俺はある少女に憧れていた。
神童と同じ小学校にいた時から呼ばれていて、みんなから慕われていた少女
俺は近くからずっとその少女のことを見ていた。
小学校低学年から親しいと呼べるレベルではなく雲の上の存在であった
中学年に入り得意分野では追いつけるようになった。彼女みたいには慣れないが友達の味方でいるようになった
高学年になってからようやく話せるようになった
その頃から意識し始めたのだろうか
中学生に入ると同じクラスになりいつものメンバーの一人にその少女はいた
最初は戸惑いながらも一緒懸命誰かの相談役として俺自身一定以上の地位を見出した
しかしいつのまにかクラスの人気者とたった一人のモブという存在に落ちいったのだ。
理由は明白俺よりも優秀な人が多くいたのだ
それだけであり、いつのまにか距離も離れていった。
だから、人生初めての告白もしたが結果は玉砕
いつしか朝の挨拶くらいしかお互いに話さなくなっていた
これで俺の初恋は、その少女との関係は途切れるはずだった。
あの事件が起こるまでは
私は木下圭吾くんのことが嫌いだった。
小学校低学年の時はいたかどうかも思い出せない。
中学年に入ると少しだけ名前を聞くようになり、クラスでも話題になっていた。
その男の子はとある会社の次期社長であるが目立とうとはせず威張ろうともしない。
友達には優しく友達が傷つけられた時には上級生と喧嘩したなど私の小学校では誰もが知っている正義の味方。
けれどもその男の子は自覚がなくて、そして何よりも努力家であると
その話を女子の友達から聞いた時私は腹わたが煮えくりかえるかのような気持ちだった。
どうして？私を見てくれないの？
どうして？私よりもその子の話題に夢中なの？
初めて味わった敗北感。
高学年に入ると成績優秀者が集まり勉強会を開催する行事を開催していた少年と覚えている限り初めて話した時、彼の第一印象は眩しかった。私が闇だとすれば純白な光は彼のことを指すのだろうと
成績や評価に現れない絶対的な支柱であることに気づいたから
この時から私は彼との認識が変わったのはこの時だっただろう
意地になって何かと彼のことを意識し始めた
中学になってからも同じだった。
ストレスを抱えながらもそれでも必死に彼に意識してもらいたかった
入学したてのころは毎日楽しかった。彼が笑う姿をクラスの中心として、彼の
でも私が人気者になるにつれて彼とは離れていったのだ。
彼は英語が苦手でそれに引きづられるように点数が下がったのだ。
私に残るのは虚無だった。彼がいない中自分の評価を下げないために
今なら素直に言える
私の初恋は彼だった。
だから告白された時は本当に嬉しかった。
本当はその気持ちに応えたかった。でも私は断るしかなかった
クラスメイトに彼を好きな人がいて相談を持ちかけられていた。
……断ったときは罪悪感で押しつぶされそうだった。
ストレス発散のため始めたブログでもその日はかなりの愚痴を綴った
でも涙が止まらなかった。
胸が苦しく。この時初めて彼のことが好きだったんだと自覚した
月日は流れいつの間にか最低限度の話しかしなくなったころ私は事件を起こしてしまった
クラスメイトに愚痴を書いたブログが見つかったのだ。
当然の如くクラスメイトは私を糾弾し、クラスの全員が敵に回ったと思っていた
「おはよう。櫛田」
声に気づき私はその彼を見る
クラスメイトが驚きその声の主を見る
私も信じられなかった。そして何も変わらずに話しかけてくれる彼がいる
ときょとんとしている木下くんにこんな時にも関わらず私は少しだけ笑みがこぼれてしまう
あれからも月日が流れても木下くんは変わることがなかった。
素の私でも好きって言ってくれるから
私は木下くんが嫌いだ
私を甘やかせてくれるから。
大切な人だから……傷つけるのが怖くなっちゃったから
「おはよう。木下くん」
だから今日も朝の挨拶から１日が始まる
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プロローグ2
「……ねぇ？あんたは私が怖くないの？」
「ん？なんで？」
俺の家で勉強会をしている途中だった
あのトラブルの後櫛田と俺は孤立せざるを得なかった。
ブログを書いた過去は消えない。でも結果的には反省文で済んだのは櫛田にとってもよかったことだ。
ブログで書いたのも悪いが多くの人が他人の秘密を漏らしたことが判明し俺が仲介した。櫛田がもう他人の情報を漏らさないことを条件に喧嘩両成敗となって全員反省文を書かされたのだ。
「…いやだって。あんなことを起こしたのよ。なんであんたはいつも通りに私に接してくるのよ」
「だって櫛田だろ？驚いたけど、別に好きな人の一部分を見られたくらいにしか思わないかな？表の櫛田が俺に危害を加えない限り別に俺は変わりようがないし。ってここ分からないんだけど？櫛田分かる？」
「えっ？あっうん。えっとここは」
と数学のノートに答えと解説を書いていく櫛田。
俺は関心しながら解説を聞く
「ってことだけど」
「なるほどな。まぁ話は戻すけど別に好きな人の裏を見ただけで引くはずないだろ？」
「それおかしいから。……はぁ。面倒なのに好きになられちゃったな」
「……おかしいのか？」
俺は少しだけ首を傾げる。
とは言っても好きなことには変わりがない
「まぁ、ぶっちゃけ櫛田狙いのやつがリタイアしてくれてラッキーだなって思っているけどな。こうやって二人で居られる時って問題起こした前は一度もなかったし」
「……本当に今でも私のことが好きなの？私のどこが好きなの？」
「努力家なところと優しい所」
即答だった
すると櫛田はジト目で俺を見る。どうやら気に触ることがあったらしい
「はぁ？私が優しい？どこが？」
「ずっと櫛田って小学生のころから下心があったかもしれないけど、誰かを見捨てるってことはなかっただろ？みんなに優しく平等に振る舞うことなんて、普通だったらできないことだ。俺には到底できっこない。そんなストレスが溜まることなんてな」
それがどれだけ
「人と仲良くすることだって普通じゃできない。人と仲良くするってことは相手のことを理解しないといけないって俺は思っているから。実際内心どう思っているか分からないけどアニメやゲームの話でも櫛田って分かろうとして、実際にそのアニメを見たりしていることなんて話の内容を聞けば明らかだったしな」
裏はあるけど実際は誰も見捨てない優しさとちやほやされるのに惜しみもない努力をしているのが俺にはとても輝いてみえたのだ
「……だからお前が好きなんだよ。やりたい事に全力で取り組むことができるって凄いから。俺には眩しくみえるんだよ。例えどんな下心があろうとな」
「……」
「いつっ！」
「……はぁ。木下くん本当にやり辛い。それとここ間違っているよ」
「えっ？マジ？」
と俺はノートを見直し櫛田の解説を聞きながら熱心にノートを取り始める
必死に問題を解いていくと
「ねぇ。木下くん」
「どうした？」
「高校どこにいくか決めた？」
櫛田の言葉に俺は手を止める
今まで高校の話は一切してなかったことだけど……
まぁいいか
「一応育高希望。東京高度育成学校」
「へ？」
「なんとか英語さえ鍛えれば十分狙えるって担任から言われているからな。俺は反省文も書いてないから内申で大きくカバーできるらしい。将来的に家を継ぐ事になるだろうけど大学受験が楽になるのであれば高度育成高等学校にいくのもありかなって思っている」
実際俺は進路は決まっているし俺自身文句はない。
だけど少しくらい高望みをしてもいいと思ったのだ。
「一応予備は私立を何校か受けると思う。結構高望みだけど櫛田に教わってから少しずつ伸びてきているから」
「後一ヶ月くらいだけど…私も先生に勧められたよ。育成高等学校」
「……ってことは？」
「高校も同じってことね」
「……そっか。それなら受からないとな」
「うん。それじゃあ勉強頑張ろう！」
表の櫛田が俺に微笑む。恐らく十中八九表の櫛田がいいと思ってしまうだろうが
「……やっぱり俺は素の方がいいな」
「へ？」
「なんか。みんなの知らない櫛田を知っているって思ってしまうし優越感があるんだよなぁ」
自分だけが知っている本性で、それもこんな美少女を独占できている
正直かなり幸せだし、自分の好きな人であれば尚更だ
「……たまには可愛いところも見せたいんだけど？」
「…まぁ学校終わりに軽く化粧してきているしな」
「……変じゃない？」
「変じゃない。似合っているぞ？恐らくリップクリームは新しいやつだろ？」
「気づいていたんだ…」
すると軽く照れているのか少し髪を弄っている。
……恐らく素で照れているのだろう。顔がゆでダコのように真っ赤だ
そんな反応をされるとこっちも何か恥ずかしいことを言ってしまったのかと自分の言動を考える
正直なところ俺が櫛田を好きってことは櫛田自身に告白したこともあり隠すどころか積極的にアタックしている
「……ねぇ。木下くん。私たち付き合わない？」
「……ん？」
「今更だけど……私も木下くんのことがしゅき」
「「……」」
今噛んだな。すると櫛田は顔を真っ赤にさせて俯いている。
せっかくのいい雰囲気を少しだけなんとも言えない雰囲気が流れる
まぁこれも俺たちらしいか
「櫛田」
「な、なに」
と言葉を紡ぐ前に俺は櫛田を抱きしめる
せっかく今の関係から一歩進めるんだ。それなら
「えっ？木下くん？」
「逃さないから」
俺は一言だけ告げる
少しだけ強く体を抱きしめると女子特有の柔らかな感触が伝わってくる
「絶対にどんなことがあろうとも逃さない。例え誰から嫌われようが関係ない。……まだ自分に自信は持てないけど。それでも櫛田を思う気持ちじゃ誰にも負けないから」
「……」
「だから櫛田。俺の彼女になってください」
二度目の告白。雰囲気も関係ないだけど何よりも俺たちらしい告白
するとしばらくすると櫛田の目から涙が溢れて首を一度大きく縦に頷く
少しの間勉強もせず使用人が入ってくるまでしばらくこのままで居続けているのだった
時系列的におかしいところがあるので説明します
まず櫛田がクラスメイトにブログがバレた時期が二年の１月になっています。理由はクリスマスシーズンの時に主人公が告白したからであり、その時のショックを消そうと大量に個人情報を暴露していたからです。
そして今回の話は三年の夏休みです。次回から原作に入ります
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