僕の見える色 (A00913)
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真っ黒

現在、世界トップレベルて闘うには才能、環境に恵まれてなくては闘えない。だか、この物語はそんな才能も環境にも恵まれてなく、生まれつき目に障害を持つ1人の青年が常識を覆した物語である。

〜30年前〜

雪国北海道の某病院でごく普通の家族の元に1人の男の子が生まれた。だか、この男の子は生まれながらに試練を与えられていた。生まれつき目に障害を持っていたのだ。

父 健三 「どうにかならないのですか、先生、少しでもこの美しい世界を見せてやりたいんです。」

母 恵 「強い子に産んでくれあげられなくてごめんね、」

そう言って産まれたばかりの我が子を泣いて見つめてた両親を医師は後にした。

〜医務室にて〜

医師 「両親はだいぶ心に深い傷ができてしまったかもしれない。なんせ、あのお父さんはずっと、息子に絵を教えたいと夢に見てたものな、」

そう、父 健三は昔才能に恵まれてかの有名なフランスパリの美大に認められたがライバルとの明らかなる力の差を見せられ、挫折を味わい退学。その後健三の絵に惚れていた恵からの猛アプローチにより結婚。健三は田舎の高校の美術の教員として働いていたのだった。

そんな彼が密かに夢見ていたのが、息子に自分が叶えられなかった画家として成功して欲しいという夢が儚く散る物語のはずだった。

〜17年後〜

恵「寿人!遅刻するよ!」

寿人「やっべぇ、寝坊した笑」

健三「おーい、杖忘れてるぞ!あと今日も車とかには気をつけるんだぞ!」

寿人「わかってるよ!もう17歳なんだぞ」

恵「寿人は生まれつき目が悪いんだから気をつけなさい」

寿人「はいはい、後進路の事少しは考え欲しいんだ父さん、俺父さんと同じくパリに行きたい!」と言って家を後にした。

健三「俺もそろそろ行く前に話があるんだが、恵」

恵「どうしたの?」

健三「寿人の部屋の物置を見たことあるか?」

恵「ないけど?」

健三「ちょっときてくれ」

そう言って健三と恵は物置の扉を開けた。すると中からは数え切れないほどの絵が置いてあった。

恵「これはあなたが描いたの?」

健三「いいや、これは全部寿人が描いたんだ。俺はこの全ての作品を見た時目のハンディーキャプを疑ったよ、だが、あいつが本気で絵を目指しているなら俺は反対だ」

かつては自分の夢だと語っていた彼はどうしたのだろうか、

恵「どうして?あなたの夢でもあるじゃない」

健三「確かに人並みに比べると上手だ、だが、寿人が目指してるところは人並みではダメなんだ。かつて俺もそうだった。目に障害を持っているからなんて通用する世界ではないんだ」

恵「でも、」

健三「今日の夜、寿人にも話してみるよ」

〜その日の夜〜

寿人「話って何?父さん」

健三「寿人はどうしてパリに行き画家になりたいんだ?」

寿人「、、、」

恥ずかしがりなが寿人は口を開いた。

寿人「俺、爺ちゃんの家に行った時父さんのすごい経歴や作品の数々をを聞いたんだその瞬間、この世界がどんな色してるのかどんな形をしているのか知らない俺が俺なりに世界中の人の心を鷲掴みにするような作品を描きたいって思たんだ。

健三「俺は正直、お前がその夢を持ってくれてるだけで泣きたいくらい嬉しいが、今の寿人では、はっきり言うと無理だ」

寿人「目が見えないから?才能がないから?」

健三「人並みでは埋もれるだけなんだ!埋もれないような作品を作れば認めるその世界の色、形を知らない寿人なりにでいい、描いてみろ」

健三は自分の夢、希望を押し殺し厳しく当たった。

次第に寿人は頼るあてもなく諦めるしかないのかと思い始めていた。そんなある日、隣の家にを訪ねたいという若い謎の男が寿人に話しかけてきた。

謎の男「田中さんという人を探しているのですが、知りませんかね?」

田中さんは寿人の家の隣に住んでいて彼は絵画好きで知られていて寿人もよく家に上がり見さしてもらっていたのだ。

寿人「田中さんならこっちだよ」そう言って案内を始めた。

寿人「どうしてこんないなかまちに?」

謎の男「僕は海外で絵を描いていてね、よく、田中さんはよく僕に絵を頼んでくれたんだよ。それから田中さんとは一緒に飲む仲になって久しぶりに帰国したから顔を見たいなってさ」

寿人「え、じゃああの、大きな絵画はお兄さんが描いたの?」

謎の男「お兄さんだなんて、まぁそーだよ。」

寿人「お兄さん名前は?」

謎の男「坂口 一星だよ。まぁ仕事ではこの名前使わないんだけどね」

寿人「一星さん!俺に絵を教えて下さい!」

星「教えるのは良いんだけどまずは田中さんに会ってからまずは君の絵を見さしてもらおうかな」

寿人は飛んで喜んだ、そうして田中さんの家に案内をしている間に星さんに出された題材にそって書き始めた。」

寿人「どうですか!一星さん」

星「、、、」

寿人「え、ダメですかね?」

星「本当に君はパリに行きたいんだね?」

寿人「はい!」

星「はっきりと言おう。君の絵では無理だ。君は目が見えないのかな杖を使ってるようだけど、だからこれはこれから戦う者として目が悪いからでは通用しない、そして何より、君が君自身がその目を言い訳に心の中でしてないかい?」

寿人は父と同じ事を言われた事より、目を言い訳にしているという一言が刺さった。

図星だった、一度も両親にも友人にも言ったことは無いが実は心の奥底では言い訳にしていたのだった。何よりそれをたった一枚の絵で見破られた事に悔しかった。

星「悪い事は言わない。世界のトップレベルで闘いたくば、才能や環境がモノを言う、ましてや目に障害となるとこれから待ち受ける未来は厳しいぞ」

寿人は父にも言われ世界のトップで活躍してる星さんにも言われ、心が折れそうだった、

星 (今は耐えろ、辛いだろ、だがそれを乗り越えるんだ。君の父さんとは古い友人で話は聞いている。君の父さんが成し遂げれなかったことを君が成すんだ。)

寿人「俺、でも諦めたく無いんです。」

寿人は泣きながらそう叫んだ。

星「やっと言い訳なんかにしてやるかって顔になったな、その言葉が聞きたかった。俺の元で絵を学べ」



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つぼみ

星「明日の18時に田中さんの家の前に来てくれ」

そう言って一星さんは去っていった。俺はまだ鼓動がドクドクとなっているのを感じていた。そう、世界を股にかける星さんの元でこれから絵を学べるんだと、早く父さんにも伝えたい。

俺は急いで帰路に着いた。

 

寿人「父さん!坂口 星一知ってる?」

健三「なんで星一を?」

健三がかつてライバルと呼んでいた相手は他でもなく坂口だった。彼の圧倒的なスキルに気圧されパリを去っていったのだ。

健三「その顔は、会ってきたんだな?」

寿人「うん、俺一星さんの元で3ヶ月間絵を徹底的に学びたいと思う。」

健三「へぇ、あの一匹狼のあいつが弟子をねぇ」

健三(トップレベルになると人間って変わるんだなぁ)

 

〜翌日〜

 

寿人「行ってきます」

そう言って杖を持ちいつも通り元気よく学校に飛び出した。

恵「聞いたわよ。寿人が絵を教えてくださる人を見つけたってあなたも認めたら?」

健三「俺はいつだって寿人を認めなかった事はない。けど、やはり第一線で闘ってきたからこそわかるんだ。」

そう言ってコーヒーを片手に新聞を読み仕事に出た。

学校が終わり寿人が、飛んで帰ってきた、すぐさま部屋に行き、集中して、手の感覚、耳、肌などといった神経を研ぎ澄ませて、絵を描いていた。不思議と自信にあふれていた。

自分の中で目を言い訳にしていた頃に比べると別人のように上達していってる。約束の時間になり星さんにご指導を受けるこんな日々が続いた。

 

〜3ヶ月後〜

 

一星さんがパリに帰る事になった。だが、人一倍上手くなりたいいや、上手くならねばならなかった寿人は物凄い成長を遂げていたのだった。そうかつてパリで一星さんと共に美大へと通っていたあの父に認められるほどになっていた。

星「俺はこれからパリに戻って仕事に戻らないといけない。」

健三「体には気をつけろよ」

星「寿人の事だが、俺から言うのもあれだが、いずれ俺を越す存在になるって断言できる。」そっいってフランスパリへと行った。

 

健三「寿人、本当に絵を描きにパリに行きたいんだな?」

寿人「うん」

3ヶ月前には無かった自信がそこにはあった。

健三「これから高校卒業、そして美大の試験までは、一星に変わり俺が見る。妥協は許さんぞ」

寿人は大きく頷いた。

 

そこからは一星さんに変わり父 健三が父としてではなく、1人の画家として寿人に打ち込んだ。手が痺れ、寝る間も惜しんだ。そんな日々が楽しくて仕方なかった。絵を描いてると不思議と目が見えるように感じる。

寿人にとっては絵を描いてる時が唯一、色が見えるように感じているのだった。

彼は目が見えないを理由にしたくないという強い気持ちが彼を動かした。そうやって成長してきた。

 

そして時は流れ

 

美大の試験の日となった。試験内容は題材にそった絵を描きそれを試験監督に認められると合格と言った単純なものだった。

 

〜当日〜

 

寿人と健三はフランスへと旅立った。

パリという街自体が芸術そのものだ。だが、寿人にそんな美しさ、景観、は目に見えない。

そうな寿人でも心躍る何かを感じるほどだった。

 

試験会場にて

寿人「父さん、全力で俺頑張るよ」と手を振って行った。

その手はボロホロでとても18歳の手とは思えなかった。不思議と健三はその手を見て安心をした。今までの努力をじかに見てたからじゃない、あの手を見れば一瞬で想像がつくほどの努力をしたのだろうと、寿人は目が見えないから人の2倍努力をしないといけなかった。才能などといったものは持ち合わせていないのだ。

 

〜その日の夜〜

試験が終わり寿人が出てきた。他の受験者たちは自信を失っているようだったが、寿人ただ1人笑顔だった。

健三「どうだった?」

寿人「楽しかった!」

18歳が人生を左右する試験で楽しいと感じれるだろうか。

と心の中で笑った

 

〜数週間後〜

 

合否の決まりは電話によって決まる。今日電話が来ると合格、もし来なければ、不合格。

そわそわした寿人を見て

恵「大丈夫よ、寿人が努力していたのは1番身にしみてわかってる私がいうんだから。」

寿人「うん、、」

刻一刻と時間が経ち昼の15時を回ろうとしたその時。

電話「プルルルル」

その瞬間寿人は泣いて喜んだ。

母さんが受話器を手にして、泣きながらこっちを見ている。

そう合格の通知だったのだ。

その日、寿人はフランスの名門パリの美大へと進む事になったのであった。

 

高校を卒業してすぐに寿人はパリへと行く準備をしていた。

 

寿人「父さんと母さんのお陰だよ。目が見えないこの人生も捨てたものじゃないって思えるようになったんだ。ありがとう」

 

健三「寿人、最後に頼みがあるんだ。目が見えないを売りに使わず名を轟かしてくれ。」

寿人「それはどうゆうこと?」

健三「目が見えない画家だからって理由でファンになってほしくない。寿人の絵の本質に触れ感動をしてほしい。」

切実な願いだった。

寿人「実は俺も同じことを考えていた。」

 

〜パリにて〜

寿人(不安だらけだけど父さん、母さんの為にも頑張るぞ)

「おーい寿人」

聞き慣れた声が聞こえた。

星「どんだけ待たせんだよ」

寿人「約束通り合格しましたよ。これで正式に弟子入りですかね?」

星「これからはビシバシと鍛え上げるからな」

 

最終回 夢の果て編



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赤色

パリに来てから2か月が経ち、だいぶ生活にも慣れてきた。目が見えない俺1人では危険ということもあり、父さんが信頼している星さんと星さんのアシスタントの睦月さんと3人で暮らしている。

睦月さんは日本の美大で優秀な成績で卒業したのちに一星さんに大抜擢され、パリで仕事する一星さんのアシスタントをしているのだ。彼女も一星さん同様に凄い絵の才能に長けていた。

そんな2人の天才の絵から盗めるもは全て盗むつもりで学んだ。

 

美大での生活は凄く楽しかった。自分と同じような夢を持ってここへ来た仲間たちと互いを高め合っていけるのだから。

これまで絵を描いてる時だけが唯一目の見える皆んなと同じ景色を見ているようだったが、なんとなく心が通じ合っているのか、不思議と絵を描いていない時も仲間となら見えていた気がした。

 

こんな幸せな時間が続けば良かった。

 

そう、美大生とは言えもう社会人なのだ、両親からの仕送りでやりくりはしていたものの、これから絵で稼ぐとなるとお先真っ暗だった。

周りの学生もちょくちょく仕事などアシスタントの依頼など受けるようになっていく。

 

寿人(俺も追いつかないと行けない!)

そうやって焦っていってしまった。絵は着実に上達していった。他の美大の中でも長けている方だった。

 

寿人「やっぱり最後は才能がモノを言うのかな、、」

 

今まで目が見えない事で弱音を吐いたことがない寿人の口から初めて弱音を吐いた。

 

そうやってフランスパリの美大に来て2年が経とうとしていた。

 

寿人は杖を持ちいつも通りパリ郊外へと行き自分が描いた絵を街行く人に見てもらい少ないチップでやりくりをしていた。

両親、一星さん、睦月さんなどの助けもあり生活面ではなんとか出来ていた。

 

寿人(今日も売れないのか、やってらんないよ)

 

だが、今日は違った

 

男「この絵はあなたが描いたのかい?」

1人の男が近づいて来てそう言った。

寿人「はい。そうですけど」

 

男「申し遅れました、私の名はエンボです。昔パリの美大で先生をやっていた時にいた日本学生の絵に惚れてから日本語を覚えたんですよ。」

 

寿人「もしかしてその日本学生って?」

 

エンボ「その学生の名はたしか、KENZOU (健三)だったかな?」

寿人「それは父です」

エンボ「やっぱりそーだったんね。筆使いやタッチ、そして何より癖が似ていたからつい声をかけてしまったんだよ。」

寿人は父のすごさを改めて感じた。

 

エンボ「君の絵を買わせてくれないか?君の絵に僕は惚れた。

是非一度、僕に絵を一枚描いてくれ!」

 

久しぶりに人の暖かさに触れ気づけば寿人は涙を流していた。

パリに来て初めて自分の絵を認められたのだった。

 

エンボ「え、どうしたんだい?」

そうやって言うと腰に手を当ててさすり俺を落ち着かせようとした。

 

寿人「俺に描かせて下さい。」

 

それからエンボさんに沢山の絵を依頼された。そうしてみるみる成長していった。今まで暗闇に閉ざされて1人で悩んでいた頃が嘘のように上達していった。

 

星「やれば出来んじゃねーかよ」

睦月「最初は彼に才能は持ち合わせていないと思っていました。今では徐々に上手くなる彼に嫉妬を覚えるくらいです。」

星「あいつは努力の才能が長けていたんだよ。」

 

簡単そうに一星さんは言うが努力をする事は誰にだって辛い。

ましてや画家として売れる人間が目が見えないとなると、想像を絶する努力が必要だった。

寿人はそれを乗り越えるために筆を持ちトップレベルで闘おうとしていたのだった。

 

星「そういえば、今年のルーブル美術館に展示される作品が選ばれるらしいな。」

 

ルーブル美術館はフランスのパリにある世界的にもとても有名な美術館であり、世界で最も入場者が多い博物館・史跡でもあります。 先史時代から19世紀頃までの3万5000点を超える美術品が収蔵されている。

 

星「これに俺たちも作品を出すけどお前も出すか?」

 

寿人「え、あのルーブルに俺の作品展示されるの?」

星「バカ言え、何千との作品の中からまず一次審査で2つ選ばれる。そこから国民審査、プロによる審査を終え1つだけ選ばれるんだよ」

寿人「俺受けてみたい。」

 

そうやって寿人の新しい挑戦がまた始まった。

何ヶ月もルーブルに出す1つの作品に手をかけた。

その作品をエンボさんが見ると、エンボさんは何分もの間沈黙して口を開いた。

 

エンボ「今まで長いことプロの作品を見てきたが。この作品はずば抜けている。」

寿人「これは目の見えない俺が想像している世の中です。この作品は俺にしか描けないだから、描いたんです。」

 

〜一次審査の結果が出る日〜

俺は落ち着いていた。

結果はテレビで大々的に発表される。さすが美術大国フランスだ。

 

そうすると審査委員長が画面に出てきた。

 

審査委員長「今回のルーブル美術館に選出される1つの作品に手をかけた2人はなんと、日本人2人です。

1人は世界的に有名な、

ISSEI (一星)」

 

一星さんは当たり前かのように振舞っていた。

俺は一星さんが選ばれた事でより一層の緊張が走った。

 

審査委員長「2人目は、、、

HISAHITO(寿人)」

 

キャスター陣、街中が少しどよめいた。全くの無名が選出されたのだったから。

 

俺は初め、耳を疑った。

まさか俺の作品が選ばれるなんて思いもしなかった。嬉しいよりも先に思い浮かんだ事は両親だった。早く報告をしたい。

苦労に花が咲いた瞬間だった。

 

審査委員長「この2人は3日後ルーブル美術館に来てください。」

 

この瞬間、師である星さんはライバルとなるのであった。

かつて父が負けた一星さんに勝てる作品と信じて作ったのに、星さんを前にすると不安になった。

 

次回 最終回 スピーチ



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