ウルトラゼロファイトXD (火野ミライ)
しおりを挟む

第一部・零から始まる少女の光
Я1回目:鎧を着た巨人


OP.DREAM FIGHTER
挿入歌.新しい光

襟巻怪獣 ジラース
登場


簡易的に固定された布を屋根とした露店が並ぶ通りの中を進む。あちこちで客寄せの文言や値切りの声が響く。並んでいる品々は正直言ってどれも目劣りしている。けれど売り買いしている人々の顔は基本的に生き生きしてた。

 

『[まるで自分はそうじゃない]って言い方だな』

 

脳裏に響く男の声。その声は頭の中に直接語り掛けてくる割には古いラジオの様にノイズがかって聞こえる。その声色は聞くに堪えない。これなら【テレパシー】覚えたての幼児の方がマシ。でもこの声が聞こえるようになってからだいぶ日数が経っているから慣れた。

 

何処かの誰かさんは最初、語り掛けてくると言うよりチャンネルを合わせてるみたいだったが、次第に何言ってるか分かる程度に。分からないのは何故私に語り掛けてくるか。ま、知ったところで意味ないけど。

 

『はぁ~ なんかお前、妙に達観しているというか、自分の事を他人事のように語るな』

 

呆れたように呟く謎の声。実際、彼の言う通り他人事のように捉えているところはある。

 

『なんでだ?』

 

ノイズ交じりの声からでも分かる真面目な声。だからだろう、その問いに答えたのは__

 

【転生】、この言葉を聞いてどう思う? 異世界ラノベ?ハーレムもの? ()は嫌いだ。別にそういう物語が嫌いな訳じゃない。むしろ……好きだった。実際に転生したあの日までは…………

 

僕が私に転生したのは前世より、数十年後の日本だった。別にそれだけなら嫌いにはならない。TS転生も別によっかた。問題は世界の方だ_____

 

今や空想の生き物だと思われていた怪獣や宇宙人に日本いや、地球は支配されている。正確には宇宙人達のゲーム会場になっているのが現状。ゲームの内容は自分が決めた人数の地球人をこr___キルする事。後はプラスで何かしらの条件を付けてるみたい。[抵抗してきた人のみ]とか色々。

 

『っな! お前のいる地球じゃそんな事になってるのかよ!?』

 

そんなに驚く事? あぁ、自己紹介がまだだったね。 私は【響】。苗字も無ければ、親の顔も知らない。……驚いた?この世界だともう当たり前になってきている。例えば…… 逃げてる時に赤ん坊だけでもと隠してたのが見つかるとか、【エーフ】だから捨てるとか……… まぁ、いろんな理由で捨て子入る。

 

『えーふ………?』

 

エーフって言うのは宇宙人と地球人の間に生まれてしまった子。エーフはどちらかも忌み嫌われているから捨てられるか処分される。良くて奴隷だろう。ちなみに宇宙人は純粋な地球人を【デフォマン】と呼ぶ所もある。宇宙人同士なら種族名で。

 

話を戻すけど、私はエーフ。私は捨てられていたのを【ピグモン】って言う怪獣に拾われ、育てられた。私が3歳の時、他の怪獣から私を守るため囮となって死んだけど。転生してこれなら、転生なんてしなければ良かったと思うだろ? でも、仕方ない。今は地球人の集落とか、エーフの待遇が良い宇宙人の集落をあちこち巡る旅をしてる。

 

その方が生き残りやすいから。他人との関りが薄い程、エーフは生き残りやすい。理由? 簡単。自分がエーフだって分かる頃には一緒にいないから。だから孤独な一人旅をしている。そしていつか孤独に死ぬ。____その日が多分……… 今日。

 

エーフがあるで故に地球人には感じ取らないソレを感じ取る。膨大なエネルギーで転送されてくるソレを。視線を力を感じる方に向けると、ちょうど何もない空に光の溜まりが出現。やがてソレが形を取り、巨大な怪獣の姿に。

 

近くにあった何かが口から吐かれた熱線によって燃える。尻尾が建物を砕く。この集落に元々住んでいたのか買い物に来たのか知らないけど、いろんな人達がエリマキのある怪獣から逃げる。

 

『お前はどうしてるんだよ、響!』

 

私? 棒立ちだけど。理由? 逆に聞くけど生きる意味ってあるのかな? だって一人でも早く死ねばこの惨事も早く終わる。それが奴らの考えたゲームって奴だし。だったら死んだ方が良くない? 私、エーフだし。

 

「ギャオォォーーン!」

 

怪獣が吠える。それにより空が震え、周囲の物が吹き飛んだ。ちょっと、ちょっと怖くなってきた…………って! 後ろに振る向きくと年下だと思われる子達に瓦礫が落ちてきてる。

 

「……危ない」

 

「っえ?」

 

気が付いたら足が動いていた。先の咆哮により立ちすくんで居た女の子達のを強く押し出す。割と本気で押してしまった。エーフの力だから怪我で済んでいれば良いけど…

 

いてて、一体何が…… デェス!?

 

瓦礫に押しつぶされるその瞬間、金髪の方の声が聞こえた気がした。瓦礫の重量に負け倒れる。血は流れるし、手足力が入らない。なんかあの子達が叫んでる? 朦朧とする意識で聞こえた声。何を言ってるかは分からない。らしくない事した。けど、良いか。こんな死に方も悪くない。

 

『本当に良いのか!』

 

この怪我じゃ、いくらエーフだからって死ぬでしょ。

眠気に誘われるまま瞼を閉じたその時、謎の声が聞こえる。生死の狭間にいてもテレパシーはハッキリ聞こえるんだ。初めて知った。

 

『響、俺になれ!』

 

……は?

彼の言葉に気持ちだけ瞼を開ける。すると視界に映るは先の惨劇ではなく、果てが見えない宇宙。

 

『俺と同化すればその程度の傷、どうにでもなるぜ!』

 

正面に見える光のモヤから聞きなれた声が聞こえた。ここ数日聞き続けた彼の声が。

 

『それに奴を…… あの怪獣を倒せる!!』

 

あんた、誰?

これまでで初めて…… 響としても初めて、他人と距離を詰めようとしている。

 

『M78星雲からやって来た宇宙人だ! _____っと言っても、平行宇宙のM78星雲だけどな』

 

宇宙人 ……侵略者(あいつら)と同じ?

 

『バカ言え! 俺は地球人(お前達)の味方だ!』

 

もう、何もかも遅い……

今さら味方が出来たところで、怪獣を倒せたところで何も変わらない。

 

『そんなことねぇよ!』

 

どうして言い切れるの?

 

『本当にそう思っている奴は、他人を助けやしねぇ!』

 

___あっそ。

何処までも真っすぐで自信満々に答える彼。それは暗雲がの中で輝く一番星の様に眩しくて、現実しらずの幼児な意見に思えて。けど……… 悪くない。どうせ滅ぶのを待つだけ。なら、光に身を委ねるのも良いかな。

 

「……どうすればいいの?」

 

自然と尋ねていた。その言葉に彼は嬉しそうに笑うと、小さな光が私の傍に来る。光が晴れると赤・青・銀の派手なサングラスの様な物が浮かんでいた。耳に引っかける部分もゴムもない。

 

『ウルトラゼロアイを使え!』

 

「ウルトラゼロアイって、これ?」

 

『あぁ!』

 

目の前に浮かぶ【ウルトラゼロアイ】を手に取る。その瞬間、目の前の光の塊が人型に変化。薄らっとした輪郭だが胸部・額で宝石のような物が輝き、瞳と思わしきものが黄色に発行。ただ何となく、前に会った【バルキー星人】に似てる気がする。___そんな事より………

 

「名前」

 

『え………?』

 

「だから、あんたの名前」

 

『俺はゼロ。ウルトラマンゼロだ!』

 

ウルトラゼロアイを手に取ってから彼、【ウルトラマンゼロ】の声がハッキリと聞こえるようになった。繋がりが強くなったというのが正しいのかも。頭の中に流れたイメージに身を任せ、ウルトラゼロアイを目元に装着。

 

私とウルトラマンゼロの意識と体が重なった_____そんな気がする。こうして私は光へ。

 


 

深緑の皮膚に黄色の模様、背中から尻尾の先にかけて生える骨の様な背びれ、首元のに付いた大きな襟巻が特徴の【エリ巻き恐竜 ジラース】が口から吐く、白い熱線で風化した建物を焼き払う。火の粉が舞い、煙が立ち込める中、怪獣の足元にある瓦礫に近づかんともがく少女とそれを押さえる少女の姿そこにあった。

 

「離して切ちゃん!」

 

「ダメデス、調! 今行ったら踏みつぶされちゃうデス!」

 

「でも、あの人が!」

 

黒い髪をツインテールに結びピンクの瞳を持つ少女【月読調】が金髪のショートヘアーに緑の瞳を持つ少女【暁切歌】に向けて叫ぶ。腕を脇に通し羽交い絞めにする事で調べを何とかその場に留める事が出来ている切歌。

 

しかしその心の中は調と同じく今すぐ瓦礫の元に向かい、自分達を助けた人を助けに行きたい気持ちで溢れていた。そう彼女達は先程、響が押し出して助けた少女達。その皮膚に出来た擦り傷が何よりもの証拠だ。

 

アドレナリンが出ているのか自分の体が壊れるのも気にせず拘束から逃れようと暴れる調。それを他所に逃げる人々。そんな人間をあざ笑うかのようにジラースから放たれた熱線。彼女達が目をつむり視線を逸らす。

 

誰もが熱線で焼き払わると思ったその時! 空から舞い降りた一筋の光が人々の盾となる。

 

「あれはなんだ!」

 

「新しい怪獣か!」

 

人々の胸に不安が広がる中、光は徐々に人型へと変化していく。赤い下半身の皮膚に走る青と銀のライン。手は青く、上半身と頭部はメタリックに輝く武具。装甲をつなぐオレンジのコードが熱を発し輝き、口元と首元が武具の隙間からわずかに確認できる。

 

「なんデスか、あのトンデモ! 見たことない宇宙人デス!!」

 

「なにあれ」

 

人と同じ特徴を持ちながらも人とは異なる生物。49mの巨人が足を肩幅に広げ、左手を腰に持っていき握りしめ、右腕をジラースへと向けて伸ばす。まるで格闘技の構えを取ったところで、コードが音をたて引き締まった。

 

切歌が巨人を指さし驚く横で、調は巨人の動きを阻害するかのように伸縮する胸部のコードを見つめる。そしてそれは巨人、ウルトラマンゼロも同じであった。

 

『なぜテクターギアが……ッ!』

 

〔………テクターギア?〕

 

人々や怪獣からの視線を一身に受けるゼロが内心狼狽える。その驚愕の声が聞こえたのは彼と同化した響のみ。視線はジラースに向けたまま【テクターギア】について疑問を浮かべる。

 

「ギャオォォーーン!」

 

『っぐ! 早い話が装着者の力を封じる鎧だ!』

 

一方に動く気配がないゼロに向けかぎ爪を振るう。ジラースの一撃を腕の装甲で防ぎ火花が散るのを目にしながら響の疑問に答えるゼロ。

 

〔____なんでそんなの着てるの……?〕

 

『俺が訊きていよ………っと!』

 

次々と迫りくる拳を防いでいき、振るわれた尻尾の下を前転で潜り抜けたゼロ。ジラースの攻撃をさばきながらも会話をする余裕があるのは、ゼロ自身がテクターギアの防御力を身に染みるほど知っているから。

 

『しゃーねぇ、このままいくぞ! シェアッ!』

 

「ギャオォォーーン!」

 

『うぉっ!?』

 

今度はゼロからジラースへと接近、右腹部へ向けて鋭い蹴りを放つ! しかしその瞬間、鎧のコードが縮小しゼロの動きを阻害。思うように力が乗らず、たやすく受け止められた。受け止めた右足を掴みゼロを力の限り投げ飛ばす。なんとか空中で態勢を整え着地するゼロ。

 

〔やっぱりダメか___〕

 

戦意喪失する響。そんな彼女の負の感情に呼応するかのように鎧はさらにゼロを締め付ける。

 

『そうか、分かったぜ! このテクターギアは響、お前の心そのものだ!』

 

〔……………は?〕

 

『お前の諦め、自身への劣等感と言うマイナスエネルギーがこの鎧を生み出しているんだ!』

 

〔私がゼロの足かせに………〕

 

ゼロの憶測を聞き、初めて声に感情が乗った響。膝から落ちるような感覚に襲われる中、肉体の主導権を持つゼロは逆に立ち上がり、しっかりと大地を踏みしめるのだった。

 

『そんな事ねぇ! むしろちょうど良いハンデじゃねぇか! 俺が見せてやるよ響、どんな時も諦めない心ってやつをなぁ~~っ!』

 

目元を覆うゴーグルの向こうの瞳を強く輝かせ、天まで届くほどの雄たけびを上げるゼロ。土煙を託上げジラースに接近するとその首元ををさえる。拘束から抜けだろうと足掻くジラースを押さえ付けながら、顎辺りに何度も膝蹴り。

 

何度も脳を揺らされ次第に力をしなっていくジラース。抵抗する気力失ったその瞬間、正面へと回り込んだゼロのダメ押しのアッパーを受けダウン。倒れたジーラスを無理立たせるとその特徴的な首回りの襟巻を引きちぎった!

 

「ギャオォォーーン!?!?!?」

 

『デェェヤーーーァアア!』

 

悲鳴を上げ首元から周囲に赤い粘液が飛び散らすジラース、一方のゼロは人のいない方へと襟巻を放り投げた。痛みにのたうち回るジラースを背負い投げの要領で年メートルも先へと投げ飛ばす。

 

起き上がりざまに熱線を吐こうとエネルギーを堪るジラースの口元をアッパーで塞いだゼロ。エネルギーは体内へと逆流し、ジラースの内部で小規模な爆発を起こし内蔵を傷つけた。怒りの形相でゼロを睨みつけると大地が沈むほどの力で走り、ゼロへと接近。

 

『………………』

 

「…………………」

 

〔………………………〕

 

「「「……………………………」」」

 

二つの影が交差。爪もしくは手刀で攻撃した体制のままどちらも動くことなく制止する。戦っていた両社は声を出すことなく背を向け、戦いを見つめる人々は唾液を飲み込む。やがて一筋の風がブルーシートを巻上げたその時、緑色の巨体が音もたてずに崩れ落ちた。

 

〔…………すご___〕

 

瞬きすら許されない刹那の時間。ジラースの鋭い爪をギアで受け流しながらゼロは、今だ血を流し続ける首元に向け手刀を叩きこんだ。その一撃は触れた脊髄を砕き絶命する主な要因へとなった。

 

『__シェアッ!』

 

両腕を伸ばし空の彼方へ時へ去ったゼロ。やがてゼロの身体は光の粒子となり誰にも気が疲れる事もなく地上へと降り注ぐ。やがて光は一人の少女の姿へ。

 

「____諦めない……か」

 

数分前までは人の活気あふれる場所だった通りで響の声が静かに溶け込む。周囲を見渡すと店だったものや商品と思わしき残骸が転がり、どこか焦げ臭いにおいが風に運ばれてくる。

 

『改めて、これからよろしくな、響!』

 

「よろしく………… え?」

 

辺りの惨状を見つめていた響の脳内にゼロの声が響く。ふと左腕に重みを感じて視線を向けると見覚えのないブレスが装着されていた。中央のクリスタルが淡く輝く中、ゼロに先の言葉の意味を問い合わせようとしたその時、響のそばにやって来た二つの影。

 

「っえ?! さっき助けてくれたお姉さん……!」

 

「な、なんで無事なんデスか!?」

 

その影の正体はなんの偶然か、響が咄嗟に助けた二人組の少女だったのだ。そんな少女達の姿に出掛かっていた言葉を飲み込むと響は体を二人に向け、自虐を込めた言葉を紡ぐ。

 

「__なんでってエーフだし」

(この子達ぐらいならこの一言で逃げていくはず)

 

過去の出来事を脳裏に浮かべながら彼女達を遠ざけるように放ったその言葉。しかし現実は響の予想を大きく外れる事となった。

 

「マジデスか!?」

 

「実物を始めて見た!」

 

(……?)

 

二人から向けられる視線。それは有名人とした人の様なテンションで、動物園の希少な動物を純粋無垢に見つめるように、憧れのヒーローと出会った幼児の様に目を輝かせる。

 

「怖くないの?」

 

「うん、怖くない!」

 

前世含めて向けられた事のない視線に思わず尋ねる響。そんな彼女にツインテールに髪を結んだ少女が首がちぎれそうな勢いで縦に振る。それに続くかのように元気よく金髪の少女が名乗りを上げた。

 

「自己紹介するデス。 私は切歌、暁切歌デェス!」

 

「私は月読調。お姉さんは?」

 

「_____響」

 

「「よろしくお願いします/するデス!!」」

 

これまでの経験と真反対の状況に困惑しながらも名乗る響。暁切歌と月読調、この二人の出会いが響に大きな影響を与える。静かに見舞っていたゼロはそんな予感めいた確信を胸に抱くのだった。




テクターギア・ゼロ


K76星で修行していた時の姿。身を守る鎧であると同時に能力を封じ・制御するギブスでもある。頭部の黒いゴーグルの奥で感情に高まると黄色く発光。外すには外部からしてもらう必要がある。

今作では同化した響の全て諦めたと言うマイナスエネルギーによって出現した。その為、正確にはテクターギア・ゼロと異なる名称が正しいのかもしれない。響か自分から諦めず戦う気になればきっとその鎧と言う名の楔は自然と消えるだろう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Я2回目:零からの開始

OP.DREAM FIGHTER
挿入歌.すすめ!ウルトラマンゼロ

宇宙怪獣 ベムラー
登場


………どうしてこうなった? かつては地面を舗装していたであろうコンクリートの塊を踏み砕きなら静かに溜息を溢す。私の心情など知りもしない目の前を歩く二つ影は無邪気な笑顔をこちらに向けて語りかけてきた。

 

「響さん!早く、早く!!」

 

「早くしないと日が暮れちゃうデスよー!」

 

「はいはい」

 

黒い髪をツインテールに結んだ調と金髪の前髪を緑のヘアピンでとめている切歌に急かされる私。彼女達に道案内されながら向かっているのは、彼女達が暮らす集落の【フィーネ】。どうやら私……と言うよりエーフと言う種族が彼女達にお気に召されたようだ。

 

知り合いのおじさんから死にそうなところを助けてくれた美しい少年だの、食料を分けたら山から魚を取ってきてくれた少女だったなど、様々な話を聞かされたらしい。童話の動物みたいな話ばかりなのは、子供に聞かせてもいい話を厳選したからだろう。

 

エーフの関する話が幼子ばかりなのは基本、幼児に内に殺されるか使いつぶされるから。だから私の年まで生きたエーフは珍しい。けど彼女達が私を気に入ったのは多分…………

 

「(言葉の)選択ミスった……」

 

と言うのも彼女達を追い払うために話した人外エピソードの数々。それを聞いた彼女達は純粋なのか、バカなのか、御伽話の勇者のように捉えてしまった。

 

『まぁ、そんな事言ってやるなよ! 可愛い子たちじゃねぇか』

 

「私としては関わりたくないんだけど」

 

小声で愚痴る私を励ますのか、切歌と調………キリシラコンビに折れろと言われているのか、どちらともとれるゼロの言葉。ちなみにゼロの声は同化した私にしか聞こえないようだ。テレパシーなんて習得してない私には周りの目も気にして会話しなきゃいけないから大変。

 

「着いたデスよ!」

 

結局最後までキリシラコンビを振り払えずに彼女達が住まう地へと来てしまった。なにかの工場を改修して使用しているようで、このご時世にしては立派な門や見張り台が視界に入る。

 

「ようこそ私達の集落、フィーネ」

 

両腕を広げて歓迎ムードのキリシラコンビ。二人から満面の笑みと共に紡がれた祝福の声を聞いていると独りでに門が開き、中から門番をやっていたであろう武装した女性が駆け寄ってくる。

 

「大丈夫? 切歌!調! みんなあなた達の向かった集落に怪獣が出てきたって話を聞いて、心配してたのよ」

 

「大丈夫」

 

黒い槍を手に持ち、短剣を腰に帯刀したピンク色に煌めく髪を一度頭の上で結んでいるにも関わらず腰に届くほどの長さを持つ女性がキリシラコンビを抱き寄せる。その顔は行方不明の子を見つけた母親のようだ。

 

『あの地球人、髪の色が………』

 

「この世界だと割と見る」

 

キリシラコンビの体温を感じホッと胸を下す彼女の髪色にゼロが驚く。無理もない、エーフや地球人に化けた宇宙人ならともかく、純粋な地球で地毛が染めた?と思う色合いだ。自分の髪色が茶色だった事もあり、私も初めて見た時は目を疑った。

 

「貴方は?」

 

「響、訳あって旅してる」

 

この世界の地球人の生態系(頭髪遺伝子)を知った当時の記憶に浸っていると、小さな再開の感動から現実に帰って来たピンク髪の女性が地味にキリシラコンビを背に隠しながら訪ねてきた。槍を握る力は僅かに増しており、警戒の色が薄っすらとなじみ出ている。

 

「響さんがアタシ達を助けてくれた命の恩人デェス!」

 

「……………そうなのね。私はマリア、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。この子達を救ってくれてありがとう」

 

「気にしないで、体が勝手に動いただけだし」

 

切歌の無垢な言葉を受け警戒を解いた【マリア】がお礼を言ってくる。けど私はその言葉を受け取れない。死のうとして突っ立ていたら偶々キリシラコンビが視界に入っただけだし、私自身が助けようとして助けた訳じゃ無い。

 

「今日はぜひ、家に泊まっていって。大したお礼もおもてなし出来ないけどもね」

 

「興味ないし、いらない」

 

「はい…………?」

 

「それじゃ」

 

簡潔に告げ背を向けて歩き出す。しかしその歩みは後ろから腕を掴まれた事で止まった。

 

「待って、しばらく泊っていって!」

 

「ダメならせめて今日だけでもお願いするデス!」

 

キリシラコンビがポケットに入れてた手を取ろうとしたからだ。

 

『随分と好かれているじゃねえか。ここまで言われたんだ、泊っていってやれよ』

 

そんな二人の様子にゼロが呟く、マリアはことの成り行きを見守っているのか何も言ってこない。どうやらこの場に私の味方はいないようだ。

 

「____はぁ、分かった」

 

「「やった(デェース)!」」

 

手と手を合わせ喜び合う二人の姿に何度目のため息を吐きながら体をフィーネへと向ける。静かに歩く私達をオレンジの空が見つめていた。

 


 

地球の軌道上。かつては人類が打ち上げた衛星やロケットの破片が散らばっていたが今やその姿は無く、代わりに様々な星の宇宙船がとどまっていた。色や形、使われている素材すら多種多様のこれら全てに乗っている者は皆、地球人が逃げ惑い滅びる姿を娯楽として楽しんでいる連中。

 

かつては日本と呼ばれていた土地の上空に浮かぶ一際巨大な宇宙船。その中の一室で種族問わず様々な星人が集っていた。彼らの視線の先には巨大なモニター、そこに映されていたのは動きずらそうに身体を動かしながらもジラースと戦闘を繰り広げるゼロの姿。

 

「おい、この宇宙人はどこのどいつだ!」

 

ゼロに指を刺しながら怒鳴り声をあげるのは【ナックル星人】。そんな彼に同意するかのように頷く者もいる。彼らにとって地球とは大した資源もなければ、化学力も無かった星。自分達の遊戯をする舞台の一つでしかなかったのだ。

 

つまりは大した敵もいないイージーな無双ゲーム。一方的に滅ぼす優越に浸っていたところに邪魔をするかのようにゼロが現れた。そんな彼に誰もが怒りを抱いてる。

 

「そ、それが未確認の種族のようでして…………」

 

「「「____ッ!?!?」」」

 

その空気に怯えながらも【ペダン星人】は報告する。内容を聞いた彼らは表情を怒りから驚愕へと変え、先程以上に張り詰めた空気感が場を支配した。

 

無理もないだろう、彼らが所属する組織はこの宇宙全体を支配していると言っても過言ではないほど強大で、その情報網には戦闘を得意とする種族はすべて乗っていると言っても良い。そんなデータバンクを駆使してもジラースと戦う巨人の情報は一切ない。これはかなり異常な事なのだ。

 

「考えられるのは別宇宙の存在」

 

「なに?」

 

「それもレベル3の…………」

 

ペダン星人の言葉を受け継ぐ形で新たにモニターに映し出された【チブル星人】が言葉を発する。彼から紡がれた言葉に反応し声を荒げるは【ザラブ星人】だった。

 

「バカな! マルチバースはレベル2でも越えられない!!」

 

「奴の目的はいったい…」

 

「___ふむ、試してみますか」

 

部屋の端に座る青い瞳が手刀でジラースを絶命させたゼロを見つめるのだった。

 


 

夕食までの待ち時間、私は適当な場所に腰を据え周りに聞こえないように注意を払いながらゼロと会話を広げていた。

 

『俺はとある力を使いこなすための修行中に強力な邪気を感じ、それが俺に因縁のあるものだった事もあり中断して調査をしていた。その調査の結果、邪気は小さな次元の穴の向こうに広がる別宇宙、それも可能性宇宙と呼ばれるレベル3のマルチバースから漏れ出ている事が分かったんだ』

 

ゼロと同化した時、腕に装着された銀色のブレスから聞こえるような気がするゼロの声。実際には脳裏に響くテレパシーなのだが……

 

『しっかしよ~、原因の元を判明してもここからが大変なんだよ。普通の別宇宙と言うと変かもしれないが、レベル2のマルチバースなら響の手についてるウルティメイトブレスの力でちょちょいのちょいで超えられるが、レベル3ともなるとそういう訳にはいかねぇ』

 

話題のないよはゼロがこちらに来るまでの過程。私に分かるように言葉を選んでいるのか、時々言葉に詰まりながらも説明を続けていくゼロ。

 

『過去には大地が生んだ赤き光の巨人・ウルトラマンガイアに選ばれた青年・高山我夢が一人に少年の願いによりレベル3のマルチバースを超え、戦いを繰り広げた事があったんだ』

 

スケールの大きな話に付いていくの背一杯だったが、気が付けばゼロの同族の様で違う戦士の話を始めた。曰くそこは私今いる世界とも前世の世界とも違い、ゼロの父親や【ガイア】を始めとする呼ばれる姿形が似て異なるウルトラマンがテレビの中のヒーロー番組として放映されている世界。

 

この世界では願いを叶える赤い球を巡った世界を救う少年少女の冒険譚であり、少年達の願いによってガイアと後二人のウルトラマンが駆け付けた。最終的に赤い球は最初に手にした少年により元から無かった事になったらしい。

 

『他にはウルトラマンメビウスが横浜で出会った不思議な赤い靴の少女によって、ガイアが行った宇宙とは違うウルトラマンが放送されている宇宙に行ったっけ』

 

続けて語られるのはゼロの故郷【ウルトラの星】の戦士、【ウルトラマンメビウス】が7人の勇者と呼ばれるウルトラマンに変身して地球を守った人達の【並行同位体】が共鳴現象で変身したウルトラマン達と共闘し、闇と戦う話。

 

『けど今回起きた次元の穴は偶発的に出来た物で、さっき話した二つの事件の様な越え方は参考にならなかったんだ。それに最近妙な動きがあり最悪、大きな戦いへと発展しそうな状況で今回の邪気の調査は打ち切りかと思っていたんだが、親父達の後押しもあって俺ひとりで調査を続けていたんだ』

 

時間にして30分弱、ゼロから流れてくるイメージ映像と共に語られる話。元の話から脱線している気がするが、意外に語り状なゼロの言葉に自然と聞き手に徹している私がいる。

 

『そうして調査を続けていたある日の事だった。突如として響、お前の波長を感じ取ったんだ。それからは俺らしくも無く、小さな針穴に糸を通すかのような細かい力の操作しお前にコンタクトを取ろうと色々試したんだぜ! 』

 

「そしてゼロは試合に勝って、勝負に負けた…」

 

『そうそう………って違う!』

 

「違わない。確かにゼロは私を目印にこっちの宇宙に来たのかもしれない。でもそのせいでゼロは思う存分、活動が出来ない。違う?」

 

『確かに響が言ってる事に違いはねぇ。けどな、俺達は種族的に元からこの星の環境と相性が悪い。だから正しい心を持ち勇敢な地球人と同化する事は少なくないいんだ。だからなんも問題ねぇ!』

 

「それならなおさら、私と同化した事はダメだった。実際に変なギブス……テクターギアだっけ? それが私の性でついてるんでしょ。だから私がゼロの足枷になってる」

 

『____お前、つくづく捻くれてるな』

 

きっと長い沈黙の中にゼロの様々な感情を飲み込んだのだろう。でもここでゼロが折れてくれなければ永遠に言い合いしていたのは目に見えている。

 

「そうかも。ホントごめん。色々とゼロの期待に答えられ無くて」

 

『響、勘違いしてるなら言っておくがな「皆、席についてね」って最後まで言わせろよ』

 

私らしくない言葉が無意識に紡がれた。たぶん、心のどこかでゼロの事を信頼しようとしている私がいる。そんな私の様子を感じ取ったのか、何かを伝えようとするゼロの言葉は優し気な少女の声によって妨げられた。

 

声の主へ視線を向ける。そこには古びた配膳台車を押す同年代ぐらいの少女【雪音クリス】の姿があった。ここフィーネででは一番の最年長の子供であり調理や警備など、大人同然の働きをしているそうだ。大らかな雰囲気を醸し出す彼女は湯けむりが上がる大皿を少年少女の前へと配膳を進めていく。

 

そんな彼女の後に続くように副菜などを乗せた皿とスプーン・フォークを置いていくのは、白髪の男性【ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス】。多くの人達から【ウェル博士】と親しまられる彼は宇宙人の侵略が始まるより以前は生物学を専攻する科学者だったようで現在は、フィーネに住まう子供達が栄養失調にならない献立を考えているそう。

 

「ひびっきさぁ~~~ん!!」

 

私を呼ぶ切歌の声、彼女のいる方向に視線を向けると調と共にこちらに駆けよって来る姿。中学生ぐらいの身長を持つ二人だが、その様は幼い子のようだ。

 

「私達の間に座って欲しい」

 

「お願いしますデス……」

 

彼女達の目的は夕食の席のようだ。先程までの笑みは失せ、不安げに私の手を握り上目遣いで見つめてる。子犬や兎を想起させる彼女達の瞳に内心[この目に私は勝てない]と良心が降伏したのを察し、ゆっくりと息を吐く。

 

「____分かった」

 

その一言を受け声には出さないけど嬉しそうに互いの手を握りはしゃぐキリシラコンビ。その純粋無垢な姿が今の私には眩しすぎて、逃げるようにクリス達の元へと赴き配膳の手伝いを始める。

 

「なんだよ響照れやがって、調と切歌からモテモテじゃん」

 

そんな私の姿を横目で見ていたのだろう、絶妙に勘違いしてるクリスの言葉に溜息がこぼれる。先程までの年下に怖がれ無いように拾った書籍で見たおしとやかな性格を演じてたのと違い、素の勝気な言葉をこっちに投げかけた。

 

「別に………」

 

フィーネにはいない同年代に対しちょっと羽目を外してる彼女、そんなクリスへの言葉は素っ気ない突き放すような言葉。それを不快と感じず、照れ隠しと受け取った彼女は意味ありげな笑みを向けてくる。

 

「響君、スプーンを持って行ってくれ」

 

「__ん」

 

クリスの様子を横目に配膳を進めているとウェルに頼まれスプーンを子供達の前に置いていく。その光景に男子学生時代のあの頃の記憶がふと蘇る。懐かしい記憶から逃れるように心を殺し無心で配り終え、約束通りキリシラコンビの間の席へと座った。

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

「_____いただきます」

 

こうやって掌を合わせ食前の挨拶をするのは何時ぶりなんだろう…………? 今日は心を乱される一日だ。

 

『へぇ~~、カレーか…! タイガの奴、元気にやってるかな~? ___っあ!響、残すなよ!! 俺はもうチビトラマンと呼ばれたくないからな!』

 

私と同じく過去に浸ってたゼロが急に声を荒げる。相当【チビトラマン】の蔑称?が心に応えているのだう。私の様に地球人ベースのエーフに取ってはゼロは大きい方なんだけど、300メートルを優に超える宇宙忍者がいる彼らの感覚ではゼロは小柄な方なのかも?

 

贅沢に好き嫌いを許された僕の頃と違い、今日を繋ぐため食料どころか水にあり着くのが難しい私が生まれたこの時代で食事残す事はありつけなかった者達への冒涜になるから無理でも食べきるから、ゼロがチビトラマンと呼ばれはしないだろう。たぶん………

 

「ジーーーーーーーィ…………」

 

さて、いい加減触れよう。先程から調がこちらを見つめてくる。あと実際に【ジー】ってセルフ効果音言うやつを始めてみた。

 

「響、今日の付け合わせは調が作ったんだよ」

 

「__なるほど」

 

困惑している私に正面に座るクリスが教えてくれた。調は自分が作った分の感想が欲しいと言うところだろう。そう言う訳でカレーより先に酢の物を口にする。

 

「どう……?」

 

「__うん、おいしい」

 

「良かったデスね、調!」

 

不安げに見つめてくる調に感想を伝えると切歌と共に笑みを浮かべる。 …………私が最後に笑ったのは何時だったかな?

 

あと、マリアとウェルはあり得ない者を見たかのような視線を向けないで。この付け合わせ、お酢が入りすぎてるのは分かってるから、クリスも頷いてるし…………

 

「…? なんでマリアもクリスも響さんを見つめてるの?」

 

「ウェル博士もどうしたデス?」

 

「「「なんでもないよ/わ/です」」」

 

「ほら、キリちゃんも食べよ」

 

それにしても、この子達に好かれちゃったな… ホント、やっかいだ。

 


 

夕食も食べ終え月が傾き始めた頃、キリシラコンビや他の子供が夢の中へ旅立ったのを他所に夜風に当たりに外へと出ていた。

 

「ふぅ~… あいつら、元気すぎ」

 

現在の情勢など関係ないと前世の記憶通り、下手をすればそれ以上にはしゃぐ子供達の相手に疲労を感じていた。

 

『良いじゃねぇか、生きる希望を捨てない良い目をしていたぜ!』

 

(___生きる希望)

「私には無いな………」

 

「なにがねぇんだよ」

 

誰に語り掛けた訳でもない小さな呟き。その言葉に答える影が一つ。後ろに振り返るとそこには声の主であるクリスがハンドガンやスナイパーライフルを武装して立っており、そのそばには車いすを押すマリアの姿が。

 

「クリス、それにマリアと確か…… ナスターシャ」

 

「__えぇ」

 

車いすに乗っているのはこのフィーネで一番偉い人【ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤ】が座っている。大人から【ナスターシャ教授】』と子供からは【マム】と慕われる彼女の右目には眼帯をしてある。と言うのもナスターシャは元々アメリカの研究所で働いていたらしく、そこで怪獣に襲われた。

 

その時の怪我で下半身は動かなくなり、右目を失明すると言う致命傷だけで済んだ。その後は色々あったようで日本へと辿り着き、後にフィーネと呼ばれる集落となる場所で行き場を失った子供達を保護し始めたとのこと。その活動に賛同した人達が集まって今のフィーネが出来上がった。

 

「それで何が無いよ響?」

 

「___切歌達の元気」

 

「あぁ~~、あいつらは特別だ。まだ今の世界をよく知らないチビ達だからな」

 

「そんな事はありません」

 

人差し指で軽く髪を書きながらクリスが呟く。その言葉をナスターシャは静かに、されど力強く否定した。

 

「確かに調達はまだ、現実をよく見れてないところもあります。 ですが彼女達のあの無邪気な笑顔こそが未来その物なんです。それはデフォマンもエーフも変わりありません」

 

「___マム」

 

「そしてそれはあなた達だってそうなのですよ」

 

「いったいどういう事だよ教授?」

 

「あなた達一人一人が、運命を変える力を持っています。たとえ一人では弱くとも、一人ではちっぽけでも、諦めなければからなず未来は良い方向へと向かうはずです。私はそれを信じていますから」

 

ナスターシャの言葉を聞いた私達は何も言えずに固まる。夢物語、時代錯誤の語り、そう言った言葉で簡単には切り捨てれないナニかがそこにあったからだ。

 

「さてマリア、風にも十分に当たりましたし戻りましょう」

 

「はい」

 

私達の間に何とも言えない空気が流れるが、それを振り払うように少し芝居がかった声を出すナスターシャ。

 

「ではクリス、見張りの方をよろしくお願いしますね」

 

「__あぁ!」

 

「それでは響さん、おやすみなさい」

 

「おやすみなさい」

 

「おやすみなさい………」

 

ナスターシャとマリアの言葉に返答する私。おやすみなさいとか旅を始めてから初めて使った…

 

(それにしても、諦めないか………)

「なんか、ゼロみたいだね」

 

『__どこの宇宙にも、どんな絶望に撃ち負けず、最後まで諦めず立ち向かう連中はいるさ。そしてそんな奴らだけが、限界を超えた先に希望と言う光を詰めるのさ』

 

「ふ~~~ん………」

 

まるで実体験の様な言葉。いや、もしかしたら戦いの中でゼロはそういう場面に何度も遭遇したのかも知れない。だからなのだろう、なんとなくクリスが上った見晴らし台に跳び乗ったのは……

 

「うぉ! ビックリさせんなよ… て言うか、エーフってこの高さをジャンプで登れるのかよ…」

 

「まあね…」

 

跳び乗った衝撃で僅かに揺れる見晴らし台。その高さは地上から約10メートルぐらいだろうか? これぐらいの高さなら、ゼロと同化した影響で身体能力が上がって無くても優に跳び乗れる。

 

「___なぁ、響」

 

「___なに?」

 

「明日には………」

 

「ここを出るつもり」

 

「そうか………」

 

双眼鏡を覗き塀の先を見つめるクリスの言葉に、元から持つ常人離れな視力と暗闇の中でも見通せる目で当たらりを見渡しながら返す。

 

「寂しくなるな。 _____あたし響の事、嫌いじゃねぇよ」

 

「……ありがと」

 

「それにガキ達も…… だからさ、ここ(フィーネ)で暮らさないか? 雨風だってしのげるし」

 

「ごめん、気持ちだけ貰っとく」

 

「「…………」」

 

夜風と虫の鳴き声が周囲に響く中、月と星の輝きが私達を照らす。___こんなに他人のそばが温かいと思ったのは、何時ぶりだろうか…………

 


 

翌日の早朝、ソレはやって来た___

 

「ギャオォーーーン!」

 

空から隕石の如く落ちてきた青い球は地面を僅かに窪ませ、天高く舞い上がった土煙の中でその正体を現す。尻尾を揺らし、刺々した黒い体表が日の光反射、巨体を支える強靭な足とは真逆のひ弱そうな腕。

 

『奴はベムラー!』

 

ゼロの宇宙では【宇宙の悪魔】とも恐れられた【宇宙怪獣 ベムラー】が口から放つ青白い熱戦、【ペイル熱線】が集落を襲う。あちこちで火の手が上がる中、重火器を持つクリス達がベムラーに向けて発砲するも強固な皮膚に弾かれ効果が無し。

 

「うぇぇ~~~~ん!」

 

「大丈夫よ、私に捕まりなさい」

 

重火器を持たぬ大人達は子供達や身体が不自由な連中の避難を進める。それでもあちこちから嗚咽を零し蹲る子供の声は途絶える事は無く、ゼロと同化した事であがった身体能力をフルに使い救助活動に加わっているが効果は雀の涙程度。

 

「___っきゃ!」

 

「うわぁぁああああ~~ん!!」

 

「ごわ゙い゙よ゙ぉ゙ぉ゙~~お゙お゙っ!」

 

(全然手が足りない)

 

「響さん、そっちには怪獣が!」

 

フィーネの集落の外にある廃墟が爆発共に周囲に瓦礫の雨を降らす中、調の声を背にベムラーに向けて駆ける。そのまま人気の無い所に身を隠し、腕のウルティメイトブレスを通じて繋がってるゼロに話しかけた。

 

「………ねぇ、ゼロになればあいつ倒せる?」

 

『それは響しだいだぜ』

 

「___希望とか、諦めないとか、良く分からない …………けど、この暖かい場所を守りたい。この思いじゃ…… ダメ?」

 

「っへへ、上等だ! 守ろうぜ、俺達でこの場所を!!」

 

「うん」

 

左腕を前方へ一気に伸ばす。するとブレスのクリスタルから光が放たれゼロアイが浮かび上がって来た。ブレスの上で浮かび、僅かに回転しているソレを右手で掴み目元へ。放たれたエネルギーにより私の体は瞬く間に光へと変わった。身体がゼロへと変化する中、周囲に舞う2本の刃が頭部に装着され巨大化していく。

 


 

『シェッア!』

 

「ギャオォーーーン!?」

 

ベムラーの口元が熱を帯び、今まさに怯える子供達を背にするマリア達へと放たれようとしていたその時、上空より出現した光がベムラーを蹴り飛ばし着地。大地を響かせながら光のベールが解け、その姿を現す。

 

上半身は青を下半身は赤を基調としたツートンカラーの皮膚に走る銀色のライン、肩から胸にはプロテクターが装着されており、溝内より少し上には青く輝くクリスタル【カラータイマー】が日の光を背にするゼロの正面を照らす。

 

どことなく人の様な顔つきしており、一見鉄仮面の様に変化がなさそうな頭部。黄色に輝く瞳は鋭く、それでいて彼の内に秘める優しの様に温かな色を浮かべており、額のクリスタル【ビームランプ】が緑に輝く。頭部に装着された宇宙ブーメラン【ゼロスラッガー】が日の光を反射し、左腕のウルティメイトブレスが神秘の輝きを放つ。

 

「_____昨日の………巨人?」

 

「昨日の鎧は来てないですけど、足元は同じデス!」

 

立ち上がりベムラーへと振り返るその背を見つめながら調と切歌が言葉を零す。彼女達の脳裏に浮かぶテクターギアを装着し戦うゼロ姿。

 

「アレが…………」

 

「昨日現れた巨人」

 

「宇宙人のくせに、温かい感じがしやがる」

 

「あの佇まい… 話に聞いた通りまさしく英雄の様ですね」

 

『俺はゼロ、ウルトラマンゼロだ!』

 

腰を落とし左手は拳を握りしめ腰へ、右手は軽く開きベムラーへ向けて伸ばしファイティングポーズを構えた。その姿を見つめるマリア達が三者三様の反応を示す中、堂々と名乗りを上げる。その声が聞こえたのかは定かではないが切歌達よりも小さな子供が声を張った。

 

「頑張れ~~~!」

 

『シェア!』

 

次々と声援を上げる子供達の声を背にゼロは大地を踏みしめ一気に駆ける。ベムラーの胴体を掴み飛翔。しかしながら暴れるベムラーの抵抗により高度は徐々に下がっていき、やがて地面を滑りながら放たれた頭突きに怯んだゼロはベムラーから手を放して後退。それでも当初の目的通りにフィーネの中から追い出す事は成功していた。

 

『行くぜ!』

 

周囲を気にせず、廃墟軍の中でぶつかる両者。本能に身を任せ頭突きを始めとした打撃を繰り出すベムラー。対するゼロは放たれる一撃一撃を的確に捌いていきカウンターを決めていく。

 

ただでさえ戦いの才能を持つゼロが【宇宙憲法】と呼ばれる格闘技の心得を持つ事で文字通り、最強と呼ばれる領域へと達した。その彼の拳が理不尽を強いられる者達を守るために宇宙を超えて振るわれるのだ。並の相手など敵ではない。

 

「ギャオォーーーン!」

 

腹部に正拳突きを大きく後退したベムラー。開いた距離を利用し口からペイル熱線を放つが、ゼロが展開した半透明の障壁【ウルトラゼロディフェンサー】によって容易く防ぎ切った。自身の十八番を防がれたショックで目を大きく見開き固まるベムラー。

 

『これで終わりだ! ワイドゼロショット!』

 

その大きな隙を見逃すはずなく、今度はゼロ十八番の必殺技光線が放てる!

拳を握りしめた右手を腰に当て、指先を揃えた左手を地面と水平になるように真横へピンと伸ばす。全身にほとばしる光のエネルギーを腕に溜め、そのまま身体の右側でL字に組む事で放たれるオレンジ色の光線。腕全体から放たれる広範囲の一撃はベムラーの全身を貫き爆散!

 

「…………終わった、デスか?」

 

「____シェア!」

 

「「「やった~~~ッ!」」」

 

戦いを見守っていた子供達に頷き澄み切った青空へと両腕を広げ跳び去って行くゼロ。その姿が見なくなるまで見つめながらも喜びの声を荒げる者達。その中には切歌達の姿もあった。

 

「…………」

 

「どうしたの調ちゃん?」

 

当然そこには調の姿もあったのだが暗い表情を浮かべ俯いていた。そんな彼女の様子に隣で立っていたクリスが気づき声を掛ける。

 

「響さん…………」

 

「っあ! 忘れていたわ……………」

 

弱々しく紡がれた人の名。その言葉にマリアは自身の額に手を乗せ呟く。その声に先程まで歓喜の声が一斉に止み、不安げな言葉が辺りかしこで小さく零れ始めた。そんな空気を気にせずにマリアに言葉を投げかける者がいた。

 

「そうなんだマリア」

 

「えぇ…… いったい何処に行ったのかしら?」

 

「いやいや、マリア後ろ!後ろ!」

 

「なによ。へ…………?」

 

興味なさげに呟かれた問いに、後悔と心配の念が籠った言葉を発するマリア。そんなマリアに猫を被るのも忘れマリアの売りを指さし名が声を荒げるクリス。その様子に首をかしげながらも振り向いた先にいた人物に思わず狼狽えたマリア。

 

そこにいたのは茶色の髪を靡かせ、どこか近寄りがたい薄幸のオーラを放つ人物。そのスレンダーな身体は骨が浮かび上がっており、栄養が足りてない事を窺える。だが視線は鋭く、暗いグレーのパーカーも相まって他者との関わりを拒絶しているようにも見えなくはない。

 

しかし一方で左腕には日の光を反射して白銀に輝くブレスが装着されており、中央のクリスタルが青く輝いている。その曇りなき光は少女の中に眠る他者を労わる心その物であるかの様に。この少女こそが響だ。

 

「響さん! 大丈夫デスか?」

 

「大丈夫」

 

「全く、心配かけやがって!」

 

勢いよく抱き着いてきたキリシラコンビを優しく受け止める。一方クリスは攻め立てるように言葉を零すが、その表情は優し気な笑みを浮かべていた。そんな彼女達の様子に改めて生き残った喜びを分かち合う周囲に人々。そしてその様子を少し離れた所でナスターシャが穏やかな表情で見つめていた。

 


 

なんとか生活できるレベルまで復興を終え、少し遅めの朝食も食べ終えた響がフィーネの門に立っていた。今だ周囲を漂う何かが焦げた匂いを感じながら、振り返り後ろに集まった人々に視線を向けた響。

 

「世話になった」

 

「いえ、こちらこそ礼をするつもりが仮が増えただけだわよ。ほんと助かったわ、ありがとう」

 

響の礼に感謝を重ねるマリア。彼女から延ばされた手を握り握手に応じる響に今度はウェルとクリスが言葉を掛ける。

 

「私としてはエーフの血が欲しい所ではありますが…」

 

「おいこら博士!!」

 

「冗談ですよ。今度来た時はあなたの英雄談でも聞かせてください」

 

「こいつはぶれねぇな…… 響、まぁその、なんだ……… 元気でやって行けよ!」

 

「あぁ」

 

瞳にわずかに涙を溜め、猫を被る事無く活発な笑みを浮かべるクリス。その言葉に短く、そして力強く頷た。そんな響の前にマリア達と入れ替わるようにキリシラコンビがやって来る。

 

「「ぅ、うわぁぁああああ~~~~~~~んっ!」」

 

「切歌、調___」

 

大粒の涙を流しながら響へと抱き着く二人。いきなり抱き着いてきた彼女達を受け止めた響はなんて声を掛けて良いのか分からず、ただただ頬をかき困惑していた。そんな彼女に向け二人は言葉を掛ける。

 

「行かないで響さん………!」

 

「他は知らないデスけど、ここはエーフを受け入れる。ですからここに、フィーネに残ってください! お願いデス_____」

 

「……………」

 

嗚咽混じりに紡がれた思い。その声を聞き響は只々立ち尽くし、言葉を探す。その様子に誰も水を差さない。いや、周囲に集まった人々も心のどこかで彼女に残って欲しいと思っているのだ。そこにナスターシャが声を掛ける。

 

「泣くのはお止めなさい!」

 

「「……………マム」」

 

「__響さん、どうか貴方の旅にお二人を連れて行ってあげてください」

 

悲しむ二人の視線を受け、ナスターシャが響に頭を下げた。そして紡がれた言葉、それにより周囲の人々が驚き、あちこちで驚愕の言葉が口々に囁かれる。

 

「おい教授」

 

「流石にそれは………!」

 

「____確かに、いい機会かもしれませんね」

 

「博士まで!?」

 

考え直すようにナスターシャに近寄るクリスとマリアであったが、意外なところからの賛同の声。その声の主はウェル、顎に手を添え事の成り行きを見守っている。一方の本に達はと言うと…

 

「響さんと一緒に旅デスか?」

 

「そうすれば、これからも響さんと一緒に居られる……っ!」

 

互いの手を握りしめ、先程までの涙は引き笑みを浮かべていた。

 

「まだ私は良いと……」

 

「なんでデスか!? 一人より三人で旅をした方が楽しいデスよ!」

 

「切歌達が思ってるより、詰まらないよ」

 

「それでも、響さんと一緒が良い」

 

「切歌、調」

 

「「一緒!一緒!一緒!………」」

 

二人の同行を阻止せんとする響であったが、既に切歌と調は一緒に行く気の様で右腕に切歌、左腕に調が抱き着いて態度と言葉で離れないと宣言。そんな彼女達の様に周りは二人の意思を尊重し、響は静かに溜息を吐く。

 

「はぁ~~~~」

 

『あの教授。切歌と調の目を見てから、こうなる事を予想してたんだろう』

 

(この子達といると調子が狂う…)

 

荷造りの為に響の元を去ったキリシラコンビの背中を見つめ、額に手を当て再び溜息を零す響。しかしその口元は本人も周囲に人々も気が付かない程、小さくやわらかな微笑みを浮かべていた。

 

(___でも悪くないかな)

 

これまで人との関わりを極端に避けて来た響にとって切歌と調、そして集落フィーネの人々との交流は大きな変化の切っ掛けとなった。その事を本人が自覚するのはすべてが終わった事の話。




ウルトラマンゼロ


光の国の若き最強戦士と言われるほどの実力を持つ戦士。父のウルトラセブン譲りの光線技や武器に、師匠のウルトラマンレオとその弟であるアストラから鍛えられた宇宙憲法で戦う。

時を操る輝きの力を己のモノにする特訓の最中に感じ取った因縁の力を追い、可能性宇宙の先にいた本作のもう一人の主人公・響と同化。しかし後に戦う事となる究極生命体とは違い無理やり可能性宇宙を超えた結果、響の心理状態に左右される事に。もし戦士から託された力を使うには…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3回目:~赤き力~ 前に進む炎

OP.DREAM FIGHTER

暴君怪獣 タイラント
登場


コトコトと鍋を煮込む。 一口分取って味見をしてみる。

う~ん? ・・・まぁ、こんな物だろう。

料理ができない人にとっては、上出来・・・そもそも、まともな料理を作れる環境でも無いし。

 

「切歌、調。 出来たよ。」

 

と言っても、食べれるものを煮込んだけだけど。

 

「「は~い!」」

 

今日も、キリシラコンビは元気だな・・・

キリシラコンビと旅は、もう一週間が経った。

その間にも怪獣との戦いは、あった。

・・・ゼロが言うには、『ムルチ』と『ゴルザ』と言うらしい。

 

《まぁ、俺達に掛かれば、楽勝だったがな!》

 

そうだね・・・(割とゼロは、お調子者なのかも)

そうそう、変わったことと言えは、

今まで身一つで旅してたけど、最近は荷物を持つようになった。

左腕のブレスレットに収納しているけど・・・

 

《ウルティメイトブレスレットに収納してる事は、別に良いって!》

 

神秘のアイテムなんでしょ? そんな扱いでいいの?(←言い出しっぺ)

 

《お前たちの命に係わる事だ。 ノアも許してくれるだろうさ。》

 

ふ~ん。 ・・・ノア?

 

《あちこちの宇宙で、伝説を残してるウルトラ戦士だ。》

 

ゼロ以外のウルトラマンか、会ってみたいな。

 

「おかわりデス!」

 

「私もおかわりです。」

 

・・・食べるの早すぎない? 今日に始まった事じゃないけど。

 

「ん。了解。」

 

まぁ、こんな感じで仲良くやってる。

____________________________________________

 

・・・片付け終わり。

朝食と野宿の片づけをして、立ち上がった。

 

「グギャーーー!」

 

「デェーーース!?」

 

その時、空からちぐはぐな怪獣がやって来た。 ・・・キメラに近い気がする。

切歌がびっくりして尻もちを付いた。

 

「また怪獣!」

 

調が叫ぶ。 確かに、ここ最近の怪獣の遭遇率は異常だ。

 

《あいつは!》

 

「《ゼロの知っている奴?》」

 

ゼロが驚きの声を上げたから、最近覚えたテレパシーで聞いてみる。

 

《あぁ、あいつは『暴君怪獣 タイラント』だ!》

 

「暴君怪獣・・・」

 

中々、嫌な響き。

 

「早く逃げるデス!」

 

「切ちゃんに賛成!」

 

立ち上がった切歌が言う。 確かに逃げないと不味いな・・・

 

 

 

・・・はたから見れば荒野の中で怪獣(タイラント)から、逃げてる三人組だろう。

って言うかなんで、こんな何もない場所に怪獣が召喚されたんだろう?

 

《まさか! 響!》

 

「《な、なに?》」

 

《切歌達から離れろ!》

 

「っえ?」

 

ゼロの言った言葉が理解できず、言葉をこぼす。

 

《奴の目的は、俺達だ!》

 

「どうしt・・・!」

 

ゼロの言いたいことが分かった、分かってしまった。

 

「《でも、どうして。》」

 

考え付いた答えに、動揺が隠せない私。

 

《多分、ムルチとゴルザは俺達を探し出すコマだったんだろう。》

 

「《私達は、まんまと引っ掛かったって事か・・・》」

 

《悔いてるのは後だ! 今は、こいつらを守るぞ!》

 

そう言うゼロの声も、震えている。 ・・・気持ちは、何となく分かる。

 

「切歌達は、そのまま逃げて。 ・・・私が囮になるから。」

 

「そんな!」

 

「危ないデスよ!」

 

「私は、貴方値を預かった責任がある。・・・それに大丈夫。 私、エーフだし。」

 

それだけ言うと振り返り、タイラントに向かい走り出す。

私に向かって、耳から光線を放つタイラント。

 

(「「響さ~ん!!」」)

 

キリシラコンビが何か叫んだけど、爆発音で聞こえなかった。

それよりも、私は炎の中でゼロアイを装着し、ゼロに変身する。

 

 

 

響Side END

 

 

 

爆発の中から光が空へと上がり、タイラントを引き飛ばす。

光が人型になりと、ウルトラマンゼロに変わる。

 

「また、巨人。」

 

「お願いデス! 響さんの仇を取って欲しいデス!」

 

これまでの戦いの中で、ゼロを信用した切歌と調が声をかける。

それに応えるように頷くゼロ。

 

《行くぜ!》

「シェア!」

 

ゼロがファイティングポーズをとる。

起き上がったタイラントは、口から吐く強力な炎『デスファイヤー』でゼロを攻撃する。

ゼロは何とか躱し、タイラントの横腹に蹴りを入れる。

 

「デス!」

 

「頑張って。」

 

蹴りは入った物のあまり効いて無く、長い尻尾を鞭のように扱いゼロを追い詰める。

切歌達の声を聞き、距離を取るゼロ。

 

《「一気に決める。」》

 

響が呟き(切歌達には聞こえてない)、頭部にある二本の宇宙ブーメラン

『ゼロスラッガー』を手に取り、カラータイマーに装着しエネルギーをチャージする。

強力な必殺光線『ゼロツインシュート』がタイラント向けて放たれた。

 

「グギャーーー!」

 

「デェス!?」

 

「うそ・・・」

 

何とゼロツインシュートを、腹部にある五角形の口で吸収した!

 

《っち! ベムスターの腹は飾りじゃないか!》

 

《「光線がダメなら。」》

 

ゼロが舌打ちをする中、響が呟きゼロスラッガーを手に持ち合体させる。

弓のような大剣『ゼロツインソード』を、手にタイラントに迫る。

 

「デェェーーア!」

 

「グギャーー!」

 

ゼロの攻撃を右腕の鎌で弾く。 それによりゼロの体勢が崩れた!

そこに左腕の鉄球で攻撃し、ゼロを吹き飛ばす。

 

「あぁ! このままじゃ、負けちゃうデス!」

 

《流石は、ウルトラ兄弟を苦戦させた強敵だぜ・・・》

 

タイラントは、ゼロの故郷に居る歴戦の戦士達を5人抜きした強敵だ。

 

《「それでも、負けない。」》

 

《響?》

 

《「私は、切歌達が平和に生きる世界(みらい)に進ませてあげたい。」》

《「・・・そんな、世界を見たいと思えるようになって来たから。」》

 

切歌達の旅。その時間は、響に平和な未来に()()()()と思わせるには十分だった。

 

《へへ、言うようになって来たじゃないか!》

《今のお前なら、あの力が使えるはずさ!》

 

《「あの力?」》

 

《「あぁ、前に一緒に戦った2人の戦士から受け継いだ、赤き力!」》

 

♪:ULTRA STEEL

 

左腕のブレスが輝き、エレキギターの音と共にゼロの姿が変わる。

上半身は赤色、下半身は銀色に変わり、ゼロスラッガーも金色に変わっている。

前に進み、悪を倒す炎の力。 その姿の名は!

 

《ストロングコロナゼロ!!》

 

普段よりも口調が荒いゼロが、今の姿の名を叫ぶ!

 

「デスデスデェェーーース!?!?」

 

「変わった!」

 

キリシラコンビも驚きの声を上げる。

 

《俺達のビックバンは、もう誰にも止められねぇ!!》

「デェェーーヤァァーーー!!」

 

跳び上がり炎を纏った拳でチョップする技『ビッグバンゼロ』でタイラントの角を折る。

タイラントが痛みの声を出す前に、炎を纏ったパンチやキックで攻撃する。

『ストロングコロナアタック』により、鎌も折られるタイラント。

 

「グギャーーー!」

 

後退し、距離を取ったタイラント。 怒りの眼差しでゼロを睨みつけ、

左手の鞭でゼロを攻撃しようと伸ばす。

 

《「無駄。」》

「デェア!!」

 

ゼロは鞭の先端を躱し、キャッチする。 そしてそのまま、力任せに引きちぎる。

 

《「返す。」》

 

引きちぎった先端を、力一杯タイラントに投げ飛ばす。

 

「グギャーーー!」

 

五角形の口に刺さり、苦しむタイラント。

そこに拳を打ち付けながらゼロが近づき、タイラントを空高くに投げ飛ばす。

 

《ウルトラハリケーン!!》

 

すぐさま、右手にエネルギーを溜める。

 

《ガルネイトバスタァァー!!》

 

高熱のエネルギー弾『ガルネイトバスター』がタイラントを吹き飛ばす。

 

「シェア!」

 

空へと飛びさるゼロ。

 

「やったデス!」

 

「でも、響さんが・・・」

 

ゼロの勝利に喜ぶも、響が居ない事に顔を暗くする二人。

 

「私がどうしたの?」

 

「「響さん!?」」

 

そこに響が、後ろから声をかける。

 

 

____________________________________________

 

一方、タイラントとゼロの戦いを見ていた宇宙人達は・・・

 

「タイラントが、負けた・・・」

 

「なんて強さだ!」

 

タイラントが撃破された事に驚いている。

 

「ふふふ。」

 

そんな中、一番良い席に座っている黒色の宇宙人が笑う。

 

「おい!メスト何がおかしい!」

 

「いえ、あの宇宙人の・・・

 地球人の弱点を見つけたんですよ。」

 

メストと呼ばれた宇宙人の目には、響と話すキリシラコンビの姿が映し出されていた。




ストロングコロナゼロ


フューチャーアースで共に戦った、ウルトラマンダイナとウルトラマンコスモスの
ストロングタイプとコロナモードの力を併せ持つ、超パワー戦士。
この姿だと、普段よりも口調が荒くなる。

響が未来を進みたいと思い始めた事により、チェンジ可能になった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4回目:守り抜く誓い ~青の力~

OP.DREAM FIGHTER

宇宙帝王 バド星人
暗黒星人 シャプレー星人
憑依宇宙人 サーペント星人
変身怪人 ゼットン星人
発砲怪人 グロテス星人
宇宙海人 バルキー星人
高速宇宙人 スラン星人
異次元宇宙人 イカルス星人
登場


グレーのパーカーのポケットに手を入れて歩いている。

時々、キリシラコンビがはぐれて無いか後ろを振り向く。

 

「おぉ!」

 

「アレは、何デスか?」

 

私達は新しい集落に来ている。 今は祭り中の様で人が割と多い。

祭りと言っても、前世と比べたら貧相だけど・・・

それより、キリシラコンビが興味を示したのは食べ物の屋台だった。

今、懐にも余裕があるし・・・

 

「食べてみる?」

 

「食べ物なの?」

 

「うん。」

 

「食べたいデス!」

 

屋台で人数分買って、適当なベンチにキリシラコンビを座らせる。

ちなみに買ったのは、たれの串焼き。 串に鶏肉が刺さってるやつ。

これ、この世界だとなかなか食べれない物なんだなんだ。

こっちの値段で前世の時、売っていたらぼったくりレベルで。

 

《・・・響。》

 

「《分かってる。》服を汚さないように。」

 

ゼロの警告を聞きながら、キリシラコンビに串焼きを渡す。

 

「了解デス。」

 

「うん。」

 

キリシラコンビの返事を聞き、その場を離れる。

 

「響さん、どこ行くの?」

 

「・・・元々の用事を済ませに。」

 

調の言葉にそれっぽく答え、離れた。

 

 

 

____________________________________________

 

人気のない路地裏に入る。 ・・・ここでいいか。

 

「出てきたら?」

 

後ろからついて来てる奴に、声をかける。

 

「流石、地球人の救世主と言ったところか・・・」

「だが、俺様には勝てんぞ!!」

 

物陰から現れた、お尻みたいな頭の宇宙人が襲い掛かってくる。

それを軽く受け流す。

 

《バド星人か。 気を付けろ、俺のいた宇宙だと卑怯な手を使う奴らだ!》

 

「分かった。」

 

「オラァァーー!」

 

また突進してきたから、カウンターを入れる。

 

「ククク・・・」

 

吹き飛ばされた、バド星人が笑い始めた。

 

「何が可笑しい?」

 

「まんまと引っ掛かってくれたな!!」

 

「どう言う」

 

《! 響、後ろだ!》

 

ゼロの言葉を聞き、振り返る。

そこには、奴の仲間だと思われる宇宙人がキリシラコンビを捕まえていた。

 

《シャプレー星人に、サーペント星人か!》

 

「その子たちを、離せ!」

 

「離せと言われて、人質を離す奴がいるか!」

 

「っ!」

 

キリシラコンビを捕まえている宇宙人の頭上を飛び越えて、新たな宇宙人が攻撃を仕掛けてきた。

それを何とか、バク転で躱す。

 

《ゼットン星人に、グロテス星人!》

 

キリシラコンビを捕まえている宇宙人が後ろに下がり始める。

何とか助け出そうと、宇宙人たちを退け、走り出す。

 

「っく! 邪魔!」

 

それを、新たに現れた宇宙人に阻止された。

 

《バルキー星人まで!》

 

バルキー星人の攻撃を利用して、後ろに投げ飛ばす。

宇宙人の上に覆いかぶさる形になってるけど、無視。

慌てて振り返ると、キリシラコンビの影は無かった。

 

「安心しろ。お前を抹殺した後、きちんとあのガキどもを追わせてやる!」

 

「・・・ない。」

 

宇宙人の言葉を聞いた時、私の中で何かが切れた。

 

「あん?」

 

「させない!」

 

気づいたら、怒りのまま宇宙人を殴っていた。 その後ひたすら宇宙人達を・・・

 

 

殴る

殴る!

殴る!!

 

殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る

 

 

《響!!》

 

「!」

 

怒り以外に考えられなくなっていた私に、ゼロの声が聞こえた。

既に宇宙人達は、こと切れていた・・・

 

《いいか、響! 怒りのまま戦えば、お前はお前じゃなくなるぞ!!》

 

「・・・」

 

《怒りで自分を見失いうな!なぜ戦うのか、それをしっかり考えろ。》

 

ゼロの言葉には、今まで以上の力強さがあった。

 

「・・・・・・」

 

手に着いた誰の物かも分からない血を、布の切れ端で拭う。

 

「セロ、奴らの場所は?」

 

《宇宙。この星の軌道上だ。・・・だが、切歌達の正確な場所までは・・・》

 

『それなら、私が案内しますよ。』

 

ゼロと会話をしてたら突然、テレパシーが届く。

 

「《あんた、誰?》」

 

『悪いけど、説明をしている時間はありません。 ですが、私は地球の味方です。』

 

「《・・・分かった。ゼロ。》」

 

《・・・行くんだな。》

 

「あぁ。 キリシラコンビを助けに。」

 

私はウルトラゼロアイを手に取る。

 

「「そいつは、無理だ!」」

 

声が聞こえて、空を見上げる。 空から、巨大化した宇宙人が降りて来た。

 

《スラン星人! それにイカルス星人!》

 

「だから・・・邪魔するな!」

 

ゼロアイを装着して、光に包まれる。

 

 

響Side END

 

 

宇宙人コンビと戦うゼロ。 その近くでは、人々が逃げていた。

スラン星人の超スピードとイカルス星人の連続テレポートに苦戦している。

 

《「ちょこまかと。」》

 

《落ち着け、響!》

 

キリシラコンビの事が頭によぎり、何時もどうり戦えない響達。

さらに、宇宙人コンビのコンビネーションに押されていく。

 

「このスピードと!」

 

「この動きに!」

 

「「ついて来れないようだな!」」

 

《うわぁ!》

 

攻撃を受け、倒れるゼロ。

 

《「守るんだ、あいつらを・・・」》

 

♪:Rising High

 

ゼロの手に力が籠められる。

 

《「希望を持って生きている、あいつらの未来を・・・」》

 

フラフラしながらも、立ち上がるゼロ。

 

《「守るんだ!」》

 

響の思いにこたえるかのように、ハープの音と共に姿が変わる。

上半身と下半身で異なる青色の体。ゼロスラッガーも青色に変わる。

高速で動き、超能力で命を守る力。 その名も・・・

 

《ルナミラクルゼロ。》

 

普段よりも冷静な口調のゼロが、今の姿の名を言う。

 

「青一色になったところで!」

 

スラン星人が高速で動き、ゼロに拳を振るう!

 

「なに!?」

 

スラン星人の拳は空を切るだけだった。

 

「どこに行った!」

 

《こっちだ。》

 

スラン星人の真後ろに、ゼロが現れる。

 

《「飛べ。」》

 

響の言葉と共に、右手をスラン星人に向ける。

 

《レボリウムスマッシュ。》

 

右手から衝撃波を放ち、スラン星人を吹き飛ばす。

 

「これでも、喰らえ!」

 

イカルス星人が耳から光線を放つ。 ゼロは一瞬、後ろを見て

ウルトラゼロディフェンサーを展開し防ぐ。

そんなゼロの後ろには、避難している途中の人達が!

 

「助けてくれたのか?」

 

一人の男性が呟く。 その言葉に答えるようにゼロが頷く。

 

「シェア!」

 

バリアを光の弾にして打ち出し、イカルス星人を吹き飛ばす。

 

《ミラクルゼロスラッガー。》

 

無数の光のゼロスラッガーを作り出し、宇宙人コンビに向けて放つ。

 

「「ぐわぁ~~!!」」

 

切り刻まれ、爆散する。

 

《俺達に勝とうなんざ、二万年早いぜ。》

 

《「・・・行こう、ゼロ。」》

 

《あぁ。》

「シェア!」

 

ゼロは切歌と調を助け出すため、宇宙に浮かぶ宇宙船群に向けて飛び立つ。




ルナミラクルゼロ


コスモスのルナモードの力とダイナのミラクルタイプの力を併せ持つ、超スピード戦士。
超能力を使い、魂の浄化や治癒も可能。この姿だと、普段よりも口調が比較的冷静になる。

響が切歌と調の未来を守りたいと願った事により、力が答えてくれた為チェンジ可能になった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5回目:~赤と青の力~ 受け継いだモノ

OP.DREAM FIGHTER

宇宙竜 ナース
キングジョーカスタム
悪質宇宙人 メフィラス星人(メスト)
登場


地球の周りに浮かんでいる宇宙船群。

その中で一番大きな宇宙船に、光の粒子となって潜入した。

宇宙船の中で元の姿(ルナミラクルゼロ)に戻り、すぐに私に変わる。

 

「声のとうりなら、ここに・・・」

 

それにしても、ここが宇宙人(やつら)の居場所か・・・まぁ、いいや。

それより早く、キリシラコンビを見つけ出さないと。

 

《待て、響。こいつを持っていけ。》

 

ゼロが行った後、ブレスからウルトラゼロアイが出てきた。

 

《そいつを折りたたんでみろ。》

 

「折りたたむ?」

 

言われたとうりに、ゼロアイを真ん中で折りたたむ。

すると、銃になった。

 

《武器はあった方がいいだろ。》

 

「ありがと。」

 

《へへ、行くぞ!》

 

「うん。」

 

 

 

____________________________________________

 

曲り角から少しだけ顔を出す。視線の先には、廊下で立ち話をしている宇宙人がいる。

そいつらに銃口を向けてトリガー引く。 『エメリウムエネルギー光弾』と言う緑色の光弾が、

宇宙人達を打ち抜く。

・・・理解もできずに散っていった宇宙人達の横を通り、先に進んでいく。

 

 

 

何回か繰り返して、キリシラコンビが捕まっている場所を見つけた。

 

《ここだ!》

 

ゼロの声を聞き、扉のロック装置に向かって撃つ。 力任せに扉を開ける。

 

「か、かかかかってこいデス!」

 

「そんなに震えて言っても、意味ない。」

 

切歌の様子に苦笑いを浮かべながら、言う。

 

「「っ!・・・響さん!!」」

 

「騒がない。」

 

キリシラコンビを縛る、鎖みたいなものを引きちぎろうとするも、引きちぎれない。

 

《変わるぞ響。》

 

ゼロに変わる。 ゼロはすぐさま鎖モドキを引きちぎった。

 

「ありがとうございます。」

 

「助かったデス。」

 

「〈へへ、気にするな。〉」

 

キリシラコンビの言葉に、親指で鼻をこすりながら答えるゼロ。

このタイミングで、人格を私に戻す。

 

「それより、ここから出るよ。」

 

「どうやって?」

 

「テレポート。」

 

「デェス!?」

 

「できるの?」

 

「・・・エーフだから。」

 

「すごい!」

 

「デスデス!」

 

・・・ごめん、ゼロの能力なんだ。 一応、出来るから嘘ではない。・・・はず。

 

 

 

____________________________________________

 

「ここは!」

 

「マムの・・・私達の集落の近くデス!」

 

切歌の言うとうりここは、集落・フィーネの付近にある森の入り口

 

「《ありがとう、ゼロ。》」

 

《響。安心するには、まだ早いぜ!》

 

「《っえ?》」

 

《空を見てみろ!》

 

「っ!」

 

ゼロに言われて空を見ると、金色の円盤が5機がこっちに向かって来ていた。

 

「《もしかして・・・》」

 

《あぁ、俺達を追いかけてきたんだろうな。》

 

「《行こう、ゼロ。》」

 

《あぁ!》

 

「切歌、調。」

 

「何デス?」

 

「ナスターシャ達を連れて、逃げろ。」

 

「・・・響さんは?」

 

「ちょっと、行ってくる。」

 

「「え?」」

 

 

 

響Side END

 

 

 

響は、円盤群に向かって走り出す。

 

「「響さん!」」

 

切歌と調が叫ぶ中、響が光となり空へ!

光は大きくなり、巨人・ウルトラマンゼロになる。

 

「デスデスデェェーーース!?!?」

 

「響さんが、光の巨人!?」

 

《お前たちの相手は!》

 

《「私達。」》

「シェア!」

 

ゼロが構えると同時に、円盤が変形を始める。一番大きい円盤は、金色の龍へと。

残りの円盤は合体し、右手にランチャーを武装した金色のロボットに!

 

《『宇宙竜 ナース』! それに腕は違うが、その見た目『キングジョー』か!》

 

ナースに攻撃を仕掛けようとするゼロ。 キングジョーが右腕のランチャーでそれを阻止。

立ち上がりキングジョーに攻撃しようとすると、ナースが口から電撃を放ちゼロを吹き飛ばす。

思わぬコンビネーションに苦戦するゼロ。

 

「頑張って!響さん!!」

 

「気合デェェーース!」

 

《「あいつら・・・っ!」》

 

調と切歌も声に反応したナースが、円盤へと戻り機体下部から光弾を連射する。

 

「「っ!」」

 

思わず、伏せる二人。 しかし、いつまで経っても衝撃は来ない。

恐る恐る目を開けると・・・

 

「「響さん!」」

 

《「ここは危ないから、離れてろ。」》

 

身を盾に、二人を守るゼロの姿が!

響の声を聞き、物陰に隠れる切歌と調。

 

《見せてやるぜ! 受け継いだ本当の力を!!》

 

ナースの最後の攻撃が当たると同時に、ゼロが光に包まれる。

 

♪:DREAM FIGHTER

 

龍状態になったナースとキングジョーが、後退る。

 

「切ちゃん、あれ!」

 

「どどど、どうなっているんデスか!?」

 

そこには赤と青、ストロングコロナゼロとルナミラクルゼロとなった二人のゼロが立っていた。

 

《 《本当の戦いは、ここからだ!!》 》

 

キングジョーがストロングコロナゼロにランチャーを使い攻撃する。

ストロングコロナゼロは、弾丸を手刀で弾きながら前に進む。

 

ナースが空高く飛び上がり、ルナミラクルゼロが追いかける。

ルナミラクルゼロの周りを旋回し、様子をうかがう。

 

 

 

____________________________________________

 

《「ほい。」》

 

足払いでキングジョーを転倒させ、足首を掴み跳び上がる。

 

「デェェーーーアァァーーーー!!」

 

その勢いのまま、地面に叩きつける。

プロレスのパイルドライバーの要領で放つ技、『ゼロドライバー』でキングジョーを撃破する。

 

 

 

____________________________________________

 

《・・・!ビームゼロスパイク。》

 

地上に向かい始めたナースに、右手から緑色の光弾を放つ。

ナースの体に、イナズマ状のエネルギーが纏い動かなくなる。

 

《パーティクルナミラクルゼロ。》

 

光の粒子となったゼロが、ナースの体内に飛び込む。

しばらくして、ゼロが出てきて着陸する。 それと同時にナースは爆散した。

 

 

 

____________________________________________

 

「勝った?」

 

「勝ったデス。」

 

「・・・!やった~!!」

 

切歌と調が喜ぶ中、光と共に元に戻るゼロ。

 

「切歌!調!」

 

「マム!」

 

「それに、みんなも・・・」

 

そこに、ナスターシャ達がやって来る。

 

「どうしてここに?」

 

「それは、こっちのセリフよ!」

 

「おい!見ろよ!」

 

クリスが指さす方向を見るとゼロが、切歌達を見ていた。

 

「デェア!」

 

「「イェーイ!」」

 

ゼロがサムズアップをし、切歌と調がサムズアップで答える。

その光景をナスターシャ達は、不思議そうに見ていた。

 

『流石は、光の巨人。』

 

「「「!?」」」

 

突然、空に黒色の宇宙人が映し出される。

 

《てめぇ、ナニモンだ!》

 

『私は、『メフィラス星人』の『メスト』。 あなた方も名乗ってもらいましょうか!』

 

《俺はゼロ!ウルトラマンゼロだ!》

 

《「・・・響。」》

 

『あなた方には、この星を出て行ってもらいます!

 あなた方がこの星に居ると、我々のゲームが成立しないのでね。』

 

《何ふざけと言ってやがる! この星はお前たちの物じゃねぇ!

 この星に生きる、数多の命の為にある(ほし)だ!》

 

《「お前たちが、引けよ・・・」》

 

『仕方あるまい。 こうなれば、実力行使です! やれ!』

 

映像は切り替わり、数えきれないほどの宇宙人・怪獣・ロボット・円盤が

地球に行進を始めた様子が、映し出された。

 

《上等だ!こっちから、宇宙(そっち)に行ってやるから待ってろ!》

 

《「・・・終わらせる。この悲劇を。」》

 

ゼロは宇宙に向けて飛び立つ。 戦場を地球にしないために。

その光景は切歌達だけだは無く、地球の全員が見ていた。




【二人のゼロ】



全力を開放する事で、分身変身した結果。
「前に進む力」と「守り抜く力」を同時に使う事で出来る。

今回は切歌と調を守るために、二人が奮起した事によって、この力が使えた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6回目:希望の光! ~銀色の鎧~

OP.DREAM FIGHTER

悪質宇宙人 メフィラス星人(メスト)
三面怪人 ダダ星人
宇宙大怪獣 アストロモンス
雪女怪獣 スノーゴン
地底怪獣 テレスドン
登場


炎を纏った蹴り『ウルトラゼロキック』が、『ダダ星人』に当たり爆散する。

その爆発の中から、光の巨人・ウルトラマンゼロが、

左手を握り腰の所に、右手は横に伸ばし光のエネルギーを溜めている姿が!

 

《ワイドゼロショット!》

 

腕をL字に組み光線を横払いに放つ。

『アストロモンス』を始めとした怪獣やロボットを撃破していく。

 

《うぉ!》

 

後ろか『スノーゴン』が『凍結スノーフリーザー』をゼロに向けて放つ。

ゼロの体が少しずつ凍っていく。

 

《その程度の冷気!》

 

《「どうって事、無い。」》

 

エレキギターの音と共に、ストロングコロナゼロに変わる!

その時、凍っていた部分が解ける。

 

《ストロングコロナゼロ!! 行くぜ、響!!》

 

右腕のウルティメイトブレスレットから、

赤・青・銀の盾【ウルトラゼロディフェンダー】を取り出す。

スノーゴンはお構いなしに冷凍ガスを再び放つ。

ゼロは盾を前に構える。 すると盾が冷凍ガスを吸収し始める。

 

《「自分の技で、凍れ。」》

 

盾から吸収した冷凍ガスをスノーゴンに向けて放つ。

スノーゴンや近くにいた宇宙人が凍る。

ハープの音と共にルナミラクルゼロに変わる。

 

《ルナミラクルゼロ。》

 

手に持つ盾をヤリ状の武器『ウルトラゼロランス』変え、思いっきり投げ飛ばす。

投げ飛ばした槍に人差し指と中指から出た青色の光を当てると槍が増えた。

 

《「おまけ。」》

 

《ミラクルゼロスラッガー。》

 

無数の光の槍やスラッガーが円盤や宇宙人、怪獣・ロボットを貫いたり切り刻む。

本体の槍はスノーゴンを貫き、ゼロの手元に戻ってくる。

槍をブレスレットにしまった瞬間、ゼロの背中に衝撃(爆発)が起き月に倒れ来ぬように落ちる。

 

《っく、流石に数が多いかぁ!》

 

胸のカラータイマーが点滅を始める。

要塞とも言える宇宙船群がゼロに向けて、一斉に攻撃を始める。

 

《グワァァァァ!》

 

 

 

____________________________________________

 

その頃、地球では・・・・

 

「「響さん!!」」

 

空に浮かんでいる映像を見ていた切歌と調が苦戦するゼロを見て叫ぶ。

 

「お、おいどう言う事よ。」

 

「落ち着きなさいマリア。」

 

切歌と調の叫びに近い声を聞いて、周りにいた人達が驚く。

 

「切歌、調。あの巨人が、響さんなのですか?」

 

「うん。」

 

「そっか、響が・・・」

 

「今は、彼女が勝つのを信じましょう。」

 

「はいデス・・・」

 

ナスターシャ達はゼロの・・・響達の勝利を信じて、空に浮かぶ映像を見る。

そして、いろんな所でゼロの勝利を信じて応援している人たちがいる。

 

 

 

____________________________________________

 

《「ここまでか・・・ エーフにしては、長生きしたし。 もう良いか・・・」》

 

圧倒的な戦力差の前に、響の心が折れた。

 

《良い訳ねぇだろ。》

 

《「でも、もう。 ・・・立ち上がる力すら残って無い。 どうしようも無いよ。」》

 

ゼロの言葉に、今にも消えそうな声で呟き返す響。

 

《そうやって、諦めるな! 今、ここで俺達が折れたら、この地球(ほし)は!

 今まで守って来た場所は! 命は! 切歌は! 調は! どうなる!!

 守り抜くんだろ?あいつらの未来を! 進むんだろ?平和な未来に!

 だったら、こんな所で・・・諦めるなァ!!》

 

『一体何が!?』

 

ゼロの叫びに応えるかのように、地球から無数の光がゼロに集まってくる。

その光景にメストが驚く。

 

《それに俺は! 響、お前の命も! 諦めたりするもんかぁぁぁーーー!!》

 

ゼロの集まった無数の光。 それは、希望を捨てずゼロを応援する人々の心の光だった。

その光がウルティメイトブレスレットに吸収され、ブレスレットが輝き始める!

 

 

 

____________________________________________

 

♪:運命のしずく~Destiny's star~

 

「私を呼んでいる?」

 

響は何処か、遺跡のような場所を歩いていた。

遺跡の最深部に行くと石碑が置いてあり、それに触れる。

 

「此処は?」

 

石碑の中に吸い込まれた響は、不思議な空間の中にいた。

 

「ゼロと同じ、ウルトラマン?」

 

辺りを見わしていたたら目の前に、胸に「Y」を思わせる発光体と背中に大きな翼をもつ、

神秘の巨人が響を見つめていた。

 

「ノア? 貴方が、ゼロにブレスレットを渡した。」

 

何故か巨人の名が頭に浮かび呟く響。

ノアと呼ばれた巨人は、胸の所で握り拳を作り響へと伸ばす。

ノアが手をひらくと、銀色の光の玉が響の胸に向かって飛んでいく。

 

「っ! 痛みが引いた・・・」

 

響の中に光りの玉が入ると、響の傷が治る。

それを確認したノアは、ゆっくりと消えていく。

 

 

 

____________________________________________

 

ウルティメイトブレスレットが変化・・・

いや、本来の姿『ウルティメイトイージス』に戻り、ゼロが白銀の鎧として装着する。

その見た目は、何処か先ほど響が出会った『ウルトラマンノア』を彷彿させる。

鎧によって強化された今のゼロの名は・・・

 

《ウルティメイトゼロ!》

 

『テレスドン』を先頭とした怪獣軍団がゼロに近づく。

怪獣軍団がゼロに攻撃を仕掛けるが、右腕に装着された白銀の剣

『ウルティメイトゼロソード』の一撃よって切り倒された。

 

「デェア!」

 

右腕の剣にエネルギーを溜めて、円盤群に向けて一閃!

巨大ないな光の刃が大きさを問わず、『ソードレイ・ウルティメイトゼロ』の一撃で沈没した。

 

「っな!」

 

それを見た宇宙人と怪獣の動きが止まる。

感情を待たないロボットの大群がゼロに迫る。

 

「デェアァァーー!」

 

ゼロは回転切りの要領でソードレイ・ウルティメイトゼロを使い攻撃する。

今度は光の刃ではなく、真空刃が放たれた! その真空刃によりロボット軍団が全滅した。

 

「っひ!ひぇ~!」

 

それを見た怪獣や宇宙人は、我先にと宇宙船に戻ろうとする。

 

《「逃がさない。」》

 

響の呟きの後イージスが、

『ファイナルウルティメイトゼロモード』と呼ばれる超弓状に変形する。

それを手に取り、弓の弦を引くようにエネルギーをチャージし始める。

エネルギーが溜まるたびに一つ、また一つとクリスタル部分が輝く!

 

「お、おい!」

 

宇宙人達がその様子に気づいたのは・・・

 

「何だアレ!?」

 

「なんか、不味くねぇか?」

 

準備が整った後だった。

 

《受けて見ろ! どんな逆行でも決して諦めなかった、人々の反撃の光を!》

 

光の弦を離し、イージスが発射される!

怪獣や宇宙人を貫きながら一番デカい宇宙船、メストが乗る宇宙船に当たる。

 

「私達は、『インダスト』のメンバーにすぎません!いずれ仲間が、お前達を!」

 

爆発の中、メストが叫ぶ。

この余波で、地球の軌道上にいた宇宙船は全滅した。

 

《「インダスト・・・」》

 

「「「やっったあぁぁぁぁーーーー!!」」」

 

声が聞こえ、後ろに振り向く。

その眼には青く輝く星、地球が映し出されていた。

地球では、ゼロの勝利に誰もが喜んでいた。

 

《長く険しい歴史の終止符を、響! お前が打ったんだ。 やったな!》

 

《「・・・うん。」》

「デェア!」

 

勝利を喜び、左腕を上げる。

その手についてるウルティメイトブレスレットは、いつもよりも輝いていた。

 

 

 

____________________________________________

 

・・・翌日

響は戦いの後、フィーネで一泊過ごしていた。

 

「ねぇ、ゼロ。」

 

外に置かれた木箱の上に腰を下ろした響が、ブレスレットに向かって話しかける。

 

《なんだ、響?》

 

ブレスレットから響だけに聞こえるのは、ゼロの声だ。

 

「一緒に、宇宙を旅しよ。」

 

《一応聞くが、理由は?》

 

「あいつらを・・・インダストの連中を倒す。」

 

《っふ!二万年速い!・・・っと言いたいところだが。 オレの相棒なら上等だ!》

 

「・・・ありがとう。」

 

響の小さな呟きは、風の音によって誰にも聞かれなかった。

 

《それに、本来の調査もまだだし、どっち道まだこの宇宙に居なきゃだしな。》

 

「邪気の調査だっけ?」

 

《あぁ。 何となく正体は・・・ いや、今はインダストの方を優先しよう。

 調査はその過程の中で何とかなるだろ。》

 

「? 分かった。」

 

ゼロの言葉を理解しきれてない響だった。

響は足を地につけ立ち上がり、左腕を前に伸ばす。

ブレスからウルトラゼロアイが出てきて、それを右手で掴む。 ゼロアイを装着・・・

 

「待ってください!」

 

しようとして、後ろから声をかけられる。

振り向くとそこには、フィーネでよく関わった人達が。

 

「調に切歌。 それに皆さんまで・・・」

 

「行かないで欲しいデス!」

 

「響さんは私達にとって、掛け替えの無い人だから!」

 

切歌と調が目に涙を受けべながら、言葉をかける。

 

「・・・ごめん。 もう、決めたから。」

 

「でも!」

 

「調! それに切歌も。行かせてあげなさい。」

 

「マリアお姉ちゃん。」

 

調の言葉を遮るように、マリアが二人に声をかける。

 

「響、元気でやれよ!」

 

「クリスもね。」

 

「近くを通ったらぜひ、会いに来てね。歓迎するわ!」

 

「マリア、分かった。」

 

「この星にとってあなたは英雄(ヒーロー)です。響さん。」

 

「ウェル。それは、私のキャラじゃない。」

 

「この星は必ず、デフォマンもエーフも関係なく暮らせる。 私はそう信じています。

 だから、いつでも帰ってきてください。 この星は、あなたの故郷でもあるんですから。」

 

「ナスターシャ。・・・はい。」

 

「「っう、うわぁ~~~ん!!」」

 

「調。切歌。」

 

調と切歌は、泣きながら響に抱き着いて来た。 そんな二人を優しく受け入れる響。

 

世界に諦め、孤独な旅をしてきた響。

別宇宙からやって来た光の巨人と出会い、自信を慕う者達(キリシラコンビ)と旅をした。

いつしか彼女(ひびき)は、他人と進み、大切なモノを守り、守る事を諦めなくなった。

まだ自分の命は軽視するも、少しづつ彼女は成長している。

人間として、戦士として。 大きく、逞しく。

 

「調、切歌。 ・・・行ってきます。」

 

「「行ってらっしゃい!(デス!)」」

 

進め、響! 進め、ウルトラマンゼロ!

 

 

 

 

 

 

第一部・完!!




ウルティメイトゼロ


選ばれ者しか装着出来ないとされる、ウルトラマンノアから授けられた鎧。
ウルティメイトイージスは、バラージの盾とも呼ばれ、人々の心の光の結晶が結集した物。
また、ノアと同じく次元を超える力がある。ゼロが今作の舞台となった宇宙に来れた要因の一つ。
未使用時には、左腕にブレスとして装着されている。

今作ではゼロを応援する地球の人々の心の光と、
響がノアに認められた為使用できるようになった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章・宇宙で輝く、成長する光
1ページ:響達の今


俺はゼロ、ウルトラマンゼロだ。
俺は後に、インベイジョンスペースと呼ばれる、レベル3のマルチバースにやって来た。
俺はそこで活動する為、かつての親父のようにその宇宙の住人。
エーフと呼ばれるハーフ種族の少女・響と同化する。

口数こそ少ない無いが、誰かの為に動ける少女だ。
彼女は転生の影響で、平和な別の地球を知っているからこそ、
今の地球の環境に苦しみ、いつしか全てを諦めるようになっていった。
そんな響は、暁切歌と月読調との旅で少しづつ成長していった。

そして、地球を守る戦いは終わり、俺達は宇宙に平和を取り戻すため、宇宙へと旅立った。
これからみんなが読むのは、半年後より少し過ぎた時の戦いだ。


宇宙空間、小惑星群・・・いや、衛星群の中を飛ぶ二つの影があった。

 

「デェア!」

 

「ピッギャーーー!!」

 

片方は、赤と青の身体に銀色のライン、頭部には宇宙ブーメラン『ゼロスラッガー』を持つ。

別次元の宇宙からやって来たM78星雲人・『ウルトラマンゼロ』!

対するもう一つの影は、昆虫のような見た目の生物兵器『スコーピス』。

 

《「一気に、決める。」》

 

ゼロと同化をしているこの宇宙の地球生まれ、地球育ちで、

地球人と星人のハーフ少女『響』が、小さくけれど力強く呟く。

 

次の瞬間、ハープの音と共にセロの姿が、青系色の姿『ルナミラクルゼロ』に変わる。

 

「シェア。」

 

目に留まらぬ速さでスコーピスに近づき、ゼロ距離で衝撃波をぶつけ、近くの衛星に落とす。

スコーピスを追いかけ、ゼロも衛星に降り立つ。

 

「ピッギャーーー!」

 

起き上がったスコーピスはゼロに向かって、腐食光線『ポイゾニクト』を放つ。

 

「シェア。」

 

体をそらしてポイゾニクトを躱す。ポイゾニクトが当たった岩は、砂へと変わる。

 

《「星の砂漠化は、こいつのせい。」》

 

響はスコーピスと戦う前に訪れた、砂漠と化した星々の光景がフラッシュバックする。

 

《これ以上、被害を拡大させる訳にはいかねぇ。ここでこいつを倒すぞ。》

 

《「うん。」》

 

ゼロと響のやり取りが終わると、

エレキギターの音と共に赤と銀の『ストロングコロナゼロ』に姿を変える。

 

「デェェェアァァァ!!」

 

両腕に炎を纏いスコーピスに拳のラッシュを仕掛ける。

スコーピスとの攻防の中、ゼロがアッパーを決める。

撃つ上げられたスコーピスは、爆散する。

 

《ふぅ~、何とかあの星に着くまでに終わったな!》

 

元の姿に戻ったゼロが、響に言葉をかける。

 

《「砂漠と化した星、奴らの仕業かと思っていたけど・・・」》

 

響の言う『奴ら』とは、響達が追いかけている、『インダスト』呼ばれる組織。

種族関係なく集まった組織で、ゲーム感覚で星を侵略及び破壊している。

 

《そうとは言い切れねぞ。 スコーピスは生み出された・・・っ!》

 

ゼロの言葉は上空から降り注ぐ、光弾によって妨げられた。

攻撃がおさまったのを確認すると、上を向き光弾が来た方向を見る。

 

《「まだ、居た。」》

 

そこには百を超える、スコーピスの軍団がいた。

 

《一気に行くぞ!!》

 

後ろにある惑星を見た後力強く叫び、左手に装着した銀色のブレスレット

『ウルティメイトブレスレット』を輝かせる。

光が晴れるとそこには、銀色の鎧を着たストロングコロナゼロの姿があった。

 

《ウルティメイトストロングコロナゼロ!!》

 

『ウルティメイトイージス』を纏ったゼロが、右腕に装着された剣

『ウルティメイトゼロソード』の刀身に炎を纏わせ、スコーピスを切り裂いていく。

 

「「「ピッギャーーー!!!」」」

 

頭部から放つ『破壊光弾フラレジッドボム』がゼロに向けて放たれる。

ゼロはその場で回転する事で防ぐ。

 

《「キリがない。」》

 

《ソードレイ・ウルティメイトゼロ!!》

 

真空刃を放ち、射線所のスコーピスを撃破していく。

スコーピスが爆散するの背景に、青い光と共にイージスを纏ったルナミラクルゼロに変わる。

 

《ウルティメイトルナミラクルゼロ。ウルトラゼロマジック。》

 

『ウルトラマンダイナ・ミラクルタイプ』の使う技。

『ウルトラマジック』のゼロ版、『ウルトラゼロマジック』により3人に分身するゼロ。

 

イージスを弓状に変化させ、エネルギーを溜める。

その光景にスコーピスが光弾を放つが、念力によるバリアによって防ぐ。

 

《ファイナルウルティメイトゼロ。》

 

分身体と共に、ウルティメイトイージスを放つ。散りばり、逃げようとするスコーピス。

 

《「無駄。」》

 

響の呟きの後、イージスを分裂させ次々と連射していく。

あちこちで爆発が起きるのを、一人に戻ったゼロが見つめる。

 

「ピッギャーーー!」

 

「シェア!?」

 

爆発の中から、数多の仲間を盾にして生き残った、通常の黄色の目と違い、

赤い目をした一体のスコーピスが、ゼロに突進を仕掛ける。

予想外の出来事で動揺していたゼロは動けず、もろに受け吹き飛ばされる。

スコーピスはゼロを追いかける形で、惑星に向けて飛翔する。




ED.キラメク未来

【イージスを使う、他形態のゼロ】


ライブステージでは、既に使っていたりする。ルナミラクルゼロの暴挙の同じく。

ストロングコロナゼロ時、炎を刀身に纏わせるのは今作オリジナル。
(資料がないだけで、やっているかもしれない。)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2ページ:種族を超えて

俺達は、命溢れる星々が砂漠の死の星になる異変を調査していた。
その途中で俺達は、怪獣兵器スコーピスの軍団と戦闘になる。
その戦いにのさ中、俺達は不意を使れ、ある星にへと墜落する。


空から、物凄いスピードで落ちてくる影がある。

それを追いかけるように現れた怪獣・スコーピスは、降り立った周辺の建物を破壊し始める。

 

「ピッギャーーー!」

 

「●■▲✖※!」

 

スコーピスが吠える中、単眼なこの星の住人達が逃げ惑う。

 

「▲▼■■●!!」

 

一人の星人が子供と思われる星人に、叫び声を上げる。

 

「ピッギャーーー!」

 

「✖!?」

 

時すでに遅く、子供に向かって光弾・ポイゾニクトが迫る。

子供が目を背けるのとほぼ同じタイミングで、爆発が子供を包み込む。

 

「・・・✖?」

 

煙が晴れると少年は無傷で立っており、バリアが少年を守っていた。

 

「シェア!」

 

起き上がった最初の影、ウルトラマンゼロがエネルギーを照射して子供を

『ウルトラゼロディフェンサー』で守ったのだ!

 

《なかなか、良い反応だったぜ!》

 

《「・・・っ!どうして、私・・・」》

 

もっとも宇宙人たいして、あまり良い印象を持ってない響は、

とっさに宇宙人の子供を助けた自分自身に驚いているようだ。

 

「ピッギャーーー!」

 

《どうやらあちらさんは、待ってくれないようだぜ。》

「シェア!」

 

頭部からゼロスラッガーを放ち、念力を使用して自由自在に操る。

 

「ピッギャーーー!?!?」

 

スコーピスの尻尾を切り裂く!スコーピスが痛みに悶えている隙に、

ゼロスラッガーを胸のカラータイマーの左右に装着し、エネルギーを溜めていく。

 

《ゼロツインシュゥーーートォ!!》

 

強力な必殺光線・『ゼロツインシュート』が、スコーピスを貫く!

スコーピスは、耐えきれずに爆散!

 

《っう! 流石に、きついぜ・・・》

 

戦闘の疲労でいざを付くゼロ。ゼロの体は、光に包まれ徐々に小さくなっていく。

光が晴れると、響の姿があった。

 

「・・・っ!」

 

響が視線をあげると、単眼の宇宙人達が響を警戒しながら、囲んでいた。

 

「っく!」

 

それに気が付いた響は、周囲を警戒しながら立ち上がる。

 

《こいつら、『ザム星人』か。》

 

響の左腕に装着されたウルティメイトブレスレットから、ゼロが言葉が響にのみ聞こえてくる。

 

「《ザム星人?》」

 

警戒しながらも、テレパシーでゼロに質問する。

 

《あぁ。ある宇宙で絶滅した・・・()()()()()()()の種類だ。》

 

(絶滅・・・)

 

響の脳内では、自身が小さい時に救ってくれた、小さな赤い怪獣達の姿が思い出されていた。

 

「《・・・そう。》」

 

小さな声(テレパシー)で、ゼロに言葉を返す響。

そこに先程、助けた子供のザム星人が響にゆっくりと近づいて来る。

周りのザム星人が騒がしく声を上げる中、立ち止まり、響を見上げる。

 

「※●▲●※!!」

 

言葉のようなモノを発し、両手に持つ緑色の鉱石を響に差し出す。

当然、彼らの言葉を知らない響は、何を言っているのかさっぱり分からない。

 

《【ありがとう】だってよ。》

 

「《分かるの?》」

 

当然のように翻訳したゼロに、言葉をかける響。

 

《こう言うのは、心で感じるものなんだよ!》

 

(・・・・・・)

 

ゼロの言葉を聞いて響は少し考え、しゃがみ込みザム星人の子供の視線と合わせる。

 

「・・・どう、いたしまして・・・」

 

恐る恐る、ゆっくりと功績を手に取りながら、言葉をかける。

 

「◆●■▼!」

 

響が鉱石を受け取ったことで、嬉しそうに響の周りをスキップで回る。

その様子に、他のザム星人も警戒を解いていく。

 

地球を旅立った響が出会ってきた宇宙人は、自身の快楽の為に暴れまわる奴らばっかりだった。

もしくは、声をかけられる前にその場をすぐに立ち去っていた。

その為、友好的な宇宙人と関わっていなかったのだ。

そんな響とってザム星人の子供は、宇宙人に対する考えを改める機会になった。

 

 

 

____________________________________________

 

響Side IN

 

・・・翌日

 

「・・・・・・」

 

結局昨日は、子供のザム星人の子供の家でお世話になった。

相変わらず言っている事は理解できない。けど・・・・

 

「●▼◆■※~♪」

 

確実に子供のザム星人に懐かれた。

今だって、私の横で楽しそうに足をぶらぶらさせている。なんか・・・

 

「キリシラコンビを思い出す。」

 

「?」

 

可愛く首を傾ける子供のザム星人。

最近は戦いばっかだったから、こんな平和な時間は久々だ。

 

《っ!気を付けろ、響!!》

 

けど、そんな時間は長く持たなかった。ゼロの警告を聞き、空を見あげる。

何かが、闇と共にこの星に降り立つ。闇が晴れると、徐々に全貌が見えてくる。

そこには柱のような二本の角に花のような腕を持つ、異形の存在が立っていた。

 

「俺の名は、『サンドロス』! インダストの1人だ!」

 

「・・・インダスト!」

 

その組織の名を聞いた瞬間、座っていた岩から立ち上がる。

そんな私の服をつまんでくる影がある。

 

「◆✖!!」

 

ザム星人の子供の手は、震えていた。

その様子が、いつかのキリシラコンビを思わせた。

 

「・・・大丈夫。」

 

その一言を聞いたザム星人の子供が、ゆっくりと手を離す。

今なら、ゼロの言っていた意味が分かる・・・・・・・・気がする。

 

「行こう、ゼロ。」

 

《あぁ!》

 

左腕を前に伸ばし、ウルティメイトブレスレットから、

ウルトラゼロアイを取り出し、目元に装着する。

私の体は光に包まれ、ゼロに変わる。

 

響Side END

 

《俺達が相手だ!》

 

空から現れたゼロが、右足に炎を纏う蹴り『ウルトラゼロキック』による、

先制攻撃がサンドロスに命中する。

 

《何!?》

 

しかし、サンドロスを数歩後づさせるだけだった。

 

「ふん!」

 

腕で、ゼロを弾き飛ばす。

 

《っぐ!》

 

弾き飛ばされたゼロは、空中で回転し、地面に着地する。

 

《っな!?》

 

その瞬間を狙ったサンドロスは、手から念力波でゼロを吹き飛ばす。

 

《「っく!」》

 

そのままゼロを拘束する。『ハードキネシス』によってゼロは動くことが出来ない。

必死に拘束を解こうとするゼロに、声をかけるサンドロス。

 

「この宇宙の真理。それは、強い者が弱い者を滅ぼし・支配する。

 なのに何故、お前たちは、それ程の力を持ちながら弱者を守るのだ!」

 

《理由なんてねぇ!昔から守って来た。ただ、それだけだ!》

 

《「それに、そんな真理・・・・認めない。」》

 

「愚かな者達だ・・・ならばこの星の弱者共々、滅びるがいい!!」

 

すると口が四つに裂け、火球弾・『ギガレントラッシュ』を放つ。

 

《こんな・・・所で!》

 

《「負けられない!」》

 

♪:すすめ ウルトラマンゼロ(キラー ザ ビートスター バージョン)

 

爆発の炎の中で、二人の諦めない心と共鳴するかのように、

響の胸が光りだす。最初は銀色だった光が、赤色に変わる。

 

《「この光は・・・?」》

 

《この光から、ウルトラ戦士の力を感じる。》

 

《「温かい・・・」》

 

光は響を、ゼロを優しく包み込む。

すると、ゼロスラッガーが独りでにゼロの周りを回転し始める。

ゼロスラッガーは、徐々にゼロの新たな鎧にへと変わる。

 

「なに!」

 

煙が晴れ、ゼロの無事を目視したサンドロスが驚きの声を上げる。

右腕に巨大な剣、左腕には盾を装備し、銀色の鎧にその身を包んだゼロ。

『ゼロスラッガーギア・キーパーフォーム』へ姿を変えたゼロがサンドロスを睨む。

 

「鎧を着たぐらいで!!」

 

角から黒煙をだし、周辺を闇で包む。

何も見えない視界の中、サンドロスは腕を剣に変化させ、

後ろからゼロに向かって、振り下ろす。

 

「デェア!」

 

「何!」

 

サンドロスの剣を、ゼロは左腕の盾で受け止める。

 

《視界が見えなくても、やりようはあるんだよ!》

 

ゼロは宇宙拳法に使い手。サンドロスの気配と殺意を肌で感じ、

盾で受け止めて見せたのだ。

 

「っぐ!」

 

ゼロから距離を取ったサンドロスは、ギガレントラッシュを連続で放つ。

ギガレントラッシュは、ゼロスラッガーギアに吸収されていく。

 

《「いい加減、しつこい。」》

 

「グッハ!!」

 

吸収したエネルギーを右腕の剣・『リフレクションブレード』に集め、

剣先から光線として放つ!光線はサンドロスの角を破壊し、周辺の闇が晴れていく。

 

「デェア!」

 

ゼロはサンドロスへと近づき、剣で次々と攻撃していく。

サンドロスは最後の抵抗と言わんばかりに、

剣にありったけのエネルギーを込めゼロに斬りがかる。

 

《はぁぁぁ~~~~!!》

 

サンドロスの剣を、リフレクションブレードで受け止める。

サンドロスの剣を弾き、エネルギーを込めて一閃!

 

「ガァァァ~~~~!!」

 

サンドロスは爆散する。

サンドロスの死を確認したゼロは、自身が纏う鎧をまじまじと見る。

 

《「これが・・・」》

 

《俺達の新しい力。》

 

「「「「「「※▼▲●●!!」」」」」」

 

ゼロの勝利を見届けたザム星人達が、ゼロに声かける。

 

「シェア!」

 

鎧がゼロスラッガーへと戻り、頭部に装着される。

右手を顔の横に持ってきて、中指と薬指折りたたみ軽く振り、宇宙に向けて飛び立つ。

その時ゼロ視界には、子供ザム星人が手を振っているのをしっかりと収めていた。




ED.キラメク未来

【ゼロスラッガーギア・キーパーフォーム】


ゼロスラッガーが光を浴びて変化した、
攻撃力と防御力に優れるウルティメイトイージスに似た鎧。
左腕にシールド、右腕に大剣・リフレクションブレードを装備している。
鎧で受け止めた攻撃をリフレクションブレードの攻撃力に変換して戦う!

今作では、響が6回目でウルトラマンノアから授かった光が、
赤色に変わる事で、ゼロスラッガーが変化する。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3ページ:狙われた響

スコーピスとの戦闘の末、ザム星へと下りっ立った俺達。
そこで響は、ザム星人の温かさを知る。そこへサンドロスが現れ、俺達と戦闘になる。
奴の小細工にほんの少しだけ苦戦するも、
響がウルトラマンノアから授かった光が俺達に新たな力を与えてくれた。
無事に勝利した俺達は、宇宙の旅へと戻るのであった。


海の星・シャーター

 

星全体が海の星。

その星の海中で戦う3つの影。そして、その様子を見守る円盤の姿があった。

 

「キィーーー!」

 

白地に黒色の模様が特徴の身体に、目の代わりに回転する角がレーダーのようになっている怪獣、

『宇宙怪獣 エレキング』が、虹色の三日月放電光線『三日月レインボーカッター』が放たれる。

複数の光線が一か所に向けて放たれおり、目標に命中し爆発を起こす。

 

「キィーーー!」

 

煙が晴れるとそこには、盾状のアイテム

『ウルトラゼロディフェンダー』を構えているゼロの姿があった。

 

「シェア!」

《エメリウムスラッシュ!》

 

後から殺気と共に迫りくる気配を感じたゼロは振り向き、

額の『ビームランプ』から緑色の光線を放つ。

 

「グガアァァァァ!」

 

『エメリウムスラッシュ』は、突撃してくる二本の尻尾を持つ怪獣『ツインテール』に

向かってくも、光線の周りを旋回し躱す。

 

《「・・・戦い辛い。」》

 

《こうなったら、試してみるか!》

 

《「試すって、何を?」》

 

《組み合わせるんだよ!この前の力と!》

 

思いっ経ったら何とやら。ハープの音・赤の光が海中を包む。

光が晴れると、新たなゼロがそこには居た。

青のゼロが銀色の鎧を身にまとい、腕には剣と盾を装備した姿。

 

《「・・・『ルナミラクルぜロ スラッガーギア・キーパーフォーム』ってところかな?」》

 

《いくぞ、響。》

 

《「うん。」》

 

テレポーテーションでツインテールの傍に移動し、リフレクションブレードで切り裂く!

 

「グガアァァァァ・・・」

 

「キィーーーーーー!」

 

ツインテール撃破直後のゼロに向かって、自身の尻尾を巻きつけようとする。

 

《ミラクルゼロスラッガー。》

 

光のゼロスラッガーが、エレキングを切り刻む。

 

「っ!」

 

エレキングが爆散する光景を見た、黄色の瞳の星人。

『ピット星人』が乗る円盤が、シャーターを離れようとする。

 

「今度はもっと強い怪獣を引き連れて、お前たちを殺してやる!」

 

《「いや、今回で終わり。」》

 

エメリウムスラッシュが、円盤ごとピット星人を撃ち貫く!

 

《「いきなり襲ってきて・・・」》

 

通用の姿に戻りながら響は呟く。

 

《それだけ俺達の存在が、インダスト(やつら)にとって邪魔なんだろうよ。》

 

《「・・・そっ。」》

 

シャーターを去り、宇宙の旅へと戻っていく響達。

 

____________________________________________

 

砂漠の惑星・エレー

 

「っと。」

 

一筋の光が、砂漠に降りてきて人型になる・・・まぁ、私なんだけど。

グレーのポンチョが風に揺られてるの視界に入れながら、前へと進む。

インダストの連中を追いかけてもう、大分時間が経った。

 

最初の頃は、インダストの被害にあっている星々を守ってたけど、

ピット星人の襲撃を受けてから、向こうからやって来る事が増えてきた。

まぁ、問題はインダストの連中だけじゃなくて・・・

 

「・・・っ!」

 

真下から気配を感じ、後ろへと飛ぶ。

 

「ギャオーーン!」

 

三日月型の角と一角の角を持つ怪獣が砂を巻き上げながら現れた。

 

《アレは、『ゴモラ』!》

 

この星の野生個体か・・・

 

《テリトリーに入られて、かなりご立腹のようだな。》

 

「仕方ない。・・・デュア!」

 

ウルトラゼロアイを装着し、ゼロに変わる。

 

《ストロングコロナゼロ!!ウルトラハリケーン!!》

 

ゴモラが変身時に発生した光に怯んでいる瞬間に、ストロングコロナゼロへとタイプチェンジ。

ウルトラハリケーンで、空へと投げ飛ばす。空を舞うゴモラを追うように空へ。

 

《ルナミラクルゼロ。フルムーンウェーブ。》

 

追いついたら、ルナミラクルゼロに変わる。そのまま、ゴモラの周りを高速旋回。

ゴモラを光の泡に包み込みながら、着地。

 

「ギャオーーン?」

 

先程の技は、相手を落ち着かせる。慈愛の勇者の力らしい。

 

《驚かせて、悪かったな。》

 

命をむやみに奪わない。宇宙の旅の中で、ゼロから教わった事の一つだ。

通常の姿に戻り、ゼロがゴモラに声をかける。

 

「ギャオーーン!?!?」

 

《な!?》

 

ゴモラが地中に潜ろうとした時、後ろの方から火球が飛んできて、ゴモラの命を奪う。

 

「見つけましよ、ウルトラマンゼロ。」

 

後ろか声が聞こえる。

 

「私はキリエル。貴様を倒し、宇宙に名を残s「シャア!」グッファ!?」

 

奴の言葉を聞かず、全速力(光の速度)で近づき殴り飛ばす。

 

《「・・・潰す。」》

 

《俺達の怒りのメテオ、喰らいやがれ!!》

 

胸の光が銀色に輝く。

時を同じくして、ゼロスラッガーが私達の周りを旋回し始める。

 

銀色の光が青色に変わり、ゼロスラッガーが新たな鎧に変わる。

 

響Side END

 

♪:ULTRA BRAVE

 

その鎧は青く、両腕にヒレの様なトゲ、胸にはスターシンボルを思わせる星マーク。

新たな鎧を身にまとうゼロが、怒りを燃やしていた。

 

「な、なんだその姿は!?」

 

《ウルトラマンゼロ 『ゼロスラッガーギア・スーパーフォーム』!》

 

不気味な笑顔を浮かべているような悪魔・『キリエロイドⅡ』の言葉に、

セロが答えと、拳によるラッシュでキリエルを攻撃する。

 

「クッソ!」

 

キリエルの姿が変化していき、パワーに特化した姿へとタイプチェンジする。

 

「キリキリ!」

 

腕に生えたカッターで攻撃しようとゼロに近づく。

 

「デェア!」

 

ゼロはダンスのステップような動きで回避てしていき、腕のトゲで次々と切り裂く!

 

「っく!」

 

後ろへと跳んだキリエルが、手から連続で火球を放つ。

 

「シェアァー!」

 

まるでローラースケートをしているかのように、回避するゼロ。

 

「キリィ!」

 

ゼロが回避している間に、背中に翼を生やし逃走する。

 

《「逃がさない。」》

 

《エメリウムスタービームー!》

 

胸の星マークにエネルギーを溜め、光線を放つ。

 

「グッグワァァァ~~~!!!」

 

光線がキリエルを貫き、爆発を起こす。

 

《「・・・また、新しい力・・・」》

 

《ノアが授けてくれた光、か・・・ 》

 

ゼロの体が光の粒子と変わり、散らばった光が再び人型を形成する。

光が晴れると響が立っていた。

 

(ノア・・・ どうして、ゼロでなく私に力を?)

 

自身の胸に手を当てる響。

胸の中では服の上からでも分かるほど、銀色の光が輝いていた。




ED.キラメク未来

【ゼロスラッガーギア・スーパーフォーム】


ゼロスラッガーが変化した鎧。
攻撃・スピードに特化した姿で、ローラースケートを履いているかのような移動が出来る。
両腕のヒレの様なトゲで相手を切り裂き、胸の星マークから光線を放つ。

今作では、響がノアから授かった光が青色に輝くことで変化した。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4ページ:悪魔襲来

宇宙での旅の中、次第にインダストやならず者宇宙人に狙われるようになっていった俺達。
だがノアから授かった、新たな力を使いこなす俺達には敵わないぜ!
しかし、俺達を狙っているのはこう宇宙の存在だけでなく、
異次元からの魔の手が俺達に迫っていたのだった・・・


とある小惑星で、ゼロが戦闘を繰り広げていた!

 

「シェア!」

 

「グギャァァァーーー!」

 

その相手はかつて地球で戦った、暴君怪獣タイラントだ。

 

《「これで終わり。」》

 

響の言葉と共に、左腕のブレスに手を添えて走り出し、

エレキギターの音と青い光と共に姿を変える!

ストロングコロナゼロの姿で、胸部に巨大な星マークの鎧を纏いし姿。

 

《「『ストロングコロナゼロ スラッガーギア・スーパーフォーム。』」》

「デェェェアァァァ!!」

 

両腕の炎を纏ったトゲで、タイランを切り刻んでいく!

かつては平行宇宙を超えて故に弱体化、更にコンビを組んだばかりで、

本調子を出せずにタイラントに苦戦したゼロと響。

様々な戦いを経験した今の二人には、タイラントは襲るに足りなかった。

 

《ウルトラゼロキック!!》

 

右足に炎を纏い飛び蹴りを放つ!

その攻撃は、必殺の一撃となりタイラントを撃破する。

 

 

 

響Side IN

 

 

 

《「・・・・どうしてタイラントが、こんな所に。」》

 

ここは、小惑星群があるだけで他には何も無い。

私達はここで異常なほどの『マイナスエネルギー』を感知してやって来た。

その結果が戦闘だ。

 

『「・・・これは、人魂?」』

 

少し情報を整理している間に周囲には、無数の人魂が浮かび上がっていた。

色は紫色で、本当に良く日本人が想像する人魂だ。

 

《怪獣達の怨念か?》

 

ゼロの言葉の直後、怨念が私達に纏わりついてくる。しだいに怨念は見覚えのある鎧

・・・・・・・テクターギアへと変化してゆく。

 

《このテクターギアは!?》

 

《「なんか、息苦しい・・・・」》

 

ゼロが驚きの声を上げる中、怨念が変化した鎧を装着しているためか息苦しさを感じる。

 

『当然だ!その鎧には、怪獣や宇宙人どもの怨念が詰まっているのだからな!』

 

何処からか声が聞こえてくる。辺りを見渡しても影も形もない。

 

《「《ッ!》」》

 

後ろからの殺気を感じ振り向く。

すると突然空間がガラスのように割れ、

禍々しい赤色の背景にそびえ立つ影が目の前に降り立つ。

 

《こ、こいつは!》

 

オレンジと青の身体に、頭部の角が特徴的な姿。

 

《気を引き締めるぞ響。奴は怪獣よりも強力な超獣・・・・》

 

重々しく口を開くゼロ。口調こそ普段と変わらないが、私には分かる。

今のゼロは本当にヤバイ時の反応だと、相棒として私にできるのはいつも以上に集中する事。

 

《一角超獣・・・》

 

『やれ・・・・』

 

『《バキシム!》』

 

謎の声とゼロが超獣の名を呟く瞬間なんと、バキシムは手からミサイルを放ってきた。

 

《「っ!」》

 

何とか距離を取る事だ躱すことに成功するも、今だ動揺が抜けきらない間に、

頭部の角もまた、ミサイルのように放ってきたバキシム。

ミサイルを躱そうとしたその時だった。

 

《「っう!」》

 

《ぐわぁ~~!》

 

身体に電流が流れ、動けなくなりミサイルが直撃した。

 

《「何これ?」》

 

『行ったはずだ!その鎧は怨念によってできた代物だと!

 その鎧はお前たちが倒してきた者たちの悲痛な思いが具現化した物!

 その鎧によって、お前らは滅びるのだ!苦しめウルトラマン!!』

 

再び空間がガラスのように割れ、槍を持った赤い悪魔のような人型がすがたを現した。

 

《噂は聞いてるぜ、ヤプール!それが自信を改造した異次元人か!》

 

《「いったい、何の目的は何だ。ヤプール星人。」》

 

「『ヤプール人』だ!・・・・目的など、お前達の抹殺以外何がある!

 その為なら怪獣だろうが、怨念だろうが何でも、利用するまで!!」

 

《怪獣だろうが?・・・まさか、タイラントは!》

 

「お前たちをおびき寄せるただのコマにすぎん!」

 

《おm「私達を倒すだけの為に、眠っていた魂を利用したの?」》

 

ゼロの言葉を遮り、言葉を発する。

 

「あぁそうだ!」

 

《「私を・・・ ゼロを・・・・・ 倒すなら・・・・・・・・」》

 

まるで当たり前化のように言う奴に、私の中で何かがプツンと切れる。

 

《「死んでいった者たちを、利用するなぁ!」》

 

拳を握り、力の限り叫ぶ!

 

 

 

響Side END

 

 

 

♪:キラメク未来

 

響の叫びと共に、響の銀色の胸の光がいつも以上に強く輝く!

次の瞬間、『テクターギア・ヘイトリッド』を吹き飛ばすほどの輝きが、

ゼロのカラータイマーから放たれる。

その様は、ネクサスの技・『コアファイナル』の様だった。

 

「デェーーーーヤァァァァァ!!」

 

そんなこと知らず、バキシムに蹴りや拳によるラッシュを仕掛ける!

バキシムの反撃の手を与えずに、投げ飛ばす。

抜刀の様なポーズをとり、エネルギーを溜め腕を十字に組む!

 

「デェェアァァーーー!」

 

ネクサスが使う水色の光線・『クロスレイ・シュトローム』が放たれる!

光線を受けたバキシムは、後ろへと倒れ爆散する。

 

「フハハハハハ!!」

 

《なに!?》

 

ヤプールの笑いが響き渡る中、怨念がさらに集まりだす。

 

「お前たちは、我らの思いどうりに動いてたのだ!」

 

怨念をすべて吸収したヤプールが、異次元の中から出てくる。

ヤプールの姿は直ぐに変貌し、キメラの様な超巨体の怪獣へと変わる!

 

《「っく!」》

 

ゼロの何倍ものある巨体に後づさるゼロ達。

ヤプールの計画は始まったばかりだった。




ED.キラメク未来

【ノアから授かった光の玉】

響の中にある聖なる光を放つ、光の玉。発行する色によって、効果が変わる。
その力はまるでノアの姿の一つの、ネクサスように・・・

銀→ネクサス(アンファンス)の技の一部が使用可能
赤→攻撃力と防御力が上がる
青→攻撃とスピードが上がる


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5ページ:勝者の背負いしモノ

マイナスエネルギーを感知して、とある小惑星群にやって来た俺達。
しかしそれは俺と同じ宇宙からやって来た、改造ヤプールの罠だった。
奴の繰り出したタイラントやバキシムを倒したものつかの間、
奴は怪獣達の怨念を取り込みその姿を変える。
だが俺達は負けない!読者の皆、応援よろしくな!!


数えるの億劫になるほど、光弾や炎・冷気が周囲にある小惑星を次々と破壊していく。

巨体の影が放つ攻撃を次々と躱してゆくのは、光の巨人。

 

「デェア!」

 

額のビームランプからエメリウムスラッシュえお放ち反撃を仕掛けるゼロ。

ケンタウロスを想起させるタイラントらしき巨体には、雀の涙以下の物だった。

 

『効かぬは!』

 

タイラントらしき怪獣『グランドタイラント』から、ヤプールの声が響く。

次の瞬間、バキシムを思わす部位からミサイルを放つ。

腕をL時に組んだゼロは、『ワイドゼロショット』を放ち遊撃する。

 

「グギャァァァァァーーーーーーーー!!!」

 

そこに咆哮をあげ、グランドタイラントがゴモラの技『超振動波』を放つ。

寸前で気づき更に高度を上げる事で回避するゼロ。

 

《っく! 流石にこの俺でも、この巨体を相手にするのはキツイな・・・》

 

《「それでも諦めない・・・・それが()()、『ウルトラマン』なんでしょ?」》

 

ゼロがこぼした言葉に、言葉を返す響。

 

《ッヘ! まさかお前から、そんな言葉が聴けるなんてな。明日は、巨大隕石に追われるのか?》

 

《「なに?そんなに以外? 長い事、熱いやつの相棒をしてるんだ。それが映ったんじゃない?」》

 

軽口を言い合う二人だがその言葉には棘は、ある物のその音色には嫌味は無い。

 

♪:Lost the way

 

《「・・・それじゃあ、アレで行こう!」》

 

《あぁ!ブラックホールが、吹き荒れるぜ!》

 

ゼロの身体が引きらに包まれていく。

その様子を見つめていたグランドタイラントから炎が放射され、ゼロが爆破の中に消える。

 

『なに!?』

 

煙が晴れると同時に、3人へと分身したゼロがグランドタイラントを囲むように飛ぶ。

 

《ゼロスラッガーギア・キーパーフォーム!》

 

《ゼロスラッガーギア・スーパーフォーム!》

 

ゼロスラッガーギアを身にまとう二人のゼロと、『ゼロツインソード』手にするゼロ。

 

《覚悟しろ、ヤプール!》

 

《「反撃開始。」》

 

響の一言で攻撃を始めるゼロ。

グランドタイラントの正面に立った、スーパーフォームのゼロが手から光弾を次々と放つ。

その光弾は次々とベムスターの腹部に吸収されていく。

 

《行くぜ!》

 

その隙をついて、ゼロツインソードを持つゼロが『プラズマスパークスラッシュ』で、

エレキングの尻尾を、キーパーフォームのゼロがリフレクションブレードを輝かせ、

ゴモラの尻尾をそれぞれ切り裂く!

 

「グギャァァァァァーーーーーーーー!!!」

 

斬られた痛みでグランドタイラントが悲鳴を上げる。

その隙に跳び上がるスーパーフォームのゼロ。

 

『喰らえ!』

 

バラバの鉄球をゼロツインソードを手にするゼロにぶつけ吹き飛ばし、

ベムスターの腹から冷気をキーパーフォームのゼロにあびせる。

左手の盾で防ぐも、徐々に体が凍っていく。

 

《エメリウムスタービーム!》

 

スーパーフォームのゼロが胸部から光線を放ち、バキシムの発光部を破壊する。

 

《ストロングコロナゼロ スラッガーギア・キーパーフォーム!!》

 

ヤプールの意識がずれた瞬間に、炎を身にまとい更に姿を変えるゼロ。

炎を纏ったリフレクションブレードを腹部にあるツインテールの右発光部に突き刺す。

 

『っく、腰癪なぁ!!』

 

キーパーフォームのゼロに向かって6本ある腕一つ、アストロモンスの鞭を振るおうとする。

 

《ルナミラクルゼロ スラッガーギア・スーパーフォーム。》

 

ハープの音と共に変わったスーパーフォームゼロが、念力で押さえつける。

そこに白銀の鎧に身を包むゼロが右腕の3本を切り裂く。

 

《「ウルティメイトゼロ・・・」》

 

キーパーフォームのゼロが離脱したのを確認すると、左手の3本も刀身を伸ばす技、

ソードレイ・ウルティメイトゼロで切り裂く。

すぐさま上昇し、移動するウルティメイトセロ。

入れ代わるようにキーパーフォームとスーパーフォームのゼロが、

グランドタイラントを転倒させ、同じく上昇し、ウルティメイトゼロの横に着く。

 

イージスを『ファイナルウルティメイトゼロモード』へと変形させ、エネルギーを溜める。

また、ゼロスラッガーギアを纏った二人のゼロもイージスにエネルギーを送る。

 

「デェェェェーーヤァァァァーーーーー!!」

 

『疑似ファイナルウルティメイトゼロ・トリニティ』が、グランドタイラントを・・・

そして、改造ヤプールを貫く!

 

『ウググ・・・ 勝者は敗者の怨念をって生きていッグワァァーーー!!』

 

一人にも出ったゼロに向かって、叫ぶヤプール。

 

《「敗者の怨念ね・・・・・」》

 

彼らの(戦い)は、まだまだ続く。

この宇宙に真の平和が訪れる、その日まで。

 

 

 

 

 

 

第二部・完!!




ED.キラメク未来

【再び分身したゼロ】


かつての戦いと違い、基本形態で分身したゼロ。
また、それぞれが自分の意思で姿を変えて戦う事も可能。自分自身の為、連携もかなりの物だ。

この現象は、響の小さくて、大きな成長がもたらしたものと思われる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。