夜天、月に想ふ (鈴燈 透矢)
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プロローグ :在る男の話、少年の独白

呪術廻戦の二次創作です。初投稿なので暖かい目で見守っていただけると幸いです。


プロローグ:在る男の話

 

 

平安。神や魍魎が当たり前のように闊歩し、民草は常に、怪異に怯えていた。

 

 

しかし、いつの時代にも、穢れを払う者達がいる。闇があれば、光もまた、そこに在るのだ。

 

 

男の名は安倍晴明。平安最高の陰陽師であり、呪術師でもあった、現人神である。

 

 

彼は彼の力を狙う者たちの計略により封印され、後に呪王「両面宿儺」によりこの世から抹消される。

 

 

だが、人の身で神に至った彼は、消滅してもなお、その力を世に知らしめ続けた。

 

 

そして、時は流れ、現代。京都の郊外にある家に、それは生まれた。

 

 

その家は土御門家と言い今も尚、安倍晴明を祀る呪術の家系である。その現代当主の息子は、ある奇跡を持ってこの世に生を受けた。

 

 

そう、安倍晴明の術式である。

 

 

土御門家には古い言い伝えがある。

 

 

「……古く、現人神晴明は、自分の命が死にゆく直前に、現に自らの魂を伝布した。それは、彼の子孫に受け継がれ、晴明は、再びこの世に舞い戻るだろう」

 

 

魂とは、術式。彼が己の畢生を捧げた呪いだ。それは、1000年という長い時をかけて収束し、1人の男児に宿った。この事実はすぐに世に広まり、呪術界を震撼させた。

 

 

"晴明が復活した"

 

 

 

これは、1人の少年が、呪い呪われ、嘆き悲しみ、人類に牙を向く復讐譚。

 

 

 

この世界に希望なんてない。きっと、それだけの話なのだ

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【少年の独白】

 

幼い頃から、両親に、お前は特別だ、神の奇跡だと祀り上げられ、世界を救う使命があると教わって育った。

 

 

物心ついた頃には、両親は、僕のことを"セイメイサマ"、なんて呼んで、いつも僕にへりくだっていた。僕はそう言われる度に、自分自身を肯定できなくなっていった。

 

 

僕には特別な力があった。誰に教わった訳でもないし、そもそも僕以外に使える人なんていなかったから、使い方を習うことは出来なかったけど、僕は本能でそれを扱えた。

 

 

僕がソレを使う度に、神の御業とか、セイメイサマの力が顕現なさったとか言われて、僕がどれだけ工夫して、努力して、それを上手く使おうとしても、僕のことなんて、誰も興味が無いみたいだった。

 

 

 

1度だけ、出来心でそれを人に向けて使ってしまったことがある。

 

 

 

その人は大した怪我もなく、無事に社会復帰したらしいけど、僕はその時、初めて両親に叱られた。

 

 

"晴明様の御力をなんだと思っているんだ"、と

 

 

その時だけは、僕は"安倍晴明"ではなく、"土御門 蓮生"だった。僕はそれが、嬉しくて、嬉しくて堪らなかった。僕を見てくれる。晴明様じゃなくて、僕を認めてくれる。

 

 

そんな歪な感情は、日に日に肥大して、気がついた時には、僕は座敷牢に幽閉されていた。

 

 

食べ物も水もなくて、僕はこのまま死ぬんだと思った。酷い人生だった。僕は心の底から安倍晴明を呪ったんだ。恨んだんだ。勝手な遺言で、勝手に人の運命を決めた最低な男を、嫌悪した。

 

 

 

そんな時だった、あの人と出会ったのは

 

 

 

「すっごい暗い呪力。君ほんとに人間?」

 

 

 

木の格子の外から僕に声を掛けたのは、僕らが生み出した、怪物だった。

 

 

 

その日、僕は、初めて友達ができた。僕のことを、僕と認めてくれる。そんな、優しい友達。

 

 

 

やっぱり、人間なんて、呪術師なんて、

 

 

 

どいつもこいつもクソ野郎だよ。

 

 

 

そうだろう、━━━━━━真人

 

 

 

 

その日、僕は、人間でいることを放棄した

 

 

 

【特級指定呪詛師 土御門 蓮生の独白】

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。誤字、脱字、応援などありましたらコメントしていただけると幸いです


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第一話 邂逅の記憶、少年達の幕間

2話連続投稿です。最後まで見ていただけたら幸いです


第1話: 邂逅の記憶

 

 

5月某日。白髪の少年は、ある男と向かい合って食事をしていた。

 

 

「……で、器はどうだったの。真人」

 

 

「それがねー……大分天敵だったよ。魂に触れようとしたら宿儺にボコボコにされちゃってさ」

 

 

ハンバーガーを頬張りながら楽しげに語る男の名は、真人。人が人を恐れ、憎む感情から生まれた呪霊だ。彼は先日、宿儺の器、虎杖悠二(いたどりゆうじ)と戦い、払われる寸前のところで逃げ仰せたという。負けたのに楽しそうなのは、彼が強敵との戦いにより、己が成長していく実感を心底楽しんでいるからだろう。

 

 

「でも、領域展開ができるようになったし、結果的にピンピンしてるしね。━━次は勝つよ」

 

 

そう言って笑う男の瞳は、まだどこかあどけない雰囲気があった。

 

 

 

「ところで、君もあの、"夜叉(やしゃ)"と戦ったんだろう。負けた?」

 

 

 

男の質問に、少年は少しだけ考えるフリをして、コーラでパンを胃に流し込むと、諦めたように口を開いた。

 

 

「負けたよ。暴走なんて聞いてないっての」

 

 

 

 

少し不貞腐れた様子で答えると、少年は、再び食事に集中し始めた。

 

 

 

"夜叉"とは、呪術高専に入学したもう1人のスーパールーキーで、平安最凶と謳われた"夜天人魔(やてんじんま)"と呼ばれる安倍晴明のライバル的な陰陽師の術式を持つ少年のことだ。彼は、真人が宿儺の器と戦っている時、ソレと相対していた。

 

 

「まぁ、夜叉は君の天敵みたいなものだし、仕方ないんじゃない?」

 

 

全く慰める気のないフォローを入れる真人を睨みつけて、バンズを噛みちぎる。

 

 

夜天人魔は、安倍晴明の一番弟子であり、その力への貪欲さから晴明に破門され、復讐を誓った堕ち人(オチビト)で、呪霊をその身に宿らせることを鬼神のごとき力を得る憑依という術式を使っていた。

 

 

それは、主に呪霊を生み出し式神として使役する晴明の術式には効果絶大であり、苦戦を強いられたという。

 

 

結局、彼は晴明によって封印され、後の時代に呪いとなって現れたというわけである。

 

 

「…………晴明の術式には僕の知らない秘奥が沢山ある。次は勝つよ。どんな手を使っても」

 

 

 

陰陽道の祖である晴明の術式は、ありとあらゆる術式の元になったものだ。全ての術式のオリジナル……つまり、全ての術式の上位互換。予想外の事態が起こったとはいえ、有利を取っていたのは少年の方なのだ。

 

 

つまり、敗因は純粋に少年の力量不足ということになる。それを何よりも自覚していた彼は瞳の奥に強い光を滾らせて、真人にそう告げるのだ。

 

 

「うんうん。いい目をしてるよ。やっぱり僕らはこうでないと」

 

 

人間らしく、呪いらしく、狡猾にいこう。真人の口癖をすっかり覚えてしまった少年は、黙って席を立つと、プレートをゴミ箱に突っ込んで"僕はそういうの、柄じゃないよ"といい笑顔を見せた。

 

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【少年達の幕間】

 

5月某日。呪術高専にて

 

 

「センセー。バカ2人組は?」

 

 

授業中、たった4つしかない席の、空席を見つめて、茶髪の女生徒が言った。先生、と呼ばれた男は、何故か目を黒い布で覆っており、どこか軽薄そうな雰囲気が漂っていた。

 

 

「大事をとって休ませてる。悠二はともかく、朱羅(しゅら)は結構やばかったからね」

 

 

さも当たり前のように言い放って、男は板書を続ける。女生徒はつまらなそうにふーん、と言って、2個隣の男子生徒に視線をやった。

 

 

「伏黒はどうなのよ。そこんとこ」

 

 

伏黒 恵(ふしぐろめぐみ)は、話を振られて心底嫌そうな顔をしながらも、"どうでもいい"と吐き捨てた。あの2人が突っ走るのはいつもの事だ。なんだかんだで特級呪霊と呪詛師を退けているので、悔しいという想いもあるだろう。

 

 

「はぁ……ほんと男ってバカばっかよねぇ……」

 

 

ため息を着く女生徒は釘崎野薔薇(くぎざきのばら)。4人しかいない、呪術高専の1年生であり、紅一点。そんな彼女は今日も、思春期男子特有のめんどくさい青臭さに当てられて、1人、窓の外の景色を眺めるのだった。

 

 

 

「あーあ、スカウトとかされないかな」

 

 

 

「野薔薇、授業中だぞー」

 

 

 

呪術高専の日常は、緩やかに流れて行った

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。誤字、脱字、応援などありましたらコメントしていただけると幸いです。次回の投稿は金曜日の10時を予定しています


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第二話 慟哭、そして狂奔

早めの投稿ができました。最後まで読んでいただけたら幸いです


第二話:慟哭

 

姉妹校との交流会、虎杖悠二の謎。その裏で蠢く策略。物語は加速した。少年もまた、その波に呑まれることになる。

 

 

 

そして迎えた新宿作戦。少年の役割は一人でも多くの呪術師を殺害すること。

 

 

 

「へぇ。結構楽しそうなことしてるじゃん。僕も混ぜてよ」

 

 

 

少年は嗤う。陰陽道とは、殺すことと見つけたり。

 

 

【狂奔】

 

「いるんだな、このすぐ下に、アイツが」

 

 

同時刻。虎杖悠二は、1級術師冥々と共に、地下鉄に訪れていた。

 

 

「どうかな?ツギハギ顔を確認する前に(カラス)がやられてしまったからね。だが改造人間がいるということはそういうことなんだろう」

 

 

改造人間の駆逐及び、主犯格である特級呪霊真人を追っている彼らの元に、それは、現れた。

 

 

それは、白髪の美少年の形をしていて、白いパーカーに、有り触れたジーンズを履いていた。

 

 

それは、背後に蝗のような呪霊を従えていて、彼らを見て薄く笑った。

 

 

「なに?最初っから賞金首とかついてないなー。まぁいいや。ねぇ器くん。見逃してあげるからさ、とっとと帰ってくれないかな?今いい所なんだよね、色々」

 

 

嘲るようにそう言って、手をひらひらと振るようなジェスチャーをして見せる。隣にいる冥々のことなど、まるで眼中に無いような素振りだ。

 

 

「嫌だね。俺はこの下にいる奴に用があるんだ。これ以上お前らに好き勝手されてたまるかってんだ」

 

 

少年の提案を真っ直ぐと否定した彼は、重心を低く保ち、臨戦態勢に入る。少年の背後の蝗が、虚ろな瞳の中に憎悪の炎を滾らせた。

 

 

「はぁ……仕方ないなぁ。蝗、やっちゃっていいよ」

 

 

少年は呆れたと言わんばかりに額に手を当てると、蝗の呪霊にそう命令した。

 

 

刹那、蝗の呪霊が動き、虎杖悠二もまた地を蹴って走り出す。両者は、ぶつかり、激しい肉弾戦に挑んだ。

 

 

「gaiaiaiaiaia!!!!!!!!!」

 

 

「っ!こいつ……っ!」

 

 

蝗の呪霊はまるで操られているかのような動きで、痛みも感じずに虎杖に攻撃を仕掛ける。何度吹き飛ばされても、腕を引きちぎられても。だが、ついに限界が訪れる。

 

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

 

 

「あらら。もう少し粘ると思ったんだけどなー。夏油さん、器くんの実力見誤ったのかな」

 

 

困憊した虎杖を見て、不満げに漏らす少年は後退りして、背中に当たる冷たい感触に気がついた。

 

 

「逃がすと思っているのかい?特級指定呪詛師、土御門蓮生くん」

 

 

「あれ、僕のこと知ってるの?嬉しいなぁ。1級呪術師の冥々さん。そんな怖い顔しなくても、僕は逃げないよ」

 

 

「っ!……驚いた。相変わらず凄まじい呪力だ。流石は安倍晴明の直系、と言うべきかね」

 

 

「その言い方はあーんまり好きじゃないかな?これは僕の力だよ。冥々さん」

 

 

 

「姉様っ!!!」

 

 

「なにっ……?」

 

少年が放った闇のように昏い呪力に気圧されて、バックステップを踏んだ彼女に、背後から迫るものがあった。咄嗟に身を捻った彼女の耳横を掠めたのは、紫と赤の斑点を持つ、ドス黒い舌だった。

 

 

「……虎杖くん。君は先に行くんだ。私もすぐに追いつく」

 

 

「でもっ!」

 

 

「いいから。行くんだ。君にはやるべき事があるだろう。心配しなくても、私は君よりずっと強いよ」

 

 

「……っ!あざすっ!!」

 

 

走り去っていく虎杖の背中を見届けて、彼女は薄く笑う。少年は、虎杖の道を阻むようなことはしなかった。横を通り過ぎる彼に、"行ったって無駄だよ"と、言ったばかりだった。

 

 

「さて……。腹を括るよ、憂憂(ういうい)。少しばかり、骨が折れそうだ」

 

 

「はい!姉様!」

 

 

その様子を退屈そうに眺めていた少年は、少しだけ呪力を練って、足元のコンクリートに叩きつける。しかし、破片は飛び散ることはなく、少年の手を中心に剣を象った。

 

 

「終わった?じゃあ行くよ」

 

 

 

「ああ、待たせてしまってすまなかったね」

 

 

 

「「死合おうか」」

 

 

 

両者はほぼ同時に動き出し、激突した。彼女の斧のような得物を、彼は即席の剣で受け止める。膂力は明らかに彼女が格上。少年は呆気なく吹き飛ばされ、つかさず追撃をかけようとする彼女だったが、その眼前に、先程の"主"が立ち塞がった。

 

 

「……なるほど。君のそれは、"蠱毒(こどく)"だね。いやはや、驚いたよ。身一つであの儀式を再現できるとは」

 

 

それは、体長2mほどの赤黒い蛙であり、瞳は6つ、前足は4本、後ろ足は6本、尾は長く伸び、今にも彼女に襲いかかろうと全身から瘴気を発していた。

 

 

「まさか、大陰陽師の術式が、その程度なわけがないだろう?」

 

 

「あはは。さて、どうだかね」

 

 

綺麗な着地を決めた少年は、はぐらかすように答えて手を組むと、凄まじい速度で呪力を編み始めた。

 

 

饕餮(トウテツ)その女を殺せ」

 

 

言うなり、蛙の呪霊は、飛び上がると、腹部を膨らませて、赤紫の毒液を吐き散らす。彼女は紙一重でそれを躱していき、毒液が当たった足元からは小さい蛙の呪霊が何体も飛び出してきた。

 

 

「……(あのカエルは間違いなく特級呪霊に匹敵する戦闘力がある。加えて、触れれば即死、避けても2級程度の雑魚呪霊を量産する毒液か。まぁ、その程度なら、あの少年でも処理できただろう。問題は……)」

 

 

雑魚をなぎ払い、毒液を躱し、確実に蛙にダメージを与えていく彼女。それを見て少年は楽しげに口元を歪めた。やはり一級術師ともなるとイレギュラーにも問題なく対処出来る。その上、少しづつではあるが、こちらが押されてきているのだ。

 

 

これが楽しくないわけがないだろう

 

 

 

「やるね冥々さん。やっぱりさっきの一撃で殺しておくべきだったよ」

 

 

「それはどうも。私的には、そろそろ奥の手を見せてくれると有難いんだけどね」

 

 

 

蛙は徐々に身体の面積を減らされていく。自前の再生能力も、呪力がなければ発動しない。そして━━━━━━

 

 

 

「guagagaaaaaa!!!」

 

 

空中に逃げた蛙は彼女の一撃を避けきれず、断末魔を上げて消滅した。同時に、雑魚呪霊も消滅する。

 

 

「ふう、少しヒヤヒヤしたけど、何とかなったね」

 

 

「流石です姉様。とてもかっこよかったですよ」

 

 

「ありがとう。さて…………」

 

 

 

少しだけ表情を和らげて、少年に向かう彼女は、いつも通りの微笑をたたえていた。

 

 

「いやぁ参ったな。替えがきくとはいえ、そんなあっさりやられちゃうと胸が痛いよ。冥々さん」

 

 

「おい、お前。さっきから呪詛師如きが姉様の名を軽々しく口にするんじゃない」

 

 

「いいんだよ憂憂。彼のアレは天然じゃないから」

 

 

「姉様っ……敵にも慈悲をかけるその優しさ、この憂憂、一生姉様について行きます!」

 

 

追い詰められた少年は、諦めたように首を振ると、彼らに背を向けた。

 

 

 

「ほんとはアイツ用にとっておきたかったんだけど……どうせ君たちは逃がしてくれないし、試験運用とでも思えばいいか」

 

 

 

「先程から何を勿体ぶっているんだい?もしかして、さっきの蛙が奥の手とでも言うんじゃないだろうな」

 

 

 

どこか煮え切らない態度の少年は、ポケットからある物を取り出した。それは、少年以上に禍々しい呪力を放つ、1本の木の枝のような呪物だった。

 

 

「あれはまさか……姉様っ!」

 

 

「…………なるほど」

 

 

少年は、その枝に少しだけ呪力を込めた。すると、枝は変質し、金色に輝く金塊に変わる。金塊は土塊へ、土塊は黒い水に、水は、小さな火種に変わる。

 

 

「陰陽五行説って知ってるかな。陰陽道の基本の考えでね。晴明の全ての術の基盤となっているものだよ。そしてこれは、その概念を物質化したものだ」

 

 

火種は少年の手の中で肥大化し、軈て拳大の揺らめく炎となる。

 

 

 

「陰陽五行説の中で、火とは破壊を司る概念なんだ。何かを殺めたり、傷つけたり、祟ったり、呪ったり……1番ポピュラーな元素とも言えるね」

 

 

炎は、留まることを知らず、天井に到達し、行き場を求めて空間全体に広がった。

 

 

「純粋な破壊を生み出す術式は全て"火"の力を持っている。ここにあるのはその原点。どういう意味か、わかるよね?」

 

 

 

「……噂には聞いていたけど、真祖の呪術というやつだね。なるほど、それが君の奥の手か」

 

 

彼女は、楽しげに言って、傍らの、弟を見た。

 

 

「憂憂、私の為に死んでくれるかい?」

 

 

彼女の弟であり、一部である少年は言った

 

 

「いいんですか?姉様のために死んでも」

 

 

 

刹那、言葉にするのも馬鹿馬鹿しいくらいの、爆炎が、この世のありとあらゆる呪いを宿して辺り一体を埋めつくした。




少し長くなりました。最後まで読んでいただきありがとうございます。誤字、脱字、応援などありましたらコメントしていただけると幸いです。次回の投稿は金曜日の22時を予定しています(また前後するかもしれませんが、ご了承ください)


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