まったような静寂がこの宙域を支配する。

そして次の瞬間、スーパーレーザー砲と未完成デススターが爆発四散した強大過ぎる衝撃波が俺たちを襲ったのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

中々忙しくて更新が遅く、申し訳ありません。(誤字は後で確認します)
年内に絶対に1話は更新したかったので良かったです。

え?
まだ10日あるからもう1話更新できるよって?
・・・確かに(白い目)


それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第94話 取り敢えず向かう

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

今更ですが、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。
丸1年くらいサボってしまったような状態でしたが、去年復活できてよかったです。
執筆時間は引き続き合間、合間でやっていくので、生温かい瞳で睨みつけてください(恍惚)

し、CODのDMZにハマって時間が取れないとは口が裂けても言えない。
シーズン2配信が待ち遠しいです。
え?
フレ募?
みどり色のデスボをお聞きになりたい方はTwitterのDMでお待ちしております。
え?
誰も興味ないって?
誠にありがとうございました。



銀河連合国軍は完全に混乱状態だった。

 

 

突如出現した帝国軍艦隊ともう一機のデススターによって、連合国が支配していた戦場が一気にひっくり返ってしまった。

新デススターのスーパーレーザー砲によって、当初の攻撃目標だったデススターが破壊され、その強力な攻撃によって連合国の主力部隊は壊滅状態だ。

 

「ダメージ・コントロール! 状況を報告しろ! 残存部隊の掌握を急ぐんだ!」

 

ハリボテとは言え、デススターを囮に使うとはな。

爆発の衝撃波によって、アルテミスには緊急事態を知らせるアラートがけたたましく鳴り響いている。

しかし不幸中の幸いか、決定的な損傷は負っていないようだ。

俺は矢継ぎ早に各部署へ命令を飛ばす。

 

 

だが帝国が態勢の立て直しの時間をゆっくりと与えてくれるはずもない。

デススターの火砲から辛うじて逃れた前線の連合国艦隊に対して、帝国軍クルーザーは好機とばかりに攻撃を加えている。

その攻撃から逃れる術を持たない艦隊は、次々に火に包まれ轟沈していく。

 

連合国が甚大な損害を負っていく最中、突如新デススターはハイパースペースへとジャンプしていった。

撃つだけ撃って気が済んだってか?

クソッたれ!

 

だが強力な兵器を備えている分、使い勝手はそこまで良くないのが幸いした。

下手に撃つと自軍への被害を出す恐れもある。

まあ、そんなこと帝国が気にするとも思えないが・・・

それにこの状況では帝国のスター・デストロイヤーで戦力は十分だという事だろう。

最悪な事にその考えは正しいからな。

 

「アルテミスの損傷軽微、しかしデススター周辺にいた艦隊はほぼ壊滅状態です」

 

トルーパーからの報告が上がる。

これ以上、この場に残り続けても被害が拡大するだけだ。

撤退するしかない。

 

「ライズ、残存の部隊を掌握して撤退、生き残った部隊にも打電しろ。 とにかく準備が出来次第すぐにジャンプするんだ」

 

「? コマンダーどちらへ!?」

 

「艦隊へ向かう。 生き残りがいるかもしれない」

 

俺は彼にそう言い残すと、ハンガーへと走り出す。

ライズが何か言っていたが関係ない。

どうせまたいつもの小言だろう。

生きて帰ったらいくらでも聞いてやる。

 

それに未だ果敢に帝国に対して攻撃を行っている艦もいる。

見捨てられるもんか!

 

 

 

 

 

<ニュー級アタック・シャトル>

 

俺はARCSのメンバーと銀河を飛び回った懐かしのニュー級アタック・シャトルで宇宙に飛び出した。

あの頃は大変ではあったが何のしがらみも無く、アイツらとそれなりに楽しくやっていた。

今は遠い昔のように感じるが・・・。

 

それで—————

 

「—————どうしてお前がここにいるんだ?」

 

「マスターのいらっしゃる所が私の居場所です」

 

『何を当たり前のことを言っているんだ?』と言わんばかりの表情を浮かべた(?)顔を俺に向けてくるタティスさん。

いや、私が言いたいことはそういう事ではなくてですね?

って言うか、いつの間に船に乗っていたの?

俺がブリッジから飛び出した時にはまだその場にいましたよね?

貴女戦闘用じゃないですよね?

早すぎませんか?

 

「・・・どうなっても知らないぞ」

 

「ご心配なくマスター、マスターの安全は私が保証致します」

 

そういうと、タティスはどこからともなくDC-17ハンド・ブラスターを2丁取り出した。

そんなドヤ顔(?)でポーズを取られてもパパ困っちゃいますよ?

 

と、とにかく今はこんな事で時間を取られている場合じゃない。

1人でも多く救えれば良いのだが・・・

 

 

 

 

 

シャトルで目的地へと飛んでいると、後方から友軍のファイターが次々に飛来してくる。

あれは・・・第501大隊の連中だな。

あのアナキンが大人しくしている訳はないと思っていたよ。

だが正直この状況だと助かる。

 

俺たちは言葉を交わすことなく、自然と編隊を組む。

彼らと幾度となく共に戦ってきた故になせる業だ。

 

こうしている間にも帝国軍クルーザーは連合国のヴェネター級スター・デストロイヤーに強力な砲火を集中している。

何とか反撃している艦もあるが、墜とされるのも時間の問題だろう。

俺たちは前線に向かって全速力でファイターを飛ばす。

 

前線に近づくと各艦から脱出ポッドが次々に射出されていくのが見えるが、そのポッドに向かって帝国軍は無慈悲な攻撃を加えている。

 

俺たちは編隊を崩し、各方面に散らばって帝国軍への攻撃を開始した。

残骸が多く浮遊しており、動きが制限される状況では敵の攻撃に晒されやすいからな。

 

「タティス、周囲をスキャンして生命反応があるか調べてくれ!」

 

「はいマスター」

 

ヴェネター級にはもう少し耐えてもらうしかない。

ポッドには自衛の為の装置など皆無に等しいからな。

だが周りには両軍のファイターやクルーザーの残骸が大量に浮遊しており、高温の熱を放つものも多い。

生命反応を探ろうにも、それらが邪魔してまともにスキャンができない状況だ。

 

俺は操縦桿を握る手に力が入っている事に気が付き、深呼吸をする。

こんな状況、大したことはない。

これまでだって絶望的な状況も潜り抜けてきたんだからな。

浮遊物を避けながらシャトルを飛ばす。

 

 

しかし、いくら飛んでも生存反応のあるポッドを発見する事ができない。

その時、少し離れた空域で戦闘が始まる。

アナキン率いる第501大隊が帝国軍クルーザーへの攻撃を開始したようだ。

 

「! マスター、連合国の救難信号を受信。 4時の方向です」

 

タティスが示す方向は戦闘の真っ只中の宙域だ。

迷っている暇は無い。

俺はシャトルを旋回させ、スラスターを全開にする。

 

「タティス、攻撃は任せたぞ!」

 

「はい、マスター。 お任せください」

 

連合国のファイターに対抗する為、帝国もタイ・ファイターを出撃してきた。

高速で飛来するタイ・ファイターだが、一機のジェダイ・スターファイターによって次々に撃墜されている。

恐ろしい操縦技術だ・・・誰がとは言わないけど()

 

そのファイターは帝国の防御線を単機で突破し、あるヴェネター級へと近づいていく。

あれは・・・

 

「ネゴシエーターです。ケノービ将軍の旗艦ですね」

 

俺の考えを読んだかのようにタティスがそう答える。

 

「ああ、オビ=ワンを助けに行ったんだ」

 

彼にとってオビ=ワンは特別な存在だ。

それは今も昔も、これからも変わらない。

正史で暗黒面に落ちた時もそうだった。

 

無事でいれば良いんだが・・・

 

「俺たちもポッドを拾ったら援護に行くぞ」

 

「そう仰ると思っていました」

 

ドロイドが“思っていた”とは興味深いな。

そんな事を考えていると、タティスからジトォっとした視線を感じる。

俺はその視線に気が付かないフリをして、ポッドへとスラスターを吹かす。

彼女からの視線が強くなったのは無理も無いだろう。

 

って言うか、どうしてこちらに視線を固定したまま高速で飛ぶタイ・ファイターを正確に撃ち抜けるんだよ!?

トム・〇ルーズもびっくりなトップガンぶりだぜ・・・?

 

「マスター、今は救出に集中するべきでは?」

 

「・・・はい、すみません」

 

心を読まれている(定期)事にツッコミが追い付かない某コマンダーですが、タティスのおかげで無駄な力が抜けたようです。

俺はさっきよりも操縦に集中する事ができた事と、彼女の援護により脱出ポッドに辿り着く。

 

俺はシャトルを減速させ、そのタイミングでタティスがポッドに向かってアンカーを飛ばす。

そしてワイヤーで宙づり状態のままスラスターを全開にする。

のんびりとシャトルに人員を格納している暇は無いからな。

ポッド内の人には同情するが今は仕方ない。

後で謝るから許してね?

 

「タティス、ポッドを牽引しながらネゴシエーターに辿り着く可能性は?」

 

「本当にお聞きになりたいですか?」

 

「いや、聞いてみただけだ。 気にするな」

 

『マスターは構ってちゃんですね、そんな所も可愛く愛おしい・・・マスターは私の物(小声)』

 

って小声で言っているつもりかもしれないけど、聞こえてるからねタティスさん!?

俺は貞操の危機を感じながら、必死にシャトルを飛ばす。

 

冗談は置いておいて、この状況でネゴシエーターに辿り着くことが出来たら奇跡だな。

ポッドの奴らにも悪い事をした。

せっかく助ける事ができたのに、死期がほんの少し延びただけだ。

 

大量に浮遊する残骸を避けながらタイ・ファイターの追撃から何とか逃れられているが、ポッドを牽引していることもあり、シャトルの動きが大きく制限されてしまう。

下手な動きをすれば周囲の残骸に衝突したり、タイ・ファイターからの攻撃に晒されてしまうからだ。

 

『コマンダー、援護に入ります!』

 

その時、唐突に仲間からの通信が入る。

第501大隊の連中じゃないな。

視界に入って来たのはARC-170スターファイターだ。

あの機体は・・・

 

「オッド・ボールか!?」

 

彼はスクワッド7を率いる腕利きのクローン・コマンダーだ。

その洗練された操縦技術によって、機動性で劣るARC-170でタイ・ファイターを撃墜していく。

 

『ケノービ将軍はまだクルーザーに!』

 

「了解した。 必ず助け出す!」

 

オッド・ボールはその言葉を聞くと、スクワッド7を率いて俺たちを先に進めるためにタイ・ファイターの壁になる。

 

帝国からの追撃が無くなった俺たちは、最短距離でネゴシエーターに向かう。

他のクルーザーやトルーパー、ジェダイも助けられるなら全て助けたいが、俺にはそんな力は無いし、出来ると自惚れてもいない。

軍人としての優先順位を立て、ほんの少しの個人的感情で動かせてもらうだけだ。

 

ネゴシエーターが宙域から離脱しない所を見るとハイパードライブが故障していると考えて然るべきだろう。

この時点でネゴシエーターに残る全員を助け出すことなど出来ない。

その現実が重くのしかかるが、落ち込むのは後でいくらでもできる。

今はオビ=ワン達の救出が最優先だ。

 

 

 

その後、俺たちはネゴシエーターに辿り着き、ドッグに進入する。

先に辿り着いたアナキンのファイターもその場に確認できる。

ドッグに牽引してきた脱出ポッドを切り離して着陸態勢に入る。

 

帝国軍クルーザーの攻撃に船体が激しく揺れるが、連合国トルーパーとバトル・ドロイド達が果敢に応戦している事で、なんとか持ちこたえている。

俺はシャトルをドッグに降ろし、速やかに牽引してきた脱出ポッドへと走り出す。

 

「みんな無事か!?」

 

「うーむ・・・コマンダー・レイ、もう少し穏やかに操縦できないのかの? うん?」

 

そう言いながら、ゆっくりとシャトルから出てくる我が小さき緑色の友・・・

いや、別に友達じゃねーけどさ。

この爺さんしぶといなマジで。

 

「将軍! ご無事でしたか!」

 

俺はポーカーフェイスなのです。

どんなに心の中で不敬な事を思っていようとも決して表には出さないのです。

だって中身は日本人ですから。

皆さんもそうですよね?

・・・どうしてタティスさんは分かるのかね?

 

「うむ、お主のおかげじゃ。 ここはマスター・ケノービの船じゃの」

 

「はい、ですが助けられた命は少ない・・・それに時間も多くは残されていません」

 

「うむ、今は生き残った者を救う事が先決じゃの」

『オビ=ワンの船ってどうしてわかるの?』なんて野暮な事は聞かない。

どうせいつものフォースを感じるってやつだ。

だが良いことを聞いた。

まだオビ=ワンは生きているって事だ。

 

「スカイウォーカー将軍が先行しています。 ケノービ将軍が生きていられるのならまずはブリッジに向かおうと思います。 少なくても状況は掴めるはずです」

 

「うむ、ワシは脱出に備えるかの」

 

「お願い致します」

 

よし、脱出に関しては緑色のお爺ちゃんに丸投げして俺は自分の事に集中できるな。

 

「タティス、お前は将軍を手伝ってくれ」

 

「嫌です」

 

「よろしく頼むz・・・へ?」

 

「嫌と申しました」

 

なんでや!

どうして急にいう事聞いてくれなくなったの?

反抗期なの?

イヤイヤ期なの?

 

「・・・まあ良い、離れるなよ?」

 

「言われなくとも添い遂げるつもりです(小声)」

 

・・・へ?

 




はい、お疲れさまでした。

誤字・脱字は後程確認、修正させて頂きます(フラグ)
もう一つの投稿作品「かつて選ばれし者と呼ばれた騎士」も少しずつ書いているので、読んでくださっているコアな方はもう暫くお待ちください。
本当は一緒に更新したかったのですがゲーm・・・し、仕事が忙しくて無理でしたはいすみません。ゲームしてました。めっちゃやってます。DMZ楽しいです。皆さんもやりましょう(開き直り)

そ、それでは皆さん、また近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第95話 取り敢えずあの人再登場

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

いやーお待たせしました。
別にめちゃくちゃ忙しかった訳ではないのですが、更新遅くて申し訳ない。
話を更新してから、「あ、こうすればよかった」「あ、これはまだ早すぎた」と後悔しっぱなしで先を考えるのが大変です。
ホントに、誰のせいだよ全く。
はい、私のせいですごめんなさい。

毎回勢いとノリで書いているので後々後悔する事ばかりです()
誰か私を導いてぇぇぇぇぇ


俺とタティスはオビ=ワン救出の為に、艦のブリッジへと急いでいた。

まさかヨーダがポッドに乗っているとは驚いた。

だが、彼を救えたのは良かった。

これから先、ジェダイの運命がどうなって行くかは俺には分からないが、彼の知恵は何かと役に立つだろう。

知らんけど。

 

艦内ではトルーパーとバトル・ドロイドが慌ただしく動き回っていた。

その多くが避難を命じられているようだ。

 

「コマンダー!? 何故ここに!?」

 

撤退の指揮を執っていた第212アタック・バタリオン所属の中尉がヘルメットを脱いで俺に声を掛けてくる。

そもそも別動隊である俺がこの艦にいるのがおかしいもんな。

 

「お前たちの救出に来た。 ケノービ将軍はブリッジか?」

 

「イエッサー。 将軍は我々に退却を命じ、コマンダー・コーディーと共にブリッジに残られています。 我々もお供すると進言したのですが、生きることが最優先だと厳命されました」

 

「分かった、俺たちが将軍を救う」

 

俺はタティスを連れてその場を後にしようとするが中尉はそれを遮る。

彼が口を開かなくても言いたいことが分かった。

 

「危険だ。 それに兵の指揮を執る者が必要だろう」

 

「我々は誇りある兵士です。 士官がいなければ成り立たないような柔な部隊ではありません」

 

それは俺も良く知っている。

コーディー率いる第212アタック・バタリオン、そしてレックス率いる第501大隊とは数えきれない程の任務を共にして来た。

だが優秀な兵を無駄死にさせたくないというのが本音だ。

 

「・・・分かった、同行を許可する」

 

俺は中尉の目を見て、それ以上の事を言わなかった。

ヨーダが艦のドッグにいる事を伝えると、中尉は部下に脱出の手伝いをするように命じている。

ヨーダの指揮下に入れば、間違いはないだろう。

どうやら中尉に加えて、2人のトルーパーが同行してくれるようだ。

 

その時、艦にひと際大きい衝撃が加わる。

この艦は長くはもたないだろう。

俺達5人は急ぎブリッジへと向かう。

 

 

 

 

 

先程から艦内の様子がおかしい。

ブラスターの発砲音や、人の叫び声が聞こえる。

それにブリッジに辿り着くにはまだ距離がある。

ヴェネター級の全長は1キロ少しと、距離にすれば大したことは無いがランニングコースを1キロ走るのとは訳が違う。

様々な区画に分けられた艦内は、初見殺しと言っても過言ではないような構造をしている。

迷路と言って差し支えないだろう。

 

自衛隊時代に乗ったことのある航空機なんて大きくても30~40メートル程度だ。

自慢じゃないが、ヴェネター級を初めて見た時はその大きさに腰を抜かしたものだ。

文字通りな☆

 

あれからどうも腰の調子が・・・

んっん!!

と、とにかく何が言いたいかと言うと、ブリッジまで遠すぎるんだよバカぁぁぁぁ

 

お?

文句を言っていたら(?)ブリッジに続くエレベーターへの通路にぶつかる。

もうすぐだな。

 

そう考えながら通路を曲がると、バトル・ドロイドの部隊と遭遇する。

 

!?

って、あれは帝国のドロイドじゃないか!

俺達はすぐに武器を構えるが、既に戦闘態勢を整えていた奴らの方が動きは早い。

中尉に同行してきた2人のうちの1人が、帝国軍ドロイドの光弾の前に倒れる。

すぐに俺たちは通路を戻り、曲がり角へと身を投げる。

現在地はT字路になっており、俺たちは通路のI字の頭部分に身を隠している。

 

「どうして帝国軍が!?」

 

我が方の艦に敵部隊が侵入している事に驚きを隠せないトルーパー。

俺も正直驚いている。

そもそも沈みかけのこの艦に乗り込むメリットが思いつかない。

そんな面倒な事などしないで、一斉砲撃で沈めてしまえば良いのだ。

まだ抵抗している分、すぐに沈めるのが難しいのかもしれないがそれも時間の問題なのだ。

戦略的に見れば意味のない行動だ。

 

「先程の強い衝撃は敵部隊が侵入してきたことによるものだったようですね」

 

そう言うのは、ブラスターの安全装置を解除している中尉だ。

T字路の左右を確認すると、どちらからも帝国軍部隊が歩みを進めてくるのが確認できる。

 

「そのようだな。 どうして侵入してきたのかは分からないが、それは奴らに直接聞けば良いさ」

 

俺は腰に装着したEMPグレネードを取り出す。

装備しているバックパックを確認するが、最近は対人戦が増えていたこともあってドロイド用の装備が心もとない。

 

「ほら中尉、お前は右を頼む。 」

 

「イエッサー」

 

タイミングを合わせ、俺たちは同時にグレネードを投擲する。

下手にサーマル・デトネーターなんて使ってしまったら、艦に甚大な被害を与えてしまう。

ブラスター等で対処するしかない。

 

EMPグレネードの起動と同時に俺と中尉は敵部隊へと身を曝け出す。

タティスとトルーパーはカバーポジションからの援護だ。

狭い通路で味方同士の射線が被ってしまうのは仕方がない。

今は少しでも火力を集中したいからな。

 

帝国側のB-1バトル・ドロイドは、分離主義勢力が使用していた物と同型のようでブラスターによる1~2発の被弾で機能を停止していく。

 

俺が装備しているのは、クローン・コマンドーがよく用いるDC-17mブラスター・ライフルだ。

全長が短く取り回しに優れ、連射性能が高い近距離用のブラスター・ライフルで、今のような限定された空間で多くの敵に対応する際に真価を発揮する。

 

少なくない数のドロイドをスクラップにしているが、問題が発生した。

B-1の隊列の奥から、とてもドロイドの動きとは思えない個体が出現する。

コマンドー・ドロイドだ。

ブラスターを持つものや、バイブロソードを持つものなど選り取り見取りだ。

 

「くそっ!」

 

バイブロソードを装備した1体のコマンドー・ドロイドが、俺に向かって剣を振り下ろしてくる。

突如現れたその変則的な動きに反応が遅れる。

後方へと下がったが、胴体部分を切り付けられてしまった。

 

「置き土産だ。 どういたしまして!」

 

下がり際にEMPグレネードを投げつけ、前衛にいたバトル・ドロイド達は機能を停止する。

俺は敵から距離を取り、攻撃された箇所を確認すると胸の部分のアーマーが切り裂かれていた。

俺は既にベスカー製のアーマーを身に着けていない。

あと一瞬回避が遅れていたら無事では済まなかっただろう。

 

だがフェーズⅢのクローン・トルーパー・アーマーも大した防御性能だ。

避けたとはいえ、バイブロソードの直撃を食らっても貫通していないのだ。

性能を突き詰めた結果、製造コストが跳ね上がり全部隊にまで支給が追い付いていないのが玉に瑕だが・・・。

 

「マスター!」

 

「大丈夫だ、それよりも中尉を援護しろ!」

 

タティスが俺の無事を確認しているが、彼らの方が心配だ。

俺はすぐにブラスター・ライフルを構えて帝国へと攻撃を再開しようとした時、思いもよらない人物が現れる。

 

「攻撃やめ! その消耗品の欠陥クローンは私が直々に葬ってやる!」

 

その場に耳障りな声を響き渡らせたのは、ベサリスクの元ジェダイ・マスターであるポング・クレルだった。

コルサントの牢にぶち込まれていたが、他の罪人たちと脱獄していたのだ。

やはり帝国に合流していたんだな。

 

「これはこれはクレル大先生じゃないか。 最後に見た時は牢に捕らえられていたが・・・出所したのか?」

 

「ふんっ! 欠陥クローンが一端の口を利くじゃないか? 私の計画が狂ったのも元はと言えば貴様が惑星アンバラの作戦に介入してきた時からだ! 消耗品は消耗品らしく俺の為に命を捧げていれば良い物を・・・何がARCSトルーパーだ! ただのクローンに特別な指揮権が与えられているとは反吐が出る! 貴様は—————」

 

相変わらずよく口が回る奴だな。

俺はうるさいのが嫌いなんだよ。

 

そんなクレル大先生が非常にありがたい演説を披露してくれている所悪いが、俺たちには時間が無いんだ。

何故帝国がここにいるかと言うのは置いておいて、今はどうにか現状を突破する方法を考えなくてはいけない。

 

奴を観察すると、正史に登場する尋問官のような漆黒のアーマーを身に着けている。

そして奴の大柄な体格に合った、これまた大型のライトセーバーが二振り装備されているのも確認できる。

クレルは全く、これっぽっちも、再考の余地がない程に褒められた性格はしていないが、その実力は折り紙付きだ。

そのフォースも強大で、ヨーダすら予見できなかった“共和国の崩壊”という未来を見通していた。

味方にしておきたくはないが、敵にもしたくない。

一番質の悪い奴だ。

きっと友達はいないだろう。

え?

それは今関係ない?

はい、すみません。

 

 

と、とにかく何が言いたいかと言うと大ピンチって事だ。

アニー、ここに戻って来てぇぇぇ

 

 




はい、お疲れさまでした。

待ちに待った、みんな大好きクレル先生の再登場です。
嬉しいですか?
嬉しいですよね?
ありがとうございます。
画面が発するブルーライトを通して、皆さんの恍惚とした表情が見えます。

それではまた近・・・
あ、もう一つの作品「かつて選ばれし者と呼ばれた騎士」もよろしくお願いします。
何をと地狂ったのか、慣れない恋愛模様?なんて書いてしまってもうメンタルが・・・
どうしてこうなった()

そ、それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第96話 取り敢えず空気って大切です

皆さんお疲れ様です。
みどり色です。

やっと更新です。
『更新遅くて話覚えてないよ!』と言う方も多くいらっしゃると思います。
はい、私も同じです。
仲間ですね?(恍惚)



現在俺たちはオビ=ワン救出に向かったアナキンを追って、ネゴシエーターに乗り込んでいる。

外ではオッド・ボール率いるスクワッド7や第501大隊の連中が敵を押しとどめているが長くは持たないだろう。

時間との勝負だが目の前には皆のアイドル、ポング・クレル大先生がドロイドの部隊を率いて立ちはだかっている。

 

こちらの戦力はスーパー戦術ドロイドのタティス、第212アタック・バタリオン所属の中尉と一般兵のトルーパーが1人。

4人でどうこう出来る状況ではない。

ここは撤退するしかないだろうな。

 

「トルーパー、足の速さに自信は?」

 

「はい? い、イエッサー、まずまずであります」

 

「中尉は?」

 

「年は取っていますが、まだまだ新兵には負けません」

 

場違いな質問に戸惑っているトルーパーだったが、彼の上官である中尉は俺の質問の意図に気が付いている。

俺は背負っているバックパックからスモークグレネードを取り出す。

ゲームだったらボタン一つで装備変更できるが、現実はそうはいかない。

 

『オイ、ミロヨ! オイラモ、リュック、ホシイ!(おい見ろよ! オイラもリュック欲しい!)』

 

『バカ! アッテモ、イレルモノガ、ナイダロウ?(バカ! あっても入れる物がないだろう?)』

 

『ラジャー、ラジャー』

 

アイツらはどこにいても癒し系だな。

連合国のバトル・ドロイド(コルドヴァの盗品)は、タティスらによって魔改造されているから天然っぽさが抜けている。

やっぱりB-1はおバカさがないとね。

うちのはスーパー・バトル・ドロイド並みにゴツイB-1だからなぁ・・・

見た目も可愛くないのよ、やっぱり見た目って大切よね、うん。

 

クレル先生はというと、このやり取り中も絶えず語り続けている。

あれはもはや才能だな。

このままシレっとフェードアウトしても気づかれないんじゃないか?

 

俺はバックパックから取り出したグレネードの安全装置を解除する。

他のメンバーとアイコンタクトを取り、敵陣へと投擲する。

 

『ウワッ! マエガ、ミエナイ!(うわっ! 前が見えない!)』

 

『テキトウニ ウテバ アタルダロ(適当に撃てば当たるだろ)』

 

『ヤッチマエ!(やっちまえ!)』

 

随分と物騒なフレーズが聞こえてくるが、構わず来た道を全速力ダッシュ。

ドロイド部隊だけならまだしも、クレルがいてはどうひっくり返っても勝ち目はない。

所謂、戦略的撤退というやつだ。

 

一定距離を走り、またグレネードを落とす。

奴らは進めど進めど煙の中という終わりが見えない煙地獄を味わっている事だろう。

 

その時、後方から強烈な力を感じる。

するとどうだろう。

グレネードによって発生した煙が俺たちを追ってくるではないか。

恐らく・・・と言うか十中十(100%)クレルがフォースを使ったのだろう。

 

もうやだ、フォース使う奴!

戦術も戦略も意味を成さないですやん!!

そうこうしているうちに俺たちは周囲を煙で覆われてしまい、方向感覚も失われてしまう。

 

「うーむ、力の使い方を誤れば自分に跳ね返って来るものじゃぞ、コマンダー・レイ」

 

「あ、貴方は・・・・・」

 

煙の中から杖を突きながら現れたのはヨーダだった。

視界が遮られている事など何の障害にもならないようだ。

そういえば、EP4のオビ=ワンも『目が見えている方が惑わされる』的な事をミレニアムファルコンで言っていたな。

ヨーダは懐からライトセーバーを取り出して起動すると、緑色のプラズマが発生する。

 

「コマンダー、この場は我々が食い止めますのでブリッジへ」

 

ブラスターを構えながらそう言うのは中尉だ。

確かにこの場に全員残るのは戦略的に悪手だ。

ヨーダ先生もいるし、信じるしかないだろう。

 

「タティス、回り道をするぞ」

 

「はい、マスター。 どこまでもお供します」

 

タティスさん、貴女はいつでもブレないのですね。

 

「コマンダー・レイ?」

 

ブリッジへ向かう為、走り出そうというときにヨーダから止められる。

何か問題でもあるのだろうか?

 

「帰ったら緑茶を頼むぞ?」

 

うわぁ・・・懐かしいわ緑茶ネタ。

今言われるまで完全に忘れていたよ。

と言うかジェダイさんも、いつでもブレないのですね・・・・。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

タティスと共にブリッジへと急いでいたが、ある時強い衝撃が艦を襲う。

その衝撃と共に、艦内にけたたましい警告音が響き渡った。

敵クルーザーからの攻撃が直撃したのかもしれない。

 

「タティス、どの付近への着弾か分かるか?」

 

「艦内の為、正確な位置は不明ですが恐らく艦橋(ブリッジ)付近だと思われます」

 

それはまずいな。

恐らくシールドも持たないだろう。

一応フェーズⅢクローン・トルーパー・アーマーは宇宙空間での生存も可能だが、ただ生きているだけで宇宙を永遠に漂う事になる。

そんなのまっぴらごめんだ。

 

「先を急ごう、アナキンを探すんだ」

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<ネゴシエーター ブリッジ(艦橋)>

 

タティスによる敵砲の着弾位置の分析は間違っていなかった。

寧ろ、艦内でそれだけの正確な位置を割り出したのは神懸かりだと言えた。

しかし、その分析が間違っていればどんなに良かったことだろうか。

 

 

 

「よし、何とかブリッジに辿り着いたな」

 

ブリッジに続く扉の前に着いた俺たちは一呼吸置いていた。

いや、正確には一呼吸置いたのは俺だけなんだが、それはまあ良いだろう。

とにかく脱出が大変だ。

艦には敵兵もいるし、ブリッジから格納庫までは時間が掛かる。

時間が無いって言うのに某大先生(クレル)までいるからな、本当アイツ早く帰れよ。

 

俺はただの悪口を頭に浮かべながら、何も考えずに扉を開けた。

それがマズかった。

 

扉が開くと俺とタティスは空気と共にブリッジの方へと吸い込まれる。

一瞬何が起きたか分からなかった。

俺はそのまま空気と共に船外へと放り出された。

上下左右の感覚が無くなり、身体が回転しながら一方向へと変わらない速度で進み続ける。

 

一瞬思考が停止し、恐怖に飲み込まれそうになるがジェットパックを起動して必死に身体の回転を止めようと試みる。

 

アーマーの外は完全に無音の世界だ。

聞こえてくるのはアーマーからの警告音と、誰かの激しい息遣い。

集中力を削いでくるその息遣いが自分のものだと気が付いたのは、身体の回転が緩やかになって来てからだった。

何とか態勢を整えると、遠くにネゴシエーターを確認する事が出来た。

良かった・・・かなり流されてしまった事に変わりはないが、それでもだだっ広い宇宙で遭難する事はなさそうだ。

それよりも心配なのはアナキン達だ。

 

ブリッジへ続く扉が開いた時に、空気と共に宇宙空間へ放り出されたという事はブリッジ内部が真空状態だったという事だ。

恐らく先程の強い衝撃は、タティスの予想通りブリッジにダメージを与えたのだろう。

緊急措置でブリッジが閉鎖されなかったのは不運だった。

 

正直、この状況で普通の人間が生きていられる可能性は絶望的だ。

多くの生き物は、何の装備も無い状態で宇宙空間を生きられない。

 

 

こんなところで終わってしまうのか?

この世界に来てから、俺はジェダイの存続を願って動いてきた。

今ではジェダイ全体と言うよりも、俺に近しい者が不幸にならない事を目標に活動している。

それを果たせないまま帝国の、パルパティーンの企み通りの銀河になってしまうのか?

 

・・・それじゃあ、俺が何のためにこの世界に来たか分からないじゃないか。

こんな所でくたばってたまるか!

俺はまだボガーノで温泉を掘り当てて、優雅な引退生活をするという目標を叶えていないんだ!

 

え?

さっきと言っている事が変わっている?

・・・それも含めてです。

 

と、とにかく今は艦に戻る事が先決だ。

 

 

 

ジェットパックを吹かして、方向を調整しながら進んでいるとヘルメットを通して無線が入る。

応答すると相手はタティスだった。

 

『マスター、マスター! ご無事ですか!?』

 

「ああ聞こえている。 そっちの状況はどうだ?」

 

『マスター!? ああ、良かった・・・本当に心配しました。 貴方がいなければ私は—————』

 

「そう言うのは後でいくらでも聞いてやるから状況を報告してくれ!」

 

こういう“モード”になったタティスは、いつもの高性能さがどこに行ったんだ?と言いたくなるような低知能っぷりを発揮する。

今は少しの時間も惜しい。

 

『—————はいマスター、既にスカイウォーカー将軍とケノービ将軍を保護しております。 ただ意識は無く危険な状況です』

 

無事だったのか!?

こんな状況で助かったというのは、俺なんかでも信じてしまうな。

フォースの意思って奴を。

 

そしてさらに艦に近づいて行くと、艦橋窓が吹き飛んでいるのを確認できた。

やはり艦の安全装置が働かずに、ブリッジの空気が船外へ流れ出てしまったようだ。

しかし現在はシャッターが降りている。

恐らくタティスが手動で起動したのだろう。

 

俺は船外活動用のハッチから艦内部へと入る事に成功し、ヘルメットを脱ぐ。

全身が汗だくだ。

大変な時ほど自分を保つために冗談を言っているが、身体は正直だ。

相当のストレスがかかっていた事が身体の状態や、疲労度からも伺える。

 

タティスに通信を繋げると、現在はブリッジにいるという。

シャッターが閉まったことで、空気も正常に循環しているようだ。

 

「タティス、アナキン達は!?」

 

ブリッジに入るとアナキンらの姿は無く、クローン・トルーパーが2人横たわっていた。

その隣にはアーマーを所々身に着けていないトルーパーが数人横たわっている。

この所々、アーマーを身に着けていないトルーパーは明らかに事切れていた。

 

彼らを運んでいたと思われるタティスはしゃがみ込み、俺の顔を見上げていた。

その無機質な機械の顔には、明らかに悲しみの表情が浮かんでいた。

 

「・・・両将軍は生きておられます」

 

恐らくアーマーを全身に着込んだ2人がアナキンと、オビ=ワンなのだろう。

空気が船外に排出された無重力の中で、2人の将軍の為にクローン達は自分が装備していたアーマーを着せたのだろう。

それは自分の命を自ら終わりにする行為だ。

 

宇宙空間は-270℃という極寒の世界だが、身体がすぐに凍り付くことは無い。

これは真空状態、つまり熱を伝えるための空気が存在しないからだ。

しかし、宇宙空間が恐ろしい理由は他にもある。

身体を襲う宇宙線だ。

 

この宇宙線はガンマ線などを含んだ放射線の事で、生身で浴びれば人体に深刻なダメージを与える。

 

アナキンとオビ=ワンにアーマーを着させていたトルーパーの苦しみは想像を絶するものだっただろう。

徐々に凍り付く身体、宇宙線によって現れる様々な障害、そして最後は酸素不足によって息絶えるのだ。

 

彼らの自己犠牲の精神に涙が溢れてくる。

俺は霞む視界の中、最大限の敬意を示す。

 

「・・・・・タティス、彼を頼む」

 

俺はアナキンを背負いながら立ち上がり、オビ=ワンをタティスに託す。

弔ってやりたいが今は時間が無いし、連れ帰ってやることもできない。

そうやって“置いてきた”戦友の数は一体どれくらいに上るのだろうか?

 

俺達はブリッジを後にし、ハンガーへと向かうのだった。

 




はい、お疲れ様でした。

今後の構成を考えながら書いているので、引き続き更新が遅くなってしまうかもしれません。

・・・え?
『今までも構成考えて書いていたでしょ?』だって?
・・・・・う、うん!
勿論考えていましたよ?
で、でもほら分かるでしょ?
クライマックスに近づいてきたから・・・もっと余計にさ?
・・・ね?


それはまた近いうちに・・・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第97話 取り敢えず無事

<ネゴシエーター 艦内>

 

ジェダイ評議会のグランド・マスターであるヨーダは、雄叫びを上げながらクレルの周囲を縦横無尽に動き回っている。

ジェダイに伝わる7つのフォームの内、最もアクロバティックなフォームⅣアタルは、開けている場所よりもある程度限定された空間の方が真価を発揮する。

 

ジェダイ・オーダーの中でもトップクラスの強さを誇るフォースの助けを借りて、フォース感応者でも予測が困難な程の動きを見せるヨーダは物理現象の法則を超越していると言っても過言ではなかった。

 

それに対して元ジェダイ・マスターのポング・クレルは二振りの回転式ダブル=ブレード・ライトセーバーを用いて、ヨーダの接近を阻むために回転機能もあわせて激しくセーバーを振り回している。

器用に四本の腕を使い、手にしているライトセーバーを空いている手に持ち替えながら振るう事で、より予測が困難な手法を用いていた。

その大柄な体躯からは想像できない器用さをみせるクレルに、グランド・マスターを務める程のヨーダですら決定打を与えられないでいた。

 

「腕を上げたようじゃの、暗黒面の力を感じるわ」

 

「マスター・ヨーダ、アンタの時代は終わっているのだよ! その衰えた身体でいくら飛び跳ねようが、今の私には傷一つ付けることは出来ないのだ! シディアス卿はドゥークー伯爵に代わり、私にお前たちの確実な抹殺をお命じになられた。 成果を上げれば、シディアス卿直々に私を鍛えて下さるだろう!」

 

クレルの周囲を休まずに動き回っているヨーダは、このベサリスクのダーク・ジェダイの“癖”を見極めようとしていた。

彼の言う事もあながち間違いではなく、衰えた身体をフォースの助けによって動かしているがその行為にはスタミナを大量に消費する。

長期戦になれば、体力で有利なクレルに流れが傾くことを理解しているのだ。

 

シス復活が認知される事となったクワイ=ガン・ジンとダース・モールの戦いでは、加齢によるスタミナ低下とアタロによる激しい体力の減少が敗因の一つだった。

アクロバティックな動きを行う特性上、スタミナ消費が激しい。

“老い”と“フォームⅣアタロ”は特に相性が悪いと言えた。

 

 

赤色の4本のプラズマと、緑色の短い1本のプラズマが激しくぶつかり合う。

その低い起動音と、激しく光るプラズマはまるでその場を支配しているかのような錯覚を覚えさせる。

 

ヨーダは地面と壁を蹴り、休まずに動き続けている。

その速度は開戦時よりもさらにスピードが上がっていた。

回転し、飛び上がり、剣を振っては離脱する。

単純に見れば、隙だらけのようにも思える戦い方。

 

しかしクレルは、自らが攻めるどころか防戦一方になっている状況に内心焦っていた。

小さな年寄りの何処にこんな強大な力があると言うのだろうか?

あり得ない・・・

暗黒面の力を得た私は、どのジェダイよりも強いのだ!

 

クレルは身体から力強いフォースを発生させ、周囲の物を吹き飛ばす。

ヨーダは動きを止め、両腕を突き出して向かってくる衝撃波を受け止めた。

 

「まだまだ学ぶべきことは多い」

 

「なにを——————」

 

ヨーダはそう言うと、受け止めた衝撃波を増幅するとクレルに向かって解き放つ。

その強力なエネルギーを身体に受けたクレルは、壁に強く叩きつけられる。

 

「その強い自己顕示欲が身を亡ぼすのじゃ、パダワンからやり直すがよい」

 

「こ、この老いぼれがぁぁぁ!!」

 

クレルはその場に立ち上がり、フォースを纏ってヨーダに突進する。

ライトセーバーを振るうがその攻撃は空を斬り、ヨーダはクレルの後方にジャンプしていた。

そのまま片方の回転式ダブル=ブレード・ライトセーバーを破壊し、再び距離を取る。

 

「マスター・ヨーダ、コマンダー・レイから連絡が」

 

そう話すのは、バトル・ドロイドを引き付けていた中尉だった。

ヨーダがクレルの相手をしている間に、新兵と共に大方のバトル・ドロイドをスクラップにしていた。

 

「ほう、あれだけのドロイドをお主らだけで?」

 

「は? い、いえ・・・それよりもケノービ将軍、スカイウォーカー将軍の救出に成功。 ドッグに向かっているとの報告がありました」

 

実は殆どのバトル・ドロイドは、クレルが発生させた衝撃波によってスクラップになっていたのだ。

ヨーダが言うように、彼の自己顕示欲による結果だと言えた。

 

「それは良い知らせじゃ、我らも向かうとするかの」

 

「イエッサー」

 

「逃がすか老いぼれぇぇぇ!!」

 

ドッグに走り出そうとする姿を見て、クレルはヨーダらに向かってライトセーバーを投げつける。

フォースに乗って回転しながら向かってくる光剣は、自らの回転機能も併せてとてつもない回転数を発生させている。

投げられたライトセーバーが発する音は、耳を塞ぎたくなるような凶悪な音を響かせていた。

 

その攻撃を避ける事で通過させたヨーダらは、セーバーが戻ってくる勢いに自らのフォースを乗せる。

投げられた時よりもさらに加速してクレルへと戻っていく赤色の光剣は、持ち主の腕を切り落とす。

 

ベサリスクの叫び声が通路に響き渡った。

彼はその場に蹲(うずくま)り、黄色に染まった瞳でヨーダを睨みつけている。

 

「ゆ、許さん! 許さんぞ老いぼれぇぇ!!」

 

憎悪に染まった彼の叫び声を背に受けながら、グランド・マスターと2人のトルーパーは脱出のため艦のドッグへと急ぐのだった。

 

 

 

________________________________________

【後刻】

 

 

その後、レイやヨーダ達は無事にネゴシエーターを脱出し、コルサントへと帰還を果たしていた。

帝国軍の追撃を躱せたのは、後方で待機を命じられていた若いジェダイ達の増援があったからだった。

ジェダイ・ナイトのアソーカ・タノが中心となり、多くの若いジェダイ将軍が仲間の窮地を救った。

この行為は明らかな命令違反であったが、今のジェダイ・オーダーに彼らを裁く余裕はなかった。

先の戦闘でジェダイ評議会のメンバーを始め、より経験の積んだジェダイの多くが戦死してしまったからだ。

 

 

 

<惑星コルサント>

 

あれから少し経ったが、連合国は未だに混乱の中にいた。

多くの主要なジェダイが死に、軍の再編成もままならない状況だった。

アナキンとオビ=ワンは危険な状態だったが何とか一命を取り止め、軍の施設で治療を受けていた。

 

そんな中、俺はアナキンの意識が戻ったという知らせを受けて、全ての仕事を副官のライズに押し付けて速足で彼の下へと向かった。

優秀な副官を持つと楽が出来るというのは本当だな。

 

 

 

「アナキン、随分寝坊助さんだな?」

 

「お陰様で一生分の睡眠を取ったような気がするよ」

 

ベッドに横たわるアナキンは思いのほか元気そうだ。

状況が状況だったため、最悪の事態も考えたが杞憂だったようだ。

 

「お前たちジェダイは休まなさ過ぎだからな、今回の事も丁度良かったんじゃないか?」

 

「そうかもしれない、だがこれからは“休む時間が長くなりそうだ”」

 

「? それはどう言う—————」

 

アナキンの含みのある言葉が気になったが、トグルータのジェダイ・ナイトが入室してきた為に会話は中断された。

 

「マスター、目が覚めたと連絡があって・・・本当に良かった」

 

アソーカは落ち着いた雰囲気の中にも、深い愛情を感じさせる様子でかつての師へと言葉を掛ける。

成長した彼女はかつてのお転婆娘の影を全く感じさせないが、実際の所はめちゃくちゃ心配していた事を知っている。

この2人の絆は強い。

オビ=ワンとの絆と同じくらいに。

 

「心配をかけたなアソーカ、それよりもマスターは?」

 

「ええ、マスター・ケノービは—————」

 

アソーカの説明では、オビ=ワンは左腕を切断する事になってしまったらしい。

極低温の宇宙空間に晒された結果、運悪く組織が壊死してしまったというのだ。

 

「それでも命が助かって良かったじゃないか?」

 

俺はアナキンにそう言葉を掛ける。

先の戦闘で多くのジェダイやクローンが戦死した。

状況も最悪だった。

そんな中で、五体満足では無いにしろ生還できたことを喜ぶべきだ。

 

「そうだな、レイ」

 

そう言いながらアナキンは上体を起こす。

長い休息により強張った身体が悲鳴を上げているのだろう、アナキンは痛みに顔をゆがませている。

 

「生きている証拠だ」

 

彼が無事な事が何よりも嬉しい。

親友と会えなくなるなんて耐えられないからな。

 

「すまないが手を貸してくれるか?」

 

「おいおい目が覚めたばかりだろう? 無理するな」

 

だが俺の警告など聞くはずもなく、彼はその場に立ち上がる。

フラフラと揺れる様子を見て、俺は反射的に彼を支える。

 

アナキンは周囲の物に身体を接触させながら、何とか身体を動かしている。

 

「やはり難しいな・・・これは苦労しそうだ」

 

俺は彼の様子に違和感を覚える。

いや、違和感があったのは今に始まったことではない。

 

そんな事を考えながら歩いていると、彼は低い段差に躓いてしまった。

咄嗟に支える力を強める。

 

「すまない、レイ」

 

「アナキン、お前—————」

 

こちらを向きながら申し訳なさそうに笑みを浮かべるアナキンだったが、その瞳は俺の目を捉えていなかった。

その瞳には光が宿っていなかった。

 

「—————見えていないのか?」

 




はい、お疲れさまでした。

とにかくアナキンとオビ=ワンが生還出来て安心しました。
アソーカさんナイスです。

割と完結まで「もう少しかな?」というイメージです。
綺麗に終われると良いのですが自信ないなぁ()

それではまた近いうちに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第98話 取り敢えず他人任せ

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

大変おっっっっっ待たせしました。

ようやく更新です。
物語自体は進みませんが、ほのぼの回にしたつもりなので軽い気持ちで楽しんで頂ければと思います。



<惑星コルサント>

 

先の作戦で、多くのジェダイやクローンが命を落とした。

ジェダイ評議会のメンバーで生き残っている者も少ない。

図らずもヨーダを救えたことは不幸中の幸いだった。

 

左腕を失ったオビ=ワンだったが、バクタ・タンクでの治療の甲斐もあり既に職務に復帰している。

問題・・・というか、俺の個人的な感情だが心配しているのはアナキンの状態だ。

彼は“身体は”回復しているのだが、視力を失うこととなってしまった。

それがどれだけの影響を及ぼすか・・・。

 

「—————ダー、コマンダー?」

 

「え? あ、あぁ・・・すまない」

 

「こちらにサインをお願い致します」

 

「勿論だ」

 

俺は事務官に差し出された書類に目を通してサインを行う。

彼はそれを受け取り、敬礼して持ち場に戻った。

 

現在、銀河連合国軍は多数の戦死者を出し、多くの艦を失った状態だ。

軍の再編の為に、部隊を率いる立場にある将校は総じて書類仕事に追われていることだろう。

俺は指揮官用の個室を出て、事務官に指示を出している副官を見つける。

 

「なあ、ライズ」

 

「はい、コマンダー」

 

「この書類なんだが—————」

 

「・・・申し訳ありませんが、自分には権限がありません」

 

俺は面倒くさそうな書類を副官のライズに投げようと思ったのだが、面倒という事はそれなりの権限が必要ということだ。

コマンダーの階級を与えられているライズは、軽く目を通した後にその書類を突き返してきた。

 

「—————アディスに振っても良いよね?」

 

「自分には・・・」

 

「じゃ、じゃあコーディーは??」

 

「・・・レイ、敢えて友人として言わせてもらいますが、そういう問題ではありません」

 

怒られた。

よく分らんが、マーシャル・コマンダー以上の権限が必要なようだ。

それに『与えられた仕事はちゃんとやれ』と副官からの圧力を感じる。

 

どうして他人事なのかって?

自慢じゃないが、今まで書類仕事なんて殆どやってこなかった。

そんな俺に難しい書類が理解できる筈もない。

俺は肉体派なのだ。

首から下が元気に動けば良いのだ!(ドヤッ)

 

冗談はさておき、面倒なものはさっさと片付けたい。

俺は徐に立ち上がった。

 

「ここは頼むぞ、ライズ」

 

「イエッサー、ですがコマンダー・アディスもお忙しくされていると思いますよ?」

 

「え、何でわかった・・・じゃなくて、他の部署の進捗を確かめに行くだけだ」

 

「はい、コマンダーによろしくお伝えください」

 

「ねぇ、俺の話聞いてる?」

 

俺たちの会話を聞いていた周りの者たちもクスクス笑っている。

ライズには敵わないな、と思いながらその場を後にする。

 

『お疲れ様です』

 

「ご苦労」

 

廊下ですれ違うクローンや軍人、バトル・ドロイドに敬礼される。

道を譲り、直立不動で敬礼してくれるのは良いのだが、不純な動機(?)で歩いている今は静かに放っておいて欲しいと思う。

 

「ちょっと邪魔するぞー」

 

『!? 気を付け!!』

 

俺が部屋に入っていくと、突然の来訪に飛び上がったトルーパーが号令を掛ける。

その場で作業をしていた者たちは手を止め、その場で直立不動の姿勢を取る。

 

「休め、突然悪いな。 真面目ちゃんはいるか?」

 

「はっ! ま、真面目ちゃん・・・でありますか?」

 

「アディスだ、コマンダー・アディス。 あいつ真面目だろ?」

 

「い、イエッサー」

 

俺の言葉を否定する訳にもいかず、返事をするしかない若い伍長。

きっと貧乏くじを引いたと思っているだろう。

 

その伍長が指揮官用の個室に案内してくれる。

まあ別に連れて行ってもらわなくても場所は分かるのだが、軍と言うのはそういうものだ。

そもそも、俺の階級の軍人が付き人もおらず1人でほっつき歩いている方がおかしいと言える。

 

「コマンダー、失礼いたします! コマンダー・レイがお越しになっております」

 

扉をノックしてから伍長は声を掛ける。

遅れて、『入れ』と聞こえたので伍長は扉を開けてくれる。

 

「ありがとな。 よお、暇してるか?」

 

伍長に礼を言ってから、アディスに声を掛ける。

彼は頷き、笑いを堪えながら持ち場に戻って行った。

どうやら、笑っても良いと気づいてくれたようで何よりだ。

事実、古株のトルーパーは先ほどの俺の登場の際も笑いを堪えていた。

若い連中が困るのを見て楽しんでいただけだ。

 

「・・・あのなぁ、レイ。 この状況で暇を持て余している奴なんかいないだろう」

 

「分かっているさ、だがこんな状況だからこそ必要だろ?」

 

机を挟んでアディスの対面の椅子にドカッと座る。

俺が言っているのは大変な状況だからこそ、いつも通りの雰囲気が大切であり、ユーモアが必要だということだ。

何も本当に面白い必要はない。

そういう雰囲気づくり、心構えが大切なのだ。

 

アディスは『まあな』と返してくる。

無論、奴も分かっていて言っているのだ。

 

「それで、一体何の用だ?」

 

「おいおい、古い友人に会うのにいちいち理由が必要か?」

 

「別にそういう訳では無いが」

 

どうしよう、カッコつけて変なことを言ってしまった。

これで面倒な書類を出したら完全にダサい奴だ。

 

「状況をどう思う?」

 

「難しい所だな。 開戦時では帝国よりも兵力や物資で上回っていたが」

 

『今では帝国の底が見えん』と語るアディス。

俺は苦し紛れに口にした言葉だったが、奴は深読みしてくれた。

真面目ちゃんは助かるわ。

 

「実際、帝国は銀河中から志願兵を募っている。 長い戦争で疲弊した者たちは食べるために志願する。 悪い流れが出来つつあるな」

 

特に銀河外縁部の星々は分離主義勢力派が多かった。

しかし共和国との戦争で、その恩恵を受けられたかと言えば疑問が残る。

そして長期化、泥沼化したクローン戦争で民は傷つき、飢え、死んでいった。

そんな中で銀河帝国が樹立し、兵を募った。

家族を養うため、体の良い食い扶持ができたようなものだ。

いや、寧ろ選択肢が無いと言った方が正しいかもしれない。

 

それにあのデス・スター。

ハリボテともう一機のデス・スターを建造するにはそれなりの金と労働力が必要だ。

それもかなりの短期間で。

正直、分からないことだらけだ。

 

「俺の知っている歴史とは既に別物と言っていい。 俺の知識も殆ど役に立たないだろう」

 

「だろうな、お前から聞いていた歴史とは何もかも違っている」

 

考えても答えが出る訳はない。

しかし、だからと言って考えずにはいられない。

それが人間というものだ。

 

・・・・・はあ、自衛隊で当直勤務している方が何倍も気が楽だ。

差し入れが無いことに文句を言っていた罰なのだろうか?

俺がバカなことを考えていると、アディスは言葉を続ける。

 

「とにかく、今俺たちにできることをするしかないさ。 まずは軍の再編だ、またいつ戦闘になるか分からないからな」

 

奴のいう事はもっともだ。

そして、その言葉で俺は本来の目的を思いだす。

 

「お前、階級って俺と同じだったよな?」

 

「は? ああ、そうだ」

 

アディスは何の脈絡もなく話し始める俺に不審な目を向ける。

『こういう時、何か面倒ごとを押し付けてくる』そう物語っている目だ。

 

奴は十中十(100%)、勘づいている。

数多くの戦場を生き抜いてきた俺の勘がそう呟いている。

因みに俺は学校のテストなどで、二択まで絞った問題は大抵外す。

二分の一に最も弱い男だ、自慢じゃないがな(キリッ)

 

「これ、お願いできますでしょうか?」

 

そんな俺に残された手段は一つしかなかった。

 

“お願い”

 

まさに背水の陣、孤立無援、前門の虎後門の狼!!!

俺が生き残るために残された唯一の手段。

俺はこんな所で終わるような人間ではない、そう言わんばかりの瞳で睨みつける。

さあ、どうなる?

俺の将来は?未来は?夢は?

奴の一言に掛かっている。

 

「無理」

 

人生終了のお知らせ。

 

 

 

 

「ただいまー」

 

『『『お疲れ様です!!』』』

 

俺はアディスの下を後にし、自分の管轄に戻って来た。

スッキリしたような表情を浮かべている俺の顔を見て、副官のライズが声を掛けてくる。

 

「それで、どうだったのですか?」

 

「おう、問題なく押し付・・・快く受けてくれたぞ!」

 

あぶねぇあぶねぇ、口が滑りそうになっちまった。

押し付けたのではなく、快諾してくれたのだ!

 

「ほう、それは良かったですね。 それよりも自分がお聞きしたのは“他の部署の査察”についてですが?」

 

「・・・・・」

 

そういえば、そんな体で出てきたのだった。

完全にしてやられた気がした。

 

ちなみに頼みを断られた俺は、アディスに泣きつくことでどうにか引き受けてもらったのだ。

さすがに指揮官用の個室だったとしても、あれだけ騒いでいれば部下に聞こえてしまうからな。

戦況を正確に、そして効果的に見極めた俺の作戦勝ちと言った所だろう。

これで、面倒な仕事から解放された。

 

今の俺はとても晴れやかで、何ものにも縛られない開放的な気分だった。

そう、この感情はまさに学校のテスト期間が終わった時の感情に似ている。

あの時の晴れやかな気持ちは、こうして大人になっても忘れることはない!

 

「失礼ですがコマンダー、まさかあの書類が最後だと思われているのですか?」

 

俺のやかましいほどの爽やかな表情を見て、ライズがそう口にする。

次の瞬間には俺の有頂天だった気分は地に落ちた。

 

もう一言う。

俺は肉体派なのだ。

 




はい、お疲れさまでした。

今回は久々のギャグ?回でした。
皆さんはこちらの方が好みですかね?笑

可能な限りギャグも織り交ぜていきたいのですが、状況によっては難しいこともあるので生暖かく見守っていただけると嬉しいです。


それではまた近いうちに・・・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第99話 取り敢えず中将ウザい

<惑星コルサント上空>

 

「嘘だろ・・・本部に呼びかけろ!」

 

軍の再編成に伴い外縁部の視察を兼ねて首都を離れていた俺は目の前に広がる光景に言葉を失った。

 

俺は自分の船であるヴェネター級スター・デストロイヤー“アルテミス”と直属の第117コマンド軍団の指揮を執り、帰還の為にハイパースペースを航行していた。

部下の羽を伸ばさせることが出来ると思っていた矢先、ハイパースペースを出ると巨大な宇宙ステーションが鎮座していた。

その宇宙ステーションは太陽に照らされ、信じられないほどの巨体を惜しげもなく晒している。

 

“デス・スター”

 

アレを見るのは二度目だが、その巨大過ぎる姿はスクリーンで見るのとは訳が違う。

あれ程巨大な物体を破壊することなど可能なのだろうか?

まさに絶望と言う表現をそのまま形にしたような威圧感だ。

 

加えて目を疑ったのはコルサントの状況だ。

銀河の中心に位置するこの惑星は光を失っていた。

惑星全体が大都市であるコルサントは眠る事はない。

しかし、現実はどうだろう?

見た限り破壊の跡などは確認できないが、この目に映るコルサントはまるで機能を停止したドロイドのように静かだった。

 

『軍本部、応答ありません!』

 

通信士官からもたらされた報告は、首都の状況を見れば納得できた。

 

何故だ?

どうしてコルサントが死んでいる?

それにこの状況、帝国にコルサントを丸ごと人質に取られているようなものだ。

デス・スターの力をもってすれば、一つの惑星を破壊することなど造作もないだろう。

 

『デス・スターからTIEファイターが多数発艦、本艦に向かってきます!』

 

「こちらもファイターを出せ! 迎撃しろ!!」

 

「それは悪手ではないかねコマンダー?」

 

そう口にするのはオブザーバーとしてこの艦に乗艦しているエドモン・ランパート中将だ。

少し・・・というか、かなりいけ好かない奴だ。

いや、寧ろ嫌いな人種だ。

自分を選ばれた者だと思い込み、上流階級の者以外はクソだと考えている人間だ。

こういう類の連中はパルパティーンが帝国樹立を宣言した際に共和国を裏切り、皇帝に合流したのだが一定数連合国に残っている。

 

マジで迷惑だからさっさと向こう(帝国)に行ってくれ。

いや、生かしておいては何かと面倒か。

今ここで撃ち殺すのもアリだな。

任務中の事故という事で処理すれば—————

 

「おい、聞いているのかコマンダー?」

 

俺は少将から中将くらいの階級であるマーシャル・コマンダーだ。

概ねコイツと同程度の階級のため、階級優位の立場じゃない。

それに現在の俺は陸軍参謀本部(グランド・アーミー)のトップでもなければ、第10星系軍の指揮官でもない。

以前、その地位にいたのは“軍再編に伴う暫定的な処置”という認識が正しいだろう。

分離主義者達と銀河連合国を築いてからは、世間体というのもあって以前の立場に戻っている。

何が言いたいかというと、このクソッタレ野郎に命令できる立場じゃないってことだ。

 

「———ああ、聞いている。ならアンタはどうするのが良いと?」

 

「・・・なんだ、それは?クローンが随分と偉そうな態度じゃないか?」

 

ダメだ、話が進まない。

この類の連中はクローンを奴隷か何かだと思っている。

ジェダイや元老院の前ではその態度を潜めるが、上位者が居ない場合は毎回こんな感じだ。

ランパートのような奴がオブザーバーとして乗艦するような状況を見ても、連合国にも着々と腐敗が広がっているように思えてならない。

 

「中将殿のオブザーバーとしての意見が聞きたいだけさ。まさか何の考えもなく、俺の指示を否定したわけじゃないだろう?」

 

こうしている間にも、帝国のTIEファイターは迫って来ている。

悠長に議論している暇はないんだ。

 

「も、もちろんだ。現状を鑑みて一度撤退し、態勢を整えるべきだ」

 

「撤退だって?連合国の首都があんな状態なんだぞ?そもそも何処へ逃げるって言うんだ、寧ろこの機会を逃したら次はハイパースペースを出た瞬間に木っ端みじんにされるぞ」

 

帝国からしてみれば、今の俺たちは“奇襲を掛けた”状況と同じだ。

次は網を張られて、何もできないまま宇宙の塵にされることだろう。

まさか我が身大事さに言っている訳じゃないよな?

・・・まさかね?

 

「・・・・・」

 

「とにかく、他に良い案がないなら黙ってろ。アンタはあくまで“オブザーバー”って立場なんだ。この艦の指揮権は俺にある」

 

俺は担当士官に向かって頷くと、それを確認した士官がファイターを発進させる。

誰かさんのせいで対応が遅れた。

とにかく今はデス・スターの射線に入らないように立ち回って、作戦を練るしかない。

コルサントの状況も分からないしな・・・。

俺はコムリンクを操作して、副官のライズを呼び出す。

 

「コマンダー、何か問題ですか?」

 

所要で席を外していたライズはすぐにブリッジに姿を現す。

既に何か感じ取っているようだ。

 

「ライズ、お前にはアイツを見張って欲しい」

 

「警報が鳴っているのに対応が遅いと思ったら・・・将軍閣下の有難いご意見でも?」

 

「その通りだ。どうもきな臭くてな」

 

「イエッサー、何かあれば報告します」

 

「頼む。それと部隊を集めてくれ、少数で良い」

 

そして『後の指揮は任せたぞ』と付け加える。

彼は頷くと、すぐに動き出す。

無線が役に立たない以上、地上の状況を知るためには現地に行く必要がある。

危険が伴うが、偵察が必要だ。

 

 

 

 

俺は少数の選抜チームと共に、艦の格納庫に集まっていた。

数百機ものファイターが格納できるほど巨大な空間だが、その多くが帝国との戦闘の為に出払っている。

 

「ヘヴィー、エコー、お前らがいてくれて助かる」

 

「光栄です、コマンダー」

 

「貴方の為ならいつでも」

 

ARCトルーパーであるヘヴィーとエコーがこの場にいてくれたのは大きな戦力だ。

新兵訓練で落ちこぼれのドミノ分隊と呼ばれていたのが遠い昔の様だ。

いや、実際もう何年も経っているか。

 

その他に俺の直属である第117コマンド軍団のクローン・コマンドーとコマンドー・ドロイドそれぞれ一個組が集結している。

偵察はこの7人+4体で行うことになる。

正直偵察、斥候任務にしては多いが不測事態に備えてこの編成で行く。

 

「お前たちも承知していると思うが、現在コルサントとの連絡が途絶えている。それだけではなく、コルサントのインフラが完全に停止している。真っ暗なコルサントなんて初めて見たぞクソッタレ」

 

俺の汚い言葉を咎める者は誰もいない。

皆、同じ気持ちなのだ。

それを俺が代表して言っているだけだ。

 

「現在お前たちに共有できる情報は皆無だ。事前情報なしで闇に覆われた首都に入る事となる」

 

『コマンダー、お言葉ですがどんなに不利な状況でも我々は任務を完遂できる能力があります。その為に訓練してきました』

 

『我々は連合国が誇る最精鋭部隊、誉ある第117コマンド軍団です』

 

2人のクローン・コマンドーがそう口にする。

彼らは困難な任務であればある程、その高い能力を発揮する。

そして任務を確実に完遂するために全力を尽くす。

経験によって培われた自信と技術は、必ずや連合国に勝利をもたらすだろう。

俺はそう信じている。

 

「ああ、お前たちに多くを語る必要はない」

 

俺は部隊を引き連れ、かつてARCSトルーパーのメンバーと銀河を飛び回ったニュー級アタック・シャトルに乗り込む。

あの頃の状況とは何もかも違っている。

だが兵の在り方だけは不変なのかもしれない。

 

 

シャトルはよく整備されており、機嫌よく起動して新品かのような挙動で宙を舞う。

外は敵味方のファイターがひしめき合っている。

主として兵員輸送に用いられるこのシャトルが襲われれば、不利な戦いを強いられることになる。

悟られることなく進むには遠回りするしかない。

 

「・・・“急がば回れ”だな」

 

「それはどういう意味ですか?」

 

ぼそっと呟くと、エコーが不思議そうに聞いてくる。

そうか、これは日本の言葉だったな。

 

「『慌てず着実に進む方が結果的に上手くいく』って意味さ」

 

「なるほど、一理ありますね」

 

慎重派のエコーはこの言葉を気に入ったよう。

不良分隊のレッカーが聞いたら卒倒しそうだな。

 

俺達は静かに闇が支配するコルサントへと降下していくのだった。

 




はい、お疲れ様でした。

少しばかり10月は忙しくて執筆が遅れていますが、今月中に更新したかったので書き上げました。
季節の変わり目で体調も崩しやすくなっているので、気をつけてお過ごしください。

それではまた近いうちに・・・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第100話 取り敢えず降下する

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

暖かくなったり、寒くなったり気候様は大変忙しいようですね。
お身体に気を付けてお過ごしください。

そう言えば先日、7年ぶり?くらいにディズニーランドに行ってきました。
噂には聞いていましたが、最近のディズニーの込み具合は異常みたいですね。
料金も上がっていて、もうみどり色のライフはゼロよ・・・



□レイがコルサント宙域に戻る少し前

 

<惑星コルサント 連合国軍本部>

 

『異常なパルスを探知! システム制御できません!!』

 

「どういう事だ!?」

 

『分かりません! 機器が次々とオフラインに!』

 

異常事態を報せる警報が基地内に響き渡っていた。

アディスは事態を把握するために各所に指示を出している。

 

すると突然、けたたましい程の警報が鳴りやむ。

周囲が静寂に包まれると基地内の照明も落ちる。

基地のシステムがダウンしたのだ。

 

 

アディスはシステムの復旧を指示し、司令部から飛び出す。

司令部だけでなく、軍本部全体が闇に包まれている。

基地内を慎重に進んでいたアディスは、何か硬いものに足を取られる。

 

「これは只事じゃないぞ・・・」

 

足元を確認すると連合国側のバトル・ドロイドが、機能を停止した状態で廊下に倒れている。

それも一体や二体だけでは無かった。

 

嫌な予感がしたアディスは進路を変えて自室に急ぐ。

司令部での勤務が増えたこともあり、士官用の制服を着用していた彼の装備はブラスター・ピストルくらいのものだった。

自室に辿り着き、アーマーと装備を着用したアディスはヘルメットに内蔵されている暗視装置を起動する。

 

そうしているうちに廊下から聞こえるトルーパーや連合国軍人らの声が大きくなっていた。

いつまで経っても基地内の機能が復旧しないからだろう。

 

「落ち着け、騒いでいても事態が収拾するわけじゃない」

 

廊下に出たアディスはトルーパーや軍人らに声を掛ける。

すると一人のトルーパーがアディスに声を掛けて来た。

 

「コマンダー・アディス、これは一体・・・?」

 

「グレガーか! 君が居てくれて良かった」

 

第212アタック・バタリオン所属のクローン・コマンドーのキャプテンだったグレガーは、今ではジェダイ・ナイトであるアソーカの副官を務めている。

軍の大規模な再編に伴って本部に詰めていたのだろう。

 

「イエッサー、しかしこの状況は一体?」

 

「詳しいことは分からない。司令部で異常なインパルスが計測されたと思ったらこのありさまだ」

 

「EMP(電磁パルス)?」

 

「ああ、その可能性は高いだろう」

 

『システムが落ちた事やドロイド達が影響を受ける程の電磁パルスとなると、かなりの出力になる筈だ』とアディスは付け加える。

 

「ですがそんな兆候は・・・」

 

グレガーの言葉にアディスは無言で頷く。

そんな大規模な攻撃をこちらに感づかれることなく仕掛けられるとしたら・・・。

 

「・・・今は態勢を整えるのが先だ。グレガー、君は非常用電源を」

 

「はいコマンダー」

 

本来であれば基地内の電力供給に問題があった場合は、独立した非常用のバッテリーが作動する。

しかし、その非常用電源が仕事をしていないことは明らかだ。

面倒だが手動で切り替えるしかない状況だ。

 

「俺は外(基地外)の様子を確認する」

 

「イエッサー」

 

するとグレガーは周囲のトルーパーから選抜して即席のチームを編成、非常用電源があるエリアに向かって行った。

 

 

 

 

「これは・・・」

 

基地の外に飛び出したアディスは、アーマーの背面に設置されたジェットパックを使用して空高く舞い上がる。

そんな彼の目に飛び込んできたのは、とても信じられない光景だった。

 

闇だった。

彼の目に映る街から光が失われていた。

 

 

そんな変わり果てたコルサントだったが、よく見るとあちこちで火の手が上がっている。

上空を飛んでいたスピーダーや船が墜落したのだろう。

コルサント全体で同じ状況なのだとしたら、とんでもない死傷者が出ている筈だ。

だが、救助の為に即応部隊を展開させることもできない。

船もビークルも起動することすらできないのだ。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<コルサント上空 ニュー級アタック・シャトル>

 

惑星を封鎖している帝国軍の包囲網の穴を突き、俺たちはコルサント上空まで降りる事に成功していた。

宇宙からは分からなかったが、コルサントの街は大規模な火災があちこちで起きている。

銀河の中心であり惑星全体が大都市であるコルサントから人工的な光が失われ、原始的な光(火)が支配しているというのは面白くない冗談だ。

全く笑えないぞ、クソッタレ。

 

「!? コマンダー、計器に不具合が!」

 

「私のセンサーでも異常を探知しましタ」

 

パイロットを務めているエコーから報告が入る。

サポートについているコマンドー・ドロイドも、その報告を裏付けるようにセンサーの異常を報せてくる。

 

「それがこの惨状の原因だろうな」

 

これ以上高度を下げれば、他の船と同じように地表まで真っ逆さまだな。

だがこのまま上空にいても埒が明かない。

うーん・・・

 

「コマンドー・ドロイドの組はこのまま上空に待機していてくれ。危険が迫れば帰艦しても良い」

 

「「「「はい、コマンダー」」」」

 

申し訳ないが下ではドロイド達は使い物にならない可能性が高い。

それにこのまま船で強行しても墜落して潜入がバレてしまうだけ。

ジェットパックで降りるしかないだろうな。

 

「それじゃあ、気持ち良く夜のスカイダイビングと行きますかね」

 

 

 

共に降下しているのはARCトルーパーであるヘヴィーとエコー、クローン・コマンドー1個分隊の計7名だ。

俺の部隊(第117コマンド軍団)は末端の兵士に至るまでジェットパックを装備している。

特殊作戦にも精通していることもあって、練度も非常に高い。

レックスやコーディーは認めたがらないが、ウチの所が最精鋭だと言って差し支えない。

そんな俺の部隊のクローン・コマンドーとなると、その実力は言うまでもないだろう。

本当に頼りになる連中だ。

 

え?

どうしてそんな話をするのかって?

降りている間は暇なので・・・。

 

無駄なことを考えてくると、コマンドーの1人がヘルメットの無線を通して報告を上げてくる。

 

『2時の方向、高層ビルの先端にイレギュラーを確認』

 

示された方向に目を転じると、人工的な光が確認できる。

この異常事態と無関係と考える方が難しいな。

 

『いや、それだけじゃありません。あちこちに同様の物が!』

 

ヘヴィーの言う通り、高度を下げていくにつれて確認できる人工物が増えていく。

“あれ”が原因だとすると、惑星全体に影響を及ぼすには一体どれだけの数が必要なのだろうか?

 

「調べるしかないだろうな・・・一番近い光へ向かうぞ」

 

『『『『『『イエッサー』』』』』』

 

 

 

 

「・・・デカいな」

 

「「・・・デカいですね」」

 

一番近い高層ビルに舞い降りた俺たちは、その装置に目を向ける。

明らかに何かしらのエネルギーを発生させており、この惨状を作り出したのは間違いなかった。

何故わかるのかって?

だって他の機械はダウンしているっていうのに、この装置だけ『関係ねー』みたいな涼しい顔(?)をしているから・・・。

 

「エコー、これがなんだか分かるか?」

 

「お待ちを」

 

サイバネティクス手術で半分人間、半分機械のような状態のエコーだったが、連合国の最先端技術で見た目はほぼ一般的なクローンと大差ない程までに回復した。

しかし機械の部分は未だ残されており、この装置の影響を懸念していたが大丈夫そうだな。

 

「・・・一種のEMP発生装置だと思われます。これと同じ装置が惑星全体に設置されており、街の機能をダウンさせているのだと考えられます」

 

「いくらこの装置が強力だからと言って、惑星全体に影響を及ぼす事なんて可能なのか?」

 

エコーの分析に、ヘヴィーが疑問を投げかける。

彼の言葉はもっともだ。

いくら巨大だからと言って、そこまでの出力を出せるものなのだろうか?

 

「その秘密は“アレ”だろうな」

 

エコーが機器を操作すると、装置が動き出して中から宝石のような物が現れる。

あれは—————

 

「—————カイバー・クリスタルか?」

 

「はい、コマンダー。ジェダイのライトセーバーに用いられるエネルギーを収束、増幅させる事のできる特殊な鉱物です」

 

成る程な。

カイバー・クリスタルを使って、発生させるエネルギーの出力を上げているって訳か。

確かデス・スターのスーパー・レーザー砲にも、このカイバー・クリスタルが使われていた筈だ。

 

「これが一体いくつあるんだ?」

 

「発生しているエネルギーを計測した所、惑星全体に影響を及ぼす為に必要な数は—————」

 

エコーは装備しているウェアラブルデバイスを操作して大まかな予測を立てる。

こうして見ると不良分隊のテクみたいだな。

機械に強い奴がいると助かるし尊敬する。

PCとか意味が分からない。

得意な人の頭の中ってどうなっているの?

天才なの?ジーニアスなの?

俺はこの手の機械が苦手なんだ。

自慢じゃないがな!(キリッ)

 

「—————少なくても数百基」

 

・・・前言撤回だ。

行動を起こす前にやる気を削いでくる能力なんて必要ない。

悲惨な現実を突きつけられた俺は再起するまでに少々の時間を要した。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第101話 取り敢えず親機を何とかする

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

昨年は大変お世話になりました。
今年も宜しくお願い致します( `・∀・´)ノヨロシクナ

まず初めに謝罪と訂正をさせて頂きます。
結論から申し上げますと、第99話、100話でコルサントに潜入したメンバーをファイヴスからヘヴィーに変更させて頂いております。
大変申し訳ございません。

以前の回(第91、92、93話参照)で、ARCSトルーパーのオーリーと共に行方不明となっていたのですが作者の頭からその出来事が完全に抜けており『まあ、取り敢えずファイヴスとエコーはセットっしょ』と軽い気持ちで書いてしましましましましままま(土下寝)
真にサーセン。
物語の進行に影響はありません。
お手数をお掛けしますがご認識の程、宜しくお願い致します。



<惑星コルサント>

 

「これが一体いくつあるんだ?」

 

「発生しているエネルギーを計測した所、惑星全体に影響を及ぼす為に必要な数は少なくても・・・数百基」

 

「数百だって!?」

 

エコーからもたらされた情報に嫌な顔をしているのは俺だけではないだろう。

みんなヘルメットで顔が見えないが決して俺だけじゃない筈だ、絶対そうだ。

 

「それは・・・どう考えても俺達だけでどうにかできるレベルじゃないな」

 

独り言のようにヘヴィーが力なく口を開いた。

しかしヘヴィーも随分と変わったな。

以前は不良分隊のレッカー・・・とまでは言わないが割と脳筋のイメージだった。

まあ装備しているのは相変わらず脳筋武器(Z-6回転式ブラスター砲)だけど。

っていうか今更だけど、よくそんな物持って空挺降下したね?

 

そんなヘヴィーの言葉を聞いてエコーが頷く。

 

「ああ無理だろうな、だがこれだけの数だ。親機となる個体がある筈だ」

 

「その親機がコイツらを統制している親玉ってことか?」

 

「はい、コマンダー。その可能性は高いと考えられます」

 

エコーによると、これだけの範囲(惑星全体)に効果を持続させるには親機となる個体が必要だと言う。

俺達の目の前にある子機とでも呼ぶべき個体に不具合や問題が発生した際にも、出力の調整などを行って効果を持続させるそうだ。

 

「逆に言うと、親機に問題が発生した場合は—————」

 

「—————他の子機も使い物にならなくなる?」

 

「恐らくは・・・」

 

エコーの説明に俺が言葉を続ける。

なるほど、簡潔に言うと母機をぶっ壊せば良いって話だな。

簡単じゃないか、これだけ聞けば。

 

「だがそう簡単に済むわけはないだろうな」

 

当然この状況を作っている“要”である親機の守りは厳重だろう。

俺達は重砲なんかの火器や戦闘ビークル、ファイターなんかも使用できない状況だ。

・・・と言うか使えない元凶が“コイツ”らだ。

 

子機ですら全高30mはある。

その親機となったらどれだけデカいか想像もつかない。

 

「接近してのサボタージュ(破壊工作)、それ以外方法はないだろうな・・・爆薬は?」

 

俺がそう言うと、クローン・コマンドーの隊員がバックパックを開いて装備を見せてくる。

普通の任務だったら十分すぎる量だ。

しかし、親機の大きさも構造も全く情報がない。

爆破と一言で言ってもテキトーに仕掛ければ良いという訳では無いのだ。

 

「とにかくコイツらの“ママ”を見つけるのが先決だな、話はそれからだ」

 

 

 

 

俺達はあちこちで火の手が上がっているコルサントの街を進んでいた。

いや、正確にはジェットパックを使ってビルからビルへと大きくジャンプするように進んでいた。

眼下に広がる街の様子はまさに無秩序という言葉がそのまま表現されたような状況だった。

 

突然、多種多様な機械が使えなくなった事で市民は混乱していた。

上空を飛んでいた船やスピーダーが生活圏に落下し、多くの高層ビルに衝突している。

加えて空には正体不明の巨大宇宙ステーションだ。

慌てるなと言う方が無理がある。

 

混乱する市民の一部は暴徒化し、既に少なくない死傷者が出ているようだ。

そんな街中をホイホイ進むわけにもいかず、ジェットパックの燃料を節約しながら比較的安全な方法を選択したという訳だ。

 

それに目的地も不明なまま、むやみやたらに歩みを進めているという訳でもない。

親機の場所を知る為に上空で待機しているコマンドー・ドロイドに連絡を取り、周辺をスキャンさせた。

まあ連絡したと言っても長距離無線が使えないから、短距離無線が使用できる高度まで上昇したんだけどね・・・

 

その親機はコルサントの中心部に当たる連邦地区、所謂元老院地区に反応があるようだった。

この元老院地区には銀河元老院議会場や元老院ビル、ジェダイ・テンプルなども存在する地区だ。

コルサントの中心部にだったら色々都合が良いのだろう。

こっちからしたらやり難くて仕方ない。

 

「もうすぐだな」

 

俺がそう一言呟くと、ヘヴィー達が気を引締め直すのを感じる。

ここからは一瞬も気が抜けない。

 

「再度、武器・装備の点検。異常の有無を報告し・・・・・ろぉぉぉ??」

 

俺の間抜けな声に首を傾げるヘヴィー達。

その視線の先にはEMP発生装置の影響を受けた為か、惑星の重力に従って落下する船が確認できる。

 

「我が軍の物ではありません」

 

1人のコマンド―がそう口にする。

確かにあれはウチの物ではないな。

だがその特徴的な外観は見間違いようがない。

クワット・システム・エンジニアリング社製のファイアスプレー31級哨戒攻撃艇。

有名どころで言うと、ジャンゴ・フェットやその息子のボバ・フェットが使用していた機体だ。

ここからでは確認しようがないが、流石に彼らの使用するスレーブⅠでは無いだろう。

・・・まさかね?

 

 

だがデス・スターがコルサントを封鎖し、さらにはウチの部隊とドッグファイトを繰り広げている宙域に危険を冒してまで突破してくるのはどうも引っかかる。

それだけの腕がありながらEMPの存在に気付かずに、ああして落下してきているのも・・・

 

「どゆこと?」

 

突然の事に開いた口が塞がらないが、寧ろこの状況は利用できる。

帝国側も騒ぎになっている筈だ。

あの船のことも気になるが、今は親機の破壊が優先だ。

 

驚き故に浮かべたアホ面をヘルメットのお蔭で晒さないで済んだことに感謝しつつ、俺は努めて冷静に、1mmも動揺していないと言わんばかりのイケボ(金田〇夫)で仲間に声を掛ける。

 

「好機だな。どこのおバカさんかは知らないが今は感謝しておこう」

 

彼らは頷くとすぐに武器装備の点検を終え、隊列を組んで歩みを進めるのだった。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

□少し時間を遡る・・・・・

 

「ねーねー、ちょっと俺に操縦させてくれない?」

 

「これは俺の船だ。他の奴には任せられん」

 

「コマンダー、少し大人しくしていた方が・・・」

 

「あー! ファイヴスまでそんなこと言うんだ!? オーリーのガラスのハートは砕け散って宇宙に散らばったよ?」

 

「・・・・・」

 

「ねー、ちょっと!? 無言でバイブロソード起動するのやめてくれない!? 怖いんだけど!? 本当に宇宙のゴミになっちゃうから!? っていうかこのやり取り久しぶりだね? 大好きだよヒュメルたんんんんん!?!?!?!?」

 

スレーブⅠにはアーマーを着込んだ4人の男たちが搭乗している。

緑色のペイントが施されたマンダロリアン・アーマーを身に着けた寡黙な男に、船の操縦を変わって欲しいと声を掛けるのはARCS トルーパーのオーリーだった。

共に先の作戦で行方不明となっていたARCトルーパーのファイヴスに止められている。

ファイヴスは量産型グリーヴァスによって重傷を負わされたが、治療の甲斐あって今では元通りに回復している。(第91、92、93話参照)

 

そしてもう一人、その騒がしさを見かねた漆黒のアーマーを装備した人物がヴァンブレイス(腕部のアーマー)に格納されているバイブロソード(高周波ブレード)を起動してオーリーに迫っていた。

 

「ネイラー、この男は大丈夫なのか?」

 

頭を指さしながら口を開いたのはスレーブⅠの持ち主で、賞金稼ぎジャンゴ・フェットの息子であるボバ・フェットだ。

彼もまた父と同じ賞金稼ぎという道を歩んでいる。

肉体、精神共に成熟したボバの名は既に裏の世界で広く知れ渡っていた。

彼がネイラー(仕留める者)と呼ぶ男の名と共に。

ボバにネイラーと呼ばれている人物は共和国軍でヒュメルと呼ばれていた男だ。

ARCSトルーパー4人の内の1人であり、かつてレイの命を救い行方不明となっていた。

先の任務で重傷を負った彼は秘密裏にシディアス陣営に回収されており、記憶を消された上で対ジェダイ訓練を施されたクローン・アサシンの指揮官となっていた。(第59話参照)

任務の失敗や、以前の記憶の断片に悩まされていたヒュメルは部隊を追われ、放浪していた際にボバと合流したのだ。(第81話参照)

 

「・・・腕“だけ”は確かだ」

 

「お前が言うのなら、信じよう」

 

「ねー、ちょっとボバ君? 頭を指さしながら渋い声で『この男は大丈夫なのか?』は流石に失礼すぎるんじゃない? それにヒュメルちゃんも“腕だけ”って何よ!? オーリーもうショック過ぎて立ち直れない♪」

 

「「「・・・・・」」」

 

「・・・こ、コマンダー、モノマネお上手でs」

 

「ありがとう♡」

 

食い気味に礼を述べるオーリー。

周囲に立ち込める気まずい雰囲気を少しでも和らげようとファイヴスが口を開くが、どうやら望む効果は期待できないようだった。

そしてARCSトルーパーのリーダーとして、何の問題も無く(?)長年彼らを率いていたレイのコミュニケーション能力に対して静かに脱帽するのだった。

 

そんなオーリーはと言うと、気まずい雰囲気など少しも感じていない様子で鼻歌を歌いながら操縦席の周辺を徘徊している。

 

「・・・ほら、代ってやる」

 

「え、良いの!? ボバちゃん優しいぃぃ♪」

 

「こうウロウロされては気が散ってしかたない」

 

ボバは諦めたように操縦席を立つ。

『どっこいせ♪』と声に出しながら操縦席に座るオーリーの背後に、ヒュメルが音も立てずに忍び寄る。

『これでいつでも後ろから切り刻める』と喜びの感情を表すようにバイブロソードを出し入れしている。

 

「な、なんか寒気が・・・まさか!!」

 

“暗殺対象”が突然声を上げたことに身構えるヒュメル。

いつでもオーリーの命を刈り取れるように、その剣先は彼に向けられている。

 

「まさか俺っちも、とうとうフォース感応者に!? どうしようヒュメルちゃん!? マスターは誰が良いかな!?!? 個人的にはむさ苦しい爺さんよりもセキュラ将軍みたいなピチピチでダイナマイトな若いお姉さまの方・・・がぁぁぁぁ!?!?!? 死ぬ!! マジで死ぬからやめて!? 剣先がめっちゃブルブル振動してるって!! なんかセンシティブに見えるから!! 18禁になっちゃうから!?!?」

 

「「・・・・・」」

 

そんな光景を見てボバとファイヴスは一緒に深いため息をつくのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

久しぶりのヒュメルとオーリーの登場でしたね。
作者としてもARCSトルーパーの絡みは書いていて楽しいので今後の展開も期待したいです。
・・・書いてるの俺か。

それではまた近いうちに・・・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第102話 取り敢えず偵察だ

皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。
お待たせして申し訳ございません。
やっと更新できました。

少し暖かくなってきなぁと思っていたら、途端に暑くなりましたね!
気温に対する身体の変化の時期で体調を崩される事もあるかと思いますが、気をつけてお過ごし下さい。
汗を流すと身体が冬モードから夏モードへ移行しやすくなるようなので、ジョギングや半身浴も効果的みたいですね。

今後ものんびり更新になってしまうかもしれませんが、気長にお付き合い頂けると幸いです。



<惑星コルサント 連邦地区>

 

EMP発生装置の親機が設置されている連邦地区の警備は非常に強固なものだった。

まあ強固と言っても人数が多いだけだ。

帝国の寄せ集め部隊に俺たちがやられる訳がない。

とは言え・・・

 

「数“だけ”は大したもんだな」

 

そう呟くのはヘヴィーだ。

彼の言葉に同調するようにエコーが頷く。

 

「ああ、ここを突破するのはそう簡単じゃないだろうな」

 

2人の言う通り、如何せん数だけはいるからな。

奴ら全員を相手にするというのは流石に骨が折れる。

 

え?

どれくらいの数がいるのかって?

もうね、見渡す限りですよ。

まあ一応、軍隊と呼べる程度の訓練は積んでいるようだ。

彼らの教育を務めたクローン・トルーパーの苦労が少しは報われたって訳だな。

 

「ジェダイがいれば少しは楽になるのですが・・・」

 

「ああ、だがジェダイがどうなったかも分からない。希望的観測は危険だな」

 

「はいコマンダー、しかしケノービ将軍やタノ将軍がそう簡単にやられるとは思えません」

 

そう言葉を続けるエコーからは、彼らに対する全幅の信頼が伺える。

他のメンバーも同じだ。

彼らを心底信用している。

 

「ああ、俺も同じ気持ちだ。合流できればラッキーだしな」

 

エコーの言うことも分かる。

ジェダイ騎士が一人いるだけで部隊の取れる戦術の幅が広がるのだ。

彼らがいてくれる事に越したことはないが、無い物ねだりをしても仕方ない。

基本的に我が方の戦力はここにいる7人という認識でいるのが良い。

 

それに軍本部の連中もただ大人しくやられるとは思えない。

向こうにはアディダスやグレガーもいた筈だ。

それこそ裏でコソコソ動いているかもしれない。

地味な仕事ってアディスっぽいだろ?

・・・怒られそうだから心の奥にしまっておこう

 

と、とにかく他所は他所、こちらはこちらだ。

今は俺たちにできることをするだけだ。

あの巨大な“ママ”を破壊できれば、取れる手段も増える。

 

それにノンビリもしていられない。

空ではライズ達がデス・スターを相手にしている。

どう考えても長くは持ちこたえられないだろう。

ヤバくなったら逃げろと命令してあるが、こっちの仕事は早いに越したことはない。

だがEMP発生装置のせいで、奴ら(帝国)もコルサントからファイターを飛ばせないのは不幸中の幸いだった。

まあ、何が起きてもデス・スターがあれば対応できるとでも思ったのかもな。

だがな、そう思い通りにはいかないぞパルパルちゃん?

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<コルサント上空>

 

第117コマンド軍団の旗艦であるアルテミスは、レイの副官でクローン・コマンダーのライズが指揮を執っていた。

しかし戦況は明らかに不利であり、今もギリギリの戦いを強いられていた。

そんな中でも、ライズが艦を失わないで済んでいるのはデス・スターのスーパー・レーザー・砲の射線に入らないように立ち回っているからだ。

ここを潜り抜ければ走舵手には勲章が贈られるだろう。

 

「コルサントの影に入るように動き続けろ! 射線を取られれば一瞬で塵にされるぞ!!」

 

先の作戦(偽のデス・スターを破壊し、多くのジェダイが命を落とした)でその威力を目の当たりにしているトルーパー達は必死だ。

だがこの動きにも限界が来るのは目に見えている。

レイの命令通り、耐えきれなくなれば撤退する必要も出てくる。

しかし・・・

 

「この艦が墜ちるような事になれば、コマンダーの帰る場所がなくなる。主人の不在時に、そんな事になれば俺はあの人に顔向けできん」

 

『自分もです!』と艦橋のあちこちから声が上がる。

 

「我々は誇りある117コマンド軍団だ! 司令官を置いて逃げるようなことはしない!」

 

ライズの声は無線を通して、帝国とドッグファイトを繰り広げているトルーパー達にも届いていた。

同じく連合国のバトル・ドロイド達にも。

 

『うォー! オイラ達も同じ気持ちだァー!!』

 

『コマンダーの家はオイラ達が守るんだダ!』

 

艦内からトルーパー、強化型のバトル・ドロイド達も声を上げる。

部隊の士気は、司令官がいなくても非常に高い状態だった。

 

 

 

ARCSトルーパーであるレイが率いる第117コマンド軍団は末端の兵士に至るまで精鋭が揃っている。

これは指揮官であるレイが不定期に訓練を施していることにも起因していた。

ARCS(アークス)トルーパー、特殊上級偵察コマンドーであるレイ達は特殊作戦に対応しているARCトルーパーやクローン・コマンドーよりもさらに専門性が増しており、初期のARCトルーパーと同様に、オリジナルであるジャンゴ・フェットから直接訓練を受けていた。

あまりの優秀さ故、『実行不可能な作戦は無い』とまで言われた彼らは遺伝子操作がほとんどされておらず、試験的に成長加速も通常のクローンに比べて緩やかに設定されており、非常にレベルの高い訓練や、教育が施されている。

高度な訓練を長期に行ってきたのは勿論、成長過程の早い段階からから実戦経験を積んでおり、歴戦のトルーパーを凌ぐ戦闘能力を獲得したのだ。

 

そんなARCSに憧れる新兵は少なくない。

だが既にARCSは既に部隊としての役割は果たしていなかった。

チームリーダーであるレイを始め、副官だったアディスも戦況の変化や国の在り方が変化したことによって自らの部隊を指揮している。

 

だがクローンらにとって、彼らARCSが英雄であることは変わらなかった。

そんなARCSを率いていたレイの下に兵士たちが集まるのは必然だったかもしれない。

 

レイの率いる第117コマンド軍団は厳しいセレクション(選抜試験)制度を敷いており、そのセレクションをクリアした者だけが所属を許された。

ARCトルーパーやクローン・コマンドーなどでなくても、“117”所属という事実だけで一目置かれる存在となる。

彼らは自らが所属する部隊に誇りを持っていた。

英雄であるコマンダー・レイの為に力を、技術を使うことができるのが誇らしかった。

勿論共和国に、連合国に忠誠を誓った軍人ではあるが彼らにとっては“レイの為に戦う”という方がしっくりくるのだった。

 

 

 

—————しかしその誇りも、厳しいセレクションを乗り越える程の強靭な肉体と精神力をもってしても一発の光弾の前にはただの人間に成り下がる。

 

一人一人が高い質を誇っていたとしても、数の暴力の前に少しずつ命を散らしていく。

誇りをその胸に抱き、国を想い、平和を願い、彼らは戦う。

その命尽きるまで。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<惑星コルサント 連邦地区>

 

「レイ、見て下さい」

 

エコーが指す方向をヘルメットに内蔵された望遠機能を用いて確認する。

そこにはローブに包まれた人影が確認できる。

 

「・・・ジェダイか」

 

よく見ると、少なくない数のジェダイが倒れている。

先の戦いで若いジェダイ以外は殆どが戦死した。

軍の再編も大変だったが、それよりもジェダイ・オーダーの方が致命的だ。

メイス・ウィンドゥやキ=アディ=ムンディを始め、オーダーを率いていたジェダイ最高評議会の殆どが犠牲になった。

高名な指導者を一度に失った若いジェダイらの動揺は凄まじいものだっただろう。

頭で分かっていても『悲しむな』というのは難しいだろうな。

ジェダイだからと言って彼らは人間なのだ。

ただ“感情”という概念に対する認識が俺達と少し違っているだけだ。

 

「こんな時に、スカイウォーカー将軍がいて下されば・・・」

 

徐にヘヴィーが呟く。

先の戦いでオビ=ワンは左腕を、アナキンは視力を失った。

オビ=ワンはアナキンと同様に義手を装着する事となったが、問題はアナキンの方だ。

彼は療養の為に、ナブーの家族の下へと戻って行った。

その瞳は二度と愛する家族の姿を見る事ができない。

子供の成長を自身の目で見る事ができない。

『生きているだけ儲けもの』とはよく聞くが、生き残った者達はそれぞれ悲しみを背負っていくことになる。

生き残るという事は、戦いが続くという事だ。

戦場に身を置く者達は、形はどうあれ解放を望んでいるのかもしれない。

 

 

一瞬の沈黙が流れるが、彼らは自分のするべき事は分かっていた。

直ぐに思考を切り替えて帝国軍に対する偵察を続ける。

すると突然遠方で戦闘らしき反応が起こる。

すぐに騒ぎになり、帝国は部隊を編成して現場への確認に向かった。

 

「好機だな。今のうちに潜り込むとしよう」

 

俺達は装備を再度点検すると、音も立てずに暗闇に溶け込むように動き出す。

 




はい、お疲れさまでした。
次回から話が進む予定()です。
あくまで予定なのでケッセルランのように広い心でお待ち頂けると幸いです。

それではまた近いうち・・・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。