紅魔の執事、幼女を拾う (青い灰)
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プロローグ

 

 

 

ロンドンの商店街を歩く。

 

霧の都と言われるだけあり、

まだ明るい夕刻の路上だと言うのに霧が濃く、

目を凝らさねば数m先も見えないほどだ。

俺はそこに、買い出しに来ていた。

 

手に持ったメモを見ながら

木箱に詰めた様々な用品を確認する。

 

 

「えーと、紅茶の茶葉と野菜、鶏肉……と。

 あとは…………鎮静剤?どう入手すんだよこれ…」

 

 

そんな無茶な要求に俺は苦い顔になる。

知り合いに医者などいないし………

何に使うのかは分かっているが、

果たして()()()()()()()()()()()()()()

 

俺の主人は人間ではない。

さて、これはどうしたものだろうか。

そんなことを考えていた時だった。

 

 

「ん?」

 

 

背後から聞こえてきた悲鳴に俺は振り返る。

誰もがそちらを向いており、

そこからは嗅ぎなれた血の匂いが漂っていた。

だが、この匂いの濃さは致死量だ。

 

こんな街中で殺人とは、

中々大胆なことをしてくれる。

気になった俺はその悲鳴が聞こえた場所へ

向かおうとして…………

銀髪の小さな少女とすれ違う。

 

 

「─────」

 

「!」

 

 

彼女はかなりの速度で疾走しており、

その手には赤く濡れた何か……

刃物のようなものを持っていた。

 

だが、血が地面に垂れていないのが不自然だが、

悲鳴から逃げるように走り去ろうとしている。

殺ったのは間違いなく彼女だろう。

 

俺も彼女を追いかけようと向きを変え、走る。

そして、人混みを抜け、彼女の行き先を予測して

裏路地から回り込む。

 

 

「────っ!?」

 

「嬢ちゃん、流石に人殺しはマズいと思うが?」

 

 

彼女は目の前に現れた俺に驚き、

咄嗟に手にしていた刃物………メスを構える。

医療用のものだ、盗んだのだろうか。

それは元より人体を切るためのもの。

鋭利なそれで頚を掻き切ったのだろう。

 

俺もその少女を逃がすつもりはない。

メスを持っているならば鎮静剤の1つや2つ、

持っている可能性がある。

それだけで、捕まえる気もない。

 

 

「───ッ!」

 

「おわっ!?」

 

 

突如としてその場から、文字通り〝消えて〟

少女は俺の懐へと現れる。

まるで瞬間移動のような速度の不意打ちに

対応できたのは偶然だった。

 

俺は背後へと跳び、

首を狙って振り抜かれたメスを避ける。

 

 

「おぉ怖ぇ、巷で噂の『切り裂きジャック』か?

 おっと、容赦が、ないっ、な!!」

 

「っ!!」

 

 

振られるメスをヒラリヒラリと避け続ける。

─────移動は速いが、それだけだ。

武器の構えもまるでなっていない。

これならば見切ることも出来る。

 

そうして裏路地へと俺は逃げ込む。

少女も俺を生かしておくつもりはないらしく、

子供とは思えないような速度で追いかけてくる。

 

 

「─────!」

 

「ん?」

 

 

そして、再度少女の姿が掻き消える。

今度は姿が完全に見えなくなった。

視界には完全にいない。

 

ということは。

 

 

「甘いね、殺気が強すぎるんじゃないか?」

 

「!?」

 

 

背後しかないだろう。

 

 

俺は〝能力〟を解放する。

俺の背後、首筋近くにいた空中の少女は、

それに耐えられずに石造りの地面へと落ちる。

 

どうやら背後から首に組み付いて

確実に仕留める算段だったようだが………

 

 

「まさか『切り裂きジャック』が

 こんなチビっ娘だったとはね、驚いた」

 

「……っ、っ!?」

 

 

少女は自身が何故立てなくなったのか

分からず、困惑しながら地面に這いつくばって

こちらを睨み付けてくる。

 

 

「安心しろ、警察につき出す気はねぇよ」

 

「っ!」

 

「おっと」

 

 

少女は俺が油断したと見たのか、

手にしていたメスを

なんとスナップだけで投げつけてくる。

 

それは的確に俺の首筋を捉えていた。

そして能力の適応外だ。が、

人差し指と中指で挟んで止める。

食らっていれば即死だったろう。

 

 

「まるで矢だな。

 ウィリアム・テルかよ、お前」

 

 

メスの刃を折り曲げて砕き、破壊する。

そうして地面に這いつくばる少女を観察する。

 

くすんだ銀髪は洗えばきっと艶やかになるだろう。

深い瑠璃色の双眸はこちらを強く睨んでいる。

年齢は7、8歳だろうか。少女より童女だ。

顔立ちは整ってはいるが、顔色が悪く

全体的に痩せ干そっており栄養不足なのが分かる。

ボロ布を纏っただけのその姿は服装とは

お世話にも言えず、枯木のような手足が覗く。

 

しかし、よくもまぁこの痩せた身体で

あのようなトリッキーな動きが出来たものだ。

希に戦う人外並みの強さだったが………

俺と同じような〝能力〟を持っているのは確実か。

 

 

「ちゃんと食ってんのか?お?」

 

「がぶ!」

 

「痛い」

 

 

頬を突つくと指に噛みつかれる。痛い。

まるで獣だ、知性を感じられない。

それにしても、どうしたものか。

この殺戮幼女を町に放っておくのも危険だ。

 

…………鎮静剤の代わりの手土産。

そんな考えが、俺の脳裏によぎった。

 

 

「…………別に良いよな。

 仕事が多いってメイド長も言ってたし」

 

 

あの方でも癇癪くらいならば

能力で押さえ込めばなんとかなる。

というか、図書館の彼女に

作って貰えばいいのではないか。

彼女なら鎮静剤くらい軽々と調合してくれそうだ。

 

 

「よし、帰ろう。

 ……………これどうやって連れて帰るかな」

 

 

未だ、こちらに殺意を向けてくる幼女を見て

俺は溜め息をついたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻りましたー」

 

「はいはいお帰り………って、え?」

 

「んん?」

 

 

縛った幼女を抱えて真っ赤な洋館へと帰る。

そしてお嬢様の部屋へと入ると、

出迎えてくれたメイド服の少女と

件のお嬢様に変な顔をされる。

 

そして、その2人の顔は少しずつ

こちらを軽蔑したものへと変わって、

彼女らは口を揃えて言った。

 

 

「「ロリコン………」」

 

「違うわ!!?」

 

 

速攻で突っ込みを入れる。

断じてロリコンではない。

主であるお嬢様は自身の小さな体を抱いて

こちらを睨み付けてくる。

 

 

「燎夜、貴方そんな趣味があったの………?」

 

「断じて違う!!」

 

 

そして横のメイドに助けを求めて

視線を向けるが……………

 

 

「あ、あはは、趣味は人それぞれですよね!」

 

「慰めんな!あと違うっつってんだろうが!!」

 

 

こうして、俺は幼女を拾ってきたのだった。

盛大な誤解を解くのに数時間を要したが。

 

 

 

 



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フルムーン・フラワー

 

 

 

「さて、おふざけこの辺にして、

 この娘をどうするか、ね。

 燎夜、詳細を聞かせなさい」

 

「最初からふざけないでくれますかね」

 

 

俺は溜め息をつきながら縛った幼女を

ソファに寝かせる。

するとお嬢様の横でプルプル震える

メイド服の美鈴が視界に入り、額に青筋が浮かぶ。

 

 

「ロリコン………ぷくく」

 

「おらテメェ中国、表に出ろ」

 

「良いですね、一回死んでみます?」

 

 

それぞれの胸倉を掴み、視線を合わせて

相手がいつ動くのかを見定める。

───本気でやるならば、いや、やはりコイツ………

 

そう考えた時だった。

空間がゴォッ、と音を立てて震え、空間が軋む。

それはお嬢様から放たれた威圧感だ。

 

 

「やめなさい。詳細を聞かせろと言ったの。

 中国、貴方も少し落ち着きなさい」

 

 

その言葉に、俺は自身を落ち着かせるために

再び溜め息をついて美鈴から手を離す。

彼女も同様だ。

 

そして彼女はいつものおちゃらけた表情に戻る。

俺も敵意を完全に消して左手を

腰から抜こうとした剣から手を離した。

 

 

「はぁ。まぁ驚いたのは確かですよ。

 だって貴方がこんな小さな子供を

 拾ってくるなんて完全に予想外ですし」

 

「それについては私もよ。

 ()()けど、襲われたんでしょう?」

 

「特に意味はないですよ。強いて言うなら………

 美鈴、お前、最近手が足りてないだろう」

 

 

俺は美鈴の方を向いて言う。

彼女は「え、私?」みたいな顔をして

こちらを見てくる。お前だよ。

 

 

「そうだ、お前だ。

 俺がいない時は無理してるだろう」

 

「は?何の根拠があってですか?」

 

 

俺は能力を解放する。

瞬間、美鈴の顔が青くなり

その場に膝をついて崩れ落ちる。

顔色は悪く、今にも気を失ってしまいそうだ。

 

 

「っ、く………そう、でしたね、貴方には………!!」

 

「はぁ……これは私の眼が甘かったようね。

 一応聞くけど、燎夜、倍率は幾つかしら」

 

「1.5倍です。………甘かったな。

 俺の前で隠し事なんか出来ると思うなよ」

 

 

淡々と答える。

美鈴は恨みと苛立ちが乗った目付きで

こちらを睨み付けてくるが、

その眼にも万全な時とはかなり力が入っていない。

 

 

「はぁ………燎夜、能力を解除しなさい」

 

「承知しました」

 

 

俺は指を鳴らして能力を解除する。

う゛ーと喉から音を出して

床からフラフラと立ち上がる美鈴。

 

 

「美鈴、下がりなさい。

 3日、休暇をあげるわ。休みなさい」

 

「………分かりました……」

 

 

とぼとぼと扉を開け、失礼します、と言って

部屋から出ていく美鈴を見送る。

そして立ち去る音が聞こえてから、

お嬢様は大きな溜め息をついてこちらを向く。

 

 

「はぁ………助かったわ、燎夜。

 まさか紅魔館が知らず知らずのうちに

 ブラック企業化してるとは思わなかったわ」

 

「元からですから。執事とメイド2人の

 この状況です。それを何とかするために

 コイツを連れ帰ってきたんですから」

 

 

ソファの上でいつの間にか

眠ってしまっている銀髪の幼女を見下ろす。

 

 

「成程ね……なんだかんだ言って、

 身内には極端に優しいのね、貴方」

 

「別に………倒れられても困るだけです。

 それにこの娘………町に放置するのは危険です」

 

「話が逸れていたわね。

 ………詳細を聞かせてもらえるかしら」

 

 

俺は、ロンドンの町であったことを話す。

まずメスを器用に扱うこと、

言葉を理解していないこと、

………時間を止める能力を持っていること。

 

 

「………へぇ、興味深いわね。

 戦闘してみてどう感じたかしら」

 

「単純に獣ですね。

 殺すことしか考えていない感じで………

 ただ、殺すことについては弱点を的確に

 狙ってきたり、多少は技術があるようですが」

 

「ふぅん、ここも危険だとは思わなかったの?」

 

 

少し悩む………が、おそらく大丈夫だろう。

それぞれに時間操作への対策が存在している。

 

 

「特に問題はないかと。

 それより別に問題がありますね」

 

「そうね。美鈴のこともだし、

 それまでの仕事についても考えないと」

 

「吸血鬼狩りは俺が始末して、

 後は娘に名前と知識を与える必要があります。

 仕事は3日間出来なくなりますが………」

 

 

その言葉にお嬢様は眼を丸くする。

そして心配そうにこちらを見た。

 

 

「大丈夫なの?

 流石にそこまでは………」

 

「問題ありません。

 仕事を終えたら1日休みを貰いますが、

 それからはコイツがやれるまで鍛えますよ」

 

「…………そう、迷惑をかけるわね。十六夜 燎夜」

 

「いえ、では………まずは晩飯ですか」

 

 

俺はソファに寝ている幼女を見下ろして、

どうするか考える。

するとお嬢様が視界の端で頷く。

『任せなさい』の意だ。

ならばここは任せてしまおう。

 

 

「………では、失礼いたします」

 

 

俺は静かに、扉を閉めて台所へと走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1人になった部屋で、

紅魔館の主、レミリア・スカーレットは

静かに眼を閉じる。

 

 

「…………」

 

 

レミリアの能力〝運命を操る程度の能力〟。

実態のない予測不可能な運命を視る、

それは未来予知に近いものである。

 

そして、瞼の裏に浮かぶのは────

レミリアはそれを無意識に呟く。

それを自身の耳で聞き、運命を知るのだ。

故に彼女はその力を他人がいる場所で使わない。

 

 

「………そう遠くない未来…………早くて、10年後」

 

 

その視えた光景に、レミリアは静かに呟く。

 

 

「誰かが───死ぬ。抗えない死が来る」

 

 

 

 

確定された死亡宣告に、彼女は戦慄する。

そして、ソファの上で寝息を立てる幼女を見る。

 

 

────まさか、この娘が?

 

 

レミリアは静かに己の魔力を練り上げ、

紫電を纏う赤槍を作り出す。

そして、それを眠る娘に突き立て────

ようとして、残り一寸の所で止めた。

 

魔力は霧散し、赤槍は溶けるように消える。

レミリアの顔には、汗が伝っていた。

 

 

「…………いえ、もしかしたら……」

 

 

運命の不確定分子であるこの娘ならば、

死の未来を回避出来る可能性がある。

この娘が、紅魔館の運命に組み込まれたならば………

 

 

「希望………ね。

 …………そう言えば、昨夜は満月だったかしら。

 ……うちの執事と名付け方が被るけど、そうね」

 

 

いつか、満月の夜に咲く花になるように。

暗い夜と悲しい運命を、

明るく照らす満月のように。

 

 

 

レミリアは、娘を『咲夜』と名付けた。

 

 

 

 

 



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燎夜の完璧メイド育成計画 1



前半は調理小説かな?
ビーフシチュー食いたくなってきた。




 

 

 

「まずは………さて、どうしようか?」

 

 

俺はやって来たキッチンで

件の幼女のメイド育成計画を考えていた。

ノープランである。

まずはあの狂暴な獣を人間に戻さねばなるまい。

なら…………そうだな。

 

 

「まずは胃袋を掴む所からだな。

 餌付けしてから落ち着かせて知識を与えよう」

 

 

この寒い地域で胃袋を掴むのに必要なのは、そう。

身体(と、ついでに心)を暖めるスープである。

シチューのようなものだ。

折角町に出て買い出しをしてきたのだ。

牛肉はまだ結構あった筈だし、

牛肉を使ってビーフシチューでもどうだろうか。

妹様も好物だし。

 

 

「よし、作るか」

 

 

時間は少し早いが、煮込むのにも時間をかけよう。

ほぐして柔らかくなった方が

ちゃんとした飯食ってなさそうな

彼女には丁度良いだろうしな。

 

買ってきた物の入った木箱から

タマネギ、じゃがいも、人参などの野菜を(洗い)、

倉庫から数人分の牛肉を取り、

まな板の上に並べてサッサと切っていく。

…………そういえば紅魔館には幼女が多いが、

何か縁でもあるのだろうか?

何気に美鈴、あの司書、俺は例外、

残った3人は全員幼女である。

 

 

「~♪」

 

 

演劇で聞いた曲を鼻歌にしながら、

コンロに火を入れ、調節。

フライパンに少し水を入れて、

そこに野菜を投入し、

蓋をして弱火で軽く1分ほど蒸す。

 

肉には塩を揉みこみ、軽く胡椒を振る。

そして別のフライパンに置いてバターを乗せる。

ちょっと焼き色がつくまで強火で焼く。

 

蒸していた野菜も火を中火に切り替え、

タマネギに色がつくまで肉と同時に炒める。

 

 

「………思えば料理の腕も板についてきたな」

 

 

雇われたのは10年前だっただろうか。

今の主であるレミリア・スカーレットに

元々は用心棒として腕を買われたのだった。

そしてこの屋敷で美鈴から様々なことを学んだ。

最初、家事は殆どがダメダメだったものだが、

さて、アイツはどうなのだろうか?

 

2つのフライパン作業を火を消して同時に置き、

次は鍋を棚から取り出す。

水を注ぎ、強火で沸騰させる。

沸騰してから赤ワインを投入し、

アクが出たのを見てからそれを取り、

野菜と肉を(じゃがいもを除いて)纏めて投入。

 

弱火に切り替え、ここから蓋をする。

フライパンはもう使わないので

蛇口を少し捻って水を出したシンクに放る。

 

 

「2時間は煮込むかね………さて、どうするか」

 

 

やることがない。

幼女はまだ寝ているだろうし、

美鈴は行ってもイラつかせるだけだろう。

…………ならば選択肢は2つ。

 

1.図書館に行って本を読む。

2.妹様の所で遊ぶ。

 

 

「……………妹様と遊んだら

 時間に出られなさそうだな………なら図書館か」

 

 

結果は1に決定。

なんかすいません妹様。

というわけで図書館に行くことに。

 

もしかしたらメイド育成論とかあるかもしれん。

何でもあるらしいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というワケで、失礼しますよ」

 

「失礼だと分かってるなら出ていきなさい」

 

「そんなんだから友達できねぇんだよ」

 

 

軽口を交わし、本の整理をする司書、

紫色の少女…パチュリー・ノーレッジを見つける。

魔法使いでもある彼女は

レミリア嬢の100年前からの友人だそうだ。

 

紅魔館の地下で図書館を持っており、

そこに自室も兼ねている。

つまりここは彼女の部屋でもあるのだ。

 

 

「うっさいわね………で?

 今日は何の本を探しに来たのかしら」

 

「育児とメイド育成論」

 

「ふーん…………は?」

 

「なんだ、レミリア嬢から聞いてないのか?」

 

 

どうやら知らないようなので説明する。

立ち話もなんだ、と言って彼女は

魔法で椅子を出してくれた。

 

 

「助かる。娘っ子を拾ってきてな。

 新しいメイドが必要だと思って」

 

「へぇ………正直予想外ね。

 あの〝殺戮獣〟が育児だなんて」

 

「…………随分とまた、懐かしい渾名を出すもんだ」

 

「少し前までは有名だったわよ、

 目にした生命を殺し尽くす無情の獣。

 人間、妖怪ですら恐れた通り名を殺戮獣。

 まさか半妖だなんて思わないでしょうけどね」

 

 

懐かしい話だ。

────俺は人間ではない。

いや、正確には半分人間、半分妖怪である。

半分妖怪の部分は〝神殺しの狼〟の末裔だとか。

 

いや別に興味もないのだが、

神話で語られる魔獣フェンリルの末裔らしい。

色々あって人間に滅ぼされたが。

フェンリルは神獣とされていたが、

今となっては妖怪まで神格が落ちている。

全く哀れである。

 

まぁ同胞を殺した人間は嫌いなので

めちゃめちゃにしてたらお嬢に眼をつけられ、

こうして紅魔館の執事に至る。

過程めっちゃ飛ばしたが。

 

 

「ふふ、レミィを死際まで追い詰めたのは

 貴方が初めてじゃないかしら?」

 

「お前の不意打ちが無ければ勝ってたな」

 

「まぁ良いじゃないの。

 ここでの生活も辛くはないでしょう?」

 

「俺はともかく、美鈴はキツそうだけど。

 アイツ俺に仕事任せてサボってたツケだろ」

 

「言わないであげなさい。

 乙女心が分からない男は嫌われるわよ」

 

「は?」

 

 

突然出てきた意味の分からない

『乙女心』という単語に俺は首を傾げる。

それを見て呆れたように乾いた笑いを溢す

パチュリーは魔法で2冊の本を浮かばせ、

こちらへと持ってくる。

 

 

「っと、サンキュー」

 

「中国も大変ね。色々と。

 貴方も乙女心が理解できるよう精進なさい」

 

「俺男無理」

 

「諦めが早すぎるのよ。文章で喋りなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして図書館から追い出された俺は

再びキッチンへ向かう。

そこで渡された二冊の本を見ながら、

ビーフシチューの完成を待つ。

 

煮込み終わりにデミグラスソース、

トマトソース、じゃがいもを入れてかき混ぜる。

それから再び30分ほど煮込んだら完成だ。

 

 

 

 

さて、感想はどうなるだろうか?

喜んでくれると良いが。

 

 

 



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燎夜の完璧メイド育成計画 2

 

 

 

先程の部屋へとビーフシチューとパンの皿、

木製の匙を乗せた盆を持っていく。

扉を開けると、丁度幼女が起きたようで

眼を擦っているのが見えた。

お嬢はどうやら小説に夢中のようだったが、

こちらに気付く。

 

 

「あら、良い匂いがするわね」

 

「!」

 

「ビーフシチューをお持ちしました。

 折角の新しい従者、

 その初めての食事は豪華にしようかと」

 

 

お嬢は本を閉じ、幼女は

部屋中に広がる良い匂いを漂わせるそれを

ジッと見ていつ奪うか狙っている。

お嬢の机にシチューとパンを置き、

俺は部屋を後にしようと背を向ける。

 

 

「ここで食べないの?」

 

「美鈴たちにも持っていかねばなりません。

 あとコイツも連れて行きますね」

 

 

あまりお嬢に子守をさせるワケにもいかない。

そう考えていると、突然眼前に現れた幼女が

食事を乗せた盆目掛けて飛びついてくる。

 

 

「うぉ!?てめ……!」

 

「───ッ!」

 

 

縛られたままだと言うのに

凄まじい体幹と素早さだ。

腕を伸ばして盆を高く持ち上げるが、

跳躍だけで飛びついてくる。

 

 

「……ふふ、燎夜。

 その娘の名前、咲夜よ。十六夜咲夜」

 

「なんでよりによって俺の名字に!?

 って言うか助けてくれないんすか!?」

 

「良いじゃないの。妹と仲良くなさいね」

 

「────ッ!!」

 

「あっ、おい待てコラァ!

 お嬢様失礼いたします!」

 

 

パンだけを咥えて扉の隙間から出ていく咲夜。

口の水分なくなってカサカサになってしまう……

ではなく、逃げられてしまう。

俺はお嬢様に頭を下げ、扉を開けて外に出る。

 

 

「ふふっ、また騒がしくなるわね」

 

 

そんな楽しそうに笑うお嬢の声が、

閉めた扉の隙間から聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────!」

 

「クソ、やっぱり時間を止める能力か!」

 

 

イタチごっこ……いや、寧ろどんどん距離を

離されていっている。

なんとなく見当はついていたが、

奴は時間を止めて動いている。

離される距離、咲夜の速度を雑に計算すると、

おそらく止められる時間は2〜3秒。

厄介ではあるが……

 

 

「ッ!?」

 

 

能力を使うと、咲夜が前のめりに倒れる。

やはりこちらの能力は時間が止まっている間も

しっかりと効いているようだ。

俺は咲夜を小脇に抱える。

 

 

「残念だったな。ほれ、行くぞ」

 

「ぐぁう───ッ!」

 

「暴れんな!」

 

 

これは………まぁ仕方ない。

美鈴とパチュリーには悪いが、

先にコイツに食ってもらうことにしよう。

持っていくのが遅れるが、温めなおせばいい。

となればコイツを食堂に連れてかないと。

 

 

「はぁ……おら暴れんな、飯だぞ」

 

「がぁ────!」

 

 

すぐそこが食堂なので、扉を開けて入る。

盆をテーブルに置き、

咲夜の縄を少しほどいて椅子に縛り付ける。

匙は………また今度で良いか。

 

俺は彼女の向かいの椅子に座る。

 

まずはシチューに息を吹き掛けて冷まし、

パンをシチューに浸して口で

彼女の口に合う大きさに噛み切る。

そしてそれを匙に乗せ、咲夜に差し出す。

 

 

「…………う?」

 

「口開けろ、あー」

 

「あー………んぐっ!?」

 

 

こちらの真似をして口を開けた咲夜の口内に

匙を突っ込む。

咲夜は驚いたように眼を見開いて

動きをピタリと硬直させる。

 

そして、おずおずと

ビーフシチューを少し舐める。

 

安全だと言うことが分かったのか、

それを舌で器用に匙から口に落としたので

俺は匙を咲夜の口から引き抜く。

 

 

「んー……!」

 

「旨いだろ」

 

 

もぐもぐと口を動かす咲夜は眼を輝かせる。

表情や仕草がよく変わる彼女は見ていて楽しい。

口にあるものが食べ終わったのか、

彼女は再び口を開けた。

 

 

「あー」

 

「はいはい、次な。じゃ肉いってみるか」

 

 

俺は湯気を立たせる肉塊を匙で拾い上げ、

息を吹き掛けて冷ます。

そして咲夜の口の中に入れる。

 

 

「んーっんー!」

 

「っははは、ひっかけんなよ」

 

 

いやまさか、ここまで反応が面白いとは。

たかが………いや、咲夜にとっては

ビーフシチューなど高嶺の花なのかもしれない。

そう考えると、旨い飯をしっかり食わせて

やらねばならないと思う。

 

だからこそ、今を楽しく。

辛かった分、報われるべきなのかもしれない。

 

俺は匙と皿を咲夜の前へとやり、

咲夜の裏へと回って縄をほどく。

彼女は困惑した眼をこちらに向けた。

 

 

「?」

 

「自分で食ってみろ。それも勉強だ。

 俺は他の奴に持っていかないと」

 

「……………」

 

 

背を向けて行こうとした時、

給仕服の裾を引っ張られる。

咲夜が掴んでいた。

 

 

「…………仕方ないな。じゃあ一緒に食べよう。

 難しかったら食わせるから」

 

「少し待っててくれ」

 

 

そうして、

俺は咲夜と共に食事を取ったのだった。

 

 

 



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燎夜の完璧メイド育成計画 3


いつものクソ遅投稿&クソ短い回です。
もう年が明けちゃったよ………




 

 

 

「まずは風呂だな。入ったことは?」

 

「?」

 

 

美鈴たちへと食事を持っていき、

ついでに咲夜の紹介を終わらせた俺は

次の問題に直面していた。

────そう、風呂だ。

多分風呂も経験はないだろう。

 

 

「…………まぁ大丈夫か。溺れないようにすれば」

 

「?」

 

 

お嬢にやってもらうのも忍びない。

美鈴に任せるのが普通だろうが、

アイツは今は爆睡していることだろう。

起こすのに10分くらいかかったし。

 

それに妹様を風呂に入れた経験もある。

気を付けておけば大丈夫だろう。

 

 

「行くぞ」

 

「ん!」

 

 

喜んでついて来る咲夜に苦笑いしながらも、

2人で風呂場へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん」

 

 

あってはならない気配に、

風呂に向かう廊下で立ち止まる。

咲夜もそれに首を傾げているが、

実際はそれどころではない。

 

 

「?」

 

「侵入者か。良い度胸だ」

 

 

言葉通り、愚かな紅魔館への侵入者だ。

パチュリーの張り巡らせた結界によって、

一部を除いた者以外に侵入者の発見を知らせる。

美鈴への報告は切ってある。

今は咲夜もいるが、どうにかなるだろう。

寧ろちょうど良いかもしれない。

 

 

「咲夜、ついてこい」

 

「ん!」

 

 

何が始まるのか分からないが楽しそうな咲夜と

共に行先を変更、玄関ホールへと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ全く客人とは、新人の教育が進まないな」

 

 

侵入者にホールの階段上から言い放つ。

侵入者は突然現れたこちらに驚いているようだが、

関係ないのでそのまま、言葉を紡ぐ。

 

 

「またホールが血で汚れる。

 お嬢に怒られるじゃないか」

 

「貴様は………吸血鬼ではなさそうだな」

 

「ご明察。俺は執事の十六夜 燎夜。

 見ての通り、新人の咲夜の研修中でね」

 

 

どうやら教会の者のようだ。

十字架を模した剣を持っており、

月明かりが差すと騎士のような風貌なのがわかる。

教会の聖堂騎士。

執拗に吸血鬼を狙い殲滅する吸血鬼狩りのプロだ。

 

 

「番人……いや、番犬と言った所か?」

 

 

その言葉に、思わず身体がザワつく。

身体が赤熱し、全身の毛が泡立つ。

全く、苛立つことを言ってくれる。

 

 

「…………犬、と言ったか」

 

「番犬と言ったが?くく、犬、犬か」

 

 

全速力で地を蹴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騎士の頭を掴み、大理石の床に叩きつける。

 

 

「が─────ッ!!?」

 

犬とは、笑わせる

 

「!?」

 

 

だってそうだろう?

捕食者は怯える獲物を前に、嗤うものだから。

 

 

 

ならば喰らってくれよう

 その骨も血肉も、魂さえも

 

 

 

背後に大きく跳び退き、距離を取る。

両腕を脱力させ地面に垂らし、

そのまま身体中に力を込める。

 

骨が変形して軋み、筋肉が肥大化して隆起する。

全身の毛が逆立ち、急速に伸びていく。

丁度いい玩具が目の前にあるのだ。

憂さ晴らしに全力で行かせてもらおうか。

 

 

「!!?」

 

「狼、男………!」

 

『イヌ科ではある。あながち間違いでもない。

 だがお前が間違えたのは、その犬の力量だ』

 

 

大きく踏み込む。

夜闇の中でも輝くような銀色が月夜は映える。

牙をガチンと鳴らし、火花を散らす。

 

 

『後悔するといい。

 最も、死ぬまでにそんな暇があれば良いがな』

 

「─────!」

 

「チッ……!」

 

 

吠える。

ガタガタと紅魔館の窓が震え、

衝撃が強風となって咲夜を足止めする。

 

 

『新人の前だ。

 格好良い所を見せるとしようか』

 

 

白銀の爪を振るい、騎士へと襲いかかる。

 

 

 



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燎夜の完璧メイド育成計画 4



戦闘回。
最近は影狼ちゃんの耳に魅了されました。
めちゃくちゃモフりたい。
ちなみに作者は獣系と日系が好きです。
狛村隊長はヤバい(語彙力)。




 

 

 

「グルルルァアァァ!!」

 

 

吠え、爪を振るって連続で教会騎士を斬りつける。

その余波だけで紅魔館のカーペットに

傷跡が次々と刻まれていく。

買い換えの時期だったので遠慮はいらない。

 

今でこそ騎士は剣での応戦だが、

本来の教会騎士の強さは身体能力や剣術ではない。

信心の加護による〝魔封じ〟という

妖怪や怪異に特効を得る力。

 

だがまぁ、ゴリ押していけば問題ない。

そこまで長く続く力でもないし、

発動には時間を要する。

それに刺客は1人も逃していないので

情報無しで来るため初見殺しが通じる。

 

 

『おらァ!!』

 

「ぐ、ごはぁッ!?」

 

 

連続の爪撃で壁際に追い詰め、

その腹に拳を叩き込む。

鎧が砕け、騎士の身体が浮き上がるほどの威力。

更に追撃を仕掛ける。

 

 

『潰れろ』

 

 

騎士兜の後頭部を掴み、床に叩きつける。

兜に亀裂が走って砕け、

おそらく顔は凹凸が無くなっただろう。

痙攣する騎士から手を離して見下ろす。

呆気ないものである。

まぁ全力でやったからであるが。

 

 

「あら、終わったの?」

 

「!」

 

「残念ですがね」

 

 

振り向き、咲夜がいる階段上の方を見上げる。

声で分かったが、そこにはいつものお嬢がいた。

どうやら戦闘音が聞こえていたようで、

その手には紫電を走らせる紅の槍を携えている。

 

いつまでも人狼姿も魔力が足りないので

こちらも人間の姿に戻る。

身体から毛が抜け落ち、獣毛で見えなかった

執事服と腰の剣が出てくる。

毛の処理は後でカーペットごとしよう。

 

 

「おそらく外でも待機しているかと。

 どうされますか?」

 

「お風呂前の運動だし私がやるわ。

 そいつは鎧剥いで縛っときなさい。

 鎧はパチェの所に持っていくから

 その辺に置いといて良いわよ」

 

「了解しました、いってらっしゃいませ」

 

「えぇ」

 

 

縛るための縄を受け取り、頭を下げる。

目の前を肩を赤槍で叩きながら扉を開けて

出ていくお嬢を見送り、息をつくと

咲夜がこちらに走り寄ってくる。

そしてお嬢が出ていった外を指差す。

 

 

「問題ないよ、お嬢は強い」

 

「?」

 

 

そして騎士の鎧を剥いで投げ捨てる。

顔は潰れたが気絶しているようだ。

教会の連中は加護の力で中々しぶとい。

だがまぁ、そのしぶとさは仇になるのだが………

 

外で悲鳴と雷の音が鳴り響く。

驚いて咲夜が窓越しにそれを見ると

赤い光が窓越しに輝き、

それと同時に沢山の悲鳴とお嬢の笑い声が上がる。

全く懲りない連中だと思う。

 

 

「妖怪の頂点ってだけあるよなぁ……」

 

 

種族のある妖怪の中でトップの実力を誇る吸血鬼。

東の方にあるという

数多くの妖怪が生きる魔境の国……日本。

そこで最強と言われる〝鬼〟の怪力、

妖怪でも最速の〝天狗〟の速度、

それを併せ持つのが吸血鬼という種である。

 

能力ですらない単純な身体能力だけでも

他の種族の追随を許さぬほどに圧倒的だと言うのに

高名な魔法使いですら優に越える魔力に

魔法のみならず悪魔使役まで使いこなす。

近年では力が落ちてきた神程度ならば

倒せるのではないか、とすら思う。

 

それだけ強かった(体験談)。

片腕を吹き飛ばした程度ならば怯みはするものの

即座に再生されてしまう。

当日の満月も影響していたそうだが

よく追い詰められたと自分でも思う。

 

 

「二度とやりたくねぇ………」

 

 

事実、美鈴もそれで痛い目を見ている。

彼女は戦い、もしくは試合が好きなので

ほぼ毎日鍛練はしているらしいが。

 

鎧を剥ぎ終わり、服ごと縄で簀巻きにする。

縄脱けできないように

関節を外して指の骨は折っておく。

目覚そうになったが首を後ろから

蹴りつけて二度寝させる。

 

 

「………!」

 

「……こんなもんに興味持たんでほしいなぁ」

 

 

その縛るところを咲夜が

キラキラした目で見てくるものだから

思わずそんな言葉が出てしまう。

 

さて、生かしておくということは

やはり牢送りだろうか。

真の地獄は紅魔館ではなく、そこにある。

もう可哀想に思えてくる。

 

 

「まぁ逃がさんけどな。終わりっと」

 

 

剥いだ鎧を蹴ってまとめておく。

この鎧はパチュリーの錬金術によって

ティーカップにでもなることだろう。

銀の剣は観賞用か、それとも錬金の材料か。

 

余談だが、俺は武器の収集が主な趣味。

部屋の横に保管室があり、

そこに大量に保管してあるのだが

そろそろ騎士の武器もコンプした気がする。

銀の剣やら斧槍やら珍しいものばかりだったが

正直、黒ずむのが早くて手入れが大変である。

 

特に銀のナイフは

そろそろ100本を越えただろうか。

咲夜にあげようか、と考えていると

お嬢が戻ってくる。早い。

 

 

「お疲れ様です」

 

「あー鏖殺楽しかった。

 あぁ、そいつは牢送りで良いわよ。

 ついでに咲夜を紹介してあげたら?」

 

「そうですね、お嬢様は風呂ですか?」

 

「えぇ、少し借りるわよ。

 じゃ、気をつけなさいな」

 

「ありがとうございます」

 

 

なら彼女の方に行って

時間を潰すのも良いかもしれない。

血に濡れたお嬢を見送り、

咲夜の方へと目を向ける。

 

 

「最後の案内だ、行こうか」

 

「!」

 

 

縛った騎士を引きずりながら、

咲夜を連れて図書館の方へと向かう。

 

 

 



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