失われた希望と新たなる世界  (サン&ムーン)
しおりを挟む

プロローグ
1話


 世界とはもしもの数だけ存在する『平行世界』がある

 

 今その数ある平行世界の内の一つで、ある少年の命が終わりを迎えようとしていた

 

 

とある山地

 今この山地で青年と少年によるこの世界の未来を決める闘いが繰り広げられていた

 

 地面は抉れ、木々は薙ぎ倒され、山は吹き飛び 激しい闘いだった

 

 そして闘いの終わりは当人の意思とは関係なく、無情にも刻一刻と近づいてきていた

 

 

 少年は身体中傷だらけで血を流し、肩で息をしていた

 

少年「はぁ・・・はぁ・・くそぉ・・」

 

 相対する青年も傷を負い血を流しているもののまだまだ余裕があり楽しそうに笑みを浮かべていた

 

青年「アハッ♪」

 

少年(俺の仲間も家族も皆んなコイツに殺された・・・こんなふざけたヤツに!)

 

青年「中々粘るねえ 君もいい加減しつこいなぁ ツナヨシくん」

 

 

 少年の名は沢田綱吉 巨大マフィア組織 ボンゴレファミリーの10代目ボスである

 

 

綱吉「俺はお前を絶対に許さない!白蘭!!」

 

 

 青年の名は白蘭 ボンゴレファミリーをも上回るマフィア組織ジェッソファミリーのボスであり武力による世界征服を為そうとしている

 

 

白蘭「かっこいいセリフだけど、僕に1度でも勝てたことがあるかい? 加減して戦ってる今の僕でさえ君はボロボロじゃないか」

 

 綱吉はグローブの炎を逆噴射して白蘭に攻撃を仕掛ける

 

綱吉「うおおおお!!」

 

 しかし白蘭は避けようともガードしようともせずただ左手の人差し指を前に出し綱吉が来るのを待った

 そして綱吉の渾身の一撃とも言える拳を指一本で受け止めたのだ

 

綱吉「なっ⁉︎」

 

白蘭「君の全力はこの程度かい・・・なら決して僕に届かないよ」

 

 白蘭は右手の人差し指を綱吉の左肩にそっと当て 

 

白蘭「 白指 」

 

 ドンっと指から圧縮された炎が撃たれ、綱吉の肩を貫いた

 

綱吉「がっ⁉︎ああああああああ!!」

 

 激痛が走り肩を抑えるも出血は止まらず、ついに片膝をつく状態にまでなってしまった

 

綱吉「ぐっ・・・うぅ・・・くっ・・」

 しかし彼の目は白蘭を睨みつけ、彼の心にはまだ闘志が宿っていた

 

白蘭「(ふーん あれだけやられたのにまだ勝つ気でいるなんてね さすがはツナヨシくんだね だけど・・・)そろそろ終わりにしようか」

 

 白蘭は右手に炎を出し、炎の輝きがどんどん増していく

 

綱吉「(終わりに・・・する・・だと ふざけるな)ぐっ・・ごほっげほっ・・はぁ・・はぁ」

 

 脚はガクガクと震え吐血をする しかし彼は立ち上がる 仲間の仇を討つ為に 倒さなければならない相手を倒す為に

 

白蘭「そのままじっとしてれば良いのに、態々立ち上がるなんてね いや 立ち上がるからこそ君なんだろうね」

 

綱吉「うおおおお!!」

 

 炎が全身から溢れ出て彼の思いに呼応するように輝きを増し、大きくなっていく 

 

綱吉「白蘭ーーーっ!!」

 

 綱吉は炎を纏ったまま白蘭に突っ込んでいく

 

白蘭「ここまで血を流したのは初めてだったからね 結構楽しめたよ ツナヨシくん さようなら」

 

綱吉「っ!?」

 

 凝縮された炎が放出され、綱吉は回避する間もなく飲み込まれてしまった

 

綱吉「がっ・・・ああ・・・ぁ(ちくしょう・・・ちくしょう・・・アイツを倒すことが出来なかった・・・皆の仇を討てなかった・・・皆・・ごめ・・ん)」

 

 炎に焼かれ薄れゆく意識の中 綱吉の心は己の無力さと仲間たちに対する申し訳なさでいっぱいだった

 

 炎が消えたあとそこには何も残っておらず、ただ地面が焼け焦げた痕しかなかった

 

今この世界の運命が決まった

 

 

 神は悪に微笑み勝利を与えた

 

 

 善は神に見放され敗北し死んだ・・・いや死ぬはずだった

 

 しかし神は善を見捨てず、善は神の戯れを受け平行世界の枠を超え異世界へと旅立たされた

 

 

 これはもしもの世界 パラレルワールドのもう1人の沢田綱吉の不思議な妖精の世界の物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

妖精の世界へ
2話


アースランド


X791年 フィオーレ王国

     

 マグノリア

 

 今、2人の男女が買い物から帰るため山道を歩いていた

 

ミラ「買い物に付き合ってもらってごめんね エルフマン」

 

エルフマン「なぁに 買い物くらいいくらでも手伝うぜ 姉ちゃん」

 

 2人が雑談しながら歩いていると、茂みの中から小さな光の玉が現れた その光は淡く弱々しくてまるで蛍の光のようであった だがどこか惹かれる美しい光でもあった

 

ミラ「あらっ綺麗ねぇ 蛍かしら?」

 

エルフマン「いや 蛍は夜の虫だぜ 姉ちゃん つーか時期じゃねーし」

 

ミラ「そう言えばそうね」

 

 2人がそんな話をしていると光は2人の周りを廻り始め、数回廻ってやって来た茂みへと戻っていった

 

エルフマン「ついて来いって言ってんのか?」

 

ミラ「なら追いかけましょ」

 

エルフマン「でも姉ちゃん 何があるか分かんねぇし危ないぜ」

 

ミラ「危なくないから大丈夫よ」

 

エルフマン「その自身はどこから来るんだ・・・」

 

ミラ「う〜ん 女の感かしら」

 

エルフマン「いや・・え〜」

 

 こうして2人は光を追いかけて行くことにした

 光を追いかけて少し経ち、漸く光は一本の木の前に止まり、そして後ろに周りながらゆっくり下りていった

 

エルフマン「あの木の下になんかあんのか?」

 

ミラ「宝物でもあるのかしら?」

 

 2人はワクワクとしながら近づいていった だがその期待は大いに裏切られることとなる

 

ミラ「えっ・・・」

 

エルフマン「なっ・・・」

 

 2人が目にしたのは宝物などではない身体中傷だらけで血を流し倒れている少年の姿だった

 

 この少年こそ白蘭に殺されたはずの沢田綱吉 彼は死んではいなかった、白蘭の最後の一撃はそのあまりのエネルギーの大きさに空間を歪ませ、綱吉を絶命させる直前に異世界へと飛ばしてしまったのだ

 

 幸か不幸か彼は死なずに此処魔法世界『アースランド』に飛ばされた そして意識を失い瀕死にまま倒れて現在にいたる

 

 ミラはそのあまりの痛々しい姿に最悪の状況を想像してしまい身体を震わせていた

 

ミラ(ま、まさか・・・死ん・・)

 

エルフマン「ひでぇ 一体誰がこんなことを」

 

綱吉「・・・ぁ・・・ぅ・・・」

 

 本当に小さく普通ならば聞き逃してしまうようなか細い声 2人は聞き逃さなかった

 

ミラ・エルフマン「!!」

 

ミラ(まだ生きてる!」

 

 2人が綱吉の側へ駆け寄ると、光は綱吉の右手に嵌めている指輪の中へと入り消えていった

 

エルフマン「コイツが教えてくれたのか」

 

ミラ「この子を助けてもらいたかったのね 安心して必ず助けるから! エルフマン!」

 

エルフマン「おう! 任せろ姉ちゃん!」

 

 エルフマンは綱吉を背負い、2人は病院を目指して全速力で駆け出した 

 ミラは走りながら綱吉に何度も何度も声を掛け、掛け続けた 声を掛け続けなければこの子が死んでしまうのではないかという不安に駆られたからである

 

 

 

 2人はノンストップで走り続け、病院にたどり着いた

 

ミラ「先生っー!先生はいますかっー!」

 

エルフマン「先生を早く呼んでくれっ!」

 

 2人が受け付けで騒いでいると奥から白衣を着た白髪頭の老人がやって来た この老人こそこの病院の医院長でありマグノリアでも指折りの医師 名をアルバス 

 そして2人が子供時代からよくアルバスの治療を受けてアルバスの腕を知っていた だからこそこの病院に来たのだ この先生なら助けてくれると信じて

 

アルバス「何事かね騒々しい 此処は病院じゃ静かにしたまえ  おやっ? ミラちゃんにエルフマン君じゃないかどうしたのかね? そんなに血相を変えて」

 

ミラ「先生っ この子を助けて下さいっ!」

 

エルフマン「お願いだ! 先生!」

 

 2人が綱吉を見せるとアルバスは綱吉の状態を診て驚愕する

 

アルバス「こ、これは・・・一体何があったのかね⁉︎」

 

ミラ「説明は後でしますっ! 早くこの子を!」

 

アルバス「わ、分かった 君、直ぐに手術の準備を」

 

看護士「はいっ」

 

 綱吉はストレッチャーに移され手術室に移動される 2人も後をついて行くが

 

看護士「申し訳ありませんが、お二人はここでお待ち下さい」

 

 そう言われ手術室の扉が閉められランプが点灯する

 

エルフマン「姉ちゃん・・・俺一度ギルドに戻ってこの事を報告してくるよ」

 

ミラ「ええ・・・お願いね」

 

 1人になったミラはただひたすらに手術の成功を祈っていた

 

ミラ(お願い・・・どうか、どうか・・あの子を)

 

 手術は何時間にも及び時刻はもう夜になっていた そしてランプの灯りが消え扉が開けられアルバスが出てきた

 

ミラ「先生っ! あの子はっ⁉︎」

 

アルバス「落ち着きなさい 手術は成功した、あの子はもう大丈夫じゃ」

 

ミラ「良かった・・・本当に・・良かった」

 

アルバス「あの子は今病室移され眠っておるよ 見ていくかね」

 

ミラ「はいっ」

 

 

 

 ミラは綱吉のいる病室に入り、ベッドで眠っている綱吉を見て改めて安堵する この子は助かったんだと 

 

 血だらけで倒れている時はよく見る暇もなかったが今こうしてこの子の顔見てみると可愛い寝顔で穏やかで優しい子なんだというのが想像できる だからこそミラには理解出来なかった 何故この子があんなに死にかけるまで痛めつけられなければならないのかと

 

 

 

ミラ「貴方に一体何があったの?・・・貴方の事を教えてほしい 私も貴方の事を助けたいから  だから目が覚めたら教えてね・・・まずは最初に貴方の名前 教えてほしいな」

 

 ミラは綱吉の頬にそっと触れて微笑み、お願いをした

 

 

 

時は少々遡り、綱吉が『アースランド』に来た頃

 

 綱吉が『アースランド』に来た時、綱吉の命は正に風前の灯火であったしかしそんな状態の綱吉のことを感知出来た者がいた 同じ異世界から来たからなのか 因縁があるからなのか 理由を尋ねても彼は『さあ 感じたんだから感じたんだよ』と曖昧な答えを言うだろう しかし彼からは確信があった 沢田綱吉はこの世界に来ていると

 

?「君もこの世界に来たんだね 綱吉君  ハハッ 会うのが楽しみだよ」

 

 男は不敵に笑みを浮かべ、綱吉との再会を楽しみにしていた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話

中々本編に入れず申し訳ありません 自分の技量不足です
綱吉がフェアリーテイルに入る前と後とでまだ話があります

退屈な方もいるかと思いますが
大魔闘演舞篇に入るまであともうしばらくお待ち下さい


マグノリア

 

ギルド フェアリーテイル

 

 ギルドではエルフマンの報告により少年の話で持ちきりだった

 

グレイ「おい エルフマン ミラちゃんはまた病院に行ってるのか?」

 

エルフマン「あぁ まだ病院に行き続けている」

 

ウェンディ「その人 そんなになるまで痛めつけられたなんて、可哀想です」

 

ナツ「その犯人は俺が見つけてぶっ潰してやるよ」

 

ルーシィ「犯人の手掛かりも無しにどうやって見つけるのよ!」

 

グレイ「やめとけルーシィ ソイツには考えるって事が分からねえのさ」

 

ナツ「んだと てめえ!」

 

グレイ「やんのか こらぁ!」

 

ルーシィ「ちょ、ちょっと二人共っ⁉︎」

 

エルザ「やめないか!」

 

ナツ・グレイ「「ぐはっ」」

 

 二人はエルザの鉄拳によって沈んだ

 

エルザ「発見場所には何の手掛かりも無く、犯人を知っているであろう少年の意識も戻っていない 犯人が何処に潜んでいるか分からない以上見廻りを強化するしかあるまい 少年にそこまでやる凶悪犯だ気を引き締めてかかれ!」

 

エルザ以外のメンバー「「「「「おう(はいっ、ええっ)!!」」」」

 ナツ達が犯人逮捕に盛り上がっているころ

 

 

 

病院

 

綱吉のいる病室

 

 ミラは今日も綱吉のお見舞いに来て花瓶に花を取り替えたり、窓を開けて風を入れたりしていた 

 綱吉の意識は未だ戻らず眠り続けていた

 

 

???

 

 綱吉は何もない真っ暗な空間の中にいた

 

綱吉「此処は・・・どこだ? 俺は・・そうだ白蘭に殺されたんだったな・・・だとすると此処はあの世か(ずいぶんと寂しいところなんだな あの世っていうのは)」

 

 辺りを見渡していると遠くにぼんやりと光っているところがあった とりあえずそこを目指して歩いているとある人達が見えてきた それは自分が会いたかった人達  家族、仲間たちのある

 

綱吉「リボーンっ! 皆んな〜!」

 

 綱吉は駆け出した リボーン達も綱吉に気づきこちらを見たが悲しそうな顔をしてこちらには来ようとせず、何故か向こう側へと歩いていった

 

綱吉「何でだよ 皆んな⁉︎ 何で離れようとするんだ⁉︎ 俺も皆んなと一緒に」

 

 その叫びにリボーンが止まって振り返り

 

リボーン「お前が来るのは此処じゃねえだろ」

 

綱吉「えっ」

 

リボーン「お前が起きるのを待ってる人がいるんだ さっさと安心させてやれ」

 

 すると辺りが急に眩しくなった

 

リボーン「ツナ、−−−」

 

綱吉「えっ・・・何言ってんだよ・・・何でそんな事言うんだよ! それを言うなら俺の方だろ!」

 

 言葉を続けようとするも眩しくて目を開けていられなくなった そして

 

病室

 

綱吉「うっ・・・うう・・・」

 

ミラ「あっ 気がついたね!」

 

 綱吉が目を覚ましたことに喜びミラは綱吉の側へと近づく

 

綱吉「あ、貴方は・・・此処は一体・・・」

 

ミラ「私はミラジェーン 安心して此処は病院よ」

 

綱吉「病院・・・」

 

 ふと自分の身体を見てみると治療されているのに気がついた 自分は助かったのだと理解した

 

 

ミラ「ねえ 貴方の名前教えてくれる?」

 

綱吉「綱吉・・・沢田綱吉っていいます」

 

ミラ「サワダ ツナヨシ ツナヨシ君ね!」

 

綱吉「ところで白蘭は今何処を攻めてるんですか?」

 

 聞き覚えのない言葉にミラは首を傾げてしまう

 

ミラ「ビャクラン?」

 

 ミラの態度に苛立ってしまったのか 綱吉は口調が粗くなってしまう

 

綱吉「白蘭ですよ!ジェッソファミリーのボスのっ! はあ・・はあ・・早く戻らないと・・・」

 

 綱吉はベッドから起き上がろうとするも ミラに止められてしまう

 

ミラ「まだ動いては駄目よ! 貴方ボロボロだったのよ! 完全に治るまで待たなきゃっ!」

 

綱吉「は、離して下さい! 俺が行かなきゃ・・・誰がアイツを倒すんだ! もう皆んなはいないんだ だから俺が戦わなきゃいけないんだっ!」

 

ミラ「ツナヨシ君・・・」

 

綱吉「ごめんなさいっ‼︎」

 

ミラ「えっ きゃっ⁉︎」

 

 綱吉の必死の懇願にミラは一瞬抑える力を緩めてしまった 綱吉はその隙を見逃さずミラを押してベッドから出て走り出そうとしたが

 

綱吉「ぐっ⁉︎〜〜っ⁉︎」

 

 身体に激痛が走り、その場にうずくまってしまう

 

ミラ「ツ、ツナヨシ君⁉︎ ほらまだ駄目よ! 歩くことさえ出来ないのに」

 

綱吉「うっ・・・うう・・・くそぉ・・・」

 

 ミラは綱吉に肩を貸してベッドへと戻っていく

 

ミラ(この子に一体何があったの? あんなになるまで戦わなきゃいけないことがあるなんて・・・)

 

 綱吉をベッドに寝かせると丁度そこへアルバスがやってきた

 

アルバス「目が覚めたようじゃの」  

 

ミラ「先生っ」

 

綱吉「貴方は?」

 

アルバス「儂の名はアルバス 医者じゃ 君の手術をした者じゃよ」

 

綱吉「そうでしたか ありがとうございます」

 

アルバス「礼を言うのなら彼女にもじゃよ 君を見つけここまで連れて来てくれたのは彼女なんじゃから」

 

 綱吉はミラの方にも向き

 

綱吉「ありがとう 今 俺がいるのは貴方のお陰だ」

 

 綱吉の真剣な礼の言葉にミラは嬉しくも慌てて

 

ミラ「い、いいのよ!別にそんなっ」

 

アルバス「さて、傷の具合を見ていこうかの」

 

 アルバスは看護士に綱吉の入院着を脱がせ、包帯を外させていく

 綱吉の上半身が露わになった時ミラは顔を真っ赤にさせていた

 

アルバス「ふむ 順調に治っているようじゃの」

 

 ミラはその言葉を聞いて安堵する

 

綱吉「あの・・どれくらいで治りますか?」

 

アルバス「そうさの ひとまず退院までに一ヵ月といったところかの 退院した後も通院してもらうことにはなるがの」

 

綱吉「そ、そんなにっ⁉︎ そんなに待てません! もっと早く出来ないんですか!」

 

アルバス「こればっかりはしょうがないんじゃよ 諦めなさい」

 

綱吉「くそっ! こうしている間にも白蘭はどんどん侵攻しているって言うのに!」

 

ミラ「ねえツナヨシ君 さっきから思ってたんだけど『ビャクラン』って誰?」

 

 綱吉はミラの言葉を聞いて固まってしまった 誰もが知っているであろうあの悪魔 白蘭を知らないといったのだ

 

綱吉「えっ・・・ 何言ってるんですか! 白蘭ですよ白蘭! あの世界征服を企んでいるアイツを知らないはずないでしょう⁉︎アイツのせいでどれだけの国が壊滅させられたか! どれだけの人が殺されたか! 知ってるはずでしょう⁉︎」

 

 綱吉の必死の説明にミラ達は引きつつもただ知らないとしか言えなかった 本当に知らないから

 アルバスは少し考えこむと綱吉にある質問をした

 

アルバス「ツナヨシ君 君は『魔法』を知っているかね」

 

ミラ「先生 何を」

 

綱吉「こんな時に何ふざけ・・・」

 

アルバス「いいから答えなさい」

 

アルバスの声によって取り乱し掛けていた綱吉は正気戻り渋々答えた

 

綱吉「っ! ええ 知ってますよ でも空想のものでしょ それが何だって言うんです!」

 

アルバス「やはりそうか 君は・・・別の世界の人間のようだ」

 

ミラ・綱吉「⁉︎」

 

 アルバスの言葉に2人は驚きを隠せない

 

綱吉「別世界? 何言ってるんですか? バカバカしい」

 

アルバス「この世界は魔法世界 魔法があって当たり前の世界なんじゃよ 子供でも知っておることじゃ」

 

綱吉「そんなふざけこと言ってな・・・えっ」

 

 綱吉がアルバスに文句を言うとしたが言えなくなってしまう 何故ならアルバスが手の平から水を出し渦潮のように回転させていたから

 

アルバス「私は水の魔道士じゃ このくらいは出来る それに君の言う『ビャクラン』も『ジェッソファミリー』も聞いたことがない この国も隣国もそんな連中に攻められたと聞いたことがない」

 

綱吉「そ、そんな・・・本当に・・・俺は・・・」

 

ミラ「ツナヨシ君・・・」

 

 ミラは綱吉の側に行こうとするもアルバスに止められてしまう

 

アルバス「ミラちゃん 今は1人にしてあげなさい」

 

ミラ「・・・はい」

 

 アルバスにそう言われ部屋を出て行くミラ、アルバスも出ていく

 1人にされた病室に綱吉の嗚咽よく聞こえていた

 

 

次の日

 

 ミラは次の日も病院に来た

 

ミラ「先生、ツナヨシ君は・・・」

 

アルバス「ああ ショックが大きく昨日から何も口にしておらん こちらがいくら食べるように言っても食べたくないそうじゃ あのままでは体力が落ちて治るものも治らんと言うのに・・・」

 

ミラ「そうですか・・・」

 

アルバス「今会うことはお勧めせんが会っていくかね」

 

ミラ「はい」

 

 

病室

 

 ミラは病室に入ると綱吉に目を見て固まってしまった 綱吉の目が死んでいたからである

 しかしすぐに気持ちを切り替え

 

ミラ「ねえ ツナヨシ君 何も食べないでいるのはさすがに身体悪いわよ 果物だけでも食べない?」

 

綱吉「食べたくありません」

 

ミラ「うっ な、なら散歩に行かない? 今日いい天気だし外に出てみましょう 車椅子なら私が押してあげるから ねっ」

 

綱吉「気分じゃありません」

 

 ミラは綱吉を元気づけようと話しかけるがことごとく失敗してしまう

 

ミラ「で、でもいつまでも部屋の中にいたら気が滅入っちゃうでしょ 少しでも気分転換した方がいいと思うんだけど」

 

綱吉「もうそんなもの必要ないです・・・俺にはもう生きる意味がありませんから」

 

ミラ「そんなことないわ! 貴方は助かったの! 助かったってことは生きなきゃいけないの!」

 

綱吉「っ! 生きなきゃいけない・・・ 貴方に何が分かる! 仲間も家族も殺された! 復讐するべき相手もいないこの世界でどう生きろとっ⁉︎ 全て忘れて新しく生きろってそう言うんですか⁉︎」

 

 ミラの言葉につい言葉を荒げてしまう綱吉 

 

ミラ「そ、それは・・・」

 

綱吉「大体貴方は何で俺を助けたんですか?赤の他人の俺を助ける理由なんてなかったはずだ」

 

ミラ「そんな・・・目の前で苦しんでる人がいたら助けるのは当然でしょう⁉︎」

 

綱吉「当然・・・貴方はただいいことをしたかっただけなんじゃないんですか?」

 

ミラ「えっ」

 

綱吉「いいことをして誰かに褒められて優越感に浸りたいだけなんじゃないんですか?」

 

 まさかの言葉にミラは戸惑ってしまう、狼狽えてしまう まさかこんなこと言われるなんて思っても見なかったから

 

ミラ「ち、違うわ!私は本当に貴方の事を」

 

綱吉「仮に 仮にそうだとしても助けるべきじゃなかった 俺は死ぬべきだった、死ねば皆にところに行くことができたんだから」

 

ミラ「何でそんなこと言うのっ⁉︎皆の為に生きようとどうして思えないの!皆が貴方の死を望んでいると思ってるの⁉︎」

 

綱吉「分かってますよそんなことぐらい! でもただ1人残された俺の気持ちも考えて下さい! 仲間も家族もいない俺は1人ぼっちなんだ!

死んだ方が良かったんだ! 余所者の俺が死んだって悲しむ人なんていないんだから‼︎」

 

 

パァァン!!

 

 

 当然綱吉に頬が叩かれる

 

綱吉「な、何すん・・・」

 

 文句を言おうとミラを見ると言えなくなってしまった 彼女が涙を流していたから 辛そうな顔をしていたから 彼女はそのまま部屋を出て行ってしまった

 

 叩かれた頬より胸のあたりが酷く痛かった

 

綱吉「ちくしょう・・・どうしろって言うんだよ・・・」

 

 綱吉は彼女の泣き顔を思い出しながら叩かれた頬に手を当てていた

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4話

その日の夜

 

 ミラはギルドに戻ってから心配されたが、何でもないと言ってなんとか分かってもらえた

 家に帰ってからも綱吉のことを考えてしまい寝付けないでいた

 

ミラ「なんでこんな事に・・・(本当に助けたかっただけなのに・・・あの子と仲良くなりたかっただけなのに・・・どうして)

 

 ミラは綱吉から言われた言葉が頭の中で回り続け、自分がしたことは正しかったのかと思い始めていた

 

 落ち込んでいると

 

???「こんばんは」

 

ミラ「えっ⁉︎」

 

 後ろから女の子が声を掛けて来たのだ その娘はワンピースを着ていて左目の下に花のマーク、そしておしゃぶりのネックレスをしていた 

 どうやって入ってきたのか?と警戒するもすぐに解いた この娘は敵ではないと何故かそう思ってしまったから

 

???「こんばんは」

 

ミラ「え、ええ こんばんは」

 

???「折角月が綺麗に出ているので、一緒に散歩に行きませんか?」

 

ミラ(この娘何を言ってるの?)

 

???「沢田さんのことで悩んでいるのでしょう?」

 

ミラ「ツナヨシ君のことを知っているの⁉︎」

 

???「はい ですから散歩にいきましょうと誘っているのです」

 

 ミラは綱吉のことを知るためにこの娘と散歩に行くことを決める

 

ミラ「分かったわ 行きましょう えっと・・・」

 

???「申し遅れました 私の名前はユニです」

 

 

 

病院

 

綱吉のいる病室

 

 綱吉もまた昼間ことを思い出し寝付けずにいた ミラのことを思い出してしまい悩んでいた

 

綱吉「はぁ・・・俺は・・・どうすればいい・・・」

 

???「何しけたツラしてやがんだ 駄目ツナが」

 

 聞いたことのある声に顔を上げ声の方へ顔を向けると、そこには俺の家庭教師がいた

 

綱吉「リ、リボーン⁉︎」

 

リボーン「ちゃおっス」

 

 声も見た目も喋り方も全て同じ 本物のリボーンだとすぐに分かった

 

綱吉「リボーンっ なんでお前が此処にいるんだ⁉︎ お前は・・死んだはずだろ⁉︎」

 

リボーン「まぁ そんなことはどうでもいいだろ 久しぶりに会ったんだ 積もる話も」

 

綱吉「どうでも良くない!!」

 

 リボーンのおちゃらけた態度につい綱吉は怒鳴ってしまった 

 

綱吉「お前が死んで俺がどんな気持ちだったか分かるか⁉︎ どれだけ辛かったか分かるか⁉︎」

 

 綱吉の涙ながらの訴えにリボーンは真面目な顔で

 

リボーン「ああ すまなかった お前のこと残して死んだ事は今でも悔やんでる  分かっていると思うがオレは蘇った訳じゃない 霊体の様な存在だ」

 

 分かっていたことだが改めて分かるとやはり辛いものがある

 

リボーン「死ぬ前にお前のリングに俺とユニの死ぬ気の炎を僅かだが入れておいたんだ まさかこんな形で役に立つとは思わなかったがな」

 

綱吉「ユニっ⁉︎ユニもいるのか⁉︎」

 

リボーン「ああ だがここにはいない ユニには別の場所に行ってもらってる」

 

綱吉「別の?」

 

リボーン「ああ 後で分かる  だがまずは色々と説明しなきゃならねぇ この世界は『アースランド』と言って魔法が当たり前の世界だ そこまでは分かるな?」

 

綱吉「ああ 聞かされたよ 未だに信じられないけどな・・・」

 

リボーン「だが事実だ そしてもう一つお前自身に関わることだが・・・」

 

 これ以上何を聞かされるのか 心臓の鼓動がやけに大きく早く聞こえる 唇が渇く

 

リボーン「どうやらお前の死ぬ気の炎もこの世界に来て変質しちまったようで魔力に変わっちまったらしい この世界で言うならばお前は『魔道士』になっちまったんだ」

 

綱吉「なっ⁉︎ 俺が魔道士っ⁉︎」

 

 予想を超える答えに驚きを隠せない 開いた口が塞がらない 

 どうやらこの世界に来て俺の身体までもおかしくなってしまったようだ

 

リボーン「だが魔力に変わっちまっただけでいつもと同じように使えるはずだ」

 

綱吉「でも変わったことに変わりないんだろう 死ぬ気の炎は俺を俺たらしめるものだった」

 

 厳しい修行の果てに扱えるようになった死ぬ気の炎 それが突然変わってしまったのだ はい そうですかと納得できる訳がなかった

 

リボーン「そうか・・・だが俺はこれで良かったと思ってる」

 

綱吉「っ⁉︎ リボーンっ!!」

 

 リボーンの言葉に怒りが爆発してしまった これまでの自分を否定されてしまったようだったから

 

リボーン「お前の気持ちは分かる・・・だがお前はこれまでずっと戦い続けて来たんだろ? 仲間を失っても1人孤独に戦い続けて来たんだろう?」

 

綱吉「そうだ! それが全てだった! 皆の仇をとる ただその為に戦い続けてきたんだ!!」

 

リボーン「・・・ツナ もういい加減自分の幸せを考えていいんじゃないか?」

 

綱吉「えっ・・・な、何を言って・・・」

 

 リボーンの言ってる意味が分からなかった 幸せ 幸せとは何だ?

 

リボーン「マフィアのボスで復讐の鬼と化した沢田 綱吉はもう死んだ これからは魔道士の沢田 綱吉として生きてほしい それが家庭教師の俺からの最後の頼みだ」

 

綱吉「そ、そんなことできる訳ないだろう! 俺は皆を死なせたんだっ! ボスである俺が生き残って、幸せな生活を送る⁉︎ 許される訳ないだろう!!」

 

リボーン「その許さないってのは誰が許さないんだ? もしかして死んだ彼奴らがお前のこと恨んでるって? 勘違いすんじゃねえぞ 彼奴らは自分の意思で戦場に出て 死んで行ったんだ 誰1人としてお前を恨んじゃいない 許してない奴がいるとすれば・・・それはお前だツナ お前のその意地がお前の心を縛り付け苦しめているんだ」

 

綱吉「っ・・・・・」

 

 言い返したいのに言い返せなかった それは違う そんなはず無いと言いたいのに口に出来なかった

 

リボーン「今まで辛かったろう 苦しかったろう 俺らの為にありがとな ツナ」

 

綱吉「どうしてだ・・・何でありがとうなんて・・・あの時も『ツナ、ありがとな』なんて言って 礼を言うのは俺の方だ お前にも皆にも色々なこと教わって・・・なのに 守れなかった 勝てなかった・・・うっ・・・ううっ・・俺は・・俺は・・・・」

 

 リボーンは泣き崩れる綱吉の前に行き、肩に手を置いて

 

リボーン「たしかにお前は勝てなかった だが最後まで民を守ろうと闘う姿は俺が目指した者とは違うが誇るべき姿だ あんな強え奴に何度も立ち向かって行ったんだろ あの弱虫で泣き虫で根性無しのお前が良くここまで強くなったもんだ 教師として鼻が高えぞ」

 

綱吉「リボーン・・・」

 

リボーン「もうお前は駄目ツナと呼ばれていた頃お前じゃない でかく 立派な 漢になったな ツナ」

 

 嬉しかった 最初はなにもかも嫌々だった でも段々と変わっていった ただこの人に認めてもらいたくて   

 

 

リボーン「それとな ツナ 女には優しくしろよ」

 

綱吉「えっ?」

 

リボーン「お前 ミラって女泣かせてただろ」

 

綱吉「うっ・・・そ、それは」

 

 事実であるが故反論しようがなかった

 

リボーン「女は泣かせるもんじゃねぇ 笑顔にするもんだ  彼女はな お前の為に毎日病院に来てくれて、花を替えたり、眠ってるお前に話しかけたりもしてくれてた そんな彼女にお前が言った言葉は正しかったか?」

 

綱吉「・・・間違ってた・・・」

 

リボーン「彼女がなんで叩いたか、涙を流したか もう分かるな?」

 

 そうだ 間違っていたのは俺の方だ 彼女は俺の為に言ってくれたのに・・・なのに俺は・・・彼女を傷つけて・・・

 

綱吉「ああ・・・だけど許してもらえるかどうか・・・」

 

 あんな酷いことを言ってしまったのだ 許してもらえるはずがない 不安は大きかった

 

リボーン「馬鹿かお前 なら許してもらえるまで誠意みせりゃあ良いだろうが 大体ボンゴレのボスがんな事で一々不安になってんじゃねえ」

 

綱吉「そ、そんな事って! 大事な事なんだぞ!」

 

リボーン「そうだ お前にとって彼女はもうそれだけ大きい存在になっているだぞ ツナ」

 

 リボーンの言っている意味が分からなかった

 

綱吉「えっ どういう事だよ」

 

リボーン「そいつは自分で気が付かなきゃ意味がねえ まあ いずれ分かる時が来るだろう それまで己を磨いて、彼女の側を離れねぇことだ」

 

綱吉「よく分からないけど・・・分かった」

 

リボーン「ふっ 今はそれで良い(ツナ お前は長く孤独に戦い続け寂しかったんだ 愛情に飢えていたんだ だが彼女ならきっとお前のことを・・・)・・・どうやらそろそろ時間のようだ」

 

綱吉「えっ」

 

 リボーンの身体が段々と粒子化していく

 

綱吉「リボーンっ⁉︎ 身体が!」

 

リボーン「言ったろ今の俺は霊体だって、炎が尽きようとしてるんだろう・・・」

 

綱吉「リボーン! 待ってくれ 俺にはまだお前が」

 

リボーン「もう俺から教えることは何も無い」

 

 リボーンの言葉に悲しんでしまうが 直ぐに涙を拭く

 最後は笑顔で見送りたいから

 

リボーン「達者で生きろよ ツナ」

 

綱吉「・・・ああ」

 

 リボーンの身体は完全に光の粒子となって夜空へと飛んでいった

 

綱吉「ありがとう リボーン」

 

 夜空を見上げる彼の顔にはもう迷いや不安はなく

 彼の目には再び強い意志が宿った

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5話

公園

  

 綱吉とリボーンが病院で話しをしている頃ミラとユニは公園に来ていた 2人はベンチに座り、ユニは自分の達の世界のこと、綱吉のこと、ミラ達の前に現れた光の玉が自分であるとなどを話した

 

ミラ「そんなことがツナヨシ君にあったなんて・・・」

 

 仲間や家族を殺されてたった1人で戦い続ける どれだけ辛かったことか 苦しかったことか

 

 この子もそうだ ツナヨシ君は生きている けどこの子は・・・まだこんな小さな子が・・・ 溢れそうになる涙を抑えながら

 

ミラ「ツナヨシ君のことは分かったわ だけどどうして私たちの前に現れたの?何か理由でもあるのかしら?」

 

ユニ「はい もちろん理由があります 他の人ではなくミラさん達でなければ駄目でした 私には断片的にですが未来が見えます」

 

 ユニの言葉にシャルルの能力を思い浮かべる

 

ミラ「未来が・・・」

 

ユニ「はい その未来では沢田さんとミラさん、そしてギルドの皆さんが一緒いて笑っていました とても幸せそうで」

 

ミラ「ツナヨシ君が私たちと・・・でも無理よ・・・私には・・」

 

ユニ「沢田さんを叩いてしまったことを気にしているのですか なら大丈夫です 沢田さんなら貴方の本心を理解してくれていますから」

 

ミラ「でも・・・」

 

ユニ「貴方が沢田さんを叩いてしまったのは自分の為ではなく沢田さんに気づいてもらいたかったからなのでしょう 貴方は1人じゃない自分がいると 貴方が流した涙は沢田さんの為の涙 誰かの為に涙を流せる貴方を私は誇りに思います ミラさん貴方のその優しさが 沢田さんを救うため必要なんです」

 

 まさかこんな小さな女の子にここまで言われるなんて思ってなかった 私の意思は決まった

 

ミラ「分かったわ ユニちゃん 私はツナヨシ君の心の支えになる だから安心して」

 

 ミラの答えにホッとする  

 

ユニ「はあ 良かったです ありがとうございます   ならお伝えしなければならないことが二つあります 一つは『白蘭』について、白蘭は・・・この世界にいます」

 

 ユニちゃんの言ったことが理解出来なかった

 

ミラ「えっ・・・どういうこと・・・」

 

ユニ「白蘭はこの世界に転生しているのです」

 

ミラ「転生・・・死んで生まれ変わったってこと?・・・」

 

ユニ「はい 白蘭は殺されたのです 沢田さんに」

 

 ますます混乱した ツナヨシ君は白蘭に負けてこの世界に来たのに その白蘭がツナヨシ君に殺されてこの世界に転生したと言うのだ

 

ユニ「『平行世界』というものをご存知でしょうか?」

 

ミラ「え、ええ たしか、もしもの世界だったかしら」

 

ユニ「はい つまり白蘭が世界征服を成した世界もあれば、白蘭を倒した世界もあります」

 

ミラ「じゃあ・・・2人は」

 

ユニ「ええ 全く別世界の人物です 姿、名前は同じでも全く違います」

 

ミラ「そんなことってあり得るの?」

 

ユニ「本来ならばあり得ません ですが現実として起きてしまいました  そしてもう一つは沢田さんについて」

 

ミラ「ツナヨシ君について? ツナヨシ君のことならさっき聞いたわよ」

 

ユニ「正確にいうと沢田さんの心についてですね 沢田さんの心には『鬼』が潜んでいます」

 

 鬼という言葉を聞いて余りいい意味ではないことは分かった

 

ユニ「沢田さんはファミリーのボスになりましたが、本来戦いを好む方ではありません むしろ逆で平和を愛する優しい方でした ですが 私たちが殺されて 復讐に駆られ・・・」

 

ミラ「鬼になったのね・・・」

 

ユニ「はい 今まで争いごとになっても決して命だけは奪わなかった沢田さんが・・・敵の命を奪うようになって  この世界に白蘭と沢田さんがいる以上、戦いは避けられないでしょう そうなった場合沢田さんは鬼となるのも避けられません その時 ミラさん 貴方は目を背けずに沢田さんを見ることが出来ますか? 彼の側に居続ける覚悟はありますか?」

 

 ユニちゃんの問いは酷く重く感じた 鬼 あの子がそんなことを・・・信じられなかった 恐怖も感じた だけどそれ以上にあの子を助けたいと思った

 

ミラ「ええ あるわ」

  

 ユニはミラの強い眼差しと言葉から嘘でないこと知り

 

ユニ「どうやら 本当に覚悟があるようですね その答えが知れて良かったです  ミラさん 沢田さんは仲間や大切な人の為なら平気で大怪我をする方です きっとミラさんにも多く心配をかけてしまうこともあるでしょう その時はちゃんと叱ってあげて下さいね」

 

 仲間のためにボスが 本当にあの子は優しい子なんだ

 

ミラ「ええ 分かったわ ユニちゃん 任せて!」

 

 

 するとユニの身体が光り出して粒子化が始まる

 

ミラ「ユニちゃん⁉︎ 身体がっ⁉︎」

 

ユニ「どうやら時間が来たようです お別れですね 沢田さんも貴方のような優しい方が側にいてくれれば安心です」

 

 優しい・・・優しいのは貴方でしょう

 ミラはユニのことを抱きしめる

 

ユニ「ミ、ミラさん⁉︎」

 

 突然のミラの行動にユニは驚いてしまうが ミラの気持ちを察してユニも抱きしめ返した

 

 どうしてこの子は死ななければならなかったのだろう こんなに優しい子がどうして 大人になっていればきっと美人になっていたことだろう 好きな人が出来て結婚していたかもしれない そんなこの子のあり得たであろうはず幸せな未来を想像してしまう 神様とはなんて残酷なんだろう 理不尽な世界に涙が止まらない

 

ユニ「ミラさん ありがとう 貴方と話せて本当に良かった」

 

 ユニはそう言ってミラの手の中から離れる

 

ユニ「ミラさん さようなら」

 

 ユニは最後まで笑顔で 笑って粒子となって夜空へと飛んでいった 

 ミラは粒子が見えなくなるまで夜空を見続け そして

 

ミラ「ユニちゃん 見守っててね」

 

 決意を固めた

 

 

 

上空

 

 夜空の中を粒子となったユニが飛んでいると 向こうから粒子とリボーンがやってきた

 

ユニ「おじさまっ」

 

リボーン「おう ユニ」  

 

ユニ「沢田さんはどうでした?」

 

リボーン「ああ 案の定しょぼくれてやがったがもう大丈夫だろう それに頼りになる連中もいるんだろう?」

       フェアリーテイル

ユニ「はい 『妖精の尻尾』その方々が沢田さんの助けとなってくれます それにミラさんもいますから」

 

リボーン「そうか 彼奴がこれからどういう道を歩むのか 彼奴の成長を見れないのが残念だが しょうがねえな」

 

ユニ「・・・おじさま」

 

 リボーンは寂しそうな表情を見せるが すぐに気持ちを切り替え

 

リボーン「まっ 彼奴がこっちに来るまで気長に待つとするか」

 

 ユニもそれに笑顔で答える

 

ユニ「はいっ」

 

 こうして2人は夜空の中に消えていった

 

 

 

次の日

 

病院 綱吉の病室

 

 綱吉はリボーンに言われたことを考えていた

 

綱吉「(リボーンの前ではああ言ったけど これからどうしよう 今まで戦うことが全てだったから 幸せ、か 考えたこともなかった)」

 

 そんなことを考えていると ドアが開けられ

 

ミラ「こんにちは ツナヨシ君」

 

綱吉「ミラさん どうして・・・」

 

ミラ「貴方に逢いたくて・・・来ちゃったの」

 

 ミラさん・・・そうだ これを言わなきゃ前へ進めない

 

綱吉「ミラさんっ!」

 

ミラ「ん? 何かしら」

 

綱吉「き、昨日は、すみませんでした 俺、貴方の気持ちを考えず酷いこと言っちゃって・・・本当すみませんでした」

 

 手を力一杯握りしめ震えている きっと勇気を出していったのだろう マフィアのボスと言ってもまだ子どもなんだ 

 

ミラ「大丈夫 気にしてないわ いきなり異世界に来れば誰だって不安になるもの それより私こそ貴方のこと叩いちゃって痛かったでしょう」

 

 そう言ってミラは綱吉の頬に優しく触れる

 

綱吉「ミ、ミラさんっ 大丈夫、大丈夫ですからっ!」

 

 綱吉の慌てぶりにミラは笑みを浮かべる だが同時に悲しい気持ちにもなってしまう 普通なら幸せな生活を送っていたはずなのに あっちの世界では戦って戦って、鬼になってでも戦い続けて 

 今この子の年相応の反応を見ていると胸が痛くなってしまう この子を守らなくてはいけない もう二度と命を奪わせてはいけない

 

ミラ「・・・ねえ ツナヨシ君 退院した後まだ何も決めてないんだったら 私たちのギルドに入らない?」

 

 彼女の突然の提案に驚いてしまう

 

綱吉「えっ? ギルドに、ですか?」

 

ミラ「ええ 『FAIRY TAIL 』には多くの人がいる 色んな人がいる たしかに家族や仲間を殺された貴方にこんな事言うのは酷なことだって分かってるわ 貴方が家族や仲間の人達を思い出してしまうかもしれない だけど貴方のこと放っておけないの だから私たちのギルドに入ってみない?」

 

 彼女の気持ちは凄く嬉しい だけど・・・

 

綱吉「ミラさん・・・ありがとうございます でも、俺にはもう仲間に入る資格なんて・・・」

 

ミラ「仲間になるのに資格なんて要らないわ ユニちゃんから全部聞いたの 今までずっと1人で戦ってきたんでしょう 辛い時も苦しい時も心を圧し殺して 泣くのも我慢して戦ってきたんでしょう だけどもういいの もう我慢しなくていいの 貴方は幸せになっていいの」

 

 ミラはそう言って綱吉を抱きしめた

 

綱吉「俺は・・・幸せになって・・いいんでしょうか・・・」

 

ミラ「馬鹿ね 当たり前でしょ」

 

 彼女の言葉を聞いていると 彼女に抱きしめられると とても温かい気持ちになった

 

綱吉「ミラさん・・俺・・頑張り、ますから・・・だから・・・だからよろしく、お願いします・・・」

 

 涙ながらの綱吉の言葉をミラは優しく聞いていた

 

ミラ「うん、うん」

 

 

 

 一度は消えかけていた少年の心に再び火が灯った瞬間だった

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6話

病院

 

ミラが帰ってから綱吉はミラに抱きしめられ泣いてしまったことに顔を赤くしていた

 

綱吉(俺はなんて事をしてしまったんだ〜!)

 

 綱吉がベッドの上で頭を抱えている頃ギルドでは

 

 

 

ギルド 妖精の尻尾

 

 ミラは綱吉のことをマカロフや皆に話し、彼をギルドに入れて欲しいと頼んでいた

 

マカロフ「なるほど 復讐に取り憑かれ 鬼になった少年、か」

 

ミラ「駄目でしょうか?マスター・・・」

 

マカロフ「いいや そんなことは無い たとえ其奴にどんな過去があろうとどんな事情があろうとも受け入れる それが『妖精の尻尾』じゃ」

 

ミラ「ありがとうございます! マスター」

 

 ホッと安心するミラに皆んなが集まってくる

 

エルザ「良かったな ミラ」

 

ミラ「エルザ ええ 本当に良かった」

 

リサーナ「でも ミラ姉がその子の為にここまで頑張るなんてね」

 

ミラ「だってほっとけないんだもの あの子すぐ無茶しそうで」

 

 女性陣は食い付いた これはもしかしてと 後にミラは女性陣から色々と問い詰められるのはまた別の話し

 

ナツ「新しい奴が来るのか 楽しみだなぁ なっハッピー」

 

ハッピー「あい」

 

ミラ「とても優しい子よ だけど今心に深い傷を負ってるの だから皆んな優しくしてあげてね」

 

皆んな「「「「「おう(はいっ、ええ)‼︎」」」」

 

 

ルーシィ「それにしても平行世界だなんて、まるでエドラスね」

 

ジュビア「もしもの世界・・・はっ!(つまりジュビアとグレイ様が結婚している世界も‼︎)

 

グレイ「うっ⁉︎」

 

エルザ「ん?どうしたグレイ?」

 

グレイ「いや・・・何か悪寒が」

 

エルザ「しかし厄介なのは『白蘭』だな 今どこにいるか全く分からん これでは攻めようがない」

 

ウェンディ「世界征服だなんて・・・怖いです」

 

 ウェンディはミラからの話を聞いて多くの国が壊滅し、人も大勢殺されたことに震えていた エルザはそんなウェンディの肩に手をおいて安心させ

 

エルザ「安心しろ 世界征服など我々が許さん そうだな!お前たちっ‼︎」

 

皆んな「「「「「おう!!」」」」」」

 

ナツ「俺らの家族に手出して、世界征服だなんていい度胸してるじゃねぇか もうツナには手出させねぇぞ」

 

ルーシィ「ちょっと ツナって」

 

ナツ「ん? ツナヨシだからツナだっ!」

 

ルーシィ「なんて安直な・・・」

 

エルザ「いや いいんじゃないか ツナ 名前の他にそういう呼び名があった方が親しみやすいだろう」

 

グレイ「だなっ」

 

ハッピー「あい ツナです」

 

 マカロフは皆の言葉を聞いて安心し

 

マカロフ「よ〜し ツナが退院してギルドに来たらド派手に宴を開くぞ〜‼︎」

 

皆んな「「「「「おお〜〜‼︎」」」」」」

 

 ギルドは綱吉を迎える為大盛り上がりであった

 

 

 それからの綱吉は大変だったリハビリに加え、魔法、魔力のコントロール、この世界、この国のことも学ばなければいけなかったからである しかしここで重大なことに気づく 文字が読めなかったのである

 

 言葉が分かっても文字が読めない そこでミラに文字の読み書きを教えてもらうこととなった しかし綱吉はリボーンのスパルタ教育によって各国の言語を短期間で覚えさせられた男 今回もなんとか短期間で覚えることができたそうな

 

 

 

 ミラが綱吉のことを『ツナ君』と呼んできたときは驚いて固まってしまった 仲間や好きだった子から『ツナ』とそう呼ばれていたから ミラから心配されたがその名で呼んで欲しいと頼んだ もう一度その名で呼んでもらいたかったから

 

 さらにそれから日数が過ぎて、もうすぐ退院となったころ

 

病院

 

 今綱吉はミラと一緒に病院の庭を散歩していた 綱吉はもう車椅子や松葉杖を使わないで歩けるくらいまで回復していた

 

ミラ「ツナ君 歩けるようになったって言ってもまだ治った訳じゃないんだからね」

 

綱吉「大丈夫ですよ もう ミラさんは心配しょうだなぁ」

 

 そう言って歩いていると

 

綱吉「あっ⁉︎」

 

 綱吉が躓いて転びそうになってしまう

 

ミラ「ツナ君っ⁉︎」

 

 ミラは咄嗟に綱吉を支え倒れるの防いだ

 

綱吉「ふぅ〜危なかったぁ ミラさん ありがとうございま・・・っ⁉︎」

 

 綱吉がミラに礼を言おうと顔を向けると目の前にミラの顔があり、後ほんの少しで触れてしまいそうだった

 

ミラ「っ⁉︎」

 

 ミラも綱吉の顔がすぐ近くに来て慌てていた 2人の顔は真っ赤になって自分の心臓の音がよく聞こえていた

 

 ミラはなんとか表情に出さないように綱吉の手を引き

 

ミラ「ま、全く すぐち調子に乗っちゃうんだからっ これは病室に戻ったらお説教ねっ」

 

綱吉「ええ〜 そんなぁ」

  

 2人の仲は確実に縮まっており、互いを意識し始めていた ミラの存在は綱吉に大きな影響を与えていた 彼は最初比べ年相応の感情豊かな子になった まるで黒雲に覆われた空に光が差し込み黒雲は消えていき快晴へと変わっていくかのように 

 

 ただそれが良かったのか 悪かったのか ただ1人を除いて知る由もなかった 綱吉がそれを知るのはもっと先のことである

 

 

もしそこにその者が居ればこう言うだろう

『君は鬼だからこそ君なんだよ 鬼から人に戻ってしまった君は君じゃない』

 

その者と出会う日はまだ先だった

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7話

 ついに退院の日がやってきた

 

 綱吉はアルバスに最後の挨拶をしていた

 

綱吉「先生 お世話になりました」

 

アルバス「なぁに 儂は医者として当たり前のことをしただけじゃよ それに もう大丈夫なようじゃの」

 

綱吉「はいっ」

 

アルバス「・・・しかし本当にいいのかね?」

 

綱吉「・・・はい これが俺の出した答えです」

 

アルバス「ミラちゃんを悲しませることになるぞ それでもいいかね?」

 

綱吉「はい・・・覚悟は出来てます」

 

アルバス「・・・そうか ならもう行きなさい」

 

 アルバスの言葉に最後にもう一度礼を言ってアルバスの元を離れた

 

アルバス「出来ることなら彼の身に何も起きず、穏やかに生きて欲しいものじゃ」

 

 

 

ミラ「もう いいの?」

 

綱吉「はい・・・」

 

ミラ「どうかした?」

 

 綱吉の反応にミラは疑問を持つ

 

綱吉「いえ 大丈夫ですっ」

 

ミラ「そう? なら行きましょうか」

 

 そう言って2人は病院の玄関をでた 外に出ると魔導四輪と赤髪で長髪の女性がいた

 

エルザ「君がツナか 君のことはミラからよく聞いているよ 私はエルザ よろしく頼む」

 

綱吉「ツ、ツナヨシ・サワダです よろしくお願いします」

 

エルザ「そう固くなる必要はない もっと気を楽にしていい それに敬語もさん付けも不用だ」

 

 今まで歳上には敬語で対応してきた綱吉は戸惑ってしまう

 

ミラ「そうよ 貴方はこれから私たちの家族の一員になるんだから」

 

綱吉「家族・・・ 分かり、分かったよ エ、エルザ、 ミ、ミラ」

 

 まだぎこちないながらも砕けた喋り方をする綱吉に2人は微笑む

 

エルザ「さて 皆んな君が来るのを楽しみにしている 早速出発しよう 車に乗ってくれ」

 

 三人は車に乗って、エルザがSEプラグを付けた時ミラは思い出してしまった

 

ミラ「ね、ねえ エルザ やっぱり運転は私が」

 

エルザ「何を言っている ミラはツナの隣にいてやれ」

 

ミラ「だけど・・・」

 

エルザ「私の運転が信用出来んのか? 安心しろ ちゃんと安全運転で行ってやる」

 

 そう言ってドルンッ ドルンッとエンジンを吹かす

 

 この時点で綱吉も疑問に思ってしまった 何故この人はレースみたいにエンジンを吹かしているんだろう?と 

 

エルザ「さあ 超特急で行くぞっ!」

 

 

ブォォン!!

 

ミラ・綱吉「「ううっ⁉︎」」

 

 アクセルをおもいっきり踏み込んで、車はロケットスタートしていった ロケットスタートした時に2人は後頭部を椅子の背もたれの上の部分にぶつけていた

 

 エルザは運転は荒かった 緩やかなカーブにドリフトをかまし、蛇行運転、猛スピード とにかくヤバかった

 

 綱吉はエルザの運転に耐えながら もうこの人の運転する車には乗らないと誓っていた

 

 ドリフト時に綱吉がミラの方へ倒れかかってしまうのは仕方ないこと そしてその時ミラの胸に顔が触れてしまい、ミラにビンタされるのも仕方ないと言えるだろう

 

 

 そんな散々な運転も終わり『妖精の尻尾』についた

 

 

 ギルドに入ると皆が綱吉のことを見ていた そして綱吉の前に1人の老人が出て来る

 

マカロフ「儂がこのギルドのマスター マカロフじゃ よう来たのお ツナ お前のことはミラから聞いておる 随分辛い道を歩んで来たようじゃの 今日よりここがお前の家であり、儂らは家族じゃ」

 

綱吉「家・・・家族・・・」

 

マカロフ「さあ ツナ 皆に挨拶を」

 

綱吉「はいっ」

 

 綱吉は皆の前に立って

 

綱吉「ツナヨシ・サワダです! まだまだ不慣れで皆に迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします!」

 

 綱吉が頭を下げ、少し間が空いてから

 

 「よろしくなっ!」 「よろしくね〜」 などの歓迎の言葉をもらった

 

 挨拶が終わると皆綱吉の周りにやって来た

 

ナツ「俺はナツ! よろしくなっ!」

 

ハッピー「おいら ハッピー!」

 

グレイ「グレイだ よろしく頼む」

 

ルーシィ「ルーシィよ よろしくね」

 

ウェンディ「ウェンディです よろしくお願いします」

 

シャルル「シャルルよ よろしく」

 

ジュビア「ジュビアですっ」

 

レビィ「私レビィ こっちはガジルね」

 

ガジル「ギヒッ よろしくな」

 

リリー「パンサーリリーだ よろしく頼む」

 

エルフマン「エルフマンだ 姉ちゃん泣かせやがったらただじゃおかねえからな」

 

リサーナ「もうエルフ兄ちゃんったら リサーナだよ よろしくね」

 

 

 皆自己紹介してくれる しかしまさか猫が二足歩行で喋るとは・・・

 

マカロフ「さて 挨拶も済んだことじゃし  宴じゃ〜!!」

 

皆「「「「おお〜〜!!」」」」

 

 皆一目散にテーブルの食事に向かっていった

 

エルザ「全くしょうがない奴らだ」

 

綱吉「宴?」

 

ミラ「そうよ 今日はツナのために宴をやるの」

 

綱吉「俺の為に・・・」

 

エルザ「そうだぞ ツナ 今日は存分に楽しめ」

 

レビィ「エルザ〜 こっちにエルザの好きなケーキがあるよ〜」

 

エルザ「何っ‼︎」

 

 まるで忍者のごとく高速でレビィの方へ向かって行った

 

綱吉「ははっ・・・」

 

マカロフ「どうじゃ ツナ 上手くやれそうか?」

 

 綱吉はマカロフの問いに皆のことを見ていた

 

グレイ「ナツ テメェそれ俺の肉だぞっ!」

 

ナツ「うるせー!早いもん勝ちだっ!」

 

ルーシィ「もう〜やめなさいよ」

 

エルフマン「漢ぉぉぉ〜!!」

 

ルーシィ「あんたはうっさいわね!」

 

 

カナ「いや〜 宴の酒また格別に美味いね〜」

 

ウェンディ「カナさんっ 呑み過ぎですよ!」

 

 

レビィ「ちょっとエルザ 1人でワンホールも取るなんてずるいよっ!」

 

エルザ「デザートなら他にもあるからいいだろうっ」

 

 

 そんな光景を見て

綱吉「分かりません でもとても賑やかで暖かくて 此処に居たいって思いました」

 

マカロフ「・・・そうか」

 

 ミラとマカロフは綱吉の答えに笑みを浮かべた

 

 

ミラ「ツナ どうして泣いてるの?」

 

綱吉「えっ あっホントだ」

 

 綱吉は無意識のうちに涙を流していた かつて自分にもいた仲間達 この光景と重なって見えてしまったのだ もう二度と会うことが出来ない仲間達のことを思い出し涙が出て来てしまったのだ

 

綱吉「ごめんなさい・・・せっかくの宴なのに・・・」

 

ミラ「いいのよ 我慢する必要なんてないの 泣いていいんだから」

 

 すると向こうから

 

ナツ「お〜い ツナ お前も来いよっ!」

 

グレイ「早く来ねえとコイツが全部食っちまうぞ」

 

ルーシィ「ツナも来なよ〜」

 

カナ「酒もあるよ〜」

 

ウェンディ「駄目ですよ お酒は!」

 

エルザ「デザートもあるぞ」

 

ハッピー「お魚もあるよ」

 

 皆が綱吉のことを呼んでいた

  

ミラ「あらあら 皆ツナのこと呼んでるわね ツナ?」

 

綱吉「ああ なら行かなくちゃいけないな」

 

 綱吉は涙を拭いてミラの手をとり皆の元へ向かった

 

綱吉(リボーン、ユニ、皆 俺頑張るよ この新しい家 仲間、家族と一緒に生きていくから だから 見守っててくれ)

 

 

 大空の少年と妖精の物語は漸く幕を開けたのであった

 

 

 

 




タイキック新さん、高評価してくださりありがとうございます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8話

今までで一番長いかも・・・


 歓迎会が終わり、更に病院への通院も終わって 綱吉が完全に復活した頃

 

ギルド 妖精の尻尾

 

ナツ「なぁ ツナ もう完全に治ったんだろっ 俺と勝負してくれ!」

 

ルーシィ「ちょっと ナツっ ツナは治ったばかりなのよっ」

 

ミラ「そうよ 戦うのならもう少し待ってちょうだい」

 

 ナツの勝負の申し出にルーシィとミラは待ったをかけていた しかし

 

綱吉「いや やろう」

 

ミラ「ツナっ 駄目よ また怪我するかもしれないじゃない」

 

綱吉「今の自分がどれくらい戦えるか 知りたいんだ」

 

ミラ「ツナ・・・分かったわ ただし怪我したら駄目だからねっ」

 

綱吉「ああ 分かったよ ミラ」

 

 そんな2人のやり取りを見ていた男性陣はミラからこんなに心配される綱吉のことを大層羨ましがったそうな

 

 2人は戦う為外へと場所を変え、皆も見物するためついてくる

 

ナツ「さあ やろうぜ ツナ」

 

綱吉「ああ・・・」

 

 綱吉は毛糸の手袋をつけ答えると目を瞑り集中する そして目を見開くと

 

ボウッ!!

 

 額に炎が灯り、手袋も金属製のグローブに変わり、瞳の色も炎と同じ橙色に変わっていた 変わったのは見た目だけでなく纏っていた雰囲気も変わり顔つきも変わっていた

 

 綱吉の変わりように皆驚いていた

 

ハッピー「ツナが変身しちゃった」

 

ルーシィ「戦いになるとあんな変わるもんなの?」

 

ウェンディ「とっても綺麗な炎です」

 

グレイ「しかし炎の使い手とは相手が悪いな」

 

ミラ「ツナ〜頑張って〜」

 

 皆綱吉の見た目に驚いている中ミラだけは平常運転で綱吉のこと応援していた そんなミラにツナも優しく微笑み小さく手をぶり返していた普段と違う綱吉の雰囲気にミラは顔を赤くし恥ずかしがっていた

 そんな2人を見て皆心の中で思った もうお前ら付き合っちまえよと

 

それは置いといてマカロフやエルザなど実力者は気づいた この少年は強いと それは綱吉の目の前にいたナツにも分かっていた

 

ナツ(面白え あのツナがこんな闘気を出してくるなんてよぉ)

 

エルザ「では私が審判をしよう 2人とも準備はいいな?」

 

ナツ「ああ!」

 

綱吉「問題ない」

 

 エルザは右手を高く振り上げ

 

エルザ「では・・・始めっ!」

 

 勢いよく振り下ろした

 

 まず最初に仕掛けたのはナツであった

 

ナツ「いくぜ! 火竜の鉄拳!」

 

綱吉(ナツも炎を使うのか・・・)

 

 綱吉はナツの攻撃を受け流していく

 

ナツ「ぬっ まだまだぁ!!」

 

 ナツは綱吉に拳の連打をしていくが、綱吉は焦ることなく冷静に流していく

 

ルーシィ「ナツの攻撃が1発も当たらないなんて・・・」

 

ハッピー「ナツ〜頑張れ〜」

 

 

ナツ「くそぉ 火竜の砕牙! 劍角! 翼撃! 炎肘!」

 

 ナツは次々と攻撃していくが綱吉はそれを最小限の動きで躱していく

 

ナツ「何でだっ⁉︎ 全然当たらねえ⁉︎」

 

 それもそのはず綱吉には代々ボンゴレの血と共に受け継がれてきた『超直感』がある 対人戦においてこれほど無敵な能力はないだろう

 

エルザ(攻めているのはナツ・・・だが流れはツナに傾いている)

 

綱吉「・・・そろそろこっちからもいくぞ」

 

 綱吉は地面を蹴って一気にナツの間合いに入り、拳打を叩き込む

 

ナツ「ぐっ! がっ!」

 

 ナツは一旦距離を取ろうと退がるが綱吉は追撃してくる為距離を取れないでいた 

 

ナツ「く、くそっ(一旦距離を取らねえとまずいっ けどツナの奴が攻め立てて来てっから離れらんねえし・・・はっ‼︎)」

 

 ナツは両手の炎をエンジンのように噴き出して跳んで距離を取ったのだ

 

綱吉「・・・なるほど やはりそうきたか」

 

 普通なら綱吉も手脚に炎を集中して急加速や飛んだりすることも出来るのだが今回はしなかった いや出来なかった 

 まだ魔力のコントロールに慣れておらず、ただ炎を纏っての打撃なら問題ないが、炎を使っての速度調整、ホバリングなど繊細なコントロールがまだ出来なかったのである

 

ナツ「これくらい離れりゃあ 火竜の・・・」

 

綱吉「?」

 

ナツ「咆哮っ‼︎」

 

綱吉「っ⁉︎ これは(炎を噴くとは だが躱せない速度じゃない・・・いや試してみるか)」

 

 綱吉はナツの咆哮に対して避けようともせず、不思議な構えを取った右手の掌を外側に左手の掌を内側にするという変わった構え

 

 炎は綱吉に直撃した

 

グレイ「直撃したぞ⁉︎」

 

ガジル「さすがに決まったか」

 

ルーシィ「躱せたはずなのに・・・」

 

ミラ「ツナ・・・」

 

 皆が綱吉の心配をしていると

 

グレイ「んっ? ちょっと待てなんか変だぞ⁉︎」

 

 炎が小さくなっていたのだ 正確には綱吉の両手に吸収されていた

 

 これが綱吉の技の一つ『零地点突破・改』である 本来ならば死ぬ気の炎を吸収する技だが、この世界に来て死ぬ気の炎が魔力に変質してしまった事で 炎熱系の魔法しか吸収出来なくなってしまったのだ そしてもう一つ 魔力に変わったばかりで魔力量も少なく技を上手く使いこなすことが出来ない 故に

 

綱吉「っ‼︎」

 

 綱吉は吸収をやめ炎を回避した

 

グレイ「なんだ? 途中で吸収をやめちまったぞ」

 

 許容量を超える量の魔力を吸収してしまうと自壊する恐れがある

 

綱吉「(あのくらいの炎でもう・・・)まだまだ修行が足りないな 課題がまた出来た」

 

エルザ(なるほど・・・吸収は出来るが吸収出来る量にも限界がある、ということか)

 

綱吉「さて、こっちはどうか・・・」

 

 そう言って綱吉は右手を翳し足に踏ん張りをつけ、炎を放出する

 

綱吉「っ⁉︎」

 

 すると綱吉の想像を超える炎が放出されてしまった

 

綱吉「(まずいっ)ナツっ 避けろっ!」

 

ナツ「避ける? 勿体ねえだろう そんなことしたら」

 

 炎はナツに直撃した が炎はどんどん小さくなっていった ナツは炎を吸い込んでいたのである

 

綱吉「なっ⁉︎ (あれは俺と同じ・・・)

 

ナツ「ふう〜 食ったら力が湧いてきた! つーかお前の炎めちゃくちゃ美味えな ツナっ!」

 

綱吉「炎を食うだなんて・・・」

 

 ナツの能力に綱吉は驚いていた

 

ナツ「いくぞっ!ツナ! 火竜の鉄拳‼︎」

 

 ナツが猛スピードで攻撃を仕掛けてきた

 

綱吉「ッ!(これは、流せない・・・)」

 

 ナツの拳に綱吉も拳をぶつけて対応する

 

綱吉「(さっきより威力が上がってる・・・)どうやらお互い炎は通じないようだな」

 

ナツ「そうみてえだな」

 

綱吉「どうする? 引き分けという事にして止めるか?」

 

ナツ「つまんねえこと言ってんなよ 勝負はこれからだ!」

 

 そう言って両者距離を取る

 

綱吉(仕方ない 使うか)

 

 綱吉はボクシングのファイティング・ポーズをとった

 綱吉はファイティング・ポーズをとりながらかつて教わったことを思い出していた

 

ーー回想ーー

 

 綱吉がボンゴレ十代目になったばかりの頃

 

リボーン「何? 武術を学びたいだと?」

 

綱吉「ああ 今まで勝ってこれたのは超直感のおかげだ これから先それだけで勝っていけるなんて思ってない ボンゴレボスである以上仲間は守る その為に武術を学びたいんだ」

 

リボーン「ふっ いいじゃねえか ボンゴレにはその分野のプロが2人いるからな 俺が頼んでおいてやる」

 

 

 次の日

 

 綱吉とリボーンが部屋で待っていると

 

了平「おう リボーン 急な頼みというから急ぎで来てやったぞ!」

 

ルッスーリア「全く態々イタリアから呼び寄せるなんて、長旅はお肌に悪いのよッ!」

 

リボーン「そいつは悪い事をしたな だがお前たちにはこれからツナの格闘技の師匠になってもらう」

 

了平「おお 沢田! ついにボクシングをやるようになったか!」

 

ルッスーリア「ふんっ そっちの笹川は暇かもしれないけど私は忙しいのよ そんなこと」

 

リボーン「そうか なら報酬に用意したこの美容グッズは要らねえんだな ならハルや京子にでも」  

 

 その瞬間ルッスーリアはもの凄い勢いでリボーンから美容グッズを奪いとった

 

ルッスーリア「誰も要らないなんて言ってないでしょッ!」

 

 リボーンは不敵に笑い

 

リボーン「ならやってくれるんだな」

 

 ルッスーリアは悔しがりながらも

 

ルッスーリア「ええ! いいじゃない やってやろうじゃないの‼︎ 私のムエタイを叩き込んでやるわ!」

 

 ルッスーリアは綱吉の方を向いて

 

ルッスーリア「いいこと! 私のレッスンは厳しいからしっかりついて来なさいッ!」

 

了平「沢田! 俺も厳しくいくから覚悟しておけ!」

 

綱吉「ああ よろしく頼む」

 

 そんな3人のやり取りを見てリボーンは

 

リボーン「ついでにアイツらも呼ぶか」

 

 少し経って

 

風「何の用ですか?リボーン」

 

コロネロ「何の用だ コラッ」

 

リボーン「お前らにもアイツを鍛えるの手を貸してもらいたくてな」

 

 こうして綱吉は了平、ルッスーリアからボクシングとムエタイを 風からは躱し方、受け方、流し方などの体運びを コロネロからは戦況を見極める眼と戦術を、リボーンからは炎のコントロールと身体作りをそれぞれから叩き込まれた

 

 後に綱吉は打の極致にたどり着き 破壊の一撃を修得した そしてその一撃を目の当たりにしたフェアリーテイル の面々は驚愕することになる

 

 本来の道を進んだ沢田綱吉と違い この沢田綱吉には『ニューボンゴレリング』も『ボックス』も『ボンゴレギア』も持っていない、リングもハーフのまま

 

 しかしボンゴレボスになるという覚悟、カリスマ性、力、技、知識、戦術、炎のコントロールとボンゴレボスに相応しい漢になった 

 

 そんな綱吉の姿を見て誰もが思った ボンゴレは安泰だと

 

 あの男が現れるまでは・・・・

 

ーーー回想終了ーーー

 

綱吉「色々とやるべきことが出来てしまった 早く終わらせるぞ」

 

ナツ「へっ そう簡単にいくかよっ」

 

綱吉「一発だ」

 

ナツ「ん?」

 

綱吉「一発で終わらせる」

 

 余裕、挑発とも言えるこの発言にナツは怒り

 

ナツ「やれるもんならやってみろやぁ!」

 

 ナツは右拳に炎を纏って殴り掛かってきた 

 

ナツ「うおおおお‼︎」

 

 ナツの拳を綱吉は腰の捻りで最小限に躱し、

 

綱吉「シッ‼︎」

 

そしてその捻りを利用してナツの左顔面の顎に右ストレートを叩き込んだ

 

ナツ「がっ⁉︎・・・あ・・・う・・・」

 

 ナツはフラフラと後ろに退がり そして倒れた

 

エルザ「それまでッ! 勝者 ツナ!」

 

綱吉「ふう」

 

 綱吉は息を吐いて死ぬ気モードを解除する

 

皆「「「「おお〜‼︎」」」」

 

  「すげえ!ナツに勝ったぞ!」 「ただもんじゃねえなアイツ」

 

 皆が綱吉のことを褒める中

 

ミラ「ツナ〜ッ‼︎」

 

 ミラが綱吉に駆け寄ってきた

 

ミラ「ツナ とてもかっこよかったわよ」

 

綱吉「ありがとう ミラ」

 

 エルザは綱吉を見ながら先程の戦いを思い返していた

 

エルザ(ツナの最後の一撃 あれは計算されたモノだった 最小限で躱し、正確に顎を打ち抜くあの技量 あの会話までもそうさせるモノだったとしたら 大したものだ)

 

 綱吉はナツに拳打を浴びせた時ナツのタフさに気づいた このままやってもジリ貧 だからこそ顎を狙ったのである 例え一撃で倒せなくても脳が揺さぶられるのは明白 フラついたところに追撃して倒すと算段はついていた 中々にエグい

 

 この沢田綱吉は自分の考えを読ませず、自分の呼吸を乱さず 如何に相手の考えを読み、呼吸を乱させ隙を突き、攻め立てて、勝ちをとるかというのを信条としている

 

グレイ「なぁツナ 次は俺と戦ってくれ!」

 

ガジル「ギヒッ 俺だ」

 

エルフマン「漢としてお前との勝負に興味がある」

 

ラクサス「俺もお前と一戦やりてえ」

 

ミラ「ちょ、ちょっと皆、ツナは病み上がりなのよっ 連戦なんてそんなっ」

 

綱吉「俺なら大丈夫だよ」

 

ミラ「もう ツナッ!」

 

 怒るミラをなんとか宥め

 

綱吉「後一回くらいなら平気だって」

 

 綱吉の今日最後の相手を決めるのにいい争いをしていると

 

エルザ「皆、その最後の一戦私に譲ってくれないか?久々に滾って来た」

と綱吉に歩み寄って来た

 

沢田 綱吉、今日最後の相手は『妖精の尻尾』の中でも屈指の実力者 『妖精女王』の通り名を持つ エルザ・スカーレット

 

 

 




戦闘描写が上手く伝わっているといいんですが・・・

カシオオレンジさん高評価ありがとうございます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9話

エルザ戦1話で書ききれなかった・・・


 小休止を入れて綱吉は再び戦うこととなった

 相手はエルザ・スカーレット

 

 

 綱吉とエルザは互いに向き合う

 

ナツ「はっ⁉︎ ここはっ⁉︎ 勝負はどうなったんだ  っておいっ なんで エルザとツナが戦うんだよ!」

 

 気を失っていたナツが目覚めた

 

ハッピー「ナツ、やっと起きたんだね」

 

グレイ「んなもん ツナの勝ちに決まってんだろ クソ炎が」

 

ナツ「なんだと テメェ‼︎」

 

 ナツとグレイが喧嘩しそうになるが

 

ラクサス「ふんっ!」

 

ナツ「グハッ!」

 

ラクサス「お前は一々猪みてえに突っ込み過ぎなんだよ ツナの戦い方見て少しは学べ」

 

ナツ「ぬう〜」

 

 ナツは殴られた頭を摩りながら綱吉を見ていた

 

ミラ「ツナ・・・」

 

 ミラは相手がエルザということでツナのことが心配だった

 

 

マカロフ「儂が審判を務めよう 2人共準備は良いな?」

 

エルザ「ええ」

 

綱吉「はい」

 

 綱吉は再び集中し死ぬ気モードになった

綱吉「エルザ 俺は女だからって容赦しないからな」

 

エルザ「当たり前だ 勝負に手を抜くなど相手に対する最大の侮辱 全力で来い!」 

 

 

綱吉(ナツは炎・・・さてエルザはどんな魔法を使うのか・・・)

 

エルザ(厄介なのはあの拳だな 炎魔法も使えるようだがまだ上手く扱えてないようだ つまりツナの戦法は格闘戦のみに絞られる)

 

 マカロフは2人に様子を見て右手を高く上げ

 

マカロフ「では・・・始めっ!」

 

 勢いよく振り下ろした

 

 先攻はエルザ エルザは両手に剣を持って綱吉に近づく

 

綱吉(剣かっ!)

 

 エルザの剣の猛攻を綱吉はグローブの甲の部分の水晶に剣の刃を当てて上手く弾いたり、防いだりしている

 

エルザ(グローブ以外のところに当たれば斬られるというのに・・・こいつの顔からは微塵も恐怖が伝わってこない⁉︎ )

 

 綱吉に超直感があるからというのもあるが綱吉が剣士を相手に戦うに慣れているのが大きいだろう

 ボンゴレの二大剣士 山本にスクアーロと模擬戦をリボーンにさせられ、ミルフィオーレとの戦いの時には幻覚を使う剣士・幻騎士とも戦った 今さら斬られるかもしれない と恐怖する訳がなかった

 

 

 エルザは綱吉から距離を取ると

 

エルザ「天輪の鎧!」

 

 エルザの鎧が変わり 翼が生え周りには剣が浮遊していた

 

綱吉「鎧が変わった・・・(それに周りに浮いている剣)」

 

 エルザは周りの剣を上空へと移動させ

 

エルザ「舞え 剣たちよ!」

 

 何十本という剣が降り注いできた しかし綱吉は慌てることなく数秒上空を見るとすぐにエルザに向かってダッシュした

 

 剣の雨が降る中綱吉は疾走していた 自分の周りを剣が掠めても一切

スピードを緩めず、表情を変えず突き進んでいた しかし

 

ルーシィ「あっ危ないっ!」

 

 綱吉の右側から剣が身体目掛け降ってきた しかし綱吉は見向きもせずに剣をグローブの甲で弾く

 

グレイ「アイツ・・・見もせずに弾きやがった・・・」

 

レビィ「しかも弾くタイミングも、完璧だったよ!」

 

 

 

綱吉「このタイミングで来るのは分かってた そして次は こっちっ‼︎」

 

今度は左側から来る剣をまた見もせずに弾いた

 

 周りから見れば一見ただの無謀であり恐怖するこの行為 だが綱吉にとっては計算し尽くされたものだった 上空を見たあの数秒で降ってくる剣の本数、速度、角度を全て頭に入れ、エルザまでの最短ルートを割り出していた

 

綱吉「このルートで来る剣はあの二本だけ後は無視していい」

 

エルザ「まさかっ あの一瞬で私までの道を見つけたというのか⁉︎」

 

 綱吉はもうエルザのすぐ目の前に来て、右腕を振りかぶっていた

 

エルザ「ぐっ!」

 

 エルザは剣の腹で綱吉の拳を受ける

 

 綱吉はそのまま二撃目を叩き込もうとするが、エルザは躱して

 

エルザ「飛翔の鎧!」

 

 エルザは飛翔の鎧になって高速移動をする

 

綱吉「速くなった・・・」

 

 エルザは綱吉の周りを高速移動し、分身しているかのように見えた

 

 しかし綱吉は冷静に目と耳を働かせていた 目で移動速度を測り、耳で足音から位置を特定していた  

 

 綱吉はエルザの攻撃を掠めながらも躱し続けいた そしてエルザが綱吉の背後から斬りかかった時エルザは内心驚いていた 何故なら綱吉がもうすでに自分の顔目掛け拳を振るっていたから エルザは綱吉の攻撃を躱すとまた綱吉の周りを高速移動した

 

エルザ(驚いた この短時間でもうこの速さに対応してきている)

 

綱吉「まだ少し、ズレがあるな」

 

 綱吉の作戦は至極単純 迎え打つことに専念すること  

 

 追いかけたところで追いつけないのであれば、そのまま待っていればいい そして目と耳から得た情報から何秒後に自分のどの部分に切り掛かって来るか予測を立て 拳を打った

 

 ただ普通に打っても当たらない ならどうするか  前もってそこに拳を打っておけばいい

 

 綱吉はこの戦闘で頭の中で数秒後の世界を見て それに合わせて数秒前に行動を起こしていたのだ 常人なら決してまず出来ない、リボーンの地獄の特訓を乗り越えた綱吉だからこそ出来る芸当である

 

エルザ「(このままやっても互いに決定打に欠けたままか・・・)ならば 雷帝の鎧!」

 

綱吉「また変わった 今度は槍か・・・(一体いくつの鎧を持っているのか)

 

エルザ「いくぞっ‼︎」

  

綱吉「ッ! (速いッ!)」

 

 エルザは綱吉に向かって突っ込み高速の突きをくらわせるも綱吉にギリギリで躱されてしまう

 

エルザ「まだまだぁ!」

 

 高速突きの連撃をやれど、綱吉に掠りはするがそこまでだった

 

 綱吉はエルザの突きのスピードを測っており機を見て

 

綱吉「はっ!」

 

 槍の棍の部分を左手で捕らえた

 

エルザ「なっ⁉︎ (この連続の突きの中正確に棍の部分を捕らえただとっ)

 

 綱吉は槍の棍の部分を左手で掴み、右手を振り上げ 勢いよく振り下ろすと手刀で叩き折った

 

 しかしエルザは折られた瞬間、綱吉の腹に蹴りを入れて距離を取る

 

綱吉「げほっ げほっ (さすがだな 武器が壊されても動揺せず、攻撃した後の隙を突いてくるとは)

 

 エルザは槍の折られた部分を見つめていた

 

エルザ(まさか あの突きの速度に反応出来るとは・・・)

 

綱吉「さあ どうする そのまま棍として使うか? それとも別の鎧を出すか」

 

エルザ(別の鎧にしたとて、ツナならば容易に対処できよう ならば・・・)

 

 エルザは不敵に笑い いつもの鎧の姿に戻った

 

エルザ「フッ ツナ お前は、私は鎧に頼らなければ何もできない弱い女だとそう思ってないか?」

 

綱吉「い、いや そんなことは」

 

エルザ「私はな 格闘戦も得意なんだよ  さあ 存分にやろうじゃないか」

 

 エルザは武器をしまい、拳で決着をつけることにした

 

 妖精女王と大空の少年の第2ROUND が始まる

 

 




戦闘描写って難しいですね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10話

 エルザが格闘戦をしようとすることに疑問を抱く綱吉

 

綱吉(態々俺に合わせて戦うとは・・・)

 

 そんなことを考えているとエルザが突っ込んで来た そして右腕を振り返り強烈な一撃を叩き込んだ

 

エルザ「はあッ!!」

 

 綱吉は咄嗟に両腕でガードし直撃を阻止する しかし

 

綱吉「ぐっ⁉︎(重っ・・・)

 

 その一撃は綱吉の想像を超える一撃で、両腕が痺れ痛みが走った 綱吉が初めて苦悶の表情を見せる 

 

 すかさずエルザは2撃目を綱吉の腹に叩き込む 両腕が痺れていたせいでガードが遅れモロに受けてしまった

 

綱吉「がはッ!?」

 

 綱吉はそのまま数メートル飛ばされ、地面に激突してもすぐには立ち上がれず両膝をついて咳き込んでいた

 

綱吉「ぐっ・・・ゲホッゲホッ・・・(くそっ モロに食らった!)はっ⁉︎」

 

 綱吉が上を見るとエルザが蹴りの態勢に入っていた

 

エルザ「休んでる暇は無いぞ ツナッ!」

 

 エルザは右脚を振り上げ、踵落としをやろうとしていた 綱吉は既のところで転がって回避する 自分がさっきまでいた場所は無残にも砕かれていた

 

 エルザは回避した綱吉を見ているだけで追撃をせずにいた その間に綱吉は腹を押さえながら呼吸を整えていた 

 

 

 

 そんな綱吉の状態を見て皆心配していた

 

ルーシィ「ツナ 苦しそうだね」

 

グレイ「エルザの一撃がモロに入ったんだ 寧ろ気を失ってないことに驚くぜ」

 

 皆がそんな話しをしているとき ミラは2人の所に向かおうとしていたが

 

ラクサス「おい 待てよミラ 何をするつもりだ?」

 

 ミラは止められたことに不機嫌になりながらも

 

ミラ「決まってるでしょ 戦いをやめさせるのよ  戦いならもう充分でしょ」

 

ラクサス「何ふざけたこと言ってやがる そんなことさせる訳ねえだろ」

 

ミラ「ラクサス、本気で言ってるの・・・」

 

ラクサス「当たり前だろ 勝敗が着くまでじっとしてろ」

 

 ラクサスは右手に雷を纏った

 

ミラ「ラクサス・・・」

 

 ミラとラクサスは互いに睨み合う 張り詰めた雰囲気が辺りに漂う  S級魔道士の威圧のぶつけ合いに周りの皆も焦り始める

 

ルーシィ「ちょ、ちょっと2人ともっ⁉︎」

 

グレイ「おいおい、なんで2人が戦う感じになってんだよ」

 

リサーナ「ミラ姉 何やってるの⁉︎」

 

フリード「ラクサス お前もだ!」

 

 皆が2人の間に入り必死に止めようとしていた

 

ラクサス「ミラ お前の気持ちは分からねえでもねえ だがな あいつは自分の意思であそこで立って戦っているんだ お前だってそれを許してあいつを送ったじゃねえか」

 

ミラ「それは分かってるわ! だけどもう見てられないのツナが苦しんでる姿を! 勝敗ならエルザの勝ちでいいでしょ⁉︎」

 

 ラクサスはミラの言葉に怒り

 

ラクサス「ミラァ!」

 

 ラクサスの怒鳴り声に興奮していたミラは落ち着きを取り戻す

 

ラクサス「ミラ それは言っちゃいけねえよ そいつはあいつに対する侮辱だぜ そいつはなぁあいつの誇りを汚すもんだ  確かにお前が行ってやめさせればツナはこれ以上傷つかねえ だがな覚悟を決めて戦うことを決めたあいつはどうなる?」

 

ミラ「それは・・・」

 

ラクサス「あいつはお前に戦いを止められなきゃいけないほど頼りねえか? あいつは格闘のみとはいえナツに勝った漢だぞ」

 

ナツ「ぐぬ・・・」

 

ラクサス「お前の目にはあいつの姿はそんなに頼りなく写って見えるか? 信じて送り出したんだ最後まで勝負を見守ってやれ」

 

 ラクサスの言葉にツナの方を見ると ミラの目には苦しそうにしながらも諦めず戦おうとするツナの姿が映っていた

 

ミラ「ツナ・・・」

 

 

 

 

エルザ「ツナよ ナツを倒したあの武術を何故使わん 私は全力で来いと言ったはずだ 私にはその武術は使うまでもないということか? それとも負けた時の言い訳が欲しいのか?」

 

 エルザの煽りにツナは笑い

 

綱吉「フッ さすがにそこまで言われちゃあ使わない訳にはいかないな だが俺にこれを使わせる以上後悔するなよ」

 

 綱吉はそう言ってボクシングのポーズをとる

 

エルザ「後悔? あり得んな 寧ろ高揚している 本気のお前と戦えるんだからな」

 

 両者は間合いを詰め、拳が届く距離まで近づく そして先手を打ったのは

 

綱吉「シッ!」

 

 綱吉は高速ジャブをエルザの身体の各所に叩き込む

 

エルザ「ぐっ・・・(速い・・・だが一発一発にそれほどの威力はない)」

 

 エルザは更に間合いを詰め綱吉の拳を封じようとするが

 

綱吉「甘いッ!」

 

 綱吉は右の肘打ちでエルザの顎を下から上に突き上げた 顎に食らったことにより多少フラつくエルザ そんな隙だらけな状態を黙って見てるほど綱吉はお人好しではなく、すかさず左のストレートをエルザの腹にくらわせた

 

エルザ「がっ・・・」

 

 エルザは腹にくらいながらも膝をつかず耐えていた

 

綱吉(凄いな・・・あの当たる直前に身を退いたことで、威力をへらした、しかし 鎧が硬すぎるな・・・)

 

 エルザ(身を退いて無かったら危なかったな・・・あの武術は打撃、しかも拳のみに限定した武術のようだ それのみに絞ったからこそあれほどの強力になる訳か・・・)

 

 

綱吉(さて そろそろ決めるか・・・)

 

 綱吉はエルザに近づき 高速ジャブを放つ

 

 エルザはガードしつつ、先程食らったストレートを警戒していた

 

エルザ(この連打はほとんど重みがない あくまで速さと手数を追求したもの・・・警戒すべきは先程の正拳)

 

綱吉(とか思ってるんだろうな)

 

 綱吉は左足でエルザの右足を踏み、退がれないようにする

 

綱吉「逃がさない」

 

エルザ「くっ」

 

 綱吉は右腕を振り返りストレートを放とうとする 

 

 エルザは顔を両腕でガードする しかし思いもよらぬことが起きた エルザが食らったのは右ストレートではなく左のアッパーであった

 

エルザ「なっ・・・」

 

綱吉「?」

 

 綱吉はここで違和感を感じる ガードの下から完全に決めるつもりで放った左のアッパー にも関わらず完全に顎を捉えることが出来なかったのだ

 

 エルザは回避するのは不可能と判断し、咄嗟に上半身ではなく首だけを動かして顎への直撃を防いだ それにより顎先に当たるだけで済んだのだ しかしそれでもダメージは大きかった

 

 

ルーシィ「エルザが押されてる・・・」

 

グレイ「マジかよ」

 

ナツ「エルザのやつ手ェ抜いてんじゃねえか?」

 

ラクサス「いや エルザは全力でやってる ただツナの格闘が強すぎるだけだ 単純な魔法勝負ならエルザの勝ちだろうが格闘戦ならツナの方に分がある 恐らくあの武術に相当な修行を積んできたんだろう だが・・・」

 

 

 

綱吉(あの手順でやれないとは・・・)

 

 綱吉はエルザの動きに正直驚いていた

 

綱吉(アレも・・・いやこのまま押し切れる!)

 

 綱吉はエルザに突っ込み右ストレートを放つ 

 

 

  パァン‼︎

 

綱吉「⁉︎」

 

エルザ「あれだけ何発も食らったんだ いい加減慣れる」

 

 エルザは綱吉のストレートを掴んでいたのだ しかしただ受ければ自分の手が無事では済まない 

 

 ならばどうするか 打ち終わりを捕まえればいい

 

 エルザは上半身を退いて、ストレートが放たれて停止した瞬間を捕まえたのだ

 

エルザ「さて 今度はこっちからいくぞ」

 

 エルザは綱吉を引き寄せ、綱吉の頬に強烈な一撃を叩き込む

 

綱吉「がっ・・・」

 

 更に拳打を叩き込んでいく

 

綱吉「がっ・・・ぐっ・・うっ・・・」

 

 綱吉は一端距離を取り、口元を拭う 唇を切ったのか手の甲には血が付いていた

 

綱吉(まさか、俺の拳の速さを見切られるとは・・・迂闊だった)

 

 エルザが上手く反撃に転じたように見えたが、実際のところ両者のダメージはほとんど同じであった

 

綱吉(長引かせるとまずい・・・)

 

エルザ(限界も近いか・・・)

 

綱吉・エルザ((次で決めるっ!))

 

 両者は一気に近づき、綱吉は右腕を エルザは左腕を振り返り 相手の頬に叩き込んだ

 

綱吉「・・・」

 

エルザ「・・・」

 

 両者はそのまま動かず沈黙が流れる そして一方がフラつきながら後退し・・・倒れた

 

綱吉(ち・・ちく・・しょ・・う・・・)

 

 倒れたのは綱吉だった

 

マカロフ「それまで! 勝者 エルザ!」

 

 勝敗を分けたのはリーチの差 

 エルザと綱吉では身長差があった 身長が高いということはそれだけ手脚も長いということ 故にエルザの方が速く綱吉の顎に拳を叩き込むことが出来た 

 

 綱吉はエルザの方が速いと察して 顎を引き、歯を噛み締め、脳が揺れるのを最小限にしようとしたが、それでもなおエルザの一撃は重かった

 

エルザ(ギリギリの勝利だった もしツナが私と同じ身長ほどだったら いや、最初から魔法を上手く使うことか出来ていたら・・・)

 

 

 勝負がついたことで皆が2人の下にやってくる

 

ミラ「ツナ〜!」

 

 真っ先にやって来たのはミラだった ミラは気を失っている綱吉を抱き起こし声を掛ける

 

ミラ「ツナッ! しっかりして!」

 

綱吉「うぅ・・・ん・・・」

 

ミラ「ツナ 良かったぁ」

 

 ミラは綱吉が目を覚ましたことに安堵する

 

グレイ「しかし エルザにここまで食らいつくとはな」

 

ルーシィ「そうね 正直ここまでなるとは思ってなかったわ」

 

 皆が綱吉のことを称賛していた

 

ウェンディ「エルザさん 治療を」

 

エルザ「いや まずはツナを先にしてやってくれ」

 

 そう言われウェンディはミラに膝枕されてる綱吉に治癒魔法を掛けていく

 

綱吉「ありがとう ウェンディ」

 

ウェンディ「いえ 大丈夫ですっ」

 

 治療を受けながら綱吉はエルザとの戦いを思い出していた まだ慣れていない魔法ならまだ分かる だが自分の得意分野である格闘で負けたのだ ショックは隠せなかった そんな顔をしているとミラが心配そうに声を掛けて来た

 

ミラ「ツナ?」

 

 ミラの心配する顔を見て、自分を叱咤して気持ちを切り替える

 

綱吉「大丈夫だよ ミラ・・・・エルザ」

 

エルザ「ん?」

 

綱吉「次は負けない」

 

 エルザは綱吉の言葉を聞いて笑みを浮かべ

 

エルザ「ああ 私もお前との勝負楽しみにしているぞ」

 

 そんな2人の様子を見て

 

ナツ「だぁ〜! 納得いかねえ もう一回だツナッ! 俺ともう一回勝負しろっ!」

 

ミラ「駄目よ ナツ エルザが最後って言ったでしょ」

 

ナツ「くそぉ〜」

 

綱吉「なら明日にで」

 

ミラ「駄目よ」

 

 ミラは綱吉の言葉を遮り、提案を却下する

 

綱吉「えっ?」

 

ミラ「明日は大事をとって休養に専念しなきゃ」

 

綱吉「いや、でもこのくらいなら」

 

ミラ「いいから ねっ」

 

 ミラの心配する顔を見て負けてしまい

 

綱吉「・・・ああ 分かったよ 明日はゆっくりしてる」

 

 心配してくれる人がいる悪くない気分の綱吉だった

 

 

 

 そんな2人を見て皆んなは ごゆっくり〜と言わんばかりにギルドにさっさと戻っていった

 

 

数日後、今度は戦えなかった4人と模擬戦をやることになり、綱吉はまたまた魔法に驚いていた 特にグレイの造形魔法には大いに関心を持っていた

 

模擬戦ではナツとエルザに使わなかった脚技のムエタイを使ったことにより2人が抗議してきて、大変だったそうな

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11話

 エルザ達との模擬戦から月日が経ち

 

 綱吉は魔力のコントロールが大分出来るようになっていた 炎を使ってのホバリングや急加速、炎の放出する時の威力調整まで出来るようになっていた 

 

 魔法も使えるようになってからは綱吉は依頼達成に奔走していた ギルドの借金が無くなったとはいえ財政難に立たされていた その為綱吉は信頼と財政を回復するために多くの依頼を請けをっていた 

 

 それも魔物や盗賊の『退治』や『捕縛』だけでなく、要人や積み荷の『護衛』、植物や鉱石の『採取』、荷物の『運搬』、家や庭の『清掃』、子供達の『お世話』や『勉強』 あらゆる依頼をこなしていた

 

 どんな依頼でも嫌な顔せずにやり遂げるその仕事振りにマグノリアの人達からの信頼を早くも取り、老若男女問わず人気が出始めていた

 

 綱吉は依頼をやる上でただ達成する、速くやるのではなく どのようにしてやるか『過程』を大切にしていた また依頼人への気遣いも忘れず、その人柄ゆえか人気が出て特に子供と女性からの人気が高かった  

 子供達への対応もただ面倒を見るのではなく、叱るときもただ叱りつけるのではなく何がいけないのか、何故怒られたのかしっかり説明して優しく叱り 褒めるときも本当に笑顔で褒めて子供達を喜ばせ そういう対応が良かったらしく子供達からは兄のように慕われた

 女性からは普段の綱吉と死ぬ気モードの綱吉とのギャップが良いらしく、また優しく紳士的で見た目と裏腹に力持ちと女性達の目は釘付けだった 

 

 前にも期待の新人と聞きつけた週刊ソーサラーのジェイソンに撮影の依頼があった 本来ならそういった撮影などはやんわりと断りたかったのだが、自分に居場所をくれたギルドの為と割り切り引き受けた 無事撮影も終わり、週刊ソーサラーの発売日には多数の女性が列を作っていたその中にはミラもいたという ちなみにそれを知った綱吉は

 

綱吉「なんで買ったりなんかしたんだっ⁉︎」

 

ミラ「いいじゃないっ 欲しかったんだもの! それとも何か見られて困るものでもあるの?」

 

綱吉「ないっ 無いけど・・・」

 

ミラ「けど?」

 

綱吉「・・・恥ずかしいんだ」

 

 綱吉の答えにミラは微笑み

 

ミラ「もう ツナったら♪ そんなことで気にしてたの」

 

綱吉「〜っ やっぱりそれ捨てるっ」

 

 揶揄われたのが恥ずかしかったのか顔を赤くし、週ソラを奪おうとするも

 

ミラ「だから駄目って言ってるでしょッ!」

 

 ミラは週ソラを奪わせまいと右へ左へと動かしていた

 

 そんな2人の言い争いをみてギルドの皆は

 

皆(やれやれ お熱いことで)

 

 呆れていた

 

 

 問題児ばかりいる『妖精の尻尾』にとって常識人である綱吉の存在は余りに大きく、救世主のようであった 綱吉のお陰てギルドに信頼は回復傾向にあり依頼数も少しずつ増えて来ていた だが綱吉への指名依頼も出て来るようになってしまった 

 

 綱吉はせっかく自分を頼って依頼を頼んできたんですと 断わる理由もなく全て引き受けた 一件の依頼で数日帰って来ない時もあれば複数の依頼を一日で済ませてしまうときもあった ギルドの信頼や財政が回復するほど綱吉への指名依頼も増えていき、綱吉の負担は心身ともに大きくなっていった それでも綱吉は依頼達成為に努力した

 

 

 

 

 そんなある日

 

 ギルド 妖精に尻尾

 

綱吉「・・・ただいま〜」

 

ミラ「お帰りなさい ツナ」

 

 綱吉は疲労で眠いのか目が半開きになっていた

 

ミラ「ツナ 最近ちゃんと寝てる?」

 

綱吉「ん?・・・ん〜多分・・・」

 

 もうすでに寝ぼけ気味になっていた

 

ミラ「もう 寝るならちゃんとベッドで寝なきゃ駄目でしょ ほらっ」

 

綱吉「ん・・・」

 

 ミラは綱吉の手を引いて奥の部屋へと連れて行った

 

 

ルーシィ「最近、ツナ忙しそうね」

 

グレイ「疲れてるのが目に見えて分かるからな」

 

エルザ「ツナへの指名依頼が増えたのが原因だろう」

 

ナツ「お陰で全然ツナと戦えなくなっちまったけどなぁ」

 

ハッピー「あい」

 

ルーシィ「アンタは戦うことしか頭にないんかいッ!」

 

 

 エルザ達のテーブルから離れて別のテーブルでは

 

カナ「しっかしミラも可哀想だねぇ 愛しのツナと中々会えなくなっちゃって」

 

レビィ「しょうがないよ ツナへの依頼が増えて来ちゃったんだから」

 

ジュビア「でもあの2人あんなに仲良いのにまだ付き合ってないんですよね?」

 

リサーナ「うん まだどっちからも告白した訳じゃないから」

 

カナ「ああ〜 焦ったいねぇ」

 

レビィ「後もう一歩なんだけね」

 

ジュビア「恋ではその一歩がとても勇気のいる一歩なんですよ レビィさん」

 

リサーナ「でもミラ姉 ツナがいない時凄く寂しそうにしてるから なんとかならないかなぁ」

 

 そんな話しをしていたら

 

エルフマン「お〜い またツナへの指名依頼が来たぞ 今度はシェラザード劇団からだ」

 

エルザ「おお あの劇団からか 懐かしい」

 

ルーシィ「あまりいい記憶じゃないけど・・・」

 

エルフマン「ん? 今度はツナの他にもう1人と書いてある 男女ペアで来て欲しいそうだ」

 

カナ「ッ! 貸してッ!」

 

 カナはエルフマンから依頼書を奪いとると皆んなと依頼内容を読んだ 

 

リサーナ「ねえ これって」

 

レビィ「うん あの2人にぴったりの内容だよ」

 

ジュビア「最高のシチュエーションですね」

 

カナ「これだぁ!」

 

 

 

 綱吉はミラにベッドに横にさせられると、直ぐに眠りに入ってしまった 気持ち良さそうに寝る綱吉を見て

 

ミラ「久しぶりに会えたと思ったら寝る間も惜しんで、依頼をやってるなんて頑張り過ぎよ 馬鹿」

 

 そう言って綱吉の頬を指でツンツンと突っついた

 

ミラ「皆の為に頑張って 心配ばっかりかけさせて・・・今日はゆっくり休んでね 家に帰ったら美味しいもの作ってあげるから」

 

 そう言って綱吉の頭を撫でてから部屋を出て行った

 

 ちなみに綱吉は今、ミラ、エルフマン、リサーナの3人の家に居候している 最初はアパートでも借りようと思ったがその時は生憎金がなく、ならばお金が貯まるまでギルドを空き部屋をでもと思ったら、ミラが「なら家に来ればいいじゃない♪」と言って自分達の家に招待したのだ そして綱吉は屋根裏部屋を借りて生活をしている 

 いい加減お金も貯まったからアパートにでも引っ越そうかと思ってもミラがそれを許さず、綱吉も4人での生活に慣れてしまったのか満更でもない様子 

 

 こんな2人にも関わらず未だ付き合っていないのが現状である

 

 

 

 ミラが部屋から戻ってくるとカナ達が詰め寄ってきた

 

ミラ「ちょ、ちょっと皆んな どうしたの?」

 

リサーナ「ミラ姉 此れ此れ!」

 

 リサーナから渡された依頼書を読むと

 

ミラ「劇・・・男女ペアで・・・」

 

レビィ「そうだよミラ! この依頼ならツナと一緒に出来るんだよ!」

 

ジュビア「いつも寂しそうにしてたじゃないですか チャンスですよ」

 

ミラ「でも私、劇なんてやったことないし・・・上手く出来るかどうか・・・」

 

カナ「なぁに弱きになってんのよっ そんなのやる気でどうにかなるでしょうが」

 

 最初は戸惑っていたミラだったが皆の応援されやる気を出し

 

ミラ「分かったわ 皆 やってみるッ」

 

 

 ミラは綱吉と一緒に依頼をやることを決めたのだった

 

 

 




長くなってしまったので分けます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12話

 ミラの返事を聞いてカナ達は喜び

 

レビィ「やったね!」

 

リサーナ「うん あとは・・・」 

 

ジュビア「ツナさんですね」

 

カナ「ああ あいつの背中押してやんなきゃね」

 

 

 夕方

 

 綱吉はぐっすり眠れて、背伸びをしながら部屋から出て来た

 

綱吉「ああ〜 ゆっくり休めたっ  ん?」

 

 するとカナ達がやって来て綱吉のこと取り囲んだ

 

綱吉「えっ えっ  あ、あの 何か御用でしょうか?」

 

 突然のことに思わず敬語になる綱吉

 

カナ「あるに決まってんでしょっ」

 

 カナ達はことの経緯を説明した

 

綱吉「ええ〜っ!ミラと一緒にっ⁉︎」  

 

 起きて早々驚かされる綱吉

 

レビィ「そうだよ ミラと一緒に依頼をするの」

 

リサーナ「ツナだってミラ姉と一緒にいられて嬉しいでしょ」

 

綱吉「そ、それはそうだけど・・・」

 

ジュビア「ミラさん ツナさんに会えなくて寂しい思いをして来たんですよ」

 

綱吉「ミラが・・・」

 

カナ「いいかい ツナ あんたは依頼が終わったらミラに告白するんだよ」

 

綱吉「ええ〜っ⁉︎」

 

 本日二度目の驚き

 

カナ「いい加減ミラの気持ちも分かってんでしょっ ミラはあんたからの言葉を待ってるんだよ」

 

綱吉「俺の、言葉を・・・」

 

カナ「そうだよ 分かったらちゃんと言うんだよ」

 

綱吉「・・・ああ」

 

 綱吉は皆からの突然の提案に驚き、頭の中はパニックになりながらも帰路についた

 

 

 

ミラ達の家

 

 綱吉は家に着いて少し休んでからミラ達と一緒に食事をしていた

 

 綱吉はカナ達から言われた言葉が頭の中でグルグル回ってミラのことを考えていた

 

ミラ「ツナ どうかしたの?」

 

綱吉「えっ?」

 

ミラ「ぼっ〜としてたから」

 

綱吉「な、何でもないって! はははっ」

  

ミラ「そ、そう? ならいいけど」

 

綱吉「そ、そう言えばミラ 俺と一緒に依頼してくれるんだって?」

 

ミラ「ええ ツナの力になりたくて 駄目だったかしら・・・」

 

 ミラの不安そうな顔を見て

 

綱吉「そんなことないっ 凄く嬉しいよ!」

 

 綱吉の言葉にミラは顔を赤くして

 

ミラ「もう ツナったら そんな大きな声出さなくても聞こえるわよ」

 

綱吉「ご、ごめん」

 

 そんな2人のやりとりを見ていたエルフマンとリサーナは

 

エルフマン(ま〜た やってるよ)

 

リサーナ(ホントラブラブだよね これでまだ付き合ってないっていうのが不思議)

 

 呆れたり、不思議がっていた

 

 

 

 食事を終えた綱吉は部屋へ戻りミラへなんて言うか考えていた

 

綱吉「なんて言えばいいんだ? やはりシンプルに『好きだ』か?それとも『愛してる』か? う〜ん『一緒になろう』? ああ〜告白だなんて〜」

 

 頭を掻きむしりながら悩んでいた そしてミラはその頃あるもの作っていた

 

リサーナ「あれっ?ミラ姉まだ起きてたの?」

 

ミラ「うん ちょっとね」

 

リサーナ「何作ってるの?」

 

ミラ「ツナへの贈り物かしら」

 

リサーナ「ふ〜ん ほんとツナは幸せものだよね ミラ姉にここまで思われてるんだから」

 

ミラ「リサーナったら 何言ってるのよ」

 

リサーナ「ふふっ 私もう寝るけどミラ姉もほどほどにね」

 

ミラ「ええ 分かってるわ」

 

 ミラも眠りについた頃

 

綱吉「はっ⁉︎ プレゼント⁉︎ 何かプレゼントしながら告白した方が良いのか? 花束?ネックレス? そ、それとも ゆ・・・ああ〜〜」

 

 未だ悩んでいたのだった

 

 

 

 そしてシェラザード劇団に行く日

 

ミラ「それじゃあ行きましょうか」

 

綱吉「ああ」

 

 2人はシェラザード劇団に向けて出発したのだった

 

 

 2人は時間があったので道中の店々を見ながら劇団に向かっていた その時ある宝石店で展示されているネックレスにミラの目が止まった

 

綱吉「ん ミラ?」

 

ミラ「これ ツナと同じ綺麗な炎の色をしてるわ」

 

綱吉「ああ 此れはオレンジトパーズっていう宝石だね」

 

ミラ「えっ 自然にこういう色が出来るの?」

 

綱吉「うん そうだよ」

 

ミラ「へえ〜」

 

 ミラはオレンジトパーズのネックレスに見惚れていた

 

綱吉(ミラ 欲しそうだな  値段は・・・ッ!?)

 

 綱吉はミラにプレゼントしようかと思ったが値段を見てギョッとした

 

綱吉(い、いや 買えない値段じゃない ミラ為だ)

 

 ミラは綱吉の様子を察して

 

ミラ「さあ ツナ いつまでも此処にいる訳にもいかないし、そろそろ行きましょう」

 

綱吉「えっ でも」

 

ミラ「いいからいいから♪ さっ 行きましょっ」

 

 そう言って綱吉の手を引いて歩いて行った

 

綱吉(くぅ〜 気を遣われるなんて 情けない)

 

 

 

 綱吉達は劇団にたどり着き、団長のラビアンに挨拶をしていた

 

ラビアン「これはこれは ツナヨシさんだけでなく、ミラさんにまで来ていただけるとは ありがとうございますっ ありがとうございますっ」

 

綱吉「ええ こちらこそよろしくお願いします(中々個性的な人だな)

 

 

 2人のやる劇の内容は悲しく切ない恋の物語

 

 2人はそれぞれ主人公とヒロインをやることになった ミラも綱吉も初めてやる役者に最初は上手く演技が出来てなかったが、必死に練習したことで何とか本番当日まで形はなった

 

 最初台本を見た時は驚いた まさかキスシーンがあるとは・・・

 

綱吉「えっ キ、キスシーン⁉︎」

 

ミラ「そんなッ 恥ずかしいわ」

 

 しかし ラビアンさんになんとかと頼まれやることにした

 

 

 本番の日 2人はお互いの衣装を見て赤くしていた

 

ミラ「ツナ とってもかっこいいわよ」

 

綱吉「そんな ミラのドレス姿だって綺麗だよ」

 

 2人は本番の日でもいつも通りだった

 

 ツナとミラが劇をやると聞いて劇場には多くの客が来てくれて、満員御礼だった

 

 ツナとミラの演技力は凄まじく観客は見入っていた 2人の語り合うシーン、ダンスするシーン、特に振りだが口付けするシーンは黄色い悲鳴を上げていた そして最後の主人公が死んでヒロインが涙を流すシーンは凄かった

 

 劇は無事終わり 拍手喝采だった あまりの反響に劇を延長するほどの人気が出てしまった

 

 

 2人は劇を終えて、帰ってる道中

 

綱吉「ほんと 凄い人気だったな」

 

ミラ「そうね だけど私は嫌だなぁ」

 

綱吉「えっ?」

 

ミラ「だって 物語とはいえあの2人は結ばれなかったんでしょ・・・」

 

 ミラは悲しそうな顔をしながらそう言った

 

綱吉「ミラ・・・」

 

ミラ「やっぱり 皆幸せのハッピーエンドじゃなきゃ」

 

 彼女の夕陽に照らされた笑顔を見て改めて思った

 

 俺は・・・彼女のことが 好きなんだ

 

 

綱吉「ああ そうだな」

 

 

 

ミラ「ねえ ツナ?」

 

綱吉「ん?」

 

ミラ「もし もしね この先凄い悪い人と戦うことになったとしても命を奪わないで欲しいの」

 

綱吉「えっ」

 

ミラ「この世界には貴方を傷つける人はいないの  だからもう貴方に人殺しなんてして欲しくないの」

 

綱吉「ミラ・・・」

 

 この時ミラは嘘をついた 白蘭のことを言わなかった いや言えなかったのだ 言えば必ず彼は鬼となり白蘭を探しに行ってしまう 鬼になって欲しくなかった 自分の元を去って欲しくなかった

 

 愛してるが故にミラは嘘をついたのだ ミラ自身もそんな自分を嫌悪していた 

 

 ミラは暗い気持ちを悟られぬよう

 

ミラ「そうだっ ツナにプレゼントがあるの!」

 

綱吉「プレゼント?」

 

 ミラから渡された箱を開けると布製の紐で作られたブレスレットが入っていた

 

ミラ「あんまり 上手に出来てないんだけど・・・」

 

綱吉「態々作ってくれたのか? 俺のために」

 

ミラ「だってせっかく2人での依頼でしょ それにツナ いつも頑張り過ぎちゃうから・・・御守りよ 私が側に居なくても此れを見て思い出してね」

 

 そう言ってミラは俺の右手にブレスレットを付けてくれた

 

綱吉「・・・ミラ ありがとう  俺はもう誰の命も奪わない 約束するよ」

 

ミラ「ツナ ありがとう」

 

綱吉「それから 俺もミラにプレゼントがあるんだ 受け取ってくれ」

 

ミラ「えっ? これって・・・」

 

 受け取った箱を開けると中にはあのオレンジトパーズのネックレスが入っていた

 

綱吉「欲しかったんだろ そのネックレス」

 

ミラ「え、ええ そうだけど いつの間に? それに此れ結構高かったじゃない」

 

綱吉「休憩の間に急いで買って来たんだ それにお金のことは気にしなくていい こう見えてもそれなりにお金持ってるから」

 

ミラ「ツナ・・・」

 

 ミラは綱吉からのプレゼントに涙目になっていた

 

綱吉「ミラ つけさせてもらってもいいかな?」  

 

ミラ「ええ お願い」

 

 ミラは後ろ向きになり髪をあげ、綱吉はミラにネックレスをつけた

 

綱吉「もう いいよ」

 

 ミラは綱吉の方に向き直った

 

ミラ「どうかしら?」

 

綱吉「うん とても綺麗だ  プレゼントして本当に良かったよ」

 

ミラ「ツナ ありがとう 本当にありがとう  私 これ大切にするね」

 

綱吉「俺の方こそ このブレスレット大切するよ」

 

 

 綱吉は真剣な顔をして

 

綱吉「ミラ・・・」

 

ミラ「何?」

 

綱吉「俺は・・・ミラのことが好きだっ 付き合って欲しい!」

 

 綱吉の告白に暫しの沈黙が流れ、そしてミラの目から涙が流れる

 

綱吉「えっ ミ、ミラ⁉︎」

 

ミラ「ち、違うのっ 此れは 嬉しくてっ  涙が止まらなくて」

 

 そんなミラを綱吉は優しく抱きしめ

 

 俺は彼女のことを 笑顔を守る  例え何があろうとも どんなことがあろうとも 必ず守ってみせる

 

 そう自身に誓ったのだった

 

 

 

 2人は互いに見つめ合い そして口づけをした

 

 

 

 2人が手を繋いで帰るとき 手は恋人繋ぎになっていた

 

 その手を離さぬよう 離れぬように

 

 

 

たしかに今までと大差はあまりないかもしれない だが2人の中で大きな変化があったのは間違いない 

 

2人は終始笑顔のままギルドに帰っていった

 

 

 

 

 

 

 フィオーレ王国のとある街

 

 「おい 知ってるか? 最近『妖精の尻尾』が凄いらしいぞ」

 

 「あの『妖精の尻尾』がか?」

 

 「ああ 主力メンバーが帰って来て、更に凄い新人が入ったらしい」

 

  「へぇ〜 どんな奴なんだ?」

 

  「炎魔法に武術を使うらしくてな 頭も切れるらしい  確か名前は ツナヨシ・サワダ って名前だ」

 

 

 その名前が出て通り過ぎようとしていた青年の足が止まり、会話をしていた人達の方を振り返り、不敵に笑みを浮かべる

 

?「へぇ 『妖精の尻尾』、ねえ  ふ〜ん」

 

 青年は再び歩き始め群衆の中へと消えていった

 

 

 

白い悪魔は確実に大空の少年へと近づいてきていた

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大魔闘演舞篇
13話


 綱吉とミラが付き合うことはギルドの皆に隠すことなく公表した

 ほとんどの人が祝福してくれたが、中には両膝をつく者、血涙を流す者もいたと言う

 

 綱吉とミラが付き合ってから数日後、ミラからある大会のことを聞かされる

 

綱吉「大魔闘演舞?」

 

ミラ「そう 魔道士達によるフィオーレ1のギルドを決める大会よ」

 

綱吉「へぇ そんな大会があるんだ」

 

 

 どうやらその大会は単純な戦って勝つという簡単なものではなく様々な競技をやるらしい 更に今では『剣咬の虎』というギルドが最強になっている 7年前までは『妖精の尻尾』が最強だったのだが、主力メンバーが居なくなったことで一気に弱くなったようだ よく分からないが7年間眠っていたらしく実力も7年前のままらしい

 

綱吉「あれで、ストップしてる状態か・・・」

 

 綱吉はナツとの2度目の模擬戦を思い出していた 

 ナツは綱吉と模擬戦でモード『雷炎竜』になり綱吉の腹に『雷炎竜の撃鉄』を叩き込んでしまった 綱吉は突然の属性の変化に驚き、反応が遅れてしまいモロに食らって気を失ってしまった 

 

 ちなみに目を覚ました綱吉にボロボロになったナツが謝罪してきた 一体何があったのか?と聞いても頑なに教えてくれなかったそうな

 

 

 

 ナツ達は再びフィオーレ1に返り咲くために大魔闘演舞の開催までの3か月修行するみたいだ

 

綱吉「ナツ達は海か ラクサス達やガジル達もそれぞれ違う場所に さて俺は何処に行こうか」

 

ミラ「何言ってるの ツナも私達と一緒に行くのよ」

 

綱吉「えっ いいの?」

 

ミラ「当たり前でしょ だって私達・・・もうっ」

 

 そう言ってミラは顔を赤くしながら軽く押してくる

 

綱吉「ミラ ありがとう」

 

 

エルフマン「・・・あの2人修行でもあんな感じなのか」

 

リサーナ「・・・そうなんじゃない」

 

カナ「まあ 諦めるしかないね」

 エルフマンとリサーナ、カナは綱吉とミラの雰囲気を見て少々不安になっていた

 

綱吉「あっそうだ!」

 

ミラ「どうしたの?」

 

綱吉「指名依頼して来た人達に3ヶ月いないから仕事出来ないこと伝えておかないと」

 

 そう言って綱吉は通信用ラクリマで1人1人に丁寧に断りの連絡をしていった

 

リサーナ「ツナってマメだね〜」

 

カナ「ああいう細かいこと出来る奴ウチには少ないからね ん?」

 

 ふとカナが隣をみると

 

マカロフ「ホント彼奴が来てくれて助かったわい ウチは問題児ばかりで うっ うっ ツナのお陰で大助かりじゃあああ うぉおおおお」

 

 号泣していた

 

カナ「このジジイは」

 

 

 

綱吉「それでミラ達はどこに修行に行くんだ?」

 

ミラ「この辺りよ」

 

 そう言って地図のある場所を指差す

 

綱吉「山か・・・」

 

ミラ「ええ 山で修行をするわ」

 

綱吉「寝泊まりはどうする?」

 

リサーナ「安心してちゃんとコテージをとってあるから」

 

綱吉「なら後は準備するだけだね」

 

 綱吉達は一旦家に戻り、色々準備を整えて再びギルドの前に集まった

 

綱吉「では マスター 行ってきます」

 

マカロフ「うむ 安心して行ってくるが良い」

 

 マカロフは綱吉達を見送っていった

 

 

 

 綱吉達が修行に出発してから数日後ある青年がギルドに訪れてきた

 

キナナ「何か ご依頼でしょうか?」

 

青年「ああ 違うんだ ツナヨシ・サワダって人に会いに来たんだけど、見当たらなくて 出かけてるのかな?」

 

キナナ「すみません ツナは今修行に出ていまして、3か月は戻って来ないんです」

 

青年「修行・・・でも3か月って結構長いようだけど」

 

キナナ「はい 3か月後に開かれる大魔闘演舞に優勝する為に修行すると」

 

青年「ふーん 大魔闘演舞ね   ならしょうがないか」

 

キナナ「あの何か ツナに何か伝えておきましょうか?」

 

青年「うーん そうだなぁ なら『君との再会を楽しみにしてる』って伝えておいて」

 

キナナ「分かりました 態々来てもらったのにすみません」

 

青年「いや良いよ こっちこそありがとね お姉さん」

 

 そう言って青年はギルドから出ていった

 

 

ラキ「ちょっとキナナっ あんなイケメンと話せるなんて羨ましいじゃないっ」

 

キナナ「う、うん」

 

ラキ「どうかしたの?」

 

キナナ「な、何かね あの人と話してる時寒気を感じたの・・・今はもう大丈夫なんだけど」

 

 ラキとキナナは青年が出て行った扉を見ていた

 

 

キナナ「あっ⁉︎」

 

ラキ「どうしたの⁉︎」

 

キナナ「名前聞くの忘れちゃった・・・」

 

ラキ「アンタねえ・・・」

 

キナナ「で、でも大丈夫よっ 長身で白髪、左目の下に3本の剣のマークが入った人って言えばツナだって分かるよ」

 

ラキ「まあ そこまで言えば分かるでしょうよ(でも 一体何者だったのかしら)

 

 この人物が後にツナの宿敵である『白蘭』と知るのはまだ先ことである 

 

 ミラはギルドの皆にツナのことを説明する時白蘭のことも話したが、白蘭の特徴を話すのを忘れてしまった それによってギルドに残っていたメンバーは気づかなかったのだ

 

 

 

白蘭「あ〜あ せっかく来たのに行き違いになっちゃった でもまあ 強くなって帰って来るって言うし我慢するか」

 

 白蘭は不敵な笑みを浮かべながら

 

白蘭「でもどうせ修行するならとびきり強くなって来てね せっかく闘いに来たのにお預けされちゃったんだからさ」

 

 この時白蘭の殺気が抑えきれず僅かに漏れ、通行人達は皆寒気を感じ、鳥や野良犬、野良猫はその場から離れて行った

 

白蘭「あっ いけないいけない」

 

 白蘭はこの場の状況に気づいて殺気を抑える 通行人達も寒気を感じなくなったので普通に歩き出した

 

白蘭「さてと 大魔闘演舞まで3か月  う〜ん 各地の美味いもの巡りでもしようかな」

 

 白蘭は綱吉との再会を楽しみにしながら時間潰しをするのだった

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14話

 綱吉達はコテージに荷物を置いてから修行場へと向かった

 

綱吉「俺、最初は炎の修行したいから、川の近くでやるよ」

 

ミラ「ええ 分かったわ 気をつけてね」

 

綱吉「分かってるって」

 

 そう言って綱吉は川の方へと走っていった

 

ミラ「はあ 」

 

カナ「なぁに ため息ついてのよっ」

 

ミラ「きゃっ カ、カナ びっくりするじゃない」

 

カナ「ツナと一緒に修行出来なくて残念なのは分かるけど、そんなんじゃ修行に身が入らないよ」

 

ミラ「もう 分かってるわよっ さっ修行修行」

 

 ミラはそう言ってエルフマンとリサーナの手を引いていった

 

カナ「やれやれ」

 

 

 4人が修行を開始した頃 綱吉もまた川辺に着いていた

 

綱吉「近くに川があって助かった 流石に森の中で炎を使う訳にはいかないからな」

 

 川岸は岩や石がある砂利で燃えるような草木は近くになく、更にその場所自体も周りと比べると低い場所にある為炎の修行には持ってこいだった

 

 ふと上流を見ると滝が見えた

 

綱吉「滝か 滝行もいいかもな  さて 始めるか」

 

 綱吉は死ぬ気モードになり両手に炎を灯す

 

綱吉(集中しろ イメージ・・・イメージ・・・)

 

 綱吉が両手を近く持っていき集中すると、揺らめいていた炎が何かの形に変わっていき鳥の形になった 炎の鳥は綱吉の周りを飛び始める

 

綱吉「良しっ(ちゃんと操作も出来てる)」

 

 綱吉は戦闘のバリエーションを増やす為に考えたのが、以前模擬戦をしたグレイの氷の『造形魔法』だった 炎の放出の強弱は出来るようになった しかし直線的過ぎて躱されやすい

 

 自分の戦闘のメインは格闘戦、それは分かっている ボクシングにムエタイそれを磨くことはもちろんだとして 『何か』いる 相手の動きを抑制する『何か』が  綱吉にとってそれが『造形魔法』だったのだ

 

 多種多様に変化する『造形魔法』これを扱えるようになれば、自分は大きく成長出来るとそう思ったのだ

 

綱吉「良しっ 次は数を増やして」

 

 綱吉は次に鳥を4羽に増やし、それぞれを違う動きで操作して見せた

 

 グレイとの模擬戦以降『造形魔法』に興味を持ち、グレイや『蛇姫の鱗』のリオンに造形魔法について教わり密かに特訓していた

 

綱吉「良し、いいぞいいぞ  次は」

 

 こうして綱吉は夢中になって特訓していった

 

 

 

ミラ「もう日が暮れるし、今日はここまでにしましょう」

 

 ミラ以外3人共疲れ切っていた

 

リサーナ「賛成〜」

 

エルフマン「ゼェ・・・ゼェ・・・ゼェ・・・」

 

カナ「アンタ・・・漢なんだからもう少し、続けたら」

 

エルフマン「いや・・・漢にも・・休息は・・・必要・・・」

 

カナ「そう言うところはちゃっかりしてんのね」

 

ミラ「それじゃ私 ツナのこと呼んでくるから 皆は先に戻っててね」

 

 3人は疲労でボロボロな身体を引きずりながらコテージへと歩いていった

 

リサーナ「初日からこれってハード過ぎるんですけど・・・」

 

カナ「我慢しな 明日にはきっとツナが来る そうすればミラも少しは甘くなるはずさ」

 

リサーナ「本当?」

 

カナ「・・・多分」

 

リサーナ「そこは自身持って答えてよぉ」

 

エルフマン「いや、逆の可能性もある」

 

カナ・リサーナ「「えっ?」」

 

エルフマン「ツナがいることによって、張り切ってやりすぎてしまう可能性だ」

 

カナ・リサーナ「「はっ・・・」」

 

 3人は明日どうなるか不安になりながらコテージにたどり着いた

 

 

ミラ「確か川はこの辺に・・・あっ いたいた! ツナ〜! えっ?」

 

 ミラは川岸にいる綱吉を見つけ声をかけて驚いた ミラが見たのは綱吉の周りに炎の鳥や獣がいたから

 

 綱吉の周りには鳥獣達が数十種類いて、それらは全て異なる動きをしていた 一頭(一羽)で動いているのもいれば、二頭一組で動いているのもいる また数頭の群れで動いているのもいる  鳥獣の種類も鳥は小さな雀から大型の鷲まで、獣も鼠から熊や獅子までいた

 

 ミラはその光景に見惚れていた 美しい炎、リアルな動き、ミラの目には野生の動物達が本当に綱吉の言うこと聞いているように見えていたのだ

 

綱吉「ん? ミラ どうしたんだ?」

 

ミラ「え、ええ もう夕方だから呼びに来たの」

 

綱吉「ああ もうそんな時間か なら今日はここまでかな」

 

 綱吉は右手を翳すと炎の鳥獣達は消えていった

 

ミラ「あっ・・・」

 

 綺麗な炎の鳥獣達が消えたことについ声が出てしまった

 

 綱吉はそんなミラの気持ちを察したのか

 

綱吉「大丈夫 いつでも見せてあげるから」

 

ミラ「ツナ 約束よ」

 

綱吉「うん 約束」

 

 2人はそんな話しをしながらコテージに向かっていった

 

 食事をしてシャワーを浴びて後は寝るだけになったのだが、このコテージは2人一部屋の様で部屋にベッドが二つ その部屋が3つある

 

綱吉「部屋分けだけど」

 

ミラ「ツナは私と一緒でいいわ」

 

皆「「「「えっ⁉︎」」」」

 

ミラ「だって恋人同士でしょう なら一緒部屋でも問題ないわ」

 

綱吉「い、いや だけど」

 

ミラ「ツナは私と一緒じゃいやなの?」

 

 綱吉はすかさずミラの手を取って

 

綱吉「そんなことない 一緒の部屋にしよう」

 

カナ・リサーナ(駄目だこりゃ)

 

ミラ「それじゃあ 後は」

 

カナ「ならあたしはリサーナと一緒の部屋で」

 

リサーナ「うん よろしくね」

 

エルフマン「えっ」

 

 トントン拍子に決まっていくことに驚いてしまうエルフマン

 

カナ「良かったじゃないかエルフマン 1人部屋なんて」

 

エルフマン「い、いや 確かに1人部屋だけどよ・・・」

 

ミラ「それじゃ明日も早いから、しっかり休んでおくこと いいわね」

 

リサーナ「は〜い それじゃおやすみなさーい」

 

カナ「おやすみー」

 

ミラ「おやすみ」

 

綱吉「お、おやすみー」

 

 皆が自室に入って行く中、1人ポツンと残ったエルフマン

 

エルフマン「・・・もう 寝よう」

 

 彼は考えることをやめた 

 

 

 こうして修行1日目が終了した

 

 

次の日

 

 綱吉は早朝、皆が目覚めるより早く起きて外に出た

 

綱吉「丁度いい山があった 良しッ」 

 

 綱吉は走る態勢をとると、一気にダッシュした 目指すのは反対側の麓 コースはまず山の頂上を目指しそこから麓へ降る、そしてまた頂上を目指して帰ってくるという大自然のマラソンである

 

 マラソンを終え帰ってくるとミラが起きていた

 

ミラ「ツナ 一体どこに行ってたの? 目が覚めたらもう居なかったし」

 

綱吉「ああ マラソンに行ってたんだよ」

 

ミラ「せめて一声かけて言ってね 不安になっちゃったんだから」

 

綱吉「ごめん せっかく寝てるのに起こすのもなぁと思って 次からはちゃんと紙に書いていくから」

 

 2人がそんな話しをしていると皆が起きてきた 綱吉はシャワーを浴びるため一旦その場から離れた

 

 朝食をとり2日目の修行に取り掛かる

 

ミラ「今日はツナも私達と一緒にやるの?」

 

綱吉「ああ 格闘技や試してみたい技もあるし」

 

ミラ「そう 良かった」

 

リサーナ「ミラ姉 ツナと一緒やれるから嬉しそうだね」

 

カナ「果たしてこれが吉と出るか凶と出るか」

 

 

 修行場に着くと綱吉は死ぬ気モードになり、近くにあった大きめの岩の前に立つ

 

綱吉「これくらいでいいかな」

 

 綱吉は両手を前にして

 

綱吉『死ぬ気の零地点突破・初代エディション!!』

 

皆「「「「ッ⁉︎」」」」

 

 すると岩は一瞬にして氷漬けになってしまった

 

リサーナ「岩が凍っちゃった」

 

エルフマン「アイツ 氷魔法まで使えたのかよ」

 

 皆が驚いている中、綱吉はその氷を見てどこか納得していない様子で、右腕を振りかぶりその氷を砕き割った その砕かれた氷をみて綱吉はがっかりしていた

 

綱吉「・・・・・」

 

ミラ「ツナ どうかしたの?」

 

綱吉「こんなものじゃない・・・」

 

ミラ「えっ」

 

綱吉「初代エディションの凍結の力はもっと凄かった あれくらいの力で砕けるようなものじゃない」

 

リサーナ「あれで弱いって・・・」

 

カナ「向こうにいた時どんだけ強かったのよ」

 

綱吉「(やはり魔力に変わってしまった影響なのか・・・それに死ぬ気の炎の特性の『調和』の力が全く使えなくなってしまった・・・)それに大分燃費も悪くなってる 結構魔力、体力を使ったのにこれじゃ割りに合わない 使い所を見極めなければ一気に不利になるな」

 

 綱吉は冷静に今の自分の力を分析していた

 

綱吉「さて 確認はもう済んだし、修行に入ろうか」

 

ミラ「そうね」

 

綱吉「そう言えば、ミラの魔法ってどんなのなんだ?」

 

 綱吉の問いにミラは固まってしまう

 

ミラ「えっ」

 

綱吉「ミラの魔法 まだ見たことなかったからさ 見て見たいんだけど」

 

ミラ(いずれ見せなきゃいけないと分かっていたけど・・・)

 

 ミラの必死に考え込む姿に

 

綱吉「な、なぁ ミラ 何も無理して見せてくれなくても」

 

ミラ「いいえ!大丈夫よっ!」

 

 ミラは覚悟を決めて、姿を変えていく

 

綱吉(エルフマンみたいに姿が変わっていく)

 

ミラ「・・・これが私の魔法 サタンソウルよ」

 

綱吉「サタン・・・悪魔か」

 

ミラ「ええ 悪魔の力をテイクオーバーしたの・・・貴方に嫌われたくなくて今まで見せなかったの ごめんなさい・・・この姿、怖いでしょ」

 

 ミラは悲しい顔をしながら綱吉に言う

 

綱吉「嫌いになる? 怖い? そんなことない」

 

ミラ「えっ」

 

綱吉「俺がミラを好きになったのは、俺を思ってくれたその優しさなんだ 見た目なんかじゃないっ その優しさのおかげて俺は救われたんだっ!」

 

 綱吉はミラの自虐に怒って、興奮してしまい次から次へと言葉が出てくる 綱吉の言葉にミラも戸惑ってしまい、サタンソウルを解いてしまう

 

ミラ「ちょ、ちょっと ツナ?」

 

綱吉「俺にとってミラは太陽と同じなんだ 俺の真っ暗だった心の闇を暖かな光で照らしてくれたっ そんなミラのことを見た目の有無で嫌いになる?怖がる?あるわけないだろう!」

 

 綱吉の改めての告白にミラは顔を真っ赤にして震えてしまう

 

ミラ「〜〜っ」

 

リサーナ(わ〜っ ツナったらっ!)

 

カナ(よくもまぁ 声を大にして言えたもんだね)

 

エルフマン(ツナ 恥ずかしがらずに 漢だっ!)

 

 

綱吉「姿が変わろうとミラはミラだ 悪魔の姿だろうと人の姿だろうと関係ない 俺はミラのことが好きなんだ! 俺は心からミラのことを愛しモガッ」

 

ミラ「〜っもういいからっ!」

 

 ミラは恥ずかしさの余り、綱吉の口を塞いでしまった

 

ミラ「私が悪かったからっ もう充分ツナの気持ちは伝わったからっ!」

 

綱吉「そ、そっか」

 

ミラ「ハァ ハァ きょ、今日は各自、個人修行にしましょ 私はあっちの方でやってくるからっ」

 

 そう言ってミラは走って行ってしまった

 

カナ「(そりゃあ 真剣な顔してあれだけ言われりゃあねぇ)ならあたしは向こうで」

 

リサーナ「じゃあ私はこっちの方」

 

エルフマン「俺は向こうでやるか」

 

 皆がそれぞれバラバラに移動して、綱吉1人がその場に残った そして皆の前で言ったことを今更恥ずかしくなってきただった

 

綱吉「(俺は皆の前でなんてことをっ)ああ〜っ!!」

 

 恥ずかしさからの叫びは皆にも聞こえて

 

カナ(漸く自分の言ったことに気づいたか)

 

リサーナ「お、雄叫び⁉︎」

 

エルフマン「雄叫びとは気合いが入ってるなぁ 負けてられんっ 漢ぉ〜!!」

 

 

綱吉「(落ち着け俺っ もう時間は巻き戻らん! 切り替えろっ)修行に集中するんだ!」

 

 綱吉はファイティング・ポーズをとり、頭の中で敵を思い浮かべ、それを相手にボクシングやムエタイの練習をした

 

 ちなみにミラは綱吉から告白により、恥ずかしさから練習どころではなかった

 

 

その日の夜

 

 綱吉とミラは顔を合わせ難くなって、話しも続かなかった そして2人はベッドに入って寝るだけになってから

 

 ミラは怒っているのか、恥ずかしいのか反対側を向いて寝ている

 

綱吉「なぁ ミラ 起きてる?」

 

ミラ「いいえ 寝てるわ」

 

綱吉「(起きてるじゃん・・・)昼間のことは悪かったよ・・・」

 

 ミラはこちらに向き直り

 

ミラ「ホントよっ 凄く恥ずかしかったんだからっ」

 

綱吉「だから ごめん・・・」

 

ミラ「許してあげない」

 

綱吉「うっ どうしたら許してくれる?」

 

 ミラは恥ずかしがりながら

 

ミラ「・・・これから先も私のことを愛してくれたら 許してあげる」

 

 ミラの言葉に綱吉は上体を起こして笑顔ではっきりと

 

綱吉「ああ 約束するよっ 俺は生涯ミラしか愛さない! 必ず幸せにしてみせヘブッ」

 

 綱吉の顔に枕が飛んできた

 

ミラ「だからそう言うところなんだってばっ!」

 

 

 こうして2日目も色々あったが平和に終わった 

 

 その後も時には滝行を

 

リサーナ「滝に打たれるのってなんの意味があるのかな?」

 

ミラ「ツナが言うには精神統一にいいらしいわよ」

 

エルフマン「ならば 漢として 俺もやるべきっ!」

 

 しかし

 

エルフマン「ぬおおおおぉぉぉぉ ゴボゴボゴボ・・・」

  

 エルフマンは水圧に押され沈んでいく

 

綱吉「ヨイショっと」

 

 隣りでやっていた綱吉によって滝の外へ引っ張られる

 

エルフマン「ブハッ⁉︎」

 

綱吉「気をつけてね この滝、結構水圧凄いから」

 

エルフマン「いや 先に言えよっ⁉︎」

 

 

 時には座禅を

 

カナ「あれ寝てるんじゃないの?」

 

リサーナ「鳥が留まっても全然反応しないし」

 

ミラ「あれも精神鍛練の一つで、自然と一体となることで声や呼吸が聞こえるだって」

 

リサーナ「声?」

 

ミラ「そっ 木や花、石 川や風までの声とか呼吸が聞こえるだって」

 

リサーナ「石や川に呼吸なんてあるの?」

 

ミラ「分からないけど、ツナがそう言ってたから」

 

エルフマン「ならば試してみれば分かること!」

 

しかし

 

エルフマン「ぬぬぬ・・・ああああ! 全く聞こえんッ!!」

 

リサーナ(やっぱり・・・)

 

カナ(アイツにこういうの向かないでしょ)

 

 

 綱吉は目を閉じたまま、優しい口調で

 

綱吉「エルフマン そんな荒っぽくしたんじゃ聞こえるもの聞こえないよ 聞こう聞こうと意識をそっちに傾けちゃうから心が乱れちゃうんだ 心を穏やかに静かににしてやってみて 呼吸は聞くものじゃない聞こえてくるもの さあ もう一度やってみて」

 

エルフマン「お、おう 分かった」

 

カナ「なんかツナって」

 

リサーナ「うん 見た目の割に大人だよね」

 

ミラ「ツナ・・・(いつもと違うツナ かっこいい)」

 

 

 時には他の4人に体術の指南を

 

綱吉「じゃあ 受け身からやってみようか」

 

 4人は綱吉にポンポンと投げられたり転ばされたりする

 

綱吉「遅い! 倒されてから起き上がるまでかかり過ぎる!」

 

 受け身の練習が終わる頃4人は土だらけだった 他にも相手の技の躱し方、捌き方、受け流し方また動体視力や反射神経を鍛えたりした

 

リサーナ「ハァ・・・ハァ・・・ツナもああ見えて・・・結構スパルタ・・・なんだね」

 

カナ「甘く、みて・・たね」

 

エルフマン「ゼェ・・・ゼェ・・・ゼェ・・・」

 

カナ(もはや喋る元気すらないか・・・)

 

ミラ「新しい発見があって面白いわっ!」

 

 3人は疲弊しきっていたが、ミラはまだ元気だった

 

綱吉「さて次にやるのは」

 

リサーナ「まだあるのっ⁉︎」

 

綱吉「次で最後だから それにそんな危ないものでもないし さっ 頑張って」

 

 3人は何とか立ち上がる

 

綱吉「さて最後に教えるのは呼吸法だよ」

 

ミラ「呼吸?」

 

カナ「呼吸なんていつもやってるじゃないか」

 

 皆、呼吸と聞いて拍子抜けしていた

 

綱吉「呼吸法を甘くみちゃいけないよ 実際俺のいた世界では格闘家だけでなくスポーツ選手や音楽家の人達もやってたからね」

 

ミラ「呼吸って大切なのね」

 

綱吉「ああ 呼吸は平常心と集中力を高めてくれるし、高めた集中力は自分の力を最大に引き出してくれる」

 

皆「「「「へぇ〜」」」」

 

綱吉「逆を言えば呼吸のリズムが乱れれば自分の力を発揮出来ない だから戦っている時でも呼吸を大切するんだよ」

 

リサーナ「戦っている時でもかぁ 難しいね」

 

綱吉「修行期間はまだまだあるし、最初は意識してやるのに疲れるかもしれないけど、慣れてくれば自然と出来るから  さっ やってみよ」

 

 4人は足を肩幅に開いて呼吸していく

 

綱吉「最初は一定の間隔で深呼吸するんだ 徐々にその間隔を狭めていくからね」

 

 

 

 3か月の修行はあっという間に過ぎていき

 

綱吉「そろそろ帰る頃かな 3か月の修行期間、随分実りのあるものだったな(それに・・・)」

 

 綱吉はミラを見て微笑む

 

ミラ「ん? なぁに ツナ?」

 

綱吉「いや ミラへの思いを改めて言えて良かったなぁって」

 

ミラ「もうっ どうしてそんなに堂々とっ 怒るわよっツナ!」

 

綱吉「ご、ごめんて〜」

 

ミラ「こらっ 待ちなさ〜い!」

 

 逃げていく綱吉をミラは追いかけていく

 

リサーナ「ちょっと 2人共〜」

 

エルフマン「走って帰るとは漢だっ! 俺も続くぞ! うおおおお〜!!」

 

 2人を追ってエルフマンも走り出す

 

リサーナ「えっ えっ 何この流れっ⁉︎」

 

カナ「ほらっ あたしらもいくよ!」

 

リサーナ「そ、そんな〜 のんびり帰ろうよ〜」

 

 カナとリサーナも走り出した

 

 

 

こうして最後までドタバタした修行期間は終了を迎えた

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15話

 なんだかんだありつつもギルドにたどり着いた綱吉一行

 

綱吉「ただ今戻りました」

 

マカロフ「うむ よう戻った」

 

ラクサス「よう ツナちゃんと強くなってきたんだろうな?」

 

綱吉「ラクサス もちろんっ 今度は前にみたいにボロボロにやられたりしないさ」

 

 綱吉の自身満々な返事にラクサスは楽しそうに笑う

 

ラクサス「ふっ そりゃあ楽しみだ」

 

フリード「言っておくが、ラクサスはお前より更に強くなっているからなっ」

 

綱吉「(何故フリードが張り合うんだろう・・・)ところでナツ達は?」

 

マカロフ「ナツ達ならば先にお前たちより帰って来ての もう大魔闘演舞が行われるクロッカスへ出発したんじゃ それと主らには悪いが大魔闘演舞に出場するメンバーも決めてしまっての」

 

エルフマン「なにぃっ⁉︎ 悪すぎだろっ! もう少し待っとけよマスター!!」

 

 エルフマンはマカロフに鬼の形相で迫る

 

マカロフ「しょ、しょうがないじゃろう 時間も迫っておったし」

 

綱吉「まあまあ エルフマン 落ち着いて」

 

エルフマン「ツナっ お前は悔しくないのかよ!」

 

綱吉「そりゃあ 悔しいけどさ 決まってしまったものはしょうがないよ(正直、出てみたかったけどこればっかりはなぁ・・・)だからさ出れない分ナツ達のこと応援してやろ なっ」

 

エルフマン「あ、ああ ・・・分かった」

 

 綱吉に宥められエルフマンは渋々納得した

 

カナ「つくづくツナって」

 

リサーナ「大人だよね」

 

綱吉(メンバーはナツ、グレイ、エルザ、ルーシィ、ウェンディの5人か・・・5人がどれだけ強くなったか楽しみだな)

 

 

 

ラキ「お帰りなさい」

 

ミラ「ただいま〜 私達がいない間に何かあった?」

 

キナナ「特にありませんでしたけど、ツナに会いたい人が来て」

 

ミラ「へぇ〜 でもあらかじめツナは依頼出来ないことを連絡しておいたはずだけど」

 

キナナ「はい 依頼者じゃなかったんですけど 何か変で」

 

ミラ「変?」

 

キナナ「寒気っていうか その人と一緒にいるのが怖くて」

 

 ミラはそれを聞いて考え込み、もしやと思って

 

ミラ「・・・その人の名前は?」

 

キナナ「名前は聞きそびれちゃったんですけど、特徴は覚えてます 長身で白髪、左目の下に3本の剣のマークがある男性です」

 

 それを聞いた瞬間ミラは冷水でもかけられた感覚に襲われた

 

ミラ(ユニちゃんの言ってた通りの特徴・・・その人が『白蘭』だ ツナが有名になりすぎて場所がバレたんだわ どうしよう・・・はっ!)

 

 ミラはこの会話が綱吉に聞かれてないか 綱吉のいる方を向くと 綱吉は皆と楽しく談笑していた

 

ミラ(良かった・・・聞かれてないようね)

 

ラキ「ミラ どうしたの?」

 

 ミラは2人を自分の側に引き寄せ

 

ミラ「いい2人とも? その人のことはツナに、いいえ皆に言っちゃダメよっ」

 

ラキ「えっ でも」

 

ミラ「いいからっ その人のことは黙っておいて」

 

 ミラの必死の頼みに

 

ラキ「わ、分かったわ」

 

キナナ「私も分かりました」

 

ミラ「ありがとう 2人共 (でもどうすれば ツナを逃がす? でも何処へ? 一体どうすれば)

 

キナナ「あ、あのミラさん その人からツナに伝言あって『再会を楽しみにしてる』と」

 

 ミラは悲しそうな顔をしながら

 

ミラ「・・・そう」

 

 ミラは綱吉がいる方を向いた 綱吉は笑顔で皆と喋っていた

 

ミラ(どうして・・・どうして ツナはもう充分苦しんだ 辛い思いをした なのにどうして ツナは幸せになってはいけないの? まだ苦しまなきゃいけないの? 辛い思いをしなきゃいけないの?)

 

 ミラの視線に気づいたのか綱吉がやって来る

 

綱吉「どうしたんだ ミラ?」

 

 するとミラは綱吉のことを抱きしめた

 

綱吉「ッ⁉︎」

 

皆「「「「ッ⁉︎」」」」

 

ミラ(もう鬼になんてならせない 殺し合いなんてさせない 私が 皆が守るから だから・・・だから)

 

リサーナ「ちょ、ミラ姉!」

 

ジュビア「ミラさん なんて大胆な」

 

ラクサス「おいおい・・・」

 

 

ミラ「大丈夫・・・大丈夫だから」

 

綱吉(えっ 何? どういうこと? 全く分からないだけど)

 

 綱吉はとりあえずミラの気の済むまでと抱きしめられていた

 

 

 それから数分後 ミラは顔を真っ赤にして綱吉から離れていった

 

 微妙な空気になってしまったが、何とか気を取り直してギルドの皆と応援しに行くことになった

 しかしその後マスターにマスターの部屋に来いと言われた

 

綱吉(なんか依頼でも来たのかな)

 

 そんなことを考えながら部屋へ入ると、マスターの他にラクサス、ガジル、ジュビア、そしてミラがいた

 

マカロフ「さて これで全員揃ったの」

 

 マスターの説明によると大魔闘演舞には各ギルドから2チームまで出場できるらしく この5人でBチームとして出て欲しいとのことだった

 

ジュビア「ジュビアは出場するよりグレイ様を応援したいです」

 

ガジル「冗談じゃねぇ 誰がそんな見世物に出るかよ」

 

ラクサス「出るのは構わねぇが、Bチームってのが気に食わねぇ」

 

綱吉(んっ 3人はあまり乗り気じゃないのか さてミラは)

 

 ミラの方を見ると 何故か顔を逸らされてしまった

 

綱吉(何故?)

 

 マカロフは3人を納得させる為、勝ったチームが負けたチームに言うことを一つ命令出来ると言うことで納得してもらった

 

 フェアリーテイル Bチームが結成され、クロッカスへ向かった

 

 

 

クロッカス

 

 綱吉達がクロッカスに着いて、宿に荷物を置くとジュビアはグレイを探しにガジルも適当に散策してくると行ってしまった

 

綱吉「夜12時までには、まだまだ時間あるし俺達も出かけて来るよ」

 

 そう言ってミラの手を取る

 

ミラ「あっ・・・」

 

綱吉(ん? なんかいつもと違うな)

 

 ミラの反応がいつもと違うことに戸惑ってしまうが

 

綱吉「じゃっ 行ってくる」

 

ラクサス「おう 時間に遅れんなよ」

 

綱吉「分かってるって」

 

 そう言って綱吉とミラは宿の部屋から出て行った

 

 

綱吉「流石、花の都と言われるだけあって綺麗な花がいっぱいだな」

 

ミラ「そ、そうね」

 

綱吉「(う〜ん 何か違うんだよなぁ)なぁ ミラ 何かあったのか?」

 

ミラ「えっ? どうしてそう思うの?」

 

綱吉「だって いつもと様子が変だからさ」

 

ミラ「そんなことないわ 私はいつも通りよ」

 

 その言葉に綱吉は優しく微笑み

 

綱吉「そっか なら良かった(ミラは何か隠している・・・俺に言えない何かを・・・だが無理に聞き出してミラを傷つけるつもりはない このままでいい  なら俺のすべきことは一つ ミラを元気づけること)」

 

 

 

綱吉「ミラっ 少し此処で待っててくれ すぐ戻るから」

 

ミラ「えっ うん」

 

 綱吉はその場から離れて、十数分経って戻って来た

 

ミラ「ツナ 何処に行ってたの?」

 

綱吉「ちょっとね 此れを買って来たんだ」

 

 そう言って花冠を見せた

 

ミラ「それって・・・」

 

綱吉「ミラへのプレゼントさ」

 

ミラ「ツナ・・・」

 

綱吉「さっ ミラ」

 

ミラ「うん」

 

 ミラは目を瞑り少し屈んで花冠を乗せてもらう 元の態勢に戻って目を開けると

 

綱吉「よく似合う とても綺麗だよ」

 

ミラ「ツナ・・・ありがとう」

 

綱吉「実はもう一つプレゼントがあるんだ」

 

ミラ「えっ 」

 

 そう言って小さな紙袋から赤い髪紐を出した

 

ミラ「髪紐?」

 

綱吉「ああ このブレスレットと一緒さ」

 

 綱吉は右手に巻かれたブレスレットを見せる

 

綱吉「このブレスレットにはミラの思いが込められてる 俺にはミラみたいに手作りなんて出来ないけど思いは込められるから 」

 

ミラ「ツナ・・・」

 

 ミラはいま前髪を縛っている髪紐を解き、綱吉から貰った髪紐で前髪を縛った

 

 ミラは店のショーウィンドウに映った自分を見て、綱吉に向き直り涙を流した

 

ミラ「ありがとう・・・ツナ・・・私・・ツナに沢山・・・沢山もらってばっかりで・・・何にも出来なくて」

 

綱吉「そんなことない 俺だってミラから沢山のものを貰った それは何も物だけじゃない、ミラと出会ってから今日までの時間も俺にとって大切な宝物なんだ」

 

 綱吉はミラの両肩に手を置く

 

ミラ「私も・・・ツナと一緒いた時間は・・・大切な宝物よ」

 

綱吉「これからも沢山宝物を作って行こうな」

 

 綱吉はそう言って優しくミラを抱きしめた

 

ミラ「ええ」

 

 

 いい雰囲気だが、忘れてはいけない この場所は人が大勢行き交う中心部 つまり

 

 パチパチッ パチパチッ

 

綱吉「ん?」

 

ミラ「えっ?」

 

 

 おめでとう〜  お幸せに〜 好きな人にあんなプロポーズされるなんて素敵 

 

 それを見ていた周りの人達が綱吉達のことを祝福してくれたのだ

 

 2人は顔を真っ赤にして周りの人達にお辞儀して早足にその場を離れていった

 

ミラ「もうっ また恥ずかしい思いしちゃったじゃない!」

 

綱吉「ま、まさか こんなことになるとは・・・でも 後悔はしてないよ 俺の思いに嘘はないから」

 

ミラ「・・・馬鹿っ」

 

 2人は場所を変えてまた店を見てまわったり、食事をしたりした そして時間も近くなってきたので

 

綱吉「そろそろホテルに戻ろうか」

 

ミラ「ええ」

 

綱吉「ミラ その花冠なんだけど魔法でコーティングしてあって枯れないんだって だから安心していいよ」

 

ミラ「本当っ! 良かったぁ!」

 

 ミラは花冠を触りながら笑顔になる

 

綱吉(ミラが元気になって本当に良かった)

 

 2人は手を繋いで宿へ帰って行った

 

 

 宿に着くともうガジルとジュビアは先に帰っていた

 

綱吉「ただいま〜」

 

ラクサス「おう そう様子じゃ存分に楽しんで来たみたいだな だが旅行に来たんじゃねぇことを忘れんなよ」

 

綱吉「分かってるって」

 

ジュビア「ミラさん その花冠・・・」

 

ミラ「ふふっ ツナにプレゼントされちゃって」

 

ジュビア「ガーンッ! ジュビアはグレイ様との食事が失敗したのに・・・ミラさん達が羨ましいです・・・」

 

 

ガジル「おい お喋りはそこまでだ そろそろ時間になる」

 

 時刻が12時になると町中に鐘が鳴り響いた

 

 するとクロッカスの町の上空にカボチャの被り物をしたマスコットキャラが立体映像で現れた

 

 

『大魔闘演舞に参加される皆さん おはようございます これより参加チームを113から8に絞る為の予選を開始いたします!』

 

ジュビア「予選なんてあるんですね」

 

ラクサス「まあ 113もいりゃあ当然か」

 

ミラ「おっきなカボチャねぇ」

 

ガジル「いやっ つっこむとこそこかよ⁉︎」

 

綱吉「ミラ あれは立体映像だからね」

 

 

 クロッカス中の宿から空中に向かって階段が現れた その階段の集結点に巨大な建造物が現れ、その建造物が迷宮であり その迷宮を進み早くゴールした8チームが本戦に出場出来るという

 

ガジル「迷宮なんて面倒なことしやがるっ」

 

ジュビア「難しい予選ですね」

 

綱吉「迷宮か 面白そうだ」

 

ラクサス「おい ツナ 遊園地のアトラクションじゃねぇんだぞ」

 

ミラ「そうよ ツナ 遊ぶじゃないんだから」

 

 綱吉は4人の方を向き

 

綱吉「分かってるよ ナツ達や他のギルドには悪いけど優勝するのは俺達だ だってこのメンバーで優勝を逃すどころか予選敗退なんて想像できる? 勝つの剣咬の虎でも蛇姫の鱗でもAチームでもない俺達だっ」

 

 綱吉の堂々とした宣言に4人は驚いていたが、すぐに笑って

 

ラクサス「ああ 当たり前だ」

 

ガジル「ギヒッ 当然だな」

 

ジュビア「目指すは優勝です」

 

ミラ「ええ 勝つのは私達」

 

 

綱吉「(悪いな ナツ 勝つのは俺達だ!)さあ 行こうか!!」

 

 5人は階段を駆け上がり迷宮へと向かった

 

         

 大魔闘演舞予選・空中迷宮が今始まった

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16話

 空中迷宮に入った綱吉達、入るとあちこちに階段や扉、通路があった

 

 綱吉以外のメンバーはどれを選べばいいのか頭を悩ませていたが、綱吉は落ち着いて辺りを見回していた

 

綱吉(・・・見える範囲での正解はあれかな)

 

ラクサス「さて どれを選ぶか、だが」

 

ガジル「んなもん ゴールの方角に向かって進めばいいだろうが」

 

ジュビア「でも あのカボチャのマスコットが『命を落としても』と言ってましたから ただ迷宮を進めばいい訳ではないような」

 

ミラ「そうね 参加者を振るい落とす罠も仕掛けられてるでしょうね」

 

ガジル「つーか てめえも話しに参加しろよっ」

 

 いつまでも会話に加わらず周りをキョロキョロと見回している綱吉に苛立ったのかガジルが怒って来た

 

綱吉「ごめんごめん でも大丈夫だよ まずはあの階段を行けばいいから」

 

 そう言って綱吉は上り階段を指さす

 

ガジル「なんであれが正解って分かんだよ」

 

綱吉「ん〜 勘って言えばいいのかな」

 

ガジル「勘かよっ⁉︎ 」

 

ラクサス「おい ツナ・・・」

 

ジュビア「ツナさん・・・」

 

ミラ「ふざけてる場合じゃないのよ ツナ」

 

 4人は綱吉に呆れて哀れむような目で見てくる

 

綱吉「ち、違うんだって! 俺の勘は一般の人のそれとは違うんだってっ! ほらっ ミラから俺の過去のこと聞いただろう⁉︎」

 

 綱吉は慌てて自分の代々受け継がれてきた力『超直感』を説明した

 

 

ー回想ーー

 それは綱吉がまだボンゴレ10代目を継承する前のこと

 

綱吉「えっ 『超直感』を強化する?」

 

リボーン「そうだ 『超直感』は対人においては無類の強さを誇るが、人ではないものに対しては発動しない だからものに対しても発動できるよう特訓するぞ」

 

綱吉「特訓ってどうやるんだよ」

 

リボーン「そりゃあ もちろん・・・」

 

 そう言ってリボーンはニヤリと笑った

 

綱吉(ああ・・・また危険なことをやらされる訳ね)

 

 次の日

 

リボーン「さて ツナ特訓中は死ぬ気の炎を使うのは無しだからな」

 

綱吉「はあっ⁉︎ 」

 

リボーン「お前の地力を上げる  超直感も強化出来て一石二鳥だろ」

 

綱吉(何が一石二鳥だ〜 お気楽に言いやがって)

 

リボーン「何か言ったか?」

 

綱吉「いや、何も・・・」

 

リボーン「じゃあ始めるか」

 

綱吉「ああ・・・」

 

 綱吉は諦めて覚悟を決めた

 

リボーン「それじゃあ ツナ この三つの道の内の一つ選んで歩いてこい」

 

綱吉「そんだけ?」

 

リボーン「ああ そんだけだぞ」

 

 綱吉はとりあえず左の道を選び歩こうとした時

 

綱吉(いや待て、歩くだけでいい?そんなはずない 絶対何かある)

 

 綱吉は立ち止まって辺りをキョロキョロと見渡す

 

リボーン「おい 何止まってやがる 特訓になんねぇだろ さっさと行けっ」

 

 リボーンに催促されて綱吉は慌てて歩き出す

 

綱吉「わ、分かったって」

 

 そう言って 第一歩を踏み出した瞬間

 

ズボッ!!

 

綱吉「ん?」

 

 ふと足元を見ると地面がなく代わりに穴があった 深い深い穴が

 

綱吉「ええええええぇぇぇぇぇ・・・・・・・」

 

 綱吉は穴に吸い込まれるように落ちていった

 

リボーン「やれやれ おいっツナ ちゃんと登って来いよ」

 

綱吉「・・・分かってるよ〜」

 

 こうしてリボーンによる超直感の強化特訓が始まった

 

 

 ある時はボタン選びで

 

綱吉「じゃあ これで」

 

リボーン「押してみろ」

 

ポチッ 

 

バリバリバリッ!

 

綱吉「ぎゃあああ⁉︎」

 

 電気ショックを受け

 

 

 またある時はロープ引きで

 

綱吉「良しっ これだ!」

 

リボーン「じゃあ 引いてみろ」

 

グイッ

 

ザザァ〜

 

 綱吉「・・・・・」

 

 天井が開き大量の水が落ちてきた

 

 

 そしてある時、夜に別の場所へ移動させられ

 

リボーン「今度はここだ」

 

綱吉「山?」

 

リボーン「そうだ 今までのは準備運動に過ぎねえ これからやるのが本番だ 山の頂上に旗を刺してある ソイツを持って夜明け前までに此処まで戻って来い」

 

綱吉(今までのが準備運動って・・・)

 

リボーン「言っておくが、死ぬ気の炎は」

 

綱吉「使っちゃダメなんだろ」

 

リボーン「分かってんじゃねーか ならさっさと行って来いっ グズグズしてると朝になっちまうぞ」

 

綱吉「やばっ!」

 

 綱吉は慌てて山の頂上を目指し走り出した

 

 

綱吉「ライトも無しに山に入ることになるなんて  わっ⁉︎」

 

 文句を言いながら走っていると何かに引っ掛かり転びそうになってしまった

 

綱吉「ととっ な、何だ?」

 

 よく見るとロープが張られていた

 

綱吉「ロープ? 何でこんなところに・・・ がぁっ⁉︎」

 

 すると背後から強い衝撃を受け吹き飛ばされてしまう

 

綱吉「うう・・・丸太? くそっ リボーンかっ! とにかく早く行かないとっ」

 

 綱吉が再び走り出そう踏み出した時また何かを踏んだ感覚に襲われ、周囲を警戒する

 

綱吉「ッ⁉︎ 次どこからっ!」

 

 すると上から石や太い枝が降ってきた

 

綱吉「ぐっ! ううっ!(ま、まずい まだスタート近くなのにっ)」

 

 石や枝の雨から出て走ろうとすると

 

綱吉「わっ⁉︎  っ痛〜  落とし穴まで・・・あちこちに罠が仕掛けられてる こんなんじゃ夜明け前までなんてとても・・・」

 

 

 

 そして朝日が昇って少し経った頃 漸く綱吉は旗を持ってやって来た その姿はボロボロで服も破れ、あちこち傷だらけであった

 

綱吉「はぁ・・・はぁ・・・持って・・・はぁ・・はぁ・・・来たぞ」

 

リボーン「随分時間が掛かったな」

 

綱吉「はぁ・・はぁ・・山のあちこちに罠があったからなぁ」

 

リボーン「普通の登山とでも思ったのか? これから毎晩これをやるぞ」

 

 リボーンの言葉に驚きの声を上げてしまう

 

綱吉「毎晩っ⁉︎」

 

リボーン「夜に特訓すれば昼間の勉強に影響は無いだろう」

 

綱吉(いや・・・身体を休める時間がないんですけど・・・)

 

リボーン「それとも、やめるか?」

 

綱吉「・・・いや、やめない 俺が途中で何かを投げ出すことを嫌うようになったのは知ってるだろ?」

 

リボーン「フッ だなっ」

 

綱吉「(そうさせたのはお前なんだけどな)次はもっと早く戻ってくるさ」

 

リボーン「ほお ソイツは楽しみだな」

 

 

 常に命の危険がある特訓を続けることにより綱吉の感覚は半ば強制的に鋭敏となり、ついに『超直感』はものに対しても発動できるよう昇華させることに成功した

 

これ以降、沢田綱吉には全て見抜かれると言われるようになった

 

ー回想終了ーー

 

 それはつまりこの迷宮に対しても有効

 

綱吉「ーという訳なんだよっ 分かった?」

 

ラクサス「まあ、な」

 

ジュビア「戦いの時の先読みとかなら聞いたことありますけど、直感でそこまでやれるものなんでしょうか」

 

 皆未だに疑っているようだった

 

ミラ「でも いつまでも此処にいる訳にもいかないわ ツナを信じて行きましょう」

 

ラクサス「そうだな モタモタしてっと予選落ちしちまう そんなダセェことはねぇ」

 

 こうして綱吉の選んだ上り階段を進むことにした

 

ガジル「ハズレだったら承知しねえからなっ」

 

綱吉「大丈夫だって!俺にはどんな嘘も通用しないんだからっ」

 

ラクサス「カッコつけてねえで、さっさと先頭行け」

 

 そう言って綱吉の頭を小突く

 

綱吉「あいてっ  あい」

 

 一番後ろにいたミラは綱吉の言葉に反応して足を止めてしまう

 

 

ミラ(・・・もし本当に嘘を見抜けるんだとしたら、あの時ツナは気づいていながら聞かなかった?)

 

 ミラは昼間のことを思い出していた 

 

ジュビア「ミラさん どうしました?」

 

ミラ「ッ! 何でもないわっ さっ 行きましょ」

 

 ミラ達も綱吉達の後を追いかけた

 

 

ガジル「それで次はどれだ?」

 

綱吉「まだ真っ直ぐだね んっ?(上から何か来る・・・)皆頭上注意ねっ」

 

 皆が上を向くと上の方にあった扉が開き他のギルドの人達が出て来た

 

 「他のギルドの連中だっ!ぶっ潰しちまえっ!」

 

綱吉(喧嘩っ早いな〜)

 

 他のギルドの人達は攻めて来たが、ラクサスとガジルによって瞬殺された

 

ラクサス「ふんっ」

 

ガジル「へっ」

 

 「こ、こんなに強いとは・・・」

 

 

綱吉「おっ あったあった! 次はこれだよ」

 

 綱吉が指差したのは壁だった・・・ それを見た4人はまた呆れたような目をしていた

 

綱吉「本当だってっ! この辺りの壁だけ違うんだよ! きっと何か仕掛けがあるんだって!」

 

 そう言って綱吉は壁や床を触り始めた

 

綱吉「ちょっと 皆も見てないで手伝っ」

 

カチッ

 

グルンッ

 

4人「「「「ッ⁉︎」」」」」

 

 何と壁が180度回転して綱吉が向こう側へ行ってしまった

 

ジュビア「回転扉でしたか」

 

ガジル「凝りすぎだろ」

 

ラクサス「仕方ねえ 俺らもスイッチを探すぞ」

 

 ラクサス達が壁に近づこうとした時、ミラがサタンソウルになって壁にダッシュした

 

ラクサス「っておい⁉︎」

 

ジュビア「ミラさん まさかっ⁉︎」

 

ミラ「スイッチを探している暇はないわっ」

 

 ミラは右腕を振りかぶった

 

 

 ちなみに向こう側へと行った綱吉は

 

綱吉「くっそ〜 回転扉か 何処にスイッチがあるんだ? 適当に触ったから分かん ッ⁉︎ 」

 

 壁から何かを感じとったのか 離れようとしたが時すでに遅く、壁もろとも吹き飛ばされてしまった

 

綱吉「ぎゃあっ⁉︎」

 

 壁を破壊したミラは綱吉を探した

 

ミラ「ツナ〜 何処っ 何処にいるの!」

 

 そして瓦礫に埋もれている綱吉を見つけ、引っ張り出した

 

ミラ「ツナ〜 良かったぁ 無事だったのね!」

 

3人(((いやいやいやいやいや)))

 

綱吉「お、おう(壁を破壊してくるとは驚いたけどな・・・)

 

 

 一行は足を進めていると、綱吉が再び何かを感じとった

 

綱吉「(・・・壁? いやこの迷宮自体か) 皆っ 右側の壁に身体を寄せて!」

 

ガジル「ああんっ なんでそんなことすんだよっ」

 

綱吉「いいからっ」

 

 そう言ってガジルを壁側にやると、迷宮に大きな駆動音が響き渡る

 すると迷宮が横回転をし始めた

 

ラクサス「おおっと こりゃあ」

 

ジュビア「迷宮が回転している?」

 

 回転が止まるとさっきまで壁だった場所が床になっていた

 

ガジル「面倒なことしやがるぜ 全く」

 

ミラ「ツナ 色々変わっちゃたけど大丈夫?」

 

綱吉「うん 問題ないよ ちゃんと分かるから 次はアレ」

 

 そう言って通路を指差した

 

 その後も綱吉の超直感により、正解の道を見つけていきどんどん進んでいった

 

綱吉「これが最後みたいだね」

 

 指差したの見える範囲の中では一番高く遠い向こう側にある通路だった

ミラ「それも直感?」

 

綱吉「ああ」

 

ガジル「あれが正解なのは分かったが、どうやってあそこまで行くんだよ」

 

 そうこの通路に行くためには道が無く、飛んで行くしか方法はなかった

 

ミラ「私とツナなら飛べるけど・・・」

 

ラクサス「俺も飛べねえことはねぇが どうすんだ?」

 

綱吉「大丈夫 ちゃんと階段はあるから」

 

ガジル「何処にもそんなもんねぇだろうが」

 

綱吉「見えてないだけでちゃんとあるんだって あまりにも透明度が高すぎるんだよ」

 

ラクサス「ソイツも直感か?」

 

綱吉「ああ 俺の直感は全て見抜く その人が嘘をついているか この道は安全か ここに何か隠してあるかどうか そういうのが分かるんだよ」

 

ジュビア「便利ですね ツナさんの直感って」

 

ミラ「・・・・・」

 

 ミラは綱吉の言葉を聞いて表情を曇らせていた

 

 

綱吉「それじゃ 行こっか この階段細いから俺の後ろにちゃんとついて来てね でないと落ちるから」

 

ガジル「さらっと怖いこと言ってんじゃねぇよっ」

 

 綱吉を先頭に一例で進んで行く一行

 

ジュビア「な、なんだか足元が見えないのに歩いてるって怖いですね」

 

ガジル「へっ 大したことねぇよ んなもん」

 

 

 階段を上り切り通路を歩いていると、ゴールが見えて先ほど見たカボチャのマスコットがいた

 

「おめでとうございます♪  2位ですので、予選通過です♪」

 

ガジル「くそっ 2位かよっ」

 

ジュビア「スタートするのがちょっと遅かったですからね」

 

綱吉「皆が最初から俺の直感を信じてれば1位だったのに・・・」

 

ラクサス「2位でも充分だろっ ぐちぐち言うな 行くぞ」

 

 ラクサスは綱吉の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でて先に行った ラクサスに続いて歩こうとした時

 

綱吉「ラクサスめ〜  ん?」

 

 ラクサスのことを追いかけようとした時、ふと左腕が引っ張られる感じになったので振り返るとミラが綱吉の左腕の袖口付近を掴んでいた

 

綱吉「ミラ?」

 

ミラ「あっ えっとその」

 

 ミラはあわてふためいてしまい  ラクサスは2人を見ると

 

ラクサス「・・・先に行ってるぞ」

 

 ラクサスはジュビアとガジルを連れて先に行った

 

綱吉「ああ 分かった  ミラ どうしたんだ?」

 

ミラ「ツナ・・・あのね わ、私・・・」

 

 ミラは不安そうな顔をしながら何かを言おうとしていた 綱吉はミラが何を言おうとしているのか分かり 優しく微笑みながら ただ一言

 

綱吉「大丈夫だよ ミラ」

 

ミラ「えっ」

 

 綱吉は何も聞くつもりはなかった 彼女を悲しませてまで秘密を知るよりも 秘密を知らぬまま今の幸せを守りたいと思ったからだ

 

綱吉「さっ ラクサス達を待たせてるっ 早く行かないと」

 

 綱吉はミラの手を取り本戦会場に向かった

 

 ミラは綱吉の優しさが伝わって胸を痛め、小さな声で謝った

 

ミラ「・・・ツナ ごめんね」

 

 

 こうして少し遅れて綱吉とミラもラクサス達と合流した

 

 『妖精の尻尾』Bチーム 無事本戦出場を決めたのだった

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17話

 『妖精の尻尾』Bチーム控え室  

 

綱吉「俺達が2位だったけど、1位はやっぱり『剣咬の虎』だったのかな?」

 

ラクサス「そうなんじゃねぇか フィオーレ1なんて言われてるんだからよ」

 

ガジル「へっ 何処が最強か分からせてやるぜ」

 

 皆が話しをしていると係員が来て、闘技場へ行く準備をするよう言われた

 

 

 闘技場へ移動しようとした時

 

綱吉「あっ 皆ちょっと待って」

 

ミラ「どうしたの ツナ」

 

綱吉「せっかくだから 円陣組もうよ」

 

ジュビア「円陣ですか?」

 

綱吉「そう 気合い入れるのにさっ」

 

ミラ「いいわね やりましょ」

 

ジュビア「ジュビアもいいですよ」

 

ラクサス「仕方ねぇな」

 

 3人は綱吉の側へと行き、残りはガジルだけとなった

 

ガジル「・・・だあ〜っ! やるよっ やりゃあいいんだろっ!」

 

 そしてガジルも来て、円陣を組んだ

 

綱吉「フェアリーテイルッ ファイッ」

 

皆「「「「「オーッ!!」」」」」

 

綱吉「良し 気合が入ったっ!」

 

ガジル「全く こいつは」

 

ミラ「まあいいじゃない たまにはこういうのも」

 

ジュビア「そうですね ジュビアもやって良かったですっ」

 

ラクサス「さて 行くぞ」

 

 綱吉達は本戦が行われる闘技場へ向かった

 

 

ー闘技場ーー

 

 観客達は選手達の入場を今か今かと待っていた

 

 実況席には実況のチャパティ・ローラと解説の元評議員のヤジマにゲストのジェニー・がいた チャパティ達の紹介が終わると

 

チャパティ「さあ 選手達の入場です!」

 

「まずは予選8位 過去の栄光を取り戻せるか 名前に反した荒くれ集団 『妖精の尻尾』‼︎」

 

 ナツ達が入場すると観客達からブーイングの嵐を受けていた ブーイングを受けルーシィが落ち込んでいたが、エルザや観客席にいた『妖精の尻尾』の仲間達を見て気合を入れて持ち直していた

 

                        

「さあどんどん行きましょう 7位 地獄の猟犬軍団 『四つ首の猟犬』‼︎」

 

「「「「「ワイルド〜 フォーッ‼︎」」」」」

 

 メンバーは叫びながら入場してきた

 

 

「6位 女性だけのギルド 大海原の舞姫 『人魚の踵』‼︎」

 

 メンバーが入場して来ると男性観客から歓声が上がり、マカオとワカバは目がハートになっていた

 

 

「5位 漆黒に煌めく蒼き翅 『青い天馬』‼︎」

 

 メンバーが入場してポーズを決めると今度は女性観客から歓声が上がっていたが、何故か一夜だけがキモがられていた

 

 

「4位 愛と戦いの女神 聖なる破壊者 『蛇姫の鱗』‼︎」

 

 聖十のジュラが参加していることに観客達は驚き、盛り上がっていた

 

 

「続いて第3位 おおっとこれは意外・・・初出場のギルドが3位に入ってきた! 真夜中の遊撃隊 『大鴉の尻尾』‼︎」

 

 闇ギルドであったが最近になって正規ギルドになったことをチャパティに伝えられた

 

 

「さあ 予選2位のチームの入場です! おおっとこれは意外! 落ちた羽のはばたく鍵となるのか⁉︎ まさか! まさかの・・・『妖精の尻尾』Bチームだぁ‼︎」

 

ナツ「何ーーーっ⁉︎」

 

 

エルフマン「姉ちゃん⁉︎」

 

ナツ「ガジル‼︎」

 

グレイ「ジュビア‼︎」

 

ルーシィ「ラクサスとか反則でしょーっ!」

 

エルザ「ツナまでいるとは・・・」

 

 同じギルドから二チームが出てきたことによって騒がれるが

 

ナツ「冗談じゃねぇっ‼︎ 例え同じギルドだろうが勝負は全力! 手加減なしだ‼︎ 別チームとして出たからには負けねーぞ‼︎ コノヤロー‼︎」

 

ガジル「望むところだよ 予選8位のチームさん」

 

 ナツとガジルは闘う気満々だった

 

 

綱吉「やあ エルザ」

 

エルザ「ツナか 久しぶりだな」

 

綱吉「ああ 久しぶり 4人とも随分強くなったね」

 

エルザ「分かるのか?」

 

綱吉「もちろん 3ヶ月前に比べると魔力が格段に上がってるから だけどなんでエルフマンが? ウェンディはどうしたんだ?」

 

エルザ「実は・・・」

 

 そこでエルザからウェンディに何があったか説明された

 

綱吉「『大鴉の尻尾』に?」

 

エルザ「ああ 奴ら自身がそう言ってたから間違いない 目的は不明だがな」

 

綱吉「・・・そうか」

 

 綱吉は『大鴉の尻尾』の連中をただ静かに睨んでいた

 

ミラ「・・・ツナ?」

 

綱吉「ん?」

 

 綱吉がミラの方を向くとミラは心配そうに綱吉のことを見ていた

 

綱吉「(いけないっいけないっ ミラを心配させるなんて)大丈夫 何もしないよ やるのならちゃんと試合で決着をつけるさ」

 

ミラ「約束よっ」

 

綱吉「ああ約束する 乱闘騒ぎなんてしないから  ところでさ ミラ」

 

ミラ「どうしたの?」

 

綱吉「あの金髪で色白の女の子誰? あんな娘いたっけ?」

 

 綱吉は『妖精の尻尾』の応援席を指差しながらミラに聞いた

 

ミラ「ああ あの人はね 『妖精の尻尾』の初代マスターよ」

 

綱吉「ん? なんだって?」

 

ミラ「だから 初代マスターだって」

 

綱吉「いやいやいや 明らかにおかしいでしょ」

 

ミラ「実はね」

 

チャパティ「さあ いよいよ予選突破チームも残すところあと一つ!」

 

 ミラが説明しようした時、最後のチームが入場しようとしてきた

 

ミラ「あっ 最後のギルドが来るみたいね 説明は後でしてあげるから」

 

綱吉「ああ いいけど(タイミング悪すぎだろっ めっちゃ気になるんだけど)」

 

 綱吉は『妖精の尻尾』の応援席を見ながら首を傾げていた

 

綱吉(幽霊・・・? いや、あそこまではっきり見える幽霊なんてなあ うーむ)

 

 綱吉は直感で出た答えに疑問を持っていたが、気になる気持ちを抑え

 

綱吉(まあ 後でミラが教えてくれるって言うし、今は『剣咬の虎』の方を優先するか)

 

 

「予選第1位 最強‼︎ 天下無敵‼︎ これぞ絶対王者‼︎ 『剣咬の虎』だぁ!!」

 

 『剣咬の虎』が入場すると闘技場は大歓声に包まれる

 

綱吉(あれが・・・確かに強いな 一筋縄ではいかなそうだ だけど真に警戒すべきはやはりあの2人か)

 

 綱吉は『蛇姫の鱗』のジュラと『『人魚の踵』のカグラを見た

 

綱吉(あの2人は別格だな あの2人と闘うことになれば 本気でいかないと勝ちを取りにいけない それ程の強者の部類に入るだろう)

 

 

そんなことを考えているとチャパティより大魔闘演舞のプログラムが発表された

 

 

           

 

DAY 1 隠密 + battle

 

DAY 2 ??? + battle

 

DAY 3 ??? + battle

 

DAY 4 ??? + tag battle

 

DAY 5 ?????

 

 まず 1日に競技とバトル 二つをやるようだ

 

 

1st → 10pt

2nd → 8pt

3rd → 6pt

4th → 4pt

5th → 3pt

6th → 2pt

7th → 1pt

8th → 0pt

 

 競技パートには1位から8位まで順位がつき、その順位によって各チームにポイントが振り分けられる

 

 

Win → 10pt

Lose → 0pt

Draw → 5pt

 

 バトルパートは各チーム対戦して、勝利チームに10Pt、敗北チームなら0pt、引き分けの場合は両チームに5ptずつ振り分けられる 更にバトルパートには30分という制限時間が設けられている

 

 そして競技パートにはチーム内で好きなように選出していいが、バトルパートは主催者側に勝手にバトルカードを組まされるらしい

 

 

チャパティ「ではこれより大魔闘演舞オープニングゲーム〝隠密〟を開始します 各チーム1人選出して下さい」

 

『四つ首の猟犬』

 

イェーガー「まずはオラに任せるだーっ!」

 

 

『人魚の踵』

 

ベス「まずは様子見、アチキにやらせて」

 

カグラ「許可しよう」

 

 

『大鴉の尻尾』

 

アレクセイ「ナルプディング お前が行け」

 

ナルプディング「了解でサー‼︎」

 

 

『青い天馬』

 

イヴ「僕が行くよ」

 

 

『剣咬の虎』

 

ルーファス「私が出よう 今日は小鳥たちの歌声が心地よい」

 

 

『蛇姫の鱗』

 

リオン「始めから飛ばしていく 俺が出る」

 

 

『妖精の尻尾』Aチーム

 

グレイ「俺が出よう この大会どんなものか見させてもらうぜ」

 

 次々と選手が決まっていく中『妖精の尻尾』Bチームは

 

 

『妖精の尻尾』Bチーム

 

綱吉「(隠密・・・ただ隠れる見つけるって言う感じじゃなさそうだな)よしっ 俺が行く!」

 

ラクサス「まあ ツナなら大丈夫だろ」

 

ミラ「ツナにはあの直感があるものね」

 

ガジル「それに背も低いから隠れやすいしな ギヒッ」

 

綱吉「おいっ 身長は関係ないだろっ」

 

 ガジルに揶揄われつつもフィールド中央に向かおうとすると

 

ジュビア「待って下さいっ ツナさん! この競技 ジュビアに出させてもらえませんか!」

 

綱吉「えっ? ちなみに理由を聞いても?」

 

ジュビア「あの、グレイ様が出るのならジュビアも出たくて・・・」

 

綱吉(え〜〜)

 

ジュビア「駄目でしょうか・・・」

 

綱吉「う〜ん(確実に勝ちに行くんだったら俺なんだけど)ジュビアじゃ厳しいと思うんだけど」

 

ジュビア「それでもですっ どうかお願いします!」

 

綱吉「・・・分かった この競技はジュビアに譲るよ(理由はどうあれ覚悟は本物みたいだし)」

 

ジュビア「っ! ありがとうございます!」

 

綱吉「ただしっ グレイがいるからって浮かれないこと」

 

ジュビア「分かりました! ジュビア頑張ります!」

 

 ジュビアはフィールド中央へ走っていった

 

 

妖精の尻尾 Bチーム観覧席

 

ラクサス「よかったのか お前が行かなくて? 競技は〝隠密〟直感のきくお前が行けば独壇場だったろうに」

 

綱吉「まぁ そうなんだけどさ あんな真剣な目で頼まれたらね」

 

ラクサス「お前も甘いな だがお前の直感じゃジュビアだと厳しいんだろ?」

 

綱吉「そうだね でも確実にそうなるとは限らない 厳しい状況、逆境を打ち破る可能性だってあり得るし」

 

ラクサス「なるほどな ジュビアの対応力次第ってことか」

 

綱吉「冷静に対処できればいいんだけど、グレイがいるからなぁ 空回りしなきゃいいけど   頑張れよ ジュビア(それに『剣咬の虎』はもちろんだが、注意すべきは『大鴉の尻尾』だな 気をつけろよ グレイ ジュビア)」

 

 綱吉は2人のことを案じながら応援していた

 

 

大魔闘演舞  1日目 競技パート〝隠密〟が今開始されようとしていた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18話

 〝隠密〟に参加する選手が闘技場中央に集まると闘技場に街が出現し、選手たちも街の中にバラバラに配置された

 

ミラ「街を創るなんて」

 

綱吉「(・・・幻ではない 本物か)魔法ってこんなことも出来るんだな」

 

 〝隠密〟のルールは街の中で互いを見つけ、一撃を与えるというもの

 与えた側には 1pt+となり 与えられた側には 1pt−となる またコピーに攻撃しても 1pt−となる 制限時間30分でより多くの得点を稼いだ選手が 1位となる

 

チャパティ「さあ 消えよ‼︎ 静寂の中に 闇夜に潜む黒猫が如く‼︎ 〝隠密〟 開始!!」

 

 

 街の中は選手達のコピーで溢れていた

 

ジュビア「グ、グレイ様がいっぱい・・・」

 

 ジュビアはグレイのコピーに抱きつくと電気が走り、別の場所に飛ばされ 1pt−となってしまった

 

 

ガジル「あの馬鹿」

 

ミラ「これはちょっとジュビアには不利かもね」

 

ラクサス「やっぱ お前が出るべきだったんじゃねぇか?」

 

綱吉「まさか こういう競技になるなんて・・・」

 

 

 その頃グレイは『大鴉の尻尾』のナルプディングと相対していた

 

グレイ「てめえの方からやって来るとはな 探す手間が省けたぜ  アイスメイク 氷鎚‼︎」

 

 グレイはナルプディングを攻撃したが

 

ナルプディング「残念 それはコピーでサァ」

 

 グレイはコピーを攻撃したことによって 1pt−となってしまった

 

 

綱吉「あっ グレイも− 1になっちゃった」

 

ラクサス「コピーの後ろに隠れて近づいてくるとはな」

 

綱吉「でも卑怯な手じゃないし、理にかなってるよ」

 

 その後もグレイはナルプディングに執拗に狙われた

 

 

綱吉「雪? 」

 

 ふと街に雪が降ってきていた

 

ガジル「『青い天馬』のイヴって野郎の魔法だな」

 

ミラ「寒さでコピーと本物を見分けるのね」

 

 イヴは雪の寒さを利用して連続でポイントをゲットした

 

綱吉「おお そういうやり方もあるのか」

 

ミラ「ねえツナ  ツナには『超直感』があるけど、他にはどんなやり方があるか分かる?」

 

綱吉「『超直感』無しでなら・・・敢えて見つけてもらえばいいんじゃない?」

 

ガジル「何言ってんだ お前」

 

綱吉「だから 見つけるのが難しいなら 建物の屋上なり高い所に行って態と見つかって、敵が攻撃して来るから返し技をやるんだよ」

 

ラクサス「カウンター狙いってことか」

 

綱吉「そういうこと」

 

ミラ「高い所・・・それってあの人みたいに?」

 

綱吉・ラクサス・ガジル「「「ん?」」」」

 

 皆に説明しているとミラが一つの画面を指差した 画面には『剣咬の虎』のルーファスが映っており、綱吉が言ったようにルーファスは塔の上に立っていた

 

ルーファス「この競技は地味すぎる  私は覚えているのだ 1人1人の鼓動、足音、魔力の質 覚えている 覚えているのだ   記憶造形  星降ル夜ニ‼︎」

 

 ルーファスは七つの魔力弾を発射してナルプディング以外の全員に被弾させた 攻撃を躱したナルプディングはルーファスに反撃したがルーファスの身体をすり抜けてしまった

 

ナルプディング「しまった コピーか⁉︎」

 

ルーファス「安心したまえ それは私がそこにいた記憶 私にデコイは必要無い」

 

 そしてナルプディングにも魔力弾をぶつけ、一気に首位に立った ルーファスが首位に立つと会場は大歓声に包まれた

 

 

 その後もグレイとジュビアはナルプディングに狙われ続け思うように戦うことが出来ず時間だけが過ぎていった そして

 

チャパティ「ここで 終了〜!!」

 

 第一競技は終了した

 

 

競技の結果はこのようになった

 

1 剣咬の虎 10pt

 

2 大鴉の尻尾 8pt

 

3 蛇姫の鱗 6pt

 

4 青い天馬 4pt

 

5 人魚の鱗 3pt

 

6 四つ首の猟犬 2pt

 

7 妖精の尻尾B 1pt

 

8 妖精の尻尾A 0pt

 

 

 『妖精の尻尾』の順位に観客からは罵声やら笑い声やらが聞こえてきた

 

ガジル「ちっ 五月蝿え奴等だなあ おいっ  黙らせるか」

 

ラクサス「ほっとけ 言わせとけば良い」

 

ミラ「グレイにジュビア 大丈夫かしら・・・」

 

綱吉「あの2人なら大丈夫 このくらいで折れるほど弱くないよ(『剣咬の虎』のルーファス ただ勝つんじゃなく観客を魅了して勝つとは 正に王者らしい戦い方だな)」

 

 4人が話してるとジュビアが観覧席に戻ってきた、その目には涙を浮かべ酷く落ち込んでいた

 

ジュビア「・・・す、すみません あれだけ自身たっぷりで行って、こんな結果になってしまって・・・うっ うっ ずみまぜんでしたぁ 」

 

綱吉「大丈夫だよ ジュビア  まだ負けてない」

 

ジュビア「・・・えっ?」

 

綱吉「まだバトルパートがあるだろ そっちで勝てばいいんだよ そうすればジュビアは負けてない 俺達はチームなんだ そうだろうジュビア?」

 

ジュビア「・・・ツナさん はいっ」

 

ガジル「いや ポイント制になってんだからどのみち上位には届かグヘッ⁉︎」

 

ラクサス「空気読め馬鹿っ」

 

ミラ「空気読みなさいよっ」

 

 ポイント制だということを突っ込もうとしたが、ラクサスとミラによって強制的に黙らされた

 

 

 そうこうしているうちにバトルパートへとなり 第一試合の『妖精の尻尾』ルーシィと『大鴉の尻尾』のフレアの試合が始まった

 

綱吉「よりにもよって『大鴉の尻尾』か・・・」

 

ミラ「ルーシィ〜 頑張って〜」

 

綱吉(・・・何かやな予感がする)

 

 試合は両者の力は拮抗して中盤でルーシィが一方的にやられ始めたが、突如反撃を再開した

 

ミラ「やられ始めたと思ったら突然攻撃を どうしたのかしら?ルーシィ」

 

ラクサス「何かやりやがったな」

 

綱吉(・・・毒 薬? いや違う ・・・ナツが応援席に行ってから反撃を再開したのを見るに仲間の誰かを人質にとってたのか・・・下劣な真似を)

 

 

 ルーシィはジェミニを召喚し、自分に変身させた しかしジェミニの変身したルーシィの姿はバスタオル姿だった

 

綱吉「んなっ⁉︎」

 

ミラ「ツナは見ちゃダメっ!」

 

 ビシッ

 

綱吉「ぎゃあああ⁉︎」

 

 ミラは綱吉に目潰しをした

 

ラクサス・ガジル((こ、怖えぇ))

 

ジュビア「ミ、ミラさん 流石にやり過ぎでは」

 

ミラ「大丈夫 ちゃんと加減はしたわ」

 

ラクサス・ガジル・ジュビア(((いや そういう問題じゃ)))

 

 

 ルーシィはジェミニと共に大技を繰り出そうとしていたが

 

ミラ「何でっ⁉︎」

 

ジュビア「一体何が・・・」

 

 そこに漸く見えるようになってきた綱吉が来て

 

綱吉「ああ痛かった ん? どうしたの?」

 

ミラ「それがルーシィの魔法が突然消えちゃったの」

 

 綱吉はルーシィとフレアを見ると

 

綱吉「(魔力を打ち消したのか あの人じゃない もしそうならもっと早く使ってた)外野から援護をもらったのか・・・」

 

ラクサス「クソが 卑怯な手使いやがって」

 

綱吉「正々堂々戦ってやる必要は無いってことか・・・」

 

 ルーシィの魔法が不発に終わり敗北したことで、会場からは再び笑い声が聞こえる

 

ミラ「ルーシィ・・・」

 

綱吉「大丈夫 あっちにはナツ達がいる きっとこの悔しさを次の戦いで発揮してくれるさ(『大鴉の尻尾』 随分とやってくれたな 俺とぶつかったらただじゃおかない 覚悟しておけ・・・)」

 

 

 

 続いて第二試合 『青い天馬』レンと『人魚の鱗』アラーニャの試合が始まった

 

 レンは『蛇姫の鱗』のシェリーと婚約してることがバラされ、動揺していたが

 

レン「お前の見てる前で格好悪ィ姿は見せらんねえな エアリアルフォーゼ‼︎」

 

アラーニャ「うぁああああ」

 

 ツンデレを見せながら風魔法でレンが勝利を収めた

 

 第三試合 『剣咬の虎』のオルガと『四つ首の猟犬』のウォークライの戦いはウォークライの涙魔法を使う前にオルガが黒い雷で一撃倒してしまった

 

 

綱吉「黒い雷か 何かかっこいいな」

 

ラクサス「何がかっこいいって?」

 

綱吉「だから 黒い雷が・・・」

 

 綱吉が後ろを向くとラクサスがこちらを睨んでいた

 

ラクサス「敵を誉めてんじゃねえ」

 

 ラクサスはそう言って綱吉にアイアンクローをした

 

綱吉「あだだだだっ⁉︎ ギブッギブッ!」

 

ミラ「ツナっ  ちょっとラクサスっ!」

 

 ミラの介入でラクサスは手を離した

 

ラクサス「ふんっ」

 

ミラ「ツナ 大丈夫?」

 

綱吉「うう〜 くそぉ ラクサスめ」

 

 

 

チャパティ「さあ  1日目最後の試合! まずは『蛇姫の鱗』 ジュラ・ネェキス!」

 

 ジュラの名が呼ばれると会場から大歓声が出た

 

綱吉(凄いな 名が呼ばれただけでこの歓声とは)

 

ラクサス「いきなりジュラが相手とはな」

 

ミラ「こっちから出るのは誰かしら?」

 

綱吉「・・・俺だな」

 

ミラ「えっ」

 

チャパティ「続いて『妖精の尻尾』B ツナヨシ・サワダ!」

 

 綱吉の名が上がったが会場からは歓声は上がらず、同情や笑いの声が聞こえてきた

 

ミラ「ツナを笑うなんて・・・」

 

ラクサス「ツナはマグノリアじゃ有名だが、それ以外の所じゃまだあまり知れ渡ってねぇからな」

 

ジュビア「それに相手が〝聖十〟ならなおさらですね」

 

綱吉「(ふーん 会場にいる観客は俺に何も期待してない訳ね・・・なるほど)さてと ちょっと会場の雰囲気変えて来ようかっ」

 

 綱吉は左手の拳と右手の手の平を打ち合わせ気合いを入れる

 

ジュビア「ツナさん 頑張って下さい!」

 

ラクサス「存分に暴れて来いっ」

 

ガジル「会場いる連中をビビらせて来い」

 

ミラ「ツナ・・・頑張ってね!」

 

 

綱吉「ああ! 〝聖十〟のジュラ! 相手のとって不足なしっ‼︎」

 

 綱吉は4人からの声援を受けて闘技場中央へ向かった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19話

何とかジュラ戦の決着までは書けました


 『妖精の尻尾』A 観覧席

ナツ「おおっ 次はツナが出るのかっ!」

 

エルザ「しかし相手はあのジュラだ いくらツナでも厳しい戦いになるだろう」

 

エルフマン「ツナは修行でめちゃくちゃ強くなったんだ! 相手が〝聖十〟でも負けやしねぇよ!」

 

ナツ「そうだぞっ エルザ! ツナは強ぇんだ! ツナ〜頑張れよ〜!」

 

エルフマン「ツナっ 漢を見せてやれ〜‼︎」

 

エルザ(この3ヶ月でどれほど腕を上げたか見せてもらうぞ ツナ)

 

 

 

 『剣咬の虎』観覧席

オルガ「 1日目からジュラが出てくるとはな」

 

スティング「あのチビも可哀想に 相手があのジュラじゃなぁ」

 

ルーファス「しかしギルド復興に大きく貢献したルーキーと聖十の戦い 実に興味深い 記憶しておこう」

 

ローグ「そのルーキーがどれだけ凄かろうが、ジュラには勝てまい 聖十の壁はそれだけ高いんだ 易々と越えられるものではない」

 

 

 

 『青い天馬』観覧席

一夜「・・・君たち、この試合をよく見ておくといい」

 

イヴ・レン・ヒビキ「「「はいっ 分かりました!」」」

 

ヒビキ「やはり ジュラが出るからですか?」

 

一夜「いや 注目すべきなのはジュラさんではない 彼の方だ」

 

イヴ「彼ってツナヨシ・サワダのことですか? そんなに強そうには見えませんでしたけど」

 

一夜「いや彼からは只者ではない〝香り〟がした この試合どうなるかわからんぞ」

 

ヒビキ「一夜さんがそこまで言うなんて」

 

レン「クソっ そう簡単に負けんじゃねーぞっ」

 

一夜「そう簡単にいくまいよ 何故なら」

 

 

 『人魚の鱗』観覧席

カグラ「(あの少年とジュラが戦うか 闘技場で見かけた時あの少年からとてつもない〝覇気〟を感じた 見た目と裏腹に強い覇気 本物かそれとも私の勘違いか この一戦ではっきりする)・・・ミリアーナ この試合よく見ておけ」

 

ミリアーナ「どうして カグラちゃん?」

 

カグラ「強者同士の戦いなるかもしれないからだ」

 

ミリアーナ「強者? ジュラさんなら分かるけど あのツナヨシって子も? 全然そうには見えないけど」

 

カグラ「人を見た目で判断するものではない」

 

 

 『蛇姫の鱗』観覧席

シェリア「あっ あの人ってリオンに造形魔法教わりに来た人だよね?」

 

リオン「ああ 彼奴は覚え早くて教えがいがあった だがツナには悪いが勝つのはジュラさんだ」

 

ジュラ「・・・リオン この試合そう簡単にいかんかもしれんぞ」

 

リオン・シェリア「「えっ⁉︎」」

 

ジュラ(あの者 見た目の割に相当くぐっておる 心していかねばならんな)

 

リオン「いや たしかに彼奴は強い奴でしたけど、ジュラさんが苦戦するほどでは・・・」

 

ジュラ「見た目で判断するようではまだまだ修行が足らんなぁ」

 

 

 

 

一夜・カグラ・ジュラ「「「彼(あの少年・あの者)は強いぞ」」」

 

 実力者達は綱吉の強さに気づいていた 

 

 

 そして当然この男も会場に来ていた

 

白蘭「初日から綱吉君の闘いが見れるなんてね しかも相手の人も強いみたいだし 綱吉君 修行の成果とやらを見せてもらうよ」

 

 

 

 『妖精の尻尾』 応援席

 

メイビス「6代目 彼は島で見かけませんでしたが、新しく入った方ですか?」

 

マカロフ「ええ 数ヶ月前に入りまして、まだ若いですが 魔法に加え武術を身につけており我がギルドの中でも屈指の実力者でして 今回のメンバーに選抜しました」

 

メイビス「そうですか それは頼もしい方ですね(ですが何故でしょう 『大鴉の尻尾』とはまた違った黒いモノを彼から感じます・・・)」

 

 

レビィ「どうしよう まさか〝聖十〟が相手になるなんて」

 

リサーナ「大丈夫っ ツナはすっごく強いんだからっ」

 

カナ「そうだよ ツナならきっとジュラに勝てるっ さあっ ツナを応援するよ!」

 

皆「「「「「ツナっ! 頑張れ〜!!」」」」」

 

 

 綱吉が闘技場中央に着くと仲間たちの声援が聞こえてきて、綱吉は笑顔になった

 

綱吉(皆・・・ありがとう)

 

 すると向こうからジュラが歩いてきて中央で歩みを止めた 両者は試合開始の合図を待った

 

綱吉(改めて見ると凄い圧だ これ程の人を相手を30分で・・・やれるか? いやっ やるんだ!)

 

ジュラ「(間近で見ると恐ろしく強い闘気を放っておる それだけでもこの者が強いと分かる)個人的には『妖精の尻尾』に頑張って欲しいが、ウチのオババがうるさくてのぉ ・・・悪いが加減はせぬぞ」

 

綱吉「当たり前です 貴方に負けられない理由があるように 俺にも負けられない理由があります 加減なんてせず全力できてください! 俺も全力で貴方に勝ちにいかせてもらいます!!」

 

ジュラ「フッ そうか ならば参ろうか」

 

綱吉「はいっ」

 

 綱吉は額に炎を灯し、手袋をグローブに変えた  両者は顔を引き締め、いつでも仕掛けられるよう準備する

 

 

チャパティ「本日最後の試合 『蛇姫の鱗』ジュラ・ネェキスVS『妖精の尻尾』B ツナヨシ・サワダ 試合開始っ!!」

 

 先に動いたのはジュラだった ジュラは地面から巨大な岩の腕を出して綱吉にぶつけたが、綱吉は難なく回避する

 

綱吉(岩・・・足場の地面を操られると厄介だな)

 

 ジュラは追撃するため岩の柱を複数本出して綱吉に向けるも、綱吉は『超直感』で次々と躱していく

 

綱吉「(この岩の柱、曲げたりも出来るのか)そろそろこっちからもやるか フレアメイク」

 

 

 

『妖精の尻尾』A観覧席

エルザ「造形魔法っ⁉︎」

 

ナツ「彼奴 いつの間にっ」

 

 

 

綱吉「 群狼っ‼︎」

 

 綱吉は八頭の炎の狼を出した

 

 

 

『剣咬の虎』観覧席

ルーファス「ほう 彼も造形魔法を使うのか しかもあれほどの美しい炎 記憶にないね」

 

 

『蛇姫の鱗』観覧席

リオン「彼奴め もうあそこまで造形スキルを上げているとは・・・」

 

 

 

 綱吉は八頭の炎狼達をジュラに向かってバラバラに突っ込ませた

 

ジュラ「ほう 岩鉄尖‼︎」

 

 ジュラは地面から尖った岩の柱を隆起させ炎狼達を貫き消滅させた

 

綱吉「なら次は・・・」

 

 綱吉は右手に炎を集中して振りかぶり

 

綱吉「フレア・カノン‼︎」

 

 一気に放出した

 

ジュラ「むっ 岩鉄壁!」

 

 ジュラは自身の前に岩の壁を5枚隆起させて炎を防いだ 炎は一枚目、2枚目と破壊していくが最後の5枚目を破壊して炎は消えてしまった 煙が晴れるとジュラの衣服が少し燃えた痕があった

 

綱吉「(結構強めに撃ったのにほとんどダメージなしか・・・やはりあの岩の壁がある限り炎でのダメージは期待出来ないか しかしまだ初日 俺の手札全てを見せる訳にもいかない)・・・よしっ フレア・メイク 群狼!+鷹‼︎」

 

 綱吉は再び造形魔法で炎の狼と鷹を出し、ジュラに突っ込ませた

 

ジュラ「(ここまで複数のものを自由自在に操れるとは)しかし 先程と同じでは意味はないぞ! 岩鉄尖!」

 

 ジュラは岩鉄尖で狼達を攻撃していく

 

綱吉「同じ? さてそれはどうでしょう」

 

 狼達は次々と消滅させられていくが、鷹は素早く、小回りが利くため中々当たらず、ついに鷹はジュラに間近まで接近した ジュラは左腕に魔力を込め打ち払おうとしたが、触れた瞬間鷹は光って

 

ジュラ「っ⁉︎」

 

 爆発をした

 

綱吉「狼が消滅したからと油断しましたね 狼は囮で本命は鷹です そして鷹には魔力を多めに込めて作りましたから触れた瞬間爆発を引き起こしますよ」

 

 煙が晴れるとジュラの左上半身服は燃えて左腕も火傷を負っていた

 

 

チャパティ「あ〜っと! ルーキー ツナヨシが先にジュラにダメージを与えたぁ! こんな展開誰が予想出来たでしょう⁉︎」

 

 

 『蛇姫の鱗』観覧席

シェリア「ジュラさんっ」

 

リオン「大丈夫だ シェリア あのくらいでジュラさんは負けん」

 

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

ラクサス「まずは最初にダメージを与えたな」

 

ガジル「観客の連中も驚いてるぜ ギヒッ」

 

ジュビア「でも まさか爆発するなんて驚きました」

 

ミラ「ツナは一つの闘い方に拘らないで色々な戦法を使うから」

 

 

 〝聖十〟のジュラが傷を負ったことに観客はどよめいていた

 

 

ジュラ「いやはや 爆発するとはお主には驚かされたわ」

 

綱吉「まだまだこれからですよ フレアメイク 群狼!+獅子王!!」

 

 綱吉は造形魔法で群狼と巨大な獅子を出した 群狼の数も四十頭近くいた

 

ジュラ「なんと巨大な それにこの数・・・(もしあれも爆発するのであれば)」

 

 綱吉は群狼と獅子王をジュラに突っ込ませた

 

ジュラ「ぬうぅ・・・(近づけさせる訳には行かん 全てを破壊するしかない) 岩鉄尖!!」

 

 地面から突き出てくる岩鉄尖に次々と狼達は消されたり、爆発させられたりした そして獅子王もジュラまであと少しというところで腹を複数貫かれて消滅した

 

ジュラ(あの獅子は見せかけだったか むっ ツナヨシがおらんっ どこにっ っ⁉︎)

 

 ジュラが気配に気づいて左後方を向くと綱吉が左腕を振りかぶって殴る態勢をとっていた

 

 綱吉は群狼達を突撃させると同時に自身もジュラに向かってダッシュをしていた しかもただ直進するのではなく、右に大きく弧を描くように走った ジュラの意識は群狼達に向いており、更に爆炎によって自身は隠される よって綱吉はジュラに接近し、奇襲が成功した かに見えた

 

綱吉「もらったっ!」

 

 綱吉はジュラの左脇腹に向かって拳を叩き込もうとしたが

 

ガシッ

 

綱吉「ッ⁉︎」

 

 綱吉の拳はジュラに左手首を掴まれ阻止されていた

 

ジュラ「ふむ 全て目眩しで本命はお主自身か 中々良い だが甘いわっ!!」

 

 ジュラはそのまま背負い投げの様に綱吉を背中から地面に叩き付けた しかし

綱吉「あがっ⁉︎」

 

ジュラ「ぐっ・・・」

 

 ジュラがよろめき左こめかみ付近から出血をしていた

 

チャパティ「おおっと どうしたことか⁉︎ 攻撃した側のジュラがよろめいたっ⁉︎ これは一体?」

 

 

 『人魚の踵』観覧席

カグラ(ほう 器用な奴だ あの一瞬で反撃するとは)

 

 

 『妖精の尻尾』A観覧席

エルザ(ただではやられない 流石ツナだな)

 

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

ラクサス「ツナの作戦も見事だが、それを防いだジュラも凄えな」

 

ジュビア「ミラさん・・・」

 

 ジュビアはミラのことを心配そうに見るが

 

ミラ「大丈夫よ ジュビア 大丈夫  ツナは勝つわ」

 

 

 

 綱吉はジュラがよろめいてる隙に起き上がり、距離をとる

 

ジュラ「まさかあの態勢から蹴りを打ち込んでくるとは 器用な男よ」

 

綱吉「俺もあの拳を止められるとは思いませんでした」

 

 綱吉は地面に叩き付けられる直前にジュラの側頭部に蹴りを放ったのだ

 

 僅かな沈黙の後 両者は再び動いた

 綱吉は後方へと移動して

 

綱吉「フレアメイク 床弩‼︎」

 

 綱吉は大型のボウガンを作り出し 炎の矢を放った

 

ジュラ「ッ!(速いっ!)巌山!!」

 

 ジュラは岩の仏像を作り出し矢を防いだ 矢は外装を破壊出来たが中にいるジュラは無傷だった

 

綱吉「(防がれた・・・)だが まだまだ」

 

 綱吉は第二射を撃とうとした

 

ジュラ「(あれほどの威力を連発出来るのか・・・)悪いがさせんっ‼︎」

 

 すると綱吉の足場がせり上がり、バランスを崩してしまう

 

綱吉「うおっ じ、地面がっ⁉︎」

 

ジュラ「むんっ!!」

 

 更にジュラは岩の腕を複数出して、前後左右上から拳を叩き込もうとした

 

綱吉(・・・回避は・・・無理だな)

 

 五つの拳が綱吉に襲いかかった

 

 五つの腕が綱吉を捉えて、しばしの沈黙の後綱吉が居るであろう中心部が光り爆発が起きた

 

 そこには両腕を広げ爆炎を起こした綱吉がいた

 

綱吉「ハァ・・・ハァ・・・」

 

 しかしダメージが全く無い訳ではなかった 

 

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

ラクサス「まずいな ツナに疲労が見え始めた このままやり合えばツナは」

 

ミラ「大丈夫よっ  ツナは負けないわ ツナは・・・ツナは強いんだから・・・」

 

ラクサス「ミラ・・・」

 

ジュビア「ミラさん・・・」

 

 

 

綱吉「ハァ・・・ハァ・・・(まずいな 結構魔力使っちゃった 残り時間も少なくなってきたのにっ)

 

ジュラ「悪いが休ませるつもりはないぞ」

 

 ジュラはサッカーボールサイズの岩を次々と綱吉に向けて飛ばした

 

綱吉「くっ・・・」

 

 綱吉は炎を放出して焼き尽くそうとするが一方向を燃やしても別の方向から岩が飛んでくる為きりがなかった

 

綱吉「くそっ きりがないっ!」

 

 他方向から次々とくる岩に綱吉は回避に専念するしかなかった そして岩の一つが綱吉の足に当たりバランスを崩してしまう

 

綱吉「あっ⁉︎」

 

 すると岩は綱吉の身体に次々とくっ付き初めていく

 

綱吉「な、何だこの岩⁉︎ 拘束する技か⁉︎ くっこのっ」

 

 岩を外そうとしても中々取れず、どんどんくっついていく

 

綱吉「〜っ!! らぁっ!!」

 

 綱吉は全身から炎を放出して岩を焼き払った だが

 

綱吉「がっ・・・」

 

ジュラ「隙あり」

 

 炎を出した直後の隙をジュラは見逃さなかった 綱吉は首に岩を打たれたことで意識を失いかけていた

 

綱吉(ま、まずい・・・い、意識が)

 

 棒立ち状態となった綱吉に容赦なく岩が襲いかかり、綱吉は閉じ込められてしまった そしてジュラは両手を合わせ合掌し

 

ジュラ「覇王岩砕!!」

 

綱吉「ぐぁあああ」

 

 岩は破砕され閉じ込められていた綱吉に大きな深傷を負わせた 

 

 綱吉は全身ボロボロになり、前のめりに倒れそうになる

 

綱吉(ここまで、か・・・)

 

 目を閉じて意識を失いかけそうなる

 

 『ツナ・・・頑張ってね』

 

綱吉「ッ!」

 

ダァンッ!!

 

 綱吉は失いかけていた意識を取り戻し、左脚で強く踏ん張り倒れるのを防いだ

 

綱吉「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

ラクサス「何とか持ち堪えたか(だがもう限界はず)」

 

 ラクサスはミラの方見ると、ミラは涙を浮かべ口元を両手で押さえていた

 

ミラ(ツナ・・・ツナァ・・・頑張ってぇ・・・)

 

 助けたい 止めたい やめさせたい もう戦わないで もう傷つかないで 帰って来て そんな感情がミラの心で渦巻いていた しかしそんなことは出来ない ミラは必死に自身のこと抑え、ツナの勝利を信じて応援していた

 

 

 全身ボロボロになって尚闘い続ける綱吉の姿に最早誰も罵声や笑いを飛ばす者はいなかった そして ついに

 

「が、頑張れ〜!」 「頑張れっ ツナヨシ〜!」 「勝てるっ 勝てるぞ!」

 

 観客達から声援が出始めたのだ

 

 『妖精の尻尾』応援席

マカロフ「こ、これは・・・」

 

レビィ「皆がツナのことを応援してる」

 

リサーナ「ツナの闘いが観客の人達の心に届いたんだよ!」

 

カナ「さあ 観客に負けてらんないよっ 私たちも応援するよ!!」

 

皆「「「ツナーッ! 頑張れーッ!!」」」

 

 

 

 綱吉は意識が朦朧としながらもジュラのことを見ていた そして一瞬時計を見る

 

綱吉(・・・残りは、五分か・・・これで決められなきゃ終わりだな)

 

 綱吉はボクシングのファイティング・ポーズの構えをとる

 

綱吉「(勝つ 勝つ 勝つんだ 俺は勝つ!)勝つんだぁ!」

 

 快く見送ってくれたマグノリアの人達の為 仲間達のため そして最愛の恋人の為 綱吉は駆け出した

 

ジュラ「(最後の勝負に来たか)はっ!!」

 

 ジュラは岩を綱吉に向けて岩を飛ばしていく しかし綱吉は躱すか、両腕でガードしながら前進して行く

 

ジュラ(今までより明らかに速くなっておる)

 

 そしてジュラまであと僅かと迫った

 

ジュラ「岩錐‼︎」 

 

 綱吉は前方の地面から突き出てくる岩の円柱をスピードを緩めず左回転をして躱す

 

ジュラ「何っ⁉︎」

 

 そして回転を停止させると同時に一気に地面を蹴ってジュラの懐に入り、左のボディブローを食らわせる

 

ジュラ「ぐっ・・・」

 

 ジュラが苦悶の表情を見せた

 

 綱吉はすかさず左脇腹にミドルキックを打ち、バランスを崩しかけたところにジュラの顔面に右ストレートを叩き込んだ

 

 

 『妖精の尻尾』B 観覧席

ラクサス「止めるなっ 攻め続けろ!」

 

ガジル「やっちまえっ!」

 

ジュビア「ツナさんっ ファイトです!」

 

ミラ「ツナ・・・頑張れーっ!!」

 

 

 

綱吉「ハァ・・ハァ・・ああああああっ!」

 

 綱吉は怒涛のラッシュをジュラの顔や胸に叩き込んだ 

 

ジュラ「ぬうぅ・・・ はあっ!!」

 

 ジュラは殴られながら隙を見つけ、右の掌底で綱吉の顎を打ち上げる

 

綱吉「がっ・・・だあっ!」

 

 綱吉は打ち上げられながら右脚でジュラの側頭部を蹴る しかしジュラに右脚を掴まれてしまう そして振り上げ 

 

ジュラ「ぜぇえええい!!」

 

 一気に振り下ろした

 

綱吉「うぁああああ⁉︎」

 

 勢いよく地面に叩き付けられた綱吉はそのまま地面の中に消えてしまった

 

ジュラ「ハァ・・・ハァ・・・」

 

 

 『妖精の尻尾』応援席

 

レビィ「ね、ねえ ツナ どうなっちゃったの」

 

リサーナ「まさか やられちゃったんじゃ・・・」

 

 

 ギルドの皆が心配していると地鳴りが起き始めた

 

 

 

ジュラ「これは・・・むっ⁉︎」

 

 すると地中から巨大な炎が放たれて来た ジュラはその炎に驚きつつも回避する

 

ジュラ「まだこれほどの余力があろうとは」

 

 ジュラは右手で合掌し集中する

 

 

綱吉「ハァ・・・ハァ・・・外し・・たか くそ」

 

 綱吉は地中から地上に向けて、先にやったフレア・カノンの更に上の両手で放つフレア・バーストを撃った

 

綱吉「っ⁉︎ 何だ 辺りに魔力が集まっ」

 

 その瞬間綱吉は閃光に包まれた

 

ジュラ「鳴動富嶽!!」

 

 地中から大爆発が起きた

 

 

 『妖精の尻尾』B 観覧席

ミラ「ツナァアア⁉︎」

 

 ミラは身を乗り出して闘技場へ行こうするもジュビア達に止められる

 

ガジル「おいっ 何考えてんだっ」

 

ジュビア「ミラさんっ 落ち着いてください!」

 

ミラ「落ち着ける訳ないでしょっ! 早く助けに行かないとっ ツナが ツナがっ!」

 

 するとラクサスがミラの近くにいき

 

バシンッ

 

 頬を叩いた

 

 叩かれたミラも止めに入っていた2人も驚いて固まってしまう

 

ミラ「ラクサス・・・」

 

ラクサス「いいから落ち着けって言ってんだろうが 馬鹿野郎 今お前が乱入すればツナは失格扱いなる そうなればこの闘いは無意味になる お前はそれで満足か?」

 

ミラ「・・・そ、それは・・・」

 

ラクサス「彼奴はまだ負けてもねえし 諦めてもねぇ」

 

ミラ「えっ」

 

ラクサス「ジュラを見てみろ」

 

 

 ジュラは地面を睨み、警戒を解いていなかった ツナヨシはまだ何か仕掛けてくるそういう確信があったからだ

 

 

ラクサス「彼奴の恋人なら、最後まで彼奴のこと信じろ」

 

ミラ「・・・」

 

 

 すると再び闘技場に地鳴りが起き始めた

 

ミラ「これは・・・」

 

ジュビア「ツナさんですよっ!」

 

ガジル「彼奴しかいねえな ギヒッ」

 

ラクサス「これが仕掛ける最後のチャンスだ」

 

 残り時間は1分を切っていた

 

 

 会場は静かになり、観客も魔導士もこの最後の攻防に注目した

 

 

 

ジュラ「やはり 来るか(だが地上へ出て来た瞬間が主のおわりよっ)」

 

 ジュラの数メートル右側から何かが出て来た

 

ジュラ「そこかっ!」

 

 ジュラは攻撃しようとするも

 

ジュラ「っ⁉︎ 違う!!」

 

 出て来たのは火球弾だった そして今度は左側から何か飛び出て来た

 

ジュラ「そっちかっ!  また違うっ!!」

 

 今度も出て来たのは火球弾だった

 

ジュラ「ツナヨシは何を」

 

 するとジュラの足下から血だらけでボロボロになった綱吉が地面を突き破って出て来た 

 

綱吉「もらったぁああ!!」

 

ジュラ「なんとっ⁉︎」

 

 綱吉は右腕を振りかぶり魔力を込める 

 

 ジュラは迎撃しようするも

 

ジュラ(間に合わんっ)

         ゴッド・フィスト

綱吉「くらえっ 『神の拳』!!」

 

 綱吉は拳をジュラの胸に叩き込もうとした

 

 

ビーーーッ‼︎

 

 

 しかしここで試合終了のブザーが鳴り響く

 

 

ビタァッ

 

 拳はあと数センチというところで止まった 

 

 

 綱吉最強の一撃はあと数秒決めるのに遅かった・・・




評価してくださった  麒麟784さん ありがとうございます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20話

綱吉の攻撃が決まる前に試合が終了したことに『妖精の尻尾』の面々は悔しがっていた

 

 『妖精の尻尾』A観覧席

エルフマン「おいっ おかしいだろ! あのタイミングで時間切れなんてよぉ!」

 

ナツ「そうだそうだ! 巻き戻せっ」

 

エルザ「よさんかっ‼︎」

 

ゴッ!

 

エルフマン・ナツ「「グハッ」」

 

 エルザは2人を拳骨で沈めた

 

エルザ「時間は正確だったんだ 変な言いがかりを言うのはよせ」

 

 エルザは闘技場にいる綱吉を見る

 

エルザ(たらればになってしまうが、もし最後の一撃 決まっていればツナはあのジュラに勝っていたかもしれんな)

 

 

 『妖精の尻尾』応援席

レビィ「そんなぁ 時間切れだなんて」

 

リサーナ「あと少しだったのに・・・」

 

ロメオ「ツナ兄・・・」

 

マカロフ(ツナよ ようやった ようやったぞ その小さな身体でよく聖十とここまで戦った お主は儂等の誇りじゃ)

 

 

 『人魚の踵』観覧席

カグラ(結果的に引き分けになったが、あの最後の一撃が決まっていればツナヨシの勝ちだったな・・・ 明日以降ぶつかるようなら私も本気を出さねばならん)

 

 

 『青い天馬』観覧席

ヒビキ「あのジュラをあそこまで追い詰めるなんて・・・」

 

イヴ「ホントに一夜さんの言う通りになった」

 

レン「アイツ ヤバすぎだろっ」

 

一夜「(ジュラさんを相手にここまでの闘いをみせるとは それに単純な力だけでなく技、知略、判断力 どれも素晴らしい このまま成長すれば聖十に・・・いやそれ以上になれるだろう)まったく素晴らしい〝香り〟だね!」

 

ヒビキ「いや 一夜さん これは我々にとってヤバいのでは・・・」

 

一夜「何 心配する必要はない 君達には私がついているのだからね 何も恐れず私について来たまえ」

 

ヒビキ・レン・イヴ「「「はいっ」」」

 

 

 『剣咬の虎』観覧席

オルガ「まったく こんな展開になるなんてなぁ」

 

スティング「けっ 俺だって本気だせばあれくらいできるっ」

 

ルーファス「ルーキーの身でありながらここまでの闘いを見せてくれるとは・・・しかと記憶させてもらったよ」

 

 

 

 闘技場では綱吉が歯を噛み締め悔しそうにしていた

 

綱吉(俺の作戦ミスだっ 出し惜しみせず最初から格闘もボクシングとムエタイでやっていれば・・・)

 

 己の浅はかさに涙が出て来た

 

 

 そしてジュラの方にリオンとシェリアが来て、綱吉の方にラクサスとミラがやって来た

 

シェリア「ジュラさ〜ん!」

 

ジュラ「おお リオン シェリア」

 

リオン「お怪我は?」

 

ジュラ「うむ 大丈夫だ」

 

 

 ミラ達が綱吉に駆け寄ると綱吉は涙を流していた

 

綱吉「うっ・・・うぅっ・・・ごめんっ・・・勝てなかったっ・・・」

 

ミラ「ツナ・・・」

 

ラクサス「何言ってやがるっ あのジュラ相手に引き分けたんだぞ もっと自分を誇れ」

 

綱吉「ラクサス・・・」

 

ラクサス「それになぁ お前は得点以上に凄いことをしたんだぞ この会場を見てみろ 試合が始まる前まで『妖精の尻尾』を馬鹿にしてた観客がお前のことを応援したんだぞっ それをさせたのは他でもないお前なんだぜツナ」

 

ミラ「そうよ ツナ 貴方は凄いことをしたの! 謝ることなんて何一つ無いのよ」

 

綱吉「ミラ・・・ラクサス・・・ううぅ〜」

 

ラクサス「だぁ〜 いい加減泣き止めっ」

 

 綱吉は乱暴に頭をワシャワシャと撫でられる

 

ミラ「さっ 戻りましょ」

 

 綱吉はミラに支えられながら観覧席へ戻っていく

 

 

リオン「ジュラさん 俺達も」

 

ジュラ「うむ だが少し待て  ツナヨシっ!!」

 

 ジュラに呼ばれたことで綱吉達は歩みを止める

 

ジュラ「儂はこの決着に満足しておらんっ! また闘う機会があればその時しかと勝敗をつけようぞ!」

 

綱吉「・・・はいっ」

 

 綱吉は涙ながらもはっきりと答え 歩いていった

 

 

ジュラ「さて 儂等も行くか」

 

リオン(ジュラさんにここまで言わせるとは)

 

シェリア「ジュラさん 何か嬉しそうですね」

 

ジュラ「ん? そうだな 若い芽が育っていることが嬉しくてな お前達もうかうかしてると大きく差を開かれるぞ」

 

リオン「だ、大丈夫ですよ! 彼奴にはまけません!」

 

シェリア「私も私も!」

 

ジュラ「フッ そうか それは頼もしい限りだ」

 

 

 会場は2人の闘いに拍手が起きていた 

 

 しかしこの闘いに満足してない男が1人

 

白蘭(ん〜 ボクシングにムエタイだよなぁ 最後のアレ 確かあの世界の綱吉君も使ってたって言ってたよな だとしたら彼は〝鬼〟の綱吉君か 彼は強かったなぁ でも彼は最後まで〝鬼〟だったんだけどな)

 

 

 白蘭は綱吉の側にいるラクサスとミラを見る

 

白蘭(ああ また新しく守るべきものが出来て、人の心を取り戻しちゃったのか  また、彼と闘いたいなぁ どうしよっかなぁ )

 

 白蘭の目はミラを捉える その目は獲物に狙い定めた肉食獣のようであった

 

白蘭(そうだっ 壊せばいいんだ 彼の大切な人を壊しちゃえばきっと〝鬼〟に戻ってくれる 待っててね綱吉君 あの頃の君に戻してあげるから)

 

 白い悪魔は少年を修羅に落とすため企みを考えていた

 

 

 こうして大魔闘演舞1日目が終了し、このような結果になった

 

一位 『剣咬の虎』 20pt

 

二位 『大鴉の尻尾』 18pt

 

三位 『青い天馬』 14pt

 

四位 『蛇姫の鱗』 11pt

 

五位 『妖精の尻尾』B 6pt

 

六位 『人魚の踵』 3pt

 

七位 『四つ首の猟犬』 2pt

 

八位 『妖精の尻尾』A 0pt

 

 ミラは綱吉を治療させるため医務室に連れて行こうとした時

 

綱吉「っ⁉︎」

 

ミラ「ツナ? どうしたの?」

 

綱吉「な、なんでもない・・・ちょっと顔洗ってくるからっ」

 

ミラ「あっ ツナ!」

 

 ミラが呼びかけるも綱吉は早足でトイレへと行った

 

 綱吉は急ぎ洗面所の前に立つと

 

綱吉「・・・っ・・・うっ・・・ブハッガハッ⁉︎」

 

 口から血を吐き出した 胸を押さえ、呼吸も苦しそうだった

 

綱吉「ハァ・・ハァ・・ゲホッ・・ゲホッ・・無理、し過ぎた・・かな」

 

 綱吉は口元についた血を拭いながら苦笑いして言った

 トイレから戻った後ミラに心配されたがなんとか誤魔化し、医務室へと向かった

 その後綱吉は医務室で治療を受けて、Aチームやギルドの皆と合流しBAR SUN で飲み会をしていた

 

 皆酒を飲んだり、飯を食ったりと騒いでる中

 

ミラ「ツナ あ〜ん」

 

綱吉「なぁ ミラ 俺別に腕が使えない訳じゃ」

 

ミラ「あ〜ん」

 

綱吉「ねえ 聞いてる? しかもこんな大勢いる前でちょっと」

 

ミラ「・・・食べてくれないの?」

 

綱吉「食べるっ 食べるからっ」

 

ミラ「はいっ あ〜ん」

 

綱吉「・・・あ〜ん」

 

 身体のいたるところに包帯を巻かれたり、ガーゼを貼られたりしてる綱吉はミラに食事をさせられていた

 

綱吉(嬉しい、嬉しいけどさぁ せめて家でやって欲しかったなぁ)

 

 心配症なミラにあ〜んをさせられ、嬉しいやら恥ずかしいやら綱吉の思考はごっちゃになっていた

 

エルザ「ツナ 今日は大活躍だったな」

 

綱吉「エルザ 活躍て言うほど活躍はしてないさ 試合は引き分けだしね」

 

エルザ「その引き分けた相手がジュラならば充分凄いだろう それにお前のお陰で『妖精の尻尾』を馬鹿にする者はいなくなった」

 

レビィ「そうそう ツナのお陰だよ!」

 

マックス「この闘いでツナの名は一気に知れ渡っちまったなっ」

 

カナ「ツナも下手したら〝聖十〟に入っちまうじゃないの〜?」

 

綱吉「俺が? 無理無理 俺には荷が重すぎるよ」

 

 ギルドは綱吉のことで持ちきりで

 

ナツ「ぬぬぬ・・・」

 

ハッピー「ナツ どうしたの?」

 

ナツ「『妖精の尻尾』で強えのはツナだけじゃねぇ! 明日の競技は俺が出るぞ! そんで一位になってやるっ!」

 

 ナツは綱吉を指差して

 

ナツ「お前には負けねえぞっ ツナ!!」

 

 突然のナツの言葉に驚いてしまうが、

 

綱吉「ああ 望むところだ ナツ  だけど勝つのは俺達Bチームだ」

 

ナツ「何を〜!!」

 

 

グレイ「おうおう 盛り上がってるね〜」

 

ルーシィ「此処ギルドじゃないんだから喧嘩はやめてよね」

 

 そこにグレイとルーシィがやって来た

 

綱吉「グレイ、ルーシィ もう大丈夫なのか」

 

グレイ「ああ」

 

ルーシィ「色々吹っ切れたって感じね」

 

綱吉「そっか なら良かった」

 

グレイ「そういやツナ 試合で造形魔法使ったんだって?」

 

ルーシィ「えっ ツナって造形魔法使えたの⁉︎」

 

綱吉「ああ 修行して使えるようになったんだ 実戦で使うのは今日が初めてだったんだけどね」

 

グレイ「試合で使ったんだ ちゃんと造形は出来てたんだろうな?」

 

綱吉「もちろんっ ほらっ!」

 

 そう言って両手に炎を灯し右手に鷹を作り出し、左手に一輪の薔薇を作り出す

 

皆「「「「「おお〜」」」」」

 

 皆感嘆の声をあげていた

 

グレイ「確かに出来てるみたいだなっ」

 

ルーシィ「わぁ〜 綺麗ね〜」

 

エルザ「こうして間近で見ると見事な造形だ」

 

ミラ「触れないのが残念よね」

 

綱吉「俺のはグレイの『氷』と違って『炎』だからね 触ったら火傷しちゃうし(ホントは飾れたり触れるのがいいんだけど『炎』だからなぁ)」

 

 ミラは綱吉の炎の造形魔法に触れないことにとても残念がっており、綱吉もミラの気持ちを分かってはいたがどうしようもないことに残念がっていた

 

綱吉「さていつまでも出しとくと危ないし、そろそろ戻すよ」

 

ミラ「えっ もう消しちゃうの?」

 

綱吉「い、いや そんな目で見られても・・・ いつまでも出しとくわけには」

 

 ミラの目に困っていた時

 

バクンッ

 

ルーシィ・グレイ・ミラ「「「あっ 」」」

 

綱吉「ん?」

 

 皆の声と視線から左手を見ると

 

ナツ「おうっ やっぱツナの火は美味えなぁ」

 

 ナツが炎の薔薇を食べていた

 

綱吉「あらら・・・」

 

ルーシィ「アンタ 何食べてんのよっ」

 

ナツ「しょうがねえだろ そこに美味そうな火があったんだから」

 

グレイ「コイツには芸術ってもんが分からねぇのか いやアホ炎に分かるはずもねえか」

 

ナツ「んだとパンツマンがっ!!」

 

グレイ「んなっ 誰がパンツマンだっ!」

 

 2人はまたいつものように喧嘩を始めた

 

ルーシィ「まったくもぉ〜」

 

エルザ「やれやれ よさないかお前たち」

 

 そしてまたいつものようにエルザが仲裁に入っていった

 

綱吉「ははっ 何処に居ても変わらないなぁ」

 

 綱吉はそう言って炎の鷹を消した

 

ミラ「あ〜あ 消えちゃった」

 

綱吉「いやだって、さっきから消すって言ってるじゃ」

 

ミラ「・・・」

 

 ミラのしょんぼりした顔を見て

 

綱吉「・・・分かったよ 後で宿に着いたら最後にもう一回見せてあげるから」

 

ミラ「本当?」

 

綱吉「ホント」

 

ミラ「やったぁ」

 

綱吉「やれやれ」

 

 ミラは笑顔になり、綱吉も苦笑いをしていた

 

 

ガジル「明日 火竜の野郎が出るなら俺も出るぜっ いいよな?」

 

ラクサス「俺は構わねえぞ」

 

ジュビア「ジュビアは今日出ましたしね」

 

ミラ「私もいいわよ」

 

綱吉「俺は」

 

ミラ「ツナは明日見てるだけって言ったでしょっ」

 

綱吉「・・・はい そうでした」

 

ガジル「なら決まりだなっ ギヒッ」

 

 

 皆で話してるとマカロフがカウンターに立ち

 

マカロフ「今日の結果は明日への勝利の糧‼︎ 上ってやろうじゃねえか! ワシらに諦めるという言葉はない! 目指せフィオーレ 1!!」

 

皆「「「「「オオ〜!!」」」」

 

 

 また飲んだり食べたり騒いでると、カウンターの方で何かあったようだ

 

綱吉「ん? 前の方で何かあったのか?」

 

 よく見るとカナが酔っ払って倒れていて、その隣りに見知らぬ男がいた

 

綱吉(まさかカナが飲み比べで負けたのか?)

 

 そんな疑問を思っていると

 

?「うぃ〜ヒック そんじゃ〜 これは戦利品として貰ってくぜ〜」

 

 男はカナのブラを取っていった

 

綱吉「なっ⁉︎」

 

 マカオとワカバが返すように突っかかると倒されてしまった

 

綱吉(今の動きは・・・酔拳か この世界にもあるのか)

 

エルザ「奴はバッカスだ」

 

綱吉「エルザの知り合い?」

 

エルザ「『四つ首の猟犬』のS級にあたる男で、酔いの鷹 酔・劈掛掌のバッカス」

 

 説明によるとエルザと昔同等の実力者だったらしい

 

 

 バッカスが帰ろうとしていると綱吉が前に立ち

 

バッカス「あ? なんだ坊主?」

 

綱吉「ソレ置いてってもらえまさせん? 仲間の服なんで」

 

バッカス「コレは俺が勝負して手に入れたモンなんだぜ 返す訳にはいかねぇな」

 

綱吉「そこを何とか」

 

 綱吉はカナのブラを返すように言うがバッカスは中々聞き入れない そして互いに見合って暫く立ち

 

バッカス「(コイツ)・・・ほらよっ」

 

綱吉「ありがとうございます」

 

 綱吉は投げられたブラを取ろうとしたが横からミラに取られてしまう

 

ミラ「ツナッ コレは女の子の物なんだから触っちゃ駄目でしょっ」

 

綱吉「・・・はい すみません」

 

バッカス(なんだか締まらねー野郎だなぁ おい)

 

 ミラに怒られて反省している綱吉を見てバッカスは呆れていた

 

バッカス「んじゃあ 大魔闘演舞でぶつかったらよろしくな 坊主っ」

 

 バッカスは綱吉の頭をポンポンと軽く叩いてBARから出て行った

 

バッカス「あのガキ 涼しい顔して闘気ぶつけてきやがって お陰で酔いが覚めちまったぜ しかしジュラと引き分けたってのはホントみてえだなあ へへっ いいねえ 魂が震えてくらぁ」

 

 バッカスは綱吉と闘える日が来るのを楽しみにしながら自分の宿に帰って行った

 

 

 それから『妖精の尻尾』も宿に帰って行った 宿に着いてミラが綱吉と同じ部屋を希望した時一部の男性陣が騒いでいたが

 

エルザ「明日も早いんだ! さっさと寝ろっ!!」

 

 強制的に黙らせられた

 

 

 綱吉とミラは結局同じ部屋になった

 

ミラ「さっ ツナ 早く早くっ」

 

綱吉「分かったって それじゃあ明かりを消して」

 

ミラ「部屋を暗くするの?」

 

綱吉「うん 今から見せるのは暗い方が綺麗だと思うから」

 

 ミラは綱吉の言う通り部屋の明かりを消した 部屋は暗くなり窓から入ってくる月明かりで見える程度となった

 

綱吉「それじゃあ フレアメイク 蛍」

 

ミラ「・・・綺麗」

 

 綱吉の作り出した10数匹の蛍は淡い炎で部屋の中を飛び始めた

 

 ミラは炎の蛍の美しさに見惚れており、綱吉もミラのそんな表情を見て微笑んでいた

 

 それから数分後、蛍を消して寝ようかと思ったらミラが綱吉のベッドにやって来て腰掛けた

 

綱吉「どうしたんだ ミラ?」

 

ミラ「ツナの隣りに来たくってっ」

 

綱吉「そっか」

 

 しかしさっきまでの明るい笑顔が不安そうな表情に変わっていく

 

ミラ「ねえ ツナ?」

 

綱吉「何だ?」

 

ミラ「ツナは、ツナは私を1人にしないよね」

 

綱吉「何言ってるんだ急に?」

 

ミラ「時々思っちゃう時があるのっ ツナが突然私の手の届かない所に行きそうでっ 不安になるの! 怖いの!」

 

綱吉「ミラ・・・ 大丈夫 俺はミラを1人にしないよ それに何処かに行っても必ずミラの所に帰ってくるから だからそんな悲しい顔をしないでくれ なっ」

 

ミラ「ホント? ホントに約束できる?」

 

綱吉「ああ 約束するっ」

 

 綱吉はミラが両肩にそれぞれ手を置きミラは目を見る

 

綱吉「俺は必ずミラとの約束を守る だから笑顔を見せてくれ」

 

ミラ「うん」

 

 2人は月明かりの光に照らせれながら、約束の口づけをした

 

 

 

こうして大魔闘演舞 1日目が終わった

 

 

 

 綱吉はこの時未だ何も知らなかった、白い悪魔によって恋人の身に危険が迫っていることなど

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

21話

 大魔闘演舞 2日目

 

 闘技場

 

 2日目の競技名は『戦車』、そしてゲストには週刊ソーサラーのジェイソンが来ていた

 

綱吉「『戦車』か」

 

ジュビア「レースですかね?」

 

綱吉「いやでもそれって魔法関係なくない?」

 

ミラ「ツナの直感だとどんな感じなの?」

 

綱吉「ん〜(車 戦う、か)車の上で戦う感じかな でもさっきジュビアの言ったレースって言うのも引っかかるんだよね」

 

ミラ「じゃあ 疾走してる車の集団の中で車の上に飛び移りながらゴールを目指すのね」

 

綱吉「怖い怖い怖いッ ミラ それは怖いからっ」

 

 

ガジル「まあ バトルになろうがレースになろうが、ぶっちぎりで一位になってやるよ ギヒッ」

 

 ガジルは自信満々にフィールド中央へと向かっていった

 

綱吉(でもなんでだろう ガジルだと駄目なような気がするのは)

 

 

 今回出る選手は

 

 『剣咬の虎』からスティング

 

 『蛇姫の鱗』からユウカ

 

 『青い天馬』から一夜

 

 『四つ首の猟犬』からバッカス

 

 『人魚の踵』からリズリー

 

 『大鴉の尻尾』からクロヘビ

 

 『妖精の尻尾』A からナツ

 

 『妖精の尻尾』B からガジル となった

 

 

綱吉「あっ バッカスさんも出るんだね」

 

ジュビア「エルザさんはああ言ってましたけど、本当に強いんでしょうか? あの酔っ払っていた姿を思い出すとジュビア強いとは思えません」

 

綱吉「強いよ バッカスさんは」

 

 ジュビアの疑問に綱吉は直ぐに答えた

 

ラクサス「ほぉ なんで分かる 直感か?」

 

綱吉「まぁ それもあるけど マカオとワカバを倒したあの動きは拳法の動きだった かなり強いと思うよ」

 

ラクサス「フッ そうか ならバトルでぶつかった時が楽しみだな」

 

 皆で話してると参加者達が移動を始める

 

 

ミラ「あら? 闘技場から出て行くわよ」

 

綱吉「別な場所がスタート地点で此処がゴールなんじゃない」

 

 

 たしかに綱吉の言った通り、別の場所からスタートしゴールである此処を目指すというものだった

 

 

 実況席

 

チャパティ「この競技は連結された戦車の上を落ちないようにゴールを目指すものです 戦車は動いているので注意が必要です クロッカスの観光名所を周り、ゴールである此処ドムス・フラウまで1番早くたどり着くチームは一体どこだ⁉︎」

 

 

 会場いる人達はラクリマビジョンでレースの様子を見ることが出来るのだが・・・

 

 『妖精の尻尾』A のナツ、『妖精の尻尾』Bのガジル、『剣咬の虎』のスティングの3人が戦車の遥か後方でグロッキー状態だった

 

 戦車後方

ナツ「お…おお…おぷ」

 

ガジル「な…何故俺が……」

 

スティング「お…お…お」

 

 3人は何とか走って、いや歩いていた

 

 

『妖精の尻尾』A 観覧席

 

グレイ「なんでナツを出したぁ⁉︎」

 

ルーシィ「『戦車』って競技名で分かるよね フツー」

 

エルザ「どうしても出るときかないモンでな」

 

 

『妖精の尻尾』B 観覧席

 

綱吉「ナツが乗り物に駄目なのは知ってたけど、ガジルもだったっけ?」

 

ジュビア「いえ、ガジル君は平気のはずでしたけど」

 

綱吉「ナツもガジルもあのスティングって人もドラゴンスレイヤー、ドラゴンスレイヤーは乗り物に弱いのか?」

 

ミラ「でもウェンディは平気よ」

 

綱吉(たしかに…何故ウェンディは平気なんだ? 年齢か? ある歳を過ぎると乗り物に弱くなってしまうのか…)

 

ミラ「あれっ てことはラクサスも?」

 

ラクサス「他の奴等には黙っとけよ」

 

ジュビア「もうバレバレだと思うけど」

 

 

 その頃トップグループは一位がクロヘビ、その後ろにユウカ、リズリー、一夜 やや後方にバッカスがいた

 

 ユウカは波動を使って魔法を使えなくして引き離しにかかるが、リズリーは重力魔法で車両の側面を 一夜は俊足の香りを使って何とかついていく

 

 そしてバッカスは相撲の四股のように右足を上げて、降ろすと戦車が倒壊し、その衝撃で一夜達も止まってしまう 

 

綱吉(技だけじゃなくパワーも相当あるな…)

 

 

 バッカスはそのまま一夜達を追い抜き、更に先頭を走っていたクロヘビをも抜いて一位でゴールした 続いてクロヘビ、リズリー、ユウカ、一夜と次々とゴールしていく 

 

 残すはあの3人だけとなった

ナツ「おぼぼ…おぼ」

 

ガジル「ば、馬鹿な…俺は乗り物など…うぷ 平気だった」

 

スティング「じゃあ なれたんだな 本物のドラゴンスレイヤーにおめでとう 新入り」

 

ガジル「テメェ‼︎」

 

 スティングの煽りにガジルは体当たりをするが更に酔いが回るだけだった

 

ナツ「お…おぷ」

 

スティング「う…うぷ」

 

ガジル「ち、力が入らねぇ…」

 

 フラフラとした足取りで何とか前へ進んで行くナツとガジル、それに対してスティングは歩を止めた

 

スティング「カッコ悪ィ 力も出せねぇのにマジになっちゃってさ いいよ…くれてやるよこの勝負 俺たちはこの後も勝ち続ける たかが一点二点要らねーっての」

 

ガジル「その一点に泣くなよ ボウズ」

 

 

 スティングはどんどん自分との距離を離して行くナツとガジルに問いをかけた 何故 大会に参加したのか?と それに対しナツは

 

ナツ「仲間の為だ 7年も…ずっと…俺たちを待っていた…どんなに苦しくても悲しくても馬鹿にされても耐えて耐えて…ギルドを守ってきた」

 

 ナツの言葉に応援席にいる仲間達は涙目になり、ナツ、ガジルもキツくなって来たのか四つん這いになって進んでいた

 

ナツ「仲間の為に俺たちは見せてやるんだ 『妖精の尻尾』の歩き続けた証を‼︎ だから前に進むんだ‼︎」

 

 2人は何とかゴールすることが出来た

 ナツとガジルの執念でのゴールに仲間達は涙を流していた 会場からも拍手が送られていた

 

 

 観客席

 

白蘭(下らない…とんだ茶番劇だね 仲間の為とか弱者の考え方だよ そう言う考え方が君を人に戻しちゃったんだね)

 

 白蘭は綱吉の隣りにいるミラを見る

 

白蘭(さて…どう壊してあげようかなぁ) 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

22話

 『戦車』で酔いが酷いのかナツは医務室に運ばれていた 

 

『妖精の尻尾』B 観覧席

 

綱吉「さっ ナツとガジルが頑張ってくれたんだっ バトルパートも頑張ろう!」

 

ミラ「そうね 2人が頑張ってくれたんだもの私たちも頑張らないとねっ」

 

 

 バトルパート第一試合

 

 『蛇姫の鱗』トビー・オルオルタ VS 『大鴉の尻尾』クロヘビ

 

 トビーは爪で攻撃するがクロヘビは躱して翻弄し砂の中から攻撃する

 

 

ジュビア「消えたっ⁉︎」

 

ミラ「いいえ 擬態魔法よ」

 

綱吉「擬態魔法?」

 

ミラ「擬態した属性の魔法が使えるの」

 

綱吉「(擬態した属性 水辺なら水、森なら植物か)そんな魔法もあるんだな」

 

 

 トビーとクロヘビは負けた方が秘密を話すと言う賭けをやり、トビーは負けてしまった トビーの秘密は靴下が片方見つからないというもの クロヘビは靴下の場所を教えて握手するかと思いきや、その靴下を破り捨てた

 

ミラ「ひどい…」

 

ラクサス「気に入らねえな」

 

綱吉「あそこまでやる必要はないはず…」

 

 クロヘビのやったことに会場は静まり返っていた

 

 

チャパティ「さあ 気を取り直して 第二試合 『四つ首の猟犬』バッカス!! VS 『妖精の尻尾』A…」

 

綱吉「バッカスさん、連続か」

 

ミラ「たしかエルザと互角の人よね」

 

ジュビア「向こうからは誰が選ばれるんでしょう?」

 

 

チャパティ「…エルフマン!!」

 

 

綱吉「エルフマンか…」

 

ミラ「そんな…」

 

綱吉「大丈夫 エルフマンだってあの三カ月の修行で強くなったんだ きっと勝てる」

 

ミラ「ツナ うんっ そうよね!」

 

 

 バッカスはすでにフィールドにいてエルフマンのことを寝っ転がって待っていた そこにエルフマンがやって来る

 

バッカス「なぁ 俺らもさっきの連中みてーに賭けをしねーか?」

 

エルフマン「ム」

 

バッカス「お前の姉ちゃんと妹美人だよなぁ 俺たちが勝ったら一晩貸してくれや 両方一緒に」

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

綱吉「は?」

 

ミラ・ジュビア・ラクサス「「「っ⁉︎」」」

 

 その瞬間観覧席にもの凄い圧がかかった

 

ミラ「ツ、ツナ?」

 

 ミラが恐る恐る綱吉の方を見ると

 

綱吉「…大丈夫…落ち着いてるから…」

 

 何とか必死になって冷静になろうと頑張っているのが分かった 3人は不安になりつつ試合を見守る事にした

 

 

 試合が始まりエルフマンはビーストソウルで獣人となってバッカスに攻め掛かるが、バッカスは躱していき〝劈掛掌〟で反撃していく

 

綱吉(劈掛掌…武術の本に載ってたな こっちの世界にもあるとは)

 

ミラ「強い…」

 

綱吉「ただバッカスが強いだけじゃない あの〝劈掛掌〟の独特の構えから繰り出される掌打、上から下に切り下ろす攻撃と下から上に打ち上げる攻撃の二種にエルフマンの動きが狂わされているんだ」

 

ミラ・ジュビア・ラクサス(もうバッカスって呼び捨てになってるし)

 

綱吉「何よりエルフマン自身の呼吸が乱れてる あれじゃあ本来の力の半分も発揮出来ない」

 

ミラ「そんな…」

 

綱吉(どうしたエルフマン 呼吸が乱れてるぞ 落ち着くんだ 修行を思い出せっ)

 

 

エルフマン「はぁ…はぁ…ビーストソウル・ワータイガー!!」

 

 エルフマンは豹のような獣人になりバッカスへ襲いかかるもバッカスに軽くあしらわれてしまう

 

 

ミラ「スピード系のテイクオーバーでも駄目だなんて…」

 

綱吉(ただ速くしたところでバッカスには通用しない 呼吸を整えろエルフマン

 

 

 エルフマンは片膝をつき息をしていた

 

エルフマン「はぁ…はぁ…(くそっ コイツめちゃくちゃ強え どうするっ⁉︎どうすればっ⁉︎ このままじゃ姉ちゃんとリサーナが)

 

バッカス「漢なんだろぉ 約束守れよな  へへっ 美人姉妹と夢の夜 いいねぇ」

 

エルフマン「くっ…」

 

 『集中が足りないっ!! 呼吸を乱すな!』

 

エルフマン「っ!!」

 

 その時エルフマンの頭に綱吉の言葉が響いた

 

エルフマン「フッ…(そうだよな こんなんじゃまたお前に怒られちまうな)

 

バッカス「あ? 何笑ってんだ お前?」

 

エルフマン「そういやまだ決めてなかったな 猟犬」

 

バッカス「何が?」

 

エルフマン「俺が勝った時の賭けだよ…」

 

バッカス「ああ なんでも言ってみ どうせ無理なんだから」

 

エルフマン「俺が勝ったらお前らのギルド名大会中『四つ首の仔犬』な」

 

バッカス「ぷっ いいよいいよぉ んじゃあ そろそろ決着つけようかね」

 

 バッカスはエルフマンの賭けに笑いながら了承し酒を飲んでいく

 

 

綱吉(酒を飲んで…通り名通り酒を飲んで強くなるということか)

 

 

エルフマン「スゥー ハァー スゥー ハァー(集中しろ…呼吸を整えろ…修行を思い出せ)」

 

バッカス(何かするかと思ったらただ目瞑って突っ立てるだけ 諦めたか? まあ何をしようがお前は終わりだ)

 

 バッカスはゆっくりと構える

 

バッカス(じゃあなっ!!)

 

 バッカスはエルフマンに突っ込んで掌打を食らわせようとした エルフマンはバッカスが突っ込んで来ても尚何もせず立ったままだった そしてバッカスの掌打がエルフマンを捉えようとした その時

 

ドガァン!!

 

 バッカスの視界が激しく揺れ、足がぐらついた

 

バッカス「⁉︎(な、なん、だっ 何が、起きた)」

 

 

 

綱吉「・・・この勝負 エルフマンの勝ちだ」

 

ミラ「えっ」

 

綱吉「バッカスはもう戦うことは出来ない」

 

ジュビア「どういうことですか? ツナさん」

 

綱吉「エルフマンはバッカスの攻撃を喰らう直前、右の昇拳でバッカスの顎を打ち上げた 全く予想して無かったまさかの攻撃 しかも顎に喰らったんだ しばらくはまともに動けない 戦闘中においてそれは致命的なことだ」

 

 たしかに綱吉の言う通りバッカスは視界が定まらず、足もガクガクと揺れ平衡感覚を失っていた、そこへエルフマンがバッカスの右肩を掴んで自分の方へと引き寄せる

 

エルフマン「本当なら今の一撃で決めたかったんだがなぁ ツナのように上手くいかなくてよ 修行不足なんだわ だから、次で決めてやるよ」

 

 エルフマンは右腕をビーストソウルして獣人の腕にし、大きく振り返る

 

 バッカスはエルフマンの威圧感に冷や汗をかいていた

 

バッカス「(ま、まずい こ、こいつはヤベぇ・・・)・・・ま、待てっ」

 

エルフマン「ツナのあの一撃には遠く及ばねぇが これが俺の最強の一撃! 喰らえっ 『獣王の鉄鎚』!!」

 

 エルフマンはバッカスの顔面に拳を喰らわせ、地面に叩き伏せた

 

バッカス「がっ・・・・」

 

 バッカスはエルフマンの一撃を喰らい、失神して倒れた

 

エルフマン「おおおおおおおっ!!」

 

 

チャパティ「き、決まった〜! エルフマンっ まさかの大逆転勝利〜!! この雄叫びが『妖精の尻尾』復活の狼煙かーーっ!!」

 

 エルフマンの勝利に会場は歓声が上がっていた

 

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「エルフマン やったわツナッ」

 

 ミラは嬉しさのあまり涙目のなっていた

 

綱吉「ああ 強敵相手によく勝ったよ」

 

ジュビア「だけどどうしてタイミングばっちりで顎を打つことが出来たんでしょう?」

 

綱吉「そりゃあもちろん 呼吸を感じとることが出来たからだよ」

 

ラクサス・ジュビア「「呼吸?」」

 

 ラクサスもジュビアも首を傾げてしまう

 

綱吉「ああ 物には呼吸がある それさえ感じることが出来ればたとえ目を瞑っていても反応することは出来るさ」

 

ラクサス「ほお そんなもんがあるのか」

 

ジュビア「呼吸・・・ジュビアも驚きました」

 

 ラクサスもジュビアも呼吸に興味深々だった

 

 

ミラ「だけどツナ、エルフマンの最後の一撃って」

 

綱吉「ああ どうやら俺のを真似たみたいだな 彼奴め(全身テイクオーバー分の魔力を右腕のみに集中する そりゃあとんでもない威力になるな)」

 

 綱吉はエルフマンの最後の一撃を分析していた そして倒れているバッカスを見て

 

綱吉「(アンタの敗因は己れの過信、軽率にある エルフマンが集中状態に入った時、もっと警戒すべきだった 攻め込む時も馬鹿正直に真っ正面から行かずスピードに緩急をつけたり、フェイントを入れたりとやればよかったな 己れの力に自信があるからこそ真っ正面から行ったんだろうがそれが敗北に繋がるとはな)もっと冷静になるべきだったな・・・」

 

ミラ「ん? ツナ何か言った?」

 

綱吉「いや 何でもない」

 

 

 綱吉は皆の方に向き

 

綱吉「さっ Aチームが勝ったんだ 俺達も負けてられないよ!」

 

ミラ「ええ!」

 

ジュビア「はいっ」

 

ラクサス「ああ」

 

綱吉(1人まだ帰ってきてないけど まあしょうがないか)

 

 

 その頃ガジルはまだ別な場所で休んでいた

 

ガジル「うぷっ・・・よ、良し 大分マシになってきたぜ」

 

 

 エルフマンの勝利により綱吉達のやる気を出していた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

23話

 エルフマンは試合の後バッカスから受けたダメージが大きく『妖精の尻尾』の医務室で治療を受け、回復したウェンディと交代することとなった

 

エルフマン「悔しいがこの怪我じゃ試合にでれねえ 後は任せたぞ!ウェンディ!」

 

ウェンディ「はいっ 任せて下さい!」

 

 『大鴉の尻尾』の襲撃に備えて雷神衆が護衛につき、フリードが術式で部外者の出入りを出来なくした

 

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

ガジル「よぉ 戻ったぜ」

 

綱吉「ガジル お帰り〜 遅かったね」

 

ガジル「まぁな ちょっくら散歩してたんだよ」

 

ラクサス・ジュビア・ミラ(((酔いを覚ましてたんだな(ですね・のね)))

 

綱吉「ああ 酔いを覚ましてたのか」

 

ガジル「はあっ⁉︎ 酔ってねえし!」

 

綱吉「いや 酔ってたじゃん 普通に冷や汗かいて戻しそうになってたし」

 

ガジル「酔ってねえよっ!」

 

ズガンッ

 

 ガジルは綱吉の額に頭突きをした

 

綱吉「あうっ⁉︎」

 

 綱吉は額を抑えて痛がっていた

 

綱吉(石頭め〜 いや鉄頭か 超痛てぇ〜)

 

 皆で騒いでいると

 

 

チャパティ「続きまして 第3試合! 『妖精の尻尾』B ミラジェーン・ストラウス! VS 『青い天馬』 ジェニー・リアライト!」

 

 

綱吉「おっ 次はミラか」

 

ジュビア「ミラさんっ 頑張ってください」

 

ガジル「俺様の頑張りを無駄にすんじゃねぇぞ」

 

綱吉「七位だけどね」

 

ガジル「うるせぇよっ! ポイントとってんだから勝ちだろうが!」

 

ジュビア「まあまあ ガジル君 落ち着いて」

 

 ミラはそんなやり取りを見て

 

ミラ「フフッ それじゃ行ってくるわね」

 

 ミラは闘技場へと向かおうとした時

 

綱吉「ミラっ!」

 

 綱吉の呼び掛けにミラは振り返り

 

綱吉「頑張れよ!」

 

ミラ「ええ!」

 

 恋人の綱吉の応援をもらいミラはやる気充分で再び歩いていった

 

 

 

 闘技場にはジェニーがすでに待っており、ミラが着くと何やら2人で話し合いをしてバトルが開始されたのだが

 

ミラ「こんな感じ?」

 

ジェニー「こう?」

 

 何故か水着を着てポーズをとっていた 水着姿のミラとジェニーを見て男性客は目をハートにして興奮していた

 

 

綱吉「・・・何これ」

 

ジュビア「・・・グラビア対決みたいですね」

 

 

チャパティ「元グラビアモデル同士! そして共に変身系の魔法を使うからこそ実現した夢のバトル!!」

 

 

綱吉「おい いいのか それで」

 

 チャパティの言葉に綱吉はツッコミを入れた

 

 

ミラ「こっち?」

 

ジェニー「は〜い♡」

 

 2人がポーズをとるたびに男性客は大興奮して

 

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉「ミ、ミラが水着であんなポーズを・・・」

 

 綱吉はミラのグラビアのポーズに顔を真っ赤にさせていた

 

ラクサス「おい 何か暑くねぇか?」

 

ガジル「そう言えば」

 

ジュビア「たしかに」

 

 ラクサス達は突然暑くなったことに疑問を感じていた

 

ラクサス「おいツナ お前も暑いよな っておい!」

 

ジュビア「きゃあああ ツナさん⁉︎」

 

ガジル「顔どころか身体全体赤くなってんぞ!」

 

 会話に入ってこない綱吉のことを見てみると3人は驚いた なんと綱吉の身体が赤くなっており、身体から熱気が放出されていたのだ

 

 綱吉はミラのグラビアを見て感情が高ぶってしまい、無意識に熱を放出してしまっていたのだ

 

ガジル「おいジュビア! 水だ!水!」

 

ジュビア「はいっ」

 

ラクサス「おいっ 待て!」

 

 ラクサスが止めるも時すでに遅く、ジュビアが綱吉に水をかけて大量の水蒸気が出てしまった

 

ガジル「うおっ なんだ⁉︎」

 

ラクサス「馬鹿野郎 あんな高熱なのに水なんてかけたら水蒸気が出るの当たり前だろうがっ」

 

ジュビア「そ、そうでした(水蒸気爆発しなくて良かった・・・)」

 

 ラクサス達が大量の水蒸気にパニックになっていた頃

 

 

 闘技場

 何やらBチームの観覧席が騒がしいのでミラがそちらに目を向けると、

 

ミラ(煙? 水蒸気かしら ツナ達は何をしているの?)

 

 

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

 

 水蒸気がはれて漸く見えるようになると綱吉の赤みは少し消えていた

 

ジュビア「まだほんのり赤いですね」

 

ガジル「熱気もまだ出てやがる」

 

ラクサス「ツナにはグラビアは刺激が強すぎたみてぇだな」

 

ジュビア「でもどうします? まだグラビア対決続きますよ?」

 

ラクサス・ガジル「「・・・」」

 

 3人は悩んだ末に

 

ジュビア「大丈夫でしょうか?」

 

ラクサス「今のツナは意識が朦朧としてる 大丈夫だ」

 

 3人がやったのは目隠しをすること 綱吉の視界を遮れば大丈夫と判断したのだ

 

 

 

 その後もミラとジェニーは『スク水』『眼鏡っ娘』『ネコミミ』『ボンテージ』など様々なお題をやった

 

チャパティ「このままではラチがあかないので、次を最後の一回とさせていただきます」

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ジュビア「目隠しのお陰かあまり暑くないですね」

 

ガジル「まるでサウナみてぇだったからな」

 

ラクサス「ツナには悪りいがこのまま目隠しでいてもらうか」

 

 たしかに目隠しのお陰で綱吉は熱気をそこまで放出することはなかった

 

 

 闘技場

 

ジェニー「ミラっ 次で最後よ!」

 

ミラ「うんっ 負けないわよ!」

 

ジェニー「今まで試合の流れにそって私達も賭けをしない?」

 

ミラ「いいわね 何を賭けるの?」

 

ジェニー「負けた方が週刊ソーサラーでヌード掲載っていうのはどうかしら?」

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉「ヌ、ヌード?・・・」

 

ラクサス・ガジル・ジュビア「「「ッ!?」」」

 

 ヌードという言葉に反応した綱吉に3人は恐る恐る綱吉の方を見る

 

ガジル「だぁああっ⁉︎ こいつまた赤くなってやがる! つーかめっちゃ暑い!」

 

ジュビア「ツナさんっ 落ち着いてください! 冷静に 冷静になって!」

 

ラクサス「くそっ あのバカ女め 余計なこと言いやがって おいツナッ! 無心になれ!無心に!」

 

 ラクサス達の声かけも虚しく、綱吉には届かず

 

綱吉(ヌード? 裸? ミラが裸に?)

 

ガジル「おいっ 何か発光してねぇか⁉︎」

 

ジュビア「何かヤバイ予感が」

 

 ミラの裸を想像してしまい更に赤くなり赤く発光し始めてしまった それに何か危機感を覚えた3人は一旦離れようと思ったその時

 

 

 

 闘技場

 

ミラ「いいわよ♪」

 

 なんとミラはジェニーの提案にのったのだった

 

 

チャパティ「な…なななんととんでもない賭けが成立してしまったーーっ!!」

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ラクサス・ガジル・ジュビア「「「なっ⁉︎」」」

 

ガジル「何承諾してんだっ彼奴⁉︎  はっ⁉︎」

 

 ミラの言葉が止めの一撃となり綱吉の思考は限界をこえ、

 

ボカァアン!

 

 爆発した

 

 3人は爆発に巻き込まれながら、耳栓もしておけば良かったとそう思った

 

 

チャパティ「最後のお題は戦闘形態です‼︎」

 

 

ジェニー「これが私の戦闘形態よ!」

 

 ジェニーは機械のアーマのようなものを全身につけていた

 

ミラ「じゃあ私もいくわね 今までの流れにそって賭けが成立したんだから 今までの流れに沿って最後は力のぶつかり合いってことでいいかしら」

 

 ミラは最強のサタンソウル ミラジェーン・シュトリに変身する 

 

ジェニー「は?」

 

ミラ「私は賭けに承諾した 今度は貴方が〝力〟を承諾してほしいかな」

 

ジェニー(そんなーーっ!!)

 

 

 そしてジェニーはミラに一撃で倒されてしまうのだった

 

  

 『妖精の尻尾』B観覧席

ガジル「ゲホッゲホッ 全くえらい目にあったぜ!」

 

ジュビア「ツナさんは・・・のびてますね」

 

ラクサス「その内目を覚ますだろ」

 

 そこへミラが戻って来た

 

ミラ「ただいま〜 ってどうしたの皆っ⁉︎」

 

 ミラは観覧席や3人の姿を見て驚いた

 

ジュビア「ミラさん お帰りなさい ・・・まぁ色々ありまして」

 

 ミラは顔を赤くして床にのびてる綱吉を見て駆け寄る

 

ミラ「ツナッ こんなに顔を赤くして何があったの⁉︎」

 

ジュビア(いや、貴方が原因なんですよ ミラさん)

 

ラクサス「お前のグラビアがこいつには刺激が強すぎてな だからぶっ倒れてるんだよ」

 

ミラ「えっ?」

 

 ミラは予想外の答えに固まってしまった

 

ガジル「ヌードなんて承諾しやがって お陰でこいつ興奮して爆発したんだからな」

 

ミラ「ええっ⁉︎」

 

ラクサス「いくら強いと言ってもガキなんだ お前が思ってる以上に純粋なんだろう」

 

ミラ(ツナ・・・)

 

綱吉「・・・うう〜ん」

 

 皆が話していると綱吉が目を覚ました 

 

 目を覚ますとミラが心配そうに自分を見ていた

 

綱吉「ミラ?」

 

ミラ「ツナ ごめんね 私がグラビア対決なんてやったばっかりに・・・」

 

綱吉「ミラのせいじゃないよ 俺が未熟だった それだけだよ」

 

ミラ「・・・ツナ」

 

綱吉「でも・・・」

 

ミラ「でも?」

 

綱吉「これからはグラビアとか やめてほしいかな・・・恋人にそういうのやってほしくないんだ いや、別にグラビアを否定してる訳じゃないんだっ ただミラをやらしい目で見られたくないというか なんというか・・・」

 

  綱吉は恥ずかしがりながらもミラに伝えた

 

ミラ「ツナ ありがとう 分かったわ」

 

 ミラは優しく微笑みそれに答えた

 

ミラ「ところでツナ ツナはどの水着が良かった?」

 

綱吉「えっ? う〜ん あんまり覚えてないんだ ごめん」

 

ミラ「ええっ せっかくあんなに頑張ったのに」

 

 ミラはさっきと変わって拗ねてしまう

 

綱吉「ご、ごめん! だからそのお詫びと言ってはなんだけどさデートしよう! 丸一日2人で出かけよう ねっ!」

 

ミラ「・・・本当?」

 

綱吉「ああっ 本当だ! 約束する!」

 

ミラ「なら 指切りして」

 

 ミラはそう言って右手を出し小指を立てる

 

綱吉「分かった 約束だもんな」

 

 綱吉も右手を出し、ミラの小指と自分の小指を絡め

 

ミラ「指切りげんまん♪ 嘘ついたら♪ 針千本♪ の〜ますっ 指切った!」

 

 歌が終わると2人は絡めていた指を離した

 

ミラ「約束よ 破ったら許さないんだから」

 

綱吉「分かってる ちゃんと約束は守るよ」

 

ミラ「本当は旅行が良かったんだけど 旅行は結婚してからにしましょ」

 

綱吉「け、結婚⁉︎」

 

 ミラの言葉に綱吉は驚いてしまう

 

ミラ「あら? ツナは私をお嫁さんに貰ってくれないの?」

 

綱吉「もちろん結婚するさ 俺の妻はミラしかいない!」

 

ミラ「ツナ もうっ」

 

 ミラは顔を赤くして綱吉に抱きついた

 

綱吉「わわっ」

 

 

 

 そんな2人を見ていた3人は

 

ジュビア「なんだかいつも通りになりましたね」

 

ラクサス「ああ・・・」

 

ジュビア「ジュビア凄い疲れたんですけど」

 

ラクサス「俺もだ」

 

ガジル「俺も」

 

 3人は綱吉とミラを見て

 

ラクサス・ジュビア・ガジル「「「はあ〜」」」

 

 盛大にため息をついた

 

 

トラブルがあったBチームだが無事第三試合に勝利した

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

24話

 第三試合も終わり残すはあと一試合となった

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉「残りは『剣咬の虎』と『人魚の踵』だね」

 

ジュビア「出来れば『剣咬の虎』には負けて欲しいんですけど」

 

ラクサス「そう簡単にはいかねえだろ 相手はフィオーレ 1なんだ」

 

綱吉(たしかに だけどあの人が出るんだったら分からないな)

 

 綱吉は『人魚の踵』のカグラを思い浮かべていた

 

 

 

チャパティ「さあ本日も残すはあと一試合! 本日の最終試合 『人魚の踵』カグラ・ミカヅチ VS 『剣咬の虎』ユキノ・アグリア! これはまたしても美女対決となったーっ!!」

 

 

 

『剣咬の虎』観覧席

 

スティング「おい お前がこのチームにいる意味・・・分かるよな」

 

ユキノ「『剣咬の虎』の名に恥じぬ戦いをし、勝利することです

 

 

『人魚の踵』観覧席

 

ミリアーナ「カグラちゃん 頑張ってね」

 

リズリー「でも相手は『剣咬の虎』だしねぇ」

 

カグラ「案ずることはない 道は視えた 我が剣の先に」

 

 

 チャパティに名を呼ばれ両者は闘技場へと出てきた

 

綱吉(やっぱり出て来たか  だけどあの人・・・上手く内に隠してるけど凄い憎しみだ それにあの刀、何か凶々しい 妖刀の類いか?)

 

 綱吉がカグラに疑念を抱いていると両者は闘技場の中央に来て向かい合った

 

 

チャパティ「『人魚の踵』最強の魔道士であり、現在週ソライチオシの女性魔道士〝カグラ〟‼︎ 対するは今回初参戦ですが、最強ギルド『剣咬の虎』に所属しているというだけでその強さに期待がかかる〝ユキノ〟‼︎ 果たしてどんな戦いを見せてくれるのか!  試合開始ィ!!」

 

 チャパティの合図と共に銅鑼が鳴らされる

 

ユキノ「よろしくお願いします」

 

 ユキノは戦う前に頭を下げた

 

カグラ「・・・こちらこそ」

 

 カグラも驚いたが頭を下げた

 

 

ユキノ「あの…始める前に私たちも「賭け」というものをいたしませぬか」

 

カグラ「申し訳ないが、興味がない」

 

ユキノ「敗北が恐ろしいからですか?」

 

カグラ「そのような感情は持ち合わせていない しかし賭けとは成立した以上必ず行使する主義である故 軽はずみな余興は遠慮したいのだ」

 

ユキノ「では重くいたしましょう 命を・・・賭けましょう」

 

 ユキノの発言に会場はざわつく

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「あの人、何を言って・・・」

 

ラクサス「よほど自信があるみてえだな」

 

綱吉「(スリルを求める戦闘狂でもなければ 命をなんとも思ってない訳でもない ラクサスの言ったようにあくまで自分の力に自信があるということか)・・・」

 

 綱吉の様子を見てミラが声を掛けてきた

 

ミラ「ツナ?」

 

綱吉「ん? ああ あのユキノって人のことで・・・軽々しく〝命〟を賭けの対象するべきじゃない 命とは尊く重いんだ 命をかけるなんてそれこそ戦争の時だよ 愛する者を守るために命をかけて戦う こんな、軽いものじゃないんだ 命って・・・・・」

 

 綱吉は悲しい表情を浮かべそう言った

 

ミラ「ツナ・・・(自分が戦争を経験したからこそ 彼女の言葉が許せないのね)」

 

綱吉(・・・俺はその尊く重い命を敵とは言え何人奪っただろう・・・俺に誰かを愛する資格はあるのか? 幸せになる資格はあるのか?)

 

 綱吉はそう思いながらミラを見る

 

綱吉(俺は・・・俺は本当にこのままでいいのだろうか)

 

 ミラは綱吉の不安そうな顔を見て手を握り

 

ミラ「ツナ 大丈夫よ 私は貴方の側から離れない だから不安にならないで」

 

 そう言って優しく微笑んだ

 

綱吉「ミラ ありがとう」

 

 ミラの言葉に綱吉の気持ちは落ち着いていった

 

ラクサス(ツナは時々不安そうにみせる時があるな  平和を知り、幸せを感じれば感じるほどツナにとって、苦しめちまうかもしれねえな

 

 

 

闘技場

 

カグラ「その覚悟が誠ものなれば受けて立つのが礼というもの よかろう 参られよ」

 

 カグラも承諾し賭けは成立する 会場がざわめく中ユキノは黄金の鍵を出して

 

ユキノ「開け 双魚宮の扉…ピスケス‼︎」

 

 二体の巨大な魚が召喚され、カグラに襲いかかるが上手く躱されてしまう そこでユキノは2本目の鍵を出して

 

ユキノ「開け 天秤宮の扉…ライブラ‼︎」

 

 両手に天秤の皿を持った女性をする

 

ユキノ「ライブラ 標的の重力を変化」

 

ライブラ「了解」

 

 ライブラはカグラの重力を操り、カグラの重力を重くして地面にめり込ませた

 

カグラ「くっ」

 

ユキノ「ピスケス」

 

 それを狙ってピスケスが上空より襲い掛かるが、カグラはまたも躱してしまう

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉(自分に掛かっていた重い重力に軽い重力を掛けて相殺のか 状況判断能力が極めて早い)

 

 

闘技場

 

ユキノ「私に開かせますか 十三番目の門を」

 

 ユキノは黒い鍵を出して

 

ユキノ「開け 蛇遣い座の扉…オフィウクス!!」

 

 巨大な蛇を召喚した しかしカグラはオフィウクスを見ても恐れることなく向かっていき

 

カグラ「怨刀 不倶戴天 抜かぬ太刀の型」

 

 納刀したままオフィウクスを切り裂いた そしてそのままユキノの懐に入り

 

ユキノ「うそ・・・?」

 

カグラ「安い賭けをしたな 人魚は時に虎を喰う」

 

 ユキノを斬り伏せた 倒れたユキノは驚き固まっていた

 

 

 

チャパティ「し…しし…試合…終了…勝ったのは『人魚の踵』カグラ・ミカヅチ!!」

 

 あまりの出来事に司会のチャパティや観客も驚いていた

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「こんな強い人がいたなんて」

 

ラクサス「納刀したままあの蛇を斬るなんてそうとうやるぞ あの女」

 

綱吉(決してユキノって人が弱かった訳じゃない カグラって人が強すぎたんだ それにあの剣技 エルザと同等か上をいってる 抜刀した更にヤバいだろうな)

 

 

 各ギルドの者たちはカグラの強さを認識し警戒した

 

こうして大魔闘演舞 2日目が終了した

 

 2日目までの結果はこのようになった

 

一位 『大鴉の尻尾』 36pt

 

二位 『剣咬の虎』 20pt

 

三位 『人魚の踵』 19pt

 

四位 『青い天馬』 17pt

 

四位 『妖精の尻尾』B 17pt

 

五位 『蛇姫の鱗』 15pt

 

六位 『四つ首の仔犬』 12pt

 

六位 『妖精の尻尾』A 12pt

 

 

 綱吉(一位は『大鴉の尻尾』が独走中か 残りは僅差で混戦中 まあまだ2日目焦ることはない 逆転のチャンスはやってくる)

 

 

 

 その後Aチーム、Bチーム共『妖精の尻尾』の面々はまたBARに行って宴会して騒ぎ、その後は自由行動となった

 

 そのまま宿に行く者、まだ飲み食いする者、散歩する者、様々いた

 

 綱吉はミラと共に宿に帰り、部屋に来たが

 

ミラ「あら? ツナ何処か行くの?」

 

綱吉「ああ 少しその辺を走ってこようかと思って」

 

ミラ「そう なら気をつけてね」

 

綱吉「分かってるよ そんなに時間かけず戻ってくるから」

 

 そう言って綱吉は走り込みに行った

 

 

 

 綱吉が走っているとある店の前で足を止めた それはショーウィンドウに展示されているウェディングドレスだった

 

 綱吉はウェディングドレスを見て昼間のことを思い出していた

 

綱吉(結婚か あっちの世界じゃ考えたこともなかったな 全てを失った俺がまた仲間を持ち、恋人が出来るなんて 全部ミラのおかげだな)

 

 綱吉はウェディングドレスを着たミラを想像して赤くなった

 

綱吉「(いつかミラにコレを着て貰うんだよな 凄い、綺麗だろうな)とっ いつまでも見てる訳には行かないな そろそろ戻るか」

 

 宿に戻ろうと走ろうと思った時、ナツとユキノが目に入った

 

綱吉「あれはナツと『剣咬の虎』のユキノさんか? 何をしてるんだ?」

 

 綱吉はナツとユキノの元に行くことにした 

 

 その頃宿にいるミラは

 

 

 宿

 

 ミラは部屋で本を読んで、綱吉を待っていた その時ドアがノックされた

 

ミラ「はぁい(誰かしら?)

 

 ミラは気になりつつドアを開けた

 

ミラ「どちら様で・・・」

 

 ミラの言葉は続かなかった 何故ならそこにいたのは

 

白蘭「やあ こんばんは♪」

 

 白い悪魔がいて笑顔でこちらを見つめていたから

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

25話

年内最後の投稿に間に合いました


 綱吉が2人の方へ行くとユキノが泣いていた

 

綱吉「ナツ 女の人を泣かせちゃ駄目だろう」

 

ナツ「なっ ち、違うって!」

 

ハッピー「あい!」

 

 綱吉に怒られてナツとハッピーは慌てて否定する

 

ユキノ「そうですツナヨシ様 ナツ様とハッピー様は悪くありません」

 

綱吉「(・・・様付け)ならなんで泣いていたんですか」

 

ユキノ「それは・・・」

 

 ユキノは全て話してくれた 大勢の人の前で裸にされたこと 紋章を消さねばならなかったこと 帰る場所を無くしたこと

 

 ユキノは泣きながら説明してくれた

 

綱吉「たった一度の敗北でそこまでやるか・・・(腐れ外道がっ)」

 

ナツ「他のギルドだけど〝同じ魔道士〟としてなら分かるぞ 辱められて紋章消されて悔しいよな 仲間を泣かせるギルドなんてそんなのギルドじゃねえ」

 

 ナツは怒りから握り拳を作っていた

 

 綱吉はへたり込んでいるユキノの側に行き片膝をついて同じ目線になる

 

綱吉「ユキノさん・・・」

 

 するとナツは何処かへ行こうとする 綱吉はナツの方を見ないまま

 

綱吉「・・・行くのか?」

 

ナツ「ああ」

 

綱吉「俺も行こうか?」

 

ナツ「要らねえよ 俺1人でいい」

 

綱吉「そうか なら・・・無茶だけはするなよ」

 

ナツ「ああっ 分かってる」

 

ハッピー「ナツ 待ってよお!」

 

 そう言ってナツは走って、ハッピーは翼でナツを追いかけて行った

 

ユキノ「あの、ナツ様とハッピー様はどちらへ?」

 

綱吉「ああ 2人は 正確にはナツですけど、用事があって」

 

 綱吉はユキノの手をとり立たせる

 

ユキノ「あ、ありがとうございます」

 

綱吉「いえ それより落ち着きましたか」

 

ユキノ「はい」

 

 そう言ったがユキノの表情はまだ暗いままだった

 

綱吉「なら少し話しでもしませんか?」

 

ユキノ「えっ」

 

綱吉「もちろん貴方がよければなんですけど」

 

ユキノ「はい 私は大丈夫ですけど」

 

綱吉「なら公園に行きましょう さっき来る途中公園を見かけました」

 

 そう言って綱吉とユキノは公園に向かった

 

 

宿

 

 その頃宿では白蘭がミラの前に現れていた

 

 ミラは白蘭を見るのは初めてだがすぐに分かった

 

ミラ(この人だっ この人が、白蘭っ)

 

白蘭「とりあえず部屋に入れてもらえる?」

 

 ミラはすぐに臨戦態勢に入ったが

 

白蘭「ん? どうしたのかな?」

 

ミラ「ッ⁉︎」

 

 白蘭のたった一睨みでミラの戦意は粉々に打ち砕かれてしまった 全身は震え、死のイメージがしっかりと伝わってきた

 

ミラ「(ふ、震えが、止まらな、い…せ、せめて皆んなに、このことを)あ…う…み、みん」

 

ガシッ

 

ミラ「むぐっ⁉︎」

 

 ミラがなんとか声を出して仲間たちに伝えようとしたが、白蘭の左手で口を塞がれしまう 

 

ミラ「〜っ」

 

白蘭「駄目だよ 声を出しちゃ」

 

 白蘭は右手の人差し指を口元に持っていき静かにするよう伝える

 

白蘭「それに僕の強さは分かるよね? 僕がその気になれば君なんて一瞬で殺せるし、この宿にいる君の仲間も一瞬で殺せる 仲間を呼ぶってことはそう言うことでいいのかな?」

 

 ミラは涙目になりながら必死に首を横に振った

 

白蘭「そう いい娘だね それじゃあ部屋に入ろうか」

 

 白蘭はミラの口元を塞いだまま部屋の中へと入っていった

 

 部屋に入った白蘭はミラを押さえていた手を放す

 

ミラ「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

白蘭「さて自己紹介しておこうか 僕の名前は白蘭 君は確か…ミラって呼ばれてたね それじゃあミラちゃん 聞きたいことあるんだけどさ 君、綱吉君と随分仲良さそうに見えたけどひょっとして恋人?」

 

ミラ「え、ええ そうよ ツナと私は付き合ってるわ」

 

白蘭「そっか〜 綱吉君があんな堕落しちゃったのは、やっぱり君のせいか」

 

 顔は笑っていたが目は笑っておらずミラを睨みつけ、言葉にも怒りが込められていた

 

ミラ「っ⁉︎ な、何がいいたいの?」

 

白蘭「綱吉君はね 鬼になっていてこそ綱吉君なんだよ 人の心を取り戻した綱吉君はね、綱吉君じゃないんだ 彼とまた戦うためにはまた鬼になってもらわないといけないんだ」

 

ミラ「っ! なんでそんなにツナに執着するの⁉︎ なんでそんなにツナのことを付け狙うの⁉︎ ツナが貴方に一体何をしたって言うの⁉︎」

 

 ミラは白蘭の言葉に取り乱しながらも白蘭に問い掛けた そして返ってきた言葉は

 

白蘭「楽しいんだよ」

 

ミラ「えっ」

 

白蘭「彼はね 僕に楽しさ、喜びを教えてくれたんだ 僕はね 退屈だったんだ だから戦争仕掛けたんだ だけど全然張り合いが無くてさ次々制圧しちゃったり、降伏してきたりでつまらなかったんだよねえ そんな時現れたのが彼だったんだよ 鬼となった彼との勝負は本当に楽しかった」

 

ミラ「(た、楽しいから・・・? それに退屈だったから戦争をしたですって・・・)ま、まさかそんな理由で?」

 

 ミラは白蘭の理由を聞いて怒りが込み上げてきた

 

白蘭「〝そんな〟なんて酷いなあ 僕にとっては大事なことなんだよ」

 

ミラ「貴方は命をなんだと思ってるの⁉︎」

 

白蘭「別に何も 僕にとってただのゲームの駒と一緒だから だから誰が死んだって別にいいの  あっ でもユニちゃんは別かな」

 

ミラ「・・・どういうこと」

 

白蘭「僕はある一つのパラレルワールドを除いて全てを支配した だけどそれは僕の望んだものとは少し違った」

 

 そう言って白蘭は右手を上げて中指にはめてるリングを見せる

 

白蘭「綱吉君のボンゴレリング、ユニちゃんのおしゃぶり、そして僕のマーレリング この三種を全て揃えると特別な力が宿ると言われてたんだ だけど三種揃えても全然力が解放されなくてね」

 

ミラ「(全て揃えて? ツナのリングとユニちゃんのおしゃぶりを…)待って 全て揃えたって言ったけど、ツナとユニちゃんは・・・」

 

白蘭「うん もちろん殺したよ♪」

 

ミラ「ッ⁉︎」

 

白蘭「だけどユニちゃんには驚いちゃった まさか民間人を守るために盾になるなんてね 呆れちゃったよ 見ず知らずの他人を守るなんて馬鹿だよね」

 

ミラ「・・・」

 

 ミラは歯を食いしばって聞いていた

 

白蘭「ユニちゃんにはさ その三種の力を解放出来る能力があってね それが分かったのはユニちゃんを殺した後でさ 凄く後悔したよ もし分かっていれば生かしたのに」

 

 パァン!

 

 ミラは我慢出来ず白蘭の頬を叩いた

 

 たとえ短い間でも〝友達〟と言うべきユニを 民間人を守ろうとした誇りを侮辱されたのが許せず、白蘭の恐怖を受けながらも勇気を出して叩いたのだ

 

ミラ「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

 白蘭は最初ポカンとしていたが、すぐに笑みを浮かべ

 

白蘭「へぇ 僕にこんなことする女性は君が初めてだよ」

 

 白蘭はミラの首を掴み壁に押しつけ、手を放す

 

ミラ「うぐっ・・・ゲホッ・・・ゲホッ・・・」

 

 白蘭はミラの顎を指で軽く持ち上げ、ミラの顔を見つめた

 

ミラ「うっ・・・・・」

 

白蘭「ふ〜ん 綱吉君やユニちゃんとはまた違った強い眼をしてるね だから綱吉君は人の心を取り戻しちゃったのかな なら恋人の君が死んじゃったら綱吉君はどうなっちゃうんだろうね?」

 

ミラ「っ⁉︎」

 

 ミラは再び恐怖を感じた ニコニコと笑みを浮かべながら楽しそうに話すも命のことなど全くなんとも思わない白蘭に

 

ミラ(ツ、ツナ・・・)

 

 会わせてはいけない2人 そう分かっていてもミラは無意識に綱吉の名を心の中で呼ばざるえなかった

 

 

 

 公園

 

 綱吉はユキノと共に公園に来ていた 2人はベンチに座って話しをしていた

 

綱吉「実は俺も一度居場所を無くしているんです」

 

ユキノ「えっ」

 

綱吉「『妖精の尻尾』に入る前俺は、組織のボスでした 毎日が平和で楽しかった だけど突然敵がやってきて戦争になり仲間たちは・・・全員死にました」

 

ユキノ「そ、そんな・・・な、ならどうして笑っていられるんですか 仲間が死んだのに」

 

綱吉「始めは死んでもいいと思いました でも、そんな考えを間違ってるって教えてくれる人が現れて 俺に居場所をくれたんです 今俺がこうしていられるのもその人のおかげなんです でもだからといって死んだ仲間たちを忘れたことは一度もありません 仲間たちのことは今でも思ってます」

 

 綱吉は自分の胸に手を当てる

 

綱吉「こんな俺が再び仲間を持てたんです 貴方にだってまた仲間ができますよ」

 

ユキノ「そんな無理ですよ 私には・・・」

 

綱吉「貴方はもっと自分に自信を持つべきだ いずれ貴方の前に仲間として向かい入れる人達が来るはず」

 

ユキノ「なんでそんなこと分かるんですか?」

 

綱吉「俺の勘は良く当たるんですよっ」

 

ユキノ「プフッ か、勘ですか フフッ」

 

 綱吉の自信満々な答えにユキノは笑ってしまう

 

綱吉「やっと笑ってくれましたね」

 

ユキノ「えっ あっ」

 

 ユキノは自分が笑っていたことに気がつく

 

綱吉「でも勘のことは嘘じゃないですからねっ」

 

ユキノ「分かりました フフッ」

 

 2人が笑っていると綱吉の頭の中に

 

  『ツナ』

 

綱吉「ッ⁉︎(ミラ?)」

 

 ミラの声が聞こえてきた

 

 綱吉は立ち上がりある方向を見る それは宿のある方角だった

 

ユキノ「ツ、ツナヨシ様?」

 

 ユキノは綱吉が突然立ち上がったことに驚いてしまう

 

綱吉「すみません ユキノさん! 急ぎ戻らなくてはならなくなりました」

 

ユキノ「い、いえ 私のためにありがとうございました」

 

 綱吉は走り出そうとしたが止まって、振り返り

 

綱吉「最後に、貴方は新しい仲間と本当の絆を結べます だからそれまで待っててくださいっ」

 

 綱吉はそう言って地を蹴り炎で飛んでいった

 

ユキノ「ツナヨシ様 ありがとうございました」

 

 ユキノはどんどん小さくなって見えなくなっていく綱吉に感謝の言葉を述べた

 

 

綱吉(突然ミラのことが頭によぎった ミラの身に何かあったのか⁉︎ クソッ!)

 

 綱吉は猛スピードで宿を目指した

 

 

 

 宿

 

白蘭「君の死んだ姿を見たら綱吉君はどんな顔をするだろうね ・・・それとも僕のものになってみる?」

 

ミラ「えっ?」

 

 そう言って白蘭はミラの顎を指で持ち上げたまま、顔を近づけ口づけしようとしてきた

 

ミラ「っ・・・やめてっ!」

 

 ミラは両手で白蘭の身体を押して数歩下がらせる

 

白蘭「あらら 嫌われちゃった♪ まあ別にいいけどね ホントはね 今日ミラちゃんを殺すか陵辱して綱吉君を鬼にしようかと思ってたんだけど、僕を叩いた勇気に免じてそれは無しにしてあげる 代わり提案があるんだけど」

 

 殺す、陵辱という言葉にミラは身を震え上がらせた

 

ミラ「提案って・・・」

 

白蘭「綱吉君と別れてギルドから追い出してくれないかな?」

 

ミラ「な、何を言ってるの⁉︎ そんなこと出来る訳無いでしょっ!」

 

白蘭「これは君のためであるんだよ? 君だって綱吉君の鬼になった姿なんて見たくないだろう」

 

ミラ「ツナは鬼にならないし、私がならせないわ!」

 

白蘭「あっそう せっかく提案してあげたのに、それじゃあミラちゃんは覚悟はあるってことね」

 

 白蘭はミラの両手首を右手で掴み、持ち上げる

 

ミラ「ぐっ・・・」

 

 白蘭は左手にコインを一枚持つ

 

白蘭「表が出たら殺す 裏が出たら・・・分かるよね」

 

ミラ(裏が出たら・・・私は・・・)

 

 ミラは殺されるのも恐ろしかったが、裏の方が死よりも恐ろしかった

 

 白蘭はコイントスをしてコインは空中へ高く飛び、そして床に落ちてきた 

 

白蘭「さぁて どっちが出るかな?」

 

 コインは床に落ちて回転して、そして止まった コインは裏面が上にきていた

 

白蘭「裏が出ちゃったね それじゃあ・・・陵辱ね」

 

 白蘭はミラの服の襟元を掴み、引き裂く

 

ミラ「きゃあああっ!」

 

 服を裂かれミラの色白の肌が露わになる

 

白蘭「そんなに悲鳴なんて上げないでよ 覚悟してたんでしょ」

 

ミラ「うっ・・・ううっ・・・」

 

 ミラは恐怖から泣き出してしまった

 

白蘭「泣いたってやめないよ 僕の提案をのまなかった君が悪いんだ」

 

 白蘭はミラに口づけしてこようとしたが、途中で止める

 

白蘭(綱吉君か もの凄いスピードでこっちに来ている)

 

 白蘭は掴んでいた手を放すとミラは膝から崩れた

 

白蘭「君は運がいいね もうすぐ愛しの王子様が来てくれるよ まあ今回は特別にここまでにしといてあげるよ だけどね」

 

 白蘭はミラの顎を指で持ち上げ、泣き顔を見る

 

白蘭「君の存在は綱吉君にとって良くも悪くも大き過ぎるんだよ いずれ君は綱吉君を鬼にする時が来る 断言してもいい 嫌な思いをしたくなかったらとっとと別れることだね」

 

 白蘭はそう言って扉から出ていった

 

 

ミラ「ぐっ・・・ううっ・・・うっ・・・」

 

 部屋にはミラの泣き声だけが聞こえた

 ミラの中には悔しさ、恐怖など様々な感情が渦巻いていた

 

 

 それから数分後、綱吉は宿に到着し急いで部屋を目指した 

 綱吉は部屋の扉を乱暴に開けた

 

綱吉「ミラッ! 遅れてすまない!」

 

 しかしミラの返事はない

 

綱吉「ミラ?」

 

 綱吉が部屋の方へ行くと、ミラがへたり込んで泣いていた それを見た綱吉は急いで駆け寄った

 

綱吉「ミラッ⁉︎ どうしたんだ⁉︎ 何があった!」

 

ミラ「ううっ・・・ツナ・・・うあああああ! ああああぁああああああ!」

 

 綱吉がミラの側に行き声を掛けるとミラは綱吉に抱き着き、声をあげて泣いた

 

綱吉「ミラッ ごめんな! ごめんな! もっと早く帰っていればっ」

 

 綱吉がもっとも驚いたのはミラが泣いていたことでも震えていたことでもなく、服を引き裂かれていたこと それはつまり恋人であるミラが・・・

 

 綱吉はミラを抱きしめ返し涙を流した

 

綱吉「怖かったろう 助けてやれずごめんなぁ」

 

 綱吉はミラの身に起きたことを察して、安易にロードワークに行かずに一緒に居れば良かったと後悔と自分と犯人に怒りを抱いていた

 

綱吉(何処のどいつだ ふざけやがって 必ず見つけ出してぶちのめしてやるっ)

 

 綱吉の心に赤黒い炎が燃え上がった

 

 

 

 白蘭は建物の屋上から綱吉の怒りの波動を感じとっていた

 

白蘭「そう そうだよ綱吉君 それでいいんだ  もっと怒って鬼になるんだ そうでなきゃ君じゃないんだから」

 

 白蘭は背中から光の翼を出して闇夜に飛んでいった

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

26話

 声をあげて泣いていたミラだったが、綱吉に抱きしめられ声を掛けられたことによって落ちついてきた

 

綱吉「少し、落ち着いたか」

 

ミラ「・・・うん」

 

 ミラは涙声で答えた

 

綱吉「それじゃあ マスターや皆にこのことを伝えて来るから」

 

 綱吉はミラに背を向けて歩き出そうとするとミラは綱吉の手を掴んだ

 

綱吉「ミラ?」

 

ミラ「・・・皆には言わないで」

 

綱吉「何を言ってるんだ⁉︎ これはもう俺やミラだけで解決できる問題じゃないんだぞ! 皆の力が必要なんだ!」

 

ミラ「分かってる、分かってるわ・・・でも、お願い」

 

綱吉「・・・ミラ・・・分かった、皆には話さない  だけど一体何があったんだ?」

 

ミラ「・・・・・」

 

 ミラは俯いたままで喋らない

 

綱吉「・・・喋れないか・・・」

 

ミラ「ごめんなさい・・・」

 

 ミラは再び涙を流した

 

綱吉「分かった もうこのことは聞かない だから涙を拭いて」

 

 綱吉はハンカチでミラの涙を拭いた

 

ミラ「ツナ・・・ありがとう」

 

綱吉「あ、あと その・・・」

 

ミラ「? どうしたの?」

 

綱吉「服、なんだけど・・・」

 

 綱吉に言われミラは自身の状態を思い出す 自分の服は白蘭に裂かれて下着が露わになっている ミラは慌てて裂かれた部分を持って隠し

 

ミラ「きゃっ⁉︎ ごめんなさい! すぐ着替えてくるわ!」

 

 脱衣所へ向かった

 

 

 残った綱吉は部屋を見渡す

 

綱吉(争った形跡はほぼない つまりミラは抵抗出来ないまま暴行されたということか ミラは決して弱くはないむしろ強い方の部類に入る にも関わらずミラは抵抗出来なかった おそらく闘気や殺気をぶつけられたんだろう 達人クラスの闘気をぶつけられると何もできなくなるというからな 相手は余裕でミラ以上の実力者、か・・・)

 

 綱吉は部屋の状態から分析をしていた

 

綱吉(ミラが喋れないというのは暴行されショックだったというのもあるだろうが、何か別にあるような気もする 別の何か 一体なんなのか・・・)

 

 綱吉が考えているとミラが着替えて戻ってきた

 

ミラ「ツナ ごめんね」

 

綱吉「いや いいんだ 今日はもう寝よう」

 

 綱吉とミラはシャワーを浴びて、パジャマに着替えた

 

 綱吉がベッドに入ろうとしたが、ミラがベッドに入ろうしないで立ったままでいることに気づく

 

綱吉「ミラ どうしたんだ? どこか痛むのか?」

 

ミラ「い、いいえっ そうじゃないの! ただ、その・・・」

 

 ミラは口籠もってしまう

 

綱吉「どうした? 言ってみてくれ 俺にやれることならなんだってやるっ」

 

ミラ「じゃ、じゃあ・・・ツナと一緒のベッドで寝ていい?」

 

綱吉「えっ?」

 

ミラ「ツナと一緒に寝たいの・・・でも信じて! やましいことなんて何にも考えてないわ! ただあんなことがあって・・・凄く不安で、怖くて・・・でもツナと一緒にいれば安心出来ると思って」

 

 ミラは言葉の最後の方になると俯いてしまった

 

綱吉「いいよ 寝よう」

 

 綱吉は優しく微笑んで答えた

 

ミラ「いいの?」

 

綱吉「もちろん それでミラの不安が取り除けるなら それにやましい気持ちはないんでしょ?」

 

ミラ「うん」

 

綱吉「なら構わないよ 俺もやましい気持ちなんて持たないから 何よりそういうことをするのはもっと大人になってからだしねっ」

 

ミラ「ふふっ ええ そうね」

 

 綱吉の答えにミラは笑顔を見せた ミラは自分のベッドから枕を持って来て綱吉のベッドに入る

 

ミラ「それじゃあ 失礼します」

 

綱吉「ああ どうぞ」

 

 ミラがベッドに入って来て、掛け布団を掛け直すと

 

ミラ「ツナ ごめんね 狭くなっちゃて」

 

綱吉「そんなことないさ それに、安心できるんだろ?」

 

ミラ「ええ ツナがすぐ近くにいる」

 

 ミラは笑顔を見せていたが、頭の中に白蘭から言われた言葉が響いた

 

 

 『君はいずれ綱吉君を鬼にする』 

 

 『嫌な思いをしたくないならとっとと別れることだね』

 

 

ミラ(私がツナを、鬼に・・・ でもツナと別れるなんて)

 

 綱吉はミラの様子を見て自分の胸に引き寄せた

 

ミラ「ツ、ツナ⁉︎」

 

綱吉「大丈夫 俺が守るから もう傷つけさせないから だから、安心して」

 

ミラ「ツナ ありがとう」

 

 ミラは抱きしめられ綱吉の優しさから涙を流した 

 

 

 ミラは改めて綱吉を愛していると実感した ミラにとって綱吉は大切な存在 もはや別れられるはずがなかったのだ そしてそれは逆も然り 綱吉にとってもミラは何よりも大切な存在となっていた

 

 2人が別れるなどあり得ないほど互いを愛していた 

 

 

 だが人は愛を覚えると憎しみを覚える 愛が大きければ大きいほどに憎しみもまた大きくなる ミラが白蘭に言われたことの意味を知るのはまだ先である

 

 

ミラ「もう大丈夫よ ツナ」

 

綱吉「うん 分かった」

 

 綱吉は手を離し、ミラは元の位置に戻った

 

綱吉「なんだかあの時とは逆になっちゃったな」

 

ミラ「あの時?」

 

綱吉「入院してる時、俺を抱きしめてくれたろ」

 

ミラ「そうだったわね あの時のツナは少し捻くれてたかしら フフッ」

 

綱吉「あの時はしょうがなかったんだって でもミラのお陰で今の俺がいる ミラに出会えて本当に良かった」

 

ミラ「私も ツナに出会えて良かったわ」

 

 綱吉はミラの頬に手を当てる

 

綱吉「ミラのことは何があっても守るから」

 

ミラ「ありがとう・・・」

 

綱吉「それじゃあ おやすみ」

 

ミラ「ええ おやすみなさい」

 

 2人は眠りについた

 

 

 

 そして朝になり、ミラが目を覚ますと

 

ミラ「ッ⁉︎(ええぇえぇええっ!)」

 

 寝相で綱吉がミラの目の前まで来て寝ていた

 

ミラ「(ち、近っ! ツナの寝顔が目の前に・・・ってそうじゃないわっ とにかく起きないと)えっ?」

 

 ミラは起きようと思ったが起きれないことに気づいた

 

ミラ「そ、そんな ツナ手を離して・・・」

 

 綱吉はミラのパジャマの腕部分を掴んでいたのだ

 

綱吉「スゥー スゥー」

 

ミラ「何気持ち良さそうに寝てるのっ 早く起きなさいっ」

 

 しかし中々起きない それに綱吉の無防備な姿を見てミラはある意味理性の限界を超えそうになっていた

 

ミラ「落ち着くのよ 落ち着くの ツナっ いい加減しないと怒るわよっ  ってちょっ」

 

 綱吉は服を引っ張ってミラの顔を近づけさせた

 

ミラ「ちょ、ちょ、ちょっとツナっ 駄目よ 朝からそんな⁉︎」

 

 しかしどんどん近づいてくる綱吉の顔

 

ミラ「〜ッ⁉︎ 駄目ーッ!」

 

綱吉「ぐはっ」

 

 ミラは両手で綱吉のことを突き飛ばした 突き飛ばされた綱吉はそのままベッドから転げ落ちた

 

ミラ「はあ・・・はあ・・・」

 

 ミラは胸を押さえ呼吸を整えていた 心臓の鼓動が早くなっていると感じた そうしていると綱吉がベッドに手を掛け起き上がってきた

 

綱吉「あぁ〜 何か凄い痛いし、何故かベッドから落ちてるんだけど」

 

ミラ「寝相が悪いんでしょっ!」

 

綱吉「・・・何か怒ってない?」

 

ミラ「別にっ 普通よ!」

 

綱吉(いや、怒ってんじゃん 起きたらベッドから落ちてるし、ミラは機嫌悪いし わけわからん)

 

 あくまで寝ていた時のことなので、分からないのはしょうがないことなのだが

 

綱吉「なぁ ミラ」

 

ミラ「・・・何?」

 

綱吉「顔赤いけど熱でもあるんじゃないか?」

 

ミラ「〜っ このあんぽんたんっ!!」

 

綱吉「ふがっ」

 

 ミラは綱吉に枕を投げつけた 綱吉は枕をぶつけられながら、あぁ 前にもこんなことあったなぁと思ったとかなんとか

 

ミラ「もう 馬鹿っ」

 

 ミラは着替えのため脱衣所へ向かった ミラは着替えながら綱吉の寝顔を思い出し

 

ミラ(ツナの寝顔を可愛いかったなぁ ふふっ)

 

 怒っていたが満更でもない様子だった

 

綱吉(まぁ元気になったから良しとみるべきか? 犯人のことは、ミラがあぁ言っている以上皆には言えない 見つけるにしても手掛かり無いし、魔力の残留は少な過ぎて感知出来ないし、何よりミラから離れるわけにはいかない) 八方塞がりだな全く はぁ」

 

 その後綱吉も着替えて、朝食を済ませて皆と一緒に会場に向かった

 

 

 

大魔闘演舞 3日目

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉「さっ3日目! 今日も頑張って行こう!」

 

ミラ「ええ そうね」

 

 綱吉とミラは皆に悟られぬよういつも通りやった

 

ガジル「相変わらず元気な野郎だ」

 

ジュビア「まぁ ツナさんの元気は必要ですからね」

 

ラクサス「・・・」

 

 

 

チャパティ「3日目の競技は『伏魔殿』! 参加人数は各ギルド一名です」

 

 

『妖精の尻尾』A観覧席

 

エルザ「私が行こう」

 

ルーシィ「頑張ってね エルザ」

 

ウェンディ「ファイトです!」

 

 

『人魚の踵』観覧席

 

ミリアーナ「エルちゃんが出るなら私に行かせてカグラちゃん」

 

カグラ「許可しよう」

 

 

『大鴉の尻尾』観覧席

 

アレクセイ「評議員の前だ 余計なことはするなよ オーブラ」

 

 

『四つ首の仔犬』

 

バッカス「よし ノバーリ行ってこいっ」

 

ノバーリ「オスッ」

 

『青い天馬』観覧席

 

ヒビキ「天馬からは僕が行こう」

 

 

『剣咬の虎』観覧席

 

オルガ「俺が行く 全員まとめて黒雷のチリにしてやる」

 

ミネルバ「どのような競技か分からぬというのにか?」

 

ルーファス「フフッ」

 

 

『蛇姫の鱗』観覧席

 

シェリア「ジュラさんが出るの?」

 

リオン「オババの命令じゃ仕方ない」

 

ジュラ「うむ 任せておけ」

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉「(伏魔殿・・・城、いや神殿だっけたしか となると神殿の中で戦う感じになるのかな? 神殿内部がどういう状況にもよるけど)今回俺行きたいんだけどいい? ラクサスとミラまだ競技パート出てないけど」

 

ミラ「大丈夫よ」

 

ラクサス「気にせず行ってこい」

 

綱吉「良しっ それじゃあ行って来る!(ミラ、元気になったと言ってもまだ心の傷は深い 少しでも元気付けなきゃな)」

 

 綱吉はやる気十分で闘技場へ向かおうとしたがラクサスが近づいて小声で話し掛けてきた

 

ラクサス「待て ツナ」

 

綱吉「どうした? ラクサス」

 

ラクサス「お前とミラ 何かあったのか?」

 

綱吉「・・・」

 

 綱吉は陽気な表情から曇らせてしまう

 

ラクサス「・・・あったんだな それを言えねえってことは何か理由があるんだろ なら聞かねえが あんま気負い過ぎんなよ」

 

綱吉「分かってるよっ その時が来たら頼らせてもらうからっ」

 

 綱吉は笑って返したが、ラクサスには綱吉の笑顔が心配掛けまいと無理して笑っているようで、見てて辛かった

 

ラクサス「・・・ああ 任せろ」

 

綱吉「わっ ちょっ なんだよぉ」

 

 ラクサスは綱吉の頭をクシャクシャと乱暴に撫でた

 

 

ラクサス「っし 行ってこい!」

 

 バシンっ!

 

 ラクサスは綱吉の背中を叩いた

 

綱吉「〜痛っ! まったく力入れすぎだよっ」

 

 綱吉は文句を言いながら、闘技場へ向かった

 

 

 ラクサスが綱吉を見送って戻ってくると

 

ラクサス「どうした?」

 

ジュビア「なんだかラクサスさんとツナさんって仲良いですね」

 

ラクサス「ああ ほっとけ無くてな 世話の焼ける奴だよ 彼奴は」

 

ミラ「そうね いっつも無茶をして頑張って心配掛けさせて それがツナなんだけど・・・」

 

ガジル「それで倒れても仕方ねぇぜ 全く」

 

ジュビア「もっと私たちのこと頼っていいんですけど」

 

 4人の目に映る綱吉の後ろ姿はどこか危なげに映ってみえた

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

27話

 闘技場に着くと既に綱吉以外揃っていた

 

綱吉「おっ エルザ! それにジュラさんも!」

 

エルザ「お前が来たか ツナ」

 

ジュラ「おお ツナヨシ またお主と戦えるとはのぉ」

 

綱吉「今度は負けませんよっ」

 

エルザ「2人には悪いが勝つのは私だ」

 

ジュラ「いやいや 儂も負けるつもりはないぞ」

 

 3人が話していると、オルガが割り込んで来て

 

オルガ「盛り上がってるとこ悪りいが、勝つのはこの俺だ お前らは2位争いでもしてな」

 

 カチンッ

 

綱吉「(・・・流石に流せないな) オルガさん 今のはどういう意味でしょう?」

 

オルガ「あ? なんだ分からなかったか? お前らは敵じゃねえってそう言ったんだよっ」

 

エルザ「っ きさまっ」

 

 エルザがオルガに詰め寄ろうとするが綱吉が手で制す

 

綱吉「なるほど では俺からも言わせてもらいますが、過信が過ぎると足元を掬われますよ」

 

オルガ「ほう 言うじゃねぇかクソガキ なら俺より上になれんだろうなあ?」

 

綱吉「もちろん なれますよ」

 

 綱吉は堂々と答えた

 

オルガ「はっ 言うねぇ それじゃあ楽しみにしてるぜっ」

 

 オルガはそう言って離れていった

 

綱吉「俺、あの人嫌い」

 

エルザ「安心しろ 私も嫌いになった」

 

ジュラ「これこれ そう言うことを言うものでないぞ まぁ儂も思うところはあったが」

 

 皆で話してると、カボチャのマスコットのマトー君がやってきて競技の説明をするため巨大な伏魔殿が出現した

 

 

 この競技は、神殿の中にいるモンスターと戦うようだ モンスターの数は全部で100体 モンスターにはS・A・B・C・Dの五段階の戦闘力が設定されている クラスが上がるごとに戦闘力が倍々に上がっていく

 

 モンスターのクラスに関係なく撃破したモンスターの数でポイントがはいる 参加者は順番に戦うモンスターの数を選択する モンスターのクラスは選択した数に関係なくランダムに出て来る

 

 モンスターの数を選択し戦う、此れを繰り返しモンスターの数が0 又は参加者全員の魔力が0になった時点で競技終了

 

 

 順番を決めるためクジを引くこととなった

 

綱吉(この競技1番がもっとも有利、のはずなんだけど なんでだろ別に1番じゃなくてもいいと思ってる う〜ん なんでだ?)

 

 綱吉は1番の位置は分かっていたが、勘によって1番でなくてもいいという思い疑問を持っていた

 

綱吉(まぁ 悩んでもしょうがないか 1番じゃなくてもいいなら別に最後に引いたって変わらないし)

 

 綱吉は最後にクジを引くことにした

 

綱吉(残ったのは・・・8番か まっ別にいいんだけど)

 

 

 順番はこのようになった

 

一番手 エルザ

 

二番手 ミリアーナ

 

三番手 ノバーリ

 

四番手 ヒビキ

 

五番手 オーブラ

 

六番手 オルガ

 

七番手 ジュラ

 

八番手 ツナヨシ

 

 

エルザ「1番か・・・この競技くじ運で全て勝敗が決まるかと思っていたが・・・」

 

マトー君「くじ運で? い、いやどうでしょう? 戦う順番よりペース配分と状況判断力の方が大切なゲームですよ」

 

エルザ「いや・・・もはやゲームにならんな」

 

マトー君「えっ?」

 

エルザ「100体全て私が相手をする」

 

 エルザの宣言に参加者だけでなく、他のギルドの魔道士や観客も驚いた ナツとグレイはエルザならば納得と笑っていた

 

綱吉(まぁ・・・らしいといえばエルザらしいか・・・)

 

マトー君「ム、無茶ですよ!! 1人で全滅出来るよう設定されてません!」

 

エルザ「構わん」

 

 エルザはマトー君の警告を無視して神殿に入って行く

 

綱吉(確かにエルザでも厳しい戦いになる でも・・・)

 

 

レビィ『大魔闘演舞 3日目 伏魔殿   この日の事は私はずっと忘れないと思う  キズだらけなりながら 地に堕ちたはずの妖精が舞う 〝妖精女王〟ここにあり』

 

 エルザはボロボロになりながらも最後の一体、Sクラスモンスターを倒した 

 そして右手に持った刀を高々と上げた

 

レビィ『それはまるで・・・・凛と咲き誇る緋色の花』

 

 

チャパティ「し・・しし・・・信じられません!! なんとたった1人で100体にモンスターを全滅させてしまったーーーっ!!! これが7年前最強と言われていたギルドの真の力なのかっ⁉︎ 『妖精の尻尾』Aエルザ・スカーレット 圧勝!! 文句なしの大勝利!!」

 

 エルザの偉業に会場は大歓声に包まれた

 

 

 エルザが闘技場に戻ってくると、ナツ達がやって来た

 

ナツ「エルザーーっ!」

 

ウェンディ「エルザさーん」

 

 ナツ達はエルザの側に駆け寄る

 

グレイ「やっぱすげーよ」

 

ナツ「あとで俺と勝負しろ」

 

ルーシィ「あたし感動しちゃった」

 

ウェンディ「私・・・もう胸がいっぱいで」

 

エルザ「オイオイ まだ優勝したわけじゃないぞ」

 

 

 それは当然『妖精の尻尾』応援席でも大盛り上がりであった

 

 

『剣咬の虎』観覧席

 

ミネルバ「面白い・・・口先だけではないという事か『妖精の尻尾』」

 

 ミネルバは歯応えのある敵が現れたことに不敵な笑みを浮かべた

 

 

『人魚の踵』観覧席

 

カグラ「エルザ・スカーレット ジェラールをよく知る者」

 

 カグラは静かにエルザのことを見つめていた

 

 

ー闘技場

 

ミリアーナ「エルちゃん やっぱり最強だねー」

 

ジュラ「見事」

 

オルガ「気に入らねえな」

 

オーブラ「・・・・」

 

綱吉「流石としか言いようがないね(でも一位獲られちゃった)」

 

 

 

 その後残りのチームにも順位をつけなければならないため、MPFという物が用意された

 

マトー君「魔力測定器〝MPF〟 この装置に魔力をぶつけることで魔力が数値として表示されます その数値が高い順に順位をつけようと思います」

 

ヒビキ「これはちょっと分が悪いかな」

 

オルガ「力比べか 分かり易くていいぜっ!」

 

綱吉「なるほど (なら・・・)

 

 綱吉は説明を聞いて少し離れる

 

ジュラ「む ツナヨシ どうした?」

 

綱吉「出番が来るまでウォーミングアップを」

 

 そう言って綱吉はシャドーを始めた

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「あら ツナったらシャドーを始めたわよ?」

 

ラクサス「彼奴は魔道士であり格闘家でもあるからな いきなりギアをトップにはもっていけない だからウォーミングアップをやってるんだろう」

 

 

 

 やる順番はクジを引いた順にやることとなった

 

ミリアーナ「じゃあ私からだね 行っくよー  キトゥンブラスト!!」

 

  ピピッ『3 6 5』

 

チャパティ「比べる基準がないとこの数値が高いかどうか分かりませんね」

 

 数値が表示されたがこの数値が高いのか低いのか観客は分からずざわめいていた

 

 しかしゲストで来ていた評議員のラハールの説明によるとこの数値は部隊長を任せられるレベルだという

 

 

チャパティ「続いて『四つ首の仔犬』ノバーリ」

 

 ピピッ『1 2 4』

 

ノバーリ「フォ〜」

 

チャパティ「数値は124ちょっと低いか」

 

 

ヒビキ「僕の番だね」

 

 ピピッ『9 5』

 

ヒビキ「ああ・・・なんてことだ」

 

 ヒビキはショックのあまり両膝をついて泣いていた

 

 

チャパティ「続いては『大鴉の尻尾』オーブラ」

 

 しかしオーブラは自身で攻撃せず、肩にいる使い魔に攻撃させた

 

 ピピッ『4』

 

チャパティ「う〜ん これは残念!」

 

 

 ここでシャドーをしていた綱吉の動きに変化が訪れる

 

「なあ 彼奴の動き早くなってないか?」

 

「ああ さっきまでは普通のスピードだったのに」

 

「どんどん早くなってる⁉︎」

 

綱吉(良しっ 大分身体が温ってきた)

 

 綱吉の身体は少しずつギアを上げていっていた

 

 

 4人終わった時点でミリアーナが一位だった 

 

ミリアーナ「やったー! 私が1番だ!みゃー」

 

オルガ「さて そいつはどうかな」

 

 ミリアーナが喜んでいるとオルガが力強く歩いて来てMPFの前に立った

 

オルガ「120mm黒雷砲‼︎‼︎」

 

 ピピッ『3 8 2 5』

 

チャパティ「さ・・・3825」

 

ミリアーナ「ええーっ!私の10倍ーー⁉︎」

 

 

『妖精の尻尾』A観覧席

 

ナツ「な゛ーーーっ‼︎」

 

グレイ「なんじゃそりゃーっ!」

 

 三千越えという数値にナツもグレイも驚きを隠せなかった

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ラクサス「フッ (面白え そう来なくちゃな)

 

 ラクサスは同じ雷魔法を使う者として面白いと不敵に笑った

 

 

オルガ「どうだっ! ツナヨシ! 俺様の黒雷はよぉ」

 

綱吉「えっ? ごめんなさい 見てませんでした」

 

 オルガは綱吉に威張り散らしたかったが、綱吉はシャドーに集中していたため見ていなかった

 

オルガ「ああぁん! 見とけよテメェ!!」

 

綱吉「だってウォーミングアップしてましたし・・・」

 

オルガ「テメェええ!!」

 

 2人が言い争いをしてる中、ジュラはMPFへと向かっていく

 

 

チャパティ「聖十のジュラはこの数値を越せるかどうか注目されます」

 

ジュラ「本気でやってもよいのかな」

 

マトー君「もちろんカボ」

 

 ジュラはMPFの前に立つ

 

ジュラ「鳴動富嶽!!!!」

 

 ピピッ『8 5 4 4』

 

 

『妖精の尻尾』A観覧席

 

ナツ「何ーーーっ⁉︎」

 

グレイ「オッサン おかしいだろそれーーーっ⁉︎」

 

エルザ「流石・・・の一言だな」

 

 

 

オルガ「は?」

 

綱吉「すげ〜 (あれが俺に喰らわせた技か・・・)

 

 2人もジュラの数値に言い争いをやめ、オルガは驚き冷や汗をかいて 綱吉も素直に驚いていた

 

 

チャパティ「こ・・・これはMPF 最高記録更新‼︎ やはり聖十の称号は伊達じゃなーい‼︎」

 

 ジュラの出した数値に観客は沸き立っていた

 

 

 

チャパティ「さあ 最後の挑戦者は『妖精の尻尾』B ツナヨシ・サワダ  一日目にはジュラと引き分けた彼ですが、果たして今回はどうなるのか」

 

綱吉「良しっ 出番だ!」

 

 綱吉はMPFに近づいて行く

 

綱吉「近づいて攻撃してもいいんですよね?」

 

マトー君「はい 構いませんよ」

 

綱吉「あっ あともう一つ もしアレ壊しちゃっても失格にはなりませんよね?」

 

マトー君「こ、壊す? い、いえそのような事はありませんが・・・というより今まで壊した者など見たことがありませんよ」

 

綱吉「そうですか それは良かった」

 

 綱吉はそれを聞いて笑みを浮かべ 額に炎を灯し手袋をグローブに変化させMPFの真前に立ち構えをとった

 

綱吉「スゥー ハァー スゥー ハァー」

 

 綱吉は構えを取りつつ呼吸を整えて、昔のことを思い出していた

 

 

ーー回想ー

 

綱吉「必殺技?」

 

リボーン「そうだ 大分ボクシングもムエタイも形になってきたからな ここらで相手を一撃で倒せる必殺技を覚える ツナ ある程度やってみて〝拳〟と〝蹴〟どっちがしっくりきた?」

 

綱吉「そうだな やっぱり〝拳〟かな」

 

 綱吉はそう言って空中にパンチをする

 

リボーン「そうか ならこれからお前は最強ストレートを会得してもらう もちろん今まで通りの特訓はそのままに必殺技の特訓をするからな」

 

綱吉「分かってるよ それで何をすればいい?」

 

リボーン「ついて来い」

 

 リボーンに案内されて行くと、そこは河原で一本の荒縄が巻かれた鉄柱が立っていた

 

リボーン「お前にはコイツを殴ってもらう」

 

綱吉「これ・・・鉄柱だぞ」

 

リボーン「ああ 知ってる まさか優しい特訓とでも思ったか? 必殺技を会得するんだぞ これくらいは当然だ」

 

綱吉「ふっ ・・・だな」

 

リボーン「特訓には」

 

綱吉「死ぬ気の炎は使わない だろっ」

 

リボーン「ああ だが代わりにコイツを巻いていいぞ」

 

 リボーンはバンテージを投げ渡す

 

綱吉「良しっ」

 

 綱吉のバンテージを巻いていく 準備ができた綱吉は構えを取り

 

綱吉「だぁっ!」

 

ガツゥン!

 

 鈍い音が響く

 

綱吉「〜っ い・・・って〜⁉︎」

 

 綱吉は右手を押さえる

 

リボーン「・・・どうする? やめるか?」

 

綱吉「やめる? 俺は負けるのも逃げるのも大嫌いになったんだよ!!」

 

 そう言ってまた鉄柱に拳を叩き込んだ

 

 

 それから月日が経ち

 

リボーン「今日は場所を変えるぞ」

 

 そう言われリボーンについて行くと巨大な岩があった

 

リボーン「コイツは鉄鉱石だ そう簡単には砕けない お前にはコイツを砕いてもらう」

 

綱吉「・・・本気かよ」

 

 綱吉は冷や汗をかいた

 

リボーン「流石に素手でコイツはキツいからな 死ぬ気の炎を使っていいぞ」

 

 綱吉は額に炎を灯し、グローブを着ける そして大岩の前に立つ

 

綱吉「スゥーハァースゥーハァー(落ち着け 呼吸を整えろ 意識を一点に集中 構えを崩すな)

 

 綱吉は右腕を振り上げ打ち込んだ

 

綱吉(打つ!!!!)

 

ドゴォオオオン!!

 

 あまりの衝撃に大岩は崩れ落ちていく 綱吉は崩れた岩と右腕を見て未だに信じられなかった

 

 リボーンはそれを見て笑みを浮かべる

 

リボーン「やれば出来るじゃねーか」

 

綱吉「なんとかな」

 

 綱吉もそれに応えるように笑みを浮かべる

 

 

 綱吉の最強の拳が誕生した瞬間である

 

 

ーー回想終了ー

 

 今綱吉は観客の歓声など耳に入っていなかった その研ぎ澄まされた集中力で打ち込むべき一点を見ていた

 

 右腕を振りかぶり

 

綱吉(神の・・・)

 

 打ち込んだ

 

綱吉(拳!!!!)

 

ズドォオオン!!

 

 綱吉は打ち込んだ態勢のまま静止している MPF がショートし始める

 

バチバチッ バチバチッ ジジッ『9 9 9 9』

 

 するとMPFに亀裂が走り

 

 

ピシッ・・・ピシッ・・・パキパキッ・・・

 

 そして

 

ガシャアアアン!!

 

 MPFは音を立てて崩れていった

 

チャパティ「きゅ、9 9 9 9 ・・・な・・・なな、何とMPFを殴り壊したーーっ⁉︎」

 

観客「「「「「ええーーーっ!?」」」」」

 

 

 

『妖精の尻尾』A観覧席

 

ナツ・グレイ「「何ーーーっ!!」」

 

ルーシィ「う、嘘でしょっ⁉︎ 殴り壊すって・・・」

 

ウェンディ「ツ、ツナさんってあんなに凄かったんですか・・・」

 

エルザ「ふっ ツナの実力なら出来るだろうな」

 

 エルザ以外の4人は綱吉の強さに驚いていた

 

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ガジル「装置をぶっ壊すなんてイカれてるぜ」

 

ジュビア「まさか壊しちゃうなんて・・・」

 

ラクサス「あれがツナの本気の一撃か・・・」

 

ミラ「ツナ・・・かっこいいわ」

 

ガジル・ラクサス((おいっ))

 

 3人が綱吉の一撃の凄さに驚いているのに対しミラだけは綱吉の拳を打ち込んだ時のかっこよさに目を奪われていた

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

マカロフ「まさか 彼奴の力がこれほどとは」

 

メイビス「彼の今後の成長が楽しみですね」

 

レビィ「装置壊すなんて」

 

リサーナ「修行の時見せてくれたけど、あれでも手加減してたんだね」

 

カナ「ヤバすぎでしょ」

 

ロメオ「ツナ兄かっけえー!」

 

 

『剣咬の虎』観覧席

 

スティング「な、何者だよアイツ・・・」

 

ルーファス「装置を壊す、ましてや殴り壊すなど記憶にないね」

 

ミネルバ「あのような少年にこれほどの力があろうとは・・・」

 

 

『人魚の踵』観覧席

 

カグラ(拳で、しかも一撃で壊すとは・・・正に当たれば一撃必殺だな)

 

 

『青い天馬』観覧席

 

一夜「素晴らしい〝香り〟だ!!」

 

 

『四つ首の仔犬』観覧席

 

バッカス「いいねいいね〜 早く戦いてえぜ 魂が震えてくらあ」

 

 

『蛇姫の鱗』観覧席

 

トビー「アイツ ヤバすぎだろっ!!」

 

ユウカ「切れんなよ いや気持ち分かるけどよ」

 

リオン「くそっ まさかアイツがここまで成長しているとは」

 

シェリア「ジュラさんが負けるなんて・・・」

 

 

 各ギルドの魔道士の反応は早く戦いたがる者、警戒する者、称賛する者、悔しがる者 様々だった

 

 

 

闘技場

 

オルガ「マジかよ おい」

 

ジュラ「なんと これほどとは」

 

ミリアーナ「みゃー あの子凄すぎ」

 

ヒビキ「こればっかりは凄いとしか言いようがないね」

 

ノバーリ「ワ、ワイルド〜・・・」

 

オーブラ「・・・」

 

 参加者達も皆驚いていた

 

 

チャパティ「競技パート1・2フィニッシュ!! もう誰も『妖精の尻尾』を止められないのかー」

 

 綱吉は崩れたMPFを背に右腕を高々と上げて

 

綱吉「止まらないさ! 妖精の進撃はここから始まる!!」

 

 綱吉の宣言ととも会場は大歓声に包まれた

 

 大魔闘演舞 3日目 競技パート 『妖精の尻尾』は圧巻の勝利を見せた

 

 

 ちなみに綱吉が宣言をした時、Bチームの観覧席では

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「カ、カメラっ カメラ持ってない⁉︎ ツナのあの姿を撮っておかなくちゃ!」

 

ジュビア・ガジル・ラクサス「「「・・・」」」

 

 綱吉のかっこいいポーズにミラがカメラを求め、少々パニックになっていた




X(イクス)さん、わけみたまさん、Lankasさん 土瓶蒸しさん 評価ありがとうございます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

28話

 Bチームの観覧席に戻ってきた綱吉

 

綱吉「ただいま〜」

 

ジュビア「ツナさん お帰りなさい」

 

ラクサス「エルザに次ぐ活躍だったな」

 

ガジル「派手にやりやがったな おい」

 

 皆が綱吉を出迎える中

 

ミラ「・・・ツナ お帰りなさい」

 

 ミラは残念そうに綱吉のことを迎えた

 

綱吉「えっ えっ ミラどうしたの⁉︎ 俺何かした⁉︎」

 

ジュビア「いえ ツナさんは何もしてないんです ただミラさんがツナさんの写真を撮ろうとしたんですけど、肝心のカメラを持って来てないことに気づいて」

 

綱吉「なんだ そんなことか」

 

ミラ「そんなこと・・・そんなことですって! せっかく写真に撮って飾ろうと思ってたのに!!」

 

 綱吉の何気ない一言がミラを怒らせてしまった

 

綱吉「いい いい そんなことしなくていいから⁉︎ 恥ずかしい!」

 

ミラ「何よ ツナのかっこいいところ写真にしたかったのに!」

 

 ミラは綱吉のことをポカポカと叩いてきた 綱吉は苦笑して困りつつも内心は喜んでいた

 

綱吉「ははっ(空元気じゃない 元気になって良かった)

 

ミラ「もう何笑ってるの!」

 

綱吉「ごめんごめんっ」

 

ラクサス「しかし装置をぶっ壊すとは驚いたぜ」

 

綱吉「今回は邪魔無く集中出来たし、溜めも出来たからね なによりスピードよりパワーを優先したから」

 

ラクサス「なるほどな だから壊せた訳か」

 

綱吉「そういうこと だけど戦闘中だとこう上手くはいかないけどね」

 

 話しをしているとバトルパートか始まった

 

第一試合 『人魚の踵』ミリアーナVS『四つ首の仔犬』セムス

 

ミリアーナ「元気最強?」

 

セムス「ワ・・・ワイルド・・・」

 

 セムスはミリアーナのチューブに雁字搦めに拘束されて敗北した

 

 

第二試合 『剣咬の虎』ルーファスVS『青い天馬』イヴ

 

イヴ「白い牙!」

 

ルーファス「その魔法は記憶しているよ」

 

 イヴは雪魔法で攻撃するがルーファスは簡単に躱していく

 

 

ルーファス「記憶造形  燃ユル・・・」

 

 地面から炎が出てきたが、その炎は橙色の美しい炎だった

 

 

 

『妖精の尻尾』の面々「!?」

 

 

 

ルーファス「大地ノ業!!!!」

 

 

イヴ「うわああああ」

 

 その炎はイヴへと襲い掛かり、イヴは敗北した

 

チャパティ「イヴ ルーファス相手に健闘しましたが、やはりルーファス強し!!」

 

 ルーファスは『妖精の尻尾』Bチームの観覧席を見る 正確には綱吉を見ていた

 

ルーファス「君の炎は美しいからね 記憶させてもらったよ」

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「ツナの炎を・・・」

 

綱吉「見ただけで相手の魔法を使えるなんて・・・なんて便利な魔法なんだ」

 

ミラ「そうじゃないでしょっ! あの炎はツナが使ってこそいいんだから! 勝手に使うなんて許せないわ!」

 

ガジル「じゃあ 許可貰いに来たらいいのかよ?」

 

ミラ「駄目に決まってるでしょっ!」

 

ガジル(駄目なのかよ・・・)

 

綱吉「まぁまぁ 落ち着いて コピーされちゃったのはしょうがないよ  それにミラがそこまで怒ってくれて、俺嬉しいよ」

 

ミラ「えっ え、ええ⁉︎ ま、まったくすぐそう言うこと言うんだから!」

 

 ミラは綱吉の綺麗な炎が使われたことに怒っていたが、綱吉のお陰で何とか機嫌を直していた

 

綱吉(記憶造形、か・・・一つの魔法であらゆる属性の魔法を使えるなんてな 色んな魔法があるだな)

 

 

チャパティ「続いて第三試合 『妖精の尻尾』B ラクサス・ドレアーVS『大鴉の尻尾』アレクセイ」

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ラクサス「俺か」

 

ミラ「頑張ってね ラクサス」

 

ガジル「何の心配もいらねーだろ」

 

ジュビア「ラクサスさんですしね」

 

綱吉「・・・」

 

 皆が声を掛ける中、綱吉だけが声を掛けずラクサスのことをじっと見ていた 

 

ラクサス「どうした?」

 

綱吉「(何かある、けどそこまで脅威に感じない つまりラクサスなら乗り切れるということか・・・)いや、ラクサスは勝つよ」

 

ラクサス「(勝てよじゃなくて勝つよ、か)そうか ありがとよ」

 

 ラクサスは綱吉の頭をポンポンっと叩いて闘技場へ向かった

 

 

 応援席にいる皆も『大鴉の尻尾』に対して準備する ビスカはライフルのスコープでマスターのイワンを監視して、雷神衆とリサーナは『大鴉の尻尾』のメンバーを監視した

 

 アレクセイとラクサスが中央で向かい合った

 

チャパティ「試合開始ぃ!!」

 

 先に仕掛けたのはアレクセイだった ラクサスに次々と攻撃して一方的に試合となっていく

 

 そんなラクサスの姿を見て『妖精の尻尾』の面々は信じられないといった表情をしていた

 

応援席

 

マカロフ「何故ラクサスがこうも一方的に・・・」

 

 

ビスカ「イワンは動いてない 何もしていない」

 

 

フリード「ありえん!ラクサス!そろそろ本気を出してくれ!!」

 

ビッグスロー「ちくしょォオ」

 

『妖精の尻尾』A観覧席

 

ルーシィ「ラクサスが・・・」

 

ウェンディ「ど・・・どうなってるんですか・・・」

 

グレイ「あの仮面野郎何者だ」

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「そんな・・・」

 

ガジル「冗談だろ」

 

ジュビア「やられてるんですか」

 

 皆がラクサスがやられていることに驚いている中綱吉だけが平然とそしてつまらなそうに試合を見ていた

 

綱吉「つまんないことするね 鴉の人達」

 

ミラ「ツナ どういうこと」

 

綱吉「アレ幻覚だよ ただの幻」

 

ミラ「えっ⁉︎」

 

 綱吉の言葉に3人共驚かざるをえなかった

 

ジュビア「げ、幻覚なんですか!」

 

ガジル「つーか何で幻覚って分かんだよ!」

 

綱吉「忘れちゃったの? 俺の」

 

 綱吉のそこまでいい掛けた言葉で思い出した

 

ミラ・ガジル・ジュビア「「「あっ・・・」」」

 

 綱吉の〝超直感〟全てを見透かす力 綱吉には嘘はつけない

 

綱吉「まぁ〝超直感〟でも見破れない幻覚師はアッチにはいたけどね 幻覚には痛い目に遭わされたから だから」

 

 綱吉の瞳の色が茶色から橙色に変わる

 

綱吉「こうやって見破ってたんだけど」

 

 綱吉は元の世界にいた時幻覚対策として瞳に死ぬ気の炎を集中して幻覚を見破る特訓をしていた 瞳に死ぬ気の炎を凝縮し維持するのはとてつもない集中力と体力がいた 今でこそ平気にやっているが最初の頃は1分も保たなかった アースランドに来てからは魔力を瞳に集中させている

 

綱吉「なるほどね」

 

ミラ「ツナ 一体どういう状況なの?」

 

綱吉「うんとね マスターのイワンがいて、あと残りの4人がいるかな」

 

ジュビア「それって5対1ってことじゃないですか⁉︎」

 

ガジル「イワンまでいるのかよ」

 

ミラ「早く試合を止めないと!」

 

 綱吉によって状況を知らされた3人は試合を止めようとしたが

 

綱吉「大丈夫 必要無いよ」

 

 綱吉はそれを否定した

 

綱吉「例え5対1だろうとラクサスは負けないよ だってラクサスは強いから」

 

 淡々と言っていく綱吉の言葉 だが何処か信頼してしまうものがあった 3人は綱吉の言葉を信じることにした

 

 

ー闘技場

 

 『大鴉の尻尾』のメンバーがラクサスの前に立っていた そして何かを聞き出そうとしていた

 

イワン「マカロフは死んでも口を割らん 教えて貰うぞ ルーメン・イストワールの在処を」

 

ラクサス「ソイツが目的か・・・」

 

イワン「素直に吐けば勝ちを譲ってやる 条件が飲めねえってんなら どうなるか分かるよなぁ」

 

ラクサス「まどろっこしいことしやがって まとめてかかって来いよ マスターの敵は俺の敵だからよ」

 

 ラクサスはジャケットを脱ぎ捨て雷を纏う

 

イワン「どうやら教えてやる必要があるみてえだな 対『妖精の尻尾』特化型ギルド『大鴉の尻尾』の力を」

 

 イワンの言葉にラクサスはマカロフは『大鴉の尻尾』の全てを知っていることを告げる 

 

ラクサス「ジジイはそこまでつかんでいながら動かなかった アンタのことを信じてたんだろうな 親子だから」

 

イワン「黙れぇええ!!」

 

 ラクサスの言葉にイワンは激昂して、大量の人の形をした紙をラクサスに向けて放った

 

イワン「俺はこの日の為に日陰で暮らして来たんだよォ!全てはルーメン・イストワールを手に入れる為になァ!!言えぇええ! ラクサス!! 俺の息子だろうがァァァァ!!」

 

 イワンの大量の紙の嵐がラクサスを襲う

 

イワン「オーブラ!やれ!魔力を消せ‼︎」

 

ラクサス「コイツがウェンディとシャルルをやった奴か」

 

 ラクサスは雷を纏うと高速でオーブラの前に移動して蹴り飛ばした

 

ナルプティング「ニードルブラスト!」

 

フレア「赤髪!」

 

 ナルプティングは両腕からトゲを生やし、フレアは髪を伸ばしてラクサスに襲い掛かった しかしラクサスは冷静に見極め

 

ラクサス「これはグレイの分」

 

ナルプティング「ぐぉおおおお!」

 

 ナルプティングを殴り倒し、

 

ラクサス「こいつはルーシィの分」

 

フレア「きゃあぁあああ!」

 

 フレアを咆哮で倒し

 

ラクサス「お前・・・よく分からん」

 

クロヘビ「ぬぁああああ!」

 

 砂に擬態して背後から襲い掛かろうしたクロヘビも、手刀で倒し

 

イワン「ば・・・馬鹿な・・・」

 

 イワンはメンバーが全滅したことに狼狽え、ついに命乞いをしてしまう

 

イワン「ま・・待て!俺はお前の父親だぞっ!! 家族だ! 父を殴るというのかっ!!」

 

ラクサス「俺の家族は『妖精の尻尾』だ! 家族の敵は俺が潰す!!」

 

 ラクサスは雷を纏った拳でイワンを殴り飛ばした 殴り飛ばされたイワンが壁に激突すると幻のラクサスとイワンが消えて、ラクサスと倒された『大鴉の尻尾』のメンバーが現れた

 

 突然のことに観客は驚いていたがラクサスが5対1で勝ったことを知ると歓声に変わった

 

イワン「今回は俺の負けだ だが・・・これだけは覚えておけ ルーメン・イストワールは『妖精の尻尾』の闇 いずれ知る時が来る・・・『妖精の尻尾』の正体を・・・」

 

 イワンはそうラクサスに言って王国兵に連行されて行った 他の『大鴉の尻尾』メンバーも連行されたがオーブラの肩にいた使い魔が上手く逃げ出した

 

使い魔「また会おうキキ 『妖精の尻尾』キキ』

 

 

 

 協議の結果『大鴉の尻尾』は失格となり大会出場権を3年間剥奪となった

 

 逃げ出した使い魔の存在は誰も気がついていなかった いや1人は気づいていたがそこまで気にしていなかった

 

綱吉(あれっ あのオーブラって人の使い魔が見当たらない 何処に行った?)

 

 綱吉は辺り見渡したが見当たらなかった

 

綱吉(まぁ あれくらいの奴ならそこまで脅威にはならないだろう 気にしなくていいかな)

 

 綱吉もそこまで気にしなかった だがこの使い魔がある人物と深い繋がりがあること誰も知らなかった

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

29話

 『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉(しかし『大鴉の尻尾』は何の目的でラクサスを・・・)

 

 綱吉が考え事をしているとラクサスが戻ってきた

 

ミラ「お疲れ様 ラクサス」

 

ラクサス「ああ」

 

ジュビア「5対1で勝つなんて凄いです!」

 

ガジル「まっ あんたならこれくらい余裕だと思ってたぜ」

 

綱吉「ラクサス ナイス ファイト」

 

 綱吉は右手を上げる

 

ラクサス「おう」

 

 ラクサスは綱吉とハイタッチをした

 

綱吉「ところで『大鴉の尻尾』の目的は何だったの? 態々マスターまで出て来たんだからよっぽどのことなんでしょ」

 

ラクサス「それなんだが、ルーメン・イストワールってのが狙いだったみてえなんだ」

 

綱吉「ルーメン・イストワール? 何それ?」

 

ラクサス「さぁな 後でジジイにでも聞いてみるさ」

 

 何が目的だったのかラクサスに聞いてみたが結局分からずじまいだった そんな話しをしているとアナウンスが流れ

 

 

 

チャパティ「本日最後の試合 『妖精の尻尾』A ウェンディ・マーベル VS 『蛇姫の鱗』シェリア・ブレンディ」

 

 

綱吉「次はウェンディか」

 

ミラ「ウェンディは強いから大丈夫よ」

 

ジュビア「そうですよ ウェンディだって修行を頑張って来たみたいですから」

 

ガジル「しかし相手の奴もガキじゃねぇか」

 

綱吉「同い年くらいかな?」

 

ラクサス「ガキだからって油断できねえぞ 弱いんだったらメンバーに選ばれる訳がねえからな そうだろ ツナ?」

 

綱吉「うん そうだね あのシェリアって子は強いよ だけどウェンディも劣らず強い 良い勝負になると思うよ」

 

 綱吉は超直感で2人の力量を感じ取っていた

 

 

 シェリアは闘技場に出て来ると転んでしまった、ウェンディも助けようと駆け寄ろうとしたが転んでしまう そんな2人を見て場内は笑いに包まれた

 

ラクサス「何故何もないところで転ぶ」

 

ガジル「全くだ」

 

綱吉「ドジっ子ってヤツか」

 

ミラ「コラ そんなこと言っちゃ駄目でしょっ」

 

ジュビア「そうですよ しっかり応援しないと」

 

 何もないところで転ぶ2人に呆れつつも、ウェンディの事を応援することにした

 

 

ー闘技場

 

チャパティ「これはなんとも可愛らしい対決となったぞー!オジサンどっちも応援しちゃうピョーン!」

 

ヤジマ「アンタキャラ変わっとるよ」

 

 実況のチャパティのキャラの変わりようが凄い・・・

 

 

 試合開始の銅鑼が鳴った

 

ウェンディ「(せっかく修行したんだ!頑張らなきゃ!)いきます!」

 

シェリア「うん」

 

      ア – ム ズ バー ニ ア エンチャント

ウェンディ「攻撃力強化 速度上昇  付加」

 

シェリア「お」

 

 ウェンディは自身に能力上昇の魔法を掛ける

 

 

ウェンディ「天竜の翼撃!!」

 

 強力な風がシェリアを襲うがシェリアは難無く躱して反撃をする

 

       . ボレアス

シェリア「天神の北風!!」

 

ウェンディ「うわっ」

 

 ウェンディはシェリアの黒い風を何とか躱すが、その隙にシェリアはウェンディとの距離を詰めて来る

 

シェリア「天神の舞!!」

 

ウェンディ「うぁああああ!」

 

 シェリアはウェンディを上空へと吹き飛ばす さらに追撃をしようとジャンプしてウェンディに近づくが、ウェンディは空中で風を操り静止する

 

ウェンディ「天竜の鉤爪!」

 

シェリア「うっ」

 

 逆さになった状態でシェリアを蹴り飛ばす 2人は着地すると大きく息を吸う

 

ウェンディ「天竜の・・・」

 

シェリア「天神の・・・」

 

ウェンディ「咆哮!!」

 

シェリア「怒号!!」

 

 2人のブレスのぶつかり合いによって、爆風は観客席にまで届いた しかしダメージを受けているのはウェンディで、シェリアは無傷だった

 

 

『蛇姫の鱗』観覧席

 

リオン「天空の滅神魔法・・・シェリアは天空の滅神魔道士だ」

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉「滅神魔法・・・オルガさん以外にもいたんだ」

 

ミラ「同じスレイヤー同士の対決になるわね」

 

ラクサス「だが地力では僅かにあのシェリアって奴の方が上だな 現にウェンディはダメージを受けているがアイツは無傷だ」

 

綱吉「大丈夫 まだウェンディは諦めてないよ あの目はまだ勝負を諦めてない」

 

 

ー闘技場

 

ウェンディ「驚きました」

 

シェリア「リオンから聞いてたんだ 『妖精の尻尾』にアタシと同じ魔法を使う子がいるって ちょっとやりすぎだったかな? ごめんね痛くなかった?」

 

ウェンディ「平気です・・・戦いですから」

 

シェリア「せっかくだからもっと楽しもっ ね!」

 

ウェンディ「私 戦いを楽しむってよく分からないですけど・・・ギルドの為に頑張ります」

 

シェリア「うん!それでいいと思うよ! アタシも愛とギルドの為に頑張る!」

 

 フラつくウェンディに、シェリアは攻撃をする

 

ウェンディ「あああ!」

 

 ウェンディは攻撃を避けられず喰らってしまう

 

ウェンディ(皆んながここまで繋いできたんだ 私は戦いが好きじゃないけど・・・ギルドの為に戦わなきゃいけない時は・・・私だって本気でやります!」

 

 ウェンディは大きく息を吸い、空気を食べ始める

 

シェリア「あ!やっぱり空気を食べるんだね じゃあアタシも・・・いただきまふぅ」

 

 シェリアも息を吸い、空気を食べ始めた

 

 

チャパティ「こ・・これはウェンディたんとシェリアたん何をしているのでしょう 気のせいか酸素が薄くなった気がします」

 

 2人が空気を食べた為会場の空気が薄くなった それにしてもチャパティがどんどんはっちゃけてる

 

 

ウェンディ「滅竜奥義!」

 

 ウェンディは自身とシェリアの周りを竜巻で囲う

 

ウェンディ「照破・・・」

 

シェリア「風の結界⁉︎ 閉じ込められた⁉︎」

 

ウェンディ「天空穿!!!」

 

 暴風の一撃がシェリアに直撃した 流石のシェリアも躱せず吹き飛ばされ倒れてしまった これを見てウェンディは勝利したと思った

 

 倒れたシェリアを見てマトーくんがウェンディの勝利宣言を言おうとした時

 

シェリア「ごめんね!ちょっと待って まだまだこれからだからっ」

 

 シェリアは立ち上がって来た しかも無傷で

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ガジル「どうなってやがる」

 

ジュビア「攻撃は当たったはずなのに」

 

綱吉「(たしかに・・攻撃は当たっていた、ダメージもあった なのに平然と立っている)・・・回復したんだ」

 

ミラ「そんなこと出来るの⁉︎」

 

綱吉「現にウェンディの大技を喰らって立ってるだろ 傷も消えて」

 

ガジル「回復なんてそんなんありかよっ」

 

 

『蛇姫の鱗』観覧席

 

リオン「天空の滅神魔法は自己回復が出来る 悪いが勝ち目はないと思え」

 

 

ー闘技場

 

シェリア「アタシ戦うのは嫌いじゃないけど 勝敗の見えてる一方的な暴力は愛がないと思うの 降参してもいいよ ねっ」

 

ウェンディ「できません 私がここに立っているということは、私にもギルドの為に戦う覚悟があるということです 情けはいりません 私が倒れて動けなくなるまで全力で来てください! お願いします!!」

 

 シェリアはウェンディに降参するよう促すが、ウェンディは戦うことを選んだ その証拠にウェンディの目にはまだ闘志が宿っていた

 

シェリア「うん! それが礼儀だよね! じゃあ今度はアタシが大技出すよ‼︎ この一撃で楽にしてあげるからね‼︎」

 

 シェリアは両手に魔力を集中する

 

 

『蛇姫の鱗』観覧席

 

リオン「よせ! シェリア!」

 

ジュラ「それはいかん!」

 

オーバ「バカタレが! 相手を殺すつもりかい!!」

 

 シェリアのこれから出す技を察したリオンやマスターオーバは止めるよう叫ぶが

 

 

ー闘技場

 

シェリア「全力の気持ちには全力で応える! それが愛!!  滅神奥義!!!」

 

 両手に集まった魔力が黒い羽根へと変わっていく 

 

シェリア「天ノ叢雲!!」

 

 黒い羽根は渦を巻きながらウェンディへと向かっていく しかし天ノ叢雲はウェンディに当たらず外れた そのことに1番驚いていたのは技を出したシェリアだった

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ガジル「なんだっ 外れたのか⁉︎」

 

綱吉「いや 外させたんだ シェリアが技を撃つ瞬間に体力を回復させて、技に勢いをつけさせて外させたんだよ」

 

ミラ「そっか ウェンディは相手の体力を回復出来るから」

 

綱吉「そう それを利用したんだ だけどシェリアが勢いのついたあの技を制御出来ていたら終わりだった ある意味賭けに近い戦法だったね」

 

ラクサス「だが 賭けに勝ったと(相変わらずよく見てやがるな)」

 

綱吉「うん だけど勝負はまだ分からないよ」

 

 

ー闘技場

 

シェリア「凄い!なんて戦法!!」

 

 シェリアは自分の奥義をあんな風に躱すとは思ってなかったので驚きを隠せなかった

 

ウェンディ「天竜の砕牙!」

 

シェリア「うあぁ!」

 

 ウェンディは手に風を纏ってシェリアの腕を斬り裂くが、シェリアは瞬時に回復する

 

 その後2人は接近戦で戦っていた 2人の拳は小さかったがギルドを想う気持ちは何よりも大きかった

 

 そして・・・

 

チャパティ「ここで時間切れ! 試合終了! この勝負引き分けです!!」

 

 2人の戦いは30分戦っても決着はつかず、引き分けとなった

 

 

ー闘技場

 

綱吉「引き分けになったけど、良く戦ったよウェンディ」

 

ミラ「そうね ウェンディもシェリアもいい試合だったわ」

 

 闘技場を見るとシェリアがウェンディの怪我を治癒魔法で治しており、2人共笑っていて握手をしていた

 

綱吉「しかしウェンディにしろシェリアにしろ 俺より歳下なのにあんなに強いなんて、こりゃ追いつかれる日も近いかもね」

 

ラクサス「何言ってやがる お前だってまだまだこれから伸びるだろうが」

 

ミラ「そうよ そんな弱気になるなんてツナらしくないわ」

 

綱吉「そっか そうだな なら頑張って強くならないとな」

 

 ウェンディとシェリアの戦いを見て追いつかれる日が近いと寂しさを覚えたが、ラクサスとミラに励まされやる気を取り戻していた

 

綱吉「明日が楽しみだ・・・ケホッケホッ」

 

 綱吉は口元に手をやり咳き込んだ 手の平を見ると僅かに血がついていた

 

綱吉「・・・」

 

ミラ「ツナ?」

 

ジュビア「どうかしましたか?」

 

綱吉「んっ 大丈夫っ ちょっと疲れて咳き込んだだけだって!心配し過ぎだよ」

 

ミラ「そう?」

 

綱吉「そうそう 寝て休めば治るって!」

 

ミラ「ならいいけど・・・」

 

ラクサス「・・・」

 

 咳き込んだ後綱吉の表情が一瞬固まったの見たミラは心配になったが流されてしまった

 

綱吉(予想より早いな・・・これは皆にバレるのも時間の問題か・・・)

 

 綱吉が観覧席を出て行きミラも後を追おうとした時

 

ラクサス「おい ミラ」

 

ミラ「なに ラクサス?」

 

ラクサス「この大会が終わったら、ツナを病院へ連れてけ」

 

ミラ「え?」

 

ガジル「病院って大袈裟な」

 

ラクサス「いや ツナのあの表情は何かある」

 

ジュビア「たしかに咳き込んだ後、固まってましたね」

 

ラクサス「何も無いならそれで良い だがそのままほっといて取り返しのつかない事になったらどうする そうなる前にちゃんと調べてもらえ」

 

ミラ「・・・ええ 分かったわ」

 

 ラクサスの真面目な表情にミラは真剣に捉えた

 

 

 会場の雰囲気とは裏腹にBチームは不安が拭い切れないまま3日目が終わった

 

 

 3日目までの結果はこのようになった

 

 一位 『妖精の尻尾』B  35pt

 

 二位 『剣咬の虎』  34pt

 

 三位 『人魚の踵』  32pt

 

 四位 『妖精の尻尾』A 27pt

 

 五位 『蛇姫の鱗』  26pt

 

 六位 『青い天馬』  18pt

 

 七位 『四つ首の仔犬』 14pt

 

  ✖︎ 『大鴉の尻尾』  失格

 

 

 ついに『妖精の尻尾』が一位をなったのだった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

30話

今回はあまり進んでいません
会話ばっかりです 


 時刻は夜になりギルドの皆はBAR SUNへ行き、ラクサスとマカロフは公園に来ていた

 

ー公園

 

ラクサス「じじい ルーメン・イストワールってのは何だ?」

 

マカロフ「・・・イワンがそう言ったのか?」

 

ラクサス「ああ 欲しがってるようだったな」

 

マカロフ「そうか・・・まったくあのガキは・・・」

 

ラクサス「『妖精の尻尾』の闇とか言ってやがったぞ」

 

 ラクサスの言葉にマカロフは答えられず黙っていると メイビスが現れる

 

 

メイビス「闇ではありません ルーメン・イストワールは我がギルドの〝光〟なのです」

 

マカロフ「初代⁉︎ いけませんぞ」

 

メイビス「分かっています これはマスターとなった者にしか知る権限の与えられないもの ラクサス 分かっていただけますか?」

 

ラクサス「変なモンじゃなけりゃ詮索はしねーよ」

 

 マスターになった者しか知ることが出来ないのなら とラクサスも素直に引き下がった

 

 

ラクサス「そうだ じじい もう一つ言っとくことがあってよ ツナのことなんだが」

 

マカロフ「ツナがどうかしたのか?」

 

ラクサス「実はよ・・・」

 

 ラクサスは綱吉のことを話した

 

マカロフ「むう そんなことが」

 

メイビス「すみません ツナとはあの少年のことですか?」

 

マカロフ「えぇ そうです ツナは・・・」

 

 マカロフは綱吉が異世界から来たこと、戦争を経験して来たこと、心の中に鬼が潜んでいることを説明した

 

メイビス「そうですか・・・彼もまたあの歳で戦争を経験したのですね 世界は違えど争いは絶えぬものなのですね・・・」

 

 メイビスは悲しそうな表情を浮かべた 自分も戦争を経験したからこそ分かる辛さであった

 

 

メイビス「恐らく彼が情緒不安定になるのは自責の念に駆られているからでしょう 彼は〝生きるか死ぬか〟〝殺すか殺されるか〟の世界で生きて来ました そんな彼にとってこの世界は〝平和〟過ぎた 仲間を失い、家族を失い、ただ敵を殺す鬼になった彼にとってこの世界は眩し過ぎた 平和を幸せを知れば知るほど彼は自分の醜さを知り苦しめてしまうでしょう・・・」

 

ラクサス「アイツ・・・馬鹿野郎が」

 

メイビス「そして咳き込んだのは、吐血でしょう」

 

マカロフ「なっ・・・血を吐いたのですか⁉︎」

 

メイビス「恐らくですが・・・話しを聞いただけでも彼は天賦の才能を持つ者だと分かります 更にその才能に溺れることなく努力を怠らない正に人の上に立てる者   しかし彼に本当の成長を促したのは不幸にも家族や仲間の死だった・・・憎しみに駆られ急激な力を得ましたが、その代償は・・」

 

 メイビスは辛そうに話した

 

 

ラクサス「その代償にツナの身体が犠牲になったと」

 

メイビス「彼の身体は、いえ精神も既にボロボロになっているでしょう」

 

ラクサス「今までそんな素振り見せなかったぞ」

 

メイビス「必死に耐えてきたのでしょう 苦しくても決して仲間の前では見せぬよう ギルドマスターや他のトップの方々にも言えることですが、ボスという者は弱みを見せてはいけないという傾向があります」

 

マカロフ「・・・まぁ たしかに」

 

 メイビスの言葉にマカロフはうなづく

 

 

メイビス「彼もその内の1人に該当します 若くしてボスになった彼は他の組織に舐められぬよう強くあり続けた それは世界が変わっても同じだった 仲間、ましてや恋人の前で弱い部分を見せたくなかったのでしょう」

 

マカロフ「彼奴がそこまで苦しんでおったとは・・・」

 

ラクサス「じじい どうすんだ」

 

マカロフ「儂は・・・」

 

 

 

ーBAR SUN

 

 『妖精の尻尾』のメンバーはいつものように宴を開いていた

 

   「「「「かんぱーい‼︎‼︎」」」」

 

 

ナツ「いやぁ 今日は気持ち良かったな〜」

 

ハッピー「あい!」

 

ルーシィ「此処ギルドじゃないんだから壊しちゃ駄目よ」

 

 ナツとハッピーははしゃいでテーブルの上で騒いでいた

 

 

エルザ「しかし今日のツナは凄かったな」

 

綱吉「凄いのはエルザだって同じだろ 百体全部倒したんだし」

 

マカオ「でもMPFぶっ壊した時は驚いたぜ!」

 

ワカバ「あんなもんチートじゃねぇかっ!!」

 

綱吉「ははっ 伊達に必殺技にしてないからね」

 

 マカオとワカバは綱吉の技を褒めていた

 

 

ウェンディ「せっかくエルザさんが快勝したのに・・・私勝てなかったなぁ」

 

シャルル「何言ってるの よくやったわよ」

 

綱吉「そうだよ ウェンディ」

 

ウェンディ「ツナさん」

 

 バトルパートで勝てなかったことに落ち込んでいるウェンディに綱吉が声を掛ける

 

綱吉「その歳であれだけの戦いが出来たんだ それはとても凄いことなんだよ 俺達も 他のギルドの人達も 観客の人達もその目にウェンディが凄さが映ったはずだよ そう落ち込んじゃいけない」

 

 綱吉はそう言ってウェンディの頭を撫でた

 

ウェンディ「!」

 

綱吉「あっ ごめんね! ついっ」

 

ウェンディ「あっ・・・」

 

 綱吉はウェンディの頭から手を離したが、ウェンディは残念そうにしていた

 

シャルル「駄目よウェンディ  ツナはミラの恋人なんだから」

 

ウェンディ「わ、分かってるよ」

 

ミラ「でも珍しいわね ツナがそういうことするなんて」

 

ウェンディ「ミ、ミラさん⁉︎」

 

 ミラがやって来てウェンディは驚いてしまう

 

綱吉「うーん 向こうにいた時、俺の家に居候で歳の離れた子達がいたから そのせいかな 俺にとって弟であり妹だったから」

 

 綱吉はフゥ太、ランボ、イーピンのことを思い出していた 血の繋がり無くても3人は家族であり、弟、妹だった

 

綱吉「だから何か出来たりするとこうやって褒めてたんだ」

 

ウェンディ「はわわっ」

 

 綱吉はまたウェンディの頭を撫でた しかしその目は先ほどと違って少し寂しそうだった

 

ミラ「・・・そっか じゃあ妹のウェンディが頑張ったからしっかり褒めてあげないとねっ」

 

ウェンディ「え、ええっ⁉︎」

 

ミラ「だって私たちは仲間で家族でしょう」

 

綱吉「そうだね 良くやったよ ウェンディ」

 

ウェンディ「は、はいぃ・・・」

 

 ウェンディは恥ずかしさからか顔を赤くしていた すると

 

ロメオ「なら俺はツナ兄の弟だな!」

 

 話しを聞いていたロメオが混ざってきた

 

ロメオ「俺も早くツナ兄みたいに強くなってみせるぜ!」

 

綱吉「そうだね ロメオも弟だ  でも焦ることはないよゆっくり成長すれば良いんだから それにね、ただ〝力〟を振るうのを俺は〝強さ〟だとは思わない」

 

ロメオ「えっ?」

 

綱吉「〝強さ〟というのはここに宿るものだと俺は思うんだ 誰かを思う『心』それが自身を強くしてくれるんじゃないかと思うんだ・・・(そういう点で言えば俺は道を間違えてしまったんだよな・・・)

 

 綱吉は自分の胸に手を当てて言った 

 自分は復讐心に取り憑かれ暴力者になってしまったからこそ、尊敬の眼差しで見てくるロメオの目が痛かった

 

綱吉「ロメオが ウェンディが いつか俺のことを追い抜いてくれる日が来るのを楽しみにしてるよ」

 

ロメオ「お、おう! 楽しみ待っててくれよ!」

 

ウェンディ「わ、私も頑張ります!」

 

 優しく微笑みながら自分の成長に期待してくれる綱吉にウェンディもロメオも嬉しさ恥ずかしさが出たが元気に答えた

 

 

リサーナ「あれ? ツナはミラ姉の恋人なんだから、将来私のお義兄ちゃん?でもツナって歳下だから弟? ん?どっち?」

 

綱吉「どっちでもいいよ 兄でも弟でも それに大事なのはここだろ」

 

 綱吉は胸の中央を指差した

 

綱吉「ここが繋がっていれば、家族であり兄弟なんだから それにこれはリサーナだけじゃなく皆んなにも言えることだね」

 

エルザ「うむ そうだな 我々は仲間であり家族でもある」

 

ルーシィ「でもよく恥ずかしい台詞言えるわね」

 

リサーナ「確かに聞いてるこっちも恥ずかしかったよ」

 

 綱吉の言葉に皆、嬉し恥ずかしがっていた

 

 

綱吉「俺はただ素直な気持ちを言っただけだよ」

 

ルーシィ「それをさらっと言えちゃうのが凄いわね」

 

ミラ「でもそれがツナの良いところよね」

 

リサーナ「そういうところにミラ姉は惹かれて、ツナのこと好きなったもんね〜」

 

ミラ「もう リサーナっ」

 

綱吉「ははっ ありがとう ミラ  俺もミラの優しさに惹かれて好きになったんだ 大好きだよミラ」

 

ミラ「〜っ 馬鹿っ 皆んなの前で言うことないでしょっ!」

 

 ミラは恥ずかしさから綱吉のことをポカポカと叩いていた

 

綱吉「ごめんごめん」

 

カナ「相変わらずラブラブだねー」

 

 そんな話しをしていると、ラクサスが戻ってきた 綱吉は一旦ミラたちの元を離れてラクサスの元へ行った

 

 

綱吉「ラクサス マスターとはあの話しをして来たんだろ?」

 

ラクサス「ああ まぁな だがアレはマスター以外に知っちゃいけねえもんなんだと」

 

綱吉「そうなんだ ならしょうがないね」

 

ラクサス「それと後でじじいと初代が話しがあるとよ」

 

綱吉「話し? 分かった(何の話しだろう)」

 

 宴会は最後まで騒ぎ、解散となった 

 

 

 綱吉はマカロフとメイビスと公園で話しをすることとなった 

 

ー公園

 

綱吉「それじゃあ ここで少し待っててくれ」

 

ミラ「ええ 分かったわ」

 

 ミラは入り口近くのベンチに座り、綱吉は2人がいる中央にある噴水に向かった 

 

 綱吉は最初ミラを帰らせようと思ったが前回のことを考え、ついてきてもらった 流石に一緒に話しはまずいので待っててもらうが、ミラからは綱吉たちが見え 綱吉からはミラが見える 何か起きてもこれならすぐに対応できると判断したのだ

 

マカロフ「すまんのう ツナ」

 

綱吉「いえ 構いません それで話しと言うのは一体?」

 

マカロフ「それは・・・」

 

メイビス「単刀直入にいいます 貴方は体の何処かを患っていますね」

 

 言いづらそうにしていたマカロフの代わりにメイビスが聞いてきた

 

綱吉「・・・何故そのようなことを?」

 

メイビス「ラクサスが貴方の異変を教えてくれました」

 

綱吉「ただ咳き込んだだけで、患っていると?」

 

メイビス「では何故ただ咳き込んだだけで表情が固まったのですか?」

 

綱吉「それは・・・」

 

 メイビスの問いに綱吉は答えられなかった

 

メイビス「それに向こうの世界で相当無茶な戦いをしてきたのでしょう? 身体の表面上は無事と見せることは身体の内部はどうですか?」

 

綱吉「・・・ふっ 流石にマスターには嘘はつけませんね」

 

 綱吉は諦めたように微笑した

 

マカロフ「で、では」

 

綱吉「ええ 病気とは少し違いますが、心臓や肺、俺の内臓はもうすでにボロボロです」

 

マカロフ「ならすぐに病院に行き治療を受けんといかんじゃろう!?」

 

綱吉「俺は治療を受ける気はありません」

 

マカロフ「何故じゃ!? 何故治療せん!」

 

綱吉「これは罰なんです」 

 

 綱吉の治療を受けないという答えにマカロフは取り乱しかけるが、綱吉は冷静に落ち着いていた

 

メイビス「罰、ですか」

 

綱吉「はい 俺は元の世界で多くの人の命を奪って来ました 例えどんな理由があろうと殺しが正当化されちゃいけません  だからこれは俺の罪であり、罰でもあるんです」

 

マカロフ「ミラには・・・言ったのか?」

 

綱吉「いえ、まだです ですが大会が終わったら言うつもりです」

 

マカロフ「ミラを悲しませることになるぞ」

 

綱吉「・・・覚悟の上です」

 

 綱吉は目を瞑り一瞬悲しむような表情を見せた

 

綱吉「恋人であるミラを悲しませることになったとしても 俺にはこっちの方が大事なんです どれだけ苦しくても痛くても受けなきゃいけないんです 罰を軽くするなんて許されないんですよ・・・」

 

メイビス「罪を償う方法は一つではありませんよ」

 

 しかし綱吉は首を横に振る

 

綱吉「俺は今まで自分勝手に生きて来ました 今さら己れの身可愛さに生き長らえるつもりはありません」

 

 綱吉はマカロフたちに背を向けてミラのいる方へ歩き始めた しかし数歩歩いたところで足を止めて

 

綱吉「10年・・・5年・・・或いは1年かもしれない あとどれくらい生きられるか分かりませんが、俺は奪った命以上に誰かを助けたいんです この限りある命、誰かの助けとなり役に立ちたいんです」

 

メイビス・マカロフ「「・・・・・」」

 

 綱吉は今度こそミラの方へ歩いていった

 

 

綱吉「ただいま」

 

ミラ「お帰りなさい 話しは終わったの?」

 

綱吉「ああ 宿に帰ろうか」

 

 綱吉とミラは公園を出て行った 2人を見ていたマカロフとメイビスは

 

マカロフ「儂は、ツナのことを止められんかった・・・」

 

メイビス「それは私も同じです 彼の覚悟も目も本物だと分かりました ですが彼が背負う十字架はあまりにも大きく重い その重圧に潰されなければいいのですが・・・」

 

 

 

 宿に向かって歩いている2人、すると綱吉の耳に

 

  『いいご身分だな』

 

綱吉「!」

 

 突然声が聞こえてきた 周りには誰もいない 綱吉にしか聞こえない亡霊の声であった

 

 『何故、お前は生きている 俺たちを殺したくせに』

 

 『恋人と仲良く幸せを謳歌しやがって』

 

 『なんでお前は笑っていられる』

 

 『お前も死ねよ!!』

 

 『罪の意識があるのなら今すぐ自害しろ!』

 

 『『『『さあ 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!!』』』』

 

 次々と聞こえてくる亡霊の声

 

綱吉「・・・・・・」

 

ミラ「ツナ?」

 

 隣りを歩いていた綱吉がいつ間にか後ろにいて、ミラが声を掛けると綱吉は小刻みに震えており、怯えた顔をしていた

 

 ミラは綱吉のそばに駆け寄り、手を握った

 

綱吉「ミラ・・・?」

 

ミラ「大丈夫 大丈夫よ 私がいるから」

 

 ミラの声により綱吉は亡霊の声が聞こえなくなっていき震えも止まった

 

綱吉「ありがとう ミラ」

 

ミラ「どういたしまして」

 

 ミラの笑顔を見てると 手を握られると 暖かい気持ちになれた

 

 

 綱吉とミラは手を繋いだまま宿へと帰っていった

 

 

ー宿 綱吉とミラの部屋

 

 綱吉とミラは部屋に着くと少し休み、今ミラはシャワー浴びていた その間綱吉はベッドに腰掛け思い詰めていた

 

綱吉(俺は あの声の言った通り、罪を償うと言いながら幸せを謳歌してるだけなんじゃないのか? 死ぬのが嫌で逃げてるだけなんじゃないのか?)

 

 綱吉が思い詰めていると、ミラがシャワー室から上がってきた

 

ミラ「ツナ〜 次いいわよ」

 

 しかし綱吉からの返事は聞こえず、ベッドで何か考えごとをしているようだった ミラは綱吉に近づいてもう一度声を掛けようとした

 

綱吉「(俺は・・・俺は どうすれば・・・)・・・ゲホッ!」

 

 綱吉はまた咳き込み、手の平に血がついていた 綱吉はタオルで血を拭こうとした時

 

綱吉「初日に、無理し過ぎたな あと2日あるのに・・・」

 

ミラ「もうツナ さっきから呼んでるで・・しょ・・」

 

 ミラは綱吉を見て固まってしまった 口元から血が垂れ、手の平に血がついているのが見えてしまったから

 

綱吉「ミラ⁉︎ (しまった! ミラに見られるなんて!)

 

ミラ「ね、ねえ そ、それ血よね・・・どうして? どういうこと・・・?」

 

 ミラの声は震えていた

 

綱吉「こ、これは そのあの 口に中切っちゃってっ それで血が出ちゃってさ!」

 

ミラ「嘘・・・嘘つかないで! 口の中切ってそんなに血が出るわけないでしょ!」

 

 綱吉は咄嗟に嘘をついたがミラに見破られてしまった

 

ミラ「ねえ 貴方に何が起きてるの⁉︎ 早く病院に行きましょう!」

 

 ミラは取り乱しながら綱吉に縋りついてきた

 

綱吉「ミラ 落ち着いて 大丈夫だから」

 

ミラ「大丈夫じゃないわ! 早くっ 早くしないとっ」

 

綱吉「ミラ」

 

 綱吉はミラの両頬を両手で押さえて

 

綱吉「ミラ 俺の目を見て そうそのまま そして深呼吸して」

 

 ミラを落ち着かせた

 

綱吉「少しは落ち着いた?」

 

ミラ「・・・ええ 取り乱しちゃってごめんなさい・・・ でも貴方に何があったの?」

 

綱吉「・・・ごめん まだ言えないんだ 大会が終わったら必ず言うから・・・」

 

ミラ「そう 分かったわ・・・」

 

 言ってもらえない事はショックだったが、自分もツナに対して隠していることあるため強く言えなかった

 

ミラ「なら病院に」

 

綱吉「悪いけど病院に行く気もないし、大会は最後まで出るつもりだよ」

 

ミラ「ど、どうして⁉︎ 早く治さなきゃ!」

 

綱吉「俺は、治すつもりはない」

 

ミラ「そんな⁉︎」

 

綱吉「これはね 罰なんだよ 決して許されることはない罪を犯した罰 だから治療は受けない」

 

 治す気もない、大会には出続けるという綱吉にミラは動揺した

 

ミラ「罪?・・・罰?・・・何それ? ツナ死んじゃうかもしれないじゃない!?」

 

綱吉「それは・・・」

 

ミラ「ツナ いなくならないって約束したじゃない! ねえ 死なないわよね? ねえ? そう言って! そう言ってよ!」

 

綱吉「・・・・・」

 

 涙ながらに縋りついて言葉をぶつけてくるミラに綱吉は答えることが出来なかった 

 

 

 なんと言うのが正解なのか分からなかった 大丈夫だと嘘をつくのが正解なのか 自分の寿命は短いと真実を言うべきなのか どちらが正しいのか俺には分からなかった・・・

 

 

ミラ「お願いだから・・・そう言ってよ・・・」

 

綱吉「・・・ごめん」

 

ミラ「⁉︎」

 

 唯一絞り出せた言葉は謝ること だがその言葉はミラの望んでいた言葉ではなかった

 

ミラ「馬鹿っ!!」

 

 ミラは自分のベッドへと入り込んでいった 

 

綱吉(ミラ いや、よそう・・・)

 

 綱吉はミラに声を掛けようとしたがやめた 今の自分にその資格はないと思ったから

 

 

 明かりの消えた部屋の中、ミラの泣き声がよく聞こえた

 

ミラ「うっ・・・ううっ・・・グスッ」

 

綱吉(すまない ミラ)

 

 綱吉はミラの方を向いて心の中で謝った

 

綱吉(できることならもうこれ以上何事も無く終わってほしい)

 

 

 綱吉は大会が無事に終わることを願って目を瞑った

 

 

 

 しかし大魔闘演舞4日目、綱吉の傷だらけの心に追い討ちをかけ、歪みを与えてしまう出来事が起きる

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

31話

 ミラは夢を見てうなされていた

 

ミラ「此処は・・・?」

 

 そこは廃墟と化した街だった ミラはとりあえず歩き始め散策を始めた すると前方から爆発が起きた

 

ミラ「な、なにっ⁉︎ 向こうで何が⁉︎」

 

 ミラが爆発の起きた場所へ近づくと2人の男が戦っているのが見えた その2人はミラの知る人物だった 1人はミラに恐怖を与えた〝白蘭〟もう1人はミラの恋人の〝綱吉〟

 

ミラ「ツ、ツナ・・・」

 

 2人の戦闘は激しく、いつもの優しい表情をした綱吉はどこにも無く、その戦いぶりは正に〝鬼〟と呼ぶにふさわしかった ミラは初めて恋人である綱吉に恐れを抱いた 

 

 しかしいかに綱吉といえど地力の差で徐々に確実に傷を負わさせれていく そして

 

綱吉「がはっ⁉︎」

 

 地面に叩きつけられ倒れされてしまう 息も絶え絶えな状態の綱吉を白蘭は左手で喉を掴み、持ちあげる

 

綱吉「あ・・・が・・・」

 

 綱吉にはもはや抵抗する力はなく、されるがままとなっていた 白蘭は右手に炎を集中する 

 

ミラ「やめて! もうやめて!!」

 

 これから何がされるのか察したミラは走り、止めに入った だが

 

ミラ「!?」

 

 綱吉を助けようと白蘭の身体に触れようとした時、ミラは白蘭の身体をすり抜けた この夢の中ではミラは幽霊の様なもの触れることも語りかけることも出来ない ただ見ることしか出来ないのだ

 

ミラ「そんな・・・」

 

 ミラは絶望した 恋人がこれから殺されるのに何も出来ず見ていることしか出来ないのだから

 

ミラ「やめて・・・やめてよ・・・お願いだから・・・」

 

 ミラは涙ながらに言った 聞こえていなくても言わずにはいられなかった

 

 ミラの声など元から聞こえていない白蘭は、締め付けるちからを更に強くする 綱吉は苦悶の表情を浮かべる そして白蘭は右手を手刀のようにして綱吉の胸を・・・

 

 

ミラ「やめて・・・やめてーーーっ!!!」

 

 

ドシュッ

 

 貫いた 貫かれた場所からドクドクと血が流れ落ちる

 

 

綱吉「ガハッ」

 

ズボッ

 

 右手を引き抜くと鮮血が舞った 綱吉の血が白蘭の髪や顔、服を赤く染めていく 血を浴びて笑顔を見せるその姿は悪魔と呼ぶにふさわしかった

 

 絶命した綱吉は無造作に放り捨てられる 傷口から止めどなく血が流れ出て血溜まりが出来る 

 

ミラ「あ・・・ああ・・・」

 

 ミラは綱吉の側に駆け寄ったが、ショックから両膝をついてしまう 傷口から血が流れ、その瞳にはもう光は宿しておらず、その口はもう何も語らない

 

ミラ「ツ・・ナ・・・ツナ・・・ツナ・・・」

 

 涙を流し恋人の名を呼ぶ しかし返事は返ってこない ミラは綱吉の身体に触れようとしたがすり抜けてしまう

 

ミラ「うっ・・・ううっ・・・いや・・嫌ああああ!!!」

 

 ミラは頭を抱え泣き叫んだ

 

 

 

綱吉「ミラっ ミラっ」

 

ミラ「うう・・・ぐっ・・うう」

 

綱吉「ミラってば!」

 

ミラ「っ!」

 

綱吉「はぁ やっと起きてくれた うなされてたから心配したんだよ」

 

 ミラは先程までうなされており綱吉が声を掛け、必死に起こそうとしていたのだ

 

ミラ「ツ、ナ?(さっき、までのは、夢・・・?)

 

 ミラの目に映るのは自分を心配してくれている恋人の顔だった ミラは何も言わず綱吉の胸に飛びついた

 

綱吉「うおっ⁉︎」

 

 突然のことにバランスを崩しかけるが持ち堪える

 

綱吉「おい ミラどうし・・・」

 

 綱吉はどうしたのか?と聞こうと思ったがやめた ミラが自分の胸に顔を埋めて泣いていたから 

 

綱吉「ふぅ 怖い夢でもみたのか?」

 

ミラ「うん・・・とっても怖い夢だったわ・・・」

 

綱吉「そっか 怖い夢は誰だって嫌だもんな でもこうしてると安心するのか?」

 

ミラ「うん 安心する」

 

 顔を埋めた時に聞こえてくる心臓の鼓動も 優しく語りかけてくる声も 肌から感じる温かな体温も 全てが心地良かった 愛する人が生きていると実感出来た アレは夢だと悪い夢だとそう信じた

 

綱吉「そっか なら好きなだけこうしてていいから」

 

 そう言ってミラの背中を撫でた

 

 それから数分後ミラは落ち着き、綱吉から離れた

 

ミラ「ごめんなさい」

 

綱吉「良いって 怖い夢を見たんだろ ならしょうがないさ ちなみにどんな夢だったんだ?」

 

ミラ「・・・貴方が死んじゃう、夢だったわ・・・」

 

 綱吉の問いにミラは少し答えを変えた 白蘭の存在を知られる訳にはいかなかったから

 

綱吉「そっか・・・それは怖い夢だったな そんな夢見たら誰だって不安になる でもそれは夢だ悪い夢、俺はこうして此処にいるそうだろう?」

 

 ミラの言葉を聞いて綱吉の表情は固くなるが、すぐにミラを安心させるため笑顔にする

 

ミラ「ええ・・・ねえ ツナ」

 

綱吉「ん 何だ」

 

ミラ「昨日は、ごめんなさい 貴方を傷つけてしまって・・・」

 

綱吉「ミラ 違う 俺の方がミラを傷つけたんだ 悪いのは全部俺なんだ」

 

ミラ「そんなに自分を責めないで 貴方1人が悪い訳じゃないでしょう 私だって悪いの」

 

綱吉「ミラ・・・でも」

 

ミラ「でもじゃないわ 2人が悪い それに謝るのはもうやめましょう キリがないわ」

 

 ミラは綱吉の頬に手を当て、綱吉を安心させる

 

綱吉「ああ 分かった・・・」

 

ミラ「ツナは、最後まで大会に出るんでしょ?」

 

綱吉「ああ そのつもりだ」

 

ミラ「ならそのことについてはもう何も言わないわ ただ二つだけ約束して 一つは貴方の身体に何が起きてるか全部話すこと もう一つは大会中、無茶をしないこと」

 

綱吉「話すのは元々大会が終わったら話そうと思ってたからいいけど、無茶をするなっていうのは・・・強い人達がいっぱいいるのに」

 

 ムギュ

 

 ミラの無茶をしないという約束に渋っていた綱吉の両頬をミラが両手で押さえる

 

ミラ「こういうときは〝分かった〟って安心させるものよ」

 

綱吉「いや、でも」

 

ミラ「分かった?」

 

 煮え切らない綱吉にミラはジト目で言う

 

綱吉「・・・分かりました」

 

ミラ「フフ よろしい」

 

 根負けした綱吉を見て笑顔をになるミラ

 

 

ミラ「さっ 朝ご飯にしましょっ」

 

綱吉「ああ」

 

 

 2人は朝食を済ませ、ラクサス達メンバーと共に会場に向かった 向かってる途中で

 

ジュビア「ツナさん 体調の方は大丈夫なんですか?」

 

綱吉「えっ?」

 

ガジル「昨日咳き込んでたからな あんま無茶すんなよ」

 

 ジュビアとガジルに心配された 綱吉はミラを見たがミラは違うと首を横に振った

 

ラクサス「俺が憶測で話したんだ アレを見たら怪しく思うのは当然だろ」

 

綱吉「ラクサス・・・」

 

ラクサス「お前が此処にいるってことは出るってことでいいんだな?」

 

綱吉「当たり前だ 途中で投げ出すなんてあり得ないよ」

 

ラクサス「そうか なら優勝を目指す以上、ぶっ倒れてくれるなよ」

 

綱吉「分かってるよっ」

 

 綱吉はぶっきらぼうに答えた

 

ガジル「安心しろよ このチームにはこの俺がいるんだからよ! そいつばっかり活躍させねえぜ! ギヒッ」

 

ジュビア「ガジル君 後半本音が漏れてますよ」

 

ミラ「でも皆んなで勝利するっていうのは本当ね ツナに負担をかけさせるつもりはないわ」

 

ラクサス「そういうことだ 分かったか?」

 

 そう言って綱吉の頭をポンポンと叩く

 

綱吉「分かった・・・」

 

 こうして一同は会場へと着いた

 

 

 大魔闘演舞 4日目 競技パート 『海戦』

 

 

ー『妖精の尻尾』B観覧席

 

綱吉「『海戦』だって」

 

ラクサス「ならもう決まりじゃねえか」

 

ミラ「水系の競技ならジュビアね」

 

ガジル「ギヒッ 行って来いっ」

 

ジュビア「はいっ 初日の名誉挽回で頑張ります!」

 

 

 『海戦』 

 

  ルールは簡単 球状の水中闘技場でから外に出てしまったら敗北 最後まで残っていた者が勝ち

 

  ただし最後の2人になった時に特殊ルールが発動される 〝五分間ルール〟最後の2人になってから、5分の間に場外に出てしまった方は最下位になる

 

 

 

 『海戦』にはそれぞれのギルドからはこの魔道士が出た

 

 

 『妖精の尻尾』B ジュビア

 

 『妖精の尻尾』A ルーシィ

 

 『蛇姫の鱗』シェリア

 

 『青い天馬』ジェニー

 

 『人魚の踵』リズリー

 

 『四つ首の猟犬』ロッカー

 

 『剣咬の虎』ミネルバ

 

 

 観客はミネルバの登場に歓声が上がった

 

 

 参加者が次々と水中闘技場へ入っていく

 

 『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「頑張ってね〜 ジュビア〜!」

 

綱吉「Aチームからはルーシィか」

 

ラクサス「まっ妥当だろう」

 

ガジル「ああ アイツがいるからな」

 

綱吉「それにしてもあのミネルバって人が登場しただけでこの歓声 相当な魔道士なんだね」

 

ラクサス「あの女がユキノって奴の前のメンバーだったんだろ なら強えに決まってる」

 

綱吉「う〜ん(なんだ? 強いのはわかる でもやな予感がする 何が起きるんだ?)

 

 綱吉は自身の直感から何か起きると予感し、不安を覚えながら試合を見守ることにした

 

 

 

チャパティ「『海戦』開始ィ!」

 

 チャパティの合図とともに銅鑼が鳴らされた

 

ー闘技場

 

ルーシィ「早速だけど、ゴメンねみんな! 開け!宝瓶宮の扉! アクエリアス!!」

 

 ルーシィは精霊魔法でアクエリアスを出した アクエリアスは持っている水瓶に魔力を集中させる

 

ジュビア「させないっ 『水中台風』!!」

 

 アクエリアスが渦を出したと同時にジュビアも両手から渦を出す 両者の渦はぶつかり合う 

 

アクエリアス「互角⁉︎」

 

 自分と同等の力を出したジュビアにアクエリアスは驚いていた 皆が気を取られている隙にジェニーがロッカーに蹴り込み場外へ出した 

 

 アクエリアスとジュビアの力は拮抗していたが、アクエリアスがデートの時間と言って精霊界に帰ってしまった

 

ルーシィ「ちょっとォ〜〜〜っ!!」

 

 すかさずジュビアはルーシィを場外へ吹き飛ばそうとする

 

ジュビア「隙ありっ!」

 

ルーシィ「ひえぇええっ!」

 

 ルーシィは吹き飛ばされながらも、バルゴとアリエスを召喚しなんとか場外に出ないよう耐える

 

 

 水中で激戦が繰り広げられる中、ジュビアが動いた

 

ジュビア「全員まとめて倒します! 水中でジュビアに勝てる者などいない!  届け!! 愛の翼!! グレイ様ラブ!!!」

 

 ジュビアの新技は渦にハートがあり今までとは威力が桁違いだった Aチームの観覧席からグレイが止めろーっと叫んでいた 

 

 

ー『妖精の尻尾』B観覧席

 

ミラ「凄い技ねえ」

 

ガジル「たしかに凄えけどよ」

 

ラクサス「グレイに同情するぜ」

 

綱吉「技名が・・・」

 

 ミラ以外はジュビアの技名に引いていた

 

 

ー闘技場

 

 ジュビアの技によりリズリー、ジェニー、シェリアは場外へと出され、ルーシィはバルゴとアリエスに手を掴まれ場外に出ないようにして、ミネルバは両手に魔力を集め衝撃を相殺させていた

 

チャパティ「なんと!ジュビアがまとめて3人も倒してしまったーっ! 水中戦では無敵の強さだジュビアーっ!!」

 

 

ジュビア(ジュビアを見て萌えてくれましたか グレイ様)

 

 ジュビアは自分の技を見てどんな反応しているかグレイを見たが

 

ジュビア(引いてる⁉︎)

 

 グレイが引いてるの見てジュビアは驚いていた すると

 

ジュビア「えっ?」

 

 何故かジュビアは場外に出てしまった

 

ー『妖精の尻尾』B観覧席

 

ガジル「あのバカっ」

 

ミラ「なんで?」

 

ラクサス「どういうことだ?」

 

綱吉「(ジュビアは自分から移動した訳じゃない 突然瞬間移動したかのように場外にいた あのミネルバって人の魔法か)空間魔法だよ おそらく」

 

ミラ「空間魔法?」

 

綱吉「ああ あのミネルバって人が空間魔法でジュビアを場外に出したんだよ」

 

ガジル「なら最初に使えば一瞬だったろうが」

 

綱吉「それはそうなんだけど 何か目的があったのかも」

 

ラクサス「だとしたら碌でもねえこと考えてやがるんだろうぜ 態々1人残したんだ」

 

綱吉(ルーシィ・・・)

 

 綱吉は不安が拭い切れぬまま試合を見続けた

 

 

ー闘技場

 

チャパティ「さあ 残るはミネルバとルーシィのみ 勝つのはどちらか! ここで五分間ルールの適用です 今から五分以内に場外となった方は最下位となります」

 

 

ミネルバ「妾の魔法なら一瞬で場外に出せるが、それでは興が削がれるというもの  耐えてみせよ 妖精の尻尾」

 

 ミネルバは空間魔法でルーシィの側を爆発させ、次に頭上から鉛のように重くした空間をぶつけた

 

 

『妖精の尻尾』B観覧席

 

ガジル「なんなんだアイツの魔法⁉︎」

 

ミラ「アレも空間魔法なの?」

 

綱吉(自身や対象を瞬間的に移動させるだけじゃない 操作している空間の〝性質〟も変えられるんだ だから爆発したり重くしたりも出来るんだ)

 

 皆ミネルバの空間魔法に驚いていた

 

 

ー闘技場

 

ルーシィ「やられてばかりじゃいられない あれ⁉︎ 鍵が無い⁉︎」

 

 ルーシィは精霊魔法で反撃しようとするが、鍵が無くなっていた

 

ミネルバ「探し物はこれか? ふふ」

 

 ミネルバは見せ付けるかのように手に鍵を持っていた

 

ルーシィ「いつ間に⁉︎ きゃあああああ‼︎」

 

 ルーシィはミネルバの魔法で吹き飛ばされてしまうがなんとか場外手前で静止させる

 

 ルーシィに反抗する手段はなく、ただ耐えるしかなかった しかし攻撃出来ずともその目は諦めていなかった

 

ルーシィ「こんなところで負けたら・・・ここまで繋いでくれたみんなに合わせる顔がない・・・だから絶対諦めないんだ」

 

 ここで五分が経過し、後は順位をつけるだけとなった 

 

 ルーシィが言葉が癪に触ったのかミネルバは猛攻してきた

 

ミネルバ「頭が高いぞ! 妖精の尻尾! 我々をなんと心得るかっ⁉︎ 我らこそ天下一のギルド! 剣咬の虎ぞ!!!」

 

ルーシィ「きゃあああああっ!」

 

 ルーシィは吹き飛ばされ場外に落ちるかと思われたが、突然消えてミネルバの前に姿を現した ミネルバはさらに追撃をしていく

 

ルーシィ「いあああああ」

 

 

ー『妖精の尻尾』B観覧席

 

ガジル「痛めつける為か・・・」

 

ラクサス「もう勝負はついてんだろ・・・」

 

綱吉「・・・」

 

 綱吉は握り拳を作り、綱吉の中でドス黒い何かが目覚めようとしていた

 

ー『妖精の尻尾』A観覧席

 

ナツ・グレイ・エルザ「「「セイバートゥースゥゥゥゥ!!!」」」

 

 ナツ達は『剣咬の虎』を睨みつけたが、『剣咬の虎』のメンバーは笑って流していた

 

 

 

 これ以上は命に関わると判断されたのか レフリーストップが掛かり、競技は終了した

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

32話

ー闘技場

 

 闘技場ではナツ達が闘技場へ降りて、ルーシィへ駆け寄った

 

ナツ「ルーシィ!」

 

グレイ「大丈夫か⁉︎ しっかりしろ!」

 

ウェンディ「まず私が応急処置を」

 

シェリア「手伝うよ ウェンディ」

 

エルザ「・・・」

 

 エルザはルーシィをこんな目に合わせたミネルバを睨みつけていた

 

ミネルバ「その目は何か? 妾はルールにのっとり、競技を行ったまでよ」

 

エルザ「相手を痛めつけることがルールだとでも?」

 

ミネルバ「それは己の力量も分からず競技に出てきたルーシィとやらのせいであろう 妾を責めるのは大きな間違い  それに感謝して欲しいものだな 二位にしてやったのだぞ そんな使えぬ娘を」

 

ナツ「なんだとっ!!」

 

 ミネルバの言葉にナツは怒りミネルバに殴りかかろうとするが、ミネルバの前にスティング達『剣咬の虎』のメンバーが間にはいり、エルザもナツに止めるよう手で制す

 

エルザ「最強だかフィオーレ1だか知らんが 一つだけ言っておく お前たちは1番怒らせてはいけないギルドを敵に回した」

 

 一触即発の雰囲気だったがなんとかこの場は収まった

 

 

ー医務室

 

 医務室ではAチームのメンバーにポーリュシカ、ハッピーにシャルルが眠っているルーシィを囲んでいた そこへBチームの面々がやってきた

 

ジュビア「ルーシィは無事ですか」

 

ミラ「ルーシィ」

 

エルザ「お前たち」

 

ラクサス「チームは違っても同じギルドだ 構わねえだろ」

 

 

 ルーシィの怪我もウェンディとシェリアのお陰で命に別状はなく、傷も残らないようだった

 

ルーシィ「うっ・・・」

 

ハッピー「ルーシィ!」

 

ルーシィ「みんな・・ごめんね・・・」

 

グレイ「何言ってんだ 二位だぞ」

 

エルザ「ああ よくやった」

 

 ルーシィは落ち込んでいたが、グレイやエルザに健闘したと励まされていた

 

 

ルーシィ「か・・鍵・・」

 

ハッピー「はい ここにあるよ」

 

ルーシィ「よかった・・・ありがとう」

 

 ハッピーから鍵を受け取ったルーシィは安心したのか眠ってしまった

 

ナツ「あいつら・・」

 

グレイ「『剣咬の虎』・・・」

 

ガジル「気に入らねえな」

 

 ナツ、グレイ、ガジルが怒りを露わにしていると、マカロフがやって来た

 

マカロフ「AチームBチーム全員揃って・・・む?ツナがおらんの?」

 

エルザ「たしかに・・・」

 

ナツ「ツナはどこだ?」

 

ミラ「実は・・・」

 

 時は少々遡る

 

 Aチームと『剣咬の虎』が睨み合っていた時

 

 

ー『妖精の尻尾』B観覧席

 

 綱吉はある感情に支配されていた

 

綱吉「(何故お前は・・・お前たちは 人を傷つけて痛めつけて笑っていられるんだっ ルーシィやユキノさんが傷つけられて お前たちが笑うなんて間違ってる)・・・許せない」

 

 綱吉の額に炎が灯り瞳の色が変わった 綱吉は闘技場へ降りようと手摺りに手をかけようとした

 

綱吉(ーーやる)

 

ラクサス「おいっ 待てツナ 何をするつもりだ?」

 

 ただならぬ雰囲気を出している綱吉を行かせてはならない そう思ったラクサスは綱吉の肩に手をおき引き止める

 

綱吉「なんだよ」

 

ラクサス・ミラ・ガジル「「「っ⁉︎」」」

 

 振り返った綱吉を見て3人は硬直した 綱吉の額の炎はいつもの綺麗な橙色ではなく赤黒い色をしており、瞳の色も赤くなっていた 何より冷たい目をしていた

 

ラクサス「止めるんだ お前らしくもないっ 冷静になれ」

 

ミラ「ツナッ お願いやめて」

 

 ラクサスは綱吉がこれから何をしようとしているのか察したのか、なんとか止めようとする ミラも綱吉の腕に手を添えて声を掛ける

 

 ミラの思いが通じたのか、額の炎が徐々に小さくなり消え、瞳の色も元に戻った

 

綱吉「・・・っ」

 

 我に返った綱吉は自分が何をしようとしていたのか思い出す

 

綱吉「・・・ごめん 頭冷やしてくるよ・・・」

 

 綱吉は辛そうな表情をしてフラフラとした足取りで観覧席から出て行こうとする

 

ラクサス「そこまで気にすんなよ お前は何もしなかったんだ」

 

綱吉「・・・ああ ありがとう・・・」

 

ミラ「ツナ・・・」

 

 ミラは綱吉に着いて行こうとしたが

 

綱吉「ごめん ミラ・・・今は、1人にしてくれ」

 

 綱吉はそう言って出て行った

 

 

 

 

 説明を受けたAチームやマカロフの表情は重かった ルーシィに加え一瞬とはいえ綱吉が鬼になったのだ

 

マカロフ「そうか・・・まさかそんなことになっていようとは・・・」

 

エルザ「鬼になったのか・・・」

 

グレイ「クソッ 折角心の傷が癒えてきたってのに あいつらのせいで」

 

ラクサス「で じじい 俺らに何のようがあって来たんだ?」

 

 ラクサスは場の雰囲気を変えるため態と話しを変えた

 

マカロフ「ん ああ 実は運営側からA B両チーム統合するよう言い渡されての」

 

ナツ「何っ⁉︎」

 

ミラ「どういう事ですか? マスター」

 

 マカロフが言うには『大鴉の尻尾』が失格となり参加チーム数が奇数になって困るとのこと なので両チームを統合して新規5人でチームを再編成しろと しかもポイントは低い方になるらしい

 

エルザ「しかし運営側からの指示なら仕方ないか」

 

グレイ「でも今更新規メンバーに変えたって残すのはこれからやるタッグバトルなんだろ」

 

ポーリュシカ「いや最終日は5人全員参加の戦いのはず、慎重に選んだほうがいいよ」

 

 グレイの疑問にポーリュシカが答えた

 

ナツ「俺は絶対ルーシィの仇をとる! 仲間を笑われた! 俺は奴等を許さねえ!」

 

エルザ「マスター メンバーはどうしますか?」

 

マカロフ「うむ そうじゃな・・・」

 

 

 

 その頃綱吉は1人廊下を歩いていた 

 

綱吉(俺は・・・あの人を殺そうとした)

 

 綱吉は命を奪おうとしたことにショックを受けていた

 

 『なんで殺さなかったんだ?』

 

綱吉「っ⁉︎」

 

 綱吉の耳に再び亡霊の声が聞こえてきた

 

 『殺せば良かったじゃないかぁ ええっ?殺したかったんだろ?』

 

 『俺たちみたいに殺せばいい 簡単だろう』

 

綱吉「ち、違う・・・俺は・・・」

 

 『違わないさ 所詮お前もどれだけ綺麗事を言おうと俺たちと同じ』

 

綱吉「ハッ・・・ハッ・・・ハッ・・・」

 

 亡霊の言葉に綱吉は呼吸が荒くなる

 

 『善行を為せば報われるとでも? 笑わせるなっ』

 

 

 この亡霊たちは己の心の弱さが生み出した幻、それは分かっていた 心を強く保てば亡霊も消える だが今の綱吉にはそれが出来なかった この場にミラが居ればまた違っただろうが、不幸にも1人になりたいと言ったが故にこの場にはいなかった

 

 綱吉は壁に両手をつけると頭を振りかぶり、思いっきり額を壁に打ちつけた 何度も 何度も 何度も 壁にヒビが入り額から血を流してもやめなかった

 

 綱吉のとった行動は決して狂ったものではなかった 痛みによって幻を消すというもの 痛みが自責の念を上回れば幻は消えると考えたのだ そしてその考えは当たり幻は消え始めた

 

綱吉「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

 『ここまでか まあいい』

 

 『最後に言っといてやる お前は必ず鬼なる 己の意思でな クククッ その日が来るのが楽しみだ』

 

 そう言って亡霊たちは消えていった 綱吉はしばらく亡霊たちのいた場所を見た後、自分の両手を見た 両手は血で濡れていた いや両手だけでなく身体中が血で濡れて、足元には血溜まりが出来ていた もちろんこれも現実の血ではなく綱吉の目そういうふうに見えているだけ 

 

 綱吉は震えながら両手を見る この血は敵の血 自分が殺して来た敵の血

 

 

 綱吉は両膝から崩れて両手を地につけ涙する

 

綱吉「ぐっ・・・うっ・・・うっ・・」

 

 

 綱吉は壁に背を向けて顔を伏せて座り込んだ すると足音が聞こえてきた

 

綱吉「ラクサスか・・・」

 

 綱吉は顔を伏せたまま言った

 

ラクサス「・・・よく分かったな」

 

綱吉「感知くらい出来るよ」

 

 ラクサスは血が付いてヒビの入った壁を見て綱吉が自傷したのを知る 顔を伏せているため表情は分からないが酷い顔をしているというのは容易に想像出来た

 

綱吉「ルーシィは?」

 

ラクサス「命に別状はねえ 傷も残らねえそうだ」

 

綱吉「そう 良かった」

 

ラクサス「実は運営からA B両チーム統合するよう言われてな」

 

 ラクサスは運営からの指示を綱吉に説明した

 

綱吉「で メンバーはどうなったの?」

 

ラクサス「・・・ああ」

 

 ラクサスは医務室で決まったメンバーを説明した

 

 

 

ー医務室

 

マカロフ「そうじゃの まずはラクサスにエルザは決定じゃ」

 

エルザ「ミラはどうする?」

 

ミラ「そうね 私は辞退しようかしら 私よりも出たがってる人がいるみたいだし」

 

 ミラはナツ、グレイ、ガジルを見る

 

ジュビア「ならジュビアも応援に回ります」

 

ウェンディ「私も」

 

 ジュビア、ウェンディも続いて辞退する

 

マカロフ「うむ 本来なら実力的にツナも入れるべきなんじゃが」

 

ラクサス「無理だ 今アイツの精神は不安定で、落ち着かせてる最中だ とても戦うことなんて出来るわけがねえ」

 

ミラ「マスター どうかツナのことはそっとしておいてください」

 

 マカロフの提案にラクサスとミラは現状無理だと言う

 

マカロフ「・・・そうか ならば残りのメンバーはナツ、グレイ、ガジルとする!」

 

 こうして新規メンバーが決まった

 

エルザ「ツナにもこの事を伝えておかないといけないな」

 

ミラ「なら私が伝えて」

 

ラクサス「俺が伝えておく」

 

 ミラが言ってる途中でラクサスが言った

 

ミラ「ラクサス・・・」

 

ラクサス「少しアイツに聞きたいこともあるしな」

 

 そう言って医務室から出ていった

 

 

 

 

ラクサス「すまなかったな 勝手に決めちまって」

 

綱吉「いいさ どのみち出たって力発揮出来なかったし そのメンバーなら大丈夫だよ」

 

 廊下にすすり泣く声が聞こえてくる

 

綱吉「ごめんね・・・弱くて 肝心な時に役立たずで・・・」

 

ラクサス「弱くなんてねえし、役立たずでもねえよ お前はよくやってるよ その〝身体〟で    ツナお前の〝身体〟いつからそうなっちまったんだ?」

 

綱吉「・・・元の世界にいた時から・・・仲間殺されて無茶な戦いしてて 病院とか医療施設壊されちゃって調べることも出来なくて、この世界に来てようやく自分の身体の状態知ること出来たし」

 

ラクサス「そうか なんで黙ってたんだ?」

 

綱吉「・・・皆んなに 余計な心配かけさせたくなくて」

 

ラクサス「馬鹿野郎 そんなの気にしてんじゃねえ 俺たちは家族だろうが」

 

 ラクサスの言葉に綱吉は言葉を返さなかったが、僅かに体が反応する

 

ラクサス「お前もいつまでも落ち込んでんじゃねえぞ ミラも心配してんだからよ」

 

綱吉「・・・ああ」

 

 綱吉は小さな声で返事をした 返事を聞いたラクサスは背を向けて歩き出した

 

綱吉「ラクサス」

 

ラクサス「ん?」

 

 綱吉に呼び止められ足を止めるラクサス

 

綱吉「頑張れよ 皆んなにもそう言っといてくれ」

 

ラクサス「ああ 分かった」

 

 ラクサスは再び歩いていった

 

綱吉(・・・ちくしょう・・・なんで なんで俺は こんなに、弱いんだ・・・)

 

 

 

 

ラクサス(こればっかりは俺やミラが引っ張り立たせても意味はねえ 自分から立ち直らねえと、また同じようなことになっちまう)

 

 しばらく歩いていると前方にミラが見えた

 

ミラ「ラクサス ツナは?」

 

ラクサス「ああ まだ無理だ もう少し時間がいる」

 

ミラ「そう・・・」

 

 ラクサスの答えにミラの表情は暗くなる

 

ラクサス「お前まで落ち込んでどうすんだよ」

 

ミラ「ごめんなさい でも・・」

 

ラクサス「アイツは必ず立ち直って戻ってくる お前はその時笑顔を見せりればいいんだよ」

 

ミラ「・・・ええ 分かったわ(ツナ・・・待ってるからね)

 

 2人はそれぞれミラは応援席へ、ラクサスはメンバーのところへ向かって行った

 

 

 

 綱吉は伏せていた顔を上げると両目の瞳が炎の揺めきのように何度も変化していた 右目の瞳は茶色から赤色に 左目の瞳は茶色から橙色に

 

 綱吉の心は今、橙色の炎と赤黒い炎が混ざり合っていた

 

 

 

 

 

ー『妖精の尻尾』待合室

 

エルザ「ラクサス ツナはどうだった?」

 

ラクサス「ダメだ まだ時間がいる」

 

エルザ「そうか・・・」

 

 ツナの状態を聞いたメンバーは表情が暗くなる

 

ラクサス「ツナから伝言があってな 頑張れってよ」

 

グレイ「あいつめ」

 

エルザ「なら頑張らんといかんな」

 

ラクサス「タッグバトルはお前等が出るんだ しっかりやれよ」

 

ガジル「任せろっ ギヒ」

 

ナツ「おう アイツの分まで戦って来るぜ!」

 

 

 

 

 

ー闘技場

 

チャパティ「『妖精の尻尾』のチーム再編成も終了し いよいよ四日目のバトルパートに突入します 今回は既に対戦カードも公表されています」

 

 

 『青い天馬』VS 『四つ首の仔犬』

 

 『人魚の踵』VS 『蛇姫の鱗』

 

 『剣咬の虎』VS 『妖精の尻尾』

 

チャパティ「さあ・・その新・『妖精の尻尾』が姿を現したぞーっ!!」

 

 

 

ー『妖精の尻尾』応援席

 

マカロフ「我等ギルドの想いは一つなった この想い主等に託すぞ」

 

メイビス「今こそ見せる時です 私たちの絆の力を」

 

 

 

ー闘技場

 

チャパティ「会場が震えるーっ! 今ここに『妖精の尻尾』参上!!」

 

 『妖精の尻尾』が入場して来ると会場から大歓声が上がった

 

 

『蛇姫の鱗』

 

ジュラ「む? ツナヨシがおらん ツナヨシならば必ず入っとると思っとったが」

 

 

『人魚の踵』

 

カグラ「ツナヨシ・サワダがいない あの少年の実力なら新規メンバーにも入っていてもおかしくないはずだが」

 

 

『青い天馬』

 

一夜「ツナヨシ君が外されるとは 彼に何かあったと見るべきか」

 

 

『四つ首の仔犬』

 

バッカス「おいおい ツナヨシがいねえじゃねえかよ 震えねぇな おいっ」

 

 

『剣咬の虎』

 

ミネルバ「ツナヨシ・サワダはメンバーに選ばれなかったか(それはそれでこちらにとっては好都合 炎魔法に加えあの体術は厄介だからな)

 

 

 

 

 各ギルドの実力者たちは綱吉がいない事に疑問をもっていたが、すぐに切り替え、これが自分たちにとって利があると考えた

 

 

 『妖精の尻尾』メンバーは『剣咬の虎』を向き、睨んで

 

ナツ「燃えてきたぞ」

 

 

 

 

 今四日目のバトルパートが始まる!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

33話

ー闘技場

 

 大魔闘演舞 四日目 バトルパート タッグバトルが始まろうとしていた

 

 第一試合

 

『青い天馬』一夜&ウサギ vs『四つ首の仔犬』バッカス&ロッカー

 

ロッカー「バッカスさん 派手にやっちゃいましょう このままじゃ俺ら最下位っすよ」

 

バッカス「分かってる分かってる(しっかしあれだなぁ ツナヨシがいねえんじゃどうも震えてこねえ まぁとりあえず この試合は勝たせてもらうが どうしたもんかね〜・・・)」

 

 ロッカーは最下位脱出のためやる気を出していたが、バッカスはこの大会で1番に戦いたかった綱吉がメンバー入りして無いことに不満がありやる気がなかった 

 

 バッカスはこの四日目のタッグバトルは仕方ないにしても最終日の全員参加のバトルに期待していたのだ しかし『妖精の尻尾』の新メンバーをいざ見れば綱吉は居らず、意気消沈していた

 

 バッカスがジュラやカグラ、エルザ、ラクサスに目もくれずここまで綱吉との戦いにこだわるのは同じ武道家だからなのかもしれない ボクシングにムエタイを体得した綱吉 壁掛掌を体得しているバッカス 武道家としての本能が勝負を求めたのだろう

 

 残念がってるバッカスだが自分の望みが叶うことをまだこの時は知らなかった

 

 

 

一夜「さて・・・ついに君を解放する時が来たよ」

 

 一夜は自信満々に相棒であるウサギに語りかける ウサギも応えるように頷く

 

一夜「見せてやるがいい そのイケメンフェイスを」

 

 一夜に言われウサギは被り物に手を掛ける 皆がその正体に注目する中ついに被り物が取れる  被り物が取れて出てきたのは一夜と同じ顔をしたエクシードのニチヤだった

 

 

『妖精の尻尾』観覧席

 

ナツ「あいつは・・・」

 

グレイ「エクスタリアの・・・」

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

リリー「ニチヤ⁉︎」

 

ハッピー「なんで『青い天馬』に⁉︎」

 

 ニチヤを知っている『妖精の尻尾』のメンバーは驚きを隠せなかった そして観客もニチヤの登場に口をポカンとさせ、唖然としている 

 

 

一夜「ダブルイケメンアタック」

 

ニチヤ「危険な〝香り〟だぜ」

 

 2人はポーズを決めながらセリフを言う 濃ゆい顔が2人になったことで会場には観客の悲鳴が飛び交う

 

 

『妖精の尻尾』観覧席

 

エルザ「一夜が2人とか・・・」

 

ガジル「しっかりしねえか」

 

 エルザは苦手な一夜が2人に増えたことでフラついてしまい、ガジルに支えられていた

 

 

一夜「私と私の出会い それはまさに運命だった」

 

ニチヤ「うむ あれはある晴れた昼下がり・・・」

 

  一夜とニチヤが出会いを語ろうとした時・・・

 

バッカス「だっはァーーっ!!」

 

ニチヤ「メェーン⁉︎」

 

 バッカスが隙ありとばかりにニチヤに掌底を喰らわせた

 

 不意打ちとはいえニチヤはこの一撃で戦闘不能になってしまう 自分と同じ顔してるから同じ実力と思い込んでいた一夜は驚いた

 

バッカス「ふざけやがって」

 

ロッカー「俺らにはもう後がねえからよ 勝たせてもらうぜ! ワイルドに! ドリルンロックフォーユー!!」

 

一夜「どぺっ」

 

バッカス「酔・壁掛掌〝月下〟!!!」

 

一夜「メェーン⁉︎」

 

 ロッカーは回転しながら一夜に近づきそのまま蹴りつけ、バッカスは壁掛掌で上から掌打を喰らわせる

 

 一夜はさらに追撃を喰らい続け、ダウンしてしまう

 

 

チャパティ「一夜ダウン! い、いや⁉︎ 一夜なんと立ち上がった!」

 

 倒れた一夜だったがなんとか立ち上がってきた 一夜はニチヤを見ながら

 

一夜「君の思いは無駄にはしない・・・君に捧げよう 勝利と言う名の〝香り〟を!!」

 

 一夜は〝力の香り〟で肉体強化して、筋肉ムキムキになり服が破けパンツ一丁になる

 

 

バッカス「な、なんでぇ⁉︎ 急にワイルドに」

 

ロッカー「こいつァ 力の香りだ!」

 

 一夜の突然の見た目の変わりように驚く2人だが

 

 

バッカス「けっ 今さら遅えよ! これで終わりだァー‼︎」

 

ロッカー「喰らいやがれぇぇっ!」

 

 2人は一夜に突っ込んでいった

 

一夜「喰らうがいい これが私のビューティフルドリーマー!! 微笑み・・・」

 

バッカス・ロッカー「「えっ・・・」」

 

 バッカス、ロッカーは一夜の微笑みを見て固まってしまう そして固まった2人に一夜が

 

一夜「スマーーッシュ!!!!」

 

 強烈な一撃を喰らわせる

 

バッカス・ロッカー「「どわああああ⁉︎」」

 

 吹き飛ばされた2人はそのまま壁に激突して気を失う

 

 

チャパティ「ダウーン!! 『四つ首の仔犬』ダウーン!! 勝者『青い天馬』!!!」

 

 

『妖精の尻尾』観覧席

 

エルザ「あのバッカスを」

 

ガジル「2対1で勝つか・・・」

 

グレイ「ただの馬鹿じゃねえようだな」

 

ナツ「やっぱスゲェ!!」

 

 『妖精の尻尾』のメンバーは一夜の実力に改めて驚いていた

 

 

ー闘技場

 

一夜「大丈夫かね ニチヤ」

 

ニチヤ「メェーンぼくない・・・」

 

 一夜はニチヤを抱え声を掛けていた

 

 

 

 続いて第二試合

 

『蛇姫の鱗』リオン&ユウカvs『人魚の踵』カグラ&ミリアーナ

 

カグラ「ミリアーナ この試合始めはは1人で戦ってみろ」

 

ミリアーナ「えっ なんで!?」

 

カグラ「経験を積む為だ 試合とはいえこれは真剣勝負 自分1人でどこまでやれるかやってみるが良い」

 

ミリアーナ「よぉし やってやる!」

 

 カグラは後方へと歩いていき、ミリアーナもカグラの言葉を受けやる気を出す

 

 

ユウカ「相手は女性2人 だが全力を出さねば勝てない相手だぞ」

 

リオン「相手はあのカグラだからな しかし・・・」

 

 リオンは『妖精の尻尾』の応援席にいるジュビアを見て

 

リオン「ここで活躍すれば俺の評価も上がる!!」

 

ユウカ「お、おう・・・」

 

 リオンもまた別の意味でやる気を出していた

 

 

試合が始まると最初に仕掛けたのはミリアーナだった ミリアーナは手からチューブを出して攻撃していく

 

ユウカ「カグラは見てるだけか?」

 

リオン「ならば引きずり出すまで!」

 

 リオンとユウカはミリアーナだけで挑んで来ることになめられていると思い力が入る 

 

 ミリアーナは無数のチューブで翻弄していく

 

 

『蛇姫の鱗』観覧席

 

シェリー「1人でなんてなめられたものですわね」

 

シェリア「よっぽど自信があるんだね」

 

オババ「おんのれ〜『人魚の踵』 リオン!ユウカ! さっさと本気出しな! 出ないと回すよ!!」

 

 

ー闘技場

 

ユウカ「たしかにオババの言う通り このままじゃ30分時間切れ 引き分けだ」

 

リオン「カグラにとっておきたかったが仕方ない アイスメイク スノータイガー!」

 

 リオンは氷の虎を出してミリアーナを追いかけさせる、慌てて逃げるミリアーナは前方を見ておらず壁に激突してダウンしてしまう そこへ・・・

 

カグラ「やはり 私が出ていかねばならんか」

 

リオン「ようやく出てきたか カグラ!」

 

 カグラが出てきたことによって気を引き締めるリオンとユウカ

 

ユウカ「まずは俺からいく! 波動!」

 

 ユウカの放った波動をカグラは最小限の動きで躱す

 

ユウカ「⁉︎」

 

カグラ「魔法を無力化する、だったか? ならば魔力を持たない物で攻撃すればいいだけのこと」

 

 カグラはユウカの攻撃を躱しながら背後に周り一刀一撃でユウカを倒した

 

リオン「アイスメイク ドラゴンフライ!」

 

 リオンは氷のトンボの群れをカグラにぶつけるが、カグラは高速で躱していく

 

リオン「くっ アイスメイク イーグぐはっ」

 

 リオンは次の攻撃をしようとしたが、造形中に攻撃されてしまった

 

 カグラの攻撃でダウンしてしまったその時

 

 

『妖精の尻尾』観覧席

 

グレイ「何やってるリオン!! それでもウルの弟子か! さっさと本気出しやがれ!!」

 

 

闘技場

 

リオン「グレイ・・・」

 

カグラ「その通りだ そろそろ本気を出すといい リオン・バスティア」

 

 カグラは刀を両手で持ち構える

 

リオン「ああ 時間もないことだしな アイスメイク スノータイガー! スノーエイプ! スノードラゴン!」

 

 リオンは三体のの虎、猿、龍を作り出した

 

カグラ「!」

 

リオン「さすがのお前もこれなら回避出来ないだろう」

 

 リオンの合図でまず虎と猿がカグラに攻め掛かる カグラは上空へ跳んで避けるがそこへ龍が突進してくる カグラは回避出来ずぶつかり飛ばされるが難なく着地する

 

カグラ「(一度にこれだけの数を出せるのか・・・しかし」

 

 カグラは刀を横にして両手で持ち魔力を込める すると上空に魔法陣が浮かび上がる カグラの重力魔法でリオンと氷獣達の重力を操作し浮遊させる

 

リオン「な、なんて力だ・・・っ!」

 

 カグラは刀に魔力を込め跳び上がり、一瞬て三体の氷獣達を粉々に砕く そして一旦上空で静止して再びリオンに斬りかかってくる

 

カグラ「これで終わりだ!」

 

リオン「うっ」

 

 カグラの刀がリオンの身体に触れる直前

 

 

チャパティ「タイムア〜ップ! この勝負引き分けです!」

 

 

 

 

ユウカ「やっぱ強えなカグラは」

 

リオン「ああ まだ本気を出しているとも思えん(時間切れになっていなければ俺はあのまま斬られ負けていた・・・クソッ)」

 

ユウカ「毎年そうさ カグラが本気になったとこなんて誰も見たことねーんだ」

 

リオン(本気になったカグラに勝てるとすれば、やはりジュラさんか・・・あとは『大鴉の尻尾』を1人で倒したラクサス、『伏魔殿』で百体抜きをしたエルザ この3人か・・・あいつも出ていればあいつにも可能性はあったろうが)

 

 リオンの頭にジュラと互角の戦いをし、MPFを破壊した少年の後ろ姿が思い浮かばされた

 

 

 

ー廊下

 

 綱吉は廊下の壁に背を預け、片膝を立てて座っていた 目を瞑り呼吸を整えている

 

 綱吉の精神は今、暗い暗い闇の中にいた 何も見えない闇の中に1人立っていた

 

綱吉(何も見えない・・・どこまで暗い・・・ふっ これが俺の精神世界か)

 

 綱吉は自嘲するように微笑する

 

綱吉「ん?」

 

 何か感じとったのか上を向くと、光球が降りてきた 光球の光が闇を払っていく すると青空が見え始め、闇はどんどん逃げるように消えていった 闇が消えたことによって精神世界が露わになる 

 

綱吉「なんて・・澄んだ青空なんだ・・・」

 

 綱吉は露わになった青空に唖然としていた 空は美しい青空で地面は草原で 綱吉は小高い丘の上に立っていた 心地よい風も吹いて綱吉の髪が靡く

 

 綱吉は地表近くまで降りて光球に近づき手を翳す

 

綱吉(暖かい・・・この感じは・・・)

 

 綱吉が光球の正体が分かった時

 

 

 

 

 

 瞑っていた目を開けてゆっくりと顔を上げる 瞳の色は元の茶色に戻り、穏やかな表情を浮かべていた 

 

 綱吉は右手につけていたブレスレットを見て優しく撫でる

 

綱吉「ミラには助けられてばかりだな」

 

 

 綱吉は深呼吸を数回して

 

綱吉「・・・行く、か」

 

 そう言って立ち上がり、応援席へと向かっていった 

 

 

 

ー応援席

 

 綱吉は『妖精の尻尾』の応援席に着くとミラが駆け寄って来た

 

ミラ「ツナ! 大丈夫なの?」

 

綱吉「ああ 心配かけてすまなかった だけどもう大丈夫だ」

 

 綱吉の言葉と微笑みを見てミラは安心する

 

綱吉「ミラのおかげで 助かったんだ」

 

ミラ「私?」

 

 綱吉の言葉の意味が分からないのかミラは首を傾げてしまう

 

 

 そして綱吉はマカロフ元へ行く

 

綱吉「マスター ご心配とご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」

 

 綱吉は頭を下げた

 

マカロフ「よいよい そんな頭を下げんでも」

 

綱吉「しかし」

 

マカロフ「主の状態を見れば仕方のないことじゃ しかし大丈夫なのか?」

 

綱吉「ええ とりあえずは   体の方はいつ発作がくるかは分かりませんが」

 

マカロフ「・・・そうか 分かった なら良い」

 

 マカロフは難しい顔しながら答えた

 

マカロフ「お前はなんでも1人で抱え込もうとする お前はもう1人ではない 儂等が居る お前が苦しみ傷つけば儂等も悲しい お前が笑い幸せを感じれば儂等も嬉しい そのこと忘れるな」

 

綱吉「はいっ」

 

 

マカロフ「さっ 次は『妖精の尻尾』と『剣咬の虎』の戦いじゃ お前もしっかり応援せい」

 

綱吉「はい!」

 

 綱吉は元気よく答え、ミラの元へ戻っていった ミラの元へ戻ると他のメンバー達が声を掛けてきた

 

リサーナ「ツナ 大丈夫なの?」

 

ジュビア「具合が悪くなったと聞きましたが」

 

綱吉「ああ もう大丈夫だ」

 

 綱吉は元気よく答え皆を安心させた

 

ロメオ「でも残念だよなぁ ツナ兄が出れないなんて」

 

カナ「たしかにね あんただってメンバーに選ばれておかしくなかったのに」

 

綱吉「しょうがないよ その時の状態が悪かったんだから」

 

 綱吉は苦笑いしながら答えた

 

綱吉「でもその分しっかり応援するよ!」

 

 

 

ー闘技場

 

チャパティ「興奮冷めやらぬ会場ですが、次のバトルも目が離せないぞー‼︎ 7年前最強と言われていたギルドと現最強ギルドの因縁の対決‼︎! 『妖精の尻尾』ナツ&ガジル vs 『剣咬の虎』スティング&ローグ!!!」

 

 4人が入場すると会場からは更に歓声が上がった

 

スティング「待ってたぜ この瞬間を」

 

 スティングは嬉しいそうにナツに言うが、ナツは言葉は出さずにただ睨んでいるだけだった

 

チャパティ「ついに激突の時ー‼︎ 勝つのは妖精か虎か⁉︎ 戦場に四頭の竜が解き放たれたァ!!」

 

 

 

ー???

 

 何処か分からぬ場所 辺り一面溶岩が溢れ、火山は噴火をしている そんな灼熱の場所に悠然と立っている竜が一頭 

 

 「バイスロギア スキアドラム 貴様等の作り上げた滅竜魔道士が如何なるものか 見せてもらうぞ」

 

 その竜はこれから始まる戦いを見ようとしていた

 

 「人は竜を超えたのか それは儚き夢なのか 我等が動く時は近い 竜王祭はまもなく訪れる」

 

 竜の名は『炎竜王』イグニール ナツに滅竜魔法を教えた育ての親である

 

 竜王祭・・・イグニールは預言するかのように呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

34話

前回から大分経ってしまいすみません リアルが忙しく中々書けずにいました これからもこんな感じになると思います しかし途中でやめる気はありません不定期でも完結させます


ー闘技場

 

スティング(この時をずっと待ってたんだよ ナツさん)

 

 スティングは高揚していた 憧れであるナツと戦える そして勝つことが出来ることに

 

 

 

 そして試合開始の銅鑼が鳴った

 

スティング「行くぜぇっ‼︎」

 

ローグ「ああ」

 

 

 開始と同時に仕掛けようとしたのはスティングとローグだった しかし2人が動こうとした時2人の目の前にはナツとガジルがいた

 

 ナツはスティングに肘打ちを ガジルはローグを殴り飛ばした 2人の攻撃は止まらずナツは炎を纏った脚でスティングを蹴り飛ばす ガジルも殴りつけてから蹴り飛ばした

 

 スティングは攻撃を喰らいながらも嬉々と笑みを浮かべていた

 

スティング「白竜の…咆哮!!」

 

ナツ「レーザー⁉︎」

 

 スティングは咆哮を放つがナツはそれを身体を逸らして躱す 

 

スティング「やっハァッ‼︎」

 

 態勢を変えることで咆哮の軌道が変わりガジルに襲いかかる しかしガジルも上手く躱した 

 

ローグ「影竜の斬撃!!」

 

 躱した直後の隙を狙ってローグが攻めてくるが

 

ガジル「鉄竜剣!」

 

ローグ「‼︎」

 

ガジル「ギヒッ」

 

 ガジルは左腕を剣にして防ぐ

 

ガジル「おらぁ!」

 

 ガジルは腕を思いっきり振って、ローグをふっ飛ばす

 

スティング「ローグ!」

 

 ローグの方を見るスティングだったが、スティングの目にはローグの顔を掴みながら、自分に向かって走ってくるナツの姿があった

 

スティング「何⁉︎」

 

ナツ「火竜の翼撃!!」

 

 ナツは両腕に纏った炎で2人を吹き飛ばした

 

 

チャパティ「こ・・・これはどういうことでしょうか⁉︎ あのスティングとローグが! フィオーレ最強ギルドの双竜が押されているーッ⁉︎」

 

 実況のチャパティは驚きの声を上げる

 

 

スティング「やっぱ強えな こうじゃなきゃ…」

 

ローグ「ガジル…」

 

ナツ「お前らその程度の力で本当にドラゴンを倒したのか?」

 

スティング「倒したんじゃない 殺したんだ この手で」

 

 スティングは笑いながらナツの問いに答えた

 

ナツ「自分の親じゃなかったのか?」

 

スティング「アンタには関係ねえことだ 今からその竜殺しの力を見せてやるよ」

 

スティング「ホワイトドライブ」

 

ローグ「シャドードライブ」

 

 スティングとローグの魔力が高まり、それぞれの身体に光と影の魔力を纏ったような姿になった

 

 

 2人の姿を見て『剣咬の虎』のマスターのジエンマは勝利を確信した

 

 

スティング「行くぜェ 聖なる白き裁きをくらいなァ!!!」

 

ナツ「ぐっ」

 

 スティングは一瞬でナツに近づきナツに拳を叩き込む ナツは一撃目は防いだが二撃目を防げず攻撃を喰らってしまう

 

ガジル「サラマンダー! ぐおっ」

 

 ガジルはナツがスティングの攻撃を喰らったのを見て、そっちに気がいってしまい、その隙をローグが狙い蹴りを喰らわせる

 

ローグ「影は捕らえることは出来ない」

 

ガジル「コイツ・・」

 

 ガジルは手刀で攻撃するも、影のようになったローグには当てられず逆に攻撃を喰らってしまう

 

 スティングとローグの攻撃にナツ達は防戦一方となる

 

 

 

ー『妖精の尻尾』応援席

 

リリー「急にパワーアップしやがった⁉︎」

 

ハッピー「ナツー!頑張れー!」

 

メイビス「・・・魔力増幅の術」

 

 スティング達がパワーアップしたことにリリーは驚き、ハッピーは必死に応援していた

 

 メイビスは冷静に分析していた

 

綱吉(魔力増幅・・・だからいきなりパワーとスピードが上がったのか)

 

ミラ「ナツ達が押されてる」

 

レビィ「ガジル・・・」

 

綱吉「大丈夫だよ レビィ あのくらいでナツもガジルもやられたりしないよ」

 

 綱吉は心配そうになってるレビィに安心させるよう声を掛けた

 

 

 

ー闘技場

 

スティング「俺はずっとアンタに憧れてた! そしてアンタを超えることを目標にしてきた!今がその時!!!」

 

 スティングが左手から魔力弾をナツの腹に撃ち込む 打ち込まれた腹を見ると紋章のようなものが浮かび上がる

 

スティング「白き竜の爪の一撃は聖なる一撃 聖痕を刻まれた体は自由を奪われる」

 

 ナツは動こうするも聖痕のせいで動けないでいた

 

スティング「これで俺は・・アンタを超える!」

 

 スティングは右手に魔力を集中する

 

 

 

 ガジルもローグに攻撃するも躱されて背後に回られる

 

ローグ「影なる竜はその姿を見せず」

 

 ガジルは声の聞こえた方を振り向くがまた背後に回られる

 

ローグ「確実に獲物を刈る」

 

 ローグは背後から拳を叩き込もうとしたが、ガジルはローグの方を見ずに拳を受け止めた

 

ガジル「確実に獲物を・・何だって」

 

 ガジルはローグの方を見ずに拳を掴んだ

 

 

 ナツの方も スティングが近づいて来るがナツの口元が笑っているのに気づくが、関係無いと無視して拳を振るう  しかし動けないはずのナツが拳を躱し、逆にスティングの顔面に拳を叩き込んできた

 

スティング「な・・何故動ける⁉︎」

 

 ナツの腹を見ると煙が上がって聖痕が消えていた

 

スティング「聖痕が焼き消されて・・・」

 

ナツ「なかなかやるじゃねーか だけどまだまだだな」

 

 そう言うとナツは左手に炎を纏った

 

 

ガジル「あんまり調子乗んなよ コゾー共 『妖精の尻尾』をなめんなっ!!」

 

ローグ「ごはぁっ!?」

 

 ガジルはローグの右拳を掴んだまま顎を肘で打ち上げた ナツも炎を纏った拳でスティングを殴り飛ばした

 

 しかしそれでもスティングは笑っていた

 

スティング「やっぱり最高だぜ アンタら こっちも全力の全力でやらなきゃな」

 

 スティングは構えをとり右拳に魔力を集中させる

 

スティング「白き竜の拳は炎さえも灰塵へ還す 滅竜奥義 ホーリーノヴァ!!!」

 

 スティングの奥義がナツに放たれると眩い光と砂煙が視界を遮った 光と砂煙が晴れるとそこには・・・スティングの拳を片手で受け止めたナツがいた 自分の奥義を片手で受け止められるなど思っていなかったスティングは動揺を隠せずにいた

 

 

ー『剣咬の虎』観覧席

 

オルガ「嘘だろ?」

 

ルーファス「この技が防がれた記憶などないね」

 

 オルガとルーファスもまたスティング同様驚いていた

 

 

ー闘技場

 

 ここから流れは変わっていき、ナツ達が押していく スティング達も反撃するがやられてしまう スティングとローグは地面に仰向けに倒れてしまう

 

 

チャパティ「こ・・こんな展開・・・!誰が予想出来たでしょうか! あの『剣咬な虎』の双竜が『妖精の尻尾』に手も足も出ずーっ!!このまま試合は終わってしまうのかーっ!!!」

 

 

ローグ「終われるものか・・・」

 

スティング「ああ・・簡単に超えられる壁じゃねえってことはわかってた」

 

 2人はそう言いながら何とか立ち上がり、スティングの身体に白い竜の鱗のようなものが浮かび上がり、ローグにも身体に黒い竜の鱗のようなものが浮かび上がった 鱗のようなものが浮かび上がると先程の魔力増幅の術よりさらに魔力が上がった

 

 

ー『妖精の尻尾』観覧席

 

エルザ「あれはナツが楽園の塔で見せた姿と同じなのか?」

 

グレイ「何だエルザ あれが何なのか知ってんのか?」

 

エルザ「ああ あれはドラゴンフォースだ」

 

グレイ「ドラゴンフォース?」

 

エルザ「滅竜魔法の最終形態でその力はドラゴンに匹敵するともいわれている だがナツはエーテリオンの魔力を喰ってドラゴンフォースになった・・・」

 

グレイ「何⁉︎ 待てよ! アイツら何も使わずにそのドラゴンフォースってのになってるぞ⁉︎」

 

ラクサス「どうやらアイツらは自分の意思でドラゴンフォースを発動出来るようだな」

 

グレイ「マジかよ・・・」

 

 

 

 

ー『妖精の尻尾』応援席

 

メイビス「ドラゴンフォース⁉︎」

 

綱吉「ん? 初代 知ってるんですか?」

 

メイビス「ええ 滅竜魔法の最終形態です その力を解放した者はドラゴンと同等の力を持つと言われています」

 

綱吉「ドラゴンと同等・・・(たしかにさっきとは比べると遥かに強くなっている・・・だけどあれでドラゴンと同等なのか? まだナツ達の方が・・・)

 

 

 

ー『剣咬の虎』

 

ミネルバ「自らの意思でドラゴンの力を解放出来る それが第3世代の滅竜魔導士」

 

オルガ「これでアイツらも終わりだな」

 

ルーファス「大魔闘演舞でこれを披露することなど記憶にないがね」

 

ミネルバ「第3世代の真の力に慄くがよい」

 

 

 

ー闘技場

 

スティング「ローグ 手を出すな 俺1人で十分だ」

 

 スティングが1対2宣言したことにより会場がざわめいた

 

ガジル「なめやがって」

 

ナツ「だけどこの感じ・・強えぞ」

 

 ナツもガジルもスティングの行動に苛ついていたが、明らかにさっきまでとは違うことを感じとっていた

 

スティング「はあっ!!」

 

 スティングは地を蹴って一気に間合いを詰め、ナツに攻撃する ナツもガードするが、そのまま吹き飛ばされてしまう しかしナツを吹き飛ばした隙を狙ってガジルが蹴りを喰らわせようとするが、スティングはしゃがんで回避する 

 

ガジル「ぐあっ」

 

 ガジルはスティングの魔法弾を喰らい吹き飛ばされてしまう ナツは態勢を立て直しスティングに殴り掛かるが受け止められてしまい逆に膝蹴りを喰らってしまう

 

ナツ「うぶっ」

 

 ナツはそのままスティングにガジルの方へと殴り飛ばされ、ガジルとぶつかってしまう スティングはその隙に高く跳び上がり

 

スティング「白竜の・・・ホーリーブレス!!!」

 

 スティングは上空から強烈な咆哮を放った スティングの咆哮は闘技場の床を崩壊させた

 

 

ー『妖精の尻尾』応援席

 

マカロフ「闘技場の床を・・・」

 

綱吉「凄い威力・・・(1対2宣言するだけあるね・・・)

 

ロメオ「ナツ兄!」

 

レビィ「ガジル!」

 

 

ー『妖精の尻尾』観覧席

 

エルザ「崩壊だと!?」

 

グレイ「これが第3世代の滅竜魔導士の力なのかっ!!?」

 

 

 

ー闘技場

 

 試合はそのまま続行され、魔水晶映像で映されることになった 

 

 

 ナツは崩れ落ちる瓦礫を足場にして炎を纏ってスティングに突っ込んで行く

 

ナツ「火竜の劍角!!」

 

 ナツの体当たりを喰らったスティングは吹き飛び、さらにスティングの背後に回ったガジルが追撃する

 

ガジル「鉄竜の・・咆哮!!」

 

 至近距離から強烈な咆哮を喰らったスティングは吹き飛ばされ瓦礫に埋もれるがすぐに起き上がる そして両の手の平を合わせ、魔力を集中させる

 

スティング「白き竜の輝きは万物を浄化せし ホーリーレイ!!!」

 

ガジル「ぐあああああ!」

 

ナツ「ああああああ!」

 

 無数の光の矢が2人に襲いかかった ナツは転がりながら着地して、前を向くとスティングが拳を振り返っていた ナツは咄嗟に両腕でガードしたが

 

スティング「飛べよ」

 

 スティングの宣言通りナツは飛ばされて壁に激突する その後もナツとガジルの攻撃は捌かれて、逆に攻撃を受けてしまう

 

 

 そしてナツとガジルは倒れ立っているのはスティングだった スティングは左腕を天に高々と上げていた そこへローグも降りてくる

 

ローグ「時代は移りゆく 7年の月日がオレたちを真の滅竜魔導士へと成長させた 旧世代の時代は終わったんだ」

 

スティング「・・・ああ でも やっぱり強かったよ ナツさん ガジルさん」

 

 そう言うとスティングとローグはドラゴンフォースを解除する

 

 

ー『妖精の尻尾』応援席

 

ハッピー「ナツ・・・」

 

ロメオ「ナツ兄〜!立ってくれよ〜!」

 

 皆ナツとガジルの姿を見て不安になっていた

 

綱吉「大丈夫だよ ロメオ」

 

ロメオ「ツナ兄」

 

 綱吉がロメオの右肩に手を置く

 

綱吉「あの2人があのくらいやられる訳がないだろう それに俺よりもロメオやハッピー、皆んなの方がナツとガジルの凄さ、強さを知ってるんじゃないのか?」

 

ロメオ「あ、ああ! ナツ兄は凄い強いんだぜ!」

 

ハッピー「あい!ナツは強いんです!」

 

レビィ「ガジルだって凄いんだから!」

 

綱吉「なら2人を信じるんだ これまでだって多くの苦難や逆境を超えてきたんだろう なら今回だって超えられるさ」

 

 綱吉の言葉によって皆の顔から不安は消えていった

 

メイビス(下がっていた士気が持ち直しましたか マフィアとはいえさすがはボスをやっていただけはありますね)

 

綱吉「しかし皆んなを不安にさせるのは感心しないな 遊び癖でもあるのか はたまた相手が本気で来るのを待ってたのか」

 

 綱吉の言葉に皆疑問を持ってしまう

 

ロメオ「ツナ兄 それって一体・・・」

 

ミラ「それだとまるでナツ達がまだ本気じゃないって言ってるみたいだけど」

 

綱吉「ああ 2人はまだ本気じゃない」

 

 

ー闘技場

 

チャパティ「両者ダウンかーっ!!?」

 

ナツ「ちょーっと待てって」

 

 チャパティが『剣咬の虎』の勝利宣言をしようとした時、ナツとガジルが起き上がってくる

 

スティング・ローグ「「!!」」

 

 スティングもローグもまさか起き上がってくるとは思っておらず、驚きを隠せない

 

ナツ「いってぇー」

 

ガジル「思ったよりやるな」

 

チャパティ「な・・なんか意外と平気そうだ⁉︎」

 

 ナツとガジルは傷は負っていたが、ダメージというダメージではなさそうだった

 

 

ー『妖精の尻尾』観覧席

 

グレイ「たくっ 驚かせさせやがって」

 

ラクサス「まっ これくらいは当然だろう」

 

エルザ「あいつらにとっての本番はこれからといったところか」

 

 

 ナツとガジルが立ったことで会場は再び盛り上がった

 

 

ー闘技場

 

ナツ「けどお前の癖は全部見えた」

 

スティング「何!?」

 

ナツ「攻撃のタイミング 防御の体勢 呼吸のリズムもな」

 

スティング「バカな!? こっちはドラゴンフォース使ってんだぞ!!」

 

ナツ「おう!たいした力だ 体中いてぇよチクショウ」

 

 体中痛いと言いながらもナツは元気に答えた

 

 

ナツ「例えば攻撃の時軸足が11時の方を向く」

 

ガジル「いーや 10時だな」

 

ナツ「11時だよ」

 

ガジル「半歩譲って10時30分! 11時じゃねえ」

 

ナツ「11時だ!23時でもいいっ!」

 

ガジル「それ一回転してんじゃねーか」

 

 軸足が10時か11時かで言い争いをしてしまう だが言い争いが出来るほど元気が有り余っているという見方も出来る

 

 

ナツ「ごちゃごちゃうるさいっ」

 

ガジル「おわっ」

 

 するとナツがガジルのことを両手で押すと後ろにあったトロッコの上に乗っかってしまい、ナツは迷う事なくレバーを引くとトロッコは発進していった

 

ガジル「オイ・・てめ・・うぷ うおーーーーっ!?」

 

 線路は下り坂になっており、酔っていたガジルが脱出出来る訳もなくそのままトロッコと一緒に一気に降りていった

 

 

 ナツの行動を黙って見ていたスティングとローグだが、意味が分からなかった

 

スティング「な・・なんのマネだ」

 

ローグ「ガジル・・・」

 

ナツ「なめられた分はきっちり返さねえとな」

 

 そう言ってナツは左手の指先から炎で『COME ON』という文字を作り2人を挑発する

 

ナツ「俺一人で十分だ!! まとめてかかってこい!!」

 

 

 

 不敵な笑みを浮かべ、先程のスティングのように1対2宣言をした

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

35話

ー闘技場地下

 

 ナツの1対2に宣言にスティングとローグは怒りを露わにする

 

スティング「1人で十分だと・・・ふざけやがって・・・」

 

ローグ「お前に用はない ガジルとやらせろ」

 

ナツ「だったら俺を倒していくんだな」

 

 ナツの言葉を聞いてスティングとローグは再びドラゴンフォースになる

 

スティング「ドラゴンフォースは竜と同じ力! この世にこれ以上の力なんてあるはずねえんだ!!」

 

ナツ「完全じゃなかったんじゃねーのか」

 

スティング「あぁああぁあああ!!」

 

 スティングは叫びながら殴りかかるがナツは左腕でガードする

 

 

 

スティング「俺の力は完全だ! 俺はこの力でバイスロギアを殺したんだーっ!!」

 

ナツ「そうかよ なら俺は笑われた仲間のために戦う」

 

 ナツは7年間必死に耐えてきた仲間たちと傷つけられたルーシィのことを想い、炎を纏わせた拳でスティングを殴り飛ばす しかしその隙を狙ってローグが背後に回り攻撃してくる

 

ローグ「影竜の咆哮!!」

 

ナツ「火竜の咆哮!!」

 

 ローグの咆哮に対してナツも咆哮をぶつける ナツの咆哮の炎はローグの咆哮を呑み込みそのままローグも吹き飛ばした 

 

 

スティング「ハァ・・ハァ・・まだまだぁ!」

 

ローグ「フロッシュ・・俺はまだやれる!」

 

 片膝をついていた2人だが、まだまだ闘志は失われていなかった

 

ナツ「来いよ」

 

 ナツは笑みを浮かべながら、挑発するように左手の指先を上に向けてちょいちょいと手招きするようなことをした

 

スティング・ローグ「「うぉおおおお!!」」

 

 ナツのその行動が感に触ったのか、2人は叫びながら突っ込んでいった しかしいくら攻めようとナツに返り討ちに遭ってしまう 戦況は一気に変わった

 

 

ー『妖精の尻尾』観覧席

 

グレイ「全くあの野郎 嬉しそうな面しやがって」

 

エルザ「決して2人が弱い訳ではない だが相手が強ければ強いほど実力以上の力を発揮する それがナツだ」

 

 

 

ー『蛇姫の鱗』観覧席

 

ジュラ「凄まじいな」

 

リオン「忘れていた アイツは馬鹿だが戦いに関しては頭の切れるヤツだと」

 

ジュラ「いやはや やはり『妖精の尻尾』は強者揃いだのう はっはっはっ」

 

 

 

ー『青い天馬』観覧席

 

一夜「素晴らしい『香り』だね!ナツ君!」

 

レン「くそっ どんだけ強いんだよっ アイツ!」

 

 

 

ー『四つ首の仔犬』観覧席

 

バッカス「アイツも中々熱い野郎だなぁ ワイルドじゃねえか」

 

 

 

ー『蛇姫の鱗」観覧席

 

カグラ(ラクサス・ドレアー、エルザ・スカーレット、そしてナツ・ドラグニル…これほどの者たちがいようとは)

 

 

 観覧席でナツを見ていた者たちは皆、ナツの戦いぶりに感嘆していた

 

 

 

ー『剣咬の虎』

 

オルガ「おいおい マジかよ」

 

ルーファス「記憶に無いね ドラゴンフォースの力がこうも押されるなんて」

 

ミネルバ「力、か・・・」

 

 ルーファス、オルガは双竜の2人が圧倒されていることに驚愕し、ミネルバは何か思うことがあったのか一言つぶやいた

 

 

 

ー『妖精の尻尾』応援席

 

ハッピー「ナツ〜!頑張れーッ!」

 

リサーナ「やっちゃえーッ!」

 

ロメオ「ナツ兄! いけ〜!」

 

リリー「しかし凄いな ナツは」

 

ハッピー「そりゃ ナツだもん」

 

 戦況がナツに傾いたことによって『妖精の尻尾』の応援席は大盛り上がりになっていた

 

 

レビィ「ところでガジルはどこいっちゃったの?」

 

綱吉「戻ってきたらまた喧嘩しそうだなぁ」

 

 ガジルがどこかに行ってしまったことにレビィが心配していたが、試合後のことを予感した綱吉は苦笑いをしていた

 

 

マカロフ「しかし敵もさる者、諦めん」

 

メイビス「どちらも対したものです」

 

 マカロフとメイビスはスティングとローグの諦めず戦う精神に関心していた

 

綱吉(たしかにあんた達は強い、だがナツの方が何倍も強い それはただ単純に〝力〟の差だけでなく 背負っているものの重さも関係してくる 時にその背負っているものが〝力〟を与えてくれる あんた達とナツとの決定的な違いはそれだ それが分からない限りナツに勝てる道理はない)

 

ー闘技場地下

 

 スティングとローグは立っているがボロボロで息も絶え絶えになっていた

 

ローグ「ハァ・・ハァ・・スティング!!」

 

スティング「おうっ!!」

 

 2人は隣り合わせに立って、スティングは左腕を ローグは右腕をそれぞれ後ろに突き出すように構えて、互いの掌から魔力を融合させる

 

 

ー『妖精の尻尾』

 

マカロフ「あれは! 合体魔法(ユニゾンレイド)!?」

 

綱吉「(合体魔法・・・その名の通り合わせ技か)あの2人も決めにきたね」

 

 スティングとローグが合体魔法をしたことにマカロフは驚き、綱吉は勝負を決めにきたことを悟る 綱吉の言葉に皆、固唾を呑んだ

 

メイビス(力だけでは決して破れない力があります しかしそれを打ち破る力があるとすれば それは想いの力)

 

 

 

ー闘技場地下

 

スティング・ローグ「「聖影竜閃牙!!!!」」

 

 2人が拳を前に突き出すと白と黒が混ざった魔導波がナツに撃たれた ナツは両手に炎を纏って構えをとる

 

ナツ「滅竜奥義!! 紅蓮爆炎刃!!」

 

 ナツの放った炎は螺旋状に回転しながら2人の技を破り、2人を飲み込み大爆発が起きた その爆発の影響で土煙が起きラクリマビジョンが映らなくなる

 

 

 ラクリマビジョンが回復して煙が晴れるとそこには、地に倒れたスティングとローグ、そして両手を掲げているナツの姿があった

 

ローグ(ナツ・ドラグニル…底が…知れ…ない)

 

スティング(レクター…強すぎるよ ナツさん)

 

 

 

チャパティ「こ…こここれは……『妖精の尻尾』だーッ!!! 双竜敗れたりーッ!!」

 

 ナツの立っている姿に会場に大歓声が起き、『妖精の尻尾』の応援席も大興奮だった

 

 

ー『妖精の尻尾』応援席

 

綱吉(『雷炎竜』にもならず圧倒か 本当に強くなったな・・・ナツとまた戦ってみたかったなあ・・・)

 

 綱吉はナツが勝ったことの嬉しさと合同チームになってしまったことで戦えなくなってしまったことの寂しさで複雑な心境だった

 

 

 

チャパティ「さあ 残すは1日休んでの最終戦のみ! 最終戦は全員参加のサバイバル戦です! はたしてどのギルドが優勝するのか!? 皆さんお楽しみにーッ!!」

 

 各ギルドの魔道士は〝打倒!『妖精の尻尾』!!〟を掲げて最終戦に望む

 

 

ー『剣咬の虎』観覧席

 

オルガ「まさかあの2人が負けちまうとはねえ」

 

ルーファス「中々面白い試合だった しかと記憶したよ」

 

オルガ「へへッ しばらくこれをネタにたかれるじゃねえか」

 

ミネルバ「その〝しばらく〟があればいいがな フフッ」

 

 『剣咬の虎』のメンバーは負けたスティングとローグを心配するどころか嘲笑っていた 彼らに仲間意識などというものはなかったのだ そしてそれはギルドマスターのジエンマも然り、惨敗した双竜を鬼の形相で睨んでいた

 

 

 

 大魔闘演舞 4日目

 

1位 『妖精の尻尾』 45pt

 

2位 『剣咬の虎』 44pt

 

3位 『人魚の踵』 40pt

 

4位 『蛇姫の鱗』 35pt

 

5位 『青い天馬』 30pt

 

6位 『四つ首の仔犬』15pt

 

 

 ナツはスティングとローグにまた戦おうと満面の笑みで言うと去って行った スティングは2日目に言った言葉を思い出していた

 

 

ーーいいよ くれてやるよこの勝負 俺たちはこの後も勝ち続ける たかが一点や二点くれてやるっての

 

 その一点に負けた2人は自分達がいかに自惚れていたか思い知るのだった

 

 

 

 その頃ナツによってトロッコで地下に落とされたガジルは

 

ガジル「ち・・ちくしょう・・・サラマンダーの野郎 ぜってぇ許さねえ・・・」

 

 ナツに対して文句を言いながら道なりに歩いていた、すると奥に広い空間が見えてくる

 

ガジル「な・・なんだ・・・コリャ・・・」

 

 ガジルはその広場を見ると驚いた その広場にあったものは大量のある生物の骨だった それは・・・

 

ガジル「ドラゴンの・・・墓場?」

 

 

 

 また華灯宮メリクリアスでは城の窓からユキノが外を見ていた

 

ユキノ「そうですか・・『剣咬の虎』が敗れましたか ナツ様に・・・」

 

 ユキノはギルドを辞めた後王国兵となって、とある計画に協力していた

 

ユキノ「エクリプス計画 私の力でお役に立てるのなら、全力で臨む覚悟です」

 

 

 

 また別な場所では『魔女の罪』のジェラールが謎の魔力を持つ者を見つけていた 

 

ジェラール「俺も正体を明かす お前も正体を明かせ」

 

 ジェラールはそう言って顔を隠していたマスクを外す そして相手もジェラールの方を振り返り、顔を見せる

 

ジェラール「そんな・・・!?」

 

 ジェラールはその人物の正体に驚愕した

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

36話

 大魔闘演舞 四日目 夜 

 

 ークロッカスの街

 

 大魔闘演舞もあとは最終日のみとなりクロッカスの町の人達はどのギルドが優勝するのか騒いでいた

 

 「『妖精の尻尾』すげえな〜」

 

 「それに比べて『剣咬の虎』は  ぷくく」

 

 「双竜を倒したナツの他にラクサスやエルザもいるんだもんなぁ」

 

 「くっそ〜 なんでそのメンバーにツナヨシが選ばれなかったんだよ アイツのバトルまた見たかったのに!」

 

 「こりゃあ 『剣咬の虎』は駄目かな」

 

 「いや 『剣咬の虎』がこのまま終わるとは思えん」

 

 「それを言うなら『人魚の踵』や『蛇姫の鱗』だって可能性あるぜ」

 

 どこが優勝するか どんな戦いをしてくれるのか このまま『妖精の尻尾』が優勝するのかそれとも一波乱あるのか 街の人達は期待に胸を膨らませ話しをしていた

 

 

 

ークロッカスガーデン

 

 此処は『剣咬の虎』のクロッカスガーデン 今クロッカスガーデンではスティングとローグがマスターであるジエンマにより制裁を受けギルドの紋章を消せと怒鳴られていた

 

 レクターが仲裁に入り止めようとするが

 

ジエンマ「誰だ うぬは」

 

 ジエンマの言葉にレクターは驚きつつも自身もギルドの一員であると紋章を見せる しかし

 

ジエンマ「何故 猫風情が我がギルドの紋章を入れている」

 

 ジエンマはそう言うと魔力弾を放ち、レクターを消し飛ばした あまりに突然のことに皆固まってしまった

 

フロッシュ「あ・・ああ・・・レクターが消えちゃった・・・」

 

ローグ「フロッシュ!!」

 

フロッシュ「ローグぅ」

 

 泣き出してしまったフロッシュを庇うようにローグは抱きしめる

 

スティング「レ・・レクター・・・あ・・ああ・・あぁあああぁあ!!」

 

 スティングの叫びが部屋中に響く

 

ジエンマ「喧しいぞ スティング」

 

スティング「マスター なんて事を・・あんたはなんて事を!」

 

ジエンマ「黙れぃ!たかが猫一匹・・」

 

 怒りと悲しみからスティングはジエンマに攻撃し、その拳から光弾が放たれジエンマの腹部を貫いた

 

 スティングの行動にメンバー達は声も出せず、動けなかった しかしその中でただ1人 ミネルバだけは不敵に笑っていた

 

ミネルバ「それで良い」

 

 

 

ークロッカスの街

 

 『剣咬の虎』で事件が起きている頃、綱吉はフードを被って路に端に立っていた何故そんなことをしていたかと言うと 時を少々遡る

 

ー回想

 

綱吉(やっぱりこのまま放置する訳にはいかない 何か手がかりだけでも)

 

 綱吉はミラを暴行した犯人をなんとか見つけ捕まえたかった しかし自分が離れている間再び襲ってくる可能性がある そこで綱吉はミラを連れてラクサスの部屋に行く ちなみにラクサスはフリード達と同じ部屋だ

 

綱吉「すまない ラクサス 少しの間だけミラ達と一緒にいてくれないか」

 

ラクサス「なんだ急に 理由を言え」

 

綱吉「いや 俺用事があるから 少しミラ達の頼めないかなあと思って・・・」

 

 なんだそんなこと 子供じゃあるまいしと言おうしたが、綱吉の目を見てふざけて言っているんじゃないと察する

 

ラクサス「・・・いいぜ 時間は?」

 

綱吉「ありがとう ラクサス! そうだな(あまり長時間は出来ない)大体1時間くらいかな」

 

 ラクサスは少しの沈黙の後

 

ラクサス「1人でいいのか?」

 

綱吉「・・・ああ ラクサスには」

 

 綱吉はそう言ってミラのことチラッと見る それを見たラクサスは綱吉の意図を理解して

 

ラクサス「分かった 任せろ」

 

 ラクサスの言葉に綱吉は安心して、ミラの方を向き

 

綱吉「ミラ 俺用事があって出掛けなきゃいけない だからその間ラクサス達と一緒いてくれ」

 

ミラ「えっ でも・・・」

 

 綱吉が出掛ける ミラはこの前襲われた時の犯人を探しにいくのだと気づき不安になった

 

綱吉「大丈夫! すぐに戻ってくるし それに1人で待ってるより皆んなといた方が安心するだろ」

 

ミラ「でも・・・いえ分かったわ かわりに早く帰ってきてね」

 

 ミラは行ってほしくなかったが、止めても行くことを思い不安ながらもなんとか納得した

 

綱吉「ああ それじゃあ」

 

 綱吉は視線をラクサスに向ける ラクサスはそれに答えるように頷く

 

綱吉「行ってくるよ」

 

 そう言って綱吉は出て行った

 

ミラ「あっ・・・」

 

 ミラは出て行った綱吉の背中を寂しそうに見つめていた いつまでも外を見ていたミラにラクサスは

 

ラクサス「何捨てられたワン公みてえな面してやがる」

 

ミラ「なっ だっ誰が捨てられた犬ですって!」

 

ラクサス「お前だよ 全くいつまでも寂しそうな面しやがって さっさと部屋ん中入れ」

 

 ラクサスの言葉にミラは怒りながら部屋に入っていった

 

ビッグスロー「しっかし相変わらずラブラブだなぁ」

 

エバーグリーン「でもちょっと過保護な気もするけどね」

 

フリード「いや 見方を変えればそれだけミラのこと愛しているのだろう」

 

ミラ「もうフリードったら」

 

 雷神衆の三人も綱吉とミラのやり取りを見て何時もことだと思っていたが綱吉がいつもより心配し過ぎのような気もしていた

 

エバーグリーン「今でこれなら子供が生まれたら相当親バカになっちゃうんじゃないの?アイツ」

 

ミラ「こっ子供って」

 

 エバの言葉にミラは頭の中で、自分が我が子を抱き抱え隣りで優しく微笑んでくれる綱吉の図を想像して、顔を赤くしていた

 

 

ー回想終了ー

 

 

 綱吉は街の人達に見つかって騒ぎにならぬようフードを被り、目視出来ないよう魔力を超音波のように球体状に飛ばした 

 

 実はミラが襲われた時痕跡は残されていないと思われたが、ほんの僅かな魔力の残留があった普通ならば見落としてしまうほどの小さな残留 しかし綱吉は見落とさず 頭に 体に 記憶した 自分の大切な人を傷つけた人物の魔力を 

 

 自分を中心に30m、50m、80mと索敵範囲を伸ばしていく 綱吉が蝙蝠のエコーロケーションから考えた技である もし犯人が超音波に触れれば即分かる仕組みになっていた 

 

 しかしこの技にも弱点はある索敵をしている間ソレに意識を集中するため無防備になること 蝙蝠のように移動しながらエコーロケーションを出来ないこと 本来ならば1人自分の守りに必要なのだが、綱吉は自分よりもミラを優先した

 

 そして索敵範囲限界の100mに達した

 

綱吉(この範囲にもいなかったか・・・やはり街の端の方か? だが・・・)

 

 そう綱吉の索敵は宿からそう遠くない場所で行われていた 仮に宿で何かあったとしてもすぐに対応できる距離、それが今索敵をしている距離だったのだ

 

 

 そして綱吉が索敵に難義しているのを遥か遠方から見ている人物が1人

 

白蘭「何突っ立ってんのかなぁと思ったら なるほど索敵してたのか)

 

 白蘭は両目に魔力を集中して綱吉が魔力を超音波のように飛ばしているのを確認する

 

白蘭「まるで蝙蝠のエコーロケーション 中々面白いことやるね でも(その索敵範囲の距離は約100m そして索敵している間は君は何もできず無防備状態)」

 

 白蘭は瞬時に綱吉の索敵技の弱点を見抜いたのだった

 

白蘭(その距離じゃここまで届かない こっちから会いに行ってもいいし、ミラちゃんの方に行ってもいいんだけど あの娘と約束しちゃったしね 手を出さないって だからこのお祭りの間は隠れておくよ 君の戦うのはその後 それに何か裏で企んでる人達もいるみたいだしね)

 

 白蘭は妖しく笑みを浮かべながら、暗闇の中へ消えていった

 

 

 綱吉はあちこち索敵したが見つからず、約束の時間まであと少しとなった

 

綱吉「クソッ 1時間近く使って何も成果なしなんて最悪だ だけどこれ以上時間を伸ばすこともできない 宿に戻ろう」

 

 綱吉は意気消沈して宿に戻るのだった

 

綱吉「ただいまー」

 

 部屋に入るとラクサスが出て来た

 

ラクサス「おう でどうだったよ 何か成果はあったか?」

 

 綱吉はラクサスの問いに答えず、代わりに落ち込んだ表情で首を左右に振った

 

ラクサス「・・・そうか だがいつまでも落ち込んでんなよ アイツの前でもそんな顔する訳にはいかねぇんだからよ」

 

綱吉「ああ そうだな  ありがとう ラクサス」

 

 そう言って綱吉の顔に笑みが戻り、ミラの方へ行った すると何故かミラの顔が赤くなっており、頬に手を当てていた

 

綱吉「ん? どうしたんだ ミラ  顔が赤いけど」

 

ミラ「えっ ツっツナ⁉︎ いつ帰って来たの⁉︎」

 

 綱吉に声を掛けられたミラは慌てていた

 

綱吉「いつって今帰って来たんだけど」

 

ミラ「帰って来たんならちゃんと言ってよ!」

 

綱吉「いや、ちゃんと言ったんだけど」

 

ミラ「わっ私に聞こえるように言わなきゃ駄目じゃない!」

 

綱吉「ええ〜(う〜ん 俺が悪いのかなぁ)」

 

 ミラが何故怒っているのか分からずフリード達を見たが、ビッグスローはニヤニヤ笑っており、エバーグリーンとフリードは呆れ顔をしていた 綱吉は困り果てていた その時部屋の扉を開けてレビィが入ってきた

 

レビィ「皆、今すぐ広間に集まって!」

 

綱吉「レビィ どうしたんだ そんなに慌てて?」

 

レビィ「あっ ツナとミラもいたんだ 良かった 部屋に居ないからどうしようかと思って」

 

フリード「それで何があったんだ?」

 

レビィ「私も詳しくは聞いてないんだけど、マスターがメンバー全員を集めるようにって言ってて」

 

ミラ「何か慌ててる感じね」

 

フリード「とにかく向かうとしよう」

 

 綱吉達は広間へと向かった 広間にはマスターやメンバー達がすでにいた そして何故かナツがロープでぐるぐる巻きにされていた

 

綱吉(また何かやらかしたのか? ナツは)

 

マカロフ「全員、揃ったようじゃの」

 

 綱吉は辺りを見てルーシィがいないことに気づく

 

綱吉「マスター ルーシィがまだ来てませんが」

 

マカロフ「ルーシィは来ん いや来られんと言った方が正しいか」

 

ミラ「どういうことですか! マスター!」

 

ラクサス「何があったんだ ジジイ」

 

 マカロフの言葉に皆が驚き慌てる中、暗い表情を浮かべているメンバーが数人いた 

 

綱吉「ナツ、いやグレイでもガジルでもいい 何か知ってるんじゃないのか? ルーシィが来られないと言われて慌てる様子もなく、暗い表情を浮かべナツに至っては・・・」

 

 ナツの方を見ると怒りの表情を浮かべていた

 

グレイ「分かった 俺から話す」

 

 グレイは説明を始めた 

 

 

 まずナツ、ガジル、ウェンディ、ルーシィ、グレイにハッピー、シャルル、リリーの8人でガジルの落ちた場所に向かった 

 

 その場所は竜の骨がたくさんあり〝竜の墓場〟と言っても過言ではなかった そこでウェンディの奥義『ミルキーウェイ』を使い、魂となった竜の声を聞くことにした 『ミルキーウェイ』によって呼ばれた竜〝ジルコニス〟 

 

 その竜が言うには此処にいる骨となった竜達は、たった1人の滅竜魔道士に殺されたらしい 

 

 その竜の名は〝アクノロギア〟 男は竜の血を浴び続け、皮膚は鱗へ変わり 歯は牙へ変わり 人の身から竜の姿へと変わってしまった 

 

 人間でありながら〝竜の王〟になった 竜の王が誕生した戦い それが〝竜王祭〟となった

 

 しかしジルコニスは、話の途中で魂が昇天してしまい消えてしまった そこへフィオーレ王国騎士団長の『アルカディオス』と王国兵となったユキノが現れる

 

 

 アルカディオスらに連れられ城に行く アルカディオスが言うにはアクノロギアとゼレフは密接な関係にあり、〝黒魔導士〟ゼレフが1人の滅竜魔道士をアクノロギアにしたと推察したらしい 

 

 そして城の中に入りある場所へ案内される そこには巨大な扉があった その扉の名は〝エクリプス〟

 

 その扉を建造するのに膨大な魔力が必要で、毎年大魔闘演舞に出ている魔道士から魔力を接収していた

 

 そしてその扉の最大の力は〝時〟を移動できること つまりこの扉の力を使い400年前に行き、不死になる前のゼレフを討ち取る それがこの『エクリプス計画』

 

 それは日蝕が起きる7月7日に決行する 計画を完璧にする為には精霊魔道士と鍵が必要、なので強力してほしいと頼まれるが、そこへ王国大臣の『ダートン』が兵を率いてやってくる

 

 ダートンは計画の反対派で、アルカディオスに対し外部に情報を漏らした罪で拘束され 更にユキノとルーシィも拘束されてしまう

 

 ナツは王国兵に攻撃しようとするが、扉に魔力を吸われ気を失ってしまう 魔法を使えないグレイ達はそのまま城の外へと追い出されてしまった

 

 ダートンが言うには大魔闘演舞で優勝すればルーシィ達を返してくれると言って立ち去って行った

 

 

グレイ「これが事の顛末だ・・・」

 

 グレイの説明が終わると皆ざわめき出していた それもそのはず〝黒魔導士〟ゼレフ 〝竜王〟アクノロギア 〝時〟を移動できる扉エクリプス あまりにもスケールがデカ過ぎた 

 

 

 

ラクサス「ようは何か大魔闘演舞で優勝しなきゃルーシィを取り返せねぇのか?」

 

グレイ「まぁ その話も信用できるか分からねーがな」

 

 皆がざわめいている中ナツが痺れを切らしロープを引きちぎる

 

ナツ「だぁーっ! いつまでもじっとしてられっか! ルーシィを助けに行くぞーっ!!」

 

 ロープを引きちぎったナツはドアを目指し走る

 

マカロフ「待てっ! ナツ!」

 

 その時ドアとナツの間に綱吉がはいる

 

ナツ「退けーっ! ツナーっ!」

 

綱吉「ん」

 

 綱吉は返事一つで横へずれる

 

ナツ以外のメンバー(((いや 退けるかいっ!?)))

 

 皆が綱吉のまさかの行動に驚き、心の中でつっこんでいた ナツが綱吉の隣を通り過ぎようとした時、綱吉はナツの足を引っ掛けて転ばせる そして倒れたナツの背に馬乗りになって左手でナツの頭を抑えて、右手でナツの右手首を掴み捻り上げる

 

ナツ「ぐおっ ツナ・・テメェ・・・」

 

綱吉「退けることは了承したけど、止めないとは言ってないだろ」

 

 一瞬の出来事に皆固まってくる中、綱吉は淡々と言っていく

 

綱吉「落ち着けって ナツ」

 

ナツ「五月蝿え! いいから退けよ! ルーシィを助けに行くんだ!」

 

 抑えられて尚暴れるナツに綱吉はふぅと息をついて

 

綱吉「少し 黙れ」

 

全員「「「!!?」」」

 

 綱吉の怒気を込めた言葉に部屋にいる全員が一瞬硬直する

 

綱吉「ルーシィを助けたい その気持ちは俺も此処にいる皆同じだ だがな敵は王国だ、皆が今まで倒してきた闇ギルドじゃないんだぞ 今のお前のやろうしていること〝悪手〟だぞ」

 

ナツ「どういうことだよ」

 

 綱吉の怒気を感じ冷静になったナツが聞き返す 綱吉はナツの拘束を解いて立ち上がり、ナツも立ち上がる

 

綱吉「もしこのまま攻め込んだとしよう 俺たち『妖精の尻尾』は王国に戦争を仕掛けた〝犯罪者集団〟の烙印を押されるぞ」

 

グレイ「は・・?」

 

ジュビア「えっ・・・」

 

綱吉「王国に仕掛けたんだ 当然だろう」

 

レビィ「でっでもルーちゃんやユキノさんが拐われたんだよ 悪いのは」

 

 綱吉の言葉にレビィが言うが

 

綱吉「揉み消し、情報操作なんて国に掛かれば簡単な事だ でもこの中に己の身可愛さに仲間を助けない者なんていないことぐらい分かっている だが子を持つ親ならばどうだ」

 

ミラ「えっ・・」

 

綱吉「マカオ、アルザック、ビスカはどうだ 自分の子が一生日陰で生きていかなきゃいけなくなる 耐えられるか」

 

マカオ「ぐっ・・・」

 

ビスカ「そっそれは・・・」

 

アルザック「ツナ・・・」

 

 マカオ達は顔を伏せ口を噤んでしまう

 

ロメオ「父ちゃん・・・」

 

アスカ「パパ ママ どうしたの?」

 

ビスカ「なんでもないわ 大丈夫よ」

 

 ビスカとアルザックの不安そうな顔を見て声を掛けるアスカ ビスカは笑顔を作りアスカを抱き抱える

 

 

グレイ「じゃあどうすんだよ ルーシィを見捨てんのか」

 

綱吉「誰も見捨てるなんて言ってないだろ ただナツの様に正面から突っ込んで戦って救出するのが悪手だと言ってるんだ」

 

マカオ「では お主はどう考える?」

 

 これまで黙っていたマカロフが口を開き、綱吉に問う

 

綱吉「秘密裏に救出します 密かに城に忍び込み極力戦闘は避け、救出を第一と考えます」

 

マカロフ「・・・して救出メンバーは?」

 

綱吉「最終日の戦いもありますので、ナツ達は除外します 辞退することも出来ませんし、仮に出来たとしても主催者側と観客が許さないでしょう 観客が騒いで暴動になるやもしれません」

 

マカロフ「ふむ 二面作戦か・・・」

 

グレイ「クソッ」

 

エルザ「仕方ないか・・・」

 

ナツ「・・・・・」

 

 綱吉の言葉にグレイ達は悔しがる

 

綱吉「なので残りメンバーから俺とミラ、ウェンディで行こうかと」

 

エルフマン「おいっ 待ってくれ! 俺も行くぜ!」

 

レビィ「私もルーちゃんを助けに行くよ!」

 

アルザック「僕たちもいくよ」

 

ビスカ「ええ」

 

 綱吉の提案に他のメンバーは自分達も行くと声を上げる

 

綱吉「気持ちは分かる だが駄目だ 今回はあくまで救出しに行くんだ、戦争をしに行くんじゃない 人数が多ければそれだけ小回りがきかず動きにくい 3人がベストだ 少数精鋭で行く それに俺やミラ、ウェンディと同等に戦える者が他にいるか」

 

 厳しい言い方になってしまうがここは譲れないと強く言った 綱吉の言葉に皆黙ってしまう

 

ウェンディ「あっあのツナさん メンバーに選ばれたのは嬉しいんですけど 私、ツナさんやミラさんのように強くありません 役に立つか・・・」

 

綱吉「ウェンディ 君は自分が思ってる以上に強いんだ 決して足手纏いなんかじゃない それにウェンディには俺たちには無い傷を治すを癒しの力があるだろう 誰かが傷を負った時必ずウェンディの力が必要になる 自信を持つんだ」

 

ウェンディ「ツナさん はい! 頑張ります!」

 

 不安そうに見せるウェンディだったが綱吉の言葉で目に力を宿しやる気が戻る そこへミラがやって来て

 

ミラ「ツナ 私には何も無いのかしら?」

 

綱吉「ごめん 一緒に来てくれるか ミラ?」

 

ミラ「ええ もちろん ルーシィを助けにいきましょう だけど・・・」

 

 ミラは言葉を詰まらせる 綱吉の身体や心を心配していたのだ

 

綱吉「ミラの心配してくれるのは嬉しいけど それよりも仲間が危ない目に遭ってるのが大事なんだ それに王国側も救出することは読んでいるだろうから罠や伏兵がいるだろう 俺の直感が必要になる」

 

ミラ「ツナ・・・」

 

綱吉「大丈夫 ミラの心配してるようなことにはならないよ 直感で罠や伏兵を回避してルーシィ達を助けるんだ それにもし危なくなったら助けてくれるんだろ」

 

ミラ「当たり前でしょ」

 

ウェンディ(ツナさんの鬼のことでしょうか?)

 

 綱吉の言葉にミラは微笑みながら答え、綱吉の心臓が悪くなっていることを知らないウェンディは首を傾げていた

 

綱吉「ウェンディも何かあったら頼むな」

 

ウェンディ「はいっ 任せて下さい!」

 

 憧れている綱吉の問いにウェンディは力強く答えた

 

 そこにナツが近づいてきた

 

ナツ「ツナ さっきは勝手な事をして悪かった・・・」

 

綱吉「いや 俺の方こそ止めるためとはいえ、お前を拘束したんだ すまなかった」

 

 互いに謝ると、ナツは意を決したように

 

ナツ「ツナ メンバーだけど俺と代わってくれねえか! 頼む!」

 

 頭を下げて頼み込んだ

 

グレイ「おいっ お前何言ってんだ!」

 

エルザ「ナツ 急に何を」

 

 ナツの突然の頼みにエルザ達が詰め寄ろうとするが、綱吉が手で制す

 

綱吉「どういうことなんだ? 此処にいる者達全員がルーシィ達を助けたい その気持ちを留めてまで俺達に任せてくれている なのにお前と代わっては他の人達に申し訳ない ただ助けたいって理由なら代わる気はないぞ」

 

ナツ「お前の直感が凄えのは分かってる でもルーシィは俺が助けてえんだ! 俺はあの場にいながら仲間を連れ去られちまった! 魔力奪われて気を失ってる間に! 情けねえ! もうそんな真似はしねえ! 頼む!」

 

ラクサス「お前・・・」

 

グレイ「ナツ」

 

ウェンディ「ナツさん」

 

ミラ「ナツ・・・(ツナ 貴方はなんて答えるの)

 

エルザ「ナツ(ツナ どうする)

 

 ナツの必死の懇願に皆息を呑み、綱吉の答えを待つ

 

綱吉「・・・(気持ちは分かるが、救出には俺が行くべき・・・だがナツが良いと俺の直感が言っている 俺よりもナツの方が良いと それにナツのここまでの覚悟を見せられたんだ 無碍には出来ない)分かった 代わるよ」

 

ナツ「!」

 

 綱吉の言葉にナツは顔を上げて驚いた表情を見せる

 

ナツ「いっいいのか?」

 

綱吉「なんだ 嫌なのか?」

 

ナツ「そんなことねえ! ありがとな! ツナ!!」

 

 ナツは笑顔を見せた

 

綱吉「但し勝手な行動はするなよ」

 

ナツ「ああ 分かった!」

 

 綱吉はミラとウェンディの方へ向き直し

 

綱吉「すまない という訳で俺とナツが代わる形となった」

 

ミラ「仕方ないわ ナツのあの姿を見せられたんだから(・・・でも)」

 

ウェンディ「はい 大丈夫です(ミラさん?)

 

 ミラもウェンディも了承してくれた

 

綱吉「ミラ メンバーが代わったからミラが指揮をとってくれ それからナツは色々突っ走る傾向がある 良く見といてくれ」

 

ミラ「ええ 分かったわ」

 

綱吉「ウェンディもサポート宜しくな」

 

ウェンディ「はい!」

 

 そこへラクサス達バトルメンバーがやって来る

 

エルザ「ツナ ナツの気持ちを汲みとってくれたのは嬉しいが」

 

グレイ「大丈夫なのか?」

 

ガジル「直感があるお前の方が良いと思うがな」

 

ナツ「おいっ!」

 

 エルザ達は綱吉の行動に感謝しているが、同時に交代して大丈夫なのかという不安もあった

 

綱吉「大丈夫 その直感でナツの方がいいって言ってるんだ」

 

ラクサス「そうか お前がそう言うなら大丈夫なんだだろう、・・・だがお前の方は大丈夫なのか?」

 

 ラクサスの含みのある言い方 ミラも懸念はあった 救出の時は極力戦闘は避けていき、自分もいる、傷を負ったとしてもウェンディがいる だからこそ了承したのだ 

 

 だがバトルメンバーとなれば違ってくる 当然戦闘はしなければならず、1対他や息つく暇なく連戦、乱戦などあり得るだろう 戦いで鬼になるかもしれない ダメージの影響でまた心臓に負担がかかり血を吐くかもしれない そんな不安がミラにあった

 

 そんなミラに綱吉は優しく微笑み

 

綱吉「大丈夫 俺には皆がいる それにミラがいつも側にいて護ってくれる」

 

 そう言って右手に着けている腕飾りを見せ、撫でる

 

ミラ「それ・・」

 

綱吉「ああ ミラが作ってくれた腕飾り しっかり思いが込められてる だから俺を護ってくれているんだ」

 

ミラ「ツナ」

 

綱吉「そしてミラの側にも俺はいる そうだろう」

 

 綱吉はそう言ってミラが架けているネックレスの宝石部分を指先で軽く当てた

 

ミラ「ええ そうね」

 

 ミラは宝石部分に手の平を当てて、綱吉と見つめ合う

 

エルザ「ああ〜 オホンッ 2人共」

 

グレイ「そういうのは2人だけの時にしちゃくれねーか」

 

 声を掛けられ2人は顔を赤くし少し離れる

 

ミラ「ごっごめんなさい」

 

綱吉「ごっごめん・・・」

 

 

ラクサス「アホが」

 

カナ「すぐ2人の世界に入るんだから 全く」

 

ジュビア(ミラさん 皆の前であんなに見せつけて・・・なんて羨ましい!)

 

 ラクサス等呆れていたが、ジュビアは綱吉とミラの両思いな関係を羨ましいそうに見つめていた

 

エルザ「まあ とにかくこれでメンバーが決まったな」

 

 

マカロフ「何丸く収まっとるんじゃ 馬鹿タレ共 勝手にポンポン決めおって」

 

 

綱吉「マッマスター すみませんっ 本来ならマスターに決めてもらうところを俺の独断でやってしまい」

 

マカロフ「まあ良い ワシも似たようなことは考えておったからの」

 

ナツ「なんだよ なら文句言うなよな じっちゃん」

 

エルザ「黙ってろ!」

 

 ガンッ!

 

ナツ「ぐおっ」

 

 ナツはエルザに拳骨を喰らいたんこぶが出来ていた

 

マカロフ「さてツナよ 改めて聞くがナツとの交代でいいんじゃな?」

 

綱吉「はい! 俺はバトルの方で」

 

 綱吉の返事と目を見たマカロフは納得し

 

マカロフ「分かった ではバトルメンバー並びに救出メンバーはしかと頼んだぞ そしてメンバーに選ばれなかった者達も声の限り、心の限り応援を頼んだぞ」

 

 マカロフは部屋にいる『妖精の尻尾』のメンバー達の顔を見ていく

 

マカロフ「勝負は明後日! 励めよぉ! ガキ共っ!!」

 

全員「「「オオッ!!!!」」」

 

 

 バトルメンバー ラクサス

 

         グレイ

 

         エルザ

 

         ガジル

 

         綱吉

 

 

 救出メンバー ミラ

 

        ウェンディ

 

        ナツ

 

        ハッピー

 

        シャルル

 

        リリー

 

 

 

 大魔闘演舞最終日、ルーシィ達を救出する為二面作戦を決行 そしてバトルパートにナツの代わりに綱吉が参戦することが決まった!!

 

 




はい という訳でジルコニスやらアルカディオスやらのシーンはカット、ナレーションで済ませていただきました だって綱吉そっちにいませんでしたし ナレーションで上手く伝わってるといいんですが

さらに後半は結構オリジナルになっちゃいましたね 綱吉結構喋りました 

そして綱吉のメンバー入り 次話から最終戦に入ります! 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

37話

随分とお待たせして申し訳ないです 


 大魔闘演舞 5日目 

 

 最終戦前日、各ギルドのメンバー達はそれぞれ、最後までトレーニングに励む者、落ち着いて明日を待つ者、座して瞑想する者、様々だった

 

 そして綱吉もまた 綱吉とミラの泊まっている部屋で

 

ミラ「ねえ ツナ? ツナはトレーニングはいいの?」

 

綱吉「ああ 前日だしね 軽く動かしたり、柔軟や瞑想をメインにしていこうかなって思ってるんだ」

 

ミラ「ふーん そのくらいでいいの?」

 

綱吉「根を詰め過ぎて、明日に疲れが残っちゃったら大変だしね このくらいが丁度いいよ」

 

 綱吉はそう言うと柔軟をしていった ミラも綱吉の真似をして柔軟をしていく

 

 柔軟が終わると2人は床に禅を組んで瞑想に入る

 

 もちろん呼吸法も忘れず、ミラの呼吸が間違えていれば指摘していた

 

 

 そして夜になりメンバー達は集まり初代を交えて、ミーティングをする 初代の作戦を聞かされた綱吉はその智略、知識の多さに驚かされた 綱吉はボードに書かれた各ギルドのメンバーの名を見て明日自分と戦うであろう人達を直感で予想する

 

綱吉(戦うのは・・・この人達かな)

 

 

 ミーティングを終えると各々部屋に戻って行く 綱吉とミラも部屋に戻り明日に備え早めに寝ることにした 灯りを消して2人はベッドに入るとミラが話し掛けてきた

 

ミラ「ねえ ツナ」

 

綱吉「ん?」

 

ミラ「明日、気をつけてね」

 

 ミラは心配そうな顔をしていて、綱吉はそれに優しく微笑みながら

 

綱吉「分かってるよ」

 

ミラ「大怪我したら許さないんだからね」

 

綱吉「えっ」

 

 ミラの言葉に綱吉の表情は固まってしまう

 

ミラ「当たり前でしょ 恋人の怪我した姿なんて誰が望むのよ」

 

綱吉「ミラ 心配してくれるのは嬉しいよ でも強い人達が大勢出ているんだ 負傷するのはしょうがないよ  それにミラが俺のことを心配してくれてるように俺もミラのことが心配なんだよ 本当は戦って欲しくないっていうのが本音なんだけどね でも・・・」

 

 綱吉は悲しそうな表情を見せる

 

ミラ「分かってるわ 仲間の危機に黙っていられないもの 私達はルーシィ達を助け」

 

綱吉「俺達の方で優勝する それで全部終わりだ」

 

ミラ「ええ」

 

 2人は話しを終え、目を瞑った 

 

綱吉(明日の戦い、一筋縄ではいかないだろう・・・そしてそれはミラ達の方も・・・」

 

 綱吉は寝ているミラを見る

 

綱吉(無事にルーシィ達を助けて帰ってきてくれよ ミラ)

 

 綱吉は恋人の身を案じて、眠りについた

 

 

 

 

 そして朝がやってきた

 

大魔闘演舞 最終日

 

 綱吉は目を覚ますとベッドから起き、カーテンを開ける 朝日が眩しく目を細めるが、これならば晴天になるだろうと気分は良いものだった 

 

ミラ「おはよう ツナ」

 

 カーテンを開け朝日が入ってきたことでミラも目を覚ましたようだ

 

綱吉「おはよう ミラ」

 

ミラ「具合はどうかしら 問題ない?」

 

綱吉「ああ 大丈夫 これなら思うように戦えるよ」

 

 綱吉はミラの問いに笑顔で答え、右手を握り拳にして見せた

 

 

 朝食を済ませた2人は準備を終えると外に出る 途中で他のメンバーに会った 救出メンバーと出場メンバーは先に会場と城へそれぞれ向かわなければならない

 

 宿を出て、それぞれの組に分かれる 

 

綱吉「それじゃあ そっちは頼むよ」

 

ナツ「おう! 任せろ! 必ずルーシィとユキノを助けてくるぜ!」

 

グレイ「熱くなりすぎんなよ ナツ」

 

ナツ「うるせぇ グレイ」

 

エルザ「よさないか グレイ だがミラとウェンディがいれば大丈夫だろう」

 

ナツ「おいっ!!」

 

 フォローしてくれるかと思いきやエルザも揶揄ってくる

 

綱吉「ナツ」

 

ナツ「ん?」

 

 ナツが綱吉を見ると綱吉が右手を拳にして突き出していた 最初は何か分からなかったが、すぐに察してナツも左手を拳にして突き出す

 

綱吉「任せたぞ」

 

ナツ「おう」

 

 2人は軽く拳を小突く そして次にウェンディへ

 

綱吉「ウェンディ 自分に自信を持って 君は強い」

 

ウェンディ「はい!」

 

 2人も拳を小突く 綱吉はしゃがみハッピー達の方へ

 

綱吉「3人もサポート宜しくな」

 

リリー「ああ 任せろ」

 

ハッピー「あい!」

 

シャルル「任せなさい」

 

 3人は自信満々に答え、先にやった2人のように拳を小突いていった

 

 そして最後にミラへ向き

 

綱吉「ミラ 皆を頼むな」

 

ミラ「ええ」

 

 2人は拳で拳で小突くが、ミラがまだ物欲しそうな目をしており、綱吉がそれに気づくと

 

綱吉「え〜と 皆の前だし今はこれで我慢して」

 

 ミラは綱吉の言葉に不満そうだったが

 

綱吉「あとは帰ってきてから なっ?」

 

ミラ「分かったわ 約束だからね」

 

 綱吉とミラは笑顔で約束をした

 

 

 両メンバーは互いに背を向けて歩き出し、綱吉達は会場へ ナツ達は城へ向かった

 

綱吉(ルーシィ達のことはナツ達に任せた 俺は俺のできることをやるんだ)

 

 綱吉の表情は先程までの優しい顔ではなく、引き締めて強い目をしていた

 

 

 

 

闘技場 ドムス・フラウ

 

 闘技場の客席はもう観客で一杯になっており、観客は開始が今か今かと興奮していた

 

チャパティ『いよいよやって参りました! 大魔闘演舞 最終日!! 泣いても笑っても今日…優勝するギルドが決まります!!』

 

 実況にはチャパティ、解説には元評議員のヤジマ、ゲストにはマスコットキャラクターのマトー君となっていた

 

 

 出場チームの入場がやって来た 入場は最下位である『四つ首の仔犬』続いて『青い天馬』『蛇姫の鱗』『人魚の踵』とどんどん入場してくる そして

 

チャパティ『そして現在第2位 このまま王座陥落してしまうのか 再び最強の名を手にするのか!?  『剣咬の虎』!!!』

 

 『剣咬の虎』が入場してくると会場がざわめいていた それは『剣咬の虎』の入場が初日と違い余裕や陽気な感じでの入場ではなく静かに登場して来たからである

 

チャパティ『おや?何か雰囲気が変わりましたね』

 

ヤジマ『気合いを入れ直スたのかね』

 

マトー君『かっこいいカボー‼︎』

 

 

チャパティ『そして現在第1位‼︎ 7年前最強と言われたギルドの完全復活となるか!? 『妖精の尻尾』の入場だーッ!!!』

 

 しかし『妖精の尻尾』の入場でもまた会場がざわつく それもそのはず

 

チャパティ『なんと⁉︎ 『妖精の尻尾』メンバーを入れ替えてきたーっ!!』

 

 ナツではなく綱吉がメンバー入りしていたのだから

 

チャパティ『タッグバトルであれだけ活躍していたナツ・ドラグニルがいないとは一体⁉︎』

 

ヤジマ『ウム 何かあったのかねぇ?』

 

 

観客席

 

 「なんでいねえんだ」

 

 「アイツ見たかったのに」

 

 「でもツナヨシの戦いがまた見られるのか」

 

 「あの子ことまた見たかったのよね」

 

 ナツと綱吉の交代に観客の反応は期待と残念が半々といったところだった しかしこれから戦う敵チームは

 

 

『蛇姫の鱗』

 

ジュラ「ナツ殿に代わりにツナヨシが出てきたか」

 

リオン「アイツが出て来るとはな」

 

シェリア「ジュラさんと互角の戦いをした人だよね」

 

リオン「ああ アイツが出るならまだナツの方がましだった ナツの方は強いが馬鹿だったが、アイツの恐ろしさは炎魔法でも武術でもなく柔軟さにある」

 

シェリア「柔軟さ?」

 

 リオンの言葉に理解出来ずシェリアは首を傾げる

 

リオン「アイツに造形魔法を教える時、模擬戦を何度かやったから分かる アイツは相手や状況、地形に応じて戦闘スタイルを変えていく厄介な戦い方をする奴だ アイツほど戦い難い奴はいない」

 

ジュラ「うむ わしも戦ったからこそ分かる ツナヨシは一つの戦い方に拘らない対応力のある男だ」

 

 リオン、ジュラの説明にシェリア、ユウカ、トビーは生唾を飲む

 

ジュラ「皆、ツナヨシと戦うことになったら気を引き締めてかかれよ」

 

リオン・シェリア・ユウカ・トビー「「「「はい!」」」」

 

 

『人魚の踵』

 

カグラ「あの少年か・・・(要注意なのはMPFを破壊したあの拳の技だな だが技の弱点はもう分かった 十分勝機はある)」

 

 

『四つ首の仔犬』

 

ロッカー「バッカスさん アイツっすよ!」

 

バッカス「ああ ようやく来やがったかぁ あの野郎、勿体つけやがって  おうオメェら アイツは俺の獲物だ手ェ出すんじゃねえぞ」

 

ロッカー・イェーガー・ノバーリ・セムス「おっ押忍!」

 

 

『青い天馬』

 

一夜「ナツ君代わりに彼が来たか」

 

イヴ「ナツはどうしたんでしょうか?」

 

レン「さあな どっちにしろ厄介なことに変わりねえよ」

 

ヒビキ「一夜さん どうします?」

 

一夜「案ずることはない 私に任せたまえ」

 

 

『剣咬の虎』

 

ローグ「ナツ・ドラグニルがいない?」

 

スティング「いいよローグ いないのならいないで構わない それにアイツだって厄介な奴だ 切り替えよう」

 

 

 綱吉がメンバーに入ったことに〝疑念〟より〝警戒心〟の方が強かった

 

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

ドロイ・ジェット「「エルザーッ!!」」

 

マカオ・ワカバ「「ガジルー ぶちのめしてやれー!」」

 

ジュビア「グレイ様ー! 頑張って下さ〜い!」

 

フリード「ラクサス‼︎ その勇姿を見せてくれ‼︎」

 

カナ「ツナー! ナツの代わりに出たんだから、しっかり頑張んなさいよー」

 

エルフマン「そうだぞ! ツナ!! 漢を見せてやれぇ!」

 

 『妖精の尻尾』の応援席からは5人に向けて声援が送られていた 皆が声援を送っている中マカロフとメイビスが真剣な顔をして話し合っていた

 

メイビス「二面作戦とは考えましたね 六代目」

 

マカロフ「考えたのはツナです 儂はその案を許可しただけ」

 

メイビス「ツナが そうでしたか・・・」

 

マカロフ「大魔闘演舞に優勝すれば合法的にルーシィを返してもらえる それならそれで構わん  しかしすべてを信じきる事は出来ん だが正面から力づくでルーシィを取り返せばツナの言うようにそれこそ儂らは王国に牙剥いた犯罪者集団になってしまう 故に」

 

メイビス「密かに潜入し救出すると」

 

マカロフ「ええ 皆が大会に夢中になっている今が好機 されど向こうも救出しに来ることは読んでおりましょう あとはアイツらを信じて待つのみです」

 

 マカロフは空を見上げてナツ達のことを思い浮かべた

 

 

闘技場

 

グレイ「なんだツナ 交代早々注目されてんじゃねーか」

 

綱吉「うーん 喜んでいいのか、どうか」

 

 綱吉は敵チームから注目されていることに対し、複雑な気持ちだった

 

エルザ「警戒するということはそれだけお前のことを強敵として認めていると言える 喜んでいいんだぞ」

 

綱吉「・・・分かった ありがとうエルザ」

 

 エルザの励ましに綱吉は笑顔で答えた

 

ガジル「しっかしあのバッカスって野郎 随分お前のことギラついた目で見て来やがるな」

 

 ガジルに言われ見てみると、たしかにギラついた目で綱吉のことを見ていた

 

エルザ「やはりバッカスはお前に狙いを定めたみたいだな」

 

グレイ「大丈夫か?エルザと同等なんだろ」

 

綱吉「大丈夫! 負けるつもりは更々ないよ」

 

 心配するように声を掛けてきたグレイに綱吉は力強く答えた

 

ラクサス「ならあの拳法野郎はお前に任せる 勝って来いよ」

 

綱吉「ああ! 任せといて」

 

 皆で話しているとチャパティから各チームは移動するようアナウンスが言い渡される

 

 

 チャパティの説明によるとバトルフィールドはクロッカスの街全域、各チームは街に分散して待機している 各々街中を駆け巡り、敵と出会ったら戦闘となる

 

 勝敗は相手を気絶、戦闘不能又は降参させるとそのギルドに直接1pt加算される 各チームにはリーダーが1人いて、リーダーを倒すと5pt加算される

 

 ちなみに今現在の各ギルドのptを確認しておくと

 

1位 『妖精の尻尾』45pt

 

2位 『剣咬の虎』 44pt

 

3位 『人魚の踵』 40pt

 

4位 『蛇姫の鱗』 35pt

 

5位 『青い天馬』 30pt

 

6位 『四つ首の仔犬』 15pt

 

 

 こんな感じである

 どのチームにも優勝する可能性がある 

 

 

 

クロッカス 『妖精の尻尾』の待機場所

 

 

エルザ「よいか 私達は優勝するしかないんだ ルーシィ達を助ける為に」

 

綱吉「ナツ達が無事救出してくれれば」

 

ガジル「それに越したことはねえが」

 

グレイ「だとしても優勝にはもう一つの目的もある」

 

ラクサス「7年間、苦い思いをしたギルドの奴等のためにもな」

 

 綱吉達は気合いを入れるのか、円陣を組む

 

 

 そして試合開始の銅鑼が鳴る

 

チャパティ『栄光なる魔の頂は誰の手に‼︎ 大魔闘演舞‼︎ 開始です!!』

 

 

エルザ「行くぞ!!!」

 

綱吉達「「「「オオッ!!!」」」」

 

 

 

 試合が始まるとやはり分散して各個撃破に動くチームが多い 戦闘能力の高い『剣咬の虎』は1人で動くようだ 他にも『青い天馬』のレン、ヒビキ、イヴの3人1組、『蛇姫の鱗』のユウカ、トビーの2人の1組がある

 

 しかし何故か『妖精の尻尾』は目を瞑り動かない 観客や感知能力に長けた者がそれに疑問を覚える

そんな中もうすでに敵同士で接触し戦闘しているところが

 

 

ユウカ「俺が封じている間に」

 

トビー「おおーん!!」

 

ノバーリ「ぐはぁっ‼︎」

 

 『四つ首の仔犬』ノバーリ戦闘不能 『蛇姫の鱗』+1pt→36pt

 

 

レン「女子と当たるなんてついてない」

 

ヒビキ「いや、全くだよ」

 

イヴ「2人ともっ」

 

『人魚の踵』アラーニャ・ベス「「きゃあああ」」

 

 『人魚の踵』アラーニャ、ベス共に戦闘不能 『青い天馬』+2pt 32pt

 

 

 

 『四つ首の仔犬』のセムス、ロッカーもリオンとジュラに倒される 

 

 『蛇姫の鱗』+2pt 38pt

 

 

 

 次々とポイントが変動していくがそれでも『妖精の尻尾』のメンバーは誰1人として動いていない そのことに応援席にいた『妖精の尻尾』の皆は何故動かないのか?と怒っていた

 

 

 

『蛇姫の鱗』応援席

 

オーバ「このゲーム! ジュラがいる限りワシ等に負けなんてないじゃないかっ! アッハッハッハ!」

 

 『蛇姫の鱗』マスター・オーバの発言に観客も納得してしまう

 

 

 

クロッカス

 

ユウカ「そうさ リオンとジュラがいれば俺たちは無敵!」

 

トビー「シェリアも強えしな」

 

 2人が話しながら歩いているとバッカスが現れた

 

バッカス「さぁて そいつァはどうかねェ」

 

ユウカ「バッカス⁉︎」

 

 戦闘になるかと思われたが、上空から誰か降りてくるのをバッカスが気づく

 

バッカス「おおっとぉ!」

 

スティング「!?」

 

 バッカスは自分に向かって来るのに気づくと横っ跳びして躱す 上空から攻撃してきたのはスティングだった

 

 

チャパティ『スティングが来たーッ!! しかしバッカス直前で避けた!』

 

 スティングの登場に観客は盛り上がる

 

 

バッカス「危ねえ危ねえ いきなりやられるところだったぜ」

 

トビー「スティング!」

 

ユウカ「バッカスにスティング 面倒な」

 

 スティングの乱入に三つ巴の戦いになりそうでユウカとトビーが悩んでいると

 

ユウカ「なっ!?」

 

トビー「おわっ!?」

 

 カグラが背後から2人に斬りかかり、倒した

 

 『蛇姫の鱗』ユウカ、トビー 戦闘不能 『人魚の踵』+2pt 42pt

 

 

バッカス「おおっ!」

 

スティング「!」

 

 カグラはすかさずバッカス、スティングに狙いを定めようとするが

 

カグラ「いない・・・逃がしたか」

 

 もうすでに2人の姿はなく、その場から互いに別方向に離脱していた

 

 

バッカス(アイツ等とやってもいいが、俺が1番やりてえのはアイツだからなァ それまでは温存しとくぜ)

 

 

スティング「・・・」

 

 スティングがカグラの前から消えたことを放送で聞いたミネルバは

 

ミネルバ「それで良い カグラとジュラは避けよ 消耗するだけと知れ(バッカスはツナヨシを狙っておったな 丁度いい潰し合わせれば良いか あと厄介なのはラクサスとエルザか・・・)

 

 

ミリアーナ「みゃーっ!!」

 

ロッカー「この女、中々やりやがる」

 

 ミリアーナとロッカーが戦っていると、ロッカーに向かって黒い電撃が放たれてきた

 

ロッカー「ぎゃあああ」

 

ミリアーナ「みゃっ⁉︎ こ、これって」

 

 ミリアーナが黒雷が来た方向を見ると

 

オルガ「さて これでポイント貰えんだよな」

 

 『四つ首の仔犬』ロッカー戦闘不能 『剣咬の虎』+1pt 45pt

 

チャパティ『並んだーッ! オルガによって『剣咬の虎』、『妖精の尻尾』と並んだーッ!!』

 

オルガ「お次は」

 

 オルガは次に近くにいたミリアーナに狙おうとしたが

 

ミリアーナ「みゃっ⁉︎ こ、ここは退散っ!!」

 

 ミリアーナは一目散に屋根に上がり逃げて行った

 

オルガ「逃げ足の速えこった まっ別にいいがな」

 

 

チャパティ『『剣咬の虎』が『妖精の尻尾』と並び、『人魚の踵』と『蛇姫の鱗』もどんどん追い上げていきます! 目紛しく動く点数! しかしそれでも『妖精の尻尾』動かない!!」

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

マカロフ「何をしている!ルーシィを助けるために勝たなきゃならんのだぞ!」

 

メイビス「だからこそ だからこそ冷静にならねばなりません」

 

マカロフ「!?」

 

メイビス「私はこの四日間で敵の戦闘力、魔法、行動パターン、全てを頭に入れました それ等を計算し何億通りもの戦術をシミュレーションしました」

 

レビィ「しょ、初代?」

 

ロメオ「一体・・・何を言って・・」

 

 メイビスの言っている意味がわからない皆はただ疑問を投げかけることしか出来なかった

 

メイビス「敵の動き、予測と結果、位置情報 ここまで全て私の計算通りです 作戦は既に伝えてあります」

 

 メイビスの言葉と同時に今まで目を瞑っていたメンバーたちが目を開く

 

メイビス「仲間を勝利へと導く それが私の〝戦〟です」

 

 メイビスの顔つきが今までのような優しい顔ではなく、戦いの顔に変わる

 

メイビス「妖精の星作戦発動!!!」

 

 

クロッカス

 

綱吉たち「「「「「了解!!!」」」」」

 

 メイビスの言葉に応え、5人は駆け出した

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

38話

お待たせしました


 綱吉たちがクロッカスで駆け出した時、華灯宮メルクリアスでは

 

華灯宮メルクリアス

 

 メルクリアス門前にナツとウェンディを連れた兵士がやって来た

 

兵士A「おい 何だそいつ等は?」

 

兵士C「『妖精の尻尾』の魔道士のようです 侵入しようとしてたみたいでして あの妖精の娘を助けに来たのでしょう」

 

兵士B「わざわざ来るとは どうする?」

 

兵士A「陛下も国防大臣もいないしな 牢に入れるしかないだろ」

 

兵士C「了解」

 

兵士B「ん?おいっ」

 

兵C「っ! な、何でしょう」

 

 兵Cはナツ、ウェンディを連れて行こうとするが兵Bに止められ、顔が強張る

 

兵B「牢はこっちだ」

 

 兵Bは牢のある方を指差す

 

兵士C「あっそっちでしたか すみません 此処に最近配属されたばかりで」

 

 兵士Cは言われた方へ歩いていき、城内に入っていく

 

 城内に入ると兵士の顔がどんどん変わっていき、兵士の顔がミラに変わった

 

 そして人気のない所に行くとナツとウェンディも閉じていた目を開いてニヤリと笑う

 

 

 ナツたちは無事城内へ侵入したのだった

 

 

 

クロッカス

 

チャパティ『妖精の尻尾が動いたー!!』

 

 綱吉たちは一斉に各地に散らばる しかしそこへ感知能力の優れたルーファスの索敵に引っかかる

 

ルーファス「見つけた 私の索敵能力を侮ってもらっては困るね まとめて片付けて差し上げよう」

 

 ルーファスは魔力を高める

 

ルーファス「記憶造形 星降ル夜ニ!!」

 

 ルーファスから放たれた光弾七発は正確にメンバーに向かって落ちていく

 

 

妖精の尻尾 応援席

 

レビィ「あの魔法は!」

 

カナ「初日に敵全員を倒した魔法だよ!」

 

 ルーファスの出した魔法に皆慌てているが

 

メイビス「上空に光を目視してから2秒以内に躱せます そしてこの魔法の属性は〝雷〟 ラクサスだけはこれをガードを」

 

皆「えっ・・・」

 

 メイビスだけは慌てず、次に何をすべきか説明していく

 

 

クロッカス

 

エルザ「!」

 

 

ガジル「はっ」

 

 

グレイ「2度も同じ手喰らうかよ!」

 

 

綱吉「おっと」

 

 

ラクサス「こんなモン避けるまでもねぇ」

 

 綱吉たちはメイビスの言うようにルーファスの魔法を躱し、ラクサスだけは受け止めた

 

ルーファス「何っ!? 受け止めた!?」

 

 ラクサスの行動にルーファスは動揺する その間にも各自それぞれの場所へ向かい

 

エルザ「初代の言った通りだな 恐ろしいお方だ」

 

ジェニー「げーっ!エルザ!?」

 

 エルザは刀を振るいジェニーを倒す

 

ジェニー「いやーん!」

 

 『青い天馬』ジェニー 戦闘不能 『妖精の尻尾』+1 46pt

 

 

 ガジルはヒビキ、レン、イヴの3人と接触し

 

ガジル「悪りィな 兄ちゃん!」

 

イヴ「うあっ」

 

レン「ぐっ」

 

 咆哮でイヴとヒビキを倒す

 

 『青い天馬』イヴ、レン 戦闘不能 『妖精の尻尾』+2 48pt

 

レン「くそっ ヒビキ!お前だけでも逃げろ!」

 

ヒビキ「すまないっ!」

 

 ヒビキはなんとかその場から離脱するが、逃げ込んだ所にグレイが待ち構えており、やられてしまう

 

ヒビキ「一夜さん 申し訳ありません」

 

 『青い天馬』ヒビキ 戦闘不能 『妖精の尻尾』+1 49pt

 

 

一夜「うむ 任せたまえ!」

 

 力強く答えた一夜は、ジュラと対峙していた

 

一夜「さあ ジュラさん 遂に我々の雌雄を決する時がぽぎゃっ!?」

 

ジュラ「む」

 

 2人が戦うかに思われたが、そこへ地面から蛇のように影が近づき、影からローグが出て来て一夜に一撃を見舞った

 

 

チャパティ『あ〜っと『剣咬の虎』ローグ! 『青い天馬』リーダー一夜を倒し5pt獲得だーッ!』

 

 『青い天馬』リーダー 一夜 戦闘不能 『剣咬の虎』+5 50pt

 

 

 そしてローグは一夜を倒すと再び影となって、ジュラと戦わず離脱した

 

ジュラ「一度も交えずに退くとは・・・」

 

 ジュラもまた戦う敵を探すべくその場を後にした

 

 

 また別の場所では、シェリアがリズリーを倒していた

 

シェリア「ごめんね」

 

リズリー「人魚なめちゃいけないよ!」

 

 『人魚の踵』リズリー 戦闘不能 『蛇姫の鱗』+1 39pt

 

実況席

 

チャパティ『『剣咬の虎』が再び一位になりましたね〜』

 

ヤジマ『これで『青い天馬』は全滅か』

 

カボー君『盛り上がって来たカボー!』

 

 『剣咬の虎』が一位になったことで観客も実況席も盛り上がっていた、とくにカボー君が盛り上がっていた

 

 

華灯宮メルクリアス

 

 その頃ナツ達は無事にルーシィ達のいる牢にたどり着いていた

 

ルーシィ「ナツ! みんな!」

 

 ナツは熱で檻をこじ開け、ルーシィ達を牢から出した

 

シャルル「あとはどうやって脱出するかね」

 

リリー「出来ることなら誰にも見つからず城を出たいな ツナの言ったように戦闘はなるべく避けるべきだろう」

 

ミラ「でも潜入した時のように兵士に変装する方法は使えないし、どうしようかしら・・・」

 

ルーシィ「待って 私達の鍵が盗られたままで」

 

 皆が考えているとハッピーが何か閃いたように

 

ハッピー「あっ 荷馬車ってどう? ミラに兵士に変装してもらってオイラたちは積荷の中に隠れるっていうのは?」

 

ナツ「おおっ ハッピー ナイスアイデア!」

 

ハッピー「でしょう えへへ」

 

 ナツに褒められハッピーは嬉しそうに頭をかいていた

 

リリー「積荷を調べられたら?」

 

ハッピー「え?」

 

リリー「城の連中にとって大事なこの時、態々何処かへ届けに行くとは考え難い 不審に思うのが当然だ 積荷を調べられ見つかったらアウトだぞ」

 

ナツ「そうなったら戦うしかねーだろうが」

 

 ナツのやる気満々の発言にシャルルが

 

シャルル「忘れたの? 王国に手を出せば私たちは逆賊、つまり闇ギルドになる恐れがあるのよ 戦闘は本当に最後の最後の手段にしろとツナに言われたでしょう」

 

ナツ「ぐっ ならどうすんだよ! 此処にいつまでもいるわけにはいかねーだろ!」

 

ウェンディ「ナツさん 落ち着いて(私も荷馬車の案考えてたけど、言わなくて良かった・・・)

 

リリー「どうするか それを考えてるところだろうが」

 

ルーシィ「いやだから まず鍵を取り返しに」

 

 皆でどう城から脱出するか考えていると突然

 

 

 ガコンッ

 

 床が開いたのだった 

 

ナツ「はぁっ!?」

 

ウェンディ「えっ!」

 

ミラ「地面が・・・」

 

 

皆「「「「「うわぁああああ」」」」」

 

 そのまま真っ逆さまに落ちていき、地面にぶつかった

 

ルーシィ「痛ーい」

 

ナツ「いてて くそっ 何処だここ?」

 

?「ようこそ 奈落宮へ」

 

ナツ「ア?」

 

リリー「誰だ?」

 

 落ちて来たナツ達に声が聞こえてきた 更に目の前の岩壁に女性が映し出された

 

?「見事に罠に掛かりましたね」

 

ハッピー「えっ」

 

シャルル「罠?」

 

 女性の罠という言葉に皆戸惑ってしまう

 

?「此処は奈落宮 罪人の行き着く最後の場所 そしてここから出られた者は誰一人としていない」

 

ナツ「なんだアイツ」

 

ユキノ「ヒスイ姫です この王国の」

 

 ユキノの言葉でようやくこの女性が姫だと知る一同

 

ヒスイ姫「そこで朽ちていくが良い 賊よ」

 

 そしてその言葉を最後に映像は消えていった

 

ハッピー「ど、どうする・・・」

 

ウェンディ「罠だったなんて・・・」

 

ミラ(そうだった ツナにあれほど言われてたのに)

 

 救出組のメンバーは綱吉に言われたことを思い出していた

 

 

 

ー回想ー

 

綱吉「皆、王国は俺たちが救出しに行くことを読んでいるって言っよね?」

 

ミラ「ええ 言ってたわ」

 

綱吉「なら警備も厳重にし、罠も仕掛けているはずだ」

 

ナツ「大丈夫だって! 心配すんなよ ツナ」

 

綱吉「ならナツお前が仮に敵の立場だったとして、お前なら何処に罠を仕掛ける?」

 

ナツ「おっおお? ん〜?」

 

 綱吉の思い掛けない質問にナツは悩んでしまう

 

綱吉「難しいか? ならもっとも油断、気を緩めてしまう場所は何処だ?」

 

ナツ「えっ」

 

リリー「牢か」

 

 綱吉の言いたいことが分かったのかリリーが答える

 

綱吉「そうだ 仲間を助けた時どうしても気を緩めてしまう それに例え城に入りバラバラに行動したとしても、最終的に牢に来ることは分かっているからな 全員揃ったところで一網打尽にすれば良い」

 

ミラ「ツナはどんな罠が仕掛けられていると思う?」

 

綱吉「そうだな ルーシィ達がいるフロアの大きさにもよるが大軍で待ち構えている場合、これが一つだな あとはガスもあり得る」

 

ウェンディ「ガスですか?」

 

綱吉「ああ 扉に封をしてしまえば、そのフロアは完全に密閉されてしまう そしたら毒ガスを散布すればお終いだ  ただこれは人質であるルーシィ達も巻き込んでしまうからな ルーシィ達にまだ何かやってもらう必要があるなら同じガスでも毒ではなく睡眠ガスを使うだろう これなら問題ないからな あとは眠ってる間に・・・」

 

 綱吉はそう言って自分の首に手を当ててトントンと叩いた

 

ウェンディ「ひぇ」

 

ミラ「ツナ 怖がらせちゃ駄目でしょっ」

 

 綱吉の説明にウェンディは怖がってしまい、ミラに綱吉は怒られてしまった

 

綱吉「悪かったよ ごめんよウェンディ」

 

ウェンディ「い、いいえ だ、大丈夫です」

 

シャルル「しかしアンタよくそんなえげつない方法思いつくわね」

 

綱吉「ん? まあ・・・色々あったからね」

 

 シャルルの問いに綱吉は寂しそうな顔をして答えた

 

綱吉「あと可能性があるとすれば・・・これだな」

 

 綱吉はそう言って靴で床を軽く叩く

 

ハッピー「床?」

 

綱吉「ああ 落とし穴だ 一見単純に見えるかもしれないが、引っ掛かりやすいだぞ 目の前に仲間がいればどうしても目は前を向いて足元を見ないからな あとは穴の底に槍を仕掛けてグサリと・・・」

 

ウェンディ「ヒィッ」

 

ミラ「だから怖がらせちゃ駄目でしょ!」

 

綱吉「はい すいません・・・」

 

 ミラに怒られ、綱吉はしょんぼりする

 

綱吉「まぁ 今のは一つの案として、落ちた先が地下施設っていう可能性もある」

 

ウェンディ「地下施設、ですか?」

 

綱吉「大抵大きい組織の建造物には地下施設があるものなんだよ ただそこがどんなところで何があるかまでは分からないけど」

 

ミラ「何言ってるの これだけ助言を貰えれば十分よ」

 

ナツ「そうだぜ ツナ! 任せとけ!」

 

綱吉「・・・なら最後に 皆が行く場所は敵地で初めて行く場所だ 地の利は敵にある だから絶対に警戒心を解くな 壁、床、天井、扉に何か仕掛けられているんじゃないか?と常に疑え そしてそれはルーシィ達のいるフロアに着いた時こそ最大しろ 分かったな?」

 

救出組メンバー「「「「「おおっ!(ええ!・はい!)」」」」」

 

 綱吉の説明にナツ達は自信持って答えた

 

 

ー回想終了ー

 

 

 そして現在に至る

 

リリー「くそぉ! あれだけツナに注意されながら・・・元軍人として情け無い!」

 

 リリーは悔しさから両膝を着いて地面を殴っていた

 

シャルル「大体アンタが警戒心もなく牢に行ったのが悪いのよ」

 

ナツ「俺のせいだって言うのかよ⁉︎ 皆だって入って来ただろうが!」

 

ウェンディ「ちょ、ちょっと皆さん落ち着いてくださいっ」

 

 罠に掛かり皆が言い争いになり、ウェンディが止めに入る

 

ルーシィ「ねぇ ハッピー達に持ってもらって飛んでもらうのはどう? 開閉式の床ならミラさんやナツの攻撃で壊せるんじゃない?」

 

ミラ「無理ね」

 

ルーシィ「えっ?」

 

 ルーシィは提案にミラは即答し、床があった場所を指差す

 

ミラ「見て床は防護壁を張られてる 恐らく魔法による攻撃は無効化されるでしょう となると壁の厚みによるけど単純な素の力であの壁を壊さなきゃいけないわ」

 

ルーシィ「そんな」

 

ナツ「くっそーっ!! 出口は何処だーっ!!」

 

 

 ナツ達は地下施設の奈落宮で暫し時間を費やしてしまうことになるのだった

 

 

 

クロッカス

 

 グレイは王立図書館の前に来ていた そして図書館へ入って行く すると図書館の中央で誰かが椅子に座って読書していた

 

グレイ「此処に来ればアンタに会えると聞いたが、流石初代」

 

?「これはこれは 記憶は君のことを忘れかけていた 思い出させてくれるかな?」

 

グレイ「無理に思い出す必要はねえや お前はここで終わりだから」

 

 その人物はルーファスであった

 

チャパティ『図書館エリアで『妖精の尻尾』グレイと『剣咬の虎』ルーファスが激突だーっ!』

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

ロメオ「これも初代の読み通りなのか?」

 

メイビス「はい」

 

カナ「ならこの勝負、グレイが勝つんだね!」

 

メイビス「それは分かりません」

 

エルフマン「何!?」

 

メイビス「しかし勝たねばなりません ルーファスという者は『剣咬の虎』攻略の鍵なのです」

 

 メイビスは作戦会議のことを思い出していた

 

ー回想ー

 

ガジル「じゃ何か? そのルーファスってのが俺たちの位置を把握してるっていうのか?」

 

メイビス「その通りです」

 

エルザ「ならば先にルーファスを倒すべきだな」

 

綱吉「ならルーファスの相手は俺がしようか まだ見せてないのもあるし」

 

ラクサス「お前 まだ見せてないのがあんのか?」

 

綱吉「ああ 俺は用心深いから まだこの大会いや・・皆に見せてないのも幾つかあるよ それに手札が多ければそれだけ戦略も練られるし」

 

ガジル「オメェ どんだけ持ってんだよ」

 

メイビス「ならばツナにルーファスを」

 

グレイ「ちょっと待ってくれ」

 

 ルーファスを倒す役に綱吉が任されようとしたその時、グレイが立ち上がり待ったをかける

 

グレイ「その役目俺にやらせてもらえねぇか」

 

メイビス「貴方とルーファスの相性はいいとは言えません 勝てる可能性は・・・」

 

グレイ「相性がどうとか関係ねぇんだよ ルーシィを助ける そしてやられたカリを返す 『妖精の尻尾』の魔道士として戦わせてくれ」

 

エルザ「グレイ・・・」

 

 グレイの言葉に綱吉は笑みを浮かべ

 

綱吉「(リベンジ、果たしたいもんな・・・)初代 俺からも頼みます」

 

グレイ「ツナ」

 

綱吉「そこまで言うのならルーファスの相手は譲るよ でも負けたら許さないよ グレイ」

 

グレイ「はっ 負けねぇよ それに相手が同じ造形魔道士ならなおさらだ」

 

 メイビスはそんな二人のやり取りを見て微笑んでいた

 

ー回想終了ー

 

メイビス「時に思いは計算を超える 見せてください 貴方の想いを」

 

 メイビスは対面しているグレイとルーファスを見ていた

 

 

クロッカス・図書館

 

グレイ「行くぞ 仮面野郎!」

 

 グレイは戦闘態勢に入り、構えをとる ルーファスも読んでいた本を閉じ攻撃に備える

 

グレイ「アイス・メイク…『氷創騎兵』!」

 

ルーファス「記憶」

 

グレイ「逃がすかよ! 『氷撃の鎚』!!」

 

ルーファス「記憶」

 

 グレイは氷の槍を何本も撃ち込むがルーファスは跳んで躱し、グレイは更に追撃で巨大な氷の鎚を振り下ろすが躱されてしまう

 

グレイ「何をもごもごと言ってやがる」

 

ルーファス「記憶は武器になる 〝私は見たことのある魔法を〟を記憶し、その記憶を元に新たな魔法を造形できる」

 

グレイ「なんだそりゃ」

 

ルーファス「君の記憶『氷』の魔法 オルガの記憶『雷』の魔法 覚えている 記憶造形 凍エル黒雷ノ剣!!」

 

グレイ「ぐはっ」

 

 ルーファスは上空より黒雷を落とし、更に雷が地面に触れると氷剣山が生まれた グレイは躱し切れず攻撃を食らってしまう

 

ルーファス「荒ブル風牙ノ社」

 

グレイ「くっ・・・『盾』!」

 

ルーファス「盾…記憶 そして 忘却」

 

グレイ「何っ!? 盾が消え・・ぐあぁあああ!」

 

 ルーファスは複数の竜巻を造りグレイに放たれるが、グレイはすかさず盾を造り防御する しかしルーファスによって盾が消されてしまい、もろに攻撃を食らってしまった

 

 

 

『妖精の尻尾』 応援席

 

リサーナ「ルーファスは新たな魔法をいくらでも造形できる」

 

カナ「だけどグレイは一度使った魔法は使えないっていうの?」

 

エルフマン「何だよそれ! 不利過ぎんだろうが!」

 

ジュビア「グレイ様・・・」

 

 皆ルーファスの魔法に驚き、ジュビアはグレイのことを心配そうに見つめていた

 

 

クロッカス・図書館

 

 グレイは吹き飛ばされながらもなんとか耐える

 

ルーファス「この戦いは私が君に詩う 鎮魂歌  記憶しておきたまえ 君は私に勝てない」

 

グレイ「そいつァ どうかな・・」

 

 グレイはボロボロになった服を放り投げた それによって女性観客は顔を赤くし、そして当然ジュビアも赤くし、鼻血まで流れていたとか

 

グレイ「『妖精の尻尾』の紋章を刻んでいるからには同じ相手に2度はやられねぇ」

 

 グレイは綱吉の言葉を思い出す

 

ー負けたら許さないよ グレイー

 

グレイ(当たり前だ それは俺自身も同じなんだよ)

 

ルーファス「ほう 何か策でもあると言うのかね」

 

グレイ「アイス・メイク・・・」

 

ルーファス「記憶」

 

グレイ「限界突破!!!」

 

ルーファス「!?」

 

 グレイは自分の周りに次々と高速で氷の剣を造形していく ルーファスはその造形の数とスピードに驚愕していた

 

ルーファス「これは・・・」

 

グレイ「覚えたかい」

 

ルーファス「記憶が・・・追いつかない・・」

 

 数の多さに加え剣一本一本違う為、ルーファスの記憶が追いつかず、グレイの造形が勝る結果となった

 

グレイ「一勢乱舞!!!!」

 

ルーファス「ぬぁああああ!」

 

 造形した大量の剣が一勢にルーファスへ襲い掛かり、ルーファスは躱しきれず氷漬けになってしまう

 

ルーファス「しかし! 氷属性だけなのが惜しい! 私はその氷を滅する炎を憶えている 記憶造形 燃ユル大地ノ業!!」

 

グレイ「!」

 

 ルーファスは氷漬けにされながらも造形魔法で橙色の炎の波を造り、氷を溶かしそのままグレイへ突っ込ませた

 

ルーファス「仲間の炎で倒されるのなら本望だろう!」

 

 グレイは炎に呑み込まれ、ルーファスは勝利を確信するが 

 

ルーファス「!?」

 

グレイ「アイツの炎はなァ こんな温い炎じゃあねぇんだよ!!」

 

 ルーファスは炎の中から現れたグレイに驚き、反応が遅れてしまう グレイは既に攻撃の態勢に入っていた グレイの脳裏には綱吉の炎が浮かんでいた

 

ルーファス(し・・しまった・・・間に合わ・・)

 

グレイ「『氷魔剣』!!!」

 

ルーファス「ぐあぁああああ!!」

 

 グレイはルーファスを2本の氷の剣でX字状に切り裂いた 斬られたルーファスはそのまま倒れ気を失った グレイは宙に舞ったルーファスの帽子を手に取り頭に被った

 

グレイ「覚えてんだよ アイツの炎は心にくる熱さがあるのをよ」

 

 グレイはそう言うと帽子を倒れているルーファスへ向けて投げて、背を向けて歩いていった

 

 グレイvsルーファス 勝者グレイ

 

 

 『剣咬の虎』ルーファス 戦闘不能 『妖精の尻尾』+1 50pt

 

 

 途中経過

 

一位 『妖精の尻尾』50pt 残り…5名

 

一位 『剣咬の虎』 50pt 残り…4名

 

二位 『人魚の踵』 42pt 残り…2名

 

三位 『蛇姫の鱗』 39pt 残り…3名

 

四位 『四つ首の仔犬』 15pt 残り…1名

 

 ✖︎  『青い天馬』   敗退

 

 




誤字脱字あったら報告お願いします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

39話

今回の綱吉の戦闘や勝ち方に疑問を覚える人もいるかと思いますが、パラレル綱吉だからと割り切ってもらえれば納得できるかと思います

原作綱吉ならまず取らない戦法ですので


実況席

 

チャパティ『あのルーファスが倒れたー‼︎ 勝ったのはグレイ! 妖精の尻尾のグレイだー!!』

 

ヤジマ『これで5人とも健在なのは妖精の尻尾だけになったね』

 

カボー君『うわーん! 無敗のルーファスが〜』

 

 『剣咬の虎』を応援していたカボー君はルーファスの敗退にショックを受けていた

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

カナ「よっしゃーっ!!」

 

エルフマン「さすがだぜ!」

 

ジュビア「グレイ様〜 最高です!」

 

マカロフ「よくやった グレイ!」

 

メイビス「見事でした」

 

 グレイの勝利に『妖精の尻尾』の皆は大盛り上がりで、メイビスは感嘆していた

 

 

クロッカス

 

 ルーファスの敗北はチャパティのアナウンスによって街中に知れ渡る

 

ミネルバ「崩れていくのか この『剣咬の虎が・・それともスティング・・・」

 

 ミネルバはルーファスが敗れても動揺も怒りもなく、余裕そうに笑っていた

 

 

 

 そして其処から離れた場所にスティングがいた スティングはマスター・ジエンマによってレクターが消された時のことを思い出していた

 

ー回想ー

 

 レクターが消された怒りからマスターのジエンマに拳を叩き込んだ時のことだった

 

ミネルバ「それで良い 父上の恐怖統制は今ここで終わりを告げよう 父上の力をも超えるスティングこそ新たなるマスター候補に相応しい」

 

ジエンマ「ミっミネルバ・・貴様・・・何を言って・・」

 

ミネルバ「黙るがよい 負け犬などいらんのだろう 自論に従うなれば」

 

ジエンマ「むぐっ・・・」

 

 ミネルバの言葉に反論しようとするが論破され言い返せなくなってしまう そしてミネルバはスティングの方を向き

 

ミネルバ「スティング そなたに無くナツという者にあるもの それこそが〝想いの力〟だ」

 

スティング「想いの力・・・」

 

ミネルバ「知らず知らずのうちに父上に感化されていたようだな〝仲間など要らぬ〟〝力こそ全て〟と  だがそなたの本質は違う レクターを想う気持ちが力となる そなたはその力を手に入れたのだ そなたはナツをも超える」

 

スティング「お嬢・・・俺はもう・・・」

 

ミネルバ「案ずるな レクターは生きている」

 

 ミネルバはレクターが消される直前に空間魔法で逃がしておいたと言う レクターが生きていると知ったスティングは号泣しながらミネルバに礼を言う 

 

スティング「ありがとう‼︎ありがとうお嬢‼︎ 早くレクターを元に戻して・・・」

 

 ミネルバはスティングに近づき、冷たい目をしながら

 

ミネルバ「甘えるな」

 

スティング「!?」

 

 ミネルバは大魔闘演舞で優勝するまでレクターを返す気はないと言う スティングは今すぐ返してくれと懇願するが、頼みを聞いてもらえず

 

ミネルバ「妾は父上とは違う しかし『剣咬の虎』のあるべき姿が天下一のギルドであることに変わりはない そなたは手に入れた力を証明せねばならん 勝つことで民に力を誇示せねばならん」

 

 ミネルバは忠告として最後に

 

ミネルバ「愚かな考えなど起こすでないぞ レクターの命は妾が握っているものと知れ」

 

 負けることはもちろん、秘密裏に助けること、誰かに助力を求めることも許されない スティングに残されたのは勝つことのみであった

 

ー回想終了ー

 

スティング「レクター・・・大丈夫だ 俺は必ず優勝する」

 

 

 

 

 また別の場所では綱吉が住宅街を走っていた

 

綱吉「勝ったか グレイ  さて俺もそろそろか・・・」

 

 綱吉は走るのやめ、辺りを警戒しながら歩いて行く 綱吉はメイビスからルーファスの次にシェリアを倒すよう言われ、その相手にかって出たのが綱吉だった

 

綱吉「(回復役でもある彼女は早めに倒しておきたいからな 何よりジュラさんを回復されたら厄介だ)・・・!」

 

 綱吉は何か来るのを察したのか左前方にある建物の屋根の上を見る するとシェリアが屋根の上よりやって来た

 

シェリア「あっ 貴方はツナヨシ!」

 

綱吉(来たか)

 

 綱吉は戦闘態勢に入り、額に炎と両手にグローブを纏わせる しかし構えはボクシングなどの武の構えではなかった シェリアは右手に魔力を集中し黒い風を纏わせ

 

シェリア「いっくよ〜 天神の舞!!」

 

 シェリアの黒い風は綱吉へと放たれたが、綱吉は難なく躱し、両手のグローブに炎を纏わせる

 

綱吉(さて やるか)

 

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

エルフマン「次はツナか!」

 

マックス「相手は滅神魔道士のシェリアか」

 

カナ「この対戦も初代の読み通りなの?」

 

メイビス「はい シェリアの治癒能力は厄介です 戦いが後半になればその能力は脅威になります なので早めに退場してもらいます」

 

 メイビスの説明に納得が行くメンバーの面々

 

ビッグスロー「だけどよ 相手のシェリアはガキで女だぜ ツナには厳しいんじゃねぇか」

 

フリード「たしかにツナは女性や子どもには特に優しく接しているからな 心配もある」

 

 フリードやビッグスローがシェリアの相手に綱吉をぶつけたことに心配するが

 

リサーナ「いや・・・大丈夫だと思うよ・・・」

 

レビィ「えっ?」

 

エルフマン「ああ そんな心配要らねぇ」

 

カナ「アイツ 普段は優しいけど戦いになると途端に厳しくなるから(アイツの信条に戦いの中に男女差別は無いらしいからね)」

 

 カナとリサーナは修行の時に綱吉にボロボロにされてまで鍛えられたことを思い出して、若干引いていた 

 

 

 

クロッカス

チャパティ『ああ〜っと 今度はツナヨシとシェリアたんが戦うようだ! 個人的にはシェリアたんに頑張ってもらいたいところです!」

 

 

綱吉「(シェリアたんって・・・まずは様子見)フレアメイク・大蛇」

 

シェリア「!」

 

 綱吉は炎の大蛇を造形してシェリアに突っ込ませる

 

シェリア「天神の鎌鼬!」

 

綱吉(ほお)

 

 鎌鼬によって大蛇の首を斬り落として、跳び上がり

 

シェリア「天神の北風!!」

 

綱吉「フレアメイク・盾!!」

 

 シェリアは両手から黒い風を巻き起こしたが、綱吉の炎の盾に防がれてしまう

 

シェリア「ならっ」

 

 シェリアは綱吉へと近づき接近戦に持ち込もうとする

 

 シェリアは拳や蹴を連撃するが綱吉はそれを受け流していく

 

 

チャパティ『シェリアたん!怒涛の攻撃をしていくが、ツナヨシ見事に全て受け流しているーっ!』

 

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

ビッグスロー「おいおいっ ツナの奴なんで攻撃しねぇんだよ!?」

 

レビィ「やっぱり女の子だから攻撃出来ないのかな?」

 

リサーナ・カナ「「いやいや それはないから」」

 

メイビス「ツナの今の状態は言うなれば〝見〟の状態です」

 

ロメオ「ケン?」

 

 メイビスの言葉にロメオは首を傾げた

 

メイビス「見とは言葉通り見ると言う事 ツナは今シェリアの戦い方を見てそれに対する戦い方を練っているのでしょう ツナの戦法は相手の全てを見て分析し、それに見合った戦い方をするというものでしょう」

 

レビィ「たしかにツナって序盤はあんまり自分から攻めたりしないで、守りに徹してた」

 

フリード「年齢の割に賢いからな アイツ」

 

カナ「ゴリ押しのアンタとは違うね〜」

 

エルフマン「うるせえよっ!」

 

 

 

クロッカス

 

綱吉(そろそろいいかな)

 

ガシッ

 

シェリア「っ!?」

 

 綱吉はシェリアの拳の連打を見切り、両手で両手首を掴んだ ここで二人は僅かな膠着状態になる

 

綱吉「言っておくけど、俺は相手が女の子だからって手加減しないよ」

 

シェリア「うん 良いよ! 私も男女差別嫌いだし!だから私のことも呼び捨てでいいよ!」

 

綱吉「あ、ああ・・・(中々フレンドリーな子だな・・・)」

 

 シェリアは振り払おうとするが、振り払えず離れることが出来ずにいた 並の魔道士なら苛立ちや苦しい表情を見せるはずだがシェリアは笑みを浮かべた それは強敵に出会えた喜びであったから

 

シェリア「ねぇねぇツナヨシ アレはやらないの?」

 

綱吉「アレ?」

 

シェリア「ジュラさんの時やMPFの時にやったアレだよ!」

 

綱吉「(ああ〜ボクシングとムエタイね)ああいうのはここぞって時に使ってこそ意味があるからね」

 

シェリア「ふ〜ん じゃあまだ本気じゃないんだ」

 

綱吉「・・・まあ そうなるね(それは君もだろう)」

 

シェリア「ならっ 絶対に本気にさせてあげる!」

 

 シェリアはやる気に満ちた顔を見せる そして膠着状態は終わりを告げ動き出す

 

 シェリアは空気を吸い

 

シェリア「天神の・・・」

 

綱吉「!」

 

シェリア「怒ご・・」

 

パァン!

 

シェリア「えっ!?」

 

 シェリアは超至近距離からブレスをやろうとしたが、気づいたら地面に倒されていた

 

綱吉「こんな至近距離でしかも相手の体勢も崩してないのに撃たせるはずがないだろう」

 

 綱吉はブレスが放たれる直前にシェリアの右足首を払ってそのまま地面に倒したのだ そうこれは柔道の出足払 投げ技の一つである

 

 綱吉はボクシングとムエタイを鍛えて、ある答えに辿り着いた それはこのままいってもいずれ勝てなくなると言うものだった 体格に恵まれていない自分が〝打〟だけで勝つのはほぼ無理だろう ならばどうするか〝複合〟で勝てば良い 〝打〟も〝極〟も〝絞〟も〝投〟も全部覚える それが考え抜いた答えだった

 

 綱吉は〝打〟だけの天才にあらず、〝武〟の天才なのである ただ拳や蹴りをする者としっかりと格闘技をマスターした者とでは雲泥の差がある その格闘技に加え炎魔法も昇華させた綱吉は魔道武人と言うべきか

 

 

 

 倒れたシェリアに右足で蹴りを叩き込もうとするが、シェリアは咄嗟に両腕でガードする

 

シェリア「ぐっ! 天神の鎌鼬!」

 

 シェリアはガードごと吹き飛ばされてしまうが、吹き飛ばされながらも技を放った

 

綱吉「フレア・カノン!」

 

 二人の技は中央でぶつかり合い、四方八方へと爆散して、シェリアの腕や肩に炎が当たり火傷を負い、風の刃が綱吉の身体に複数あたり血が滲む しかしシェリアは治癒能力で火傷を治してしまう 綱吉はそれを黙って見ていた

 

 シェリアは両手両足に黒い風を纏わせ、綱吉に接近して

 

シェリア「天空乙矢!」

 

 黒い風を纏わせた蹴りを打つが躱されてしまう

 

シェリア「天空星矢!」

 

 今度は拳を打ち込もうとするが

 

綱吉(ここだ!)

 

シェリア「えっ・・・あ゛あ゛っ!」

 

 綱吉はシェリアの左拳を躱して、アームロック(腕絡み)した

 

 アームロックとは片手で相手の片手首を掴み、もう片方の手を相手の肘の下を通す形で自分の前腕を掴み捻り上げ、肘や肩を極める関節技の一種である

 

シェリア「ああああ!! いたぁいぃいい!!」

 

 シェリアはあまりの痛みに悲鳴をあげてしまう

 

チャパティ『これは!? ツナヨシがシェリアたんの左腕の関節を極めているのか⁉︎ あまりの痛みにシェリアたんが悲鳴をあげているー!』

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

 容赦ない綱吉の攻めに皆若干引いていた

 

皆(((うわぁ〜)))

 

レビィ「女の子でも容赦ないね・・・ツナ」

 

リサーナ「あんなのまだ序の口だよ」

 

カナ「修行の時なんてありとあらゆる絞め技、極め技やられたからね・・・」

 

 

 

 

クロッカス

 

綱吉「ギブアップするかい?」

 

シェリア「だっ誰が・・・」

 

 シェリアは綱吉から降参するよう言われるが断り、どうにか脱出しよう考える そして足元に向かってブレスを放った

 

シェリア「天神の怒号!」

 

綱吉「おっと」

 

 バランスを崩してかけ綱吉は技を解き、一旦距離を取る 技を解かれたシェリアは左腕を押さえる 本来ならここで一気に畳み掛けるところ綱吉はシェリアが呼吸、体勢を整えるの待っていた

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

マカオ「なんで追撃しない⁉︎ チャンスだろ!」

 

ワカバ「ツナの奴何してやがる?」

 

メイビス(恐らくこれは・・・)

 

マカロフ(ツナめ 負けられぬ戦いだと言うのに 全く)

 

 

 

『蛇姫の鱗』応援席

 

シェリー「シェリア! 落ち着いて! 距離をとって戦うのよ!」

 

オーバ「・・・」

 

 追撃しない綱吉に皆不思議がっていたがメイビス、マカロフ、オーバは綱吉の意図に気づいていた

 

 

 

クロッカス  

 

綱吉「シェリア 君は強い だからこそ勿体ないと思う」

 

シェリア「勿体ない・・・?」

 

綱吉「君は回復出来るという理由からガードが疎かになっている 怪我をしてもすぐ治せるとそう思うから不用意に相手の間合いに入り返り討ちに遭ってしまう 今は問題無くてもこの先も大丈夫だと言う保証はどこにもない」

 

シェリア「・・・説教のつもり?」

 

 綱吉の指摘にシェリアは歯を噛み締め、怒りが湧いてくる

 

綱吉「説教なんていうつもりはない どう受け止めるかはシェリア自身だ それに・・・いずれぶつかったであろう壁を俺は教えただけだ」

 

シェリア「・・・」

 

 シェリアの怒りは爆発寸前であった 戦いの最中だと言うのに、敵に忠告されたのだ それは明らかに敵を下に見ていなければ出来ない言動であった 綱吉にその気はなくともシェリアはそう受けとった

 

綱吉(さて 先程の火傷、そしてさっきの腕絡み 本当に一瞬で回復出来るようだな だがあくまで回復出来るのは傷、ダメージだけ 体力までは回復出来ない そして攻略法も幾つか思いついた)

 

 綱吉はシェリアとは対照的に冷静に分析し策を練っていた

 

綱吉(まず①長期戦に持ち込む 体力、魔力が回復出来ないのなら長期戦に持ち込めば充分勝てる見込みはある・・・がこれはバトルロワイヤルである以上シェリア1人に時間も体力も魔力もそこまで費やす訳にはいかない これは没

 ②熱で倒す 周りの温度を急激に上昇させ熱中症を起こさせる・・・だがウェンディが状態異常を治せる以上シェリアも治せるだろう これも没

 ③闘気をぶつける 闘気をぶつけて萎縮させ戦意喪失させる・・・これも同じギルドにジュラさんがいるからあまり効果は薄い可能性がある 没

 となると やはり④で行くか・・・)

 

 綱吉のシェリアの倒す算段がつくと同時シェリアも動いた

 

シェリア「だっだったら!これならどう!!」

 

 シェリアは一気に魔力を放出する

 

綱吉(大技が来る あの技か・・・)

 

シェリア「滅神奥義!! 天ノ叢雲!!!!」

 

 シェリアはウェンディとの戦いで見せた奥義を出した 黒い羽が何層にも重なって渦を巻きながら綱吉へと迫る しかしシェリアの奥義を前にしても落ち着いていた

 

綱吉「怒りで力の焦点があっていない・・・これじゃあ本来の半分程度の威力しか出せないよ」

 

 綱吉はそう言うと右腕を上げ魔力を込める

 

綱吉「フレアメイク・琰龍!!」

 

 綱吉は造形魔法で東洋の龍を作り、天ノ叢雲に突っ込ませた

 

 両者の技がぶつかり大爆発を起こし、巨大な火柱が出る 

 

 

チャパティ『なんという威力!? 2人の技がぶつかり大爆発が起きるーっ!!」

 

 

 その火柱は当然他の魔道士の目にも入った

 

 

ラクサス「アイツも暴れてやがるな」

 

 

 

ジュラ「派手にやりおる」

 

 

 

カグラ「炎・・・ツナヨシ・サワダか」

 

 

 

ミネルバ「あれほどの炎 ツナヨシしか出せまい」

 

 

 そしてこの男の視界にも

 

?「おぉおぉ〜 随分と派手にやり合ってんじゃねぇか 俺が行くまでやられんじゃねぇぞ! ツナヨシィイイ!!」

 

 その男はそう叫びながら火柱が出たところを目指し駆けていった

 

 

 

 

 

 

シェリア「そっそんな・・・私の奥義が・・・」

 

 シェリアは唖然としていた 自分の出した奥義が防がれるとは思って見なかったのである シェリアが固まっている中、綱吉は駆け出し炎の中突っ込んでいった

 

チャパティ『なっなんと!? ツナヨシ炎の中に突っ込んだ! これは一体何を狙っているのか!?』

 

 

綱吉「シェリア 君は全力の本気を見せてくれた なら俺も本気を見せよう でも一つでも選択を間違えると一気に負けるからね」

 

シェリア「!」

 

 シェリアは炎の中に影が見えて、綱吉が炎の中にいるのを理解した 炎に飛び込んだことに驚くべきだが、今はそれどころではないと迎撃の構えをとる そして炎の中から何か飛び出して来た シェリアは撃ち落とそうとするが

 

シェリア「えっ!?」

 

 炎の中から飛び出したのは人型をした炎だったのだ 更にそれに続いて次々と人型の炎が飛び出してくる

 

綱吉「フレアメイク・兵士」

 

 炎の兵士たちは壁や地面を使って跳ね回り、綱吉自身も全身に炎を纏い高速で移動している そのためシェリアにはどれが本体か全く見分けがつかないでいた

 

シェリア「なっ何これ! 狙いが・・定まらない・・・」

 

綱吉「フレアメイク・・・」

 

 綱吉は手を翳す すると炎の兵士たちが別のものへと変わっていく

 

綱吉「蝙蝠!」

 

 炎の兵士たちは蝙蝠の大群に変わり一面を覆い尽くすほどの数となった

 

 視界を覆い尽くすほどの蝙蝠の大群にシェリアは驚き、なんとか前方だけでもと

 

シェリア「天神の怒号!!」

 

 ブレスによって前方にいた蝙蝠たちは消し飛ばされたその時背後から

 

綱吉「その手は悪手だったね」

 

シェリア「⁉︎」

 

 背後から聞こえた綱吉の声に、振り向こうとしたが

 

綱吉「遅い」

 

シェリア「かっ・・・は・・・」

 

 綱吉は素早く右手でシェリアの左腕を掴みそのまま持ち上げ、シェリアの上腕を利用して首を締め上げ、そして左手でシェリアの右腕を掴み背中側へ持ってきて抑えつけた

 

 首を締め上げられ、両腕を使えず、抑えつけられ両膝もつき移動も出来ない 綱吉の勝利は確実だった

 

シェリア(なっなんで 何を間違えた!? 苦しいっ・・・いっ息が…)

 

綱吉「あの蝙蝠の大群はただ目眩しさ あの蝙蝠自体に大した魔力は使ってない外見だけですぐ消えるからね 君は警戒すべきだった 死角から突いてくるのではないか?と」

 

 綱吉が説明をしてくれたがシェリアの心境はそれどころじゃなかった そしてある感情が生まれる

 

綱吉「今俺はかろうじて息ができるか出来ないかの状態を維持している もう君に戦うすべはない 降参するんだ」

 

シェリア「ぐっ・・ぎ・・・」

 

 ある感情 それは恐怖だった このまま締め上げられれば自分は死ぬんじゃないか という恐怖にシェリアはかられていた そして

 

シェリア「ギ・・・ギブ・・・アッ・・プ・・・」

 

 

チャパティ『ああ〜っと! シェリアたんギブアップを宣言!! この勝負 ツナヨシの勝利だーっ!!』

 

 勝敗がつき綱吉は両手を離す 解放されたシェリアは咳き込みながら呼吸をする

 

シェリア「げほっ・・げほっ・・ぜぇーぜぇー」

 

 シェリアは今涙を流していた その涙が助かったという安堵の涙なのか 自分の弱さに対する悔しさの涙なのかは分からない 綱吉にも後ろ姿しか見えないため分からないはずだが綱吉には泣いていると理解できた

 

綱吉(この戦い君にとって悔しいものだったことだろう だがこの負けは君強くする この悔しさを糧に強くなるんだ)

 

 綱吉はこの場を去ろうと歩き始める その時

 

シェリア「つっ次はっ・・・」

 

綱吉「?」

 

 シェリアが声を掛けてきたため綱吉は歩を止め、シェリアの方を向く

 

シェリア「次は 私が勝つ! 絶対負けないんだから!!」

 

 シェリアの目は涙が出ていても力強く、しっかりと綱吉を捉えていた

そんなシェリアのライバル宣言に綱吉は笑みを浮かべ

 

綱吉「ああ 俺も負けるつもりはない いい戦いをしような」

 

 綱吉はそう言って去って行った シェリアはそんな綱吉を黙って見つめ、そして両拳で地面を叩いた

 

シェリア「うっ・・うわぁああああん!!」

 

 シェリアにとって始めて本当の意味での敗北だった

 

 

 

 綱吉vsシェリア 勝者 綱吉

 

 

 『蛇姫の鱗』シェリア 戦闘不能  『妖精の尻尾』+1 51pt

 

 

『蛇姫の鱗』応援席

 

シェリー「シェリア・・・」

 

オーバ「これでいいんだよ」

 

シェリー「オババ?」

 

オーバ「これは本来私らがやらなきゃいけないことだったんだよ(全く マカロフのところに借りをつくっちまったね)」

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

レビィ「凄かったね! 圧勝だったよ!」

 

マカオ「極め技、絞め技まで使うとはな」

 

ワカバ「容赦なく攻めたのにはビビったがな」

 

フリード「勝負の世界に男も女も関係ないからな そこはツナが正しいのかもしれん ただ追撃せず相手が来るのを待っていたのが腑に落ちんがな」

 

メイビス「それは 恐らく稽古していたのでしょう」

 

エバーグリーン「稽古?」

 

 メイビスの言葉に皆疑問を覚える

 

メイビス「ええ シェリアの弱点を指摘し克服するよう促す 恐らく自分と年齢が近く潜在能力が凄かったから その力を引き出してもらいたかったんでしょう」

 

マカロフ「うむ 間違いなかろう」

 

マカオ「おいおい 勝てたからいいものの 危なかったんじゃねぇか」

 

マカロフ「じゃが それがツナの良いところでもあり悪いところでもある」

 

リサーナ「うん 修行の時も的確に良いところは褒めてくれるし、悪いところは治してくれるし」

 

カナ「なんていうか 戦いながら成長するって感じ?」

 

エルフマン「漢なれるな!!」

 

 実際に綱吉と修行して来たリサーナたちの話しを聞いてロメオは綱吉に更に憧れを抱き、画面に映る綱吉を尊敬の眼差しで見ていた

 

ロメオ(俺も早くあの場に立ちたい そしてツナ兄と戦ってみたい!)

 

 

 

 

クロッカス

 

綱吉「(心配は杞憂だったな)あの娘は強くなる・・・ッ!」

 

 綱吉が走りながらシェリアのことを考えていると、上から誰かやってきて綱吉の前に降り立つ

 

バッカス「見つけたぜ〜 ツナヨシィイ! さあ存分にやろうぜェ!!」

 

 バッカスは綱吉に向かって駆け出した

 

綱吉「フゥ(もう少し休みたかったんだけどな しょうがない)」

 

 綱吉もまたバッカスに向かって駆け出し

 

バッカス「ハァッ!」

 

綱吉「ラァッ!」

 

 2人は互いに右腕を振りかぶり、掌と拳がぶつかり合った

 

 

 

ー途中経過ー

 

一位 『妖精の尻尾』51pt 残り…5名

 

二位 『剣咬の虎』50pt 残り…4名

 

三位 『人魚の踵』42pt 残り…2名

 

四位 『蛇姫の鱗』39pt 残り…2名

 

五位 『四つ首の仔犬』15pt 残り…1名

 

 ✖︎ 『青い天馬』 敗退

 

 

 




次回は他のところの状況をやって、バッカス戦を書いていきます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

40話

奈落宮

 

 奈落宮へ落とされたナツ達は出口はないかと探して、岩壁の裂け目に通路があることを見つける 

 

ルーシィ「狭い〜」

 

ナツ「だけどここを抜けりゃあ」

 

 狭い通路を何とか通り抜け広場に出ると、そこにはアルカディオスがおり、更にナツ達を待ち伏せしていた部隊と遭遇する

 

アルカディオス「影から王国を支える・・独立部隊・・王国最強の処刑人 餓狼騎士団・・・」

 

 

カマ「餓狼騎士団 一五◯◯ 任務開始」

 

ナツ「処刑人だァ? 出口が向こうからやって来たぞ!」

 

ミラ「そうね 出口を教えてもらうのに丁度良いわ」

 

 ナツの言葉を合図にミラ、ウェンディ、リリーも前に出る

 

カマ「餓狼騎士団に臆さぬとは・・・無知なる罪人め」

 

 ここでナツ達と餓狼騎士団の戦闘が始まる そして

 

カミカ「紙吹雪 紫の舞‼︎」

 

 カミカの放った紫色の紙吹雪がナツ達の身体に貼り付き、身体の動きを封じた

 

ナツ「何だ!?」

 

ミラ「動けない!」

 

 身動きのとれないナツの上空へコスモスが召喚魔法で巨大な食虫植物を出す

 

ナツ「でかーっ!!」

 

リリー「すっ吸い込まれる⁉︎」

 

ハッピー「うわぁあああ」

 

 ナツ達は岩にしがみつき何とか耐える その間にウェンディが身体の拘束を解除した

 

ウェンディ「身体の不自由解除! 状態異常回復魔法 レーゼ‼︎」

 

ナツ「よっしゃ!」

 

ルーシィ「だけどアレ どうすんの!?」

 

ナツ「ぶっ壊す!!」

 

ミラ「OK!」

 

リリー「任せろ!」

 

ナツ「オオオオオオ!」

 

 食虫植物を破壊することに成功したが、爆発の影響で皆バラバラに飛ばされ、分断されてしまったのだった

 

カマ「どうやら先程の衝撃で方々へと散ってしまったようだな だが誰一人として生かして帰さん」

 

 

 

 

クロッカス

 

 シェリアを倒して休む間もなく、バッカスと対峙した綱吉 両者打撃のぶつかり合いで数メートル後退する

 

チャパティ『バッカスが来たーッ! ツナヨシ 休む間もなく連戦になってしまうが大丈夫か!?」

 

バッカス「待ってたぜぇ この時をよお」

 

綱吉「俺は別に待ってませんけど(エルフマンの時のように油断や慢心は消えてるだろうな その方がやり易かったんだが)・・・ふぅ」

 

 綱吉はこの戦いが激戦になることを予感し、小さく溜め息をついた

 

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

ジュビア「ツナさんの次の相手はバッカスさんですか」

 

マカオ「ここで勝ちゃあ一気に5ptだぜ!」

 

メイビス「いえ そう簡単にいかないでしょう」

 

リサーナ「でも あのツナが苦戦するとは思えないけど・・・」

 

ワカバ「エルフマンが二撃で倒した奴だぜ!」

 

 メイビスの言葉に皆疑問に思う

 

メイビス「エルフマンには悪いですが、あの時バッカスは過信、油断があったため実力の半分程度しか出せていませんでした 本来のバッカスの実力はあんなものではないでしょう この勝負どちらが勝ってもただではすまないでしょう・・・」

 

皆「「「・・・」」」

 

 メイビスの言葉に不安を覚える皆だった

 

マカロフ「ロメオ この戦いしかと良く見ておけ」

 

ロメオ「えっ」

 

マカロフ「シェリアの時のように最後の時に本気を出すんではない バッカスもS級魔道士 ツナも始めから本気で行くじゃろ お前がツナに憧れておるのは知っとる ならばしかとその目に焼き付けておけ 自分の憧れる漢の戦いをな」

 

ロメオ「・・・」

 

 マカロフの言葉を聞いてロメオは真剣な顔付きて画面に映るツナを見た

 

 

 

クロッカス

 

綱吉「戦う前に 一つ謝っていただきたいです!」

 

バッカス「あぁ?」

 

綱吉「エルフマンと戦う時、貴方は勝ったらミラとリサーナを一晩貸せと言った!そんな破廉恥なこと許さないし 何よりミラは俺の〝恋人〟だ!そしてリサーナは家族も同然! そんなこと俺が絶対させない!!」

 

 ビシッと指差して文句を言う綱吉 それを聞いていた会場の観客や魔道士は一瞬の静寂の後、悲鳴が広がる

 

チャパティ『なっななななんと! ミラジェーンとツナヨシが恋人関係にあることが宣言されました!! 会場はあまりのことに阿鼻叫喚です!』

 

ヤジマ『悲鳴を上げてるのは男性陣だけどね』

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

カナ「あの馬鹿・・・何もこんなところで言わなくても」

 

リサーナ「ミラ姉がこの場に居なくて良かったって思ってる・・・」

 

エルフマン「うぉおおおお!! 良く言ったぁツナァアア! それでこそ姉ちゃんの漢だぁああ!!」

 

ジュビア「ツナさん あそこまではっきり言えるなんて素敵です!」

 

 

 

クロッカス

 

バッカス「何だよお前っ あの綺麗な姉ちゃんの男なのか!?」

 

綱吉「・・・そうですけど それより謝罪を」

 

バッカス「ああ 悪かったよ」

 

綱吉「もっと誠意を込めて」

 

 バッカスにもっと気持ちを込めての謝罪を求めるも、バッカスは面倒くさそうに頭を掻き

 

バッカス「そうしてもらいてぇなら 俺を負かして見るんだな」

 

綱吉「・・・分かりました 是非そうさせてもらいます(ボコボコにしてやる)」

 

 バッカスは腰に下げてた酒を飲み干し、瓢箪を投げ捨てる

 

バッカス「うぃ〜 さあ 行くぜ〜」

 

綱吉「・・・」

 

 バッカスは構えを取り、綱吉も両手に魔力を集中させる そして

 

綱吉「フレア…」

 

バッカス「遅ぇえ!!」

 

綱吉「!(速っ)」

 

 綱吉が炎魔法をしようとした時、バッカスは一瞬で綱吉の懐に入り魔法の発動を封じ、右肩に強烈な一撃を叩き込んだ

 

 ボゴッ!!

 

綱吉「ッ!」

 

 攻撃を喰らった綱吉は右腕がだらりと下がってしまう その強烈な一撃は肩関節を外し脱臼させたのだ

 

 バッカスは更に第二撃目を叩き込もうとするが、綱吉はバッカスの左の掌底をしゃがみ込みながら前進で躱し、懐に入り込み左手で左腕を掴み、立ち上がりと同時に左手で引っ張るようにして地面に叩きつけた

 

綱吉(舐めるな!!)

 

バッカス「うぉあ!?」

 

 綱吉のやったこれは変形型の柔道の投げ技 肩車である

 

 バッカスを地面に叩きつけた綱吉は追撃せず数歩下がって、左手で右肩付近を掴み外された関節をはめ直した

 

 ゴキンッ!

 

綱吉「〜ッ!(あぁあああ やっぱり痛い!!)」

 

 無理矢理はめ直したことで苦痛で顔を歪ませる綱吉

 

 

綱吉「痛ッ!(痛みはある…が戦闘に支障は無い くそっ やってくれる!)」

 

 綱吉は右腕を動かしたり右手を開いたり閉じたりしてバッカスを睨んでいた

 

 倒れていたバッカスゆっくりと起き上がり、不敵に笑っていた

 

バッカス「へへへ いいねぇ」

 

綱吉(魔法を使いたいところだが、あまりの速さに魔法の発動が追いつかないな 格闘でやるしかないか)

 

 綱吉はボクシングの構えを取り、一気に近づく 両者は互いに拳と掌の打ち合いとなる

 

バッカス「ハァアア!」

 

綱吉「オオオオオ!」

 

 手数では綱吉が勝っている しかし一発一発の重みではバッカスが勝る

 

バッカス「ハァアッ!」

 

 バッカスの攻撃が綱吉の右頬に当たる この時バッカスはある違和感を感じた

 

バッカス「?(何だ コイツまさか・・・)」

 

 綱吉は打ち合いの中間合いを詰める

 

バッカス「何だ また組みつこうってか! 無駄・・ッ!」

 

 組みつこうとした綱吉は寸前でアッパーに切り替えて顎を打つ 更に追撃で左フックで右頬を打つ だがここで綱吉もバッカスに違和感を感じる

 

綱吉(これは・・・)

 

 両者は互いに右頬を打ち、その違和感は正体に気づく

 

バッカス「ぬぅ・・・」

 

綱吉「ぐっ・・・」

 

 2人は後退し、口元から血を流す

 

綱吉「・・・べっ」

 

 綱吉は口の中の血を吐き出し、バッカスは手の甲で口元の血を拭う

 

綱吉・バッカス((間違いない アレは 化頸(流水)だ))

 

 化頸(かけい) それは中国拳法の一つで相手の攻撃を緩和させる ないし接触時に接触面を逸らすことで相手の攻撃の軌道を変化させ、敵の技を無効化させる技である

 

 綱吉は風から中国拳法を教わったので使えるが、バッカスはこれを独自で編み出し〝流水〟と名付けた

 

バッカス(さっきの投げ技と良い まぁアイツなら使えてもおかしくねぇか)

 

綱吉(化頸が使われると打撃でのダメージは期待出来ないな となると打撃以外でやるしかない、か あるいは化頸でも緩和出来ないほどの打をするか、か 全くなんで大〝魔闘〟演舞で格闘戦をしなきゃいけないだよっ)

 

 綱吉は心の中で悪態をつきながら策を練った

 

綱吉(ふっ しかし久しぶりだな 縛りのある戦いは リボーンの特訓で色んな格闘家と戦った時以来か… でもこの感じ、悪くないないんだよな)

 

バッカス(コイツ 笑ってやがる まぁ俺もだがな)

 

 綱吉とバッカスは不敵に笑った

 綱吉は本来戦いを楽しむという事はしない だが格闘家としての綱吉なら少なからずその感情を持っている 格闘技を血の滲むような特訓の末習得し、成長している自分を感じ、強敵と戦いそして勝つ喜びを知った

 

 今前に見えるバッカスもまた自分と同じ魔道士であり、格闘家でもある だからこそ勝ちたいと思ったのだ

 

 

綱吉(さて 魔法を使わない俺の戦い方を見せてやる)

 

 綱吉はボクシングの構えを取り、バッカスの構える

 

バッカス(来るか・・・)

 

 両者は先程のように打のぶつけ合いとなる、壮絶な打ち合いに思われるがバッカスがある違和感を覚える

 

バッカス(コイツ、何で右で当てにこねぇ…?)

 

 遠目からは打ち合っているように見えるが、相手であるバッカスもギリギリ気づくレベルで綱吉は右拳を当てずに空振りさせていた 

 

 そして 左脚を踏み出し、右腕を振りかぶる

 

バッカス「!」

 

綱吉「『神の拳』!!」

 

バッカス「うおっ!?」

 

 綱吉はバッカスの顔面目掛けて必殺の『神の拳』を放つが、バッカスは額の左側を掠らせながらも躱し、額から血が流れる バッカスの後方にあった建物は拳圧によって倒壊する

 

バッカス「っぶね〜(コイツ打ち合いながら溜めやがるとは)チャージしてる最中は動けねぇと思ってたんだがな」

 

綱吉「別に動けないと言った覚えはありません」

 

バッカス「そりゃそうだ(強かなやろうだぜ 全く)」

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

レビィ「あぁ ツナの必殺技が躱されちゃった」

 

カナ「それに動きが早いから造形魔法も使えないし」

 

 綱吉の必殺技が躱されたことで皆が心配するが

 

ロメオ「大丈夫だ 皆! ツナ兄なら勝てる!」

 

 ロメオが皆の不安を吹き飛ばすように声を上げる

 

メイビス「ロメオの言う通りです ツナのあの技は躱されることを見越して打ちました アレは勝つ為の布石です」

 

リサーナ「勝つ為の布石?」

 

メイビス「ええ もうすでにツナの頭の中では戦略が練られていることでしょう」

 

 

クロッカス

 

バッカス(ちっ これで常に奴の右…いや両手を注視してなきゃいけねえ)やりにくいぜ」

 

綱吉「それはこっちの台詞 ですっ」

 

 バッカスは右の掌底を顔面に叩き込もうとするが、綱吉は紙一重で躱し、バッカスの右腕を左手で上着を右手で掴み、背負い投げをした

 

バッカス「がっ!!」

 

 更にそのままバッカスの右腕を掴み、腕ひしぎ十字固めをした

 

バッカス「ぐううっ!!」

 

 

チャパティ『ツナヨシ 今度はバッカスの右腕を捕り これは極めているのか!? バッカス苦しそうだ!!」

 

 普通腕ひしぎを極められた場合外すのはほぼ不可能である 無理矢理外そうとすれば靭帯を切る、最悪骨を折る可能性がある しかし

 

綱吉(嘘だろっ この人・・力づくで外しにかかってる・・・!?)

 

 無理矢理外そうとするバッカスに綱吉も外されまいと両腕に力を込めるが、徐々にバッカスの右腕が上がっていく

 

バッカス「おぉおおおおおおお らぁあっ!!」

 

綱吉「!?」

 

 バッカスは遂に綱吉の両腕から右腕を脱出させ、高々と上げた右手を今度は綱吉の腹部目掛けて裏拳するように振り下ろす

 

バッカス「はあっ!!」

 

綱吉「!」

 

 綱吉はすんでのところで横に転がって回避する、多少離れた綱吉を見てバッカスは右腕をぐるぐると回す これを見るに靭帯や骨は痛めていないようだ

 

 

チャパティ『技は外されてしまいましたが、なんという多才な技の持ち主でしょう! 打、極、締、投、四種四用の複合の攻めをするツナヨシ! それに対して打撃一筋で迎え打つバッカス! これほどの戦いを誰が予想出来たでしょうっ!!』

 

 

 

バッカス「あぁ〜痛ってぇ しっかしお前色んな技出して来んな 戦ってて面白いぜ」

 

綱吉(外しに来るのは予想してたが、力づくとは・・・ しかもアレを見るに痛みはあるが靭帯や骨はヤッてないな シェリアと違って腕をへし折るつもりだったのに エルザと互角だったっていうは伊達じゃないな 半端に技を掛けても外されてしまう 虚をつくしかないな)

 

 僅かな間に両者は呼吸を整え、再び動く 先に動いたのはバッカスだった

 

 バッカスは怒涛の連打を浴びせ、綱吉は両腕でガードに徹する

 

バッカス「オラオラっ!どうしたツナヨシィ! 甲羅に篭った亀みてぇにガード決め込んでねぇでかかってこいやっ!」

 

綱吉「・・・」

 

バッカス「そぉらっ!!」

 

 バッカスは右腕を振りかぶり綱吉の顔面目掛けて掌底を繰り出す が

 

バッカス「!?」

 

綱吉(ここだッ!)

 

 綱吉は掌底を前へ滑り込むように躱し、両手で右腕を掴み、両脚で首を絞める 三角絞めをやった

 

チャパティ『おおっとぉ! ツナヨシ今度はシェリアたんの時とは違う絞め技だぁ! いや、その前にバッカスの攻撃がツナヨシをすり抜けたように見えたのですが・・・目の錯覚でしょうか⁉︎』

 

 チャパティの言うすり抜けたように見えたというものそれは綱吉が中国拳法のある技からヒントへて簡易的編み出した技である 全身を炎で覆い陽炎を起こさせ相手に誤認させ、攻撃をずらさせる 或いは拳、蹴、手刀などの攻撃に使用し相手の躱すタイミング、防御を抜くというものである 綱吉はこの技を『ゴースト』と名づけた

 

 

バッカス(〜ッ! どうなってやがるっ!? 確かなタイミングだったはず っ・・・あの炎か!? アレで僅かに狙いがズレたのか⁉︎)

 

 バッカスが綱吉の技に掛かりパニックになっている時、実は綱吉にも驚きがあった

 

綱吉(まさかっ 完全に虚を付いたはずなのにっ! なんて反射神経!?)

 

 そう技は完全に決まっていなかった 両脚で首を絞める直前、バッカスは左手を首の横に持っていき右脚が掛かるのを防いだ

 

バッカス「ぐっ…こんなもん…」

 

綱吉「させ…るかっ!」

 

 左手で強引に外しにいくバッカス 左手もろとも首を絞めようとする綱吉

 

チャパティ『こっこれは! 動きは少ないがなんとも激しい力の応酬でしょう! 攻める綱吉! 守るバッカス! 果たしてこの攻防を制すのはどちらなのか!?』

 

バッカス「ぬっ…おぉおおおおお」

 

 バッカスは吠えながら左腕でこじ開けていく

 

綱吉(チッ このままじゃ外される! ならば!)

 

バッカス「!?」

 

 綱吉は技を解き、即座にバッカスの背後に回り、両腕でバッカスの首を絞める『裸締め』、メジャーないい方をすれば『スリーパーホールド』をやり更に両脚でバッカスの両腕の肘付近を抑えつけ、完全に上半身をとった形である

 

 『裸締め』『スリーパーホールド』は気管や喉仏を圧迫されれば苦しむことになるが、綺麗に頸動脈を絞めることが出来れば数秒から十数秒で失神、いわゆる〝落ちる〟状態になる  しかし

 

 

バッカス(コイツ…どんだけ技を持ってやがんだッ! おまけに両腕までロックしやがって! だが…)あめえっ!!」

 

 バッカスは後ろへ飛び綱吉を建物の壁に叩きつけた

 

綱吉「がはっ!」

 

バッカス(チッ まだ離さねぇか)

 

綱吉「ぐっ・・がっ・・うぐ・・・」

 

 何度も壁に叩きつけられる綱吉だが、何とか絞めている だが何度目か 遂に綱吉の手が緩んでしまう それをバッカスは見逃さなかった

 

 バッカスは両手で綱吉の両腕を掴み、絞め技を外して、掴んだまま背負い投げのように地面に叩きつけた 更に追い討ちをかけるように綱吉の顔面目掛けて脚で踏みつけようとしてくるが、すんでのところで綱吉は躱す

 

 壁に何度も叩きつけられたせいか背中、後頭部から出血をしていた

 

綱吉「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・」

 

バッカス「ゼェ・・・ゼェ・・・ゼェ・・」

 

 両者息を整えて次の攻防に備える

 

 

チャパティ『何という攻防だぁ!! これほどの格闘戦見たことがありません!!」

 

 次々と色んな技を出してくる綱吉にあくまで打だけで攻めるバッカス まさに柔と剛の戦い そんな戦いに観客も大盛り上がりであった

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

ロメオ「す…すげぇ」

 

リサーナ「これが格闘戦トップクラスの戦い…」

 

マカロフ「ロメオ これがお前の憧れる漢の本気の戦いじゃ」

 

ロメオ「すげぇ! すげぇよツナ兄! こんな戦い初めて見た!」

 

メイビス(しかしあの背中の出血…出血量から見て長期戦になればツナの負けは必至 この戦い 決着までそうかからないでしょう)

 

 

『蛇姫の鱗』応援席

 

シェリー「すごい・・・」

 

ユウカ「アイツがすげぇのはジュラさんとの戦いで分かってたが、魔法だけでなく格闘もここまでやるとは」

 

トビー「凄過ぎだろっアイツ!」

 

ユウカ「キレんなよ」

 

シェリア「・・・(いつか私だって ツナとあんな戦いをして、勝ってみせる)」

 

 

 

クロッカス

 

バッカス「いやぁ 効いた効いた 今の決めに来たよな? 今のが奥の手かい?」

 

綱吉「・・・さあ どうでしょうね?」

 

バッカス「(答えねぇ 当然か)なら俺もそろそろ技を見せようかね」

 

 バッカスは左半身を前にして左手の掌で狙いを定め、右手を後方に水平を保つ あとは綱吉に打ち込みに行くタイミングを待つだけ

 

 僅かな静寂 そしてバッカスが動いた 

 

綱吉「⁉︎」

 

 綱吉にはバッカスが一瞬で間合いを詰められたと思った もちろんバッカスの脚力も凄い だがこれにはもう一つカラクリがあった それは〝瞬き〟相手が目を瞑る 瞬き その瞬間に一気に間合いを詰める 相手はまるで瞬間的に移動したと錯覚する

 

綱吉(くっ…ガードを)

 

 綱吉は両腕で一番狙ってくるであろうボディをガードする しかし左の下から突き上げる掌底でガードを上げる そしてガラ空きとなったボディへ

 

バッカス「劈掛掌 奥義!!  羅刹旋!!!」

 

綱吉「!!」

 

 バッカスの一撃を食らった綱吉はそのまま後方の建物まで吹き飛び激突して、倒壊した建物の下敷きになった

 

バッカス(・・あのガキ)

 

 バッカスは建物の下敷きになっている綱吉を見ながら、今打ち込んだ奥義の違和感を考えていた

 

 バッカスの奥義それは、腕の捻りにある 水平にした時に腕を限界ギリギリまで捻り、打ち込む時の接触時にその捻りを解放する すると衝撃は通常より回転も加わり威力は上がり、内部を突き抜けていく

 

 しかし綱吉はガードを上げられた瞬間、魔力で体表ではなく骨と臓器を魔力を覆い、更に化頸によって威力を緩和させた

 

 

 瓦礫を退けて出て来る綱吉 しかし口元には血を吐いた後が残っていた

 

綱吉「(ああ ホントに嫌になる こっちはあれこれ策を弄してやんなきゃいけないのに、体格に恵まれたパワータイプはその一撃で戦局をひっくり返せるんだから)・・・奥義なだけあって結構ダメージもらいましたよ」

 

バッカス「嘘つけ ピンピンしてやがるくせに」

 

綱吉「これは痩せ我慢ですよ コフッ」

 

 綱吉は服の袖口で口元の血を拭き取る

 

バッカス(しかし痩せ我慢にしても倒れないのは驚きだ アレでやれないとなると・・・もうアレを使うしかねぇ)

 

 バッカスは右手の五本指を立てて胸の中央辺りに持っていく

 

 

『四つ首の仔犬』応援席

 

ゴールドマイン「アイツ! アレは対ジュラ用にとっておけと言ったのに!」

 

 マスターであるゴールドマインはバッカスがこれからすることを理解して焦っていた

 

 

クロッカス

 

バッカス(悪りぃなマスター 優勝は諦めてくれや)全くお前は最高だぜツナヨシ! まさかお前にコイツを使うことになるとはなぁ 行くぜ 『狂戦』」

 

 バッカスが五本指で胸を叩くとバッカスの纏っている雰囲気が変わった 顔つきが変わり、目に隈取が出来、より筋肉質になった 

 

 〝酔いの鷹〟は〝暴の鷹〟へと変貌を遂げる

 

綱吉(これは、憑神…)

 

 

 綱吉の言う『憑神』 それはある武術におけるリミッター外しである 意識的に心拍数を高めることで血流を加速させ、発生した熱量を運動能力に変換しパワーとスピードを上げる技である また『憑神』以外にも中国にいる一族では『鬼魂』(ぐいふん)、日本でもある一族で『外し』と呼ばれている 綱吉は様々な武術の本を読み、その歴史を知り、それらの名前を知ったのだった

 

 またこれらはスポーツ界では『ゾーン』と呼ばれている 極限まで高められた集中している時脳のリミッターが外され、100%力を発揮できると言われている

 

 バッカスはこれを自己流でやって退けたのだ

 

 

 

綱吉(化頸だけでなく、憑神までとは…)

 

バッカス「誇っていいぜ コイツはエルザにもまだ見せたことがねぇからよ」

 

綱吉「それは、嬉しいですね」

 

バッカス「行くぜ」

 

 バッカスが綱吉に突っ込み、綱吉も迎え打つ構えをとるが

 

ドクンッ

 

綱吉(うっ!?)

 

 突如綱吉の胸が苦しくなる そのせいで初動が遅れ、〝拳〟を左頬に喰らってしまう 続けて二撃目をやろうとしたが、綱吉は『ゴースト』で躱し懐に入りこみ、バッカスの腹部に両手を合わせ

 

綱吉(少し止まってろ! 死ぬ気の零地点突破・ファーストエディション!!)

 

バッカス「!?」

 

 バッカスは数瞬で氷に閉じ込められ、綱吉は後方へ跳び片膝をついて呼吸を整える

 

綱吉「ゼェ…ヒュー…ゼェ…ヒュー…(もう少し もう少し頑張ってくれ 俺の身体  ここで倒れたらせっかくの仕掛けが無駄になる)

 

 

ピシッ…ピシッ…バキャアアン!!

 

 バッカスは氷を砕き、出て来た

 

バッカス「休憩は終わりだぜ ツナヨシ  そろそろ終わりにしようや」

 

綱吉「ですね」

 

 両者は互いに突っ込む 

 

  先手は綱吉のボディブロー

 

バッカス「ぐっ」

 

綱吉「!」

 

 腹に重い一撃を喰らい苦悶の表情を浮かべるが、バッカスは大きく右腕を上げて、綱吉の頭目掛け振り下ろした 

 

 その一撃は綱吉の頭を地面にめり込ませ、陥没させた バッカスは倒れ込んでる綱吉の頭を鷲掴みにして持ち上げる

 

綱吉「がっ…」

 

 バッカスはそのまま綱吉の顔面を建物の壁に叩きつけ、そして壁に押し付けながら疾走する

 

 ガリガリガリガリガリッ!

 

バッカス「オラァッ!」

 

 バッカスは前に見える建物に綱吉を思いっきり投げ飛ばし、激突させた 倒れる綱吉だが立ち上がり、右顔面と額から血を流しながらも顔だけ後ろを向き、バッカスを鋭い眼光で睨みつける

 

バッカス「ッ・・・」

 

綱吉「ハァ…ハァ…」

 

 綱吉の眼光に一瞬萎縮したバッカスだったが、切り替えてトドメの一撃を打ちにいく

 

バッカス(これで…終わりだァッ!!!)

 

綱吉「ッ!!」

 

 

 ドパァァン!!

 

 

 

 

バッカス「かっ・・・はっ・・・」

 

 決まり手はバッカス渾身の一撃・・・ではなくこの戦いでまだ一度も使っていなかったムエタイの〝蹴り〟 脚の筋力は腕力の倍以上 必殺の『神の拳』や極め技、絞め技で注意を引きつけ、超至近距離から右脚の蹴りを打ち込んだ 

 

 勝敗を分けたのは戦術の差だった

 

 

 ふらふらとするバッカスに綱吉はトドメの左脚の蹴りを打ち込み、バッカスは倒れた

 

 

 

 倒れたバッカスを見ながら綱吉は先程見せたバッカスの『狂戦』に気が付いていた それはバッカスはまだこの技を使いこなせていないと言うことに この技はパワーやスピードが上がる分、精細さが如何しても低下してしまう だから『憑神』や『外し』を使う者たちも長い時間をかけて技も扱えるよう特訓する

 

 バッカスの最初の一撃で綱吉は気づいた 掌ではなく拳で打ってきたことに 精細な動きが使えないなら付け入る隙は充分ある

 

 

 綱吉も書物から『憑神』や『鬼魂』などのリミッター外しのことを知り、自分も会得したいと リボーンや風に相談したが、身体の出来上がっていない今のお前がやれば間違いないなく身体を破壊し、最悪死ぬ恐れがあるとこっ酷く説教された

 

 

 

 地に倒れたバッカスはそのまま動かず、勝敗がついた

 

チャパティ『決まったァアアッ! 武道対決 激闘を制したのはツナヨシィィィ!!』

 

 チャパティのアナウンスで会場は大いに盛り上がる

 

 

 綱吉は倒れたバッカスへ近づいていき

 

バッカス「負けたぜ まさか『狂戦』まで使って負けちまうとはな」

 

綱吉「いえ 貴方も凄く強かった」

 

バッカス「へっ 勝ち逃げなんてゆるさねぇ また挑んでやるからな」

 

綱吉「望むところです」

 

 綱吉はバッカスへ手を出すと、バッカスは驚くがバッカスも綱吉の手をとる

 

 

チャパティ『おお これは互いの健闘を讃えて握手しています!! 戦いが終われば敵も味方もない! これが友情というモノか! 私感動して涙が出てきましたッ!』

 

 

バッカス(コイツが友情ってモンなのかねぇ)

 

 バッカスが干渉に浸っている中 綱吉は握手していないもう片方の手で大きく上げる

 

バッカス「ん?」

 

 ゴンッ!!

 

綱吉「ミラとリサーナにやろうとした件はコレでチャラにしてあげますよ」

 

バッカス「んがッ トドメ…刺す、の…か、よ…」

 

綱吉「ちゃんと反省して下さいよ」

 

 バッカスは頭に大きなたんこぶを作り、今度こそ失神した 綱吉はそんなバッカスを尻目に手を振りながら去っていく

 

 

 

皆んな((((ええぇぇ〜〜))))

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

レビィ「ツナ…せっかくかっこよかったのに」

 

フリード「最後のは余計だったな」

 

リサーナ「でっでも 何はともあれ勝てたんだしっ 良かったじゃない!」

 

カナ「そうそう バッカスはリーダーだったから5ptも入ったし」

 

 綱吉のトドメの拳骨に皆引いていたが、リサーナやカナがフォローを入れていた

 

 

エルフマン「あの勝負はまさに漢と漢の真剣勝負 それに勝ったツナこそ真の漢だァアアッ!!」

 

ロメオ(魔法に格闘技まで ツナ兄かっけえぇ 強え)

 

 ロメオが画面に映る綱吉に強い眼差しで見ていたのに気づいたカナは

 

カナ「ロメオ アンタそんなにツナに憧れてんなら弟子入りしてみたら?」

 

ロメオ「えっ でも いいのかな?ツナ兄の迷惑になるんじゃ」

 

リサーナ「大丈夫 ツナは迷惑だなんて思わないよ」

 

カナ「ただし覚悟しときなよ〜 ツナは厳しいからね」

 

ロメオ「ああ!」

 

エルフマン「うむ!それでこそ漢になるべき男だ!」

 

マカオ「いや 訳わかんねぇよ」

 

ロメオ(ツナ兄に修行をつけてもらえる そしたら俺もツナ兄みたいに)

 

 皆が綱吉の勝利に盛り上がっている中、メイビスは綱吉を心配そうに見ていた

 

メイビス(バッカスの実力がここまでとは想定外でした そしてそれはツナも同じはず 想定していたより魔力、体力を使い 傷を負ってしまった 病のことも考えると全力で戦えてあと1人…しかしツナの進む先で当たる人物は…)

 

 

 

『蛇姫の鱗』応援席

 

シェリア「オババ…私 強くなるね」

 

オーバ「当たり前だよ まったく」

 

シェリア「今はまだ無理だけど 必ずツナに…ううんううん ジュラさんも超える凄い魔道士になって見せる!」

 

シェリー「シェリア」

 

オーバ「ほぉ 大きく出たね 楽しみが一つ増えたよ だけどなれんのかい?」

 

シェリア「なるんだよ オババ」

 

オーバ「フッ いい答えだ」

 

 

クロッカス

 

綱吉「(バッカスさん めちゃくちゃ強かったな)痛ッ!・・・ミラにこんなボロボロな姿見られなくてよかったな うっ・・・ゴフッ」

 

 

 

綱吉VSバッカス 勝者 綱吉

 

『四つ首の仔犬』バッカス 戦闘不能 『妖精の尻尾』+1 56pt

 

 

ー途中経過ー

 

一位 『妖精の尻尾』56pt 残り・・・5名

 

二位 『剣咬の虎』50t 残り・・・4名

 

三位 『人魚の踵』42pt 残り・・・2名

 

四位 『蛇姫の鱗』39pt 残り・・・2名

 

 ✖︎ 『四つ首の仔犬』   敗退

 

 ✖︎ 『青い天馬』     敗退

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。