神達に拾われた男の少しIFな小話 (モンターク)
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鼓動
え?うちの娘IF書け?あと300年ほどまって…
「そうです。お嬢様、そんな感じで魔法を…」
「そうですか?なるほど……」
彼、リョウマ・タケバヤシはエリアリア・ジャミールに魔法で遊ぶことを教えていた。
「リョウマさんの教え方はわかりやすいですわ!まるで先生みたいで」
「そ、そうですか?」
(まあ後輩に教えることは慣れてるからなぁ……田淵君に色々と教えてたし)
彼はいわゆる転生者であり、前世で就寝中の際で出たくしゃみが原因で死去というあんまりなものであるほどのとても運が悪い人であった。
だが三柱の神の加護を得て、子供の状態になった上で転生を果たし、そこから色々とあり、現在はジャミール公爵家のお世話になっているのだ。
なお前世では武術の鍛錬などを重ねてきたこともあってか筋肉モリモリな大男であったが、転生後はまったくもってそんなことを感じさせないかわいい男の子になっている。
年齢は11歳だが、精神的には前世での39とこの世界での3年をあわせて約42歳という計算である。
そんな彼であるが……
「リョウマさん、次はどこを教えてくださいますか?」
「…あ、うん。次は……」
(くっ……またこれだ…!)
ここ最近、彼女にドキドキしていたのだ。
前世では彼は父からの厳しい躾や母との生活そして死別、ブラック企業務めなど様々な苦労をしており、恋愛沙汰とは程遠かった。
それらから解放された上でこんな感じで触れ合う機会が増えた。
耐性がない彼では当然のことであろう。
(いやいや……気のせいだよ気のせい……うん)
もちろん彼は心のなかでそれを否定している。
きっとおっさんがよく感じる父性の亜種であると。自身はロリコンではないと。
実際本来の年齢では十分おっさんなのであるが、体自身は正真正銘の男の子である。
人間というものは体の成長とともに精神も成長するものであり、竹林竜馬という精神は言うまでもなく大人である。
だが今の体は子供であり、なおかつ3年という長い期間を子供の体で一人過ごしていたことにより精神が子供の体に引っ張られ、このように「ドキドキ」もしてしまうようになったのだ。
おっさんと少女なら問題もあろうが、同年代ならばそれは無問題である。
「どうかなされましたか?リョウマさん」
「あ、いえ、な、なんでも……」
(とにかく落ち着こう……変な様子を見せると逆に心配されそうだし。教える立場が変な風になっちゃいけない……)
とりあえずリョウマは冷静を装いつつ、引き続きエリアリアに教えていたのであった。
――――――――――
「はぁ……」
そしてリョウマが使う宿屋の一室。
彼はどうにも気分が一言で言えば「変」なものになっていた。
(なんか気分が…いや、前まで女の子に教えたことなんてなかったからなぁ…当然だよね)
リョウマはため息をつく。
やはりその原因には気づいていないようであった。
「あ、そうだ。今日のことまとめておかないと……」
ふと日記をつけ忘れていたことに気づいたリョウマは机に向かおうとするが――
「ん?」
コンコンとドアを叩く音がする。
軽い音や低いところから聞こえるに察するにエリアリアお嬢様のものであろう。
(どうしたんだろう?)
「はーい」
リョウマがドアを開けると、目の前には案の定エリアリアがいた。
「ど、どうしたんですか?」
「いえ、リョウマさんにお礼をしたいと思って」
「お礼?別に僕は……」
なんてことはない反応をする。
まあリョウマにとってはそこまで大きなことではないと思っているからだ。
(お礼ってなんだろう?子供だし、手作りのなんかとかかな…?)
そう思っていると――
チュッ
「?……!?」
リョウマの頬に何か柔らかい感触。
エリアリアはまさかの頬にキスをしてきたのである。
「では、また明日もお願いしますわ」
「あ、ああ…そうだね……」
そうしてエリアリアはリョウマの部屋を後にした。
なおリョウマは脳内が混乱し、すぐにベッドに埋もれた。
(えっと…あとっ……あっ、そうだよ。海外とかってキスとかハグとか普通だから…あれ?でもここって海外って言うんだっけ?異世界だから日本じゃないのはわかるけど……でも…あれ?)
自分を納得させる答えが全く出ず、暫くの間悩み続けるリョウマであった。
リョウマ君はただでさえ幼気味なのに作者の関係で更にショタになってます。
仕方ないね
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