うちの吸血鬼、裏ボスですよ (蜜柑ブタ)
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SS 『うちの吸血鬼、裏ボスですよ』
とりあえず、短編をひとつ書いてみた。
ペット。
それは、人間が愛玩のために始めた身勝手なことであろう。
しかし、ペットとなる存在は、人間の進化と文明の発達と共に共生関係を樹立している。
幻獣と呼ばれるペット達がいた。
幻獣は名の通り、空想上の生き物などが魔法的技術でペットとして成り立ったものである。
例えば魔王がいれば勇者がいる。スライム、ゾンビ、ドラゴン……etc。
とある土地に、サタンという名を与えられた魔王種族のペットがいる。
幻獣学者の大黒柱がいることを抜けば、至って普通の家庭だ。だが、ペットは魔王だ。
サタンは、近隣一帯の土地を縄張りとしている。これは、サタンに限らず他の幻獣ペットにもあることで、犬や猫同様に縄張り意識はあるのである。
縄張りは、基本的に四天王と指定された他のペットを倒したペットがボスへの挑戦権を得て、勝ったらその縄張りを奪うというの基本だ。
故に、日夜、ボスのサタンへの挑戦権を得ようとペット自慢の飼い主が現れては、敗れ去る。
ところで、RPGなどをしている者なら耳にしたり、挑戦したこともあるだろうが。
裏ボスというのを知っているだろうか?
本ボス級か、あるいはボス以上に強いという隠れ実力者を示すだろう。
サタンの住む土地には、この裏ボスがいた。
名を、ヴィヴィアン。
種族、ヴァンパイアロード(吸血鬼王)。
外見は、長耳に、金髪長髪妖艶の女性。つまりメス。
知る人ぞ知る、裏ボスである。
それ故に挑戦者はほとんどいない。
まあ、その方がいいのであるが。
なぜかって?
吸血鬼種族は、強いけどとってもデリケートだからだ。
まず、太陽が苦手。苦手だけど灰にはならない。散歩は基本、夜のみ。
流水と、ニンニクも苦手。十字架は嫌悪感を持つ。
食事は、輸血パックか、血の滴る生肉。(他の物を食べるとお腹を壊す)
基本小食で、それ故に何より寝るのが好き。激しく動けんことはないが、補給無しの持久戦は苦手。
忠誠を誓った主人には忠実だが、それ以外からの指示などは大嫌い。気分を害されるとすぐ報復する。
…と。こんな風に気難しいヴァンパイアロードこと、ヴィヴィアンであるが、力は本物で、その実力は縄張りのボスのサタンと勝敗が付かなかったという経歴がある。
ただし、吸血鬼はその性質故に、血の契約が必要である。
そこでヴィヴィアンは、主人である喜長なる(よしなが なる)と契約を結び、その血を摂取することで真の力を発揮した。結果、あまりの激しい戦いに発展したため、飼い主双方からドロー判定を受けてしまったのだ。
後日場所を変えて勝負となったが…、ほどなく飼い主であるなるの父親が体を壊して倒れたため、ペット同士の勝負どころじゃなくなり、結果論から言えばサタンの不戦勝となった。
以降、話し合いの末、ヴィヴィアンは、裏ボスという形で知る人ぞ知る、条件付きだが挑戦権自由のボスとなった。
どうでもいい余談であるが、ヴィヴィアンの飼い主こと、吉長なるは、サタンの飼い主であるユウヘイと同級生の女子である。
マニアックな作品が大好きです。
うちの魔王かみませんよという作品は、基本ほのぼの系です。
魔王とか出てるけど。あくまでペット。
魔王の好きな習性が領土争いで、あっ世界征服!って主人公が朗らかに言っても、母親が「あんまりお金がかかるのは困るわね~」で済ませるような世界観です。
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※一応、飼い主&ペット設定
◇飼い主の名前
・喜長なる(よしなが なる)
◇ネタでの立場
・ペットのヴァンパイアロード「ヴィヴィアン」(♀)の主人。
・一見すると少年に見えるボーイッシュな少女。
・本人は詳しいことは知らないが、とある資産家に仕えていた使用人の父とその資産家の長女の間に生まれた女児で、仲を認められなかったことから引き離され父子家庭で育ったという複雑な事情を抱えている。(その後母親は別の人と結婚させられたため異父兄弟がいる)
・十分な養育費と共に当時母親のペットだったヴィヴィアンを渡され、赤ん坊だった頃から一緒に育った。
・高校生中期に父親が体を壊してしまう。
◇ペットの設定
・名前、ヴィヴィアン。
・種族「ヴァンパイアロード」。または、ヴァンパイア。(ヴァンパイアは希少で、さらに希少種のロード(王)階級であるため、あまり浸透していない)
魔王と同等に希少な幻獣で、弱点が多いことから扱いが特に難しいとされる種類。闇属性。
パッと見は、耳が尖っていて、きわどい黒い鎧を纏った妖艶な金髪長髪美女。ゴスロリドレスや黒い花嫁衣装を纏うこともある。
日光が苦手なので日中は日傘をさして行動するが苦手なだけで灰になることはない。長時間日光にさらされるとクラクラはする(散歩はもっぱら夜)。最も苦手なのは流水。ニンニクの匂いにも敏感。
主食は、血液。輸血パックまたは新鮮な生肉(脂の無い牛肉の赤身が良い)から摂取する。一度摂取すれば100日は補給無しで平気。ただし戦うなどして魔力や体力を消費すると次の食事までの期間が短くなる、つまり腹が減りやすくなる。その性質故に何より寝る(力の温存)のが好きで、基本的に小食。
吸血鬼系の注意事項として、血液以外の物を摂取すると体調が悪くなるなどデリケート。
あと生物からの直接的な血液の摂取を控えるというのがあり、新鮮な血液の味を覚えると元々偏食な志向により他の物が口にできなくなる可能性があるとされている。また真の力を発揮するには血の契約を結んだ相手の血液を直接摂取するのが好ましい。
元々は、なるの母親のペットだったが、なるの父親と別れさせられた時に多額の退職金と養育費と共になるに渡された。
なるの母親がヴィヴィアンをなるに渡した理由は、自分の代わりに我が子を守ってやってほしいという願いから。
なるが5歳ぐらいの時には、当時住んでいた地域のボスとして君臨していたが引っ越しによりユウヘイ達が住む地域に来ることになり、縄張り争いのためサタンと戦うのだが勝負がつかずあまりに激しい戦いから一帯を破壊するという事態を発生させてしまうほどの強者。この時に主人のなるから血を摂取することでなるとの間に血の契約を結び吸血鬼王としての真の力を得るのだが、なるの負担が大きかったことやなるの父親が体を壊したなどのタイミングの悪さからボスの座をかけた戦いは無期延期になり、その代りRPGで言う処の裏ボスとして君臨することになった。知る人ぞ知る裏ボスであるため挑戦者はかなり少ない。
基本的に主人であるなるに絶対忠実で、それ以外から何かを強要されることを嫌う。
ヴィヴィアンのようなヴァンパイアは、その希少さと、デリケートさと、食事問題のため、基本的には一般家庭の収入での飼育は難しく、なるの母親のような裕福な家でなければ飼育できないとされている。
・・・思い付いたりしたら増えたり減ったりするかも。
載せてみたら、こっちのが文字数あった……。
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